予算委員会 第14号
- 発言数
- 384 件
- 登壇者
- 50 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/03/23
会議録
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び教育評論家永畑道子君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) これより和泉照雄君の一般質疑を行います。和泉君。
○和泉照雄君 私は、先ほど本会議でもいろいろ質疑がありましたけれども、大蔵省が財政再建についていままで大型消費税の導入を計画しておったようでありますけれども、十六日発足した第二臨調では、土光会長が五十七年度の一般消費税の導入を見送りをさせて、そして財政の再建を図るというような意味の発言がありました。これを受けて鈴木総理も、政治生命をかけてこれを実行するという意思の表明がございましたけれども、これに従って大蔵大臣の方も、天命という言葉を使って、財政再建に増税をしないで取り組んでいくという意味の表明をしておられたようでございますけれども、しからば財政再建のための増税をしないで、いわゆる歳出カットのためには具体的にどういうようなことをお考えになっておるのか。 第二点は、何が何でも増税をしないというかたい決意であろうと思いますけれども、補助金の整理等でいろいろと困難があろうかと思いますが、もしも蹉跌をした場合に、何らがこれに対する考えをお持ちであるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大型消費税につきましては、私は来年度からやるともやらないとも言ったことはないんです。ただ、税制調査会において歳出の、予算規模の八〇%を租税で賄うというような健全財政方向に持っていくためには、なかなか自然増収だけに頼ることはむずかしかろうと、だからこれについては何らかの、消費に広く着目した間接税を避けて通れないだろうと、こういうような中間答申が出ておりまして、したがって大蔵省としては、いつでも歳入の確保ということは重要なことですから、それは検討をしなければなるまいと言っておったわけでございます。しかしながら、そういうことをやらないで、ともかく五十九年度から赤字公債の発行から脱却できるという見通しがつけば、われわれは増税は何も要らないわけでございます。五十六年度予算に当たりましてもかなり財政上冗費の節約や歳出のカットにこれ努めてまいりましたが、どうしても財源が足りないというために増税をお願いしたわけであります。 来年度以降の問題について、法律や——現在既存の法律ですね、それから既存の制度、これも直していく。そのための法的準備もして、大蔵省が法令に違反しないで歳出カットができるということになれば、これは私は、もう大変ありがたいことであって、ぜひそういうふうにやらしていただきたい。ともかく第二臨調というものが発足をして、根っこから洗い直して、制度や何かについても直していこうという具体的内容を私は何も見ておらないわけでございます。しかしながら、そういう意気込みでありますから、われわれといたしましてもまず増税のことは考えないで、ともかく歳出カットをして、そして伸びる予算の穴埋めがうまくできるかどうか、まずこれをやることが先決問題である。結局まあ社会保障は伸びますわね、ある程度、年寄りがふえますから。それから、自衛隊の関係も足りないと言う人もあります。し、エネルギーはともかくもっとふやせと言う人もございますし、経済協力はいまから五年間の間に倍にするという約束をしていますし、いまさら取り消しちゃうわけにいかない。しかも、そのふえるものを結局今度はどこで減らしてそこへ埋め込むか。なかなかむずかしい問題ですよ、これは。むずかしい問題ですが、ひとつそういう大方針が出た以上は、その大方針の中でますます、ともかく切れるだけ切ってみるということをやることがまず前提であると、そう思っております。
○和泉照雄君 大蔵大臣はそうおっしゃっても、第二段階、第三段階を考えておかないと、国の財政を預かる大蔵大臣としてはまずいのじゃないかと思うんですよ。やるだけやってみて、そしてだめだったときは何か手を考えておるかと。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはやっぱり第二、第三もいろいろ考えておかなくては。これはやっぱり、ただ、そういうことを最初から考えてしまうとだめなんですよ、これは。第二の手があるんだからカットをしなくたってこっちでちょっと取れるんじゃないかとかいう、そういうことを考えたのではやっぱり歳出カットはばっと進まない。ですから、まずそれはいざというときには、それはもういろいろなことは研究はしておきますよ、研究は。研究はしておきますが、まずそういうふうな増税は考えない。考えないでやる。これを優先してやってみなくては。まずそれをやってみることですね。これはもう収入と歳出というのは裏と表ですから、もう収入がなければ歳出できないんだし、歳出を確保するということになれば、どこかで切っても足りなければどうかするほかないんでね。だけどまず、こういう時世ですから、自然に入るものの中で歳出を賄うという原理原則に立ち返るということも大切なことだと、そう思っております。
○和泉照雄君 あとのことは考えないで、ひとつ歳出カットを前提にやる。そうなると、補助金の整理ということが一番の問題で、それから三K——米、保険、国鉄、こういうことだろうと。これはあなたが就任のときにおっしゃったことでございますから、それがなぜできなかったか、それをはっきりおっしゃってください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) なぜできなかったかと言われましても、要するに米の関係の赤字というのは一兆円近くありますが、そのうち減反補助金というのは三千何百億ですね。そうすると、結局コスト逆ざやが約六千億円ぐらいあるわけですよ。これは高く買って安く売れば赤字になるのはあたりまえですから、だから、高く買ったものは高く売るということにすれば赤字解消できるんですよ。ところが、一遍にそんなに消費者米価を上げることは賛成しないですな、皆さん、消費者物価を上げることは。賛成してくれればすぐやっちゃうけれども、賛成してくれない。だから、赤字を解消しろと言われたってできるわけないでしょう。高く買って安く売れと、赤字をつくるなといってもできないんですよ、それは。ですから、われわれとしては一挙にはできないんですと、これは米の問題。 国鉄の問題も、本当は国鉄に七千三百億円近いくらいの補助金を五十六年度予算で計上しているわけですから、そんな国鉄なんというのはとまったっていいからばっさり切っちゃえと。切ることはできますよ。しかし、現実の問題としては国鉄がとまっちゃ困るわけですから、その決意ができれば私やっちゃうけれども、そうじゃないわけでして、いろいろな問題があって、これももっとことしから、まあ数年——五年間かかって七万人の人減らしをやりますという国鉄が案を持ってきておりますから、地方線の整理やなんかもやります、人減らしもやりますというから、それなら本当にやるんだねと、じゃ、ことしはつないでおきますよということにしたわけであって、しかし、さらにこれにはもっとやってもらわなければならない。 医療保険ですね、三Kと、もう一つ保険のことでしょう。保険のことについては、これは要するに問題は、老齢化社会になればどうしても医療がふえるんです。これはある程度ふえるのは抑えようがないわけですね。これはもう老人の数がふえて、長生きしてもやっぱり病気になりますから、これはもう仕方のない、世界じゅうそうなんですから。しかしながら、もうお医者さんの中には、まあ一億だの何億だのというその保険でもうかっているとか、中には十五億円も三年間に税額で脱税したとか、そういうのもいるのも事実ですね、これは。ですから、そういうところにいままであんまりメスが入ってない。したがって、これらについてはもうみんなが一緒になって不当請求、不正請求、架空請求のようなものは取り組んでいかなきゃならぬ。むだなものはなくすということで、これはじわじわやらないと一遍にはできないわけですよ、一カ所じゃなく何十万カ所と分かれているわけだから。ですから、そういうことはみんなの力によってきちっとしておけと、薬価基準も下げてもらうというようなことでやはり取り組んでいく、当然なことでございます。 そのほかにもいろいろこれから出てくるわけでしょうが、そういうものはやっぱり第二次臨調の中心的課題になることは間違いないと、そう思っております。
○和泉照雄君 いままで行政監理委員会の答申でも、当然と思われることが答申をされておるわけで、それが閣議決定をされております。たとえば昭和五十四年の十二月二十九日の閣議決定を見ますと、昭和五十五年度以降の行政改革計画については補助金の改革、整理ということが言われておりますけれども、いろいろと論議の中でも切ったと言われても、それが増額になったり、姿を変えておったり、いろいろしてなかなか切れない。そういうのが実態ではありませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは実態なんです。補助金十四兆五千億ありますが、そのうちで社会保障と文教と科学技術と、それから公共事業、これで十一兆五千億ですから、それだけで。このうち社会保障というようなものは九七%も法律で決まっているわけですから、文教でもやっぱり九割何ぼというものは法律によって決まっているわけですから。では法律外の補助金はみんないいかげんな補助金いっぱいついているかというと、先ほど言ったように、たとえば国鉄関係補助金なんというのは七千二百四十四億とかね、一つで七千二百四十四億、簡単に切れるかと。農林省関係で水田利用再編奨励補助金三千三百八十八億、切れるかと。結局、転作面積をふやしておいて、単価はそれでも五千円から落としているわけですよ。ですから、五百億円ぐらいこれでも少なくはなっているんです。なっていてもやはり三千三百億という金が出てくる。あとは法律事項、建設省の関係であって、たとえば住宅金融公庫補給金が二千百七十四億、これだって六百億円もっとふえるのじゃないか、財投で、向こうでごまかしたなんて私しかられたばかりでしょう、この間。実際は、本当はもっとふえて三千億円近くなるんじゃないか。それから公営住宅の補助金が二千三百五十五億とか、下水道の補助金が六千二十九億、下水道なんかもっとやれというんだから、みんな。ですから、そう私にみんなすぐ何で切れなかった、切れなかったと言われたって、一つ一つ取り上げればそう簡単じゃなくて、これはじゃ学校の教育国庫負担金二兆九百四十六億円ばっさりやりましたと、みんなして反対だ、反対だとこう言うんですよ、これは。 いろいろなこともあるでしょうけれども、そういうようにいろいろむずかしい問題が一つ一つになるとございますから、しかしそれらについても政策判断の問題ですから、いままではそれでよかったが、もうともかく税金はこれ以上負担できない、限界に来ているという状態になれば、まあいままでは必要であったろうが、この財政事情のもとではこれは御勘弁いただきたいというものも出さざるを得ない。そうすれば、ある程度私は整理がつくと思っております。
○和泉照雄君 いまおっしゃるとおり、切ろうとするといろいろ抵抗があって切れない。また単年度でやれる問題でもございませんので、したがって中期の財政計画をつくられて、国民の賛同を得て、そして財政再建法という法の制定をして臨むことが当然ではないかと思うんですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いや、その法律ができるかどうかというのが問題なんですよ。結局はそういうふうな法律でみんな補助金が決まっているわけですから、それを切ってもよろしいという法律ができれば、そのもとで七割補助を六割でいいとか、五割補助は四割でいいとか、みんなみんなランク下げてもらえるとか、そういうのができれば、当然に、ではこれから当分これでいくんですよということで計画もある程度立つんです。しかし、それがまずできない。それからもう一つには、これをだから第二次臨調でやってもらう。で、一つの方向が出ますから、そうすればこれぐらいのものは削減できる見通しが立ちます。ですから、そういうようなものについての法的根拠を与えていただければ財政再建がやりやすくなるということは間違いなく言えますので、いずれお願いをしますから、その節はよろしく。あのときと話違ったなんて言われちゃ困りますから、どうぞよろしくお願いします。
○和泉照雄君 七月には中間答申が臨調から出るということで、また総理もやはり必要な立法措置を講ずるということを言明しておられるようでございますから、やはりいまおっしゃったとおりいろいろ抵抗があると思うんです。そのためには、やはり中期の財政展望というよりは計画というやつをきちっと策定して、そして立法措置をした方がいいと思うんですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自由主義経済の中ではなかなか計画というのはきちんと動かないんですよ。社会主義経済の中だってともかく計画なんかうまくいったことがないんだから。ソ連にしたって中国にしたって、みんな。天候のせいで大変だとか、中国は社会主義で始まってもみんなプロジェクトやめたとかと言っていま大騒ぎしているわけですから。まして。自由主義経済の中で、もう世界じゅう経済はこう銭湯屋と同じてお湯がみんなつながっているわけですよ。国は違うけれども、経済はつながっている。どこかの国でパニックが起きたらもうだだだっと連動してきますから、きちっとした計画、名前はつけることはできますが、現実にはそういう計画が確実に遂行されたかどうかということはなかなかぶつかってみないとわからない。やっぱり一応の目安、基準、こういうものはつくらなけりゃならぬ。そのために経済七カ年計画なんという、社会発展何とか七カ年計画なんてありますが、やはり計画というよりも一つのめどみたいなものだろうと、私はそう思っております。したがって、厳密な意味での計画というものはなかなかできない。一つの方向とかめどとかガイドラインとか、そういうものは私はっくらなければならない、そう思っております。
○和泉照雄君 計画倒れとか、ちょっとニュアンスでは、計画をつくることが余りそう必要でないような話のようにも受け取れるのですけれども、やはり計画をつくっていないと、過去のいろいろな例があるのですから、やはり計画をきちっと今度はつくってやらないと、中間答申が出てもそれが実行に移されぬということを私は言ったわけです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、あなたの言う計画と私の計画と、私が非常にきつく考えておって、あなたのようなガイドライン的なものという計画ならば、それは当然つくっていいのです。だから、まあ計画が、さわってみて象の頭が、しっぽか、どこか、そこがぴしゃっとかみ合っていないところがあるわけですよ。私も、大ざっぱな計画ならつくることは賛成なんです。
○和泉照雄君 では、大蔵大臣との論争はこれくらいにしまして、後、防衛庁長官にお尋ねをいたします。 まず、今月の末に、北海道に戦車師団という機甲師団が発足をすることになっておりますが、その主力戦車は七四式の戦車であるようでありますが、この戦車の自重は三十八トン、これは重くてとうてい日本の国土の中では自由に動けない、こういうふうに私は思うわけでございますが、しかも行動範囲というのは北海道でも東部方面に限定されるのじゃないかと、こういうふうに思うわけです。なるほど性能はすぐれておるかもしれませんけれども、エンジンのトラブルとか、あるいは潜望鏡の故障とか、そういうような故障が多いようでございますけれども、対戦車戦として戦車の集団的な戦闘のためには、満州あたりではこれは優秀な戦車かもしれませんが、国土防衛のための戦車には私は適してないと思うのです。最近また週刊誌では八八戦車というのが出ているが、四十三トン、昔で言うと重戦車、こういうようなものが果たして日本の国土防衛に適しておるものだろうか。私は、国費のむだ遣いが過ぎるのじゃないかという懸念をするわけでございます。こういうようなことで、やはり国土に適した戦車をつくろうというようなことを国防会議あたりでは論議がされないものかどうか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 確かに、今月末に北海道に機甲師団が発足するわけでございますが、それは防衛計画の大綱に決めている分が今回実現するわけでございます。 そこで、お尋ねの七四戦車でございますが、御指摘のように、陸上自衛隊の装甲、機動、火力の中核としてこの戦車は四十九年度から整備を行っているものでございますが、この装備を進めるに当たりましては、諸外国の主力戦車の性能、また、わが国における運用条件等も十分考慮して採用になったものでございます。たとえば重量については三十八トン、これは御指摘がございましたが、この点につきましても、七四式戦車の国内での機動及び輸送を十分配慮して定めたものでございます。また、この七四式戦車の運用に当たりましても、決して北海道なりあるいは北海道の東部に限定をされるものではなく、万一外国からの侵略があった場合には、わが国のほとんどの地域において、他の装備との連携を図りながら有効に活用できるものと考えておるわけでございます。 先生御承知のとおり、戦車は機動力、防御力、火力、そういった点に特色があるのでございまして、専守防衛を旨とするわが国の防衛に当たりましても、やはり欠くことのできない装備の一つであると私ども考えておりまして、逐次整備を進めながら重点的な配置を行っていきたいと考えているわけでございます。 さらに次の戦車、いわゆる八八戦車でございますが、これは別に名称は決まったわけでございませんので、いわゆる八八戦車につきましても、現在防衛技術研究所を中心に開発研究は進めておりますが、この点につきましても、最近における諸外国の戦車の能力のレベルアップといったような情勢を参考にしながら、しかもわが国の国土、政情に適合したものをこれから進めたいということで、いま研究開発を進めているところでございます。まだ具体的にどういった内容のものをどういった時期に整備するか、そこまで煮詰まっておりませんが、七四戦車が採用されてからすでに相当時間も経過しておりますので、将来のわが国に適した戦車の研究開発を進めることは必要であると考えておりまして、いま技術研究所で研究開発を進めているところでございます。
○和泉照雄君 七四戦車は、日本全国で使えるようなことをおっしゃいますけれども、三十八トンもあって、市町村道はちょっと走れないですよ。それから、荒野なら走れるでしょうけれども、日本のこういうふうな非常にたんぼがあったり、そういうところで走れるものじゃないと思うんですよ。ですから、もしも侵略軍が来て、そういうような重い戦車を持ってきたときは、ばたばたしていると思うんですよ。そういうときには武装ヘリとかロケットとかそういうことでやればいいことで、それか、軽い戦車を開発をする。打撃力があって、装甲も日本のいまの科学技術で開発はできるのじゃないかと思うんですがね。そういうことを考えて、二十四、五トンぐらいの、動けるような戦車を開発すること、国土防衛に適した戦車の開発ということが論議されなかったかどうか。
○政府委員(和田裕君) 先生おっしゃいますとおり、戦車というのは、他のいろんな装備体系と組み合わせまして、それで使うのが一番いいというふうにわれわれ考えております。いまの御質問の中で、市町村道等を走れないかどうかという御質問がございましたが、詳細につきましてはこれはちょっと差し控えさせていただきますが、基本的には、道路等につきましても、もちろん所定の法的な手続等が必要になるという前提がございますけれども、基本的には道路等を利用して運送することあるいは走行することが可能であると、そういうふうに考えております。 それから、もっと軽い戦車を使ったらどうかと、こういう御質問でございましたが、確かに装備審議会等でかつてもっと軽い戦車、二十五トン程度の戦車を開発したらどうかという議論もしたことがあるわけでございますが、ただいま防衛庁長官の方から申し上げましたとおり、戦車というのは防御力と機動性のほか、火力というものが特に重要でございまして、火力のやはり中心をなしますのはある程度口径が大きいもの、列国のいまの戦車の火力というのは大体百二十ミリとか、ソ連でも百二十五ミリまでいっておりますが、そのぐらいまで大きくなっておりますし、加えて、各種の装甲板の発達というものに対抗していくためには、どうしても初速が相当速い火砲というものを積まなければいかぬということになるわけでございます。 そういうことを考え合わせますと、どうしても非常に軽い戦車になりますと大砲の口径も小さくなりますし、初速も小さくなるということで、いまのように非常に発達しましたたとえば多層の装甲板であるとか隔板の装甲板であるとか、そういった装甲板に対しては十分な貫徹力を持ち得なくなるという問題がございます。そういたしますと、そういった大きな火砲とバランスをとるためには、どうしてもある程度の車体の大きさが必要になるという点がございます。 それから、先生もう一つの御指摘で、対戦車ミサイルとかヘリを活用したらいいのじゃないかとおっしゃったと思いますが、まことにそのとおりでございます。現に対戦車ヘリにつきましては、先生も御存じかと思いますが、二年ばかり前からAH1Sという対戦車ヘリを試験的に導入いたしまして、いま二機で隊を組みまして、編隊飛行によりますところのいろんな訓練、それから教範の作成等をしていると、こういう段階でございます。 それから、対戦車ミサイルにつきましても七九式の対戦車、対舟艇ミサイルというものを開発してございまして、現に予算でもお願いしているわけでございますし、こういったものにつきましても今後とも大いに力を入れたいというふうに考えている次第でございます。 ただ、一点申し上げたいのは、ミサイルは非常に安いじゃないか、戦車は非常に高いじゃないかという御批判もよくあるのでございますが、確かにミサイルのランチャーといいますか発射機そのものは安うございます。たしか六千九百万円ぐらいでございますが、ただミサイルの弾が、いまで言いますと約一千万円近くする。戦車の弾は御存じのとおり二、三十万円というようなことでございまして、弾がどうしても非常に高うございますので、弾の値段まで掛け合わせまして総合的なシステムとして考えた場合には、対戦車ミサイルと戦車の価格の比というのは、戦車一に対しまして対戦車ミサイルの方は大体三分の二ぐらいになるということでございまして、必ずしも対戦車ミサイルが非常に安いということではないというようなことでございます。
○和泉照雄君 次は、昭和五十六年度には陸海空等が合計一千名の増員をしようとしておりますが、五十六年度の除隊見込みを含めて五十六年度の募集人員採用計画、それから最近の三年間の充足率、これについて御説明を願います。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 五十六年度における自衛官の採用計画数でございますが、陸約一万七千七百人、海約三千三百人、空約三千百人、計約二万四千百人を募集する計画でございます。除隊、退職等の見込み数は、陸約一万七千七百、海約二千六百人、空約二千八百人、計二万三千百人の予定でございます。 なお、過去三年間の年間平均充足率でございますが、年度別に申し上げますと、五十二年度陸八五・五%、海九四・五%、空九四・七%。五十三年度では陸八五・七%、海九五・五%、空九五・四%。昭和五十四年度では陸八五・九%、海九六%、空九五・九%でございます。
○和泉照雄君 自衛隊における隊員の募集業務は自衛隊地方連絡部が行っているようでございますが、その実態はどういうようになっておりますか。
○政府委員(佐々淳行君) 先生御承知のように、隊員の募集業務につきましては、自衛隊法第三十五条を法的根拠といたしまして、職業安定法第三十一条の二に規定する「法律に別段の定のある場合」ということで、職安法の適用を除外されておりますので、自衛官の募集を自衛隊がみずから実施をしておるところでございます。 そのための募集の機関といたしましては、各県に隊法二十四条によりまして自衛隊地方連絡部を置きまして——これは機関でございますが、この出先機関によりまして各地域の実情等を考慮しつつ募集活動を行っておるところでございます。これがみずから募集する地連の業務でございまして、このほかに、自衛隊法第九十七条第一項及び同法施行令第百十四条から百十九条までの規定によりまして、都道府県知事とそれから市町村長に自衛官の募集に関する事務の一部が委任をされておると、こういう二段構えで募集を実施いたしております。
○和泉照雄君 地連の下部機構には出張所、募集事務所、募集案内所、分駐所、分室、離島駐在員事務所等々それぞれ名称の異なった施設があるようでございますが、これらの事務所はそれぞれどういう内容の職務を分掌しているのか、その違いも含めて御説明を願います。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 まず出張所でございますが、これは自衛隊法施行令第四十八条の二の規定によりまして、地方連絡部の部務の一部を分掌されるために置かれておるものでございます。この数は、まず地連でございますが、地連の本部が全部で五十、それからこの出張所が四十四ございます。 そのほか、募集事務所というのがございます。この募集事務所は、自衛官の募集に当たってそれぞれの地域におきまして実情に応じた募集活動を行う必要がありますので、地方連絡部がその与えられております予算と定員と権限の範囲内におきまして、その募集課の職員の一部をそれぞれ活動区域に近い場所に派遣をいたしておりまして、この派遣をされておる先の拠点になっておる場所を募集事務所と称しております。これは行政運用上の措置の一環として、募集業務を能率的に行うための業務上の措置の一環でございまして、行政組織としての出先機関ではございません。これが百九十四カ所ございます。 次に、募集案内所でございますが、これは都市部における募集広報活動の拠点として設けましたいわばショーウインドーあるいはショールーム、動かない広報宣伝車というような言い方をいたしておりますが、もっぱら募集事務にかかわる広報宣伝を目的として設置をしておるものでございまして、これが全国で百十三カ所ございます。 このほか、離島の駐在員事務所、離れ島の事務所を十カ所設けておりますが、これもこの事務所、案内所と同様いわゆる出先機関、いわゆる機関としてのものではなくて、活動の拠点ということで運用いたしております。
○和泉照雄君 では、出張所は防衛庁の訓令第五十号第八条の二で別表に全国で、いま説明があったとおり、四十四カ所の設置が明示されておるようでございますが、そうしますと、この出張所は行政機関の支分部局に当たるのかどうか。
○政府委員(佐々淳行君) お尋ねの支分部局に当たるのかということでございますが、御趣旨としては、恐らく国家行政組織法第九条に言うところの支分部局であるかというお尋ねかと存じますが、そういう御趣旨であれば、これはそのような性格のものではございません。まず地連でございますが、地連とその出張所は、これは国家行政組織法第八条の「その他の機関」、こういうものに当たろうかと考えておりますが、この募集事務所、案内所等は、この地方連絡部の行政事務をスムーズに遂行させるために置かれておるものでございまして、これにはいわゆる機関としての権限等が委任をされておる、あるいは定員が割り当てられているということがございませんので、私どもはこれは支分部局ではないと解釈いたしております。
○和泉照雄君 そうすると、募集事務所とそれから募集案内所と、こういう組織は窓口というふうに理解していいですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 地連の窓口ということで御理解いただければ幸いでございます。
○和泉照雄君 私は、募集事務所及び募集案内所について、実際現地に行ってみていろいろ調査したわけでございますけれども、その職務内容については募集業務、募集の広報宣伝、受験会場等々まさに出張所並みの職務を分担しているわけでございます。 そこで、池袋の募集案内所では所長を含めて十名の制服が職員として配置されておるようでございます。先ほど局長は、案内所は定義としては広報宣伝のみ、こういうようなことをおっしゃっておりましたけれども、そうではなくて、事務所はもう職員も配置をされておりまして、ミニ出張所と、こういうような体制でございました。こういうような体制でございますので、この案内所、事務所というのは、やはり出張所と同じような行政機関という、こういうような理解をするのが当然であると思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 この機関にそういう要員が配置になっておることは事実でございます。この要員は、地方連絡部の募集課の者がこの任務の繁閑に応じまして増員あるいは減員をされてそれぞれ重点に指向されて配属になり、この任務を遂行しておるところでございますけれども、それじゃそういう権限があるかということでございますが、自衛隊体育学校、自衛隊中央病院及び自衛隊地方連絡部の編制に関する訓令、これは訓令第四十五号と呼ぶのでございますが、これによりこの地連部長にそういう配置の権限が与えられておりまして、そういう任務に当たっておる者がおることは事実でございます。 しかしながら、それではこれは機関かと申しますと、いま申しましたように定員化の措置はとられておりませんし、また、たとえば公印を有しておるかどうか、出先機関、行政機関としてその公印を持っておるかというと、この事務所、案内所等は公印を押す機能を持っておりません。また、募集計画策定の権限も機能もございませんし、本来地連が持っておりますところのたとえば予備自衛官の問題とか、あるいは援護業務がございますが、こういうものについては全く委任されておらない、募集業務に関して募集課の要員が派遣をされて活動をする拠点ということで、その点で出張所あるいはそのさらに本部であるところの地連とは法的な性格が違うと、こういう御説明を申し上げたわけでございます。しかしながら、この制度ができ上がりましたのが昭和四十一年でございまして、四十一年に人事局長通達でこういう事務所等の設置を人事局長の業務権限の範囲内でやったようでございますが、それ以後もう十数年運用されてまいってきております。その運用実績はございますものの、その過程におけるいろいろな情勢の変化、実態の変化等が先生御指摘のようにあろうかと存じます。この点について私どもせっかくの御指摘でございますので、実態をよく調べまして、出張所、事務所あるいは案内所、こういう名称が外部の方々に対して紛らわしくなり誤解を招くことのないよう検討をいたしてみたいと、かように考えております。
○和泉照雄君 では具体的に申し上げますと、事務所の名称についても、同じ一つの事務所で三つぐらい名前が違うという事実がございます。 まず池袋の募集案内所を例にとりますと、募集案内所というのが正規の名前でございますけれども、委託をされた都庁の資料によりますと、これは池袋の出張所となっております。ところが、池袋の募集案内所の入り口の看板は池袋募集事務所、このようになっております。ところが、その所長が出した名刺によりますと、池袋募集案内所と、こういうふうに同じ事務所が三つの名前を持っておる。同じように新宿の募集案内所も、委託の東京都の資料によりますと新宿出張所と、このようになっておりますが、入り口の看板は新宿募集事務所、内部の、あるいはポストの名前は新宿募集案内所と、このようになっておるようであります。そのほかに武蔵野の募集案内所は武蔵野募集事務所、大森の出張所が大森募集案内所、神田出張所が神田募集案内所、鹿児島分駐所という資料になっておりますけれども実際の看板は鹿児島募集案内所、横浜の分室は横浜募集案内所と、こういうふうになっておりまして、池袋の方は先ほど申し上げたとおり職員は十名、しかもショールームは全然ありません。ほとんど、都内の案内所のうちショールームがあるのは二、三カ所だけてあります。すべての事務所、案内所は試験会場がございます。そういうようなことで、募集案内所というのは広報宣伝のみという定義を完全に逸脱して、非常に区別が判然としておりません。 それで私が主張したいのは、これらの募集案内所を官報告示にある出張所と同じように取り扱ってガラス張りにした方がいいのじゃないかと思うんですが、防衛庁長官の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 募集関係の事務所が大変複雑でございまして、いま御指摘のように名称もいろいろ違っておる、また仕事の内容につきましてもいろいろ重複している面が少なくない、まさに御指摘のような点があると思うわけでございます。そこで、政府委員から御答弁申し上げましたとおり、人事教育局長通達でいまの仕組みが行われ出しましたのが昭和四十一年でございまして、相当日数も経過しているわけでございます。また、社会情勢も非常に変化しておりまして、やはり一般の募集で充足できるのが平均一割程度という事情でございますので、やはり現地に近いところで募集を進めなきゃいけないという必要性はあると思うわけでございますが、そういった点をもう一度実情をしっかり把握して、先生御指摘のように、明快な姿で仕事ができるように、私といたしましても今後積極的に検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○和泉照雄君 いま長官がおっしゃいましたけれども、福岡県あたりでは出張所と案内所はときどき入れかわることがある、あるいはもう各県とも出張所と募集事務所が全く同じ業務をやっている、こういうようなことがございまして、私に言わせると、同じような業務をやっておるんだから、出張所と同じように、防衛庁の訓令第五十号の8の2の出張所と同じように官報告示でやるべきことは当然ではないか、そのことが当委員会にも審議の対象になるわけでございますから、そういうようなことがないということは非常に遺憾であると思うんですが、その点について。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 いま先生が申されました事柄も含めて、今後検討させていただきます。
