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94回国会参議院1981/02/13

予算委員会 第3号

発言数
182
登壇者
32
会派数
8
開催日
1981/02/13

会議録

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。  まず、理事の補欠選任を行います。  委員の異動に伴い理事一名が欠員となっております。理事の補欠選任につきましては、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に沓脱タケ子君を指名いたします。     —————————————

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 昭和五十五年度一般会計補正予算、昭和五十五年度特別会計補正予算、昭和五十五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。  それでは、昨日に引き続き質疑を行います。下田京子君。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は、最初に建国記念の日の記念式典につきまして、総理にお尋ねしたいと思います。  一昨日、二月十一日、政府は、わが党の二回にわたる申し入れ、あるいはまた学者それから宗教団体、多くの皆さん方の反対を押し切りまして、建国記念の日奉祝運営委員会の主催する式典に、従来は総理府が後援をしていた、それにつけ加えまして文部省も後援を強行した。そこに中山総務長官と、それから藤尾労働大臣、それに中川科技庁長官と、三閣僚が出席されているわけです。ところが、この式典の中でどういうことが行われたかということなんですが、実は冒頭に黙祷がなされました。その黙祷についでなんですけれども、神武天皇陵に黙祷をささげたいと思いますと。ここで黙祷の御先導を神社本庁の徳川統理にお願い申し上げます、こういうことがなされているわけです。つまり、ここで問題になりますのは、もう神武天皇というのは、これは歴史的に見まして架空の人物であり、それが神話でしかないということが明らかになってきているわけです。そういう神武天皇陵にお参りをするというか黙祷をささげる。これは宗教的な点から言って一つ問題がある。  それからさらに、主催者の一人であります黛運営委員長がどういうことを言っているかといいますと、現在の憲法を擁護して、そして皇国史観に立たない者は、日本をどこかの国の、どこかよその民族に隷属させようというふうに悪らつな意図を持っていると、こういうことを堂々と発言されているんですね。これは政治的に見て大変な発言だと思うんです。このことにつきまして、総理がどう考えられているのか。それから、一方いまの日本の中で、本当に日本国の愛国心を育てていくとかいうふうなことになれば、五月三日の憲法記念日こそ、これはきちんとした国の責任においての記念行事を行うべきじゃないか。いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いまお尋ねになりました建国記念日でございますが、これは御承知のように国民の祝日として法律によって定められたものでございます。私どもは、この法律の趣旨に基づきまして、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」と、こういう趣旨で民間が奉祝の行事を行うということにつきましては、国会で定められた法律でもあり、そういうりっぱな趣旨でございますから、これに賛意を表し、またできるだけの御協力をするということは当然のことであると、このように考えておるわけでございます。  当日、行事におきましてどういうことが行われたかは、私、詳細に承知いたしておりませんが、そういう趣旨で催され、行われておるものであると私は理解をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いまの総理の御答弁の中で、問題点が二つあると思うんですが、一つは、当日どのような内容で行われたかということは承知していないと。そういうことを承知していないで、関心を持たないで承認されている、後援しているというところが一つの問題点。  それから二つ目の問題点は、法律によって決められている祝祭日だという点でしたらば、憲法記念日という点の方が本当に全国民的に多くの一致点を見ているわけなんです。そして、いまの問題についての建国記念の日の問題につきまして、これは御承知のように十五年前、強行されているわけですね。それを建国記念の日にするかどうかというのは政令になっていると思うんですね。そういうことで、しかも五七%、当時のことを言えば五七%近い人たちが反対されていたと思うんです。そういう事態の中でおやりになっている。そして、総理府が、文部省が、ついには学校行事まで食い込んでいくということになったら大変な問題であるということを私は指摘しておきたいと思うんです。  次に移りますが、武器輸出の問題でございます。その武器輸出の問題でも、これはいろいろ議論されてまいりましたけれども、最初にまず御確認いただきたいんですけれど、技術協力の問題につきましても、政府は武器産業の技術輸出について、武器輸出三原則に基づいてこれを適用していくというふうな態度に変わりないかどうか、確認いただきたいと思います。

古田徳昌通商産業省貿易局長

○政府委員(古田徳昌君) 武器技術の輸出につきましては、外国為替及び外国貿易管理法の第二十五条、さらに外国為替管理令第十八条及びこれに基づきます通商産業省令によりまして、通商産業大臣の許可を要することとされております。この武器技術輸出にかかわります許可制の運用に当たりましては、ただいま先生からも御指摘ございましたように、武器輸出に関する武器輸出三原則及び昭和五十一年二月の政府方針に準じて取り扱うこととしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 これは通産大臣からいまの点については明快に確認をいただきたいわけなんですけれども、つまり技術輸出についてもきちっとただいま答弁の方向でやられていると、今後もやると、その点の確認です。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。  ただいま事務当局が答えておりますように、武器と武器技術の輸出というものは、武器輸出三原則と政府方針、それから通産省省令によりまして、これをやはり禁止しておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 次に、具体的にお尋ねいたしますけれども、韓国に韓国機械金属研究所というのがございます。これは略称KIMMと言われております。前身はFICと言われて、正確には韓国精密機器センターというふうに呼ばれておりますけれども、この韓国機械金属研究所、この研究所は韓国政府の軍需調達に関する法律というものに基づきまして、一九七三年十一月韓国軍によって軍需産業研究機関ということに指定乱れているんです。このことは一九七五年十一月十三日、韓国国会の商工委員会で、同研究所の李春和理事長の証言で明らかになっておるわけなんです。ここにその証言もございます。議事録ですか、あるわけなんですけれども、こういう証言を見ましたときに、通産省にお尋ねしたいわけなんですが、当然こういう研究所に技術協力はできないというふうに断言できると思うんですけれども、いかがでしょうか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。  ただいまお話のございました韓国機械金属研究所、それとその前身のFICとおっしゃっておりました韓国精密機器センターでございますが、特にこの前身の韓国精密機器センターにつきましては、つくられた経緯からしますと、韓国政府とユネスコとの共同事業としてつくられておる機関であるというふうに聞いております。  なお、この業務内容としては、電子、電気機械の試験をやっていると。日本で申しますと、輸出検査の指定検査機関というような性格の機関であるというふうに承知しておりまして、その限りにおきまして、これらの機関との技術協力というものがあっても差し支えはないのではないかというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 差し支えないということですけれども、御調査された上でのいまの発言はちょっと問題があるんじゃないか。それは事実関係がどういうことかといいますと、その韓国機械金属研究所がどんな仕事をされているかということにつきまして、これは一九七三年十月二十九日なんですけれども、韓国政府の李洛善商工部長がこういうことを言っているんです。いまのその研究所がどういう仕事をしているかといえば、二つやっていると。一つは、電子工業振興事業というものであるけれども、これは民生用だ。二つ目には、機械工業の精密化支援事業というものをやっている。で、最初の電子工業の振興事業というのは、これは外されているんです。そして、この韓国機械金属研究所というものは防衛産業でありますということを言い切っているんです。これちょっと、委員長よろしいでしょうか、資料。(資料を手渡す)  通産大臣、いまお読みいただいているところだと思うんですけれども、韓国政府の商工部長がはっきりと、この企業は防衛産業であるというふうにおっしゃっているんです。こういうところと政府が技術協力あるいは技術援助ということをやって差し支えないと言う、これは大変問題であると思うんですが、大臣いかがですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) これは事務当局が調べておりますので、こういう細部にわたっては事務当局に答えさしていただきます。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(栗原昭平君) 韓国国会でのいろいろの御議論は私承知しておりませんけれども、少なくとも私どもの承知しているこの研究所というのは、輸出検査関係の試験をやっておる機関であるということでございまして、その輸出検査の関連における技術協力ということをやること自体は何ら軍事目的とも関係のない、差し支えのないことではないかというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いま、日本で調査した限りにおいてはということですけれども、韓国政府がこれはもうはっきりと防衛産業であると言い切っているわけですし、そういうところと提携しても問題がないということは、大変これは重大だと思うんです。  なぜそういうことが出てくるかということなんですけれども、そういうことが出てくる根拠は私はあるのじゃないか。私調べてみましたが、その事実が、まあ以下のようなところにあると思うのです。つまり、通産省所管の法人であります機械電子検査検定協会、JMIというのがあります。これは、この企業がいま言う技術提携をしているわけですね。これはもう日本が面接そういうかっこうでやられている。で、差し支えないというふうな考え方が、そもそもその通産省の所管の法人がやられているというようなところから出てきている。これは問題だと思うのですけれども、大臣どうですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 問題であるというふうに断定することが問題かもわかりませんし、その点は十分さらに調査したいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 さらに調査するということですから、それはもうぜひ調査いただきたいし、調査もしていない段階でいま言うように、つまりその技術協力しても問題ないというところが問題だと思うのですよ。  で、さらにその通産省所管の法人が、これは機械振興協会附属の技術研究所、ここと一九七九年八月二十八日に技術提携を結んでいるのです。この点については御存じでしょうか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(栗原昭平君) ただいま御指摘の機械振興協会でございますが、私ども聞いておりますところでは、五十四年の春ごろに、お話の韓国機械金属研究所から技術提携の申し入れがあったということは聞いております。  ただ、進捗状況でございますけれども、私どもの聞いておりますところでは、現在までのところ、具体的な契約の交渉といった段階には立ち至っておらないというふうに聞いておる次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 この問題についても、新聞報道等、あるいは当局のお話など資料もございます。こうしたことについて大臣は、先ほどもお話ございましたけれども、その他のあれこれについて調査をして、その資料を当委員会に提出いただきたい、このことをお願いしたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 未知のところがございますし、それからいま委員が御指摘のようなところ、わからない部分もございますので、十分調査の上、委員のお申し入れのとおりにしたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に総理にお尋ねしたいのですけれども、総理どうでしょうか。  いまお話をお聞きになって、通産省所管の機関、これすらもまだ十分把握されていないと、わからない未知の部分があるから、大臣としてはこれから調査して当委員会に報告もしますと、こう言っています。通産省所管のところでさえチェックできないような状況の中で、民間に対してきちっとチェックできるだろうかという点で、非常にこれは疑問を持たざるを得ないわけなんです。そういう点で、わが党は武器及び軍用材等の輸出禁止法案大網を発表しておりますけれども、現行で十分であるというふうには決して思われません。その点での総理のお考えを最後にお聞きしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 政府といたしましては、わが国が平和国家であり、世界の平和と安定に貢献していかなければならない。