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94回国会参議院1981/05/26

法務委員会 第7号

発言数
164
登壇者
11
会派数
4
開催日
1981/05/26

会議録

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。   —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を、便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 前回にも監査役についてお尋ねをしましたけれども、これは経済界の一部でありますが、監査役会制度を設けよという議論がありますね。何か法務省は余り乗り気でないという、まあ今度採用されておられないようでありますけれども、この意見についてはどういうお考えでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) お答えいたします。  確かに、監査役が複数で監査するということになりますと、より徹底した監査ができるということになりますし、また、お互いに監査役の間で協議をしながら監査を進めていくということによって、より進んだ監査ができるということも言えるわけでございます。しかし、反面、監査役会というような会制度をつくりました場合には、監査意見というものが監査役会の意見として出てくることになるのではないかということでございます。  そういたしますと、たとえば監査役が三人おりまして、そのうち二人は適法の意見を持っている、それに対して一人だけは監査結果が違法であるという意見を持っているという場合には、多数決で適法な意見ということになるわけでございます。そういたしますと、一人だけ違法意見を持っていたその結果というものは表に出てこないということになるわけでございまして、むしろ監査役が数多くいて、それぞれが独自の立場から監査をして、その監査結果を外部に公表するという方が、より監査の結果としては徹底しているのではないかということで、今回はとにかく監査役会というものは設けない。しかし、その監査をより徹底させるという点から、大会社については複数監査役制をとるということにしたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 監査役の意見を具体的にいろいろ聞いてみますと、実際問題としては、社長の方から、君、今度監査役をやってくれということを言われて監査役になる。仮にワンマン社長があった場合に、その横暴をチェックできるかと聞いてみますと、本気でやろうと思えばやれる、しかし、しっぺ返しは覚悟せにゃいかぬ、けんかをすれば別だがというようなことで、その点あいまいな返事が返ってくるようであります。  しかし、今度、取締役会を招集するとか株主総会を招集するとかいう権限も与えられて、確かに精神面では優位に立つといいますか、一歩前進というか、そういう面は確かにあるというような感想が返ってきたわけでありますけれども、現実問題として、実際問題としては社内の重要な会議や行事にすべて参加しているわけでもない、重要な情報も必ずしも得ていない、重要事項の稟議にも一つ一つ参加させられているわけでもない、ことに会計処理の変更の場合など事前に必ずしも意見を聞かれていないというようなことで、これは果たして法の目的がこれから十分に発揮できるかといいますと、これはやはり監査役の努力にまたなければいけないということになるわけであります。しかし、それにしても、今度の改正が一歩前進であることには間違いない。これは、そういう評価がほぼ定着しておるようであります。  この点、現実面と法のたてまえとの間の乖離といいますか、それについてはどういうふうに理解しておられますか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 監査役による監査、これはあくまでいわゆる内部監査でございますから、そこに一定の限界があるということは私どもも考えておるわけでございます。それにいたしましても、できるだけ地位を高め権限を強化して、その監査役による監査の実効が上がるようにということを考えておるわけでありまして四十九年の改正以来監査役の自覚も変わってきた、それから監査役に対する会社の取締役側の見方も変わってきたというふうに聞いておるわけでありまして、今回さらにその方向を推し進めまして、監査役の地位を強化しその権限を強化したというわけでございます。  そうは申しましても、やはりこれは人の問題ということにもなるわけでありまして、その人選よろしきを得なければ結局代表取締役の言いなりになるというようなこともあるわけでありますが、これは双方が監査役の仕事というものを十分に理解をしていただきまして、そして法の期待する監査役の責任を果たしてもらいたい。取締役側におきましても、その監査役による監査ということの有用性というものを十分に認識をしていただきまして、むしろ社内の監査のために監査役を激励するという立場でやっていただきたいというふうに思います。  私どもはもちろん、この制度のPRと申しましょうか、趣旨の徹底に努力をするつもりでおりますけれども、監査役関係の団体などもあるようでございます。監査役協会というような協会もつくって、互いに横の連絡をとりながら研さんをしておられるということでありますから、法律の整備と、そしてその衝に当たる人の自覚と両々相まって、さらにこの自主的監視機能の強化ということの方向を強めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから、よく新聞紙上にあらわれてくる会社の使途不明金というのがありますね。これは、国税当局の努力をもってしても解明できない金。われわれから見ると、そういうものこそ政界の腐敗を招く一つの縁由になるのではないだろうかと考えておるんですが、これについても、余りクレームをつけた監査役というものはいまだかってないんだということであります。