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94回国会参議院1981/05/28

法務委員会 第9号

発言数
317
登壇者
18
会派数
5
開催日
1981/05/28

会議録

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。   —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を、便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 今回の商法改正案は、株式制度の合理化とか、あるいは総会の活性化、自主的監視機能の強化確立、不正経理の防止、その中でも、特に総会屋撲滅対策というところに重点が置かれているという提案理由の御説明でございましたが、題目を見ている限りでは、これについてどなたも反対はなさらないだろうと思うんでございます。  これらの題目が、一体本当にここに掲げているような提案理由のようにスムーズに行われると大臣お思いでしょうか。一部に、やっぱり羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいだと、こういう批判もございます。まず、所見をお伺いいたしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十九年以来、法制審議会で各界の代表者にお集まりいただきまして熱心に御討議いただいた結論を、今回、商法一部改正案として国会に提出さしていただいたわけでございます。  およそ考えられる点を、いまお話しになりましたような点について御検討いただいたことでございまして、一応、私は相当な前進じゃないだろうかなと、こう思っております。しかし、これでそれらの点は一〇〇%解決されたのかと言いますと、それは私もなおいろいろな問題が起こってくるのじゃないかなと、こう思います。総会屋対策の問題にいたしましても、私は相当な前進だと考えておりますけれども、これでもうそういう問題はなくなるかと言われますと、もちろんそのようなことは言えないと思います。また、新しい事態に応じて必要な改正案をまとめていくことじゃないだろうか、常に前進を試みていくことじゃないだろうかなと、かように考えているわけであります。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 私も、そういう点では、必ずしも十全ということでなくても、前進しておくということであれば結構だと思うんでございますが、この法案の中身を調べてまいりますと、どうも非常に法のたてまえと現状との乖離といいましょうか、そういうものを感ぜざるを得ないんでございます。  大臣御承知のように、先日決算委の法務省所管関係で、私は津軽海峡トンネルの裁判管轄権の問題を質問いたしました。あのときも私は、長年町長の経験がありますので、これはどこの町村の境界に属するかなと、公海の下に掘られたトンネルの町村の境界はどうだと、こういうことをふっと考えますと、それはじゃ裁判管轄権はどうなるんだというところに及んだわけです。結果は、最後に大臣がお答えになりましたように、確かに不備だからできるだけ関係省庁と相談してこれは改めると、大変素直な、法律のやはり練達の士らしいそういう御答弁をいただきました。と同様に、今回も、これらの質疑の中で、これはどう考えてもおかしいとお思いになった場合には、大臣は謙虚にそういう面の修正に応じていただける、そういうことを期待しながら御質疑してよろしゅうございましょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 政府が提案をいたしまして国会の御審議をお願いしているわけでございますから、国会がどのような御処理をなさろうと、政府側としてはとやかく申し上げるべき筋合いのものではない、かように存じております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 まあそれは大臣、たてまえでお話しになっているんで、しかし議院内閣制ですから、提案者の意向を無視して、国会が決めればいいじゃないかと言ってもなかなかそういかないので、そこのところをひとつ踏まえてこれからの質疑に応じていただきたいと、かように存ずる次第でございます。  一つは、私は昨日の参考人の意見を聞いておりまして、大変奇妙に感じたことがあるんです。御当人にはそのことを申し上げませんでしたが、税理士会の四元参考人は、しばしば法務省と打ち合わせたということを言っておるんです。ですから、この法案のできてくるまでに相当程度税理士会の意向が入ったという言い方をしているんですが、逆に考えれば、これは法務君側の意向も税理士会側に伝わったはずでございます。ところが御当人は、もう御承知のように、昨年、これは新聞等でも有名な話でございますが、税理士会の政治献金の問題で起訴猶予になっているんですね。まだ起訴猶予になってから一年たったかたたないかです。こういう人が窓口になって法務省と話をした場合に、法務省側の大きな私はプレッシャーがかかるんでないかと思う。なぜそういう相手を選んだか。これは、税理士会の代表だと言えばそれまでですよ。しかし、もっとほかに人がおるんじゃなかろうか。そういう点で法務省側が、これはちょっとおたくではというふうなことでなくて、むしろ心理的に非常にプレッシャーのかけやすい、かけたということではないんですよ、かけやすい方を相手にして、この法案については法務省側が税理士会を、そういう方を通じて非常に上手にコントロールをした。それが、いま税理士会がわいわいわいと騒ぎになってきた何というか、大きな問題点ではないかということを、実はきのうお話を聞いていてそう思ったんです。  それは、真ん中の方は確かに理路整然たる反対なんですが、最初と最後にいかにも本人の本番らしい、法務省に対して気がねをしたような発言が、書いてないところでは出てきているんです。じっと読むのを見ていました。それで、どうもちょっとそこら辺もこの機会に一応きちっとしておかなきゃならないと思いましたので、どなたかひとつ、その点については大臣からでも結構ですが、お答えいただきたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 税理士会は会長が欠員で、四元さんが専務理事なものでございますから、一応税理士会としての窓口ということになりますと四元さんになるのだと、こう私理解しているわけでございます。何も税理士会に限りませず、いろんな方面からいろんな意見が、法案改正に当たっております当局に対しまして話が出てきておるわけでございますので、できる限りそういう方々のお話を伺いながら、改めて円満にまとめられるものならば円満にまとめる方向に努力していくことでよろしいのじゃないだろうかと、こう思っております。  私が法案を提案する過程におきまして、税理士会側の意見がこうだということも伺いましたし、また、それに対してこう対応したいのだという話も伺いました。そうすれば税理士会はそれで満足してくれるのだというお話も伺っておりまして、税理士会側の意見を入れてこの改正案ができ上がっておるわけであります。ところが、税理士会の一部の方が大変強く反発して反対の動きをなさっておりまして、ですから結果として私は、日本税理士会がまとめ得るつもりでおったのが、内部に反対者があったものだから、これでいいのだと言い切れないような立場に陥られたのじゃないだろうかなと、こんな感じを持っておるわけであります。  非常に率直に私はお答えしておるわけでありますが、税理士会側からお話がございまして、答申のありましたうちで、売上金額が二百億円を超えるものも大会社並みの扱いをしようとしたのをやめましたし、あるいは負債額百億円というのを二百億円に上げましたし、あるいは一億と五億の間についても公認会計士をだんだん利用していくというような方向をとろうとしておったのもやめましたし、あるいはそのほか御希望に基づいた規定も入れたわけでございまして、ですから私は、一〇〇%税理士会側が御満足いただくのだと思っておったら、法案を提出いたしますと一部の方が大変強い反対運動を起こされました。いろんな事情がございますけれども、その辺を踏まえて私は四元さんが参考人としてお答えになっておって、丸谷さんが納得いかないようなお気持ちをお持ちになったのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。  私は、やはり聞くべきものは聞く姿勢は大事じゃないかなと、こう思います。しかし、聞くからといって、筋道を曲げるつもりはございませんで、聞ける限りのものは聞こうという立場で、考え方で、修正を答申について試みたということでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 大臣、きわめて率直にお答えいただいてありがとうございます。  実は、昨日は公認会計士協会の会長さん、この方も、何か業界の新聞で見ましたが、選挙で落ちられて、もうすぐやめられる方です。それでも会長さんが出てきて、私は実にきのうも感心しました。大抵なら、もうおれはいやだというところを、最後まで務めを果たしている。それは税理士会、確かに御承知のように会長はお亡くなりになりました。しかし、会長代行というのは別にできているんです。ですから、会長代行に副会長がなっていますから、当然これがやっぱり並んで、公認会計士協会会長、税理士会も会長代行ということがしかるべきだと思っておったら、そういう形でない。  これh大臣、認識の違いでなくて、ここには記録を持ってきておりませんが、いろいろな税理士会の発行のものを見ますと、全国の税理士会の集まった席上でも、明らかに十億を五億にすることは反対だということは決議されているんですよ。ですから、この交渉の過程で、いまの大臣がお考えになったように、確かにいろいろな点で声を聞いたと言われるけれども、一番肝心なところがそうでなかったので、税理士会のこれは一部ではございません。全国の者の集まった決議でそうなっている。きょうは持ってきておりませんが、ごらんいただけると思いますが、ごらんいただければ、それは決して一部の者が反対しているんじゃないということは、そうした組織の決議をごらんになればおわかりになると思うんです。そこで私は、そういう全体の決議を読んでいたものですから、ちょっと変だと思った次第ですが、まあそれはそうしておきまして、具体的な問題に入りたいと思います。  まあ法務省、これは無理はないかと思うのですが、経済の実務というか、実態ということに、どちらかと言えば直接触れる役所でない。私は御承知のように、町長をやりながらも十勝ワインをつくったり、町出資の会社の経営をやったりして、多少経済の実態に触れております。そういう点から見ると、こういうことがどうして気がつかないでこんなことになったかなと思うことがございますので、ひとつその点から入らしていただきたいと思います。  今回改正される小商人の問題でございます。五月八日の衆議院の稲葉委員の質問に答えまして、これは小商人の概念は資本から「負債を引いた金額、これがいわゆる元手ということになりまして、それが資本ということになる」と、そういうふうに実は答えているのです。これはそのことに間違いございませんね。記録はここにございます。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 資本ではございませんで、資産でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 資産ですか、そういうふうに言っていますか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 私どもが申し上げた趣旨は、資産でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 あのね、記録というもので、国会で答弁する場合に間違えないでください。あなた、ここに資本と言っているんですよ。何です、それば。ちょっとこれを読みなさい、これ。そういうごまかしの答弁はいけませんよ、あなた。(丸谷金保君資料を手渡す)

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 申しわけございません。「資産」と記録に出ておりますが。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 資本でしょう、それは。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) いや、「資産」でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 速記を起こして。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 これは間違いございませんね。「資産から負債を引いた」もの、「それが資本」ですと、間違いございませんね。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 間違いございません。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうすると、資産が十億円ある。負債が九千九百五十一万円で純資産が四十九万円、こういう商人、想定されますわね。これはやっぱり小商人に入りますか、ここで言う。どうです。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 純資産という意味で申しますと、それは入るわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 ちょっと声を大きくしたので、何かいじけているようなのであれですが、もう一回言ってください。ちょっと聞こえなかった。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 純資産という概念を用いるということになりますれば、そういうものは小商人ということになろうかと思います。私どもの考え方で申しますと、一番初めに元手を使いましてそれでいろいろ資産を買うわけでございまして、それに対しまして負債をいろいろ処理するということになると、それが小さい場合には小商人ということになろうかと考えておるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 十億の資産を持って、それに近い借金をしながら商売しておる。これはわれわれの概念で小商人ということにはとても考えられないんですが、大臣、一般的な常識論としてどう思いますか。これを小商人だと言うんですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 資本金を基礎にして考えますと、十億の資本金を持っていた者が小商人などとは考えられないことは常識だと、こう思います。営業の過程で損失を重ねていきますと、純資産ということになってまいりますと、マイナスの状態だって生じてまいるものだと、かように思っております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 これは、稲葉参事官ですか、こういう取り方に問題があるんですよね。言われたとおりに計算すれば、そういうものは小商人だって言わざるを得なくなってしまう。これはもう世間の常識とは離れたことです。  それからもう一つ、小商人の定義の中で、二千円だったのを五十万に引き上げましたね。これは一応物価にスライドさせたと、こういうふうに同じところで、読みますよ、「大体物価にスライドさせていくとこのくらいではないかという、ある意味では目の子でございまして、必ずしも理論的にこれが唯一無二のものであるというような根拠」ではないけれど、一応大体物価にスライドさせたと、こういうふうにお答えになっておりますが、これも間違いございませんね。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 間違いございません。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そこで「大体」と、そればもうきりきりというわけにいかないです。「大体物価にスライド」させたと、こういう御答弁なので、私はこれを調べてみたんです。大体、絶対無二とは言わなくても、大体と言えばたとえば五十万が三十万か、あるいは八十万か、百万ということはないだろうというくらいの範囲が大体ですわね。そういうことでしょう。五十万が五万円だったと言えば、これは大体似たようなということにはなりませんわね。いかがですか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 私どもの申し上げた趣旨は、この法律の中でいろいろ罰則等も改定しておりまして、それは物価上昇率等を勘案して、必ずしも物価上昇率のとおりに上げているわけではございませんけれども、趨勢として上がっているということで上げたわけでございまして、それとのバランスを考えてこの金額をセットしたという趣旨でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そういうようないろんなあっちもこっちもというふうなことで御答弁されると、ちょっと迷ってしまうんですがね。ただしかし、ここで言われた御答弁は、やっぱりあくまで物価に対するスライドということを考えてやったというふうに答えていることに間違いはないんですよね。ほかの手数料やなんかの値上がりの分との整合性とかなんとか言ってないんですから、衆議院の中ではそういう論議してないわけですね。衆議院の中で論議してないから、二院制としての参議院でもっと深めた論議をわれわれはすると、こういうことになるわけでございますけれどね。  実は、小商人というのは、一体いつ法制化されたかということで記録をとってみました。これは昭和十三年なんです。昭和十三年に、従来は勅令で決めていたのを、いろいろ皆さん方の御意見を入れて本法施行令に入れると、こういうことで法令に明文化して入ってきたわけです。そのときの、これは大森洪太さんというのが当時民事局長で答弁しております。「御説ノ通リデアリマシテ、商法ガ小商人ト云フ特殊ノモノヲ認メマシタノハ、是等二商業登記ナリ商業帳簿ヲ強ヒルト云フコトハ無理デアル、又是等ノ者ニ左様ナコトヲヤラセナクトモ弊害ハ少シモナイ、斯様ナ見地カラ」、無理だから小商人という制度を設けた。そして、それは明治三十五年に五百円だったんですよ、勅令では。それをこの機会に二千円に直した、これがいままでの小商人二千円の根拠でございますわね。これは御存じだろうと思うんです。  ところが、いまそのことで今度は物価その他にスライドしておたくの方では二千円を五十万にした。それで私、物価の方をやっておりまして、いま物価委員長でございますので、物価の問題を大変勉強しなきゃならない。それで、週刊朝日に毎週物価のが出ておるのをとっておきます。これで調べてみたんです。そうしますと、こういうことなんですよ。当時、そばのもりかけが明治三十七年には二銭だったんです。それが昭和十年十三銭、大体この間で六倍半ぐらいになっておるんです。それじゃ昭和十年の十三銭から昭和五十年を見ますと、二百六十円で、そばの値段がこの間におよそ二千倍です。昭和十年、ちょっと違いますが、十年も十三年も大体似たような時代で二千倍になっております。それから銀座の地価、昭和十一年が一万円で五十四年が二千二百万円、これは二千二百倍でちょっと高いなと思いましたけれど、土地の値段、特に銀座ですから、これはこれの倍率だけで見るわけにいかないだろう。  それから、一体俸給はどうなっているだろう。総理大臣の俸給が昭和六年が八百円で、昭和五十四年が百五十五万円です。正確には千九百三十八倍、大体二千倍。大臣の俸給だけでは余り標準にならないと言われても困ると思って、巡査の初任給をとってみたんです。これが昭和十年四十五円で、十九年も四十五円なんですが、昭和五十四年の初任給が九万九千百円です。これが大体二千二百倍。そうすると、大臣にしても巡査にしても、大体俸給は同じようなやっぱり二千倍から二千倍ちょっとというふうなことになっております。それから、たばこをとってみたんです。さすがに官営のたばこは安いですね。昭和十四年にバットが九銭だったんです。いまバットは余り売っていませんが、大体売っていると五十円ぐらいするんですが、最近最も庶民的なピースに置きかえてみましたら、ピースがいま九十円です。千倍にしかならない。やはり官営ということは大事だな、ほかの物に比べると、たばこの値上がりというのは意外に低いということに気がつきました。しかし、おおよそこの間二千倍になっている。  十三年のときの大森さんの答弁をさらに見てみますと、当時もやはり五百円を二千円にするということについては、「明治三十二年二現行法ガ出来マシタ際ニ、五百圓ト云フノガ小商人ノ限度ニナッテ居リマス、今日此五百圓ト二千圓トヲ比較致シマスト」、経済情勢と国民生活が変わってきておるので、「二千圓デハ餘リ低過ギルデハナイカト云フ感ヲ懐クノデアリマス、」、しかし、三千円あるいは二千五百円という線もあるけれど、経済、物価、ここでは物価と言っていませんが、物価のことでしょう、そういういろんなものを勘案して二千円にいたしましたと、そして「將來此法案ガ不備缺陥ヲ生ズルト云フ場合ニハ、其度毎ニ其缺陥ヲ是正シテ行クト云フコトハ、正ニ大ニ努力ラシタイト存ズル」と、この二千円が三千円という線もあるし、二千五百円、いろいろあるけれど、それで一体その二千円の根拠としてどういうふうに——ちょうど四倍です。巡査の明治三十九年の俸給が十二円ですから、大体昭和十三年が四倍なんです、俸給が。  だから、この間には四倍くらいしか上がってないから、当時としてはやはり五百円を二千円にして、二千五百円か三千円かといういろんな議論はあったけれど、二千円にしたというのには、それなりのやっぱりこの時代には、当時の経済情勢の中で整合性がありました。さすがだなと、私はこの古い記録を読んで感心したんです。しかし、いま二千円を五十万に直すと、一けた違うんじゃないですか。物価にスライドしたなんて、こういう具体的な事例からしてずいぶん金銭感覚のずれがひど過ぎるという感じを、私たち経済に多少携わっている者にしてみると感じるんです。いかがでしょう。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 実は、この点は仰せのとおり、抜本的に見直す必要があるのかもしれないわけでございますが、現行法では、御承知のように、有限会社の最低資本金の金額というのは十万円になっております。きのうの参考人の御意見の中でもございましたように、資本金額一千万円以下の株式会社というのは相当大規模な会社であるわけでございますけれども、それが九〇%を占めているというような事情があるわけでございまして、小商人の場合にだけそれを急激に上げるということは、制度的に非常にアンバランスになるということでございます。  ただ、二千円という金額はいかにも時代離れがしているのではないかという、こういう御批判がございましたので、ほかのここで挙げておりますいろいろな先ほども申し上げました罰則等の金額も、これは物価にスライドして一応上げておりますということになるわけでございます。で、その金額は必ずしも物価水準に直接にスライドするということではなくって、そのほかの法制上のバランスを見た上で金額をセットしておるわけでございまして、それと横並びでこの金額を一応五十万円という金額にしたわけでございまして、先生の御指摘のとおり、物価スライドをさせるといたしますと、二千倍ということになるといたしますとこれは四百万円ということになるわけでございまして、そういう小商人について四百万円というようにするということは、ほかの法制とのバランスが非常に崩れてまいるということの結果からこういうことになったということで、御了承願いたいと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それは御了承できないんだよ、あなたが物価スライドで、ぎりぎりではないけれど、大体こういうところだということで衆議院で答弁しているから。いいですか。それでいながら御了解してくれと言ったって、できないでしょう。あなた自身も四百万ぐらいにしなきゃならぬと、物価にスライドさせたら。あなた、物価にスライドさせると言っているんですよ。間違いないでしょう、さっき確認したんだから。いま言ったいろんなことなんか、何にも答弁してないんですよ。それで了解せいというのはどういうことですか。物価スライドではございませんとなぜ言わなかったんです、そうしたら。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) これは、基本的にこの小商人について構想を全く改めるということではなくて、結局、それまでに考えました事情というのは、もっぱら物価と申しますか、それに伴う経済情勢の変化ということでございます。その金額が必ずしも高くないのではないかということでございましたら、その点につきましては、ほかの法制とのバランスでそうさしていただいたということでございまして、衆議院においては言葉が足りなくて申しわけないことをしたという感じもいたしております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 言葉が足りないんじゃなくて、うそを言ったということですわね、これ。だって、これを読んでごらんなさい。もう一回読みますか。私はこれは腹を立てているんですよ、こういう答弁ですいすいと法案を通してくるということがあるかと。「昭和十三年当時の二千円をいまにおいても二千円のまま残しておくのはいかにも前近代的過ぎるということでございまして、大体物価にスライドさせていくとこのくらいではないかという、ある意味では目の子でございまして、必ずしも理論的にこれが唯一無二のものであるというような根拠はございません。」と、こう言っているんですよ、あなた。唯一無二の根拠ではないけれど、しかし、大体目の子で物価にスライドしていくという、唯一無二ではない、だからぎりぎりではないけれど、目の子でこれくらいだとあなた言っているでしょう、ここで。そうすると、衆議院の答弁はうそを言いましたと、あなたいまここで言うわけですね。物価にスライドさせると言っているでしょう、あなた。それを、そうでないといまここで言うんだったら……。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) うそと言われますと、それは全然違うことを言ったということになるわけでございますけれども、基本的には私どもは物価状況を勘案してそれを上げたつもりでございます。ただ、それに対して制約する条件がいろいろあったためにその限度でとどめざるを得なかったと、こういう趣旨でございまして、条件が補足されるということになるのではないかと、かように思うわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実は大臣、お聞きのとおりなんですが、これは経済感覚、これは無理だと思いますよ。法務省のお役人の方に無理だと思いますけれど、いまの経済の実態というものを余りにも知らな過ぎる。たとえば有限会社十万からある。これは早くに十万でつくった有限会社、そのままになっています。そういうのもありましょう。しかし、それが実際の事業活動しているときに、五十万や百万の金でやっているはずないんです。何億、何十億と、資本金は十万円でも有限会社は事業をやっております。それと小商人と比較の対象にするということ、小商人というのは、本当の何というか、小さな商いやっている。退職してたばこの権利だけ取ってそこで売っているとか、農家の人が荷車引いて持ってきて路上でもって生産物を販売するとか、そういう小商人と有限会社というものの実際の実態というものと、比較になるはずのものでないんです。  無理にくっつけて有限会社十万だからと言いますけれど、こんなもの大臣、比較になりますか。仰せの筋が全然違うでしょう。いかが思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 商法改正の中で大小会社の区分をはっきりさせて、それぞれに適用する法規を異にするという大事な課題がございまして、全面改正の際にはぜひそれに進まなければならない、こう考えておるわけでございます。したがいまして、現状は大変矛盾していると考えているわけであります。矛盾している中で若干の手直しをするものでございますから、物価上昇を考慮して金額を改正する場合にも大変不徹底なことにせざるを得ない、その辺の説明が舌足らずであって、大変おしかりを受けているようでございます。  根本的な問題を残したままで進んでおるものでございますから、御不満を買っているのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。宿題と法務省は心得ているわけでございまして、大小会社の区分、これはぜひ次の機会には取り上げさしていただきたい、こう思っておるところでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 大臣、私は、その答弁に不満を抱いているというだけでないんです。こういう実態に合わないものを一体議決しちゃったらどうなるんだ。小商人、この定義はいろいろありますけれど、これは田中誠二さんの「商法」、この中で「小商人の制度を認める実益は小商人においては商業登記、商号および商業帳簿に関する規定を適用せず、これらを不要とする点にある。」と、特にそういうことをしないでもいいですよという、いわゆる商人としての帳簿の適用除外です。そうすると、五十万で適用除外できる、一体どういうのがあると思います。まずくつみがき、——ちょっと済みません。この写真を大臣に見せてください。大臣、法の保護を受ける、この小商人の規定によって列記される種類の業態、いまそこに写真−要するに焼き芋屋さんであるとか、それから野菜を持ってきて売っている人だとか、あるいはまたたばこ屋さん、こういう小さい人たちに帳面つけないでもいいですよということだと思うんですよ。  少なくても改正するときに、これらの人たち、いま写真をお見せいたしましたように、五十万でできませんよ。この人たちは、今度五十万に上げたからといったって、当然法がそういう人たちは帳面つけないでもいいよと言っている人たちが、今度の法律を改正しても入れないんですよ。一体、法務省は五十万にしたらどういう人たちが拾われると思っています。ほとんどいまそういう、そこに写真お見せしましたようなこういう人たち、みんなちょっと見たって五十万以上かかっているでしょう。これはみんな小商人の規定の範囲外になっちゃいますよ。どうですか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 確かに、いろいろ御指摘の点は私どももよくわかるわけでございますけれども、ただ、いま申し上げましたようないろいろな法制上の制約がございまして、これ以上これだけを飛び離れて上げるということにするのは適当でないということがあったわけでございます。さりとて、今度の改正の中で、これを二千円ということにしておいた方がなおいいのかということになりますと、まあ二千円ということにするよりは、やはり罰則等の金額も上げていることでございますから、これに見合うような程度のスライドはさせた方がよろしいのではないか、かように考えた次第でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうすると、物価にスライドさせたのではなくて、罰則にスライドさせたんですか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) もともとの罰則等の、あるいはそのほかの金額のスライドと申しますのは、これはそもそも物価にスライドさしたということでの考え方でございますので、そこを短絡して、一番もとのところを申し上げて、誤解といいますか舌足らずになったと、こういうことで、まことに申しわけないというふうに思っております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 あのね、申しわけないという顔、そういう顔でないんだよね。あなた、にやにやとしながら申しわけないなんて言うのは侮辱だよ。いいですか。  これは私は、物価にスライドしたと、何の気なしに、そういう点で罰則からもう物価にスライドだし、それらとつり合いとって五十万にしたんだから、物価スライドなどという、短絡的に、別にごまかすつもりで答弁したんじゃないと思いますよ。しかし、ここに法務省の持つ経済感覚といいますか、実態とのずれは明らかにあると思います。いま二千円じゃどうかと思うから五十万にした——当時の大森政府委員も、速やかにそぐわなくなったら直します、だからとりあえず二千円だと言っているんですよ。五十年そのままなんです。私は、法律というものはそういうものだと思うんです。やはり決めるときにきちんと論議をして、ただすべきものはおかしいと思ったらただしておかないと、すぐ直しますと、大臣もそうおっしゃいましたけれど、当時もやはりそう言っているんですよ。昭和十三年に言っていても直ってないですよ。  特に、商法というような民法に次いで非常に基本的な法律ですわね、そういうものの改正のときには、どたばたとやったんでは、そう簡単に手がつかないということの私これ実例だと思うんです。五十年も二千円で放っておかれたということは、いかにも現実に合わない。今度も五十万にしたら、いかにもわれわれは——私は、だから、何だ、当時の議員さんたち目がないなと、いつでも直しますと言われて、はいそうですかと、その後何にも言わないでいる。もっとも終戦時のこともありましたけれど、そういうことが行われてきたとしますと、やはりこういう改正法案を提案したときには、少なくてもいまの現況に合うぐらいのことにしておかなきゃ、ほかの法律のいろいろ見合いがあるからこの程度だといってやっぱり現実と離れたものにしておくということでは、私はちょっと法律としては不親切過ぎるんではないか。  たとえば、いま農家の人がスイカだとかメロンつくって道路へ出て売っています。これなんか、やっぱり当然その限りにおいて小商人の、中で一一帳面つけたり照合とかなんとかいうものでないと思いますよ。それでも、最近プレハブでもって屋根かけて売っているんです、みんな。野天ではやらなくなりました、どこへ行ったって。これら、全部五十万じゃどうしようもないんですよ。商人の規定を適用せざるを得ない。いや、そんなもの適用しないとは言えないんですよね。実際はまあ見て見ぬふりであっても、法のたてまえからすれば。法務省がたてまえ論でずっと一貫して今日までこの改正案でおとりになってきている説明から言いますと、一体五十万にしてどんな職種が入ってきます。私は、くつみがき屋さん、これは入るなと思ったけれど、あと焼き芋屋さんにしろ、屋台にしろ車で運んだりしますから、車時代になってきてとても入らないと思うんですよ。どんなものが入りましょうか。ここで金額決める場合には、当然五十万にしたらこれこれこれこれのものをということを一応対象にしているんでしょう。この問題だけ余り時間をかけたくないんですが、どうも酢だコンニャクだと言われるので、追及せざるを得ないんですけれどね。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 確かに、私どもも具体的にこれによってどの程度の商人が救済されることになるかという実態調査をやったわけではございません。そういう意味では、経済に疎いと言われても仕方がない面はあるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、この二千円という金額というのはこのままに放置しておくのには余りにひど過ぎる金額であるということに考えまして、それをそのままスライドさせるということについては、法制上のいろいろな制約があってむずかしいという事情があったわけでございます。そこで、不徹底ではございますけれども、この金額をセットしたということでございます。  確かに、この金額でもなお足りないという御意見はあろうかと思いますけれども、この点につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、大小会社の区分等で考えまして、これは御案内のように小商人というのは、現行法では、「資本金二千円ニ満タザル商人ニシテ会社ニ非ザル者ヲ謂フ」と、こういうふうにいっているわけでございます。会社とのバランスというのも、これは法律をつくる者としてはやはりどうしても考えなければならないわけでございまして、個人商人の場合と会社との場合を整合して考えるというのは、商法は個人商人についても適用される法律でございますし、会社についても適用される法律でございますので、このバランスを考えないでおよそ商法の改正をするということはできないわけでございます。  そういうことで、いろいろな制約の中で精いっぱいの数字を出したというふうに、御理解を願いたいわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 どうも何ぼ聞いても理解できないんですがね。というのは、実態調査したわけでないと。この程度のことは実態調査必要ないんですよ。すぐにどんどん頭に浮かんできます、われわれ。焼き芋屋さんがどうだとか、じゃ退職してたばこ屋さんどうだ、これは一体できるかなと。自動販売機、いま農家にも、ビーボなんていうのは、ビーボにまさるビーボはないなんて書いたやつが、農家で自動販売機、そうすると、これは基礎も要るんですよ。基礎に砂利を入れて、その上に載っけますと、一坪の基礎つくるだけだって二十万や三十万かかっちゃうんです。そして、その上に自動販売機を載っけるんです。そういうふうに、具体的な例は、実態調査なんていうことをしなくても常識ですよ、こんなこと。それを、実態調査しなかったからどうも疎いなんていうふうなことは、いかにもインフレ、物価問題、こういうものを、常識と離れたところで法の作成がなされたという実はきらいが非常に強いわけです。  これは大臣、ぜひ修正をするようにお願いしたいと思うんですが、本委員会のこれは審議の過程でこれだけ明らかになった実態にそぐわないものということで、各委員さんの御理解を深めていただきたいとも思いますけれど、そういう点での理解を深めていただいて、まあこれは私が勝手に言うことでもございませんので、いずれ理事さんや委員長さんたちで御相談いただくことですが、明らかに十倍は違うんです、どういうふうにやってみても。そして全然、二千円を五十万円にしたからといって、かっこうはついたかしらぬけれど、実態としては救われるものはほとんどないという実態に変わりがないというようなことをわれわれ一が審議の過程で明らかにして、不問に付していいだろうかという気がするんです。  もう何としても悪いとは言わない、酢だコンニャクだということでお逃げになるとどうもちょっと、私はもう少しやはりそういう点で、まあ物価に弱いということをおっしゃっておられるのでやむを得ないと思いますが、やはりもう少しそういう点は、同じどうも済みませんと言うんでも、にやにや笑いながらでなくて、本当にもう少し済まなそうな顔して言うくらいの誠意をぼくは示していただかないと困ると思うんです。この問題はちょっと納得できませんけれども、先へ進ませていただきます。五十万を四百万に直したって、何のことない、簡単に直ると思うんです。それでほかが合わなきゃ、ほかをこれから直していけばいいんですよ。  それで次に、大事な問題がたくさんございますが、銀行局おいでになっておりますね。——今度、自己発行株に対する質権の設定ですか、これが認められることになったんですが、これはいろいろその理由は聞いておりました。しかし、私がすぐぴんときたのは、私もかつて銀行にいたことがあるんです。あっ、歩積み両建ての抜け穴ができたというふうに、直観的に私は説明を聞いていて思いました。歩積み両建ては禁止されても、銀行が小さな業者に、うちの株を買えと、そしてそれはうちに抵当に入れろと言っておけば、相当の担保価値を持って、他の債権者よりも優先的にさっと取れる。しかも、自分の銀行の株ですから、簡単に換金もできるし取ることもできる。  ただ、ここで特に私は気になるのは、自己株の質権としての先取りは違法だという最高裁判所の判例が出ているんです。今度この法律で違法でなくなります。それからチッソの株主の問題も、これも違法だという判例が出ている。今度の法律でこれらは整理されます。要するに、法律ができて、判例で違法だという結論が出たら、ある学者は銀行と経団連の圧力によって改正される商法というふうなことを言っておるんですよ。活字になっていますから間違いございません。そうまで批評している学者もいるんです。ですから、そういう点に対して、一体大蔵との間ではどういう詰めを行ってこの条項を入れることにしたんですか、法務省の見解を伺いたいと思います。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 大蔵省との関係では、大蔵省から法制審議会にも委員、幹事に来ていただいておりますし、それから法案作成の段階にも合い議をしたわけでございますが、先生御指摘の点につきましては、歩積み両建てが問題になるのは、むしろそれによって、拘束預金をすることによって実質金利が高くなるということが問題になるのであって、担保を兼ね、銀行が貸すときに担保を要求するというのは、これはしごく当然のことではないかというふうに思うわけでございまして、その意味で問題は、それが実質金利が高くなるというような形で預金者あるいは融資を受ける者にはね返るかどうかという点が問題になるわけでございますけれども、この場合には銀行の株式を担保に入れたからといってそういう事態が起こることはない。  いずれにしても、株による配当というものは、担保として差し入れた場合であっても、まあ登録質にすれば別でございますけれども、普通の形の略式質あるいは譲渡担保でございますと、そのまま債務者と申しますか、その担保提供者のところへくるわけでございますからそういう問題はないのではないか、かように考えておるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そういう問題が起きないという経済感覚、銀行が資金の融資をするときに担保を取る。それはまず現在あるもの、土地、建物とか、あるいはおまえのところでどこの株を幾ら持っている、それを出しなさいと、こういう形を想定しておりますね。しかし、この条項が入りますと、そうでなくて、今度うちの株を買いなさいということで別に持たせるんですよ。そうして、それを担保に出しなさい。十億貸しましょうと。一億は株を持ちなさい。資金は九億しか使えないことになるんです。ほかの担保を持っていれば、担保を出して十億使えるんです。ですから、おたくの言うようなぐあいにはならない。大蔵省どうですか、その見解をひとつ。