いやしくも紛争等を助長するような武器輸出、こういうものは厳にこれを、三原則並びに五十一年二月二十七日の政府方針に基づきまして、厳重にこれを実施してまいろうという考えに変わりがございません。  共産党の案に対しましては、私十分勉強さしていただいておりませんが、いま御承知のように、各党間でこの問題につきましては話し合い、検討が進められておるという段階でございますから、共産党の案に対する私の所見なり意見というものは差し控えさしていただきます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 総理としては武器輸出の三原則を守って、これは技術協力等も含めてもうきちんとやっていきたいと、こういうことなんですけれども、現実はしり抜けである。このしり抜け問題をめぐって、いろいろ国会等、各党でも問題になっているということを御承知いただきたいと思うわけです。  総理、ちょっとごらんください。(手話)  次に、障害者対策についてお尋ねいたします。  きょう、全国から耳の不自由な聾唖者の皆さんが国会傍聴に来ております。総理、聾唖者の皆さんは、手話がなければ私の質問も総理の答弁もわかりません。手話があればこそ国会傍聴もできるんです。  私は、いま手話でお話ししましたが、きょうお見えになっている、いま傍聴されている聾唖者の皆さんも含めまして、全国各地でたくさんの障害者と懇談をしてまいりました。特に、秋田、宮城、福島等では多くの団体からたくさんの要望を出されたんですけれども、その中で一番大きかったことは、「完全参加と平等」という国際障害者年に当たってのことし、重大な重点施策の一つとしては、今後十年間の計画をしっかりつくってほしいと、こういうお声でした。このお声に対して、総理並びに厚生大臣の決意を聞きたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今年は、身障者の記念すべき国際年でございます。身障者の方々の社会への完全参加、平等、これを世界的な規模で今後十年間に実現をし達成をしようと、こういう共通の理念に立ちまして努力をしていくわけでございますが、わが国におきましても対策本部を設け、この記念すべき年の諸般の行事、またこれを契機として身障者対策等を強力に推進をするというために協議をし、また方策を総合的に確立を図っておるところでございます。今後におきましても、中央身障者対策協議会、これを中心といたしまして各般の施策を総合的にここで検討し、その成果をおさめるように最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言のとおり、手話通訳というものは、日々これが聞こえない方の社会に大事になってきておりまするし、テレビやあるいは劇等でもすでにこれを採用して、全国の方々に便宜を図っているわけでありますけれども、問題はその手話通訳の養成とか人員の確保とか、こういうところに問題があるわけでありまして、厚生省としては障害者社会参加促進事業の中で手話奉仕員の養成及び派遣事業、手話通訳設置事業の三つの事業を施しておりますが、関係団体へ委託事業として手話通訳指導者養成、研修事業及び標準手話研究事業を実施をしております。  なお、この手話通訳の養成その他を制度化しようという御意見も各方面から強く出ているところでありまして、障害者年の中に長期計画の委員会があって、これで検討してもらっておりまするが、こういう御意見も承って、これを制度化の方に持っていきたい、こう考えているところでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私のお伺いしたことで特に聞きたかったところは、十カ年計画という形で長期的な計画をきちんとおとりいただけるかどうか、この点で明快な答弁がありませんでしたので、よろしくどうぞ。総理並びに厚生大臣。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) いま私は言ったつもりでございましたが、言葉が足りませんでしたが、いま総理府に設置された障害者年の促進の会合、その中の特別委員会で長期計画をつくっております。その長期計画の中でこの手話の問題を制度化しようと、こういうことを検討してもらっておりまするので、関係方面の審議会の意見を聞いてこれを制度化するという方に持っていきたいと努力をしておるところでございます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、政府としましては、中央身障者対策協議会、これが中心になりまして、今後長期計画、これを総合的に、整合性を持って実効の上がるように対策を講じてまいります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 十カ年計画ということで、長期計画、同じだと思うんですけれども、その基本的な方向づけとして、厚生大臣は聾唖者の手話通訳制度化の方向を検討していると、もう明確にお答えいただいたわけなんですけれども、私はこの問題はもうちょっとあと突っ込んでお聞きしたいわけなんですが、問題は、聾唖者の対策も含めまして、いろんな障害者、障害別に、程度別に、基本的な働く権利や学ぶ権利や生活する権利を保障した、そういうものでなければならない、こう考えているわけなんです。そういう基本的な立場からそれぞれの事業を見直して新たな事業を仕組んでいかなければならないだろう、こう思うわけなんです。  それで、お尋ねしたい点なんですけれども、昨年調査されました中で、全体的にいま障害者がどのような状況になっているか、全体の数と障害別の数を教えていただきたいと思います。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) お答えいたします。  総数百九十七万七千でございますが、肢体不自由が百十二万七千、五七%でございます。それから視覚障害三十三万六千、一七%でございます。それから聴覚、音声、言語機能障害、聾唖者が中心でございますが、三十一万七千人、一六%でございます。あと結核回復者等の内部障害者十九万七千人、その他を含めまして約一〇%。障害種類別には以上でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 一番多いのが肢体で、次が視覚で、言語障害というかっこうなんですが、厚生大臣からお話になりました聴覚、言語障害の問題、聾唖者問題で、さっき事業のお話が総理からあったんですけれども、具体的な中身、詳しくちょっと御説明ください。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 聴覚、音声、言語障害者のための対策の概要でございます。まず最初に更生医療の給付、補聴器あるいは人工喉頭などの補装具の給付、こういったことが一つございます。あと、目覚まし時計やサウンドマスターなどの日常生活用具を給付するというような事業も行っております。そのほかに、もちろん国立のリハセンターを中心といたしました聾唖者の更生施設、全国にございますわけでございます。  それから、大臣からお話がございましたように、在宅対策といたしまして障害者社会参加促進事業の中におきまして手話奉仕員の養成事業、手話通訳の設置事業あるいは聾唖者の日曜教室あるいは音声機能障害者発声訓練事業などを実施をいたしております。  そのほか、全日本聾唖連盟に対しましては、標準手話の研究事業でありますとか、あるいは手話通訳の指導者の養成、研修事業、こういったものの委託活動もいたしておるわけでございます。  五十六年度からの新規事業といたしましては、障害者社会参加促進事業の中に要約筆記奉仕員の養成事業というのを新規事業として取り上げております。先ほど申し上げました日常生活用具給付事業の中におきましても、五十六年度新たに難聴者用の特殊電話の取り入れというようなこともいたしております。それから全日本聾唖連盟に対しましては、新規事業といたしましてビデオカセット・ライブラリーの製作、貸出事業を委託するというようなこと等を行っておる次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いろいろおやりになっているというふうなことでお話がありましたけれども、特に障害者の社会参加促進事業の中身について具体的にお聞きしたいんですけれども、そのメニューの事業数と、それから一県当たりの単価がどのくらいになりますかということ。  二つ目には、実績の出ている五十四年度ですね、いわゆる聾唖者向けサービスの事業実施率、手話の関係でどうなっているか、二点お聞きします。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) まず、障害者社会参加促進事業の中におきます聾唖者向け事業の実施状況でございますが、手話奉仕員の養成事業は、この事業は都道府県と指定都市が中心になりますが、全県、全指定都市一〇〇%実施をいたしております。それから手話通訳の設置事業、これは四十二県で実施をいたしております。それから手話奉仕員の派遣事業、これは四十二県で実施をいたしておるところでございます。  なお、障害者社会参加促進事業の一県当たり単価でございますが、五十六年度予算案におきまして事業費千六百万ということでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いま養成事業の方は一〇〇%だということで、あとは県数だけでお話しになりましたけれども、それぞれ四分の一実施してないということでございますね。七五%が実施で、一県当たりが千六百万ですから、二十事業あるとすれば一つの事業はたった八十万円ということになるんです。これは大臣御存じだと思うんですけれどもね、こういう形の中で二十事業も一緒になってやる、一つの事業にしたらたった八十万円でしょう。しかも、メニュー事業というのはやってもやらなくてもいいというところに問題があるわけなんです。  さっき言ったように、手話は聾唖者にとって必要なんです。とすれば、さっきのお話になりますけれども、今後十カ年計画をお立てになるというときに、そういう必要欠くべからざるものは国の責任においてきちんとやるべきじゃないかという点で明快な御答弁をいただきたいわけなんですが、その観点として、これも大臣は御承知だと思うんですけれども、あえて申し上げますと、手話通訳者というその労働の質が明確になっておりません。職業病なんかも出ております。医学的ないろんな研究もいまいろいろ進められているところです。そういう中で専任の手話通訳者、つまりいろんなボランティア活動をやる、派遣活動をやる、そういうことの中核となる専任の手話通訳者の身分と制度をどう保障していくかということを見て、きちんと長期計画の中に盛り込んでいただきたいという点で御答弁をいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 二十の事業に対する助成金が少ない、これはおっしゃるとおりでございます。今後努力をいたします。私が制度化と申しましたのは、その制度化の中にはいまの専門員、あるいは身分の位置づけ、その他を全部含んだ意味の制度化でございまして、発言のとおりでございます。努力をいたします。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に、総理にお尋ねしたいんですけれども、十カ年計画を実りあるものにするという点で、これは厚生大臣は他の委員に御答弁されている問題なんですが、政府の推進本部は閣議決定によりますとこれは一年でなくなるということだったけれども、ずっと継続したい、こう述べられているんです。総理は本部長です。ですから、当然総理としてそれはもう本部を継続するというふうな御決意はあると思うんですけれども、明確にひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 国際障害者年の本部は、これはこの記念すべき年を意義あるものにしたい、これを契機に一層身障者対策を効果的に推進をしたい、国民各方面の御理解、御協力もお願いをしたい、こういうことで準備のために設けられたものでございます。ここのこの対策本部の特別委員会におきまして、先ほど来下田さんがおっしゃっておりますところの国内長期行動計画等を鋭意検討を進めておるわけでございます。  また、身障者対策の行政の総合的な調整機関といたしましては、御承知のように中央心身障害者対策協議会というものがございます。今後ともこの協議会を中心に総合的な行政の施策を進めてまいると、こういうことでございまして、いま申し上げたようなことからこの対策本部というものは準備のために設けられたものでございますから、これは今後は存置いたしませんで、いま申し上げたように中央身障者対策協議会、これが行政のかなめになって総合調整をしながら効果的に進めてまいると、このように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 厚生大臣は、本部はやっぱり必要であるし継続していきたいというふうに担当大臣としてお考えのようですけれども、この国際障害者年の本部長は総理なんです。ですから、そういう点での本部長が責任を持って、一年きりじゃなくて継続するという点でこれはもう一度お考えいただきたいという点は御要望しておきたいと思います。  それで、次に豪雪に関して質問いたしますけれども、まとめで御答弁いただければと思います。私も各地を回ってまいりまして、大変な雪による住民の苦しみということを身をもって感じてまいりました。  そこで端的にお尋ねしますけれども、これは除排雪にかかる費用と体制、大変です。これはどうするのか、これが一点。  それから二つ目には、守門や湯之谷、なだれで人命が失われました。その他雪おろし等でたくさんのとうとい命が奪われております。こうした人たちに、当然現在とられている措置以上の手厚いものを考えるべきだと思います。  三つ目には、いろんな被害の中でも金額的に一番多いのはやっぱり森林被害、折損木処理問題、いろいろと検討されておるようですけれども、これまた新たな制度が必要だと思います。  以上三点、それぞれの所管大臣にお願いいたします。

