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94回国会参議院1981/05/13

本会議 第17号

発言数
11
登壇者
4
会派数
3
開催日
1981/05/13

会議録

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告)  内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。鈴木内閣総理大臣。    〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、五月四日から九日まで伊東外務大臣とともに米国を訪問し、レーガン大統領と二回の会談を行ったほか、ブッシュ副大統領、ヘイグ国務長官ほか関係閣僚、米国議会両院の指導者、米国財界人、言論人等と懇談いたしました。さらに、ナショナル・プレスクラブにおいて、わが国の外交の基本姿勢、日米関係等を中心に演説を行いました。  私はまた、五月九日に短時間ながらカナダを訪問し、オタワにおいてトルドー首相と親しく意見交換を行いました。  私の今回の訪米の主な目的は、多くの難問を抱えている国際社会の中で、現下の国際情勢に対する基本認識につき、レーガン大統領との間で、大所高所から意見交換を行うとともに、自由世界の責任ある構成員である日米両国が連帯、協調して、世界の平和と繁栄を目指し、緊密に協力していくべきであるとの姿勢を確認する点にありました。この点は共同声明の冒頭にうたわれております。  レーガン大統領との会談では、相互の信頼感と友好的な雰囲気の中で、東西問題、アジア情勢を中心とした国際情勢、防衛問題等日米二国間関係、国際経済問題等両国の共通に関心を有する諸問題について幅広く意見交換を行いました。会談の成果は、私とレーガン大統領との間の共同声明にて表明いたしましたが、この際特に次の諸点を指摘しておきたいと思います。  東西関係については、ソ連の軍事力増強、第三世界におけるソ連の動きに対し憂慮の念を示し、ソ連軍のアフガニスタンからの即時無条件全面撤退が実現されるべきであり、ポーランドの問題は、いかなる干渉にもよることなく、ポーランド国民自身により、解決されるべきであるとの立場を再確認しました。  他方、ソ連との対話の窓口を閉ざさないことが必要であることにも意見の一致が見られました。また一当方より、軍備管理及び軍縮の努力を進めることが、世界の平和のために重要であることを強調し、合意を見た次第であります。  その他国際情勢については、アジアを中心に意見交換を行い、アジアの平和と発展に向け、日米おのおのがこれまで果たしてきた役割りを評価し、今後引き続き、互いに協力しつつそれぞれの役割りを果たしていくことで意見の一致を見ました。  また、日米両国を含む西側先進民主主義諸国は、世界の政治、軍事及び経済上の諸問題に対して互いに緊密に連絡をとりつつ、国力、国情に応じ協力しながら西側全体の安全を総合的に図り、それを通じて世界の平和と繁栄を確保していくことにつき、意見の一致を見ました。  防衛問題については、日本の防衛並びに極東における平和及び安定を確保するために、日米安全保障条約の果たしてきている役割りを再確認するとともに、右目的を達成していく上で、日米両国間の適切な役割り分担が望ましいことを確認いたしました。  なお、わが国がいわゆる集団的自衛権の行使をなし得ないことは憲法上明らかでありますので、極東の平和と安定のための日本の役割りは、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用のほか、政治、経済、社会、文化の各分野における積極的平和外交の展開に重点が置かれることとなります。  わが国の防衛努力については、第二回首脳会談において、私から、わが国の基本的な考え方を率直かつ詳細に説明しました。すなわち、わが国としては、自主的に、かつ憲法及び基本的な防衛政策に従って防衛力の整備の努力を行うものであることを明言するとともに、世論の動向、財政状況、他の諸政策との整合性、近隣諸国への影響などの要素にも十分な配慮を払う必要がある旨を説明しました。大統領よりは、日本が憲法その他の制約の範囲内で従来より防衛力の整備に努力してきたことに理解を示すとともに、引き続き防衛力の整備に努力されるよう期待する旨の表明がありました。  経済関係については、世界経済が現在直面している諸問題につき話し合い、両国は自由かつ開放的な貿易の諸原則の維持と強化に引き続き努力する決意を確認し、また、日米二国間の経済関係を今後一層拡大させていくことの重要性につき認識の一致を見ました。  なお、自動車問題につき大統領より、日本側の自主的措置を多としている旨の発言がありました。  先進工業国と開発途上国との関係の重要性につき意見の一致を見、オタワ・サミット、南北サミット等を通じ、南の諸国との関係に対処するに当たり建設的な進展が得られることへの期待を表明しました。  原子力の平和利用問題については、日本にとって再処理が特に重要であるとのわが方見解に大統領の支持が表明され、今度懸案事項の進展が期待されます。  これらの意見交換を通じて、私とレーガン大統領との間で、日米間の友好協力関係が、民主主義、自由、開放経済等両国の共通の政治、経済上の基本理念に立脚したものであることを確認し、かかる同盟関係にある日米両国が互いに連帯して、世界の平和と活力ある国際社会の実現に向け、協力していくことがいま強く求められていることを確認いたしました。  なお、原潜問題については、私から大統領に対し、米側が誠意をもって首脳会談前に中間報告を出したことを評価しつつ、今後できるだけ早く最終報告が行われることを期待すると述べ、大統領は、米側としても徹底的に調査を行う考えである旨を明らかにしました。  私は、今回の訪米を通じて、レーガン大統領との間で親密な信頼関係を築き上げることができたものと確信しております。言うまでもなく、わが国にとって日米関係は外交の基軸であり、大統領と今後とも卒直に話し合うことができることは、日米両国間の関係の発展のみならず、世界の平和と繁栄にとって少なからず重要な意味を持つものと考えております。  トルドー首相との会談では、カナダが来る七月の先進国首脳会議の議長国であることから、オタワ・サミットが話題の中心でありましたが、お互いに会議の成功のために今後とも緊密に協議していくことで意見の一致を見ました。また、日加関係の現状と将来の展望についても卒直に意見の交換を行いました。  私は、今回の米国及びカナダ訪問を通じて、わが国の国際社会の中で果たすべき役割りに対する期待が日増しに強まってきていることを強く感じました。私は総理大臣として、今後とも世界の平和と繁栄に向け、国益を踏まえ、わが国にふさわしい貢献を行ってまいる所存であり、引き続き国民の皆様の御支援を賜りたいと存じます。(拍手)