これは法務当局としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、使途不明金という言葉の概念でございますけれども、実は商法上、使途不明金という概念はないわけでございます。これは現行の商法でございますけれども、現行の商法の三十三条の一項の二号というのがございます。つまりこれは、商人は会計帳簿を作成しなければいけないという規定が三十二条にございまして、その中で、その会計帳簿には「取引共ノ他営業上ノ財産二影響ヲ及ボスベキ事項」は、これは必ず記載しなければいけないということになっているわけでございます。したがいまして、そういう何に使われたかわからないというような支出というものはないわけでございます。  使途不明金と一般に言われておりますのは、これはいわゆる税務上の通俗語と申しますか、でございまして、要するに本来ならば費用で落とせるものを、支出の先を明らかにしたくないから、それを利益として課税されてもやむを得ないということになるわけでございます。しかし、ただこの税務上の利益と申しますのは、これは商法上の決算が済んだ後、利益が出たものに対してそれをどのように処理していくかということでございまして、それ以前の財務処理につきまして監査役といたしましては、どの金銭がどこに支出されたかということは本来わかっているはずでございまして、もしわからないまま放置しているというような事例があったとすれば、これは監査として不十分ということにならざるを得ないかと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ところが、現実に年間数百億円に達するということですね。これは外部監査の場合でも、伝票とか受領証とかいうものを一つ一つチェックしていけば出るはずだけれども、外部監査によってもそれが発見し得ない、もちろん内部監査では監査役も目をつぶっているというわけでしょうか、いま参事官おっしゃったように、内部監査の方がかえってわかりやすいんだろうと思うけれどもそれがわからない、税務当局に対してもそれで押し通してしまうという不思議な現象があるわけで、これは何らかのやはり商法上罰則を設けるとか、あるいはそれより前に、そういう使途不明金を何とかして解消するような手だてが講じられないものかどうか。この点、いかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 使途不明金が出る前に、そういう支出のないように監査役がいろいろ監査をする、あらかじめいろいろと注意をするということがまず必要であろうかと思います。  そういう問題が起こりましたときには、やはり監査役としてはその監査機能を十分に発揮してその解明に努めるわけでありますけれども、そのために今回改正法におきましても、支配人その他の使用人等に対する監査役の質問権というようなものも規定を置いたわけでございますけれども、それにもかかわらず、事実上使途不明なものが出てくるということは、これは現実の問題としてやむを得ないかというふうに考えるわけでありまして、その場合には監査役といたしましては、いろいろ手だては尽くしますけれども、最終的には監査役としては監査報告書に「監査ノ為必要ナル調査ヲ為スコト能ハザリシトキハ其ノ旨及理由」を記載をして報告をするということで、処理をすべきものであろうというふうに考えます。  その場合に、罰則その他の方法によってこういう事態が起こらないように、あるいはその場合における解決方法を考えるべきでないかという御意見のようでありますけれども、実は私どもは、内部監査でありますから、そこまでは考えておらないという実情でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大平総理大臣が私的な諮問機関にした、政界の腐敗を防止するための諮問会議がありましたね。あれなんかの報告を見ても、やはりこういうものこそ何らかの措置を講じなければいけないという、そういうたてまえでできておるんじゃないでしょうかね。その点どうです。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先ほど私、言い方があるいは不十分で御理解いただけなかったのかもしれませんけれども、およそ監査役が監査をするというたてまえでは、いわゆる使途不明金というものはないということでございます、たてまえといたしましては。つまり、一般に言われております使途不明金と申すのは税務上の概念でございまして、これはその支出を税務申告上も明らかにしたくないという会社の立場からこれを明らかにしないということだけでございまして、会社の内部としては、どこに支出されたかということは完全にわかっていなければいけないという問題でございます。したがいまして、監査役が監査いたしますについても、こういう使途不明金という、その後使途不明金ということになるのかどうかわかりませんけれども、およそ会社の支出というものはすべてわかっていなければならないということでございます。  もし、監査役がその点を明らかにしないまま監査報告をしてしまったということでございましたら、これはその監査報告書が誤っているということになるわけでございます。そういたしました場合は、そういう監査報告書が誤っておりますから、それはもちろん監査役としましては会社に対する義務違背ということになりまして、もし会社に損害を与えれば損害賠償義務が発生いたしますし、また、その監査報告書によって第三者が損害をこうむるということになりましたならば、二百六十六条ノ三によって第三者に対しても損害賠償しなければいけないということになります。さらに、四百九十八条の一項の十九号で監査役の虚偽記載、不実記載ということになりますと、罰則の適用もあるということになるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、こういうことになりますか。