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94回国会参議院1981/03/31

予算委員会第一分科会 第3号

発言数
161
登壇者
14
会派数
4
開催日
1981/03/31

会議録

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。  昨三十日、目黒今朝次郎君及び山田勇君が分科担当委員を辞任され、その補欠として佐藤三吾君及び青島幸男君が分科担当委員に選任されました。     —————————————

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) 昭和五十六年度総予算中、科学技術庁所管を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。藤原房雄君。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 予算委員会の分科会ということで、時間も限られておるわけでございますが、科学技術庁関係につきまして二、三の問題について若干御質問をいたしたいと思うんであります。  最初に、本年度の異常豪雪ですか、ことしの被害額は三八豪雪をはるかに上回るということで、政府といたしましてもこれに対しましての早急ないろんな対策を講じてきたことにつきましては、私どもも補正予算の段階でもいろんな議論をいたしましたし、また災害対策でもこの問題についてはいろいろ論議されまして、それなりの施策を講じておる、このように思うのであります。ことしの豪雪は去年の暮れから被害が出始めまして、現在およそ八百億ですか、順次またその被害額が増大しつつあるというふうに言われておるわけであります。  日本列島見ますと、この前補正予算のときも私申し上げましたが、豪雪地帯というのは日本の総面積のおよそ半分にも至るということでありますから、またそこに住まう人口がおよそ二割、こういうことでありまして、雪によりましての被害、これは人命はもちろんのこと財産、そしてまた公共施設等に毎年多くの被害をもたらすわけであります。こういうことに対しましての雪害対策、こういう観点から雪害研究ということは非常に大事なことだろうと思いますし、このたび異常な豪雪があったということだけではなくして、毎年雪のためにいろんな被害があるわけでありますから、常日ごろからの基礎研究や、またそれが実用的な問題への研究調査というものが大事であることは論をまたないところだろうと思うのであります。こういう観点から豪雪対策、雪害対策、こういうことにつきまして科学技術庁の見解を二、三お伺いをしたいと思うんであります。  最初に、国立防災センター、ここが中心になって雪害研究に対してはいろいろなさっているわけでありますが、五十六年度の予算、そしてまた雪害研究に対して予算がどういうように組まれておって、研究課題としてはどういう問題に取り組みなさるということになっておるのか。それから、五十六年豪雪に対しまして特別研究ということでいろいろ科学技術振興調整費等でなさっているようでありますが、ひとつ現在科学技術庁が五十六年度予算で計上して取り組もうとしていること、それからことしの、五十五年度になりますか、五十五年度の異常豪雪を教訓としてそれに対しての施策、こういうこと等についてお伺いしたいと思います。

勝谷保科学技術庁研究調整局長

○政府委員(勝谷保君) お答えいたします。  まず最初に、五十六年度予算案でございますが、五千六百十万一千円でございまして、五十五年度の五千四百六十万二千円に対して百数十万円の増を見込んでおります。先生御存じのとおりに、雪害のための特別の研究所が三八豪雪以来設立されておりまして、新庄並びに長岡で研究をいたしておりますが、特別研究といたしましては、生活関連雪害防止技術の開発研究に三千五百七十三万円を充当いたしまして、特に太陽熱を利用します屋根雪処理技術の研究とか、家屋周辺の雪処理技術の研究等をいたしております。さらに、なだれの災害調査資料収集といたしまして、百四十二万九千円ばかりを充当いたす予定でございます。そのほか雪害実験研究所の運営、さらに新庄支所の運営等に残りの予算を充当いたす予定でございます。  五十五年の正月から始まりましたこの豪雪に対しましては、実は早速北陸地方の豪雪によりまして、各種の被害が生じていることにかんがみまして実態調査が必要でございます。三八豪雪以来大量の豪雪はこのたびが初めてでございますので、早速二つの班を編成いたしまして豪雪地帯の調査をいたしました。  調査の内容といたしましては気象状況と降雪量の関係、さらに屋根雪の積雪状況と屋根の破損とか倒壊状況との関係、さらに積雪の地域特性となだれ発生の関係、生活活動への影響調査等々をテーマにいたしまして、早速に二班に分けまして約五日間の調査をいたしたところでございます。  さらに、このたびは特別研究促進調整費によりまして、五十六年の豪雪に関する特別研究というものを緊急研究として設定をいたしました。研究の項目といたしましては、第一がランドサット、いま人工衛星が飛んでおりますが、このランドサットのデータ並びに航空機のデータをもとにいたしまして、リモートセンシング・データによる積雪等の推定に関する研究と、さらになだれ危険地域の予測に関する研究、それから建物、園芸施設等の耐雪性の研究、さらに春ごろになりますと、これが融雪いたしまして洪水等を起こす可能性もございますので、融雪時の出水予測に関する研究、この四つの研究項目を中心にいたしまして緊急研究を設定いたしました。  担当実施機関といたしましては、科学技術庁のほかに国鉄、農水省、建設省、さらに地方自治体の担当部局並びにそれぞれの地方の大学の専門機関と協調を図りまして、調査に着手いたしたところでございます。第一回の委員会はすでに富山で開催いたしまして、その委員会の後関係者で積雪の状況の調査もいたしたところでございます。  以上でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 去年の暮れからの豪雪、今日になってみますともう相当雪が解けておりまして、とかく豪雪というものにつきましては、そのときはその必要性なりなんなり非常に感ずるのでありますが、各省庁それぞれ取り組んでおるとは思いますけれども、とかく忘れがちになる、こういうことで、やっぱり基礎研究をもとにして恒久的な対策、こういうことを真剣に取り組んでいただくことが大事だと思います。いまいみいろ御説明あったようでありますが、ぜひひとつそれらのものが実効あるものであることを要望いたしたいと思うんでありますが、成果を上げることを要望する次第であります。  同立防災センター、これが中心になって雪害問題についてはいろいろ取り組んでいらっしゃるわけでありますが、私は何も担当する方の人数のことだけで云々するわけじゃありませんが、非常に少人数で御苦労なさっておるという、私ども委員会で視察に行ったときも目の当たりに見まして、非常に要望が多いといいますか、重要な立場にあるにもかかわらず少人数で非常な御苦労なさっているということを見ているわけであります。新潟、山形さらにまた青森、北海道、それぞれ地域によりまして雪の比重といいますか、雪質の相違というのはあるわけで、それに伴いましての施策もまたそれぞれ違うわけでございますから、南北に長い日本の面積をカバーすることは非常に困難なことだろうと思います。しかし、それなりにいろいろ施策をなさっていることはよく存じておるのでありますが、やはりその地域性ということを考えますと、いまの体制ではカバーし切れないものがあるんだろうと思います。今日までも大学とかまたは地方自治体と共同研究といいますか、こういう形でいろいろ進めてきたんだろうと思いますが、今後こういう地方の時代とか地域性というものが非常に重要視される中にありまして、もっときめ細かなこういう地元の要望等を吸い上げ、そしてそういう問題について取り組むという、こういうことについても、科技庁としましてやはりいろいろ御検討なさっていると思うんでありますが、これは大学との共同研究とか、さらにまた地方自治体、こういう要望に対しまして科技庁の取り組みといいますか、今後の考え方についてはどうでしょうか。

勝谷保科学技術庁研究調整局長

○政府委員(勝谷保君) 先生御指摘のように三八豪雪の後、実は長岡の研究所が三十九年の十二月に設立を見ました。そして、目下定員十一名できめの細かいじみちな研究を着実に進めてまいったとこでございます。その後四十四年に新庄支所が山形の新庄に義立をされたわけでございます。先生御指摘のように新潟地方の雪と新庄を含む東北、北海道の雪は雪質が違いますので、この二つの研究所を設けまして、それぞれの研究所で特色ある研究を推進しているところでございます。  このたびの豪雪にかんがみまして、先生御指摘のような各地域、県、市町村からそれぞれの地域に雪害の研究所をつくってくれという要望が殺到いたしましたことも事実でございます。しかし、私どもはこの二つの研究所はそれぞれ新庄市や長岡市のためではございません。いま申しました重い雲とさらさらした雪のための二つの研究所でございまして、各地方自治体とも連絡をとりながら研究を進めてまいった経緯がございますので、今後もそのような地方自治体、さらには地方の大学と連携をとりながら進めてまいる所存でございますので、新しい施設ということは現在の体制からいかがかと思いますが、連絡を従来以上に大学、地方自治体ととりながら、それぞれの雪質に応じた研究を進める予定でございます。  さらに人員につきましても長岡が十一名、新庄が七名という少人数でございますけれども、豪雪がありましたときには大変でございますが、その間じみちな研究を続けまして、いま申しました地域ぐるみの研究ということで、小さいながらも充実したじみちな研究を中心に進めてまいったらいかがかと私どもは考えるわけでございます。  ちなみに外国の例を申し上げますと、米国でもこういう研究所がございますが、約十名程度の研究者で雪害関連の研究をいたしておりますし、あのスイスにおきましても研究者は十八名程度の研究所でございます。さらにフランスも十二名、カナダも十名程度でございまして、雪の研究というのは、研究者はそのような少数精鋭主義で地方と一体となった地域ぐるみの研究を着実に進めるべきではないかと考えておるわけでございます。今後も御指摘に従いましてそういう方向での着実な研究を進めてまいる、かように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ことしの豪雪で新潟ではなだれで大変なとうとい人命を失うという事故がございました。なだれは毎年やっぱり融雪期にあるわけでありますが、ことしは融雪期というよりも暮れに障った雪にちょっと期間置いてまたその上に新雪が降った、こういうこともございまして非常に悲惨な事故が発生したわけであります。こういうことで一つの部落なり、または数戸の、または大きなこのたびは養老院ですか、お年寄りの方々の医療施設、こういうものが直撃されたということで、多くの犠牲者を出したわけでありますが、そのほかにも実際は雪が降りますと、雪国では車の通行のために除雪はしましても、人の通る歩道の確保がなかなかむずかしいとか、また降り続く雪を屋根からおろす、こういうことのために除雪中に人命を失うとか、いろんな人命にかかわる問題が積雪寒冷地域には多いわけであります。  ことしは北陸を中心にして豪雪ということを言われておるんですが、北海道もこれは大変雪が多かったわけです。北海道は雪が降るのはあたりまえみたいに言われているわけですが、大臣御存じのように、ことしは例年から見ますと非常に多かったわけです、これは地域にもよりますけれども。こういうことからしましてどうしても毎年何人かの犠牲者が出るということでありますので、いまお話ございました全国をカバーするということは非常にむずかしいことで、ただ研究員の人数だけで私云々するわけじゃないんですけれども、やっぱりこういう協力体制というものも、より綿密に連携をとりまして、その地域に合った対策というものについてひとつやっていただきたいと思います。  それで、現在これ資料があるかどうかわかりませんが、北海道についてはどことどういうふうになっているとか、東北の青森県、秋田県の方についてはどこの大学を中心にしてとかという、こういう地域分布的に連携をとり合っているような関係性というのは、お考えになっていらっしゃるんでしょうか、あるんでしょうか。

