法務委員会 第10号
- 発言数
- 320 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/06/02
会議録
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月二十九日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。 また、昨一日、大石武一君及び真鍋賢二君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君及び野呂田芳成君が選任されました。 また、本日、野呂田芳成君が委員を辞任され、その補欠として衛藤征士郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を、便宜一括して議題といたします。 前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 昭和四十八年の衆議院法務委員会の附帯決議の中に、大小会社の区分という項目があります。これはその後もかなりの論議がございまして、この法務委員会においてもやはりこの問題については大きな関心を持っておるわけであります。将来の立法論でありますけれども、この大小会社の区分については、これは法制審議会その他の関係がありますので最終的な決定は後日になりますが、ただいまのところでは、事務当局としては大小会社の区分というのはどの程度のことを考えておられるのか。 たとえば、その中に有限会社なども含めて考えておられるのか、また、株式会社を大規模な会社、比較的小さな規模の会社とお分けになった場合に、その小さな規模の会社でさえもなおかつ有限会社の規模にまさる、有限会社の規模よりも大きなものを考えておられるのか、また、その資本金額についてはどういうふうに考えておられるのかなと、いろいろ疑問があるわけであります。私どもにしましてもある程度の考えを持っておりますが、一応ただいまのところの事務当局の御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 私どもは株式会社ということで考えます場合には、やはり広く一般大衆から資本を集めるという株式会社本来の姿というものを頭に描くわけでありまして、そういうことになりますと、おのずから相当規模の大きいものということになるのではないかということを考えるわけでございます。したがって、そういうものにつきましては、それ相当の規制と申しましょうか、監査の問題にいたしましても、計算関係にいたしましても、それ相当の規制をしなければならないというふうに考えるわけでありますけれども、一方、現実を見てみますと、株式会社でありながら有限会社よりも規模の小さいもの、有限会社よりももっと閉鎖的なものというようなものもあるわけでありまして、こういうものをどういうふうに考えたらいいのかということが、問題点として浮かび上がってくるわけであります。 そういった問題点というものを取り上げて、今後法制審議会で検討していただくということになろうと思うわけでありますけれども、昭和五十年に問題点を一応取り上げました場合にも、有限会所法と小規模株式会社法との関係はどうあるべきかとか、あるいは有限会社法というものは小規模株式会社法の中に取り込むべきであるとか、いろんな御意見がありましたので、そういう問題を整理して、今後検討審議していただくことになるであろうと考えております。
○寺田熊雄君 この大小会社の区分については、もうすでに日本税理士会の方から私の方に文書による反対意見の表明があったわけであります。また、これは事実かどうかは知りませんが、税理士会の反対が非常に政治的に力が強いために、法務省事務当局におかれてこの問題についてはかなり消極的になっておる、ことに資本金額で大小会社の区分をするという点については、一層税理士会が強硬な反対を持っているために、このことを論議するのはタブーであるというような考えを持っているというようなことがうわさとしてわれわれの耳に入っておるわけであります。しかし、私どもとしましては、大小会社の区分をする上で資本金額を基準とするということは、一つのやはり有力な手段であることには間違いないと思います。 したがって、それが正しい方針であるとするならば、どこの会が反対しようと、そんなことにかかわって正しいことを主張するという態度を揺るがすべきでないと私は考えておるんですね。果たしてこの資本金額を云為することが鬼門であるというような考えをお持ちなのかどうか。もしそれが事実だとすると、私はそうであってはならない、やはり勇気を持って法務省当局は正しいことは主張していただかなきゃいけないと考えております。その点、率直に本音のところをお伺いしたい。
○政府委員(中島一郎君) 大小会社の区分を考えます場合に、資本金額というものがその唯一とは申しませんけれども、非常に重要なメルクマールになるということはただいま御指摘のとおりでありまして、私どもも全く同じに考えております。 ただ、現実の問題として考えますと、最低資本金制度というものをとりましてどこかに最低資本金の額というものを引きますと、それによって現実に株式会社であるものが株式会社から追い出されるという問題が起こってまいりますために、これにはよほど慎重な検討を加え、そして、時間をかけて国民のコンセンサスを得るということが必要であろうというふうに考えておるわけでありまして、検討は慎重にいたさなければなりませんけれども、だからといって、問題が大きいからそれを避けて通るということは全く考えておらないわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの民事局長のお答えになったことは、私どもとしましては大変結構なことだと思っております。これはやはり法務大臣のお気持ちも大事なんですね。法務大臣が事務当局をよくバックアップなさって、正しい主張であれば、一つの職能団体などが強烈な反対をして法務大臣の御所属になっておられる政党の方々に働きかけるようなことがありましても、大臣としてはやはり事務当局をしっかりとバックアップしてくださることが大事だと思うんです。その点、ちょっと大臣のお気持ちを伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大小会社の区分の問題は、四十九年の国会の委員会の附帯決議でも検討課題としてちょうだいしているわけでございます。法制審議会でも抜本改正の一つの項目として理解しておられるようでございますので、この後引き続いて調査していただきます場合には、これが一つの検討課題に取り上げていただけると、こう考えております。
○寺田熊雄君 それじゃ、ディスクロージャーの問題でありますが、これは証券取引法に、有価証券報告書の大蔵大臣に対する提出を義務づけた規定がありまして、かなりこれは上場会社については大きな効用を発揮しておると思います。非上場の会社につきましても今回、商法改正で営業報告書の記載内容を整備していく。そのほか取締役会議事録は、これは裁判所の許可を得て必ず見ることができるようになった。そのほか、財務書類の公告の規定も現在よりは一歩進んだことになっておると思うのでありますが、ただ、商業登記所への計算書類の届け出については今回は見送られました。これ以外に、ディスクロージャーの問題で事務当局としては他の方策についてはお考えがあるのか、それとも具体的な方策としてはいまのところはまだないと言われるのか。その点いかがでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 試案におきましては、取締役は計算書類を商業登記所に提出しなければならないというようなことも掲げたわけでございましたけれども、登記所の受け入れ体制が整うまでというようなこともありまして、公告をして、そしてその旨を登記所に届け出るというようなことも検討したこともあったわけでございます。そうなりますと、公告というようなことになりますと、現在商法の百六十六条の三項で、「官法又ハ時事ニ関スル事項ヲ掲載スル日刊新聞紙ニ掲ゲ」るというようなことになるわけでありますけれども、そのスペースというようなものもあり、経費というようなものもありますので、何かそういう面でふさわしい方法というものはないかということを私ども考えておるわけでございます。 その一つといたしまして、たとえばこのための特別の広報紙というようなものはいかがであろうか。これは最近、裁判所で競売物件の公告をいたします場合に官報、新聞、その他ではなくて、競売ニュースというのでしょうか、競売物件だけを専門に掲載をするそういう刊行紙があるというふうに聞いておりますけれども、それと同じように、会社の公告を専門に扱う刊行物というものを考えて、そしてそれに掲げるというようなことはいかがであろうかというようなことも検討をしているわけであります。 いずれにいたしましても、有限責任会社のこの計算書類の公告というものは、これは有限責任会社の性格の基本につながる重要な問題でありますので、いろいろ難点はありますけれども、何かの方法を考えていい方法を取り入れていきたいと、こういう方向で検討しているわけでございます。
○寺田熊雄君 次は、新株引受権付社債についてお尋ねをいたしますが、これは経済界、とりわけ日本証券業協会の要望に基づきまして、急遽改正要綱に含まれた制度であります。経済活動が国際的に広がってまいりまして、外国に対する債権を会社が持つ、輸出代金が非常に商社の場合などはふくらんでくる。しかし、これは為替の変動で大変その実質的な価値が落ちてくる、そういう損失に対するヘッジとしての機能を果たさしめるためにこういう新しい制度を必要とすると、一つの方法としてとられたというふうに聞いておるのでありますが、こういう制度を採用するに至った経緯、その必要性などについて、まずお伺いしたいと思います。
○説明員(元木伸君) 新株引受権付社債につきましては、先生が御指摘のように、かねてから実務界から非常に要望の強かったところでございます。 まず、なぜこういう社債を発行する要請があったかという理由でございますけれども、これは言うまでもなく、まず第一は、資金調達の多様化ということがございます。つまり、現在でも資金の調達には新株を発行して払い込みを受けるということもございますし、社債を発行するということもあるわけでございますけれども、その社債の中に通常の社債と転換社債というものがございます。通常の社債は、もちろん発行してから弁済されるまでずっと会社にとっては債務としての性格を持つということでございます。それに対しまして転換社債の方は、発行いたしますときは社債でございますけれども、そのうちに、社債権者が転換を請求いたしましたときは、これが株式となって債務から資本に転化するということになるわけでございます。 この転換社債でございますけれども、転換社債の場合は、転換権を行使されるまではつまり債務でありますけれども、転換権を行使されますと債務が消滅して株式になってしまう、つまり資本に転化するということになるわけでございます。ところが、社債権者の中には社債も持っていたい、そうして新たに株式も持っていたいという人もいるわけでございまして、そういう人たちの要望を満たすために新株引受権付社債、つまり新株引受権の行使をした後も社債は残る、しかも新株が手元に入ってくるというような社債を発行することができれば、資金調達には非常に便利であるという要望があったわけでございます。 それともう一つは、先ほども先生御指摘になりました為替リスクのヘッジでございまして、外貨建ての債権を持つ場合には、為替の変動によって回収するときに実際に入ってくる金額が少なくなってしまうというようなことがございまして、非常にある面から言えば危険であるということがございます。その危険を回避するためには、たとえばある会社がアメリカならアメリカに対しまして外貨建ての債権を、ドル建ての債権を持っているという場合には、逆にドル建ての債務を負担していれば、この為替相場がいかに変動いたしましても、究極的にはプラス・マイナス・ゼロになるということになるわけでございます。 ところが、現在、海外の金利相場というのは非常に高うございます。たとえばアメリカの場合、プライムレートが二〇%ぐらいしているということでございまして、二〇%もの利息のつく借金をするということではこれは金利コストが高くついてしまいまして、必ずしも為替リスクのヘッジにならないという問題があるわけでございます。 そこで、いかにして借金を安くするかという問題でございますけれども、これは現在の転換社債でも、転換という将来のうまみがございますので、比較的安い金利で発行することができるわけでございます。しかし、先ほども申しましたように、転換いたしてしまいますと、従来の社債はなくなりまして株式になってしまうということでございます。つまりそうすると、会社が背負っていた借金がなくなるわけでございまして、これではそのときから為替リスクのヘッジの対象がなくなってしまうということになるわけでございます。そこで、ずっと借金を残しておきながら、しかも社債権者にはうまみがあって安い金利で発行できるものはないかということになりますと、この新株引受権付社債というものがあるわけでございます。 この新株引受権付社債でございますと、つまり将来新株の引受権を行使することによって、あるいは将来の時価よりは安く株式が購入できるかもしれないという妙味がございますので、社債の金利を安くしても人が買ってくれるという利点がございます。したがいまして、たとえばこれを外国で発行するということになりますと、比較的金利が安くて借金ができるという結果になるわけでございます。したがって、そういう為替リスクのヘッジという点からは、この新株引受権付社債がよろしいであろうというわけでございます。 この新株引受権付社債というのは、何もただいま私が申し上げましたような目的を達するためには、新株を社債権者に与えるだけではございませんで、すでに発行された株式を一定の価格で社債権者に与えるということでも目的が達せられるわけでございます。つまり、株式買い取り権付社債というものでもこれも目的が達せられるわけでございまして、実は実務界、特に証券界から最初要望がありましたのは、新株買い取り権村社債を発行してはいかがかという要望があったわけでございます。 これに対しましては、法制審議会の商法部会でいろいろ議論いたしました結果、株式買い取り権村社債を発行するためには、会社が自己株式を常に取得していて、その社債権者の買い取り請求権に応じなければいけないという問題がございます。しかし、今回の改正におきましては、自己株式の取得については必ずしも緩和しないというすでに基本方針ができておりました。したがって、株式買い取り権付社債については、これを認めるのは今回は問題があるのではないか。少なくともそういう実務界の要望に対応するためには、新株引受権付社債というものでよろしいのではないかということでございます。 それで、実は、この要望はかなり以前からあったわけでございますけれども、果たして新株引受権付社債をどのようなものにしていくかということについての業界の具体的な意思決定といいますか、意思表明というようなものはまだ必ずしも十分でなかったために、審議の過程で出しました法務省民事局参事官室からの試案の中にはこれは含まれておりませんでした。しかし、商法部会での意向といたしましては、実務界でかなり具体的な意思が固まってきて、それが立法化できる程度のものができるならば、今回の改正には加えようではないかというコンセンサスはできていたわけでございます。 ところが、たまたま昨年の春でございましたけれども、これは証券業協会でございますが、証券業協会と申しましても必ずしも実務家だけではございませんで、学者を中心にした委員会ができまして、そこでかなり具体的な案をつくりまして、そうして法制審議会に対してこのような立法をしてほしいという要望があったわけでございます。そこで、法制審議会の商法部会で審議いたしました結果、これならば十分に実務的にもだえ得るものであるということで、若干の修正はございましたけれども、基本的な証券取引研究会の意向に基づきまして今回の法律案を作成したという状況でございます。
○寺田熊雄君 いまの御説明で、転換社債との相違であるとか、それから株式買い取り権村社債との差異であるとか、それも明らかになったわけでありますが、これには新株引受権と社債とが分離したものと、両者が一体となって移転せられる性質のものと、二つの種類があるというふうに承っておりますが、これは条文を見てもそうなっておりますね。この二つの種類の差異というのは、端的に御説明なさるとどういうことになりますか。
○説明員(元木伸君) まず、分離型でございますけれども、これは新株引受権を表章する有価証券と、それから社債権を表章する有価証券、これが物理的に別々の有価証券になっているというものでございます。これに対しまして非分離型と申しますのは、新株引受権を表章する証券と社債を表章する証券とが同一の証券面に表章されているということになるわけでございます。 したがいまして、実際の取引におきましては、分離型を取得した社債権者といたしましては、これを別々に転々譲渡さしても構わないわけでございます。これに対しまして非分離型の場合は、これは常に一諸に譲渡されるということになるわけでございます。
○寺田熊雄君 そして、引受権者がいつその権利を行使するのかと、その権利行使の期間ですね。これは発行した会社としても非常に利害関係を持つわけですが、この期間について御説明をいただきたい。
○説明員(元木伸君) この新株引受権の行使期間につきましては、別に法律上の制限はないわけでございまして、これは適宜取締役会で決定するということができるわけでございます。もちろん、しかし、どの程度の行使期間を設けるかということは、そのときの経済状況とか、もろもろの状況を勘案した上で、取締役会が決定することになろうかと存じます。 ただ、実際にはどのくらいの行使期間を設けているかということでございますけれども、これはもちろん社債の償還期限との相関関係もございますけれども、御承知のように、現在、大体社債の償還期間というのは十年程度のところに集約されているようでございますけれども、そういうことを前提にして考えてみますと、たとえばアメリカでございますが、買い取り権の行使期間として一般に出されておりますのは、三年、十年、十年、七年、五年あるいは七年ということで、これはあるいはアメリカの特殊的な事情かもしれませんけれども、ざっと見たところでは五年というのが一番多いようでございます。
○寺田熊雄君 五年の期間内いつでも引受権を行使できるということになりますと、実際問題としては、会社にとってそれほど資金が必要でないときに払い込みによる資金が会社に入ってくる、それだけ資本がふえていくという結果になりますね。実際上そうなるでしょう。
○説明員(元木伸君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 先ほどこれは為替変動によって生ずるリスクに対するヘッジとしての機能を果たし得るという御説明がありましたけれども、そういたしますと、これは主として外債を対象とする、内国債は余り考えてないというふうに理解してよろしいでしょうか。
○説明員(元木伸君) これは、実際に改正法律案が施行されると、その後の状況というのは、もろもろの経済状況がございますので、なかなか予知はできないのでございますけれども、かなり大きな理由といたしまして、新株引受権付社債制度を採用するということの目的は、やはり為替リスクのヘッジということがございます。
○寺田熊雄君 そして、この新株の発行価額をどの程度にするかということが一つの大きな問題になりますが、これは制度面においてどうなっているか、また、現実にはどうあるであろうかというような問題について、御説明をお願いします。
○説明員(元木伸君) まず、制度面でございますけれども、制度面では、新株の発行価額については原則として制限がなく取締役会が決められるというわけでございます。ただ、この発行価額が非常に引き受けた人にとって有利な場合には、たとえば現在株式の時価が五百円しているというときに、引受権の価額を三百円ぐらいにしてしまうというような発行価額にした場合でございますと、これは従来の株主に非常に不利になるという結果がございますので、そういう場合には株主総会の特別決議を必要とするということにいたしております。したがいまして、原則として発行価額については無制限でございますけれども、新株引受権付社債が株主に割り当てられるというときには、取締役会としてはどのような価額を決めても一向構わないということでございますが、株主以外に割り当てるというときには、株主総会の特別決議が要るということになるわけでございます。 それから、実際問題でございますけれども、実際問題といたしましては、先ほども申しましたように、この新株引受権を、要するに新株引受権付社債を取得した社債権者に利益を与えると申しますか、つまり将来の妙味を与えるということでその金利を安くするということでございますから、どのくらいの発行価額にしたならばみんなが買ってくれるかというところに非常に重点があるわけでございます。それで、したがいまして、これは今後の経済状況からどのくらいの発行価額にするかということが出てくるわけでございまして、いまのところ予測がつかないのでございますけれども、例を転換社債にとりました場合には、大体時価の一割増しぐらいで発行価額を決めているようでございます。 これは御承知のように、現在日本の株価というのは着実に上昇しているというのが事実でございます。ことに、先ほど来申しましたように、新株引受権の行使期間を五年から十年ぐらいの間にセットするということになりますと、五年あるいは十年先ということになると、まず株式は上がっているのではないかということでございます。したがいまして、時価の一割増しぐらいの値段のところで発行価額を決めましても、将来はそれ以上上がるであろうということで需要が多くなるということでございます。
○寺田熊雄君 その新株の発行価額を決める時期はいつです。新株の発行価額を決める時期。
○説明員(元木伸君) 新株引受権付社債の発行決議においてでございます。
○寺田熊雄君 発行決議のときですか。 それから、その新株引受権を社債権者に付与する割合は。
○説明員(元木伸君) これも取締役会の決議によってどの程度の、社債のたとえば一単位なら一単位につきまして何株の引受権を与えるかということは、発行決議で決まるわけでございます。 今回の改正法律案におきまして、与えられるべき新株引受権の限度でございますけれども、それは改正法律案の三百四十一条ノ八の三項で、「各新株引受権附社債ニ附スル新株ノ引受権ノ行使ニ因リテ発行スベキ株式ノ発行価額ノ合計額ハ各新株引受権附社債ノ金額ヲ超ユルコトヲ得ズ」ということになっております。つまり、与える株式の発行価額の総額が社債の金額を超えてはならないという限度だけでございまして、それの範囲内ならば幾ら与えてもよろしいということになるわけでございます。 ただ、これも先ほど来申しておりますように、その場合の、会社がどの程度の金利で社債を発行いたしたいかということと、そのときの経済情勢というようなことから、発行すべき株式の発行価額あるいは発行株式数というものが決まってくるわけでございまして、つまり発行すべき株式の数をたくさんにすれば、それだけ社債権者としてはうまみが大きいということになるわけでございます。したがって、社債の利率を下げることができるということになるわけでございます。それに対しまして、それほど社債の利率を下げなくてもよろしいという場合には、与える株式の数を少なくするというようなことも考えられるわけでございまして、このところも取締役会の判断に任されるということでございます。
○寺田熊雄君 改正案の三百四十一条ノ十五を見ますと、新株引受権付社債は登記を必要とするということになっておるようですね。私どもは民事法規、商事法規の改正に際しましては、その制度が、たとえば裁判官の職務を著しく増大せしめないかとか、あるいは登記所の職員の職務を増大さして、その負担を増しはしないかというようなことを常に考えるわけであります。 この制度の実施によって、法務局職員の事務量、負担というものがふえることはないのかどうか、ふえるとすると、それに対する必要な措置というのはどういうことか、こういう問題についてお答えをいただきたい。
○説明員(稲葉威雄君) 確かに、この制度を導入することによりまして登記事件がふえるわけでございますから、その分だけ登記所の負担がふえるということは事実でございますけれども、先ほど来議論が出ておりますような制度でございますので、必ずしも小さな会社が利用するということではなくて、かなりの程度の大きな会社が、しかも外債を出すというような形で利用するのが多いのではないかというふうにさしあたりは考えております。 したがいまして、さしあたりそれほど事務量として登記所の負担が急激に増加するということはないのではないかというように考えておりますが、なおこれは事件として今後どういう発行の形態がとられるかということと関連するわけでございますので、その事件の動向を見ました上で処置を考えたい、かように考えております。
○寺田熊雄君 これは、現在でも法務局職員の事務量というのは非常に過重になっております。われわれはいつも職員組合からこの点の陳情を受けている。したがって、これは一定の制度をいじる場合には、必ずそれが職員にどういう影響をもたらすか、負担を増しはしないか、増した場合にはどういう対応をとるかということを考えていただきたいと思うんです。これはいま参事官の話では、実施をよく見て所要の措置をとりたいということでありますので、一応きょうはそういうふうに伺っておきますが、法務大臣、これは常にそういう点に留意してお考えいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) ごもっともなことでございますので、十分に将来とも配意していきたいと思います。
