予算委員会 第10号
- 発言数
- 401 件
- 登壇者
- 39 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/16
会議録
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に長崎大学薬学部教授河原一男君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) これより粕谷君の残余の総括質疑に入るのでありますが、その前に委員長から一言申し上げます。 一昨日の会計検査院の機能強化をめぐる志苫委員の質問については、総理より政府部内の意見調整に努力しておる旨の答弁がありましたが、本院における再三の決議に留意し、速やかに総理答弁の趣旨が生かされるよう期待いたします。 宮澤官房長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの予算委員長の御発言の御趣旨は了解いたしました。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 粕谷照美君。
○粕谷照美君 外務大臣にお尋ねをいたします。 きのう行われました伊東外務大臣とポリャンスキー大使との会談は、本予算委員会でもいろいろと討論がされましたけれども、その外交、経済などの懸案の問題について見通しがついたのかどうか、内容についての御説明をいただきたい。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 きのうポリャンスキー大使と二時間余にわたって会談したわけでございますが、今度の会談は、先般ポリャンスキー大使から外交ルートを通しまして、総理にお会いしたいということがあったわけでございます。内容はどういうことかということは全然何にもなくて、ただ会いたいということでございましたので、総理がお会いになります前に私がお会いをして、どういう用件であるかということをまず聞こうということで、総理と御相談して、私がまず会ったわけでございます。 向こうからの申し入れは、ソ連の指導部から日本の指導部に対しての申し入れだと、こういうことでございまして、内容は、この間のブレジネフ演説の中で、日本との善隣友好調係は支持するという部分で、今後も友好関係を続けたいということが一点と、それから信頼醸成措置ということがあったわけでございます、あの演説の中に。それは御承知のように、ヨーロッパではヘルシンキでヨーロッパのそういう枠組みができておるわけでございますが、極東にもそれを及ぼしたいということで、演説の中に触れておりますのは、アメリカ、それから日本とか中国とか、そういう意味のことが触れてございます。それで、演説の中で極東におけるそういう信頼−醸成とはきのう言いませず、信頼措置ということを言っていましたが、そういうことをする必要がある。ヨーロッパでは大きな軍の移動でございますとか、演習の場合のそれを外国に見せるとか、そういうことを連絡するとか、いろんなことがあるのでございますが、極東においてもそういうことをやることが平和の維持につながるのだと。ついては、そういうことをやるとすれば、事務レベルといいますか、いろいろ相談をしなければならぬこともあるだろう、ソ連としてはその相談に乗る用意があるという意味の申し入れがあったわけでございます。そのほかのことは何もございませんで、そういう申し入れがございましたので、そのこと自体は総理にお伝えするし、日本としても十分検討して、そうしてモスクワにいる魚本大使からグロムイコ外相にも返事をしようというようなことを言いまして会談に入ったわけでございます。 私は、こういう信頼措置ということを言われるけれども、ご承知のように、日本では領土問題が解決をしないということが、両国の相互理解のもとに平和的な友好関係を続けていくということに対してこれは支障をなしているのだと、領土問題が残っている、また、その日本の領土の上に軍備の増強というようなことがやられている、そういう情勢がある中で信頼措置と言われても、これはソ連がむしろそういう信頼措置をやろうというようなことに逆行しているようなことをやっているんじゃないか、そういう前提で信頼措置と言われても、なかなかこれはできる問題じゃない、まず領土問題について話し合いをする、返還するということをしてもらうということはこれは国民の総意で、「北方領土の日」をつくったということも、これは共産党、社会党ももうみんな含めて、全会一致でこれは決めた国民の総意なんだ、避けて通れる問題じゃないということを言いましたことと、ブレジネフ演説の中に触れております、日本が軍国主義化しているということを言っておるのでございますが、そういうことはないと。これは憲法で日本の国民が平和主義ということを選択したのでございまして、そういう軍国主義という非難はいわれない非難である。また、日米中が三国結託してソ連に当たるのだといったようなことを言っているが、そういうことは全然違うと。日本は、日米安保があることはこれは前から御承知のとおりなんだ、あとは、日中はこれは国交正常化したが、経済的な協力をやっているんだ、軍事的な協力なんというものは考えていないわけでございますので、日本は、日中は日中、日米は日米、日ソは日ソということでやっているので、三国が結託してソ連に当たるなんということは考えておらないという——ブレジネフ演説の中に日本を非難したことがございますので、それについて日本の考え方を言い、そうしてソ連がアフガニスタンに対する軍事介入をしている、あるいは軍事介入という問題があれば、東南アジアではベトナムのカンボジアに対する軍事介入もあるのだと、あるいはポーランドについていろいろ言われていることがある、こういうことはその国民が、自分の手で、自分の意思で、どういうリーダー、政権をつくるのだということを国民が決めるべきであって、第三国が干渉したり、軍隊を介入させておったり、そういうことはおかしなことなんで、アフガニスタンからは撤兵をすべきだし、ポーランドの問題はポーランド自身の国民が決定するのだ、そうでなけりゃおかしいというようなことを、私の方の考えを述べたわけでございます。 それに対しましてポリャンスキー大使は、領土の問題は、これはソ連は何回も日本に対して意見を言った、それ以上つけ加えることは領土の問題についではない、いつまでも二国間で領土の問題にかかわっていてそれから将来の問題に入っていかないということではこれは自分はいかぬと思うので、二国間には経済問題もあり文化の問題もあるだろうし科学技術の問題もあるだろうし、いろんな問題がある、そういうことを話していくべきじゃないか、領土の問題はたな上げという言葉なんでございます、そういう意味でございます。そういう主張をされましたので、日本としては、領土の問題はどうしてもこれは避けて通れない国民の総意なんだということをるる両方でやり合ったわけでございます。 そして、経済問題の中で議論しておりましたときに、向こうで何か政治レベルの、いろんなレベルの交渉、話し合いでございますとか、経済問題とかいろいろあるが、日本側から何か提案はないかと、こういうことでございましたので、私はまず提案と言われれば、コンブの漁、民間同士で話し合っているのだけれども、コンブの漁もまだ話がつかない、あるいは北方領土への墓参の問題もずっととだえたままだ、こういうような、特に墓参の問題やなんかは人道上の問題なんだから、これは従来の身分証明書で墓参に行けるように、そういうことこそまず第一に考えるべきじゃないかというようなことを日本側から主張をしたのでございますが、きのうの会談の中で具体的に何か話し合いがつくというようなものじゃなかったのでございます。二時間余にわたっていろいろ意見の交換をしたということで、最後は、平和条約の話し合いのテーブルにつけるようにひとつ両方で努力しようじゃないか、日ソの友好親善関係が恒久的にできるように努力しようじゃないかということで別れたというのがきのうの会見の内容でございます。 最後にポリャンスキー大使から、総理によろしくお伝え願いたいという、よろしくということで最後は別れたのでございまして、総理にその旨きのう報告したというのがきのうの会談の全容でございます。
○粕谷照美君 そうしますと、経済問題などについては若干の前進があった、しかし、この予算委員会で鈴木総理が、正式に申し入れがあればお会いする、こう答えたことについての正式の申し入れはなかったと、このように理解してよろしいのでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。 経済問題等について若干前進があったというふうにまでも私は見ていないのでございますが、向こうからそういう問題について、経済あるいは文化あるいは科学技術、いろいろ話し合うことがあるのじゃないかということで、そういうことをやっていこうじゃないか、何か日本側から提案はないかというふうな話はあったことは事実でございますが、それをもって前進と見ていいかというところは、私はまだそこまでではないと見ているわけでございます。 それから、もう一点の、総理のお話でございますが、向こうが総理にお会いしたいと言っていたのは、信頼醸成措置の申し入れを総理にしたかったのだということを何回も私は念を押したのでございますが、そのとおりだということで、総理の指示で私がお会いしたということで、本件は、向こうはこれでいい、それで総理によろしくお伝え願いたいと、こういうことでございましたので、この向こうの申し入れに関する限り私はこれで一件落着だというふうに見ているわけでございます。
○粕谷照美君 この問題については、時間がありませんから後ほどやることにいたしまして、厚生大臣に次にお伺いをいたします。 悲惨な戦争の落とし子として中国残留孤児が日本へ来まして、きょういよいよ日本を立つわけであります。二十四人が肉親との再会を果たして一応の成果を上げた、このように私どもも喜んで、厚生省やこれに関係をいたしました民間団体の御苦労に心から拍手を送るものでありますけれども、今後の問題ですけれどね、継続的にそれから積極的に中国側と話し合いを進めることができるというふうに思いますけれども、どのようなお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(園田直君) この問題については、皆さん方やマスコミ、国民の方から非常な協力をいただき、通訳の無料奉仕その他のお力添えがあったことを感謝いたしております。 御発言のとおりでありまして、来られた方々の中で、本当の親さんが見つかったということはありがたいことでありますが、親が捜せずに帰られる方、なお同様なケースが、まだ実数は把握できておりませんが相当数あるわけでありますから、今度は第一に中国の理解を得てやったわけでありますから、今後も外務省、法務省の御協力をいただきながら中国にさらにいろいろ相談をして、後の問題をだんだん今度どういうようにやっていく、かつまた、日本に住みたいという方々の御希望はいろいろな条件を備えつつやっていきたいと考えております。
○粕谷照美君 その日本に住みたいという方のことですけれども、肉親がいる方々についてはそう問題はないと、こう判断をいたしますけれども、今回もそうですけれども、見つけることができなかった、しかしやっぱりこの人は日本の子供だと、こういうふうに考えられる人たちが日本で生活をする、そういうことについてはどのような判断でいらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(園田直君) この問題は、第一に中国の御理解もさらに得なきゃならぬことであります。次には、法務省その他の国籍とか入国、永住の関係もあることであります。一番大きな問題は、この永住したいという御希望はほとんど全部でありまして、その場合、親さんのわからぬ方、自分が親になりたいとか自分のうちで家族として迎えたいという申し入れがいっぱいあるわけでありますけれども、これはやっぱりそれに対する条件を備えてまいりませんと、たとえば言葉は余り十分ではない、それからお一人ではなくて、みんな奥さんとか夫とか子供とかあるわけでありますから、そういう方々とどうやって住むか、永住されてよかったとおっしゃれるような住まわれ方の環境を整備する必要がありますが、いずれにいたしましても、御希望に沿ってなるべく永住されるように各方面と相談してまいる所存で、その相談を進めております。
○粕谷照美君 私も友人がそういう関係におりまして、日本に帰化の手続をとろうとしているわけですけれども、非常に厳しいですね。むずかしい。法務省も努力をしてくださるのでしょうけれども、大変態度がかたいわけでありますよ。法務大臣、このことに関してはどのようなお考えをお持ちですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 肉親が見つからない、したがってなお引き続いて日本に滞在したいと、当然それは認めていくべきだ、こう考えるわけでございます。
○粕谷照美君 当然考えるということは、そういうことを配慮をしてこれからも手続をとる、こういうように理解してよろしいですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 日本人であります以上は十分な配慮をなすべきだと、かように考えております。
○粕谷照美君 終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で粕谷君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、柄谷道一君の総括質疑を行います。柄谷君。(拍手)
○柄谷道一君 本題に入る前に、外務大臣にお伺いをいたします。 いま、昨日外務大臣とポリャンスキー大使との会談の内容が詳細御説明のあったところでございますが、外務大臣は、その会談の結果をどう評価していらっしゃいますか。
○国務大臣(伊東正義君) 私、外務大臣になりましてから、大使に会っての、初めてああいう会談を持ったわけでありまして、向こうも日本側の考えがいろいろ、これは国際情勢いろいろ意見を言ったわけでございまして、三国の結託の問題とか、そういうことじゃないとか、いろんな意見を言ったわけで、そういう意見が聞かれて非常によかったということを向こうは言って、特に三国の結託の問題とかそういうことについては、日本がちゃんと意見を言ったことについてモスコーへすぐ連絡するとか、そういうようなことをいろいろ言っておりましたが、私はそういう問題、日本の立場を、北方領土に対する領土問題、あるいは軍備の問題、あるいはアフガニスタンの問題とかポーランド問題とかカンボジア問題、いろいろ述べたわけでございまして、日本の意見がゆっくり開けてよかったということを言っていたことと、向こう側は経済問題その他についていろいろ意見を言ったわけでございます。それに対しまして具体的提案がないかということで、私は、墓参と貝殻島のことをまず問題に——北方領土からの軍備の撤退とかそういうことは大きい問題として言ってありますので、具体的な問題としてそういうことを言って、向こうはそれをモスコーへはすぐつなぐと、こういうことを言っておりましたが、私は、きのうの会談からすぐ何かが生まれるというようなことではないと思うのでございますが、いろいろ意見の交換ができたということは、私はそれなりにそれで有意義であったというふうに思っているわけでございます。
○柄谷道一君 北方領土問題は平行線の論議に終わりました。三月十三日、本院における答弁の中で総理は、領土問題について日ソ首脳が同一のテーブルについて忌憚のない話をしてみたい、こういう意欲を示されたわけでございます。いま外務大臣は一件落着と、こう言われたわけでございますが、それではその機会をどうおつくりになる予定でございますか。
○国務大臣(伊東正義君) 一件落着と私が申し上げましたのは、総理に会いたいということの申し入れが向こうからあったわけでございます。その内容は何かということできのう確かめたのでございますが、それは信頼措置を、極東でも信頼措置ということをやるべきじゃないか、そのためには事務レベルの者が相談をするということも必要になってくるかもしらぬ、そういうことはいつでもソ連としては受けて立つ用意があるという申し入れだったわけでございます。それで総理に会いたいということでございますから、その意味で私は、今度の申し入れは、信頼醸成措置の申し入れであれば、そのことだけについてはこれで一件落着だと、こういうことを申し上げたのでございまして、領土の問題、この問題は、あるいはそこに対する軍備の配備の問題は、これから続けてやっていかなければならぬ問題でございまして、きのうも議論をしましたのは、これは向こうはもうないんだということを言っておりますけれども、鳩山さんが行かれた共同声明にもちゃんと書いてあるじゃないかと、そして、平和条約ができなかったのは、あくまでこの領土問題が問題になっていたので、あの共同声明にも歯舞、色丹は明記してあるし、グロムイコ・松本交換書簡にもこれは懸案事項として国後、択捉があるということは、あの当時はっきり了解したことでございまして、日本としてはこれはなくなった問題じゃない。向こうは、その後安保条約が云々ということの議論をしたりしたことはきのうございますが、両方で決めた共同声明を一方的な解釈で変えるなんということは、国際的にそれはおかしなことだというようなことできのうもやり合ったのでございまして、この問題はこれからもすっと続く、あらゆる機会に、機会あるごとに日本の主張を相手方には伝える、国民の総意だということで伝えることが必要だというふうに思っております。
○柄谷道一君 総理と大使の会談はお流れになりましたけれども、総理として、依然として日ソ首脳会談によりこの問題について忌憚のない話し合いを行いたい、その熱意は強いと、こう受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま伊東外務大臣から申し上げましたように、今回ポリャンスキー大使が私に会いたいという正式の外交ルートを通じての申し出の趣旨は、極東においても信頼醸成、改善の措置を日本側に伝えたいと、これが目的であったようでございます。それに関する限りは伊東外務大臣との会談でもう目的は達した、改めてこの問題について私と会いたいということはないようでございます。しかし、日ソの間には、領土問題等基本的な、友好親善関係確立のための基本的な問題が存在しておるわけでございます。こういう問題につきまして改めて首脳会談等の御要請があれば、私は喜んでお会いしたいと、このように思っております。
○柄谷道一君 次に、統治行為と自衛隊について御質問をいたします。 まず法制局長官に、統治行為とは何か、その定義について御説明いただきます。
○政府委員(角田禮次郎君) いわゆる統治行為の理論につきましては、最高裁はそういう言葉を直接判決の中で用いているわけではございませんけれども、統治行為の理論に立つと見られる幾つかの判決を示しているわけでございます。それによりますと、統治行為の理論とは、直接国家統治の基本に関するようなきわめて高度の政治性のある行為などについては、原則として裁判所の審査権の外にあって、その判断は、第一次的には主権者たる国民に対して責任を負うところの政府、国会などの政治部門の判断に従うべきであり、最終的には主権者たる国民の判断にゆだねられるべきものであると、こういうのが統治行為の理論だと承知しております、
○柄谷道一君 砂川事件で、最高裁は、憲法九条はわが国の自衛権を否定するか、憲法はわが国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするための自衛の措置をとることを禁止するかというこの判示事項に対し、どのような判断を下しておられますか。
○政府委員(角田禮次郎君) まず、ただいま御指摘の第一の、憲法九条がわが国の自衛権を否定するかどうかという問題につきましては、憲法第九条は、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているのであるが、しかし、もちろんこれによりわが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防衛、無抵抗を定めたものではないのであると、こういうふうに判示しております。 次に、自衛の措置をとることを禁止するものではないという点につきましては、わが国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の機能の行使として当然のことと言わなければならないと、このように判示しております。
○柄谷道一君 自衛隊に関する長沼事件の最高裁判決がいつ出されるか、これは最高裁の判断で決められることではございますけれども、私は、昭和四十五年から五十四年までの十年間、最高裁におけるいわゆる審理期間を調べてみますと、民事で八・九カ月、刑事の場合は五・〇カ月でございます。また、著名事件の最高裁の審理期間を調べてみますと、砂川事件八カ月余、苫米地事件五年八カ月余、全司法仙台事件三年余、衆議院議員定数配分違憲訴訟二年弱、津神式地鎮祭違憲訴訟六年二カ月、朝日訴訟事件三年七カ月となっております。長沼事件は上告後すでに四年近くを経過いたしております。また札幌高裁の判決後八年近くを経過いたしておるわけでございます。私は、ここ二、三年のうちには長沼事件に対する最高裁の判決が示されるのではないかと、こう思っております。そこで、将来最高裁が、自衛隊の合・違憲は統治行為であると結論して合憲違憲の判断を示さなかった場合、それは国権の最高機関たる国会に問題の結着をゆだねたと解するべきだと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘の事件について、最高裁が統治行為の理論を採用するかどうかは、この段階で私がいろいろ予測的な意見を申し上げることは適当でないとは思います。しかし仮に、仮定の問題としては、最高裁がそういう判断を示された場合には、政府としてはその判断を尊重をするということは当然であろうと思います。
○柄谷道一君 この場合、政府は、現実に存在する国論の分裂、これに対してどう対処されるおつもりでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま法制局長官から申し上げましたとおり、最高裁の判決は下されておらない、見解は示されておらないわけでございますが、示されました場合には、政府としてはそれを尊重するということであろうと思います。 なお、同論の分裂というものを、私どもは実はその点については認めておらないわけでございます。
○柄谷道一君 現に違憲訴訟が起こされている。国会においても自衛隊違憲なりという立論に立つ政党のあることもまた現実でございます。統治行為という判決が下された場合、内閣としてはどう対処されるのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 自衛隊そのものが違憲であるという意見は、まだ国内に多少確かに見られるところでございますが、政府といたしましては、国会におきまして自衛隊あるいは防衛庁等に関する法律につきましての御審議、国会による可決、また、これらの自衛隊の活動等を含みました防衛に関する予算案の御審議、その可決等々のことから考えまして、国会としては当然これらのものを合憲と考えておられるものと政府としては判断をいたしておるわけでございます。
○柄谷道一君 総理にお伺いいたしますが、自衛隊の合憲違憲に関する判断は統治行為であるとお考えになっておりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この点につきましては、先ほど法制局長官が申し上げたとおりでございまして、最高裁の判断が出ます前に、行政府の長である私が意見を述べることは適当でないと、このように考えております。最高裁の判断が示された場合におきましては、それを尊重するというのが政府の立場でございます。
○柄谷道一君 法務大臣にお伺いいたします。 これは国務大臣としてということになるかもしれませんが、私は、政府は当然、裁判所の判断は別としても、統治行為である、そして合憲である、このような立場に立って政治を進めていらっしゃるのではございませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 政府は、憲法解釈としても自衛隊は合憲だという考え方でずっと来ているわけでございます。したがってまた自衛隊法を制定し、また毎年予算をそれなりに計上してまいってきているわけでございます。この姿勢は今後とも変わらないのじゃないかと、こう思っております。
○柄谷道一君 防衛庁長官の御所見をお伺いします。
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、自衛隊は合憲であると考えております。
○柄谷道一君 大臣の御答弁ではございますけれども、私は八月十九日櫻内幹事長の都内セミナーにおける発言、瀬戸山憲法調査会長が官邸に鈴木総理を訪ね、協議した際の発言、これは九月十九日、いずれも読売新聞報道でございます。その他奥野法務大臣が衆議院法務委員会、参議院法務委員会、参議院安保、沖縄・北方問題特別委員会及び予算委員会で発言されました速記録を全部目を通してまいりました。この中には、「憲法九条の解釈、沿革、あるいは現在の表現等をめぐりまして二つの解釈が出てくることはやむを得ない、私はこう思っております。」、「自衛隊がその存立を憲法上疑われるようなことのないようにしたいという希望は持っております。」と、こうお答えになっております。これは、現在違憲ではないけれども違憲の疑いがあるという前提に立っていらっしゃるのではございませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどおっしゃいましたように、政党の中には違憲論をとっておられる政党がある。また、学者の中にも違憲論をとっておられる学者が相当数ございます。そういう人たちの説明は、それなりに私にはわかりますと、こう申し上げているわけでございまして、しかし私は同時に自衛隊は合憲だという判断をしております。 また、憲法の条章に照らしましても、私はこういうような解釈の仕方をしておりますと、こう申し上げてまいっていたわけでございます。