○和泉照雄君 地連の関係は、非常に私に言わせますと、昔の旧軍はいろいろ作戦要務令というのがありまして、指揮の要請という中には、独断専行の余地を与えることが指揮の一つの要請になっておったようでございますが、そういうことがこういうような組織の中にもあるのではないかと、そういうようなことを心配するわけでございます。そういうようなことがないように、ひとつ前向きで検討をしていただきたいと、このことを特に御要請を申し上げておくわけでございます。 次に申し上げたいことは、自衛隊法の第九十七条によりまして、全国の三千三百の地方自治体に対して募集の委託がなされておりますが、こんなたくさんの募集の委託の個所があるんですから、法的にそういう募集事務所とか案内所というものを整備をされてやる必要があるのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 先ほどお答え申し上げましたように、九十七条によりまして地方自治体にこの事務の一部を委託をいたしておりますが、この地方公共団体に委任されております自衛官募集業務は、たとえば自衛隊法施行令の百十四条、都道府県知事に対しましては、二等陸海空士の募集期間等この委任の事務が、たとえば試験期日の公示、試験場の告示、募集期間の告示等の広報宣伝活動をお願いをしておる。また、市町村長に対しましては、志願票の受理、受験票の交付、応募資格の調査及び広報宣伝、こういうことで非常に委任されておる事務が限られております。この自衛隊法が発足いたしました時点におきましては、恐らくこの種の業務は地方公共団体に委任をすれば十分であるという状況だったのだろうと推察をいたしますが、その後、日本経済の目覚ましい成長によりまして、高度経済成長に入りましてから若年労働者の常時需給関係の逼迫ということがございまして、自衛隊としては募集活動に相当の力を割がなければいかぬ。地方公共団体にお願いをしておるだけではとても集まらない。約七〇%近くが自主的な募集活動によって得られる、こういう実情にございます。その意味で、今後ともこれらの地方公共団体に対する委任業務につきましては、御協力を重ねてお願いをしなければなりませんけれども、自衛隊の隊法三十五条による自主的な募集努力というのは相当続けなければ所要の隊員を確保できないというのが実情でございます。
○和泉照雄君 そのほかにも、自衛官の募集に際して地方自治体に対しては施行令の第百十四条から百二十条に細かく定められているわけでございますが、長官は自治大臣あるいは各地方の知事さんあたりと、こういうような募集業務に対していろいろ打ち合わせをした方がいいのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) 募集の問題について自治体の首長に権限が委任されておるのだから、それを活用すべきではないかという御意見、私も全く同感ではございます。今後も引き続き都道府県知事あるいは市町村長の皆様に自衛隊の実情を理解していただきまして、御協力を求めてまいりたいと考えているわけでございます。と同時に、政府委員からお述べいたしましたような実情もございますので、地連を通じて自衛隊みずからが汗を流して努力するという必要もございますので、それに必要な手足となる組織、機構につきましては、先生先ほど御指摘のようなガラス張りになるように、従来のあれが少し複雑過ぎまして、外から見ておりましてすっきりしてない点がございます。そういった点をガラス張りにするような方向につきましても努力さしていただきたいと、さように、考えておる次第でございます。
○和泉照雄君 それから、募集にかかる費用については、職員の給与は別にしまして単純に割り出した計算でも十億二千二百万円でございます。それに従事している職員数は四千二百人でございますが、年間約二万人を募集するのについて四千二百人ということになりますと、一人の職員が大体年間五人ということで、非常に職員の配置がむだであるように思うんですが、いかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 確かに御指摘のように、現在募集業務が非常に重要ではございますが、困難性を伴っております関係上、約四千二百名の広報官がこれに携わっておるという実情でございます。先ほど申し上げましたような若年労働者の雇用の需給関係の逼迫に加えまして、この主たる募集対象でございます陸海空二士が二年ないしは三年の短い任期制というのをとっておりまして、終身雇用制をとっております日本の社会の中でははなはだこれは不利な条件でございます。そのため、良質な隊員を募集するためには相当の要員を割いてやらなければいけないというのが実情でございまして、この点につきましては、諸外国のうち、民主主義国で志願兵制を主としてとっておるという国におきましては、やはり相当数の募集担当官をこれに充当しておるという実情があるようでございまして、この点、御指摘のような問題はございますが、募集業務の困難性を御理解をいただきまして、この職員の一人の費用対効果と申しますか、一人の職員が五人ぐらいしか集めていないではないかという御指摘ではございますけれども、非常に困難な業務であるという点、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
○和泉照雄君 それから経費の問題でございますけれども、四千二百人の自衛官の人たちを、人件費をいろいろ積算をしてみますと、家賃等も入れますと百四十三億九千四百二十万円という経費が要るようでございますが、約二万人の人で割りますと、一人に大体七十二万円かかるということで、これも経費のかけ過ぎではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 この直接経費だけを計算をいたしますと、一人頭募集をした人員について四万二千円程度という計算になるわけでございますが、先生のいまの計算の方法で間接経費、人件費等を入れますと、もちろん大きくなってくるわけでございます。しかしながら、地連四千二百名と申し上げましたが、このうち、いわゆる募集広報に専従しております者が約三千名でございまして、あと地連全体といたしましては、たとえば予備自衛官の事務、あるいは就職援護業務等もやっておりますので、必ずしも御指摘のような数字にはならないだろうと存じます。 なお、御参考でございますけれども、諸外国の例、また申しわけございませんが、これは多分アメリカの人件費を込みの計算であろうかと存じますが、アメリカの国防報告等を見ますと、約一万二千名の募集官を活用して、一人募集するのに五千百ドルという数字が国防報告には出ております。したがいまして、どこの国でも自由意思で志願をしてくる者を確保するためには、かなりの広報宣伝経費を要しておるという事実があるようでございます。
○和泉照雄君 それから募集の体制でございますけれども、常時募集というような体制のようでございますけれども、見てみますと三月、四月に約半数が集中をして、あと全国三百十一カ所の募集事務所、募集案内所に割りますと、大体年間に二ないし三人しか募集をしないという非常に非効率的であるようでございますが、この点についても効率ある体制をとることが大事じゃないかと思うんですが、長官どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 私もこの問題、非常に関心持ちまして、地方視察の際に地連に行ったり、あるいは担当の広報官の諸君と懇談会を催したりして、現場の様子の把握に努めているわけでございますが、いま御指摘のように、確かに入隊するのは三月、四月に集中するわけでございますが、たとえば高卒の場合、十月の解禁になりますと、そのときから接触して一人平均数回、常時連絡していないと、せっかく一たん希望した人もほかにかわってしまう場合もあるということでございまして、三月、四月に入隊するからといって、そのときだけ仕事があるということではないわけでございます。また、かつては年三回、四回と時期を分けて募集したこともあるようでございますが、最近の社会情勢におきましてはやはり年間を通じて宣伝もし努力もしないと、やはり良質の隊員を獲得できないという事情もございますので、そういった点もひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、社会情勢が変化しておりますので、十数年前に決まりました通達とかそういったものも一度見直してみまして、社会情勢に適合するような地域的な配置も図り、また、事務所の名称等も明確にして、有効な募集活動を行うようにするためにはまだまだ努力、検討すべき余地が多いと思います。そういった点につきまして引き続き努力さしていただきたいと、さように考えておる次第でございます。
○和泉照雄君 長官に聞きますが、自衛隊員の募集をめぐって各地でトラブルが多発しているようでございますが、どのようにおつかみになっておるか、まずそれを伺いたい。その原因はどこにあり、どのように対処するおつもりか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 自衛隊員獲得のためにトラブルが起こっているというお話でございます。そういった点につきまして私も承知しているわけでございますが、一線の募集に当たっておる諸君の話を聞きますと、やはり良識を踏まえて、志願制に基づく良質な自衛官の募集という点につきまして、非常に良識を持って行動している状況を私は見てきておりますので、これまでに発生いたしましたトラブルのような問題、これはあくまで今後良識を持って対処することによって、そういった事故の発生を防ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
○和泉照雄君 地連を含めて、募集業務に携わっている職員は、先ほど申し上げたとおり四千二百名おりますが、その内訳は制服が三千六百名、事務官が六百名でございます。たとえば七千人の師団でございますと、この募集業務の制服だけで半個師団ができる計算になります。制服が募集業務を行うということは非常にもったいないような気がいたすわけで、また行き過ぎもそういうことからできるのじゃないかと、このように思うわけでございますが、そういうわけで、地域の状態をよく知っておる事務官あるいは婦人自衛官を充当した方がいいのじゃないかと、このように思うのですが、そういう点について長官はいかがお感じになりますか。 また、東京の地連を例にとりますと、東京の募集事務所あるいは案内所というものは繁華街にあるんです。映画館、バー、キャバレーあるいはラブホテルのそばで、新宿の募集案内所は最近殺人がありましたラブホテルのごく近くにあるわけでございますが、こういうことは募集業務としては非常に不適当じゃないかと思うのですが、その点について視察をされたと思うのですが、それらについての所感も含めて御答弁願います。
○政府委員(佐々淳行君) 事務的な問題について、私からまず御説明さしていただきます。 御指摘のように、第一点の制服と事務官の比率は、制服三千六百に対しまして事務官六百でございます。この比率につきまして、先生御指摘のように、地方の実情に通暁した者をできる限り地連業務に使う、あるいは制服の場合の人事配置におきましても、その地元の出身の者をこの業務のために配置がえをしてその影響力を使う等の配慮をいたしておるところでございますが、自衛官の募集に当たっての説得に際しましては、自衛官の募集官がみずからの体験に基づいて話す方が効果的である、こういうことがございまして、現時点においては制服の配置を重点としておるところでございます。 婦人自衛官でございますが、これにつきましては、すでに十九地連、三十四名の配置を行っております。ただ、募集対象が圧倒的に男子の二等陸海空士でございますので、この点、事務的な点の支援はお願いをできますし、また事務所等の関係で婦人用の施設等が伴わないような場合にはなかなか配置しにくいという点もございまして、現在のところさっき申し上げましたような数字にとまっておりますが、この事務の合理化という点で今後、せっかくの御指摘でございますので、十分参考にさせていただきまして勉強してまいりたいと思っております。 次に、市街地広報の問題でございますが、これは確かに四十六年、四十七年、四十八年ぐらいの高度経済成長時代には、いわゆる市街地で肩をたたいて連れてきた者の比率が、四十六年度一四・五%、四十七年度が一七・四%、四十八年度一八・一%とかなり高い率の者を肩たたきによって連れてきておるわけでございます。これは幸い最近大いに努力をいたしまして改善の方途を講じまして、また社会情勢、自衛隊に対する理解の好転等もございまして、今日、五十二年度以降の数字を申し上げますと、五十二年度二・九%、五十三年度二・六%、五十四年度四・一%と減ってきておりまして、大変いい傾向だと考えております。しかしながら、先ほど申し上げました広報宣伝の案内所等、ポスターだとか看板の掲示の場所は、市街地の場合、どうしても目につきやすい盛り場を選ぶということにならざるを得ないかと存じます。私も新宿の募集事務所を視察をさせていただきましたが、先生御指摘のような環境でございます。大変好ましいかどうか、私もどうも余りその点については、胸を張って好ましいと言う自信はございませんけれども、肩をたたいて説得をして受験をした者の今度は採用試験の問題であろうかと存じます。その段階において、良質な隊員を確保するように努めることによって何とかこの問題点は、少なくともマイナスをできるだけ少なくしてまいりたいと、かように考えております。
○国務大臣(大村襄治君) ただいま政府委員からお答えしましたような実情でございます。 御指摘の、制服が多過ぎるじゃないか、制服は募集よりも本来の部署につけるべきじゃないかと、この点は、確かにごもっともな御意見でございます。ただ、やはり現実の募集事務に当たる場合には、制服の者が体験に基づいて訴えるという方が説得力があるという現実もあるわけでございます。事務官なり婦人自衛官の有能な人を逐次ふやして制服の方をできればだんだん減らすと、そういったことを今後検討さしていただきたいと思います。 また、募集事務所等で、場所柄不適当なところもあるではないかという御指摘もございますが、そういった点の改善につきましても、引き続き検討さしていただきたい、さように考えている次第でございます。
○和泉照雄君 やはり増員の計画をされ、また、今後もそういう傾向にあろうかと思いますが、制服の自衛官であるとどうしても、肩たたきという問題がありましたけれども、強引な勧誘が多過ぎるのじゃないか。そういうことでトラブルが起こる。それよりはやはり事務官の地域の実情をよく知っておる人たちにそういうようなことをさした方がいいと思うんですが、再度、やはり時も変わっておるのですから、新しい観点で募集体制を見直すというような観点から御答弁を願います。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 これまでやってきましたものを検討いたしまして、最近の社会情勢等もにらみ合わせまして今後進める道を、ただいま御指摘の点も含めまして、検討さしていただきたいと思います。
○和泉照雄君 行管庁長官にお尋ねをいたしますが、いまいろいろと質疑の中で、機構の不備、人員の配置の非能率、こういうようなことが目立ってきたわけでございますけれども、行管庁長官も防衛庁長官をおやりになっておりましたが、そういうことも含めて、そしてまた行管庁は、防衛庁関係の行政監察というものは昭和三十九年以来行われていないわけでございますが、中期業務見積もりを見ますと、この募集業務というのは重点事項に位置しておるようでございますので、行管としては当然注目をしなければならないところかと思いますが、そういうことから自衛隊員の募集業務の現行のあり方、実態に対してこの際行管庁は行政監察をすべきじゃないかと思うんですが、御所見を承りたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの機構及び募集の問題につきましては、たとえば食糧事務所あるいは出張所というようなものを廃止、整理している折からでございますから、官庁相互の間においても整合性を持たせることは望ましいと思いますので、防衛庁においてしかるべく善処していただいた方がいいと、そう思います。 なおまた、監察につきましては、募集ということだけで監察するにはちょっと要件が小さ過ぎるのでありまして、防衛施設庁全般とか、あるいは物品の購入とか、やるとすればもっと大きなポイントについてやるべきであると思っています。いまの点につきましては、しかし御指摘の点が私も妥当であろうと思いますので、防衛庁においてしかるべく善処されんことを期待しております。
○和泉照雄君 防衛庁の関係はこれで質疑は終わりまして、あと経企庁、この関係の質問に入ります。 第二次総合経済対策についてお尋ねをいたします。景気の動向については、昨年から先行き見通しの厳しさが言われながら、政府は第二次総合経済対策を打ち出すまで何ら有効な対策を出せなかったわけでございますが、第二次総合経済対策によって民間企業及び消費者にこの先の景気の明るさが希望できるのでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先般の経済対策でございますが、民間の経済が相当停滞をしておりまして、特に個人消費が落ち込んでおります。それから民間住宅が伸び悩んでおる。こういう状態を背景に、中小企業の経営が大変苦しくなっておる、何とかしなければならぬというので一連の対策を立てたわけでありますが、政府の方はこの対策によりましてことしの夏以降民間の経済が活力を回復をいたしまして、そしてたとえば民間の設備投資等が計画どおり、政府の見通しどおり進んでいくということを期待をしております。ただしかし、いろんな制約がございますので、たとえば財政につきましては財政事情が大変苦しいとか、あるいは物価につきましてはある程度物価は安定の方向に行っておりますけれども、しかしなお政府の計画しておった時点から見ますとその安定の仕方が不十分であると、こういう制約がありまして、内容が直ちにこれが民間経済に作用すると、そういう強力なものではない。しかしながら、世界経済もことしの下半期以降だんだんと回復の方向に向かうという見通しも出ておりますので、そういう世界経済との関連におきまして、ことしの夏以降、景気が民間経済を中心に回復することを期待しておるというのが今度の政策の目標でございます。
○和泉照雄君 昨年の九月の五日に第一次の総合経済対策が打ち出されたわけで、そのときも相当に期待をされたわけでございますけれども、半年後の今度また第二次が出されたわけですが、内容を見てみるとほとんどかわりばえがしない。そういうことから、これは政府の経済対策に、またその運営に何か手違いがあるのじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) いま世界経済は非常な混乱期にありまして、特に昨年は第二次石油危機が進行しておるところへもってきまして、イラン・イラク戦争が勃発をする、異常気象が続くと、こういうことがありまして、残念ながら計画どおり経済政策が展開できなかったのでありますが、しかしながら石油事情もおおむね安定の方向に行っておると思います。 先ほどもちょっと申し上げましたが、世界経済も昨年の下半期が最悪の状態であったと思いますけれども、これからはだんだんと回復の方向に行くであろう、こう思いますので、第二次石油危機の混乱が次第に吸収される、そういう過程にありますから、その過程の中において日本経済を軌道に乗せていく、こういう考え方でございます。
○和泉照雄君 次は、日銀総裁、御苦労さんでございます。 お尋ねをいたしますが、昨年九月の第一次総合経済対策の第二項目に、「金融政策の機動的な運営」が言われておったわけでございますが、その後の経過を見てみますと、機動的な運営ということは全く見られないで、景気の落ち込みがさらに深くなったような感じがいたすわけでございます。私は、公定歩合の引き下げは日銀の権限であり、もう少し早くやるべきであったと思うのでありますけれども、どうもタイミングをずらしたのは大蔵省と郵政省の金利引き下げの調整のおくれが原因であったような気がいたすわけでございますが、その辺の事情はいかがでしょうか。
○参考人(前川春雄君) 昨年の夏以来、私ども日本銀行といたしましては、金融政策のそれまでの引き締め政策を緩和してまいりまして、八月以来そういう緩和政策を推進しておるわけでございます。公定歩合は八月と十一月に二度下げましたし、預金準備率も十一月に引き下げをいたしました。また、量的な面におきましても、いわゆる窓口規制は、昨年の十−十二以来、量的な緩和もしておるつもりでございます。そういう意味におきまして、そのときどきの状況に応じた機動的な運営ということをしておるつもりでございます。今回の公定歩合引き下げ、あるいは預金準備率の引き下げというのも、そういう考え方に基づいてやっておるわけでございます。 調整がおくれたのではないかということでございますが、金利政策は公定歩合を下げればそれで済むということではございませんで、公定歩合を下げることによりまして金利水準全般が下がるということが経済政策としては必要なわけでございます。金利が自由化されておりますればその必要はないわけでございまするけれども、現状におきましてはまだ規制金利でございまするので、金利水準を全般的に下げるためには金融機関のコストが下がらなければいけない。そういう意味で、預金利率が下がるということがまた必要になってくるわけでございまするが、御承知のように金融機関、郵便貯金、その他預金を扱いまするところは非常に多いものでございまするから、その金利を下げるに当たりましての若干の調整が必要であったというふうに思います。 機動的な運営ということはこれからも私ども心がけてまいるつもりでございまするが、金融政策、金利政策につきましては、いま申し上げましたようないろいろの制約がございまするので、そういう制約をできるだけ除去をしてまいることが、機動的な金融政策のためにはぜひ必要であるというふうに私も考えております。
○和泉照雄君 今回の公定歩合の引き下げも、最初は巷間伝えられるところは〇・七五という数字であったわけでございますが、それが一・〇になったそこらあたりの経緯はどういうことなんでしょう。
○参考人(前川春雄君) 前にも私の考え方を申し上げましたけれども、公定歩合、金利政策につきまして非常に早くからいろいろの憶測記事が出るわけでございます。そういうふうに臆測記事が出ますと金利引き下げをいたしましてもその効果が薄れる、あるいは金利が下がるということならば借り控えをするというような動きもございますし、そういう意味でそういうふうな憶測記事が事前に書かれることは、非常に私どもの金融政策遂行上は障害になる点でございます。 そういう中で金利政策を機動的に運営してまいりまするためには、先ほど申し上げましたように、金利水準が全般的にできるだけ早く下がるということが大事でございまするので、そういう前段階におきまして、預金金利あるいはその他長期金利についてもどういうふうな見通しで下がるだろうかということについてのある程度の見きわめをつけなければならない。また、最近は金利の引き下げということが内外の資本移動に非常に大きな影響を持つわけで、国際的な資本移動というのは非常に大量の金が動くようになりましたので、内外の資金移動というものにとういうふうな影響があるかということもある程度の見きわめをやはりつけなければいけないということで、多少の時間がかかるわけでございます。その際に〇・七五にするとか一にするとかいうようなことは、いま申し上げましたような金利水準全般が下がるような、そういうその他の要件というものをあわせて判断いたしますので、私どもは公定歩合の引き下げを決定いたしまするときは、物価、為替、景気全般にわたりまして、そういう三要素を総合的に判断していたしまするので、必ずしも〇・七五ということだけで考えているわけではございません。
○和泉照雄君 前川総裁は御苦労様でございました。これで終わります。
○委員長(木村睦男君) 前川総裁には、大変御苦労様でございました。御退席なさって結構でございます。
○和泉照雄君 次は、長官にお尋ねをします。 さらに、住宅建設の促進についても総合経済対策では、昨年の九月に打ち出してあるわけでございますけれども、その後の経過は住宅建設の促進どころではなくて、停滞、後退のような状態でございます。今回の対策については、住宅資金の貸し付け限度の増額、ローンの金利の引き下げなどを言っておるようでございますけれども、ここで問題なのは、宅地の供給を確実に推進するという政策の裏づけがないところに困難性があると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 住宅の問題は、いま御指摘がありましたとおりでありまして、非常に深刻な背景があります。 まず一番大きな問題点は、宅地が非常に高くなっておる。しかも手に入りにくいということ。それから、建築費がやっぱりある程度上がっております。それから、住宅金融のコストが非常に上がっておるということ。所得が伸び悩んでおる。こういう幾つかの背景がありますが、しかし何といたしましても一番大きな問題は土地問題だと思います。 今度、建設省が第四期住宅五カ年計画をいまつくっておられるわけでありますが、この場合も、やはり土地の問題をある程度見通しを立てませんと絵にかいたもちになるであろうと、このように私ども心配をしておりまして、御指摘のごとく土地問題を抜本的に解決をいたしませんと、日本におきましては住宅問題は計画どおり進まないということでありますが、今回の対策におきましては土地問題の取り扱い方が不十分であるという御指摘はそのとおりだと思いますが、この問題につきましては第四期五カ年計画と並行いたしまして抜本的な対策が私は必要であろうと、こう思っております。
○和泉照雄君 景気の停滞の最大の原因は、個人消費の伸び悩みであるということはもうはっきりしておることでございますが、政府は物価が安定をすれば即消費がふえるという、こういう考え方のようでありますけれども、私はそうではなくて、やはり物価が安定をして生産が増大をして勤労者の所得が増加することで消費が伸びると、こういうふうに思うわけでございますが、政府はこの総合経済対策で個人消費が伸びると、このように確信をされますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 個人消費の問題につきましても、私はいまの御意見と全く同じ意見でございまして、物価が安定をするということは消費の拡大をする一つの背景ではあります。しかし、一方で所得が伸びませんとこれは思うように個人消費は拡大をしない、当然のことでございます。 そこで、所得をどのようにして伸ばすかということでありますけれども、やはりこのためには経済が活力を持つということ。所得を伸ばし得るような、そういう経済でなければならぬということ。それから、いま技術が日進月歩の勢いで進んでおりますので、生産性の向上ということが非常に大きな課題になっております。生産性の向上を超えて賃金が上がるというような場合には、これはもう当然インフレにもなりましょうから、やはり生産性の向上を最大限伸ばしていくということのためにはどのような投資が必要か、こういうことがその前提になろうかと思います。 そういうことを考えながら、やはり所得をいかに伸ばすかということが物価の安定と同時に消費を伸ばすその前提条件であると、こういう考え方でございます。
○和泉照雄君 私は、この経済対策を見ても、個人の消費が拡大をするということは非常に疑問であるというような感じを持つわけでございますが、物価が安定して金利が下がったからといって、やはり勤労者は実質賃金がマイナスでございますので、この一年間は非常に苦しいと思うんですが、そういう状態の中で個人消費が伸びるとお思いになりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) そこで、個人消費が伸びるためには、先ほどもお触れになりましたが、一つは物価の安定ということがもう第一の条件でありますが、第二は、所得がどの程度伸びるかということが当然その大きな第二の条件になろうかと思うんです。その所得を伸ばすためには一体何が必要かということについて、先ほど申し述べたとおりでございます。
○和泉照雄君 個人消費の拡大の確かな政策は、いまわが公明党を初め各野党が要求した所得税の減税でございますが、これは七月にならないと確定をいたしませんが、もう一つの有効な対策としては、勤労者等の賃金のアップがあろうかと思います。この春闘でのベースアップについて、政府は決してこれを抑制するような態度はとるべきではないと私は思いますが、新聞等では、若干この前の閣議等では論議があったようでございますが、昨年はベースアップが低かったために実質賃金がマイナスになりまして、一方、企業の利潤が大幅にアップをして、今年度は適正な賃金上昇を確保して消費の拡大を図るべきではないかと思いますけれども、長官の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) ベースアップの問題は、これは労使双方で協議して決めることになっておりまして、政府部内におきましてこれを抑制するとか、そういうふうな議論は全然ございません。 ただ、先ほども申し述べましたが、やはりある程度の高いベースアップを期待するためには、経済は力を持たなきゃならぬ、それと生産性の向上が進むということがその前提条件でありますから、やはりその前提条件を整備しないで経済の実情から遊離したベースアップが行われますと、これはもう当然インフレになりますから、経済全体にとってはよくない効果が出てくる。したがって、政府といたしましては、先ほど申し上げました経済の活力を維持拡大をするということと、生産性の向上のための投資を引き続いて行うような、そういう条件をつくり出していくということ、それを心がけております。
○和泉照雄君 では、経済対策によって景気の回復はいつごろだとお見込みですか。私は、いろいろいままでの答弁を聞いておりますと、昭和五十六年度の実質成長率五・三%、この達成は非常に困難だと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し述べましたが、いまの時点が第二次石油危機の悪い影響が全面的に広がっておるということで、世界経済が一番落ち込んでおる私は時点だと思います。日本を除きますと、OECD、先進工業国全体がマイナス成長である、こういう状態でありますが、昨年十二月にOECDで出しました経済見通しては、ことしの後半以降だんだんと回復をいたしまして、ことしには少なくともある程度のプラス成長になる、来年の上半期は二%成長、さらに下半期は三%成長と、こういう見通しを立てております。日本経済も世界経済の一環でありますから、そういう動きの中にだんだんと回復をしていくと思いますが、幸いにいまのところは、日本だけの経済を見ますといろいろ問題があるのですけれども、世界全体の経済と比べてみますと比較的順調にいっておる方ではないかと、このように考えておりますが、五十五年度は、中身は変わっておりますが、実質四・八%経済成長は十分達成できると、こう思っております。 そこで、五十六年度五・三%成長は無理ではないかというお話でありますが、世界経済全体が回復するその中におきまして、政府といたしましても、いろいろ今後も機動的な経済運営をすることによりまして、やはりこの程度の経済成長はぜひ達成をしたい、またやり方いかんでは十分可能である、雇用問題を解決することも必要でございますし、わが国の経済の国際競争力を維持することも必要であると、そういう観点から、この程度の成長というものは達成する必要もありますし、その可能性も十分あると考えまして経済見通しを策定したわけであります。
