予算委員会第四分科会 第1号
- 発言数
- 198 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/27
会議録
○岩上二郎君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって私が主査及び副主査の選任につきその議事を主宰いたします。 これより主査及び副主査の選任を行いますが、選任は、先例により、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岩上二郎君 御異議ないと認めます。 それでは、主査に亀井久興君、副主査に渋谷邦彦君を指名いたします。 ————————————— 〔亀井久興君主査席に着く〕
○主査(亀井久興君) ただいま皆様方の御推挙によりまして本分科会の主査を務めることになりました。ふなれでございますが、皆様方の御協力を得てその責務を果たしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 —————————————
○主査(亀井久興君) 審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。 本分科会は、昭和五十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、警察庁、北海道開発庁、環境庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管を審査することになっております。 なお、四月一日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、木二十七日は環境庁及び厚生省、三十日は警察庁、北海道開発庁及び自治省、三十一日は労働省、四月一日は文部省という順序で進めてまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○主査(亀井久興君) 次に、お諮りいたします。 各省庁予算審査の冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明は、これを省略し、それぞれの審査日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○主査(亀井久興君) 昭和五十六年度総予算中、環境庁及び厚生省を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○広田幸一君 私は、同和対策問題を主体にして質問をいたしたいと思いますが、この問題は衆議院の予算委員会、分科会等で多面的に質疑がなされておりますので、厚生省としても問題点はもうすでに掌握しておられると思います。そういう意味で私が質問をしますことはあるいは重複するかもしれませんけれども、この問題はまだまだ多くの問題を残しておるわけでございまして、そういった点を追及してまいりたいと思いますので、誠意ある御答弁をお願い申し上げておく次第であります。 そこで、冒頭大臣に所見を伺いたいんですけれども、この同和対策問題は、近年同和教育、同和社会教育、あるいはまたいろんな行事を通してかなり活発な運動、活動が展開されておるわけでありますけれども、残念ながらこの差別事件は依然として後を絶たない、むしろ見方によっては増加しておるのではないかというふうにも見えるわけでありますし、またああいった部落の実態というものもよくなっていない。ここらに実は問題があるわけでありまして、いろいろそういった同和教育とか社会教育等がかっこうよく行われておりますけれども、いま申し上げましたように、そういう問題が依然として解決されないというのはどっかに問題がある。その問題を剔抉して排除していくというところまで追求していかなければならない。 私も運動しておる一人としてそう思っておるわけでありますが、そこで厚生省は特に。住民の福祉、生活に直接関係が深いわけですから、厚生省としてもより関心を持って今日まで御努力をなさっておると思うのでありますが、そういう厚生省を所管していらっしゃる大臣としての私が申し上げたことに対する所見をまずお聞きして質問に入りたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 同和地区の問題では皆さん方からしばしば活発に御意見なり御指導を賜っており、私の方でもいろいろ努力しているところでありますが、差別の問題は予想外に各所で頻発しておる。これは全く申しわけないことだと存じております。そこで、問題はいろいろありましょうけれども、私は大体三つに分けてその原因及び排除ということを考えなけりゃならぬと思います。 第一は、一番表面に出ておる公共事業を初めとするいろんな環境施設の問題でございます。この点はすぐ目につきます。そしてまた予算等でも努力をしておりますから大分いってはおりますものの、まだし残ったことがあるわけでございます。 第二番目に、もっと大事なことは、公共事業その他も大事ではあるが、その目的は、この地区というものをほかの地区と同等に、実質上、下から差別をなくしていくという目的でありますから——残念なことには、私が一番心配しておりますことは、ごく一例を挙げますと、同和地区の生活保護率は全国平均の四倍ぐらいだと思います。身体障害者の方も、同和地区の方には申しわけないが、率は多いと思います。罹病率その他もそうであります。かつまた、だんだん聞いておりますと、生まれる子供さんに平均体重よりも少ない子供さんが多いと。こういう地区の一人一人の方々の体力から、あるいは人間性から、これを押し上げる、また地区に住まわれる方々も自立自存の精神を捨てないでやってもらう。こうなってくると、私が引き受けておりまする福祉行政が一番大事でありますから、大事なことは、同和地区の福祉事業に対して具体的にいろいろ検討してやらなければ、これをこのままほうっておきますと、差別をなくする、なくすると言いながら、いつの間にかこういう制度から来る新しい差別をわれわれがつくりかねないことになる。これを非常に心配しております。 三番目に、一番大きな問題は、同和地区の方々及びこういう方々と交際をなさる一般国民の理解、それから教育、いろんな政治全体として考えなきゃならぬことは心の問題であると思います。 各所に頻発しておる差別の状況を見ますと、同和対策というのは、まだまだ根深いものがあり、これはなかなか大変で、八割はでき上がったなどという間違った考え方はもってのほかだと思います。 そこで、そのためには、第一は、同和地区の方にも、一般国民の方にもまず御理解の徹底を願いたいことは、いままでの差別がいわれなき差別であるということ。これはまさに歴史がつくった悲劇であり、その間違った歴史に乗っかっていつの間にか国民の感情が定着してきたものであって、同和地区の方と一般の地区の方とは何ら差別があってはならぬ。むしろ崇高な奉仕の精神でやってこられた方々であり、いわれなきものであるということ。 それから第二番目には、そのいわれなき差別というものを心から直していくこと。子供のけんかを見ておりましても、お互いに相手をののしる。ののしるために同和地区の方々の昔の古い名前を使ってののしり合う。こういうことはこれは非常に根深いものだと思います。 かつまた、北九州に近く起きました就職の問題等で、ああいう事件は一般の人も何か違うんじゃないかと思うし、それから地区の青年、こういう方々がそれに対して反発と怒りを感ずるうちはいいが、だんだんやっているうちに、おれたちは別物だということで自主自存の精神がなくなることは、これはもう大変なことであります。 したがいまして、子供さんの保育に対する特に心の問題、こういうことに政府は一体となって、総理が中心でありますが、総合的な対策を立ててやらぬと、これはなかなか公共事業と違って、予算を組めば済むというものじゃありません。こういうことをやったから直るというものじゃありませんが、時に触れ、折に触れ、気長にしかも熱心にやる。この三つのところに原因があると考えますので、今後そういう点に皆様方の御指導を受けながら努力をする所存でございます。
○広田幸一君 大臣の全く見識ある御意見を承ったのでありまして、おっしゃった三つの点について私は全くそのとおりであろうと思うんです。 そこで、政府がいろいろと政策をやっておるわけでありますが、いま大臣後段で、心、精神論をお話しになったんですけれども、私はこの差別の背景はどういうものであろうかということを考えてみますときに、物的な財政的な背景が足りないところに問題があるのではないか。 一般的なことでありますけれども、普通社会で余り目の立たないような人でございましても、経済的な背景ができる、あるいは一定の確実な職業につけるとか、あるいは地域の環境もよくなる、そういうことになってきますと、一般の見方——評価と言うのはちょっとあれですけれども、変わってくると思うんですね。 ですから、まず、理屈も結構でありますけれども、そういう地域の皆さんの環境もよくなり、経済的な裏づけもできる、いま大臣がいろいろと細かい数字をおっしゃったわけですけれども、そういうものがだんだんと克服されてくると、私は潜在的な差別感というものはなくなっていくんではないか。そのためにいまおっしゃったような公共事業を初め福祉問題等をさらに充実すべきであると、こういうふうにいま思うんですが、大臣のおっしゃったこととそう違うわけじゃないんですけれども、もう一回その点について大臣の見解をただしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 私が申し上げたのも全くそういう意味でありまして、すべての施策を総合して、同和地区の方々の体力から知力からどんどん伸びていって、その基礎は生活の向上であります。そして、体力においても、学校に行っても職場に行っても、おまえたちはおれたちに勝たぬじゃないかというような生活の基盤をつくること、それが個々の問題を解決する基礎であると、おっしゃるとおりに考えます。
○広田幸一君 これからの問題でありますけれども、いま行政改革ということが大きな政治課題になっておりますが、その中で特に補助金を整理するということがいま政府当局から出ておるわけであります。 大臣も閣僚の一人でございますけれども、その補助金の整理に対していろんな方面から、消極的なあるいは批判的な意見が出ておるわけでありますが、総理大臣はそれに対して、思い切ってやる、しかしながら身体障害者とかいわゆる弱者、日の当たらない人たちについては別であると、こういうふうにはっきりとおっしゃっておるわけです。私はこれは非常にいい意見だと思っておるんでありますが、特に厚生大臣は非常に斬新的な御意見をいつもお吐きになりますので、この総理大臣の意見に対してどういうふうにお思いになっておられるか。特に私はこれから後で若干数字を述べていきたいと思うんでありますけれども、被差別部落の実態というものは大臣がおっしゃったようにきわめて悪い生活環境にあるわけでありますから、当然そういう範疇に考えてよろしいと、私はこういうふうに思うんでありますが、大臣の御意見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 私が考えており、かつ総理に申し上げている点は次のとおりであります。 国家財政再建はこれは非常に大事な問題であります。したがいまして、臨調の結論が出、総理大臣の決意ができれば、その方針に従って全力を挙げて私も努力する所存でございます。しかし私の預かっておりまする責任の問題から言えば、正直に言って、私の方のいろんな不注意というか、あるいは惰性というか、補助金その他の使い方が適正でないところもございます。ここはむだだとか、あるいは余り目的どおりに使われていないところもございます。これは厳しくやらなければならぬと思います。次には、適正ではあるが、使い方が、本当に困った人のところには金が行かずに、困った人も余り困らぬ人もぬるま湯みたいな使い方というのはやめなきゃならぬと思います。 ただ、預かっている以上、これだけは断じて国がどんなにつらくてもできない、それをやれば財政再建、国を立て直すという目的から外れてしまって国をつぶすことになる、そこでやむを得ざる必要なものは、これだけはぜひ確保したいと申し上げておるわけでありますが、このいま申し上げました問題はそのやむを得ざる範疇に入ると私は考えております。
○広田幸一君 そこで、基本的な大臣の考え方はいま承ったんですけれども、同和対策特別措置法による事業が五十五年度までに十二年間やられてきたわけでありますが、将来のことは別として、過去のそういった事業として、厚生省の所管に係る事業として特に福祉関係が物足りなかった。たとえば地域の道路を整備するとか、そういうことには比較的力が入っておったようでありますけれども、この福祉の問題——先ほど大臣は、生活保護家庭も一般よりも数倍も多い、身体障害者の率も多い、そういうようなことをおっしゃっておったわけでありますが、私が大体概算しますと、四十四年から五十五年までの十二年間に厚生省の関係で二千九百五十億円の金が使われておる。これに五十六年度が七百億円計上されておるわけであります。合計で三千六百五十億円になるわけでありますが、この中に、一番むずかしい問題ですけれども、そういう生活保護、老人、身障者、そういう者に対する具体的な予算というものがほんのわずか、五%ぐらいしかないように思うんでありますが、この辺についてどういうふうに、過去の十二年間の厚生省がやってきた事業に対して、反省というか、振り返ってどうごらんになっておりますか。大臣、局長でも結権ですから、その辺をひとつお答え願いたい。
○政府委員(山下眞臣君) 先生御指摘のとおり、従来厚生省がやってまいりました事業の概要は、地区道路等の生活環境施設の整備、これが予算的には非常に大きな比重を占めておるわけでございます。 ただ、そのほかにも御指摘のような努力は一応はいたしておるわけでございまして、たとえば隣保館の設置、そこにしかるべき職員を配置をして、相談事業、隣保活動を行うということでありますとか、一昨年からは生活相談員という制度を設けまして職員の配置に心がけておるというようなところでございます。ほかになお、巡回保健相談指導、あるいはトラホーム予防等の保健対策、あるいは保育所における保母の加配等の特別保育事業等々の保健福祉の事業につきましても、私どもなりの努力は重ねてきたつもりでございます。しかしながら、確かに比重といたしまして、とりあえず急がれる環境整備、これにつきまして予算的に大きなウエートをかけてやってまいったということは事実でございます。 今後のことにつきまして、実は最近の一番新しい同和地区の情勢等も把握いたしたいということで、現在都道府県等とも連絡をとりまして、そういった生活保護、老人、身障あるいは健康状態等の実情把握に現在努めておるところでございます。そういったものを含みまして今後のあり方というものをやってまいりたいと思っておりますが、気持ちといたしましては、隣保館、福祉事務所等、そういった関係機関を通じまして、相談指導あるいは福祉活動等にも活発な努力を続けていきたいと、かように考えております。
○広田幸一君 局長、これは答申が出ましたのが昭和四十年でありますから、答申に基づいて四十四年から法律ができておるわけでありますから、現在まで十六年かかっておるわけでありますね。あの答申の中には、福祉問題については実態を調査して福祉計画をやるというふうになっておるわけでありますね。そういう意味からしますと、私はもうすでに、いまからやるということではなくて、いまやっておるということではなくて、すでにそういう実態というものが把握されて、それに対する対応の措置というものが、仮に内容的に不十分なものであったとしても、ぼくはできていなきゃならないと思うのでありますが、いささかその点については怠慢である。大臣が積極的にやらなければならないとおっしゃっておるのに事務当局がおくれておるというのは、本当に部落を解放するというそういう情熱といいますか、やってやらなきゃならないという、差別を解消していかなきゃならないという、そういう真剣な気持ちというものが担当の部門になかったではないか。なぜ今日までそういうものがおくれておるのか、この辺について、理由があればそれも含めて御答弁願いたい。
○政府委員(山下眞臣君) 四十年の答申以降、政府全体といたしましては、四十二年あるいは四十六年、一番新しいものにつきましては昭和五十年に全国同和地区実態調査というのが行われておるわけでございます。その中におきまして、先ほど先生もお触れになりましたような、生活保護率が高い非常に貧困な状態に地区が置かれておるというような実情等も一応の把握はできたということであったわけでございます。 それをもとにいたしまして、先ほど申し上げましたような隣保館活動、生活相談活動あるいは保育事業、保健事業等の実施をいたしてきておるわけでございますが、決して私どもそれで十分だというふうに考えているわけでもございません。かつまた、五年前の調査でございますので、最近の事情も把握をしなければならぬということでただいま調査をいたしておるという状況でございまして、そういった面についての努力が十分でなかったという先生の御指摘、これはお受けをしなければならぬと思うわけでございますが、私どもといたしましては、できる限りの私どもなりの努力を続けてまいりたいと、かように思っておるところでございます。
○国務大臣(園田直君) 私からも一言申し上げさせていただきます。 いまの御指摘の点は、先ほど私、数字を挙げましたが、あの数字は大まかではありますが、あれ以下ではないと思っております。問題は、いろいろ努力はしてきておりますが、同和地区の公共事業その他日につくものは非常に努力してきたが、いまは一人一人の生活の向上、一人一人の問題を解決すべきときでありますから、今後は目につくことよりも、一人一人の問題を解決するという方向にお金も行政も重点を置かなければならぬと思います。
○広田幸一君 局長、それで足りないところがあったということは別にして、いま調査しておるというわけですから、そうするとこの同和対策特別措置法というのは、五十六年度で切れるわけでありますから、これが延長になるかどうなるかということは未知数なんでございますが、いま厚生省として、さっきからいろいろと質疑をしておりますように、私はたくさんの問題が残っておると思うんです、ですから、これから残された事業というものをどう把握して達成するかというような基本的な考え方についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(山下眞臣君) まず、前からやってきておりますいわゆる生活環境施設の改善事業、物的事業でございますが、これにつきましても、率直に申し上げまして、今年度なお次年度まで持ち越す継続事業というものもございます。かつまた、やりたい、またやる必要があるというような事業でございましても、その地区の実情によりまして、あるいは土地問題が話がついていないというようなことのために後ろにずらさざるを得ないというような事業もございます。そういう意味におきまして、生活環境施設の事業につきましても、なお残事業はあるということは私は認めざるを得ないと思うわけでございます。 ただ、その残事業がどの程度あるか、かつまたその数量はどうであるかということにつきましては、現在関係都道府県と連絡を取り合いまして最終的な詰めを行っておるところでございますので、もうしばらくお時間をいただかなければならぬという実情にあるわけでございます。 かつまた、保健福祉面につきまして先生から御指摘ございました。その点につきまして、ただいま力を合わせて調査をいたしておるというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、典型的に申しますれば、隣保館活動でありますとか、あるいは生活相談員の事業でありますとか、各種のそういうソフトな福祉事業というのは、時を切っていつまでにこれを終わらせるという性質のものではございませんので、当分これは続けていかなければならぬ事業である、かつまた力を入れていかなければならぬ事業だというふうに認識をいたしております。
○国務大臣(園田直君) 大事な問題ですから一言だけ。 措置法の問題があります。これは来年三月で切れることになっております。これを延長するかどうかということは、正直言って、与党内では賛否両論でいろいろ意見がございます。総務長官の所管でありますから、私がその方針をお答えするわけにまいりませんけれども、私はいままでお答えしました方針でこれに努力をするつもりでおりますが、問題は、この措置法がどうなるかということとは無関係に、私がお預かりしておりまする対策は減ったり切れたりすべきものでは断じてない、こう思います。