○柄谷道一君 いままでの質問を通じまして、政府は統治行為である、そして合憲である、このことを強調されました。しかし、現実に違憲であるとの立場に立つ論があることもまた現実でございます。 そこで、私は総理にお伺いしたいのでございますが、そういう状態の中で、自民党、いわゆる与党内に改憲論が存在する。これは、一つの考え方は、依然として自衛隊の存在が現行憲法の表現では違憲の疑いがあるというこの立論に立つか、それとも現在の国是の枠を越えて軍事大国化の道を進むか、その二つの理由があるからこそ改憲論というものが展開されているのではないか。この議論は現在の日本にとって、まさに有用無害であると考えますが、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自由民主党におきましては、憲法調査会におきましていろいろ勉強を重ねておることでございますが、しかし憲法九条に関しまして、いま御指摘がございましたように、この二つの問題、一つは自衛隊は違憲であるという疑いがあるのではないか、それを解消するために憲法九条についても検討を加えるべきだという問題点が一つ。しかしこれにつきましては、自由民主党におきましてはそういう考え方は全然ございません。自衛隊は合憲であるということで、これは自由民主党は全部この見解に一致をいたしております。政府もそのとおりでございます。 それからもう一点。憲法九条についていろいろ考える場合に、日本が軍備を増強する、軍事大国化の方向をとろうとする場合に、現行の憲法九条が邪魔になるから、それで憲法九条について改正をしたらどうかと。これも自由民主党の中には全然存在しない議論でございます。あくまでわが党としては、自衛隊は合憲である。そして憲法の基本理念である平和主義というものをあくまで貫いていこうということであって、軍事大国化を目指そう、そのために憲法九条が支障になるというような考え方は毛頭ないということを明確に申し上げておきます。
○柄谷道一君 それでは法務大臣にお伺いいたしますが、現行憲法は一点の曇りもないほど合憲である、そして総理が言われますように、軍事大国化の道を歩むものでは断じてない。こうしますと、改憲論は何に由来しているんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が昨年八月、衆議院の法務委員会で自主憲法についてお尋ねを受けました。政治家個人としては自主憲法望ましいと考えます、しかし政府としては何らかの動きをすることは適当ではないと考えます、こう申し上げたわけでございました。今日もそう考えておるわけでございます。政治家個人として自主憲法望ましいと思うということを答えましたときに、国民の間から議論が熱してきて同じものであってもいいからもう一遍つくり直してみようじゃないかという考え方が出てくるならばそれは望ましいと思いますと、こう答えたわけでございます。たとえば憲法の前文、これは憲法の基本的な態度、基本的な原理を示す重要なものだと思っているのでありますけれども、最初のくだりを読みますと、ワンセンテンスに百四、五十字使っているんです。ずっと読みまして大変いいこと書いているなと思うのですけれども、読み終わってもう一遍何書いてあったかなと疑問がわいてくる。やっぱり自分たちでもう一遍つくり直してみまして、表現もいかにもわれわれに理解しやすいような言葉を使っていただけるならありがたいな、政治家個人としてはいろんなことを考えておりますけれども、一例を挙げて申し上げればそういう点もあるのじゃないだろうかなと、こう思います。
○柄谷道一君 中川国務大臣にお伺いしますが、いま形式的な問題があるから改憲論が出ている、こういう御趣旨の御答弁ですね。事憲法九条に関しては改憲の要はない、こう理解していいですか。御所見をお伺いします。
○国務大臣(中川一郎君) 私は一カ条一カ条についてまだ意見を持ち合わせておりません。自由民主党は改憲政党である、戦後弱体化政策をねらったものである、これは改めなきゃならない、こういうことでございまして、どの条文との条文についてどうこうという意見を申し上げたことはありません。
○柄谷道一君 総理にお伺いいたします。 わが党の佐々木委員長は、衆議院の本会議におきまして、自衛隊は合憲である、しかしこれに対して異なる意見を持つ方もおる、したがって、その意義をより明確にするために国会決議を行うことも一つの方法ではないか、こういう問題提起をいたしました。総理は国会決議の必要がないと、こうお答えいただいておりますが、その理由は何でございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど宮澤官房長官からもお答えを申し上げましたように、政府は自衛隊は合憲である、こういう信念に立ちまして自衛隊法を定め、そして自衛隊法に基づくわが国の自衛のための必要最小限度の防衛力を整備する、そういう努力を今日まで続けてまいりました。また、予算その他も年々計上をいたしまして国会の御審議をいただき成立を図ってきた、こういうことでございますので、私どもは自衛隊の合憲性ということについてはいささかも疑念を持っておるものではございません。また、国民の大多数もこのことを是認をしておられるということであって、いまさら国会で合憲か否かということについて国会決議を求めるということは必要がない、私はそのような考えでございます。
○柄谷道一君 民社党は軍事大国の方向を目指す改憲論、非武装中立という幻想的な護憲論、安保反対、自衛隊反対の手段としての擬装的護憲論という立場をとるものではございません。しかし、国会内においてもまだ異見が、異なる意見が存在することは現実でございます。これをより鮮明にすることが国権の最高機関たる国会の果たすべき役割りではないか、そのための方法としての決議を提起したわけでございます。これに対する総理の御答弁を再度お伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) この議論を煮詰めてまいりますと、結局憲法についての条文一つ一つについて国会の合否を決議をする、こういう結果になるわけでございまして、私はそういうことはとるべきものではない、このように考えております。
○柄谷道一君 時間に規制がございますので、わが党の主張を鮮明にして、あとは経済問題に論を進めたいと思います。 まず、中小企業団体組織法第十七条によりまして現在安定事業として指定されております業種は何でございますか。
○政府委員(山崎衛君) お尋ねの安定事業でございますが、現在二十業種でございます。繊維関係が十二業種、それから雑貨が四業種、それから基礎資材関係が三業種、食品関係一業種、合計二十ということになっております。
○柄谷道一君 それでは、今後同条によりまして近く業種指定の申請があると予測される業種は何でございますか。
○政府委員(山崎衛君) 大分景気の状況が悪化しておりますので、そういう業種が出てくると思いますけれども、現在のところ私どものところへ主管大臣から協議が来ているという業種はございません。私どもといたしましては、今後とも関係部局とよく相談しまして中小企業の実態を把握してまいりたい、さように考えております。
○柄谷道一君 各関係省庁から連絡があれば対応する、私はそれが中小企業庁としてあるべき姿勢だろうかと若干疑問を持つわけでございますけれども、それでは具体的に安定事業として指定されました業種について中小企業庁はどういう行政指導を行っていらっしゃるんですか。
○政府委員(山崎衛君) 指定された業種につきましては、やはり不況の実態が深刻でございますので、なるべくそれを克服するために中団法を機動的に運用するという態度で臨んでおります。
○柄谷道一君 通産省は現在どのような業種が独禁法二十四条の三によるいわゆる不況カルテルの申請を近く行ってくると考えていらっしゃいますか。
○政府委員(宮本四郎君) 現在の段階におきましては、短繊維紡績糸製造業、両更クラフト紙製造業、それに塩化ビニール樹脂製造業の三つの業種が予想されております。
○柄谷道一君 通産大臣はこれら三業種が不況カルテルの申請をしてきた場合、どのように対応されるおつもりでございますか。
○国務大臣(田中六助君) お答え申し上げます。 不況カルテルの指定は公正取引委員会で決めます。したがって私どもの権限ではございませんけれども、私どもは、状況の判断あるいは現実の問題、そういうものをとらえてこれを側面からこういう状態だというようなことを公取との連絡においてしていく方針でございます。
○柄谷道一君 公正取引委員長としての御見解、対応策をお伺いいたします。
○政府委員(橋口收君) 近く公正取引委員会に対しまして不況カルテルの申請が予想されます業種は、通産省からお答えがございました三業種でございまして、申請がございましたならば、法の要件に照らして厳重また慎重に審査をいたしまして、できるだけ迅速にその適否を判断いたしたいというふうに考えております。もちろん、いま通産大臣からお答えがございましたように、申請がありまして、これに対しまして適否の判断をいたします場合には通産省に協議をするということが法律のたてまえになっておりますから、通産省とも十分御相談しまして態度を決めたいというふうに考えております。
○柄谷道一君 きわめて事務的、たてまえ的な答弁であると思います。 そこで、総理にお伺いしたいんですが、いまその三業種の一つの繊維産業でございます。日本の繊維産業が、戦前日本の近代化とその発展に寄与してきたこと、戦後日本の復興に尽くしてきた貢献につきましてはもう総理よく御承知のところでございます。しかもその繊維産業がいま不況に苦しんでおります。流通を含めますと三十五万事業所、従業員数二百六十万人、家族を含めますと国民の約一割に当たる一千万ないし一千二百万人が生活をしている産業でございます。しかも、地域によりましては、地場産業として地域の問題にきわめて密着をした産業でございます。 まず総理に、繊維産業の位置づけ、この産業に対してどういうお考えをお持ちなのか、お伺いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま柄谷さんからお話がございましたように、わが国の繊維産業は、ただに国民に対して衣料を提供するというだけでなしに、三十五万事業所、二百六十万を超える、そういうような大きな国民経済上も重要な産業でございます。また、地域に多く密着した産業として発展をしてまいりました関係もございまして、地域経済に及ぼす影響もきわめて大きい、このように考えるものでございます。 こういうような観点から、繊維産業の消長ということは、わが国の経済、産業の上に、特に中小企業の消長の上に大きな影響を持つものである、こう考えておりまして、政府としてもこの繊維産業の育成、またこれの経営の安定が期せられるようにということにつきましてはあらゆる努力を傾倒してまいっておるところでございます。今後もそのつもりでございます。
○柄谷道一君 短繊維紡績界は長期にわたる不況が続いております。しかし、この中で労使が、繊工審提言を受けまして、生産性向上、垂直的連携強化、テキスタイル展開、さらに莫大な資産売却による財務体質の改善等につきまして全力を尽くしてまいっております。また労働組合も限界までの協力をいたしております。通産大臣はこうした労使の必死の自助努力というものに対してどう評価していらっしゃいますか。
○国務大臣(田中六助君) 繊維産業は、ただいま総理も答えましたように、伝統のある産業で、古くて新しい、新しくて古い諸問題をいろいろ抱えておるわけでございます。私ども、あらゆる金融、税制の面からいろんな措置をやってきましたけれども、それでも発展途上国の追い上げあるいは先進国との近代的な繊維の製品などについてちょうどサンドイッチみたいな形で迫られております。しかし私どもは、今日まで繊維産業の労使が非常に苦労をしてまいったことも十分知っておりますし、これから先も金融やあるいは税制面で、これらの労使の動きに伴って、私どももできるだけのことはしていきたいというふうに思っております。
○柄谷道一君 そのような自助努力にかかわらず、綿糸、スフ糸、合繊紡糸とも市況は生産コストを大きく割り込んでおります。通産大臣はこの短繊維紡績界の採算割れの現状をどう把握し、今後どう見通していらっしゃいますか。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、短繊維紡績業界は原綿価格の高騰、電力代金のアップ等によるコストアップがあります一方、先生御指摘のような市況の低迷といいますか、需要の減退等に伴い市況が低迷しておる。そういうことで、かなりの採算割れの状況が続いておるということを認識しております。今後につきましても、実際問題としてなかなか大幅な需要回復は困難であるというふうに推定されますし、またコスト高の現状も早急には改善できないという見込みでございます。したがいまして、このまま推移いたしますと、採算割れの状態が今後とも継続するおそれが非常に強いということで懸念をいたしておる次第でございます。
○柄谷道一君 綿糸、四十単糸を例にとりますと、五十六年一−三月で原綿代及びこり当たりの加工賃は約総コスト十六万円でございます。これに対する現在の相場は十三万四千円でございます。一こり生産するたびに二万六千円の採算赤字になる。この状態を放置すれば産業そのものの壊滅と深刻な雇用問題を惹起すると考えますが、いかがです。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 先生いま御指摘のとおりでございまして、われわれの推定によりますと相当な採算割れという、出血という状況が、しかもかなり長期、昨年の夏ごろからずっと続いておる状況でございます。したがいまして、このような状況が続きますと非常に深刻な状況になるということを懸念しております。
○柄谷道一君 しかも、末在庫は適正水準を超え、特に川上の糸在庫が量的に著しく増加しているのが最近の特徴でございます。私は、このような現状から自主調整努力の限界を現状ははるかに超え、独禁法二十四条の三に定める要件を満たしているものと思いますが、もちろんこれの決定は公取でございますが、通産大臣の御認識はいかがでございますか。
○国務大臣(田中六助君) 不況カルテルの指定につきましては、これらの産業は十分その資格、その内容を備えておると思いますし、公取委員会の出方を待っているわけでございまして、ただ待っているということだけでは済まされない状態でございますので、私どもはいまの環境を十分察知してこれが対策に、努力していきたいと思います。
○柄谷道一君 公取委員長、お聞きのとおりでございます。もちろん申請が行われてからその内容を決断、判断されるわけでございますが、この問題について公取としてどのような姿勢で対応されようとするのか、お伺いします。
○政府委員(橋口收君) 短繊維紡績糸製造業につきましては、昭和四十年から今日まで約十五年間の間に三回にわたって不況カルテルを結成いたしておるのでございまして、カルテルの期間を合計いたしますと約三年でございますから、大体五分の一程度の期間というものはカルテルが行われている。ただその間に業界の中の情勢にも変化がございまして、カルテルに参加いたします企業の数というものはだんだん減ってまいってきております。つまり、カルテルの組成率と申しますか、影響率と申しますか、そういうものはカルテルのたびごとに低下をしているというのが現状でございます。 それから、最近の情勢につきましてはいまいろいろお話がございましたが、カルテル一般につきましての世論というものは最近いつになく厳しいものもございます。短繊維紡績糸の製造業界につきましても、体質の改善、構造改善という問題を控えておられると思います。そういう点も総合的に勘案をいたしまして、先ほど申し上げましたように、厳正かつ慎重に審査をしながらできるだけ迅速に態度は決定したいというふうに考えております。
○柄谷道一君 不況カルテルが実施された場合、これは当然雇用の不安が生ずると思います。労働省としては雇用の安定を確保するためにどのように対処されますか。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。 カルテルの実施をどうしても必要とするということは、当然休業その他いろいろな影響が雇用に出てまいるわけでございまして、私どもといたしましては、どんなことがございましても雇用の安定的な確保を図っていくということが非常に重要でございますから、カルテルの成否といいまするものも重大な問題でございまするけれども、その成否にかかわりませず、そのような休業状態その他が起こってくるということは黙認できませんので、雇用調整給付金等の運用を十二分に考えまして、お働きの皆様方に大きな影響が起こりませんように措置してまいるつもりでございます。
○柄谷道一君 通産大臣にお伺いしますが、いま公取委員長から、この繊維というのは不況カルテルの連続であった、こういうお言葉があったんです。私はやはりその原因は四サイクルの悪循環を続けているからではないかと思うんです。不況カルテルによって減産する、そしてそのための設備廃棄を行う。そうしますと、第二番目に需給関係が改善されます。そうしますと、待っていたというように輸入が増大をいたします。そして需給の状況が悪化し市況が低迷し、今度は輸入が減少します。この四サイクルをいつもいつもぐるぐる回っているわけですね。この悪循環を断たない限り、私は、わが国の繊維産業特に紡績の地盤は沈下するだけではないか、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 先ほどもお答えいたしましたように、繊維産業は非常に古くて新しい問題、新しくて古い問題で、発展途上国の追い上げというものは非常に厳しいものがございますし、私どもはこれを十分熟知し、察知してこれが対策をとっておりますし、MFAという措置などもありますけれども、あくまで、それでもだめな場合は不況カルテルというものを公取が指定しているわけでございますけれども、この公取の不況カルテルも結論は緊急避難的なものでございますし、恒久的な対策として、私どもは労使協調のこの繊維産業を十分育成すると同時に、対外的な問題につきましてもこれらの発展途上国と十分協議をして、この繊維産業の育成に努めてまいりたいと思います。幸いに、たとえば絹製品につきましては、発展途上国の韓国にいたしましても中国にいたしましても、その他の国々にいたしましても、私どもとの協定あるいは協議に十分応じておりますし、すでに五十四年度あるいは五十五年度に至りましてはかなりの安定度を加えております。しかし、これだけでは済まされず、綿製品につきましても、御指摘のような悪循環のないように、ますます現実を熟知してこれらの国々とも十分協議してまいりたいと思っております。
○柄谷道一君 最近輸入が鎮静しているということは日本の市況が低迷しているからでございます。一説によりますと、不況カルテルを一番期待しているのは韓国ではないか、こうも言われております。アメリカ及びECはともに多数の輸出国との間にMFAに基づく二国間協定を締結していることは大臣御案内のとおりでございます。またアメリカは、MFAに入っていない中国に対しましても農業法二百四項、通商法二百三項に準拠いたしまして米中繊維協定を結び輸入の秩序化を図っております。いま、世界の先進国の中において素っ裸で自由市場となっているのは日本だけでございます。私は、繊維産業安定のためにはもちろん自由貿易の原則は守らなければなりませんけれども、諸外国の実例に徴しても、この国際的に認められている二国間協定の締結を通じて輸入の秩序化を図る、それが産業問題解決の決め手ではないか、こう思いますが、いかがです。
○国務大臣(田中六助君) 私どもは、自由貿易主義と同時に開放経済でございますので、そのたてまえはあくまで堅持しつつ、その間にMFAの問題、つまりマルチラテラルな相互の協定というものの検討を進めていって、その数量あるいは金額、そういう面につきましてはこれからも十分きめの細かい措置をとって、これらの発展途上国との数量関係についても、正面から規制ということは困難でございますけれども、実態を把握しつつ早急な対策を促進していきたいというふうに考えます。
○柄谷道一君 大蔵大臣にお伺いしますが、欧米の繊維製品に対する関税率はわが国の二ないし三倍でございます。その実態をどう把握していらっしゃいますか。
○政府委員(清水汪君) 御指摘の欧米の繊維製品に対する関税率でございますが、御案内のとおり、繊維製品は非常に品種その他が広範多岐にわたっておりますので、それからまた、各国の税率の設定の仕方が必ずしも同じではございませんので比較を大局的にやることはなかなか困難ですけれども、大づかみに比較する意味で申し上げますと、ECの関税率は大体におきましてわが国と同じような水準で、つまり十数%——十数%と申し上げましても十に近い方の数字と十の半ばに近い方の数字との違いぐらいは分かれてまいりますが、十数%程度でございます。それから米国の関税率につきましては、加重平均的に試算をいたしますと約二〇%程度ということでございます。
○柄谷道一君 時間がありましたらただいまの答弁と私の認識の違いをつきたいところでございますけれども、時間がございませんので、改めての機会にその輸入関税の相違については質問をしたいと思います。 そこで、二国間協定の締結がなかなか一挙にはいかないという場合、少なくともそれに至るまでの応急措置として輸入貿易管理令に基づく監視体制を確立する、これは当然必要なことだと思いますが、いかがです。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 繊維関係の輸入問題というのは絶えず問題になります。現在は幸い輸入は鎮静化しておりますけれども、また日本の市況が回復してくると増大するという傾向も先生御指摘のとおり持っておるわけです。したがいまして、われわれもよくウォッチしておりまして、特にこれから需給調節をかなり国内的にもやっていかないと重大な問題になるという認識を持っております。したがいまして、生産の調整といいますか、そういうものとあわせて輸入問題についてはわれわれ真剣に取り組んでおりまして、商社あるいは需要者に対しまして自粛と理解を求めて、いわば行政指導といいますか、自粛要請ということを強くやっていく所存でございます。ただ、貿管令に基づく直接的規制につきましては、そういう現状段階におきましては、まだその時期にいろいろ問題がございますので、そういう時期ではないと、かように考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 総理にお伺いいたしますが、アメリカ、EC、世界の先進国の中で、事繊維の輸入が全く自由化されているのは日本のみでございます。総理は繊維産業の存在、位置づけというのを高く評価されました。ところが一こり生産して二万六千円の赤字が出ていく。膨大な赤字が続いていくわけですね。かって政府は沖縄返還に際しまして、糸を売ってなわを買ったという批判を受けました。私は、自由貿易の原則は守らなければなりませんけれども、しかし、その中で一つの産業が危機に陥る、この場合に、行政というものがこれに対して積極的な姿勢をとるというのが当然だと思うのです。いままでの御答弁を聞いておりますと、再び糸を犠牲にして何かを買おうとしているとしか受け取れません。秩序ある輸入体制確立、そして四サイクル悪循環を断つための総理の決意と御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま日本の繊維産業が非常な危機的状況にある、日本だけが完全自由化をやっている、こういうまる裸の状態では日本の繊維産業を守れぬではないかと、こういう状態で何を求めようとしておるのかと、こういう厳しい御指摘がございました。 私どもが求めようとしておるのは、世界におけるところの自由貿易体制の堅持、保護主義の台頭をできるだけ抑えたいと、こういう基本的な立場にあるわけでございますけれども、しかし、そのために繊維産業を犠牲にするというような考え方はございません。先ほど来関係当局から御説明申し上げましたように、状況を十分把握をしながら適切に対処をしていく所存でございます。
○柄谷道一君 最近、中小企業を中心とした深刻な景気の低迷が問題になっております。そこで、まず最近における企業倒産の現状、設備投資、支払いベース、在庫調整及び規模別事業採算の現状につきまして、通産及び経企庁の御認識を具体的にお伺いいたします。
○政府委員(宮本四郎君) 最初に企業倒産の方をお答え申し上げます。 五十五年の企業倒産は、御案内のように年間を通じまして一万七千八百八十四件、負債金額にいたしまして二兆七千二百二十四億、こういうことになっておりまして、相当な高水準であったわけでございます。もちろん、この中の大部分は中小企業ということになっておりまして、たとえば件数で申しますと、先ほどの一万七千八百八十四件中一万七千八百四十三件ということになっておる次第でございます。 今後の見通しでございますが、一月におきましても千三百十三件、二月におきましても千三百二十七件と高水準を続けておりまして、現在のような景気のかげりを考えますと今後も予断は許さないと、かように存じておる次第でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業の現状は、私どもも非常に深刻に認識をいたしております。いま通産省がお答えになった考え方と全く一緒でございます。
○柄谷道一君 そこで、経済企画庁は二月二十六日総合経済対策八項目を定められました。あすの経済閣僚会議で決定されると承知いたしております。八項目の内容について御説明いただきます。
○国務大臣(河本敏夫君) 八項目を決めたということではございません。ただ伝えられるような項目について検討していこうということで、現在関係各省との間で意見を調整中でございます。金融政策をどうするか、それから公共事業の取り扱いをどうするのか、先ほどの、中小企業の状態が非常に深刻でございますから、これに対する対策をどうしたらよいか、こういうことを中心にいたしまして、その他数項目につきまして目下調整中でございます。
○柄谷道一君 あしたが閣議なんですが、まだ調整は終わってないんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) あすの朝、経済対策関係閣僚会議を開く予定をしておりますが、きょうじゅうには調整は終わると思います。
○柄谷道一君 その調整で問題点になっているのは何でございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) やはり金融政策あるいは中小企業の取り扱い、こういうことが中心でございます。
○柄谷道一君 景気総合対策の柱は当然金融政策の機動的運営にあると思うのですね。 新聞報道によりますと、政府は日銀に対しまして十四日、公定歩合の引き下げ幅を一%とし、預貯金金利を〇・七五%引き下げる方針を伝え、要請したと、こう報道されております。これは日銀の中立性ともかかわる重大な問題でございますが、大蔵大臣、その内容はいかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことを要請はいたしておりません。それは新聞に書いてあることであります。私の方は普通の場合、日銀からラブコールがあって、それから大蔵省の方で所見を申し上げるということになっておりますが、まだそういうお話は来ておりません。
