予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 330 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/30
会議録
○主査(亀井久興君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 去る二十七日原田立君が分科担当委員を辞任され、その補欠として大川清幸君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○主査(亀井久興君) 昭和五十六年度総予算中警察庁、北海道開発庁及び自治省所管を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○坂倉藤吾君 きょうは国家公安委員会、警察庁、それから自治省の関係について幾つか御質問申し上げたい点があるわけですが、予算委員会が始まりまして、衆議院さらには参議院で先輩議員あるいは同僚議員から幾つかの同和行政に対する質疑が行われてきたわけです。 私は、きょうは幾つかある中で、同和行政に焦点を当てながら御質問申し上げたいと、こう思っておるわけでございます。 一番最初に、先般の参議院の一般質問の際に同僚の村沢委員から、いまここに持っておりますが、「全国のあいつぐ差別事件」が配付されまして、自治大臣も所見を求められたと、こういうふうに承知いたしておるわけですが、その後この冊子の中身につきまして十分御精読をいただいたと思うんですが、御感想はどういうふうに相なっておりましょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私も印刷物は詳細に読ましていただきました。ああいうことがいまの日本の中にあるのかということについて非常に遺憾に思ったところでございます。私といたしましては大変衝撃を受けたということを申し上げておきます。どうしてもああいう問題をこれから真剣になって解消するために努力せにゃならぬという感じを強めたところでございます。 簡単でございますが、一言読んだ後の所感だけ申し上げておきます。
○坂倉藤吾君 同対審答申が出されましたのが昭和四十年、以来政府は、同対審答申の中にありますように、国の責任あるいは地方行政の責任、とりわけ国が基本的にその責任を負わなきゃならぬという立場でお互いに、政治家も含めて、これは努力してきておると思うんです。 ところが、この冊子に記述されております約三百件の事件そのものは、私は今日の政治情勢、社会情勢の中で、正直に申し上げて、氷山の一角だと、こう理解をするわけであります。その中で具体的に挙げられたものだけが出てきていて、ここに挙がってこない幾つかの差別事件というのが現実に存在する。こういう事態をきちっと認識をした上でこれからの衝に当たっていかなきゃならぬ、私はこういうふうに基本的に考えるわけです。 そこで、具体的になりますが、これは直接自治省ということではありませんが、自治省が大体指導をなされております一番近いところでありますので、お尋ねをいたしますが、この冊子の百六十四ページ、百六十五ページ、百六十七ページ、百六十九ページ、これは湯河原町の差別発言事件、あるいは高知県の職員の土佐市における差別発言事件、さらには島根県の大田市長自体が差別発言をしておる問題、あるいは多度津町長が差別発言をしておる事件、いうなら地方自治体にかかわる重大な差別事件なんですね。これが出ておるわけですが、これらの事件について大臣はどう御理解されますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方自治体といたしましては、自治省も、この問題の重要性にかんがみまして、この問題に地方自治体としては積極的に対応すべきである。そういう事態の発生しないようにということのための研究会やあるいは打合会等をいままでも開催してきておるところでございます。多くの中にこれに指摘されておるような事案が出ておりますることはまことに遺憾だと思います。今後一層そうした努力を重ねまして、こういう事態が発生しないようにさらに努めていかなければならぬと考えておるところでございます。
○坂倉藤吾君 私は地元の方をよく回ってみまして、一番気になりますのは、地方行政をあずかる町長さんあるいは村長さん、市長さんですね、その認識にきわめて格差が多いわけです。そして従来そうした点を指摘いたしますと、国の立場ではこれは総理府が同封室を持って総合的にやっているのでございますということで、たとえば啓発の問題等につきましても、それぞれの所管では逃げを打っておる。私は逃げを打っておるとあえて申し上げるのですがね。そういう状況にあります。実際にこの差別が発生するのは生きた生活の場でありまして、したがって、それらの問題はすべて地方自治体に窓口としては集中をされます。そうすると、地方自治体をリードし善導していくという立場が自治省の中の主たる任務なわけです。こういうことからいきまして、私はもう少し地方行政をあずかる方々が今日の同対審答申の基本を踏まえてきちっとあるべきではないんだろうか。その辺が、ずいぶん取り組んでおられるようでありますけれども、まだまだ手ぬるい、こういう現実だろうというふうに思うんです。 そこで、これは総理府の問題だということで逃げるのではなくて、自治省としても今日の状況を的確に把握されて、地方自治体をどう具体的になるべく統一した足並みで進むように指導するという、そういう方針というのはお出しいただいたらいいんじゃないんだろうかという気がするわけでありますが、そういう再度統一的に指導するという、こういう点についていかがなものでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) おっしゃるとおりに、所管は総理府でございますけれども、第一線で対応いたしまするのは、結局地方自治体が対応するわけでございまするから、この辺の行動、考え方、努力、取り組み方、これが一番基本になるだろうと思うんです。それだけに自治省といたしましては、そういった地方団体が意欲を持ってこの問題に対応するための努力を重ねてもらいたいということだけはいままでも努めておるわけでございまするが、必ずしもまだ十分でないという御指摘もございますので、一層努力をいたしたいと存じます。ただ、制度自体の問題になりますと、総理府の協力も得なければならぬ問題がございまするから、この点は十分対応いたしまして努力を重ねていくつもりでございます。
○坂倉藤吾君 関係省庁のお集まりをいただいて、この問題を専門的に扱う会議もあるわけでありますから、ぜひひとつ地方行政の窓口をやっているということを踏まえて自治大臣としては大いにその辺を強調いただきたい、こういうふうに思うんです。 それから今度は立場を変えてなんですが、同じ冊子の中に、百五十九ページ、百六十三ページ、それから百七十一ページ、ここには現職警察官の差別発言問題がございます。 従来の議事録等を読ましていただきますと、警察官は、採用しまして、学校の中で、あるいは現地に着任をした場合に、とりわけそういう差別については絶対にまかりならぬという立場で、相当強い教育を行われておるというふうな説明を受けているわけですね。ところが、現実問題としては、この警察官の差別発言問題というものが上がってきておる。これは一体どういうふうに国家公安委員長の立場でお考えなのか、ひとつお聞かせいただけますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) お話しの点につきましても、私の方としてはいろいろと調べてみました。しかしながら、そうした事実というものは、実ははっきりいたさない、そういうことはないと、こういうような報告に接しておるわけでございまするが、しかし数多くの中にはそういうケースだって絶無というわけにもいかぬのかとも思っておるわけでございます。したがいまして、従来非常に努力をしてまいりましたが、層一層この問題については御批判のないように努力を重ねていこうと、こう決意いたしておるところでございます。
○坂倉藤吾君 いまの御答弁は、これは衆議院で矢山先生がお取り上げになったいわゆる東洋工業就職差別関係についての御答弁だと、こう思うんですね。 それはそれといたしまして、私がいま申し上げましたのは、たとえば百六十三ページ、これは福岡県のM派出所の警察官が行った事件なんですね。これは高校生三人に対して、一人の警官が警官同士で話をしている中身。それから百五十九ページは、これはまた大変ひどい発言がございます。これとはちょっと質が違うだろう、こういうふうに思うんですね。 この東洋工業の就職差別といいますか、身元調べの問題につきましては、これは元警察官であった方が五人ほど東洋工業にそういう身元調べのために採用されまして、したがって元警察官ということでいわゆる公安関係者がその調査に協力している、こういう問題が東洋工業問題。 ところが、こちらは現職警官が直接やっている。ここには相当質的に違ったものがあるし、いままでの答弁による、警察官については特に教育を施しておる、こういうこととはかけ離れた現実が発生しておるわけですから、ここの点はしっかり私は踏まえてもらう必要があると思います。それは警察当局からもひとつ答弁をもらいたいと、こう思うんですね。
○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。 広島の東洋工業の問題につきましては、その後広島県警を通しましていろいろと調査をいたしたわけでございますが、まず法務局その他の関係機関からのいろいろなお話を承りますと、この問題になりました調査員の具体的な氏名というものは明かすわけにはいかない、そういった名前を伏せるということで法務局等が調査をしたと、こういうことでございますので、その辺の氏名は明かすわけにいかないということでございます。また東洋工業自体についていろいろと調査をいたしましたけれども、これもなかなか会社の社員の氏名その他は明らかにできないということでございました。 また一方、広島県警自体といたしましては、全部の管下の派出所、駐在所につきまして、ちょうどこの問題になった時期以降にこういった身元調査その他の問い合わせなり協力なりということがあったかどうか、この事実について調べたわけでございますが、そういった身元調査に協力したということは、全派出所、駐在所からは該当なしと、こういうことで報告が参っておりますので、そういうふうに考えておるわけでございます。 また、いまお話しになりましたこの本の中身、警視庁と福岡県警の問題でございますが、この問題につきましては、ちょっと私どもの方も内容を詳細に承知していなかったということでございますので、この辺につきましては、今後もうちょっと調査をしてみたいと思います。 警察官の同和問題の教育につきましては、先ほど先生のお話にもありましたように、警察学校に入りましたとき以来、基本的人権の問題ということで、憲法を含めまして、こういった基本的人権の尊重ということについては力を入れて教育をしておるという状況でございます。ただ、今後こういった問題につきましては、なお一層強く教育をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○坂倉藤吾君 通り一遍で聞かしていただいておりますと、まさにそのことによってこれからなくなるであろうという期待を持てるんですが、私はそんなことではないと思うんです。確かに教育についてやられておりまして、現職警官が行っていること、これははみ出しはどこにでもあることですから、私は、そういう事態が起こったということについて、さらにこの接合にもう一度教育をやり直す、これは当然のことでありまして、そのことをとやかく言いません。しかし少なくともそういう教育をしておるのがまだまだ不十分なんだという認識は明確にしてもらわなければ困るし、私はこの予算委員会、衆参あわせての経過を踏まえまして、警察官の再訓練をぜひともきちっと約束をしてもらいたい、これが一つです。 それから東洋工業の問題につきましては、これは元警察官であった方がやめられて間もなく東洋工業に入社している。しかも五名というのはわかっております。その人たちが身元調査をするのに、この方々も実は、いま答弁がありましたように、差別とはいけないことなんだということは基本的に教育をされている人間ですね。されている人間が、公の機関を使いまして堂々と身元調査に協力せよなんという話をするはずはないんであります。 そういう意味で、調査活動というものはもう少し私は本気になってやってもらわなければ困ると思うんですね。特にこの種の調査については警察は専門であろう。専門の方がこの種の事件を具体的にどうであったのかということを調査するのに、公式の問い合わせで名前を教えてもらうことができませんのでそれでよろしいという話にはちょっとならぬのであります。私はそこに、もっと真剣に取り組んでいくという姿勢について、これはちょっと欠けるのじゃないかと、こういうふうに言わざるを得ません。もう少し明確にしていただけますでしょうか。
○政府委員(金澤昭雄君) 広島県警におきましてもこの問題深刻に受けとめておるわけでございます。また、広島県議会におきましても、詳細な本部長に対する質問が出ておりますし、そういったことで、広島県警としましては、重大な問題として受けとめて、鋭意調査をしたという報告を受けております。 それと、同和問題に関する警察官についての教育につきましても、広島県警も、いろいろと報告を徴してみますと、非常によくやっております。ただしかし、いろいろな問題が出るという可能性ももちろんありますので、これは今後ともに十分にできるだけ深く掘り下げた教育をしてまいりたい。この点も広島県警からの報告に入っております。そういう状況でございます。
○坂倉藤吾君 警察官の学校における教育の中身は、いま言葉で説明をされましたが、具体的にそれは教科の中に入っているんですか、あるいは一般的にその辺のところは教育をされているんでしょうか。
○政府委員(金澤昭雄君) 警察学校におきます教育問題、教育の中身でございますが、一般的に申し上げますと、まず基礎的な法学の知識、それから社会常識、それと職務執行に必要な体力、気力の練成、大きく分けますとそういうことになるわけでございます。 そこで、基礎的な法学知識の中で一番先に取り上げますのが憲法の問題でございます。したがいまして、憲法と警察官の職務ということで一番強く結びつきがありますのは基本的人権の保障ということでございますので、その辺は真っ先に十分に法律の知識として教えておる。 それから社会問題としましては、いろいろな問題を取り上げてこれらの教育をしております。その中にもちろんこの同和の問題ということも、これも基本的人権と絡めまして入れて教育をしておるということでございます。 以上でございます。
○坂倉藤吾君 ただ差別があってはならぬという一般論ですか、それは。
○政府委員(金澤昭雄君) そうでございます。
○坂倉藤吾君 私は、この同対審答申にもありますように、歴史的につくり上げられてきた差別に対して、一般論でこの同和関係についての対処の仕方を言っているだけじゃ、これはお話にならぬじゃないんでしょうか。その衝に当たる者としまして、特に警察官の任務として基本的人権をあずかるという立場なら、現実一体どうなっているかということがきちっと腹にはまってないから、こういう現職警察官の差別が出てきたり、あるいは東洋工業の問題が出てきたりということになるんじゃないんでしょうか。 私は、一般国民が差別に対する啓蒙として教育を受けておる範囲では、これはお話にならぬことじゃないんでしょうか。もう一遍警察官の教育の問題について基本的に改めてもらいたい、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(金澤昭雄君) いまお話し申し上げましたとおり、一般的には基本的人権、それから差別があってはならないというその基本的な姿勢を教えておるわけでございますが、いまお話ございましたような具体的ないろんなケースと現実の問題、その辺のところも踏まえてこれからはひとつ内容その他を十分に検討しながら教育をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○坂倉藤吾君 ちょっと不十分ですね。私はいまの答弁じゃちょっと満足できないんですが、どうでしょうか、これは国家公安委員長の立場で少し明確にしてくれませんか。私は、その衝に当たり一番監視をしなきゃならぬ人があいまいな教育じゃ、逆に差別を振りまくことになると思うんです。なまはんかな差別意識じゃお話になりませんよ。私は、徹底してこの問題については、社会の根本じゃありませんか、もう一遍きちっとその辺を踏まえてもらいたいと思いますが。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 警察学校におきましては、一般論といたしましてもちろん徹底した教育をしているわけですが、これに関連いたしまして、こうした問題についても十分取り扱っておると、こういうことで御説明を申し上げたわけでございまするが、この問題はきわめて重要な問題でございまするので、特にこの点を取り上げて具体的な問題として学校において教育するという方向をとるべきではなかろうかと、こう思います。この点は警察署の内部におきましても、ひとつ十分検討させまして御期待に沿えるように努力をしてまいりたい、こう考えます。
○坂倉藤吾君 これはまた自治大臣としてお伺いをいたしますが、質問が皮肉にとられると困るんですけれども、素直な気持ちでこれはお尋ねをするんですけれども、大臣の御出身は山形県ですね。山形県につきましていま地区指定は一カ所もございませんですね。ところが、私どもの調べによりますと、山形でも具体的に同和地区が存在をする、こういうふうに結論が出ておるんですが、この辺は大臣は御存じでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私も県をあずかっておった立場でありますが、当時そういうものはない、こういうふうに私は承知をいたしたわけでございます。しかし現実にはそういうものがあるのではないかというようなお尋ねもございまするが、この点はもっぱら市町村長におきまして一つの結論を出すようなことになっておりまするので、この辺については今後の問題だろうと思っております。私としては、在任中そういうものはない、こういうふうに承知をしておったのでございます。
○坂倉藤吾君 これは五十四年の調査です。ことしは五十六年ですから、おととしの調査ですね。その調査の段階で七地区、そのうち一地区は二百戸以上の地域、二カ所は五十戸を超える地域、その他少数点在、こういうふうに上がっております。しかも歴史的にながめていきますと、亡くなられました松本治一郎先生も、三十年代半ばには入られまして、そしていろいろと問題の解決に当たられた、こういう事実関係もございます。 そういう立場を踏まえまして、いま大臣は、地区指定がないと言う。いま地区指定がなければ、そこにおきますいわゆる同対事業としての推進は何もない、こういうことに相なりますね。私はこれは大変なことではないかと思う。 現に、そこの実態からいきますと、結婚の対象が地域的に特定されまして、しかもそのこともなかなか容易ではない。こういう事実関係等も上がってきているわけです。これはそれこそそこの方方の意識の問題もあるでしょう。ないものをあるというそんな話は私はしたくはありませんけれども、少なくともそのことが、現に差別を受けられている方々のいわゆる意識の改革の問題、あるいはそれを取り巻く方々の意識の改革の問題という立場からいけば、現にありながら地区指定も行われてない、そして同和対策事業としても進められてない。これは大変な事態だと私は思う。これは今後の問題だ、こういうふうに言われておりますけれども、そういう軽い問題ではないんではなかろうか。もう少し心してこの問題について取り組む姿勢というものを明らかにしてもらわなければならない。こういうふうに思いますが、いかがですかね。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 今後の問題につきましては、十分心得て措置していきたいと思います。
○坂倉藤吾君 結局、先ほども申し上げましたように、同対審答申が出ましてからもう十六年になるんですね。そして国並びに地方自治体挙げて差別をなくすための努力をしてきた。私はそれはもう否定をしません。十分か不十分かと言えば、まだまだ不十分である。現に差別はずっと続発をしておる、こういう状況であります。挙げて取り組んできたんだけれども、その効果がなかなか出てきてない。これが今日の現状ですね。残念ながら特に最近ますます差別事件というものが増加をしてきている、しかも悪質化をしてきている。それはこの「全国のあいつぐ差別事件」をお読みになって十分に御判断ができると、私はこう思う。しかも冒頭申し上げましたように、これは単なる氷山の一角だ。悪質化してきているという端的な事例からいきますと、この本の百九十ページあるいは百九十一ページ、これは生江の差別文書事件あるいは日之出の差別落書き事件、こうした形になって出てきてます。 こういう問題について、いまも御答弁の中にちらちらとは出ているんですが、もう一遍、なぜそういうことが発生をするんだろう、根本問題を解決していくという姿勢の中でぜひ再度大臣の所見をお尋ねしたい、こう思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) この問題は歴史的に長い経過がありますので、なかなか一挙に解消しにくい面があるわけでございまするが、それだけに関係者といたしましては、最大の努力をいたしまして、この解消に向かってさらに一段と努力を重ねていかにゃならぬと、こう思うのでございます。常時、われわれといたしましては、この問題の解消のために、同和対策の推進のために今後とも一層努力をしてまいるつもりでございます。
○坂倉藤吾君 わかりました。 大臣は述べられておりませんけれども、いままでの国会答弁の中に所々に出てくるわけです。その出方は、最近こういうふうに悪質化しあるいは多発しているということについて、それは精神の問題だ、魂の問題だ、こういう論点がございますね。この論点は大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私はそういう面もあるのではなかろうかと思います。したがって、国民の意識の改革という問題も背景としてはあると思います。しかしながら、それを解消するためには、施策といたしまして一層努力するということと相まってその問題が前進するんじゃなかろうかと、こんなふうに認識いたしております。
○坂倉藤吾君 魂の問題もあるけれども、具体的に諸施策を講じていかなきゃならぬ、こういうふうにお考えですね。——うなずいてみえますからそうだろうというふうに思います。 そこで、これは確認のためにお伺いいたしますが、大臣は同対審答申は目をお通しになられましたでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私は一度読んだと思いますが、いま詳しくは記憶に残っておりませんが、一度読了しております。
○坂倉藤吾君 実は、安孫子大臣の御答弁その化しさいに読ませていただきました。残念ながら、いま御答弁がございましたように、かつてお読みいただいたとは思うんですが、どこかそれがぼやけてしまっている感じを率直に言って受けます。私は大変残念なんです。ぜひもう一度同対審答申をきちっと読み返していただきたい。そして、いまいただいております御答弁を具体的に生かしてもらいたい、こういうふうにお願いを申し上げたいと思います。 で、同対審答申には、心理的な差別と実態的差別とは相互に因果関係を保って、そして相互に作用して、そして相関関係が差別を再び生産し、あるいは悪循環を繰り返すんだ、こういうふうな指摘が明らかにされておるんです。これをよく御理解を賜りたいと思うんです。いいですか。もう一度言いますが、心理的な差別と実態的な差別、これが相互に連関しているんだ、そして、そういう因果関係の中で相互に作用し合いながら、いわゆる差別を再生産する面、これを持っている。それで、さらに近代社会におきましては、部落差別とは市民的権利、それから自由の侵害、こういう形になって出てきている。市民的な権利、それから自由というものを完全に保障していこうというのは、これが一つの筋道なんですね、大道であります。特に、そうした具体的な差別の事例としてどこにあらわれてくるかといえば、これはもう御承知のように、就職、就学、結婚、こういうところに具体的にあらわれてきておりまして、同対審答申の中でも、特にこの就職と教育の機会均等に完全を期さなきゃならぬ、こういうふうに言われておるわけですね。それを保障する、ここが問題を解決していく中心的な課題なんだ。さらに部落差別というのは単なる観念の、いわゆる頭の中の亡霊ではないんですよと、そこまで指摘をされているんです。そうして、そういう認識の上に立脚しない限り、問題の根本的な解決を実現することはもちろんのこと、そして個々の行政施策の部分的な効果も上げられないですよ。 だから、まさに答弁にもありましたように、個個具体的な施策、そして精神的な面、これらが一環としてきちっと取り組んでいかなきゃならぬ。ただ、基本的な観念が薄れておりますと、せっかくそういうふうに言っておりましても魂が入りませんし、問題の解決になりませんよということを具体的にこれは指摘をしているわけです。このことが十分私はそしゃくをされなければどうにもならぬ、こういうふうに思います。ぜひひとつ、先ほども申し上げましたように、もう一度この同対審答申の基本を十分に御理解をいただきたいと思うんです。よろしゅうございますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) いま同対審のエッセンスにつきましてお話を承りましたが、私が最初に述べましたとおりに、この問題の本質という問題、対策の重要性について申し上げましたその点と一致しておるのではなかろうかと、こう思うのでございます。お互いが絡み合いまして、そして問題をさらに深刻化し、また事象を発生させる要因にもなる、この点はきわめて重大な問題だと思います。したがいまして、この同対審の本旨に基づきまして、今後一層その線に沿って努力を重ねていきたいと、こういうふうに私も考えております。
○坂倉藤吾君 さらに私は、この中で具体的に述べられておりますね。これは御承知のように第三部にあります。ここでは具体的な課題としては環境改善の問題、これがあるんでありますね。さらに社会福祉対策を充実させる。それから産業・職業の対策をきちっとやる。それから教育対策、人権対策。おおむねこの五つの問題はきっちりとらえられているわけです。このことを具体化してきたのがいわゆる特措法ですね。 しかし、それが特措法を制定されまして大体半分の期間というのはほとんど手がつけられなかった。後半になって初めて具体的に動き出してきまして、そして期限切れの段階では大騒動をして、そして三年の延長をやった。残事業は膨大なものだ。しかもこの三年間延長に当たって三つの附帯決議を付されている。この附帯決議も、今日の段階でどうも点検をしてみて余り進んでいない。こういう事態になっています。しかも、この事業をやっていくのはこれまた明らかに国の責任だ。地方自治体の協力ももちろん得ながらということなんですが、国の責任なんです。これまた明確にしていると思います。いわゆる国の政治的課題として政策の中に位置づけをする、こういうふうに出ています。 「結語」は御承知いただいていますか、最後の結びのところ。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 結論。
○坂倉藤吾君 御承知でないですか。——大変残念です。いま私が申し上げたようなことが最後に締めくくられているんです。 ざっと言いますと、「根本解決にあたっては、」先ほど申し上げました基本「認識に立脚をし、その具体策を強力かつすみやかに実施に移すことが国の責務である。したがって国の政治的課題として」政策に位置づけをし、「行政施策の目標を正しく方向づけることが必要である」。これが結びの言葉なんです、答申の。 これはくどいようですけれども、大臣、政治家の姿勢からいきましても、私はこれはきちっと踏まえていただきませんと、それは骨組みができ上がってこない、こういうふうに指摘せざるを得ないんです。そして、ここに私は自治省としましての任務というものを見直していただく筋合いが出てきている、こう思います。国の責任だ。そして地方自治体は、これは言うならば国の責任においてやっていこうとすることについての手足になってもらう、こういう仕組みになっているはずです。 そういたしますと、今日地方自治体は一体どういう状況にあるんだろうかということを見ましたときに、今日地方自治体、冒頭申し上げましたように、それぞれの認識によって大変格差を持っている。そこに統一的に国の責任において進めていくという一つの責任があるわけでありまして、これを単にいわゆる総理府の同対室に任してしまうというんではお話にならぬ。これは特に地方自治体の束ねをされるという意味合いからも、自治体のいわゆる主体性、このことを生かしながらも国としての責務が貫かれるように自治省としては大きく指導をされる筋合いがある、こういうふうに私は思うんです。もう一度大臣、その辺をはっきり決意してもらえませんか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 「結語」の趣旨につきましては、私も全く同感でございますが、特にその中において地方公共団体においての同和対策については水準の統一を図れと、これは自治省として最大の努力をせにゃならぬと思っております。 それから、これの積極的な推進を確保するために地方公共団体は努力し、あわせて国の財政的措置を強化することという点がある。これも全く重要な問題でございまして、この点については、補助事業対象の補助率の問題とか、事業の拡大でございますとか、その他の問題について、自治省としては、従来各省に対しましていろいろと働きかけをしておるわけでございまするが、必ずしも十分な成果が上がっているとは思いませんけれども、これは一層努力をせにゃならぬ。 この「結語」に述べられておる趣旨、これを実現するために自治省としては最大の努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○坂倉藤吾君 大変結構な締めくくりをしていただきました。そういう趣旨を踏まえまして、この八一年度予算というのを今日の段階でながめてみまして、どういうふうに御理解されますか、四月一日からの予算。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 五十六年度予算について一々検討したわけではございませんけれども、従来の延長線上に基本的にはある。詳しくは行政局長の方から申し上げますけれども、十分ではないにしても一つの前進は図った、この努力をさらに重ねていかにゃならぬ、こう思っておるところでございます。 行政局長の方から具体的に申し上げます。