足立和基大蔵省銀行局銀行課長

○説明員(足立和基君) 今回のこの商法改正によりまして、自己株式につきましても質権設定が一部できる、こういうことになるわけでございますが、それによりまして、いま先生は、いままでの歩積み両建てというものにかえて今回は銀行の株を持たせると、こういうことによって、それを担保に設定し融資が行われるのではないか、こういう御懸念でございます。  今後、銀行がどういうような行動をとるかということをなかなか確定的には申し上げられませんけれども、まず歩積み両建てがどうして行われるのか、私どもはこれを厳に禁止しておるわけでございますが、その背景を考えてみますと、いま参事官からお話がありましたように、一つは、実質金利を高めるということが大きな問題ではなかろうか。それからまた、銀行預金というものをふくらましたいというような考え方も銀行側にはあるのではないか。また、融資に当たりまして預金を取る、歩積み両建てにしておくということになりますと、いざという場合には貸し金と預金との相殺適状になるというようなことでこの歩積み両建てというものが行われやすいと考えられるわけでございますが、これを今回の自己株式というものについて当てはめて考えてみますと、いずれもそのような条件というのがやや異なるのではないか。したがいまして、銀行がそういうビヘービアをとるということは、ちょっと考えにくいのではないかというぐあいに私どもは考えております。  それから、先ほど先生が、たとえば十億を貸すという場合に、自分のところの株式を買わせて担保に取る、こういうことを具体的に申されたわけですが、十億銀行が融資をするということになりますと、当然ながら掛け目を掛けた上での担保価値というものが、何らかの担保というものが十億なければならない。したがって、その銀行の株式をその額だけ買わせるということになりますと実際に使える金がなくなってしまうと、こういうことでございますから、何らかのやはり担保というものが別途なければ銀行というものが融資に応じないだろう。したがって、その一部を内分の株式を持たせるということの銀行側からしたインセンティブというのはどういうものがあるだろうかと考えてみますと、先ほど申しましたような歩積み両建てという場合とはちょっと異なるのではないかと、こういうぐあいに私どもは考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 これは懸念でございまして、特に大蔵省は銀行に関しては厳しい監査も行える立場にございます。だから、このことはそういう弊害の起こらないように——起こりかねませんから、いいですか、いまはまだ起こってないわけですよね。これからの問題として十分御注意いただきたい。そのことを念のため、きょうはここで申し上げておきたいと思います。きっと起こりますよ、そのうちに。今度具体的な例を持って出てきたときにはお困りになるんで、いまからひとつそういう点について十分御注意を喚起して、この問題については大蔵省さん、もう結構でございます。特に懸念があることで注意しておきたいと、こう思いましたので、どうぞ……。  それで、こういうことで経済感覚の違い、これらが非常に何かいろんな点で実は私問題になってくるんでないかなと思います。たとえば今回、監査等の特例法の第二条で、いわゆる五億円という本法をそのまま生かして、附則の十億というのを外しましたね。これについては税理士会の方では非常な反対がありますけれど、四元参考人の話だと、基本問題調査会のようなものをつくってくれればそうでもないんだというような、何かこうあいまいな話がございました。これも私は、五億を十億にするというなら話はわかるんですよね。しかし、十億の附則を——これは附則だからいつかとらなきゃならぬということをお答えになろうと思います。しかし、一方では、国の職員の地方への権限委譲というふうな問題は、「当分の間」という附則が三十五年も生きているんです。これはもう大臣、御存じのとおりだと思うんですね。ですから、附則だから七年間もほっといたんだからやったなんということは、これは通らない話だ。それなりの別な理由がなきゃならぬわけです。  そこで、インフレの問題を考えた場合に、この本法を決めた、五億ということを決めたときの、あるいは附則を決めたときの四十九年、経済企画庁、消費者物価で結構です。特価の上昇率はどれくらいあります。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  ただいま資料を持ってまいっておりませんので、大変申しわけありません。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 私の方で調査したのは、経済企画庁の資料で一・五三倍です。大体間違いないと思うんですよ、おたくの数字なので後で調べていただければ。大体一・五三倍なんです。  そうしますと、当時の五億というものの貨幣価値は、この七年間にすでに三億何がしくらいの貨幣価値になっているんです。だから、十億を五億にしたということにならないんですよ。これを決めたときの五億の貨幣価値というのは、もう三億ちょっとくらいにしかなってないんだ、こういう点はどういうふうに勘案したんですか、そういう物価の問題は。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) この問題は、昭和四十九年あるいはその改正のもとになりました法制審議会の答申が出されました昭和四十五年以来、非常にいろいろと複雑な事情があって今日に至っておる点であるというふうに理解をいたしております。  当初、昭和四十五年に法制審議会から答申がございました際には、資本金一億円以上の株式会社については監査対象会社にすべきである、こういう内容になっておったわけでございますけれども、この点につきましては税理士会等、非常に強い反対があったわけでありまして、いろいろと検討をいたしました過程において、ある時期には資本金三億円以上の株式会社ということではどうかというような妥協案もあったというふうに聞いております。結局、昭和四十八年に法務省といたしましては、資本金五億円以上の会社ということで法案を作成して提出をいたしたわけでございますけれども、国会審議の過程におきまして本則は五億円以上の株式会社ということになりましたけれども、附則におきまして、五億円以上、十億円未満の証券取引法非適用会社については暫定的にこれを監査対象会社にしないということになったというような経過があるわけでございます。  その経過措置が設けられました理由でございますけれども、何せ四十九年に初めて商法上の監査という制度が設けられたものでございますから、この監査の実績というようなものがどういうものであろうかというような点についての見通しもはっきりしなかったという面もあろうかと思います。それから会計監査人、すなわち、公認会計士の処理能力として十分なものがあるだろうかどうかというようなこともあっただろうと思います。そういうようなこともありまして、暫定的に五億円以上、十億未満の証券取引法非適用会社については監査対象会社にしないということになっておったわけでありますけれども、今回、ただいま御質問の中にもございましたように、附則の点を外して五億円以上の全会社について監査対象会社にするという改正を考えたわけでございます。これは先ほど大臣から申し上げたことでありますけれども、法制審議会の答申におきましては、それに加えてさらに数点の要件を掲げまして、それらの要件に当たる株式会社については監査対象会社にすべきであるというような答申をいただいたわけでありますけれども、私どもは各界の御意見を十分に聞きました結果、現在のような結論に到達をしておるというわけでございます。  それで、いま御質問にございましたインフレ傾向と申しましょうか、物価の上昇あるいは貨幣価値の変動というような点についても十分に考慮をいたしたわけでありますけれども、資本金の額というものは必ずしも物価の上昇に見合うような増加を示しておらないというような実態もございます。それから、会社の資本金によりましていろいろと区分をしております取り扱いが他の法律などにもございます。たとえば中小企業基本法というような法律では、資本金一億円未満の会社をもって中小企業というふうに呼んでおります。あるいは証券取引所上場会社の基準といたしまして、東京、大阪、名古屋以外の証券取引所、札幌、新潟、京都、広島、福岡等の取引所におきましては、資本金一億円以上の会社をもって上場の基準というふうにいたしておりますが、その辺のところにつきましても昭和四十九年以来特段の変更もございません。検討をされておるというようなことは聞いておりますけれども、特段の変更もございません。そういった事情をあれこれ勘案をいたしまして、五億円以上の会社について適用するという結論を出した次第でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 大変御丁寧に長くおっしゃるんですが、大体前段のことはもう何遍も言っていることだし記録を読んでいますので、簡潔に質問にだけ答えていただければ結構だと思います。そのように御協力をお願いしたいと思います。  それで、物価上昇というふうなものを余り考えない、資本金というのはそんな物価が上がったからすぐ上がるものではない、それはお説のとおりです。しかし、少なくても七年間に相当程度の物価が上がっておれば、改正するときにはやはりその時点ではそうした実態を勘案していくべきでなかろうか、これが全くなされていない、そのことがやはり税理士会がこれは最初から反対していることの一つだと思います。ただ、決して税理士会の言っていることが全部が全部いいとか悪いとかという問題では私はないと思います。それば業界ですから、わが田に水を引くということがそれぞれにありましょうから、それだけで私はこれを問題にしたいとは思いませんが、ただやはり今回これはそういう点で、先ほどの小商人の場合もそうですし、現在これだけ値上がりして物価の上昇が激しい中において下げて、実質的にはもう貨幣価値に相当の幅ができつつあるのに、これはまたいまできますと、しばらくちょっと私変わらないのじゃないかと思うんです。  いや、今度はと、大臣は見直すと言っていますけれど、昭和十三年のときでもそう言っていてもなかなか見直さなかったんですから、法律というものは一遍確定したらそう再三、何らかの保証がなければ、私たちは見直すと言ってもそう簡単にはいかないだろうという気がするんです。それはもう国会のやることだとおっしゃればそのとおりなんですが、そこで経済企画庁に、今後の物価情勢の、たとえば五年刻みでもいいですし、あるいは六十年までの計画もおありのようですから六十年までの計画、六十五年までの見通し、大体どういうふうに企画庁としては考えておるか、御説明いただきたい。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  本年一月に公表いたしました新経済社会七ヵ年計画のフォローアップ、昭和五十五年度報告におきましては、今後五ヵ年間、六十年度までの消費者物価の年平均上昇率でございますが、政策上の目安数値といたしまして年五%程度ということを考えております。  なお、六十年度以降につきましては、現在のところ精算をいたしてございません。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 精算して発表しているものはないということなんですが、六十年以降、今度は物価は下がるというふうにはお感じになってないでしょう。数値は出ていないか知らぬけれど、感じとしてどうなんですか。個人のあれでも結構です。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  物価の見通しにつきましては、輸入物価の動向、経済全体のバランス等を勘案の上決めることになるわけでございますが、現在のところ、今後の物価をめぐる環境については、引き続き厳しいものがあるというふうに考えておりまして、見通しはつくっておらないわけでございますが、ただ物価の安定につきましては、国民生活安定の基本でございますので、引き続き安定基調を持続するように努力する必要があるというふうには考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 安定成長ということで、安定上昇というふうになっていくというふうに理解してよろしゅうございますね。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) 見通しをつくっておらないわけでございますので、非常にお答えしにくいわけでございますが、安定基調を持続するように努力する必要があるというふうに考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 その安定基調というのは、五%程度という現在の見通しが基調ということに理解してよろしゅうございますか。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) 数字で五%というふうに申し上げるのは、私どもまだ検討しておりませんので五%程度というふうには申し上げられないわけでございますが、安定基調を維持するというふうに考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 ちょっと禅問答のようなことになってしまって、それでぼくは局長さんに出てきてもらいたかったんです。そうすると、もう少し責任ある答弁ができると思うんですがね。私たちが聞いている範囲では、経済の安定成長を図っていかなければならぬし、経済の安定成長に見合う程度の物価の緩やかな上昇はこれはやむを得ないと、急激な悪性インフレは困るけれど、緩やかな安定成長に見合う安定上昇ということはやむを得ないんだと、こういうようなことをしばしば局長からも長官からも聞いたことがあるんですが、そういうことをおたくは聞いたことはございませんか、内部にいて。

加藤雅経済企画庁総合計画局計画官

○説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  ある程度の物価上昇はやむを得ないものであるという点は、御指摘のとおりであると思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 御承知のように、民事局長さん、ある程度の物価上昇ということはずっとあるんです。まず下がるということはないし、六十年までは五%ずつ、それから先へ行っても。そうしますと、いまの五億はもうすでに七年前の三億の値打ちしかない貨幣価値です。そうすると、十億を五億に下げて、これまたどんどん落ちていくわけです、貨幣価値として。そうすると、資本に対する判断、経済の全体の中における五億円というものの重みも違ってきます。そういう物価上昇というふうなものを十分配慮しながら、十億をこの段階で五億に下げたということがどうもなかなか受け取れないし、またそれが受け取れれば、上昇していった場合にはさらに今度は逆に上げることを考えなきゃならぬという答えが出てくるはずなんですが、それがないんです、いま見ていると。一体そういう物価の上昇傾向、そういうふうなものは十億を五億に下げるときは何も考えなかったんですか、どうなんです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 先ほども申し上げましたように、インフレ傾向ということを考慮しつつ、また二面におきましては、今回自主的監視機能の強化ということで、会計監査の充実、あるいはその範囲の拡大というようなことも考慮いたしまして、いろいろ勘案をいたしました結果、現在の数字に落ちついておるわけであります。  ただ、今後物価の上昇というものは避けられないことであるということも、私どもも素人考えで.ありますけれども理解をしておるわけであります。今回の改正を手がけました私どもといたしましては、この改正の結果、どういう実態になるであろうかというようなことが一番関心事と申しましょうか、気になる点でございます。今後の動向に絶えず注意をいたしながらこの点は考えてまいりたい。  衆議院ではこの点につきまして、「監査対象会社の範囲についても十分に検討すること。」という附帯決議もいただいておるわけでございます。これは基準を上げる方向もあり、下げる方向もあり、両方あり得ると思いますけれども、そういう附帯決議もいただいておるわけでありますから、私どもとしては今後引き続きこの問題は考えてまいりたいと思うわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 衆議院の附帯決議の中で、経済の動向ということで上げることもあり下げることもありということで、物価上昇というふうなことが要因として取り上げられておりましたか、物価上昇の場合にどう検討するんだというようなことが……。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 私ども考えておりますのは、物価の上昇というようなこともあろうと思いますけれども、やはり資本金額の動向というようなことが重要であろうかと思いますけれども、基本には貨幣価値の問題が関係をしてくると思いますので、そういうものを一切ひっくるめて検討の対象にすることになろうというふうに思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実はその点で昨日も、今度十億を五億に下げることによって、六百社ぐらいあるうち、あと三百社ぐらいが該当するだろうというふうなことで、公認会計士協会の会長さんですか、それくらいなものがふえても、いま正確には六千二百三十三人ですわね、六千人からの会計士が年間二百日働くとすれば、それに会計士補も二千人いるから、百六十万人目の稼働日数がある。現況でそれは七十万人目しか稼働していないので、三百社くらいふえても十分対応していけるし、むしろ公認会計士が余っているんだ、こういうふうな表現がございました。それで、私はああそうすると、五億に下げることは公認会計士の余っている人たちの吸収かなと、こう思ったんです。これは四元さんが言っています、六百社のうち三百社というのは。非上場の会社で該当するのはと、四元さんが言っています。  しかし、公認会計士さんの方はそういうことで心配ないと、それくらいふえても。ところが一方、四元氏は、これは書いた物を読んでいましたけれど、その中で、ところがこれはこれだけで済まないんだと、これが税理士会に及ぼす影響というのは何万社、三万社と言ったかと思いますが、ちょっとここにメモしておりませんけれど、そういうように非常に大きなわれわれに影響力があるんだと、こういうことを言っておるんです。  それはどういうことかなと考えてみました。それで、大蔵省おいでになっていると思うんですが、税理士さんの数はいまどれくらいあるんですか。

西内彬国税庁長官官房総務課長

○説明員(西内彬君) お答えをいたします。  税理士会に入会している税理士数は、五十五年度末におきまして三万六千八百十八人でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それで、公認会計士協会の中瀬会長さんは、監査の仕事がふえれば税理士の仕事もふえるんだ、だから反対するのはおかしいということをきのうも言っておるんです。確かに税理士の仕事は別、監査の仕事は別ですから、形はそうなります。これが先ほどからずっと私が一貫して申し上げている実態と、それから皆さんの考えているたてまえとの違いなんです。税理士会がなぜ反対するかということは、ああそういうことかと、私はきのうの参考人の話を聞いてわかりました。というのは、昨年の税理士法の改正によって、無試験で資格を取る者の数もふえますし、税理士はいまの三万六千人というのはどんどんふえますわね。大蔵省どうですか。

西内彬国税庁長官官房総務課長

○説明員(西内彬君) お答えをします。  今後、税理士がどの程度ふえるかということについてはなかなか算定がむずかしゅうございますが、まあこれまでの趨勢では約年間千四百から千五百人ふえております。それに御指摘のように制度改正もございましたし、また、別の面では、やや一般の受験者数の伸びは鈍化しているという両方の要素がございますが、今後とも数年間は年間千四、五百程度でふえていくだろうというふうに考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 これはそういう状態の中で、確かに公認会計士さんの方の仕事はふえました。税理士さんの方の仕事もふえると言っておりますけれど、その実態はどうかということになりますと、こういうことなんです。いまやもう税理士の資格を持っている事業の税理士で、そこで働いている、勤めている税理士さんの数、これから見ますと、公認会計士の資格を持っておる税理士事務所で働いている若い税理士さんの数が問題にならぬくらい多いんです。こういう実態を法務省や大蔵省は御存じでございますか。法務省どうです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 細かい数字はわかりませんけれども、常識的に考えまして傾向としてはそういうことであろうと考えております。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) その事務所に何名勤めておるかという細かい数字までは承知しないのでございますが、五十五年十二月末現在で見まして、公認会計士として登録いたしております者の総数は六千三十六名おります。この時点よりちょっと古くて恐縮なんですが、五十五年九月末現在で、これらの公認会計士のうち税理士登録を行っておりまして税理士業務もできるような公認会計士は四千五百一名というふうな状況でございまして、約七割強というふうな状況でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 ですから、二枚看板の公認会計士さんが非常に多いんです。しかし、公認会計士として会社の監査をしておる限りにおいて、そこの税務事務はできません。しかし、そういう会社が一社でも二社でもふえますと、その系列の会社に今度は自分が行っている税理士の事務所、税理士業務、ここに税理士を雇ってどんどん送り込めるわけです。これは違法でございませんね。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 実は、公認会計士あるいは監査法人がみずから監査をしている法人の税務業務はできないという規定があるわけでございますが、そのような利害関係規定と言っておりますが、そういう規定は公認会計士法と証券取引法と両方にあるわけでございます。公認会計士法の方には、監査について、そういう税務業務を行っているというふうな利害関係者の監査を排除するための基本的な規定があるわけでございますが、証券取引法の方には証券取引法に基づく監査の独自の観点からの禁止規定があるわけでございます。  御承知のように、証券取引法には、子会社でありますとか、それから二〇%以上株式を保有しておるような関連会社でありますとか、そういうものを監査する連結財務諸表制度というのがございます。公認会計士あるいは監査法人がそういう会社の連結財務諸表をつくっております場合には、その公認会計士あるいはその配偶者あるいは監査法人に属しております公認会計士等はそういった子会社あるいは関連会社の税務業務はできない、これは証取法の方ではそういうふうに広がった禁止規定をつくっておるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 監査法人は、公認会計士の場合には監査法人というような法人格を持っております。しかし、税理士は一身専属権ですね。ですから、別の税務会計事務所をつくって、そこで使っておる税理士が資格を持っておりますから、その税理士の資格で行う税理業務は違法ではございませんね。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) その法人とは全く別の事務所として働いております税務業務というのは、違法ではないと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 こういう実例がたくさんあるんです。公認会計士の自宅に事務所を置く、これは税理事務所です。ここには税理士さんをたくさん使っています。税理士さん以外の人も使っています。御当人は法人会計の会社に勤めていまして、そしてその方から大会社の監査を行っている。一見つながっていないんです。しかし、お調べになれば、そういうのがずっとそういう系列のところへみんな入っていって、税理士業務を個人の資格でやっておるんです。これが昨日、四元参考人が言った、いわゆる三百だけれど影響は三万にもなりますという、三方はちょっと大げさかと思いますけれど、いわゆる税理士だけを業としている者の範囲が狭められている。しかも、いまの三万六千人でも、四畳半税理士なんという言葉があるんですよね。アパートの四畳半でこたつ抱えて、自立していると言っても、本当に困っているというような人がたくさん出てきているんです。そういう熟語ができたくらいですから、非常に一方で余ってきている。しかし、特定のところでは系列的に、まさに税理士業務の系列化がこういうことによってさらに進む。私は、税理士業界が反対している一番根っこには、それがあるのだなと思うんです。  そうすると、税理士の身分あるいは資格を決め、この業界を指導していかなきゃならない大蔵省としては、一体こういうことの実態を踏まえた上で、法務省に何か物を言いましたか、あるいはまた、この商法改正案ができて、そういうことがさらに進むということについて相談を受けておりますか。いま、分野調整の問題も出ていますけれど、これは分野調整できないんですよね、中小企業の分野調整の話をしておりましたけれど。いかがですか。大蔵省はどう考えますか、これを。

西内彬国税庁長官官房総務課長

○説明員(西内彬君) 今回の商法改正の問題は、先ほど大蔵省の企業財務課長から答弁ございましたように、制度上はいわば監査業務と税務業務というものを分けまして、税理士の職域を直接侵食するものではないというふうに承知をしております。  それで、私ども国税庁としては、大蔵省の企業財務課からこの改正問題につきましては十分連絡を受けておる。ただ、事実上、先生御指摘のような問題が出るかどうかということについては、今後十分にその事態を注視していかなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん、大蔵省の方には、そのような国税庁の意見は伝えてございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 今後出るようなとおっしゃいまずけれど、もう現実にそういうのはたくさんあるじゃないですか。御存じないですか。どうなんです。本当に知らないんですか。もういま、今後起きてくるんじゃないんですよ。もうたくさんそういうのが現実の問題として出てきているんです、いまの十億の線を引いておいてさえも。御存じありませんか、実態を。