つまり、監査役には、どこにどういう金を出したかということがわかっている、それが会社の営業上必要な支出と監査役も認めたんだ、しかし税務当局に対してはその内容を明かしたくない、したがって税務当局は説明を受けなかったというんだけれども、税務当局も帳簿を調べれば、その支出伝票なり、それから金銭出納帳なり、支出がどこに、何人にそれが供与されたかということはちゃんと記載があると理解しておられるんでしょうかね、あなたとしては。それとも、やはり会社の帳簿自体から、いつ、だれに、幾ら供与したかということは不明なんだ、不明なんだけれども、そういう不明な支出を、代表取締役には権限が与えられている、したがって監査役が容認した、こういうふうに理解しておられるのか。その辺、ちょっと説明していただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 一般に、監査役が監査いたします場合には、この会計帳簿、これは精査、実査と申しますか、すべての書類を見るということはなかなか困難でございますので、一般に試査をする場合が多いと思います。ことに会計監査人の場合には、試査が一般的であるということになっているわけでございますけれども、そういう試査をいたしました場合に、もしその支出先について監査役がこれは違法の疑いがあるというようなことでありますならば、それはその支出先にまで明確に監査しなければいけないということになろうかと思います。しかし、その支出先自体を確かめないまでも、一応金銭の出納としては明確になっているというふうな事態であれば、あるいは支出先というものはわからないでも、これは適法であるという認定をする場合もあろうかと存じます。  いずれにいたしましても、その個々の支出あるいは収入というものは、これは全部会計帳簿に記載されるということになるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、結局、内部の形式的な経理上の処理は一応表面上は適正に行われている。したがって、監査役のスクリーニングは経たけれども、実際それを調べてみると、そこには支出されていなかった、そういう支出先は現実に存在しないというようなことが税務当局の処理のときには出てくる。しかし、会社の形式的な財務処理はともかく形の上はできている、こういうことになるんですね。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 単に形式が整っているからそれで済むというものでは監査はないわけでございます。ことに監査役の監査の場合には、これは現行法でもございますけれども、二百八十一条ノ三の二項八号で「取締役ノ職務遂行二関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アリタルトキハ其ノ事実」ということがございますので、もしその支出自体が形式的には整っているけれども、つまり出金伝票も何も全部そろっているということでございましても、そこに職務遂行に関して不正の行為のおそれがあるということであるならば、監査役としてはこれはやはり監査しなければいけないということになるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だけれども、それが全部そういうふうに厳重に検査をしていくということが事実上できないものだから、監査役のスクリーニングはそれで済んだけれども、実際、後で調べてみたらその支出先というのは現実に存在しなかった、あるいはどうもそういう金を受け取っていないと言う、片方は払ったと言うというようなことで、税務当局としては把握ができなかったという現実の事例があるわけでしょう。だから、やはり監査役の監査というものは、形式的な帳簿面でのまあ何というか、レビューというか、検査にならざるを得ないんじゃないですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 特に、大会社になりました場合に会社機構が複雑でございまして、しかも規模が大きいわけでございますので、そのすべてについて実査と申しますか、そういうことをやることは不可能だと思います。しかし、やはりその試査においては、おのずから合理的な根拠に基づいてやらなければいけないのじゃないかというわけでございます。したがいまして、これは税務上の問題は私どもの所管でございませんので、そことの関連ということをつまびらかには申し上げられないわけでございますけれども、事を監査役の監査に限ってみました場合には、やはり監査役としては、疑問があればそれを追及していくというだけの態度は必要でございます。  それと同時に、もし何かそういう十分な監査ができない結果、問題が生じたということになりましたならば、先ほど申し上げたような監査役は責任を負わざるを得ないということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 実務家に聞くと、商法の改正案というふうなものはたてまえが先行している、理想が勝っているというような批判が返ってくるのは、やっぱりいまの参事官の説明の中にもあらわれておるんじゃないでしょうかね。つまり、監査役は現実に、その形式だけじゃなくて実際上も査察というか調査をしろと言って、それが完全にできておるならば、事後に税務当局が調べて使途不明金なんというのが起きるはずはないでしょう。それが起きている。年間数百億にも達するというんですね。  それはやはり、その支出先は税務当局には明かしたくないと、こう言ったって、それが真実を欠いておれば明かすも明かさぬもない、調べればわかるんだから。それがないというのは、やっぱり形式は何か合っても、実際には存在しないものがあったり、虚偽のものがあったりするから、それは一つ一つ監査役のスクリーニングにひっかからないものがある。