○広田幸一君 大臣のいまの御発言、私はしっかりと確認をしておきまして、積極的に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、いま局長の方がこれから努力するというふうにおっしゃっておるわけです。大臣もそうおっしゃったんですが、私はせっかく資料持ってきておりますので、本当に実態がどういうことであるかということをひとつ申し上げたいと思うんです。 実は、私は田舎の鳥取市の住人でありますが、鳥取市内に古海という部落がございます。これは未解放部落でありますが、そこと隣合わせの部落が一つあるわけです。両方の部落の婦人の健康状態はどういうことであろうかということで、実は昨年の十月に調査をやりました。これは岡山大学の医学部の衛生学教室助手の中桐仲五さんという先生でありますが、去年八月の三日から九日までの一週間にわたりまして、婦人八十八人について実施しておるわけでありますが、実に詳細なデータが出されております、一週間もやられたわけですから。これは今度五月の全国の衛生研究学会に発表されるという権威あるデータになっておるようでありますが、これを一々全部申し上げるということは時間もございませんからこれは省略いたしますが、私はこの中で端的な事実を一つ申し上げたいと思うんであります。 いかに未解放部落の人たちの健康状態が悪いかという証左に、健康を維持していく上の休養条件である睡眠の充足度が非常に低いわけであります。したがって、疲労の蓄積もまた非常に大きいわけであります。そういうことが重なって有病率も高いし、特に母体が悪いということを証明されておる事実を申し上げたいと思うんであります。 この古海という部落と一般部落の徳尾という部落でありますが、これを比較いたしまして、子供が産まれてくるときの体重でございますが、これが古海部落の場合は二千五百グラム以下の小さい子供が全体の一二・八%を占めておるわけです。ところが、隣接しておる一般部落の徳尾というところでは、同じ数字の子供が五・三%。私はこの数字というのは、産まれてくる子供たちのこういう状態というものは被差別部落の人たちの生活の実態の集約であると、こういうふうに思っておるわけであります。 ですから、最後にこの先生がおっしゃっておるのは、とにかくこの部落の実態というものはこういうことだから緊急に措置していかなきゃならないと、そういうことをおっしゃっておるわけでありますね。ですから私はその事実を申し上げて、これからやるということでありますけれども、こういう現実を踏まえてやっていただきたいと思うんであります。私も同じ市の住民でありますから、こういうことを最近聞きまして急がなきゃならないと、こういうふうに思っておるわけでありまして、こういう事実を申し上げておきたいと思うんであります。 それから私は実はこういった資料ももらっております。本当は私もどうかと思ったのですけれども、非常に斬新的なお考え方を持っておられる大臣の出身地の熊本県でもいろいろ問題が起こっておるのであります。これはことしの二月の全国の部落の実態調査の報告会で出てきたことでありますけれども、熊本市のA地区の行政差別の問題でありますが、ここで昨年実態調査をやっておりますが、対象が五百世帯、そのうち生活保護が百三十一世帯、二六・二%、失対事業に従事しておる者が二百世帯、四〇%。全く安定した仕事についていない。安定した仕事についているのは十五名ぐらいである。ほとんどがその日の暮らしで困っておる状態である。また過酷な労働実態や貧困のために障害者が非常に多く、九人に一人もおる。こういうふうな実態が実は出ておるわけでありまして、私も、委員会で大臣にこういうことを言う場合もあるから本当にこうなのか、ということを確かめましたら、間違いないと、こう言っておるわけであります。A地区の人たちは何とか少しでも安定した仕事につきたいという切実な願いから、大型共同作業場の設置を要求しましたところが、熊本市は全く耳を傾けない。こういう実態でありまして、いわゆる行政差別が起きておるということであります。大臣はこのようなことを初めてお聞きになると私は思うんでありますが、私は真実かと言えば、真実だと、こう言っておるわけであります。 それからもう一つ、山鹿市というところのI部落の実態につきましても、ここは土地が非常に低くて、菊池川の河川沿いにございまして、大雨が降りますとはんらんをして水びたしになる。そういう水の被害によって非常に多面的な被害を受けておるわけでありますが、ここで菊池川の堤防をつくって排水のポンプを要求したところが、山鹿市当局は、現行の特別措置法の枠の中では無理であると、こういうふうなことを言っておるということであります。 こういうことは、私がえらいいやみで大臣に言っておるように聞こえますけれども、そういう意味でなくて、大臣によく認識をしてもらう、こういう意味で申し上げておりますので、その辺は御了解いただきたいと思うんですが、私はこういうところはあちこちにあるのではないかというふうに思っておるわけですね。ですから、あえてこの委員会で私がそういうことを申し上げましたのは、本当にそういう実態にあるということを関係者の皆さんに承知してもらって緊急な対策をやってもらいたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。 以上申し上げたことについて、大臣でも局長でも結構でありますから、ひとつ御答弁願いたい。
○国務大臣(園田直君) 恥ずかしながらそういう事実を存じませんでした。ありがとうございました。よく承りました。 問題は、市も県も同和地区対策というと、その枠内で物を解決しようというところに問題がある。一般公共事業、一般市、一般県の問題でありますから、そこで解決をして、それに同和地区対策の費用を上積みをするということでなければ、同和地区対策費だけで解決しようということになれば、いつまでたっても差別はなくならぬと思います。 私、熊本でございます。局長も熊本でございまして、まことに恥ずかしいことでございますが、これは個人の問題でありますが、知事や市長にもよく私自身が折衝いたします。
○広田幸一君 大臣が非常に積極的な前向きな答弁をしていただきましたので、どうも私もこれ以上追及するのもと思うんですが、この答申の中を私はやっぱり考えてみなきゃならぬと思うんですね。 それで、この答申の中を見ますと、いま大臣がおっしゃった、周囲の環境とか、そういうものはだんだんとよくなっておるけれども、個人個人がまだまだ残されておるという問題でありますが、この答申の中に、「社会福祉に関する対策」の項がありまして、その中を見ますと、こう書いてあるわけであります。ちょっとお聞き願いたいと思うんです。「地区における社会福祉の問題は、単なる」——ここが問題。「単なる一般的な意味での社会福祉ではなく、差別と貧困がかたく結びついた同和問題としての社会福祉の問題としてとらえるべきで、その対策の目標と方向は、」「同和問題の特殊性にかんがみ、対象地区住民の個人および集団の諸問題を社会福祉の対象とし、一般的な社会福祉との関連の下に同和問題としての社会福祉を位置づけ、実効ある諸施策を積極的に実施すること。」。 結局、私の言わんとしますことは、答申の中にうたわれておるのは、いわゆる社会全般をよくしなきゃならぬわけですが、特に同和部落というものは条件が非常に悪いから、一般的な見方よりももう一歩進んだ施策をしなければならないと、こういうふうに書いてあるわけでありますが、この辺の理解についてどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、地区のそういった福祉施策、これにつきまして従来どういうことをやってきたかということにつきましては、先ほども申し上げましたようなことで、隣保館活動、生活相談員活動、あるいは福祉事務所等における相談活動等の充実強化ということを心がけてきたわけでございますが、ソフト面の個々の置かれておる生活状態というものにつきまして、生活保護の状況、あるいは老人世帯の状況、身障世帯の状況等、ただいま調査をいたしているところでございます。 御指摘のようなことを踏まえまして、今後の同和対策のあり方というのは、総理府を中心にしまして各省相集まりまして、この夏までには検討してやっていきたいということに相なっておりますので、踏まえまして十分の努力をさしていただきたいと存じます。 〔主査退席、副主査着席〕
○広田幸一君 この答申にはいろいろ書いてありますが、ちょっと数点具体的に申し上げてみたいと思うんです。 これは婦人の健康、育児等の問題になりますが、こういうふうに書いてあるわけですね。「対象地区婦人の就労状況に鑑み、乳幼児保育所および児童の健全育成のための児童館等の設置を促進すること。また各種医療機関、保健所など公的機関、施設による家族計画、育児、母子保健、生活の合理化などに関し適切な指導を強化すること。」。 こう書いてあるわけですが、これは何をやっておられるかというと、保育所の設置とか、保母の加配とか、巡回保健相談というのは、十分ではありませんが、それなりにできておるわけでありますが、医療問題等につきましては、先ほど鳥取市の古海の実態を申し上げましたけれども、そこなんかについては余りこれはやられたような形跡がないわけでありますね。 もう一つ申し上げますと、これも一遍に読んでしまうからなかなかすぐは理解できないと思うんですけれども、「対象地区の社会福祉活動を推進する専門ワーカーの養成、配置に努めること。そのために社会福祉関係大学等の教育機関との連携を緊密にし、専門ワーカ一の養成を委託する等適切な措置を講ずること」。こういうふうになっておるわけでありますが、確かに隣保館はできました、指導職員もおります、生活相談員もおりますが、ここで言うところのいわゆる専門ワーカー、これには身体障害者の福祉司もおるでしょうし、老人福祉司もおるでしょうし、母子福祉司もおるでしょうし、児童福祉司もおる。そういうような者の養成というようなことがこの十何年間せっかく答申があるにもかかわらずできていない。 ここなんかが、二つの例を挙げましたけれども、なぜこういうふうになっておるのか。これからやろうとするのか。
○政府委員(山下眞臣君) まず、後段の方の社会福祉関係の専門ワーカー、専門職員の養成、地区のみならず全国的に必ずしも真の意味の専門家というのはまだ不足しておる状態にあるわけでございます。厚生省といたしましては各種の努力はいたしております。日本社会事業大学に対しまして委託教育をお願いいたすとか、あるいは厚生大臣が指定します社会福祉司の養成機関あるいは都道府県や指定都市が実施いたします社会福祉司の資格認定講習会、こういったものの活発な援助もいたしておるところでございます。 かつまた、先生のお話にもございましたとおり、隣保館に専門職員を配置いたしておりますが、この職員の研修会等も厚生省も入りまして行っておるということの努力は続けておるわけでございます。 かつまた、地区を担当いたします福祉事務所につきましては、ケースワーカーの配置等につきましても配慮をいたしまして、経験の豊かで、かつまた数の面においても配意をするというようなお願いもいたしておるところでございまして、私どもなりの努力はいたしてきておるつもりでございますけれども、何分にも全国的に専門的な職員の充足ということが十分でないという実情が反映しております点は、御指摘のとおりだと思いますので、今後とも努力をいたしてまいりたいと思う次第でございます。
○広田幸一君 いろいろあると思いますが、いまおっしゃったように前向きにそういうものを設置すべく努力するということを確認しておきたいと思います。 それから、これは多少むずかしい問題ですが、この答申の中に、特にさっきから出ております生活保護家庭が非常に多いわけでありますが、この生活保護家庭に対する公的扶助の保護基準を引き上げるという問題、このことがこれに書いてあるわけであります。しかしながら、生活保護を決めるときの基準というのは、これは一般論として言われることでありまして、特にこの被差別部落の生活実態が悪いから特別に基準を上げるというようなことは困難であろうというふうに私は思うんです。 そうは思いますが、しかしながら、さっきから言っておりますように、「公的扶助の保護基準額を引上げること。また、各種社会保険の被保険者負担を軽減するとともに保険給付の内容を改善すること。さらに保険未加入者解消のための適切な措置を講ずること」。これは昭和四十年のときでありますからね。国保の場合は三十六年にできたわけですから、まだ日がたっておりませんから、そのころは国保に入っている人が少なかったと思う。いまは大方入っておられると思うんですが、その当時の事情とは若干違うと思うんですが、私はここらの点はどういうふうに理解したらいいのか。さっき前段申し上げた、一般よりもう少し進んだ施策をせよというああいうことがあるわけですが、この辺についての解釈はどのようにとったらよろしいのか。
○政府委員(山下眞臣君) 生活保護の制度というものにつきましては、先生よく御承知のとおりだと思うわけでございます。無差別、平等の原則というものでございまして、原因のいかんを問わず、かつまた理由が何であれ、現に置かれておる状態につきまして国民にひとしく最低生活を保障するという鉄則に立ちました制度であるわけでございます。したがいまして、生活保護の中におきまして、その基準の中におきまして特別の別の基準を設けるということは、これはまず不可能に近い非常に困難な問題だと思うわけでございます。 ただし、この答申書にもございますように、生活保護制度自体が地域も含め全国民の最低生活を保障する制度でございますから、これの充実強化ということにつきましては、最大の努力を払わなければならぬというのは御指摘のとおりでございまして、明年度の予算におきましても八・七%のアップ、少人数世帯につきましてはこれを上回るアップということで、他の多くの予算に比べまして非常な充実を図ったというふうに私ども考えておるわけでございます。 基準自体につきましてはそのようなことで御理解をいただきたいと思うわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、地区は置かれておる環境が非常に苦しゅうございますので保護率も高こうございます。相談等につきましても、十分これは親切にかつまた親身になって応じていかなければならぬと思うわけでございます。ケースワーカー等福祉事務所の活動等に当たりまして、そういった気持ちで行政に当たるということにつきましては御指摘のとおりだと思うわけでございますが、基準自体につきましては、先ほど申し上げたような考え方でいかざるを得ない事情にございますことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
○広田幸一君 生活福祉ということを重点に私、言ってきたんですけれども、大臣どうでしょうか、同和対策特別措置法の中で環境整備とか、これは農業関係等いろいろ広範にあるわけですけれども、特別措置法の内容、生活福祉ということが、少し軽視されるというと表現があれですけれども、法律の中に取り入れられる施策というものが不十分であったというふうなぐあいに私は思うんですが、所管の大臣としてどうでございましょうか、この点について。
○国務大臣(園田直君) いまさら言っても追いつかないことでありますが、措置法の基本的な問題が同和地区の対策費として考えてある。問題は、先生の御発言にもありますように、同和地区の人人は、公共事業についても社会福祉についても一般国民としての同等の権利を持っている。したがってそれは一般国民と同じように受ける権利がある。ただ、差別をなくするというのは、その上に上積みをしなければ差別はなくならぬわけでございまして、その点がどうも明確でない。この点は、今後はこのようなものをつくるときには、額は別として、一般の平均よりも同和地区の差別をなくするための分だと、こういうふうにした方がいいんじゃないかと、こう思います。
○広田幸一君 差別事件に対する行政処分についての見解、これは大臣にそういうことを聞くのがいいかわかりませんが、こういう機会がありませんので、ひとつ見解をお聞きしたいと思うのでありますが、これは衆議院の議事録を見まして、厚生関係では福岡県の医療保険協会、それから大蔵省関係では各銀行とか、政府の各省庁の指導監督下にある事業所、団体等におきまして差別的な行為があって、これがいろいろ追及されて、各大臣とも、まことに遺憾である、そういうことのないようにこれから指導し、努力するという答弁に終わっておるようでありますが、私は厚生省関係で出ている問題とすれば、福岡のあの医療協会に対して大臣は、本当にああいうことがあっていいのかという、最大級のお言葉を使って、本当に戒めなきゃならないとおっしゃっておるわけでありますが、具体的にどういうふうにしてやっていくのか、これをやっていかれるのかというのがそれが一つの問題。 それからいま前段申し上げましたように、一般論としてそういうものが起きた場合には、たたしかっていくということだけでなくて、やっぱり問題によっては行政処分をやるというような厳しさというものが必要ではなかろうか。私はそう思うんでありますが、その辺のことをあわせてひとつ御答弁を願いたい。
○説明員(正木馨君) ただいま先生御指摘の福岡県のケースでございますが、福岡県の社会保険医療協会で、非常に残念なことでございますが、就職差別の事件がございました。この協会は、当初は炭鉱医療施設の経営を受託するということで昭和二十六年に発足いたしましたが、福岡県知事の認可の財団法人でございます。その後、炭鉱医療施設関係がだんだん減ってまいりまして、現在では一般の地域診療を行っております。名前に社会保険医療協会とございますが、現在におきましては、一般の診療をやるということで社会保険とは関係ないと申しますか、状況になっております。 ところで、この事件は、当協会が昨年の十一月に五十六年度の採用試験を行いましたところ、二名の採用内定をいたしました。その二名につきまして、率直に申しまして、身元調査をいたしました結果、その一名の某君が同和地区の出身者であるということを理由に採用を取り消したというケースでございます。まことにとんでもないといいますか、言語道断な事件でございます。 私どもも福岡県から報告を受けまして、県として強力な指導をやっていかなきゃいかぬ。どういうことをやっていくかと申しますと、御本人の就職ということを極力お世話するように努めなきゃならぬということが一つでございます。これにつきましては、おかげさまで解決の方向に向かっておるというふうに聞いております。 それから第二に、協会自体の問題がございます。こういう事件を起こしますというのは、やはり協会が同和問題に対する理解と認識が欠けておるということの証左でございます。そういう意味でこの協会自体の体質を改善していかなきゃいけないということで、これも福岡県からの報告を受けておりますが、同協会に専門の責任者の副会長を置きまして同和問題に真剣に取り組む。同時に、この協会は七つの病院を経営しておりますが、そこに同和対策の推進委員というものを設置いたしましてこれから研修を進めていくということで、現在同協会は自発的に研修計画を作成中でございます。この研修計画を出しましたところで県も十分指導いたしまして学習に努めていく。今後二度とこういうような事件が起こらないようにということを、県も挙げ、私ども社会保険庁の関係するところ、関係団体にも厳重な指示を行っておるところでございます。
○広田幸一君 大臣、いま関係の方からそういう現状の報告があったわけですけれども、厚生省全体として少なくともそういうことが将来各部門にあってはならないことだと思うんでありますが、このことについて大臣としての今後の取り組みについて見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) まことに申しわけないことでありますが、特に私が残念でありますのは、役所に変わりはありません。変わりはありませんが、差別をなくする本家本元である厚生省の関連の協会でそういうことがあったということが非常な申しわけないことだと私は存じております。 行政処分の話が出ましたが、いま局長が申し上げましたとおり、大臣はこの協会に対する行政処分の権限はございません。しかしながら、県を通じて体質改善、人事の入れかえ等は厳重にやるべきであって、しかもそれを厳重にやることが今後他の協会や法人等に対する一つの注意というか、自覚を求めることになるわけでありますから、その点十分配慮してやりたいと考えております。
○広田幸一君 その行政処分の問題ですが、これ以上私はただしませんが、参考までに申し上げておきますと、昨年の十月の二十三日にこれは毎日新聞に出ておる記事でありますが、大阪府におきまして、そういう差別的な行為をした業者に対して建設工事や物品購入の入札指名を停止する、こういう行政処分に踏み切っております。こういうことを各府県でもやっておるという実態を参考までに申し上げておきたいと思います。 以上で私は同和対策についての質問を終わりたいと思いますが、大臣の積極的な御答弁をいただきまして本当にうれしく思っておりますし、今後一層厚生省として努力していただきたいと思うんですが、さっき大臣がおっしゃっておったんですけれども、こういうことをやっていくためには、私は財政的な問題もあろうと思いますけれども、残事業がまだ相当あると思うんです。その意味において、いま問題になっておりますところの同和対策特別措置法を延長するとか、中身を改正するとか強化するとか、その必要性があると私は思うんであります。で、総理大臣もこのことについては、今後部落対策問題については遺憾のないようにしたいと、こういうふうに衆議院の方では御答弁になっておることは大臣御承知のとおりであります。ただ、同和対策特別措置法を延伸するとか強化するとかというところの詰めまではまだいっていないわけでありますが、大臣の先ほどの言葉の中にあったんですけれども、最後にこのようなことについての見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 先ほどから申し上げましたとおりに、同和地区の差別をなくする問題というのは、なかなか残存事業ではなくて、まだまだ根深いものがあってこれから先が大事だと、私はこう考えております。 したがって、そういう観点から、この措置法の問題については、所管でありませんから私が方向を言うわけにはまいりませんが、私はそういう観点から努力をする覚悟でございます。
○広田幸一君 続きまして、私は腎臓病の人工透析患者の治療中の食事提供の問題について関係者にお尋ねをしますが、現在どういう状態になっておるのかまず御答弁願いたい。
○政府委員(大和田潔君) 先生の御質問は、人工透析患者に対する食事の問題ではなかろうかと思います。これにつきましては、現在この人工透析患者につきましては、これの医療費の支給は食事を含めたそういうものを対象にしておるというような取り扱いになっておるわけでございます。 そこで、実は先生に昨年の四月この分科会におきまして御指摘を受けたわけでございまして、そういったような取り扱いになっておるにもかかわらす食事を出してないというケースが多々あるではないか、こういう御指摘を受けたわけです。私どもその御指摘を受けまして、さらに県に対します個々の指導、あるいはその後全国の課長会議、さらに県に勤務しております医師、つまり医療専門官でございますが、その会議を再度にわたりまして開きまして、その旨を指導徹底してまいったわけでございます。現段階におきましてはかなりこれが是正されておるというふうに私ども聞いておるところでございます。
