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94回国会参議院1981/03/20

予算委員会公聴会 第1号

発言数
92
登壇者
21
会派数
5
開催日
1981/03/20

会議録

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 予算委員会公聴会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、昭和五十六年度総予算三案について、お手元の名簿の八名の公述人の方からそれぞれの項目について御意見を拝聴いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  鶴田公述人及び北裏公述人におかれましては、御繁忙中にもかかわりませず、貴重な時間をお割きいただきまして本委員会のために御出席を賜り、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。本日は、忌憚のない御意見を承り、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次拝聴し、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、順次御意見を承ります。  まず、経済、景気について、鶴田公述人にお願いをいたします。鶴田公述人。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) 鶴田でございます。  専修大学で経済学を担当しておりますし、また、国民経済研究協会というところで経済予測に携わっております。お求めに従いまして、五十六年度の日本経済について、若干の私見を申し上げたいと思います。  五十六年経済のポイントは、第二次石油危機以降の輸入インフレの鎮静過程で経済が拡大する過程だというふうに私は考えております。結論から申し上げますと、実質成長率は、旧推計でまいりますと、この旧推計というのは四十五年基準でございますが、五・七%程度の成長が可能であろうというふうに思っております。また、新しく発表されました新推計では、五十年基準でございますが、これによりますと大体五・四%程度の実質成長率が可能だろうというふうに思っております。  私どもの経済見通し、旧推計によりますと、明らかに政府の見通しより高いわけでありますが、こういう比較的高い成長を予測いたします背景は三つございます。一つは、日本の市場メカニズムが比較的うまく働いていて、そのために物価の鎮静が恐らく起こるであろうということが第一点であります。それから第二点は、現在の国際社会の中で、日本の相対的な競争力が依然として強いということであります。それから第三点日は、日本の経済の潜在成長能力が依然として高い。かつての高度成長期から見ますと、かなり成長軌道は屈折したわけでありますが、しかしその中でも五・五から六%ぐらいの潜在成長能力を持っているという判断に立っているからであります。  翻って、この五十五年度の調整過程を見ますと、当初次の三つの問題が懸念されていたかと思うのであります。一つは、第二次石油危機によるインフレーションが、輸入インフレからホームメード・インフレーションへ転化するのじゃないかということが第一点と、それから、国際収支の長期の赤字が定着するのではないかということが第二点であります。第三点目は、その中で深刻な景気後退が起こるのではないかという、この三つの問題が懸念されていたと思うのであります。  その後、五十五年度の調整過程を見ますと、国際収支につきましては、なるほど暦年の前半には年率で約二百億ドルに上る経常収支の赤字が発生いたしましたけれども、暦年後半になりますと、ほぼ黒字均衡圏に入ってきている。そういう意味では世界の中で最も早く国際収支の調整を終えたというふうに言えると思うのであります。  それから、インフレーションの問題でありますが、確かに昨年御売物価、消費者物価とも上昇したわけでありますが、幸い金融政策がかなり機動的に運営されたということによって輸入インフレがホームメード・インフレーションへ転化することなく、いわゆる相対価格の変化の範囲に物価上昇がとどまっていたということがございまして、一時期八%台まで上昇したことがございますが、欧米諸国から見れば大変この物価パフォーマンスはよかったと言ってもいいと思います。ただ一言申し上げたいことは、その中でもやはり消費者物価上昇率の方が政府見通しを上回ったことは間違いのない事実であります。  それから、実質成長率につきますと、これは五十三年度、一部推計は入っておりますが、旧推計でまいりますと、大体四・五%から四・九%ぐらいの成長で終わったのじゃないかというふうに思います。もちろん新推計でまいりますと、デフレーターその他が変化しておりますから三・七%程度になりますが、旧推計と新推計では約一%ぐらい成長率が落ちることになっております。新推計では三・七%ぐらいだと思いますが、旧推計でまいりますと、四・五から四・九ぐらいの成長が実現できたということであります。  ということは、第二次石油危機の調整を、日本経済の場合に、基本的には経済の拡大過程で調整を行うことができたということであります。もっとも、その最終需要の動きを見ておりますと跛行性が際立っているわけでありまして、設備投資が比較的順調に拡大し、また輸出も、当初の見通し以上に急速に拡大いたしまして、数量ベースで見ますと、たしか暦年で一五、六%ぐらいになっていると思いますが、この輸出の拡張は、いかなる楽観的なエコノミストの見通しもさらに上回るほど大幅なものであったということが言えると思うのであります。またこのことが一面ではわが国の雇用の改善に役立ったわけでありますが、他方では、貿易摩擦を激しくさせるという要素になったことは否定できないだろうと思います。ある意味では、他国の失業の犠牲の上に立ってわが国が雇用を拡大したということも言えると思います。  投資、輸出が拡大した反面、個人消費、住宅、政府関係の支出、これが著しく停滞したわけであります。とりわけ個人消費と住宅は、家計の実質所得が目減りするということ、また、住宅に関しましては、地価の上昇あるいは建築費の上昇その他によりまして、所得と住宅価格のバランスが大変崩れております。いわゆる平均所得に対して住宅価格が非常に高くなった結果、多くの家計が住宅購入を手控えるというふうになったと思います。とりわけ消費の実質所得の減少は著しいものがございまして、私どもの推計によりますと、五十五年度の一人当たり雇用者所得はたしか六・三%程度にとどまっております。消費者物価上昇率は七・八%程度だと思いますから、一人当たりの実質雇用者所得はマイナス一・三ないし一・四%程度になっているのじゃないかというふうに思うわけであります。そういう意味では日本経済は比較的順調に経済の拡大過程で調整を終えたとはいえ、そのしわが家計に寄ったということは否定できないだろうと思います。  現在の景気の局面でありますが、私は、第二次石油危機の最終の調整局面にあるというふうに思っております。したがいまして、五十六年度の経済を拡大させるポイントは、次の三つにあるかと思います。  一つは、やはり春闘賃上げ率が昨年のような低額春闘に終わるのではなくて、少なくとも労働省の二百六十一社ベースで、七・五%以上の名目賃金の上昇が実現することが望ましいというふうに思います。そのことによって一人当たり雇用者所得は、恐らく政府見通しを上回ることになると思いますが、そういう賃上げが実現できればいわゆる有効需要が拡大し、そして実質成長率を高める大きな要素になろうかと思います。よく賃金は生産性上昇の範囲内にとどまっていなければならないということが言われるわけでありますが、私は、製造業の生産性の上昇の範囲内に名目賃金がおさまっている限り、コストプッシュ・インフレーションは回避されると考えますから、七・五%を下限とする名目賃金が実現しても、日本経済にコストプッシュ・インフレーションが定着することはまずないだろうというふうに思っております。  第二番目。景気回復を定着させるための第二番目のポイントは、やはり物価安定をさらに促進していくことであります。幸い消費者物価上昇率は次第に鎮静化してまいりました。私どもの見通しでは、後で申し上げます幾つかの前提がありますけれども、五%弱程度の消費者物価の上昇にとどまるのではないだろうかというふうに思っております。したがいまして、金融政策その他も、この物価安定のために最善の努力をしていただきたいということであります。  第三番目は、やはり景気回復を定着させるためには、民間設備投資が順調に回復することが必要であります。そのためには金融政策を機動的に運営されて、中小企業を含めた民間設備投資を拡大させること。そのことによって輸出主導型の成長から民需主導型の成長に転換させることが重要であろうというふうに思っております。したがいまして、金融情勢、景気の実態を把握して、金融政策は公定歩合をさらに引き下げられることが望ましいというふうに判断しております。  以上のような条件が満たされた場合に、やはり日本経済の持っております潜在成長能力という観点から見て、冒頭に申し上げました程度の、いわゆる新推計で五・四%、旧推計で五・七%程度の成長が実現できるだろうということであります。特に来年度の日本経済におきましては、消費と投資、この二つが牽引車になっていくというふうに判断しております。  とりわけ、現在の設備投資について申し上げますと、私は、中期的な設備投資の興隆局面にあるだろうというふうに判断しております。設備投資を盛り上げております背景には幾つかございますが、一つは、更新需要が大変大きな盛り上がりになっておる、これが第一点であります。  第二点は、省エネルギーのための投資が各産業で盛んに行われている。  第三点目は、やはり省力投資の流れが依然として根強いということであります。特にわが国におきましては、第一次石油危機以降卸売物価が相対的に安定しておりまして、特に資本財価格が安定しておりまして、そのことは賃金と資本財価格の相対価格といいますか、これが絶えず資本財優位の方に働いておりますから、そのことが省力投資を盛り上げているということが言えるわけであります。ただ、この調整過程では、中小企業でかなり投資を繰り延べておりますから、先ほど申し上げました金融政策によって中小企業の投資を盛り上げていくということが実現できるならば、私は民間設備投資は実質で七・四%程度拡大し、景気の促進効果を持つのではないかというふうに思うわけであります。もちろん五十六年度におきましても、経済の足を引っ張る要素がないわけではありません。一つは、輸出がことしよりは鈍化するであろうということ、これが第一点であります。それから第二点目は、政府支出が依然として低調でございますから、特に、とりわけ公共投資関連が成長の足を引っ張る要素になっているということ、この二点が注目されるわけであります。  五十五年度におきましても、産業間、地域間格差が激しかったわけでありますが、以上のように消費と投資が拡大し、公共投資が低調という局面を考えますと、五十六年度に、おきましても産業間、地域間格差の発生は避けられないだろうというふうに思っております。  以上の予測は、次の幾つかの仮定を置いております。  一つは、原油価格がCIFで年度平均三十九ドルから四十ドル程度におさまることであります。これが第一点であります。  それから第二点目は、為替レートが依然として円高の方にシフトしていくということ、これが第二点であります。為替レートの円高は、もちろん物価安定効果を持ちますから、日本経済の成長促進要因になることは否定できないだろうと思います。  それから第三点日は、公定歩合が四-六月にさらに〇・五ないしは〇・七五%ぐらい引き下げられるだろうということであります。とりわけ、物価が安定している状態におきましては、金利を現在のままにしておきますと、実質金利が上がってしまって企業の投資ビヘービアに影響を与えると思いますから、景気を拡大させるためにはさらに公定歩合を引き下げることが必要であろうというふうに判断しております。  それから第四番目に、春闘賃上げ率は七・五%以上になるということであります。  以上の前提を置きまして、冒頭に申し上げましたような実質成長率を私どもは考えている次第であります。  ほぼ時間が参りましたので、これで終えさせていただきます。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  それでは次に、財政、税制について、北裏公述人にお願いをいたします。日本証券業協会会長北裏喜一郎君。

北裏喜一郎日本証券業協会会長

○公述人(北裏喜一郎君) おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました日本証券業協会の北裏でございます。  本日は、昭和五十六年度の政府予算案につきまして、意見を申し述べよということでございますので、私の意見を申し述べて御参考に供したいと思います。  昭和五十六年度の政府予算案は、昭和五十五年度、昨年にその第一歩を踏み出しました財政再建を、さらに一段と推し進めまして本格的な軌道に乗せるということを目標にしていると承っております。そのために、まず公債でございますが、公債の発行額を前年度当初予算よりも二兆円減額するということの基本方針のもとに、歳出面におきましても、国債費及び地方交付税交付金を除く一般経費の節減合理化に努めまして、その伸び率を一けた台に抑えるとともに、税制面におきましては、現行の税制の枠組みの中で相当規模の増税措置を講ずることを旨とするように。伺っております。この結果、一般会計予算の規模は四十六兆七千八百八十一億円と承っておりますが、これは前年度の当初予算よりも九・九%増してございます。また、一般歳出の規模におきましても、前年度当初予算よりも四・三%増しの三十二兆五百四億円と相なっておりますが、このように一般会計予算の伸び率が一けた台にとどまりましたのは、恐らく昭和三十四年以来二十二年ぶりであり、また、歳出の伸びが五%以下にとどまりましたのは昭和三十一年度以来二十五年ぶりであるということを新聞など、あるいは皆様方からも承っておりますが、私は、昭和五十六年度の政府予算案は、現下の諸情勢を考えました場合に、まずは総体として妥当な線ではなかろうかと存じます。  五十六年度の予算案の編成に当たりましては、公債の発行額を二兆円減額することを基本方針とされたことは、すでに多くの識者の方々から指摘されておりますが、財政の一つの主要な機能でありまする資源配分機能の回復を図るという意味におきましても、これはもとより、金融資本市場への影響も高く評価すべきものだと私は考えております。また、資金運用部の資金によりまする同慶の引受額につきましても、前年度当初計画に比べまして約一兆円増額しまして三兆五千億ということを予定されておりますが、これは国債消化の円滑化という観点から非常に適切な措置であるように思います。  歳出項目の若干について申し上げます。  まず、エネルギーの対策費でありますが、今後いよいよ厳しさを加えることが予想されまするエネルギー問題に対処いたしまして、原子力の平和利用の促進、石油及び石油代替エネルギー対策の推進等のために、前年度に比べまして一七・三%増加いたしております。これはわが国の経済の取り巻かれておりまする環境あるいは安全保障という観点から当を得たものであり、私は賛意を表するものであります。  また、経済協力費につきましては、前年度比一一・二%増しとなっておりますが、わが国の国際経済に占める役割りが近年著しく高まっている状況のもとにありましては、わが国が国際経済社会の一員としてその発展に寄与していくという見地から、その増額は適切なものと考えます。  このほか、防衛関係費及び社会保障関係費等が前年度比それぞれ七・六%増しとなっており、また科学技術振興費などが六・四%増しとなっておりますが、これらはいろいろの事情から、特に内外の諸情勢から見て私は適当なものであると存じます。  なお、公共事業関係費につきましては前年並みに抑えられておりまするけれども、今日の財政事情を考えますと、これまたやむを得ないものがあると存じます。  また、財政投融資計画につきましては、その対象事業の内容を個別的に見直しまして、五十四機関のうち二十二機関につきましては前年度より減額する一方、住宅、中小企業、エネルギー等に対して資金を重点的に配分することによりまして、その規模を前年度比七・二%増しに抑えておりますことは適切な措置であると思います。  一方、歳入面につきましては、昭和五十六年度の税制改革におきまして、財政再建を図る見地から、法人税を中心に、印紙税、酒税、物品税、有価証券取引税等の税率引き上げなどにより、約一兆四千億の増税が予定されております。  今回の予算案に織り込まれておりまする増税案は、現行税制の枠組みの中で増収を図るという制約のもとで、財政当局におかれましてもずいぶん御苦労があったようであります。しかしながら、増税項目の内容を見ますと、企業の税負担の増大が著しいように思えてならないのであります。増税分につきましても国民が均等に負担することが最も望ましいことであると思いますが、どうも取りやすいところから取るように、徴税費用の余り要らないところで取るように見えるのであります。たとえ制約された条件のもとで増税を図るといたしましても、やはり税制のあるべき本当の姿を描いた上で所要の改正を行うべきであったのではなかろうかと思います。昭和五十六年度につきましてはこれはやむを得ないといたしましても、今後の税制改革に当たりましては、この点は十二分に御配慮を願いたいと存じます。  今回の増税が経済にどの程度の影響を与えるかということにつきましては、ただいまも先生の御説明がありましたが、現段階で私どもが予想することははなはだむずかしいのでありますけれども、五十六年度の国民総生産、GNPでございますけれども、これはおおよそ二百六十四兆八千億円という経済総量の中で、増税規模は一兆四千億でございますから、直ちにこれによって経済の基調が大きく変化することにはならないと私は思います。  また、国債の二兆円減額によりまして、民間の資金調達がその分だけ緩和されることが期待されます。しかしながら、個々の企業にとりましては、増税の内容が相当の負担となることもまた事実であろうと思います。財政再建の過程におきましては、個人消費、民間設備投資を中心とした民間需要の拡大による息の長い成長を図っていく必要がございますが、このためには経済を支える民間企業の活力を増進することが重要な課題であり、増税によって民間企業の活力を損なうことのないように特に御配慮を願いたいのであります。  次に、予算の運用、執行につきまして意見を申し述べたいと思います。  最近の経済情勢を見ますと、輸出はおおむね好調に推移いたしてきましたものの、海外主要国の経済情勢は依然として厳しい状態にありますために、貿易摩擦が次第に激化いたしまして、一部には輸出の伸び率が鈍化の傾向が見られるものもございます。一方、個人消費、住宅投資は御承知のとおり低迷しておりまして、中小企業の設備投資もまた低調に推移しております。  このような景気の動向に対処いたしまして、一昨日でしたか、三月十八日には公定歩合の一%引き下げが行われますとともに、預金準備率の引き下げによる金融の量的緩和を図ることになりました。また、政府におかれましても、景気の維持拡大、物価の安定のための第二次総合経済対策を決定されました。これらの諸政策によりまして、今後景気は逐次持ち直してまいることが期待されると思います。  このような状況にありまして、五十六年度の予算の執行につきましては、支出の効果があらわれてくるまでには相当のタイムラグがあることを考慮して、特に公共事業費につきましては、総合経済対策にありますとおり、少し早目早目に適切な措置を講ずる必要があると存じます。また、今後景気の回復に伴いまして、民間設備投資を中心として、民間の資金需要が増加してまいりました場合は、国債の発行額を減額するなどして、非常にきめの細かい景気対策が機動的に実施されることが必要だと思います。  次に、昭和五十六年度の予算案に関連いたしまして、今後の財政、税制のあり方等につきまして、若干私見を申し述べたいと思います。  まず第一は、民間の活力を維持増進することを主眼として、今後の財政、税制の運営を考えていくべきであると思うのであります。御高承のとおり、米国に起こりました新しい政権、レーガン新政権を初めといたしまして、欧州の主要国におきましても、インフレを抑制するとともに、民間企業の活力による経済の効率的な運営を目的といたしまして、大きな政府から小さい政府へ移行するということを目指しました政策の一大転換が行われております。たとえば米国では、歳出の伸び率を国民総生産の伸び率以下に抑えることによりまして、財政インフレの芽を摘もうという明確な政策がとられております。わが国におきましても、民間部門を中心といたしました息の長い成長に重点を置いた経済運営が期待されております。そのためには、まず欧米諸国と同様に、歳出の伸び率を国民総生産の伸び率以下に抑えるために徹底した行財政費の節約合理化を進めることが不可欠でございます。このような観点から、今般発足いたしました第二次臨時行政調査会におきましても、行政の合理化、減量化について思い切った具体策をまとめることを期待しておりますとともに、その具体策を早期に実施されることが望ましいと存じます。  次に、税制について見ますと、財政金融政策が手足を縛られておりまする中で、民間の活力増進を図るためには、そのあり方が新しい視点から見直される必要があるのではないかと思う次第でございます。それには民間投資を増進し、それを貯蓄と効率よく結びつけるという発想が基本と考えられます。設備投資の増強は、経済の安定的成長、長期的な物価の安定には不可欠の要素であります。このため、今後国民経済的見地から政策税制の機能を改めて見直されまして、積極的にこれを活用すべきであると存じます。投資減税、特定の設備についての特別償却など企業の経営基盤を拡充するための税制措置を検討することが緊急に望まれておるのでございます。特に、石油価格の持続的上昇に対しまして、省エネルギー、代替エネルギー導入等のための投資を税制面から誘導する措置の一層の拡大が必要であろうと思います。また、国民経済の健全な運営を図っていくためには、民間資金の効率的な活用がぜひとも必要であります。わが国の金融市場は、国民金融資産の増大に伴いまして次第にその厚みを増しまして、今日ようやく直接金融と間接金融とが相補いつつ公共部門あるいは民間部門、両部門の円滑な資金供給を行うという望ましい状態になっております。  今後の税制改革に当たりましては、いやしくも金融市場、資本市場の機能を阻害されることのないように配慮するとともに、積極的にその機能を一層発揮するよう税制措置を講ずる必要があります。欧米諸国におきましては、御承知のとおり、大きな政府から小さい政府への移行を促し、民間の活力を引き出すために、その原点である資本市場の機能を強化するという方策がとられ始めております。たとえば、これは少し手前みそになりますが、たとえば米国では、配当につきましては課税所得から控除額の引き上げ、有価証券取引税を廃止する措置が講じられておりまして、また、西ドイツでは、配当所得に対しまする法人と受取株主との間の二重課税の完全な排除が行われております。わが国におきましても、経済の健全な発展のためには、金融資本市場が十分に機能ができるための諸条件の整備をぜひとも検討していただきたいものと存じます。  第二は、当面の公社債市場に関する問題でございます。  御存じのとおり、今日わが国経済は、財政の約三割を国債に依存するという、国債に抱えられた状態が続いております。年度間の国債発行額は、個人金融資産の増加額の四割近くに達しております。このことが歳出削減による国債減額とともに、国債を中心とした公社債市場を大切に育てていくことが大きな課題とされるゆえんであります。当局における一今日実行をお願いいたしておりますが、発行条件の弾力化であるとか種類の多様化など、こういう諸施策に加えまして、証券界におきましても国債の個人消化に努めてまいりました結果、今日では恐らく国債の個人消化は欧米に遜色ない水準に達しております。  今後の国債消化の見通しにつきまして簡単に御説明申し上げますが、昭和五十六年度には国債の発行額は二兆円減額されまして、資金運用部資金によりまず引き受けが約一兆円増額されますることから、長期国債の市中消化額は六兆八千百億円と見込まれております。これに対しまして、個人の金融資産の増加額は三十八兆円になると私どもは思っておるのでございまして、民間で何とか消化できる数字であると考えます。  最後に、わが国の経済の国際化につきまして申し上げます。  わが旧経済は、厳しい国際経済環境の中にありまして、欧米主要先進国に比べまして、高い成長と低い物価という良好なパフォーマンスで今日まで推移してきております。今後わが国が引き続き安定的な成長を確保していくためには、海外諸国と協調を図りながら、その経済発展に一層寄与していかなければならぬことは申すまでもありませんが、このためには発展途上国への経済協力、技術援助が必要であることはもとよりでございますが、わが国の資本市場を通じて産油国の資金を中進国あるいは発展途上国に資金を供給するなど、資本市場を通ずる資本の国際交流を一層拡大していくことが必要であります。今後、財政、税制の運営に当たりましては、資本市場を通ずる国際的な資本交流の促進のために格段の御配慮をいただきたいと存じます。  以上をもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○谷川寛三君 谷川でございます。きょうは、鶴田公述人、北裏公述人におかれましては、大変お忙しいところお運び賜りまして、ただいま貴重な御意見を拝聴させていただきました。ありがとうございました。  それでは、時間も余りありませんけれども、お二方に若干の点につきまして御質問を申し上げたいと思います。  最初に、鶴田先生にお伺いをいたします。  いま五十六年度の景気の先行き等につきましてお話がございました。ただいまの不況は消費不況というふうにも言われておりますが、五十六年度におきましては、先生のお話を伺っておりますと、物価も鎮静をしてくるし消費も上向きになってくるというお話でございましたが、消費が景気回復の主役になれるであろうかどうか。私は大変その点を心配しておるものでございますが、なお詳しくお話を承りたいと思います。  私が心配しますのは、確かに物価も昨年末あたりからだんだん鎮静をしてまいっております。予算委員会の過程におきます政府側の答弁でも、四月に入りましたらぐっとまた違ってくるというようなお話がございましたが、私は全世帯の六割を占めております個人営業世帯の所得、これは申し上げるまでもございません。景気の影響をもろに受けておるところでございますが、その所得がどうなるか。それからまた、昨年夏の冷害の影響がいまだに尾を引いております農業所得の関係がどういうふうになっていくか、そういう点も心配でございますし、それからまた、長期的な停滞要因も見ていかなきゃならぬじゃないか。つまり、カラーテレビとかルームクーラーとかいった耐久消費財につきましては、消費水準も非常に高度化しておりまして、飽和状態になっておるのじゃないかというようなことを考えますと、御質問申し上げましたように、消費が景気の回復の主役になれるであろうかという点、非常に心配になるのであります。それからまた、これは不確定な要因でありますけれども、産油国が原油の価格をまた大幅に引き上げることは心配ないのだろうか。そういう点、あわせましてお話を承りたいと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 鶴田公述人にお願いいたします。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) お答え申し上げます。  消費が五十六年度において主役になれるか否かということでございますが、主役という意味をどういうふうに理解するかにもよりますけれども、少なくとも先ほど申しましたように、春闘賃上げ率が七・五%以上になれば景気の回復要因になるだろうということは否定できないようであります。五十五年度における消費停滞のメカニズムについて考えますと、次の点が指摘できるかと思います。  つまり、二つの点を申し上げたいわけでありますが、一つは、消費者物価が上昇することによって、つまりいろいろな財サービスの価格が上昇することによって所得が目減りし、そして消費購買力が衰えたということ、これが第一点でありますが、第二点目は、その中で多くの家計が選択的消費財から基礎的消費財へと支出の重点を移していったこと、これが非常に重要であります。とりわけ選択的消費財の方は、いろんな関連産業に対する所得なり雇用の増加を誘発する誘発係数が大きいわけでありまして、基礎的消費財の方が小さいわけでありますから、選択的消費財から基礎的消費財へ消費の重点が移ったということは、それだけ景気の停滞効果を持ったということであります。  最近の徴候を見ますと、物価が安定するに従いまして全般的な所得の目減りはまだ発生しておりますが、家計は少しずつ選択的消費財の方へ支出の比重を移しつつあります。このことが、鉱工業生産指数の特殊分類で見ますと、消費財の出荷指数の増加をもたらしつつある背景だということが言えるかと思います。  五十六年度におきまして、御指摘の個人業主所得ないしは農村所得が消費に対してどのような影響を与えるかでありますが、なるほど昨年の冷害によりまして農林水産業の所得はかなり減っております。私どもの推計によりますと、前年比マイナスであったというふうに思います。農業の場合、かなり天候要因に左右されますけれども、本年の場合に異常天候は発生しないという前提を置きますと、昨年より所得は若干でありますが、ふえることが考えられるわけであります。また、個人業主所得も、この景気低迷下でかなり所得の伸び率が鈍ったことも間違いありませんけれども、景気回復が定着すれば、少なくとも個人業主所得の増加も消費の拡大要因になってくるだろうというふうに思うわけであります。  それからまた、御指摘にありました消費が飽和状態である。なるほどそうでありますけれども、しかし、この飽和状態ということをすべての世帯に平均的に当てはめるわけにまいりませんで、先生のように高所得者の場合――高所得と言うのは失礼かもしれませんが、相対的に高い所得を得られている方とあるいは若年層とでは、やはり所有しております財サービスの量も違いますし、比較的若い世代の場合にはやはり消費購買力も旺盛だというふうに考えております。したがいまして、飽和状態ということも一概には言えないのではないかという気がいたします。  また、原油価格の先行きも、御指摘のとおり、わが国ではなくOPECの方で決めてくるわけでございまして、中東情勢が非常に不安定であるということを考えますと、原油価格が上がるという心配は絶えずあるわけでありますが、よほどの政治的な混乱が起こらない限り、次のようなことが言えると思うのであります。  すなわち、最近の原油の需給情勢を見ますと、消費国での石油の節約が大変進んでおります。そういう意味では需要の方が抑圧されているわけでありますが、同時に、共産圏を含めましても、経済的な困難でこれ以上の石油をより多く購買するということが不可能になりつつあります。そういう意味では、二、三年前から比べますと、原油の需要の方はかなり減少してまいっているわけであります。  そういう意味では、需給バランスが消費国の方にとって好ましいように改善されておりますし、産油国の方がどの程度減産で対応するかにも依存するわけでありますが、先ほど申しましたように、年度平均でCIF価格で一バレル当たり三十九ドルから四十ドル程度におさまれば、これは日本経済の滞在能力から見て十分に吸収可能でありますし、景気を、消費をそれほど大きく落ち込ませる要因にはならないだろうというふうに判断いたしております。もちろん、原油価格につきましてはいろんな不透明な要素がございますから、中東地域で大きな政治的な変化が起こらないという前提に立っていることは言うまでもないわけでございます。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○谷川寛三君 ありがとうございました。  時間もありませんので、それでは北裏会長さんにお伺いをいたします。  質問は全部、二つ三つ申し上げますが、公述人におかれましては、国債の消化とか公社債市場の育成強化に平素大変な御貢献をいただいておりまして、その御労苦に対しまして国会議員の一人といたしまして、この機会に深く感謝の意を表するものでございます。  私は、まず国債の問題をお伺いしたいのでございますが、五十六年度予算はいまお話もありました財政再建元年と言っておりますが、国債を二兆円減らした。ところが、国債といいますと、とかく財政のガンのようにだけ見られておりますけれども、減額後の財政の役割りを見ましても予算の二六%余を賄っているということでございまして、非常に大きな役割りをしておるわけでございます。  それからまた、消化が順調にまいりませんと、財政にとりましてもゆゆしき事態を生ずるということでございますが、去年の十二月のシンジケート団の引受額を見ますと、通常ベースの半分ぐらいでございました。最近はよくなっているように、数字を私よく承知しておりませんが、聞いておりますけれども、大変心配でございます。公述人からその後の動向とか、民間の消費能力の限界といったようなものとの兼ね合いから見まして、将来の見通しなどにつきまして御見解を承っておきたいと思います。  それから次には、行財政の改革の問題でございます。  さきに土光さんが会長になられまして、第二次臨時行政調査会が始動し始めました。それから、一昨日でございますか、鈴木総理大臣が商工会議所の総会におきまして、政治生命をかけるという、私ども本当にまなじりを決しているというふうな気がしましたが、大変重大な言明をされました。そういうことでありまして、国民の皆さんも大きな期待を持って注視をしておられるところでございます。それから、言うまでもございませんが、財政再建をやると申しましても、国民の皆さんの御協力をいただきますためには、どうしても行財政の思い切った改革を断行しなきゃならぬ。いまやもう天の声になっているというふうに私も思うのでありますが、総論賛成各論反対ということで、いままでの内閣でも幾たびか手がけましたが、なかなかうまくいかなかった非常にむずかしい問題であると考えております。  で、お伺いしたいのは、この改革で増税はやらないで済ましたい、現行税制のままでいきたいというような御意見もありますが、この改革によりまして歳出削減がどの程度期待されるのか、どういうふうにすれば現行税制の枠内で財政再建のめどができるのか、個人的御意見で結構でございますが、率直にひとつお聞かせをいただきたいと思います。希望でも結構でございます。  それからまた、問題は、補助金の思い切った整理でございます。それから、中央、地方を通ずる事務再配分と申しますか、それ。それからまた、許認可事務の整理合理化、こういった問題もございます。それからさらには、高度経済成長の過程におきまして相当肥大化しておりますが、中央省庁のあり方、それから公団、事業団等政府関係機関の機構の問題、それから定員の問題、こういった大きな問題につきまして、時間もありませんけれども、ひとつ大胆率直に、御遠慮なく御意見を聞かしていただきたいと思います。  それから最後に、いまもたくさんのスペースをお割きになってお話がありました税制の問題でございます。私は、国民負担の軽重の問題もありますけれども、もっと高い視野から、公述人もおっしゃいましたが、日本経済、財政の全体的バランスを考えまして、日本の基盤を拡充するといった視点から税制をどういうふうに持っていくか考えるべきだというお話がありましたが、私も全く同感でございます。そこで、いま若干お話がございましたけれども、民間に活力を与えるための政策、税制について、もう少し詳しくお話を賜りたいと思います。特に強調されました健全な経済発展のための資本市場の育成強化に資するような税制、外国の例もお話がありましたが、詳しく外国の成功例等も触れていただきまして、お考えになっておりますところを率直にお聞かせ賜れば幸いだと思います。  以上です。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 北裏公述人にお願いいたします。  どうぞ、お足がお悪いようですから、その席でお話しください。

