予算委員会 第5号
- 発言数
- 593 件
- 登壇者
- 47 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/03/10
会議録
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び歴史教育者協議会事務局長本多公榮君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) これより矢追秀彦君の総括質疑を行います。矢追君。
○矢追秀彦君 最初に総理にお伺いをいたしますが、昨日も衆議院議長裁定を遵守して各党間で減税問題について話し合いが行われましたが、残念ながら日出民主党側は今回の減税についての立法措置について大変難色を示しておられたと、こういうことを伺っておりますが、私は、こういう点では議長裁定を自由民主党は守る誠意を示していないと、こう思うんですが、まず総理いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昨日、わが党の安倍政調会長と各党の政策担当者の各位の間で、議長裁定の問題、特に議長裁定第二項の問題について話し合いがされたことを私も報告で承知をいたしております。その際に、安倍政調会長は、議長裁定は、裁定のとおり自由民主党としては誠実にこれを実行してまいる考えであるということを繰り返し申し述べると同時に、剰余金等の問題がはっきりいたします時期はおおむね七月ごろになるのではないか。この剰余金が出るのかどうか非常に厳しい情勢であるが、いずれにしても、あの裁定を一〇〇%踏まえて、わが党としては誠意を持ってこれに対処する方針である。こういうことを申し上げたということを、私、報告を受けております。
○矢追秀彦君 大蔵大臣、七月になって初めてそのいまの剰余金が出てきて、それから法律をつくるといったってこれは国会は終わっているじゃないですか。どうするんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何の法律をつくるんでしょうか。その剰余金を二分の一国債整理基金に繰り入れるというのを取りやめるという法律をこしらえると、こういう意味かと思いますが、そういうことなればそれは当然七月になっては間に合わないことなんです。
○矢追秀彦君 ということは、それをやろうとすればできないということですね。できないということですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 議長裁定というのは政府が関与してつくったものではございません。ございませんが、私ども、議長のところへ私も呼ばれまして、終わりましてから、各党の幹事長とか何かに申し渡しをしてから、大蔵大臣に来てもらいたいと議運の委員長が言うものですから、私が議長室に行きました。ところが、こういうように取り決めになったのでひとつよろしくという意味でした。渡されたものは、「予算修正問題については、今後における財政再建の目途並びに財政状況の推移を踏まえ、昭和五十五年度の剰余金(予備費、不用額、自然増収など)によって対応できる場合は、各党関係者で実施について具体的に検討する。」と、こういう内容でございますから、私は承知いたしましたと言って帰ってきたわけです。
○矢追秀彦君 いまのお二人の答弁を聞いても、総理は誠意があると言われますが、特に大蔵大臣、いまの言い方だと、お金がなかったらやりませんと、こういうことですよね。これは私は誠意がないと思うんですよ。もちろんこれから各党間で精力的に詰められますが、私は政府に要望したいのは、いま減税というのは国民的な要求です。大変強い要望がある。何としても議長がせっかく裁定をし、各党間でそれこそ野党も譲歩をしてやっておることについて、私は政府が本気になって財源づくりのために一生懸命やる姿勢を示すべきだと思うんです。いまの答弁を聞いていますと、お金ができたらやります、なかったらやりませんと、こういう感じにとられてもしようがないじゃないですか。 だから、私は、ここで言いたいのは、いま言われた三つ、自然増収あるいは剰余金、予備費、そういったものを少しでもふやす努力を、いまからでも遅くない、やるという決意はありますか。たとえば不用額について節約をやると、こういったことを督励されますか。いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 経費の節約という点についてはかねがね厳しく言っておるところでございまして、予算がついたから皆使わなきゃならぬという筋合いのものではなくて、節約できるものは極力節約してもらいたいということは常に言っておるわけでありますから、一層それは督促をしてでも節約はやってもらいたいということは言っております。
○矢追秀彦君 言っておりますだけではなくて、こういう状態になったわけですから、何としても政府もこの国民的要求にこたえにゃならぬ。だから、この三月、まだあとわずかあるわけですから、少なくも空出張や空超勤なんかは絶対やるなと。とにかく何とかして節約して不用額を少しでもふやそうという努力を政府もやっておると、やっぱりそういう姿勢がなければわれわれが話し合いに応じたってなかなかうまくいかない。さっきのような大蔵大臣の答弁については余りにも誠意がなさ過ぎる——最初の方ですよ——と私は思う。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 議長裁定……
○矢追秀彦君 議長裁定はわかっていますよ。きのうだってはっきり総理は減税と言われているし、現実にきのうは詰めが行われている。しかし、何となく自民党さんの方は誠意が見られない。非常に残念です。だから、私が政府に言いたいのは、これからまた自然増収だって、まだ確定申告まで少し日にちがある。国民の納税意欲を高める、そういう努力も必要だと思うんです。そういうことをやってなおかつ経済状態が非常にむずかしい、そうなればまたわれわれも譲歩する点は十分譲歩することはやぶさかではないわけです。これから政府が本気になって前向きで努力をすると、こういう督励をやっぱり各省に出すべきだと思うんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 議長裁定は、これは最高の権威のあるものでございまして、政府におきましてもこれを尊重しなければならないと、こう考えております。したがいまして、議長裁定の中に述べられた諸条件につきましては、私どもも誠意を持って対応いたします。特に、いまお話がございましたような、できるだけ剰余金等も出るように節約等についても政府各機関において十分努力すべきであるという御指摘、これは当然のことでございまして、私どもは何とかそういう面につきましても努力をしたいと、こう思っております。
○矢追秀彦君 最近の税収の伸びについては、厳しい点は私も承知をしております。しかし、いま国民は、この四年間所得税減税がなかった。特にサラリーマンは大変重税感にあえいでおるわけでして、しかも物価の高騰とのはさみ打ちにも遭っておるわけです。どうしても総理、この所得税減税というものを乏しいお金の中からでも少しでもやるという努力を私が強く要請するのは、もし今回所得税減税ができないとすれば、春闘にも大きな影響が出てくる。私が心配しておるのはそこなんです。昨年は労働側が大変良識ある態度で臨まれましたので円満に妥結をしてまいりました。しかし、ことしは様相が一変しておる。もし政府がそういう誠意を示されないとなれば、よけいこの春闘が厳しいものになる。そうして、へたに混乱すると、それこそ国民の経済に及ぼす影響というのは大変大きなものになる。私はそれを非常に心配しておるんです。そういう意味からも私は本気になってやってもらいたいと、こう総理に要望をしたいわけですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) おっしゃっておる御趣旨、お気持ちは十分私も理解をいたしております。同じような気持ちで対処していきたいと、こう思います。
○矢追秀彦君 次に、私は財政再建についてお伺いをしたいと思いますが、政府は新経済社会七カ年計画、これによって、あの当時は一般消費税を導入をして、そうして赤字国債を六十年度までにゼロにすると、こういう経済社会計画を立てられたわけですが、しかし一般消費税が今日だめになった。しかし、次に新しい間口の広い間接税ということで新型の大型増税、こういったものをもくろんでおるわけですが、いま国民は、先ほども言いましたように、税負担というものに対して非常に苦しい感じを持っておるわけです。ここへまた大型増税ということはなかなか厳しい。 そこで、私がお伺いしたいのは、租税負担率はいままでどういうふうに伸びてきておるのか。これ、大蔵省まずお答えください。
○政府委員(梅澤節男君) ただいまお尋ねの租税負担率でございますが、五十六年度の予算ベースでの見込みが二四・二でございます。さかのぼって申し上げますと、五十年代の安定成長期以降、逐年申し上げますと、五十一年が一九・二、五十二年が一九・三、五十二年が二一・三、五十四年が二二・〇、補正後ベースで二二・九でございます。
○矢追秀彦君 ここでわかるように、五十三年度は一九・九でありましたのが五十六年度では二四・二%と、四年間で租税負担率は四・三%も伸びています。 そこで、経企庁に伺いますが、経済企画庁で出されておる、要するに経済計画で言うところの租税負担率は大蔵省の租税負担率とは違いますね。どこが違いますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 若干違いますが、政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(白井和徳君) お答え申し上げます。 税務統計上の租税負担率と国民経済計算上の租税負担率の違いは、まず日銀納付金、それから中央競馬会の納付金、その他手数料等、それから地方におきます収益事業、これがプラスされておりまして、マイナスといたしましては相続税が控除されております。
○矢追秀彦君 いま言われた国民経済計算ベースで過去の租税負担率の伸びを言ってください。
○政府委員(白井和徳君) お答え申し上げます。 五十年、国民所得に対する比率一八・八、五十一年一九・六、五十二年一九・九、五十三年二〇・五、五十四年二二・四でございます。それから、これは試算でございますが、五十五年が二三・三、五十六年が二四・七と想定しております。
○矢追秀彦君 いまのデータを見ましてもおわかりのように、やはり同じく五十三年から五十六年度の四年間で、国民経済計算ベースでいいましても四・二%も租税負担率が伸びておるわけですね。 そこで、私は新経済社会七カ年計画の最終目標である六十年度、租税負担率を二六・五%にするというのが目標ですね。これは変わりませんですね、経企庁長官。
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりであります。
○矢追秀彦君 そうしますと、この二六・五%の租税負担率へあとわずかです。一・八%の伸びで二六・五が達成できるわけです。したがって、毎年〇・四五ぐらい伸びただけでこの二六・五%は達成するわけです。いままでの伸びから考えても、私は大型新税を入れなくても十分この二六・五%は達成できると、こう私は考えるわけですが、経企庁長官はいかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 租税負担率が五十五年と五十六年度で相当大きく伸びておりますが、これは経済が急速に回復をいたしまして税の自然増収が非常に大幅にふえた、こういう背景からこういう数字が出てきたわけでございます。したがいまして、五十五年度のような経済の活力がずっと維持できる、こういうことでありますならば比較的早く達成することも可能であろうと、こう思います。
○矢追秀彦君 いま経企庁長官、五十五年度を言われましたですけれども、その前の五十四年度をとりましても、いままでの伸びから考えまして、十分、あと一・八で終わりなんですから、仮に一歩引いたとしても、過去四年間で四・二%も伸びているんですから、私は、この五十一年から五十五年にかけての経済というのは、わりあいよく順調に来たと思います。これがいま確かに長官もお認めのように、今後続くならば、十分達成できる。だから、そういう経済運営が仮にできると仮定すれば、大型新税の導入は要らないと、こう理解してよろしいですね。
○国務大臣(河本敏夫君) ここ一両年のような税の自然増収が期待できるような経済運営がずっと続く、経済が活力を維持できる、こういうことでありますと、先ほども申し上げましたように、比較的早く租税負担率二六・五%という目標は達成できるであろうと、こう思います。
○矢追秀彦君 大蔵大臣いかがですか。大蔵省はかなり増税前向き論者ですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省はそんな、税金を別に取りたがっているわけでも何でもないんです。これは、歳出を確保するというためには財源が必要でありまして、その財源の調達方法は、政府の借財と税しかないわけで、しょせん借財は税で返済をしなければならないものである。したがって、本来ならば、当然、政府の歳出というものは国民の税負担によって賄わなければならない。したがって、われわれといたしましては、やはり経済が順調にいって、それで歳出カットも極力やって、それで現行税制のもとで財源確保ができるという見通しがはっきりしておれば、そしてしかも財政再建も計画どおり行われるということであるならば、大型新税も増税も何も要らない。それは当然過ぎるほど当然であります。したがって、経済の維持発展のために、それは省庁一緒になって努力をするということもまた当然のことでございます。
○矢追秀彦君 そうすると、大蔵大臣、仮に来年度を展望した場合、これはもう増税はしなくてもいいということになりますね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 来年度の問題については、現在の情勢から考えるというと、まだ何とも言えないということであります。なるべく私は増税は避けて通りたいという願望を持っておるわけでありますから、税収が自然増収その他の形で予定外に入ってくること、歳出カットがこちらの考えたようにできるということ、そのことはもう一番私の望ましいところでございます。
○矢追秀彦君 ただ私は、ちょっと議論を戻すようになるかもわかりませんが、大蔵省の出された中期財政展望、これには新税は入れておるわけでしょう。考えているわけでしょう。だからそういうことを、先ほどの経企庁長官の答弁から言うと、要するに経済計画の展望どおりいけば、大型新税の導入は要らない、それでも十分達成できる、こういう答弁をいただいておるわけですね。だから今度は、大蔵省の出したこの中期財政展望も、私は増税なしてできると、こう解していいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この展望も、これは増税と書いてあるわけではございま世んで、要するに現在の制度、施策、それをそのままにして後年度負担推計をやるとこうなる、また、現在の経済計画その他から税収を試算するとこうなる、その差額分というのはそこへ載っておるわけでありますから、それは何もストレートにその分は税で埋めるんだという意味じゃなくして、現実にそういうような費用がふえていくとすれば、そのままではこれは困る、だれかが負担しなければならないわけですから、そのふえる理由は何なのか、どこが問題なのか、もっと節約できるところはないのかというところをみんなで検討して、そうして極力五十七年度に向けては歳出のカットということにメスを入れていきたい。その上で、そんなに切っても困るじゃないかという国民の声であるならば、何らかの負担はどこかでしなければならぬ。それはどういうふうな負担をするか、それらについては別にいま決まっておるわけでも何でもないわけで、極力われわれは現行の税制の中でそれらの新しい手段が用いられて、歳出カットができて押さえ込むことができれば、それは一番いい姿だと、そう思って、それにまず努力をしようという考えでございます。
○矢追秀彦君 確かにそれは、中期財政展望には増税とは書いてないでしょう。「要調整額」と書いてあるのですから。しかしこの間まで、あなたがずっと大蔵大臣になられてから一生懸命宣伝してこられたのは増税キャンペーンではなかったですか、ゼロリストを出してみたり。これはそうでしょう。答弁だってそうじゃありませんか。最近になって大分方針が変わってきたのかなあと。結構だと思いますよ、さっきからの答近を聞いておりますと、非常に。私はそれで十分——あといろいろ、大蔵省は相当反論してくると思って質問を考えておりましたけれども、増税しないという方法ならまことに結構ですよ。その点いかがですか。ちょっとニュアンスが違う、経企庁長官とは。どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、するともしないとも言ってないのです。私は極力したくない。極力まずやってみようということを言っておるのであって、問題は最終的には政策判断の問題ですから、そういうような支出増を認めざるを得ないのか、それともカットしてがまんするか、どちらかという政策判断の問題でございますから、それは五十七年度の予算編成のときまでに決めなければならない問題だと、そう思っております。できるだけ増税は避けるように努力をしてまいりたい、こう思っておるわけです。
○矢追秀彦君 しかし私は、要調整額という形で出てきておるかもわかりませんが、これは衆議院の矢野質問でも御承知のように、政府の税収の伸びの見方は大変に低いと、こういうことも指摘をされましたですね。これはもう御存じだと思います。それから歳出も問題があると、こういう議論であったわけですが、私もこの書記長の質問とは同じ考え方に立って、この税収の伸びも低いと、こう言いたいじ、特に弾性値をとりましてもそういうことにはならぬわけです。だから、この要調整額の出し方自身にも私はまだまだ問題があると言いたいが、やはり大蔵省は依然として大蔵省の出しておる税収の伸び、一四・一あるいは一四・五というのがありますが、こういう一四%程度に考えておるのですか、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、財政の中期展望における税収というものは、昭和六十年度、経済展望に示された六十年度の名目GNPと政府経済見通しにおける五十六年度の名目GNPとを結ぶことによって得られた経済成長率、つまり一一・七%、これを用いておる。そうして過去十年間の平均の税収弾性値が一・二でございますから、それを勘案をして各年度約一四%ぐらい伸びるという推算をしておるわけです。五十年代の安定成長期に入りましてからの税収の実績としての伸び率、これはおおむね大体一二から一三なんですね、一二から一三。最高は五十四年度の一四・四というのがあるんです。これはあるんです、一回だけ。しかし、平均すると大体一二、三ということでございますから、私は、一四%を見ているというのは、五十四年度の非常に強い時期だけをとって将来のことを推計するというわけにはなかなかいかない。やっぱり過去十年間ぐらいの平均の税収弾性値というものを見るのが常識じゃないか。うんと低いときもあったし高いときもあったし、低いときをとってもまたおかしい、高いのをとってもおかしい、平均したものをとることの方がこういう場合は常識的な普通なやり方じゃないかと、そう見ておりますから、一四・四%ずつ伸びるという見通しはかなりきつ目だと。野党の中でもこんなに強く見て困るじゃないかという議論もあるんですよ。しかし、皆さんのようにこれじゃ足らぬという御議論もあるんですよ。政府はちょうどその中間なんですね、これ大体。これは結果的にそういうふうなことであって、議論のいろいろあるところですが、政府はそういうような前提で計算をいたしておりますということを申し上げておきます。
○矢追秀彦君 低過ぎるとか高過ぎる、高くしたいとか低くしたいと言っているんじゃなくて、私は政府の見通しが低いという、いま言われましたね、弾性値一・二。大蔵大臣は十年で平均をとるべきだと、こういう考えですね。私は違うんです。少なくも一番経済が、理想的とはいかなくても、まずまずいい時期をとるべきじゃないか。そうなりますと、五十五年度と五十六年度は一・五一ですね。仮にですよ、仮に少し譲って五年間をとったとしても、五十一年から五十六年では弾性値は一・三五になるんです。これでも高いんです、政府よりも。十年やりますと、五十年のマイナスのときも入ってくるんですよ。これからの経済七カ年計画、また大蔵省が展望しておる中期財政展望では、そんなマイナス成長があるなんということは考えてないでしょう。まあまあ理想的にやっていこうという線にあるわけですから、そうなるとそういうマイナスが入ったりいろいろ、特にオイルショック以降の大変厳しい時代も含めたような十年間の平均の弾性値一・二というのは私は承服できない。むしろ五十一年から五十六年の一・三五、できれば五十五、五十六の一・五一、これをとるべきです。これをとりますと、税収の伸びは一・五一とすると一七・六六、それから一・三五をとりましても一五・七九と政府よりも二%近く高くなる。政府は中間だ、中間だと言われますけれども、私はこちらの方が説得力のある、弾性値の値としては妥当であると私は申し上げたいんですが、それでも大蔵大臣、十年にこだわりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはかなり専門的な話なんですが、私の方は弾性値の問題よりもやっぱり現実に伸びる税額そのものね、税額そのものが使えるわけだから、したがってそれがGNPに対してどれぐらい税額で伸びているかということで、たとえば五十一年から五十四年の四年間の年平均の税収の伸び率というのは一二・三なんですよ。近い期間をとっても、五十二年から五十六年の五年間については大体一二・五というようでございましてね、決してそんなに低い数字だけをねらい撃ちしてとっているわけでも何でもないんです。したがって、一四ということは、過去十年間見たって平均一二、三というところが税収全体の伸び率なんだから、それを一四に見ているということは、かなり強目な見方だと私は思っているんです。私は決して不当なものでないし、むしろどちらかと言えば、もう少し安全性を見た方がいいんじゃないかなという気もするんですがね。しかし、この際は強気でいこうということなものですから、強気で一四ということになっているわけです。
○矢追秀彦君 それは違うんですよ。少なくしておいて、増税したいから少なくしていると、それしかないんですよ。というのは、確かに大蔵省の計算の基礎というのは私も知っていますよ。これはわかっていますよ、一四・二になるその計算の根拠というのは。しかし、いま大蔵大臣言われたでしょう、弾性値十年と私の言う弾性値五年あるいは五十五年と五十六年をとった弾性値と、どっちが説得力あるかと言ったら、逃げちゃったじゃないですか。どう書いてありますか、中期財政展望には。「税収」のところにこう書いてありますよ、「税収の弾性値等を勘案し」と書いてあるんですから。弾性値が一番先に出ているじゃないですか。私は十年間の一・二を否定しているんじゃないんですから。確かに一・二なんです。ただ、これからの経済の運営がスムーズにいくなら、過去の少なくも五年間、安定したときをとるべきだし、しかも五十五年、五十六年でいけば一・五一、これはあなた高いというなら私はおろしましょう。だから、一・三五で一五・七九になるわけですから、これでも政府よりは高いわけです。私の言っていることは矛盾ですか。それでもなおかつあなたの計算は高過ぎると。いかがですか。弾性値でやっているんだ、弾性値で。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやや水かけ論的なところになるんですよ、実際は。われわれは十年間ぐらいの平均をとった方が安定性があるということで言っておるわけでございますから、政府だって増税を国民に求めるなんということは大変な決断を要することであって、これは極力そういうことはしたくないんです、だれだって。必要があるから、必要やむを得ざるものについてはそれはもう国民に負担をお願いするということがあるわけです。今後の問題について、仮にですね、こういうふうに見積もっておっても、先生のおっしゃるように税金が順調に入ってくるということになれば、それはそんなに、何といいますか、要調整額ももちろん必要ないわけですから、現実の姿としてそういうものが入ってくれば、それは一番結構なことであって、われわれはぜひそうなってもらいたいというのがこれは本心ですよ。ですから、もうちょっと見てみればわかることであって、来年、再来年をいますぐ税金をとる構え、そうじゃなくて、そういうような、もう矢追委員のようなことになることの方がむしろ望ましい、私は願っているわけです。ぜひそうなってもらいたいと思っている。
○矢追秀彦君 大臣、まだ十年の一・二にこだわっておられますが、私は何度も言うように、この十年とりますと、途中に大変厳しい時代のが入っている、落ち込んでいる時代も入っているんですから。少ないぐらいじゃないですよ、マイナスが入っているんですかうね。だから、私は近い時代、あるいはいま何だかんだ言いながら、五十五年度から五十六年度はまあまあむちゃくちゃな悪い経済ではなかった。だから、この辺を少なくも五年間ぐらいとった方がいいんじゃないかという考えです。これは水かけ論でしょう。判断は国民が判定すると思います、(「水かけ論じゃない、正当だ」と呼ぶ者あり)いま正当という声がありますから。 それで、次に伺いますが、私は政府に一つ聞きたいのは、この税収の伸びの中にグリーンカードによる増収というのは入っておりませんね。
○政府委員(梅澤節男君) 中期展望の税収計算につきましてはただいま大臣から御答弁があったとおりでございまして、マクロ的な弾性値を用いて数字をはじいておるわけでございまして、五十九年以降、総合課税になりました場合にどういう増収効果があるかという積み上げ的な要素は入れておりません。
○矢追秀彦君 このグリーンカードによる増収というのも、私はやっぱり考えていかにゃいかぬと思いますね。そういうのもあるんですから、私は政府の、まあこれ幾らあるかわかりません、私も計算できておりません。実際隠しておるやつばかりですからなかなか出てこない。しかしながらある程度いくんじゃないかと思います。また、そうしなければ不公平税制の是正にはならないわけですから。そういう意味でそういうのも入れてくると、私はやっぱり先ほどから言っているように、政府の増収の伸びは見積もりが低過ぎる。だから、何回も言っているように、今後の大型新税導入なくして書もちろん経済が安定的に成長しなきゃいけませんが、財政再建は可能だ。だから私は増税キャンペーンをおろしなさいと、こう言っておるわけです。 そこで、このグリーンカードなんですが、これきちんとやられますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法律で決まっておることでございますから、法律どおりにやりたいと考えております。
○矢追秀彦君 いま本屋さんへ行きますと、グリーンカードに関する本が十何種類、私はたしか、雑誌を入れますともう二十冊以上ぐらいあるんじゃないかと思っています、詳しく調べておりませんけれども。いかにしてこのグリーンカードに対応するかという本がめちゃくちゃ出ているわけです。その中には、金を買えばいいとか、外国へ投資すればいいとか、あるいは土地を買えばいいとか、いろんなことが書いてあるわけです。非常に混乱しているわけですね。だから、これは何のためにつくられたのか、私がいま言った不公平税制の是正です。それから、また郵貯の方へこれでだっと流れる。日本人というのは大変反応の早い民族です。何かあるとわっと動く。そういうことで郵貯の問題も出てきているわけですね。だから、きちんと早く、この五十九年一月から実施されるグリーンカードについて国民が安心できるように、納得のできるようにきちんとしなきゃいかぬと思うんですが、いまのいろんな動き、どう思われますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常にまだ理解が足りないという点もありまして、やはり本当の真意がわからないというところからそういう不安があるんじゃないか。しかし、あれは御承知のとおり、いま委員のおっしゃったような目的でつくられたものですから、一般の正常な申告をなさっている方には余り問題のない話なんです、実際は。ですから、そういうところで不安を覚えないようなことをやはりキャンペーンはする必要があると思っております。
○矢追秀彦君 私、誤解してもらっちゃ困りますよ。国民の不安というのは——何かまたうまい方法があって、金を持っている人はそんなことばかり考えている。まじめに一生懸命働いているサラリーマンというのは、そんな、マル優全部使ったって、財形貯蓄入れたって千二百万しか定期預金はできないんですから。そんな貯蓄やる人はごくまれです。やっぱりお金持ちの方なんですから。その点の不公平感を取り除く、これ、私の言っている主張の第一です。 それからもう一つ、私は、大体大臣は、大型消費税あるいは大型新税はもう看板おろされかけておると、こういうふうに思っておりますので、ちょっと追加して申し上げますけれども、これは経企庁にお伺いしたいんですが、間接税を導入した場合GNPがどうなるかという計算をされておりますね、経企庁で。これ説明してください。
○政府委員(白井和徳君) 新経済社会七カ年計画におきましては、御承知のように、経済フレームにつきまして、中期多部門モデルを用いて整合性を持った姿を描いております。その際、このモデルにおける間接税につきましては、経済活動別の生産額にそれぞれの間接税率を乗じて算出しておるわけでございまして、全体といたしまして直間比率、国民経済計算ベースで六対四という推計になっております。
○矢追秀彦君 そんなこと聞いているんじゃないですよ。 じゃ、こっちから言いますよ。五十二年五月に経済審議会計量委員会、これで第五次報告が出ています。それから昨年の九月に第六次の報告が出ています。これの中に、産業別に間接税率を〇・一%引き上げるとGNPがマイナスになるというのが出ているわけです。これを言っているんです。答えてください。
○政府委員(白井和徳君) お答え申し上げます。 御指摘のように、間接税率を上げた場合にはそれによって物価が上がりますので、デフレ効果が働きまして成長率は下がるということになります。
○矢追秀彦君 数字を示してください。
○政府委員(白井和徳君) 中期多部門モデルは、御承知のように全体として約千三百本の方程式によって算定されておりますので、その一部をとりまして云々することはできないと、こう考えております。
○矢追秀彦君 経企庁長官ね、ごまかしちゃいかぬですよ。それは確かにこういう複雑な数字です。長官ごらんになったことありますか。私はきのう通告できちんと言ってありますよ、この書類は、この報告書は。これ質問するということはいかがですか。知らないの。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、一般論として申し上げまして、仮に一般消費税にかわるような大型の間接税が導入されるということになりますと、それはもう当然経済には相当な影響が出てくるであろうと、こう思います。
○矢追秀彦君 まあひとつ長官も、ちょっとこれ勉強してくださいよね、まじめに。この数字。 私がこれをもとにいたしまして、大体各四半期ごとの周期にとってありますので大体計算をしてみましたら、第五次の場合でいきますと、初年度に三千六百億円GNPがダウンします。二年度には一兆円、その次は四千八百億円。五次のときには政府バランスというのが書いてありました。これでいきましても、二年度で九百二十一億円の収支バランスが狂ってくる。マイナスになる。あるいは三年度には百七十一億円出てくる。第六次の報告をとりましても、このときは政府バランスがどういうわけか消えてなくなっております。新しい計量モデルに変わっております。これでいきますと、初年度がGNPが六千三百八十二億円、二年度が八千五百九十億円、三年度が八千七十三億円と、大変な、〇・一%間接税を引き上げただけでこれだけのGNPのマイナスがあると、こういうデータをおたくの方の委員会で出されているわけですね。 だから私は、先ほど申し上げたように、大臣も理想的な姿でいけばちゃんと達成できる、その場合は増税は要らないと、こうおっしゃっているんですから、こういうことをやればよけいマイナスになるわけです。韓国においても付加価値税を導入したことによってスタグフレーションになっております。また、イギリスにおいても経済に大変な厳しい影響が出ておる、これは御承知と思います。したがって、私は、こういう上からも、こういった間接税を主体にした大型新増税も反対をしたい、こう思うんですが、経企庁長官いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、先ほど経済の活力を維持、拡大することが可能であれば二六・四%という税負担率は比較的早く達成できるということを申し上げましたが、ただ、経済が活力を失いますと、それは不可能になることは当然でございまして、たとえば過去の例をとりましても、昭和五十一年から五十二年まではほとんど伸びてない、こういう年もあるわけであります。でありますから、この一番の問題点は、やはり大規模な税の自然増収が期待できるような経済運営をすることによりまして経済の活力を持続すると、それが可能であるという、その前提条件があると、こういうことだと思います。
○矢追秀彦君 総理、いままでの議論を聞いておいて、今後の経済財政運営に対して総理の決意をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府の当面の政策の最重要課題、これは何としても財政を再建をいたしまして、六十年から償還が始まります特例公債、この特例公債依存の体質を脱却をしたいというところにございます。五十六年度予算の編成に当たりましても、皆さんの御協力を得て、ぜひ予算原案に盛っておりますように、特例公債だけでもその発行額を二兆円減額したい、今後も引き続きそれを達成していきたいと、こう思っておりますが、これを行いますに当たりまして、歳出の面につきましても相当思い切った見直しをやりました。また、歳入の面におきましても、現行税制の枠内ではございましたけれども、一兆四千億に近い御負担を国民の皆さんにお願いをしたと、こういう結果でございますが、私は、五十七年度以降の引き続いての財政再建努力をいたします場合におきまして、五十六年度にこれだけの御負担を願っておるわけでございますから、五十七年度はさらに一層行財政の思い切った削減、合理化、高度経済成長時代に肥大化してまいりましたところのわが国の行財政、これに思い切ったメスを入れて、そして体質の改善、合理化を図っていきたい。それをこの財政再建の基本的な第一の課題に据えたい、このように考えております。 ところが、この財政の歳出の面におきまして、法律によりまして出ております補助金等が、御承知のように八〇%にも及んでおるということでございまして、これを達成いたしますためには、どうしても国会の特段の御理解、御協力をいただか広ければならないわけでございます。今後におきまして、政府としてはそういう方針で進んでまいりたいと思いますので、今後も各党、各会派の皆さんにも御理解、御協力をお願い申し上げたいと、こう存じます。 したがって、矢追さんが先ほど来おっしゃっておりますように、大型新税、一般消費税のような大型新税等を安易に導入するなどということは、私はこれは極力避けていかなければならない。われわれが努力すべき第一の問題は、歳出の思い切った縮減、合理化にある、こういうことを申し上げておきたいのであります。
○矢追秀彦君 次に、国債の消化、管理について少しお伺いをしたいと思います。 五十六年度末の国債残高は八十兆円を超えますし、六十年度には百兆円を超える大変な国債を抱えるわけですが、四十年代の国債については、日銀の集中買いオペで大体何とかなっておったわけですが、現在はその機能ができなくなってきた。したがって、国債整理基金特別会計とかあるいは資金運用部資金、そういった政府資金によって市中の対策がやられているわけですが、これが国債管理政策のかなり大きな要素になってきておるわけです。これについていろいろデータ等も出ておりますが、私はこの国債管理が現在大変困難な時代に入っておると見たいわけです。 というのは、現在の日本を取り巻く経済、一つは外人投資の動きがあります。それからアメリカの公定歩合、金利、それから日本の金利、さらにそれと、いわゆる既発国債の市場金利、それから円レート、こういったものを私はグラフにしたわけですが、ちょっと大蔵大臣見ていただきたいと思います。(資料を手渡す)このグラフをごらんになっておわかりのように、アメリカの公定歩合の動きによって大変大きな影響を及ぼしている。また、外人のいわゆる投資、こういったものがその辺と絡みながら非常に大きなぶれをしておる。しかも、国債の利回りもそれによって変動しておる。具体的に言うと時間がありませんので、後よくこのグラフを見ておいていただきたいんですが、要するに私の言いたいところは、海外要因によってかなり揺さぶられてきておると、こういう現実はお認めになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまのところ、揺さぶられるというほどではないが、ウエートが増してきているということは事実だろうと思います。
○矢追秀彦君 そうしますと、国内だけの市場を見て、整理基金やあるいは資金運用部で市中対策をやっていこうと、こういうことが効かなくなるおそれはありませんか。
○政府委員(渡辺喜一君) 国債の市況は、これは国債というのは市場の商品でございますので、最終的には市場の需給で決まるわけでございます。その需給の要因といたしまして、売り手、買い手というのがあるわけでございますが、従来、売り手というのは大体大銀行等の金融機関、買い手の方は農林系統の金融機関でございますとか、あるいは余裕資金を持っておる中小金融機関でございますとか、さらには個人等いろいろあるわけでございますが、その中に、外国の資金というものも、だんだん経済の国際化に伴いまして、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、ウエートを増してきておるわけでございます。そういう意味で、外国の要因というものがわが国の市況に及ぼす影響というのはかなり大きくなってきておるということは事実でございます。昨今、特に去年の秋口から、主たる買い手でございました農林系統の金融機関でございますとか、中小金融機関等々の買い方というものがかなり細ってまいっておりまして、その意味でも相対的に外国の資金のウエートが上がってきておるということは事実でございます。 ただ、最初に私申し上げましたように、そういう要因というものはすべて市場に集約されて、市況という形で出てきておるわけでございますので、私どもはそういうものも十分考慮に入れながら市況の動きというものに配慮をしておるということでございます。
○矢追秀彦君 いま、理財局長はただ市況がそうだというだけをおっしゃっているんで、私の質問はそうじゃないんです。要するに、いろいろ政府が手を加えていますね。本当に市場の実勢どおり動いていればそれはいいですけれども、御承知のように、金利は自由化されていない。だからどうしても売れないものは残ってくるわけです。それを政府で抱えているわけでしょう。それがこういう非常な揺さぶりの中で、またしかも、その資金もなかなか余裕のない中でうまくできますかと聞いているわけです。どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはなかなかうまくいかないんですよ。したがって、最良の策というのはもう国債を減らす以外にないんです。国債の出過ぎですから。ですから私は、これが今後の日本経済や金融政策上の非常なネックになっていることは事実なんです。したがって、政府の借財である国債の量というものを極力減らしていく、これが根本問題。それができないから、いろいろあなたのおっしゃったような整理基金で一時引き受けたり運用部で引き受けたり、いろいろそれはやっていますよ。やっているけれども、これは国債の出過ぎが原因だということで、今後とも、したがって財政再建のためには国債を減らしていくというところに最重点を置いている理由はそこにあるわけです。