○広田幸一君 局長、いつですか。医師関係者を集めてその趣旨の徹底を図ったというのはいつかということと、どういうふうな意味の趣旨の徹底を図ったんですか。 これはいままでも私が指摘しておりますように、あの課長通達というのは、医療機関によっては、とりようが、出さなくてもいいというようなぐあいにとれるからそこに問題がある。だからそういうあいまいな出し方ではなくて、明確にしなさいということを二回にわたって私は社労委員会のときにもやっているわけですね。この間のときは石野局長がそういう点は明確にしますと言っておる。私は委員をやめたわけですから追及する機会がなかったんですが、よく最近聞いてみますと、まだまだそれが徹底してない。何か委員会で私が一回や二回言ったことはその場限りに終わってしまっておる。しかも昭和五十三年の二月一日の医療費改定以来ですから、三年間でしょう。その間患者同盟としても何回もそのことを厚生省に言っている。それに対して的確な指示がないといって患者は怒っておるんですよ、自分たちは弱い立場ですから。 透析患者の医療費が高いということは私もよく知ってます。市町村における国保の財政を非常に圧迫しておるということは知っておるわけですよ。しかし、あの人たちはあのために職業も安定しないし、夜間透析にも行かなきゃならぬという、そういう厳しい状態の人たちをもっと温かくするというような施策がなぜ今日までなされていないんですか。
○政府委員(大和田潔君) 具体的な指導、会議でございますが、これは先ほど申しました、県に対しましては個々にやっておりますので、これはいつということは申し上げられませんが、全国課長会議は昨年の十二月に開いております。また一月にも開いております。それからさらにことしのごく最近でございますが、三月に医療専門官を集めておるわけでございまして、そういったようなことでございます。 で、先ほど申しましたように、大分よくなっているというふうに聞いておりますが、先生の御指摘のようにまだなかなか改善されてないということでございますれば、またさらに私どもといたしましては改善を具体的に進めていかにゃならぬというふうに考えておるところでございます。
○広田幸一君 局長、あれは時間が五時間から長いのは九時間になるわけですから、当然やっておる間に食事の時間は来るわけですよ。夜間透析の人は、働いてすぐ職場から病院に行って夜間透析を四時間、五時間も受けるわけですから、その間に食事時間があるわけですよ。その間は当然に医療機関が食事を供給する、こういったてまえなんですよ。その点数は全体の点数の中に含まれておると、こういうふうになっておるわけでしょう。そこのところが医療機関として明確になっていないんですよ。 だから、あれは食事を提供した場合でもその点数の中に含まれるというふうになっておりますから、ですから五十三年の二月一日の医療費改定以前は供給しておったところが、あの改定になって、ああいう通知がきたから出さぬでもいいというふうにしてずっと三年間出していないんですよ。そこなんかのところは出すべきであるか、出さないのか。そういうところまではっきりと全部の医療機関、県なら県に指導するということをやれば私は問題ないと思うんですよ。ところが、なぜそういうことが三年間もたつのにできないのだろうか、私はそこがわからないんですよ。
○政府委員(大和田潔君) 先ほど先生おっしゃいましたように、そういったてまえであるにもかかわらず、この通知自身、前回の医療費改定以後でございますね、物と技術というものが一緒にされたというようなそのときの通知でございますが、それがややあいまいである。これから問題が出ておるのじゃないか、こういうような御意見だと思います。 私どもも先ほど申しましたように再々にわたりまして指導しておりますが、もしそれが徹底してないとすれば、この通知に問題がある。この通知に問題があるということは、むしろ五十三年の医療費改定に、おけるああいう物と技術を一緒にした、そういうところに問題があるのかもしれない、こういうような気もするわけであります。そういたしますと、この問題は通知等の問題よりも、むしろその医療費の立て方について論議をしていかなきゃならぬのではないかといったようなことも考えられるのでございます。 その医療費の問題につきましては、これは中医協に審議をしていただかなきゃならぬわけでございますが、そういったようなことも、実態を見まして、そういったこともやはり検討していかなきゃならぬかなというようにも考えておりますので、なおこれにつきましては前向きに検討していきたいと思います。
○広田幸一君 やっぱり局長、わからぬですよ、いいですか。透析時間中に食事が供される場合であっても所定点数に含まれるものであると、こうなっておるわけでしょう。そうすると医療機関はどういうふうにとるんですか。何もはっきりしておるんじゃないでしょうか、これは。少なくともいままで私が質問しましたときに、確かにそういうふうに答弁があったと思うんですが、いわゆる治療中に食事の時間が来たならばそれは出すたてまえであると、こういうふうに言っておるわけですからね。そのことをはっきりと各県、医療機関に言ってやれば問題はないんじゃないですか。だから、局長がおっしゃったように、今度の医療費の改定の時期に明確に審議会でもってやってもらったらいいというのはちょっと腑に落ちませんよ。
○政府委員(大和田潔君) 指導につきましては、先ほど申し上げておりますように、配意あるいは個々の県に対する指導は、先生のおっしゃるように、この趣旨につきまして、食事が出された場合は含まれるのだということであるという指導をしておるわけでございます。したがって、私どももその指導が徹底しつつあるというふうに考えておったんでございますけれども、なおそういうような不徹底な面があるならば、もう少しはっきりと医療費の改定のときにこの問題をさせるべきではないかと思います。——先生のおっしゃるように、この通知を出してはっきりさせるということにいたしたいと思います。
○広田幸一君 三年たってまだそういう実態があるわけですからね。だから、ひとつ調査をして即刻そういうふうに処置してもらいたいということを特に、要請して私の質問を終わります。
○和泉照雄君 私は、新薬に係る治療実験について質問を展開してまいりますが、最近の新聞の報ずるところによりますと、二月の末に長崎市で開かれた消化器外科学会総会に出席した公立病院の医師を含む多数の医師がホテルの宿泊代金を製薬会社に払わせていたという問題が発覚をして、長崎県警二課が公立病院医師については贈収賄の疑いがあるとして内偵を始めたとありますけれども、この報道は承知しておられるのか、そして内債を始めたとありますけれども、これは事実なのかどうか。
○説明員(漆間英治君) ただいま御質問の件は、三月十九日付の読売新聞に載っておる件だと思いますが、私どももこの記事を拝見しまして、中に長崎県警の二課が内慎に乗り出したというようなことが載っておりましたので、早速現地に照会してみましたが、その時点ではこのような事実はございません。 ただ、載っております記事が、公立病院の医者が関連する業者にホテル料金等の負担を求めているというような内容の事柄でございますので、それなりの関心を持ってその後事実関係の調査を始めております。しかし現在のところはまだ具体的な詳細な事実関係は把握するには至っておりません。
○和泉照雄君 私は、昨年の決算委員会で国立大学医学部教授と製薬会社の癒着について、ちょうど今回と同じように学会に出席の宿泊旅費を支払ってもらったという問題がありましたが、これを厚生省と文部省に、問いただしたのでございますが、約一年たってもこの問題は根が絶っておりませんし、今回また公立病院で発生をしたわけでございます。きょう私が問題にします治療実験の問題も、治療実験を行う医師の側と行ってもらう製薬会社との関係のやはり癒着の問題がありますと、そのデータ等に大変な手が加えられるというおそれがございますので、そういうことも含めて、治療実験というのは人体実験でございますので、人道上の見地から、さらに治療実験の確立を図るという意味から質問を展開いたしてまいりたいと、このように思います。 厚生省にお伺いをいたしますが、治療実験の結果、中央薬事審議会で承認を受けた薬のうちで、新医薬品、つまり新有効成分含有医薬品として承認された成分と品目についてどのようなこの三年間データがあるのかお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 承認を受けました新有効成分含有の新医薬品、最近三年間の承認品目数は、五十三年三十七成分八十三品目、五十四年三十五成分百十品目、五十五年三十三成分百十三品目、こういう数に相なっております。
○和泉照雄君 そこで大臣にお伺いをいたしますが、毎年平均三十成分以上が承認をされているということのようでございますが、一成分について最低百五十例以上の治療実験を要することになっておるようでございます。中には実際上二百五十人以上の例を行わなければならないというような例もあるようでございますが、そうしますと毎年推定で五千人以上の患者が人体実験を受けていると、このようになるわけでございます。しかも治療段階で承認申請に至らなかった薬も相当にあると思われますので、それを含めますと、厚生省としても現状ではよく把握していないと思いますけれども、どれぐらいふえるか見当がつかないと思いますが、この五千人という人体実験を受ける患者、五千人にのぼるということについて厚生大臣はどのような所感をお持ちでしょうか。
○国務大臣(園田直君) わが国の死亡の順位、がん、循環系統その他、あるいは奇病がありまして、こういうものを救うために新しい薬が開発されることは、厚生省としてもそうでございますが、人類共通の願いでございます。 そこで、その薬を開発するためにはどうしてもいろいろ実験をやって、動物実験をやって大丈夫ということになれば、人様の体をかりて実験をしなければ、正式に薬としては認可できないわけであります。しかしそれをやる場合には、おっしゃいましたように、人間が実験体となってモルモットみたいに扱われるということは非常な問題でありまして、患者の納得、それからそれ相当の手続を踏む、そして人権を守ると、こういう点に十分留意してやらなきゃならぬというふうに考えておりますが、その点については薬事法改正等で逐次整備されておると考えております。
○和泉照雄君 警察の方は結構でございます。 では、薬事法の立法の趣旨と治療実験を取り入れた今回の薬事法の改正に至るまでの背景とその経緯、改正内容及びこれに伴う施行令の内容について簡単に報告していただきたい。
○政府委員(山崎圭君) もう先生十分御案内でございますので、要点だけをお答え申し上げさせていただきたいと思いますが、先般の薬事法改正は、言うまでもなく新薬承認の厳格化を初めにいたしまして、従来から私ども行政指導によって行けてまいりました施策の実績を踏まえましてその徹底をさらに図っていくと、こういうことが改正目的の眼目であったと思います。要は、業務行政につきまして一番重要であります医薬品の有効性、安全性の確保、これが主眼でございました。 その中におきまして治験の取り扱いという問題が登場したわけでございまして、これは一つはいま大臣から御答弁申し上げましたように、新しい薬を開発する場合に、その薬の有効性なり安全性というものをさらに徹底するという見地から、その臨床データなりあるいは動物実験データというものをきちんとやらせる、あるいはそれをしっかりとらせる、こういう目的が一つ。そして、その治験につきましては、ただいま先生御指摘のような人権保護といいますか、人権擁護といいますか、そういう見地からあえて条文を起こしまして改正を加えたわけでございます。 そしてその中身は、これは一つは治験を依頼しようとするサイド、つまりメーカーと言ってもよいと思いますが、これが治験の依頼に際しまして、厚生省で定めようとする基準、これはすでに定まっておりますが、その基準を守ってもらう。基準の遵守義務を課したということと、もう一つは、この治験の依頼をしようとするメーカーサイドはあらかじめその治験の計画を厚生大臣に届け出ろと、こういう義務を課したということ、及び仮にもその治験の依頼の実施上においていろいろと不都合な問題が起こった場合に、これは人体の危害防止、こういう意味からでございますが、その治験の依頼の取り消しなど必要な指示を行うことが厚生大臣の権限として与えられた、これが中心でございます。 なお、いま申しました遵守すべき基準のポイントは三つ、四つあるわけでございますが、一つは、人体に対して治験を行う前提としては、必ず必要なそれ以前の毒性、薬理作用等に関する前臨床試験と呼んでおりますが、動物実験その他の試験が完全に終わっていることが条件である。それからその試験の結果その他、治験に際しまして、それの情報を十分治験を行うサイドに知らせるべきである。それからその治験の依頼先は、十分な臨床観察なり試験検査を行うことができる、あるいはまた緊急時に必要な措置をとることができるというような、その治験を適切に実施し得る医療機関あるいは研究機関に対して依頼しなければならぬということでございます。それからさらに、治験の依頼先に対しましては、原則として治験の内容を被験者に説明してその同意を得るよう要請すると、これが遵守すべき事柄の主なポイントでございます。 以上でございます。
○和泉照雄君 いま御答弁のあったとおり、薬事法の改正は治験を依頼する側の製薬会社の規制というのが主なようでございますけれども、治験を実施する医師側の規制といいますか、そういうようなことで、今回治験に関して医師法の改正まで至らなかった理由についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 医師法は、先生御案内のとおり、医師でなければ医療を行うことができないとしまして、その医師の資格を厳しく限定し、医療行為に伴う危険の除去を図っております。 医療行為に関しましては、医師の大幅な裁量を認めておりまして、原則として個々の医療行為には介入しないというようなたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、医師は患者が必要とする診療につきまして、自分の知識あるいは経験のベストを尽くして診療をするということで、その内容については医師の裁量にゆだねているというような仕組みになっておりまして、先生が言われている、患者がある治療によって危険にさらされるというようなことも医師は考慮に入れて、最も望ましい治療を行うということを現行法でも決めておるわけでございますので、特にさらに医師法を改正するという必要はないのではないかというふうに考えております。
○和泉照雄君 じゃ次は、薬事法と医師法とのはざまにある治験における同意の問題について話を進めてまいりますが、先ほど大臣も認識されたとおり、治療実験というのは人体実験でございますので、その治療実験を受ける人の同意というのが一番大事じゃないかと思うわけでございますが、法務局の方はおいでですか。——もし仮に同意なくして治験が行われているとしたら、いかなる問題が発生するとお考えになるのかお答え願いたいと思います。
○説明員(水流正彦君) 御説明申し上げます。 先生御指摘のとおり、事柄の性質上、原則として、被験者に治験の内容等を事前に説明して、その。由意思に基づく同意を得た上でやるというのが原則であろうかと思うのでございます。しかしながら、施行規則にもございますように、治験の内容等を被験者に説明して治療を行ったのでは目的を達し得ない場合とかその他いろんな場合、例外的に同意がないからといって直ちに法律上違法であると言えないような問題もあるのではなかろうかと思います。 そういうことを踏まえて考えますと、まず同意を得ないで治験をやって、いろんな傷害その他の問題が起きたという場合には、もちろん人権侵犯という問題も出てくるわけでございますが、それに限りませんで、場合によりましては、いわゆる業務上過失致死傷罪、刑法第二百十一条になるわけでございますが、そういう場合、あるいは結果の発生等について認容と申しますか、そういう結果が発生してもしようがないというようなことでやったということになりますと、傷害罪とか傷害致死罪とかいう問題も出てまいりますし、あるいはそれ以外に民事的には民法第七百九条以下に不法行為という規定がございますが、これに基づいて損害賠償責任等の問題が生じてくる場合が出てくるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
○和泉照雄君 私の承知しておる中では、治療実験を受けた方々のお話では、いまから治療実験をやってこの薬を使いますよ、これはこうこういうことに効きます、そして副作用としてこうこういうことがありますよというような、そういうようなことのはっきりした説明はなくて、これはフランスから輸入された薬で非常に効くんですよ、飲んでみませんかというような簡単なことで始まっておることが多いようでございますが、そういうようなことでは私は同意を得たということにならないと思うんですが、いかがですか。
○説明員(水流正彦君) 御説明申し上げます。 専門的なことになりますと、私どもも専門外でございますのでわかりませんが、人権擁護という立場から考えますと、いま先生御指摘のとおり、同意を得たというためには、やはりその治験の目的なり、その結果どういう事態が起きるのかという点について、検査を受けるいわゆる被験者が十分理解できる程度の御説明があって、そして自由な形での同意といいますか、それでも結構ですという同意があって、初めて先ほど来申している被験者の同意があったということになるのではなかろうかと、こういうように思います。 しかし、先ほどもちょっと触れましたように、治験にはいろんな態様、いろんなものがあるようでございますので、そういう原則論ですべて押し通せるかどうかという点については若干検討の余地があろうかとは思うのでございますが、原則はただいま申したようなことになるんじゃなかろうか、こういうように思います。
○和泉照雄君 大臣にお伺いしますが、いまのやりとりですね、法務省の見解等をお聞きになって、同意ということに対してどうあらねばならないか、そういうことをどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 法律的な解釈を承ったわけでありますが、私の方としては、法律的解釈ということよりも人権、生命、健康ということが大事でありますから、詳細に説明をして、そして患者の納得をちゃんと得てやるのが当然であると考えております。
○和泉照雄君 治験に関して考えてみますと、治験を依頼する製薬会社と、治験を実施する医師と、それから治験を受ける人と、三者おると思うわけでございますけれども、いまの現行の体系の中からいいますと、いままでいろいろ申し上げたとおり、この同意ということに関してはなかなかはっきりした明文化されたものもないし、また的確な指示もないようで、患者の方々の人権の擁護という面から見ますと、非常に片手落ちではないか、このように思われてならないわけでございますが、今回の薬事法施行規則の一部を改正する省令の中でも、確かに五項、六項の中にいろいろと書いてあるようでございますけれども、その中では治験の同意についてはどのように指示をしておられるんですか。
○政府委員(山崎圭君) 先ほど簡単に触れましたわけでございますが、基準の中におきましてこういうふうに定めておるわけであります。「治験の依頼先に対し、治験の内容等を説明することが医療上好ましくないと担当医師が判断する場合等を除き、治験の内容等を被験者に説明し、その同意を得るよう要請すること」と、かようにしておるわけであります。「要請」というふうにいたしましたのは、薬事法は法律上治験依頼者に対する義務づけでございますので、先生お話しのように、治験依頼者と治験を実施する者と被験者と、この三者関係があるわけでございますが、治験依頼者に対する義務づけとしましては、治験実施者にその旨の要請をするべく義務づけた、かような関係に相なっておるわけでございます。
○和泉照雄君 いま答弁がありましたとおり、省令では製薬会社が治験の依頼先である医療機関などに対して「治験の内容を被験者に説明し、その同意を得るよう要請する」と、こうあるだけでございまして、治験に関して医者が患者から同意をとるべきことが義務化されているわけでもないし、患者の同意権についての保障が規定されているわけでもないようであります。 また、現状では、製薬会社は同意を確認することができない。「要請する」ということだけで、確認をする何らの手だてもないわけでございます。これでは昭和四十七年に出された日本学術会議の「医薬品の臨床試験評価に関する体制の確立」という勧告にある「被験者の擁護に関する倫理的、法的観点からの各般の措置を明確にすること」という趣旨が今回の改正には全く生かされなかったということになると思いますけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(山崎圭君) いま御説明申し上げましたような点が業務行政から出てくる問題でございますが、結局、業務行政におきましては、お医者さんの医療行為自体を規制することはできないという関係になるわけでありまして、治験実施者と被験者との間の関係につきましては、たとえば世界医師会が定めましたヘルシンキ宣言、こういうところにもあらわれておりますような、医の倫理の問題という形でそれが守られなければならない指針である、かように考えておるわけでございまして、学術会議の御提案の趣旨につきましては、薬事法で受けられる限りの、カバーできる限りのことは十分カバーした、かように私どもの立場では考えておるわけでございます。