○寺田熊雄君 株式の問題に移りますが、今回、発行時における、新しく発行する場合、株式の一株の額面金額を五万円を下らないものとしたこと、それから単位株制度をしいたこと、これは上場会社に対してはみなし規定によって事実上義務づけられたわけでありますが、この制度が零細な株主の権利を圧迫するものであるというような議論が、この商法改正案についてかなり強く主張せられておるわけでありますが、これが事実かどうか、この点について御説明を伺いたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) まず、株式単位の引き上げの問題でありますけれども、現在におきましても証券取引の実際は、原則として額面金額の合計が五万円に当たるようなそういう数の株式を単位として行われておるわけでありまして、そのことと、それから今回株式単位の切り上げをいたしますけれども、それとともに端株制度という制度をつくりまして、そして端株主の地位を保護したというようなことから考えまして、最小の犠牲で株式制度の合理化を実現することができるというふうに考えておるわけでございます。 単位株制度につきましては、確かに現に議決権などの共益権を有しております株主に対して、この単位株制度によって議決権等の共益権を制限することになるわけでありますから、不利益を与えるのではないかと言われれば、理論的には確かにそういう一面があるということは否定できないかというふうに考えますけれども、私どもといたしましては、単位未満株の持ち株の全株式数に占めております割合でありますとか、あるいはそういう単位未満株のみを所有しております株主の実態、意識というようなものから考えまして、これまた、犠牲は微々たるものというふうに考えていいのじゃないか。一方において、単位未満株につきましては、会社に対する買い取り請求という制度を設けておりますので、あれこれ比較考量いたしますと、これまた、最小の犠牲で株式制度の合理化を実現することができる制度であろうというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの局長の前半の説明がちょっと理解しがたいものがあったんだけれども、いまのはどういうことですか。前半の説明で、一株の金額を、いま発行する場合に、五万円を下らないものとするということと現実とがマッチしているというような御説明だったように思うけれども、そうじゃないでしょう、いまは。
○政府委員(中島一郎君) 現在は五十円株というものがございまして、時価が平均三百円とか四百円とかということになっておりますから、三百円なり四百円なりという一株を取得するということもこれは不可能ではないと言えば不可能ではございません。しかし、実際問題といたしましては、そういうものを千株まとめて額面五万円ということで、時価といたしましては三百五十円として千株で三十五万円となりましょうか、そういうことでなければ、原則的には証券取引の場において株式を取得をすることはできないという現実がございます。でありますから、可能性の問題として言うならば、それは一株あるいは十株あるいは五十株というような株式も取得できるわけでありますけれども、そういう株式を取得して、そして株主としての権利を行使するという人は、これは通常の事態としては考えなくてもいいのじゃないかということであります。 そうだとすれば、一株を五万円に切り上げるということによっても、不利益を与える部分というものは非常に微々たるものではないかと、こういうことを申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 つまり、現実に一株五十円の株券が、時価は三百円、四百円、はなはだしいものは三千円もしておる、あるいは五千円もしておる。それを実際証券会社で手に入れるときは、一定の単位、それが千株のときもあるでしょうし、値がさ株のときは百株のときもあるでしょうが、そういうある程度まとめて買わなければ買い得ないんだから、それは常に五万円ところではない、何十万円という出費を必要とするんだから、したがって、現実には発行時の株式の価格を五万円にしても余り影響はないと、こういう議論ですか。そういうふうに聞いていいんですか。
○政府委員(中島一郎君) そういう株式取引の実態があり、かつ、現在の金銭的な感覚ということから申しましたならば、何百円という金額は、これは会社の財産の持ち分である株式の所有の単位としては余りに小さくて、そういうものをもって、本来自分は現在の現行法のもとであるならば、三百円なり四百円なりで一株の株主になれたのだという利益を今回の改正法で制限することになるわけでありますけれども、それは何と申しましょうか、がまんしてもらえる不利益ではないかということを申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 俗に言う公害をまき散らす会社に対して、被害者が一株株主となって株主総会に乗り込むとか、あるいは総会屋が子分に一株一株の株を分けて株主総会で大変元気のいい行動をとるとか、そういうこと以外には、まあ普通の場合には千株単位とか、値がさ株の場合には百株単位とか、そういうものでないと入手できない、しかもそういう人々は株主総会に出て株主としての権利を行使するというよりは、現実にはそれを抱いておって、そうして値が上がったときにそれを売って、俗に言うキャピタルゲインを得るということが目的だ、そういういろんなことを考えて、影響はさしてないというふうにいまあなたがおっしゃったと、そういう理解をしてよろしいですか。
○政府委員(中島一郎君) 大体そういうことでございますが、一株運動というものを決して否定するとか制限をするとかということではございません。一株主ということで権利を行使する場合には、新しい改正法のもとにおきましては、五万円単位の一株主として行動をするという程度が、現在の経済状態にむしろふさわしいのではないかというような趣旨を含めて申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 これは、取締役あるいは大株主が会社の支配権を握って、定款をもって一株の金額を著しく高額にするように改正して、零細株主を端株主に転落させる、そして議決権を奪ってしまうというようなことも考えられますね。これはどうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 現行法でも理論的には可能でありますけれども、確かにおっしゃるような事態も可能性としては考えられるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは何らか、現行法なり今度の改正法でこれを違法としてやっつける、株主が何かそれに抵抗させるような手段はないだろうか。これはいかがです。
○政府委員(中島一郎君) 非常にはなはだしい場合、併合して一株の金額を著しく高額にするというような場合、その程度にもよろうと思いますけれども、違法の問題を生ずるというふうに考えます。特に、ただいまおっしゃいましたように、少数株主を追い出すためというような目的でやる、あるいは結果としてそういう不当な結果を生じだというような場合には、権利の乱用ということになりますので、現在の二百五十二条、決議無効の確認の訴えというものが許されると考えております。
○寺田熊雄君 これは、改正法の二百四十七条第一項三号に該当すると理解していいでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 二百四十七条の一項三号は「決議ニ付特別ノ利害関係ヲ有スル株主ガ議決権ヲ行使シタルコトニ因リテ著シク不当ナル決議ガ為サレタルトキ」ということになっておりまして、私どももこれでいけると申しましょうか、これにも当たるというようなことを考えたこともございますし、現にそういう意見の者もないわけではございませんけれども、現在のところは若干問題があるというようなことを考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは将来判例の推移をまつことにして、今度の改正法の附則で、上場会社については「一単位の株式を一株に併合する」「決議があったものとみなす。」というかなり思い切ったみなし規定を置いている。しかも、その十六条では、一単位の株式の数を決めて、一単位に満たない株式についての権利を決定するというように、かなり思い切った規定を附則の中にうたっている。 これは一般大衆にかなり影響のある規定なので、われわれとしてはこういうことをするというと、もしこれが可決された場合に、法務省としてはかなりこれを一般に周知徹底させる必要が生ずるというふうに理解をしておるのですが、これはなぜ附則に入れたのか。立法の体裁としてもちょっと考えてみたいと思いますが、あなた方の御抱負というか、なぜこれを附則に入れたのか、その辺のことをお伺いしたい。
○説明員(元木伸君) まず、単位株制度をなぜ採用するかという問題でございますけれども、これは株式単位を今回の改正法案においては引き上げるということにしているわけでございます。そういたしますると、本来ならばここで一挙に、今回の場合は一応額面株式であれば五万円ということでございますので、その線に全部のっけるということが望ましいわけでございます。しかし、そのようにいたしました場合には、きのうまで株主であった人も、新法が施行された場合には直ちに株主でなくなってしまって、すべての株主としての権利を失ってしまうということになるわけでございます。これは余りにも影響が大き過ぎはしないかということがございます。したがって、できるだけそういう株式併合に伴ういろいろな障害と申しますか、大きな影響がないようにするために徐徐に株式併合の実を上げようということで、単位株制度というものを採用するということでございます。 したがいまして、単位株制度は初めから将来の併合のための手段ということになるわけでございます。もちろんしかし、そういう手段でありましても、単位株制度というものを永続的な制度として認めてもよろしいのではないかという御意見もございます。しかし、単位株制度の場合は、同じ株主でありながら単位に達しない場合には一部の権利が制限される。そういう単位に達すればすべての権利を行使することができるということでございまして、言ってみれば変則的な制度でございます。したがいまして、やはりこういう制度というものは、そういう変則的なものならば、やはり過渡的なものとして、つまり将来の併合に至るための過程としての地位を与えるということが妥当なのではないかということで、これはあくまで経過的な問題であるということでございますので、それで附則に置いたということでございます。 そういたしまして、この附則におきましては、これは別に法律で定めるときに、「一株に併合する」「決議があったものとみなす。」ということにいたしているわけでございますけれども、今回の単位株制度のもとにおきましては、たとえば会社に対して単位未満株主が単位未満株の買い取り請求をすることができる、あるいは単位未満株については株券を発行しない、あるいは株主名簿の名義書きかえについても制限があるというようなことで、とにかく単位未満株をだんだんなくす方向に持っていこうといういろいろな制度を考えているわけでございます。 ただ、このような制度を設けましても、どの程度単位未満株が減っていくかということは、そのときの経済情勢あるいは証券取引の情勢ということによって大いに左右されるのではないかという問題がございますので、そういうものをにらみ合わしながら、単位未満株がかなり減ったところで、この法律で一株の併合の決議があったものとみなそうということにしているわけでございます。
○寺田熊雄君 将来の併合を前提とするとおっしゃるのは、これは立法による措置をにらんで言われておるのですか。
○説明員(元木伸君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 次は、資本の問題についてお伺いしたいと思います。 これは当然のことをお尋ねするのかもしれないけれども、商法第二百八十四条ノ二の改正で、発行済額面株式の株金総額によらないで、発行価額の総額を基準とする、そして二分の一は資本に入れる、最小限の二分の一は資本に入れなさい、二分の一は資本準備金だと、こういうふうな制度にして、かなり経済界では何か大きな変革のように考えておるようでありますけれども、しかし、現在のように額面の金額だけを資本に入れて額面を上回る実際の価額を資本準備金に入れる、いまの制度でも資本準備金は別段それを利益配当に回すということが許されるものではないというようなことを考えますと、資本充実の原則の上では、両者にあんまり差異はないと考えるんだけれども、なぜこれが大騒ぎされているのか、その辺のところをよく説明していただきたい。 また現実に、現在の制度とこの改正法との間で、株主に何らかの現実的なメリットの面で差異があるのかどうか。その点を説明していただきたい。
○政府委員(中島一郎君) 現在の制度につきましてはただいまおっしゃいましたとおりでありまして、額面株式については、額面を超える部分を資本に入れなくてもよろしいと、無額面株については発行価額の四分の一を超えない部分について資本に組み入れなくてもよろしいと、こういうことになっておるわけであります。 この無額面株についての規定が設けられましたのは、昭和二十五年の改正法によるわけでありますけれども、その当時は、株式の額面株についての額面額とそれから時価とにそれほど大きな開きがなかったわけであります。たとえば、時価が平均で額面の一・三倍とか一・四倍とかというふうなことが通常でありまして、しかも増資の場合の新株の発行は、通常の場合、株主に新株引受権を与える額面発行が大部分であったということであります。 そういう当時には余り支障がなかったわけでありますけれども、その後、非常に額面株について、額面と時価との差が開いてまいりまして、現在では平均して時価が約七倍、著しいものは約百倍というような例もあるわけであります。しかも、増資による新株の発行は、原則として時価発行ということになりましたために、同じ資本の組み入れでありましても、額面株の場合と無額面株の場合とで非常に差が出てまいりまして、本来、同じ機能を営むべき額面株と無額面株の増資の場合に、資本組み入れの額が非常に違うということが問題になります。 それと同時に、額面株について従来行われてまいりましたように、額面額だけ資本に組み入れて、その余は資本に組み入れない、資本準備金として積み立てるという取り扱いが見直されるということになりました。今回、そういうことから、額面株と無額面株との取り扱いを一致させるというような意味もありまして、二百八十四条ノ二の改正を行ったわけであります。 私どもは、これは別にとりたてて言うほどの改正ではないというふうに考えるわけでありますけれども、ただいま御質問にありましたように、一部の経済界でこの点についての大改正であるかのような、非常に法律的な効果を伴う大改正であるかのような御議論があるということを承知しておるわけであります。それは従来、わが国の経営者としては、資本の額を基準にしてそれに対して配当を考える。だから、額面に対して配当一割とか一割五分とか二割とかというようなことで配当を考えるという考え方が非常に強かったようでありまして、たとえば額面五十円の株式について一割、五円の配当をしておれば、それで株主に対して十分報いているかのような言い方をする経営者、考え方というものがありましたし、現にあるようであります。 五十円の株式を千円の時価で発行しておった場合でありましても、額面を基準にして株式配当をしておればそれでいいということでは、これはどうも株式といいましょうか、増資による資金の獲得ということに対する考え方として正しくないのじゃないかというふうに私どもは考えておりますので、今回の改正の方向という方が好ましい方向であるというふうに考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 資本充実の原則の上からは、両者に差異はないと考えでいいのかどうか。また、株主に対して現実的なメリットの面では影響があるのかどうか、その二つをお伺いしたんです。
○政府委員(中島一郎君) 資本充実の原則ということから申しますならば、影響ございません。また、株主に対しても実際問題として現実に何らかの影響があるかというと、それはございません。
○寺田熊雄君 次は、取締役会の問題をお尋ねしたいんですが、今度の法改正で、たとえば重要な人事、財産処分、金銭貸借、支店の設置、廃止、これらは取締役会の権限である、取締役には決せしめ得ないとせられましたが、これは代表取締役に対しても白紙委任はできないと考えられますけれど、これは強行法規と考えでいいのかどうか。つまり、これに反する行為は当然無効と考えるべきなのかどうか、訴えをもって取り消し得るにとどまるのか、定款をもってしてもこの規定を潜脱することができないのかというような点について、お尋ねをしたいと思いますが。
○政府委員(中島一郎君) 二百六十条の二項は、強行法規であるというふうに解しております。したがいまして、ただいまおっしゃいましたように、これに違反する場合には、その行為は無効であるというふうに考えます。 それから、定款によりましても、これに反する定めをすることはできないということになります。
○寺田熊雄君 これは恐らく将来裁判例で出てくる問題だと思いますので、一応の解釈をお伺いしたわけでありますが、なお、取締役会の権限は一般に定款をもってしても常務会なるものに委任はできませんか、あるいは定款をもってすれば常務会に委任できますか。その点どうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 常務会というのは、私どもとしてはこれは代表取締役の諮問機関であるというふうに考えておりますので、代表取締役の決することのできる事項であるならばともかく、取締役会の決しなければならない事項については、定款によってもこれを常務会その他に委任することはできないというふうに解しております。
○寺田熊雄君 総会に付議すべき事項、現行法によりますと、株主総会もオールマイティーではない、付議すべき事項が法律で決まっておるということのようでありますけれども、この株主総会に付議すべき事項は当然取締役会の決議を経なければいけないと考えますが、これはそうでしょうね。
○政府委員(中島一郎君) そのように解しております。
○寺田熊雄君 しかし、代表取締役が非常にワンマンであって取締役会の決議を経ずに総会に付議したと、それが株主総会の決議事項の場合ですよ、そうして株主総会がこれを決議したら、たとえ取締役会の決議を経なかったとしても、その瑕疵は株主総会の決議によって、何というか、いやされて、そしてその瑕疵は消滅すると、こういうふうに理解していいんでしょうね。
○政府委員(中島一郎君) 提案の段階で瑕疵がありますので、それが株主総会の決議にも承継をされておるというふうに考えますので、決議取り消しの訴えの対象になるというふうに解します。
○寺田熊雄君 その点はちょっと問題があるように思うけれども、一応そういうふうに聞いておきましょう、時間がないのでね。 それから、取締役会の決議を経ずに、たとえば代表取締役が価額の借財をした場合、これはその借財、金銭消費貸借は、法律的に有効となるのか。これは内部的な問題と第三者に対する問題と違うと思いますが、この点ちょっと説明していただきたい。
○政府委員(中島一郎君) 善意の第三者の保護ということになりますので、第三者が善意である場合には、表見法理が働いて保護されるということになろうかと考えております。
○寺田熊雄君 内部的には。
○政府委員(中島一郎君) 内部的には無効であります。
○寺田熊雄君 その場合、善意といっても、過失があるかどうかという問題もかなり現実には問題になるんでしょうね。取締役会が取締役の職務の執行を監督するという規定がありますね、二百六十条の一項。これが取締役会の任務であって、個個の取締役の責任ではないと解すべきか、取締役全員の責任でもあるし、個々の取締役の責任でもあると理解すべきか。この点はどうでしょう。もし条文の根拠があれば、あわせて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 取締役に対する監督権限を持つものは取締役会でありますから、その構成員である取締役個人としては直接の監督権限はないというふうに考えます。 ただ、取締役といたしましては、商法の二百五十九条一項、二項、三項によりまして、必要な場合には取締役会を招集をして、そして取締役会を通じて取締役を監督しなければならない権限と義務があると思いますので、そういう形での権限と義務を負っておるというふうに言えようかと考えております。
○寺田熊雄君 いまの局長の引用なさった改正商法の二百五十九条の二項、三項、これによると、平取締役といえども、一定の場合には取締役会を招集できる、これは定款をもってしても奪うことのできない強行法規であるかどうか。たとえば、定款に、取締役会は代表取締役がこれを招集すると規定しておる場合に、平取締役は、いやこの商法二百五十九条二項、三項によって私は取締役会を招集しますと言って招集しても、その取締役会は合法的なものであるかどうか。この点、いかがですか。
○政府委員(中島一郎君) ただいまおっしゃるとおり、定款によって、会社を代表すべき取締役が招集権者というふうに定められておりましても、それから外れた取締役は、二項、三項によって招集することができると、こういうふうに理解しております。
○寺田熊雄君 次は、引当金の問題でありますが、この改正商法の二百八十七条ノ二、つまり負債性の引当金は「負債ノ部ニ計上スルコトヲ得」云々と、これは計上しなければならないと理解すべきだという学者がおります。これは、公正な会計慣行を勘案いたしまして、そうしないと会社の本当のそういう財務状態を明らかにすることができないんだという学者がおる。この点、あなた方の立法者、立法に携わった方の御見解を承りたいと思うんです。
○説明員(稲葉威雄君) この二百八十七条ノ二の「計上スルコトヲ得」というのは、こういう金額あるいはこういう引当金という項目が、この金額に限っては貸借対照表の負債の部に計上する能力がある、つまり貸借対照表能力を認めたという規定でございまして、必ずしもこれを計上するかどうかの裁量権を与えたという規定ではないというつもりで立案しております。 たとえば、商法の二百七十五条ノ二のところに監査役の差しとめ請求という規定がございまして、これは「取締役ガ会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シ之ニ因リ会社ニ著シギ損害ヲ生ズル虞アル場合ニ於テハ監査役ハ取締役ニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得」と、こういうふうに規定されておるわけでございますけれども、しかし、これは、こういう事項があれば、やはり監査役としては当然取締役に対してその差しとめを請求すべき義務を持っているわけでございます。したがいまして、これは公正な会計慣行をしんしゃくして決定されるこの条文の解釈でございますけれども、取締役の善管注意義務としては、こういうものであるとすれば、財産状況を正確に貸借対照表に反映させるために当然計上しなければならないというのが原則であろう、かように考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、当然、これがそういう債務の発生が予測される、その予測の度合いというのは非常に確実であるというときには、取締役の善管義務からしてこれは計上すべき義務がある、こういうふうに解釈する、こういうふうに理解してよろしいんですか。
○説明員(稲葉威雄君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 最後に、監査対象会社についてお尋ねをしたいんですが、これはずいぶん議論があった。負債が百億を超えたときと、要綱ではそうであったのが、今度は二百億になった。取扱高が二百億でしたかね、それが消えてしまった。そういういろいろないきさつがあって今度提案されたような特例会社の基準ができたわけでありますが、これは法務省としては、いま提案されている資本金五億円以上、負債二百億以上の株式会社を特例会社とすれば、あなた方のいう会社の財務を公正ならしめるその目的は十分貫徹し得ると考えていらっしゃるのか。やはり本当のところは、負債は百億に落としたり、取扱高二百億の基準、そういうようなものをもって理想とすると考えていらっしゃるのか、あるいはさかのぼって、資本金一億以上である方が一層望ましいと考えておられるのか。これは言いにくいところはあるかもしれないけれども、あなた方の本当のお気持ちを伺うということはわれわれにとっても有益であります。したがって、憶するところなく、あなた方の本当の気持ちをおっしゃっていただきたい。
○政府委員(中島一郎君) この問題は、理論的に考えますと、いろいろな数字と申しましょうか、いろいろな考え方が出てくるというふうに考えます。 四十五年でありましたかの法制審議会にございましたように、資本金一億円以上というようなことも一つの考え方でございましょうし、あるいは今回の法制審議会の答申にございましたように、資本金五億円以上、売り上げ二百億、負債百億、さらに任意適用会社というようなことも、これは一つの合理的な基準であろうというふうに考えております。 私どもといたしましては、当初、せっかく法制審議会の答申をいただいたわけでありますから、法制審議会の答申の線を実現に持っていきたいというふうに考えておったことは事実でございますけれども、その後、一方においては、やはり各界の御意見を聞いて、そして譲れるものなら譲らなければならないというような考え方も一方にあるわけでございまして、私ども、決してそれをいとうというつもりはございませんでしたので、いろいろと各界各方面の御意見を聞きまして、現実の問題として、今回の法案の線というものが譲り得ると申しましょうか、納得し得ると申しましょうか、最低ぎりぎりの線であるということで提案をいたしたような次第でございます。
○寺田熊雄君 まだ一〇〇%本音が出ておるとは、なかなか理解できないです。多少遠慮していらっしゃる向きがあるけれども、これはやむを得ないので、この程度にしておきます。 これは最初のあなた方の原案、たとえば一億以上とした場合、あるいは法制審の答申の線によった場合、その場合、場合によって、現実に起こった倒産の事例が、果たしてこの監査対象なりせば倒産という事態に至らずしてこの危機を救い得たかどうかということは、問題はあるとしても、一つのやはり検討の対象にはなりますので、あなた方が、原案であるならば救い得たとか、一億以上なら救い得たとか、お考えがあるならば言っていただきたいし、お考えがないならばそれはよろしい。しかし、最近の倒産例というものは、あなた方は調査していらっしゃるだろうから、それを調査なさった限りにおいて、すべて、それを資本金や負債や取扱高や、いつ倒産したかというようなことを、一覧表にして提出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 それから、資本金が五億円以上であれば当然に監査対象になりますから、これはよろしい。しかし負債が二百億を超えたと、これは流動的な問題でありますが、そういう事態が生じたときに、代表取締役なり取締役会が自発的にこれを監査対象に持っていく、そういう措置をとることが期待できるかどうか、現実に。これを期待し得る、法的にこれを担保するに足る制度というものがいまの改正商法にあるのかどうか。この点どうです。