○柄谷道一君 すると、新聞の報道は根も葉もないことを報道していると言われるわけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 根も葉もないかどうか、それはわかりませんが、新聞書いた人に聞いていただきたいと思います。
○柄谷道一君 それでは、大蔵省と郵政省間でこの問題に対する話し合いが行われたこともないんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全然ないと言ったらうそになるかもしれませんが、これはこういう時期ですから、各省間ではいつでも対応できるような内々の話はしておるかもしれません。
○柄谷道一君 これは大臣、がんの宣告、衆議院解散の時期、公定歩合、この三つはうそをついてもいいというのが何か定説のようでございますけれども、もうあす、あさっての問題ですよね。本当にそれ以上言えないんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、たとえばきょうのできごとであってもそのときまでは申し上げられません。
○柄谷道一君 私は、一説によりますと、日銀は公定歩合と預貯金金利の同率引き下げ、いわゆるフルスライドを非常に強く主張しておる。そこで、大蔵省は、公定歩合は一%下げてもプライムレートは郵貯と同じ〇・七五%引き下げるということでその調整を図り、それを条件に了解を得ようとしておると、こういう報道がなされておりますが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは新聞の報道でございまして、それはそれなりの何か根拠があると思っております。
○柄谷道一君 あさってになれば明確になるんですが、そういう事実はあらわれませんね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは先ほど言ったように、このような問題については大蔵省が何もしないでいるわけももちろんないわけでございますが、そういう委細の問題についていろいろ発表するというようなこともございません。
○柄谷道一君 経企庁長官にお伺いしますが、そのような措置で、内容はまだ漠としておりますが、政府は民間の設備投資意欲、特に極端に冷え切っている中小企業の設備投資がこれによって活発化すると認識していらっしゃいますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 政府の金融政策についての考え方は、昨年の九月に金融政策を機動的に今後運営するという基本方針を決めておりますが、その意味するところは、現時点における金利水準が設備投資等を進めるのに余りにも高過ぎる、それが障害になっておる、こういう判断から、条件が整い次第できるだけ低い水準に金利を持っていく、これが内容でございます。それを機動的運営という抽象的な表現であらわしておるわけでございますが、そういう方針に沿って今後も金融政策を運営していかなければならぬと、こう思っております。
○柄谷道一君 前回公定歩合を引き下げましたのは八月二十日でございます。そして、十一月六日にさらに再引き下げを行っております。しかし、これらの公定歩合の引き下げがいわゆる長期プライムレート、また政府系三金融機関の貸出金利の引き下げとなってあらわれましたのは三カ月後でございます。いろいろ過去の例を調べますと、一カ月後のときもあり、早いときは十日後にその引き下げが連動しているときもございます、いま深刻な中小企業、そして経済全般の低迷の中で、実質のプライムレート、そして少なくとも中小企業に対する三金融機関の貸出金利の引き下げを急がなければ私はその効果は全くあらわれないと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 公定歩合は、いままでも短期プライムレートが連動をしてきたということは事実です。もともと短期のレートの問題でありますから、長期につきましては、短期のものが下がって市場の実勢によって長期のものも下がってくると、こういうようなことになろうかと思います。
○柄谷道一君 総理、いまの中小企業の現状、本当に深刻なんですよ。機動的運用ということは、これらの貸出金利の引き下げの時期を公定歩合の引き下げの時期にできる限り接近させる、それでなければ不況対策にならぬと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 景況全般を見ておりまして、早急に景気対策を打ち出す必要があるという認識におきましては、柄谷さんと私同じでございます。特に中小企業の状況から見まして、できるだけ早く実効のある、本当に効果のある総合対策を講ずる必要がある、こういう観点に立ちまして近い機会にその措置を講じたいと、こう思っております。
○柄谷道一君 私は、政府の金融政策を見ておりますと、大蔵大臣、失礼かもしれませんけれども、ツー・レートなんですよ。遅過ぎる。ツー・リトル、小出し過ぎる。ツー・ロー、次元が低過ぎる。私は、この三つの欠点を持っておると思うんですね。いま勇断をもってこの三つの欠陥を是正しない限り景気の回復はむずかしいと、私はこう思います。さらに私は、ここにコップがありますが、これをどう表現するか、まだコップに水が半分残っているという見方もあります。もう半分しか残っていないんだという認識もあります。そこで、この見解が閣僚の中でもこんがらがっているんですね。所得税減税問題言うと、歳入欠陥が出るかもしれない、こう言われますね。歳入欠陥が出るほど景気が不況ならば、来年の経済成長実質五・三%ができるのか、急速にこの対応策を打たなければ、五・三%の経済成長を前提に組んでいる予算は根本的に見直さなければならぬ、こういうことになりますね。景気を本当に楽観視して五・三%成長されるという認識ならば、あした経済閣僚会議で緊急対策を打ち出す必要はないということになるわけです。この点、総理、本当にいまの経済の実態を把握されて、迅速をもって私はとうとしとすると思うんです。このことをぜひお願いをしておきたい。 なお、中小企業対策と言えば、これは大蔵委員会の議論になるわけでございますけれども、たとえば印紙税の問題一つを取り上げましても、金銭または有価証券受取書の場合、百万円以下現在百円です。今度二百円にしよう、比率に直しますと〇・三三%、改正しますと〇・六六%です。百万円以上の取引に対しては〇・〇一%、改正して〇・〇二%、実に三十三倍の重さを下は持っておるわけです。私は、こういうことを考えますと、少なくとも中小企業対策を真剣に進めるということにするならば、この印紙税改正問題一つを取り上げてみましても、たとえば五十万円以下というランクを設けて、いま中小企業の平均取引高は十万円見当ですから、そういう面を配慮するという思いやりが当然あってしかるべきだと私は思います。これに対する見解をお伺いし、時間の関係から物価問題と身障者対策等の問題につきましては、別の委員会の機会を得て私の質問を行いたいと思います。
○政府委員(高橋元君) いまのお話の印紙税でございますが、受取書がつくられております状況を調べてみますと、全国で一年間に百億通ぐらいつくられるわけでございます。その中で免税点以下の三万円未満の受取書は約九割、それから残り約一割のうち五十万円以下の受取書が四分の三ということかと思います。したがいまして、その辺の、五十二年に調べました場合も、それから四十八年に調べました場合も、今回の調査しました場合もほぼ変わっておりませんので、今回定額の税率も、それから階級定額と申しておりますいわば比例的な部分につきましての税率も、一律に二倍に引き上げさしていただくということにしたわけでございまして、これによって文書の作成行使の背後にあります担税力に着目する軽度の流通税、そういう印紙税の本質からしまして、格別の中小企業に対する御負担の増ということはないものというふうに考えております。
○柄谷道一君 まあ、見解の相違ですから、大蔵委員会でやりましょう。
○委員長(木村睦男君) 以上で柄谷君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、前島英三郎君の総括質疑を行います。前島君。
○前島英三郎君 鈴木内閣が安定多数の与党に支えられていることは、伯仲時代よりもかえってその政治姿勢が国民から問われることにほかならないと思います。いま総理は退席しておられますから、ちょっとじゃ待ちますか。これは冒頭、総理にお伺いしたいことでございますから、ちょっと待たしてもらいます。 総理、御着席でございますから——。 とにかく伯仲時代よりも総理、この政治姿勢が非常に真価を問われるいまの鈴木内閣だと思うんです。仮にもおごりの姿勢が見られるとすれば、国民から見放されるだろうと思うんです。総理・総裁としての自覚をまず冒頭お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私の政治姿勢は、政権を担当して以来、終始一貫変わっていないわけでございます。いま御指摘の点は、先般の衆議院予算委員会におけるあのような結果に対して、自由民主党が安定多数といいますか、絶対多数に、この数におごってあのような措置に出たのではないか、私の政治姿勢がいかにもそれによって変わったのではないかという御指摘ではなかろうかと、こう思うわけでございますが、決してさようなことはございません。しばしば申し上げておりますように、あの際におきましても小山予算委員長は、全員、全部の委員が出席をされまして円滑に議事の運営ができまするようにということで、時間をかけ御出席を呼びかけ、大分努力をしたようでございます。しかし、その努力が実らずにあのような結果になりましたことは、本当に私としても残念でならないところでございます。今後与野党ともに審議拒否、強行採決、そういうような悪循環にならないように、お互いに立場を考えながら今後の円満な国会の運営ができますることを期待をいたしておるところでございます。
○前島英三郎君 中には、これから迎えるであろう強行採決のリハーサルをしたのではないかというような声も聞かれるのでございますが、今後はああいったことはないと確信できますね、総理。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げたとおりでございまして、これは国会の運営というのは、与党だけでなしに野党の御協力も得なければならないわけでございまして、国民の信託を受けておる国会として十分その点を自戒し反省して、お互いに国会の権威を高めるように努力したいものだと、このように考えております。
○前島英三郎君 本題に入ります。 昭和五十四年度予算案の審議の際、私は政府に六項目の要望を提出いたしました。これに対する政府の回答に不満ではありましたが、当時の官房長官、現在の田中通産大臣は私に対しまして、一遍にはできないが今後十分前向きに取り組むことを総理の名代として約束すると述べたことを私は評価いたしました。中には予算の本会議場の採決におきまして、自民党に金で丸め込まれたか、そういう心ないやじをも私は受けたのでありますが、しかし、これは十分前向きに取り組むことを総理の名代として約束する、私の部屋でそう語った当時の田中官房長官を私は信頼したからであります。この約束は当然現在も生きていると思うが、田中さんいかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 前島委員のおっしゃることを私は明確に覚えております。議員の部屋で、ちょうど予算案がどうなるかという瀬戸際でございましたし、いまは亡き大平総理の命を受けてお訪ねしてお願いいたしました。その当時の六項目は、所得の拡大、それから雇用の拡大、リハビリテーションの充実、それから国際障害者年がうまくいくように、それから障害者の方々が移動する場合にこれの十分な措置をとるという、あるいは最後の項目は身体障害者に対するより一層のすべての充実した措置という六項目であったと私は思います。その六項目につきましては、あれ以来、一遍ではなかなかできないわけでございまして、徐々に改正をしておる点は議員も御承知だと思います。特に、ことしは障害者年の年でございますし、厚生大臣が委員会あるいは本会議で述べておられますように、私どもはこれらの六項目を中心に一つ一つ丁寧に丁寧に実施の方向に行っておりますし、当時の予算案の中にも盛り込まれておりましたし、今回新しくお願いしておる予算案にも、全部とは申しませんが、計上されておる事実を申し上げたいと思います。
○前島英三郎君 六項目の要望というのは、一つは障害者の所得保障の充実、二つ目に障害者の雇用促進、三つ目にリハビリテーションの体系的、総合的な充実強化、四つ目に国際障害者年への充実した取り組み、五つ目に障害者の交通機関利用の問題、六つ目が障害者が利用できる生活環境の改善。しぼりにしぼった内容でございます。また、本来なら、約束するまでもなく政府が率先して努力すべき内容でもございます。財政との絡みもありまして、すぐにできるかどうかは別にいたしまして、政府として当然なすべきことだと理解したいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 申し込まれました身体障害者所得保障の充実を初めとする六項目、これは御発言のとおりきわめて大事な問題でありまして、今年度の予算等におきましても一遍には改善されておりませんが、逐次改善の方向に向かって努力をいたしておりまするし、今後も、約束でもありますが、約束にかかわらず、これは充実すべき問題であると思い、努力をいたします。
○前島英三郎君 総理も当時の経過を十分承知していると思うが、いかがでございますか。また、その後の経過から見て十分努力をしているとお考えになっているかどうか、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 前島さんから六項目の御要請がございまして、当時の官房長官の田中大臣がお約束をしたという経過は、私も承知をいたしております。この政府が前島さんにお約束をし御回答申し上げた線に沿いまして、着実にこれらの問題につきまして取り組んできておるわけでございますが、特に五十六年度予算の編成に当たりましては、年金の問題、雇用の問題、福祉施設の問題等につきましては、私は私なりに、厳しい財政の中ではございましたけれども最善を尽くしたつもりでございます。今後におきましても、引き続きこれを積み上げていきたい。特に今年は国際身障者年でもございますので、これを契機に身障者の諸施策につきましては最善を尽くす決意でございます。
○前島英三郎君 六項目の柱は相互に関連がありまして、ばらばらに個別にやったのでは障害者福祉というものは効果的ではない。いかに総合的、計画的に進めていくかということが課題でもございまして、そしてまた、これらは国際障害者年の課題にも含まれております。 そこでお尋ねいたしますが、政府が国際障害者年の推進本部とその庶務に当たる担当室を総理府に置いたのは総合的、計画的に進めるという観点からだと考えるのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 先生も御指摘のとおり、いま総理から御発言ございましたが、国際障害者年、国連の掲げる五つのテーマ、そういうものを国内的に実施するために特別委員会を中心に五つの部会を置いておりますけれども、その連絡調整というものを、総理府で担当室をつくって、今年の国際障害者年が十分その目的を達するように設置をいたしたものでございます。
○前島英三郎君 しかし、その推進本部と担当室が、いままでのいろいろな審議の経過を見ておりますと、来年三月三十一日までの期限つきであることから、その後のことはどうなるかという心配をする声が大変強いわけであります。中央心身協は特別委員会の議を経まして総理に意見具申をいたしましたが、その中で長期行動計画の策定ということを明確に打ち出しております。たった一年度の、単年度の担当室で長期行動計画の策定ができるかどうか、大変心配をいたします。政府としてはこれをどう受けとめておられるでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 政府は昨年の三月二十五日の閣議で、ことしの国際障害者年の十分その目的を果たすために推進本部というものを設置する、この推進本部というものは一年限りにしてそれを廃止する、残務処理は三月末までに行う、この一年間のいわゆる各省の連絡調整というもののために担当室というものを置くということが閣議決定をなされているわけでございます。ただし、今後の障害者に対する長期計画というものにつきましては、この国内委員会とも言うべき六十人の方々で構成する五つの部会においてただいま御検討いただいておりまして、その結論を待ちまして、この特別委員会の意見を受けて、政府としては今後の長期的計画というものをいかに実施すべきかということの方向を決めてまいりたい、このように考えております。
○前島英三郎君 つまり、その窓口がどこかを明確にしないままに単年度でやめてしまう。それがすなわち、私が、六項目の中で一番重要な問題の、国際障害者年を契機として総理府の中にアンテナを立てて、それぞれの関係省庁の総合的な体系的な身障福祉というものを推進していかなければならないというその指摘の重要な部分なんですね。田中官房長官の後を引き継ぎましたのが伊東外務大臣です。伊東外務大臣、その辺はどう認識していらっしゃいますか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生も御案内のように、心身障害者対策基本法というものがございます。これの第二十七条第一項に、中央心身障害者対策協議会というものを設置することが法的に義務づけられております。この協議会の目的というものは、総合的かつ長期的な心身障害者のための政策を実施するための目的をもって設置されておるのでございまして、私どもといたしましては、この法律に準拠した中央心身障害者対策協議会というものと、御指摘のこれからのいわゆる心身障害者のための長期的な政策をいかに実行していくかということの絡まりについて、先ほど申し上げたように今年末、政府としては法律との関連も含めて、これからの長期計画が心身障害者のために十分機能を果たすように前向きで努力をいたしたい、このように考えております。
○前島英三郎君 伊東さん、何か一言。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 対策室でございましたかつくりましたとき、前島さんからの御要請がございましてそういうものを考えたのでございますが、その後の経過またこれの取り扱い等につきましては、いま総務長官がお答えになったとおりでございまして、私はそういう中でひとつ何とか身体障害者の問題が少しでも前進していくことを期待しているわけでございます。
○前島英三郎君 いま総務長官から、前向きに年度内に長期行動計画というお言葉があったわけですが、確認いたしますが、政府として長期計画をことしつくるということは、じゃ正式決定をしていると解釈してよろしいでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 心身障害者の方々、特に疾病によって起こる心身障害者の増加率が年率五〇%を超えております。こういうことから含めて、心身障害者対策というものは単年度で終わるべきではない。これから迎える高齢化の社会のためにも、政府といたしましては、心身障害者の方々がその生活が十分安定した形で人生を送られるような長期的な方向でやってまいりたい、このように考えておる。ただし、その決定の時期につきましては、特別委員会の報告が年末に出ますので、その時期に政府としてはいわゆる方針を決定いたしたい、このように考えております。
○前島英三郎君 中心協の意見具申は、「国際障害者年というこの機会に、」「最も効果的な組織機構及び調査研究体制の在り方について、改めて検討する必要があろう。」こう述べてもいるわけでございます。これにつきまして政府はどう受けとめておられるでしょうか。総理はいかがですか。——厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) 障害者年というのは、私もしばしばお答えしておりまするし前島議員からもしばしば発言されておりますが、問題は、この年を一つの行事の年としてはなりませんので、いまおっしゃいましたとおりに、これから新しい身体障害者に対するものが出てこなければなりません。その一番大事な点は、いままでのような庇護とか助成とかということではなくて、身体障害者の方が自立をして社会参加ができる、健常人と身体障害者の方が同等の人間として活躍ができるという点が一番大事であります。そのためには、ただいま総務長官から発言されましたとおり、障害者年を迎える対策は、特別委は今年度で終わることになっておりますが、しかし今後はやはり厚生省だけの対策ではうまくまいりません。社会教育、就職、一切、それからいまおっしゃいましたようないろいろな調整、企画、地方との関係、こういうものがいっぱいあるわけであります。これは内閣全体として取り組むべきものでありますから、そのような実質上のことができるような体制をどうつくるか、総理府でつくるか、あるいは内閣に持ってもらうか、こういうことが一番大事でありまして、そういう点を含めていま特別委員会で長期の計画をつくってもらっておるところでございます。
○前島英三郎君 長期的なしっかりした計画がつくられることと、それを実行し点検する体制がつくられるということが、やはりこの国際障害者年で最も重要なことだというふうに思うのです。しかしながら、この二点につきましては、厚生大臣はかなり明確な姿勢をかって見せてこられておりますのですが、再確認したいわけですけれども、そうすると、政府のこの国際障害者年の担当室は来年三月三十一日で一応終わるが、新たなものをどういう形でつくろうとしているのか。それにかわるべきものはどこの省庁がその総括、統括をするのか。その辺はここでは明確に答弁は期待できますでしょうかどうでしょうか。
○国務大臣(園田直君) ただいま委員会で審議していただいておる中に入っておるわけでありまして、その答申を受けて総務長官や私、その他の関係者が相談をして決めるべき問題でありますから、ここでどうこうと言うわけにはまいりませんが、ただいまの御発言の趣旨に従い、かつまた、法体系から言っても仕事から言っても各省に縦割りになっております。就職は労働省、教育は文部省、何はどこというふうに各省に、法務省にまでまたがっておりますから、やはりこれは実際に長期的に計画的に進めていくのには、これを総合、統合して実施をしていく以外には効果は上がりません。そこで、その点については、ただいま総理府にある障害者年の対策委員会、ではなくて障害者年のための担当室がございます。これを中心にして拡大していくか新たなものをつくるか、これは今後検討すべき問題で、ただいまいろいろ相談をしておるところでございます。
○前島英三郎君 施策の総合調整に当たる機関として心身障害者対策基本法に基づいてつくられたのが、先ほど来出ている中央心身障害者対策協議会——中心協だと思うんですね。ところが、中心協そのものは総理府に設置しながら、その庶務というのが、過去ずっと厚生省にゆだねられていると思うのです。そういう意味では、政府が基本法を軽視してきたのではないかという批判も大変強いわけでありますが、その理由はこのあたりにもあるのではないかというような気がするのです。総理府の中にそうした中心協がある。しかしそのやる業務はすべて厚生省任せであるということになりますと、やはり私は、アンテナが一方通行でしかない。関係十四省庁が、総理府が高いアンテナを立てて、雇用の問題は労働省、教育の問題は文部省、いま厚生大臣がおっしゃったような報告にならないと、やはり障害者の対策というものは、向こう十カ年のこの長期行動計画というものの策定もむずかしいであろう、ただ笛を吹くだけであろう、そういう気がしてならないわけなんですが、もう一回伺いたいと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 先生御指摘のとおり、中央心身障害者対策協議会というのは総理府にございます。そして、実務はどこでやっているかと言えば、厚生省の社会局更生課が担当の部局でございます。また労働問題は労働省でやるというふうなことで、私ども政府といたしましても、国際障害者年に当たって、この問題等を含めて特別委員会で御検討をいただき、その御意向を含めて私どもとしては御趣旨に沿うような形で、国際障害者年のいわゆる合意事項として心身障害者のための一つの総合機能というものを調整してまいりたいと、このように考えております。
○前島英三郎君 そういう意味では、総理、やはり単年度というということをばっさりおっしゃられますと、非常にわれわれは不安を覚えるわけですよ。私もそういう意味では、特に六項目の中にも国際障害者年を一つの契機として総合対策室的なものを総理府の中に設置してほしいというのがまず最大の願いだったわけですね。ところが、ずっと衆議院、参議院の予算審議を見ていますと、三月三十一日まででございますという形になりまして、そこから先は、何かもうわれわれの一つの障害者対策というものは望みは絶たれるのではなかろうか、そういう危惧も感ずるのですが、改めて伺いたいと思うのです、総理のお気持ちを。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、現在、国際障害者年特別委員会におきまして、御指摘がございましたように、これからの身障者に対する総合的な施策の調整、これをどうするかということが一つ。それからリハビリテーションの実施体制、研究の体制をどうするかとか、あるいはまた福祉機器の問題をどうするか、研究開発の体制をどうするかと、そういう問題を含めて特別委員会で御審議を願い、私どもは答申を期待いたしておるわけでございます。その答申を踏まえまして、今後それをどういう形で進めたらいいかということを具体的に検討してまいりたい。御趣旨のほどは十分承知しておりますから、そういう対応をしたいと、こう思っております。
○前島英三郎君 そういうことで、政府に対する障害者の、生き急ぎしている人たちの切なる願い、そしてまた、なぜそれぞれ分断的にいまの福祉行政が行われているかという点をひとつ午後に改めて質疑したいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○委員長(木村睦男君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時から委員会を再開し、前島君の質疑を続行いたします。 これにて休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、前島君の総括質疑を行います。前島君。