北裏喜一郎日本証券業協会会長

○公述人(北裏喜一郎君) それでは勝手します。  まず、国債のことを先ほどちょっと申し上げましたが、現状のままではいかぬということはこれはだれも認めるのでありますが、財政危機即増税に通じたり、あるいは歳出削減のための行政整理をしたりというような発想はどうかという感じを私は個人として持っておりますけれども、しかし国債の消化につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、それほどむずかしくない。むしろ年とともに楽になると思うのです。数字的にもこれは申し上げられると思うのですが、実は来年度、大体予定しておりますのは十兆四千四百億円、五十八年度には八兆六千一百億円、五十九年度には六兆七千九百億円ということで、だんだん下がってくるように見込まれております。国債の発行額は減ってきます。それから、それに対しまして個人の金融資産と先ほど申しましたが、まだ発表されておりませんが、恐らくことしは三十兆をはるかに突破していると思いますが、五十七年度中だけ見ましても四十一兆九百二十七億円、五十八年度は四十三兆五千五百八十億円、五十九年度は四十六兆一千七百十八億円と、このように個人の蓄積がだんだんふえてくる、国債はだんだん減額されるというようなことを考えますと、まずは需給バランスから言いまして消化が可能だということは言えると思います。  ただ、問題は、国債の発行条件その他の問題でございます。これが当初のように――当初というのは昭和四十年代でございますけれども、国債が市場実勢よりも非常に低利に安く出すというようなことでありますと、なかなか消化はしにくい。そのために、前提として、国債の発行条件が金融市場あるいは証券市場の実勢に応じたもので弾力的に決定されることが前提だと思います。特に、昨年あたりは非常に金利が逆転いたしましたから、国債の消化が非常にむずかしかったわけでありますけれども、それでも大体の需給のバランスが、いま申しましたように国債がだんだん減ってき、個人の金融資産がだんだんふえてくるということがありましたら、それをつなぎ合わす条件が弾力化すれば民間で消化し得る能力は十分ある、むしろ楽になるという方向と思います。恐らく予定どおり六十年には、言われるとおり特例公債、赤字公債はなくなるということは間違いなしに言えると思います。それを見ますと、全体として、いまも先生お話ありましたけれども、まずは順調に民間部門で十分消化できると見ていいのではないかと思います。  それから、そう申しながら、当面問題になっております行政改革、土光さんのことでありますけれども、総論賛成各論反対というのはありますけれども、しかし産業界、財界、労働界、政界含めまして、やはりそういう方へ向けなければいかぬということは明らかでございます。私個人としましても、「国会便覧」というのですかね、何か見ましたら、予想外に補助金並びに公団というのが、どういう性質のものか知りませんけれども、ずいぶん私どもが知らないものがたくさんあるということを発見いたしました。それに対する補助金も相当な額に上るということも聞いていますから、土光さんのようなああいう方を財界も産業界も労働界も政界もバックアップするということであれば、今度は第二回目でありますけれども、そう各論反対とばかりも言えない点もあるのじゃないかということを信じておるわけであります。こういう意味から言いましても、恐らく今度の第二次の行政改革は、満点でなくても、ある程度は実現するのではないかと私思います。  現に、ぼつぼつ各論反対の声も出ているということを聞いておりますけれども、これはある程度で、しまいまで主張し切れないというふうに私は思います。そうしますと、またさらに国債あるいは民間需要も、それに伴うだけの金融も楽になります。そっちに回せるものが、より資金の余裕ができると思います。民間活力がそれだけふえると思います。したがって、自然増収もこれも恐らくふえてくる。財政も楽になると思います。それは恐らく昭和五十九年だろうと思います。  実は、これは御質問になかったことをちょっと触れてみますと、実は一昨年から、特に去年ですか、外国の資本が非常に流入しておるわけです。御承知のとおり、経常収支はまだいまでも日本は赤字でございます。けれども、去年のはまだ発表されておりませんけれども、去年じゅうに推測によりますと最低約百五十億ドルぐらいの、これはわれわれの方の有価証券関係はわかりますが、その他銀行関係はわかりません。がしかし、必ずしもOPECだけではないのです。OPECを中心に欧米諸国の年金であるとか基金であるとか、その他いろいろそういうファンドが日本の有価証券あるいは日本の円通貨を買っておるというような形で、去年じゅうでは恐らく百五十億ドルを突破していると思うのです。これはかつてないことでありまして、実は一昨年の、七九年になりますかな、七九年の統計で見ますと、日本の円通貨は、外国人が持っているのは三%強、まあ四%になっていなかった。だから、去年は、統計出ておりませんが、恐らくその倍の七%ぐらいになっていると思うのです。大きく見ますと、いま外国人の持っている海外資産はドルで約七八%、それからマルクで約一二、三%、それから日本で約三・四%一だったわけです。残りはポンドとフレンチフラン、これが五大通貨と。フレンチフラン――スイスフランじゃありません、フレンチフラン。しかし、フレンチフランとポンドは少ない。やはり七八%は一昨年まではアメリカのドルで占められておりましたが、日本が倍になって約七%になっておるはずです。ドイツは去年金然変わってない。  一、三%と思います。そうしますと、日本の分だけドルが減ったのでないかと思います。あるいはフラン、あるいはポンドが少しふえているかもしれませんが、これが恐らくあと四、五年続いていくように思います。一九八四、五年ころまで続くように私は思います。それが日本の国債の、特例国債がなくなる時期ともちょうど一致するのですね。私はそういう面からだけを見ましても、日本の産業あるいは金融市場、資本市場というのは、いわゆる変わった形にせにゃいかぬというふうに感じます。  それはどういうことかと言いますと、一例を見ますと、日本にどんどんまだ現に入っておるわけでございます。去年は恐らく百五十億ドル以上入ったと思いますが、ことしは恐らくそれ以下にはならないと思います。来年もふえるだろう。五十九年までには、恐らく外国人の持っている日本の円通貨あるいは円資産は一五%ぐらいになるだろうと思います。ドイツも現在一二、三%と申しましたが、恐らくこれも一四、五%、現在よりも二、三%ふえると思います。その分だけが日本が特にふえるという傾向が出ているのでありまして、これをどう活用するかということで、今後の民間産業あるいは福祉あるいは発展途上国などに行き得る余地があると。まあそういう第一年目、第二年日の予算としてはまずは妥当ではないかと、こう申したわけでございます。  時間がございませんので、これでよろしゅうございますか。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○谷川寛三君 まだ税制措置が……。

北裏喜一郎日本証券業協会会長

○公述人(北裏喜一郎君) 先生の御質問の中で、税制措置がよその国ではどう具体的に進んでいるかということを申されまして、ちょっと早口で答えますが、アメリカでは日本で言われているキャピタルゲインなどは税率が非常に軽減されまして、今度は、いまあるのでございますが、恐らく大幅な軽減措置がとられております。それから、日本で行われている有価証券取引税、これは日本では万分の五十五でありますけれども、これはアメリカではことしじゅうにニューヨーク州の取引税が廃止されることになっております。ニューヨーク州の取引税が廃止されますと、恐らくアメリカでは取引税が零になります。いま御承知のとおり、日本の税収の約一%ぐらいを取引税の割合が占めております。こういう例は過去ないのでありまして、恐らくこれは欧米に比べて七、八倍、恐らくことしは十倍ぐらいになっていくと思います。その他の資本市場は、余り好ましくないが、長期的な投資はなかなかそれでできなくなるというのが現状でございます。したがって、どうしても間接金融というものが――これも間接金融は民間の金融機関がだんだんと預金が食われてくる。やっぱり財投という形で、だんだんこのまま延長しますと、十年、十五年先には日本の金融は財投が間接金融の中心になり、銀行であるとか証券というのは補完的な金融機関になるおそれがあります。恐らく日本の経済は八四、五年以降は実は見通しがつかない。うっかりすると、その辺になってきて、民間の金融機関は資本市場から制約を受けて、官業の制約を受ける時期が来るかもしれないという心配をしているのが現状です、しかし、それはちょっと少し早く心配し過ぎると思います。現状としては、まずは非常に順調にいくと思います。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○谷川寛三君 どうもありがとうございました。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 両先生には、きょうはお忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。  まず、鶴田先生にお伺いしたいと思いますが、国民経済研究協会で出されている景気見通しの資料というのは、他の民間諸団体に比べまして、先ほどもお話がありましたけれども、大変高いわけであります。特にGNP、先ほど新推計でいって五・四というお話でございましたけれども、それでも政府の五・三よりは大きいわけでありまして、私のところにある資料でそれ以上のところは実はないわけでありまして、しかもその中で非常に著しく高いと思われるのは、私は民間設備投資、これが八・二、政府が七・三、こういうことになっているわけでありまして、その辺が非常に大きい。鉱工業生産指数、これは七・四という数字をお示しになっておるわけでありまして、その辺が私は少し高く見過ぎているのではないだろうかという感じがいたします。なぜかというと、民間設備投資が八・二になるということは、私はちょっと考えられないのじゃないだろうか。これは開銀調査でも、あるいは日銀短観でも、あるいは日経新聞の調査でも政府の七・三にまでも実は行ってないわけでありますから、その辺が大き過ぎるんではないだろうか、その辺はどんなふうに考えたらいいのだろうかという点が一点であります。  それから二点は、在庫調整の政府見通しが非常に、政府だけではありませんが、狂ったということでありますが、一体その狂いというのはどこから来ているのか。私自体は、その狂いというのは特に末端部分の流通在庫、これに対する政府の計算違い、そういう点を見誤っていたというところに在庫調整の大きなおくれが出たのじゃないだろうかというふうに思うのですが、在庫調整の今後の見通しは一体どう見たらいいのか。秋には景気回復ができるのかどうなのか、あるいはもっと先まで打っちゃうのかどうなのか。もちろん業種によっていろんなシマウマ的な問題はあるだろうと思いますが、全体的にどう見たらいいのか。  それから三番目は、この間行われました公定歩合の引き下げ、これは私は大変政治的な引き下げであった。金融の中立性、機動性というものを大きく失ってしまった公定歩合の引き下げであった。しかも、預貯金の方は〇・七五%という二段階ということになった。金利の一元化というような問題が実現しなかったということで、こういう金利政策がとられているということになりますと、特に民間設備投資の、中小企業設備投資というようなものの進展にはむしろ阻害要因になるのではないだろうか。  私は、むしろ一%内外を下げるということであるならば、まず〇・七五%の公定歩合の引き下げをやり、それに対応する預貯金の金利の引き下げもやり、そしてさらに物価等その他が進んできた後においてもう一回やるという二段階の公定歩合の引き下げをやっていく方が、経済界の順調な発展というものができたのではないだろうか。そういう点では大変私は残念に思いますけれども、その辺の公定歩合の今後の引き下げのあり方、これに対する先生の御見解をお示しいただければ幸いだと思います。  以上、鶴田先生にお願いします。北裏先生には、鶴田先生の御回答のあった後にお願いしたいと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 鶴田公述人にお願いいたします。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) いま竹田先生がおっしゃいました設備投資その他の数字につきましては、たしか昨年の十二月に発表したわれわれの見通しでございまして、私が冒頭に陳述申し上げましたのは、最近の推計に基づいておりますから、多少数字で入れ違いがありますけれども、基本的な考え方では先生の御指摘のとおりでございますの。で、それに沿ってお答えしたいと思います。  まず第一の設備投資ないしは鉱工業生産指数の推計が高過ぎるのではないかという点でありますが、私どもの国民経済研究協会は絶えずそういう御批判を受けているわけでございますが、あえて故意に高くしているわけではございませんで、やはり私どもの基本的な考え方というのは日本経済の持つ潜在成長能力といいますか、これを非常に高く注目しておりますし、とりわけ、第一次石油危機の調整過程における国際的な観点から見ますと、みごとなほどのパフォーマンスを示していたというところに非常に高く着目しているわけであります。このパフォーマンスが高かったということは、経済学的に言えば市場メカニズムがうまく働いたからだということも言えるわけでありますが、もう一つ掘り下げて考えますと、産業人あるいは労働者その他の非常に多くの日本人の努力の結果であっただろうというふうに思うわけであります。  設備投資につきましては、やはり現在の日本の設備投資の潮流を見ておりますと、大企業を中心としてかなり能力拡張型とまではいきませんけれども、古い設備を置きかえていくという、そういう流れが相当強いように私は思っております。  特に、第一次石油危機直後の大不況の過程で、企業が投資を繰り延べました。その結果としてかなり陳腐化が進んでおります。それがいま更新期を迎えている、これが非常に大きく投資の潮流をつくっているのじゃないだろうかという気がするわけであります。  それに加えまして、最近では省エネルギー投資も素材関連産業を初めとしましてかなり大変意欲的であります。せんだって、住友金属さんの鹿島製鉄所へ行きましたら、最近煙を見ていると一万円が大気中に逃げていくという、そういう実感がするのだということを申しておられます。それほど排熱がかなり大気中に散失しているわけでありますが、現在でも一つの製鉄所で、現在のオイル価格によって推定しますと大体六百億円から七百億円ぐらい、年間ですが、それほど排熱が大気中に放出されているそうであります。それを回収していくということがいわゆる石油節約につながるわけでありますが、そういう投資が非常に根強いということであります。  御指摘の投資計画でありますが、なるほど現在のところですと多少弱目に出ていますが、それでもせんだって日本経済新聞社が行いました投資サーベーによりますと、たしか七ないし八%ぐらいの増加が見込まれております。こういう投資計画というのは、景気の実態が変わるに従って上向き修正されてくる性格でございますから、そういう意味で、私どもは必ずしもこの設備投資の見方が強過ぎるというふうには考えておりません。また、当然鉱工業生産指数にいたしましても、在庫調整が終わった後はむしろ逆に多少のはずみがつきますから、七%程度の鉱工業生産指数の拡大はあり得るのじゃないだろうかというふうに思っております。  それから、第二点目の在庫調整でありますが、実はこの在庫調整をどう判断するかというのは大変むずかしい問題でございまして、いろいろな統計が必ずしも十分にそろっておりませんから一番最も推計しにくいところでございます。最も推計しにくいと申しましたけれども、一番情報が出ておりませんのが政府関係の公共投資その他でございまして、それに次ぐくらいでございます。  確かに、流通在庫がいろいろたまっているという話を聞きますが、在庫調整について次の幾つかのレベルで考える必要があるのですが、一つは、GNP統計ベースの在庫投資の減り方がとまったかどうか、こういう見方が一つあります。それから、製品在庫のレベルの増勢がとまったかどうか、また水準そのものが出荷と比べて一体何カ月分ぐらいあるだろうかとか、あるいは市況が底入れしたかどうかとか、いろいろな局面で見ることができるわけでありますが、私の基本的な考え方では、GNPベースでの在庫調整は恐らくこの一-三月期が景気に対して中立要因になってくるだろうということであります。それから、製品在庫について言いますと、むしろ絶対水準がピークに達して、むしろ少しずつ下がる局面だろうというふうに思っております。  流通在庫につきましては、確かに先生おっしゃるように、わからない点があるわけでありますが、私どもの統計で確認した範囲では、昨年の秋口ぐらいから流通在庫の調整が漸次進んでいるように見受けられております。したがいまして、この一-三月期がいわゆる在庫調整の完了の時期でございまして、四-六月期からむしろ取引動機に基づきます在庫投資が少しずつ行われてくるのではないか、それで景気の回復要因になるだろうと、こういう見方であります。  それから、第三点目の公定歩合につきましては全く竹田先生の御指摘のとおりでありまして、やはり経済の領域にああいう政治的な取引を持ち込まれると大変困った問題になるかと思います。私の実感では、一カ月程度公定歩合の引き下げの時期をおくらせてしまったのじゃないだろうか。そのことが、日本経済ないしは中小企業を含めて大きな影響を与えていることは否定できないだろうというふうに思うわけであります。現在、公定歩合をめぐって郵貯の問題が大変大きな壁になっているわけであります。公定歩合を上げていく過程におきましては、郵貯の金利が硬直的であってもこれは問題ないのでございますが、下げる過程ではどうしても壁になってしまうわけですね。  そこで、いわゆるこの郵貯金利がなぜ硬直化しているのかということでありますが、これは単に金利の一元化論では議論できないわけでありまして、最近の議論を見ておりますと、恐らく大蔵省と郵政省の対立を政治的に決着するというようななし崩しの解決しか行われないのじゃないだろうかという懸念を持つわけでありますが、私は二つの観点から申し上げたいと思うのです。  一つは、やはり中長期的に見て日本の金利の自由化が進んでいかざるを得ない。近年、短期金融市場におきましてはかなり自由化が進みました、CDが発行されるとか現先市場が自由化されるとか。そういう意味では、短期金融市場でかなり自由化が進みましたが、これからはやはり長期金融市場での目山化が進まざるを得ないだろうと思います。日山化を進めるインパクトになりますのは、国債の既発債の発行残高が非常にふえているということです。あと数年もたちますと、一年物から十年物までが流通市場に出回ってまいりますから、そうなりますと、個人の投資家にとりましても銀行その他に預金するよりは既発憤を買った方が有利だという点も出てくると思うのです。それがやはり金利自由化を促すインパクトになるだろうということと、それから第二点目は、先ほど北裏先生がおっしゃいましたが、円の国際化の問題ですね、これが長期金融市場の金利自由化を促進せざるを得ないだろうということでございます。  そういう金利自由化の中で郵貯問題を考えていくのが一つでありますが、もう一つ、郵貯がなぜ金利が硬直化していくかということを考えますと、郵貯が財投資金に使われる。御存じのように、財投資金に使われている限りにおきましては市場メカニズムが一切働いておりません。御存じのように、現在の財投で使い残しをしている幾つかの公団がございます。また政府系の金融機関でも、民間金融機関と競合してしまう問題がございます。これは歴史的使命を終わった公社公団がかなり存在していることでありますし、そういう意味では完全にこの市場メカニズムが働かなくなった。また、補助金もそこに加えられていくというふうになりますと、貸し出しの方で市場メカニズムが働きませんから、どうしても金利の方では硬直しがちであります。仮に、郵貯組織というものが普通の民間金融機関と同じように資金を企業に貸し出すとか、あるいは現先市場で運用するとか、そういうことを考えますと、つまり自主的に運用されている姿を考えますと、金融政策の影響によって短期金融市場の実勢市場金利がかなり変化いたします。それにおいて、当然郵貯金利も変化せざるを得なくなってくると思うのですね。そういう意味では、郵貯金利というものを単に金利の問題として取り扱うのじゃなくて、出口と入り口を両方セットにして議論する必要がありますし、それは言うなれば行政改革の一環として議論していかざるを得ない問題だと思うのです。  ただ私は、現在の行政改革について申し上げますと、どうも理念なき行政改革が進んでいる、先行しているのじゃないかという気がいたします。確かに、鈴木総理大臣の最近の決意は相当固いようにお見受けいたしますし、また、りっぱな御発言だというふうに思っておりますが、やはり補助金を整理することが大事なことは十分わかりますが、しからば農業を一体どうするのか、これからの農業社会をどういうふうに活性化していくのかというようなビジョンなり、あるいは医療行政について一体どういうふうにしていくのか、こういうビジョンを一切欠いて、行政改革だけが先行しているというふうに私は思っております。  以上でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 どうもありがとうございました。  もう少し時間があれば承りたいところでございますが、私の持ち時間三十六分まででございますので、あと十分足らずということで、北裏先生にもお答えをいただく時間も含めてでございますので、大変恐縮でございますけれども、北裏先生にもお聞きしたいことがたくさんあるのですが、お答えの時間を含めて三十六分ということになっておりますので、余りたくさんお聞きするわけには実はいかないわけでございまして、特に北裏先生にお聞きしたいことは、証券の民主化ということですね、特に株の民主化、こういうことが唱えられて久しいわけでありますけれども、しかし数字で見ていきますと、個人株主の数というのはどんどんどんどんシェアが少なくなってしまって、法人株主のシェアが多くなってきている。これでは、先ほどのお話で、国民の金融資産の選択の立場からいきまして、証券界へ個人が出ていくということはなかなかできないわけであります。最近も誠備ショックなんというような問題がありまして、株が大変動く、とても素人なんかがあんなところに手を出せないというような事態だろうと私は思うのですけれども、そういうことで預金が郵貯の方へ集まるというようなことも、そういうことも私は全然関係ないというふうには言えないと思うのですけれども、そういう点で、もう少し個人が、ただ単に預金ということではなくて、株を持つ、こういうふうな証券の民主化というものをもう少し進めていかなくちゃいけないのじゃないだろうか。この点が一点ですが、それに対する御批判を承りたいと思います。  それからもう一つは、先ほど有価証券の取引税のお話がありましたけれども。私どもは有価証券の譲渡所得に対する課税というのが全然行われていないということは、やっぱり税制の不公平の一番大きい問題だろうと思うのです。特に最近はそういう譲渡益というものがかなり出ているようでございますし、私はそういうものはむしろやっていくべきだと、こういうように思いますが、これに対するお考えを一つ賜りたいと思います。(「二十万株を越えたらかかりますよ」と呼ぶ者あり)まあそういう制限はあるのですけれども、なかなか実際上はそうした制限が必ずしも守られているというふうには私は思いません。一定の制限はあるんですが、大体これは守られてないというのが一般の常識でありますから。よほどうかつな人間でない限りは大体その枠は逃げているわけでありますから、そういう意味では私はそういう譲渡益課税というのは大いにやっていくべきだろうと、こういうように思います。  それからもう一つ、去年は企業課税の問題がいろいろありましたけれども、その中で配当軽課、配当分については法人税を一〇%ぐらい低い課税をしているんですが、私はこれはやめた方がいいと思うのです。やめた方が、一本にした方がいい。配当軽課をやって、先ほどの証券の民主化の方でみんなが株へ投資をしていくということが行われているなら、これは一つの手だろうと思いますし、それによって配当がふえていくというならそうですが、配当はふえてないんですよ。配当率というのは大体一定化しておりまして、それ以上ふえていかないということになれば、むしろ配当軽課は大きな企業の金利操作を楽にしているだけというふうに私は考えざるを得ないということで、これをむしろ廃止をすべきではないか。そうした意味で、税制の不公正を直していく一つにすべきではないかというふうに考えます。  それからもう一つは、ことしの法人税の二%の引き上げですけれども、法人税二%引き上げの税制が出ているわけでありますけれども、私はこれも一律にやるということは、今日の中小企業と大企業との企業格差というような面からちょっと中小企業に酷ではないだろうか。これから中小企業の果たす役割りというのは私は大変大きいと思いますけれども、そういう意味では少し酷ではないかと思いますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。  質問が大変多くて、お答えの時間を短くしろというのは大変無理な注文でございますが、ひとつその辺は北裏先生の要領のいいところでお答えをいただきたいと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 北裏公述人にお願いいたします。