勝谷保科学技術庁研究調整局長

○政府委員(勝谷保君) 残念ながら現時点で全地域を網羅した大学の資料手元にございませんが、現在まで私どもが雪害研究をいたすときに協力をとらしていただきました大学の名前を申し上げますと、北海道大学の低温科学研究所、さらにはこのたびの雪害研究で新潟大学、それから京都大学の学部ははっきりいたしておりませんが、そこらの御協力はいただいております。ただこういう時期でございますので、このたびの雪害緊急研究で大学の先生にも相当集まっていただいておりますので、こういう資料を整備いたしまして提出さしていただきたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 私も新庄の研究所に行かしていただきましたときに、日程が書いてありまして、もうびっちりでしたね。それで山形というのは比較的なだれや何かの多いところなものですから、そういうことで各地方自治体からの要望ということで、少ない人数の中でフル回転みたいな状況でありました。まあこの人たちだけでカバーできるわけではないだろうと思いますが、共同研究とかそういうことで、地域性といいますか、こういうことが非常に最近重要視されるときでありますし、また地方自治体からもそういうことについての指導なり要望というのは、恐らくたくさんあるんだろうと思います。そういうことで、ぜひ日本列島との地域はどことどういうふうになるのかというようなこと等もひとつ考え合わせまして、カバーするような体制というものも御検討いただきたいというふうに思うんです。  それともう一つは、自然科学的なことについては、じみちにそれぞれの大学、それからまた研究所もできて、国立防災センターを中心としましてやっておるわけですが、雪が住民生活に及ぼす影響といいますか、こういうことについてはそれぞれの立場で研究なさっている方もいらっしゃると思うんです。人文科学的といいますか、経済とか住民生活とか、こういうものに及ぼす影響というものもこれは無視できない。その地域の産業活動とかこういうものに対しての影響についても、限られた範囲内のことについてはいろいろやっておるようです。国土庁等においても山村振興というようなことはあるのかもしれませんが、北海道とか東北とかまた積雪寒冷地、そういうところについての基礎的なことについて、やはりぜひ取り組んでいただきたいと思うんです。  三全総で東北、北海道へ大きく眼が向けられておるといいながら、工場誘致とか工場の立地条件とか生活権、こういうことになりますと、どうしても雪のないところとのハンディといいますか、大きな地域差というのは否めない事実です。それがどういうところにどういう影響があるということになりますと、個々にはいろいろなことが言われておるわけですけれども、ぜひ人文科学的な調査というもの、科学技術庁は調整官庁ということでありますから、ぜひこういう問題についても、これは総理府とか科学技術庁、経済企画庁とか国土庁とか、それぞれに関係するんだろうと思いますが、こういうこと等についても、今後の積雪寒冷な地域における生活権、そうしてまた、地域経済の発展ということが望まれる、そういう中でどういうことが隘路となり、それをどういうふうに進めていくことが大事なのか。これはいま北海道では、北方圏センターというようなことで、同じ地域、雪国でお互いに知恵を出し合ってどういうことをやっているかということで、情報交換等をいろいろやっているわけですけれども、これは他国とのいろんな比較とかそういう中での情報交換ということです。そういうことも大事なことだと思うんですが、やはり国としましても、こういう南北に長い日本列島であります、東京が中心になって日本があるわけじゃございません。雪のない国と雪のあるところについて、どういう地域差というものがあるのか、こういうやっぱり基礎的な問題いろいろ検討した上で、そういうものを土台とし、ましてその地域の経済活動とか住民生活とか、そういうものに対して適用するようないろんな施策というのは、その中から生まれてくるのだろうと思うんであります。こういうことについてぜひ御検討いただきたいし、また過日補正予算のときに大臣にちょっと申し上げたんだけれども、時間がないものだから説明不足であったし、また大臣も何かほかの話をおっしゃっていたようなんですけれども、現在何かそういうことでやっていらっしゃれば御報告いただきたいし、なければ、大臣からこういうことについてどういうふうにお考えになるか、そういう取り組む姿勢、問題についてひとつお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 雪の問題は、わが国の半分の地域が豪雪地帯と言われて、特にことしは非常な被害をもたらしまして、地域の方々に大きな被害を与えております。科学技術庁でも御指摘のように、少ない人間で少ない研究所ではありますけれども、基礎的なあるいは恒久的な研究、各方面での研究を大学あるいは関係省庁と連絡をとりながら積極的にやっておりますが、今後ともことしを契機にさらに積極的に研究を進めていきたい。  同時にまた、御指摘の研究のみならず、経済あるいは暮らし、人文科学的というのですか、御指摘の点についてはこれはもっと高い次元から、国土庁あたりが中心になってやるんだろうと思いますが、わが国の国土開発上こういった点についても力を入れなければならぬなあと、私も政治家として、特に私も北海道の豪雪地帯ですし、私の父方が富山県でありまして、ことし一番雪の降った地帯でもありまして、非常な関心を持っております。いままとまった豪雪地帯に対する政策がないことは何か物足りない気もいたしますので、今後また、閣僚として政治家として真剣に取り組んでみたいと、こう思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ぜひひとつ大臣のいまの御決意、何らかの形で具体化するように強く要望いたしたいと思うのであります。これはもう雪の国に住まった者でないと、雪が解けてから雪の話してもなかなかぴんとこないし、雪国に住んだことのない人に、雪の話をしても寒さの話をしても、本当にぬかにくぎみたいなもので、やっぱりそういうことをよく認識している方に本当に真剣に取り組んでいただきませんと、なかなか実効ある政策がないのではないかと思います。私もまあ十三年国会におりますが、雪の話いろいろしましても、そこに住まったことのない人に何ぼ話してもなかなか御認識いただけないような感じしますので、ぜひひとつ大臣、調整官庁ということもあり、閣僚の一人ということで御決意ありましたが、要望いたしておきたいと思います。時間もありませんので次に移ります。  これは電調審で電源開発に対しまして政府から、政府といいますか、電調審から電源開発に対しての認可が出たようでありますが、その中に原子力発電所二カ所三基、これ入っているわけであります。原子力発電所の問題については、科学技術特別委員会を中心としましていろいろ議論されて今日まできているわけであります。しかし、国民の大きな安全ということに対しましての不安といいますか、こういうものが根強くありまして、いままでもいろいろな論議がなされてきたわけでありますが、特にスリーマイルアイランドの事故がございましてから、やはりこういうことがあるんだということで、非常に危機感を深めたわけであります。政府もそういうことで、非常に慎重に取り組まなければならぬという配慮もあり、また海の向こうの事件ではありますが、これがわが国にとってはどういう教訓となるのかということで、調査団の派遣とかこういうことでいろいろ取り組んできたことは、私どもよく承知をいたしておるわけであります。そういうスリーマイルアイランドの事故、これを教訓として今後の原子力行政、技術的な問題につきましても、十四項目にわたります専門部会からございました意見、それから審査、設計、運転、こういうものに関しましては十六項目、こういうものがまとめられたようであります。こういうことを一つの成果として、反省の上に立って御決定になったわけでありますが、このたびの電調審の決定に当たりましては、こういう一つの基礎の上に立って、原子力発電についてはさらに万全を期するということにおいて、さらにより安全性への前進ができたというような、こういう認識の上に立ってこのたびの決定があったんではないかというふうな気もするんですけれども、スルーマイルアイランドの事故、それを教訓として今日まで検討された問題、そしてまた、今日の時点において原子力行政、安全性のことについてなおいろいろな論議が重ねられて、過日はまたいろいろなことがございましたが、担当大臣として原子力問題、原子力行政の中でこういう推移をしてきました諸問題、そして現時点に立ちましてなおかつ厳しい住民の声があるわけでありますけれども、担当大臣としてこれらの問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと思います。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 原子力の平和利用につきましての必要性は、これはもう日を追うて石油事情が厳しくなってまいりますので、大きくなってくることは国民大方の理解も得られておるようでございます。ただ、これと反比例するように、安全性についてなかなか理解が得られないということについて非常に困ったものだと思って心配をいたしております。さらに、御指摘のように、スリーマイルアイランドでああいう事故があったものですから、非常にむずかしくなってきているという実態がございます。  そこで、科学技術庁あるいは原子力委員会としては安全性については特に力を入れまして、従来の原子炉等規制法に基づく安全審査だけではなくして、民間の専門家から成る原子力安全委員会によってダブルチェックをする、こういうことで安全を期したい。さらに、スリーマイルアイランドの事故を契機として、あそこから学ばなければならない教訓として五十二項目にわたって検討し、改善するべきは改善しなきゃならぬということになって、そういうことを取り入れる等、安全性については最善の努力を払うと同時に、また国民の皆さんにも安全性についての理解を得られるように、必要以上の不安を持ってアレルギー的に反発を感じないように、これまた両々相まって何とか平和利用を達成していきたい、こういう姿勢で取り組んでおるところでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 基本的には、いま大臣のお話しになったこと私もよく理解し、また現在のエネルギー需要の中で石油に大きく依存することのできないこういう現況の中では、原子力の平和利用といいますか、原子力依存というものもある時期はこれはやはりやむを得ないことだと思います。しかしながら、安全性ということになりますと、科学技術の発展、進展に伴いまして大きくカバーできる面は当然あるわけでありますけれども、まあ諸外国の様子を見ましても、人命にかかわる大きな問題はないとは言いながら、やっぱりトラブルはありますし、日本の国におきましても時折事故があるわけであります。そしてまた、何年かたたなければ実態について明確にならない放射線による影響というものについても、非常に住民としては危惧の念を抱くわけであります。  いま五十二項目にわたって云々とありましたけれども、これは大臣でなくて結構ですけれども、主にスリーマイルアイランドの事故を教訓として、どういう点が一つの大きな課題として、教訓として取り入れられたのか。これは個々に一つ一つなんというのは、とてもそんな時間もございませんから、主なものについて、こういうことについてはこのように教訓にして受けとめ、そして取り入れたんだというようなことで御説明いただければいいんですが。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) 御指摘のとおり、スリーマイルの事故は、安全性が高まりつつあると思われておりました原子力発電についてなれがきた結果かもしれませんけれども、非常に世界の人に心配を与えるという不幸な事故でございました。しかし、ここで得られました経験というのは、いままでのような機械だけをしっかりやっていればいいということに加えて、人間の面が非常に大事であるということを教訓として与えられたように感ずるわけでございます。特に、人が普段訓練されておっても緊急の場合に遭いますと、間違いが間違いを呼ぶという誤操作の連続を続けるということが一つ大事な教訓でございましたし、それから、機器も点検されていても間が悪いときには信頼性が損なわれる、これはもっと厳重にチェックしなければいけない。それから、地元民に対しましては情報連絡が円滑、正確でないと非常によけいな不安を与え、そちらの方の害が大きくなる。こういった教訓が与えられたものと思われます。  そこで、原子力安全委員会を中心にいたしまして特別委員会をつくって、五十二項目の事項を指摘したわけでございますが、その主なものを申し上げますと、安全審査につきまして、これはすでに確立したものに付加していったわけでございますけれども、より審査の内容を深めるということでございます。今回の電調審を通過いたしました発電所につきましても、この新しい方針が全部適用されておりますし、それから既存の発電所につきましても、考え方としてはこの方向でより安全性を高めるという形が現在着々実行されているところでございます。  さらに防災対策、これはすでにあったわけでございますけれども、情報の正確な連絡が非常に重要であるということで、連絡網の整備それから地方の防災計画をより具体的にするということが現在着々進められておりまして、近く完成する予定でございます。  さらに人の面につきましては、個々の運転員の訓練をよくやると同時に、組織としての体制を整備するような指導を行っており、これも着々計画が進んでいるところでございます。  概要は以上のようなところでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いろいろな問題の提起があり、それなりに分析をし提言が出され、それの実施に移っていることはいま御説明ございました。  その中で、一番大事な住民の問題としては防災計画のことだろうと思いますが、このことについてもいろいろ議論があり、取り進められているんだろうと思いますが、地元地方自治体と連携を密にし、そしてまた地方自治体の実情に沿った形でぜひひとつ進めていただきたいと思います。  時間もありませんからもう余り細かいことは言いませんが、最後に大臣、原子力船「むつ」のことでありますが、私どももこれは非常に関心を持って見ておるわけですし、今日の推移というものは非常にむずかしい時点になっているわけであります。大臣も就任早々すぐ青森県知事とお会いになって、去年の八月十四日ですか、精力的にこの問題に取り組んでいらっしゃる、このように私ども思うわけでありますが、いままでの経緯が経緯だけになかなかこれはむずかしいことで、四者協定、五者協定、そういう一つの枠の中でのことであります。そしてまた、現在、原子力船の工事そのものについて、これは五者協定が守られる中で工事が完了するのかどうかということもあります。また、できた後にどこへ帰るのかという問題も出てくるわけでありまして、問題が山積していると言わなければなりません。これはまた当該委員会でいろいろ議論しなければならぬことだと思うんですが、私はそういういままでの推移の中で、一つは工事が約束どおりできるのかどうか、これはちょっと技術的なことがあるもんですから、まあ報ずるところによってはもうだめだということが先行して、何か出ているようなんですけれども、報道関係のことしか私どもは聞いておりませんので、現状として技術的にこの五者協定が守られることができるのかどうかということですね。そういう見通し等について、現在検討をいろいろなさっているようでありますからあれですけれども、期限内にこれは完成するのかどうか。そうすれば母港問題で、「むつ」のことで知事さんや四者協定の関係の方々といろいろお話し合いなさっておるようでありますし、過日はまた知事とお会いになっていろいろ長時間にわたって御懇談なさった。それで四月の十日ですか、現地へいらっしゃる。いままでは来ること自体も拒まれたような状態だったんですが、実態を見てくれということで、それだけ話し合いの場が持たれたということで、私ども大臣が今後どういう姿勢でこれにお取り組みになるのか、またどういうように話を進めていくのか、こういうことについては非常に関心を持っておるわけですけれども、せっかく意義が認められつくられた原子力船、時代の推移があって、またいろんなトラブルがあって、今日こういう状況になっていることはよく存じておるわけですが、このまま放置するわけにはいきませんし、何らかの決着を見なければならぬ。そういったところで大臣としても非常に苦境にあるだろうと思いますけれども、佐世保にいま修理中の「むつ」が約束どおりできるということが現在の段階では言えるのか言えないのか。またいま調査中ということですけれども、いつごろになると、そういうめどがつくのかということと、それから今度青森に参りまして、大臣としてはどういう決意でお話し合いに臨まれるのかという、その辺のことについてお伺いして終わりたいと思いますが。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 原子力船「むつ」につきましては、いきさつが非常にこんがらかっておりまして、私の頭の痛い最大の課題でございます。  当面する課題としては二つございまして、一つは、この十月までに修理を終えなければならない。しかも、修理に着工いたしましたのが、三年間の期間のうち一年数カ月たった昨年の八月からでございますから、工期に間に合うのかどうか非常に心配があるわけでございます。しかしながら、事業団は修理業者との間で鋭意この期間内に完成せしめるようにいま大変な努力をいたしております。いまのところ工事は順調に進んでおりまして、五月には第三期工事も発注をする、こういうことになっております。そして何とかこの工期期間内に完成せしめるように努力はいたしておりますが、何分にも着工がおくれたことと、それからああいう特殊な工事でございますから、安全性を無視した早期工事の進行ということは非常に問題がありますので、やはり安全性を守らなければいけない、慎重な工事をしなければならない。しかもむずかしい船の中での工事でございますから、なかなか大変なところがあります。何とかむずかしくはありますけれども、工期期間内にやりたいと現段階では最善の努力をしておるところでございます。第二番目は、十月以降は新母港を決定すると、こういうお約束になっておりますので、それまでの間に「むつ」の定係港を決めなければいかぬ。そういう課題がありまして私もいろいろ悩んだんでありますが、現在の状況では大湊にもう一度、四者協定の決まりはあるにいたしましても、何とかもう一度御検討いただけないかということで、知事さん、市長さん、漁連の代表の方々にお願いをしてあったところでございます。もう相当日にちもたちましたし、佐世保の修理の関係から言っても、新母港を決めなければならないということになって差し迫っております。  先般、知事さんがお見えになりまして、検討の結果いろいろの方面の意見を聞いて、原子力船の開発については理解できるんだが、ただ一点、漁民の方々がホタテ漁場を持っておる、こういう観点からなかなか同意が得られない。これを早期に話し合いをつけるのには難点があるということが第一点。  第二番目として、漁民の方々も現地を見てもらいたいという意向のようであるので、知事としてもぜひ現地を見ていただくようにというお話がありました。そこで私としても、早期に、いまのところ四月十日から三日間ぐらいの予定で現地にお伺いし、過去のいきさつについておわびするところはおわびをし、私の考え方もまた申し上げるところは申し上げ、漁民の方々の率直な意見もお聞きし、またホタテ漁場もつぶさに見していただいて、そうしてまた、そのほかの方々にも御意見を承って、そろそろ煮詰めをしなければいかぬかな、こういう感じでおります。いまのところ私としては、何とか大湊にもう一度ひとつ再母港化できますように、こういう気持ちで現地に乗り込み、現地の皆さんとひざを交えて判断をいたしたい、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、修理の問題も、あるいは新母港決定の問題も、いきさつもあり、また特殊なああいった新しい開発でございますので、むずかしくはありますけれども、これは避けて通れない大事な課題でございますので、私としては誠心誠意交渉を続けて打開の道を求めたい、こう思っておる次第でございます。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) 以上をもって藤原房雄君の質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですから、科学技術庁所管に関する質疑は、これをもって終了したものと認めます。  それでは、午後一時から分科会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十時四十六分休憩      —————・—————    午後一時三分開会

