予算委員会 第20号
- 発言数
- 578 件
- 登壇者
- 62 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1981/04/02
会議録
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) これより渋谷邦彦君の締めくくり総括質疑を行います。渋谷君。
○渋谷邦彦君 初めに、世界人類が共通の願望としておりますのは平和であり、繁栄でございます。言うまでもないことでございますが、しかしこの課題については、今日までさまざまな機会を通じ議論され、その方途について模索がなされてまいりました。しかし、残念ながら昨今の国際情勢は、人類の希求する方向とは逆の道を歩んでいるのではないかという、そういう心配が出てまいりました。 そこで、これから軍縮という問題に視点をしぼりながら、総理を中心として政府の今後の取り組みというものについて、本日は重ねてお伺いをしてまいりたい、こう思うわけであります。 そこで総理、大変唐突な質問で恐縮でございますけれども、今日軍備は拡大の方向へ向いているのかどうなのか、この点についての認識をまずお願いを申し上げたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連の特に近年における軍備の増強、これは相当顕著なものがあるようでございます。世界の平和と安定は、現在のところ厳しい国際情勢を反映いたしまして、現実には力の均衡の上に保持されておる、そういう傾向がございます。ソ連の軍備の増強に呼応いたしまして、アメリカを中心とし、西側陣営においてもやはり軍事バランスを保持しなければ、そこにもし均衡が崩れるようなことになると世界の平和維持ということが困難になる、こういう認識も一方においてあるわけでございまして、そのようなことからこの軍事力の増強の傾向というのは残念ながら進んでおる、このようなぐあいに私も認識をいたしております。
○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりだと思います。軍拡の道を歩んでいるということを、残念であるけれどもということでお認めになりました。これは、恐らくいま力のバランスということを通じて、その力のバランスが抑止力たり得るという判断にある。しかし、それが必ずしも保障されるものであるかどうか。もし、その力のバランスが崩れた場合に、一体どういう事態が起こるかということをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 一般論として申し上げるほかはないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、力の均衡の上に今日の世界の平和と安定が確保されておるという状況下におきましてバランスが崩れてまいりますと、そこに、その地域の紛争なりあるいはそこに対する武力的な侵攻、侵略というような事態も起こりかねない、こういうのが厳しい現実であろうかと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 いまおっしゃるとおりこれが力のバランスであると、その均衡が破れることは考えられるわけですね。先ほど、冒頭に総理はソビエトの軍拡についてお触れになりました。ということは、その対面にアメリカの軍備力というものが考えられる。アメリカはまたこういく、常にこういうようなシーソーゲームを続けながら軍拡へ軍拡へという道が広がりを見せている。際限なく、とめどもなく続いていった場合に一体どういうことになるんだろう。そういうことを恐らく総理自身としても恐れていらっしゃると思うし、先ほど私が触れましたようにバランスが崩れない、そういう保障は何にもないと私は思うんですね。崩れた場合、それはいま想定することは大変むずかしいと私は思うんです。 私も軍事専門家ではありませんから、それはどういう事態という予測はなかなか困難であろうかというふうに思うわけです。しかし、なぜという疑問がやはり私どもの頭の中に、絶えずなぜそういう道を選ばなければならないのかという疑問が常にわだかまりを見せながら反復してそれが解けない。政府としてはそういった道を残念ながら好ましいとは思わない。思わないとするならば、日本としてはその軍拡への道にどういう歯どめをかけることができるであろうか、どういう役割りがあるであろうか、そして世界人類の平和と安定に寄与するためには、日本政府として何がやれるんだろうということに今度は逆につながっていくだろうと思うんです。恐らく今日まで、いままで衆参両院を通じてもこの問題については古くて新しい問題として常に取り上げられてきながらも、これという妙案もないままに現在を迎えているんではないだろうか。 私がここであえて取り上げた理由は、最近余りにも目に余る軍拡が世界じゅうの人々の恐怖を誘う方向へむしろ動いている。のみならず、第三世界の国々においても通常兵器の生産というものがしきりに行われて、その行われた兵器というものが、今度は中進国であるとかあるいは発展途上国に、いわゆる需要のある、待っている国々にそれが供給されて、あるいはまたその限定的な戦争に、ゲリラ戦に使われているという昨今の情勢を考えますと、一体どこを考えて、どこに線を引いてどうすればいいんだろうという疑問が当然出るわけでありますが、国連という話し合いの場所を通じて、恐らくこれからもいろんな考え方がそこに展開をされ、合意を得られるまで忍耐強くという、そういう話し合いというものが続けられる以外に方途がないんではないだろうか。しかし、それすらも果たして、今日まで何回も続けられてきた経過を考えてみますと、いま現時点においては、それも言うなれば絶望というような状況に立たされているのではないか等々、そういった考え方が行きつ戻りつする中で、しかしいずれにしても、ここは交通整理をしていかなければならない。そういう観点から、当然日本政府としてこれから取り組まなければならない重要な課題としてこの問題があるであろう。その点について、総理の考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、渋谷さんが御指摘されたように、この軍事バランスの保持というようなことが、お互いに好むと好まざるとにかかわらず、軍拡競争というような方向にとかくいきがちである。しかし、そういう方向をたどっていっては世界の平和も人類の幸せもない、こういう基本的な認識、私も同感でございます。 そこで私は、残念ながらこの現実は、力の均衡の上に平和が保たれておるということからいたしまして、この均衡を保持しながら、この均衡を高いレベルでなしに、だんだん低いレベルに均衡させていく、そういう基本的な方向をとらなければならないものと、こう考えます。それは軍縮への道であるわけでございます。わが国としては、平和国家として平和外交に徹して、平和に外交努力あるいは経済協力その他の努力を通じまして世界の平和の維持発展に貢献していきたいと、こういう基本的政策を進めておるわけでありますが、軍縮の問題につきましても、御承知のように、ジュネーブにおけるところの軍縮特別委員会の場において積極的な働きかけをいたしております。 具体的には、包括的な核実験の禁止、こういうことも呼びかけております。また、核拡散防止条約に対して加盟を各国に呼びかけておる、こういう運動も先頭に立って進めております。また来年は、国連におきましては軍縮特別総会が開かれる年でございますが、先年の特別総会におきましても、当時の園田外務大臣が、これは国際的にも評価されるような軍縮に対する日本の方針を宣明いたしました。来年の特別総会におきましても、一層日本の立場というものを明らかにして、軍縮に対する日本の努力、これを一層進めてまいりたいと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 確かに、いままでも国連を中心として、なかんずく国連の特別総会などにおける話し合いというものがなされてきた努力も私どもは認めているわけでございます。しかし残念ながら、何回か持たれてきた今日までの話し合いというものは、これまた残念ながら、その効果というものを期待するに至らないという経過であったろうと私は思うわけです。その一方において話し合いがなされている。その一方においてどんどんどんどん軍事力の増強あるいは新しい兵器の開発というものが進められている。すでに伝えられておりますように、最近の核兵器にいたしましても、従来の大型からだんだん小型に、弾頭が小さくなってきている。破壊力がその数倍も、あるいは何十倍、何百倍というその威力を発揮するようなものが次第に生産されている。あるいはまた中性子爆弾という恐るべきそういう破壊力を持った開発がいま新たに着手され、あるいは将来において配備されるのではないかというおそれすらもいま出てきている。一方においては軍縮の特別総会でいろいろ話し合いがなされ、また一方においてはそういうような、特に米ソ二大陣営を中心とした開発が進められる。 こういう相矛盾したような状況の中で、いま総理がおっしゃったような決意を持って、果たして国連の中で決着がつけられるというか、いま直ちに望むことは無理にいたしましても、あるいは近い将来、必ずあるいは低レベルの、先ほどもおっしゃられたそういう段階にまで軍縮ができるかどうかという見通しが立つであろうか。やはりここでもっと具体的な方途を考えない限り、われわれが考えていることは理想論に過ぎまして、少しも現実にそれがあらわれてこない。のみならず、いま申し上げたように、こうして話をしている間にもどんどんどんどん軍拡が進んでいっているというような大変危険ないま状況に置かれているということを考えれば、もっと具体的に政府としてその対策というものを考えるべきではないだろうか。ただ話し合い一それはいままでのやってきた話し合いというのは、恐らく理想論にすぎない。とかくいままでは、やはり力というものの背景がない限り、日本としても思うようなことが言い切れないというような印象を持たせる、そういう発言がないでもなかった。しかし、そうではないと思う。いままで何回も言われてきたように、唯一の被爆国である日本という国は、恐らくほかの国が経験し得なかったことを持っているとれう、実感を持って啓蒙できるという立場に置かれている。そういう利点を考えてみた場合に、もっと何か具体的にやる方途はあるんではないかというふうに思いますが、もう少しく具体的なその対応について、来年の特別総会に臨むに当たっても、恐らく日本としても何かしらそこで世界が期待する発言を求められるであろう、こういう観点に立ってお述べをいただければ大変ありがたい、こう思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 軍縮の達成につきましては、私は御指摘のように、一朝一夕にこれが成るものとは考えておりません。粘り強い努力を積み重ねていかなければならない、こう考えます。と同時に、やはりいま各地域で起こっておりますところの紛争あるいは戦争に近い対立、こういうようなものは、いろいろの複雑な状況はございますけれども、やはり根底には、経済的な破綻なりあるいは民生の不安なり、そういうようなものもございます。われわれは経済先進国としての立場からいたしまして、各地域におけるそういうような不安定要因になっておりますところの経済や民生の安定等々の問題につきまして、政治的、経済的にもやはり解決のために努力をしていく、これに貢献をしていくというような、平和への総合的な努力というものが一方において強力に進めなければならないものと、こう考えております。 軍縮そのものにつきましては、先ほど来申し上げるように、まず核兵器の問題がございます。これは、これを使うということになりますれば、人類の破滅にもつながるわけでございまして、先般もローマ法王が来日をされて、このアピールをされました。こういうようなことが、私は人類の良心に、良識に大変な共感を呼び起こしているものだと、こう思います。日本も唯一の被爆国でございます。同様の立場から今後もそういう努力を積み重ねてまいりたいと、こう思っています。
○渋谷邦彦君 私は戦争を予想して言っているんじゃないんです。それは断じて起こしてはならないという、そういう前提に立っていま申し上げているわけです。ところが、いまは恐らく米ソで生産されている核兵器だけでも五万発を超えるというふうに推定されているわけです。大変恐るべきことだと思うんですね。戦争は起きなくても事故の発生ということは考えられるんです。 これは総理、どういうふうにお考えになりますか。米国内において、ソビエトの国内において事故は起きないというその保障はありましょうか。生産された核兵器に絶対断じて事故が起きないというその保障がありましょうか。こういったことも恐れるから軍縮というのは急がなければならないし、そして日本としても着実な対抗策を持って、国連で何とかその成果の上がるような話し合いをするためにもそういう具体策を持つことが必要ではないか、こう申し上げているわけです。事故の発生についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 事故の例につきましては政府委員から申し上げます。絶対にないということはこれは考えない、何か間違いがあっては大変だということでございまして、これの管理というものは特に厳重にしなけりゃならぬということはおっしゃるとおりでございますので、過去において出ました事故等については詳細御説明申し上げます。
○政府委員(賀陽治憲君) 事故につきましては、ソ連の場合にはほとんど公表されておりませんのでわかりません。アメリカにつきましてわれわれが知り得たところによりますると、昨年の九月にアメリカのアーカンソー州のダマスカスの米軍基地で大陸間弾道弾タイタンII型ミサイル地下発射サイロでロケット燃料の爆発事故がございまして、当時の報道によりますると、有毒ガスが流出いたしまして二十数人が重軽傷を負ったということがございます。それから、B52爆撃機の墜落事故が五年前の一月にスペインで起こっております。 以上がわれわれが知り得ている例でございます。
○渋谷邦彦君 ところが、アメリカで発表している例の中には幾つかのことが公表されているんですよね。これはもう古い話ですが、いまから二十年ぐらい前にやはりB52の爆撃機が二十四メガトンの爆弾を捨てた。幸いそれが爆発に至らずに済んだということで事なきを得たということが報告されております。何か専門的には、六段のインターロックが五段まで外れて、もう一つ外れると爆発すると。ですから、もしアメリカ国内であっても、被害を受ける地域というものは相当広範囲に及ぶわけですから、あるいはその爆発した事故が自国の事故によって起きたものではない、ソビエトから攻撃を受けたのではないかという錯覚を持たせるような危険性もある。それが今度逆に戦争への引き金にならないとも限らないということをやはり警告を発している方々も大ぜいいらっしゃるわけであります。 いま、賀陽さんが二つ、三つのわずかな例しかお挙げになりませんでしたけれども、現在までに報告されている事故は三十三件に上ると言われているんです。大事に至らないからそれでいいというわけにはいきません。大事に至ったらこれは大ごとです。一発で何百万という人を殺傷できるようなのが開発されている現状を思いますときに、猶予ができないというのがもう実感だろうと私は思うんですね。機械の故障ということもあるでしょう。機械がもう完全だということは絶対に考えられないわけです。また、機械を操作する人間自身も完璧に操作できるかどうか、誤ったらどうするかという問題もあるわけです。あるいは反抗的な運動によって核兵器が破壊されるということもあり得る、われわれが通常常識として考えられる。そういうようなことから事故というものの発生は絶滅を期しがたい側面があるんではないか。外務大臣はいまそういうお立場からお話しになりましたけれども、この点どうですか。
○国務大臣(伊東正義君) おっしゃるような危険が絶対にないということは、これは私もない。非常にそういう場合憂慮すべきことでございますので、この核の問題につきましては、各国で本当に管理を厳重にするということは、どうしても話し合いの中でそういうことを進めていくというのが私は必要だと思います。
○渋谷邦彦君 政府としても、いま私があえてここで申し上げずとも十二分に承知をされている問題であろうというふうに思うんです。それをわざわざこの委員会でその意識を喚起するためにあえて言うのもいかがかとは思いますけれども、時々刻々にそういう方向へいま行きつつあるときに、ただ国連の特別総会を待っていればいいのか。そういうことでは私は非常に手抜かりではないか。もっとやはり話し合いをつけられるチャンスというものもあるでしょうし、私は先ほど総理に大変しつこいような言い方でしたけれども、具体的にやっぱり方途を考えなければならぬだろう。たとえば、私は軍事費の公開というものをするような協定をやはり結ぶべきじゃないか、そういうのも一つの方法であろう。これすらもなかなか何かむずかしい問題かもしれませんけれども、世界平和ということでは、たとえ考え方の違う国々であっても世界平和についてはみんな共通したものがあるであろう。そういう立場に立てば、やはり軍事費の公開をやってお互いにその軍事費を減らすというような方向へ話し合いをする。何にもいま話し合いのきっかけがないわけです。私がいま一つの例として軍事費の問題を取り上げました。その点についてはいかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) おっしゃった軍縮といいますか、軍備管理といいますか、そういうものに達する手段としておっしゃったと思うのでございますが、私どもは核の問題は、この間もスイスの核軍縮委員会で何とか包括実験禁止のための作業部会をつくろうと、そして探知検証制度でございますとか、そういうことをはっきりしょうということを提案をしているのでございますが、まだ遺憾ながら具体化してないわけでございます。われわれとしても核軍縮委も一歩でも二歩でも進むという努力は常にしたいと思うわけでございます。 軍備の点につきましては、これは国会で議決をいただくという国々は皆もう世界じゅうわかっておるわけでございまして、そういうことがわからないのは、どちらかというと東側の陣営のことはほとんどわからぬというような状態でございまして、お互いの東西の信頼関係ということをつくることがまず第一でございますので、そういう面から信頼関係を何としても保っていこうということからやっぱり入っていくのが筋ではなかろうかというふうに思っております。
○渋谷邦彦君 確かに、もう一番根底に置かれているものば相互信頼だと思うんですね。これがない限りは幾ら議論しても前に進まない。解決の糸口すらも見出すことができない。 さてそこで、相互の信頼というものが確立するような希望があるでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) これは常に国連の場あるいは安保理事会等でいろいろ議論をしているところでございます。先般も私アメリカへ参りまして、ヘイグ国務長官に、米ソがもしも全面的に対決するというようなことになればこれは世界人類の破滅だと、どうしても平和関係は維持していくという努力をすべきであるという日本の考えを述べまして、首脳会談でございますとか、あるいはSALTIIの交渉の問題等の意見もただしたわけでございます。これはやはり信頼関係のこういうことがもとになるわけでございますので、そういうこともアメリカの意向もただしたのでございますが、ソ連が平和攻勢、いろいろ呼びかけがあるが、現実にどういう誠実な態度をとるかということがもとだということで、もう少し慎重に見守っていくという返事でございました。そういうことでございまして、お互いの国がどういう行動をとるかということがこれは信頼のもとでございますので、私どもはその信頼を破るような行動をとった場合には大きなやけどをするんだということをやっぱりはっきり知ってもらって、相互信頼関係の醸成に、つくり上げることに努力をする、あらゆる機会をつかまえて努力するということがわれわれの考える態度でなかろうか、とるべき姿勢でなかろうかと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 総理、いまずっと答弁を伺っておりますと、やはり大変むずかしい、困難だなという印象を受けるんですね。一体、もうめどが立たないような話し合い、何ぼやってみても本当に希望が持てるような道が開けるんだろうか、こんな感じがしてなりませんけれども、いかがでしょうか。絶対に希望の道が開けるという確信がおありでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、米ソ両国の首脳は世界の平和か戦争かという重大な責任をしょっておると、このように思います。そういう観点から、いろいろ両国間におきましては、政治的なあるいはいろんな面でのやりとりがあろうかと思いますけれども、私は両国が相対決をするということになれば大変な事態になる、人類の破滅にもつながりかねない、こういうことは十分認識をされておるものだと、こう思います。私どもはそういう意味合いにおきまして、伊東外務大臣も訪米いたしました際に日本のそういう考え方を率直に申し述べたのでありますが、私も訪米に当たりましては、高い立場から、人類全体の平和と安定のために、そういう立場から米首脳にもそういうことを強く申し入れたい、こう思っておるところでございます。 また、その他の国々におきましては、それぞれの地域におきましていろんな利害の対立なり、また歴史的な地域的な複雑な問題があって相対立し反目をしておるというところもあるわけでありますけれども、こういう点につきましても、一つ一つ経済的、政治的いろんな問題の解消、解決に私どもも協力をいたしまして、全体としての世界の平和維持に貢献していきたいと、このように考えております。
○渋谷邦彦君 いま核兵器を中心とした軍縮、むしろ廃絶の方向へというわれわれの願望があるわけですが、総理も恐らく同じお気持ちだろうというふうに思います。 ところが、核兵器の軍縮あるいは廃絶はもとよりですが、最近、通常兵器の開発というものが非常に著しい進歩を遂げている。そしてまた、米ソのみならず、あるいは中進国あたりでも盛んにその兵器の生産というものが行われ、それが限定戦争である、局地戦争であるとか、あるいはゲリラ闘争だとか、そういうものに使われている状況が頻繁に伝えられているわけであります。それがどんどんどんどん広がりを見せている。こういったことも当然やはり軍縮の一環としてとらまえなければなりませんし、見捨ててならないのは、第二次大戦のときに使われた兵器は例外なく通常兵器であったということ、一千万人からの人間が死んだということ、この厳粛な事実を考えてみた場合に、核兵器はもとよりでありますけれども、最近開発されている殺傷力の強い通常兵器にもその枠を広げていく必要があるんじゃないか。そういう点についての軍縮、これはもっと具体的に話し合いの場がつくられるだろうし、制限への踏み切りというものができるんではないだろうか、私はこんな感じがしてなりませんけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) これは、私どもも核軍縮ということだけじゃなくて、通常兵器についても同じ考えでいかなけりゃならぬということはまことにおっしゃるとおりでございまして、園田厚生大臣が外務大臣のときに、軍縮総会で、通常兵器の無原則な国際的な移転について抑制すべきだという趣旨のことを強く訴えられたのでございます。しかし、国連の中では、これは第三世界がなかなか積極的な姿勢を示さない、いろんな紛争、その国の安全保障というふうなことから、意外に余り積極的でないというふうなことからまだ十分な合意ができてないのでございますが、しかし国連ではこの問題はこれからの大きな課題だ、軍縮の課題だということになっておりますので、この問題につきましても軍縮といいますか通常兵器の削減といいますか、そういうことに対して日本としてもこれは積極的にやはり協力をしていく、努力するということでございます。
○渋谷邦彦君 園田さんが外務大臣の折に国連総会でおっしゃったことは、私もよく承知をしております。しかし、残念ながらあのときから今日までもう相当期間がたっておるにもかかわらず、依然として水平的に拡大されていっている。ブラジルを中心とした国々、あるいはイスラエルにしても、あるいはアルゼンチンにしてもインドにしても、あるいは台湾だとか、こういった要するに中進的な性格を持つ国々が、あるいは外貨の獲得という、そういう側面があるかもしれません。それは自分の国にとってみれば国益である、だからどんどん兵器を生産して、それを需要者に対して供給をするんだと、しかしこれがどこまでも続いていったなら際限がない。残念ながら園田さんがいらっしゃってせっかく話をされたことも実らなかったというのが現実じゃないか。 では、どうすれば一体これに歯どめをかけることができるんだろう、そういう具体的な問題がいまは突発しているわけですね。この点について、もう一遍何か具体的な方途というものはないのか、ただ話し合いでこれが、そういったルールが決められていくものなのかどうなのか。
○政府委員(賀陽治憲君) 通常兵器の軍縮につきましては、御答弁ございましたように、相当多数の非同盟諸国が端的に言ってこれを受け入れないという態度を示しておるわけでございまして、これはそれぞれの国の安全保障に起因するものでございます。そういった見地から、わが国は七六年にまず、通常兵器の国際移転の研究を始めるという決議案を出したわけでございますが、端的に申し上げまして、当時から非同盟諸国がこれに乗ってこない、これに反対をするという態度で表決に至らなかったという事例がございます。 それから、昨年の総会におきましてもデンマーク等と協力いたしまして、少なくとも通常兵器の軍縮についての研究、実態を把握する作業を国連事務総長に委託すべきであるという決議案を提出いたしまして、これも採択はされておりますので、その延長線上でまず実態を把握して、この問題をやはり説得力のある形で推進していくということが必要だと思いますし、また、国連の平和維持機能を充実せしめまして、通常兵器に対する依存度を低めるということが相当大きな重要な対策であると考えております。
○渋谷邦彦君 もうそのとおりなんです。私は外務省のいろんな資料をもって少しく調べてみましたし、いま答弁されたとおりなんです。要するに結論は大変むずかしいということです。 私は戦前から戦後にかけてのこの表をつくってみたんです。古いんですね、軍縮の交渉経過というのは、紀元前からあるんです。これは御存じない方の方が多いと思うんですが。ところが、ずっと戦前、戦後を通じて見てみますと、若干成立したものもあれば、ほとんど条約、協定未批准、あるいは話し合いの成立までいかないというのがほとんどなんです。 そうすると、やはりここで懸念されることは、よほど重大な決意を固めて、その突破口を開くための具体的な話というものを、どこかでくさびを打ち込むようなかっこうでしていかないことには道が開けないなと。そこで私は、先ほど軍事費の問題なんかも一つの例として取り上げた理由は実はそこにあるわけですよ。社会主義国家が軍事費の公開というものはできないので、あるいは西欧諸国だけそれをやってもむだではないかという異論があるかもしれません。しかし、それは話し合いで決めればいいことであります。 ところで、そういった軍拡への道が広がれば広がるほど大変危険な一つの様相がやはり別な面に広がりを見せてくる場合があります。兵器産業に主に使われる非鉄金属というのはどういうものがありますか。
○政府委員(岡崎久彦君) 従来から典型的なものといたしましてニッケルがございます。ニッケル、銅、最近はチタニウムなどが使用されております。
○渋谷邦彦君 いま、ニッケル、チタンあるいはその他、まあ多くをおっしゃいませんでしたけれども、通産省としてはどういうふうに——いまは防衛庁の見解ですけれども、通産省はどういうふうに掌握していますか。
○国務大臣(田中六助君) ニッケル、クロム、銅、鉛とかその他たくさんありますが、事務当局から答えさせます。
○渋谷邦彦君 大変確信のないお答えでございました。それ以上は申し上げません。 いずれにしても、ニッケルを初めいろんな、そればっかりじゃないんですね、使われているんです。しかも、これは希少鉱物資源と言われております。それがいまどんどんどんどん使われ始めた。特に南アフリカを中心として。恐らくいまの状態がこのまま続いていくとするならば、石油と同じように、日ならずして枯渇してしまうであろう。そうした場合に、一体人類の生存は、枯渇することにどんなかかわり合いを持ってくるであろうか。この点、どんなふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、石油と同様に、これは非常に希少価値の多い資源だというふうに私は思っております。御指摘のように、南アフリカ諸国約十カ国ぐらいのところが主産地でございまして、私ども日本はこれらの約十カ国の南アを中心とする国々から輸入しておりまして、私どももこの点油と同様に希少価値の多い大切な非鉄金属だというふうに思っております。
○渋谷邦彦君 とりわけ日本の場合は申し上げるまでもございません。資源が、まあないと言った方がいいでしょう。ほとんどを外国に依存しなければならない。いま挙げられた鉱物資源についても外国に依存せざるを得ない。そうした依存する度合いが非常に強い。一方においては軍事開発のために使われている、あるいは軍事力整備のためにそれは使われている。恐らく将来日本がギブアップするような時が来はしまいかという、そういう面も、経済安定という面も考えなければなりませんでしょうし、やはり総合安全保障的な立場から考えれば、ただ軍縮だけに目が行く。じゃ、軍拡を具体的に解消するためには、軍事費の公開もあるでしょう。あるいはこうした貴重な、希少価値を持っているところの非鉄資源についても、あるいは国際的なルールをつくって、これをどういった規制をしていかなきゃならぬかという問題も、これは私は一つの歯どめになる問題ではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中六助君) 総合的な安全保障という立場から言いますと、まさしく経済希少価値の資源でございまして、わが国にないものだけに、私どもも総合安全保障という観点から、ぜひこれの確保につきましては万全の措置を講じなければならないというふうに思っております。
○渋谷邦彦君 これは、エネ庁でお調べになった「我が国の鉱物資源の海外依存状況」、これが一覧で出ております。いまお手元にお配りしました。まあ便宜、いいだろうと思っていまお配りしただけの話。 この内容を見ましても、ニッケルは日本の依存度合いは一〇〇%ですよ。これがもし日本の国に入らないとすれば一体どういうことが起こるんだという、そんなことをお考えになったこともおありになると思います。通産省では、最近産業構造審議会の答申が出ておりますし、その点についてはどういうお考えを持ってますか。
○国務大臣(田中六助君) 私ども、石油の備蓄を考えておると同様に、やはり非鉄金属に対する備蓄の方法、あるいはどの程度どうするかというような具体策もこれらの答申に基づいて考えなければならない段階だというふうに思っております。
○渋谷邦彦君 それはいま備蓄のことについて言われた。昨日の分科会でもこの種の問題が出たそうであります。 二年前にドイツにおいてシュミット首相が、クロム、モリブデン、バナジウム、石綿、マンガンの五種類の一次産品がもし払底した場合、どういうパニック状態が起こるかということを調査したそうです。もしこれが輸入がとだえた場合に、約二千万の失業者が出るということが発表されまして、大変なショックを呼んだということでございます。 しかも、いま差し上げたこの表の中にもございますように、銅にしても鉛にしても亜鉛にしてもアルミニウムにいたしましても、備蓄量なんというものは、銅に至っては一・三日、鉛がゼロ日、まあ亜鉛が若干、五十六・六日、それからアルミニウムが三・三日と、こういう状況なんですね。備蓄の問題もそうでしょう。これが現状のようにうまいぐあいに世界経済の流れがいっているときには輸入も期待どおり考えられるだろうと思うんですけれども、先ほど来から申し上げておりますように、これがどんどんどんどんエスカレートして、軍拡へそういった希少鉱物資源というものが使われたとすれば一体どうなるのだろう。いままでは、とかく油の方に目が向いてきました。しかし、いま通産大臣がおっしゃったように、油と同様に、この非鉄金属についてもわれわれにとつてはかけがえのない資源であるということはもう申すまでもございません。だから、いまここで軍縮というものを、まず国内世論も高め、これを世界世論に連動さしていくというような方途を考えない限りは一体どうなるのだろう。それは、一方においては戦争は起きないかもしれませんよ。起きないのはあたりまえ。起こしてはならない。けれども、戦争は起きなくてもこういった資源というものがどんどん消費されていった場合にどういうことになるのだろう、こう思いますときに、まことに身の縮むような思いがしてなりません。 私は、先ほどの通産大臣の答弁ではいささか不安でございますので、総理としては一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま渋谷さんから、希少金属の需給の展望なり、これが供給確保ということが国民生活にも重大な影響があると、こういう観点から、これが軍備の方に多く使われるようなことがあってはこれは大変な事態に相なるということも含めて御指摘がございました。 これらの希少金属が南アフリカ等に多く生産をされるという事情もございます。また、中南米等も生産が多いわけでございますが、わが国といたしましては、経済総合安全保障という観点からいろんな努力をいたしております。外交関係におきましても、南アフリカの民族自決なり、あるいは独立への理解、協力なりいろんな民生の安定なり、そういう面を通じまして、緊密な関係を保持しながらこういうものの希少資源の確保ということにも努力しておるわけでございます。 備蓄問題につきましても、通産大臣から申し上げたとおりでございます。今後は広い立場からこの希少金属の問題も十分着目をいたしまして、適切な施策を進めてまいりたい、こう思っております。
○渋谷邦彦君 最近、この鉱物資源について、さすがだと思ったのは、やはりメジャーの暗躍と言った方がいいのかな、これがもう非常に激しい。こういった影響というものは日本は直接受けませんか。——これは田中さんですよ。
○政府委員(森山信吾君) メジャーの非鉄金属資源への支配というのは最近大変多い状況でございまして、たとえば銅について申し上げますと、アメリカの中で五九・九%はメジャーが占めておるということでございます。それから、アメリカ以外の自由世界について見ますと、メジャーの支配が二・六%でございまして、全世界で平均いたしますと、一五・六%がメジャーによって銅を支配されておるということでございまして、これは大変な問題だと私どもは認識いたしております。したがいまして、日本といたしましては何とかこれに対抗いたしまして、銅につきまして、あるいはその他の非鉄金属につきましても、確保できるような対策を講ずる必要があるというふうに特に痛感している次第でございます。
○渋谷邦彦君 それで、それは大変だということはわかりましたけれども、日本として何か具体的な対応策持っていますか、そのメジャーに対する。
○政府委員(森山信吾君) 方法論は二つあるのではないかと思います。メジャーの進出に対抗いたしまして、わが国としてのいわゆる自主開発の権益を確保するという方法が一つございますし、これはいわゆる海外の自主開発鉱物資源に対します日本とし七の助成策を考えておるわけでございますが、もう一つの観点は、メジャーと協調をするという考え方もあってよろしいのではないかということでございまして、メジャーというものの持ついろんなメリット、デメリットがございますけれども、そのメリットに対応いたしまして、メジャーとの協力という関係も十分考える必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 この問題、まだまだ奥の深い問題でございまして、限られた時間の範囲ではあれもこれもとても言い尽くせる問題ではございません。いずれにしても、いま西側諸国も南アフリカへ向いておりますし、社会主義国家も南アフリカへ目が向いている。そればこの鉱物資源があるからなんです。これの争奪は一体何につながるかというと、短絡的に考えても、軍事力増強の一翼を担うためにこれはつながる。これは決して私の思い過ごしではないと思いますが、外務大臣どうですか。その認識は。
○国務大臣(伊東正義君) 南部アフリカの問題は、一つは第三世界という問題、それをどういうふうに自分の国と友好関係を結ぶかという問題が一つあり、もう一つは、いま先生のおっしゃったような問題も、あすこが非鉄金属資源の豊富な地帯でございますから、資源という面から考えましても、やはりあの国々と平和友好関係を結んでいく必要があるという両面から、いまいろんな南部アフリカに対する各国の接近の仕方あるいは友好関係の保ち方ということが考えられているだろうというふうに思います。
○渋谷邦彦君 ちょっと前に戻るようなかっこうになりますけれども、いま世界の、先ほど軍事費について私申し上げました。この総額は、これはストックホルム国際平和問題研究所でいろんな角度から調査研究をした大変オーソライズされた内容だと言われております。ラテンアメリカとアフリカ六十五カ国のGNPの合計の二倍だそうです。ひどいものですね。それから二つ目には、全世界の政府の教育費の二倍、それから健康のための政府支出の二倍、開発途上国に与えられているすべての公式援助の十五倍に当たる。いかに莫大な費用が軍事のために用いられているかという一つの比較としてお感じいただけたのではないだろうか。そのほかに軍事研究開発のために用いられているお金についても、これも推定です。年間約六百億ドルいろんな技術開発のために使われる中で、二百五十億ドルも軍事研究のために使われておる。これも大変莫大なお金だと思います。結局そういうしわ寄せがそれぞれの国の政府のいわゆる歳出の重い負担にのしかかっている。その差はあるでしょう。差はあるけれども、平均的に見た場合に全部それが政府のその歳出の負担にかかってくる。これは結局、言わずもがな、国民の負担にかかるということになるわけです。大変もったいないことをやっておるのだなということをこうした調査研究の中からも明確に申し上げることができるのじゃないかと思いますが、それよりも何よりも、南北の間がますます貧富の差が開いていくのではないだろうか。軍事費をもっと有効に平和のために使うならば、いま申し上げたような問題というものの解消につながるでありましょうし、南北問題の所得格差なんていうものも近い将来縮小されていくであろう。これも平和への足がかりとして重要な課題になるであろう。総理いかがでしょう、この問題は。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も同じような認識を持っております。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、たしかブラント報告にもそういうことが、いろいろ渋谷さんお述べになったようなことが出ておるわけでございますが、そういう資源が本当に民生安定、福祉向上に使われるということはこれは本当に好ましいことでございますが、現実はいまお述べになったような状態でございます。特に南の方等では、GNPに対しまして防衛費というのは非常に高くなっておる、そういう状態がございますので、やはり南北問題というのは世界の平和ということにとって非常に大切な問題ということは一緒でございまして、日本としても経済協力等は南北問題というものを主として考えていく、重点的に考えていくということが必要だということを私も痛感しております。