○政府委員(中島一郎君) 貸借対照表上の負債総額ということになりますから、これは流動的ではございますけれども、はっきりと数字にあらわれるというものであろうかと思います。でありますから、これを無視して監査対象会社にしないということは、実際問題として非常にむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えます。 ただ、それに違反した場合にどういうことになるかということでありますが、監査対象会社でないから、したがって会計監査人を選任しないということになろうかと思います。その場合には特例法の三十条であったかと思いますけれども、過料の制裁というようなものもございます。また、そういうことで計算書類の確定の手続を進めてまいりましても、手続に瑕疵があるわけであります。会計監査人の監査報告書なしで株主総会の承認を得るということになりますが、それは手続に瑕疵があるわけでありまして、決議取り消しの訴えになるわけでありますから、そういうことを考えますと、危険を冒して非対象会社として処理をしてしまおうということは、なかなかむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 いまの場合、罰則としては百万円以下の過料という制度になっているようですね。この過料による心理的強制というものがどの程度これに期待し得るものかどうか、二百億を超えるというようないまの数字から考えますと、百万円の過料というのはちょっとやっぱり比較権衡の上で低過ぎるように思いますが、この点はさらに検討すべきではないかと思うけれども、どうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 特例法三十条によりますと、ただいまの場合のみならず、それ以外にも幾つかの法違反の行為に対しまして過料の制裁を科しておるわけでありますが、現行法ではこれが三十万円ということになっております。今回の改正におきまして、これを百万円ということに増額をしております。商法の過料、それから特例法の過料、一律に三十万を百万というふうに増額をしたわけでありますけれども、確かに一つ一つを取り上げてみますと、少し低過ぎるのではないかというようなものもないわけではございません。将来、商法の罰則全般について検討をする場合に、根本的に見直してまいりたいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 商業帳簿をマイクロ写真によって保存したい、これは事務処理の便宜からそういう要求があるようであります。これはたしか現行法上の解釈としても可能であると考えておりますが、何か民事局長の回答でこれが明らかになった事例があるというふうに聞いておりますので、その点を改めて御説明いただきたい。 さらに、コンピューターにインプットした場合に、それをもって商業帳簿にかえ得るかどうか、これはアメリカなどにもそういう例があるようでありますが、この点はどうか。こういう点について御説明をいただきたいと思うんです。
○説明員(稲葉威雄君) 昭和四十八年の衆議院の附帯決議にもこのマイクロフィルムの問題が取り上げられておりまして、それを受けまして四十九年の国会で、法律が成立しました直後でございますが、法務省の民事局長から、一定の条件を付した上でそのマイクロフィルムによる商業帳簿の保存を認めるという規定の解釈が出ております。この条件としては、マイクロフィルムの写真の解像力が十分で、商法所定の期間内、つまり十年ということでございますが、それが十分実用にたえるということ、それから閲覧権者が要求した場合には速やかに見読可能な、つまり見ることができる状況にできるということ、それからマイクロ化の段階で文書は廃棄できるが、監査等に必要な限り原本を三年内に閲覧できること、その他マイクロフィルム作成、保存の手続がちゃんと会社の内規等で整備されていると、こういう要件を満たせばこれは商法三十六条の規定によって保存すべき商業帳簿及び営業上の重要書類についてマイクロフィルムとすることができる、マイクロ化することができると、かような見解になっております。 それから、コンピューター化の問題でございますが、これは文書というものにはならない、非常にそれ自体では解読不可能な状況にあるわけでございまして、それがアウトプットされて直ちに見読可能な状況になるというような、先ほどマイクロフィルムにつきまして申し上げましたような幾つかの条件を付することによって、可能な商業帳簿としての能力と申しますか、保存方法として認めるということも考えられないことではないと思いますけれども、さらに立法上の手当てが要るのかどうかという点も含めて、この点はまだ深く検討しておりません。 マイクロフィルムでさえ、税務当局との兼ね合いもございましていろいろ問題があるわけでございまして、まだそこまで差し迫った現実の問題としてはなっておりませんので、現実にそういうことを実際に処理しなければならないということになりましたら、今後十分検討してまいりたいと思います。
○寺田熊雄君 大体以上でこの商法改正についてのいままで取り残した問題、あるいはすでに出た問題でまとめておいた方がいい問題、疑問点などは、大体私どもとしてはお尋ねをしたのでありますけれども、最後に非常に技術的な問題でひとつお伺いしたいと思うのは、この特例法の第二十五条ですね。これを見ますと「会社については、商法第二百四十七条第一項」から始まって条文が何十となく表示されて、それから「並びに第四百五十二条第一項の規定中株式会社の監査役に関する規定並びに同法第二百八十二条第一項の規定は、適用しない。」、こうある。 大変わかりにくい規定で、もう少しこれをわかりやすいような規定の仕方はなかったのかと思いますが、この「第四百五十二条第一項の規定中株式会社の監査役に関する規定」とあるのは、その以前にずうっと並んでいるすべての条文に関しての「規定中株式会社の監査役に関する規定」というのをやっぱりつけて読むべきものなのかどうか、この点、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○説明員(元木伸君) 確かに、先生御指摘のようになかなか理解しにくい規定でございますけれども、まずこの四百五十二条、これ以前にずうっと掲げてあります条文、ここにいずれの規定にも監査役そのもの、あるいは監査役に関する規定というものが、監査役に関係のある規定がなされているわけでございます。そういうものにつきましてはこの監査特例法会社、つまり小会社については適用が除外されるということでございます。したがいまして、たとえば具体的な例として申し上げますと、一番最初にこれは「第二百四十七条第一項」とございます。二百四十七条一項は決議取り消しの訴えの規定でございますけれども、ここでは商法では決議取り消しの訴えの提起権者といたしまして株主、取締役、監査役と三つが並んでおりますけれども、小会社につきましては、監査役だけの資格をもってしては決議取り消しの訴えの資格がないということになるわけでございます。 これは、なぜこのように除外するかと申しますと、大中会社と申しますか、それにつきましては監査役は業務監査権限を持っているわけでございます。これは元来の商法には監査役は業務監査権限を持っているということになっておりましたけれども、昭和二十五年の改正で監査役は業務監査権限がないということにされたわけでございます。ところが、また再び昭和四十九年の改正では、監査役には業務監査権限があるということが原則になりました。ただ、小会社につきましては、この業務監査権限ができるような監査役を得ることがかなり困難なのではないかという議論がございまして、それと同時に、できるだけ小会社については余り負担をかけさせたくないという配慮もあったようでございますけれども、いずれにいたしましても、小会社の監査役は業務監査権限がないということになったわけでございます。 したがいまして、監査役の業務監査権限を前提とする規定、これは特例法の二十五条の中で全部除外したということでございます。 ただ、監査役に関する規定でございますので、監査役そのものの規定だけではございません。たとえば、それでございますから、二百八十一条ノ三の二項なんかもこれは適用除外になっているわけでございますが、ここではこれは監査報告書の記載事項でございます。つまり、監査報告書は監査役が作成するものでございますから、監査役に関する規定ということで、小会社につきましては監査報告書の記載事項、このような事項を記載しなければならないという規定の適用も除外、排除されるということになるわけでございます。
○寺田熊雄君 これで質問を終わりますが、これは討論の中で言うべき事柄なのかもしれません。しかし、社会党はこの法案に反対ということで決めております。私個人としては賛成意見なんです。ですから、党の決定に反する討論をすることはできない。したがって、討論はできない。 したがって、いまここで申し上げるんですが、これは法務大臣、これだけ国民生活に影響のある大法典を提案なさるときは、もうちょっとやはり私どもに検討の期間を与えていただかないと、いままで各党の委員の方が熱心に御質問になりましたけれども、やはりまだ私どもとしてはもっともっと検討すべき問題がありますし、もっともっとやはり御質問したいことがあるわけです。しかし、もう国会はすでに、終わろうとしておる。 この改正法の中には、確かに従前の商法と比べれば前進的な規定、たとえば総会屋に対する金銭の供与を禁止しているというような前進的な規定を含んでおりますので、各方面から反対はもちろんありますけれども、ぜひこの国会で上げてほしいという要望は強いわけです。先般の参考人を喚問いたしましたときも、五人のうち一人を除いて四人の方々は、全部どうしてもこの国会で上げてほしいという強い要望を述べられたわけであります。そういうことを考えて、私どももこれで審議を終えるということに賛成はしたわけでありますけれども、次回からは恐らく監獄法にしろ、少年法にしろ、刑法にしろ、法務大臣としてはお出しになる御予定だと思います。国籍法も来ますでしょう。なるべく早く出して、もう少しわれわれが慎重に審議をする期間を十分にとっていただきたいと考えておりますので、これをぜひ御要望を申し上げたいんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 当然のお話だと、こう思います。また、今回、私たちもぜひこの国会で成立させていただきたいとお願いしてまいりましたので、夜にかけてまで御審議いただいて大変ありがたく思っておるわけでございます。私たちも努力しなければならないと思います。また、いろいろ予算委員会のあり方なんかについても意見のある方もいらっしゃるようでございまして、いろいろわれわれも御注意に対しましておこたえできるように、努力もしていきたいと思います。
○寺田熊雄君 終わります。
○委員長(鈴木一弘君) ほかに御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより両案に対する討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案並びに同法施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対して反対の討論をいたします。 反対理由の要点の第一は、株式制度について改悪、後退となる点であります。 株主の管理に費用がかかり過ぎるという意見など財界の要求に基づいて、単位株制度を導入して、一気に株式の大型化と中小零細株主の整理を図ろうとしておりますが、これは小株主の権利を侵害し、個人株主減少を促進することになり、むしろ株主総会の形骸化を助長するおそれがあります。 また、個人株主の激減による証券市場の賭博化、法人による相互保有による企業支配については、そのマイナス面について強い批判があるにもかかわらず、それについては正面からメスをふるうことは避けております。 法人の株式保有に関して若干の改正を加えておりますが、実際にはほとんどあり得ないような二五%以上の株式保有を対象とするものであり、実効性が期待できず、規制の求められている現状をかえって合法化する結果を招くとさえ考えられるのであります。 第二は、会社の機関についてであります。 これも財界の強い要求を受けて、計算書類を株主総会の承認事項から報告事項に改めましたが、会社の経理の最も基本的なディスクロージャーの場である株主総会を、単なる報告の場にすぎないことにしたことは、会社の最高の意思決定機関である株主総会からその重みを奪い、これによって、株主総会の形骸化した現状を法制的に追認する結果を招くものと言わなくてはなりません。 また、今回の改正で、その権限が強化された取締役会について、その議事録の閲覧、謄写が裁判所の許可にかからしめられることとなった点についてでありますが、これもディスクロージャーの拡大という立場に逆行するものであり、一般の株主、債権者の権利行使を制約する結果となるおそれがあります。 第三に、会社の計算についてであります。 そもそも今回の改正では、大企業の社会的責任の確立とその非行の防止は最大の眼目の一つでありましたが、当初、試案のかなり思い切った構想から、経済界の強硬な反対意見に押されて次々と後退を重ね、ついには竜頭蛇尾の結果に終わったと言わざるを得ません。営業報告書の記載事項の内容については、そのアウトラインですら委員会で示されませんでした。 また、監査役制度については、幾つかの点で形式的には改善されておりますが、その機能を十分に発揮する保障はありません。試案で示された社外監査役の導入が姿を消すなど、ここでも重要な後退が見られるのであります。 第四に、今回の改正が中小企業に過大な負担を負わせることが否定できない点であります。 以上、今回の改正によって、当初の大きなねらいであった企業の社会的責任の確立、非行の防止という見地は大きく後退し、改正の方向も、少数の大株主や会社の役員による会社の支配を一層容易にする方向にすりかえられてしまったものであり、反対せざるを得ないものであります。 以上です。
○委員長(鈴木一弘君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、商法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木一弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 寺田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。寺田君。
○寺田熊雄君 私は、ただいま可決されました商法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び一の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一、今次の法改正が国民一般に与える影響、とりわけ単位株制度の導入が株主等に与える影響の大きいことにかんがみ、その趣旨及び内容の周知徹底を図ること。 二、今次株式会社制度改正の趣旨及び経緯にかんがみ、すみやかに、企業結合・合併・分割及び大小会社の区分等について検討すること。 三、株主、債権者等の保護を図るとともに、企業の社会的責任を明らかにするため、株式会社の業務及び財務に関する公示・公開の制度をより一層充実強化すること。 四、営業報告書及び附属明細書の記載事項に関する省令の制定に当たっては、国会における審議の内容を尊重し、大会社の社会的責任を明らかならしめる内容のものとすること。 五、株主総会の形骸化を防止し、その適正な運営を図るため、いわゆる総会屋の絶滅に一層の努力をすること。 六、会社の業務及び財務の適正を期するため、監査役の権限を強化し、その独立性を確保した法改正の目的を達成するよう、引き続き、関係団体と密接な連携のもとに、一層の努力をすること。 七、大会社に対する監査業務の重要性にかんがみ、会計監査人の独立性と監査の的確性を確保するための方策を検討するとともに、監査法人の国際的競争力を高めるため必要な措置を講ずること。 八、新株引受権付社債制度の創設は、証券市場の国際化の進展に即応し企業の資金調達方法の多様化を図ることを目的とするものであることにかんがみ、早期に実務面の調査検討を行い、その円滑な実施を期すること。 九、いわゆる外国会社の企業活動の適正化を図るため、すみやかに、その実態を調査し、商法上所要の措置を講ずること。 十、商法及びその関連諸法令については、経済その他諸般の情勢を考慮し、必要に応じ所要の改正措置について検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(鈴木一弘君) ただいま寺田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、寺田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、奥野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。奥野法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 決議の趣旨を尊重して、善処してまいりたいと思います。
○委員長(鈴木一弘君) 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の採決に入ります。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木一弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後一時再開することとし、休憩いたします。 午後零時一分休憩 —————・————— 午後一時六分開会
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 出入国管理令の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団理事井辻憲一君の出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 出入国管理令の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は去る五月二十八日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 あらかじめお伺いをしておくわけですが、このポツダム政令の出入国管理令、これは今度難民条約の批准に伴いまして、難民の地位に関する条約等への加入に伴う本令その他関係法律の整備に関する法律案によりますと、今度これを出入国管理及び難民認定法というふうに題名を改めることになっておりますね。したがって、いままでは政令の形をとりましたが、今度は正式に形式を法律というふうに改めることになりますね。そうですか。
○政府委員(大鷹弘君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 今度はこの改正法律案の内容についてお伺いをいたしますが、 〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕 永住許可の規定が第二十二条にできております。この永住許可の規定につきましては、第一次要綱案なるものがことしの初めに新聞紙上に出まして、それから比べますと、非常に後退をしておるという議論があるわけであります。ことに、いわゆる法律第百二十六号の規定によって、現在日本における在留を認められておる者、これについてはたしか附則で新しい規定がなされております。 むしろ、この附則の方が非常に重要な規定のようでありますが、永住許可の特例として、これは法務大臣が裁量でなくて当然に許可するものとしておるもの、その中に「法律百二十六号第二条第六項に規定する者で、日本国との平和条約の発効後申請の時」、「申請の時」というのは、この改正法律の施行の日から五年内ということになりますが、それまで「引き続き本邦に在留しているもの」と、それからこの「直系卑属として」その期間内に「本邦で出生じ、」かつ「申請の時まで引き続き本邦に在留している者」と、この二つの規定がありますね。 問題は、その後に生まれた者、これについてはどうなるか。これは二十二条の本則に返って、永住許可が裁量で許可される、したがって不安定な立場に置かれると、こういう批判がありますが、この点いかがでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) 法律百二十六号二−六該当者の子供は、現在すでに日韓地位協定に基づくいわゆる協定永住許可を受けているか、あるいは在留資格四−一−一六−二として在留している者でございまして、在留資格四−一−一六−二の者につきましては、先生ただいま御指摘のように、今度の改正案の附則第七項第二号に該当して特例による永住許可を受けられる者でございますが、こういう人たちの子供、すなわち法律百二十六号二−六該当者から見れば孫に当たる者につきましては、申請期間経過後に生まれた場合には、先生ただいまお触れになりましたとおり入管令の第二十二条第二項ただし書きにいう「永住許可を受けている者」の「子」に該当するのが通常でございます。したがって、こういう方々から出生に伴う在留資格の取得の申請がありました場合には、この条項の該当者ということで、素行善良、独立生計維持能力の要件を備えないときでも永住を許可するととができることとなりますが、それを許すかどうか、認めるかどうかにつきましては、こういう方々が法一二六−二−六該当者の孫である等の事情を十分踏まえまして、できる限り永住を許可することにいたしたいと考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、いま局長のおっしゃった、親が永住許可を受けておる、あるいは夫が日本に定住しておる、そういうことでありますと、その子であるとか配偶者であるとかいう者につきましては、よほど特段の事情がない限りは、そういう身分関係に重きを置いて原則として永住許可を与える方針であると、こういうふうに承ってよろしいわけですね。
○政府委員(大鷹弘君) 第二十二条の一般永住の認可は法務大臣の裁量事項でございますけれども、実際の許否に当たりましては、先生おっしゃいましたように、こういう人たちのいままでの在留の歴史的な経緯とかそういうものを踏まえまして、できるだけ許可するという方針で臨みたいと考えております。
○寺田熊雄君 それから、先ほどのこの附則第七項の一号の末尾にあります「日本国との平和条約の発効後申請の時まで引き続き本邦に在留しているもの」と。これは、再入国の許可を受けて旅行した者なんかは、当然引き続き在留の中に入るでしょうが、一たん帰国をしてそして再入国した者は、この一号には含まれないわけですか。
○政府委員(大鷹弘君) そういう方々は含まれません。
○寺田熊雄君 そういたしますと、やはりこれも第二十二条の法務大臣の裁量事項ということになりますが、やはり戦前から引き続き日本に在留する、あるいは敗戦が決定した直後から日本に在留する、そういう者については、歴史的な事情を考慮して、やはり原則として申請があれば永住許可を与えるというふうに伺ってよろしいでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 再入国許可の期限を超えて海外に在留して、そしてもう一度日本に帰ってきたという方々、そういう方々についてのお尋ねだと思いますけれども、こういう方々は、すでにその再入国許可の期限が切れましたときに従前の在留資格は失っているわけでございます。したがって、その方々がもう一度日本に来られても、それまでの在留資格がそのまま復活されるというわけではございません。ただ、その方のそれまでの在留のいきさつとか、そういうものを踏まえまして、よくその点は考慮に入れて、その再入国後の在留資格の付与を検討したいと考えております。
○寺田熊雄君 なお、この附則の第八項の申請の期限は、出生のときから三十日とすることは短きに失するという批判がありますが、この点はどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 永住許可の特例は、出入国管理令に定める永住許可につきまして、許可の要件、裁量性に関する特例を定めたものでございますが、出入国管理令におきましては、本邦で出生した者の在留資格の取得の申請期間が出生後「三十日以内」とされております。これは出入国管理令第二十二条の二、第二項に定められておりますが、そこで永住許可の特例の申請期間もこれに従ったわけでございまして、私どもとしては三十日は長さとしては十分ではないかと考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、第二十二条の二の第二項がこれが三十日であるから、それとの比較均衡の上で三十日としたと、そういうふうに承ればよろしいですか。
○政府委員(大鷹弘君) そのとおり御理解くださって結構でございます。
○寺田熊雄君 それから、今度、難民条約の批准に伴う関係法律の整備に関する法律が出てまいりますと、難民に関しては、難民という認定さえ得られれば無条件で永住許可が認められるわけでしょう。そうじゃないですか。これはやはり二十二条の素行善良とか、あるいは生計を営むに足る基礎があるとか、そういう条件を要するという意味ですか。その点、どうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 難民と認定された者が、わが国に永住をすぐに無条件で認められるということではございません。難民と認定された者につきましては、二十二条の一般永住の要件を緩和するということでございます。 ただいまお挙げになりました二つの要件、独立生計維持能力と素行善良がございますけれども、その最初の方の独立生計維持能力を難民につきましてはこの要件は取り払うと、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、生計維持能力はなくてもよろしいと、それは難民だから。しかし、素行善良は必要であると。 そこで、在日朝鮮人の諸君が、難民と自分たちとの間で、難民の方がむしろ優遇されてはいないかというような不満を持っておるようですが、この点は局長としてはどういうふうに説明されますか。
○政府委員(大鷹弘君) まず、法一二六−二−六系列の方々、そのお子さん、それから一定の期間まで生まれた孫に当たる方々、こういう方につきましては、今度この附則にございます特例措置によりまして無条件で永住が認められるわけでございます。 〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕 次に、その特例の対象にはならないけれども、親が永住者であるとか、そういう人たちの子供、つまり法一二六−二−六該当者の孫に当たるような方々、こういう方につきましては、今度の改正案の措置によりまして、二十二条二項の二によりまして永住権が緩和されるわけでございます。したがいまして、この場合には、入管令上の永住でございますので法務大臣の裁量行為ではございますけれども、こういう親が永住者であるような方方につきましては、独立生計維持能力も素行善良の両要件も必要ではないわけでございます。 ところが、難民につきましては、先ほど申し上げましたように、もともと法務大臣の裁量行為である一般永住の対象でございますけれども、二つの要件のうちの一つだけ、つまり独立生計維持能力の点だけが外されるわけでございます。したがいまして、すぐおわかりいただけると思いますけれども、朝鮮半島出身者が難民に比べて優遇されてないというのは、難民の方が優遇されているというのは間違いでございます。