○前島英三郎君 ここで角度を少し変えてお尋ねしたいと思います。 国際障害者年を決議する前に国連は障害者の権利宣言を採択しております。これは日本も共同提案国となっておりますが、この内容を総理は承知していらっしゃいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、権利宣言というのは身障者の福祉並びに権利を保障していくべきであると、身障者の方々も身障者でない者と同じような社会人としてのまた経済人としての平等の権利を有するんだと、こういうことでございまして、私はこの宣言というものを高く評価をいたしておるところでございます。 要は、私は、障害を持っておられる方々、この方々が不利益な立場に立たないような、そういうような世の中をつくるということがこの宣言が希求しておる目標であろうと、このように理解をいたしておるところでございます。
○前島英三郎君 障害者のその権利宣言は「「障害者」という言葉は、先天的か否かにかかわらず、身体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人又は社会生活に必要なことを確保することが、自分自身では完全に又は部分的にできない人のことを意味する。」と、こういうことを言っております、そして、その保障されることを高くうたっているわけでございますが、わが国では障害の種類別の法体系となっております、残念ながら。その間にいろんなでこぼこがありましたり空白があったりいたします。特に精神障害者の人たちの福祉がおくれておりますし、それが社会的偏見を助長していると思うんです。その意味で今日の日本の障害者福祉のあり方は権利宣言に沿っていない面というのがずいぶんあるような気がしてならないんです。私は、アメリカのリハビリテーション法のように全障害者福祉法に統合しまして、行政機構もリハビリテーション省、あるいはまたリハビリテーション庁に統合するというようなあり方の方が望ましいのではないかというふうに思うんですが、総理、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国におきましては、身体障害者に対する基本法がございます。これは議員立法として国会において各党各会派が積極的な前向きな姿勢でこれはつくられた基本法であると、このように私は考えておるわけでございまして、ただわが国の場合はこの行政がいずれも縦割りになっておるというようなことで横の連携、総合性というものがとかく欠けるうらみがある。しかし、私は、基本法は私はりっぱなものだと、こう思っておるのでございます。今後この運用に十分配慮を加えながらその整合性、総合的な運用というものを図っていけば私は十分であると、このように考えております。
○前島英三郎君 その心身障害者対策基本法が議員立法で、十年前のことになります。それから十年たってことしが国際障害者年、十年の歩みの中にはそれぞれまた見直すべき点も多々あるような気がするんです。そこで、長期的に飛躍的な前進を図るために、国際障害者年を決意を新たにしたことをこの基本法に盛り込んだらどうだろう、こう思うんですね、私は個人的な意見といたしましても、また当事者といたしましても。具体的には、一つは障害者の対象範囲を権利宣言のレベルに広げるということ、それから相互調整の機能と権限を持った組織機構を明確にするということ、そしてまた調査研究機能の充実を図るということ、少なくともこうした内容を基本法に盛り込む必要があるのではないかという気がするんです。これは議員立法でございますから、総理・総裁としてというよりも、国際障害者年の総理は推進本部長でありますから、ひとつ総理が先頭に立ってほしいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 基本法に対する私の評価なりこの運用についての政府の取り組み方というものは、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、社会経済情勢は常に変わってきておるわけでございますから、そういう社会経済情勢の進展に即応して、この基本法も見直すべき点は見直していくべきであると、こう考えます。そういう観点から私は特別委員会等々の答申を踏まえまして、政府としても国会とともにこういう改善策につきましては十分前向きで取り組んでいきたいと、こう思っております。
○前島英三郎君 時代に即応して厚生行政だけに頼らない障害者福祉というものを今後確立しなければならないと思います。長期計画策定に当たっての基本的な方向として障害者が施設から地域へ、保護から自立へ進めるようとの観点が重要だと私は考えます。厚生、労働両大臣に、社会労働委員会などで私はこの辺は多々質問をしているところでありますが、総括質問でもございますから、再度承りたいと思います。
○国務大臣(園田直君) いま総理から言われたとおりでありまして、人権保障の観点から国連の宣言はこれは尊重し、これを守っていくべきだと思います。御指摘のとおり、日本では基本法というのがばっとかぶさっておって、あとは縦割りの法律でカバーしております。したがいまして、第一に障害者の定義というものがはっきりしておりません。これは国々で違っております。ある国では栄養失調あるいは老衰等も、原因は別として、身体障害者の枠の中にはめております。それよりも縦割りでありますから、すき間でこぼれるものがあってはいけませんから、この点は十分関係各省庁と連絡をし、なお基本法についてもそういう観点から総理が言われたとおり検討をするつもりでございます。
○国務大臣(藤尾正行君) 御趣旨のとおりでございまして、国際障害者年といいまするもののテーマにうたわれておりますように、完全参加ということがなければならぬわけでございますから、こういった方々にできるだけ施設から出ていただいて、そうして地域に、あるいは事業所にどんどん御進出をいただけるように計らいますことが私どもの仕事である。かように考えております。
○前島英三郎君 そこで、その縦割りの弊害というものもいろいろこう指摘される部分があるんですけれども、その長期計画を組み立てるという面ではどうしてもネットワークの調整的な機構が必要であるというふうに私思います。 そこで、幾つかの省庁にまたがる問題をただしてまいりたいと思うんですが、まず建設大臣に伺いますが、先月、建築審議会が官庁施設の改善につきまして答申をいたしました。その中で身体障害者等の利用について述べておりますけれども、いかに対応するか御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 先生御指摘のように建築審議会からこの二月十七日に答申をいただいたわけであります。官庁施設整備の中、六項目指摘がありましたけれども、その一番最初に身体障害者が利用することを考慮した施設整備について推進するというようなことでございました。従来から建設省といたしましては、四十八年には新規の官庁施設には障害者のものを設ける、既設のものにつきましては五十二年から改修を急いでおるところでございます。 昨年先生から御指摘をいただきましたけれども、その後もそれに前後して建設省の中に営繕における障害者対策委員会を設けまして、その指導指針を設けまして積極的に進めておるところでございます。具体的には、現在官庁関係で建設省所管で一千カ所を指定いたしまして、それを五カ年計画で何とか障害者の方々のための配慮した施設を整備してまいりたいということで進めてまいっております。昨年まで、昨年の予算も二億二千万でございましたけれども、財政当局の御理解をいただいて本年度は四億円計上させていただきまして、答申を待つまでもなくまたそれに沿って積極的に推進してまいる所存でございます。
○前島英三郎君 官庁関係は五カ年計画という、これも一つの長期行動計画の一端といたしまして評価をするところでありますが、建設大臣、官庁以外の建築物についてはどういうぐあいに考えておられますか。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 もとより官庁以外の公共施設あるいは準公共施設あるいは民間の方々にも積極的な配慮をしていただくということで、指導要領といいますか、設計標準というものを建築士会連合会にお願いいたしまして、これも本年度予算で認めていただきましたので、それが作成次第、公共団体等々を通じながら積極的な実施の方針で指導してまいる。なお具体的な面につきましては、まだはっきりとした計画にはなっておりませんけれども、そのような面で進めてまいる所存でございます。
○前島英三郎君 私はかねてから法律の中にその精神を明文化しておくべきだと主張しております。もうかれこれ十回以上も委員会で述べておるのでありますが、建築基準法の一項に、これからつくられる公共物並びに準公共物、これからつくられるものですよ、すべての人たちが利用できるように設計、施工するようにすべきだと、こういう明文化ですね、これからつくられるものですが、その辺の検討は建設大臣いかがでございますか。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 建築基準法の中にこの項目を明示してというようなお話でございます。検討はいたしてはおりますけれども、建築基準法そのものが現在のところ御案内のように安全、衛生、防火、避難というようなことの最低基準的なものを定めましてこれを義務づけるというような強制的な性格も持っておりますので、いまのところ直ちに基準法の中に義務づけ、強制的な性格を帯びるような項目を設けるものにつきましては、少しなじまないような気がいたしますので、いまのところは何とか指導の面でその面につきましてはカバーしながらやってまいりたいと、このように考えているところでございます。
○前島英三郎君 世の中には歩ける人と歩けない人しかおりませんし、目の見える人と見えない人しかいないわけですから、歩けない人のことを考えた建築ということがやはり明文化されれば、歩ける人に何の不便もないということを私は申したいわけでございます。 次に、障害者の移動にかかわる問題は運輸行政でも重要な問題だと思います。運輸大臣に伺いますが、障害者等が利用しやすいように、交通機関の改善を体系的にやらなければならないというふうに思いますが、長期的視野に立って整備していくプランは運輸省で持っているかどうか伺いたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 国鉄並びに民鉄におきまして、それぞれこの趣旨は十分に徹底さしておるのでございますが、何分既設の駅はホーム等が狭いものでございますので、なかなか今日思うように進んでおりません。そこで、できるだけスペースのあるところにつきましては、とりあえずスロープですね、あれを中心に改造できるものはやっていけるということを言っておるのでございますが、これからも強力に推進いたしたいと思っております。 それからバスにつきましては、これは御承知のように開きまして歩道との間に若干の差がついてまいるものでございますから、危険予防とかいうようなものも若干問題として残っておりますが、そこらは鋭意努力をして、大手のバス会社等に協力をお願いして進めていきたいと思っております。
○前島英三郎君 具体的にひとつ運輸大臣にお尋ねいたしますが、きのう私は羽田から鹿児島空港そして都城と、こういう旅をいたしました。長距離の旅はどうしても飛行機の利用が必要でございます。ところが、空港での乗りおりが、特に羽田ですが、非常に大変なところが多くて、これは運輸大臣に個人的にも陳情したところでありますが、解決方法はすぐに見つけられると思うんですが、運輸大臣いかがでございますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 実は昨年先生から御要望ございまして、あれからすぐに運輸の技術関係を集めまして、航空会社等も入れまして、どういうようなものがいいかということで研究いたしまして、近くその機械を導入いたすことになりました。 その一つは、まずバスでございまして、(図を示す)ちょっとこれで言いますと、こんなバスでして、普通のバスですが、これに乗っていただくときには、これがぐっと上がりましてバスへこう収容する。そして飛行機につなぎますのは、これをずっとリフト、よくキッチンなんかこう上げるのありますね、あれを思いついたのですが、これをずっと上げまして、ここに車が入っておりますから、これがこのままずっと飛行機に入る、こういうふうなことをいたしまして、これの製作ができまして、羽田に二台ですね、それから成田に一台、これはいずれもいまだこれを正式に制度的にどうするかということございますけれども、船舶振興会からの寄付金によりましてとりあえずこれを作製いたしまして、羽田二台、成田一台それぞれ配置することにいたしました。なお、需要の多い飛行場につきまして鋭意この製作を進めて配置いたしたいと思っております。
○前島英三郎君 すぐやる課という課が自治体にありますが、そういう意味では、すぐやる省ということで、大変評価したいと思っております。 続きまして通産大臣に伺いますが、さきの委員会で、足だけで運転操作のできる車の開発について前向きのお答えをいただきましたが、ところがほかにもいろいろなニードがあるんですね。たとえば車いすのまま運転席に着ける車などというものがもう外国では開発されております。あるいはいま運輸大臣もおっしゃった路線バスの改善、低床式のものとかいろいろあると思います。そこで、障害者の利用しやすいいろいろなタイプの自動車の研究開発に取り組んでいただきたいということを切にお願いしたいわけでありますが、幸い鉱工業技術研究組合法という法律もございますし、これを活用したらよいのではないかと思うんですが、通産大臣いかがでございますか。
○国務大臣(田中六助君) いま御指摘の鉱工業技術研究組合法に基づくところで、両手のない身障者の人々あるいは手が不自由な人たちの自動車の操縦あるいは行動の範囲を決めた動きの自動車の研究をやっておりまして、これはもう言っていいと思うのですけれども、トヨタでそれを一つやっております。それからダイハツの方で、やはり手の不自由な方の自動車の運転、現実にもう動いておりますから、そろそろ、マスプロとは言えないまでもかなりの量が生産できる現状にあることをお伝え申し上げておきます。
○前島英三郎君 そういう意味では、総理、いろいろ各省で考える、そのやはりまとまったものが、たとえば国際障害者年を契機として総理府の中にその対策室、そのアンテナという部分だと私は思うんです。そういう意味での今後の積極的な取り組みを心から期待したいと思います。 次に、障害児教育について質問させていただきますが、きょうは参考人といたしまして長崎大学の河原一男先生に出席していただいております。障害児の親の立場から御発言いただくのですが、どうも御苦労さまでございます。 まず、参考人の娘さんは障害をお持ちでございますけれども、現在普通学校で学んでおられますね。就学までの簡単ないきさつと現在の状況を伺いたいと思います。
○参考人(河原一男君) 私の子供の一人は、暁子と申しますけれども、現在八歳です。双子の一人として生まれまして、生まれたときからかなりの障害があるということは明らかでした。一年三カ月で重度の脳性麻痺と診断をされました。そのときから直ちに、専門家の指導のもとですが、家庭でできる限りの訓練、しつけをずっと継続しました。それを通じまして、そういう障害を持っていても訓練とか教育によって知能もつき、身体機能も改善するということをかなりの期間を通じて私たちが体験したわけです。 そういう障害がございますので、当然学校のことも早くから考えました。養護学校ということも考えましたが、地理的なことからいって、長崎では寄宿舎に入ることしかできません。そして、その中で行われている機能訓練というのは、家庭でやったのと比較してはるかに少ないもので、そのままでは決して一生歩けるようにならない、それから家庭から離すことは決してすべきではない、こういうことから、決して養護学校には入れまいと考えました。それから、四歳ぐらいから保育園に行っておりまして、健常児とのつき合いによって非常に子供が発達するということも、これも体験をもって感じました。入学前一年間ぐらい、これはできる限りのいろいろなことをしました。その詳細は申し上げている時間がありませんが。養護学校義務化が実施になりました五十四年に普通学校の普通学級に入学することが決まりました。そのときの状態は、自分で歩くことはできません。歩行器を使えば平らなところは行けます。それから、手は鉛筆もうまく持てません。目も余りよく見えません。健全なのは耳と発言だけでした。入学の直前、学校側とはいろいろ連絡をとりまして、普通学校に入れる基本的な考え方、これは障害があっても将来社会に出て自立していけるためである、その他いろいろな条件を並べました。それに対しまして、学校側ではいろいろな受け入れ体制を審議していただきまして、担任あるいはクラス編成、教室の場所、そういう点の配慮を受けて入学いたしました。入学のときには、私たち、字を書くこともできないだろう、教科を習うのもほとんどできないだろうと思っておりましたが、まあ担任の先生の非常な配慮、それからクラスの子供たちが非常によく援助してくれました。それから当人の努力、それによって完全なクラスの一員として学校生活を送ることができました。 現在二年生の終わりですが、まずく、ゆっくりではありますけれども、二年生の漢字は全部書けます。算数も一応必要なことはできるようになりました。それらのことにつきましては担任の先生がその報告をまとめて発表して、かなりの反響を呼んでおります。大体そのようなことでございます。
○前島英三郎君 参考人に続いて伺いますが、そうすると、そのお嬢さんは、つまり統合教育がいま行われていると思うんですけれども、そういう意味では大変メリットがある。統合教育についての御意見と、それから、一挙に実現できないとしても、統合教育の方向に一歩一歩進めていくべきだと、これは私もそう思うのでありますが、それが進まないのはなぜだと思いますか。その二点を伺いたいと思います。
○参考人(河原一男君) 現在、いま最初の御質問の私の子供が統合教育としてうまくいっているということは、いまちょっと申し上げましたが、一年生のときの担任の先生が書かれたものが実はおととい発売された「教育の森」に載っておりますので、ちょっと読み上げます。 「子どもたちは、共に育つ!」、「健常児たちのためには障害児が刺激になり、障害児にとっては健常児の姿は努力のひとつの目標点になる。それは、自立するために絶対に必要な刺激なのだといえるだろう。」、「教師としていかに教えるかは、他のどの子をも落ちこぼさないための課題でもあるのではないだろうか。学校や学年や教師が取り組めば、障害児も普通学級で「共に」学び、教育することができる。」、「それが落ちこぼれをなくす教育にもつながっていくのだと思う。」。ここにいわゆる障害児と普通児が一緒に学ぶ統合教育の効果というのがすべて含まれていると思います。もちろん、第一にはその障害児の発達、これは先生を初め大人の配慮が必要ですが、周囲の子供たちの力というのが最も大きなものだと思います。それによって思いがけない発達をしていく。これはいわゆる統合教育が行われているところでは多くの障害児に見られるところだと思います。そしてさらに、その周囲の健常児にとっても思いやりとか協力の心をつける、そういうこと、そういう人間性を助けるということ。決して子供たちは、思いやりというのは何でも助けることではなく、その状況によって判断していくことをむしろ大人以上によく知っております。ある場合にはかなり厳しく障害児に対して対します。それが障害児をよくしていくことであり、健常児もよくしていくことだと思います。 それから、いまのにありましたように、先生にとってはずいぶん肉体的には大変なこともありますが、結局、障害児を含めた学級で教えた場合に、教科の内容あるいは教育法、そういうものについて先生自身がもとから洗い直す。そのことによって、いまもありましたように、落ちこぼれをなくす教育とかいうことを先生御自身がお考えになっているという点はたくさんあると思います。 それからさらに、担任の先生以外、学校全体あるいは一般的に教育という面で、障害児を含めた教育というのを考え直すときに、現在の能力とか受験至上主義とかという教育というものを考え直す機会になるのじゃないかと思います。 もちろん、統合教育というのは非常にいろいろむずかしい問題もあります。しかし、もっと基本で考えれば、障害児であってもきょうだいや近所の子と一緒に近くの学校に行くんだという、ごくあたりまえのことなんだと思います。そして、校区が主体である現在の公教育からいけば当然のことだと考えます。具体的に技術的にいろいろむずかしいことはありますけれども、やってみる前からだめだと言ったのではだめなんで、結局、進歩への可能性にかけるというのが教育であるとすれば、困難であっても障害児の教育に取り組んでいけばそれだけの成果があると思うんです。で、決して統合教育というのは障害児のためだけじゃなく、教育全般として非常に有効といいますか、それを進めていくべきものだと思います。
○前島英三郎君 まさしく健康な子供は校区の一番近い学校に行けるんですが、障害を持った子供は、養護学校の義務化によりまして大変校区から離れた、親にとってみれば朝早いうちから、あるいはそれがだめならば寄宿舎に入れ、こういうような形の中で地域から分断されておりますのがいまの教育であります。完全参加と平等の国際障害者年といううたい文句からすれば、この部分が全く暗いと指摘せざるを得ません。 そこで文部大臣に伺いますが、養護学校義務化の考え方というのは一体何なのか、伺いたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、養護学校の義務化につきましては、身体障害児の方方に対しまする今後の長い人生に対して光明を与えなきゃならないという、八年間のいろいろと検討の結果五十四年から義務化したものでございます。ただいまお話のございましたような、国民に対してひとしく同じ教育の機会を保障するというこの理想に向かいましては、ただいまのお話のような身障児の方々に対してのいろいろな施策があるわけでございます。 いまお話のございました河原教授のいろいろ御体験等につきましても、私どもは、つまり統合教育とおっしゃいます言葉の中に、これは全部——通常の心身に障害がない子供さんと同様に障害のある子供でも一緒に教育をすることが理想であるという先生の御意見につきまして、そのこと自体がいろいろと、つまり、身障児の方々の障害の程度あるいは種類によりまして一概には言えない問題であることは当然でございます。さような関係から文部省といたしましても、現場の教育委員会並びに学校の校長先生、そういう方々によります御審議を願いまして、そうしてこの統合教育ができるような身障児の方か、それともやっぱり特殊に養護教育を受けさせなきゃならないか、あるいはまたみんなと同じではなく別な学級で教育をした方がいいかと、こういう判断をしてもらっておるわけでございますが、何はおきましても、比較的に障害の重い児童生徒の方に対しましては、義務教育を施す場合につきましては養護学校におきまして特別の配慮をした教育を行うということがやはり必要な場合も多いということは御了承いただけると思います。
○前島英三郎君 文部大臣のお考えの中では、それぞれのケースによっては若干違うというふうに解釈してもいいかと思うのですけれども、ところが現実には法というものが、通達というものがどんどん一人歩きしておりますからいろいろなところで実はトラブルが生じているのは御承知のとおりだと思うんです。 そこで、参考人の体験から見まして、義務化が実際にはどのように解釈され運用されていると思うか、あるいはまた、各地に普通学校への就学を希望しながらそれを拒絶されている障害児が数多くおります。参考人はその幾つかのケースをよく御承知だと思うんですが、何が妨げになっていると思いますか伺いたいと思います。この二点。
○参考人(河原一男君) いわゆる養護学校義務化といいますのは、これは本来は義務教育完全実施あるいは障害児全員就学と言うべきものでおったと思います。それがいわゆる養護学校に入りたい子供たちを全部入れるための養護学校がつくるという設置義務と同時に、障害を持つ子供の親は子供を養護学校に入れる義務があると、このように言われてきたわけでございます。私自身はこの後の方の義務というのは決してないと思っております。といいますのは、学校教育法二十二条にあります義務規定では、普通学校、盲学校、聾学校または養護学校のいずれかに就学させる義務があるのであって、法的には障害児を養護学校に就学させる義務はないと考えております。実際には後の政令とか通達、それによって行政的な措置としてなされているのだと思います。ところが実際には、いわゆる教育行政の面では、よく言われておりますのは、養護学校義務化という言葉は取って、障害児——最初のうちは、障害児には養護学校が適しているので、障害児は養護学校へ行かなければならない、養護学校へ行くのが義務である、こういう形の解釈、運用というものがなされておりまして、これが各地で障害児の就学面をめぐって問題となっております。しかもこれは解釈が各教育委員会によって非常に差がありまして、ある教育委員会では重度の障害児でも普通学校に入ることを認めており、ある教育委員会では重い障害児と名前がついたら絶対に入れない、こういう区別がついております。 それから、いろいろのトラブルが起こってくるわけですが、その原因いろいろたくさんありますが、第一には、いまのような解釈の相違、それから、実際の現場でいきますと、教育担当者の方々が別に障害児とかその教育のことを余り御存じでない。御存じでない方が——障害児の教育に関してどの学校へ行けとかいうようなことを教育委員会の方が言われたときに親がなかなか納得しない。それから、就学指導委員会というものができて、そこで審査することになっておりますが、これが実際にはたとえば小さな市町村ではなかなか障害児を見ることができません。本質的に言いまして、短時間、一、二回見ただけでその障害児の障害の度合いとか、どの学校が適しているとか、そういうことを見ることはとうてい不可能だと思います。親の側から言いますと、いわゆる通学の問題として遠距離通学ということがあります。さらに寄宿舎、非常に多くの場合寄宿舎に入る、あるいは学校に入学するために学校とか施設に附属して養護学校がよく設置されておりますが、結局その学校へ入るために治療機関あるいは施設に入所をさせられているということがたくさんあります。これもやはり親としてはきらうところです。 それから、養護学校の内容自体に関する不信もあります。これは地域により学校により非常に大きな差がございます。それは、養護学校ではどういう点が困るかというのは、ちょうど統合教育でどういう点がいいかというのと裏返しと考えられるわけですが、よく言われますように、非常に小人数であるので先生の目が行き届くと言われます。しかし普通学校では、先生は一人でも、大ぜいの子供の目と手があるので、そちらの方がはるかに子供たちには目が行き届くことになります。それから、ある場合には非常な閉鎖性があって、それが親にとっては一種の恐怖心を起こしております。それから、一番大事なことは卒業後どうするかということです。親は養護学校を終わった後、将来のことを考えております、将来の自立を。しかし、現在のところ教育行政では結局九年間あるいは高校まで入れても十二年間の間のことだけで、その後は福祉の問題だと、こういう点がある。これらのために多くのトラブルが起こっております。 もう一つ、このトラブルというのは地域とかケースによって非常に違いますが、非常に極端な例といたしまして、たとえば現在でも問題になっております東京の金井君の場合では、これは今度は学校の先生たちが入学を反対しておりますし、それから長崎で問題になっている吉原君の場合には、県の就学指導委員会が結論を出し、県教委が市教委に対して要請をしておりますが、市の教育長がそれを拒否している、こういうようなケースも出ております。