○政府委員(砂子田隆君) 同和対策につきましては、かねがね政府としても大変力を入れてきたところであろうと思います。特に、お話がございましたように、四十四年の同対法ができて以来、同和地区の解消の問題なりあるいは差別の解消なり、国民的な課題だという前提に立ちながら私たちも努力をしてまいったつもりでございます。 特に五十六年度予算につきましては、この同対法の一部改正案が五十七年の三月で終わるということもございまして、あとう限りの各省の予算を計上したというのが現在の予算の状況でございます。 もちろん、御案内のとおり、いろいろな角度から事業が残っていましたり、あるいは推進面が足りなかったりする部分もございますので、これは国会の方でも申し上げておりますとおり、本年の七月の概算要求時期までに事業の確定をして全体的な同和の事業の推進に当たりたい、こう思っております。
○坂倉藤吾君 昨年の段階でも、各地方自治体とヒヤリングをし、予算を固めるのに実態を把握する、こういう約束はそれぞれの省でやっているわけですね。三年目の延長期間来年完了という立場を踏まえまして、来年度の予算をながめてみましたときに、一体どうなんだろうか。この辺を検討してまいりますと、それは大変問題が多過ぎる。これはそれぞれの縦割り行政でありまして、所管がありますから、所管所管によらないと、自治省の立場で物を申してもいけませんのですが、しかし少なくとも私どもからながめてみて、来年度の予算については、そういう意味合いでの取り組み方について責任を果たし得てない。 しかも、今日の現実というものをながめますと、たとえば私の選挙区でありますところ、たとえば桑名市あるいは松阪市あるいは伊勢市、こういうふうに見ていきましても、桑名市の場合に、県下で二つ目に世帯数の多い地区だと言われているところがやっと住宅問題に昨年から取り組み出した。ほとんどこれからなんですね。あるいは一志部下の中でも、これはもう自治省の所管になりますけれども、消防車一つ入らない、自転車でやっとおりていくのが精いっぱいのところがいまだに放置されている。大変残念なことなんですが、それが現実なんですね。そういう形からいきますと、一発そこで火災でも起こったら何とするんだろう、一体どこの責任になるんだろう、こういうふうに言わざるを得ない。それらの解決をするだけの予算が組まれていない、現実問題として。事業計画もなされていない。 このことを踏まえていきますと、ことしは、もう枠を決めていま審議をしているわけですから、どうにもならぬかもしれません。あと、これをどういうふうにすべきなのかという形ぐらいは、もう一遍自治省の立場でそれぞれの予算を見てみる。そうしないと、これは当該の市町村たまったものじゃありません。私どもどんどん言いますから、ぜひひとつ見直しをしてもらいたいと思います。よその所管ですからということで、自治省が逃げて後ろからついていくというんじゃ、私はお話にならない。先ほど大臣がお答えになりましたとおり、自治省としての十分な責任の問題を、いままでは陰に隠れちゃって、自治省としては消防の関係だけですよと、こう言っている姿勢に見えてかなわないんです。私はそんなことじゃないはずでありますから、ぜひひとつもっと前に出て問題の解決に当たられるように特に申し上げておきたい、こういうふうに思います。 さらに、この啓発の問題等につきますと、これまた直接のところは法務省あるいは総理府あるいは労働省、ここはこの啓発の関係をそれぞれお持ちになっている。この予算等も、実は国全体でおおむね三億一千六百九十四万円になりますか、三省合わせましてね。これは地方自治体、たとえば全国の同対協関係の県あるいは市で持っている予算は約二百億ですね。こういうのから比較をしていきますと、たとえば事業の問題もそうなんですが、補助を制度的に出しているからいいんじゃないか、こういうふうな言い分があるんですが、実際にはこれまた足切りの問題等もございまして、なかなか進んでいかない問題もあるし、そしていまの啓発予算等からながめていきましても、私は逆に言いますと、推進するやつを、国がそれぐらいしかめんどう見ないんならという気持ちに地方自治体をさせるおそれが多分にあるわけでありまして、そういう水をかける役割りを果たさないように、これはまたぜひきちっと取り組みをいただきたい。こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほどからお話がございましたが、自治省が後ろ向きになっているわけでは毛頭ございませんで、むしろ公共団体側の同対の協議会、そういうところからどういう事業があるとかということを私の方の所管で聞いておりまして、それを各省の所管の方に分けてやるということもやっておりまして、自治省自身も同和対策については取り組みとしては十分やっておるつもりでございます。 ただ、他から見ますと、あるいはそういう御批判を受けることがあるのかもしれませんが、今後そういう点のないよう十分注意をしてまいりたいと存じます。 また、啓発の問題につきましても、先生おっしゃいましたように、昨年より啓発費につきましても、三五%補助予算では伸びました。伸びました額が小さいということも私はあろうと思います。この小さい額ではありますが、その大部分を公共団体に送りまして、公共団体の中で啓発ができるように努力をいたしておりますし、今後とも自治省といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたように、同和に対する取り組みというものを十分に考えていきたいというふうに考えております。
○坂倉藤吾君 そこで一つ、これは論点が外れるんですが、いま警察庁刑事局長がお見えになりましたね。早稲田大学の不正問題が再び提起されました。私は大変なことだろうと思います。社会的にも大変なショックであります。この関係につきまして、この事件につきまして概要が一体どうなっているのかひとつ御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(中平和水君) 御質問の事案につきましては、警視庁におきまして捜査中のところ、本日早稲田大学の商学部の調度部の管財課の職員一名の任意出頭を求めて、現在私文書偽造、同行使の容疑で事情聴取中でございます。
○坂倉藤吾君 そうすると、おおむねどういうことなのかということについてもここでは発表できないということですか。
○政府委員(中平和水君) ただいま捜査中でございますので、詳細を申し上げられないわけでございますが、大筋で申し上げますと、昨年早稲田大学では入試の不正事件がございまして、学内で調査のチームをつくりまして、過去数年にわたりまして入試の状況について追跡調査をしたわけでございます。 追跡調査をしてだんだんに調査をしてまいっておりますと、答案用紙の中に同一の筆跡と認められるようなものがある。それからさらに成績の原簿等につきましてもずっと調査をいたしてまいりますと、どうも差しかえが行われた可能性が強い。こういうことになった次第でございます。 おのずから学内の調査には限度がございますから、そしてこれがただいま申し上げましたように、私文書偽造あるいは同行使等の容疑に触れる問題にもなりますので、警視庁の方にも連絡があり、学校の責任者からも警視庁に対して正式に、処罰意思と申しますか、そういう通告がありましたし、これは当然のことでございますが、私どもは犯罪捜査機関として、この問題につきましては、ただいま先生のおっしゃったように、非常に社会的な影響力が大きい問題でありますから、厳正に対処したいと、こういうことで本日から本格的な捜査に入ったということでございます。
○坂倉藤吾君 いままでも試験問題集が事前に流れる、こういうことは早稲田大学だけではなくて他にもございました。今回は原簿が改ざんをされているというわけですね、原簿が。そうなりますと、たとえば定数があるとすれば、本来合格すべき人間が落とされまして、そして不合格になるべき人間が上がってきた、こういうことに相なりますね。これは社会的にきわめて大変なことをやっている。ぜひともこれは絶滅を期すために、この捜査経過、そうしたものを明確に差し示しながらその防止対策について明らかに打ち立てるべきだと、こういうふうに思いますが、その期待にはこたえていただけるでしょうか。
○政府委員(中平和水君) 私ども犯罪捜査機関でございますから、刑罰法令の適用を通じて事案の真相を明らかにしてまいる。そこにはおのずから限度がございます。本来これは学校の中の問題であると、こういうふうに私は基本的に理解しておりますし、それだけの問題であるだけに、捜査機関としても慎重に対処していかなければいかぬ。そういう問題でもまたあろうかと思います。御指摘の趣旨を踏まえまして、あとう限りの真相の解明に努めたいと考えております。
○坂倉藤吾君 いま刑事局長言われましたように、警察の立ち入るべきところと立ち入ってはならないところと、これはおのずからあるわけです。しかし対策を講じていこう、これから絶滅を期そうと、こういうことになれば、捜査経過の中の出てきた問題点についてどこに問題があるということはきちっと押さえて、そして対策が打てるようにこれは明らかにしていただきませんと、打ちようがないわけでありますから、その点はひとつぜひ約束をしてくださいよ。
○政府委員(中平和水君) 学校当局とも緊密な連絡をとりつつ適切に対処してまいりたい、このように考えます。
○坂倉藤吾君 次に、これは昨年から問題になっております住民票の関係で、自由閲覧によって差別事件が発生している。これまた冊子の中の百三十五ページ、百三十九ページに記載がございますが、これはさきの衆議院の審議の中で年度中に何らかの通達を出して対処ができると、こういう向きの、三月中とは言いませんが、年度中と、こういう御答弁になっておりますが、これはもうでき上がっておるでしょうか。 〔主査退席、副主査着席〕
○政府委員(砂子田隆君) お話がございました住民票の公開に対する措置の問題でございますが、御案内のとおり、住民票台帳法には、「正当な理由」がなければ台帳の閲覧の請求を拒むことができないということになっておるわけであります。そこで、私の方もその内容につきまして関係省との間に協議を続けてまいりまして、この「正当な理由」の中で住民票というのを閲覧させないということを考えてまいりました。その結果、閲覧の請求がありましても、他人の名誉の棄損あるいは差別的事象につながるおそれがあるという場合には、住民基本台帳法の十一条の二項に示しますように、見せないことについて正当な理由があるというふうに実は解釈をいたしまして、その旨三月二十八日付で都道府県知事に通知をいたしたところでございます。
○坂倉藤吾君 そうしますと、いまの基本台帳法の運用の範囲の中でおおむねこれは措置ができる、こういうふうに結論がつけられたということなんでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) 実は前にも、この基本台帳の問題について予算委員会でも御質問を受けたことがございました。基本的には住民基本台帳全体の制度のあり方ということを少し議論しなければいかぬのだろうとわれわれ思っております。ただいたずらに時日を遷延いたしておりましても、またそういった事象が起きるということであれば申しわけないことでございますので、次善の策としていま通達を出しました。 今後これがどういうふうに公開の原則からはみ出ることになるのかという点が次の問題でございまして、御案内のとおり、住民基本台帳というのは公開というのが一つの原則になっております。そこで公開をするのをよしとしないとする場合、プライバシーの保護というのをどうするかというのがまた次の問題になってまいりますし、情報公開との間でどういうふうに調整をしていくかというのは大変むずかしい問題だと思っております。 さらに、事務の処理上に技術的な課題もございます。じゃどの程度まで見せるのか、あるいは見せないのかという問題もございますし、附票との関係もございまして、なかなか一律にこれの決定をすることがむずかしいところもございます。 たまたま政府におきましても、情報公開の制度とプライバシーの問題について現在検討中でもございますので、その行き方などを見ながら、私たちの方、関係者との間において少し幅広い議論をしていってそこで結論を得たいというふうに考えております。
○坂倉藤吾君 そうしますと、その結論を求める大体のめど、これは大変むずかしかろうと思うんですが、国会答弁で検討します、調査しますというようなことですと、時間的に非常にずるずるになってしまうので、私はひとつめどを明らかにしておいてもらいたい。現実にこれは差別が起こる、片方では公開の原則がある、ここの矛盾点ははっきりしているんですから、大体どれくらいまでの間に整理をするのかということはある程度立てていただきませんと、私もちょっと納得できないんですが。
○政府委員(砂子田隆君) ただいま申し上げましたように、住民基本台帳は居住関係の公証をしているわけでございますので、一般的には公開をすべきだという原則ができておるわけでございます。しかし、御案内のとおり、そういういろんな問題が出てまいりましたので、法律改正をするというのが大変むずかしいということもございまして、一応通達でこれがどういうふうになるのかという推移を見ながら次の研究をしようと思っておりますし、またそういう間にもいろんなことが起きてまいりますれば、またいろんな研究を続けていかなければならぬと思っております。 ただ、法律改正の問題になってまいりますと、そういう法律制度自身のあり方の議論というものと少しそこを相互させなければいかぬということもございますので、ここ一、二年の間にできますか、なるべく早目に結論が得られるように努力をしたいと思いますけれども、来年でありますとか、再来年でありますとかと申し上げるのは、ちょっといまのところ差し控えさせていただきたいと存じます。
○坂倉藤吾君 そういたしますと、これはどこか庁内での論議になるんですか。それとも、そういう専門のところによく言う諮問する機関を設置をして、そこへ諮問するということになるんでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) 実は、この通達を出す際にも、自治省の中に関係省庁なり、あるいは公共団体の職員なり、あるいは学者なり、そういった人が集まって実は研究を続けてまいったわけであります。しかしなかなか法律改正までいくにはちょっと無理があるというので、通達で当面そういう事象が起きないように防ごうという努力をしたわけでございまして、この研究は今後も続けていきたいと思っております。 ただ、この中で、そういういろんな公開の原則なりあるいはプライバシーの保護の問題なり、先ほど申し上げましたような技術的な問題、市町村には全体的にできております基本台帳というものをどこまでつくり変えるかという問題もございますので、法律ができたといってすぐ移行するわけになかなか参りませんので、そういう点等もございますので、いま直ちに年度を示して改正をするということを申し上げられないというふうに申し上げておるわけでございます。
○坂倉藤吾君 それ以上だめを押してもどうも無理なようですから、ぜひ早い機会に結論をつけてもらいたい、検討した結果こうですと。私どもは少し法改正を必要だろうというふうに概略的には判断をしております。だからその方向については違いがないように思います。ただ、そのことが妥当かどうかというやつをさらに念を入れる、こういうことのようでありますから、二年、三年と言わずに、なるべく速やかにそれこそ結論が出るようにぜひ努力をしてもらいたい。 それから、これは直接自治省の問題でありますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、三年間待措法の延長を決めましたときに、三つの附帯決議がつけられましたね。一点は法の強化改正が必要かどうか、そういうことも含めてこの期間に実態調査その他をやりまして検討しよう。二つ目の問題は、自治省の担当になります地方財政の負担を軽減しよう。それから三つ目の問題は啓発の関係。この三本の附帯決議がついているわけでございます。 とりわけ二本目の、同和問題に関する「地方公共団体の財政上の負担の軽減を図ること」、この附帯決議は、その後一向に先ほども触れましたように改善をされてない。むしろ地方自治体がより充実をしたものを進めていくために大変財政負担にあえいでいる。 この地方財政の状況——いわゆる地方財政白書を私けさいただいた。中身をざっと見ているんですが、これは同和対策ということではありませんけれども、全般的に地方財政の今後の見通し等を最後の方に書かれておりますけれども、大変厳しい状況が報告されております。形の上ではそれぞれの努力によって黒字になってきているけれども、借金が多くなってきている。それから地方債の返却がこれは大変大きなものになってきてこれから大変だろう、こういうような見通しが書かれているわけであります。 これとかかわりまして、一体どういう地方の立場に立って措置を方針としてお持ちなのか、この辺をひとつ承りたい、こう思うのですが。
○政府委員(土屋佳照君) ただいまお示しのございましたように、同和対策事業の実施によりまして、関係地方団体の財政負担というのが多額に上っておりまして、地方債等も相当な額に上っておるわけでございます。私どもは基本的には国と地方が共同して仕事を進めていくという立場のもとに、できるだけ国庫補助制度の拡充によるべきであると思っております。 関係省庁に対しまして、毎年補助単価の引き上げなり、補助対象範囲あるいは基準数量等の改善、あるいは関係予算の増額ということについて要証をしてまいっておりまして、逐年改善を見ておるところでございます。たとえば私どもが五十四年度の地方債対象事業について調査をいたしましたところでも、国庫補助事業が全体で六六%になっておる。一昨年あたりに比べますと、一〇%以上負担率も高くなっておるというようなことで、改善はされておるわけでございますが、なお地方団体自体の実質的な金の出し方という意味での負担割合が、国が四四%程度でございまして、全体として非常に低いようにまだ思っております。 先ほど申されました附帯決議を踏まえて、一層財源措置の充実を図っていかなければならぬというふうに考えておりまして、引き続きその点は強く要請をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○坂倉藤吾君 大変きれいな御答弁なんですが、実際には大蔵省との関係がありまして大変な御苦労をしているんじゃないんだろうかと、こう思うんです。これは大臣の特に認識を新たにされた立場を踏まえまして、これは大蔵大臣と詰めて話をしてもらわなきゃいかぬのじゃないだろうか。そうしないと、この附帯決議の第二項というのは、率直に言って、進まないんじゃないんだろうかという気がするんですが、どうでしょうね。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 背景はきわめて厳しい状況にあることは私が言うまでもないと思います。国の財政、それから地方財政につきましても、白書で申し上げておりますとおり、これから先の問題といたしましては、なかなか大変な事態が予測される状況にあることは言うまでもないと思います。 その中におきましても、決議の趣旨に沿いまして同和対策については特段の配慮を加えていかにゃならぬ。したがって、これに重点を置いてどこまで実現し得るか、これには非常な努力が必要だと私は思っております。背景が高度成長みたいなときと違うだけに、この問題は大変むずかしい問題と思います。しかし問題の重要性を認識いたしまして、一層大蔵大臣等ともこの点については折衝を重ねてできるだけ期待に沿いたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○坂倉藤吾君 各地方自治体から、何とか国がもっと財政のめんどうを見てもらいたい、特にこの同和事業を進めていくに当たってこれでは困るという要望は、私こうやって議席を預からしていただきまして以来毎年受けているんですね。特に自治省は、それぞれの地方山治体のそういう要望を代弁し、その要望にこたえていく任務というのをまさに背負わされていると思うんですね。これは国全体の運営の関係もありましょうから、必ずしもそれが全部満たされるという話にはなかなかむずかしい点があるでしょう。あるでしょうけれども、そのことを期待をされ、またそのことが責務としてあるという話になりますと、特に国会の中での附帯決議もあるわけでありますから、大臣としては、いまお話がありましたように、大きく肩を張ってがんばっていただきますようにお願いを申し上げまして、時間が来たようでありますから、私の質問を終わらしていただきます。
○大川清幸君 私は主に自治省に関係した問題で何点か順次お伺いをいたしたいんですが、まず初めに、本題に入る前に、いまも御質疑が出ておりましたが、例の早稲田大学商学部の成績原簿の書きかえ、成績の底上げですね、この事件についてちょっと一言だけ所管の警察庁の意見あるいは自治大臣の御所見を聞いておきたいので、お願いをいたしたいと思います。 新聞の報道でも、大学側の調査の過程の中で明らかになったことによりますと、「最近数年とそれ以前では原簿偽造の手口が明らかに変化したことも確認されたほか、同大商学部の成績表原簿偽造は調査ができた過去十年間の学生だけでも、ほぼ絶え間なく続いていたことが裏付けられる」と。こういうようなことになっておりまして、きわめて長期的に行われておって、これが大学側で発見できなかったという経緯があるようでございます。 いま捜査に入った段階ですから、状況等についてはここで囲いても無理だろうと思うので、私としては、これは教育の根幹にかかわる問題なので、それなりの姿勢で一つは取り組んでいただきたいということ、それから捜査が進んだ段階で、これらの改善、改革ですね、これは自主的に大学がやる問題ではありますが、捜査の段階でどうしても譲れない問題点というのが出てくるだろうと思います。この点については必要なサゼッション等はするお考えがあるでしょうね。この点いかがでしょう。
○政府委員(中平和水君) ただいま捜査を開始したばかりでございますので、捜査の詳細を申し上げかねる次第でございますが、御指摘もありましたように、かなり長期間にわたっていろいろと問題があったことは事実のようでございます。昨年の入試の時期の不正事件以来、特別の商学部の中での調査のチームをつくりまして、相当過去にさかのぼって、商学部関係の入試の状況、それから入試後の、それが最終的な学生原簿につくわけでございますから、そういう状況を調べているうちに、どうもかなり長い期間にわたって不正行為が行われたのではないか。そういう状況がだんだん濃くなってまいりました。大学側といたしましては、私どもの方にいま一応、おのずから限界がございますので、捜査を依頼するという形で出てきた問題でございます。 したがいまして、この問題につきましては、大変根の深い、しかも社会的に非常に影響力の大きい問題でございますから、しかも教育の場での問題でございますので、慎重な上に厳正に対処していきたいと、こういうふうな基本的な考え方で臨んでおる次第でございます。 それからなお、捜査の結果につきまして、学校側といたしましては、もともと学校側で入試事務について適正を期したいという、こういう発想で調査を続けてまいっておるわけでございますから、私どもの方の捜査上のいろんな問題点、そうした問題も十分に学校側に提起し、是正すべきところにつきましては是正をしていただく。そうして同種の問題が他の大学等において起こらないように、その辺は、おのずから私どもその資料提供には限界はございますが、その辺も踏まえながら一応対処してまいりたいと、二のように考えております。
○大川清幸君 大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは警察が今度手を入れているわけでありますが、警察はおのずから限界があろうと思います。根本は私学の管理の問題、これがどちらかというと、ルーズになっているんじゃないかというような一つのあらわれだろうと思うんですね。したがって、文教当局におきまして、この点は深刻に受けとめて、この与える影響というものは社会的にも非常に大きな問題でございまするから、事を軽視しないで十分にひとつこれが対応策を文教当局は講ずべきだろうと、こういうふうに思っているところでございます。これは文部大臣にも機会を見て話をしたいと思っております。
○大川清幸君 それでは次の問題に移ります。 地方公共団体の長の辞任に関する問題で御所見を幾つか伺いたいんですが、長野県知事の西沢さん、この方は大変なベテランで、六期の間に特別なミス等もない、大変県政をりっぱに運営された方ではなかろうかと思うんですが、お気の毒なことに昨年四月十五日執務中に倒れたということで、お亡くなりになった結果から言えば、まさに殉職というような形にもなるだろうと思うんですが、この知事さんの辞任をめぐって県議会でもいろいろ問題があったようでございます。 知事の辞任、退職については、自治法の百四十五条、八十一条、百四十三条、百四十六条、百七十八条のどれかによって辞任ないしは退職が行われることになっておりますが、この西沢さんの場合は、どうも意思の確認ができなかったような病気の状態もあったようでございますが、この辞任はどういう法的な根拠で処理されたのか、御報告願いたいと思います。
○政府委員(砂子田隆君) ただいまお話がございましたように、長野県の西沢知事、病気加療中に退職をいたしました。私たちが報告を受けているところによりますと、もともと地方自治法の百四十五条というのは、知事の意思に基づいてと申しますか、本人の意思に基づく退職でございますので、百四十五条の規定による退職だということを聞いております。ということであれば、知事が何らかの意味で辞任の意思を表明したものだとわれわれ考えております。いまお話しのように大変な重病でもございましたから、どういう意思の確認の方法があるかということについては、私は多分に問題があろうとは思いますが、円満に異議なく退職されたということでございますので、私たちはさように受け取っているわけでございます。
○大川清幸君 この問題、結果的には円満に処理されたことで、これはこれで事実行為として、県議会側等の処理の仕方でやむを得なかったんだろうということは理解をいたします。ところが、この問題についていろいろ県側から自治省に問い合わせがあった段階で、行政局長の方からも意思が確認されるまで待ったらどうかという指導もなさったようですし、それから行政課の係官の方は、結果報告を受けて、意思の確認ができたんでしょうという、そういう表現しかできなかったんだろうと思うんです。 そういうことで始末しなきゃならないということについては、こういうことがちょいちょい起こっては困るんですけれども、県知事さんの中にも御高齢の方もかなりおるようですし、万に一つこういうことも今後起こらないとは限らないんで、やはりこの百四十五条の規定でやらなきゃならないんでしょうが、大げさに言えば、超法規的な解釈というか扱いで、善意で皆さんが処理したというふうに思っていますけれども、この辺の意思の碓線をしないと、実際法律のたてまえから言えば、辞任を認めることはきわめて困難だと思うんですね。そういう点からの対処については何か今後考えておられますか。
○政府委員(砂子田隆君) これなかなかむずかしい問題でございまして、もともと立候補すること自身、いわゆる公職につくということ自身が、一つの本人の意思に基づいて出ておりますし、それを住民の多数が参加をして当選させるという行為に出たわけでございますから、周囲の人が本人の意思なく勝手にやめさせるというのは、大変むずかしいことだと思います。まして不信任の議決をするということも、あるいは先ほどお話がございましたような事態であれば、これまた大変条理に合わないという議論も出てまいりまして、この辺がいつも問題があるときには問題とされるということになろうかと思います。 ただ、先ほど申し上げましたように、公選の長の地位の得喪に係る問題でございますので、これを若干便宜な方法があるからといって直ちにそれを採用するというのは、大変むずかしいと私は思っております。そういう意味では、現在のところなかなかこれよりいい名案がございませんので、当面はこのままの法体系でいこうと思っております。
○大川清幸君 無理もないと思うんです。 ところで、たとえば副知事なり職務代行で行政事務の処理については大方差し支えないんだろうと私も思うんですが、ただ問題点は、知事独自の権限によって処理しなきゃならぬ事項もありますね。ですから、代理で次の選挙ができるような段取りができていればいいですけれども、そうもいかない場合には、県政を動かすのは大変な場合もあると思うんです。出納長の病気辞任のいきさつもあって、何かずいぶんこの以前に苦労もされたようないきさつがあるようですから、そういう点では法的な措置もやりようがないということであれば、今後もケース・バイ・ケースで処理をせざるを得ないということですか。
○政府委員(砂子田隆君) ただいまお話がございましたように、行政自身というのは、職務執行代理者というのが任命されることになっておりますから、これ自身について行政の運営上遅滞が起きるというようなことは私は余りないんだろうと思います。 ただ、お話がございましたように、一身専属権に属する権限というのをどういうふうに処理するかということでいつも問題になりまして、いまお話がありました出納長の選任でありますとか、あるいは副知事の選任でありますとか、そういうことができない。そういうことで事後処理上大変困るということが起きることは確かであろうと思います。といって、これがその部分だけがだめだからといって、住民の意思によって選ばれた公選の長自身の権利の得喪に関しまして、法律上病気だからやめさせるという方法はなかなかとりづらいだろうと思います。 それで、私たちもこの規定の改正については、本当に慎重に実は扱わなきゃならぬ問題がございますので、行政自身の運営の方法については遅滞なく行われましても、あるいは周囲の状況なり住民の全体的な意思がそういう方向へ何か向くということが全く客観的にわかるような事態があれば、これは別でありますが、なかなかそういう事態も考えられないところもありますので、なお行政の遅滞のないような方法については考えますが、長の権利の得喪に関しましては非常にむずかしい問題だと思っております。