○和泉照雄君 次は、厚生大臣にお尋ねをいたしますが、ことしは国際障害者年でもありますし、またこれからいよいよ老齢化社会を迎えて、来年の秋には国連の主催による老人問題世界会議がウィーンで開催をされる運びとなるなど、私たちは老人問題に真剣に取り組んでいかなければならないと思います。 そこで私は、この機会に老人問題、なかんずく痴呆老人問題を取り上げて若干質問をしたいと思います。 まず——厚生省、総理府は来ていらっしゃいますか——総理府の方にお伺いをいたしますが、六十五歳以上の老人人口は昭和五十五年ではどのぐらいになっているのか、また六十五歳以上の老人の将来人口はどのようになると予測をされるのか、簡単に説明をしてください。
○政府委員(島村史郎君) 昭和五十年の国勢調査を基礎にいたしました昭和五十五年十月一日の六十五歳以上の人口は千六十五万人でございまして、総人口の約九%でございます。 人口推計につきましては、厚生省の方からお答えいたします。
○政府委員(山下眞臣君) いずれも厚生省の人口問題研究所の推計でございます。 十年後の昭和六十五年六十五歳以上人口一千三百九十一万人、総人口に占める割合一一%、三十年後の昭和八十五年六十五歳以上人口二千三百十万人、総人口に占める割合一六・八%、五十年後の昭和百五年六十五歳以上人口二千四百五十五万人、総人口に占める割合一七・六%という推計でございます。
○和泉照雄君 次にお尋ねをいたしますが、痴呆老人というのはどういう老人をいうのか、また寝たきり老人とどう違うのか、簡単に御説明を願いたいと思います。 厚生省では老人性痴呆症と言ったり痴呆老人と言ったり、医学用語では老年性痴呆と言ったり、用語が統一性がないようであります。今国会では障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案要綱も提出されているようでございますが、現在、不快用語を排除するという見地からこの用語を統一する必要があると思いますが、所見を伺いたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 行政面で定義はいたしておりませんが、老年痴呆という医学用語を私どもは使用いたしておりまして、加齢によりまして起こりました痴呆を中心とする精神障害につきまして、医学上老年痴呆と言われているものにつきまして、私どもはその言葉を使用いたしております。 それから、寝たきり老人につきましては、老衰あるいは病気、けがなどで日常生活がほとんど寝たままの状態にあるという者につきまして、寝たきり老人というふうに行政上使っているわけでございます。 したがいまして、老年痴呆でありまして寝たきり老人の方もあれば、寝たきり老人で老年痴呆でないというふうな方もおられるわけでございます。
○和泉照雄君 用語、不快用語の……。
○国務大臣(園田直君) ただいま不快用語の提案を国会議員の方々の御意見に従って出しておりますが、これは入っておりません。この言葉は学術用語として国際的に使っておりますので、不快用語とは考えておりません。
○和泉照雄君 そうなると、どういうふうに統一されるんですか。
○政府委員(大谷藤郎君) 国際慣例に従いまして、医学用語の老年痴呆というのを使用いたすつもりでございます。
○和泉照雄君 いまも説明がありましたように、こうした老年痴呆老人を抱えた家族の苦悩は本当に深く、そうした家族からの相談にあずかる各施設や地方自治体などの関係者の苦悩ははかり知れないものがあります。ささいなことで暴力をふるったり汚物をまき散らしたりというようなことで、家族は振り回され、ある意味で言えば寝たきり老人よりもむしろその取り扱いがむずかしいとさえ思われる老年痴呆老人もおられるなど、政府の手によって本人並びに家族の苦悩が一日も早く解決されるように強く要望するわけでございますが、さて、この一月には朝日新聞、毎日両紙に相次いでこれは新聞に載った言葉でございますが、ぼけ老人という特集が、記事が載っておりました。関係者の方から伺いますと、家族からの問い合わせが殺倒するなど大変大きな反響を呼んだようでございますが、さて次に、この老年性痴呆の方々のいわゆる寝たきり老人について、それぞれの人々に対するその出現率と将来の予測について説明をし、あわせて昭和五十六年度政府予算における老年性痴呆老人対策予算があれば答えていただきたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 老年痴呆の実数につきましては調査がはなはだ困難でございますが、一応従来からの学問的な研究調査結果から、老年痴呆の出現率は六十五歳以上の人口につきまして一%というふうな推計がいたされております。それによりますと、昭和五十五年では十万七千人の老年痴呆の方がおられる。昭和六十五年には十三万九千人というふうに推定いたしているわけでございます。 なお、老年性痴呆につきましての予算でございますけれども、この老年性痴呆の予防あるいはケアといったふうな問題につきましては、公衆衛生、医療、福祉、各分野でそれぞれ行っておりまして、老年痴呆対策だけを取り上げて予算額を見るということは非常に困難でございます。一応、関係した予算全体の中、二千四十億、公衆衛生、医療、福祉の老年関係の予算の中で行われているということで御了承願いたいと思います。
○和泉照雄君 たしか東京都の調査によりますと、老年性痴呆の出現率は四%ということで、少し一%というのはパーセンテージが低いような感じがするわけでございますが……。 そのほかに、予算の関係はいろいろの予算の中に入っておるという御説明でございましたけれども、老年性痴呆で元気な痴呆老人の方々の対策というのは全然ないと思うんですが、大臣いかがですか。
○政府委員(大谷藤郎君) 先生、もう一度ちょっとおっしゃってください、いまの御質問。ちょっとよく趣旨がわからなかったものですから。
○和泉照雄君 パーセンテージがあなたは一%と言ったけれども、四%という東京都の話がある。それから、予算の問題もね。
○政府委員(大谷藤郎君) 老年痴呆の定義は非常にむずかしくございまして、一応加齢現象によりまして精神機能が低下しているのを一応痴呆というふうに医学的には総称しているわけでございますけれども、これに伴いまして人格欠損あるいは排回あるいは幻覚、妄想といったふうないろんな症状が出てくるわけでございまして、それをどの程度の線で引くかというのは非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、従来の老年性の、そういった器質性の精神障害等も含めますと四%あるいは五%という数字も出ますのでございますが、私どもの考え方では、こういった精神症状を伴ったものを老年性痴呆という学会の考え方に従っておりまして、それによりますと一%ということになるわけでございます。 なお、予算につきましてでございますが、特に老年痴呆のこういった問題の重要性にかんがみまして、昭和五十五年度では約千八百万円でこの予防、治療、そういった問題の研究をやっているわけでございまして、五十六年度につきましても全体研究費が定まりました段階におきまして、大体同額の研究を実施したいというふうに考えているわけでございます。
○和泉照雄君 そこで厚生大臣に提案を申し上げたいと思いますが、厚生省では寝たきり老人についてはともかく、老人性痴呆については十分な調査をなすってないようでありますから、昭和五十六年度予算においても寝たきり老人短期保護事業の充実として一億八千万円が計上されているものの、痴呆老人対策として立てられた予算は残念ながら見当たっておらないわけでございます。実態調査のないところ当然その予算がつくはずはないのでありまして、東京都は昭和五十六年の予算において痴呆老人対策の一環として、各種事業のために九百万円を計上して具体的対策に取り組んでいるのでございます。そこでこの痴呆老人問題について今後どのように取り組んでいくべきか、痴呆老人の実態に照らして幾つかの提案をしてみたいと思います。 その第一は、痴呆老人を病院に連れていきやすくして、老人の心身両面にわたる診察と治療が行われ、家族や本人のショックをやわらげるように、病院に精神科とは別に老人科あるいは老齢科という診療科を新設すべきであると思います。 第二点には、東京都と同様に、行政の窓口や施設の職員に、ホームヘルパー、介護に当たっていられる家族など幅広い人を対象にした痴呆老人についてのテキストの作成をするほか、特別養護老人ホームに痴呆老人のための特別棟を建設するなどの施設についての調査研究に着手するように、政府としては前向きに取り組むべきであると思うのでございます。 第三点は、痴呆老人は特別養護老人ホームには二ないし三割、養護老人ホームには一割と言われております。こうした現状からも、これら施設にぜひ精神科医を置いてほしいという声があるのでありますが、政府としては十分に前向きに取り組んでいくべきであります。 第四には、千葉医大や愛知や大阪の病院や老人家族相談室の例にならって、全国各地の施設や自治体に「ぼけ」——これはそういう名前でございますので、「ぼけ一一〇番」とも言うべき電話を設置し、家族の悩みに適切に答えていくことができるようにするとか、第五には、政府としてはとりあえず国立病院に痴呆老人短期保護事業のためのベッドを新設し、将来の拡充を図っていくようにしてはどうかと思うのでございます。 以上の五点にわたって提案を申し上げましたが、厚生大臣としては十分の御検討の上、ぜひとも一つでも実行に移されるように望み、最後に痴呆老人問題に対する大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 五つの点を提案をされましたが、いずれも非常に有力な御提案であります。 まず、病院の診療科に老人科を設けるという点でございますが、これは分類が非常に困難ではありますけれども、その診療科が必要であるかどうか、関係学会の意見も十分聞きました上で検討したいと考えます。 次には、全国の特養老人ホームに精神科医を配置してはどうか、こういうことでございますが、この点はいまも注意しているところであり、また特にいまの問題等も勘案をいたしまして、ないところもございますから、十分検討をいたします。 次に、三番目は、相談口というか、窓口をつくったらどうか、一一〇番に似たようなものをと、こういう御意見でありますが、これもまさに非常に大事な問題で、この老人痴呆というものに対するまとまった的確なあれがございませんから、そういうものはこれにこたえる対応策の端緒になると存じますので、この御提案も十分検討いたします。 なお次に、東京都でやっているように、短期保護事業のためにこの専門のベッドその他をつくってはどうかと、こういうことでありますが、これはなかなか国立病院の性格からいっていろいろ問題があるとは存じますが、事務当局にまず検討をいたさせる所存でございます。 なお、老年性痴呆症に関しては、厚生省自体も、御指摘のとおりになかなか分類、限界等も困難でありまするから、ほかのものとまぜてやっておるわけでありますが、そこに非常にすき間もありますし、それからこのために一般の寝たきり老人よりも非常に家族は困っておりまして、しかもこれは単に困るというだけではなくて、いろいろな危険な状態だとか、あるいは他人に対する御迷惑とか、いろいろあるわけでございますから、これに対しては早急に検討いたします。
○和泉照雄君 大臣、テキスト……。
○国務大臣(園田直君) これは「恍惚」という本が出ましてから、これに対する一般の方の知識が出たようでありますが、もうそれも下やみなりまして、家族あるいはその他の一般の世間の方々にこの問題理解してもらうことは必要でありますから、これも十分検討いたします。
○和泉照雄君 最後……。 官房長官に、最後の質問になろうかと思いますが、今月の四日に、米上院軍事委員会の公聴会で、ワインバーガー国防長官の発言の中で、「米国の軍備強化と並行して、同盟国にも分担を求めることは、レーガン政権の軍事政策の重点目標」であるとの基本的態度を明らかにしておりますけれども、これは外務省としてはどのような認識をお持ちでしょうか、お聞きしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国政府のそのような方針は、いわば一般的な、レーガン政権がそのような努力を今後ふやしていくとともに、友邦国に対して同じような努力を要望したいという一般的な方針と承知をいたしております。
○委員長(木村睦男君) 以上で和泉君の一般質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、村沢牧君の一般質疑を行います。村沢君。(拍手)
○村沢牧君 衆議院は去る二十日、武器輸出問題等に関する決議案を全会一致で可決をいたしました。この決議案の後段に、「よつて政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。右決議する。」このようになっているわけであります。「制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。」という中身には、私は武器輸出禁止法の制定をも含んでいる、そのように理解をしますが、まず、官房長官の見解を示してください。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
○国務大臣(田中六助君) 私ども国会の決議をもちろん尊重しなければなりませんし、私どもそれ以前も、政府の三原則とそれから政府方針ということで、武器問題については対処してまいりましたが、今回の決議で制度上の改善も含めた措置をとれということでございますので、そのようにこれからも十分、いままでの政府方針、三原則を含めまして検討していきたいというふうに考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 主たる所管大臣であります通産大臣がただいまお答えになりました、それが政府の態度でございます。
○村沢牧君 私の質問に答えておらないんですけれども、私はこの決議案の内容には武器輸出禁止法の制定も含む、このように理解するかどうかという質問に対して答弁になっていません。
○国務大臣(田中六助君) 武器輸出禁止法を含むということでございますが、私どもはあくまで「実効ある措置」ということを考えておりまして、通産省の中に委員会を、大蔵省もまた特別の措置の委員会をつくっておりますし、また大蔵省と通産省の間に連絡協議会もつくって、国会の意思に沿ってまいりますということが、現状の段階では言い得るものだというふうに考えております。
○村沢牧君 この決議案を全会一致で議決をする前に、たとえば社会党の案には、武器輸出禁止法の制定をも含む新たな制度上の改善を行うべきである、こういうふうになっておったわけでありますけれども、与野党の協議の結果、制度上の改善を含め実効ある措置を講ずるの部分には、法改正も含む、このことを確認をして国会決議になったわけなんです。そのことを承知していませんか。
○政府委員(古田徳昌君) この決議案作成の過程で各党からいろいろな案が出されたと承知しておりますが、結果的には先ほど先生御指摘のように「政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。」というふうになっているわけでございまして、私どもとしましては、このでき上がりました決議の内容に沿いまして努力を続けていきたい、この文言のとおりに受け取りたいというふうに考えております。
○村沢牧君 その文言のとおりに解釈するとしても、この文言の中には武器輸出禁止法の制定も入っているんだと、このように私は理解するんですが、どうですか。
○政府委員(古田徳昌君) 先ほども御説明しましたように、この作成の過程では、法律問題の取り扱いについてどうするかというような御議論もあったというふうに承っておるわけでございますが、でき上がりました決議の内容につきましては、制度上の改善を含め実効ある措置というふうなことになっておりまして、私どもとしましては、これに基づきまして、現在の制度のもとで最善の努力を尽くしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○村沢牧君 それでは政府の見解としては、武器輸出禁止法の制定ということには政府は考えておらない、そういうことなんですか。大臣。
○国務大臣(田中六助君) 私も国会の中で、ただいま衆議院議長が申し述べましたその決議を尊重してまいりますということをお答えいたしましたが、私どもとしては制度上の改善も含めた実効ある措置をあくまでとるべく努力していきたいというふうに考えます。
○理事(古賀雷四郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(古賀雷四郎君) 速記を起こして。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお尋ねのような経緯につきましては、私、当該委員会あるいは理事会に出席いたしておりませんので、私自身はつまびらかでございませんが、ただこれだけの決議を院がお決めになりましたのにはいろいろな事情を慎重に御判断の上なされたことに相違ございませんので、政府としてはここにあらわれました文言を忠実に守るということが大切なことであろうと思います。
○村沢牧君 恐らくこの衆議院の段階において、与野党が合意をする段階においては、官房長官なりあるいは副官房長官なりが出席していると思いますが、官房長官は知らないということでありますから、これは委員長の方で後ほど取り扱っていただいてはっきりさせてもらいたいと思います。 そこで、通産大臣ですね、この決議案が出る背景には、御承知のように議長裁定があったわけです。武器輸出禁止法の問題については各党も協議して今国会終了までに結論を出すという議長裁定に基づいてこの決議案が出された。決議案ですべて終わったというわけじゃないんですが、したがってここに議長裁定に武器輸出禁止法の問題についてははっきりうたってありますから、決議案の中には当然武器輸出禁止法が含まれると、そういう理解しか成り立たないんですが、どうなんですか。
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。 ここに院の決議で最後に、「よつて政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ず」るとありますので、私どもはこの政府がどうするかということはやはり制度上の改善を含めて実効ある措置をとって次々に行こうということでございまして、内容の中に立ち入って、いまはっきり御質問に対してそれは武器輸出法を含むというようなことは現在の段階では言えず、むしろ政府はこれこれこれしろということで私もその決議を尊重するということできておりますので、それにつきましては、それぞれの党のこともありますし、私どもも自由民主党という私どもの母体を控えた政府の態度というものは、やはり党の一つの取り決めということを重点的に考えなければなりませんし、あなたのおっしゃるような武器輸出を含むというようなことは私どもまだ十分それを聞いておりませんし、もう一度どうしてもおまえ何とかこれをしろと言えば党に言って確かめる以外にはないんじゃないかというふうに思っています。
○村沢牧君 それでは、通産大臣として政府として、私がいま質問しているこの制度上の改善については武器輸出禁止法も含むんだと、あるいは含まないんだと、この結論出すのはいつ出してくれますか。
○国務大臣(田中六助君) 制度上の改善を含めた実効ある措置をとりなさいということでございますので、これからそういう実効ある措置をそれぞれの、私どもも委員会を持っておりますし、大蔵省との連絡協議会もただいま申しましたようにありますので、そこでずっと検討していきたいというふうに考えております。
○村沢牧君 田中通産大臣は、衆議院の予算委員会あるいは商工委員会で、武器輸出を法律で取り締まるより現在の制度を強化していけばいいというような発言をしております。さらにまた、三月九日、本院の予算委員会でも、本音を言えば現段階では法制化は必要ないと思う、こういうふうに述べておられますが、国会決議が行われた今日においてもこの気持ち、考え方に変わりありませんか。
○国務大臣(田中六助君) 私どもは、武器輸出三原則と政府方針というものにのっとって、それからまた今回の衆議院の決議も踏まえまして、いままでの貿管令に基づく政府の承認事項、それから大蔵省の税関におけるチェック、それに違反すれば罰則があるという、一つの流れのそういう道行きを経ていままでどおり行けばいいというふうに、あるいはまたそれの実効ある措置を講ずることが頭の中にあると同時に、そういうことを踏まえていけばいいのじゃないかというふうに考えます。
○村沢牧君 重ねてお伺いしますが、いままで答弁があったこととは変わってない、国会決議があっても変わってない、法制定はしなくていまの制度を強化していけばいいんだと、そういうことなんですか。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(田中六助君) 私どもは、いま貿管令に基づく申請のチェックから、先ほど申しましたように税関におけるチェック、それから罰則、それからそれらを含めました実効ある措置をとっていけばいいんじゃないかというふうに思っております。
○村沢牧君 いままで政府は貿管令によって武器輸出を禁止してきたわけでありますが、堀田ハガネの例に見られるように、貿管令や外為管理令だけでは厳正な規制ができない、このことは事実が証明しているんです。一体貿管令だけでできるんですか。調査の実態と現実をはっきり示してください。
○国務大臣(田中六助君) 堀田ハガネの事件につきましては、私ども通産省でも検討し、また防衛庁にも例の品物を委託しまして検討を頼みました結果、これはクロであるという断定をいたしまして、法務省を通じまして神戸地検へその旨を報告しております。
○村沢牧君 そんなこと聞いてるんじゃないですよ。いままでの貿管令で取り締まりができるかどうか聞いているのです。
○国務大臣(田中六助君) 堀田ハガネ事件は御承知のように、ただいま私が申しましたような結果が出て、これは私ども遺憾なことでございますが、御承知のように、私どもの貿易関係全部をチェックするという体制ではございませんし、申請のあったものを、これを許可する、しないということからスタートして、またそれを税関でチェックし、それでもどうにもそれが不正であれば罰則を加えるという段階でございますし、これからも十分国会の決議を踏まえましていかなければならないというふうに考えております。
○村沢牧君 通産省にお聞きをするけれども、輸出許可をする品目の件数は年間何件ぐらいあり、しかもそれはチェックが厳正適確に行われているというふうに判断しますか。
○政府委員(清水汪君) 通関の統計で申し上げますと、輸出申告の件数は、たとえば昭和五十五暦年の場合には約四百五十万件でございます。 税関におきましては、ただいま通商産業大臣から御説明のございましたとおりでございまして、関税法に基づきまして、他法令の確認ということを仕事としていたしております。したがいまして、個々の輸出申告を受けました際に、たとえば輸出貿易管理令による承認を受けているかどうか、要するかどうかというような点についてはチェックをすることにいたしております。もちろんそれだけではございませんで、貨物本来の、たとえば品目の適否というようなことも本来の税関の業務といたしまして確認をして仕事をやっていくということでございます。
○村沢牧君 いま、年間四百五十万件もあるという答弁でありましたが、こんなに膨大な輸出の件数に対して、これを適確に調査をし、規制をしていくという機能があるのかどうか、現実は行われているのかどうか、通産、大蔵、これは両方から答弁してください。
○政府委員(清水汪君) 件数は御案内のとおり年年ふえております。と同時に、わが国が貿易によって立っているということは申すまでもないところでございますし、昨今の国際化という要請の中で、私ども税関といたしましては適正にして円滑、迅速な処理をすべく全税関を挙げて努力をしておるつもりでございます。 しかしながら、一方では、御案内のとおり、行政改革というような要請もございまして、そうした両方の要請の間にありまして、やはりこれは極力仕事の合理化、効率化、重点化というようなことを努力をいたさねばならないわけでございまして、従来からもその点につきましていろいろと努力をしてきているところでございます。 今後におきましても、今度のこういう教訓を生かしまして、やはり問題の重点、軽重ということをよく見きわめましてその趣旨の徹底を末端まで図りながら最善の努力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
○政府委員(古田徳昌君) 現在の武器の輸出につきましては、輸出貿易管理令の規定に基づきまして、まず第一に通産大臣の承認が要るという形になっております。その承認の申請がありますと、三原則あるいは政府方針に基づきましてこれを厳格に判断するわけでございますが、さらにそれに続きまして、通関のときに税関が承認の有無等につきまして確認をするという手順になってまいります。こういう手順で進められるわけでございますが、この通産大臣の承認を受けずに輸出した場合には、当然のことながら外為法上の厳格な罰則の適用があるという姿になっているわけでございまして、これにつきまして、この手続が実効ある形で行われるように、私どもとしましては、まず第一に通関段階におきまして輸出貨物について疑義が生じた場合には税関が通産省と必要に応じて協議をするということにしております。 さらに、第二としまして、輸出者が輸出貨物の承認の要否について、つまり承認が要るかどうかということについてはっきりしない場合につきましては、通産省の方に輸出承認の不要証明書の発行を申請するという形にしております。そこにおきまして私どもの方としましてもチェックをするということでございます。 さらに、第三としまして、必要に応じまして関係業界の指導、輸出注意事項の公表等を行いまして法令の厳正な運用に努めているわけでございます。 従来からこういう形で進めてきたわけでございますが、今回の武器輸出問題に関する決議を踏まえまして、私どもとしましては、さらに関係行政機関相互間の連絡体制の充実、強化とか、あるいは関係業界に対する周知徹底、指導、さらに輸出承認審査体制の充実、強化、税関における輸出審査体制の充実、強化等々につきましてきめの細かい措置を検討し、打ち出していきたいというように考えているわけでございます。
○村沢牧君 いままで通産、大蔵でもそのような取り締まりをやっておったけれども適確に取り締まりができなかった。たとえば堀田ハガネはクロであったという答弁でありますが、堀田ハガネの場合は輸出貿易管理令によって付随的に表面化したものであって、通産省のチェックで明らかになったものじゃない。四年間もこういう違反がつかめなかったじゃないですか。この現実をどういうふうに見るのですか。
○政府委員(清水汪君) 税関の立場からその点につきまして申し上げるわけでございますが、私どもといたしましては、今回の堀田ハガネによりまするこの問題の貨物の輸出ということははなはだ残念なことであったというふうに考えております。しかしながら、従前からも、先ほど申しましたような仕掛けにはなっていたわけでございますが、ただいま貿易局長からもお話を申し上げましたように、今後におきましては通商産業省と税関との間でさらに緊密な連絡協議会というものをつくりまして、また税関におきましてはその協議会の一方の中心になるような担当官を特に指名するというようなこともいたしまして、そうしていまありましたように、疑義のあるものについては、税関でもチェックをすると同時に、通産省の明確な指示を得るというようにいたしまして、遺憾のないようにやっていきたい。 一つつけ加えて申し上げますれば、この税関の申告をする場合には約四千余にわたりまする品目番号というものが決められておりまして、それを使って個々の輸出者は申告をしていただくわけでございますが、この品目の適正な申告ということが税関の立場からいたしますとやはり非常に大事なことでございます。したがいまして、今回の事例等も参考にいたしまして税関としては品目の適正な申告につきましてさらに関係業界にも御協力をお願いするというようなことも今後はやっていきたい。そのような努力を通じまして現在の仕組みを生かしていきたい、さらに有効にこれを働かせることによって、国会で御決議をいただきました趣旨に対して最善を尽くしていきたい、このように考えているわけでございます。
○政府委員(古田徳昌君) 堀田ハガネ事件につきましては、私どもの方としましても防衛庁の御協力等を得ながら、現行の法解釈を踏まえて本件は輸出貿易管理令違反であるというふうに判断したわけでございまして、この見解は去る二月二日、法務省を通じて神戸地検に回答したわけでございます。このような事件に関連いたしまして、私どもとしましては、二月二日付で輸出注意事項の関係方面への通達を行っております。さらにそれを公表しております。さらに貿易、製造事業者等に対する通達によりまして武器輸出規制の徹底を図るとともに、二月下旬から三月下旬にかけて関係業界ごとに再度指導を行い、武器輸出規制の徹底を図るべく努力をしておるわけでございます。 さらに、今回の衆議院におきます決議を踏まえまして、私どもとしましては、先ほど御説明したような形で制度の改善を含みます実効ある措置について、関係省庁と密接な連絡をとりながら積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。
○村沢牧君 いままで厳正適確な調査も取り締まりもできなかった、この反省もなくしてこれからはこうするのだ、こういう対策を立てるのだという、そういう答弁に終始をしておるのですけれども、それではいまお話のあったような対策でもって、これで武器輸出の歯どめができた、できる、税関のチェック体制は十分だ、汎用品の取り締まりはできる、こういう絶対的な自信を持っていますか。
○政府委員(清水汪君) ただいまの御質問でございますが、汎用品の問題という点は、これは政策当局である通産省の方において御答弁をいただくのが筋かと思いますけれども、私どもの立場からも申し上げさしていただきますと、汎用品の問題というのはやはりひとつこれは十分今後研究をすべき問題だろうと思います。問題は武器そのもの、あるいは明らかに武器に該当するもの、ないしはきわめてそれに該当するおそれの濃いものというものを税関としていかにチェックするかということがまず当面の要請であろうと思います。 ただいま自信があるかということでございますが、これは私どもとしては先般の衆議院の決議はきわめて重いものと受けとめております。したがいまして、人手に限りがございまして、なかなかこれは実際問題として各職員にしてみれば大変な努力を要する問題だとは、私思います。思いますけれども、これは最優先的に税関の全機能の中で取り組んでまいりたいというふうにお答えを申し上げたいと思います。
○政府委員(古田徳昌君) 武器輸出三原則におきます武器とは「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」ということでございまして、具体的には輸出貿易管理令の別表の第一の第一九七の項から第二〇五の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが武器ということになっているわけでございまして、たとえば一つの例を挙げますと、別表第一の一九七の項では「銃砲及びこれに用いる銃砲弾」——括弧書きは省略いたしますけれども、「銃砲及びこれに用いる銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品」というような形になっておりまして、このような形での規定が武器の各分野について行われているわけでございます。こういう形で、先ほど言いましたように、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」というものは、全体として私どもとしては把握しておるというように考えておりまして、その形で規制を実施しているわけでございます。
○村沢牧君 あなた方は自分で都合のいいようにだけ勝手に解釈して答弁しているんです。今回の衆議院の決議は、昭和四十二年の武器輸出三原則並びに昭和五十一年の政府の方針を国会の意思として確定したものです。いま三原則の話があったのだけれども、五十一年の政府の方針についてどのように理解するのですか。
○政府委員(古田徳昌君) 五十一年二月二十七日の衆議院予算委員会におきます政府の統一見解としましては、内容を要約して御紹介したいと思いますが、第一は、武器輸出三原則対象地域向けの輸出を認めず、また、対象地域以外の地域向けの武器の輸出を慎むという形になっております。 それから第二としましては、武器製造関連設備の輸出についても武器に準じて取り扱うということになっております。 それから第三点としまして、武器の定義を明確化したわけでございます。先ほど私が御紹介いたしました武器の定義につきましてはこの時点で明確化されたものでございます。