西内彬国税庁長官官房総務課長

○説明員(西内彬君) 公認会計士における勤務税理士が税理士業務をやるということについては、十分あり得るということは承知をしております。ただ、それは公認会計士としての仕事をしておるのか、あるいは税理士としての仕事をしているかという判断の問題はあるというふうに思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 公認会計士としての仕事をしているか、税理士としての仕事をしているか、判断の問題だと言いますけれど、これはもうはっきりしていますよ。公認会計士としては公認会計士の仕事しかできないんですから、あわせて税理士の税理業務をやる場合には、事務所も別にして、そうしてさらにまた若い税理士さんたち、仕事のよくできるのを使ってやっているんです。ですから、もうはっきり分かれているんで、クロスはしてないんです、ここでは。これがますますふえてくる、こういうところに問題があるということを、法務省側もひとつ理解していただきたいと思いますが、いかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 公認会計士制度を導入いたしましたのは、言うまでもなく、会社の経理の実態を会計準則に基づいて行ってもらう、そのことを通じて株主を保護する、債権者を保護するというたてまえに立っているのだと、こう思います。  公認会計士は公認会計士としての職分を持っておられるし、税理士は税理士としての職分を持っておられますから、お互いに職域を侵さないように国においても配慮することは大切でございますけれども、公認会計士制度を導入する法改正をお願いしましたときに、五億ということで資本金を切ったわけでありましたけれども、まだ公認会計士の制度が充実していないわけだからというようなこともございまして、非上場会社については十億というふうに切り上げたと、こう聞いているわけであります。自来、相当の年数たっておりますから、公認会計士制度も充実したわけだから、今回、本来の姿に戻すということにしたわけでございました。  あわせて法制審議会では、もっと資本金の少ない会社についても公認会計士制度を導入して会計監査をしっかりやってもらう、そして債権者、株主保護に徹底を期すべきだと、こういう強い意見があったわけであります。そうしますと、税理士会の方で異論が出てくるわけでございまして、法制審議会の意見の中では、資本金一億円から五億円までの間の会社についても、定款の定めるところによって公認会計士による監査を行ってもらうようにするというような式の規定があったわけでありました。しかし、税理士会からの強い意見がございまして、これは削除さしていただいた。恐らく私は、公認会計士の方々にとりましては大変な不満だっただろうと思います。  しかし、私たちとしては、せっかく税理士会からの御意見でございまして、そうであるなら、非上場会社についても資本金十億円を五億円に下げてもやむを得ない、こういうお考えのようでございますから、それじゃ法制審議会がせっかく苦労して御答申いただいたのに、法務省がそれを取り上げないということはまことに申しわけないことであります。多年にわたって御検討いただいた結論を私たちが取り上げないわけでございますから、申しわけないわけでございますけれども、せっかく税理士会が熱望されることでございますので、それば削除しておいて、そのかわり非上場の会社についても四十九年の改正の際の五億円に戻さしてもらうというようなことにしたわけでございます。  私は、やっぱり税理士会は税理士会としての御意見もございましょうし、公認会計士会は公認会計士会としての御意見はあろうかと思うのでございますけれども、それぞれの意見を一〇〇%取り上げますと法改正はできなくなっちゃうわけでございまして、やっぱり私は公認会計士制度を五億円以上の会社については導入していくといういと、非上場の会社についても大事なことじゃないだろうかなと、こう判断しているわけでございまして、そのかわりお互いに職分を侵さないような規定を、これまた、税理士会の御希望によって今回商法の中にまで規定させていただいたわけでございます。その辺の事情をぜひひとつ御理解賜るように、お願い申し上げておきたいと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 公認会計士を、できるだけ株主あるいは債権者保護という立場で不正経理をただしていくというためにもっと活用していかなきゃならぬと、その趣旨はまさにそのとおりだと思います。ただ、問題は、いまの制度で果たしてそれができるだろうか、不正経理、総会屋対策、これは私は不正経理の問題と総会屋対策の問題というのは表と裏の関係だと思います。特に、昨日も公認会計士協会の会長さんが微妙な表現をしたんで私は再度質問を申し上げましたが、国会答弁の中ででも、実は制度的に会計監査人の選任が株主総会にかわって強化されたということをきのうはおっしゃっていました。だから、制度的にというところにばかにアクセントが入ったんで、制度として出されたけれど実質的じゃないということをあなた言っているんですかと聞いたら、いやそうでないというふうなことをいろいろ言っておりましたけれど、まさに私は本音だったと思うんです。  といいますのは、貸借対照表あるいは損益計算書ですね、株主総会から取締役会の承認事項に移したと、これは前進だと言っておりますけれど、それは片っ方で株主総会が選任権を持ったからいいんだと。しかし、いまの株主総会の日本の実態、よくアメリカの会計士の権限強化だとか、いろんなことを答弁で再三申されておりますけれど、それはアメリカやヨーロッパとまた全然違って、西ドイツなどは税理士の制度がありますけれど、株式会社は二千三百くらいです。しかも、上場会社でなければ株式会社でないんですから全く違うんです。そうすると、特異な日本の税理士制度というのがあります。そういうのと比較してみますと、株主総会というもの自体もアメリカとは全く違う。  これは昨日も東大の竹内教授も言っておられましたけれど、そういうところに選任権が移ったからそれでいいんだというたてまえ論ではこれは実態は通っていかぬ。こんなもの取締役会の一応あれですから、提案してくるわけですから、提案権が会社の執行機関にあってそこが提案してくる以上、やはり監査人というのはどうしても、株主総会が選任権を持ったからといっても、株主総会よりはどちらかというと社長さんの顔色を見るということになるのはあたりまえのことなんです。  そうしますと、その中で不正経理が果たしてこれによって大きくわかるように前進するだろうか、私はこれはもう非常に疑問だと思うんです。いや、だから、たとえば総会屋対策としても両方に、出した方にも取った方にも罰則規定を設けたとおっしゃいまずけれど、それはもっと先の段階で、不正経理というふうなものが発見されない状態があるわけですよ、監査で。大体いま世間を騒がしている不正経理の問題を見ますと、そんな三億とか五億という会社でないんですね。丸紅の問題にしろ、あるいは全日空の問題にしろ、何十億、何百億という会社のあれがわからないんです、いまの監査制度で、公認会計士で。そして、わからないのは勘弁してくれと言っているんですよね、きのう会長さんは。それはとても全部わかるわけがない。そういうところでやって不正経理や株のあれがなくならないのにかかわらず、おれたちの方だけ困らせるのかというのが、ぼくは税理士会の言い分だと思う。  一体、不正経理あるいは特に総会屋を根底からなくする、こういうことは、冒頭大臣も、それは一歩前進ではあっても完全というわけにこの法律ではいかないとおっしゃっておりますので、実はそのことをもう一回確認したくないんですけれど、もう少しやるんなら、たとえばアメリカのSECのような制度をかちっと入れていかなければ、羊頭を掲げて狗肉を売ると私が冒頭申し上げたところに戻ってくるんじゃないですか、この法律をせっかくつくられても。いかがでしょう。再度、ひとつ大臣に。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) それぞれの企業がそれぞれの責任において活動をしてもらいたい、国家の直接介入によって不正を防止しようというような考え方は持っていないわけでございます。私はそれば避けた方がいい、国家公務員を各企業に配置して監視していくというような仕組みはとるべきではないと、こう思っているわけであります。しかし、自主的な監視機能はできる限り強化していきたい。したがってまた、公認会計士のような独立性の強い機関に会社の経理を監査してもらうというような仕組みはやはりできる限り強くしていきますことが、そういう役割りにも即していくのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけであります。  もとより、おっしゃいますように、法律を変えたらそのとおり必ず期待どおりに行われるのだと、こんなことを思っておりません。やはり刑法についてはいろんなことが書かれておりまして、きつい罰則も書いてあるわけでございますけれども、それじゃ刑法規定だけで一切不正は行われないかといいますと、たくさんな不正もあるわけでございまして、そういう意味におきまして、私は一切の不正が公認会計士制度導入によってなくなるのだとは思っておりません。しかし、少なくとも公認会計士制度の導入、その監査によりまして、株主あるいは債権者に対しまして粉飾決算などで誤解を与えるというようなことは、私は相当に防止できるのじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。  できる限り自主的監視機能を強化する方法をとっていく、そのためには、単に公認会計士制度、公認会計士による監査制度を導入するだけじゃなしに、できる限り独立して監査業務を行えるような仕組みをとっていく必要があるというような配慮から、若干の今回改正もいたしておるわけでございまして、いろいろ御指摘いただいております点につきましても、将来とも十分留意しながら努力をしていきたいと、こう思っております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実は、いまの制度の中でもなるたけ自主的監視と、実はきのうも参考人の中で結局は経営者のモラルの問題だと、経営者のモラルの問題からいえば、いまのままでもできるんです。いまの法でも、不正経理だとか、あるいは総会屋対策だってできるんです。おっかないところがなければ、何も総会屋にそう金品渡さなきゃならぬことはないし、堂々と論議を尽くして総会もやればいいんです。やはりそれらがいろいろモラルに問題があるから、いまの特に日本の会社の中における、私はこれはもうけることといいことだということが同意語に使われるようになったいまの日本社会の一つの悲劇だと思うんです、非常に残念ながら。何かいいことないですかというのは、何かもうかることありませんかということなんですね、いま。  これだから、こういう金銭感覚、もうかることがいいことだというふうなそういうモラル、こういうものがいまの企業の中に充満しているから、国家権力でそれを抑えるということは確かにいけないことですが、現状の公認会計士制度の中ででも、会計士さんにしろ、税理士さんにしろ、もうかることはいいことなんですから、なかなかいかない面があるのではないか。ただ、その中で私は、昨年大蔵委員として税理士法改正に携わりました。助言義務、こういうものは私反対しました、おかしいと。そこまで縛りつけなければ正直に仕事ができないということは侮辱だと思いました。しかし、結局はそういうことになりました。ですから、いま税理士業界には、そういう意味では、たとえば第一条に、独立した公正な立場に立つというふうな項目がありますし、三十七条に、信用失墜行為の禁止というふうな規定もございます。商法にも三十二条、法人税法の二十二条にも、公正妥当な会計処理というふうな規定が税理士については要求されております。  そのほかに、今度は国税庁によるところの査察もあります、やったことに対するチェックもされます、税理士は。何だ、おかしいじゃないかと、当然業務上知り得る範囲でありながら、なぜおまえ、こんなことがわからなかったんだというふうなことに対する罰則も行われております。非常に事後チェックが、税理士業界は、助言義務なんか入れなくても厳しかったんですが、なおさら入れたんです。ところが、どうも今回、公認会計士の問題を中心にして、十億を五億ということで入ってみますと、公認会計士の方はそういう事後チェックのシステムがないんです、どうも。  これだから、結局、会長さんが、いやそれは全部わかりませんと、そこまで立ち入っては調べられませんというふうな問題が起きてきても、会計士はいままででもずいぶんたくさん問題ありましたね、大きな会社。公認会計士がみんなついているんです、不正が摘発できなかったけれど。会計士自身が処罰されたことはないんです。今度もそうなんです。ここら辺にひとつ問題があるんじゃないでしょうか。そういうところをしり抜けにしておいて、十億を五億にしたからよくなるだろうというふうなところに、この法の体系全体の中における法務省当局の、確かにいろいろな委員会の要望によってつくったんですが、そういうインフレ条項にしても何にしても、社会の底の方の実態というものをきちっと踏まえないで、条文のたてまえ論だけでやっていこうとするから、しり抜けになるような今回の改正案にしかならないんじゃないかと思うんですが、法務当局の方は一体いかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 商法上の監査は、これは申し上げるまでもなく、昭和四十九年の監査特例法によって設けられた制度でありますけれども、そのきっかけになりましたのは、これもよく御存じのように、昭和四十年前後におきまして、あるいは山陽特殊鋼でありますとか、あるいはサンウェーブでありますとかというような大型の倒産がございまして、しかもそれがでたらめな粉飾決算があったということで、こういうことではいけないので、第三者による会計監査が必要であろうということで、いろいろと準備をいたしまして、四十九年にこの制度が導入されたということであります。  それ以後の監査の実情というものを聞いてみますと、会計監査人側に伺いましても、十分に職責を自覚してやっていただいておる。また、一方、会社の方から聞いてみましても、会計監査という制度は、確かにこれはいい制度であるというような評価を聞いておるわけであります。  ただ、細かい点でいろいろと御批判がありました。たとえば、取締役会が現在は会計監査人を選任するという制度になっておりますけれども、監査される側の取締役会が会計監査人を選任するということはいかにも不合理ではないかというようなこともございましたので、今回これを株主総会の選任というふうに改めました。そして、監査役がこれについて意見を述べることができるというような制度も設けまして、取締役会の影響が会計監査人になるべく及ばないようにというような手当てをいたしたわけであります。こういうように制度上も手当てをいたしました。きのう公認会計士協会の会長が言っておられた制度上の整備というものは、こういうことを言うのであろうと思います。  一方において、会計監査人も次第にこの仕事にも習熟をされます。さらに、公認会計士協会というような協会も整備されまして、いろいろと横のつながりと申しましょうか、会員の指導などにも力を入れておられる、会員の自覚も高まってきておるということで、私は、法律制度の整備と、それから仕事に当たられる公認会計士の自覚の高まりと、両々相まって、さらにこの会計監査人による監査というものの実効が上がるのではないか、上がる、こういうふうに期待をしておるわけでございます。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 公認会計士が企業の粉飾決算というようなものに加担いたしましたときの罰則でございますけれども、その場合には、証券取引法上にも罰則がございますし、さらに商法上にも罰則がございます。加えまして、その公認会計士法上にも、これは行政処分というふうな処罰がございまして、過去にも、公認会計士がそういう粉飾に関する虚偽証明を行いましたようなことに関連をいたしまして、刑事上の責任を追及された事例はやはり数件あるわけでございます。  ちなみに、その公認会計士……

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そんなことを言っているのじゃないの。粉飾決算の片棒を担いだとか、そういうことでないんですよ。たとえば、税理士法の場合には、当然、これは税理士の資格を持っている者はわからなければならないというふうなことについて、積極的に加担しなくても助言義務違反ということになる、そういうあれがついている。公認会計士法にはそれがないんです。出てきたものに誤りがないと信じて誤りなければそれでいいんですから、片棒を担いだ場合のことを私は聞いているのではない。だから、そういう法体系の違いを、もう少しやはりそういう点ではっきりすべきでないか。  それから、いまも、要するに、取締役会が選任するんじゃなくて、制度上株主総会に移した。確かに制度上です。しかし、これはあくまで制度上で、平均十五分で終わる日本の株主総会で、株主総会に移したからいいんだということには、絶対と言っていいくらい私はならぬと思うんですね、実態は。全部しゃんしゃんですよ、そんなものは。その実態と乖離しているじゃないかと、私は冒頭申し上げたのはそれなんです。制度でつくったからいい、むしろ悪くなったんです、それで。  そうして、計算書類を総会に提出しなくてもいいということになりましたね。自分たちの選んだ公認会計士が監査したんだから、その詳しい内容は株主総会に出さないでもいいというような、これは筋としてそのとおりです。しかし、それは、いまの株主総会のあり方の実態、だから制度として外国の例を持ってきても、それは当てはまらないので、日本の風土の中で自分たち、われわれ自身の知恵の中でどうしたらいいか考えなければならない場合に、これは私は逆に、そのことが決してプラスに働かない要因の一つになるんじゃないか。選任権が株主総会にあるから、取締役会はそれで一つ役逃れですよ。おれたちが選んだのじゃない、あなたたちが選んだんだ、こういうことになります。  それからまた、そういう点で余りにも下へ下へと落としていくことになりますと、いま日本は資本金よりも借入金が非常に大きい企業が多くて、借入金で操作しているのがいまの経済界の実情です。これはやっぱり安定した経済、あるいは株主保護、債権者保護、いろいろな点から言っても、資本金の比率を借入金に対してふやしていかなきゃならない状況にあるんです。そういう指導も大蔵の方ではやっておりますね。制度的にも今度のあれで二分の一の資本の繰り入れの問題にしましても、やはり自己資本をふやしていく方向にあるんです。一方ではそういう方向にある法律もこの中に入れておきながら、それで今度はふえていくんですよ。だから、五億の資本は少ないといっていますけれど、一億か二億の株式会社でも、みんなたとえば土地一つ持っていれば何十億の資産を持っているんです。それらをだんだんと自己資本としてきちっと評価をし直していくということが、いろんなこういう面から実は逆にチェックされるし、特に中小企業なんかについては、いまの税理士法の中で相当監視機能があってきちっとやっているやつを、それは税理士だけじゃだめだからというふうなことになると、何かぼくはちょっとそこにそぐわないものを感じる。  それと同時に、実際にいろんな経済の体験をしてきた者の立場で、余りにもたてまえだけで終始した委員会の答弁に対して、非常に残念に思うんです。  最後にひとつ大臣、あるいはどなたでもいいです。これで、できないというんならできないでいいですよ。まあ少しはできるようになるけれど、刑法をつくったって殺人犯がいるんだからやむを得ないというふうなすりかえをしないで、本当にやっぱりこれで幾らか前進するけれど、もっともっと直していかなきゃならないんだというお気持ちを持ちながら御提案しているのかどうか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十九年に商法の一部改正を御議決いただいたわけでございまして、その際に、国会でもいろんな附帯決議をちょうだいいたしました。そして、法制審議会では全面改正をやろうということでいろいろ審議を続けていただきまして、さしあたり株式制度、株式会社の機関、株式会社の計算・公開、この三部門について審議を始めていただいて、五十四年に一応その三部門についての結論が出ました際に、いろんな問題がございまして、やはり会社の社会的責任を果たすための改正を急ぐべきだと、こういうことになってまいりましたので、それまでまとまっておりました三つの部門についての結論を中心にして、ことしの一月二十六日に御答申をいただいて、それに基づいて今回商法の改正案として提案さしていただいたわけでございます。  したがいまして、全面改正を考えながら、途中でいろんなことから転換をいたしまして、一部改正にとどまったわけでございます。その結果、当初に御指摘いただきましたように、小商人についての金額、いかにも物価から考えたら低過ぎるじゃないかというような御批判をいただく結果になっておるわけでございます。したがいまして、大小会社の区分の問題でございますとか、あるいは企業結合の問題でございますとか、いろいろ残された問題があるわけでございまして、早急にこの後引き続いて法制審議会で御審議いただくことになっておるわけでございます。  全面改正を急がせていただく、そしてまた、今回いろいろ御注意いただいております問題もあわせて御検討いただきまして、なるたけ早い機会に商法の全面改正を改めて提案さしていただきたいなと、こう考えておりますので、その間の事情を御理解賜りますよう、お願い申し上げておきたいと思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩    ————・————    午後一時五分開会

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 わが国の大会社、各証券取引所に上場せられております会社の株主のシェアの問題であります。これは人数はかなり多いのでありますけれども、持ち株比率が非常に低くなってきておる、しかも年々低下しておるということで、証券取引所でもかなりこの点に留意をして一定の基準を定めておるようであります。理事長と電話で話したところでも、理事長なども非常にこの点は留意して努力をしておられるようであります。また、基準もなかなか複雑ないろんなタイプがあるようでありますけれども、ともかく二五%なり三〇%の率を最低限のものとして守ろうという気持ちがあるようであります。  株式全体の数量が、いまの取引所の規模なり顧客の資金量などと比べて少ないというような点もまた考慮しなければいかぬようでありますが、これについて証券局としてはどういうふうにこれを考えておられるのか、また、これに対してはどんな対策を持って臨もうとしておられるのか、この辺をちょっと説明していただきたい。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) ただいまの先生の御質問の御趣旨は、わが国の証券市場における上場株式につきまして、個人株主のシェアが逐年低下してきているという現象について、これを私ども証券局においてどのように認識しておるか、また、これに対していかなる施策を考えておるかと、こういう御質問であろうかと思うわけでございます。  御指摘のとおり、戦後昭和二十年代に上場株式の六一%という高率のものが個人の所有であったわけでございますが、その後、逐年この率は低下してまいっておりまして、昭和五十四年度末には三〇%すれすれ、三〇・四%というところまで低下しております。それを裏返した数字、七割弱が法人の所有になっていると、こういうことでございます。  私どもは証券市場の健全な育成という観点から、できるだけ健全な個人投資者が株式を多数所有していただく、多数の健全な個人投資者が株式の所有者になっていただくということが資本市場の今後の発展のためにも、また、流通市場の健全な運営のためにも非常に必要なことであるというふうに考えておりますので、このような個人株主の持ち株比率の趨勢的な低下という現象を非常に憂慮しておるというのが、現状に対する認識でございます。  そこで、この問題につきましては、実は証券取引審議会というのが大蔵省にございますが、ここでも取り上げていただきまして、昭和五十一年にこの問題に関する報告をいただいております。「株主構成の変化と資本市場のあり方について」という題で報告をいただいておりまして、その中に、このような現象が生じている非常に大きな原因として、一つは株式に対する投資魅力が減退している、これは現在、配当の利回りが平均いたしまして一・四%台という非常に低いところまで下がってきているということで、なかなか健全な投資者が、採算を考えると自己の金融資産の選択の中で株式投資ということを好まなくなるといいますか、そういう大きな原因になっている。  この点につきましては、さらにその原因を言えば、結局、企業といいますか、発行会社の額面配当主義というものがその原因をなしているわけでございまして、たとえば時価発行増資を行いましても、それによって得られたプレミアムは配当負担のかからない金だというふうに一般にお考えになりまして、企業としては額面五十円なら五十円という額面に対して、一割なら一割という一定の配当をしておけば株主に対して報いたことになるといったような風潮が一般的になおあるわけでございまして、これがただいま申し上げましたような配当利回りの異常な低下ということになり、株式の投資魅力の減退ということになっておるというふうに認識しております。  もう一つの大きな問題は、昭和四十年代に入りましてから顕著になったわけですが、いわゆる安定株主工作というようなものが企業間で行われるようになりまして、それとあわせまして企業の系列化とか取引関係、そういったような純投資の動機以外の、ほかの動機による法人間の株式の持ち合いという現象が進んでまいっておるということが、もう一つの大きな原因ではないかというふうに考えます。  さらに、私どもの身内のことを申し上げるならば、証券会社の営業姿勢自体にもそういう法人を相手にする営業、あるいは非常に大口の投資者を相手にする営業に比べまして、零細なといいますか、一般の個人投資者に対する営業姿勢にいま一つ欠けるものがあったのではないか、このようなことが、先ほど申し上げました審議会の報告書の中でも指摘されておるわけでございまして、私どももそのとおりではないかというふうに考えております。  そこで、これに対する対策、改善策でございますが、いま申し上げましたように非常に根が深く、いろいろな原因が重なり合ってそういう現象が生じているわけでございますので、これが決め手だというような、それだけで非常に大きな効果が期待できるような対策というのもございませんし、また、証券行政なり証券会社なりだけの努力で問題が解決するものでもない、産業界一般の御理解もいただかなければならないでしょうし、いろいろな施策を総合的に組み合わせて対策を講じていかなければならないというふうに考えておりますが、先ほど申し上げました投資魅力という点で申しますと、たとえばプレミアムの還元ルールというのを引受証券会社の自主ルールで決めておりますが、そういうものをより強化いたしまして、配当性向というものを一層重視したプレミアムの還元のあり方を発行会社に採用していただくということを、これは昨年の秋、自主ルールの改正を通じて措置いたしておりますし、また、証券会社に対しましては、最近も健全性省令の一部改正というようなことも行いまして、個人株主本位の営業姿勢の徹底を図るよう指導しているところでございます。  さらに、今回の商法改正によりまして、これが実現いたしますならば、プレミアムの資本組み入れ割合の引き上げであるとか、法人の相互保有規制の制度の創設であるとかといったような内容が含まれておりまして、これらの内容は、ただいま申し上げましたような観点に沿うものとして、私どもも非常に有意義なものではないかというふうに考えております。  以上、申し上げましたようなことで、なかなか広範な原因、かつ根の深い原因に基づくものでございますが、私どもとしては今後とも関係方面の御理解と御協力をいただきながら一層努力してまいりたい、このように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはいつだったか、「エコノミスト」で国債の膨大な発行といいますか、これがいまのいろいろな金融その他の面のひずみの元凶である、国債の膨大な発行量というものが諸悪の根源であるというようなことを力説した論文を読んだことがあるけれども、こういうことは、別段この問題とは直接の関連はないですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 国債の大量発行及びその円滑な消化という中におきまして、個人がその金融資産の運用の対象といたしまして、漸次国債の所有する割合を高めてまいっているということは、この数年来一つの顕著な現象でございます。これはいろいろな意味で非常に健全なことであり、国民経済の上からも、また、個人の金融資産の選択の多様化という観点からも、望ましいことであるというふうに考えております。  しかしながら、いま申し上げましたような個人の持ち株比率の低下ということが、それと直接つながるような因果関係で生じているというふうには私は思っていないのでございまして、やはり先ほど申し上げましたような企業の配当政策であるとか、そのほか株式そのものの魅力というものに一つの大きな原因がある、こういうふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 株式を関連会社が相互で持ち合うという現象、あるいは金融機関が取引先の会社の株式を持つということ、そういう問題に関しては、ある程度独禁法の規制がありますね。が、今度の商法改正で、たしかあれは持ち株が二五%以上になった場合は議決権の行使ができないようになる。これは議決権を奪うといいますか、そういうふうな点もたしか今度の改正であったと思いますが、そういうふうないろんな規制で法人相互間の株の持ち合いというものをある程度コントロールするという法的な規制をしていくということば、現行の制度でもありますね。  ただ、そうはいっても、これは非常に一般的で、大会社なり、ある系列の会社でもって経済のある部面を全部支配してしまう。経済的な支配というのは政治的な支配に結びつきやすいから、余りそういう現象というのは好ましくない。ことに私どもが最近会社のOBに聞くというと、まあ省の名前を言っては何だけれども、局長の退職後のポストをつくるために関係の会社に指令を発して、関係の会社が幾つかで新しい株式会社を設立させる、そこへ退職した局長を送り込むというようなこともあるんだというようなことを聞いておるわけで、何にしましても法人相互間の株式の持ち合いというものは、これはある程度やはり厳しく規制をしていかないといけないという感じがするわけですね。この点はどういうふうに考えているんでしょう。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど来申し上げておりますように、私ども証券行政を担当しております立場から申しますならば、資本市場の健全な育成という視点に立ちまして、多数の個人投資者が株式を所有するようになることが望ましいのであって、そのためには行き過ぎた法人の株式所有というものは好ましくない、また、資本市場のあり方をさまざまにゆがめるという意味においても二重に好ましくない、こういうふうに考えておるわけでございます。そのほか、法人の株式保有に関する、これを規制するということは、さまざまな放策上の配慮からも出てくるのだろうと思います。  ただいま先生が御指摘になられましたような独占禁止法というような法律においては、企業支配というものの行き過ぎを是正しなければならない、防止しなければならないというような、また別個の観点からする規制が行われておるというふうに考えるわけでございます。  その点、今回の商法改正、これは直接的には議決権行使の適正を期するというような視点を踏まえて、二五%超の当該保有している会社の株式を持っている場合にその議決権を行使することを認められてない、こういう制度が導入されるやに聞いておるわけでございますが、何分にも基本法である商法の中で、株式会社制度の本質にかかわる問題として、そういう法人の株式の持ち合いといったようなものが好ましくないという判断が下されるということは、非常に意義の深いものであるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 現在、公認会計士制度というのは、証券取引法にも規定がありますね。上場会社が有価証券報告書を大蔵大臣に提出すると、その中に記載のある貸借対照表なり損益計算書というものは公認会計士の監査を受けたものでなきゃいかぬというような規定がある。商法にも、特例会社については公認会計士の監査を受けろと。公認会計士の、そうした法制によってもたらされる地位の向上といいますか、役割りの重要性といいますか、そういうものを考えますと、その資質を高めていく。それから、何よりも、裁判官がちょうど裁判をする場合には公正廉直でなきゃいけない、強い意思でいろんな雑音を排除していかなきゃいかぬ。それと同じように、やっぱり監査というものを厳正にするためには、いろんな利害関係からくる思惑もあるでしょうし、いろんな雑音を全部排除しなきゃいかぬ。そういう何というか、使命感というか、任務を重しとするそういう職業的な倫理観といいますか、そういうものはどうして養っていけるのか。  裁判官は、裁判所の長い間の伝統があって、そこの中へ入っちゃうとおのずからそういう使命感みたいなものが、倫理観みたいなものが自然と養われる点がありますね。公認会計士の場合には、公認会計士の社会というのはやっぱり一人一人独立しているんだけれども、それをほっておいていいのか、それが養われていくのか、そんないろんな考慮がある。あなた方としては、公認会計士の現在の仕事ぶりを見て、ほぼ法の目的が達成せられているとしておられるのか、満足していらっしゃるのか。満足していても、なおかつ一定の指導監督を必要とすると考えておられるのか、その点いかがです。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先生の御指摘のとおり、公認会計士の行います監査証明といいますか、監査証明の業務というものは、企業内容の開示制度、これの根幹をなす非常に重要な使命を持つ業務であると、こういうふうに私どもも認識をいたしておるわけでございます。  そこで、公認会計士あるいは公認会計士の集まりました監査法人というようなものがこの業務を行うわけでございますが、その業務をそういった企業に対して独立性を保持しながら、信用のある、充実した監査を行うようにいかにして導いていくことができるか、社会一般の信頼を一層高めていくような施策としてどういうことがあるかということでございますが、私どもといたしましては、この公認会計士法の規定に基づきまして、公認会計士の自治的な団体ではございますが、同時に、その法律に基づきまして公認会計士の監査業務に対する指導監督を行うための組織ということで、公認会計士協会という組織がございます。  そこで、私どもはこの協会を通じまして、協会に対して種々指導要請等を行いまして、協会の内部で自主的にさまざまな施策を講じていただいて、これらの公認会計士なり監査法人なりの監査の一層の充実ということを図るように施策を進めているところでございまして、最近の一、二の事例を挙げてみましても、この公認会計士協会がとりました施策として、たとえば五十四年六月に、公認会計士の監査の方法とか内容について個別的な指導等を行う会長直属の常設機関として監査業務審査会を設置したということもございますし、五十四年十二月には、協会長名で「不正支出・使途不明金等に係る監査の充実強化について」というような通達を発出いたしております。さらに最近では、各公認会計士なり監査事務所が組織的監査を実施するに当たりましての監査手引書の作成のためのガイドラインということで、監査マニュアルというものを協会において作成いたしております。こういうようなことで、第一次的には協会を通じての指導強化ということをいたしております。  なお、若干つけ加えますと、大蔵省自身といたしましても、公認会計士の行います監査に対する審査等を強化いたしますために、五十五年度から若干名の証券監査官の定員を、併任の形ではございますが増員を認めていただいておりますし、また、データバンク・システムを活用いたしまして財務分析にこれを利用するというようなことで、大蔵省自身の審査体制も強化を図ってきているというようなのが現状でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 公認会計士が、従前、新聞紙をにぎわしました、いろいろ会社の倒産であるとか粉飾決算であるとか、そういうような場合に、刑事責任を問われるとか、あるいは懲戒の責任を問われるというような事例があったでしょうか。これは裁判官でも最近はそういうことがあるので、公認会計士でないはずはないと考えますが、いかがですか。こういう事例があったら説明していただきたい。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先生のお尋ねは、公認会計士が行いました業務に関連いたしまして民事上あるいは刑事上の責任を追及された事例があるかと、こういうことであろうかと思います。  これまでの事例について調査してみますと、これまでに民事上の責任を追及された事例は一件だけございます。これは日本熱学工業という会社が倒産いたしました際に、その監査証明をいたしました公認会計士が会社の役員と共同被告人となりまして、被害を受けたという株主の方から民事上の訴訟を提起された事例がございます。これは、和解により解決したというふうに聞いております。  次に、刑事上の責任を追及された事例でございますが、これは現在までに四件ございまして、山陽特殊製鋼、日本熱学工業、東京時計製造、不二サッシ工業及び不二サッシ販売、この四件について、これに関与した公認会計士がいずれも刑事上の責任を問われております。  以上でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは懲戒はちょっと私もいま法制をはっきりしてないんですが、弁護士会などは弁護士の自治で自分でやると。この公認会計士の懲戒は大蔵大臣の権限だったかしら、そして懲戒も同時になされましたか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 公認会計士に対する懲戒は、公認会計士法に規定がございまして、大蔵大臣が行うことになります。公認会計士審査会に諮りました上で大蔵大臣が行うと、こういうことになっております。  先ほど申し上げました事例については、いずれも業務停止ないしは登録抹消といった行政処分をいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この商法の特別監査というのは、公認会計士個人が監査人になってもいいし、監査会社が監査人になってもいいわけですね、法人でですね。ですから簡単に言うと、外国法人でもいいわけでしょう、外国法人でも。日本に上陸して外国法人としての登記を経ておる、そしてもっぱら日本で営業する会社と、外国において主要な営業を営むが日本においても営業を営むという二つありますね。それで、外国でもっぱら営業を営んでおる非常に大規模な監査法人が日本に上陸して外国会社として営業する、その外国法人であっても、やはりこの特例法による監査はこれはできるわけでしょう。まず、これは民事局長にお尋ねして、それから今度はあなたにお聞きします。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 公認会計士制度のことでございますので、私の方から先にお答えさしていただきますが、わが国の公認会計士法による認可を受けた法人でないと監査証明をすることはできないわけでございまして、実情を申しますと、これまでのところ、わが国の公認会計士法による認可を受けた外国の監査法人はまだないというのが実情でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、衆議院の法務委員会で附帯決議がなされておって、大いにわが国の監査法人に国際的な競争力をつけろという趣旨にとられる一項目があるけれども、わが国においてまだ公認会計士法上の認可を受けた外国法人はない、監査法人はないということになると、特例会社以外の会社について営業の分野を求めようとする外国の監査法人についての配慮をしたということなんだろうか。その点。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 私の御説明が若干舌足らずだったかと思いますが、いま申し上げましたように、外国の監査法人自体が自己の名において監査証明を行うことは、現在までのところ認可を受けてないのでできないわけでございますが、外国の監査法人がたとえばわが国に事務所を設けておりますが、その事務所に所属している個人でございますが、この個人が、これは国籍は日本の国籍の者もおりますし外国の国籍の者もおられるようでございますが、この個人が、そのわが国の公認会計士法上の公認会計士としての資格をお持ちになっていて、その個人の名において外国の公認会計士事務所に所属している監査人が監査証明を行う、こういう事例は間々あるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういうあれですか、かなりな規模の外国の監査法人が上陸して、日本の公認会計士法上の資格を持つ公認会計士を抱えておって、そして営業をしておるというそういう会社は大体どのぐらいあるんです。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 正確なところはいま手元に資料ございませんが、アメリカにビッグエイトという名前で呼ばれております世界的な規模で活動しておる非常にスケールの大きな八つの監査法人がございますが、これはいずれもわが国に事務所を設置しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そしてどうですか、あなた方が証券行政の立場から見られて、日本の公認会計士の業務分野というものをかなり侵食しておりますか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 現状では、わが国の公認会計士の行っております業務の領域にまだそれほど大規模に入り込んできているというような実情には至っていないと、こういうふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは何か監査の基準なんというものはユニバーサルなもので、日本特殊のものではないということで、外国法人のその組織力をもってすれば、容易に日本の公認会計士の営業分野というものを奪ってしまうことも決してむずかしいことではないなんということを言う人もあるんですが、将来、やはりかなりの範囲で日本の公認会計士の営業分野を侵食していくというおそれがありますか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) これは経済全体の趨勢といたしまして、資本の国際間の交流が今後一層目覚ましく進んでいくであろうということが予測されるわけでございまして、たとえば外国の企業で東京の証券取引所に上場する企業もふえてくることも考えられますし、逆にまた、本邦企業がアメリカなりヨーロッパなりでADRとかEDRといったような形の増資を行う、それに伴って有価証券報告書のようなものを向こうに提出しなければならない。    〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕 こういった国際間にまたがる業務の領域というものが、現在に比べて今後ますますふえてくるだろうということが考えられるわけでございますが、そういう業務の領域におきましては、これは先ほど申し上げましたアメリカのたとえばビッグエイトといったようなところは、非常に大きな力を持っておるということは率直に認められるところだと思います。  ただし、わが国の監査法人につきましても、その種の国際間にまたがるような業務につきまして徐々に力をつけると言いますか、実績を積み重ねてきているというのが実情でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 わが国の監査法人というのは、幾つぐらいできておるのか。そして、その規模はどのぐらいであるのか。何か、あなたのおっしゃったビッグエイトの中には、従業員が九千人を超える巨大な監査法人もあるというふうなことも聞いていますが、日本の場合はどんなふうですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) わが国の監査法人も年年その数をふやし、また、これに所属する公認会計士その他の使用人の数も増加してまいっておりますが、最近の時点、五十五年十二月末時点で、監査法人数は六十三、社員が一千三十四名、使用人が二千三百九十名というような数字でございます。これは全体の数でございます。  先生御指摘のように、アメリカのビッグエイトというのは、自分のアメリカ国内における事業所の職員の数だけでも九千人を超えておるというようなものもございますし、そのビッグエイトのどれ一つをとりましても、わが国の監査法人全部を合わせたものを上回るぐらいの規模であるというふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それで、どうですか、あなた方が証券行政をやっていらっしゃる立場で見て、日本の公認会計士の国際的な競争力というか、そういうものをつける必要などを認められますか。まだそこまでは必要ないというお考えですか。その点いかがですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど申し上げましたように、今後とも国際間の資本交流というものが一層進んでまいるわけでございまして、    〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕 たとえば、本邦企業が海外で増資等を行うというような機会は今後ますますふえてくるわけでございまして、公認会計士あるいは監査法人のそういった活動も、国際的な分野にまたがって一層その業務範囲を拡大していくことが望ましいというふうに考えているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、あなた方の方で、現実に、公認会計士とそれから税理士との間の営業範囲の取りっこと言いますか、侵食するというようなことで、具体的なトラブルがあるとか、そういう点についての何らかの行政的な指導を必要とするとかいうような現象、こういうものはあなた方の職務の範囲内で取り扱ったことがありますか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 具体的な事例については、これまで私ども耳にいたしたことはございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、証券取引法の二十四条ですね、有価証券報告書の提出の問題。これは罰則もあるけれども、この規定の遵守というものは一〇〇%的確に行われるわけですか。これに対して、違反事例なんというのはかってなかったですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど若干の事例について申し上げましたように、有価証券報告書の記載内容について問題のあるものが提出されたという事例はこれまでにもなかったわけではございませんが、この二十四条の規定に基づく提出自体が行われなかったという処分事例は、これまでになかったというふうに承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そして、先ほど審議官が四件ほど例示をせられた過去における粉飾決算の事例、そういうふうな場合には、いずれも有価証券報告書の記載が事実に即応しなかった、それを特別監査人が発見し得なかった、したがって、誤った監査証明をつけたという事例であったわけですね。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど私が申し上げました四件というのは、いずれも公認会計士自身が刑事上の責任を追及された事例でございます。これは、当該有価証券報告書の中の重要な部分を占める財務諸表に重大な虚偽の記載があったということがあるわけでございますが、この重大な虚偽の記載があったことについて、それを知りながらこれを自己の認識と違った監査証明を付したということにおいて刑事上の責任を問われた、そういう事例でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはあなたの方の領域らしいけれども、上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する規則というのがありますね。これは証券取引委員会規則というのかな。何にしても、証券取引法百九十四条関係ということが書いてあるから、あなたの方の領域であることには間違いないけれども、ここで委任状を会社が株主に発送をする、そうして株主権の行使について委任をしてくれということを要求する。  ここに、その第三条を見ると、「勧誘者が被勧誘者に対して提供する委任状の用紙は、株主総会の目的たる事項の各項目について被勧誘者が賛否を明記することができるようなものでなければならない」という規定がありますね。だから、株主総会の議決事項はこれこれであるということを、それもやっぱり株主に報告をして、そして委任状用紙をつけて賛否の意見がつけられるようにしてある。  実際は個人株主の場合は、賛否なんかつけずに白紙のまま送り返したり、あるいは委任状なんかも送り返さぬでそのままにしてしまう株主が多いんでしょうけれども、しかし、こういうことよりも、今度の改正商法で、書面による株主権の行使という制度を今度設けましたね。書面による株主権の行使——これは今度の改正特例法の二十一条の三というのがあって、書面による議決権の行使と、こういう制度がある。こういう制度ができますと、個人株主をできるだけふやした方がいいという根本の考え方がありますね。そして、個人株主にできるだけその株式会社についての認識を深めて、株が値上がりしたらすぐ売っちゃうというようなそういうキャピタルゲインを目的の株主じゃなくて、本当に株をじっと持って、その会社の経営に自分で参画しようとする個人株主の存在というのはなお望ましいわけでしょう。  だから、そういう書面による株主権の行使という制度を認めた以上は、もう委任状制度よりもこの制度に全面的に切りかえた方がいいのじゃないかと私は考えるんだけれども、あなたはどうですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先生御指摘のとおり、監査特例法に、今回、書面による議決権の行使に関する規定が整備されることになったわけでございます。この監査特例法の適用対象になります会社の範囲は、先ほど先生のおっしゃいました、証券取引法の規定に基づく議決権代理行使の勧誘に関する規則の対象となる会社、これは上場会社だけでございますから、その対象となる会社の範囲も若干違っておりますが、この証券取引法の制度の適用を従来から受けている上場会社につきましては、かなりの程度まで従前の代理行使の勧誘に関する慣習がかなりの会社について定着しているところもあるわけでございますので、そういった実情を勘案していただきまして、投資者保護という観点からすべての株主に対して、全員に対して代理行使の勧誘を行う場合には、特に書面による議決権行使を行わなくてもいいと、こういうような特例措置が設けられたというふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはこちらもよくわかっておるんですがね。どちらがよりよく、たとえば個人株主の場合に、会社とその株主との間の実質的な結びつきというものを深めていくか。で、よりよく株主権の行使というその目的に沿うかということを考えますと、委任状で任せっ切りのよりは、みずから賛否を明らかにして議決権を行使するということの方が望ましいことは明らかだから、むしろ委任状を株主に送るという手間をあえていとわないという会社であるならば、一歩を進めて、これについてあなたの書面による株主権を行使してほしいということでその方を勧誘した方がより望ましいのではないかと、こう言ってお尋ねしているわけです。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 証券取引法の制度について若干申し上げますと、この制度は、もちろん一般的な形としては会社の経営者が株主に対してそういった勧誘を行うわけでございますが、制度の立て方といたしましては「何人も」ということになっておりまして、ほかの株主の方であるとか第三者であるとか、そういう人がそういう代理行使を勧誘するということも観念的にはあり得るわけでございますが、そういうものについても規制を加えておるということで、これをやめてしまうというのは投資者保護の観点からいかがであろうかということが一点ございます。  それからもう一つ、技術的のことでつけ加えますと、こちらの代理行使の勧誘の関係につきましては、そういうことで証券局の方で所掌しております行政事務ということでございますので、その勧誘の用紙につきましては財務局において一応個別にチェックするということを現に行っているわけでございまして、それなりに存在の意義はあるというふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはわかる、それなりの存在意義があることはわかるけれども、結局、株主の場合も何というか、委任して第三者に代理させることはできるわけですね。株主の場合、株主権の行使を第三者に委任することができる。だから、この委任状があるわけで、それはよくわかるんだけれども、今度の改正商法が一定の会社については直接書面による株主権の行使という制度を新たに認めたから、その方が株主の会社の経営、運営に関する直接的な参加を意味するものだから、委任状よりはより望ましいんじゃないかと、こう言っているわけです。  だから、委任状を、もちろんそれは全廃しろとは言わないけれども、なるべくそっちの方に切りかえていった方がいいんじゃないかと、こういう質問です。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) まあそれは、今後の新しい制度の定着の過程において、無理のない形で漸次より望ましい形に収斂していくということが期待されておるのだと思いますが、先ほども申し上げましたように、証券取引法の制度の方は「何人も」ということでございまして、会社の経営者以外の者、たとえば大株主が自己に議決権行使を代理させるように他の株主に勧誘するという行為についてもあわせて規制しているというそこの点はございますので、この制度をいま直ちにやめてしまうというところまではまいらないということを申し上げただけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この点は、多少法務省の方の答弁とあなた方の答弁とはニュアンスの差がある。だからよく検討してください。それはよろしいか、将来。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 相互に非常に関係の深い類似の制度でございますので、引き続き検討さしていただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは、あなたの方はもう結構ですから。御苦労さま。  国税庁の方、いらっしゃっていますか。——これは、株式会社が年々三万ないし四万ふえていくという現象があるようですね。これは経済上の必要もさることながら、それよりもむしろ株式会社の形にして営業する方が個人名義で営業するよりもはるかに税制上有利であるということから、株式会社に切りかえるのが非常に多いんだという意見を聞いたことがあります。また一面、ドイツでは逆に株式会社にすると税制上はかえって不利なんだ、だからドイツでは株式会社の数が非常に少ないんだというような説明も聞いたことがある。この点はあなた方はどういうふうに認識しておられるのか、その制度の功罪はどうと考えておられるのか、その点をちょっと説明していただきたい。