○大川清幸君 それではもう一つ、やっぱり首長の問題でお伺いをしておきますが、昨年の暮れ奈良県の香芝町、人口三万七千の規模の町の町長さん杉田さんが、お気の毒に火災でお亡くなりになったようでございます。任期以前に亡くなられたんですが、これは地元でいろいろいきさつがあったようで、選管の委員さんなんかが辞任してしまったりというような大分ごたごたがあったようでございます。自治省としては公職選挙法の第九十七条の一項の規定で処理をするように御指導をなさったそうですが、この経緯はどういうことだったんでしょうか。
○政府委員(大林勝臣君) この件につきまして大変各方面に御心配をおかけしたわけでありますけれども、これは昭和二十五年に公職選挙法を御審議いただきました当時、当選人がその後死亡した場合にどうするかということが議論されました。それで、戦前は長の選挙というのは実は先生御承知のようにございませんでした。いわゆる議員さんの繰り上げ補充につきましては、あるいは一年間は繰り上げ補充ができるとか、あるいは一年は長いから、いわゆる当選承諾期間の非常に短い期間だけ繰り上げ補充を認めるとか、いろいろな制度の変遷がございました。 そこで、戦後長の選挙を行うという場合に、改めて、一体長については、一人制でありますから、繰り上げ補充をするのはおかしいではないかという議論が片一方あると同時に、しかしいわゆる当選承諾とか当選辞退の期間という非常に短期間においてはまだ完全に物事が終結してないんだから、そういう短期間には繰り上げ補充を認めてもいいんじゃないかというような両方の御議論がありました結果、そういった短期間に限って長についても繰り上げ補充を認めるというシステムがとられまして、実は今日まで至っておるわけであります。 ところが、こういう全く希有の例というのが従来事例がございませんで、たまたま御承知のような昨年の事例が生じましたために、有権者といたしましては、いかに短い期間であるとは言いながら、住民の意思で決まった当選人がそうでなかった人に取ってかわるというのは、きわめて納得がいかない、こういうお話になって、地元が混乱をいたしたわけであります。 確かに理屈の上では、独人制の方について繰り上げ補充を認めるということは理論的にはおかしいとわれわれ思います。思いますけれども、従前長い間の沿革もございますし、現行法自体がそういった制度を認めておるもんでございますんで、まずその現行制度に乗っかって事態をおさめていただくようにお願いをし続けてまいったわけであります。 こういった事例も起こりました結果、あっちこっちでいろいろ現行制度についての御批判も沸き上がっておりますので、こういった問題についてはそういった御意見を踏まえて今後は長についての繰り上げ補充制度は考え直してみるべきではないかという気持ちを持っております。
○大川清幸君 この場合はたまたま山木さんが七千八百六十九票獲得しておって、規定の有効投票数の幾らですか、四分の一か何かでしたか、あったんで、この手続でうまくいったわけですな。そうでない場合もある、今後起こり得ると思うんですね。何かの方向で検討したいという御意向なんで、私はきょうの段階では、その方向で何か工夫をしていただく方がいいだろうというふうに思っているわけですが、仄聞するところによりますと、自民党さんの選挙制度調査会、竹下先生がやっておられるところでもこの件について検討されておるようですが、大臣、何か聞いておられますか、この問題については。
○国務大臣(安孫子藤吉君) これはやっぱり検討に値する問題だということで問題として取り上げておるはずです。
○大川清幸君 それでは、これは早速には結論が出る問題ではないので、自民党さんでも前向きで検討をされておられるようですが、事務的には自治省の所管でもあるんで、各会派等からも意向が出たり、地方公共団体あるいは選管からも意見が上がってくるかもしれませんが、こうしたケースもたまたまあり得るかと思いますので、せっかくの御検討を要望いたしておきます。 次に、この香芝町でたまたま町長さんが亡くなられたとき、どうも地方交付税の水増しというか、不正取得が大分あったようですよ。この実態はどういうことですか。もう調査がお済みになったでしょうから、ちょっと状況を御報告願いたいと思うんです。
○政府委員(土屋佳照君) 昨年、昭和五十五年の八月に奈良県の香芝町におきまして住民からの事務監査請求がございました。それに関連をいたしまして、奈良県が香芝町の地方交付税の検査を実施いたしましたところ、地方税、主として町民税、固定資産税でございますが、若干特別土地保有税もございますが、地方税の一部を正規の歳入科同に入れないで、別の科目、財産収入及び寄付金という科目に歳入処理をするといったようなことで違法な会計処理をいたしますとともに、普通交付税の算定に用います資料に作為を加えまして、虚偽の記載によって不当に交付税の交付を受けていたということが判明いたしたわけでございます。 私どもとしては、市町村の検査は知事に委任しておることもございますので、奈良県知事を通じましていろいろと検査していただいたわけでございますが、その検査の結果の報告に基づきまして、本年、五十六年の三月十二日に普通交付税の返還及び加算金の納付を命じまして、三月二十五日に加算金を付して返還をされておるという状況にございます。 現在までの調査の結果判明した不正取得の状況は、昭和五十年度から五十五年度までの地方交付税について、普通交付税に用います資料に作為を加えて、虚偽の記載をして不当に普通交付税の交付を受けたということでございまして、収入については、先ほど申しました住民税と固定資産税が主で、特別土地保有税が若干ございました。その他それに対応する基準財政需要額についても若干の作為を加えておったわけでございまして、その総額は、五十年度からの分だけで十六億六千百七十一万四千円ということでございました。これに一〇・九五%の加算金というものがつきます。これが五十六年の三月二十五日の返還日までの加算金を加えますと二十一億七千二百九十一万六千円ということになるわけでございまして、これは一応全部三月二十五日に返還しておるという状況でございます。
○大川清幸君 それで、手続上からいいますと、基準財政需要額を算出して、それから差っ引いた基準財政収入額、その不足分は交付するという仕組みですから、そこで各地方公共団体では、たとえば市町村は毎年、前年の六月ごろですか、の上旬に試算して七月の下旬ごろには資料を上級地方公共団体である府県に提出して、それでいろいろ査定を受けたり検討することになるんだと思うんですが、要するに、これは府県の地方課の指導、監督のもとで市町村はこうした手続を進めると思うんですよ。そうすると、これが四、五年にわたってわからなかったということですが、この小さな三万七千人ぐらいの町、ここから上がってくる経済力とか、そういう事情から考えると、多少の工作があっても県の地方課段階で気がつかなかったというのは、ちょっとこれは粗漏過ぎるんじゃなかろうか。そういう点での県の責任はどうなったんだろうかということを私は考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(土屋佳照君) おっしゃいますように、市町村については都道府県知事にこの交付税の検査事務が委任されておるわけでございまして、大体知事については管内市町村の検査は少なくとも三年に一回は実施するように指導をしておりまして、その結果は自治大臣に報告してもらっておるわけでございます。それ以外に、いまおっしゃいますように、毎年毎年交付税は算定をいたしまして基礎数値を出してやっておるわけでございますから、大きな変動があれば当然わかるべきものだと思うのです。 ただ、先ほど申し上げましたように、いま返還してもらいましたのは五十年度以降の分でございまして、実はその前があるらしくて、いま鋭意まだ検討してもらっておるわけでございます。だからいつごろか、まだ明確ではございませんが、そのときに、住民税なり固定資産税という税の大宗というものをほかの科目で隠してしまうわけですから、わかるべきはずだったと思うのでございますけれども、そこらがつかめなかったというのは全く遺憾でございますし、また私ども不思議でならない。まず普通には起こり得ないことだと思っておるんですが、毎年毎年のときにも、そのときに大きく変動があれば普通は気づくんだと思います。ただ、もうずいぶん前からやっておるものですから、ちょっとそこらがつかめなかったということがございます。いずれにしても、まことに遺憾な話だ士思っておるわけでございます。
○大川清幸君 これは背に腹はかえられない事情が地元から言えばあったのかもしれませんが、報道によると、固定資産税あるいは市町村民税、それから特別土地保有税、これについて二重帳簿を何か作成して操作をしていたようですね、どうも。税収の一部を財産ないしは寄付などの別の歳入に回しておったというような操作。これは全国の都道府県、市町村でこういうばかばかしいことはやらないと思うんですがね。 しかも、県でも何か県税四億円ぐらい減収の事実があるんですね。県はどんな指導をしているか聞いていますか、この香芝町について。
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、住民税は市町村が県民税と市町村民税とあわせて徴収しておりますので、その分を少なくやった結果、県へ納めるのも少なくなっておるということでございまして、県としては税収で損をする。しかし逆にその分は交付税算定上はある程度埋められておるということにもなりますので、そこも解明しなければなりません。いま鋭意そこのところは整理をしてもらっておるところでございます。当然明らかにしてはっきりした結果について処理をしなければならぬと思っております。
○大川清幸君 これは皮肉じゃないんで、他意のない質問ですが、昭和十五年から昭和二十三年まで平衡交付金制度でずっとでこぼこを調整してきましたね、地方公共団体の。これが昭和二十三年から交付税制度に変わるわけです。それで平衡交付金制度時代というのは、地方六団体と一緒になって、大蔵省に総額獲得のためにはずいぶん自治省そのものが骨を折られたんですよ。そういういきさつがあったと思うんですよ。 交付税制度になってから、毎年単位費用とか、あるいは標準団体を基礎にして、各市町村、都道府県のいろんな補正係数を掛けてその年その年の交付税額というか、それを決めますね。こういう仕組みがどうも地方公共団体の財源不足等についても国政にリンクすればいいというようなことになって、従来自治省という看板があるとどうも地方自治体のお味方という錯覚があるんですけれども、交付税制度になってからの運用の面で私はちょっと疑問をずっと感じているわけですわ。地方交付税の三二%アップの問題も、従来から意見も出ていましたけれども、なかなかその辺の壁が破れない、改定できないというところは、むしろ自治省側の方の姿勢に、余り地方公共団体を擁護し育てるというような、これは表向きはそういうことですが、税財政の仕組みから言うとそうなってないんじゃないかという私は疑いを持たざるを得ないんですよ。その基本的な姿勢についてとやかく答弁求めるのもなかなかこれは大変なことですが、こうした香芝町みたいなことが起こることについては、地方交付税の三二%のパーセントの問題自体についても、そろそろ実質的には改革をしてもらわないといけない問題が内在しているんじゃなかろうかと思いますが、どうですか。
○政府委員(土屋佳照君) 配賦税制度あるいは平衡交付金制度、その後の交付税制度、いろいろ変遷はございました。しかしそれはそれなりで、地方団体の基準的な需要を算定して、そして必要な行政水準を確保しますとともに財源を保障する、こういう性格のものでございますから、それはそれなりで私はその時代時代に適切に対応してきたと思うのでございます。 いまおっしゃいました点についてこういう事態が起これば、確かにいろいろ御非難があるのはもう当然でございますけれども、中身は基準財政需要の算定とかなんとか、年々いわば手を加えて適切にやってきておるつもりでもございますし、収入の見方でも間違ってないと思いますが、その本来の収入の数値そのものが、一番もとのところで、いわばある一定のグループが、これは一人や二人でできるものじゃございませんけれども、作為を加えて出てきますと、これは交付税算定事務というよりも、なかなかつかみにくいものでございますから、本来そういった算定事務に係るいまの税収入が確かであるかどうか、そういうところまでもう一歩突っ込んでメスを入れなければならない。 それにしても、通常は考えられない、よっぽど相当な人数で一緒になって合わしてやらないとできないことだと思うのでございますけれども、まことに遺憾でございまして、基本的な問題で、いまの地方財政のあり方について、いまの財政需要の算定なりあるいはそれに対応する財源措置というものについて、いろいろ見直すべきではないかという御意見もございましたけれども、私はいまの税制度における標準税率制度なり、地方債の許可制度なり、交付税制度なりというものは、長い間戦後やってきた結果、まずまずこれが、最善かどうかは別といたしまして、いままでの感じとしてはこれが一番いい方法であるということで、過去の幾多の経緯を経て積み上げられてきたものだと思っております。 ただ、その運営が、いま一角が崩れるような事態でも起こりますと、私どもとしてもびっくりするわけでございますけれども、本質的な制度の問題は、ほかのとり方をとっても、一々そこへ行って監査でもしない限りは、いまのようなやり方はチェックできない。むしろ私どもはそういった意味では、現在のその制度そのものが、交付税は共有財源である、地方団体の共有財源であるという前提のもとに、算定事務が国と地方団体の相互信頼の上に立って運営されておる、こういう仕組みでございますから、それを信頼しないでやるということになると、これは相当な事務量等伴いまして、できないことだと思っておりますので、やはり基本的にはそういった仕組みをとりながらも、配分の公正を確保するために適正な算定事務が行われるような交付税検査の徹底を図るという方でいろいろ検討しなきゃならぬと思っております。 そういうことで、ついでで大変恐縮でございますけれども、先般もこういったことを契機にいたしまして、交付税検査の強化等につきまして、知事あてに事務次官通達で、厳しく実はこういうことの生じないように通達をいたしたところでございますが、現に私ども財政局内部でも検査方法の改善、検査体制の充実強化ということで、私どもはこれはまことに希有な事例だと思っておりますけれども、徹底してやれる方法というものを限られた人員と体制の中でできるだけのことをしたいということでいま鋭意検討しておるところでございます。なるべく早く結論を出して力を入れていきたいと思っております。
○大川清幸君 何か会計検査院でも新年度から厳重にこうした交付税の本格的な検査を実施したいというような報道がなされていたように思うんです。これをどの程度の規模でやるか等については情報を得ておりますか。
○政府委員(土屋佳照君) きわめて多くの市町村でございますから、数はきわめて少ないところでございますが、こういった事態等もあって、少し中身について検討してみたいということで、四月ごろから、十カ所程度だったかと思いますが、何かやられるように思っております。ただいまも申し上げましたとおり、きわめて多くの団体でございますし、その一々の事務ということになると、これは相当な事務量になるわけでございますが、どの程度やっていくか、これは私どもも一緒になって進めていかなければいかぬ仕事だろうというふうに思っております。
○大川清幸君 ところで、この交付税等を含めた地方公共団体に対する国との間といいますか、関係といいますか、税財源の配分は長い間論議をされてきたんですが、今回地方制度調査会の十七次答申に関連して、例の地方公共団体六団体から意見が言えるような制度にするために、法律の一部改正で自治省側が努力していらっしゃるわけですけれども、いままでの答弁では、その他の各省庁でいろいろ抵抗があるというように御報告を受けておりますが、この地方交付税その他の過去の経緯から見ますと、一体この六団体から意見を聞けるようにする制度についても自治省内で意向がまとまっているのかどうか。今度は財政の流れや何か、税配分の長い間の歴史の流れを見ると、どうも疑わしい点も出てこないじゃないんですがね、自治大臣いかがですか、その辺は。ちゃんと省内、意向まとまっているんでしょうね。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私は、これは省内は意見がまとまってその方向に進んでおると理解をいたしておるわけでございます。
○大川清幸君 では、時間がなくなりましたので、ちょっと次の問題に移ります。 例の政治資金規正法の八条の附則に関連した問題ですが、ちょうど見直しの時期なんで作業を進められていると思いますが、これは作業の進行状況はいかがですか。
○政府委員(大林勝臣君) ことしでちょうど昭和五十年の政治資金規正法改正以後五年たちましたわけでありますけれども、五年たったらもう一度見直すと、こういう規定になっております。したがいまして、私どもは現在のところ事務的に過去五年間の公表の状況なり——従来公表をいたしてまいりましたのは、いわゆる自治大臣所管の政治団体についてわれわれが公表いたします。それから都道府県の選挙管理委員会におきましては、その都道府県の選挙管理委員会の所管をいたします政治団体についての公表をいたしてまいったわけでありますけれども、これは従来集計をやっておりませんでした。したがって、現在各都道府県の選挙管理委員会においても過去五カ年の公表の状況について集計をすると同時に、寄付金その他の内容についての分析をしていただいておるわけでありまして、その御報告が徐々に上がってまいっております。こういったものを、つまり国全体として過去五年の数字の状況がどういう傾向で推移しておるかということをまず把握するのが第一番であろうということで、集計作業を急いでおるところであります。
○大川清幸君 ところで、過去五年間のそうした政治献金の状況ですけれども、企業献金それから個人献金、この割合ですが、個人献金の方がふえた形にはなっていないでしょうね、この五年間で。どうですか、実態は。
○政府委員(大林勝臣君) 残念ながら、個人献金につきましては、御案内のように、昭和五十年の改正法に並行いたしまして租税特別措置法を改正し、個人献金についての税の優遇措置をとってまいったわけでありますけれども、過去五年間の個人献金の伸びは残念ながら非常に微々たるものでございます。
○大川清幸君 ところで私も、団体ないしは企業の献金がそのまま頭から悪だという解釈はとるべきではなかろうというふうに思っているんですが、何せ金は正式な企業経営の果実として出てきたものであっても、過去のいろいろな不正事件等から考えますと、何といいますか、金自体が巨額であるとそれなりにいろいろな影響が出てくる。その証拠みたいなものがロッキード、グラマンその他の事件だということが言えると思うんですよ。 そういう点から考えると、多額の献金というとどうしても企業献金ということになるわけなんで、いま自民党さんの中では、むしろこの附則八条の、あの当時皆さんが合意でつけた附則の精神とはまるで逆の方向に、企業献金拡大の方向に行っているような危険性を私は感ずるんですけれども、大臣この辺は、改めて近い将来政治資金規正法のこの辺での改正もおやりにならなきゃならぬ時期が来ると思うんですが、この企業献金自体についてはある程度の総量規制なり何らかの措置をおとりになるお考えがあるんですか、どうでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 自民党の中でも選挙制度調査会なんかでは、できるだけ個人献金をひとつ強化しようという方向で動いておるように思いますが、何せ党財政が苦しいというようなことでああいうことが出てきておるんだろうと私は思っております。 で、個人献金というのはなかなか日本の風土におきましては定着しにくい状況もあるわけでございますが、一方におきまして、選挙の関係では金もかかる、政治活動も金がかかる、背に腹はかえられぬというようなことも現状だろうと私は思うんでございますが、結局はしかし個人献金というものを定着させるような努力を、これから長期にわたって努力をしていかにゃいかぬと、こう思いますので、その方向で自治省としましては努力をしていきたいものだ。これは何にいたしても、各党のいろいろな事情があるわけでございまして、自治省だけで一気にこれはこうだというわけにもなかなかいかぬ面もあるわけでございまして、大変苦慮いたしておるところでございます。
○大川清幸君 いろいろ状況を私も理解しないわけじゃありませんが、いま大臣は自民党の所属の議員さんとしての立場と自治大臣の立場で御答弁になったんですけれども、いつも出てくる言葉ですが、自民党の財政が苦しいからというようなことを短絡的に言うと、自民党の手前みそでどうも政治資金規正法を変えるんじゃないかという邪推まで起こるんで、これは附則八条をつけたそれが、そのほかのことでもそうですが、何か都合が悪いと、絶対多数で都合のいいように変更しちゃうという誤解を受けますよ。法改正はフェアに行われて、国民の納得のいく形で行われることが理想でありますので、現実を踏まえれば理想論ばかり言っていられないいきさつはわかりますけれども、政治資金規正法については、せっかく各党一致でつけた附則でありますので、その本旨が全く形なしになるようなことにはならぬように努力をお願いいたします。 それからもう一つ、各地方公共団体に補助金として出ている常時啓発費ですね、選挙の。この金額はどのくらいで、どのように実施されておりますか。
○政府委員(大林勝臣君) 現在、選挙の常時啓発費といたしまして、地方団体に補助金として配分をいたしておりますのが、啓発費総額十二億のうちの約五億六千万が地方団体に対する補助金として配分の対象となっております。これは御案内のように、選挙の啓発というのが公職選挙法でも選挙の管理機関に対して義務づけられておりまして、長年の間いろんな工夫をこらしながら、あるいは研修会でありますとか、あるいは話し合いでありますとか、その他広報媒体、いろんなそれぞれの地区におきまして知恵をしぼって一歩一歩やってまいったわけであります。なお効果が余り上がらないではないかという御批判も従来受けておるところでありますけれども、地方団体は地方団体なりに工夫をこらしてその効果的な活用に努めておるところでございます。
○大川清幸君 これは地方のそれぞれの選管もありますし、それなりの努力をする、これは地方公共団体にもその責任の一端はあろうかと私も思っております。 ただ、せっかく金をつけていろいろ実施している選挙啓発運動の知識のデータですが、総数で言うと二千四百二十七の実数で調査を行って、知っていると答えた者が四八%、約半分近くいるのはいるんですが、知らない、不明というのが五一、二%あるので、これは効果がそういう点では上がらないという厳しい見方もできると思うし、知っている中でも、参加はわずか五%、不参加、不明が四三%、パーセンテージはきわめて低いんで残念なことだと思うんですね。 私は、ただこの補助金の金額をふやせという単純な要求ではないんで、せっかく補助金もつけるんだし、地方公共団体でもそれなりに地方公共団体の選管の責任でやる仕事もあるわけで、選挙の明朗化ということで言えば民主主義の根幹にもかかわることですから、これは金額もふやしていただければそれにこしたことはないと思うんです、この啓発運動の充実のためには。しかしもう少しやり方を国と地方とで工夫してもらえぬかというのが私の意見なんですが、いかがですか。
○政府委員(大林勝臣君) まさに仰せの点を私どもも頭を痛めておるところでありまして、選挙管理委員会といろいろ常時啓発の問題を協議いたします際にも、選管自体が従来の手法についての疑問を持ちつつやっておるわけでありまして、何とかもう少し効果の上がる方法はないかということが常に議題になりながらも、なかなかこれという切り札が見つからない。結局、有権者はもちろんのこと、候補者側、運動員の側、その双方に御理解を賜らぬといかぬ問題でありますので、むずかしさがあるわけでありますけれども、できれば今後もいろんな機会をとらまえまして、従来のような投票率でありますとか、あるいは一般の政治教育はもちろんのことでありますけれども、最近特に問題になっております政治の倫理化の問題、こういったものも新しく取り上げまして選挙啓発の一環として力を入れてまいろう。その手法として、従来の広報媒体の中で最も効果的なものはどういうものであるかということもなおかつ研究を続けながら、御要望に応じるべくできるだけの努力をしてまいる所存でございます。
○大川清幸君 そろそろ時間が来ましたので最後に、きょう各紙で報道されておりましたが、行政管理庁で補助金の廃止、ごみ処理の排水施設整備に対する補助金のカットでございますが、かなり大胆な打ち出し方をいたしまして、私はこの方向で財政再建をやる上ではやむを得ないことであろうというふうに理解はいたします。ただし、いまこれは排出基準なりそういうもの、従来の施設建設費、整備費で間に合う部分に上乗せした部分ですから、これを切ろうということですから、実態を見てそのとおりやってない地方公共団体の方が悪いんで、これは切ることは当然だろうと私は理解をいたします。 ただ、琵琶湖ですとか、琵琶湖は大阪の大きな人口を養う水資源でもありますし、それから瀬戸内海なんかではしょっちゅう赤潮が起こる。大村湾やあっちの方だってこれからもいろいろな問題が起こってくるんで、この地方の市町付のこれから開発途上にあるようなところ、市街化が進みそうなところというのは大分あるわけです。そういう点から考えると、建設費そのもの、じゃなければ、水質基準、そういうようなものについてはかなり見てやらないといけない需要というのが起こってきやせぬか。 したがって、これ実態調査をして、そのとおりやってないところは切るのは結構ですが、こうした都市化現象、それから環境整備から考えると、この手法だけで将来も押し通すということではまずいんで、地方公共団体の財政の自力でこうした施設というのはできないと思います。ですから、その辺の配慮は、カットするのは結構ですが、その辺の配慮は、地方自治体側に立つ自治省として、実態の把握なり調査の努力はしておいてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(土屋佳照君) きょう新聞に出ておる件について詳細なことは私はまだ承知をいたしておりません。ただ、お示しのございましたように、最近の実態を見ましても、生活環境整備の中で下水道の占める地位というものはきわめて重要になっております。同時にまた非常に大きな経費を要するということでもございますので、普及率が非常に低い現在、今後の進め方についてはいろいろと検討すべき分野が多いと思います。特にいまお示しのように、いわゆる閉鎖水域等に対する処し方、対処の仕方を一体どうするかということは大きな問題になってくるだろうと思うのでございますが、私どもとしても、当然補助金そのものは適正な形で執行されなければなりませんし、特にこの下水については、政令でいま公共下水でも三分の二という特例措置がとられておるぐらいに力を入れております。一層今後そういった実態に応じて補助金制度あるいはまたそれ以外の面におきましても、この仕事の進め方について合理化が図られなければならないと思っております。非常に関心を持っております私どもとしても十分その点注視して仕事を進めたいと思っております。
○副主査(渋谷邦彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時三分開会
○副主査(渋谷邦彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 去る二十八日、上田耕一郎君が分科担当委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が分科担当委員に選任されました。 また、本日、片山甚市君、大川清幸若及び田渕哲也君が分科担当委員を辞任され、その補欠として山田譲君、馬場富君及び伊藤郁男君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○副主査(渋谷邦彦君) 休憩前に引き続き、昭和五十六年度総予算中、警察庁、北海道開発庁及び自治省所管を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 これは事務当局で結構でございますけれども、最初にまずお伺いしたいのは、昨年からことしにかけまして、一部の地方公共団体において議会が改憲の決議をしている。そしてその意見書を、まだ出してないところもあるようでありますけれども、出そうとしている。こういった傾向が見られるわけでありますけれども、まず、その実態を自治省の方として把握しておられると思いますけれども、その点をお示しいただきたいというふうに思います。
○政府委員(砂子田隆君) 全体の公共団体の議会からどのぐらいの改憲の決議が出ているか詳細には存じませんが、反対の決議あるいは賛成の決議をしている県があることは承知いたしております。
○山田譲君 自治省としては、あれですか、決議をした町村あるいは市を全然まだ具体的に押さえておらないと、こういうことですか。
○政府委員(砂子田隆君) つくづく考えてみますと、実は、自治省はこの関係行政庁に当たらないのではないかといって自治省に出してこないのではないかと思います。ただ、二、三新聞に出ておるところがございますので、そこへ問い合わせた結果は存じております。