原健三郎自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(原健三郎君) 豪雪対策本部で決定いたしておりますことを御報告申し上げます。  いま御質問の要点は、除雪、排雪に非常に経費がかかるが、これに対してどういう対策をやるか、これが一番金のかかる、経費のかかる問題な点でございます。それで、除雪、排雪には二つありまして、国道、県道の除排雪、それから幹線市町村道の除排雪、これは道路関係であります。第二は、公共の施設の除雪に対してどうするか、こういうことでございます。  これらに対していろいろ準備を進めておるところでございますが、なかなか経費が非常にかさみます。いわゆる特別交付税等においてもこれは処理いたしますが、それにおいてもなおこれは最終的な除雪、排雪の経費がこれからだんだんかさばってくると思いますが、その最終段階においてそういう特別交付税においても解決しないような場合においては予備費からこれを支出して対策を講じていく、こういうことを決定いたしているところでございます。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 鉄道につきまして申し上げますと、特に国鉄におきましては、昭和五十一年から五十四年までの間で四百八十八億円を除雪対策として投資いたしてまいりました。五十五年度におきましても百十五億でございますか、その対策を講じておるところでございます。  現在、除雪のための除雪車並びに除雪機械あるいは除雪のために必要なみぞ、こういうものなり、あるいはシェルター、こういうところに重点的に投資いたしておるのでございますが、今回の雪はそういうようなものを想定して対策を講じてはおったけれども、集中的に参りましたので、被害がたくさん出てまいったことは御承知のとおりでございますが、鋭意これからも除雪対策に留意してまいりたいと思っております。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 今回の豪雪で折損木、森林の被害が一番多いという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、農林水産省といたしましても、当面の措置として、森林国営保険及び森林災害共済に係る保険金の早期支払い、これを早くやるように指導をいたしておりますとともに、被災造林地の整備等につきましては農林漁業金融公庫の資金及び林業改善資金の融通の措置を講じておるところでございます。  また、天災融資法の発動の方針も二月二日に決定をいたしまして、それまでの、政令公布までの間、つなぎ融資を各金融機関にやっていただくように依頼を出したところでございます。それまでの間、いろいろ現行法に基づく措置があるわけでございます。  林業構造改善資金と申し上げましたけれども、これの被害森林整備資金でありますとか、あるいは激甚災復旧造林でありますとか、そういうもろもろの施策を手落ちなくやるように、また林家がその施策のあるのを知らないでいたために取り残されるというようなことのないように十分指導をして、万全を期しておるというところでございます。  しかし、何しろ百年に一遍と、こう言われておるほどの森林災害でございますので、それで十分なのかどうかという点になりますと、実際まだ雪が多くありまして、悉皆被害の実態を把握することができませんけれども、何か特別の措置等ができないものだろうかどうかということを、林野庁に対しまして検討を命じておる次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 死亡者への救済措置。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 失礼いたしました。  弔慰金と、それからこれに伴って災害救助の貸付資金の給付という問題がありますが、これは御承知のとおり議員立法でございまして、これの改定、過去数回、議員修正でやってもらっております。しかし、手続は、いずれにいたしましても五十三年度から今日までの物価の動向、社会経済の変化、今度の特別の豪雪、こういうことを考えたら、これは国会の皆さん方にも御相談をし、かつ事業主体である地庁団体の意見等も聞いて改定をやるべきものだと考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いろいろ話がありましたが、大変弱いと言われていたのは国鉄問題でした。時間がもうありませんから一点だけお尋ねしたいんですけれども、国鉄は四十九年から十カ年計面をお立てになっていると思います。この十カ年計画の初めの中で、五十年からの五年間の中で、本当に設備投資の中で雪害対策の予算というのはわずか一・三%、お粗末です。さっき運輸大臣から検討するという話がありましたけれども、運輸省としても当然この十カ年計画を見直していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 今後十分な対策を講じていきたいと思っております。  特に、先ほども申しましたように、除雪に要する設備並びに機械に重点を置いてこれからも取り組んでまいりたいと思っておりますが、なかなか財政難の折でございますけれども、国鉄部内において十分な資金を捻出し、その対策を講じてまいりたいと思っております。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 先ほどお示しの四十九年の計画は七、八割は実行できたという状態でございますけれども、今回このような豪雪に遭ってみますと、雪はいろいろなところに被害をもたらしますので、ちょっとわれわれの計画と合わなかった点がありまして、いままだ不十分であった点を反省をしているわけでございまして、どうしても雪に対する対策は鉄道としては最も優先的に考えなければならないものの一つでございますから、全体の予算の問題もございますけれども、われわれにお与えいただきました毎年の設備投資枠の中で今後とも強化、特に設備の強化に重点を置いて対処してまいりたいと考えております。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上をもちまして下田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 次に、伊藤郁男君の質疑を行います。伊藤郁男君。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 最初に、財政再建の問題につきまして、基本的な認識につきまして、総理並びに大蔵大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。  財政再建が緊急かつ重要な刻下の課題であることは、もう私から言うまでもありません。わが党の佐々木委員長が代表質問におきまして、一方で政府の二兆円国債減額、これにつきまして評価をしつつも、一方におきましては行財政の徹底的な改革を提起し、大増税路線に対して反対の意思を強く表明をされましたことは御承知のところであります。いまほど行財政の改革が求められているときはありません。国民世論も全面的な支援をしておるわけでありますから、それを断行する絶好の機会である、このように私は思います。  しからばどこに財政再建の焦点を当てて進めていくか、こういうことでありますけれど、言うまでもなく、補助金の徹底した見直し、人員削減を初めといたしまして、何といいましても米、健保、そして国鉄、この三K問題に焦点をしぼってこれに徹底したメスを加えること、これが財政再建の最大の課題であると思いますけれども、御見解はいかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くそのとおりであります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 総理は。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 伊藤さん御指摘のとおり、財政再建は避けて通れない重大な課題でございます。今後わが国が八〇年代、さらに二十一世紀に向かいまして一層の平和と繁栄と国民生活の安定確保を図ってまいりますため、いろいろの新しい情勢に対応した施策を行っていかなければならぬわけでございますが、それにつきましては、どうしても財政を再建をして財政の対応力を回復をしなければならない、このように考えておるわけでありまして、現内閣におきましては財政再建を最重要の課題としてこれに取り組んでおるところでございます。  そこで、財政再建につきまして、どこに一体重点を置いて進めるのかと、こういうお話でございますが、これは、私営に申しておりますように、高度経済成長時代に肥大化してきておる行財政、これを合理化し、減量化してむだのないものにしていく、そして、いまの財政の再建をするということが一番の根本であると、このように申し上げておるわけでございます。しかしこの問題は、もう万々御承知のように、五十六年度一年でできる問題ではございません。今後におきましても、五十七年、五十八年というぐあいにこれを引き続いて合理化努力をわれわれはしていかなければいけないと、このように思うわけでございます。特に、補助金、交付金等の大部分というのは法律によって決められておるというような事情もございまして、今後国会の各党各会派の皆さんの一層の御理解、御協力というものを切に期待をいたしておるところでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 そこで、一つ一つ問題につきまして質問をしていきたいわけでありますけれども、本日は時間がありませんので、国鉄問題にしぼりまして質問をしていきたいと思います。  国鉄の赤字は、御承知のように、昨年四月の運賃値上げにもかかわらず、見込みより五百三十八億円減収になっております。御承知のところであります。五十六年度もまた、四月二十日から値上げを予定いたしまして増収率七・九%、二千十億円を見込んでおるわけでありますけれども、いまのような客離れ、あるいは貨物離れ、こういうものがますます進行をしている。こういう状況の中でまた大きな見込み違いをするのではないか、このことを私は心配をしているわけでありますけれども、運輸大臣、確たる見通しがおありなのかどうか、お話しをいただきたい。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、国鉄は数日前に私の方に運賃値上げの申請書を出してまいりました。それによりますと、実収見込み額を七・九%に置いて千九百七十億円の増収を図りたいと、こういうことでございます。仰せのように、国鉄の運賃は都会地域におきましては確かに高額になっております。でございますから、都市内におきましては私鉄との競争力を失い、これがややもすると客離れになる可能性があることは十分私たちも承知いたしております。しかし、国鉄は全国に営業路線を持っておりますが、地方におきましては、国鉄はやはりそれだけのコストがかかっておるのにかかわらず、現在他の鉄道あるいは交通機関に比べまして地方におきましてはまだ安いという状況でございます。そこで、国鉄の運賃はどうしても全国統一で決定いたさなければなりませんので、それらをコストに見てまいりますと値上げさしていただかざるを得ない状況になってきておるのでございますが、しかし、現在申請書が出された段階でございまして、私たちも十分な査定をいたし、またこの料金決定は、同時に合理化、効率化を条件としたものにいたして収支相償っていくように努力を重ねてまいりたいと思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 私は、値上げの問題を聞いておるわけじゃありません。ことしも赤字を出した、来年も相当の補助金は出すけれども、一体見通しのとおりいくのかどうか、その確たる根拠をお聞きをしているわけです。五十五年度で六千八百六億円、そして五十六年度には七千三百四十一億円の補助金、これだけの血税をつぎ込んでおるわけでありますから、もっと具体的な根拠、その見通しについて、具体的に説明をいただきたいと思います。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、営業損失で七千億円以上の赤字を出し、また、総額におきまして一兆円からの赤字になるということは、われわれといたしましても本当に残念に思っておるのでございまして、これがために国鉄の再建を根本的に図るべく、昨年の秋の臨時国会におきまして、いわゆる国鉄再建法を、議会の協賛を得まして成立いたしたわけでございまして、この内容は、御承知のように三つの基本的な方針から成っております。一つは、国鉄に昭和六十年までに根本的な経営改善の計画を提出せしめることでございまして、その中心となりますのは、現在の四十二万人体制から三十五万人体制に一刻も早く移行し、人件費の削減を図るということでございます。二番目は、いわば鉄道の特性を失っておる営業路線につきましては、これは他の代替機関にかえるということでございます。三番目には、五兆円余りの累積赤字を政府に肩がわりしてもらうというこの三つになっております。したがいまして、私たちはこれを昭和六十年を一つの時期と見まして、それまでには営業損失が相償うように、いわば営業が均衡をとれるように最善の努力を預けていきたいと思っておりますし、私は、この国鉄の体質を改善し、国鉄を真に国民の基幹的な交通機関として維持していくためにはどうしても六十年までにこの体質改善、経営の改善を図っていかなけりゃならぬということで、現在国鉄当局と共同し、鋭意努力いたしておるところでございまして、必ずそういう収支相償う線までには持っていきたいと思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 大臣のお話を聞いておりましても私はぴったりとこないわけです。どうしても確たる見通しがお聞かせ願えない。  そこで、国鉄再建法が通った今日、国鉄の再建はもう待ったなしたと思いますね。一年間取り組んだけれども大して変わらなかった。二年間やってみたがこれも大して変わらなかった。そして、その後には有無を言わさず赤字特定地方線のレールをはがすと、こういうような事態は断じて私は許すことができないと思います。  国鉄再建のかぎは何といっても、これは運輸委員会でも十分に論議をされておるところでありますけれども、労使が本当にふんどしを締め直して真剣に対処することが大前提でなければならぬ、こういうように思います。ところが、私、機会を得て地方の管理局などに寄ることがあるわけでありますけれども、地方の管理局のそういう現場におきましては、正直言って再建への意欲がみなぎっているとはどうしても思えないわけであります。のみならず、だれかがやってくれるのではないかと。あるいは現場の中には虚脱感さえうかがえるわけであります。このような現状について、どのように大臣は認識されておりますか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのように、国鉄の再建は、先ほど言いました基本的な諸施策を並行して実施すると同時に、根本は、やはり労使一体となって国鉄を再建するために燃えるような意欲を持って取り組んでいくことだと、これはもう仰せのとおりでございまして、われわれは、それをやはり再建、いわゆる経営改善方針の基本に持っていくべきだということで指導いたしておるところでございます。そのために一番やはり大事なのは、いま鉄道管理局が地方に二十数カ所ございますが、これを中心とした責任体制の確立、これが現下の急務であろうと思っております。そのためにも、やはり人事の配置なりあるいはそれに対する中央との一体となった体制の強化というものが必要でございまして、今後国鉄との協議を重ね、そういう責任体制の確立、そして、もう少し効率を上げなけりゃならぬと思っておりますので、もう少し勤労意欲を旺盛にして効率のいい国鉄に変えていかなきゃならぬ、仰せのとおりだと思います。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 そういう意欲をかき立てるという意味におきましては、私も大臣も認識は同じだと思うんです。しかし、現実は一体どうなっているか、ここが問題だと思うんです。例の再建法が通るときに、参議院の運輸委員会で附帯決議がなされております。その中にも、「円滑な労使関係を維持すること。」と、これはもう明確にうたってあるわけであります。  そこで、具体的にお伺いしますけれども、国鉄には六つの組合がある、御承知のところです。これらの組合と、一体国鉄再建の問題についてどのような話し合いがなされておるのか。やっているとしたら、組合側の返事はどのようになっておるのか。正規の労使協議あるいは事前協議は一体何回今日までやってきたのか、再建法が通ってから。三十五万人体制について、一体基本的な合意が組合との間にできておるのかどうか。実情を具体的にお示しいただきたい。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) ただいまお示しございましたように、組合が六つあるわけでございますので、いろいろ事情が違っております。しかし主要な組合と申しますか、組合員の数が多い組合はそのうちで三つでございます。この三つの組合との間では、再建計画を立てます前から、労使交渉ということでいろいろ協議をするということのほかに、組合が国鉄の経営の実態、現状というものについての理解を深めるように、いわゆる交渉ということとは別に、協議の場を設けるようになってきております。  協議の回数は何回かということのお尋ねがございましたが、それは私ちょっといまはっきりお答えいたしかねますが、大体月一回ぐらいのペースでは行われておるわけでございます。ただ、これは必ずしも公式の会合ばかりではございませんので、いろいろな形のものがございますけれども、まあまあ少なくとも月一回ぐらいは行われております。  そこで、私どもは、一昨年の七月に私どものプランとして再建計画を立てたわけでございますが、その中の主要なものの一つがいわゆる三十五万人体制でございますけれども、これに対しては、組合によっていろいろ違いますけれども、数多くの組合はこれに対して、わかった、賛成だ、そういうことで参りましょうというところまではまいっておりません。しかし、頭からそれは問題にならぬというようなことではなくて、一体どこでどういうふうなことをすることによって、また、能率向上等についてはどの程度のことを前提として三十五万人でいまの仕事をやることができることになるかということについて、かなり細かい話し合いをいたしておるわけでございまして、少なくとも話し合いをする場につかないというようなことにはなっておらないわけでございます。  実は、近く先般の再建法に基づきますところの政令を政府でお決めいただくわけでございますが、その政令が決められますと、法律に基づきまして経営改善計画というものを国鉄が政府にお出しをして運輸大臣の御承認を求めることになっておりまして、いま鋭意その経営改善計画をつくっておる最中でございますが、一口に七万四千入減と申しましてもなかなかむずかしい点もございまして、まだその細目が詰め切っていない。したがって、労使間の話につきましても、びしっと三十五万人ということについては詰まっておりません。ただ、具体的にはどういう方法で人手が少ないような経営ができることになろうかということについて、たとえばこういう方法、たとえばこういう方法というようなことで、数字はぴしっといっておりませんけれども、考え方はお互いに議論をしておるところでございます。確かに御指摘のように、労使の間でぴたっと合意ができませんとこの計画を進めることはむずかしくなってまいりますので、多少時間をかけましてもこの合意を十分に取りつけることができるように、当面努力をいたしたいと思います。  ただ、残念ながら、数多くの職場が全国に散らばっておりますが、全体として、末端と申しますか、それぞれの現場現場全体がそういう再建計画に取り組もうというところまで、まなじりを決してというところまでいっていないという御指摘は御指摘のとおりでございまして、私どももそれをどうやって盛り上げていくかということに腐心をいたしております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 いまのお話のように、合意もできていない、いつできるかもわからないと、このような現状でありまして、まさに国鉄再建の方向憂うべきものがあるというふうに思います。  端的にお伺いをしますけれども、国鉄は毎年一回職場監査をしているということでございますけれども、その結果を公表したことはございますか、総裁。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 職場監査は、現在、国鉄本社が直接出向いてやる場合と管理局独自の施策としてやる場合とございます。それで、本社がやる場合につきましては、監査結果は担当の方から役員会に報告されておりますが、現段階ではそれを公式に公表するという手続きはとっておりません。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 それ、総裁、公表しないというのはなぜですか。公表することになっておるのではありませんか。とにかく国民の血税が相当注ぎ込まれているわけですから、経営の実態について、現場の状況について、それを国民に知らせるというのは義務ではないかと思うんですが、なぜですか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 私どもの経営の状態は、いわゆる監査報告ということで、監査委員会という制度がございまして、これは私の方じゃなくて政府の方で任命になる委員会でございますが、監査委員会で監査をしていただいて、それは公表をされております。いま御指摘があったのは、あるいは私の取り違えかもしれませんが、いわゆる職場監査報告ということで、職場のもろもろの意味における実態を本社自体が幾つかの現場をサンプリングでとりまして、そして数人の本社職員が出向きまして、そして大体一週間ないし十日にわたって現場監査を行っておるわけでございますが、これは私ども本社の職場を立て直していくための一つの指針を得るためのものでございますので、役員会には報告されておりますけれども、公表することはあえていたさないということにいたしておるわけでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 それでは具体的にお伺いします。  一体、いまの国鉄の職場規律はどのようになっておりますか、実情がおわかりだったら御説明いただきたい。職場規律。あるいは、もし問題があるならば、そのために改善努力をどのようにしておるのか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 率直に申し上げて、私は職場規律が十分だと言ってここで胸を張ってお答えできるような状態だとは申し上げられないわけでございます。いろいろな原因もありましょう。また、いろいろな過去のいきさつもありましょうけれども、現時点において、すべて私が意図しているほどまでの水準には達してないということを言わざるを得ないわけでございます。