梅澤節男大蔵大臣官房審議官

○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりましたように、国税庁で毎年会社標本調査というのを実施しておりますけれども、五十四年度が一番最近の数字でございますが、法人の実数が百四十万二千社ございます。これは前の年と比べまして、およそ五万三千社ほどふえておるわけでございます。これは年によりまして違いますが、大体これぐらいの規模で毎年ふえるという傾向にあることば、御指摘のとおりでございます。  ただ、これが経済事情を背景にして法人形態の企業がふえるのか、あるいはいま御指摘になりましたように、個人でやっておるよりも法人の形で事業をやった方が税負担が有利であるからであるかという問題なのでございますけれども、実は個人でやった場合と法人でやった場合の税負担を比較いたしますときに、これはいまさら委員に申すまでもないわけでございますけれども、税制上、所得税につきましては所得がふえるに従いまして累進税率になっているわけでございます。わが国の場合は最低税率が一〇%、最低税率が七五%ということで超過累進の税率になっておるわけですが、法人の場合は、大法人と中小法人とで異なりますけれども、いわゆる基本税率というのはことしの税法改正によりまして四二%の比例税率になっておる、この違いがあるわけでございます。  ただ、その違いがあるわけでございますけれども、法人の場合と個人の場合の税負担を比較します場合にもう少し問題がございますのは、たとえば個人から法人に移ったといたしました場合に、法人形態の、先ほど申しました比例税率での税負担と同時に、その法人から代表者給与の形で給与を取るわけでございますね。そういたしますと、法人の形での税負担と会社から取る給与という形での所得税の負担を、これをあわせてやりませんと比較にならないという問題もございますし、それから、いままで個人の形態で事業をやっておられて法人に移ります場合に、たとえば店舗とか土地とか設備等、現物出資という行為がもしあったといたします。そういたしますと、現物出資の段階で譲渡所得税がかかってくるわけでございますね。  事ほどさように、個人形態の場合と法人形態の場合の税負担を比較いたしますときには、いま申しましたようなトータルの税負担を比較する必要があるわけでございますが、その場合に、個人から法人に移行いたします場合、先ほども申しましたようなケース・バイ・ケースによりましていろいろ負担の動きがあるわけでございますから、一概にこれが有利であるか不利であるかということは、現行の税制では私どもは言えないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、個人の場合と法人の場合、税負担の観点から著しい差異があるということは、これは御指摘のとおりなるべく避けなければならないわけでございますが、実は昨年、政府の税制調査会が中期答申というものを出されました。その中期答申の御審議の際に、やや話がくどくなりますけれども、企業課税小委員会という専門家によります作業グループがつくられまして、法人形態と個人形態の税負担の問題につきまして、かなり長い時間をかけて御審議になったわけでございます。その御審議の足がかりになりました一つの実態調査がございまして、これは五十五年度に中小法人を対象に調査されたものでございますが、そこで一、二顕著な問題が出てきたわけでございます。  一つは、対象にいたしました中小法人につきましてその設立された年別に法人のグルーピングをやりまして、どういう経緯で法人になったのかということを調査したわけでございますが、端的に申しまして、昭和二十五年以前に法人の形になった、設立された法人につきましては、その八割以上が以前個人で事業をやっていたのを法人の形に変えたというものでございました。ところが、これは年別にグルーピングをやっておるわけでございますが、最近時点、つまり五十一年以後設立されました中小法人について同じ経緯を調べてまいりますと、この傾向が逆になっておりまして、五十一年以降につくられた法人はほとんどが文字どおり新しくつくられた法人であるか、あるいは従来あった会社が分割された形、このものが大体七割以上を占めております。  それともう一つは、これはあくまで中小法人の意識調査でございますのであれでございますが、なぜ法人形態を選んだのかという調査があるわけでございますが、これも取引上の信用の問題、あるいは法人形態にすることによりまして企業と家計の分離、その意味では企業の合理化でございますが、あるいは近代化と言ってもいいのでございますけれども、そういう必要に迫られて法人の形を選んだという答えが非常に多く出ておるわけでございます。  先ほど申しました企業課税小委員会の御報告によりましても、この調査を引用されまして、ちょっと読み上げますと、「法人成りの動機としては、対取引先との関係で信用力を向上するため、あるいは、企業と家計を明確に分離するためと回答しているものが多く、税制上の取扱いにおいて有利であることを理由とするものが少ないことからすれば、税制により法人成りが促進されていると単純に割り切ることは難かしいように思われる。」、またその調査に基づきまして、「近年の法人設立形態としては個人事業者からの法人成りは逐年減少傾向にある」という御指摘をいただいておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、税制上の差異から個人よりも法人形態の事業の形を選ぶということになりますと、これは御指摘のとおり好ましくないわけでございまして、五十六年の税制改正におきまして実は法人税率の引き上げを行いました。このときに、御案内のとおり、現在大法人の基本税率は改正前で四〇%、中小法人の場合は年所得七百万円以下の部分につきましては二八%という軽減税率でございまして、この税率の引き上げを行いますときに、大法人よりも中小法人の税率の引き上げ幅を緩和すべきではないかという御議論も一部あったわけでございますけれども、税制調査会の御議論の過程におきましても、やはり特に中小法人の税負担と個人形態の税負担である所得税の負担、このバランスを失してはいけないと、そういう点に着目いたしまして、中小法人につきましても一律二%の税率を引き上げるという御結論になっておるわけでございまして、また私どもといたしましては、その税制上の差異によりまして、いわゆる法人成りを促進するというふうなことがないように、今後とも税制上十分に配慮していかなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大変行き届いた御説明でありがとう。もう結構ですから。  国税庁にちょっとお伺いしますが、使途不明金について説明していただきたいと思うんですが。

小幡俊介国税庁直税部長

○政府委員(小幡俊介君) 使途不明金ということでございますが、これは一般的には会社が支出をいたしました経費のうちに、その使途あるいは支出先が明らかでないもの、これを使途不明金というふうに呼んでいるというふうに思います。これは税務上私たちがそういうふうに呼んでいるわけでございますけれども、この使途不明金には、いわゆる会社の決算において簿外処理をしておるというふうなものもございますし、それから会社の決算で簿内といいますか正規の決算の中に、たとえば交際費でありますとか、あるいは販売促進費でありますとか、そういうもろもろの会社決算の中で経費として支出されておる、しかし会社が税務申告をする場合におきまして、その会社決算では販売促進費なり交際費として計上はしておったけれども、実はその使途等について明らかでないということで、みずからそれを損金ではないというふうに否認をして税務申告をすると、こういうふうな形態のものがあろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもが税務調査におきましてそういう使途不明金がどのくらいあるかということを申し上げてみますと、資本金一億円以上の会社につきまして私どもが税務調査をした結果について申し上げますと、これは五十四年の七月から五十五年の六月の一年間について資本金一億円以上の会社について実地調査をした結果によりますと、こういう使途不明金というものがありました会社が約一千社ございます。その使途不明金の支出の総額が三百二十一億円というふうになっております。したがいまして、この使途不明金がありました法人一件当たりの使途不明金額ということになりますと三千二百万円と、こういうふうなことが私どもの税務調査の結果として出ておる、こういう状況でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはなくならないものですか。あなた方の御努力をもってしても、いかんともしがたいものですか。望ましいものではないと思うけれども、その点どうでしょう。最後にお伺いいたします。