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) ただいまの報告に対する質疑は後日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。      —————・—————

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。園田厚生大臣。    〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和二十年八月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。  本法律案は、被爆者の福祉の一層の向上を図るため、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものであります。  以下、その内容について御説明申し上げます。  まず第一は、医療特別手当の創設であります。原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者であって、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にあるものに対し、新たに、医療特別手当を支給することとし、その額を月額九万八千円とすることとしております。  この医療特別手当は所得のいかんにかかわりなく支給することとし、また、これらの者に支給する特別手当及び医療手当は、廃止することとしております。  第二は、特別手当の額の引き上げであります。原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者のうち、医療特別手当の支給を受けていないものに支給する特別手当の額を現行の月額三万三千八百円から三万六千円に引き上げることとしております。  第三は、原子爆弾小頭症手当の創設でありますが、原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者に対し、新たに、原子爆弾小頭症手当を所得のいかんにかかわりなく支給することとし、その額を月額三万三千六百円とすることとしております。  なお、原子爆弾小頭症手当につきましては、医療特別手当または特別手当との併給を認めることとしております。  第四は、健康管理手当の額の引き上げであります。健康管理手当につきましては、造血機能障害等特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者であって、医療特別手当、特別手当または原子爆弾小頭症手当の支給を受けていないものに対して支給することとし、その額を現行の月額二万二千五百円から二万四千円に引き上げることとしております。  第五は、保健手当の額の引き上げであります。保健手当につきましては、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者であって、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当または健康管理手当の支給を受けていないものに対して支給することとし、その額を、一定の範囲の身体上の障害がある者並びに配偶者、子及び孫のいない七十歳以上の者であってその者と同居している者がいないものについては、現行の月額一万千三百円から二万四千円に引き上げ、それ以外の者については、現行の月額一万千三百円から一万二千円に引き上げることとしております。  また、これらの改正の実施時期は、昭和五十六年八月一日といたしております。  以上が原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)     —————————————