○矢追秀彦君 それは国債がたくさん出ているからこういう状況であるということは私も理解をします。いま大蔵大臣は、だから国債を減らさなきゃいかぬと、これはこれからの話ですね。特に赤字国債は十年先ですから。私がいま議論しているのはストックの問題です。フローじゃないんです。いまある国債、これの管理、消化をどうするのかと。ちょっと、すりかえちゃいけませんよ。非常にむずかしいんでしょう。だから減らさなきゃいかぬ。だからすぐにあなたは増税と、こうくるんだけれども、そうじゃなくて、いまたくさんあるもの、このストックの、これは大変なんですよ。私は苦慮されていることもよくわかりますが、これを私はもう少しまた改めて委員会等では詳しく詰めてみたいと思いますが、一つは、明らかにされていない、資金の問題も。私は予算委員会で国債整理基金特別会計の余裕金について質問をいたして、ようやく政府は五十四年度から予算書に資料をつけていただいた。これは高く評価します。しかし、まだ私はもっと詳しく知りたいのです。その余裕金がどうなのか。それから資金運用部資金の余裕金、昔は余裕金と言っておりましたが、最近は何も書いてない、政府の資料には。この余裕金がどれだけあってどうなっているのか、さらに日銀との関係、資金運用部と日銀の国債の売買、こういったものの実態はちっとも明らかになっていないんです。だから、いろいろ大変だ、大変だと言っておやりになっていることはわかりますが、そういう実態が国民の日の前には明らかになっていない。こういった点をきちんと私はしていただきたいというのが一つ。 それから、先ほども少し触れましたが、やはり金利自由化まで持っていかないといけないと思うんですね。この点についてどう考えるか、これをまず大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実態については決して隠しているわけじゃありませんが、非常に専門的テクニックを要する問題でございますので、一般国民に理解しがたいということは事実だと私は思います。 それから金利自由化の問題は、これは非常にメリット、デメリット両方ございまして、現在、政府としては金利自由化というところまではとても、日本の金融機関の現在の状態では騒動、騒ぎの方が大きくなるんじゃないかというような点で、弱い者はまいってしまいますから、したがって、いまのところ金利自由化ということは考えておりません。
○矢追秀彦君 国民にわかりにくいから出さないんだと言われましたが、そういうことを言うと国民は怒りますよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、出さないとは……
○矢追秀彦君 いま言ったじゃないですか、国民にわかりにくいからと。国会にも出さぬじゃないですか。じゃ、国民がもしわからないと仮にすれば……。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいろいろできるだけ、出ているはずですから理財局長から説明させます。
○政府委員(渡辺喜一君) 国債整理基金あるいは資金運用部におきます国債の取引につきましては、それぞれの時点の残高、あるいは取引ごとの金額等々は予算委員会に御提出申し上げておるわけでございます。
○矢追秀彦君 余裕金、資金運用部資金の余裕金ね。昭和三十九年ごろ余裕金と言っていたでしょう。
○政府委員(渡辺喜一君) 資金運用部資金の資産内容につきましては、毎月末、月報という形でこれは公表をいたしております。したがいまして、その中に長期国債の保有が幾ら、短期国債の保有が幾ら、貸付債券が幾らというふうな内容は毎月末現在で発表をいたしておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いや、私聞いているのはそうじゃなくて、余裕金なんですよね。昭和三十九年のこの「財政金融統計月報」では余裕金とちゃんと書いてあったのが、いまはこれ出てないですよね。支出計と収支じりとは書いてありますけれども、余裕金という形は出てこない。だから、私は全部計算し直したんです。それを出してくださいと言っているのです。わからなかったらよく説明しますけれども、時間がありませんから。
○政府委員(渡辺喜一君) おっしゃいますような過去の余裕金というものはどういうものであるかちょっと調べたいと思いますが、余裕金といいますのは、結局資金運用部に入ってきます金とそれから出ていきます金との時期的なずれ、入る方は大体毎月平均して郵貯等でございますので入ってくるわけでございますが、出る方はかなり季節的に偏っておるわけでございます。大口で出ますのが大体年度当初の四月、五月、それから後は年度末に近づいて大量に出ていくというふうなことになりますので、その間、資金が一時的に滞留するということになるわけでございまして、それは短期国債を主にいたしましてもろもろの短期の運用で持っておる、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、月報の毎月末の残高表におきましては、たとえば短期国債でございますとかそういうふうなところにその滞留資金が出ておる、こういうことで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○矢追秀彦君 それはわかっているんですよ。だから、私がいま言っているのは、余裕金といいますか、融資残高と言ってもいいと思いますが、そのお金がいろいろ使われている。しかもそれが減ってきております、いま。そういうことでいろいろ問題があるので、たとえば五十三年度までふえておって七兆円あったのが五十四年度には二兆円台に落ちておる、私が計算したら出ておるわけです。これは何でこうなったのかというと、引き受けでやったわけでしょう、国債の。だから、これは明らかにしてもらいたいというのです。 日銀総裁お見えになったので、日銀総裁ひとつ。 すでに資料はお渡しして、ごらんになったかと思いますが、先ほどちょっと質問しておりました要するに日本の国債の市場というものが大変海外要因によって動いておる。外人の投資、米国の公定歩合、特に米国の金利が大変な影響を及ぼしておる。そこへ日本の金利、こういったものをグラフにとりますと、大変海外によって揺さぶられておる。こういう印象を受けるわけですが、総裁はどうお考えですか。
○参考人(前川春雄君) 海外の金利水準は、海外諸国のインフレ傾向を映しまして大体高金利状態が続いておるわけでございます。そういう事態で、日本の国内の金利水準との間で若干いまいわゆる内外金利差というものが生じておるわけでございまして、そういうふうに海外の金利が高いと、日本の海外からの資本流入というものがどうしても影響を受けるということはあるわけでございます。ことにアメリカの金利は昨年非常に大きく変動いたしまして乱高下いたしましたけれども、水準といたしましてはやはり短期の金利は一八、九%、長期の金利も一二、三%ということでございまするので、日本の国内の金利水準との差から申しますると、どうしても海外から日本の国内へ入ってくる金がそれだけ少なくなる、そういう傾向を持つわけでございます。したがいまして、日本の国内の長期金利というものの水準もそれによってある程度の影響を受けるわけでございまするが、しかし基本的には、そういう海外の影響ばかりでなしに、国内で債券の需給関係が非常にバランスがとれていない、供給超過であるということから、利回りあるいはそのときどきの金融情勢の変化に応じまして長期債の利回りも大きく影響を受けるということが現状でございます。
○矢追秀彦君 先ほど大蔵大臣に聞きました金利の自由化の問題については日銀総裁はどうお考えですか。
○参考人(前川春雄君) 金融市場の将来の円滑な発展というものを期待する上におきましては、やはり金利は次第に自由化されていくべきものだというふうに思っております。ただ、なかなか一挙にまいりません。私どもも金利の自由化につきましては、短期の金利を主としてかなり自由化をやってきたつもりでございます。短期の金融市場の金利につきましては、最近はほとんど自由化されておる、手形レートあるいはコールレート、現先のレート、CDのレート、そういうものは自由化されてまいりまして、そういう金利との間の裁定取引というものもかなり自由に行われるというふうになってまいりました。さらに進んで金利の自由化をどういうふうに進めていくかということは、預金金利の自由化をどこまでやれるかということにかかってまいりまするので、この辺はそう簡単にまいりません。しかし将来の姿といたしましては、やはり金利の自由化というものは進めていくべきものであろうというふうに考えております。
○矢追秀彦君 国債管理については、また大蔵大臣とは大蔵委員会で改めて議論をしたいと思います。 時間の関係でこれで終わりますが、総理に、先ほども大蔵大臣も言っておりましたし、私がグラフで指摘したごとく、非常にオイルダラーを初めとしていわゆる外国のマネーというものが日本の経済を揺さぶりつつある。いまのところはまだ、確かに言われるとおり大きなものにはなっておりませんが、現在の日米経済摩擦あるいはECの日本に対する攻撃、こういった貿易に見られる日本経済に対する私はこれは挑戦のような感じを受けております。安い車がたくさん売れるのはあたりまえの話でして、それを保護貿易の形でやってくるというのは私は遺憾です。米国だって、じゃアメリカの地金が日本にどんどん入ってきている、そのことはたなに上げておいて、日本の車が安くていいから売れるというのはけしからぬ、法律をつくる——きょうのニュースでやっておりましたアメリカの上院における公聴会では大変な議論が出ておる、めちゃくちゃな議論が出ておる。そういうように日本経済に対していろいろそういう面でも来ている。また、今度は貿易面だけではなくて、こういった金融面でも、もし日本をねらい撃ちしてきた場合は大変なことになると私は非常に心配をしているわけです。そういう動きが出ないためにも、やはり国内における経済運営、特に金融の運営というものをきちんとしなければいかぬと、こう私は思うわけでして、それに対して総理はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま矢追さんから二点につきましてお尋ね、また御意見の開陳がございました。それは日米通商摩擦、自動車の問題を取り上げての御所見でございましたが、この自動車の問題は、基本的には私は第一次、第二次石油危機に対応するアメリカの自動車企業の対応がおくれた、合理化努力が十分でなかったと、こういうことが基本的にあると思います。しかし、日米の貿易通商というのは世界経済の中でも大きなウエートを持っておるわけでございますから、現実にアメリカの自動車企業が経営が非常に困難な事態に陥り、また失業も増大をしておる、こういうような状況につきましてはわが方としても十分な理解をし、また日本としてこれに対して協力できる分野におきましては協力をしていくと、そして日米の貿易通商が今後におきましても円滑に、安定的に私は進んでいくということが必要である、保護貿易主義の台頭というようなことは極力これを避けるようにしなければならないと、このように基本的に考えております。 なお、金利等の問題を十分慎重にして、そして外資の流入、流出、そういう外資の資金の流れというものが日本経済、日本の金融にも大きな影響をもたらすことであるから、そういう点についても経済運営等に十分慎重な配慮をし、また特に金融の問題については十分注意深く慎重に対処していくべきであるという御所見、私は全くそのとおりだと、こう考えております。
○委員長(木村睦男君) 前川参考人には、御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
○矢追秀彦君 次に地震対策に移りますが、大規模地震対策特別措置法に基づいて専門委員会の報告書が出ておりますが、その概要を説明してください。
○国務大臣(原健三郎君) まず第一に、東海地震に備えて、一昨年静岡県を中心として六県百七十市町村に対して地震対策強化地域を指定いたしました。そして、国及び関係機関が地震防災計画の策定などにとりかかって、地震予知、防災に結びつけるための体制づくり及び施設整備に鋭意努めておるところであります。 それで、首都圏においても、中央防災会議で決定された大都市震災対策推進要綱に基づいて、避難地あるいは避難路の整備、第二には、建築物の耐震不燃化の推進あるいは情報収集、伝達体制の整備、震災対策に関する研究開発等を推進しているところであります。首都圏の重要性にかんがみ、今後とも震災対策の充実強化に努めていきたいと考えております。 ことに公明党が地震対策に非常に関心を持ってやられておることは、深く敬意を表しておるところであります。
○矢追秀彦君 敬意を表していただくのはありがたいんですが、敬意を表する前に政府のいろんな問題点を指摘をしたいと思います。 いまの私が言いました報告書ですね、五十四年五月十二日、この第七項目目には検討事項がございますが、これはどうなっておりますか。
○政府委員(柴田啓次君) お答えいたします。 先生のおっしゃる報告書の第七項というのは、時の強化地域の指定に際しまして、震度六以上の地震動を受ける区域を指定したわけでございますが、そのほかに、東海地震が発生いたしました場合に、いわゆる長周期の地震波、あるいは自然斜面のかけ崩れ、あるいは地盤の液状化等によりまして著しい地震災害をこうむる地域があると考えられるので、それについては引き続き検討すると、こういうことでございます。これにつきましては、その後すぐ専門委員会をつくりまして、小林啓美さんという方を座長にいたしまして毎月一回ずつ勉強会をしている、こういう状況でございます。
○矢追秀彦君 液状化について説明をしていただきたいんです。震度幾らになるとなるのか、その点いかがですか。
○政府委員(柴田啓次君) 地盤の液状化というのは非常にむずかしい問題でございまして、新潟地震等においてこれが起きたわけでございます。この地盤の液状化が起きる要素といたしましては、一つには地震動がどれくらいのガルで、どれくらいの強さで来るかという問題と、もう一つは地質の問題、それらが密接に絡み合っているわけでございます。したがいまして、相当の地震動がありましても地質が岩盤等でありまして非常に強い場合は液状化というものは起きません。逆に、ある程度の地震動でありましても地質が非常に水分が多いとか、そういうような状況でありますというと地耐力がなくなって液状化が起きると、こういうふうに御承知いただきたいと思います。
○矢追秀彦君 液状化が起こりますと、震度五のものが震度六になりますか。
○政府委員(柴田啓次君) 震度というのは、いわばガルとそれから人体に感ずる揺れあるいは建物に感ずる揺れでございます。通常の地盤の場合には、震度五に相当する被害が発生しない場合でありましても、液状化現象が起こるということによりまして震度六あるいは震度七という被害が発生するおそれがある場合はございます。
○矢追秀彦君 いま言われたのでいきますと、愛知県に例をとりますと、東海大地震が起こりますと震度六ですね。したがって、愛知県では一部強化地域に指定をされておりますが、それ以外で震度五のところで、またそれ以下のところで液状化を起こす地域というのを県としては指定をしておりますけれども、これについては御承知ですか。
○政府委員(柴田啓次君) 愛知県は新城市だけが震度六以上の地震動を生ずるおそれがあるということで強化地域に指定をしているわけでございます。いまお話のございましたように、一般的にはその他の地域におきましては震度五でございますけれども、非常に地質の悪いところにおきましてはそれ以上の被害が生ずるおそれがあるという場合があるわけでございまして、こういうものにつきましては地域防災計画においてそれぞれ警戒の体制をとっておると、こういう仕組みに相なっております。
○矢追秀彦君 (資料を手渡す)原文はカラーなんですが、これ国土庁長官、ここに足印が入っておるのが液状化を起こす地域です。だからいまの御答弁だと、震度六にはなっていなくても震度五はあるわけですから、震度五のところでも液状化を起こすところがいっぱいある。そうすると震度六になるんですから、強化地域に指定しなければならぬと私は思うんですが、長官はどうですか。
○政府委員(柴田啓次君) 長官のお答えになります前に、技術的な問題にかかわりますので私からお答えさせていただきますが、これにつきましては先ほども申し上げましたように、専門委員会において地盤の状況あるいはそこに東海地震が起きました場合に震度が地震動としてどれくらいの強さのガルのものが伝わるかというようなことでいま検討をしている最中でございます。
○矢追秀彦君 検討でなくて、愛知県ではちゃんと出しているでしょう。いまおっしゃったガルでちゃんと出ているんです。震度五とガルの関係もちゃんと出ているんですから、震度五のところで液状化を起こすところはこれいっぱい、県でちゃんとやっているんですから、長官、それでも検討中検討中でいくんですか。液状化の方が危ないんですよ。新潟地震ではちゃんと例があるんです。県は一生懸命やっているのに国が検討中で逃げていていいんですか。きょう起こったらどうするんですか。
○国務大臣(原健三郎君) 中央におきましては、中央防災会議の専門委員会においてそういういわゆる強化地域の周辺の地域で地盤の液状化が想定される場所を調査、検討いたしております。それで、それが一番権威のあるものと私ども思っておりますので、それが遠からず出るであろうと思いますから、急いでこれを促進して一日も早く結果が出るようにいたしたい、そしてその結果に従うてやりたい、こう思っております。
○矢追秀彦君 大臣わかってないんですよね。逃げちゃだめですよ。あなた、どう思いますか。あなた、検討を待って、検討を……。あなた大臣ですから偉いんですよ、あなたは。 液状化が起こる地域ですから、震度六と同じことが起こるんですよ。それでもできないんですか。理由は何ですか、早くできない理由は。
○政府委員(柴田啓次君) 少し技術的に補足をさせていただきますと、液状化が起きるかどうかというのは、それぞれの地域についてボーリング資料その他によりまして細かく地質を調べなければならないわけでございます。したがいまして、地質図の大まかなものによりまして塗り分けをいたしまして、それで液状化が起きるという断定を下すのにはちょっと疑問が残るわけでございます。特に地震防災強化地域にいたしますというと、地震防災上必要な対策をとりますと同時に、地震の発生のおそれのある場合には警戒宣言を出していろいろな権利の規制等も行わなければならない。そういうようなこともございますので、強化地域の指定に当たりましては専門委員会において細かく検討する必要がある、そういうことで時間がかかっているわけでございます。
○矢追秀彦君 しかし、県ではすでにやっておるんですから、このとおりやっていただきたいと思います。 それから、まだそのほかに急傾斜地の危険区域も指定地域外にいっぱいあります。これは幾らありますか。把握していますか。
○政府委員(柴田啓次君) 急傾斜地域というのは、全国的に見ますというと、六万とかそういうような単位でがけ崩れの危険な地域があるわけでございます。ただ、この自然斜面の地すべりというのも、いろいろな地震動の関係で、同じような斜面でありましても起こる場合もあれば起こらない場合もある。そういうようなこともございまして、これについてスポットとして点的にいろいろ指定をするというのはむずかしいんじゃないか、さように考えております。
○矢追秀彦君 長官、もうちょっとまじめに答えてほしいですね。私が急傾斜地の危険区域、これは各県の急傾斜地域圏区域の一覧表をまとめ上げました。そうすると、要するに静岡、山梨、愛知、岐阜、神奈川、長野、東京、これで合計六千百十五カ所あります。そのうち指定されておるのは二千七百九十二、指定されてないのは三千三百二十三カ所あります。これはちゃんときちんとしたデータに基づいてつくってあるんです。いま全国に何ぼあるかどうかと。少なくも東海大地震に関係するものにしぼって私はこういうふうにしておるわけです。いかがですか。
○政府委員(柴田啓次君) 東海地震の強化地域に関します限りは、がけ崩れの危険な地域につきましては、ほかの地域と同様に強化地域でございますから、特にその地震防災計画の中におきましてがけ崩れに対する対策をやると、そのために昨年成立いたしました地震防災緊急整備事業に関する財政特別措置法に基づきまして、五カ年間の緊急事業というものも実施しているわけでございます。また、地震予知等がありました場合には、発生をしてから逃げるのでは間に合わないということで、がけ崩れ危険地域は津波危険地域と同様にすぐ退避をさせるというようなことも防災計画で決めているわけでございます。強化地域外のかけ崩れの危険地域につきましては、地震動とそれからその地域の地質条件、そういうものによりまして、一概にこれすべて危険であるというふうには相ならないわけでございます。
○矢追秀彦君 次に、耐震診断基準について伺いますが、これはまだ国で決まっておりませんですね。どういう理由ですか。
○政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。 地震防災に関しますところの耐震診断につきましては、私ども昭和五十一年度と五十二年度に予算措置を講じまして、既存の建築物の耐震診断基準及び既存の建築物の改修設計指針を作成したところでございます。この耐震診断基準につきましては、個々の建物につきましてその構造耐力上主要な部分の強さ等を図面とか実測等により調査いたしまして、建築物本体の強さ、変形に耐える力を計算方式を用いまして求めまして耐震性を数値化するというふうなことになっておりまして、これによりまして地震に対して安全であるか、また補強を要するか、あるいはまた建てかえを必要とするか等について判断できる資料といたしております。この成果を関係省庁、地方公共団体等に普及を図ってきたところでございまして、現在それぞれの機関において必要な措置を講ずるよう指導いたしております。
○矢追秀彦君 国土庁長官、いまの建設省で決められた基準が、即、国の基準として地震対策緊急整備事業を行っていくんですか。それでいいんですね。
○政府委員(柴田啓次君) 地震対策緊急整備事業に関しまして、耐震基準が問題になりますのは社会福祉施設あるいは病院、学校等でございます。これらにつきまして、ただいま建設省の方からお話のありましたものを基礎にいたしまして、文部省、厚生省におきまして耐震基準というものを別途定めまして、それに基づいて補強あるいは改築をすると、こういうことに相なっておるわけでございます。
○矢追秀彦君 厚生省はどうされていますか。
○国務大臣(園田直君) 病院と社会福祉施設の二つに分けまして、病院の方は財団法人日本建築防災協会で五十二年に作成した既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準によって診断を行うよう指導しております。福祉施設の方は、地震防災上改築または補強を要するものの基準を大体次のとおりに決めております。一つは、木造施設については、老朽度六千点、基準以下のものを改築することとし、この基準に基づいて昨年十二月地震対策緊急整備事業計画を策定いたしました。非木造施設については、日本建築防災協会が作成する方式によって非木造施設用の耐震基準を五十五年度末までに示すこととして、これに基づいて耐震診断を行い、地震対策緊急整備事業計画を追加することといたしております。
○矢追秀彦君 文部省はどうなっておりますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 法律の定めるところに従いまして耐震診断基準の作成をいたしてまいりましたが、近日中に通知を発送する運びとなっております。
○矢追秀彦君 そうじゃなくて、耐震診断基準は独自でつくられるのですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 事務的でございますので局長からお答えいたします。
○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。 国土庁並びに建設省と緊密な連絡をとりました上で、公立の小中学校の校舎で構造上危険な状態にあるものの改築並びに建物の補強の必要性を判断するための耐震診断基準を文部大臣裁定の形で定めまして、一両日中にこの診断基準を関係県に通知する運びとなっております。
○矢追秀彦君 どんな基準にするのかと聞いている。
○政府委員(吉田壽雄君) 中身でございますか。
○矢追秀彦君 建設省のやっと同じなのかどうか。
○政府委員(吉田壽雄君) 建設省の中身の趣旨に沿って文部省……
○矢追秀彦君 沿ってなのか同じなのか。
○政府委員(吉田壽雄君) ほとんど内容的には、技術的な面では同じでございますけれども、文部大臣の大臣裁定の形で独自のものを制定いたしたわけでございます。
○矢追秀彦君 一両日中というのは、私が質問するからやったんでしょう。というのは、建設省で決められておるのを厚生省はそのまま踏襲した。しかし、文部省は、実はまた別に、社団法人日本建築学会というところへ二百六十万円も金を出して委託しているのです。建設省のとおりすれば、この二百六十万要らなくて済んだんですよね。こういうのは一つのむだ遣いとして——大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ、いいですか、歳出カット、歳出カットと言っているのだから。それは別として、なぜこれをもっと早くできなかったのか。 それからもう一つ、これは自治大臣御存じですか。静岡県は独自にやっておりますが、いかがですか。
○政府委員(近藤隆之君) 静岡県は独自に検討しておると聞いております。
○矢追秀彦君 中身はわかりませんか。
○政府委員(近藤隆之君) お答えいたします。 震度六の地震に対応できるようにということで基準をつくっておるということでございまして、私どもの所管でございますところの石油タンク等の危険物については、それに基づきまして現にあるものを検査し、もしその基準に合わないものは改善命令を出しております。
○矢追秀彦君 国土庁長官、国がこの耐震診断基準をつくるのが遅かったので、静岡県はしびれを切らしてやりまして、もう六六・九%も五十五年度で診断が完了することになっている。もし仮に静岡県で決めたこの耐震診断基準より国で決めた基準の方が厳しかったら、これまたやり直しですね。仮に甘かったら、それはまあいいでしょうけれども、県としてはお金がたくさん要ったということにもなりかねません。すでに相当お金を使っています。もう三億六千万ほど、これからのも入れて使ってやっておるわけですよね。大蔵大臣、さっき言っているのはここなんですよね。国が早く対応すれば要らないお金も出てくるのです。 これは別として、国土庁長官どうですか。
○国務大臣(原健三郎君) お答えいたします。 静岡県知事が最も積極的に進歩的に、いままで国よりも進んで地震対策をみずから研究し、やっておられることはよく承知いたしております。そういうことでございますから、やや国の方がおくれておると言われるきらいなきにしもあらずでございますが、これからひとつ大いに静岡県知事がわれわれのしりをたたくほどに積極的にやっていただいておりますが、それを多としてわれわれも急ぎ各省庁と連絡して積極的に対策を進めて御期待に沿いたい、静岡県の知事の程度までいきたい、こう思っております。
○矢追秀彦君 私はそういうことを聞いているんじゃないんですよ。静岡県で決めた基準と国が同じであれば問題ないんです。違った場合は問題が出るでしょうと言っているんです。その点はいかがですか。
○政府委員(柴田啓次君) 学校なり、あるいは病院、社会福祉施設の耐震強化をどうするかという議論がございまして、これは、それを地震が起きたときの位置づけとも関連をして問題があったわけでございます。静岡県当局は、学校等を第一次的な避難場所にするというような方針で考えていた面もありまして、その面の補強をしたいというようなことをお考えになっていたわけでございます。私どもといたしましては、いろんな議論はございますけれども、学校は何分にも非常に窓が多くて柱の少ない建物である、学校に逃げるということはかえって危険でないだろうか、また学校を本当に強化することができるだろうかというような疑問もあったわけでございます。それにいたしましても、とにかく学校を強化するということは、地震の際に避難をする、地震の予知がありました場合に避難をするばかりでなくて、地震が一たん起きまして発災した後の一時的な集合場所としても非常に意味があるということで静岡県も強化を進め、また国といたしましても、昨年成立いたしました地震財特法に従いましてこの緊急整備を進めるようにしているわけでございます。実態的には静岡県がつくりました基準というものがほぼそのまま踏襲されまして国の基準になる、文部省の基準になると、こういうような感じでございますから、お話のような手戻りというようなことは生じないんじゃないかというふうに考えます。
○矢追秀彦君 ぜひそうしてもらわないと困るんです。それでも法律的には問題あるんですよ、大臣。「主務大臣の定める基準に適合するものに限る。」となっているんですからね、本当に全く同じにしないと大変なことになるんです。これだけ言っておきます。 次に、首都東京の地震対策について伺います。 首都東京は強化地域には指定されていませんが、首都であるだけに大変重要であるし、都民の関心というのも大変強いわけですが、いろいろ東京都でも問題がございまして、避難場所、それから食糧、水、避難訓練、こういった点で大変問題があるわけです。国土庁長官、東京都についてはどういうふうに把握をされていますか。
○国務大臣(原健三郎君) 御承知のとおり、東京都は政治、経済、文化等の中心で、これに災害がある場合には非常な甚大なものであることはよく私ども認識いたしております。でありますから、東京におきましても中央防災会議が策定した防災基本計画、大都市震災対策推進要綱、これらを基礎としてそれぞれの役割りに応じて食糧を確保したり水の確保あるいは避難道路あるいは避難地その他防災の体制の整備を図っております。さらに、これは御承知のように防災対策、地震対策というのは理論もさることながら、実際にこれが活用されなければならない、そういうことを考えまして、実用的であるために、実際に活用さすためにわれわれは地震防災訓練というのをいたしております。これからも、これは幼稚園から小学校から一般の人に至るまで、広く地震防災訓練をこれからもいたしていきたい。また、国土庁としては地震対策全般に対する企画立案、それから関係行政機関との調整もいたしまして万遺漏なきを期して施策を統一してやっていきたい、こう考えております。
○矢追秀彦君 ちょっと済みません。(資料を手渡す)これ後でよくごらんいただきたいと思いますが、私の方で実態調査をしました。そうすると、一つは避難場所は一番遠いのが八キロメートルもあります。それから水の備蓄も非常に問題でして、大体一日というのが少ないです、多いところはまあ二十日間もありますけれども。それから食糧の備蓄ももうてんでんばらばらであります。また、避難訓練も杉並区などは〇・二%しか訓練を受けていない、こういう非常に格差もあり問題がございます。こういった実情をひとつよくわかっていただいて、これは東京都あるいは各区が推進しておるわけですが、国としても首都東京だけに私はきちんとしていただきたい、こう思うわけですので、これはひとつ要望として申し上げておきます。 次に、自衛隊のこの地震に対する対応でございますが、どのようになっておりますか。
○国務大臣(大村襄治君) 通常、地震発生前においては自衛隊の部隊は従前どおり駐とん地等に所在しており、地震の発生により被害が生じ都道府県知事等の災害派遣要請がある場合には災害派遣を実施することにいたしております。派遣されました部隊は、車両、航空機等による情報収集活動、行方不明者、負傷者等の捜索救助、道路、水路等の啓開、人員及び物資の緊急輸送等の救援活動を実施することとしております。 なお、大規模地震対策特別措置法に基づきまして強化地域に指定された地域について地震災害に関する警戒宣言が発せられ、地震災害警戒本部が設置された場合におきましては、地震災害警戒本部長たる内閣総理大臣は地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため地震防災派遣を要請することができ、この場合は地震発生前でありましても防衛庁長官の命令により部隊が派遣されることとなっております。
○矢追秀彦君 首都圏で大地震が発生した場合、自衛隊はどう対応しますか。
○政府委員(塩田章君) 首都圏の場合は、ただいま大臣のお答えした強化地域に対する対策が現在ございませんので、防衛庁が持っております防衛庁防災業務計画に従って処理することになるわけでございますが、具体的には東京都ほか神奈川、千葉、埼玉県におきます大規模地震の発生した場合の消防審議会が答申をいたしました被害想定がございますが、これに基づきます計画は別途当時つくったものがございまして、実際にはそれによって対処するということになろうかと思います。
○矢追秀彦君 具体的に詳しく言っていただけますか、どこの部隊をどう動かすか。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げました東京都ほか三県の大規模災害の場合に、現在考えておりますことは、人員的には陸上自衛隊最終的に約五万三千人、海上自衛隊約二千人、航空自衛隊約二千五百人、計人員的に約五万七千五百人、航空機につきましては陸海空合わせまして三百六十八機、車両につきましては一万三百六十五両、その他渡河用のボート、野外炊事道具、天幕、浄水セット等を考えております。艦艇につきましては四十八隻ということを考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 私の聞きたいのは、首都圏、東京都内の城南地区に名古屋にある陸上自衛隊第十師団、これを派遣することになっていますね。これは間違いないですね。
○政府委員(塩田章君) いま考えております部隊としましては、第一師団は当然でございますが、第十二師団、群馬県、それから名古屋の第十師団、それから千葉、習志野におります第一空挺団、陸上自衛隊につきましてはそういうところを考えております。
○矢追秀彦君 仮に東海沖地震が発生した場合は震度六、東京は震度五になる。そのときは名古屋も五になるわけです。それなのにどうして名古屋の部隊を東京へ持っていくんですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的にはそのときの状況判断によらなければならないと思いますけれども、いま申し上げましたのは、東京地区で、三都県に大規模震災が発生した状況について名古屋の部隊の派遣も考えておるということでございます。
○矢追秀彦君 それは実際余り具体的じゃないですよね。ひとつその点はもう一回考えてもらいたいと思います。 それからもう一つ、江東ゼロメーター地帯の水害に対してはどう対処しますか。
○政府委員(塩田章君) 防衛庁の江東デルタ地帯の水害——水害といいますか、地震に伴う水浸しの状態につきましては、現在四十隻のボートを動員して災害救助に当たるというふうに考えております。
○矢追秀彦君 どうやってそこへ行くんですか。
○政府委員(塩田章君) このボートは折り畳み式でございまして、車載によって運搬をする予定であります。
○矢追秀彦君 警視庁の発行しておるドライバー用のパンフレットには、車は「震度五で運転が困難になり、震度六ではハンドルをとられて運転できなくなります。」、こういうふうに書いてあるわけです。また、自動車は発生後「二十分後位から次第に動けなくなり、三十分以降は全く動けなくなると思われます。」。どうやって車両でボートを運ぶんですか。
○政府委員(塩田章君) 具体的な災害のときの実施が可能かどうかという問題でございますので、いまどういうふうに申し上げていいかわかりませんけれども、私どもの計画といたしましては、可能な限り車両によって運搬して、先ほど申し上げましたボート四十隻をそこに投入したいというふうに考えておりまして、あとは実際に起こったときにどういう状況になるか、そのときの状況判断によって処置するということになろうかと思います。
○矢追秀彦君 防衛庁長官、こんなんじゃしようがないでしょう。書かなきゃいいじゃないですか、そういうのを、車両で運ぶなんて。対処するとだけ書いておけばいいです。ここにちゃんとあるんですから、車は三十分したら動けなくなると。いいですか、自衛隊というのは国土の安全保障が主体で災害活動は従と、こういうことでいいかげんに考えておられるのかもわかりませんが、国民が自衛隊にある程度の信頼と期待を持つとすればこの災害出動なんです。それがこんなずさんなことでは困るわけです。いかがですか。
○国務大臣(大村襄治君) 地震の場合の自衛隊の行動につきましては、先ほどのお尋ねに対しましてお答えしたわけでございます。自衛隊法八十二条並びに八十三条の二に任務として明記されているところでございますので、その使命を達成するように万全を期さなければいけない点は御説のとおりであると考えております。 ところで、この東京を含めての関東南部の大震火災に関する災害派遣計画につきましては、作成してから相当の期間が経過しております。四十六年三月策定で相当経過しておりますので、この計画の見直しの必要があると考えておりますが、自衛隊の災害派遣は要請に従ってなされるものであり、防衛庁単独で計画を作成するわけにもいきませんので、この計画の見直しに当たりましては、関係各省庁とも相談して善処してまいりたい。いま御指摘のような不備な点につきましては、その際に見直して万全を期してまいりたい。車で運べない場合には航空機もございますし、海上の艦艇もございますので、そういったものを活用して対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
○委員長(木村睦男君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時から委員会を再開し、矢追君の質疑を続行いたします。 これにて休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。 まず、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十六年度総予算三案審査のため、来る三月二十日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き矢追君の質疑を続けます。矢追君。
○矢追秀彦君 私は、午前中に引き続きまして、地震問題の締めくくりといたしまして、東海大地震が予知された場合の政府の対応について伺います。 まず、異常発見が来た場合、総理はどこから連絡が来てどうされますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は中央防災会議の責任者に相なっておりますので、国土庁長官が私の補佐の任務をしょっております。予知会議の方から国土庁長官並びに内閣におきましては内閣官房長官の方にも連絡がございます。それから遅滞なく私のところに連絡があることに相なっておりますので、これは実際的な問題を訓練その他を通じまして申し上げておるのでありますが、それによって私が適切な措置をとることにいたしております。
○矢追秀彦君 気象庁長官から電話が入ったと。総理は適切な処置と言われましたが、まず何をされますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 災害出動準備態勢に入ることを私は国土庁長官等に指示するつもりでございます。
○矢追秀彦君 国土庁長官、いまの総理のお話で正しいですか。——長官、長官、これはもう大臣の問題だから。
○国務大臣(原健三郎君) それで正しいと思います。
○矢追秀彦君 政府委員答えてください。
○政府委員(柴田啓次君) 異常のデータというのがテレメーターを通じまして気象庁に入っているわけでございます。一定の異常に達しました場合には、その二十四時間体制で見ているところから気象庁の地震課長に連絡が入りまして、地震課長から判定会の会長に連絡をする。判定会の会長がそれによって判定会の招集をいたしますとともに、そのことを関係防災機関に伝えるわけでございます。関係防災機関はそれに沿いましていろいろな準備をするわけでございます。それで、いよいよ判定会の結論が出まして地震予知情報が出るという段階になりますというと、ただいま御答弁がございましたように総理大臣あるいは関係閣僚の方に御連絡を申し上げる、こういう仕組みになっているわけでございます。
○矢追秀彦君 閣議は必要ないのですか。
○政府委員(柴田啓次君) 警戒宣言を出すことにつきましては、「閣議にかけて」というふうに法律に決まっております。
○矢追秀彦君 こういった場合の閣議は、どういう理由といいますか、いわゆる成立の原則というのはどうなっておりますか。