○村沢牧君 第二点目についてはもう一遍答弁してください。はっきりしてください。
○政府委員(古田徳昌君) 第二番目の点は、武器製造関連設備の輸出についても武器に準じて取り扱うということでございます。この武器製造関連設備につきましても輸出貿易管理令の別表第一の中に明確に規定されております。
○村沢牧君 だから、いままでの五十一年の政府の方針は、この武器法に規定する武器だけじゃないんだ、関連するものについても輸出してはいけないという、そういう方針もあったわけですよ。これを今度は国会で確認をした。 そこで通産大臣と大蔵大臣にお聞きをしますが、いま答弁がありましたように、武器輸出に対するいろいろな対策協議会を大蔵、通産両省で講じたのだ、これで大丈夫だという趣旨の答弁があったのですけれども、大臣としては絶対これでいいのかどうか、その点答弁してください。あなた方がこれが制度上実効ある措置だと、そういうふうに言い切れるかどうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省は、税関がチェックをするわけですが、膨大な数量ですからね。しかしこれには通関業者というのが中に入るのです、実際は。通関業者は大体わかっているわけですから、だから通関業者を通じましてそれぞれの輸出メーカーや商社、それにそういうようなインチキ、ごまかしはだめですよと、もしそういうのを発見した場合は、これはもうあなたの通関業者の、あなたの扱うところはみんな少し検査を厳重にしますと、こういう手しかないのですね、これ。そうすると、これはもう通関業者はもう何十、何百ありますからね。その人たちは商売に影響あるから一生懸命中見ますから、こうやって、梱包する前に。梱包しちゃったの全部あけるなんたって言うべくして簡単にできるものじゃない。梱包する前に見なきゃ。梱包するときに。怪しげなものについては当然梱包を破壊しても見るのがありますよ。あるけれども、その前に見なけりゃ。そこのところが足らなかったわけ、いままでは、実際は。だから梱包する前に業者にちゃんと責任をある程度持たせる、それで通産省から証明を持ってこいと、証明を持ってきても怪しげなやつは見させるということでやりますから、絶対にそれでもう不明確なものはないかどうかと言われても、私も一々ついているわけじゃないからわかりませんが、これはかなりいままでよりは実効ある措置がとれると、こう思っております。
○国務大臣(田中六助君) 従来の方式に対しまして、まだ不備な点が出てきますと、私どもは通産省と大蔵省の連絡協議会にかけて対処していくという方針でございます。
○村沢牧君 衆議院の予算委員会の論議では、武器輸出をしていたのは堀田ハガネだけではない。それは氷山の一角である。たとえば三菱、日本製鋼、日新製鋼初め幾つかの企業の名前が挙げられておるんです。しかも、また、輸出先も韓国だけでなくて、マレーシア、台湾、フィリピン等へも出しているのではないか。こういう指摘もあったわけでありますが、これらの名称の挙がった企業について、輸出先について、通産省は調査をしたのですか。調査をしたらその結果について報告してください。
○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。 今回の堀田ハガネ事件に関連いたしまして、いろいろな企業の名前が出ております。この概要につきましては、二月の十八日でございました。衆議院の予算委員会において、私どもの方から、中間段階でございますけれども、調査の結果を御報告させていただいたわけでございますが、大別いたしまして、先ほど話にも出ましたけれども、堀田ハガネの砲身輸出に関連する案件というのがまず第一にございますが、これにつきましては、堀田ハガネ自体が砲身をまず輸出したという事実と、それからこの部品につきましての国内の製造、加工の経路においての企業名という問題がございます。 この堀田ハガネの輸出に関連してまず申し上げますと、一つのルートといたしましては、堀田ハガネが日綿実業を通じまして、山陽特殊製鋼あるいは泉鋼材、大屋熱処理、近畿検査工業、こういったところに製造、加工等を委託をいたしまして、そしてそれを輸出したというのが第一でございます。これはもちろん韓国向けでございますが。というルートがございます。それから、この中の関連において、三菱重工というものが一部の鍛造、機械加工等を行っているというケースはございます。 それから、二番目のルートといたしましては、これとは別に、いろいろな工程を全部一括いたしまして、関東特殊製鋼というルートを通じまして発注をし、輸出をしたということがございます。 これらの関連の企業につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、神戸地検に対して私どもの見解を通知いたしておりますので、現在地検で捜査中という段階にあるわけでございます。 それから、この堀田ハガネの砲身関連以外にいろいろ話として出ましたケースもございました。そのうちで、私どもが衆議院段階で御報告いたしましたものといたしましては、日本製鋼所が産業機械用の鍛造素材の引き合いを受けて、見積書を提出しているのではないかという件がございます。これにつきましては、見積書を出したことは事実であるけれども、その後成約には至っていないということを御報告申し上げております。 また、装甲板関連の御質問がありまして、その中で日新製鋼が熱間圧延特殊鋼鋼板の製造を行って、その熱処理を大屋熱処理という企業に発注いたしまして、その物品を堀田ハガネが韓国に輸出したというケースがございました。これは事実はそのようであるという御報告は申し上げております。 そのほか、堀田ハガネの依頼によりまして、愛知製鋼が装甲車用の材料と思われる物の材質調査を実施したということがございますが、また、それと同様なケースといたしまして、日本製鋼所が装甲板の成分分析の依頼を受けて文書で回答を行ったということもございます。これらにつきましては、その後商談が続いておりませんで、成約には至っていないという経緯がございます。 以上が、非常に概略でございますけれども、衆議院段階で私どもが御報告したケースの概要でございます。
○村沢牧君 衆議院段階で報告して、それで、この種の問題についての追跡調査等は一応終わったと、そういうふうにお考えになりますか。堀田ハガネ関連以外は武器輸出をした事実はないとはっきり言えますか、今後に対しても。
○政府委員(栗原昭平君) 衆議院段階で御答弁申し上げました際もいろいろ御質問が出まして、これら先ほど申し上げました企業に関連して、そのほかの付随した御質問もあったわけでございますが、その段階におきましても、まだ残された問題があるかもしれないということでございますので、私どもといたしましては、引き続きそういった点については調査させていただきますという御答弁を申し上げたところでございまして、そういった調査は、現在もなお続行をしておるという状態でございます。
○村沢牧君 この問題について、通産大臣に一点だけまた重ねて伺っておきたいのですが、通産大臣は、先ほどの答弁のように、立法措置を講ずることではなくて、現在の制度を拡充強化していくのだ、この意思でずっと貫いていこうとするのですか。問題がありましたから、指摘をしましたから、またこのことも将来検討していく、たとえば武器輸出法についても検討を政府部内でするのだと、そういうお考えですか、どちらですか。
○国務大臣(田中六助君) 先ほども申し上げましたように、私どもは実効ある措置として、制度上の改善も含めた措置を検討することを決議されておりますし、私も、その方針でまいりますということを、政府としては、という頭文字を入れてやっておりますし、そういうことを私どもはこれから先も十分検討していこうというふうに考えます。
○村沢牧君 通産大臣の答弁、全然私の質問にも合っておりませんが、また改めていずれかの機会にこの問題については追及してまいりますが、時間がありませんから次の問題に入ります。 最近、公害や河川汚濁などで、環境の悪化が大変進んできております。環境庁長官は環境破壊の実態をどのように認識し、環境を守るためにいかなる決意を持って取り組んでおられるのか、取り組んでいくのか、その所信を明らかにしてください。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 環境の問題については、わが国は苦い経験があって、公害のために命を失った人もいますし、病気になっていまだに苦しんでいる人もいます。そこで、その救済といいますか、補償、そういう事業をやりながら、病人の認定という業務に励みながら、基準を設けて、再びかくのごときことのないように、大気についても、水についても、それぞれ基準を設けてかなり厳しくやっているわけでありますが、経済の発展に伴って、なかなか実態はそれを守り切れないというようなところもありますので、そういうところに対しては実効ある処置をとりたい、こういうふうに考えております。 一方、再びこういうことになってはなりませんから、環境の影響の評価についても、転ばぬ先のつえを出してやっていこう、そういう制度を確立したい。御承知のとおり、そういう点についても努力をいたしております。 何にいたしましても、経済は成長しなきゃなりません。一年間に五%ぐらいずつ成長したとしても、西暦二〇〇〇年になる前に現在の日本の経済は倍になるわけですから、そうなった場合には、特別のことが講じられれば別ですが、特別なことが講じられないで経済が倍になれば、この狭い領土の中、この狭い可住面積の中で、なかなか容易なことではない。経済の目標も、言うまでもなく幸せな生活にあるのですから、健康を害したり、命が危なくなったりしたのでは、何のための経済の発展かわかりませんから、その点についてはわれわれが一生懸命ひとつ防備策をやっていこう、こういう考えでやっております。
○村沢牧君 環境を保全するためには、すでに生じた公害を除去するだけでなくて、環境の破壊を未然に防止をする積極的な対策を立てなければならないというふうに思うのですが、私は、これは行政指導だけではできないというふうに思うのです。環境影響評価の制度化、すなわち環境アセスメント法が必要だというふうに考えますが、環境庁長官の見解はどうですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 昭和四十七年でしたか、閣議で話が出まして、これからはおよそどういう事業でもちょっと大きな事業は、環境影響評価、アセスメントをしなければならぬということになっておりますから、御承知のとおり、いかなる事業でもちょっと大きな事業はアセスメントをしなければできないような状態、実態になっておることは御承知のとおりであります。 そこで、どういう手続でアセスメントをやるかということはまだ確立していない。いまお話しのように、行政指導でやる場合もあります。行政指導でやったのではうまくないからというので、条例でやろうというところも御承知のとおりあります。条例までいかないでも要綱でやろうというところもあります。そして地方では、そういうのがばらばらに行われておりますので、知事会議などで再三にわたって、やっぱり一つの大きな物差しをつくっていただいて、すべての事業というわけにいかないでしょうが、国がやるような大きな仕事については、国の制度として、衆参両院の御審議を経た権威と信頼のあるルールづくりをしてもらいたいということがあったことも御承知のとおりであります。そういうものを受けてというわけでもありませんが、政府の方でもその必要を感じまして、公害対策審議会の方にこの問題を諮問して、そのお答えもいただいて、そして去年の五月の二日に各省庁は考え方をまとめまして、合意をいたしまして、政府の案ができているわけであります。ただ、議会政治でございますから、やはり自由民主党の方で御納得いただかなきゃなりませんが、やはり油の問題その他で、いまなかなか経済界もむずかしゅうございます。このアセスメントによって、何か開発事業に支障を来すようなことがあるまいかというような心配も私は当然のことだろうと思います。 そういう御心配のもとに、いま自由民主党でせっかく御協議をいただいておりまして、大変おくれて、私としてはまことに申しわけない、残念な感じがいたしますが、一日も早く国会に御提案申し上げて、御審議をいただき、権威ある、そして信頼ある手続のルールを決めて、せめて国が行うような大きな事業については、その権威ある、信頼あるルールで手続を決めて、国民に安心してもらおう、こういう段取りでおるわけであります。 大変遅くなって、再度申し上げますが、まことに申しわけないような気がいたしますが、もうしばらく、ひとつお待ち願いたい、こういう気持ちでおります。
○村沢牧君 今日までに至る間には、各省庁の調整なんかも大変に問題があったということを仄聞しているわけでありますが、この法律ができるとすると、関係する省庁が非常に多くなってきます。その中でも特に関係すると思われる通産、建設、運輸、自治、農林、各担当大臣から、みずからの所管に照らして、この種の法制化が必要であると考えるか、また、どのように考えるか、意見を聞かしてください。
○国務大臣(田中六助君) 通産省といたしましては、電源立地などにつきましてはアセスメントをすでに実行しているところもございますし、今後とも環境アセスメントというのは必要だというふうに思っておりますし、現在、先ほど環境庁長官が申し述べておりましたように、自由民主党の方で急いで結論を出すという方向でございますし、それを待っておる段階でございます。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 建設省といたしましては、五十二年の七月に、所管事業に関する環境影響評価にかかわる問題については、当面の措置方針を策定いたしまして、すでに実施いたしております。 なお、アセスメント法につきましては、いま環境庁長官、通産大臣からも話がありましたように、党の方でせっかく検討中でございますので、結果を尊重して、前向きで進めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 運輸省におきましては、鉄道、主として新幹線並びに都市におきます大型新線、それから港湾、空港等につきまして、各事業ごとに個別的にアセスメントをいたしております。これは現在までとり進めてまいりましたことを将来においても同様にやってまいりたいと思っております。 いまお尋ねの、環境庁から提案されます場合どうするかということでございますが、われわれは、それはいま環境庁のお話のように、自由民主党との間で調整されておりまして、提出される段階におきましては、われわれも協力してまいりたいと思っております。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 現在、条例でもって、アセスメント条例を出しておるところが四県ぐらいあると思います。それから要綱に基づいてこれを措置しておるのが十六団体ぐらいあるはずで、合わせて二十団体がその方向で実際的にはやっておるわけです。 そこで、これが余りばらばらになるよりは、一つのまとまった基準の方が私は望ましいと思っております。しかし、これは事業団体等の関係もございまして、ただいま環境庁長官からもお話がございましたとおり、結論を得る段階になっておるわけでございまするので、そういうことに相なりますれば、それによって各府県団体がその線に沿って実行することに相なるだろうと思っております。
○国務大臣(亀岡高夫君) 基本的には、各大臣からお答え申し上げたとおり、環境アセスメント法案は必要であると考えております。 この法案につきましては、農林水産業の振興と調和するよう、所要の調整をすでに終えておるわけでありまして、当省としては基本的には異存はないということになっております。
○村沢牧君 官房長官にお聞きをしますが、いま関係する大臣からそれぞれこうした法律は必要であると、こういう答弁があったわけであります。そしてまた、この政府案は閣議の了解も得ているということでありますが、同時にまた、地方自治体からも早く政府側はこの種の法律をつくってくれという強い要望があるのです。むしろ地方自治体の方が国に先駆けて体制は進んでいる。しかし、昨年の五月には閣議の了解を得たと言っているわけでありますが、その後の九十一、九十二、九十三国会でも法案の提出ができなかった。政府案の内容については私たちの期待をするものとはほど遠いものであると私は思いますが、若干後ほど指摘をしますが、私がここで言わんとするところは、中身以前の問題として、こんなに長い間検討し、ほぼ煮詰まってきたものを法案として国会へ提出のできない内閣の不統一性、指導性、なぜできないのか、このことについて官房長官に聞きたいのです。与党の話もありました。それでは、政府・自民党がこの骨抜きになったこのような法案に対してなぜいまもって反対をしておるのか、だめだと言うのか。あなたは、この原因は何だと思うのですか。財界の圧力なんですか。統一をされたといっても、まだ閣内にそういう不統一があるのですか。官房長官として閣内をまとめる立場にありますから、ひとつ御答弁願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には、先ほど環境庁長官が御答弁になったとおりでございます。 すなわち、政党政治でございますから自由民主党の中でこの法案の調整を内部としていたしつつございまして、圧力と申しますよりは、いわゆる環境問題、それにわが国の国民生活に必要なもろもろの公共あるいは公益的な施設を完成していくこととの二つの調和をどうやって図るかといったような問題でございますけれども、私どもとしましては、なるべく自民党内の調整を促進してもらいましてできるだけ速やかに御提出をいたしたいと考えておりますことに変わりはございません。
○村沢牧君 環境庁長官に所管の大臣としてお伺いしますが、先ほど答弁を聞いていても、与党と相談中である、与党と相談することは否定するものではありませんが、つまり自民党にあるいはその環境部会にげたを預けてしまっているから政府としてはもう手の打ちようがないんだと、そういう状態なんですか。つまり自民党政調会の結論待ちであって、政調会がだめだと言えばこの法律はもう日の目を見ない、そういうことなんですか。そして同時に、担当の大臣として、なぜ与党がこれほど問題にしているのですか。その三つについて答弁してください。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 これはアセスの法律だけでなしに、いかなる法律でもそうだと思いますが、いま官房長官からもお話がありましたように、そして先ほど私が御答弁申し上げましたように、議院内閣でございますから、やはり政府案がもうでき上がっているのですから、先生言われたように、各省庁の間に異論のあるはずはないのであります。ただ、これを与党である自由民主党の方で審議をしてそしてこれを国会に提案されるということになれば、当然のことながら自由民主党は各野党に対してもどうぞひとつこれを通してくださいと言わなきゃならぬ立場です、当然のことながら。そういうふうにお願いしようというのには自分が懸念を持っていたのではお願いしにくいじゃありませんか。そこで、十分自分が懸念を持たないように、心に納得できるように勉強しようというのは当然のことだと思います。ただ、その勉強がちょっと時間がかかり過ぎておりますのでまことに申しわけないと、こういうことは先ほど申し上げたとおりであります。そして、申しわけないばかりでなしに、私は所管大臣としてまことに国会に対しても相済まないという気持ちでいることは申し上げたとおりでございます。いましばらくお待ちを願いたいと思います。 そして、その理由は何かと言えば、これは言うまでもないことで、油なんかが、十倍と言わないでしょう。これは通産大臣から聞いていただきたいと思いますが、もう大変な値上がりでございましょう。それから、やっぱり油というものをそんなにどんどん売るわけにもいかないというような気分も産油国にありましょう。そうなってくると、油の一つもない日本はこれからどうやってやっていくのだということで、当面五千万キロワットぐらいの原子力の電気を起こさなきゃならぬ。三千万キロワットまではおおむねめどがついたが、あとの二千万キロワット強というものはめども何にもついてない。したがいまして、電源立地の問題などもむずかしい。そういう際にアセスメントの事情はよくわかる、これわからない人があるはずはないのですから。よくわかるが、そのことに対して何かこう支障になって遅くなるようなことはないだろうかという心配、これは私は当然の心配だと思います。ただ私は、その御懸念は無用と、こう言っているのですが、無用であるかどうかは鯨岡が言っただけじゃわからぬということで、一生懸命勉強なさることも当然のことだろうと思います。 諸般の事情かくのごときでございますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
○村沢牧君 故大平総理は、昨年の二月の予算委員会で九十一国会に法案を提出する方向で最善の努力をするという答弁をしております。また鈴木総理も、今国会にできるだけ早く提案したいという答弁をしておるわけでありますが、総理のこうした答弁が、まあ与党でありますから相談するのは当然でありますが、自民党の一部の考え方によって、私はよもや覆されるとは思わぬのだけれども、なかなか結論が出せない、どうなるかわからない。ということになると、この問題の重要性は、ただ環境行政にとどまらない、広がりを持っていると思うのですよ。環境庁長官、どういうふうに思いますか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 これは言うまでもないことだと思いますが、政治の原点は約束を守ることだと思います。総理大臣が、いまお話しのように亡くなられた大平総理大臣もそして現総理大臣も、本会議においても予算委員会においても、しばしばこの環境影響評価法は国会に御提出申し上げて衆参両院の御審議を願うということを申したことは事実であります。そして、それを受けて私もそういうふうにお約束をいたしました。このお約束は守らなきゃならぬ、これは言うまでもないことだと思います。
○村沢牧君 そこで、結論めいたことになるのですけれども。この法律は今国会に提出するのかしないのか、また提出するかしないかの結論はいつまでに決めるのですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 また話が前に戻ったような感じがいたしますが、これはこの国会に提出します。提出しないのだったら何も苦労することはないので、提出をいたします。ということは、私が言っているだけじゃない、総理大臣も言っているのですから、それはもう明らかです。 ただ、いつだと言われると、先ほどから万々御説明申し上げているので、経験の豊かな先生は……
○村沢牧君 今国会に提出されるんですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) この国会に提出します。 ですから、いつごろといって、それはもう時期もあるでしょうからね、そうじんぜん勉強ばかりしているわけにいきません。本格的な勉強は衆参両院で願わなきゃならぬですから、なるべく近いうちにということで、私はここへ来るまでもそのことに努力をしておったのであります。しばらくの間お待ちいただきたいと思います。
○村沢牧君 今国会に提出するというはっきりした答弁がありましたから、法案の提出する云々の問題はこれでとめますが、それで、私はこの法案の内容については問題ありますから、提出した後において十分私たちも勉強していろいろと政府に対しても要望してまいりますが、こういう段階でありますから、たとえば問題があるというのは、私は、まだ提出しておりませんから法律を見ておりませんが、私たちの推測するところにおいては、住民参加の原則は貫いておらないのではないか、あるいは評価の範囲や対象が問題があるのではないか、あるいは影響調査の指針の作成等あるいは地方自治体との条例の関係等々幾つかの疑問点を持っていますが、まだ提出してありませんから、いろいろあなた方もこういう疑問点や要望も聞いているというふうに思うのですが、これらを取り入れて提出すると、そういうお考えになりませんか。もう政府の案、決まっていますか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 御提出申し上げてから、国民の見ている前で、国民の聞いている前で御審議をいただき、御質問にもお答えをしていきたい、こう思っておりますが、いまわれわれが考えている案は各省庁間で十分合意をしたものでありまして、先ほど先生みずからの御発言の中にもありましたように、かなり時間をかけて各省庁合意をしたものでございますから、私といたしましては、現情勢下において完璧なものであると、こう考えております。
○村沢牧君 次の問題に入ります。 同和対策についてでありますが、差別をなくするために数十年にわたって運動を続けてきておりますが、部落差別は依然として残っており、相次ぐ差別事件が発生をしております。 法務省に伺いますが、同和関係の人権侵犯事件の発生状況について説明してください。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 同和関係事件新受理件数は最近約二百件でございます。年間約二百件でございます。
○村沢牧君 いまの傾向。
○政府委員(鈴木弘君) 一番多うございますのが差切言辞、言動でございます。それから結婚に関するものがこれに次ぎます。あと、差別文書、差別落書き、それから就職に関するもの、近隣等交際に関するもの、こういうものでございます。
○村沢牧君 都道府県や市町村が扱った差別事象については法務省はつかんでおりませんか。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 昭和五十四年度のものでございますが、全国の地方公共団体における差別事象に関する総事件数は約千三百あるいは千四百でございますが、ただし、これは昭和五十四年一月一日現在におけるそれまでの旧事件をも含めておる件数でございまして、五十四年における受理件数が何ほどかということは把握いたしておりません、
○村沢牧君 まず、法務大臣にお伺いいたしますが、いま答弁のありましたように、法務省の受け付けた侵犯事件等でも二百件、あるいは地方公共団体等においても千四百件もの事象が起こっているのです。こういう状態の中から大臣は、差別の実態をどういうふうに認識し、人権を守るためにも、差別をなくするためにはどうしたらいいとお考えになられますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私も、明治四年の解放令から百十年たっておりますにもかかわらずいわれのない差別が続いていること、まことに残念な感じがいたします。やはり基本的に人権を尊重し合う、この姿勢を浸透させていく、これが根本だと思うのでございまして、そういう意味で法務省でも人権の共存ということを絶えず強調しているわけでございますけれども、今後もさらに一層努力をしていかなきゃならない。たまたま事件になりましたものについては人権侵犯事件、それに至らないものは人権相談、さらには人権擁護委員の皆さん方の御協力も得ながらこういう問題についての啓蒙、啓発、一層徹底した努力を繰り返していく必要がある。やはり基本的には根気よい絶え間ない努力を続けるということに帰着するのじゃないだろうかなと、こうも思っているわけでございまして、今後さらに努力を続けていきたいと思います。
○村沢牧君 第八十五臨時国会で同対法の一部改正の際、法の有効期間中に政府は実態の把握に努めよという附帯決議を全会一致で行っておりますけれども、政府の取り組み方は全くなまぬるいものがあるのです。私自身も同和地区の現地調査を何回も行っておりますが、ことしになってから部落解放中央共闘会議は、全国十数府県にわたって社会党の国会議員を団長として現地調査を行って、こういう報告書もまとめております。こういう調査の結果を見ても、あるいは次から次へと起こってくるいろいろな差別事件を見ても部落差別はなくなっておらない。ただ、同和対策予算をつけて金だけで解決できるという問題じゃない。 そこで私は、各大臣にこの実態を承知してもらいたいという考えのもとに、この質問に入る数日前に、同和対策事業特別措置法強化改正要求国民運動中央実行委員会発行の「全国のあいつぐ差別事件」、これをお配りして、ぜひ目を通してもらいたい、そういう要請をしてきたところでありますが、さらにまた本日、そこに長野県の差別の実態についてパンフレットもお配りいたしました。 これらについて、以下、皆さんにお伺いしてまいりますが、まず、こうしたものを見て総括的に総理府総務長官はどのように感じていらっしゃるのか、まず長官から答弁してください。
○国務大臣(中山太郎君) 先生から先週末に贈られた差別に関する書籍は十分読ましていただきました。私はまことに残念なことだというふうに考えております。政府はあくまでも差別のない社会というものの実現のために今後とも努力をしていくべきだと、このように認識をしております。
○村沢牧君 部落差別の中で最も深刻なものとして結婚差別があるのです。この調査書の中にも記事が載っておりますように、結婚差別によって自殺をした青年、また部落の出身であるがゆえに親の反対に遭って結婚ができなかった事実、さらにまた長野県の資料によれば、部落出身ではないのに部落民、チョーリッポと言われてそして離婚をされてしまった婦人、これら数々の記事が載っておるのですね。こうした記事を見て、事実を見てどのように感ずるのか、法務大臣あるいは文部大臣のこのお読みになった感想。結婚差別をなくするためにはどういうふうにしたらいいのだ、そのお考えがあったら聞かせてください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 差別の中でも結婚差別が最も深刻だというお話、私も全く同感でございます。お話の資料の中にも、徳島の事件では、十年前でございますけれども、死に追いやられと書いておりました。やっぱり、しかしそうは言っても、一年一年若い人たちの気持ちは変わってきているのじゃないかなという気がいたします。やはり根気よく努力をしていかなきゃならない。私の町でも、市の職員が結婚に踏み切ろうとして家族の反対に遭った。市長が根気よく説得に努めましてめでたく結婚にゴールインいたしまして、いま円満に過ごしております。でありますから、差別が行われているのだ、差別が行われているのだばかり言わないで、そういうよいこともひとつお書きいただいて、みんなでひとつ努力し合うということもわれわれ大切じゃないかなと、こう思うわけでございまして、私にはその資料大変参考になりました。さらに一層努力を続けなきゃならないという気持ちをさらに私も自覚を深めてまいったつもりでございます。いずれにいたしましても、みんなで努力をし合っていく態勢、これを一層強めていきたいなということを感じております。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御指摘のことは、まことに残念なことでありますけれども現実の問題でございます。私は山口県でございますので、この部落の問題という問題には長年取り組んでまいっておりまするけれども、今日なお依然として根を断たないというようなことは本当におっしゃるとおりであります。 なおまた、先生からちょうだいしましたそれも拝見いたしておりまするし、そういう問題の対策でございますが、御案内のとおりに、今日の憲法から申しましても、そういうふうな差別のあることは断じて許せないことであります。特に学校教育の面におきましての差別の問題について、その点はこの前も御指摘がありましたように、部落の高校進学の場合なお若干劣っておりまして、一般の者が中等学校から高校に上がります進学率は今日は九四%、ところが部落の場合の統計を見ましても八九%という、そこになお差のありますことは、これはもう非常に残念に存じます。まあこの問題につきましては真剣に今後も取り組んでまいらなきゃならぬと、かように考えております。