○寺田熊雄君 それから、迫害地に対しては送還をしない、強制退去による場合の送還はしないというこの原則ですね、これは難民条約にも規定があるし、それから市民的及び政治的権利に関する国際規約などからもたしかその趣旨がうかがわれると思いますけれども、これは今度の難民条約の批准に伴う関係整備法の方で、在日朝鮮人たると難民たるとを問わず、強制送還の対象となる者すべてについて適用される原則であるというふうになりますね。その点、どうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) ただいま先生お挙げになりました迫害国へ送還しないという原則は、一般にノンルフルマンの原則と言われております。この原則は、難民の認定を受けた者に限りませず、退去強制を受けるすべての外国人に適用されるわけでございます。したがいまして、この該当規定第五十三条は、難民認定手続等を定めた第七章ではなくて、退去強制手続の一部としてその中に規定されているわけでございます。
○寺田熊雄君 次に、難民に関しては、これはまだ当委員会に提案されておりませんから余りこれを引くのは何たけれども、しかし、これはやはり関連をしておるので引かざるを得ないのでありますけれども、難民の場合には難民旅行証明書というものが発行せられますね。これによって難民は外国へ出て行く。在日朝鮮人などの場合は、再入国の許可を得て外国へ行く。その場合には、旅行証明書はなくて再入国許可書というものを法務大臣が発行して、それを持って外国へ行く。在日朝鮮人の方々の中には、旅行証明書という名称に非常に愛着を感じていらっしゃる方々があって、われわれも旅行証明書が欲しいんだ、難民にして旅行証明書が得られるのにわれわれはそれが得られず、再入国許可書という名称のものを持って行かなければいけない、肩身が狭い、これは差別ではないか、こういう趣旨の批判をする方々もないではない。 それが差別であり、そう信ずるのが正しいのか。いや、そうではありませんという、何かジャスティフィケーションみたいなものをあなた方がお持ちなのか、その点を御説明願いたい。
○政府委員(大鷹弘君) 難民旅行証明書も、それから再入国許可書も、旅券を所持することができない者の海外旅行の便宜のために冊子型の証明書として発行されるものでございまして、その機能は同様でございます。法案検討の過程におきまして、在日朝鮮人等有効な旅券を所持し得ない外国人に交付する渡航文書の名称を旅行証明書と呼ぶこととした時期もございましたが、その後の検討を重ねた結果、外国がその者の入国を認めるのは、この渡航文書の発給国がその者の再入国、つまり引き取りを保証するためでございまして、むしろ再入国の保証こそが渡航文書の本質的なものであるとの結論に達しましたので、その名称を再入国許可書としたものでございます。 再入国許可書も、難民証明書と同様に写真を張りまして、身分事項を記載し、外国に入国するための査証欄を設け、わが国に再入国することができることを明らかにいたしますので、多くの諸外国から有効な旅行文書として承認されるだろうと考えております。したがいまして、難民の旅行証明書と再入国許可書の間には差別はないとお考えくださって結構だと思います。
○寺田熊雄君 旅行証明書のときには、もうそれだけで外国へ行って受け入れられる、帰ってくるときもそれでもって帰れると。難民旅行証明書のときには、外国に行くときには再入国許可証明みたいなものはそれにつけることを要しますか。やはり再入国許可書と同様に、それだけを持っていってそれだけを持って帰ってくることができるものですか。その点どうでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) 難民旅行証明書は、それだけを持って出国して、それだけを持って帰ってくる、そういう意味で再入国許可書と全く同じでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、両者の間には全く差異がなく、平等なものだというふうにわれわれは理解していいわけですね。
○政府委員(大鷹弘君) 難民旅行証明書の有効期間は一年でございまして、それから再入国許可書の有効期限は一年以内ということになっております。しかし、再入国許可書の場合一年以内となってはおりますけれども、在留期間の残りが一年以上ある方につきましては、一年の有効期間を持つ再入国許可を発給しております。したがって、その点でも難民族行証明書とあるいは再入国許可書の間には差がございません。 その次に、再入国許可書あるいは難民旅行証明書を、どうしてもやむを得ない事情がある場合に海外で延長しなくちゃいけない、そのときの取り扱いでございますけれども、難民旅行証明書の場合にはさらに六ヵ月延長できることになっておりますけれども、再入国許可書の場合にはこれが一年までできます。したがいまして、むしろその点では再入国許可書の方が難民旅行証明書よりも有利であるということが言えようかと思います。
○寺田熊雄君 次に、改正法の十三条の三項ですが、仮上陸を許可する場合の保証金の上限を現行の二十万から一挙に二百万に引き上げたのは高きに失するという批判がありますが、この点はどういうふうにあなた方は理解しておられますか。
○政府委員(大鷹弘君) 保証金の額は昭和二十六年に出入国管理令が決められました当時のまま三十年間据え置かれまして、現在の賃金水準等から見て、仮上陸の許可を受けた者の逃亡防止とか、それから仮放免される者の逃亡防止を担保し得なくなってきております。ちなみに、仮上陸の保証金というのは現在まで実際に徴収された例はきわめてまれでございます。仮放免の場合につきましては、現在でも毎年何十名か逃亡してしまうケースがあるわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、こういう仮上陸あるいは仮放免になる人たちの出頭義務を確保し、それから逃亡を防止するためにどうしても今度この保証金の限度額は引き上げなくちゃいけないというふうに考えておるものでございます。 この額でございますけれども、三十年間に物価は五倍、それから賃金所得水準は十八倍以上になっております。したがって、十倍にするということは不当なものとは考えておりません。のみならず、今度定めましたのは限度額でございまして、常に必ずこの限度額を取るという意味ではございません。その個人個人の資産状況であるとか、あるいは性格であるとか、家族状況とか、いろんなことを考えまして、要は本人の逃亡を防止できればいいのでございますので、必要な金額にとどめる方針でございます。したがいまして、無用な負担をこういう人たちにかけるようなことは考えておりませんので、合理的な水準で運営する考えでございます。
○寺田熊雄君 現在までは、局長の言われたように二十万ということになっておりましたね。これは実際の適用例では平均どのくらいの保証金を取っておりましたか、いままで。
○政府委員(大鷹弘君) 現在までの平均は二十万円ぐらいだと承知しております。
○寺田熊雄君 次に、この法案の二十四条。この第四号に珍しくイ、ロ、ハがあって、この中のチというのがありますね。このチの中に、「この政令施行後に、麻薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法又は刑法第十四章」、これはあへん煙に関する規定のようでありますが、「第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者」、これらについては退去を強制せられる。この中で、たとえば外国人登録令違反の者、これは執行猶予の言い渡しを受けた者を除いておりますね。それから、少年法違反の場合には「長期三年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの」。それから、一般の刑法犯の場合などには「無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く」と、こういうふうになっている。 ところが、このチだけは、そうして単に「有罪の判決を受けた」ということだけを条件としておりますので、執行猶予の判決を受けた者も含まれる。はなはだしきは罰金刑、覚せい剤取締法によって、これはまあ特殊の方々のようでありますが、罰金刑を受けた者も退去強制を余儀なくされるというふうにとられて、ちょっとこの点、均衡を失するのではないかという批判もあります。しかし、あなた方があえてこの規定をつくられたのは、それなりの理由があると判断なさって規定されたのでしょうから、あなた方がこうすることが正しいのだとせられるその理由を説明してください。
○政府委員(大鷹弘君) 最近の覚せい剤犯罪が急増しているという実情にかんがみまして、覚せい罪取締法違反者を新たに退去強制事由該当者として加えたものでございますが、いわゆる法一二六−二−六該当者及びその子孫が覚せい剤取締法に違反して有罪の判決を受けたけれどもその刑が罰金であった場合、あるいは執行猶予が付されたというような場合には、この人たちがわが国に在留するに至りました歴史的経緯等を十分に考慮して、退去強制の運用をいたしたいと考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、罰金を受けた者や執行猶予を受けた者をどんどん退去させるというようなことはしない、十分過去の歴史的な事実を踏まえてその運用を弾力的に行うと。現実には、つまり退去強制の範囲から除くという、そういう結論になりますか。
○政府委員(大鷹弘君) 現実に退去強制の対象から除くということは申し上げかねますけれども、法一二六−二−六系列の方につきましては、これまでの在留の経緯とか在留の実態とか、こういうものを考えまして、弾力的にこの退去強制手続の運用をいたしたいと考えているわけでございます。
○寺田熊雄君 これは過去の実績を見ると、大体、あなた方のおっしゃる言葉の信憑性と言っては失礼かもしれないけれども、大衆が安心をするかどうかということが決まるわけですが、過去においてはどうでしょう、やっぱり執行猶予者も強制退去さしておりますか、それとも原則として執行猶予はやっぱり現実には除いておりますか、いかがでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) 過去におきましては、こういうことに該当する人を実際に退去をさせた事例はございません。
○寺田熊雄君 なお、これは単純なる言葉の意味でありますが、私どもの方に、非常に心配して確かめてほしいと言う人々がありますのでお尋ねをするわけですが、改正法の二十五条の二、「(出国確認の留保)」の規定の中で、その第一項第一号の「死刑若しくは無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪につき訴追されている者」とありますね。この「訴追されている者」というのは、すらっと読んで、起訴をされている者というふうに理解していいんでしょうね。
○政府委員(大鷹弘君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 最後にお尋ねをしたいのは、外国人を夫に持つ日本人の女性が、外国人の夫とともに海外にありまして生活をしておる、それがやはり故国にどうしても帰って生活をしてほしいという両親などの要望によって日本に入りたいという場合に、日本人が夫であり外国人が妻である場合には、これはもう原則として、入ってきて何にも障害がない。ところが、外国人が夫であるという場合には、現実にはなかなか入れない。やっぱり条文によりますと、これは出入国管理令の第四条、「第二節 外国人の上陸」という節の中の第四条以降で決まるわけでしょうね。 そこで、日本人の男子と外国人の女性との場合と、その間に大変な区別がある。これは出入国管理令の「この政令は、本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理について規定することを目的とする。」というこの第一条の趣旨から考えても不公正である。憲法十四条を引くまでもないかもしれないけれども、男女差別であると、こういう主張をする者があります。この点は、実際の運用はどうなっておりましょう。
○政府委員(大鷹弘君) 日本人の配偶者として長期滞在のため入国しようとする外国人につきましては、生計維持に十分な収入または資産があるかどうか、及び婚姻がいわゆる擬装婚でなく、実質的な婚姻関係の継続に不安がないかどうか等につきまして審査の上、特に問題がなければその入国を認めることにしておりまして、基本的に男女の性別によって異なることではございません。 日本人の女性の外国人夫が入国をする場合には、その者の就職の見込みがあって初めて許可になる例が多いのは、現実問題として外国人の夫が主たる生計維持者として稼動することが予算されている場合が多いことからくるものでございまして、この点は、日本人の夫が外国人の妻を招聘する場合にも、だれが主たる生計維持者であるか等につきまして、同様に審査の対象としているところでございます。
○寺田熊雄君 ただ、日本人が外国におって、外国の女性と結婚をしますね。そして、日本に帰りたいというときに、一々審査いたしますか。これはもう無条件で帰れるでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) その場合でも審査はいたします。ただいま申し上げましたように、やはり生計維持能力とか、つまり扶養能力があるかどうか、それからこの結婚が擬装婚でないかどうかということに関しまして、そういうケースでも同様の審査を行っております。
○寺田熊雄君 まあ結婚が擬装婚であるかどうかという、それはまた論外だから、正式の結婚だということを前提にして論議していただきたいと思うんですが、そうすると、日本人が外国でいままで就職をしておる、それは日本人のたとえば銀行なり商社に勤務をしておる者が外国の支店なり出張所で勤務して、それで外国人の婦人と結婚する。これが日本に帰るというような場合には、これはもう無条件でしょう。あなたのおっしゃるのは、そうすると商社に就職している、銀行に就職しておるから審査が要らないのであって、もしも無職であれば、やはり無職の日本人が外国の婦人と結婚して帰ってくる場合には無条件では許しませんよと、こういう趣旨ですか。
○政府委員(大鷹弘君) いずれにしましても必要な審査は行いますけれども、日本人の男性が外国人の女性と結婚して、そしてその外国人の女性が入国したいという場合には、特段の事情がない限り私どもとしては入国を認めております。
○寺田熊雄君 そうなんですよね、認めておるでしょう。ところが、外国人と結婚した日本の女性が、その外国人が外国にあって、外国の機関あるいは外国の会社に勤めておりますね。しかし、妻である日本人の奥さんの両親がどうしても娘に帰ってきてほしい、そこで夫と一緒に帰りたいというときに、いま局長のおっしゃった、日本においてその外国人である夫が生計を営むに足る資力を持っておるかどうかということを吟味するものだから、就職先が決まらないと帰れないわけですよ、日本に。それじゃちょっと差別じゃないかというのが、非常に国際結婚をした婦人方のふんまんの種であります。 そこで、これは何とかそこのところを帰りやすいようにする手だてがいまの出入国管理令の中にないだろうか。もしないとすると、この第四条の第一項一号から十六号の間に、日本人である配偶者というようなものを在留資格の中に加えてはもらえないだろうかという、これは立法論。 それから、いまのその立法論ですね、これは四十八年の改正の際には原案の中に、第四条第一項十六号に「日本人又は前号に係る在留資格を有する者(以下「永住者」という。)の配偶者又は直系血族」というこの一号が原案にあった。これを復活してほしいと、そういう立法論を一つには唱える。 それからもう一つは、たとえば第四条の第一項の第四号、観光目的、これでまず日本に入る、そして入った上で第二十条第三項ただし書き、つまり観光目的で入ってきた後で就職を日本で探すまでの期間、娘の母親、娘の父親などは資力がありますからして、その資力がある娘、つまり外国人の妻、その妻の両親が生計を見てあげる、したがって相当長く滞在期間を変えていただいて、その間に就職先を見つけるから在留目的の変更を許可してほしい、これができるかできないか、こういう解釈論による救済の道を開いてほしいという要望があるわけです。 それで、立法論、それから解釈論、この二つを踏まえて御答弁をお願いしたいと思うんですが。
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの先生の御質問の、御主人が外国人で奥さんが日本の女性であるという場合、仮にこの日本人の女性、奥さんが非常な資産家であるとか、あるいは非常に高額の所得があって二人を十分養っていける、生計を維持していけるというような場合には、もちろんこの御主人が就職するということを条件にはいたさないでそういう外国人の夫の入国をこれから認める、そういう考えでございます。 これだけ申し上げておきまして、次に具体的な先生の御質問にお答えいたしますと、第一点の立法論の点でございますが、確かにこれまでの改正法案におきましては、新しい在留資格として日本人等の配偶者というあれを立てることを御提案したことがございます。ただしかし、今度これを私どもが改正案の中に入れなかったのは、この改正案では第二十二条の一般永住の要件の緩和を図っております。つまり、日本人の配偶者または子供——日本人だけじゃなくて、日本に永住している人を含みますが、そういう人の配偶者とか子供とか、そういう人たちはわが国の国益に反しない限り、二つの具体的な要件は満たさなくても永住が認められるということになったわけでございます。したがって、日本人等の配偶者は一たん四−一−一六−三という資格で入られましても、間もなくこういう一般永住の資格を得ることができるわけでございます。したがって、特に独立した日本人等の配偶者という、そういう在留資格を設ける必要はないものと私どもは考えたわけでございます。 それから、その次に解釈論でございますけれども、第二十条第三項のただし書きの適用について先生からお尋ねがございました。このただし書きは、当然日本人の配偶者の場合にも適用されます。御質問のような事例につきましては、たとえば訪問ということで入国した後、何らかの事情変更があって就職することになった場合には、この事情がやむを得ないと認められますときには資格変更を許可されることになりますが、一般的には日本人配偶者につきましては事情をしんしゃくされる場合が多いのでございます。
○寺田熊雄君 なるほど。そうすると、立法論としては、いまはもうすでに第二十二条等の規定によってその必要がなくなった、こういう解釈ですね。それから、解釈論としては第四条の第一項の、私はさっきたしか観光目的と言ったけれども、観光でなくて、親族ないし家族を訪問するという訪問目的でまず入ってくる、この訪問目的というのは第四条の第一項の何号に該当しますか。
○政府委員(大鷹弘君) 従来、第四条第一項の四は観光ということになっておりましたけれども、今度の改正案では、御案内のとおり、これを短期滞在者ということでまとめたものでございます。この中には、観光、保養、スポーツ、見学、会合への参加、業務連絡等のほかに、親族の訪問ということがあるわけでございます。したがいまして、先ほどの事例につきまして申せば、その外国人夫は妻を訪問するということで四—一—四、短期滞在の査証をとって一たん入国されて、その後で在留資格の変更ということを申請するということになろうかと考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 なるほど。今度は改正法の第一項四号ですね、この中の親族の訪問というのがある。これによって妻の両親でもいいわけでしょう。妻の両親を訪問する。そうして入ってきて、その間に就職先を探す。そして就職した場合には、今度は第何条によってこれは長期の滞在を申請することになりますか。
○政府委員(大鷹弘君) そのときには在留資格の変更を申請されるわけですけれども、就職されましたので、第二十条の第三項が適用されます。このただし書きに、やむを得ない特別の事情に基づく場合には、この四条第一項第四号に該当する者がほかの在留資格に変更することを許すということになっております。したがいまして、いまの外国人の夫の人につきましては、やむを得ない事情があるかどうかということになるのでございますけれども、一般的に言えば、日本人配偶者につきましては、事情をしんしゃくされる場合が多いということを先ほど御説明した次第でございます。
○寺田熊雄君 いまの局長のお話ですと、第四条一項六号、七号、十二号、十三号に該当する者としての在留資格への変更と、こういうことになりますね。いまの六号といいますと、「本邦の学術研究機関又は教育機関において特定の研究を行い、又は教育を受けようとする者」、これは主として留学生だろうと思うんですが、六号の二は、「本邦の公私の機関により受け入れられて産業上の技術又は技能を習得しようとする者」、これも研修生的な者でしょう。それから十二号は、「産業上の高度な又は特殊な技術又は技能を提供するために本邦の公私の機関により招へいされる者」、これは非常に高度な技術を持っています。それから十二号は、「本邦で専ら熟練労働に従事しようとする者」、このいま私が読んだ号に該当する者として許可をするということになりますと、一般の通常の会社に勤務したという者は、これはどうなりますか。
○説明員(山本達雄君) 先生ただいま御指摘のとおり、四−一−六とか七に変更するということではございません。お尋ねのようなケースでは通常一六—三の在留資格が与えられるのだろうと思います。四−一−一六—三でございます。「法務大臣が特に在留を認める者」です。 なお、敷衍いたしますならば、将来その者が日本で永住したいということになりますれば、二十二条の要件を緩和された条件のもとで永住を取得する道が開けておるわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、そういうふうに日本人の妻と結婚した外国人が、初めは親族訪問の目的で日本に入ってきますね、それから就職先を見つけると、そのときにはこの四条の一項の十六号ですね、あなたがおっしゃるのは第十六号によるというんですか。
○説明員(山本達雄君) そういうことでございます。四条一項十六号の三と申しますのは、これは特定の在留資格及びその在留期間を定める省令がございまして、その中の「法務大臣が特に在留を認める者」という資格がございます。それが世に四−一−一六−三と呼んでおるものでございます。
○寺田熊雄君 もうちょっとゆっくりよく説明してください。ちょっとよくわからない。
○説明員(山本達雄君) それでは初めから整理して申し上げたいと思います。 まず、日本人妻の実家に資産がある場合には、四−一−四、親族訪問というようなことでなくても在留、入国できるということでございます。また、仮に何かの事情で四−一−四、親族訪問ということで来てしまった、入国が許可されたというような場合を想定いたしましても、その外国人夫が就職するなどして生活維持能力ができたということで、引き続き日本人である妻とともに日本で居住したいという場合には、今度はいずれの在留資格への変更も自由になりましたので、四条一項十六号の在留資格に変更ができるということでございます。 四条一項十六号は、これは内訳がございまして、特定の在留資格及びその在留期間を定める省令によりまして四つの区分がございまして、その中の一つ——三号でございますね、「法務大臣が特に在留を認める者」という資格が与えられる。これはつまり四条一項十六号で省令の三号でございますので、四−一−一六−三と呼んでおるわけでございます。
○寺田熊雄君 なかなか、あなた方のテクニカルタームで説明をなさるから……。わかりました。その省令の三号というのは、後でその省令というものをひとつこの委員会に提出していただけますね。
○説明員(山本達雄君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 この参考資料の中にあるかしら。
○説明員(山本達雄君) ございます。
○寺田熊雄君 何ページ。
○説明員(山本達雄君) この資料の六十一ページでございます。
○寺田熊雄君 この三号というのは「前二号に規定する者を除く外、法務大臣が特に在留を認める者」、この規定によってそういう場合には原則として在留を認めることができる、こういうことですね。
○説明員(山本達雄君) そういうことでございます。
○寺田熊雄君 これの在留を認めるという期間は、その第二項によりますと、「前項第三号に該当する者」、これは「三年をこえない範囲内で法務大臣が指定する期間」と。これは、つまり就職しても日本に永住しようと思う場合は、先ほどあなたのおっしゃった二十二条の二によって永住許可を取ってもいいし、三年を超えない期間を更新していってもいいわけですか。
○説明員(山本達雄君) そういうことでございます。永住の方は、まず当初この一六—二という在留資格を取りまして、その後日本で永住したいということになりますれば、永住許可を申請していただくということになるのではないかと考えております。
○寺田熊雄君 永住許可を申請した場合には、たとえば日本人妻を持っている外国人が就職を見つけた、これは生計の資もあった、素行も善良であるというと、原則としてそれはもう在留許可、永住許可を得られるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○説明員(山本達雄君) その日本人妻が一生と申しますか、長らく日本で暮らすという意思を固めておるといたしますならば、家族というものは同一の資格か——もちろん妻が日本人で、外国人が日本人と同じ資格ということは、これは意味がないわけでございますが、そういう場合には永住という入管令上の最高の永住資格を持って生活すべきであるというように考えておるわけでございます。 したがいまして、もう一度申し上げますと、妻が長く、あるいは一生もう日本で住みたいというふうに考えておる場合には、その外国人夫に対して永住を許可することになると考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、まず解釈論としてもいまの現行法——現行法と私の言うのは改正法も含めて、大体これを運用して男女差別がなく運用ができると、そういうふうになりますね。 それから、それよりさかのぼって、就職先がなくても、妻の実家が妻と外国人の夫とその間にできた子供三人を引き取って十分養っていけるという状態にあれば、もうそれだけで入国を認めて、そして在留を許可する、そういうふうに伺ってよろしいんでしょうね。