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) ただいまから予算委員会第一分科会を再開いたします。  昭和五十六年度総予算中、内閣、総理府本府及び沖縄開発庁所管を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。佐藤三吾君。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 きょうは、総務長官にお願いして、同和問題を中心に質問をしたいと思います。  長官も御承知のように、特措法が三年延長になりまして来年が期限と、こういう状態になっておるわけですが、しかし、通算して同対審の答申が出てから十五年近くたっていますけれども、依然として差別の事例を挙げるのにいとまがない。私は昨年この委員会で主として地名総鑑の問題を中心にやったのですが、その地名総鑑の問題についてもいまだにけりがついていない。これは法務省、法務大臣を中心にやっていますが、できるだけ早くこの問題について処理をしたいという大臣の回答が結果的には一年たった今日何らめどが立っていない。非常に遅々とした対策がとられておるわけですが、そのために次々に差別が起こっておるというのがいま実態じゃないかと思うのです。  この本は見ましたか、長官。これは全国の相次ぐ差別事件が収録されておるわけですけれども、これは主にこの二、三年を中心に、しかも確実性のあるものを中心にまとめておる内容なんですね。これについてまず長官の、読んでおれば感想と、同時にどういう責任を感じておるのか、お聞きしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) いまお示しのその書物につきましては、先般ちょうだいをいたしまして拝見をいたしました。最初の三分の一程度は、今日までの同和のいわゆる解放運動の歴史、それから現状の問題点、こういう問題が記載されてございますし、第二章ともいうべき次の三分の一の分野については、全国各地における差別用語の問題が新聞の記事を中心に載せられております。後半の三分の一につきましては、いわゆる同対法あるいはその法のいわゆる時限立法のときについての附帯決議の趣旨等が精密に記載されておるというふうに理解をいたしております。  なお、こういう問題について、私どもとしては、差別のない社会というものの実現のために今後とも努力をしてまいらなければならない、このように感じた次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いま長官もおっしゃったように、これは七八年、七九年、八〇年に中心に起こった事件で、差別問題を取り上げておるわけですが、言うならばこの三年の延長期間を中心に起こっておると言っていいと思うのです。就職、結婚、学校、地域、職場、行政、出版、各面にわたって行われています。こういう差別をなくすように努力をしたいと言うのだけれども、私は努力は否定はしません。しませんが、にもかかわらず次々に起こってくるこの実態について、長官として、どこにどういう努力が足らなかったのか、どこに問題があるのか、この三年間を含めてあなたのお考えがあればひとつ聞いておきたいと思うのです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) この差別問題というものは、日本の社会における長い歴史の中で相当長期にわたった、まことに残念なことでございますけれども、われわれの過去の社会に存在をし続けてきたと、それに対して松本治一郎先生を中心にされたいろいろないわゆる解放運動というものが行われてき、今日もなおこの差別撤廃のためにいろいろな方々が御苦労いただいておる。政府もまた、法律をつくって、そういうふうな部落問題の一日も早い解消のために国費をすでに一兆円以上投下をしておるというのが今日までの姿でございます。  また、こういうふうな差別意識をなくするために啓蒙をするという問題につきましても、政府としてはできるだけの努力を傾けておりますし、先般時限立法が行われました際の附帯決議の御趣旨も体して、政府としては今日もなお努力をしているところでございますが、残念ながらこういうふうな政府の考え方あるいは法律の理想あるいはいわゆる関係各方面の希望というものに反するようなことがいろいろな場所で起こっておるということもまことに残念でございますけれども、これもまた私は現実の姿であろうというふうに考えております。どうしてこういう問題が今日なお起こってくるのかということについてもいろいろと調査をいたし、またこういう問題が発生しましたという報告を受ければ、直ちに関係各方面に厳重な取り締まり方を要望しておるというのが総理府としての今日の姿勢でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 この中に、百九十ページから「ろこつな差別文書」ということで、生江の解放会館の掲示板の問題とかいろいろ出ておるのですが、大体、長百の出身の大阪で、昨年から今年にかけてきわめて悪質な事件が続発しているわけですね。昨年の八月十日に、同和対策審の答申が出されて十五年目というその前日に、大阪市内の旭区にある同和地区において、解放会館の前の看板に大学ノート七枚にわたって張りつけてあるわけです。地区の名前を書いて「〇〇はエタ、ヒニンのすみかだ」とか、「奴らは大阪のウジ虫である。ただちに強制収容所へ送り、毒ガス室へ入れろ」とか、それから「彼らにあるものは死のみである。」、こういう落書きが出されている。  また、今年の二月二日の日に同じ地区の今度は保育所の壁に「エタ、ヒニン死ね」と、こういう落書きが行われたわけです。三月七日の日は、東淀川区において、同和地区の子供たちが通学しておる中学校の体育館の壁に、一文字が四十センチですから、このくらいの字だと思うのですが、そういったので七十メートルにわたって「部落民は国民の敵だ」「○○住民を消せ」とか、こういったスフレーで落書きというか、そういうものがされています。これはここだけではなくて、東京、長野、京都、兵庫、奈良、福岡、それから高知、こういうところでも同様な事件が続発しておるわけです。だからほとんど全国的と言っていいんじゃないかと思うのです。  これらについて長官は先ほど、一兆円近い投資をして云々、努力してきたと、こういうことを言っておりますけれども、しかし事態はむしろ悪化しておる、こういうことを言っていいのじゃないかと思うのです。  淀川区の加島の解放会館前に、機関紙大の差別投書が行われたわけですが、その内容を見ると、ここへ張ってあるこういう内容なんです。このコピーが投げ込まれたわけです。こういった事例、コピーのこの実態等を見て、長官自身が努力をしたと、そういうことを強調なさるのですが、しかし努力したという口の裏からこういう事実が次々に起こってきておるという事態に対して、私は、やっぱり責任ある政府の立場として、しかもあなたの地元で起こっておる例が一番、かなり激しいわけです。もっと責任ある態度が必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) どういり人がどういう時期にこういうことをやるのか、それはなかなか、警察あるいは地方自治体においても差別撤廃問題で努力をしておる最中ですけれども、その人目を盗んでやるわけでございますから、政府の責任だとおしかりを受けることも私どもとしては十分受けとめますけれども、何百人という集団によってこういう落書きを行うということになればそれなりの処置が講じられる。しかし、夜陰に紛れてこういうことをやられるということはただ残念であり、私どもとしては、この政府の姿勢を理解しない人たちの行為に対しては、ぜひひとつこういうことはやめてもらいたい。また、こういう事態の発生をしないように努力をしてまいりたいと考えているところでございまして、法務当局に対しましても、総理府といたしましてはそういう事態が発生したという通告を受ければ必ず連絡をして調査方を要求しておるという経過でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官、長官がいまおっしゃったように、やみに紛れてという状態じゃないのですよ。やみに紛れたような状態なら、言うならこそこそやったとか、そういうことが言えると思うんですが、いま起こっておる事例というのは、やみに紛れてというよりもむしろ公然となってきておる、そういうことが言えるのじゃないですか。  各大学に起こっておる事例をちょっと言いますと、大阪市立大学で三十六件ほど起こっています。それから桃山学院大学で二十五件、近畿大学で七件、関西大学で五件、大阪大学で四件。また、東京において昨年一年間で東京大学、早稲田、立正、都立、東京水産大学、こういうところでも起こっておるわけです。これは、当初は、いまあなたがおっしゃったように、やみに紛れてひそかにということだったのですが、いまは決してそうではなくて、その当時はトイレとかいろいろそういう状態だったのが、いまは公然と掲示板に張ったり、スプレー、墨で書いたり、こういう実態が現状なんですよ。ですから、私はかなりエスカレートしてきておるんじゃないかというような感じがするのですけれども、どこに原因があるのか。同時にまた、こういった実態に対してどう対処していくのかということを抜本的に考え直していかないと私はこの問題の解決の糸口が出てこないのじゃないかという感じがするんです。政府の場合、たとえばことしは障害者年で、障害者に対するいろいろな差別の問題がございますね、政府は、一例を挙げますと、たとえばこういう大新聞に出したもの、(資料を示す)これは総理府が出したのでしょう。これは私は相当な金を使っておると思うのですよ、あれだけ出したわけですから。こういった措置というのを、これだけ頻繁にしかも公然化してくる現状の中で、いまあなたがおっしゃるような意味のことを、どうしてこういう方法を通じてでも差別の問題についてやろうとしないのか。やっぱり金もかける、同時にまた、金をかけるだけじゃなくて、国民に堂々と政府の、いまあなたがおっしゃった気持ちが間違いなければ、こういうふうに障害者年に対して出すようなそういう施策というものはとれないのか。こういった措置をとっていかなければ、もういまの同和差別の問題に対する行政としてはこそくな手段ではどうにもならないところへきておるのじゃないかというような感じがしますから、そこら辺を含めてひとつあなたの見解というものを聞いておきたいんです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府の国際障害者年に当たるその新聞の記事等につきましては、国連加盟国として今年は障害者の問題についての国民の理解を得るために政府としては認められた予算の範囲内でやらしていただいておるということでございますが、同和に関する問題での啓蒙運動関係予算は、昭和五十三年が一億三千八百万円でございました。五十四年が一億八千七百万円、これは三五%アップになっております。昭和五十五年が二億三千百万円、前年度比二三%アップ。昭和五十六年度、ただいま御審議いただいている予算におきましては三億一千二百万円、三四・九%の伸びを示しておりまして、他の一般の予算のシーリングの枠をはるかに超える四倍近いいわゆる予算枠というものを獲得するために、総理府としては、微力でございますが、財政当局の財政厳しい中でこの啓蒙運動については格段の配慮をしてまいったということでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 これは参考のためですが、大体どのくらいの予算をかけたのですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) その件につきましては、私はしかとした数字は存じておりませんが、今年の一月の初頭に総理大臣談話とともに、その「希望」というサリドマイドの方の字を全国主要紙に掲載するということでありまして、その金額は一億を切っておると思います。一億を相当切った金額だと記憶しております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私はそうだろうと思うんですよ、これはほとんどの新聞に出ていますし週刊誌にも出ていますから。ですから相当な思い切った手だてだと思いますよ。確かにいまあなたがおっしゃったように、五十六年度予算で三億一千二百万ですか、計上しておるけれども、同和の問題についてはこういう思い切った意味での啓蒙というか、措置がいまだかつてとられていないですね。これはまたどういう理由ですか。そんなに、何というのですか、軽く見ておるわけですか。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 内閣広報予算というのは、各種の施策等多岐にわたる施策を広報するというような予算でございますが、同和関係の重要性にかんがみ、むしろこれとは別に別枠で確保してその必要な実施を図るという立場から、特に別枠での予算獲得に努め、いま大臣からお話がございましたように、逐年その拡充に努力しておるところでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 しかし、逐年努力をしてきたにもかかわらず差別事件というのがむしろ公然化してくるということ、しかも全国的に起こってきておるというようなこの現状というものとは何かかみ合わぬような感じがしてならぬのです。二月二十八日のわが党の武部議員の衆議院における質問の総務長官の答弁を議事録で読んでみると、これは少し同和対策事業が急速に進んだものだからそのねたみや反発があらわれたのじゃないか、こういう言い方をしていますね、そういう理解ですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私が申し上げた発言は、先生の御指摘のような意味ばかりではなしに、やはりいままでのいわゆる解放されていない、差別をされた方々のために、国会も政府も差別のない社会を求めてさらに施策を遂行するために予算も国会でお認めをいただいてやっているわけでございますけれども、一部の地域では相当いろいろな問題、別に同和問題に限らずやはり推進する場合には、それに対する、いろいろな批判あるいは反対というものが民主主義で言論の自由を認められた社会においてはどんな問題でも起こっておることは御案内のとおりでございます。私どもがこうしていろいろな問題を推進してまいります場合にも、それの推進に当たって攻撃をされる方もいらっしゃいます。いろいろなことがやはりこの自由主義、民主主義の社会では憲法のもとで認められておるわけでございまして、法律の理想とはうらはらにいろいろな批判が起こるということは、われわれ政府にとりましてもまことに残念なことだと、こういうふうに私は理解をしておるということを申し上げた意味でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私もおやっと思ったんです、あの議事録を読んでみて。だからあえてここでお聞きしたわけです。私は、こういう現象が起こってきておるのはそこに原因があるわけじゃないと思うんですよ。むしろ、同和対策事業がこの十数年の間に急速に取り上げられてきたということは、これはもう現状から見ればあたりまえであって、そのあたりまえのことがそういうふうにとられるというところに、どこに原因があるのか。もし長官がそういう仮説を立てるならどこに問題があるのか、こここそが私は問題の解決の道じゃないかと思うのです。それは何かと言えば、啓発運動というのが同和対策事業よりも非常におくれておるというちぐはぐな面が結果としてこういう現象を引き起こしておると言って差し支えないのじゃないかと私思うんですよ。その辺はいかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 同和関係予算と啓蒙活動費のバランスの問題でございますが、私は、いままでも政府としてはできるだけの、いま同和対策室長が申しましたような形で予算獲得のためにも努力をしてまいったと思います。全体予算として昭和五十三年の同和関係予算が一千八百四十三億、五十三年でございますが啓蒙費が一億三千八百万円、昭和五十四年が二千二百六十五億で、五十四年の啓蒙開発費が一億八千七百万円、五十五年が二千五百二十四億円で同和対策予算を組んでおりますが、この同和関係の啓蒙費が二億三千百万円、こういう形になって、この年の伸び率は全体予算が一一・五%に対して啓蒙費は二三%の伸びになっております。五十六年度、御審議いただいている予算の総枠が二千七百九十二億、一〇・六%の前年度対比でございますけれども、啓蒙活動費は三億一千二百万円で三四・九%の伸びになっておりますから、一般の予算と比較いたしまして啓蒙活動費の伸び率というものは相当なものである。しかし、御指摘のような事件が発生するという事実の前には、啓蒙費のいわゆる枠が少ないとおしかりを受けてもこれはいたし方のない事実かもわかりません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 啓蒙費の枠も少ないし、同時にまた啓蒙の方法も問題があるのじゃないかという感じが私はしてならぬのです。そうでなければ、あなたが言う仮説から見てこういう事態が起こるはずがない。これだけのあなたがおっしゃるように投資をしておるんなら、それだけ事態が進んでいくならば、むしろ国民的にはそれに合意をしていくという事態が起こってしかるべきだと私は思うのです。それがそうならないところに今日の問題が私はあるのじゃないかと思うので、長官もそのことを絡めて、最後のくだりではそれを肯定するような言い方になっておりますけれども、そうしますと、衆議院段階で答弁した内容については、それは決して本意ではない、むしろやっぱり啓蒙費を含めて強化をしていかなかったところに原因があった、こういうふうにいまの長官の答弁を締めくくってよろしいんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私は、長官に就任をして、責任者といたしまして、いま申し上げましたように差別のない社会のための啓蒙費を前年度対比で三四・九%確保するように財政当局に折衝いたした責任者でございますから、この前年度対比を御理解いただければ私の真意が御理解いただけるものと考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 しかし、長官、啓蒙費のあれを見てみますと、五十五年度の自治体の啓蒙費の予算、委託費ですか、一億四千九百六万ですか、五十五年度の同和問題啓発活動委託費というのが全国に、市町村に配られていますね、その総額はそうなるのじゃないですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 五十四年が一億八千七百万円、前年度対比三五%の伸びでございまして、五十五年が二億三千百万円、前年度対比二三%アップでございます。五十六年が三億一千二百万円、三四・九%……