○渋谷邦彦君 確かに国際の様相というのは多様化しておる。従来からも日本政府の外交方針の一環として、南北の格差解消に努めていくための努力をしていくというのが御方針であったろうと私も思うのです。ところが、残念ながらいま申し上げたような幾つかの事例をお聞きいただいてもおわかりのとおり、だんだんその格差が広がっていく。これは国連でも、すでに御承知のとおり、レオンチェフ教授にこれを依頼して研究された成果が、「成長の条件」ということにまとめられました。この中でも明確にその点を指摘されているんですね。いまの貧困と飢餓の状態というものは、このままの様相が続く限りもうどこまでも続くであろう。しかし、世界の軍事費をたとえば四〇%から五〇%削減することによって、そういう発展途上国の開発に一五%から二五%の開発援助資金を与えることができる、こういう報告がなされている。御存じでしょうか。 ですから、そういう点を総合的に考えまして、やはり南北の問題、資源の問題、そしてまた軍事費の問題、こうしたことをやはりトータル的に考えて日本として軍縮というものをいかに考えていかなければならないのか。これは戦前における軍縮という意識と戦後における軍縮に対する取り組みというのは全然違うのですね。対応の仕方。一口に軍縮というふうに言われておりますけれどもその中身は全然違っておる。それだけ複雑になってきているわけです。その複雑になっている軍縮の一つ一つを、全部をと私申し上げません。一つでも解消への手がかりができるとするならば、これは大きな人類平和のための貢献につながるのではないだろうか。そう思いますがゆえに、行きつ戻りつしながらいま政府の見解をただしたわけです。 しかしいままで伺っている話では、気持ちは同じなんだ。しかし具体的な対応ということになりますと、それがさっぱり不鮮明になってくるわけであります。やはりこれは急がなければならない課題でありますがゆえに、もう少しくこれを慎重に検討することが必要ではないか。全く方途がないと私は思いたくないのですよ。もっと具体的に、いまお考えになっていることがあればお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(伊東正義君) 渋谷さんおっしゃるように、紀元前からもうあるということを言われたほどむずかしい問題でございますので、いろんな場でこれは忍耐強く主張をし、実現の努力をするというのが日本の態度でございますが、核軍縮につきましては先ほど申し上げましたが、南北問題等が、やはり南の方が社会的、政治的に安定するということが兵器をそう買わなくてもいいということにこれはなってくるわけでございますので、私はやっぱりどれが決め手ということでなくて、特に核軍縮の問題については、包括的実験禁止の問題でございますとか、あるいは平和の問題であれば、日本は経済協力で世界の平和ということに貢献するということであれば、経済面、技術面等で南の方に社会的な不安、政治的な不安を起こさないようにしていくということも、私は回り回ってそれがやはり軍縮ということにもつながっていくのだというふうに考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 当面、いま軍縮への手がかりがあるとするならばどんなことが考えられますか。——ただ話し合いだけじゃだめですよ。何か手がかりがつかめるとするならば何がいま考えられるか。
○国務大臣(伊東正義君) 私は、この前アメリカへ行ったときに、米ソの平和関係が維持されるということが世界の平和にとってまず何よりも大切なことだということを話したのでございます。これは米ソの両方に平和関係が維持されるということはまずまず私は最も大切なことだと思うわけでございますが、そのほかは、いま申し上げました南北問題について努力する、あるいは軍縮会議の中で包括的な核実験禁止というものを何とかして実現するというようなことを具体的な問題としてやる必要があると、こう思っております。
○渋谷邦彦君 いままでもこの国会を通じていろんなことが提言もされたことがございます。私、昨年の臨時国会でもそのことを申し上げたと思うのでありますが、そのほかにも、たとえば非核武装地帯の設定であるとか、いま私がずっとるる述べた問題の一つの項目でもいい、何か手がかりとなることが具体化する、そういう可能性があるかないかということを尋ねたわけであります。それも全然考えられませんか。ただ話し合いする以外には方法がないということしか、現状のところはもうこれ以上突っ込めないというふうに受けとめてよろしいのですか。
○国務大臣(伊東正義君) 私は、迂遠ではございますがそれが、先ほど申したことが正道だと、こう思っておるわけでございまして、もしも渋谷さんに何かこういうことがあるのじゃないかと、いいお知恵でもあれば教えていただけば、私は十分検討したいと思います。
○渋谷邦彦君 そこで、じゃ一つ申し上げましょう。たとえば世界的に著名な科学者に日本でお集まりをいただいてシンポジウムを開くもよし、あるいは研究機関をつくるもよし、やはり系統的に総合的に経済的に、あるいはいま申し上げたいろんな問題を中心にしながら、何が可能性があるかどうか。私は、いままでの答弁を聞いておりまして大変不安と申しますか、努力はなさっておる反面効果がない。もっと総合的に、日本として軍縮に取り組むにはもっときちんとした材料を総合的に整理をなさる必要があるのじゃないか。まずそれが一点ですね。そういった研究機関を設けることが可能であるかどうか。そういった非常に権威づけられたものを世界にアピールしていく、これも一つの方法であろうと思うのです。それは政治のレベルで話し合うことも結構。あと、それ以外の民間同士の話し合いのきっかけをつくる一つの方途というものも、これは日本政府なら日本政府がリーダーシップを握って、そういうふうな一つの機関をつくることも必要ではないだろうか。そんな考え方を持つわけですけれども、この点の見込みはないですかね。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、先生のおっしゃったことをすぐどうするかということはよく検討せにゃならぬ問題でございますが、いまでも安全保障の研究会とか、民間に国際問題の研究会とか、権威ある機関はあるわけでございます。でございますので、先生の御提案は検討いたしますが、やはり先生のおっしゃることも私の答えていることと一緒で、やはりすぐにということではなくて、回り回っての、私はそれが正道——なかなかすぐにはないので、先生のお考えも私の考えもそう違ってないのじゃないかなということで、いま、あそこで伺っていたところでございます。
○渋谷邦彦君 もう一つの手がかりは、総理の訪米に際しまして、先般の集中審議でも申し上げましたけれども、やはりレーガン大統領とブレジネフ書記長が一刻も早く会って、SALTIIへの一つの手がかりがつかめるような、何といいますか、仲介というふうな言い方はいかがかと思うのですけれども、やはりこれが一番必要じゃないか。いま現実的に考えられる問題。いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 米ソ首脳会談、これは首脳会談だけではなくして各レベルの接触、話し合いというものを積み重ねていくということが非常に私は大事だと、こう考えております。 ブレジネフ書記長の米ソ首脳会談の提唱に対しましても、アメリカのレーガン大統領並びに米政府は、これを拒否しておるものではないと、私はこう受けとめております。これが単なる平和攻勢でなしに、本当に心から世界の平和のためにあるいは軍縮のために米ソ首脳会談を求めておるのであるか、平和攻勢の一環としてやっておるのであるか、その辺を見きわめながら、米側としてもこの問題に取り組んでいこうと、こういうようなぐあいに私どもは承知をいたしております。しかし、いずれにしても、米政府も言っておりますように、ブレジネフ提案というものは評価すべき提案と、こういうぐあいにも見ておるようでございます。 私は、日本はまたもっと平和国家としての立場から、米ソ首脳会談におきましてはこういう問題につきましても率直に日本側の考えを伝えたいと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 確かにこの軍縮ということは息の長い話かもしれません。しかし、やはり息が長いだけに絶えざる努力は、あらゆる方途を見出しては知恵をしぼりながら総力を挙げて世界軍縮への道が開けるような、日本が少なからずそのリーダーシップが握れるような、そういう方向へぜひ道を開くことが必要であろう。軍拡なんというまことに愚かな、二十世紀のこれは時代に逆行するいまの姿ではないかということを非常に恐れるからであります。 さてそこで、私は先ほど第三世界への武器の輸出のことについて申し上げました。日本においても最近きな臭い話が出まして、国民の多くの関心を呼んだわけでありますが、将来においてもこうした武器輸出なんということがないことを念じながら、若干これは確認のためにお伺いをしたい問題がございます。 通関統計によりますと、第十九部とありますね、「武器、銃砲弾及びこれらの部分品」という項目の中に、その仕分けの仕方に第九十三類というのがある。その九十三類の「〇五 その他の武器(空気銃、スプリング銃その他これらに属する銃を含む。)」、その上に「その他のもの」、こういうふうにあります。いま日本から海外に出されている銃は、ライフル銃あるいは散弾銃、空気銃というようなものがありますが、これ、空気銃が武器の中に入っているのですね、通関統計を見ると。これについてちょっと、われわれがどういう理解をしたらいいのか示してもらいたい。
○政府委員(清水汪君) お答えを申し上げます。 この税関統計の品目分類は、国際的な機関でございます関税協力理事会というところで定めたものでございまして、税関統計のいわば便宜のために技術的につくられている面がございます。で、九十三類自体でも、軍用のものと民用のものが両方含まれると、こういうことになっておりますので、いまの御指摘の、たとえば空気銃というようなものは、これは民用であることは疑いないと思いますけれども、そこに分類されているということでございまして、現在は、先般来問題になっておりますいわゆる武器輸出規制というものの武器というのは、もちろんこの九十三類の中にもございますけれども、九十三類自体はそれ以外のものも入っている、こういうことに御理解を賜りたいと思います。
○渋谷邦彦君 いま日本から輸出できる銃砲はどういう種類のものがありますか。
○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。 ただいまお話に出ました猟銃あるいはレジャー用の銃、スポーツ用の銃、こういったものが輸出できる銃でございます。
○渋谷邦彦君 年間これは合計で結構です。その種類ずつ全部合計してで結構ですが、何丁輸出されていますか。
○政府委員(栗原昭平君) 数量で実はただいま資料を持っておりませんが、金額といたしまして昨年五十五年度百五億円というふうに記憶いたしております。
○渋谷邦彦君 相当量だということを理解してよろしゅうございますか。その大体の色分けはどうなりますか。散弾銃どのくらい、ライフル銃どのくらい。
○政府委員(清水汪君) 通関統計で申し上げますと、散弾銃ですと、昭和五十五年で申し上げますが、銃身が二本のものが四十三億円ぐらい、それからその他の散弾銃が二十四億円ぐらい、それからさらにその他のライフルとかそういうものでございますが、あるいは信号発射用の銃とか、こういうものが三十五億円ぐらい、それからさらにその他金額一億円未満ですが、空気銃とかスプリング銃と、こういうようなものがございまして、それからさらに以上のようなものの部分品というものが合計で約三十八億円と、こういうような数字になっております。
○渋谷邦彦君 こうして仕向け先に送られた猟銃あるいはスポーツ用の銃が、これが軍用に——軍用というか兵器として転用される心配は全くないと言っていいでしょうか。
○国務大臣(田中六助君) 全く心配がないというようなことは言えないというふうに思います。
○渋谷邦彦君 さあ、それが問題なんですね。そうすると、こちらとしては猟銃あるいはスポーツ用として送ったものが、その仕向け先においてそれがそういうものに転用されるということになると、何がしかのやっぱり責めというものを感じないわけにいかなくなるのじゃないかということを心配するのですが、どうですか。
○国務大臣(田中六助君) 私どもが普通武器と言うのは、武器三原則にも規定されておりますように、たとえばそれぞれの法律によってわが国の武器という定義が異なっておりますけれども、具体的に申し上げますと、武器三原則における武器とは、軍隊が使用するもので戦闘の用に供するものというふうに規定しております。したがって、そういう観点から輸出するときには考えるわけでございますけれども、空気銃とかそういうものにつきましては、そこまで相手がどういうふうにこれを転用するかということまではチェックできないことでございますので、私どもといたしましてはその懸念は全くないとは言えませんけれども、それ以上のチェックはできない段階でございます。
○渋谷邦彦君 そのチェックできない盲点を突いてわれわれが心配していることが起きなければ結構だと思うのですね。軍隊——それは先ほどおっしゃったことはもう何回も聞いておりますから、よくわかっています。ただ、じゃゲリラは軍隊じゃないのですね。
○国務大臣(田中六助君) ゲリラが軍隊であるかないかということを余り考えたこともございませんけれども、いろいろ考え方によっては軍隊であるかもわかりませんし、そうでないかもわかりませんし、はっきり私はここで断言できません。
○渋谷邦彦君 皮肉な質問をしたわけじゃございません。なぜかと私申し上げたのは、かつてハイジャックが起こったでしょう。そのときに持っていた犯人の銃が日本製のものであったということで、大変いやな思いをしたことがあります。そういうことで必ずしも軍隊に限らず、そういうゲリラ自体が使うのもこれは戦闘のために使うわけですからね、ゲリラは。ということになれば、それは武器になるのじゃないか。最近また死の商人なんというものは、どこでどういうふうに横行しているかわからない。せっかくこっちが良識をもって輸出したはずなんだけれども、受け取る方の側は、そういう第三世界の国々からの需要というものが多過ぎるために、あるいは今度送った先から供給する。そこまで日本としては責任は持てないと言えばそれまでかもしれません。ただ、やはりそういう種類のことのおそれもあるということを考えてみた場合に、何らかのチェックの仕方がありはしまいか、あってもいいのではないか。いまおっしゃったのは、もうチェックの方法がない。じゃあ、これは野放しなんだなと、これからは量的にもふえていくのじゃないかという心配がある。そういう点については、現状としてはいかんともしがたいというふうにしか理解できないんでしょうか。
○政府委員(栗原昭平君) ただいま大臣から申し上げましたように、構造上これを統一基準でもって認める、認めないというようなやり方で押さえること自体はなかなかむずかしいと思います。私どもも、現在その区別でございますけれども、いわゆる小銃、それからそれ以外の民生用の銃というものの差は、たとえば小銃というものは全自動であるという定義でもって仕分けをしておりまして、それ以外のもの、散弾銃でありますとか、あるいは手動でありますとか、そういったものは猟銃あるいはスポーツ銃という仕分けで区分をいたしておりまして、小銃の方はこれは武器として押さえる、そうでないものは承認するという形で仕分けをいたしているわけでございます。それ以外の主として民生用として使われるようなものを何らか押さえよというお話でございますけれども、これはなかなか実はむずかしい問題でございまして、すぱっと切れるようなはっきりとした基準でそこを仕分けできないという点は、ひとつ御理解賜りたいと思いますけれども、仕向け地その他との関連におきまして非常に問題があるようなものが目につけば、これは私どもといたしましても何らかの検討はいたしたいというふうに考える次第でございます。
○渋谷邦彦君 最近の一連の武器輸出に絡みまして、日本としてそういう銃砲というものがどういう形で輸出されているのかということを調べていくうちに、このライフルだとか散弾銃が浮かび上がってきた。いまこれ以上の答弁を聞きたいとは思いませんし、またこれ以上突っ込んでみたところで、現在の法体系の中ではこれを取り締まるとか何とかというようなことはこれは不可能でございましょう。また、輸出先に対するいろんな取り決めということも、これもまた大変なむずかしい事柄であろうと思います。ただ、不測の事態が起きないようにだけ、十分でき得る範囲の中でチェックをしていただきたい。そして、そういうような事態の起きないということについてやはり配慮すべきではないだろうか。当然、通産大臣の認可がなければ輸出できないそういうものになっているようでございますので、そこらどこかでそういう配慮がなされれば、こういう事態というものはいまの段階としては防ぐ以外にないだろうというふうに思いますが、その辺をやはり政治的な判断の上に立って田中さんの御見解を伺っておきたい。
○国務大臣(田中六助君) いま御指摘のように、私ども申請があればこれを承認する、その次に税関でこれをチェックする、そこで違反が起これば罰則というような過程がございますのは御承知のとおりでございますが、それ以上のことにつきましても、先ほど局長が申し上げましたように、何らかの不安あるいは危倶、そういうものが考えられますならば、私どもはそういう点十分注意をして輸出に当たりたいというふうに思います。
○渋谷邦彦君 同じく通産関係の問題をもう一つだけお尋ねをしたいのですが、——これはもう猟銃はこれでおしまいです、武器は。 繊維問題なんです。もうすでに通告してありますのでおわかりいただいていると思いますが、西ドイツの経済相から要請を受けた問題、いわゆる繊維製品の迂回輸出について、日本として大変厳しい規制といいますか取り締まりといいますか、勧告をしてくれと。その経過、内容について、現在どういうふうになっているか、それをお答えいただきたい。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 本年一月に西独政府から、日本産品でない繊維製品に日本産品である原産地証明をつけて西独に輸入といいますか、日本から言えば輸出になりますが、されている事実がある、したがって調査して善処してほしいと、こういう要請がございました。 そこで、われわれいま調査を続行中でございますが、西独側が三件ほど例示で挙げてきた具体的ケースにつきましては、これは実は先生御承知かと思いますが、三年ほど前に似たようなケースがございまして、そのときやはり調査いたしまして、そしてそれについてわれわれとしては厳重注意を申し渡しまして、その会社は現在は全然やっておらぬという事実は判明いたしました。しかし、われわれとしては、そういう事実がほかにもあるのではないかということを、疑いと言っちゃ変ですけれども、疑惑を持ちまして、そういう具体的例以外の会社についても調査すべきであるということで、調査を現在いたしております。目下の段階、調査中でございますので確たる御返事はできないのでございますが、疑いは何社かについて濃厚であるということでございます。
○渋谷邦彦君 大変日本の信用失墜、あるいは業界自体としても大変いやな事件であろうと、こう思うのですが、起こったことはやむを得ないと言えばやむを得ないわけですが、その背景には、今日の繊維業界の実態が何かやっぱり浮き彫りにされているような感じがしてならない。こういったことが二度と起きないためには、どういう手だてが考えられつつあるのですか。
○政府委員(若杉和夫君) 一つのポイントは、原産地証明書の発給自身が必ずしも厳格に行われていないのじゃないかということでございます。と申しますのは、原産地証明書の場合にいろんな証拠書類を添えて出すことになっていますが、現実的にたくさん原産地証明書があるものですから、業者の方の手間暇あるいは発給先の手間暇を考えまして、ある程度従来便法的なことが行われていました。それはメーカーの納品といいますか、輸出商社にメーカーが納品しましたという証明書といいますか、内容が記載してあればよろしいというような慣例がございました。それが率直に言って悪用をされたケースがかなりございます。それで、メーカーの納品といいますと、これははっきり言って輸出商社自身がメーカーである場合もありますし、系列がメーカーである場合もございますので、まあツーツーといいますか、なあなあといいますか、そういうことでやられていたケースがございます。したがいまして、まずそういうことでございますので、普通こういう不正なやつは保税で一たん入れまして、それで積みかえをいたしまして出すわけでございますので、輸出のEDといいますか、輸出申告書をきちっと添付さぜるということにしますと、積みかえとそうでないやっとはっきり区別ができますので、そういうような手段をとるように現在進めておるところでございます。 それから同時に、業界全体の問題として、商業道徳その他、あるいは日本の輸出が、こういうことが横行いたしますと、日本の繊維輸出についてもECでチェックされるという非常な危険を持っているわけでございまして、業界全体としても大変困る事態になるおそれがございます。したがいまして、業界その他についても十分指導をするという二つの方法で、とにかくポイントは原産地証明書の発給を厳格に行うということで、現在その方向で処理を進めております。
○渋谷邦彦君 今回そうした違反を犯した者が出た。しかも三年前にもあった。やっぱり続けてありますと、その威信失墜につながる。いまお話があったとおり、業界においても日本自体の威信を失墜する。この違反者に対する措置はどんなことが考えられますか。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 違反者につきましては、法律違反という問題が一つ出てまいります。これは輸取法四条によりまして戒告あるいは輸出の一定期間の停止、さらにそれに対して公表ができるという一種の行政処分でございますが、そういう処置ができるような法体系になっております。したがいまして、これは非常に重大な問題でございますので、われわれとしてはきちっと区別を——区別と言いますか、事件の真相が判明次第けじめをつけたい、かように考えておるところでございます。
○渋谷邦彦君 これからそういったことの違反者が起きないという防止の対応策は考えられていますか。
○政府委員(若杉和夫君) 先ほど申しましたとおり、原産地証明書の発給条件を厳しくいたしまして、虚偽の原産地証明が行われないように措置を進めてまいりたいと思っております。
○渋谷邦彦君 通産大臣、大変幅の広いいろんな役割りをお持ちになって、あれもこれもというのは大変だろうと思うのですけれども、やっぱりいまみたいな問題が起きる。さっきの武器の問題にしてもそうでございますけれども、やはり相当神経を使っているつもりでも、ざるから水が漏れるみたいなかっこうになりかねないという、またそうあってはならないわけです。十分その点についてはお考えもお持ちになっておられるでしょうし、これからの展望を考えて十分御配慮いただきたい、こう思いますね。 それじゃ、もう時間も残り少ないようですから、最後に気象衛星のことについて若干触れたいと思います。 この気象衛星にについては、行政監察報告が出ているのです。大変手厳しい注意が出ているのですが、行管庁としてはどういう点が気象庁として、何と申しますか、改善しなければならないのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 気象衛星から来る映像が、いまはそれをキャッチするのが一カ所であって、それが地方の管区気象台等へ行くのに約五、六時間を要しておる。そうすると、その間に気象がまた変化していく。むしろ直接管区気象台等でキャッチできるようにして、そして直接住民に予報その他をつくった方がいい。どの程度費用がかかるかというと、大体一カ所千八百万ぐらいで約一億ちょっとぐらいでそれができるということでありますから、むしろそういうふうに施設を改善して予報の迅速化を図ったらどうかという点、あるいは測候所等が非常に自動化され機械化されておりますけれども、そのために最寄りの気象台等でいろいろ仕事のできるところもある。そういうような点はもっと最寄りのものでやって、機械化されたことに即応するようにやったらどうか。あるいは非常に機械化され合理化されたにもかかわらず、予報の精度は余り当たらない。気象庁気象庁と言って飲んだら水があたらないとかなんとかいう、そういう笑い話すらあるということははなはだ遺憾である。もう少しそういう機械化に伴う予報の精度を上げることを検討したらどうか等々が勧告されております。
○渋谷邦彦君 いろいろとその勧告の内容をいま細かく申し上げている時間ありません。 さてそこで、気象庁としてはいろいろいままで御苦労があったろうと思うのですね。それでまた、行政監察ということによっていろんな改善の指示をお受けになった。ところが、今度気象庁からごらんになった場合、いま本当に困っている問題がたくさんあると思うんです。その辺どういうふうにこれから改善していったらいいのか、概略的で結構ですから、ポイントポイントを通じましてお述べをいただければ結構だと思います。
○政府委員(増澤譲太郎君) お答え申し上げます。 今回の勧告の趣旨は、天気予報の精度がもう一つ十分でないことであるというふうに考えております。気象庁は、長年にわたり最新の技術に基づく観測手段の充実と、それから新しい予報技術の開発に腐心してまいったところでございます。特に、台風等の異常気象の発生とその予報につきましては、諸外国に対して決して遜色のないものというふうに信じておるものでございます。しかし、天気予報はきわめて複雑でございまして、現在の学問の発達段階ではまだ解明できない分野も残されております。今後さらに最新の科学技術を取り入れまして、予報の改善に一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 大変遠慮しいしいおっしゃられたのだろうと私思うのですね。これは農業従事者または漁業従事者にとっては欠くことのできない一あるいは登山者もそうでしょう。ところが、最近いろんな報道がなされておる中で、天気予報はテレビだけが頼りだと、こういう記事が出ているんです。これじゃ気象庁のメンツまるつぶれですわな。(写真を示す)ここに写真があるのです。ちょっと御参考までに見てください。これ、どこから出たかおわかりですか。これ鮮明でしょう。どなたが見ても、この色、鮮明ですね。これは気象庁本庁、いわゆる「ひまわり」から入るときにこれが映し出される。ところが、気象庁本庁から管区気象台、地方気象台、測候所へ行くときにはこうなっていくのです。わかりますか、これ。(「わからぬ」と呼ぶ者あり)わからぬ、だれが見てもわかりません、これは。われわれ素人が見てもわからない。これでいままで耐え抜いてきたのですから、地方気象台や測候所。この点、運輸大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 確かにまだ科学的に技術的に向上しなければならぬ点はたくさん残っておるのでございまして、たとえばさっきお見せになりましたファクシミリ、これをもっと鮮明なもので各官省庁に送るといたしまして、大体私たちが計算いたしておりますのが約百六十カ所ございまして、一カ所設置するのに約二千万円程度最低必要でございますし、それが鮮明なもので送ろうといたしますと、先ほど行管庁長官のお話ございました約一億程度の設備をしていかなきゃならぬという状況であると聞いております。そういたしますと、なかなかこれを一遍に進めていくわけにもまいりませんし、できるだけ私たちは必要な場所を重点にしぼってそういう設備を整えていきたいと思うております。
○渋谷邦彦君 さっきちょっと言うのを忘れましたけれども、この映像は直接NHKに行くんです。ですから、NHKの天気予報というのは非常に鮮明に映るというふうに言われているのです。ところが、一番肝心なのは地方気象台であり測候所なんです、その地域住民の生活がかかっていますから。これがいま運輸大臣がいみじくもおっしゃられた、いろんなこれから機能を充実するために、機能的な働きができるためにやっぱりいろんな機器の導入だとか、そういうものを図らなければならない。それには費用がかかる。しかし、国民の暮らしがかかっているということになれば、これはやっぱりその点の配慮がなされて私はよろしいのじゃないだろうか、こう思えてなりません。これはもう気象庁として先ほど長官が本当に言いにくそうに遠慮しながら言ったのですが、これはやっぱり運輸大臣が思い切った政治的な判断を持たれてこの改善策をお立てになるべきが本当だろうと思いますけれども、いま具体策を何かお持ちになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほども申しました百五十数カ所、正確には百五十六カ所になると思うておりますが、それに対するファクシミリの完全な完成を急いでいきたい、それには年次計画も立てまして逐次実施していきたい、こう思うております。
○渋谷邦彦君 それから、たくさんある中でちょっと抽出をしていく以外にないのですが、この測候所、特に夜間の測候所が最近閉鎖されたところがございます。その理由は何ですか。
○政府委員(増澤譲太郎君) お答え申し上げます。 測候所は、気象現象の観測を行うとともに、気象情報を地元ヘサービスする第一線の機関でございますことは御案内のとおりでございますが、気象庁では地域気象観測網を展開、あるいは気象衛星等の近代化によりまして豊富な資料が即時的に各県にございます地方気象台に入手できるようになりましたこと、あるいは全国的に電話がダイヤルになって即時化されたことによりまして、天気予報電話一七七番でございますけれども、こういうものが全国津々浦々に行き渡りました。こういったような観点から格段の発展が見られたというふうに判定いたしましたので、測候所の業務についても効率化を図るべきものは図らなければならないというふうに考えたわけでございます。そこで、担当の地域が比較的狭くて観測所の任務も一部の気象台に集約できるようなものにつきましては、測候所の夜間の業務の一部を地方気象台に集約しようとしたものでございます。 なお、台風等の異常気象時には、いままでどおり臨時に職員を配置することによって地元の皆様方に御負担をおかけしたり、あるいは御迷惑をおかけするようなことはないと存じております。したがいまして、これによって地域の住民の方々へのサービスの低下になるとは考えておりません。
○渋谷邦彦君 ただ、私のところにもいろんな陳情が来ているのですよ。夜間の測候所の廃止に伴って、要するに地域の気象状況というものは測候所が一番よくわかっている、それは地方気象台よりも何よりも。先ほども行管長官がいみじくも言われた、それは五、六時間経過して初めて一般の人たちに知らされる。もうその間にまた刻々変わっているわけですね、気象現象というのは。ところが、測候所というのは、その地域性というものを非常に大事にしながら地域の住民に一番役立っ、そういう立場に立って問い合わせに対しては的確な情報が提供できるということで、農業従事者だとか先ほど申し上げた漁業従事者にしても的確な判断を持って作業ができる。あした晴れますよと言って霜が降ったらどうするか、あした雨ですよと言って晴れたらどうするか、これはしょっちゅうあるというのですね。これも夜間の測候所が廃止されたことによって起こるいろんな現象の一つとして、そういう陳情が私のところにも実は来ているのです。そういった点についての問題点は皆無なんでしょうか。
○政府委員(増澤譲太郎君) お答え申し上げます。 先ほど説明申し上げましたように、測候所を含め測候所の周辺並びにその近辺の情報については、時々刻々地方気象台において知ることができるような状態に現在なっておりますので、大部分のことについては地方気象台からお答えすることができるというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 まあ非常に、私とにかく質問の中身はこれだけ持っているのですけれども、もう時間を見ながら言っているものですから、非常に大ざっぱないま質問に終始してしまいました。 しかし、意外と知られていないこの気象衛星を通じての天気予報、これはやはり国民生活にさまざまなかかわり合いを持っていることは言うまでもございません。これが正確か不正確かによって、大変日々の暮らしにさまざまな影響を与える、これは当然常識として考えられる問題だろうと私は思うのです。いまわずかな時間で御答弁をいただいたわけでございますけれども、しかしいずれにせよ、必ずしも整備された状況に置かれてはいない。そういうことで行管庁からもいろんな勧告が出されたのであろう、このように思うわけでございます。しかし、やはりそれぞれの歴史的な経過もございましょうし、必要に迫られて測候所をつくったということもございましょうし、また、さっきのファクシミの問題についても、ああいう不鮮明なものをこれから改善しなければならぬというさまざまな問題を含んでおります。意外なところに国民生活の、暮らしに直接影響をもたらすこういう問題がなおざりにされないように十分な配慮をもって考えていただかなければならないのは当然であろう。要するに行革——いや、確かに行政改革の必要はわかるにいたしましても、大事な点は、やはりそこをどうするかという調整を十分考えながら取り組むというのがこれは当然政府のあり方でなければならぬであろう。その点について総理の最後の所信を伺って、時間が参ったようでございますので、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 気象庁の機能の充実ということが国民の暮らしに深くかかわっておる、そういう面からこの観測体制、予報体制、またこれを地域住民等に十分徹底をさせる、こういうことの重要性につきましてはるるお話がございまして、私もよく認識をいたしておるところでございます。今後、行財政の改革に当たりましていろんな問題があろうかと思います。総合的、全体的に軽重、重要性その他を勘案をしながらやってまいりたいと、こう思っております。
○委員長(木村睦男君) 以上で渋谷君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 これにて午後零時四十五分まで休憩いたします。 午前十一時四十三分休憩 —————・————— 午後零時四十八分開会
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十六年度総予算三案を一括議題とし、和田静夫君の締めくくり総括質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 総理、あなたは三月二十六日に行われた自民党議員との懇談で次のように発言をされたと報道されています。 憲法のどこを改正すべきかいま自民党内で検討中だ。成案を得れば党大会で議決し、世論を喚起する。世論が成熟すれば発議できる。私は消極的ではない。 その後いろいろと訂正されているんですが、あなたは改憲に消極的ではないとお考えなんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、積極的でも消極的でもございません。正姿勢でございます。
○和田静夫君 低姿勢ですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 正しい姿勢、正姿勢でございます。
○和田静夫君 ことしは憲法施行三十五周年であるわけです。で、五十二年以降憲法記念日の政府式典が行われていません。ことしは私は開催すべきではなかろうかと思うんです。宮澤官房長官は衆議院の予算委員会で検討を約束されたんですが、検討の結果はどうなりましたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねが二月にございまして、検討はいたしてまいりましたが、ちょうど五十一年のときには三十年ということでいたしたわけでございまして、ことし別段そういう区切りの年でもございませんので、検討はいたしましたが、特に行事はすることはないというふうにいま私としては考えております。 なおこの点は、ちょうど昭和五十一年に式典がございました後、当時の三木首相が、今後毎年ということについてはこれはどうだろうか、検討を要するというようなことをやはり言っておられますが、私どもとしても今回もそういう感じでございました。
○和田静夫君 見送るのに何か理由がありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特段見送ることに理由があるというのではございません。もう憲法を国民が自分のものとして身近に感じておるものでございますから、わざわざ毎年毎年それを、何と申しますか、思い起こさせるような意味での式典というようなことは特に必要はないのではないだろうか。まあ三十年とか五十年とかということになればまた別でございますけれども、そういう感じでございます。
○和田静夫君 総理、まさかいまの結論が、本音としては与党内の改憲派に思惑をいろいろ考えながらということではないでしょうね。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま官房長官からお答えを申し上げたようなことでございまして、特別他意があってあのような答弁を申し上げておることではございません。
○和田静夫君 私たちは毎年政府が当然行うべきである、そういうふうに主張をいたしていますので、強い意見として述べておきます。 鈴木内閣は改憲をしないという言葉はもう耳にたこができるほどお聞きをいたしました。そして鈴木さん自身のお考えというのは私もそのとおりだろうと思って信じています。ところが、私の昨年秋の臨時国会における質問で、自主憲法期成議員同盟から抜けることを検討いたしますと、こうお答えになりました。その後、共産党の質問に対しても同様のお答え、また今国会の予算委員会、衆議院でわが党の武藤政審会長にも同様のお答えとなっているのでありますが、その検討結果はどうなりましたか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 自主憲法制定促進会議ですか、これはその趣意書にもうたっておりますように、憲法の基本理念である平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、これを堅持するという前提の上に立って、いろいろ制定当時の経緯等を踏まえて、自主的なものができなければならないと、それが望ましいと、こういう趣旨であれができておるのでありますが、大部分が自由民主党の国会議員の諸君がこれに参加をいたしております。一時、自由民主党と少しかけ離れて独走するような傾向が確かにございました。しかし最近、御承知と思うのでありますが、わが党の櫻内幹事長、瀬戸山憲法調査会長が副会長に就任をいたしました。いま自由民主党憲法調査会におきましては、憲法についていろいろ勉強し、検討し、論議をいたしておりまして、ここをどう改正するかという結論はまだ出ておりません。そういうような自由民主党の状況を踏まえまして、両副会長がこの自主憲法制定国民会議、これを行き過ぎのないようにということを指導しておられるようでございます。私は、あのような行き過ぎがあったのでは、私もとどまるわけにはいかないということを一時考えておりましたが、いまのような経過からいたしまして、いましばらくこの経過を見たいと、こう思っております。