現実と理想とにそこに乖離が生じていると、こういうことじゃないですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 監査役の監査の対象が形式面のみならず実質面にも及ぶということは、先ほどから元木参事官が申し上げておるとおりでございます。しかしながら、そのすべてにわたって精査をするということも現実問題としては不可能な場合があるわけでありますし、また、実際問題といたしまして、実質面について監査をいたしましても、その詳細が明らかにならない場合もあり得るということも事実でございます。明らかになりました場合には、知っておった場合には、それに従って忠実に処理をするという義務が発生するわけでありますけれども、通常の監査役として期待されておるだけの努力をしたにもかかわらずその実態が明らかにならないような場合、あるいは自分としては明らかになったと思って処理をいたしておりましたけれども、実はそうではなかった。たとえば、後日、税務当局の調査によって、そうではなかったというようなことが判明するというような場合につきましては、やはりこれは監査役の監査の限界というのがあるのではないか。  でありますから、十分必要なる調査を何らかの理由によってすることができなかった場合には、その旨を監査報告書に書くということによって処理をするということにならざるを得ないというのが、私どもの考え方でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 株主がそれを一つ一つ株主総会に出て指摘して、取締役の責任を追及するという現実が日本の株主総会にはありませんから、それで通っちゃうわけですね。だから、それをなくそうと思うと何らかの法的規制を考えないと、商法上のものであろうと税法上のものであろうと、それはまたおのずから別論になるけれども、本来株主が株主総会に出てそういう違法なものを指摘し、弾劾し、改めさせるというこの会社法上の理想というものが、とてもいまの株主総会の現実では達成されそうもないから、そうなると、何か法的な規制をどっかで考えなきゃいけないんじゃないかというのが私の一つの提案なんだけれども、これはどうだろうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、先ほどからちょっと申し上げているわけでございますけれども、この監査役の監査段階では、たてまえといたしましては使途不明金というものはないということでございます。したがいまして、監査役につきましては、先ほど申しましたように、もし虚偽の監査報告書を作成するならば、かなり重大な責任が生ずるということになるわけでございます。  もちろん、そういう重大な責任を生ずるということについて自覚しない人につきましては、これはやはり制度としてはそれ以上のことはできないわけでございまして、やはりその任に当たった人が、そういう法律上は大変な責任を負うのだということを自覚していただいてその職務を遂行してもらうということが必要ではなかろうか、また、そのためには、そういう責任が生ずるのだということは、やはり周知徹底させなければいけないのじゃなかろうかと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、その議論はもうたてまえ論なんだね、何回言っても。私ども現実に監査役協会の役員と電話だけれども話をして、余り使途不明金をやかましく言われても困るんだというようなことを言われているわけですね、友人のOBに。だから、たてまえであなたの言われるように、監査役はとことんまで追及して、違法なものを認容しちゃいけないのだというたてまえはわかるんだ。しかし現実にあるんだ、それは。しかも、年間何百億もあるということが税務当局から発表されておるんだから、その現実に対しては目をつぶるのか、何とかしようというのか、どっちかと聞いているんだ。たてまえを聞いているんじゃない。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 一面の立場からのみ申しますと、会社の支出がすべて明らかになっておって、しかもそれがいささかも問題とすることのないような支出であることが望ましいという考え方もあろうかと思いますけれども、やはり現実に動いております会社の実態というものに着眼をしてみますと、そこにはいろいろの支出がある。会社としては企業の秘密というようなこともありましょうし、あるいは得意先に迷惑がかかるというようなことから、その支出の行く先を明らかにしたくないというようなものもあろうかと思うわけでありまして、私どもは現在の制度としては、現行法並びに今回の改正法の考えております程度というものを一応考えておるわけでありますけれども、さらにこの制度の運用の実績などを見まして、そしてただいま御指摘のような問題も将来の検討課題としていきたいと、こういうふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあこれは、しょうがない、是認しますというわけにはいかぬだろうし、しかし何とかしなきゃならぬ問題で、会社の社会的責任を考えますと、やはりいま局長が言われたように、何とか将来の検討課題として十分これは検討していただきたい。  法務大臣に伺いますが、やはりこれは政治的な腐敗を防止する要請ともかかわりを持っていますし、本来、使途不明金なんかあってはならないわけですよね。だから、これはやはり将来の重要課題の一つとして検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいますように、ないことが一番望ましいと、こう思います。どういう関係のものが実態的に一番多いのかよくわかりませんけれども、おっしゃいますように、今後ともどういう姿勢をとることが一番よろしいのか、なお引き続いて検討していきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから、法制審議会の答申の中に、会社の金銭の無償供与についてのディスクロージャーの答申がありましたね。