北裏喜一郎日本証券業協会会長

○公述人(北裏喜一郎君) 的確な御質問が非常に多くて、まず感謝いたしたいのは、実は昭和二十四、五年当時を思い起こしてもらいますと、財閥十四コンツェルンの株は全部政府にいきまして、政府はラジオその他で太鼓をたたきまして民主化運動を盛んにやってきました。自来三十年来、初めて聞く先生のお言葉でございました。その間、昭和二十五年以来今日まで、五十五年まで三十年間は株式の民主化運動という言葉は政治家の口から余り聞かれなかった。その前に言うたのは恐らく、GHQが財閥コンツェルンの株を全部吸い上げましたから、それを放出せんがための手段であったという民主化運動であった。それで現在だんだん個人の株主が減ったと、こう申されました。そのとおりであります。これはいろいろ理由がありますが、税制その他がありますが、昭和二十四、五年当時と比較してというと、これは非常に違うのでありまして、もともと財閥の株を全部持株会社整理委員会で処理したわけであります。問題は、一番われわれが問題にするのは、個人の株主の中で本当の投資家か投機家かということの峻別と、それから法人化という現象の中で、資本の空洞化と言われるとおり、法人が持ち合いして、財閥ではないが、値が上がっても下がっても市場へ出ない。百億の資本金とやっても、そのうちの二十億はお互いに持ち合いしている、資本が実際稼働していないという傾向が生まれかけておるわけです。そういうことを拒否しているわけです。そういう意味では、資本市場としてはどうしても、個人といいますけれども、個人であっても、保険会社であるとか、銀行の預金によるものであるとか、損保会社であるとかそういうものは、個人の金融資産から生まれたものが機関投資家として株を買うわけですからこれはいいと思うんです。むしろ法人化の中で資本が空洞化されるような、生産性を生まないような形の資本がふえてくる、このことを懸念している。個人の場合を言うと、本当の長期的な投資家ではなくて、投機家が生まれては困る、それは必ずしも、いまのお言葉にもありました誠備グループ、誠備のことは私、協会長としてはなはだ残念でありまして申しわけございません。がしかし、これは小さい問題と思いませんが、証券界としては非常にイメージダウンしましたけれども、むしろ基本的な問題は前段に申し上げました点でございます。これは実は年々歳々、皆さんの御関係している会社などもあると思いますけれども、統計上出ておりませんが、持ち株測度というようなものがございまして、大体各事業会社で従業員に会社が多少援助しながら、自分の月給から差し引いて株を持たしているわけです。それが現在百五十万人おるわけです。これは恐らく株主の統計上は十人とか二十人とか、会社の総務部長とかあるいは勤労担当重役の一人の名前で出ておりますが、そのバックには百五十万人おる。これを考えますと、現在の三〇%個人というものも着々とやっぱり私は純粋の長期投資家が多くなってきている、こうお考えくださっていいと思います。これは統計上出ておりません。統計上出ておりますのは個人投資家あるいは投資信託ぐらいでございまして、そういう持ち株制度による長期投資層のふえ方というのは出ておりません。これは現在百五十万おります。  それから、先生のいまの御質問の中で、キャピタルゲインの不公平税制ということを言われました。実は皆さんの方が御存じだと思いますが、有価証券関係の取引税含めて、お調べ願いましたらわかりますが、キャピタルゲインによる課税というのはごく少量です、何%もないです。まして、キャピタルロスを入れりゃキャピタルゲインなんてないかもしれませんとぼくは思うくらいです。大部分は取引税であります。万分の五十五、五十五銭税金が要るわけです。これが投資を投機化するおそれがあるということを私は申し上げたいと思うのです。キャピタルゲインというのは不公平税制の最たるものであるということは絶えず言われますけれども、これによる税収というのはごくわずかであります。これはお調べ願いましたらわかります、非常に少ないです。この点もキャピタルゲイン、ましてやキャピタルロスを差し引いたキャピタルゲインなんということはあり得ないとぼくは思います。キャピタルゲインだけを言っているわけです。しかもキャピタルゲインだけでも非常に額は少ない。これは主税局の統計を見ましても出ております。  そういう意味では、有価証券の民主化運動の基本になるいろいろな仕組みがありますけれども、われわれのビヘービアもありますけれども、基本的には分かれ道はやっぱり税制が非常に大きいんです。キャピタルゲインというのは不公平税制の最たるものであると言われながら、これは各国ともありますが、だんだん減らしてきておりますが、零なのは日本でありますけれども、零であるのは実質を伴わない零であるということをお考え願ったらいいと思います。全然実質伴わないというわけではありませんが、ほとんど問題にならない。一番お考え願いたいのは、やはり資本の空洞化と、本当の長期的な個人投資家をふやしていこうと、またその努力をしていると、こう申し上げたいのであります。  それから、一応三十六分になりまして、なお御質問に全部お答えいたしておりませんけれども、私の申し上げたいことはその点でございます。  法人税のことを言われました。これは二%増額されて、今度の、ことしの税制の税額としては大きなウエートを占めておりますことは御承知のとおりでありますが、日本ではほぼ百二十五万社の企業があって、その中で上場している大企業は約千七百社です。一部、二部合わせて約千七百社です。大部分は、千万以上の会社でも二十三万社ぐらいでございます。まして魚屋さんまで入れれば、法人組織というのは約百二十五万社あります。それをわれわれ大衆から資金を集めてそこで企業をするという大会社というものですか、いえば個人株主を誘導しなきゃいけないそういう会社は千七百社で、非常に少ないのであります。  ですから、この法人税と約百二十五万社に属する中小企業の法人税が同じ税率であるということは、多少先生の言われるような点があるんじゃないかという気もいたします。ことしはそのようになっているようですけれども、しかし実際は千七百社の税額の方が多いように思います。率は確かに不公平と言えば不公平かもしれませんが、税額は違っております。というのは、日本の百二十五万社の中小企業が大衆化されてないだけに実際よくわからないわけですよ。そこの利益あるいは収益というものがわからない。公認会計士も無論おりませんし、わかりにくいという面もありまして、これは今後の問題として、もし不公平があればそのように訂正しなきゃいかぬと思います。ちょっと見ると、何だか同じだけ、千七百社と百二十五万社が同じ税率を上げもというのはどうもおかしいぞと言われるのはよくわかりますけれども、これはいろいろなほかの要件を調べてみないと、はっきり一般的な、表面的なことは言えないと思います。  ほかにあったかと思いますけれども、一応そういうことでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 どうもありがとうございました。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 本日は大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、厚く御礼申し上げたいと思います。  私もいただいた時間が大変に短いものでございますから、問題をしぼりまして御意見をお伺いしたいと思います。  先ほど鶴田先生の御意見で、大体五十六年度の経済見通しについては新推計の方で五・四あるいは旧推計の方で五・七、こうおっしゃいましたけれども、先ほども竹田先生の方から御意見があったように、政府見通しから見てもちょっと高いので、その辺で日本の経済がこれからどうなっていくかということの中で、一つは、やはり先ほどから論議になっております一般国民の消費傾向、これがどうなるかということと、もう一つは、やはり民風の設備投資、これが順調に作動するだろうかということが大変心配でございますので、この二点についてお伺いをいたしたいのですが、御承知のとおり、政府が立てておる五・三%の成長率、この中で民間に期待する成長率が二・五ということで、約五〇%期待をかけておるわけです。  ところで、この民間の消費傾向でございますが、いろいろなデータがありますけれども、時間がないから簡単に申し上げますけれども、公共料金とかあるいは増税、そのほか可処分所得でも大変目減りをいたしておりますが、この傾向は今後も続くはずでございまして、昨年度の推計でも、これは政府の数字でございますが、勤労者所得、これ五十四年度ですが、一九・一、それから地方税の負担が一〇・八%、それから国民年金等福祉関係の負担が一〇・五、これのトータルの平均でプラス一二・六%で、これに対して実収入では名目で七・三しか伸びていない、こういうようなことでございまして、大変生活が苦しくなっているわけでございます。五十六年度はまた増税あるいは印紙税や酒税その他も上がってまいりますので、こういう点では、二・五%民間消費、民間の成長率を期待している政府見通しですね、五・三の中でこれが本当にこのとおりにいくだろうかという心配が一つありますので、この辺の御判断をお聞きしたいのが第一点でございます。  それから、民間設備投資の中、全体ではいま先生おっしゃったような傾向になるかなあと思いますけれども、ただいまもお話が出ておりましたように、これは北裏先生にもお伺いしようと思ったのですが、御意見がありましたから、むしろ法人税の二%の税率アップ、これが中小企業に対する影響はどうだろうかというようなことがもし推測ができれば、鶴田先生にこの点もお伺いをいたしたいと思いますし、とりわけ、この民間投資の中で中小企業でございますが、昨年は春闘、これは大企業と中小企業では中小企業の方が高かったことは御承知のとおりでございます。本年はどうもそういかないのではなかろうか、こういうような判断の方が民間の経済専門家の間でも共通の推測のように伺っておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、たとえば前提条件に挙げられました公定歩合の〇・五から〇・七、これいつごろやるかも問題でございますが、こういうものがあったとしても、中小企業を取り巻くいろいろな状況というものは大変困難な状況が多いようでございまして、こういう点から考えますと、この民間設備投資というのは中小企業の方ではうまくいかないのではなかろうか、こういうふうに私は疑問を持っておりますので、この辺がどう動いていくだろうかという点についての御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 鶴田公述人にお願いいたします。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) まず第一点についてお答え申し上げます。  確かに、経済の先行きにつきましては、いろんな不透明な要素がございますから、不確実な世界でございますからはっきり断言できないわけでありますけれども、やはり日本経済の潜在成長能力という観点から見れば、私は五%台の半ばぐらいの成長力を日本経済は持っているだろうというふうな判断に立っております。ただ、御指摘になりました中で、消費がこれからどうなるかということは大変重要でございますし、先ほども触れましたが、やはりそういう意味では春闘賃上げ率が昨年のような低額に終わってはならないだろうということは非常に私は強調したいと思います。  もう一点は、先生、可処分所得のことをおっしゃられておりましたけれども、この数年を見ておりますと、いわゆる隠された増税が進んでいるわけでございます。つまり、課税最低限が据え置かれておりますから、所得が上がれば税負担が高まってしまう。私どもの推計によりますと、給与所得者の租税弾力性は二・〇となっております。つまり、所得が一単位ふえますと税金は二倍よけいに払わなきゃいけない。そういうことで自然増収が発生し、言うなれば国債発行額が減額されてくる、こういうことがございます。逆に申し上げますと、そのことが、所得はふえたけれども、結局直接税その他で控除されてしまって可処分所得は余りふえない。こういう構造になっておりますので、私はやはり課税最低限を引き上げていくということが政治上の非常に大きな課題になるのじゃないだろうかというふうに思っております。また、ことしも個人消費が重要であればあるほど課税最低限を引き上げるような措置をとった方が経済の安定運営の上では望ましいだろうというふうに思います。それから、第二点目の法人税でございますけれども、実は私かねがね主張しているのでございますが、法人税を上げた場合にその税率がどこに転嫁されるかが不透明でございます。ある場合には価格に転嫁される場合もあるし、ある場合には賃金の引き下げに向かう場合もあり得るわけですね。そういう意味で、法人税を一般的にアップしていくということは私は安易な税源対策じゃないだろうかという気がするわけです。とりわけ、御指摘のように、日本の経済の潜在成長能力というのは非常に多くの中小企業に支えられている部分がございますので、その活力をなるべくそがないような形で税制を考えるのが私は正しい政治的判断じゃないだろうかというふうに思います。その二%の引き上げがどの程度中小企業に影響するかということは、実は私、計測しておりませんのではっきり申し上げられませんが、税金を上げるなら、やはり金利を下げて、そして金利負担を軽くしていくというような政策選択がことしぜひ行われてほしいし、そのためにも郵貯金利が金利引き下げの壁になってしまうようなことがあってはぐあいが悪いのであって、御指摘のように金融政策が弾力的に運営されて、そして投資の流れを定着させていく、あるいは中小企業の金利負担を軽減させていくということが非常に重要だというふうに私は思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 大変貴重な御意見を伺っておりますが、残念なことに私の持ち時間大変短うございますので、鶴田公述人にお伺いをしたいと思います。  おっしゃられましたように、いま自動車に代表されます日本の急激な輸出増加でアメリカやEC諸国の日本製品の輸出抑制の動きというのが続発をいたしております。そういう中で、公述人もお述べになりましたように、輸出の鈍化というのが足を引っ張る要因になるおそれがあるというお話でございました。  国内では、御承知のように大企業の経営収支というのは大変よろしいわけでございますが、中小企業というのは、昨年来、またことし一月以降もきわめて厳しい状況になっておりますし、また失業者もふえておるという状況でございます。こういう状況の中で、内需の重要性、御指摘にもなりましたが、特にGNPの六割を占めております国民の消費支出の増大というのが今日緊急の課題だと考えるわけでございます。この中で、今度の政府の総合経済政策についてどのように評価をされているかということが一点でございます。  私どもは国民の消費拡大の決め手を欠いていると思っているわけでございますが、そういう点で国民の消費支出、内需の拡大のためには、今日、御指摘がありましたように、国民の可処分所得というのが非常に少なくなってきている中でこれを引き上げるということがきわめて重大な要因だと思っているわけでございます。そのためには、御指摘にもありましたけれども、まず今度の春闘での少なくとも七・五%以上の賃上げとおっしゃいましたが、少なくとも大幅な賃上げと同時に、見えざる増税といわれておりました自然増収の中での勤労者の所得税の増税ですね、こういう中では少なくとも所得税減税が不可欠だと思うわけです。  それからもう一つは、物価の抑制とおっしゃっていただきましたが、もうそれは特に家計を預かる主婦にとっては最大の課題でございますけれども、今後の見通しの点での関係では、私どもは公共料金と大企業製品の価格の抑制というのがきわめて大事だと思うのですが、四月以降を考えてみますと、国鉄、私鉄あるいはバス、航空運賃等を初めとする公共料金の値上げがすでに予定をされてきているという状況でございます。こういう中では、何としても国民の可処分所得を大きくしていくためには、物価の抑制、特に公共料金の値上げの抑制、大企業製品の値上げの抑制、そして減税と大幅賃上げ、社会保障の充実というのがいまこそ必要であろうと思うわけでございます。これがやられますと、いわゆる消費関連の産業に結びつくことの多い中小企業の不況対策にとってもきわめて有効ではなかろうかと考えておるわけでございますが、そういった点につきまして鶴田公述人のお話を伺いたいと思うわけでございます。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 鶴田公述人にお願いします。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) まず、御指摘の第一の総合経済政策についてどう考えるかでございますが、確かにおっしゃるように決め手を欠いている側面が私はあるかと思います。ただ、現在のいろいろな状況を考えますと、私が仮に経済計画をつくる担当者になっても、かつてのように大幅に公共投資をふやすこともできないということを考えますと、ある程度決め手を欠くということはやむを得ざる側面があろうかと思います。特に景気対策の上で重要なのは、公定歩合を引き下げたということと、これから物価安定を図ること、それから公共投資の前倒しをするということでありますが、やはりこれからの財政の問題を考えますと、金融政策が非常に重要でございますから、金融政策が機動的に運営できるような条件をさらにつくっていくということが私は今後の非常に大きな課題のように思います。  それから、第二番目の賃金の問題でございますが、確かにおっしゃるように、所得税の減税が行われれば勤労者にとって望ましいことは否定できないだろうと思います。私が賃金の問題を考えます場合に、やはり需要の側面と供給の側面の両方考えているわけでありますが、減税が行われれば、それだけ消費需要を拡大して、それが所得の増加をもたらし、あるいは場合によっては自然増収、税を高めるという迂回効果も期待できるのじゃないだろうかというふうに思います。どちらを先にやるかということは一つの政治上の選択の問題でありますが、課税最低限を引き上げていくということは、おっしゃるように、家庭の主婦という立場だけじゃなくて、広く勤労者の立場に立っても必要だろうというふうに思います。  それから、第三番目の物価でございますけれども、先生がおっしゃられましたいわゆる大企業製品価格についての対策でございますが、そういう観点から言えば、やはり独禁政策ないしは競争政策をさらに強化していくということは非常に重要であろうと思います。とりわけ、五十五年度の調整過程におきましても黒字減産が幾つかの産業で行われていたやと聞いておりますので、独禁政策を強化して、いわゆるコストが下がった場合には価格が低下するような、つまり円高差益が発生した場合には価格が下がるような、そういう条件をつくっていくことは御指摘のとおり非常に重要であろうというふうに思っております。  もう一つの公共料金でございますが、確かに国鉄はかなり合理化する余地をまだ持っていると思うのでありますが、そういう問題を一応捨象して考えますと、やはり公共料金といっても、いつまでも据え置いていくべきだというふうに私考えませんで、やはりある程度現在のようにコストが上がったらそれを価格に転嫁せざるを得ない、そういう側面が公共料金の中には含まれておりますから、いつまでも据え置きはできないだろうというふうに思います。ただ、政治的な判断の中で、いまやるか、あるいはもう少し先にやるかということは、一つの選択肢として残されているだろうというふうに私は思っております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間がございませんので、要点だけ申し上げて、お答えをいただきたいと思います。  鶴田先生にお聞きをしたいのですが、国民生活の面から見まして、いまの日本の住宅というのは非常に高いと思うのです。それで、サラリーマンの年間所得の何倍くらいというところが住宅価格としては妥当だというふうに御判断なさるかということ。それからまた、もう一つは、そういう国民生活の面からながめまして、為替レートというものが幾らぐらいであったらよろしいというふうに御判断なさるか、その点の御意見を承りたいと思います。  それから、北裏先生の方にお一つだけお聞きをしたいんですが、不公平税制の問題が出ましたのですが、グリーンカードの問題。五十九年からいよいよ実施になるということで、大体二百億ぐらいの経費をかけて、まあ七百億から八百億ぐらいの税収を取り上げようということになっているんです。私が考えるところでは、とても二百億ぐらいの経費ではあれはできっこないことなんですが、果たしてあれをやってメリットがあるものかどうなのか、逆にデメリットの方が多いような気がしてしようがないんですが、そういう税制という面から見て、北裏先生の御意見を承りたいと思います。  以上です。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 鶴田公述人にお願いいたします。

鶴田俊正財団法人国民経済研究協会主任研究員/専修大学教授

○公述人(鶴田俊正君) まず最初の、第一点の住宅価格が平均所得の何倍が妥当かということでございますが、これは少し歴史的に考えてみますと、昭和四十年ごろは平均所得の約二倍ぐらいであったわけです。その四十年代を通しまして住宅価格がどんどん上昇してきたわけでありますが、五十年の初めぐらいには五倍ぐらいまでなってまいりました。最近はほぼ六倍ぐらいだろうと思うのであります。なおかつ住宅建設が進んだのは、結局多くの住宅購入者が住宅ローンを活用した。当初はほとんど住宅ローンを使っておりませんでしたが、住宅ローンを活用し、なおかつローンの期間がどんどん延長されてまいりました。当初は十年ぐらいでしたが、それが十五年、最近では二十年、そのことが結局背景にあって住宅着工が進んだわけでありますけれども、私は何倍が妥当かということは一概に言えないと思うのでありますが、ただ、こういうふうに住宅がどんどん上がってくるメカニズムにぜひメスを入れていただきたいと思うのでありますが、それはやはり土地政策に関連すると思うのであります。現在のように大都市に人口が集まって、土地価格がどんどん上がってしまう。このことが住宅の平均価格を所得の上昇率以上に高めている大きな要因でございますから、土地税制を含めて望ましい土地政策が行われれば、かなり住宅価格の相対価格ですね、所得との関係での相対価格を下げることが可能だろうというふうに思っております。そういう意味で土地政策に長期的な観点から取り組んでいただきたいというのが第一点であります。  それから、第二点の為替レートの望ましい水準は幾らかという御質問でありますが、これも非常にむずかしいことでございまして、必ずしも一概に幾らがいいというふうには申し上げられないわけでございます。なぜかと申しますと、為替レートというのはわが国と諸外国との相対比価によって決まります。今日のように欧米社会がインフレーションに見舞われて、二けたインフレの時代であって、日本の場合には相対的に物価上昇率が小さい。こうなりますと、やはり日本と諸外国との間の相対比価を調整する意味で為替レートが円高の方に動きがちであります。為替レートが円高に動くということは、一画では物価安定効果を持つという面で好ましいことでありますが、他面では輸出関連産業の輸出の抑制要因になりますので、急激な為替レートの上昇を避けるような、そういう経済政策が行われることが望ましいというふうに考えております。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 北裏公述人にお願いいたします。

北裏喜一郎日本証券業協会会長

○公述人(北裏喜一郎君) 実は、昨年の三月でしたか、グリーンカード制度が五十九年から実施されるということで、いろいろわれわれ民間から見ますと、もう少し議論してほしいことがたくさんあったように思うのでありますけれども、すらすらと出てしまったものですから、その後の議論の方が多くて、われわれもまた暗中模索でございます。しかし、どうもいま先生おっしゃったように事務経費がかかってみたり、税収も予定より取れないかもしれないという懸念があるわけです。そのことはそうでありますが、もともと郵便貯金にいくか、銀行預金にいくかあるいは株式、公社債にいくかということは、もとは個人の金融資産の選択に任せても、蓄積が必要であります。うっかりすると、せっかく日本で蓄積した個人の金融資産が海外に流れてみたり、あるいは金だとか物だとか買ってみたりというようなことをする懸念もなきにしもあらずという感じがいたします。したがって、実は現在これははっきり必ずしも税金がうんと取れるというわけにいくかいかぬかということを明言するわけにいかないほど実は事務費はかかるんじゃないか。また実際うっかりすると海外へ流出してみたり、物を買ってみたりするおそれがある。中にはひどいのはまた土へ埋めてみたり、たんす預金したりというような人もあるかもしれぬという懸念さえ生まれるようなことがありまして、グリーンカード制度は去年の国会審議でもう少ししてもらいたかったと私どもは思っておるのが現状でございます。したがって、民間の私どもとしましてもはっきりした答えはできないのですけれども、どうもいま先生のおっしゃったような懸念も持っておるわけです。これはもう一度いろいろ推移を見たいと思っておりますけれども。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で経済、景気及び財政、税制に関する意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。鶴田公述人及び北裏公述人には、それぞれのお立場から貴重な御意見を側聞かせくださいましてありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、今後の当委員会の審査に十分役立つものと確信してやみません。ここに委員会を代表して重ねてお礼を申し上げます。(拍手)  午後一時から公聴会を再開することとし、これにて休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 予算委員会公聴会を再開いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  北田公述人、高垣公述人及び清水公述人におかれましては、御繁忙中にもかかわりませず、貴重な時間をお割きいただきまして本委員会のため御出席を賜り、まことにありがとうございます。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。本日は忌憚のない御意見を承り、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次拝聴し、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと思います。  それでは、順次御意見を承ります。  まず、産業、貿易について北田公述人にお願いをいたします。東京経済大学教授北田芳治君。

北田芳治東京経済大学教授

○公述人(北田芳治君) 御紹介をいただきました北田です。  産業貿易という題で意見を言えということですが、産業貿易ということでは、まあいま何といっても皆さん方も御関心のことと思いますが、自動車を典型とする貿易摩擦の問題があるのではなかろうかと思います。私、時間が大変限定されているわけですので、端的にこの問題に関連して率直な意見を申し述べたいというふうに思います。  予算をおつくりになる基礎になっていると思われます「昭和五十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」というのを読ましていただきましたが、その中で、たとえば「保護貿易主義の台頭の回避」とかあるいは「集中豪雨的輸出の回避を図る等貿易摩擦の回避に努め、調和ある対外経済関係の形成に努める。」と、こういう文章を拝見するわけですが、私などどうもこれを読みまして対症療法的なものにすぎないのではなかろうか、むしろ現実の方が先行していて、自由貿易の影はすでに大幅に、消滅しつつあるのではなかろうか、護主義のいわば波の中に巻き込まれつつあるのではなかろうか、しかもその大きな契機は、日本の余りにも巨大な輸出貿易そのものが契機になっているのではなかろうか、したがって、その対処がきわめて困難になっているのではなかろうか、これが真相ではなかろうかと思っております。  御承知のとおり、日本の輸出貿易は非常に少数な種類の商品が輸出で非常に大きな比重を占めておると思います。たとえば自動車、鉄鋼、船舶、家電、あるいは光学機器、その程度のものを合わせただけで日本の輸出貿易の約半ばを占めておるという、非常に少数商品の巨大な輸出というのが特徴でなかろうかと思います。しかもそれらの産業が高度に輸出産業化しておるという実態であります。で、こういうものがいわば日本の一九七〇年代の輸出貿易、ひいては日本経済の方向を支えてきた。私はこれを七〇年代型貿易構造と、こう言っておるわけなんですが、しかしそれがいわばすでに崩壊をしつつあると、大げさに言えばですね、そういう状況がある。たとえば一九七〇年代に非常に大きな日本の輸出の支えになっておりました家電部門のカラーテレビというようなのを見てみましても、一九七六年を頂点に輸出数量が激減中である、もっとも昨年は幾らか盛り返したようですが。それから鉄鋼も同じく一九七六年を頂点に非常に減少しつつある。たしか一九七六年に三千六百万トンぐらいの輸出であったと思いますが、現在三千万トンを切るところに来ておる。あるいは船舶の輸出にしましても、金額で言うと一九七七年を頂点に減少しつつある、これも激減中である。これらは七〇年代の日本の輸出貿易を支えたものであって、こういうものの減少、これは非常に大きな事態だと思いますけれども、これは御承知のように、決して競争力が弱いためではなくて、逆にきわめて現在でも強力であります。で、それがまあ逆説的に言いますと、競争力が強いがために口山貿易を破壊しつつある、事実上保護貿易を呼び入れつつある。鉄鋼にいたしましても、世界無比の競争力を現在保持しておる。つまりわが国の競争力弱化のおかげではなくて、競争力はきわめて強いにもかかわらず、現実に輸出が減少しつつある。  これはたてまえは何と申しましても事実上競争力が強い者が伸びられないという状況であるわけですから、何らかの意味で管理された貿易、何らかの意味で保護貿易的な内容を持って減少しつつあると、こういうことが言えるのではなかろうか。かつて日本は経済に対しては黒字を減らせ、あるいは円を切り上げせよ、あるいは市場を開放せよ、こういう圧力が欧米諸国から参ってきておりました。こういう圧力は私どもの見る限り依然として続いてはおると思いますが、しかし一九七〇年代後半には日本のそういう非常に少数の商品の輸出が欧米の重要な産業の崩壊の一因となる、それをめぐってトラブルが起こり、次から次へと事実上保護貿易の波に巻き込まれつつあるのではなかろうか。もちろん相手先の欧米の産業の競争力弱化ということが問題ではありますけれども、しかし、日本の輸出第一主義的な経済構造にも大きな問題がひそんでおるのではなかろうかと思います。  先ほど七〇年代型貿易構造と申しましたが、いわばその頂点が自動車であって、その他の主要輸出品が減少しつつありますが、自動車の輸出は伸びつつあった。昨年の自動車の輸出は、御案内のとおり、台数でわずか一年間に三〇%以上増加した。そして総生産台数のうち五四%が輸出に回っておるということが自動車工業会等の数字で明らかになっておるようですが、私はこれは相当むちゃな構造ではなかろうか。これが世界でそのまま通っていくという事態ではないのではなかろうか。こういう席ではなんですが、私は極端に言うとかなり狂気の構造といったような問題ではなかろうかと思っております。  この自動車の急激な輸出、これをめぐって昨年一九八〇年一年間は自動車摩擦に明け暮れたと言って差し支えありませんし、なお現在緊張した状態が続いている。そして、自動車についても基本的に言えば日出貿易の時代は過ぎ去りつつある、公然と貿易が統制されるか統制されないかは別にしまして、事実上競争力が強いにもかかわらず伸びられないという状態がついに自動車にも参っておるというふうに思います。  こういう事態、これはいわば日本の政府が七〇年代ずっと掲げ、そして今回の「経済見通しと経済運営の基本的態度」でも自由貿易の拡張をうたっておりますけれども、自由貿易をこちらから崩していく、そういう事態ではなかろうかと思っております。今後わが国経済が、たとえばその他の商品で競争力を高める政策をとるということは決してもはや解決の方向にはならないでありましょう。つまり、摩擦が次から次へ起こり、規制が実質上行われるというコースをたどるにすぎないということを感じております。  経済見通しと経済運営の基本的態度では、特に今後プラント輸出の増加ということをうたっておるようです。これは今年度の経済白書が、たとえば摩擦のない輸出がこれからは必要である、中近東とかあるいはブラント輸出を重視せよということを打ち出しているようです。そういうことが下敷きに恐らくなっているだろうと推量いたしますが、それは輸出拡大ということを前提にすれば確かに望ましい方向の一つであるというふうには考えられるかもしれませんけれども、しかし依然として問題は輸出環境の確保が最大問題であるというような姿勢がそこには見える。しかし、それは私はかなり問題ではなかろうかと思います。輸出偏重的な行き方自体、それが現にいわば崩壊しつつあるときになぜ根本的な反省が加えられないのであろうか。  私の考えでは、日本政府は長期間いわば大企業の輸出伸長を第一義的な経済政策としてきておりました。特にオイルショック後、大企業の異常なまでの減量経営といわれる合理化ということが容認されてまいりました。しかし、それは先ほど言いましたように、自動車産業がその生産力の半ば以上輸出に振り向けるというような完全に奇形的な構造をつくり上げてきたように思いますし、今後日本経済が正常に発展していくためにはきわめて脆弱な構造であろうと思っております。政府は最近しきりに経済安全保障ということを言っておりますけれども、このような奇形的な構造の改善こそ国民生活の将来にとっての安全保障になるのではなかろうかと思います。  この際問題の性質を幾らかはっきりさせるために、私は、たとえば自動車に関してアメリカの労働組合とかあるいはアメリカの自動車メーカー自体あるいはアメリカ政府が日本の自動車企業のアメリカへの進出、企業進出を要望しておると、そしてよく報道されておりますように、日本の通産省などもその方向で業界を指導されてきたように思われますが、これはどういう意味なんであろうか。  私は基本的な問題としては、アメリカ企業のいわば多国籍的な性格、それから日本の企業の輸出志向的な性格との衝突というところに基本的な問題点があるというふうに思っておりますが、しかしそういう問題はこの席では別にいたしまして、このことを平たく別の言葉で言えば、アメリカの企業なり労働組合なりは日本国という生産条件、これは日本の自動車メーカーなりが生産しているその生産条件を基礎に、それを基礎にして輸出を非常に大規模に行っておる、そういうことをひとつやめて、アメリカと同じ生産条件で、つまりアメリカの賃金、アメリカの労働時間、あるいはアメリカの労働組合の権利の状態等々ですね、そういうものを等しくして競争したらどうかということがアメリカの企業や労働組合の要求の内容だろうと思います。ということは、逆に言えば、日本の労働者のたとえば企業の賃金、端的に言って相対的な低賃金、相対的な長時間労働、あるいは日本特有の下請の搾取の構造、こういったものが客観的に言えば批判されているのじゃないだろうかというふうに思います。また逆に日本の企業から言えば、そういう生産条件を基礎に輸出競争力を持っておるわけですから、本当は触れたくないと、これはもう御案内のとおりであります。  しかし、この批判をかわすために、また貿易摩擦の解消を目指して、若干の企業進出を考えておられるようです。しかし、その場合には、進出した企業に関しては向こうの生産条件で生産をする、そして、競争上うまくいくかいかないかは知らぬけれども、やってみよう、しかし、国内の生産条件はこれはいままでどおりの条件を温存していこう、むしろ外国へ投資を行うということは国内での投資規模がそれだけ少なくなるわけですから、ある意味で言えば従来の国内の生産条件は一層強化される。しかし私は、本当に対外経済関係を整える、それは先ほどの基本態度に出ている言葉ですが、もしも整えるのには、外国へ行って向こうの条件に合う生産を部分的にするということではなくて、日本の国内の外国から比べると相対的な長時間労働、あるいはよく指摘されております残業、あるいは相対的な低賃金という構造を幾らかでも変え、国内の生産条件を改善し、変革することを基礎に、それによって強過ぎる競争力あるいは輸出志向的体質を幾らかでも変えていくことがいま望まれていることではなかろうか。言うまでもなくこれは下請あるいは中小企業というような問題までも含めて考えるべきことだろうというふうに思っております。  経済見通しは国際摩擦の解消ということで内需拡大ということを同時に言われております。内需拡大をどうやってやっていくかということについては触れられておりません。私はたとえば日本の産業の異常なまでの輸出競争力が世界的に問題を起こしている中で、たとえば日本の昨年の実質賃金の低下幅がアメリカ、イギリスに比べても大きかったということは非常に重要視すべきことだろうというふうに思っております。アメリカ、イギリス等でも実質賃金の低下が見られているようですが、御承知のとおり、日本の低下幅が一番大きい。で、これが現在の経済の沈滞、不況、これのかなり大きな原因になっているように思われますが、これはこういう問題を自動車摩擦ということにしぼって意見を申し上げたわけですが、関連する事柄ではなかろうかというふうに思っています。とにかくこれまでの経済運営の基本的な方向に若干の修正を加えるべきではないかというふうに私は思います。  もう時間が過ぎたようですので、最後にちょっと一言つけ加えますと、たとえば経済の安全保障というような形で、そういう対外的な摩擦そのこと自体ではなくて、たとえば対外経済協力を広げるとかというようなことを担保にしていわば大企業の輸出環境をつくっていこう、あるいは維持していこう、こういう方向がもしありますれば、本末転倒なことだというふうに思っております。  大変率直でぶしつけな意見を申し上げました。ありがとうございました。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  次に、エネルギー問題について高垣公述人にお願いをいたします。財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事高垣節夫君。