それにはまあ長い経緯もありますし、それから現状におきましてもいろいろな、何といいますか、慣例その他によって余りいい水準になってないわけでございまして、これをどういう経過を経てどのようにして直していくかというのが私どものいまの最大の悩みでございます。きのうときょうとまるっきり変わったということにはなかなかならないわけでございまして、これを少しずつ改良することを積み重ねていくことがいま最も必要なんではないかというふうに考えております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 私のところに、これは北海道の深川保線区の一管理者から手紙が参っております。北海道の深川保線区ですね。これを見ますと、職場の実態というのは、これは総裁はどのような水準をもって考えておるのかわかりませんけれども、大変なことになっておるわけですね。もう時間がありませんので具体的に読み上げますと、「私の勤務する深川保線区は管理者十七名、一般職員百四十六名で運営されておりますが、私ども、管理者とは名前ばかりで、その実態は、完全に国労の分会によって支配されており、その結果職場の秩序は乱れに乱れております。このため管理者は公休も非休も、年休もほとんどとることができず月平均で超過勤務も七十時間にも及ぶ状態となっています。この様な状態の中で前の区長も現在の区長も助役等も疲れはてて入院するような状態で、およそ国鉄の職場とは思われないような姿となっています。」、こういうことでございます。そして具体的には、現場協議というのが行われている、これが一年間に五十回も行われていて、一回に五時間から八時間もかけて現場協議が行われている、そのために仕事ができないんだと、こういうことを具体的に申しているわけでございますが、これらの実態について、国鉄としてはどのように掌握をされておりますか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 深川保線区というのは、実は私どもの内部では非常に前から問題職場だということで認識をいたしておるわけでございます。そこで、まず一番大事なことは、現場管理者の諸君がこれを立て直そうという意気込みを持ってもらうことが必要であり、そのためには管理局のそういう姿勢が必要だということで、数年前から私どもといたしましては、旭川の管理局の施設担当の職員の、何といいますか、足腰をしっかりすべく、人事交流等に当たりましてもその点を配慮いたしておりますし、それから深川保線区自体の区長人事といったようなものについては私どもも十分目を通しながら、いま体制の立て直しを図っているところでございます。  いまの現場協議につきましては、これは御承知のように、仲裁その他の過程を経て決められたものでございますので、たてまえとしては当然実施しなければならぬ、それによって交渉を進めることにしなきゃならぬわけでございますが、残念ながら本来現場協議で協議の対象となるべき事項以外の基本論、現場の責任者では対応できないような問題がしばしば投げかけられて、それに大変時間を要し、そのために、そもそも本来そういうことにふなれである現場職員が疲労こんぱいするという状態になって今日まで来ているわけでございまして、現状においても深川保線区の現状というのは決して満足すべき状態ではないことはそのとおりでございますけれども、しかしここ二、三年の経過の過程におきましては、かなり立て直しができてきております。私どもも、これを進めていくならば、全国的にもかなり仲間内でも余りよくない雰囲気のところだということで知られております職場がだんだんよくなっていくという傾向にあり、最近はほぼ現場の管理者もこれでだんだんよくなるという自信を得ているというふうに担当の者から私は報告を受けておるわけでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 いま総裁の言われるような、そんななまやさしい状況ではありません。私の調査によれば、この深川だけではありません。たくさんほかにも実例があるわけです。時間がありませんから、これらの問題は後で国鉄の方から資料をいただきたいと思うわけでありますけれども、とにかく運輸大臣、お聞きのとおりでありまして、現場は相当乱れているわけです。一体これで国鉄の再建が本当になし遂げられるかどうか、本当に心配するわけでありまして、運輸大臣の見解はいかがでしょう。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 私もそういう現場の秩序というものが非常に乱れておる実例をしばしば聞いております。そこで、先ほど総裁も言っておりますように、経営改善計画を出しますときに、いわゆる三十五万人体制に持っていきますときに、それと並行し職場の責任体制、あるいは職場におきますところの職域の配分、こういう問題も当然討議されてくることでございます。そういう形の面におきましてわれわれは十分なチェックをしていきたいと思っております。それと同時に、経営改善計画を実施するに先立ちまして、この前提となりますところの労使間の正常化と申しましょうか、やっぱり一体となって取り組んでいくという気持ちをどうして起こさすかということでございまして、そのためにはわれわれも、たとえばモニター制をしきまして、一例でございますが。そして現場の状況を、ただ単に一つのパイプを通じてだけではなくして、管理者が絶えず他の第三者の目からも経営の実態を把握していくというような方法をとり、個々に指導体制を強めていくということをやらざるを得ないと思っております。  また、いま仰せのように、組合同士の協調も私たちは大いに期待しておるところでございますし、何はともあれ、国鉄全従業員が一体となって再建に取り組むための精神的な高揚と申しましょうか、そういうものにわれわれも重点を置いて再建計画をつくって、進めていきたいと思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 この問題は、またさらにいろいろ議論をする場があると思いますので、次に移ります。  関西国際空港問題につきまして、これも運輸大臣の所管でございますので御質問を申し上げます。  昭和五十五年九月一日、航空審議会は運輸大臣に対しまして、関西国際空港計画について答申をいたしました。大臣は、この答申内容が航空政策上妥当であるとお思いになりますかどうか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 関西空港の建設の建議は、実は昭和四十三年ごろからございまして、四十六年に運輸大臣が航空審議会に諮問をいたしました。その当時は、その背景を申しますと、要するに、国際航空が今後ますますふくそう化し、その需要が増大するであろう。それに対し、成田、すなわち新東京国際空港一空港だけでは日本の国際航空需要に対応し切れない。したがって、もう一つ国際空港をつくるとするならばどこがいいかということから発想されたものでございます。そして関西につくる。関西につくるとするならばその位置はどこに決定すればいいかということで、昭和四十九年、泉州沖に建設することが妥当であるという答申が出されたのでございます。  私は、現在の交通機関の態様を見てまいります場合に、日本が国際的に経済、社会、文化、あらゆる面で交流を深めていくといたしますならば、東京国際空港のみではやはり将来においては需要に応じ切れない状態になるであろう。でございますから、今後の十年、十五年先を見通していくならば、現在やはりもう一つ日本における完全な二十四時間の離発着が可能な国際空港の建設は当然必要であるものと認識いたしております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 航空政策上妥当であると、こういうお答えだと思います。それじゃ、妥当であるからには、答申内容を尊重してその実現を図ると思うのでありますけれども、どうですか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 当然、運輸大臣が諮問し、それに対する答申でございますから、この精神を尊重して進めてまいりたいと思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 しからば大臣、航空審の答申における関西国際空港の開港時の滑走路は何本でしょう。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 開港時、二本であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 それで、開港の時期は何年ごろと大体想定しておられるんですか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 開港は昭和六十五年をめどにということになっております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 運輸省は、航空審の答申とは別に、まあ答申を受けて、五十五年の十一月に「関西国際空港の建設計画案について」という資料を発表いたしまして、そして建設を五つの工期に分けて段階的に進める計画を明らかにしております。大臣はこの計画で実現を図るつもりでございますか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 昨年の十一月、運輸省航空局が中心となりまして、工事施行等を踏んまえた建設計画案を提出いたしました。仰せのとおりでございまして、段階的に進めていく予定であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 そうすると、この運輸省の計画による目標の開港年度はいつになりましょうか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 供用開始は昭和六十五年をめどといたしております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 開港時の滑走路本数は運輸省計画によりますと何本になりましょうか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 一本であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 これはまことにおかしな話だと思うわけですね。同じ六十五年の開港を目指して航空審は初めから滑走路を、私は三本と認識をしておるんですが、こういうことで答申を出している。先ほどもお答えのように、運輸大臣は答申を尊重されるというわけですね。そして、そう言いながら、これを全く無視して滑走路一本と。一本と三本ではもう天と地の差だと思うんですね。そういうような計画を進めようとしておるわけでございます。したがって、私は、航空審の答申を無視している、このように判断せざるを得ないわけです。したがいまして、私としては、この問題を航空審に差し戻して十分時間をかけて審議をやり直すべきではないか、このように思いますが、大臣の見解をお伺いしたい。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、航空審の精神を体してと申しておりますし、航空審議会で答申が出ましたのは、いわば今後あるべき空港の理想像として提出をされたものでございまして、つくるならばこういう空港をつくることが一番ベターでありますという、こういう答申でございます。したがってわれわれは、その航空審の計画あるいは作業というもの、この中身を十分に尊重いたしまして、それによってわれわれが現実に建設し得るものあるいは財政状況から許されるべきもの、そしてまた地域の関係をとっていくもの、空港の機能にとって支障のない範囲というものを総合的に勘案いたしまして、いわば建設をしていく段階で実際に即したものをつくりたいと、こう思いまして、その精神に基づいてわれわれは実施計画としてつくったものでございます。でございますから、航空審の精神といいましょうか、盛られておる基本的な内容というものを決して無視しておりませんし、それにそごしたものをつくろうとしておるものではございません。したがいまして、航空審の答申にそごするとは思っておりませんので、これを差し戻して再度答申を仰ぐということは考えておりません。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 全くそれでは答弁にはなっていないわけです。私は非常に不満であります。この問題につきましてもまた機会を見て討論をしていきたいと思います。ほかの問題がございますので、この問題はこの辺で打ち切りまして次に移りたいと思います。  次に、これは法務大臣にお伺いをしたいわけであります。  例の人権問題、伊藤律氏の問題につきまして、わが党の塚本書記長が、まさに人権上、人道上の問題といたしまして、国会の場におきまして幾多この問題点を指摘してきたことは御承知のところでございます。しかし、昨年十一月二十六日の質問時点では、まだ伊藤氏が中国でどのような取り扱いを実際に受けてきたのか不明の点が多くて、政府からも十分な答弁が得られなかった。このように私は判断をしているわけでございます。しかし、その後伊藤氏は、御承知のように、朝日新聞紙上あるいは週刊朝日を通じまして証言を行って、かなりの不明部分が明らかになってきているというのが今日の時点ではないかと思います。  そこで、朝日新聞紙上あるいは週刊朝日における伊藤氏の証言を見てみますと、密出国先の中国におきまして、一九一二年の十二月のある日——いや一九一二年じゃありません、まあ後で正確な日時は申し上げますが、これは——これは野坂参三さんのことですが、突然幹部会を招集をした。そしてソ連共産党中央から重要なことを言ってきた。それは伊藤律を隔離審査せよという勧告だと言ったと、こう言っている。直ちに別の場所に移され、監視つき、外出禁止、そしてしゃべることも許されなかった。こう言っておるわけです。そういう状況が続きまして、一年後に、一九五三年の十二月——先ほどのは一九五二年でありますが、野坂と西沢が軟禁場所にやってきている、こう言っておりますね。ここは一年になるのでほかのところに移ってもらうと、そういうとたんに、陰に隠れていた中国の公安が飛び出してきて、私にピストルを突きつけて身体検査をした、こういうわけです。それから、彼らは私を自動車に押し込んで監獄に連れていった。刑務所に入れられた伊藤氏は、伊藤という本名、これは中国語で何と読むか知りませんが、顧問の顧という中国名も剥奪され、三号罪犯という記名だけでこの日から実に二十七年間の悲劇的な獄中の生活を送ったと、こう言うんですね。  そこで、二、三お伺いをしておきたい。私は法律的には全くの素人でありますので、むしろ教えていただきたいと思います。日本人が国外で犯した罪でも、その内容によっては罰せられること、これはまあ当然であると思うんですが、どのような罪の場合に罰せられるのか、内容をお伺いしたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 日本人が国外において犯しました罪でも、御指摘のように罰せられるものがあるわけでございまして、刑法にそれを列挙をいたしております。いまお話のありましたところから申しますと、監禁罪、これは国外におきましても処罰の対象になるわけでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 逮捕監禁罪が含まれている、こういうことですね。外国人が絡んでいたとしても、日本人が首謀者の場合に、この逮捕監禁罪は適用されますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 日本人が逮捕監禁の主体であります場合には犯罪は成立すると考えるわけでありますけれども、外国の主権の行為ということになりますと、主権の罪を問うわけにまいりませんので成立しないということになろうと思います。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 犯罪には、法務大臣、当然時効というものがあるわけでありますが、逮捕監禁罪の場合の時効は何年でしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 国外において行われます犯罪につきましては時効は進行しない、こう承知しているわけでございまして、逮捕監禁罪が何年の時効になっておりますか、いまちょっとつまびらかでございませんので、事務当局の方でお答えをさしていただきます。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいま条文を持っておりませんで恐縮でございますが、大臣がお答えいたしましたように、犯人が国外におります場合には時効が進行しないわけでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 伊藤氏の証言によれば、監禁が解けたのは一九七九年十月二十六日ということになっているわけですね。それが事実であるとすれば、この問題に関して逮捕監禁罪が、いま国外においては時効は進行しないわけですから、成立する可能性があると思いますが、法務大臣の見解はいかがでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 伊藤律氏が朝日新聞等を通じて述べておられることを基本にしてお尋ねがあるわけでございます。まことに気の毒な状態であったと思います。他方また、野坂さんたちが赤旗紙上で述べておられることを見ますと、若干の食い違いがあるようでございます。したがいまして、中国のその当時の逮捕の事由でありますとか、あるいは逮捕いたしました主体でありますとかいうものが明確でありませんと、罪に当たる罪に当たらないということを言いかねるわけでございます。そういう意味合いにおきましては、中国がその当時の事情を明確にしてくれることが大切だと、こう考えているわけでございまして、いま私が申し上げましたように、まず逮捕の事由につきまして食い違いがあるということ、同時にまた、逮捕の主体が中国の主権の行為であったのかどうであったかということにつきましても、また犯罪が成立するかしないかというようなことにもなってくるわけでございます。したがいまして、いずれにいたしましても中国当局がこれらの事情を明確にしてくれるチャンスがあればいいがなと、こう思っておるところでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 疑問があるとすれば、あるいは可能性があるかどうかについてでも、司法当局はそれの判断材料にするために、伊藤氏はいまはもう元気になられたようでありますから、直接事情をお聞きになることが必要ではないかと思うんです。あるいは野坂さんに対しましても、食い違いがあるわけですから、そういう事情聴取の考えはございませんか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどもおっしゃいましたように、人権を守っていくという姿勢から言いますと、大切なことだと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、肝心の中国が口を閉ざしておるわけでございますので、まず中国の方の事情を明確にしてもらうことが大切じゃないかと、その上でありませんと、法務当局が調査に乗り出すということも無理があるんじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、機会があって早く中国が事情を明確にしてくれることが望ましいなと、こう思っておるところでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 その努力をしているんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 外務当局が先般法務委員会でお答えをしたとおりでございまして、今後も機会を得てそういうことに努力したいなと、こう思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 これはゆゆしき人権の問題でありますので、十分に早急に検討していただきたい、このように要望しておきます。  最後に、総理にお伺いを申し上げます。  政治倫理の確立の問題でございますが、ロッキード、ダグラス、グラマン、そして近くは前齋藤厚生大臣の就任祝い金の受領問題あるいは千葉県の川上知事問題——昨日もいろいろ質問がございました。あるいはダブル選挙におけるいろいろな金権腐敗選挙、このような事件が後を絶たないわけでありますが、どれもこれもやっぱり総理、あなたの党にかかわっている問題が非常に多いわけであります。これらの問題について総裁としてどのように対処されていくお考えか、お伺いをしたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、政治倫理の確立の問題は民主政治を擁護してまいります原点でございます。こういう世間の指弾を受けるようないろいろの問題が起こっておりますことはまことに残念にたえない次第でございます。私は、機会あるごとに、政治家たる者、政治に対する国民の信頼を同役いたしますために各人が自制をし、いやしくもそのようなことがあってはならないと、こういうことを申し、党内におきましても、先般党大会におきまして倫理憲章を制定をし、党員がそういう精神に立って政治倫理の確立にいま懸命の努力をいたしておるところでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 例の川上知事問題にいたしましても、昨日の答弁、まあ総理、出処進退はみずからえりを正して考えていくべきだと、川上知事の暗に退陣を期待するような御答弁がありました。これに対しまして、早速もう自民党の千葉県連から、きょうの新聞を見ますと、総理が予算委員会で大変なことを言ってくれたと、困ったものだと、現地の実情と総理の頭とは非常にギャップがあるんだと、こういうようなとんでもないことを言ってくれたというような感じで言っているわけですね。まさに川上知事問題は、自民党が例の県議会で不信任案を否決をすると、みずからふたをすると、そして、総理とんでもないことを言ってくれたということで、やめたくてもやっぱり川上知事を押さえ込んでいるというのが自民党ではないかと、このように私は思うわけです。  そういうことで、もっとこの問題については総理自身十分なるリーダーシップを発揮をしていただきたいと思います。アメリカでも、かつては相当不正、スキャンダルがありまして、しかしそのときに、やっぱり時のフォードやジョンソンやら、それらの大統領がみずから積極的に議会に対して選挙改革法などを提起をして、リーダーシップを発揮して今日の政治倫理規定を設けたわけでありますから、そのようなリーダーシップを、この際、この問題に熱心に取り組んで来られました市川房枝さんが亡くなられたことでもありますし、真剣に対処をしていっていただきたいことを要望を申し上げまして、時間が参りましたのでこれで終わります。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で伊藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      —————・—————    午後一時開会