○前島英三郎君 先ほども寄宿舎の話が出ましたけれども、養護学校の少ない県の場合は、養護学校に就学することが同時に寄宿舎に入ることも義務づけられている形となっております。この辺も大変問題があると思うんです。私は先般も兵庫県のある養護学校へ参りましたが、ここは全部寄宿舎でございました。その寄宿舎の中で子供たちがお互いに介助をしながら実は勉強をしておりました。夏休みの前でございまして、君たちは夏休みにはうちへ帰るんだろうねと、こう言いましたところ、うちへは帰りたくないと言うんです。お父さんやお母さんにも会いたくないと言うんです。うちへ帰っても友達がいないと言うんです。こういう意味で、完全参加と平等、果たして国際障害者年のテーマが遂行できるだろうか。いま厚生省では統合保育ということが叫ばれております。あるいは労働省では社会参加、そして雇用の促進ということが叫ばれておりますが、大切な教育機関の中でぽっかりと障害児と障害者との分断が行われているわけなんです。 先般もある高校生に千人に聞きましたところ、たとえば私事ですが、車いすにさわったことがあるかということで手を挙げた人はたった五人しかおりません。決して日本人は無理解ではない、未理解なんだ。その未理解の原因は何かといいますと、私は教育の障害児と健常児との分断だというふうに思うのですけれども、文部大臣、重ねて伺います。この寄宿舎に入るということは、これはもう義務づけられている形と考えるんですかどうですか、その辺は。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 先ほども申し上げましたように、この障害児の方々を特に義務教育といたしまして取り入れました趣旨も、本当に社会に出て、そうして明るい生涯を送っていただくためのいろいろな本当の気持ちからいたしておるのでありますが、しかし、ただいまもお話にございましたように、実際の問題といたしましては障害児と一口に申しますけれども、おのおのの病状と申しますか、身体の状態も違いますし、それからまた、いまの社会的な環境から申しましても指導要領等によりまして指導はいたしておりますものの、やはり現場の教育委員会並びに学校、そういう方々の御意見によりまして対策を個々にとる以外にはちょっと方法がないんじゃないかと、具体的に言いますればですね。ただいま先生の申されましたような指導の問題につきまして、担当の局長からさらに詳細はお答えをいたしたいと存じます。
○政府委員(三角哲生君) 御指摘のありました寄宿舎の問題でございますが、養護学校への就学形態としましてはスクールバスなど、あるいはマイカーの場合もございますが、そういう方法による通学、それから御指摘の寄宿舎入舎、それからさらに、先ほど委員おっしゃいました児童福祉施設、病院など、これに接した分校の設置、こういったようなさまざまな形態が実際上考えられますし、そしてやっておるわけでございますが、そして寄宿舎、これは寄宿舎に入ること自体は義務ではございませんけれども、当然それぞれの住所の所在の実情の上からいって、実質的に宿舎に入るということを余儀なくされる場合は現実の問題としてあるわけでございます。私どもとしてはできるだけこの児童生徒の実態に応じて、就学形態については適切な形態が現場で選択されるべきであると考えておりますが、なおまた、こういつた状況のもとにおいて児童生徒の寄宿舎居住費でございますとか通学費等については、これはまたそれはそれの問題として保護者の負担を軽減するための就学奨励費というものを支給しておるわけでございます。 なおちなみに、ただいま全養護学校が六百七十七校でございますが、寄宿舎を置いておりますものが百四十五校、それから全在学者数七万二千人余りでございますが、寄宿舎入舎生数は八千百人余りでございまして、全体の一一・三%、こういう状況になってございます。
○前島英三郎君 子供と親が、しかも七歳、八歳、九歳、この子供が親から離れて寄宿舎に入って勉強しなければならない、地域の校区に入れない、入れないというんで養護学校寄宿舎は別に義務制ではないと言いましても、地域の校区で拒否されればこの寄宿舎を選ばなければならない。私は決して養護学校を否定しているわけじゃないんです。しかし、親にあくまでも選択させるという方向をとりませんと、やはり親が最良の医師であり介添え人であり、最良の教育者だというふうに思うんですね。それが一片の就学指導委員会の判定によって選別されてしまうといういまのあり方というものを私たちは考えなければならない。さらに、養護学校の義務化によってそれを新たな出発点という感覚を文部省に持っていただきたいというふうに思うんです。 参考人は最近ある新聞に投稿されまして、大変重要な問題提起をされましたが、その要旨をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(河原一男君) 三月十三日付の毎日新聞の「編集者への手紙」に投稿いたしました。 その内容は、養護学校義務制に関してきわめて素朴な三つの疑問、問題を文部省特殊教育課に質問する形に書きました。 現在、養護学校へ行くのが適当な子供だとされているのは、学校教育法施行令第二十二条の二の表、これに該当する障害児を養護学校へ入学させる、その義務があるように言われているのが義務化であると、これを述べた後、第一に、施行令の表の中に「下肢の機能の障害が歩行をすることが不可能又は困難な程度のもの」というものがあります。これは結局、うまく歩けない子は普通小学校へ入れないということになります。車いすの障害者が社会に参加し、職場などを求めるということが現在言われているときに、なぜ子供の場合には歩けないことがいけないのか。質問の第一といたしまして、「歩けない子はなぜ普通学校へ入れないか。」 第二番目に、やはり施行令の表によりますと、手の障害で筆記が不可能または困難な者は養護学校となっております。サリドマイドで両手のない辻典子さんや、吉森こずえさんが足でりっぱに筆記をし、普通学校で生活していることは非常に有名なわけです。特に辻さんは重度だからといって養護学校を断られて普通学校へ行っております。現在でも足で字が書ける子は、普通学校に入れるのかというのが第二の質問でございます。 義務教育に関しましては、現在文部省は障害児を分離するという方針が出ておりますが、他の部局から出ている方針ではむしろ統合のことがありますので、それを二、三例として挙げました。それは幼稚園へは身障児の入園は促進するとして補助金が出ております。それから、文部省の教育施設部の出した学校施設設計指針、ここには普通学校でも身体障害児のために、洋式便器や階段の手すりを設ける等の配慮をするとなっておりまして、これはかなりの障害がある子供も普通学校に入れるということになります。私の子供もこれによってできた手すりで階段をいま上がれるようになっております。 それから、大学の入試に関しましても、これは大学局長の通達で、身障者の受験あるいは入学について配慮をすることとなっておりまして、実際に、現在共通第一次学力試験では身障者受験に関していろいろな配慮、特別措置がなされております。 このようにこれらを比較しますと、文部省内でも障害児を分離していくということはどうもほかの部局と違うようなので、最後の質問といたしまして、「文部省他部局の障害児・者に対する方針と、義務制の不一致をどう考えるのか。」。 以上、三点の質問をいたしております。
○前島英三郎君 その三点につきまして文部省の答弁を求めたいと思います。
○政府委員(三角哲生君) 私どもは養護学校の義務化をいたしまして、養護学校の整備に努めてまいったわけでございますが、養護学校に就学していただく児童生徒というのはかなり障害の重い方、こういうぐあいな基本的な考え方でやっております。でございますので、ただいま小中学校の義務教育の段階だけで申しますと、現在、盲、聾、養護学校という、こういう学校に就学しておる方々は全体で六万八千人でございます。ですから、学齢児童生徒の数千七百万人に対しましてこれは〇・四%という数字でございまして、これはかなり教育上もあるいは学校内でのいろいろな意味の介護等に特別の手当てを必要とする、こういうことでございまして、したがいまして、たとえば教職員の配置にいたしましても、これは前島委員御存じのとおりと思いますが、教職員一人に対して子供の数約一・九人と、こういうぐあいになっております。そういう意味で、先ほど来参考人からもお話がありましたような、ああいうケースももちろん考えられるのでございますけれども、やはり通常一般の取り組みとしては障害の種類、程度に応じましてしかるべき教育的な配慮を持っていく必要がある、これが一つの前提でございます。 それで、ただいまの直接の御質問でございますが、やはり歩けない子につきましては、まず普通の小中学校ではやはり歩けない子供に対して十分な、適切な教育を行うことができないという現実がございます。ただいま御指摘もございましたが、小中学校では施設面で洋式便器でございますとか、それから前島委員のかねてからの御主張等もございまして手すりを設けるとか、こういったような配慮をできるだけ行うこととしておりますけれども、やはり自力歩行ができない重度の肢体不自由児のためのスロープですとか、あるいは一番理想的に言えばエレベーターみたいなものがあればいいのですけれども、そこまではとても現実問題として無理でございますし、それから介護員の配置ということも普通の学校では無理なわけでございます。 それから第二点として、こういった子供さんたちについてはやはり機能回復訓練といったような特別の手当てをしてあげることが必要でございますが、一般の小中学校ではそういった専門的指導が困難でございます。 それから、第二点の足で書ける子の問題でございますが、先般の補正予算の審議のときも御紹介になりました吉森こずえさんのような場合は、非常に並み並みならぬ努力で足で字が書けるようになったということでございますが、やはり一般に筆記が不可能または非常に困難であるという障害を持った子供さんは、通常の小中学校で学習を行うことが困難であるというふうに私どもは判断しておりまして、これはやはり特別の手厚い配慮をした場所で教育を行う必要がある、こういうふうに考えております。 それから、文部省他部局の障害児に対するいろいろな方針ないしは施策、その不一致という御指摘でございますけれども、私どもは必ずしもそれは不一致とは思っておりませんのです。たとえば、幼稚園で一定数の心身障害児を引き受けた場合に補助をいたしておりますが、これはまあ現実の問題としまして、幼稚園で受け入れている障害児はかなり軽度の人たちになっておりまして、中度、重度の方々は、これは児童福祉関係の施設で引き受けていただいておりますので、これは状況は個々具体のケースによって異なりますが、恐らく幼稚園で一緒にやっておられるようなお子さん方は、小中学校へ行きます場合には養護学校ではなくて普通の小中学校の普通学級、あるいは少し重い方であれば特殊学級ということで、統合教育の枠内に入れられる方々である、こういうふうに思っております。 それから、施設の設計指針にいたしましても、現実に小中学校に軽度でございましても心身障害のある方がいらっしゃることは事実でございますし、あるいは御承知のように特殊学級等も設けられておりますので、できるだけそういった方々の受け入れに対応できるような方式はこれは進めていこう、こういう考えでやっておるわけでございます。
○前島英三郎君 吉森こずえさんにいたしましても、辻さんにいたしましても、サリドマイドという重症にもかかわらず足で文字を書き、足で生活を支え、並み並みならぬ努力。ところが、文部省はその努力がないんです。その当事者は大変並み並みならぬ努力でがんばっているんですね。にもかかわらず、やはりあなたは障害があるということで地域の校区に入れない、こういう現実を文部省では考えてもらわなければならないというふうに思います。完全参加と平等の中で文部省の教育だけが宙ぶらりんになっている現実を、文部大臣はやっぱり踏まえていただきたいというふうに思うんです。 学校教育法施行令二十二条の二の表の制定経過及び教育的根拠というのは何でしょうか。
○政府委員(三角哲生君) 学校教育法施行令二十二条の二の表は、昭和三十六年の学校教育法一部改正によりまして、盲、聾、養護学校に就学すべき児童生徒の障害の程度を政令で定めるということに法律上なりましたので。これに伴いましてそれまでは事務次官通達による基準を基礎としてやっておりましたのですが、それをもとにしまして、さらにあわせて学識経験者等の意見も参考として決定したというのが経緯でございます。なお、この表は心身障害児に対しまして、その障害の種類と程度に応じて一番適切な教育を施すということを基本にして、そういう観点に立って作成されておると、こういうことでございます。
○前島英三郎君 いろいろこの経過を聞きますと、結局学校の構造上の問題ですね、身体障害児が校区の学校に入れないというのは。やっぱりこれは物理的な問題です。あるいはまた、先生は足りなくても、さっき参考人が言いましたように、一緒に学ぶ子供がやはり手となり足となる、これがぼくは真の、予算の要らない一つの福祉だというふうに思うのです。この人的な資源というものを今後使わないと——やはり人がスロープになる心、点字ブロックになる心というものを育てるところは教育の現場だというふうに思うのです。学校教育法施行令二十二条の二の表は、育つべき子供の可能性に着目せず、逆にその障害に着目して就学先を振り分けようとしているという点を私は指摘したいと思うのです。 たとえば、手の障害で筆記することが不可能または困難な者は養護学校と、この表では言っておりますけれども、サリドマイドの被害に遭った人たちが足で筆記してりっぱに普通学校で学んでいるという、こういう経過をやはり文部省も謙虚に受けとめるべきだと思うのです。また、歩けない者も養護学校ということになっておりますが、それも教育的観点というよりは、むしろ学校施設の構造上の問題から振り分けている、こういう点も改めていただきたいと思うのです。 この表をつくってから二十年近くになるんですから、どうですか、大臣ひとつ見直しをして改める時期が来ているのではないかと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま局長からも詳しく御説明申し上げたように、いままでの規則の見直しとか、あるいはいろんな御提案がございましたが、文部省といたしましては、小中学校の通常の学級における教育では十分な教育効果を果たすことができないというような困難な児童生徒に対しましては、その能力を最大限に伸ばしてまいりますように、社会的な自立を図りますために全力を挙げて教育に努めておる次第でございまして、なおまた、この教育につきましての当事者はもとよりのこと、社会一般の理解も深めていただきまして、ただいま先生が申されましたような障害児に対しまする教育効果、それを本当に愛情を持って進めてもらわなくちゃならない、かように指導してまいります。
○前島英三郎君 現在の養護学校の義務化のあり方には根強い疑問や批判があります。たとえば金井康治君の問題に見られるように、一日としても校区の学校に入れようとしない。そして、バリケードが校門の前に張りめぐらされている。これは異常な事態です。そういうことを踏まえますと、教育現場に多くの誤解や混乱を生じさしている事実は、無視できないものがあると私は思います。国際障害者年を機会に根本から再検討すべきではないかと思うのですけれども、国連決議にも、障害者の教育と雇用に関しまして、「起り得る差別的な慣習を除去するため現存する法律を見直すこと。」、こう大きくうたっております。文部大臣と総理大臣の見解を伺いたいんですが、残念ながら総理大臣はおりません。文部大臣いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 障害者年の精神にものっとりまして、また教育の本務に照らしまして、先生の申されました点につきましても、文部省といたしましても全力を尽くしてこれにこたえるつもりでございます。
○前島英三郎君 厚生大臣はいかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 身体障害者の方々が社会参加をするということは、身体障害者を社会に合わせるのではなくて、社会が身体障害者に順応するようにやれと、こういう言葉一言で今後の方向が決まっておると思います。
○前島英三郎君 教育という面はいろいろな論じ方がございますけれども、特に障害児の教育につきましてはそういう配慮を、文部大臣、ひとつ英断を持ってやっていただきたいと思います。 地域の学校に行くか養護学校に行くか、親に決めさせてもらいたい。そして、何よりもしり込みをするのではなくて、やってみることが私は大切だというふうに思っております。総理大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 身障児の教育の問題、これは身障者対策の中でも最も重要な問題であろうと、こう思います。政府におきましては、この身障児の障害の種類とか度合いに応じまして、どういう教育施設で教育を受けていただいたらいいかと、こういうことのために、あるいは小中学校、統合学校のほかに、盲学校であるとか聾学校であるとか、あるいは養護学校であるとか、いろいろ自由に選択をしていただいて、その障害の種類、度合いに応じて教育が受けられるようにと、こういうことをやっておるわけでございます。 養護学校の義務化という問題につきましては、これは私は最低の、強度の障害を受けた子供たちにも国としてはそれだけのやはり施設をやるべきだという、むしろ国、地方等に対して義務を負わした、こういうことが本旨であろうかと思うのでありまして、それを文部省等が、あるいは教育委員会等が、こういう程度の者は養護学校へ行くべきだと、こういうことを強制するというようなことは本旨に反すると、こう思うわけでございます。そういうような方向で私どもは努力をすべきだと、こう思っております。
○前島英三郎君 総理大臣の答弁は、その親が選択するべきだということでございます。文部大臣、よく肝に銘じていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 総理を初め、国の方針にのっとりまして、文教政策といたしましても推進をいたします。
○前島英三郎君 障害児が一般の子供とともに学び、ともに遊ぶためにという目的では、そういう意味では一緒に地域の中で参加し合えるということが大変大切だというふうに思います。まあ河原さんの娘さんのように、普通学校の普通学級に学んでいる障害児の数というのは、やはり全国に相当数私はいるのではないかというふうに思うのです。そして、それらの児童生徒は、これから一緒に学ばせようとする場合のいわばモデルになるわけでありますから、そういう意味での調査を当然文部省はやるべきだというふうに思っております。普通学校で学んでいる障害を持った児童生徒の人数、障害の状況、教育の状況について、文部省は把握しておられるのかどうか、その辺はいかかでございますか。
○政府委員(三角哲生君) 普通学校の中の特殊学級で学んでおる児童生徒についてはいろいろなことを調査をいたして、状況を把握しております。ただ、普通学校の中の一般の学級で学んでおる方方については、これは非常に軽度の障害の方々でございますし、それから御本人が別に障害者と思っておられないというような場合もあろうかと思いまして、その普通学級について一々これを調査するということはいたしておりませんので、私どもは資料も持っておらないのでございます。
○前島英三郎君 その資料もなく、調査もせずに、これはもう校区の学校に入れないと言うなんていうのは、これはやっぱり教育の軽視ですよ、文部省。どうですか、文部大臣、やはりこれで養護学校がいいんですよ、地域の学校はいけないんですよという論拠は何もないんです。何ら調査をしていない。メリット、デメリットの部分があるとしたら、それを堂々と文部省でもやるべきだというふうに思うのですが、総理大臣は大変前向きな答弁をしておりますので、これ以上は指摘いたしません。 参考人、どうもありがとうございました。
○委員長(木村睦男君) 河原参考人には、御多忙のところ御出席をいただいて、ありがとうございました。御退席くださって結構でございます。
○前島英三郎君 教育の問題でもう一点伺いたいと思います。 学校災害の補償につきまして、障害児が災害に遭った場合、どのように算出されておりましょうか。
○国務大臣(田中龍夫君) 学校安全の問題でもございますので、体育局長からお答えいたします。
○政府委員(柳川覺治君) お答えいたします。 学校の管理下における災害、いわゆる学校事故につきましては、その発生の態様から多種多様でございます。これらの種々の災害につきまして、すべて手厚い救済措置が講じられるということで、日本学校安全会で災害給付事業を行っておるところでございますが、その水準の決定に当たりましては当然に教育的配慮のもとに、かつ他の補償制度との均衡を配慮しつつ、互助救済制度の本旨を踏まえまして、できる限り手厚い内容とするということに努めておるところでございまして、このことによりまして積極的な学校教育活動の展開及び個々の児童生徒の健全な育成に資するということに視点を置いておる次第でございます。
○前島英三郎君 たとえば普通の視力の人、両眼の視力が〇・一以下の人、それぞれについて、仮に両眼失明の状態になった場合、その補償はどういうぐあいになるでしょうか。
○政府委員(柳川覺治君) 両眼とも普通の視力のある児童生徒が失明という状態に至りました廃疾の場合は、廃疾見舞金が一級に該当いたしまして、千五百万円の支給になります。
○前島英三郎君 〇・一。〇・一以下。
○政府委員(柳川覺治君) 両眼とも〇・一の視力の場合、六百万円の、すでに既往の障害があるという相当の見舞い額を差し引きまして、九百万円の支給になっております。このことは、従来ある障害と場所を異にする場合には、当然に障害の程度に応じました見舞い金が支出されますが、すでに既往の障害があるという場合には、その障害に相当する額を差し引きまして、新たに加重された、同一部位につきまして加重された障害の程度に応ずる支給をするという制度をとっておる結果でございます。
○前島英三郎君 実は、大変そこには差があるわけです。引き算が行われておりますので、ちょっと意見を申したいと思うのですが、弱視の目は価値が低いというのでしょうかと、こう思うのです。かえってかけがえのない目ではないかというような気がいたします。まして教育の場での話でございますので、障害を持つ児童生徒に教育をなすことは、その教育を通して障害のない児童生徒と同様に社会参加せしめることを目的としているはずでございます。にもかかわらず、その途上で学校災害に遭った場合、突如として教育の目的を忘れて、以前の障害に着目して補償を削るというやり方。みずからそれは教育を否定することになるのではないかというような気がするのです。障害のあるなしによって子供の価値をはかることになってしまうのではないかという私は疑問を持ちます。 文部大臣、これは直ちに改めるべきではないかというような気がするのです。やはりここに労災とかあるいは自賠責というようなものが横滑りで入ってくるということは、本来教育の現場としてふさわしくない、そう思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま体育局長からもお答えをいたしましたが、先生が御指摘になっておられまするような問題につきまして、見舞い金額の調整等につきまして、今後慎重に検査を加えるべき課題であろうと存じます。
○前島英三郎君 よろしく検討をいただきたいと思います。 さて、話は変わりますが、「その母親は「対面室」に入ってくる前から、泣いていた。息子を抱きしめると「すまなんだ。すまなんだ。」と言うなり、顔をハンカチで覆ってしまった。母親は旧満州から引き揚げてきた。暴動の危険が迫っていた中で、夫を戦争で亡くした母親は、片ことを話し始めた子を中国人に預けざるを得なかった。<男の子は死んだ>周囲にそう“ウソ”をつき続けてきたこの母親を、だれが責められようか」、きのうの新聞のコラムにこういう記事がありました。 私は、軍縮と平和の問題に触れたいと思います。こうした、まだ戦後は終わっていない、こういうニュースを見るたびに、この国会で、やれ防衛予算がどうだの、新しい装備がどうだの、日米安保がどうだの、北方のいろんな手薄だとかなんとかというような、こういうことが何か非常にむなしく響いてくるわけであります。その辺、この中国残留孤児の問題に絡めた、また日本のとるべき今後の姿勢というものについて総理はどうお感じになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 戦争の犠牲、戦争の残した悲惨な傷跡、これは今日でも私どもは忘れることができないわけでございます。そういう意味合いからいたしまして私は、日本国の平和憲法、この精神をあくまで堅持してまいりまして、平和国家として二度とあのような過ちを犯さないように、政治家も国民もすべてそういう方向に向かって努力をしていくべきだと、このように考えています。
○前島英三郎君 車いすの推理作家仁木悦子さんらが障害者の太平洋戦争を記録する会をつくりまして、体験記を募っていることを総理も御承知だと思います。戦争はたくさんの障害者を生み出しました。また、戦時体制のもとで最も犠牲を強いられたのは、名もない庶民であり、中国での残留孤児に見られる悲劇であり、その極限状態の中で障害者は差別され、踏みにじられ、そして多くの人々が死んでいったと思うんです。そうした記録を集めておりますけれども、ある新聞は「その記録は、防衛力増強、福祉切り捨ての「強者」の論理が再び、のし歩き始めた時代への警鐘である。」、こう書いております。総理の御所見をあわせて伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御答弁申し上げたようなことでございまして、そういう記録なりあるいはそういう映画なり、私はそういうことが国民全体に対して一つの警鐘になり指針になるものだと、こう考えておりまして、評価をいたすわけでございます。