○村沢牧君 就職についても極端な差別があります。この調査書にもありますように、部落の出身であるがゆえに採用されない、あるいは面接のときの差別質問でもってふるいにかけられてしまった、こうして採用されない人がたくさんあるんです。その手段として、地名総鑑があり、あるいは興信所や探偵社による差別調査があるのです。労働大臣は、この就職差別等について、こんなことがあってはいけないという非常に強い意思を持っているようでありますけれども、改めてこういう事実があるということをごらんになって、どういうふうに感ずるのか。そうしてまた、企業が興信所や探偵社を使って部落出身であるという身元調査をして歩く、こういうのをどういうふうに感ずるのか。また、部落の皆さん方の雇用の実態あるいは賃金状態、今後どうしたらいいのか、それらについて労働大臣の見解をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたしますが、私は、衆議院の予算委員会等々におきましても同じような質問がございまして、その際にもお答えをいたしておるわけでございますけれども、このような人権にかかわりますような行為を、いやしくも会社、事業所というようなところで、かなり大きな企業がそれを行っておるというようなことはまことに私といたしましては納得しがたい、こういうことでございまして、そのような人権じゅうりんをするような会社の姿勢、これは一掃しなければいかぬ、こういうことで、この種のことを絶滅をしてもらいたいということをお願いをいたしておるわけでございます。 御寄贈の差別事件の御本も拝見をさしていただきました。地名総鑑を買って、今日それを会社に保管をいたしておるというような会社がなおあるということはまことに遺憾千万なことでございまして、もうすでにその調査書にも出ておりますような東洋工業にいたしましても、中国電力にいたしましても、あるいは安田信託にいたしましても、みんな責任者に来てもらいまして、その真意をただし、そうしてそれに対する今後の処置等について誓約書をいただいておる、こういうことでございます。今後ともそのようなことがありませんように、厳重の上にも厳重にひとつ処置してまいりますから、必ず御納得のいくように絶滅をいたすということをお約束しておるわけでございますから、絶滅をいたします。
○村沢牧君 まだ答弁の中で、これは事務当局でいいですが、雇用の実態、賃金の問題等について答弁ありませんから、事務当局にお願いします。
○政府委員(関英夫君) お答えいたします。 同和地域におきます雇用の実態につきましては、他の地域に比べまして、まず就業形態といたしまして、臨時、日雇い的な就業形態が多い、常用の割合が非常に少ないというような点がございます。また、小規模の事業所で従事している方の割合が高い。あるいはまた、職業につきましては、単純な仕事、そういったものの職業に従事する方の割合が高い等々、いろいろの点で他の地域と比べまして問題があるのが現状でございます。 私どもといたしましては、新規の学校卒業者につきましては正しい選考採用に基づきまして一般常用就職というものを推進いたしておるわけでございますが、現在の同和地域の問題点は、むしろ新規学校卒業者といいますよりは、その地域に現在住んでいらっしゃる方、特に中高年の方の職業の問題であろうと。そうなりますと、やはりこういった方々につきまして職業訓練なり、職業講習なり、そういったものを実施いたしまして、できる限り他の一般地域におけると同じような就業状態になるような努力をしていく。就職差別といったような事象の絶滅はもとよりでございますが、こういった同和地域の就業実態をさらに改善していくための対策に努力しているところでございます。
○村沢牧君 法務省、地名総鑑について、かなり発行されており、また法務省としてはどのように啓発、啓蒙しているのか、その点について……。
○政府委員(鈴木弘君) いまちょっと聞き取りにくかったわけでございますが……。
○村沢牧君 地名総鑑について、地名総鑑がどんなふうに発行されているのか、あるいはどんなふうに買われているのか、それに対して法務省としてはどのように処理しているのか。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 いままで地名総鑑購入企業というものを鋭意発掘してまいりましたわけでございますが、現在までに延べ企業数二百十七社でございまして、なおいわゆる地名総鑑と称しますのは八種類発覚いたしております。
○村沢牧君 それで、それをどういうふうに処理して、いまはあれですか、何か法務省の指導方針。
○政府委員(鈴木弘君) 購入企業に対しましては、これは調査しながら啓発ということをこれを繰り返してまいりまして、それから調査が終わりました段階で各行政機関と共同で共同啓発を行います。それが済みました後で、さらに当該法務局に企業の代表者あるいはその他の幹部を呼びまして、二度とこういう地名総鑑を購入することがないようにというように説示あるいは勧告いたしております。企業の方ももう二度とこういうことはしないというようなことを確約しているわけでございます。 なお、昨年は、人権擁護局長名及び全国人権擁護委員会連合会長名をもって、各企業団体に対して二度とこういうような冊子を買わないようにというようなことの要望書を出しております。
○村沢牧君 中曽根長官に伺いますが、いま説明ありましたように、地名総鑑だとか興信所とか探偵社を使って部落を調査をし、洗い出しをしている。たとえこのものが民間であったとしてもプライバシーを守っていくということについて長官としてはどのように感じるのか、あるいはこのような調査書を見てあなたは部落差別についてどういうふうにお感じになりますか。どういうふうにしたらいいと思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 拝見いたしまして、まだこういうものが日本にあるのかと思って慨嘆にたえませんでした。一日も早くこういうような現象はなくさなければいけないと、政府としても大いにこれは責任がある仕事であろうと、そのように思いました。 それからプライバシーの保護ということは行政管理庁といたしましても政策として推進したいと考えておりましたが、いわゆるプライバシーの保護というもので正面に取り上げられてきたのは、コンピューター等を中心にする機密の保護ということでございました。もちろんこれにも関係いたしますけれども、同和関係のプライバシーの保護と申しますか、そういうような点も、われわれ大いにこの問題に関して戒心しなければならぬポイントである、そのように考えた次第でございます。
○村沢牧君 労働大臣に重ねて伺いますが、職場の中でも差別事件が相次いで起こっているわけなんです。これは民間の企業だけではなくて公的企業の中でも発生をしておる。職場での差別をなくして安心して働けるような職場づくりをするためには、労働大臣としてはどのような指導性を持ちますか、考えますか。
○国務大臣(藤尾正行君) 私は、いまの上場千二百社全会社に対しまして、私の名前をもちまして、そのようなことを絶滅を期すようにという趣旨の厳しい要請書を出しております。また、それに対しまして誓約をしてくださるような会社も非常にふえております。こういったことをやっておりますし、もし仮にそのようなことがありますといたしましたならば、これまた非常に重大なことでございますから、それを私どもは放置をしていくわけにはまいらぬということで、厳しい措置をとっていきたい、かように考えております。
○村沢牧君 労働大臣から非常に強い決意をお聞きしたわけですが、これは民間だけでなくて、後ほど指摘しますが行政の中にもありますからね。それらも含めてひとつ対策を講じてもらいたいと思うんです。 そこで郵政大臣にお聞きをするんですけれども、郵便局やあるいは郵政局の職場に比較的差別が多いということをこれは物語っているんですね。衆議院でも問題になりました、自殺事件になった大阪の東部郵便局の問題、あるいは大阪中央郵便局の問題、これらも含めて一体郵政大臣としてはこういう事件の記事を見てどういうふうに感じるか、その感想も含めてひとつ答弁してください。
○国務大臣(山内一郎君) まことに遺憾なことでございますけれども、郵政省の関係にも発生しているわけでございます。最近の、昭和五十五年度中に二十六件の差別事象が発生しておりまして、発言が六件、落書きが十九件、文書中の文言一件と相なっているわけでございます。また、この前お示しをいただいた書籍の中にも郵政事業に関連するものが八件取り上げられているわけでございます。私も読まさしていただきました。このように、いまなお差別事象が生じていることは、郵政省としても力をいままで入れてきたのでございますけれども、まことに遺憾ながら深く反省をいたしております。従来いろいろ研修会あるいは講演会、いろいろの会議の中でこういうものを取り入れる、またいろいろな資料の配付、こういうものをいろいろやっておりますけれども、なおこういうことが発生をいたしておりますので、今後一層、ひとつ根絶するように努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 こうした差別意識をなくするために最もやっぱり期待をされておるのは学校教育でありますけれども、しかし、この教育の現場においても児童や生徒だけでなくて先生や父母の中においても、差別事件を教育に関連をして引き起こしているのです。こうした数多くの事件が紹介されているんですけれども、文部大臣、一切の差別を撤廃する教育、同和教育もやっているわけですけれども、現状はこうなんです。どのように考え、今後どのようにやっていこうとしていますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 先生の御指摘のように、私の県の方でもそういう事件がございましたことは御承知のとおりであります。 その後の教育のあり方につきましては、御案内のとおりに文部省におきましても、そういうふうなばかばかしい前時代的なことがあってはならない、こういう考えのもとにできる限りの懇切な指導をさしておるわけでありますが、しかしながら非常に根深いこういうふうな問題は、特に婚姻、結婚というような問題に対しては、いまなおなかなか抜け切っておりません。しかし、先ほども申しましたように、教育の内容におきましても、統計が示すように高校の方の進学の場合におきましても差がある。こういうことがないように極力指導をしてまいるつもりでございます。
○村沢牧君 最近ふえている悪質な問題として、落書きやあるいは投書による差別事件があるのです。ここにも紹介してありますが、たとえば長野県の場合においても団地の居住案内板に、ちょうりっぽ居住区、こういうふうに書いてあるのです。道路標識にえたとか新平民、こういう落書きがされているのですね。これはあちこちで発生をしている。一体こういうことについて、これは各大臣ともそれぞれ考えてみてもらいたいというふうに思うのですけれども、総理府総務長官、総括してひとつ考え方を聞かしてください。どういうふうに感じますか。
○国務大臣(中山太郎君) いまの団地の掲示板とか道路標識に差別用語が書かれるということは、まことに残念なことでございます。どういう人がそういうことをやっておるのか、こういう問題につきましても、私どもはそういう話を聞くたびに法務省の方に連絡をして調査をお願いしているところでございます。
○村沢牧君 運輸大臣、国鉄のトイレ、といっても大衆トイレじゃない職場のトイレに、国鉄からえた、また部落民は去れ、こういうような差別落書きが過去にあった。一体運輸大臣としては国鉄のこのような問題についてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) かつてそういうことがあったという報告は聞いておりますが、最近はそういう事件は幸いにも起こっておらないということを聞いておりまして、相当職場でもそういう問題についての教育が私は浸透してきておるように思っておる次第です。
○村沢牧君 大臣、こういう事件に対して大臣としてはどういうようにお考えになるか、国鉄も含めて。
○国務大臣(塩川正十郎君) これはもう全く遺憾なことでございまして、一刻も早くこういうことがないように、やっぱり全国民が協力して進めていく運動ではないかと思っております。
○村沢牧君 このように、差別事件を挙げれば数限りなくあるわけなんですけれども、私もきわめて残念なことというふうに思うのです。恥ずかしいことだと思うのです。こうした差別の結果、部落の人たちの生活が不安定で収入が低く、生活基盤が弱い。したがって、失業率も生活保護世帯も多いわけです。厚生大臣はこのような差別の実態を見てどのように考えるか、あるいは、いま私が申し上げましたような生活を高める、生活基盤を強める、こういうことについてどのように対処していこうとされるのですか。
○国務大臣(園田直君) 同和対策は、極力早期解決を努力してきているところでありますが、いまなお、生活保護者の率を言いますと一般地区の四倍強でございます。それから疾病率も非常に高い。それから、なお胸を痛めますことは、身体障害者の子供さんなども率は多いわけであります。 これはやはり同和地区の生活基盤が弱いということが原因でございまして、その本を拝見し、いろいろあちらこちらに起こっております事件を見まして、第一は、この同和地区の生活環境を早期に解決をして、同和地区であるとか同和地区対策というものが全然考えなくてもいいように早期に解決をしなきゃならぬということが第一。 それからもう一つは、差別待遇の中でも、まあまあ残念なことでありますが、一番胸に響くことは、子供同士がけんかをする場合、夫婦げんかの場合、両方とも同和地区の出身でないのにそういう言葉を使って無意識に相手を見下すことに使っている。これはわれわれが考えている以上に非常に根深いというか、なかなかこれは大変なものだと、こう思います。 これについては、各大臣が言われましたとおり、国民の一人一人、国、地方公共団体が協力をしてやらなきゃならぬことでありますが、こういうことが言われている間は、よその国に向かって人権がどうのこうのと言う資格はないと存じます。 そこで、差別待遇をしてはならぬという理解を求めることも大事でありますが、その前に、これはいわれなき差別である、歴史が生んだ悲劇である、被害者である、こういうことから、私は国民の一人一人、子供に理解を求めることが大事であると考え、総理府も、むしろその他関係の各省と相談をして全力を挙げたいと考えております。
○村沢牧君 同和対策事業の環境改善事業も、残事業がまだまだたくさんあるということが私たちの実態調査でも明らかになってきておるところであります。 政府は、五十六年度予算でほとんど盛るべきものは盛ったと言っているわけですけれども、しかしそんなものではない。各省関係しますけれども、特に建設、農水の両大臣、一体、所管する事業の中で同和対策の残事業はどのくらいあるのか、今後どうしていくのか。それから、これをお読みになった御感想もあわせてお聞きをしたいというふうに思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 建設省所管の同和対策事業は、住宅対策事業、都市計画対策事業でございます公園、下水道、街路等があるわけでありますけれども、生活環境改善整備に努めておるところで、五十年から五十五年、五カ年間に四千六百億円の事業をいたしております。 なお、残事業のことにつきましては、いまなお府県から直接ヒヤリングを続け、なお直接的に実地調査をいたしております。 なお、残る問題につきましては、五十七年予算に関係する問題でもございますので、予算概算要求、八月ごろになりましょうか、関係省庁と協議の上、残事業につきましては早く解決いたしたいと、このように考えておるところでございます。 なお、先生からいただきましたその書籍につきましては、非常に私も心を痛めたところでございます。結婚、就職あるいは発言、落書き等々につきまして、余りにも多くの事件につきまして心を痛めたところで、早くこうした問題が解決するようにみんなで努力して、全く平等に、平和に生活できる日の一日も早く来ることを願いながら、なお一層努力してまいりたいと、このように考えたところでございます。
○政府委員(杉山克己君) 農林水産省が同和対策として実施しております事業は、農林業同和対策事業等七種目の柱にわたって行っているわけでございます。 事業の内容は、土地基盤、生産施設、流通施設、生活環境、こういった物的な施設の整備、そのほかに相談事業等ということになっております。 農林水産省が昭和四十四年度から五十五年度までの間に実施した同和対策事業の総額は、国費で千五百三十二億円になっております。これらの事業は、農林漁業の生産性の向上、経営規模の拡大、経営の近代化といったことに大きく貢献しているものと考えておるわけでございます。 それから今後の事業についての問題でございますが、いわゆる残事業量につきましては、まず五十六年度、来年度予算においてどの程度実施可能な事業があるかということについて調査をいたしたわけでございます。そのことを最重点に都道府県等からヒヤリングを行いまして、実施可能と考えられるものについてはおおむね五十六年度予算案に盛り込んだところでございます。それから五十七年度以降のものにつきましては、さらに実施の必要がある事業がどのくらいあるかということで、関係都道府県から事業量、実施可能時期等について目下ヒヤリングを行っているところでございます。 いつまでにそういった調査を完了させるのかということでございますが、五十七年度要求のベースにするということで考えておりますので、夏までにはその調査を完了いたしたいと考えております。
○国務大臣(亀岡高夫君) あの資料を拝見しまして、いまの日本にこういう問題があるのかということでただただびっくりいたしました。私ども子供のころから——同和という言葉を聞いたのは私は国会議員になってからでございまして、まさかああいう具体的な問題がまだ日本に残っているというのは、ただただ本当にびっくりという一言に尽きるわけでございます。心を大変痛めまして、こういうことは一日も早くなくさなければならないということで、これにはやはり先ほど来各閣僚からお話がありましたような線で、みんな力を合わせて、やはりこういう日本の恥の、恥ずかしい部門だろうと思います、なくさなけりゃいかぬ、こう考えております。
○村沢牧君 自治大臣、自治体の首長や職員、警察官までが差別事件を引き起こしている例があるんです。一体これをどういうふうに感ずるのか。それから、同和対策をやっていくために自治体の果たす役割りは非常に大きいわけですが、これについてはどういうふうに今後とも進めていこうとされるのですか。自治大臣の見解を示してください。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 警察その他にもそういう事案があるということを私はいまお聞きいたしまして大変びっくりいたしました。これはよく調査をいたしまして、そういうことが絶対にないように私としては処置をいたすつもりでございます。 それからお尋ねの件の事業の関係でございますが、これは相当地方自治体としてはこの問題に真剣に取り組んでおるわけでございます。そして超過負担等も相当やっているはずのものでございます。したがいまして、自治省としては、各省に対してこの事業の、要望する事業が多々ありまするので、その事業の拡大、それから補助基準の改善、そういう点について常に各省に対してお願いをしているわけでございます。 今後の問題につきましても、一層これを実現するようにいたしまして、地方の各市町村長あるいは各県の関係知事が本当にこの問題に取り組み得るような、そうした条件をつくりたいと思って努力をしているところでございます。 それから、拝見をいたしましたが、ああいう事例がいまだ残っておるということについて私としては大変遺憾に思います。この問題は、各大臣から申されたと同様、早急になくすために一層の努力をしなければならぬと、こう考えておるところでございます。
○村沢牧君 同和地区の産業もいろいろあるわけですけれども、特にこうした地域の産業は零細企業がほとんどで、経営基盤もきわめて弱く大変苦しんでいるわけです。通産省もこうした同和対策事業を行っているわけでありますが、通産大臣、こうした地域の対策についてどのように考えておられるのか、やっていこうとするのか。あわせて、こういうものをお読みになって感想はいかがですか。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 通産省の同和対策事業は、同対法六条に規定されておるところに従って実施しております。したがいまして、経営の合理化、設備の近代化あるいは技術の向上等に主眼を置いておりますが、まず、産業振興調査等を利用しまして実態の把握なり今後の発展の方向というものを把握するということが第一点でございます。それから第二点は、同和地区の経営指導員の増員というものを図っております。それから高度化資金融資制度等を活用しております。 先生御指摘のように、中でも皮革産業は非常に伝統的に同和地区の重要な産業でございまして、この振興というのは同和地区全体の生活レベルその他に重要な関係がございます。したがいまして、皮革産業につきましては、特に従来から構造改善の推進とか、海外の製革業の調査あるいは各種の技術研修、製品の普及促進等の実施事業に対して助成等を行っておりまして、今後ともそれを拡大していきたいと考えております。 予算につきましては、全体の通産省の同和関係予算というのは中小企業庁でまとめて大幅に取っておりますが、特に、その中にはもちろん皮革も入っておりますが、皮革だけについても生活産業局の方で約二億五千万円ほど本年度計上しておるところでございます。
○国務大臣(田中六助君) ただいま局長が申し上げましたように、企業の近代化あるいは高度化、あるいは零細企業対策、特に皮革類につきましても輸入制限などに努めておりますし、反面その保護政策をとっておるわけでございます。同和対策につきましては、いまだに、人権擁護とかいろんな基本的人権という言葉を使いつつも、現状ではまだまだそれとはおよそ食い違ったことが展開されているということは非常に遺憾に思っておりますし、これらの対策については通産省も万全を期していきたいというように考えます。
○村沢牧君 同和対策事業をさらに発展をさせていくためには、政府の予算も伴わなければならないわけであります。 渡辺大蔵大臣、大臣は衆議院の予算の分科会でしたか、私の選挙区では差別は聞いたことがないというような御発言もしているような会議録も載っておりますけれども、それはそのこともあるかもしれませんけれども、このような書籍を見て、事実それを見てどのようにお感じになるでしょうか。法の延長を早く決めなければならない。しかも五十七年度予算編成の——法を延長するかどうか決めなければ予算編成だって対応できないではないか。その辺についてどういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、この差別の問題というのはこれはもう時代おくれの話でして、日本の憲法でそれはもう法の前には平等で、それで宗教上からも、それから職業上からも何ら差別はすることはいかぬことだし、私は全然そういうことは考えていない、実際の話が。いまごろ何を一体言っているのだろうかという気が実際私はします。だけれども、この本を見て、こういうような人たちがおるということはまことに残念至極な話でございます。私は、この差別問題というのは、物とか金の問題よりももっともっと大切なことはやはり心の問題だと思っているのです。したがって、やはり社会教育、学校教育、そういうようなことを通して憲法の精神を少したたき込まなきゃいかぬのじゃないか、私は根本的にはそういう考え方です。 同和法の問題と予算の関係については、これはいつまでにどうということはなくて、来年の予算編成までで差し支えな。いと、そう思っております。したがって、各省庁でそれぞれのいま検討をやっておるそうです。その検討結果を見た上でどういうふうにするかは内閣として取り組むべき問題で、大蔵省がどうこうというわけではございません。
○村沢牧君 以上私はいろいろ指摘をし、各大臣の意見を聞いてまいったところであります。指摘をいたしましたように、差別事件を見ても、あるいは同和対策事業の残された問題を見ても、部落の解放は終わっておらない。部落差別を撤廃するためには、国及び地方自治体がこれまでのような同和対策の不十分さを十分反省をして、抜本的な対策を立てるべきだというように思うのです。各大臣からそれぞれ御答弁いただきましたが、いずれの大臣も、きわめて残念だ、こんなことがあってはいけないという、この真摯な、前向きな答弁であります。この答弁を聞いている限りにおいては、私は五十七年度の予算編成なんて待たずしてあすの閣議でももう延長は決められそうなものだと思うのですね。 最後に、総理府総務長官、この同対法の延長はどうするのか。いま皆さんみんなこれは何とかしなければならぬという意見があったのです。最後に答弁してください。
○国務大臣(中山太郎君) お答えを申し上げます。 いま各大臣からもお話がございましたが、すでに予算委員会の総括におきまして、衆参両院において鈴木内閣総理大臣が、この問題の取り扱いにつきましては、昭和五十七年度以降の問題については五十七年度の概算要求の時期に政府の方針を決定をいたしたい、また、院における附帯決議の精神も十分踏まえて誠意を持って善処をいたしたいとお答えをしておる、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○委員長(木村睦男君) 以上で村沢牧君の一般質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、本岡昭次君の一般質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 まず、ユネスコの精神を踏みにじった韓国への教育機器不正輸出問題について質問をいたします。 文部省にお尋ねしますが、ユネスコが行っているユネスコクーポンについて、その制度、利用方法、取り扱い状況について説明をしてください。
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問のユネスコクーポンの制度と申しますものは、世界各国の研究者や教育機関等がその研究教育の必要上から、学術図書でありますとか、あるいは科学的な資材、学術映画等の教育的、科学的な、また文化的な資材を外国から購入しますときの購入者に対しまする為替管理上の制約や不便をなくして、そして輸入が簡易、迅速に行われる手段といたしましてユネスコが創設いたしたものでありまして、この制度自体は非常に私は評価されていい制度であると思っておりますが、ただし先生の御指摘の問題は、日本学術振興会からユネスコクーポンの取り扱いに関しまするさらに詳しい情報を取り寄せまして、調査もいたした次第でございます。せっかくのユネスコのいい制度を非常に裏を返して悪く利用したということについては、まことに憤慨にたえない次第でございますが、御指摘以来、役所といたしましても調査をいたしましたものがございますので、担当の政府委員から詳細にお答えいたします。
○政府委員(松浦泰次郎君) 補足して御説明を申し上げます。 この制度はユネスコの本部において決めておるものでございますが、現在四十七カ国が加入いたしております。わが国は昭和二十七年に閣議決定によりこれに加入いたしました。このクーポンを売り渡します機関は世界で四十七機関でございますが、この売り渡されたクーポンを買い上げまして、代金を支払うということを行っております機関は世界に三つございます。一つはユネスコ本部、もう一つはアメリカのバンカーズ・トラスト・カンパニーでございます。それからもう一つが日本の学術振興会でございます。 この学術振興会における取り扱い状況でございますが、クーポンを売り渡しますのは約八百件で約五万四千ドル、日本円に換算しまして千二百万円くらいでございますが、買い上げの方は約一千件ございまして、ドルで言いまして約四百五十四万ドル、合計いたしますと一千八百件、約四百五十九万ドル、約十億円になる次第でございます。これにつきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、私ども学術振興会にいろいろ照会いたしまして調査、指導しておるところでございます。
○本岡昭次君 ユネスコクーポンは国際通貨の一種として四十七カ国が取り扱っているのですが、それが国際通貨としての力を持つ法的根拠はどういうものですか。
○政府委員(松浦泰次郎君) お答えいたします。 まず、この仕組みでございますが、特に外貨事情のきつい国におきまして、日本も戦後そういう状況にあったわけでございますが、そういう国の研究者や教育機関等が必要な器材あるいは図書等を買いたいといいます場合は、なかなかむずかしい状況にあるわけでございます。 これに対しまして、このユネスコのクーポンを買いますと、その取り扱い代理商社等が資材をこちらに回してくれます。その場合のクーポンの購入代金は、その国の通貨でよろしいというようなことになっております。そのクーポンを買いまして輸入代理商社等が受け取りますと、これを輸出といいますか、そういう国のメーカー等に出します。そうしまして、その輸出国の商社から資材が代理商社等を通じて研究者あるいは教育機関等に渡る次第七ございます。その輸出しました商社はどうして代金を受け取るかといいますと、これを先ほど申しました三機関、日本でございますと日本学術振興会でございますが、そこにクーポンを提出いたします。その受け取りましたクーポンを、学術振興会の方からユネスコ本部に送りまして請求いたしますと、ユネスコ本部から金を振興会に送金いたしてまいります。それを振興会は受け取りまして、日本国内の輸出商社等に支払うということによりまして、その代金決済が行われる状況でございます。そういう意味におきまして、俗にそういう先生の御指摘のような通貨というようなことが言われておる次第でございます。
○本岡昭次君 私の質問に的確に答えてください。いまの制度は私にはわかっているのですよ。法的根拠は何ですか、そういうふうにずっといまのようなルートをたどって国際的通貨として通用する。
○政府委員(松浦泰次郎君) ユネスコの本部におきましてそのような決定をいたしまして扱っておるものでございます。そのユネスコの本部における決定がこの根拠でございます。
○本岡昭次君 そのユネスコ本部が決定しているということが法的根拠になると、それは後でまた聞きますが、そうしたらそれを日本の学術振興会は所持をしているわけですね。その根拠になる定款とか取り扱い要綱とか約款とか、何かそういうものがなければいかぬと思いますが、ありますか。
○政府委員(松浦泰次郎君) ございます。承知いたしております。
○本岡昭次君 それではそれに基づいて後ほどまたいろいろ答えていただきます。 そこで警察庁にお尋ねしたいのですが、兵庫県警が昨年九月からこの問題について調査をして大体結論が出たと思うのですが、ユネスコクーポン不正輸出事件についてのその全貌をひとつ明らかにしてください。
○政府委員(谷口守正君) 本件につきましては兵庫県警察が捜査を行ったわけでございますけれども、関税法及び外国為替及び外国貿易管理法違反といたしまして、東京にあります二つの業者につきまして昨年十二月九日と本年三月十六日にそれぞれ神戸地検に送致しております。 この二つの業者は、いずれも精密機械の販売及び輸出入を業とする者でございますけれども、五十三年六月ごろから韓国所在の貿易会社に対しまして電子応用機器、医療器具等を輸出するに際しまして、取引の相手方である韓国の貿易会社の要請を受けまして、実輸出価格に上乗せした高価格の申告による輸出を行ったわけでございます。おおむね実価格三〇%ないし八〇%の上乗せをやっております。 送致した事実で申し上げますと、五十三年十二月から五十五年八月までにかげまして合計いたしまして四十七件、実価格が一億百万円のところをこれに上乗せ額六千六百万円という状況になっております。しかも、これによって生じました超過受け取り分の差額金につきまして、来日しました相手方社員に現金や小切手で支払いをしたり、さらには相手方と取引のあります日本国内の貿易会社等に対しまして、相手方の債務決済のための支払いなどの不正決済を行ったわけでございます。 送致した事実で申し上げますと、五十二年六月から五十五年十月にかけまして、合計いたしまして百九十二件、不正決済額が六億一千五百万円というような状況になっております。 以上申し上げましたような状況でございまして、日本の二つの国内業者と韓国の貿易会社との取引が行われた。その間に、関税法及び外為法の違反として捜査が行われた、送致をしたということでございますけれども、これらの取引の中で、ユネスコクーポン券による決済のものも含まれておるというような状況でございます。
○本岡昭次君 いま御説明のあった金額、いわゆる不正水増しによってつくられた差額総額のうち、ユネスコクーポンを使用しての水増しによってつくられた差額は幾らですか。そしてまた、その差額を具体的に債権債務としてどのような方法で決済をしたのか。また、そうした価格の水増しによって損害を受けたのはどこのだれか、こうしたことについてひとつ説明してください。
○政府委員(谷口守正君) ユネスコクーポン券決済によるものでございますけれども、一つの業者につきましてはその大部分がユネスコクーポン券によるものということでございまして、上乗せ額で申し上げますと三千九百万円というような状況になっております。 それから、もう一つの業者につきましては、上乗せ額が二千七百万円でございますけれども、このうち大体一割ぐらいがユネスコクーポン券決済によるもの、こう思われます。 なお、先ほどお答え申し上げましたように、この事件は関税法及び外為法違反として捜査したものでございまして、決済手段につきましては特に捜査の対象とはなってないわけでございます。すなわち、関税法で言いますと、輸出申告に際して高価申告をしたといったことが問題でございますし、それから外為法につきましてはその支払い手段が問題になっている、こういうことでございます。