○和田静夫君 行き過ぎ等についてはすでに臨時国会等を通じて私も指摘したとおりでありますし、それに対して、総理もある部分では同感の意を表された。そういう結果が検討ということになったわけでありまして、再びそういう事態があらわれてくる——私はあらわれてくると見ていますけれども、あらわれてくる段階において再考をされる、そういう答弁として承っておきます。 私は、改憲をしないだけでなくて、鈴木総理に積極的に私は期待をしたいのは、積極的に憲法を擁護する、そういう立場にお立ちを願いたいということを、これは心底から、そのことに政治生命をかけてもいいぐらいの期待を持っておるということを申し上げておきます。 本委員会の冒頭にわが党の小野委員の質問に答えまして、八月六日、広島に行くことを検討すると総理は言われているわけであります。それで、この問題で私は行かれるようにこの機会に確約を求めたいと、こう思うんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) よほどの日程の都合がなければ、ぜひこの次は参加いたしたいと、こう思います。
○和田静夫君 外務大臣に伺います。 あなたは日米協会スピーチでこう言っています。スピーチについてはもういろいろ寺田委員、志苫委員から論議が集中審議でありましたから重複を避けますが、レーガン政権が国防力を増大させるため真剣な努力を払っていることに深い感銘を覚える、また、アメリカが毅然たる態度を維持している点にも理解と共感を抱く、これは軍拡賛美の演説と私は理解をいたしていますが、そう理解をしておいてよいですね。
○国務大臣(伊東正義君) お答えいたします。 そういう意味じゃなくて、アメリカが自由世界のリーダーとして世界の平和、安定ということの維持、また友邦同盟国と密接に協力をするというふうなことが会談の中に出たわけでございまして、アメリカが経済再建計画を出して失業とかインフレとかあるいは景気後退というものから脱却しよう、経済的にまず強いアメリカになろう、そうした上に西側と連絡をとりながら世界の安定、繁栄というふうなことに努力をしていこう、一貫性を持って信頼性を得るように努力していこうと、こういうことが会談の中に出たわけでございまして、私はその努力、姿勢を評価する、こういうことでスピーチで言ったわけでございます。
○和田静夫君 アメリカがこの毅然たる態度を維持しているというのはどういうことなのか。その原稿はもう日本にいるときにおつくりになっていって、この間のお話では最後の晩によく見ましたと、こう言われていますけれども、ここの部分は変わっているというふうには考えられませんから。ソ連をテロリズムと呼んでいる。あるいは西側に一層の軍拡を訴え、ラテンアメリカを再びアメリカの裏庭とする、そういうレーガン政権が推し進めている政策はちゃんと頭の中に描きながら、日本の外務大臣が理解と共感を示した、こういうふうに私は脈絡としてはなると思うんですが、そうじゃないですか。
○国務大臣(伊東正義君) 会談の中でソ連をテロリズムというふうなことは一言も話は出ませんでした。東西関係の中でソ連の軍備増強という話は出たわけでございますが、また会談の中では話し合いによる平和の話も出たわけでございまして、アメリカとしてもただ力、軍事力だけに頼るということではなくて、私は、力のバランスの問題もありますが、また平和的な話し合いという道も開いておるというふうに解しておるわけでございます。
○和田静夫君 レーガン政権がこの毅然たる態度で、たとえばエルサルバドルに介入をした、これは現地でどのように受けとめられているか、外務大臣よくおわかりのとおりでありまして、エルサルバドル白書は総スカンを食いました。あるいはエルサルパドル政府でさえ外国勢力の介入は民族自決の道を閉ざすと言っています。これは外務大臣が言っています。あるいはメキシコも反対であります。日本が友好関係を結んでいるラテンアメリカの多くの政府が反対をしています。伊東外務大臣は南北関係を重視すると言っています。私はその限りにおいては賛成です。とすると、エルサルバドルヘの介入は好ましいものではない、そう考えるのが当然だと思うんですが、これは総理いかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 総理のお答えの前に、私がお答えしますが、向こうへ行きましたとき、カリブ海全部の話が出たことは確かでございますが、エルサルバドル自体についてどうこうという話は出ませんでした。ですから、軍事介入という問題があるかないかということでございますが、エルサルバドルにつきましては、反政府軍に第三国が兵器を供給するとか、そういうことは私はこれはまた絶対やっちゃいかぬことでございますが、といって、また軍事介入という問題になってくれば、これは非常に大きな問題でございますから、私はこのことはアメリカとしても慎重に考えるべき問題だと、軽々に、軍事介入とかそういうことは、これは本当に大きな問題になるというふうに思っております。
○和田静夫君 総理、福田元首相がレーガン大統領にお会いになった際に、七月のオタワ・サミットの議題の中心に政治問題を置くと、政治サミットにする、そういうことに合意したと報道されたわけであります。鈴木内閣としてはこれにどう対処をされますが。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまオタワ・サミットの準備が各国首脳の代表者、代理人によって進められておるわけでありますが、その準備段階におきましては、まだそのようなことは固まっていないようでございます。私も、大体月に一遍あるいは半月に一遍ぐらい中間的な報告を、準備の進捗状態を聞いておるわけでありますが、いまのところ議題としてそういうことは固まっておらないようでございます。 ただ、トルドー・カナダ首相はかねてからそういう考えを持っておられるということはお聞きいたしておるわけでございます。しかし、前段で申し上げましたように、このサミットは準備段階において各国首脳の意を受けていろいろ議題等についても整理をするというのがいままでの慣例になっておりますが、いまのところ固まっていないようでございます。
○和田静夫君 いま総理がお答えになったように、サミットの議題は各国の協議で決められる。そこで外務大臣、日本政府の方針としてはどうなんですか。
○国務大臣(伊東正義君) いま総理おっしゃったようにこれから議題を詰めていくところでございますが、いままでのサミットは、この前のベニス・サミットまではマクロの経済問題——エネルギーとか南北問題、貿易問題ということだったんですが、ベニス・サミットで初めて正式な議題として、当時のソ連のアフガニスタンに対する軍事介入は大きな問題になっておりましたので、これが取り上げられたわけでございます。 でございますので、今度はどうなるかということはいまわかりませんが、西側の首脳が集まられてそういう政治の問題が話題に出るというのもこれは自然のことだと私は思うわけでございまして、これからの議題の詰め方でございますが、どういう問題になりますかわかりませんが、これからの世界情勢にも関係しますけれども、私は政治問題が出てもおかしくはないというふうに思っております。
○和田静夫君 政治問題を取り上げるというのはサミットの出発点から言えば明白な変質ということになりますね。総理、いまの方針で臨まれますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、各国首脳の合意によって議題が固まってくるわけでございまして、いまの段階で私が各国の首脳の考え方というものを十分承知しない上でいま日本側はどうこうということを申し上げる段階ではないと、このように考えておるところでございます。
○和田静夫君 私は日本の方針を聞いているんで、ちょっといま外務大臣は政治サミットになっても仕方がないと、こう言われたんですが、政治問題を取り上げるということは、当然私はいまのレーガンさんの動きから見て、反ソ、反第三世界の先進国同盟につながっていく、これはもう必定だと、こう思うんです。世界で起きていることをすべてソ連のテロとしか認識できないようなレーガン大統領は、皮肉なことに病めるアメリカが生み出したテロリストによって倒れたわけであります。レーガンの唱える反ソ十字軍に日本が加盟することは、第三世界を、私は、敵に回すことにつながる、したがって政治問題を正式議題あるいはコミュニケにしない、そういう方針を日本政府は今日は貫くべきだと、そう思うんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、いま和田さんおっしゃったように、南北問題というものは重要な問題だと思いますので、私は当然サミットでは南北問題というのは重視すべき問題だと思うわけでございます。これも、第三世界を敵にしないようにとおっしゃったわけでございますが、まことにそういうことからも大切だと私は思っております。ただ、去年のアフガニスタンへの介入という、ああいう本当に第三世界にソ連が軍事介入するというような問題が起きたわけでございまして、そういう中で政治的な問題もと言って取り上げたわけでございます。 いまどういう問題が出るかわかりません。ポーランドの問題とかいろいろあるわけでございますが、総理がおっしゃったように、首脳同士で議題は最終的に決められますので、私がここでとやかく言うようなことは差し控えますが、私は世界の西側の首脳が集まられてそういう問題が話題に出ないというのもかえって不思議なような気がするのでございまして、話題に出ることも不自然なことではないと私は思っているわけでございますが、議題は最終的には総理のおっしゃるとおりのことでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 何か私と外務大臣の考え方の上に違いがあるように受けとめておられだとするとちょっと訂正をしておく必要があると思うんです。 私は、そういう政治問題が正式議題として取り上げられ、そしてそれに基づいて何らかの共同声明が発せられるとか、共同行動をとるとか、そういうようなこと等は慎重に考えなければならないという考えを持っております。ただ私は、世界先進国の首脳が一堂に会するわけでございますから、国際情勢等について意見の交換等が当然出てくるであろう、こういうことでございまして、外務大臣の申し上げておることと違う点はない、このように考えています。
○和田静夫君 私は総理の言われていることはよくわかるんですが、外務大臣はちょっとどうもそこから逸脱をして大変危険な状態のようですな。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、総理の答弁で結構でございます。どうも、私は全然違いないと思って言っているのですが、総理の答弁で結構でございます。
○和田静夫君 もう一つ総理、五月に訪米をされるとき、粕谷委員に答弁されたわけでございますので、防衛大綱の見直しをアメリカ側が示唆することは私は十分にあり得るんじゃないだろうかということをこの間の集中審議あるいは分科会の論議を通じながらずっと考えていたわけです。これに対してどのようにお答えになるつもりですか。——これは総理が行かれるのだから。
○国務大臣(伊東正義君) 私もついてまいりますし、その前に私から一言。 私とワインバーガーさんとかヘイグさんの間では国防計画大綱を見直してもらいたいとか、改定してもらいだいとかいうことは一曹もなかったわけでございまして、この点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛問題に関するところのわが国の基本的な政策というものははっきりしておるわけでございます。国会に、しばしば、私並びに外務大臣あるいは防衛庁長官等から明らかにいたしておるところでございます。この基本方針を踏まえまして、日米会談におきましても防衛問題については率直にわが国の考えを申し述べる、このようにいたしたい、こう思っています。
○和田静夫君 大綱の見直しがもし出てきた場合、どうするのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大綱の問題は、これは日本側が決める問題でございまして、私の方からそういうことを変えるつもりです、変えたいと思うというようなことは申し上げる考えは持っておりません。
○和田静夫君 グアム以西、フィリピン以北の海域をカバーするにはP3Cが百機ぐらい必要だとの防衛庁の児積もりが第二分科会で吐露されました。 そこで、船の方ではどんなことになりますかね、トン数、船種ですね。
○政府委員(塩田章君) 先日の分科会におきまして私がP3C百機云々のお答えをいたしましたのは、防衛計画の大綱で海上自衛隊の作戦機数を約二百二十機と言っております根拠としまして、私ども固定翼対潜機を百機というふうに考えておるわけですが、あのときの御質問が、現在P2J八十機で運用していると、それで十分かというお尋ねでございましたので、それでは必ずしも十分とは言えませんというお答えをしましたのに対して、今後P3Cが逐次入ってくるわけですが、それで百機になったらどうかというお尋ねでございまして、百機になればずいぶん様子が変わりますという意味のお答えをしたわけであります。そこで、いま艦艇についてはどうかということでございますが、御承知のように、大綱では対潜水上艦艇は約六十隻というふうに書いてございます。で、私どもかねてから申し上げておりますように、わが国の周辺数百海里航路帯を設けた場合に約一千海里程度の防衛力を整備ということを申し上げておりますが、そういった線に沿って私どもいまの整備目標を努力をしておりますが、いま申し上げました固定翼対潜機百機、それから対潜水上艦艇約六十隻という線がそろいました場合には、そのときの状況によりましてもちろん一概に言えることではございませんけれども、現在のわが国の海上防衛力というものが相当に改善されることは間違いないというふうに考えております。
○和田静夫君 北西太平洋をカバーする場合に、このソ連の太平洋艦隊に匹敵する軍事力はどの程度のものになりますか。
○政府委員(塩田章君) このお尋ねも、北西太平洋の範囲でありますとかあるいはカバーするとかいう意味のことは、そういうようなことによりまして大変一概にお答えにくい問題でございます。と申しますのは、もちろん北西太平洋とおっしゃいますから、アメリカの艦隊と日本の海上自衛隊というものの共同対処行動のことを考えての、前提としてのお話だと思いますけれども、こういった比較に当たりましては、当然のことながら戦闘海域でありますとか戦闘様相でありますとかあるいは戦闘期間あるいは集中し得る艦艇、航空機の数あるいは後方支援体制、こういったものが複雑に絡みますので、一概にどれだけのものがあれば対抗し得るとかカバーし得るとかいうふうには申し上げにくいと思います。 ただ、一般論を言いますれば、アメリカの場合は空母を中心にした艦隊でございますから、洋上における作戦行動はアメリカの方が現在でも優勢であろうと思われますし、一方ソ連の場合は、ソ連の大陸沿岸でありますとか、日本海、オホーツク海といったような地域におきましては陸上航空基地のカバーを受けられますので、相対的にソ連の力は高くなってくるというようなことは一般論としては言えると思います。しかし、そういったことを彼此勘案しまして現在全般的に言えますことは、いずれが優位というふう言えないと、いずれが優位であると言えないというような状況ではなかろうかというふうに私どもは見ております。
○和田静夫君 ここ数年の間に、総理、日本の防衛をめぐる環境は劇的に変わったと言われているわけです。内外ともに防衛力増強論がまさに声を和して出てきたと、そういう感じがするんですが、私はこれはさまざまな要因を考えることができると思います。そこで、米ソを中心とする国際関係あるいはアメリカの軍事戦略の変化あるいは国内における政治的変化、こうした点がすべて防衛論議と結びついてきたと言えるわけでありますが、総理としては、最近の防衛力の増強論をどういう背景のもとに考えて理解をされておられますか、腹蔵のないところを一遍お聞きしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府は一貫してわが国の防衛につきましては、防衛計画の大綱に基づきましてその水準にできるだけ早く達成をさせたいと、こういうことで防衛努力を着実に進めてまいっておるところでございます。 一方、国民世論、国民の皆さんの認識でございますが、近年におけるところのソ連軍の軍事的な増強ぶり、またそれを背景としてのアフガニスタンへの侵攻あるいは第三世界への浸透、いろいろの状況が見受けられます。また、わが国固有の領土である北方四島に対する軍事施設の構築、こういうようなこと等もございまして、国民の皆さんの防衛に対する意識といいますか、それは私は比較的正しい方向に向いておると、このように受けとめておるところでございます。新聞あるいはテレビ、ラジオ等のマスコミにおきましても、そういう世論調査をしばしばおやりになっておるようでございます。設問の仕方によりましてデータもいろいろ違っておりますけれども、現状のような防衛力の整備、自主的な努力ということについては、大体私は国民の六〇%なり七〇%近い者が支持しておる、理解をしておると、こういうぐあいに受けとめておるところでございます。
○和田静夫君 そこのところがちょっと問題なんですが、一体国民は急激な防衛力の増強を望んでいるのか否かということについては、私は大いに疑問だと思っております。たとえば朝日新聞の国民意識調査を見ましても、自衛隊を強化するという回答は二二%しかないわけで、また防衛費の増強については六割程度の人が反対をしていることば明確であります。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 したがって、多くの国民が現状で自衛隊の強化は望んでいない。この国民意識に私は総理としては深く留意をされるべきだろう。 ところが、防衛力の急激な増強について選挙で国民に問うていない、賛成を得ていないわけですね。私は御記憶かと思うのですが、解散前の参議院本会議で大平総理に対して、ここまでくれば防衛問題というのは選挙の一つの争点ではないか、フェアに一遍国民に問おうではないかと本会議質問をやったのに対しては、大平さん避けられたわけです。避けられた参議院選挙であり、総選挙であったわけであります。国民は自衛隊強化にその意味では反対をしているということを私は考えながら、したがって、国民の意向を無視したままで自衛力増強に突っ走ってはならないのだ、この点ははっきりさせておかなければならないと私は考えているんですが、総理いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど朝日新聞の世論調査のことを引用されましたが、私も朝日新聞の世論調査も見ております。またほかの報道機関が調査をしたのも見ております。そこで私は先ほど申し上げたところでございます。 さて、先般の昨年六月の衆参両院同時選挙において、自由民主党はこの防衛問題で一体どういう公約をしたのか、公約もしないでやっているんじゃないかと、こういう趣旨の御発言がございましたが、それは違います。わが党のあの当時の選挙の公約には、国の安全保障というものを明確に打ち出しておりまして、自分の国を自国民の力でこれを守るという決意、これが防衛の基本であるし、日米安保体制を堅持し、そして着実な防衛力の整備努力によってわが国の安全と平和を確保しなければいけない、こういうことは明確に私どもは打ち出しておるのでありまして、その公約に基づいて鈴木内閣におきましても防衛問題と取り組んでおると、こういうことに御理解を願いたいと思います。
○和田静夫君 いや、私は本会議で、特に防衛問題というのは一遍選挙の争点として明確にお互いが出し合って訴えようじゃないかという質問をしたのに対しては、大平さんは明確に、そのことを争点とはしませんと、こう答弁をされましたから引用しただけです。 タイのクーデターが内乱に発展する可能性が昨日来出てきています。外務省が入手している情報、今後の予測はどんなものですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、その後プレムさんがバンコクを脱して、いま王様がおられる中部タイにおるということで、両方でラジオで放送をしたり、革命団の方では、けさバンコクの新聞社を呼んで新聞の検閲をする、持ってこいというふうなことをやったり、両方でいまいろいろラジオその他を通じて意見の発表、主張ということをやっておるわけでございまして、まだ流動的で、どういうふうな結果になるのかということにつきまして、はっきりした予測を持ってこうなりますということを申し上げるにはまだ少し時間が早いのじゃないかと私は思います。いま非常に流動的だということでございますので、現地の大使館を通じて極力情報をとることにしておりますが、いまのところは見守っているというところでございます。
○和田静夫君 在留邦人の状態は。
○国務大臣(伊東正義君) タイの在留——八千人ぐらいの在留邦人があるのでございますが、これはいまのところ何ら動揺しているとかそういうことはなしに、タイの国民自身もまたそれに巻き込まれてということじゃないような状態でございまして、在留邦人の保護につきましては、これはもう万全を期するつもりでございます。
○和田静夫君 これによってカンボジア情勢はどう動くと見通しますか。
○国務大臣(伊東正義君) タイのクーデターがどういうふうにおさまるかということでございますが、このことにつきましては、いまここで予測を申し上げるのはちょっと時間が早いということを申し上げたのでございます。 私は、今度のクーデターの原因がどこにあるのかということが一番これは問題だろうと思うのでございますが、いまわれわれ知る限り、対外政策の誤りとかそういうことが問題になっているのじゃなくて、国内の政治上の、各党間の問題でございますとか、プレム首相のリーダーシップの問題でございますとか、そういう国内のことが原因になっているということを言われているわけでございますので、私は、タイの対外政策、ASEANにおける地位あるいはカンボジア問題に対する考え方、あるいは日本とタイとの関係、これにはさしたる大きな変化というものは考えられないのじゃないかというふうに思っております。
○和田静夫君 総理、ASEAN訪問のときにタイに五百五十億約束されてきたんですが、しまったといま思っていませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はタイだけでなしに、ASEAN五カ国はアジアの平和と安定のために非常に重要な地域であると、こういう認識の上に立ちましてASEANの国々の経済社会の開発、発展、民生の安定、向上に日本もできるだけの貢献をする、寄与をすると、こういうことでやっておるわけでございまして、一政権のためにやっているのではないことを明確にいたしておきたいと思います。
○和田静夫君 私はあの金の、いわゆる新しい村というのは戦略拠点になり得る危険性を持っておるということは、もうすでに一般質問等を通じて指摘したところでありまして、その考え方は私はいまも変わっていないんですが、きょう問うておきたいのは、タイが紛争周辺国から当事国に変わる可能性はある。そうすると、そのときに経済協力を見直す必要が出てくるのではないだろうか。そうされますか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、私はタイというのは紛争周辺国、カンボジアの隣ということで経済協力も厚く考えるということを、難民の問題もありますし、やったわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、どういうふうに最後政権が安定するかということはまだ見通しはつきませんが、私はそれによって対ASEANの問題、カンボジアの問題、日本の問題は恐らく大して変わりないだろうということをいま申し上げたわけでございまして、私は紛争当事国ということじゃなくて、やっぱりカンボジア問題、ベトナムの問題の紛争の周辺国に変わりないと、私はそう思っております。
○和田静夫君 仮定の問題に答えられないと言うのならそれまでになっちゃうんですがね、紛争当事国になった場合どうされますかと聞いているんです。
○国務大臣(伊東正義君) 衆議院の外務委員会で紛争当事国という言葉を使われて、これは一体だれが、どう定義するのだ、国連が決めるのか、どうするのかというので非常にいろいろ御議論のあったところでございますが、常識的に紛争当事国ということで決議ができたわけでございますが、仮定の質問ということで、いま紛争当事国ということであれば、恐らく和田さんおっしゃったのはベトナムとタイとの紛争というふうに言われるのじゃないかと思うのでございますが、これは私はそういうことは、これはあり得ないというふうに思っておるわけでございまして、紛争当事国にならぬことを、なることは万々ないということで考えておりますので、タイがそういう立場になるということは私は予想して経済協力を云々することは全然考えておりませんので、従来どおり紛争の周辺国だということで私は処していきたいと、こう思います。
○和田静夫君 大平前総理が昨年五月の日米首脳会談で日本の防衛力を着実に顕著に増加すると表明をされました。これは具体的には、西側の一員として防衛分担する立場から中期業務見積もりの繰り上げ達成を目標として、本年度予算で答えを出したい、いわゆるこの新年度ですね。日米首脳会談での約束ですから、大平内閣のこの約束は鈴木内閣も引き継がれたんですが、この予算で努力されたわけでしょう。その答えは、総理。
○国務大臣(伊東正義君) いま、亡くなった大平総理の話が出たわけでございますが、私、当時官房長官をしておりましたので、いま和田さんのおっしゃるようなことを総理が一体約束したのかどうかということが非常に問題になったわけでございまして、あの当時もアメリカへ電話をして確かめたのでございますが、カーター大統領との会談では、カーター大統領から政府部内にある計画を早目に達成することがアジアの平和のために有意義なんだという意味のことを言ったわけでございます。それに対して総理は、同盟国として何ができるかということを真剣に検討してみるということを言っただけでございまして、顕著とかどうとかいう約束は一切何もないわけでございます。これはもうそのとおりなんでございます。 それで、アメリカ側がよく顕著にして着実というような期待表明やったことはいろんな場合ございます。私も行って聞いたことがあるわけでございますが、大平総理のときには真剣に防衛の問題について検討すると、こういうことだけだったということだけお答え申し上げておきます。
○和田静夫君 中業の繰り上げ達成、少なくとも五年間ではなくて、五年内達成は可能だと総理考えますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 中業は、お話しのとおり五年間の見積もりでございます。現在の中業は五十五年から五十九年度までの見積もりでございます。 そこで、今回御審議中の五十六年度予算が認められた場合には、中業の中で見込んでおります正面装備全体で、五十五年度と合わせまして三割五分程度といったところであります。これは五十六年度から新規に導入する装備品等の達成率がまだ低いということ等によるものでございます。 なお、正面の中でも主要なものにつきましては、四割から四割五分前後の達成率になるものと見込んでおります。
○和田静夫君 それは後から聞くつもりだったんですが、先に答えられちゃうと話にならないんですがね。 それじゃもう少し詳しく聞きたい。中業の主要装備達成率、もう少しいまのところ敷衍して五十五、五十六年度予算の実施で何%達成ですか。
○政府委員(塩田章君) 主要なものについて申し上げますと、戦車が五十五年度一九・九%、五十六年度二三・九%、合わせまして四三・九%。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 以下、その順で申し上げます。百五十五ミリ自走りゅう弾砲、一八・六%、二一・四%、四〇%。八十四ミリ無反動砲、二二・一%、二五・七%、四七・八%。門衛艦、これはトータルのトン数で申し上げますが、一四・七%、二四・二%、三八・九%。航空自衛隊の作戦用航空機、三四・九%、七・五%、四二・五%。 以上のような状況であります。
○和田静夫君 大蔵大臣、この防衛予算についてどうなんですかね、五年内中業の達成は可能と考えられるわけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これからの経済情勢、財政事情、ほかとのバランス、そういうものを見ながら最終的にその都度その都度決めていきたいと、そう思っております。
○和田静夫君 ちょっとあれですが、新年度予算案をベースにしてどういう見通しになりますか。新年度の予算をベースにして考えた場合の見通しですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私がいま言ったように、コンスタントにいけるものかどうかということはそのときの財政事情で決めなぎやなりませんものですから、やはりそれだけが先取りというわけにはいかない、全体のバランスだということであります。
○和田静夫君 防衛庁長官ね、二年で四割程度達成できるわけですけれども、いま報告があったように。防衛庁としては中業繰り上げ達成、これはできるだけ早く発注したい、そうお思いですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 いろいろな要件があるわけでございますが、防衛庁としましてはできるだけ早く達成したいという希望は持っております。
○和田静夫君 見通しは。希望はわかっているんですが。
○国務大臣(大村襄治君) 財政その他の事情もございますものですから、希望を持っておるということだけ申し上げます。
○和田静夫君 防衛予算案は昨年秋、対前年度当初比で九・七%増をめぐってアメリカを中心に世界的に大きな問題になりました。ところが、ふたをあけてみると七・六一%増と。それに対してアメリカの国務省、国防両省、私は異例だと思うんですが、内政干渉に等しいぐらいの物の言い方が次から次と出て、非難声明的なものまで出てくる。これに対して政府はどういう説明をして非難をかわしたのか、外務大臣、防衛庁長官、詳しく説明してください。
○国務大臣(伊東正義君) 十二月の末にアメリカ側からいろいろな批判めいた言辞があったことは確かでございます。外務省としましては、ことしのいまお願いしております五十六年度の予算が編成される過程をアメリカ側にこういう過程で編成したのだということを説明し、そして今度の七・六というのは、日本側は自主的にこれでことしの予算の中ではこれが最上の策としてとったのだということを説明をしたわけでございまして、今度私が向こうへ行きまして、この七・六なんという話は全然実はもう出なかったということは確かでございます。
○国務大臣(大村襄治君) 年末五十六年度の政府予算が決定しましたとき以降、防衛庁といたしましては、先ほどお尋ねに対しましてお答えしましたように、中業のうち主要装備につきましての五十六年度の予算計上額等を外交ルートを通じて説明いたしまして、このように努力しているということは説明したことがございます。
○和田静夫君 私はどうも、もともとこの問題は日本側の外交上の不手際に起因していると考えているんですよ。総理、この中期業務見積もりというのは防衛庁の内部の見積もり計画にすぎないでしょう。極言すれば防衛庁の願望にすぎないわけですね。その日本政府内の一官庁内の願望をあらわしたものが、なぜアメリカから公式な非難声明を浴びるようなことになったのか、そこのところを少し、どうです、総理、明らかにしてもらえませんか。
○国務大臣(伊東正義君) いま外交上というお話が出ましたので、私から申し上げますが、いまの予算考えてみますと、シーリングのとき九・七という数字が出たわけでございます。それが最終的に七・六になったということで、この日本の予算に対する考え方、理解が、ちゃんと心得ている人もあり、アメリカ側で、十分理解されてなかったという面があったこともこれは確かだと思います。それでなぜ九・六が七・六になったんだというようなことで、その間に若干誤解があって、いろいろ非難めいた批判が出たということ、これは確かでございます。でございますので、その九・七というのは要求であって、これはいつも大蔵省に出してそれがそのまま通るというものじゃないということを、われわれも去年の九月行ったとき話したことがあるのでございますが、そういう誤解を生じたというのははなはだ遺憾なことでございますが、今度参りまして防衛の話をしたときに、その比率がひとり歩きするようなことで二国間の、一%違う、一・五%違うということで二国間に感情問題なんか起きることは、これは愚の骨頂じゃないかという実は私の方からも話をしまして、今後はそういう数字がひとり歩きするようなことのないように、よく向こうの意見も静かに日本に述べる、事務レベルの協議とかその他協議をするときがあるのですから、実質的な話をしようというようなことに実は相なったわけで、私は中業が直接の問題ということじゃなくて、予算編成の過程に誤解があったんだ、それがちょっとしたいきさつになったと、こういうふうに私は理解しております。
○和田静夫君 外務大臣の理解がそうであっても私はどうも納得できないんですよ。中業がアメリカ側の要求の下敷きとなっていることはもう公然たるものですよ。しばしば報道にもあらわれていますように、アメリカ側の要求はかなり具体的になってきているわけですね。この事態を私は異常だと言うほかはないと思っているんです。アメリカの要求によって、しかも防衛庁の内部資料をもとにして日本の防衛予算が組まれるというのは、少なくとも事実経過はそうなっているし、中業繰り上げが予算編成で問題となったのはまさにその反映でしょう。この点は総理、明確にちょっと釈明してください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度予算の防衛費予算の編成過程におきまして、十分日本側の考え方というものが徹底していなかった、米側に十分理解されていなかったと、こういう点に確かに遺憾の点がありました。今後はそのようなことがないようにいたしたいと、こう思いますし、また米側におきましても、数字を挙げてこれを要求がましいことをするということは、必ずしも日米両国はもとより、同盟国との間の関係から言って適当でない、こういう反省もあるようでございます。相互に私どもは過去の経験、これを反省し生かして、十分相互の理解の上に進めていきたい、このように考えておりますし、先ほども明確に申し上げましたように、最終的には、わが国の防衛の問題は日本政府が自主的に決めるものであるということは当然でございます。 それから、中業の問題でございますが、いろいろ国会等の御論議も踏まえまして、中業を国防会議におきまして何らかの形でこれを協議をする。これは五十六中業からと考えておりますが、そういうぐあいにいたしまして、一防衛庁だけの願望というような形でなしに、国防会議等において十分検討した上でこれを取り扱っていくということにしたいと、こう思っています。
○和田静夫君 防衛予算は見かけは小さいんですが、本当は大幅に伸びている。で、新規調達兵器総額、装備品等の購入費、物件費、これらの対前年増加率を挙げてください。
○政府委員(吉野実君) お答えをいたします。 五十六年度予算の対前年増加率でございますが、全体で七・六%、先ほどからお話のあるとおりでございますが、人件費が四%ふえております。
○和田静夫君 私が言ったのは新規調達兵器総額は一一・〇六。
○政府委員(吉野実君) ちょっとお待ちくださいませ。
○政府委員(松下康雄君) 五十六年度の防衛関係予算におきますところの新規の国庫債務負担行為の総額は、国庫債務負担行為、継続費を合計いたしまして七千五百二十六億円でございます。なお、五十五年度の同じ内容の数字は九千五十七億円でございました。
○和田静夫君 ちょっと私の質問に答えてください。それはいまのはわかりました。 次は装備品等の購入費、それから物件費。安い方ばっかり答えようとしたらだめだよ。
○政府委員(吉野実君) お答えいたします。 物件費、先生御指摘のように一一・一%。その中には装備品の購入費のほかに、研究開発費とか施設整備費とか入っておるわけですが、物件費全体で一一・一%の伸びになっております。
○和田静夫君 装備等購入費は一七・一四ですね。
○政府委員(吉野実君) そのとおりでございます。装備品等購入費は一七・一%になっております。
○和田静夫君 わかりました。 アメリカや制服組が特に重視した装備面で比べてみると、いま言ったように確実に一〇%以上のアップ率ですね、防衛庁長官。したがって、七・六%アップで社会保障費のアップと同じという説明は実は問題の核心を避けているんですよ。この比較の仕方はおかしい。防衛庁長官、そう思わないですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 社会保障費、防衛費いずれも重要な経費でございますが、それぞれ内容を、性格を異にしておりますので、一概に比較することは私はいかがと思っているわけでございます。確かに御指摘のとおり、装備費については二けたの伸びを示しているわけでございますが、一方におきましては隊員の施策あたりは前年より大幅に低下している面も防衛関係費の中にはあるわけでございまして、全体でひとつ御判断を願いたいと私は思うわけでございます。
○和田静夫君 私、そこを問題にするんですよ。したがって、給与改善費等は少なく組んでいる。今度の場合も一%しか組んでない。必ずこれは補正が必要になってくるじゃありませんか。この予算は補正を前提にして組まれている。そうですね。
○国務大臣(大村襄治君) 五十六年度の予算のうち人件費のベースアップ分、これは一%計上でございますが、これは防衛庁だけではございません。政府全体の扱いに従ったまででございます。この関係が今後どうなるか、これはまた人事院勧告等出た後の政府全体の対処の仕方で決まるわけでございまして、私どもとしましては、そういったものを含みとして今回の予算を編成したということは全くないわけでございます。
○和田静夫君 それは大村防衛庁長官、防衛庁長官としてよりも財政問題の担当者としては有能ですから、補正を前提とした予算というのは財政民主主義に反するということだけは間違いありませんよね。
○国務大臣(大村襄治君) 私は財政当局でございませんが、まあ常識としてそうではないかと個人としては考えております。
○和田静夫君 常識としては——原則としては財政民主主義に反するということを防衛庁長官は認めた。 五十五年、五十六年度の新規調達の後年度負担はどうなりますか。
○政府委員(吉野実君) 五十五年度予算におきます後年度負担に対しまして、五十六年度の後年度負担は六・一%の増加になっております。
○和田静夫君 細かいことをもう一つだけ聞いておきますがね、財政収支の中期展望のうち、特に防衛費の積算根拠を明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 防衛関係費につきましては、これを人件費の関係と装備費の関係とその他の物件費と三つに区分をして計算をいたしております。 人件費は一般のルールによりまして、給与改善費一考のほか昇給の趨勢を加味して計算してございます。それから装備費関係につきましては、過去二年間の平均の装備の購入費、この実際の予算額をベースにいたしまして、将来につきましてはそれぞれ所要の消費者物価あるいは投資、卸売物価等の上昇率でこの総額を伸ばしまして、それの各年ごとの年割り額は、過去二年の平均の契約額の年割り額と同じ割合で将来毎年の歳出になるものという計算をいたしております。その他の物件費につきましては、消耗的なものは消費者物価指数、投資的なものは公共投資の価格指数で増加をさしております。