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十五年度補正予算三案を一括議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。前島英三郎君。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 国際障害者年を迎えまして、総理大臣は推進本部長でございます。厚生大臣は副本部長、それから総理府の総務長官もこれまた副本部長でございますが、ひとつお三方にその抱負、所信などをまず冒頭伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いまお話がございましたように、ことしは国際障害者年でございます。政府としても、障害者の方々の社会における参加と平等、これを実現いたしますために、今日までも努力をいたしてまいったところでございますが、この障害者年を契機といたしまして、一層障害者の方々が社会から温かく迎えられ、またあらゆる分野で参加をされ、また意欲を持って御活躍できるようなそういう世の中にわれわれはしなければならない、政府としても総合的な施策を今後強力に推進してまいりたいと考えております。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 与えられた職務を過ちなく過ごしたいという小さい希望と抱負を持っておりますが、全力を挙げてやる所存でございます。

中山太郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(中山太郎君) お答えいたしまます。  副本部長といたしましては、自分が身体障害者だったらと、あるいはまた自分の子供に身体障害者が生まれていたらと、そういう気持ちで取り組んでおります。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 国際障害者年を迎えて総理の新年の声明が新聞、雑誌等に掲載されました。それは「希望」という書き初めとともに国民に送られたわけでございますが、その「希望」という書き初めを書かれた方は、サリドマイドによる障害を負った若い女性が、足で手のかわりに書き上げたものでございます。これでございます。(資料を示す)大変すばらしい。ここに、その右足で書かれたそのことまで総理のメッセージに添えられてありました。この書き初めにつきましての総理の御感想を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) サリドマイドで両手の御不自由になられた辻さん、女性の方であられますが、辻さんが厳しい指導と訓練に耐えられて、そしてりっぱに社会の一員として参加され活躍をされておるということをお聞きいたしておりまして、本当に頼もしい限りであると、こう考えております。また、その辻さんが、いまお話がございましたように、ことしの書き初めに「希望」という字を、本当にすばらしい、りっぱな力強い表現であのように書いておられるということで、私も大変感動をしたわけでございます。障害者の皆さんが、この辻さんが書かれたところの、気持ちをあらわしたところの希望を持ってそしてこの人生をしっかりと歩んでいただけるように、また、社会もそういう方々をりっぱに迎え入れていくようなそういう社会環境づくりをしたいものだと、こう考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 希望が失望にならないように、心からお願いをしたいと思います。  ことし一月十二日、NHKテレビは同じサリドマイドによる障害を負った吉森こずえさんの特集番組を放送しまして大変反響を呼びました。ごらんになったかどうかはわかりませんけれども、こずえさんの生き方が非常に感動的であったというだけでなく、多くの問題点を投げかけたように私は見ております。それは、わが国の福祉やリハビリテーション、さらには行政や政治が何をしているかと、こういう問いかけを私は感じておったわけでありますけれども、ひとつこれは厚生大臣並びに文部大臣、ごらんになったらなったとしての御感想をお伺いしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) こずえさんは、サリドマイド児の最年長者でございます。放映されたものは、このこずえさんの今日までの人生というものを基準にしてつくられたと聞いておりますが、作品そのものも非常にりっぱだと思いますが、問題は、第一に、こずえさんの非常に明るい悟り切った姿が、作品をつくった人、あるいは接した人、これを見た人に与えておる。しかしまた、おっしゃるとおりに、この作品はいろいろわれわれが考えなきゃならぬ問題があるわけでありまして、生まれながらにしてそれぞれ人柄のよい悪いはありますけれども、ああいう方が明るく、健康な人がいらいらしているのに、にこにこしておられる。それまでに至る心境というものを考えると、胸が詰まる思いがすると思います。偉い人の気持ちというものを推しはかることは傲慢ではありますが、なかなかわかるものではないが、私は、ああいう心境になられるまで、ああいう姿になられるまでには、絶望したこともあられるだろうし、世間を恨まれたこともあるだろうし、あるいは言葉が過ぎると親を恨まれたこともあるだろう。そういう苦しみや苦悩や、切実な、場合によっては生死の問題さえも毎日念頭にあった。それを通り越してこられた、そこにあのこずえさんの明るさがあるという点をわれわれは忘れてはならぬと思います。  いま拝見した書も、足で書かれた書がうまいとか下手だとかというものではなくて、先生御承知のように、筋ジストロフィーの子供さんなどはだんだん手足がしびれてきて最後は心臓にいって亡くなる方が多いわけであります。私もずっとつき合いをしておりますが、年々作品を、字、詩集、それからつくられた焼き物をちょうだいしておりますが、やっぱり同じような心境で、こういう子供さん方は手足がきくときに——やがて何年かすれば手がきかなくなるであろうと、遊びたい盛りの子供がそういうことを考え、何年後には死ぬであろうと思われながらやってこられるその子供さん、車いすに乗って並んだときに、私が入っていくと、さあ競馬だなどと言って普通の子供さんと違った明るさと偉さがある。その足で書かれる字というのは、絵というのは、上手下手というよりも、まさに悟り切った坊さんのような作をつくられるわけであります。  そういうことを考えると同時に、また反面、この作の中で、御承知のとおりにヨーロッパへ旅行されたときのことがあります。そのときに、手のない同じような障害者の方が、自動車に乗せて自分が運転をしてそして案内される、こういうことなどは、感動するということよりもわれわれが非常に反省をしなきゃならぬ問題であって、日本でも民間の非常に奇特な方がいま盛んに足だけで運転する車をつくっておられてほぼ成功しつつあります。免許その他のことなども考え、これはごく一つのことでありますけれども、こういうふうに一人の人間が生命と人生を見つめつつ明るく、健康な人よりもっとりっぱな心境で歩いていかれる。そしてわれわれから想像もできないように、いろいろ普通の人間がぜいたくを言っているときに希望を持ってやっておられる。こういうことに敬意を表すると同時に、やはり自分自身が生きられる、そういう方にわれわれはこの人たちが一人でやっていけるように、車から何からありとあらゆる問題を、ただ施設をつくってお助けするということではなくて、こういう方々が車いすにしても手でぐるぐる回すような車いすではなくて、ボタンで操作ができる、見ておる人もそれから本人も、自分が障害児であることを忘れるというようなそういうことをわれわれは考えてそしてやるのがわれわれの仕事ではないか。もう一つ突っ込んで言えば、こういうものを見てみんながあたりまえのような、気にならぬような社会をつくるのがわれわれの責任であると考えております。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  一月の十二日のテレビは私拝見いたしませんでしたが、新聞で写真を拝見し記事を読みまして、同時にまた私の気持ちもただいま厚生大臣がるる申し上げたのと全く同感でございます。ことに私の場合、あのこずえさんは山口県の二区の選出でありまして、ちょうど佐藤先生の奥さんの御郷里のわけでございまして、そういうことから、また別な感懐を持つ次第でございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 こずえさんが別に二区で選出されたわけじゃないんですから。  実は、吉森こずえさんはなぜ明るさがあるかというと、そこにはこれは一貫して普通学校で学んできたんです。だから友達も多かったわけですね。ところが、学校教育法というのがありますが、その施行令で二十二条の二の表がございます。これによりますと、普通学校、養護学校どちらかへあなたは行きなさいという一つの欄に、上肢、つまり手の機能の障害が筆記することが不可能または困難な程度のものとありまして、この表に該当する児童生徒は養護学校で学ぶとすることが記されております。つまり、本来ならこずえさんは養護学校に行きなさいと、こういうわけなんです。事実が証明しているとおり、この施行令二十二条の二の表というのは、教育的見地から何の根拠にもならないということが言えるのではないかというふうな気がするんですが、その辺、文部大臣いかがでございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お話の問題はなかなかむずかしい問題でございまして、気持ちの上では全くそのとおりでございますが、同時にまた、いまの養護学校なり、あるいはそういう不自由な方々に対しまする、ただいま御本人としての明るい境涯をお持ちになりますようなあらゆる御協力も申し上げなきゃならない。同時にまた、ただいま先生の言われたような、普通の学校に入ります場合は、よほどこれは友人その他健常児の方々の、その当該こずえさんのような方に対しまする愛情あるいはまた協力というものがありませんといけないという、二つの条件がございます。  そういうことから、学校教育法施行令の二十二条の二というのは、心身の障害に応じて適切な教育を施すという趣旨から、盲、聾、養護学校に就学する児童生徒の障害の程度に応じましてこれを補導してまいると、こういうことでございまして、この障害を持っておりまする児童生徒の具体的な就学については、各教育委員会がこの政令の基準に基づきまして、さらに医師なり、あるいはまた教師等の方からも、一緒につくっておりまする就学指導委員会に諮りまして、そうしてこの方を一般の方と一緒にして教育した方がいいか、あるいはまた養護学校の方にお入れをしなきゃならないかという、この就学の問題については決めることにいたしておる次第でございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 この表の問題点は後日突っ込んでお伺いをしたいと思うんですけれども、さて、そのこずえちゃんの番組の中で、中学の担任の先生がこずえちゃんが受験する高校を訪問したシーンがございました。文部大臣ごらんになってないということですが、高校のその先生はしきりに困惑しまして、どう対処していいかわからないという戸惑いがあるんです。まあある意味では無理もないんですけれども、本当は大変悲しいことだというふうに私は見ておったんですね。要するに、今日の学校の先生は、障害を持った生徒に接したこともなければ、リハビリテーションについて学んでもいない、こういうことですからこれは大変問題があるというふうに私は思うんです。  そこで文部大臣に伺うんですが、教員養成教育の中で、必ず障害児のことや、あるいはリハビリテーションについて基礎的なことを学ぶように指導すべきではないかという気がするんですが、その辺はいかがでございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御指摘の問題、なおまたリハビリテーションの問題等につきましては、具体的な問題でも対応しなきゃなりません。  担当の局長からお答えをいたさせます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘のリハビリテーションにつきましての教育でございますが、ただいま医学教育ないし、先生御指摘のは教員養成の場合に特にそれを取り入れるべきでないかという御指摘でございます。  医学教育の中では御承知のとおり比較的新しい分野でございますが、各大学でも近年順次その重要性を認識いたしましてリハビリテーション関係の講座を設けましたり、あるいはその授業科目を開設する大学等も順次ふえてきておるところでございます。文部省といたしましてもそれらの充実には一層努力を重ねてまいりたいと、かように考えております。  それから、御指摘の教員養成の面についてもそうすべきではないかという御指摘でございますが、その点につきましては、特に指導者の養成でございますとか、それを教育する指導者を養成することがまず大事であろうかと思います、したがいまして、当面はたとえば養護訓練の担当教員の現職教育と申しますか、現職教育の際に、まずリハビリテーション関係のことを積極的に取り入れていくということで、今後そういう専門の指導者の養成からまず私ども努力をしてまいりたいと、かように考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 サリドマイドの被害者に限らず、脳性麻陣の人にも、手に障害があるために足を手のかわりに使っている人が相当数おられるわけでありますけれども、わが国のリハビリテーションの中で足の機能の活用について大変おくれている部分があるように私は感じております。どのように位置づけておるのか、これは厚生省に伺いたいと思うんですが、いかがでしょう。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 身体障害者に対しまするリハビリにつきましては、障害者の種類や程度、そういうものに応じまして、いずれにいたしましても残存能力を最高可能水準まで高めていくというのが目的でございます。手や足に限りませず、あるいは口でありますとか首でありますとか、その人が持っておられます残された能力を最大限に活用するという考え方でやっておるわけでございますので、したがいまして、足がその機能を残しておられるという方につきましては、これを重視いたしまして、その線を積極的に指導してまいるというやり方でやっております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 その指導方法等の研究はなされているのかどうか。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 私どもで所沢に持っております国立リハビリテーションセンターの例で申しますと、まず、障害者の方がおいでになりますといろいろと御相談を受けるわけでございます。その方を拝見をいたしまして専門家が判定をしまして、まず、医療の必要があるということでありますと、病院部門に配置をしまして医療を受けていただく、その必要がないという方は、病院を通らないで直接更生訓練所においでになるわけでございますが、そこにおきまして医師あるいはOT、PT、あるいは生活相談員、心理判定員等でチームを組みまして、その方につきましてどういうリハビリ計画を立てるのが最も適切かということを相談をいたしまして、そうしてその方に応じたリハビリ計画を立てて、それに従って後の訓練をしてまいると、こういう仕組みをとっておるわけでございます。専門家が相集まりまして常に勉強をいたしてやっておるところでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 国立リハビリテーションセンターはそうした面で中核をなすべきところでございますけれども、私がいま盛んに言っておりますのは、足の機能の活用についてどう研究がなされているか。正面なところ、まだ足の機能の活用については非常に立ちおくれているのではないかという部分を申し上げているんですが、いかがでしょうか。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、リハセンターを発足いたしましてちょうど一年四カ月程度でございます。従来の三施設を統合して、その融合、それから病院建設等に努めてきたわけでございまして、研究所の部門が必ずしもまだ万全には至っておらないということは御指摘のとおりでございますが、まあ伝統的に義肢——義足につきましては相当の研究もいたしておりまして、足の部分につきましても、そういう部分につきましての自信は相当あるわけでございますが、一般的に、全般的に十分かということになりますと、なかなかそこまではまいっておらぬというのが実情でございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 国立リハビリテーションセンターは、そういう意味ではリハビリテーションのかなめであるという気持ちで発足もされたでしょうし、今日も迎えておるわけでありますけれども、その調査研究費というものが非常に少ないのではないかというふうな気がするんですが、これは十分にリハビリテーションセンターで持っておられるのかどうか。いかがですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) リハセンターの研究所独自で持っております研究費の予算は、五十五年度二千四百七十八万円、ただいま御審議いただいております五十六年度予算におきましては二千九百三十三万円でございます。ただ、このほかに、あるいは科学技術庁、あるいは各省で持っております研究費がございますのの配分をいただきまして、それを研究に使わしていただくという部分がございます。その部分が五十五年度では約三千二百万程度ということになっております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 いずれにいたしましても、福祉先進国と言われる中においては、そういう調査研究費の計上が大変少ないわけでございます。大蔵大臣は施政方針演説の中で、福祉にたとえまして、高福祉を望むなら高負担、財政は有限、欲望は無限と、こういう形で、欲望というとらえ方をなさっておりましたので、大変不愉快な思いをしたんですけれども、そういう意味では、非常にこの調査研究という部分が大変いま不足している。かつて厚生大臣もおやりになった大蔵大臣は、これで十分、研究費は満足だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これも無限のことでありまして、限りある現在の環境から見れば私はこれでやっていける、さように思っております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 その中で、とにかくいろんな形で、自助具の開発も急務でしょうし、そういう意味では、足にすべてを託してという方々も一面では大変多うございます。中には、足の指だけでそろばんの二級という資格を持っている脳性麻痺者もおります。そういう意味で、足の機能の活用ばかりでなく、いろんな可能性の中で電動義肢の開発というものも一方では進められておりますけれども、国立職業リハビリテーションセンターの方の研究体制は、そういう意味においての技術の面では労働省いかがでございますか。