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それは委託費ですか。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) いま大臣から御答弁申し上げましたのは国の同和関係費でございまして、委託費のほかに法務省の人権啓発関係経費、それから労働省の事業主に対します同和啓発費が含まれております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 委託費はどうなんですか、私がいま指摘しておるのは。五十五年度。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 五十五年度の総理府関係で地方公共団体に委託しておりますのは一億五千九百万でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 これを見ますと、三十七県、九政令都市、六十五市に対して委託されておるわけですね。ところが、被差別の実態を見て、たとえば差別の存在しておる北陸の石川、富山、東北の岩手、秋田、福島、青森、宮城、山形、この県には一銭も委託されていない。さらに、同和地区を含んでおる関係市町村が千四十一存在するわけですけれども、その千四十一の中で八十四市にしか委託されていない。大阪の例をとりますと、大阪で四十三市町村あるわけです。その中で委託されておるのが大阪市を含めて十二市です。その絶対額を見ますと、これがまた非常に少ないのです。大阪市の場合に、八〇年度で一億八百十一万六千円の啓蒙関係の経費の中で委託費がわずかに三万二千円です。福岡の場合を見ますと、県と市町村を合わせると二億円を超えるわけですが、その中で委託しておるのは十九万六千円。これが、いまあなたが三十何%とか二十何%伸びて云々と言って、政府は財政的にやっておるという実態なんです。そうじゃないですか、何か私の言った数字に間違いがございますか。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) いま手元に正確な市町村別の数字がございませんが、おおよそそういう形になろうと考えております。  政府が地方公共団体に委託しております啓発活動の中身といたしましては、講演会、それから資料、パンフレットの作成配布、それから放送、新聞、広報、それから研修というようなものの中身がございますが、このうち放送、新聞、広報等におきましては都道府県段階の委託経費でございますので、これは県内通じてやっていただく。それから講演会とか資料作成等につきましては、同和関係人口を多数抱えている市町村を対象といたしまして都道府県と重複するような形で委託をしている実態でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから長官、あなたは、さっき五十六年度は三億一千二百万、五十五年度は二億三千百万ということで言われておったのですが、いま私が言ったように八〇年度を見ると三十七県、九政令都市、六十五市、そこしか委託されていない。石川、富山、それから東北の岩手、秋田、福島、青森、宮城、山形、こういうのは全然ない、ゼロ。そうして同和関係の市町村が千四十一存在しておる中でわずかに八十四市、こういう実態。それから額は、先ほど申し上げたように、あなたの出身の大阪を含めて一億八百十一万六千円組まれておる中で、わずかに委託費が三万二千円。これでもって啓蒙啓発というのが徹底するという御理解ですか。長官に聞いている。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) まず、事務的なことから御説明させていただきたいと思いますが、総理府の啓発の委託の先は主として同和地区を抱えておる都道府県を対象という進め方をしておりますので、御指摘のように全国的に委託費が支出されているわけではございません。  それから、先ほど申しましたような中身としては、政府として御委託申し上げる場合の事業内容としてはこのように考えている。先生御指摘のように、関係都道府県あるいは市町村は、これは相当自前の財源を充てまして啓発に努力しているところでございます。この実態はよく承知しております。  ただ、特に先ほども問題になりました関西地域の府県においては大変な御努力をなさっている、それにもかかわらず先ほど御指摘のような差別問題が出ているということで、一つはわれわれの非常に悩みでもあるわけです。したがいまして、現在、これまでの啓発方法等をもう一度抜本的に洗い直してより効果のある啓発活動を推進したいということで、五十六年度にも関係予算を計上し、もう一度改めて根本から啓発活動のあり方、進め方について検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) ただいま政府委員が答弁申し上げたとおりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、そういう答弁をすると、私もまたその問題で立たざるを得ないんだがね。あなたは、さっき、この本は読んだとおっしゃっていますね。東北関係は全然ないんですか、さっき私が申し上げたところは。北陸、東北等について全然ないんですか、それが一つ。  もう一つは、千四十一存在しておるという自治体、その中で八十四市ということで、啓蒙活動というのが徹底したと称せるのですか、どうなんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生のお言葉から私どもが受ける理解というものは、北陸あるいは東北にはそういう地域はないのかということでございますが、それは存在しておると私は思います。ただし、どこまで啓蒙活動に国民の税金を使ったらそれで完全な効果が出るかということについては、残念ながら私の立場では、どの点まで金を投下したらいいというだけのことは言いかねると、私はそのように実は考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いま事務当局の言うことと長官の言うことは違うわけですね。ですから、そこら辺は私は事務当局に問題があると思うのですよ。さっきの答弁のように、もうないという前提に立っておるわけで、だからしないんだ、委託費を全国的に配らないんだと、こういう発想に立っておりますから、そこら辺はひとつ大臣答弁のようにきちっとしてもらいたいと思う。  その前提に立って、啓蒙啓発をどうしていくかという今後のあり方、いま抜本的と言うのですから、そこはきちっとしてもらいたいと思う。いかがですか。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 現在の委託先は同和地域を抱えている都道府県に限定しております。したがいまして、今後のあり方、施策全般にわたっていま見直しをしているところでございますし、啓発についてももう一度基本的に見直してみたいと。特に、われわれいろいろ差別事象に当たりまして、理性で御理解願ってもそれがやっぱり人間性の深奥までなかなかおりていかないところに問題があるやに感じられる面があります。先生おっしゃるように、質的な拡大の問題もあります。それにつきましては、一体どのような形で地方と国とがどのような役割り分担をしながら進めたらいいかということも含めまして抜本的に検討してまいります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、そういうことで抜本的に検討するということだから結構だと思いますが、ぜひしてもらいたいと思うのですが、その前にもう一つ聞いておきたいのは、さっき私が一つの事例を申し上げましたね、大阪の場合一億八百十一万という中でわずかに三万二千と。この実態というのは、金目でぼくははかりませんよ。金目ではからぬけれども、余りにもひどいんじゃないですか。あなたの地元だから言うのじゃないけれども、これは福岡だっても同じことだよね。啓蒙啓発というのは同対法の中にきちんと言っておるわけです、御存じのとおりに。六条の七号ですか、いわゆる事業と同時に一緒にやっていかなければならぬということで入れておるわけです。そのことがこういう委託予算の内容で、あなたが胸を張って、これで十分だという考えに立てるんですか、そい」はどうですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私の地元の大阪のことを御指摘でございますが、御案内のように、大阪府知事も市長も、野党の各リーダーともいろいろ話をし、地方行政を進めていく上では同和対策事業の推進ということをすでに確認してやっておるわけでございまして、相当な財源を持った大都会でございますからできるだけ自前の財政でやっていくということが私は大阪府、市に見られる姿ではなかろうかと思います。政府としてはいわゆる財政の安定したところよりも財源の不足したところに啓蒙費をできるだけ配備するべきだろうと、私はいまの時点ではそのように考えておりますが、先生のお話もございますのでなお一層啓蒙啓発のために努力をいたしたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そういう努力をひとつぜひお願いしておきたいと思います。  そこで、さっき事務局から回答がありました抜本的な啓蒙行為に対する手だてですか、これは今度は百九十万ぐらい研究費が計上されていますね、それで抜本的な対策を立てたいと。具体的にいま考えられておる、構想されておるという点はどういうことなのか。もうあなたも十三年間この問題で打ち込んできて、そして事実が克明になっておるわけですから、少なくとも事務責任者としては大方の構想を持っておると思うので、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 研究費をもとにいたしまして、主として心理学者、社会学者等によりましていままでの啓発活動の調査結果も出ておりますので、そのようなものを資料に、あるいは地域の実態等も見てもらいながら、まず学問的な検討をしていただくと。また、その啓発を進めていくためには地方公共団体はもとより関係運動団体の御理解と御協力がないとかえってうまくいかないという場合もありますので、そのたたき台としてさらに十分関係者の御意見も承って今後の方策を定めてまいりたい。特にわれわれ考えておりますのは、一般的な啓発と同時に、不幸にして差別事件が起こった場合のその解決に対する行政的な取り組み方、その機構、方法等も十分教育の場としての役割りをなすであろうし、これを誤るとかえって問題をこじらせるということもありますので、具体的な問題解決の手法も含めまして広く検討できればと考えながら現在検討を進めておるところです。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ちっとも具体的じゃない。具体的にどういう、たとえば、たとえばどうだということをちょっと言ってください。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) まず最初は、効果的な啓発の方法というものの確立が大事だと考えておりますので、現在の啓発諸活動をやってきていろいろの問題点があります。悩みがありますので、まずそれを乗り越えて、よりよく国民、地域社会に受け入れられるような啓発の手法というものを見出してまいりたい、かように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 あなたの答弁を聞いておると一つも具体的じゃないんだがね。どういう問題点があるというふうにとらえておるのですか、だからそれをどう乗り越えようとするのか、そこを少し詳しく。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 現在、もう数年前の調査でございますけれども、啓発費がどれほど地域の住民に行き渡っているのか、あるいは効果が生じているかということの調査をしましたが、テレビ、新聞等のマスコミを用いましての一般的な啓発につきましても、あるいはパンフレット、さらに講演会においても、なかなかそれを聞いていただくあるいは見ていただくという効率が低うございます。その辺の取り組み方がありましょうし、講演なんかにいたしましてももっと別な取り組み方もあろうかというふうに考えておりますので、その辺のところをどうしたらよりよく受け入れていただけるか。同和問題については本当に国民的な課題としてみんなの関心を得て、みんな率直に問題点を話していただけるという条件をつくり出すのが一番だと思います。啓発もその手法の一つだと考えておりますので、そういう方向に向かってより効果的な手法を検討してまいりたい、こう考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いろいろ具体論になると——あなたは具体論を持ってないわけだな、言うならば。だからいろいろ抽象的な言い方をしておるのだと思うんです。  大分県が市町村とそれから解放同盟、同対、教育協議会と一緒になって三年がかりでやった調査結果ですね、これは三月二十四日にまとめておりますが、これをどういうふうに見ていますか。

小島弘仲内閣総理大臣官房同和対策室長

○政府委員(小島弘仲君) 大分県がこの種の調査をやっているという報告は三年前に一度わが室の方にあったことは承知しておりますが、これが取りまとめられていた、もう結果が出たということは実は存じませんでした。大分に電話いたしましたところ、いろんなデータをコンピューターにインプットしてあるそうでございますので、それらをもとに説明に来るということでございますので、それを十分聴取して早急に分析してみたいと考えております。  ただ、新聞報道によりますと、この大分県の調査は解放同盟の協力を得まして解放同盟の会員を対象にして行われた調査であるということでございますが、その中で地域的に非常に調査結果の偏りが見られるというようなことを調査の御指導をなすった東洋大学の先生が新聞にコメントされておりますので、われわれとしては、どういうふうにしてその地域的な特性が出てくるのか、ぜひその背景等についても十分その分析結果を承って参考にしたい、かように考えておる段階でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 中身を見ていないというわけですからちょっと紹介しておきますが、これは三年間にわたって大分県、市町村、解放同盟、同対教育協議会、こういうところが中心にまとめてきておるわけですが、そこにいま差し上げたように、福祉、住宅、教育の欄で見ると、生活保護率が同和地区が七・六名で、県全体が一・七%ですから約五倍というんですね。専用住宅を見ると、県全体が八七・八%であるのに同和地区の場合には八一・五%で低い。それから高校の進学率を見ると、県全体が九〇・六%の中で八五・三%と、これも低い。しかも大学進学率は県平均の一三・一%ということで、これは圧倒的に低い。就職状況を見ても、農業従事者が同和地区が三三・四%、県平均が二二・六%で、これは県平均よりうんと高い。農業が問題だという意味じゃないのですよ。そのかわり、第三次産業の状態を見ると、同和地区の皆さんが八・六%で県平均の半分しかない。職務の内容も、正社員というか正規の職員というのは六四・三%、日雇いが一九・八%。こういう就業率の低さと同時にまた、仕事の定住化が非常に低いという実態が明らかにされておるわけです。  いま問題の啓蒙の問題については、効果があるというのは一九・二%です。もっと徹底的にやれというのが四八%出ておるわけです。そうして、差別については、強まってきておるというのが五二%意思表示をしておるわけです。こういう実態は、これは大分県がおくれておるということじゃなくて、かなり正確に実態を描き出しておると私は思うのですが、こういったことに対して大臣の一段の決意を持ってもらわなきゃならぬと思うんですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) いま先生からこの大分の西日本新聞をちょうだいして拝見をしているところでございますが、この数字を拝見しておりますと、やはり他と比べて格差があるということを証明しているものだと、このように考えておりますし、私ども政府といたしましても、こういうふうな格差の是正のために努力をいたしたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで大臣、大阪府、大阪市、福岡県、北九州、広島、徳島ですか、こういうところで意識調査がやられていますね、学識経験者から広く意見を聞いておるわけですが、今後の啓発活動を含めてこういったものを処理していくためにも、同対協、これがいまほとんど開かれていない、これについて一体どういうふうな御見解を持っておるのか。内閣委員会でも同和問題小委員会を設置してこれらの意見を徴して、そして今後の啓発のあり方なり特措法の総合的な改正等についての意見を聞こうという姿勢に入っておるわけですが、同時に、やはり同対協というのはこれは早急に開いていかなきゃならない問題だと私は思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の同対協につきましては、政府といたしましても一日も早い開催を希望しておるところでございますし、また期待もいたしております。ただ、今日まで開かれなかったという問題につきましては、関係団体の間での意見の合意がまとまらなかったということで、政府としてはその団体の合意をされるのを待っておるというのが現状でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 確かに開かれなかった原因はいま長官のおっしゃった原因もあると思いますが、これは率直に言って、そういう団体が入ってくることもいいのですが、しかし、いまの中では、先ほどの抜本的啓発運動を改正しなけりゃならぬということとか、差別がこういう累増しておる現状の中で、それを意見が合わなかったから開かれないということで放置するわけにはいかぬのじゃないですか。同時に、こういった問題で合意できる、たとえば学識経験者であるとか、行政関係であるとかいう形の中で開いていかなきゃならぬのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、最も好ましい状態はいわゆる関係団体全部が合意されて参加をしていただくことが基本的に最も理想的な姿であろうと考えております。政府といたしましては、できるだけそのような日が一日も早く来ることを期待もいたしておりますし、われわれとしてはそのようなことが可能なように配慮もいたしておるわけでございますが、どうしても団体間での合意ができないということが結論づいた場合においては、参加されない、いわゆる除外される団体の方々への同意をまず求めて、後日、自分たちがそれに参加しなかったから同対協の論議は無意味であるというようなことが起こらないように政府としては十分な配慮をいたしているところでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 十分な配慮をして開きたいと、こういうふうにとっていいんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 総理が予算委員会及び他の委員会でもたびたび発言をいたしておられ寺すように、私どもとしてはこの七月をめどに五十七年度以降の方針というものを快走いたす、こういうことが内閣の方針でございます。そういうものも踏まえましてただいま同和対策室長を中心に鋭意努力をしておるというふうに御理解をいただきたい、一日も早く開催されることを希望して努力をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。  そうすると、やはりそれと関連をして国会の中の内閣委員会で小委員会を設置をして両輪で回っていく体制をつくっていかなきゃならぬと私は思うのですが、長官の考えはいかがですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 国会の内閣委員会でいろいろ小委員会がつくられることについて、政府としては、国権の最高機関の議会でございますから、あえて干渉がましいことを申し上げる立場にないと思います。私どもといたしましては、各党でいわゆる御承認をいただいている同和関係の問題の担当の委員の先生方と十分連絡をさしていただきながら、政府も所期の目的のために努力をいたしてまいりたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。ぜひそういうことで努力をお願いしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) ちょっと一言補足さしていただきますと、七月と申しましたが、概算要求の時期でございますから、八月というふうに御理解をいただきたいと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官は現地をいつ視察に参りますか。これは稻村前長官もおっしゃっておるように、現地を見て、私は切実にこの問題解決をしなきゃならぬという決意を披瀝されておりますが、私はやっぱりそういう意味で長官の視察というのは重要な意味を持っておると思うのですが、これについてはいつごろやる考えがあるのですか、それともやる考えがないのですか、どうなんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先日も他の委員会でお答えを申しましたが、視察をする意思を持っております。ただ、御案内のように、現在は予算委員会の開催中でございますし、各委員会一斉に衆参両院で開かれておりまして行動に制限がございますので、政治日程を見ながら日を決定いたしたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 国会のいまの情勢の中でちょっと日程がとれないということで、国会の日程の中でそういう問題で時間がとれる状態があれば直ちに行きたい、こういうふうに理解していいのですね。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 一応日程等の検討をただいましている段階でございます。私といたしましては、概算要求の時期までに自分の行動ができる可能な日に視察をさしていただきたいというふうに考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ぜひ早急に私は行ってもらうことが前任者の例から言ってみても有益だと思います。ただ、日程といえば、長官がこれはつくるかどうか、本人がやる気になるかどうかによって決まるようなものだと私は思うので、そこら辺はひとつ、もしいまあなたがおっしゃったのが本意であれば、少々の無理をしてでも乗り出してみると、こういう決意をぜひお願いしておきたいと思います。  そこで、長官にお尋ねしておきたいと思うのですが、第三条の「国民の責務」の中で「すべて国民は、同和対策事業の本旨を理解して、相互に基本的人権を尊重するとともに、同和対策事業の円滑な実施に協力するように努めなければならない。」、こういう同対法の条文がございます。この六条の中で、対象地域の住民に対する人権擁護活動の強化を図るため、人権思想の普及高揚等の措置を講ずること、こういった同対の啓蒙運動についての規定がございますね。これが私どもとしては助成の対象になるというふうに思うのですけれども、啓発事業の位置づけがちょっと弱いのじゃないか、こういう感じがしてならぬのです。今度の改正に当たって、第五条の同和事業の目標のところにはっきりこういった点を私どもとしては入れるべきではないかというふうに思うのですが、この点について、いままでの差別の実態、現状等をにらみ合わせて、長官の所見というものはどうなのか、考え方をお聞きしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私がここで長官として申し上げる前に、私といたしましては同対協あるいは国会の各党の委員の先生方の御意見を十分拝聴して最善の処置をとってまいりたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官はかなりここら辺になってくると慎重になるのですけれども、確かにそのとおりで、各党各会派の意見も大事だと思うんです。しかし、私がいま聞いておるのは、こういう事例を幾つか示しましたように、むしろ、やみの中からでなくて今度は公然と差別の現象が起こっておる。その原因は何かと言えば、同対事業について力を入れると同時に啓蒙活動に対する力が均衡がとれてない、そのひずみがこういう実態を起こしておるんだということで先ほどからやりとりしておるわけですが、そういった教訓というか、それと同時にさっき事務局の方でお答えのように、それらを含めて抜本的に強化したい、検討したい、そのために調査費も計上したんだと、こういう説明があったわけですが、そういう経緯から言うならば、当然もっと今度の改正法の中では啓蒙活動を重視していくべきじゃないかと私は思うのです。そうして、事業というものをやって環境を改善しても、私は、基本的にはやっぱり教育啓蒙、ここにかかっておるんじゃないかと思う、この差別の問題は。これは同和対策事業、同和対策にかかわる方々だけじゃなくて全国民的な意味を含めてです。そういう意味でもっとこの際重視をしていかなけりゃならぬ、こういうことを私は教えておると思うんですよ。ですから、当然この八月までの、いわゆるさっきおっしゃったように、見直し作業を含めて政府の態度を決めるという中におけるこの改正の方向としては、ここら辺が重視されていかなきゃならぬのじゃないか。こういう意味で長官の見解を聞いておるわけですから、ぜひそこら辺は明らかにしてもらいたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私どもといたしましては差別のない社会というものを理想にいたしておりますし、そういう社会実現のために、また、あらゆる国民の人権が尊重されるような社会をつくるために問題点の解決のために全力を挙げてまいりたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 全力を挙げてまいるのは結構ですが、私が言っておるのは、その中で教育啓蒙という関係については今度の改正に当たっては重視していきたい、こういうふうに受け取っていいんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) そのとおりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、もう一つ長官に見解をお聞きしておきたいと思うのですが、これは三月の十三日に名古屋市議会で起こったことなんでありますが、——これはもう一部しかないから、ちょっと長官のところにあげて。(資料を渡す)そこにございますように、毎日新聞、朝日新聞、中日で報道されておりますが、同和対策予算の審議をしておる総務民生委員会ですか、ここで自民党の工藤議員が前、現を含めて自民党の総理の二人の名前を挙げて、同和出身だと。同和出身が政権を握る時代にこんな同和に金を使っていいのかというような発言があったという記事が出されておるわけですね。朝日、毎日の後段の方には本人の釈明も出ております。それを見ると、そういう意味で言ったわけじゃなかったと。貧乏人でもがんばればもっと暮らしがよくなるのじゃないか、こういうことを強調したいために言ったんだということを釈明はしております。しかし、こういう議論が市議会の中でしかも政府の与党である自民党の議員の中から今日出てくるこういう事態。さらに、その釈明の中を見ますと、「私は、例えば松下幸之助さんのように、努力すれば、貧しくとも立派に成功するということをいいたかった」と、こう言っていますが、これは本人が努力すればなくなる性格のものじゃないのです。ですから国家挙げてこの差別をなくしていくための施策をとっておるわけでありまして、こういう感覚というのですか、ものに対して総務長官としてどういう御見解を持っておるのか。そして同時に、こういった事態に対して今後の施策の中でどういうような措置をとろうとなさっておるのか、その点もお聞きしておきたいと思うのです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) いま配付されましたこの新聞記事を拝見いたしまして、もしこれが事実ならきわめて非常識な発言であると私は考えております。また、今後、こういう議会で、あるいはまた他の地域でもこういう発言が一切行われないように私どもとしてはお互いに戒めていかなければならない、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その人の略歴を見ると、自民党の政調会長ですか、政調会長というのは自民党では政策の責任を持つ立場じゃないんですか。ここら辺について、自民党の政調会長だから内閣の総務長官が責任を云々ということはございませんが、ここら辺私も単なる非常識としては済まされぬ問題があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) いま新聞で拝見したところでございますので、私がいまの時点でどうこうするという立場にございません。それだけのまだ時間的の余裕も、いまちょうだいしたところでございますので申し上げる立場にないと思いますが、きわめて非常識な発言と、私は、これが真実ならそのように感じておりますし、また認識を持っておりますので、そういうことがこの委員会で先生から御指摘があったことを十分党にも伝えてまいりたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。それはひとつぜひそこら辺を含めて指導をお願いしておきたいと思います。  次に、これは資料が一つしかございませんから差し上げるわけにいかぬのですが、建設省の建設大学校中央訓練所の所長さんが、そこで「月刊開発青年」という雑誌を発行しておるわけですが、その中でやっぱり差別用語を使っておるわけです。特殊部落という言葉を使っておるわけです。これは同対審の答申の際に差別用語というのが規定がございますね。その中にある特殊部落という用語をこの中で堂々とお使いなさっておるわけでございますが、これについて大臣の見解を承っておきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) ただいまの先生の御指摘の点は、建設大臣もすでに建設委員会で、まことに遺憾な言葉を使っているということで、遺憾の意を表明されておりますし、私もそういうふうに感じております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで大臣、こういうふうにあなたが遺憾遺憾ということを連発せざるを得ない、こういう実態にあるわけでございますから、私は、これは遺憾であると同時に、それを早く正常に戻していかなければならぬと思うのですね。そこで、それを戻していくためには一体どうしていくかということはおのずと私は結論が出されておると思うのです。いわゆる同対法の延長に対する結論をきちっと出して、そして今後さらに一層の十三年間の反省の上に立った差別をなくする施策を強化していく以外ないと私は思うんですが、三月二十七日のこの予算委員会の中で田中通産大臣が、特措法の強化、改正に向けて努力をしていきたい、こういう答弁もなさっておりますが、担当大臣としての大臣のこの問題に対する見解はいかがなものですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私ども、総理の予算委員会の答弁でも御案内のように、五十七年度以降の同和対策事業あるいは同和対策に対する政治の取り組み方、政府の方針というものは、五十七年度概算要求の時点で政府の意思を決定いたしたいという鈴木総理の予算委員会の発言を私どもは忠実に実行してまいりたいと、このように考えております。    〔主査退席、副主査着席〕