○和田静夫君 そういうふうにしてくると、結局中業繰り上げ達成を含めて、五十五年、五十六年度程度の装備増強を図った場合に、この全額の伸び率は一〇%をオーバーしますよ。必要だというのが全く一般的な私は見方だろうと思うんですね。そういう点を計算に入れた防衛予算の中期展望を実は示すべきだろうと、こう思っているんですがね。いま出ているのは全然前提がどうもなっていないような感じがするんですよ。どうですか。
○政府委員(松下康雄君) 財政の中期展望の計算に当たりましては、五十六年度の予算をスタートにいたしまして、そうして政策的な変更と申しますか、新しい変更は原則としてないという前提で、物価その他の客観的な指標で、まあいわば機械的に後年度の負担を推計したところでございます。したがいまして、今後のたとえば中業との関係でございますとか、中業をどのような速さで達成していくかというような点の判断は御指摘のように入ってございません。強いて申せば、予備枠がございますので、その予備枠の中でそういうものがあるとすれば将来賄われるという想定でございまして、政策的な判断は入らないものでございます。
○和田静夫君 別の機会にやります。 二月二十七日、高島外務次官が総理に、中業の早期達成のための防衛計画を今度の首脳会談に備えて作成すべきだと提言したという報道があったんですが、そういう計画を作成する意思、総理おありですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 高島外務省事務次官からそういう提言があった事実はございません。私は、訪米についての政治経済あるいは安全保障、いろんな分野につきまして、これからだんだん問題点を整理していきたいと、このように考えておりますが、いまのところ高島君からもそういう提言がございませんし、そういうことはございません。
○和田静夫君 防衛庁長官、有事法制研究の中間報告、示してください。
○国務大臣(大村襄治君) 有事法制研究につきましては、防衛庁主管法令についていま検討を進めつつありまして、まとまりつつあるわけでございます。まとまった段階におきまして中間的報告を行いたいと考えている次第でございます。
○和田静夫君 この有事研究は、五十三年十月十一日のこの席で、私と当時の金丸防衛庁長官とで、まとまらない中間過程でもここに報告するということを約束になっているんですよ。最近の報道によると、何かあなたの方は、中間報告を特別委員会にぼかっと出すと、こう報道されているんですがね。卵の卵の段階でもここで出そうと、こう言ったんですから。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 ただいま取りまとめつつありますので、まとまった段階で国会に報告するようにいたしたいと考えております。
○和田静夫君 それでは、まとまらない過程で具体的にちょっと伺いますが、防衛庁関係の法令で改正点は幾つあって、それは具体的に何であるかぐらいはわかるでしょう。
○政府委員(夏目晴雄君) ただいま大臣から御答弁ありましたとおり、具体的な検討項目というのは、この中間報告がまとまる段階で決まると思いますが、現在私どもの考えておることを申し上げれば、まず第一に自衛隊法百三条の問題。これは政令が決まってないとか、適用時期の問題とか、いろいろあると思います。それから七十条予備自衛官の招集時期の問題であるとか、あるいは二十二条の特別の部隊の編成をどうするかというふうなことが挙げられようかと思います。 また、そのほかに九十五条に武器防護の規定がございますが、これは有事法制とは直接関係ございませんけれども、通信施設、レーダーサイトをその対象に入れるかどうかというようなことが挙げられようかというふうに思っております。
○和田静夫君 長官、まとまる時期というのはいつですか。
○国務大臣(大村襄治君) 今国会中に中間報告をしたいと思いまして、鋭意検討を急いでおるところでございます。
○和田静夫君 これは通告してなくて恐縮ですが、日本原電敦賀原発で事故があったということが報道されました。いつあったのか、その経過を通産大臣に……。
○政府委員(高橋宏君) お答えいたします。 大臣には御報告してございますが、昨日午後六時、日本原子力発電株式会社敦賀発電所に派遣しております当省の運転管理専門官から故障の疑いがあるという報告がございまして、それによって私どもは知りました。 それに伴いまして、私どもは同発電所、本来本日の午前零時から第十二回目の定期検査に入る予定でございましたが、この予定を繰り上げまして、昨晩直ちに停止し、当該給水加熱器の調査を現在行っているところでございます。
○和田静夫君 この敦賀原発の事故をひた隠しにして運転をしながら修理をしたということは、これは電気事業法の百六条に違反すると思うんですが、どうですか。
○国務大臣(田中六助君) もちろん電気事業法に違反いたします。
○和田静夫君 通産省としては何かの処分を考えていますか。
○国務大臣(田中六助君) いま係官を敦賀に派遣いたしまして調査中でございますので、その結果を待って結論を出したいというふうに思っております。
○和田静夫君 また、この同原発は地元と取り交わした安全協定書に基づく報告義務を実行していない、こういうことになっているんですがね。自治大臣、これはどうですかな。
○政府委員(高橋宏君) 本件が電気事業法に基づきます報告義務に該当するかどうか、そういう点につきましては、詳細な調査を待って行いたいと思いますが、いずれにしましても、当省といたしましては、どんなささいな故障、事故につきましても報告するようにという通達、指導をいたしておりますし、いまお尋ねの地方向治体との間におきましても、協定におきまして、ささいな事故でも、故障でも通報するというルールになっておりまして、それが行われなかったとすれば大変遺憾なことでございまして、厳重に注意をいたしたいというふうに考えております。
○和田静夫君 自治大臣ね、注意すると、育っているんだけれども、これはその程度ですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) この点は、将来私の方でも積極的に働きかけて注意をさせるようにいたします。
○和田静夫君 五十七年度予算編成の基本姿勢を大蔵省でまとめたと報道されたんですね。大蔵省は、今月中旬までに歳入不足額を見きわめ、その後法律や各種制度の改廃を伴う歳出削減のリストをつくる考え、さらにシーリングの設定を五月に繰り上げる方針。 なぜ早めるのか。私は、第二次臨調のペースに巻き込まれないために——大蔵大臣、これは事実とすれば、私は政府の基本姿勢を無視した大蔵官僚の独走だと言わざるを得ないんですがね。これはどうなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は大臣でございますが、そういうことを知らないのですけれども、どちらから御入手なさいましたか。
○和田静夫君 けさの新聞が一斉に書いているじゃないの、けさの新聞。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、そういう具体的なことはまだ決まっておりません。
○和田静夫君 どうも新聞報道というのは全部否定されるんですよ。この間、第二分科会の主査をやってたら、田中通産大臣、うまいこと言いましたよ。ああ、記者の書いたのは、あれは半分は本当だけれども、半分はムニャムニャと、こうやったんですがね。記者出身者がそういうことを言っている。われわれがプル新だから信用できないと言うのはあるだろうけれども、皆さん方がみんな信用してないという、そういう状態になって、よく記者クラブから異議が出ないものだと私は思っているんですがね。 私は、総理、あなたが行政改革に政治生命をかけると言っているにもかかわらず、その足元でこんな作業が——いま否定をされましたが、しかしあれだけ大々的に報道されていれば、やっぱり事突進んでいると思うんです。例年どおりの編成ペースでと、それを約束しなきゃいかぬと思うんです。しかも、何もまだこの予算、上がっているわけじゃないんですよ。五十六年度予算の審議しているんですよ。昨日、きょう本会議が開かれるということを決めたか決めないか知りませんよ。しかしながらエープリルフールですからね。昨日のことなんかどうなるかわからぬのですから。総理、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、五十七年度予算につきまして、国会等でお尋ねがありましたことに対して申し上げておりますことは、財政再建は五十六年度予算に引き続いて五十七年度以降もやっていきたい、それをやりますために、何とか大型新税というようなものを考えないで、行財政の改革、経費の節減、合理化、そういうものでこれを実現をしていきたい、こういう基本的な考え方だけを国会等の御質問に答えて申し上げておるということでございまして、私はこのことがだんだん各大臣、各省庁、また自由民主党においても御理解を深めつつあると、このように考えておりますが、まだ具体的に作業をどうこう進めるというところまで来ていないと、こう見ています。
○和田静夫君 総理ね、私は、第二臨調の関係がありますから、例年どおりの編成ペースというものがいいんだろうと思っているんですがね、その辺はどうです。
○国務大臣(鈴木善幸君) せっかく第二臨調を設置いたしまして中間答申を求めたい、その中間答申を五十七年度予算の編成に生かしていきたいと、こういうことをお願いを申し上げておるのでありますから、そのような心構えでやってまいる所存でございます。
○和田静夫君 政府は民間の賃金交渉に不介入の方針をとってきました。ところが、先月の二十五日の信濃毎日新聞、先月の三十一日の日経に驚くべきことが書いてあるんですね。経済企画庁の赤羽隆夫という審議官がことしの春闘に触れて、「もう一度節度ある賃上げ望む」という見出しで大論文を書いている。赤羽審議官はしかも断りに、「政府の物価政策の担当者の一人として」ということを挙げながら書いているわけです。 私は、これはもう鉄鋼回答がいまから出て春闘がこれから本番に入ろうというときに、まさに春闘に水を差す議論じゃないか。物価政策の担当者として大いに反省して、なぜミスリードしたのかを分析もせずに、労働者よ、がまんせよと言うのはこれは本末転倒の議論ですよ。総理、見解を。
○政府委員(禿河徹映君) 突然のお尋ねで、私その新聞の記事を現在持ってきておりませんが、私が拝見いたしました限りにおきましては、赤羽審議官は、マクロ経済学、そういう立場におきまして、物価の上昇、その中身、それが賃金の関係、あるいは対外的に日本の資産が移動したというふうな分析を行ったものと、かように考えております。
○和田静夫君 これは明確に賃金インフレ論を唱道しながら春闘に介入をすると、こういう状態ですよ。
○政府委員(禿河徹映君) 先ほど申しましたとおり、赤羽審議官はマクロ経済学の立場でいろいろそういうふうな賃金と物価の関係等の研究分析をいたしてございまして、そこの、何と申しますか、直ちに春闘の相場が幾らとかなんとか、そういうことでなしに、一般論といたしましてそういう関係を研究分析いたしておるものと承知いたしております。
○和田静夫君 これは官房長官の答弁と違うわけで、ここのところはちょっと明確にしてもらわないと……。
○国務大臣(河本敏夫君) 政府の立場は、賃金問題は労使双方の自主的判断で決めていただくと、これが基本姿勢でございます。
○和田静夫君 賃上げ率が高くても実質所得はふえない、スタグフレーションを招くだけだ、審議官はそう言っているんですね。私はこれは経済的な理論としても誤りだと思うし、きょうはそんなことをやりとりしている時間もありませんが、総理は、いま答弁がありましたが、節度ある賃上げを望んでいるのか、それならば一体何%ぐらいが節度があるんですかね。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま河本経企庁長官からも申し上げましたように、賃金の決定につきましては労使の自主的な御判断、その話し合いによってお決めいただく、それが一番望ましいし、政府としてもそれ以上の介入その他の誤解を生むようなことは絶対に避けなければならないと、このように考えておるわけでございます。 また、これからそういう非常に大事な労使の間の話し合いの段階に入ろうとしておる微妙な重要な時期でございますから、私がいま適正な水準とはどうかということになると、先ほどの審議官の意見もおとがめをいただいたと同じようにおとがめをいただく心配がある、これは避けます。
○和田静夫君 本予算委員会を通じまして多数の議員が部落問題を取り上げ質問を行いました。今日なお厳しい部落差別の実態、残された多くの課題が明らかにされたわけであります。また、それらを踏まえ法強化、延長に努力したいと田中通産大臣、同和対策が八割でき上がっているなどもってのほかと園田厚生大臣など、各大臣から前向きの答弁がなされています。 そこで総務長官、この国会中に方針を取りまとめますね。——この国会中に取りまとめますねと質問をしたんです。
○国務大臣(中山太郎君) 先般予算委員会で鈴木総理もお答えなさったとおり、申し上げたとおりに、五十七年度以降の同和対策については、五十七年度の概算要求の時点というふうに総理の御方針がございますが、私といたしましても、十分各党の御意見を伺った上で、できるだけ速やかに結論を出したいと考えております。
○和田静夫君 もう一遍確かめますが、速やかにそれこそ誠意を持って努力されますね。
○国務大臣(中山太郎君) できるだけ速やかに誠意を持って努力をいたしたいと考えております。
○和田静夫君 総理、総務長官の答弁、確認できますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 総務長官の答弁の趣旨も踏まえまして、私も最善を尽くしたいと思いますが、概算要求を決定いたしますまでにはどうしてもこれを決めたいというのが私のぎりぎりの——最終的にはそうしたいと、こう思っています。
○和田静夫君 総理府総務長官並びに総理の趣旨というものが十分に生きるように、私はこの国会中に結論が出ることを強く求めておきます。 〔資料配付〕
○和田静夫君 最近お医者さんが税金逃れのためにトンネル卸しだとか第二薬局だとか、あるいは医療会社だとかつくっていることが社会的問題になっていますし、粕谷委員から昨日も問題提起がありました。行政当局はこの実態を正確につかんでいますか。その手口、件数、節税額、示してください。
○政府委員(山崎圭君) トンネル卸しと第二薬局についてお答え申し上げますが、医療機関の関係者が開設しますいわゆるトンネル卸しにつきましては、昨年の四月に実施しました私どもの調査結果では、全国で七百九十六件という数になっておりまして、特徴としては最近の増加が目立っておりまして、五十四年に許可されたものが四五%を占めております。 また、第二薬局につきましては、最近行いました調査によりますと、昨年の十二月末現在で、総数で一千七件という報告を受けておるわけでありまして、これを許可の時期で見るとここ二、三年の増加が目立っている、こういう状況でございます。
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。 医師の設立いたしまする種々の法人形態につきましてはいろいろと問題提起がございましたので、私ども現在、鋭意その実態把握に努めておるところでございます。 先ほど厚生省の方からお答えのございましたトンネル卸し、第二薬局以外にいわゆる医療会社という形態もございまして、私どもはそれら全体を含めましていま実態把握に努めておりますが、まだ全体の件数は把握いたしておりません。 また、これらの会社設立に伴いまする全体の節税額ということについての御質問でございましたが、これはそれぞれ会社の内容によりまして異なるわけでございますので、その節税額の計算ということは困難であろうかと思います。
○和田静夫君 医者の節税対策というのは次第に巧妙になってきていて、このような対策の監視体制というのは一体国税庁なり厚生省どうなっているでしょうか。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 トンネル卸しにつきましては、何といいますか、医薬品を実際に取り扱わないといういわばペーパー的な処理、こういうことでありますので、責任ある私どもの衛生法規の立場から見ますると、適切な医薬品の保管、管理、こういう実態がない、そういう問題があるわけでございます。そういうことで、今回薬事法改正に伴います省令の手当てをいたしまして、一つは衛生法規上卸売販売業についての、何と申しますか薬品の試験、検査の実施を義務づけました。こういうことで、態上明らかにそういう管理をしてもらう、こういうことが一つありますのと、新たに構造設備基準のレベルアップを図り産した。こういうことを通じまして都道府県の指導、運用を適切にやってまいりたい、こういう衛生法規上の対処の仕方があります。 それから、第二薬局というものにつきましては、これは院内薬局と事実上同じような場合には、医療機関からの独立性という面から見ますと、これは公共的な立場から見まして問題がある、かように考えておりますので、今後薬局の許可なりあるいは保険薬局の指定、こういうものに当たりましてそういう独立性の確保、こういう意味合いにおきまして、十分配慮をした上早急に対応策を検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。 いわゆる医療会社等を含めました最近の法人成りの実態につきましては、私どもはその実態につきまして昨日の委員会でも御答弁申し上げましたが、われわれの基本的な方針といたしましては、形式のいかんにかかわらず、その実質に即していわゆる実質所得者課税の原則に従って処理をしてまいりたい、このように思っておるわけでございます。 なお、本件につきましては、医療行政等を担当しておられます行政当局である厚生省とも十分連絡を密にいたしまして、私どもとしましては厳正な処理をいたしてまいりたいと、このように思っております。
○和田静夫君 昨日、ここで同僚議員の名前が挙がって論議がされました。当然、その議員も加わり、あるいは最近、埼玉県で何か問題になっているところの議員も加わり、あるいは自由民主党の主要な役職にあられた方も関係をしているある民間会社が、もっと組織的に実は医療会社、この場合はメディカルサービスの勧めでありますが、そういうものづくりを進めているわけです。会社名は東洋信販株式会社、所在地渋谷区代々木四の二十七の二十五、社長大谷昭雄、資本金八億円。 この会社はもともとは不動産会社なんです。医者を相手に別荘地などを分譲していた。ところがオイルショック以降、土地がなかなか思うように売れないために、医者の有限会社づくり、節税対策を組織的に指導するようになった。たとえば「医師税法の早わかり」だとか、いろいろやっている。そして主たる業務はもういまやこちらに移ってしまった。その会社が発行した五十四年のパンフレットというののあれをいま皆さんにお配りしたわけです。医療設備会社をつくるといかにメリットがあるのか、るる述べているわけです。個人の節税対策として所得を分散して累進課税を排除せよと言っている。そして、法人化するとこんなメリットがあると書いている。厚生省、大蔵省、両大臣感想を聞かせてください。
○国務大臣(園田直君) この問題は御指摘をいただいてから早速わかった問題でありまして、詳細検討はしておりませんが、医の倫理、それから医療費のむだ遣いを排する、こういう面においてまことに遺憾なことでございます。そこで、いただきました資料等を拝見いたしますると、直接厚生省がこれに関与できるかどうかは別でありますが、少なくともこの会社の指導を受け、これに加入をして節税または不当なことをやった医療機関というのは私の方では踏み込むことができるわけであります。 また、お金を扱ってどうこうというところを見ると、これは大蔵省の許可が要るわけでありまして、こういう問題はひとつ早速、さらに事実を調査をして、関係各省庁と連絡をして厳正にやりたい。それがどうも近ごろ、節税であるとか、不正請求であるとか、不正とか、こういう問題がありますが、だんだん変わってきましてこれを指摘すると、どこが悪いかといって告訴する人まで出てくる状態で、これはもう言語道断でありまして、ここでこちらがちょっとちゅうちょをするとこのような悪い部面が蔓延をすると、非常に懸念をいたしております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、いろんな矛盾の中からこういうものが出てくるんじゃないかと。一つは、第二薬局というのはなぜできるか。それは薬価基準と実勢価格で差があり過ぎる、こういう問題点。それから非常に医療というものも機械化されたりいろいろなことでたくさん資本がかかる。そこでまあ利潤も多いということもございましょう。そういう中で七二%経費控除というのが手直しされて五二しか、上の方は五千万円以上は控除しません、こういうことになったものですから、一挙に高額所得者が発生し始まった。すると、非常に税率が高い、そこで結局医療法人という制度がございます。医業といえどもやはりこれは、営業ではございませんが、業であることは間違いない。したがって、要するに家計と自分の技術とを分離したい、つまり医の医業の報酬と経営の報酬というものを分離をしたい、しかし三人以上の医者がいなければ医療法人と認めない、あるいはベッド数が二十余とかいろいろあれがある。したがって中堅の一人か二人のお医者さんの診療所、こういうようなものが、結局いろんなそういうような問題点がいっぱいありますから、その中で一つの逃げ場をこしらえているというように私は見ておるわけです。これは根本的な問題がいろいろございますから、そういうような問題を直していかなければ私は非常にいろんな点で矛盾が幾つも積み重なるんじゃないかということを心配をいたしております。
○和田静夫君 この会社は実は節税セミナーという企画を公然とやっていまして、私はテープ持っているんです。テープ回そうと思ったんですが、時間の関係もありますし、先例がないということでありますのでやめますけれども、その中で社長が医者相手に講義しているテープなんですが、お医者さんは人の命を預かっている、そういう人たちが国に税金を納めるなんてのはそもそも間違っているんだ、税金なんというのは納める必要がないんだというのが前提のテープなんです。いわばお医者さんが税金を払うのはもってのほか、こういう構想から出発しているわけですね。 そこで、このメディカル・サービス・センターというのは、パンフのコピーを見てもらえばわかるんですが、この会社は「医療設備を保有し賃貸する」、「医薬材料の仕入・販売」、「その他のメディカルサービスを請負う」とされている。つまりこれはトンネル卸しだとか第二薬局を兼ね合わせたものなんですね。さらに問題なのは、「大切なこと」と書いてありまして、医療法人ではありません、診療行為をする会社ではありません、医療法違反ではないということを強調している。全く反社会的行為というほかないんです。さらにこのパンフレットの十九ページを見てみますと、どのくらい節約できるかという試算が実はされているわけです。三千万の所得、三千万の所得というのは過少だと私は思っているんですけれども、その場合に毎年の節税額は何と百六十六・四万円ですよ。そういうことにちゃんと計算がなって出ているわけです。しかも御丁寧にこの下に書いてありますが、注記という形で、「以上は年間の期間利得ですが、生涯を通じた節税は相続を含めると計算不能な位の莫大な節税となります」という説明づきなんです。ここのところは厚生大臣、大蔵大臣の見解を求めたいですね。
○国務大臣(園田直君) われわれの頭では想像もできないことであって、この問題を適正にやることによってでも赤字財政再建の非常なあれが出てくる。私のところは扱っている問題で絶対に守らなきゃならぬ問題と、こういうむだを、不正を徹底的にやって、そして財務当局にお金を差し出すと、こっちを重点を置かなきゃならないと考えております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) その会社は、医者は税金を納める必要がないなんということは根本的に間違いであって、当然に税金を納めてもらわなきゃならないわけであります。その会社の発想が私は間違いである、そう思っております。いずれにしてもいろんな矛盾をまず解決しなけりゃならぬ。一つの構造問題です。それにメスを入れない限りはだめだと、そう思っております。
○和田静夫君 もう時間もありませんから深追いしませんが、私の調査では東洋信販は一万人以上の医者を組織しています。そのうち七千人がこの東洋信販に出資しておりまして、五十四年の二月末で総額百四十億に達しているわけです。この一万数千人という数字は膨大な数ですよ。これはもう組織的な脱税行為なんです。大蔵大臣、医師優遇税制が一方にありながらその上にさらに組織的な脱税行為がこういうような形で行われる。私は優遇税制は、いまも言われましたが、見直されるべきだ、そうじゃありませんかね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 理論的に言えばあなたのおっしゃるとおりだと私は思います。三十年間いままで手のつけられなかったものを大平内閣のときに一応五千万円までということで二千五百万円までは従来どおりだと、あとはほとんど実際の所得に対して課税するというように直したわけでございます。今後の問題として検討してまいります。
○和田静夫君 この会社は五十四年当時の資本金が三億九千七百万円、出資金総額が百四十億円、物すごいアンバランスです。そして出資金を集める際に契約利率というのを決めていて、四十八年当時は月利一%です。その後は銀行の金利にそろえているわけですね。この出資金、預かり金というものは通常の会社のそれとは性格が違っています。これは出資法一条、二条違反の疑いがあります。お配りした資本繰入準備金配当通知書を見てください。まるで預金と同じ扱いがされているわけです。これは大蔵、警察、どうですか。
○政府委員(吉田正輝君) お尋ねの件でございますが、出資法は法務省と大蔵省との共管事項になっております。御指摘の事項については詳細がただいま明らかではございませんので、現段階で大蔵省としてそれが先生の御指摘の出資法第一条及び第二条、禁止する出資金及び預かり金に該当するか否かについてはちょっと即断いたしかねております。と申しますのは、出資法にも出てございますけれども、御指摘のような預かり金の要件、法律要件が幾つかございます。たとえば預かり金の場合には、これが不特定多数の者からの金銭の受け入れで、かつ預金、貯金、定期積金と同等の経済的性質を有するものをいうということで、不特定多数の者が相手方であるとか、元本の返還が確実に約束しているとか、預け主の便宜のためになされているものであるとか、そういうようなことが預かり金についてございます。出資金についてもいろいろの要件がございますので、先生御指摘のような事実があるのかどうか事実問題と的確に比べ合わせてみる必要があると思っております。法務省とも御相談あるいは御協力しながら今後調べてまいりたい、かように存じます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 事実関係がまだ確定いたしておりませんので、この事実関係をよく確定をいたしまして、法違反ということであればこれに対して法律上の処置を講じてまいりたいと思っております。
○和田静夫君 警察庁、いまの答弁よりも一歩も出ないわけですか。
○政府委員(谷口守正君) ただいま国家公安委員長から答弁しましたとおり、第一義的に主管官庁が実情把握、事実判断すべき問題だと思います。その過程において法に違反する事実があれば、法律に照らしまして厳正に対処してまいりたい、こう思っております。
○和田静夫君 法務大臣、私は法務省刑事局総務課長津田實さんの「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」についての解説論文を読んで、そしてこれとの、解説との見合いにおいて出資法一条、二条違反、こういうふうに指摘しているんです。ひとつ十分に検討していただけますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) お話のとおり、十分検討してまいります。
○和田静夫君 厚生大臣、診療報酬改定が中医協に諮問されていますが、診療報酬の算定方式そのものの改定は考えていないわけですか。
○国務大臣(園田直君) 全国のまじめな大多数のお医者さんからいろいろ実情が訴えられてまいります。まじめにやっておるお医者さんは物価の動向その他も考えて三年間も改定していないわけでありますから、そろそろこれをまじめに考えなきゃならぬと思いますが、第一にこういうような不正事件や脱税のような問題がなくならなければこれをいつやるか、どの程度上げていただくかということは、全般の問題とよく絡み合う問題で軽率にはまだ発言できない段階であると考えております。
○和田静夫君 先ほど来、大蔵大臣は、この問題については大変いい答弁をずっと続けられていると私は思っているんです。現行の算定方式というのはやっぱり矛盾点が多い。衆議院の大原議員への厚生大臣の答弁書を見ましたら、園田さんが厚生大臣であってこんな答弁書しかできないのかなと思ってきのうがっくりしたんですが、きのう出ましたね、答弁書。 厚生省の見解を伺いますが、開業医の所得から家族労働相当分、減価償却分、事業所得を差し引いた額は幾らですか。それと病院勤務医との差は幾らですか。開業医の適正な利潤率を幾らと見積もっていますか。
○政府委員(大和田潔君) 具体的な数字は手もとにないわけでございますが、この額につきまして個人開業医の所得につきましては、自己資本に対する資本報酬、経営の危険負担、あるいは休日、夜間診療、家族労働といったようなものにつきまして十分検討していきまして、これにつきまする率というものを出していかなければならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 わが党の衆議院議員の大原さんの計算だと、開業医の所得は病院勤務医の平均給与の二・二倍、病院長の一・六倍です。これだけの開きがある。実はこの差額がいま私が指摘をした節税の対象額になっているわけですよね、これが許せないんですよ。したがって、大臣、私は細かいことをきょうやる時間がありませんが、この開きを、何といいますか、縮小するような技術料などの適正な配分というようなものが考えられるべきだと、こう思っているんですよ、どうです。
○国務大臣(園田直君) いまの差額はだんだん減ってきてはおりますが、いまなお御指摘のような差額があることは事実であります。これを御発言のとおり技術料に振りかえるということは私もやらなきゃならぬと考えております。
○和田静夫君 武蔵野市が昨一日から有料福祉サービスを提供する福祉公社を発足させました。私も含む市民参加の姿勢のあらわれなんですが、この制度は有料で福祉保健医療サービスを提供するというものです。現金を払えない人には土地などの資産を担保にサービスを提供するというものであります。私はこの制度は大変ユニークだと実は思っています。一人暮らしや寝たきり老人対策として私は一石を投じたものだと考えます。 厚生大臣、二十一世紀を控えて急速に老齢化社会、高齢化社会に入るわけですが、この試みをどのように評価され、また国家としてもこういう制度を学び、取り入れられるという度量があってもいいのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 近ごろ各地方公共団体でいろいろ進んだ方策を取り入れられておりますが、武蔵野市の問題も非常に斬新的で一つの方向の資料となると思います。ただ、厚生大臣として考えますことは、そういうことを地方公共団体がやらなきゃならぬということは、私の責任も十分考えるわけであります。
○和田静夫君 園田さん、厚生大臣時代にこれをみずからの政策として取り上げられる、そういうお考えはありませんか。
○国務大臣(園田直君) 先ほどのように考えますが、だんだん迫りつつある、しぼまりつつある、締められつつある経済情勢等を考えると、一挙にはできませんが、少なくとも地方公共団体がやろうとしている線に国の施策が並べるようにはできるだけ努力をしたいと考えます。
○和田静夫君 大阪証券信用株式会社というのがありましたね、山内隆次社長、資本金一億円、事実上倒産しました。この倒産事件というのは、私は金融制度上きわめて大きな問題をはらむ事件だろうと思うんです。大証信への融資機関として金融機関が非常に多い。都銀九行、信託六行、その他相銀、信金、信組など、ことし一月末でトータル六百八十億が貸し出されているわけです。これは金融機関が安易な融資競争に走って、結局投機に手をかしたわけですよ。大蔵大臣、私は事実関係として銀行が投機を手助けした、結果的にはそうなったんですね。この事件はどういう性格を持っているものとして考えたらいいんでしょうね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 銀行は投機であることをわかりながら、それを手助けするということは好ましいことではありません。 具体的案件については事務当局から説明させます。
○政府委員(吉田正輝君) お尋ねの金融機関の大阪証券信用に対する融資でございますけれども、和議申請によります一月末の数字でも先生の御指摘のような数字になっているところでございます。 これの、金融機関の融資の仕方というのは、それぞれの経緯なりやり方なりいろいろあるようでございますけれども、最終的には私どもといたしましては、思惑投機資金を融資するというようなことになっているようなことがございます。私どもといたしましては、金融機関がそういうような思惑投機資金を融資するということについてはその抑制方を指導してきたことでございますので、そのような批判を招く融資に結果的になっているということについては大変残念に思っておるわけでございます。今後ともそういうことでございますので、社会的批判を受けないように厳に自粛を図る、そういう方面への融資についての自粛を図るとか、御指摘のとおり、融資が安易に流れるとか、投機行為を助長することがないように指導してまいりたいと、かように考えております。
○和田静夫君 審議官ね、特に私は信託銀行は非常に問題だと思うんですね。年金など個人の資産運用に手を広げつつあるわけですが、この信託銀行が投機資金の供給源になってしまったということね、これはどうなんです。
○政府委員(吉田正輝君) 信託銀行の性質がどうなのかという御質問と関連すると思いますけれども、信託銀行は確かに一面長期金融機関として長期資金を供給するということでございますから、こういう短期の資金を供給するのはどうかなと、こういう御質問じゃないかというふうに思います。 信託銀行は長期金融機関ではございますけれども、同時に証券代行とか、あるいはその証券の保護預かりとか、公債、社債、株式の募集とか、そういうような証券関係の仕事、それから顧客の財務官理を行うということで証券なども含みました財務コンサルタントの役割りというようなことでかなり幅広い機能もあわせ持っておることも事実でございます。こういう幅広い機能を持っておりまして、それと関連いたしまして、ときには必要な運転資金などの短期金融を行うことがございます。 私ども見ましたときに、これは証券の市場あるいは証券流通市場の円滑化を図るという意味で、証券金融自体が悪いというふうには考えなくてもいいのではないかと、かように考えておりますし、信託銀行も相当顧客などから有価証券を預かっておるわけで、それを有利に運用してやることがまた顧客に対するサービスというようなことで、それもまた貸付有価証券みたいな形で証券金融の形をとってございます。 私どもが調べましたところ、この信託銀行は、昭和四十年にこの大阪証券信用株式会社ができた後に、四十一年ごろからそういう証券金融の形で取引を開始したということで長い取引経緯を持って証券金融をやっている信託銀行、それから五十年ごろからなっているという銀行で、大体証券金融ということから出発していった、それが昨年のこういう不健全な思惑投機資金が急速にふくれ上がるときにそこにそのまま巻き込まれていってしまっているのが実態だと思います。 しかし結局、結果的には先生御指摘のとおり、思惑投機資金の融資というような形に最後のところでなってしまったということは、先ほども申し上げましたように大変遺憾だと思っております。その融資金額とか、それからその担保の状況とか、保全の仕方などに問題があったところがあったのではないかというふうに考えています。先ほども申しましたように、今後このような事態がないように指導してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○和田静夫君 この事件でこの金融機関のこうむった被害金額というのはどのぐらい見積もられますか。
○政府委員(吉田正輝君) 私どもの知っておる限りでは、この大証信に対する融資はいずれも担保は徴しておるわけでございます。ただ、それの担保の中身の、たとえば非常に価格が下がってしまった銘柄とか、それから掛け目等のようなことで区々ございます。それ自体最後にどういうふうになっていくか、一月末に和議申請をいたしまして、いま保全処分が施されておりますので、今後のいま申し上げました担保処分の動向によって損害額の発生する金融機関もあり得ると思っております。 具体的な内容につきましては、やはり金融機関の個別の問題、金融機関の個別企業との取引の内容にわたることでございますのでお答えすることは差し控えさせていただきたい、かように思っております。
○和田静夫君 私は、実はこの会社の役員、大株主の構成を見ますと、あたかも証券業界が全面的にバックアップしているように見えるんですよ。一般投資家から見るとそこを信用するのはあたりまえです。証券取引法上の免許会社、日本証券、大阪証券、中部証券に準じた会社と映るんですよ。わずか一億の資本金で七百億に近い融資を行うという無謀な経営が可能だったのも、実はこの外形上の信用にあったのではないかと私は思うんです。 ここに役員名簿がありますが、れっきとした証券金融会社でありながらなぜ大証信が利用されたんだろう、どこに問題があるんだろう。大臣これはどうでしょう。
○政府委員(吉本宏君) ただいま先生御指摘のとおり、大阪証券信用は法的にはこれは通常の貸金業者でございまして、大蔵省が直接監督するということになっておりません。しかし、大阪地区の証券業界あるいは金融機関が出資をしております。株主名簿を見ましても、大阪の地場の証券界のかなり重立った方が役員に入っておるということは事実でございます。こういった会社がこの誠備グループ等に多額の融資をしておったということにつきましては、はなはだ遺憾に考えておるところであります。
○和田静夫君 証券局長ね、私、役員の中で特に野村系の役員の動きが非常に気にかかるんですよ。取締役の小畑幸雄氏、この人はいま野村証券の副社長でしょう。それから保田茂氏、高木証券の会長ですね。この二人が一月十四日に辞任していますよ。この事実を当時大蔵省はつかんでましたか。
○政府委員(吉本宏君) 御指摘のように、野村証券の大阪の支店長でもあります小畑というのが入っております。これは大阪正会員協会の会長という立場で、これは正会員協会が大阪信用に出資をしておる関係上、大阪正会員協会の会長という資格で非常勤の取締役に入っておった、こういうことでございます。なお、辞任については私ども関知しておりませんでした。