○政府委員(角田禮次郎君) 何カ月か前にそういう模擬演習的なことがあったように記憶をいたしておりますが、それぞれ電話で各閣僚にあるいはそのほかの方法で各閣僚に御連絡をして閣僚が閣議に集まってくるわけでございます。閣議は原則的には全会一致と申しますか、そういうことが例でございますけれども、これは実際の運営の上において、場合によっては後で閣僚の了承をとるということで必要に応じて閣議を進めるということもあろうかと思います。
○矢追秀彦君 そのあろうかと思いますじゃいかぬのですよ。この場合どうなりますか。
○政府委員(角田禮次郎君) 私は閣議を現実に主宰しあるいは運営する立場でございませんからそういうふうに申し上げたわけで、その場合において総理なり官房長官の御判断によって必要な事項を決めるために閣議を進める、こういうことだろうと思います。
○矢追秀彦君 大蔵大臣、こういう場合どうしますか。わかっていますか、いま。
○国務大臣(渡辺美智雄君) わかりません。
○矢追秀彦君 閣僚の中でわかっている方いらっしゃいますか。地震予知が出て警戒宣言が出るまでの間閣議をやりますね。そのとき出れる場合、出れない場合がある。閣議の成立の原則、きちんとわかっている人いますか。国土庁長官どうですか、あなたは担当大臣ですよ。
○国務大臣(原健三郎君) 御承知のように、正式には閣議を官房長官が招集されて、そこで警戒宣言を決定されてそれで私の国土庁へ来まして、国土庁長官が総理大臣の名前において、ただいま閣議において決定して総理大臣の名前で警戒宣言が発せられましたということを宣言して発表するわけであります。
○矢追秀彦君 その閣議の成立はどうするのか。
○国務大臣(原健三郎君) それは招集したら、大体皆集まってくれば成立すると思います。
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、閣議は全員出席して決議をするというのが原則でございますけれども、緊急の場合でございますから、総理なり官房長官の判断で参集した閣僚だけでもって閣議を進めるということにしまして、あとは必要な書類の持ち回りとか、あるいは連絡によって同意を得れば、閣議としての成立といいますか、形式は整うということになるわけでございます。
○矢追秀彦君 欠席届はどうなりますか。
○政府委員(角田禮次郎君) 通常の場合で申しますと、閣議に何らかの理由で欠席をする場合は、閣僚は事前に官房の方へ欠席の届けを出しております。ただいまのケースとしては、恐らく実際に総理官邸に行きたくとも行けない、そういう状態を想定しての御質問だと思いますが、それは連絡がとれ次第、間に合わなかったら間に合わなかったという連絡をする以外はないと思います。
○矢追秀彦君 この警戒本部ができて副本部長ができるんですが、これはだれになるんですか、そのとき決めるんですか、国土庁長官。
○国務大臣(原健三郎君) 本部長は総理大臣で、副本部長が国土庁長官になります。
○矢追秀彦君 それはいつ決めたんですか。そうは決まってないでしょう、法律では。
○政府委員(柴田啓次君) 法律におきましては総理大臣が本部長ということは決まっております。国土庁はこの大規模地震対策特別措置法を主管する役所でもございますので、国土庁長官がその補佐を直接行うというふうに各省の間で話をしてございます。
○矢追秀彦君 だからこれはきちんと明記した方がいいんじゃないですか。ひとつ提案しておきます。 総理、笑い事じゃないんですよ。さっきいろいろ災害、地震が起こった場合の自衛隊の体制やそのほかの体制で大変不備があると、こういう問題を指摘しました。しかし一番大事なのはあなたなんです。いわゆる心臓部はやはり政府であり閣僚です。しかも総理大臣です。ところが、いま閣僚で閣議の成立の原則も御存じない。きのう大臣になられたわけじゃないのです、ここのお方は。しかも何回か閣僚経験者もおられる。確かに異常事態かもしれませんが、いつ起こるかわからない、国民は大変この地震にはいま関心を持っているわけです。その心臓部ともあるべきところがどうしようもなかったらだめですね。一度これ予行演習やったらどうですか。それは別として、ひとつ総理の、心臓部のきちんとした体制、二時間後には連絡出さないと間に合わないんですから。いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本は地震国であり、いっそういう異常な事態が発生するかわからぬというような観点から、矢追さんから大変厳しい、もっとしっかりこういう事態に対応するように平素から心がけて万全を期すべきだと、こういう御指摘がございました。全くそのとおりでございます。これはただ紙の上でやっておりましても、なかなかいつ起こるかわからぬというようなことで十分お互いに腹に入らない、やはり訓練をする必要があろうかと思います。私も、昨年の七月に総理に就任いたしましてから、八月ごろに実はそういう想定のもとに一遍やったことがございます。しかしこれは全閣僚に向かってやったのではございませんで、私、官房長官、それに国土庁長官等、直接そういう際に責任を持つ部署におる者というだけがこの訓練に参加してやったということでございますが、いま御指摘もございましたように、非常に大事な問題でございますから、今後そのように心がけてやりたい、こう思っています。
○矢追秀彦君 ひとつ万抜かりなきようお願いしたいと思います。 次に、選挙制度についてお伺いをいたしますが、まず地方区の定数是正、それから衆議院の定数是正、特に参議院の地方区の定数是正はおやりになるおつもりですか。それとも、この問答弁では、最高裁の判決云々という答弁があったようですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 各選挙におきますところの定数の是正の問題、この問題は選挙区制の問題とも深い関係がございます。また選挙に立ちますところの候補者、さらに各政党、各党各会派等の勢力の消長にも影響を及ぼす問題でございます。私は、こういう問題は選挙制度、選挙区制の問題とも関連がございますから、国会におきまして十分ひとつ各党各会派の間で論議を尽くしていただきまして、そこに合意を求めてお決めいただくのが適当であろうと、このように考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 定数不均衡、それから逆転現象、これはお認めになりますね。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういう不均衡がだんだん出てきておる。特に首都圏に隣接する県、市町村、また大阪でありますとか、そういう大都市の周辺との地域におきましてそういう不均衡が、人口の増加、有権者の急速な増加というようなことから、全国的に比較しまして、不均衡というものが出てきておるということは御指摘のとおりでございます。
○矢追秀彦君 とにかく四・八倍とか、そういう大変大きな差になってきておるにもかかわらず、依然としていま総理は話し合いで、話し合いでということで延ばしておられるわけです。特に日本の場合には、定数の基準といいますか、いわゆる定数規定というものが法律的にも制度的にもないわけです。これがいろんな問題を起こしておるわけでして、やっぱりそういったものをきちんと決めていく必要があると思います。これについてどうお考えなのか、これが第一点。あくまでも今後とも裁判所にゆだねる、その判断を仰いでからしかやらないのか、その点いかがですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定数の問題は大変むずかしい問題でございまして、逆転現象のある選挙区もあるわけでございます。この辺はやっぱり一つの大きな問題ではあろうと思います。しかしながら、いま総理も述べられましたとおりに、この問題は各党会派の問題もございまするし、それからまた参議院の地方区になりますと半数改選という問題もございます。その性格、地域の代表制の問題等もございまして、なかなか問題としては複雑であろうと思います。したがいまして問題は、やはり各党派の間の合意を得てこの問題に当たるべきものであろう、原則的にはそう思うものでございます。自治省といたしまして、それに関するところの資料等が必要でございますれば、いろいろと提供をすることはありますけれども、基本的にはやはり各党派の合意のもとにこの問題を解決するということにしていただかなければならぬ、そういうものであろうかと思うのでございます。 それからもう一点は……
○矢追秀彦君 定数規定、法律的に。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定数を規定するかどうかという問題、この定数を法律で規定するかどうかという問題も、これはきわめて重要な問題でございまして、これはいまのところ法律をもって定数を、是正を決めるというわけにはなかなかいかぬだろう。これも各党の合意のもとに行われなければ実際はそれはむずかしいだろうと、こういうふうに思っております。
○矢追秀彦君 いまの考え方が、総理、なかなかこの問題が進まない原因であるわけです、各党間話し合い、話し合い。人口というものを中心にしてある程度の地域を仮に考えるとしても、やっぱりそこに原則というものをつくらなくちゃいかぬと思うんですね。その点で、ただ話し合い話し合いしか言われない。これでは私はちょっと不合理である。だから四倍とか五倍、一票の重さが都会ではもう五分の一になっておる、こういう状況が出てくるわけです。いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 確かに御指摘のような傾向が一部で強まっておることは私も先ほども申し上げたとおり認めるものでございます。過去において各党間で話し合いの結果一部是正をした実績もございます。私は、そのことが各党の納得の上に立って行われた、非常に円満にいったという実績、そういう姿で今後もいけば一番よろしいなということを期待をいたしておるわけであります。これを法律で具体的な定数まで決めるというようなことになりますと、これはまた決めるに当たって委員会、本会議等で少数多数の問題、採決とかいうことになりますと、このルールづくりというようなものが党利党略的な観点から左右されるということもあってはいけない。十分各党でお話し合いを願って、前回是正をされたような形で円満に決まることが一番適当であると、私はそう考えています。
○矢追秀彦君 次に、自民党の小委員会の方で出されました参議院の全国区制度の改革案、地方区も含んでおりますが、特に一票制の問題、これは総理は御承知ですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 自由民主党の参議院の所属国会議員の諸君で相当時間をかけて慎重に御検討になって一つの案をまとめられた。それを党本部の自由民主党の選挙制度調査会、ここでただいま検討を進めておるところでございますが、自由民主党として一応の成案を得ればこれを各党各派に御相談をする、十分お話し合いをすると、こういう方針で進めてまいりたい。先般もわが党の竹下選挙制度調査会長から中間報告を求め、また十分各党とお話し合いをするようにと、そして次の五十八年参議院の選挙に当たっては新しい全国区の制度、あり方で選挙が行われるようにぜひしたいものだということで、今国会にできれば法案を提案をし、五十八年選挙に間に合うようにということを竹下会長に指示いたしておるところでございます。
○矢追秀彦君 総理、中身についてもうすでに御承知と思いますが、われわれとしては憲法上もこの今回の自民党の小委員会の案は問題があると考えています。簡単に説明いたしますと、一票制であるのかないのか、これがはっきりしていない。本来はこの考え方の基本は一票制です。たとえば地方区にだれかの名前を書く。同僚の田代議員は地方区ですから田代富士男と書く。全国区のところは何も書かない。この場合これは有効で、しかも全国区のところが公明党となるわけです。ところが逆の場合、地方区に何も書かない、地方区に入れたい人がいないので地方区に書かない、そして全国区に公明党と書いた場合は、これは無効なんです。ということは、選挙民の立場に立てば、地方区には入れたい人がいないから棄権をする、しかし全国区にはこういう人が出ておるから、この党派に入れたいとしてもその人の票は生きないわけです、死んでしまうんです。異党派制を認めるから、だから最初は一票制であったのが一・五票的だというふうになっております。 もう一つの例は、たとえば田代富士男と書いて、これは地方区ですね、全国区は自由民主党と書いてもいいわけです。これはいいんです。これは有効ですが、さっき第二番目に申し上げたのはこれはだめなんです。そうなると憲法の条文に二、三カ所引っかかってくる。こういった点で私たちは大変疑義があると言いたいわけです。そういった非常に大きな問題を抱えております。 またもう一つは、仮に本州全部が無投票になった場合、選挙が行われなかった、これは仮定です。その場合は沖繩と北海道と四国だけで全国区の比例配分を決めて当選者を決める。日本全部が無投票になった場合は全国区はどうするか。これは問題ですね。そういう非常にいろんな問題があるわけです。法制局長官、まあお答えできる立場じゃないと思いますが、よく研究してもらいたい。できたらいま意見を述べていただきたいんですが、それが一つ。 総理、そういった点もひとつよく踏まえた上で、五十八年度からやりたいと大変な決意のようですけれども、私たちは反対の立場を表明しておきます。いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この選挙法の問題でいま矢追さんが御指摘になりました憲法違反にわたるような欠陥があるのではないかと、こういう問題につきましては、これはもう基本的な問題でございますから、いやしくも憲法違反というような疑いのないように十分詰める必要があると思います。いままでも参議院の自由民主党においてはその点はあらゆる角度から十分検討願ったと、こう承知いたしておりますが、今後とも十分そういう点には配慮していかなければならないと、こう考えています。
○委員長(木村睦男君) 田代富士男君の関連質疑を許します。田代君。
○田代富士男君 ただいま矢追議員から質疑がございましたが、関連いたしましてお尋ねをいたします。 自民党の参議院拘束名簿式比例代表制が、いまもお話が出ておりますとおりに、開票事務がきわめて複雑となり混乱が生じてくる。たとえばある地方区で政党、政治団体、無所属三人連合等で十人立候補した場合には百二十種類以上の投票が生じ、二十人立候補すれば四百四十種類以上の投票が生ずることになりまして、集計がきわめて困難になる。また選挙のやり方を複雑にすれば白紙投票、無効投票がふえてまいります。その実態を明らかにするためにいまからのことを御説明いただきたい。 第一点は、五十二年七月参議院選挙と五十五年六月の選挙における参議院地方区、全国区の白紙投票と無効投票及びそれらの比較、二つ目には、五十四年十月の衆議院選挙と五十五年六月選挙における衆議院の白紙投票と無効投票及びそれらの比較、三番目に、五十二年七月、五十四年、五十五年の選挙の開票事務所要時間について御説明を求めます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 投票の効果及び開票の事務の進捗状況等につきましてのお尋ねでございまするので、これは政府委員の方からお答えを申し上げます。
○政府委員(大林勝臣君) まず、お尋ねの昨年のダブル選挙の際の参議院の地方区、全国区の無効投票、白紙投票の問題と、その前の五十二年七月の参議院選挙の状況との比較の問題でございますが、まず地方区の無効投票につきましては、五十二年が百八十三万九千票、それから昨年のダブル選挙の際に無効投票が三百六十一万二千票、つまり無効投票率が、三・四三%から五・九九%に増加しております。それから白紙投票が四十五万九千票から百二十四万八千票にふえておりまして、〇・八六%から二・〇七%にふえております。それから全国区、同じく無効投票が二百九十四万五千票から四百三十三万票へ、つまり五・四九%の無効率から七・一八%にふえております。白紙投票が八十七万一千票から百七十一万八千票へ、一・六二%から二・八五%へふえております。 それから衆議院選挙でございますが、五十四年の十月と昨年の総選挙とを比較しまして、無効投票が五十万八千票から百三十万九千票へ、〇・九三%から二・一七%へふえております。白紙投票が十九万六千票から三十七万票へ、〇・三六%から〇・六一%へふえております。 それから開票時間の御質問でございますけれども、この開票時間と申しますのは、前回の参議院選挙あるいは昨年のダブル選挙を比較しましても、前回の参議院選挙は、即日開票あるいは翌日開票というような地区がございましたけれども、昨年のダブル選挙は全部翌日開票に統一をしております。そういうことで、なかなか比較はむつかしいわけでありますが、できるだけ昨年の開票時間を短縮いたしますために、いわゆる私ども重点移行主義という便宜的な言葉を使ったのでありますけれども、まず衆議院、参議院地方区、全国区と三つの開票をほとんど同時にスタートはすると、しかしながら、まず衆議院の選挙に重点を置きまして、同時に地方区、全国区も仕事は始めております。その経緯の上で、衆議院の開票がほぼ目鼻がついた時点で、衆議院の開票に従事をしております職員の大部分を、まずその次の地方区へ持っていくと。地方区の大体目鼻がついた場合に全国区へ持っていくと。大体がそういう流れ作業でやりましたために、前回の参議院選挙に要しました時間と昨年のダブル選挙に要しました開票時間そのものは余り変わっておりません。これは、開票のやり方が違っておりますから、単純な比較はできないかと存じます。
○田代富士男君 ただいま説明いただきました中で、無効投票を考えてみますと、参議院の地方区が、実に今回の選挙は九六・三%ふえております。全国区の票が四七%、衆議院の選挙が一五七%、二倍半です。また、白紙投票、これはいま御説明がございましたとおりに二倍以上、地方区、全国区ともに二倍近く、このような白紙投票がふえております。それに、いま自民党で検討されているような複雑な選挙が行われたならば、さらに無効投票、白紙投票が増加することは間違いございません。これは本来、選挙の目的であります民意を反映さすことに逆行することになるのではないかと思いますが、どうでしょうか。 また、開票時間の件でございますけれども、いろいろいま時間帯のことを言われましたが、たとえば大阪市の場合、五十二年七月は朝の十時から十二時で、五十五年の選挙のときには一日かかっております。こういうことで、いま何百種類と言いました、こういう複雑な開票となりましたら、さらに大変な時間が予想されると思いますが、あわせて御答弁いただきます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 無効がふえるのではないか、これが前のダブル選挙、その他の実績から見て無効投票がふえるんじゃないかというお尋ねでございますが、一票制と申しますか、拘束比例代表制をとった場合に、果たして無効がふえるかどうか、また条件が違ってまいりまするので、ダブル選挙の例をとりまして、直ちにそれがふえるという結論には私はならないだろうと思うんです。それはやはりそのときのみんなの投票に対する努力、そのほかのことも関係してまいりまするし、一概にダブル選挙でもって無効投票がふえたから今度もふえるだろうということはなかなか言い切れぬだろうと私は思っております。 それから、もう一点は開票事務が非常に手間がかかるんじゃないか。大阪の実例を御引例なさったようでございますが、なるべく開票につきましては一票の効力というものが即座に確定できるような方法が望ましいことはそのとおりでございます。しかしながら、これも非常におくれるものであろうというふうに決めつけるわけにもいかぬのだろうと、これはいろいろの工夫の仕方もあるだろうと、したがって御意見の点に関しましては、私どもは研究を要する点はあるけれども、直ちにそうなるものではなかろうと、こういうふうに考えております。
○田代富士男君 最後ですが、大臣、こういう傾向が出ていることを申し上げているわけでなんですが、そういうことはないと思うということは断定できないと思うんです。傾向性はあると思うんです。だから、いま矢追議員が説明いたしましたとおりに、今回は全国区に投票しても地方区の投票をしてない場合は無効になる。その場合に、大阪市で今回七九・五%増、倍近くの地方区の無効票が出ているということは、これはだめになるじゃないですか。今度は反対に、全国区を白紙投票した場合には、自動的に地方区の所属の人の、本人の意思にかかわらず、得票率になると。これも数字が地方区の白紙投票よりも全国区の白紙投票が多い。そうしましたならば、これは不本意にも民意をねじ曲げた不合理な結果になるじゃありませんか。こういうことをやってみなくちゃわからないと。もう事実こういうことが出ておりますから、不合理、複雑、むつかしい、こういうような選挙制度というものは有権者に理解してもらうことはむつかしいと、こういうことをやっていたならばさらに政治不信を起こす、私はこういう心配をするのでございますが、最後に総理の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 新しい制度をつくろうということでございますから、いろいろ御指摘のような御意見等もあろうかと思います。また、それを実行に移す場合におきまして、新しい制度に習熟するという問題もあります。いろいろの問題が今後あろうかと思いますが、いずれにしても現在の参議院全国区制度というものは費用も膨大にかかる、また候補者と有権者との間のつながり、評価というものも十分行われない、いろいろの面からいたしましてこの現在の全国区制度というものは改革を要する、改善を必要とするというのが世論の私は大勢になっておると、このように考えておりまして、何とか新しい合理的な、よりましな制度が確立てきないかということを願っておるところでございます。
○矢追秀彦君 次に私は医療問題に移ります。 厚生大臣、最近大変医療をめぐる不祥事件が続いておりますが、厚生省としてはどう掌握をされ、原因、それから対策、どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(園田直君) まことに耐えがたい遺憾なことでございます。一言にして言えば、国民の健康と生命を守るという医療の原点が見失われているところにこういう問題が起こるわけであります。その原因は何か、これは一つではございません。総合的、全般にわたって見直さなきゃならぬ。第一に、医療に従事するお医者さん、医療機関、私は全国のお医者さんや医療機関が全部がそうだと思いません。非常にまじめに、しかもまじめに従事している方は非常な苦労をしておられるわけでありまして、基本は医療に従事する人の良心と白制心によってこれを直していく、そのために、単に厚生大臣が医療違反を摘発をしたり、あるいは厳重に監督をするということだけでは決して直らない。 そこで、大まかに言いますと、第一にお医者さんそのものでありますが、医療の原点を最初から見失っちゃいかぬ。今日の医科系の大学の入試の不正事件などはこれ非常に考えなきゃならぬ問題で、最初から人間の生命と健康を守るということではなくて、金や情実によってお医者さんという職業にありつこうという気配が出てきていることはまことに遺憾であって、これは文部大臣の所管でありますが、相談をして直さなきゃならぬと思っております。 同時に、学校在学中の医の倫理の教育、それから卒業された後の国家試験でありますが、これも一つの原因をなしておる。いまの国家試験でいいとは考えておりません。やはり、これは何らかそういう観点から見直す必要がある、国家試験のあり方を変える必要がある。いま審議会に相談をしておりますから、その検討を待って早くこれは検討したいと思っております。 なお、卒業された後の生涯教育、これがいま御承知のとおりに二年後に研修をやっておりますが、義務づけられてない。しかも二年後だけではなくて、日進日歩の医学でありますから、生涯の教育が必要である。こういうことも大事でありますが、なお、これに伴って、いまのような営利に走る、金もうけのためにやった方が得だという一つの素因をつくったのは医療行政全般にその責任があると深く責任を痛感をしております。 医療法の改正、保険の改正、ただ健康と生命を守ればいいというのではなくて、どうやれば点数が多くなるかという今日の制度、これも全般的に見直さなきゃならぬ。 こう思いますと、全国のまじめなお医者さん、医療機関に従事する方々の立場を考え、意見も聞きながら、そういうすべてにわたって見直しすることが大事であって、たった一つだけではこの原因は直らない。しかもこれは早急にやらなきゃならぬことであると考えております。
○矢追秀彦君 文部大臣、いま厚生大臣から話のありました医科大学、歯科大学の入学試験をめぐる不正事件、これも一時盛んでありまして、少し落ちついたかと思いましたが、また昨今大変表へ出てきた、これについてどう掌握し、どう対策を講じられますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 一部の私立の医科大学等におきまして、入試の公正に疑惑が生じておりましたことは非常に残念な次第でございますが、同時にまたあるいは寄付金あるいはまた経理の不適正、こういうふうなことはきわめて今後の医学の上から暗い影を投じたと存じます。 さて、この原因でありますけれども、これは一つは医学教育というものが多額の経費を要する。ことに新しく学校を創設いたしましたときの債務の償還でありますとか、あるいは急激な新しい施設の拡張、こういうふうなものに投じた資金をどう回収するかというふうな経費の問題。もう一つは、やっぱり父兄の気持ちでありまして、父兄としましては金に糸目をつけないと、こういうような父兄の感情という、体質というものが一方においては毒しておることでございます。もう一つは、第三には、この大学側におきましても、父兄の方に学債なりあるいは寄付をお願いしましたときに容易にこれを出してもらえるという甘えと申しますか、安易な気持ちが残っております。で、学校法人の経営者が絶えず自分の姿勢を正しまして大学経営の安定に真剣に取り組むとともに、教学の責任のもとに公正妥当な入試を実施し得るような体制の確立を目指すことが基本でございます。 そこで、今後でありますが、ただいま入学試験の実施中でございますけれども、この入学試験が終了いたしますのを待ちまして、全私立医大を対象にいたしました個別に事情聴取あるいはまた指導を行いますとともに、その結果を踏まえまして、さきに述べました線に沿いまして、あるいは文書によりあるいは指導の徹底を期してまいりたい、改善を図りたいと、かような気持ちでございます。
○矢追秀彦君 両大臣はそうやって何か起こればいろいろおっしゃいますけれども、全然後を絶っていないわけです。 まず、ここでお伺いをいたしますが、一つは量について——量と質とありますが、量については六十年度以前に医師も歯科医師も目標は達成されると思いますか、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、人口十万人に当たりまして医師百五十人、歯科医師五十人というこの新しい当面の目標でございますが、医師につきましては昭和六十年を待たないで、また歯科医師につきましても昭和五十五年度末までにはそれぞれの目標が達成されるものと推計いたしております。これまでの不足の時代から次第に充足の時代へと転ずるのでございますけれども、よって、今後の新しい問題としましては、人口の老齢化でありますとか、あるいは医療水準の高度化、医療需要の多様化といったようないろいろの問題に対応いたします社会的な要請にこたえまするような医学の教育の質的な充実を図ってまいらなくてはなりません。 なお、文部省といたしましては、当面、特段の事情のある場合を除きまして、歯科あるいは医科両部門の新設、入学定員増加は行わないという方針を持っております。昭和五十四年の十二月に大学設置審議会が取りまとめました高等教育の整備計画におきましても、医師、歯科医師の養成につきましてはおおむね必要とする整備が達成されたということになっておりまするし、後期の計画期間中におきましても私学その他の拡充は予定いたしてないという次第でございます。
○矢追秀彦君 いま、私立、まあ国立も入るのかもわかりませんが、それを含めて、医科大学、歯科大学は新設しない。ただし、ただし書きがついておりまして、特段の事情のない限りと、ここに問題があれば困ると思っています。というのは、往々にして新設の大学をつくる場合はわりあい大物政治家が絡むものです。政治家がわりあい後押ししておる。こういう点は非常に私も遺憾に思いますが、そういう圧力に屈してつくるようなことはありませんね。最近いろんな大学の新設の動きを私も聞いておりますが、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) さようなことは考えておりません。
○矢追秀彦君 次に、これは文部大臣、入学試験とそれから大学教育について伺いますが、先ほども少しはお触れになっておりますが、入学試験のあり方、現在ほとんど学力一本できておりますが、医師、歯科医師として適切な人間であるかどうかの適性検査、やっている学校もあります。こういったものをどう考えていくか、あるいは面接。裏口とかそういうのはもうとんでもない話で問題外です、私が言いたいのは。そうでなくて、本当にある程度病気を治したいという使命感的なものを持った人が私は来てもらわぬと困ると思いますが、この入学試験のあり方は、いまのままのペーパーテスト、学力考査一本でいかれるのか、ある程度人物考査というものも考える、ただしこれが情実の温床になってはならぬと思いますから、その点は厳格にしてもらいたいと思います。 それからその次に、大学のカリキュラムが現在のままでいいのかどうか。これは大学の自治というものに任せなければなりませんが、やはりある程度人間教育的なものも私は必要だと思います。それ以上に各大学の教授が自分の講義の中で、本当に学生諸君が医学を学ぶ、将来医師としてりっぱな人格を備えるという教育をきちんとやることに私は重点を置くべきであると思います。 というのは、私のところに来ている、これ投書ですがね。これは、ある医科大学では四年留年しているんです。それでいよいよ退学、それで退学を強要されて、しかもある私立の大学の文学部に転校させたいからその裏口入学に三百万円持ってよこせと理事長から要求が来ている。親はもう泣くに泣けぬわけです。高い金を払って入学した、四年留年させられた。確かに学生も勉強しなかったでしょう。しかし追試験もやらないんですよ、ここの教授は。追試験もやらないし、何とか努力して、それでも四年間留年してどうにもならなんだと、じゃあ出ていけというなら、これはやむを得ぬでしょう。しかし、それにまたほかの大学へ移したいために三百万円よこせというんです。そんなばかみたいな話ないじゃないですか。こういう教授、しかもこれは理事長ですよ。名前はりっぱな有名な医科大学ですね。名前出すとちょっと差しさわりがありますので、この人に問題があるといけませんから言いませんが。こういう投書は文部省だっていっぱい来ているでしょう、御存じのはずですよ。 だから、私は、まず入学試験、それから大学教育、これは高校の先生も考えてもらわにゃいかぬよ、進学についての相談のときに。この点をどうするのか。それから国家試験浪人ですね。医学士、歯学士にはなったけれども、医師、歯科医師になれないというのがどんどんふえてきております。そのための塾ができておる、とんでもない話です。先ほど国家試験変えるとおっしゃいましたが、そのことも含めていかがですか、文部大臣、厚生大臣。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろなお話がございましたが、まず第一点の御質問は、試験におきまする適性の問題ということは、同時に先生の御指摘は、面接の問題等の方法も考えなきゃいかぬと、こういうことでございます。 御案内のとおりに、医師にふさわしい能力の適性を有する者の選抜でございますが、さまざまな工夫をこらしまして、多角的な観点から選抜を行うように努力する必要はございます。その一環としての面接あるいはまた小論文等の取り入れということは当然考えてまいりますが、現在の国公私立の医科大学の約六〇%近くが何らかの形で面接を実施しておりますということはまことに結構なことだろうと考えます。 なお、医学部の入学定員は、最も多い大学でも百二十名程度でございまして、選抜方法を工夫することによりまして、何とか面接を実施することは可能であると考えております。 それから次はカリキュラムの問題を申されましたが、現在各大学ではこういった課題に積極的に取り組んでおりまして、文部省といたしましても、各大学が本当にすぐれた医師の基礎を培う教育研修体制の充実に努めるように指導いたしております。なお、入試を初めといたしまして、教育の内容、方法等の全般的なじみちな努力をいたしておる次第でございます。 なお、そのほかただいまおっしゃった留年の問題等もございますが、やはり歯科医師系の大学の進路の相談というふうなものも十分に考えて生徒を指導していかなければならない、かように考えておるのでございます。
○矢追秀彦君 厚生大臣、国家試験まあ春秋を一回にするとおっしゃっておりますが、私は科目の問題でお聞きをしたいんです。 現在、必須科目、選定科目。選定科目がくじ引きですね。だから、その年によって二科目ずつ違いがある。私は自分自身が基礎医学を学んだ立場ですが、最近基礎医学の試験がない。なくてもいいんですが、臨床の問題の中にやはり私は基礎医学の知識というものを十分その学生が学んでおるかどうかがわかるような問題を出してもらいたい。これは基礎の先生方からも強い要望が出ております。やはり基礎医学が十分わかった上での臨床医でなければ、いろんな誤診がふえてくるわけです。これは中山太郎総務長官もよく御承知と思います。そういった意味で、国家試験、この選定科目のあり方、これは私は選択制にした方がいいと思うんですが。 それから、もう一つは卒後研修。この卒後研修、いままでは必須であったのが自由になりましたし、それから歯科の場合はございません。しかし、今後この卒後研修非常に大事ですが、その卒後研修を始める上においても、また今後の日本の医療というものを考える場合も、私はプライマリーケアという問題を中心に考えるべきだと思います。このプライマリーケアについて厚生大臣はどう認識をしておるのか、これからどうしようとしているのか、いまの国家試験、卒後研修含めてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) まとめてお答えをいたしますが、先ほど量の問題を御質問になりましたが、文部大臣がおっしゃったとおりでありますが、事務当局の考えでおる数字はやや甘い考え方のようで、ヨーロッパでは、御承知のとおりに、医師の過剰でもう悩んでおります。日本の医師の数も、正直に言うと、偏在をしておるから非常に不足のようでありますけれども、はや過剰に対する徴候が出てきております。これは制限しようと思っても急に制限できるものではありません。そろそろ医師の量についてもなだらかなブレーキをかけていくべきときだと考えております。 次に国家試験の問題でありますが、第一に基礎医学が一番大事でありますので、基礎医学として別に問題を出すか、あるいはいろんな問題に基礎医学を含むか、この基礎医学がしっかりできているかどうかが一番大事であります。 選択科目については、くじ引きなどということはこれはおおよそばくちみたいなものでありまして、これは本人の選択によってやるべきだと思います。 一番やっぱり大事なことは、国家試験をやる試験官と受ける医者の候補が、紙の上の文字によってやられておるというところに一番大きな問題がある。医者として適格であるかどうかという人間の接触がない。アメリカなどは、一遇間ぐらい試験官と医者の候補者が起居をともにしてやっておるわけであります。これも度が過ぎますと国家試験の方に情実や金が入ってきては大変でありますからむつかしいところではありますが、こういう点を考えて国家試験はぜひ変更すべきである。年二回を一回にさせましたのは、その先駆けとして一回にしたわけであります。 プライマリーケアの問題は御承知のとおりに、英国から始まって、やや米国はこれと違っておる。WHOで出した定義というのは、これまた開発途上国を主体にした問題でありますから、少し食い違いがあります。しかしながら、日本のような、医師が偏在をし交通が必ずしも完全でない、かつまた離島、僻地の診療が多い、こういうところでは非常に大事な問題でありまして、これは地域医療というものを中心にして適切なる計画を早急に進めていかなきゃならぬと考えております。
○矢追秀彦君 まだ障害者の医療とかまたいまのプライマリーケア、もっと詰めたいんですが、また別の機会に譲らしていただきます。 最後に、総理、この医療の問題は厚生省だけに任しておいてはいけない問題です。というのは、特にこのプライマリーケアという問題になりますと包括的な地域医療ということも出てきますので、これは町ぐるみ、村ぐるみ、地域ぐるみということも出てきます。また、こういったプライマリーケアというものをこれからどんどんやっていくならば、これはもう大蔵大臣や行管庁長官は大変感謝をされると思いますが、要するに経費削減にもつながってくる。たとえば、救急医療の病院へ夜行く患者さんの半分は急病人ではありません。こういったところにも税金のむだ遣いがあるんです。しかし、じゃ友病気になったら近くのお医者さんが診てくれるか。診てくれない——診てくれるところもありますが。もし特殊な先生がいて診るとなればそこへ殺到してしまう。これは障害者も同じなんです。心身障害者の治療のためにセンターができた。歯科の場合を取り上げますとそこに歯医者さんがおる。そこへ殺到しておる。半分はもう十分一般の歯科医で治療できる。しかし、点数はわずか五十点、五百円しかプラスにならぬ。みんながやりたがらない。手間がかかる、いやだ。こうでは私はならぬと思うんです。 国際障害者年という大事な年でございますので、そういう意味ではみんなが協力をして、じゃ障害者の治療もやろうと、そのためにある程度の補償といいますか報酬もあけましょうと、そしてみんなでやれば一幾らセンターをたくさんつくってもそこには人材教育もまだ欠けております。しかし、まだ残念ながら日本はハーバの面でもおくれています。ソフトとなるともっとおくれているわけです。だから、そういった意味で、私は医療はただ単に厚生省だけに任さないで、要するに国ぐるみといいますか、住民ぐるみでやっていただきたい。特に、これから行政改革、歳出カットと言われておりますが、そういう面もひとつぜひ考えた上でやっていただきたい。これは何も医療だけじゃありません。最後に所見をお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の国民医療をよりよくしていくというためには、医療制度の問題もございます。また医療保険制度等の関連の制度の改善を要する点もございます。また地域と医療との関係からいたしましてプライマリーの問題もございます。いろんな角度から、総合的に国民医療の改善向上に資するように今後努力していきたいと、こう思っております。