小幡俊介国税庁直税部長

○政府委員(小幡俊介君) 私どもといたしましては、こういう会社の経費につきましては、その支出先が明らかになるということが望ましいわけでございまして、私どもといたしましては、できる限り税務調査の過程におきましてその使途の解明ということに努力をしておるわけでございますが、会社の方のいろいろな都合によりましてどうしてもその使途を明らかにできないというふうな場合には、私どもの税務調査というものもこれまた限界もございますので、どうしても明らかにされないものというものにつきましてはこれはいたし方ございませんので、私どもといたしまして、その会社の損金として見るわけにはいかないということで、それを利益として課税をすると、こういうことに相なっておるというのが実情でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どうもありがとうございました。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 過日来、商法等関係二法案につきまして質疑を重ねてまいりましたが、株式制度のことや株主総会、こういう問題についてお伺いをしてまいりました。細部にわたりましていろいろお聞きしておかなければならない問題もあるのでございますが、きょうはそういういろんな問題の中から何点かお話しを申し上げ、総括的にまた御質問をしたいと、こう思うわけであります。  その第一点は、監査役、この監査役制度というのは四十九年の法改正でいろいろ処置をしたわけでありますが、さらにまた、このたびもこの監査役の監査権限の充実強化ということについては配慮をしておるわけですが、これをずっと見ますと、四十九年の法改正というのは、四十五年の三月法制、審議会の答申、また四十六年、これらを受けて四十八年に法案をつくり四十九年に成立をしたという、こういう経過をたどったわけですね。これをずっと見ますと、四十五年の法制審議会の答申に盛り込まれておりました監査役の監査権限の充実強化という項目の中のある部分が抜けておりまして、四十九年の法案のときにはこれが入らなかった。しかしながら、このたびの改正案の中には入っておる。たとえば監査役の取締役会の招集請求権、監査役の報酬とか監査費用等の改正項目ですね、これは四十九年には入らなかったんですが、このたびは入っておる。しかし、このたびも株主総会招集請求権というのは入っておりませんですね。  私ども現在、これは四十九年には入らなくてもこのたびに入りましたから、それはそれなりのいろんな検討経過の結果だと思うんですが、こういう取締役会の招集請求権とか監査役の報酬とか、こういうこのたび入りました項目ですね。これは四十九年のときにはどうして入らなかったのかということと、このたびもまた入りませんでした株主総会招集請求権というようなものについては、これはどういう検討の結果、審議会とか、また法案をつくる段階でのいろんな検討の中でどういう御議論があってこういう結果になったのか、その辺のいきさつをちょっとお伺いをしたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) お答え申し上げます。  まず、先生先ほど御指摘の監査役のたとえば取締役会招集請求権等が昭和四十九年の改正では取り入れられなかったという問題でございますけれども、御承知のように、四十九年の改正におきましては、従来、監査役には会計監査の権限しかなかったものを業務監査の権限まで入れるという問題もございました。それから会計監査人制度と、商法上こういう制度を取り入れたのも初めてでございます。そのために、言ってみますれば暗中模索と申しますか、果たしてどの程度のことができるのか、あるいはどの程度の効果が生ずるのかという、いままで従来のものに非常に新しいものをたくさん取り入れるということから、かなり疑心暗鬼と申しますか、暗中模索のようなところがあったわけでございます。  そのために、ある面から言いますと、憶病と申しますか、できるだけ余り急激な変革というものは避けた方がいいのではないかという議論が、法案の作成段階においていろいろ起こってまいりまして、そのために法制審議会におきまして出されました答申のうちの幾つか削ったというようなことになったわけでございます。  その後、昭和四十九年以降今日に至るまで、監査役あるいは会計監査人というものの存在につきましていろいろ御批判はございますけれども、実際にいまいろいろな状況から見てまいりますと、かなりこういう制度が効果を上げてきている。少なくとも昭和四十九年改正以前、特に昭和四十年前の倒産事件に見られましたような、非常に経理がずさんなために倒産が起きてしまったというような事態は避けられてきているという、言ってみればその効果があらわれてきたということと、すでに前の制度が会社の中に定着してきておりますので、さらに新しいものを入れてもそれほど混乱がないのではないかということから、ただいま先生から御指摘いただきましたような取締役会の招集請求というようなものも、今度取り入れてもよろしいのではないかということになったわけでございます。  ただ、四十五年答申にございました監査役の総会招集請求というものを今回も見送ったわけでございます。これは実は、今回の改正審議におきましても当然問題にされたのでございますけれども、これに対しましては、まず第一に、こういう監査役の総会招集請求権を認めるに足る会社ということになってまいりますと、これは大会社ということになるわけでございます。ところが、実際問題といたしまして、もし監査役に総会招集請求を認めまして、たとえば年に二回、三回総会招集をやるというようなことになりました場合に、これは大会社の場合、大変な手間と費用がかかるわけでございます。そのような大変な手間と費用をかける反面、そうして総会招集をやってそれだけのメリットがあるだろうかという問題がございます。むしろ、この場合には、現行法でも同じでございますけれども、現行法の二百三十条ノ二で、今度改正法律案では二百三十条ノ十ということになっておりますけれども、「総会ハ本法又ハ定款ニ定ムル事項ニ限リ決議ヲ為スコトヲ得」ということで、総会の決議権限と申しますのは、法律または定款に定める事項に限られているということでございます。  したがいまして、よしんば監査役に総会招集請求権を認めたといたしましても、果たしてそれに監査役の望むような決議が得られるかどうかという問題でございます。さしあたって、もし監査役が総会招集請求をいたしまして、そうしてかける議題ということになってまいりますと、恐らく取締役の解任請求というようなことになってくるのではないかということでございます。もしそれであるならば、むしろ現行法にもございますけれども、二百七十五条ノ四におきまして、取締役、会社間の訴えにつきましては監査役が代表するということになっているわけでございまして、この取締役に対して直接訴えを提起するというようなことで、むしろ訴訟という方法で取締役の責任を追及するという方が、より直截なのではないかというような問題があるわけでございます。  したがいまして、今回は、今回はと申しますよりも、むしろ監査役が総会招集請求権を有するということにそれほどのメリットは認められないということで、今回これを採用しなかったということでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いろいろその辺のことについては議論ありますが、次に進みますが、現行法では監査役の員数ですね、これは定められていないわけですが、このたびは大会社については特例法の十八条で監査役を二人以上置かなければならないことになるわけでありますが、それに伴いまして、その二人のうち一人は常勤の監査役ということであります。  この常勤という意味について二、三お伺いしたいんでありますが、常勤ということになると非常勤という立場も出てくるわけですけれども、常勤の定義といいますか、これは公務員ですと、ちゃんと勤務時間というのが決まっているわけですね。会社法でそんなことを定めるわけにはいかないかもしれませんが、常勤という範疇といいますか、概念といいますか、当局としましては常勤というものに対してはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、定義づけるのか。この点、ちょっと説明いただきたいと思いますが。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 常勤の意味でございますけれども、実はこの常勤監査役制度と申しますのをつくりました今回の直接の動機は、むしろ、監査役の勤務体制の問題もございますけれども、それよりも重視いたしましたのは、会社の方での受け入れ体制ということでございます。つまり、会社といたしましては監査役がその会社の本社なら本社というところで監査業務を行うということについては、少なくともその営業時間中は監査役が常時勤務できるような体制をとらなければいけないというところに重点を置いたわけでございます。つまり、たとえば監査役が使用人に対して報告を求めるという場合でも、それば常勤監査役の場合でございましたら常にそれが行えるようにしておくとか、執務の場所というようなものも常時執務できるように用意しておくとか、そういうことを考えたわけでございます。  したがいまして、その反面といたしまして、当然常勤監査役の場合の常勤という意味は、その監査役が常時勤務する場所におきまして少なくとも営業時間中は執務を行うということになろうかと存じます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いまお話がありました受け入れ側の方の考え方というのを強く反映しておるようでありますが、これはなぜこういうことを聞くかというと、現在、日本監査役協会、ここのお調べになりました「一九八〇年における監査役制度の運用実態」、こういうものなんか見ますと、実際これを、常勤監査役というのは上場会社では九八%ですか、ほとんど置いておるということですね。  ですが、今度商法では、この監査役とそれから兼任の問題があるわけですね。常勤ということでいま勤務時間中という、営業中ということになりますと、その職場を離れるわけにいかないということになると、兼任という問題については当然制約を受けるという、こういうことになるだろうと思います。今度の商法改正におきまして、商法でも二百七十六条ですか、その会社の取締役や使用人の兼務はできないということになっておりますけれども、さらにまた、子会社の取締役や使用人等も兼務できない。そういうことで、しからばそれ以外の者はできるのかということになるわけでありますが、この常勤監査役という制度ができますと、それはいろんな制約がいまのお話からしますと出てくるんだろうと思います。  しかし、現状としましては、子会社とか関連会社の兼務というのは非常に多いわけですね。こういうことから、この兼務ということについては、今度の法改正によりまして状況も大分変わってくるんじゃないかと思いますけれども、その間のひとつ関連性といいますか、諸問題についてお答えいただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 確かに先生御指摘のように、常勤監査役制度を設けるということになりますと、これはかなり兼務の問題が苦しくなると申しますか、むずかしくなるのではなかろうかと存じます。もちろん、たとえば二つの会社が同じ場所に併存する、あるというようなことでございますと、あるいは二つの会社についての常勤監査役を兼ねるというようなこともできるかと存じますけれども、少なくともこの常勤監査役を置きました趣旨は、常時会社に詰めていて、そうしてそこから監査に関するいろいろな情報を得るということでございますので、もし常時会社に詰めていれば得られた情報を、いなかったために得られなかったということになりますれば、これは相当な注意を払わなかったということになるわけで、責任追及のもとになる、根拠になるということになるわけでございます。  したがいまして、その点から考えまして、幾つもの会社の常勤監査役を兼ねる、あるいは常勤監査役を兼ねながらまた全然関係のない他の会社の常時勤務する使用人になるとか、あるいは常時勤務する取締役になるというようなことになれば、これはそのこと自体が直ちに違法だということになるかどうかはまた問題があると存じますけれども、結果として、十分な監査ができないことから責任の追及を受けるということにもなろうかと存じます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それから今度の、現在の現行法でもそうですけれども、このたびの改正案では、監査役というのは相当厳しい責任が課せられることになるわけですね。そういう中で、常勤の監査役と非常勤の監査役との間に責任の程度の度合いといいますか、当然同じ責任が負わされるのか、また違いがあるのか。常勤、非常勤ということについて、当然こういう問題も出てくると思うのでありますが、これはどうでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 常勤にいたしましても非常勤にいたしましても、監査役の職務、責任というものに違いがあるわけではございませんので、その間、一般的、抽象的に責任に軽重の差があるということにはならないと考えます。  しかしながら、ただいまも御説明を申し上げましたように、常勤の監査役と非常勤の監査役では執務の実態が違うわけでありますので、常勤しておれば気がつくはずであった、当然その辺までは注意を払わなければならなかったという事柄でありましても、非常勤であったがために、気がつかなかったのもやむを得ないというような事例も起こり得るわけでありまして、実際上の問題として責任の、何といいましょうか、範囲といいましょうか、責任を負うべき事柄の範囲に差が出てくるという可能性はあるというふうに考えます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 今回の改正案で、監査役はいつでも会社の使用人に対して営業の報告を求めることができることになっておりますね、二百七十四条の二項ですか。会計監査人についても同様の改正がなされておるわけですけれども、使用人に対する報告請求権、この問題についてちょっとお尋ねをしたいと思うのであります。  会社のことですからいろんなことが考えられるわけでありますが、悪くは考えたくないんですけれども、監査人が使用人に対して報告を求める。それに対しまして、最近の社会をにぎわしているような問題もございますから、そういうことで取締役等が妨害といいますか、それを拒否するような行動に出る場合もないとは言えないだろうと思いますが、こういうことが起きたときには、これはどういうことになるでしょう。この法改正に伴いまして罰則といいますか、こういう事態が起きたときにはどういうことになるのかということも、ひとつお伺いしておきたいと思うのでありますが。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 二百七十四条の二項は、監査役の情報収集能力の強化ということでこういう規定を設けたわけでございますけれども、実は現行法の解釈としてもこういうことが言えるのではないか、むしろ言えるのだというふうに考えるわけでございます。  監査役といたしましては、監査をする必要があれば、当然に支配人その他の取締役及び支配人その他の使用人に対して報告を求め、あるいは調査をすることができる。そうでなければ十分な監査ができないということになるわけであります。  ただ、こういう規定を設けましたために、この解釈ということが問題になるわけでありますけれども、使用人としてはこれに応ぜざるを得ないことになるというふうに考えます。もし使用人がこれに応じなければ、監査役としては取締役に話をして、監査役の報告の求めに応じさせることを命じてもらうということができようというふうに考えます。それでもだめである、あるいは取締役自身が使用人と一緒になって監査役の調査を妨げるというようなこともあろうかと思いますけれども、その場合には、使用人にとっては服務規律の違反の問題が起こってくる、このように考えます。  それから、取締役にとりましては、商法の四百九十八条というような過料の制裁、あるいは二百八十一条ノ三の二項九号というような、監査報告書に記載をするというようなことが考えられるわけであります。  使用人といたしましては、取締役から仮にそういうものに応ずるなということを命ぜられたといたしましても、これは違法な命令でありますから、従わなくてもよいというふうに考えます。もし取締役の命令に従わなかったために処分を受けるというようなことがありましても、それは違法な処分というようなことになりますので、効力を争うことができるというふうに私どもは考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いまお話がありました四百九十八条ですね、これは「本編ニ定ムル検査又ハ調査ヲ妨ゲタルトキ」、調査を妨げたるときということですね、これは報告を妨害するというか、そういうふうに読みかえるといいますか、そういうことでというお話だろうと思いますが、いまお話がありましたから、そういうことで十分対処できるんだという、このような御説明というか、お話だったと思うのであります。  次は、これはいまは取締役がということでありましたが、今度は監査役または会計監査人が使用人に対して求めたところが、この使用人が拒否をするというような、こういう場合もあるわけですね、この取締役の手前の話ということになるのかもしれませんけれども。こういう使用人が拒否をしたという場合については、先ほどのお話でわかるのかもしれませんけれども、お聞きをいたしておきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) ただいま局長からもお答え申し上げましたように、まず監査役が使用人に対して報告を求める。その場合に使用人が拒絶いたしました場合には、これは監査役といたしましては直接業務執行権限はございませんので、使用人に対してそのことを命令するとか、あるいは拒否したことが直ちに職務規律違背になるというところまでは言えないかとも存じますけれども、そういたしましたならば、今度は監査役が取締役に対して、その使用人に対してこういう返答をしろということを言うことができるのじゃないか。もし取締役がこれに応じませんでしたならば、これは現行の二百七十四条にもございます調査要求を妨げたということになるわけでございます。  それに対しまして、取締役が命令はしたけれども使用人がなおこれに応じなかったということでございましたならば、職務規律違背になるということでございます。そして、使用人も言うことを聞かない、それから取締役も言うことを聞かないということになりましたならば、これは先ほど局長からも申しましたように、二百八十一条ノ三の二項の九号で監査のために必要なる調査をなすことができなかったということを、その理由を付して報告書に書くということになろうかと思います。  ただ、このように監査役に対する報告請求権でございますけれども、これは実は現行法のもとでもこのような請求権はあるというのが一般の解釈でございます。つまり、これは現行法の二百七十四条の二項の「監査役ハ何時ニテモ取締役ニ対シ営業ノ報告ヲ求メ又ハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得」ということでございまして、取締役に対し営業の報告を求める場合には、当然その手足でございます使用人を通じてそういうようなものが求められるということも考えられますし、また後段の、「又ハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査」の中に、使用人に対して報告を求めるということも入るというのが一般の解釈であろうかと存じます。  ただ、今回の改正案におきましてこのような文言を、つまり使用人に対して直接報告を求めることができるという文言を入れましたのは、これは実際に監査をしております監査役の人たちからの強い要望がございまして、会社の監査の実務の現場ではやはりこういう法律上の規定がございますと、非常に障害がなく使用人応対して直接報告を求めることができるという声に応じて、こういう規定を入れたわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それに伴うというか、大会社と子会社、それから国内問題だけではなくて、海外の子会社に対しての監査ということも最近いろいろ議論になっているわけですけれども、大会社が子会社に対しては「正当ノ理由アルトキ」ということになっているわけですが、国内的な問題とそれから海外に対する監査の問題、これも最近いろいろ議論になっておるわけです。  また、昨日も監査役協会の方のいろんなお話がございましたが、正当な理由ということでありますけれども、職務を行うために必要なときにはいつでもできるようなことが望ましいというような意味の話もあったかと思いますが、こういうことでの監査のあり方等については内部的なことと、それから国内と海外の子会社、国内の大きい会社が子会社に対して監査をするというような、こういうことについていろんな規約があるわけですけれども、そういう監査をさらに明確化するということについての最近のいろんな動きがあるわけですけれども、このことにつきまして法務当局としては現在どういう分析をして、今後についての対処、こういう問題についてはどうお考えになっていらっしゃるのか、この辺をちょっとひとつお伺いをしてみたいと思うのでありますが。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先生御指摘の問題は、二百七十四条ノ三の三項に、「親会社ノ監査役ハ第一項ノ規定ニ依リ報告ヲ求メタル場合ニ於テ子会社が遅滞ナク報告ヲ為サザルトキ又ハ其ノ報告ノ真否ヲ確ムル為必要アルトキハ報告ヲ求メタル事項ニ関シ子会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得」という問題に関連してであろうと拝察するわけでございますけれども、これはやはり子会社といえども子会社独自のいろいろな問題があるということでございまして、そのまま親会社の監査役が直ちに子会社の業務及び財産の状況を調査することができるというところまでいきますためには、やはりその前提といたしまして、たとえば連結決算制度等の問題、これを解決していかなければいけないのではなかろうかと思います。  したがいまして、今回の改正におきましては、連結決算制度についてはもちろん採用することが全くこれは問題にならないのだということではございませんで、いろいろ検討されたのでございますけれども、少なくとも現在のわが国の会計実務の状況からは時期尚早であるということで見送られたわけでございます。したがいまして、将来においては、いずれこの連結決算制度も検討されるだろうと思いますので、その際には、この子会社調査権というものはやはり同様に問題にされるのではなかろうかと思うわけでございます。  その次に先生御指摘の、つまり海外子会社に対する監査でございますけれども、これはやはり問題が二つに分かれるのではないかと思います。  つまり、まず第一は、現行の二百七十四条ノ三の規定から、海外子会社に対して監査役が調査権限を行使することができるかという問題でございますが、少なくとも二百七十四条ノ三はわが国における子会社ということは規定しておりませんので、一応外国に子会社をつくった場合もそれが当てはまるということになろうかと思いますけれども、ただ外国の法制上、この二百七十四条ノ三の一項に規定してありますような株式会社あるいは有限会社というものが外国にあるかどうか、つまりそのままの制度が外国にあるかどうかということが、まず問題になってこようかと思います。  多少これを拡張して解釈いたしまして、有限責任会社——出資者の責任が制限される会社というふうに理解するということになってまいりますと、一応海外の子会社に対しても調査権があるということになるわけでございますけれども、ところがその次の問題といたしまして、その海外子会社が監査役の監査に対して、調査に対して任意に応ずるということであるならば全く問題ないわけでございますが、たとえばこれを拒絶するというような場合に、強行する手段があるかどうかという問題でございまして、これは外国に対するわが国の法律がどの程度効力を及ぼすかというような問題等々、国際関係の問題になってくるのではないかと思います。  もちろん、その子会社が設立された国におきまして、監査役の監査を受けられるような規定があるということになれば、それに従って行うことにもなろうかと存じます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 今後の大きな課題であろうと思いますし、また、これは今回奥深くその問題について云々するつもりもないんですが、一応お伺いをしておいたわけですが、その問題についてはまた後からちょっと触れたいと思います。  次に、取締役とかそれから監査役の資格の問題ですね。これは今回もまた変わっておりまして、一、二点ちょっとお伺いをしておきたいと思うのでありますが、営利を目的とする、しかも株主総会というこういうところで取締役とか監査役というのが決まるわけでありますが、それに対して欠格事由というものが挙げられておるわけですね。それも法制審議会の答申では未成年者、これが挙げられておりましたが、法案の段階では落ちましたですね。その理由といいますか、どういう議論があってそうなったのかということをひとつお伺いしたいんでありますが、まずそれをお聞きをしておきます。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先生御指摘の取締役及び監査役の欠格事由につきましては、実は監査役の欠格自由につきましては、現行法下では何ら規定がないわけでございます。これに対しまして、取締役の欠格事由でございますが、これは実は刑法施行法に、法人を管理する権が一定の者は資格が剥奪されるという規定がございます。  その刑法施行法の規定でございますけれども、これはさらに旧刑法の例に従うということになっているわけでございます。そういたしますと、旧刑法といえば非常に古い法律でございますが、そういう法律が果たして現在適用がされるのかどうかということで、これはいろいろ争いがございます。しかも、旧刑法の場合でございますと、一応、たとえば現行法のもとではいわゆる有期懲役なんかに処せられますと、これは欠格事由になってしまうというような問題もあるわけでございます。そのために、大正十四年の大審院判例では、刑法施行法のいわゆる欠格事由というものは会社に適用があるのだという判例になっているわけでございますけれども、その後、下級審の判例では、これは適用がないとしたような判例もございます。また、これに対しては学者から手厳しい批判が出るというようなことで、実際には非常に適用の場で混乱を生じているということになっているわけでございます。  したがって、今回の改正においては、少なくとも明文の規定を置いて、この混乱を解消しなきゃいかぬということにしたわけでございます。そのために、試案では、一応欠格者として考えられるものを幾つかずっと列挙したわけでございまして、これは今回の改正法律案の二百五十四条ノ二に列挙されているものよりはかなり多くなっております。  ただいま先生御指摘の未成年者の問題でございますけれども、これは未成年者をなぜ欠格者にするかということでございますと、まず第一は、この会社の財産を管理する者が自分の財産の管理について無能力者である、つまり未成年者は無能力者でございますから、自分の財産を管理するについては無能力であるのに会社の財産を管理する能力はある、権限はあるというのはいかにもおかしいではないかという問題と、それから、大体未成年者の場合、資産はそれほどないのではないか。そういたしますと、今回のように取締役の責任を強化するということになってまいりますと、その損害賠償義務というものにもたえられないのではないかということで、このように挙げたわけでございます。  しかし、その後の問題といたしまして、まず第一に、未成年者といえどもこれは営業の許可を得ましたならば財産管理能力がその点について生ずるというような民法の規定もございますし、その点から見て、未成年者が会社と取締役になるための契約をするというときには、当然そこで親権者の同意が要るわけでございます。その点から考えると、あながち未成年者を直ちに排除してしまうということもどうなんだろうか。また、未成年者だから直ちに無資産者だということも言えないのじゃないかという問題と、もう一つは、これは非常に、いわゆる小会社と申しますか、零細企業の問題でございまして、たとえば八百屋が株式会社になっている場合に、父親が死んじゃったと。それで十八歳の息子がいるのだけれども、これが跡を継ぐのに実は社長になれないというようなのもおかしいのじゃないか。そこらは将来大小会社の区分の問題として考えるということで、今回はとにかく未成年者は欠格者としないということにしたわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それから、改正試案では、刑法の詐欺とか背任及び横領罪、まあ非常に商法に近い法律として破産法とか和議法、会社更生法及び証券取引法違反の罪がこの欠格事由とされておりましたけれども、法制審議会の答申でこれが落ちましたですね。そして二百五十四条ノ二「前号ニ定ムル罪以外ノ罪ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ執行」云々と、こうありますけれども、禁錮以上ということになりますと、道路交通法なんかでも最近は非常に厳しくなりましたですね。こういうことで、いま非常にいろんな角度から小さい会社のことなんかも考えての論議があったということでありますが、そういうことであるならば、この禁錮以上ということについても、零細企業等においては非常に困ることがやっぱり起きるんじゃないかというような、こういう感じもするんですけれども、法制審議会でこれらの答申では落ちた理由。  それから、いま申し上げた道交法が非常に厳しくなったということ等もあわせまして、欠格事由というものについてそういうことがどういうふうな議論があって今回のこの定めとなったのかという、その間の経緯をちょっと御説明いただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) いま先生まず御指摘の、詐欺のような罪を犯した者が欠格者にならなくなっている、試案ではございましたのが、それが今回の法律案ではなくなっているという理由でございますけれども、実は試案で詐欺あるいは横領というような罪によって刑に処せられた者を欠格者といたしましたのは、これは御承知のように、詐欺あるいは横領というようなものは、人から信頼されているのにそれを裏切って犯罪を行うということでございまして、およそ会社の財産を管理するというようなことになりましたならば、他人の信頼を裏切って自己の利益、自己なり第三者なりのために利益のある行為をするというようなこと自体は、そういう人については会社管理はしてもらっては困るのではないかということで、欠格者にしたわけでございます。  ところが、実は、一概に詐欺とか、あるいは横領とか申しますけれども、たとえば詐欺でございますと、現在まあ刑事の実務では無銭飲食なんかも詐欺ということになるわけでございまして、およそ詐欺罪というものが、すべからく人の信頼を裏切るという行為のパターンと申しますか、そういうものではないという問題が生じたわけでございます。あるいは証券取引法の違反の罪なんかにおきましても、必ずしもこれは証券取引そのものに関しての行為そのものに関する罪であるということは言えないわけでございまして、たとえば証券取引の際を利用してばくち行為をする、賭博行為をするというようなものも入っているわけでございます。  そういうことになってきますと、ここにそういう、言ってみれば会社管理とは関係のない行為をも含む罪を入れておくということはいかがなものかということで、本来ならばその詐欺のうちで信頼を裏切るもの、横領の中で信頼を裏切るもの、あるいは証券取引法の中で証券取引そのものに関するものというようなことを全部拾い出せばよろしいのかもしれませんけれども、それは余りにも繁雑でございまして、かえって実務的ではないのじゃないかということから、今回はこれを全部除いてしまったわけでございます。そして要するに、商法と監査特例等と有限会社法という、いわば商法プロパーと申しますか、そういう本来の範囲内、まあ会社に関する法律に定める罪を犯した者だけを欠格の対象にするということにしたわけでございます。  その次に、四号でございますけれども、四号は、要するにこれは実刑に処せられた者はすべて欠格者だということにしているわけでございます。およそ取締役の場合は、これは代表取締役なんかになりました場合は、業務の執行をしなければならないわけでございまして、恐らく常時会社に出勤して適切な処置をとらなければいけないということになろうかと思いますし、あるいはその他の取締役でございましても、取締役会の構成員でございますから、取締役会には出席して、意見を交わし決議に加わらなきゃいかぬということになるわけでございますけれども、実際に実刑に科せられまして刑務所に入っていることになりますと、このような義務は果たせられないということでございまして、そういう点から考えましても、少なくともそういうことが全くできない状況にある人、これはやはり欠格者とせざるを得ないのじゃないかということで入れたわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 まあ細々しく考えますといろいろなことが出てくるわけですが、刑に服しているというときは仕事はできないじゃないかということですけれども、これは先ほど未成年者のときにお話ありましたけれども、そうしますと、会社はだれがということになりますと、いろいろそこにはまた問題も出てくるようなんですが、私は時間がないのでそのことだけやっているわけにいきませんから、また後日何かの機会にということで、次に進めさしていただきます。  法人が取締役になれるかどうかというのは、これはまたいろいろ議論があるようですけれども、いま通説的には、もちろん法人ではなくて個人という、個人の能力に着目してその責任を負うというような考え方が中心になっているんだろうと思いますけれども、この「左ノ者ハ取締役タルコトヲ得ズ」というこの中に法人という言葉がなければなれるのかという反対の考え方もあるわけで、これは改正試案の中には、法人は取締役にはなれないというふうにあったけれども、答申と法案にはこの点が触れられていないという、こういうことも考え合わせて、これはやはり相当審議会の中でも、また法務省の中でも議論なさったことなんだろうと思いますが、そしてまた、法人が取締役になるということについてメリットとかデメリットとか、いろいろなことについても議論があったんだろうと思いますけれども、これはどういう審議の経過で今日の法文となされたのか、その間のことについてお伺いをしておきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先生御指摘のように、改正試案におきましては、取締役の欠格事由と申しますか、法人は取締役になることができないということを明らかにしていたわけでございます。  それで、試案でそのように書きました理由でございますけれども、これは取締役に選任されるということは、つまり取締役になる人個人の経験とか力量とか、あるいは識見というようなもの、つまり経営能力というものを見た上で選任されるということになってまいりますと、もし法人を取締役に選任するということになりましたならば、実際にたとえば取締役会に出席するなり、あるいは代表取締役となって会社に出てくる、業務執行するという人はその法人の中の代表取締役あるいはその代理人というようなことになるのだろうと思いますけれども、そうしますと、必ずしも特定の個人に限定されないという問題があるわけでございます。  そうしますと、これはやはり明らかに取締役としての本来のその会社の負託にたえ得ない人も出てくるおそれがあるのじゃないかということで、法人は取締役になれないということにしていたわけでございます。また、現に、これは実務上の問題でございますけれども、実際に法人が取締役になっているという例はないわけでございます。  しかし、反面、今回の改正論議の中では次のような議論がありました。つまり、いわゆる合弁会社でございますけれども、合弁会社で、たとえば甲という会社と乙という会社の二つの会社だけで一つの新しい会社をつくるというような場合でございますと、そういう場合に、もし個人を取締役なんかにしておりまして、そのうちの代表、特に代表取締役が死亡してしまうというような場合には、もう一度株主総会を招集して、そして取締役を選任しなければいけないという問題が出てくるというわけでございます。  ところが、もしこの場合に法人を取締役にしておけば、代表取締役の一人が死亡しても、それに対しては直ちに合弁会社の構成員たる会社の代表取締役、他の代表取締役が合弁会社の代表取締役になることができるということで非常に便利である、したがって、法人は取締役になれるようにしろという議論もあったわけでございます。  これに対してはさらに反論がございまして、そうはいっても、たった二つの会社で成立している合弁会社ならば株主総会を開くのは簡単ではないか、だからわざわざ法人を取締役に選任するまでの必要はないというような反論もあったわけでございまして、いろいろ賛成論、反対論が次々と出たわけでございまして、今回の改正審議においてはその結論を得るに至らなかったわけでございます。  特に、現行法のもとにおきましても、法人は取締役になれる、あるいはなれないというようないろいろな問題がございますので、この点についてはさらに実務の問題、それから今後の解釈の動向等を見きわめた上で結論を出そうということで、今回の改正案には法人は載っけなかったわけでございまして、このことが直ちに法人は取締役となれるという結論を出したわけでも、また、なれないという結論を出したわけでもございませんで、今後の検討にまつということでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 次に進みますが、商業登記法の八十一条ですか、「取締役等の変更の登記」、これは、取締役は登記事項となっておりますから当然登記しなければならぬわけです。それから、二十四条の十号では、申請の却下、これは「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。」、先ほど取締役についていろいろお話ございましたが、今度はいろんな欠格事由というのが明確といいますか、いろいろございまして、書類をつくりまして窓口へ持ってまいる、それで登記官がこれを見まして、この中に当てはまるか当てはまらぬかというのはなかなかこれは時間の要ることでもありましょうし、また、登記官の判断というのは非常にむずかしいことになるんじゃないかと思いますね。  この欠格事由に該当しているかどうかというのは、今度は窓口ではどういうふうにするようにお考えになっていらっしゃるのか。もちろん、これは事務的なことなのかもしれませんけれども、しかし、事によりましては、登記をした後取引上にまたいろんな問題が、トラブルが起きないかどうか、こんなこと等もあわせまして、登記官というのは非常にこういう点では大事な立場にある。事務的なことかもしれませんが、この間のことについてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 実は、ただいま商業登記の実務におきましては、法人は取締役として申請がございましても受け付けていないわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 法人じゃなくて……。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 失礼しました。  欠格事由のあるものにつきましては、これは今後当然登記を受け付けないということになるわけでございまして、これはもちろんこういう今回の改正法が法律として成立いたしました場合には、当然これは周知徹底を図るべきものと存じます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 話が次へ進んで申しわけないんですが、確かに周知徹底するとか、それなりの対処をなさるんでしょうけれども、これだけ法改正がございまして、また欠格事由というものがこんなにたくさんありますと、数多くの会社がございますし、小さい会社が多うございます。そういう中で、やっぱり登記を受け付ける登記官、お役人さんがそれなりにきちっとチェックするものがないと、来たものをただ事務的に受け付けるということだけでは、これはいろいろトラブルが起きるんじゃないでしょうか。  周知徹底ということだけではなくて、窓口としてどういう対処というものを考えていらっしゃるのかということなんですけれども、これは商業登記法という上からの問題で、それに対してこのたびの改正、これを受けて登記官というのは非常に大事なことでもございますから、いろいろ御検討なさってはいらっしゃるんだろうと思いますけれども、その間のことについてお聞きしたい。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先ほどから先生の御質問の趣旨を取り違えていたようでございまして、今回のこの改正案でございますと、禁治産者であるとか、そういう点につきましてはこれは戸籍でわかるわけでございますけれども、特に三号、四号の刑に処せられたということにつきましては、これは実際にはわからないわけでございます。さらに、そのことを一々、たとえば前科調書等を出させる、これは実際問題として不可能でございますけれども、そういうことはただいまのところ全然考慮していないわけでございまして、したがいまして、これは実際にそういう刑に処せられた者が取締役として登記されるということもあろうかと存じます。  その場合に、もちろんそういう欠格者がたとえ登記されましても、その選任自体が無効でございますから、取締役になることはないわけでございまして、もし後日わかったということになりましたならば、これは無効でございますから、抹消されるということになろうかと思いますけれども、そうなってくると法律関係が不明確になるのではないかという問題が出てまいりますが、これは現行商法の十二条で、「登記スベキ事項ハ登記及公告ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」ということと、それから十四条の「故意又ハ過失ニ因リ不実ノ事項ヲ登記シタル者ハ其ノ事項ノ不実ナルコトヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」ということがあるわけでございまして——失礼しました。十二条はあれでございます。十四条でございますけれども、そういう点から取引の安全という点は、これで担保されるのではなかろうかと思うわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これを窓口で一々チェックをするということは大変なことだろうと思いますが、そこらあたりも一つの問題だろうと思います。  次に進みますが、取締役の欠格事由と監査役ですね、これは取締役に準ずるということですから、同じということになるわけですね。そうしますと、冒頭にお話ございました未成年者も監査役は資格があるという、欠格事由に当てはまらないということになるわけですけれども、取締役のときには先ほどお話あったことでいろんなことがありますから、それなりのことについては議論の結論ということについては理解できるんですが、監査役は、これは何も未成年者云々だけではないんですけれども、そのことも一つではありますが、厳しかるべきだというような感じがするんですけれども、これは当然いろんな論議があったんだろうと思いますけれども、どうなんでしょうか、監査役について。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 御指摘のように、監査役についての欠格事由としても未成年者が挙げられていないわけでございます。もちろん、今回の立法審議の過程におきましては、監査役に未成年者がなるのは適当ではないのではないかという意見が強かったわけでございます。したがいまして、監査役には欠格事由として未成年者を入れるかということが相当議論されたのでございますけれども、もし監査役に未成年者を欠格事由として入れるということになって取締役には入れないということになってまいりますと、解釈が決定的に、監査役については未成年者は欠格事由になる。それに対して、取締役については未成年者はなれるのだということになるわけでございます。  ここのところは、あくまで今後とも解釈の問題として少し置いておいた方がいいのじゃないか。むしろ先ほども申しましたように、大小会社の区分とか今後の問題としてさらに考えていった方がよろしいのではないかということで、この点ももちろん取締役については未成年者はなれるのだという含みでございますけれども、そこのところもやはり解釈に任せているわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 取締役その他の問題については、以上で終わります。  次に、今度株主総会で大きな改正になります問題、これも単位株制度等については過日いろいろ御質疑申し上げたわけでありますが、書面投票制度がございますね。これは先ほどもちょっと同僚委員からもお話あったんですけれども、今度の改正案では、株主数が千人以上の大会社については、総会に出席できない株主については意思表示する機会を与えようということで書面投票制度というのが設けられるわけですが、委任状勧誘制度と書面投票制度というのは、具体的にはどういう相違があるんでしょうね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、書面投票制度でございますけれども、これは今回の改正案でも明らかになっておりますように、つまり会社の方から書面投票用紙を送る、そういたしまして、それを受け取った株主が書面投票用紙に必要な事項を記載いたしまして会社に送り返しましたならば、それが直ちに株主総会において投票用紙となって用いられるということでございます。つまり、投票した、決議に参加した結果になる。つまり、株主が記載した事項がそのまま株主総会の決議に反映するということでございます。  これに対しまして委任状の場合には、株主が必要事項を記載して会社に返送いたしましたならば、通常は会社の方でやるわけでございますけれども、これは何も法律的に必ずそうだということではございませんが、通常、会社の方で代理人を選任しまして、つまり受任者を選びまして、そしてその受任者が議決権を行使するということになるわけでございます。  まず、書面投票のメリットと申しますか、それはどういうところにあるかと申しますと、これは会社に書面を送り返しましたならば、そのまま間に人が介在しないで直ちに投票するという結果が生ずるということで、株主の意思が確実に総会に反映するということになるわけでございます。  これに対しまして委任状の場合でございますと、株主が委任状に所要事項を記載して会社に送付するという行為は委任の申し込みでございますから、もしその委任状に会社の気に食わないことが書いてあるということならば、会社の方としては、別にその委任状を、つまり委任の申し込みに対して承諾をする必要はないということで捨ててしまってもよろしいということでございますので、株主の意思が必ずしも明確に総会に伝わらないということになるおそれがあるわけでございます。  その反面、書面投票用紙でございますと、これは決まった議題あるいは議案というものに対して意思が表示されておりますので、それ以外の事項が総会において動議で提出されるということになってまいりますと、それに対しては株主の意思は反映しないということになります。  それに対しまして委任状の場合は、まあこれは授権の範囲にもよりますけれども、通常の場合は甲、乙、丙の事項、その他総会で決議される事項というようなことで委任状に記載されておりますので、原則として株主の代理人として出席した人は、総会で決議される事項のすべてに参加することができるということになりますので、たとえ動議が提出されても、それについては決議に参加するということで、言ってみれば株主の参加する範囲が広がるというメリットがあるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いまもお話ございましたように、確かに株主総会が順調に進んでいるときはよろしいんですが、修正動議が出たりなんかという場合もあるでしょうし、いろんなことがあるんだろうと思います。そういうときにどうするかということになりますと、いろいろこれはむずかしい問題があるようですが、しかし、これも株主の場合ある程度意思表示ができるということではメリットがあるんだろうと思いますが、書面投票制度、これは総会の議題についてそれなりの意思表示がなされるわけですね。そうしますと、会社としましては事前にもうどの項目については賛成か反対かというようなことについてわかるということで、−こういうこと、これは管理面をしっかりしませんと、悪用されるといいますか、選挙と同じように非常に送られてきたものの管理というのは大事だなあと、こういう感じがするんです。  それから、経過措置が設けられておりますね。この経過措置についてもあわせてひとつちょっとお聞きしますが、まあ大きな、これだけ変えるわけでありますから、経過措置を設けなきゃならぬだろうと思いますけれども、このことについての御説明をいただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、書面投票の結果、株主の意思が確実に反映しているかどうか、それを担保する方法でございますけれども、今回新しい制度といたしまして検査役の制度を設けているわけでございます。これは総会前に検査役を選任する。これは少数株主権でございますが、総会前に検査役が選任される、そのことによって送られてきた書面投票用紙が確実に決議の結果に反映しているかどうかということを見るということも、検査役の使命の一つであるわけでございます。  それからその次は、取締役が総会の終結の日から三ヵ月間この書面投票用紙、これは委任状も同じでございますけれども、とにかくこれを本店に備え置かなければいけないということで、この書面投票用紙がちゃんと議決権として行使された結果になっているかどうかということ、あるいは本当にその書面投票用紙が会社に——たとえば会社が隠匿するというようなことがないかどうかということもわかるようにいたしたいということでございます。  