○山田譲君 もしおわかりにならないとすると、私の方でもって若干押さえているものがありますので、その点を申し上げますと、すでに二市七町二村ですか、一々申し上げませんけれども、私がおります群馬では、特に大間々町が去年の年末の議会で議決している、こういうことに相なっております。 それで、私は、これらの問題について自治省のお考え方を、これは地方議会がやっていることだから当然自治省の所管だと思いますけれども、まずお伺いしたいのは、そういう地方公共団体の議会が憲法を改正するという決議をしてその意見書を提出する。提出先は自治省がどこかわかりませんが、こういうことは、まず九十九条の二項に基づいてやっているということでしょうけれども、自治省として、それが適法であるか違法であるかというふうなことについて、まずその解釈をお伺いしたいと思うわけです。 そして、ついでにお伺いしたいのは、その場合の意見書でございますけれども、意見書は一体だれに提出するのか、これも自治省の自治法の解釈の問題としてお伺いしておきたい。 それからもう一つは、九十九条の二項に言っていますように、当該地方公共団体の公益に関するもの、こういうことについて議決をして意見書を出すということになっているようでありますけれども、お伺いしたいのは、この当該地方公共団体の公益に関するものというのは一体どういうことを言うのかということについて、自治省の自治法の解釈の問題としてまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、地方自治法の九十九条二項におきましては、「地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる。」という規定がございます。御指摘のように、この意見の提出というのが公共団体の「公益に関する事件」に該当するかどうかという問題につきましては、その議会における自主性と責任に基づいて判断される問題だというふうに理解をいたしております。 しかも、この意見書の提出先というのは、少なくとも意見書を受理する機能のある行政機関ということでございまして、国会でありますとか裁判所というのは含まないというのが通常の解釈でございます。 「公益に関する事件」というのは何を指すかということでございますが、一般的には公共の利益ということでございまして、住民の福祉に関係ある問題であれば、いかなる意見書であろうとも関係行政庁に提出することができるというふうに理解をいたしております。
○山田譲君 それではその次に、議決をしているわけでありますけれども、その議決文の内容、これは自治省御存じですか。
○政府委員(砂子田隆君) 一部見せてもらったのがございますから、その内容については存じております。
○山田譲君 ほかのことと違いまして、仮にも憲法を変えようというふうな決議がなされておることについて、その決議文の内容も全然知らないというふうな状態は、私は自治省としておかしいと思うんだけれども、その問題は別として、それじゃその次に、私の方からその決議文の内容を少し読んでみます。これはもうおわかりになっていないわけですね。
○政府委員(砂子田隆君) いや、先ほど申し上げましたように、知っております。一部知っております。
○山田譲君 一部。
○政府委員(砂子田隆君) はい。
○山田譲君 じゃ、全部は知らないわけですね。
○政府委員(砂子田隆君) はい。
○山田譲君 じゃ、全部を読みます。「新憲法の制定を要請する決議」ということで、これは別府の市議会で可決されたものです。 時代の進運が著しく戦後の国際社会では、日本を除くすべての国々が、それぞれの国情を考え、また時流に即して憲法を改正ないし修正しており、この三十年間憲法を修改正していない国は、世界広しといえども日本ぐらいなものである。 特に、わが国の現行憲法は、敗戦下において占領軍が作成して日本政府に押しつけた英文憲法を翻訳したものであり、内容的にはたとえば、国家緊急時の対処規定がないなど、独立国家としての憲法のていをなしておらず、また、わが国の歴史と民族の伝統をおろそかにして個人の権利ばかりを強調するあまり、社会や国家のことを考えない利己的な人間を輩出し、毎日の報道にあらわれているような精神構造異変と教育の荒廃とを引き起こしている。 われわれは、ここに日本民族に対し、内外から迫りくる危機を回避するため「現憲法を再検試し、時代を一新する」ことを求めるものであり、そのため早急に政府並びに立法府が学識経験者や各界代表を結集して、わが国の国情と時流に即した新憲法を制定する事業(草案の作成、啓蒙運動等)に取りかかることを強く要請する。 昭和五十五年七月九日 別府市議会 議長 豊田 実 こういうことで総理大臣鈴木善幸あてに出されております。こういう文章なんですよ。これが全文です。 いま自治大臣もお聞きになったと思うんですけれども、この内容について自治大臣はどうお考えになられるか。これはもっともなことだというふうに考えるか、あんまり妥当ではないというふうに考えられるか。私の考えとしては憲法改正はしないと言っている鈴木内閣の基本方針に反するような内容じゃないかというふうに思うわけでありますけれども、自治大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 現内閣は、いまお話ありましたとおりに、憲法は改正しない、こういう方針であるわけでございます。ただ、憲法論議は、国民の間にいろいろな議論があることはこれも事実でございます。したがいまして、自由民主党なんかにおきましても、両論があることは、これも御承知のことだと思います。広く国民の間に論議されておることも、これも紛れのない事実だと思います。 そういう点について、御質問の趣旨が県議会で決議するのは適当かどうかと、こういうことであろうかと存じまするが、いま行政局長が申されましたとおりに、公益に関することというふうなことで憲法上は地方自治の問題を決めておりまするから、そういうことについていろいろ意見を提出するということについて、これは直ちにいかぬのだと言うわけにもいかぬのじゃないかと私は思っております。
○山田譲君 そういうこと自体おかしいと思いますけれども、それは別として、私はせっかく一生懸命読んで、この内容がどうですかってと聞いているわけです。ですから、なるほど意見書を提出することは、これは議会の勝手だという話ですけれども、それはそれとして、いま私が読みましたこの内容について、これは自治大臣として適当と思いますかということを私はお伺いしているわけです。
○国務大臣(安孫子藤吉君) そのお話の点について、世界各国が憲法をいろいろ改正しておる、日本だけが改正してないんじゃないか、これは事実でございまするが、私といたしましては、現行憲法でいいじゃないかと、こう思っておるわけでございまするが、しかし世界の情勢から申しまして、そういう事実のあることもそのとおりでございますので、そうした論議があってもしかるべきじゃないかと私は思っております。
○山田譲君 自治大臣としては、現行憲法を守っていきたい、しかし論議するのは勝手であると。議会の人たちが皆さんで議論してこういう内容のものを議決するということは、これまた自由じゃないかというお話でございます。憲法論議は私やっちゃいかぬなんてことを言っているわけじゃないんでして、こういう内容を一体どう思うかということを私は聞きたかったわけです。憲法なんてものはそう軽々しく変えない方が私は国としてりっぱだと思うんですよね。ほかの国が変えているから日本も変えるという最初の出だしが大体なっちゃいないと私は思うんだけれども、しかもそのあとが、現行憲法は全部英文憲法で押しつけ憲法である、日本がつくったんじゃないんだ、その中には国家緊急時の対処規定がないというふうなこと、あるいは基本的人権をやり過ぎたために社会、国家のことを考えない人間ができてきたんだというふうな言い方は、私はどう考えても現行憲法を正しく理解している考えとは思えないわけです。それはしかしそれといたしまして先へ急ぎたいと思うんです。 つまり現在の憲法、これは釈迦に説法ですから申し上げるまでもないわけですけれども、現在憲法が言っております平和主義、あるいは民主主義、それから基本的人権を尊重すること、こういう基本的な考え方をこれは何か頭から否定するような考え方だと私はとらざるを得ないんです。そしてさらに、現在の日本における法体系あるいは社会体制というふうなものはすべて現在の憲法をもとにしてでき上がっているはずであるというふうに私は思うんですけれども、そうすると、現在の憲法をいま私が読み上げましたようなことでもって頭から否定するような考え方というのは、結局現在の日本における法体制あるいは社会体制というふうなものを一切否定するようなことになりはしないかというふうに思うんですけれども、その点はどんなものでしょうか、自治大臣。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 論者のいろいろな見解もそれに伴ってあるだろうと思いますけれども、憲法改正いたしますれば、それに関連しての法制度の改正その他も必然的に出てくる面もあるだろうと思います。それは確かにそうだろうと思います。ただ、全部が否定されるかどうかという問題はいろいろあるだろうと思いますけれども、憲法改正に伴って法改正する面だって、それはないわけじゃなかろうと思います。
○山田譲君 私はそのないわけはないという程度じゃなくて、少なくとも現在の法律はすべて根源が憲法から出ておるわけだと思うんですよ。憲法をもとに持っていないような法律はあり得ないわけです。ですから、憲法を否定するということは、現在の法体制全部を否定することになると思うんだけれども、自治大臣おっしゃるように、一部が変わる程度であって、ほかの法体系は残るというふうな、そんななまやさしいものじゃないと思うんですけれども、どうでしょうかね、そこは。
○国務大臣(安孫子藤吉君) それは憲法の改正の内容いかんによるんじゃないかと、こう思います。
○山田譲君 それは内容いかんですけれども、これで言っていることは、もう最初からとにかく現在の憲法なんというものは占領軍から英語で押しつけられて、それをただ翻訳したものにすぎないんだから、こんなものは憲法と言えないと言わんばかりの言い方ですよね。これは憲法全体を否定するというふうに言われてもしょうがないと思うんです。中身は最初私が読んだとおりであって、平和主義を否定し、そしてまた基本的人権を尊重していることをあたかも否定するような言い方をしているということは、これはとりもなおさず現行憲法を頭から全部否定するものであるというふうに私は言わざるを得ないと思うんですけれども、どんなもんでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) その点はどういう論旨であるかははっきりいたしませんけれども、平和主義とか、あるいは主権在民主義を根本的に否定するというのでもないんじゃないかと、表現はわかりませんけれども。そういう点から、私がいま申しましたとおりに、憲法の改正内容いかんによって一部改正はあるだろうけれども、全面的に改正という問題には波及しないんじゃなかろうかとお答えしたつもりです。
○山田譲君 私はこれ以上この話はいたしませんけれども、いずれにしても、ここに書いてあるように占領軍が押しつけた憲法だという言い方は、どう考えてもこれは穏当じゃない。つまり現行憲法なんというものは本当の憲法じゃないという言い方でしかないと思うんですね。ですから、それは結果的にたとえば部分的改正もあるかもしれないけれども、それとは違うんであって、一応は現在の憲法を全部否定する、その上から出発しようという考え方ですから、私は必ずしも部分的な改正とはちょっと違うと思うんですが、この話は一応これでやめまして、もう少し中へ入っていきたいと思うんです。 昭和三十八年の八月二十九日に行政局長通達を出されたんです、まず最初にお伺いしたいのは、これは局長で結構でありますけれども、これは恐らく九十九条第二項についての問題をこういう形でもって通達で出されたと思うんだけれども、大体どういう基本的な考え方に基づいてこのような通達を出されたのか、この言わんとするところは何であるかということをお伺いしたいんです。それはもっと端的に言いますと、つまり最初のお話ですと、何か「公益」に該当するものであれば、大体何でも地方議会の勝手だというふうな言い方を最初なさったわけですけれども、ところが三十八年八月二十九日のこの行政局長通達は必ずしもそういう考え方だとは思われない。この意見書であろうと、議決したものであろうと、ある程度自治省としてはそれに対して関与せざるを得ないということをこの通達ははっきり言ってるんじゃないかというふうに私は思うんです。だから、この三十八年通達、古い通達で申しわけないけれども、このときどういう基本的考え方で出されているか。それからもう一つ、その趣旨は一体何であるのかということをはっきり言っていただきたいと思うんです。
○政府委員(砂子田隆君) 九十九条二項のこの問題につきましては、基本的には先ほども申し上げましたように、地方議会の自主性と責任に基づいて判断されるべき問題だという考え方は従来から変わっていないわけであります。三十八年の八月に出しました通知というのは、国の防衛でありますとか外交、そういうものに関しまして、公共団体がこういう意見を出すということについて禁止した通知ではございませんで、そういう問題についても「公益に関する事件」だというふうにお考えになるという点はあろうかもしらぬけれども、お国の防衛でありますとか外交に関しましては、慎重なる配慮が必要だということで出した通達でございます。
○山田譲君 だからそれは、中身は書いてあるとおりでわかりますけれども、これを出した基本的考え方、つまり地方議会が勝手にやるんだけれども、内容いかんによっては自治省としても黙っちゃいられないという、そういう考え方が恐らくあったから出したと思うんです。勝手でいいというんなら何も出すことないんで、外交であろうと防衛であろうと、公共団体が勝手にやりゃいいんだという考え方ならば出すはずはない。だから、わざわざこれを出したということは、自治体の自治だとは言うものの、内容いかんによっては自治省としても関与せざるを得ないと、こういうあらわれじゃないかと思うんですけれども、その点はどうですか。
○政府委員(砂子田隆君) もともとこの地方自治法の第二条に公共団体の事務というのが規定されておるわけであります。その中に、外交でありますとか防衛というのは公共団体の事務ではないと書いてあるわけです。そこで、そういう問題について一般的に公益の事件だということで議決するということが、公共団体の自主性に基づいてやられるとしても、公共団体の事務でないものについてそういう判断をするということについては慎重であってほしいと、こういう意味でございます。
○山田譲君 そうするとあれですか、意見書なり、議決をするということは、本来は公共団体の固有事務についてやるべきだと、それ以外については慎重にやれということになりますと、そうすると固有事務でないものについては、外交防衛に限らず、すべて慎重にやらなきゃいけないと、こういうことになりますかね。
○政府委員(砂子田隆君) 私が申し上げているのは、公共団体の事務というものの中には、固有の事務もございますし、団体の委任事務もございますし、機関委任事務もございます。いろんな事務がございますが、要するに国のそれ自身の仕事、特に防衛であるとか外交であるとか、そういうものについて慎重であってほしいということを申し上げたわけです。
○山田譲君 あれでしょう、憲法を改正するということだって公共団体の仕事じゃないでしょう。
○政府委員(砂子田隆君) すでに御案内のことだと思いますが、憲法の中に地方自治に関する条章がございます。それから住民の権利義務に関する規定もございます。そういう意味で地方自治に関係がないということはちょっと言えないのではなかろうか。そういう意味で、そういうことについて主張する、あるいは意見を申し出るということが、必ずしもこの規定に予想していないことではないのではないかというふうに申し上げているわけであります。
○山田譲君 外交だって地方公共団体の住民に関係ないことじゃないでしょう。大いにあるわけですよ。国だけがやって、それじゃ地方公共団体の住民には全然影響がないなんて言い切れますかね。
○政府委員(砂子田隆君) 三十八年のときの通知の背景になっておりますのは、先生も御案内だと思いますが、当時のベトナム戦争でありますとか、あるいはそういうものに関係したこと、あるいはこれから日本が中国と交渉を進めて条約を締結しようという国自身の考え方、そういうことがあったことに対して、地方議会としても慎重な配慮が必要じゃないかということを言った通知であります。
○山田譲君 それはわかっているんですけれども、ですから聞きたいのは、要するに固有事務なり機関委任事務なりが、団体委任事務でもいろいろありますけれども、要するに、そういうことを一応予定しているんだけれども、その他の問題であってもそれは慎重にやってもらいたい、しかしいま言ったような外交、いろいろなデリケートな問題があるときには、特にそういうことは慎重にやってもらいたいと、こういうのが自治省の恐らく考え方だと思うんですが、それでよろしいですかね。
○政府委員(砂子田隆君) よろしいです。
○山田譲君 それじゃ、外交政策に関連するものであっても自治法で言うところの「公益」の中に入るというふうに解釈していいですか。
○政府委員(砂子田隆君) 実は、そういう問題につきましても、具体的な内容を見てみないと当方としては何とも申し上げられませんが、具体的な事象が出ましたときに判断をいたしたいと存じます。
○山田譲君 いま私が言いたいのは、具体的なものが出てきているから聞こうとしているわけですよ。具体的には先ほど読み上げたようなこういう内容のものが出てきて、それが一体「公益」に当たるのか当たらないのかということを次に聞きたいと思ったわけですよ。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほど別府市の憲法改正に関する問題についての決議というのをお読みいただきましたが、これが国政に直ちに反映するということになるのかどうか、あるいは、もともと御案内のとおり、憲法の改正は国会の発議にかかっておるということもございまして、改憲の発議をする、あるいは一部には内閣にも発議権があるという御意見もあるようでありますけれども、そういう話は別といたしまして、一般的にそういう発議をするという考え方と、それに対して憲法改正をしてくれと主張する考え方というのは、一体になっていないのだと私たちは思っているわけです。ですから、お読みになっていただいた中にも、その議会自身が個人の権利というものに対してどういうお考えでそう書いたかは知りませんが、少なくとも個人の権利義務について若干問題がある、だから憲法を改正をしてほしいという議論、公共団体でそういう主張がなされたからといって、直ちにそれが公益に関しないというふうには読まれないのではないかというふうに申し上げているわけです。
○山田譲君 くどいようで恐縮ですけれども、先ほどの外交政策ですね、ベトナムの問題のときには、こういう通知を出されたけれども、これは地方自治法の「公益」には該当すると。するけれども、外交政策で非常に問題があるときだから慎重にやれと、こういう趣旨で、言いかえればやっぱり「公益」に入るんだということですかね。当該地方公共団体の「公益」の中に外交問題が入るか入らないか、そこを言っていただきたいと思います。
○政府委員(砂子田隆君) ベトナムの外交のときにおきましても、たとえば当該地域の住民というのがベトナムまで出かけていく、そういうことが非常に問題になっているというのが地域的には私はあろうと思います。そういうときに議会が自分のところの住民というのを守るという姿勢、あるいは日本の戦争放棄をしたという規定に従いましてそういうことをしないでくれということを申し述べるというのは、住民の福祉の関係についてはあり得るだろうと思っておるわけです。
○山田譲君 そうすると、具体的なケースケースでもって、とにかく出てきたところで自治省が考えて、これは慎重にやらなければいけないとかいう考えがあれば、改めて通達を出すということはあり得るということですか。
○政府委員(砂子田隆君) おおむねのところは、先生先ほどおっしゃっておられました三十八年の通達で、一応みんなわかっていただいているものだと思っております。
○山田譲君 いや、わからないから私は聞いているんだけれども、これは少なくともそういったベトナムだけのことで言っているわけで、そういう時代を背景にして言っているんだけれども、私が聞きたいのは、こういった改憲決議というふうなものを各地方公共団体が議決し始める、こういう背景のもとに、それでは一体どういうふうに、そういうことについてかつて外交問題のときに出しているわけですから今度も——私は下手すると外交問題よりももっともっと重要な問題だと思うんですよ。こういう問題について、後から言いますけれども、どっちかと言うと、軽々しく可決して意見書を出そうというふうな、そういうやり方に対して、風潮に対して、自治省がそれをどう考えられるかということを聞きたいわけですよ。
○政府委員(砂子田隆君) お話しのとおり、憲法の改正の問題というのは私は大変重要な問題だと思っております。ただ、九十九条の二項の規定は、御案内のとおり、これは関係行政庁に対して自分たちの意見を申し述べるということでございまして、非常に消極的な形の規定でございます。一般的に大変大事な問題でありますれば、そういうことのほかに法律効果が非常に重要だというふうに考えなきゃいかぬこともございますから、地方自治法の中ではそういう重大な法律効果を持つものについてはきわめて厳しい規定などをしておるわけでございまして、重要な案件であるということと重要な法律効果を招くということの間には、若干乖離があると私は思っておりますので、憲法の改正問題は大変重要な問題である、しかしこれは意見を述べるというふうにとどまっておるところでございまして、それ以後の行為は国自身か判断をしなきゃならぬというところにかかっておるわけでありますから、公共団体がある程度そういう意見を申し述べたから直ちにこれが九十九条二項に違反をするんだというふうには考えていないわけであります。
○山田譲君 これはもともと意見を出すということなんであって、ですからさっきの外交問題だって、何も外交の機能がないくらいのことは各公共団体だって知っていたと思うんですよ。だけれども意見を出したということですから、意見なんだから勝手だということにはならないんで、そういう意見を出すことについて慎重にやるとか、関係機関の意見を聞けとかって言っているわけですから、その点は、憲法改正なんという問題は、これは意見を出すのは勝手だというわけにはいかないと思うんですよ。それはどうですか。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほど来申し上げておりますとおり、改憲の問題というのは大変重要な問題だというふうに申し上げているわけであります。ただ、この九十九条二項にその改憲の意見を申し述べることが含まれないかという議論になると、これは含まれないというふうには解していないということを申し上げただけでございます。
○山田譲君 含まれない、含まれるの問題じゃないわけです。当然さっきの外交問題だって含まれる。含まれるけれども、慎重にやりなさいとか言っているわけなんで、だから、そういうことから言うと、私たちは何も憲法論議が含まれないというふうなことを言っているわけじゃないんです。含まれるけれども、慎重にやれというふうなことは、外交問題と同様に考える気持ちがあるかないかということを聞いているわけです。
○政府委員(砂子田隆君) 私が先ほど一番先に申し上げましたとおり、具体的にその決議の案件を私たちが受け取っているわけではございませんので、内容的に詳細に私が承知していないというふうに申し上げたとおりであります。それは自治省として当然承知すべきだという御議論もあろうとは思いますが、たまたまその文書自身が内閣に出されているということでございまして、内容まで熟知をしていないのでありますけれども、いまのところそういう問題に関して提出するなということを直ちに通知するつもりはございません。
○山田譲君 私は結論をそんなにすぐに出せと言っているわけじゃないんだが、内容を熟知していないと言うけれども、私がさっき読んだとおりなんですよ。これだけの内容のものなんで、別にこれ以上熟知しろって言ったって何も書いてない。私は全文を読み上げたわけですよ。この文章を知らないと言うから私が読んであげて、これについてどう思うかという話をしているわけです。それはすぐここでもって通達を出しますなんということが言えるわけがないことはわかるけれども、しかし考え方として、外交問題のときに出した、今度は、考えようによっては、外交問題よりももっともっと重要な問題を持っていると思うんです、憲法改正ということはね。憲法を改正するということは、当然外交にも影響するんですよ。日本が再軍備しなけりゃならないなんて憲法改正したら、これは直ちに外交問題に大きく影響することはもう明らかでしょう。だから、単にベトナム戦争がどうした、こうしたという問題よりも、もっと大きな国際的に与える影響が、日本の憲法を改正するということになれば出てくると思うんです。 そういうふうに考えますと、この事柄の重要性について私は——地方自治体の勝手だ、単に意見を出すんだから、これは憲法論議だから、だれがやろうと勝手ですと、こういう考え方じゃいけないと思う。事実、自治省としてはこのベトナムのときには出している。ベトナムのときに出して、どうしてこれほど重大な、さっき読んだような憲法を頭から否定するようなそういう考え方に対して何もしないのか。それはもう勝手ですというふうな言い方は納得できないわけですよ。そこをもう一遍説明してください。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほどから申し上げておりますとおり、公共団体が「公益に関する事件」に該当するかどうかという問題については、住民から選ばれた議会がございますから、その議会の中で自主的にしかも自分の責任に基づいて判断していくということでございまして、そういう判断に基づいて意見書が出されてくるということであれば、これはやむを得ないことだと思っております。
○山田譲君 けしからぬです、そんな言い方は。やむを得ないならば、最初から私は問題にしてないんであって、こういう通達を出しているということは、ただやむを得ないで済まされないから出したんだと思うんですよ。地方公共団体の代表になった議員さんたちがみんな集まってやったことだから、これはやむを得ないんだということなら、何もこんなときにこんな通達を出すことないじゃないですか。だから最初から、この通達はどういう考え方で出したんだと聞いた。地方公共団体の勝手ではあるけれども、内容いかんによっては、自治省が関与せざるを得ない事件が出てくるんだということをこの通達が明らかに言っていることでしょう。それをいまさらになって、地方公共団体がやるんだから自由だというふうな、それはおかしいじゃないですか。せっかくいままで議論したことを真っ向からひっくり返すことになる。
○政府委員(砂子田隆君) そういうふうに受けとられることは非常に残念であります。私が一番最初に申し上げましたとおり、その三十八年の通知も、一般的に「公益に関する事件」について出しちゃいかぬということを申し上げているのではなくて、出すときには、そういう慎重な配慮が必要だ、特に公共団体に関係のない事務に関しましては、そういうふうな考え方をしてほしいということを申し上げたわけであります。 ただ、今回の事件は、先ほど申し上げましたとおり、憲法に対する改正の議論というのは、いろいろな角度からの議論が私はあろうと思いますが、少なくとも憲法に地方自治に関する規定がございましたり、そこに住む住民の権利義務ということが書いてあるわけでありますから、そういうものは地方行政と密接に関連をしてないというふうに言い切ることは非常にむずかしいということで申し上げているわけであります。
○山田譲君 よくわかりませんけれども、とにかくまず第一段階として、地方公共団体の勝手ですということはわかりましたよ。だけれども勝手じゃないんで、内容いかんによっては自治省としても慎重にやれというふうなんですね。じゃ、ほかのことは慎重でなくていいかということになると、そんなことはないと思う。慎重に出せということは、よっぽど重大問題だというふうに考えたからこそこういう通達を出したはずであります。だから、それは憲法問題、いますぐにでも結論を出してくれと私はここで言いませんけれども、やはりそういうことで考えていっていただきたいというふうに思うのです。 もう一つ通達についてお伺いをしたいのは、まず「関係機関」の意見を参考に徴するということを言っておりますけれども、この「関係機関」というのは一体何ですか。
○政府委員(砂子田隆君) 「関係機関」というのは、そういうことの意見を申し述べることについてそれを受理する機能のある行政機関、そういうことでございます。
○山田譲君 それから慎重の態度をとるというのは、これはどういうことですか。
○政府委員(砂子田隆君) 慎重の態度をとるというのは、よく注意をしてやってくれということでございます。
○山田譲君 慎重でなかったらどうしますか。慎重にやらなかったら。
○政府委員(砂子田隆君) 慎重にやらないからと言って、直ちにそのことが違法だという議論にはなかなかつながらないのじゃないかと思っております。
○山田譲君 違法かどうか別にして、とにかく適当でないということは、少なくともおたくで出した通達に違反しているんだから、はっきり言えるわけでしょう。私は具体的に、ほかのことは知りませんけれども、大間々町のやり方を見ていますと——大間々町御存じですね。群馬県にある大間々町の町議会が去年の十二月二十二日に議決をしているわけです。議決の仕方を見ると、最後の段階の十二月二十二日も終わりのときに、いきなり本会議にぽんと出して、そして有無を言わさず、絶対多数でもって可決しちゃったという、こういうやり方。事前にどこにも相談も何もしないでやったということについて、これは慎重な態度をとったと言えますか、こういうやり方。
○政府委員(砂子田隆君) なかなか議会の議決というものがどういうふうに行われるかというのをつぶさに私も知りませんが、いま先生がおっしゃったように議会の中で突然おやりになることもありましょう。しかし背景的にはあるいはいろいろなことが論議された結果かもしれませんし、直ちにそのことについて批判をすることは差し控えたいと思いますが、私たちの方は、地方の議会というものは自主的な運営をするということに非常に重点がございまして、いたずらに国が関与していくというのをなるべく避けたい。そうしないと地方の議会の自主性なり自立性というのは保ち得ないというのが考え方でございます。そういう意味で慎重に配慮してくれと言うときにも、少なくとも地方議会の自主性というのを重んじながら通知を出したつもりでございまして、そういう観点から、議会が判断をして、自分たちの正邪を決定すべきものだというふうに理解をいたしております。