○委員長(木村睦男君) 以上で矢追君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、和田静夫君の総括質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 私は、衆議院の予算委員会で予算案が強行採決をされたあのしぐさを見て以来、実はここで政府の関係者あるいは委員の皆さんの前で論議をしていく、そういうことに対する不信感をぬぐい去ることができないいら立ちをずうっと覚えてまいりました。まあ端的に言って、予算案の強行採決というのは、私は木を見て森を見ざる、そういう行為であると言わなければならないと思います。 今日、歴史の大きな転機に当たって、わが国において最も必要なことは何だろうということを、あの予算案の強行採決で考えてみました。やはり民主主義のための政治の復権だろうと、私はこう思うんです。政治的リーダーシップの確立であるということをつくづく考えるわけです。ところが、予算案の強行採決は民主主義政治の否定なんですね。政治的リーダーシップの敗北であろうと、私はそういうふうに考えざるを得ません。 政府の施政方針演説を聞く、あるいは予算委員会等で皆さん方の答弁を聞く、さっきの地震問題での国土庁長官の答弁が如実にあらわしておりますけれども、政府のあり方を一体どうするのか、政治をどこへ導こうとするのか、およそ政治の志がないと言わないわけには私はいかないと思うんです。政治の進路を明らかにしないままに、手段だけは強引に強行採決を図るという事態、私はこういうことを見ながらまず総理に伺っておきたいのは、一つは、従来の慣習からいっても与野党の話し合いからいっても審議がまだ残っている、そこに強行採決以外の方法がないと、総裁としても考えられたのかということが一つ。二つは、今後も各委員会で意見が対立、平行した場合に、審議が残っていても強行採決を指導される、そういうことをお考えになっているのか。こういう二点を踏まえて今後の国会運営あるいは政局運営について、まず所見を述べてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、衆議院の去る五日、予算委員会で行われましたところのあの結果につきまして、大変遺憾に存じておるわけでございます。小山予算委員長も、委員の各位が全員出席されたもとにおいて円満に議事を運営していきたいということで、予定の開会を一時間余も中断をし、引き延ばして、そして各党の委員諸君に出席をした、むしろ要請をした、こういうことでございましたが、その努力も実らずについにあのような結果になりましたことはまことに残念でならないのでございます。今後私は、議員各位が民主政治の真の——いかにしてそれに沿うような委員会の運営をするか、国会の運営をするかということに思いをいたされて御協力をいただきたいものだと、このように考えておるものでございます。 私は昨年の衆参両院の同時選挙で自由民主党が、国民の圧倒的な支持を得て安定多数を与えていただいた。しかし、私はその際におきまして、非常に一方において心配もいたしておったのでございます。自由民主党が安定多数をしばらくぶりで与えられたということで、数に頼った強引な国会運営をするようなことがあってはいけない。さらにまた野党の諸君もいままでは保革伯仲であって、大きな責任の一半を担っておるということで、互譲の精神といいますか、話し合いによって共通点を生み出していこう、こういう努力がなされてまいったのでございます。しかるに、この六月の同時選挙以降においては自民党が圧倒的多数を占めた、戦術を変えなければいけない、こういうようなことで、自分たちの主張が通らない場合には審議を拒否する、こういうようなことがあるようであっては、これは円満な国会運営はできない、私はこのことを非常に心配をしておったのでございますが、先般の国会におきまして、いろいろの事情、二日間にわたる審議の中断等々の背景等もございまして、あのような結果になったということはまことに残念でございます。これは与党も野党も十分、国民の前に政治をやっておるんだと、国会の使命を十分考えて、政治に対する同氏の信頼を回復するために、国会議員として十分自戒しながら国会の運営を正常にやろうと、こういうことがお互いになければならないし、そういう方向に努力していくように期待いたすものでございます。
○和田静夫君 そういう総理の期待もある、あるいはわれわれの意見もある。そして議長裁定が出た。議長裁定が出たが、昨日の予算委員会の論議をめぐって、すでにその議長裁定の四項にあるところの武器輸出禁止法の問題について、所管の大臣と言ってもよい田中六助通産大臣は、本心を言えばそんなものは必要がないんだ、こういうように答えられる。これは私は議会運営のやはり信義にもとると思うんですね。総理もそういうような形の見解をお持ちなのかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は衆議院議長の裁定、これはあのような事態収拾の中において行われました非常に権威のある、どうしてもこれは与野党ともに守っていかなければならない裁定であり、また政府におきましても、国会において与野党があの裁定につきまして話し合いをし、そしてその結果合意されたことについては、政府はこれを尊重してまいるということを、繰り返し私この委員会でも申し上げておるところでございます。あの裁定につきましては、閣僚に対しましても厳に私のいま申し上げた方針に沿って努力するようにいたさせたいと、こう思っています。
○国務大臣(田中六助君) きのうの質問に対しまして、私は議長の裁定を尊重しない、あるいは必要ないというふうに言ってはないんですけれども、そのようにとられたことは非常に残念でございますし、そういうふうにおとりならば、おわびしなければならないと思っております。
○和田静夫君 平均的な世帯において大蔵大臣、この酒税、物品税、間接税の負担増、それから物価調整減税見送りによる所得税、住民税の実質上の増税、地方税の増税による負担増、社会保険料の増加分、中央、地方の公共料金の負担増及び住居費、教育費、保育費などの負担増、新年度にそれぞれ幾ら日本の家計に圧迫を与えるか、そういう意味での影響を与えるのか、具体的に数字を挙げて説明してください。
○政府委員(松下康雄君) ただいま私の手持ちをいたしております資料の範囲でお答えを申し上げますが、米価、麦価、国鉄運賃、国立学校入学科、塩の売り渡し価格、郵便料金、以上の価格改定に伴います物価への影響は〇・二、三%程度という資料でございます。
○和田静夫君 いや、質問の趣旨に答えてください。 増税計画を立てていて、それが一体どういう圧迫を家計に与えるのか、その試算出ているわけでしょう。
○政府委員(梅澤節男君) 夫婦と子二人の標準世帯で、五十五年と五十六年の税額と税引き手取り額の数字でございますが、年収三百万の世帯でございますと、五十五年分の税額の総計は、これは国税、地方税合計でございますが、十万九千九百九十八円でございます。で、五十六年の場合、これは年収のアップを何%で見るかということで数字が変わってくるわけでございますが、仮に五%アップの場合といたしますと、先ほどの三百万の世帯で税額が十万九千九百九十八円と申しましたが、これが十三万三千百四十円に相なるわけでございます。
○和田静夫君 保険料やら教育費の増なんというのはわかっていますか。
○政府委員(松下康雄君) 健康保険の保険料について申し上げますと、一部負担は、たとえば本人の初診時六百円から八百円、入院時の負担二百円から五百円というふうに引き上げに相なっておりますけれども、全体といたしまして、別に給付の面で増加をいたしておりますので、健康保険の患者負担を総合的に受益との関係で見ますというと、若干負担の減ということに相なっております。
○和田静夫君 どうも質問の趣旨に答えてもらわないと困るんですが、時間ばかり食って。 中央、地方の公共料金の負担増だとか、あるいはそれらに伴って住居費が上がる^教育費が上がる、保育費が上がる。これらのものを全部試算されているわけでしょう、予算をつくられるには。
○政府委員(松下康雄君) 御質問の趣旨にぴったりと合う計算をただいまいたしておりませんので、できるだけ早く計算をいたしまして御報告をいたします。
○和田静夫君 官房長官、総理のかわりに答えますか、いま質問しますから。 言ってみれば、試算は出ないんですよ、出ていないの。そして国民に大きな負担をいま求めようとする国家予算原案になっているわけです。これ一体鈴木内閣としてどう考えるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 至急調べましてお答えを申し上げるようにいたしますが、ただいま数字を持ち合わせていないということであろうと思います。
○和田静夫君 家計費の負担試算というものを出してもらわなくて予算の原案の論議なんて進まないですよ。
○政府委員(梅澤節男君) お答え申し上げます。 主税局でつくっておりますモデルがたくさんございますので、若干時間を拝借いたしまして恐縮なんでございますけれども、先ほど給与収入三百万の標準世帯で御説明を申し上げたわけでございますけれども、政府の経済見通しの雇用者一人当たり伸び率が七・五%でございますので、その七・五%のケースでもう一度御説明を申し上げますと、五十五年分におきましては、給与収入三百万の世帯の税額は、先ほど申しました十万九千九百九十八円でございますが、そのほかにただいま御指摘がございました社会保険料、これは十四万円でございます。五十六年で七・五%の給与収入のアップがあるという前提で計算をいたしますと、給与収入が三百万が三百二十二万五千円でございます。それから、国税、地方税の税額の合計が十四万百六十円。それから、社会保険料十四万四千五百円でございまして、税引き後の手取り額で計算いたしますと、五十五年分が二百八十九万三百三十円、五十六年分が三百八万四千八百四十円。さらにそれから社会保険料を控除いたしました、いわば純可処分所得でございますが、これが五十五年分が二百七十五万三百三十円、五十六年分が二百九十四万三百四十円、こういう数字に相なります。
○和田静夫君 それで家計への圧迫は。
○政府委員(梅澤節男君) 名目のアップ率で申し上げますと、税、社会保険料控除後のネットの手取り額で六・九%の上昇でございます。
○和田静夫君 総理、お聞きになったようなアップなんですよ。これが言ってみれば国民に胸を張って提示し得る、そういう説明ができる国家予算原案だとお考えになっていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、ただいま審議官が説明したのは、仮に雇用者所得で七・五%アップすると、税や何かもふえるけれども、可処分所得もふえますという話をしたわけであります。 予算の問題は、全体として評価をしていただく以外にはないわけでありまして、いろんな条件のもとでつくられた今回の予算は、私は最善のものであると、かように信じております。
○和田静夫君 国民生活は政府予算が成立すればいよいよ圧迫される、こういうことがいま立証されたと思うんです。まだ十分に数字が出ているわけじゃありませんから、あと細かいのはそれぞれ後の機会に譲りますがね。 政府は、この一月末に五十五年度の消費者物価の見通しを、昨日も論議がありましたが、当初の六・四%の程度から七%に上方修正をした。これも一−三月期前年同月上昇率を五%台と見てのことです。すでに一、二月は東京区部で六・九、六・八%。ちょっと不可能ではないかと思うんですね。これは春闘とも関係があるわけではっきりしていただきたいんですが、五十五年度の消費者物価上昇率は結局八%に近いと言われていますが、どういう見通しを経企庁長官お持ちですか。
○政府委員(廣江運弘君) お答えいたします。 いま発表されております物価の数字は一月までが全国確報が発表されておりまして、二月はまだ全国の確報は発表されておりません。東京都区部の、しかも速報が発表されているだけでございます。そして物価の基調は、季節商品を除く総合等の動向に徴してもわかりますとおり、かなり落ちついてきております。かつ、非常に高騰を続けておりました季節商品等につきましては、それぞれ対策を打っているところでございます。二月がわからない、三月がわからない、かつ努力をしているということで、確定的な予測というのは申し上げかねるわけでございます。 で、これから申し上げますのは、先生の御質問に対しましてはっきりしたお答えになるかどうかは存じませんが、予測とか見通しとかいうものではなくして、一つの計算として次のような計算ができるということで申し上げさしていただきます。 それは確報が出ておりますのは一月の全国でございますので、このレベルのままで二月、三月推移するといたしますと、五十五年度の平均で七・七%程度ということになります。で、それでは二月は出ておりませんが、仮に二月の全国を東京並みに上がるという、これは単なる仮定でございますが、仮定を置きますと、七・八%程度というようなことになろうかと思います。
○和田静夫君 もともと、この消費者物価上昇率六・四%というのは、昨年の春闘の政府見通しであったわけです。それが賃金決定の重要なファクターになったことはもう間違いがないわけですね。もともと実質賃金を抑制したことが第二次石油ショックを乗り越えることができた大きな原因であると、これは多くのエコノミストがそう述べております。労働者が耐乏生活をして経済に協力をしたにもかかわらず、実は企業だけが高利潤を上げて実質賃金は低下という形で、これは裏切られたわけです。で、政府の責任は私は逃れられないと思うんですが、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 消費者物価の問題は政府の経済運営に当たりましての最も重視し、またできるだけの努力を傾倒してきたところでございます。しかしながら、経企庁長官もしばしば申し上げておりますように、予想を超えた石油の価格の高騰やあるいは冷夏あるいは豪雪、いろいろの思わざる悪条件が重なりまして、いま御指摘がございましたように七%程度というようなぐあいに上方修正をせざるを得ないと、こういうようなことに相なったことはまことに遺憾でございます。 お話もございましたように、私は、この勤労者の諸君が昨年の春闘等を通じまして、わが国の経済の安定成長路線に持っていくために非常な御協力をいただいております。労使のこの健全な労使関係ということが、各国に比べてわが国の経済が非常にうまく対応できた最も大きな力であったということを私は評価もいたしております。そういうような認識の上に立ちまして、この健全な労使関係を損ねるようなことがあってはいけない。それには消費者物価をどうしても目標値に近いように抑えなければならないということで努力をいたしたわけでございます。いま申し上げたような結果でございまして残念でございますが、しかし五十一年から五十六年度のいま御審議をいただいておる予算案を通じての勤労者の所得の伸びというのは物価の上昇を十分賄い得る、それを上回るものになるということを政府としては確信をいたしております。確かに五十五年度だけはこれは目減りをいたしました。本当に残念でございますが、五十六年度まで、五十一年度から通算いたしますとそういう状況にあります。国の財政も苦しい、企業も大企業は非常に増収を見ておりますけれども、中小企業になりますとなかなか苦しい、勤労者も苦しいということをよく承知しております。こういう中で財政再建というこの課題を解決をしていかなければならないということでございますから、国民的な立場で御協力をいただきたいものだと、こう思っております。
○和田静夫君 実質賃金の低下があった。そこへもってきて私は前の国会の予算委員会の総括でも厚生大臣、大蔵大臣などとやりとりをしましたが、児童手当であります。結果的に私が危惧をしたような形で所得制限が強化された。所得制限の強化は全く納得ができない。これは総理ともやりとりをしたところです。 第一に、私はあのときも述べたんですが、児童手当の約半分を占めるサラリーマンのクラスにとって、給付費の七割も事業主が拠出をしておる。厚生年金や健康保険同様に拠出制であるということをあのとき強調したわけです。したがって、そもそも所得制限になじまないわけですね、拠出制。 第二に、今度の所得制限の強化によって十万人もの児童について児童手当というのは支給されなくなる。そうすると、その大部分がこれまた働く者の子弟であります。企業の児童に対する家族手当は、現にわずか月額平均、あのときも述べたが、千数百円にすぎないんです。三割の企業では全然支給してないんですよ。わが国の賃金体系が年功型であると言われているわけですが、子供の成長に伴う家計支出の増加には対応していない。年功型賃金体系そのものも崩れてきている。だから、サラリーマン等にとって児童手当の所得制限強化は何とこれは月五千円の賃下げに等しいんです。社会の中堅層にとって私は大変な打撃だと思っているんですよ。したがって警告を前の国会でしたんです。 第三に、所得制限の基礎となる税の所得の把握が全く不公平であるわけです。今度の所得制限の強化によって児童手当の支給率は全体で約八割が下がる。しかもサラリーマン層は約七割、この自営業者は約九割になるというわけですね。両者の差は実に二割あるわけです。所得制限の強化は税負担の不公平をさらに拡大する、そういう理由から児童手当などの所得制限の強化というのは全くおかしい。むしろ緩和するか撤廃をする。今後児童手当の所得制限を厚生大臣、どのようにしていくつもりですか。
○国務大臣(園田直君) 五十六年度の予算編成で三年間据え置きになって実質的に低下をした、所得制限が強化をされてそのために手当の率を引き上げたと、こういうことでやったわけでありますが、少なくとも今後はこの支給率を維持するということの歯どめをかけたつもりでございまして、この将来については大蔵大臣と私の意見はいまなお一致をしておりません。
○和田静夫君 厚生大臣、少なくともこの支給率をさらに下げるような暴挙というのを重ねて行うことはないでしょうね。
○国務大臣(園田直君) ないように努力をする覚悟でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま厚生大臣からお話があったように、私は四百十六万円程度、サラリーマンの平均、その程度までひとつ所得の適正化を図りたい、こう思っておったわけであります。ところが、非常に大論争がありました結果私の方が後退いたしまして、結局四百五十万円ということで、限りある時間の中ですからそういうことにしたわけでございます。いずれにいたしましても、限りある財源、限りあるものですから、これは老齢福祉年金などの場合とも同じように決まっただけのものをどういうふうに配分するかという問題でございまして、やはり所得階層の低い方にいずれかと言えば手厚くして、それ以外のところはなるべく税金で賄う話ですからごしんぼうをいただきたい、そういう思想でやったわけであります。したがって、住民税非課税世帯というようなものについては、それは手厚くするという方策を講じておるわけでございます。
○和田静夫君 一事が万事と言ったら語弊があるかもしれませんが、消費不況が続いて実質賃金が低下する、そういう中で政府の財政再建に取り組む姿勢というのは国民生活を無視しているんじゃないだろうかと。たとえば大蔵大臣、いろいろのところのコメントでこういう述べ方をされますね。とにかく政府にいろいろ要求するということはそれだけ税負担をオーケーしますということだと、国民が理解してくれるよう期待したいと述べられるわけです。一体この史上空前の増税案を出して行政サービスを切り下げておいて、それで政府に注文するなら金を出せという態度では、これは私は国民生活への配慮が全然欠けていると思うんです。あなたは素直に訴えているんだと言われるかもしれませんけれども、そんなことには私はならぬと思うんです。この辺はどうです、謙虚に反省されませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はこういうことを訴えてきておるわけです。国債の増発ということは、いままではそれなりに景気の回復あるいは社会保障の充実、文教の振興というような面で国債がそれなりの機能をして、国民生活に寄与してきたことは事実であります。しかしながら、もうすでに五十五年度までで七十一兆円という残高を持つようになって、その利払いに非常に苦しむという状態でさらに借金政策を拡張していくということは、日本の経済を今度は困った方向に持っていってしまう。それはもういけない。もう限界である。したがって、極力ひとつその国債の発行、特に赤字国債については昭和五十九年までにこれをゼロとするという基本方針を決定をしたわけで、その線に沿って予算編成をやったわけです。もちろん切るべきところについては極力私どもも抑制したり切ったりしてまいりました。ところが、これはもういろんな政党からもふやせという要求はありますが、具体的にどこを切れというような御要求というものは非常に少ないわけでございます。限りある時間の中で予算編成するわけでありますから、約八千数百億円の抑え込みはいたしましたが、それによってしかしながら一兆八、九千億円に及ぶところの自然増、当然増といいますか、当然増を吸収することはできない。したがって、四兆五千億円の自然増収というものは考えられるが、これはまず、その二兆円の国債減額に約二兆円充てますから、あとの二兆五千億円しか残らない。これは国債費と地方交付税で吸収されてしまうと、一般歳出下の財源にならない。そういうような点から苦労をいたしまして一兆四千億円の増税をお願いしたことは事実でございますが、これとて政府が歳出に使えるものは一兆一千億円であって、三千億円は地方交付税に回ってしまうわけです。その一兆一千億円というものと税外収入というもので約一兆三千数百億の歳出増をつくったわけでありますが、この中身を見てもわかるように、ともかく社会保障費の増額、それから恩給、それから教育、科学技術、国際協力、こういうものでもう八十数%がなくなってしまうわけであります。そこに防衛費を入れますとほとんどそれで消化をされてしまうということでございまして、私としては今回はかなりよくできたと、こう思っておるわけであります。
○和田静夫君 第二臨調の会長に内定している土光敏夫さんが中曽根さんとの対談で、政府のいろいろのところやあるいは特殊法人のむだ、こういうものを削っていくと結果的には増税する必要は何にもないんだと、こういうふうに述べているわけですね。自民党を大きく支援をしている財界の大立て者がそういうふうに述べているわけですよ。大蔵省の言う財政再建の方法というのはそういう意味でも容認をできないのをみんながやっぱり見ているわけですね。むだや不正を排除できていない予算案、これはあたかも最善で、国民の負担増あるいは犠牲は当然だという姿勢、これが容認ができないわけですね、私の方も。予算編成方針には行政改革で幾ら節約ができたか挙げていません。あるいは国民生活への圧迫についての具体的な指摘もない。国民にこの点の説明、予算関連文書の中に私は入れるべきだと考えるんですがいかがです。予算の関連文書の中にそういうような説明を当然入れるべきだと思う。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 予算の文書の中にはいろんなものを出してありますが、特に今回は私は、予算の附属文書等がわかりづらいというような御指摘があるものですから、ことしはかなりタイプを変えまして、手数はかなりかかっているんですが、紙数もよけい使うことになりますけれども、そういう点は工夫をいたしまして、去年のやっと比べてもらえばわかりますが、かなりわかりやすくつくったつもりであります。委細については事務局から説明をいたさせます。
○政府委員(松下康雄君) 御質問のございました行政改革によりますところの経費節減効果でございますが、行政管理庁の計算をなさいましたところによりますと、合計で四千五百七十億円に達してございます。このことは予算編成の終わりました後一般に御説明をいたしたところでございます。 その他、ただいま御指摘のありました予算の説明についてわかりやすい工夫をすべきではないかという点につきましては、私どもも十分今後検討させていただきたいと考えております。
○和田静夫君 会計検査院のこの検査対象の拡大を図った会計検査院法の改正がたな上げにされた。総理ね、ここのところは一体たな上げにしてしまったんですか、あるいは改正案提出のめどを何か持っていらっしゃるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) たな上げにいたしたというわけではございません。これにつきましては両院でたびたび会計検査院の検査機能の強化について法の改正の可否も含めて検討せよと、こういう御決議がございまして、歴代内閣官房長官が中心になりまして私に至りますまで、会計検査院が提案された改正案の内容につきまして関係各省と調整を図ってまいりましたが、申しわけないことでありますが、今日まで調整案を得るに至っておりません。しかし、その努力は続けなければならないと考えております。 他方で、自由民主党でもこの問題に関心を持ちまして、せんだって党内で協議をいたしました。その大勢としては、法の改正の可否を含めてというそれについては問題がどうもいろいろありそうである。しかし、会計検査院の検査機能の強化ということについては大切なことであるから具体的な措置を進めていくべきであると、こういうのが党内の議論の大勢であったようでございますが、私どもとしては一つには機能の強化、もう一つは何とかして法の改正案について政府部内の調整を終えたい、こういう努力をなお続けていたさなければならないと思っております。
○和田静夫君 めどはいつなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) かなり長いこと時間を費やしておりまして成果を上げておりませんで申しわけなく思っております。したがって、めどとおっしゃいますと十分にお答えができませんで、できるだけ最善の努力を尽くすということでひとつお許しをお願いしたいと思います。
○和田静夫君 これはまあ十分な理由があっての要求なんですから、とにかく急いで結論を出されるように求めておきます。 次に、時間の関係がありますから進みますが、情報公開について中曽根長官は昨年十一月十一日の衆議院内閣委員会で、プライバシー、企業利益、国際関係等、「穏当な制約もある程度必要である」と、しかし、「でき得る限り国民に知らせるということが望ましいものであると思います。」、「いずれにせよ、歴史の方向としては、情報公開の方向に向かって政治も行政もたくましく前進していく時代にあると心得ております。」、こう答えた。また、「臨調と並行してわれわれも独自の検討を加えてまいりたい」との答弁もあったわけですね。「でき得る限り国民に知らせる」という表現がなかなか微妙でありますが、もう少しかみ砕いて言えば、国民が省庁の窓口に出かけて資料なり、説明なり求めた場合に理由なく拒否されるということがあってはならないのは当然なんですけれども、そうした一般的な原則として定立できることであって、それが歴史の方向である、こうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 情報公開につきましては、二つの観点があると考えております。 一つは、過去の歴史を正確に明らかにして子孫に伝えておくというところでございまして、その点はアメリカ等におきまして一定年度を過ぎたらかなり相当のものを公開して国民や歴史家にそれを示しておくということでございます。これは非常に大事なことで、歴史が歪曲まれないための保障措置としてわれわれ考えなきゃならぬところであると思います。 もう一つは、現代における情報の普遍性を国民に保障しておくということでございまして、これは主として官庁等が持っておる情報について、医薬の問題にしても、社会保障の問題にしても、教育の問題にしてもできるだけ国民の皆様方にお示ししておくことは政府の務めではないかと思います。そういう二つの観点に立ちまして情報をできるだけ公開する方向で検討を進めております。 ただ、ある限度の制約はあると思います。これは外国におきましても同様の制約がございまして、日本においてどの程度のものが適当であるか等をいま検討している最中でございます。
○和田静夫君 国民の知る権利について実定法上のものはありません。しかし、判例上は最高裁においても明確にそれを認めております。すなわち、昭和四十四年十月十五日大法廷判決で、「憲法二一条にいう表現の自由が、言論、出版の自由のみならず、知る自由をも含むことについては恐らく異論がないであろう。」と、また、同じ四十四年十一月二十六日大法廷の決定でも、「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に、関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二一条の保障のもとにあることはいうまでもない。」と述べておるわけですね。知る権利は憲法二十一条に含まれ、その保障のもとにあるという点について、法制局長官いかがですか。
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘の十月十五日の判決では、田中裁判官と色川裁判官がそれぞれの反対意見の中でいまお述べになったようなことを述べておりますし、また十一月の二十六日の最高裁の決定の中でも、いまお述べになったようなことを述べているわけでございます。これらの判決なり決定におけるいわゆる知る自由ないし知る権利につきましては、これらの判決あるいは決定において述べているところはきわめて簡潔でございまして、その法律的な性格とか内容というものが必ずしもそこで明確にされているわけではございませんけれども、しかしいま和田委員がおっしゃいましたように、いずれにせよ憲法のよって立つ基盤である民主主義社会のあり方、あるいは憲法第二十一条の保障しております表現の自由にかかわりのあるものとして当然尊重されるべきものであると考えます。
○和田静夫君 そこで、あたりまえのことなんですが、政府行政機関が保有しているもの——建物からコンピューター、紙などですね、そういう文具類に至るまで国民の財産であると。そして、それらを利用して公務員が公務で行うたこと、あるいはコンピューターの操作から文書の作成、メモに至るまでそれも国民の財産である、聞くまでもないことですが、よろしいでしょうか。
○政府委員(角田禮次郎君) 法律的な問題でなくて、常識的な意味だと思いますが、そのとおりだと思います。
○和田静夫君 私をして言いかえれば、政府の情報は国民の財産であるということになるわけですが、三段論法ではありませんが、政府の情報が国民のものである。国民はそれを知る権利があるということでありますから、政府情報は原則として国民に知らされるし、また国民は知る権利がある、そう考えるのは当然ですが、総理よろしいですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府におきましては、できるだけ国民の皆さんにそういう情報を提供するということに努めてまいったところでございます。各省から出しております白書でありますとか、刊行物等もそういう趣旨に基づくものでございます。今後におきましても、できるだけ情報の提供ということにつきましては、政府は努力してまいる所存でございます。
○和田静夫君 そこで、総理ね、今日鈴木内閣が持っておる情報公開の原則というのはどんなことですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国におきましては守秘義務でありますとか、プライバシーとの調整の問題でありますとか、行政事務の問題とか、いろいろの制約があるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、できるだけ国民の皆さんに正しい情報を提供するということに努力をいたしております。
○和田静夫君 ちょっと具体例を少し挙げてみますがね、これは東京大学の奥平康弘教授の経験談であります。「私の経験でこんなことがありました。法務省内にある図書館に出かけました。捜していると部外秘のレッテルがはってある本を見つけました。「この部外秘とはいったい何ですか。」と尋ねました。すると「あなたは部外者ですか。」「そうです。」と答えると、「ではこの本はお見せできません。」というわけです。しかし実は、これは東京大学の研究室に持っていることを私は知っている。そういう本でありますが、あえて国民の知る権利を行使してみたわけでありました。食い下がりました。ところが、理由は全然なっていない。「部外秘の印がある以上だめです。」「もしあなたに見せれば、みんなに見せなくてはなりません。」「みんなに見せるとすれば図書館の人手が足りません。」「机もイスも足りません。」というへ理屈ばかりでした。結局知る権利は敗れました。まあ法務省の職員も心配になったんでしょう、後から電話をかけてきて「前向きに検討致します。」」——四、五年待ってください、こういうことだったというんです。人手が足りない、机もいすも足りないのが理由ではない。もしそうなら図書館そのものを非公開にする必要があるはずですね。そうすると部外秘の理由と根拠があるはずです。法務大臣、説明してください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 具体の事例は承知しておりませんけれども、役所それぞれ極秘の文書でありますとか、あるいは秘密の文書でありますとか、部外の者には必ずしも一般的には公にはしない、関係者に——必ずしも全体が秘密ではないけれどもというような扱い、いろいろございます。法務省といいますよりも、政府といたしましてできる限り情報を公開しようという方針をとってまいっておりますので、法務省におきましても昨年の秋からは、特に広報室に閲覧窓口というものを設定したわけでございます。そして、閲覧を求められる方々につきましてはそこで受け付けをする、各部局に責任者を置きまして、そこと連絡をして、あとう限り閲覧の便宜を図るという方針をとってまいってきているわけでございます。今後もできる限り便宜を図る方針で進んでまいりたいと思っております。
○和田静夫君 笑い話じゃなくて、法務大臣、前向きに検討して四、五年も本人に連絡がないというのは、一体これはどういうことですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げましたように、昨年の十月以後はいま申し上げましたような方針をとっているわけでございます。
○和田静夫君 もう一つだけ例を挙げますがね、厚生大臣。「昭和53年7月3日、厚生省はレモン、グレープフルーツなど柑きつ類のカビ防止剤としてTBZ(チア・ベンダソール)を食品添加物として許可しようというハラをきめ、大臣の諮問機関である食品衛生調査会に諮問しました。」。そこで、「厚生省が調査会に出した実験報告の資料を点検してみよう、ということになり市川房枝議員を通して取り寄せるよう要求してもらいました。ところが、最初に持って来たのが、資料目録とたった一枚きりの実験報告要旨一件だけ。「調査会に出したナマの資料を出せ」と重ねて要求すると、こんどは英文で書かれた世界保健機関、世界食糧農業機構のTBZについての解説書だけ」そういうものを持ってきた。こういうことで、後は具体的なことについては何だかんだと言って結局だめだったといわれているのですがね。 こうした例は、厚生省の例を挙げたから悪いようですが、何も厚生大臣、おたくに限ったことじゃなくて、実は国民に対するあるいは国会に対する適切な応待ではないような気がするんですね——市川さん亡くなられましたけれども。食品添加物許可というのは厚生省の秘密にすべき国家機密なのだろうか。あるいはなぜこれは資料が公開できないのだろうか。知る権利との関係ではどうなんだろう。どうお考えでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 情報公開の問題で、私の方ではいまの食品衛生添加物の問題、それから薬の問題がございます。これは国家機密ということはございません。したがいまして、いまおっしゃいましたいきさつは詳しく存じませんけれども、今後は審議会その他の結論も結果も委員会からも私の方からも公表するようにいたします。ただ、審議会のやりとりだけは、委員の言論の自由を束縛する可能性もありますから、この点は慎重にいたします。
○和田静夫君 環境庁ですがね。林野庁提出の南ア・スーパー林道の北沢峠部分の工事設計書というのを環境庁に求めた。国の機関相互で取り交わされた文書は公開できないとしてこれを断った。これは複数の省庁にまたがる場合、総理、一体どこに行ったらいいとお考えですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。 行政に対しては、国民の理解と協力がなきゃなりませんから、正しい理解と協力のためには十分いろんなことを知ってもらう必要がある。それが私は庸報公開の原則じゃないかと思うのですが、たとえば和田先生が私に、こういうことでどうだろうなと聞いてくる、すると私が判断する、それで私は、それはだめですよと言ってお返しするような場合がありますね。そのことを聞きたいと言って私のところへ来たときには、私は、和田先生のところへ行って聞いてくださいと、こう言うのが当然じゃないかと思いまして、いまのお話はそれでお断りしたケースでございます。
○和田静夫君 そうすると環境庁長官、ついでですけれども、二省庁以上にかかわる文書は公開できないという原則が定められているわけではないと、そういうふうに理解していいわけですか。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) それでよろしいということになったような場合にはこれはどうかと思いますが、いまのケースは、これちょっとうまくないですよと言ってお返ししたんですから、私の方でそれを発表してしまうということは、むずかしいこと言うわけじゃありませんが、失礼にも当たると思いまして、それで、これを提案した人のところへ行って聞いてくださいと、こういうわけです。
○和田静夫君 農水大臣ですが、マツクイムシ被害防除対策等に関する意見交換会への傍聴、これはもう通告してありますからおわかりのとおり、意見交換会に出席する学者に、傍聴者はいないと話して依頼してあるので断ったと、こうなっているんですが、これは未公開が原則ですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のマツクイムシの問題に関しての会議は、昨年の六月二十日開催されたことは事実でございます。マツクイムシの暴威をどうして防ぐかということは大変大事な問題でございますので、このマツクイムシ防除の手段方法等につきましても、いろいろと御意見あるいは研究の成果をお持ちの学者の方々がたくさんおられるわけであります。そういう方々に御出席をお願いして公開の場で御意見をお聞かせくださいとこう言っても、それじゃだめだと、こういう方もおられるわけであります。したがいまして、農水省から出席者にお願いした文書には、傍聴者はございませんので思う存分ひとつ御意見をお聞かせくださいと、記録もとりませんと、またほかにも出しませんのでと、こういうことでやられた会議でございますので、大変傍聴したいという御希望の節もあったようでございますが、それらの方々には御丁重に、日にちも迫っておりましたから、電話でその会議の特質等を説明申し上げて御了解をいただいたというのが事実でございます。 しかし、先ほど来のお話のとおり、やはり国民は主権者として知る権利を持っておるということが言われておるわけでございますから、われわれは国民から委託を受けて毎日毎日の行政を進めておるわけでありますから、できる限り、外交問題とかあるいは個人のプライバシーの問題とか、そういうことにかかわりのないような問題についてはできるだけやっぱり公開すべきであると、こういう気持ちで今後指導していきたいと思っております。
○和田静夫君 具体例はやめますが、大蔵大臣最後に、税制統計資料を部内参考資料として、取り扱い注意としてばんとやったんですが、なぜですか。 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
○政府委員(梅澤節男君) ただいま御指摘になりましたのは、主税局で作成いたしております税制統計資料の問題かと思いますが、実は主税局におきましては、税制関係の資料、内部資料をたくさんつくっておるわけでございますが、現在、ただいま委員が御指摘になりました統計資料集のほかに税制主要参考資料集というのをつくっております。この資料集を二つに分けておりますのは、一つは後者で申し上げました主要参考資料集につきましては、税制の御議論を願う場合の基本的な資料、しかも内容も非常に確立しているものでございますので、部内資料ではございますけれども、これは毎年大蔵省の統計月報で公表をいたしておるわけでございます。ところが、委員が御指摘になりました統計資料集の方は、どちらかと言えばこれはいずれも部内資料なんでございますけれども、主要参考資料集に比べますともう少し細かい資料を集めてございます。それから、たとえば外国の制度とか、あるいはわが国の税制制度の沿革、これは内容的にはもうすでに秘密にすべき問題でも何でもないわけでございますけれども、そういう資料として常時使うものではございませんので、また部数も、かなりページ数もとるものでございますから、そちらの方に入れておるわけでございます。 もう一つぜひ御理解を願いたいのは、統計資料集の中に若干対外的に公表することを差し控えたいという資料もあるわけでございます。まあいろんなものがあるわけでございますが、端的に申しまして、たとえば物品税で各物品の小売価格に占める税負担の割合というのは、案外簡単なようでございまして実は非常に複雑な問題があるわけでございます。といいますのは、物品税は一種物品と二種物品と御案内のとおりございまして、一種物品は小売価格に対して法律で決められました税率によって何%と出るわけでございますから、消費者の末端の小売価格に対する税負担というのは、別に統計をつくるまでもなく、税法で税率がわかるわけでございます。ところが二種物品の方は、メーカーの出荷段階で法律に定められました税率で課税されるわけでございます。そういたしますと、末端の消費者が一体税負担は幾ら負担しているかということは、結局流通過程で、これは自由競争、市場経済でございますから、いろいろな価格の形成があるわけでございまして、一概になかなか言えないということで、こういう種類のものにつきましては、私ども、各業界から小売価格等の資料の提供の協力を受けまして、一つの推計的な税負担割合を出しておるわけでございます。 ところが、これを仮に世の中に広く公表するとなりますと、若干問題がございます。と申しますのは、それから逆算いたしまして、メーカーの段階から各流通段階での価格形成の過程、端的に言えば利潤の形成過程というものがおおよそ明るみに出てくるという問題もございますし、それから末端価格を、これは標準価格のようなものもございましたり、いろいろ価格があるわけでございますね。仮に、たとえばある種の物品につきまして小売価格を幾らと、したがいまして税負担幾らというふうに決めますと、大蔵省の方でこの小売価格について、この物品について、この価格について幾らと設定したと、そういうふうな誤解も招くわけでございます。これは従前、四十年のたしか私の記憶では初めの時分は公開をしておったわけでございますけれども、その後業界の方からいろいろ苦情がございまして、私どもとしてはぜひその資料が要るわけでございますから、それを公表しないという条件で資料の御協力を得ておると。これは課税資料と申しますか、課税制度を考える場合に欠くことのできない資料でございますが、反面そういった事情で公表できないものも入っておるということでございます。 それからもう一つ、これもよけいなことかもわかりませんけれども、ただいま委員が御指摘になりました統計資料集、現在項目数で七十項目ぐらいございます。そのうち、先ほど私が申し上げました外国の制度とか、いわゆる制度の問題、内容について、別に秘密性も何もない項目がおよそ二十項目ほどございます。そのほかがただいま私が申しました推計関係の資料とかという項目が約五十項目ございますけれども、このうちおよそ半分くらいは毎年予算委員会に資料として提供いたしておりまして、その意味ではただいま委員から取り扱い注意というふうになっておるというふうに御指摘を受けたわけでございますけれども、これは携行するわれわれの主税局の職員一人一人の心づもりという意味でのことでございまして、全体が対外的に秘匿すべきもので全部覆われているというわけではございません。