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それはさっき聞きましたが、八月末に結論を出していくとすればどういう結論を出すのか。これは総理の答弁という前に、総務長官としてやっぱりきちんとしていかなければならぬと思うんです。あなたはそういう意味では一番この問題について責任を持つ立場にあるわけですから、いま申し上げましたような差別の実態、それからあなたもそういった実態を自戒の上に立って早急に現地視察もやりたい、こういう御意見もいただきました。同時にまた、こういう政府、官公庁まで起こっておるこの差別の実態について遺憾でもあるという言葉もいただいたのですが、どういうふうに主管担当大臣として結論を出そうとしておるのか、そこら辺が私は重要な意味を持ってくると思うんです。稻村さんが前の長官で、三年延長の際に一番中心になって、そして責任を感じて現地も見て、その上で三年延長を実現させていった、こういう経緯もございますから、そこら辺を含めてあなたの決意をいただきたい、こう思うんです。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 先ほどから重ねて申し上げておりますように、私といたしましては差別のない社会、人権が尊重される社会というものの建設に当たっていかなければならない、こういう決意でございまして、なおこの問題の扱いについては、やはり民主主義の社会でございますから、せっかく各党に担当の議員の方々もすでにお決めいただき、私どもとしては機会あるごとに御意見も承っておりますし、この同会でのいずれ御意見というもの、そういうものを十分尊重して政府としては前向きに取り組んでまいりたい、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 なかなか慎重でございますが、しかし率直に言って、担当大臣として、長官として、これだけの実態なり、それからこういう引き続く差別の情勢というものを頭に入れたときに、前向き以外の結論の出しようはないと私は思うのですが、そういうふうに理解していいですか、いまの言葉を。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私個人の立場で物を言うことができませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思いますが、総理の御意見もすでに出ておることでございますし、内閣においても十分相談をいたし、国会の御意見も各党の御意見もよく承った上で私どもとしてはわれわれの理想に向かって努力をいたしてまいりたい、このように考えます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いま後段、何と言ったんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 私どもの掲げている理想に向かってと申し上げたわけです。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 理想という意味ですが、あなたもなかなか言いづらい点もいろいろあると思いますけれども、やはり一番よく実態を知っておるのはあなたなんですから、あなたがこの問題について決意を固めないと内閣全体も動かないだろうし、内閣全体に与える影響も大きいと思うのです、主管大臣として。そこら辺はぜひお含みの上で、まさに理想に向かって前向きで御努力をしていただきますように、私からもひとつお願いしておきたいと思います。  次に、官房長官が参っておりますから、官房長官にもお聞きしておきたいと思うのです。  いま官房長官、さっきからお話を聞いておったと思うのですが、あなたは内閣の番頭役ですね、この問題について総務長官から、理想に向かって八月までに結論を出していきたいと。同和対策事業の延長の問題、これについて、前向きにという表現は使われずに、理想に向かってという表現をいただいたんですが、官房長官としてはどういう御見解ですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ総務長官ともこれからも御相談をしながら緊密に打ち合わせをしてやってまいるつもりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ひとつ、あなたは、どちらかというとまとめ役が中心でしょうから、実態はここにもいま一つの例を示しておきましたが、差別の実態が相次いでおる状態でございますし、とてもこのままで問題が片づくような性格のものじゃございませんから、そこら辺はぜひこの機会に私からも要請しておきたいと思います。  次に、長官にきょうおいでいただきましたのは、もうこの問題ではあなたとずいぶん議論を決算委員会を通じてやってきておるわけですが、もうそろそろ結論を出していいのじゃないか、こういう観点で、きょうは余り枝葉の議論じゃなくて太い幹の関係で御意見をいただきたい、こういうふうに思っておるわけです。  その問題というのは会計検査院法の改正の問題です。これは今度の国会の中でも衆参両院の予算委員会、各所で取り上げられておりますが、何といっても、事がロッキード事件にスタートして起こってきた、それからもう一つは国会の衆参の両院の決議を前後五回にわたって受けておる、こういった内容ですから、私は院の権威もかかっておる問題だと思うのです。あなたが御心配になっておったいわゆる各省の意見不調整、こういう問題につきまして、三月の二十五日の決算委理事会で御意見を聞きましたが、あなたは十五分でどうしても別の用の関係がありまして退席されたわけですが、そのときにあなたが言われておった、国会の決議では改正が含まれてないとか、大村院長に各省に当たるようお話があったとか、こういった問題がございましたが、これは当日の委員長、各委員の御指摘もあって、あなたにもそんな議論が今日通用しないということについては大体理解がいったのじゃないかと思うんです。そういう上に立って各省の説得というか、納得がいくように御努力いただいておると思うのですが、いかがなんですか、どういう結論になっておるのですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) まことにこの問題については何度も佐藤委員から御指摘をいただきまして恐縮をしておるところでございますが、せんだって以降もまた私の方の事務当局で各省の事務当局に来てもらいまして、さらに続けてこの問題についての協力方を求めておるわけでございます。ただ、この法の改正ということを私としては取りまとめたいというふうに考えておるわけでございますけれども、一応、せんだっての場合には、それはそれとしまして、決議に言われるところの検査機能の強化充実のために仮に法の改正を待たずともなお行い得ること、すなわち肩越し検査等々の問題についてさらに各省が協力をすることによって検査の強化充実をすることができないかということについて、改めまして関係各省からの協力万、検討方を実は要請をしたところでございます。もちろん、それは法の改正をあきらめたという意味ではございません。これはせんだっても申し上げましたが、そうではございません。他方、現行法の上でなお各省が協力すべきこと、さらに検討してもらいたいということをついせんだっても申しましたようなところでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官、あなたの予算委員会の答弁の最近のを見ると、いま言ったような答弁に一貫していますね。法改正は法改正として今後とも検討しなければならぬけれども、法改正によらぬで機能をどう強化するかという検討もしなければならぬ、こういうふうに言っていますね。実はあなたがお帰りになった後、大蔵、農林、通産の各省の皆さん、それから検査院長を含めて約一時間半ほど、二時間近く議論をやったのです。事情を聞きましたが、農林、通産の意見を聞きますと、現在も肩越し検査を受けて支障なく——その結果支障ございましたかと、たとえば政策融資に対して危惧があったり不満がございますかということに対して、別に何にもございませんでした、こう言っておるんですし、問題は、だんだん詰めていきますと大蔵省が抵抗しておる、大蔵省はどこだと聞きますと輸銀と開発銀行だというのです。なぜ抵抗しておるのかというと、大企業が抵抗しておる、こういうところに落ちついてくる。あなたは国会答弁の中では、中小企業や農業者の場合には会計検査を受ける能力がなくて、そういうところでは大変検査院が入っていくということについて困惑があるのではないか、こういう主張だったのですけれども、実態を聞いてみますと、道なんですね。  いわゆる輸銀なり開発銀行を通じての大企業に対する融資がスタートになってロッキード事件が発生しておる。ですから、そこに、当然国の責任として、検査院の検査をせよ、そのほかに何らかのとる方法があるのかということでいろいろ当時吟味しました中で、それしかないんじゃないか、それが一番有効じゃないかということで、当時福田総理も、そういうふうに検査院の方にお願いできれば結構だと。検査院は作業にかかって改正案をまとめたわけですね。ですから、そういう経緯から見ると、これをやっていく方途について、これはやはり政府自体が決断を下すときに私は来ておるのじゃないかと思うんです。大村院長もその際に強調しておりましたが、政策融資というのは当然国民のお金を、たとえば利子補給であるとか、たとえば利子を低利でやるとか、据え置きを長期にするとか、そういった便宜を図っていくわけだから、それに対して、その政策金融が適切に行われているかどうかを見定めていくことは当然国の義務である、それをやっていくとすればやはり検査院の使命でもある、こういうことを強調されておりましたが、ここら辺から言ってみても、あなたは大蔵省の出身でもあるだけに大蔵省をむしろ説得をして、そして国会の意思であり国民の意思である決議を尊重する、こういう立場に私は立つべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 輸銀、開発銀行等を所管しております大蔵省の諸君も先ほど佐藤委員が言われましたような理由から反対をしておるのでございますけれども、同時に農水省、通産省の諸君もやはり所管の金融機関について同じようなことを申しておるわけでございます。それで私は、言っていることを理由がないとも断定できない。確かにそういうケースもあることでありましょうし、それから公の権力がどこまで私の経済の中に入っていくべきかという問題、確かに佐藤委員の言われますように、これは納税者の金ではございますけれども、しかし私経済の中に入っていくのでございますから、そうしますと、貸し出しをする金融機関そのものをきちんと監督すればそれでいいではないかという議論も成り立つわけでありまして、どうもこの問題はなかなか理屈の水準では、片っ方がはっきり理由なし、片っ方に理由ありというような軍配が非常に上げにくいというのがどうも事実であります。大村院長御自身もそういう意味では、開発銀行の仕事もされたことがございますし大蔵省におられたこともある、それでなお両方のお立場を御存じでありながらいろいろに御苦労なさっていらっしゃるわけでありまして、どうも十分どちらにはっきり理があるということが申しにくい。私が今日まで調停をしてまいっております感じを率直に申し上げますとそういうことでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官、この問題の事の発端というのはロッキード事件です。そうでしょう。あの際に司直の手が加わってきた。しかし、再発防止をしていくためにどうすればいいか、こういう議論が国会の議論になって、そうして政府の代表としての総理の答弁として、会計検査院の方でそういう手だてができることならば結構でありますということから検査院としては作業にかかっていった。また国会の要請もあったし、そういう経緯がある。それでなぜ起こったかというと、あの当時に肩越し検査しかできないわけです、現行法では。輸銀調査にしても、融資先について。そこでやったところがそれが拒否された。そこから問題が起こっておるわけでしょう。ですから、そういう経緯から見ても、そういう事態が起こらなかったらこういう問題も起こらなかったかもしれないと、逆に言うならば。国会の決議もなかったかもしれない。もう五年だったから国民の皆さんはこの問題についてはお忘れになっただろうということで、五年間とにかく官房長官の手で歴代引っ張ってきた。そうしてここら辺まできたらもうこの問題はおくらだと、こういう議論になればまたロッキード事件は再発する。裁判は終わっても、膨大な政府資金が融資されておるわけです、それをストップするわけじゃないんだから。そういう性格を帯びる院法の改正だと私は思うんです。いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、沿革的にはそういうところから出てまいった問題でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 検査院、お聞きしますが、そんなに長官が、大蔵省じゃないですよ、長官自身が判断に迷うような改正案の内容ですか。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○説明員(藤井健太郎君) この問題が起きまして以来、五十三年でございますか、われわれといたしましては当時の総理大臣のお言葉に従いまして鋭意検討いたしました。それは、各省ともいろいろ煮詰めまして、何といいますか、その御意見も取り入れて、最終的なこれ以上ぎりぎりの線ということで要綱をつくっているわけでございまして、私どもといたしましては最小限の改正案じゃなかろうかというふうに考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官も改正案はよく御存じなんでしょう、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 存じております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いま検査院の方も言いますように、最小ぎりぎりの案だ、しかもこの問題については各省と事前に十分相談をしてぎりぎりのところでつくったんだと。確かに内容はそうなんです。いままででも肩越し検査をやってきておる。しかし、肩越し検査をやるけれども拒否する場合が起こる、今度のロッキードの場合に現実に起こっておるんですね。だから、そういうことだけは認めないぞという改正案の内容ですよ。事前に通知をして、そうしてそこら辺の協議をして、そうして向こう側の承諾をもらってやるという、実に念の入った、遠慮しいしいの改正案の内容だと私は思うのですよ。しかも、この問題で何もむやみやたらに所構わずに、政策融資を目のかたきのごとくにして調査をやるというシステムでもない。言いかえれば、せいぜいやっても、何か重大な問題が起こったとき、そのときに何というんですか、腰に差した伝家の宝刀と同じようにこれを抜くのだ、こういう内容に尽きるのじゃないかと私は思うのです。罰則規定もついてない。そういう問題について大蔵省がここまで反対する、そのために院の決議が実行されない、五年間も。院の決議が実行されないだけではなくて、ロッキード問題の後発を防ぐための手だてということで、少なくともあのときに国民全体が国会を通じて内閣総理大臣も含めて意思統一したそのことすらもできない。こういう事態ということは私は許されぬと思うのです。官房長官自身はどうなんですか、官房長官自身はこれはやっぱり当然最低限の条件として必要だ、こういう御理解なんですか、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私の立場は、前回にも申し上げましたとおり、これはともかく両院において検査機能を拡充強化しろと、法の改正の是非も含めてと、衆議院の決議はそうでございますが、そういう両院のお考えでございますから、内閣としてはひとつ成案を得てこれを国会に提出をして御審議を願う、こういうことが内閣の立場でなければならないであろうというふうに私は考えております。  そこで、先ほどからのお話でございますけれども、会計検査院が一案をつくられる、一案をつくられてこれが最低の線であって云々というお立場でございますが、各省と合意に至らない、至らないがゆえに内閣官房に調整を持ってこられたわけでございますから、調整する立場としては、各省にもひとつ考え直してもらいたい。会計検査院にも、これが最低限だと言われてしまえばこれ以上動かせないということでございましょうか、それではなかなか調整というものはやりにくい、両方に考えてもらいたいというのが私の立場であって、その上で成案を得て国会の御審議を得たい、こう思っておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 二十五日の理事懇の際に大蔵省の主張を聞いてみますと、一番の問題は何かというと、何も企業が云々とかいう言い方よりも、どうもぼくらが聞いていた感じとして強いのは、輸銀にしても開発銀行にしても大蔵省が所管省だ、それを飛び越えて検査院がやることはいかがなものか、こういうところに一番抵抗があるんですというような言い方をするのですが、これについてはどうですか、長官は。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにそういう感じを持っておるようでございますね。自分たちが監督をしておる何々銀行であり公の公庫なので自分たちの監督権限はここまでしか及んでいない、それをさらにもう一つ越えて会計検査院がということは、自分たちすら私企業についての権限行使というものをある程度で制限しなければならぬと思っているのに、その点いかがなものでございましょうかというような気持ちを確かに持っているようでございますね。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その持っておる考え方について、私が聞いておるのは、あなた自身としてどう思いますかと聞いておるんです、そのときにも激しく大村院長が反発しておりましたが、私は、それは検査院としてあたりまえのことじゃないか、検査院としてあたりまえというよりも使命じゃないか、そういうものを追及するのが。そこを頭越しだなんという議論というのはいただけないということで院長としても見解を示しておりましたが、あなたはどう思いますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これはちょっとむずかしいのでございます。そういう抽象的な問題として佐藤委員が御提起になりますと、そうでございますね、やはり金がちゃんと使われているかどうかということになれば、それはそもそも会計検査院が納税者の金をきちんと使われなければならないという機能を持ってごらんになるお仕事でございますから、その特定の開発銀行なりあるいは輸出入銀行を監督するという大蔵大臣の立場とは違う機能、違う職責を会計検査院が持っているはずだとおっしゃれば、私はそれは一理があるような気がいたしますですね、その問題に関しまして申せば。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 一理がある、一理があるとすれば、そこがネックになっておるわけですね。そうすれば、その一理の方にあなたはやっぱり裁断を下す時期に来ておるのじゃないんですか、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましては、何も大蔵大臣にできないことが会計検査院にできて悪いというようなことは、おのおのやはり役所の持っておられます機能が違いますから、会計検査院の言われることに私は一里ありと、その点については前から実はそう考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それがどうして、あなた就任以来からずっとこの問題を預かってきておるでしょう。それで、あなた自身も大蔵省出身ですわね。そういう意味では、そんな理不尽なことを言うものじゃないと、検査院というのはそういうちゃんとした使命を持っておるんだ、あたりまえじゃないかと、こういうことでちゃんとあなたがそこまできちんとしておるのなら、もうそろそろひとつ国会の要請にこたえて結論を出してもいい時期に来ておるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは細かくなるようなんでございますけれども、私がその点で一理ありと申しましたのは、大蔵にないから会計検査院にあってはおかしいという理屈はおかしいよということであって、大蔵にない、だから会計検査院になければならないのかどうかということはまた別の問題としてもう一つあるのだと思うのでございます。つまり、そこまで、私企業のところまで、あるいは個人のところまで国の権力がどうしても法制上及ばなければならぬのか、事実上の問題としていろいろな便宜的な形で及べばいいのではないかという議論は別にありまして、いわば、うちの大臣にないものがよその院長にあるのはというのは、これはけちな議論でございまして、これはどうもどうかなと思いますが、そもそもそういう権限というものを役所が持つべきかどうかという議論はまた私は別にあるのだろうと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大蔵省を越えて、主管省を越えていくのがそれは検査院としての使命を持っておるわけですから当然のことだという理解に立ちながらも、問題は、政府資金の行き先まで、私企業の行き先までいくことがいかがなものかというところにあなたの判断の迷いがあるとするなら、この場合は一体どうですか。たとえばロッキードみたいな事件が起こった、国民の皆さんはこれを徹底的に究明しなさい、同時に再発防止をしなさい、その再発防止の手だてをしなさい、こう国民の皆さんが集中的にやって、それに対して政府としてもそれにこたえなきゃならぬというのが実態だと思うのですが、そのときに輸銀が検査を拒否した。こういう事例がなければ、検査院もまたそこまでいわゆる国民に対する責任を果たすことができないというジレンマに陥ってくる、これがいまの一つのこの問題のあなたか言うところの、心配するところの物差したと私は思うのですが、そういう面から見ると、当然規定はきちっとしておって、そしてそういう不正が起こらないようにむだなく国民の税金として融資先の目的を達成できるように。そういった意味での措置をとる不可欠な条件として私は検査院がとられておるのじゃないかと思うのです。また私はそうだと思いますけれども、この問題についてどういう見解なんですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私、その事情をつまびらかにいたしませんのですけれども、    〔副主査退席、主査着席〕 確かに何かお断りしたとか拒否したとかいうことを、いつぞやどこかの委員会で輸銀の総裁でしたか役員が述べられたことがあるように思いますし、開発銀行の方は何かそういうことはいままでないとかいうようなことも言っておられて、これはどうもどういうことになっておるのでございますか、はっきりその辺のことが私にもいたしませんので、拒否したのはロッキードのときではないとかいうことでございますけれども、しかし何かそういう拒否とかなんとかいう話を私も聞いたことは確かにあります。どうも役所の間でそういうことというのはどういうものなんだろうか、よっぽど何かやっぱりこじれているのじゃないのだろうかなという感じがいたします。会計検査院がよほど何か理由があって肩越し検査をしたいと言われるときに、開銀にしても輸銀にしても政府機関でございますから、何かそれを断るというのはこれまた何か理由がなければ、法律上の理由というより常識的に考えてなるほどという理由がなければ、どうも普通のことでないので、どういう事情でございますか一遍は聞いてみたいと思いますが、何かそういう相互の信頼感の欠如というものがあって、それがこういう法律改正というようなときに主張がぶつかり合って、これはわかりませんからお互いにと申しておきますけれども、ぶつかり合って妥協ができないでいるのではないのだろうかなという気持ちすら実は私はいたすのでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 検査院、そこの問題だけで結構でございますが、経緯はどうなんですか。