○前島英三郎君 今国会の参議院本会議における代表質問で私たちの新政クラブの宇都宮代表が軍縮について強く訴えたことは、きわめて感銘深いものがありました。特に私は、国際障害者年の国連決議の次の一文を思い出すのでございます。「障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実に想いを至すなら、国際障害者年は、世界平和のための諸国民間の継続的で強い協力の必要性を強調する一つの機会として、最適に利用され得るものである。」、こう述べております。わが国といたしましてもことしは軍縮のための具体的なアクションを起こすまたとない機会であるという考えもございますけれども、またその責任もあるという考えもございますが、外務大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(伊東正義君) いま前島さんが読まれたのは、国際障害者年の行動計画の一節だと思うわけでございまして、障害者の多くの人が、戦争とかその他これに類似するような暴力が原因になって障害者が出ておられるということを行動計画が言っているわけでございます。そういう決議が国連の中でございましたので、いま総理がおっしゃったような平和外交ということにこれは徹しなけりゃならぬというふうに私も痛感するのでございまして、軍縮の問題につきましては、来年は特別総会があるわけでございまして、ことしは準備会もあり、これに日本も参加するわけでございますが、特に日本は核軍縮のことにつきましては、これは少しでも実現に向かうように、御承知の包括的な核実験の停止、禁止という条約を何とかしてつくろうということを実はあらゆる機会に主張しているのでございまして、日本としましても核軍縮を中心にした軍縮の問題には真剣に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
○前島英三郎君 宇都宮代表は、軍事費が世界経済を混乱させ、圧迫していることを指摘しております。あるいは、戦争ほどむなしいものはない。環境破壊であり、また障害者をつくり出す。このアジアの近隣各国におきましても、軍事費と民生福祉との矛盾というものは大変厳しいものがございます。私は、日本の外交のあり方として、軍縮外交と福祉外交を組み合わせたあり方が望ましいと考えております。たとえば、近隣諸国に対して障害者のリハビリテーションの向上にわが国が寄与することは、平和と福祉を二つながらに推進することになると思うのでありますけれども、外務大臣はいかがお考えになりますか。
○国務大臣(伊東正義君) その行動計画にもございますように、障害者の方の大部分が開発途上国におられるということが書いてございます。それで、開発途上国に対する援助ということが、国際協力ということがあるわけでございますが、前島さんも御承知のとおり、バングラデシュの失明の対策に対する協力でございますとか、アフリカにおける風土病で失明する人の対策に力を尽くすとか、あるいはリハビリテーションのために理学療法士をマレーシアとかコスタリカにいま派遣しております。バングラデシュには、数は少ないんですが、聾唖教育者を派遣するとか、あるいは来年の予算の中で身体障害者の総合的対策の関係の技術研修のために受け入れをするとか、できるだけのそういう身体障害者のことを考えるということを、開発途上国に対し、あるいはASEAN諸国に対しこれからも積極的に考えていく必要があるということで取り組んでまいります。
○前島英三郎君 そういう意味では、軍拡ではなく軍縮の方向に日本の責任として、やはり与野党の議員の皆さん方が一致してそういう方向で軍縮議員連盟というようなものをつくっていただいて、ことしは世界にアピールしていただきたいと、かように思います。 時間がございません。最後になりましたが、参議院全国区制度の改革案につきまして質問をしたいと思います。 わが国の国会が二院制をとっている意味、そのもとでの参議院の役割り、これについて総理の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 民主国家におきまして、民意を反映をせしむるために二院制度をとっている国が相当ございます。どうしても一院でございますと、完全な政党化に陥っていく弊害がある、そういうおそれがあるということでございましょう。そこで、二院制度によりまして、さらに冷静に、また偏った判断をとらないように、チェック・アンド・バランスと申しますか、そういうことを私は二院制度に期待をしておるものだと、こう思うわけでございまして、わが国は幸いにいたしまして、衆議院と参議院が車の両輪として日本国民の民意が十分国会、国政の上に反映をしておると、このように思っております。
○前島英三郎君 私と大変意見が相通じるものがありまして光栄に思います。参議院が衆議院と同じような形で政党色で塗りつぶされてしまうとしたら参議院の存在意義がなくなってしまうと、総理がお考えのように私も全くそのとおりだというように思います。 ところが、自民党が検討しております参議院全国区一票制案につきまして説明を伺いました。ほかの政党もそれぞれ案をお持ちのようでありますが、まだ伺っておりません。つい先日レクチャーを受けました。しかし、問題点が余りにも多いというふうに思うんです。まあ一票制は憲法の趣旨にも沿わない部分があると思うんですが、たとえば、案をいただきましたが、自民太郎と書いて自民党と書けばこれは両方生きる。自民太郎、民社党、こう書けばこれはまあ異党投票でこれもいいと。ところが、地方区大和花子と書く、で、全国区というか、この五十人選ぶ場合には、空白であった場合は、花子さんは生きると。それから、今度花子さんと書いてまた自民党と書いてもこれは生きる。ところが、自民党と書いて車いすと書いて、この、じゃ花子さんを書きたくないと、こう思ったときにこれが生きないんですね、これが生きないんです。その辺で法制局長官、実は十四条、十五条、あるいは冒頭ぼくは四十三条にも抵触する感触を得ているんですが、一般論として憲法的な解釈でこの自民党案をどう思われますか。
○政府委員(角田禮次郎君) 参議院の選挙制度の改正については、まあ自民党でいろいろ憲法との関係なども検討された上で、一つの案をまとめて各党と協議しておられる段階であるというふうに承知しております。したがいまして、この段階で内閣法制局として意見を申し上げるということは、これは本来差し控えるべきことであろうかと思います。 ただ、そのことは十分御承知の上での御質問だと思いますので、一般論としてまあお答えをするわけでございますけれども、新聞等に報道された一票制について、結局問題はその一票制というものの法律的な性格というものをどうとらえるかということに帰するのだろうと思います。 自民党案の一票制というのは、現在の全国区及び地方区の選挙制度というものをそのまま存置して、その地方区及び全国区の候補者に対する投票を一枚の投票用紙でしかるべく処理するというようなものではなくて、基本的に参議院の全選挙制度というものを全く変えてしまって、そして改めて地方区とか全国区の区別のない一つの選挙制度として組み立てると、そういう性格のものであるように思われます。で、そうなりますと、一つの選挙制度の中で、結局まあ各政党等の全国における——これは全国区ではございませんが、各政党等の全国における投票数に集計されるべき投票についてどのように定めるかということはいろいろな方法が考えられるわけでありまして、結局それがどれだけ合理的であるかという、どうも政策判断の問題のように考えます。したがいまして、いま十四条とか十五条とか四十三条というようなことを言われましたけれども、私はまあ十四条とか十五条という点から見て、憲法の考え方というものをどう合理的に選挙制度の上にあらわすかという問題でありまして、直接それが十四条とか十五条にすぐ違反になるわけではなさそうだというふうに考えております。 いずれにしても、私としてはいま確定的な意見を申し上げることは、これは最初にお断り申し上げたように、差し控えるべきものだと思います。
○前島英三郎君 まあこういうぐあいに非常に実はこんがらかっているというふうにも思いますので、私は参議院の選挙制度を問題にするには、まず地方区の定数のアンバランスの是正という大きな課題がその前にあるだろうと思うのですよ。また制度の改革を論ずるには、二院制のもとで参議院はどうあるべきかという基本的な、先ほど総理のおっしゃったそういう議論を抜きにしてはならないというふうにも思うのです。全国区制度に問題がないとは言わないけれども、全国区は金がかかり過ぎるということから、参議院の特質を損なうような形になるとしたら、やはり本末転倒と言わざるを得ないと思うのです。選挙の公営化を進めるなど、ほかに手だてもあるわけでありますから、ぜひ慎重な態度で臨んでもらいたいと思いますし、最後に総理のその見解を伺いまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、定数是正の問題でいまお話がございましたが、この定数是正の問題は区制の問題と相当深いかかわりを持っておると、こう思うわけでございます。 過去におきましても、この定数是正が行われてまいりましたが、その場合におきましても、国会における各党、各会派のお話し合いによってそれが円満になされたものでございます。したがいまして、政府が一方的に定数をこのように改めるというようなことは私はやる考えを持っておりません。今後各党、各会派におきまして全体を考えながら、区制との関連もございましょう、そういう観点で十分お話し合いの上結論を出していただきたい、こう思うわけでございます。 なお、全国区制の問題につきましては、いまの全国区制でよろしいという国民の方は余りおりません。どうしてもいろいろな面から言ってこれは改善を要する点が多々あろうかと思うのでありまして、自由民主党もせっかく勉強いたして一つの案をつくりつつございます。各党、各会派におきましても、それぞれの考え方で案を練っておられると思うのでありますが、それらを持ち寄って、何とか次の五十八年の参議院選挙には新しい全国区制度によって選挙が行われるようなことを私は期待をいたすわけでございます。
○委員長(木村睦男君) 以上で前島君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、喜屋武眞榮君の総括質疑を行います。喜屋武眞榮君。
○喜屋武眞榮君 総理に伺います。 多くの国民が鈴木総理に対して心から期待し、そして切実に求めておるものは何であると受けとめていらっしゃいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国民的立場に立っての何を求めておるかということになりますと、私は日本国が平和で、国民がひとしく幸せな生活を送れるようにと、こういうことであろうかと思います。
○喜屋武眞榮君 それはもちろんでありますが、国会の審議と関連した問題で切実に受けとめていらっしゃることがほかにありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういうぐあいに具体的にお尋ねいただくと御答弁を申し上げやすいんでございますが、私は就任以来和の政治を提唱いたしております。これは国会の場におきましては、やはり十分与野党の間で論議を尽くしてその中に民意を十分吸収し反映せしむる、その上で最後にはやはり民主政治のルールに従って結論を出す、こういうことが私は必要であり、私が申し上げる和の政治の精神に合致するものと、こう考えておるところでございます。 喜屋武さんは恐らく先般の衆議院の予算委員会においてあのような結果が出た、これは鈴木政治の看板をおろせと、こういう御批判を含めての御質問ではなかろうかと、こう思うんでありますが、私は今後におきましても和の政治は、これは堅持してまいる考えでございます。あの際は、御承知かと思うのでありますが、小山予算委員長は最後まで全員の出席を求めて、円満に予算の審議を進めたい、こういうことで大変努力をされました。しかし、その努力が実らずにあのような結果になりましたことは、本当に残念でございます。私は、国会が正常な形で審議が行われるということは、与野党の共同の責任であろうかと、こう思うわけでございまして、今後私どもも努力をいたしますが、どうかひとつその点をよろしく御協力をいただきたいと、こう思うんです。
○喜屋武眞榮君 まだ焦点を正しく受けとめていらっしゃらぬきらいがありますので、私が受けとめる国民の切実な要求の一つは、先ほどおっしゃった戦争は真っ平いやだと、これはもう申し上げるまでもありません。二つ目の柱は、どうしても行政を改革してほしい、そうして所得減税を実現してほしい、そして税金のむだ遣いをやめてほしい、このように集約できると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりであると私も存じます。そういう方向に政府も努力してまいりますし、五十七年度以降の予算編成に当たりましては、さらにそういう努力を積み重ねてまいる考えでございます。
○喜屋武眞榮君 そこでお尋ねしますが、中曽根長官、この行政改革の問題でいま進めていらっしゃる見解を承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 本日、いわゆる第二臨調が発足いたしまして、第一回の会合が行われました。この第二臨調におきましては、日本の現在の行政の諸制度を国、地方あるいは官業と民業の関係、そのほかあらゆる面から検討をいたしまして、いかにして効率的にして、そして簡素な政府をつくるかという方向で御審議願うことになるのではないかと思います。とりわけ、本日総理からも七月に、夏に中間答申をいただいて緊急の当面の課題に対する御審議と御判断を仰ぎたいと、そういう御要望をいたしました。委員の皆さんもそのつもりになってやってくださる様子でございます。それによりまして来年度予算に影響する行政の考え方が明らかになると思います。それを受けましてわれわれも十分検討して誠意を持ってそれを実行してまいりたい、そう思いまして、ようやくいわゆるお世話になりました第二臨調が動き出しまして、これからいよいよほんとの勝負に入ってきたと、そう思っておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 もう一つ、重ねてお尋ねしますが、その行政改革は中央政府だけのことですか、地方も含めての御見解ですか、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国の行政制度と申し上げましたのは、国との関係におきまして地方の問題も当然含まれてくると、このように考えております。
○喜屋武眞榮君 それでは、重ねてお聞きしますが、機構減らしは金減らし、そして金減らしは人減らしに、こういった一連のつながりがあると思いますが、それをどのようにお考えですか。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
○国務大臣(中曽根康弘君) いまおっしゃいましたような総合的な体系のもとに改革の考え方は進められていくであろうと思います。総理は先般、会長になりました土光さんにお会いしましたときに、金減らし、人減らし、仕事減らし、そういう順序の御発言をなされました。これらの考えは恐らく委員会の審議に影響してくるのではないかと思います。
○喜屋武眞榮君 そこで、金減らしの関係と関連しまして、大蔵大臣、減税の問題をどう考えておられるか、所得減税の問題。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 所得税の問題については目下考えられませんが、将来それがちゃんと行政改革もきちんとできて、そうして多くの歳出カットが行われて、それから一方、予定の財政再建が進められるめどがはっきりして、ということになれば、当然考えられる時代が来ると思っています。
○喜屋武眞榮君 オブラートは了解できますが、中身はそういった金減らしを前提にしながら、補助が六千五百億円もふくれ上がったということは矛盾するじゃありませんか。どうお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、喜屋武議員のおっしゃるのは、六千五百億円というのは補助金のことだと思いますが、千七百億円弱の補助金カットをやっても六千五百億円ふえたというのは事実でございます。しかし、その大半は、大きく社会保障関係で三千数百億とかいうように、文教関係で何百億というように、何百億単位でふえる大きなものがあるわけでございまして、いろいろ切ってもそういうような制度的に法律化され、義務化されておるというようなものの負担金、補助金というものがふえたということで、全体として六千五百億円になっていることは事実でございます。
○喜屋武眞榮君 人減らしにつきまして、労働大臣どうお考えですか。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。 行政改革は何といいましても、行政を最も効率的にやらなければならぬ、こういうことでございますから、できれば一つの仕事を多人数でやっていくということよりは、一人でも二人でも数少ない人数でより効率高くその仕事をこなしていくということが私は当然の責任であろう、かように考えます。したがいまして、言葉は金減らしとか人減らしとかという、何かこの減らす方に非常に重点が注がれておるようでございますけれども、そうではなくて、より効率的にやれというのがその趣旨であろうと、かように考えますので、私どもといたしましては、その言葉にとらわれないで十二分にそれが効率的に運用されるよう協力してまいりたい、かように考えます。
○喜屋武眞榮君 そこで重要な問題は、総理が述べました和の政治、党内における和、政府における和、国会内における和、そしていまや日本の国際的な地位というものは大きくクローズアップ、広がった。国際的にリーダーシップをとる大事なチャンスに差しかかってきておる、こう理解いたしますが、総理いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はこの国会を通じましてしばしば申し上げておるのでありますが、和の精神というのは、これは内政、外交各般にわたりましてそういう精神で今後私は取り組んでいこうと、こういうことを明らかにしておるわけでございまして、対外的な問題につきましても、この和の精神は平和外交の展開という形に生かされてくるものと考えております。
○喜屋武眞榮君 それで総理の和を、私は、内政におけるあるいは国際的にもそうですが、対話の和と平和の和、その両面から質問をいたしたいと思います。いま対話の和はおきまして平和の和という面から。 今日まで予算委員会に、衆参両院通して述べられたもろもろの問題の中で、まだもさもさとしてはっきり理解できない国民大衆がおることを私は知っております。そういった人々にも明確に答えていただきたいという願いを込めて第一点。憲法を守る、改悪しないと、こういうことをたびたび述べられましたが、根拠は何によってそれをあなたたびたび強調しておるわけですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は常に申しておりますように、日本国憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重と、これはいずれの国の憲法に比べましてもすばらしいりっぱな基本理念の上に立っておると、こう考えるものでございます。政府は常に今日までこの日本国憲法を尊重、擁護してまいる、鈴木内閣においては憲法改正は考えておりません、こういうことを明確に繰り返し申し上げておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 笑いが出ましたけれども、あえてそう申し上げることは、そう言い切っておるにもかかわらず、やっぱり改憲論もあるわけなんです。そこで、迎合の和であったとするならば、それは怪しい答弁にしかならぬということを私は言いたいからです。 そこで、軍事大国にはならないと、こういうことも述べられました。その根拠は何ですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはわが国の平和憲法の精神に基づくものでございまして、あのような過去において戦争の悲惨な体験を私どもはいたしました。国民は、二度とあのような過ちを繰り返してはいけない、こういう国民的な誓いをやっておるわけでございます。そういうような観点からいたしまして、わが国は必要最小限度の防衛力はこれを持つわけでございますけれども、他国に脅威を与えるようなそういう大きな軍事力を持たない、あくまで平和国家として国を今後も立てていくと、こういうことでございまして、そういう精神に基づくものでございます。
○喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、軍事大国にはならないとおっしゃった。軍事大国という言葉はどういうことを意味するんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはわが国を守る必要最小限度の防衛力しか持たない、専守防衛に徹する、他国に脅威を与えるようなそういう軍事力は持たない、こういうことを超えることが軍事大国でございます。そういうものにはならないと、こういうことです。
○喜屋武眞榮君 軍事大国になるかならぬかということは、これは相対的なものもあると思いますが、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在わが国は、防衛計画の大綱というものを決定をいたしておりまして、その大綱の範囲内でできるだけ早い機会にこの防衛計画の大綱の水準に持っていきたい、こういうことでございまして、この防衛計画の大綱というのは、先ほど来私が申し上げておりますように、必要最小限度の防衛力であると、こういうことです。
○喜屋武眞榮君 私があえて相対的などと申し上げますのは、日本としては軍事大国ではないと総理はおっしゃっても、外国が国際的にそれが脅威を感じ取るかどうかということはその基準になるのですか、ならないのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 繰り返して申し上げておりますが、基盤的防衛力の整備ということで防衛計画の大綱の枠内でいま進めておるということでございまして、先般私はASEAN諸国も回りまして、そういう点についての政府並びに民衆あるいは言論機関等の論調等もつぶさにはだで受けとめてまいったところでございますが、日本を、軍事大国になったと、なりつつあると、そういう心配をされておる国はございません。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、総理がASEAN訪問されたわけですが、ASEANの国々のアンケート、世論調査がございますがね。その一つに、日本は将来軍事的にどのような国になると思うかということに、脅威を感じさせるほどの軍事大国になるだろう——タイが五五%、マレーシアが三〇%、フィリピンが二九%、シンガポールが二五%、こういう日本の軍事、現状に対しても脅威を感じ、将来軍事大国になるであろうということを向こう側は言っておるのですよ。そういうことをどうお考えですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ASEAN五カ国の首脳並びに閣僚また各種団体の有識者また報道機関の方々、そういう方々とも意見の交換をいたしました。そのような心配を持っておる方は全然皆無とは私は言いませんが、私は、日本に対してそういう心配の目を持って見ておる方はきわめて少ないと、このように思っております。
○喜屋武眞榮君 気になりますのは、最近制服組がいわゆる日本の防衛に対していろいろとアドバルーンを打ち上げておりますが、これをどうお考えですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 わが国の国防の基本方針につきましては、ただいま総理大臣がお述べになりましたとおりでございまして、軍事大国にならない、あるいは専守防衛に基づくということで、防衛計画の大綱の線に基づいて防衛力の整備を進めているところでございまして、先生いま御指摘のような事柄もございますけれども、私は、基本の線におきましてはこういった点は守られているものと考えております。また、こういった点を守るためにシビリアンコントロールを貫いていかなければならない、さように考えている次第でございます。
○喜屋武眞榮君 さっき総理は、節度ある、そして質の高い、さっきでも、いままでもたびたび述べられましたが、節度ある、質の高い防衛力ということはどういうことを意味するのですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 先ほど総理がお述べになりました防衛の基本方針、すなわち平和憲法のもと、専守防衛に基づき非核三原則を堅持する、そういった基本的な考え方に立って周辺諸国には侵略的脅威を与えず、しかも侵略に対しては有効に対処していくだけの諸外国の技術的水準の動向に対応し得る防衛力の整備、これが節度ある、質の高い防衛力ということの意味であると私は理解いたしているのでございます。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 具体的には防衛計画の大綱に示されているところにのっとってやっていくと、こういうことであるというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 繰り返すようですが、質の高いということは、二、三日来の質疑の中から気になりますことは、核を抑止力として持つことはいいんじゃないかといったような御意見がありましたが、その点、質の高いということは、将来核を保有することも考えられておるのか、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は非核三原則を堅持いたしております。核は持たない、つくらないし、持ち込ませない、こういう三原則を堅持しております。 これがすべての大前提でございまして、節度ある、質の高いというのはこういう専守防衛に徹するという方針でございますから、多くの量的な拡大というようなことを図っていくというようなことは、これはわれわれはとらないところでございます。あくまで防御、専守防衛に徹するわけでありますから、その装備は、私は質の高いもの、そして予算の面におきましても、こういう財政事情下にもございますし、おのずからそこには節度というものがあるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 核論争をもっといままでの審議と結びつけて述べたいのでありますが、結論は、制服組がいろんな形でアドバルーンを上げる、そのまま野放していった場合にどうなるかということを国民の多くは恐れております。そこで、シビリアンコントロールに重大な歯どめというものが大きな意義を持つわけでありますので、この点重ねて念を押したいと思います。 時間がありません。次に、日本の外交の面から、南北朝鮮の平和的統一というものをどのように考えておられるか。