森英良労働省職業訓練局長

○政府委員(森英良君) お答え申し上げます。  国立職業リハビリテーションセンターにおきましては、職業リハの実践的な技法を開発するということのために研究部を設けまして、これと職業訓練部、職業指導部が連携をとりまして、一体となっていろんな研究を進めておるところでございます。  先生御指摘の、上肢障害者の訓練につきましては、すでに二名サリドマイド障害者が入校しておりまして、そのうち一名が上肢障害者でございます。したがって、現実にもう訓練を進めておりまして、その訓練を通じまして、また、いろいろ研究を加えまして今後万全を期したいというふうに考えております。  三次元電動いすでございますか、これはむしろ医療リハの方の関係の問題でございまして、職業リハビリテーションセンターではこれは特に関係しておりません。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 先ほど厚生大臣がおっしゃいましたけれども、吉森さんがヨーロッパへ行って驚いた一つは、手を使わずに足だけで運転できる自動車に乗ったことだということでございます。国立のリハセンターではこうしたものの開発には取り組んでおられるのかどうか、いかがでございますか。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) いろいろ専門家が外国の情報等の勉強はいたしておるわけでございますが、研究所で足で運転をする自動車の開発に直接研究に取り組むという段階にまではまだ至っておりません。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 これは通産大臣に伺った方がいいかもしれません。自動車の製造に関して、わが国の技術水準からすればこういうものは容易だろうというふうに思うんです。通産省として取り組んでいただきたいような気がするんですが、いかがでございましょう。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。  足の悪い人のための車をつくるということは、西欧では行われているのは事実でございます。わが国におきましても、大きなメーカー、二つぐらいでございますけれども、目下研究、そして製造への過程をやろうとしている段階でございまして、通産省としてもこれを強くバックアップしている段階でございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 まあ手が使えない、したがって足しか残存機能が働かない、こういう人たちにとっての移動という面では、当然そうした卓が開発されるように望みたいと思います。  足だけで運転操作ができる自動車がもし開発された場合に、陸連行政を預かる運輸省としてはこれはどう受けとめられるおつもりでしょうか。

飯島篤運輸省自動車局長

○政府委員(飯島篤君) お答えいたします。  身体障害者用の自動車につきましては、現在も、その構造、装置が安全であるかどうかを審査した上で運行を認めておるところでございます。御質問のありました件についても、具体的なお話があれば前向きに対処していきたいというふうに考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 民間ではそういう一つの、足だけで操作する車の開発に取り組んでいる部分もありますので、前向きな陸運行政を期待したいと思います。  欧米との比較ということでしばしば指摘されるのが電動車いすでございますけれども、障害の状況に合わして実に多様なものが実用化されております。たとえばあごで操作をしたり、呼吸でコントロールしたり、驚くほど重度の人が自分に合った車いすで、自分の意思でそれぞれ行動をしているという部分がございます。技術的には日本でも可能なものばかりだと思われるんですが、残念ながらわが国ではなかなかそういう段階に至っておりません。国立リハビリテーションセンターがわが国のナショナルセンターだとすれば、欧米に見られるようなさまざまなタイプの電動車いすの開発、製造に取り組んで、最も重度な人たち、こういう人たちの庁立に寄与すべきだと思うんですが、いかがでございますか。

山下眞臣厚生省社会局長

○政府委員(山下眞臣君) 先生御承知のモジュール型電動車いす、工業技術院において開発されます中には、私どもの方のリハセンターの専門職員も加えていただきまして一緒になって開発をしてきたような次節でございます。御指摘のようなものを今後、研究体制、研究所の整備と相まちまして検討いたしてまいりたいと考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 医療機器研究開発委託制度によってモジュール型の電動車いすが開発され、来年度から三次元車いすの開発を進めるということをちらっと伺ったわけですが、非常にこれはいいことだし、成果を期待しているんですが、なぜこれが三次元車いすなのかという気がするんですね。何を研究開発するのか。その三次元小いすにつきまして厚生、労働両省と連携をとって進めているのかどうか、その辺を通産省と両方に伺いたいと思いますが、いかがですか。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) お答え申し上げます。  普通の、私ども開発いたしましたモジュール型電動車いすは平面の上を動くわけでございます。最近、障害を持った方が産業に従事されるときに、上下方向にも動かないと仕事ができないということがございまして、そういう機能を持つ形にこれを開発したいということでございます。  なお、その開発に当たりましては、厚生省、労働省、両省の関係者とも十分現在緊密に連携をしつつ開発体制を組んでおるわけでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 そういう意味では、労働省、厚生省と連携を持ってやるという前向きの部分には大変感謝をするんですが、ともすれば通産省は通産省で考え、厚生省は厚生省で考え、労働省では労働省として考えている部分が大変多いわけです。国立リハセンが所沢にできましても、たとえば運転免許取得にいたしましても、厚生省のリハセンの中で一生懸命、早く運転免許を取りたいと言いますと、もう流れ作業的に職リハの方に送られてしまう。そうするとそこではもう運転免許の取得ができない。厚生省は厚生省、労働省は労働省だというそういう区分けのされ方があるわけなんですけれども、今後、そういう意味ではやはり国際障害者年を一つの機会といたしまして、総理府の中にこの担当室、心身障害者の対策室をしっかりと設けて、単年度に終わることのない長期計画をそれぞれの関係省庁が連携を持ってやっていただくことを最後に心からお願いをいたしまして、特にこの国際障害者年に対する政府の対策室が単年度で終わらないということはまた追って皆様方に宿題として提起申し上げますから、十分検討していただきまして、次回の委員会でこの対策室の設置問題をひとつお答えいただきたい、かように思います。  時間になりました。ありがとうございました。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 御意見の数々は銘記いたしまして、それぞれ対策推進本部の委員会で検討してもらい、前向きに努力をいたします。この推進本部は、御承知のとおり設置法で一年間と限定して設けられておりまするので、これをこのまま続けることはなかなか問題があります。これは総理からお答えになったとおりでありますが、中央心身障害者対策協議会というのがありますが、これはまた趣旨が若干違いますので、おっしゃるとおり長期の計画をつくり、これの点検推進と、かつまたこの問題は厚生省だけで目先のことで対応策ができる世の中ではなくなりまして、内閣全般に係る問題があるわけでありますから、その趣旨を体し、どのようなことでどのような名義でどのようにやっていけば、いまおっしゃる方針が通るかよく検討いたして、私も同意見でございますから、そのように努力をいたします。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 どうもありがとうございました。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で前島君の質疑は終了いたしました。     —————————————

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 次に、山田勇君の質疑を行います。山田勇君。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 まず、一昨日逝去されましたわが第二院クラブの大先輩であり、国会議員の最長老として、良識の府参議院のかがみでもありました、故市川房枝議員の御冥福を心よりお祈り申し上げます。  先生は、その生涯を通じて婦人の地位の向上に尽くされました。また、政界におきましては終始一貫、清潔な政治の実現に精魂を傾けられたのでありますが、そのまじめな姿勢に心から敬服の念を覚えます。しかしながら、現実の政界は、ロッキード、ダグラスなど航空機汚職を初め、大がかりな選挙違反、その他大小さまざまな政治権力にまつわる不祥事件が余りにも多過ぎて、国民の政治に対する信頼感は薄れる一方であります。総理は政治倫理の確立と綱紀の粛正を優先課題として取り組むことを言明されておりますが、この際、自民党総裁としても強いリーダーシップを発揮され、まず一日も早く倫理委員会の設置に踏み切り、金権、汚職、腐敗政治の根絶を期さなければならないと思います。総理の決意のほどをお聞かせください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まず、市川房枝先生のことでございますが、先生が終生、終始一貫婦人の地位の向上、また、選挙の浄化、政界の刷新、政治倫理の確立、このために先頭に立って御努力をいただいたことに対しまして、私も深く敬意を表して、先生の御逝去を心から悼んでおるものでございます。  山田さんいま御指摘にございましたように、政治の倫理を確立をし、清潔な政治を実現をするということは、民主政治を守っていく原点であるわけでございます。しかしながら、往々にいたしまして国民の指弾を受けるような事態が発生をすると、政治に対する信頼を失うような結果に相なる、まことに残念なことでございます。私は、この政治倫理の確立というのは、本来政治家個人個人が常に反省をし、えりを正して取り組んでいかなければならない問題であると考えておるものでございます。自由民主党におきましてもこういう点に思いをいたしまして、昨年の立党二十五年の臨時党大会におきまして倫理憲章というものを決定をいたしました。党員がこれを踏まえて今後精進努力をしていくことを誓い合っておるわけでございます。  国会における倫理委員会の設置の問題につきましては、かねてから私がこのことを強く希望もし、また党の執行部に対して、これを実現するために各党各会派の皆さんと十分協議を遂げ、実現に向かって努力するように指示もいたしておるところでございます。各党の皆さんの御協力によりまして、早期にこれが実現することを心から願うものでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 金をかけ過ぎる汚い選挙を強く批判し、お金をかけなくてもできるきれいな理想選挙をお手本に示し、清潔な政治の実現に一生をささげられた市川先生の霊に対し、本当に安らかに眠っていただくためにも、いまこそえりを正さなければならないと思います。政治資金の規制、金権選挙について総理はどういうふうなお考えを持っておられますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は政治にある程度のお金がかかるということを否定するのではございませんが、しかし、政治資金が多く使われておりますのはやはり選挙であると、こう見ておるのでございます。できるだけ金のかからない選挙制度、これを実現することが肝心であると、こう思います。個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度ということも言われております。また、現在の参議院の全国区制、これもひとつそういう面からも改善を要するのではないかと、こういうことも一つの世論にもなっておるところでございます。  私は選挙制度の問題につきまして、これはいわば一つのルールでございますから、各党各会派におきましてできるだけ金のかからない選挙制度が実現をいたしますように、今回の国会におきましても、全国区制度等につきまして十分各党の案を、各議員のお考えを持ち寄って成案が早期にできますことをこいねがっておるものでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 わが国が第二次大戦後、今日に至ってGNPが世界第二位と言われるまでに発展してきた原因は幾つかあると思いますが、資源を海外に依存している日本にとって、この三十五年の間世界に大戦がなく、曲がりなりにも平和が維持されてきたことが大きな原因と考えられますが、総理いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 全く山田さん御指摘のとおりでございます。わが国はこのように国土が小さく、人口が多く、資源はまさに貧困でございます。貿易によって国を立てておると言っても過言ではないわけでありますが、そういう国柄からいたしまして、世界が平和であることが一番望ましいわけでございます。わが国は、平和憲法の精神を外しまして、今後ともわが胴の国際社会における重要な一員としての役割り、平和憲法を体して世界の平和と安定、繁栄のために今後とも全力を尽くしていきたい、こう思っております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 アメリカのレーガン政権が華々しく発足して以来、アメリカはソ連に対して強硬な路線を推進しております。中性子爆弾の生産再開計画、次期大陸間弾道MXの配備促進などの方針を表明しておりますが、これは米ソの軍拡競争にますます拍車がかかるのではないかと懸念をいたす一人でございますが、アメリカ中央情報局、いわゆるCIAがこの二月六日に出しました「米ソの国防活動——一九七一−八〇年」と題する報告書によりますと、過去十年間にわたり、ソ連は国防分野ではアメリカより四〇%多く支出していると述べ、一九八〇年だけをとると、アメリカの国防関係支出が千百五十億ドル、ソ連は千七百五十億ドルと、アメリカを五〇%も上回っているとなっておりますが、これによっても、アメリカのソ連に対する巻き返しの気持ちがうかがわれます。わが国に対する軍備増強の要請にも関連があるような報告ですが、総理はこの問題についてどうお考えになっておられますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま山田さんから、米ソを中心とした国際情勢につきまして分析が行われました。確かに国際情勢は、今日まで米ソを中心としましてあるときは協調し、あるときは対抗して、そして軍事力の増強というようなことがなされてまいりました。御指摘のように、近年ソ連は毎年軍事力の増強に相当の努力をいたしてきておるわけでございます。そこで、東西のこの力の均衡というものが崩壊をするというような危険すらあるということをよく言われるわけでありますが、アメリカはこの点につきまして、レーガン政権になりましてから、やはり相当の軍事力を増強しなければならない、またNATOなど同盟国に対してもそれを要請をしておる、こういうような状況下にあると私も認識をいたしておるわけでございます。  私どもは、しかしながら、将来このことが軍拡競争になってはいけない、やはり東西の力の均衡ということは、現実の国際間におきましては大事な問題、平和維持のために、戦争抑止のために必要かもしれませんが、やはり軍備というのは節度を持ち、かつ相互において自制をし、これを将来にわたっては軍縮の方向へ持っていかなければならないものと、このように考えておる次第でございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 世界の軍事支出は過去三十年間に四倍にふえ、五千億ドルに達したとも言われ、南アジアとアフリカの十三億人の国民総生産を三〇%上回る額になっているという見方もあります。さきに述べました米ソの軍事費ももちろん含まれているわけでありますが、どうしてこのような膨大な軍事費が地球上に必要なのでしょうか。軍備という非生産的なものをどうして各国は競ってふやし続けるのでしょう。もちろん、自国の安全保障をするためということになるでしょうが、いまや核装備をされた米ソの戦力は、一つ間違えれば人類の滅亡につながることは周知の事実であります。  総理は、このようなばかげた軍拡競争に一日でも早く歯どめをかけるたか、唯一の被爆国でもあり、また平和憲法を遵守する鈴木内閣は、軍拡より軍縮へのアプローチをいまこそ積極的に米ソに働きかけるべきであります。また軍縮の実効を上げるため、わが国は先頭に立って国際世論の喚起に努めるべきだと考えますが、総理の考えはいかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○国務大臣(伊東正義君) 総理のお答えになる前に、山田さんにお答え申し上げます。  私、昨年十二月にヨーロッパへ参りましたとき、シュミットさんと会いましていろいろ話したことがあるんですが、シュミットさんは、当時、レーガンさんはまだ大統領には就任されていない十二月でございますが、会って話したところが、やはりレーガンさんもソ連との軍備管理交渉は、これはやはり時間をかけてもやる、やはり全面的対決になって核戦争なんということになったら、これは世界が本当に破滅でございますので、そういうことを避けるために、時間をかけてもソ連とは軍備管理交渉をやるのだということをレーガン大統領が当選された直後言っておられたということをシュミットさんが言われたことがあるんですが、この問題につきましては、総理もアメリカへ行って首脳会談をやられ、私もその前に行ってまいりますが、そういう問題につきましても、私はいろいろ話し合いをする一つの問題だというふうに思っているわけでございます。  先生おっしゃったように、いま方々で軍備の問題が起こっておることはこれは確かでございますが、一九七八年から国連の中に専門家会議をつくりまして、どうしたら軍備を縮小して、それにかけるお金を開発途上国の社会開発とか何かに向けることができるかということを、一九七八年から専用家会議で実は相談しているところでございます。ことしの秋に最終的な報告が出るということになっているわけでございますが、いま山田さんがおっしゃるとおり、わが国は平和憲法を持ち、非核三原則も持ち、また核拡散防止条約の当事国でもございますので、あらゆる機会に特に核軍縮の問題を中心にして主張しているところでございます。  二月十日にも軍縮委員会がスイスであったわけでございますが、わが方の代表は包括的な核実験の停止、これは核軍縮につながることで、地下の実験もやめようと、こういうことでございますが、そのことを主張し、また化学兵器の禁止というようなことに重点をしぼって二月十日にも主張したということでございまして、日本としてはあらゆる機会に、核軍縮あるいは軍備管理という問題につきましては、国際連合その他の場を通じまして強く主張してまいるつもりでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 総合安全保障の立場から海外経済協力費の大幅な増額が望ましいと考えるのですが、このことについては私、大平内閣のときにも質問いたしました。総理は施政方針演説の中で、今後五年間における政府開発援助予算総額をこれまでの五年間の倍以上にすることを表明されております。いわゆるODA、すなわち政府開発援助の量は、八〇年度は三十億ドルを超えていると言われております。一九七九年度の実績では、国際間の比較基準である対GNPで見ますと〇・二六%となっております。国際目標の〇・七%には遠く及ばないということですが、将来一層の努力はなされるとは思いますが、防衛費を抑えてでもODAに回すというお考えは総理にはございませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は経済的な力を活用いたしまして世界の平和と安定に寄与する、世界における有力な一員として平和への責任を果たしていくという立場から、いま御指摘のございましたところの対外経済協力あるいは技術協力というものが非常に重要な役割りであると、このように心得ております。  私は先般ASEANを訪問いたしましたが、日本のこの面における努力というものはASEAN五カ国におきましても大変評価をされておりますし、現に東南アジアの安定また民生の向上、そういう面に寄与しておることは事実でございます。今後もわが国はこれに対する努力を一層強めていきたい。三年間に倍増するということは、五十五年度、今年度で達成することができました。第二の今度は中期目標といたしまして、七〇年代後半五カ年にわが国が支出をいたしましたものを八〇年代前半に倍増したい、こういう中期目標を掲げまして、今年度予算におきましてもまず初年度としての予算措置を講じた次第でございます。今後ともこの点につきましては一同力を入れてまいりたいと、こう思っております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 貿易立国のわが国といたしましては、輸出入の海上ルートの安全確保など多くの国々との友好関係を維持しなければなりません。  その意味から、政府開発援助はますます必要性を強めるものと考えます。しかしながら、一方では大幅な財政赤字また福祉や公共事業の切り詰め、そして増税という中で海外援助金をふやしていくということは、よほどはっきりとした理念がなければ国民の協力は得られないと思います。  外務省は経済協力研究会を設置し、昨年十一月来援助の理念を体系的にまとめてはおられるのですが、海外援助が国益につながることをぼくはもう少しもっと国民にわかりやすくPRをする必要があると考えますが、外務大臣のお考えをお聞きいたします。