○説明員(山本達雄君) そういうことでございます。 もう一度この問題を整理して申し上げますと、入国について男女間で差別があるのじゃないか、妻が日本人である場合と妻が外国人である場合と、夫が外国人である場合には、入国許可を得るのに難易の差があるのじゃないかということだと思うのですが、確かにかっては入管行政上もどちらが外国人であるかによって差がございました。これは事実でございますので、われわれも否定できないと思っております。 しかし、その後時代が進歩し、また、人権規約に入ったり、あるいは婦人年というようなものを迎えたり、いろいろしてまいりまして、入管行政も男女差別しないという方向に改めてきたわけでございます。先ほど来、局長がるる申し上げましたのも、現時点においては要するに結論的には男女差というものは設けていないということでございまして、そういうように御理解いただきたいと思います。
○寺田熊雄君 結構です。
○藤原房雄君 出入国管理令の一部を改正する法律案、これと難民条約と相関連するわけでありますので、それらのことにつきまして基本的なことをいろいろお尋ねを申し上げたいと思います。 大臣ちょっといらっしゃらないようなので、お帰りになりましたらこれらの問題についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、最初に、総括的なことは大臣が来てからお伺いするといたしまして、このたびの法律は二つに縦分けすることができるだろうと思います。 最初には、長期在留外国人の法的な地位を在留実態に合わせて安定したものに改正するというのが一つですね。それと、それから時代の要請に伴いまして、出入国の数が急増しております。それに対しましてどうするかという問題と、二つに大きく縦分けすることができるだろうと思うんであります。 最初に、ここにございますが、「近年におけるわが国の国際的地位の向上、国際交流の活発化、航空機を中心とした国際交通機関の発達に伴い、出入国者が飛躍的に増加するとともに、外国人の入国・在留の目的も多様化しておりますので、このような新しい情勢に対応できるよう現行法制を改める」ということでありますが、数値的に見ましても、最近の出入国の数というのは非常に急増いたしておりますね。 私ども、過日法務委員会といたしまして成田の実態等についていろいろ視察をさしていただきました。そのときにも、関係の方々からいろいろ陳情といいますか、現状についてお話があったわけでありますが、この出入国の現状について当局としてはどういうように現在の時点、これが急激な今後こういう推移でいくとは必ずしも言えないのかもしれませんけれども、漸増傾向といいますか、そういう傾向はやっぱりあるだろうと思うんです。そういうこと等も考え合わせまして、出入国に関します事務上の諸問題ですね、特に成田でいろいろなお話がございましたのは、そこに携わる方々の非常に人手が足りないといいますか、そういう中で急増する出入国者の事務的な処理に非常に時間を要するという、こういうお話もございました。そういうこと等を考え合わせまして、最近の現状、そしてまた、これに伴います予算とか、こういう事務的な問題について現状をひとつ御報告いただきたいとともに、それに対してまたどのように現在対処方を考えていらっしゃるのか、その辺のことについてちょっとお伺いをしておきたいと思いますが。
○政府委員(大鷹弘君) 昭和五十六年四月一日現在におきます入国警備官の定員は六百八十七名、入国審査官の定員は六百六十七名でございます。 先生御指摘のとおり、近来、日本人の出入国の数は非常にふえております。おととしは往復で八百万超しまして、それから去年は微減しておりますが、趨勢としてはやはりこれからもふえ続けるのだろうと思います。外国人の出入国も非常にふえまして、昨年は百万の大台を突破したというわけでございます。 そのほかに、今回の法改正によりまして特例永住の許可の事務であるとか、それから難民認定事務等が新しい仕事としてつけ加わることになります。こういう問題を処理するために必要となる定員につきましては、最近におきます財政事情にかんがみ、業務の簡素合理化、それから職員の適正配置を図ることによって対処したいと考えておりますが、それでもなお既定定員及び既定経費で賄えない場合には、関係省庁とも協議して所要の措置をとることにしたいと考えているところでございます。
○藤原房雄君 いま人員等についてのお話がございましたが、これは時間的に夕方ですか、この旅行者が、出入国をなさる方々の数が非常に急増、ピークを迎えるわけですね。こういうことから、ここに携わる方々の勤務状況、非常に不規則な生活を強いられるというようなことになるんじゃないかと思いますけれども、こういうことでは、職員の方々の宿舎とか健康管理とか、こういうようなこと等についてはどのように考え、そしてまた実施なさっていらっしゃるのか。これは、出入国の職員をふやすなんていうことは軽々にできることじゃございませんので、こういう急増いたす場合には、これに対する対応というのは非常にむずかしいことなんだろうと思います。そういう中でやらなければならない。 日本の国の表玄関でございますから、そこへおりられた方がまず長時間待たされるということで、非常に悪い印象を与えるようなことがあってはならぬというそういう配慮も当然ありまして、事務当局としましては大変に気を使っていらっしゃるんじゃないかという、こういうことを考えるわけで、そういうこと等もあわせますと、現状としてはこういう職員の立場に立ってどういうことがなされていらっしゃるのか。今後のことについては、またどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。その間のことについて、ちょっと御説明いただきたいと思いますが。
○政府委員(大鷹弘君) 先生御指摘のとおり、夜間勤務を要する仕事、空港勤務者の場合には、そういう夜間に何といいますか、飛行便の出発あるいは到着が集中するということで、非常にそういう厳しい勤務をしているわけでございますが、実はこの空港だけじゃなくて、入国者収容所とか、それから地方入国管理局の収容場等でもやはり相当そういう意味では厳しい業務なわけでございますが、私どもといたしましては、こういう仕事に携わる人々の健康管理とか、そういうものについては、万全の措置をとりたいと常々考えているわけでございます。 なお、空港におけるそういう勤務をどうやって少しでも楽にしてあげられるだろうかということにつきましては、幾つかの方途を現在実行しております。たとえばその一つは、先ほど申し上げましたピーク時、出発客とか到着客が集中するようなそういう時間帯に、できるだけ審査官とか、そういう関係の人たちを集中的に配置するということ。それから第二に、たとえば出入国審査をなるべく合理化するために電算化というものを現在検討しておりまして、すでにその一部は実行に移されているわけでございます。そのほかに、全体として組織改編によりまして、空港への人員の再配置を重点的にやるということも考えているわけでございます。
○藤原房雄君 旅行者の、去年は日本人が四百万近いあれですか、往復しますと一千万近いということですね。いずれにしましても、日本人の出入国が非常に多いわけですね、数の上では。今度は六十条の改正で、証印を受けるというものが確認というふうに変わりましたですね。これは手続的にはどれだけの省力化といいますか、簡素化につながるのかということと、日本人が多いということですから、これは外国の方々とは違って事務的には簡素化する要素というのはあるわけですね。 こういう実務的な面から見て、省力化とか、こういうことについてはもちろん現場ではいろいろな検討がなされていることだろうと思いますけれども、このたびのこの六十条の改正とあわせて、こういう事務的なものについては現状どういうふうになって、これから改正になりますとどういうふうになるのか。また、今後のこの急増する出入国管理についてどのように施策をお考えになっていらっしゃるのか、その辺のことについてお伺いしたいと思いますが。
○政府委員(大鷹弘君) 先ほど、業務をできるだけ合理化して職員への負担を軽くしたいということで、その一環としてなるべく電算化をやりたい、進めたいと考えていることを申し上げたわけでございます。 そこで、たとえば先生がただいまお取り上げになりました第六十条、日本人の出国につきましては、出国の証印ではなくて確認を受けるというふうになっております。なぜ確認かということでございますが、これも遠い先にはなるかもしれませんけれども、出国に際しまして電算機を使って、そうしてたとえば進んだ電算機の場合には、いろいろな文字も読み取れるというようなことができるようになるかもしれません。その場合には、証印なんということをやらないでも電算機を使って簡単に手続がとれる。そういう時代も来ようかと考えまして、こういうふうにしたわけでございます。 いずれにしましても、いろんな方法がございますけれども、その一つとしてできるだけ仕事を合理化する、機械化するということを、私どもはかなり重点を置いて考えているわけでございます。
○藤原房雄君 大臣、いらっしゃらない前に、このたびの法律、急増します出入国に対しまして、時代に相応したように内部的な条文について改正をするという現状に即したそれと、わが国に長期滞在していらっしゃいます外国人の法的な地位を安定させるという二つのことが大きな柱になっているんだろう。その中で、入国管理事務につきましても、今回六十条、いまお話ございましたが、証印を受けるというやつが確認というふうに変わったわけでありますが、そうしますと、私どもは視察に参りましても、非常にピークになりますと大変な職員の不足といいますか、ピーク時になりますと大変多くなるということでありますから、それらのことについては、勤務の体制とか、それからいろいろ考えてやっているんだろうと思いますけれども、非常にそういう点では過重といいますか、不規則な生活を強いられたり、勤務条件が厳しい状況の中にあるのではないか。 そういうこと等についてお伺いをしたわけでありますが、それと、今度はその点は一応了解いたしましたが、私もこの法律につきましてはもちろん賛成でもありますし、一日も早くこういう状況がつくられることを望んでおったわけでありますが、しかし、その条文の中にはまだ前進させるべき何点かあることも当然であります。 そういうことからかんがみまして、出入国管理令の一部改正ということでありますが、総体的な面について、個々の問題についてはまだ後日審議することになろうかと思うんですが、日本は国際人権規約に加入をいたしておりまして、そういう観点から、観点というより日本と諸外国とのいろいろ比較の中から、入国管理、この管理ということもいろいろ議論があるようなんですけれども、ずっと見ますと、入国管理事務というのは、どちらかというとこれは法務省が担当しておるわけですね。 それともう一つは、今回改正の一つになっております、難民条約等で問題になっております社会保障、年金とか児童扶養手当のような問題とか、こういうものはこれは厚生省で所管することだろうと思いますし、また、就職等についてもいろいろ入国の窓口の一つの事務だけじゃございません。そこに一人の人間、とうとばなければならない人がそこにいるということで、事務的にそれがただ処理されるということじゃなくて、人がどういう処遇を受けるかという、その背後にはいろんな関連する問題が出てくるわけですね。 こういうことを考えますと、特に今回のこの改正の中に、外国人の長期滞在なさっていらっしゃる方々の法的な地位を安定させるというこういうこと等になりますと、これは戦前から日本にいらっしゃいます韓国、朝鮮半島の方々のことが当然問題になるわけでありますけれども、それぞれのセクションごとに担当して今日まで来ているんですけれども、これはやっぱり総括的に、今度は難民問題なんかは難民対策室というようなことで検討しようということでありますけれども、これだけ多くの方々がいらっしゃる中で、そのときそのときこういう問題が出てきてそれに対して取り組まねばならぬということじゃなくて、やっぱり日本としてもこれは非常に大事な問題として、今日までも決して軽率には扱ってはおりませんけれども、これは行政の一本化というか、窓口というか、総体的にこれを見る、そういうところがやっぱりあって、長期的な展望の上に立っていろいろ検討するということは必要なことで、大事なことではないかなと私は思うんですね。 とにかく今回のこの改正に当たりましても、難民条約というようなことがにわかにということじゃございませんが、日本もそれを批准しなければならぬ、それに伴いまして国内法制の整備もしなければならぬ、こういう中で、必要に迫られて今回の改正というものがなされたのではないかと、こう言われております。皆さんにするとそうじゃない、前々から考えていたことだということなのかもしれませんけれども、やはりこれは日本の国としましてもどうしても解決といいますか、取り組まねばならない問題である。 この行政改革ということの中から、やたらにそういう省庁といいますか、複雑なものをつくるということはどうかということですが、これは何も人をふやすとか何とかということじゃなくて、この問題についてやっぱり総合的に考えるそういう立場、窓口といいますか、そういうものが必要なんだと思います。今日までそういうものがちゃんと設置されてやっているならいいんですけれども、どう見ましてもそれぞれのセクション、セクションでいろいろなさっている。起きた問題についてそれぞれやっていらっしゃる。 こういう現状の中で、今回これからまた難民問題等出てくるわけでありますし、いろいろな社会情勢の変化の中で対応が迫られるわけでありますけれども、こういう中でこの出入国管理、難民だけにとどまらず、やはり行政上もそれに対応します。そういう考え方というものをここらで考えるべきときが来ているのではないか。これは長期的な総合的な検討といいますか、そういうものもどこかが窓口になってお考えいただくような、そういうものが必要ではないかという気がするんですけれども、どうでしょうか、大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) お考え、よく理解できるわけでございます。しかし、行政が深みを増しできますと、どうしても分化していくのじゃないかなと、こう考えるわけでございます。 したがいまして、いまインドシナ三国の難民の定住を助けているわけでございますけれども、この仕事も、日本語を覚えさせる、そのために文部省が一役買っておりますし、また、生活のめんどうを見る、医療のめんどうを見る、厚生省が一役買っておりますし、さらにまた、職業のお世話をしなければならない、労働省が一役買っておりますし、また、国際関係の問題いろいろございまして、外務省も一役買っておるわけでございます。 そういうことから、そういう対策の窓口として総理府に現在インドシナ難民対策を扱う事務スタッフを設けたわけでございます。設けたわけでありますが、やっぱり関係各省から人を出しているわけでありまして、出入国管理事務を扱います法務省からも人を出しておるわけでございます。そういうことでございますので、仮に法律を一つにしましたところで、その関係が各省に及んでいくわけでございますので、それだけで私は問題が解決しないような感じがいたします。 難民認定を法務省が扱うことになりましたので、今後法務省の役割りはいままでよりも少し大きくなると思うのでございますけれども、やっぱり相互連絡し合いながら物を処理していく以外にはないのじゃないだろうかなと、こう思うわけでございまして、私の体験を申し上げて大変恐縮でございますけれども、占領下で地方税法を書きましたときに、その一つの税目を見れば全部わかるようにしろという占領軍の強い指示がございまして、そのために四百条内外だった条文が千条を超える条文になりました。私も若干抵抗したものですから、大臣と一緒に総司令部に出てこいと言われて、何のことかと思ったらこういうことでございまして、それならばそういう強い決意を持っているのだということを言えばいいじゃないかというようなことを私は言ったことがございますけれども、そういうようにすべて私はよしあしじゃないかなと、こう思うのです。 総合的に扱うことがよいようで、それじゃあ相手方にとっていいかということになりますと、必ずしもそうは言い切れない。大事なことでございますから今後とも検討させていただきますけれども、そういう問題点のあることだけ、ひとつ御理解を賜っておきたいと思います。
○藤原房雄君 まあ大臣のおっしゃることもわからないわけじゃございませんし、また、窓口をたくさんつくって複雑な行政をつくれということでは決してないんですが、多岐にわたる各省庁にわたります諸問題であり、また、これは避けて通れない、今後また逐次長期展望に立って総合的にだれかが責任を持って考えていかなければならないことであるということで、何もいますぐどうということではございませんが、そういう長期的な総合的な観点に立って、これらの問題を考えていかなければならないときに来たのではないかという感じがしますので申し上げたわけであります。 それと、わが国はとかくに排他的な国であるとかなんとか、こういうことをよく言われるわけであります。また、いろんな外国の方も、日本に来た方のお話を聞きましても、必ずしも日本の入国管理事務だけではございませんけれども、旅行でふらっと来た方は別でしょうけれども、何かありますと非常に厳しいというか、そういう面については言われるわけでありますし、決して諸外国の中で日本の国は評判のいい国ではないことは、もう大臣も御存じのことだろうと思うんでありますが、国際人権規約に日本が加盟し、また、国際社会の中で日本が果たすべき役割りというのは非常に大きくなったわけであります。 特に、大臣の好きな日本国憲法、この前文にも「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」という、前文にこういうふうにうたってあるわけです。誓いましてから、もう三十何年たったわけですけれどもね。 しかし、なかなか日本は島国というか、こういう地理的な条件や、また、単一民族であるということや、いろんな諸条件があろうかと思いますけれども、とかくに諸外国からいろいろに言われるわけでありますが、こういうこと等も考えあわせまして、やはり今日までも全面改正といいますか、入国管理諸問題についてのこういうこともいろいろ言われてきまして、今回まで四回ですか政府も法案をつくられ、それはいろいろ問題があったということで今日までいろいろな経緯があったわけでありますけれども、今回の改正、これは全面改正といいますか、国際社会の中で日本が果たすべき役割りというそういう大きな立場の上から、当然大きな改正というものが今日までも試みられてきたわけでありますけれども、こういう大きな改正という上から見ますと、今回の改正というのはどういう立場といいますか位置にあるのかという、どういうふうに位置づけたらいいのかという、この辺の関係性について大臣のお考えをお聞きしたいと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) これまで数回、全文改正で国会に提出してまいったわけでございまして、今回一部改正でございますけれども、当面、改正を必要とするものは全部改正案の中に織り込ましていただいたつもりでございます。そういうこともございまして、実質はこれでいままでの懸案は片づいたのですという気持ちをあらわしたい、そういうこともございまして、題名も改正さしていただいて、いつまでもポツダム政令ということも穏当でない、そういうことで、出入国管理及び難民認定法というように改めさしていただいたわけでございます。 もちろん、今後も情勢の進展に応じまして必要が生じてまいりますれば、一部改正として法案を提出さしていただきたいわけでございますけれども、従来、全文改正でやっておったのだから、また全文改正を試みるのかと言われますと、そういう考え方は毛頭ない。今回はこれで懸案を一応解決さしていただいたというつもりでおるわけでございまして、したがいまして、政令を法というふうに題名まで改めて、御審議を煩わすということにさせていただいたわけでございます。
○藤原房雄君 法的な問題についてはいま大臣のおっしゃったとおりだろうと思いますが、私はやっぱり憲法の前文でうたっております崇高な理念といいますか、こういうものが今回のこの改正の中でどのように生きているのかということですね。これはもう単なる感情とか何かではなくて、日本が今日まで諸外国からいろんなふうに言われております。それは、来た人たちがどういうふうに感ずるかは、そのときそのときのいろんな状況があるだろうけれども、おしなべて日本にいらっしゃった方々については、余りいい感じを持っていないように言われております。 いま簡略に大臣からお話ございましたけれども、このたびの改正というものは国際化への第一歩といいますか、日本もこういう複雑な諸情勢の中で現状追認というだけではなくして、やっぱりもう一歩踏み出した精神というものをこの法律の中に盛り込む努力をし、そしてつくり上げたのがこの改正であるという——先ほど冒頭に申し上げたように、やっぱりそこに日本を訪れる人があるということですね。それは外国人であろうとも、その人に対してどういう処遇をするかという、人権尊重とか何かいろんなことを言われておりますけれども、事務上のことだけではなくて、やっぱりいままでの日本に対するイメージというものが変えられるような根本的な精神といいますか、心がこの中に生きていなければならぬと私は思うんですよ。そういう点では、今度の改正というのはそういうことも十分に勘案してつくられたものであるかということですけれども、どうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 理想的なことを考えていきますと、まだまだ私たち検討していかなきゃならないことはたくさんあると思います。今回はそこまで思い至りませんで、とにかく従来全文改正を志してできなかった、今回はむしろその際には取り上げられなかったけれども、従来日本国籍を持っておった方々の生活の安定を図ってあげたい、そして、難民の問題についても相応な改正をあわせてやっていきたいというようなことでございました。 申し上げましたような問題は、将来にわたって引き継いで検討していかなきゃならない問題だと、こう思います。検討させていかせていただきたいと思っております。
○藤原房雄君 とかくに外国人の人権が十分に守られず、国際性に欠けるとかいろいろ言われておったわけですけれども、そういうことで、今後そういう理想に近づけるための努力をひとつ要望いたしておきたいと思うんであります。 先ほど同僚委員から各項目についていろいろお話がございましたが、私も考えておりました何点かについては先ほどお話もございました。 一つお伺いしておきますが、「元日本国民であった朝鮮半島・台湾出身者及びこれらの者の」云云と記せられておるわけでありますけれども、今回永住を認められるであろう方々というのは、おおよそ人数的にはどのくらいの方々になるんでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 約二十八万名でございます。
○藤原房雄君 今回のこの改正によりまして実質的に永住を認められる、永住許可の要件が緩和されるわけですからね。これは二十八万の方が永住許可が出ると、実質的にこれらの方々はどういう利益を受けるのかということですけれども、要件緩和とかいろいろなことが言われておるわけですけれども、私はその中で指摘しておきたいのは、いろんな条件があるわけですが、まあ一つの、大局的に考えまして、日本にいらっしゃる韓国、朝鮮半島の方々の世代といいますか、年代というか、これはどんどん変わりつつあるわけですね。日本で生まれた方が非常に多くなっているということも聞いておるわけですけれども、総人数に対して日本で生まれた方というのはおおよそどのぐらいの人数になっているのか。その比較は、これはいろんな資料なんかあって、きちっとでなくてもよろしゅうございますが、おおよその見当で結構ですけれども、どうでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) 朝鮮半島出身者のうちの約三十五万名は、いわゆる日韓法的地位に関する協定によりまして、協定永住をとっております。それ以外の方が約二十八万名おるわけでございまして、この方々が今度いわゆる特例永住の対象になるわけでございます。 それじゃ、その二十八万名の方のうち、世代的にどういうことになっているかと申しますと、いわゆる法一二六−二−六の該当者、これが約十四万名でございます。それから、その子供が、ほぼ同じ人数の十四万名でございます。これは現在、在留資格としては四−一−一六−二というものを持っております。それから、その孫でございますけれども、これは非常に少数でございまして、現在のところ三千四百名ぐらいでございます。この人たちは、在留資格は四−一−一六−三を持っておるわけでございます。 先ほど先生、冒頭、それじゃ特例永住になったときどういう利点があるのだろうかということをおっしゃいましたけれども、この一六−二と一六−三の人は、現在、在留期間は三年でございます。三年ごとに在留期間を更新しているわけでございますけれども、永住になりますと、この更新の手続が省けるわけでございます。
○藤原房雄君 そうしますと、在日朝鮮人の出身者の方々のいらっしゃる、日本の国で生まれた方のおおよその割合はどのぐらいになりますか、大体七割か八割ぐらいじゃないかと思いますけれども。
○政府委員(大鷹弘君) 現在、朝鮮半島出身者全部のうちの約八割が日本で生まれております。
○藤原房雄君 こういうことを考えますと、日本は父系主義ですからあれですけれども、出生地主義をとっていればこれは日本人ということになるわけですね。これはある時点でとらまえますと、この比率というのはもっともっと少なかったのかしれませんが、これからこういう比率がだんだんと高くなっていくんだろうと思いますね。そういうことを考えますと、いま父系主義ということにつきましても、男女平等ということからいろいろ議論を呼んでおるわけでありますけれども、日本が国際的な立場に立ちまして、いろいろいままでの閉鎖的なところから国際性、こういうものでこれらの諸問題を考えていきますと、日本が検討しなきゃならぬ、考えていかなきゃならぬ問題がだんだん出てくるんだろうと思いますけれども、これから日本の国で生まれる方がだんだん多くなるということになりますと、それに伴いましてやっぱりこの先いろんなことが考えられてくるだろうと思うんです。 そういうこと等もあわせまして、冒頭申し上げた長期とか総合的とか、そういうことからいろんな問題をこれから考えなきゃならぬことがあるだろうということを申し上げたんでありますが、そのことは一応おきまして、これらの方々に対しては帰化ということが一つありますね。 帰化の現状というのは、これは朝鮮半島の出身者の方々につきましてはどういうふうになっていますでしょうか。ここ一、二年の年次にわたりまして帰化を許可した数といいますか、この数がわかりましたらお知らせをいただきたいと思いますが。これは外国人全体、総数と、韓国、朝鮮人についてということでわかれば、わからなきゃわかっている範囲内で結構ですけれども。