それから、経過措置の問題でございますけれども、つまり当分の間は書面投票制度と委任状勧誘一制度を併存するという問題でございますけれども、これは御承知のように、いわゆる委任状勧誘規則でございますが、これが現在、上場会社については委任状勧誘のための根拠規定になるわけでございますけれども、この委任状勧誘規則は昭和二十三年に施行されて非常に歴史的に古いものでございます。したがいまして、上場会社におきましてはこの制度に言ってみればなれ親しんでいるというところがあるわけでございまして、その点から、今回商法を改正したからと申しまして、いきなり書面投票制度に全部変えてしまうということになりますと、従来、実務的になれ親しんできた各会社においては、非常に混乱を生ずるのではないかという問題があるわけでございます。  したがいまして、この点については、もちろん先ほども申しましたように、書面投票制度についてはいろいろすぐれた点もあるわけでございますから、順次、徐々に書面投票制度に移ってくれるであろうということで、実務の混乱が生じないように、当分の間はこの両方の制度を置いておくということにしているわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 その程度にしておきます。  次に、いろいろな経過措置とか、または「当分の間」というやつが、今回は複雑多岐にわたる大事な法律ですから、急激なこともできません。それで、省令に、または政令にということが、またはこの「当分の間」というのがいろいろあるわけですが、今度、法律で子会社による親会社の株式の取得の禁止、この問題を一問だけちょっとお伺いしておきたいと思うんでありますが、今度は親会社の株式取得、これはできないことになりますね。二百十一条ノ二ですか。しかし、これは附則で経過措置がとられているわけですけれども、相当の期間ということでありますけれども、これは現状をどういうふうに把握していらっしゃって、これはどのぐらいの期間を当局としてはお考えになっていらっしゃるのかということ。  もう一つ、一斉に処分するということになりますと、株式市場は大変なことになるのじゃないかというような感じもするわけですが、そういうこと等も考え合わせて、これは当分の時期という、こういうことも出てくるんだろうと思いますが、この辺の、このたびの親会社の株式の取得禁止に伴いましての諸問題、これをちょっとお尋ねをしておきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 実は、これは現行法の二百十条及び二百十一条にもあるわけでございまして、現行法の二百十条の規定は、会社が自己の株式を取得することを制限しているわけでございます。例外的に取得した場合には、二百十一条で「相当ノ時期ニ」処分をしなければならないということにしているわけでございまして、この場合の「相当ノ時期ニ」と申しますのは、たとえば会社が合併によって結果的に多数の自己株式を取得する結果となるというような場合に、これを直ちに処分いたしますと、先生がただいま御指摘のような市場の混乱が生ずるという問題がございます。したがいまして、そういう混乱が生じないように徐々に売却していけ、処分していけということを意味しているわけでございます。  これは、子会社が親会社の株式を取得した場合も同じでございまして、適法な、たとえば会社の合併等によって子会社が親会社の株式を取得する結果になるというような場合には、これは市場に混乱を起こさないような方法で、特に不利にならないような方法で株式を処分するということで、つまり徐々に売却していくということになるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 次に、今回の法案で、過日の質疑で途中になっておったんですけれども、計算の公開ということですね。これは改正試案によりますと、現在の営業報告書に何を記載するかという記載の問題ですが、これは法務省令で営業報告書の記載事項を定めることになっているわけですけれども、記載事項として会社が無償でした金銭の供与の総額を書かせることを予定しておりましたけれども、附属明細書においては会社が無償でした金銭の供与の明細、株主との通例的でない取引の明細を書かせる、このように今回の法案では附則で営業報告書の記載事項、これは法務省令ということで具体的には計算書類、記録ということで預けてあるわけですね。  これは、今日までも企業の社会的責任ということに伴いまして、ここらあたり明確にすべきだという今日までもいろんな論議があったわけですが、無償供与の額、これを記載事項とするということについては財界からも強い反対があり、今日までいろいろな論議があったことも私ども承知をいたしているわけですけれども、法務省令で定めるということになりますと、その前に商法部会で審議をするという経過をたどることになっておるんですが、これは十分な審議がなされ、どういう結論になるか、どういうことになるかわかりません。  いずれにしましても、四十九年、そして今日までの商法の改正の中で議論されました、そして社会的な要求でありますこれらの問題については、省令でやっぱりきちっと民意の反映されるような無償供与等についての記載、こういうものについてはやっぱり厳格でありたいし、法務省としてもぜひこれらの問題についてはがんばっていただきたいといいますか、これは商法部会での審議、こういうものもあるわけですけれども、社会の一つの大きな要求であるということ等も考え合わせまして、それらの見通しといいますか、いつごろ結論が出るのか、そしてまた、法務省としてこういう問題についてはどうお考えになっていらっしゃるのか、そこらあたりのことをお伺いしたいと思いますが。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 営業報告書の記載事項、記載方法、あるいは附属明細書の記載事項、記載方法ということにつきましては省令で定めるということになりましたために、まだ法制審議会における審議を経ていないわけでございます。  省令で定める場合に、私どもといたしましては、今回の商法の改正がディスクロージャーの強化ということを大きな柱の一つにしておるということを十分に考えまして、しかしながら、また一方におきまして企業の秘密というようなものも考えなきゃなりません。さらには、このディスクロージャーをすることによって必要となる経費、コストというものとディスクロージャーによって得られる利益というもののバランスをも考えなければならないわけでありまして、そういった点を十分に勘案をして結論を出したいと考えております。  手続的な方法といたしましては、ただいまも申し上げましたように法制審議会の、審議をまずお願いしたい、その際には、本国会においていろいろと伺いました御意見というものを十分に法制審議会にも伝えまして、そして結論を出していくようにしたいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 この問題は、これは今日までもいろいろ論議され、また大事なことでもございますから、局長からもお話ございましたけれども、大臣からも一言ひとつ決意のほどをお伺いしておきたいと思いますが。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) いま民事局長から申しましたとおりでございまして、法制審議会で十分御論議いただきまして、その結論に従って法務省令を定めていきたいと、かように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 もう時間も迫ってまいりましたのであれですが、これは当初申し上げた中にも、やっぱり利害いろいろございますが、日本のこれだけの会社を一つの商法の枠組みの中で考えるというのは非常にむずかしいことだと思います。これはきのうの参考人のお話では、当初の全面改正ということからしますとこのたびの改正は前編であって、後編というのがあるんだというお話で、なかなかうまいことを言うなと思って聞いておったんですが、前編、後編という言葉がいいか悪いかは別にしまして、全面改正という、全面改正に対しての決意といいますか、取り組みといいますか、法務省の真剣さというか、そういうものは過日の委員会でもいろいろ大臣からもお聞きいたしましたが、その次の段階では当然これは大きな課題として取り組まねばならない大小会社の区分の問題ですね。  きょうもいろんなお話がございましたけれども、小商人の問題もお話ございましたが、有限会社の最低資本額、昭和二十五年に十万ということですから、または会社の資本金いろいろ見ますと、これは非常に議論のあるところで、時間もございませんからこれは一つ一つお尋ねし、また述べることもできないわけでありますが、ただ一点だけ申し上げたいのは、四十九年の参議院の附帯決議ですね。これで「小規模の株式会社については、別個の制度を新設してその業務運営の簡素合理化を図り、」、このように当参議院の法務委員会におきまして、衆議院とは異なってこの点強調しておるわけですが、大小会社の区分、とりわけ小会社の区分とか有限会社を含めての検討、こういうことが議論の中にもいろいろあったわけでありますが、これは今後の課題ということで、こういう大小会社の区分問題とか有限会社を含めての検討課題というか、こういう問題について、これもまたぜひひとつ大臣から決意といいますか、認識を御表明いただきたいと思いますが。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 四十九年の商法の一部改正に対しまして、衆議院でも参議院でも附帯要件いろいろいただいているわけでございます。今回提出いたしました商法の一部改正では、全部の御意見にこたえていないわけでございます。それば、全面改正を急遽一部改正として、これまでできておりましたものを提出した結果起こってきたわけでございます。附帯決議の御意見につきましては、それなりに全面的におこたえをしなきゃならないという責任は強く感じておるわけであります。  したがいまして、法制審議会でもこの後引き続いて全面改正の審議を行っていくという気持ちでおっていただいているわけでございますので、今回一部改正が成立いたしますと、引き続いて全面改正について御審議を煩わしていきたい、そしてこれまでいただいております御意見におこたえをしていかなければならない、さように考えておるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 今回の改正では、新株引受権付社債ですね、こういうことで、国際的に日本の商法というものも一歩踏み出したというような感じがするわけでありますが、これはもうきのう参考人にもいろいろ申し上げて、竹内参考人からお話ありましたが、日本の商法というものも日本の枠組みの中で考えているということではならない時代に来ております。国際経済の大きな変動の中で日本だけでというわけにはいかないのは当然でありまして、また、そういうことに対してもいろいろ意を注いでいらっしゃることだろうと思います。  今回のこの計算・公開、ディスクロージャーの徹底とか、それから投資家の保護とか、会社の運営とか、こういうものについては、外国人にもわかりやすい形でこういうものがつくられなきゃなりませんし、今回の商法の改正は、確かに会社の自主的な監視機能の強化という、こういう点はある面では非常に重点が置かれて、そういう面に意を注いでおるという感じはするわけですけれども、国際化に対応する体制づくりというものも、商法ではもう当然考えられなきゃならないだろうと思います。当然、四十九年の審議の段階ではそういう問題は余り大きい視点にはなってなかったのでありますけれども、今後の課題としてこういう問題についてもひとつ大きな柱として考えていくべきときにきた、こう思いますが、どうでしょうか、大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) ごもっともなお考えだと思っております。いまおっしゃいましたように、新株引受権付社債を発行できるようにいたしましたのも、企業が国際的に活動している、その結果、必要性を痛感しておったわけでございまして、すでにあります転換社債も海外で発行しているわけでございますけれども、転換されてしまいますと債務がなくなってしまうものでございますので、せっかく為替リスクをヘッジしようと思いましてもそれができないというようなことでもございますので、現在の経済情勢に即応して改正する事項としてこの問題を取り上げさせていただいたわけでございまして、今後もおっしゃいますような課題での検討もしていただけるものだと、かように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ところで、ヨーロッパ共同体——ECですね、ECで域内の各国の法制とは独立した制度で、統一的な形態を有するヨーロッパ会社というこういうものを創設しようという声が高まり、検討を進めた結果、いわゆるヨーロッパ会社法案ですか、こういうものがECの評議会で採択された。こういう動きがもう高まってきて現実的な問題となっているということを私どもが聞くに及び、ますますその感を深くするわけでありますが、そのために日本の国内的な体制というものもやっぱりいち早くこれは整備しなきゃならぬ。足元も固めずして遠くの方を見ているようなことではならぬのは当然でありますけれども、しかし、国際的なこういう観点からも、本当にこれは並行して見なければならぬことだろうと思います。  ヨーロッパ会社法案、この問題についていろいろ御調査をしたり、または翻訳とか、いろんなことで元木参事官は携わっていらっしゃったようでありますけれども、こういうヨーロッパ等における動き、こういうものを考えるにつきまして、先ほど大臣から概念的なお話はあったんでありますけれども、具体的にこういうことが動いているということの中で、それを直接お感じになっていらっしゃる参事官の立場から、こういう問題については特に深いお考えがあろうかと思いますけれども、その間のことについてお伺いをしておきたいと思いますが。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先生御指摘のとおり、ヨーロッパ共同体の評議会で、これは一九七五年でございますけれども、一番新しいヨーロッパ会社法案というのを出しているわけでございます。ちょうどこれに対抗するかのごとく、一九七五年に同じくアメリカのカリフォルニアで新しい会社法がつくられております。  ヨーロッパとアメリカでは非常に会社法制が違うわけでございまして、それに対しましてまた日本の会社法制というのも違うと、いわば三角形それぞれの頂点にあるような形で三つの法制が存在しているということになろうかと存じます。それと同時に、カリフォルニアの会社法の場合は実際にもうすでに施行されておりまして、いわば実務上用いられるという点から、そういう適用の混乱を避けるという点からかなり思い切った改正はいたしておりますけれども、また、ある面におきましては、これは現実に合わせているという点があるわけでございます。それに対しましてヨーロッパ会社法案の方は、これは実際にまだ施行されていない法律でございますので、EC加盟各国の学者、実務家が集まりまして、言ってみれば、非常に理想的な法律をつくったということができるわけでございます。  したがいまして、もちろん今回の改正案におきましても、こういうカリフォルニアの会社法なり、あるいはECの会社法というものは十分参考にさしていただきまして、たとえば今回の相互持ち合い、相互保有の制限等、あるいは自己株式の問題、親子会社の株式の保有というような問題につきましては、ヨーロッパ会社法案というものをかなり参考にいたしましたし、また、ディスクロージャーの面につきましてはカリフォルニアの会社法をかなり参考にいたしたということでございまして、これは私どもといたしましては、こういう仕事に携わる者といたしまして、今後ともこういう世界各国の法律の動向について見守っていきたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 四日間にわたりまして、いろんな角度からいろいろお尋ねを申し上げたわけでありますが、私ども公明党、このたびの法案はそれなりに前進であり、きのうの竹内先生のお話ではございませんが、前編、後編というお話でございますが、全面改正ということの中からはもっとしなければならないことがあったんだろうと思いますが、時代の推移の中でやむを得ない面もございます。  今回のこの改正案、いろいろなさらにまた課題があるわけでございますし、また、その点も何点か指摘をさしていただいたわけでありますが、現状とともに今後の大きな課題、これをひとつ乗り越えるために、まずは現状に即した面で運用していただく、今後の課題につきましては積極的にひとつまた取り組んでいただく、こういうことでこの商法改正、私いろんな点を質問させていただきましたが、これで質疑を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この前の委員会の際には、主に各企業が置かれている経済的実態の中の問題点ということを指摘いたしましたけれども、きょうは主に今回の改正案の法文の解釈の問題に観点を変えて質問したいと思います。  まず最初に、営業報告書については、大会社の場合に株主総会の承認事項から報告事項に変わったわけです。総会というのは、ある意味ではディスクロージャーの基本的な場であると思うんですね。そこから外した意味、これについてはいままでいろいろ説明されておりますけれども、株主がそういう細かなものまでも十分に理解をする力がないという、その辺が一つの理由のように見られておるんですね。私は、これはやっぱり株主を愚民視する一つの考えであって、私がずっと一貫して言ってきているような、いわば株主並びに株主総会の権限を縮小していく、そしていわば個人株主を減らしていく方向に力をかすものではないかと、こう思うんですが、その点どうですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 株主の能力というようなことで愚民視するということではございませんで、現在の株主総会の実態というものを考えた場合に、それは損益計算書であるとか、あるいは貸借対照表であるというような計算書類の適否というものを審議するのにふさわしい機関、ふさわしい場として考えられるであろうかというようなことで申し上げたわけでありまして、そういうことを考えてみますと、事務のと申しましょうか、会社にはそれぞれの機関があるわけであります。株主総会があり、取締役会があり、代表取締役があり、監査役があり、会計監査人がありということでありますから、その機関の間で合理的な業務の配分というものを考えるべきではないか。  そういうふうに考えてまいりますと、むしろ今回、株主総会の決議事項としてつけ加えることになりました会計監査人の選任事項というようなものの方が争点も簡単でございますし、この人を会計監査人として選任すべきであるか、すべきでないかというような問題の方こそ株主総会の審議事項、決議事項としてふさわしいのではないかということを申し上げたつもりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 監査人を選任し、かつその報告を受けて、これを承認するということで、これはやっぱり万全になるわけですね。やっぱり一番大事な承認というところを削ってしまったということは、私は本当に残念だと思うんです。しかし、報告の対象事項であるわけですよ。すると、承認の場合と報告の場合とで中身が変わってくるんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 株主に送付いたします書類等につきましては、これは報告事項であっても承認事項であっても同じでございます。したがっ七、これは報告と申しますのも当然総会の議題でございますから、これについて株主は質問をすることができるということになるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうしますと、議論するんですよね。するからには、そいつを理解しないで議論するわけにはいかない。先ほどの説明ですと、議論する場所にふさわしくない、こういうわけでしょう。説明自体、これは矛盾じゃないでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) あるいは表現が適切を欠いたかと思いますけれども、審議をして決議をするということになれば、この決議機関は株主総会ということになるわけでありまして、その責任は株主総会が負わなければならないということになるわけであります。ところが、現在の株主総会の審議の実態というものは、それほど充実したものであるとは私ども考えられない。これはこのまま放置しておいてよいとは考えておりませんので、改善のことを考えなきゃなりませんけれども、直ちにこれを著しく改善するということも、現実の問題として困難ではなかろうか。  そうすると、こういった形式的なと申しましょうか、そういう審議によって株主総会が決議をしたということで取締役なり取締役会の責任逃れと申しましょうか、その隠れみのになるというおそれがあるのではないかというふうに考えるわけであります。  あれこれ考えますと、株主総会がこれを決議して、その責任を株主総会がとるという形、したがって取締役なり取締役会あるいは監査役なりがその計算書類等についての責任を免除されるということではなくて、取締役会の責任において、あるいは監査役の責任において、会計監査人の責任においてこの計算書類を確定させるということの方が、合理的ではないかということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そこは立法技術の問題だと思うんです。株主総会の責任を置いておいて、そして同時に、取締役会なり会計監査人の責任を置いておいても、これはおかしくないと思うんですよ、二つあったって。承認があったから取締役の責任がなくなってしまうということは、私は理論的にはおかしいと思うんですね。あってもいいと思うんです、理論的に。承認をしたらばもう全部責任がなくなるということは、これはないと思うんです。  いま私が指摘しているのは、株主の権限、利益、共益権、こういう面から見て、それを制限するのはおかしい、一番基本的な問題にかかわる問題だと。そこを、一番大事なところを除いてしまって、ほかの責任問題というのは、私はそれはおかしいじゃないか。それはむしろ技術段階の問題だと思うんです。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、今回承認の対象から外されました個々の書類について具体的に申し上げますと、たとえば貸借対照表でございますけれども、この場合には貸借対照表には数十項目の数字が挙げられているわけでございます。このそれぞれの数字と申しますのは、つまり、まず第一に具体的な例で申しますと、不動産なら不動産の場合に減価償却は一体定率法でやったか定額法でやったか、そうして定率法でやった結果が、その数字が正しいかどうかということを一つ一つの項目についてこれを精査した上でないと、本当にこれを承認するとか、あるいはしないとかということはできないわけでございます。したがいまして、実際問題といたしましては、しかし、何十万人という株主が出てくることが原則になっております株主総会において、一つ一つの項目について、つまりその採用された方法が正しいかどうか、その方法に基づいて出てきた数字が正しいかどうかということを、一項目一項目について審査した上で承認をするということは、実際問題として不可能でございます。したがって、結果としては全体としてこれを承認するとかしないとかということになってしまうわけでございます。  そうした場合に、結果といたしましては、これを作成した取締役、あるいはこれを監査した監査役といたしましては、自分たちの判断はファイナルではないのだ、最終ではないのだと。つまり、これは株主総会が承認してくれたのだから、だから自分たちにはもう責任がないのだという、そういう言ってみれば隠れみのになるわけでございまして、現に制度上も現行法の二百八十四条というのがございます。これで、取締役、監査役の責任の解除は、これは株主総会の決議が前提になっているわけでございます。そういうことで、結局言ってみれば、なるほど一見会社の所有者たる株主が承認している、最高決定機関である株主がやったのだということで、制度上いかにも一見整合性があるようでございますけれども、実際には隠れみのになるし、制度上もそういうふうになっていたというような問題があるわけでございます。  したがって、今度はむしろそれならば、本来責任を負うべき人の判断が最終になるということで、制度的にもそういうふうにした方がよろしいのではないかという問題でございます。  それから、その次の営業報告書の問題でございますけれども、これも今回株主総会の承認から外したわけでございます。先ほど先生ちょっと御指摘がございましたけれども、これについても営業報告書というのは、これは数字であらわすものではございません。つまり、事実を記載するわけでございます。事実を記載するということになりますと、一体株主総会の場合にその承認の対象は何なのであろうかということでございます。もし、事実であるか否かということであるならば、これは実際に監査の権限を持っておりまして、しかも会社の内部事情に詳しい監査役、あるいは会計の専門家である会計監査人という人が、それが事実であるかどうかということを判断した方がよろしいわけでございます。それで、むしろそういう事実については、これはそういう専門家に任せまして、そしてそこで、その出てきた結果の上でそれが真実であるということを担保した上で総会で議論していただいた方がよろしいのじゃないかということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私が立法技術と申したことは、この二百八十四条、むしろこの方をいじるべきであって、だからそのことによって決して責任は免れるものではないという、こういう規定をしたところで、決して商法の原則を踏み外すことはないと思うんですね。むしろ技術点はそこなんです。  たとえば、国会と内閣の関係で言えば、内閣が決定しますわね、国会に承認を求める。だからといって、国会が承認したからといって、内閣の責任が消えるわけはないでしょう。そういう問題はたくさんありますよね。そういう場合に、主にこれは政治的責任の問題でもあると思うんですけれども、だから私はこの取締役の責任がそれでなくなるから株主総会の承認権を削ってしまうというのは、まさに逆立ちしているんじゃないか、こう思うんです。どうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) あるいは現行法の二百八十四条でございますけれども、これはもう今回の改正案では削ってしまっているわけでございます。したがいまして、むしろ逆立ちとおっしゃるわけでございますけれども、本来、その隠れみのにされているものについては、これはむしろ、つまり一見、外見的には非常にりっぱなものである、しかし、実はそれが隠れみのになっているのだということになるならば、多少そこで問題というか、外見が悪くてもと申しますか、悪くてもそういう隠れみのは取り払った方がはるかに結果としてはいいのじゃないかということで、こういうことにしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 余りこの問題だけ議論するわけにいきませんけれども、隠れみのにしなきゃいいわけで、そして、その隠れみのの名のもとに株主の一番大事なものをこれは削ってしまうという点は、大変問題だろうということを私は指摘をしたいと思います。  そこで、次の問題は、この問題で株主総会の承認を要しないとしますと、計算書類の確定の時期がこれは問題になると思うんですが、これはどうなりますか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 今回の改正法律案では、大会社につきましては貸借対照表及び損益計算書につきましては、会計監査人及び監査役の適法意見と、それから取締役会の決議、承認でございますけれども、これの両方があったときに確定するということになろうかと思います。あるいはそういうふうにいたしますと、取締役会決議も、それから会計監査人、あるいは監査役の意見も内部的なものではないか、そのために外部的に明確にならないじゃないか、いつ確定したか外部に明らかじゃないのじゃないかという問題があるわけでございますけれども、現行法におきましては、総会の承認のときに計算書類が確定するわけでございますが、そのメリットといたしましては二百八十四条の規定がございまして、つまり総会決議後二年内に別段の決議がないときには取締役、監査役の責任は解除されるということでございますけれども、今後はこの二百八十四条は削除されてしまいますので、その点ではずうっと取締役の責任が残るという問題がございますので、その点では特に確定の時期というものを問題にしなくてもよろしいのじゃないかということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この営業報告書の内容の問題、先ほど藤原委員からも指摘がありました。法務省令で定めるというんですが、もうすでに、改正試案の中ではこれは注づきですが、具体的に業務報告書の記載事項は次のように定めることはどうかというので、(a)、(b)、(c)、(d)で(a)から(i)まで具体的に書いてありますね。ということは、私は議論が相当煮詰まって、法務省なりに一定の考えをお持ちじゃないかと、こう思うんですね。今後法制審議会の問題はありますけれども、これだけは最低入れるべきだと、こういう御意見はいまお持ちですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいま御指摘の試案は、これはあくまで法務省民事局参事官室でつくりました試案でございまして、今回答申をいただきました他の事項について申しますならば、この試案をたたき台にしてもう一度法制審議会において御議論をいただいて、そしてその結果が答申という形で出されておるわけでございます。  この法務省令にゆだねられました営業報告書等の記載事項につきましては、まだ実はその段階を経ておりませんので、他の項目と同様な意味における法制審議会の考え方、したがってまた、私どもの考え方というものはまだ固まっておらないわけでございます。特に、この営業報告書の記載事項につきましては、試案そのものではございませんで、試案の注記として、注として書いたものでございまして、言ってみればたたき台のまたそのたたき台というような意味でございますので、今後はこれをたたき台にして議論をしていくと、こういうことになろうかと思うわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 たたき台でそれは結構ですけれども、しかし、法務省としてもずうっと検討してきた結果の一つのそれは結論、まあ中途のでしょうけれども、これを見ますと、たとえば「貸借対照表及び損益計算書の作成につき採用した重要な会計方針」とか、「子会社の数、」云々ですね。子会社に関する問題点。それからずうっときまして、これは先ほども指摘されました「会社が無償でした金銭、物品、その他の財産上の利益の供与の総額」と、こういう問題が指摘されておるわけですね。ということは、私はずうっと長い間の企業の運営の状況、それに対する法務省の調査、検討というところから見ましてこういうものは必要だと、こういうお考えはあると思うんですね。これから法制審議会で議論をするにしても、やっぱり法務省側の意見もこれはしっかりしているということが、たたき台自身がしっかりしていることが必要だと思うんですよ。そういう点では、いま触れた問題等についてはこれはぜひ必要であると、こういうお考えなんですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) この改正試案といいますものは、法務省民事局参事官室の意見というわけではございませんで、法制審議会において一応御議論をいただきました際に、こういう意見も出た、ああいう意見も出た、それを参事官室で取りまとめたものが試案ということでございます。でありますから、試案でございますから今後本格的な審議をしていただくということの参考になるであろうと思われるような事項につきましては、こういう御意見があったという意味においてここに取り上げておる、その御意見が一部であった、あるいは少数であった、多数であったということに余り関係なしに取り上げておると、こういうことでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういう段階であればそれで結構ですが、しかし、先ほどから触れられている会社が無償でした金銭、物品、その他の利益供与の総額というこの問題ですね、これは大変要望も強いわけでありますので、ひとつぜひとも今後も生かしてほしいと、こう思います。  それからもう一つ、技術的な問題としては、貸借対照表及び損益計算書の公告は要旨でよいことになっておるんですが、要旨というのはどの程度か。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) これは、大会社と小会社とで違うと私どもは考えております。その場合に、やはり会社の財産状況を明らかにするために必要な事項という、抽象的にはそれによって必ずしも会社の貸借対照表をそのまま現物のとおり細大漏らさず記載するということではなしに、その会社の財産の状況、貸借対照表については財産の状況、それから損益計算書についてはその営業年度の損益の状況でございますが、そういうものがある程度わかる。ですから、枝葉末節と申しますか、細かい内訳というものは記載しないで、大枠がわかるようなものにしたいというふうに考えております。  そこで、具体的には私どももまだはっきりした結論を出しておりませんけれども、現実の小会社の貸借対照表というようなものはかなりラフな内容のようでございますので、それに沿って小会社については考えたい。それから、大会社についてはその社会的責任あるいは債権者、株主に与える影響等も考えまして、それよりは詳しいものにしたい、かように考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 これは、結局、ディスクロージャーの問題との関係で大事だと思うんですね。ですから、大会社の場合にディスクロージャーの後退ということがないように、ひとつやってほしいということを要望いたします。  それから次に、株主総会における取締役の側の説明義務が規定されたわけですが、これはそれで一つの前進ではあろうかと思うんですが、やはり株主総会を強めていくというその一つと理解してよろしいですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは説明義務でございますけれども、現行法においても、これは会議体である限りにおきましては、その構成員が議題あるいは議案につきまして質問をするという権利は当然あるということでございまして、株主総会においても同様に株主は質問権があるということが考えられるわけでございます。  質問権ということをなぜ説明義務としたかという問題でございますけれども、一つは、質問権ということで余り表に出すということについては、かえって乱用のおそれがあるのじゃないかという問題がございます。その点から、むしろこれを取締役あるいは監査役の説明義務、つまり質問権は当然あるのだということを前提といたしまして、こういう説明義務ということに規定の仕方を変えたわけでございます。  それと同時に、言ってみれば一石二鳥をねらったわけでございますけれども、このような形で書きますと、現在必ずしも明文上明らかでございません総会への取締役及び監査役の出席義務が出てくるのではないかということで、このようにしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 これも私は、また立法技術上の問題として両方書いてもいいと思うんですね。たとえば、これは国会では、よく国会の例を出しますけれども、大体国会というのは議論の場のいわば集約されたもので、いろいろ批判はあるけれども、議論をしていく場合の一つの法則を、いわば法則からこれを提示したものですからそれなりの合理性はあると思うんですが、これも議員の側の質問権と大臣の側のそれに対する答える義務とまた権利、両方があるということは、前にも法務委員会で議論をした問題ですが、それを質問権という言葉を置かないで説明義務だけにした理由、その理由が質問権と書くと乱用されるというんですが、どんな乱用が予定されるのかという問題、それから質問権と説明義務とのこの範囲は同じものなのかどうか。どうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、後の方の御質問からお答え申し上げますと、これは、質問権の範囲と説明義務と申しますのは当然同じであろうと思われます。つまり、正当な質問に対しては当然これは取締役、監査役としてはちゃんと答えなければいけないということになろうかと思います。  それから、乱用という問題でございますけれども、御承知のように、現在、一番株主総会で何が問題になっているかと申しますと、総会屋の跳梁でございます。とかく質問権というのが、総会屋の武器に使われるという問題でございます。つまり、長々と質問をやって総会を混乱に陥れてしまう。そのために、会社としては——余り会社の肩を持つわけではございませんけれども、防衛上、総会屋へ金品をやって質問してもらわなくするというようなことが一般の傾向でございますので、そういう点から、むしろ現在の株主権としての質問権が悪用されているという面の方がより多く目立つわけでございます。その点も配慮したわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その場合に、一株運動というのがありますが、それもやはり頭に置いておるんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 一株運動と申します定義、いろいろむずかしい問題があろうと思いますけれども、少なくとも私どもこの法律案で考えておりますところは、正当な株主権の行使に関しては、これはできるだけ行使してもらうという立場で考えているわけでございます。したがいまして、質問権ということが乱用されることを配慮して説明義務として書いたのだと申し上げましたけれども、そのことによって質問権の範囲が狭まるというようなことではないわけでございまして、これはいわゆるためにする質問というもの、つまり総会屋のような質問というものは、これはできるだけ封殺して正常な総会運営をしなきゃいけませんし、反面、そういう株主としての権利、正当な権利を行使するための質問というものは、これはできるだけしてもらうということのために、こういう説明義務ということを置いたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 両者の範囲が同じであれば、どちらを書いてもいいと思うんですね。  それから、権利乱用というけれども、乱用はこれは権利の行使じゃないわけですから、これは当然チェックできるわけです。要するに、説明義務が終わったところから質問権が始まるというのは、これは論理的な考え方ですね。また、国会の例を出しますけれども、まず趣旨説明がありますよね、そして質問をする、こういう順序なんですよ。それに対してまた今度説明する、答弁する義務が出てくると。まさにそういう順序なのに、論理的には要するに説明義務の方だけしか書いてないということは、質問権に対する一つのおそれがやっぱりあるんじゃないか。それが先ほど乱用という言葉で出てきたんですけれども、それはそれなりの規制、それは法文上も書いてもいいと思うんですよ、こういう場合には行使が制限されるという。それは当然合理的な制約があってこれはしかるべきですから、それは幾らでも立法論的に解決できるんです。  ところが、せっかく試案にあるものを書かなかった。やはりそこに、株主の権利を抑えていきたいという気持ちがあるんではないか。まあ近代法というのは、大体主に権利を中心に書いてあるわけでしょう。そうしましたら、国会の議論でも、最近の教科書は権利ばかり書いて義務は書いてないというようなことをやったけれども、あれは全く見当外れの議論でして、近代法というものはやっぱり権利から成り立つものですから、その権利を全く抜いてしまって義務の方だけやるというのは、どうもそこに何か制約したいという、こういう気持ちが働いていると、こう見ざるを得ないんですが、そういうお気持ちはないんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 大体いまの商法の全体をごらんいただくと明らかなように、これはかなり古い形で書いてあるわけでございます。したがいまして、当然あるような権利というものは、たとえば提案権なんかがそうでございますけれども、商法では規定はしておりません。規定していないから、これは、じゃもう行使することが制限されているのか、あるいは行使することができないのかというと、そういうわけではないわけでございまして、質問権も同じでございまして、およそ会議体である限り、当然質問権はあるのだという前提で商法はつくられているのだというふうに解釈するわけでございます。  したがいまして、そういうあたりまえ、ほかのところでも書いていないことをここで事新しく、特に質問権だけ書くということよりは、むしろそういうものがあるということを前提にいたしまして、そして、これに対する取締役、監査役の応答義務ということを書いて規定しておいた方が、より手続としてもスムーズにいくのじゃないかということもあるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 じゃ、いまの議論でとめますが、要するに説明義務と質問権の範囲は全く同じだということは、ひとつはっきりとさせたいと思うんです。  そこで、今度は説明義務自体についての免除の規定が幾つかありますね。たとえば「会議ノ目的タル事項ニ関セザルトキ、」には答えなくていいというんですが、「会議ノ目的」というのは、これは広くも狭くも解せるわけです。これは大体どんな程度のものなんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、いわゆる議題と称するものでございます。一般に、現行法でございますと二百三十二条の二項にございますけれども、「前項ノ通知ニハ会議ノ目的タル事項ヲ記載スルコトヲ要ス」という、いわゆる議題でございます。通常は議題は決議の対象となる事項ということになろうかと思いますけれども、そのほかに報告事項も入るわけでございます。たとえば今回の改正案でございますと、営業報告書は総会において報告しなければいけないということになりますので、これも報告議題ということになるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 「会議ノ目的」としたところに、私はやっぱり限定的なものを感ずるんですね。株主の立場から見ますと、議題になっている問題の前提たる事項、会社の基本的な方針とか、あるいは会社が行っている反社会的な行為に対する求釈明とか、いろいろあるわけです。  そこで、これも具体的に幾つも問題になってきましたけれども、公害問題とか、あるいは欠陥商品についてのことが問題になった株主総会において、それを発言する。そうすると、いや、それは全然議題対象外だと、こう言って排除される可能性が出てくるんですが、そういうことはありませんか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 公害あるいは欠陥商品等も、これが少なくとも営業の問題として論じられるということであるならば、当然これは説明義務の対象になろうかと存じます。つまり、営業報告書には会社の営業に関する事項を記載しなければいけないわけでございまして、これも報告議題でございます。そういたしますと、その中において、たとえばこれこれの商品を出した、これについて欠陥の問題が出てきているということであるならば、それは当然説明義務の対象になろうと考えます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 公害の問題も同じでしょうね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 公害の問題でも、たとえば国の公害行政一般についてであるとか、あるいは一般の企業の公害をどう考えるかというような、その会社の営業とおよそ関係のないような公害でございましたら、これはやはり説明義務の対象にならないと思いますけれども、少なくともその会社の営業に関するものである限りは、これは説明義務の対象になろうかと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題は、問題を指摘する側の表現能力と申しますか、要するにその会社の目的をその会議の目的とうまく結びつけて発言できる人と、そうでなくて、怒りが先に走って、そのことを追及することばかり先に走ってしまうという場合もあるんですね。そうすると、そういう場合にはだめというぐあいに切ってしまったのでは、これはやっぱりいかぬと思うんですね。だから、この会議の目的ということをかなり広く解していくということが必要であろうと思うんです。  それからもう一つは、「説明ヲ為スコトニ因リ株主共同ノ利益ヲ著シク害スルトキ」には説明義務は免除されるというんですが、「株主共同ノ利益」というのは、どういうことを考えておりますか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは端的に申しますと、企業秘密の漏洩ということになろうかと思います。したがって、説明をなしたために大きな企業秘密が漏洩するということになりますと、本来この説明義務あるいは質問権というのは、株主の利益のための権利でございますけれども、その結果、重大な企業秘密が漏洩いたしまして会社の営業がうまくいかなくなる。そういたしますれば、それは結果として株主に損害を与えるということになりますので、そういう場合にはこの説明を拒否することができるということでございます。  ただ、もちろんこれはあくまで相関関係にございまして、小さな企業秘密、余りそう重視しなくてもよいようなものが漏れるということを理由にして、非常に重大な質問に答えないということは、これは認められない。あくまでこれは相関関係の問題であろうと思われます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いまの元木さんの答弁にあったように、かなりその範囲というのは流動的、動くものなんですね。また、そのときどきによって何が秘密であるか、何が株主共同の利益を害するかというのは、見方によってずいぶん違うものです。ちょっと観点を変えますと、がらっと変わっちゃうものがあるんですね。  これも一株運動などと関係して公害問題がよく問題になるんですが、私自身が関与した事件でも、三井金属に対してイタイイタイ病裁判を起こしたんですね。それに対して、最初は企業とすれば、もう断固、徹底抗戦の立場だったんです。これが恐らくその当時には、ある意味では共通した株主共同の利益だったと思いますね、秘密とは直接関係ないけれども。ところが、第一審、第二審に負けて、そして本社交渉の結果、立入調査まで認め、全損害を補償するということで、完敗したわけです。その少し後の社内報には、先手必勝、後手完敗と。いままで後手後手で来たけれども、そのことによってかえって企業イメージがマイナスになってしまったと。裁判に負けて、初めて気がついたんでしょうね。だから、裁判を起こした最初の段階では、恐らく三井金属については、これはもう株主共同の利益ということで断固闘うというのが大方針で、それに反する立場から幾つかの質問や秘密にわたることを聞いても、これは全然答弁の対象にならない。しかし、時期が変わって、裁判に負けて気がついたらそれは逆だったと。社内報に書くくらいだから、そういうことです。  となりますと、何が株主共同の利益かというのは、動くものですよ。これは、この後に質問する議長の権限の問題とも関係しますけれども、まさにそういう流動的なものだという前提に立たぬといけないと思うんですが、そのことはどうですか。法務省の立場としては、はっきりしておるんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、何が株主共同の利益を著しく害するかということは、その場その場の事情によってまた違ってくるのじゃないかと思われます。  もちろん、先生が御指摘のように、ことさら何にも言わない、説明を拒絶するということによって企業イメージがダウンして、その結果、会社が損害をこうむるということになるならば、結果としては株主自体に損害を及ぼすということになるわけでございまして、それはそういうふうな諸般の、そういうその会社が置かれた社会的な状況と申しますか、あるいは時代的な環境と申しますか、そういうものも当然勘案されるということになろうかと存じます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 勘案されるとなると、私が言った例で、前の段階で説明を求めても説明しない。それは、この場合によると合法的になる。しかし、後で考えたら、かえってそのことがマイナスだったということになって、結果的には発言しているのが正しかったんだけれども、こういう場合どうなるんですか、この規定との関係では。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) やはりそれは、この説明を拒否したときに、そのときの社会的状況と申しますか、そのときに判断される限りにおいて、これは拒否が正当であるかどうかということは判断されるべきものであろうと思われます。したがいまして、これは、後日見てみれば確かにまずかったというようなこともあろうかと思いますけれども、しかし、やはりそれは、言ってみれば歴史を後日判断するようなものでございまして、そのときの状況から見てそれが正当かどうかということになろうかと存じます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いまの話を聞いていると、戦前の共産党のようなものですね。あの当時、戦争反対と言ってつかまって、ひどい目に遭ったんですね。