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。寺田熊雄君。    〔寺田熊雄君登壇、拍手〕

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私は、日本社会党を代表して、原爆被爆者に対する特別措置法の一部改正案に関連するもろもろの重要問題について質問をいたします。  三十六年前の広島、長崎両市に対する原爆投下は、人類の歴史に一時期を画する出来事でありました。私たちは、この事件に関連し、すでに亡き犠牲者を厚く弔うとともに、現存の犠牲者に対してはあとう限り援護の手を差し伸べることは、第二次大戦という無謀きわまる戦争によって国民に償いがたい損害を与えた国家の義務と考えるものであります。  政府は、現在のいわゆる原爆二法によって被爆者の援護は十分であると考えているのかどうか。私は、まずこの点について総理の御所見を承りたいと存じます。  被爆者三十七万の真に求めているものは、本法のごとき中途半端な法律にはあらずして、国家補償の原則に立つ被爆者援護法の制定であります。それは被爆者の一貫せる悲願であります。政府は、これに対し、かかる立法は他の一般戦災者との公平の見地から応諾しがたいとしてまいりました。それならば、一般戦災者に対してもそれなりの補償、応分の援護をしたらどうか。  すでにして、西ドイツは、国土の全域を戦場とした関係上、戦災者の数もわが国に倍するにもかかわらず、一九五〇年以来の諸立法により、生命、身体のみならず、財産上の損害に対してすら救援の手を差し伸べているではありませんか。経済力においてかの国にまされるわが国において、それをなし得ないとする理由は何か、総理の納得し得る説明を求めたいと存じます。  このような本来なすべきことをなさずして、一般戦災者と原爆被爆者間の公平の論理のみをもてあそぶのは本末転倒ではないか。総理はいかにお考えになられるか、御所見をお伺いする次第であります。  次に、総理は、原爆投下という史上初の出来事からいかなる教訓をくみ取っておられるかをお伺いしたいのであります。  総理、あなたは、アメリカに旅して、レーガン大統領との間に持った会談の成果について、先ほど熱のこもった御報告をなさいました。この御報告に対しては、本院においても十五日に詳細なる質問がなされるはずでありますが、国民は、この報告に対しさまざまな疑問を持ち、その疑問の一日も早く氷解することを望んでおります。鉄は熱いうちにこそ打つべきであります。いま総理の報告を承り、その印象の鮮明なるうちに、私はこの国家の運命を決する大事について質問をいたしたいと存じます。  総理、去る五月八日夜のテレビは、全国一斉にあなたの喜色満面の顔を写し出しました。日本人記者団に対し、大統領との間の友情と信頼について語るあなたのお声も、心なしか上ずっているように思われました。あなたは、この会議が成功であったことを信じて疑われないのでありましょう。  私は、あなたの就任以来の言動を注意深く観察した結果、あなたが誠心誠意、国政に取り組んでおられること、あなたが謙虚さと誠実さという政治家としての基本的資質を持っておられることを認めるのにやぶさかではありません。しかし、総理、この会談に対する評価は、野党のみならず、一般の言論機関においてもすこぶる厳しいものがあるのであります。  日米首脳会談に関する私の質問の第一は、あなたが過般の予算委員会において、レーガン大統領に対しては、「できることとできないことをはっきり言う」「言うべきことは言う」と、私たちになさった約束を忠実に守られたかどうかであります。あなたは大統領に対してノーと言われたことがありましたか。もしあったとすれば、それは何についてであったか、それをまずお伺いしたいのであります。  そうではなく、会談では、あなたの言われる友情と信頼を確かめ合うもっぱら社交的、儀礼的な話し合いがあったにとどまり、対ソ認識や防衛力増強のごとき議論を呼ぶべき実質的な話し合いが全くなかったのか。そうとすれば、共同声明の内容は舞台裏の事務レベルの交渉で決定されたと断ぜざるを得ません。本日の新聞報道によれば、共同声明には総理の意向が十分に反映せられていないとされておりますが、これは事実かどうかを第二にお伺いいたします。明快に御答弁を願います。  私たちは、よきにつけあしきにつけ、会談の成果をまずもって共同声明に求めるほかはないのであります。いまその共同声明を見ますと、その最初にうたわれているものは、日米の「同盟関係」「アライアンス」なる言葉であります。  昭和二十九年、当時の吉田首相とアイゼンハワー大統領との会談後の共同声明以来、日米間には数多くの共同声明がなされておりますが、右のごとき表現は今回が初めてであります。それは明治年間における日英同盟条約においてのみ見出し得るものでありますが、この条約は、一定の場合、双方が他方を助けて戦闘に参加することを義務づけた双務的軍事条項を含むものでありました。