伊東正義自由民主党外務大臣

○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  いま山田さんおっしゃったとおりでございまして、もっと国民の皆さんにわかってもらえるようにせにゃならぬということは確かでございます。経済援助の問題は人道主義といいますか、相互依存といいますか、そういうことでございますが、もっと根本に言えば、日本の平和国家を維持していくためのこれはコストだろうと、あるいは日本の経済繁栄のコストだというふうに、これは本当に必要経費なんだというふうな考え方をわれわれ持っておるわけでございますが、国民の皆さんにも日本が平和で安定して繁栄していくためには、これは本当にそのためのコストなんだということをもっともっとわかってもらうようにいろいろ広報を出したりなんかしておりますが、今後とも努力をしてまいります。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 次は、嫌煙権運動についてお尋ねをいたします。  嫌煙権運動が社会的にクローズアップされておりまして二年以上になりますが、喫煙の害は医学的にもいろいろと立証されておりますが、私なども数を減らしたいと思うんですが、なかなか禁煙にこぎつけることができませんが、嫌煙権運動はどうしても吸いたい人の権利まで当面立ち入らないようですが、喫煙者が吹かす煙が周囲の人々に喫煙者と同じような害を与えるということで運動の輪を広げておりますが、この運動をどう評価しておりますか、厚生大臣にお尋ねをいたします。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 私は生来正直で神経が繊細でございますので、この質問に対して大きな声で答弁することは後ろめたい気がいたしますけれども、喫煙の害はすでに御承知のとおり、心臓、血液循環あるいは肺がん等の因素をなしておることは決定的な事実であるばかりでなくて、自分が吸う煙がはたの子供や婦人の方等に非常な害を与える。国際会議等に行きましても、煙が出てくるのは開発途上国の代表、日本も含むと、こういうことでありまして、大体灰ざらさえも出てこない場所が出てきておるわけであります。厚生省としては、この禁煙運動を高く評価し、個人の嗜好であるとは言いながらこれを推進していきたい。  私は、実はたばこをやめたばかりでありまして、まだ夜夢見てのんだような気がしますので、非常に良心に痛いところがございますが、答弁をいたします。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 厚生大臣、ここにちょっとポスターを持ってきているのですが、これは東京保険医協会が「まだすうの」なんというようなポスターがございます。またこちらの方には、同じ協会ですが、「もうやめたら」なんというポスターがございますが、厚生大臣、先ほど来御答弁いただいた中で、それは、国庫納付金がこれは一兆一千億からあるんですが、渡辺大臣としては余りいい運動じゃないようになると思うんですが、しかし、たばこを吸ったための医療代というのが、これ雑駁な数字ですが、一兆二千億。そのほかたばこの吸いがらによる火災が一番多いんですから、それから比べると何千億ということになりますと、まあ民間移行論なんて出ておりますが、こういうポスターなどもひとつPRのために厚生省ぜひつくって町に張っていただきたいと思います。  それと同時に、これも非常に国民の間からも評価されております、国鉄当局ですが、「ひかり号」の一号車が禁煙車になっておりますが、これをもっとふやしてほしいという声も確かにあることでございます。また、一般の中、長距離列車には禁煙車が一両も現在はついておりませんので、こういうことについての国鉄の考えを聞かしていただきたいと思います。

橋元雅司日本国有鉄道理事

○説明員(橋元雅司君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、新幹線の「こだま号」の十六号車を禁煙車にいたしましたのは五十一年の八月でございましたが、その後のアンケート調査等によりまして「ひかり号」にもぜひ禁煙車をという御要望が強いということで、昨年の十月でございましたが、ダイヤ改正の機会に「ひかり号」にも禁煙車を運行することにいたしたわけでございます。したがいまして、現在のところは新幹線につきましては「ひかり号」、「こだま号」とも全列車禁煙車を運行いたしておるということでございます。  私どもとしましては、今後この禁煙車の御利用の実態あるいは世論の動向等十分踏まえまして前向きに検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 ことしは国際障害者年でありますが、「完全参加と平等」のテーマということでございますが、さまざまな行事や施策が進められておりますが、血の通ったものでなければなりません。私は毎週土曜日にいま手話を習っておりますが、テレビなどに手話や字幕をもっとぼくは活用してほしいと、これは以前にも予算委員会で要望いたしましたが、なかなかむずかしい問題があるんではないかと思いますが、問題があるとすればどういうところに問題があるか、お答えをいただきたいと思うんです。

山内一郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(山内一郎君) 大分手話の放映もふえてまいりましたけれども、山田先生の御意見でございます。そこで、手話を入れるかどうかということは放送番組に係ることであると思います。放送法によりますと、放送番組の編集の自由というのがございまして、放送事業者が自主的にこれは編成するものである、他人の干渉はできないというような放送法のたてまえがございます。しかし、放送事業者が国際障害者年とか、あるいは世論の動向とかをいろいろ考えていただいてやっていただきたいものであるなあというふうに考えているわけでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 これを最後の質問にさせていただきます。  市川先生が亡くなられてわれわれもちょっと穴のあいたような気持ちですが、先生の目が届かなくなったことをよいことにして、まさか百鬼夜行の国会になるとは思いません。鈴木総理が故市川房枝議員の意を体し、わが国の政治を引き締めていくことを要望し、総理の決意を伺いまして質問を終わります。  心より市川先生の冥福を祈って、私の質問を終わらせていただきます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国の民主政治、議会制民主主義の発展、これを図りますために選挙制度あるいは政治資金、あるいは政治倫理の確立、こういう面につきまして市川先生の残された遺訓といいますか、教えというものを十分肝に銘じまして今後とも努力してまいりたいと、こう思います。

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で山田君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。昭和五十五年度補正予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     —————————————

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) それでは、これより補正予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。赤桐操君。

赤桐操日本社会党

○赤桐操君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十五年度補正予算三案に対し反対の討論を行います。  政府は、今年度当初予算の編成に当たって明らかにした昭和五十五年度予算編成方針の中で、経済の課題は物価の安定を図りつつ景気の拡大基調を維持して国民生活の安定を図ることにあり、また財政の公債依存体質を改善して、財政の対応力を回復することであるとしておりました。しかし、今回提案された補正予算に関して見る限り、多くの問題点があります。  まず第一に、今補正予算は当初予算編成の段階ですでに前提とされていたことであります。  補正予算は財政法第二十九条に基づいて作成されるとは言え、本来的には編成の必要のないにこしたことばなく、とりわけ、財政再建の緊急な折からして望ましい事態ではないのであります。しかし、政府は当初予算において給与改善費のための経費を計上するに当たって公務員の給与アップ二%相当額しか見込まず、当初から補正予算で処理する態度で臨んでいたことは明らかであります。このため、補正予算では当初予算額を上回るという失態を演じているのであります。この傾向は今後も強まる状況にあることを考えますと、当初に予測できる歳出は可能な限り正確に計上することが財政民主主義の観点から求められていることを特に指摘いたし、政府に反省を求めるものであります。  第二には、歳入見積もりの問題であります。  五十四年度の補正予算では一兆九千九十億円、この補正予算では七千三百四十億円の租税印紙収入の増収が見込まれておりますが、これは当初予算における税収がいかに過小に見積もられていたかのあらわれでもあります。大衆増税と福祉の切り下げのために税収見積もりを意図的に低く抑える政府のやり方では、財政再建のための大型消費税の導入などとうてい国民の納得するところではなく、かえって政府への不信をつのらせるだけであります。このような歳出歳入両面における意図的な操作は安易な予算編成方式であり、補正予算の性格を危険な方向に曲げるものと言わざるを得ません。  第三には、物価上昇が国民に深刻な影響を及ぼしているにもかかわらず、それにこたえる政策が全く不十分なことであります。  政府の公約である消費者物価の上昇率六・四%は全くほごとなり、八%にも高まろうとしている状況にあり、勤労者の昨年の実質賃金は〇・九%も減少するというゆゆしい事態に直面をいたしておるのであります。その上、所得税についての物価調整措置が三年間も放置されているため、税負担も急速に強化されてきているのであります。少なくとも与野党合意に基づく物価対策予備費を積極的に支出して、野菜対策など物価抑制のためのきめ細かい施策を講ずるべきでありますし、所得税の負担調整のための戻し税減税など考慮すべきであります。勤労者の生活難とは対照的に史上空前の利益を享受している大企業もあり、その利益の社会的還元は、会社臨時特別税の復活で行うことが社会的公平にかなうと考えるものでありますが、かかる発想は、政府には見受けられません。  第四には、国債減額と財政支出の問題でおります。  国債の減額が行われていないのは、既定経費の節限が不十分なことを反映しておるわけでありますが、特に疑問としたいことは、揮発油税収入の減少を補てんするために四百二十億円の道路整備事業費を増額させていることであります。揮発油税は道路特定財源とされているために、いわば公共事業費抑制のもとでの聖域的扱いとなっている実情からして、その減収を補てんするために一般財源を支出するのは何としても納得できません。今回の措置は財政再建の方向に逆行しているのであります。このような支出を続けて国債の減額もなしというのでは、政府の財政再建に信頼を置くことはできません。  最後に、地方財政に対する対応であります。  言うまでもなく、法人税、所得税及び酒税の三税の三二%は、地方交付税交付金として地方自治体に交付すべきものであります。しかし、政府は昨年と同様な措置をとり、本来交付すべき三千七百五億円の交付金を次年度に繰り越しているのであります。この措置は、国民には明らかにされないままに講じられてきている地方財政の財源対策を一層不明朗にするもので、地方の時代に逆行する地方軽視の姿勢と断ぜざるを得ませんし、鈴木内閣の言うところの和の政治は、国と地方との間にも見られない端的なあかしであろうと存じます。  以上、私は政府提出の補正予算三案の問題点にかんがみ、反対の意思を重ねて明らかにして、討論を終わります。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 平井卓志君。