○政府委員(大鷹弘君) 外国人の帰化、それからその中におきます朝鮮半島出身者の内数、こういうものにつきましての資料は、現在ここに持ち合わせておりません。
○藤原房雄君 おおよその数で結構ですよ。
○説明員(山本達雄君) 局長が申し上げましたとおりに、正確な数字は持ち合わせておりませんが、私の記憶によりますと、年間、帰化を認める件数が約六千でございます。そのうち朝鮮半島出身者、韓国籍の人が多いわけですが、韓国籍の人がほとんどでありますが、八割が韓国籍の人と記憶しております。
○藤原房雄君 大体六、七千、八千ぐらいの中で韓国、朝鮮出身の方が四、五千といいますか、大体それぐらいの数になっておるようですが、これは帰化を申請なさる方というのはどのぐらいいらっしゃって、またその中から、これはすぐその年度、年度というわけにもいかないでしょうからあれですが、およそどのぐらいの方が帰化を希望していらっしゃるのか。これは本人の意思でありますから、在留なさる方々のいろんな諸条件がありまして一概には言えないのかもしれませんけれども、いまだんだん日本の国で生まれ日本の国で育つ、こういう方々が多くなるという中で、いつまでも日本の中に一つの特定の民族意識といいますか、そういうものを置くというのではなくて、中には日本の国に帰化したいという方々もいらっしゃるんじゃないかと思います。 そういうことで、こういう現状は一体どうなっているのかということを、そういうことでお聞きしているわけでありますが、資料を何か持ってきてないようなので、これはまことに申しわけございませんが、おおよその見当で結構でありますが、こういう帰化問題についてはどのぐらいの方方が申請して、現状どうなっているのか。これは許可した数というのは大体五、六千という大体いまお話ございましたけれども、その辺のこの問題についてのちょっと現状をひとつ御説明いただきたいと思いますが、どうでしょう。
○説明員(山本達雄君) 年間、帰化申請件数がどれぐらいあるかにつきましては、いま即刻調べておりますので、その資料が届き次第御説明申し上げますが、ただ法務省では従来から、国籍のいかんを問わず、帰化の申請を制限しておるわけではございません。帰化の申請をされる場合には、これを積極的に受け付ける。ただ、国籍法に帰化の要件が定まっておりますので、せっかく申請がございましても、その要件を満たさない場合にはこれは許可することができない。しかし、要件を満たしておれば、これは間違いなく帰化を許可するということでございます。
○国務大臣(奥野誠亮君) かつて日本の国籍を持っておられた方々が、引き続いて日本に在留しておられる、当然私は永住を認めるべきだと、こう思うわけでございますし、今回それに関連した措置もとらせていただいたわけでございます。 韓国との間の協定永住でしばしば問題になります孫の問題、十年先に協議をしようということになっている。私は、永住することについて問題はないと思うのです。永住した場合に、日本人として永住していくのか、国籍国の人間として永住していくのか。私は、国籍国としても問題があるし日本としても非常に問題がある、こう思うわけでございまして、そういう問題をもう一遍十年先に協議しようじゃないかということに私は受け取っておるわけでございます。 同時に、いまおっしゃいました申請をして日本が帰化を認めるか認めないか、かつて日本国籍を持っていらっしゃった方々であります限り、私は当然帰化を認めていいと思いますし、また、法務省も従来からそういう方針をとっているわけであります。しかし、朝鮮民主主義人民共和国のように、同化させない、こういうことを基本方針にしておられる国もあるわけでございます。したがいまして、相手国がどう考えるかということも大事な問題でございまして、こういう考え方が私はここでいいとか悪いとか申し上げるつもりはございません。この間もどこかで朝鮮大学のことをちょっと例として挙げたこともございましたけれども、私たちが善意で考えているつもりでありましてもそう取ってくれない相手方のある場合もございまして、なかなかアジアの情勢複雑なところがございます。 永住は私は希望される限りこれはもう当然認めるべきだ、将来どうしていくかということは相互にいろいろな問題があるわけでございますから、やはりいろいろお互いに相談し合ってお互いによい方法を決めていく大事な問題をやっぱり抱えているのではないかなと、こう思ったりしているところでございます。御参考に申し上げさしていただきました。
○藤原房雄君 どこの国がどうだということじゃございませんで、永住許可ということと、また帰化ということと、こういう制度とあるわけでありますから、それはお互いに関連、無関係じゃございませんで関連性があるわけですから、現状としてはどうなっているのかということでお聞きしたわけでありますし、同じ状況というのはございませんで、もう年々時代は推移をいたしますし、また、国際社会いろいろな複雑な様相を呈しておりますし、そういう中で検討する課題というのは決して少なくない、こういう感じがございましていま申し上げたわけであります。 それと、今回、年金問題、社会保障とか、こういう問題についても考えようということですね。これは今度の委員会のときにまたいろいろお聞きしようと思っておりますが、確かにそれは今日まで望まれてきたことであるし、社会保障というのは先ほど大臣のお話も、教育とかいろいろなことについてお話もございました。日本の国すらも皆年金制度、みんなが年金に入るという制度ができたのはつい最近でありまして、無年金者をなくしようということも最近起こったことでありますけれども、二度、三度特例措置が設けられて、ようやく去年ですか、三度目、それでもまだというような現状の中にあるわけでありますが、戦前から日本にいらっしゃった方、朝鮮半島の出身者の方方につきまして、今回できるとは言いながら、しかしこれは三十五歳以上の方、結局、長くいらっしゃって、長く日本の社会で同化して日本の社会にいらっしゃる方が不適用といいますか、恩恵にあずかれない。 年金というのは積み立てなきゃならぬわけでありますから、その積み立ての年限に達しないということになると当然そういうことも出てくるのかと思いますけれども、これは今回こういう制度が設けられたのであって、これは決して完全ではないわけでありますから、当然今後検討の課題になるんだろうと思いますが、これは厚生大臣、当然責任者ということになるのかもしれませんけれども、そこに一人のとうとぶべき人があるという、この意味の上から考えますと、内閣閣僚の一人としまして、やっぱりこれはこれで満足だなんという気持ちはないだろうと思います。今後の課題の一つだろうと私は思うんです。 これはいつの時点でどうだということじゃございませんで、今後これはやっぱり検討すべき課題であるというふうに、このようにお認めになるのかどうなのか。現状としてはやむを得ない面もあるとしましても、将来これは政府としましてはどのようにお考えになるのか、これは閣僚の一人として、奥野法務大臣としてどうお考えになるかということかもしれませんけれども、どうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 厚生省としては日本人についてと全く同じような方針をとっているのだ、こういう答弁がございました。 御指摘になりましたように、三十五歳を超えている方々には年金のチャンスのない方々が多いわけでございますので、問題になることはおっしゃっているとおりだと思います。
○藤原房雄君 今回、難民条約に加盟いたしました。それに伴います国内法の整備等、それと出入国管理令の一部を改正する法律、こういうことでありますが、個々の各論的な問題については後日またいろいろ御質問申し上げたいと思っておりますが、将来、今後検討しなきゃならない課題も決して少なくないと思います。 さっきもいろいろお話ございましたけれども、政府でつくりました要綱の段階、きょうも先ほど何点か指摘がありましたけれども、要綱の段階から法案の段階で、ちょっと後退というか、変わった面が何点があったわけでありますけれども、それは先ほどもお話あった面もございますが、これは一つ一つ申し上げなくても、政府の方でいろいろ要綱をつくられ、法案をつくられたわけでありますからおわかりのことだと思いますが、この要綱が法案になるときに変えられたその何点かについて、それはどういう意見があってそういうふうに変えられたのか、まずこの相違点、これをお聞きをしておきたいと思うんです。 それで、先ほど同僚委員が質問なさった点もございますけれども、その質問なさった重複は避けて、何点があると思いますが、これはそれぞれの理由があって法案になったんだろうと思いますけれども、その中でこれはいろいろ議論がなされた。挙げればいろんなことがあろうかと思いますけれども、在留権の問題につきまして、永住許可の範囲についてとか、再入国許可の整備についてとか、いろんなことがあろうかと思いますけれども、何点かごの問題について見解を伺っておきたいと思いますが、どうでしょう。
○説明員(山本達雄君) この立案、立法作業の段階では、骨子と申しますか、要綱と申しますか、そういうものは何回もつくるわけでございます。それで、もちろんそのたびによくなっていくということでございます。 それで、先生いま御指摘になりました要綱と今度の成案では違っておると申されます。その要綱なものは、ことしの三月二日でございますか、新聞紙上で公表されたもののことかと思いますが、その要綱と今回の成案で実質的に違っておる点は一点でございます。それは永住許可の特例につきまして、申請期間経過後に出生じました法一二六−二−六該当者の申請期間につきまして、当初これを六十日といたしておりました。ところが、成案ではこれが三十日となっておるわけでございます。もっともそれは、要綱の上では六十日とも三十日とも、そういう数字は出ていないわけでございます。要綱を交渉いたしましたそのときに、コメントいたしました。そのコメントの内容として、六十日というのがあったわけでございます。 その六十日がなぜ三十日になったかと申しますと、日本で生まれました外国人は入管令二十二条の二第二項によりまして、出生後三十日以内に在留資格の取得の申請をしなければいけないことになっております。特例永住許可の申請につきましても、この二十二条の二に定める三十日と歩調を合わせて、三十日といたしたということでございます。 それから、これは実質的には異なっておるというわけではございませんが、現在御審議いただいております出入国管理令の一部を改正する法律案、この内容といたしまして、一時庇護の上陸の許可という制度と、それから迫害地向け不送還の原則というその二項を盛っておりました。これは、この成案からは落ちておりまして、次に御審議いただくことになっております条約関係の改正法の中に入っております。したがいまして、これは要綱が変わったと言えば変わったわけでございますが、二つある法律のどちらに入れるかだけの問題でございます。 その余の点につきましては、いずれも字句の修正でございます。言うなれば、法制局マターでございまして、実質的な内容には何ら変更はございません。
○藤原房雄君 それから、在留資格の短期滞在者、第四条「在留資格」、これの第四号に、「観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、」云々とございますね。「その他これらに類似する目的をもって、短期間本邦に滞在しようとする者」と、こうありますが、これは、在留資格には在留目的というのがあるわけでしょう。これはどの項目にまたがってもいいわけですね。これは一つの観光だけじゃなくて、観光とスポーツとか、ほかのこととか、これはそういう目的が多様にわたって例示してありますけれども、こういうものにまたがっていいのかどうか、これはどうでしょうか。期間は九十日ですか、そうして目的はどういうことになるのか、その辺どうでしょうか。
○説明員(山本達雄君) 改正案の四条第一項第四号でございますが、これはここに「観光、保養、」などと羅列しておりますが、そのいずれにまたがっても、いずれかの一つであっても差し支えございません。
○藤原房雄君 次に、技術研修生ですね。こういう技術研修生の入国を厳しくするというのは、安い労働力を輸入するということ等いろんなことがあるわけでありますけれども、技術研修生の資格を持って、資格というか、こういう方々が安い労働力として使われるようなことがないような歯どめといいますか、いろんなことが考えられているんだろうと思いますが、やっぱり今回、これは新設ということでありますから、こういうこと等もこの条文の中、条文といいますか、この法改正に伴いまして、こういう問題については新しいだけに、こういうふうになっているのかという気持ちを持っておるわけですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 技術研修生が安い労働力の供給ということで入国することは、これは私どもとしては好ましいことと思っておりません。したがって、技術研修生として入るときには、大体これは国であるとか地方自治体あるいは民間企業、まあこういうところの技術研修計画にかかわって入国してくるわけでございますけれども、特に民間なんかの場合、果たしてちゃんとした研修計画があるのかどうか、また必要な施設があるのかどうか、そういうことをチェックいたしまして、その上で入国を認めているわけでございます。 今日まで、この技術研修生というのは非常にふえております。これは、わが国の国際社会における経済的な地位であるとか、いろいろなものが向上しまして、その結果でございますが、近年では年間一万五千名ぐらい入っております。 そこで、現在まではこれは四−一−一六−三という資格で入っておりますが、これを一つの独立の資格にいたしまして、そうしてその在留実態を把握できるようにしたいということで、今度技術研修生という一つの在留資格を設けることにしたわけでございます。
○藤原房雄君 それから、今回の改正で、重要犯罪人等の国外逃亡を防止するため、外国人について出国の確認を二十四時間に限り留保する、こういう条文が今度新しく入れられましたですね。こういう条文からしますと、日本人の重要犯罪人については留保はできないことになっているわけなのだろうと思うんですけれども、最近、日本の重要犯罪人等の国外逃亡、こういうものを防止するための措置の実情、またその対策とか、こういうこと等について御説明をいただきたいと思います。 これは、この条文を新設された理由と、それから日本の重要犯罪人にまつわります現状、そういうことによって今回のこの条文ができたのだろうと思いますけれども、それらのことについてこれはどうでしょうか。
○説明員(山本達雄君) 出国確認の留保の制度でございますが、現在は、重要犯罪で逮捕状、勾留状が出ておる音あるいは公判係属中の音あるいは刑の執行を終わっていない遁刑者、こういう者が逮捕なり訴追なり、あるいは刑の執行を免れるために外国に脱出しようといたしましても、入管令上は何ら対応する措置が設けられておりません。入国審査官は、その事実を知っておっても、そのまま出国の証印を旅券に押さざるを得ないということになっております。しかし、これではわが国の司法の機能が健全に、有効に働きませんので、一定の時間を区切ってそれらの者に出国の留保をすることができることといたした次第であります。 なお、日本人につきましては、これは旅券がないと出国できません。旅券法上、個々の出国留保の条項に盛られておるようなものにつきましては、旅券の返納を命ずる制度が旅券法に定められております。したがいまして、そういう者は旅券がないということになりますので、いかなる身分においても、密出国すれば別でございますが、正規にブースを通って出国の手続を受けるということはできないことになっております。したがいまして、日本人については出国の留保の制度は必要ないと考えたものでございます。
○寺田熊雄君 ちょっと先ほど大臣、あちらに行っていらっしゃったのでお聞きすることができませんでしたが、入管行政は法務大臣の権限の中できわめて大きな権限だと言って差し支えないと思います。大臣がお持ちになる入管局長以下いいスタッフがおって、それを補佐しておるというのはわかりますが、現実にこの業務をとっている者は入国審査官それから警備官、この二種類になりますね。ところが、入国審査官の場合、私ども現実の入管行政でいろいろなうわさを聞くわけであります。業者とのいろんな癒着、業者といっても業者のボスとの間の癒着、平素供応接待を受けている。違法な行為でもそういう者に対しては非常に寛大に扱う、しかし、縁故のない者についてはもうきわめて厳しく扱う、そのほかにも非常に具体的な職権乱用の事実を知っておって、こういう場所ではそれを言うことははばかりますけれども、そういう大切な職分であるだけに、できれば入国審査官なり警備官というものにはかなりの職務をとった期間の長い人を充ててもらいたい。それから、できればその地位もできるだけ上げてやってほしい。 と同時に、そういう人々に対しては、できるだけ判検事のようにやっぱり教育の期間、職権を乱用しない、そして厳正に行う、公平兼直であれというような教育を随時実施していっていただきたい、こういうふうに考えております。 そこで、できるだけその地位を高めていってほしいということと、裁判官や検察官のようないつも心構えでやるということまでは期待できないかもしれないけれども、それに近いようにできるだけ教育をしてほしい、こういう要望を持っております。いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 公務に携わります者は、常に関係者、皆さん方の信頼を得て行わなければならないわけでございますだけに、いま御意見を承って、さて業者との癒着ということになると旅行業者なのかなと思いながら伺っておったわけでございます。大事な御意見を伺っておるわけでございますので、私どもとしてもさらに実情をよく調査をして、万が一にも問題の起こらないように配慮していきたいと思います。 同時に、研修につきましても、すでに行っておるわけでございますけれども、もう一遍研修の姿を私なりに調べまして、御期待に沿えるような出入国管理行政がやれるように、さらに一段の努力を払いたい、かように思います。
○戸塚進也君 まず、入る方のことについて、留学生のことでお尋ねいたしますが、私が留学生の若干お世話をいたしまして声を聞きますと、これは国によってではないかと思うのでございますが、外国から日本に受験をしたい、こういう場合に受験についての入国はこれは認めない、こういうようなことで非常に困っておる。では、どうして留学するかと言えば、結局、書類を送って推薦入学のような形をとるか、あるいは現地に大学が出張してきて試験をしてもらうか、そのいずれかの方法でないと、みずから日本に来たい、こういうふうに希望している受験生が入ってこれない、こういう実態があると承っておりますが、まず、入管さんの方ではそういうことはやっておらないんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 留学を希望される方が、まず受験の段階で入国したいという場合に、私どもとしては入国をお断りすることはないと思います。
○戸塚進也君 そういたしますと、今度はビザを発給する、いわゆる各日本の現地に出ている大使館ということになろうと思いますが、その点は外務省はいかがでございますか。
○説明員(田中祥策君) 外国人の学生が日本の大学受験のために参ります際には、観光査証その他の査証を出しておりまして、いままで受験のために日本に来るという目的でもって査証をお断りしたという例は、私は聞いていないわけでございます。 なお、日本の大学の場合に、国費留学生を含めまして、大部分の大学では、外国人の留学生の入学を許可いたしますには、おおむね書類選考によっている場合が多いわけでございまして、外国人の学生が入学試験だけのために日本にやってくるという例は非常に少ないのではないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、入学試験のためにやってくるという場合において査証を拒否したという例は、私は承知いたしておりません。
○戸塚進也君 いまの御答弁ですと、国費留学生のことはというお話があったが、日本に来ている留学生で国費留学生と私費留学生、どちらが多いとお考えですか。私は私費の方が多いと思いますが、どうですか。
○説明員(田中祥策君) お説のとおり、私費留学生の方が多いと存じております。いま、私費留学生も含めまして、わが国の大学が外国人の留学生を受け入れます場合に、書類選考によって入学を許可している例が一般にははるかに多いというふうに私は承知いたしております。
○戸塚進也君 では、文部省の理学生課に伺いますが、そういう問題は全くなしと考えてよろしいか。
○説明員(山本學君) 私どもは、外国人が日本の大学を受験するための入国について査証の発給が拒否された事例はないというふうに聞いております。
○戸塚進也君 よくわかりました。私は留学生からそういうことを聞いて、非常に困っておる、そういうことで、どうして日本に行って受験していいのか困っているという声を聞いておりましたからそれを伺いましたが、それでは文部省さん、あなたの方が留学生のお世話をされるんですから、日本にいま来ている留学生がそういう誤解をして本国へ帰れば、そうすれば本国からまた来る学生たちは、これは大使館へ申請してもだめなんだと、そう思っていたんじゃ、いい学生は日本に来ませんよ。ですから、これについては、いま現在来ている留学生にそういう誤解のないように十分説明願いたいと思うが、どうですか。
○説明員(山本學君) 留学生に対しまして、機会がありますれば、そういう指導をいたしたいと思います。
○戸塚進也君 それではもう一つ恐縮ですが、これも文部省さんにばかりお願いして申しわけないが、各国の留学生を日本に募集する際のいろんな文書とかそういうものがあると思いますが、そういうときには、いまのような誤解が起こらないように、それも研究していただけますね。
○説明員(山本學君) 研究いたします。
○戸塚進也君 それでは、現在来ている留学生のアルバイトの問題で伺いますが、これまた、いまの外国から来ている留学生が一番つらいのは、日本は非常にいいところだけれども物価が高い。それで、親からの送金だけではなかなか満足な勉強も生活もできないので、何とか多少のアルバイトもやりたいと思うが、日本政府はきつくてアルバイトを許してくれない、こういう苦情を方々から聞くわけです。そこで私どもは、そんなことはないんだ、それは水商売だとか危険な仕事だとか、そういうことをやったり、あるいは学校へも行かずアルバイトばかりやっているというのじゃ何のための学生だかわからぬ、こういうことになるからそういう点は十分気をつけるように言うけれども、夏休みとか、あるいは家庭教師とか、あるいはさら洗いとか、そういったような程度のアルバイトをすることまで禁止しているとは思わぬがと私は説明しても、留学生はなかなかそうでないと、こう言って首を振ってくれないんです。 先日、ちょっとこのことの打ち合わせで山本参事官に伺いましたら、山本参事官は、そんなことは決してありませんというお話でございましたが、もう一遍ここで明らかにしてください。
○政府委員(大鷹弘君) 外国人留学生のアルバイトに関しましては、ただいま戸塚先生が、自分はこういう理解でいるということで留学生に説明されているとおっしゃった、そのラインが基本的に正しいわけでございます。私どもといたしましては、留学生にアルバイトしてはいかぬというようなそういう指導は行っておりません。留学生からアルバイトを行うための資格外活動許可申請がありました場合には、本人の主たる活動である学業に支障を来さない範囲で、学生としての品位を汚すようなものでない限り、これを許可しております。今後ともこの方針で、現場の指導を遺漏ないようにいたしたいと思っております。
○戸塚進也君 大変ありがたいことを伺いました。参事官は進んで留学生の代表とも会ってくださるというお話ですから、ぜひそういう場を私はお願いしたいと思いますが、これまた、文部省の部長さんにひとつお願いいたしますが、そういう誤解が満ち満ちています。ですから、これは一番大事なことは、許可申請を出してというところが問題なんで、許可申請を出しても許してくれないと留学生は思っています。そんなことはないんですということについて、やっぱり所管の文部省で、もう少し留学生に親切に指導してやってほしいと思うが、どうでしょうか。
○説明員(山本學君) そういう誤解がございますとすれば非常に残念でございますので、私どもの方といたしましても、機会をできるだけ見つけまして、そういうことが徹底するように努めたいと存じます。
○戸塚進也君 それでは、今度は日本側の出た邦人のことでお尋ねいたしますが、先般、私は安保特でも、難民の救済に出かけた日本人が心ない外国の通り魔みたいなものに殺された、そのことについて取り上げて、いろいろ救済方を政府に要望しました。その後もいろいろ法務省あるいは警察、外務省等で非常に真剣に検討していただいているようでございますけれども、私はやはり先般のああいう悲惨なことがあったことを機会に、日本は武器を出したり、あるいは軍備をやったりしないんですから、せめてそういう平和的に奉仕に行っている人に万一のことがあったというときには、それはやはり国である程度褒賞制度のようなものとか何かを考えていただくべきじゃないか。 実は、今度のタイの方については、もうこれは政府は本当によくやってくれたと思います。勲章まで心配してくださったとか、もう本当によくやってくれたと思うが、最後のもう一つの詰めが私はどうも残念で、まだこれからお願いしなきゃならぬのですが、まず一般的な問題として、何かそういう制度ができないものでしょうか。 それからまた、もう一つは、保険を掛けて行けば——ボランティア保険とかいろんな保険制度もあるようです。そういう制度を拡充したり、あるいはもっとそういうものを確実に掛けて行くような指導を政府が十分やっておれば、この前のような悲劇は、あの事故は残念でしたけれども、残った御家庭などに対しては若干のことができたんじゃないか、こんなふうに思うので、その辺がどのように検討がその後進められているか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(岩崎允彦君) ただいま戸塚先生から御指摘のございました問題につきましては、われわれ関係省庁の間で目下鋭意検討を進めております。国を代表して外国でいろいろ奉仕活動をして、そのために不慮の死を遂げられたような方は、国としてこれをたたえる必要があるというふうにわれわれも考えておりまして、そのための措置が早急にできますように、いま努力を重ねております。 それから、保険等の問題についても御指摘がございましたが、ボランティアで出て行く人たちができるだけ保険を掛けるようにという指導は、現在これも鋭意進めております。また、そのためにボランティアが掛けやすい、ボランティアにとって有利な保険の制度というものを何とかつくれないものかということで、これも目下検討に着手しております。