○和泉照雄君 法務省の方は結構です。 今度は文部省にお伺いをいたしますが、私は直接患者と接する医師の立場を治験に関して医師法で明確にすることが一番肝要なことではないかと、この同意の問題を含めて思います。しかし法改正となると直ちに対応できないことも考えられると思いますので、次善の策として行うべき行政指導について質問をしてみたいと思います。 そこで、治験についてわが国において先駆的な役割りを果たしたのではないかと思われる鹿児島大学医学部の附属病院の治験薬審査委員会について簡単に、説明をしていただきたいと思います。
○説明員(川村恒明君) ただいま御指摘のございました鹿児島大学の委員会でございますけれども、これは昨年の六月に設置をされました委員会でございまして、鹿児島大学の附属病院におきます治験用の医薬品に係る臨床試験の適正な管理ということを目的といたしております。 具体的には治験薬の適正管理の問題、あるいは安全性の確認、あるいはそれが研究上の価値がどういうものがあるかということについて審議をする。で、そういう審議の結果に基づきまして、病院長が大学病院において治験薬の受け入れの可否を決めるという仕組みになっておる、そういう委員会と承知しております。
○和泉照雄君 鹿児島大学医学部附属病院治験用医薬品臨床試験実施要領、こういう文書によりますと、被験者の安全確保については、昭和四十六年七月薬効問題懇談会が厚生大臣あて答申をしました「「治験薬を人体に試用する場合の条件」の主旨をその都度関係者に周知徹底」することとなっているわけであります。 そこで、このようにして治験が行われるとして、被験者の同意については鹿児島大学の実施要領ではどのようになっているか説明をしていただきたい。
○説明員(川村恒明君) ただいま先生が御指摘になりましたのは、この要領の第五項でございます。第五項でそういう趣旨のことが書いてございまして、なおその前の第三項に、先ほどからお話のございました、薬事法の施行規則の六十七条、治験を頼みに来る際にはこの六十七条に定められている基準を守っていることということがございまして、その二つの規定で被験者の安全確保ということを配慮しておるというふうに考えております。この規定ではそういうことを書きまして、現実に被験者から文書の承諾を得る場合の承諾書の様式まで定めておるということでございます。
○和泉照雄君 その様式が付表として添付してあるでしょう。それを読んでください。
○説明員(川村恒明君) この様式でございますと、 鹿児島大学医学部附属病院長 殿 患者氏名 今般 患者 が治験薬臨床試験 を受けるに当り 医師 より、 その内容と意義、治験薬の性質、予想される結果などについて十分に、説明を受けて納得致しました。 治験薬臨床試験についてはすべてをお任せい たします。こういうような様式でございます。
○和泉照雄君 いまお読みになったとおり、鹿児島大学の附属病院の実施要領にある承諾書に、「治験薬臨床試験についてはすべてお任せいたします」と、このようになっているのでございます。 そこで、厚生省にお伺いをしたいと思いますが、ヘルシンキ宣言のヒトにおけるバイオメディカル研究に携わる医師のための勧告の基本原則の第九番目を読んで、簡単に説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(山崎圭君) ヘルシンキ宣言、ヒトにおけるバイオメディカル研究に携わる医師の指針として勧告されたものでございまして、その内容は、一つは、被験者に治験の目的、方法等の情報が知らされているということ。それから二番目が、治験への参加の諾否なり同意の撤回というものは被験者の自由意思によるものであることが被験者に知らされていること。三番目に、医師は、被験者の自由意思による同意を、できれば書面で入手すべきであること……
○和泉照雄君 九番目でいいんですよ。
○政府委員(山崎圭君) ただいまかいつまんで申し上げまして失礼いたしました。 第九項を読みますと、ヒトにおける研究においては、被験者となる人は、その研究の目的、方法、予想される利益と、研究がもたらすかもしれない危険性、および不快さについて十分知らされなければならない。被験者となる人は、この研究に参加しない自由をもち、参加していても、いつでもその同意を撤回する自由があることを知らされなければならない。その次に医師は被験者の自由意志によるインワォームトコンセント(内容を知らされた上での研究または治療についての同意)をできれば書面で入手すべきである。 以上でございます。
○和泉照雄君 鹿大の承諾書は、一切お任せしますと、このようにありますけれども、いつでもその同意を撤回する脱落権というのが抜けておるわけでございます。ヘルシンキ宣言の内容に反すると私は思うわけでございますが、これは早急に改正をしなければならないと、このように思うわけでございますけれども、文部省の見解を伺いたい。
○説明員(川村恒明君) 先ほど答弁いたしましたように、この承諾書の前段でその内容についての説明を受けて、納得をいたしましたということになっておるわけでございます。 ただいま御指摘の参加しない自由、あるいはいつでもやめる自由の問題でございますけれども、これは事柄の性質上当然のことであろう。臨床実験、特にケース一とかケース二のレベルでは、これは事柄の性質として当然のことである、十分説明もしてあるという趣旨で、このことについては特に触れていないのではなかろうかと思います。でございますけれども、いま先生御指摘のように、それはヘルシンキ宣言でもはっきり書いてあるではないかとおっしゃられれば、それはそういうことも大変有意義なことではないかと思っております。 この承諾書の様式につきましては、鹿児島大学も初めてつくって、様子がよくわからないということもございますので、ただいま先生の御指摘の件は、早速大学の方にもよく伝えて検討してもらいたいというふうに思っております。
○和泉照雄君 次にこの実施要領についてももう少し問題点を指摘して改善を求めたいと思います。 まず第一は、第十一条にある「秘密の保持」については公開を原則とすべきではないかと考えるものであります。関係者によれば、現にこれまで特に秘密にすべき事項は特になかった、なぜ秘密の保持をうたっているのか非常に疑問である、こういうふうに言われておるわけでございます。患者の人権擁護、産学癒着の阻止、こういう観点からも、製薬会社名、薬名ないしは適応病名、こういうことをちゃんと加えることが必要ではないか、そしてまた配属診療科などについても公開すべきではないか、このように思うわけでございます。 第二は、承諾書に補償を請求する権利を明記すべきでございます。 第三は、審査委員会には第三者として学部、病院以外の部外者を加えるべきではないかということでございます。この実施要領の中には教授以外は絶対だめだ、同じ教授の中でこういうことをやっておったら、いろんなことがあっても外には漏れないという、そういうような悪弊が残るわけで、アメリカあたり、あるいはイギリスあたりの先進国では、たとえば神父さんとか、無関係の学識経験者が参加しておるという、そういうようなこともありますので、以上三点について今後の取り組みを改善の方に向かってやるのかどうか、文部省の見解を伺いたい。
○説明員(川村恒明君) 第一点の秘密の保持ないしその公開の問題でございますけれども、治験についてどういう形でこれを公開するのかということは、それぞれの機関、その治験を実施する機関の側で任意にすることがいいのかどうか、これは大変にむずかしい問題がございます。特に大学の場合には、これは学術会議の勧告にもございますけれども、一方において研究者の自主性の確保ないし学問の自由というふうなこともございますし、それぞれの実施機関のレベルで公開することがいいのかどうか、この辺は今後の検討課題ではなかろうか、十分今後厚生省の方とも相談をさしていただきたいというふうに思っております。 それから二番目の補償の問題でございますけれども、先ほど申しましたように、この実施要領自体が薬事法の施行規則の六十七条の要件を満たしていることを前提にしておるということもございますし、それからこの要領に書こうが書くまいが、万一のことがあったときには、それはそれぞれの関係法令に基づきまして賠償の問題、責任の問題も生ずるわけでございますから、特にここに書くことについては、書く必要はないのではないかというふうに現段階では考えております。 それから第三者の参加の問題でございますけれども、確かにこの鹿児島大学の委員会は教官五名で構成してございますが、その中には臨床系のほかに基礎系の教官も入れておるということもございますし、治験の適否に関して専門的な見地から審議するということであるならば、現在のこの構成というのは大変に適正な構成ではないかというふうに思っております。 で、大学での研究に第三者の参加を求めるということがどういう問題があるのか、そっちの方面からも考えなければならない問題かと思いますけれども、一方安全性の確保、被験者の人権という観点から何らかの第三者の参加ということも一つ検討に値する課題ではないかというふうに思っておるわけでございます。
○和泉照雄君 いろいろ問題があるにしましても、先ほど触れましたとおり、全国に先駆けてこういうような治験のシステムをつくったということは、これは評価できると思います。これがつくられたのは、先ほど御答弁がありましたとおり、去年の六月ということでございますが、その約二カ月前に私が決算委員会で指摘をいたしましてから約二カ月という素早い対応であったことは、非常に驚きといいますか、それに反して今度のこの薬事法の改正に伴う省令が出たのが去年の九月の末でございますから、もう半年たっておるわけでございますけれども、全国の大学の附属病院やその他の病院はまだ治験に関するこのようなシステムを確立されてないようであります。 そこで、鹿大と同じように第三者を含む施設内の審査委員会の設置と、ヘルシンキ宣言の精神を十分に踏まえた実施要領のモデルを作成して、関係医療機関に提示をして、早急に対応するように指導することが必要ではないかと思うのでございますが、厚生省並びに文部省にこのことを提案し一たいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) 私ども厚生省所管の国立病院につきましては、従来から治験を実施する場合には、委託研究審査会というものをそれぞれの施設で設けて厳重に審査して徹底するとともに、治験に従事する医師に対してヘルシンキ宣言等の倫理規範を徹底するよう国立病院長会議等を通じて指導しておるわけでございます。これをさらに文部省所管の国立あるいは、数はそう多くないかもしれませんが、都道府県立等の公立の医療機関にどういうふうに徹底させていくかということにつきましては、文部省と相談して進めてまいりたいと思っております。
○説明員(川村恒明君) 私どもといたしましては、昨年の薬事法の改正、施行規則の改正を受けまして、また鹿児島大学がこういうふうな一つのモデルをつくっていただきましたこともございますので、昨年の秋以来各国立大学に対しまして、この問題に対して積極的に取り組むようにという指導をしているわけでございます。その際に、この鹿児島大学の例も十分に内容を説明して参考に供しておるということでございまして、今後とも各大学がこの問題に積極的に取り組みますように指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
○和泉照雄君 最後に大臣にお尋ねをいたしますが、人命尊重という立場から、医師法の改正を含む治療実験に臨む厚生省の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 医療法の改正になるのか政令で済むのかわかりませんけれども、いろいろおっしゃった点から見て非常にあいまいで、仮に逆に言うと、問題が起こった場合にどういうふうになるのか、これは非常な問題でございます。かつまた人権ということからも大変でありますから、ちゃんと確認を得て、しかも確認を得たという何らかのものがあるべきことだし、かつまた審査委員会でもそうでございますから、どちらでやるか十分検討して急ぎます。
○和泉照雄君 鹿大の学部長だったですかね、この治療実験の実施要領をつくったときに、いままでは治験のことは惰性できておった、そういうことでこういうふうに実施要領をつくった。しかし国で一つの制度をつくってもらわぬと、医師のモラルの問題もいろいろありますし、また製薬会社のいろいろなこともありますし、そういうことできちんとした制度をつくってもらいたい。こういうようなことの新聞等の言明もありますので、いま一遍国でそういうような制度をつくるお考えがあるかどうか。
○国務大臣(園田直君) 事務当局は医療行為に関与するということで非常に消極的のようであります。これは医療行為でないと思います。医療行為に入る前の手続でありますから、いまおっしゃったような方針で何らか国の方針を決める必要があると考えております。
○副主査(渋谷邦彦君)午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後一時三十分開会
○主査(亀井久興君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、広田幸一石及び和泉照雄君が分科担当委員を辞任され、その補欠として大木正否君及び原田立君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○主査(亀井久興君) 休憩前に引き続き、昭和五十六年度総予算中、環境庁及び厚生省所管を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○原田立君 大臣、予算委員会のときには中途半端な時間のとりようしかできなかったもので、再度質問しますので、同じことを二度も質問するだなんて思わないで御答弁願いたい。 薬価基準の改定について寸衆参の予算委員会の席上で再三にわたり年度内引き下げを明言されておりますが、また下げ幅も一八%程度と含みのある答弁を大臣はなされておりますが、すでにきょうは二十七日でありますからあと四日しかありません。再度、年度内改定及び引き下げの幅についてお伺いしておきたい。何か一説によると年度内にはなかなか決まらないんじゃないかというような話もあるんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 大体一八%という程度の数字を申し上げましたが、これは鋭意作業を進めておりまして、作業がもうほとんど終わりかかってきておりまして、あともう少しというところまできておりますので、これでほぼ見込みをつけて一八%程度と、こう申し上げたわけであります。 これの改定の時期を年度末まで、いわゆる今月の末までと申し上げましたが、私の方ではまだ望みを捨てずにがんばれということで盛んにやっております。仮にずれましても、さほど大幅のおくれはございません。
○原田立君 なるべくおくれないようにすべきだと思うんであります。 それから、一八%の基準の問題についてまた若干後で質問したいと思うんでありますが、薬価の実勢価格について大臣はいかなる認識をお持ちになっておられるのか、また薬価基準との関係についての御見解をお伺いしたい。
○国務大臣(園田直君) 薬価の差益を解消することは、適正なる医療費の効率的使用ということできわめて重要でございます。そこで、今度の薬価の改定で、私はこの差益の解消はできると考えております。
○原田立君 厚生省は独自の調査により医薬品の流通に関する調査をされておられると聞いておりますが、いかなる内容の調査であるのか、その点をお聞かせ願いたい。これは新聞報道によっても「医薬の世界奇妙な構図」云々と、こういうふうに書いてあって、非常にその流通においてなかなかよく理解しがたいと、こういうふうなことが言われておりますが、いかがですか。
○政府委員(山崎圭君) その薬価調査とは直接関係ないわけでございますが、近年医薬品の流通をめぐりましていろいろ問題が指摘されているということを背景にいたしまして、昨年十月、これは私ども局内の研究会でございますが、医薬品流通対策研究会というものを組織いたしまして、学識経験者の御意見を聴しつつ、あるべき医薬品流通のあり方、近代的、合理的なあり方というようなものを模索していただいているわけでございます。その研究会での検討資料、基礎的な資料を集めるために、ことしの一月、メーカーなり卸業者を対象にいたしまして調査を行っている過程でございます。そういうことで、今後その資料にも基づきまして、先ほど申しましたあるべき好ましい流通のあり方、こういうものにつきまして鋭意検討を進めて、今後とも流通の適正化に資するべくいろいろ勉強をさせていただいておる、こういうことでございます。
○原田立君 流通の問題を言ったのは場違いのような感じをなさっておられますけれども、じゃ、いまも質問した一八%ぐらいの下げ幅でというその根拠、いかがですか。
○政府委員(大和田潔君) この根拠につきましては、これは流通といいますか、これは現に売られておる、卸から医療機関等へ売られておる、現に売られております実勢価格を調査をする、その結果を薬価基準に反映させると、こういうことでございます。これは五十三年に本調査をいたしまして、その後六回にわたる経時変動調査を行いまして、この実勢価格の把握に全力を挙げてまいったわけでありますが、その結果が、先ほどのおおむね一八%程度かというようなことに相なっておるわけでございます。
○原田立君 この前も予算委員会の席上で大臣に資料を差し上げておきましたけれども、アルダクトンA錠については、国立病院が二八・一%引き、自治体病院は五〇・三%引き、ずっと数字を追ってみますと、何か一八%ぐらいというそういう根拠は、この国立病院の値引きされているのをこれを根拠になさっているのかなというふうにぼくは思ったんです。ところが実際には、自治体病院なんかがアルダクトンA錠が五〇・三%、5−FUドライシロップというのは三七%、フトラフールカプセルは四〇%、ケフリンという二千六百五十円もするのが自治体病院では四五・三%引きと、なかなか大変に引いているんですよね。それで、一般のお医者さんなんかはどうなんじゃろうかと思って調べてみたらば、また、ある人に聞いたんですけれども、ケフレックスというようなものは大体四〇%から四五%引きだけれども、四九%引きで実はわが方は入れているとか、あるいはダーゼンだなんというのは三割引き、アルダクトンなんぞは実に七割引きだというんですよね。非常にこれを聞いて私びっくりした。私もよく医者へ行って薬をもらってくるんだけれども、大変高い金を払っているんですけれども、こんなふうになっておるのかなと思って実はびっくりしたんですけれども、一八%の基準というのが、一八%ぐらい下げるという基準がなかなか数字的にちょっと理解しがたいのでお伺いしたい。
○政府委員(大和田潔君) 一八%程度、これはその根拠は先ほど申しました薬価調査でございます。それで、ただ一八%程度というのは全医薬品の——これは調査自身は当時の一万五千品目全部調査をしております。全医薬品の平均値がその程度というふうになるものというふうに考えておるわけでありますが、その医薬品によりまして下げ幅、あるいは医薬品によっては上がるものもある、実際に。流通を見ますと上がっているものもあるわけであります。それはまあ上がると。さらに医薬品によっては非常に幅のある下げ方が行われるものもあるといったようなことで、一八%は平均でございますので、そういった幅があるというようなことでございます。ただいまのを大まかに申しますと、やはり抗生物質などは下げ幅が大きい部類に入ってくるというようなことでございますので、そういったような実態であることを御了承いただきたいと思います。
○原田立君 衆議院のわが党の草川委員が、同じ医薬品の差別的な価格の発生問題とか、なぜそういうことが生ずるかという問題等について質問をしたところ、本格的な調査をする旨の答弁をしておりますが、すでに調査は開始されたと聞いておりますが、その内容についてお答えできる範囲内で結構でありますから、御答弁願いたい。
○政府委員(山崎圭君) 薬価基準を定めるための基礎資料としましては、薬価調査というものを行っておるわけでございまして、その薬価調査は、前回の薬価改定が五十二年でございまして、五十三年の七月に本調査と申しまして、先ほど保険局長から御答弁申し上げましたように、全品目について一万五千の品目について全数調査を行った、これが基礎的な調査でございまして、その後、経時変動調査をたび重ねまして、六回にわたって調査を行った、それらの集計、取りまとめの作業の最終段階にあるわけでございますが、その薬価調査というのは、要するに市場価格を調査する、こういうことでございますので、いわゆる実勢価格の調査である。それを薬価基準の定められた方式に基づいて算定していく、こういうことになるわけでございまして、いわゆるその薬価調査につきましては、五十三年の七月の時点の本調査、その後の六回にわたる経時変動調査をすでに下している、こういうことでございます。
○説明員(植松勲君) 公正取引委員会といたしましても、かねてから医療用医薬品の流通問題につきまして関心を持っておりますが、現在、一連の流通実態調査十四業種ほど個別業種について、流通実態調査を行っておりますが、それに加えまして医家向け医薬品の流通につきましても、公正取引委員会として独禁法の立場から独自に調査を実施することにいたしました。現在、医薬品の製造業者及び卸売業者などからヒヤリングを開始しておるところでございます。その結果によりまして、流通実態をできる限り解明したいと考えております。
○原田立君 新聞報道によりますと、公取委員会で、購入価格に差が生じる原因の究明について調査しようとすると、何か厚生省内部では、公取委の調査と厚生省の調査は重複するものではなく、医薬品流通業界を近代化させる上で有益と受けとめているとかとしながらも、一方では厚生省がいろいろと努力しているときに公取委が乗り出すのは、厚生省は何もやっていないのではないかとの誤解を招くとの不満の声もあるやに聞いております。また、製薬メーカーを摘発すれば、医薬品に対する国民の不信感を招くといった声がまた大臣の所属している厚生省内にもあると聞いております。もし事実とすれば、公取の調査に水を差すことになる。逆に、流通機構改善のために厚生省ができる最大の応援をするという姿勢こそ大事だと思うのでありますが、これは大臣の御見解をお伺いしたい。