高垣節夫財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事

○公述人(高垣節夫君) 御指名によりましてエネルギー問題につきましての若干の見解を述べさしていただきたいと思います。日本エネルギー経済研究所の高垣でございます。  エネルギー問題につきましては、御承知のように非常に多様な意見もございますので、アウトラインをごく手短に話さしていただきまして、後ほどいろいろ御意見なり御批判を承り補足したいと思います。  わが国はすでに二回にわたりましていわゆるオイルショックというものを経験したわけでございまして、その結果、非常にエネルギーの供給不安あるいはエネルギーの高価格化ということにつきまして懸念が増大しております。そのことを大きな理由といたしまして、一九八〇年代の不透明さ、不確実さということがよく言われるわけでございますが、私の考えでまいりますと、日本経済がこれをいかに乗り切ったかというその結果を前提にいたしまして、幾つかの新しい局面があらわれてきておるように思います。今後のわれわれのエネルギーについての考え方も、そういったことを前提にして新しい局面に踏み出すべきではないかというのが私の印象でございます。  そういった将来の見通しを述べるにつきましては、当面の情勢でございますが、今日の瞬間で申しますと、石油需給はややだぶついておる、緩和基調であるというふうに言われておるわけでございますが、私どものいままでの経験から見ますと、当面のイラン・イラク紛争ということで失われております石油の生産量というものは非常に大きな規模でございます。最近イラン、イラクの生産が回復し、輸出もわが国向けに出てまいっておるわけでございますが、これも非常に大きな視点から申しますと、ごく最近またサウジアラビアの減産が伝えられておりますように、世界全体としての生産調整、在庫調整的なその機能は着実に進んでいるのではないだろうか。わが国といたしましては、あるいは国際エネルギー機関のような国際機関におきましても、当面は豊富な石油の備蓄量があるから大丈夫であるという見通しがございまして、これは人心をおさめパニック心理にかき立てないという意味においては非常に重要な施策であったと思いますが、今後の展望として考えますと、現在需給のアンバランス、つまり供給不足量は無視できない規模でございます。一日当たり百五十万バレルあるいは二百万バレルと言われておりますけれども、この状態が一年間続きますと、現在言われております豊富な備蓄ということもやや調子が変わってまいりまして、再び需給が堅調に向かっていくと、こういうことに相なるのではなかろうか。恐らくそのような調整期間というものは、ことし一年間というふうな期間ではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。そのような一種の警戒感、消費国といたしましてはそのような警戒感もあわせ持ちながら、あわてることはございませんが、将来に着実に備えていく必要があるだろうというのが私の感触でございます。  それから第二番に、そのような需給と関連いたしまして石油価格でございますが、昨年の暮れのOPEC総会におきましてきわめて不明瞭な価格決定が行われたわけでございます。俗に一バレル四ドルの値上げがあったと言われ、反面わが国の大量の原油の供給源でありますサウジアラビアは三十二ドルの状態に据え置く。事実上この三十二ドルというのは昨年の六月のOPEC総会ですでに示唆されておる価格でございますので、事実上これは据え置きに等しいという両極の見解があったわけでございます。  このように不可解な価格決定が行われました理由も、考えて見ますと、わが国に対しての原油供給価格の数字を参考にいたしますと、加重平均いたしますと、サウジアラビアの三十二ドルという原油がかなりのウエートを占めておりますので、平均して一バレル三ドルぐらいの値上げであっただろうかと思われます。しかし新聞等で伝えられておりますように、いわゆるプレミアム、公式の価格に上乗せする額はかなり引き下げられておりますし、またわが国がかなりの量で買っておりましたスポット原油の価格、これも鎮静しておりますし、またそのスポット原油の買い付け量も減っておるということで、平均原油の入者コストというものが、一時言われたような三ドルとか四ドル、こういう幅での値上がりには恐らくなっていないだろう。つまり年度の当初におきましては、OPEC総会直後に言われたほどの大幅な値上げはなかったのかもしれない。しかしこれも需給の推移、先ほど申し上げましたように、現在の需給のアンバランス、供給不足量というものはかなり大きなものでございますので、これが一年間続きまして需給が堅調に推移いたしました暁には、確かにOPEC強硬派の申しておりますように、一バレル三十六ドルないし四十一ドルという高目の価格水準が現実にわが国の石油輸入外貨負担となってあらわれてくる可能性は十分あると、こういうふうに考えておるわけでございます。  このようなOPEC総会での二重と言ってもいいような価格体系があの中にあったわけでございますが、年度当初においては比較的穏やかな実質的な値上げ、年度末にかけてこれがむしろ高目の方の価格体系が有効になって作用してくると、こういう特徴のある一年間ではないだろうかというふうに考えております。  このような試練、第一回、第二回のオイルショックに日本経済は何とか耐えてきたわけでございます。御記憶と思いますが、昨年当初にはいわゆる石油に弱い円というのが、わが国のみならず広く海外にも、言ってみればキャッチフレーズのようになりまして、ムード的に日本の円レートもかなり安くなってきたわけでございます。しかしそのような懸念にもかかわらず、わが国の貿易量、輸出量は急速に伸びてまいりまして、貿易収支も何とか黒字を回復するという見通しが出ておるわけでございます。  私どもの立場から見ますと、昨年四月に卸売物価が対前年同月比二四%という、世界の先進工業国に比べて最悪の状態を記録したわけでございますが、そのような卸売物価の上昇を産業別に分解してみますと、石油に直接リンクした産業、石油精製販売業はもとより、あるいは電気、ガス、あるいは石油化学と、こういった石油に影響の受ける度合いの大きい産業では、たとえば石油製品が二倍になり、電気、ガスが五、六〇%値上がりしというふうな波及効果はあったわけでございますが、そういった原・燃料、動力、素材というものを使いまして、最終的な付加価値の高い精密機械産業等々におきましての物価上昇率というのはきわめて低かった。これはその生産性の非常な高さ、それからただいま北田公述人が指摘されました賃金水準の問題もございましょうけれど、それらの問題があわせもちまして、統計に。よりますと、輸送機械、自動車でございますが、前年比わずか二%の物価上昇率でしかなかった。恐らくカラーテレビであったりエレクトロニクス産業、すべてそういうふうな範疇に入ると思いますが、平均値で申しますと、ただいま申しましたように二四%もの高率の物価上昇率であるにもかかわらず、国際競争の場で争っております先端的な輸出産業の場合にはほとんど物価の上昇度合いはなかったと、こういう状態が確認されたのではないだろうか。つまり石油に弱い円あるいはエネルギー高価格に弱い円と言われますが、わが国の産業構造あるいは技術のシステムというものを前提にして考えますと、この大きな石油輸入用の支払い外貨の負担が国民全体の産業構造、技術体系の中で巧みに解消され、依然として強い輸出競争力を保持したということが確認されるのではないだろうか。このことは将来の、あるいは第三次オイルショックというものがあるかないかということも一つの問題ではございますが、今後の高エネルギー価格時代に、日本経済はどこまで成長が続けられるかどうかという展望を議論する場合の大きな視点の分かれ目になるのではないだろうかというふうに考えております。  このような経過をたどりまして、幸い二度にわたるオイルショックをわが国の経済は切り抜けまして今日に至っておるわけでございますが、今日の瞬間を特徴づけてみますと、このような引き続き持続的な成長の可能性を持っておる日本経済につきまして、たとえばオイルダラーの流入現象に見られますように、日本円を買うという傾向になっており、このことが長短期の資本収支の黒字を呼び起こし、したがって円が強くなる。円が強くなれば輸入原材料価格は下がる、卸売物価は鎮静するというようなことで、ごらんのようにすでに対前年同月比では四%を切るという傾向のようでございます。卸売物価の総合指数がすでに二二二の台にまで落ちておりますが、若干これが下がるようなことになりますと、対前年同月比の卸売物価の上昇率はゼロ、あるいは極端な場合マイナスというようなことになりまして、ますます経済は安定化していく、そういう好循環の局面にあるのではないかと思います。これは当面の状況でございまするので、このような経過をもって、二度日のオイルショックというものをほぼわれわれは乗り切るめどがついた段階と言ってよろしかろうかと思うわけでございます。  次に、長期の問題でございますが、このように何とか巧みにこの危機を乗り切った日本経済でございますが、長期的にエネルギー問題の深刻さが解消したと言えないことはもう言うまでもないと思います。その内容でございますが、御承知のように石油の供給制約、具体的に申しますと、中東産油国の増産忌避、危惧、これは工業化の進展が停滞しておるとか、あるいは原油を掘りまして資金化いたしましても投資先がどうも不安定である、より具体的に言うならばドルの価値が減少するというようなこともございまして、二重、三重の理由をもって中東諸国の工業化の試みはいま挫折しかかっておるという現実があると思います。これをどうするかということは、また別の問題として後ほど触れられればと思いますが、ともかく今後石油の供給量、海外からの供給量は減りこそすれふえることはない。近く、六月でございますが、国際エネルギー機関の閣僚級理事会がございますが、そこでもかつて取り決められました一日当たり六百三十万バレルという石油の輸入量が恐らく削減されるということはほぼ確実ではなかろうか。  これに対してわが国が耐えられるかどうかという点は、先ほど若干申し述べましたように、日本経済がエネルギー高価格化という条件のもとで高付加価値、同時にまたエネルギー省消費型の産業の伸びが非常に著しい。つまり産業構造が徐々にそういう高付加価値型の産業に、タイプに切り変わりつつあります。  一例を申しますと、エレクトロニクス産業のように、エネルギー自身をそれほど使わないけれど金額としては非常に張る。自動車しかり。こういうふうな産業が伸びてまいりますと、経済成長の割合に対してエネルギー需要の伸びる割合は、これはかってはその相互の関係は一対一と言われていたわけでございますが、最近の傾向ではこれが〇・五とか〇・六とか、こういうふうに変わってきておりますので、今後引き続き省エネルギー型の技術を各産業で追求し、また産業構造全体がいま申しますような高付加価値型のものにその重点が移っていくならば、安定成長のもとでわれわれはより少ないエネルギーで切り抜けていく見通しもないわけではないであろうというふうに思うわけでございます。  しかし、そういった先ほど申しましたような中東諸国の政治経済情勢ということになってまいりますと、エネルギー消費の減少はイコール石油供給量が一定であればそれだけその需給バランスは豊かになるはずでございますが、それに合わせて石油の供給量を減らしたいというような傾向にいわば連動してくるおそれもございますので、わが国といたしましてはやはり石油以外のエネルギーを強力に開発する必要があるだろう。わが国では原子力と石炭ということがその主題になっているわけでございます。  原子力につきましては、御承知のように、いろいろとその安全性の問題あるいは地元の住民に対する補償の問題等々で問題が起きておるわけでございますが、昨年この予算委員会でも御審議になったと思いますが、このような電源が開発されることによって、地元住民に対してそのフェーバーが反映するような福祉的な諸施設の建設並びにその維持費あるいは電気料金自身の引き下げといういろんな手段がとられたことによって今後の進展が期待されておる。この辺の評価につきましていろいろ御意見があるかと思いますが、これは諸外国の例等を比べてみましても、わが国の一つの思い切った進展というふうに言ってよろしかろうかと思います。  それから石炭につきましては、主として火力発電用に使われ、あるいは一部セメント産業等にも入っておるわけでございますが、石炭について長期的な問題といたしましては、やがて石炭価格が重油の価格水準に連動いたしまして同じような価格水準にまで引き上げられるのではないか。わが国独自の石炭資源がない以上、やはり輸入物資として同じような価格上昇傾向をたどるのではないだろうかというふうに懸念されるわけでございますが、現状で申しますと、最近二年間、一昨年から最近に至るまで、確かに石炭価格のFOB、向こうの積み出し価格は現在までに約二倍に上昇しております。かつてトン当たり二十ドル見当のものが、最近ではスポット物でございますが四十ドル、四十五ドル見当まで上昇してまいっております。このような趨勢があらわれました以上、今後輸入炭に対してどのような施策を講ずるかということが非常に大きな課題になっておると思います。ただ、現状程度でございますと、石炭のカロリー当たりの単価というものをはじいてみますと、石炭の使用上の繁雑さ、いろんなデメリット、欠点があるわけでございますが、それらを勘案いたしましても、重油の日本着一トン当たり二百ドル見当に対しまして、同じ重油に引き直してみて、使用上の不利さを考慮いたしましても、私の計算では百二十ドル見当、つまり四割方安いのではないだろうかというふうに思っておりますので、もしこのような計画を推進するのであるならば、なるべく早目にこういった資源の対策を施していくべきではないだろうかというふうに思います。  それから資源確保、エネルギーの供給確保につきましては、一つの特徴的な点は、石油につきましても、石炭につきましても、あるいはその他のエネルギー源でもそうでございますが、最近のようにエネルギーの価格水準全体が高くなってまいりますと、かつてのように運賃部分によって全体のエネルギー入者コストが影響される度合いが少なくなった。かつては、たとえば石油産業におきましても、経営上の手腕は運賃にあるとさえ言われたわけでございますが、最近はFOB価格が三十数ドルあるいは四十ドルと言われる中で運賃はせいぜい数ドルと、二、三ドルというようなことでございますので、かなり遠隔の地の資源もわが国のエネルギー供給資源としての射程内に入ってきた。恐らく地球上のあらゆる部分がわが国の資源供給の潜在的可能性を持つようになってきた。そのような資源をわが国に持ってまいりましてわが国経済は耐えられるかどうかという点は、先ほど申し述べましたけれども、わが国の効率の高い、生産性の高い産業体制のもとで私は十分その可能性を持っているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  その面から申しましても、ごく最近ではオイルシェールというものが注目されてきておるわけでございますが、これは石油に比べまして確実性がある。石油は穴を掘ってみて空っぽならば空井戸でおしまいでございます。石油というのは地下で若干移動するわけでございますけれども、石炭並びにオイルシェールというものはあるとなれば確実にある。このようにわれわれの技術でマネージできる種類の膨大な資源というものがエネルギー広角化によってわれわれの手に入る見通しができてきたということは、冒頭申しましたように、二回のオイルショックを経、エネルギーが広角化した今日の時点において将来の施策を講ずる上での新しい条件、新しい局面と言ってよろしいのではなかろうかと思うわけでございます。  最後に、中東問題は依然として大変でございます。わが国にとって大変であるのみならず、世界的にも大変でございます。よく言われるように、現在中東の政治経済情勢を主導する国はだれかという件につきまして、アメリカの影響力が後退し、果たしてだれがその主導権を握るかという点がよく議論になるわけでございますが、それがだれであるかという形で私はお答えできませんが、実際の中東諸国を訪問し、向こうの指導者と話し合ったりした経験から申しますと、イラン・イラク紛争の例に見られますように、とりあえずこの戦禍から復興するための日本経済、技術力に期待するところは非常に大きいということでございます。  で、対中東政府につきまして武器を売って中東諸国の歓心を買うべきであるという議論もございますが、反面わが国の対中東輸出というものはイラン・イラク紛争の経過からいたしまして、初めてアメリカを抜き、世界で首位に立ったわけでございます。わが国が輸出しておりますのは言うまでもなくブラント類中心でございまして、平和的な経済復興というものに役立つはずでございます。わが国といたしましては、再び戦火が巻き起こるような形の援助をすべきなのか、あるいは恒久的に平和な状態が続くというその前提に立った援助をいたすべきか、これは明らかに後者のようなことに相なると思い、同時にこれは私ときどきこういう私見を述べておるのでございますが、今日の中東情勢の不安定さと申しますのは、かつてのように貧しい国が富める先進工業国に対しまして富の不均衡を訴えて集団的な行動を起こしておる、そのような不安定さをいま脱却いたしまして、かなり豊かになり、軍事力を持ち、産業力も持った国が非常に長いイギリスの植民地的統治時代のような経験を踏まえましてかなり強くなった隣同士の国が互いにせめぎ合うというのが今日の不安定さの大きな理由になっておる。こういった中東諸国の間の諸関係をいかに平和な状態に、それぞれが繁栄するような方向に持っていけるかという点になりますと、何といっても日本の工業技術力が一番物を言う。そのときにわが国がどのようなアドバイスをし、また援助していくかということによって、中東諸情勢の不安定さというものもかなり解消していくのではないだろうか。しばしばわが国がこういった中東諸国の紛争に調停的役割りということが言われるわけでございますが、今日これはいわゆる一般的な議論の段階ではございませんで、きわめて具体的にわが国がどのような援助をし、中東の人たちが将来の経済繁栄を目指すことができるのか、そういったところまでわれわれの援助は届き得るのではないだろうか。そのときの中東諸国の情勢、あるいは石油供給力が削減する一方というふうに冒頭申しましたけれど、そのような流れもあるいは場合によっては変わる可能性もないわけではないというふうに思っておるわけでございます。  どうも長時間になって失礼いたしました。以上でございます。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  次に、情報公開について清水公述人にお願いをいたします。青山学院大学教授清水英夫君。

清水英夫青山学院大学教授

○公述人(清水英夫君) 本日は参議院予算委員会公述人としてお招きいただきましたことを大変光栄に存じております。  私に求められましたテーマは、情報公開についてということでございますが、この問題につきましては諸先生も御存じのとおり、すでに一昨年の秋、故大平総理の口から、情報公開について前向きの姿勢で取り組むという言葉が公的になされましたし、また昨年の国会におきまして中曽根行管長官が、情報公開は歴史の方向であるということを確認されましたし、またせんだっての本予算委員会におきまして鈴木総理、中曽根長官及び園田厚生大臣その他の関係閣僚の方から、情報公開について非常に前向きの発言がなされましたので、私からくどくどと申し上げる必要もないと思いますが、本日は専門的な立場から情報公開について私の見解を述べさせていただきたいと思います。  まず、情報公開とは何かということでございますが、これは個人のプライバシーなど一部の情報を除きまして、原則として公共の機関が保持する情報、特に政府省庁が持つ情報をだれに対しても請求に応じて提供するという制度でございます。  もちろん、これは原則でありますから、当然例外もあるわけであります。しかし、この例外が余り大きく、かつ、漠然といたしますと、そしてその判断が行政省庁の自由裁量に任される場合には、ほとんど制度としての役割りをしないわけであります。したがいまして、例外を設ける場合にも、それは次の四点が大切な制度上のポイントになるわけであります。これは私がそう思うのではなくて、最近、西側ヨーロッパ諸国によって構成されます欧州評議会――カウンシル・オブ・ユーロップの閣僚委員会が作成中の情報公開制度促進勧告案、近くまとまると思いますが、その中にあらわれている諸原則であります。  その第一は、正当な公的利益、私的利益の保護に必要な最小限度の制限、制約でなければならない。つまり制限、制約というものは最小限度であるべきである。  それから第二に、公開非公開の基準が公開の法的措置で明確に設定されていなければならないというのが第二であります。  それから第三は、個別的な例外措置、つまりある情報を非公開とするという場合にもできるだけその理由が明らかにされなければならないというのが第三であります。  それから第四に、非公開措置について不服の者は公正な機関に訴え出て救済を求めることができる。  以上の四つのポイントが制度上不可欠なものであるとされているわけでありまして、これを欠く場合には情報公開制度という名で呼ぶことは少なくともできないわけであります。  次に、第二に、情報公開の必要性、なぜ情報公開制度というものが必要であるかという点について簡単に二つの問題点にしぼって御説明いたします。  第一は、情報公開制度の終局的な目的は開かれた行政の実現にあるわけであります。情報公開そのものが目的ではなくて、問題は開かれた行政というところに置かれるわけであります。そして、それは国民や住民による行政への監視と参加という、まさに現代行政の民主化における二つの重要な問題にまたがっているわけであります。単に、ややもすれば情報公開制度は行政の不正、汚職等の監視の点が強調されやすいのでありますけれども、もちろんそういった役割りはありますが、市民が行政に参加していくというために不可欠の情報入手のチャンネルを持つということが大きな意味を持つわけであります。さらに、それだけではなく、この複雑な現代社会におきまして、国民が健康で文化的な生活を送るという上でも情報公開制は不可欠であると考えるわけであります。  次に、情報公開の必要性に関する第二のポイントでありますが、これはむしろ情報公開の社会的背景とでも言うべきものであると思いますけれども、現代は、御承知のように情報化社会と呼ばれております。これは情報の量的増大、質的多様化とともに、いわゆる情報というものが市民生活において決定的な役割り、比重を持つものに至っているということを意味しております。もちろん、情報化社会とは何かという点につきましては、内外の学者がそれぞれの定義、分析を加えているわけでありますが、ここではごく常識的に情報化社会という言葉を受け取っていただきたいと思います。この量的に増大し、質的に多様化した情報を、市民は一般的にはその大部分をマスメディアに負っているわけであります。直接に自分たちが情報を入手するということもまれでありますし、また政府省庁等による広報活動によって情報を入手するというのも比率的にはそれほど大きな比率を持たない。ほとんどが新聞、テレビ等を通じて得ているわけでありますが、しかしながら、かかるマスメディアはそれらの重要な政治的、社会的、経済的情報をみずから生産しているわけではありません。またみずから管理しているわけでもないわけであります。現実には中央、地方の政府省庁が情報源であり、その管理者であります。このことは二十世紀の国家が行政国家であると言われておるときからすでにその芽生えはあるわけでありますけれども、中央、地方の政府の役割りというものが非常に増大化しつつあることと相まちまして、今日では決定的な重要性を持つ情報というものは政府省庁によって生産され管理されているというのが、これが先進諸国における共通した現象であります。これもまたヨーロッパ評議会において確認されている先進諸国における共通の現象であります。また、メディアはメディア自身の利益から、提供すべき情報を、ある場合にはゆがめたり、ある場合には報道しないという場合もないわけではありません。こう見てまいりますと、市民は本来自分たちの財産であるところの公的情報にみずからアクセスすることによって必要な情報を入手するという道が開かれていなければならないということが御理解いただけることと思います。  次に、第三の大きな問題として情報公開制の法的根拠について述べさしていただきます。  言うまでもなく、国民主権に基づく民主主義国家におきましては、国政の主人公は国民でありまして、国民は当然省庁の保有する情報について知る権利を持つわけであります。これは住民主権に基づきます地方自治においても同様のことが言えるわけであります。  ところが、わが国の憲法のみならず、およそ近代憲法におきましては、立法過程すなわち議会の議事に関する過程、それから司法過程すなわち裁判につきましては憲法がみずからその公開性を保障しております。しかしながら、行政府のいわゆる行政過程の情報については憲法は直接には何も規定していないわけであります。ただし、憲法は言論、出版の山出を保障しておりますし、今日においてこの言論、出版の自由というのはむしろコミュニケーションの自由である。最近はライト・ツー・コミュニケート、コミュニケートする権利というような新しい概念も提出され、また国際人権規約等においてもそのようなコミュニケートする権利というものが前提となって言論、出版の自由が考えられております。  さらに、先ほど申し上げました国民が政治のいかんについて詳細に知るということはおよそ国民主権のもとにおいては当然のことでありますから、したがって政府省庁の持つ公的な情報に自由にアクセスできるということは憲法上当然のことと言わなければならないわけであります。  いまも申し上げましたように、わが国が批准いたしました国際人権規約におきましても、人々はあらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を持っているという条項がございますが、それらが根拠になるわけであります。けれども、憲法上の原則からいいまして抽象的な権利として知る権利が憲法上認められるといたしましても、それが具体的な権利であるためには、さらにはっきりとした法的根拠を原則として必要とするわけであります。すなわち、実定的な知る権利を保障する法律がない場合には、知る権利といいましても、一種の自由権的な基本権としてしか機能しないというのが一応近代憲法上のシステムになっておりますので、この点については、はっきりとした実定法上の根拠を必要とするということが言えると思います。  情報公開というのは、このような知る権利を実定法上の権利として具体化し、市民の要求した情報を提供することを政府に義務づける制度であります。このために、利害関係人だけではなく、市民自身が必要に基づいて情報を入手する道が開かれるわけであります。このような理解は、今日の情報公開制を採用している国々においてほぼ共通した見方になっておりますが、しかしながら、それぞれの国にはそれぞれの憲法制度があり、またそれぞれの国にはそれぞれの政治的事情がありますので、情報公開制が一本でなければならないとか、あるいは一つの決まったパターンがあるというわけではございません。その国に最もふさわしい情報公開制をしくことが抽象的には確認されなければならないわけであります。  ただしかしながら、憲法的な政治制度上から言えば、これは諸先生の前ではまさに釈迦に説法に属するたぐいであるとは存じますけれども、アメリカの大統領内閣制、プレジデンシャルガバメントのシステムよりもむしろウェストミンスター型と言われるイギリスの議院内閣制の方が、基本的にはわが国の憲法政治制度に近いわけであります。したがって、情報公開法、あるいは情報自由法を制定する際には、それらの国の状況というものが非常に参考になるのではなかろうか。後ほどまた御質問があればそのときに申し上げますけれども、イギリスにおきましても、おくればせながら一九七九年にオフィシャル・インフォメーション・ビルというものが提案されまして、これが検討されておりますし、同じくウエストミンスター型を踏襲しておりますオーストラリア、豪州におきましてもフリーダム・オブ・インフォメーション・ビルというものが提案されまして、詳細な上院のレポートもすでに発行されております。それらの制度についてはさまざまなメリット・デメリットがあるわけでありますけれども、それらにつきましてここでは詳細に申し述べている時間がございませんので、以上をもって私の公述を終えさしていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議

○岩動道行君 三人の公述人の方にには、大変貴重な御意見ありがとうございました。時間の関係もございますので、私はエネルギーに関してだけ質問を申し上げ、御意見を伺いたいと思います。  エネルギー問題は大変広範で深い問題でございますので、高垣公述人におかれてもきわめて総括的なお話でございましたが、その中でも特に石油問題については、中東情勢のいかんが非常に大きな影響を日本経済には持っているということになるわけでございますが、この点につきましては議論をしている服もございませんので省略いたしますが、日本のエネルギーの需給見通し、これで昭和六十五年、原子力については五千三百万キロワット、石炭については一億五千万トンの一般炭の活用、これが一つのターゲットになっておりますが、これにつきまして、本当に六十五年までにやれるかどうかということは非常にむずかしい。机上のプランに終わるおそれも多分にあるという気もいたします。しかし、これを達成しなければ日本の安定的な経済成長も達成できない。そうなってまいりますと、高齢社会を迎えての社会福祉の充実、整備も行い得ない。あるいは雇用の問題も非常に深刻になってくる。そして世界経済全体の中で、いま日本だけが正常な姿で進んでいる。もう三つの機関車と言われたアメリカも脱落をしている。あるいはドイツも脱落してしまった。このときに日本がしっかりしなければならない。あるいはドイツ、アメリカもしっかりしてもらうように立ち直ってもらわなければいけない。したがって、経済摩擦の問題についても協力が必要でありますが、そういう中において需給見通しと経済成長、これをどのようにして本当に達成していかなければいけないのか、石炭については特に開発の問題、輸送の問題、そして灰の捨て場の問題、公害の問題等、これは石油以上に大きな問題を控えております。あるいは原子力と同様にいろいろな問題を含んでいると思います。これらの点について、さらに具体的なお見通しと対策、どこに重点を置くべきかということを伺いたいと思います。  なお、この機会についでに伺っておきますが、あるいはお読みになっているかどうかわからないのでございますが、最近「東京に原発を」と、そして新宿に第一号原子炉をつくったらどうかというきわめてショッキングな本が出ておりますが、これをもしごらんになっているとするならば、これに対する感想をこの機会に伺わせていただきたいと思います。  以上であります。