○和田静夫君 私は、どうも野村証券は、顧客を捨てて大証信の経営実態を知っていて敵前逃亡した疑いが濃い、こういう感じがするんですよ。この時点でやめているんですからね。そしてお客はほっぽり投げられているわけです。ここのところは一遍調査されませんか。
○政府委員(吉本宏君) そういう御批判があることは承知しております。十二分に調査したい、このように思います。
○和田静夫君 貸し付けた金融機関の側にも実は融資態度に甘さがあったと私は思います。融資は主に有価証券担保ですが、掛け目は四〇から七〇%で、大臣これはさまざまですが、一部の金融機関では信用貸しが行われているんですよ。この実態を把握されていますか。信用貸しした銀行の有担保の割合はどんなものです。
○政府委員(吉田正輝君) その割合でございますけれども、わりあい区々にわたっているようでございまして、いま正確には把握いたしておりません。やはり株でございますので、通常の担保掛け目よりもかなり多目に見積もっていたようでございますけれども、それが株価の下落ということで担保掛け目だけでは十分に担保にならないようなことがあったようでございます。ただ、信用貸しということでございますと、無担保、信用だけで貸した、そういうようなものは全然ございませんで、全部担保を徴していたことは事実でございます。
○和田静夫君 三十八年四月八日付の銀行局長通達で、「今後の銀行経営については、とくに大口信用集中の排除、流動性資産の充実、経営の合理化等に重点を置き、健全経営をさらに徹底する」ことが必要だとしている。おわかりですね。この通達が、今回のような事件を見てみますと、大臣、全く顧みられないという気がするんですよ。 そこで、大蔵省は通達さえ出せば事足れりという態度じゃなかったのかというふうに思うので、大いに反省をする必要があると思うのですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 通達の出しっ放しはいけませんから、大いに反省します。
○和田静夫君 今度の誠備関係の事件で、投資顧問業の規制立法をつくるという話があったようですが、これはどうなっていますか。
○政府委員(吉本宏君) 今回の誠備事件の問題でございますが、これは特定の証券会社の外務員が投資グループを主宰いたしまして、投機的な株式投資を行ったということでございます。したがいまして、誠備というのはいうなれば町の投資顧問業ということで看板を掲げていたわけでございまして、この投資顧問に対して一体法的な規制をするかどうかということについては現在検討中でございます。アメリカですでに投資顧問業に関する法規制がございます。そういったことも参考にいたしまして、十二分に検討してみたい、このように考えております。
○和田静夫君 大臣、これは検討だけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も詳しいことはわかりませんのでね、事務当局にひとつ勉強してもらって、いずれにしても投資顧問とかいってまとめて株を預って、お客からまるっきり白紙委任みたいな形で運用するということは、私はこれは行き過ぎで騒ぎのもとになるから、そういうことのないように、やはり外務員、歩合外部員等も含めて、お客が知らないうちに売っちゃったり、そういうことはないようにさせなきゃいかぬと、そう思っております。
○和田静夫君 省令の手直し、それに証券局長通達、そういう程度でこの種事件の再発を防ぐことができるのだろうかということを、私は非常に疑問に思います。一体通達の拘束力はどの程度なんだろうか、通達の拘束力の基準というのは、証券局長、あるわけですか。
○政府委員(吉本宏君) 通達は法律ではございませんもので、それに対する罰則とか行政措置というような処分を伴うわけにまいりません。そういったことで、今回の事後措置として、仮にいまの投資顧問に対する規制、あるいは外務員に対する規制、そういったことを一部通達で、一部は大蔵省令で、まあ処分を伴った措置にしたらどうであろうかというようなことを現在検討中でございます。
○和田静夫君 大証信に対する大口融資先として、二月末で中央信託が八十億、東洋信託が七十六億八千七百万、安田信託が五十八億八千五百万、大和が五十一億七千万。大手銀行が名前を連ねているわけです。私は、この中に大口融資規制に抵触するものがあるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(吉田正輝君) どこの銀行がどの程度ここに貸していたかということについては、正確にはこの場で、個別取引でございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思っておりますが、大体先生が御指摘の金額よりはそれを低く下回っているというのが私どもの感じであります。しかし、相当多額の融資が行われているということは事実でございまして、ただいまその実態把握に努めているところでございますが、先生御指摘の大口融資規制、これはその危険の分散を図ることはもちろん、金融機関の資産の安全性ということから大変重要な事柄でございます。大口融資規制につきましては、ただいま銀行局長通達をもちまして信託銀行につきましては自己資本の三〇%までが一件当たりの限度だと、こういうことになっております。この貸し出しは多額ではございますけれども、この大口融資規制よりははるかに下回っていると思っております。ただ、危険な融資でございますので、今後とも注意してまいりたいと、かように考えてございます。
○和田静夫君 大口融資規制に対して業界が批判的見解を示していますよね。これが導入された四十九年当時と経済、社会状況が変わって、官僚統制で経営の自主性を損なうものだというのがその言い分のようなんですね、読んでみると。大蔵省は、こういうような主張にどういうような反論をされますか。
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど申し上げました銀行局長通達、あるいはその後銀行法改正審議に際しまして、大口融資規制の問題につきましては金融制度調査会でいろいろと御議論を願ったわけでございますけれども、やはり何と申しましても金融機関は公共的機関でございますし、その意味でも預金者のことを考えますと、金融資産の安全を図らなければいけない、危険の分散を図らなければいけない。一方、資金を偏在させるということは国民経済的にも好ましくないと、かように考えておりますので、大口融資の規制についてはやはりある程度の基準を持ちまして、必要であるという考え方で、いまその問題に対処しておるところでございます。
○和田静夫君 情報公開問題に入りますが、この総括質問のときに、各省庁もっぱら情報公開の窓口を設けて努力していると答弁され、あたかも情報公開に向けて大いに努力しているように言われたわけです。窓口が設けられたのは私、事実と認めます。これまで以上に情報が開かれたとは、実は実態から見る限り言えない。全省庁トータルでも結構ですが、一体窓口が設けられた結果、これまで非公開だった情報のうちどういうものが公開されたのか。数字で示してください。
○政府委員(石川周君) お答えいたします。 昨年の十月、窓口を整備いたしまして、その後各省に受け付けましたお申し出の件数は各省ごとに把握してございますけれども、それがいままでお断りしておったものが幾らであったかというような統計は格別まとめてとっておりません。
○和田静夫君 総理、この情報公開の判断基準は変わりましたかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の五月でございますが、閣議で基本を決めまして、やはり情報というのは基本的には国民のものであるという観念で各省が仕事をするようにという、そういう何と申しますか、変わったと申しますか、そういう確認がなされておると思います。
○和田静夫君 私が調べた限りでは、そうして利用者に聞く限りでは、いままでとあんまり変わらぬようですね。窓口ができただけなんです。もちろん窓口ができたのは私は一歩前進ですから、内容が少しも変わらなくたって評価はしていますがね。 したがって、情報公開原則を先日も質問をして、きょうも質問をするのは、どうしても少しは内容を変えたい、変えるべきだ。全省庁に、実は政府情報の管理等について資料をいただきました。それぞれ読んでみて、疑問は実はますます深まったというのが率直なところです。 まず言葉の問題でありますが、各省庁の設置法には公文書とか文書とか規定しているのですが、現実には文書類だけではなくてコンピューターその他各種の情報があるわけですね。したがって、文書という言葉だけで規定することは適切ではない。情報とかその他適切な広い概念を用いる必要が私はあると考えるのですが、行管庁長官、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 全く同感でございまして、時代の進歩に伴いまして保管する内容も非常に変わってきております。
○和田静夫君 では、どういう言葉を用いるかについては検討されるわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま各省を通じて関係官の間で検討を行っておりまして、どういう基準でやるか、まず基準の選択、それから保管する内容等について、いま目下検討している最中でございます。
○和田静夫君 各省庁の情報管理というのですかね、ほとんどは文書管理ですがね、それは大臣官房総務課、秘書課といった部署に担当者、まあ主任クラスのようですが、置いている。そうして、各部局に長が指名する責任者が置かれている。この組織体制というのは、文書の外形上の管理を意味しているのだろうと思うのですね。実態は各部局、各課が文書等の判断をして、おおむねそこで管理していて、特に一元的な判断なり管理なりが行われていないのじゃないだろうか。私の知人の役人に聞いてみても、大体課の単位で課長の監督下にある。局の問題、省庁の問題になるものについては、それは局長、大庭の決裁を仰ぐという場合であって、文書等の管理は課単位なるものがほとんどらしいのですね。したがって、ちょうだいした回答というのは、実態としてはごく部分的な、大臣官房所管事項に限られて、大部分の情報文書はそれぞれの部署のもとにあるという実態を伝えていないと思うのです。 実態面を実は各省庁に説明してもらいたいのですが、どこか代表でどうですかね。やっぱり行管庁ですか。
○政府委員(門田英郎君) お答えいたします。 まあ各省庁代表してお答えするということになるわけでございますが、行政管理庁において行っております文書管理、これは長官官房総務課において文書係が総括的に管理し、また各局において指名された組織がそれぞれ管理をするというやり方になっているわけでございます。この関係におきましては、非常に、各課ばらばらというふうな先生の御指摘でございましたが、そうではございませんで、長官官房が総括し、かつ各局でもそれぞれ総括をしているという状況に相なっておるということでございます。
○和田静夫君 まあそう言われても、実態は国会やマスコミではだれでも知っているのですよ。きょう少し来た資料についてそれぞれ各省大臣に文句言おうと思ったのですが、もう時間の関係もありますから省略をいたしておきます。きょうの理事会ではちょっと言っておきましたがね。後でお聞き取り願います。 そこで、ちょっと具体的な問題に入りますが、秘密指定の名称、区分について、昭和四十年の事務次官会議申し合わせで、機密、極秘、秘の三種類とされているわけですね。しかし、これ以外の秘密区分、名称を設けている省庁があれば説明してもらいたいのです。防衛庁、警察庁、法務省、外務省。
○政府委員(岡崎久彦君) これは秘密区分という表現に該当するかどうか存じませんでございますけれども、防衛庁の秘密には、防衛秘密——防秘と庁秘がございまして、防秘、庁秘に当たるもの以外に取り扱い上注意が必要なものにつきましては、その旨を明記するという措置をとっております。
○政府委員(金澤昭雄君) 警察庁といたしましては、極秘と秘の二種類でございます。
○政府委員(筧榮一君) お答え申し上げます。 法務省におきましても、極秘と秘の二種類でございます。
○政府委員(柳谷謙介君) 外務省の場合も極秘と秘の三種類でございます。
○和田静夫君 官房長官、秘密指定する判断の基準、申し合わせの趣旨、ちょっと説明してください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどちょっとお触れになりましたが、昭和四十年に事務次官会議の申し合わせがございまして、その後これは少したちましてから多少ずつ変化をしておりますけれども、これが基本になっております。結局、公共、公の立場からの、つまり公共の福祉といいますか、広い意味でのそういう種類のものに関するもの、あるいは個人のプライバシーに関するもの等等を対象にして、そうしてこの四十年の申し合わせによりますと、その機密の種類を明らかにすること、それから機密を指定する責任者等々について明らかにすること等が決まっております。
○和田静夫君 国の安全、利益に関するものとか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公共の利益でございますか、国の安全等々でございます。
○和田静夫君 国の安全や利益に関するものとか、あるいはそれに次ぐものとか、いろいろ決まっているのですが、いかにも少ないみたいですけれども、各省庁それぞれ言われた極秘、秘の指定件数のおおよその概数ですね、全文書中の機密の割合ですね、わかりますか、これ。代表でいいです。まとめてないですか。
○政府委員(岡崎久彦君) 現在の機密、極秘、秘の件数は存じておりますが、割合というものは存じておりません。
○和田静夫君 これらの秘密指定及び管理はセクションごとに行われている。それは私はたくさん例を知っていますよ、いろいろ言われますけれども。たとえば、法務省は課長以上が秘密指定を行うと回答されていますが、まさにセクションごとの判断です。そして、何でもない図書まで部外秘として図書館に置いている、こういうのですよ。ここも実はもう各省庁に聞くところなんですが、まあ協力をする意味でやめておきますよ。実態はそうです。いろいろきれいな答弁をされていますけれども、何にも変わらないんです。 一つだけ聞きたいのは、秘密指定が余りにも乱発され過ぎている。総理大臣、しかも実情は各セクションで簡単にそうされることになっているからなんですよ。 参考までに聞きますが、マル秘の判こ各省庁何個ずつ持っているかということを大臣の中で答えられる人いますか。大蔵大臣、おわかりですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 マル秘と言われましたけれども、先ほどの区分の種類で申し上げてよろしいですか。
○和田静夫君 はい。
○国務大臣(大村襄治君) 機密が庁秘で約一千、極秘が防衛秘密で約百、庁秘で約四千、秘が防衛秘密で約三千六百、庁秘で約八万一千、合計しますと防衛秘密が約三千七百、庁秘が約八万六千。 以上であります。
○和田静夫君 まあ、質問の趣旨とは変わっていますけれども、(笑声)やっぱり防衛庁長官一番まじめなんでしょうからまじめに答えられました。 問題は、私は秘密指定に法律の根拠がないことを、実はきょう、いままで少し何かつまらぬようなことを言ったようですけれども、そのことを言いたいために少しの実例を時間をかけて聞いたのです。省庁設置法を挙げてこられた回答、あるいは大臣訓令、通達の文書管理規程等を挙げて回答されてきたところの省庁、ばらばらですが、省庁設置法にはいずれも明文の規定はありませんよ。単に文書を管理することといった文言があるだけであります。根拠法というのには弱い。規定に欠けると言う方が私は妥当であると思っています。大臣訓令なり通達なりという段階の規定は、いわゆる行政上の命令ですらなくて、また委任した法令もないわけですから、したがって法令の根拠はない。この二点は法制局長官、間違いありませんね。
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘のように、直接秘密指定の法的根拠を決めた規定はないと思います。ただ、解釈としてはいろいろ申し上げることはできます。
○和田静夫君 私は、最高裁の判決決定が知る権利を憲法第二十一条の表現の自由に含まれる権利であると認めた点は、先日の委員会で指摘をしました。また、法制局長官も先日の委員会で私に、知る権利を民主主義の原則に基づく憲法第二十一条と関係づけて認められました。つまり第一には、知る権利は民主主義の要請であり、憲法が保障する基本的人権に含まれています。ないし、それにかかわるものであることであります。そして第二には、行政は民主主義の大原則によって立って、法律による行政の原則が貫徹されなければなりません。ところが、現実には事実上根拠法令がはっきりしないまま、行政裁量で秘密指定が行われ、国民の知る権利が制限されているということであります。いま挙げた二つの点から、現状の情報、文書管理に関する法令はきわめて不備であると、総理、指摘をせざるを得ないんです。 統治行為、行政の自由裁量というのは、政府内のチェック・アンド・バランスにおいては私は認められるとしても、国民の権利に対しては認められないものですよ。そうした点については、公共の福祉からする制限論というのがあります。田中二郎先生の著書を引用するまでもない。時間がありませんから読みません。法律によってこれを制限することが許されるのであって、法的根拠なく役人の一方的な裁量にゆだねるということは許されない。そういう余地は全くないわけです。このことはお認めになりますね、法制局長官。
○政府委員(角田禮次郎君) 一般的に、国民の権利を制限したりするには法律の根拠が要るというのは御指摘のとおりだと思います。 ただ、一言つけ加えさしていただきますが、先日も私申し上げましたとおり、知る権利なりあるいは知る自由というものが、国民主権の原理なりあるいは基本的人権の保障という点から、尊重されるべきことは言うまでもないと思います。ただ、今日知る権利が権利として実態的に成熟しているかといいますと、これは残念ながら判例の積み重ねもまだございませんし、また常に問題になります情報公開法というような法令もございませんし、あるいはまた行政手続の上でもいろんな不備な点がありまして、直ちにいま権利としてそれを成熟しているとは言いかねると思います。
○和田静夫君 そこにお互いが努力しようとしていま論議をしているわけですから。開かれた政府というのは、私は時代の要請になっていると思うのです。それはまさに政府が国民の生命、財産から文化生活に密接にかかわっているからこそ私は生じてくる要請であって、民主主義の要請なんだと思うのです。憲法を引用するまでもありません。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」こととされているわけです。つまり、国政は国民の監視下で行われなければなりません。したがって、国民の権利にかかわることについて、法令の根拠を欠いたまま包括的な行政裁量にゆだねられている状態というのは、私としては認めるわけにはいかない。そういう意味で総理、こうした法令の根拠に疑義がある状態というようなものをやはりお直しになる必要があるだろう、そういうふうに思うのですが、総理いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は基本的に和田さんの御主張、これはそのとおりだと、こう思っておりますが、法制的その他各般の検討整備が私はこれを確保するためには必要であると、こう考えておりますし、まあプライバシーの問題その他もございます。バランスのとれた、そしてできるだけ国民の知る権利に対してこれにこたえていくということが必要であろうと、こう思っています。
○和田静夫君 秘密指定文書以外のものについては情報を公開することになる、官房長官そういうふうに考えていいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いまちょっと専門家と相談をしておるのでございますが、大まかな方向はそうだろうと思いますけれども、両方のことが完全に一致するわけでもあるまいと、多少の違いの幅はあろうというふうに考えますが、大まかの筋はそうでございましょう。
○和田静夫君 いいですか、それで。
○政府委員(角田禮次郎君) ちょっと私も自信ありませんけれども、なるべく秘密の指定は限定するという方向をとっておりますので、まだ何といいますか、未完成の文書などで秘密の指定というものが形式的には行われてないものがあるだろうと思うのです。ただ、そういうものもまだいわゆる未発の文書として、仮に国民の方が役所へ来てそれを見せてくれと言われたときに、やはりお断りをするような場面があるのじゃないかと思います。まあ思いつくものとしてはそういうところがありますので、多少幅があると、幅が違うということを申し上げておきたいと思います。
○和田静夫君 その場合の法令の根拠はどうなるのですか。
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど私申し上げましたとおり、現在秘密なりあるいは情報公開をお断りするということができるという法令の直接の根拠はないわけでございます。ただちょっと申し上げたいと思いますが、結局そういう秘密であるからあるいはお見せすることをお断りするというのは、これは広い意味では行政上の必要だと思います。そこで結局行政に伴って出てくるわけでありますから、そういうものを指定する根拠というのは、結局は行政についての責任を有する各省大臣なりあるいはその委任を受けた者と、これが国家行政組織法の十条で各大臣はその所管の事務を統督するというようなことで、強いて言えば国家行政組織法の十条に結びつくと思います。 それからもう一つ、これは傍証として申し上げますが、各法律の中には秘密の指定を解除するといいますか、あるいは秘密に属する事項を一定の場合に許可を得てそれを公にするということについては、実は根拠規定がたくさんあるわけでございます。国家公務員法にも議院証言法にも民事訴訟法にも刑事訴訟法にもございます。そういうところでは、そういう許可権者というものは「所轄庁の長」とかあるいは「監督庁」というふうに書いてあります。当然そういう許可権者というものは指定権者と一致するはずでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、解釈上許可権者である者が同時に指定権者であろうと。そうしますと指定権者はそういう場合にだれであるかといいますと、国家行政組織法に言う各省大臣及びその委任を受けた者と、こういうふうに現在議院証言法なり国家公務員法なり訴訟法の解釈としてそういう解釈ができておりますので、そこでまあ指定権者はそういうものであろうと、こういうことが言えるだろうと思います。ただし、繰り返し申し上げますが、直接許可権者のように指定権者について法律の規定はございません。
○和田静夫君 そこで行管庁長官、私はこのあいまいな部分はやっぱり明確な基準を設けるべきだろう、そう考えるのですが、そうお思いになりませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点がいま問題になっておりまして、秘密という指定した部分とあるいは指定されない部分とその境界領域をどういうふうに処理するか、またはその妥当性の根拠をどういう法規に基づいてやるべきか、こういう点はいま検討しておるところでございます。
○和田静夫君 もう終わりますが、情報公開についてのこの閣議決定と各省庁に窓口をつくったこと、これは知っている。しかし、実情は旧態依然たるものであるということは先ほど来のやりとりでおわかりのとおりです。いままで公開していなかった情報、文書をどれだけ公開することになったのかということは、各省庁ごとに後からやっぱり資料を求めたいと思います。委員長よろしいですか。
○委員長(木村睦男君) わかりました。
○和田静夫君 行管庁長官、この行政も情報公開に向かってたくましく前進しなければならないと答弁をされました。現実は法律的にも疑義がある状態でありまして、これは早急に正さねばならないのでありますが、まあ検討されていることは、先ほど来何回も言われました。私は臨調の問題以前の問題でありますので、スピードを上げてやられるべきだと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題はかねての懸案の問題でございますので、スピードを速めて努力してみたいと思います。
○和田静夫君 総理、これまでの質疑で聞かれたとおりですが、一定のめどを立てて検討、改善をしてもらいたい。情報公開について、政府が本気でないと言われるようなことのないように努力願いたい。よろしいでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調の答申等もできるだけ早くお願いをして、それを踏まえて政府としても整備してまいりたいと、こう考えております。
○和田静夫君 最後に、この行政改革で、もう時間がどうもなくなるようでありますが、総理は来年度は行政改革を断行して一般歳出を削減をし、大型増税はしない。マスコミでは増税によらない財政再建と言っているようでありますが、そういうことをあちこちで言明されているように報道されています。ここで改めて真意を伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 財政の再建は内閣としてもまた国の置かれておる立場からいたしましても、これはぜひなし遂げなければならない最優先の政治課題だと、このように心得ております。また行政の改革の問題につきましても、行政の簡素、合理化を図ると、そして国民に対して効率的な政府、そういうサービスの行き届いた効率的な政府をつくる、こういう課題に私ども真剣にいま取り組んでおるところでございます。 そこで、五十六年度予算は、いま御審議をいただいておるような内容で、第一年度としての二兆円の特例公債の減額というものを達成するように御提案を申し上げておるわけでございます。 五十七年度以降の予算の編成に当たりましては、ただいま和田さんからお話がございましたように、私としては大型新税というようなことを念頭に置かずに、財政再建を引き続き進めていきたい。そして五十九年度までに特例公債依存の財政体質というものを改善し、これから脱却をしたい、そういう目標で努力してまいる所存でございます。
○和田静夫君 大蔵省、来年度の財政の収支見通し、ちょっと説明してください。
○政府委員(松下康雄君) 五十七年度のお尋ねだと存じますが、具体的にはまだいろいろの指標も全く出そろっておらない状態でございますので、私どもも具体的な見通しは何ら持ってございません。財政の中期展望でお示しをしたような想定に基づいた試算が唯一のものでございます。
○和田静夫君 総理、行政改革で幾ら歳出を削減したいと考えておられるのかということを聞きたいわけですがね。自由民主党の参議院議員との懇談で、補助金削減を中心に二兆円の財政効果を上げたいと発言をされたと報ぜられましたが、そうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はいまも申し上げましたように、五十九年度までに特例公債依存の体質を改善をしたい。そこで五十六年度は特例公債二兆円の発行減額をいたしましたが、各年度におきまして具体的にどのような額を減額できるかと、これはこれからの経済財政事情の推移その他、またこの歳出、歳入その他の見直しの上に立って出てくる問題でございますから、いまだ、まだここで申し上げるような段階でございません。
○和田静夫君 一般消費税的な大型の間接税導入は来年度はやらないと、こういうふうに明確にされているわけでありますが、本会議で大木議員の質問にも答えられました。 そこで、臨調は二年ですが、少なくとも臨調の答申を得て、行政改革あるいは歳出削減ができる可能性がある限りは、その前に一般消費税的なものを導入することはないというのが総理の発言から私は敷衍できると、こういうふうに考えていますが、そう受け取っておいてよろしいでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調にも、そのような方向で御審議をお願いをしたいという要請もいたしておるところでございます。
○和田静夫君 とにかく改革が先で増税は後ですから、改革の余地が臨調等で示される限りはそれに従って増税を避けるべきだと、こういうふうに私も思います。 そこで大蔵大臣ですが、当委員会で歳出カットが十分にできなければ増税もやむを得ないという趣旨の答弁をかつてされたことがあります。まず歳出カットを考える、そのことは当然で、結構なわけですが、しかし歳出カットができなければ増税もあり得るというのは、私はどうも衣の下によろいという感じがするのですが、そんなことありませんかね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 要するに国の財政需要、これを賄うために税収があるわけでございまして、問題はその財政需要を切り詰めて特別なことを講じなくともやっていけるということが一番望ましいわけでありますから、私は総理の方針でもございますので、ともかく第二次臨調の中間答申などを待ってやるばかりでなくて、大蔵省自身も一緒になっていろいろと準備をして、増税なく来年度の予算編成ができるように最大限の努力をしなければならない、そう思っております。
○和田静夫君 口が悪くても人は悪くないと思ってますから、あんまり疑っていませんけれどもね、行政改革はやる、やると言っておけばよい、どうせいままで行政改革なんてまともにできなかったのだからというふうにもし考えながら、頭のいい人ですから、蔵相が発言をされるということになると、行政改革を口実に使っているのじゃないだろうかという危惧を持たざるを得ない。行政改革で歳出削減できなかったら、やるだけやった、それ理由ができた、増税に踏み切れ、こんなことにならぬでしょうね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども言っているように、それはもう増税とか税収というものは政府が取っとくわけじゃありませんからね。それは需要のために、国民のサービスのために使われるわけですから、だからこういう時期ですから、皆さんがまずそう大きく使うというようなことは、もういままでの惰性からやめて、高度経済成長の惰性があるわけですから、制度的にもいろんな問題があるから、そういうものはできるだけ切り詰めるという原理、原点に帰ってやるのだということで、そこから先のことまで考えても考え過ぎということじゃないでしょうか。
○和田静夫君 私は、やっぱりそう言っても、答弁にはずっと継続性があるものですから、したがって念には念を入れとかなきゃなりませんが、私は大蔵大臣の発言は理屈として一見ずっと成り立っているように思って静かに聞いてきたのですが、大蔵大臣という立場の人の発言であったがゆえに、どうもある程度の自家撞着であるという感じがして仕方がないのです。というのは、現在当面する行政改革の目標に上がっているのは補助金を中心とした経費削減でしょう。きょうもずっとやろうと思って用意してあるのですが、時間がなくなってきました。そして補助金というのは相当数が法律補助、だけれども、それの査定は大蔵省が行うのですよ。予算補助はなおさらでしょう。つまりだれが補助金削減の実行責任者かと考えてみれば、それは鈴木総理を別にすればあなたと、こうなるわけですね。その立場にある人が、行政改革ができなければ増税しかないとかつて言われた。そういう姿勢でいるということがもし残っているとすればナンセンスであろう。総理がここでは言明されませんでしたが、外で二兆円と言っていらっしゃる。大蔵大臣も率先して二兆円の経費削減を宣告する。それに私は邁進すべきだ。総理も臨調の答申のあるなしにかかわらず財政を縮減すると、こういうふうにまで述べられたわけですから、よいですか、これは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう総理の言うとおりでございます。
○和田静夫君 そもそも大蔵省は委託金、負担金、補助金の別すら予算書では明らかにしていません。認識としても乏しい。自治省、この区別ちょっと説明してください。
○政府委員(土屋佳照君) 形式的には法律の場合、政令の場合いろいろございますが、補助要綱による場合もございますが、負担金という場合は、私どもとしては国と地方がそれぞれに責任を持って国もそれ相応のものを負担するという意味での性格のものでございます。 補助という場合は、ある事業を地方団体その他が行います場合に、奨励的その他いろいろな意味を含めてそれに助成をするといった性格のものだと思いますし、委託という場合は、本来自分の仕事であるが、あるところにそれを委託してやらせるという意味でのいわゆる委託費だと、こういうふうにざっと考えております。
○和田静夫君 大蔵省、いまの財政局長の答弁、よろしいですね。
○政府委員(松下康雄君) 財政局長の答えられたように私どもも考えております。
○和田静夫君 そこで、自治大臣、私は政府予算書にも実はこの別を明らかにした資料を出すべきだと考えているのです。自治大臣、どう考えられますかね。負担金等の概念は自治体だけが持っていてよいものではないはずなんですね。反対に国に対する財政規律の確立を図るところに地方財政法の趣旨がある、そういうふうに思うのですがいかがです。
○国務大臣(安孫子藤吉君) そういう考え方も一つ私としては理解できるところでございます。
○和田静夫君 私の主張に立ってやろうと思いませんか。
○政府委員(松下康雄君) ただいまの補助金、負担金、委託費等の区別は予算書の中の目のところをごらんいただけば、そこに個別には全部記載をしてございます。
○和田静夫君 もう少しこの議論を別の機会にやりますが、補助金の整理について具体的に幾つかやろうと思ったのですが、時間がありませんから、いろいろ方法があります。私はただ実行してないだけだろうという感じがしてしょうがないのですよ。たとえばその一つだけに触れますがね。新設補助金には多くの場合年限が決められているわけでしょう。関係省庁、団体にも通知してあるわけですね。それをすべて公表すれば、私は日本版のサンセット方式が実行できるのではないだろうか。内輪でやっている限りでは私はそういう実績は全然上がってこないんだと思うのですよ。どうです、これは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 補助金問題については別な委員会で和田委員からいろいろ御提案がありまして、私もなるほどと思う点も幾つかあるのです。したがって、そういうものはみんな参考にいたしまして、整理合理化というものに最大限に活用したいと思っています。
○和田静夫君 補助金の縮減を中心とする行政改革について、総理は政治生命をかけると決意を表明されています。これは全省庁にわたる協力がなければできないわけですが、ここだけはひとつ答弁のなかった各大臣、この問題についての見解を聞かしてください。大蔵大臣と行管庁長官は一番最後でいいでしょうから、河本企画庁長官から、簡単に一言。
○国務大臣(河本敏夫君) 行財政の改革をやろうとする場合に、増税を前提とした場合には、これはもうとてもやれないと思います。でありますから、増税をしないという前提に立って行財政の改革をやるということは、これは政治姿勢としては私どもも全く賛成であります。
○国務大臣(園田直君) 臨調の中間答申が出、総理が方針を決められれば、その方針に従って全力協力する所存でございます。
○国務大臣(田中六助君) まあ総理の言うとおり一生懸命やります。
○国務大臣(伊東正義君) この前私答弁した後、通産大臣が外務大臣のとおりと言いましたが、今度は私は通産大臣のとおりであります。
○国務大臣(亀岡高夫君) 一番目標にされているようでありますが、責任を持って総理の意思に沿うようにいたしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) 内閣の方針に従いまして断行いたします。
○国務大臣(原健三郎君) 閣僚の一人として政府の方針、総理大臣の方針に従う決意であります。
○国務大臣(中川一郎君) 総理の考え方と全く同じでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も総理以下全く同様でございます。 したがいまして、国鉄の合理化につきまして、ぜひひとつ成功できますようにお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(藤尾正行君) 総理の御方針どおりにいたします。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 私も鈴木内閣の一員ですから、総理の考えのとおり、総理がやると言ったのですから、こればやらなきゃならぬと、こう思っております。
○国務大臣(中山太郎君) 鈴木総理の考えどおりやってまいる所存でございます。どうかひとつ行政改革の最大の問題として考えております公務員二法の早期成立についても、全面的な御協力をぜひお願いを申し上げたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) 総理の方針どおりにやる所存でございます。
○国務大臣(山内一郎君) 郵政省は余り補助金ないのでございますけれども、総理の方針に従ってやります。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 補助金の整理合理化はぜひやらなければ、私はそういう案件だと思っております。
○国務大臣(奥野誠亮君) 行政を改革して肥大化した行政運営のぜい肉を落とす、これは国民が一番望んでいることだと、こう考えておりますので、最善の努力を払いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 率先垂範してやらなければなりませんが、きょうの議事録は早速増刷をしてもらって各省に配りたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) 総理の御方針に従い最善を尽くします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革の推進、特に補助金の縮減につきまして、超党派的協力の実を上げておりまする和田委員に感謝いたします。
○和田静夫君 零細補助金が実は問題になっておりながら、一向に進まないのですね。私は最後ですが、全国知事会では一件五十万円以下の補助金は、一般財源化せよと提言している、他の地方団体も一致して零細補助金の弊害を説いている。自治省として、私は、一定の五十万円なり、百万円なりの判断基準を明確にして、一般財源化の方向を明らかにすべきだと思うが、どうですか。
○政府委員(土屋佳照君) 零細補助金の問題が出ておりますのは、補助額が少額にもかかわらず、それの交付のために、多くの人員なり、経費がかかる、そこらに問題があると思いますので、そういった観点から見ますれば、この額以下が零細補助であるといったような額を定義づけて、きちんと決めるというのはなかなか容易じゃないと思いますが、お示しのように、何らかの目安を立てて、整理をしていくということは大事なことだと思っております。御承知のように、現在国の予算編成の際には、府県なり、指定市については五百万円、市町村については五十万円以下のものは一応整理をする、零細補助という扱いになっておりますが、具体的にはまだ全部整理されておるわけではございません。私どもは具体的に幾らということはなかなか容易じゃないと思いますが、そこらをめどにしながら、そういった方向で整理ができるように努力をしたいと思っておるわけでございます。