○本岡昭次君 実際の金額は新聞の報道するところではもっと差額分は多いのですが、ここでそれをやりとりすることは時間の問題があると思いますから、一応そういう事件があったというところで進めていきますが、いまありましたその決済をどのような方法でやったかということについて、最終の兵庫県警の調査では地下銀行というふうなものがやみ決済のために韓国にあって、巧みにそうした差額を、外為法のそうした法律の網をくぐるためにやっていたということが、兵庫県の各新聞に出ているのですが、これは決済の方法じゃないのですか。
○政府委員(谷口守正君) 兵庫県警察が捜査をいたしましたのは、東京にあります二つの日本国内の業者と、それから韓国にあります貿易商社三社でございますけれども、その間での取引について問題にしているということでございます。
○本岡昭次君 そうすると、この在韓地下銀行がやみ決済について指示をしたという情報は兵庫県警から受け取っておられないということですか。
○政府委員(谷口守正君) 兵庫県警察からの報告では捜査の状況、それから送致事実についてでございます。
○本岡昭次君 それでは、後でまたこの問題は改めて質問いたします。 それで、いま報告と若干私のやりとりの間であったような不正輸出事件が、ユネスコクーポンの信用を悪用して行われたわけなんですが、日本の企業がユネスコの信用を悪用して、なぜこのような不正輸出に手をかしたのかという問題、これ文部省に御質問いたします。あるいはまた警察庁でもよろしいです。
○政府委員(松浦泰次郎君) この制度はユネスコの精神に基づきまして善意に基づく信頼の上に本来成り立っておるものでございますが、そのような事態が起こりまして、ユネスコクーポン制度のために大変残念に思っておる次第でございます。 これは、先ほど先生も承知しておるというようなお話ございましたが、この仕組みでございますが、クーポン券を振興会が受け取りまして、その代金の支払いをいたすまでの手続段階でございますが、これにつきましてはユネスコ本部の定めるところによりまして、取引の内容はユネスコクーポン利用者と販売業者との直接交渉にゆだねることになっておるというようなことでございます。 したがいまして、その内容がそういう不法なものが含まれておるかどうかという点までの審査はなかなか容易でないというような事情がございまして、代金の書類上の手続に基づく支払いというようなことが基本になっておりまして、このような事態が起こったものと考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 問題の真相を的確にとらえていないことに非常に私は問題があるように思うのですが、日本の企業がこのような不正輸出に手をかしたのは、韓国の業者がユネスコを使って教育機器を輸入しようとするときに、日本の企業に対して水増し価格というものを認め協力しなければ、あなたのところから教育機器を買わないと、こういうことでもって企業の側からすれば強制をされた、こういう事実があるわけなんです。これは警察の調べの中で明らかになっているわけなんですが、そういうことを考えてみるときに、韓国と取引しているユネスコクーポン関係の企業は二百数十社に及んでいます。金額はもちろんそう多くはないですが、しかし考え方によれば、すべてのそれぞれの企業がこの種の水増し価格というものを半ば強制されながら、これを認めなければ他の業者に、企業にこの輸入については取引を変更すると、こういうことになれば中小企業にとっては大変だから、わかりましたと言って、やむなくこうした水増し価格の不当な、不正な輸出に応じなくてはならないという事態が私は発生したのだと、このように考えているわけなのですが、そこらあたりの点について、警察庁なりあるいはまた文部省なりが正確にどの程度把握しているのか、ひとつ考えを言ってみてください。
○政府委員(松浦泰次郎君) 私どもとしましては、そのようなクーポン制度が——そのことが事実といたしますと、まあ悪用されたということを非常に残念に思うのでございます。 ただ、新聞で報道をされまして、また先生から御指摘もいただきまして、私ども早速学術振興会の方に連絡をとりまして、その問題になっておる業者とはクーポンによる支払いを停止するように指導いたしております。また、先生御指摘のように、二百数十社の関連企業があるわけでございますが、そのような企業にも振興会の方から窓口を通しまして、そういうような遺憾な事態が生じておるので、その点は十分注意してやってほしいというような指導をいたしておるところでございます。
○本岡昭次君 それでは、いまの点について関連して質問しますが、学術振興会は、昨年九月この事件が発生して以来、韓国よりの、それではクーポン買い入れをどのように処置しているのか、お伺いします。
○政府委員(松浦泰次郎君) 先ほどお答えしましたことの一部に入っておるのでございますが、私ども早速、学術振興会に連絡をとりまして、振興会としましては、その請求に添付されております資料を一々点検をいたしまして、ただ、内容が科学的資材とかその他の機器等がございまして、その文書に規格などが表示されておるのでございますが、その規格とその代金との関係を的確に把握することがなかなか困難でございました。ある程度しかし、文部省側の専門担当官も協力しまして当たってみましたところ、物によりまして、やはり相当実際の市場価格よりも高いものも含まれておりました。ただ、物によりましては市場価格よりも低いものも入っておったりしまして、その辺の判断が非常にむずかしかったのでございますが、どうもやはり、実態としましては問題にされておるような内容が含まれておるというように考えられた次第でございます。 それで、先ほど申し上げましたように、早速その業者からの請求のクーポンの支払いは取り扱わないというようにいたしまして、その他のクーポンによる請求機関に対しましても、こういう事態があるので特に留意してやるよう指導いたしておるところでございます。
○本岡昭次君 結構だと思います。 私が文教委員会で質問したときは、学術振興会としてそのようなことはできないという一点張りであったのですが、学術振興会として義務的な仕事でなくとも早急に点検をやるべきであったろうと、このように思うのですが、そこで、警察庁の方にお伺いするのですが、わかれば答弁してください。 問題は、韓国でこういう事件を起こしているわけなんですが、韓国の業者のその取引上の問題について、日本の企業が協力してユネスコクーポンの持つそうした精神が踏みにじられたということなんですが、韓国では、それではこの事件はどのように取り扱われているのですか。もし、御存じであれば、お願いします。
○政府委員(谷口守正君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、国内業者につきまして関税法、外為法の違反ということで捜査をしたということでございまして、韓国でどうたるかということにつきましては私どもちょっと知りません。
○本岡昭次君 兵庫県警は韓国の問題についてもきちっと調べているのですよ。国会の場で韓国の問題なら言いにくいのですか。韓国では、ちゃんと業者が取り調べを受けて、勾留されて、罰金を受けて、きちっとした処理がされております。私がかわって言っておきます。 そこで、ちょっと細かいことに入って申しわけないのですが、日本学術振興会は、このクーポンの業務を通して手数料を得ているわけなんです。それで、手数料というのは三%ないし四%、こういう形でされているのですが、本来の価格でなく、水増し価格も含めて手数料が取られているわけで、私は文教委員会でその水増し価格によって得たいわゆる水増し手数料をどうするのか、ユネスコの精神にのっとるならユネスコ精神にのっとった形で、日本学術振興会は、本来受け取るべきでなかった手数料に対しての適切な措置をすべきでないかということを言ったときに、文部省としては、それは検討しますということでありましたが、どのように検討され、その結果はどういう答えになりましたか。
○政府委員(松浦泰次郎君) 私ども先生からの御指摘もございまして調査いたしたところ、昭和五十二年度におきまして、取扱高が売り上げ約五万四千ドル、買い上げ約四百五十四万ドル、先ほど申し上げたところでございますが、これに対します手数料の額が約九百三万円ということになっております。 それで先生からの御指摘もございまして、いろいろ検討いたしましたが、先ほども申し上げましたように、その取扱機関は、その代金等につきましての適否のチェックはしないというようなユネスコ本部の方針にございますので、私どもとしては、それは取扱機関として正当の取扱収入であるというようにいま考えておる次第でございます。 なお、いま問題にされております事件につきましても、警察庁の方、法務省の方でいろいろ御審理いただいておると思うのでございますが、仮にこれを返還するといたしましても、だれが本当に負担をして、どこに返すのがいいかというような問題もございますし、私どもとしましてはこれについての払い戻しは必要でないものではないかというように現在考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 法律的には責任はないということは私にもわかっております。 ただ、ユネスコという立場で恩恵的にやっているこの問題を悪用して、本来受け取ることのできない手数料を学術振興会が水増し価格によって受け取って、それを内部の経費に使ったということも事実でありますから、私の考えから言えば、このユネスコのクーポンによって損害を受けたのは韓国の子供であり学生であり研究者であろうと、このように思うわけなんです。そういう意味から言えば、たとえわずかな教育機器あるいは雑誌、学術研究にかかわるさまざまな教育の品物を韓国に対して送るということも一つの方法ではないかと思うのですが、私はそういう道義的責任というものを日本の側が果たすべきだということをここで要請として申し上げて、それで文部大臣、一体これをユネスコ本部に報告されて二度とこのようなことが起こらないような対策というものをどのようにとられたのですか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話がございましたように、人の善意を悪用するぐらい悪いことはないと実は思っておるのでありますが、このユネスコの学術振興に対しまする経費に対しまして、このような不正がありましたことは実に残念でございます。学術振興会に対しましても、今後一切かような業者との取引は中止させなきゃなりませんし、それからまた、いまの救済措置をどうするかということも、まだ容疑を受けた者の警察に対する調べも中間でございますから、はっきりはわかりませんけれども、こういう行為が再び起こらないように、同時に私はユネスコ精神というりっぱなものを汚したこのような行動に対しましては厳重に処置をいたしたい、かように考えております。 いま先生が言われました具体的な経理上の問題は、私は残念ながらまだきちんとした報告を受けておりません。その暁におきまして善処いたしたい、かように考えます。
○本岡昭次君 大臣、ユネスコ本部にこのことを報告して、ユネスコとしてこうしたことが二度と起こらないような改善措置をとってもらわなければならないと思うのですが、日本ユネスコとしてユネスコ本部にこのことをどのように報告されたのか、あるいはまた、もうすでにユネスコ本部としては、この改善措置が具体的にいま行われているのではないかと思うのですが、そうしたことについてひとつ報告してくださいと、こう言っているのです。
○政府委員(松浦泰次郎君) ただいま大臣からも触れられましたが、現在警察及び検察当局におきまして捜査が進められておるというような事情もございますので、私ども、そういう捜査の進展の結果その事態が明白になりましたら、そのことをユネスコ本部にも連絡をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 それでは、ユネスコ本部に報告をして、こうしたことが二度と起こらないような改善措置を日本のユネスコの立場から強く要請をしておいていただきたいということを申し上げて、文部省には終わります。 そこで、大蔵大臣、関連でまことに申しわけありませんが、先ほどこの問題の法的根拠はどこにあるのかということをお尋ねもしたわけですが、私なりに調べてみますと、昭和四十五年に条約第九号として教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定を多数国間条約として外務大臣、大蔵大臣、文部大臣がそれぞれ署名して締結しておられる、そのことがこのユネスコクーポンがさまざまな貿易上の恩典に浴するその法規上の問題になっているのじゃないかと、私はこう考えるんですが、韓国貿易と、そしてまたやみ決済のために地下銀行までがそこにあって、韓国貿易にかかわる黒い霧の一部がこのことから明らかになったという状況等も踏まえて、大蔵大臣からひとつこの種の問題についての見解をいただければと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 外為法の改正前は、輸入業者に対し紙幣や小切手または円貨を支払うことは要許可制、まあめんどうくさかった。今度は外為法を改正して自由化をしましたからかなりそういうところでは自由になった。したがって、うまみはなくなるわけですな、今度は、いままでと違って。いままでそういうめんどうくさかったから、その裏道をくぐって本当に善意の制度を悪用したということはけしからぬ話であると、私もそう思っております。
○本岡昭次君 それでは、ユネスコクーポンの問題につきましてはこれから善処されることを期待して、次の質問に入ってまいります。 それでは次の質問は、青少年の健全育成、これは文部省なり総理府の言葉を使わしていただきますが、この問題についてお尋ねをしてまいります。 青少年の非行や暴力などを生み出す社会的背景、そしてその好ましくない社会的背景を改善していく具体的な手だて、こうしたことについて、青少年の健全育成に特に関係の深い文部大臣、総務長官あるいは自治大臣から、この社会的背景なり、あるいはそれを改善して子供たちに好ましい社会的背景を与えていく具体的な手だて等について見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 青少年の問題につきましては、なかなか社会のつながりというものがもう表裏一体の形になって出ているのであろうと私は考えております。まず第一に出てきた経過が、ごらんいただいてもわかるように、昭和二十六年、終戦の混乱でいわゆる疲弊の中に青少年非行が起こってきた。昭和三十九年が第二の波でございまして、これは高度成長期における所得格差からその原因となって青少年非行が出てくる。そして昭和四十八年以降昭和五十五年にかけて戦後最高の波がやってきたわけでありますが、その背景というものは、豊かな社会の中におけるいわゆる未来への期待よりも現在楽しみたいと、こういうふうな青少年の欲望、忍耐心の欠如というものが今日の非行を形成している。まあ特徴としては、やはりこの子供たちの栄養がよくなって非常に体が大きくなってきて暴力化の傾向が強くなってきた。また一つは、いろいろな性に関する雑誌が自由に街頭で売られるということから性に関心を持つ子供たちがふえてくる。こういうことが一つございます。 もう一つは、やはりプラモデル等のおもちゃを接着する接着剤に使うシンナー、これがやはりその子供たちがシンナー遊びをする。しかし、そのシンナー遊びのシンナーたるや、私も先日二十日の日に新宿を見てまいりましたけれども、わざわざびんを入れかえて大きなびんで名称を変えてシンナーを売っているというのは、これは子供の責任じゃなしに大人の責任だと、私は実はそういうふうな感じを非常に強く持ったわけでございます。 こういう中でさらに問題を突き詰めていくと、やはり家庭の核家族化、それから家庭の放任主義、あるいはまた親がのめり込んだ塾通いへの指導、まあこういうことから考えてまいりますと、社会全体の問題として一体これからどうした政策をやっていくかと、こういうことで昨年の十二月十六日に法務省、警察庁、文部省、厚生省、労働省、総理府がお世話役になって局長会議を開きましたが、いろいろな意見が出てまいりましたが、警察庁あるいは法務省からの報告では、やはり親のしつけがなかったというのが収容された少年たちの意見であると、こういうふうなことから、どうすればいいかという具体的な結論がその日は出ませずに、一月十六日に改めて第二回の局長会議を開きました。この際もやはり学校の指導強化、地域における青少年の指導、こういうことがやはり必要な打てる手であるということで、この二月の六日に全国の関係各機関に連絡をいたしましたし、一月二十日には青少年問題審議会に対して少年非行に対する諮問をいたして早急に答申をいただきたい、答申の中からできるものを打ち立ててまいりたいと、このように実はただいま作業をしておるところでございます。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 いろいろの背景なり周囲の環境の問題は総務長官の方からただいまもるるお話がございましたが、われわれ特に学校教育というものを担当し教育を受け持っておりまする側の者といたしましては、やはり非行の背景といたしましては、ただいま申されたように経済の高度成長の中で物質的には非常に豊かなものを得ておりますけれども、その心の問題、精神面の重要性が見失われておる。自分本位の考え方や暴力を見逃してしまう傾向がある。同時にまた、子供に対しては十分なやっぱり親のしつけというものが基本でありまして、家庭がまずもって顧みられなけりゃならない。また学校教育におきましても、学校の運営が適正に行われず、一人一人の児童生徒に対しまする配慮が十分でないなどのいろいろな問題が指摘されます。 これに対する改善対策でございますが、学校といたしましては、教育委員会の指導のもとに教職員が一体となってその運営が弛緩することなく適正に行われるように努力をしなければなりませんし、また児童生徒の能力や適性に応じたきめの細かい指導を行わなければなりません。このために文部省といたしましては、まず都道府県の教育委員会等に通達を出しまして、さらにまた都道府県教育長会議におきましても指導を行いますとともに、都道府県教育委員会の特に直接指導に当たられます指導部課長会議を招集いたしまして、検討をし協議を行った次第でございます。また、都道府県におきます昨年中の非行の実態についての警察の報告もございますが、教育長の方からも報告を求めまして今後の対策を分析いたしたのでありますが、生徒の指導の充実のためには、文部省の施策といたしましては、生徒指導講座等の開催でありますとか、あるいは生徒指導資料の作成配付でありますとか、生徒指導研究推進校及び生徒指導研究推進地域の指定、さらに、昭和五十六年度におきましては、新たに小学校の教員のための指導資料の作成配付や、小中学校を中心といたしました生徒指導研究推進地域の指定を行うことといたしております。 また、社会教育の面におきましても、家庭教育学級でありますとか、家庭教育総合セミナーというようなものを促進いたしまして、社会教育面からもこれを指導いたしております。 非行の原因につきましては、社会的背景とともに、家庭教育、学校教育のあり方など、数多くの要因が絡み合っておることは先生の御指摘のとおりでございます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 青少年の健全育成の問題については、ただいま総務長官並びに文部大臣から原因並びに対策について概要を申し述べられましたので私があえてつけ加えることもございませんが、要するに、家庭、学校、社会環境、この三つが要因をなしておりまして、望ましい姿にならない、青少年にいろいろな傷跡を残しておるというのが現状だろうと思います。したがいまして、この対策というものもその三部門におきまして総合的に実施をしなければならぬわけでございますが、そういたしますと、結局は国民運動的なものに展開をしていかなければ私は実効が上がりにくいのではなかろうかと思います。その点で、総理府等を中心といたしまして、常時絶え間なく、常にこの問題を提起して、社会的な一つのムードを盛り上げ、おのおのの国民がその自覚を持つような、そして身近な問題をその観点から常に努力をして解決をしていくという、そうした根気のある、常時活動し得るような心構えというものをつくり上げていくということが一番基本じゃなかろうかと考えております。この点については警察等も協力をしていかなければならぬと考えておるものでございます。
○本岡昭次君 いろいろお聞かせ願いましたが、私と認識の一致する部分としない部分、またもう少し突っ込んでとらえていただきたい部分、たくさんあるんですが、ここでそれをやりとりしている時間もありませんので、参考人をきょうはそのためにもお呼びをいたしておりますから、参考人の方でそうした別な側面から、ひとつ青少年の諸問題についてお伺いしたいと思うんです。委員長、お願いします。
○委員長(木村睦男君) 教育評論家永畑道子参考人。
○本岡昭次君 参考人にお伺いいたします。どうも遅くまで申しわけございません。お待たせいたしました。 それで、参考人のお仕事と、そのお仕事を通していまつかんでおられる、青少年がいま直面している教育上の諸問題についてひとつお話をいただきたいと思います。
○参考人(永畑道子君) 仕事でございますけれども、一人の母親として、フリーの取材者として、子供たち、それから親たちの生きている現場を歩いております。教育相談というおこがましいものではないんですが、親と子の教育相談あたりにもかかわっております。 実態をそれではお話しいたしましょうか。もちろん、皆さん新聞などでもう特に御存じと思いますけれども、私なりにつかんでおりますことを申し上げますが、最初にお断りしておきたいことは、非行の子供たちだけが問題なのではなくて、その非行の子を取り巻いている何にも起こしていない子供たちの心の荒廃ということを非常に私は恐れております。それは、たとえば成績のいい子が隣の子の幸せが願えない、それから、自分のライバルが学校を休んだら自分たちの偏差値が上がる、それから塾でもそうですけれども、そういうような子供たちは親にとっても教師にとっても大変いい子と言われている、そのあたりの矛盾を私は感じております。それから、悪いことをした子をリンチにかけるわけですね。そのリンチにかける側の方は何も問題を起こしていない子供たちなんですけれども、そのリンチの残酷さあたりも、これはごく平常の感覚の中でとても荒れている、そういう様相に気づいております。 そこで非行の問題ですが、まず幾つか私の感じている実態を申し上げます。校内暴力はたとえばデータで出てまいりますけれども、恐らくこれは取材で回っております実感ではこのデータの恐らく十倍か、あるいはもっとそれ以上の数、ほとんどの中学が抱えている問題ではないだろうか、そのように考えます。ごく一部の中学はそれを克服していっているわけですが、それはもう本当に少数だ。それから管理が厳しい学校ほど校内暴力は起こるということを感じております。いま力でもって制するということがよく言われておりますけれども、これは私は大変見当違いではないか、そのように考えております。 それからこの校内暴力に並行して学校へどうしても行きたくない子供たちがふえております。これはいわゆる登校拒否という形で出てまいります。校内暴力が力による抵抗であるわけですが、登校拒否というのは自分の中にそれを責めていくわけです。自分をいじめる形で登校拒否という形を起こします。その登校拒否の子を何とか学校へやりたいと親たちは焦るわけです。これは昔から学校というのは行かなきゃいけない、非常にそういう固定観念がございます。そのためにやるわけですけれども、そこで家庭内暴力というものが起こってまいります。そういうように、これは家庭内暴力も恐らくこの学校問題に根がある、そのように私は考えております。 それから二番目に挙げたいことは、子供たちの心の荒れといいますか、乾きといいますか、これがもう本当に見る見るこの一年数カ月のうちにどんどんどんどん進行しているような気がしております。ちょうど一年前に私はラジオカセット事件で有名なあの事件のすぐそばで暴走族を取材いたしましたときには、金八先生が自分たちの学校にいたら自分たちは立ち直るということを申しました。ところが、ごく最近、三月の上旬にこれは江東区の方の暴走族を取材いたしましたときは、もう金八先生なんかは自分たちの学校にいても殴ってしまう、あんなに家まで出かけてくるような先生は気持ち悪いというようなことを申します。それほどもう何の救いもないような乾いた子供たちになってきたということですね。それから女子中学生たちがそこにいたわけですが、リンチは快感である、生きがいである、そのように申します。私は子供を産み出す女はこれはもう最後のやさしさの歯どめだと考えております。その女たちがそのリンチを快感だと感ずる、暴力を生きがいだと感ずる、そこまで世の中が荒れてきているということにぜひ気づいていただきたい、そのように思うんです。 それからいつこのような非行を自分たちが始めるようになったのか、そういう質問をいたしますと、やはり中学の一、二年、勉強についていけなくなったころから、やはりそういう非常に本音のところでそういうことを申します。やっぱり学校の勉強についていけないという苦しさ、四十分か四十五分の間何もわからないで教室に座っている苦しさというものを訴えます。これはもう現場の学校の先生たち、本当に真剣に考えていただきたいところです。それからさびしさということを訴えます。このさびしさというのは学校からも親からも見離されたさびしさです。家出の少女たちにインタビューをいたしますと、この家出した子供たちが家出の支度をしている、それを親がとめない、何にもとめないそうですね。それほど親と子の間にも断絶状態はあるし、それから先生も学校には来るなと言うそうです。おまえたちが来るとほかの子がだめになるからもう来ないでくれ、義務教育は自然に卒業できるのだから、どうか来ないでくれと、そういう言葉が吐かれる。私は本当に非行の子供たちの本音だろうと思いますが、さびしい。ただ、その中でお父さんが自分をしかってくれて本当にうれしいということを言った子がおりました。そのしかられるうれしさということですね。それをいまの子供たちが享受してない、そういう底辺のところに落ち込んでいる子供たちであるということを感じます。 そこで、学校の成績で目立つことができない子供たちは、服装であるとかあるいは女の子であれば化粧であるとか、そういうところで目立つために物を欲しがる、お金を欲しがる。そこである組織なんかに属しまして、これははっきりと暴力団あたりにもつながるわけです。それから、女の子はグループをつくりまして、そして集団で、たとえばカツアゲですか、脅迫をしてお金をとるとか、そういうようなところに走っていくわけです。 最後に、この実態のところでひとつ申し上げておきたいことは、大人の世界にも暴力があるではないか。つまり大人たちが自分たちに示し続けている暴力がある。それから不正がある。これは特に政治の場所で私は申し上げたいのですが、その不正が許されたままで温存されている、そういう大人の世界を見ていると、自分たちだけどうして責められるのだと、そういうことを申します。 それからこれは中学生たち、女の子供たちですが、新宿の街角に立って売春をするそうです。三十代、四十代の男の人たち、サラリーマン風のお金を持っているそういう人に声をかけるとほとんどと言っていいほど交渉は成り立つと。こういうふうにつまり先ほど総務長官申されましたが、まさに非行は大人側の問題である、子供を責めるのではなくて、親が変わり、親の子育てが変わり、大人社会が変わってきたのだということを私は特に申し上げたいと思います。 実態としては以上です。
○本岡昭次君 それではあと二問ほど質問したいのですが、時間に協力さしていただきまして続けて質問をいたしますから、ひとつできるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。 そこで先ほども青少年の非行、暴力などを生み出す社会的背景を各大臣にお伺いをいたしましたが、参考人がとらえておられます社会的背景、そして特に当面教育の面から緊急に配慮をしていかなければならない点は一体どういうことであるかというふうに考えておられるか、ひとつ続けてここで述べていただきたいと、このように思います。
○参考人(永畑道子君) なるべくまとめて申します。 まず、第一番目に社会的な背景ですけれども、その最初に挙げたいことは学校が成績、受験によって振り回されている教育現場になっているということです。文部省が新制高等学校を出発させましたとき、その初心の、望ましい運営の指針というのを発表いたしましたのが一九四九年です。この中に文部省は何を言っておるかと言いますと、入試は害悪であるということを教育者は知っておかなければならない、経済が復興した暁には希望する者は全部高校へ入れる、こういう大事なことを言っております。これが高等学校の初心ですね。新制高等学校の初心です。そして次の翌年一九五〇年にアメリカの第二次教育使節団に出しました報告書の中でやはり文部省日身が言っております用地元の子は地元の高校へ行くという学区制をしいてそれで高校間に格差をつくらない。つまりそのことが人間の平等であると、大変大事なことを文部省は言っていると思います。そのために希望する者は全部高校へ入れるいわゆる高校全入制、そういう学区制、これがほとんど日本じゅうに浸透いたしまして、少なくとも昭和二十年代の子供たちは幸せであった。これが非常に崩れていきます。一気に崩れるというふうに私は申し上げたいんですが、これが昭和三十年代初め教育委員の任命制以降ですね。これははっきりとデータの上で言えると思います。そこで、そのときから受験を機にした子供たちの非行が始まり、自殺が始まる。それから塾が始まる。いわゆる塾元年と言われるのはこのころです。このように文部省の初心が崩れていったことが一つ社会的背景として挙げておきたいこと。 二番目に挙げておきたいことは、マル・バツのテストです。これによっていまの子供たち、特に非行の子を取材しておりますと、考えることをしない、非常に短絡的に衝動的に行動を起こします。その恐ろしさを、私取材をしておりまして、本当にいつ飛びかかられるかわからないようなそういう気持ちがいたします、それは明らかにもうマル・バツ式のテストの結果であるということですね。これが大体指導要綱の上で一九七〇年あたりからこれは定着していったテストの方向だったと思います。 それから次に挙げておきたいことは、これはすでに触れられております高度経済成長による物のはんらんですね。そのために手足の力を失い、心の衰えまでも招いてしまった子供たちです。それが家庭の中に浸透してまいりました。 それから四番目に、最後に背景のところで挙げておきたいことは、いまの家庭で母親が子育て専業であるということの孤独ですね。これは特に挙げておきたいと思います。もうとにかく子供のすることを一筋に母親は見詰めております。そして、子供の手足を奪い、生きていく力を奪い、自立を奪っている。こういう主婦の状況があるということです。それは子供を育てるのは母親の責任であると世の中が言い続けてきたその結果、非常に孤独に落ち込んでいる母親であって、主婦蒸発を取材しておりますと、その蒸発をしていく母親は子供に対して大変残酷な母親であったかというと、決してそうではなくてとっても甘い母親であった。べたべたにかわいがった親たちがやがてほかの男性に心を奪われて蒸発をしていくわけです。そういう社会的な背景、これはもう家庭の中の孤独ということを特に申し上げておきたいと思います。 それから、じゃ当面どうすればよいかですけれども、これはこの後論じられると思いますのでごく簡単に申しますけれども、私なりの考えですが、ぜひ文部省は初心を取り戻していただきたいということです。隣の子の幸せが見える、そういう教育を現場に根づかせていただきたい。みんなが支え合って生きる、そういう幸せを子供たちに感じさせていただきたい。これは日本の戦後の初心であったと思います。戦後の教育が子供をだめにしたのではなくて、戦後教育を奪ったものが子供をだめにしたと私は感じております。 それから二番目に、学校を本当に楽しい場所にしていただきたいと思います。学校に行きたくないというのは、学校がつらい場所になっている。テストによって子供を評価する。そういう学校は本当の教育というのは恐らく根づいていないのではないだろうかと思います。先生たちは、本当の学問というのは何かということをよく御存じだろうと思います。それが許される学校現場になっていただきたい、そう思います。 それから、最後に家庭の問題ですが、人間の自立ということ、女も自立ということのできるそういう環境、そういう中で、後ろ姿で子供を育てることができる、そういう家庭に取り戻したいということです。実は、いまの母親たちの後ろ姿は決して子供に対してその自立を教えていない、そういうような感じを私は受けております。家庭基盤の充実ということが言われておりますけれども、その家庭基盤がただ女を家に閉じ込めるという、ただ主婦であるという、そのことだけで充実というふうに考えていられるのはこれは大変な間違いで、明治、大正を通して女たちはいつも働いておりました。むしろ男にかわって家を支えていたという存在だったと思います。そして、本当にこの昭和三十年代以降の受験戦争と軌を一にして女たちは主婦であることを強いられている。そういうごく最近の昭和の退廃ではないだろうかと私は考えております。 大変言葉が足りませんけれども、私なりに考えていることを申し上げました。