藤井健太郎会計検査院事務総局次長

○説明員(藤井健太郎君) 現在、肩越し検査の実態を申し上げますと、その肩越し検査をやっております大部分は中小企業者あるいは農業者等でございます。したがいまして、その中小企業者、農業者等につきましては、いまだに拒否されたという例は聞いておりません。実は開銀、輸銀関係あるいは北東公庫の関係でございますけれども、これは具体的に私もつまびらかじゃないのでございますけれども、ロッキード事件の際に輸銀を通じまして全日空を肩越し検査をしたいという申し入れをした事実がございます。その際には、いろいろ経緯があったのでございますが、最終的には全日空に行って書面を見せていただいたという経緯がございます。  それから開銀等につきましては、実際非常に審査体制ができているわけでございます。貸付件数も金額が大きいわりに相当しぼられているものでございます。そういった点でわれわれが非常に疑問にするというのが現在まで非常に少なかったのじゃなかろうか。そういった点で私たちも必要性を余り感じなかったと思われます。しかしながら、一方、何といいますか、特に輸銀の場合だったと思うのですけれども、特にKDD関係の事件があったとかそういった場合には協力をしたい、しかも、その場合におきましても、何をどういう書類をどういうふうに見たいかと、それがたとえば銀行等の、何といいますか、融資先の了解を得て初めて検査できるというような条件をつけられているわけでございます。そういたしますと検査の主体性というものはほとんどなくなってしまいますので、私たちは、それでは肩越し検査する意味がないからということで、こちらに引き下がっているという例があるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 長官、いま聞きましたように、やはり肩越し検査というのは限界がある。それで検査院が主体になってこの調査はできない、あくまで書類から何から向こうの方から注文がくる、こういう中では国民の負託にこたえて適正な検査というのができないというのがぎりぎりのところの私は接点だと思うのです。ですから、そういう面から見ますと、この問題というのは、やはり国民の皆さんが強くロッキード事件にショックを受けていますからね、総理の犯罪として。そういう意味で、やかましい議論となって国会でも取り上げたと思うのです。そういう経緯を考え、そしてまた今後のことを考えたときに、私は、ここはやはりいま検査院が持っておる最低ぎりぎりの主体性ある検査ができる体制は、政策融資といえども道を開くべきだ、そういうふうに考えるのです。そうしなければ、政策融資そのものに国民の疑惑が向いてまいりますと、これは私は政策融資の価値そのものがなくなってくると思うのです、そこに不信なり疑惑が起こってきたら。そのために政策融資をスムーズにするためにも、国民の監視の目で期待を込められた院法の改正というものが最低のぎりぎりとして成立する、こういうことが私は必要だと思うので、そういう意味で官房長官にぜひ早急に結論を出していただきたいと思うのですが、今国会中には結論を出す、こういう方向で受け取ってよろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは佐藤委員の言われますように結局私も考えるものですから一生懸命やってまいっておるのですけれども、なかなかめどがついてこない。最大限の努力は続けてまいろうと思いますけれども、今国会中にというお約束をすることはちょっとただいま危険でございますので、最大限の努力をいたしますというふうにひとつ申し上げさせていただきます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、大平さんは昨年の四月二十三日の決算委員会で、九十一国会でめどをつけますと、こう言ったんです。ただ不幸にして途中で亡くなった、解散で亡くなるという不幸が起こったものですからとぎれたのですけれども、大平内閣を継承する鈴木内閣は——しかも大平さんは、御存じのとおりにこの問題の再発防止を含めての懇談会をつくっていろいろ国民に約束をされておる。そういう経緯から考えて、九十一国会で結論を出すはずであったのがもうこの国会の中でも結論のめどが見出せぬということはいかがなものですか。私は、尽きるところは、大体この問題点はあなたといま議論をやりとりする中でももうほとんど余地のないぐらいに詰まっておると思うのです。問題は閣内の統一の調整を任せられておる官房長官がどう決断を下して説得するかにかかっておるのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) そういうことになろうと思います。確かに大平総理大臣もお約束をいたしてそれができなかったということがございますものですから、調整をするとして、もう一遍会計検査院に案の内容を考えてもらうか、あるいは現在の内容で各省に考えてもらうか、両方とももう一度考え直してもらうか、何かそういうことをいたしませんとこの話はなかなか前進をいたさない。できるだけ早く調整をいたさなければならないと思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 できるだけ早くという言葉を、今国会中に結論を出すというような決意でもってひとつぜひ処理を急いでほしいということを再度私の方から長官の方に要請をしておきたいと思います。  最後になりますが、時間がございませんので一つだけ総理府総務長官にお聞きしておきたいと思うのですが、先般、一月十九日だったと思いますが、私が決算委で取り上げました沖縄の復帰に当たっての対米請求の問題です。いよいよことしから予算計上して事業が滑り出すわけですが、これは一千億の要求を百二十億というものにして推進協で対処するというのが先般のお答えでした。しかし、その後事務当局を呼んでいろいろ聞いてみますと、どうも実態があの当時の長官の答弁と違うような感じがしてならぬわけです。私はあのときにも申し上げましたように、戦争を起こしたのは国家であり政府であり、そして沖縄の返還の際に個人の請求権を放棄したのも政府なんです。でしょう。だとすれば、この問題については当然政府が責任を負わなきゃならない。その責任を推進協で負えるものじゃない、私はそう思うのです。やはり国家責任をきちっとしなきゃいかぬ、こういうふうに思うのですけれども、どうも事務当局と議論をしてみると、いやもう推進協でそれは決めるのだとか、中身は推進協の方で議論しなきゃどうとか、こういう言葉が返ってくるのですけれども、この問題は、経緯から言ってみても中身から言ってみても、政府が責任を初めから最後までとっていかない限り問題が片づくものではないと思うのですが、この点はいかがなんですか。——いや、長官に聞いておるんだ、もう時間がないから。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) ちょっと事務的な関係もございますので御答弁させていただきたいと思います。  ただいま先生御指摘のとおり、今年の一月、先生から……