○和田静夫君 私はさっき一覧表で資料提出してあるのですが、そこへ触れられなかった建設大臣、不満そうですがね、舗装・水道工事、舗装・下水道工事、舗装・電話ケーブルの敷設、舗装・ガス管工事等々、むだは、これは国民、市民が目撃、非難していることは周知のところです。総理もお帰りのあの青山通りからずっと行けば、あれの数字そこに出してありますがね、びっくりする、同じところの掘り返しですね、年間通じて、また一カ月。こういうことが大変なむだである。そういうことのやっぱり改善の措置を総理指導されるべきである。 もう一つは、大蔵省が問題となった補助金のいわゆる衣がえによるごまかしの一覧を提出されたのです。私はこうしたごまかしの横行を認めることはできぬわけですね。他の補助金と一本化、統合化を図るとか、廃止するとか、ここのところは先ほど答弁がありましたが、これは総理の決断でやっぱりしかるべき措置を急がれるべきだと、こう思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 和田さんから二点にわたりまして、きわめて具体的な御指摘がございました。私も全く同感でございまして、真っ先にそういう問題こそ改善しなければいけないと、このように考えています。
○委員長(木村睦男君) 以上で和田君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、市川正一君の締めくくり総括質疑を行います。市川君。
○市川正一君 ガイドラインに基づく作戦研究で、日米共同の作戦計画が、すでに報告書が防衛庁長官に上げられておりますが、総理は報告をお受けになりましたか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題はただいま防衛庁において鋭意勉強中ということでございまして、まだ報告を受けておりません。
○市川正一君 総理は国防会議の議長であります。防衛庁長官のところにはもう来ているわけですから、私は早くこれやはり読んでいただく、見ていただく必要があると思いますが、いつどういう予定でございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛庁長官からは、まとまり次第私のところに報告をすると、こういう連絡がございますが、まだございません。できるだけ、まとまればすぐにでもその内容を聴取したい、こう思っております。
○国務大臣(大村襄治君) 関連してお答えさせていただきます。 ガイドラインに基づく研究でございますが、いろいろあるわけでございますけれども、そのうちの共同作戦計画の研究につきましては、ある程度まとまりつつあるわけでございまして、先日、私はその中間的報告を受けたわけでございます。近い将来この共同作戦計画の研究につきましては、一応概要がまとまるのではないかと考えておりますので、まとまった段階で、総理大臣に御報告いたしたい、かように考えております。
○市川正一君 三月三日の衆議院の予算委員会において、東中委員の質問に、大村国務大臣は最近報告があったということで確認しているわけでしょう。ですから、私は、いずれにしても早く総理の方に提出し、総理の方も国会にその内容を報告されるように強く要望いたしますが、いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 御指摘の東中委員のお尋ねに対しましても、いま私が申し上げたような趣旨でお答えを申し上げた次第でございます。 近く作戦計画の研究については、一応の概要が固まるのではないか、固まった段階で総理大臣に報告いたしたいと思っております。 なお、その内容につきましては、事柄の性質上、詳細な報告は差し控えさしていただきたい、さように考えております。総理大臣には申し上げますが、先生御指摘の御要望のありました点につきましては、差し控えさしていただきたい、さように考えております。
○市川正一君 詳細じゃなくても、概要をとにかく早く報告してもらいたい。 続いてお聞きしますが、周辺海域の防衛のための海上作戦の研究も当然行われていると思いますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(大村襄治君) ガイドラインにおきましては、日米が共同して海上交通の保護のための作戦を実施することとされております。共同作戦計画の研究の中で、このガイドラインに基づく周辺海域におけるシーレーンの保護、確保のための共同対処について、一般的に触れておりますが、現在具体的なあり方について研究作業は進んでいる、そういうことではございません。
○市川正一君 進んでいる。
○国務大臣(大村襄治君) 一般的に進めていると、具体的には進んでない。
○市川正一君 そうすると、ガイドラインには御承知のように周辺海域と海上交通路と分けて言っているわけですね。ですから、周辺海域の研究もやっているということなんですね、再度確認します。
○国務大臣(大村襄治君) ガイドラインに基づく研究におきましては、周辺海域についてわが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度を念頭に置いております。
○市川正一君 いまお答えになったのは、いわば日本の周辺海域、それから航路帯——シーレーンですが、ガイドラインで共同研究している周辺海域も同じ範囲ですか。
○政府委員(塩田章君) ガイドラインの方では「周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」と、こう書いてございまして、周辺海域に航路帯を設けた場合云々というふうに分けてございません。分けてございませんが、ガイドラインでいう「周辺海域」といいますのは、私どもがいま申し上げました周辺海域と航路帯を云々という場合と、両方含めた概念でございます。
○市川正一君 長官と一緒の概念。
○政府委員(塩田章君) 同じことでございます。
○市川正一君 そうすると、三月二十九日付の新聞報道によりますと、防衛庁はグアム以西、フィリピン以北の防衛について、防衛海域目標としており、これはアメリカの要請している西太平洋の防衛分担とほぼ同じだ、こう報道しております。ここにも地図入りでコピーがございますけれども、今後の日本の防衛計画は、こうした区域を考慮して行われるのかどうか、この点明確にお答え願いたい。
○政府委員(塩田章君) 報道で、西太平洋の問題に触れまして、フィリピン以北でありますとか、グアム以西の防衛ということが出ておりますが、私どもこれまでたびたび申し上げましたように、わが国の周辺数百海里、航路帯を設けた場合に約一千海里という、従前の私どもの整備目標を別に変えているわけではございませんし、アメリカの方からそういうことを具体的に日本の防衛区域として云々というような要請があるわけではございません。
○市川正一君 そうしますと、その枠は厳守するというふうに確認して間違いありませんね。
○政府委員(塩田章君) 従来から申し上げておりますように、海上防衛力の整備目標として、私どもはそれらのそういった目標を掲げて整備しておる、こういうことでございます。
○市川正一君 さらに伺いますが、従来の国会答弁では、たとえば昭和五十年六月でありますが、衆議院内閣委員会におきまして、当時の丸山防衛局長は、海域を日米で分けて防衛分担することは憲法上できない、こう答弁されておりますが、これはいまも変わりないと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 共同対処行動をとります場合に、ある海域を分けまして、その海域は日本なら日本、この海域はアメリカならアメリカということで、その海域におきますすべての外国の船舶を含めてすべて保護する、お互いに、分担に従って、そういう形をとります場合は、集団自衛権になって憲法上疑義が出てくる、そういう問題がございますので、その辺は私どもは海域分担の考え方はとらないつもりでございます。
○市川正一君 従来どおり。
○政府委員(塩田章君) 従来どおりでございます。
○市川正一君 総理にお伺いしたいのでありますが、いまやりとりをお聞きいただきましたが、最近、西太平洋のアメリカ空母機動部隊が空白になるということで、日本がこの海域の防衛を分担して引き受ける、こういうようなことが一部伝えられておりますが、従来の国会答弁から見てもこれは憲法上できないことはいま明白になったとおりであります。 そこで、レーガン大統領のああいう不慮の事件もございましたが、いずれ総理は訪米なすって首脳会談に臨まれる、その際に西太平洋アメリカ空母機動部隊の空白を埋めるための、こういう海域分担は絶対に話し合わないし、また引き受けないということを明確にお約束を願いたいと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) いつも政府の方針は明確に申し上げておるところでございますが、日本は専守防衛に徹するわけでございますから、米海軍がインド洋に移動したとか、あるいはペルシャ湾に移動したから、そこでその空白の地帯を日本が守るとか、そういうことはあり得ない。日本及び日本の周辺海域、これが日本の専守防衛の立場でございます。
○市川正一君 そうすると、そういう問題については、話し合いをする必要もないし、また引き受けないというふうにおっしゃっておる、こう理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのことを私からも、また外務大臣からも、できることとできないことがございます、できないことはいたしませんと明確に申し上げております。
○市川正一君 そうしますと、これはできない部類に入りますね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは専守防衛に徹すると、こういうことであります。
○市川正一君 そうしますと、これはできない、したがってそういう立場で臨まれる、しかと確認をいたしました。 次に、国内の若干の問題についてお伺いしたいのでありますけれども、三月三十日に東京地裁の国籍確認訴訟判決が出ました。政府はこれまで重国籍問題の解決が困難であるということを理由にして消極的でございましたが、わが党はこの問題で、昨日第二条を改正して男女平等にすることに、そして重国籍防止策として成人に達する前に本人に選択させる方式、こういう改正案を発表いたしました。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 さらに、重国籍問題では、国籍法改正とともに各国に国籍離脱の自由の理解を求め、協定などの締結によって国際的な保障を確立することなどを提起いたしました。これは総理にも昨日内閣参事官を通じて手交しておきましたのでありますが、この際、政府が男女平等の立場から積極的に国籍法改正に取り組むべきだと思いますが、総理の積極的御見解を承りたいと思うのであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府におきましても、国籍法を改正すべき時期に来ておる、このように認識いたしまして、ただいまそういう方向で努力をいたしておるところでございます。
○市川正一君 その際、ただいま御説明し、また昨日手交もいたしましたわが党の提案についてもぜひ積極的に御検討を賜りたいということを期待いたします。 今度は、私、鈴木総理の政治姿勢について若干お伺いしたいのであります。 総理は、昨年の臨時国会での所信表明演説では政治倫理の確立を冒頭に強調なさいました。ところが、今度の通常国会での施政方針演説では末尾にこれが追いやられています。 伺いたいのでありますが、この間に政治倫理の確立において有効な措置あるいは顕著な前進が見られたという御見解、御認識なんでしょうか、お伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政治倫理の確立の問題は、私は民主政治を擁護するという見地から最も大事な問題であろうかと、こう考えております。したがいまして、臨時国会の所信表明で冒頭に、そして今回の施政演説において最後に、非常にこれを重視いたしましたからそういう取り扱いをいたしておるところでございます。 私は、基本的には政治倫理の問題は政治家個人個人の個々の自粛と反省、これにまたなければならない問題だと、こう思っております。しかし、自由民主党におきましても党大会において倫理憲章というものを新たに制定をいたしまして、党員ひとしく国民の信頼を保持いたしますために政治倫理の確立に努力をいたしておるところでございます。 また、国会におきましても、各党各会派の積極的な前向きの御協議、お話し合いによりまして、何とか政治倫理委員会、倫理委員会のようなものを国会に設置していただきたいということを私も提案をいたし、わが党の国対委員長等も中心になりましていま各党にお諮りをしておる、御協議を申し上げておるということでありまして、政治倫理の問題は絶えず私どもは努力を積み重ねていかなければならない課題である、こう思っております。
○市川正一君 お言葉でありますが、現実の実態は私、逆行していると思うのです。たとえば、この間に、まだ解明すべき多くの疑惑を残している航空機疑獄を調査すべき航特委員会が、特別委員会が衆参ともに自民党の強行によってこれは廃止された。さらに、この疑獄の頂点にある田中角榮の公然たる復権が謳歌され、鈴木自民党政府に対してその影響力を強めていると言われております。 ところで、ロッキード事件公判で取り調べされた検事調書のうちで、昭和五十一年八月十二日付榎本敏夫の検事調書は、「七丁表の「……小沢君に聞かんと分からんな、といっていた」の部分で突然切れ、このあと十二丁まで完全に欠落していた。十二丁には榎本の署名、捺印があり、調書は終わっている。」と、こう伝えられております。 法務省の刑事局長に伺いたいのでありますが、公判で取り調べをする検事調書の一部を削除するというのはきわめて異例でありますが、そのような事実があったのかどうか、そしてその削除部分の内容はどういうものか、明確にしていただきたい。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの調書が公判に出たというふうに新聞報道もされているわけでございますけれども、実のところはまだこの調書は出ていないわけでございます。と申しますのは、検察官がいわゆるロッキード公判で榎本被告人を被告人質問をするに当たりまして、いわゆる検事調書を弁護人側に開示をしておるわけでございます。その開示をしている調書のことだろうと思うわけでございますけれども、それはまだ開示しただけでございまして、証拠調べの請求もしておりません。したがいまして、法廷にも出ていないわけでございます。そういう段階でございますので、その調書の体裁なりあるいは内容につきましてここで申し上げるのはまだ時期ではないというふうに考えております。ただ、一般論として申しますと、いろいろと検察官側が収集しました証拠につきまして、その事件の立証に不必要なものというものもあるわけでございまして、そういうものにつきましては調書の全部あるいは一部というものにつきまして開示をしない、あるいは証拠調べの請求をしないという扱い、これは従来からもあることでございまして、そう珍しいことではございません。
○市川正一君 報道によると、この部分には榎本敏夫がロッキード賄賂などを「極秘裏に配った金の行き先と金額が書かれているはずだ。調書に添付された別紙というのは、榎本直筆の資金配布リストとみることができる。」「金の行き先には非田中派、野党議員の名前、一部言論人も登場している、」と伝えられています。 そこで、刑事事件として立証の必要がないとしても、これは政治的道義的責任を明らかにする国会においては必要な内容であります。その内容を、国会のそういう見地からぜひ示していただきたい。
○政府委員(前田宏君) 先ほどもお答えをいたしましたように、当該調書と思われるものでございますけれども、まだ公判にも出ていないわけでございます。そういたしますと、捜査の過程でいろいろと得られました証拠の内容というものになりまして、それはたてまえといたしまして裁判所の公判で公になりますもの以外は公にしないということ、これは前々から申し上げているところでございまして、この場合も同様であろうと思います。
○市川正一君 総理、ロッキード事件に関する国会決議、衆参で行われました。そしてまた両院の議長裁定がございますが、これの中で国会での究明とその役割りについてどう述べていたか、御記憶でございましょうか。
○政府委員(石川周君) 昭和五十一年二月二十三日の参議院の本会議におきます「ロッキード問題に関する決議」でございますが……
○市川正一君 全文でなくても、国会での果たすべき責務です。
○政府委員(石川周君) 第二段目にその御指摘の点があろうかと存じますが、「本院は、本問題に関するすべての疑惑を解明することが、国民の要望にこたえる道であり、真の日米友好にとっても極めて重要であると確信する。」というくだりがございます。 また、五十一年四月二十一日の「国会正常化に対する衆参両院議長裁定」という資料がございますが、それの第四項でございますか、「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」とございます。
○市川正一君 総理、いまお聞きのとおりであります。 ですから、すべての疑惑を解明すること、真相の徹底的解明、政治的道義的責任を明らかにする、これは国会の国民に負っている責務であります。しかも、検察は公訴維持上必要でないという判断で削除しておられるのですから、前田局長のいろいろの御答弁を勘案すれば、国会に示しても公判や捜査に支障はないはずじゃないですか。ぜひともその内容は国会に御提示を願いたい。
○政府委員(前田宏君) 同様なお答えになって恐縮でございますが、もちろん国会の御決議があることは私ども承知しておりますけれども、その場合にも、もちろん私どもといたしまして国会の御調査にできる限り協力する立場にございますけれども、やはり捜査の秘密というようなことになりますと、いろいろと秘密裏に得られたものを公開するということによりまして今後捜査が支障なく遂行できないというようなまた問題もあるわけでございますので、その辺を十分御配慮いただきたいわけでございます。
○市川正一君 委員長、私は憲法第六十二条並びに議院証言法第一条及び参議院規則百八十一条に基づいて榎本検事調書の削除部分の提出を本委員会に求めたいと思うのでありますが、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。
○理事(古賀雷四郎君) 理事会で協議をいたします。
○市川正一君 ちょっと相談してくださいよ。
○理事(古賀雷四郎君) 市川正一君に申し上げます。理事会で十分協議して御返事申し上げます。
○市川正一君 じゃ、ひとつよろしく頼みます。 総理は、本委員会でのわが党の沓脱委員の質問に対しまして、先日、「特に現在の政治に対して特別な影響が強まってきたと、そういうような感じを私は余り受けておりません。」と、田中復権問題についてお答えになりました。このことについて、ある新聞は、「政治の異状を見つめよう」と題する主張も特別に出しております。その中で、「首相が論評しようがないのは、百人を超す田中派勢力に支えられている政権の実態からだろう。」ともこの中で論じております。 そこで、総理は、その後も、なおいま同じ御見解なのか、重ねて承りたいのであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私の政権は、衆参両院の自民党議員全員の支持の上に立っておるものでございます。特定の五十人とか、三十人とか、八十人とか、百人とか、そういうものではございません。全党的な支持を得てやっております。したがいまして、私は、特定の影響、圧力とか、そういうものは全然感じておりません。
○市川正一君 去る三月の二十八日に田中角榮が、田中派前代議士の父親の葬儀のため長野県の鼎町に二階堂進総務会長初め金丸信、竹下登、久野忠治、小坂徳三郎、小沢一郎、後藤田正晴の諸氏、こうした田中派幹部七人を含む総勢二十余名とともに乗り込んでいると報ぜられておりますが、このときの角榮氏の言動については総理も新聞報道などを通じて御存じだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 市川さんのいまの御発言で初めてわかりました。まだ読んでおりません。
○市川正一君 御紹介しますと、私の方でも調べましたが、たとえば金丸、竹下の二人は自民党建設族の大物で実力者だがまだ私の配下にいる、こういうように自民党政治への影響力を角榮氏は誇示しております。さらに重大なのは、この長野入りのために、近道としてまだ開通していない中央自動車道の西宮線諏訪ルート、ここに地図を持ってまいりましたが、これを、金丸氏の要請でまだ開通していないルートを使われている。傍若無人とはまさにこのことだと思いますが。ですから、田中角榮が言っているように建設族の大物として私物化しているというふうに言わざるを得ぬのでありますが、総理、いまこういうことをお聞きになってどういうふうに考えられますか。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国会でお決めいただきました予算、公共事業関係の予算というものは、各省大臣を初めとしまして、各省庁の厳正な査定、採択の上に執行されておるものでございます。したがいまして、私はどういう意味でそういうことがおっしゃられたか、報道されたか、私は理解に苦しむところでございます。
○市川正一君 まさに理解に苦しむのであります。しかも、この道路を使う問題について私お伺いしたのですが、総理はお答えなかったのですが、開通してない道路をいわば使わせる。名目は視察だというふうに言っておられますけれども、同道された二階堂総務会長御自身、初めから視察など聞いていないと、はっきりこうおっしゃっているわけです。ですから、葬儀に行くための近道として利用しただけのこと、そういうことは明白でありますが、私は、こういうことがいわば公然と行われている点で、総理・総裁としてぜひしかと見届けていただきたいと思います。 さて、今度は、私、総理御自身に係る問題で伺いたいのであります。 御承知の海外漁業協力財団がサン・マリーン・プロダクトへ融資した問題がございます。この融資をめぐっては、財団が融資した四億二千万円のうち九十万ドル、約二億四千万円が融資目的に反して大洋漁業アメリカへ借金返済に充てられるという不正流用など幾つかの重大な疑惑が指摘されております。さらに、融資自体についても大洋漁業の内部文書で鈴木総理の介入の疑惑が触れられております。 そこで、まず農水省にお伺いしますが、このサン・マリーン・プロダクトヘの融資に関して、その経緯と事業計画の内容、融資の内容について説明をいただきたい。
○政府委員(今村宣夫君) 財団が五十年にメキシコのサン・マリーン・プロダクトに融資をしました一つのポイントでございますが、五十年当時は、御存じのように、メキシコが五十一年に二百海里を実施するという方針を打ち出したところでございます。日本のカツオ・マグロの漁船がメキシコの二百海里内で操業いたしておりまして、二百海里実施という事態を控えまして、メキシコとの漁業関係を維持していくということが業界の一つの願望であったわけでございます。メキシコの太平洋沿岸は豊かな漁場として知られておるわけでございまして、わが国からの漁業協力事業を通じまして同国の沿岸漁業を開発しますと同時に、これによりまして日本の漁場を確保しょうという考え方があったわけでございます。同時にまた、そこに宙港いたしますから、漁業用燃油の安定供給という問題も、重要な問題としてメキシコの好意的配慮を求めておったわけでございます。 同時にまた、メキシコとしましては、沿岸の漁場を開発するという観点から、バハカリフォルニア州知事及び同国政府から沿岸漁業の開発のための支援要請があったわけでございます。そういう背景を踏まえまして、海外協力財団は、五十年六月にサン・マリーン・プロダクトに対しまして四億二千万円の融資をいたしたわけでございます。これはサン・マリーン・プロダクトを通じましてメキシコの現地のプロマルサに融資が行われております。先ほど申し上げましたように、そういうふうに二百海里時代を控えまして、相手国の漁場、漁業の開発を行いますと同時に、日本の漁業を確保するという観点を持っておったわけでございまして、その融資の内容としましては、漁船、運搬船、船着き場、トラック、無線電話、作業所というような融資の内容になっております。
○市川正一君 それじゃ伺いますが、この融資のいきさつを書いた大洋漁業の内部文書がありますが、水産庁はこれをごらんになりましたか。
○政府委員(今村宣夫君) 大洋から資料の提出を求めていまして見ております。
○市川正一君 その内部文書は、新聞報道などではA代議士となっている部分が実名で書いてあったはずでありますが、衆議院の予算委員会ではそれが鈴木善幸代議士、つまり総理のお名前だと、こう指摘されております。水産庁もその名前があったことを見ているはずですが、どうですか。
○政府委員(今村宣夫君) 大洋漁業の内部文書につきましては、大洋漁業から提出を求めまして当該文書を見ておりますが、その提出された文書では鈴木議員の名が書かれておったというふうに承知をいたしております。
○市川正一君 もう一遍、その最後のところを、むにゃむにゃ言わぬとはっきり言ってください。
○政府委員(今村宣夫君) 書かれていたと承知をいたしております。
○市川正一君 いま水産庁から答えがあったように、A代議士というのが鈴木総理の名前であったということが確認されたのでありますが、この点、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) とかく有名料といいますか、そういう名前を利用されることがあるものでございます。私は全然、いま水産庁長官から報告がございましたが、この問題には関係がございません。
○市川正一君 メキシコに同行された中に永谷園本舗の永谷博専務が同行しておられたはずですが、御記憶ございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは私の秘書の友人でございまして、確かに同行されました。
○市川正一君 総理、あなたの政治資金団体の一つに新政経懇話会というのがございます。その所在地はどこでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 本当はどこにあるかわからなかったんですが、調べてみましたので一緒に申し上げておきます。 政経懇談会というのと新政経懇話会というのが私の後援団体でございます。政経懇談会は港区新橋五丁目の玉置ビルにございまして、責任者は深津吉郎氏でございます。新政経懇話会は港区西新橋二丁目の新橋桜ビル、その責任者は小熊辰雄氏でございます。
○市川正一君 その後をおっしゃらなくちゃ……、その新橋桜ビル内永谷園本舖であります。そこにあるのですよ。この永谷園本舗に新政経懇話会の事務所があり、そして支出を見ますと、人件費、光熱費ゼロです。事務所費も五十二年から五十四年まで年間で四万円前後です。つまりただ同然です。結局新政経懇話会、これは永谷園本舗のお抱えということになるわけであります。ですから、これとメキシコ行きとはいろいろの絡まりがあるわけでありますが、もう一つ伺いたい。 別の政治資金団体の一つに水産政策研究会というのがございますね。これはどこにございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは私の後援団体ではございません。御承知かどうかわかりませんが、自由民主党の水産関係の議員諸君で水産政策推進議員連盟というのが結成をされております。その会長を私は長年やっておるわけでございます。この水産政策推進議員連盟、これを後援いたしますために、水産政策研究会というのを民間の水産団体等でつくっておるわけでございまして、それは港区赤坂一丁目の三会堂の中の漁村文化協会の中に置いてございます。 なお、また御質問があろうかと思いますから申し上げますが、漁村文化協会の会長は長年私がやっております。全く無償奉仕でございまして、雑誌「漁村」というのを発行して、漁民運動を昭和二十年ころからやっておる団体でございます。
○市川正一君 私の方の調べでは、この水産政策研究会というのが、総理の政治資金団体の一つというふうに理解をいたしております。そうでないとすれば、これは別といたしますが、私どもが問題点として感じておりますのは、いまお話があったように、三会堂ビルというのは財団法人の農林水産奨励会が持ち主でしょう。そして、しかも社団法人の漁村文化協会の中にこの水産政策研究会が置かれている。そして鈴木総理が、ここに私その定款も持っておりますけれども、その政治資金団体を公益法人の中に置かれているという点で疑惑を持たざるを得ないのでありますが、もう一度しかとお伺いいたしますが、この点はいかがでありますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 何でも色めがねでごらんになっておるようでございます。この三会堂というのは大日本水産会、大日本農会、大日本山林会で明治中期から宮様を総裁にしてできておる団体でございます。その三団体が出資をいたしましてつくっておるのがあの赤坂にあるビルでございます。そこで三会堂と、こういう名称がついておるわけでございます。私はいまの東京水産大学、農林省水産講習所を卒業いたしまして最初に職を奉じたのが大日本水産会でございまして、そういう関係でこの三会堂というのはよく歴史も承知をいたしておるわけでございます。利益団体でもなければ何でもない、そういうりっぱな団体であるわけでございまして、その三会堂の中に漁村文化協会というのが事務所を賃借をしておる。そこにいまの水産政策研究会という議員連盟の後援団体の事務所がある。こういうことでございまして、明々白々たることであって、何らの疑惑も存在しないということでございます。
○市川正一君 その点は私、なお多くの疑点を残しております。ですから、いずれ明らかにさしていただきたいと思いますが、話を戻しまして、大洋漁業の内部文書にA代議士というふうに新聞その他で報道されているのは、鈴木善幸代議士であったということに問題を戻します。 そうしますと、このサン・マリーンヘの融資、そしてその融資自身が多くの疑惑を持った形で不当な流用がされているという問題が、結局のところ、諸般の状況をいろいろ私、ここで御説明を申し上げるもう時間がなくなりましたが、たとえば総理の秘書、先ほど秘書のことが出ましたが、材津秘書のことだと思いますが、そうですね。この材津秘書はサン・マリーンの北尾社長の要請で、公式訪問の形式を整えてメキシコを訪問したということを認めておるわけです。また、大洋漁業の内部文書では「(最近に至り日本政界の要人、及びメキシコ政府要人の抱き込みに成功」と、あるいは大物水産議員、つまり鈴木総理になるわけでありますが、その「ルートをとことんまで活用し、」云々というふうに、鈴木総理のメキシコ訪問がまさに北尾社長とかあるいは大洋アメリカの画策の結果であるということは明々白々であります。しかもメキシコ訪問の経過を見ると、これを裏づけるように、総理に直接メキシコの要請があって、そしてその日程にはサン・マリーンの……
○委員長(木村睦男君) 市川君、時間が参りました。
○市川正一君 はい、わかりました。 投資を行ったプロマルサ社のエンセナダやロザリオも視察日程に入っておるわけです。ですから、先ほど総理は、個々の政治家の自粛と反省と、こうおっしゃった。この立場からすると、こういう疑惑を持っている一連の問題について、私はきっちりしたけじめをおつけになるべきだと思いますが、この点総理、最後に見解を承って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私がメキシコを訪問いたしましたのは、エチェベリア大統領の公式招請によるものでございます。先ほど水産庁長官からも御答弁あったようでございますが、二百海里時代を迎え、そして日本とメキシコとの間で締結をされておったカツオ・マグロの二百海里内における協定の期限が切れた、締め出しを食う、こういう事態にもなりました。また一面において、メキシコ側では何とか先進漁業国である日本から漁業開発についての協力を得たい、こういう要請もございまして、大統領の招請によって私は参ったものでございます。 それからもう一つ、融資の問題につきましては、これは財団が独自の調査に基づいてやったものでございまして、こういう問題に私が圧力をかけたとか影響を与えたとか、そういうものはいささかもございません。大洋漁業のテレックスか何か知りませんが、そういう内部文書にあったというのは、先ほども申し上げましたように、私がメキシコに大統領の招請で行って、漁業問題でいろいろ白墨の関係の改善に当たったということ等から、この融資には鈴木代議士がついておるだろうから、これは安心してひとつ取引をやれよということで名前を利用されただけであって、迷惑なのはこっちでございます。そういう点はもういままで週刊誌、いろいろ取り扱ってきておりますが、ちょうどいい機会にあなたが御発言いただいて、私の立場を明確にすることができたことをかえって喜んでおるわけでございます。
○市川正一君 終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 以上で布川君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、三治重信君の締めくくり総括質疑を行います。三治君。
○三治重信君 まず最初に、五十六年度の景気動向について御質問いたします。 政府の見通しでは、現在は停滞が続いて上半期にもそれが及んで、下半期の十月以降景気は上昇局面になると、こういう見通しのようでございますが、これには経企庁長官、間違いございませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) 大体そのように考えております。
○三治重信君 そこで、先日も景気対策をやって、日銀は一%公定歩合を引き下げられたわけなんですが、一%公定歩合の引き下げによって景気が本当に下半期には上昇するつもりで、そういうために下げたのか。また、いまの景気動向をどういうふうに見ておられるか、日銀総裁ひとつお願いいたします。
○参考人(前川春雄君) 私ども公定歩合を下げましたのは景気だけではございませんで、物価の動向あるいは最近の国際収支、円相場、そういうものに対する影響あるいは金融機関の収益状況、そういうことも総合的に判断いたしまして実行したわけでございます。もちろんこの引き下げが経済活動全般によい影響を及ぼすことは当然だろうというふうに思っております。
○三治重信君 どうもありがとうございました。お忙しいところをどうも済みませんでした。
○委員長(木村睦男君) 前川参考人には、お忙しいところをありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
○三治重信君 そこで大蔵大臣にお伺いしますが、私はどうもこの増税法案を審議していて、一兆四千億にも及ぶ増税をやっていて、どうも政府が言う下期に、十月以降上昇するということについては、もう税金も後半期になって取られてくるので、どうもそこら辺に対して非常な不安を持つわけですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ景気の問題ですから私がお答えするより経済企画庁長官がお答えする方がいいのでございまして、私はやはり物価の安定というような問題を第一として、その他経済企画庁と全面協力いたしまして、いろいろな公共事業を初め金利の問題その他の問題をやっておるわけでございますから、私はその期待どおりにいくと考えております。
○三治重信君 そういたしますと、まず景気の中で、消費者物価についてひとつお伺いいたしますが、まず第一に、いまも概略的な御見解があったわけですが、法人税を二%上げると、こういうことがやはり製品の価格の値上げに通ずる、マスコミでは、いわゆる法人のツケ回しが心配される、こういうことでございます。 それから酒は五月一日から一〇ないし二四%上がる。自動車は五月一日から乗用車で二・五%、新たに小型のライトバンとか軽ライトバンなんかが五ないし一〇%上がる。さらにビデオテープというものが二〇%上がってくる。それにまた、社会保険料も値上げになる。またさらに、この四月一日から公共料金をちょっと調べてみましても、米が四月一日から三・一五%、麦価が五・六%、これは食堂その他一般の主食の関係に非常に値上げがある。また郵便料金もはがきもそれから封書もこの四月一日からさらに上がる。国鉄が予想されているのが四月二十日、九・七%の運賃値上げ。そのうちでも特にいわゆる通学定期が二三・九%上がる。東京−大阪間で一万円の運賃がかかる。大手私鉄も十四社が昨年十一月値上げを申請していて、これが一九・六%。この五月のゴールデンウィークの後には運輸大臣の許可を得るだろうというふうな見通し。また秋には大都会のタクシーの値上げも予定されている。ちょっと安くなるのがいわゆる遠距離の電話料金だけだと、こういうふうなことを見ると、先ほどの大増税と公共料金の引き上げ等を見て、五・五%というのは本当に大丈夫かと、こういうふうに思うわけでございますが、またそれは五十五年度の物価の状況から見て非常に心配されると、こういうことでございますが、経企庁長官どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま幾つかの公共料金関係の値上げについてお話がございましたが、予算関係全部を合計いたしまして、五十五年度は消費者物価に〇・三%ぐらい上昇要因を与えると思っております。また税の関係が仮に全部消費者物価にはね返ったといたしますと〇・二%見当、この見当を想定をいたしております。御案内のように、公共料金関係の消費者物価に与えました影響は、五十三年度、五十四年度がほぼ〇・八%見当であります。五十五年度は二・二%見当、五十六年度につきましては、最終的に総合計幾らになるかわかりませんが、そう大きな数字にはならないと、こう思っております。 また五十六年度の消費者物価につきましては、最近の卸売物価の動向、それから石油事情、こういうことから判断をいたしまして五・五%というのは、これはもう確実に実現できるであろう、このように考えております。
○三治重信君 卸売物価の状況とおっしゃいますけれども、五十五年で一七・八%も卸売物価が上がったのが、これが五十五年で全部消費者物価へのはね返りはもう消化できるのですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 五十五年の卸売物価は、一月から六月末までは大体二〇%台が続いておりましたが、その後だんだんと落ちついてまいりまして、最近は一尾台に下がっております。これがやはり若干時間がたてば、当然消費者物価に対するよい影響が出てくるであろうと期待をいたしております。