○山田譲君 それはそのとおりでしょうね。というのは、そういうことならば、何も慎重な態度をとれなんということを自治省がわざわざ言わなくったっていいわけであって、自治大臣にすべてを任してあるんだから、わざわざ自治省として慎重な態度をとりなさいとか、関係機関の意見を聞きなさいなんということを言うことはないはずでしょう、地方自治なんだから。それに対して自治省が、最初から言っているように、ある一つの考え方を持って、自由なんだけれども、こういうことについてはよく慎重にやれということを言っている。それは議会の議決のやり方ですから、いろんなことがあることはわかりますよ。少なくとも私が知っている限り、大間々町のやり方というのはそういうふうには聞いていない。恐らくあなたがさっきおっしゃったような関係機関、どこになるか知りませんけれども、関係機関と相談してなんということも一切ありませんし、それからまた慎重な態度をとって、議員たちみんなにいろいろ意見を聞いたり何かしながらやっていたとは思われないわけですよ。だからそういうことについて、自治省としては、この通達どおりやっていないのだから、やっぱりちゃんと指導してもらわないと困るというふうに私は思うわけです。これは回答していただかなくともいいんです。 それからもう一つ、外交問題ということがさっき出ていましたけれども、さっきも私ちょっと触れたけれども、憲法改正ということが外交に全然影響しないというふうにお考えかどうかです。私は非常に影響すると思うのですがね。
○政府委員(砂子田隆君) すでに御案内のとおり、憲法自身は国の統治行為を決めているものでございますから、防衛なり外交なり、国政の中の統治行為すべてを含んでおるわけでありますから、外交については全く関係がない。憲法改正をして直ちに外交関係がどうなるかというのは、改正の条文なり国の態勢の問題である。そういうことから理解をしていかなきゃならぬ問題ではないかと思っております。
○山田譲君 御承知のとおり、日本は軍備を持たないということで九条があるわけだけれども、そのこと自体がけしからぬと言わぬばかりの決議になっておるわけですよ。そうすると日本が今度再軍備を堂々と憲法にうたうようなことになるなんということになったら、これは一局部的なベトナムがどうしたとか、そんな問題以上の大きな影響を及ぼす重大な問題じゃないかというふうに私は思います。 それからもう一つ、いまの憲法には、言うまでもなく、地方自治がはっきりとうたわれているわけですね。これは旧憲法、いわゆる帝国憲法にはなかったやつです。帝国憲法には一字一句も地方自治なんということは言われていませんよ。ですから、現在の地方自治というのは、現在の憲法によって与えられているものなんですよね。何か新憲法を否定するような言い方は、自分から自分の自治を否定するようなことになってくるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、それはどうでしょうかね。
○政府委員(砂子田隆君) 私は、いまのところ、地方公共団体が、現行の地方自治という部分を否定する方向へ憲法を改正してくれというようなことを言うことは、私はないのではないかと思っております。
○山田譲君 私は、最初に言ったように、とにかく現在の憲法は全部英文の翻訳でしかないんだと、そう言っているわけですよ。ですから、憲法全体を否定しているというふうに私はとらざるを得ないんですよ。地方自治の部分だけが日本国民がつくって、英文でなかったなんということを言っちゃいないんで、憲法全部が英文で、占領軍がつくったものをそのままそっくり翻訳したんだという言い方をしているんだから、それを見ると、どう考えたって現在の地方自治の条文だって英文だったと思いますよ、この考え方から言えば。ですから、結果として新しい憲法がどうなるかは別として、とにもかくにも新憲法全部否定しようという考え方が明らかにここにあらわれていると思うんです。だから、そういう意味で、自分の地方自治がいまの憲法によって与えられている、新憲法の結果地方自治が憲法上きちっと確立されたというふうなことを全然考えずに、ただ新憲法を変えろ、変えろ、新しくつくれというふうな言い方は、せっかく戦後三十数年たって憲法のおかけでこれだけ確立されてきた地方自治そのものを否定するようなことになりはしないかということを私は恐れるわけです。 その次に聞きたいけれども、さっきもちょっと触れましたけれども、大間々町がその例でございますけれども、憲法改正については、御承知のとおり、憲法九十六条の一項で非常に厳重な制限を設けて、こういうことをやらなきゃ憲法というものは簡単には変えられないんだということをはっきり言っているわけですよね。国でさえそういう慎重な態度でもってやろうとしている。これはもう憲法自身がそういうふうに言っているわけです。憲法は、最初にも言いましたとおり、そんなにちょいちょい変わるものじゃないし、変わらないことの方がむしろりっぱだと私は思うんですよね。だから先ほどの立論のように、ほかの国はみんな変えているんだから、わが国も変えなきゃおかしいんだと言わんばかりの言い方はまるっきり変だと思うんですけれども、いずれにしても、そういう大事な憲法を変えるについて非常に重要な規定を設けている。普通の法律改正なんかと全然違うということは十分おわかりだと思いますけれども、こういうことについて、一市町村が住民の意思なんかも十分に確かめることもなく、そしてきわめて無批判にばっとさっきのようなやり方でもって可決してしまうということは、私としては非常に遺憾であるというふうに思わざるを得ないんです。 一つここで聞きたいのは、地方議会が議決したということは、すなわち地方住民の意思というふうに考えていいかどうかということなんです。これはどうですか。私は形式論を聞くんじゃないんです。
○政府委員(砂子田隆君) 議会が決議したものをどういうふうに理解をするかということに二つの考えがあろうと思います。一つは、少なくとも一般的に住民に選ばれて議員というふうな地位を占めておるわけでありますから、そこで議会で議決したということであれば、一応住民というものがそういうふうに理解しておるというふうに考えるのが自治の根本理念であろうと思います。 ただ、この中に、そういうことによって直ちに法律効果の及ぶもののほか、単に議会が自分たちの行動を規制するといいますか、そういう意味で単に機関の意思として決定するというときには、これは法律効果が何もないわけでございますから、議会が自分の判断でおやりになったというだけでして、そのことについて直ちに住民の意思がすぐに反映しておるかどうかということは、大変理解をしかねる部分もあると思います。
○山田譲君 そうすると、改憲の決議なんというのは、いまおっしゃったその後の方になるわけですか。
○政府委員(砂子田隆君) 改憲の決議というのは、明らかに九十九条二項で決議すると出てきておりますれば、これは当然に九十九条二項に基づく法律効果というのが出るわけでございますから、それはやはり住民の意思として議会で議決をしたというふうに理解せざるを得ないと思います。
○山田譲君 私は、それは形式論としては当然そういうことになるし、そういうお答えが来るだろうと思いましたよ。だからそう言わざるを得ないと思うんです。しかしどう考えても、大間々二万何千の町民たちの意向が、さっきの憲法改正の決議文のような考え方を持っておるとは思いませんけれども、それは実質論としてそういうことを言わざるを得ないのだけれども、形式論としては、確かに大間々町が憲法改正に賛成だ、しかも現在の憲法は全部アメリカからの翻訳文ですということに賛成し、それから基本的人権が余り強調され過ぎているからろくな人間が出ないのだということについて賛成をしていると、大間々町民全部がね。そういうふうにとらざるを得ないわけですよ。これはおよそ実際とかけ離れているというふうに私は思わざるを得ません。 もう一つ私はどうしても腑に落ちないのは、先ほどの大間々町のことばかりで恐縮ですけれども、決議した、意見書はどうなったと言ったら、意見書は、何だか知らないけれどもとにかく、岸信介さんですか、がやっている議員連盟に送りましたと、こうなんです。意見書はどこに出すか。内閣かどこかいろんな問題はあるにしても、少なくとも関係行政庁に出せということになっているわけで、それを岸さんの団体にぼんと送り届けるというやり方は、これはどう考えたって慎重にやっているとは思えない。こんなふざけた話はないと思うのだけれども、どうですかね。
○政府委員(砂子田隆君) 私は、事実どういうことが行われておったかということを承知しておりませんので、あるいはそういう議決というのをどこか代表して一括して持っていくという方法をとったものやら、あるいは地方議会というのは直接実は自分で議長が持ってくるなり何かするというのが最も正しい方法であろうとは思いますが、そういう方法をとらなかったということについて、どうも事実関係よくわかりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○山田譲君 私の言うことが事実でないとおっしゃるならばそれまでだが、私は事実を言っているつもりなんだけれども、事実私が調べた限りでは、議決して意見書を出そうというときになったら、とにかくこれは何でもいいから岸さんの団体に——団体からまず通達が来て、その団体一送りなさいと言われたから、岸さんの団体に持っていけばいいやということで、議会事務局の人もろくに知らないまま岸さんのところへ送ったと言うんですよ。それは事実でなければ結構な話。少なくとも議決してから意見書はつくってあるのだけれども、その送り先は岸さんのところだったということははっきりしているわけですよ。そうなると、地方議会は岸さんの団体の下請じゃないんですよ。当然でしょう、そんな話は。だから、その議会で決めたら、自治法に従って、それらしくちゃんとさっき言った関係機関とも相談してやるんだから、当然関係機関に提出するのはあたりまえな話であって、民間団体である岸さんの団体に対して直接送り届けるなんという、そんな見識のない話はないと思う。 だから、これは事実関係が私の言うことが違っているならばそれは結構ですけれども、事実関係わかっていらっしゃらないのであれば仕方がないけれども、そういうことでもって、これだけ大事な問題を軽々しくやられていることはけしからぬじゃないかということを私は言いたいわけですよ。そこをよく考えていただきたいというふうに思います。 それからその次に、すでに決議してある市町村、さっき言った二市何町何村かの決議文の内容を見ますと、これは非常に不思議なことに、一字一句違ってないわけです、一字一句ね。これは一つの偶然だと思いますか。一字一句違ってないのを。地方公共団体というのは、その地方の特殊性に基づいてそれぞれの議決をするのはあたりまえである。だけど私が見た限り一字一句違っちゃいないんですよ。これは偶然だと思いますか。
○政府委員(砂子田隆君) 一般的に申し上げまして、地方議会が決議をするというときに、みんなでそうしようじゃないかということを地方議会で相談してやるときには、よくそういうことがあると思います。
○山田譲君 それはどこか中心で、だれかがいて、ひな形か何かを流して、それでこれでもって議決しなさいという、こういうことであるから同じになるということですか。そうでなければ一字一句違わないというのは考えられないでしょう。各自治体が地方自治の本旨に基づいて当該地方公共団体の公益に合致するような議決をするというのは、全く同じ条件の市町村ならいざ知らず、みんな違う条件のはずなんですよ。そこがやっている決議文が、全く一字一句も違わないということは考えられないんだけれども、当然中央からだれか流して、このひな形どおりにやりなさいと言っているに違いない。そういうことをだれかやらしている人があるというふうに考えるか考えないか、どうですか、ここら辺は。
○政府委員(砂子田隆君) その背景にある判断を私がするのはどうも大変むずかしいことだと思っております。ただ、先ほど申し上げましたのは、よく全国の議長会でありますとか、そういうところに皆さんがお集まりになって、全体の議会としての意思をこういうふうに固めようじゃないかということを話をし、そして各地方議会に持っていってそういう議決をするということはよくあることだというふうに申し上げたわけでございます。
○山田譲君 これはそれ以上局長に返事しろと言っても無理な話だと思います。しかし実態は、われわれが調べた限りでは、自主憲法制定議員連盟というものがありまして、岸さんという人がとにかくそこの親方になっているということで、そこから流しているわけですよ。そんなことは局長もわかっていると思うけれども、こんなところで言えっこない。だから、そういうものを流して、そしてそのとおり各地方議会がさっき言ったようなやり方でもって決議している。ですから、決議した文書はみんな岸さんのところへやりゃいいやといってみんなで出しておるわけですよ。あとは岸さんが自由に今度は、地方公共団体がこれだけ盛り上がって改憲決議をしているというふうな言い方をする材料にする。そういう問題じゃないんですかね。ですから、そういう一つの世論づくりのためにいわば地方議会をダシに使っているというようにどうしても考えざるを得ないんだけれども、どうですか、この辺は。
○政府委員(砂子田隆君) どういう背景でそうなったかというのを私から、先ほど先生がおっしゃっているように、申し上げるのは大変いかがかという感じもいたします。すなわち、こういう改憲の問題についていろいろな議論の起きることでもありますから、私からその問題については差し控えたいと思います。
○山田譲君 行政局長、そういう実態が、少なくとも私が言ったことがもし間違いだとするならば、とにかく調べて後で私に教えていただきたいと思うし、もし私が言ったとおりであるとすれば、やはりそれなりに考えていただきたいというふうに思います。 最後に自治大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった決議、今後もいろんな決議がなされると思いますけれども、基本的に決議の内容については一切自治大臣としては目をつぶる、これはもう地方公共団体が自由にやったことだから、これはもうどんなやつが出てきても、特別に公序良俗にでも反しない限りはこれはいいというふうに考えるか。それとも場合によっては、三十八年にすでにやっているわけですけれども、絶えず見ていて、内容によっては何がしかの意思表示をする、こういうつもりがあるかどうか。その三十八年にやったようなやつを今後もやるつもりであるか。特に憲法をまるっきり否定するようなさっきから言っております決議、こういうことについて、先ほど申し上げましたように、軽々しいやり方とわれわれ考えざるを得ないんだけれども、三十八年の通達でも言っているように、慎重な態度というふうなことを言っておりますけれども、そういう慎重な態度を欠くような決議をする乙とについて、自治大臣として何らかの、三十八年でもうすでに通達を出しているわけでありますけれども、通達をここですぐ出す出さないは別として、どういうお考えでもってこういった問題に対処しようとしておられるか、そこをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 正式の手続を経て決議が出されておるわけでありますから、決議は決議として私としてはそれは認識せにゃいかぬと思います。ただ、ああいう決議の場合には、あなたも御承知のとおりに、それは決議をされましても、その背景には反対の人たちが相当あるわけですね。これは実態です。それで多数決によって恐らく決議されたものだろうと思うんです。そういう実態というものがあることだけは私もよくわかるわけです。したがいまして、この意見書の提出については、形式的に完備しておる、これはそういう決議が行われたという事実だけは私は認めざるを得ないと思う。しかし実態というものはまたおのずから別だと、こういうふうに私は認識します。
○山田譲君 それは実態のことを私は言っているんじゃなくて、そういう自主的に、合法的にできた議決ですから、それはそれとして認めざるを得ないことは私もわかります。ただ、その内容については一切目をつぶりますかどうかという話なんです。
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは目をつぶるとか、つぶらぬとかということではありませんで、その決議日体は私としては、それは正式の決議で提出されたものだと、こういう認識をいたします。 そこで、この憲法改正の問題になりますと、これは大方の国民世論の動向に従って決定される問題だろうと私は思います。そういうことで、意見書ですか、そういうものをそのまま私としては、こういう決議があるんだ、これは国民大衆の世論であるというような点にこれを援用する考えはございません。
○山田譲君 ございませんということですね。 それでは次に、これは純粋に法律的な問題として解釈をお伺いしたいんですけれども、地方議会に請願法による請願を行う機能があるかないかということをお伺いしたいと思います。
○政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、請願法の規定に従いますと、個人と法人が請願をするという規定になっております。特に参議院の請願の手続を見ておりますと、総代にもないということが書いてありますから、請願というのは法人あるいは個人に限られるものだというふうに理解をいたしております。
○山田譲君 地方公共団体というのは一つの法人ですね。そうすると、地方公共団体として一つの請願をしようとしたらどういう手続をすればいいんですか。
○政府委員(砂子田隆君) 地方団体が請願を行います場合には、もう御存じのとおり公法人でございますので、それの主管でありますところに請願を出す、あるいは国会に出してくるということがあると思います。議会にはそういう法人格がございませんから、議会には請願権がないのだというふうに理解しております。
○山田譲君 法人である地方公共団体が請願をしようとすることは、これは請願できるわけでしょう。その請願の手続はどういうふうにするかということです、請願を決めるのは、決め方は。
○政府委員(砂子田隆君) 請願をする場合には、請願法の規定に従いまして、関係の省庁に必要要件を備えて持ってくるということになろうと思います。
○山田譲君 そんなことじゃなくて、一つの公共団体として、たとえばさっきの例をとれば、憲法を改正しようというふうな請願を地方公共団体としてやろうとしたら、その意思決定はどこでどういうふうな形でやりますかということなんですよ。
○政府委員(砂子田隆君) もしそういうことが起きるならば、地方議会で団体意思を決定して持ってくるということになろうと思います。
○山田譲君 そこで聞きたいのは、地方議会とどういう差があるかということなんです。地方議会が議決したということと公共団体が決めたということは、実際の意思決定に当たっては同じじゃないかということなんですが、そこはどうなんでしょう。
○政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、地方公共団体というのは議会と長というふうに分かれておりまして、長が公共団体を代表するという形になっておるわけであります。したがいまして、公共団体の長が、そういういろいろな議会あるいはそういうところで決議がなされておって、あるいはそれに近いような状態にあって、団体の意思として請願をしたいということであれば、長がやはり判断をするものだと思っております。
○山田譲君 そうすると、長が判断するというけれども、議会で議決すれば長はそれに当然拘束されるのはあたりまえでしょう。議会が議決したことに対して市町村長が、議会で決まったんだけれども、おれはそれいやだというふうなことは言えないでしょう。どうですか。そうすると、あとは形式的に議会が議長の名前で請願することはできないけれども、市町村長の名前ならできる。市町村長が請願するに当たってはそういう議会の議決を当然とってやるんだろうと思うんだけれども、そうすると、出す人の名前が議長か市町村長がの名前の違いであって、意思決定に当たっては全く同じことをやるんですかということを聞きたいわけです。
○政府委員(砂子田隆君) 長が請願をしますときに必ずしも議会の議決を経るということではございませんで、長自身が住民全体がそれを非常に望んでおるというふうに自分でお考えになれば、公共団体の名前をもって請願をすることは可能であります。かっても、議会が議決をしたから、それをそのとおり請願法に基づいて長が関係行政庁へ持ってくるかというと、必ずしも長の判断と議会の判断とが一致しないということがありますから、あるいは持ってこないこともあり得まずし、それはその場合場合によるのではないかと思っております。
○山田譲君 いまの問題わかりました。いわゆる改憲決議の問題については以上で終わりたいと思いますけれども、重ねて自治大臣にお願いをしておきますけれども、かつて三十八年に外交問題について内容的には、慎重な態度をとることが望ましいものと考えるというふうな弱い言い方ではあるけれども、とにかくある程度中身まで入っていって、余りそういうことはやらない方がいいと言わんばかりの通達をすでに出しているわけですよ。だから、形式的に言っていけば、それは自治団体がやることだから勝手であるとは言うものの、国全体の立場から見てこれはちょっと問題があるというふうに思えば、自治大臣なり自治省、政府としてはそれに対して何らかの意思表示をするということは、私はあってもいいと思うし、事実やっておられたんじゃないかというふうに思うんです。ですから、この改憲決議みたいな問題についても今後慎重にひとつ自治省としても十分お考えいただくように特に要望をしておきます。それでは改憲決議の問題、これで終わりたいと思います。 次に、これはどちらかと言うとごく地域的な話で恐縮でありますけれども、これは公務員部長で結構であります。 群馬県に小野上村という村があります。ここで給食を、小学校、中学校一つずつしかありませんが、やっているんですけれども、そこで二人の職員が去年の八月にやめてしまった。当然補充をしなきゃならないということになったわけですね。その補充のときに小野上村としてはこういうやり方をやったわけです。東朋産業という清掃会社ですけれども、そこに頼んで、そしてそこに人を二人採用させて、女の人ですけれども、その採用した二人を小中学校へ一人ずつ配置した。そしてそこにたまたま一人ずつ村の職員がおるものですから、それの指揮命令下に入らせた。ですから、その身分は東朋産業の職員ではあるけれども、実際の仕事は完全に給食の仕事を村の職員の下についてやっている。こういうやり方をしている事実があるわけでございます。まず、こういう事実を知っているかどうかをお聞きした上で後へ進めたいと思います。
○政府委員(宮尾盤君) ただいま御質問にございましたような事柄が小野上村にあるという程度の状況は承知しております。ただ、どういう経緯でどういうような判断に基づいてやったかという詳細については余りまた私どもは承知をいたしておりません。
○山田譲君 余り詳細は私も知りませんけれども、いずれにしても、八月二十六日に東朋産業という会社が採用して——それを直ちに東朋産業で使うならわかりますよ。東朋産業にいままでいた人とかいうならまた話は別ですけれども、とにかく給食をやるためにわざわざ東朋産業が採用して、それをそのままそっくり小学校と中学校に配置して、そしてやめた村の職員と全く同じ仕事をやらせている。その労務管理的なことは一切学校長がやっているというふうなやり方でやっている。こういうことでございます。 これは自治省にいま聞いても無理だと思いますけれども、職業安定法の四十四条に言ういわゆる労務供給にだって該当しかねないんじゃないかという気がするんですよ。労務供給というのは、まさしくそういう自分のところで雇ってそれをあちこち配置してやるというふうなやり方、これは職業安定法上労務供給の違反になるおそれさえあるというふうに私は思います。 それはそれとして、しかもこれが問題だと思いますのは、去年の春闘のときに職員組合と村長が約束して、そしてやめた職員の後がまは必ず正規の職員でやりますという回答をして、それは協定になっているわけです。そういう協定があるにもかかわらずそれをまるきり無視して、いま言ったようなやり方をやっていることについて、これはどういうふうにそちらとしては考えられますか。
○政府委員(宮尾盤君) 小野上村のただいまの御質問の件、詳細の点が私どもとしてはつかんでおらないわけでございます。特にいま御質問の中にありましたように、労使間でいろいろな春闘の際に約束事をしたというようなことがあるというふうにいまお話があったわけでございますが、そこらの経緯については私ども十分承知をいたしておりません。 ただ、一般的に私どもこの問題について判断をいたしておりますのは、学校給食の業務内容につきまして、村がその業務を民間業者に委託して給食業務を行わせる、こういうことを行っておるというふうに理解をしておりまして、ただいまのそのお二人の職員につきましても、これは業務を委託された東朋産業という会社の職員として業務に従事しておるのではないかというふうに推察をいたしておるわけでございます。 ただ、具体的なこれまでの経緯あるいは現在業務に従事しているその態様というようなものについて詳細わかりませんので、具体的な判断については差し控えておきたいというふうに思います。
○山田譲君 私は、数日前に自治省の方にこの問題を言ってあるわけですよ。きょうのこの分科会でもこの問題についてぜひ質問したいということをはっきり言ってあるわけです。ですから、数日あればそんなことぐらい調べればある程度調べられるはずだと思うんです。そうじゃなきゃ何のために数日前は私はそんな内容の話をするかわからない。だから、事実を調べた上で私は当然ここでもっていろんなことを聞きたかったわけです。いま私が言ったら、何にも知らないというのじゃ、何のために私が数日前にこの小野上のことを聞きますよと言ったかわからないじゃないですか。全然その話を聞いていないのですか。
○政府委員(宮尾盤君) 小野上村の件につきまして、私どもも地方課を通じてその内容はある程度聞いております。ただ、ただいまお話にございましたように、これは組合と当局との間にいろいろな見解の相違があることのようでございまして、それなりに地方課を通じて私ども話を聞いておりますけれども、それが当局側がどういう立場、どういう説明を組合としておるか、あるいは組合の方と当局との間でどういう経緯になっておるかというような詳細な点が十分わかりませんので、私どもとしては具体的な判断をするのは差し控えたいと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
○山田譲君 少なくとも私がいま申し上げた程度のことは地方課から聞いているんですか。それとも、地方課から聞いているのは私が言ったことと違ったことですか。
○政府委員(宮尾盤君) 先ほどお話がございました、春闘の際に当局とそれから組合との間で、やめた後についての職員の採用問題というようなことについて約束があったというようなことについては私どもは聞いてはおりません。それ以外の、それ以外といいますか、東朋産業に業務を委託して、そこで職員を配置して給食業務をやっているというような点についてのあらかたの経過は承知しておりますが、そういう詳細の点については承知をしていないということでございます。
○山田譲君 この問題は、ですから二つあるわけですよ。要するに組合との約束に違反しているかどうかという問題。 それはそれとして、そういう別な清掃会社に対して業務委託をしているなら、これはもちろん話は別ですよ。だけれども、このケースはそうじゃなくて、雇った職員を二人とにかく学校へ、小学校と中学校に配置して、そして労務管理あるいは業務上の指揮命令はすべてそこにいる学校長、それからその下にいる村の職員の指揮命令でもって仕事をやっているわけですから、もし業務委託であればそんなことになるはずはないでしょう。業務委託になれば、あくまでも東朋産業そのものが給食業務というものを全部責任を持ってやるわけであって、ここの場合はそうじゃなくて、派遣された人間が二人いて、女性だそうですけれども、それがいま言ったような形でもって学校長の完全な指揮命令下に入って仕事をさせられている。出勤から何から全部学校長がやっているわけですよ。その下に村の職員がいて、その職員の下についてやらされているという状態ですからね。ですから、いわゆる業務委託とは全然別な形なんです。ですから、さっきから私が言ったように、職安法の労務供給の問題にも触れはしないかと言ったのはそこなんですよね。 だから、もしそういう状態であるとすれば好ましいやり方と言えるかどうかです。だから、仮定の問題で恐縮ですけれども、業務委託の問題はわかりました、業務委託じゃなくて、そういう職員を個人的に配置する、そして恐らく賃金は村から会社へ入っていると思うんだけれども、そういうやり方が適当かどうかということを私は一般論として聞きたいと思うんです。
○政府委員(宮尾盤君) 私ども地方課からの説明を聞いた範囲内では、先生がいま御質問になった状況とはちょっと違っておりまして、村では東朋産業と業務委託をして一定の期間を限って、これは年度ごとに多分切っておるのだと思いますが、業務委託をしておる。それから東朋産業としては、その社員をそれぞれの給食施設に派遣してそこで給食業務をやらせておる。職員の人事管理等については東朋産業が責任をもってやっているということのようだ、こういう説明を受けておるわけでございます。
○山田譲君 事実関係について私が聞いたのと、公務員部長が地方課を通じて聞いたのとは違うようですから、これ以上言っても水かけ論になるけれども、さっき言ったように、仮定の問題として、業務委託じゃなくてそういったやり方がもしあったとすれば、それはどうですかということをお聞きしたいわけです。
○政府委員(宮尾盤君) 具体的な状況が先ほどのようにあれでございますので、判断しかねる問題ではありますが、ただこれは、そこの給食業務に現実に従事しておる職員がおるわけでございますから、この人が仮にその身分関係が非常に不安的な状況で働いておるというようなことがあると、これはぜひ正しい方向にしていかなければならない問題であるというふうに考えております。したがいまして、私どもとしましては、もう少し状況をよく把握をいたしまして、必要があれば県を通じて適正な方向に持っていくように指導してまいりたいというふうに考えております。