奥野さんも恐らくそれに関与されておるわけです。しかし、戦争に負けてみたらば、反対が正しかったということになる。そういうことでいいんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、そういう思想の問題と申しますか、そういう思想の流れというような問題とは多少違いまして、これはあくまで株主の利益を守るということでございます。したがって、非常に近い時点においてその株主の利益が害されてしまった、見込みが違ったということでございますならば、それはやはりその社会的環境というものについての判断の誤りということがあったということになろうかと思われます。しかし、その判断をするために、あるいは相当期間後についてそれが誤っていたかどうかということまで判断するということになってまいりますと、むしろこのようにその場でとにかく説明を拒絶すべきものかどうか、あるいは説明をすべきものかどうかと判断する事項につきまして、余りにも長期にわたった判断の結果によって評価するということは、難きを強いることになるのじゃなかろうかと思われます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題は、その秘密を明らかにすることによってマイナスになる一定の不利益や、それからもっと大きな不利益を免れるためと、こう確信して発言した人が、その主張が認められないという結果になる一つの事例を私は示したんですが、いまの答弁だと、それでもよろしいということになってしまうと、これは、やっぱり本当に真剣に考える株主の権利をむしろ侵害するんじゃないか。このあたりに私は、権利と表現するのか、あるいは説明義務と表現するのかによってニュアンスの違いが出てくるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、質問権というものが前提になりまして説明義務があるわけでございまして、その点、先ほどから申し上げておりますように、質問権の範囲と説明義務の範囲は同じであるということでございまして、その点で特に差異が出てくることはなかろうと存じます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その答弁納得できませんし、私が指摘した問題は、これはこれから企業がいろんな問題に直面して、また、社会の批判などを浴びる問題などと関係してかなり大事な問題だと思いますし、いま言ったようなことで処理されると、私はやっぱりますます個人株主が逃げてしまうことになるんじゃなかろうかと、こう思いますので、ひとつ今後の検討課題として問題を提起しておきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、「説明ヲ為スニ付調査ヲ要スルトキ」にはやはり説明義務は免れますが、これはたとえば突然質問がその場であったときに、調査できないからということで断る場合、これはあり得ましょうね。ところが事前に通告して、調査も可能なような場合も、それでも拒否をすると、それはやっぱりいかぬでしょうね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、今回新設されました二百二十七条ノ三の二項でございまして、つまり「相当ノ期間」、これは質問の内容によって調査を必要とする「相当ノ期間前」でございますけれども、その前に書面をもって通知すれば、これは調査が必要だということを理由として説明を拒むことはできないということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 以上、幾つか説明義務に関係して問題点を指摘しましたが、そういうことに違反して説明義務を尽くさなかった場合、その場合にはこれは総会決議の効力にかかわるんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) その説明にわたる事項が決議の対象となっておりますときには、これは当然決議取り消しの訴えの対象になるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 じゃあ次に、株主の提案権であります。株主の提案権は、現状ではかなり提案されておるんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 実際の株主総会の実務におきましても、その場で動議というものはかなり出されているようでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうなりますと、今回の場合に、二百二十二条ノ二で、現にある提案権を株式数でかなり限定しましたね。そうすると、これまた、私がいつも指摘している株主権の権利縮小、そしてまた、個人株主が減っていくと、こういう原因をみずからつくっているのと違いますか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 今回、二百三十二条ノ二を新設いたしまして、提案権の規定を置いたわけでございますけれども、これの趣旨は、つまりこういう手続を踏むならば提案した事項が総会の招集通知に載っけてもらえるというところに意味があるわけでございます。したがいまして、この規定を置いたからと申しまして、現行法のもとで認められております提案権、つまり総会議場における動議というものを否定したわけではございません。総会議場における動議は依然としてできるわけでございまして、それに加えてこういう提案ができるということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 次は、二百三十七条ノ四の議長の退場命令の問題です。これを設けた趣旨はどういうところにありますか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、およそ会議体である限りにおきましては、その議長が会場の秩序を維持するための権限は当然持たなければいけないということでございます。ことに御承知のように、現在、日本の株主総会においては総会屋、ことに野党総会屋がなぐり込みをかけるというような場合になりましては、非常に混乱をするということで、まともな審議ができないというような事態が起こるわけでございます。したがって、そういう点から見まして、議長に秩序維持の権限があるのだということを明確にしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それ自身は当然のことだと思うんですが、ただ私は、幾つかの法律理論的な問題でちょっと疑問があると思うんですが、この場合に退去命令を出しますね、その退去命令の適否、よかったか悪かったか、退去命令もいろいろ方法があります。排除の仕方によっても、一つは従業員で排除するのか、警官導入するのか、あるいは暴力団を雇うのか、いろいろあると思うんですね。その処置の妥当性の責任とか、いろいろあると思うんです。こういう点で、まずかった場合、その判断、要するに、退去命令を出すべきでないにもかかわらず出してしまった場合とか、その排除の仕方が暴力団を雇ってきてやってしまったとか、こういうようなことの責任はだれが負うんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、もちろん会社の機関の問題でございますので、まず総会、そういう不当な退去命令が出されてしまった結果、決議がされたということであれば、それはその決議自体の手続の瑕疵ということで、決議取り消しの訴えの対象になろうと思います。それから、不当に退去させられた結果、これは議決権を行使することができなかったという株主がいました場合には、これは議長自体がその株主権を不当に行使させなかったということでございますから、それについて民事上の責任を負うということになろうかと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうしますと、この問題についてはチッソの事件で、一方の株主を排除したまま決議されて、それが無効だとされていますが、大体この判例の立場に沿って処理されると、こう見てよろしいですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) チッソの場合は、これは議長の責任云々ということではございませんで、総会決議取り消しの訴えの問題でございますので、総会決議の取り消しの問題に関しては、まさに判決の言うとおりであろうと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それからもう一つは、命令が出たけれど退去しない場合、その場合には刑法百三十条の不退去罪になるかと思いますね。そうでしょうね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) そのとおりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうしますと、その場で不退去状況がありますから、まさに現行犯ですね。そうすると、どんどん引っ張っていく、逮捕するということが当然あり得るわけですね。しかし、一方では、その退去命令の適否の問題がある。もし誤っておった場合には、違った人を現行犯逮捕させちゃって、その場の会場をおさめるというようなことが出てくるんですが、その辺の心配はありませんか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは御承知のように、現在むしろ、議長が会議場の秩序維持の権限を余りにも行使しなさ過ぎると申しますか、放置し過ぎているということからこういう規定を置いたわけでございまして、実際に議長がこの権限を乱用いたしまして、そうして不当な事例が出るという問題よりは、むしろ使わなさ過ぎるという方に問題があるのじゃないかという認識でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ですから、現在でもできることを規定したまでということなんでしょうかね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) さようでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それでこの問題については、また一株運動との関係が出てきますが、こういうものを不当に排除するというようなことはその対象になっていない、こう理解していいんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは、いかなる株主でございましても、とにかく意図的に、その目的がどうであるかは別といたしまして、意図的に会場を混乱させて議事を進行できなくしてしまうということであるならば、その目的が何であれ、これは問題であろうと思います。しかしその反面、正当な株主権の行使を抑制するということではないわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 以上、幾つかの問題を指摘してきましたけれども、やはりこの株主、特にこの場合に主に少数株主の権利行使にわたってかなり制約的な規定が私はやっぱりあるということを指摘せざるを得ないんです。いまの説明を聞いて、ある意味ではすっきりした面もありますけれども、そうでない分野、その規定そのものが制約しているという分野があるわけですね。その基礎には、やっぱり特に少数株主の場合には、配当を受けることが主な中身ではないかということで、共益権がどんどん削られてくる、これは単位株式の問題からずっといままで指摘してきた問題が大体それに該当すると思うんですね。  私は、これは奥野さんの御答弁をいただきたいんですが、基本には、株ですから数で決まる問題だと思うんです。国会もまさに数が支配する場所ですが、ただ違うところは、株式会社の場合の数の論理とそれから国会の場合とは違う点があるんですね。どこが違うかというと、これも何回も何回も繰り返している個人株主が少ない点、法人株主化の傾向ですね。結果的にはかなりいい発言をし提案をしても、むしろそれが株の数で消されてしまうという、こういう傾向があるんじゃないか。国会の場合にはそれぞれみんな人間ですから、みんな自然人だから、その発言に対して聞く側もそれなりの対応があると思うんです。私と奥野さんなどとはずいぶん意見の違いの方が多いけれども、しかし、たまには意見が一致して認めてもらう場合もありますし、渡辺大蔵大臣にも提案すればそれを受け入れてくれると、こういう面がある。それは、やっぱり人間が支配している状況ですね。  ところが、いままでたくさん指摘されている株式会社の問題点というのは、それが余り通らないで、そして総会屋などがばっこする条件という、まさにそういう個人株主が減って法人の株所有が、そうして持ち合いが支配しているところに一つの原因があるんじゃないか、私はこう思うんですが、その点についての大臣の御認識はどうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 個人株主が減っているというのは、個人の持っている株式総数が全体の構成で見た場合に減っているという御趣旨だろうと思うのです。私は、あるいは株主の人数だけで言いますと、株を持つ方が私は絶対数がふえてきているのじゃないかなと、こう思います。  株式会社でありますから、やはり持ち寄った資本の額において責任を分担していくわけでございますので、自然株数ということが基本にならざるを得ない。たまたま一株の金額が昔のままで低いものでございますから、市場における取引単位も千株単位で行われているというようなことから今回単位株制度をとった、したがって端株の持ち主は共益権を持たない、そこを大変近藤さんは気にしておられるわけでございます。私は、進んで端株を持とうとする人は余りいないのじゃないだろうかなと思うのです。  特定の意図を持って行われる一株株主というようなものがありますけれども、それはまた特定の意図を持っておられるのであって、本来の株主たろうとする者は、その株式投資によって資金を有利に活用しよう。利回りで考えられる人もございましょうし、先の値上がりで考えられる人もあろうと思うのでございまして、その場合には、やっぱり市場の取引単位が五十円株でありますと千株でありますので、やっぱり千株を単位にしか持てないわけであります。たまたま売買の過程で端株が生じてきたという方が多いのじゃないだろうか。ことに無償交付などございますので、千株単位で持っておっても無償交付の分だけが端株になってきたりもするわけでございます。  したがいまして、今度のように経済の実態にあわせて合理化を図っていこうという場合に、株式数では〇・八%が端株になってしまって共益権を行使できないということになるわけでございますけれども、これはやはりだんだんとそういう端株は千株単位にまとめてもらうという方向への御努力をお願いする。経過的には〇・八%の株式だけが共益権を行使できない、こういうことになるわけでありますけれども、これは私は時間的な問題としてがまんしていただくよりしようがないのじゃないだろうかな、やがてそれは買い取り請求権の行使でありますとか、あるいは千株単位にまとめるとかいうようなことで、株主自身が私は御努力いただける事柄ではなかろうかなと、こう思っておるわけであります。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ちょっと私の質問の趣旨が正確に伝わっていなかったようですが、私が言いたかったのはこういうことなんですね。商法の論理から言いますと、ずっと局長や参事官の説明してきたことで通るんですよ。そんなに問題が起きないはずだけれども、しかし、この株式会社の運営の実態というのは、商法の論理でなくて実際動いている企業の論理が先行してしまって、そうしてこれも私がずっと指摘してきたように、商法はむしろそれに後追いしている。  だから、これば大きく言えば昭和二十五年の改正の経営と所有の分離、株主の権限が弱まるまず最初ですね、取締役がずっと強くなってきた。その傾向に今回また拍車をかけたというのは、これは商法の論理がだんだん崩れて、むしろ企業の論理ですね、企業の論理というのはやっぱり株の数で決まって、そしてやがてそれがだんだん空洞化してしまうというのも、これは行き着く先なんですが、そういう点で、商法の論理だけから言いますと、私は、個人の意見が正しければ、これはかなり受け入れてもらえる要素があると思うんだけれども、それが、企業の論理が優先してしまうためにそうでなくなっているというんです。  そういう点で私は、株主総会の点に触れてきましたけれども、そういう企業の論理を優先させるところに今回応援しているんじゃないか、法改正が。そういう点でまずいんじゃないか、こういうことを指摘したんですが、その点どうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 先日来問題になっておりますように、株式会社といいましても、規模によって非常に運営のあり方が違っているのじゃないだろうかなと、こう思います。したがいまして、大小会社の区分からそれぞれの会社に適用する規定も変えていきますと、あるいは近藤さんと私の考え方がぴったり一緒になるのじゃないかと、こう思うわけでございます。  現実の大会社の実態を見ておりますと、株主が即管理者ではないと思うわけでございます。むしろ株主は、株式の運営を通じて利益を得ればいいのであって、運営自体に突っ込んで、自分の意見を反映させるというのは案外少なくなってきているのじゃないかなと、こう思います。もちろん、管理主体であっても何がしかの株主かと思いますけれども、欧米の社会のように階級社会でございますと、オーナーはオーナーだ、ブルーカラーはブルーカラーだというように分かれているわけじゃございませんだけに、むしろそこの従業員がだんだんと成長していって取締役になっていく、これはむしろ私は日本の実態になってきているのじゃないかと、こう思うわけでございます。  でございますから、大会社の実態から言いますと、私は、いまのように株主権の行使につきましても、総会屋がいまむしろ総会を荒らしている、それを防ぐというようなところに着目しながら規定が行われていく点がありましても、これはやむを得ないことじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 時間の関係で先へ進みます。  次は、いまずっと申し上げてきた株主の権限を弱めることの反映として取締役会の権限強化、これは簡単に申しますと、二百六十条、二百六十四条、二百六十五条、二百六十六条ノ三などあります。中身は問題にしませんが、私は、特に一つの特徴は取締役会の権限強化で、そしてワンマン社長などをチェックする、それが株主の主にガンだと、こういうのが一つの特色だと、こう理解するのです。しかし、実態と株主の側から見ると、果たしてそれでうまくいくのだろうかという問題。要するに、いわば執行部、執行部というのは、株主やあるいは外から見ますと一体なんですよね。そこが、一人とあるいは集団との関係が、いわばかなり厳格に規定されたからといってうまく効果を発揮するかどうか。こういう問題はどうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 御指摘のように、今回の改正案におきましては、取締役会の権限強化ということが図られているわけでございまして、その典型的なものが二百六十条の一項及び二項ということになろうかと思われます。  今回の改正におきましては、ただ単に取締役会の権限強化ということだけではございませんで、たとえば二百六十六条以下に見られますように、むしろ取締役の責任の強化ということを図っているわけでございます。したがいまして、むしろこの面からの効果というものが大いに期待されるのではなかろうか。  つまり、従来でございましたら、よく言われておりますように、取締役会ではイエスマンであるというようなことが言われたわけでございますけれども、もし取締役会においてイエスマンで過ごしたならば、その後ではもしその結果、代表取締役が独断専行して損害が生ずるということになってきますと、その損害は取締役個人が負わなければいけないということになるわけでございまして、その点から、取締役としてはその結果を十分知れば、これは自分の権限の行使ということについて慎重にならざるを得ないわけでございまして、その点からの効果を期待しているわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その点では私は、いままででも取締役の責任というのはある程度あったわけですから、それをさらに強化をするという点は、それはその点で前進だと思うんですが、それだけで大丈夫かという問題が一つあると思うんですね。具体的にどうするのかということが必要ですが、たとえば二、三日前新聞記事に出ておったのですが、アメリカなどでは取締役の出席状況まで報告されるとか、かなり中身に立ち入った対処をされておるようですね。この改正によって取締役の個々の行為に対する監視とか、その対処の仕方、そういうものは前進すると期待していいんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) アメリカとの比較というのは制度が違うわけでございまして、むしろ社外取締役もかなりおりますアメリカにおきましては、一つの例がカリフォルニアの会社法等では、取締役会は現実に出席しなくても電話等でもよろしいというような規定を置くくらいでございまして、出席自体についてはいろいろ問題があるのではなかろうかと想像されるわけでございます。それに対しまして日本の場合は、むしろ社内取締役が非常に多うございますから、その点ではかえって取締役会等の出席率はいいと考えた方がよろしいのじゃなかろうかと思います。  それと同時に、先ほど来申しておりますように、責任の問題で従来、取締役というものはとにかく従業員としては最終コースであるということで、言ってみればステータスシンボルというような点が大きかったわけでございますけれども、少なくとも今回の改正におきましては、取締役の責任が相当強化されたのだということがこれはもちろん規定の上からも明らかでございますし、さらに事前の試案等の各界への送付とか、あるいは法制審議会の審議状況等が各界にいろいろ漏れているというような点から、これは今回の改正においては取締役の責任はかなり重くなるぞと、あるいはまた、監査役も同じでございますけれども、かなり重くなるぞという点の、うわさと申しますか、そういう口伝えはかなり広がっているわけでございまして、その点からも取締役が軽々にそういう自分の権利を行使するということは、かなり改善されるのじゃなかろうかと思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この取締役会の問題については、議事録の閲覧の問題が私は大事だと思うんです。いままでは閲覧できたわけですが、それが今回裁判所の許可が必要になったわけです。これもやはり株主の権限の縮小になってくる一つですけれども、どうして裁判所の許可が必要なのか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 結果として見ました場合に、果たして株主の権利が制限されているかという問題でございます。確かに手続といたしましては、裁判所の許可を得なければいけないということで、その手続が煩瑣であるという点から、あるいは権利が制限されたというふうに見られるかとも存じますけれども、まず第一は現状でございます。  現状では株主、債権者、いつでも取締役会議事録を見ることができるということになっているわけでございます。ところが、実際に取締役会におきましては業務執行についての決定がされるわけでございますから、当然企業秘密にわたることが論じられるわけでございます。そういたしますと、取締役会議事録にそのままその結果を、あるいは議事を書くということになりますと、そこに企業秘密にわたる事項がありますので、会社としては非常に見られたくないという問題がございます。  このために、まず、これは総会屋の最も一般的なやり方でございますけれども、株式を持ちました場合に会社にあいさつに行く。そこで金一封をくれない場合には、その次に行って、取締役会議事録を見せてほしいと言う。そういたしますと、会社といたしましては見られたくないということで、そこで金一封を渡して帰す。あるいは逆にもっと悪いのは、総会屋にも見せるかわりに、取締役会議事録には企業秘密にわたる事項は書かないというようなことになるわけでございます。いずれにしても、非常に好ましくない結果が現在生じているわけでございます。  したがいまして、その取締役会議事録を自由に見せるということは、たてまえとしては非常によろしいのでございますけれども、実際はかえって逆の効果が生じているということでございます。そうかといって、これを全面的に閲覧あるいは謄写を禁止してしまうということになりますと、これはやはり株主なり債権者なりが権利を行使する上に困るのじゃないかという問題がございます。したがって、閲覧をさせるといいますか、閲覧を認める場合は、株主なり債権者がその正当な権利を行使する場合にだけ見れるようにすればよろしいのじゃないかということでございます。  そういたしますと、そこで正当なる権利を行使するということをチェックするのはどうかということになってくると、やはり裁判所ならばよろしいのじゃないかということで、裁判所の許可を要するということにしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題はもうすでに何度も他の委員からも指摘されておる問題ですが、大体見られてぐあい悪いというのは、取締役の側にやっぱり不正や何かがあるんではなかろうか、こういう問題が一つあるのと、それから秘密の問題に関しては、まあ一定以上の企業だったら、私は大体秘密というのはむしろないと見るべきじゃないか。というのは、生産手段がもう大きくなって社会化してきておるわけですから、そういう場合に、しかも大ぜいの人から株式によって資金を集めると、こういう仕組みになっておるんですから、むしろこれは私は社会的なものであって、秘密という考えはかなり厳格に解釈すべきだろうと、こう思うんです。    〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕  それはそれとして、問題は、いま参事官が言われた議事録への記載事項ですね。これは一番問題だと思うんですよ。どんな規定にしても、中身がどうでもいいことを個条書きにしか書いてなかったら見ても仕方がないわけで、この記載はこれはどうするんですか、記載に対する規制は。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは現行法にもございますとおり、この取締役会議事録には議事の経過の要領及びその結果を記載することになっております。したがって、その程度には記載しなければいけないわけでございまして、これに対しては罰則もございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 問題は、これはやっぱりディスクロージャーとの関係が出てくるわけですが、いままでの規定をこれは特に改善するという、そういうお気持ちはないんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 少なくともいまのところは議事の経過の要領及びその結果ということで、これは十分取締役会でどのような討議がされ決議がされたということは明らかになるだろうと思われますので、これで足るのではなかろうかと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それからもう一つは、会社債権者の閲覧の問題ですが、取締役の責任追及の場合という限定がありますね。この場合の取締役の責任というのはどういうことか。要するに法律違反の場合のみなのか、もっと一般的な責任なのか、その点はどうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは債権者、つまり会社以外の第三者でございますが、これが取締役に対して責任を追及するという根拠は二百六十六条ノ三になるわけでございます。これは「取締役が其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキ」ということでございます。つまり、取締役が第三者に対する直接の加害行為ということではなくて、会社の職務を行うについて、悪意または重大な過失があったと。その結果、債権者に損害を及ぼしたという場合に、取締役の責任が生ずるということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それでは、あと残された時間、今回の改正の中小企業に及ぼす影響について若干指摘をしたいと思うんです。  大企業に対する規制としてはこれは不十分だし、むしろ株主権の制約などマイナス面があるという指摘をしてまいりましたけれども、逆に今度は中小企業にとっては過重な負担をもたらすんではないかと、こういう指摘がされております。これも各委員から御指摘があったように、取締役会に対する三ヵ月ごとの中間報告の問題、それから監査対象会社の範囲拡大等々、こういう問題があります。  その中で特に指摘をしたいのは、自己株式の質受け問題です。この点は前回の答弁では、むしろ中小企業のためになるんではないか、利益になるんではないかと、こういう指摘があったけれども、実際そうでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これはケース・バイ・ケースによるわけでございますから、すべての場合に中小企業のプラスになるということはどうかと思いますけれども、少なくとも一般的に考えました場合に、およそ担保を取る場合に、これは株式というのは有価証券でございますけれども、これは非常に簡単に取れますし、それから手数料も要らないわけでございます。手数が非常に簡単である。つまり、担保としてのコストが安いということは言えるわけでございます。通常、担保化するためのコストというのは全部債務者の負担でございます。そうした場合に、これは債務者の負担がそれだけ軽減されるということは言えると考えます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 自己株式の取得の問題については、もうはっきりと規定されておって、そして判例もかなり厳格な解釈をしてきたわけです。ところが、今回、二十分の一を超えない質受けについてはよろしいということで、これはかなり判例上も確立された点を崩すという問題、資本充実の原則をかなりこれは破ることになるんですが、そういう点の問題があるのと、もう一つは、要するに大会社が取引先の中小企業に自分の会社の株を買わせますね。そして、それを今度質受けしてしまうと。これは力関係からいって、どうしても出さざるを得ないようにされてしまう。  そうなりますと、普通ですと、その株を担保にほかで借りられるのが、今度そういう上下関係で質に取られてしまうとそれを運用できない。その辺がこれは中小企業にとってはマイナスじゃないか、こういう指摘があるわけですよ。それは事実だと思うんですね。それに対してはこれを抑制するための措置は考えられないかどうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず最初に、なぜ自己株式の質受けの制限を緩和したかという問題でございますけれども、自己株式の質受けが現行法上制限されている理由でございますけれども、これはいわゆる脱法行為に、つまり自己株式の取得の脱法行為として質受けが利用されやすいというおそれでございます。  それともう一つは、これは副次的な理由でございますけれども、自己株式を質受けにいたしておりまして、もし自分の会社の財務条件が悪くなりますと、自分の会社の株式自体も価値が下がるということでございます。そうすると、自分が取っている株式の担保価値も下がってしまうということで、いわば会社の財産に対して二重の危険があると、そういうふうな副次的な目的が挙げられているわけでございます。    〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕  ところが、まず脱法行為でございますけれども、これは何も質受けを制限するというようなことでは、立法論的にはそんな必要がないのじゃないか。つまり、およそ自己株式の取得禁止というのは、会社の計算において自己株式を取得するということが禁止される、これが一般的な解釈でございますし、現行法罰則も「何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ会社ノ計算ニ於テ」とございまして、したがって当然名義が何であろうと、とにかく会社の計算において自己株式を取得することは禁止されるという解釈、まあ立法的にもそうなっているわけでございますので、したがって、あえて質受けだけを制限するという理由はかなり乏しいのじゃないかという問題もございます。  それから、ただいま申しました二重の危険でございますけれども、これもとにかく、特に大会社の場合でございますが、まず、会社側の財務状況が悪くなって担保株式の価値が下がるというようなこともほとんどないわけでございます。そう考えてまいりますと、どうも自己株式の質受けを、質取りと申しますか、これを禁止する根拠というのはかなり薄くなってきたのじゃないかということがございます。全面的に質取りについては撤廃しろという議論もあったわけでございますけれども、とにかくそうはいっても、いろいろ一遍に制限を外してしまうということは、かえってまた混乱を起こすもとにもなるということから、とりあえず今回は二十分の一に限って、そういう二十分の一程度ならば、先ほど申しました弊害と申しますか、それも比較的少ないであろうということから、今回はとにかく二十分の一に限って緩和したということでございます。  それから、大企業が小企業いじめに使わないかということでございますけれども、たとえば大企業が下請に対して担保を要求するということは、これは債権保全のためでございます。したがって、もし株式について担保権を設定しない、あるいは設定できないという状況であるならば、当然他の担保の差し入れを要求するわけでございます。全く無担保で下請関係をずっと続けていくということは、とうてい考えられないわけでございます。したがいまして、もし株式がなければその他の担保が取られてしまうということでございますから、結果的には同じになってしまうのじゃないかということで、特に質受けを認めたから小企業が苦しい立場に立たされるということはないのではなかろうかと、こう思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そこだけで考えると、そういう理屈になるんですよ。だけれど、まず株を買わせ金を出させるんでしょう。これもまず無理やりですね。その次、またそいつを取り上げるのも無理やりということになると、二重のやっぱり抑圧になる、その辺、見過ごしているんじゃないでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 株を買うと申しますのは、これはもちろん自分の元請会社と申しますか、そういうものの株を買うということは、そういう判断の上、つまりさらに下請関係を続けてほしいということもあると思いますけれども、それと同時に、担保化できるような財産を取得するということは、これは企業がたとえ小さくありましても、そのこと自体は財務状況として決して悪いことではないわけでございまして、それは他から借金をして買うとかなんとか、そういうことの問題になってきますとまたこれは話は別でございますけれども、少なくとも株式を取得し、それをさらに担保に入れるということ自体については、特に問題はないのではなかろうかと思われます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 もう時間が来てしまったので、最後に大蔵省、大変お待たせをしましたけれども、会計監査制度ですね、それが今回の、その強化が特色ですが、ただ依然として重要な問題は、これも指摘されてきたとおり、たとえば公認会計士の選任についてもやはり会社が雇うと、こういう力関係もやはり変わらないんですね。やっぱり雇う側、そして競争関係で雇ってもらう、そういう関係がある以上は、かなり今回の厳格な規制もなかなか効果を発揮しないんではないか。  そこで問題は、要するに公認会計士の独立性の確保の問題です。簡単にこちらで問題点を言ってしまいますと、やはり一つは、独立性の実現のためには私は相当思い切った特別の措置が必要だと思うんです。その一つは、国との関係では監督権あるいは懲戒権、これは大蔵省にありますけれども、そこのところの改善が必要ではないか。やっぱり公認会計士協会にそれを移していくと。弁護士の場合には、戦前は検事正に懲戒権があったわけですね。だから、なかなか検事と対等にやり切れなかったけれども、戦後は弁護士自治の原則で、そのことが国民の権利を守る大きな力になっていると思いますし、また逆に、そのことが弁護士の自覚になって、自分たちの品位や力を強めていくということにつながっておると思うんですが、私は公認会計士についてもそれが必要じゃなかろうか。  もう一つ、一番大事な、企業との関係では雇われるという、いわば売り込むという、その状況をなくすためには、公認会計士協会で一定の名簿をつくってその中から選任させるとか、あるいは公認会計士に対する不当な仕打ちがあった企業に対する会としての一定の関与を認めるとか、そういうかなり思い切ったことが必要ではなかろうかと、こう思うんです。これは私は税理士にも言えることで、税理士も大蔵省の監督下ですが、やはり自治を認めて、そして自主的な自律的な対応で、税務署の下請機関化していくことをむしろ抑えていくという全体の流れの中で私はそういう対処をすべきじゃないかと、こう思うんですが、それに対する答弁をいただいて、質問を終わります。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 確かに公認会計士法の三十条におきまして、個人の公認会計士が虚偽または不当の証明を行った場合の懲戒の規定がございます。三十一条には一般懲戒の規定、さらに監査法人が不当証明を行いました場合におきましては、三十四条の二十一にやはり懲戒処分の規定がある。さらに申し上げますと、四十六条の十二におきましては、公認会計士協会というものに対する大蔵大臣の報告及び検査権、さらには総会の決議の取り消し、こういうふうなものがあるわけでございます。  実は、この公認会計士協会が四十一年に特殊法人化されたわけでございますが、そのときにもこの懲戒権の問題、それから監督権の問題というものは、公認会計士審査会という大蔵省の附属機関としてございますが、その審査会でも相当議論されてまいったわけでございます。特に、たとえば懲戒権に関して申し上げますれば、やはり懲戒権の権限を協会に委譲すべきではないかという意見が確かにそのときも出されておりまして、相当議論がなされたのでございますが、やはり種々議論の結果、現状維持という結論が出されておるわけでございまして、その議論の中には、やはり懲戒権の行使というものが個人の権利に重大な影響を及ぼすというふうなこともございますし、さらにまた、公認会計士の監査の中で商法監査、証取監査と両方あるのでございますが、証取監査では大蔵省の証券監査官というのがある程度の事後監査をやっております。  そういうふうな関係もございまして、有価証券報告書の提出会社に対する責任の追及との兼ね合いにおきましても、懲戒権というのは大蔵大臣に残しておいた方がいいのではないかというふうな議論があったこと、さらには諸外国、特にアメリカ、西ドイツの立法例におきましても、懲戒処分権というのはやはり行政官庁、主務大臣が留保しておるというふうな状況にあるような事実も考慮いたしまして、さらにこの特殊法人の会員に対しまするそういう独立性の保持といいますか、規律の保持というふうなものは協会の内部規約による会員権の停止処分あるいは会則の遵守義務、さらには大蔵大臣に対する懲戒処分の請求権の制度、こういったものの運用によってそれが十分効果を期待し得るのではないか、こういうふうなことがその審査会における最終的な結論ともなりまして、現状維持という形で大蔵大臣に留保をされておるわけでございます。  実は、先生お尋ねのこの質問は、先般、四月二十八日の衆議院の法務委員会でも稲葉先生から同趣旨の御質問がありまして、私どもそれに、御答弁いたしておりますのは、やはり公認会計士と申しますのは、いわば弁護士とやや機能が違っておりまして、わが国の資本市場の育成という観点からの投資家保護でございますか、こういうこと、さらには株式会社制度における株主権あるいは債権者保護といったいわばきわめて公共的なと申しますか、わが国経済のよって立つ制度全般の維持に係る業務であるというふうなところから、そういう諸外国の事例、他の類似法人、税理士会しかり、弁理士会しかりでございますが、こういった類似の団体の例も参考にしながら、このような公権が、つまり大蔵大臣の懲戒処分権が主務大臣に留保されるというふうな形になったのだというふうに理解しておるわけでございます。  それからさらに、公認会計士についての独立性というお話でございますが、これは先ほどのいろんな商法、商法監査特例法、証取法、公認会計士法等にございますような罰則規定、さらには行政処分の規定、こういったものは、逆な意味で独立性を保持するという役割りもまた果たしておると思うのでございますし、公認会計士協会におかれましても、非常に自主的なお考えで公認会計士の交代に関するルールというふうな規則をつくっておられまして、公認会計士が企業の方の不当な圧力によって不当に交代することのないように、会員相互間でそういうことをチェックするシステムをお持ちでございます。  これにつきまして、協会の中で、苦情処理委員会でございますとか、そういう契約が不当であればそれを正すような審査会、こういったものを設けて事実運用しておられる、こういう状況にあるわけでございます。その協会のようなところが公認会計士の選任をつかさどってはどうかというふうな御提案があったわけでございますけれども、この御提案は、実は言うはやすくしてなかなかその運営のむずかしいものではないかと、私どももこういう問題について考えたことがあるものでございますから、そのように考えておるわけでございまして、たとえば特定の会社に派遣する監査人をどのようにして選任するか、だれが適当であるかというようなことをどういうふうにして選任するか、あるいは仮に一部そういう者を選び得たとしても、だれをその責任者として、あるいはだれを補助者としてそういうランクをつけるかというふうないわば監査団の編成、こういった非常にむずかしい問題がやはり存在するわけでございます。  さらに、こういう監査というものは、いわば被監査会社と監査人とのいわゆる真の意味での信頼関係というものがないとなかなかできない。つまり、そこが敵対関係にあると、どうしても摘発型の監査になって十分な情報が会社からとれないというふうな事情に、状況になるおそれがございますし、さらに監査が非常に形式的なものになってしまう。やはりそういう意味におきましては、契約に基づきまして監査人と会社のそういう契約による選任ということがいいのではないか。  いずれにいたしましても、さらにその監査人の選任機関と当該監査人との間の責任分担という問題、こういったものにつきましても、非常にむずかしい問題が種々あろうかと思われるのでございまして、先生の御提案というものを実現するにつきましては相当考える必要があるといいますか、なかなか安易に実施に移せるというふうには私ども考えておらないわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 衆院からこの参院までずいぶん審議が続けられまして、その中でほとんどいろいろな方向から問題が洗い出されて、新たにつけ加えることというのはないわけなんですけれども、私なりに確認しておきたい点、それからもう少し詳しく知りたい点などがありますので、お伺いします。  この法律案の提案理由の中にもきちんと文章で「いわゆる総会屋の排除を図るため」というのが出てきますけれども、今度のこの法改正、一部改正というのは、総会屋を排除するということが大変重要な点になっていると思うんですね。きのう参考人の竹内教授が、この改正案をもってして総会屋を排除することができなかった場合には、これは企業の側にやる気がないからであるという非常に印象的な発言をなすったんですけれど、これは多分法律としてできるだけのことはすべて手を打ってある、ただ、その先は人がそれをきちんと使っていかなければ本当に効力を発揮することはできない。この総会屋の問題で言えば、この改正商法を後ろ盾として、そして企業の人たちが積極的に対処していかなかったらだめなんだということを、ああいう言い方でおっしゃったと思うんですけれども、その点については同じ御意見でしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 従来、総会屋というものは非常に長い歴史を持ってだんだんにその活動の分野を広げてきたというのが実態であります。Aの会社もやっておる、Bの会社も総会屋を使っておるから自分の会社でも総会屋を使おうということで、その総会屋を使っておる会社に、極端に言えば罪悪感がないと申しましょうか、罪悪感が非常に薄いというような実態もあったと思うわけであります。  私、これはもう数年前に、何か新聞でありましたか雑誌かで見たのでありますけれども、総会の時期になりますと総会屋が企業の総務課ですか、秘書課ですかの窓口にずらりと行列をする、そして次々にその係員から封筒に入った金一封をもらって去っていくというようなことが、非常に大っぴらに行われているというような実態もあったということを聞いてびっくりをしたわけであります。  最近になりまして、警察庁などが非常に努力をされまして、企業を指導をして総会屋と絶縁をさせるというような努力をしておられるわけであります。企業の中にはそういう絶縁を宣言をするというようなものも出てきまして、その効果がかなり上がってきておるというふうに思うわけでありますけれども、一方においては、やはり総会屋というのは必要悪であるというような考え方もないわけではない。そこで私ども、今回、二百九十四条ノ二という規定を置きまして、財産上の利益の供与を禁止した、そして、民事上の手当てと四百九十七条ということで罰則規定も設けた。私は、これが会社の側にとってはやはり大きな影響があるのだろうというふうに思います。  でありますから、普通の経営者であるならば、この規定を生かして総会屋の排除に努めていただけるというふうに思いますけれども、やはり何といっても法を運用するのは人の問題でありますから、やはりその人の決意と申しましょうか、器量と申しましょうか、そういうものに期待する面も全くないわけではないという意味で、一部竹内先生の御意見にも賛成と、こういうことになろうかと思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 その企業側の努力という点で、前の調査のときに自主防衛組織ですか、というものが非常に効果を上げているということをお伺いしたんですけれど、この組織のできた経緯ですとか、それからまた組織のあり方ですとか、どの程度の大きさの企業がそこに加わっているのか、あるいは今後どんなふうにもっと発展していく見込みがあるのかというようなことを、警察庁の方からちょっとお伺いしたいんですが。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 狭い意味の総会屋を含めまして、企業に寄生をいたしましていろいろな意味の財産上の利益を得ているというものを警視庁では特殊暴力という形でとらえまして、特殊暴力を防止する協議会をつくろうではないかということで、初めは署単位に結成をしていきまして、徐徐に輪を広げていきまして、都下全体というぐあいにやってまいったわけであります。  これがある程度功を奏したということで、この動きが全国に広がってまいりまして、全国では必ずしも同じ名前を使いませんで、企業暴力防止協議会というような名前になっておりますが、やっている中身は同じでありまして、企業側の総会担当の担当者が会合を持って、お互いが入手した情報を交換をし合って、その中で企業に寄生するいろいろな連中に関する動向情報などを交換して、今後はそういうことにならないようにしようではないか、そういう申し合わせをしつつ対処をしてきまして、そういう輪が徐々に広がりつつありまして、先般申し上げましたように、現在ではたしか三十五県だったと思いますが、できつつあるということであります。  私どもとしては、この組織をさらに全国的に広げてまいって、そういう企業側の自主的な努力によって、総会屋を含めて企業に寄生する者たちを追放していきたいというふうに考えております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 参加している組織や企業の大きさといいますか、どの程度の規模の会社が多いでしょうか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 正確に申し上げますと、三十五都道府県七十八団体ということでありまして、二千七百三十一の企業が参加いたしておりますが、そのうち一部上場企業が千六百七十四、それから二部上場企業が一千五十七、そういう実態でございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 それから、総会屋という人々の数をこの間お伺いしたんですけれども、昭和五十五年の末で五千八百人、うち暴力団員が千百人ということなんですね。それから、五十三年の推定利益というやつが総会屋一人当たり年収が一千万で、合わせると五百八十億になるというような数字だったと思うんですけれども、これは間違いないですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 前半の総会屋の総数は五千八百で、そのうち暴力団員が千百というのは間違いございません。  それから、後段の部分の五十三年当時に五百八十億というようにいまお聞きしましたが、そうではございませんで、五十三年当時に推計をいたしたことがございまして、その当時、総会屋一人に流れると見られる年収が一千万である、したがって、それが現在も同じであると仮定しますと、五千八百人いるわけでありますから、今日時点では大体五百八十億ということじゃないかということで申し上げたわけです。