○三治重信君 そこで、先ほど和田さんもちょっと触れられましたのですが、三月三十一日の「日本経済」における「経済教室」に、経済企画庁の、みずからこれは物価担当官であると、こういうふうに書いて、そうして何といいますか、五十六年春闘本番を前に、前哨戦がたけなわである、高額賃上げ獲得に対する労働者の意気込みは盛んなものがある、こういうようなひやかしから始まって、「もう一度節度ある賃上げ望む」と。まあ五・五%の物価目標は企画庁でおれが引き受けたから、労働者側は賃上げはひとつ自粛せいと、こういうようなのがはっきり書いてあるわけなんですが、それに対してどういうふうに企画庁長官として考えられるか。 また労働大臣、こういうふうに先ほどの答弁だと、まあマクロの経済の立場で分析したなんて書いてあるのですが、とんでもない分析なんで、ひとつ労働大臣は、春闘を前にしてこういうように公のエコノミストが書いて迷惑がかからぬと思っていられるかどうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私も先ほどその論文を走り読みをしたわけでありますが、要するに過去の名目賃金のアップと、それと実質所得との関係を書いておるわけでございますが、こういう時期にもし誤解を与えたとすれば大変私も遺憾に思いますけれども、本人は仰せのような趣旨で決して書いたのではないと、このように言っております。 私といたしましては、労使の賃金関係というものは労使の自主的な交渉によって決めるべきものであると、このように基本的に考えております。ただ、国民経済全体から考えますと、国民の所得が伸びるということは、これは国民生活の安定にもつながりますし、経済の活力を維持するという点からもこれは大きなよい影響が出てまいりますので、その点は私どもも経済の事情の許す限りできるだけ所得がふえるということを期待いたしておりますけれども、ただ経済に活力がありませんとそれもできませんし、また、生産性の向上というものがある程度進んでおりませんとそれもできません。そこで、政府といたしましては、さらに経済の活力が維持拡大できるように、また、産業の生産性の向上がさらに進むように、そういう政策を今後とも続けてまいりたいと考えております。
○国務大臣(藤尾正行君) ただいま経済企画庁長官が申し上げましたとおりでございまして、労働条件の決定ということは、これは労使の間だけで自主的に決められるべきものでございます。したがいまして、労使と関係のない立場にあります者がその間に割って入ってどうだこうだと言いましても、そういったもので影響を受けるというようなことは私は万々ない、かように思います。ただし、経済政策に関しまするそれぞれの考え方というようなものはございましょうけれども、私どもといたしましては、何といいましてもいま私は労働大臣でございますから、私なりの考え方はございますけれども、私の考え方を今日この段階で、との場所で申し上げるわけにはまいりません。
○三治重信君 まあこれは、経営者側が昨年は史上最高の利益を得たと、こういうぐあいに前に決算で報告されている。この論文だと、これは在庫増の卸売価格の三割の値上げが利益なので、この在庫の評価益を除けば全然利益は増加してないのだというような書き方が一つある。だから経営側の方は利益はそんなに上がっていないのだと、まあ架空の利益だと。しかし、五十五年の東証の上場会社の利益については、せんだっての大蔵省ですかどこかの上場会社の利益の調査では、大変高収益の原因を一、二申し上げますと、技術革新の新製品、アイデアで三〇%もうけているのだと、それから、電気、ガスのように料金引き上げでは三〇%もうかっているのだと、こういうようなきちんと利益の原因が出ているわけですよね。それをこれでは、在庫増の評価益で利益しているだけだと、分配率は全然変わらないのだと、こういうようなやり方、それから、こういう労使の交渉の寸前でこういうような非常に水をかぶせるようなやり方、一方的なやり方というのは、役所というのは、本来は、いま労働大臣がおっしゃったように、若干の意見があってもできるだけ労使の中へは入らぬ、そういうような、どちらかへ加担するようなことがないようにという態度がとられるべきだと思うのです。この赤羽審議官の態度というものに対して、企画庁長官、厳重にひとつこういうようなことがないように、またこういうことはもう完全に誤解を受ける。労働側が現に怒っているわけなんですから、その点についてこういうことをひとつ厳重に注意していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、この賃金問題は労使の間で自主的に決められるべき問題でございますので、私はこういう論文が影響しないことを期待をしておりますが、ただ、本人が在庫の評価益云々とか言っておりますのは、これはもう解釈だと思うのです。新しい価格体系というものができ上がりつつありますから、新しい価格体系ができ上がりつつある段階におきまして在庫の多いところは利益が出るということは、これは架空の利益であるというのは、これは私は間違いであろう、このように考えておりますが、それは見解の相違でありますが、いずれにいたしましても、誤解をもし与えたといたしますならば、大変遺憾でございますから、今後注意をいたします。
○三治重信君 これは私たちから見れば、労働四団体にしても、ことしの賃上げ一〇%の要求というのはそんなにスタグフレーションを引き起こす元凶のような要求でもないし、またこれは要求であって、現実の労使関係ではまた決まるところへ決まる、こういうわけですから、それがいかにも一〇%の要求がスタグフレーションの原因であるような書き方ということは、私は、官僚エコノミストとしてひとつ厳重に注意してもらわなければ、これは労働側とすればとてもじゃないが憤激の至りになる、憤激せざるを得ない、こういうふうに考えておりますので、ひとつよろしく御配慮をお願いしたいと思うのです。 それからいま一つ、これは、景気に大変影響を及ぼす問題であるとともに、この予算委員会でも、また各委員会でも、何回となくそれぞれの立場で質問をされてきた自動車の摩擦の問題でございます。 レーガン政権が米国経済に活力を取り戻すべく新たな経済政策を打ち出しており、自動車産業の再建策もルイス長官を中心に自動車問題特別委員会というものを設置して検討し、それが三月十九日には報告された、こういうふうに言われておりますが、また、米国の報告された自動車産業に対する政策の内容を日本政府は聞いておられますかどうですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 この前私訪米しましたときに、ヘイグ長官あるいはレーガン大統領から直接自動車の問題でいろいろ向こうの意見、日本に対する期待等を聞いたわけでございますが、その際、いま三治さんのおっしゃったルイス長官を中心にしました特別研究会の報告が出て、その内容はこうだというような具体的な説明はまだ聞かなかったのでございます。 それでいろいろ話しました結果、日本側にもいろいろ自動車問題については意見はある、アメリカの自動車業界が今日のようになったのは日本車の輸出ということが原因じゃないのだということで日本側にもいろいろ意見があるので、いまのような特別委員会の内容等について日本側にも十分説明をしてもらう必要があるということを話しまして、近く——恐らく近くでございますが、説明のための使節団が日本にやってくるというふうに解しております。
○三治重信君 きのうの新聞だと、いまの大臣のお話のようなことが書いてあるわけなのですが、これはしかも日本政府と交渉するためではない、話し合いをするためであると。これはだれのところへ説明に来るわけなんですか。
○国務大臣(伊東正義君) これは向こうの政府の人が来るわけでございますので、日本側も政府で、通産省、外務省とか関係の省の自動車に関係する人が話を聞くというのが筋だというふうに思っております。
○三治重信君 そういたしますと、きのうの新聞にも、向こうの説明使節団には、運輸国務、商務、労働、財務、各省の代表が加わっている説明使節団、こういうことですから、日本側の役所への説明ということで、こういう関係の役所が説明を受ける。また業界の代表、自動車業界にも説明するということですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 向こうへ行って話しましたときに、日本側はだれが聞くというようなことは話しをしなかったのでございますが、日本に来て説明をされることが必要だということを言ったわけで、まだ構成がはっきりだれと言って向こうから具体的な人の名前とかなんか来ていないわけでございますので、日本側でもだれがということは決まっていないわけでございますが、向こうから来る人が政府の人々であれば、恐らくこちらも政府側が話を聞くということだと思っております。
○三治重信君 次に、大臣が行かれましてレーガン大統領との会談において、日米自動車問題については、一説には日本側の自主的規制によって解決することが望ましいと書いてあるが、合意されたというふうにも言われておるわけなんですが、この点は自主規制でやるというふうな合意をされたのかどうか。
○国務大臣(伊東正義君) ヘイグ国務長官、それからレーガン大統領のところで話が出たわけでございまして、いま三治さんがおっしゃった経済再建計画のまた一つの産業の中で目玉の自動車業界の、今日のアメリカにおける自動車業界の苦況、それから片や国会、向こうの議会の中で輸入制限の保護立法というものが非常に強くなって要望が出ている、こういう中にあって、アメリカの政府としましては何としても向山貿易というものは守らなけりゃいかぬ、これがもし万一保護貿易というようなことになれば、世界の各地域にも広がるだろうし、いろいろな商品に広がるおそれがあり、世界の経済の繁栄ということから言うと非常にマイナスだ、どうしても自由貿易は守らなければならぬと思っている、そういう立場にあるということの説明があったわけでございまして、私はそういうアメリカのいまの立場は理解するということは言いました。具体的にどういう約束をするとかいうことでなくて、十分それは理解する、しかしこれは日本の自動車の輸出からこういうことが起きたのじゃないということで、これは私もそういうことを言いましたし、日本にもそういう意見が強いので、ひとつアメリカから来て十分その間の事情を説明される必要があるということを言ったわけでございまして、理解をするということは言ったわけでございます。
○三治重信君 そういうことに関連して最近いろいろマスコミや専門紙に報道されていることをまとめて参考資料にして、議員各位や大臣にお配りさしていただいているわけなんですが、これによりますと、議会での反対勢力というものは非常に弱い、しかしこれはロビイング外交というのは重要なことだけれども、いまのところそんなに強くないのじゃないかという資料が出ている、それから米国の世論も非常に大変だと書いてあるけれども、有力紙の十紙の平均の八割は、アメリカは日本の輸出規制なんか求めるべきじゃない、自力更正をやれ、これはまあ消費者に対して非常に不利益を与えるという論調が非常に強いのだと、こういうことの論調であって、政府が言うアメリカの議会のいわゆる規制立法が通りそうだとか、アメリカの世論が非常に日本の自動車の輸出規制を求めているということは、最近のこういうような状況ではわれわれのいままで聞いていたことの逆のような印象を受けるわけですが、いかがでございますか。
○国務大臣(伊東正義君) アメリカにもいろいろな意見があることは私ども知っております。聞いております。私向こうへ行きまして、上院、下院の議員さんとも懇談をしたのでございますが、これはほとんどが自動車問題については考えなけりゃいかぬと、ほとんど輸入規制の法律をやっている関係の人も来ておりましたし、国会では自動車関係の話が非常に出たということでございまして、大統領も国会の保護立法ということも非常に心配して苦慮しているということは事案でございます。
○三治重信君 この自主規制といっても、八一年、八二年あるいは短期という情報も出ているのですが、そういうものの自主規制をする数量、輸出台数の数量について具体的に出たかどうか。まあこちらの業界の計算であると、五十万台ももしも輸出制限をやるということになると、直接の自動車部門だけでも約六千億円のマイナスになる。それの波及効果が五千億円、合わせて五十万台が一兆一千億円のいわゆる所得減になる。経済成長率にも一%の影響が出てくる。これは来年度になれば——大蔵大臣よく聞いておいてください。一生懸命になって増税したけれども、一兆円ぐらいの税収減になる、こういう分析になっていると言われておるわけなんです。だから、具体的な輸出台数の規制というのは日本側にとっても大変な大きな問題だと思うのですが。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 向こうへ行って話をした中で、いま三治さんのおっしゃる台数の問題とか、自粛の方法論とかあるいは期間とかいうことは一切こちらからも何にも言いませんし、向こうからもそういうことを具体的に言って日本側に何か考慮を求めるというようなことは一切ございませんでした。向こうの置かれた地位ということの説明でございまして、いまの具体的な話は一切どこでも出なかったということでございます。
○三治重信君 総理、一瞬はそんなに急がぬでもいいということだったのですが、最近はまた総理が五月訪米するまでに何とかめどをつけたいというふうな強い希望もあるように出ているわけなんですが、これはやはりいま申し上げましたように、輸出規制というのは、アメリカの自動車の売れ行きゃ小型単の生産の増加も非常に急ピッチで進んでいるわけなのです。その状況も見ずして、総理が五月に行かれるまでにそれを結末をつけるというのはやはり非常に危険だと思うのですが、御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日米の自動車問題につきましては、基本的にアメリカの自動車産業が第一次、第二次石油危機に対応することが十分でなかった、そこに原因があるというぐあいに考えておりまして、日本の小型車の輸入というものが決定的な要因になっておるというぐあいには私は見ておらないのでございます。したがいまして、この米側の自動車産業の再建のためにどのような具体的な効果のある対策をとろうとしておるのか、そういう点も十分日本側として聞く必要がある。日本側がある程度の協力をした、しかし何らの成果も得られなかったと、これでは何の意味もないわけでございますから、私どもは、今回米側から説明のための一行が見えるということでございますから、よくそういう点も聴取をして、日本の対応というものを考えなければならないと、こう思っております。 しかし、基本的に私は考えるのでありますが、私どもは、わが国が貿易立国で立っておるという観点から、自由貿易主義を今後も一層強化し発展をさしていく必要があるのであって、保護貿易主義の台頭、そういう動きというものは、これをわれわれは未然に防止する、そういう努力というものが絶えず必要であると、このように考えるものでございます。日米は自由陣営におけるところの二大経済大国でありまして、日米が力を合わせてこの自由貿易体制というものをあくまで伸ばしていく、守っていくという努力、これが必要だと、私はそういう観点で今回の自動車問題もとらえておるわけでございまして、大局的立場において今後対処していきたい、こう思っております。
○三治重信君 お言葉を返すみたいですが、までに決着をつけるのか、そんなにそれには何も期限をつけないのか、その点ひとつはっきり。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま申し上げたような趣旨から、アメリカの議会で輸入制限のための立法措置がなされるとか、いろいろな動きがあるようでございます。そういう点も十分見きわめながら対応をしていきたい、こういう考えでございます。
○三治重信君 どうもまだはっきりしませんが、通産大臣、業界の説明を聞きますというと、円高によってことしは二回も輸出車をアメリカの方で値上げをしていて、日本の車はアメリカの新しい小型車に対して二、三百ドルも高くなっていて、アメリカのいまの販売政策としては、日本のよりかアメリカの車が安いのだというえらい広告になって、売れ行きは急ダウンするだろうというようなことも言っておるのですが、産業政策として自動車の日米の小型車の競争が今後どういうふうになっていくか、ひとつ見通しを。
○国務大臣(田中六助君) アメリカの自動車の現状を簡単に申し上げますと、たとえば昨年の一月から十二月の間の、三大メーカーだけ申し上げますけれども、GMの赤字が七億六千万ドルでございます。それからフォードが十五億四千万ドル、クライスラー十七億一千万ドルと、膨大な赤字を計上しておりますし、逆に日本の輸出台数を申し上げますと、一九七八年が百四十一万台、それから一九七九年が百五十五万台、それから八〇年が百八十二万台です。つまり相殺できない、プラス・マイナス非常に幅が大きくなっております。それから、小型車の日本の一台の値段が少なくとも向こうの同じような型で千八十ドルぐらいは高くて、あなたのおっしゃるようにまた値上げをしようとしている段階でございますけれども、それでも売れるのです。いま申し上げましたような台数で徐々に八〇年、昨年は百八十二万台も売れておりますし、そういうようなことを考えると、やはり向こうが悲鳴を上げるのは事実でしょう。三大メーカーがつい三年ぐらい前まではまさか日本の車に負けようというふうに思ってはいなかったと思いますし、つい最近発表になりました十傑の中に、まあGMはそのまま一位を保持しておりますがこれが四百七十九万台、それからその次に日本のトヨタが入っておりましてこれが三百二十九万台ですね。それから次に日産が入っているのです、これが二百六十四万台、それからフォードで、フォードが百八十九万台というふうにずっと格差が開いてきておりますので、向こうがはったりをかけて言っているといたしましても二十万のレイオフというのはこれは事実でしょうし、といって小型車に向こうも転換しておりますので、二十万の雇用の失業者がもとに戻るということは私は思いません。逆に、日本の場合はどうかと考えましたときに、自動車関係が約六十三万七千人から六十三万八千人いるのです。そうすると、下の下請とかその他ディーラーなども含めますと約五百万人いると言われておりますが、それならこちらが打撃を受けないかと申しますと、やはり国内の内需の関係も非常に不振でございますし、それから、アメリカがそういうふうに日本にいろいろ言ってきますとどの程度どうなるか、まだ何も決めておりませんけれども、こたえるのはこたえるし、御承知のように日本の自動車産業はいまや日本経済の製造業の一割を占めております、非常に大きな基幹産業になっております。したがって、私どもは安くてよくて燃料のかからない日本の車を、アメリカの二億の国定が欲しがっているその車を規制するのはおかしいじゃないか、そういう基本方針は変えませんし、私どももこれはネゴシエーション、つまり折衝ではございません、あくまでコンサルト、話し合うということで、お互いに、レーガン新大統領も自由主義貿易は堅持しようと言っておりますし、私どもも世界に対して自由貿易主義を表示しておりますし、その下敷きの基本線が一致しておりますので、その点はあくまでお互いに摩擦の消滅するような話し合いを推進していきたいというふうに考えております。
○三治重信君 話し合いを主としてやっていくという御意見なんですが、われわれも賛成で、したがって当面、余りこの妥結を急がないように、またこの問題についてはひとつ長い目で、長い目と言っても五年、十年ということでもないのでしょうが、日本の自動車の活力もひとつ十分考えて失わさないようにお願いをするためにも、業界や、まあ業界の御意見はわりあいにお聞きになっていると思うのですが、これは労働組合にも、アメリカなんか労働組合が真っ先に出てきているわけなのだから、労働組合の意見もひとつぜひ聞いてほしいと思いますが、その点を特に念を押して御答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) 近く向こうからも参りますので、向こうも各セクションに分かれた人々が来ます、したがって私どもも十分、経営者ももちろんです、そうでございますけれども、労働者の人々の代表並びに末端に至る人々の意見も十分反映してこの話し合いを進めていきたいというふうに思います。
○三治重信君 話題を変えまして、総理大臣、ひとつお願いしたいのですが、総理大臣になられて一番先に言われた、いわゆる参議院の全国区の廃止の問題、これが最近自民党からも案が出されてまいりました。それから参議院改革の問題も出ております。われわれは総理が、定数是正についても国会において各党各会派の納得のいくような協議をされて、その結論が得られてからでなければやらぬということなのですが、この参議院の全国区の拘束名簿式比例代表制もそういうふうに理解してよろしゅうございますか。参議院の任務の改革もどうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 参議院の全国区制の問題につきましては、もう長い間、国民の間からいろいろ批判も出、改革を要するという声も強く出ておった問題でございます。私は就任以来、この膨大なお金がかかる、そしてまたいろいろな宣伝のための文書、これもまた大変多く費やさなければならない、また候補者と選挙民の間のつながり、評価というものも十分でない、こういうような点からいたしまして、真っ先に取り上げて改善を要するのが参議院の全国区制である、こういうことを申し上げてきたわけでございます。 幸いにして、これが自由民主党におきましても大分検討が進められておるようでございます。各党においても、いろいろその進捗度においては違うと思いますが、各党もまた真剣にこの問題に取り組んでおられる、こう思うわけでございます。私としては、希望としては何とか次の五十八年度の参議院の選挙には新しい改善されたところの制度によって参議院全国区の選挙が行われるように、そのように希望いたしておるわけでございますが、これはしかしながら国会で各党各会派が御意見を持ち寄って結論を出す問題でございますから、私としてはそういう希望を持っておるということだけを申し上げておくわけでございます。 なお、定数是正の問題がそれよりも先ではないかという御意見がございます。確かにその問題もございますが、これは区制の問題と深くかかわりを持っておる問題であろうかと思います。過去において、衆議院においてもこの定数是正を一部やりました。また引き続いてその問題が提起されておるわけでありますが、区制の問題とあわせまして今後各党において御検討をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
○三治重信君 まあ時間がなくなったから、まだ参議院の改革の問題をぜひお伺いしたいと思うのですが、参議院の改革がないと、拘束比例代表制やこういうふうな全国区をなくしていく、こういう自民党の案だと、もう衆議院とそのままの各党の勢力比が参議院にも来ることになって、ますます参議院の地位が低くなるのじゃないか、こういう配慮をしてもらわなければ困るということを強く思うわけであります。その点についてひとつ、こういうような選挙をやると参議院不要論がますます強くなる、こういうふうに思う、それに対する御意見。 それからもう一つは、法務大臣と防衛庁長官にお願いをいたしますが、去る三月二十七日、いわゆる前から問題になっておりました小西事件で再び無罪の判決が出ました。これの控訴上告を政府としてやられるのかどうか、それが一つ。また、こういうことで、何をやっても個人の行動なら首になるだけで何ともないのだということになると、これは実行戦闘部隊としては大変な、指揮命令または秩序が困ると思うのです。それからもう一つは、防衛大学の就職の問題、これはもうひとつぜひ、幹部の士気に関することだと思います。 以上をもって質問を終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 参議院の選挙制度の問題は参議院の改革とにらみ合わしてこれをやるべきだと、こういう御提案でございます。 私は、わが国の国会が二院制度によって運営をされ、私はりっぱにこれが機能しておると、現状においても、そのように思っておるわけでございます。予算委員会一つを見ておりましても、参議院におきましては本当に落ちついて、きめ細かな御論議をいただいておるところでございまして、二院制度のよさというものを私はよく承知をいたしております。今後におきましても選挙制度の改善と相まちまして、参議院が一層国民の期待に沿うようになっていくことを念願をいたしておるものでございます。
○国務大臣(奥野誠亮君) 控訴の期限が九日まででございますので、十分検討して結論を出したいと思っております。
○国務大臣(大村襄治君) 自衛隊員が訓練を拒否したり、あるいは仲間に参加を、拒否を呼びかける、そういった事案に対して不問に付するような判決が出されたことはきわめて遺憾に思っておるわけでございます。 いま、法務大臣がお述べになりましたように、控訴するかどうか法務当局で御検討中でございますので、法務当局の適切な判断に待ちたいと考えておるわけでございます。 それから、防大卒業生が、卒業はするけれども隊員にならないというのがふえてきているのはどうかと、対策はないかと、こういう趣旨の御質問でございました。確かに、今回四十三人ほどそういう者がおるわけでございますが、理由を調べてみますると、健康の都合とか家庭の事情等が多いわけでございまして、民間への就職というのはそれほど多くないわけでございますが、いずれにいたしましても、多額の国費を投入した防大の卒業生が本来の隊員に全員ならないという点は大変遺憾であると思っているわけでございます。 防衛医大卒業生との比較もございますが、この点につきましては、防衛医大の場合には卒業された方が医師試験に合格すれば医師の資格も取得されるというのに比べまして、防衛大学の場合には他の大学の大学院に入学資格ができるという程度で、比較的恩典が少ない。また、修了期間も医大の方が大変長いし経費もよけいかかるというような事情がございまして、同じような扱いに直ちにすることについては問題があるのではないかと、さように考えているわけでございます。いずれにいたしましても、防大卒業生が本来の隊員になれるように今後ともいろいろ工夫もし、対策も講じてまいりたいと、さように考えている次第でございます。
○三治重信君 制度の改革をやる意思はないのですか。
○国務大臣(大村襄治君) 直ちに義務づけるとか、そういうことは、広く人材を防大に求めるという意味におきまして直ちに変える考えはございませんが、その他の方法によって改善を図ってまいりたいと、さように考えている次第でございます。
○委員長(木村睦男君) 以上で三治君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、前島英三郎君の締めくくり総括質疑を行います。前島君。
○前島英三郎君 数日前、まあ一週間になりましょうか、三月二十七日に東京高裁で注目すべき判決がございました。精神薄弱者施設が、入所者の親だけでなく、同居している兄弟の所得まで加算して施設の入所費用を徴収していたのは適当ではない、こういうものでございます。この判決につきまして厚生省の見解をまず承りたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 本件の概要は承知しておりまするし、かつまた判決文も入手をして一とおり検討したところでございます。 問題は、私が扱っておりまする行政の大部分の法律は、取締法ではなくて国民の方を守る法律が主でございます。そこで、法律の制度から言えば、形式は別居しておったのが同居したのでありますが、それによって本人の収入、実情は何ら変わっていない、もともとのままであります。したがいまして、東京高裁の判決というものは、私は形式にとらわれず、実際の実態の観点からあの東京高裁の判決に服するべきものであると考えております。
○前島英三郎君 そういう意味では、やはり何といいますか、非常に親がかり福祉といいますか、どうしてもその子を持つ親が終生いろんな意味での出費を課せられるいままでの制度のあり方も今後ひとつ前向きに検討していただきたいと思うのです。 精神薄弱者施設の入所費用徴収のあり方は、やはりいま申し上げましたように、どうしても親がかりの考え方に立っておりまして、兄弟が親がわりになっている場合ならともかく、親の分も兄弟の分も合算してというあり方は、社会がそうした人々を保護し、自立を援助するという責任を投げ捨てることにも通じると思います。障害児者のいる家庭の心中事件、あるいはまた障害児殺しといった悲劇が生まれる背景の一つはこうしたあたりにも私はあるような気がしてなりません。また親がかりの考え方は、障害者の自立を援助するという施設の大きな目的の一つを形骸化することにもなるだろうと思います。今後そのあり方を見直すべきであるということを私も思いますし、いまの厚生大臣の答弁の中では、むしろその判決を妥当というぐあいにも受け取れるわけでありますが、重ねてその辺を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 全般的な問題についても実情をよく把握をして、現行法を実態に即するように運用していくことが大事であると考えておりますが、法そのものを見直すとなると、これはまたいろいろ関係が出てまいりますので、そこまではいまのところ踏み切っておりませんけれども、実情に応じて弾力的に運用するように注意をいたします。
○前島英三郎君 ありがとうございました。 総理は、国連の障害者権利宣言につきまして、先日こういうぐあいにおっしゃっております。障害のある人も障害のない人と同じような、社会人としての、また経済人としての平等の権利を有する。障害のある人々が不利益な立場に立たないような、そういう世の中をつくることが目標である。こういう趣旨であるといたしまして、障害者の権利宣言を高く評価なさいました。本当にありがとうございました。 障害者が平等の権利を有する、あるいは障害者が不利益な立場に立たないということを現実的に考えますと、その大前提としての経済的な保障がしっかりしているか否かという問題が当然付帯されてくるわけでありますが、雇用、就労の機会を得て障害者がより多く経済的に自立することが望ましいことは言うまでもございません。物ごいにはなりたくない、税金が払えるような人間になりたいと、こうだれもが述べております。しかし、現状におきましては、障害があるゆえに働こうと思いましても働くことができない人、あるいは働いても十分な所得が得られないという人も大変多いわけでございます。また一方、障害ゆえに余分な出費を強いられる面も相当ございます。きのう参考人の宮尾さんもその辺はるると申し述べておられました。 年金制度を中心とした経済保障制度の確立がきわめて重要な政治の課題であることはやはりお認めいただきたいと思いますし、またそういう方向で所得保障の推進というようなことを厚生大臣もそれから総理大臣も大変前向きにお答えになったことに対して私も大変うれしく思いました。その基本認識をいま一たび伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 障害者の方々が就労ができないというようなことで経済的に非常にお困りになっておる、こういう実態私はよく承知をいたしておるつもりでございます。これらの方々に各種年金その他の給付等を考えまして所得保障ということの重要性を私は非常に重視していくべきものだと、いかなければならないと、このように考えておるところでございます。今後政府といたしましては、そういう認識、考え方の上に立ちまして年金の問題、手当ての問題あるいは福祉諸施策を総合的に勘案をいたしまして、所得保障の充実がなされるように、そういう方向で検討を進めてまいりたい、こう思っております。
○前島英三郎君 ありがとうございました。きょうはわりあいありがとうございましたというのを、私は単純なものですからすぐありがとうございましたと言いますが……。 さて、社会保障制度審議会は昭和五十四年十月、「続・皆年金下の新年金体系」につきまして建議をいたしました。その中で「心身障害者の年金」という項目を設け、次のように述べております。「心身障害者への現行の年金は、社会保険年金として一貫性を欠いているし、社会福祉制度と関連せしめても体系化しているとはいいがたい。この点について財源を含めて総合的に再検討されなければならない。たとえば、心身障害者のみを対象とする別個の障害年金制度の制定も考慮に値しよう。」これに対して、やはりその結果が所得保障への連動と私は解釈をしたいわけでありますが、これに対してどう受けとめ、どのように検討されるか伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) ただいまの御建議は所得保障へ持っていく一つの有力な意見であると考えております。しかしながら、所得保障の問題は年金だけで片づけるのは相当むずかしい問題でありまして、総理がいま言われましたとおり、在宅福祉制度その他の手当て等と総合的に持っていかなければならぬので、これを身体障害者だけの年金制度にするということは第一に、財源の問題があります。第二番目に、移行するまでの混乱があります。第三番目には、その対象の範囲をどうするか、こういう問題等がございますので、ただいま厚生省内で国際障害者年対策本部というのをつくっておりますが、その中の検討事項として特別の委員会でいま検討しておるところでございます。
○前島英三郎君 先般も安恒委員からその旨は厚生省内にプロジェクトチームをつくってという御指摘もあったわけでございます。私はかねてから現行の年金制度と生活保護制度を改革して、障害者のニードに対応すると同時に、障害者の人間性を十分に尊重した経済保障制度を総合的に検討すべきであると訴えてまいりました。その理由は、年金額の引き上げを要望すると生活の保障は生活保護制度でやっていると言われておりますし、また一方、生活保護制度について見ますと、障害者の生活実態になじみにくい面というのも大変ございます。それぞれ別個に検討していたのではどうも道が開けてこないような気がしてならないわけであります。それもこういう経過があるからでございますが、生活保護制度につきまして私は一般的には大変評価しているのですけれども、ところが、生活保護制度というものは本来一時的な救済制度と考えるべきでありますし、保護を受けている状態から脱却することを前提とした制度でもございます。しかし、働けない障害者あるいは働いても十分な収入を得られないという障害者の場合、生活保護を受けている状態からの脱却ということが著しく困難であります。生活保護制度が最低生活の保障というたてまえである以上、結果として生活保護を受けている障害者は生涯にわたって最低生活しか許されないということにならざるを得ないわけです。こうした点にかんがみまして、総合的な経済保障制度の検討がどうしても必要と考えます。大変しつこいように思うのでございますが、総理並びに厚生大臣の再度のまたひとつお言葉をいただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 障害者の所得保障は御発言のとおりにその柱は年金と、それからもう一つの手当ての問題でございます。しかしそれだけではございませんし、したがって、その二つを柱にして総合的に調整することは確かに必要だと考えております。先ほども申し上げましたとおり、厚生省の対策本部の特別委員会でそういう総合的な問題を考えながら検討してまいる所存でございます。
○前島英三郎君 再度ありがとうございました。 次に、国際障害者年のことしを起点といたしました長期的な取り組みについて伺いたいと思います。 まず、長期計画を策定するつもりがあるかどうか。この前三月十六日の会議録をよく読み返してみますと、この点がどうもはっきりしておりません。私が長期計画をつくることは正式決定しているのかとこう質問いたしましたところ、特別委員会の報告が年末に出るので、その時期に政府としては方針を決定したいと、このように総務長官は答弁していらっしゃいます。聞いていますと長期計画を策定するのはあたりまえという印象を受けますが、読んでみますと長期計画を策定するかどうか、年末になってから考えると受け取られる面もあるのですね。これではちょっと困るわけでありまして、政府としての長期計画をもしかすると策定しないかもしれないというような含みがあるのじゃなかろうかというので非常に心配をするところでございます。事務的な段取りとしてはいろいろあると思うのですが、締めくくりの総括質問でございますので、ひとつ中山総務長官の明快なお答えをお願いしたいと思うのです。政治家として長期計画は必ずつくるとこの場で確約していただきたい。この辺はイエスかノーかで結構でございます。
○国務大臣(中山太郎君) 政府としては長期計画を策定する考えでございます。
○前島英三郎君 策定するで切っていただくと大変ありがたいんですが、考えと言うとまたちょっと何かひっかかるような気がするわけであります。これもありがとうございましたと述べておきます。 次に、来年以降の長期的な推進体制について伺いたいと思います。 私は心身障害者に関する施策を総合的に強力に進めるために総理府に恒久的な組織機構を設けるべきだと主張してまいりました。これに対する政府の答弁は、一、総理府にすでに中央心身協が設置されている。二、国際障害者年特別委員会で組織、機構のあり方を含めて検討してもらっている。三、総合的な施策の調整が必要なことは十分わかっているので、その趣旨に沿って対応していきたい。要約するとこうなります。いまの段階でこれ以上具体的に言ってもむずかしいというのは私もわかるのですが、ただ、考え方の方向について確認しておきたい点がございます。長期的に総合的な施策の調整を図る体制として政府は中央心身協を主軸に考えていくということを絶えずおっしゃっておりますが、それならば当然中央心身協の機能と権限の強化を図る必要があると思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の中央心身障害者対策協議会の機能を充実してまいらなければならないと、このように考えておりますが、それに関しまして特別委員会の御意見等も十分拝聴しながら、関係各省庁と十分検討して、前向きに対処してまいります。
○前島英三郎君 さて、当委員会におきまして、これまで集中審議を含めまして国際障害者年に関連して、数多くの論議がなされてまいりました。その内容につきまして率直な感想を述べることを許していただくとすれば、一人の障害者の立場から見ましても相当充実したものであったと私は思っております。良識の府としての参議院の存在意義を十分に示し得たと感じているところでございます。この点委員各位に敬意を表したいと思います。ありがとうございました。 そうした中でも鈴木総理の示された姿勢、お気持ち、ほかの会派、政党はどう思いましょうとも、私はそれらを高く評価したいと思っております。特に障害児の教育のあり方について総理の答弁は一つの歴史に区切りをつけるような本当に価値のあるものであると私は受け取っております。したがいまして、文部大臣があるいは文部省がこの総理の意向をくんで文教行政の中にしっかりと反映していただきたいということを重ねてお願い申し上げておきます。 きょうの夕刊を見ました。「難病越え入学の春」「車イスの少女の夢むすぶ」「上部頸椎血管奇形という難病にかかり、全身けいれんと両手足マヒになった六歳の少女が、」「横浜市内の小学校に入学する。十数回に及ぶ手術に耐え、病床で必死に読み書きの練習を繰り返すひたむきな姿に、病院側が、少女をなんとか普通学校に通学させてやろうと奔走。この少女の意欲と病院側の熱意に、学校側も受け入れを快諾した。六日、少女は、車イスで、夢にまで見た校門をくぐる。」「なんとか小学校へ入学させよう。それも普通学校へ」「両親は、早速、横浜市教委を訪ね、自宅近くの市立都田小に入学させてほしいと頼み込んだ。」。