○山田譲君 どう見てもいまの事実関係についての認識が私とあなたと食い違うから、具体的な事例についてはこれ以上言ってもしょうがないわけですけれども、もし私が調べた限りのようなことであれば、これはどう考えても正しいやり方とは思えないわけですね。ただ、業務委託がなされているかどうかということは、これは村長と東朋産業の社長との業務委託契約があるかないかという問題になる。ところが、村の職員組合としては盛んにそれをはっきりさしてくれ、業務委託ならば業務委託らしく委託契約があるそうだからそれを見せてくれと、こう言っているにもかかわらず、村長は頑強にそれを見せないというふうな調子らしいんですね。それはやっぱりおかしいんであって、そんなことぐらいははっきり示したっておかしくないんじゃないか。そういうことをしないものだから、よけいあらぬ疑いがかけられる、こういうことだと思うんですよ。 もう一つ、きょう初めていま組合との話があったということをお聞きになったそうですけれども、組合が特に問題にしているのは、そういった身分関係の問題もさることながら、せっかく春闘をおさめる段階で、そういう正規職員がやめた場合にはその次は新しくまた必ず正規職員でやりますというふうな回答があるにもかかわらず、そういうことを無視して、そしてそのような非常にあいまいな——村の職員でないことははっきりしているわけですよね。こういうやり方でもってやっている。こういうことについては公務員部長どうお考えですか。
○政府委員(宮尾盤君) 労使の話の問題でございまして、その関係が明確でない事柄について私が見解を述べることは適当でないと思いますので、それは差し控えさしていただきたいと思います。
○山田譲君 まあ、これ以上この問題言いませんけれども、いずれにしても、地方課を通じてでも結構でありますけれども、よく指導して、そしてこういったあいまいな形でもって仕事をさせることのないように。働いている人だって非常におかしいと思うんですよ。身分は東朋産業でありながら、自分を指揮指導する人は村の職員であり、学校長であるというふうなそういうやり方はおかしいし、村にとったってそんなやり方は非常に無責任なやり方ということにならざるを得ない。ちゃんとした職員に、きちっとした村の職員に村の仕事をやらせる。もし業務委託をするならば、きちっと業務委託をしてその業務委託した会社の指揮命令下に仕事をさせる。こういうことにしてもらいたいと思います。そういうふうにひとつ今後指導していただきたいというふうに思います。 これで終わります。ありがとうございました。
○馬場富君 最初に警察の方にお伺いしますが、最近ノーパンやノーブラ喫茶というのが各地で流行しております。そのために新しい社会問題をいま引き起こしつつあるわけです。この現状と問題点について警察の方でひとつ説明を願いたいと思います。
○政府委員(谷口守正君) 最近いわゆるノーパン喫茶というものが一部の地域で増加しつつあるわけでございますけれども、最近の私どもの調査の結果によりますと、いわゆるノーパン喫茶というものは全国に二百九十九軒ございます。特に多いのが大阪、愛知、東京などでございます。 その営業内容については種々さまざまでございますけれども、共通する事項といたしましては、女子の従業員に極端なミニドレス、あるいはシースルーの衣装を着用させるということでございます。当然のことながら一般の飲食店よりも高価格、たとえばコーヒー一杯でございますと、千円ないし千五百円というようなぐあいで飲食物を提供するものでございます。 この種の喫茶店に対する検挙事例といたしましては、現在までに七件報告されておるわけでございますが、たとえばでございますけれども、女子従業員に陰毛が見えるような極端に薄い衣装をつけさせるとか、また備えつけのポラロイドカメラで撮影させていたものにつきましては公然わいせつ罪ということで検挙したわけでございます。他の事例では、十六歳のウエートレスに上半身裸体、下半身も本当にパンティーのみというような姿でサービスをさせていた事犯がありました。これにつきましては、児童福祉法違反で検挙したということでございます。 今後、私どもといたしましては、この種営業形態が好ましくないということは言うまでもございません。ただ、この業態そのものが直ちに風俗営業等取締法に言う風俗営業ではないわけでございます。そういう意味におきましてこのサービス行為がわいせつにわたるものにつきましては、検挙事例で申し上げましたように公然わいせつ罪で取り締まるということになりますし、業態のいかんによりましては、風俗営業等取締法あるいは児童福祉法、労働基準法など関係法律を多角的に活用して、行き過ぎのないように指導、取り締まりをしていかなければならぬということで、関係都道府県警察では取り締まりをしているということでございます。
○馬場富君 じゃ、今度厚生省の方にお尋ねいたしますが、現在このような喫茶店は一般の喫茶店と同じような許可で営業されておるようですが、この点どのように見ておりますか、厚生省の方にお尋ねいたします。
○説明員(寺松尚君) いま先生御指摘のいわゆるノーパン喫茶と申しますのは、私どもの食品衛生法でいきますと、第二十一条でございますが、飲食店あるいは喫茶店営業というふうな知事の許可が要する施設でございます。
○馬場富君 だから、喫茶店の方は食品衛生法によるチェックのみで、その他のことについては何ら権限はないということですか、どうですか。
○説明員(寺松尚君) これも先生御承知で御質問のことかと存じますが、食品衛生法の目的と申しますのは、飲食に起因いたします危害の発生防止をすることによりまして公衆衛生の向上あるいは増進ということに資することが目的でございます。そういう観点から喫茶店、飲食店ということにいたしまして知事の許可を要することになり、また食品衛生監視員によりまず監視、指導を行っておるものでございます。したがいまして、範囲は食品衛生の範囲内で行っておるということでございます。
○馬場富君 先ほども警察の方から御説明がございましたように、コーヒーやコーラやジュースが一品千五百円以上とか、そういう点やら、あるいは働く女性たちの給料等を見ましても——一般に女性のアルバイトというのは、事務員で一時間五百円からあるいは特殊な仕事でも六百円程度。だが、この種のところに働く女性たちは一般で一時間が四千円、特殊なものについては一時間が八千円から一万三千円と、このような高額で収入を得ています。 また、この関係業者の言葉の中から見ましても、ノーパンだってヘアを見せなければいいんです、それで上はトップレスで下はノーパンの人に短いスカートをはかせた、中にはパンティーストッキングをはいている者もいるから、下からのぞけばヘアが見えると、こんなことを公然と言っているような業者も実はあるわけです。 それで、こういうように、一つは一杯二百円か三百円かしないコーヒーが千五百円以上もする、そして働く女性の五、六百円の時間制の給料の方が一万円もの給料を取っておる、また業者たちがこういうことを公然と言っておるというような状況から推しまして、先ほど厚生省の方は、これは一般の喫茶店と同じような許可で何らチェックの権限はないとおっしゃっておりますが、警察の当局としては風俗営業の取り締まり上はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(谷口守正君) 先ほども申し上げましたように、この種営業態様そのものでは直ちに風営法に言う風俗営業と認定することはできないということでございます。もちろん喫茶店でございましても風俗営業に該当するような場合もございます。たとえば女子従業員が客の接待を行う場合とか、あるいは客席の照度が十ルクス以下である場合、また他から見通すことが困難であり、かつその広さが五平方メートル以下であるという非常に狭い客席、こういうふうに設けられた場合には、風営法に言う風俗営業としてそういったものが指導、取り締まりの対象になるということでございます。
○馬場富君 だから、警察当局としては、喫茶店で許可を受けたものについてはなかなか取り締まりにくいと。だが現場の警察官やいろんな方々に聞いてみますと、これが風俗営業に入れば取り締まるということも警察ではできるんだと。また喫茶店でなくて風俗営業の許可の範囲に入ってくれば、警察はこれについてチェックもできるし、ある程度まで風俗営業であれば地域のチェック等も行われると、こういうように聞いておりますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(谷口守正君) この種の営業は、実態調査の結果でも明らかでございますけれども、現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、地域的に限られておるというようなことがございます。それからこの種営業は、いわば一過性のものであるかどうか、今後もさらに波及していくかどうかというようなことにつきましては、にわかに判断しがたいということでございます。 そういう意味におきまして、風営法を根拠にしての取り締まりということは、現在の営業態様から見ましてむずかしいとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、公然わいせつ罪の問題あるいは児童福祉法、労働基準法など関係法令がございますので、そういった現行法の範囲内におきまして行政指導あるいは取り締まりを強化いたしまして、その動向をきわめてまいりたいと思います。
○馬場富君 私が聞いているのは、このようないわゆる喫茶店だけれども特殊な状況にある喫茶店がよしんば、いま風俗営業法による営業がございますね、その中に入れられたとしたら、警察当局もそういう極端な行為についてはその風俗営業で取り締まることができるんだという意味のことを現場で私は聞いておりますが、どうでしょうか。
○政府委員(谷口守正君) 仮にいわゆるノーパン喫茶店が風俗営業等取締法に言う風俗営業に該当する場合につきましては、営業者、従業員等につきましていろいろ遵守事項があるわけでございます。たとえば卑わいな行為をさせてはいけないというような規定がございますので、そういった事犯として問擬することができるということでございます。
○馬場富君 先ほど来厚生省とそれから警察当局の御説明を聞いておりまして、まさに食品衛生法と風俗営業法、刑法の公然わいせつ罪の間をくぐって行われておる行為がこの行為であるというように私には見受けられるわけです。このように公然わいせつにも近いような営業行為が地域社会やあるいは児童や教育に与える影響は大きいんじゃないか。こういう点でひとつ文部省と警察の御意見をお聞きしたいと思います。
○説明員(垂木祐三君) ただいま馬場委員御指摘の喫茶店の問題でございますけれども、直接中学生あるいは高校生がこのような喫茶店に出入りをすることになりますと、教育上きわめて問題があろうかと思います。あるいは直接そこへ中学生、高校生が出入りをするということがないといたしましても、そのような店がありますということは、その地域の風紀を害すると申しますか、善良な風俗を害するということになろうかと思うわけでございまして、学校の近くにそのような喫茶店が設けられることは望ましくない、こういうふうに思っておるわけでございます。 やや一般的なことになるわけでございますけれども、最近御承知のとおり、校内暴力とか青少年の非行、これが非常に増加をいたしておるわけでございまして、その大きな原因の一つといたしましては、最近の社会的風潮ということが挙げられるかと思うわけでございます。ただいまの喫茶店などもそのような最近の享楽的な社会的な風潮の一つのあらわれじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。 文部省といたしましては、児童生徒の健全な育成という面から有害な環境の浄化ということに従来から力を入れておるわけでございまして、生徒指導資料によってこの問題を取り上げましたり、あるいは教育委員会とか学校の方に指導をいたしておるわけでございますけれども、文部省だけではなかなかこういう問題について取り組むことはむずかしいわけでございます。いろいろな機会を通じまして、警察庁とかあるいは総理府とか関係省庁などに、有害な環境の浄化ということで御協力をお願いいたしておるわけでございますけれども、今後ともただいまの喫茶店の問題も含めまして、有害な環境の浄化の面で力を入れていきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
○政府委員(谷口守正君) 先ほども申し上げましたように、この種ノーパン喫茶というものがいろいろな意味において好ましくないということは言えるかと思います。ただ、現在のところは、先生御指摘のとおり、これを直接に取り締まる法規というものはないわけでございます。私どもが特に問題にしておりますのは、たとえば文部省から御説明がありましたように、特に青少年保護育成の観点からも問題になるんじゃなかろうかと、こう思うわけでございます。私どもの調査で、先ほど申し上げましたように、全国で二百九十九軒あるわけでございますけれども、このうち住宅地区にありますのが四十七軒、全体の一六%を占めているということでございます。本来平穏であるべき住宅街あるいは学校の近くにこの種営業が行われるということは問題があろうかと、こう思うわけでございます。私どもといたしましては、関係当局とも十分連携をとりながら、現行法の枠内でございますけれども、強力な行政指導あるいは取り締まりを展開してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○馬場富君 いま御答弁のございましたように、私がここで取り上げたゆえんも、この種の営業が、最近実は金がもうかるということや、あるいはお客が不便なところでも来るということから、いままでは繁華街やそういうところに集中しておりましたが、最近では場所が安いところがあればいい、駐車違反にならなければいいというようなことから、いわゆる住宅団地の店舗つき住宅の店舗の中にできたり、あるいは学校付近にもできつつあります。こういうような状況で、これは本当に目を覆うような現状になってきておるから私はいまここで取り上げたんです。 ここで、建設省の方、来ていらっしゃいますか。——お尋ねしますが、最近名古屋市内でこのような営業が住宅団地の店舗で開設されたことを御存じでございますか。
○説明員(末吉興一君) 名古屋市の中川区におきましてそのような事実があることは承知しております。
○馬場富君 この建設業者は住宅金融公庫法の融資、団地Bの建設等も相当行っておる団地業者でございます。そしてまた宅地建物取引業法の認可も受けておる業者がこの団地を造成したと、このように聞いておりますが、御存じでございますか。
○説明員(末吉興一君) この業者は愛知県知事の免許業者でございまして、昭和四十一年から業を営んでおる業者でございます。
○馬場富君 私の調べによりますと、この業者は、同団地内の居住者の方々にげた履きの店舗は必ず迷惑をおかけいたしませんという契約を結びつつ、実はそういう営業の者にこれを売ったわけです。こういう点で、私はこういうような住宅金融公庫の資金を取り扱ったり、あるいは宅地建物取引業法のそういう業者でもある関係上、こういう業者がそういう団地内の住民に迷惑のかかるようなことをやるということは、私はそういう住宅金融公庫法からも、あるいは宅地建物取引業法の精神からいってもこれはよくない、指導すべきだと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(末吉興一君) 私どもは宅地建物取引業法を所管しておるわけでございますが、全国には宅地建物に関する紛争だとか、それに属さない紛争、たとえば五十四年度年度いっぱいとってみましても、宅地建物取引業に関する紛争が全国で三万件ございました。それに、属さないといいますか、相談にお見えになるのは、宅地建物取引業法違反かどうかということよりも、一般的な相談にお見えになる方が普通でございますので、そういう業法に基づかない紛争も全国で大体五万件ぐらいございます。 そういうわけで、私どもといたしましては、宅地建物取引業法に違反するような違法な行為がある場合には厳正な行政処分を行うようにしておりますし、いま申し上げました直接法に触れない場合でございましても、一般的に住民に迷惑をかけるとか、そういうふうな不動産取引が行われた場合につきましては、一般的な苦情相談を含めまして業者にそういう指導をしているところでございます。現に今回の場合もそういうふうな措置をとらしていただいたところでございます。
○説明員(浜典夫君) この事案は、先生御指摘のとおりに、住宅金融公庫の融資を行った物件でございまして、その観点からの指導につきおただしたと思いますが、この公庫の団地住宅Bというカテゴリーでございますが、を含めまして、公庫が融資をする場合に、建設計画段階から最終的にユーザーの手に渡るまで、品物といいますか、住宅がよく技術的にも的確なレベルのものであるということを保証して、最終的に購入者の保護が図られるという仕組みの政策金融で、単純な銀行のような融資じゃないゆえんのものなんでございますが、そういう観点からいたしますと、このような融資を受けて住宅を供給していただく事業者は、そういう技術力にとどまらないで、信用力あるいは法を犯さないとか、あるいはトラブルが現実に起こらないというようなことまでも、われわれは期待をいたしたいわけでありまして、この事案を含めまして、公庫融資の側面からも事態の円満解決に、その融資を受けた方あるいは関係する不動産業者の方を、先ほどの不動産業行政の側面とは別に、住宅行政の側面からも指導してまいりたいと思っております。
○馬場富君 この種のような業が流行するについては、神戸女学院大学の小関教授は、これは明らかに退行文化の傾向である、こういうふうにも指摘されておりますし、また国学院大学の樋口教授は、多くは社会変革の前ぶれで、必ず露出趣味と女性の解放が出てきたときは動乱期の前兆だと、このようにも実は警告されておりますが、こういう点でこのように幾ら法の裏をくぐったとしても、こういう喫茶店の許可があればできるからといって、住宅団地の中の店舗やあるいは文教地区の近くでこのような営業がノーチエックで行われることは、私はこれは教育、風俗の上からも許すべきでないと、このように実は感ずるわけです。こういう点で、ひとつどうか、ここで関係の省といえば文部省、警察、そして厚生省でございますが、ここらあたりがひとつよく連絡をとられて、この対策をひとつ考えていただきたい。住宅団地をこのままほっといたならば、県営住宅、公営住宅の店舗の中にだって喫茶店の許可でこういう喫茶店がどんどんとできる傾向もありますし、あるいは学校付近でもこういうものがどんどんできかけると、こういうことになってしまったら大変なことだと私は思います。何がしかの早急なチェックの方法を考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○説明員(垂木祐三君) 先ほど申しましたように、文部省の立場といたしましては、学校が良好な教育的な環境に保てるように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
○政府委員(谷口守正君) 先生御指摘のとおりでございます。この種の喫茶店が全国的に広がりつつあるということはいろんな意味で好ましくないわけでございます。特に住宅街だとかあるいは文教地区などで営業するということは、青少年の保護育成の見地からも好ましくない、こう思うわけでございます。そこで私どもといたしましては、関係当局と密接な連携を図りながら行政指導、取り締まりをしてまいりたいと、こう思っております。
○説明員(寺松尚君) いま先生御指摘いただきました点でございますが、私どもといたしましても、食品衛生法の第二十一条におきまして、まず営業の許可を要する施設でございますと、申請が出てまいるわけでございますが、そういう時点、あるいはその後の監視、指導におきまして、食品衛生監視員が得ました情報等、これを関係の警察等の関係行政機関に提供いたしますように都道府県を指導してまいりたいと存じます。
○馬場富君 最後に、国家公安委員長にお願いでございますが、いまお聞きのとおりでございます。先日も予算委員会で長官は、新宿方面のこの種の風俗営業なんかの環境を視察なさってびっくりされたということもお話しになっておりましたか、どうか関係各省とも連絡をとっていただきまして、ぼくはせめて早急に文教地域や住宅団地の中、そういうところだけは何とかチェックができる方法を考えていただきたいと切にお願いをするわけですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(安孫子藤吉君) この問題は、警察はもちろん努力をいたしまして行政指導を強めにゃならぬと思いますが、結局、地域社会の問題として考えますと、いまもお尋ねがございましたとおりに、住宅は建設である、あるいは文教は文部である、あるいは取り締まりといいますか、許可権限は厚生だ、こういうことになっておりますが、この青少年の問題、こうしたノーパン喫茶店なんていう問題は、一つの項目として、各関係官庁も十分その点を認識して、そして末端において、各行政の縦割りだけでなくて、その問題を常に認識して総合的に努力すれば、これはある程度解決できる問題じゃないかと思うんです。この点はお話しのとおりに十分関係各省が連絡をいたしまして、問題の拡大にならないように、またそういうことが出てこないように努力をせにゃならぬ問題だと思います。大変いい御指摘でございますので、最大の努力をいたすつもりでございます。
○馬場富君 ありがとうございました。終わります。
○近藤忠孝君 きょうは国際障害者年にちなんでこれに対する警察庁の対応をお伺いすることが中心ですが、その前に、これは午前中も指摘のありました早稲田大学の成績原簿偽造問題について若干お聞きしたいと思うんです。 これは一つは、基本的には大学の自治の問題、大学が対応すべき問題だと思いますが、しかし刑事事件の面もございます。きょうも大きく報道されておりますし、先ほど入ったニュースによりますと、午後二時前に岸田孝二を逮捕したということであります。ただ一面、大学の自治との関係で、慎重な面と同時に厳正な面、二つあると思いますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(中平和水君) 事柄が教育の場における問題でございますので、慎重にもちろん対処してまいりたいと思います。事柄の本質は教育問題でございますから、その辺も十分に尊重しつつ、しかも警察としては、これは事案の真相と刑事責任を明らかにするという立場におきまして厳正に対処してまいると、こういう方針で臨んでまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 一応現在のところの捜査は私文書偽造と同行使罪ということでありますが、岸田のいままでの取り調べの中では、本物とにせものを差しかえたと。で、本物をどこかへ捨ててしまったとなりますと、これは一つは私文書投棄罪また窃盗、こういう問題も起きると思うんです。この点はどうですか。
○政府委員(中平和水君) 現在、逮捕の容疑事実は私文書偽造、同行使でございます。御指摘のような途中で文書を毀棄しているとか、あるいは文書を別に処分しているとか、そういう問題があれば、そういう犯罪に触れることも出てまいろうかと思いますが、これは今後の捜査によって明らかにしてまいりたいと、このように考えております。
○近藤忠孝君 それからもう一つは、背後関係も問題とされております。すでにいままでの記事の中でも、「かねてうわさ「親和会」」というのが出ておりますね。で、問題になった学生の父親が財界人であるということもあって、やっぱり背後に一つ何かあるんじゃないかと、こういう可能性もあるわけですね。そこで、こういう背後関係をえぐり出す、こういう努力をすべきだと思いますが、この点いかがですか。
○政府委員(中平和水君) 私ども証拠によって事実を明らかにしてまいる立場でございますから、そこにおのずから限界はあるわけでございますが、当然共犯関係者、あるいは背後に関係者がおるとすれば、それらについても刑事責任ありとすれば必ず追及してまいる、そういう基本的な方針で臨むつもりでございます。
○近藤忠孝君 こういうものを根絶するという立場からもその点強く要望します。この関係はそれで結構であります。 そこで、次に国際障害者年との関係で質問いたしますけれども、警察庁としてどういう対応があるのかという問題であります。 言うまでもなくその基本は、心身障害者対策基本法第三条の「すべて心身障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」、この点に立って行うべきことは言うまでもありません。現に現状は私は大変好転していると思うんです。いい条件があると思うんですが、第一は、障害者やその家族が勇気を持って社会生活の仲間入りの積極的な行動を始めているということが一つ。第二は、国民の中に障害者に援助の手を差し伸べる有形無形の協力が広がり始めているということ。第三には、科学技術の進歩に伴って、障害者の日常生活や労働を助けるさまざまな用具や器械が開発されて、また障害児の早期発見による障害の軽減など、障害者の社会生活への全面参加の可能性が大きく開かれている。こういう条件の中で、私は、行政はこれをもっとさらに進める方向であるべきであって、これに対する障害になってはならない、こう思うわけですが、そういう点で、基本的な警察庁の対応策、この点いかがでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 身体障害者の方が社会生活を健全に営んでいただきますためには、どうしても交通の問題ということが大きなウエートを占めるだろうというふうに考えております。したがいまして、警察の方といたしましては、一面では、身体障害者の皆さん方が安全でしかも安心して交通されますような交通の環境の整備ということが必要であろうと思いますし、一面では、また積極的に自動車を利用して社会生活を営みたいという御希望をお持ちの方につきましては、運転免許の取得その他につきまして十分配意していかなければならないというふうに考えております。したがいまして、今後とも身体障害者の方を含みます歩行者の通行の安全を確保するための交通規制を積極的に実施いたしますとともに、たとえばいわゆる盲人用信号機の数をふやす、あるいは街頭におきます保護誘導活動を強化する等の交通環境の整備を図りますとともに、身体障害者の方の運転免許取得に関する適性相談活動の充実を図りまして適切な指導をできるようにしますとともに、たとえば聴覚障害者の方のための学科教材の整備でございますとか、そういう面を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 最初に、この運転免許の取得の問題でありますが、現在運転免許を取得している障害者の数はどれくらいでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 現在身体が不自由な方に対しまして条件をつけまして免許を付与しております数が、十万八千六百三十九人ということになっております。
○近藤忠孝君 いまこの免許のことについての整備の話がありましたけれども、これは教材の問題でしたが、練習用の車についての改造問題、これなどはどうでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 練習用の車につきましては、主として教習を受けられますのが指定自動車の教習所等でおやりいただくもんですから、現在教習所関係につきましては、二百八十八の教習所で三百八十六台を準備いたしております。 なお、試験車といたしましては、警察は現在四十六台ほどを持っております。
○近藤忠孝君 そういうことで運転免許を取得して外へ出ると、それだけ障害者の活動範囲が広がっていくわけで大変望ましいことであります。しかし一面では、障害を持っている立場から、交通事故の安全対策、これも大変必要だと思うわけです。実際障害者ドライバーの交通事故率という点もまたあると思うんですが、これは通常の場合に比較してどうなっておりましょうか。
○政府委員(池田速雄君) 身体障害者の方の事故だけをとっておりませんので、その状況はわかりませんが、過去にとりましたサンプル調査によりますと、率というような点から申し上げますと、一般の者とほとんど変わらないという記録が残っております。
○近藤忠孝君 それも大変結構なことですし、恐らく障害者にとっては安全を心がけておると思いますし、中には健康者よりもよほど運転の技術が高いという人もおると思うわけでおります。しかしやはりそれなりの保護が必要だと思うんですが、たとえば初心者マークというのがありましたですね。それに対応するようなものというのは障害者の場合に考えられないでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 身体障害者のお乗りになっております車に何らかの形の標章をつけるということは、前々から一部の方の御意見もございまして、いろいろ検討を重ねておるところでございますけれども、現在までの段階では、身体障害者の方に御意見をお伺いしますと、実はちょうど正反対の意見をお出しになっておられまして、ぜひつけるべきだ、そのことによって、何と申しますか、非常の場合等には一般のドライバーからも助力が得やすくなる、したがってぜひそういうものをというお考えの方と、目指すところは健常者と申しますか、普通の者と同じでありたい、したがってそういうことを表示すること日体が大変に問題である、こういうような御意見をお伺いしておりますので、さらに御意見の集約を図りながら、ぜひつけるべきだという御意向でございましたら、私どもの方も努力してまいりたいというふうに考えます。