○和田静夫君 まあ、各省庁それぞれに大臣から答弁できるように用意してくれと、以下のことを通告してあるんですが、時間の関係もありますから、その中で、情報公開ないし非公開をどう扱うかについて、各省庁はどういう部門で検討をしているのか、検討しているとすれば、その組織、会合のサークルというのはどんなものなのか、答弁してください、科学技術庁長官。
○国務大臣(中川一郎君) 当庁では情報公開の手続に関し内部規程を定め、これに基づいて閲覧窓口を設置するなど、組織体制の整備を図って、なるべく公開すると、こういったてまえでやっております。
○和田静夫君 外務省はどうですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 御承知のような外交史料館で戦後の三十年以上たったものは公開しておりますが、その他のものにつきましては官房長責任においてやっておりますので、お答え申し上げます。
○政府委員(柳谷謙介君) 外務省官房長でございます。 外務省もいろいろ扱う文書、書類は多いわけでございますけれども、外務省では従来から記録閲覧規則というものをつくりまして、できる限りの文書を外部に閲覧に供するということを行うとともに、これは外務省の特殊事情でございますけれども、情報文化局の国内広報課というところで、いわゆる海外の事情とか外交問題についての解説の資料等も情報としてできるだけ提供しておるわけでございます。 そのほかに、いま大臣から申し上げました外交史料館、これは戦前のすべての外交文書は昭和三十三年に一括すべて公開ということになりました。さらに戦後の文書につきましても、戦後三十年を経過したものについてこれを公開するということで、毎年大体一回逐次公開を行っている状況でございます。 なお、先ほど他省庁からもお話がありましたように、外務省も、昨年、情報提供改善措置に関する閣議了解が行われましたのを機会に、従来もやっておりましたことでしたけれども、さらに閲覧窓口というものを整備いたしまして、いろいろ公開刊行物あるいは統計資料あるいは条約の文書等を閲覧したい方に閲覧に供するという措置を講じております。
○和田静夫君 大体各省統一しているとすれば、官房長官、この情報公開に関する原則及び基準というのは何かありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは昨年の五月に閣議の了解がございます。昨年の五月の二十七日でございますが、「情報提供に関する改善措置等について」というものでございます。 それは幾つかの部分に分かれておりますが、一つは、情報提供のための手続、窓口の整備の問題でございます。それから第二に、情報提供の内容の充実。第三に、情報提供そのものについて国民に周知徹底方をすること。そして第四に、今後、情報の管理、提供の改善を図るために、分類、保存等についてどういうことをすべきかということとあわせて、諸外国における法制を研究をして、情報公開に関する法制化をどうすべきかということを今後に向かって検討をすると、こういう閣議了解をいたしております。
○和田静夫君 私もいま言われたように、この法的な規定といいますか、法令面では私はきわめて不備な状態に日本は置かれていると思うんですね。で、法制化に向かって、やっぱり総理、いま官房長官お答えになりましたけれども、スピードを上げて進まれますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府におきましては、諸外国の同様の制度等も鋭意検討しておりますし、先ほども申し上げましたような行政の守秘義務でありますとか、プライバシーの問題でありますとか、関係法令の扱いの問題でありますとか、 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 いろんな角度から前向きでいま検討を進めておる段階でございます。
○和田静夫君 言うまでもなく、今日の政治というのは、人民の人民による人民のための政治であるのが大原則でありますから、私は情報公開について、大平前総理もその必要性を認められましたし、いま中曽根行管庁長官も情報公開に向かって前進をしたいと、こういうふうに述べられているわけでありまして、総理の答弁の実行が早いことを期待をいたしておきます。 まあもちろん御存じのことでありますが、アメリカの情報公開というのは、法的には文書管理規程について、これは公衆に対し情報を秘匿し、または公衆が資料を入手することを妨げることを認めるものではないという、そういう法案の成立から始まったわけでありますから、こういう教訓はやはり十分に生かすべきである、そういうふうに思います。 参考人に来ていただいておりますが、この十全会から名誉棄損で訴えられていらっしゃった参考人らの告発する会が、昨年九月大阪高裁において勝訴をされました。公判の過程で明らかにされた十全会医療の実態を簡潔に述べていただきたいと思います。
○参考人(榎本貴志雄君) 昨年九月、大阪高裁の判決が下されましたけれども、その判決の過程として、十全会で二十日に及ぶ縛りつけをやっておるという事実、それから大量の薬づけ、注射づけをやっておるという事実をすべて認めた上で、現在の医療の中で、患者さんにどのような状態があっても、拘束を必要とするような場合も、外出禁止または保護室に入れる程度で、部屋の中に閉じ込めて、手袋を当てる程度のことは差し支えないけれども、手足をベッドに縛りつけるようなことは原則として許されないということがはっきり出ました。 それとともに、注射づけにつきましては、三度三度食事を食べておるような人、こういった人たちに対して十五日間もリンゲル剤その他の注射をするようなことは、これは違法であり、点数かせぎだと言われても仕方がないと、こういうことが出ました。 また、三日間にわたって睡眠療法という名前のもとに極限量の三、四倍程度の薬を飲まして、四日目に死に至らしめた問題についても、これは法律違反であると言われました。 それから、その上に加えて、いかなる医療であっても、患者の承諾を得ないような医療、また、そのとき患者さんが返答できないような場合は、推定的にも承諾を得られないような医療は違法であると、こういう判決が出て、私たちの方が全面的に逆転勝訴したわけです。
○和田静夫君 一月末に厚生省、京都府の指導によって赤木理事長が退陣をして、世間では十全会問題は一件落着したと見られているわけです。その後、十全会医療の実態は改善をされたのでしょうか。また二月に出された十全会の改善計画によって、医師、看護婦の充足率は満たされたとお考えになっていますか。
○参考人(榎本貴志雄君) 私たちが十全会を告発してから十四年目ですけれども、厚生省並びに京都府当局の断によって初めて十全会を不当とする行政勧告が出たことに対しまして、私たちは非常に感謝しておりますが、その翌日に赤木孝さんという前の理事長は病院に出てきて、私は健在で居残るから心配するなど申しております。また東院長はその翌日の記者会見で、株の買い占めや不動産についてはちょっとまずかったけれども、十全会の医療は正しいと信じておると、このように新聞記者会見に申しております。そして四、五日前に会った十全会で働いておる看護婦さんの話では、医療の内容は全然同じ。一日に三病院で数万木の注射をしなければならぬわけですから、九時出勤ではとても間に合わないので、三時ごろから出てセットの注射の準備をして、四時ごろ、患者さんの寝静まっているときから注射を始めて、やっと一日の注射を終わる、こういうことが四、五日前にも訴えられております。 それから、つい前には、天府会議員をしておられた先生が、西陣で非常に名高い方なんですけれども、末路は十全会に入れられて、お見舞いに行ったところ入浴中と、それで待っておったところ、裸のままで、ぬれたままで車いすに乗せられて、それからタオル一つ置かれて、そして屈強の男の人が車いすを部屋に運んできて、それからそのまま床の上にほうり投げた。その方はベッドの上にも上がれぬわけですね。こういった無残な目に遭った。それで、わしが言ってやろうかと言うたところ、黙っておいてくれ、言うたらあしたから縛りつけにされてしまうから、もうとにかくそっとしておいてくれと、こういった訴えも来ております。 またその後、一人の日雇いのおばあちゃんですけれども、医者に勧められて、わしとこで手に負えないというので十全会に入れられて三日目に死んだという訴えや、それからこれもまたあるお医者さんにかかっておったんですけれども、家族、一家の慰安旅行をするために、ちょっと私の方でやれませんから、十全会という病院は付き添いなしで入れるからというので十全会に入れられた。こういったような訴えも来ております。 その一方で、出ることによって、かえってお医者さんやケースワーカーから、京都には都合のええ病院があるなあと言って患者さんを次々送ってくる。こういう事実も反面にあるというので、医療の実態については以前と同じと言ってもいいんじゃないかと思います。 それから、医者や看護婦の状態ですけれども、十全会の入院者の九割以上は、普通のお医者さんが手に負えないと言われているほど複雑な医療を要するお年寄りの方です。それで、一般の病院では患者十六名に一人の医者が必要ですけれども、十全会の八割は精神病床になっておりますので、医者は四十八名に一人でいいわけです。それで四十八名に一人としても、十全会には八十九名かの医者が要るんですけれども、本当におるお医者さんは二十五名だけです。そしていろいろつくろって医者の数が八十名ぐらいになっておりますけれども、毎晩当直に来るお医者さんが一晩じゅう徹夜で十六時間働いたことになって二人分になると、こういった計算でつじつまを合わしているわけです。現実にはそれだけの患者さんに二十五名の医者しかおりませんし、それから入院患者の九割以上は内科のうちでも手のかかる重症患者ですから、これが一般病院であったら百八十何名かの医者が要るわけです。ですから、真の充足率は一三・九%という数字が出ております。 それから、医者をふやすことについては、京都では京都大学と府立医大と二つの医者の供給源があって、たくさんのお医者さんがうようよしてるんですけれども、こないだ京大の医学部教授と会って話しておったところ、要請があったなら地元の京大から医者を供出せんならぬということも教授が言っておるんですけれども、要請は全然ありません。ですから、医者の充足でも同じようです。 看護婦についても、三日勤務、それから一日三時間勤務、それからこないだ聞いたところでは、事務職員やなんかの人も全部看護補助員で、全員登録されておるそうです。それで、看護婦の実態についてもほとんど変わりはないと言ってもよい状況です。
○和田静夫君 結局、この十全会問題はどのようにすれば解決ができるとお考えになっておりますか。
○参考人(榎本貴志雄君) 日本の警察権力は世界一と聞いておりますし、行政能力もこれはトップレベルにあると聞いておるんですけれども、これが本当の医療監視をやったならば、いまの医者の足らないこともすぐわかると思いますし、それからカルテの病名をちょっと見たならば、ほとんどが内科の患者さんを精神病床に入れておることもわかります。 ところが、医療監視の件ですけれども、十月に来ていただいたのはありがたいことですけれども、中の職員からの話では、こんなややこしい患者を入れて御苦労さんですな、御苦労さんですなと、こういうことをおっしゃって、そして十全会の見せてくれる書類だけを点検された。それでもあれだけのことを見つけていただいたのは非常にありがたいことですけれども、ぼくはその前に、京都府庁の先輩でもあるので、昼間にどれだけ医者がいるか集めてみよと、そしたら、ほんまに全部で二十五名しかおらぬというんですけれども、そういう点検もしておりません。ですから、現在の制度のもとでも本式の医療監視をやったならば、医者の数の足らぬことや、精神病床に一般の患者を入れておることもすぐわかると思うんです。 第二に、十全会のレセプトは全部診療報酬の支払い基金に出ておるんです。それで、これは私のような者に対しては水虫の治療をするのにグリセチンという抗生剤を七日間出して一遍に治してあげたのに、四百九十円取り過ぎたと言ってレセプトを全部返還する、それだけの権限があるのに、私もいま十全会のレセプトを八枚ぐらい持っておりますけれども、八十万、九十万円で、これはもう大阪高裁で違法とされた医療の十倍、それから昭和四十九年に日本の精神学会が殺人的と言わざるを得ないと言った医療レベルの十倍程度の医療費が請求されているのが全部やすやすと通っているわけです。ですから、現制度のもとでも診療報酬支払い基金で本当の審査をしたならば、あのような殺人的な医療は防げる。 第三番目は、警察ですけれども、これも京都の警察の方と会って話したわけですけれども、日本の治安は世界トップだと、ニューヨークなんかと比べてみいと言われるわけですけれども、事病院内に対しては、もう初めから私たちが問題を警察や検察に訴えても、ああこれはわからぬということで、最初から逃げ腰の状態なので、これはいま入っていったならば、すぐ何例かの例が見つかると思うんです。医療監視のときは、あらかじめ通告して、向こうが設定した場所にしか入れられませんので、それで私たちは病院の中、ことに十全会の中は治外法権地帯ではなかろうかと、このように感じております。
○和田静夫君 厚生大臣、お聞きのように、この十全会問題というのは依然として解決をしていないんです。私も近親者があそこにいましたから、あの中に入ってよく知っていますがね。十全会問題はひとり十全会だけの問題では私はないと思うんです。日本の精神病医療あるいは老人医療のあり方、医療法人のあり方の問題が提起をされている。この問題に対して医師会は真相を明らかにすることなく、結果的には十全会医療を擁護する立場に立ってしまった。問われたものは医療ばかりではありません。医療行政そのものが私は問われたんだろうと思うんです。十全会問題は終わっていません。医療についても厳正な再調査を行って適正に対応すべきだと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 十全会の問題は十何年続いた問題でありまして、これに対して対応の策をとるのになかなか苦労したわけでありますが、それはいまの参考人の話を聞いても思い当たる点が多々あるわけであります。一応赤木理事長が退陣をし、医療については京都の医師会の推薦する人、財政の運営については京都府の推薦する税理士、これを役員の中に入れるよう勧告を出したわけで、その勧告に基づいては逐次実行されておるようでありますが、十何年かの長い間のことでありますから、その後もまたいろいろ話が出ておりまするし、また、いま参考人の意見は非常に注意深く聞いておりましたし、非常な参考となりました。今後も、単にこれは十全会の問題でありませんから、十分監視を、足らざるところはさらに監視をして、そして全国の医療法人に対する良心の喚起に努めるつもりでございます。
○委員長(木村睦男君) 榎本参考人には、御多忙中のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
○和田静夫君 この十全会の財務についても依然として全貌が明らかにまだなっていないと思うんです。財務諸表を取り寄せて見ましたが、依然として疑惑が生ずるものが多い。特に建設仮勘定についてはこれはぜひ再調査する必要があると思っているんですが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 参考人の意見もあったことでありまするし、かつまたあちらこちらからいろんな話も聞くわけであります。特に、私が気になることは調査に行った者が御苦労さんだったとか、あるいは清潔保持はうまくいっているとかと、どうもというところもあります。したがいまして、これは決して一件落着、気を緩めるつもりはございません。
○和田静夫君 最後ですが、大蔵大臣ね、これは貸借対照表の固定資産のうち、債権の項目で五十四年三月決算で約五十三億計上されているんですよ。ところが五十五年三月にはこれがゼロになっているわけです。この五十三億はどこに行ったのか。損益計軍書の有価証券売却益にはこの数字どこ見ても出てこないんですよ。この点についても、これは厳密にやっぱり調査される必要があると思うんです。これは意見として述べておきます。よろしいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 事務当局から答弁させます。
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。 十全会グループの関係個人及び関係法人に対しましては、昭和五十四年の二月から六月にかけまして相当深度のある税務調査を行いまして、当時として適正な課税処理を下したわけでございますが、その後、昨年の秋口以来保有しておる株式の売却をしておるというような情報も入ってまいっておりまして、私どもはその後の推移を関心を持って見守っておるところでございます。主要関係法人の決算期が三月にもありますし、関係個人の申告が三月に出てまいるわけでございますので、その申告内容等を見まして必要に応じ、調査をしてまいりたいと、このように思っております。
○和田静夫君 防衛研究が一月の末に報告されたそうですが、どういう性格の研究なのか、だれが取りまとめ役になって、どういう組織、体制で、そしてどういう項目で研究したのか、まず伺います。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 防衛研究の作業は本年一月末、研究作業を終了いたしたのでございます。どういう研究をしたかといいますと、主な研究事項の概要は先般国会で御説明したのでございますが、五つの項目がございます。一つ一つ申し上げてよろしゅうございましょうか。
○和田静夫君 はい。
○国務大臣(大村襄治君) 第一が、情勢の緊迫度に応じた段階的な自衛隊の警戒監視、警戒待機の態勢をとる場合の警戒態勢の区分と同区分における措置に関する基準。第二が、情勢の緊迫化に伴い有事において防衛力を有効に発揮するための自衛隊の人員の充足、再配置、作戦用資材の確保等、自衛隊の行う防衛準備。第三が、陸海空三自衛隊の統合的運用を考慮した対処構想。第四が、有事における防衛庁長官の指揮、命令に関する統合幕僚会議議長及び各幕僚長の補佐のおり方。第五が、有事における船舶、航空機の運航の安全を図るための関係機関及び自衛隊のとる措置。以上でございます。
○和田静夫君 そこで、このまず概要一、警戒態勢の区分について伺うんですが、航空自衛隊では平常態勢の五から最高態勢の一まで五段階に区分しているわけですが、これを変更する必要があるということでしょうか。特にこの領土、領海警備行動について研究したということですか。
○政府委員(塩田章君) 航空自衛隊が現在持っておりますいま御指摘の五つの警戒態勢区分は、いわゆる領侵措置のためのものでございまして、今回の研究は陸海空自衛隊を通じた警戒態勢区分についての研究でございます。
○和田静夫君 研究した新しい区分と基準の目というのはどこですか。
○政府委員(塩田章君) 基準の目とおっしゃいますのは、どういう意味がよくわかりませんが、五つの区分に分けて航空自衛隊の場合現在やっておりますが、それに準じたような段階を区分を考えまして、今回の研究を考えておるわけでございますが、具体的な内容、どういうふうな段階でどういうふうに分けているということにつきましては差し控えさしていただきたいと思います。
○和田静夫君 じゃ概要の二の予備役の招集を早めるということ、及び輸送補給態勢の確立を早期に行う、特に領域警備の緊急時に国民の権利、財産の制限等について研究をしたということでしょうか、ここのところは。
○政府委員(塩田章君) 防衛準備の段階の研究はいたしたわけでございますが、そのうちの、先生が最後におっしゃいました領域警備の云々というのはちょっと私何をおっしゃっているのかよくわかりませんが、そういうものはございません。 それから、予備自衛官の招集の問題は、確かに防衛準備の段階の一つの指摘事項として、現在の法律の防衛出動があった場合に予備自衛官を招集できるというのでは、運営サイドから言えば遅いので、もう少し早くできないかという運用サイドからの指摘が、この研究の結果として出ておることはそのとおりでございます。 それから、二番目におっしゃいました物資の輸送や資材の補給、こういったことにつきましては、確かにこれ防衛準備の段階として必要なことだと思いますが、これは別に自衛隊の中での作業でございまして、住民の権利、義務といったものに関係するものではございません。
○和田静夫君 この防衛出動命令前にあるいは防衛の出動待機命令の前に人と物の準備が必要だ、そういうことで段階的に陸海空統合的な机上のプランなりスケジュールなり、そういうものを創出した研究と理解するんですか。
○政府委員(塩田章君) 今回の研究では、いま御指摘の防衛準備につきましては、まだ段階区分を設けているところまでの研究に至っておりません。どういう準備をしたらいいかということを、先ほど申し上げましたような例を挙げて研究をしておるわけでございまして、警戒態勢のように何かこう段階区分をつくってその区分ごとにどういうことをするというようなところまで今回は至っておりません。
○和田静夫君 この五番目の部分では、運送機関に対する運航禁止権などについて研究をされているわけですか。
○政府委員(塩田章君) 五番目の項目でございますが、運航禁止権ということでなくて、端的に申し上げますと、もし有事の事態が発生した場合に、たとえばこの方面は民間航空機が飛ぶのはすでに危ないという事態、あるいは民間の船舶が航行するのは危ないといったような事態におきまして、あるいはまた逆にもう飛んでもよろしいといったような事態におきまして、航空自衛隊なり海上自衛隊なりの判断、情報収集しましてそういった判断をしなければいけないわけですが、そういった判断を一体だれに伝えて、それが受けた機関がどういうふうにしてそういった各民間の航空業者なり船舶業者に伝えていくかといった問題は、これは当然起こってくるだろうと思います。私どもが研究いたしましたのは、その中で航空自衛隊なり海上自衛隊なりが、そういった、ここは危ない、この区域は危ないとか、あるいはもう危なくなくなったとかという判断なり、そういったことを、どういう情報を集めて、だれが行い、だれに報告していくかといったようなことを研究しておるわけでございまして、おっしゃいますように禁止権といったようなことではございません。
○和田静夫君 二と三で統合幕僚会議議長や幕僚長の補佐のあり方などの検討がされているんですが、これは現行制度及び実態との比較において伺っておきたいんですが、現在、統合的運用の点でどういう欠点があるのか、そうして統幕議長及び幕僚長の補佐にどういう欠点があるのか、どういう点が浮き彫りになったんですか、この辺長官もう御存じですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 防衛研究の中で、三自衛隊の一層の統合的運用を確保するという観点から研究がなされておりまして、防衛庁長官の行動命令が三句衛隊について、整合性を持って迅速かつ的確に発せられるようにするためには、統合幕僚会議及び同議長の、長官の指揮、命令に対する補佐機能を強化することが適当ではないかと、こういう指摘が研究の中でなされているわけでございます。 しかしながら、これはあくまでも統幕議長と各幕僚長との間における長官に対する補佐機能の問題でございます。長官の指揮、命令権限の一部を統幕議長に与えるというような趣旨のものではないわけでございます。 また、内局が現在所掌しております、自衛隊の行動の基本等に関する長官補佐の点につきましても何ら変更を加えない、こういう内容のものでございます。 この問題は、冒頭申し上げましたとおり、自衛隊の運用という観点から検討したものでございまして、具体化するに当たりましては、改めて庁内の関係部局において慎重に検討して結論を出す必要があると、私は研究の報告を受けて感じている次第でございます。
○和田静夫君 それで長官ね、防衛研究、私は説明を受けまして、奇襲対処、有事法制と、多くの部分で重なるという感じがしたんですよ。それはその研究にゆだねて、立法化はその後に検討するということであるのか、それとも、すぐにも立法化が必要な点もあるということなのか。もし立法化を急ぐとすればそれはどういう点ですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 先ほど御説明しましたように、予備自衛官の招集の時期を、現在は防衛出動命令が下命されたときとなっておりますのを、少し早めるようにしてほしいという研究も報告されているわけでございますが、こういった点は、御指摘のとおり、立法措置、法制上のあれを必要とする問題でございます。 そういった問題につきましては、現在、有事法制の研究を進めておりまして、これはもう防衛庁の所管法令あるいは他省庁にまたがる問題、非常に多岐にまたがっているわけでございますが、とりあえず防衛庁所管の法令について、いま研究がかなり進んでおりますので、これを何とかまとめたい、そういったことと関連づけながら、防衛庁としましては防衛研究成果の中で、法制上の問題につきましては、有事法制の問題と連携をとりながら、検討を進めていきたい、結論を今後出さしていただきたい、そういう心構えでおる次第でございます。
○和田静夫君 そうすると、端的に言って、奇襲対処、有事法制研究のめどというのはいつですか。
○国務大臣(大村襄治君) 有事法制につきましては、防衛庁所管の法令についてある程度進んでおりますので、できれば今国会中に国会にその要点を御報告できるようにしたいと考えておるわけでございます。 奇襲対処の問題につきましては、研究を進めておりますが、まだそこまでは進んでおらないわけでございます。
○和田静夫君 この国会、法案を出すんじゃなくて、要点の説明ということですか。
○国務大臣(大村襄治君) 有事法個につきましては、研究の結果を報告するということで、法案をどうするかはまたその後の問題であります。
○和田静夫君 どうもやっぱり危惧したとおりなんで、私は研究するだけなら何を研究しようと自由だ、勝手だというのは最近のはやりの言い方のように思うんですが、どうも私は一連の研究は文民統制の点で大変危惧している。 やや思弁的な表現をとらせていただければ、ある論文を引用しますが、「軍事組織は戦争という最悪の場合に対応するための組織であるがゆえに、常に最大の準備を要求する傾向がある」ということです。ところが、現代の軍事というのはきわめて専門技術的であって、専門知識では太刀打ちできない文官が、いかに専門家集団である制服組を統制できるのだろうかという点を非常に疑義に思う。つまり、防衛庁本庁の幹部の皆さん、大蔵省や自治省の出身者で、これは大変頭脳明晰であり優秀であることは知っていますけれども、わずか二、三年あるいは長くても数年の勉強では、とても制服組の知識とは比較にならぬのじゃないだろうか、失礼な話だが。現に内局と制服との対立というのは絶えず存在をしています。対内局秘という文書さえあるということを長官や総理、御存じのはずです。 そこで、防衛研究に即して言えば、情勢の緊迫度に応じて、場合によっては緊急に作戦と支援との連携が必要になる。しかも、これは常に対立を生みやすい問題なわけですね。現状の文官の長官、内局が、制服組を統制できる体制にない上に、防衛研究ではこの情勢緊迫度の判断、奇襲対処、つまりは制服組が掌握することになるように思われてしようがないんですが、総理、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政治が軍事に優先をしてこれをコントロールしなければならない、これは民主主義国家の大原則であるわけでありますが、私は米英等民主主義国家におきまして、この文民統制が十二分に行われておるという実態を見ておりまして、わが国もまた民主国家として、そのようなりっぱな文民統制を実現しなければならないと、常にその心構えで努力をしておるわけでございます。 国会は国権の最高機関でありますと同時に、文民統制の最後のよりどころでもある、最高の機関でもあるわけでございます。防衛上のいろんな立法の問題、自衛隊法を初め、いろいろの立法の問題にしても、予算の問題にしても、国会の御承認を得なければならない。また、政府におきましても、内閣総理大臣、防衛庁長官、いずれも文民でやっておるわけでございまして、私どもはこの政府における文民の統制、国会のコントロール、これを通じまして、わが国の文民統制というものを確固たるものにしていきたい、またその努力をいたしておるところでございます。
○和田静夫君 総理のお立場はわかりましたが、私はもう一遍くどいようですが言いますけれども、見張りをだれが見張るのかというローマ法以来の命題がありますけど、文民統制の問題というのは、まさに市民社会と軍隊の対立として、見張りの見張りを果たしてきたのだと思うんです。 日本は今日、自衛力に対する内外の増強圧力を前にして、市民社会の力が私は問われているということができるとさえ考えているんです。決してヒステリックじゃないと思うんです。 国会だとか、いろんなことを言われましたが、立法、予算、大事に関する文民統制手段があるということはよくわかります。それは平時における場合だけ有効にすぎないと思うんです。かといって、国政調査権は防衛機密にさえぎられがちなんですよ。ようやくこういうのを説明を受けて少しずつ知るという程度なんですね。そうした点で、自衛隊が現に存在しているのですから、その内在的な行政統制の確保について改めて研究する必要があるというふうに考えています。 このことは、わが国では初めて登場する問題であるかはしれませんけれども、段米では、総理もちょっと触れられましたが、すでに多くの経験がある問題ですね。 私は、最近読んでおったアメリカの文民統制の失敗と改革の歴史を総括をして、「伝統的な外在的文民統制(政治的統制)に対して一定の抑制と均衡の作用をはたしうる内在的文民統制(行政的統制または管理)が成立し、現代的文民統制の新しい枠組みが形成されたのである。」という金龍瑞さんという方の論文があるんですが、まさに日本では、防衛力増強ムードの中で、現代的文民統制についていまこそ検討すべきである。それだけの危惧が私は現実になる可能性さえあるんじゃないかと思います。もう一遍総理の答弁を求めます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども私から文民統制に対するわが国の仕組み、これは私はりっぱにできておると思いますが、その運用その他の面におきまして、和田さん御心配のことが起こらないように、今後最善の努力をしていかなければならないと、このように考えています。
○和田静夫君 日米共同作戦、ガイドラインの研究ですが、これはどういう研究組織で、どれだけの研究が進んでいますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 日米ガイドラインに基づく日米共同作戦計画その他の研究作業は、防衛庁側は統合幕僚会議事務局が、米側は在日米軍司令部が中心となりまして、これに陸海空各幕僚幹部と、そのおのおののカウンターパートである在日米各軍司令部が協力を図りつつ行われております。 日米共同作戦計画の研究は、わが国に対する侵略の態様を設想の上、自衛隊及び米軍の作戦上の要領及びこれに関連した後方支援の手順等の研究を実施しているものであります。この種の研究は、本来常に継続していかなければならないものであって、いつまでに完了するというようなものではございません。しかし、近い将来におきまして、研究の一応の概要が固まるのではないかと考えております。 その他の項目でございます日米調整機関、共通の作戦準備体制、情報交換要領等に関する研究作業につきましては、共同作戦計画の研究の概要を受けまして、逐次具体的な作業を進めていくことになることと思いますが、現在のところ余り進展を見ていない、そういった状況でございます。
○和田静夫君 アメリカの戦略が中東地域へシフトしている結果、極東地域に空白が生ずることについて、空白を埋める必要があると防衛庁長官危惧の念を表明されておりますが、その点どういう見解ですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 私は、留意する必要があるという趣旨の発言はいたしておるわけでございますが、空白を埋めるとか、そういうことは申したことはございません。
○和田静夫君 そうすると、シーレーンの保護だとか、確保という点についても、そういう中に含めて考えているとか、いないとかいうようなことは、いまはないということですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 私は、そのような状況を念頭に置きながら、みずからの国はみずからの力で守るということを基本として、あくまで防衛計画の大綱に従い、海上防衛力等の防衛力の整備を図っていく必要があるということを申し上げている次第でございます。
○和田静夫君 ちょっとくどいようですが、このシーレーンの確保も含めて、領域警備のあり方と言いますか、そういうものも日米ガイドラインのテーマとして頭の中にはお考えということですかね、いまのことを類推すると。
○政府委員(塩田章君) 日米ガイドラインの中で、特にその海上作戦の部分につきまして、いまお話しの海上交通保護の作戦というのが一つのテーマになっていることはそのとおりでございますから、当然、共同作戦計画の研究におきまして、そういうことを念頭に入れた研究が行われることは当然でございます。 ただ、先ほど長官からも申し上げましたように、今回行っているのは一つの設想を設けて、その設想に基づく作戦計画の研究を行っていると申し上げましたが、その中ではシーレーンの保護の問題、海上交通保護の問題につきましては、一般的に触れておるという程度でございまして、具体的に取り上げているわけではございません。
○和田静夫君 けさの新聞によりますと、マンスフィールド大使は、日本の防衛分担について、日本の本土と周辺海域を引き受けるよう期待している。対潜機能や防空強化を要求してきているわけですね。周辺海域というのがどこまでを指すのかはっきりしませんが、日本の領域を越える広範囲のものを意味しているように思います。恐らく政府にもそうした日本の防衛分担の範囲についての米国側の要求ですね、あるいはこの見解といったものが入っていることでしょうけれども、これは日米会談のきわめて重大なテーマになるわけですね。この防衛分担の範囲の拡大、強化について、専守防衛の範囲から言っても許されないものと私はけさ新聞読みながら考えたんですが、この要求が米国側首脳から出された場合に総理は今度どうされますか。
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答えしますが、いままではそういう具体的な期待というものは一回もないわけでございます。これはもうはっきりそうなんでございます。今度参りましたときに、どういうことが議題になるかということは、まだ相談をしておりませんので、これからの相談がございますが、恐らく防衛問題が出るであろうということは、これは予想がつくことでございます。その場合に日本側としましては、これはいつもお答えを申し上げるんでございますが、憲法の制約でございますとか、法律の制約もございますし、国民のコンセンサスも要ります。専守防衛ということもあります。非核三原則、いろいろ前提があるわけでございまして、できることとできないことは、これはございますから、そういうことははっきりしまして、それじゃ必要なできる範囲のものはどうだということで、先方と協議をするのが日本の考え方でございます。そういう考え方を貫いて話をしようと、自主的に日本が日本の防衛は決めるんだということで主張をするつもりでございます。
○和田静夫君 いまも言われましたように、専守防衛を変えるつもりはないというのが鈴木内閣の方針なわけですから、そこで防衛範囲の拡大はこれに抵触すると当然お考えなんでしょうね。
○国務大臣(伊東正義君) 範囲の問題については、これは個別自衛権で憲法の制約もあるわけでございますから、そういう憲法の法令の制約、個別的な自衛権ということを頭に置いて、これは当然向こうと話し合いをするということでございます。
○和田静夫君 自動車問題で一言ですが、日本のこの自動車輸出の規制問題と防衛問題とはリンケージしているというのがアメリカ側のどうも多くの認識のようですが、総理はこの点についてはどういう認識ですか。
○国務大臣(伊東正義君) リンケージの問題はよく新聞等で出るのでございますが、われわれ知っているのは、アメリカの議会でそういう議論があることは私どもも知っておりますが、アメリカの行政府内ではむしろ否定的、リンケージということは考えていないというのが、否定的な声が伝わってくるのでございまして、これ理論的にはリンケージというのは本当はあり得ないわけでございますので、私どももそこはちゃんと踏まえていろんな協議はするつもりでございます。
○和田静夫君 自動車輸出の問題について自主規制するか否か焦点になってきておって、アメリカの独禁法の問題ももちろんありますが、自民党の幹事長が名古屋で自主規制を示唆された。日米繊維交渉のようなやり方は決して私は好ましいものではないと考えているんですが、これは何らかの規制が必要で、自主規制が行われるなら、最も摩擦が少ないというような考えと受け取られるんですね、あの発言。これは総理もそういう立場でしょうか。
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。 幹事長が言っていることにつきましては、私どもはあくまで経済問題は経済問題、政治問題化しないように心がけて自動車問題を解決したいというふうに考えております。
○和田静夫君 総理、いま以外で、何か、今度日米首脳会談に臨んでの抱負なり、具体的事項をお持ちですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米首脳会談におきまする議題につきましては、正直のところまだ固まっておりません。しかし、いまお話が出たような、日米間における二国間の重要な問題、関心のある問題は、これは当然話し合いをすることになろうかと、こう思いますし、また、国際の平和と安全にかかわるいろいろの政治的あるいは経済的な問題、特に自由陣営の連帯と協調、そういうような面につきましては、いろいろ話し合いをしなければならない問題であろうかと、こう思っております。
○和田静夫君 アメリカのアレン大統領補佐官が、防衛をもっと広い意味で考えるという立場から、戦略的重要地域への経済援助を挙げているわけですね。これは紛争地域に対する経済援助を行うということを意味していることは明確です。これについては、日米首脳会談で総理どうされますか。