○委員長(木村睦男君) 前島君、時間がまいりました。
○前島英三郎君 「荒井校長が病院を訪れ、愛美ちゃんと対面。特殊学級を受け持った経験もある荒井校長は、愛美ちゃんを一目見て決断した。「精いっぱいやってみよう。愛美ちゃんならきっとやれる」。夢が現実に。愛美ちゃんは六日、百七十八人の新入生の一人として都田小に進む。」。こういう温かい記事がきょうの夕刊に載っております。どうぞひとつその方向で総理、今後も文部省並びに教育委員会を御指導いただきたいことを最後にお願いしておきます。ありがとうございました。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 以上で前島君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、青島幸男君の締めくくり総括質疑を行います。青島君。
○青島幸男君 時間の関係もございますし、重複を避けるために、まず参議院の全国区の選挙制度に的をしぼってお尋ねを申し上げたいと思います。 先ほどの質問者にも総理お答えになりまして、現行の衆参両院による二院制の議会運営を高く評価なさっていらっしゃるというふうに伺っております。私もそのように思っております。大事にしたいことだと思っているのですが、本来、衆議院と参議院はそれぞれどういうふうな性格を持っているべきだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。その点、まず確認をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は衆議院、参議院のこの二院制度というのが憲法によって明確に相なっておるわけでありますが、その二院制度がどのように権威づけられ、また機能していくか、国民の期待に沿うように運営されていくかということは、やはりそれを構成する議員の方々の国会における御活動のその実態によって決まってくるものだと、こう思っておるわけでございます。そういう意味で、私は、先ほども申し上げましたように、わが国の二院制度は非常によく機能し、国民の期待にこたえておるものと、このように評価をいたしておるわけでございます。
○青島幸男君 確かにおっしゃるとおりの部分もありますが、一般に制度として相互にチェック・アンド・バランスということがまず望まれるというふうに考えていいのじゃないかと思いまして、衆議院は勢い地方代表による政党政治になりがちだというところから、これをチェックする参議院には、違ったかっこうの選挙母体から違った人たちが選ばれて、違った視点で衆議院をチェックするということでなければならないと思いますので、そのために衆議院にない全国区の制度と、それからまた地方区も衆議院の選挙区とは違いますわね。そういう形で、相互に違ったかっこうのものが選ばれて、それが相互にチェックするというのが最も望ましいあり方だと、制度としてはそうあるべぎだと私は考えますし、多くの有識者もそう考えていると思います。そうしますと、参議院はどちらかといえば政党化しない方がより望ましいのだという多くの方の見解もありますが、これについてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、まあ、いろいろあろうかと思います。アメリカにおきましても下院と上院がある。上院は各州から二名ずつ選ばれておる、こういうことでございまして、これがわが国の参議院における地方区選出に近い姿であろうと思います。それに全国区制というものが日本の場合には加味されておりまして、この各地域代表的なものから離れたもっと全国規模の全国民的な立場で審議に参加すると、こういう面も日本の参議院の場合は付加されておると、このように思うわけでございます。ただ、その場合におきまして、私は全国区制の選び方というものについていまのままでいいのかということになると、またこれはいろいろ工夫を要し、改善を要する点があるのではないか。いまいろいろ御論議が進められておりますところの比例代表制と、こういうものもその人選に当たって各界各層の代表にふさわしい人を名簿式比例代表によって参加を求めるというようなこともこれも一つの考え方であろうかと、こう思っております。
○青島幸男君 私は参議院が政党化するのは好ましいかどうかというお尋ねを申し上げたのでございますが。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはあるいは衆議院と違って参議院の方は政党化しない方がいいということを一応申し上げてもいいわけでありますけれども、しかしそれは私は現実の政治というのはそう簡単ではない、やはり同じ政治理念なり政治信条なり持たれた方々が一つのグループをつくって、そして政治に一つの力を持って実行に当たっていく、こういうことに自然になるわけでございまして、かつて日本の参議院でも緑風会という存在が大会派として存在したことがございます。しかし、やはり現実の政治の厳しい場においてはそういうようなことでなしに、やはり自由民主党なり日本社会党なり公明党なり民社党なりと、こういうぐあいに自然になっていったと、これが現実の姿ではなかろうかと、こう思うわけでございます。
○青島幸男君 何ですか、ごまかしがあるように伺いました。 確かに緑風会というのは発足当初は無所属が多うございましたけれども、政権政党が議会運営上これが邪魔になるというようなかっこうで金と組織で乗り出して無所属を追い払った、駆逐した、そのために政党化が促進をされたという一面もあったように私は伺います。ですからこの反省なくして選挙制度改革に当たられるというのは私は本末転倒ではなかろうか、こうも思うわけです。このたび自民党が、選挙制度調査小委員会というのがございますね、そこがお考えになりました一票制による拘束名簿式比例代表制を参議院の全国区に導入したいというお考えのようでございまして、鈴木総理もこれについては大変御熱心のようで、党内での会合などにお出になるたびにこれを推進したいというような御発言を耳にするようでございます。報道もそうされております。いまでもそのようにお考えになっていらっしゃいませんか。いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は全国区制度というものはぜひこれは世論の要望にもこたえて改善が加えられるべきものだと、このように考えております。中身について行政府の責任者である私が国会のことについてどうこう申し上げるわけにはまいりませんが、自由民主党の総裁として考えました場合に、現在自由民主党で検討されておるような案は非常に有力なものではないかと、内容としても非常に検討に値する案ではないかと、このように考えております。
○青島幸男君 私と見解を全く異にいたしますが、これは後ほど申し上げますけれども、総理は常々各党各会派の合意の上で行われるようにしたいと、こう申されておられますね。各党各会派が一致すればこれは大変結構でございますが、五十八年度の選挙までに何とか新制度でやりたいと、こうおっしゃられた折から、時間の制限もございます、一党一会派でも反対すればこれを断念するおつもりがございますか、それとも民主主義のルールで、多数決で採決することも可能であるというふうにお考えでございましょうか、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 申し上げるまでもなしに、各党各会派全部御満足のいくような案ができれば一番いいと思いますが、やはり私はかといって一党だけでこれは押し切るというような性質のものではなかろう。やはり相当多数の各会派の方方がやはりこの辺ならということで話し合いがまとまるということが望ましい、こう思っております。
○青島幸男君 そうすると、多数決で採決に及ぶ場合もあるかもしれないというニュアンスと受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういう際におきましては、私は青島さんの方の会派も大勢を見られて、そして大局的な立場でやはり同調されて、一つのまとまった方向が出ることを私は期待いたします。
○青島幸男君 期待していただくのは結構でございますが、そうなかなかやすやすとそろわないと思いますね。 と申しますのは、各議員、各政党それぞれの利害関係が深く絡まり合っておりますので、相撲を取る方が自分でその土俵のサイズと形を決めるようなものでなかなかまとまらないのじゃないか、まとめても有権者の方々は、あれはお手盛りで決めたんじゃないかという御認識はぬぐい去ることができないと思いますね。だからこそ第二臨調というようなことも総理はお考えになっていらっしゃるし、それに政治生命をかけていらっしゃるというその勇気と英断には私は敬意を表しているのですが、事行政改革になりますとそうですが、選挙制度になると第三者にゆだねてその裁決に待つというようなことを、私は前に提案しているんですが、そのことについてそういう御見解が承れないことを私は大変残念に思っておりますが、いまでも変わりございませんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 選挙制度の改革の問題につきましては、いままで第七次まで選挙制度審議会等がございまして、おっしゃるとおり、有識者、各界の専門的な知識を持たれた方々、学識経験者の方々が委員になられて、そして時間をかけてりっぱな答申も出ております。しかし、実際にそれが選挙法として、あるいは改正案としてまとまります場合におきましては、やはりこれは国会がお決めになることでございます。そういう審議会の答申というものを踏まえながら、現実には国会の場において各党各会派によってそれが決められておる、これが現実の姿であろう、こう思っております。
○青島幸男君 さて、本筋のその自民党案でございますが、先ほど総理は大変によくできた案で、一考に値するということをおっしゃっておられましたが、大筋は、地方区の候補者だけに投票いたしまして、全国区は地方区の政党候補者別の得票合計に応じて各党に議席を配分する、全国区の当選者は各政党があらかじめ提出した名簿の順位に従って決めると、こういうふうになっております。 これは、まず参議院の政党化を前提としているということは明白なんですが、先ほどでき得れば政党化しない方が好ましいとも言えるとおっしゃったお言葉から見ると、これを是となさるお考えがちょっと納得しかねるのでございます。 それからもう一つ、有権者の側から見ますと、この投票方法が非常に難解です。事務は繁雑になりますし、無効投票は多くなりますし、有権者の意思がストレートに反映できないという点では、私は必ずしもいい案だと思えません。 この投票のあり方について私も何回か読んだのですが、なかなか理解が行き届きません。ここで例として二、三総理にこの案についてのテストをして差し上げてもいいのですが、これも失礼ですからそんなこといたしませんが、どの程度御理解になっていらっしゃる——私何回読んでもよくわからない部分があるのですが、どの程度御理解になっていらっしゃるか、お話しいただきたいと思いますが。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 先ほど、この具体的な内容ですが、これは党の方でいろいろ精査をしておりまするので、私も全部を承知しておりませんから、お答えするには不十分でございまするが、各方面と御連絡をとりまして、法制的な見地からも、あるいはその他の点についても相当煮詰まってきておると私は考えております。 それで、結局のところは各派におきまして、各党におきましてそれを土台として論議をされるわけでございまするから、そういう欠点のあるような点についてはその機会に十分とひとつ御検討いただいて、いい結論を出していただくということが一番手近な方法じゃなかろうかと、私はそう思っております。
○青島幸男君 これは全くおさみしい限りでございまして、総理、政治に携わる専門家にもよくわからないということを一般の有権者に強いるということは、これは余りと言えば酷じゃありませんか。そんな選挙制度のあり方を国民に強いて支持が得られると思われますか。そんなにむずかしい問題になっているわけですよ、あれは。 それが憲法に抵触する部分で言えば、ここで改めて申し上げませんが、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」とありますけれども、名簿は政党が決めるわけですから、国民は制約された形でしかこれは選べないわけですね。この点でも抵触いたしますし、毎回のあらゆる世論調査によりましても四〇%近い無党派層がいるわけですが、この方々の意思を全く無視することになりますし、その方々に政党に入れることを強要することになりますので、これもいかがかと思います。 また、四十四条、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条」等についてこれを差別しないということですが、無所属はほとんど出られませんし、出るにつきましても非常にハンディキャップがございます。大きな差別ですね。 それから、もう一つ既成政党に大変有利と申し上げますよりは、既成政党の思い上がり、おごりと申しますか、新たな政党が出てくる余地は全くございません。ですから、新しい考え方を国会の中に導入する、そういうことは一切不可能ですね。こういう制度で国民の上に負担を強いるということは非常にむずかしい問題だと私は思います。 以上申し上げましたとおり、この一票式の自民党案というものは、国民の中に政治不信を生みますし、それから参議院をますます政党化いたしますし、形骸化しまして、ひいては二院制の議会制民主主義を根底から覆すようなことにすらなると私は思います。総理は、総裁といたしまして大変に評価をできる案だと先ほど申されておりましたが、もう一度よく御検討になりまして、選挙制度調査小委員会に命じましてこの案を撤回させる、あるいは考え直すようにお命じになるというお気持ちはございませんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、一票制というのがもうコンクリートのように固まっておるというぐあいには報告を受けておりません。あわせて二票制の問題も検討されておるということも伺っておるわけでございまして、こういう点は今後各党とのお話し合いというものがなされる段階においてだんだん固まっていくのではないかと、このように承知をいたしております。 また、大政党だけが専横をきわめるようなことをおっしゃいましたけれども、これは国民の支持を得て大政党になっておるわけでございまして、私はそのようなものではない。余り専横をきわめるとその次は必ずいい目を見ないと、このように思うわけでございまして、私はそこに民主主義の非常に厳しさといいますか、主権者である国民の皆さんの御判断というのが非常に私は厳しく絶えず監視しておると、このように見ておるわけでございます。
○青島幸男君 私は、ただこの案に総理が大変御熱心で、さまざまな会合でこれを御推進なさるような気配をお見せになるので私は心配しておるわけですがね。実は、この一票制の比例代表制の案は非常に実現は不可能。しかし、これに本気に取り組む姿勢を見せながら、実は後々百歩下がって二票制比例代表制を現実のものとしようとしていらっしゃるというふうに私は感じられてならないのですが、その点はいかがなものでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは私が実際のその中身について関与しておるものでございませんで、本当に虚心になって、特に参議院の選挙制度の問題でございますから参議院の皆さんの御意向、そしてあとは国会全体の各党各会派の問題、そういう観点で十分詰めていただきたいと、こう思うわけでございまして、私の考えを、これを固持、固守したり押しつけるものではないということを御理解を賜りたいと思います。
○青島幸男君 どうもそのようには私には受けとれない。と申しますのは、私がひねくれているせいとは思いませんが、実はこの全国区に比例代表制を導入しようという計画に深くかかわり合っている人の一人からそのことを私は承っております。実際には一票制のこのいま出している案は奥行不可能だと。憲法上もいろいろ疑義があるし、実行上も問題点が多過ぎると。これはできない。しかし、これを極端な例として、いかにも取り組むように掲げて、政党化への突っ走りとか、あるいは定数是正の論議を交わして、ついには、究極二票制比例代表制をかち取ろうというのが筋書きだということの通報と申しますか述懐と申しますか、これを聞いております。もしそのようなこそくな手段で、戦後三十余年国民の間に広く定着し理解されてきた参議院を、良識の府として再建するのこそ急務であるにもかかわらず、党利党略を優先さして、しかも一票制という実現不可能なダミーを掲げている、掲げるというような、そういう卑劣な手段まで講じて二票制にして比例代表制を全国区に組み込んでしまおう。しかも、大多数を頼んで数で押し切ろうなどというお考えをもしお持ちだったら、私は、行政府と衆議院をチェックするのをその使命とする参議院のメンバーの一人といたしまして、はっきりと総理に糾弾いたしますがね。このお考えをお捨てにならずにこのままお進めいただくようなことがもしあれば、私は憤りを禁じ得ないですね。 ぜひ、五十八年の選挙のときに、ほら私が言ったとおりになったじゃないかというようなことにならないことを私は祈っております。
○委員長(木村睦男君) 青島君、時間が来ました。
○青島幸男君 はい。 国民の前に明白でございます。まやかしが通じると思ったら大間違いだということを御認識いただきたいと思います。 終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 以上で青島君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(木村睦男君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。粕谷照美君。
○粕谷照美君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました昭和五十六年度政府予算三案に対し、反対の討論を行います。 総理は、去る一月二十六日の施政方針演説で、八〇年代は、七〇年代に生じた資源及び環境面での制約、通商摩擦、人口の高齢化、財政収支の不均衡等の課題の解決に努力し、二十一世紀への足固めを図る決意であると述べられました。また外に向かっては、平和憲法のもと、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とならず、内ではこれまで以上に温かい思いやりに満ちた社会にすると国民に約束されました。しかし来年度予算は、それとは全く逆行する政策が数多く盛り込まれていることが審議を通じて明らかになったのであります。予算は時の政府の顔とも言われますが、今回の予算は、鈴木内閣の掲げる和の政治どころか、不安と対立を深めるものとなっています。 以下、数点にわたって反対の理由を申し述べます。 第一は、平和憲法に反する軍備増強予算であり、政府自民党の右傾化、軍国主義化が一層明確になっているからであります。財政再建のために一般歳出を厳しく抑制している中で、防衛関係費が社会保障関係費の伸び率を初めて上回ったことはきわめて危険な徴候と断ぜざるを得ません。正面装備の強化、後年度負担の増加、さらには最近の大企業の防衛生産部門への進出など、概算要求の段階から聖域化された防衛関係費の特別扱いが今後一層進むおそれがあります。しかも本委員会を通じ明らかになったのは、財政面、予算面からのシビリアンコントロールがないがしろにされていることであります。また、武器輸出禁止に関する決議の可決は一歩前進とは言えるものの、具体的立法措置は見送られております。わが国を米国の世界戦略に巻き込み、国際緊張激化に加担して国民の不安を高めている姿勢に断固として反対するものであります。 第二の反対理由は、政府の言う財政再建が全くの見せかけ倒れであり、国民の犠牲によって行おうとしていることであります。二兆円の国債減額によって財政再建元年予算と自画自賛しておられますが、それを可能ならしめたのは、一兆四千億円に及ぶ過去最高の新規増税と、四兆五千億円に達する自然増収という目に見えない増税にほかなりません。この五兆九千億円という増税は最終的には勤労国民の負担となるものであります。財政再建には何よりもまず不公平税制の徹底的な是正によって税収を確保し、国民の税に対する信頼を回復することが欠かせませんが、政府にその姿勢が見受けられません。 補助金の根本的改廃も大きな問題でありますが、政府は一方で補助金を廃止したと言いながら、他方で名称を変えただけの補助金を新設するという、見せかけの整理を行っていることが明らかになりました。たかりと腐敗の温床、予算の三分の一を占める補助金の点検は、現政府には不可能ではないかと思わせられる、官僚支配の実態が浮き彫りにされたのであります。このような国民の目を欺き、愚弄する大衆増税先行、歳出構造温存の財政再建は、国民を納得させることはできません。 反対理由の第三は、ばらまき福祉の見直しという口実のもと、実質的な福祉切り捨て路線が進められていることであります。わが国の福祉水準は、自助努力とか受益者負担の強化を許すほどの高い水準ではありません。本年度予算の社会保障政策面では、所得保障が強化されています。老齢、疾病、障害、育児などの社会保障給付は、所得とは直接関係ない、ハンディを補うための生活保障的性格があることを忘れた、弱者しわ寄せの政策であります。しかも現行の所得制限は無原則で、合理的根拠を欠き、財政事情いかんで左右されていると言っても過言ではありません。 なお、今年は国際障害者年でありますが、わが国の障害者雇用状況は劣悪で、対象となる政府関係特殊法人ですら、七十のうち四十が雇用達成率を満たしていないのです。また民間の法定雇用率も、フランスの一〇%、四ドイツの六%、イギリスの三%に比較してわが国は一・五%とはるかに低く、障害者年の目標、完全参加と平等の社会づくりへの努力が見られない実情であります。 反対の第四の理由は、国民の生活水準の向上を図るのではなく、国民の生活権を奪う予算となっていることであります。国鉄財政再建のために、一九八五年までに七十七のローカル線の廃止、割り増し運賃導入対象に百七十五線が挙げられていることは、地方住民の足を奪うだけでなく、教育権、健康権、生存権すら奪おうとするものであります。その一方で都市問題の中心をなす住宅難の解消も期待できません。八一年度から始まる第四期住宅建設五カ年計画は、これまで以上に持ち家偏重の政策でありますが、すでに持ち家政策はローン地獄と言われる勤労者の過酷な負担、二けた台を続ける住宅地価格の上昇によって破綻していることが明白であります。また政府の経済政策の明らかな失敗に対して何ら責任がとられていないことも指摘せざるを得ません。 消費者物価の上昇は今年度で八%に達しようとしていますし、勤労者の実質賃金はマイナスです。二月の完全失業者は百三十五万人の高水準に達し、今年度の新築住宅着工戸数も政府見込みを二十万戸以上も下回る百二十万戸程度にしかすぎず、他方で企業の倒産件数は過去最高に達しようというのが実情であります。このような経済実態からするならば、公共料金の値上げでスタートした新年度の経済政策によっても国民の生活向上は期待できません。 第五の理由は、政府の対外経済政策によっては、国の安全保障も国民の生活安定も確保できないと考えるからであります。政府は対外経済政策を重視するとは言いながら、周期的に繰り返される日米経済摩擦問題に対して何ら有効な手だてを講じることもなく、開発援助に当たっても、紛争当事国には援助をしないとの方針に反して、国際状況を名分に事実上の肩入れを行うという、きわめて政治的性格の強い援助を拡大しようとしているのであります。わが国はかつて資源収奪的外交と非難をされましたが、今後は民族抑圧的経済外交と指弾されかねないのであります。 また政府の食糧確保政策は輸入依存を続けておりますが、わが国の穀物自給率は三〇%強にしかすぎず、主要先進国と比べて不安定な低水準にあります。食糧の自給率向上は国民の生命保持の基本でありますが、政府にはその理念がなく、現在の世界的な食糧事情を考慮するとき、わが国はきわめて脆弱な上に立つ経済大国と言わなければなりません。 最後に、最近社会問題となっています青少年の非行について一昔触れておきます。この問題の背景にはわが国の学歴主義社会があり、それによる受験地獄とも言われる過酷な受験競争があります。この弊害を除くためには、高校の全入、四十人学級制度の確立等がまず必要でありますが、政府は金減らし、人減らし政策の中にこれを抑え込もうとしているのであります。また反動的教科書論議を先行させ、教科書の検定制度を改悪し、画一的な国家主義的教育を復活させようとしています。このような問題の本質をねじ曲げて教育の軍事化を進めることは断じて許せないのであります。 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 次に、平井卓志君。
○平井卓志君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、昭和五十六年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。 第二次石油危機から二年余り、主要先進国が不況とインフレに悩む中にあって、わが国経済は、一部に景気のかげりが見受けられますものの、実質経済成長率四・八%の達成はまず可能としておりますほか、物価も安定の度を加えつつあります。 このように国内経済面においては、石油値上げによるインフレ圧力とデフレ要因を克服し、いまや中長期的な安定成長路線へ軟着陸いたしておるのでありますが、一方、財政面においては、五十年度以降、大量の公債に依存して、財政は新たな施策を講ずる力を失っておりますほか、公債残高の累増は、経済・金融政策の運営に大きな影響を及ぼしております。 新年度の財政に求められるものは、このような公債依存体質から脱却し、財政本来の対応力を回復することであり、今回の予算は、まさにこれに向かって明るい展望を切り開くための努力が見られ、評価いたすものであります。 以下、本予算に賛成する理由を申し述べます。 第一は、公債発行額を前年度当初予算よりも二兆円減額しており、前年度予算で第一歩を踏み出した財政再建をさらに一段と進めて本格的な軌道に乗せたことであります。しかも、この二兆円の減額は、すべて赤字公債の減額によって賄っており、この意味で五十六年度予算は、いわば財政再建元年予算と言うにふさわしいものと思うのであります。 財政再建は、将来におけるわが国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るために財政に与えられた緊急の課題であります。 今日の財政収支の構造的なギャップは税の自然増収のみではとうてい解消することばできないものであり、基本的には歳出歳入両面にわたる見直しが必要であります。 とりわけ歳出内容の節減合理化、効率化にまず最大限の努力を払うべきであります。今回の予算は、このような決意のもとに編成されており、一般会計の伸び率は九・九%に、特に一般歳出については二十五年ぶりに四・三%の伸びに抑制する一方、歳入面においても徹底した見直しを図り、特例法人からの国庫納付等を実施することとしておりますほか、現行税制の基本的枠組みの中で、約一兆四千億円の増収措置を講じております。これらの財政再建に対する政府の取り組み方は十分評価できるものであります。 第二は、全体として歳出規模を抑制した中で、長期的視野から着実に充実を図るべき施策については重点的に配意する一方、効率化すべき面については思い切って是正を図るという、いわゆるメリハリの効いた予算となっていることであります。 すなわち、エネルギー対策費、防衛関係費、社会保障関係費、科学技術振興費等に重点が置かれているほか、社会保障給付等において比較的裕福な世帯について所得制限を適正化するなど、各経費についてきめ細かい配慮が払われております。 第三は、簡素にして効率的な政府を目指して行政改革が着実に推進されていることであります。 新年度においては、行政の減量化を図る見地から、事務・事業の整理、委譲が行われるほか、五十五年行政改革が引き続き実施されることになっております。 また、補助金についても、既定の整理合理化計画に基づいて、五十六年度の整理目標件数を上回る二百九十二件を廃止し、金額も前年度の実績を上回る合理化が達成されております。さきに第二次臨時行政調査会が発足し、これから本格的な審議が行われ、この七月には中間答申が出ると伺っているのでありますが、政府としては、ぜひこれを五十七年度予算に反映して、財政再建をより確固たるものにしていただきたいのであります。 総理は、行政改革に政治生命をかけると申され、私もこの姿勢を高く評価いたすものでありますが、今後の本格的な行政改革に対処するには、総理一人の決意だけではなく、これとあわせて閣僚一人一人が、また内閣全体が一致して事に当たらなければ行政改革の達成は不可能であります。 最後に、政府に一言申し述べたいのであります。本格的な軌道に乗った財政再建をさらに強力に推進されるとともに、物価の安定と経済の安定的成長の維持に十分留意されることを要望いたしまして、予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 次に、渋谷邦彦君。
○渋谷邦彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十六年度予算三案に対し反対の討論を行うものであります。 まず、反対の第一の理由は、所得減税が無視された予算であるという点であります。 五十五年度の日本経済は、実質成長率が政府の見通しと大きく異なり、景気停滞となってあらわれました。消費者の購買力の低下により景気停滞が起こり、さらに、政府による公共料金の値上げによって実際の物価上昇率は八%近くも高騰したため、実質賃金は目減りを余儀なくされております。これはまさしく五十五年度の政府の経済政策、物価対策の失敗にほかなりません。したがって、所得の目減りを少しでも回復させるために所得減税を行うことが国民の期待にこたえる政府の責務であると思うのであります。さきの衆議院議長裁定による所得減税がなされたとしても、果たして消費を活発にし、不況、とりわけ住宅不況などを回復させるには不十分と言わざるを得ません。国民生活を安定させる一つの手段として、五十三年度以降改正されていない所得税法を改め、せめて課税最低限を引き上げるという措置が必要であります。 第二には、政府の節減努力なき国民に負担を強いる予算ではないかということであります。 政府は、五十九年度までに財政再建の一環として赤字債発行から脱却することを大義名分に、増税か行政サービス低下か二者択一の選択を迫りつつ、五十六年度は一兆四千億の大増税を国民に押しつけているのであります。財政再建に必要なことは、まず行政改革を初めとした歳出削減という政府みずからの努力がなければならないことは言うまでもありません。また、補助金の整理もその一つの例であります。 第三は、防衛費の増額、福祉後退の予算であるということであります。 社会保障関係費の一般会計構成比は毎年低下を続けております。加えて、児童手当制度の所得制限の強化、老齢福祉年金の実質所得制限の強化と、物価上昇に満たない年金額の引き上げは福祉後退につながると言えるのであります。特に、今年は国際障害者年であるにかかわらず、強力な障害者対策いまだしという感を深めるものであります。 その他、倒産の危機に見舞われている中小企業の対策もきわめて不十分であり、また中高年齢者の雇用対策についても不安解消につながるものではないという、言うなれば国民生活の安定を欠く内容であるという点を指摘し、昭和五十六年度政府予算三案に対し反対するものであります。 以上をもって討論を終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 次に、沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十六年度予算三案に反対の討論を行います。 わが党は、昨年十二月の党首会談におきまして、五十六年度予算編成方針に関して鈴木総理に申し入れを行いました。すなわち、国民生活防衛と財政再建を両立させて進めるとともに、平和と民主主義の政策に役立つ予算にすることを目指し、次の点を貫くべきであるとして、一、軍事費の大幅削減。二、歳出歳入にわたる大企業本位の高度成長型行財政を国民生活優先への転換。三、民主的な行政改革の推進などを提起いたしてまいりました。しかるに、政府二自民党はこのわが党の提案を全面的に拒否したばかりか、財政再建を口実に、これまでの大企業奉仕の景気対策の結果がつくり出した膨大な借金のツケをすべて国民に押しつけるだけでなく、大軍拡路線の負担をもすべて国民に転嫁するという驚くべき予算案になっております。大増税元年予算、福祉切り捨て元年予算、軍拡元年予算、これが五十六年度予算案の特徴であります。 次に、反対の主な理由を述べます。 その第一は、軍事費を削り、暮らしと福祉、教育の充実をと求める国民世論に背を向け、憲法違反の軍事費を急増させたことであります。 軍事費は予算編成の最初から別枠とされ、ついに福祉予算の伸び率を追い抜きました。しかも、新規軍術発注の大部分が後年度負担方式をとっており、これによって五十七年度以降の軍事費は二けた台の伸びが予想され、今後ますます国民生活を圧迫する要因となることは明らかであります。 反対理由の第二は、大企業、大資産家優遇の不公正税制を温存する一方で、国民には一兆円余りに上る史上最高の増税、その上、所得税減税の四年間連続見送りによる実質的な大増税まで押しつけるものとなっています。 周知のとおり、昨年の勤労者の実質賃金は前年を下回り、勤労者の家計には税金、社会保険料などの負担とともに、公共料金やローン返済などの負担がますます重くのしかかっております。したがって、わが党は六千億円の減税要求をしたのですが、残念ながら拒否されたのであります。 反対理由の第三は、国民にとって最も切実な福祉と教育費の露骨な切り捨てに着手したことであります。 わずか七億円で老齢福祉年金に格差をつけなくても済むのです。児童手当も、所得制限強化の結果十万人が支給停止されます。教育の分野でも、高校建設費を初めとする教育施設費の大幅切り下げ予算となっています。その上、自民党は非近代的な教科書攻撃を強めていますが、教育への政治の介入は戦前の軍国主義化への道を思い起こし、多くの国民が深い憂慮を持っているところであります。 以上の理由により、私は昭和五十六年度予算三案に反対するものであります。 日本共産党は、今後も、軍事費を削り、福祉、教育の充実を願う国民とともに、国民本位の政治を目指して一層強力に闘うことを表明いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 次に、柳澤錬造君。
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和五十六年度予算関連三案に対して反対の討論をいたします。 まず、本論に入る前に、この予算案審議というのは一カ月間に及ぶ長丁場であり、その間、鈴木総理を初め各大臣の対応は大変なものであり、その御努力、御労苦には心から敬意を表します。 また、この予算委員会が円滑に運営されるようにするため、この長丁場を黙々として御努力された本委員会の関係職員の皆さん、資料作成のための関係省庁職員の皆さんに対しまして、その労を多として心から御苦労さまでしたと申し上げます。 さて、本論に入り、まず反対の第一として、この予算案は財政再建を最優先として、国民生活無視の予算案であるということです。 政府案は、国債残高が七十一兆円になったとして、国債発行を二兆円減額して、そのかわり一兆四千億の大幅増税をする、増税するくらいなので減税はしないというものです。 いま中小企業の倒産は依然として高水準を続けており、日銀券の増発率は二月にはわずか二・六%と、過去二十年間にもなかったような異常低水準に落ち込んでいます。このことは、いかに国民の消費が冷え切っているか、いかに不況が深刻であるかを示していることであり、このように国民が苦しい状態にあるにもかかわらず、そのことを全く考えられておりません。大蔵大臣は、政府は国民のものだと言われましたが、国民はこのような予算案をつくる政府を望んだ覚えはありません。もちろん財政再建はしなくてはなりません。しかし、国民は、増税をする前に政府みずからが行政改革をして経費の節約をすべきであると言っています。いまは何よりも国民の生活安定を最優先して考えるべきときであると言いたいのです。 反対の第二は、所得減税をしないことであります。 五十五年度予算審議のとき、政府は物価上昇を六・四%に抑えるというので、それを信じて労働組合は賃上げを六・七四%で収拾しました。しかるに物価は七・八%もの上昇となり、実質賃金は年間を通じてマイナスとなりました。これに対して、政府が責任を感じているというような答弁はついに聞かれませんでした。 本来、予算というものは、それで一年間の国の経営を賄うというものでありましょう。それを自然増収があるからといって補正予算を組み、その財源が昨年度と本年度の所得税だけでも一兆五千六百億もあるというのに所得減税をしないということはどういうことでしょうか。これほど理の通らない話はありません。これに対して政府から納得のできる答弁はありませんでした。 亡くなったアメリカのケネディ大統領が、いま政府の借金が多くなっても、国民の生活が豊かになって景気が回復すれば、そのくらいのものは国民が税金として納めてくれると言って、あの百億ドルの戻し減税をした勇気ある決断を学んでいただきたかったのです。 反対の第三としては、税金のむだ遣いが少しも改められないことなどです。会計検査院から不当支出と指摘されたものが年々増加しているにもかかわらず、反省の態度も見られませんでした。政府としては、増税をする前に税金のむだ遣いについて厳然たる態度をもって対処すると国民の前に示すべきでありますのに、そのような言葉もついに聞かれませんでした。補助金にしましても、必要なものは思い切って支出をしたらよろしいのであって、そのかわり必要性のなくなったものは廃止すべきです。また、不公平税制の是正についても、政府としては最も真剣に取り組むべき仕事であるにもかかわらず、政府答弁からはその努力をする気配すらも感じられず終わってしまいました。また、未来の日本を考えたとき、教育の荒廃、非行青少年の激増に対してどうするのか、これに対する態度についても政府から納得のできる方針はついに聞かれませんでした。まことに残念でなり、ません。 最後に、鈴木総理に申し上げたいことは、今回の予算委員会の審議全般を通じての政府答弁は、すれ違い答弁、ピント外れ答弁が余りにも多く、目に余るものがありました。このような各閣僚の政治姿勢に総理はどのようにお考えになっているのでしょうか。予算さえ成立すればよいと考えておられるのであれば大変な間違いです。 このような予算審議に対して国民の政治不信はますます拍車がかかるのであり、その政治不信の行き着く終点は民主政治の崩壊であることを肝に銘じていただきたいことを申し上げまして、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案について一括して採決を行います。 三案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(木村睦男君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これにて散会いたします。 午後六時二十六分散会