○国務大臣(園田直君) そういう声が残念ながら私の方には入っておりませんけれども、そういうことがあったら大変でございまして、おっしゃるとおり、この薬価の問題については公取の方の御援助も得て、一体となって薬価の適正化を図るべきだと考えております。
○原田立君 医薬品の流通機構に関しては、全く不透明であります。ゆえに、薬価差益を見込んだ第二薬局の問題や保険医療の負担増につながる等、国民の多くは強い不信を持っております。厚生省も独自の調査をしている、また公取も流通の実態にメスを入れるということでありますので、大いに期待をしているわけでありますが、大臣並びに公取の決意をお伺いしたい。
○説明員(植松勲君) 私どもは、あくまで独占禁止法の立場からの調査でございまして、独占禁止法で禁止されております行為のうち、主として不公正な取引方法に当たる行為が行われているかいないかを中心とした調査を行っていきたいと考えておるわけでございます。先ほど来、厚生省の方でも研究会など設置されまして、鋭意この問題に取り組んでおるやに承っておりますので、その結果も踏まえながら、必要に応じて対策等についても検討していきたいというふうに考えております。
○政府委員(山崎圭君) 私どもの立場は医薬品という大変国民の衛生に大事なものでございますので、そういう商品特性を踏まえながら、しかしながら一方において流通についてのさまざまな問題が指摘されているというようなことでございますので、公正な市場原理のもとで品質のよい医薬品が提供されるように、しかもそれが合理的な価格で安定的に効率的に供給されるようなそういうシステムを何とかつくり上げたい、こういうようなことでせっかく勉強中でございますので、そういう意味で今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(園田直君) いまも事務局からお答えいたしましたが、非常に大事な問題でありますから、公取は独占禁止の立場から調査されることでありましょうけれども、その調査には厚生省も進んで協力をし、かつまた公取の方の調査されたこともお知恵を拝借して、一体となって効果を上げるように努力しなければならぬと考えております。
○原田立君 実は三月二十五日の毎日新聞なんですけれども、ここに「エースほされる「B型肝炎」抑える新薬 ガンマグロブリン」、これが医薬品として製造許可されながら、何か削られてきたというような報道があるんですけれども、私はこういう問題については全く素人なんですが、新聞記事によるようなことがもしあると、非常に不信感を国民の人は多く持つんじゃないかと、こう心配するんですが、ここいら辺の事情を、簡単で結構ですけれども、御説明願いたい。
○政府委員(大和田潔君) 薬価基準に登載されます、収載されますいまのようなものにつきましては、医師会にこれは学識経験者によって組織されます疑義解釈委員会というのがございます。そこでお諮りをしてまいるわけでございますが、いまのガンマグロブリンにつきましては実は予防薬である、この肝炎の予防薬につきましては、どのような適応症というもので予防薬が使われるのかということが明確になってないというような段階で問題がペンディングになったわけであります。これは十分私どもといたしましては前向きに検討しなきゃならぬと、いま申しましなどのような適応症にこれを使うのかということを明確にいたしました段階で、これは前向きに採用をしていくべきものであるというふうに考えておるわけであります。
○国務大臣(園田直君) この問題、早速私も新聞を見ましてから気になりましたから、関係者を呼びまして、第一に事実の問題より先に、厚生大臣にも教えないことを医師会に行って相談するのか、その事実があるのかどうかということ。これはないということでいまのようなことでございます。それから、この薬は厚生省の研究班が開発をしたということであって、それに一保険局と業務局、二局の意見の対立があるということは事実か、こう言ったら、これはもう事情もわかりましたが、それからなお事務当局を信用しないわけじゃありませんが、お医者さんを二、三軒訪ねてこれに対するお医者さんの意見を聞きました。ところが、いま保険局が言いましたとおりに、これは第一に、予防薬であって治療薬ではないということ。そうすると実際に医療に使う場合に、肝炎に伝染したかどうかという判断がなかなかむずかしい。ただ、肝炎の患者の血液を扱ったとかあるいは肝炎が非常に多い地区に旅行して帰って、何か自覚症状があったかという場合にはわかるけれども、自分たち医者も、肝炎の患者扱って血液がくっついたり、あるいは注射器の消毒等には注意をしてやっているんだと。そうなってくると、なかなかこれを一般治療薬と見るのは困難でしょうなということがございました。 それからもう一つは、御承知のとおりに、この薬の値段が非常に高いんです、これ。ですから、これを収載に入れるかどうか、新聞では収載からのけられたように書いてありますが、まだ載っておりませんので、載せるかどうかというのはもっと慎重に検討しなきゃならない、こう考えております。
○原田立君 先日私、資料としていろいろとある薬の各薬価基準、国立病院あるいは自治体病院、三公社五現業の関係の病院等々の購入価格、値引き率の一覧表を差し上げたけれども、あのときの大臣の答弁では、これはそのとおりだ、自分たちで調べたのと同じだ、こういうふうな御答弁があった。それで、これの私は矛盾を指摘しておくわけでありますが、それとあともう一つは、大臣、この政府関係職域病院の赤字の実態、まるでひどいものですね、年々年々増加している。電電公社などは、五十一年度が百三十七億、五十四年度が百七十三億、五十一、五十二、五十二、五十四年合計で六百二十三億、逓信病院は四百六億、国鉄は九百二十四億という各病院の赤字あるんですけれども、これは去年私委員会で質問して、もっと門戸を開放したらどうなんだと。ちょっと言葉は悪いけれども、お医者さんあるいは関係者はいる、患者が来ない、だからたばこを吹かして来るのを待っている、こういう状態でまことに閑散としている。だから、これなどはもっと——一般地域の医師会との関連もあるんでしょうけれども、ぜひともいわゆる関係団体の職域だけの病院というんじゃなくて、一般にももっと開放するような、そういう方向に持っていけばもっと張り合いもあるだろうし、内容も充実するだろうし、一般利用者も喜ぶだろうしとこう思うんでありますけれども、どうですか。本当は電電公社、逓信、国鉄の各責任者から聞きたいところなんだけれども、それはそれで別にして、厚生省としてはこういうのが一般開放されるということについて、どういうお考えですか。
○国務大臣(園田直君) いまの現実を調べていただきますと、一般の方もだんだんと入院をしておられる方があるようでございますが、これはやはりおっしゃるとおりに、特殊な病院ではあるが、病院そのものが特殊ではなくて、つくった経緯が特殊でありますから、一般の人々に開放して、できるだけ一般の医療に貢献するということが正しいと思っております。
○原田立君 ぜひそういうふうな方向に厚生省もお考え願った方がいいんじゃないか、こう私思うんです。そうでないと、もう年々赤字が累増している。三公社五現業全部合わせると現在二千九十八億も累計赤字になっている、本当にこの赤字どうするんだと実は聞きたいところなんです。だけれどこれは、いま厚生大臣も一般に開放すると積極的な御発言がありましたから、そういう方向であることを希望するんです。 それから、血友病問題でお聞きするのでありますが、小児慢性特定疾患治療研究事業、これが九種類あるそうでありますが、五十四年、五十五年、五十六年の予算額を見てみますと、五十四年度が二十五億五千万、五十五年度が二十八億五千万、五十六年度が三十二億九千九百万、わずか四億五千万円のプラス、そのうちの血友病等血液疾患は前年度比わずか二千二百万円しかプラスしてない。過日も指摘したところでありますが、いろいろと現状私たち不満を持っている点があるんです。それは、この前も申し上げたように二十歳で切っちゃう。二十歳で死んじゃうんなら構わないですよ。だけれどね、それ以上生きておられるんですからね。それを二十歳で補助を切っちゃう。それは高い単価の薬を使わなければいけない。大変困るわけですね。だから、それに対するもう少し手厚い、温かい施策というものがあってしかるべきじゃないか、こう思っているんです。 けれども今回、予算額の面でいくと二千二百万円プラスというだけで、ちょっとさびしいなというふうに思うんですが、大臣、担当者から聞く前に、こういう血友病なんというようなそういう不治の病ですね、これはぜひ難病対策のような方面に持っていってあけるような、こういう姿勢であってほしいなあというふうにぼくは思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 血友病、自閉症といろいろ病気がございますが、子供の場合にはこれに対していろいろ配慮しているわけでありますが、大人になった途端にこれが変わってきて、いろいろなすき間が出ております。これは病気の治療ばかりじゃなくて、障害児に対する問題も大人になった瞬間に何かすき間があるような気がいたしますから、年齢の点はこの前お答えしました方針で検討を進めます。 なおまた、この血友病に対する問題につきましては、特別な病気でございますから十分考えますが、詳細は事務当局からお答えをいたします。
○政府委員(金田一郎君) ただいま大臣から御答弁いただきました線で、私ども他の疾病とのバランス等を見ながら検討をしてまいりたいと思います。
○原田立君 大臣は簡単で結構なんだけれども、担当者はもう少し詳細に言ってくださいよ。そうでなければ答弁にならないじゃないですか。まあいいです。 この前も私、指摘したんでありますが、大体血友病の対策が小児慢性特定疾患治療研究事業という中に入れてあるのが、どうも私解せない。小さい子供からなっているんだといえばそれまででありますけれども、それでもまだ高齢者もあるわけなんですから、何らかの対策があってしかるべきではないか。また、患者数は、入院が千三百四十八人、通院が二千八百八十六人、全国で四千二百三十四人と、二十歳未満の人がおるようでありますけれども、じゃ一体二十歳以上の人はどのくらいかはおわかりだろうと思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(金田一郎君) ただいま手元に資料がございませんので、なお私ども調べまして後ほど御報告申し上げたいと存じます。 なお、先ほどのお尋ねの点若干補足して申し上げますと、血友病につきましては先生御承知のとおり、現在九種類の小児慢性特定疾患治療事業の対象の慢性疾患があるわけでございます。これは原則といたしまして、現在は十八歳未満の児童の入院医療を対象としているわけでございますが、九種類のうち二十歳まで延長いたしておりますものが現在九種類中六種類でございます。それから、入院医療だけではなくして通院医療まで対象といたしておりますのは九種類中五種類でございます。しかしながら、二十歳まで延長し、かつ通院医療まで見ているというものはこの九種類のうちで、ただいま御質問ございました血友病と、あと内部疾患のうちの小人症でございますが、これだけでございまして、私どもも従来から血友病につきましては、他の疾病にできるだけ優先してということで配慮していることは事実でございますので、そこらあたりは御了承を賜りたいと存ずる次第でございます。
○原田立君 この十八歳ないし二十歳で補助の対象が打ち切られる。そうなると、年々年々切られる人たちが数がある程度わかるわけですね。だから、たとえば過去十年ぐらいのものを積算すれば概略二十歳以上は何人ぐらいいるのかということはおわかりになるんじゃないかと思う。私のところには資料がないからよくわからないけれども、わかりませんか。
○政府委員(金田一郎君) 私どもで実はわかっておりますのは、この小児慢性特定疾患治療研究事業の対象になりまして、現に私どもの方で医療費の支払いをいたしておりますものについてだけしか現にわかっておりません。しかも、これはなかなかむずかしい病気でございますし、ここまで詳細な統計があるかどうか、私ども先生の御趣旨に沿ってよく調べまして後ほど御報告申し上げたいと思います。
○原田立君 まあ調査して知らせるということでありますから、それはそれで言うことを聞かざるを得ないと思うんでありますけれども、ちょっと怠慢じゃないですか、それでは。まあそれはいいでしょう。 ところで、年齢制限していること。十八歳あるいは二十歳と、こうなっているそうでありますけれども、二十歳でもう切られるそうでありますが、もう少し延ばすようなことは、これはもう、これも検討の中に入りますか。
○政府委員(金田一郎君) まあちょっと長くなるかもしれませんが、ちょっと御説明申し上げますと……。
○原田立君 簡単にやってくれ、時間がないから。
○政府委員(金田一郎君) 実は大人の場合におきましては、難病というものがございますが、難病の場合は原因不明あるいは治療方法未確立の重篤な病気ということでございます。これにつきましては現に患者負担はゼロということになっております。 で、子供につきましては、小児慢性特定疾患の対象のものでございまして、これは必ずしも原因不明、治療方法未確立ということではございませんけれども、長期の療養を要する子供の慢性疾患でございますために、若くて収入も比較的少ない両親を励ますとともに、このような疾患が子供の心身の発達に悪影響を与えることを防止するために、現に設けられているものでございまして、これも実は大人の難病と同じように一部負担は全くゼロでございます。収入認定等はいたしておりません。そういうことで従来子供に限った対策ということになっていたわけでございますが、先生おっしゃいますように、確かに満二十歳で直ちに切られるということはいろいろの問題もあろうかと思います。そういう意味におきまして私ども今後いろいろと検討してまいりたいと思います。
○原田立君 十分それに対応するような方向で結論出していただければ大変ありがたいと、こう思うんです。 大臣、この前もちょっと申し上げたんでありますけれども、国で二十歳でこう打ち切られるものだから、東京、北海道、神奈川、静岡、愛知、和歌山、山口、宮城、鹿児島、滋賀の一都一道八県は年齢制限を廃止して、横浜、川崎、名古屋、神戸の政令市四市も廃止している。京都では三十歳まで制限を延長している。こういうふうに地方の方が先にやっちゃって国の方の手だてがおくれるというのはちょっとまずいんじゃないかと思うんですけれど、いかがですか。また、現在地方がこうやっていることね、これはどうお感じになりますか。
○国務大臣(園田直君) この問題ばかりでなく、年齢その他の問題で。地方自治体の方が国の方よりも進んでいる問題、あるいは検討がございます。これはまことに恥ずかしいことで、国の方がこの自治体の先頭を切っているところへ追いつくように努力すべきであると考えております。
○原田立君 血友病は遺伝性であるというふうな何か一説があるんだけれども、あるお医者さんの話では決して遺伝性ではないと。現に三八%の人が遺伝ではないとの実態調査を発表しているわけでありますけれども、この点どうですか。
○政府委員(金田一郎君) 私ども聞いておりますところでも、ただいま手元には資料を持っておりませんが、大体四分の三程度が先天的なものではないかというように私ども聞いておるところでございます。
○原田立君 この血友病の方で、本年三月大学を受験されて合格ということになったわけでありますが、血友病だということで入学が拒否されている、こういう事実があるんです。個人のプライバシーの問題もありますから氏名、学校名等は申しませんけれども、ところで最終段階でその大学の校医が、理科系大学を受験したので実習に耐えられないという判断のもとに入学を拒否したと、こういうわけなんです。理由はそういうふうにつけられているんですが、いわゆる血友病患者だということで入学を拒否されるということになれば、これは大問題ではないかと思うんでありますけれども、大臣、これは本当は文部省から聞くところなんですけれども、所管違いだろうと思いますが、大臣の御見解はいかがですか。
○国務大臣(園田直君) 血友病であるという理由で大学の拒否、あるいはその他の差別等を受けることはきわめて心外なところでありまして、文部省の方にも私からよくお願いするつもりでおります。
○小笠原貞子君 環境庁長官お出ましいただきましたので、苫小牧地域の環境問題についてお伺いしたいと思います。 ちょうど「エネルギーと環境問題懇談会提言」というのが出されまして、そして昨日は長官の朝日への投稿の「論壇」も読ませていただきました。いろいろ御努力をいただいていることに敬意を表するわけでございますけれども、この提言の中で、いろいろ大変示唆に富む内容がございましたけれども、その中でも石炭利用増加による公害の心配が強く指摘されておりました。そのために「排出基準の見直し等」という項目を見ますと現行の排出基準も強化するという方向が述べられているわけで、ちょうど石油から今度は石炭へというような切りかえの時期で、私はこの時期、大変時宜を得た提言だ、そういうふうに拝見したわけでございます。当然この提言に示されているように、排出基準を強化するということで環境を守るというお気持ちでいらっしゃると思いますけれども、まずその点御所見を最初に伺いたいと思います。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) これはもう私どもで言うまでもないことなんです。経済はますます発展しなきゃならぬ。しかし、きのうも当該委員会で申し上げたんですが、年率五%ぐらいずつ成長していきましても、西暦二〇〇〇年になる二、三年前に日本の経済はいまの倍になる勘定になります。そうすると、この三十七万平方キロの中で可住面積が二割くらいしかないこの国で、いまの倍の経済を、われわれが問題にしている環境基準というものを守りながらどうやってやったらいいんだろうか、よほど質の変化でもなければ、量だけの変化だったらもう大変なことになるということで、実は心配をしているわけなんです。しかし一方、先生も十分御承知の油の問題などもありまして、油に頼る度合いを六十五年までに五割にしよう、そういうことになれば、いろいろな形で石炭を使うとか原子力の発電とか、いろいろなことをやらなければこれまた経済の面で困ってしまう。しかし、経済の最終の目標は人間の幸せですから、そう考えてくると、私のところで少し足を環境の方に踏み入れてがんばらなきゃ、それでちょうどいいあんばいになるんじゃないかななんて、そんなふうに考えておるわけでございまして、政治家でございますから、別に一方づくといいうことはできません、一方づくということはできませんが、言うまでもなく、そんなことを言うと誤解されますが、そんな言う必要のないことぐらいあたりまえのことでございますが、経済のことも重要視して環境のことも重要視して、私の立場はどっちか言うと環境の方に足を一歩踏み入れてそれで考えていきたい、こう考えているわけです。
○小笠原貞子君 先ほど申しました苫小牧地域の環境問題でございますけれども、まだまだ北海道のことだから、大都会に比べたらそれほど汚れていないなどという議論も間々出るわけでございますけれども、実際に苫小牧でいろいろ調査をいたしました。たとえばカラタチゴケというもので調査を五年間いたしました、五十年から五十四年間にわたりまして。これ調査なさいましたのは国立科学博物館の研究員の柏谷博之さんとおっしゃる方でございます。 このカラタチゴケ、こういうコケ類は環境汚染の貴重な警告者である、こういうふうにおっしゃっています。つまり、機械でははかることができない総合的な複合的なその汚染について敏感に反応する性質がある。だからこれは非常に調査結果を参考にする価値がある、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。そのカラタチゴケが、この五年間に工場周辺からもうずっとなくなってきておりますし、千葉とかそれから北九州市ではすでにもうこれはその地帯は消えてしまっているというような研究結果も出されておりますし、またたとえばこの地域で見ますと国の基準の〇・〇二ppm——窒素酸化物の場合ですね、これを超えているという地域も苫小牧には出てきているわけなんですね。そういうふうになって私も何回も行きましたし、もうだいぶ前から硫酸雨というのが降りまして、そうして木の葉っぱなんかがぽちぽちとあざみたいになったりというようなことでございまして、決して北海道で広いからというような問題ではないと非常に住民が心配しております。このような苫小牧の実情というものを、当然専門の立場にいらっしゃる環境庁では御承知だと思いますが、その点いかがでございますか。
○政府委員(三浦大助君) 御指摘の苫小牧地域の環境の状況でございますが、私どもの調査によりますと横ばいでずっと推移しているというふうに見ておりますが、その横ばいというのも環境基準よりはるかに下の状態で推移しておりますということでございます。