高垣節夫財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事

○公述人(高垣節夫君) お答えいたします。  非常に最後の問題はむずかしゅうございますので、いささか辟易いたしますが、冒頭の全体のエネルギー需給見通し、その中での原子力及びいわゆる石炭の開発見通しにつきましては、まず第一に、いささか通産省の皆さんにかわって釈明するような形になるかと思いますが、東京サミットの席上におきまして、フランスのジスカールデスタン大統領から突如として石油の輸入量を現水準にとどめようではないかという提案があり、わが国は大いにあわてたといういきさつがございます。私どもはその中東の諸情勢、非常に工業化を急ぎ、その結果、政治、経済的に社会的な不安が高まりつつある。とてもこれは持続できることではないというふうに考えておりましたし、EC諸国は東京サミットの始まる前に、二回にわたって輸入水準を現状にとどめるという決議もしておりましたし、出るべきものが出てきたというふうに考えたわけでございますが、何はともあれわが国におきましてはこの提案は非常にショッキングなものでございました。つまり、従来の高度成長に対するエネルギーの補給源はすべてと言っていいぐらい石油並びに天然ガスであった。石油系のエネルギーであった。この増量を停止するということは、事実上わが国の経済成長に対し制約条件を課したということでございますので、大変これは困ったことだと受け取られたのは当然だと思います。したがいまして、その六ないし七%の経済成長を今後維持しようと、そのためにはこれだけのエネルギーが要るという形で急遽試算されたものが、現在言われております長期エネルギー需給暫定見通しであると思います。わずか一カ月ないし一カ月半の作業ででき上がったものでございますので、十分な根拠がなかったという点も間々あるかと思いますが、これは追及する方が少し私は酷だと思います。もし、できると、できたはずだとおっしゃる方がいられればどうぞつくってみてください。そんな簡単なものではございません。  まあそういうことは別といたしまして、約二年余り経過したわけでございますが、現時点で考えてみますと、予想以上の省エネルギー努力も実を結んだし、先ほど申し上げましたように、日本の経済成長の担い手が精密機械工業あるいは機械工業全般という高付加価値型のものに移ってくる傾向が非常にはっきりしてまいりましたので、今後の安定的な経済成長の重心がそのような産業を担い手とするならば、この暫定見通しで考えられました、つまり経済成長一ポイントであるならば、それに対応するエネルギーの伸び率は〇・八ぐらいだろうというふうな前提で計算されているわけでございますが、私どもの試算によりますと経済成長一ポイントに対して恐らく〇・六見当でいけるのではないだろうか。  具体的に申しますと、高度成長期の鉄鋼であるとかセメントであるとか石油化学であるとか、いわゆる建設用の素材産業、これが先行投資分を含めましてきわめて大量の生産をし、またしたがって大量のエネルギーを消費していた。しかし付加価値率から見るとそれほど高くもなかったかもしれない。今後はそうではなくて、エネルギーの消費量は比較的少ないにもかかわらず高付加価値である、こういうふうな産業構造になってまいりますと、私どもの試算ではおよそ目標年次、たとえば昭和六十五年度でございますが、暫定見通しにおきましては石油換算七億キロリッターのエネルギーが必要であるだろうと試算されておるわけでございますが、およそ数字の瑣末は別といたしまして、八掛けぐらいのところでいけるのではないだろうかというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、そのエネルギー必要総量に対する内訳につきましても、私どもは現在多少違った数字を考えておるわけでございます。  エネルギーの需要の形には液体燃料を使う場合もございますし、電気という場合もございます、ガスもございますので、それぞれ用途に分けて考えなければならないわけでございますが、やはり将来ますます電気エネルギーを使う割合は高まってくるだろう。これは便利でもございますし、クリーンでもございますし、    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕今回の値上がりの状況でもおわかりのように、石油製品はほぼ二倍になっておりますけれど、重油を使ったにいたしましても、電気料金は五ないし六〇%の値上がりでしかないということで、有利さはますます電気の方に移ってくるのではないだろうかと思います。ますます相対的に重要性を増します電気エネルギーにつきまして、皆さん御承知と思いますけれど、夜中でも動いておる、年じゅう動かしていなければならないベースになる発電所部分と、夏場の昼間だけ欲しい冷房用の発電源といろいろございます。これはピーク用と申しますが、ベースになるところが何といっても重要でございまして、この部分は当然大型の資本集約的な稼働率の高いのが望ましい、原子力に入るのが望ましいということになるかと思います。そういう計算でまいりましても、私どもの試算では、政府の昭和六十五年度の目標でございます五千三百万キロワットに対しまして恐らく三千五、六百万から四千万キロワットもあれば足りるのではないかと、これはこの程度欲しいという数字でございますので、ただいまの御質問にこれだけできるということを申したのではないのでございますが、このような必要性をもう少し中身にまで立ち入りまして、建設地域の住民はもとより国民全般によく知っていただいて、将来の日本のエネルギー供給事情というものがこういう形で保障されるのだということについては、なおなお十分の御理解をいただけるよう努力する必要があるのではなかろうかと思っておるわけでございます。  ただいま岩動先生の御質問にもございますように、いろいろこれも異論がございまして、一体できるのかという点がございます。直接のお答えにならないかもしれませんが、私どもはいまそのベースになる部分はできれば原子力のような大容量で、しかも資本集約的であり高稼働率のものが望ましいと申し上げたのでございますが、万一これが不十分であるという場合には、これは石炭火力をもって十分代替することができるということでございます。  石炭火力もいろいろ問題はございましょう。大気汚染の問題、灰捨ての問題も若干の問題を残しておるかと思いますが、当面一番私どもが気にしておりますのは、先ほど価格上昇の問題を取り上げたわけでございますが、実際には昨年一年間で世界的に石炭見直しの機運が高まりまして、ヨーロッパ諸国において約二千万トン、わが国においても四、五百万トンの一般炭の輸入あるいは消費の増ということに相なったかと思います。今後とも恐らくこの程度のペースでふえてまいると思いますが、御承知のようにポーランドの輸出は十月以降ほとんどとまっておる。オーストラリアにおきましても、港湾スト、炭鉱ストにおいてほとんどとまってしまった。その結果アメリカ炭に需要がラッシュいたしまして、現実に港の積み出し能力がなくて入手難という状態に早くもなっておるわけでございます。  長い目で見ますと、いろいろな角度で問題が出てまいりましょうが、一番大きなものは毎年毎年二千五百万トンくらいずつ需要が上乗せされてくると仮定いたしましたときに、それに追いつくだけの港湾の積み出し能力がそれほど簡単に建設できるかどうか、いま私どもが詰めております資料から申しますと、大体年に二千万トンから辛うじて二千五百万トンくらいの港湾の増強計画はあるようでございます。これは毎年小刻みではございませんが、五年、十年に刻んでみてまいりますと、そういう展望がございますけれども、一言で申しますと、どうも港湾の建設能力が石炭の需要の伸び方よりも多少ずつおくれをとるのではないか、この点をどう解決するか、日本側自身がどのように努力するのか、これは港でございますので、日本だけ港を拡張いたしましても積み出す方が拡張できなければしようがない。同じ船型が同じような条件において使えるというふうに設営しなければなりませんので、見かけよりもいろいろ問題がむずかしいという点はあるかと思います。このような問題をそれぞれのエネルギー源について抱えておるわけでございます。  その最たるものが、先ほどの御質問の東京原子力発電所ないしは新宿原子力発電所という発想でございましょうが、これはきわめて、原子力発電所はすでに安全なものであるという前提で原子力発電所の推進をするということになってまいりますと、それは僻地であろうと東京都心であろうと一向変わりはないではないか、こういう議論は筋として大変ごもっともだと私は考えております。実際問題として、では東京の新宿へ参りまして、京王ホテルを全部とかせということもこれは余り現実的ではございませんので、要は、いまの住んでおりますようないわゆる過疎地帯にきわめて大容量のものをという方向に対しまして、もし関連の諸事情が許すならば、たとえば東京周辺の何県と名指すとちょっと問題かもしれませんが、東京であろうと関西であろうと、あんなに大規模なものでなくてもよろしかろう。少し小型のもので十分安全性を確かめた上でしかるべきサイズのものをつくってみるということも、私は大いに今後の推進については有効ではなかろうか。これを絶対東京、関西の近県につくってはならぬという法律はないわけでございまして、そういう考え方、かた苦しい考え方に立つ必要はないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  あるいは一、二御質問の内容を忘れた点があるかもしれませんが、もし不十分でございましたら後ほど補足さしていただきたいと思います。どうも失礼いたしました。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) ありがとうございました。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 本日は清水先生、高垣先生、北田先生大変御苦労さまでございます。貴重な御意見を賜りましたが、私の持ち時間は往復で二十三分、こういうことでございますので、各先生に簡潔に質問を申し上げたいと思います。  まず、北田先生でありますが、自動車を中心とする日米経済摩擦の問題について、その対応について基本的にどうあるべきかということについてはよく先生の御意見を承りました。その上に立ちまして、この問題はもう単なる経済問題だけではない。いわば大きい政治問題になっておる。そこで、いまの先生の基本的なお考えの上に立って政府はどう対処すべきであろうか、このことについて先生のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。  それから、第二番目に貿易の問題でありますが、OAPEC諸国にオイルダラーがどんどんどんどんたまっております。これはふくれ上がっておりますが、これをどう還流させていくべきだろうか。また、最近オイルダラーによる対日投資が非常にふえていると思いますが、これをどう評価すべきなのか。この点について御質問をいたします。  それから、高垣先生、いろいろ基本的なことたくさん触れられましたが、私は代替エネルギーの問題について質問したいと思いますが、石油の代替エネルギーの開発研究の進め方についてどういう御意見を持っておられるのか。また、それに対応する財政のあり方としまして国の援助はどうあるべきなのか。また、民間の投資のあり方はどうあるべきなのか。このことを高垣先生に御質問いたします。  それから、清水先生には、情報公開の問題で、情報公開につきましては、私は、国政レベルよりも自治体レベルの方が進んでいるように思いますが、国政レベルと自治体レベルの取り組みの相違点はどこにあるのだろうか。また、情報公開について国と自治体の関係をどうとらえていくのか。その展望についてお考えございましたらひとつ聞かしていただきたいと思います。  それから第二番目は、情報公開について、個人のプライバシーの保護という要請が一方にありますが、憲法上の知る権利を広く解釈することと、プライバシー保護との調整をどう考えていくべきだろうか。たとえば五十四年の六月、東京都日黒区役所のコンピューター処理に記載をされておりました選挙人名簿が地元の郵便局に漏れていたという事実が報道されていますが、こういう問題を含めてお考えをお聞かせをしていただきたい。  それから、三番目の問題は、いわゆる国民の知る権利と行政官庁の持っている企業秘密の関係をどう見るかということ。たとえば電力料金の値上げが非常に高い。原価主義がとられている。そこで関係官庁はこれをある程度把握して値上げ幅の査定を行うわけでありますが、これは国民に全然公開されない。また、薬価の登載についてもこれと同じような問題がありますが、こういう問題がどうであろうかということであります。  そして最後には、いま先生からも御報告がございましたように、アメリカを初めヨーロッパ諸国におけるところの情報公開法がすでに確立していると言われておりますが、わが国もやっとその動きが最近出てまいりました。しかし、この問題の対応が今日これだけおくれている原因を先生はどのようにお考えなのか。  以上の点を三人の先生方にお願いをしたいと思います。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) 北田公述人よりお願いいたします。  大変恐縮でございますが、時間の関係がございますのでできるだけ簡潔にお願いいたします。

北田芳治東京経済大学教授

○公述人(北田芳治君) お答えいたします。と言っても御質問が大変むずかしくて、それこそここにおられる先生方に私の方からお伺いしたいようなことなんで、回答不可能ということになるかもしれませんが、第一の政治的、経済的問題になっておると、そのとおりだと思います。そして実際問題としては、私、たとえば自動車の輸出を何らかの規制をするという交渉をお始めになるのじゃないだろうかというふうに思います。私などがそれについてどうこう言う資格はないわけですが、私としては、やはり事柄の筋としては、先ほど申し上げましたように、たとえば輸出をただ規制するとかいうことではなくて、その中身、つまり日本の産業そのものをどのように持っていくのか。その基盤は、先ほどちょっと私触れましたように、日本の生産条件を改善するようなことについて、日本政府として努力するという方向の中でぜひ解決していただきたいというふうに私は考えております。  それから、第二番目のオイルダラーの問題、これはまあ貿易問題というより国際金融の問題であろうかと思います。これについても私はほとんど答える資格を持っておらないわけですが、まあどう評価すべきかということですが、御存じのように、国際的な貿易でその状況によってたとえば国際収支の状況が決まり為替の水準が決まってくる、そういうことは日本の国民経済がたとえば生産し販売しているすべての商品が国際財、インターナショナルグッズではなくて、もともとそういうことの決定に直接参加する国際財の動きがそういう水準を決定していくわけですが、先ほども申しましたように、日本の場合にきわめて少数の商品が国際貿易、国際財としてわが国の対外的な為替水準を決めていくということが特徴であって、したがって、私、たとえばわが国の国際収支の状況、あるいは円が強く評価されて外国から非常に多くのオイルダラーが流入するというようなことは、それ自体は結構なことだというふうに言ってもいいのかもしれませんけれども、先ほども言いましたような非常に少数の財の強力な競争力によって為替の水準が決定され、それがややもすると常に円高という方向にいく、そのことが評価されて実体的な国民経済の力以上に大規模な資金が流入してくるということは、非常に不安定な状況を蓄積させていくというふうに私考えております。  その程度の回答で、不十分かもしれませんが、簡単に申し上げます。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) 高垣公述人にお願いします。

高垣節夫財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事

○公述人(高垣節夫君) ただいまの御質問の石油の代替エネルギーの範囲をどこまでとるかが非常に問題でございますが、最も広範に取り上げて簡単に一応述べさせていただきたいと思います。  原子力、石炭まで石油代替エネルギーというふうに含めますと、原子力につきましては最近注目されることは、何といってもレーガン政権が高速増殖炉の開発についてゴーのサインを出した。これはカーター大統領のときは当時の福田首相との最初の会談で、アメリカのシンクタンクの作成いたしましたやめるべきであるという報告書があったわけでございます。一九七七年の三月でございますが、以来約四年間にわたってこの動きは封じられていた。最近これが基本的な変化を示しておりますので、こういった面についてのRアンドD、研究開発については、大いに進めていくべきではないか。  石炭につきましては、先ほども申しましたけれど、このようなすでに商業性を持っておる原子力と石炭について、特にその財政的支援という必要もあるまいかと思いますが、ちょっと陰に隠れております石炭の輸送問題、港湾でございますが、いわゆるエネルギー港湾という言葉が最近出ておりますように、非常に巨額の資金を要し、またエネルギーだけではない、エネルギーに関連しそれによってわが国の基盤が充実するといった面については、この際私は大いに推進すべきではないかというふうに思っております。先ほど、石炭は現在はまだ安いと、同時に、長い将来で見ますと、恐らくこれは重油と同じ価格になります。その間は、資源輸出国の間のわが国に対する一種の譲歩でございまして、このような資金的余裕というものが日本の社会的財産、インフラストラクチュアの充実に充てられると、こういう了解が暗黙のうちに成り立っていてしかるべきではないかというふうに思います。  その他のいわゆる代替エネルギーと言われるもの、風力であったり波力であったり等々でございますけれど、これは場合によりローカルエネルギーと呼ばれたりいろいろするわけでございますが、非常にまだ初歩的段階にある、実験的段階にある。全国的にこの潜在量とこの疎密なエネルギーをどの程度有効に利用できるかということで、まだ調査の段階であると了承しております。昭和五十五年度におきましては、たしか十数件についてその一億八千万円の資金をもちまして調査が進んでおりますが、昭和五十六年度からはその潜在量、供給可能量と需要量を対比しプロジェクトにまでこれが実験が及ぶということだと思います。問題は、そのようなローカルエネルギーによって日本のエネルギー計画の根幹的な部分が変えられるのか、変えられないのか。これは日本のような大経済大国で、きわめて大単位のエネルギーを必要とするという場合に、このローカルエネルギーで対処できるというふうに考えるのは少し無理があるのではないか。先ほど私は経済の成長に対比してエネルギーの需要の伸びがやや緩んできたと申しましたけれども、恐らくエネルギー計画に反映させられるのは、各地方、各地域において極力有効な資源の利用を進めた結果、その結果として消費はこのくらいの伸びにとどまったという形でしか問題は出せないのではないか。いまから予見的に、その結果弾性値がこのぐらいに下がりますということは、ちょっと私どもとしては言いにくいということでございます。  この金の出し方でございますが、現在、中央官庁から県を通じてという形になっておりますが、具体的にソーラーエネルギーという太陽熱の利用等につきましても、各県ごとの普及をざっと見た感じでございますが、地元の企業の振興と結びつけて進めませんと、県のお立場もお困りでございましょうし、あるいは農協におきまして豚とか年とか屎尿を利用してメタンガスをつくるというような場合もございますけれども、これも単位農協相互の相談事という面が非常にございまして、世の中すべて先立つものは金だということでございますが、幸い先立つ金の方は比較的潤沢になってまいりましたが、最後の決め手はそういう世の中の仕組みをどうするか。つまり、いまのローカルエネルギーなんかも、どのような用途にうまく使っていけるかということを着実に考えていくべきであり、それをいきなり日本のエネルギー計画に結びつけまして、だからこうなるというふうな基本的な計画の変更問題まで時折議論が出ておるようでございますが、私どもは適材適所ということで、もう少し研究を進めていくべき時期でないかと思うわけでございます。  簡単でございますけれども。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) 清水公述人お願いいたします。

清水英夫青山学院大学教授

○公述人(清水英夫君) 御質問が多岐にわたっておりますので、一つ一つはごく簡単に申し上げざるを得ません。  せんだって、大阪府が情報公開条例を制定するということをはっきりと知事が公約されました。これは、そういう点でのはっきりした見通しを述べたものとしては、神奈川県に続いて二番目であると承知しております。そのほかに、埼玉県、長野県、京都府、滋賀県等におきまして条例化の方向で検討が進められております。政令都市におきましても、二、三のところがそのような方向で検討を進めておりますが、全体として都道府県ですでに検討を始めているというところは三十数団体に及んでおります。  このように、自治体におきましては情報公開制の検討がこの一年間に非常な勢いで進んでいるのでありますが、これに反しまして、国のレベルにおきましては昨年の閣議了解に基づきまして、その結果、十月一日から各省庁において情報公開の窓口が開かれたのでございますが、その実態は、先ほど私が申し上げたような情報公開制と呼べる要素というのはほとんどそこにはないというのが状況でございます。  どうしてそのようなギャップが出てくるのかと申しますと、やはり一つは憲法上の規定が、自治体は非常に直接民主制的な諸手段を憲法制度として採用しており、また地方自治法におきましても住民の直接政治請求権を非常に大幅に保障しているという、そういう制度上の相違が一つあるかと思います。  それからもう一つは、やはり制度上の問題として、アメリカにおきましては大統領府と議会とが構造的に対抗、緊張関係にあるわけでございますが、日本のような議院内閣制のもとにおきましては、議会における多数派が政府を構成するという構造でございますので、議会が政府のやりにくくなるような立法措置を講ずるということは構造上非常にむずかしいということが言えるかと思います。ただ、その点は先ほども申し上げましたように、ウエストミンスター型をとる国々におきましても、開かれた行政ということと、その議院内閣制とをどういうふうにうまく整合していくかということが非常な問題になっております。特にオーストラリアにおきましては、先日、オーストラリアの上院の法務委員会の委員長のアラン・ミッセン議員、この方は与党の自由党、保守党の方でございますけれども、オーストラリアにおいては画期的なストロングな情報自由法を現在準備中である、お互いにがんばろうというふうな手紙を私はミッセン議員からいただいたばかりでございます。しかしながら、やはりそういうような議院内閣制を憲法上の政治制度としているところでは、やはり政権交代の可能性ということと情報公開制というのはかなり密接なものだということは、これは事実としてそのような傾向が見受けられるわけであります。  それから最後に、自治体の場合は、問題になります適用除外事項につきまして、防衛情報、外交情報、捜査情報等の非常に問題になるような情報が自治体ではそれほど大きなウエートを占めていないという点から、その情報公開条例がつくりやすい、そういう状況があると存じます。  続いて、個人のプライバシーでございますが、個人のプライバシーにつきましては原則としてこれはプライバシー保護法の問題でございまして、プライバシー保護法制が日本にはまたしかれていないということは、情報化社会における二つの重要な情報法制を二つながら欠いているということを意味するので、これは大変残念なことだと思います。情報公開法は、どこの国でも個人のプライバシーに関する情報というものは、公務員等のそれを除きましては適用除外事例にしております。その点、プライバシー保護法との整合性というものを図らなければならないと思うわけであります。  次に、企業秘密でございますけれども、原則として企業秘密も適用除外条項の中に含めている国が多数でございますが、これはやはり私、人間の問題というものは直接憲法的な処理というものができませんので、そこにおいてはやはり個別的な立法措置を講じて、私企業でも非常に国民生活に重要な影響を持つ情報につきましては、そのような個別立法の措置によって行うのが原則かと存じますが、しかしながら、いわゆる情報公開法というものは行政庁に集められたその時点で公的情報になった情報を公開するということでございますので、企業がみずから提出した情報あるいは省庁が法令の根拠に基づいて集めた情報というものは当然情報公開法の対象になるかと思います。  最後の、日本の対応がどうしてこのようにおくれているかという点でございますが、これは、以上私が述べたことによって御推察いただけるかと思いますけれども、やはり日本が世界に冠たる官僚国家であるというところに一番大きな理由が見出せるのではないかというふうに思います。

桑名義治公明党・国民会議

○桑名義治君 諸先生方には大変お忙しいにもかかわらずおいでいただきまして、貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。  まず最初に、私は北田先生に御質問をしたいと思うんですが、ヨーロッパでは最近、日本の輸出に対する警戒心が急増をしておるわけでございます。そこで、日本の対ヨーロッパ輸出超過額を見ますと、一九七九年で五十一億ドル、それから昨年は八十八億ドルに達しているわけでございますが、特に個別の製品ではテレビ、自動車、こういう製品の輸出増加に対しまして大変な批判が起こっているわけでございます。現在はヨーロッパの経済というのはゼロ成長に近いような状況にあるわけでございまして、いわゆるEC九カ国では約七百万人の失業者が出ていると、こういうふうに言われているわけでございます。こういった状況の中で、今後日本からの輸出がさらに増大するということになりますと、深刻な事態にならざるを得ないわけでございまして、ヨーロッパとしての、EC諸国としての主張もわかるような気がするわけでございますが、日欧経済関係というのは日米経済関係と比較をしてみますと十年ぐらいのおくれがあると、こういうふうに私は思うわけでございますが、そういった意味から、いまから先ヨーロッパ側との貿易関係というのは、理解を深めていくという長期にわたる忍耐強い交渉が特に必要になると思うわけでございますが、この点についてどういうふうに先生は対応されたらよろしかろうというふうにお考えになっていらっしゃるか。  それから、先ほどのお話の中で、特にアメリカとの貿易に対する問題だろうと思うのですが、現在の日本の貿易の構造というものは七〇年型の構造である、これは端的に言うと狂気の構造だと、こういうふうなお話があったわけでございますが、これについてプラント輸出の増加、あるいはまた中近東に対する貿易の増大、こういった問題で解消していかなければならないし、あるいはまた輸出環境の改善ということで対処するという政府の現在の方針につきまして、そういったことよりもむしろ根本的に反省をすべきであるし、あるいはまた現在の構造の改造が必要である。そういったことから、アメリカにおける労働条件あるいはまた賃金、こういった同一条件のもとに日本の企業の運営をしていかなければならない――端的にお話を申し上げますと、こういうお話であったのではなかろうかと思うんですが、この問題は論理として私はよくわかるわけでございますが、アメリカの経済構造とそれから日本の経済構造というものは根本的に違った面があるわけでございます。日本の経済構造を見てみますと、これは当然下請企業から成り立っている、中小企業から成り立っている、こういうふうな視点を持って見なければならないと思うわけでございますが、先生の御論理をこのまま日本の経済に当てはめてみますと、これはまあ日本経済の根本的な改造であるというふうに考えるわけでございまして、これは大変な問題でございますが、果たしてこの論理が日本の現在の経済に当てはまるのか。当てはめるとするならば、これはまあ相当な期間を必要とするだろうと私は推測するわけでございますが、その点についてはどのようにお考えになっておられますでしょうか。  それから。エネルギーの問題について高垣先生にお尋ねをしたいわけでございますが、実は日本エネルギー経済研究所では「エネルギー経済」一九八〇年の二月の雑誌に、長期エネルギーの見通しについてということで記載をされております。これ、読ましていただきました。これを読ましていただきまして、実はそのエネ調の暫定見通しとエネ研の見通しの間に、比較してみますと大変な相違があるわけでございます。そこで、原子力につきましてはエネ調が六十年度で三千万キロワット、それからエネ研が二千三百万キロワット。それから新エネルギーにつきましては、エネ調が六十年度で五百二十万キロワット、エネ研が八十一万キロワット、大変な格差があるわけでございます。また、六十五年度を比較してみますと、原子力はエネ研では三千六百万キロワット、エネ調では五千三百万キロワット。新エネルギーにつきましては、エネ研が三百七十三万キロワット、エネ調は三千八百五十万キロワットと、一割しかエネ研では見ていないわけでございます。したがいまして、日本エネルギー経済研究所では原子力あるいは新エネの供給可能をどのように算定なさっておられるのか、ちょっと開きが大き過ぎるものですから、その点をお聞きをしておきたいと思います。  以上でございます。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) 北田芳治君お願いいたします。

北田芳治東京経済大学教授

○公述人(北田芳治君) これも大変むずかしい御質問ですが、ヨーロッパの場合に――ちょっと昔のことになりますけれども、たとえばガットへの加盟について西ドイツの場合には何にも問題を起こさなかったけれども、御存じのように日本の加盟については非常にヨーロッパ諸国が拒否反応を起こして、そしてその後ガット関係へ入らない、日本がガットへ入っても、いわゆる三十五条援用という国がたくさんあったわけですが、私はそういうことを基本的に置き、なおかつヨーロッパでは、たとえばフランス、イタリアその他現実に日本に対してなお相当の保護主義的な制約を現に加えておる。そして、最近では遂に、いわゆる自由貿易の信奉国とよく言われておりました西ドイツも、日本の商品に対してはかなり拒否反応を起こしてきておる、非常に大きな、つまり流れが激変しつつあるということ、このままでいいだろうかということをお伝えしたかったということです。  これも新聞報道によりますと、いまベネルックス三国と日本の間に非常に自動車問題で摩擦が急激に起こっているわけですが、この一月、二月の日本の自動車の輸出、それら三国に対する自動車の輸出は、駆け込み約といいますか、去年の一年分を上回るくらいが一月、二月で輸出されたというようなことで、私は非常に無神経なことだというふうに思っております。  そういう意味では、ヨーロッパに対して、ヨーロッパとの摩擦はこういう状況を続けますと一層深化するのではなかろうか。そういう意味では慎重な対応が、一般的な意味で慎重な対応が非常に重要だろうというふうに思っております。日本政府はフランスなどに対しては、ガット違反ということでガットに提訴するというようなことを報道によりますと言われておりますが、もちろんそういう対応も場合によっては必要だというふうには思いますけれども、全体として慎重に対応すべきであろうというふうに思っております。  そして先生から、そういう根本的なことを言っても余り解決にならぬのじゃないかと、端的に言うとそういう御質問かとも思われます。確かにそのとおりかもしれません。特に企業というのは競争をしておりますから、一つ一つの企業自体が、たとえば率直に言ってよそさんより賃金を高くするとか、よそさんより労働時間を短かくするというようなことがあれば、その企業の競争条件にはマイナスに作用しますから、企業というのは競争場裏にあるからには、さっき私が申しましたような対応は自然的にはなかなか出てくるものじゃなかろう。しかし、いま御質問でもおっしゃったように、とにかくこのままの状態で推移していけば、かつて十年ぐらい前ですか、OECDが、日本経済は世界経済の撹乱要因であるとこういう指摘をいたしましたが、ますますその感を深くするわけで、したがって先ほど安恒先生の御質問とも関連するわけですが、やっぱり大きな方向の転換は、国なりまた国会なりの相当イニシアチブがなければ、そういう方向の転換は、ただ企業の自発的な行動にまつということではそれは達成できない。ぜひともひとつそういう方向でお力をお尽くしになる必要があるのじゃないかということを申し上げて回答にかえておきたいと思います。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○理事(平井卓志君) 高垣公述人お願いいたします。

高垣節夫財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事

○公述人(高垣節夫君) ただいまの御質問で、私どもの日本エネルギー経済研究所の試算しました結果が政府の見通しと余りにも違い過ぎるのではないかという御質問であったわけでございますが、これは私冒頭の陳述で申しましたように、大体政府の総エネルギー需要見通しに対しまして私どもの答えは八掛け程度と申しました。その点でございます。理由はその際申し述べましたので繰り返しませんが、それほど省エネルギー型の産業技術、産業構造に移り変わりつつある、このことを認識するのは今後の議論を進める上で非常に大きな分かれ道になるのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。むしろ問題は、個々のこれをブレークダウンいたしまして、その際原子力は幾らなんだ、水力は幾らなんだ、こういうところでより具体的な問題は出ると思うのでございますが、この試算結果はそれぞれの用途に応じましてどんな形のエネルギーがどの部門で使われているかということをそれぞれ吟味いたしまして、電気エネルギーは総量このくらいの規模が要るだろう、そしてどのぐらいの電力量になるだろう、そのための設備がこのぐらい必要だろうという仮定でこれは計算されたものでございます。先ほど岩動先生の御質問にもございまして、私は私どもの試算結果というのはやや低いけれど、これはこれだけできるというものでもないので、しかしこれだけはどうしても必要だろうという性格の数字を出したのだと申し上げたわけでございます。ただ、このように控え目な数字を出しまして、一面政府の数字は余りにも大きいのではないかという疑念をお持ちの方が多いものでございますから、せめて現在その進行中の原子力発電所の規模と今後の努力目標として、このくらいの数字ならあるいはしかるべき手段をとれば現実に可能ではないだろうかという現実性を少し持たせたという意味はあるかと思います。  一番大きく違いましたのが新エネルギーでございます。御指摘のとおりで、約一割ぐらいの規模に落ちております。これはエネルギー需給に。将来、かつて考えられたほど大きな数字ではなくて、少しゆとりがありそうだといった場合に、どのエネルギーにしわを寄せるかという問題でございます。  われわれは、ある意味では二面性を持っておりまして、引き続き一種の石油争奪戦的な面が国際場裏で進んでおることは、もう御承認いただけると思いますけれども、その意味で六月の国際エネルギー機関の閣僚級理事会でどのような議論が展開されるか成り行きを注目しておるわけでございますが、私どもは全面的にこれを石油の輸入量だけで削減してよろしいというふうに、もういまから割り切っていいものかどうか、われわれはしかるべきこのくらいの配分というものは妥当ではないだろうかということで、ここに掲げております三億二千万キロリッター、換算値によりますが、約五百六、七十万バレル、日量にいたしまして、その程度の数字というものをおいて考える。    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 そうしますと、原子力はそういう需給構造からしてこのような数字、石油はこのくらいの国際的配分というものを主張してしかるべきであろうということになりますと、しわがいまの新エネルギーに来たわけでございます。新エネルギーは、別にこれをやるなというつもりは毛頭ございません。この点は誤解ないようにしていただきたいのでございますが、何しろこの長期エネルギー需給暫定見通しができました際にもこの内容は、御承知のように、それほど明示的に出されているものではなくて、このぐらい必要になるだろうという、文字どおり目標数値でございました。主としてこれは石炭液化であったわけでございますけれど、最近ごらんのように石炭液化というものは本当に商業性を持ち得るものなのかという観点から、アメリカ自身でも再吟味したいとレーガンさんは言い出しております。これを一体どうするかという点は今後の課題でございますけれど、私どもといたしましては、このようなものが十分確実に供給できるという保証があるならばこれを前提にいたしますけれど、もしそうでないならば、できるだけ他のより確実そうなエネルギー源で満たしておきまして、もしこの面において将来性が確認された、先ほど私オイルシェールのことを申し上げましたけれど、これが経済的にもわれわれの入手可能なものになり得て、しかもそれが確実性があるということになってまいれば、当然これが浮かんでくる。その結果われわれの見通しは幸いにして誤ったということのような時代が来れば幸いかと思っておるわけでございます。そういう含みでこの新エネルギーに当座のところしわが寄っておりますけれど、その辺の事情をお含みくださればありがたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 三先生の大変貴重な御意見ありがとうございました。私、大変限られた時間でございますので残念でございますが、北田先生に端的にお伺いをしたいと思います。  先生のお話を伺いまして、理解が深まったわけでございます。いまアメリカのレーガン政権は強いアメリカを標榜いたしておりますが、アメリカ経済につきましても再活性化を大きな旗印にしているようでございます。アメリカのこういった旗印と月本経済との関係をどのように考えたらよろしいのでしょうかという点が一点でございます。  もう一つは、五十六年度の今回の政府予算では対外経済協力関係の費用というのが、これは伸び率が大変大きくなっておりまして、重視をされておりますが、これについての御見解なり御感想をあわせてお伺いをいたしたいと思います。