○本岡昭次君 どうも参考人の永畑さんありがとうございました。いまいろいろ述べていただきました御意見を参考にさしていただきまして、これから国会の中で子供たちのために政治がどうあらねばならないかという問題を私も真剣に追求してまいりたいと思います。 そこで、文部大臣にお伺いをいたしますが、大臣が述べられたこと、あるいはまた参考人が述べられたことをここで長時間やるわけにまいりませんので、二つの問題にしぼって、ひとつ質問をしてまいります。 まずその一つは、いまも参考人の方からありましたように、文部省は初心に返れと。戦後、高等学校に子供たちを、経済さえ復興すれば全員入学をさせなくてはならないという、そういう立場で進めてきたこの高等学校の問題であるわけですが、そうしたお考えは、いま文部大臣どのように持っておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 先生のいまの御質問は、戦後の非常な貧困、窮迫のどん底から、日本の復興は物の豊かさということを目指して全力を尽くした、その間における教育というものの歩んできた歩みと、こういうふうな点だろうと存じます。 それで、私はもちろん、戦後の非常な窮乏の中で、われわれが目指しました教育の理想というものがございましたが、しかしながら、それがいろいろと、小学校、中学校、義務教育というものがだんだんと普及徹底いたしまして、そうしてさらに今日では、高等学校進学率というものが非常に、九十何%になっておる。その新しい客観情勢下において、一体高等学校というものに対してどのような考え方を持つか。さらにまた、もう一つ一歩進めますと、義務教育から高等学校に行こうというその率が上がっておるということは、やはり一つは、いい学校に行こう、学歴社会といったようなものが影を映してきておる、こういうふうにお考えだろうと思うのであります。私どもは、この学歴社会というものに対しましては、何とかこれを、偏重の風潮を改めて、そうしてりっぱな学校教育に移していかなければならない、もっとゆとりのある姿に戻したい、こういうふうな気持ちを持っておりますが、もう一つは、入試制度の改善というふうな問題もやはりいろいろ考えられますけれども、もう一つは、高等教育の問題でございます。 それは、義務教育を終わりましてからの今後の進路という問題を考えます場合に、やはりこの高等学校の教育というものは、これからいろいろと多様化いたしておりまする価値観の中において、中学校を卒業した子供たちが、全員が高等学校に行くという、その高等学校までの義務教育の延長の姿よりも、むしろいろいろと各種方面に伸びていこうという気持ちをやっぱり伸ばしていかなければならない、こういうことから高等学校の義務化ということをわれわれは考えない態度でございます。その問題の可否は教育論といたしまして、先生もいろいろと違った御意見をお持ちかもしれませんし、いろいろな考え方がございましょうが、今日のわれわれは、中学校から高等学校に義務的に進むというあり方ではなく、むしろ高等学校は多様化する進路に対してこれを適合さしていきたい、こういう気持ちでおります。 大体以上でお答え申し上げたかと存じます。
○委員長(木村睦男君) 永畑参考人には、お忙しいところ御出席くださいまして、ありがとうございました。御退席なすって結構です。
○本岡昭次君 それではお聞きしますが、文部省は、いま中高一貫教育の研究指定校をつくって研究をしておられると思いますが、その研究目的は何ですか。
○政府委員(三角哲生君) 文部省ではただいま御指摘の中高一貫教育についての研究指定校というのをお願いしてやっておりますが、これは教育課程の基準改善のための実証的な資料を得ることを目的といたしましていろいろなテーマの研究開発学校という制度を設けてございますが、その研究開発学校のいろいろな研究課題の一つとしまして、中学校と高等学校の異なる二つの種類の学校の間の教育の連携を深めるということで教育課程の研究開発というものを取り上げておると、そういう次第でございます。
○本岡昭次君 この間の新聞で昭和女子大附属の研究実践が出ておりましたが、中高一貫教育の研究結果というものも一応文部省として集約されているのじゃないんですか。お願いします。
○政府委員(三角哲生君) 御指摘の昭和女子大学附属中学校、高等学校におきます研究開発でございますが、これは文部省から委嘱を行っておるわけでございます。この学校では、私立学校でございますので、その私立学校の特質を生かした教育内容の精選、それから中高の一貫性といったようなことの研究を進めておるわけですが、この研究は五十五年度末まで続けまして、そこで終わりましたら私どもの方に研究成果の報告をいただくと、こういうことになっておるのでございます。それから、同じような中高一貫教育についての研究開発学校はほかに公立て一組やっておりまして、それから来年度さらにもう一組指定の予定でございますが、私どもは成果につきましては出そろった段階でこれを検討いたしたいと、こういうふうに思っております。
○本岡昭次君 答弁をそらされたら困るんですが、中高一貫教育のその目指すところ、もちろん中高の間の教育課程をどうつなぐかということがあろうかと思いますが、やはり本格的な人間教育をするために、この中学校と高等学校の間に立ちはだかる入試地獄を解消するために、あるいはまた校内暴力など荒れ狂う中学生の問題に対処するためにという、こうした大事な課題がそこにあろうかと思いますし、その中で、やはり入試という問題をこの中高一貫教育で解決することによって、本格的な人間教育の芽がそれぞれの実験校の中では答えとして出てきていると私は考えます。 そして、私はこの間地元の中学校の卒業式に参加をしたんです。それはいろいろ現在の非行、暴力等の問題について荒れている中学生のことに関心があったからですが、やはり卒業式は私が予想しておったように、非常に重苦しい雰囲気の漂う中で行われました。これは、言ってみれば、三年間子供たちが徹底的に選別され、振り分けられたこの最後の儀式と、こういうふうな感じであったんですが、しかし、一つだけの救いは校長ががんばれという祝福を言うのに対して、子供たちが一人一人にっこりうなずいて卒業証書を受け取っておったその光景に私は救われたわけなんですが、しかし、そこにおる三百人近い子供たちはそれぞれ皆こう振り分けられて、先ほど文部大臣がおっしゃったような形の状態でないわけです。そして、教師たちは皆振り分ける立場に立って、その苦しい心を皆持ち続けている。そうしたことが痛いほどわかりました。そして、私の友人のベテラン中学教師に聞いたんですが、中学生が一番動揺し、荒れ狂う、そういう危険をあなたが教師として感じるときはいつだと聞けば、中間考査あるいは期末考査あるいは実力テスト、そうしたテストの前に子供は不安、動揺している、何か発火点があれば荒れるという状況を危険性として教師は感じる、こう言っているわけです。特にひどいのは三年生の二学期、これはもう子供たちが完全にそこに将来の進路を振り分けられるそのテストがあるわけですから、そういうときに子供たちにがんばれよという激励をやっても、先生もういいねん、わしらもう決まっておるねんということで、かつては激励に対して先生やるぜと、こう受け答えしてくれた子供たちがもうそう答えてくれないと、教師たちはそこを嘆くわけなんです。だから私はそこで、先ほど文部大臣は高等学校の義務化といったような問題は考えていないとあなたはおっしゃいましたけれども、しかし、現にいま置かれている中学生が荒れているという現状は、そこに厳しい問題があって荒れているのであって、これを解決していく一つの問題として先ほどの参考人と言われたように、文部省の初心に返れと、新制高校を設立したときの初心に返って、そしてさまざまな能力を持っている、さまざまな価値観を持っている、そういう子供たちをとにもかくにも高等学校に進学させる、中学校の段階でその一生にかかわる振り分けはさせないという、そこの問題に文部省が大胆に踏み切らなければ、私はこの青少年の健全育成というものについて答えは出ない、このように考えるんですが、これはひとつ文部大臣、総理府長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) 先生の御意見も、何とかしてりっぱな教育に、また青少年をりっぱな姿に戻そうという本当に温かい情熱のほとばしりだと存じます。われわれも同じ気持ちを持っております。また、しかしながらこの一貫の問題につきましてただいまも局長からお話ししたように、研究をいたしておることも事実でございまして、何とかこの教育の荒れた姿をりっぱなものにしたいと思っておりますことは私も先生も御一緒でございます。どうぞ今後とも、ともに研究もしてまいりたいと、かように考えます。
○国務大臣(中山太郎君) お答えいたします。 一貫制教育の問題については、ただいま文部大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、やはり中学から高校へ進学するときの子供たちの実態をしっかりと把握しておかなければならない。 そういったことで、一体壁にどれぐらい行っているかと言えば、中学生が全体の三八%塾に通っておる、しかも自分の、みずからの希望で行っている子供たちというのが比較的に多い、五一%行っている、親がぜひ進学のために行けというのは二七%だというような統計が出ております。 こういうことから見ていくと、やはりこの中学から高校への進学の問題という問題は、一度文部省も大臣を中心に御検討いただくことが必要かと、私はそのように考えております。
○本岡昭次君 この問題はまた改めて論議さしていただくことにしまして、私は義務制にしろということを言っているわけじゃないんです。とにかく中学校の段階で子供たちが、もう徹底的に振り分けられていくその状況を解決する方法は何か、これはやはり高等学校にその希望者が全員入学できるという条件を整備するところからスタートしてやらなければ、子供は何を言ったって信用しないんではないかという問題を私は言っているわけです。まあ、この点については文部大臣に幾ら言っても先ほどのような答弁しか返ってこないと思いますから、また改めてほかでやらしていただきます。 そこで、もう一つの側面は、子供たちが学校に通って本当に楽しいというふうに考える学校にしてやらなければならない、そのことに教師の責任もあり、あるいはまた行政の責任もあり、いろいろな責任があろうかと思うわけなんですが、その中で私は一つの問題として、いま文部省が楽しい学校、ゆとりのある教育というものを考えながら十二年計画という気の遠くなるような長期間にわたって、四十人学級、教職員定数改善という第五次計画をいま実施中でございますが、この問題も青少年の健全育成という問題に深くかかわっておることでありまして、私は十二年間というこうした長期計画そのものが、いまの子供たちの置かれている状況からすれば、これはもうなっていないと、こう考えるのですが、さまざまな状況の中からこうしたことが結論として出たということは認めるにしても、いま社会問題になっている子供の置かれている状況からして、この四十人学級の早期達成という問題を改めて論議すべきではないかと思いますが、文部大臣いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) いまの楽しい学級というふうな御表現で冒頭お話がありましたが、四十人学級の実現、定数の改善の問題が、このような教育を行い得るような条件を整えようとするものでございますが、何分にも厳しい財政事情や児童生徒数の増減の状況等を考慮いたしながら、昭和五十五年度を初年度といたします十二年計画としたものでございます。これはもう先生が一番よくその間の経緯は御承知と存じますが、今後ともに何とか円滑な実施に努めてまいりたい。 なお、改善計画について、去年の三月に昭和五十五年度の予算審議の過程では、自民党が社会党、公明党及び民社党に対しまして、おおむね三年後に各般の状況を勘案してその後の計画について検討する旨を回答いたしたことは御承知のとおりでございます。 現時点におきまする予算審議の過程でございますが、この当初の回答を申し上げましたこともよく御承知の次第で、この時点で適切に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 この四十人学級は、学年進行で送られておりますから、この三年後の検討でも間に合わず、四十人学級という新しい制度の中で勉強できずに、四十五人学級で卒業していく子供がどんどん出ていくわけなんですが、そこでこれに関連して、行政管理庁長官、大蔵大臣にお尋ねしますが、第二臨調の具体的な審議がまだ始まっていないのに、何か政府の側から盛んにアドバルーンが上がっているわけで、最近の新聞では、その四十人学級という言葉も何か原案の中にあるかのようなものが出てくるんですが、何か調査会の名をかりて盛んに世論操作をされているようで非常に不愉快なんですが、このことにつきましてひとつ行政管理庁長官、大蔵大臣、こうしたものが原案の中にあるのか、あるいはまた、実際調査会が調査を始めていないのに、政府の側でこの中身がこのように検討されているのかということについてお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 四十人学級の削減、縮減が原案にあるというようなことはございません。第一、原案というものがまだないのでございまして、きょう第二回目の会合をして、そしてこれからどういうふうな議事手続でやるか、どういう問題をアイテムにするかというような一般的な討論をしたという状況でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ何も聞いておりません。
○本岡昭次君 それでは、新聞の報道が全くの憶測記事であるというふうにここで押さえておきたいと思います。 そこで、この四十人学級の問題は、すし詰め学級という先進諸国に例を見ない状況を解消して、豊かな人間の発達を促すゆとりの教育、これは政府も言っている二十一世紀を目指す人づくりのまさに四十人学級は中核である、こう思うわけですし、非行あるいは暴力問題といったことを解決していく一つの重要施策であるわけです。こうしたものが前面に出ていくということは非常に不見識であると私は思うんですが、しかしその一方、行政改革というのは、政府の側だけでなくて、その利益を受ける国民の側も、こういう施策は要らない、こういう予算は要らないという主張があってもしかるべきでないかと思うのです。文教予算聖域ではないと盛んにいま大蔵大臣等もおっしゃっていますが、だれも聖域と思っていないわけで、その中には要らない予算もいっぱいあるわけです。例を挙げれば主任手当、こうしたものはずっと要らないと言っている。また、放送大学というふうな、文部省は何かロマンだロマンだと言っているが、そのロマンを言うほどいま財政状態は豊かでない中で、不急不要のものだと思います。こうした国民の側から要らないもの、不要なもの、こう言っているものを積極的に取り上げて、そこから行政改革を進めていただきたいということを私の意見として申し上げて、次に移ります。 それでは、三番目に勤労者教育の問題を触れます。三月十四日の第十二期中教審生涯教育小委員会では、なぜ勤労者の教育有給休暇の制度化についての提言が見送られたのですか、文部大臣にお尋ねします。
○政府委員(鈴木勲君) 中央教育審議会のこれは生涯教育に関します小委員会の中間報告でございまして、これから六月の期限までに最終の答申をするわけでございます。見送られたということではございませんで、その中間報告の中では、「勤労者の教育のための休暇については、将来の課題として、我が国の労働慣行等の実態や、諸外国におけるこの種の制度の実情なども勘案しつつ、検討を進める必要がある。」というふうに提言をされているわけでございます。
○本岡昭次君 ということは、中間報告だから最終報告の中にはそれが入る可能性があるということですか。
○政府委員(鈴木勲君) 中間報告を公表いたしました趣旨は、広く各方面の意見を聞きまして、その結果によって最終答申において検討をするという趣旨でございます。
○本岡昭次君 ある新聞によれば、この中間報告をした中教審の高村会長自身が六十五点だと自己採点をしていると報じられていますが、高村会長の意思と違う面がここにあるということだと思いますが、文部省どう思いますか。
○政府委員(鈴木勲君) 高村会長がどういう趣旨でそういう御発言をなさったかわかりませんけれども、これは昭和五十二年の六月に文部大臣から包括的な諮問をいただきまして、大体四年間にわたって検討を続けてきたものでございます。その結果、かなり詳細にわが国の生涯教育のあり方、生涯教育の問題点、社会における生涯教育の状況等を十分に検討いたしまして、行政としてなすべき点等をも多々具体的に提言をしているわけでございまして、私どもは非常に内容のある中間報告ではないかというふうに考えているわけでございます。
○本岡昭次君 高村会長はこの教育有給休暇の制度化について非常に情熱を傾けておられたと聞きますが、どうですか。
○政府委員(鈴木勲君) これは、教育有給休暇の問題につきましては、小委員会におきましてかなり慎重に検討された経緯がございます。高村会長自身はヨーロッパに視察をされまして、西欧諸国における教育有給休暇の制度の利用率がかなり低いという実情なども視察をされまして、その結果、わが国の労働慣行、労働法制あるいは企業における企業内教育の実態等をも参考にいたしましてこのような表現におまとめになったというふうに聞いております。
○本岡昭次君 それでは、文部大臣に後でお尋ねしますが、その前に労働省に質問いたします。 労働省の予算の中に有給教育訓練休暇奨励給付金というのがありますが、この制度の実施状況等について報告してください。
○政府委員(森英良君) お答えいたします。 労働省といたしましては昭和五十年度から有給教育訓練休暇奨励給付金制度というものを設けましてその普及に努力しておるところでございます。この制度は職業人としての資質の向上と申しますか、職業に関する教育訓練を受ける労働者に対しまして有給の休暇を付与する事業主を対象に、中小企業の場合には労働者一人について千七百三十円、大企業の場合には千三百円を支給するものでございます。なお、四十五歳以上の労働者に対しましてはこのほか一人一日六百九十円の受講奨励金が支給されることになっております。 五十四年度の支給実績でございますが、延べ人日で三万七千五百八人日、支給額は五千七百万円。五十五年度、これはまだ見込みでございますけれども、延べ人日で約一万人程度ふえるのではないかというふうに見ております。
○本岡昭次君 それで、労働省としてこの教育有給休暇という問題についてILOの勧告、条約にもあるわけですが、どのような見解を持っておられますか。
○政府委員(森英良君) お答えします。 ILOの条約、勧告に有給教育休暇に関するものがございますことは先生御指摘のとおりでございます。 また、この制度は勤労者の自己啓発意欲というものに基づきまして労働者の能力の開発ということに資することでございますから、趣旨において大変結構なものと考えております。 ただ、遺憾ながら現在のところ実際の企業におきます普及状況を見ますと、おおむね一割という程度がこれを実施しておりまして、その余のものはまだ実施に至っておりません。したがいまして、これを法制化するということにつきましては、将来はまた検討課題でもあり得ようかと思いますが、目下のところはまだ時期尚早という感じを持っております。したがいまして、今後につきましては、先ほど申し上げましたような奨励制度をさらに一層充実を図りまして制度の普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 それでは文部大臣にお尋ねしますが、教育有給休暇が生涯教育の中で非常に重要な役割りを果たすということについては、大臣も同じ考えを持っておられると思うんです。そこで、労働省もその趣旨としては大変結構と、ただ法制化についてはいまの実態の中で難点があると、このような御答弁でしたが、勤労者の教育という範囲だけでなくて、文部省の言う生涯教育ですね、生涯教育という観点についてこの教育有給休暇というものを前向きで早期に実施していくということについてひとつ御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 この問題につきましては、文部省限りで対応できる問題ではございませんので、他省庁にもかかわります全般的な問題でございます。今後ともに関係省庁とも御相談をしながら、文部省といたしましても前向きに検討さしていただきます。
○本岡昭次君 終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で本岡君の一般質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、原田立君の一般質疑を行います。原田君。
○原田立君 通産大臣大変お忙しいそうでありますけれども、いろいろとお伺いしたいのでありますが、現在日米間で自動車問題が緊迫しておりますけれども、アメリカでは今週中、あるいは来週後半には何らかの結論が出されるのではないかという、こういう見方があるわけでありますけれども、この点どういうふうな情勢になっていますか。
○国務大臣(田中六助君) いま外務大臣も向こうに行かれておりますし、福田前総理も行っておるわけでございますけれども、まず私どもできるだけ向こう側の意向、考えを聞いてきてほしいということをお二人にお願いしているわけでございます。現在向こう側といいますかアメリカ側は、ダンフォースそれからベンツェンという上院議員の二人の法案、これは日本の自動車の規制法案でございますが、これの結果も待っておるわけでございますが、まだ出ませんし、それからルイス運輸大臣を座長としておりますタスクフォース、これも私どももとっくに結論が出ておらなくちゃいかぬのが出ておりませんし、お二人が帰国するまでに間に合わないんじゃないかという気もしておりますけれども、まあ大河原大使もおられますし、そういう点、向こうの出方を現在待っておる次第でございます。
○原田立君 待っているのは当然のことでありますが、輸出規制の具体的内容、いろいろ新聞で報道されているわけですけれども、見通しを発表するという自粛強化の形にするのか、それとも法の裏づけのある自主規制にするのか、対応を迫られているようであります。いまも大臣お話しのように、伊東外務大臣も福田前総理も行っていろいろ話されているようでございますけれども、そこいら辺の方向は、先方からいろいろ言ってきてからこっちで対応するという形になるのだろうと思うのです、結論は。だけれども、現段階で言えることはお話し願いたいと思うのです。
○国務大臣(田中六助君) レーガン新政府も基本的にはわが国との自由貿易を望んでおりますし、私どもも自由貿易ということを考えております。だから基本的には両方合っておると私は確信しておりますけれども、まあ日本にもいろいろな意見があるように、向こうにも必ずしもそれにも乗ってない人もおりますけれども、基本線はそうだと思います。ただ、私どもが現在言えるのは、自主規制とか、あるいは自粛の中にもいろいろ、たとえば行政指導によるとか、法律によるとか、いろいろございますけれども、現在私どもは、これがこうだというような決め手のある態度あるいは考え方を決めておるわけではなく、先ほどから申しておりますように、向こうの出方を十分聞いた上、それからそれを分析して態度を決めたいというような考えでございます。
○原田立君 大臣は二十日のNHKの録画撮りの中で、たまたま日曜日拝見しましたけれども、行政指導による自主規制や輸出入取引法による輸出カルテルは、ともに米独禁法に引っかかる心配がある、輸出貿易管理令に基づくもの、これならば引っかからないのじゃないかというような意味の発言をなさっておられますが、そういうことですか。 〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
○国務大臣(田中六助君) 確かに考え方の中に行政指導あるいは、つまり輸取法——輸出入取引法でございますが、輸取法と、それから貿管令などがある。しかし、前の二つはこれは向こうの独禁法に引っかかる可能性もあるけれども、貿管令は引っかからないかもわかりませんというようなことを申し上げまして、これは相手側の日産の川又会長の言葉を受けてこれを言ったわけでございますけれども、私も川又会長も貿管令という言葉を口にしましたので、もしも国民の皆様や関係者の人たちが貿管令一本でいくんじゃないかという気持ちをお持ちだったらいかぬと思いまして、私は次の段階で貿管令と決めているわけでは全くございませんというこれを否定する言葉を出したわけでございますけれども、そのように、現在のところどれをどうするというようなことは全く決まっていない段階です、
○原田立君 大体わかりましたが、貿管令を発動する道が開かれると、他の国からもいろんな製品について貿管令適用を求められる危険があるわけでありますから、これは慎重にしなきゃならぬと思うのであります。また、貿管令は敵対国や戦争当事国などへの輸出禁止や輸出規制を求めた法律で、一カ国に対する特定品目の貿易摩擦を解消するために発動するというのは根本的に疑問がある、こう私は思うのでありますけれども、大臣いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 委員御承知のように、全くそのとおりの解釈も成り立ちますので、私ども、いずれにしても慎重な態度でこれの選択を決めたいというふうに思っております。 〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
○原田立君 先ほど前段で結論めいたことを申し上げてしまいましたからなんでありますが、要は、レーガン大統領がはっきり態度を示してから事は始まってくるのだろうと思うのであります。だけれども担当省としての通産省、あるいは業界にしても、前もっていろんな慎重な行動、これはもう当然必要なことであろうと思うのであります。今後の取り扱いは十分慎重を期してやるということでございますので、その方向でぜひ進んでいってもらいたい。わが党の訪米団の矢野書記長の話では、報道としてされているのはこの数日間のうちに決まるのじゃないかというようなことが報道されておりますので、心配でこの問題を取り上げたわけであります。自動車の問題はこれで終わりにするわけでありますが、通産大臣、何か忙しいそうですぐ帰られるという、どの大臣もみんなそんなお話なんで、ぼくの質問がばらばらになっちゃって大変困るのですけれども、通産大臣もう一遍またお伺いします。 例の国鉄のローカル線廃止の問題であります。大臣の地元の田川、この四区の筑豊関係ですね、あっちこっち廃止にされるようなことになって大変地元は困っているわけでありますけれども、福岡県筑豊地区のローカル線廃止は、産炭地域振興臨時措置法の十年延長も認められ国が産炭地振興に力を入れているときに、その足を引っ張ることになると思うのでありますが、産炭地域の振興に力を注いでいる通産省並びに運輸省の考えをお聞きしたいのでありますが、特に大臣、地元の問題ですから本気になって取り組んでもらいたい。
○国務大臣(田中六助君) 地元の問題だから一生懸命やれということも考えられますけれども、まず隗より始めよで、自分のところを少なくとも余りあれこれ言わずにいかなければいけないという苦しい立場もありまして、あんまりどうとかこうとか言えませんけれども、できるだけ産炭地振興法は十年間あってこれを何とか振興しようという考えと、ローカル線を廃止してしまうということとは相矛盾いたします。したがって私も非常に苦境にありますけれども、そこはうまく何とか調整して今後の産炭地振興に対処していきたいという考えでいます。
○原田立君 その何とかうまくやってという、その何とかうまくやってという中身が問題なんです。それを実は本気になって聞きたいところなんです。大臣も地元ですからこんなことを言うのはどうかと思うのですけれども、福岡あるいは北九州圏の人口飽和状態とともに筑豊地域へ人口がどっと流れ込んでいる。関係市町村においてもその見込みのもとに都市計画を準備している。近い将来、筑豊が福岡都市圏のベッドタウンになることも十分考えられる。いま北九州圏に入っていますけれども、福岡都市圏に入るようなことも考えられる。たとえば篠栗線の桂川駅と上山田線の臼井駅間を短絡すると、上山田線沿線も福岡都市圏のベッドタウンとして生きてくるわけでありますが、こうした既存路線の効率的利用も国鉄はもっと積極的にやるべきであろうと思いますし、運輸省も地元の産炭地振興、こういうふうな面からもお考えになって、もっと真剣にこの問題は取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 筑豊地帯は私が生まれて育ったところでございますし、当選以来そういう炭鉱問題については長い間自分がタッチしてきた問題でございますし、この筑豊地帯は人口も鳥取、島根県と等しいような人口でございますし、この浮揚につきましては一生懸命やりたいと思います。 ただ、ローカルな交通網の体系というものが整備ということになっておりますけれども、まあ多少は生き残ることも運輸省との折衝の結果残っておりますし、そういう点頭をもう少し使って産炭地振興に支障のないように、あるいは七十万近い人口の皆さんが困らないようなことはこれからも一生懸命やっていきたいというふうに考えます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 北九州地域の赤字ローカル線対策についてでございますけれども、この件につきましては、現在福岡県、地方自治体と話し合いを具体的にはいたしたいと思っております。そのことは、産炭地におきますいろんな諸計画が具体的にどのように進んでおるのかということ等もあわせまして、十分に意思の疎通を図ってまいりたいと思っております。
○原田立君 総裁、あなたが入ってくる直前にぼく質問したのだ。質問の要旨は大体お知らせしてあるはずだと思いますから御答弁願いたい。
○説明員(高木文雄君) 産炭地域の問題につきましては、鉄道だけが経営的にうまくいっていないということだけで問題を処理すべきことではなくて、産炭地域振興の立場から見てどう考えるかということを政府レベルでも調整をしていただきたいというふうに思っております。 ただ、私どもといたしましては、やはり何と申しましてもお客さんが少ない。現在においてお客さんが少ないという場合には、むしろバスに転換させていただくしかないというふうに考えているわけでございまして、今後具体的には協議会等におきましていろいろ実情を私どももより積極的に勉強さしていただいて、そして具体的な答えを出していくということにいたしたいと思っておるわけでございます。 いずれにいたしましても、ローカル線問題につきましては、どうしても地域ごとのいろいろな事情がおありでございましょうけれども、基準的には全国統一的な基準でなければならないということで政令が定められました。今後いよいよ具体的な問題について協議会の場等を通じてお互いに知恵を出し合っていくということで取り進んでまいりたいと思っております。
○原田立君 十分検討して地域の実情に合わしてという、そういう重要な御答弁がありました。どうかひとつ地域の声を十分くみ取って決定をしていっていただきたいと心からお願いする次第であります。 それでは次に、物価問題についてお伺いいたしますが、国民の声は、われわれには厳しい切り詰めた生活を押しつけておきながら国の財政は依然として放漫状態ではないか、補助金の整理合理化など口先だけで、逆に増加しているのではないかという非常に怒りの声に満ちていると言っても過言ではありません。現在多くの人たちは、賃金の上昇より消費者物価の上昇率が大きく、実質賃金のマイナス、加えて四年連続の所得減税見送りによる実質増税、社会保障費などの負担増など、庶民の家計は苦しくなるばかりであります。 そこで、国民生活あっての経済であり、国の財政であります。国民の家計の苦しい現況に対する大蔵大臣あるいは経企庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和五十五年度の政府の物価目標が達成できなかったことは大変遺憾に存じております。また申しわけなく存じておりますが、幸いに最近になりましてから消費者物価の方もだんだんと落ちついてまいりました。来月にはよほどのことがなければ五%台になるであろう。こう思っておりますが、それにいたしましても、五十五年度は実質賃金がおよそ一%見当マイナスになっておりまして、国民生活に非常に大きな圧迫を加えておることは、いま御指摘のとおりでございます。 これからの考え方といたしましては、物価の安定にさらに一層の工夫と努力をいたしますと同時に、国民の実質所得がふえるようなそういう経済の背景をつくり上げていきたい、このように考えております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 企画庁長官と同じ考えであります。