○小笠原貞子君 時間がありませんから、いろいろと申し上げたいことございますけれども、決してそういう実際に測定して、国の基準〇・〇二ppm以上のところもあるんですよといういま申し上げたことを私が言うのではなくて、調査した学者の結果の報告でございますので、そういう意味で何といいますか、素直に現状というものをずっと見ていただきたい、そう思うわけなんです。 さらに私がここで問題にしたいのは、あそこで一番大きいのは御承知のように苫小牧の王子製紙というのが大きな会社でございまして、この王子製紙を初め十四社、工場にしますと十五工場と道、市と環境基準についての協定というものがいままで出されていたわけでございます。しかし、いま石炭に切りかえなければならないというようなときでございますので、いままでの環境基準ではとてもやっていけないということで、これを緩和するという形でいま話し合いがどんどん進んでいっているわけなんです。それはどれくらいか、こう言いますと、たとえば苦小牧の王子の場合は、休んでいた三、四、五の三つのボイラーを石炭専焼に切りかえるということですね、これは四月からもう稼働いたします。それから来年度は一番大きい七号機、これが石炭の切りかえになる、こういうわけなんですよ。それで七八年に協定されていたいわゆる現行の協定はどういうものかといいますと、SOxでいいますと一時間二百九十ノルマル立米でございます。それを今度四百二十ノルマル立米にしたい、二百九十から四百二十でございますね。それから、今度NOxで言いますと百八十からこれまた三百十五というような非常に大きな緩和を要求しているわけでございます。 そうしますと、ここで苫小牧の市民がこの間も話し合ったんだけれども、こういうふうに石炭専焼に切りかえていって、そして大きな王子がこうやって緩和してもらってやっていくと、もう次々とこれが窓口になって広がっていってしまう、歯どめがなくなってしまうという心配を非常にしているわけでございます。それで、その心配の中で今度また出てくるのが苫小牧の厚真の火力発電所、もう一号機が運転しておりますけれども、今度は二号機が動くように出てくるわけなんですけれども、この二号機に、一号機ではっけられている脱硝装置をつけないということになっているんですよ、一号機にはついているんだけれども。それで、窒素酸化物を例にとりますと、一号機は三十五万キロワット、今度つくります二号機は六十万キロワットなんです。この脱硝装置をつけないで、一号機ではいまついていますが、これ百三十八ノルマル立米NOxで言いますと出るんですが、二号機は三百三十ノルマル立米と、実にこれ二・四倍の量を排出するというようなことになっているわけなんですね。だから、ここのところでこれからできる二号機に、一号機でやっぱりつけた方がいいということでつけてくだすったものを、ここでつけなくてもいいということになれは、王子がどんどんどんどん大変な環境緩和を話し合いで進めていこうという、それにまた加速的にやっていってしまうということになるわけですね。だから、市民感情としてはもうそれは厚真の第二号機のことじゃなくて、近いですから、同じ苫小牧ですから。だから、この二号機の問題もいま考えて、やっぱり出ない方がいいにこしたことはないんだから、一号機でつけたのだから当然二号機にもつけてもらいたいという、こういう脱硝装置づけてくれという市民感情は私は当然のことだと思うんですね。私、長官の「論壇」を見まして、本当にいろいろとたくさんあるのですけれども、最後に「かって経験したあの公害と、そのいたましい犠牲者を忘れることができないから」がんばっているんだとおっしゃいましたし、「そして、それを再び繰り返すようなことがあってはならない」つまり「命・健康守る〃ころばぬ先の杖〃」と、こういうふうに副題がついていまして、私はそういう立場から見たらやっぱり苫小牧の王子がこうやってどんどんどんどん緩和してくれということが、今度は共同火力発電所というのがございます。日乃出化学工業発電所というものもございまして、次々とこうなっていってしまう。だから、どうしてもこの辺のところで環境基準をしっかり押さえるという立場、そして二号機にも一号機と同様脱硝装置をつけていただきたいということを特に理解していただきたいと思うんでございますけれども、長官としてのお気持ちはいかがでございましょうか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) これはお話のごとくんばきわめて明瞭なことだと思いますが、よく先方とも打ち合わせてみて善処したいと思いますが、ここに前々からの機械があった、それにはある種の機械がついてその汚い煙が出ないようにしていたと。今度新しいこれよりもっと大きな機械をつくる、その装置が非常に稼働して有効のものだったならば当然これにもつけるのはあたりまえで、これにはつけないということがよく私にわかりません。けれども、どういう事情なのがよく聞いてみて、合点のいくような方向で交渉してみたいと、こう思います。
○政府委員(藤森昭一君) ただいまの大臣の御答弁に若干の補足をさしていただきたいと思います。 今回、ただいま小笠原先生御指摘の厚真発電所の二号機に関する環境影響調査書というものを電調審に関連しまして私ども慎重に審査いたしましたが、今回の二号機につきましては、ボイラーの構造と燃焼方式の改善によりまして、脱硝装置をつけております一号機と同等のNOxの排出濃度となっておりますので、環境基準に照らして地域環境に問題が生ずることがないと判断をした次第でございます。
○小笠原貞子君 いろいろその辺の事情も私行って調査してまいりましたし、おたくのおっしゃったこともよく理解できます。しかし、いま言ったように苦小牧地域全体としては二号機だけではなくて、さっき言ったような心配もございますので、長官のおっしゃいましたように、具体的にまたいろいろとお問い合わせなり御調査などもいただいて心配のないようにしていただきたいということで、御返事さっきいただいたので結構でございます。 それじゃ、次に今度は問題がちょっとかわりますが、日高山系の自然環境についてお伺いしたいと思うのです。 この日高山系につきまして、もう御承知だと思いますけれども、これは北大の名誉教授で八木健三先生とおっしゃる大変熱心な方で山のお好きな方でもいらっしゃいます。北大の名誉教授でございます、この方がこう言っていらっしゃるのですね。「日高は五千万年前の造山運動によって誕生した地球の生いたちを伝える山脈。スイスのアルプスに匹敵する自然の博物館だ。」こういうふうに言っていらっしゃいまして、まさに地質、地形、それから植物相、動物相、そういう原始性が高く日本に残された数少ない原始秘境だというふうに学者もおっしゃっていらっしゃる。こういうところは私はやっぱり大事にしていかなければならないと、当然そのようにお考えになると思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 私もそういうふうに思います。
○小笠原貞子君 ありがとうございます。 そういうことで、この旦同山脈、襟裳地域の国定公園の指定ということの申請を道がいたしまして、それで、いま環境庁いろいろと各省庁ともお話し合いになっていると思いますが、ぜひ国定公園に早くしていただきたいんだというのがみんなの願いでございますけれども、大体その指定はいつごろの時期というふうにめどとしてお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(正田泰央君) 雪解けを待ちまして、調査それからいま先生おっしゃったような各省折衝、審議会の審議等を含めまして、ルーチンワークを積み重ねまして、おおむね秋にはできるのじゃないか、こう思っております。
○小笠原貞子君 おおむね秋ですか。なるべく早くやってください。これがおおむね秋に指定されますということになった場合は、もう秋という現実的なめどもついたわけなので、その指定された場合について、いまの段階でちょっとあれですけれどもお伺いしたいわけなんです。 国定公園に指定されますと、自然公園法による特別保護地域としてすぐれた風景地を保護するということが法律的にもうたわれているわけですけれども、いま具体的に問題になっているのはこの日高山脈を横断する道路建設というのが非常に問題になっておりまして、これは実は計画がすでにスタートしているわけでございます。これは環境上きわめて問題が生ずるということで、これまた学者——道内ではなくて全国的に、そして全世界的にいろいろと学者が指摘をいたしまして要望を出したり、長官にも代表がお会いになったと伺いました。そのときに、長官に会った代表の方が、長官よくわかってくだすった、私としては手つかずにこのまま孫子の代に残したいよと、こうおっしゃってくだすったと言って大変喜んでいらっしゃったわけですけれども、やっぱり私もそのとおりだと。やっぱりこういう自然の宝というものを何としても残していきたいというふうに考えているわけでございますが、またきっと同じだと思いますけれども、そこのところの御見解を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 国立公園とか国定公園とかいうところに指定したところは、これは私でなくてもだれだってあとう限り手を加えないで、そして子孫に残してやりたい、いつか子孫に写真だけ見せて、かつてこういうところだったなんということじゃないようにしてやりたい、これはだれだってそうだと思います。ただ、いろいろ問題がありますので、なかなかそうはいきますまい、そうはいきますまいけれども、私のところの役所はそういうことが与えられた任務でございますから、できるだけそういうふうにしていきたい、これは当然のことだと思います。
○小笠原貞子君 これは国定公園に指定されることによりまして、道路を建設する場合は知事の許可を受けなければならない、こういうことになるわけでございますよね。で、私もこの間いろいろ教えていただきましてわかったんですけれども、道路を建設したいというのが知事であって、そして許可するのが知事であるという、大変おもしろいことになるんですね。つくりたいのと許可するのとが同じだという、そういうのを聞いておかしなものだと、こう思ったわけでございます。そうなりますと、やっぱりそこで環境庁の最高責任者としての長官のお出ましがここにまた一つの問題になってくると思うんです。 で、私申し上げたいのは、少なくともまず道の自然環境審議会というのに諮っていただきたい、そして環境庁としても十分その事実を見ていただきたい。そのためにはぜひ環境庁としても現地調査、大変でいらっしゃいましょうけれども現地調査などもしていただきたいと思うんでございますが、長官いかがでございましょうか。
○政府委員(正田泰央君) 前提となります手続については、先生御指摘のとおりの姿でございます。それに対しまして、道の審議会の点でございますが、私どもこの道路につきましては、具体的なプランについてはまだ何も伺っておりませんが、聞くところによりますると、道道の認定に当たりまして審議会のアセスメントをかけたとか、その辺の一連の手続があったように聞いておりますが、その辺をもう一回考えてみたい。さらに、いまおっしゃいました点について、調査等につきましては、具体的な問題がありますれば当然協議ということは行われるかもしれません。その際にはそういうことになろうと、こう思っております。
○小笠原貞子君 その辺のところは今度開発庁の出番で、これからお伺いしていくところでございますけれども、やっぱり非常に問題がございます、結論的に申しますれば。いまおっしゃったように、そういう場合には環境庁としてもいろいろと事実をはっきりさせていただくという、そういうお力添えはいただけるということでございますので、ぜひそういうふうな立場でやっていただきたいと思います。 それでは、環境庁の方はそれで終わりまして、今度は開発庁さんにお伺いしたいと思います。 この道路、静内−中札内の道路というのは一体昭和何年に完成する見込みを持っていらっしゃるのか、そして完成させるまでにどれぐらいの金額を考えていらっしゃるか、時間もだんだん迫りましたのでその数字をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(大西昭一君) 実は開発道路としての新規採択の予算は五十四年度に認められておりますが、いろいろ道がアセスメント条例を制定するとかそれに準じた手続等で今日までまだ具体的に着工はいたしておりませんで、ついせんだって昨年末に一応道道の認定が終わりまして、本年二月末に建設大臣が開発道路の指定をいたしましたので、五十六年度から実測調査等を含めて手をつけてまいりたいというふうに考えておりますが、いまお尋ねのどのぐらいの期間を要するかということでございますが、非常に財政事情厳しい折でございますので、そう簡単にはできないと思いますし、御指摘のように、非常にわが国に残された唯一の原始に近い地域につくる道路でございますので、非常に慎重な施工を必要とするだろうというふうに考えておりますが、大体十五年ないし二十年ぐらいというオーダーの建設期間を要するのではないかというふうに考えております。
○小笠原貞子君 総額はどれくらいですか。
○政府委員(大西昭一君) 大体これも概算でございますが、普通区間が十二キロ、開発道路として国が直接やりますのが二十四キロでございまして、その区間の開削のために二百五十億、それから道道の部分の両サイドの現在町村道あるいは林道等の改良等入れまして総額で三片億ぐらいというふうに考えております。
○小笠原貞子君 その三百億ぐらいというのは、五十二年度試算というふうに承っております。そうでございますよね。
○政府委員(大西昭一君) はい。
○小笠原貞子君 そうしますと、いま五十五年でございまして、いまおっしゃったようにあと十五年か二十年かかるということになりますと、経済の価値がどんどんどんどん変わっていきますので、大体いろいろな報道やいろいろ計算なさる方がいらっしゃいまして、一千億くらいはかかるんではないかと、これからの上昇率によりますけれども。五十二年でも三百億、言われているところによりますと一千億はかけなければならないだろうと。自然保護との関係もございまして十分な道路にしたいと。これは大変なお金でございますね。私はきのうも苫東の問題やったんですけれども、この時期に一千億からずっと十五年、二十年かけていかなきゃならないという大事業です。そうすると、この大事業をやるからには、こういう必要があってやらなければならないという、そういう理由があると思うんです。静内—中札内間でございますが、どのような経済効果があるのか、そしてそのためにどのような調査をなさったかということをまた簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大西昭一君) その一千億というのは、これは先の話でございますのであれですから、それを前提に効果の方を現段階でお話し申し上げるのは大変私むずかしゅうございますが、端的に言いまして、年率七%で仮に工事費が上がりますと十年で倍でございますので、十年で倍といいますと六百億ぐらいというふうなことでないかと思いますが、今後の物価上昇等はちょっとあれですが。 そこで、経済効果でございますが、御案内のとおり、北海道の幹線道路、たとえば国道と道道以上というふうに拾いますと、北海道の幹線道路の密度というのは全国平均に比べて約半分でございます。全国ですと百平方キロ当たり四十四キロが北海道では二十一キロというふうなことで、非常にその分だけ地域と地域を有機的に連係する、そして圏域の広域性を図るということについては非常に不便を来しておるわけでございます。この道路につきましても、北の方に日勝道路という国道、南の方に現在建設中の浦河−大樹という線がございまして、旦高山脈の脊梁が大体百四十キロでございますが、この二つの道路、現在建設中の道路と北の端の日勝道路との距離が約八十キロございます。八十キロの間に実は道路が一本もないというふうなことでございまして、十勝圏、これはちょうど岐阜県と同じぐらいの大きさになろうかと思います。それから旦局地方、大体和歌山県と同じ面積ぐらいのところに八十キロの間に道路がないというのは、いかにも両圏域、双方合わせますと約五十万近い人口になりますが、の圏域の交流を図るという観点からいたしますと、どうしても北海道の将来の幹線道路網を形成するという一環として、こういう道路が長年、もう十数年来、地元では両町村からも非常に強く熱望されておりますし、ということで四十五年からずっと調査を続けてまいりました。 予算につきましては先ほど申し上げましたようなことでございます。
○小笠原貞子君 経済効果についてはどういう調査を。
○政府委員(大西昭一君) 経済効果は、公共道路の経済効果というのは、なかなか費用、コストと便益という形で表現するのは大変むずかしゅうございます。と申しますのは、経済的数量化できない部分が非常にございますので、その一例として申しますと、一番わかりがいいのは自動車交通量の想定だろうと思います。六十二年でございますのでまだ六年ぐらい先の話ですが、六十二年の想定で交通量の配分をいたしますと、一日の交通量千二百台というふうに私ども算定をいたしております。
○小笠原貞子君 初めにおっしゃいました道路が少ないということ、それは一つの理論だと思います。しかし北海道というのは、これだけ広いところに住んでいるわけですよね。だから、道路が少ないか多いかではなくて、この道路によって住民がどういう利益が得られるのか、この道路によってどういう経済的な効果があって、道の開発のために役に立つか、そこに問題があるわけですよ。広いところに道路がないからつけなきゃならないと言ったら、本当にひろっぱにも道路つけなきゃならないという理屈になりますね。だから、その第一の論点については私は大西さんの方に分なしと言わざるを得ないんです。 それから二番目におっしゃいました経済効率の問題、確かにむずかしいと思います。それで伺いましたら、そういうふうにおっしゃいました。六十二年度を予定して、一日千二百台だと、こうおっしゃったわけなんです。そこで、千二百台というのはやみくもに出てきたわけじゃないと思う。だから、どういうふうな根拠があって千二百台という数字が出てきたんですか、そしてその調査はどういうふうな調査のやり方をなさいましたかとお伺いいたしましたら、ちょっとそこで何か黙っていらっしゃいまして、それで結果としては聞きましたと、それはここを通ってくる運転手に聞いたというような大変ずさんな調査の仕方なんです。だから私は、もしも千二百台、六十二年度という数字をお出しになるからには根拠があると思うんです。だから、その根拠を伺わないと私は納得ができないんです。時間がありませんけれども、その根拠を資料として御提出いただきたいと思います。
○政府委員(大西昭一君) 実は先生の方から事前御説明の際にそういうことを言われておりまして、ちょっと事務的な行き違いできょうまでに御説明申し上げられませんで、どうも遺憾に思っておりますが、これは単なる連絡の手違い等というふうに御了解賜りたいと思います。 もちろん千二百台の根拠といたしまして、私ども昭和四十九年、一番最近の全国の道路交通情勢調査というのが、俗にOD調査と言っておりますが、これは全国的に行われております。これをベースといたしまして、昭和六十二年までに私ども新北海道総合開発計画を現在実施中でございます。それらの指標をそれぞれの圏域に落としまして、経済指標、人口指標、それらと関連させて六十二年の交通量を推定したということでございます。 資料につきましては後ほどまたお届け申し上げたいと思います。
○小笠原貞子君 時間がありませんので、後でその資料をきちっと出していただきたいと思います。 そこで道路なんですけれども、そちら北海道よく御存じでいらっしゃいますから、わざわざこんな表をお見せする必要はないと思うんですけれども、道東とそれから道央を結ぶ産業道路として使用すると、そして経済効果を上げたいと、こういうふうにおっしゃるわけなんです。しかしここで、ちょっと遠うございますけれども、いま静内−中札内線というのがここに、工事始まっておりますね。
○政府委員(大西昭一君) いや、まだやっていませんけれども。
○小笠原貞子君 そして今度ここのところに日勝の道路がありますね。そうしますと、たとえば荷動きなんか見ましても、道東から道央へ行くのに全体で百万八千トンなんです、調べると。そして、苫小牧に行くのはその中のわずか十四万四千トンなんです。そして、小樽に三万五千、これはもう小樽、札幌同じようなものなわけでございますね。そうすると、百万八千トンからの大きな動きというのはこっちをこう回っていかなくたって、ここの日勝道路、これができればここを通っていけると、こういうわけですね。これが逆に入ってくるものの連絡の荷動きを見ましてもそうなんですよ。だから私たちは、その十五年、二十年なんという先のことでがたがたするんじゃなくて、いま日勝道路、これの工事に入っています。それから浦河−大樹線、これが出ますね。そうすると、ここに浦河−大樹線があって、日勝道路があって、大変便利になるんですよ。時間的に距離的にまた調べてみました。そうしますと、帯広から苫小牧間を見ますと、いまのやっている道路、日勝道路を通りますと、時間は四時間三十五分でございます。それから、今度いま十五年、二十年、一千億からかけてつくるという道路を通りますと、二百十七キロで五時間かかるんですね。そうすると、距離でどれくらい違うかというと、時間でどれくらい違うかというと、距離で二十キロの違い、時間でわずか二十五分の違いなんです。これだけしか違わないのですよ。そして、自然環境破壊して、莫大な投資して、ここのところにこんなに人もいないようなところになぜつくらなければならないか、これはもうみんなが疑問に思っているところなんでございます。それでもなおかつ、これは経済効果があると言い切れるのですか。
○政府委員(大西昭一君) 先ほど申しましたように、この道路かなり長期の建設期間を要するだろうと思います。現状から言えば先生がいまおっしやったような点があろうかと思いますけれども、将来の道東と道央の交流を考えますと、幹線道路はやはり網が少なくなりますと一本に集中いたしまして、これまたいろんな問題を生みます。したがいまして、先ほど日勝道路あるいは浦河−大樹のお話がございましたけれども、ずっとつなぎますと道東から海岸沿いに釧路の方から真っすぐ道路がまいりますと、どうしても将来にわたっては浦河−大樹、それから中静、それから日勝道路という三本がやっぱり幹線網として要るというふうに私ども考えておるわけです。これはちょっと例になりますが……