○戸塚進也君 先ほど申し上げたタイで亡くなった西崎さんのお宅は、九州か何かの山の奥の一軒家で、御本人は夜間の大学を出て、しかも大学院まで苦学してやっている。もう本当にそれは私はりっぱな人だ、こういうふうに思うんです。いまのような、もしそういう制度の検討が進んで、これが具体化された場合には、やはり西崎さんの救済もあわせて適用してあげるように努力すべきだと思いますが、いかがですか。
○説明員(岩崎允彦君) いま先生のおっしゃいました問題は、われわれといたしましても検討の中に入れていま議論をしております。先生の御指摘は、大変ありがたく承っておきたいと思います。
○戸塚進也君 法務大臣、お聞きのとおりでございますが、大臣も内閣の閣僚として、しかもまだ、御所管の関係もないわけではありません。ぜひひとつ御努力いただけないでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) お考えに全く同感でございますので、そういうことで私、行動したいと思います。
○戸塚進也君 では、再び入る方で、けさのNHKのテレビでも流民のことが取り上げられておりました。日本に入ってきている流民と言われている人の中には、いろんな事情もあり、またいろんなケースもあり、そういう人たち全部を、これはお気の毒だからみんな日本で救済して、そして正規の入国の許可もあげなさい、ビザの延長も認めなさいとここで一遍に言うには、私も余りにも資料も不足でございますけれども、しかし、きょうのNHKのテレビを見ましても、顔は見せないでくれというようなことで、もしこれがわかれば法務省さんからしかられるし出ていかなきゃならぬ、また職場の関係もある、こういうようなことでインタビューが行われておりましたが、やはりああした戦乱で故郷を追われて日本に来ざるを得なかった人々、あるいはまた、旧カンボジア大使館の職員の人たちの姿も出されました。 いろんな例がきょう紹介されましたけれど、法務大臣が衆議院におきまして、そうした流民の人人に対する対策を検討する、真剣に考える、救済も含めて考えるというお話だったと承っておりますが、大臣、その後、この問題どのように御協議が進められているか、また大臣の御決意、こうしたものを承りたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 流民という言葉の意義は、人によって使い方がいろいろでございます。一般に言われておりますのは、インドシナ三国の政変、戦乱を逃れて第三国に行った。その第三国で旅券を入手して、そして日本に来た。しかし、当初の期間を超過して滞在をして不法滞在になってしまった、そういう人のことを言っているようでございまして、いまも恐らくそういう人についておっしゃっているのだろうと思います。 実態がインドシナ三国の政変、戦乱を逃れて日本に来た人と同じであれば、同じような扱いをすればいいじゃないか。同時にまた、保護すべき第三国があって、そこで生活するに何の不自由もない、そうであるならば、それはやはりその人を保護する国にその人が戻ればいいことではないか、こういう考え方で対処することにしたわけでございます。 衆議院の段階におきましても、具体的に方針を申し上げたわけでございまして、せっかくのお話でございますから、よろしければ、入国管理局長の方から具体的に御返事さしていただきます。
○戸塚進也君 それでは、簡単にお願いいたします。
○政府委員(大鷹弘君) 大臣の御指示に従いまして、新しい流民に対する方針を策定いたしました。その内容を御説明いたします。 いわゆる流民の処遇につきましては、さしあたり次のような考え方で対処することといたしたいと思います。 第一に、インドシナ三国の旧旅券で本邦に入国し、そのまま不法残留となっている者については、帰る国がないという事情を考慮して在留特別許可する。 第二に、台湾、タイ等の第三国旅券を所持していても、それが他人名義の旅券を不正入手するなどしたものである場合には、右と同様に在留特別許可する。 第三に、台湾旅券等を正規に取得して本邦に入国している者については、ケース・バイ・ケースで検討、対処するが、たとえば次のような事情にある者は、特段の忌避事由がなければ在留特別許可を考慮する。一、日本人または正規在留外国人と親族関係にある者。二、両親、兄弟等が現に第三国の難民キャンプに収容されているなどのために、本邦から出国しても適当な行き先がない者。三、その他特に在留を許可する必要があると認められる者。 以上でございます。
○戸塚進也君 ただいまのことは、もうかねてからそういう関係の人たちは知っておりますか。たとえば、きょうのテレビに出てきたようなそういう人たちは知っておりますか。
○政府委員(大鷹弘君) ただいま御説明申し上げました新しい方針は、先般の衆議院の法務委員会の席上で申し上げました。その場には傍聴者もおりましたし、それから関係者もずいぶん来ておられました。したがって、関係の流民の人たちには皆伝わっていると私どもは理解しております。
○戸塚進也君 しかし、けさのテレビでは、相変わらず顔を隠してわからないようにしてくれということは、まだ要するに十分にこうしたことが関係者に徹底していないという一つのあらわれでもあろうかと思いますので、そういう人たちが堂々と役所に相談に来れるように、ひとつなお努力をしていただきたいと、こう思うが、どうですか。
○政府委員(大鷹弘君) 私ども、今度の新しい方針は、関係者等に十分説明いたすことにしたいと思います。
○戸塚進也君 では最後に、いわゆる一時滞留者と申しますか、要するに漂流してきたりなんかして日本で一時上陸させている人々につきまして、日本で、これは誠心誠意で政党政派関係なく、非常に一生懸命この人たちのお世話をしようというグループがありまして、そういうグループから見ると、何かそういう人たちに対する扱いが、いわゆる罪人的なような扱いではなかろうか。扱いが、いわゆる人道的に見ても十分きちんとしたそのようなことをやっているか、ある程度自由を与えてやってもいいじゃないか、職業を日本である程度身につけさしてやってもいいじゃないか、いろいろ法務省には法務省の方針もあると思いますが、そういう声が出てきているので、われわれはそうじゃないということを説明もしていますが、なかなか納得をしないと、こういうことでございます。事実はどのようになっておりますか、実態をひとつ簡単にお話し願いたいと思います。
○政府委員(大鷹弘君) いわゆるボートピープルがわが国に到着しました場合には、国連難民高等弁務官事務所——UNHCRからの要請を受けまして好意的に取り扱うことにしておりまして、本邦での収容施設が確保されれば、出入国管理令に定める法務大臣の上陸特別許可制度によって、その上陸滞在を認めることにしております。 こういう方々は、現在民間の施設に収容されているわけでございますけれども、法務省といたしましては、現在特にいろいろな制限はつけておりません。居住の制限とか、そういうものはございません。また、就業の制限につきましても、私どもやかましいことは一切申しておらないわけでございます。
○戸塚進也君 時間が来ましたから答弁は結構でございますが、そうした方々に対しても、ただいまのこの流民の人々に対する扱いと同様、できるだけその人々の立場に立って、その方々が人間的にも日本に来てよかったと喜んでもらえるような措置を要望して、質問を終わります。
○近藤忠孝君 最初に総論的にお伺いしますが、今回の法案は、難民条約上の難民に対する人権保障、それに伴う法改正である、こう聞いているんです。そこで問題は、難民条約上の難民に対する権利保障ですが、国際的な常識に合ったものだろうと、こう思いますし、世界各国でもそういうのがいま水準になっておる、そしてある意味では確立した国際的な規範でもあると、こう伺ってよろしいんでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの近藤先生の御質問は、難民の定義についてだろうと思いますけれども、こういう人が難民であるということにつきましては、いわゆる難民条約の中の難民の定義に今度の私どもの法案ではよっているわけでございます。どこの国でも、ほとんど例外なくそういうことにしているようでございます。
○近藤忠孝君 定義だけではなくて、それに対する権利保障のいわば水準ですね。これも大体各国、法意識の面でも大体その水準に達しているんだろうというような質問の趣旨なんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 衆議院の段階でお話し合いがございまして、外務当局は、留保なしに難民条約を批准したいと考えた結果今日になったのだ、幸いにして留保なしに難民条約を批准できるようになったと、こう申しておりました。ですから、おっしゃっているようになったと、こう御理解いただいていいのじゃないだろうかと思います。
○近藤忠孝君 そうしますと、この法案で規定する中身も一つの権利と把握していいのか、どうですか。権利の性格を持つものだと。
○政府委員(大鷹弘君) 今度の法案では、難民条約に規定しております難民に対する社会保障その他の権利、これを全部含めているわけでございます。
○近藤忠孝君 その中に永住権もあるんですが、ただ私は、従来の法務省の考えが、必ずしもこの種の中身のものを権利という理解をしてこなかったのではないかということを指摘をしたいんです。 池上努さんという元参事官の「法的地位2〇〇の質問」という著書があるのを、これは御存じでございますね。それの九ページによりますと、この永住権について、「「永住権」という言葉で呼ばれているのではないか。」という質問に対して、「普通「永住権」という言葉が使われている。しかし、「外国人の入国・在留に関する事項は、一国の主権の全く自由裁量に属する」という確立された国際慣習法上の原則から、外国人は自国以外の国に入国したり在留する「権利」はないので、「永住権」という呼び方は正確ではない。」、といいますと、大臣の答弁にもかかわるんですね。従来は外国人に対して、権利という認識を持っていなかったのではないか。 〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕というと、今回かなり前進した法改正をしたということは、従来のこういう考えを変えて、この種のものも権利というそういう理解をされておるのか、この点どうですか。
○政府委員(大鷹弘君) 難民条約には、永住権というものは取り決められておりません。難民の入国、滞在はすべてその国の主権行為でございまして、したがいましてわが国におきましても、難民については滞在を認めるかどうかは、利益、公安の見地から法務大臣が裁量で決めると、こういうことになっているわけでございます。 なお、難民条約の中には、できるだけ難民を保護している国に適応させるようにしなさいということが書いてございますけれども、その見地から、私どもは難民につきましては永住についての要件を緩和する措置をとっております。 御承知のように、永住につきましては、入管令の二十二条で、国の利益に合致する場合に、次の二つの要件が満たされれば永住は許可されるということになっております。その一つは素行善良、もう一つは独立の生計維持能力でございますが、難民につきましては、その後者の独立生計維持能力を満たすことがない場合でも永住は認められると、こういうことにしているわけでございます。
○近藤忠孝君 永住権という問題ですから、そういうこだわりになるのかもしれませんけれども、私思いますのは、憲法上の基本的人権ですね、日本国憲法であるけれども、そしてまた、日本国の国民である特有の権利もありますけれども、そうでない人権については外国人についても保障するというのが私は正当な解釈だろうと、こう思うんです。そういう面から見ますと、永住権に限らず、今回の法改正に伴って出てくるいろいろな権利とか規定について外国人にもそういう基本的人権を保障する、こういう基本線をすっきり通すべきだろうと、こう思うんですが、そういう面からどうですか。
○説明員(山本達雄君) わが国に在留いたしております外国人に対して、憲法上わが国民に対して保障している権利がどの程度外国人にも保障されるかという問題と、それから外国人がわが国に入国あるいは滞在する権利があるかというのは、これは全く別個の事柄であろうと理解しております。 憲法が日本国民に保障しております権利につきましては、その性質に反しない限り外国人にも及ぶというふうに一般に理解されておるようでございますが、片やわが国に、いずれかの外国に入る権利というようなものがあるかという面から考えますならば、そういう権利を外国人に認める考え方というのは、恐らく国際的にもないのだろうと思います。外国人の入国、在留を許可するか否かは、国際法上も国家の自由裁量に属する事項と解されております。そのように申しましても、国家間の人的、物的交流が活発になっていきますと、各国ともそこはそれ、一定の基準というものを定めまして、それにのっとって入国なり退去なりを求めていくということになってくるのではないかと思います。しかも、その基準というものは、勝手気ままに決めるというものではなくて、やはり国際的に見て公正妥当と申しますか、そういう一応の是認されるものでなければならない。それがいわゆる法律による入国の管理ということになり、ひいては法律に基づく行政ということになるのではないかと思います。 しかしながら、基本的には、外国人の上陸、在留を許可するか否かは、主権国家の日出であるという原則には変わりがないと考えます。
○近藤忠孝君 そういう答弁ですが、ただこの問題は微妙に絡み合っていると思うんですね。今回いろいろな社会保障上の権利を認めるということですが、やっぱり法務省は従来の考えとかなり進んだことになると思うんです。 これも先ほどの池上さんの本ですが、「らい病や精神障害者、貧困者、身体障害者等を追い出すというのは、人道的に見てもひどいのではないか。」という質問に対して、そういう者がうろうろしているのは自分の国の恥であるし、相手国に迷惑をかけることで国際道義上許されないというのが考え方の基本になっている、そういうことで、おしまいの方には、「生活保護を受けるとか医療保護を受けるかしている場合」の問題も引用して微妙に絡んでくるんですね。ですから私は、この問題はかなりすっきりと割り切る問題ではないのじゃないか。基本的にはやっぱり人権保障、人道的な問題という点から積極的に考えていくべきだろうと、こう思うんですが、その点どうですか。
○説明員(山本達雄君) 今日の日本の状態から申し上げますならば、先生が御指摘になりましたそういうらい病患者、あるいは精神障害者でございますか、あるいは公共の負担となるような者、これらについては人道的に対処していくべきであるということは、全く間違いないことであろうと思います。 ただ、これも、しからばその国に十分な医療施設がない、病気が一たんはやるとはやりっ放したと、何ら手を打つ方法がないというような状況のもとにおいて、外国人がらい患者だった場合どうするか、あるいはその国が貧困で全く自国民もろくに職にありつけない、飯にありつけない、そういうような状態のもとに、外国人が公共の負担になった場合にはいかがか、これはやはり退去してほしいという国家意思がそこに決定されることになるのだろうと思います。 要は、その国の社会、経済、文化の発展度に応じて人道的配慮というものに重点が置かれていくことになるのではないかと考えます。
○近藤忠孝君 人道的な面に重点を置いて、そして今回の改正になったということは、私大いに評価をしたいと思うんです。そして冒頭に申し上げたとおり、それが国際的な一つの常識にもなっている。となりますと、その難民条約を締結したことからこの法規になったということは、いままで何十万という在日朝鮮人に対しては、国際的な常識から見ても大分劣る対応をしておったのではないか。実は私は、今回の法改正については、法務省としてもそういう面の反省の上に立って出してきたのではないか、こう思うんですが、その点は大臣、いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 反省といいますよりも、難民を受け入れ、内国民待遇を与えるということになってくると、 〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕 従来、日本国籍を持っておられた方々についての処遇はどうか、私はこれが先じゃないかと、伊東外務大臣にそういうことを申し上げてきたことはございます。反省というよりも、やはりこれが私なりには一つの踏み切るチャンスになっていると思います。でありますから、そういやみなお考えをおっしゃらないで、やっぱり一緒に問題を片づけようというチャンスになったと、こうお考えいただいた方がありがたいと思います。
○近藤忠孝君 決していやみで申し上げているわけではなくて、ほめておるのですけれどもね。ただ、この問題は、今回条約との関係で出てきたんですが、いままで二十年あるいは三十年という長きにわたって在日朝鮮人、特に韓国籍を持たない人の人権問題が問題になっていますね。しばしばこれは法務省に要求があったし、同会でもずいぶん議論されてきた問題ですね。そのときには一向に——一向にと言っちゃ失礼かもしれませんね、ある程度進んだけれども、かなり大きな壁があってなかなか進まなかった。幸い今回難民条約の関係があっていい結果になったと、私はその結果を大いに喜ぶものです。 ただ、ここで指摘したいのは、いままでこれを問題にしてきたそのときに、まさに人道的立場に立って対処してもよかったんじゃないか。そのような率直に——奥野さんは率直な方ですから、率直にひとつ反省されても、反省という言葉がきつければ何でも結構ですけれども、そういう過去を一応振り返ってみることが必要なことじゃないか、私はこう思って申し上げたんですが、いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、いろいろ国際関係が妨げになってきておったのじゃないかなと、こう思います。日本と朝鮮民主主義人民共和国との間では、いまだに国交がないわけでございます。国交がないばかりじゃなしに、私が率直に申し上げさしていただきますと、もう少し考え方を変えられぬかなと思うものもいろいろございます。こういう席でありますから遠慮いたします。遠慮いたしますが、いろいろな問題がございます。あるいはまた、台湾の問題にいたしましても、かつては中華民国と国交を持っておった。いまは中華人民共和国と国交を持っている。表向きは台湾と国交がないかっこうになってしまっているわけでございまして、いろんな事柄が災いして進んでいなかったということじゃないだろうかなと、こう思うわけであります。 それじゃ、そういう問題がみんな解決したのかといいますと、解決してないけれども踏み切っているというのが私は現実じゃないだろうかなと、こう思います。
○近藤忠孝君 大臣は率直に国際関係だとおっしゃったから、そのとおりだと思うんで、ですからそういう点では、国際関係の犠牲になっておったたくさんの人がおったということの認識を持っていくべきだということで、大臣うなずいておりますので、わかっていただいたと、こう思っております。 そこで今度は、条文の中身に触れて指摘をいたしますが、第一条、これは、「本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理について規定する」のが目的だとされております。が、しかし、大きな例外があるわけであります。それは、言うまでもなく、安保条約第六条に基づく地位協定によって、米軍関係者の出入国はその例外にされておるんですね。 そこで、これは法務省になりますか、外務省になりますか、両者の関係ですね、除外になるんだけれども、除外になったそのことは一切出入国管理令はノータッチなのかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(大鷹弘君) 日米地位協定に該当する軍人、軍属の出入国のチェックがどうなっているかということでございますけれども、軍人、つまり地位協定に言います構成員につきましては、その身分を確認するため、その所持する身分証明書及び旅行命令書の提示を求めております。なお、事務処理の都合上、出入国管理令施行規則第四条第一項の規定に基づく出入国記録カード、EDカードと言っておりますが、これを一通提出させております。 軍属につきましては、その身分を確認するために、その者の身分記載のある旅券の提示を求めるとともに、その旅券に地位協定該当者としての出入国または入国の証印を行うことにしております。なお、米軍の構成員の場合と同様、事務処理の都合上、出入国記録カードを提出させております。これはいずれも、いわゆる出入国港を通過する場合の手続について申し上げたわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし、軍隊として入ってきた場合は、一たん基地に入ってきますね。基地を通じて出入する場合、この場合には入国審査官が一人一人審査することではないんですね。どうですか。
○政府委員(大鷹弘君) そういう者についてはしておりません。
○近藤忠孝君 そこで、お聞きしたいのは、過去五年間のこの種の米軍関係者の出入国状況、飛行機による入国、船舶による入国、これはどうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) 過去五年間におきますいわゆる出入国港からの軍人、軍属の出入国の数について御説明します。 五十一年におきましては、入国したのは七万七千二百五名、それから出国した者が八万三千二百三十五名でございます。五十二年、入国六万七千三百七十一名、出国七万二千百八十二名、五十三年、入国五万一千三百十三名、出国五万四千六百七十六名、五十四年、入国四万五千三百四十四名、出国四万七千四百三十七名、五十五年は、入国三万七千四百六十九名、出国が四万八百二十三名でございます。
○近藤忠孝君 そこで、私、先ほど申し上げた出入国管理令とこの地位協定との関係になりますが、いろんなその間のすき間の問題が出てくると思うんです。たとえば米軍船舶あるいは飛行機などで入国してくるんですが、その場合に、米軍関係者でない者がまじっておった場合、これは法的にはどうなんでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) その場合には、当然出入国管理令の適用を受けます。
○近藤忠孝君 すると、手続的にはどうなりますか。当然、向こうは何も持ってこないわけでしょう。旅券も何も持ってこない。そうすると、それに対する措置はどうなります。
○政府委員(大鷹弘君) 基地の中に私どもは事務所を持っておりまして、そこに出入国管理を担当する人が駐在しております。そういう方々につきましては、正規の手続によって出入国を管理しておるわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし、これはなかなか発見はむずかしいでしょうね。いままでそれでチェックできた例はあるんですか。
○政府委員(大鷹弘君) ないと思います。
○近藤忠孝君 ないということは、恐らくかなり自由に出入りできておって、私は、大臣はいやみだと言うけれども、在日朝鮮人に対する対応とはずいぶん違っておるんじゃなかろうかと、こう思うんです。ここでも米軍、アメリカを全部信用する、事前協定にないから全部信用するのと同じ論法かもしれませんけれども、私は相当問題があろうということを特に指摘をしたいと思うんです。 それからもう一つ、今度は逆の場合に、一般の商業船舶あるいは普通の飛行機で輸送された米軍関係者、これについてはどういう対応措置をとりますか。
○政府委員(大鷹弘君) それにつきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、私どもとしては軍人、軍属に対しまして出入国のチェックをしております。
○近藤忠孝君 そうすると、文書によると、「原則として日本国法令による出入国手続に従がわなければならない。」という、こういう決まりになっている。「原則として」というのがついておると聞いておるんですが、そうですか。これは一九五二年五月の日米合同委員会の「米軍の構成員・軍属・家族の出入国」に関する合意事項の中で「原則として」というのが入っている。
○説明員(山本達雄君) ちょっと私の頭が混線しておるのかもわかりませんが、物事を整理いたしますと、地位協定によりまして軍人、軍属、それから家族でございますか、これらにつきましては入管令の適用はございません。これは地位協定第九条第二項で明らかになっておるところであります。しかしながら、一般の出入港に彼らがあらわれましても、それは地位協定該当者であるかどうかわからないわけでございます。したがいまして、全員について何らかのチェックをすることになるわけでございます。 それが一般外国人でありましたならば、入管令上の上陸手続、上陸審査を行う、それから該当者でありました場合には、先ほど局長が説明いたしましたとおりに、身分を確認するため、その所持する身分証明書、旅行命令書の提示を求めるなどするということになるわけでございます。それは入管令に基づくチェックという言葉をあえて使いますならば、入管令に基づくチェックをしているわけではございません。入管令の適用を受ける者でないことの確認をしておるということでございます。 それから、いわゆる出入港でない基地でございますが、ここへ参りました者につきましては、局長が申し上げましたとおり、これは全く入管当局の目に触れる、要するに入管当局が出ていく場面はないわけでございます。
○近藤忠孝君 それでは第二条ですが、今回七号の「通過」という部分ですね、その説明が削除されましたけれども、その理由は何でしょうか。
○説明員(山本達雄君) これは、第四条第一項第四号の現行で「観光客」の在留資格の表現を変えたことと関連するわけでございます。現在は、在留資格で申しますならば、三号の「通過しようとする者」、それから四号に「観光客」と、こういうのがあるわけでございます。今度はこの四号の「観光客」を「観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、」等々と、要するに短期間本邦に在留しようとする者としての在留資格に改正いたしますので、そういたしますならば、改正に係る「短期間本邦に滞在しようとする者」の中には、通過という概念も「通過しようとする者」も含まれてしまう。そういうことから、「通過」という定義規定が不要となり、かつ四条一項第三号の「通過しようとする者」の在留資格が不要になったわけでございます。
○近藤忠孝君 次に、外務省にこのことについてお伺いしますが、この入国管理令の英文に翻訳したものがあるのは御承知ですね。そこで、この「通過」ということについて、英文ではどういう表現がしてあるか、御存じですか。
○説明員(丹波実君) 突然のお尋ねでございますので私ちょっと記憶にございませんけれども、恐らくトランジットということかなと、全く申しわけございません、推測でございますけれども。