○原田立君 総理府統計局の「家計調査報告」というのがあるそうでありますが、それについての所感を御報告願いたい。
○政府委員(島村史郎君) 総理府統計局が家計調査をやっておりますが、その結果によりますと、昭和五十五年平均の全国の勤労者世帯の実収入は一カ月約三十五万円ということでございまして、前年に比べ名目では七・三%の増加でございますが、物価上昇分八%を除いた実質では〇・六%の減少になっております。また実質収入から税金や社会保障費などの非消費支出を差し引きました可処分所得は、昭和五十五年には、前年に比べまして、名目では六・五%の増加でございましたが、実質では一・四%の増加になっております。それから昭和五十五年の消費支出は、前年に比べて名目七・一%の増加でございますが、実質では〇・八%の減ということになっております。 しかし、これを四半期別に見ますと、実収入、消費支出とも、四月−六月期が最も大きな実質減少を示しましたが、その後若干回復傾向が見られまして、十月−十二月期には実収入は実質横ばい、消費支出は〇・四%と小幅な上昇を示しておるのが現状でございます。
○原田立君 経済企画庁で非消費支出の問題について御調査になり、五十五年にはついに実収入に対して一二・六%に達している資料がありますけれども、これは余りにも多過ぎるんじゃないかと、割合が。経企庁長官いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 非消費支出はいまお述べになりました数字になっておることは事実でありますが、一方におきまして、生活環境の整備等の社会資本部門への投資、それからまた社会保険料の給付の増加と、こういう面もございますので、いまお述べになりました点は、そういうことを総合的に判断する必要があろうかと思います。
○原田立君 厚生省では国民生活実態調査というのを行ったそうでありますが、厚生大臣の所感をお伺いしたい。
○国務大臣(園田直君) 五十四年度の所得調査は、一世帯平均所得は三百七十七万六千円、対前年の伸び率は五・三%で、五十四年調査の対前年伸びは六・七%、これを下回っております。 現在の暮らしについての生活意識、前年に比較して「苦しい」という答えをした世帯が増加していることは事実であります。 しかしまた一方、所得階層別に見ますと、所得の低い階層ほど所得の伸び率が高く、また高齢者世帯の平均所得は、年金受給額の増大等によって全国平均より高い伸び率を示しておりまして、所得格差の縮小が見られているところでございます。
○原田立君 厚生大臣、おたくの方の官房統計情報部で「国民生活実態調査の概況」という資料が出ておりますけれども、この二ページのところに、「所得の低い階層は前年にひきつづき高い伸び」ということで、いまもお話がありましたけれども、総数においては五・三%の伸び、それに対して第I四分位、これは一番収入の少ない人ですけれども、これは一〇・五、第II四分位は七・四、第III四分位は五・八、第IV四分位は三・四と、こうなっているわけですね。 こういう所得の低い階層の人たちがこういう重圧に押されるということは、これは余りにも気の毒なことではないかと、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
○説明員(吉崎正義君) 五十五年の国民生活実態調査の結果はただいま御指摘のとおりでございまして、対前年度伸び率が減少しておるところでございます。御指摘のございましたように、第I四分位が所得の低い方でございますので、所得の差が縮まっておるということもまた事実であろうかと思うのでございます。しかしながら平均では前年度よりか伸び率が低くなっておる、こういう結果になっております。
○原田立君 国鉄総裁、まだあといろいろ質問したいことあるのですけれども、運輸大臣がおりますから、運輸大臣にお聞きしますから、どうぞ御退席になって結構です。 次に、昨年十二月に消費者物価六・四%維持は困難と見て七%に変え、この七%さえ現在は困難と見られておるのでありますが、いまの説明の中に消費者物価は八%なんというような話が出てきたけれども、しゃあしゃあと政府委員が八%なんて公言するのはちょっとどうかしているとぼくは思うのです。 それで、一体五十五年度はどの程度になる見通しか、明確にしていただきたい。
○政府委員(廣江運弘君) お答えいたします。 物価の現状につきましては、先ほど長官がお答えをいたしましたとおりでございますが、いま統計的に確定いたしておりますのは今年の一月まででございます。この一月までの指標をそのまま横にずらしていくといいますか、そのままの姿で推移するといたしますと、本年度の平均は七・七%程度になるわけでございます。ただ、統計上二月は、東京都区部につきましては速報が報告されております。この東京都区部の速報と同じように全国が仮に推移するといたしますと、こういうことはかなりの前提でございますが、こういう仮定を置きますと、そしてそのまま三月も推移する、こういう仮定を置きますと、七・八%程度になろうかと思います。 ただ、これはお断りいたしておきますが、予測とか見通しというものではございませんで、そういう計算をいたすとそうなるということを申し上げておるわけでございます。 ただいまの物価の趨勢あるいは基調というものにつきましては、先ほど長官がお答えしたとおりでございますし、政府といたしますと、いまなお一生懸命これを下げるように努力をしておるわけでございます。
○原田立君 六・四%が大幅に変更せざるを得ない原因は何ですか。
○政府委員(廣江運弘君) 当初見通しで六・四%と見込んだわけでございますが、これが昨年の暮れに実績見通しを出します段階で改正をせざるを得ない羽目になったわけでございますが、この理由は、一つ大きく考えられますのは、原油価格が予想以上に大幅に値上がりをしたということでございまして、途中中東地方におきます動乱といったようなものも含みまして、大幅に上がったということが一番の大きな理由かと思います。 さらに、もう一つつけ加えますならば、昨年の夏の異常な何十年ぶりという冷夏というようなもの、あるいは今年に入りましてからの異常寒波、あるいは異常な乾燥といったようなものが、わけても季節商品の高騰を呼びまして、こういうものが大きな寄与をいたしておるわけでございます。
○原田立君 大体そんな答えが出てくるだろうと思って質問したんです。 大臣ね、それは違うのですよ。油の値上がりはすでに六・四%の見通しをつくる段階ではわかっていた。野菜も一時的に乱高下があり物価に影響するが、五十五年度六・四%達成できない物価値上がりの真の原因ではない。これについては消費者物価の対前年比比較では、五十五年度の総合では八・一%の増加であり、このうち消費が七・四%、サービスは七・一%と、いずれも総合を下回った上昇率に対し、公共料金は実に一一・九%増加している。これが物価の値上がりの真の原因ではないですか。
○政府委員(廣江運弘君) 先生がお挙げになりました公共料金でございますが、これは公共料金の寄与度は、現在までの段階で五十五年度は二・二%になっております。二・二%だけ物価を押し上げたわけでございます。その中で予算関連のものが〇・五、電気・ガス関係が約一・一%の寄与度となっておろうかと思います。 ただ、ここで考えますときに、この電気、ガスにいたしましても、原因はやはり、先ほどお答えをいたしました石油の価格の上昇といったようなものが原因になっておるわけでございまして、総体といたしまして、五十五年度の物価を大きく押し上げたものに原油価格の予想外の上昇、あるいは季節商品の上昇といったようなものが寄与しておるものと考えております。
○原田立君 五十四年度は寄与度は〇・八%ですよ。それが五十五年度は実に二・二%、三倍以上になっているんですね。こういうふうな政府の物価見通しの大幅修正の原因は、この公共料金値上げの物価への影響、なかんずく電気、ガスの料金等の値上げを過小に見た結果じゃないですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かに五十三年度におきましても、五十四年度におきましても、公共料金関係の消費者物価に対する影響は〇・八%前後でございますから、五十五年度の二二一%という公共料金の押し上げは、これはもう非常に大きく消費者物価を押し上げたことは事実であります。ただ、なぜそんなに大幅な公共料金の引き上げが必要であったかといいますと、これはいま政府委員が答弁いたしましたように石油価格がおよそ三倍になったと、こういう背景がございますので、間接的にはやはり石油危機というものがこの原因であろうと、このように考えております。
○原田立君 大蔵大臣、お疲れのようでありますが、財政の中期展望、その前書きに財政計画試案であるとの説明がありますが、算出方法は現行制度を条件にして試算したとしており、その性格がまことに不明確であると言わざるを得ません。中期展望の性格を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中期展望については、かねてから財政計画のようなものを出せという国会サイドからの強い御要望がございました。そこで、なかなか今後先の見通しというのはいろいろな変化がありますからできません。できませんが、ただいまの法律、制度その他を前提にして、ある一定の条件のもとにその歳入と歳出を見積もればこういうようなことになると。その差額がいわゆる要調整額としてあらわれたものでありまして、これをなくすことによって乗り切るか、あるいはなくせなければ何らかの負担を求めるか、どうするかといったたき台に出したものでございます。
○原田立君 たたき台に出したという、それもわからないことはないのでありますが、単なる試算であると言いながら、項目によっては政策目標を織り込んでいる。これが今回の中期展望の性格をあいまいにしている原因となっていると私は思うのです。どうですか。中期展望の性格をあいまいにしている。項目によっては政策目標を織り込んである。ある面では予定として出しておきながら、あるものはきちっとした目標を立てている。そういう何だか織りなしたようなことをおやりになっているじゃないですか。
○政府委員(松下康雄君) 中期財政展望の各項目の積算につきましては各省庁とも御相談をいたしまして、昭和五十六年度の予算の金額をスタートといたしまして、その後五十六年度の予算の考え方に将来変更がないという前提を置きまして、たとえば物価の上昇でございますとか、人口構成比の増加でございますとか、そういうできる限り客観的な指標で先の変化を見通したものでございます。ただ、その各項目の積み上げのほかに一つ予備枠という項目がございまして、ここに各年の歳出総額の一・五%を配分をしてございます。 この予備枠と申しますものは、一つはそういう機械的な将来推計でつかみきれない性格のものが残りますので、たとえば給与費の増加のように残りますものをこの予備枠の中から賄うという考え方と、もう一つ将来におきまして何らか新しい政策的な経費が出現をするといたしました場合に、それをこの予備枠の中で受けとめてまいる。できる限り全体の姿を現実的な将来予想される規模に近づけるために設けたものでございまして、その他の点では特段の政策を折り込んでございません。
○原田立君 この中期展望は、近い将来の大型増税の必要性を強調するための手段として提出したものにすぎないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはそういうわけでなくて、要するにこれだけの経費がかかります、これだけしか歳入は出ませんということになりますと、二つあるわけですから、経費をばさばさ切っていくか、切れなければ別な負担をいただくか、これは二つに一つ。借金はふやさないという大前提があるわけですから、そういうことで、増税を折り込んだというわけでは決してございません。
○原田立君 大蔵大臣、増税はやらぬとすれば歳出のカットが重要になるわけですね。巷間伝えられるところによりますと、大蔵省は千項目に上る歳出削減リストをも作成していると、こう聞いているのでありますが、どんな内容のものか説明してほしいし、できれば当予算委員会に資料として提出してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そんなに手際よくいかないのですよ、これは。五十六年度予算もまだ議決をされないうちに五十七年度予算の削減リストまでとてもとても手が回らない。国会から早く解放してもらって、一日も早く手の回るようにしてもらいたいと思っております。
○原田立君 忙しいからって、忙しいのはお互いさまですよ。だけど、大蔵省がこうやって歳出削減リストをつくっているという、これは本当ですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵大臣が見たことないのですから、どなたがごらんになったか、私は将来つくらなきゃならないとは思っておりますが、まだそこまで物理的に間に合わないというのが事実です。
○原田立君 どうも理解しがたい返事でありますが、それじゃだれかわかっている人がいるのですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはだれもわかっておりませんから、ひとつ信用してください。
○原田立君 こういう重大な問題でありますので、私は特にこの点を要望したわけでありますが、まだできていないということなので、私の方も見たことはないのですから、これは言うことを信用するしかないだろうと思います。(「甘いな」と呼ぶ者あり)いま、ある委員は甘いぞという話がありました。そんな甘くはないつもりでいますけれども、もっとしっかりやってもらいたいと思います。 五十六年度の予算修正問題が紆余曲折の末、一応今日のような形になったのでありますが、これは五十三年度以降放置された所得税減税がここへきてぜひ必要であるとの国民の要請があったからにほかなりません。 ところで、減税の方式でありますが、戻し説あるいは物価調整の課税最低限度引き上げなどいろいろと考えられますが、どういう方式でやるつもりなのか、お考えがあったらばお教え願いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも再々お答えをいたしておりますが、私どもとしてはこういうときなので、減税は考えておらなかったわけでございます。ところが、いろいろないきさつがありまして、議長裁定というようなものが出て、結局国権の最高機関の議長さんの裁定でございますから、それにはまあ従わざるを得ないということであって、その規模、方法等についてはこれは七月以降にならないとわからないわけでございますから、その時期にまた御相談があるものと考えております。
○原田立君 大手の私鉄十四社が昨年末に平均一九・六%の値上げ申請をしておりますが、この件について御報告願いたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 昨年末に申請を出してまいりました。目下、東京、大阪それぞれに公聴会が終わりまして、運輸審議会に諮問をいたしておる段階でございまして、なお、経済企画庁と今後打ち合わせしていかなけりゃならぬということでございますが、極力料金の抑制に努めてまいりたいと思っております。
○原田立君 わが国の交通体系の中で、地方交通線の位置づけについて、運輸大臣はどういうように認識しておられますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 地方交通線とおっしゃいますことは、国鉄の地方交通線のことではないかと思うのでございますが、その中で、特に鉄道の特性を失って、鉄道によるよりもバス等代替交通機関による方がより経済的であるという国民経済的な観点から立ちまして、でき得るだけそういう地域におきましては、その地域の総合的な交通政策の一環として鉄道からバスへの転換をお願いいたしたいと思いまして、過日の国鉄再建法の中の重要な一つの柱として法案の成立をお願いいたしたところでございまして、政令もできました段階でございますので、具体的に国鉄当局においてこれが選定に入ると思うのであります。 ただし、これによりまして地域の交通全体が乱れてくるようなことになっては困りますので、地域交通全体のあり方というものをより効率的に組み立てていくためにも、地元と一層密接な協議を進めてまいりたいと思っております。
○原田立君 政令ができたということでありますが、政令を決めるに当たって地元の意見、要望を本気になって尊重したのかどうか。あるいは、現在赤字ローカル線の廃止については、対象線区を抱える自治体も強く反対している。これはもうおわかりだろうと思う。いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 地方の意見というものは私たちも十分に聞いたつもりでございまして、またそれが、政令制定のときにそのことが反映されております。一例を申しますと、主要な準幹線であるとか、あるいはその地域にとっての骨格的な路線となるものは、これは経済性の問題よりも、そういう社会的重要性を感じまして、政令で排除されておることになっております。また、その沿線住民の方々の御意見もいろいろ聞いておりますが、これらは今後実施していく段階において十分に参酌してまいりたいと思っております。
○原田立君 経営改善の効果について、運輸省はどのような見通しを持っているか。 また、国鉄全体の赤字解消にどの程度役立つのか。その点はいかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、現在国鉄は昭和六十年度をめどにいたしまして経営基盤の確立ということに鋭意努力いたしております。それがために徹底的な効率化、合理化を進めなければなりませんが、その一環といたしまして、先ほど申しましたように、鉄道の特性を失っておる路線についての転換をお願いしておるような次第でございます。 なお、この政策転換によりまして、合理化が、いわば三十五万人体制への一つの大きいはずみになっていくものとわれわれは認識いたしております。
○原田立君 赤字解消にどの程度役立っているか。答弁不足。
○政府委員(杉浦喬也君) 大臣の答弁に補足させていただきます。 昭和六十年度までの目標が達成された場合は、赤字額が五十四年度の数字で約七百億でございますので、五十四年度金額換算で七百億の合理化が可能である、こういうふうに思います。 それから、当面対象といたします第一次選定の路線でございますが、この赤字額が同様に百五十億程度でございます。したがって、その程度の合理化が可能であるというふうに思うわけでございます。
○原田立君 国鉄の負債は非常に多額になっているから、その中で百五十億、まあ百五十億というお金自身も大変な金額でありますけれども、もう何兆もある負債から見ればごく一部の金額であります。それも解消しなければいけないだろうけれども、そういうことをやって地域の人たちが非常に困難する、これはとうてい見ていられない問題と、ぼくは塩川運輸大臣は思っているのじゃないかと思うのだが、あなたの所感をお伺いしたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も同様でございまして、明治以来百十数年にわたりまして今日の国鉄がつくられてまいりました。私たちの先輩は、営々として全国津々浦々に至るまで鉄道の敷設を懸命に努力してまいりました。また、この鉄道がその地域における重要な交通機関であるということも、あるいは町づくりが鉄道中心になされてきたということも十分承知いたしております。 しかしながら、現在産業構造は変わってまいりましたし、また、それに伴いまして交通のあり方も変わってまいりました。今日ではそういう山間僻地におきますいわば特定地方交通線と言われるような路線は、エネルギーの効率から申しましても非常にむだの多い路線になってまいりました。でございますから、国鉄の再建とあわせてエネルギーの効率という点から見ましても、他の代替交通機関に切りかえていく時期に来ておると思っておるのであります。 しかしながら、この鉄道が今日まで地域の方々の生活を支えてきた重要な交通機関でございますだけに、その転換を図るに際しましては、それ相応の措置をやはりすべきであるということでございますから、われわれも十分な処置をして転換を進めていきたいと思っております。
○原田立君 中曽根行管庁長官にお伺いするのですが、第二次臨調で国鉄の経営改善について取り扱うやに聞いておるのでありますが、そういうような方向になっているのでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特殊法人の見直しを多分やると思います。特に官業と民業との限界線あるいはあり方等が審議の対象になると予想されますので、その一環として国鉄も審議の対象になるであろうと予想しております。
○原田立君 この六十年までの廃止対象路線については、地元の開発計画等が実施され、明らかに一定以上の乗客の増加が見込まれる場合は廃止対象から外されることもあるのか、あるいは第二段階の実施に際しての見直しの必要性について、運輸大臣並びに自治大臣のお考えをお伺いしたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 将来開発される地域の鉄道需要というものをどう見込むかということ、当然われわれもそれは考慮いたさなければならないと思っております。 しかし、先ほども申しましたように、その地域開発というものが具体的に、客観的に裏づけられておるもの、こういうものでなければならないと思っておるのでございまして、単に計画であるとか、あるいは将来における希望的な予測というものでは基準を見直すということは当然できないということでございます。 なお、第二次の選定に入る場合に基準の見直しをするかということでございますが、これは公平を期する意味から申しましても、その見直しはいたきないことになっております。
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま運輸大臣から申されましたとおりに、確実に近いうちに乗客が増加するという見込みのあるところにつきましては具体的に協議をしていこうと、こういう体制にいまなっておるところでございます。
○原田立君 次に、薬価の問題についてお伺いするのでありますが、現在、だれが見ても薬価基準の決め方に疑問を持つ人が多くありますが、公取の調査結果によっては再値下げも検討するのかどうか。これは公取委員長並びに厚生大臣にお伺いします。
○政府委員(橋口收君) 医薬品の流通問題につきましてはかねてから関心を持っておったところでございますが、最近になりまして機が熟したというふうに判断をいたしまして、本格的にその実態の調査に取りかかったところでございます。 調査の目的、内容等につきましては、現在医薬品の製造業者、卸売業者等から事情を聴取いたしておりまして、問題の所在を把握しつつあるわけでございまして、その結果、どういうところに問題が伏在しているかにつきましての全貌を掌握したいというふうに思っておるわけでございまして、同時にまた、厚生省御当局も、医薬品の流通問題につきまして本格的な研究会をお持ちになって調査を開始しておられるように承知をいたしておりますので、厚生省の御調査の結果等も十分勘案しながら、独禁法の立場からどこに問題があるかということにつきまして、最終的な結論を得たいというふうに思っております。
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。 ただいま公取の委員長からもお話ございましたが、私どもの立場といたしましても、最近医薬品の特に流通をめぐりまして、いろいろと問題点が各方面から指摘されておるというような状況にかんがみまして、昨年十月でございますが、私どもの局内に医薬品流通対策研究会、これは学識経験者にお願いいたしまして、そういう研究会を組織いたしました。何といいますか、医薬品流通の特性を踏まえました上で、近代的なあるべき流通の姿というようなものを模索してみたいと、こういうようなことで検討を行っておるわけであります。その中で、そういう研究会の基礎的な検討資料とするために、ことしの一月からでございますが、製薬メーカー及び卸業者を対象にいたしまして調査を行っておるところでございます。
○原田立君 大臣、薬価基準を一八%引き下げる、そういう方向だというお話を過日の委員会で公表なされました。それの一八%ということをお決めになった根拠は何なのか、これが一つ。 それから、実は私調べたのを手元に差し上げてあるはずでありますが、時間がありませんから簡単に言いますが、血圧降下剤アルダクトンA錠、薬価基準七十七円二十銭、国立病院は二八・一%値引きで五十五円五十四銭。自治体病院は五〇・三%の値引きで三十八円三十三銭。造幣病院では一三・四%引きで六十六円八十四銭。以下、こういうふうにずっとなっておるわけですね。これは一八%の薬価基準の引き下げというよりか、もっと引き下げてもいいのじゃないだろうか。特に自治体病院関係ではもう国立病院関係よりも軒並み大幅に引き下げている。一般病院にはもっと値引きして卸しておる。こういう実態です。だから、薬価基準を一八%下げるということは、下げること自身結構なんだけれどもまだ下げ幅が少ないんじゃないか、こう思うのです。いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 一八%程度と申し上げましたのは、薬価調査に基づいて鋭意いま改定の作業を進めております。その作業の進め方から推計をして、大体一八%になる見込みだという見込みを申し上げたわけであります。 なお、いまちょうだいいたしました表にもありますとおり、各病院によって購入価格が違います。これは先ほど事務当局から申し上げましたとおり、いろいろ問題がありますが、これと一八%程度の引き下げとは直接関係はございません。
○原田立君 直接関係は、これは私がつくった資料だからね、大臣がつくった資料じゃないのだから、関係ないかもしれませんよ。だけれど、実態がこうだという話をしているのです。だから、一八%ではまだ下げる率が少ないのじゃないのか、もっと幅を持たせるべきではないかと聞いているのです。
○国務大臣(園田直君) 大体いまちょうだいしました表は私の知っている数字と同じような数字でありまして、この表に因縁をつけるわけではございません。いまのでこぼこがあります。これはそのままほうっておくわけにはまいりません。ただいま申し上げました一八%程度ということに関連はあっても直接この計算に関係はない、こう申し上げたわけであります。
○原田立君 次に、血友病という病気についてお伺いするのであります。 大蔵大臣、もう結構ですから。 血友病について、実態はどんなふうに掌握されているかといろいろと聞きたいのでありますが、時間がありませんから私の方で申し上げますけれども、実際、全国で約五千人ぐらいと言われているのです。厚生省は三千人ぐらいだというふうに掌握されていると聞いております。ところで、これが小児病の関係の病気ということで取り扱いされているものだから、二十歳までは補助金等は出て、それに治療が安くできる。だけれども、二十歳以上になると高額なものを自分で負担しなきゃならないという結果に、なっている。ましてや、またこれが法律補助でなくて予算補助であるがゆえに、あるときになればもっとぐっと幅を減らされるおそれがある。だから、関係諸団体の人たちはこれを法律補助にしてくれと、それから二十歳で補助を打ち切られるけれども、その人たちは死ぬわけじゃないのですから、まだ生きていくわけなんですから、そうするとまた大変その病気で苦しむのですから、薬代はかかるのですから、だからそういう人たちを救うために、全国で五千人、六千人ぐらいのわずかな数なんですから、どうかそういう人たちの救助ということを十分考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(金田一郎君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の血友病でございますが、これは小児慢性特定疾患治療研究事業の一環として行われているものでございます。この事業は、長期の療養を要する子供の慢性疾患につきまして、若くて収入も比較的少ない両親を励ましますとともに、このような疾患が子供の心身の発達に大きな影響を与えることを考慮いたしまして行っているものでございます。したがいまして、この事業の対象となりますのは血友病だけではございませんで、糖尿病、ぜんそく、がん等、いずれも子供の疾病についてこの事業が行われているわけでございます。また、医療費負担という観点から見てみますと、健康保険の高額療養費制度がすでに設けられておりますため、自己負担は一カ月当たり最高三万九千円ということになっております。また、先般の健康保険法の改正によりまして、低所得者につきましては自己負担が一万五千円に引き下げられたところでございますので、ただいまのところ、成人を本事業の対象とする必要性は乏しいものと考えているところでございます。
○委員長(木村睦男君) 原田君、持ち時間が少なくなりましたが、日銀総裁よろしゅうございますか。
○原田立君 大変日銀総裁申しわけありません。質問がばらばらになっちゃって、日銀総裁にお伺いする点をちょっと飛ばしてしまいましたもので、大変申しわけございません。
○委員長(木村睦男君) 日銀総裁には、大変御苦労さまでございました。どうぞ御退席くださって結構です。
○国務大臣(園田直君) 数字が違っておりますのは、おっしゃるとおり、二十歳という年齢で切られておるために、実際に血友病患者と厚生省の小児慢性病という判断からくる数字の違いでございます。 そこで、二十歳以上になっても打ち切らずにこれを何とかやる方法ないかと、こうおっしゃるわけでありますが、事務当局から先ほど高額医療費負担の問題と申し上げましたが、ただ問題は、各都道府県で、数字は違っておるかもわかりませんが、十県ぐらいこれを助成している県があります。自治体でもそういうことをやっているところもございますから、これは簡単にいま言ったようじゃなくて、いまの御意見は十分研究をいたしてみます。
○原田立君 研究していただくということで、それは前向きに進んでやっていただくというふうに理解をしたいと思うのであります。 先ほど金額的なことが話がありましたけれども、確かに三万九千円まではこれは自己負担、これ以上は保険で見るわけでありますが、毎月八万ないし多い人は二十五万ぐらいも治療費がかかる。これを、保険料をもらうのは自分がまず払ってからその後でもらうわけですからね。そうすると、その間負担しなきゃならない、こういう難点があるわけです。だから、いまの局長の答弁では私は理解しがたい。もっと十分心のこもった施策をしていただきたいことを望むのです。 それからなお、東京、北海道、神奈川、静岡、愛知、和歌山、山口、宮城、鹿児島、滋賀、一都一道八県については血友病に対しての制限を取って、そうして国でやってくれないから地方自治体でやっています。政令市では横浜、川崎、名古屋、神戸の四都市がやっておりますし、京都では三十歳まで制限を延長しております。こういうようなことを考えておりますと、国の施策がおくれている、こう言わざるを得ない。これをもっと促進するということと難病指定をしてもらいたい、これだけ質問いたします。
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおり、各県、地方公共団体で年限の延長あるいは生涯血友病に対する助成金を出しているところもございますから、これは十分研究をいたします。 難病の指定は、御承知のとおりに、原因不明、治療もはっきりしていない、こういうことを難病に指定しているわけでございまして、血友病は一般の難病と違いますので、ちょっと難病の指定は困難だと考えております。
○原田立君 郵政大臣、時間がなくなっちゃって、おいでいただいたけれども質問しないで申しわけありません。 以上で終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で原田君の一般質疑は終了いたしました。本日の質疑はこの程度にとどめます。明日は午前十時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後七時三十四分散会