○小笠原貞子君 もう時間がないんですよね。どうしても言わなければならないことがあったら別だけれども。おっしゃる意味はわかりました。 それで、確かにおっしゃる幹線でということになるけれども、これだけではなくて三十八号線があるわけですよね。だから、道東からというのは、こっちをいまずっと通っているわけでしょう。それで、今度こっちを通るにしても、浦河−大樹線、日勝線できるわけですよ。だから、どう転んでもここのところの大工事をして、問題を起こしてというのは全くこれは説得力がありません。だから、さっき言ったように札幌だけではなくて、中央も地方も、そしてアメリカもヨーロッパから来られた学者も意見書をお出しになっていらっしゃるし、それから国際的な団体からも意見書が出てくるというような状態にいま来ているんですよ。将来あった方がいい、それはあった方がいいかもしれない。しかし、財政危機が叫ばれていて、環境問題がこれだけ重視されているいま、やっぱりあそこまで二十年もかかってのめり込んでいくんだというのは、ちょっと私は強引過ぎると思います。 そこで、開発庁が作成なさいました環境影響評価書に対する点について、道庁で環境影響評価審議会、委員会で構成された検討会議というところで意見が出されましたね。この意見書を読ませていただきますと、もう御承知だと思います、時間がないから全部言いません。非常に厳しい指摘がされているわけですよ。たとえば、動植物や地形、地質にかかわる現地調査が十分なされていない、詳細な調査が必要であると厳しく指摘している。またもう一つ言いますと、自動車排出ガスによる大気汚染などの影響予測すらない。これも問題だと、ここで評価のやり方を厳しく指摘されているんですよ。しかし、道、開発庁に伺うと、いや、人間がそんなに住んでいないのだから自動車の排ガスの調査は必要ないんだと、こうおっしゃるわけなんです。私は、きょう人間のことだけ言っているんじゃない。先ほど長官も言われたように、この自然環境を守るためにという立場から考えるならば、人間がいないから自動車の排ガスも調査する必要がないなんという、これはまさに暴論なんですね。それに対して、今度は修正意見というものが出されたわけでございます。この修正意見も全部読ませていただきました。そうすると、実に抽象的なんです。必要な措置を講ずる、こういうふうなやり始めてから、大変になったら何とかすると、こういうような、これも非常にちょちょっと書き直しただけですよ。すでにここに写真がございます。御承知だと思いますけれども、いま林道があってそれの工事をやっていても、山が崩れてきているんですね。こういうようなことから考えますと、私はここのところでやっぱりどう考えてもずさんな調査ですよ。だからここのところで、苫小牧のときにもおっしゃったように、私は再調査をしていただきたい、そして、環境庁としても、これが一体どういうんだという問題を専門の立場でお考えをいただきたいと思うんです。もう私の時間ですよね。時間がなくなったから、それ両方から再調査の必要ということについて御意見を伺って、最後に私は申し上げたいのです。 大西さんにはいつもお世話になりまして、大変詳しく御専門でいらして、もうずいぶん勉強さしていただいて、北海道のことはやっぱり何といっても開発庁一番わかっていただくということで私たちいつも頼りにして、何回かお伺いしたわけなんです。だから、そういう立場から実は二十七日のきょうの分科会に資料下さい、そしてその資料についてレクをしてくださいと申し上げた。で、二十五日の十一時においでになったのです。そして、持参された資料というのはべろっとした紙ですね、予算のいきさつ、そしていままでのこの綴がつくられるいきさつというぺろっとした二枚くらいなんですね。先ほど言ったように、経済効果がどういうふうなところにあるのか、千二百台というのはどういう根拠があるのかという資料を私たちがわからないから聞いたんですわ。で、聞いたら、その後午後からいらっしゃいました。そして、いらっしゃって、今度すごく厚い環境影響評価書というのありますね。これ何冊も連ねたらこんなに厚いのですよ。これ持っていらした。これ見てくださいと言うのですよ。私、その日もう予算委員会で午後質問しなければならないのです。これ持ってきて、見てくださいなんて言ったって、こんなたくさんなもの見られますか、私には。だから、いつも大事なところはレクしてもらっているわけでしょう。だから、もしもそれじゃあなたの方も忙しいなら置いていってくれと言ったんです、私、見たいから。そうしたら、置いていくわけにはいかないと言うのですわ。これ持ってきて、見てください。私は委員会へ入らなきゃならないでしょう。そして、置いていってくれ。置いていくわけにはいきません。もう一冊ないんですかと言ったら、これ一冊しかないと言うのですよね。それで、これ北海道では縦覧していると言うのです。じゃ北海道へ行って見ろと言うのですかというようなことになりました。だから私は、出せないものは出せないで結構でございます。決して共産党無理言ってないんです、いままでどこでも。まともなことしか言ってないでしょう。だから、出せるものについては資料を出してください、貸していただけないものについてはコピーをくださいと言ったにもかかわらず、きのうまでついにいただけなかった。ということで、いつもよくしていただく大西さんに文句言ったような形になりまして申しわけございませんけれども、いろいろ問い合わせてみましたら、開発庁の——大西さんは抜きます。開発庁の姿勢悪いというのですわ。開発庁は官庁の中で一番いばっている。北海道の開発局もいばっている。資料を見せてくれと言ったって見せてくれない。お役所の最たる悪いのを持っているのが環境庁だという評判でございましたので、それも一言最後につけ加えさせていただきまして、お答え……
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 環境庁じゃないです。そこのところ直しておいてください。開発庁です。
○小笠原貞子君 ごめんなさい。環境庁はいいです。環境庁は大変一生懸命やってくださいます。開発庁でございますから、取り消しますから、どうぞよろしくお願いいたします。 お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(大西昭一君) 実は、北海道開発局と道庁と両方で仕事をやるものですから、道条例に準ずる環境影響評価書も両方でつくったわけでございます。道の方は審議会にもその旨報告して、先ほど先生からも御指摘あったような意見をいただいておることも私ども十分承知いたしております。しかし私どもとしましては、少なくともそこに道路をつくることと自然環境との調和が図られるかどうか、すなわち道路をつくることは自然環境との調和を図りながらできるかどうかというその判断のし得るに足る調査は一応できておると思います。ただ、先生おっしゃるようにそれじゃどこののり面をどう切って水が出るやつをどうだとか、崩壊防止はどうかというのは、これは……。
○小笠原貞子君 そこまで言ってないですよ。基本的なところが指摘されているんですよ。
○政府委員(大西昭一君) それはもう具体的に設計なり施工なりを検討する段階でないと、これは具体的なあれができませんので、これは今後調査をしながら十分慎重に設計なり施工に反映さしていくというふうに御理解賜りたいと思っています。そういう意味では、以後もずっと調査を続けてまいります。
○小笠原貞子君 仕事し出しちゃったら、自然環境崩れていった中でのお仕事になっちゃうんですよ。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、いま国定公園の申請も出てまいりましたので、鋭意検討してなるべく早く決めたいと思いますが、決まりました暁には、知事さんが責任者ですから、この国定公園は先生申されたように大事なところですから、できるだけひとつ大事にしていただきたいと思います。そういう観点といたしまして考えれば、国定公園としてはこの道路は要らないのです、国定公園としては。しかし経済のことなどいろいろ考えてどうしても必要があるというのであれば、環境を壊さないかどうか具体的に調査する必要がありますし、それは協議が起こってからこれからわれわれは慎重に対処していきたい。こう考えております。
○小笠原貞子君 どうぞよろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。
○柳澤錬造君 厚生大臣、最初に予算委員会からずうっと大臣の御答弁をお聞きしていまして、いつも誠心誠意お答えをしているところ、心から敬意を表しまして、きょうは人道的な立場でもってお取り組みをいただきたいという問題を二、三取り上げてお聞きをしてまいりたいと思います。 第一が北朝鮮の日本人妻の問題なんです。昭和三十四年の十二月十四日にあの新潟港から帰還第一船が出発をしたわけなんです。私がつかんでいるところでは約六千人ぐらい向こうに行っているということになっているんですが、皆さん方の方でその辺がどのくらいでおつかみになっているか、そこからまずお聞きしてまいりたいと思います。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘のように在日朝鮮人の北朝鮮の帰還につきましては、昭和三十四年の八月の十三日に日本赤十字社と北朝鮮の赤十字社との間でカルカッタ協定が締結されまして、これによって十二月の十四日から帰還が始まっております。現在までの帰還者数は約九万三千人でございまして、このうち夫に随伴しましたいわゆる日本人妻と言われるこういった方たちが千八百二十八人と推定されております。
○柳澤錬造君 それで大臣、東京から行かれた陸川文子さんという方の手紙の中の若干の点、私これ抜粋をしてきたので読んでお聞きをいただきたいと思うんです。そして大臣がどういう御感想をお持ちかということも知りたいと思うんですけれども、この陸川さんの場合は三十五年の十月に新潟港から出発をしたのです。その出発する直前に家族に来た手紙では、 北朝鮮から帰ってきた日本人代議士が、必ず近いうちに里帰りもできる。働けばそのお金でもってモスクワや中国にも旅行ができる。子供のいる家は本当に幸せだよということを言われました。そちらでもってよけいな心配をしていることはうそのようなことです。という手紙を出して、そして出発をしていったんです。あちらへ渡って一年ぐらいの間の手紙というものはわりあいにいいことをいろいろ書いてきております。 その一年後の昭和三十六年の十月のときの手紙の中では、 近くの朝総連に聞いて帰国者に頼んで石けんをたくさん、冬のたび、古着屋に出す安い子供の服、運動ぐつ、安い布、ミシン針と黒い系、ハモニカ、ミルク等どんなものでもいいから送ってください。姉の最後の願いです。 という手紙がきているのです。 そして四年八カ月後にはその御主人が亡くなったわけです。そのとき子供を七人抱えていた。日本だったならばいろいろ事情があれば実家に帰るということもこれはできるんですけれども、それもできないでそのまま向こうでずっと暮らしておって、五年後の昭和四十年の八月に出された手紙では、 六年目になる私たちは何一つ買わず、帰国したときのままの服で生きております。寒くなってくるのに心細く、米村のおらないいま、一人でさびしい私を察してください。皆様に二度と心配かけまいと決心して帰国した私でしたのに、寒い国なので衣類、毛布、毛糸類をね、自転車は無理でしょうね、無理には言いません。米子か私に安い時計を一つ入れてくれるかしら、必要なのです。寒くならないうちにお願いします。 という手紙が来たわけです。米子というのは子供ですが。 さらに十三年後の昭和四十八年の八月の手紙では、 朝夕とても涼しくなり、秋の色が少しずつ見られるようになり、病室の窓から見ると見渡す限りのトウモロコシ畑は黄色に実って、ことしはよくとれたのが見られます。もう八月、私も四カ月以上の病気と闘い、いまは自分の体ではなく、骨の上に皮がついているだけの体となりました。朝夕涼しくなったためかこのごろはとても気持ちがよくて、便所にも一人でつえにすがって行かれるようになりました。病院の先生が十月には療養所に行かしてくださるとのことですが、それよりも一日も早く動けるようになり早く家に帰りたくてたまりません。 という手紙。その後もまだ手紙が続いて——この方の場合には向こうから送られたのが全部は来てないけれど、まだ来ている方なんです。 それからもう一人、鹿児島の高見沢順子さん、これは三十五年の三月にやっぱり帰還船で向こうへ帰られたんです。この高見沢さんの場合も、出かける直前の手紙では、 あちらに行って一年間はどうかわからないけれども、それ以降は年一回里帰りがあると日赤でも言っていました。そのときは必ず帰ってきます。 この高見沢さんの場合も初めのころは大変すばらしい内容の手紙が続くんですが、一年三カ月後には、 チューインガムを封筒に入れて送ってください。安いラジオでいいから送ってください。 という手紙になってしまい、そしてこの方の場合も、二年十カ月後の三十七年の十二月に夫が家出をしたまま行方不明で帰ってこなくなっちゃった。そして先ほどの陸川さんのように子供が七人もいないんですけれども、二人の子供を抱えて日本に帰ることもできないでそのまま苦しい生活を続けているという。 手紙の中のその要点だけを私が拾い上げてきたんですけれども、厚生大臣お聞きになってどういうお気持ちかお聞きをしたい。
○国務大臣(園田直君) 北朝鮮の日本人妻の方はただいまのお手紙を拝見をして実情を察するに余りがあります。私もまたいろいろ事情も承っていることもありますし、長い間私は、この問題では微力ながらいろいろ考えてまいりました。しかしながら、これは外交関係がないこと、そこで両方の赤十字社を通じて折衝をしているわけでありますが、これは必ずしも北朝鮮側だけの責任ではなくて、われわれの側にもいろいろ入国とか出国とかその他の問題があるわけであります。 それからもう一つは、残念ながら北朝鮮と南朝鮮と、言葉は悪うございますが、われわれ自体がどこかにわだかまりがある。こういう問題が影響して、こういう方々のお気の毒な実情が長引いておりますが打開ができない。向こうの方からも赤十字社を通じて回答がないと、こういうことでございます。 たまたま向こうを訪問される議員団の方やその他の方々の御尽力も非常にいただいておりますものの、悪い返事はありませんが、確たるいい返事もないというわけでございます。幸いしかしわが方の態勢が大分変わってきたと私は見ております。 今度の難民条約その他の問題で関係各省と相談するうちに、こういう問題についても厚生省の方も外務省も法務省の方もだんだん理解を持たれてきた。これは少しちょっと道が開いてくるかなと、こう考えているところであります。さらに具体的な御意見も承り、あるいは向こうに行かれる方々、中心は赤十字社を中心にして、人道的問題でありますからわれわれも考えなければならないし、また向こうの方も、事を挙げてお願いをすれば、人道上の問題でございますから私は問題が開けてくると。という間にも日々そういう方々は苦労される方でございますが、全力を挙げてこの問題——幸い中国の孤児等も道が開けてきたところでございまして、あの孤児を迎えた瞬間に、ああ今度は北朝鮮の日本人妻の方だなと、こう思っておるところでございます。
○柳澤錬造君 実は昨年の九月ですか、自民党のAA研の代表の皆さんが向こうに行かれて、あちらの金日成主席との間でも日本人妻の里帰りと日本にいる家族の訪朝については歓迎するという、そういうお話があったということも聞いておるわけなんですけれども、大臣もそれは自民党の中なんですからそういうAA研の代表の方たちがお帰りになって、いま大臣もお話がありましたように、これにも関係なさっていたと思いますしするので、そういう点でのその後の前進というものは何かあったんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 行かれた方々のお話を聞くと、つれないことではなくてなかなかほっとするような気持ちもありますが、具体的な点では、まだ何ら進んでいないような気がいたします。
○柳澤錬造君 それで少しさかのぼりますと、日本人妻自由往来実現運動の会というのができて、そして先ほど言った向こうへ行かれた方たちのこちらにいる家族の人たちでそういう会をつくっていろいろ一生懸命運動をしているわけなんです。その池田さんという代表の方初め九名でわが党の永末国会議員の紹介で、当時は鳩山外務大臣のとき、いろいろ陳情に行かれて鳩山外務大臣は日赤の方にだれか向こうに行かせるようにしたらどうかと言って、そのときは外交ルートはないですから日赤の話がでたんですけれども、いま大臣のお話の中からも、やっぱり外交ルートがなければ日赤を通じて何か道を開かなきゃならぬということになる可能性が強いと思うんですけれども、その辺の道を開かせるという方法でもって何か大臣としてのお考えがないかどうか。
○国務大臣(園田直君) 両方の赤十字を通じて話し合いをしていただくことも大事であります。かつまた、外交はございませんけれども、いろいろな国際会議に行った場合等に両方の代表者が会って話をする機会はあるわけでありまして、私、外務大臣のときにも向こうの代表の方々といろいろ懇談したことを覚えております。これが公式に出る出ないは別として、そういう際にしんみり話をして、こちらがどういけば向こうの方ではどうしやすいか、向こうからどうしてもらえば、こっちはどういうことができるかということをお話をするべきだと考えております。
○柳澤錬造君 だからそれを、本来からいけばむしろ私は外務省の方のお仕事になると思うんだけれども、いろいろいままでの難民条約でも、それは厚生大臣が最初の外務大臣のときに批准するというお約束いただいて、それからずっと御努力いただいてこの国会で批准するところまできたんですから、だからそういう意味に立ちまして、先ほども大臣自身が人道的立場でと言って、もうそのとおりであって、ですからそういう点で一番園田厚生大臣がいろいろといままでもおやりをいただいたんで、この問題でも何とか道を開いて、そしてみんな心配をして、ある人なんかはもう母親は養老院に入っちゃってるんです、年をとって。それで娘が三人ともどういうことで向こうの人と御一緒になったんだかそれは私知りませんけれども。だから三人の娘が一緒になって——一緒になってといっても向こうで一緒にいるわけじゃないんだけれども、向こうへ渡っちゃっている。それでお母さんはひとりぽっちで残ってそれでもう戸うにもならないし、そういう養老院のようなところへ入っちゃってそれで娘の安否を気づかっているというような状態なんですから、かなり年数がたっているし、先ほど陸川文子さんのお手紙私読みましたけれども、この方もいま五十二歳になるんです。もう歯が全部だめになっちゃって、そして入院しているところへ子供がトウモロコシを持ってお母ちゃんと言って持ってきたって、そのトウモロコシをもう食べられないって言うんです、歯が全部だめになってしまって。 こうやって私がいまお願いしている間でもまだ本当に生きてくれればいいなあと思うくらいで、それでせっかく皆さん方の御努力をいただいたわ、やっと道は開けて、それでこう何とかということになった、しかしそのときはいろいろいってみたらあの人もいなくなっちゃった、この人もいなくなっちゃったでは、せっかく御努力やっていただいたのが実らないんで、ですからそういう点からいきますと、外交ルートのそういう点では非常にむずかしいんですから、何とか厚生大臣、日赤の方に——それは日赤の方だったら厚生省の管轄にあるんですから、その辺を少し、圧力をかけるなんて言っちゃいけませんけれども、本気になって取り組まして道が開けるようにしていただきたいと思うんです。具体的にそういう点でもってもう大臣にお願いするしかないんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(園田直君) これは外務省が主管などと言わないで、人道上の問題でありますから、主管は外務省でも責任は私にあるということは十分考えております。かつまた実際にやるのも私の方で、かつ日赤と私の方は縁は深いわけでございます。所管下ではありませんけれども、これまた具体的な話ができるわけでございます。また、懇意な国々の援助もかりて、早急にこの問題は実行に移して、何とか誠意が通るように、具体的に方法はいろいろございます。これは外交関係がないと言いましても、近ごろの世の中では規則にとらわれてしばられておったら、よくするためのいろいろな規則が何にもできないようなしばり方をされて、記録を調べていただくとわかりますが、共産党の徳田球一さんが亡くなったときに、共産党の万から遺骨を受領のために行かれました。そのときは外交関係は中国にありませんから、全然旅券が発行できない。それを私、外務政務次官のときに公用族券を発行したことを覚えております。外交関係のない国に公用族券第一号を発給した。それが共産党であったということは非常に因縁だなと私は思っておるわけでありますが、こういう人道上の問題は余り四角四面な、商談みたいなものとは区別をしてやる、小しは行き過ぎても、おしかりを受けても仕方がないという時代だと、こう思っておりますから、あとまたよく皆さんから御意見を伺いながら覚悟を決めてやります。
○柳澤錬造君 厚生大臣のそのお言葉信じて、本当にお取り組みをいただきたいと思います。 それで法務省の方は……。大臣にやっていただいて道が開かれた。じゃ、こちらへ帰ってくることができたというときに関係するのは、今度は法務省の入管なんかが関係してくるんですけれども、その辺は温かくお迎えをして、それこそいま大臣言われたように、余りむずかしい理屈を並べないで、それでこちらにみんな親御さんたちいるんですからね、そういう点ではさっと入れるように、そういうことをやっていただけますか。
○説明員(黒岩周六君) 先生御指摘のとおり、事は人道上の問題でもございますし、これらの方が入国または帰国をするに当たりましては、まず日本人である以上格別の問題は全くございませんし、御趣旨を体して措置したいと考えております。
○柳澤錬造君 ありがとうございました。ぜひお願いをいたします。 それから大臣、難民の問題で、これはさっきも申し上げましたように、大臣が外務大臣のときに批准のお約束をしてやっていただいたんで、いよいよこの国会に出てくることになったんですけれども、事務当局の方、どなたか……。最初に私がお聞きしておきたい点は、発効して何年目になるんでしょうか。そして日本は批准をした何番目の国になるんですかということをちょっとこう示してください。