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 時間がないんだから簡単に言ってくださいよ。

美野輪俊三沖繩開発庁総務局長

○政府委員(美野輪俊三君) 御質問がございまして御答弁いたしたところでございます。基本的にこれは沖縄の復帰協定によりまして対米請求権を放棄したという経緯がございます。これは法律的には外交保護権の放棄というふうに考えておりますが、戦後二十七年間特殊の状況の中に置かれました沖縄の事情等を勘案をいたしまして、第三次沖縄復帰対策要綱におきまして政府において調査の上適切な措置を講ずるということで、その方針のもとにこの問題に対応してまいったわけでございます。  ただいま先生から推進協議会との関係について御質問がございましたが、この問題につきましては、昨年の八月、残ります土地関係等事案につきましてどういう対応を講ずるかということで地元とも十分相談をいたしまして、その結果残る事案につきまして一切の解決をするということで百二十億の特別支出金を予算要求してほしいと、これを推進協議会が母体となってつくります社団法人におきまして一括受けとめまして、それによりまして被害者等の福利厚生事業等を実施していくということによって地元の方としてもこの問題の解決をしたいという要請が出されてまいりまして、その線に沿いまして私ども今回の措置を講じておるところでございます。そういう経緯でございますので御了承いただきたいと思います。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) いま政府委員がお答え申し上げましたように、昨年現地の方と沖縄開発庁とも十分相談をいたしましたが、地元側の要望としては、ぜひひとつ五十六年度予算で始まる年度として百二十億という予算要求をしてもらいたい、それは現地において発足します推進協議会で一括処理をさしていただくことが望ましいと、こういう要望がございました。実は大蔵当局は財政面の問題から非常に厳しい意見を出してまいったのでございますけれども、ぜひひとつこの沖縄の意見を尊重してほしいということで折衝いたしまして、現地の要求どおりの金額でこの国会で御審議をいただいておるというふうな状態でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから私は言っておるのですが、そういうことで推進協に窓口はできたと、処理をするののね。しかし、この種の性格のものは、戦争を起こしたのも国家であり、同時にまたアメリカに対して請求権を放棄したのも、これも政府なんです。そうだとすれば、推進協というのは窓口になるかもしれませんけれども、最終的に個々の補償については政府が責任を持って処理するということに私は変わりないというふうに思うのですが、それは違うんですか。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) 人身事案と漁業関係の問題はすでにもう解決が終わったということでございまして、残るのが先生御指摘の土地関係事案でございます。この解決方法もいろいろ私は事務的な方法としてはあったろうと思います。個々に政府が直接に交渉に応ずるか、あるいは県が望むシステムでやっていくかということで論議もございました。しかし、やはり一番望ましいのは地元の住民と直結している沖縄県が要望するシステムをとるべきであろう、こういうことでこの推進協議会に窓口をつけると。精神は国がいわゆるこの請求権放棄に対する補償措置をとるということはもう原則でございますが、その処理の方法としていわゆる推進協議会を通していく、こういうことでございますからひとつ御理解をいただきたいと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 最後に一つだけ。  そういうことなら私もわかるんです。処理の方法として推進協と。しかし最終的には政府が責任を持ってやることなんだと。この理解に立って、先般私が提起しました石田さんの問題ですね、これについて総務長官の答弁は、できるだけそういう実態も配慮した上で処理していきたいという答弁をいただきましたので、ぜひそこら辺も含めてひとつ今後の事後処理をお願いしておきたいと思います。  以上で終わります。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) 以上をもって佐藤三吾君の質疑は終了いたしました。  次に、藤原房雄君の質疑を行います。藤原房雄君。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 本日、酒田の地方裁判所で鶴岡住民から提訴がございましたやみカルテルに伴います消費者賠償請求といいますか、こういう判決があったようでありますが、消費者の立場から言いますと、事業の活動に対しまして非常に強い関心を持つような時勢になっておりまして、これは社会変動、やはり世の中の動きに伴いまして必然的に起こる問題でありましょう。しかし、そういう中で一番被害を受けるのは消費者であり、こういうことに関心を持つのは、これは当然のことだろうと思うのでありますが、そういうことから独占禁止法というこの法律は非常に大事な法律でもあり、独禁法をめぐりまして今日までもいろいろなことが論議をされ、是正もされ、今日きていると思うのであります。  最初に公正取引委員会にお尋ねを申し上げるわけでありますが、これはもう私が長々申し上げるまでもなく、四十八年のあの石油ショックのときのことで石油業界のいわゆる石油やみカルテル事件、これが昨年の九月に東京高等裁判所の判決が出た、これがきっかけとなりまして通産省と公取といろいろな意見を闘わせて——意見を闘わせるといいますか、それぞれの立場で見解が述べられておるわけでありまして、その間のことにつきまして若干御質疑をしたい、こう思うわけであります。  最初に、公正取引委員会が三月十六日に独占禁止法と行政指導との関係についての考え方、こういうものを発表しましたが、その内容と発表に至るまでの経緯について、時間がありません、もうわずかの時間の中ですから、かいつまんで要点をひとつお述べいただきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 三月十六日に発表いたしました独占禁止法と行政指導との関係についての考え方の作成の経緯でございますが、これはいまお言葉の中にもございましたように、昨年の九月東京高裁におきまして石油に対します判決が出たことが直接の契機でございます。もちろん独占禁止法と行政指導との関係につきましては、かなり長い歴史があるのでございますが、昭和二十八年の法律改正によりまして独占禁止法上の不況カルテルという制度が公的に認められたのでございますから、したがいまして、産業官庁の行います行政指導と独禁法との関係につきましてはおおむね問題が解消されたということになるわけでございますが、しかし、その後の経過等から見ますと、依然として勧告操短というような制度も残存をいたしておりまして、そういう行政上の運営と独禁法とのかかわり合いにつきましては、依然として問題が残っておったのでございます。その間いろいろな経過なり起伏がございますけれども、この問題につきまして、やはり幾つかの節目があるというふうに思うわけでございまして、その一つの節目は、昭和五十四年の八月に公正取引委員会が正式に発表いたしました「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というものがございます。この中にも、事業者団体の活動のあり方と行政指導との関係につきまして明文をもって明らかにいたしておるわけでございまして、これが最近における一つの節目であろうかと思います。  それから第二の節目が、いまお話がございました昨年の九月の東京高裁の判決でございまして、この判決の中には、産業官庁の行政指導のあり方につきましてもいろいろ貴重な意見が開陳をされておりますし、また行政指導との関係におきます公正取引委員会の行政のあり方につきまして厳しい見解も示されておるわけでございまして、そういう第二の節目に即応するために、従来からの考え方の集大成としまして、独禁法と行政指導のあり方につきましての見解というものを公的にまとめたものでございます。その内容につきましてはすでに文書になっておりますが、概要につきましては経済部長の方から御説明申し上げたいと思います。

伊従寛公正取引委員会事務局経済部長

○政府委員(伊従寛君) 考え方の内容でございますが、この要約としましては、具体的な法的根拠が定められております場合と定められておりません場合と二つに分けております。  第一に、法的根拠のない場合の行政指導につきましては、行政指導のやり方としまして、事業者団体に対する場合と個別事業者に対する場合とに分けて考え方を述べております。事業者団体に対する行政指導は、カルテルを最も誘発しやすいというふうに述べております。個別事業者に対する行政指導でありましても、ケースによりましてはカルテルを誘発する場合があることを申しております。  それから具体的な法的根拠が定められております行政指導につきましては問題は少ないわけですが、ただ、法的に明示されておりますこと以外の行政指導をやります場合には、これは法的根拠がない場合と同じ扱いになるわけでございます。  以上のように、この考え方の中では、カルテルを誘発しやすい場合の行政指導を挙げまして、それについて独禁法上の問題が残ることを指摘しております。このカルテルを誘発しやすいかどうかについて疑点のある行政指導につきましては、公正取引委員会としては、関係行政官庁が公正取引委員会に協議していただくことを希望しているわけでございます。  以上がこの考え方の内容でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いま説明がありましたように、たとえそこの行政指導下の産業活動であっても独占禁止法を適用させるということを考えるということですね。今回のこの見解で、これは具体的な問題になりますといろいろなことが出てくるのかもしれませんが、これのいま考え方というものが出されたということで、明確にといいますか、どういうふうにこれを考えるべきかということでお尋ねするわけでありますが、今回のこの見解は、官庁の行政指導をも規制するということで、非常に厳しい——厳しいといいますか、そういう意味合いなのか、またはこのカルテルを誘発するような行政指導は自粛してほしいというような、こういう意味合いなのか、これは非常に微妙な点でありますし、この際ひとつ公正取引委員会の見解を伺っておきたいと思うんです。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 各省庁が各省設置法に基づきまして行政活動を行うことそれ自体が問題であるかと申しますと、それは直にはそういうふうには言えないと思います。たとえば、個別事業者に対しまして、あくまでも個別事業者の任意の事項というものを前提といたしましてある種の意思を表明するということは、近代国家におきましては許された行為であるというふうに考えております。ただ、行政指導なりあるいは行政活動の結果として、事業者相互間にあるいは事業者団体の中におきまして共同行為が行われて、それが独禁法違反になるような結果を招来する、そういう行政指導は御遠慮いただきたい。そういう行政指導を行います場合には、十分独禁法との関係につきまして配慮をしていただきたいというのがわれわれの考え方でございまして、これは従来から一貫してそういう考え方を持っておるわけでございまして、行政指導それ自体を規制するということは、これは本来適当なことではない。ことに各省庁の行います行政指導に対しましても、一切制約を加えるということは、これは行政組織法のたてまえから申しましても適当でないわけでございますから、そういう考え方を持っているわけではございませんが、従来の行政指導は、ともすると、その結果としてカルテルの温床になりやすいという点に着目して、十分御注意をいただきたいというのがこの考え方の趣旨でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 昨年の五十五年の九月の判決をもとにして今回こういう考え方、見解が出された。それ以前に、五十四年の八月に「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というのを作成して発表しておるわけですけれども、そういう経緯があったという先ほどもちょっとお話がございましたが、そういうことで公取としましては、こういう問題については、いままでもいろいろな角度から検討し、その時々に応じて指針なり見解なりを出してきた。今回の考え方につきましては、これは直接的には東京高裁の判決ということを契機として、それにのっとって今回のこの見解が出されたと、このように御説明があったというふうに理解するわけでありますが、五十四年の八月二十七日の指針というのは、これはどういう趣旨のことが盛られているのですか。

伊従寛公正取引委員会事務局経済部長

○政府委員(伊従寛君) この昭和五十四年八月二十七日の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」と申しますのは、独占禁止法違反行為の中では、事業者団体の違反行為が一番多いということ、それからまた、事業者団体の行為のうち、どこまで違反であってどこまで違反でないかということが不明確であるという批判がございましたので、それに対処しましてこの指針を出したわけでございます。この指針の中で、行政指導と事業者団体の行為につきましては、第二の「事業者団体の実際の活動と独占禁止法」という項目の頭書きの部分の最後のところで述べておりますが、ここでは「事業者団体の行為が、行政指導に係るものであっても、独占禁止法の違法行為に該当するときには、その違法性が阻却されるものではない。公正取引委員会としては、独占禁止法上の問題を起こす可能性のある事業者団体の行為に関する行政指導については、関係行政庁と事前に調整を図ることとしている。」、以上のように述べているわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それは各省庁それぞれ関係があるわけで、それぞれの省庁で見解はあるんだろうと思いますが、産業活動の上において直接的に監督官庁という立場で、関心といいますか、一番重要な立場にあるのは通産省だと思います。通商産業省では、今回のこの公取の見解というものにつきましてはどのように受けとめていらっしゃるか、その間のことについてお伺いしたい。

鳥居原正敏通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○説明員(鳥居原正敏君) お答え申し上げます。  先ほど公取委員会さんの方からいろいろるる御説明があったと思いますが、今般行政指導と独禁法に関しまして公取委員会さんの方で一つの見解をまとめられ、通産省を含め関係省庁に対して、行政指導をするに当たっては十分配慮をしていただきたいという御要望があったわけでございます。御承知のように、通産省は従来から必要な行政指導を積極的に進めてまいっておりますが、その際には行政指導の対象となります事業者間で独禁法違反の行為とならないように、また、そういうことを招来しないように十分配慮してきたわけでございます。今般こういう形で公取委員会さんの方で見解をまとめられたということで、われわれもこれを十分参考にさせていただきまして、より一層事業者間で独禁法違反行為を招来しないように行政指導を行うに当たっては配意していきたいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これは当然通産省としましても、産業活動の重要な活動ということで、しかし、それが過日のああいう社会変動の中で問題を起こす疑義が出てきたり、または問題を起こすようなことがあってはならぬといういろいろな配慮のもとに今日までの指導というものはあったんだろうと思いますが、しかし、このたびの見解は、四十八年ですか、石油やみカルテルという現実的な問題があって、それに対する司法当局のこういう判断があり、そういう中でやはりよかれと思ってやってきたかもしれませんけれども、その中にいろいろな欠陥があったということの一つの指摘というか、二度と同じ轍を踏まないという、これを教訓としてということで、公取は公取の段階でいろいろな見解が出されたと思います。これが新しいものであるか、今日までもそれなりに心がけてきたものを成文化したといいますか、一つの文章にしたということになるのか、それはいろいろなとり方があるんだろうと思います。  これは通産省にお伺いしますけれども、行政指導ということですね、さっきも御答弁がありましたけれども、公正取引委員会の考え方は、行政指導でも法的根拠が定められていない場合には問題がどうしてもあるんだということですね。こういう法的根拠が明確でないものについて指摘があったということで、通産省としては、行政指導のこの問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。

鳥居原正敏通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○説明員(鳥居原正敏君) 行政指導と一口に申しましても、恐らくいろいろ人によって解釈、イメージが異なる点があるのが事実だろうと思います。われわれ理解しておりますのは、先ほど公取委員長さんからもお話に出ました、四十九年当時に行政指導と独禁法に関連していろいろ議論がございました。そのときに、内閣法制局の一つの見解として行政指導の定義が述べられておりまして、それは国民の権利を侵害したり、あるいは義務を課したりするものではなくて、強制力を持たないものである。あくまでも相手方の合意の上で、説得した上で一つの行政目的へ慫慂していくという一つの定義が示されておりまして、われわれはこれを基本として考えますれば、設置法が十分な行政指導の一つの根拠法になり得るというふうに解しておりまして、今回の公取委員会さんの見解もよくつまびらかに読みますと、その点のところは法的根拠はないということではなくて、設置法に基づく行政指導と、それから設置法以外にも個別の、たとえば事業法であるとか、そういう個別の法律に基づく行政指導と、こういう区分になっておるというふうにわれわれは理解しておりまして、特別に行政指導について特別な法律が要るということではないというふうに解しております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それから通産省にちょっとお伺いしますが、もう一つ、個別事業者に対する行政指導であってもカルテルを誘発する場合があるという指摘がありますね、この点についてはどういうふうにお考えですか。