○国務大臣(伊東正義君) いま総理からも御答弁ありましたように、まだ首脳会談の議題は全然相談していないわけでございまして、新聞紙上でそういう話が出ることをわれわれは知っております。われわれの経済協力の態度は、これは世界が相互依存関係、日本のような資源のないところは特にそうでございますが、相互依存関係、あるいは南北問題でございますとか、人道問題でございますとか、そういうものが基準になって、日本が平和国家あるいは経済国家としてのコストみたいなものだと私は思うわけでございますが、そういう立場に立って、外務委員会で実は決議いただいたのがあるんです。軍事用の目的に経済協力は使わぬとか、あるいは社会経済開発のために経済協力をするんだ、民生安定、福祉向上、その場合に不正というようなことには厳に注意しろというようないろいろ基準が国会でも示され、われわれも持っているわけでございまして、そういう考え方に立って、日本の立場に立って、日本が西側の一員として世界の平和なり、あるいは安全、繁栄というものにどうしたらいいかという自主的な考えに立ってそこは選んでいくことをやろうというふうに思っております。
○和田静夫君 そうしますと、最も具体的には、エルザルバドルへの米軍の軍事介入があるような情勢になってきていますね。いや、すでに軍事介入が軍事顧問団の派遣という形で私は行われていると言ってもよいと思っているんですが、日本政府としては、友好国として、レーガン政権に中止を要請すべきだろうと、そういうふうに考えますが、これはいかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) アメリカ政府がエルサルバドルにつきまして、これは、どうも他国の内政干渉があるという、内政干渉というものは具体的には武器の搬入ということでございますが、そういうことがあるということから、いまの政府を支持すべきだということで、いろんな政策をやっていることは確かでございまして、私どもは、これはいわゆるゲリラその他の反政府の人々に対する外国からの内政干渉ということは、これはもう厳に反対、慎むべきことだというふうに思っているわけでございまして、そういう見地から、このエルサルバドルに対するアメリカの施策というものがどういうことになるか、いまわれわれ知っておりますのは、何か、訓練用の人員が若干入っているということを聞いているわけでございますが、武力あるいはそういうものの介入はしてないというふうに見ておりますので、私どももアメリカの政策がどういうふうになるのかということには、非常に関心を持って見ていると、あの地域の平和ということが保たれるようにということで、厳重に、注意深く見守っているというところでございます。
○和田静夫君 そうすると、レーガン政権から具体的にエルザルバドルへの経済援助の要請があった場合には、外務大臣、どう対処されますか。
○国務大臣(伊東正義君) エルサルバドルにつきまして、経済援助の要請というものはまだございません。全然ございませんので、これは仮定の御質問になりますが、われわれエルサルバドルの民生なり、あるいは社会福祉というもの、あるいは経済開発というものがどういうことになっているのかということにつきまして、これは十分に調査をすることは必要でございますが、その上に立ってどうするかということの判断でございまして、いまの段階ではまだ何にもそういうことは考えておりません。
○和田静夫君 日本は太平洋圏と共存をしていかなければならないと亡き大平総理は提唱されました。そうした方針とは実は逆行したことが行われようとしているような気がして仕方がない。低レベル核廃棄物の太平洋投棄計画ですね。日本政府は昨年以来四次にわたる説明団を南の島々に派遣をしていると言われているんですが、ちょっと報告をしてください。
○国務大臣(中川一郎君) 原子力廃棄物の海洋投棄は、国際的な基準に従って安全性を十分踏まえた上で海洋投棄を考え、昨年の八月から四回にわたり、関係国へ安全性についての説明会を行っております。かなり理解をいただいておりますが、まだ最終的な結論を得ておりませんで、これからもねばり強く、理解が得られるように努力をしていきたいと考えております。
○和田静夫君 現地で、そんなに安全な物なら東京湾に捨てればよいではないかという質問を受けたと聞かされているわけですが、その質問にはどう答えたわけですか。
○国務大臣(中川一郎君) 確かに、そんなに安全な物なら東京湾にとか、極端な場合は中川さんの選挙区にとかという声もないわけではないのでございますけれども、この点に対しては、安全ではあるけれども、国際基準がより安全なところにやるべきであって、やっぱり人間社会の手の届くところに置かない方がよろしい、こういう国際的縛りがあってやろうとしてもできないのであるから十分理解してほしい、こういうことで説明をいたしておるところでございます。
○和田静夫君 南の島々にとっても、人間の手の届くところなんですが、ちょっといまの答弁語弊があると思うのですが、現地政府でこの反対の決議なり声明を発した国を挙げてください。
○国務大臣(中川一郎君) 手の届かないところと申しましたのは、現在投げようとしております、海洋投棄をしておりますところが、深さ四千メートルという非常に深いところである、ここならば人間の手の一番届かないところだろう、これが国際監視機構あるいは国際基準でそういうことになっておるわけでございます。南の国々が反対をいたしましたのは、そういった試験投棄をやりたい、こういうことで説明会に伺う前後において反対の声が上がってきておるわけでございます。
○和田静夫君 反対の決議なり、声明を発した国です。
○政府委員(赤羽信久君) お答えいたします。 国として反対したという声明の出し方は聞いておりません。ただ、そこの大統領ないしは知事の方が反対の意向を表明されるとか、あるいは議会として決議をされるというところはあると聞いております。
○和田静夫君 その議会の決議です。議会の名前。
○政府委員(赤羽信久君) ただいま全部覚えておりませんので……。
○説明員(矢田部厚彦君) 御説明いたします。 北太平洋におきましては、北マリアナ連邦、パラオ共和国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島等の会議におきまして反対決議が行われております。それ以外につきましては、南太平洋委員会というものがございます。ここでやはり決議が行われております。南太平洋フォーラムというのがございます。ここでも決議が行われております。 以上でございます。
○和田静夫君 そのほかに、アメリカのハワイ州議会も決議をしていますし、ミクロネシアもやっているし、たくさんやっているわけですね。政府は、この南太平洋諸国を説得できる自信があるんですか。五十六年度実施のめどはあるんですか。私はもう当然やめるべきだと思っているんですけれども、そういうめどでやっているんですか、これは。
○国務大臣(中川一郎君) わが国としてはなるべく早くということでございまして、幸い、廃棄物は発電所のそばに、単純に倉庫の中に積んでおいても害の出るものではございませんので、貯蔵がきくというわけでございます。したがって、わが国としては、なるべく早く試験投棄にかかりたいという基本方針で、いついつでなければならないというタイムリミットを決めて、ぎりぎり絶対のタイムリミットを決めてやっているわけではありませんで、粘り強く理解と協力が得られるように最善の努力を尽くしていきたいと、こういうことでございます。
○和田静夫君 総理、これは計画そのものを破棄するということが私はやっぱり一番至当だと思うんですよ。総理の見解を求めておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは中川科学技術庁長官からるる申し上げておりますように、国際基準に基づきましてやろうとするものでございまして、関係諸国に十分時間をかけて理解と協力を求める、こういう努力をしていきたいと、こう思っております。
○和田静夫君 総理、くどいようですが、それで太平洋圏と共存をしていくという大平総理の遺志が継げますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 関係国の納得、理解を得られないままやろうということではございません。十分この安全性というものにつきまして、しかも非常に国際基準よりも低レベルのものである、安全な方法によってこれが行われるということを十分理解をしていただいた上に実施しようとするものでございますから、私は強行するということではないということからいたしまして、決して関係国の友好関係を害するものとは思っておりません。
○国務大臣(中川一郎君) ちょっと補足さしていただきますけれども、わが国が四回にわたって粘り強く紳士的に交渉したことに対しては、南の国国がかつて何の相談もなしに原子爆弾の実験等の洗礼を受けている、あるいはいろんな被害を受けているのに対して日本は非常に紳士的であると、こういう評価も受けておるのでありまして、ほかの国よりはもっと親切に粘り強くやって、納得のいかないうちにやるようなことはなく、南の国々と友好裏に解決するように最善を尽くしたいと、こういう方針でやっております。
○和田静夫君 昨年十一月十日、十一日に東京で開催された第二回日韓原子力産業セミナーで、韓国の原発から出る使用済み燃料の再処理を日本でやってもらいたい、かわりに韓国は第二次再処理工場の用地を提供してもよいという韓国側の申し入れがあったというふうに伝えられていますけれども、この話はその後進んでいるんですか。
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘の昨年十一月、東京で開催された日韓原子力産業セミナーにおいて、これは日本側が主催者でやったわけでございますが、日本原子力産業会議に確認いたしましたところ、同セミナーの場において韓国側から御指摘のようなことの事実はなかったと、こういうふうに認識いたしております。
○和田静夫君 なかったと言われてしまえば、われわれの調査の不十分さがあるのかもしれませんが、再処理工場でつくられるのはプルトニウムでありますから、これはもうこういうようなものを将来にわたって許さない、そういう立場だけは明らかにしておきたいと思います。 おととしの九月の二十二日に南アフリカ沖で核実験が行われた。これは台湾、南ア、イスラエルの共同核実験だと言われているんですが、防衛庁はこの情報をつかんでいますか。
○政府委員(塩田章君) 承知しておりません。
○和田静夫君 日本社会党は、朝鮮民主主義人民共和国との間で極東を非核武装地帯とするという約束を交わしています。近く飛鳥田委員長は出かけていこうとしているわけですが、日本政府は南北両政府との間に非核武装地帯宣言を締結するためのイニシアチブをおとりになる、そういうお考えは、総理、ありませんか。
○国務大臣(伊東正義君) 和田さん御承知のように、世界の方々でそういう非核地域が条約によってできているところがございます。ございますが、その前提はやはり相互のその関係国の信頼ということがもとになってできているわけでございまして、まだいま和田さんのおっしゃったこの北東アジア地域でそういうものができるという、関係国をずっと考えてみた場合にそこまでの信頼関係というものはまだなかなか醸成はされてないというふうに考えますので、いま日本政府がイニシアチブをとってそういうことをやるということは考えておりません。
○和田静夫君 第二次臨調問題で、時間がなくなってまいりましたから、きょうは大体基本的なことをやりながら、あと具体的なことを一般に譲りたいと思いますが、中曽根長官は、八〇年代を展望した行政の哲学とその体系的なあり方を再構築し、そのもとでの行政改革の推進を図っていくことの必要性を説かれたわけです。それをこの十六日に初顔合わせが行われる第二臨調に求めることを意図されていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 意図しております。
○和田静夫君 行政管理庁の幹部の皆さんが、大物大臣に傷をつけるわけにはいかないということで第二次臨調ではもっぱら総論をやるのだと言っている話を仄聞をいたします。行政改革は総論賛成、各論反対が常ですから、総論なら混乱も起こらないで済むし、そのうちに内閣もかわる。行政改革に取り組んだという旗だけ振って実際には、次はまあ中曽根内閣ができるのかしれませんけれども、何もしないで済むと、そういう第二臨調だと勘ぐった見方もあるわけです。御承知のこととは思いますけれども、第一臨調の総論は蝋山政道委員があれだけ汗を流して書かれた草案から課題の部分を削除して作成された経過があることは御存じのとおりであります。つまり第一次臨調はみずからの課題を設定することができなかった。私たちはまだ外にいて、こういうやり方はけしからぬじゃないかということを、たくさん意見を述べた経験を持っているわけですね。そこで第二次臨調の困難性は第一次臨調のこのことから振り返ってみても私は明白なんだということを思うんです。それにもかかわらず、第二次臨調という大きな舞台装置をつくるという意図と決意は何なのか、率直に具体的にちょっとお知らせください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調が終わりましてから二十数年たちますが、この間に非常に時日の経過がございまして内外の情勢が激変をいたしました。一言で申し上げれば、第一次臨調のときには日本は高度経済成長期の入り口でございまして、そういうような傾向を持った要請やら客観情勢があったわけであります。しかし、今日は石油危機を機にいたしましてがらっと情勢が変わりましたし、また世界的にもサッチャー政権あるいはレーガン政権等々が出現をして新しい趣が出現しております。ということは、むしろ安い政府あるいは小さい政府という要望が強く出てきておるわけであります。このような大きな変化を、日本もやはり影響を受けてもおりますし、情勢も似たところもございますし、また日本独自の点もございます。そのほかに、コンピューターや情報社会が非常に発達してまいりまして、和田委員も御質問の情報公開問題とかプライバシー法問題等も出てきております。そういう諸般の情勢を踏まえて、今日日本の行政を簡素能率化した行政にいかにするか、あるいは八〇年代以降この内外の情勢変化に対応するのに政府はいかなる政府であるべきか、中央と地方の関係はいかなる形が好ましいか、官業と民業との関係、政府の機能の守備範囲等々につきましても新しい観点から判断を求めて、ある意味においてはあるべき行政の軌道を設定していただきたい、行政改革がいつも内閣のその場の思いつきで行われている傾向なきにしもあらずでありますからこれではいけない、ある一定の長期的な見通しと全体系の中に一つ一つ時間とともに片づけていく、そういう考えに立った答申をいただいてそれを検討の上実行したい。こういう考え方に立って委員会をつくり発足せんとしておる状況でございます。
○和田静夫君 より具体的に、この第二次臨調の目標と検討課題ですね、これは何ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一言でわかりやすく言えば、簡素にして能率的な政府をいかにしてつくるか、そして国民に多くの負担をかけない、しかも行政手続そのほかにおいて親切にして便利な行政がいかにあるべきか。そういう点を探求すると同時に、この情報化社会に即応した行政のあり方を追求していく、そういうことではないかと思います。
○和田静夫君 先ほど述べました蝋山草案の中心的な執筆者の当時の論文をずっと読み返してみたんです。そうすると、「臨時行政調査会の答申の意義」というところですが、第一次臨調は「過去の行政改革の失敗の例に照らして、」「たえずその実現性というものに意を用いて進めてきたのである。答申においてもこの点について配慮が行なわれ、観念的な理想図をつくるよりも実現可能な現実的図面を描くことに重点が置かれている。」、こういうふうに述べているわけですね。それにもかかわらず、第二次臨調が必要になった。第一次臨調は失敗に終わったわけです。重要な点はほとんど何一つ実現しなかった。この点の反省を、総理、どういうふうにお考えになって第二次臨調を受けとめられましたか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一臨調におきましても、その答申は私は非常にりっぱな答申がなされておったと思います。しかし、それが実行の面に生かされていなかったという点が、いま和田さんのような評価が出てきておるわけであります。 第二臨調におきましては、最近における経済社会の状態、また財政再建というこの要請、こういう問題にこたえまして、ただいま行管庁長官から御説明申し上げたように、簡素にして効率的な行政をやる、また財政の確立を図ると、こういうことで第二臨調を設けたわけでございます。したがいまして、よく臨時調査会をつくってすべてそれにかけて時間かせぎをするというようなぐあいにとる向きがございますけれども、それは全く私ども考えておらないところでございます。 私は、第二臨調におきましては五十七年度予算の編成の中に第二臨調で可能なものはこれを生かしていきたい、このように考えておりまして、中間答申をぜひお願いをしてこれを五十七年度予算編成の中に実現をしたい、このように考えております。長い時間をかけ、そうして答申を受けて、それが答申されてから実行までの間に時間が経過するということになりますと、私はとかくそれは非常に影の薄いものにならざるを得ない。そこで、中間答申でもいいからこれを求めて、これを逐次予算編成の中に生かしていこう、こういう姿勢で今後取り組んでいきたいと、こう思っております。
○和田静夫君 ちょっと具体的に一、二質問をしておきますが、第一臨調の答申がどれだけ実現されたかというのは、これは見方いろいろあるんですが、ただ行政管理庁は非常に大づかみに八割方やったとかというようなことでこの予算委員会にも資料を提出されていますが、これちょっと具体的に説明してください。
○政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話の一次臨調の答申でございますが、大きく分けまして十六項目についての改革意見があったわけでございますが、それぞれ相当広範で多岐に及んでおります。この実現の度合いを数量的に申し上げることははなはだ困難でございますけれども、私どもはそれをさらに約四十の事項に整理、区分して現在どの程度実施されているかということを把握しておりますが、四十の事項のうち全体の約七、八割というふうに考えておりますが、そういう七、八割が措置されているのではないかというふうに考えております。もちろん先生御指摘のとおり、この事項につきましては非常に重みのあるもの等もございますので、その重みのつけ方によっていろいろ考え方があろうかと思います。
○和田静夫君 全部で十六項目八十七の勧告があったが、いま言われたように重みのあるものは一つもやれなかったんですよね。 端的にひとつ伺いますが、第一臨調の大きな柱は内閣補佐官制度を柱とする内閣機能の強化でした。これは大蔵省が予算編成の実権を失うということから強く反対した。抵抗、圧力があってとんざした。そうでしょう。中曽根さん、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 内閣補佐官制度の勧告が出ていることは事実でございます。しかし、あの当時は高度経済成長の入り口で、ある意味においてアリメカの大統領制を見習った内閣補佐官が頭に置かれておったのであります。しかし、その後日本は、御存じのようにイギリス流の議会民主制、イギリスに近い制度をとって、政党内閣で与党と内閣が、主として多数を制して内閣をとって一体になってやっておるわけでありまして、アリメカのように大統領と議会が乖離するという性格が少のうございます。そういう責任体制が議会と行政府の間で一体的な関係にありますので、必ずしも補佐官制度は日本になじむとは限らない点も出てきたわけです。 そういう意味において、各省と内閣との連携という面から見て補佐官制度に対する批判も出てまいりました。そういうような面から見て、一たん補佐官制度を用意する法案も準備されて提案されたことは事実でありますが、国会を通過しなかったわけで、その後いろいろ日本の独自性等を考えてみて、必ずしもこの案が機能するとは限らぬという発想もありまして風化してきたというのが現実で、私は、補佐官制度については積極論と消極論と二つございますが、現在の時点に立って見るとこれはよほど慎重に考える必要がある。さもないと、いまでも外務大臣が五人いるとか三人いるとか言われている状態でありますから、その上六人になっては大変でありますから、やはり日本独自のスタイルを考えていく必要があると、そう思います。
○和田静夫君 一つだけ挙げたからそういう答弁になるんですがね。たとえば第二の改革意見中の、事務次官補、専門官制の導入、企画事務と実施事務の組織の分離、あるいは第四の改革意見中、地方事務官制の廃止、国の地方出先機関の地方委譲に伴う整理統合、こういうようなものを十六項目ずうっと挙げていくと主要なポイントは全部やられていないんですよ。これはいかに抗弁されたって現実なんですからね。たとえば地方事務官制なんというのは、私はいままでの内閣——鈴木さんとはまだ約束していませんが、すべての総理大臣とここで自分の任期中にやりますと何遍約束したって一つもできない。それぞれの官僚の圧力によってつぶれている。実態はそういうふうに存在をしているわけですから、この辺のことはやっぱり踏まえておってもらう必要があります。一言で言って、官僚の組織的な抵抗に遭ってあえなく挫折をした、私の表現をすれば。その精神も根幹から受け継がれずに、ただ枝葉末節の部分でもっぱら数字合わせ的な手法で、いま行管から答弁があったような七割方やったんだというような自己満足をやっている。これが第一次臨調の運命だった。したがって、第二次臨調の運命についても私は悲観的にならざるを得ない。 ひとつ、ここで聞きたいのは、運営上最も問題があるのは、細かい点には触れませんが、専門委員、調査員、この人選は済みましたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま人選は進行中でございまして、これはしかし委員になる方々の御意見を的確に反映してやる必要がありますので、多少時間がかかるのではないかと思います。調査員につきましても、委員会が正式に成立してそれらの方々がお選びになる、そういう形になっておりますから時間がかかると思います。
○和田静夫君 これは注文つけておきますが、第一次臨調の失敗の一つは、この調査員などが各省庁の代弁者の感があったわけですね。そういう形にならないということが何よりも必要であります。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点はまさに同感でございまして、大いに戒心いたしたいと思います。
○和田静夫君 そこで、この辺でくくりたいのですが、地方制度調査会との関係というのがずっと問題になってきていまして、まず自治大臣に伺いますが、第十八次の地方制度調査会の答申について、その実現を一生懸命にやられますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 第十八次の地方制度調査会におきまして答申を得た中の一つに、地方の監査制度をもう少ししっかりしたものにしろという答申がございます。これはやはり現下の情勢からいいまして取り上げた方がいいじゃないかと私ども考えております。 それから、第十七次の地方制度調査会におきまして、地方六団体と俗に言っておりますが、これの意見提出権というものを確立した方が地方の時代というものにふさわしいのではないかという答申も得ておるわけでございます。この辺なんかもやはり法制化する方が望ましいのではないかと、かように考えまして、その法制化に向かっていろいろといま調査、努力をしておる最中でございます。
○和田静夫君 大平前総理は地方の時代というのを積極的に提唱されたわけです。鈴木総理になられてから余り提唱がないようですが、この辺のことはどうお考えになっていますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大平総理がよく地方の時代ということをおっしゃった。これは、それぞれの地方、地域の人々の自主的な考え方、要請というものを踏まえて地方の行財政を行うと、そういう地方地方の民意を生かした特色のある地域社会をつくろうということがその一つの趣旨であったと、このように考えるのでございます。国土の均衡ある開発を図って、そして所得格差をなくする、地域の格差もなくしたい、そういう考え方で今後も中央、地方の行財政を進めていきたい、このように私も考えております。
○和田静夫君 そこで、地方制度調査会十八次答申に基づくいま自治大臣答弁がありました。問題は機関委任事務などの非常に大きな問題を含んでいるわけですね。自治大臣答弁を総理も確認をされますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 同様に考えております。国と地方の行財政の簡素、効率化でありますとか、あるいはまた地方分権でありますとか、いろいろの有益な答申が出ております。そういう点を踏まえまして地方行政の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
○和田静夫君 ぜひ地方自治の本旨にのっとって、監査の機能などを持たせるという十八次の答申がりっぱに行われることを期待をいたします。 もう一度中曽根長官並びに総理に申し上げておきますが、第二次臨調、やはり官僚の皆さんに相談しながら官僚の組織をかえるというのは、これは非常に不可能なことであります。みずから裁判するみたいなものでありまして、決して自分は犠牲にならない。これはもう政治の仕事であって行政の仕事ではないわけなんですから、行政には任せられないはずのしろものだと私は思うんです。総理みずからが政治生命をかけて臨調答申を実行する、それぐらいの決意が私は必要だろうと、こう思っていますが、所見を承っておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 重ねてのお尋ねでございますから率直に申し上げますが、先ほども申し上げましたように、私は、この第二臨調に対しましては中間答申を求めてでもこれを逐次後年度予算に実現し反映さしていきたい、五十七年度予算の編成に当たりましては中間答申を得られればそれを生かしていきたい、こういう、答申を実践することにつきまして不退転の決意で取り組んでまいります。
○委員長(木村睦男君) 以上で和田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、沓脱タケ子君の総括質疑を行います。沓脱君。(拍手)
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして質問を行います。 まず最初に、政治倫理の問題について鈴木総理の認識についてお伺いをしたいわけでございます。 例のロッキードの刑事被告人田中角榮氏の復権の現象というのは、最近日に余るものがございます。一般の国民が非常に一様に本当に異様だと感じているわけでございます。と言いますのは、公判廷で被告人尋問を拒否しながら、最近では盛んに雑誌のインタビューだとか、テレビへ出るとか、どんどん登場しているわけでございます。総理は、この、ことし発表されております文芸春秋の二月号、田中氏のインタビューをごらんになりましたか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、まだ時間がなくて見ておりません。
○沓脱タケ子君 そのインタビューの中には、六年前の退陣は金脈ではなくて病気のためだったんだと言っているんですよ。この言い分というのは、総理、どう感じられますか。これは国民からもこれについては非常にいろいろな御感想が出ている。総理の御感想はどうですか。お読みになっていないと言うのでちょっと申し上げた。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来、田中元総理の復権の問題がいろいろ現象的に出ておるという御指摘がございましたが、私どもが感じておりまして、特に現在の政治に対して特別な影響が強まってきたと、そういうような感じを私は余り受けておりません。 また、いまのお尋ねでございますが、これは私がどうこう論評するような問題でもないように思います。
○沓脱タケ子君 いや、それは総理はそういうお感じしか持っていないということがまた異常なんですよ。金脈ではなくて病気でやめたんだというのは御本人が言っておられるんですが、全く国民はあっけにとられていますよ。だって、思い出してください、六年前というのは、あなたはちょうど自民党の総務会長だったですね。だから、そのとき何でやめたかという事情はよく御承知でしょう、いかがです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 確かに、私はそのとき自由民主党の総務会長でございました、総理官邸の総理の執務室に当時の副総裁であられた椎名悦三郎さん、それから幹事長の二階堂進君、総務会長の私、それから政調会長は山中君であったと思います。この四人が呼ばれまして、非常に自分は疲れておる、もう政権を担当する気力もうせたと、ついては後継者について諸君がよく相談をし、副総裁を中心にして後の措置を講じてほしいと、確かにこういう意味合いのことを私ども副総裁並びに三役におっしゃったことをいま思い出すわけでございます。
○沓脱タケ子君 田中氏御本人が、疑惑については一つ一つ国民の前で解明する、そう述べられたことを、あなた、忘れておられるはずはないでしょう。 ロッキードの公判のときだって、四年前の初公判では、身の潔白を証明することは公人としての責任だ、こうみずから言っておられるんですよ。ところが、いま手のひらを返したように、あれは金脈ではなくて、私は病気だからやめたと、これは国民はあっけにとられますわ。こういうことが本当に政治不信の大きな原因になっているとお考えになりませんか。こういう姿こそが日本の政治の恥部なんですよ。総理、重ねて御見解をお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) おやめになった際に、私ども自由民主党の四役にお話しになったことは、いま御答弁申し上げたとおりでございます。その後におきましてのことは、いま公判廷においていろいろ審理が進められておる段階でございますから、私がそれに対していろいろな所見を申し述べるということは適当でないと、こう考えております。
○沓脱タケ子君 そういう態度をおとりになっているからなんですよ。国民はどう思っておるかと言ったら、大体「よっしゃ、よっしゃ」と言って五億円も賄賂として外国の航空機会社からもらったなどということで刑事被告人になっているということ自体が、これはもう古今未曾有ですよ。世界じゅうにそんな例はたくさんありますか。 文部大臣、ちょっと聞きますけど、教育的効果にいい影響ありますか、こういう事情は。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 先生の御質問のごとく、あえて御答弁申し上げますれば、教育的効果の問題といたしましては皆さんがよく御承知のとおりでございます。
○沓脱タケ子君 毎度名答弁をなさるわけですけれども、答弁になっていないですよ、文部大臣。名答弁とも言いがたい。そういうことは教育的効果があるのかどうかということをお伺いしている。私は後ちょっと教育問題をお聞きしたいと思ってあわせてお聞きをしているんです。もうちょっと明確にお答え願いたい。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げたとおりでございます。
○沓脱タケ子君 大体、こういう問題について明確に態度を表明できないという姿のままで政治倫理確立などとおっしゃっても、口先だけだということに国民にはなるんですよ。はっきりしておきましょう。 いま文部大臣にそのことをお聞きいたしましたのは、全国のお父さんやお母さんというのは、いまかわいい子供の教育についてはずいぶん頭を悩ましていらっしゃるんです。特に、昨日来国会でも問題になっておりますが、この一番大事な教科書問題がいろいろあれこれと論じられているということで、また改めてお父さんやお母さんたちは胸を痛めているんです。 そこで、お聞きをしたいんですが、よい教科書というのはどういうものですか、文部大臣。
○国務大臣(田中龍夫君) よい教科書と申しますのは、今日の日本といたしまして、次の世代を担う青少年のためにりっぱな教科書をつくらなければなりません。かような意味でございます。
○沓脱タケ子君 いやまあ恐れ入るんですが、時間がたつから私余りしゃべれないんだけど、もう一遍聞きますが、それじゃよい教科書をつくる基準というのは文部省はお持ちでしょう。それは何なんですか。
○国務大臣(田中龍夫君) よい教科書をつくりますために、御案内のとおり検定の制度をつくっておりまして、検定官が慎重に検討いたしました上、これを検定いたしておるのであります。
○沓脱タケ子君 それは、検定というのは手段であって、わが国の教育の基本、それがよい教科書をつくる基本的な基準というものにならなければならぬのでしょう。その基準を聞いているんですよ。検定制度がちゃんとできているとかできていないとか言ってないんです。もう一遍お伺いします。
○国務大臣(田中龍夫君) りっぱな教科書をつくりますために、偏向のない中正な教科書をつくることでございます。同時にまた、学習指導要領に従いまして、この検定基準に沿いました教科書をこれを採用する、こういうことを教育委員会にもお勧めいたしております。
○沓脱タケ子君 これは文部大臣失格ですな。 参考人においでをいただいておりますが、現場の御経験をもあわせて持っておられる参考人にお伺いをしたいんですが、私はいまの文部大臣の御答弁は失格だと思いますけれども、今日の日本の社会でよい教科書をつくるという基準は、何を基準にして教科書をつくられているかということについてお話を伺いたいと思います。
○参考人(本多公榮君) ただいま文部大臣の田中先生がお答えになったことを初め、よい教科書とは何かというのはいろいろな答え方があると思います。私は二十一年間の中学校の社会科教師をやったそういう体験から、ここで二つのことだけ申し上げさせていただきたいと思います。 一つは、平和と民主主義の立場に立つ日本国憲法の精神にのっとり、そしてそれに基づく教育基本法の立場にしっかりと立つ、そういう教科書がよい教科書だと一つ思います。それからもう一つは、目の前の子供たち、この子供たちの生きる糧になるような、そういうその発達段階にきちっと沿って、そうして子供たちが読んでわかりやすく、そしてわかりやすいだけじゃなくて筋道の通った教科書、これがよい教科書である、そう思います。
○沓脱タケ子君 文部大臣にもう一遍ちょっとお伺いをしたいんですが、特に公民分野では憲法というのを教えるようなんですが、この公民分野の教科書で憲法をどう教えたらよいでしょうか。これは文部省の方針というのはどうなんですか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 公民の分野におきまして、われわれは中学校の社会科におきましては、民主的な平和的な国家の、社会の形成者といたしまして、必要な公民的な資質を養うことを目的といたしておりますことは当然でございます。憲法につきましても、その基本的な精神であります基本的人権の尊重、国民主権及び平和主義を中心といたしましたその正しい理解を深めることが肝要である、かように存じておる次第でございます。
○沓脱タケ子君 文部大臣のお答え、今度は非常によくわかりました。 参考人、いかがですか。いまこういうふうに大臣の御答弁がありましたけれども、参考人の御意見も簡潔にひとつお伺いをしておきたいと思います。
○参考人(本多公榮君) ただいま文部大臣からお答えがございましたけれども、戦後、一九四七年の第一回学習指導要領以来、憲法を教える場合には三つの原則があるということが現在も生きております。それは、主権在民、戦争放棄、基本的人権、この三つをしっかり教えること。公民的分野というのは政治学習と経済学習、それが主なものでございますが、特に政治学習においてはそういう点が大事かと思います。
○沓脱タケ子君 そうしますと、その主権在民についてはどういうふうに教えたらよろしいですか。
○参考人(本多公榮君) 一言で言えば、村や町の主人公といいますか、国の主人公は一人一人の国民、住民なんだということが本当に自覚されるようなこと。たとえば高知県窪川で原発の問題で住民投票がございましたが、あの場合九一・六六%の投票率がございましたが、公民の教育において、賛成であるとか反対であるとか、その結論を教えるのが公民の教育ではないと思います。問題は、自分もどうなんだろうという、自分の意思、政治的な考えをきちっと持てる、そういうふうになるような基礎を公民的分野でしっかり教えることだと思います。
○沓脱タケ子君 そうしますと、いわゆるこの基本的人権についてはどういう教え方をなさるんでしょうか。
○参考人(本多公榮君) ただいま家庭内暴力とかあるいは校内暴力、こういうことで、いま教師にしろ親にしろ本当に心を痛めておりますが、これはどうしてそうなのか。それはいろいろ考えがあると思いますが、私は自分の教えた経験から、どうも子供たちは人間らしい自立、これがなかなか教えられていないんじゃないか。そのためには、いろいろあるけれども、公民的分野がどういうものを受け持つのか。それは、人間はどんなにかけがえのない命を持っているのか、つまり個人の尊厳をしっかり教えることが基本的人権の教育ではないのか。それがしっかり教えられることが社会を本当に大事にし国を大事にする。つまり、愛国心の原点は個人の尊厳にあると思います。
○沓脱タケ子君 それでは、戦争放棄といいますか、戦争放棄についてはどのように教えられますか。
○参考人(本多公榮君) 私たち日本人は、三十五年前のかつての戦争を二度とやってはいけない、そういう思いを共通に持っております。ところが、いまの子供たちはどうなのか。いまここに関東地方を中心にとられた子供たちのアンケート、「子どもと教育」という雑誌の昨年八月号に出ておりました。それから同じく宮城県の方でとられたアンケートが「歴史地理教育」の十一月号に載っておりますが、このアンケートに共通に見られるのは一体どういうことかといいますと、一つは、戦争は起こりそうだと約半分の子供たちがそう答えております。思わないというのは十数%です。それでは起きたらどうするのかと言いますと、あくまでも反対するというのが半分前後ございますが、二番目に多いのは何か、逃げる、隠れるなんですね。ところが、これが、じゃ自衛隊についてどう考えるかと言いますと、もっと多くなった方がいい、あるいはいまのままでいいというのが約七〇%でございます。この数字は何を意味しているか。やはり子供たちは、戦争は起きるかもしれない、だけど起きたら自分はそれとかかわりたくない、そしてできたら自衛隊にでも戦ってもらおうと、こういうのが一つあると思います。 しかし、ここで大事なことが教育の課題として出されているようです。それは、戦争を起こさないためにどうするか、このところがいまの平和教育の大事なところじゃないのか。昨年六月、パリでユネスコの軍縮教育世界会議がございました。さらに二月二十三日にはローマ法王が来まして、二月二十五日に広島アピールを出しましたが、その精神は、やはりいかにして戦争を防ぐか、これが平和教育の大事なところ、憲法第九条の精神にかかわる大事なところだと思います。
○沓脱タケ子君 大変よくわかりました。 そこで、文部大臣、いろいろと教科書が偏向しているという御意見が出ておりますけれども、文部大臣も偏向していると思っていらっしゃるんですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 教科書の偏向の問題でございますが、私はあくまでもいずれにも偏しない中正なりっぱな教科書をつくらなければならない、かように考えております。
○沓脱タケ子君 それはちょっとお答えにならないんで、私は、いろいろ批判が出ているので、文部大臣も偏向しておるとお考えになっていらっしゃるんですかと聞いているんです、これからつくるという話じゃなくて。ちょっと簡潔に。
○国務大臣(田中龍夫君) 偏向と申しますのは、一つの世界観なり主観の問題でございまして、先生の御意見の偏向はどういうものかは私一向に存じません。ただ、あくまでも中正でなければならぬ、正しいものでなければならぬと、かように考えております。
○沓脱タケ子君 大分お答えをそらされるんですが、私は偏向していると言ってないんですよ。偏向しているという御意見や批判が出ているけれども、文部大臣はその御意見についてどう考えているんですかと、偏向しているという認識をお持ちですかと聞いているんです。