今回の共同声明において、総理があえてこの言葉を選択なさったのは、いかなる理由に基づくものであるのか。それは対米軍事協力を一歩進めるものではないのか。この疑問に対して明快な答弁を期待する者は決して私だけではないと存じます。  次の質問は、共同声明第二項に関するものでありますが、御承知のように、レーガン大統領は、就任以来、みずからの対ソ憎悪感を隠そうとはいたしませんでした。ところが、この第二項は、日米両国にとっては、アフガニスタン軍事介入はもとより、軍事力増強も、第三世界への影響力増加も、およそソ連の動きはすべて憂慮の種であるとするものでありまして、ソ連を悪者とする大統領の対ソ観によって貫かれているのであります。総理は、これによってアメリカの対ソ認識のとりことなり、これを仮想敵国視せざるを得ないのではないか。従来、政府のとりきたった全方位外交を放棄するものではないのか。はっきりとお答えを願いたいのであります。  第四に、共同声明第四項は、中近東、なかんずくペルシャ湾岸における米国の確固たる努力がこの地域の平和と安定に貢献し、日本を初め多くの国々を裨益していると宣言しておるのでありますが、現実には、それは第七艦隊を中心とする世界最強の軍事力による示威行動なのであります。それはカータードクトリンによって象徴せられるごとく、まさかの場合には武力の行使をも辞さないという決意に基づくものであるだけに、大国間の戦争に発展するおそれなしとしないのでありますが、総理は、かかるアメリカの武力行使を是認せんとするものでありますか。また、かかる大国間の武力衝突が日本を含む同盟国へも波及するおそれがあることは、ロング米太平洋軍司令官もこれを認めております。この点について総理はどのようにお考えになりますか、お伺いをする次第であります。  第五に、共同声明第五項は、アフリカ及び中米の一部地域において、平和と安定に影響を及ぼす事態が存在することについて懸念を表明した旨をうたっておりますが、私たちの考えでは、ナミビアをめぐる南アフリカ共和国の違法きわまる行動、中米エルサルバドル政府軍に対するアメリカの異常なる軍事援助こそが両地域の平和と安定に対する脅威と見るのであります。かかる議論がなされたのかどうか。一体、この項に言う日米一致の懸念とは何を指すのか、その内容を御説明願いたいと存じます。  次に、共同声明第七項は、西側全体の安全を確保するため、先進民主主義国が世界の政治、軍事及び経済上の諸問題につき共通の認識を持つべきことの必要性を強調しておりますが、そのうち、軍事上の諸問題に関する共通認識とは何を指すのかを承りたいと存じます。  また、この項の後段は、すべての西側先進国が平和に対する国際的挑戦に対応するため、防衛その他の面で一層の努力を払う必要があることを認め合った旨を明らかにしております。そうといたしますと、わが国は当然従来以上の防衛上の負担を余儀なくされざるを得ないと考えますが、いかがでしょうか。お答えを願いたいと存じます。  次に、共同声明第八項は、わが国の防衛のみならず、極東の平和と安定を確保するため、日米間の適切な役割り分担が望ましいことを認めた旨をうたっております。  日本防衛のための役割り分担は、いわゆるガイドラインにもうたわれておりますが、極東の平和と安定確保のための役割り分担とはいかなるものか。それは、たとえば韓国やベトナムに関連して新たな防衛上の任務をわが国に押しつけられるおそれはないか。ことに、日本周辺の海空域における防衛力改善なるものは、総理のワシントン・ナショナル・プレスクラブでの説明をあわせ考えますと、とうていGNP一%以内という従来の防衛費の制約内にはおさまらないのではないかと考えられます。それはまた、優に防衛力整備大綱の水準を突破するのではないか。何よりも日米安保条約を双務的な集団安全保障制度に変質させるものではないかなど、さまざまな疑問を生ぜしめるものであります。  これらの一つ一つについて、総理のこれに対する明確な御答弁を求める次第であります。  次に、共同声明第九項は、わが国の開発途上国に対するODAや難民援助費の増大を約束したものかどうかについて、お答えを願いたいと存じます。  次に、先般のアメリカ原潜ジョージ・ワシントン号と日昇丸の衝突事件に対するアメリカ側の当初の対応は、日本及び日本人に対する侮べつ感のあらわれとも目すべきものでありました。総理は、昭和二十九年、ビキニ事件の折の日米共同声明と同様、この問題に関するアメリカ側の陳謝を共同声明にうたわせるべきでありました。それはともあれ、総理は、この事件に関するアメリカ側の中間報告に満足しておられますか。また、この事件を金大中事件の政治決着のごとくうやむやに終わらしめないこと。国民の納得のいく解決をすることをお約束になれますか、お伺いをいたします。  次に、この会談は、全体として、今後のわが国の財政に大きな負担を負わしめるものではないかと考えますが、これに対する総理の所見と、その持てる対応策についてお伺いをいたします。  