中山千夏一の会

○中山千夏君 そうやって暴力団に非常にお金が流れていくというあたりは、よく言われますしわかるのですけれども、暴力団に入ったお金がどこへ流れていくかというようなことがちょっとわれわれではわかりにくいんですけれども、その辺はどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) これはもうさまざまでありまして、一概にはなかなか申し上げにくいと思います、それぞれの団体によって使い道がございますでしょうから。  ただ、御参考までに暴力団とそれから総会屋とのつながりをあらわす一つの数字として、先般、警視庁で大物総会屋が検挙された折に、関係企業にアンケートを回しましてどのくらいの収入があるかという調査をいたしましたところが、おおよそ十七億、三年間で行っているということになっておりましたが、そのうちの約半分に当たる八億が暴力団に流れておるということでありまして、やはり暴力団がいかに総会屋に寄生しているかという実態をよくあらわしておりますので、総会屋を通じて流れたそれらの資金が、やはり彼らの組の活動を支えていることは間違いありませんので、そういう意味からも、今後とも適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 いままでいわゆる総会屋という人人の手口ですね、それから取り締まり状況から、何か具体的な事例などございましたら、少し教えていただきたいんですが。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 総会屋の手口というのはいろいろあるわけであります。細かく分ければいっぱいあるわけですが、大きく分けますと四つありまして、まず一つは、顔を売る活動と申しますか、雑誌等をまず発行しまして、それに会社のスキャンダル等を載せるようなことをほのめかしてまず顔を売って総会屋担当者に近づくということが一つの形であります。  二つ目は、株を取得をしまして株主総会に出席をして、会社側の提案した議事に絡んでいろんな事柄を攻撃する、いわゆる攻撃屋と言っていますが、そういう攻撃する側に回るという手口が二つ目でございます。  それから三つ目は、いわゆるこれは今度は逆にこれを防衛する側に回る、守り屋の方でありますが、守り屋に回って会社側から金をもらう、そういう手口でございます。  四つ目になりますと、その種の活動はしませんで、名前をかすだけで、いわゆる会社から賛助金を取るという非常に高級な手口になるわけでございますが、そういう形がございまして、大きく分けますと、いろいろな手口がございますけれども、その四つの態様のどれかに当てはまる形で会社に寄生しているというのが実態であると思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 法務省にちょっとお伺いしますけれども、いまの四つの大体大きな手口というのがあったんですけれども、今度の商法改正でもって、この四つは全部何とか取り締まれるものなんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 今回、総会屋退治と申しますか、締め出しの問題でございますけれども、商法の立場といたしましては、あくまで会社の機関としての株主総会の正常な運営という点について関心といいすか焦点があるわけでございます。したがいまして、一般に広い意味での総会屋と言われておりますいわゆるブラックジャーナリズムであるとか、つまり株主権の行使に関しないで、純然たるそれ以外の場で会社から金品を強要するというようなものは、これは組織の問題ではなくて、たとえば恐喝であるとか、あるいは実際に会社のためにもならないの県何かそれらしいことを言って金品を持っていくということであれば詐欺であるとか、そういうことの対象になることでございまして、商法といたしましては、あくまで株主の権利の行使に関して金品を供与するということを対象にしているわけでございます。  ただ、株主の権利の行使に関してと申しますと、現在株主になっておるものはもちろんでございますけれども、これから株主になる、つまり株主にならないことを条件にして金品を持っていくということでございましても、これはやはり株主権の行使に関する範囲に入りますので、当然対象になるということでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 事件になりまして、総会屋の活動が、そして検挙をするなり警察がかかわる場合に、企業の側から警察に知らせが来るというようなことは多いんでしょうか、それとも何か総会屋を恐れて余り積極的に知らせないという、むしろ企業の側ではないようなところから知らせが来て、警察がお動きになるということの方が多いんでしょうか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) それは両様でありまして、企業の側からの通告で検挙したものもあれば、ほかの事件で検挙して、それに関連して余罪として判明したというものもございます。  私どもとしては、できるだけ企業の方からそういう行為があったときに通報していただくように、先ほど申し上げました組織を通じて働きかけているということでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 そうすると、いまの件に関してはどちらが多いとは言いがたいということですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) そういう観点で調べたことはございませんので、数字としては持っておりません。

中山千夏一の会

○中山千夏君 それからこの間も、もうそろそろ総会屋が職業を変えよう、この法改正ができるとやりにくくなるからというような動きが出ているというお話だったんですけれども、その改正後、締め出された総会屋の人たちというのは、大体どこへ流れていくというふうに見ていらっしゃいますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) これはこの間も、今後の動向を注視する必要があると申し上げましたように、簡単には予測がつかないわけでありますけれども、すでにほかの業態に転向した者もおりますし、それから私どもが一番恐れておりますのは、やはりブラックジャーナル化するといいますか、当初の原始的な形態である雑誌ゴロに再び戻って、やはり雑誌を発行してそれに何らかの記事を載せることを背景として会社側から賛助金を得るという形のものがまたふえていくのではないか、あるいは政治団体を仮装して政治資金名下に金を取るというような形のものに移行していくのではないかというような予想をいたしておりまして、現実にそういう動きも出つつございます。  したがいまして、そういう動きをよく見ながら、先ほど言いましたように、何と申しましてもこの種の問題は会社側の担当者の決意、トップを含めてですけれども、それが何といっても問題の帰趨を決めますので、会社側に強い姿勢で対決していただくように働きかけていきたいと考えております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 どうもありがとうございました。結構です。  それから、ずっとこの審議を伺っていましてすごく不思議な感じがしたのは、質問がいろいろ出る、そちらの方の御意見などを伺っていますと、手ぬるい、余り大した進歩ではないではないか、もっとこうやらなきゃだめだ、ああやらなきゃだめだという指摘がとてもたくさんあるんですね。でも、政府委員の方たちのお話を伺っていますと、本当に努力された、物すごく一生懸命精いっぱいやられたという感じがまたしてくるんですね。どうしてそんなにギャップがあるのかというあたりが、不思議なんですよ。  それは、言うはやすく行うはかたしということなのかもしれませんけれども、その辺で、行うはかたしだとすれば、どういうあたりが一番思い切ったといいますか、皆さんから見て非常に思い切った改正であるというような手を打ちにくいという理由といいますか、状況というのはどういうことなんでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 立法は妥協であるということが言われておるわけでありまして、やはりこれだけいろんな各利害関係を持った各層の人間が生活をしておるということでありますから、その要求がぶつかり合うというようなことは、これは避けることのできないものであろうかと思っております。現状を大きく変えようという考え方の人もあれば、できるだけ現状を維持してもらいたいという考え方の人もあるわけでありまして、その間の調整をとりながら一歩一歩前進をしていくというのが、私どもの今回の立法に当たった基本的な姿勢であろうかというふうに考えるわけでございます。  それが、ある方面から見れば非常に手ぬるいというような見方になりましょうし、また、ある方面から言うならば、よけいな変化をすることはないじゃないか、こういう御意見になろうかというふうに思うわけでありまして、私どもはそのいろいろな御意見を伺いながら、そしてその中でできるだけ筋を通す、しかし、やっぱり現実の問題というものも直視をして、そしてその中に細い一本の道をつけてここまでやってきたという点を、ひとつ御理解いただきたいと思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 四十九年の参院の附帯決議、それから衆院の附帯決議、両方とも第一項なんですけれども、「企業の社会的責任を全うすることができるよう、」という文章が参院の方にありまして、それから「会社の社会的責任」云々というのが、これは衆院の方にありますね。この企業の社会的責任というのは大変むずかしい言葉だと思うんですけれども、趣旨説明の方にはこの言葉は全然出てこないので、何となく不思議な気がしたんですけれども、それは何か理由があるんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 実は、この社会的責任という言葉でございますけれども、これは言うまでもなく、企業と申しますか、会社も社会的存在でございますから、その存在として当然果たすべき責任というものはあるわけでございます。したがって、そういうものを当然自覚した上で企業は行動しなければいけませんし、また、法改正をやるにつきましても、そういうことが基本になるであろう、だから、これは当然のことであろうかと存じます。  しかし、そういう非常に広い意味での社会的責任ということになるならば、これは大方の意見の一致を見ると思うのでございますけれども、さて具体的に、じゃその社会的責任ということで一体何をやるのかということになってまいりますと、これはもう全く千差万別ではなかろうかと思われます。考え方によりましては、これは株主、債権者の保護ということから考えますと、企業はどのように利益を上げると、どのような方法によっても利益を上げるというようなことも一つの社会的責任を果たすということになるかもしれませんけれども、反面、そのために社会的な存在としてはいかがかということもまた出てくるのじゃないかということでございます。  つまり、この社会的責任ということの持つ概念のあいまいさといいますか、そういうことによって、むしろ結果的にはそういうものを余りうたい過ぎることによって、おかしな方向と申しますか、昨日の竹内先生が言っておられましたように、社会的責任ということが余りにも取締役の裁量範囲を大きくし過ぎてしまって、そのために結果としてはマイナスの方向に行くということもないではないという問題でございます。  法制審議会の商法部会におきましても、当然この企業の社会的責任についてはいろいろ議論がされたわけでございますけれども、抽象的、一般的に社会的責任ということよりは、むしろ会社がその社会にあって正当な行動をとるというためには、たとえば取締役の責任であるとか、監査役の監査であるとか、そういう方面から具体的な規定を置くという方がより妥当な結果が得られるのじゃないかということで、今回は抽象的には社会的責任という規定も設けておりませんし、また、提案理由説明の中にも社会的責任ということは置いてないわけでございますけれども、個々の規定の中におきましては、そういう企業が社会的存在として果たすべき役割りはできるだけ果たせるようにという制度的な保証は置いたつもりでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 そうすると、企業の社会的責任は決して無視したわけではなくて、基本にその理念を持ちながら、特に文章にしていくとその内容の規定などで個々にむずかしい問題が出てくるから、趣旨説明の中には入れなかったということでいいんですね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) そのとおりでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 一応、基本的に社会的責任という理念を持ちながらということですので、これはちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣が考えていらっしゃる企業の社会的責任といいますと、どのようなことになるんでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 企業も社会の実在として活動しているわけでございますから、その企業の活動からいろいろな損害を受ける、不当な損害を受ける人が起こらないようにしていかなければならない。  そうなりますと、先ほど来、投資家保護という言葉が出ておりましたし、あるいは株主とか債権者の保護とかいう言葉も出ておりますし、企業が粉飾決算などをいたしまして多くの人たちに損害をかける、そういうことのないように自主的な監視機能を強化していこう、あるいはまた、監査報告書にいたしましても、あるいは営業報告書にいたしましても、正当に示してもらうように法務省令でそれを書いていこうというようなことをしたりしているわけでございまして、考える人によって社会的責任いろいろあろうかと思います。あろうかと思いますけれども、少なくとも社会的実在としていろんな活動をしている。その活動から、不当な損害を受ける者が生じないように努力をしていかなければならないということは当然のことじゃないかと、こう思っております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 二百六十条ノ四ですか、取締役会の議事録の閲覧というやつですね。その趣旨は、先ほど近藤さんのお話のときにお伺いしたので結構なんですけれども、その次のところに、「閲覧又ハ謄写ニ因リ会社又ハ其ノ親会社若ハ子会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アルトキハ」許可しないという条項があるんですけれども、この「会社又ハ其ノ親会社若ハ子会社ニ著シキ損害ヲ」の、この「損害」というのは具体的にはどういう場合なんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは端的に申しますと、企業秘密の漏洩でございます。つまり、先ほど来申し上げておりますように、取締役会は業務執行の決定をいたすわけでございます。そういたしますと、当然その決定をいたす過程においては、事として企業秘密が論じられるということがございます。また、決定自体についても、これは企業秘密である場合があるわけでございます。  たとえば、一つの例が、町の発明家に秘密で発明をしてもらうために継続的に金銭を供給するというような場合でございますと、これはそういう相手先の発明家という者が明らかになってしまうということになりますと、その会社がどんな製品を開発しようとしているかというようなこともわかってしまうわけでございまして、会社にとってもしこれが知れるということになりますと、これは大変なマイナスになってくるということでございます。したがって、そういう企業秘密に属することが記載されますので、それが取締役会議事録を見ることによって漏洩してしまう。それが結果的には会社の営業状態を悪くして、株主及び債権者に損害を与えることになるということになるわけでございます。  ただ、企業秘密の漏洩と申しましても、これはあくまで相対的な問題でございまして、たとえば小さな秘密を守るために非常に大きな権利の行使ができないというようなことでございましたら、これはこの著しき損害を生ずるということにはならないわけでございます。したがって、これは裁判所の許可の対象になるということになるわけでございます。  それから、ここで条文の立て方といたしまして、二百六十条ノ四は、五項で別に別立てにいたしております。つまり、四項で「株主ハ共ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ前項ニ掲グル議事録ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得会社ノ債権者ガ取締役又ハ監査役ノ責任ヲ追及スル為必要アルトキ亦同ジ」ということで、ここに一遍許可の要件を書いております。そうした上で、五項で別立てにしておりますのは、たとえば債権者が閲覧請求をするときは、これは取締役または監査役の責任を追及する必要があるのだということだけを立証すればよろしいということでございます。これに対して会社側の方でもし拒絶してもらいたいということであるならば、それをやれば親会社もしくは子会社に著しい損害が生ずるのだということを、会社の方で立証しなきゃいかぬということでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 ちょっとこの部分が気になりましたのは、先ほども話に出ましたけれども、一株株主の運動というのがありまして、アメリカなんかではかなり個人の方の権利意識もしっかりしていますので、なかなか効果を上げている。その効果という意味は、先ほども話になりました企業の社会的責任の自覚を促すような方向で、あるいは企業の社会的責任を全うさせるような方向で、非常に企業を刺激するというか、そういう一つの役割りを一株株主運動というのは持っているというふうに私は思っているんですね。日本でもそれをやっていらっしゃる方々がいらっしゃるわけですけれども、そういう運動を考えていますと、総会屋を締め出そうという案がどうも一株株主にとっても痛いところがある。  ということは、結局ここにある企業の損害というものと、それから企業の社会的責任というものが往々にして衝突することがあるのだと思うんです。その一株株主の運動が企業の社会的責任の全うに資する、同時に、ある意味でその企業の損害に結びつく場合もあるのだと思うんですよね。そうすると、そのときに、もしかしてそういう運動をやっている人なり何なりが、その運動の目的で株主が企業の経営状態を見たいということで閲覧を求めますね。そのときに、あくまでも秘密漏洩ですか、企業の利益という方に、企業の損害ということに重きを置くか、それとも企業の社会的責任の支柱としての運動の価値といいますか、株主の存在の価値みたいなものも考慮していくかという、その辺の判断でずいぶん用いられ方が変わってくると思うんですね。その辺はいかがお考えなんでしょうか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 株主権の行使に関するということが、まず第一段にこの要件として掲げられているわけでございまして、この株主権の行使というものの中には、いま中山委員が御指摘になりましたようないろいろなシチュエーションにおける株主の利害関係というものがあり得るのだろうと思うのです。そういうものを勘案し、かつ、それと企業自体も社会的責任を果たすということ自体もこれは企業の責務でございますから、そういうものを勘案した上で、やはり企業に与える損害というものを考えなければならないわけでございます。  たとえば、公害の問題にいたしましても、欠陥商品の問題にいたしましても、それ自体はやはり企業に損害を与えるものでございまして、そういうことが起こらないようにするという必要はまたこれあるわけでございまして、その辺につきましては、その術者のバランスを裁判所において十分しんしゃくされて、許否を決定するということになろうかと思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 その企業の秘密というものをうんと守っていくということが、さっきの総会屋の活動をもっと悪質に、ゆすりたかりのたぐいを悪質にしていくというようなことがあるのじゃないかなと思うんですけれども、それはどうなんでしょうか。秘密がなるべくなくなっていった方が、ゆすったりたかったりする機会は減っちゃうわけで、秘密がふえればふえるほど、ゆすりたかりが悪質になっていくというふうに単純に考えるんですけれども、その辺についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 企業にとっては、守らなければならない事項、つまり他人に知られては困る事項というのが秘密でございまして、それがどの範囲で保護されるべきかという問題があるわけでございまして、その保護されるべきものの範囲というものについては、やはりこれはどんなことがあっても保護しなければならないわけでございます。その企業に対する保護と、それからそれをディスクローズするということとのバランスというのが、非常に問題になるわけでございます。  そこで、この両者のバランスを考えてこういうような立法をしているわけでございまして、企業の正当に守られなければならない秘密というのは、これは本来他人に漏洩されるはずはないわけでございまして、総会屋がそういうことを知ったということになると、それは何らかの形で漏洩のほかの手段があるということになるわけでございますね。ですから、その正当な漏洩の方法というものと違法な漏洩の方法というものとを勘案しました場合には、その守らなければならない秘密というものについて保護の方法を講じていたからといって、違法な漏洩の方法からくるものをチェックするとか、あるいはそれに対して影響を与える、そういうことにはならないのではないかと、かように考えております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 きのう日税連の代表の方にいろいろ御意見を伺ったんですけれども、基本問題という言い方をたしかされていたと思うんですが、三点でしたか、挙げていらっしゃいました。あの基本問題については、全く今後検討する必要もない内容であるというふうにお思いなのか、もしくは今回の法改正ではあれだけれども、今後検討していく余地があるものもあるというようにお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 法務省においても、税理士会といろいろ御意見を伺っておりました段階で、基本問題ということが出てまいりました。税理士会ではそういうものの検討をやってもらいたいという御要求があったわけでありますけれども、事柄を聞いてみますと、これは法務省の所管の事項ではございませんので、これは私の方へお申し出があっても取り扱いに困る、したがって、それを取り扱うしかるべき方面に持っていってもらいたいということを申し上げたわけであります。  その結果、日税連の方といたしましては、しかるべき方面にその問題をお持ちになったというふうに、私ども理解しておるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 きのうの話では少し法務省に関係のあるようなお話もあったように思ったんですけれども、きょうの御意見では、そうではないわけですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 主として、税理士業務とそれから公認会計士業務との職域の調整の問題ということでありました。私どもの方といたしましては、今回、監査特例法の四条におきまして、商法関係として手当てできる部分については若干の手当てをいたしましたけれども、基本問題の検討ということになりますと、これは法務省の所管ではないというふうに理解をしておるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 これで最後です。  お答えをずっと聞いている中で、ときどきそれは今回の法改正では盛り込めないけれども今後検討していく、あるいはこれで終わりということではないのだからまた直していく、状況を見て直していくことがあると言われた点があったと思うんですけれども、それはこの法案が終わったら今後また全面改正に向かって検討するということなんですけれど、その際に、今回取り上げた部分については一応置いといて、そして会社結合の問題でしたか、そういう今回取り上げなかった問題だけについてやるということなのか、それとも、全面改正に向かって今後検討を加えていく中で、今回取り上げた問題も不十分であるという議論がここでなされた点についてはもう一度洗い直してみるということなのか、それがどちらであるかという点を聞きたいんです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいまの御質問から申しますれば、その後の方の取り扱いということになろうと思います。実際問題といたしましては、やはり順序をつけて検討しなければなりませんので、企業結合の問題あるいは大小会社の区分というような、従来真っ正面から取り上げてない問題というものを先に取り上げることになろうと思いますけれども、それとあわせて株式制度あるいは会社の機関の問題、計算・公開の問題につきましても今回取り残した問題があるかどうか、あるとすれば、それをどういうふうに扱うかということを検討することになります。  もっとも、これは法制審議会の決定にまつということになるわけで、検討事項、検討順序も法制審議会の決定にまつということになるわけでありますけれども、私どもとしては、ただいま申し上げたようなことを希望しておるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 ありがとうございました。終わります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。   —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 出入国管理令の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 出入国管理令の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  現行の出入国管理令は、昭和二十六年にいわゆるポツダム政令として制定されたものでありますが、近年におけるわが国の国際的地位の向上、国際交流の活発化、航空機を中心とした国際交通機関の発達に伴い、出入国者が飛躍的に増加するとともに、外国人の入国・在留の目的も多様化しておりますので、このような新しい情勢に対応できるよう現行法制を改める必要があります。また、わが国社会に定住している長期在留外国人の法的地位をその在留実態に見合った安定したものにすることが要請されております。  そこで、時代の要請に対応するため、  一 観光客の在留資格を短期滞在者の在留資格に改めるとともに、技術研修生の在留資格を新設すること、  二 覚せい剤取締関係法令違反者を上陸拒否の対象となる外国人に加えること、  三 査証を必要としない特例上陸の許可の制度を航空機の乗客についても許可し得るようにするなどの整備をすること、  四 いかなる在留資格を有する外国人も他の在留資格への変更ができるようにすること、  五 精神障害者、貧困者等を退去強制の対象となる外国人から除外するとともに、覚せい剤取締法違反者をこれに加えること、  六 重要犯罪を行って逮捕状等の発せられている外国人の出国の確認を留保することができるようにすること、  七 数次有効の再入国の許可及び再入国許可の有効期間の海外での延長等、再入国許可制度を拡充すること、  八 手数料に関する事項を政令に委任すること、  九 罰則を整備すること、といたした次第であります。  また、わが国社会に長期間滞在している外国人の法的地位を安定させるために元日本国民であった朝鮮半島・台湾出身者及びこれらの者の直系卑属に対して永住を許可するとともに日本人または永住者の配偶者及び子の永住許可の要件を緩和することなどの改正を行うこととした次第であります。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る六月二日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会

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