○国務大臣(伊東正義君) 朝鮮半島の問題につきましては、日本は御承知のように韓国と国交を結び、韓国との友好関係の維持、発展に努めるということが基本でございますが、片方におきましては、朝鮮半島の平和ということが、北東アジア、日本にとりましても非常にこれは重要な問題でございますので、朝鮮半島の平和ということに対しまして日本は重大な関心があるわけでございます。 そういう情勢のもとで、ことしも韓国の全大統領が言語あるいは文化を一つにする民族が二つになっているということはこれは好ましくないので、平和的に統一する必要があるということで、北側の、北朝鮮の——朝鮮民主主義人民共和国でございますが、主席と自分が交互に直接会うと言って、そのことを話し合うことが大切じゃないかという提案があったわけでございまして、日本としましてもこういう実質的な対話が行われるような環境が朝鮮半島につくられるということに対しまして努力をしてまいりたいというのが日本の考え方でございます。
○喜屋武眞榮君 そうしますと、チームスピリット81、米韓大演習があります。これをどう評価されますか。
○国務大臣(伊東正義君) この演習は毎年行われている演習でございまして、韓国側の防衛的なものであるということで米韓でこの演習を毎年やってられるのでございまして、これは、私どもはそれによって軍隊の練度を向上するとか、指揮官の質を向上するとかいうことで、バランス・オブ・パワーといいますか、そういうことに関連したものであり、防衛的なものだというふうに考えて、これは毎年行われるものであるというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 これには在日米軍も参加しておりますか。
○政府委員(木内昭胤君) 在日米軍も参加いたしております。
○喜屋武眞榮君 どれぐらい。
○政府委員(木内昭胤君) 五、六千名ぐらいの規模と承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 自衛隊も参加しておりますか。
○国務大臣(大村襄治君) 自衛隊は参加いたしておりません。
○喜屋武眞榮君 これは南北朝鮮の平和的統一という面からは私はどうかと思うんですが、プラスになるかマイナスになるか、どう判断しておられますか。
○国務大臣(伊東正義君) 先ほど言いましたように、全斗煥大統領も南北の統一を呼びかけ、それから朝鮮民主主義人民共和国の方からも前に呼びかけがあったことは私ども知っております。でございますので、ずっと先の統一というのは、私は時間的に言いますと、現実の問題としてはなかなか大変な仕事だとこれは思うわけでございまして、現実の問題から考えますと、私は防衛的に毎年行われている演習であり、特にこれが話し合いの支障になるというふうには見ておりません。
○喜屋武眞榮君 いまの答弁に対して意見を異にするものでありますが、必要最小限度の防衛ということがたびたび繰り返されておりますが、力によるバランスというものは必ず軍事拡張に、軍事拡張は必ず戦争に、これが世界の戦争の教訓であると思いますときに、私は非常に疑問を持たざるを得ません。 そこで、私は沖縄戦の奇跡的な生き残りの一人であります。多くを申しませんが、死線を越えて生き延びて、戦争による武力では国民は守れないということが私の結論でありますが、総理、私のこの体験を通しての結論をどう評価されますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私どもは平和をあくまで希求するものでございまして、戦争は絶対にこれを避けなければならない、こういう信念に立つものでございますが、厳しい国際情勢下におきましては、現実の問題としてやはりバランスということもあろうかと思います。そういう均衡の上に世界の平和が保持されておるという厳しい現実、これもわれわれは無視するわけにはまいらない、このように考えるものでございます。しかしながら私どもは、御指摘のように、戦争によっては人類は決して幸せにならないという考え方につきましては全く同感でございまして、軍縮という問題につきましても、今後私どもは真剣に取り組み、また国際世論にもそういう訴えをしていく必要があると、こう考えています。
○喜屋武眞榮君 軍隊というのは、敵を殺すのが目的だと思っておりました。そうではありませんでした。日本軍は銃口を敵に向けるばかりじゃなく住民にも向けたんですよ、住民にも。そして命を安全に守るという住民をごうから引きずり出して、出なければたたき切ってやるぞと軍刀でおどして、泣く泣く追い出されて敵の砲弾で死んでいったたくさんの同胞がおります。そうした沖縄戦の悲劇は、死んだ兵隊の数よりも亡くなった住民の数が多いということは世界戦史にないはずであります。そういった悲劇の沖縄の島であったんですよ。そういう体験を通して私はあえて申し上げます。 戦い済んで私が厳しく反省したのは、軍国主義教育の恐ろしさと、そして命を大事にし戦争を否定する平和教育の大事さということを私はしみじみ感じ取っております。 そこで、文部大臣に聞きたい。平和教育を徹底されるためにどういう政策を、どういう姿勢を持っておられますか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話でございますが、もちろんわれわれは再びああいうふうな戦争はしない、あくまでも平和に徹した国の方針を堅持いたしておりまして、ことに教育の面その他におきましても、あくまでも平和外交、平和立国、民主政治、自由主義、これを守ってまいりたいと、かように考えております。
○喜屋武眞榮君 平和教育を徹底するためにどのような考えをお持ちで、どのような政策を持っておられるかということを聞いておるんです。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、憲法に基づきます教育基本法、そこにあるあくまでも平和の三原則を堅持し、そうして国のこれが教育の根本であるということにつきましては、御承知のとおりでございます。
○喜屋武眞榮君 どうもかみ合いませんし、さっぱりわかりませんが、もう次に進みます。次の機会にまた改めて開きます。それはひとつ念頭に置いてくださいよ。 次に、総理、ASEAN訪問をされましたが、その成果いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は結論的に申し上げまして、ASEANを訪問して大変よかったと、こう考えております。
○喜屋武眞榮君 いや、お帰りになって政策を具体的にどう進めていこうとお考えになっておられるか、どういうふうに。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はASEAN五カ国の首脳と本当に胸襟を開いて会談することができました。それを通じましてアジアの平和と安定のために共通の認識と目標を設定できたと、このように考えております。また私は、ASEANの国国がみずからの力で立ち上がり、自分の国を安定させ繁栄をさせるというために、懸命の自立自助の努力を傾けておるということを目の当たりに見ることができました。そういう気運が高まっておりますので、わが国の経済・技術協力というものも非常にうまくかみ合いまして成果を上げつつある、また大変喜ばれておる、このように考えておるわけでございます。 そういう中におきまして、私は、ASEANの国々の民衆の生活に密着したところの農林漁業の振興、農村の建設、あるいは中小企業の安定の問題、さらに共通の関心事であるエネルギーの開発、代替エネルギーの研究、開発、導入、そういう問題も取り上げました。さらにその根本になりますところの教育の問題、人づくりの問題、こういう問題につきましても一緒に力をあわせてやろうではないかと、こういうことに相なったことは私は非常によかったと、こう考えています。
○喜屋武眞榮君 インドネシアのバンドンで大学の学生から陳情を受けられたと思うのですが、それに対してどうお考えですか。
○政府委員(木内昭胤君) お答えいたします。 バンドンの大学の学生が日本とインドネシアの関係についていろいろ関心を持っておることは事実でございまして、わが方の在インドネシア大使館員がバンドンの大学の代表者と会ったことは事実でございます。
○喜屋武眞榮君 この学生の陳情の内容は、詳しくは必要はないと思いますが、どういう柱でしたか。
○政府委員(木内昭胤君) お答えいたします。 一つの彼らの論点は、これが妥当であるかどうかは別にしまして、インドネシアに進出しておるわが方の企業が必ずしも現地住民の雇用等に直接寄与していないという見方を開陳いたしておるようでございます。すなわち、ややもすれば現地華僑の方々と関係して事業を進め過ぎているのではないかも、もっとインドネシア側との協力が望まれるのではないかということを主張しておられるようでございます。 これに対しまして、日本の企業の関係者もっとにそういう問題はよく御存じでありまして、現在はインドネシアの華僑ではなくて、インドネシア本来の方々との関係を深めるべくせっかく努力中であると承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 純真な学生の声というものは謙虚に受けとめてもらわぬというと日本の将来を誤る。いわゆる思い上がりの外交あるいは押しつけの援助、こういう形で受けとめられたら、これは逆効果になることを私は恐れるからであります。その点、私は強く指摘しておきます。 一、二の例を申し上げますと、調査の結果、日本企業の誘致に対して、歓迎しないという——歓迎するということもありますが、日本企業は自分の利益のみを追求し、勝手な行動をする、これが四〇から五五%もその中に分析されておるのであります。次に、日本は友邦として信頼できるか。できるという面もありますけれども、できないという不信感があるんですよ。タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシアと、パーセントは違うが、タイが最後で、二三%も日本人は信用できぬと。第二次世界大戦の日本について、悪い面で忘れることはできない、四五%、最高。各国あるんですよ。 このように、日本の善意と好意であると思い上がってしまうというと、こういう見透かされた逆効果があるということを私は言いたいからです。その点、総理のそれに対する御見解を一応承りたいと思うのです。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、私も総理のお供で一緒に参りましたので、向こうで受けた感じもございます。 戦後三十六年たったわけでございますが、中にはそういう意見も持っている人があるだろうということは私も予想はされます。ただ、今度参りまして、総理と一緒にお供して参ったのでございますが、そういう動きが表立ってあるということはなく、非常に心から温かい気持ちで迎えてもらったことは確かでございます。 いま先生の御指摘は、これは今後日本が国の経済協力をやる、あるいは民間で投資をやるとかいう場合に、よくそういう国民の感情というものは十分に注意してやるということは、これは心がけなければならぬことでございますから、日本としましては、特にASEANに対して何か指導するとかなんとか、そういうような態度でなくて、兄弟として一緒に物を考えていく、一緒に行動するというような考え方でいく必要があるということは十分わかりますので、日本として注意することは当然に注意してまいります。
○喜屋武眞榮君 平和外交、平和外交と言いますけれども、経済交流も結構でしょう。私は、文化交流が先駆をなさなければいけないんじゃないかと、こう思いますが、総理いかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) おっしゃるように、政治とか経済の交流というようなことが言われますが、その前に、やはり私は、おっしゃったように、文化面の交流というものが非常に大切だと思います。人と人との交わりでございますとか、その国の昔からの伝統に基づいたあるいは文化芸術の交流とか、そういうことがあった上で経済の交流とか政治の交流とかがやっていかれる、そういう基礎にそういうものがあるということは私も同感でございます。
○喜屋武眞榮君 そこで、文部大臣にお尋ねしたい。 文部省とされて、日本が世界に誇り得る、これは自慢じゃありませんよ、謙虚に受けとめて、誇り得る文化は何であるかということを審議されたことがありますか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問の内容は非常に広範な問題と存じますが、またお答えしにくい問題でございますけれども、われわれが日本の古来の伝統といたしまして、近隣の各方面に対しましてはあるいは文化的な交流を非常に古くからいたしておりましたことは御案内のとおりでございます。そうしてまたそれが、特に東南アジアやあるいは大陸方面との緊密な交流によりまして、日本文化も栄え、またアジア全体の非常に大きな進歩の基礎をなしておることも、私は思い上がった姿ではなく謙虚にかみしめまして考えますときに、特にただいま御指摘の東南アジア方面におきまする学術の交流でありますとか、あるいは文化の問題でありますとか、そういう点を努力をしなければならない大きな問題でございます。
○喜屋武眞榮君 東南アジアを回りまして、非常に日本の文化にあこがれております。ところが、それは自然発生の形で日本の柔道あるいは空手とか、あるいはその他の文化に対してあこがれを持っておるのです。私が言いたいことは、国がもっときちんと日本が祖先伝来築き上げたすばらしい文化を世界に誇り得るということを客観的に煮詰めて、そうしてそれに金をかけて、わざと心を伝え得るりっぱな指導者を世界各国に、東南アジアにも送ることが最も大事である、こういう結論を私は持っておりますが、それに対して総理いかがお考えですか。
○国務大臣(伊東正義君) 私、先にお答えしますが、国際交流基金というのが外務省関係の団体にございまして、前の東大の総長の林健太郎さんが理事長でございますが、そこでいま先生のおっしゃいましたようないろいろな文化的な交流を、何か東南アジアだけでなくて、世界じゅうに派遣しまして日本の文化というものを理解してもらう、また向こうの人が日本にも来るという交互の交流を実はやっておりますが、このことを今後ともやはり積極的に進めていくということが大切だということは同感でございます。
○喜屋武眞榮君 そこで、文部大臣に提案したい。ぜひ、名称はどうでもいいでしょう、文教審議会でもいいでしょうが、それをお持ちになって、具体的にひとつ問題をきちんと決めていただいて、それの予算の裏づけを持って、海外に日本の誇り高い文化として指導していってもらいたいということを要望したい。たとえば能、歌舞伎とか、音楽とか、舞踊とか、茶道、生け花、盆栽、絵画、日本的建築、庭園、日本映画、スポーツ、日本文学等、このように非常に日本の文化にあこがれておるのですよ。それを私は提案したいが、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) まことにそのとおりでございます。ことに日本文化に対しましてのそういうふうな各地に対しまする普及のみならず、ただいまちょうど——インドネシアの御案内のちょうどアンコールワットと同じような仏陀の遺跡がございます。それを、文化庁におきましては初めてでございますけれども、現地から日本の方に持ってまいりまして、ただいま国立博物館を初め、京都、各地で展示をいたすことにいたしております。これは日本とインドネシアとの間の文化交流といたしましては非常に特筆大書すべきことだろうと思います。そのほか、向こうの方との学術交流、これもまた非常にASEAN各国が望んでおります問題でございまして、学術関係のみならず学者の方々の交流も極力いたすことにいたしておりまして、それに関する予算もちょうだいいたしております。日本の文化の先方に対しまする輸出と申しますか、出すのみならず、向こうの文化もこちらの方に十二分に取り上げてそしゃくもし、そうして心と心の通ったアジアの民族の交流をいたしたい、これは私どもの念願でございます。
○喜屋武眞榮君 次に、大きく国際的な日本の地位というのが高まってまいりましたが、戦後三十六年、いまだに戦争のつめ跡が、後遺症が残って、処理されておらぬことに私は残念といいますか、憤りといいますか、そのことを覚えます。 そこでお尋ねしたい。いま、時の話題になっております中国孤児の問題、四十七名。大分身寄りも探したわけですが、この中に旧満州国の孤児も入っておりますかどうか。
○国務大臣(伊東正義君) 今度来られた四十七名の中には、多い人が大体旧満州国民、いわゆるいまの東北三省の人が数多く占めておられる。それはあのときの、終戦のときのああいう特殊な事情から考えれば旧満州関係、東北関係が一番多いのでございます。ただそこだけというわけにはいきませんので、向こうの外務省にも頼んでおりますのは、中国全土の遺児の方の調査を頼むということでまいっているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 恐らく、これは私は氷山の一角だと思っております。すなわち、肉親探しの解決はまさにこれからだと思われてなりません。そのことを申し上げて、ぜひひとつ親身になって、政府とされても対応してもらいたい、こう思うのですが、具体的な問題になりますると、厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 中国の御理解を得、国内の各関係者のお力添えを得て初めて今度実施したわけでありますが、来られた四十七名というのは全く一部でございまして、まだまだこういう種類の孤児がどれくらいおられるか、見当で二万とか三万とか言っておりますが、実態は日本も中国もまだ把握いたしておりません。そこでこれをきっかけに、今後中国の理解も得、かつまた関係各省の理解も得て、逐次これは数においても地域においても拡大して、こういうことを解決していきたい。なお、どうしても親がわからない人も中におるわけでございますが、しかし共通した願いは、自分たちは日本人であるから日本に住みたいと、こういう希望が非常に多いわけでありまして、これも中国にいろいろ相談をし、国内では法務省、外務省と相談をして、逐次その方向に、かつまたそれは手続だけではなくて、仮に日本に住まわれるようになりますと、言葉の問題、就職の問題、これまた非常にむずかしい問題ありますが、これも並行して環境をつくっていかなきゃならないと考えております。
○喜屋武眞榮君 このことも戦争という悪魔が引き起こした一つの後遺症である、悲劇であるということを忘れぬでおきましょう。 次に、無国籍の問題、これもまた沖縄を初めいまだに国籍を持たない、戸籍のない人間はこれは国際的浮浪児であります、人間と生まれて、そういう存在を許していいかということなんですね。このことについて法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 国籍法の関係で、日本の女性が外国人と結婚する、その外国人が自分の国籍を子供に継承させることができないというような事情がアメリカ人との場合にはあるわけでございまして、そういう関係で沖縄に残念ながら無国籍の方が何人かいらっしゃる。そういう面がほかの土地にもあると思うのでございますけれども、そういう方についてはできる限り簡易に帰化を認めるというようなことで救済する方法も講じておるわけでございますけれども、今後ともできる限りの配慮はしていかなければならないと思っております。
○喜屋武眞榮君 次に、これも戦争の後遺症、在外引揚者の資産の処理はどのように受けとめておられるか、どのように計画しておられるか、答えてください。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 在外財産の問題につきましては、第三次在外財産問題審議会の答申がかつて出てまして、在外財産の喪失については国に法律的な補償義務はないが、政策的な配慮に基づく特別措置として引揚者に特別交付金を支給することによって在外財産問題に終止符を打つことが適切である、こういうふうな答申が出ております。 そこで政府は、昭和四十二年六月、引揚者等に対して特別交付金の支給措置を講ずることによってこの問題の最終的な解決を図る旨を閣議で決定をいたしまして、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律によって措置をしてまいったところでございます。 政府は、従来から在外財産の喪失について国に、法律上の補償義務はないとの見解をとってきておりますし、引揚者等に対する特別交付金の支給措置によって在外財産問題は最終的に処理をされたと、こういうふうな見解をとっております。
○喜屋武眞榮君 そうすると一切処理済みという結論ですか。
○国務大臣(中山太郎君) そういうことでございます。
○喜屋武眞榮君 それはおかしいですね。その引揚者が足しげく陳情をし、国会内にも衆参両院をして促進議員連盟というのが組織されております。それ、おわかりですか。
○国務大臣(中山太郎君) よく存じております。
○喜屋武眞榮君 ならば、まだ問題が残っておるということなんですよ。それを、法の根拠がなければ、裏づける立法をしてでもこれを処置しなければいけない問題だと私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) この問題につきましては、衆参両院のいろんな関係ある議員の方々から御意見を賜っておることも事実でございます。しかし、政府といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、第三次の審議会の答申を受けて閣議決定をいたし、それによって戦後処理が終わるという確認を国会でも御承認をいただいて特別交付金の支給をいたしたと、こういうことで国会の御了承もいただいているところでございますので、そのような見解を今日も維持しているところでございます。
○喜屋武眞榮君 被害者が納得しないというところに問題があるわけなんです。ですから、これは、問題はまだ未処理であるという一つの前提に立ってこれを受けとめてもらわなければいけない。これは一応その程度にとどめておきたいと思います。問題は残っておりますぞということを指摘したい。 次に、台湾、朝鮮出身の軍人、軍属の戦傷者に対する処遇はどうなっておりますか。
○政府委員(持永和見君) お答え申し上げます。 台湾出身の方につきましては、現在のところ日本国籍を持っておられないというようなこともございますので、援護法、私どもの方の所管しております戦傷病者戦没者援護法の適用は受けておられません。
○喜屋武眞榮君 これも未処理の問題として受けとめてもらわなければいけないと私は思います。直接陳情、要請がたびたび参っております。ほかの方々にも恐らく来ておると思うんですが、これを不問に付してはいけないと思うんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も問題が存在していることは承知をいたしております。なかなか困難な問題があるわけでございまして、問題としてはこれを全くもう無視してまいるということでなしに、今後こういう問題が存在をするということにつきまして研究はしていきたいと思いますが、非常に困難ないろんな事情があることだけは申し上げておきます。
○喜屋武眞榮君 これもたびたび問題になっております、広島、長崎の原爆被爆者、そして国内における戦災負傷者、この問題もまだ未処理で、盛んに陳情、要請が出ておりますが、厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 一般戦災者は援護法の適用ができませんので、社会保障その他の点で極力努力をしているところでございます。かつまた、原爆被災者についての援護法の問題は、しばしばお答えをいたしておりますが、これも援護法という法律になじまない。それから先般、懇談会からの答申等もございまして、今年度の予算でそういう特殊な事情から特別の予算を組み、かつまた手当等を追加いたしておりますけれども、援護法という制定についてはなかなか困難でございます。
○喜屋武眞榮君 既定の法律では包まれぬというならば、戦争の犠牲、国の犠牲であることは間違いありませんね。ならば、これは適切な措置をすべきだと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 一般戦災者と一口に申しましても、いろいろあるわけであります。一般戦災者の中でも、原爆を受けた特別な人、それから沖縄の方みたいに、一般軍人、軍属と一般の人と、むしろ一般の人がかえって戦争の災害を受けておられると、こういう特殊な事情もございますから、これは十分そういうところを考えて、今後何か検討しなきゃならぬと考えております。
○喜屋武眞榮君 さらに大きな問題にしぼっていただき、これはもう次回に回したいと思います。 次に、ぜひこの機会に尋ねたいことは、窪川町長のリコール問題について、政府は利益誘導的なことをいろいろ言われたということを聞いておりますが、どういうことをおっしゃったんですか。
○国務大臣(中川一郎君) 私も現地に参りまして、原子力の必要性、安全性、地域振興の観点から、よく皆様の理解を得るようにいたしましたが、利益誘導などということは一切いたしておりません。
○喜屋武眞榮君 交付金とか、あるいは固定資産税とか、各戸への交付とか、あるいは国鉄の廃線の予土線とか、こういうことにつながって、政府がまあ、あめといいますか、それを見せしめたということも聞いておりますが、それは全く事実無根ですか、どうですか。
○国務大臣(中川一郎君) いま申し上げたような利益誘導はなかったと存じます。ただ、電源特会あるいは電源三法による地域振興の道はあるということははっきり申し上げましたし、予土線についても、地域経済が盛んになり、物の動き、人の動きが活発になれば、国鉄は国鉄としての使命が残るという話もありましたが、やってくれたら残すとか、あれをやるとかこれをやるとかというようなことは言っておりません。
○喜屋武眞榮君 まあいろいろあったと憶測するわけでありますが、にもかかわらずリコールは成功したと、そのことについて、長官どうお考えですか。