北田芳治東京経済大学教授

○公述人(北田芳治君) 時間が三時までにもうないようですので、ごく簡単に考えを申し述べたいと思います。  レーガン政権が強いアメリカを目指して、特に経済の再生を目指しまして、たとえば減税をやっておられる、減税によって貯蓄率を高めて投資活動を活発化しようとされておるようで、そのこと自体は私、正しい方向ではなかろうかというふうに思っております。ただ、同時に、この強いアメリカと申しますか、軍事費を非常に大きく伸ばしておられる。  それから減税と同時に、しかし、たとえばクライスラー問題で典型的に見られるように、労働者の賃金が高いということが非常に問題だという形で労働組合に賃金の自粛を政府が求めておられる。私はこれでいろんなことを考えるんですが、一つ、軍事化という、軍事費の割合を、いままでも十分に高いわけですが、これを高めるということは一種のアメリカ経済の再生という目的には矛盾しているのじゃないかと考えております。かつて十何年前ですか、ウィリアムズ報告という大統領諮問委員会報告がありましたが、その中でたとえばアメリカの研究活動あるいは経済活動が軍事に非常に大きく偏っていて、世界市場で売れるものをつくる、そういう能力をだんだん失ってきているということを申しました。その後もたとえばチャーチ上院議員とか、いろんな人がそういう発言をしております。そういう意味で言うと、私はこれは矛盾した方向でなかろうか。同時に、たとえばそれとうらはらですが、減税はするけれども、賃金を抑える。これは、これも御存じだと思いますが、アメリカの賃金水準はヨーロッパの賃金水準に比べると、いま急速に低下しておりまして決して高くなっているわけではない。ですから、そういうところに問題の根本はないのじゃないか。結局、片っ方では軍事費が増加、片っ方減税でも、賃金水準がもし低められるとするならば投資活動というのはやっぱりどうも思ったように再生しないのじゃないか。  私が関連で言いたいのは、やっぱり日本の方も問題でありますけれども、アメリカ等もできたらそれこそ経済を活性化していただいて、もっとフリーな形での温和な国際競争が行われることが望ましいのじゃないか、これは私が勝手に木を読んで考えるしかないので、政治的にはよくわかりませんが、そういうふうに考えておりますが、どうもイスカのはしのかけ違いと申しますか、レーガン政権の方向はそういう世界的な安定した経済関係をつくることには余り役に立たないんではなかろうかというふうに思います。  それで、それに関連しまして第二の問題ですが、レーガン政権の発足以来、アメリカの場合に対外援助活動というのを、東西関係を基本にしたそういう非常に政策的な方向が出ておるようで、きのうですか、何か新聞の報道によりますと、日本の政府は必ずしもそれに賛成でなく、南北問題を重視した形で経済協力はやっぱり進めていきたいと、こういうことを新聞報道で言われました。私はこの点についてはそれは正しい方向だろうというふうに思っておりますが、しかし、さらにもっと深く考えますと、経済協力費という形で南北問題を考える、しかも、それを日本の経済安全保障、さらにその総合安全保障という枠の中で考えるという、いわばプリンシプルそのものはかなり問題を持っているんじゃなかろうかというふうに思っております。いま新国際経済秩序というようなことがいわれておりますが、新国際経済秩序のかなり前駆になった、たとえば国際連合の貿易開発会議、その最初のときのプレビッシュ報告などがありましたけれども、あの国連の貿易開発会議が第一回に開かれた趣旨は、援助よりも貿易をという趣旨であったと思います。つまり、国際世界的な経済秩序の不公正な筋道、これを改めるということが発展途上国の大きな統一の問題だったと思うのです。私は読ましていただいたあの経済運営の基本的態度を見ましても、経済協力のことしか書いてない。つまり、経済協力というのは対外援助のことですが、そういうむしろ私は、たとえば新国際経済秩序などというのにそういう言葉も出てこないわけですが、相応の注意を払いながらそれを位置づけるということでなければ、結局はまあレーガン政権に一応異を唱えているようですけれども、同じような枠の中に入っていくのかもしらぬ、あるいはよくても日本の輸出環境なり何なりを安定させるためのやむを得ざる出費と、こういうつかまえ方になってくるんじゃないだろうか。そういういわばプリンシプルの面で、そこから発するいろんな対外援助の向け先の問題ですとか、国の問題、性質の問題、これはいろいう言うべきことがありますけれども、時間もありませんから、その基本はプリンシプルがどうももう少し違うのじゃないかということを私は感じておるわけです、

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間がもう三時を回りましたので、簡単に御質問さしていただいて、さらに御意見を承りたいと思います。  最初に、北山先生にお伺いをしたいのですが、先ほどの御意見をお聞きをいたしまして、日本の大企業が大変大きくなってきていろいろ摩擦を起こしているということなんです。ただ、そこに私が感じるのは、アメリカなりヨーロッパへ行きますと、依然としていわゆる資本家がおるわけですね。ペイするということがはっきりしなければ再投資はしない。日本の大企業というのはもう資本家がいなくて、いわゆるサラリーマン重役が上がっていくものですから、これだと思うとどんどんどんどん再投資をして大きくなっていく、生産性も高めていったというこの違いが、何か先ほどお話しのような一つの要因じゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。  それから高垣先生にお伺いしたい点は、もうアメリカの方はかなり前に原子力発電の方が油よりかもコストが安くなったはずです。いま日本はその辺がどのくらいの割合でいるのか。  それからもう一つは、次のエネルギーとして出てくる水素ですが、水素エネルギーが実用化するというまでには後何年くらいかかるものでしょうか。  以上お伺いいたします。

北田芳治東京経済大学教授

○公述人(北田芳治君) よく言われておりますが、アメリカの重役さんはとても長期プランは立てられないんだと。ことし、来年株主に配当を払えるかどうかがその重役さんの実績であって、それをめどに行動をする、しかし日本の重役さんたちは相当長期の計画で物を見れると、こういうことがよく言われておりまして、御指摘のように、そういう要素ももちろんあるのではないかというふうに思っております。ただ同時に、私考えますに、そういう構造の違いというのは、何もここ数年出てきた問題ではなかろう。かつてはアメリカの経済も一種の景気循環を繰り返しながら大規模な成長を遂げてきた時期があったわけです。ですから、そういう意味で言えば、たとえば現在アメリカの生産設備などは日本に比べると大変老朽化してきているということはよく言われますし、自動車などはゼネラル・モータースを初めとして小型車戦略というのでかなり大規模の投資を始めているようですけれども、時間がないから、それに理屈になりますからあれですが、やっぱり世界のたとえば資本主義経済の正常な景気循環的なものを妨げているさまざまな要因が現在あろうかと思います。普通の常識ではかなりもう投資規模が少なく推移しておりましたし、それから設備が老朽化しておりますから、普通のというか、資本主義経済の基本的な物の見方からすれば、むしろ現在大規模な投資の出発点になり得る、そういう時期が、ヨーロッパでもアメリカでもそうなんだと思いますが、そういう循環的な正常な運動が現在妨げられている要因――それはおっしゃることも多少は関係すると思いますが、非常に大きな資本主義の経済構造の変化、それは私がさっき沓脱さんの御質問とも関連して、軍事化の問題等々も指摘しましたけれども、そういう大きな構造の変化がより重要ではなかろうかというふうに思っております。

高垣節夫財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事

○公述人(高垣節夫君) お答えいたします。  発電原価の問題は、その設備をどの程度の稼働率で動かすか等々のファクターによって、一概に申せません。先ほども原子力発電所はベースに入り、水力発電所はそのピークに入ると申し上げましたように、一定の条件でなかなか比べにくい面はございます。あえて常識的に申しますと、最近の石油火力発電所は二十四、五円に当たる、その半分見当が原子力発電所の原価と考えていただければよろしかろうかと思います。石炭火力についての問い合わせがございませんでしたけれど、これもごく最近の電源開発株式会社の松島火力発電所、石炭を使っておりますが、非常に順調な運転でございまして、フル運転になっておりますけれど、やはり十二円を切っておりまして、ほぼ同じ、これも稼働率が下がれば原子力発電より高いはずでございますが、フル運転になれば十二円弱という状態に、大体二倍の関係ぐらい、こういうふうにお考えくださればよろしかろうかと思います。むしろこれは固定的に考えるよりも、今後OPECの長期戦略で申しますと、年率約一〇%ぐらいの値上げを言ってくる可能性もあるわけでございますが、そうしますと、石油火力発電所は燃料費が半分強といたしますと、ほとんど自動的に石油火力発電所は年率五、六%で上がっていく、これに対しまして、資本集約的な原子力発電所の場合には、一たんつくってしまいますと、資本費は一定でございますので、値上がり率は低いと、こういう比較ができるかと思います。その面が非常に重要であろう。  それから水素の件でございますが、これは私は事実関係は全く素人でございますので、十分なお答えはできませんが、そもそも水素を一体どうしてつくるかということになりますと、一ころ言われました高温ガス炉のような、原子炉の高温を利用してつくりましょうとか、あるいはひいては核融合のような超高温を利用しようということでございますが、先ほどのより手近と思われます高温ガス炉にいたしましても、いま原子炉の多目的利用ということが非常に後退しておりますので、二十一世紀に至るまでこういったものがスコープに入ってくるということはなかなかむずかしかろう。つまり、私どもの計算では、二〇〇〇年ごろまでの計算にはほとんど入っておりませんということでございます。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で産業、貿易、エネルギー問題及び情報公開に関する意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。北田公述人、高垣公述人及び清水公述人には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、今後の当委員会の審査に十分役立つものと確信してやみません。ここに委員会を代表して重ねてお礼を申し上げます。御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) それでは、一言あいさつを申し上げます。  松本公述人、森木公述人及び長谷川公述人におかれましては、御繁忙中にもかかわりませず、貴重なお時間をお割きいただきまして、本委員会のため御出席を賜り、ありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。本日は、忌憚のない御意見を承り、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次拝聴いたしまして、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、順次御意見を承ります。  まず、社会保障について松本公述人にお願いをいたします。千葉商科大学教授松本浩太郎君。

松本浩太郎千葉商科大学教授

○公述人(松本浩太郎君) ただいま御紹介にあずかりました松木でございます。  これから、社会保障のことにつきまして若干意見を述べさせていただきたいと思うわけでございますが、まずことしの一般予算を見たときに、社会保障の観点からどうであったかというと、余り満足した結果ではなかったけれども、この苦しい財政の中ではこれも一つのやむを得なかった方法ではあるのかとは思ったわけでございます。実際に、国債費だとか、地方交付税だとか、恩給費だとかいって、もう裁量の余地のない財源が非常にたくさんありますために、しかもそれが九・九%の一般財政の伸び以上に伸びておるんですから、社会保障を九・九%まで持っていけということは、これは非常に困難なことであったかと思います。しかしながら、ことしは、昭和四十八年を福祉元年といたしましたならば、福祉九年に当たるわけでございますが、福祉九年においていささかこのことはとんざしてきておることは、防衛予算が伸びてきて、福祉九年は防衛予算拡大元年になる危険もあるのではないかといささか憂慮しておりまして、これは今後の成り行きについて見なければならないことでございますけれども、どうぞ今後の予算の立て方についてもこの点は十分に配意を願いたいと思います。特に高齢化社会がやってくれば、いや応なしに社会保障というものは多くならざるを得ないのでございますから、これが多くなるということは当然の帰結であるので、それと軍備と比較をするということはちょっとはかりのかけ方が違うのではないかと私は思うわけでございます。  安全保障はなるほど大事でございます。しかし、外敵の侵略を防ぐのはこれは防衛予算でございます。しかしながら、国内の国民の思想の混乱がやってくるのは、これは社会保障によって、思想統一、連帯責任、愛国心を増すということによって見事にこれを守ることができると思います。  今度は少し社会保障の内部に立ち入りたいと思いますが、社会保障は御存じのように、公的扶助、つまり生活保護法、社会福祉、社会保険、公衆衛生の四部門から一応成り立っていると考えていいと思いますが、このうちの社会福祉というものは、無拠出であって、個人個人の所得の審査ということをやるわけでございます。したがいまして、これは老齢福祉年金が六百万と六百万以上八百七十六万の間で千円の年金の差が起きたということは、やむを得なかったかもしれませんけれども、しかし、こういうことはこのニーズテスト、所得審査をやる、社会福祉の中に導入してきたらもうどんなことでもできるようになってしまうのでありますから、これは今年限りのことにして、来年からは、あるいはまたは予算が非常に多く入るようになりましたならば、直ちにこの六百万というせきを落として、全部二万四千円にしていただくことが、これは公平な私は老齢福祉年金のあり方だと思います。  社会保険は、これは拠出制でございます。拠出制でございまして、これは総資本の立場から行われるものになっておるわけでございますが、これは後で申し上げますが、年金を通じて非常に赤字が多くなってまいっております。これは後ほど申し上げますが、積立方式と年金のスライド制は両立しないということは、これは保険数理の大原則になっておるわけでございます。それにもかかわらず、公的年金はこれはスライドします。しかし、これはスライドしないといけないのです。ここにパラドックスを見つけながらも、そこで世界の年金はいま非常に困ってきております。  一番最初に困ったのがフランスでございます。フランスは第一次、第二次大戦で積立金が紙切れ同様になっちゃったので賦課方式にいたしました。そのかわりに保険料の負担というものが、賦課方式になりますと利息収入の分だけが余分に負担しなければなりませんから、その部分だけはどうしても事業主の方が多く負担するというようになってまいりました。それから、ドイツが現在いよいよ危険な関門に来て、積立金もほとんどなくなり、千分の百八十五という、掛金率としては世界で一番高いのに来ておりますが、これも賦課方式にならざるを得ないと思います。そういうように、スライドをする限りにおいては、世界じゅうの年金はこれは賦課方式になる。賦課方式になるが、負担割合は事業主の方に多く持っていくようにどうしてもならざるを得ない。  それから、年金支給開始年齢を六十歳、六十五歳、七十歳とだんだん引き上げていかなければならない。厚生年金のこの引き上げについても、六十を六十五にすることについて非常な抵抗がありましたけれども、この抵抗は、要するに厚生年金財政の危機を防ごうという良心的なものでありますから、私はこの点は抵抗があってしかるべきだと思うわけでございます。  それから、健康保険の問題に少し入りたいと思いますが、健康保険は家族と御本人、労働者とは差別がございますが、でき得べくんばこれは一本、同じようなものにすること。それから一部負担というものは、私は、これは好ましくはないけれども、いまの段階においてはある程度やむを得ないことだと思います。もちろん外科手術だとか入院とかいうように多額のお金を要するものに対しては全部これを無料にしなければならないと思います。  それからさらに、健康保険組合というものがございます。これは黒字でございます。そのお金を取っていこうということは、ある程度はまたこれはやむを得ないのかもしれませんけれども、健康保険組合が健康保険の全面給付を代行しておるのであって、これは一つの従業員の団結力、愛社精神という――企業がこんなにあなた方の、労働者諸君のめんどうを見てやっているんだぞという気持ちからの発露でございますから、健康保険組合は健康保険法の福利厚生としてその機能を今後ともますます充実するようにしなければいけないのであって、健康保険が単に黒字だからといってこれを政府管掌と同じような取り扱いをやるということは、資本主義自体の一つの反対が出るのではないかと思うわけでございます。  それからその次には、今度は社会保障の功罪ということで、社会保障ということは余りやるべきではないんじゃないかということをいろいろ言いますが、だんだん個人単位の社会組織、そうして核家族になってまいりましたならば個人単位の社会保障というものが当然必要になってくるのであって、もはや家父長制のような一家のきょうだいで見ようというような思想はなくなってまいりましたのですから、この点も当然に社会保障というものの機能を、効能を十分に認めていきたいと思うわけであります。もちろん社会保障は人権の保障だとか、それから社会保障というものが実は個人消費の需要を非常に喚起しておるということを忘れてはならないのです。  後ほど申し上げたいとも思っておりますけれども、老人が非常に多い。現在六十五歳以上の人口は、日本は九・一です。スウェーデンは一五・六です。ドイツも一五ないし一六%です。老人が多い国は困っているかというと、一番困っておりません。一人当たりのGNPが非常に多いんです。これは老人が年金を全部消費に向けて使っておるからなのでございます。そうすると、消費消費ということになってくると資本の蓄積ができないだろうということになりますと、それはまた積立方式の年金をつくればよろしいのであって、スウェーデンでは五つの年金がございますが、その二番目のちょうど厚生年金に当たるATPというのがございますが、それは積立金の総額がGNPの四割を超しております。ですから、そこの年金基金の年度末決算報告はスウェーデンの金融財政の報告に当たるというぐらいになっております。でありますから、社会保障は消費をする層にはうんと消費をさせ、蓄積をできるところにはうんと蓄積をさせていくということが必要でございます。  その次に、憲法二十五条に「国民は、」「最低限度の生活を営む権利を有する。」という、何となくプアな、貧乏というような思想が入っておりますが、これは、私はワイマール憲法の百五十一条の人たるに値する生存を保障するというはっきり人権を認めたような思想にしていきたいと思います。もちろんイギリスのような社会保障のあり方、国民年金一本であり、それが定額であり、最近給料比例ができましたけれども、このやり方もきわめてまずかったわけでありますから、これは掛金はたくさん掛けてももらうものは同じだといって国民はアイドルネスになりました。ところが、スウェーデンのような国はどうかというと、国民年金には全部入ってしまう。それから国民年金に入っている奥さんでも、自分の給料を申告したら厚生年金のATPにも入ることもできる。もちろん厚生年金に入っているサラリーマンは全部ATPに入っている。そのほか、さらにホワイトカラー同士の団体交渉でつくったITPだとか、ブルーカラーだけでつくったSTPだとか、純粋の企業年金というような非常な多くの年金があって、欲のない人はというか、余り老後はどうでもいいと思う人は国民年金だけは入ることになっております。そういうようなぐあいでございまして、年金というものの種類はいろいろ多種多様で、その人の性格によって選択し、たくさんの年金をもらって老後はそれをじゃんじゃんと消費していくというところが私は福祉国家の経済の循環過程であると思うわけでございます。ただ残念なことは、スウェーデンのように、自分はお母さんが産んでくれたんだけれども、幼稚園から学校から大学まで全部旧でやってくれたんだということで、親子の愛情、スキンシップですね、皮膚と皮膚との触れ合い、これがほとんど欠如してしまって、いわゆる温かい日本人的人間関係がなくなっておるということは非常に残念なことだと思うわけでございます。やはり人間性を持った年金をやるためには、スウェーデンほどに行き過ぎてしまうのもこれも一つの問題があるのではないかと考えた次第でございます。  それから年金の場合でございますけれども、年金は、さっき申し上げましたように積立式をやれば年金のスライドをしちゃいけないのですけれども、これは公的年金は全世界全部スライドをやっております。スライドをやっておるから全部、最初は莫大な積立金を持っているけれども、賦課式になる。先ほどのスウェーデンのATPというのがございますね、GNPの四割を占めておるというこの年金、これはどうかというと、これはもう険数理によらないのです。できるだけたくさん掛金を取っていこう、できるだけたくさん蓄積していこうという、そしてその資金の運用がこれが労使、金融専門家というようなぐあいで国民経済全般の立場から行われておるわけで、現在日本の厚生年金保険が全部これが大蔵省資金運用部に預けられているということは私は何だかこれは片手落ちのような感じがするわけでございまして、これの資金の運用を――全部が全部とは申しません。増加資産の三分の一とか四分の一とかいうものに対してはこれは国民合意の上で運用するというような態勢をもっていきませんと、年金というのは単なる所得保障だけじゃないんで、長期資金の蓄積ということが非常な大きな問題になっておるわけでございます。  それから年金制度というもの、これはつまりいま年金制度の機能を申し上げたわけでございますが、所得保障、所得保障と言うが所得保障とは一体何を指しておるのかというと、これは私は一応年金を指して差し支えないと思います。年金として具備すべき条件は何かと申しますと、終身年金であること、しかも遺族年金があること、自動スライドがあること、それから公的年金、私的年金等の和がわれわれの人たるに値する生活を保障するに足るだけの金額であるということだと私は思うのでございます。ところが、現在行われている企業年金、もう少し言いますと調整年金とか適格年金というのは――遺族年金というのは非常に少ないんです。ほとんどやっていないと言ってもよろしゅうございます。それから適格年金に至ってはこれは有期年金でございます。それから、もちろんこれは保険会社や信託がやっておりますから年金のスライドは絶対にいたしません。それでありますから、十年前にある年金基金をやめた部長さんの年金がいまだに四十万円だけれども今日やめる女子の職員の年金が百万円になっておる、こういうような矛盾も起こす、そこに愛社精神に対しての一つの疑問を持ちかけるのではないかと思っております。決して日動スライドができないわけじゃありませんので、これは保険料を現在の倍ぐらいに最初から取っておけばできる。これは保険数理上の技術の問題ですから、私は許されてしかるべきだろうと思うわけでございます。  それから、企業年金のことをもう少し申しますと、健康保険組合というのは健康保険の全給付を代行しております。福利厚生として従業員の士気を鼓舞するために出しております。ところが、調整年金というのは厚生年金のうちの老齢年金だけを取り出してこれをやって、ほかの遺族年金や障害年金はこれは厚生省に置いております。そういうことをしないで、やはり厚生年金の全面的福利厚生化を図るために改めて遺族年金、障害年金などもこの調整年金の中に入れてしまうというようなことが私は必要ではないかと思うわけであります。  さらに、それから老後の保障の問題をもう一度やってまいりますと、所得の保障ということ、これはよく天賦人権説ということを言う人がありますが、私はよくこのことに対して天賦年金権説ということを言っておるのでございますが、どうか年金というものはもう当然の権利としてもらえるものであるというようにしていきたいと思います。財政が苦しいからそれをどうするということ、もちろん年金支給開始年齢の六十歳を六十五歳にすることはこれは私は焦眉の急務だと申し上げても差し支えないと思うわけでございます。まず老後の生活保障は、所得保障の年金とそれから医療保障でございます。老人医療の問題はどうかと申しますと、これもやはり一部負担は私はある程度はどうしてもやむを得ないのじゃないだろうか。それから事業主というものがありませんから、事業主に対する負担の分として国庫負担は相当に出してあげなければいけないのじゃないかということと、それから先ほども申したと同じように、外科手術だとか入院とか、その他慢性的な疾患で寝ている人に対しての費用はこれは別に十分持つ必要があると思うわけであります。  それから、福祉の問題を少しもう一度触れてみたいと思いますが、福祉というのは何かというと、これはケースワーク、個人個人でケースワークは見てあげる、それから一つの団体をつくって見るソシアル・グループ・ワーク、つまり集団活動、その次はその地域全体を地域社会の福祉化ということでコミュニティーオーガニゼーションというような、この三つの組織化された体系で福祉が運用されていかないといけないと思います。  それから福祉に従事する人口の問題でございます。福祉国家というものはもちろん財源を福祉のためにたくさん使うのは当然ですけれども、福祉に従事する人たちをたくさん増すということが大事だ、そうしてその人たちの給与を高く上げるということが必要なわけでございます。スウェーデンの労働人口は四百二十万ございます。そのうち社会福祉に従事している人は四十五万ですから一割以上でございます。日本の労働力人口は何と五千七百万ありますけれども、社会福祉に従事する人は五十万人、一%以下ですね。これではいけないのであって、私は社会福祉に回る人はどんどんとふえていく。これは老人の、年をとった人の場合の保養の問題とも関係があると思います。  それから、先ほどちょっと老後の生活保障で落としましたけれども、国民年金しかもらっていないような人で住宅に困る人があります。そういう人は所得審査を行って住宅を与えてあげるというようなことは私は必要だろうと思います。  それから官民格差の問題でございます。年金制度の一元化の問題というのはいろいろございますが、それらは望ましいのは確かに一元化でございます。しかし、ネコもしゃくしも一遍にやろうと思ったら既得権の問題だとか制度の混乱を起こしてかえってむずかしいのでございますから、同じ種類の制度ごとに、たとえば公務員の年金制度は大体共済制度となっておりますから、こういうものは同一方向に持っていくというような形が必要であると思います。  それから心身障害者扶養年金制度というのは御存じないかもしれませんけれども、これはまだ法律になっていないのです。子供に心身障害者を持った親御さんは自分が生きている間はその子供さんのめんどうを見ることができるけれども、亡くなってしまったならば子供はきょうだいもみんな見てくれないだろう、そういう人のために年金をやる。東京都庁と生命保険協会で私的でやっております。これもスライドがございません。こういうものをやはり法律の形で私はやっていく時代が来ておるのではないかと思うわけでございます。  何分にも時間も大分超過いたしましたから、私のつたない御報告はこれをもって終わりとさしていただきたいと思います。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  次に、教育について森本公述人にお願いをいたします。筑波大学講師森本真章君。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) 御紹介をいただきました森本真章でございます。  私は現在筑波大学学校教育部に所属しておりまして、学校教育のあり方について理論的、実践的な面から研究を行っている者でございます。特に学校教育において重要な役割りを占めております教科書につきましては、筑波大学教科書研究プロジェクトチームの一員として研究を行っておる者でございます。  今日、問題になっております中学校社会科公民分野の教科書の内容分析は、私が一教育者としての立場から見まして果たしてこのようなものを子供たちに教えてよいものだろうかと疑問に思いましたものを教科書の中から拾い出してまとめたものでございます。最近、いろいろな新聞にもこの問題が取り上げられまして教育の場に政争を持ち込むなというような批判もなされておりますが、これは確かにそのとおりでございまして、私自身、この教科書問題によって教育の場に政治論争が持ち込まれることは絶対に避けなければならないと考えるものでございます。  ところで、「疑問だらけの中学教科書」という本を取りまとめる段階ではきわめて常識的な判断によってこれはおかしいというところを指摘したのでありますが、この書物を発刊いたしました後になって、ふと中学時代の校長先生の言葉を思い出したのでございます。それは、法律というものは常識であって、世の中ではしてはならないということはすべて法律で規制されているということであります。そこで、私どもが中学校の社会科公民分野の教科書の中から取り上げました疑問点を、もう一度教科書の執筆に当たってよりどころとなる学習指導要領や教科書を検定する際の基準となる検定基準に照らしてどうであるかということを調べたのであります。そうすると、われわれが問題点として指摘しました個所は、そのことごとくが学習指導要領や検定基準に違反しているように思えてならないのでございます。さらに、明らかに憲法や教育基本法の精神に照らしてみましても疑問に思われる記述が幾つかございます。ただいまは時間も限られておりますので、これにつきましては後刻質問でもございましたらお答えいたしたいと思いますが、まず、教科書検定基準並びに学習指導要領に照らしてこれに合致しないと思われる記述の事例を幾つか挙げてみたいと思います。  検定基準の一番大切な、絶対条件と文部省は説明をしておりますが、基本条件に「教科の目標に一致」というものがございます。たとえば中学校社会科公民分野のその目標の第一には「「自由と責任」、「権利と義務」の関係を社会生活の基本として正しく認識させ…」と書いてございます。したがいまして、教科書におきましては、自由と責任あるいは権利と義務について、たとえば自由には責任を伴うとか、権利を主張する際にはそれを乱用してはならないとか、法律を守る義務があるとかいったことを社会生活の基本として正しく教えなければならないはずであります。そういうふうに私は思うのでありますが、しかしながら、実際にはこうした記述は多くの教科書からは消えてしまっているのでございます。以前の教科書にはそういうことがきちんと説明されておりましたが、本年四月から使用されます中学校の公民教科書には、権利と義務の基本的な関係を正しく、私が納得できる説明をしているものは、残念ながらほとんど見当たらないのが実情でございます。そういう基本をきちんと教えずに、権利についてはどの教科書も大体二十ページ以上を費やして、中には見る権利、聞く権利、デモをする権利、眺望権、反論権と、余り聞いたことのない権利が羅列されております。一方、義務についてはわずか数行しか書かれていないというのが実情であります。そうでありますと、権利ばかりを主張して、義務を果たすことを知らない子供たちがますますふえてくるのではないかと心配いたすのであります。  また、同じ公民分野の目標(4)に、「社会的事象を確実な資料に基づいて、さまざまな角度から考察する。そして事実を正確にとらえ、公正に判断しようとする態度と能力を育てる」。もう一度申しますと、「社会的事象を確実な資料に基づいて、さまざまな角度から考察する。」と。「そして事実を正確にとらえ、公正に判断しようとする態度と能力を育てる」。少々長いのですが、こういうことが書かれてあります。  しかし、この目標に反すると思われる記述といたしましては、すでに皆様も御承知かと思いますが、防衛費に関する記述であるとか、日米安保条約に関する記述でありますとか、日米安保条約はかえって戦争に巻き込まれるとか、さらに、大企業や商社に関する記述、資本主義と社会主義の説明、原子力発電所の記述なども非常に多く見受けられるように思うのでございます。  検定基準の基本条件の三番目には、「取扱い方の公正」として、「政治や宗教について、その取扱い方が公正であること、」「特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏ったり、それらを非難していないこと」ということが定められております。  先ほどもちょっと例として挙げましたが、資本主義と社会主義の説明や、安保条約はかえって戦争に巻き込まれるとか、長期政権はよくないとするような記述は、こうした取扱方の公正という基本条件に反しているように思うのでございます。  時間が限られておりますので、次に、検定基準の必要条件について申し上げます。  学習指導要領に示す内容を取り上げていること。たとえば愛国心であれば学習指導要領に「日国を愛しこという言葉がございます。小学校の学習指導要領にも自国に愛情を感ずると、そういうふうな心情を育てるということが書いてありますが、そういうことは一切、教科書には書かねばならないのに出てきておりません。  それから、学習指導要領に示す、目標及び学習指導要領に示す内容に照らして、不必要なものは取り上げないこと。たとえば大衆行動、デモ行進、こんなようなものは書いてありませんが、教科書には長々とそういうことが書かれております。  それから、さし絵、写真、地図、図表などその学年の児童生徒の能力から見て理解が困難でないこと。これなどにつきましては、社会保障のグラフなんかは非常にむずかしいことが、子供がとても理解できないようなものがたくさん出ております。単に、日本が非常におくれておるということがわかればいいというような、社会保障自体じゃなしに、そういうことを目的としたような図表が出ておるのであります。  それから、全体の扱いに調和がとれており、特定の事項を特別に強調し過ぎていないこと。たとえば一揆であるとか公害の問題であるとか、先ほど申しました権利ばかりを書く、こういう偏ったものはいけないということになっておりますが、現に教科書にそういうものがあらわれております。  まあ一々申し上げませんが、学校教育の全般の方針や慣行に反していることはないこととか、それから特定の営利企業、商品などの宣伝や非難になるおそれのあるところはないこと。それから分量とか配分が適切であること。それから誤りや不正確なところはないこと。また一面的な見解だけを十分な配慮なく取り上げておることはないこと。こうした検定基準の必要条件に照らして、それに触れると考える記述が数多く見受けられます。このような学習指導要領や検定基準に外れた教科書がなぜできてきたのか。次に、その原因あるいは背景といったことについて若干私見を申し述べたいと思います。  まず第一には、日教組や共産党が長年にわたって一貫して教科書に対する働きかけを行ってきているという事実を無視することはできないと思います。最近の共産党の動きを見ましても、「赤旗」などにおきましていち早く教科書の問題を大々的に取り上げていることであります。また、日教組は教科書の採択を決定する時期に合わせて「教科書白書」という書物を発行いたしまして、日教組独山の観点から教科書の内容を分析、批判し、全国的に日教組が好ましいとする教科書が採択されるように、組織的に活動しているのでございます。  今日、問題となっておりますこのような教科書が出てまいりました背景には、このような共産党や日教組の一貫して、そして粘り強い教科書に対する非常な努力があったことが考えられるのであります。  二番目には、やはり文部省が学習指導要領や検定基準を忠実に正しく運用して、正しい検定をしっかり守り通すことができなかったということであります。そういうことが、こういう教科書が出てきた原因の一つになっていると考えます。  現在、文部省の検定を経て出てきました教科書は、検定基準や学習指導要領に照らして違反すると考えられるものが余りにも多いことは、さきに指摘したとおりでございますが、これは私の主観とか個人的な見解に基づいて申し上げているのではございません。検定基準や学習指導要領という客観的な基準に照らして疑問と思うところでございまして、これはだれもが認めざるを得ないものでないかと考えるのであります。  ついでに申し上げますが、小学校社会科教科書について言えば、完全に学習指導要領と検定基準にひっかかると考えられるものが堂々と検定を通っておりますし、はなはだしいものは、間違っておるものが間違ったまま検定を通過いたしましたものさえあるのであります。昨年一年は間違ったままの教科書を使われました。ことしもまたそのままになりそうであります。後刻お尋ねでもございますれば、具体的に申し上げたいと思います。  もちろん、文部省側にもいろいろな事情はありましょうけれども、文部省がみずから定めた学習指導要領や教科書検定基準を守らずに、多少極端な言い方をいたしますれば、いわばいいかげんとさえ思われる検定で合格させてしまっていると思われてならないのでございます。このことに関しましては、やはり文部省側にその責任があるということを指摘せざるを得ないと考えるのであります。その点文部省側の御見解を承ることができれば幸いであります。  私などが申すまでもなく、よくよく御承知のこととは思いますが、やはり文部省は教科書の国家的重要性ということを十分お考えをいただき、確固たる信念に基づいて厳正中立な学習指導要領と検定基準にのっとった検定を守っていただきますよう、特にお願いを申し上げる次第でございます。  最後に申し上げたいことは、最近教科書の検定の右傾化とか、保守反動化とかの声も聞かれます。また教科書を国定にするとか検定基準を強化するとかの声も聞かれますが、私はそういうことではなく、文部省がいま現在ある検定基準並びに学習指導要領を正しく適用し、運用し、検定を行うようにしていただければよいと考える次第でございます。たとえば自衛隊の合憲か違憲かの両論併記にいたしましても、学習指導要領や検定基準を忠実に尊重するならば両論併記にはならないと考えます。文部省は、学習指導要領や検定基準に照らしても、あるいはまた基本的なことを教えなければならない小中学生をいたずらに政治論争に巻き込むということで、文部省は以前から両論併記はいけないと言っておったのであります。両論併記は憲法を正しく教え教育基本法の精神を尊重するという観点から中学生に理解困難だから避けよと指示しておったのであります。それがなぜ文部省は両論併記に変えたのであろうか、その理由をお伺いいたしたいとも思うのであります。  以上でございます。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  次に、元福岡県商工水産部長長谷川喜博君にお願いします。長谷川公述人。