○国務大臣(田中龍夫君) 私どものつくりました教科書でございます。その検定は私は中正な検定が行われて今日のりっぱな教科書ができていると、かように考えております。
○沓脱タケ子君 ということは、りっぱな教科書だということをお認めになっていらっしゃるということなんですね。 それで、私ちょっと参考人の先生にお聞きをしたいんですが、偏向しているという批判が大分出ておりますから、これはまあ個々の御意見はいろいろあってしようがないわけですね、あたりまえのことなんで、いろいろ御意見があるんですが、偏向しているという批判があるんだけれども、先生はこれについてどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(本多公榮君) 私は、二十年近く教科書の研究もしてきておりまして、また教科書の批判もしてきました。その場合に、何としても基準と考えてきたのは憲法と教育基本法に沿っているかどうかということでございます。しかし、最近の偏向批判に対しましては、やはり三つの問題を感じます。 一つは、教科書を果たして正確に読み取った上で批判しているのかどうかということが第一点であります。それから第二点は、偏向しているという批判をしているときに、批判の材料として出されているものが果たして客観的、科学的であるかという点が二つ目の問題であります。それから三つ目は、その批判する立場、これはどういうような立場がその批判の背景に見られるかということでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、余り簡単でよくわかりにくいんですが、教科書が偏向しているという批判が出ているけれども、それには三つのことが感じられると。その一つである教科書を正確に読み取っているのかどうかということを言われましたね、いま。それはどういうことですか。
○参考人(本多公榮君) 一つの例だけ申し上げさせていただきたいと思います。二月四日、民社党の塚本先生が、教科書はデモばかりであると指摘されました。それから、きのうも名越先生が同じようなことを指摘されました。二月四日に紹介されたのは中教出版のこれだったとたしか思います。(本を示す)そうでしょうか。そういいますと、教科書というのはみんなデモばかりなんだろうかと、こう考えるわけでございますが、ここに全部持ってきております。とびらの初めからデモばかりというふうにおっしゃったわけでございますが、果たしてどうなんだろうかと。これは大阪書籍でございます。(本を示す)大阪書籍は宇宙船アポロでございます。次は教育出版、これは万博跡の国立民族学博物館でございます。それから次は学校図書、これは岩手県の鬼剣舞でございます。次は日本書籍、これは「社会生活と文化」という、団地でございます。次は東書ですが、これはとびらにございません。最初に出てくるのが「駅前の公園に放置された自転車のあいだをぬって登校する盲学校の生徒」という、いずれもデモではございません。最後の七冊日でございますが、これでございます。「幸福な家族生活」でございます。 しかし、塚本先生のおっしゃったのは、この中のグラビアがというので、じゃグラビアの中にデモがあるんではないかということで調べてみました。グラビアの数は七冊全部で六十四枚でございます。そのうちデモの写真は三社出ておりました。四社は出ていません。そのデモの枚数は全部で四枚、つまり六・三%でございます。先ほど文部大臣が検定は公正であると言われましたが、第一、デモばかりの写真が現在の教科書検定で通るでしょうか。一揆ばかりで通るでしょうか。これは教科書づくりにかかわっている人であればすぐにわかることです。 たとえば、きのう名越先生が百九ページ、大阪書籍を出しまして、これは何か政権をひっくり返すような叙述でもあるようなことを言いました。これはその一部だけを読んで気になるところということです。しかし、これは政治的無関心と国民の自覚といって、全部書いてあるんです。きのうはそこの全部を鈴木総理大臣に見てもらってはいなかったと思うんですね。それで何か大変御不満の様子でしたが、要するに教科書というのは一体何が全体として書いてあるのか。そのことなしに、ある部分だけ取り上げて気になることを言えば切りがないと思うんです。教科書というのは教育的立場に立って読み取って、批判をするときにはきちんとする。つまり、全体的に何が書かれ、何が問われているのか、そこのところを見ないで、部分だけの批判では教科書批判としては正確ではないのではないかということです。
○沓脱タケ子君 時間の都合もありますのでできるだけ簡潔にお願いしたいんですが、先ほど言われた中で、どういう考えに基づいてなされているかという、どういう立場のお考えによってなされているかという立場の問題があるとおっしゃっておられましたが、それはどういうことでしょう。
○参考人(本多公榮君) 私は、教科書はどういう教科書がいいかということを申し上げたときに、いわゆる憲法の三原則というところを公民の教科書について申し上げました。そうしますと、現在教科書批判というのはいろんな形で展開されております。特に、いろんな書物等でもすでに出ておりますけれども、そういうものを読みまして、果たしてその三原則をより進める形での批判はあるのか。たとえば主権在民、先ほど申し上げました、本当に国民が一人一人が主人公だということを十分書いてないという批判じゃなくて、デモが七分の一、六・三%というのにデモばかりという批判では一体これはどうなんだ。あるいは戦争放棄で言えば、自衛隊の増加率、これだけぐうんと出して実額は示していないではないかといって日本書籍の教科書が批判されましたけれども、その同じ表を見ると実額も書いてあるんですね。つまりその御指摘はどういうことかといいますと、やはり自衛隊の、つまり防衛費が何か多目に見せているということですから、裏返して言えば何とかもっとふやしたいということが背景にあっての批判ではないか。あるいは権利ばかりということがございますが、これなどもやはり本当に権利ばかりなのか。時間もございませんのでどうも御紹介ができないようでございますが……(「ゆっくりやれ」と呼ぶ者あり)よろしいですか。——一つだけ例を出してよろしいでしょうか。権利ばかりというのは非常に話題にもなっておりますので、一つだけ例を出させていただきます。 公民の教科書というのは大変中学生にとっては評判が悪いんです。地理や歴史というのは比較的おもしろいというのに公民というのは大体おもしろくない。どうしておもしろくないのか。それはどうも書かれていることが生々しくない、わりと羅列的だと、こういう子供たちの批判です。どうしてそうなるのかといいますと、生々しく書くとどうもこれは客観性がないのじゃないかということで、教科書検定でどうしてもチェックがつくんですね。じゃあ生々しく書かないでどうなんだということになりますと、今度は受験戦争がございまして、やはり試験に出るからどうしてもこう書かなくちゃいけないということで、憲法の条文にかかわることなどが羅列的に出ちゃう、そういう状況がございます。ですから、公民の教科書には問題を持っております。そういう中で、新しい教科書で東京書籍の本が全く異例の本ができたんです。それがどういうのかといいますと、批判されております十数ページも権利ばかりという教科書なんです。しかし、そういう批判をされてますけれども、果たして国民の皆さんは、この教科書を実際に手に取って見られた方はどのくらいいるだろうか、多分ほとんどいないだろうと思うのです。ここには「序章」と書いてあって、「個人の権利と社会」と、こうなっております。そして、ここに書かれているのは四つのお話なんです。一つは「白い杖の希い」といって、盲人に対するいたわりのお話、「(福沢美和著「白い杖の希い」より)」です。それからもう一つは、田舎の高校を出まして印刷工場で働いている、何とか夜間大学に行かしてもらいたいというある製本作業員の手記です。三つ目は漁村がさびれて出かせぎの村、そこで家をじっと守り抜く中学三年の女生徒の作文です。そして四つ目が「小さな骨」という広島の詩です。先ほど申し上げましたが、いまの子供たちが自立できない、いかにして生きる力を学び取るかというときに、この四つは非常に困難な中でも耐え忍ぶ、そして、人間に対する、盲人に対するいたわり、そういうことを書き連ねたのがこの「新しい社会」という東書の教科書じゃないかと思うのです。それが十数ページも権利ばかりと指摘されたんですね。大変残念なことだと思います。結局、そういう個人の尊厳、基本的人権を本当に大事にしかかっている教科書がこのような形で批判されるということを大変度念に思います。つまり、主権在民、戦争放棄、基本的人権の尊重を本当に伸ばそうとする形の教科書批判なのか、それとも、そういう方向をさつきのように羅列的に、非常に教科書が問題を持ちながらも、少しでもいい方にと歩もうとするものに対して、偏向という一つのきめつけをしていることなのか、その点は十分吟味してみる必要があるように思います。
○沓脱タケ子君 大変よくわかったわけですが、そういう御意見からいたしますと、そうすると、いま起こっております偏向があるという批判ですね、これはそういうものの批判がどんどん強まって偏向されていきますと、どういう影響をもたらすでしょうか、結果として。
○参考人(本多公榮君) 「疑問だらけの中学教科書」というのが出ているようでございますが、ただいま申し上げましたように、果たしてそれが本当に疑問だらけなのかどうか、実はその批判こそが疑問だらけかもしれない。もっとここで慎重に吟味しなければならないときに、すでにそれを前提にして実質的な教科書の国定化が取りざたされております。大変これを憂えます。 それからもう一つは、正誤訂正ということで書きかえがすでに進んでおります。これは教科書づくりの経過を知っている人から見ればまことに異例なことです。そういう事態が起きていること、これを憂えます。 それからもう一つは、何としましてもまだこの教科書を使う、いわばプロといえる現場の先生方にいま批判されている教科書は手に渡っていないんです。当事者抜きの議論なんですね。この当事者抜きで、使ってみてどうかということが出ないで論戦が続き、さらにそれでどうするかということが進むことを大変おそれます。
○沓脱タケ子君 文部大臣、ちょっとお聞きをしたいんですが、いまのお話によりますと、いろいろ出ている批判——偏向批判等々言われている教科書が現場の先生の手に入っていない。もちろん、そうなりますとお父さん、お母さんの手にも入っていないというわけですね。こういう段階での批判あるいは修正、そういうものというのは一体どういうことになるでしょうか。これは私は先生方が手にしていろいろと御意見が出てきている、父母が手にしていろいろ御意見が出てきているということではないわけですから、そういうままで批判やあるいはこの間問題になっております修正等が行われるということになりますと、これは教育に対する政治の介入と見られないことはないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 冒頭申し上げましたように、われわれは何とかして皆さん方と御一緒にりっぱな教科書をつくろう、そういう考え方を持っております。そのために、やはり人間のつくったものでありますから、現在の教科書は正規の検定の手続をとりまして、そうして、かわいい子供さんたちに使っていただいておるのでありますから、今日までも最善を尽くしたものであろうと思うのであります。しかしながら、われわれは客観情勢の非常な目まぐるしい今日のような世界情勢の中に、あるいはまたいろいろとこれに対しまする御批判も当然あるわけであります。でありますから、よりよい教科書をつくろうということにつきましてはこれはもうどうぞ皆様方も御協力を願いたい。 それから、いま先生がごらんになっておらない教科書と申しますと、私はそういうことはないと実は思うのでありますけれども、まず第一点は、小学校の教科書はすでにもう皆さん方がお使いになっていらっしゃるわけであります。 それから、中学校の教科書はこれも手続といたしまして、白表紙から始まりましてだんだんと今日は見本本といたしましてみんなのところにも御意見をちょうだいするようにお配りしてあるはずでございます、教育委員会に。 それから、義務教育ではありませんが、高等学校の教科書はこれから検定に入る過程にあります。でありますから、教科書と一概に申しましても、小中高一これは高は義務ではございません。そういうことで先生が見ておらない教科書なんということは、これはもうあり得ないことであります。 なおまた、昨日来いろいろの御議論がございましたが、これを印刷しておられまする労働組合の方にしても、あるいはまた検定の過程におられまする方々にいたしましても、よくごらんになっておるものと存じます。さような次第でございまして、私どもはこの客観情勢の変わっていきます中におきまして、現在の検定の終わりました分につきましてもなお意見を徴して、そうして印刷会社において修正を、われわれの方においでになる機会を与えております。 なお、これからの本につきましては、なお一層よりいいものをつくろう、こういうことで現在のできておりまする教科書が十分であるということはございません。人間のつくりましたものでございますから、まだまだもっともっとよいものをつくらなきゃならない、そういうことでわれわれは一生懸命にもっとよい教科書をつくろう、こういう次第でございます。
○沓脱タケ子君 大分いろいろと脱線した御意見も出たのですが、印刷している労働者も見ているなんて、そんな話は通りません。それは取り消されますか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 それは皆様方まだ先生も何にも見てないとおっしゃいましたので、そうではございませんでしょうと、検定の過程において順を追うてつくられつつございます。それでありますから、小学校の教科書はもうすでに配本されております。中学校の報科書もこの四月には皆様方のお手元に参るので、しかし最後の意見を伺うように、ただいま見本本が出回っておりますので、御意見がございましたらいまのうちにどうぞおっしゃっていただきたいと思います。それから高等学校の教科書はさらに来年の分がいま検定中で、始まるところでございます。
○沓脱タケ子君 いや、私は、いま大臣がおっしゃったように、四月には渡すとおっしゃっているでしょう。だから父母やあるいは現場の教員がみんな手に持っている状態でないというままでいろいろな批判が出ているということについては、これは問題があるのではないかと申し上げたのです。 ちょっと参考人の方に最後にお聞きをしたいのですが、これは現場ではどうなっているんでしょうか。現場では手に入っていないということを私はちょっと聞かされているものですから、お伺いします。
○参考人(本多公榮君) 文部大臣の田中先生が二回目のところで少し訂正されましたので正確に少しなったと思います。私が申し上げましたのは、この見本本というのはそんなに簡単に手に入るものではないのだということは、現場の先生方が一番知っていると思います。これを見るためには、教科書センターというのが採択地区に一カ所ずつございますが、それが公然と見れる場として公開されるのが七月の一日から十日まで。その十日間でもって教科書を見て、そしていろんな意見をということです。ところが、いろんな批判はその後にいろいろと昨年の後期から最近展開されてますね。ところが、現場の先生が実際にその教科書を見るには、四月に配給されて初めてみんな手にできるんだということです。そしてまた、本当にどうかということ、先ほど言いましたように、どっかのすみっこだけ気になるのじゃないんですね。全体はどうかというのはやはり一年かけて使ってみなくちゃならない。それと、教科書というのは教師だけではまだ欠点を見つけ切れないことがあります。子供たち自身もこれは驚くような意見を出すこともありますし、あるいは親もいろんな意見を出すと思うのです。そういう意味でいまの公民的分野にある程度しぼって私は申し上げてきましたが、社会科の教師をやってきたという立場で、教科書が新しいのが渡されるのは今度の四月から、したがって少なくともそれを一年間使ってみてどうだったかというぐらいのゆとりを持って教科書の問題を検討していいのではないか。それが教育的な教科書の批判ではないのか、そういうことを申し上げた次第でございます。 確かに小学校の教科書はすでに昨年から使っております。その小学校の教科書について申し上げたのではございません。中学校の教科書は特に公民的分野について現在批判が集中しておりますので申し上げた次第でございます。
○沓脱タケ子君 大臣ね、見本本というのはだれでもそんなに手に入りないという話ですよ。だからちょっと話が違うんです。文部大臣なら入るけれども、だれでも手にそんなに簡単に入らないと言っている。 それで、御意見があったら言ってくださいという御意見もありましたけれども、正誤訂正言うてください、印刷会社に言って直させますという話だけれども、これはちょっと簡単な話にならぬわけで、正誤訂正について、これは参考人の先生、簡潔に正誤訂正の問題についてお伺いをしておきたいと思います。この問題で参考人の先生、結構でございます。
○参考人(本多公榮君) これも教科書づくりにかかわっている、あるいは教科書を具体的に研究している人たちならば常識的なことかもしれませんが、現在、日教組の公開質問状で明らかになった広告とか商社とかあるいは原発についての修正ですね。これは自発的修正というふうに新聞等で報道されております。そのことです。これは昨年の七月に教科書採択がなされ、そして採択でもこれがよしということで決まった後の修正でございます。いままでかつてないことではないかと思いますけれども、しかし問題はそういうことではなくて、じゃあ先ほど文部大臣が言われましたように、教科書をつくる過程において教科書検定の合格が出るのは大体秋です。これで言いますと、昨年、一昨年の秋に出ております。それから最終合格まで約半年近くございます。その最終合格が出てから見本本になるわけです。その半年間に教科書の仕上げがなされます。その仕上げがなされるときに、つくるときに、白表紙本を出すときに教科書会社で気づいていればいいんですよね。なかなか気づいていないミスもどうしても出てくるんです。それを何とか仕上げの段階で認めてほしいと、まだ最終合格じゃないから認めてほしいということが各社から出ます。 私が聞いた範囲でございますが、これは正確な調査を当局がされますと出ると思いますが、どれぐらいそういう自発修正が途中で出るかと言いますと、たとえば中学歴史の今回の検定で言いますと、多いのは百近く、少ないのは五十以下だそうでございます。そのうち教科書検定で自発修正、つまり少しでもよくしたいと思ってこう直したいというものはどれぐらい認めてくれるかと言うと、約半分だそうでございます。 なぜそういうことに気づいたかと言いますと、教科書展示会で私がこの一つの教科書についてどうもこれは変だということで気づいたことがあったのです。それは日露戦争のところですが、教科書の本文が二百六ページから二百七ページのところにあるのに、それの資料として「歴史を考える」というので「日露戦争をめぐるさまざまな意見」ということで「戦争を主張する意見」と「戦争に反対する意見」を出して、そして考えるようなそういう資料が出されております。これは離れていたんでは子供にとって使いづらいので、ぜひこの日露戦争の記事が見開き二ページにあるのでその近くにあった方がいいじゃないかということで、そういう意見を持ったわけですね。それで、ちょうどこの教科書の著者を知っていましたので、どうしてなんだと聞いたら、いや実はというのが、先ほどの自発修正で出したんだけれども、通らなかったことだと。そういうことはこの木の中で同じようなことが何カ所もある。じゃ、なぜそういうことを初めに気づかなかったかといいますと、資料ページを節の一番最後に置いた方がいいと思ってつくったと言うのですね。ところが、途中ででき上がってみると、やっぱり教科書の本文に資料を合わせた方が子供にいいだろうと思って、つまりこれは単純な編集技術上のことです。そうしようと思ったけれども、自発修正は通らなかった。ですから、編集技街上の自発修正に対しても半分ぐらいしか認めないのに、どうしてすでに採択が決まった後のそういう先ほどの広告の問題や商社や、そういうものに対しては自発修正を認めたのか。そこのところに、片方に対してはこの自発修正に非常に厳しい枠をきちっとつけておいて、片一方にはフリーパスのような形なのか、その辺が、一つの問題点ではないかと思います。
○沓脱タケ子君 大変よくわかりましたが……
○委員長(木村睦男君) もうよろしいですか。
○沓脱タケ子君 参考人もう結構です。
○委員長(木村睦男君) 本多参考人には、御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席くだ君って結構です。
○沓脱タケ子君 文部大臣、いまのお話を聞きますと大変だと思います。大変正誤訂正というのはむずかしくて、なかなか自発修正といってもできないというふうな一面があるのに、今度問題になっているのはすでに見本本になってからばっとこう変えられたということで、これはおかしいというふうに関係者が感じるというふうなことのようでございます。 私どもこれに非常に関心が深うございましたが、こういうことが再々起こってまいりますと、これは政治の教育に対する介入というように受け取らざるを得ないという問題が起こってこようと思いますので、その点については厳によい教科書をつくるということで、公正な教科書をつくるということでがんばるんだとおっしゃっておられるので、そういう点は厳正におやりになるということが必要だと思いますが、文部大臣の御見解を伺っておきたい。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま参考人のお話を承りましたが、参考人はあくまでも参考人でありまして、本委員会におきまするいろいろ質疑応答は、これは委員の先生との間に私は明確に申し上げます。と申しますのは、検定の内容の中で学校の先生に渡るのは大変おそいようでございますが、しかしいまの検定の制度と申しますものは、御案内のとおり、つまり教科書の作成に対しまする検定制度は、これは文部大臣の責任のもとに行います。それには先ほど申された検定の申請の白表紙という原稿本がございますが、これは教科書の検定審議会の審議に諮問するものでございまして、大体三百点ほどのものをもって審査をお願いするわけでございますが、この諮問を受けました原稿本の次には、今度はそれを原稿本といたしまして審査官にいろいろと御審議をいただき、そして最終に審議会に付して最後の完成見本本となり完成するのでございます。こういう過程におきましては、あくまでも十分民主的に、あくまでも各方面の御意見をちょうだいするようになっておりますことは申し上げるまでもございません。ただいま参考人も言われましたように、いろいろと意見が出てくる。その意見の出てくるのを、これを審査官が審査をいたす。そして、これならばというものを大体の最後のものにいたします。しかし、これを採用いたしますのは、その御本を採択されるのは教育委員会でございます。でありますから、大体小中学校の分で二十三社ほどの会社の本ができます。高等学校入れますと、六十五社ほどになります。それをどの教科書を選ぶかということは、これは先生方もいろいろとおっしゃるでありましょうが、教育委員会がその採択をいたしまして生徒に配付する、こういうことになっております。で、いまのところで私どもは、これからの小学校の分につきましてはすでに配本してございますが、いま参考人の言われた中に一つだけ、なかなか小学生もいい意見を出すとおっしゃいましたけれども、しかしそれはもう配本された後の分で、その意見までも採用してまた検定をやり直すとなったらば、これはもう際限がありません。しかしながら、検定を受けたものでありましても、検定規則によりまして、余りにも客観情勢と合わないような四囲の情勢がございますれば、この検定規則の十六条の一号から四号までによって出版会社がこれに対して自分の方で改めたいという希望を申し出た場合におきましては、それはそれを採択、採用することもございます。 それからまた、いまの審査の終わりました分はそうでございますが、その後におきましてこれから検定をいたす高等学校向けのものにつきましては、ただいまいろいろと審査官が審査をいたしておる過程でございます。でございますから、なおいろいろと各方面の御意見を十分に聞きまして、そうして将来の日本を背負ってもらう大事な大事な私どもの子供がりっぱな教科書が手に入るように、どうぞ御協力のほどをひとえにお願いいたします。
○沓脱タケ子君 いや、御協力と言われたんですけど、きのうの玉置委員のお話では教科書は共産党がつくっていると言われましたけど、あの言葉は大臣お認めになりますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 昨日の玉置委員がおっしゃいましたからと申されまして、それほど共産党ということを気になさることはないんじゃないですか。
○沓脱タケ子君 いや、私がお聞きしておりますのは、共産党を気にしてるわけではなくて、共産党がつくった教科書と、こういうふうに発言をされたんですが、文部大臣はそういうふうにお認めになっているんですかということです。
○国務大臣(田中龍夫君) それは、日本はあくまでも民主国家でありまして、共産党といえども合法政党でございます。その方の御意見が入っておりましても、決してそれは御心配になることはないだろうと思います。
○沓脱タケ子君 いや、それは、私が気にして言ってるんではないんですよ。玉置さんがああいうふうにおっしゃったから、文部大臣はその認識はいかがですかと聞いているんです。
○国務大臣(田中龍夫君) この委員会は玉置さんも委員でありまして、先生も一委員でございまして、同じように、何をおっしゃいましても、民主憲法のもとでは発言の自由がございます。
○沓脱タケ子君 いや、ちょっとまともに答えてもらわぬといかぬですよ。全然答えになってない。それは困りますな、これでは。まともに答えてくださいよ。
○国務大臣(田中龍夫君) 昨日の御質問は、まあ御引用の言葉というものは一つの比喩だと思います。検定は文部省において適正に行うべく努力いたしておるのでありまして、また採択につきましては、教育委員会が適正に行うように文部省から指導もいたし、さらに義務教育教科書の無償制度につきましては、憲法に掲げまする義務教育の無償の精神にのっとりまして、広く実現をいたしておる次第でございます。なお、これらの検定制度につきましても、いろいろと御意見がございますればどうぞ御発言をいただきます。
○沓脱タケ子君 まともにやっぱりお答えをいただくのが大事だと思うのですが、教科書は文部省が責任を持って検定をやってきちんとつくっているものだ。したがって、共産党がつくったということではありませんとはっきり言ってもらったらいいんです。
○国務大臣(田中龍夫君) 冒頭申し上げたように、皆さんの御意見を徴しまして、そうして民主的につくられました教科書でございます。
○沓脱タケ子君 まあ、ちょっと先にいきますがね。共産党がつくったような、比喩的だということでお答えになっておられますからね。それで今日の教科書は文部省が責任を持ってつくったと、この点がきちんとしておられるのですね。そういうふうに確認してよろしいか、もう一遍。
○国務大臣(田中龍夫君) 検定のルールに従いまして、文部省が責任を持ってつくったものでございます。
○沓脱タケ子君 それもう一つ言ってもらわぬと……
○国務大臣(田中龍夫君) すでに終わりました教科書は、文部小判が責任を持ってつくったものでございます。なお、これから検定の過程にありますものは、先生の御意見にも従いまして十分に各方面の意見を徴します。
○沓脱タケ子君 どうしてまともに答えてもらえないのですかな。まともに答えてもらわなかったら前へ進まれないです。私が翻訳までして言っているんだから、ちゃんと答えてくださいよ。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申したとおりでございます。
○沓脱タケ子君 文部大臣というのは、そんなにまともに平素からお答えにならぬのですかな。さっぱりまともにお答えをいただけないのでちょっと驚いているんです。 それで、昨日の本委員会で、玉置委員かこれも御指摘になりましたが、いわさきちひろさんのこの教科書の絵の問題ですね。印税がたくさん入って、しかも松本善明議員のところに入っているかもわからぬ、共産党にも入っているかもしれぬという問題を提起されましたが、これについて事実関係を少し申し上げて、関係者の御意見を聞きたいのです。 いわさきちひろさんの教科書の絵は、印税ではなくて、絵の使用料として一回十四万円でございます。十四万円で、何十万冊印刷されようと十四万円ぽっきりでございます。 いわさきちひろさんは、これは七年前に亡くなられて、松本善明さんの前夫人でございます。いわさきちひろさんが亡くなられた後の著作権収入というのは、亡くなられた後につくられた財団法人いわさきちひろ記念事業団に四分の三、そしていわさきちひろさんの御長男松本猛さんに四分の一を帰属していて、御指摘の松本書明さんには全く無関係になっております。まして日本共産党には入っているはずがありません。全くでたらめでございます。 そこで文部省にお伺いをいたしたいのでございますが、この教科書の印刷をしたのは教育出版でございますが、私が申し上げた点について御確認をいただけたかどうか、ちょっと御報告をいただきたい。
○政府委員(三角哲生君) 教科書に使用されます絵の使用料及びその支払い方法につきましては、これは絵をかいた方と教科書発行者との間の契約で決まる事柄でございまして、したがいまして個個具体的な契約金額は一定でないということのようでございます。それで、私どもとしては、個々の契約金額については、これは商家個人と教科書発行者との間のことでございますので、文部省の関係のない事柄であるというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 きのうのお話の中では、大蔵省もお調べになるというお話でございましたね。印税が入っているんなら課税の対象になるのだから調査をするとおっしゃっておられたのですが、御調査の結果を伺いたい。
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。 お尋ねの件は昨日提起された問題でございまして、私どもも調べてみなければわからないわけでございます。事実関係は承知いたしておりません。 また、これはあらかじめお断り申し上げますが、私どもの調査は所得税法ないし法人税法の権限に基づいて調査をいたすわけでございますので、その調査の結果につきましては御答弁いたしかねます。
○沓脱タケ子君 御本人は公表していただいてもよいと言っておりますけれども、どうですか。
○政府委員(渡部周治君) 税法上課せられておりまする守秘義務に対しまして、御本人がその開披を求められれば開披してもいいのではないかという議論は従来からあったわけでございますが、これについても実は問題がございます。と申しますのは、守秘義務で守られております法益は、一つは、御本人のプライバシーでございますけれども、同時にこれは御本人が関係しておられまする第三者のプライバシーがあるわけでございますので、御本人がいいとおっしゃっても第三者の秘密というものを守らなければなりません。それからもう一つは、そもそもこの守秘義務が課されておりますのは、申告納税制度のもとにおきまして、税務調査に御協力をいただく。そうして真実を語っていただく。そしてその調査結果はみだりに外に出ないという担保のもとに税務当局と納税者との信頼関係が保たれておるわけでございまするので、そういう意味で守秘義務は守らなければならないわけでございます。
○沓脱タケ子君 まだ調査をしていない、公表もできないということだそうですが、これは私が申し上げたように、松本善明氏とはかかわりがありません、そのことを明確にしておきます。その点で昨日の玉置委員の御質問というのは、全く何も御調査にならずに松本善明議員や日本共産党に莫大な印税収入がある、そして税金も申告していないかのように思わせるような大変ためにする悪質な質問だと思うわけで、私はこの際、委員長にお願いをいたしたいと思いますけれども、玉置議員に、こういった実情を知っていただいて、これは取り消していただき、陳謝をしていただきたいと思います。
○委員長(木村睦男君) これは予算委員会内の問題でございますので、そういう御疑念があれば、あなたの方からも理事が出ておられますから、理事にお話になって、理事会でどうするかということを対処いたしたいと思います。
○沓脱タケ子君 ちょっと申し上げておきますが、いわさきちひろさんの絵のことについて触れられておりますので、ごく若干触れておきたいと思いますが、いわさきちひろさんというのは、国際的にも国内的にもトップレベルの童画作家でございまして、これは文部大臣賞も受賞しておられますし、サンケイ児童出版文化賞も受けておられますし、それからボローニャの国際絵本展のグランプリも受けておられるという大変高い水準のトップレベルの童画作家でございます。総理、これがこの国際絵本展でグランプリをとられた「ことりのくるひ」という絵本でございますが、一遍ごらんになってみてください。(資料を手渡す)ごらんになっていただいて後でちょっと御感想を聞きます。 この教科書の絵に、人民帽ときのう言われた。私はこれを開いたんですが、これを書いたころというのは一九七〇年ごろですが、この手の帽子ははやっていたそうですね。それで私は、玉置議員が政治的色めがねで見たら何でも中国共産党の人民帽だとかなんとかというようなことになってしまって、その絵の芸術性というものをお認めにならずに、そうして御主人が共産党の国会議員だなどということを非難の対象にするなどというのは全く前近代的な愚劣な攻撃だと思うんです。 文部大臣ちょっと聞きたいんですが、文部省はこの絵の芸術性をお認めになって検定に合格されているんでしょう。どうなんですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 冒頭申し上げておきますが、昨日の玉置議員の御質問に対しましては、私は同僚議員のことでもございますので、名前は申さなかったことだけは御記憶ください。それからまた、奥様のそのりっぱな絵は、これは文化的な価値あるものとして大臣賞も差し上げておりますことは御案内のとおりでございまして、同時にまたもう故人となられてまことにお気の溝な話だと思います。 以上でございます。
○沓脱タケ子君 この問題の最後に、……
○委員長(木村睦男君) 御静粛に願います。
○沓脱タケ子君 総理ごらんいただきましたが、簡単に御感想だけ伺っておきたい。これは文部大臣賞をもらった方ですから。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は絵の鑑賞は弱い方でございますが、しかし私あれを見ておりまして、大変なごやかな、非常にいい、明るい感じを受けます。さすがに文部大臣賞をもらっただけのことはあると、こう思います。
○沓脱タケ子君 問題を移しますが、レーガンの新政権成立以来というところで、ちょっと問題をもう転換いたします。 レーガン政権の成立以来、御案内のように核兵器の使用を辞せずだとか、あるいは中性子爆弾の生産だとか、あるいは大軍拡予算を組むというようなこと、あるいはエルサルバドルへの不当な干渉など、異常なばかりの超タカ派ぶりでございます。五月に総理が訪米をして会談をするということになっているわけですが、まずお聞きをしたいのは、レーガン政権のこうした外交姿物についてどういうふうに認識をされ、どう考えておられるか、これについて最初にお聞きをしたい。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 新政権のまとまった総合約な政策というのはまだ発表にならぬわけでございますが、いま方々でいろいろ演説がありましたり、財政再建が出たり、いろんなものが出ております。そういうものから判断をわれわれするわけでございますが、アメリカの経済問題については、非常な決意を持って財政百姓をやられるという中で、いま沓脱さんおっしゃったような防衛費の増額というものもあるわけでございますので、アメリカとしましては、世界の平和、繁栄、安全というものの維持のために、まず自分の経済も強くし、そして西側の信頼されるリーダーとしての回づくりをやろうというような非常な強い決意だというふうに見ております。
○沓脱タケ子君 私は総理のお考えを聞きたいと言っているのに、伊東さんいつ総理にかわったんですか。お考えを総理に聞きたいと言っているんです。お願いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私まだレーガン政権の内外政策につきまして十分実は承知していないわけでございます。外務省がいるいろいろんな資料でありますとか、演説のコピーでありますとか、そういうようなものを集めて丹念に分析しておると思いますので、私がコメントを申し上げるよりも、外務大臣がまずその分析の結果をお話をした方がよかろう、こういうことであったわけでございます。 私は、五月の上旬に出発をいたしまして、レーガン大統領初め米政府の首脳と会談をするということに相なっておりますが、まだ議題等につきましては出まっておりません。私としては、二国間のいろいろの問題がございますから、そういう問題、また国際的な問題等につきまして率直な意見の交換をしたい。そして世界の平和と安定に日本なりに、日本の国力、国情にふさわしい貢献をしたい、このように考えておるところでございます。
○沓脱タケ子君 日米会談の最大のテーマというのは当然世界情勢分析でまず認識を一致させる。そして日本にグローバルパワーとしての役割りを果たさせるというために軍事分担と経済援助、そういうことが当然話題の中心になるわけです。現にこれは防衛担当のアレン大統領補佐官が日本に対して、世界第二位の超経済大国にふさわしい努力、役割りをやるべきだという発言がたびたび出ていますね。また、ワインバーガー国防長官も、これは西側同盟国の一員として最大限の努力をという要求をして、大幅な軍事費の増高、軍事分担を要求してきておるのは毎日の報道で明らかでございます。 私はこれらの発言というのはわが国に対する不当な内政干渉だと思うのですよ。だから、これはきっぱりとお断りをして自主性を貫くかどうか、貫いてくれるのかどうかというのは国民の注目するところなんですよ。どうですか、はっきりとお断りになってこられますか。はっきりとそういう自主性のある立場をとるということを約束していただけますか。
○国務大臣(伊東正義君) 私が先でまことに申しわけありませんが、私が先に行くものですから少しお聞きを願いたいと思うのでございます。 私ども、内政干渉とは思っておりません。期待表明だというふうに思っております。 それから、向こうへ参りましたら、やれることとやれないことははっきりしておりますので、憲法でございますとか、専守防衛、個別的な自衛権、はっきりしていることがございますので、それは日本の立場は自主的にこうだということを主張してまいります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 伊東外務大臣が申し上げたとおりでございます。
○沓脱タケ子君 できることとできないことがあるので、そして総理はたびたび軍事大国にはならないと、こういうふうにおっしゃっているのですけれども、私は、たとえば昨年訪米をしてこられた元防衛庁長官であった金丸氏が、二月の十三日に「防衛力整備に関する提言」というのをつくって、この六カ年計画でGNP二・五%ということを主張しておられるわけでしょう。GNP二・五%と言うたらNATO並みの計算で、軍人恩給も含めたら三%を超しますよね。そうなったら世界第二位の軍事大国になる状況が保証されますね。金丸さんと言えば元防衛庁長官であり、自民党の田中派の有力幹部ですね。しかもアメリカの希望している路線でのこういう提言、こういうものを総理がアメリカへ行く前にということで渡しているんだが、これに対して総理はどういう態度をおとりになるか。
○国務大臣(伊東正義君) 先にお答え申し上げます。 政府は防衛計画大綱という、これは正式な国防会議、閣議で決めた大綱がございますので、これに沿ってこれをなるべく早く達成するというのが政府の態度でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 金丸氏は民間の戦略研究所ですか、そこの会長をされておるということで、その研究所で調査研究をされたレポートを提案をしようということでございましたが、私はそれをお受けしなかったわけでございます。自由民主党の国防部会でありますとか、あるいは安全保障調査会でありますとか、そういう党の機関がございますので、その民間の研究機関や団体の、そういうレポート等はそういうところでひとつ研究してもらいたいと、参考にいたしてもらいたいと、こういうことを申し上げておいたわけでございます。