平井卓志自由民主党・自由国民会議

○平井卓志君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、五十五年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行います。  御承知のとおり、先進諸国は、いわゆる第二次石油危機による石油価格の大幅な値上がりの影響を受けて、各国とも物価の高騰、景気の落ち込み、さらには国際収支の赤字といった三重苦の困難な状況に直面している中にあって、わが国は、このインフレ圧力とデフレ要因を克服し、いまや高度成長路線から安定成長路線への軟着陸を確実に実現することに成功しております。これは、ひとえに国民のたゆまぬ努力とわが党政府の政策運営がきわめて適切に行われたことによるものであると思うのであります。  さて、今回の補正予算は、五十五年度当初予算成立後生じた冷害や災害等、特に緊急事項について予算措置を講ずるものでありまして、被災関係者はもちろん、各地方自治体からも一日も早い執行が望まれている内容のものであります。  以下、補正予算の主な点について申し述べます。  その第一は、冷害による共済保険の円滑な支払いについてであります。  昨年夏、全国的に日照不足、異常低温に見舞われ、ことに東北・北海道は、五十一年以来の農作物の大災害をこうむったことは御承知のとおりであります。これに昨年九月下旬以降生じた西日本の冷害をあわせますと、被害総額は実に七千億円に達すると見込まれております。  政府ではすでに天災融資法等の発動による農家への低利融資や被災農家に対する課税上の特例措置等を講じたところでありますが、さらに被害の大きさや影響を勘案し、農業共済金の早期支払いを強力に推進したのであります。この結果、支払い財源となる農業再保険の資金が不足することになりましたので、今回、一千四百八十億円を追加繰り入れしようとするものであります。これにより被災農家への円滑な保険金の支払いが確保されるのであります。  第二は、災害復旧対策の充実についてであります。  昨年も各地に災害が発生し、公共土木施設、農林水産施設に多大の被害を与えており、その速やかな復旧が望まれているところでありますが、今回の補正におきましては、災害被害の早期復旧を図るため、従来三〇%であった初年度の災害復旧支出の割合を四五%に引き上げる前倒しを行い、復旧進度を高めていることは、まことに適切な措置と思うのであります。このため八百七十一億円が計上されておりますが、今後とも必要に応じ、予備費も活用し、十分な災害対策を講ずることを期待するものであります。  第三は、地方交付税交付金の追加についてであります。  本年度経済の進行につれて所得税等、いわゆる国税三税合わせて九千億円程度の自然増収が見込まれることとなっております。このため、当初予算に追加し地方交付税を増額しようとするものであります。本来であれば決算を待って処理することも法律上許されるわけでありますが、地方財政の現状を考慮し一日も早い交付税の繰り入れを実施することとしております。今回は五十四年度決算に伴う精算額も合わせて、四千九十六億円を繰り入れることにより、年度末を迎え資金繰りの苦しい地方自治体にとって大きな手助けとなるものと予想されるのであります。  第四は、五十四年度補正に引き続き、今回の補正において、巨額の自然増収を追加計上することができ、財政悪化のパターンに歯どめをかけることができた点であります。  既定経費の節減と相まって、追加財政需要が多々ある中で、一千七百億円の特例公債を減額し、特例公債依存度を当初予算の二二%から二〇・九%へと低下させましたことは、財政健全化の観点から評価すべきことと思います。  以上のほか、本補正では物価安定を図るための野菜価格安定対策費の増額、日韓交渉による操業規制強化による漁業救済対策費の新設など、いずれも時宜にかなった適切な内容のものであります。  最後に、物価問題について政府に要望いたしたいのであります。  本年度の消費者物価上昇率が、政府の当初見通し六・四%を上回って改定されたことは、まことに残念と言わなければなりません。日本は諸外国と異なり、節度ある賃金要求などきわめて良識的な国民の行動で、重なる石油危機を乗り越えてきたのでありまして、政府もこれに十分こたえて、国民生活の安定に努力すべきであります。この点からも政府は、今年度の物価改定見通し七%程度に抑制することを強く要請し、賛成の討論を終わります。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 田代富士男君。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。  現下の経済情勢の中で国民生活に脅威を与えているのは、物価の高騰であります。  政府は、五十五年度当初、経済見通しにおいて消費者物価の対前年度上昇率を六・四%と見込み、その抑制に全力を尽くすと明言しておりました。ところがわが党の指摘どおり、物価の上昇は六・四%ではおさまらず、昨年十一月には実に八・四%にも達するなど、国民生活に重大な圧迫を加える結果になっております。  しかも昨年十二月には、政府は当初の見通しの誤りに気づき、五十五年度の実績見込みで七%程度に変更せざるを得なくなったのでありますが、この七%すらも守り切れない状況にあり、政府の責任はまことに重大であると言わざるを得ないのであります。  経済成長率について言えば、昨年十二月において四・八%を達成し、一応の実績を示しているとはいえ、その内訳を見れば、決して順調でないことは一目瞭然であります。すなわち、個人消費支出について政府が当初見込んでいた九・七%は実績では八・三%に落ち込み、また、民間の住宅建設に至っては一〇・二%の伸びを見込んでいたのが、実績では前年度より一・六%も下回ってしまっているのであります。このように個人消費支出や民間住宅建設という内需の面での大きな見込み違いが今日の景気停滞となってあらわれていることは、まことに遺憾に思うのであります。  しかも、このような誤った見通しに対して適切な措置を講ぜず、国民生活を無視した政府・自民党の施策を厳しくたださなければなりません。  以下、補正予算三案に対する主な反対理由を申し上げます。  反対理由の第一は、国民から最も要望のあった物価調整減税を実施しなかったことであります。  今回の補正予算では税収が七千三百四十億円追加されておりますが、これは五十五年度当初予算が過小見積もりだった結果であります。五十五年度予算の審議においてわれわれが強く要求した物価調整減税を、政府は税収不足を理由に見送ったのであります。また、五十四年度補正予算の段階でも、税収は一兆九千億円にも上り、適正な見積もりを行えば減税なり戻し税を行うことは可能であり、最近の政府の過小見積もりの傾向を指摘せざるを得ません。しかも、六・四%を見込んでいた消費者物価が八%近くも上昇し、実質所得がマイナスになっており、そのために国民は必然的に節約を余儀なくされ、ひいてはそれが景気低迷の一因となっているのであります。  第二は 物価安定に対する具体策が欠如していることであります。  現在の上昇する物価動向にもかかわらず、今回の補正予算には物価安定に対する配慮が欠けております。たとえば、野菜について言えば、現在非常に値上がりしており、多くの国民は家計のやりくりに苦しんでおります。ところが政府は、野菜価格安定対策費としてわずか二十九億円しか計上しておりません。この野菜の価格については、われわれは五十四年暮れから五十五年春にかけて起きたような値上がりを再び繰り返さぬよう、さきの臨時国会で政府に対して強力な対策を求めたのであります。その際農林大臣は冬場の野菜の確保を約束されたにもかかわらず、結果は野菜の高騰となってしまったのであります。このような物価上昇に備えて、与野党四党合意の上、五百億円の物価対策費を計上したのであります。ところが、この四党合意を踏みにじり、わずか二十九億円程度の予算しか組まないというのは一体いかなることでしょうか。この物価対策費五百億円をフルに活用して、生鮮食料品対策をこの補正予算に組み込むべきものと考えます。  第三は、経費節減に関する重大な疑問についてであります。  今回の補正予算の中で、既定経費の節減と称して七百三十八億円を計上しております。既定経費の節減によって国民の税金を大事に使用していかねばならないことは当然過ぎるほど当然のことであります。確かに既定経費の節減と言えば聞こえはよいのですが、問題は、当初予算に既定経費節減分を見込んでいるのではないかと思われる節があるということであります。なぜかならば、毎年毎年節減の対象となる同じ項目があるからであります。すなわち、大豆、なたね生産者団体等交付金は、当初予算には百八十億円計上され、今回そのうち二十一億円が節減されております。また、農林金融費も毎年減額の対象となっております。中でも農業近代化資金利子補給補助金は百八十五億円計上され、今回十二億円節減したことになっております。国民に対しては、血のにじむような努力の結果経費の節減を行ったと宣伝しておりますが、毎年同じ費目が節減項目になっていることを考え合わせると、当初予算を水増ししているのではないかとの疑問が生ずるのであります。したがって、このような毎年節減対象となっている経費については抜本的な見直しを行うべきはもちろんのこと、その上もっと節減経費額の少ないものまで適切に検討するならば、一千億円程度は捻出可能ではないでしょうか。  以上、反対理由を述べましたが、最後に、物価安定と減税を行い、国民生活を一日も早く安定されることを強く要求して、反対討論を終わります。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 沓脱タケ子君。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十五年度補正予算三案に対し反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本案が冷害対策、公務員給与改善など義務的なもの、また被害の大きさに比べれば余りにも少ない豪雪対策費のほかは、国民生活防衛のための具体的対策を何ら盛り込んでいないことであります。  消費者物価の急騰は国民生活を大きく脅かしています。昨年勤労者の実質収入は戦後初めて前年を下回りました。農家も二年連続農業収入を低下させられ、その上に冷害の苦しみに遭っております。中小企業の倒産は、この一月ついに史上最悪を記録いたしました。  国民生活の防衛に全力を尽くすことはいま急務の課題であり、そのための財源は十分に確保できるのであります。税の年度内自然増収は七千七百億円に達し、予備費も二千億円が手つかずで残されています。これをわが党が去る九日政府に申し入れをいたしましたような生活防衛対策に振り向けなければなりません。  狂乱物価時の一九七四年及び七五年に実施されましたように、特に生活の困難になっている生活保護世帯など六百万世帯に対して、一世帯当たり二万円ずつの緊急資金を支給すること、あるいは野菜価格安定のための出荷奨励金の拡大などの物価抑制措置をとること、さらに豪雪対策費の急増などで財源不足に苦しめられている地方自治体に税の自然増収に伴う地方交付税の追加分を年度内に交付することを初めとする緊急対策に取り組まなければなりません。これは、やる意思さえあれば簡単にできることであります。ところが、政府はこの措置を全くとらず、国民に冷酷な仕打ちをもって臨んできたのであります。  一方、最悪の不要不急経費であります防衛費は増額補正されています。五十五年度当初予算は、疑惑がらみのP3C対潜哨戒機、F15戦闘機の大量購入、米軍地位協定上も何らの義務のないいわゆる思いやり予算の拡大など、防衛費を大幅に増額する危険な道を選択いたしました。加えて本案では、軍事費を削って暮らしと福祉、教育の充実をと強く求めろ国民世論を無視いたしまして、減額どころか逆に戦闘機、戦車、軍艦などのための石油購入費を百三億円ふやしたのを初め、合計で三百六十三億円を追加したのであります。これが反対の第二の理由であります。  防衛費のこの増額は、いまでも少ない中小企業予算や国立研究機関の研究費、地下鉄建設のための補助金などをさらに削り取ったことと著しい対照を見せておると言わなければなりません。  反対の理由の第三は、本案が地方財政の困難をさらに深刻にしているということです。  税の年度内自然増収に伴って地方交付税も四千六十九億円追加されます。それは年度内に当然配分されるべきであるにもかかわらず、そのうち三千七百九億円は来年度の交付税財源に繰り延べられ、財源不足に苦しむ地方自治体の手には渡されないのであります。これは、来年度の国の負担を軽くするために交付税制度の本質をゆがめるものであり、認めるわけにはいきません。  以上の理由によりまして、私は国民の要求を踏みにじった本案に強く反対することを強調いたしまして、討論を終わります。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 柳澤錬造君。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和五十五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。  まず、補正予算の編成のあり方についてでありますが、収入一兆九百二十五億の最大の財源は所得税の自然増収六千八百四億であります。とするならば、これを生み出した勤労者、国民の生活安定を最重点目標として補正予算を編成すべきであります。  しかるに、政府の取り組みはきわめて不十分であり、国民生活を圧迫する物価を一つとりましても、政府は当初、消費者物価の上昇を六・四%として計画を立てていましたが、それが維持できないとして七%程度と修正しましたが、これも不可能であり、現状では八%近い高騰となることは必至であります。そのため、勤労者の実質賃金は昨年一月から十二月までマイナスを記録しており、このようなことは戦後初めてであります。  このような結果をもたらした政府の責任は厳しく糾弾されなくてはなりません。このような状態で放置をしておくならば、合理的な賃上げも労使間のよき慣行も破綻を来すでありましょう。したがって政府は、勤労者、国民の生活を考え、その生活水準を維持させたいと決意するならば、何はともあれ、物価調整減税を年度内に実施すべきでありますのに、何らの措置もとられておらず、きわめて遺憾であります。  さらに指摘したいことは、これら物価上昇について政府は何らの責任も感じておらず、それがため、物価上昇を抑える方途も全く不十分であり、この補正予算で目につくのは、野菜価格安定の三十億程度です。この程度のことで物価上昇が抑えられ、生活が安定するはずはありません。それでいて住宅対策に四百八十七億も追加するとはどういうことでしょうか。このようなものは本予算で扱うべきです。  補正予算というのは、国民生活に関連した緊急性のあるものと重点的に取り組むべきものです。災害復旧事業に八百七十二億を投入するのは当然のことでよしとしても、昨年十二月以来、北陸、東北、北海道と、相当広範囲にわたって襲われた豪雪のため、各市町村の財政も個人の家庭生活も破綻を来さんとしており、これに対する救援予算こそ緊急に組むべきでありますのに、何らなされておりません。  このような補正予算には全く不満であり、三案に対し反対を表明し、討論を終わります。(拍手)

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。これにて討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十五年度一般会計補正予算、昭和五十五年度特別会計補正予算、昭和五十五年度政府関係機関補正予算、以上三案について一括して採決を行います。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村睦男自由民主党・自由国民会議

○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後二時三十六分散会

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