長谷川喜博元福岡県商工水産部長

○公述人(長谷川喜博君) 私のような現在平凡な一年金生活者に貴重な時間を割いていただいて恐縮いたしております。  公述人として賛否を明らかにしなければならない正規の公聴会の場でございますので、一応反対ということで公述の申し出はいたしました。が、公述の内容は、反対というよりも自治体行政に参画したことのある一地方在住者からのお願いということが主体になると思います。  田舎住まいでございますので、実はまだ来年度の予算書も見てはおりません。ただ、そのアウトラインは新聞等である程度承知はしておるつもりでございます。一般会計だけで五十兆円に近い予算額、その天文学的数字にはただただびっくりするだけでございます。だれがどのようにお使いになるのか、とにかくまあ大変な数字だと、三カ月ごとに自分のポケットに入ってきます私の年金の額に比べてその感をさらに深くするわけでございます。しかも、その少ない年金の中からも相当の額の所得税はちゃんと控除されています。せめて幾ばくかの調整減税はぜひとも実現させていただきたいと、これはまず年金生活者としての私の個人的なお願いでございます。  第二番目は、自治体の行政から見た国の予算への注文といったところでございます。  このところ地方の時代と、いろいろと喧伝されておりますが、地方の時代にふさわしく、国と地方とのいわゆる事務再配分の問題が再燃してきたようでございます。先日発足いたしました第二次臨調でも、中央、地方を通ずる事務再配分問題として検討されるやに聞いております。その場合、地方自治を守る立場からまず論議の俎上に上るのは、いわゆる機関委任事務の弊害についてかと思います。  よく三割自治とか二割自治とか言われますが、それは自治体の自主財源の低率さ、それから中央各省による人的支配といったこともございますが、さらにそれを上回って、機関委任事務による自治への重圧を意味していると思います。都道府県の場合、知事への国の事務の機関委任、それを県の総事務のパーセンテージで見ますと、約八割から九割近くに上ると言われております。この機関委任事務の根拠は、これはもう言うまでもございませんが、地方自治法第百四十八条を根拠といたしております。都道府県や市町村といった自治体の団体としての本来の事務以外の事務で、実態はこれは国の事務にほかならないわけでございます。しかも、機関委任事務を執行する立場に立つ限り、公選の知事も市町村長も国の機関としての地位に立って、上部機関である主務大臣の一般的指揮監督を受けるわけでございます。さらに、この事務の執行については地方議会は直接その執行内容には介入できないわけです。自治体側の自主的決定権は機関委任事務に関する限りはまるでないと言っても間違いではないと思います。ここで地方の時代にふさわしい地方の自治を確立するためにも、国にとってはまことに便利、が、地方にとってはありがた迷惑な場合の多いこの事務の再検討が必要なことは間違いないところだと思います。  しかも、この国の機関委任事務には、これは私の体験からも申し上げられますが、次のような具体的弊害がはっきり出てきておるわけでございます。  その弊害の第一は、機関委任事務の執行が地方の実情に即応できない。これは国の通達等で全国画一的な処理を要請されるからであります。  それから第二番目の弊害として、地方行政の総合的な運営を阻害しやすい。いわゆる縦割り行政の弊害がここにはっきり露出してくるわけでございます。県にも知事を中心にしまして各部長で県のいろいろな政策等を決定する庁議というものがございますが、その庁議の場での各部長の発言は、派遣されてきたいわゆる本省と言うのはおかしいのですが、派遣されてきた本省の、たとえば土本部長でしたら建設省、農政部長でしたら農林省――いまは農水省ですか、の立場を代弁する競争になりがちでございました。県全体の施策の総合性ということがなかなか発揮できないわけです。  それから第三番目に、機関委任事務の執行について自治体側からの財政上の持ち出しが多いということでございます。いわゆる超過負担の問題として、これが地方財政圧迫の大きな要因の一つとなっておることは、これはもう先生方よく御承知のことと思います。私の住んでおります福岡県で来年度分の各種超過負担額を概算してみましたところ、その額は、いわゆる人件費関係、これはいろいろな法律で設置を義務づけられておる職員に対して国の方からそれぞれ人件費の補助が出るわけでございますが、それが量的にも質的にも十分でございませんので、県側からの持ち出し分が、人件費関係では、福岡県ですが、五十億七千二百万円、それから各種の施設建設等では十二億三千七百万円、合計六十三億九百万円に上る。これは県の財政課の計算でございますが、それだけの超過負担を強いられておるわけでございます。ところが、いわゆる中央からの締めつけ――言葉は悪いかもしれませんが、このいわゆる中央からの締めつけは、ひとりいま申し上げました国からの機関委任事務の執行だけには限られないわけでございます。形式的には県という地方自治体の団体事務、固有事務とされておるような事務につきましても手厳しいものがあるわけでございまして、その例として二つほどお話し申し上げてみたいと思います。  まず、県の商工行政につきまして、県の商工行政の大半は中小企業対策でございます。中小企業対策だけだと言っても過言ではないかと思います。そのうちでも中小企業に対する設備近代化資金の貸し付けという事業がございますが、これはもう相当大きなウエートを占めておるわけでございます。この事業につきましては、その貸し付けの原資を国と県で同額を負担し、長期の年賦で無利子という有利な条件ですので、その需要はきわめて多いわけです。問題は、この貸し付けにつきまして、国――通産省中小企業庁でございますが、国が定めました貸付基準がこれまた余りにも全国画一的でなかなか地方の独自性が出せないわけでございます。国の産業政策へ有無を言わせず右へなら文をさせられるといった感じを私自身も持ったことがございます。  それで、全国の商工部長会議というのがございますが、全国商工部長会議での数次にわたるこれは決議で、通産当局に要望いたしましてやっと何年か前、地方特産企業、福岡の場合で申しますと博多織工業といったようなものがございますが、そういう地方特産企業への特別枠を認めてもらった、これも相当に部長会議で骨を折ってやっと認めてもらったといったいきさつがございます。地場企業の育成といった面での自治体行政の主導性をもっと認めてほしいなという感じを持ったわけでございます。  それともう一つ、私は商工と水産を担当しておりましたので、水産関係で申し上げますと漁港の修築事業というのがございます。これは県の水産行政でのいわば中心的な事業、これももとより県の固有事務でございますが、その予算額も商工水産部という一つの部の中で占めるウエートは大きかったのですが、これは言うまでもなく漁港の整備ということが沿岸漁民にとっては死活問題だから、それを受けて県も相当以上の負担をしてきたわけでございます。ところが、その工事、これは工事予算の額によりまして修築とか改修とか局部改良、それぞれに国、県の負担、地元の負担率は違っておりますけれども、その工事を着工するには、まず国の整備計画、これは漁港法にあれはございますが、国の整備計画、現在は第六次ということですが、国の整備計画、予算計画に頭を出すことが先決問題、国の整備計画に頭を出さないことには着工できない。それで、県では国の方での――これは水産庁ですが、国の方での方針の具体的確定を待って九月議会、九月の県会でその予算補正をし、国から承認してもらったその地区に応じた予算補正をいたしまして、施行計画を固めるという場合が多かったわけです。したがいまして、国が決定権を持っておる、県はそれに従属してしまっておるんだといったような実態を見すかされまして、有力でやり手の漁協の組合長さんあたりはもう県をすっ飛ばしまして国との直接交渉といいますか、いわば頭越し外交をやりがちだったんです。これではもう県の独自性とか自主性の出しようがないわけです。しかもそのために、ときには県としてはまだことしは早いと思っておるような個所の修築とか改修といったような工事についても思わざる負担を強いられることもあったわけでございます。これは昨年九月の朝日新聞でございましたか、「公共事業への疑問」というシリーズ物が連載されたことがございました。その第二回目、これは去年の九月十日、これは西部版でございますが、九月十日に「県の財政を立て直すために必要なら、公共事業のカットなと思い切った対策をとれ」、そういう号令をかけられて公共事業にメスを入れようとされた山本、これは静岡県知事の談話が載っておりました。その談話の続きには「それまでの公共事業はとにかく予算をとってきて作ればいいというものが少なくなかった。中央からタテ割りでおろされてくるため、県の施策との整合性や投資効率を考えることがない。私は地方自治体の基礎的な任務は住民の生命、財産、生活の安全性を守ることだと思うが、公共事業はともすると便利さ、快適さ、スピードなどを求めがちだ」と公共事業のあり方の再検討の必要性を地方の立場から強調されておりました。私もその記事を読んで全く同感したわけでございます。結局その再検討の一環として自治体側としては当然に自主財源の充実、特に地方交付税率の引き上げ、これはむしろ引き下げろといったような意見が一部にあるやに聞いておりますけれども、四十一年以来でしたか、国税三税の三二%は動いておりませんので、自主財源の充実の一環としての地方交付税率の引き上げ、さらには国、地方を通ずる税体系の見直しを自治体側としてはお願いせざるを得ないことになるわけでございます。  次は、私は福岡県に居住しておりますので、福岡県という代表的な産炭地県としての立場からのお願いでございます。おかげさまで石炭関係六法のうち、これは全部時限立法でございますけれども、石炭関係六法のうち、これはことしの十一月でしたか、期限切れの迫っていました産炭地振興臨時措置法につきましては、その十年の延長を定めた改正法案がこの国会に提案されましたが、福岡県ではまだまだ多くの鉱害、ボタ山、炭柱――炭鉱住宅でございますが、炭柱なども後遺症を残しております。私はその責任のすべてを国のエネルギー政策の転換にあるのだなどと申しはいたしませんが、しかしながら石炭にかわる産業の振興のため、その企業立地の条件整備とか工業配置政策の強化に日夜努力しておられる県や関係市町村の立場に対し温かい御理解を示していただいて、予算執行面でも特段の御配慮を賜りたいのでございます。  これもまた、県民の一人として特にお願いいたしたいのは、例の国鉄経営再建法によるいわゆるローカル線の廃止の問題でございますが、この廃止の荒波を、それでなくとも疲弊し切っている産炭地の筑豊がもろに受けたかっこうになっております。この再建法の政令も出されたようではございますが、その具体的実施に当たりましては、産炭地の将来を十分御考慮いただくようお願いいたす次第でございます。  それから最後に、これは一般論になりますけれども、予算編成過程で、もっとわれわれのような地方の一般住民の声を聞く手だてを予算委員会でも講じていただきたいということでございます。国の予算は国民全部で担ぐおみこしみたいなものだと、これは元自治大臣の石原さんが何かの本に書いておられたのを読んだことがございますが、しかし、われわれ地方に住んでおります年金生活者等にとりましては、予算というおみこしを担ぐといったような感じどころか、そのお祭り自体に参加したという意識すら持てない遠い国の世界のような感じがするわけでございます。国民と国の予算との間の距離をなるべく短くするためにも、ぜひともその編成過程での地方公聴会の開催等をお願いしたいわけでございます。これは編成過程での地方公聴会でございます、議案が付託されてからではなくして。こういうことをやりましても、私は、これは両院の国政調査権発動の一環でございますので、決して内閣の予算編成権を侵すことにはならないと思います。  それから、予算委員会という正規のプロセス、こういう権威のある場での正規の公聴会もその段階でお願いできたらと思う。ただこのとき――私、実は十数年前までこの参議院の法制局に勤めさせていただいておりましたので、以下、いささか法律事務屋的な意見になるかと思いますけれども、正規の公聴会を、国政調査と申しますか、調査案件の段階では規則上できないことになっておるわけでございます。これは国会法の五十一条では、重要な案件について公聴会をやれる、それから総予算その他重要な歳入法案については、公聴会はむしろ開かなきゃならないという規定になっておりますが、それを受けたと申しますか、それよりも下位の法規である参議院規則ではその第六十条で、この正規の公聴会を開催する対象と申しますかには、これを議案だけに限っておるわけでございます。したがいまして、調査の段階では国会法上ではやれるはずの公聴会が、参議院規則では、これは衆議院規則もそうだったと思いますが、できなくなっておる。その理由を、私、参議院の法制局在職中からいろいろと先輩等にも聞いてみたのでございますが、いまに至るも、実はきょうも法制局の友人の部屋でそういう議論をしたのでございますけれども、はっきりした説明といいますか、なぜ国会法では「案件」となっておるのを規則では「議案」としぼってしまったのかということについての回答は、残念ながら得られませんでした。  これはよけいなことになるかと思いますけれども、新聞で承知しただけでございますが、現在参議院の自民党の先生方で、常任委員会制度について参議院の独自性を出そうということで、法案その他の議案が付託される委員会のほかに、たとえば財政経済とかそれから安全保障、エネルギーといったような長期展望に基づく政策を討議、立案しようという、そういった従来の委員会とは違った、何といいますか、委員会をつくってみようというお考えがあるやに、これも新聞で拝見したわけでございます。私も、問題はこれはいろいろ技術的にあるかと思いますけれども、一つの私は考えとしてねらいはわかるのでございますが、そのときも、そういう長期展望の委員会でも公聴会をやれない、これは参考人でやるという方法もございますけれども、正規の公聴会を開くといったようなことができないというのは一つのやはり問題点じゃなかろうか。あわせて御検討いただけたらと思います。  それと、予算と決算との審査にもっと有機的な関連性を持たせてもらいたいと思います。特に現年度の予算の執行過程ですね、現年度予算の執行過程に国会がもっと目を光らせていただけるべきじゃないかと痛感する次第でございます。  この問題につきましては、実はたしかそのような方向で、昭和三十七年でございましたか、参議院決算委員会で審査方針を決められたことがございますが、これは参議院の委員会の先例録にも載っておるはずでございますが、参議院の決算委員会で、現年度の予算執行についても決算委員会としても入っていくんだと、そういうことにしようという線を出されたことがあるのでございます。が、余り実行されていないのではないかというのが私の感じでございます。やはり予算と決算、これはばらばらの――ばらばらと申しては失礼でございますけれども、もっと関連を持たせた形での、たとえば決算委員会での審査がすぐ翌年の予算の委員会での審査に反映するといったような形で運用されたらという感じを持つ次第でございます。  それから最後に、これと関連いたしまして、自治体には地方自治法の規定に基づきます予算執行といいますか、自治体の公金の支出に対する住民監査請求という制度がございます。それに相当する国民検査請求と申しますか、審査請求でも結構でございますが、国民検査請求といった制度の法制化の検討もお願いできたらと思います。この制度も、これは全く、何と申しますか、根がないというわけではございませんで、このいわば芽生え的な制度といたしまして、これは大きな六法全書には載っておりますけれども、芽生え的な制度といたしまして、現在会計検査院法第三十五条の規定により制定されました会計検査院審査規則というのが大きな六法全書には載っております。やや住民監査請求に近い内容ではございますが、その内容も不十分でございます。そのためでしょうが、余り活用されてはいない。やはりここは権威のある国の法律による制度化が必要ではないかと思う次第でございます。現在の自治体での住民監査請求という制度が住民のためにまともに作動をしているとは私も思いません。そのために現在自治省では監査請求制度といいますか、監査員制度の改正案を今国会に提出するといったようなことで作業を進められておると聞いておりますけれども、しかしながら、こういった住民監査請求という制度があるということだけで自治体の予算に対して国の予算に対するのと大分違った親近感を住民が持っているということは、これは疑えない事実でございます。わが国では、これは国も地方も通じてと思いますが、いわゆるタックスペイヤーズの立場がもっと尊重されていいのではないかという感じを持ちますし、社会党さんの方では納税者訴訟制度といったような御構想をお持ちだということもこれも新聞で承知いたしておりますけれども、あわせて、この国民検査請求制度といったようなことも御検討いただけたらということを申し上げて私の公述を終わらせていただきます。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) どうもありがとうございました。  大分時間が経過いたしましたが、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

板垣正自由民主党・自由国民会議

○板垣正君 きょうは大変貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。限られた時間でございますので、簡単に簡明に御質問申し上げます。  まず第一に、社会保障の問題でございます。松本先生に伺います。  わが国の社会保障制度は、そのレベルにおいてはもうすでに国際的水準に達しておると思いますが、今後の質的な改革等図っていかなければならないと思います。そうした面におきまして、何と申しましてもいわゆる高齢化社会、先ほど比率を挙げられましたが、もう二十年ならずして日本も欧米並みに十数%という高齢化社会になるわけであります。しかも生産年齢者がどんどん低下をしてきております。ほとんど一人か多くても二人の子供、生まれてくる子供もほとんどが高校、大学まで行く、つまりは仕事の場につく時期も非常におくれる、年寄りは一方においてふえてくる、生産に従事する人の数は減ってくる、時期もおくれる、こういう中で社会保障の充実を図っていくということはきわめて重大、しかも困難な問題をはらむと思うわけであります。したがいまして、私は・やはり欧米の制度等も参考にしながら、日本は日本としての社会福祉のあり方、いわゆる日本的な日本型の社会福祉、そうしたものについての理念をこの際明確にし、かつそうした長期の観点に立ってのシステム化を図る必要があるのではないか。そういう面で、先ほど先生の御意見にもちょっと出ておりましたけれども、やはり日本の伝来的なお互いの思いやり、相互扶助、連帯、そうした面、また現実に二世代あるいは三世代が同居している。欧米等に比べるとはるかに多いわけでございます。やはり核家族化があたりまえなんだということでなくして、あるいは施設に収容すれば済むんだということでないことはもう反省されつつあるわけでございますが、そういう点、いわゆる理念として日本型の日本的な福祉制度、そういう中で、所得保障につきましても医療保障についても、社会の公共サービスの面においても、いまこそそうした日本独自の体系、理念を打ち出していくべきときではないか。きわめて抽象的なことでございますが、その点についての先生の御見解を承りたいわけでございます。  次に、森本先生から教育の問題、特に教科書に関連してきわめて真剣な、かつ私どもにとりましても無関心ではおられない重大な問題について御意見を承った次第であります。  先生がいろんな困難を冒してこの問題について真剣に熱意を持って取り組んでおられることに心から敬意を表する次第でございます。時間がありますれば、いわゆる学習指導要領から逸脱して、あるいは検定基準からも誤っておるというふうなことについて、もっと具体例も伺いたいわけでありますが、時間も限られておりますので、その中で、たとえば自衛隊の問題ですね、こういうふうな問題をいまの教科書はどういうふうに取り上げているんだろうか、子供たちに教えているのだろうか。あるいはさっきお話がありました、明らかな間違いが小学校の教科書にあって、それがそのまま使われている、いまさら直すこともできないというようなことも指摘されましたが、それは一体どういう具体的な内容なのか。この教科書の問題、最近関心を集めつつありますけれども、やはりわれわれとしても次の世代が健全に育っていくためにも、どうしても関心を持たざるを得ない問題であります。そうした教科書がいろいろ問題になる。一冊のみならずあらゆる公民科の教科書、小学校、中学校あるいは高等学校、いま検定が進められているということでございますけれども、その根底に流れるものが何かあるのではないか。相共通するその根底に流れる世界観、歴史観といいますか、そうした流れというものを先生はどういうふうに受けとめておられるか端的にお伺いしたい。  もう一つは、そういうことと、現在問題になっておりますいわゆる校内暴力あるいは青少年の非行化、非常に深刻化いたしているわけでございます。こうしたものと、そういう教育あるいは教科書、これとの関連、こうしたことにつきましての御高見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) まず松本公述人お願いいたします。