○政府委員(金田伸二君) お答え申し上げます。難民条約の効力発生は条約の方が一九五四年の四月でございます。それから議定書の方が一九六七年の十月でございまして、現在、この難民条約に加入している国がことしの二月現在で、条約につきまして八十一カ国、それから議定書につきましては七十九カ国が現在加入しておるというような状況でございます。
○柳澤錬造君 昭和二十九年ですから、もう二十七年目ぐらいになって、八十何番目でやっと批准をするということになるわけですから、そういう点からいたしますと、もう先進国の中では一番おくれて今度は批准をするところに来たわけなんで、そういう点から、たってこの難民の認定とか、そういうことがいま先進国や何かがやっているのに見劣りのしないような、いままでのことはしようがないから、おくれてやるんだけれども、そのかわりそういう難民の認定なんかでは、いままでの国がやっている以上に進んでそういうことについては扱いますよという、その辺のところがしていただけないと何にもならないんで、その認定の期間とか何とか、その辺のところはどうなっているんですか。
○説明員(伊藤卓藏君) 難民条約批准に伴います国内法の整備を目下関係省庁と検討いたしておる段階でございますが、現在のところ、法務大臣が認定の仕事をするということで作業を進めております。
○柳澤錬造君 法務大臣が認定するというだけではわからないんであって、具体的にその認定機関を何か設けなくちゃいけないから、そうすると、常識的にいけば法務省の中にということに払いまはなると思う。その法務大臣のもとに設けられた一一々法務大臣がチェックするわけじゃないんだから、そこへできたその機関がどういう判断を持っておやりになるのかどうか。大臣はあのとき外務大臣でおられたから、最初に私がカナダの手紙を持ち込んで予算委員会で取り上げたときに、当時は所管が総務長官だった。それであの三原総務長官が、難民の問題は人道上の立場で取り組まなきゃなりませんと、人道上とはこれは人類愛ですと。人類愛というのはその国の国境を超え、民族を超え、その国の法律を超えてやることなんですと言って、私は非常にもう、それだけの御答弁を総務長官にしていただければ私は何も言うことありませんと言って、それで五百名の枠にふくらませてくれたときなんですよ。で、非常に感謝はしたんだけれども。そういうりっぱな人類愛という立場での御答弁はいただいて、枠も五百名にふくらましてくださった、いろいろいいことをしてくれた。 しかし、現実にその後の法務省当局のいろいろ入管がやっていることなどについて、果たしてあれが人類愛といい、人道上ということになるのかどうだろうか。そこのところが、せっかくこう、やっと長いこといろいろお願いをして難民条約を批准して、その点では世界のそういう面の、難民を扱う立場ではやっと先進国の仲間入りをするところまできたわけなんです。いままではいろいろ何か言われた。あのリーダースダイジェストにも書かれた。あれはもう私、予算委員会に持ち込んで時の法務大臣にも上げたくらいなんですから。そういうことを世界じゅうからいろいろ言われたことが、ああ日本もそこまでやるようになったかと言って世界の国々が目をみはるようなことをしていただかないと、それこそさっき厚生大臣言われたように、法律を盾にしゃくし定規でやっておったらこれはどうにもならないんで、具体的にどんなことをおやりになろうとしているか、できるだけ受け入れるような形で、難民と認定しようという気持ちでやるのかどうか、そこのところですね。
○説明員(伊藤卓藏君) 多少理屈っぽくなるかもしれませんが、難民の認定と申しますのは、難民条約一条に「難民の定義」がございます、御承知のように。その一条に定めますところの難民に該当するかどうかということの認定でございます。それを法務大臣がやるということで作業を進めております。それから、その認定ということとわが国に入国あるいは在留を認めるかどうかということとは、条約との関係ではこれは全く別個の問題であるというぐあいに理解いたしております。 したがいまして、入国を認めるかどうか、在留を認めるかどうかという点につきましては、御指摘のような人道上の観点に立ちましてケース・バイ・ケースで適正な処理をいたしたいと考えております。
○柳澤錬造君 議事録をとっているんですから法務省サイドとしてはそういう答弁になると思うんですけれども、そこのところを、いま厚生大臣が先ほどからお話をしているように、どうしてああいう人たちが生まれてきたのか。しかも、これは後でもう一つ、これはもう時間もあれですけれどもちょっと触れておきたいと思うのは、この間も来てやっていただいたあの中国の日本人孤児。難民というのはこれはまだよその国の人たちのことで、めんどうをどこまで見るとか見ないとか言っておったけれども、あのとおりなんで、あの人たちがどのくらいいるんだろうか。本当に私もあの新聞を見たりテレビを見て、それは涙が出ますわな。あの人たちのことを本当にみんなやっぱり救ってやって始末がつかなけりゃ、日本の国の戦後は終わったと言えないんですよ。だからその辺のところを、言うならば、もう私が予算委員会で前から言っているように、ベトナムなりインドシナの場合もそうですけれども、ああいう戦争とか何かの、そういうところからのいわゆるアブノーマルの状態から出てきた人たちでしょう。それであの人たちというのは、自分の国を捨てて、自分の財産も家もみんな捨てて、ともかく自由を求めて飛び出してきて、それで日本に行ったならばと言って来るわけですよ。その人たちに日本の同のこのノーマルな法律をしゃくし定規に当てはめていってという、私はそこに無理があるんだし、そこを何とか、いままでいろいろあったけれども、この際ひとつ難民条約をやっと批准するところまで来たんだから、もうちょっとそのところを目を開いて、そしていかにしてあの人たちを救ってあげようかという、それこそ大臣も先ほどから言っているように、そういう人道的な立場でお取り組みをいただきたいと思うんです。 だから、もう少しその人間の血の通ったような答弁をしてくれませんか、私がウーンと言ってもう本当に涙が出るような気持ちになれるぐらいな。あの人たちのことを考えてあげてくださいよ、本当に。私はよく言うんだが、北九州のあの辺のところへ関東大震災みたいなのがぐらぐらっと来て、わあっと言ってみんな海へ飛び出していって、何でも船へ飛び乗って一番身近な韓国へ行ったというときに、そのときに韓国が、あなた方何ですか、パスポートないじゃないですか、そんなの入れるわけにはまいりませんと言って断る。それと同じですよ。ですから、ああやってそれはボートピープルだ、ランドピープルだ、エアピープルだ、いろいろな者がおるけれども、やっぱりそれだけの者の発生してきた原因、背景がどういうところにあったか。そうして同じ人間として、私たちは日本の国におってこれだけ、それはいろいろ景気がいいとか不景気とか言ったって、まだまだ何というんですかこんな幸せに暮らしている。昭和二十年代なら別だけれども、これだけのいまは経済大国だ何だというまでの経済力を持つようになったんだから、そうしたら少なくともこの周辺のアジアのそういう人たちに温かい手を差し伸べてそれで迎えてあげるという、それが本当の人類愛じゃないんですか。もう一回お答えいただきたいんですけれども。
○説明員(伊藤卓藏君) 先生が問題として取り上げておられます人たちというのは、いわゆるボートピープルではなくて、世に言う流民とか言われている人たちのことではないかと私推測するわけでございます。ボートピープルの関係につきましては、内閣の例の対策室がございましてそこで一括してこの対策を立てておられ席すが、いわゆる流民と言われている人たちにつきましては、個々の具体的ケースによりましていろいろなケースがございます。本当に戦火を免れて逃げてきた人もありますし、それからよりよい働き場所を探してかせぎにきている人もございます。したがいまして、世間で言う流民イコール難民というわけにはまいらないと思います。人道上配慮を要するケースにつきましては、入管におきましてもすでに特別在留許可を与えている者もございます。今後も事実をよく調査いたしまして、文字どおり人道的な観点に立ちまして御納得のいくような措置をしてまいりたいと考えております。
○柳澤錬造君 本当に納得できるようなことをやってくださいよ。 それで、いま私は使おうか使うまいか、これは厚生大臣もお聞きになっていていただきたいんだけれども、いま言ったその流民という言葉ね。本が一冊できちゃった。それでこれももう私は伊東外務大臣には差し上げて、それから奥野法務大臣にも差し上げたんです。ぜひお読みいただきたい。それでこの本は、一冊最後まで涙出さずに読めたら、私はそれは人間であるのかないのかと言いたくなる。私は涙出しましたと言ったんですよ。それでその流民という言葉が言われているというのは恐らく私は日本だけだと思うんです、そんな言葉が出てくるなんて、世界じゅうどこにもない。ですから、難民ですらも何なのに、難民のほかにまた流民なんて言葉でもって扱うような人が実るというところが、私少なくとも、一般の人が言うんならまださておいて、政府機関なり私たちがそんな言葉を絶対使っちゃいかぬと思うんです。一緒なんですと。だけれどもそこに事情があれば差があって、こちらの人はこうだああだと言ってもいいけれども、そういう点でお考えもいただきたい。 昨年、私はあのタイの難民キャンプにも行ってきまして、それは三万幾らもおって二時間かけていろいろな人、もうそれは千差万別で、それは中にはカンボジアからもう逃げ出していって、それで入っていったらベトナムの国に入っちゃったっていうんですよ。それで、あっ、これはもう間違った方へ来ちゃったっていうんで行こうと思ったら、今度は国境が閉鎖されてもう出られなくて、それで一ヵ月ぐらいなにしておって、そうしてやみ夜に紛れて突破して、あのカンボジアの国をずうっと突っ切って、そしてタイの国に入ってきてキャンプに来ていたとか、まあそれはいろいろの背景の人たちに会ったんです。 それで、もちろんいろいろ事情も違うんですけれども、私は政府からもあちらに行って、日本に来て住みたい方はというか、募集というか何かおやりになっている。あれももうありがたいことで、それは決していかぬとは言いませんけれども、向こうへ出ていって、そうして日本で引き受けますから来る人いませんか、そのかわりにはこういう条件ですよと言ってやる、それもいいけれども、いまこういうたくさんいっぱいおる、いまこっちにおるあの人たちのことを、なんでもうちょっと温かくしてあげないんですか。本当にそれは大臣、昼間はつかまると送り返されちゃうからじっとしていて、夜になるとそこらのおそば屋さんや何かに行ったりして働いて、一カ所だけでもらう給料じゃ暮らせないといって、それで真夜中じゅう二カ所も働いたりなんかして暮らしている。どうしてああいう人たちにもうちょっと、向こうまで出ていってそういうことするのならば、いまおる人たちにね。それで政府だけでもって手に負えなければ、政府もここまでやった、いま民間機関もいろいろできているんですからね、そういう難民を救う民間機関に、君らも手をかしてくれや、こういうこともやってくれやと言っておやりいただきたいと思うんです。 それで大臣、難民条約が批准されるというので、「インドシナ難民を助ける会」だとか、あるいは「在日インドシナ難民を救う法律家の会」だとか、「在日インドシナ流民に連帯する市民の会」とか、いろいろとできて一生懸命本当に奉仕でやっているわけです。で、そういう人たちが、どうも難民条約は批准されるんだけれども、それが果たしてよかったと言えるのかどうかと言って請願をやると言って、もういま用意をしているんです。そこでどういうことを言っているかというと、請願の趣旨二つ言っているんですけれども、 一、日本国憲法、世界人権宣言、および国際人権規約の人権尊重の精神に従い、人道的見地を優先する立場から上記条約の実施・運用をはかること。特に、民間の声を十分に反映した公正な認定機関を設置すること。 二、わが国に居住するすべてのインドシナ難民(定住許可を得て日本国内に滞在するインドシナ難民・在日旧インドシナ留学生・インドシナ政変前後に故国を脱出し、旧インドシナ三国旅券ないし日本人国の手段として入手した第三国旅券によって日本に入国し、現在も日本国内に滞在する者であって日本国に対し難民としての保護を求めている者)に対し、区別することなく等しく、国際的人権保護の見地から人道的配慮を十分に加え、上記条約における難民と同様の法的地位を与えること。 こういう請願をやろうといま準備をしているのですけれども、そういうことについてどういうお考えをお持ちか、それをそのとおり受け入れるという状態でいま進んでいるんですか、それともその辺が、いやちょっと違いますということになるのか、いかがでしょう。
○説明員(伊藤卓藏君) 難民条約に伴う難民認定の作業は、まだ関係省庁と具体的な方策について十分な詰めが行われておりません。目下国内法を今国会に御審議いただくべく法案立案中でございますが、これはただ単に法務省だけの問題ではないと思います。法務省の場合には難民認定をし、在留を認めるということですが、それに伴いますいろいろな社会的な問題などあろうかと思います。仕事の面、それから生活保護の面、厚生省、それから外務省、警察、いろいろ関係ございますので、今後はそれらの関係省庁と十分協議いたしまして、先ほどのような御要望も受けまして具体的な方策を検討してまいりたいと、かように考えております。
○柳澤錬造君 じゃ、時間もないので、大臣に特にこれはもう難民条約は大臣が外務大臣のときに私が口火を切って進んできているだけに、まだ十分固まっていないというんですから、せっかくここで批准していただくのですから、そういう点で、ああやっぱり批准していただいてよかったと言って、そういう関係の人たちが喜んで日本の政府に感謝するようなことをやっていただきたいと思うんです。できちゃって逆に、いや、これは条約の難民に適用いたしませんと言って切ってしまうなんということのないように、その辺大臣が最初から言われている人道的な人類愛の立場に立った配慮というものをお願いをして、その問題は終わりたいと思います。 それから最後に、さっきもちょっと言っておきましたこの間中国の残留日本人孤児が四十七人来て半分ぐらいが、ほんとよかったことだと思うんです。それで次には秋だとか言っているんですけれども、かなりいるらしいというんでしょう。ですから、これも大臣お願いをいたします。年に二回ぐらいじゃとてもじゃないけれども追いっかないし、そしていろいろ記憶を呼び起こして、今度はそういうのはといって、結婚の縁結びじゃないので、それでそういうあれがあったらもっと、私に言わしていただけば、血液検査でも先にやれば、いまかなりそういう点ではわかるようになることだし、それから私はもう三十五年からたっているんで、そして自分の子供がなあと思っても、いまさら古傷にさわられたくない方がおると思うんですね。ですから、その辺のこともやはり考えてあげなくちゃいけないし、そうは言ったってあちらでもう帰りたい帰りたいと言ってなにして、人ごとを考えたらそんなこと言っていられないんですから、これはできるだけやっていただくこと。 それから並行して何とか大臣、里親制度をつくって、それは政府がどうこうなんて言って、それはとてもじゃないから一般の中でもって、いや私たちも戦争の経験して、この前も木暮実千代さんですか、なにしましょうと、里親でなにすると言ったんだけれども、いや、今度は全部帰さにゃいかぬのだといって、一日里親なんてやったというのを新聞で読んだのですが、ああいうふうに里親になって引き取りましょうという人が出てきたならば、それは実際の親が見つからなくても、そういう里親に託して日本の国で住まえるようなことを考えて、何かそういうことの道を、これはもう大臣ぜひ開いていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) おっしゃるとおりでございまして、ただ、ここにはいろいろな問題がございます。たとえば、もう年齢が三十から四十でございますから、向こうで結婚したと言われても、主人が亡くなったりして、そして自分を養ってくれ養い親を今度は養う方の柱になっている方もあるので、むげにこちらへ来いと言うわけにもまいらぬ点もございます。それからまた国内では、非常につらいことですが、実際わかっておっても、いろいろないきさつで親戚というのは死んだと言っているし、それから預けてきた人もありましょうけれども、中にははぐれた、これはまだいいが、途中でもう自分の生命その他で、捨てたというわけではないが、そういうこともありますので、古傷にさわられたくない方もあるわけであります。しかし、この孤児の方々全部が日本に住みたい、そして向こうの夫のある人は夫、親のある人は親を連れてきて日本に住みたいというのは、もう体をふるわして泣きながら訴えられることでございまして、この前のことで、皆さん方や中国やマスコミの非常な協力を得て成果を上げたと思いますが、これはつけ火であって、これから先が本物を始めなきゃならぬと、私こう思っておるところでございます。 しかし何にしても、これは相手の中国の理解と援助が一番大事でありまして、中国の方でも、やっぱりいろいろ国という立場から、こちらの方もいろいろありましたが、向こうもいろいろ心配して出されたようであります。そこで急いで、私の代理を向こうに派遣をして、私の手紙を持たしてお礼を申し上げ、同時に、今後の問題について具体的にいろいろ御協力を願いたいと、こういう手はずをすでにやっているところでございます。 かつまた国内では、里親になるというのはいっぱいございます。もう自分たちは子供を一人前に育てて、夫婦だけで暮らしているから、自分のところで引き受けるという方もございます。こういう問題を考えながら、そういう方向に進めると同時に、数はわれわれの想像以上にまだたくさんおられるんじゃないかと、こう思いますので、この調査、それからまた、こちらへ来ていただいて親子のお引き合わせをする、こういう点も一挙にたくさんというのはなかなかこれまたできませんが、おっしゃるとおりに、できれば回数を何回かふやして早くやりたいと。これについてもやっぱり厚生省だけじゃなくて外務省、特に法務省、入国だとか国籍の問題、永住の問題あるわけであります。先ほどの難民条約でもありましたが、私も実は、法務省というところはかたいところだと、こう思っておったんです。これは法律を守ってやれる番人の本家本元でありますから、かたいのが当然でありますが、金米糖みたいな方で、法務省の方はごつごつしておってこわいようだが、案外、相談してみると甘い、いいところあるなあと、こういうので、難民条約でもやっぱり一番問題の多かった点はこの法務省でございますが、私は、私の想像する以上に、法務省が積極的に理解を示されたということだと思います。 それで、難民条約の問題に移りますが、これは日本の国内で考えることと世界の人が見ることとはちょっと感じが違うわけでございます。日本では、海に漂って死ぬか生きるかわからぬいわゆる流民というのを難民だと思っておりますが、世界の人々はそうは思っておりません。これが人道上の問題だというのは、この世に生まれた人間は、自分の好きなところに自由に住まわれるというのが人権の基本でありまして、そこで生命、生活、環境、そういうことでいやな人は、それまでいた国から出て好きなところに行きたい、いわゆる亡今、これは政治的な問題いろいろありますが、そういうものを含めて難民というのが大体概念でございます。 そこで日本のこの難民条約がおくれたことは、アジアの人々に対する、冷たいということだけではなくて、日本はエゴイストだと、こう言うのですね。自分だけ考えて人の立場を考えない、こういうのが非常な非難というか、冷たく見られている証拠でありますが、残念ながらこれは法務省の責任ではなくて、やっぱり一つの障害は、日本の各種の法律が、ひどいのは関白太政大臣布告などというのが残っておりまして、日本人でなければ人間でないような法体系が日本にあるわけでありますから、こういう現実問題から、みんなが力を合わせてだんだんやっていくべきことだ。それで法務省の方とまだ詰まっておりませんが、各所に意見がありまして、大体理解をいただいて方針はもう決まりまして、難民条約をつくる具体的な問題にはなっております。 これと別個に、それぞれの持っておる国内法をどうするか、これも余りゆっくりやっておりますと間に合いません、国会に。そこで一方は、条約の方だけはまとめて、それで国内法は意見さえそろえば、それは後でやってもいいじゃないかということでやっておりますが、法務省の方も非常にかたいことをおっしゃるのは当然です、これは。しかし方針は、一人一人首実験をして、これは入れてよろしい、これは入れては悪いということでなくて、なるべく自由に入れるようにやるのには、どういういまの現行法のもとでやるかという御苦労を願っていることだけは事実でございますから、御理解を願いたいと思います。
○柳澤錬造君 時間が参りましたので、いまの大臣のお言葉聞いて、本当に感謝申し上げますし、ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。 それから、冒頭に大臣も人道上とおっしゃった、私もそういう点で、きょうはその問題だけ取り上げたのですから、政治的にどうだとか、イデオロギー的にどうだとか、そういうことを一切抜きにして、ぜひお進めいただきたいし、それから中国にもぜひ行かれて、いままでともかく育ててくれたんですから、そういう点のちゃんとお礼も言って、そうしてその方もいろいろ進めるようにもしていただきたいし、北朝鮮の場合も同じですし、難民条約の場合も同じで、どうかやっぱり温かい血の通った、人間の心を持った者が同じ人間をどうするかと言って、弱っている人をいたわる、そういう思いやりの気持ちでもって、これをどうするのだと言って、お取り扱いをしていただきたいということをお願い申し上げまして、私、質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○主査(亀井久興君) 以上をもちまして環境庁及び厚生省に対する質疑は終了いたしました。 次回は三十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十七分散会 —————・—————