○沓脱タケ子君 総理は衆議院で、日米会談ではわが国に対して国際的な問題で軍事的役割りを期待するのは間違いだとはっきり述べてくるとおっしゃっておられますね。で、これは自衛隊を海外派兵しないという意味ですか、このいわゆる国際的には軍事的役割りを期待するのは間違いだという内容というのは。その点ちょっとはっきりしてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど伊東外務大臣がきわめて明快に申し上げているように、日本としてできることとできないことがございます。憲法の制約、また日本の防衛政策、専守防衛、軍事大国にはならない、近隣諸国に対して脅威を与えるような重事力は持たない、また、集団自衛権等は憲法上の制約もある、いろいろの制約があることはもうあなたがよく御存じのところでございます。でありますから、日本としてできることとできないことがある、そこは明確にしていきたい、こういうことでございます。
○上田耕一郎君 委員長、関連。
○委員長(木村睦男君) 上田耕一郎君の関連質疑を許します。上田君。
○上田耕一郎君 日本ができることですね、その範囲にも新しい問題がいろいろ出ていると思うのです。このきのうの朝刊で、アメリカの外交・安全保障担当のリチャード・アレン大統領補佐官が「責任分担日本も公平に」というインタビューをされて新聞に大きく出ました。それで、この責任分担の中に戦略重要地へ援助をというのがある。つまり、中東その他、アメリカが戦略重要地と思っているところへ経済援助その他をやってくれと、これは日本ができることと思っているのではないかと思うのですけれども、その点で、外務省が二月二十四日に、アラビア半島の先端にあるオーマン、これに対する政府援助を本格化するということを決めだというのが毎日の二月二十四日の夕刊にまた大きく出ている。このオーマンへの援助というのが非常にこれは危ない問題だと思うんですね。アメリカはこのオーマンのマシーラ島に、日本の沖繩を拠点にしている緊急展開部隊、そのための海空軍基地をつくるということで来年度から膨大な予算を継ぎ込むといわれている。園田さんに私はひとつお伺いしたい。園田さんは、七九年七月十日、内外情勢調査会で講演されました。「日本外交の針路」、この講演の中で、当時、東京サミットでアメリカ側にこのオーマンの島に軍事基地をつくったらどうかという具体的提案を行ったという演説をされたという。「中央公論」の七九年十一月号に加瀬英明氏がそのときの講演のテープに基づいて起こしております。バンス長官に「戦略上の要点に置けこと、「中東の大陸のなかに基地を置けば反米闘争の口火になる。さらに火がつく。従って島に置いたがよかろう。その島は、ここの島に置いたがよかろうといったら、目玉をパチクリさせながら聞いておったわけであります。」と、あなたはそういう演説をされている。加瀬英明氏は、これがオーマンの沖に浮かんでいるマシーラ島だと、こうはっきり書いている。園田さんにお伺いしますが、この事実はありますか。当時の内閣として、アメリカに対してオーマンのマシーラ島に米軍基地をつくれと、そういうことをあなたは提案したんですか。
○国務大臣(園田直君) その問題は当時委員会で聞かれたことがございます。そういう事実はございません。サミットのときにそのようなことは話題にもなりませんし、雑談にもありません。したがいまして、その記事は間違いであって、それは私が訂正しております。
○上田耕一郎君 とんでもない話で、そのときの記事は朝日が二面トップで書いている、読売も毎日も七段、八段で書いている、この話を聞いてですよ。その後、この「日本外交の針路」はパンフレットに出ているけれども、その部分は全部削除されている。だから加瀬英明氏は、テープを取り寄せて全部聞かれて、中央公論に、全部調べてあるんですから。事実はないという、全くあなたはこれは国会を侮辱したうそをついているということになる。ですから、私は、この問題を調査するということをひとつ委員長に提案したいと思います。 なお、もう時間もありませんので、この問題に関連して、関連質問なので余り詳しく詰められませんが、重大問題だと思う。テープまであるものを当時の外務大臣が否定するということはそのままにしておけないですよ。調査する必要が国会としてもある、東京サミットで大平内閣が内閣としてアメリカにそういう提案をしたというんですから。日本が提案して、アメリカが目をぱちくりさせたこの島にいま中東の米軍基地がつくられようとしているんですが、このオーマンの軍事基地建設に対する日本に対する責任分担、これが日米首脳会談でもあるいは出るかもしれません。 そこで私はお伺いしたい。外務省が決めたというオーマン援助の具体的な中身、これをひとつはっきり外務大臣答えてください。 それから二番目に、首相、アメリカから、この軍事基地の費用分担、もし出された場合ですね、これも政治的、経済的援助になるのか、その費用分担に対して拒否をするという態度をおとりになるかどうか。 もう一つ、一月二十七日に黒柳議員に対する政府答弁書が出ておりますけれども、この武器輸出問題についての政府答弁書ですが、ここに非常に大問題があります。これは「軍事施設の建設には病院、宿舎、道路の建設等いろいろある」と、「民間と共同使用の施設もある。したがって、工事請負契約について外国の軍事施設の建設に係るものがあるからといって直ちに規制することは適当ではない。」と、だから軍事基地建設に関しては民間に対して承認することがあるのだという政府答弁書が出ているわけですね。そうなると、このオーマンの軍事基地に対して援助を求められて日本の企業がやる場合に、これも承認範囲に入るのかどうか、これは軍事基地問題あるいは武器輸出問題にもかかわって重大問題なので、あとの二つは首相に、最初の一つは外務大臣にはっきりお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 第一番目の問題の、オーマンに経済援助を決めたのかと、こういうことでございますが、まだ決めておりません。オーマンには昭和五十二年から技術協力をやっております、五十二年から。これは主として鉱物資源とか、製油所関係の建設の調査とか、五十二、五十三、五十四と技術協力をやっております。それから、昨年園田特使も行かれましたときに、オーマンが農業に非常に関心を持っておりました。あそこは御承知のように、水がないという問題がございまして、農業開発の要請があったのでございます。その後私の方の政務次官が行ったりしておりますが、やはり農業開発の要請がございます。それで、昨年と、ことしも出すのでございますが、これは本当に、地下にダムをつくって水をためて、約千ヘクタールぐらいのパイロットファームをつくろうという計画の調査を頼まれていまやっておるというところでございまして、またこれを経済協力としてやるかやらぬかという方針はまだ決めておりません。調査を頼まれてやっておるというのが現実でございます。 それで経済協力は、何回もお答えしますように、これは軍事用にというようなものには経済協力はやらぬ。社会経済開発あるいは民生の安定、福祉の向上ということを目的としてやるわけでございますので、オーマンの調査もいま言った農業、農村開発ということで調査をやっております。 それから、総理がお答えになる前に私がお答えして、それから総理にお答えしていただきますが、軍事基地の問題について何か要請があるか、あったらどうするかということでございますが、いまはまだ一切そういうものはございません。私が、国会のお許しを得れば二十一日からアメリカへ行くわけでございますが、いままでもそういうことは、現実の問題としてパトロールの問題でございますとかいろいろあったんですけれども、一切いままではないのです。でございますので、これからそういう問題が出るか出ないかということでございますが、これは本当に仮定の問題でございますので、日本としましては憲法の制約もある。集団自衛権というものはこれは日本にはないんだ、個別自衛権しかないんだということを前提にしまして、そういう法律論と、あるいはまた政治的にそういうものは妥当かどうかという問題もございますので、そういうことを頭に入れてそれは考えなければならぬ問題でございますが、まだいままで一回も、そういうところの費用分担、パトロールの問題もありましたが、そういうものは一切ございません。 それから、最後の点でございますが、これは政府じゃなくて民間の問題でございまして、これは武器の輸出の三原則にも該当する問題でございますので、政府としてはこれは武器の三原則に抵触するかしないかということを基準にしていままでも考えておりますので、その点は今後も同じでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) せっかくの上田さんからの御質問でございますが、外務大臣からも詳細にお答えをいたしまして、私がつけ加うべき点がございません。そのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 それでは、いま上田議員が提案をいたしました園田発言の調査については、後ほど委員長、理事会でお願いをしたいと思いますが、よろしくお取り計らいを願いたいと思います、園田発言の調査について。
○委員長(木村睦男君) これは上田委員が御自分でおやりになるということを言われただけでございますので、承っておきます。
○上田耕一郎君 調査してほしいというわけです。この調査、大問題だ。
○国務大臣(園田直君) 上田さんは大問題と言われましたが、それが事実ならば……
○上田耕一郎君 テープがあるんだから、テープが。
○国務大臣(園田直君) 私は誇るべきことであります。数年前に私が言ったことをアメリカがいまようやく気づいてやったような見識を持っておれば、私にとってもこれは重大な誇るべきことでありますけれども、あなたがお力みになることはございません。私は、幸いにして英語が話せませんから、私が話しましたら必ず記録に残っているはずであります。お調べください。
○上田耕一郎君 日本語のテープが残ってるんですよ。
○国務大臣(園田直君) いやいや、そんなことおっしゃらぬで調べてください。一切、サミットでそういう話は出ておりません。日本がアメリカから物を習うときに、日本の一外務大臣がアメリカに物を教えたなんということ、事実なら私は誇りだと思っております。どうぞ御調査を。
○上田耕一郎君 調べましょうや、調べてもらいましょう、委員会で早急に。——園田大臣、はっきり事実がないと言われたけれども、加瀬英明氏はちゃんと日本語で話したテープを持っているわけですね。新聞にも、朝日、毎日、読売、あれだけ新聞記者が書いたんですから、私は事実を調べたいと思います。加瀬さんを証人喚問要請したいんですが、御本人にまだ了承も得ておりませんので、後ほど引き続いて問題にしたいと思います。
○沓脱タケ子君 国民は何といいましても平和と暮らしの安定を願っております。男の子を持つ母親はいまどう言ってるかと言いますと、この国会における防衛論議、あるいはアメリカの相次ぐ軍事分担の要求、こういうものを見ておると、 〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 どんどん軍事費がふえて、やがては徴兵制が復活をされるのではないのかと、本当に背筋の寒い思いがするということを言っているわけです。ところが、そういう国民の心配をよそにして、軍事費は五十六年度福祉予算を伸び率で追い越しました。そこで私は、時間の都合もありますから、具体的に軍事費についてのお伺いをしたいと思います。 五十六年度の予算案を見ますと、自衛隊にはシェルターをつくる予算をつけておりますが、まずお伺いをしたいのは、防衛庁、シェルターというのはどんなものですか。
○国務大臣(大村襄治君) ただいまお尋ねのシェルターというお話でございますが、防衛庁では航空機用掩体という、恐らくそのことをお尋ねではないかと思いますので、そうでありますればお答えいたします。 この航空機用掩体と申しますのは、航空基地におきまして航空機を攻撃から守るために必要に応じてつくります格納施設をいうものとされております。
○沓脱タケ子君 そうするとこれ、地上式ですか、地下式ですか、それは。
○国務大臣(大村襄治君) いまのところ、航空自衛隊の掩体としましては、可搬式と固定式と二つございますが、いずれも地下には入っておりません。
○沓脱タケ子君 攻撃から航空機を守るとおっしゃったんですが、核攻撃にはたえられるものですか。
○国務大臣(大村襄治君) 鋼鉄製でありまして、航空機からの攻撃から防御するような構造になっているわけでございます。お尋ねの核攻撃、まあいろんな種類がありますけれども、大きな核攻撃はひとつむずかしいんじゃないかと思いますが。
○沓脱タケ子君 そうすると、このシェルターという、航空機掩体といったって何やわからぬのですよ、率直に言って。だから聞いてるんですがね。そうすると敵の攻撃から航空機を、自衛隊の飛行機を守る防空ごうみたいなものだということですな。
○国務大臣(大村襄治君) まあ、お尋ねが比喩で言われるんで、まあ防空ごうと申しますと、人間を危険から守るということでございます。その比喩の意味で、航空機を攻撃から守るという意味では似た性格を持っている点があると思います。ただいま航空自衛隊がつくっております掩体は、輸送機を除く航空機を一機ずつ格納する、こういうふうな設計で進めているわけでございます。
○沓脱タケ子君 これ一つつくるのに予算幾らかかるんですか。幾つつくる予定ですか。 〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(大村襄治君) 五十六年度予算では、四基分、十四億二千万円を要求いたしております。でありますから、一基当たりの金額は約三億六千万円、そういうことでございます。
○沓脱タケ子君 一つ三億五千万円の防空ごうの親類でしょう。それで、ずいぶん高いものだと思うのですが、どんなものなんですかな。間口どのくらいで奥行きがどのくらいで広さがどのくらいのものをつくりますか。
○政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。 ただいま大臣お答え申し上げましたように、輸送機を除く航空自衛隊の航空機ということでございまして、F15に例をとりますと、幅が十三メーター、長さが十九・五メーター、高さが五・六メーターでございます。これは公刊資料に出ておりますが、そういうものを——これは一応航空自衛隊が持っております戦闘機の中で一番大きなものでございますが、それを十分に格納し得るものということでございます。面積で申しますと、約五百平方メートルでございます。
○沓脱タケ子君 しかし、飛行機を攻撃から守る防空ごうの姉さん、親戚みたいなのが一基三億五千万って、ずいぶん高いものですね。ちょっと考えてみたらこれ土地代は要らぬわけで、上物だけでしょう。三億五千万、これ住宅で言うたら上物だけ三千五百万——十分の一、三千五百万の住宅にしたら十軒できるわけですが、三千五百万の上物の住宅いうと、坪五十万の建坪で七十坪ぐらいの住宅になるんですが、これはまあ大体勤労者の手の届かない相当な豪邸ですが、これが十軒分。かなりがっちりしたもんですね。そういうものになるのですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 ただいま政府委員が御説明しましたような構造でございます。また単価は先ほど私が御答弁申し上げましたように、一基、ワンセット当たり三億六千万円とかなり高い金額でございます。ところが、中に格納される航空機の値段というのも相当高価になっております。数十億円のものも多数あるわけでございますので、それを防護することができるとすれば、経済効果はあるものと私どもは判断しておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 いや、経済効果と言うけど、飛行機を攻撃から守るというようなとき、人間はどうなりますか。あなた、国民をほっといて、飛行機が攻撃から守られるから経済効果がありますなんて、こんなばかな話ないですよ。 時間の都合があるからもう一つ聞きますが、米軍用も同じようにいわゆるあなたのところで言う航空機掩体、シェルターをつくるんですな。これは一基分幾らします。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 五十六年度の航空機掩体の整備は、調査設計費六基分、金額としまして約五千四百万円を計上いたしておるわけでございます。まだ工事費の方には至っておりませんので、単価の点はまだお答えするわけにはまいりません。
○沓脱タケ子君 これは恐らく自衛隊のが三億五千万なんだから、米軍は自衛隊のよりお粗末でよろしいということにならぬと思うのですが、これはどんなのをおつくりになるかわからないんですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、五十六年度予算で調査設計費をお願いをしてございます。これから設計をいたすものでございますのでまだ内容はわかっておりません。
○沓脱タケ子君 沖繩の嘉手納基地で、わが党の調査団に対しまして、那覇の防衛施設局の次長が答えたのでは、丘陵地帯につくって、上に土をかぶせて、木を植えて、上から見てもわからぬようなものをつくるんだというふうな御説明があったようでございますが、そのとおりですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 次長がどのような考え方で御説明申し上げたのかわかりませんが、いずれにいたしましても、現在はっきり確定をいたしておりませんが、地上に、まあほぼコンクリート製のものになると思いますが、構造物を建てるというものでございます。
○沓脱タケ子君 外務省にちょっとお聞きしますが、ことしの一月二十六日から行われたグローバルシールド81というアメリカの戦略空軍による史上最高の核演習というのをやられたそうですが、それはどんなものか。同時に、それが沖繩の嘉手納の基地では、その演習はどういうふうにやったかというのを簡潔にちょっとお伺いしたい。
○国務大臣(伊東正義君) それは戦略空軍の演習だというふうに聞いておりますが、詳細政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(淺尾新一郎君) いまお尋ねのグローバルシールド、これはアメリカが七九年から毎年一回行っております。目的は、アメリカの戦略空軍の即応力を評価するとともに、戦略空軍の兵員の訓練及び技量の向上を図るというふうに承知しております。 沖繩の嘉手納で具体的にどういう訓練が行われたか詳細については承知いたしておりませんが、嘉手納には戦略空軍の空中給油機KC135がございますので、それらがこれらの訓練に参加するというふうにわれわれ理解しております。
○沓脱タケ子君 沖繩のいわゆる米空軍機関紙の「カデナ・ファルコン」によると、これには参加をしたということが書かれております。このアメリカの戦略空軍による核演習に嘉手納でも参加をしたということが報道されているわけですから、そういうことになりますと、アメリカのためにつくってやるというシェルターというのは、核戦争からアメリカの飛行機を守ってあげるためにつくるという結果になるわけですね。この米軍用のシェルターは、どちらからつくろうと言い出したんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 在日米軍施設の整備につきましては、地位協定二十四条二項の規定により、すべての施設区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供することとされておりまして、安保目的の達成のために必要な米軍の施設の整備については、同規定に基づき、わが国がその経費を負担して行い、提供するものでございます。 今回の掩体の問題につきましても、先方の希望がございましたが、わが方のいろいろな事情を判断いたしまして、今回、調査設計費を予算に計上した、こういう経緯でございます。
○沓脱タケ子君 そうすると、アメリカの希望があったのでつくるということで調査設計費を組んだということですね。
○国務大臣(大村襄治君) 必要に応じ提供することになっております。ですから、向こうが希望がありましても、わが方として果たして必要があるかどうか判断して予算に計上した、こういうことでございます。
○沓脱タケ子君 昨年の三月、アメリカ下院の歳出委員会関連小委員会の秘密聴聞会の議事録があるわけですが、これはありますね。外務省にお願いをして、国防総省の東アジア太平洋局長のピンクニー准将の証言部分を翻訳をしていただいたんですが、この六百三十二ページのお願いをした部分をちょっと読んでみてください。
○政府委員(淺尾新一郎君) 秘密聴聞会でございますが、この部分は削除されて公表されております。 この聴聞会においてピンクニー准将は質問に答えまして、質問が、経費分担について何か特定の目標を持っているかという質問でございます。それに対してピンクニーは、われわれの目標は実際の在日米軍の軍人給与を除くすべてのアメリカ側の経費を日本が負担することであると、この額は一九七九会計年度については米側のドルで十四億ドル、そのうちの約八億五千万ドルに相当する、さらにわれわれは沖繩のF15用抗堪シェルターのようにアメリカの戦闘能力の効率を高める軍事関連施設について日本政府が経費を負担することを希望していると、こういうことでございます。
○沓脱タケ子君 はっきり希望が出ているわけですね、アメリカは。F15のシェルターを欲しい、それから在日米軍の給与以外の米側の経費を日本が全部負担することを希望すると言っているわけですね。それに基づいて計画を進めていらっしゃるのですね、長官。
○国務大臣(大村襄治君) 地位協定の範囲内で適宜米側の希望を聴取しつつ、個々の事案に即して整備、提供の可否を決めることにいたしております。そういったことの方針に従って今回予算に計上したと、こういうことであります。
○沓脱タケ子君 地位協定云々ということになってくるとまた大変なんで、ちょっと率直に聞きますが、それでその御希望があったので相談をしてつくるということを含めて、五十六年度予算では米軍のために日本が分担する金額というのは幾らですか。
○政府委員(渡邊伊助君) 五十六年度で、いわゆる駐留経費の分担経費でございますが、お願いいたしてございますのは二百七十六億四千万でございます。
○沓脱タケ子君 二百七十六億円というのはいわゆる思いやりという部分なんですね。全体の金額は幾らですか。地位協定に基づく米軍に対して日本が負担する全体の分というのは。
○政府委員(渡邊伊助君) 在日米軍の駐留経費の分を含めまして、防衛施設庁予算の中で駐留軍関係の経費は、昭和五十六年度でお願いいたしてございますのは千六百二十九億、約千六百三十億でございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、この中には米軍用の宿舎で、いわゆる高級マンションみたいだと言われている建設費も入っているんですね。
○政府委員(渡邊伊助君) 入ってございます。
○沓脱タケ子君 総理ね、お聞きのとおりなんですよ。 訪米の際に、アメリカのおっしゃるとおり聞いておりますと、このいま、ことしの金額が千六百二十九億、約千六百三十億ですが、言いなりになっていたらこの金額があと一千億でも一千五百億でもふえるということになるわけです。ですから、訪米の際には新たな負担を引き受けて約束をしてこないことというのが一つです。 もう一つは、こういうシェルターなどのいわゆる思いやり予算というのはやっぱりやめるべきだと思いますが、これは総理の御見解をお聞きをしておきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういう個々の問題が首脳会談に議題として出ますかどうか。私はもっと大きな問題になろうかと、こう思っております。 まあいずれにしても、日本の財政の事情もございます。これは日本側で決める問題でございます。
○沓脱タケ子君 軍事費についての具体問題をもう一つお聞きをしておきたいと思います。 P3C、F15というのは、これは全体として何機購入されますか。
○政府委員(塩田章君) 現在計画しておりますのはF15百機、P3C四十五機でございます。
○沓脱タケ子君 昭和五十三年度に調達をいたしましたのはそれぞれ何機ですか。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 P3Cが、五十三年度でございますが、八機、それからF15が二十三機でございます。
○沓脱タケ子君 それでちょっとお尋ねをしたいのは、防衛庁から資料をいただきましたが、たとえばP3Cの五十三年度では、アメリカの海軍の買い値と、いわゆるライセンス生産によって日本政府が買った買い値の間の差額というのがずいぶんあるんですが、アメリカの海軍の買い値は幾らですか。
○政府委員(和田裕君) 防衛庁が五十二年度に両機種の調達を開始するに当たりまして、アメリカの会計年度で七八年でございますが、その米軍の調達価格を調査いたしましたところでは、F15が一千三百九十万ドル、当時の奥算レート二百六十二円で計算いたしますと約三十六・四億円、それからP3Cが一千六百七十万ドル、同様に換算いたしまして約四十三・七億円、こういう状況でございます。
○沓脱タケ子君 政府が調達をされたライセンス生産の金額は幾らですか。
○政府委員(和田裕君) ライセンス生産の価格はF15が六九・一億円、それからP3Cが七十・七億円ということでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、P3Cではアメリカの海軍の調達値段が四十三億七千万円で、同じ年にわが国で政府が国内でつくって買い上げたのが七十億七千万、ちょうどその差が二十七億円ですね。この差額の内訳というのは何ですか。大分高い買い物になっているでしょう。
○政府委員(和田裕君) これはまず二つの経路を重ねて比較しないといけないと思っております。 まず第一に、FMSで買った価格とさっき申し上げました米軍の調達価格との差額が幾らか、これが第一番でございます。その次に、FMSで日本で買った価格と同じ日本でライセンス生産をした価格の比較、この二つのいわばステップといいますか階段があるわけでございます。 順次その順序で御説明申し上げますと、まず第一の、同じFMSで米海軍が買った価格とそれから防衛庁の方で買った価格でございますが、それをまず申し上げますと、F15につきましては、さっき申し上げましたように、米軍調達価格が三十六・四億円、それから防衛庁の調達価格は四十四・六億円ということでございまして、ここに約八億円ばかりの差がございます。この理由でございますけれども、第一に、米軍の場合には開発分担金というのはこれは当然のことながら価格に入ってまいりません。いわば開発分担金というのは、米国自体が開発いたしましてその割り掛け分を取るわけでございますから、これは仮にその価格を入れることになりますと、その分だけ米国の国防省が財務省からお金をもらってこなければいかぬということになります。しかしそのお金をもう一遍いわば国防省が財務省に対して払うということでございますから、そういうことはしないということで、したがってその分は当然控除されるわけでございます。 それからその次にFMSの管理費、これも同じような理由で、米軍自体がやっておるわけでございますからこれは控除される。それにプラス若干のやはり、日本で買うわけでございますから輸送費等もございます。それからさらに、取得年度が実は違っておりまして、その年度の差によるところの物価上昇、これは最近御存じのとおり非常にアメリカの物価上昇がひどいわけでございますが、そういったようなことを勘案いたしますとこの程度の額はわれわれいろいろ計算いたしましてもおおむね妥当なものだと、そういうふうに考えております。これは、F15で申し上げましたけれども、同様なことはP3Cに全く当てはまることだというふうに考えております。 その次には、ライセンス国産の場合高くなる。これは先生よく御存じだと思いますが、残念ながら、ライセンス国産の場合には製造治工具の割り掛け分、これがどうしても、日本の場合には少のうございます。アメリカの場合には何百機というふうな数を生産いたします。わが国の場合には数十機というような単位でございます。したがいましてどうしても製造の治工具というものの割り掛け分が高くなってまいります。それに加えましてライセンスフィー、ロイアルティー等の経費が加算されるというようなことでございますので、どうしても割り高になる。これはほかの兵器体系についても同じことだと思っておりますけれども、私どもといたしましては、日本におきましてこういったような大事な装備品の技術をやっぱり導入してわが国みずからがそういったような技術をつける、それによって雇用も確保する、加えて中小企業の方にも雇用の機会を確保するというようなことで必要だと考えております。
○沓脱タケ子君 丁寧に、完成機として買うてくるのの差と日本の国内でつくるのと両方御説明がありましたが、金額の差額の費目は言われたけれども、その内訳の金額を聞いているわけです。だから、たとえば開発分担金とおっしゃったでしょう、開発分担金は幾らなんですか。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 開発分担金につきましては、アメリカとの申し合わせによりましてこれは一切秘密ということになっておりまして、ほかの国の場合にも一切これは秘密にしております。このことは、当委員会のみならずほかの関係の委員会についてもたびたび申し上げまして御了承を得ているところでございます。
○沓脱タケ子君 だって、秘密といったって一万や二万の買い物と違うでしょう。五十億も七十億も、最近だったら百億近くになっておる。そんな買い物をするのに、しかも二十七億もたとえばライセンス生産ではアメリカとの間の金額の差があるわけでしょう。何でこの金額はアメリカより二十七億も高いんだということを国民の前に明らかにせんで——血の出るような血税使って買うんですよ。はっきりしなさいよ。
○政府委員(和田裕君) 先ほど先生からも、非常に丁寧な御説明というお言葉をいただきましたとおり、私としてはかなり丁寧に段階を分けまして御説明したつもりでございます。 なお、開発分担金につきましては、これはアメリカとの関係がございまして、いずれの国においても秘密にしておる、アメリカから武器を買っている国につきましても、いずれの国からも出ておらないと、そういうことになっております。
○沓脱タケ子君 そんなものあなた、国民の血税使うのに言われぬというような話はちょっと聞けませんよ。しかも、わが党の東中議員が川崎重工の東京本社へ行って調査した。川重は、開発分担金はアメリカの海軍に支払いを任されていると言っている。その額は一機当たり約六十万ドル、これは今日の二百円ぐらいのレートにしたって一億二千万。全体で四十五機買うんでしょう。五十四億払うことになるんですがな。ちっとも秘密じゃないんです。川重で聞いてきたんです。 次に聞きますけれども、ライセンスフィーとかロイアルティーというのは、金額幾らですか。
○政府委員(和田裕君) まず開発分担金の問題でございますけれども、これにつきましては、最近航空機の開発というのは大変な額がかかるわけでございます。先生御存じのとおり、アメリカあたりにおきましては十億ドルの単位で開発をしているということでございますので、どうしても機数によってそれを割り掛けた場合には相当な金額になるということは、これはある程度やむを得ないことだというふうにわれわれ考えております。 次に、ライセンスフィーとかロイアルティーについて御質問ございましたけれども、これは私企業間のやはり契約の内容でございますので、それにつきましては差し控えたい、これがまず第一にございます。 それから航空機の費目別の内容につきましてここで逐一申し上げますと、これからも商議を続けていくという関係上官側を不利にする、こういう立場からこれにつきましては明らかにできないということにつきまして御了承願いたい。そういうふうに考えております。
○沓脱タケ子君 それはけしからぬよ、あなた。わが党の調査をちょっと言いましょうか、もう時間がないから。 ライセンスフィー、これはいわゆる技術契約料とか言うものらしいけれども、これはライセンス生産の四十二機分が千八百三十三万ドル、日本円にして約三十七億余りですか。これはいまの二百円のあれですよ。一機分四十四万ドルなんです。約一億ですわ。九千万から一億、レートがごちゃごちゃするからあの辺の金額はややこしいんだけれども。ロイアルティー——特許料などと言っているようですが、これは一機当たり二十七万ドルですよ。約六千万ぐらい。これを三つ合わしたら一機当たり何ぼになるかと思って計算をしてみたら、ほぼ二億七千万ぐらいになりますよ、一機当たり。ところが考えてみたら、二十七億の金額の差があって、二億七千万やっとわかっただけですわ。あとまだ二十四億ほどはわからぬのです。この二十四億ほどの中身は何ですか。ライセンス生産ですよ。
○政府委員(和田裕君) 先ほど来申し上げていますとおり、まずFMSの米軍の価格におきましては、これは米軍が自分で買うわけでございますから、それにつきましてある費用を取るということになりますと、いわば右の手で取ったものを左の手で返すということになるわけでございますから、そういうことはしないということでいろんな費用が当然免除されるわけでございます。それが一つと、それから、先ほど申し上げたことを繰り返すことになるわけでございますけれども、やはりアリメカの物価上昇によるところの影響というものもございます。それでFMSの価格につきましてはある程度の差額が出てくるということでございます。 次に、国産の場合には、さっき申し上げましたように、最近の場合には治工具、製造のための機械設備というものが非常に高級なものが必要になってきておりまして、この金額というのは膨大なものでございます。これについて、実際に生産した機数でこれを割る、いま言った治工具とか機械設備を分子にいたしまして、それで分母は実際の製造機数にいたしまして、それでそういったものの割り掛けを決めるということになるわけでございます。アリメカの場合には、同じ機械を買いましても、それを何百、場合によっちゃ千何百というような数で割る。日本の場合には何十というような数で割るということでございますから、どうしても治工具等の割り掛けにつきましてだけをとってみましても直ちに十倍というような数字になるわけでございますけれども、さっき申し上げましたいろいろな日本国にとっての利益というものを勘案いたしましてそれはお認めいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 その中身、項目言うけれども、ちっとも金額言わぬからわからぬ。私何遍も言っているように、やっぱり国民の血税を使うんだから、ちっと高過ぎる買い物していると思うから聞いているんですよ。上手に安く買うているというんだったらこんなこと言いませんわ。軍事予算によけい要って税金上げられてたまらぬということになっているんですから、それで聞いているんですよ。 それでね、F15でいきますと、やっぱり一機当たり三十三億も高く買うているわけです。百機で見たらざっと三千億も高い買い物をしているんです。アメリカからお恵みでもろうているみたいなことをおっしゃるけれども、そうではなくて、アメリカの空軍や海軍が買う場合だって、ロッキードやダグラスから買うているわけですから、軍需産業だからちゃんともうけてもらって、米海軍、空軍は買うているんです。それにさらにP3Cは二十七億も高く買わんならぬ、F15は三十三億も高く買わんならぬということになると、これは理由が明らかにならぬと国民は承知しません。だから聞いているんだ。はっきりしなさい。
○政府委員(和田裕君) 先ほど来申し上げていますとおり、先生が高いとおっしゃっておりますのは実は国産でございます。まあライセンス生産と言ってもよろしいんでございますが。したがいまして、日本の場合には当然のことながら向こうに対しまして開発分担金であるとかロイアルティーであるとかライセンスフィーであるとか、そういったものをお払いして、それによって国内で生産する。その場合には、さっき申し上げましたような治工具等の割り掛け分の高騰というのはどうしても起こってくるということでございます。 なお、この際ちょっと申し上げたいと思っておりますが、防衛庁といたしましては、価格を実際に決めますときには、価格の構成要素を積み上げまして計算する原価方式によりまして適正な価格を算定いたしまして契約を行っております。特にF15、P3Cのようなもので外国から導入する場合におきましては、ロッキード事件等の経緯にかんがみまして、調達の一層の適正化を図ること等の観点から、まあ先生も御存じだと思いますが、向こうのメーカーから誓約書を提出させるとか、あるいは職員を外国に派遣いたしまして、外国メーカーにおきますところの原価の調査及び監査を行うというようなことですとか、あるいは代理店契約を停止させる等の措置を講じまして適正な価格の把握に努めているところでございます。
○沓脱タケ子君 適正な監査をしまして適正な価格でということだけでは納得ができないわけですわ。だって、五十六年度予算の中にもF15は五百八十二億、P3Cは百八十三億、計七百六十五億円という負担分が入っておるんですから、はっきりせんかったら予算の審議できないんですよ。はっきりしなさい。
○政府委員(和田裕君) これはもう先生御存じだと思うんでございますが、ライセンス生産をしますと、大体三割あるいは四割ぐらい高いというのはこれまでの通り相場でございまして、これまでもそういった例はたくさんございます。中には、やや昔の例で言いますと、向こうからの輸入の場合に比べまして倍近くなったような例も全くなかったわけではございません。しかし、それによりまして、日本にやはりそういった非常に複雑精緻な装術品の製造技術というのが入ってまいりまして、それによってわが国のいわばバーゲニングパワーといいますか、交渉能力も高まりますし、それによっていろいろな技術的な効果も出てくる、それがまた防衛力の一つの基盤にもなるというふうに考えておりますので、多少高くなるということについては御了承いただいているものだというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 これは話が全然わからぬのですよ。それで、三割も四割も高いのが常識やと言う。高くわざわざ買うようなことをやっている。言うたら、軍事予算というのは湯水のように国民の血税を使っていると言われてもしようがないじゃないですか。問題ですよ、こんなのは。だから私は言うんだよ。今日国民は減税を要求している。ところが、どんどんどんどんこんなあなた湯水のように三割、四割高いのを常識でございますといってF15やP3Cをどんどん買われたらたまったもんじゃない。そうでしょうが。アメリカの軍需産業と日本の軍需産業をもうけさして、そのために税金をつぎ込んで国民を危険な方向へ連れていっていると言われたってしようがないじゃないですか。はっきりしなさいよ。
○国務大臣(大村襄治君) 調達価格につきましては、政府委員から御答弁いたしましたとおり、各種資料に基づきまして厳密な原価計算をして、また大蔵省の査定も得て予算に計上したものでございます。 個々の項目について、具体的な金額は相手方等の関係もございまして、説明を申し上げるわけにはまいりませんが、私どもはその点十分責任の持てる体制で計算したものであるということを申し上げておく次第でございます。
○沓脱タケ子君 それで、もう時間がありませんから最後にまとめますが、軍事予算をこのように湯水のように使われたり、しかも三割も四割も高く買ったり、米軍への思いやりがやられるというふうなことがやられていたのでは国民はたまったものじゃないです。だからこそ軍事費を削って、国民にもっと思いやりをやるべきだということをわが党が主張しているのはここなんです。 きょうは時間がありませんので、国民にこそ、ここへ思いやりをやってもらいたいというところをお聞きをしたいと思っておりましたけれども、時間がありませんが、最後にその点について総理の御見解を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛庁長官からいまお答えしたとおり、政府としては厳密な精査の上で進めておるところでございます。
○委員長(木村睦男君) 以上で沓脱君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) あすは午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十八分散会