最後に、私は、広島の原爆碑に刻まれた「過ちは繰り返しません」という、こよなき教訓を忘れず、日本を再び悲惨きわまる核爆弾の犠牲たらしめないよう、この方面にこそ他の一切の努力に立ちまさる努力をしていただきたいと考えるものであります。  松本清張氏は、好著「史観・宰相論」において、かつての近衛文麿総理大臣を「徒らに陸軍にふりまわされた史上最低の宰相の一人であった。日本の破滅は近衛によってはじめられ、東条英機によって行なわれた」と述べております。あなたが東条の役を引き受けないであろうことは信じますが、近衛が軍部に引きずられたごとく、あなたがアメリカに引きずられ、第二の近衛となることのないよう強く求めるものでありますが、これに対する御決意のほどをお伺いする次第であります。  なお、西欧の社会フランスに今回新しい社会党の大統領が生まれました。その意味するものと、今後の世界政治に与える影響について総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  まず、いわゆる原爆二法によって被爆者援護は十分であると考えているかとの御質問でありました。  原爆被爆者の方々についての対策といたしましては、政府は、従来から、原爆医療法及び原爆特別措置法のいわゆる原爆二法によりまして積極的に所要の措置を講じてまいったところであります。また、先ほどの趣旨説明にございましたように、原爆特別措置法につきましては、今回さらに一段とその充実を図るための改正をお願いしているところでありまして、被爆者援護の一層の充実のため、御賛同を賜りたいと存じます。  わが国は、さきの大戦で国民のすべてが何らかの意味で犠牲をこうむっております。その中で、原爆被爆者の方々の犠牲がきわめて特殊性の強いものでありますことは申すまでもありませんが、国の施策として被爆者に対し弔慰金、遺族年金を支給するという被爆者援護法の考え方は、やはり一般戦災者との均衡上とることが困難であると考えます。  西ドイツの場合には、一般戦災者まで援護措置が講じられているのではないかとの御指摘でありましたが、私は、国民の一人一人がさきの大戦で受けた痛みと苦しみを乗り越え、今日の平和と安定を築き上げてきたわが国におきまして、いま改めて戦後処理問題を見直すことは、かえって新たな不公平感を生み出すことになるのではないかと思います。  人類史上初の原爆被爆というわが国の不幸な経験から、どのような歴史的教訓をくみ取っているかとのお尋ねがございました。  私は、世界のいずこにおきましても、あのような惨禍が二度と繰り返されてはならないと考えており、わが国は唯一の被爆国としての体験を生かして、世界の平和と繁栄のために積極的に貢献していかなければならないと考えております。  次に、先般の私の訪米についてお尋ねがございました。  私は、レーガン大統領との会談において、現下の国際情勢に対する基本認識、世界の平和と繁栄を目指した両国の協力姿勢につき、率直かつ真剣に話し合ってまいりました。会談において私と大統領は、現下の厳しい国際情勢のもとにおいて、日米両国を含む西側先進民主主義諸国は世界の政治、軍事及び経済上の諸問題に対して互いに緊密に連絡をとりつつ、国力、国情に応じ協力しながら、西側全体の安全を総合的に図り、それを通じて世界の平和と繁栄を確保していくことにつき意見の一致を見ました。  なお、共同声明に盛られた日米の同盟関係ということについてお尋ねがございました。  日米関係は、民主主義、自由という両国が共有する価値の上に築かれております。同盟関係とはこのような関係を一般的に指したものでありまして、これをもって日米軍事協力の一歩前進といった言い方は全く当を得たものではございません。  なお、御質問の詳細につきましては、後日改めて個別にお答えする機会が設けられているようでありますから、そのときに譲りたいと思います。  次に、フランスの大統領選挙についてであります。  今回のミッテラン候補の選出は、第五共和制成立以来初めての革新政権の誕生ということで私も注目しておりますが、ミッテラン氏は、選挙戦においても、フランスは西側陣営にとどまる旨示唆されていることは御承知のとおりであります。六月に予定されているヨーロッパ訪問の際は、私は、先方の都合がつけばフランスも訪問し、ミッテラン新大統領と直接会談する機会を得たいと考えております。  いずれにいたしましても、私は、今後とも日仏間の伝統的友好親善関係が促進され、政治、経済、文化等のあらゆる分野において協力関係がさらに緊密化されることを期待いたしております。  以上、御質問にお答えいたしましたが、残余の件については所管大臣からお答えさせます。(拍手)

徳永正利各派に属しない議員議長

○議長(徳永正利君) 暫時休憩いたします。    午前十一時十四分休憩    〔休憩後開議に至らなかった〕      —————・—————

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