○近藤忠孝君 私は、これはぜひつけるべきだと、つけることを義務づける問題ではないと思うんですね。障害者の中にはそうされると、これは差別だという反発のある方があると思うんです。と同時に、もう一つは、自分は障害者で守ってほしい、こういう気持ちもあると思うんですね。ですから、そういう人の場合には本人の希望によってつける、そして同時に警察庁としてはそのことを大いに宣伝して、これは障害者で保護なり援助を求めている人だということを表示する。となりますと、障害者のそういう方の希望でもあるし、また全体的な対応もできると思うんですが、本人が望めばつけるという、これが一つの方向ではないんでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 御指摘の点につきましては、また障害者の方の御意見もお伺いしながら慎重に検討してみたいと思います。
○近藤忠孝君 次に、免許取得の問題ですが、いろいろ配慮されておりますけれども、しかし両手がない場合には運転できないということで免許取得ができない、これが現状であります。しかし西ドイツでは足だけで運転できる車が開発されまして、すでに実用化されておるわけであります。そして、これはことし一月のNHKテレビで、「旅立とう、いま「こずえさん 二十歳の青春」」という特別番組で、サリドマイド被害者吉森こずえさんという方が西ドイツで車を運転する大変感動的なシーンが放映されました。これは本当に障害者に勇気と希望を与えたわけで、これを契機に大変強い要望が出てこの見本車が輸入されたという、こういう経過があるわけであります。 警察庁はこの事実を知っているかどうか。そしてわが国におけるこの種の自動車、足で逆転する自動車、要するに両手がなくても運転できる自動車を実用化し、そうして両手のない人にも免許を与える、これを実現する上で現在の障害は何か、この障害を除去することができないのか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 御指摘の事例は承知いたしております。それから現実に、サリドマイドで障害を受けられました方で、片方のひじ関節から上の部分が健常な方につきまして、リハビリセンターで訓練をお受けになりまして免許を取得されておるという例は一例承知いたしております。 ただ問題は、両上肢ともない方についての問題の御指摘でございますが、お示しのとおり最近車が輸入されたということも聞いております。したがいまして、その車が保安基準上も適合する安全な車ということがもちろん前提でございますけれども、訓練の状況その他を見まして、運転に支障がない、運転の操作のみならず、それに伴いますいろいろな運転者としての行動があろうかと思いますが、そういうものを十分見きわめまして、安全だという確認が得られますならば、現在は政令上は両上肢のない方は受けられないことになっておりますけれども、改正の措置をとりまして免許が受けられるように考えたいというふうに思っておりますが、何と申しましてもやはり安全、個々具体の免許を受けられる方につきましての安全の確認というのが第一であろうというふうに考えている次第でございます。
○近藤忠孝君 大臣、この新聞はごらんになりましたでしょうか。(資料を手渡す)これはいま私が申し上げたこと、それが記事になったことですが、人の心を揺り動かすだけの価値のあることなんですね。 それで、技術上の問題確かにあるんです。いまおっしゃったことは結局道交法施行令三十三条の欠格事由に当たる。しかしこれは施行令ですから、国会の議決なくしても行政的にできるわけですね。同時に、自動車の開発によってその開発がずいぶんうまく進めば、当然これはそれに合った対応策が必要なことだし、そこまできているんではなかろうか、こう思うわけであります。 ですから、いま構造上の問題が一つですが、構造上ももうすでに西ドイツでそういう実績があるわけですから、私はこれは必ず問題なしにできると思いますね。そうしますと、あとは公安委員会の方の判断の問題、いわばひとつ踏み切るかどうかというそういう問題だと思うんです。技術問題は大臣に聞いても、直接お答えできないかもしれませんけれども、しかしその決断の問題になりましたら、ここはひとつ積極的に進める、こういう方向の問題であると思うんですが、大臣の御所見いかがでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) そういう段階になりますれば、ひとつとくと検討いたしまして処置したいと思います。
○政府委員(池田速雄君) いま大臣御答弁申し上げましたとおり前向きで検討いたしたいと思います。 ただ、留意いたしますのは、単に車を動かすという操作だけでございませんで、そのほかに非常時の措置ですとか、いろいろな安全確認しなきゃいけない点があると思いますので、その点につきましても十分考慮いたしまして、前向きに検討するという方向でまいりたいと思います。
○近藤忠孝君 安全上のほかの問題は、私が先ほど指摘したような幾つかの問題、または本人が望む場合もあるかと思いますが、ただこういう場合には、ある意味では義務づけるとか、いろいろな問題があるかと思いますけれども、単に逆転技術上の問題だけではなくて、総合的に守り、かつ同時に積極的に本当に生きていこう、こういう面を伸ばしていくということは大変必要だと思います。積極的な答弁をいただきましたので次に進みたいと思います。 次に、国連総会決議の国際障害者年の目的の一つ、「障害者が日常生活において実際に参加すること、例えば公共建築物及び交通機関を利用しやすくすることなどについての調査研究プロジェクトを奨励すること。」ということでありますが、その具体化としていまのこともぜひやっていただきたいと思いますし、警察庁長官は、総理府に設置された国際障害者年推進本部の本部員でもあるという点からも、この点は特に要望したいと思うんです。 次に、これは先ほども出ましたけれども、障害者に対して認められている駐停車禁止除外ステッカーでありますが、現在どのような範囲で認められているのか。 それからこのステッカーの有効期間。これはたしか一年だと思うんですが、これ一年間の期限が来た場合にその切りかえの手続が大変なんですね。ですから、これをもっと半永久的にできないものかどうか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 身体障害者の方が車を御利用になります場合の駐車禁止の除外標章でございますけれども、現在全国で約四万六千枚ほど交付いたしております。 なお、その期間でございますけれども、期間につきましては、それぞれの都道府県の公安委員会で実情に合わせて定めておりますので、他のいろんな除外標章等の有効期間もございますので、それらに合わせておるというのが実情であると思います。実態をよく私どもも調べてみまして、できるだけ不都合のないように指導してまいりたいというふうに思います。 〔副主査退席、主査着席〕
○近藤忠孝君 一年のところが多いようなんですね。免許は三年でしょう。免許で切りかえがあり、また別の時期にこの切りかえがあり、その他いろんな問題があるんです。その都度じゃ、それこそ障害者によけいな手続を強いることになるので、むしろその辺のいろんな手続、この問題も含めましていろんな手続を簡素化していく。これは何も警察庁、公安委員会だけの問題じゃなくて、もっとほかの分野にもわたることがありますけれども、その辺は各省庁協議して、そういう手続が一度の手続、一度体を運べば用が済むような、こういう方向に進むべきだと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(池田速雄君) なるべく御不便のないように措置いたしたいというふうに考えております。 ただ、標章をお渡ししますときに、交通の情勢その他も激しいものですから、大多数のところでは、たとえばこういう点に御留意いただけませんかというような、安全の教育と言ったら欠けさかもしれませんが、そういう措置をとっているところもあるようでございますので、その点も単に便宜というだけでなくて、どうしましたら身体障害を受けておられる方が安全にしかも効率的にといいますか、そういう両面を考えましてぜひ措置してまいるように指導したいと思います。
○近藤忠孝君 障害者の方も自分の方の障害は自覚しているわけですから、多少手続的に厄介なのは承知していると思うんですね。ただ、障害者であるがゆえにいろんな恩恵を受けるが、それを受けるのに何度も何度もまた手続がよけいかかり苦痛であるというところは、これは排除していくという点で私はこの点の対処を求めたいと思います。 それから同じくこのステッカーの問題ですが、特定の車に対してのみ認められておるようであります。特定の身障者自身に対して認めること、つまり別の車でも使用できる、こういう方向はできないものでしょうか。
○政府委員(池田速雄君) 駐車は、車が原則でございますので、車ができるだけ特定できることが望ましいということで私ども考えておりますけれども、たまたま別の車をお使いになる、あるいは介護をされます方が身障者の方をその車へ乗せられるというようなことにつきましてどうするかというのが、いまの御指摘の問題であろうかと思いますが、できるだけ御不便のないようにということで対処してまいりたいと思いますし、もし緊急の場合等につきましては、標章の有無にかかわらず、身体障害者の方が必要で駐車しておられるという場合には、何といいますか、四角四面な扱いでない前向きの扱いをしなきゃならぬ事態もあろうかと思いますが、そういう点も含めまして十分検討してみたいと思います。
○近藤忠孝君 何ですか、いまのは現場での対応としてうまくやっていくというのか、制度的にも別の車でもこれを認めていくという方向なのか、この点はどうですか。
○政府委員(池田速雄君) 制度的に認めるということになりますと、その車をどういう場合にどういうふうにお使いになっているかというときの問題が若干あろうかと思いますので、制度的な問題といたしましては十分検討してまいりたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 そのことも強く要望いたします。 そこで、これは障害者のドライバーといろいろ懇談してみますと、体が不可由なだけに万一事故を起こした場合、まあ安全に運転しても事故というのは起きるわけですから、その場合の不安も大きいということはわかるんです。これは当然だと思いますが、最近障害者のために特別の表示、回転燈というんですか、これができていると聞いておりますけれども、これは大体どんなものなんですか。
○政府委員(池田速雄君) 高速道路上での事故の場合には、停止表示の器材というものを表示するように義務づけられたのが五十二年の道交法の改正でございますが、その際に、原則といたしましては、停止表示板と申します三角の表示板を出すようにしたわけでございますが、身体障害者の方ですと、それの表示というのが大変むずかしい問題がございますので表示燈を車の上に乗せると、こういうことの特例を考えたわけでございます。したがいまして、その表示燈を出すことにつきましても、いろいろ身体障害者の方の御意見をお伺いしたわけでございますけれども、そういった停止表示燈というものは身体障害者の方だけに限るべきだという御意見の方と、いやそうではないんだと、こういう御意見の方等がございましたので、身体障害者の方が中心になってそういうものを表示していただくと、こういうことで法律的な義務づけはしてないわけでございます。 そういうことで、ただ実際問題といたしまして、表示燈をお出しになっておりますのは、ほとんどが身体障害者の方が故障その他の理由で停止されておる場合だというふうに認められますので、一般のドライバーの方等につきましては、そういう表示燈を出しておられる方は身体障害者の方が多いんだから十分気をつけるようにということで教育いたしておるところでございます。
○近藤忠孝君 それは大変結構な措置だと思うんですが、ただこれは一般に市販されているんですね、この表示燈というのは。最近では、市販されておるものですから、暴走族がこれ入手してつけて回っていると、こういう事態があるわけです。となりますとまぎらわしくなるし、本来の目的を達しないとなります。 私は、この場合にも、もちろんこれは身障者の方の希望なり意見を尊重すべきだとは思いますけれども、ですからこれは義務づけることではないのかもしれませんが、身障者が利用する回転燈について特定の色を定めて、そして事故が起きたら通りかかった人がこれを救出しやすいように、救助しやすいような条件をつくる。またそのための警察への連絡なりを、どの程度の強さの義務づけかは問題あると思いますけれども、一般ドライバーにも義務づけるなり、とにかく救助をかなり確実に行っていく。そういうことが私は必要だと思うんですが、そういうお考えはありませんか。
○政府委員(池田速雄君) 暴走族が使っているんじゃないかということで前にも御指摘がございましたが、私ども承知いたしております範囲では、いまのところそういう実態は見受けられないように考えるわけでございますが、なお販売その他の面につきましてもできるだけ指導はしてまいりたいというふうに考えます。 なお、先ほど申し上げましたような経緯がございましたので、表示燈につきましても、身体障害者の方だけにしか認めないんだという制度ができませんでしたので、指導でやっておるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、ほとんどの場合いまお使いいただいているのが身体障害者の方でございますので、その面の教育なり警察官の認識等につきましては、十分徹底してまいるように今後とも努力してまいりたいと思います。
○近藤忠孝君 全体的に私は、公安委員会の身障者に対する免許初め交通問題の取り組みは、大変よろしいと思うんですね、この面をもっともっと進めていってほしいということを要望いたしますが、大臣のお考えいかがでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) お尋ねの点につきましては十分将来配慮いたしまして、今後一層身体障害者のための措置を講じていくつもりでございます。
○近藤忠孝君 では次、建設省に伺いますが、先ほど来問題になっている国際障害者年にちなんで建設省として特に道路交通関係でお考えになっている点はどういう点がありますか。
○説明員(萩原浩君) 身体に障害のある方の道路通行の安全と利便、これを図るために私どもとしては従来からいろいろな方策を講じてきておるところでございます。たとえば道路を整備する際には、歩道等の段差の解消でございますとか、あるいは斜路つきの立体横断施設の整備であるとか、視覚障害の方々を誘導するための誘導用ブロックの設置でございますとか、あるいは高速自動車国道におきますサービスエリア内の身体障害者用のトイレでございますとか、あるいは非常電話というようなものの設置というようなものをいろいろやってきているところでございます。 また、身体障害者に対します有料道路の通行料金につきましては、昭和五十四年六月一日から、足がわりとしてみずから自動車を運転されます身体の障害のある方、この方々に対しましては、五割以内の通行料金の割引を実施いたしておるところでございます。このように従来からいろいろなことをやってきてはございますけれども、なお今後とも道路整備におきますこの身体障害者対旗というものについていろいろ配慮をしてまいりたいと、こういうように考えているところでございます。
○近藤忠孝君 いま有料道路の料金割引の問題がありましたけれども、これの障害者のドライバーの利用率はどれくらいでしょうか。
○説明員(萩原浩君) お答えいたします。 ただいま申し上げましたように、この制度は五十四年の六月一日から実施をいたしております。ちょうど一年を経過いたしましたところで数字をとってございます。したがいまして、五十五年の五月末でございまして、それから後一年間の数字はまだ取りまとめが終わってございませんが、五十四年六月から五十五年五月までの一カ年間に延べ十四億四千二百二十三万台有料道路で乗っておりますが、そのうちこの措置の適用を受けた方々は八十四万台、大体〇・〇六%という数字になっております。
○近藤忠孝君 パーセントとして見ると少ないようですが、八十四万台といいますと、これは大変な利用の状況だと思うし、それだけやっぱり要望が強いと思うんですね。となりますと、障害者年にちなんでこの割引率をもう少し広げていく、こういうことは一つサービスとして考えられませんか。
○説明員(萩原浩君) 現在とっておりますこの特別割引措置でございますが、先ほど申し上げましたが、これは足がわりに自動車を御利用になる方、こういう方々のうち特に下肢の不自由な方々が発進したり停止したり、信号によるそういう機能に対応されるのが非常に苦痛を伴われる、こういう方々を前提といたしました有料道路通行料金の割引でございます。 で、一年間実施をいたしましたところ、手続が少し複雑ではないかという御指摘も受けまして、一年後に手続の簡素化を実施したところでございます。 この割引制度につきまして、その範囲の拡大でございますとか、あるいはそのやり方ということについていろいろ御批判を受けておりますけれども、いまのところまだこの制度が出ましてから二年未満ということでございます。もう少しいろいろな議論をさせていただきまして、その後に検討いたしたいということで、目下のところすぐにこの措置の拡大というようなものができるということをちょっとお答えする時期にはなっておらないということでございます。
○近藤忠孝君 今後の問題としてひとつ取り組んでほしいと思うんです。 最後に運輸省。カーフェリーの無料化ないしは割引という要望は大変強くなっていますね。それだけ身体障害者の車利用が多くなり、そしてそれがだんだん生活化して行動範囲が広がっているという大変望ましい形が起きているからだと思うんです。 で、カーフェリーの半額化についてどうかということですが、カーフェリーというのは大体民間経営が多いんでしょうかね。そういう問題もあるかとは思いますけれども、これについて、この可能性とまたお考えをお聞きしたいと思うんです。
○説明員(浅見喜紀君) ただいま先生お尋ねのカーフェリーの自動車航送運賃に対する身体障害者割引の問題でございますが、現在は車に乗ってカーフェリーを利用するという場合に、自動車航送運賃について現実に割引制度がないわけでございますけれども、これは従来は身体障害者の方が自動車を運転してカーフェリーを利用されるというケースが必ずしも多くなかった。それから先生のいま御質問の中にもございましたように、カーフェリー事業者というのが全国に百数十社ございますが、その多くが特に中小企業者である。それから道路等と違いまして、カーフェリーの場合には、車を積む容量といいましょうか、能力というものも非常に限られたものでございますので、割引の経営に与える影響というようなことを考慮しまして実施してないわけでございます。 しかし、いろいろこれまでの審議でも出てまいりましたように、身体障害者の方が車を利用されていろいろ活動されるというケースも非常にふえてきておりますし、それから自動車航送運賃に対する割引の要望というものも非常に強くなってきておりまして、それはそれなりに私どもとしましても十分理解できるところでございますので、道路並みというような点は無理かとも存じますけれども、ある程度の割引を実施するように積極的に検討していきたいと考えております。
○近藤忠孝君 確かに道路とは違いますけれども、運転する側にとっては、水になってしまったものだからたまたま使うんですが、実際のいまの現状ではだんだん道路と同じような状況になっているということだと思うんです。前向きで検討するということでありますので、ひとつ早急に取り組んでほしいということをお願いしまして終わります。
○伊藤郁男君 最初に、私は第二次臨調に関連いたしまして御質問を申し上げたいと思います。 さきの地方行政委員会におきまして大臣も、第二次臨調の中間答申が出ましたならば、これを受けて全力を尽くしてやっていくんだという決意を明らかにされております。そこで本日は、第二次臨調に関連いたしまして具体的にお聞きをしていきたいと思います。 第一点は、三月二日に行管と自治省の間で、「臨時行政調査会と地方制度調査会との関係について」という統一見解がまとめられておるわけでありますが、その内容はどういうものでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) ただいまお話がございました五十六年の三月二日、衆議院予算委員会第一分科会において公表いたしました統一見解は次のとおりでございます。 一 臨時行政調査会は、行政制度及び行政運営の改善合理化について調査審議する機関として設置されるものであり、地方制度調査会との関係におけるその調査審議の範囲は、前回の臨時行政調査会におけると同様であり、地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議するものであること。 二 具体的な調査審議の対象については、臨時行政調査会の委員として地方制度調査会会長が参加されていることに鑑み、臨時行政調査会において適切な選択が行われることを期待するものであること。 以上であります。
○伊藤郁男君 そこで、その中に書かれている「地方制度調査会との関係におけるその調査審議の範囲は、前回の臨時行政調査会におけると同様であり」と、こういうようにありますですね。この「前回の臨時行政調査会におけると同様」であるという意味は具体的にはどういうことでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) 前の臨時行政調査会のときにおきましても、この範囲についてはいろいろの問題がございまして、答申の中に記載されておることをちょっと読み上げますと、「ただ、直接政治や政策にかかることについては、原則的にはふれないこととし、また、地方自治の問題については、国の行政との関連においてのみ取り上げることとした。政府等に現に設置されている各種調査審議機関との関係については、できる限り重複を避けるよう配慮するようにつとめたが、特に重要と思われる事項については、当調査会においても重ねて改革意見を提出することとした。」と、こうなっておるわけでございます。この趣旨にのっとってということであろうと思っております。
○伊藤郁男君 そうすると、さらに具体的にお伺いをしますが、たとえば第一臨調では補助金の問題については触れていないわけですね。したがって、前回の臨時行政調査会におけると同様であるという意味は、補助金問題は扱わないようにするという意味も含まれているのかどうか。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、第一次の臨調におきましては、「地方自治の問題については、国の行政との関連においてのみ取り上げることとした。」ということになっているわけであります。したがいまして、国の事務の地方公共団体への事務の委譲の話でありますとか、地方公共団体に対する国の関与の排除、あるいは国の出先機関の整理統合、あるいは首都圏行政の改革というような地方自治に関連する事項というのは、国の行政に対する改革意見として提言されておるところであります。したがいまして、この地方公共団体に対する国の関与の排除というものの中身には、もちろん国庫補助の整理合理化についても述べておりまして、特に第一次臨調におきましては、行政事務の配分に関する改革意見及び予算・会計の改革に関する意見の中でその基本的な方針を提言しておりますが、この基本方針の中で指示されている補助金等合理化審議会における補助金のあり方、あるいは補助金のあり方の中に一、二具体的な補助金名を挙げて例示しておりますが、そういうものの補助金の合理化については、その総合的な見地から検討結果の実施を期待するというふうに述べております。 こういうことから考えまして、今後の国と地方とのあり方の問題につきましては、特にその事務配分の議論といたしまして、国庫補助金の問題でありますとか、許認可の問題でありますとか、そういう機能分担の話に基づいてこういう議論というのは当然出てくるだろうというふうに考えております。
○伊藤郁男君 この補助金問題というものは具体的には扱われていくんだと、こういう理解でよろしゅうございますね。 それでは、この文章の中にまた、いまお答えがありましたけれども、「地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」、こういうようにありますけれども、一体「地方自治の本旨」とは何か、この点についてお伺いをします。
○政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、憲法の九十二条に「地方自治の本旨」ということが規定をいたしてございます。この「本旨」というのはどういうことかというと、私たちは一般的には、地方公共団体の自主性と日立性が十分に発揮できるよう地方自治の制度を定めて運用していくということだというふうに理解いたしております。
○伊藤郁男君 それではお伺いをするんですが、そういうような地方自治の本旨に基づくとするならば、自治体固有の問題ですね、たとえば公務員の定数——問題になっております。あるいは人件費の問題、この間も自治省からその実態が報告をされました。したがって、たとえば自治体固有の問題として公務員の定数や人件費等の問題についての答申は、この文章の中では出すべきではないというように考えておられるのか、そうではないのか。
○政府委員(砂子田隆君) 地方公務員の定員でありますとか、あるいは給与等につきましても、この関連する中では議論されてしかるべきかとは思いますが、実は地方制度調査会におきまして昨年の十二月に答申がございました。その中で、今後の地方公務員の定員でありますとか、給与問題については、引き続き調査審議をするということになっているところであります。そういう意味で各審議会との間の重複がどれだけ避けられるかというのも一つの問題であろうと思いますし、あるいはもちはもち屋にやらせる方が素直であろうという感じも若干いたします。 そういう意味で、第二臨調においてこれらの問題が並行して調査審議されるかどうかということにつきましては、先ほど申し述べましたように、地方制度調査会の会長というものが参加をしておりますから、地方自治の本旨を尊重するという観点から適切に判断をされるというふうに考えております。 ただ、過般の地方公務員の増加のときの発表にもございましたように、地方公務員の定員が増加している主たる要因は、警察官でありますとか、教職員でありますとか、あるいは国で補助条件を決められている福祉関係職員というように、国の法令なり通達などによって定数基準が定められているという点において地方公務員の定数が増加しているという関係にございます。それが非常に多うございます。さような意味におきましては、むしろこういう点を是正をしない限り地方公務員の定数というのはなかなか縮減をすることはむずかしいと思いますので、そういう観点からの御議論はむしろしていただいた方がいいのではなかろうかという感じがいたしております。 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、憲法九十二条で地方自治の木曽というのが定められておるという観点から申し上げまして、個々の団体における定員管理でありますとか給与、そういうものは当該団体の自主性なり自立性というものを尊重する見地から、それぞれの団体の自主的な判断と責任において処理されてしかるべきものだというふうに考えております。
○伊藤郁男君 そうすると、ここにまた二に書いてありますように、いまもお話がございましたように、「地方制度調査会会長が参加されていることに鑑み」、「適切な選択が行われることを期待する」ということは、あなたの御答弁にありましたように、その人件費の問題だとか、あるいは定員の問題については、自治体固有の問題であるから、これはできるだけ別扱いにするように期待をする、こういうような意味合いで書かれたものかどうか。
○政府委員(砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、公務員の定員でありますとか、給与問題ということに関しまして、国との関連において議論されることは、私はそれはしかるべきことだと思っております。ただ、現行の地方公務員法のたてまえ、あるいはそういうものに基づいたいろいろな法令等がございますが、そういうものにかんがみてみまして、少なくとも地方団体がそれぞれの立場で判断をしなきゃならぬ問題というのがあるわけでございます。そういう問題にまで臨調が入っていくものだとは考えておりません。
○伊藤郁男君 そこでもう少しお伺いをしておきたいんですが、自治体固有の問題というものは一体どういうものかということですね。そういうような給与だとか人件費とかいうものは、まさに自治体固有の問題だから、これはできるだけ自治体にお任せをするんだ、こういうように理解をされておるようでありますけれども、しかし自治体固有の問題でも臨調というような場で十分議論をすることができる、このように私はそういう立場に立っているわけです。 たとえば自治体の固有の問題を侵す侵さないで一番問題になったのは、例の昭和二十九年に警察法が改正をされました。いままでありました、それぞれの市町村にありました自治体警察というものが県に統合されたという例がありますね。この改正をめぐりまして、その当時は、地方の自治権を奪うものだ、これは固有の権利だ、こういうように一方では話があり、一方では、自治体警察というような制度はわが国の実情に合わないから、したがって警察行政の能率とその機能を高める上から必要な改正であるというふうに論ぜられたこともあるわけですね。 だから、この地方住民の立場に立って具体的なケースことについて判断することが私は当然であるとは思うけれども、しかし地方自治が地域住民のためのものであると同時に、国政もまた国民のためにあるわけでありますから、したがって自治体固有の問題について答申を出すことは必ずしも地方自治の本旨を侵すものではない、私はこういうように考えておるわけですが、その点の御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(砂子田隆君) まず、この統一見解をつくりました背景は、伊藤委員も御存じのことだと思いますから、詳細申し上げなくともよろしいかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、地方公務員の定員が増加をしている。特に地方公務員の定数が多いというような考え方に基づきまして、その主要な部分を占める国の法令や通達、そういうものでやっておるというものであれば、当然私はその点から関与してしかるべきだと思っております。 ただ、個々の団体の総枠的な地方公務員の定数というのは、国のこういうものによって引きずられていくわけですから、現実には不可能に近い部分がございます。しかも給与につきましても、それぞれの団体はそれぞれの団体の給与条例で給与を決め、定数についてもそれぞれの定数条例で決めているわけですから、そこまで介入していくのは、地方自治の本旨と申しますか、組織運営と申しますか、そういうものに対する憲法上の制約からなかなかむずかしい問題であろうと思います。 私は議論されることをいやがっているわけでは毛頭ございませんで、そういう中身にまで入っていろんな御答申がなされましても、もう一度地方制度調査会の中で洗い直しをしなきゃならぬという問題が出てくる。特に先ほど申し上げましたように、各種審議会と重複を避けるというのは、そういう意味であろうかとも思っておりまして、そういうことで二重に手間暇をかけなくても、現実に地方制度調査会の方で、定員なり給与なりの問題というのは、同じ内閣総理大臣の諮問機関としてやっておるわけでありますから、なるべく重複のない能率的な運営が第二臨調に期待されているものだというふうに理解をいたしているわけであります。