○国務大臣(中川一郎君) 電源開発の推進についての町長のリコールが成立をしたということは、非常に遺憾に存じ、残念だと思っております。ただ、あそこの窪川町の政治情勢、地元政治情勢もございまして、あながち原発だけの結果とは思っておりません。したがって、あのリコールそのものをもってして電源立地についてリコールされたとは受けとめておりませんけれども、まだ地域住民の間にそういった原発について理解のないことは残念であり、わが国のこれからのエネルギー事情を考えたときに、さらに一段と引き締めてこの立地問題については国民の理解を得られるように最善の努力をしていきたい、反省の場といたしておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 遺憾であり残念であるとおっしゃるそれ自体がまことに遺憾である、残念であると私は思うのです。ということは、町民は、物よりは安全、金よりは今、そうして子孫のためにもと、こういったまことに賢明な選択をしてくれたと私は思われてなりません。この見解、いかがですか。
○国務大臣(中川一郎君) 金よりも、物よりも、人の命が大事であるということは、これはもう古今東西通じて変わらない鉄則でございます。しかしながら、いまや原子力の平和利用というものは安全であるということは世界的に定着をいたしております。もう十数年、二十年にもなりますけれども、命を失った人も、けがをされた人もないのでありまして、この点はぜひとも理解をいただきたいし、また沖縄などでも火力発電による電気コストというものは非常に高い。いまや原子力というものは量的にも、単価の上からいっても、国民生活を守っていく上にはなくてはならない大事なものでございまして、この点は、物よりも金よりも命を、などということではなくて、これからの暮らしを守っていく上には原子力発電というものはぜひ必要であると、この点も御理解をいただきたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 環境庁長官、いかがお考えですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたしますが、現在わが国は先生言われたように、そしていま中川長官言われたように、何よりも命が大事なことは言うまでもないんです、これは。しかしながら、やはり油に依存しないで電気を起こさなきゃならぬ、それを五〇%ぐらいまでにしなきゃならぬ、これも大事なことなんです。ですからね、私はやっぱり地域住民の方に十分の理解をしてもらう、そして、その理解に基づく協力というものをしてもらう。およそどんな事業でも、地域住民の理解と協力がなきゃできないんですから、十分に理解と協力をしてもらう。そのことが十分にできなかったんだなあと、まことに残念なことだと、こういうふうに思っております。 そして、環境を守るということは、しばしば事業を起こせば環境はもとのままでいませんよ、それは、当然。そこで、その環境を守るか事業を起こすかということの二者択一になれば、私はどっちかと言えば環境の方に足を踏み入れて物を見なきゃならぬでしょう。そういう立場でしょう、私は。そうじゃなかったら大変なことになるでしょう。だからそういう立場に立って物を見ているんですが、原子力の問題についてはいま中川長官の言われたとおりだと私は思います。
○喜屋武眞榮君 いや、これは一面的に考えるのではなく、総体的に検討することを忘れてはいかぬと思いますが、これはまあこのまま行ってもどこまでも平行線だと思いますので、一応問題を残しておきたいと思います。 次に、政界の浄化と選挙改革について述べたいと思います。 二院クラブの生みの親、育ての親であった市川さんが一貫して清潔な、金に汚れない政治、明るい政治、公平な政治、平和の政治、これを貫いてこられたわけですが、そのことに対して総理はどう評価しておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 市川房枝先生が女性の社会的地位の向上、また婦選運動の先頭に立たれた、それと同じように大きく評価さるべきものは政界の浄化ということに終始努力をされたということでございまして、私も市川先生のそういう御功績に対しましては深く尊敬の念を持っておるものでございます。
○喜屋武眞榮君 ところで、現実はまことにうらはらと言いたいぐらいに私は残念に思うわけなんですが、国民の政治不信あるいは政治離れ、無関心、こういうことが日本の現状と結びつけて私は考えざるを得ないのであります。 そこで、その現実の例としまして、千葉県御出身の方にはまことに御迷惑かと思いますが、具体的な例を挙げた方がいいと思いますので、お許しをお願いいたしたいのでありますが、三月八日に行われた千葉県の参議院補充選挙の投票率は幾らだったでしょうか。
○政府委員(大林勝臣君) 正確に覚えておりませんが、二七、八%だったと思います。
○喜屋武眞榮君 あえて私がこれを取り上げましたのは、しかもこの千葉県の二七・九六ですか、最低から第九位であるというんですね。そうすると、八つの選挙区がそれ以下の投票率であるということなんですね。これで主権在民の民主主義に立脚する公明選挙と言えるかと、こういうことを私は憂えるものであります。いわゆる国民の政治離れ、無関心そして政治不信、この信頼を取り返さない限り、日本には本当の平和と民主主義の政治は私は実らぬと、こう思うわけでありますが、総理、たびたび申しわけありませんが、いかがでしょうかな。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の民主政治は、主権在民がその基本でございます。主権者である国民の皆さんが政治に対して常に関心を持ち、また民主政治を育てるという観点に立ちまして御協力をいただくことをこいねがっております。
○喜屋武眞榮君 そこで、あれを思いこれを思うときに、結局は、総理が提唱されました倫理委員会の設置は一体どうお考えになるんですか、どうなるんですか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、就任当時から、国会に倫理委員会を設置していただきたい、これは国会の御判断に基づくものでございますから、わが党の三役に対しましても、国対委員長に対しましても、また議運の委員長にもこれを要請をして、各党各会派の皆さんと御相談をしながら、ぜひこれが実現できるようにということをお願いをいたしておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ実現を期してもらいたいと強く重ねて要望いたしておきます。 次に、民主政治は主権在民——一票の重さということが当然問われなければなりません。そこで、去年の十月一日に行われました国勢調査の結果は、この定数是正にどのように結びつけていこうとお考えであるのか、また、その国勢調査の結果はいつ答えが出るのであるか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定数是正の問題は、国勢調査の結果に基づきましていろいろと議論が展開されておるわけでありますし、過去におきましても、衆議院等においては院内における合意のもとに定数是正も行われてまいりました。また参議院におきましてもその議論はあるわけでございます。問題は、これは議会民主主義のルールづくりの問題でございまして、院内各党会派の合意のもとにそれが行われることが最も適切であると考えておるわけでございます。さような点で、今後ともひとつ国会内におきまして十分御論議を尽くされることを私どもは希望しておるわけであります。
○国務大臣(中山太郎君) 国勢調査の結果の公表につきましては、昨年末に一応の速報を出さしていただきましたが、本年度の年度末に精密なデータを公表いたしたい、このように考えております。
○喜屋武眞榮君 その是正の方針として、枠内の是正であるか、定数是正は。枠内操作であるか、その基本的な考え方、いかがでしょう。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定数の問題になりますと、結局枠の問題が出てくるわけでございます。大体の方向といたしましてはなるべく枠は伸ばさぬようにというのが一つの世論でもあるように思うわけでございます。したがいまして、枠の問題、定数の枠の問題、そういうことになりますと、今度は区画割りの問題も出てくるわけであります。 それから参議院の選挙になりますと、地方区、全国区の問題、特に地方区の問題については半数改選主義をとっておりますので、その関係をどうするのか、全国区と地方区との関係がどうなるのか、こういう点が大変複雑な問題が絡んでくるわけです。 それで定数を人口増に基づきましてそのままマイナスの面をなくしてふやすだけというわけにもこれは実際問題としていかぬだろうと思うんです。この辺は大変むずかしい問題でございまするので、各党会派におかれましてひとつ十分御検討願って、合意のもとにその結論を出していただくことが一番正しいことじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。
○喜屋武眞榮君 現状におきましても憲法違反であるという判決も出ておるくらいでありますから、恐らく国勢調査の結果におきましても私は相当のアンバランスがあることが予想されるのでありますので、何としても原点は主権在民、国民主権の、そして一票の重さというものを大事にしていかなければいけない、こう思うわけであります。そういった見地に立ってひとつ慎重に、しかも公平に、適正に、こういう基本的な要求を申し上げて、次に進みたいと思います。 次に核との問題に関連しましてCTSの問題、核の問題について尋ねたいと思うのでありますが、核燃料の処理がうわさの程度かしれませんが、沖縄の西表島が最適であるというようなアドバルーンも上がっておるわけでありますが、その真相をひとつ承りたいと思います。
○政府委員(森山信吾君) ただいまおっしゃいました再処理の問題につきましては、先生御案内のとおり、民間の再処理が法律上認められることになりまして、一昨年でございましたか、そういう民間の会社が設立されたわけでございます。それで、現在どこの場所に立地するかということで調査を進めておるわけでございますけれども、いま御指摘の沖縄で特に立地場所を探すというようなことは考えておりません。日本全国で的確なる土地を現在探すということで調査を進めておる段階でございます。
○喜屋武眞榮君 もし適地であるということを——一方的な立場でしょうが、探したら、その後どういう手続をとるのですか。
○政府委員(森山信吾君) ただいまの適地性と申しますのは、自然立地条件もございますけれども、そのほかに社会的な適性の問題もあろうかと思います。したがいまして、私どもはその双方の観点から適地を探しておるわけでございますので、沖縄におきましていろいろと反対の御意見があることも十分承知いたしておりますから、そういうことも頭に入れまして、全国的に見てどこが適地性があるのかということを判断してみたい、こういうふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 たびたび念を押すようでありますが、沖縄が最適であるということと、沖縄に持っていくという、このことはまた全然白紙であると、こう受けとめていいんですね。
○政府委員(森山信吾君) 御指摘のとおりでございまして、全く白紙の状態で私どもは調査を進めておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 もし沖縄に押しつけられるようなことがあったら、これはもう島ぐるみで猛反対をいたしますから覚悟しておいてください。 次に、CTSが沖縄にいまある量は幾らですか。
○政府委員(森山信吾君) CTSという御指摘は、恐らく石油の備蓄基地のことではないかというふうに理解いたしますが、現在二カ所で備蓄をしておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 量は幾らですか。幾ら備蓄しておりますか。
○政府委員(森山信吾君) ただいま手元に資料ございませんので、直ちに調べましてお答え申し上げたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 それすぐ調べてもらえますね。——以前はその協定枠が五百万キロリットル、それが、枠が外されていま幾らになっておるかということを尋ねたかったわけなんです。その外された枠がさらにまたふえるという、こういう動きにあるということを聞いておるものですから、いよいよこれは大変なことになったなあと、こう思うわけなんです。 ——もうわかりましたか。それが答えが出ぬと、次に話が進められませんから。
○委員長(木村睦男君) いま調べておるようでございますから、次の問題がございましたら質疑を続けて、その結果が出ましたときに、いまの問題で御質疑をお願いしたいと思います。
○喜屋武眞榮君 いやいや、それを踏まえぬと話が進められません。
○委員長(木村睦男君) あとの問題ありませんか。 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(木村睦男君) 速記起こして。
○政府委員(森山信吾君) 先ほど申し上げました二カ所につきまして容量を申し上げますと、まず第一の沖縄ターミナルにつきましては百六十万キロリッター、それから沖縄石油基地につきましては二百九万キロリッターが現状でございます。これを五百十五万キロリッターに増設をしたいという希望が民間サイドにあるというふうに承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 現状は。
○政府委員(森山信吾君) 現状は百六十万キロリッターと二百九万キロリッターの二カ所でございます。
○喜屋武眞榮君 合計幾らですか。
○政府委員(森山信吾君) 合計いたしまして三百六十九万キロリッターでございます。
○喜屋武眞榮君 それは本当ですか。いまの答えは、これはもう全然承知できません。
○政府委員(森山信吾君) もう一度重ねて申し上げますが、沖縄ターミナルにつきまして百六十万キロリッター、それから沖縄石油基地につきまして二百九万キロリッターが現状でございますが、これを五百十五万キロリッターに増設をしたいという希望を民間サイドで持っておるというふうに承知いたしております。したがいまして、現状は、先ほど申し上げましたように、三百六十九万キロリッターでございますが、増設分を入れますと、六百七十五万キロリッターと、こういうことになります。
○喜屋武眞榮君 いや、どうもいまの説明も、これは私納得いきません。五百万キロリットルまでは、これは一応協定ができておったわけです。それが、枠がもう外れたのですよ。外れた枠をさらに増設のまた動きがあるということで、いま沖縄で大騒ぎしておるわけなんですが、その点、どうもきちっとした数字をひとつ後でもらいたいと思います。これじゃ、私、承知しません。すでに五百万はずっと前の話ですよ、現状はもっといっておるはずです。 それで、通産大臣にお聞きしたいのは、この全国的なバランスの上から、沖縄にこれだけの備蓄があるということはどうお考えですか。
○国務大臣(田中六助君) 沖縄だけに集中しているわけではございませず、御承知のように、北海道の苫小牧あるいは福岡の白島、長崎の五島列島、福井臨港、それぞれ散らばっております。しかし、タンカーの備蓄で曳航している部分は、沖縄周辺が非常に便利なこともあって、民間で行っていると思いますけれども、私も具体的な数字は熟知しておりませんけれども、沖縄周辺に集中することはぜひとも避けていきたいというふうに考えます。
○喜屋武眞榮君 いまおっしゃっておる沖縄だけに、これだけの量があるというそれ自体も、これはまさに沖縄が、悪い面の吹きだまりが、公害に伴う、環境破壊に伴う、そういった面の吹きだまりが沖縄、沖縄へと押し寄せてきている、このことに抵抗を感ずるわけなんです。このことを私強く指摘いたしまして、今後の対策を講じてもらわなければいけないということを強く申し入れておきます。 次に、沖縄の復帰の際にいわゆる基地の計画的整理統合、返還ということは、これは公約であったはずであります。現時点においてどれだけの基地が縮小されたか、そして将来に向けてその計画はどうなっておるか、それを聞きたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 沖縄における施設区域の整理縮小につきましては、沖縄における米軍施設区域の占める割合の大きい実情にかんがみ、昭和四十八年一月の第十四回日米安全保障協議委員会以来、第十五回、第十六回の同委員会を通じて努力しているところでありますが、現在のところ約二八%の進捗状況でございます。 政府といたしましては、今後とも基地の整理統合について地元の要望等を勘案の上、計画的に返還が実現できるよう努力してまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 それじゃ基地労働者の解雇は、何%解雇されておりますか。
○政府委員(渡邊伊助君) お尋ねの数字、ただいまちょっと手元に資料がございませんので、早速調べてお答え申し上げます。
○喜屋武眞榮君 じゃ、このパーセントをすぐ調べてくださいよ。いいですね。 それでは、このことを聞きたいと思います。基地の整理縮小は復帰十年にして二八%、基地労働者の解雇率は恐らく七〇%を超えておると思うんです。ここから何が生まれたか。いわゆる労働者の解雇ですから失業であります。その失業対策を、労働省、どう受けとめておられますか。
○国務大臣(藤尾正行君) 沖縄の基地労働者の解雇、それに伴います失業問題の発生ということはほかの地域では見られない特異な情勢にある、かように承知をいたしております。したがいまして、私どもといたしましては、そういった基地労働者の失業という問題に対しまして特別の配慮を加えまして、そのそれぞれの方々が十二分に御生活が維持できますような配慮を加えていかなければならぬ、雇用の関係は特段の注意を払っていきたい、かように考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 どうも困難なむずかしい問題は適当にこうすれ違いがあるようでありますが、沖縄の深刻な失業率というのは他県の三倍以上を占めておるでしょう。五三%を占める基地、そして計画的な整理縮小ということは政府の公約であるにもかかわらず十年にしていまだにこういう実態。そして一方的に労働者はどんどん解雇されていく。そこから失業が生まれ、そして雇用問題が重大な問題となってくるわけでありますが、これが沖縄の特殊事情、このことを私はどうしても真剣に取り上げてもらわなければいけない、こういうことを強く申し上げたいのであります。 次に、地籍の明確化も、これも公約でありましたが、現状はどうなっておりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 細かい数字にわたる問題でございますので、政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(美野輪俊三君) お答えいたします。 私ども沖縄開発庁が担当すべき地域といたしましては、二十五・〇九平方キロメートルについて指定をいたしてございます。このうち、昭和五十五年度まで、本年の三月三十一日までにその約七七・六%に当たります十九・四八平方キロメートルの明確化調査を終える見込みでございます。昭和五十六年度におきましては、残りの未調査地域の全域、五・六一平方キロメートルが残っておるわけでございますが、これにつきまして位置・境界明確化調査を実施したいと考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 いまのは基地の外ですか、内ですか。
○政府委員(美野輪俊三君) これは私どもと防衛施設庁で分担をいたしまして調査を実施いたしておりますが、大体私どもで担当することを原則といたしまして、沖縄復帰前に返還された地域につきまして私ども調査を進めておるわけでございます。現在供用中の施設内あるいは復帰後返還された地域につきましては主として防衛施設庁において担当しておる、こういう関係にございます。
○喜屋武眞榮君 防衛施設庁、基地の中はどうなっておりますか。
○政府委員(渡邊伊助君) お答え申し上げます。 米軍基地の地籍明確化の作業の状況でございますが、位置、境界の不明地域が当初約百十七平方キロメートルございました。現在までに明確化された土地は約九十四平方キロメートルで、約八〇%でございます。施設別にちょっと申し上げますと、約三十一施設につきまして国土調査の成果と同一の成果があるものとしてすでに認証を受けております。それからそのほかに認証申請中のものが五施設ございます。 それから、先ほどお尋ねの労務者の解雇率でございますが、六三・五%でございます。
○喜屋武眞榮君 未処理の問題は、いまの明確になっておらない残った問題、残った問題にむしろ困難な問題が残っておるんですが、条件は。これはいつまでに、どのように対処する見通しですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 進捗状況は先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、現在のところ作業はおおむね順調に進んでおりますので、大体明確化作業の法律によりましておおむね五年以内というふうに計画を立てて進めるようにということになっておりまして、いまのところ五カ年以内にすべて明確化できる、そういう見通してございます。
○喜屋武眞榮君 四年前の公約は、三年以内に片づけてみせるということを公言されたはずでありますが、それがいま五年以内にとなったのはどこに問題があったんですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 先生御承知のように、地籍明確化の作業は非常に困難の多い仕事でございまして、復帰当時におきましては公図、公簿もございませんし、大変混乱した状況でございました。戦前からありますわずかな資料に基づき、あるいは航空写真等に基づき、または故老の証言、残された物証その他によりまして鋭意作業を進めてまいったものでございまして、まあ法律の規定によりまして大体おおむね五カ年間の計画を立てて実施するようにということでございまして、私どもなるべく早く処理をいたしたいというふうに考えておりましたけれども、いろいろ困難な問題がございまして、現在のところ、先ほど申しましたように五カ年以内にすべて完了したいという見込みでございます。
○喜屋武眞榮君 残った未解決の問題はパーセントの上からはわずかですけれども、問題の質の深さからするとむしろ残った問題に困難があるということなんですね。 そこで、いままでは自治体で組織をつくってそこで解決してきたが、残された問題は自治体では解決できない面があると私は見ております。そうなった場合に、これはだれが責任を持って解決するということになりますか。
○政府委員(渡邊伊助君) 現在残されたものはわずかにとどまっておるわけでございまして、先生御指摘のように、現在私どもが認証に至るまでの経過におきまして土地所有者に押印を求めなければならないものもございますが、押印を拒否されている方々がございまして、ただ私どもは、土地の位置、境界そのものにつきましては大多数の方方の御了承をいただいておりまして、残る土地につきましては、周りの土地の所有者の御了承は全部いただいておるということでございますので、しかもまだ、それらの土地のある字の区域というのは完全に明確化をされているということからして、その方々に対しまして今後ともいろいろと御協議を申し上げて進めてまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 今後とも努力はしなければなりませんが、努力に努力をしてもどうしても解決できない面が出てくることをぼくは予想しております。そうなった場合に、この問題はどうして起こったか、戦争のためですよ。戦争はだれが起こしたか、国の責任。しかも、籍の明確化はこれは国の責任であるはずであります。国の責任においてやらなければいけないということをぼくは指摘したいんですが、これは最終の段階でありますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま政府委員から答弁をいたしましたように、今後とも最善を尽くして何とか喜屋武さんがおっしゃるようにそういうものが残らないように努力をするというのが現段階の政府の努力でございまして、いまの時点で残るだろう、残ったらどうするかということをいま申し上げる段階ではないだろうと、こう思います。
○喜屋武眞榮君 時間が迫ってまいりましたので、残された問題は次の一般の部でいたしたいと思いますが、最後に、いままでいろいろと質疑を交わしてまいりましたが、私は次のことを申し上げて、最後に総理の所見を求めて終わりたいと思います。 まず第一点は、きょうの順序を振り返って、平和憲法を守る、軍事大国にならないということから、自衛権と称して専守防衛、節度ある質の高い防衛力ということは結局は軍事力によって国を守るということがはっきりした。 第二点は、防衛力の増強、軍事費の増大、これは国を守るためになるかのような答弁が一貫しておったと私は思います。 第三点は、いざ戦争に突入すると国民一人一人の命と財産は軍事力では守れない、これは第二次世界大戦の教訓、沖縄戦の体験からはっきり私は言えると思います。 第四点は、戦争が終わっても戦時中国民がこうむった被害は国は補償できないことが明らかになりつつある。 五点は、戦後処理の問題を執拗に取り上げたのも、戦前、戦中、戦後の歴史を顧みて軍事力では国民は守れないという、国民にはっきり知ってもらいたいと思ったから私はるる繰り返し執拗に申し上げたのであります。 日本の平和は、国際的には平和外交、海外援助等を通じて国際的平和環境をつくり、国内的には経済発展と福祉向上による民生安定に政府が努力することであって——
○委員長(木村睦男君) 喜屋武君、時間が参りました。
○喜屋武眞榮君 増税をしたり、福祉予算を削減したり、防衛費を増額することによっては目的は達せられない。こういう私はいままとめをしたいのでありますが、一言総理の所見を求めて、すべて終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 独立国であるわが日本国には自衛の権利があるわけでございます。私どもが国力にふさわしい、国情にふさわしい平和憲法のもとにおける必要最小限度の防衛力を持つということは、これはいわば抑止力としてのそういうものを持つことでございまして、決して喜屋武さんが心配されるような方向を目指しているものでないということを明確に申し上げておきます。
○委員長(木村睦男君) 以上で喜屋武君の質疑を最後に総括質疑は全部終了いたしました。 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十六分散会