鳥居原正敏通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○説明員(鳥居原正敏君) われわれ通産省またはその他の官庁、産業官庁もそうかもしれませんが、通産省といたしましては、個別の企業に対する個別指導は原則として独禁法の違反行為を招来するものではないというふうに考えております。これにつきましては、今回話題になっております昨年九月の石油カルテル判決、東京高裁の判決でもその点を明らかにしたものだというふうに解釈しておりまして、個別指導については原則問題はないというふうに考えております。ただし、個別であればすべてそれでいいかということではもちろんございませんで、その場合にも、先ほど申し上げておりますように、事業者間で独禁法違反行為を招来しないように十分気をつけてまいる所存でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 公取委にちょっとお伺いしますけれども、いまの問題でございますが、行政指導につきましても、事前に個々の事業ごとに協議をして関係省庁と調整を図る、これが大事な一つの問題になるが、それをどういうふうに受け取るかという、そういう場合であっても、この判決の中では個別指導のやり方によっては重要なことになっておりますね。具体的には個々の事案ごとに協議をする、こういう問題ごとに各省庁が協議をするということは、省庁間では、通産省は通産省で事前にそういうことに抵触しないようにいろいろな配慮をしながらいままで行政というものは進めてきているということでありますけれども、今回のこの見解の発表の中では、事前に協議をするということは、具体的にはどういうふうな物事、どういうふうにこれを進めるように公取ではお考えになっていらっしゃるのか。事前協議をするということは新しいことであって、これは具体的にはどういう形で進められることを公取としてはお考えになっていらっしゃるのかというのは、これは非常に私どもも関心のあることであり、また重要な一つのポイントでもあろうかと思いますので、この辺のことについてお伺いしたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 先ほども御説明申し上げましたように、三月十六日の文書は、一通りのことが明文をもって明らかにされておるわけでございますが、行政指導は、内容、程度、方法等まちまちでございますから、具体的なケースに即して判断するということが必要な場合も生じてまいります。われわれの行政体験におきましても、関係省庁からいろいろ御相談のあるケースもございます。それから五十四年八月の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」の中にも「調整を図る」ということを申しておるわけでございまして、これは文章の表現としましては、実は公正取引委員会がみずからに義務を課したわけでございまして、公取委の活動として、各省との調整努力をするということを言っておるわけでございまして、各省庁に対して協議を義務づけるとか、協議を強く要請するとかいう性質のものではございません。したがいまして、私どもとしましては、各省庁の間に独禁法違反を招来するような行為があるというふうに考えられました場合には、積極的に相談をしてほしいということを持ちかけるつもりでございますし、それからまた、関係省庁におかれましてこの問題はどうだろうかなという疑念をお持ちの場合には、積極的に公取委に御相談いただきたいという趣旨を明らかにしておるわけでございまして、現実には表には出ておりませんが、いろいろ御相談もいただいております。それから事業者団体からも個別にいろいろな御相談もいただいておりますし、それから、公正取引委員会の事務局の中には経済部の調整課というのがございまして、これが法令上の調整とか、あるいは行政上の調整を担当する部局になっておりますから、そういう点で申しまして、具体的なケースについて御相談も受けますし、それからまた、積極的にこちらから各省庁に働きかける、こういう趣旨でございまして、何か一部に伝えられましたように、関係省庁の協議を強制するというような性質のものではなくて、公取委がみずからに課した課題である、こういうふうに考えているわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 こういういろいろな経緯の中で今回こういう発表があったものですから、私も非常に関心を持って見ておりますし、また新しい協議ということになりますと、これはまたどういうことなのかという素朴な疑問といいますか、そういう考えの上からいまお聞きしたんですが、この公取の見解が出されまして幾らもしないうちに通産省では「行政指導についての考え方」という通産省としての考え方が発表になったわけですね。三月十六日ですか、公取が過去の経緯の中でまたこれを発表なさったことに対して数日を出ずしてこのように通産省が発表したということは、内容的に見ましても大げさに反論なんということが言えるかどうかわかりませんが、やっぱり通産省は通産省としての強い主張というものがここに出ていると私は思うんですね。そういうことで通産省に、今回こういう「行政指導についての考え方」、こういうことを発表するに至りました経緯とまた内容も含めて御説明いただきたいと思います。

鳥居原正敏通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○説明員(鳥居原正敏君) 先生おっしゃいましたように、通産省の見解といいますか、公正取引委員会の見解に反論したということでは必ずしもございませんで、国民の皆様に誤解があってはいけないということで、通産省の行政指導に対する考え方を公取委員会の見解が出たときにあわせてわが方からも発表をさせていただいたわけでございまして、その中身につきましては、まず一つは、行政指導の必要性という点を通産省としては国民の皆様に理解いただきたいということでございまして、産業政策といいますか、通産政策の基本はやはり競争原理、市場メカニズムを尊重することにあることは言うまでもないわけですけれども、最近の流動化する経済情勢を見ておりますと、エネルギー問題であるとか、または通商摩擦問題であるとか、あるいは中小企業問題であるとか、単に企業の皆さん方の努力だけでは解決できない問題が山積してきておるわけでございまして、そういう場合には政府の役割りというのが恐らく期待されているんだろうと思います。そういった分野といいますか、場合によっては積極的に政府がいろいろな対策を講じなければ日本の経済、またわが国の国民生活に非常に問題が生じてくると思っておりまして、そういう場合に必ずしもすべてそれを法律的な措置で行うということがいいかどうか。いろいろなタイミングの問題であるとか行政ツールとしての柔軟性であるとか、そういった点を考えますと、できるだけ行政の対象となる事業者の方々の合意を得た上でスムーズに事を運ぶ方がよりいい場合がございまして、そういった場合には積極的に行政指導をしていく必要があるということを述べておるわけでございます。その場合には、先ほど申し上げましたように、独禁法との関連も考えなきゃいけませんので、十分その点は今回の公取委員会さんの見解も参考として配意しつつ行政指導を行っていくということでございます。  それから、公取委員会さんとの調整問題につきましては、先ほど委員長さんの方からお話がありましたように、どちらからどうだということではなく、またかつ、義務的なものということではございませんで、従来からもできるだけ国民の皆さんに迷惑をかけないのが一番いいわけでございますので、調整できるものは調整してきておりまして、今後ともそういう面では調整を必要とするものは意見調整をやっていきたいというふうに通産省の方でも考えておるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 大きな対立とか反論とかということではないのかもしれませんが、しかし、これは考えようによりまして、とりようによりましては非常に重大なことでありますので、いろいろお聞きをしておるわけでありますし、それは各省庁それぞれいろんな経緯があって今日の立場があるのだろうと思いますからあれですが、確かに全部法的に縛りつけて、それで事よしとする、そういうことで産業活動というのはいいかという、それは一つの問題だろうと思います。しかし、四十八年のああいうことが二度と起きないかどうか、また国民に大きな疑惑を持たせるような問題を惹起するようなことがないかどうか。これはもう平時といいますか、大きな急激な社会変動がなければ法的なことや、また皆さん方の監視のもとに大きな問題はないのかもしれませんが、やはりああいう四十八年のような異常時というときには、法の弱点といいますか、やっぱり弱いところに大きな問題が惹起するという、こういうことではやはり二度と再びああいう経済変動、私どもは望むものじゃございませんけれども、それに対する対応性というか、国民生活を守るという上からやはり何に問題があったのか、どこをどうしなければならないのかということで、これは非常に検討しなければならない大きな課題があるんだろうと思うんです。  私は、両者が対立してどうしようもないなんということで申し上げているんじゃないですけれども、ちょっとお聞きしましても、見解には、言葉やわらなお話ですけれども、ちょっと違いがあるような感じもするのでお聞きをするわけでありますが、通産省の今回の「行政指導についての考え方」の中に、中ほどでありますけれども、「独占禁止法は、「事業者の行為」を規制するものであり、行政庁の行為を規制の対象とするものではない。従って、今回の見解も、各市庁が行政指導を行うに当たり、指導を受けた事業料が独禁法違反行為を招かないよう、留意すべき点を公取委として明らかにしたものと考えている。また、公取委も明らかにしているように独禁法の運用あるいは行政指導に新たに変更を加えようとするものではなく、従来どおり、事業者の独禁法違反を招かないように注意してほしい、という内容のものである。従って、実態面での変更が特にあるとは考えていない。」というふうに言っているわけですけれども、これはやっぱり公取としては、昨年の判決をもとにして、ぜひ事前の協議ということ等も、これは全部が全部じゃないけれども、先ほどお話があったとおりでございますが、その必要性というものをやっぱりお話しになっていると思うんですけれども、この通産省の受けとめ方にはちょっと何か違いがあるような感じがするんですけれども、どうでしょうか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) いま先生から御指摘がありました「行政指導についての考え方 通商産業省」という文書は、私どもは事前に拝見をして調整したものではございませんから、これは通産御当局のひとり言というふうに理解をいたしておるわけでございまして、要は法律による行政あるいは法の支配というのが民主主義的な行政の基本でございまして、政府の行うべき権限なり、あるいは行為というものは、できるだけ法律によって明らかにされることが望ましいわけでございまして、いわゆる各省設置法に基づいて行われる行政は、ともしますと内容が明らかでなかったり、あるいは密室の行政であったりして後で問題を起こすわけでございまして、その結果として仮に事業者間に独禁法違反の行為があります場合には、これは民間事業者は独禁法違反としての処分を受けるわけでございますから、民をあみするような行政は御遠慮願いたいというのが私どもの趣旨でございまして、通産省の文書を拝見いたしますと、昨年九月の東京高裁の判決の中から引用をしておられる部分もございますけれども、率直に申しまして通産省の都合のいいところだけを引用しておられるという感じも否めないわけでございまして、たとえば一番最後のところの個々の事業者に対する行政指導は判決でも許されているという趣旨が書いてございますが、これは判決をお読みいただきますと、この後に、仮に通産省がそういう行為をやって民間事業者が独禁法違反で問われた場合には、刑事法の領域におきましてはこれは事業者だけの行為とは言えないだろう、そういう行政指導をした担当官の刑事上の責任も将来あるというようなことを示唆をいたしておるわけでございますから、決して昨年の九月の東京高裁の判決が個別の事業者に対する行政指導を追認したとかあるいは容認したというような性質のものではございません。したがいまして、昨年の九月の高裁の判決をめぐってどういうふうに書いてあるとか、これをどういうふうに読むべきだ、解釈すべきだということは末の末でございまして、要は法律による行政という基本的な性格からかんがみまして、行政指導の結果あるいは行政活動の結果として民間事業者が法違反に問われることのないように御注意いただきたいということでございまして、そういうことを表現しておられる限りにおきましてはこの文書は妥当であるというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ちょっと大分違いが出てきたようですけれども、通産省の見解をちょっと伺っておきたいと思いますけれども。

鳥居原正敏通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○説明員(鳥居原正敏君) 判決の読み方につきましては大変複雑な案件でもありますし、難解な問題いろいろあって、人によって読み方もかなり違いますし、学者の意見もかなり区々ばらばらである。それぞれの立場でウエートの置き方、重点の置き方が違うものですから表に出る表現がそれぞれ違っているんだろうと思いますが、基本的には、今回のわれわれの見解といいますか、考え方は、従来からも行政指導をするに当たっては十分に独禁法違反行為を招来しないように配慮してきたつもりであるが、さらに今回の公取の見解が出されておりますので、それを一層参考にいたしまして、そういう点について十分留意したいということで、従来からも通産省はそういうことをしていたんだということを強調したことになっておりますので、少しその辺のところが公取委員会さんのところと意見が違うという点にとられるのかもしれませんが、われわれの意図としてはそういう意味でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 もう時間がございませんで終わらなきゃならないんですが、いずれも自由主義経済下において活発な産業活動推進ということについては異論もないわけでありますし、また、そういう中で国民生活、消費者生活を守るということについても異論のないところだろうと思います。ただ、こういう運用面の中で過去のいろいろな推移がございまして、特に公正取引委員会というのはこういう問題については非常に重要な立場に立っておるわけでありますから、それなりの見解を持ち、そしてまた責任の上に立っての発表、見解が出されたんだろうと思います。通商産業省としましては過去からもそういうことについては十分に注意してきたのに、またここで何か公正取引委員会から新しいことを言われたのじゃなくして、いままでやってきたことをさらに注意深くやればいいんだと、こういうことになりますと、ちょっと見解の相違といいますか、こういうことがちょっと危惧されるんですけれども、これはここでそれぞれの立場の見解といいますか、考え方はお伺いしたわけでありますが、この場はそれをどういうふうにするかというところではございません。四十九年に法律的には法制局長官のこういう見解も出されておりますから、法的な見解をもとにしてこれはしなきゃならぬだろうと思いますが、実態的な問題については、やっぱり内閣として、今後また両者間で大いにひとつ論議をしていただき、やっぱり詰めるところは詰めるようにしていただきませんと、公正取引委員会の見解が出て数日を出ずして通産省が出たということ、いまのお話ですと、それを追認するというか、当然のことを当然のように考え方を発表したと言いますけれども、そうじゃなくてやっぱり反論的な意味がちょっと強いような感じもするわけです。こういうことで非常に行政上疑義を抱かせるということは非常にマイナスでもあり、これは一つの内閣の中で行われる、一つの国の中で行われる行政としましては、もう少しひとつ何らかの話し合いのもとに明確なものがつくり上げられなきゃならぬ、こう思うんです。そういうことで官房長とか総務長官とか、担当の方々の見解といいますか、お話も、また内閣としてどうするかということについても順次いろいろな議論の中からはっきりさせなきゃならぬことだろうと思いますけれども、私は、いずれにしましても最後に公正取引委員会の委員長にお伺いして、時間もありませんので終わりたいと思いますが、行政指導、これは一面からいうと産業界の保護育成という点では確かに大事な面もあり、もう一面からいうと国民生活という点から非常に重要な問題を含んでいるということで、今回の見解については私どもも非常に関心を持っておるわけであります。最近のこういう産業界の複雑な状況の中にありまして、過去のあの四十八年のような急激な社会変動というのはないことを望むものでありますが、しかし、そういうことがたとえあったとしましても同じような問題の起きないようにしなきゃなりませんし、社会の変化に応じて一つ一つそういうものが是正されなきゃならないのは当然だろうと思います。しかし、公正取引委員会の今回の見解の発表に対しましては、きょうは通産省の方がそれぞれ見解を発表なさいましたが、ほかの省庁でもどうお考えになっていらっしゃるか。こういうことで、今後公正取引委員会の委員長として省庁間の問題についてどうするのかというのは私どももこれはちょっとお聞きしなきゃならぬ。この運用面や今後の省庁間とのお話し合いとか、通産省ちょっと見ましても開きがあるんですが、まあ通産省が一番大きいのかもしれませんけれども、しかし、ほかの省庁も必ずしもこれを子としておるということではないのかもしれません。こういうことで今後のことについて委員長としてどういう取り運びといいますか、持っていこうとしていらっしゃるのか、そこだけはひとつお聞きして終わりたいと思いますが、どうでしょう。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 三月十六日の文書につきましては、関係十六省庁に御相談をいたしまして、文章もごらんに入れて約一カ月にわたって論議をした結果取りまとめいたしたものでございまして、もちろん通産省にも御相談をいたしたわけでございます。最終的には表現その他で通産省においては多少御意見があったように伺っておりますが、いずれにしましても各省庁に御相談をして、その結果各省庁に対しまして事務局長から正式な文書として通知をしたものでございまして、これは関係省庁の中において確認をされた大原則であるというふうに考えております。  したがいまして、問題は、先ほども触れましたように、行政指導の結果として民間事業者をあみするような結果になるような指導はぜひ慎重にやっていただきたいというのがこの骨子でございまして、また、そういうことが行われないように予防的な措置といたしましては、当方としては、各関係省庁とも十分御相談をして、また御意見も伺って調整をしたいということは明らかにいたしておりますから、行政指導と独禁法の関係におきましては、事業者団体につきましてはすでに昭和五十四年の活動指針もございますし、今度は個別の指導を含めた行政指導全般に対して独禁法とのかかわり合いにおいて結論を得ておりますから、これを起点として後は独禁法の行政を展開していくということでございまして、先ほどお話がございました昭和四十八年のような異例の事態というものを仮に想定いたしますと、そういう事態があってはならないと思いますが、仮にそういう事態を想定いたしますと——当時は国民生活安定二法というものはなかったわけでございます。現在は安定二法がございます。したがいまして、仮に価格につきまして何らかの措置が必要であるという場合には、安定二法に基づきまして標準価格を設定するなり、あるいは特別標準価格の設定ということすら許されておるわけでありますから、あくまでもそういう法律に基づいて指導されるということが望ましいわけでございます。先ほど申しました法の支配とか、あるいは法律による行政というのはそういう趣旨でございまして、明確な法律の規定に基づく行政権の発動が最も民主的であるというのが私どもの考え方でございますから、また、関係省庁のお立場で行政指導なり行政活動というものはこれはなされるということは当然考えられますが、その結果として独禁法違反の行為があれば、これは何ら顧慮することなく摘発その他の公務執行をするわけでございますから、そういう点で申しまして、先ほど先生のお言葉の中にございましたが、両者の間に多少差違があるんじゃないかということでございますが、これは見方でございまして、基本的には、法の違反というものを招来しないような行政指導というものをお願いしたい、こういう趣旨でございますから、そういう点に基づきましてこちらとしては確信を持って行政を展開していきたいというふうに考えております。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○主査(平井卓志君) 以上をもって藤原房雄君の質疑は終了いたします。  他に御発言もないようですので、内閣、総理府本府及び沖縄開発庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  あすは午前十時から分科会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会      —————・—————

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