○近藤忠孝君 正解です。しかも、これは三カ所もトランジットと書いてあるんですね。それで、まさに時の言葉になっていることです。 そこでお伺いするんですが、ですから、もうトランジットという言葉がかなり普通に使われておるわけですね。ところが、今回の核持ち込み問題でイントロダクションの中にトランジットなんかが含まれちゃっているんだと、こういうことですね、かなり邦文の翻訳に使われているのに。外務省はそういう点で、それでもなおかつこれはイントロダクションの中に含まれてしまったと、こうお考えなんでしょうか。
○説明員(丹波実君) この点につきましては、いろいろの言葉が交渉の過程でどのような意味づけをもって両国間で使われたかということがポイントでございまして、核持ち込みの点につきましては、政府が従来から御説明申し上げておりますとおり、安保条約改定の交渉を通じまして口頭了解で言うところの持ち込み——イントロダクションというものは、寄港及び通過を含むということで明快であるということを、従来から申し上げておるとおりでございます。
○近藤忠孝君 これはここで議論する主要な場所ではありませんが、しかし、イントロダクションという言葉は、もうそれ自身かなりはっきりした概念ですね。片や、トランジットという言葉もかなり普通に使われておるんですね。となると、これはどうも国民を納得させ得ないのじゃないかと、こう思うんですが、それでもなおかつ従来の主張を維持されますか。
○説明員(丹波実君) 先ほど申し上げたところで尽きておりますけれども、あの交渉から出てきたイントロダクションというものは、寄港及び通過も含んでいるのだというのが、われわれの了解でございます。
○近藤忠孝君 この問題は、この程度でとどめたいと思います。 そこで、せっかく公団からお見えになっておりますので、その方の問題に先に入りますが、今度の改正では六十七条で手数料、これが一万円の範囲で政令に委任されたわけですね。これは、元来法律事項であったものが政令に委任されるという点で若干問題があろうかと思いますが、時間の関係でそれはそれとして置いておきます。 私は、これと類似したものとして、使用料の問題、成田の国際空港を使用する際に使用料を取られるんですが、その金額と、これを利用者に払わせるようになった経過について、簡単に御報告願いたいと思います。
○参考人(井辻憲一君) 私の方で取っております旅客サービス施設使用料というもののお尋ねかと思いますが、金額は一人当たり千五百円、子供につきましては五百円ということですが、大体年間、五十五年度で四十八億円程度の私どもの方の収入になっております。 それから、この旅客サービス施設使用料の徴収をいたしております考え方でございますが、公団法の二十条に、空港の機能を確保するために必要な航空旅客取り扱い施設というものは公団が建設し及び管理するということがまずございます。一方、公団といたしましては、独立採算制をたてまえとしております以上、これらの旅客サービス施設を建設し、あるいは管理していくに要する費用と申しますか、経費は、何らかの形でこれを賄わなければならない。したがいまして、一方、かたがた諸外国の空港にも例のあることでございますので、直接のこれらの施設の利用者でございますパッセンジャーから、そのサービスの対価としての旅客サービス施設使用料をいただいておると、かような考え方でございます。
○近藤忠孝君 私、これはいわば二つ問題があると思うんですね。一つはその是非の問題と、もう一つはこれは法務省の問題です。この中で、出国の事務所があるでしょう。そこへ行くのに、この千五百円を払わないといけないんですよ。それで私は、事実上そうなっているという答えではこれはいけないのであって、いわば出国手続をする、これは一つの義務です。義務を履行するのに金がかかるんです。大臣、これをどう理解いたしますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 出入国の手続だけじゃなしに、飛行機が着陸してからずっと出ていくまでいろんな公団のサービスを受けるということがございましょうし、日本だけがこういうことをしているわけじゃなしに、大体世界でパッセンジャーからも何がしかの料金をいただいているということでありますので、やむを得ないことじゃないだろうかなと、こう思っております。
○近藤忠孝君 外国の例が出ましたが、外国ではどことどこでとっていますか。
○参考人(井辻憲一君) 私の方で調査いたしました現在までのデータによりますと、この徴収をいたしております国は百二十九ぐらいございます。ただし、その形態がいろいろございますが、たとえば、私どもの方と同じような形でパッセンジャーから料金として徴収しておるという国が二十五カ国ぐらい。それから、税金の形で取っておるというものが六十二ございますが、ただこの税金は、全部がその施設に充てられているのか、一部が充てられているのか、あるいは一般会計に、国の方に入りましていっておるのか、なかなかちょっと私の方の調査は及んでおりませんのでわかりませんが、いずれにしても、出国する個人から幾ら幾らという形で取っておる国が六十二カ国ございます。 それから、航空会社から出ていくパッセンジャー一人当たり幾らという形で、あるいは入国者一人当たり幾らという積算根拠でエアラインを通じて取っておる国が四十二カ国。あるいはこの数字は動いておるかもわかりませんが、現在までの私の方の大づかみの調査で見たところ、そのような数字になっております。
○近藤忠孝君 私が聞いておるのは、航空会社から取る方が多いと、こう聞いておったんですが、問題は、その実情よりは、やむを得ないと先ほど大臣おっしゃったんですが、法的にどうなのかという問題ですね。たとえば、負担能力あるじゃないかという話はあります。しかし、これはちょっとほかの場合と違うんですね。高速道路であれば、高速道路に乗らなくたって、別を行けばいいわけでしょう。それから、いろいろ他の場合には、それなりの別の選択ができるわけです。ところが、ともかくこの施設を使わないと出国できないというそのことにかかわって、いやだと言うわけにいかぬでしょう。だから、いわばこれも仕方なしに金を取られる。 となりますと、選択でいいんであれば、これは別に法律上は問題起きないと思いますけれども、若干の問題は起きるかもしれませんが、基本的には、先ほどの手数料と同じように、出国手続をやるのに払わなきゃいかぬという問題であれば、やはりこれは法的な根拠がなければ取れないんじゃないかという、この問題と私は関係してくると思うんです。そういう疑問を感じたことはないでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は世界を旅行しておりまして、いろいろこういう国があるものですから、まあやむを得ないなと、こう思っておるわけであります。これとは別個に出国税といいましょうか、日本でも税を徴収したらどうかということが絶えず議論になっております。なるべくならそういう税は起こしてもらいたくないなという議論を私としてはしてきているわけでございますけれども、そんな問題もあろうかと思います。
○近藤忠孝君 私は、この問題はやっぱり基本的な考え方の問題だと思うんです。確かに、成田空港建設に莫大な金がかかったということは、十分承知しています。だから、航空会社の負担を超えるものを徴収しなきゃいかぬというので個人個人から取っているというのが、従来からの説明なんですね。しかし問題は、国際的な玄関ですから、それはりっぱであって悪いと申しませんけれども、航空会社の負担能力を超えたそんなものを勝手にどんどんつくってしまって、そしてあと他人から、一般からも徴収するという、そういうやり方がいいのかどうか。そして、いま申し上げたような、基本的には法律上の手数料の問題と匹敵する問題があるということがあるんですね。それで私は、これはやっぱり法に厳格な法務省ですから、それは形の上でも、たとえば入る前に手続をやってしまうとか、別の方法があればまだこれは話がわかりますけれども、それもないということで、これはきょうここで急に結論の出る問題じゃありませんけれども、ひとつ御再考願いたいということを申し上げたいと思います。 それから、時間が参ったので、最後に中身の問題として、先ほどもお触れになりました迫害国向け送還禁止ということについて、これは第一次要綱には明記されておったんですね。それが法案には出ていない、その理由はこれは何ですか。
○政府委員(大鷹弘君) 第一次要綱にそれが出ていてこの法案の中に出てないのはなぜかということでございますが、実は出入国管理令の改正法案は二つに分かれております。 一つは、現在御審議いただいておりますもので、もう一つは、難民条約に加盟することにかかわって今度改める部分でございます。で、ノンルフルマンの規定はそっちの方に回っておりますもので姿をあらわしていないので、しかし、入国管理令全体を見れば、そのノンルフルマンの原則はちゃんと入っているわけでございます。
○近藤忠孝君 そうすると、次に出てくる法案の中にぴしっと入っているということですね。 それから、じゃもう一問、これも先ほど触れられました保証金の問題ですね。これは十三条の仮上陸の許可の隊と、それから五十四条の仮放免の際の二百万、三百万ですね。従来の経過を見てみますと、ほぼ一律に、しかも上限に近いところでかかっていますね。取っていますね。それで、先ほど平均二十万という話があったけれども、ともかく上限、しかも一律となると、心配は、今度三百万、二百万に上がった場合に、やっぱり上限の方で取られるんじゃないかという、こういう心配があるんですね。そういう心配は要らぬということが言えるんでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) まず、仮上陸につきましては、実際上保証金というものはほとんど取ったことがございません。 仮放免の場合でございますけれども、仮放免につきましては確かにおっしゃるとおり平均二十万、限度に近いところで取っているケースが多いわけでございます。しかし、それでも毎年何十名かの逃亡者が出ております。つまり、そのくらいの金額ではなかなか出頭義務を確保することがむずかしいと、こういう状況でございます。 そこで、今度私どもとしましてはこれを十倍に引き上げるわけでございますけれども、引き上がったのはあくまでも限度額でございます。この限度額を常に適用するという考えは毛頭持ってないのでございまして、要は、逃亡を阻止し出頭義務を確保するというに足る金額であればいいわけでございます。これは人によってずいぶん違うと思います。たとえばその犯した罪が何であるか、その人の資産がどうであるか、家族がどうであるか等、いろんな点を勘案しましてそして決めるわけでございますけれども、いずれにしましても、無用な負担をこの人たちにかけるようなことは考えておりません。したがって、限度額の範囲で合理的に運営したいと、こう考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、家族で仮放免の保証金を払わなきゃならないような場合もこれは出てきますよね。そうしますと、仮に最上限で取られますと、五人家族とすれば千五百万。とてもこれは払い切れないですね。だから、いわば家族でまとまって集団で払う場合ですね、そういう場合にはこれは多少割り引きといいますか、そういうようなことになるのかどうか、その辺も考慮するという意味ですか。
○政府委員(大鷹弘君) そういう場合は、当然考慮の対象になります。
○中山千夏君 最初に、先ほど午前中に寺田さんがちょっと聞いていらした男女差別に関係した問題なんですけれども、奥さんが日本人で、そしてその日本人の妻が外国人の夫を伴って帰ってくる。そのときに奥さんの方に資力がある、あるいは十分な収入があるということがわかれば、夫の方に永住許可は取れるということでよろしいんですか。
○政府委員(大鷹弘君) 先ほどお話し申し上げていたのは、入国の手続でございます。私どもはこの入国につきましては、男女の差別というものはもうしないという方針でございます。したがいまして、夫が外国人である場合、つまり奥さんが日本人である場合も、逆に夫が日本人で奥さんが外国人である場合にも、いずれにいたしましてもまず私どもは二つの点を見ます。一つは、生計の維持能力、それからもう一つは、これは擬装婚ではないということ。本当の結婚で、しかも継続性のある結婚だという点ですね。この二点を見るわけでございます。 そのときに、まずその第一の生計維持能力でございますけれども、日本人の男性、日本人が夫である場合には、その人はどういう生計能力を持っているか、もちろん審査いたします。それから、女性が日本人で外国人が男性の場合に、その日本の女性、つまり日本人の奥さんが生計能力があるかどうか。たとえばその人が非常な資産家である、あるいは彼女は非常に大きな収入、十分な収入があるという場合には、もうそれで十分なわけです。したがって、そういういまのいずれの場合にも入国は簡単に夫なります。 ただ、これはすぐに永住権を認めるということではございません。一たん入国をしていただきまして、現在の手続では入管令の四−一−一六−三という資格で入っていただいて、そして永住申請していただくわけです。その永住申請をされます場合には、今度の改正案によりまして、従来よりはそういう方につきましては非常に手続というか、永住を認められる可能性が、永住が容易に認められるようになったわけです。 先ほどから御説明しましたとおり要件が二つございますけれども、永住につきましてはそれが二つとも取り払われまして、ただ、これは国の利益に合致するという法務大臣の裁量行為でこれを認めることができると、こういうことになるわけです。
○中山千夏君 そうすると、入国の際に男の人が、つまり夫が外国人であると非常に入りにくいというような話があるということを、さっき寺田さんおっしゃっていたんですね。私もそういう話をよく聞くんですよね。どうして男女差別がないにもかかわらずそういうふうなうわさが世の中に流れたり、そういうまた事例があったりするのかということを考えましたときに、もしかすると女性の、日本人の妻の資産ですとか収入とかというものに対する評価ですね、それが、男の人が日本人であった場合よりも係の人が見る場合に、もしかしたら少し厳しいのかな、そういうところから、法律上では平等であるはずなのに、実際運用していくところでむずかしいというような事例が起こってくるのかなとも想像してみるんですけれども、その辺はどうなんでしょう。
○政府委員(大鷹弘君) ただいま御指摘のようなケース、やや時間がかかるのは、実は日本人である奥さんの資産とか所得を見てそれは十分である場合には、ほとんどもう問題はないわけです。ただいままでそういう運営を完全にやってきたかということについては、これは必ずしもそうでなかったかもしれません。したがって、いままでそういうふうに日本人の奥さん、妻が十分に資産があって、かつ所得があるにもかかわらずその点が十分考慮に入れられなかったというケースも、もしかしたらあったかもしれません。しかし、いよいよ私どもといたしましても、この男女差別をなくすということで、そういうことがこれから起きないように、本当に男女平等が実行されますようにやっていきたいと思っております。 そのほかに、こういういまおっしゃいました日本人が奥さんで外国人が夫である場合にやや問題があるのは、多くの場合、日本の女性、奥さんの方に扶養能力がないわけです。いまの社会は、どこでも男がかせいで、そして生計を維持するというパターンが多いわけでございますけれども、外国人のだんなさんで日本人の奥さんという場合にもそういうことが大体多いわけですね。そうなりますと、私どもとしましては、その外国人のだんなさんが十分に生計を立てる能力があるかということをチェックするわけでございます。もちろん、その人は日本で就職しなければなりません。その就職がちゃんとしたものであるかどうかということを見たりするために、かなり時間がかかります。もちろん、就職につきましても、私どもはできるだけむずかしいことを言わないで、いわゆる簡易就職制度というものを設けまして、運用でございますけれども、簡単に就職ができるように運用をして、そういうものでも認めていこうということをやっております。しかし、たまたまそういうケースで時間がかかるのが、いままで幾つかあったかもしれません。
○中山千夏君 その場合、男の人が日本人であったにせよ、奥さんが日本人であったにせよ、その方が入るときに、どちらか、妻なり夫なりが生計を立てていけるかどうかということが重要になると思うんですけれども、この程度の収入があればいいとか、それからこの程度の職業であればまあ大丈夫だろうとかというような、何か基準というようなものをどこかに設けてあるんでしょうか。もしそういうものがあれば、相手の方が妻であろうが夫であろうが、女であろうが男であろうが、その基準と照らし合わせれればいいわけですから、差別も起こりようがないんじゃないかという、たとえば係の男の人が非常に古い考え方であったとしても、差別は起こり得ないのじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(大鷹弘君) いま先生が言われましたような客観的な基準というのは非常に決めにくいのでございまして、その人によってずいぶん事情が違うわけでございます。したがいまして、このぐらいのことであったらばいいとか、これでは不十分だというような意味のそういう基準というものはなかなか申し上げにくい。結局、これはケース・バイ・ケースということにならざるを得ないかと思います。
○中山千夏君 何かそういう大変おっしゃるとおりむずかしいんだろうと思いますけれども、そして、やっぱり調査に当たる方も、きっと基準があれば楽だなというふうにお考えになるだろうと思いますけれども、ずっとお話を伺っていて、非常に男女差別をなくしてやっていくというお話が力強く聞けたので期待しております。 それからもう一つ、第五条の上陸の拒否ですか、そこにちょっと関係して少しお伺いしたいんですけれども、第五条の五、「麻薬、大麻、あへん又は」という条項がありますね。これは多分こういう「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある」人が日本の中に入ってくるというようなことがあると、日本の国にとってぐあいがよくないということで設けてあるんでしょうね。
○政府委員(大鷹弘君) そのとおりでございます。
○中山千夏君 そうすると、たとえば大麻なんかについては、ずいぶん外国では法の規制状況なんかが違うということを聞くんですね。それから、覚せい剤なんかについては、外国の法規制なんていうのは大体一様なんでしょうか。それとも、全然規制していないというようなところがあるんでしょうか。
○説明員(山本達雄君) 大麻につきましては、これを非犯罪化しようという意見が世界のどこかにあるという話は聞いておりますが、やはり今日、世界の趨勢は、大麻も含めまして薬物事犯に厳しいということであるというのが、私の認識であります。 それから、覚せい剤につきましては、私余り詳しいことは知らないのですが、これはまあ言うならば日本が本場というのですか、まあ起こりは日本だろう。日本で起こりまして、日本でその原料もつくって、原料から製品もつくっておったのですが、昭和三十年後半にその一掃にほぼ成功いたしまして、それからは日本国内ではこれをつくることは困難になり、近隣の外国でつくられるようになった、それが現在の状況であるということであります。 ここで「法令に違反して刑に処せられた」といのは、何も外国で処せられた場合に限らず、かつて日本におるときに日本で処せられたということも含まれるわけでございます。
○中山千夏君 それじゃ、この条項についてはごく何といいますか、特殊でもないですけれど、ある日本が持っている特有な状況に対応したものだというふうに考えてよいでしょうか。
○説明員(山本達雄君) そうでございます。今日、薬物事犯、これは麻薬、大麻、アヘン、覚せい剤でございますね。これはいずれも異質のものでございまして、それぞれこれを取り締まる法律があるわけでございます。ところが、現行法ではこの覚せい剤だけが抜けておる。ところが、現実の薬物事犯を見ますと、その大半は覚せい剤である。しかも、この薬物事犯は、いずれも本人の健康に大変害があるわけでございますが、そればかりか、それを人の手から手へと移動することによって他人にまで薬物の害を及ぼす。そればかりか、いわゆるクレージーになりまして、通行人を刺してみたり、川にほうり込んだりというようなことになるのですが、そういう人に危害を加える危険の一番あるのは覚せい剤でございます。 数が多く、しかも中毒症状になった場合に最も危険性のある覚せい剤が、この上陸拒否事由から除外されておるというのは大変な不備であるということから、今度これを加えることといたしたものであります。
○中山千夏君 それから、その同じ五条の七番目なんですけれど、これは特にこの条文の内容的な変更というのはないようなんですが、この第七号の趣旨も、やはり麻薬などと同じように、こういう仕事をしている人たちが入ってこない方が日本国にとって望ましいということであろうと思いますし、それからこれは二十四条の退去強制のヌでしたかの条項ともかかわりのある項だと思うんですけれども、こういうものがあるにもかかわらず、非常に売春を目的として入国してきて、そして売春をしていくというような事例が多いということを聞くんですね。今度の法改正で、ここに盛られているような趣旨がもっと徹底できる、もっとこういう問題の解決に資するというような点がございますか、どこかほかとの関連で。
○説明員(山本達雄君) この五条の七項、それから二十四条にも同じような条項がある、これは現行法と何ら変わりません。ただ、表現が変わっただけでございます。 それをなぜこのように変えたかといいますと、売春防止法という法律があるわけですが、そこで使われておる用語と統一したということです。そういう意味におきましては、この部分は実質的な関係は何もございません。 なお、こういう条項があるにもかかわらず、売春を行う者が入ってくる、何か有効な手だてはということでございますが、これは大変むずかしい話でございます。確かに、そういう不心得者が入ってまいります。それを、それでは水際で防止するためにはどうしたらいいかと、厳重にチェックするという方法しかないわけでございます。しかし、厳重にチェックするということになりますと、大部分が善良な人であるのにもかかわらず、そういう善良な人にも大変迷惑をかけるということになるわけでございます。善良な人の便宜を図ると、国際交流の活発化ということかもわかりませんが、それを図りますと、今度はけしからぬ者がまぎれ込むということになるわけでございまして、このあたりに入管行政の大変むずかしいところがございます。ひとつ、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○中山千夏君 この五条の七によって上陸拒否した事例と、それから二十四条のヌですか、これで退去強制した事例というのがもしいまわかりますれば、大体のことでもいいんですけれども、わかりますか。
○政府委員(大鷹弘君) いま上陸に際しまして拒否したという例がどのぐらいあるか、ちょっと資料がございません。そうたくさんの数ではないと思います。それから、退去強制になった者は毎年数十名おります。 どうやってこういう人たちが日本に入らないようにするのか、また、入った後どうやってチェックするのかということでございますけれども、もちろん私どもといたしましては、事前になるべく情報を入手します。そして、たとえば成田空港なら成田空港に来ましたときに、そこでそういう人たちには特に厳しいチェックをする。事前に私どもの方で情報がある場合には、出先の公館にそういう情報をあらかじめ送っておくこともあります。 たとえば、空港に到着してブースに来ましたときに、この人はかなり怪しいというときには、入国目的とか、それから所持金がどのくらいあるのかとか、いろんなそういうことを相当厳しく問いただすわけであります。どうしても怪しいというときには、これは上陸を拒否することになります。 それから、一たん上陸した後のケースにつきましては、私どもの警備官が、できるだけこういう人たちを摘発するように努力しております。民間からのいろんな情報の提供とかそういうものがございますので、あるいはこちらの方で独自の調査をする場合もありますけれども、その結果、そういう人たちは大体資格外活動、たとえば観光ビザで入って、そのビザが観光であるにもかかわらず、資格外のそういう活動をしている人たちが多いのですけれども、そういう人たちを資格外活動ということで摘発することができるわけです。 こういうことを一生懸命やっているわけですけれども、何分私どもの方、全部手が回らなくて、なかなか全部そういう人たちを押さえることができない、こういう状況でございます。
○中山千夏君 買春観光という、これは日本人の方が出ていくわけですけれども、問題とあわせてとても深刻で、それで、しかも入管の皆さんのところに非常にウエートがかかって、しかも取り締まりがむずかしいという大変な部分だと思いますけれども、御努力をいただきたいと思います。 終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(鈴木一弘君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(鈴木一弘君) 速記を起こしてください。 暫時休憩いたします。 午後四時四十五分休憩 —————・————— 午後四時五十二分開会
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書への加入に伴い、その国内施策として、難民である旨申し出た外国人が条約に定める難民に該当するかどうかを認定する必要があるほか、難民の地位に関する条約に定める難民旅行証明書の交付及び社会保障の面における内国民待遇を図ること等の措置をとる必要があります。 そのために、出入国管理令の一部を改正して、 (一)難民の認定を受けようとする者は、入国後原則として六十日以内にその申請をしなければならないこと。 (二)法務大臣が難民であると認定したときは、難民認定証明書を交付すること。 (三)難民の認定を受けている者が難民でなくなったときは、その認定を取り消すこと。 (四)難民と認定されなかったとき及び難民と認定された後これを取り消されたときは、法務大臣に異議を申し出ることができること。 (五)難民の認定を受けている者に対する難民旅行証明書の交付、永住許可要件の一部緩和及び退去強制手続における法務大臣の裁決の特例について定めること。 (六)難民に該当すると思量される者について簡易な手続で上陸を許可することができるよう、一時庇護のための上陸の許可の制度を新設すること。 (七)被送還者が人種、宗教、政治的意見等を理由として迫害を受けるおそれのある国へは原則として送還しないこと。 などの規定を設けることとした次第であります。 次に社会保障の面におきましては、国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律及び児童手当法の一部を改正して、これらの法律における国籍要件を撤廃することとしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会 —————・—————