松本浩太郎千葉商科大学教授

○公述人(松本浩太郎君) ただいま板垣先生から御質問がございましたことについてお答え申し上げます。  日本国というのは、これは縦社会の組織になっておるのでございます。したがいまして、社会保障というのを一言にして私は組織化された集団的な親孝行という一親孝行と、いかにも古めかしい言葉かもしれませんが、私は組織化された集団的な親孝行を実践していくのが日本の社会保障だと思うわけでございます。ところが、社会保障と申しましても内部が非常に広いです。社会保険は、いま大体日本はもう世界一で、ちょっともったいないぐらいにやっております。したがいまして、むだだとかいろいろそういうことを整理していかなきゃなりません。  それから年金の問題は先ほど申しましたように、六十五歳支給にしなければならないだろうと思うわけでございます。ところが社会福祉と申しますと老人、母子家庭、児童、身体障害者、精神薄弱者、貧困、この六つを対象としておるのでございますが、これは何としても保険料を取るわけにはいきませんが、施設とそれから公的な扶助によって行わざるを得ないのであって、このことは間がすることも必要ですが、地方自治体の大きな私は使命だと、かように考えておる次第でございます。それで大体私の答えたいということは尽きたわけでございますが、ただ社会保障の給付だけで不満足な人のためには、後ほど御質問が出ればまたそのときお答えしますが、企業年金のようなものも十分、いま欠点だらけでございますが、そういつものも整備して自助――自分で助ける、天はみ丁から助くる者を助くという精神だけは、これは絶対に失ってはいけないのでございます。それから、先ほど申しましたスウェーデンのように親子の愛情がなくなってしまう。愛国心は強くなってくる。自分が今日大学を出て一流銀行に勤めることができたのは国の社会保障のおかげであって、お母さんのおかげではない、こういうような思想になってもこれもいけないのでございますから、なかなか一言で、いかに具体的に進めるかということはちょっとここだけではお答えできないかと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 次に森本公述人にお願いします。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) お答えをいたします。自衛隊につきましては先ほどもちょっと触れましたが、自衛隊が憲法違反であるかのような記述かなされておるのであります。以前、文部省は、憲法九条と自衛隊の存在を関連づけて書いてはいけない、こういうことを指導しておりました。憲法につきましては、条文解釈、両論併記は中学生には理解困難だから避けよ、これが文部省の方針であります。  これはどういうところから出たかと申しますと、憲法前文に、日本国民は、正当に選挙された国会の代表者を通じてやる、と。この憲法を尊重する精神、それから憲法四十一条には、国会は、国権の最高機関である、そこで決めた自衛隊法というできた法律は尊重しなければならない。それから憲法八十一条には、いわゆる違憲審査権、法令審査権というものを規定しております。したがって、国会で成立した法律が最高裁で違憲判決が出ない限りは合法であるということであります。そういうようなもろもろのものを、憲法に立脚して文部省は、特に小中学生には基本的な遵法の精神を教えるのだ、こういうところで、法律を尊重する、憲法を尊重するといったてまえから自衛隊は憲法違反であるというようなことを書いてはいけないということを言っておったのであります。たとえば、非核三原則の問題で、つくらず、持たず、持ち込ませずというのがあります。これは法律ではございません。国会の申し合わせによって閣議決定事項であります。しかし、教科書にはその非核三原則を批判するような両論併記はございません。つまり、安保条約の関係で持ち込ませずということを、そういう意見もありますが、両論併記は非核三原則についてはしてございません。私はそれで結構だと思うのです。それは国会の申し合わせ、国の最高機関である国会の申し合わせを尊重する、こういうところから非核三原則なんかを批判すべきではないと思うのであります。  学習指導要領には、法律を守ることが大切である、議会制民主主義の意義について子供たちに理解させるとともに、多数決の原理とその運用のあり方を理解させる、こういうことを学習指導要領には書いてありますし、検定基準には、一面的な見解を配慮することなく取り上げ、特定の政党の主義主張なんか取り上げてはいけない。たとえば自衛隊についても、公明党や社民連は国土警備隊をつくるとか、そういうようなことを決めております。それからそのほかに、自衛隊を核武装すべきであるとか、自衛隊は解消した方がいいとか、いろんな意見があります。だから、自衛隊は憲法違反であるというただ一つの意見は、これは一面的な意見であります。検定基準には一面的な記述を取り上げてはいけない、ということがあるのであります。そういう点からも非常におかしいと思います。  それから、小学校の教科書で間違っておりますのは、中教出版であります。私は先般出版社に連絡をしてあげました。水産庁へ聞き合わせましたら、間違っていることがわかりました。去年、これも間違ったまま、一年このまま使ったんです。私もこの間会いまして、これ直しましたかと言ったら、いやまだ直らぬのですと。これは直らぬままことしじゅうも使わなければいかぬ。これは文部省の検定価しておるかと言いたいんです。それから東京書籍の七十五ページ。これも、これを管轄しておりますのは農林水産省の沿岸課であります。沿岸課へ持っていってこの図面を見せましたら、間違っておるとはっきり言っております。時間がありませんので詳しくは申し上げませんけれども、いやしくも国の金で無料で配付しておる教科書が大方二年間も間違ったまま使われておる。検定がどうも十分できていないように思うのであります。  それから最後に、こういう教科書に流れておる根底についてひとつ申し上げたいと思います。  私は、教科書の記述の中から検定基準や学習指導要領に照らして疑問に思われるものの幾つかを取り上げてまいりましたが、これらの記述を全体としてながめてみますと、そこに一貫した思想の背景があるように思うのであります。  たとえば、「マルクス主義の国家観」とか、ここに私が持ってまいっております「国家と革命――マルクス主義の国家学説及び革命におけるプロレタリアートの任務」という、これは有名な論文がありますが、この論文によりますと、「資本主義国家は、一見公正なように見えても、その本質は階級支配の暴力機構であり、搾取機構である」と定義づけております。「したがって、人民にとっては、国家は悪の機構であり、消滅させなければならない。特に資本主義体制の国家を消滅させることがまず重要である。」ということであります。「そのためには、資本主義諸国の青少年から自国を愛するという心をなくさせるということが最も効果的なのであります。」そういう一連の考え方に基づいて教科書から愛国心の記述がなくなり、それだけではなく、白国を愛するに値しない国であると言わぬばかりのことさらに日本がおくれておるというような面を強調するようなデータがずいぶんたくさん取り上げられております。  小学校の教科書も見ましたら、これは日本教育出版でありますが、ここにちょっと赤い紙をはさんであるところには、「わが国がとても将来が心配である、わが国の食糧政策は大丈夫だろうか、非常に心配である。」ともう心配である心配であると、こう不安感を持たせるようなことが書かれております。時間が限られておりますので詳しくは申し上げられませんが、そのほかに、わが国の防衛費を必要以上に大きく見せるというような記述や、安保条約や米軍基地はいけないとか、北方領土に関する記述は問題であるとか、労働力は商品であるとかいうようなマルクス経済学に基づいて書かれたもの、共産党の文献とほとんど同じような用語が教科書の中に使われておる。人名の取り上げ方につきましても、反体制的な人物を多く取り上げたり、一揆やデモといった大衆運動を強調している例が見受けられるのであります。これらの記述は、単なる偶然によって出てきたものではなく、一貫した思想的背景があって、それに基づいて非常に無理をして教科書が書かれているために、結果としては検定基準や学習指導要領に違反するものが多く出てきたものと考えるのであります。  校内暴力とかあるいは非行の問題などにつきましても、校規校則を守れとか、先生の教えに従えとか、お父さんやお母さんの言うことを聞きなさいとかいうようなことが教科書に書かれてないのであります。したがいまして、こういう校内暴力とか非行すべてが、教科書とは言いませんけれども、教科書もその一因をつくっているということをはっきり申し上げて間違いないと信ずる次第でございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 最初に松本先生にお伺いをいたします。  先生の御意見はよくわかりましたけれども、二つ簡単に。  一つは、いま大蔵省は、日本の厚生年金額は世界で最高だ、こういうふうに言っております。そして、先ほどの自民党の御意見の中でも、わが国の社会保障は世界のいい水準にきている、こういうことをおっしゃっております。私も悪いというふうには思いませんけれども、この比較を一体どういうふうにやっていくのかということがあるのではないかと思います。厚生年金の額の出し方については、私どもは、またこれも実態とはかけ離れた数字ではないか、こう思われるようなこともあります。もう一つは、たとえばスウェーデンの金額が出てまいります。先ほど先生がおっしゃったように、五つもある社会年金の幾つかをとることができるということであれば、ただ一つの国民年金だけをとって日本の国と他国と比較をするということが正しいのかどうなのかという、制度の比較というものを一体どのようにして見ていくのかということをお教えいただきたい。  あわせまして、年金は当然の権利である、私もそういうふうに思いますし、先ほど先生がおっしゃったように、社会的な親孝行であるというのは本当にそうだと思うのですね。そして、いま女の平均寿命が七十八歳を超し、男が七十三歳を超している。本当に老後の生活は年金だ、そして医療の制度だとこういうふうに思うわけですが、婦人に独自の年金がないために年金権を持たないという実態もあるわけで、この辺のところをどういうふうに先生はお考えがお伺いをいたします。その二点です。  それから森本公述人にお伺いいたします。  森本公述人は元日高教の書記次長をしていらっしゃって、ここにおりますわが党の吉田議員と一緒に組合運動をやっていらっしゃった。日教組憎しはわかりますけれども、私はきょうは実は教育の問題というふうにあったものですから教育全般についてお考えを出していただけるのかと思いましたら、この間の名越参考人と同じように教科書だけに限ってお話をいただきました。教科書についても、先生がおいでになるのなら多分そうではないかと思いまして、これちょっと読んでまいりました。まあ力作だなと思っているんですけれども、賛成の部分もあるのですけれども賛成でない部分の方が非常に多いわけです。その点について一々申し上げている時間がありませんですけれども、先生がおっしゃる検定基準に合致しているかどうかというのがありますね。私どもはこの検定の制度そのものがやっぱり暗い部分、不透明な部分があって問題だというふうに考えておりますので、検討基準を明らかにしていかなければそれが合致しているかどうかよくわからないという部分もありますので、いまここで討論をしている時間はないというふうに考えます。  それから、こういう教科書について一貫した思想の背景があるように思いますと、こうおっしゃっておられますけれども、私、この木を見て先生のさっきのお話を伺いながら、やっぱり一貫した一つの思想のもとに書かれているのではないか、こういう感じもいたしました。そして、教科書は共産党と日教組がしっかり守ってきたみたいなお話がありましたですけれども、これは共産党や日教組にとってみれば非常に、何というのですか、ありがたい評価ではないだろうかと。ほかの政党は一体何をしていたんだ、文部省と一緒に。こういうおしかりが先生になければならないのではないだろうかという気持ちがいたしましたし、また小学校の社会科が間違っている、私も間違っていたところを直すということは本当にいいことだというふうに思います。教科書についてのいろんな議論が出ていくことは大変大事なことだと思うわけであります。  たとえばここに、女はこうしてつくられる、教科書の中で性差別ということで物すごく女の人を差別しているではないかと、こういうことを研究していらっしゃるグループもたくさんあります。いまの家庭科は、新しい次代を担うそういう家庭をつくろうという意味では非常に足りない、教科書を見直していこうではないかということで、一つのグループが家庭科というのをやっているわけです。ハマチをつくる、そのえさの中にこんなに薬品を入れているなどということも含めて、食生活の安全などということをやっている。売れに売れているのだそうです。だから教科書の論議が起きるということは非常にいいことなのですが、私は先ほど申し上げましたようにちょっと気になる部分がありますので申し上げたいと思います。  また小学校の問題では、先日も私五年生の教科書、社会科を取り上げまして、いままで林業があった、農林水産だったのになぜ林業を切っちゃったのかと、もう日本の林は守らぬでもいい、こういうことになるのかというようなことも取り上げて、教科書についての国民の意見が出てくることについては大変賛成であります。  しかし先生の部分については少々問題がありますので御質問いたしますが、一つ、一九八〇年、去年の十二月の二十三日、世界日報のインタビューがありました。その相手は自民党の三塚博識貝であります。そこの中に、これは記者が書いたのですから正確かどうかわかりませんのでお伺いするわけですが、筑波大学のプロジェクトチームに記述内容のチェックを依頼し検討を進めてきた、関係者を招いて意見を聴取した、こういう発言があったんですね。国立学校のプロジェクトチームに自民党がこういうことを依頼するということになれば一党偏向ではないかという気持ちがあるわけなんですが、こういうような事実があったのかどうなのかということをお伺いをいたします。  それから、「疑問だらけの中学教科書」という先生のお書きになった本について、たとえば権利のみだとか、老人にいたわりがないとか、統計はどうだとか、人事院勧告はどうだとか、反米親ソはどうだとかという御意見がありますけれども、その時間がありませんのでこれは質問から省きます。  それで具体的な質問に入るわけですが、ですから一つは、自民党がプロジェクトチームに依頼してこういうことができたのかどうかということが一つ。  もう一つは、ことしは国際障害者年であります。障害を持った者も健常者と平等に社会発展に参加する権利と義務があるわけです。そんな意味で教育の果たすべき役割りは非常に大きいと思いますけれども、障害児の義務教育あるいは高等学校教育あるいは大学教育、専門教育、こういう教育問題について先生はどのようなお考えをお持ちか。また、こういうことについて教科書は一体どういうふうに取り上げていたか、これをお調べになったかどうかということであります。  もう一つは、国際婦人年が国連の場で発足をして去年は中間年でありました。ここで婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というものが出されまして、日本もこれに賛成をしております。婦人の社会参加を阻害している原因は人々の日常生活の中にひそむ男女の役割り分担意識である、またこれに基づく社会的慣習に起因していると私どもは考えます。その立場から教科書の見直しをおやりになったかどうか、どうもお名前を見ていると男性ばっかりがやられたような感じがいたしますのでなかなか女の立場では見ていないのではないかということ、これが三点目。  四点目は、昨年の六月にパリで開かれましたユネスコの初の軍縮教育世界会議が、教育、マスメディアに従事している者たちは軍備拡張競争、核兵器の存在及びその使用の可能性、人類絶滅の危機の緊急性をあらゆる場を通じて教育をしなければならない、これも原則を確認している。さらに日本の代表団から、広島、長崎の被爆実態を世界の教科書に載せるべきだという提言も最終報告の中に取り入れられていた、こういうことであります。こういう問題についてこの教科書は正しく入っていますでしょうか。どういうふうにごらんになったでしょうか。  その四点であります。  最後に長谷川公述人にお伺いいたしますが、長谷川公述人は予算に対して反対とこうおっしゃったのですけれども、反対ではなくて何か陳情みたいな感じがいたしました。しかし補助金問題などについては非常にいい具体的な例を出していただきまして私どもも参考になりました。  私お伺いしたいのは、一般公募公述人ということであり、NHKで短い時間ぱっと出される、そして期間内に届けが出されなければならない、そして具体的にはもう衆議院で予算が上がっているこういう段階でやる公述人というのは本当に何か無力を感ずるものではないかというふうに思いますので、その辺のところについての御感想をお伺いいたしたいと思います。  以上です。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) まず松本公述人にお願いいたします。

松本浩太郎千葉商科大学教授

○公述人(松本浩太郎君) 松本でございます。  日本の年金や社会保障は世界一かどうかということなんですけれども、それは、何を対象に比較するかということなんです。個人でもらう年金の額は、厚生年金と諸外国とは、ドイツは二割ばかり多いですけれども、ほかとは余り変わりございません。その意味で世界一と言っているのかもしれないのでございます。ところが、国民年金と諸外国の年金と比べたらこれはお話にならないのでございます。ですから私は、諸外国と比べるときには、一番いい厚生年金を持ってきて世界一と言うのでなくて、一番悪い国民年金を持ってきて比較してどっちが世界一かというように言わなければいけないと思う。言うならば、いい年金をもらっている人数が何百万人おる、何千万人おるかということの量的なものも必要だと思うのでございます。実際具体的にこのことになりますと、社会保障というものが国民所得の何割を占めておるかということが一つのメルクマールになるのでございますが、それは一九七八年までの統計しかできておりませんが、それで日本の社会保障費はようやく一一%と二けたになりました。ところがスウェーデン、西ドイツは二〇%ぐらいを占めております。しかも諸外国は年金の持つ比重の方が医療よりうんと多いんでございます。これは単に老齢者の割合が多いからというよりももっと多いのでございます。したがいまして国民年金などの場合を、たとえば基礎年金という構想があると、それを実際するときには私は国民年金を拡充したらいいと思うのです。そのときに四十五、五十で入った人は、その人は二十のときに制度があれば二十から五十まで三十年間掛金が掛けられたのだけれども、それまでは掛けていなかったんだから、掛けたことと同じようにしてやれという、年金設計技術にある初期過去勤務年金というのがあります、始めて過去の勤務期間を年金に通算する、そういう設計法をとらないから、ますます国民がただ入ってもつまらぬだろうと、こういうことになるのでございます。  それから、これもちょっとおかしな例で大変失礼なんですけれども、身体障害者の車いすの問題なんです。スウェーデンでも西ドイツでも行きますと、すべてのおトイレには車いすの入るところがございます。日本はまだまだデパートでも幾つかしかございません。これは一例でございますけれども、そういうようなぐあいに身体障害者のために、ハンディキャップを持っている人のために特別な制度を、施設をつくってやるという温かい気持ちが欠けておるという点が第一でございます。こういうことが起こってくる一つの理由は、いま三十兆になっております厚生年金の積立金、毎年五兆ぐらいふえております。これを財政投融資とかいうようなことに運用するのは、それは雇用の問題でも必要でしょう、雇用増大のために。しかしながら、福祉のためにそのうちの若干を費やすということをしなければ、普通の大蔵省の予算の中からそういうものを持ってこいと言ったって持ってこれるものではないと思います。私はさように考えております。  それから、スウェーデンでは五つあると言いますが、一つの国民年金的なものは定額年金、これは個人単位でございます。それから厚生年金的なものは世帯単位でございます。それですから本当に無職な人であれば、国民年金的なAPというのにしか入れませんが、おれはとにかく職は持ってないけれども何とか所得を申告して年金を取ってやろうと、こう力んでくる人になってくると厚生年金には入ることができます。それからさらにスウェーデンという国は大学を出ても大抵ブルーカラーなんです、三、四十までは。ブルーカラーのときには、そのブルーカラーの団体協約年金に入っております。その人がやがて会社の役員なんかになってホワイトカラーになったら、ホワイトカラーの年金ももらえます。それで四つです。しかも自分の会社がよければさらにもう一つもらえる。そういうように年金に対する意欲を持って、そのための負担は辞さないぞという決意を持っていかないと、社会保障というのは私は平和への戦争だと思っておるわけでございますから、そういうことが必要でございます。  それから、年金権の問題がございましたけれども、年金権というのを私はかように定義しております。人たるに値する生活を保障するに足る年金を終身間受給する権利、もう一度言いますと、人たるに値する生活を保障するに足る金額を年金として終身間受給する権利と、こういうことでございます。ただそこで、女性の年金権の問題にもちょっと触れてみたいと思うのでございますけれども、女性の年金権が、だんなさんと一緒に十九年して離婚したら、十九年間はその人の年金の権利として与えると、こういう考えがいま各方面で起こって、結構なんです。そういうことは、先ほどの私の公述の中で申しました社会倫理、離婚奨励策と、社会倫理に抵触するような問題も起こってくるのではないかと思うのでございます。そういう意味でございまして、先生の御質問に十分お答えできなかったのかもしれませんけれども、これをもって終わりにしたいと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 次に森本公述人にお願いします。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) お答えをいたしたいと思います。  質問の第一点、何か世界日報に、それは私見ておりませんけれども、そういう事実は全然ございません。私どもの研究はわれわれ独自の研究でありまして、いかなる政党にも関係はございません。  それから二番目、身体障害者のことにつきましては、いま具体的に教科書の何ページということを申し上げることはできませんけれども、先生の御指摘にありましたようなことが教科書に大分あらわれております。これは乱そういうのを見た記憶がありますけれども、これはやはりそういう弱い人の立場を考えてそういうことをしていかなきゃならないというような記述が幾つかの教科書にあったように、記憶しております。  それから婦人の地位の向上につきましても、歴史的な過程とかそういうものも述べておりますが、憲法にある男女平等というようなことに基づいて婦人の地位がだんだん向上してきたということ、それからさらにそれを強めていかなければならないと、国際婦人年のことなんかもちょっと触れておる本もあったように思います。  それから最後の軍縮とか核禁止問題でありますが、これはもういずれの教科書も相当なページを割いて写真を入れて、まあわれわれから見ますと少し偏り過ぎるのではないかと思うくらい力が入っておるのが実情でございます。  以上でございます。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 長谷川公述人にお願いいたします。

長谷川喜博元福岡県商工水産部長

○公述人(長谷川喜博君) 私にとりましては非常にありがたい先生のお言葉をちょうだいしたわけでございますが、衆議院の方でああいうふうに予算が通りまして、そのままにしておいても自然成立する段階における公述にナンセンスな感じを持ったんじゃないかといったような御質問もございましたけれども、私は公聴会というものはそういうものじゃない、やはり先生方に国民の立場からお話を聞いていただく、討議の材料にしていただく、議会主義全体が、何といいますか論議すること自体に意味のある制度でございますので、決してこの段階でも公述することに無意味な感じを持ったということはございません。  それよりも私たち地方在住者にとりましては、いま先生のお言葉にもありました公聴会の周知の方法でございますね、これはかつては一部の新聞にも公告がなされていたと思うのでございますが、今度事務局に聞きましたら、官報とNHKだけという話で、実は私びっくりしたのでございますが、官報などわれわれ余り党もいたしませんし、NHKも画面ではっと消えてしまうというようなことで、私も今回の公聴会の日時その他はNHKでも見ないまま参上いたしましたし、やはり公聴会の公述人は各党推薦の方も結構でございますが、やはり私のようないわばそういった団体なり党派にかかわりのない一般の者にも意見を申し述べる機会を与えさせていただくためにも、特に地方在住者のためにはいま少しそれこそ民主的な公告の方法をお考え、御検討いただきたいと思います、かつてはそうであったわけでございますから。このごろどの新聞にも出ませんので、その点は、これもお願いになりますけれども。  それとついでに申し上げますと、たとえば地方公聴会、今度も来年度の予算につきまして地方公聴会が何カ所かで開催されたやに聞きましたし、現に福岡の方の新聞でも熊本で地方公聴会が開催されたということを見ましたけれども、熊本で開かれておれば、私も熊本までは一走りですから傍聴にでも行ったと思うのですけれども、それが事前には全然福岡市に住んでおる私にもわからなかった、そういった点、本来の公聴会と別に開かれる地方公聴会等につきましても、いま少しやはり周知徹底方をむしろこれは私の方からお願いしたいところでございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 先ほど来からお三方の公述を伺っておりましたけれども、いずれも重要な課題であります。限られた時間であれもこれもというには無理があります。私は、御質問申し上げて返ってくる答弁も含めて十三分しかございません。そういうことをひとつ御了解をいただいた上で、きょうは残念でございますけれども、社会保障問題一点にしぼってお尋ねを申し上げたいというふうに思います。したがいまして、お答えの方も簡潔というのもこれはいかがなものかと、大変失礼なことを申し上げて恐縮でございますけれども、できるだけ簡潔に一本来ならば五時を目途にきょうは終わるところがちょっと延びておりますし、その辺もひとつ御配慮をいただいて簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず第一点は、御承知のとおり、財政再建元年と、こういうふうに言われております。今回の社会保障全般にわたる予算編成というものも、大変、先ほども公述人が述べておられましたように、苦衷の策といいますか、そういう状況であったろうというふうに判断されるわけでございますが、ただ、今回御承知のとおり防衛費にかかわる予算が伸び率において社会保障を上回ったという、こういう点がございます。こうなりますと、この財政再建というのは今年一年で決着がつくとは思いません。来年もあるいは再来年も恐らく続くであろう。そういったときに、われわれのささやかな不安の中に、この社会福祉というものが、あるいは社会保障費というものが後退するのではなかろうか、こんなふうに考えますので、この財政再建と今後の社会保障費のあり方、どうあるべきか、こういう厳しい情勢の中でもどうあることが望ましいか、これが一点であります。簡単で結構でございます。  それから第二点は、先ほども公述の中にちょっとお触れになっておりましたけれども、最近特に、御専門は年金制度というふうに私は伺っておりますけれども、専門家筋あたりの方々の年金問題に対するいろいろな見方の中に、公的年金に対する大変不安感を持っている。したがって、一方においては企業年金であるとか生命保険年金であるとか、そういったものに大変な関心が寄せられている、こういうような傾向にあろうかというふうに思います。したがいまして、今後の公的年金のあり方というものはどうあることが望ましいのか、これが第二点であります。  それから、先ほど賦課方式の導入、いろんなヨーロッパ、なかんずくスウェーデン等の例をお引きになりましてお述べになりました。確かに賦課方式というものはこれから必要になってくるのではないかというのが私どもの考え方にも共通するものがございます。ただ、そうなってまいりますと、今後の高い社会保障の水準というものを維持するためには、高福祉高負担になるのか、あるいは中福祉中負担にすべきなのか、その辺がこれからの恐らく社会保障全般を論ずる上において非常に日本の今後のあり方に重要な示唆を投げかけるのではなかろうか。この点について御見解がございましたらぜひお聞かせをいただきたい。  最後に、何せ社会保障財源というものは大変いろいろな面で大変だろうと私も思います。今後この社会保障費の財源確保というものは、先ほども、時折、あるいは財政投融資、資金運用部資金等々の迫川というものもあるのではないかというふうな御意見もございましたけれども、もしよろしければ重ねてこの点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 松本公述人にお願いいたします。

松本浩太郎千葉商科大学教授

○公述人(松本浩太郎君) ただいまの御質問に対して申し上げます。  防衛費が伸びたのでこれを機会に防衛拡充元年になるのではないかということは、これは私の最初の公述の中にも述べましたように、これは非常な重大な問題であって、われわれはこの点についてはよく目を光らしておらなければならないと言うのでございます。ことしの予算はこれまででございますけれども、翌年からはそのようなことが絶対にあってはならない。先ほども申しましたように、スウェーデンだとかドイツだとかフランスなどでも、社会保障費というのは国民所得の二割近くを占めておるのでございますから、そういうようにこれを増していくことは当然高齢化社会のことで必要なのであって、それから同時に、高負担高福祉と申しますが、高負担したものが自分のものに戻ってくれば結構でございます。ところが、スライドのない年金の企業年金の場合にはそれが戻ってまいりませんので、それはどうしたらいいかというと、これはまた保険数理の技術上の問題になりますけれども、現在の保険料の二倍以上を最初から取っておけばそれはできる可能性がありますから、それだけの負担能力を持つ覚悟がないといけないと思います。何分にも私的年金、個人年金というものはスライドがありませんから、この点がぼくは将来非常にがっかりする時期が来るのではないかと思っています。そのためにはスライドの分も最初から保険料の中に丸め込んでおいて、つまりいまの保険料の二倍以上の保険料を取っておいて対処する以外にはないと考えております。  それから賦課方式でございますが、賦課方式は国民年金というような全国民対象のときにはこれは必要でございます。これは絶対に必要でございます。ドイツでもイギリスでもどこでもやっておりますが――ドイツには国民年金ありませんか。スウェーデンでもイギリスでもやっておりますが、これは保険料が賦課方式というのは普通の保険料の三倍以上かかるわけでございますが、それは国庫負担もある程度増しても結構でございます。ただ、その次の公的年金の場合に、財政が非常に苦しんでまいっております。  ここでフランスの例をちょっと申しますと、フランスは五年ほど前の七四年の十二月ですか、財政再建法という法律をつくりまして、年金で黒字のあるところは赤字のあるところにこれを回すのだというようなことで、国庫負担なしに相互にそれを負担し合うということでございます。日本の場合に具体的にどうするか。これもさっき申しましたように、統合一元化ということは非常に利害損得、既得権の問題がございますが、しかし、おおむねその制度の似た者同士である共済組合は、五つの共済組合は私はまず第一に統合への道を開かれてしかるべき、ああ三兆も積立金を持っているところがあるからでございます。そうすると、その三兆もの積立金が将来なくなったらどうするかということになりますと、六十五歳ぐらいの支給にならざるを得なくなってくるのだろうと思います。  それから、スライドの率をある程度落とさざるを得ない。ドイツでもこれはある程度落としました。CPIの半分ぐらいに落としましたから。そういうような、これを既得権の侵害というか期待権の侵害というか、そういうことでございます。最後の段階には、スライドをやったんですから積み立て方式は崩壊して賦課方式になるので、ドイツの年金も賦課方式になってこざるを得ないということでございます。そのかわり財源の負担は非常に高い。高いかわりに事業主がより多く利息分の、積立金から生ずる利息がないんですから利息分は持つんだ、そういうことでございます。  年金の財源負担確保というのは、これはちょっといささか抽象的かもしれませんけれども、年金をもらう人がじゃんじゃんじゃんじゃんそれを消費に向ける。そうしてそこから上がってくる消費税によってかなり国庫の財政が豊かになってきて、それで年金の制度を賄っていこうというようなのが一部の、スウェーデンあたりに見られる傾向でございます。要するに、いまのうちはどんどんどんどんと積立金を増して、そうしてそれを社会福祉のために使う、生産増強のために使うというようなことに転換しなければならないと思います。  まことに不得要領で申しわけありませんが。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 お三方の公述人の皆さん御苦労さまでございます。  私の持ち時間は大変少なくて、私の質問も含めて五分でございますので、残念なことでございますけれども、森本公述人に一つずつ簡潔にお伺いをしたいと思います。  公述人は、教科書を検討するに当たっての見本本をどのようにして入手をされたのかということでございますが、この森本公述人の著書であります「疑問だらけの中学教科書」のあとがきに、森木公述人の署名入りでこういうふうにお書きになっているのですね。「一般には入手できないので、文部省の手を煩し、中学校「公民的分野」の教科書七冊を全部手に入れた。」とお述べになっておられるわけでございますが、文部省にどんな手を、どなたに煩わせたのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) お答えいたします。  実は、私どもは七月まで教科書を前の教科書でやっておったんです。ところが、日教組のこれを買いまして、(資料を示す)これを見てみますと、日教組は五月四日に入手したと書いてあります。それで、ああそれじゃ古い本じゃだめだなあということで、急遽その新しい本を手に入れるように八万手を尽くしたわけであります。私は文部省におりましたので、私が直接頼んだのですがだめだと断られました。それからいろんな手を尽くして、私が直接入れたわけではございませんが、手に入ったので、その本を書いた時点では、これは文部省から入ったんだと、こう思っておったのですが、文部省から入ってないということがはっきりしました。まあきょうの私の発言を見ましても、恐らく文部省からああいうものを手に入れておったならば、あんなことは言えないと思うのでありますが、東京都内の教員を通じまして手に入れたものでございます。  その記述は誤りでございますので、訂正さしていただきます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうすると、いま御訂正になったように、このあとがきの文言は事実ではないということでございますね。  もう一つお聞きをいたしたいのは、先ほど粕谷委員からも御質問のあった点なんでございますが、公述人は冒頭に、筑波大学での教科書問題のプロジェクトチームの一員であるということをおっしゃっておられました。ちょうど十二月二十三日のいわゆる世界日報という新聞には、自民党の教科書問題に関する小委員会の小委員長をしていらっしゃいます三塚氏がインタビューを書いておられるのですがね、これにはこう書いているんです。「筑波大学のプロジェクトチームに記述内容のチェックを依頼し、検討を進めてきた。」と、こういうふうにお述べになっておられるのですが、先ほどの御答弁では、政党には何にも関係ございませんと言っておられたので、プロジェクトチームは政党とは無関係だということはわかったのでございますけれども、自民党のこの小委員会から御依頼を受けたことはございませんか。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) お答えいたします。  全然依頼など受けておりません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうしますと、この世界日報の記事は誤報だということでございますね。  最後に、私、ちょっと申し上げておきたいと思いますが、先ほどの公述の中で、教科書偏向批判をおやりになっておられる中で、これらの原因、背景として日教組、共産党の介入であると断定をされました。私ども公党に対して森本氏が公然と触れられたので、一言申し上げておきたいのですけれども、去る十日の本院予算委員会の私の総括質問の折に田中文部大臣が、この教科書については「検定のルールに従いまして、文部省が責任を持ってつくったものでございます。」ということをお答えになっているのは、テレビの放映等を通じてすでに明らかでございます。残念ながら、文部省は共産党か支配している役所ではございません。その点はこの際に明確にしておきたいということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間が大分過ぎましたので、せっかくおいでをいただきましたのですから、質問全然しないのも失礼に当たると思いますので、簡単にお開きをしてまいりたいと思います。  最初に、松本先生。先ほど、年金は六十五歳にしなければならないだろうという御意見を承りました。将来はそういうことも理解しないわけじゃないのですが、いまの場合にはまだ定年が大体五十七、八歳で、六十歳までいくにもまだ何年かかかると思います。ですから、その辺の関連でどのようにお考えになっておるのかということです。  それから、森木先生。教科書のことで、間違った教科書がそのまま検定を通過して使われているという御意見がございましたのです。その点は、教科書をつくられる会社が、あれは文部省に検定申請を出されるのだと思うのです。そして教科用図書検定審議会にかかるんですが、その検定基準が悪いからそうなるのか、その審議会の審議の仕方が悪いからそういう結果になるのか、そこのところだけお聞きしたいと思います。  以上です。

松本浩太郎千葉商科大学教授

○公述人(松本浩太郎君) ただいま御質問ございました六十五歳でございますけれども、六十五歳の支給開始をやるためには、いろいろ根回しをしなきゃなりません。  その根回しの第一番は、部分年金というのですが、パーシャルペンション、これはスウェーデンでも、六十歳から六十五歳までの間に何かのことで職を失ったような人のためにはやっております。これは言いかえるならば長期の、五年間の失業給付とでも言いますか、そういうようなものをしてやらないと、実際に働きながら年金をもらうとかいうような、いま六十以上の人ということは、これは問題になると思います。  それからもう一つ、これは、公務員の共済組合の年金が、これが外郭団体に天下った場合にも依然としてもらえ、年金受給者、共済年金の問題であり、そしてまた厚生年金の被保険者でもあるというようなのは、何か私は割り切れないものがあるだろうと思いまして、そういうような区画整理をしっかりしてから六十五歳をやらないと、六十五歳だけやるということは労働者をいじめることになると思います。

森本真章筑波大学講師

○公述人(森本真章君) お答えいたします。  検定する教科書が非常にたくさんあって、教科書調査官が非常に数が少ない、まあそういうところに、ミスがあった、見落としただろうと思います。  そして、私も最初は、漁業水域のことなんですが、それを経済水域ということを書いてあります。漁業水域と正確に書けておる本が、六冊にただ一冊しかありません。ほかは経済水域、いわゆる俗称で書いてあります。これは水産庁に行って聞いたら、これは俗称だから漁業水域と直した方がいいと。経済水域と間違っておるのが五冊ですね。  それから、線の引きが正確じゃない。南鳥島を落としておる。こんなようなものがたくさんあるわけでありますが、それと、一冊の本について、調査員、教科書調査官のほかに大学の先生一人、それから小学校とか中学校、その先生二人に調査してもらうことになりますが、そういう先生方も専任じゃございませんのでね。私もこの一冊の本見ましても、中学校の社会科で、本当に一日七、八時間読んで二日ぐらいかかるのです。だから、それを何冊も読むということになりますと、これはなかなかできない。だからやはり見落としもできると思います。  それから審議会も、審議会の事情をきょうも私いろいろ聞きましたが、審議会はそういうところまでは目の届かない機構になっております。  以上でございます。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で、社会保障、教育及び一般公募の公述人の意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。松木公述人、森本公述人及び長谷川公述人には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、今後の当委員会の審査に十分役立つものと確信してやみません。ここに、委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回の委員会は、二十三日午後一時から開会することとし、公聴会はこれをもって散会いたします。    午後五時十九分散会

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