○伊藤郁男君 だから第二臨調では重複するような議論を避けたい、そういう意味でこの問題は余り扱ってもらわない方がいいんではないか、こういう意味ならば若干理解できないこともないんです。 しからば、この三月二日の時点においてなぜこのような統一見解を出さなければならなかったかというその背景事情が私はあると思うんですよね。大臣は、二月十九日ですか、衆議院の地方行政委員会で、地方の定員や給与は地方自治の固有の問題であり、地方制度調査会で取り扱うべきものだと、こう答弁されている。ところが、中曽根行管庁長官は翌日の二十日の閣議後の記者会見で、地方の定員や給与についても第二次臨調の検討のテーマとして取り上げる、こういうことを強い口調で強調されている。こういうわけですね。だから、この食い違いというものが現在でもあるのではないか、こういうように私は思うんですが、大臣に御見解を伺います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) その辺はまことに重なるような議論になるわけでございまして、定数とかあるいは給与とかという問題、これは県議会で議決をし、あるいは町村議会で議決をし、まさしく形の上では地方固有の問題になっておるわけですね。だから国でどうこう言おうと、地方の責任者が提案をして、県議会なり町村議会で議決をすれば、それが生きていくわけですね。それを国の立場からなかなかどうこうするというわけにもいかない問題だろうと思うんです。そんな意味で、言葉が適当であるかどうかは別として、固有の事務、こう言われておるわけですね。 しかし、その実態を探ってみますと、必ずしもそうじゃない。定数を決めるにいたしましても、因の関係できているやつが七、八割になっておる、こういう実態があるわけです。それから財源の問題にいたしましても、そういう問題があるわけです。そこでこの辺にメスを入れなければ本当の改革はできないだろう、こういうふうに思うんです。 そこで、第二臨調におきましては、国との関連における問題というものをやっぱり取り上げざるを得ないわけでございます。中曽根さんがそれを強調するわけです。私はそうじゃない別の立場からいま御指摘のありましたような答弁をしているわけです。 そこで、そこに食い違いがあるんじゃないか。こういうことになるわけですけれども、しかし実態を探って本当にフェアに考えてみれば、第二臨調においても、国との関連が大部分を占めるそうした定数問題について論議をしてもらわにゃいかぬだろうと思うんです。この問題は従来地方制度調査会においても、事務の再配分とか何かいろいろなテーマのもとにこの問題を主張いたしておったわけでございますけれども、なかなか実効が上がらない、それが実態でございます。今回の第二臨調において相当の決意を持ってその答申を実行しようとするこの環境の中におきまして、第二臨調においてもその問題を取り上げて、そしてそのけじめをきちんとしてもらうということは、地方行政にとりましてもまことにいい方向じゃなかろうか、こういうふうに考えます。それで中曽根さんとも相談をいたしまして、そこはひとつ両者相協力して、問題の要点はそういうところにあるんだから、この線でひとついこうじゃないか、こういうようなことで大体話をつけておるわけでございます。 したがいまして、第二臨調におきましても、定数の問題に関連いたしまして国の関係するいろいろな人的配置の問題、そういう問題、補助の問題等も論議をしてもらって、そしてこれがすっきりした形において今後における地方行政が進行するように私どもは期待もいたしておるわけでございます。いまもお話が出ましたが、林君が委員にも入っておりまするので、その辺の地方制度調査会の大体の考え方というものをのみ込んでおるわけでございまするから、この辺は論議としては広く論議されるだろう、私はこう思います。 しかし、答申の形においては、いま行政局長も言っておりましたけれども、何としても国でここで決めてみたところで手のつかぬ問題もあるわけですね、実態といたしましては。そういうものを答申の形にいたしますと、それが実行できないという形になっても、これもまずいことだろうと私は思っておるわけです。その辺の振り分けの問題は、林君も委員になっておりまするし、その辺の事情もよく知っておりますから、論議はいろいろ論議されるだろうけれども、答申の形においては、その辺の振り分けというものはある程度できるのではなかろうかと、またそういうことも期待をいたしておるということで話をつけたと、こういう経過でございます。
○伊藤郁男君 そうすると、行管との意見の食い違いというものは調整をされたんだと、こういう理解でよろしゅうございますね。 そうすると、行管にお伺いしますが、この統一見解というものを臨調に対しまして示しましたか。
○説明員(重富吉之助君) お答え申し上げます。 私どもはこの統一見解を調査会において説明をいたしました。私どもが考えております臨調の調査審議の範囲といいますのは、先ほど自治省の行政局長さんがお読みになりました前回の臨調の意見書のさらにその前段にこういうことが書いてございます。「当調査会の調査の範囲は行政に関する問題のすべてとされており、行政上の一般問題はもとより、個別の問題も取り上げ、さらに調査の方法も強力な裏付けをもっとともに、実証的調査研究を前提とすることとした」。その次に、「ただ」というのでおっしゃっていることは、私は調査審議の範囲ではなくて、前回の臨調のスタンスを示したものであるというふうに理解しております。 ただ、そうではございますけれども、この統一見解というのは、地方制度調査会というのがございまして、地方制度のことをずっと長く研究なさっておられます。したがいまして、私どもとしては、それらの意見というものは十分尊重せねばならぬ。尊重すると同時に、地方自治の問題というのは、憲法に言う「地方自治の本旨に基いて」これを定めねばならぬとありますので、ただしこれを定めるというのは、九十二条を読みますと、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とございます。憲法で最初から与えられたものでなくて、「法律でこれを定める。」と書いてあります。したがいまして、私どもは、それは臨調の調査審議の範囲になる。ただし、これを取り上げるかどうかということは、前回の調査会のスタンス等も配慮して、それからまた当時と現在の社会情勢、地方自治における問題点の顕在化等を踏まえて、調査会の委員方が適当に判断される。それはだから何を地方自治の問題に関連して取り上げるかというのは、調査会の委員さん方が判断されるんだというふうに私どもは理解しております。
○伊藤郁男君 そこで私は、一番心配になりますのは、第一臨調のときに附帯決議がつけられまして、これが大きな障害になったということは、これは中曽根長官、私どもも承知をしているところですが、そういうことを避ける意味で今回は附帯決議もつけなかったんですね。大臣もこの間の地方行政委員会で、これらの問題については臨調の委員の自主的な御判断にお任せすると、こういうことではっきり言われているわけですが、この統一見解を出すこと自体が臨調の審議に足かせをかけるんではないか。このことを私はおそれるから、いまのような、大変微妙な問題ですが、一応御質問を申し上げたわけです。 だから、臨調の審議に一定の枠をはめるなんということは、今日の行政改革に対する国民の要望から考えまして、決してやるべきことではない。こういうように私は考えるわけですが、この点に関しまして、もう一度大臣と行管の方から御答弁を願いたい。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 第二臨調についていろいろな制限、枠をなるべくはめないということはそのとおりだろうと思うんです。しかしながら、いずれ論議をされまして取りまとめという段階になりますと、おのずからの限界というものは先ほど申し上げましたようにあり得るわけでございます。しかし、それはその問題を論議しちゃいかぬという意味じゃありませんので、十分論議は尽くしてもらうべきものであろう。その点においてこの統一見解というものはそのことをはっきりさしておるものだ、枠をはめている問題でもないと、こういうふうに私は考えておるわけです。
○説明員(重富吉之助君) お答え申し上げます。 いま自治大臣から、臨調の調査審議の範囲というのは枠をはめるべきではない、しかしおのずから限界があるであろうという御発言がございました。私はこの御発言はもっともだと思うわけでございます。地方自治の本旨を尊重し、それからできるだけ地方制度調査会の意見を尊重するという意味においてはおっしゃるとおりであると思います。 ただ、当時の社会情勢と現在の社会情勢において何が問題であるか、行政改革をやるについては何をやらねばならぬかというような観点から、地方制度調査会の会長もお入りいただいている、調査会の識見の高い委員方が御判断なさる、そういうことで調査審議の範囲というのは決まる、何を取り上げるかは決まる。しかしそれはおのずから制限がある。制限があるというのは、地方自治の本旨を尊重するということと地方制度調査会の意見を尊重するということであるというふうに私どもは理解しております。
○伊藤郁男君 行政改革がいまや最大の課題でありますので、国民の要望に沿うような形のものを出していただきたい、これを断固として断行していただきたいと思います。 それから次に、時間がありませんので次の問題に移りますけれども、地方自治法の改正案は今国会に提出するつもりでございますか。
○政府委員(砂子田隆君) 各省でいま折衝いたしておりますが、あとう限り全力を尽くして提出をいたしたいと思っております。
○伊藤郁男君 大臣も、提出するとかしないとかじゃなくて、断固として提出するんだと、こういうことを前回の地方行政委員会でお聞きをしましたけれども、聞くところによりますと、各省庁との折衝が難航しているんだと、こういうように言われているわけですが、その理由は何ですか。
○政府委員(砂子田隆君) 今回の地方自治法の改正の内容の中で三点ほど各省との間の調整を要する点がございます。 一つは、監査委員が機関委任事務について監査をするという点が一つでございます。それから六団体が国に対して意見を提出するという点がございます。もう一つは、地方公共団体というものが、現在は市町村が基本構想というのを議会の議決をして制定いたしておりますが、それと同様に都道府県におきましても基本構想というものを議会の議決を経ることにしようということにしている。この三点について各省との間で調整をいたしているわけでございます。
○伊藤郁男君 私の聞いているのは、折衝が難航していると伝えられているんですが、その理由は何かということを聞いたわけです。 地方自治法の改正案について自治省が当初考えられた案に対しましては、私は全面的に賛成の立場なんです。それが次第に後退をしてきた。特に機関委任事務に対する議会の監査請求権あるいは意見提出に対する内閣の措置規定、こういうものに対しては大いに期待をしておったんですが、これが削除されたと聞きますけれども、事実ですか。
○政府委員(砂子田隆君) 話の中にはそういういろんな議論が出ておりますが、私たちはいまそれをも含めて各省と折衝している段階でございます。
○伊藤郁男君 どうもこの監査請求権の問題につきましては行管の立場から反対のような意見が聞こえできます。 そこで、この機関委任事務についてその改善を地方団体が繰り返し要望をしておることは御承知のところでございます。昨年十二月におきましても知事会が具体的に提言をしているわけでございます。この内容を見ますと、もうすでに有名無実になって要らないものは、そういう事務は廃止しよう。あるいは国と県が共同でやるべきものはそういうような方向で努力をしよう、すべきだ。あるいは県に移譲すべきものは県に移譲させる、あるいは市町村のやるべき事務であることが適当なものはそこまでおろしてしまおう。こういうような内容を持っておりまして、その中で水質汚濁防止法あるいは民生委員法、中小企業団体の組織に関する法律、あるいは都市計画法などについてそれぞれ各省庁に係る事項について提言をしておる。御承知のところでございます。 実際に事務を行っている地方団体からの要望に対しまして各省庁がどれだけ真剣に取り組むかは私は非常に疑わしいと思うんですが、これらの提言を政府が取り上げ、行政に反映していくまうな規定がぜひとも必要であると私は考えている。それが可能となるような自治法の改正となるのか、あるいは改正に内閣の措置規定を入れるべきではないかと私は考えておりますけれども、その点の御意見を大臣にお伺いしておきます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 機関委任事務の問題は非常に各省の抵抗が多いのはおっしゃるとおりでございます。これも相当形式論が私は多いと思っております。実態的には必ずしもそういう問題じゃなくて、各自治体が実質的にやっているわけなんです。ただ、制度上機関委任という形になっているだけでございますから、この点についての地方自治体の監査というものだってあってしかるべきものじゃないかと私は思っておるわけでございます。 いま御指摘の点についてこれは個別的には行政局長から申し上げますけれども、そういう点でこの問題は各省の法律論的な立場からいうと非常に抵抗がある。しかし私は実態的には、そうした監査権を認めた方が地方の実態には即してるんじゃないか、こういう考え方でせっかくいま折衝をしている、こういう段階でございます。 個別的な問題については行政局長からお答えさせます。
○政府委員(砂子田隆君) ただいまお話がございました、昨年の十二月に知事会から出されました「地方行財政に関する今後の措置についての報告」というのがございます。この中には公共団体側から考えました機関委任事務に対する考え方が述べられております。それは一つ一つ考えてみますと、実は第一次の地方制度調査会が始まりまして以来ずいぶん議論された部分でもございました。しかしこれも各省の抵抗がございまして、なかなか物にならなかったものが残っているわけでもございます。そういう意味で私はこれから行われます第二次の臨調で行政管理庁の方でこれらの問題を取り上げていただいて、どういうふうにするか、公共団体に対する事務移譲にするのか、あるいは国がおやりになるのか、いろんな角度からの御議論をしていただくことは私はまさに当を得ていることだと思っております。これにつきましては、もちろん地方制度調査会は答申をいたしておりますが、先ほどの行管のお話のように、臨時行政調査会がこれをどういうふうに処理するかということについて私はむしろ大変期待いたしている部分でもございます。 ただ、今回の改正の内容と申しますのは、監査委員の機関委任事務の監査でございまして、より身近なところの事務をより身近な人に監査をしてもらう方が、むしろ住民から見た場合望ましいという地方制度調査会の御答申に基づきまして、監査制度の整備を図るという観点からの改正でございまして、いま伊藤委員が述べられましたような機関委任事務をどうするか、あるいは個々の事務をどうするかということの改正をしようとする改正案ではないわけでございます。
○伊藤郁男君 ぜひひとつ自治省が後退しないで、この問題、改正案を早期に提出して成立させるよう私は要望しておきます。 次の問題に移ります。行政のむだというのはあらゆるところにある、さまざま指摘をされているわけです。そこで、これはつまらぬようなことではありますけれども、実際にそのことによって大変迷惑を受けている問題がありますので、これは自治省の選挙課の方ですか、に御見解をお聞きしておきたいと思うのです。 それは公職選挙法施行令の第八十八条三項に言う候補者の「届出書に記載する候補者の氏名は、戸籍簿に記載された当該候補者の氏名によらなければならない。」とあります。これはもちろん当然だと思うのですが、この規定の意味するものはどういうものか、まず最初に御見解をお聞きします。
○政府委員(大林勝臣君) 公職選挙法施行令八十八条の三項で、「届出書に記載する候補者の氏名は、戸籍簿に記載された当該候補者の氏名によらなければならない。」と書いてありますことは御指摘のとおりでありまして、これの意味いたしますところは、昭和三十九年まではこういう規定がございませんで、立候補される方が果たして本人であるかどうかの確認が法律上は手段が書いてなかったわけでありますけれども、当時取り扱いといたしまして、事実上は戸籍簿を持ってきていただきますと同時に、いわゆる通称で立候補したいと言われる方につきましては、通称による立候補というのもあわせて認めておったわけであります。 ところが、そういう取り扱いが行われました結果、当時いわゆる背番号候補と申しまして、有権者の非常な批判を受けるような立候補をされた方がかなりございました。そこでこれを改めて、候補者が立候補される場合には、いいかげんな立候補届けでは困ります、戸籍簿に書いてある氏名で届け出をしていただきます。同時に、もし通称を選挙運動のいわゆる公営面、選挙公報でございますとか、あるいは経歴、政見放送あるいは新聞広告、あらゆる選挙運動面で、公営面でそういう通称をお使いになりたい方は、広くその通称が世間で言われておるという資料をお持ちいただきまして、それが信用できるものであればそれを通称として認定しましょう。しかしながら、あくまで届け出自体は本人確認のために必要でありますので、候補者の届け出氏名は戸籍簿の氏名を使っていただきたい。こういう趣旨で改正をされたものでございます。
○伊藤郁男君 それで、戸籍簿に記載された候補者名、氏名はその字画が寸分狂いのないものでなければならぬのか、その点。
○政府委員(大林勝臣君) こういう「戸籍簿に記載された」氏名というふうな規定を置きました結果、戸籍簿には非常にむずかしい昔の文字が記載されておるが、現在ではそういう文字は当用漢字では使わないというケースもございますし、戸籍簿に書いてある文字は、文字としてはあるのだけれども、あくまでそれは俗字として使われておって、当用漢字にそれに対応する文字として示されておりますのが正字であると、こういう場合もございます。 そこで、こういう取り扱いを通称の認定と関連させてどう扱うかということが当時また問題になりました。そこで、現在はもうその文字はないというような文字をいわゆる当て字としてお使いになるというような場合は、これはどうも戸籍簿の氏名というものと別な文字と考えざるを得ませんので、通称認定という手続を別にとっていただくという必要が出てまいるわけでありますが、しかしながら、もう一つのケースといたしまして、いわゆる戸籍簿に書いてあるのは俗字である、しかしながら、当用漢字につきましては、それに相応する正字という文字があるというような、対応する文字があるというような場合におきましては、それは同じ文字と。つまり法務省の戸籍簿の氏名変更の際にも同じ文字として取り扱っておるようでありますので、そういうケースにおきましてまで通称使用の認定は要りません、それで立候補していただいて結構ですと、こういう取り扱いになっておるわけであります。
○伊藤郁男君 ところが、事実はそうなっていないわけですね。たとえば私の昨年の選挙の届け出のときに事前審査がありまして、そして字句の訂正を求められて訂正しているわけですね。たとえばこれこういうように、「伊藤」の「伊」というのは横棒が突き出ているのを使いますが、私の戸籍簿は「伊」と突き出ていないわけですね。突き出ていないけれども、事務員がいろいろな立候補届、大変な数の書類がありますんですが、みんなこの突き出た字を書いたわけですね。そうするとこれはいけないんだ、だから訂正をしてくれと。それで訂正を求められて訂正をした。こういう事例があるわけですね。 いまのような理由によりますと、背番号の問題だとか、紛らわしいいろいろな問題があるということでそれをチェックするという意味もわかりますが、これは何といったってどっちも「イ」と読むに間違いないんですよ。しかしこれをチェック一一するということですね。それでチェックする係官がおる。そしてチェックさせる。そのことによって大変な労力のむだが双方に起こっているんですね。こういうようなむだの行政、全く四角四面のばかばかしい行政が今日でも行われていると思うんですが、これはだめですか。
○政府委員(大林勝臣君) いまお示しのような伊藤委員の「伊」の文字につきまして、横棒が出てない文字と出ておる文字というのは、これは現在の当用漢字の扱いにおきましても、出てないのが俗字であり、出ておるのが正字でありますから、戸籍簿にたとえ俗字が使われておっても、当用漢字に載っております正字に引き直して立候補の届け出をされることについては少しも差し支えがございません。恐らく事前協議の際に担当の方との間でどちらの文字というお話し合いがあったと存じます。その結果、正式の立候補届け出におきましては、この正字である当用漢字にございます突き出た文字で立候補をしていただいた結果になっております。その間ひょっとすると、事前協議の際に御相談をされます場合にごたごたしたことがあって大変御迷惑をかけたかもしれませんけれども、そういう次第でございます。
○伊藤郁男君 そうすると、突き出たのが正字と。 ところがこれまた「認定書」というのがあるんですよ、参議院全国選出議員選挙選挙長近藤英明の。これは突き出ているものは実は正字なんですが、「次の呼称は戸籍簿に記載された氏名に代わるものとしてひろく通用しているものと認める。」と。これは俗字扱いになっているわけですね。そして振りがなつきで「伊藤郁男」と突き出た字を書いて、これは呼称として使われて結構でございますと。認定書を出してまでしてその受け付けをしなきゃならぬ。これは一体どんなことなんだろうかと思うわけですね。 この問題で私どもの事務所は、全くばかばかしい話だということで、しかし言われればそういうようにしなければ受け付けをさしてくれないわけですから、みんな全部字は直して突き出ない字にした。正しい字が俗字になっているんですね。こういうことが一体行政面でしばしば行われているんです。 ただ、これは選挙のときだけではないんですね。出生届だとか、婚姻届だとか、あるいはパスポートだとか、そういうときにも窓口で、戸籍簿の字と実際その届け出をした本人が書いた字と一一そんな細かいことを指摘をして訂正をされる。こういうのが実態になっているわけですね。 たとえば瀬戸の瀬だって、昔は一番右が「刀貝」と書いた。いまは「頁」ということで学校で教えられている。しかし戸籍簿には「刀貝」と書いてあるから、いま通用している「頁」という字を書いて出生届をする、あるいは婚姻届をすると、これも訂正しろというように言われるわけですね。これはまさに紙のむだであり人のむだ。 しかも、窓口でこのことによって二時間も待たされることがある。せっかく届け出に簡単に済むだろうと思って行くとこういうことを二重に三重にチェックをされる。結果的には、午前中の休暇をいただいて役所へ行って、届け出が簡単に済むだろうと思ったら、二時間も三時間も待たされたという例もあるわけですね。 こういうような行政のむだ、これについて大臣どう思いますか。いや、まさに本当につまらぬことですが、大変そういうものが、いま事例示しましたけれども、もう各所にある。こういうことを是正していかなければ、大きな行政改革がどうだと言ってみても、なかなか直っていかないのじゃないでしょうか。こういうように思うんですが、どう思いますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 役所というのはなかなかかた苦しいところでございまして、私ども役所から離れまして一般人になりますというと、何でこんな小うるさいことを言うんだろうという感じを持つことは、それは実感として私はよくわかります。その点は、ルーズというわけじゃありませんけれども、常識を持って処置してもいいような面もあると思います。 ただ、公務員の方から言えば、伊藤の伊が出たとか出ないとかという程度なら問題はありませんけれども、そうでなくて、場合によりますと、えらい選挙争訟の問題になりかねない場合だってないわけではないわけでございまして、そういうようなことを考えますというと、公務員の方といたしましては、やっぱりきちんとせにゃいかぬという考え方で処置するのも、これもまた私は理解できるわけでございます。 その辺を具体的な問題としてどこまではいいとか、どこまでは悪いとかということを一々指示するわけにもこれなかなか実際問題としてはいかない。そしてそれをある程度崩しますと、問題が起こった場合には、当事者の責任にもなるというようなことで、どうしてもその点が踏み切りのつかぬような形になっているのが現状だろうと思うんです。 しかし、おっしゃる点もよくわかりまするので、その辺はある範囲内においては、そういうものは適当に現場において処理したらいいじゃないかというような指示でもいたしますと、現場といたしましては、そういう処置ができるんじゃないかと思いますが、そういう範囲、限界というようなものをどの程度にするかということもまた一つ問題でございまするので、いま行政改革あるいは行政の簡素化という面から、末端におけるそうした行政事務の執行についてのあり方についてひとつ検討さしてもらいたいと思います。
○伊藤郁男君 大臣、いまのようなかた苦しい反面、いま現実に運転免許証のときには八字しか書けないように升があるわけですね。これはかたかなで書くわけです。ところが、「イトウイクオ」なら「イトウイクオ」で八字以内ならばおさまりますが、たとえば「オオマエダエイゴロウ」なんて十字になりますと、最後の「ロウ」は記載するところがないから省いているんですよ、現実に。だから「オオマエダエイゴ」になってるんですね。「エイゴロウ」と「エイゴ」じゃ名前がえらい違うですよ、印象は。現実に一方においては、そのように運転免許証の場合にはそういうことが許されて、しかし一方においてはこのような厳密にやらなきゃならぬ。 これはひとつ大臣、これから窓口業務も機械化されて、コンピューター化されてくるわけですから、そういうような時代を考えながら、このことについては、本当に細かいような問題ですけれども、大きな問題としてひとつ検討をしていただきたいと思います。 そこで、選挙の方ですね、たとえばこういうものを一々出したのですから、この字については、こういうものについては受け付けるべきだとか、この範囲内を超えたものは受け付けるべきではないとか、具体的な指導指針というものを今後の選挙の場合に私は出すべきじゃないか。選挙公平の原則からいけば——届け出で戸惑っておって、結局届け出がおくれる、受け付けされない。一方はもう午前中から選挙運動をやっている。このことがひっかかって二時間も三時間も他の候補からおくれるということもあるわけですよ。選挙公平の原則から言いましても、こういうようなつまらぬ問題については、もう少し業務についての具体的な指導方針というか、指導要綱を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(大林勝臣君) いろいろ例をお出しいただきまして御質問いただいたわけでありますけれども、この取扱方針というのは実は三十九年以来一貫して同じ取り扱いをいたしております。 で、一つの例としてお出しいただきました通称を使用する場合、認定をいたします場合に、戸籍簿上の漢字をたとえばひらがなに直してこれを選挙公営面で使いたいとおっしゃいます場合には、めんどくさいんでありますけれども、先ほどの認定書というのを差し上げておるわけであります。 なぜかと申しますと、もしもそういう手続を選挙管理委員会の方でしておきませんと、たとえば放送局なりそれから新聞社なりが候補者からの名前を政見放送に使う、あるいは新聞広告に使うという場合に、漢字をひらがなに直して登載申請がされた場合には、果たして御本人なのか、それとも別の人なのかわからぬという非常に不安感を持つわけであります。最近選挙の種類によりましては、全く同姓同名みたいな方も立候補されるわけでありまして、そういう選挙公営を行います主体が、これは確かに本人だ、漢字でないひらがなの名前を使っておるけれども、この漢字で立候補した本人であるという証拠がほしい。こういうお話が前々からございまして、そこでそういった選挙公営の便宜上、漢字をひらがなに直してお使いになる場合には、大変めんどくさいんでありますけれども、通称使用の認定書という一つの証明書をお渡しすることにいたしておるわけであります。 選挙というのは、先ほど大臣からもお話がございましたように、一つの文字が別の文字を使っていろいろな公営面が行われました場合には、実は前々から、少し字体が変わりまして、大変苦情もまいりますし、おしかりも受けておったところであります。そういうこともございますので、大変ごめんどうをおかけいたしておるわけでありますが、その取り扱い自体は従来から変わっておりませんで、問題は、事前審査の際に確かに担当の方に御納得のいくような説明を執行機関の方でしなければいけないわけでありますので、今後とも選挙管理委員会の方の取扱方針というものを十分に担当者の方に御理解いただくという努力は積み重ねてまいりたいと思います。
○主査(亀井久興君) 以上をもちまして、警察庁、北海道開発庁及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。 明日は午前十時から分科会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十三分散会 —————・—————