これは経団連あたりの大変な反対があったようですが、その一つ一つの支出の明細を明らかにしろという要請もあるし、総額を明らかにしろという要請もあります。いずれにしても、やはり政治的な腐敗防止という見地から大きなかかわりを持っていますので、この法制審議会の答申というのはどこまでも守ってほしいと思うけれども、現実にはこの線は崩れたようですね。この点をちょっと説明していただきたいと思うんですけれども。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 御質問の点は、計算書類等の公開の問題で、特に営業報告書の記載事項あるいは記載方法についての問題であろうかといいうふうに理解をいたしましたが、この点につきましては法制審議会で一応の御議論をいただきまして、そして民事局参事官室におきまして五十四年の十二月の二十五日に「株式会社の計算・公開に関する改正試案」という試案を作成をしたわけでございます。その試案によりますと、ここでは「業務報告書」という言葉を使っておりますけれども、営業報告書のことでございますが、営業報告書には「法務省令で定めるところにより、会社の業務の状況に関する重要な事項を記載しなければならない。」というふうになっておりまして、この点は法制審議会においてもそういうことでよかろうということになったわけでありますが、記載内容につきましては特に法制審議会で決めて答申をいただいたというようなことではございません。  試案には「注」といたしまして、「業務報告書の記載事項を次のように定めることはどうか。」ということで(a)から(i)までの項目を掲げておいたわけでありますけれども、この点について試案を公表して各界の御意見を伺いましたところ、いろいろな御意見がございました。そういうものを参酌をいたしまして、そして法務省令で定めるということになろうかと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なかなか意味深長な答弁で、参酌してというのを、どっちの意向を参酌するかでずいぶん結論が変わってくる。経団連などは、余り使途不明金の一つ一つの明細なんかは明らかにされちゃ困る、総額もどうだろうかというようなことなんでしょう。だから、その点あなたとしては、やはり一つ一つの使途不明金も追及していった方がいいと考えていらっしゃるのか、総額だけで足ると考えていらっしゃるのか、その辺固まっていますか。固まってないなら固まってないでもいいんだけれども、参酌という非常に含みのあるお答えだから、ちょっとお伺いしたい。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 今回の法制審議会の審議の一環としてこの問題が取り上げられておるわけでありまして、事柄は法律の規定を置くよりはむしろ省令にゆだねるべきことであるということで省令にゆだねられましたけれども、内容自身については、法制審議会における審議と無関係に決めるというわけにはまいらない事項でございます、従来のいきさつから考えまして。で、法制審議会の審議の過程におきまして、省令を定める場合には法制審議会において御検討いただくということをお約束しておるというようないきさつもございます。  その際に、この試案が一つのたたき台になるのであろうというふうに考えておりますけれども、その改正試案をたたき台として先ほど申しました各界の御意見を参酌をする、そしてそれによって出てまいりました法制審議会の意見を聞いて法務省令を定めるということでありまして、まだ内容は固まっておりませんけれども、そのときに問題になりますのは、一方において今回の法改正がディスクロージャーの強化ということを一つの柱にしておるわけで、他面また、会社の企業秘密というようなこともございます。また、ディスクロージャーのために、それによって得られる利益と比較して過大な経費と申しましょうか、コストを会社に負わせるというようなことも避けなければなりません。その辺のところの兼ね合いを考えて、結論を出すことになろうというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法務大臣にお尋ねしますが、つまり今回の改正でも、とかく経団連や何か財界の意向が強く反映し過ぎているという批判があります。それは、財界などが強く自民党に働きかけ法務省に圧力を加えるということ、これはわれわれもあり得ることだと思っておるんですけれども、やっぱり法務省は社会的正義の実現を図る、法秩序を維持するというかけがえのない使命を持っておられますから、余りそういう外部からの圧力をそのまま大臣が受けとめて、事務当局にそれを押しつけるということがあってはいかぬと思うんですよ。その点、法務大臣が毅然としてやはり法の番人としての立場を守っていただきたいと私は考えるんです。大臣の御決意はいかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 法制審議会は、御承知のように官界、学界、財界、各方面を網羅しているわけでございます。いずれ省令を諮問いたします際には国会での論議も私は披露すべきじゃないかと、こういうことを言っているわけでございまして、全く法制審議会の自由な論議にゆだねて結論を出していきたいなと、こう思っております。特別な圧力をかけるなどというようなことは毛頭考えておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣は法制審議会の会長でもいらっしゃるし、これは特に守っていただきたいと思います。  それから、自己株式に対する質権の設定ですね。これは最高裁の判例で東京地裁に対する差し戻し判決があったんですね、あれは高裁に対する差し戻しだったか。ともかく絶対無効論をとっておるようですね。今度は二十分の一の範囲内、発行済み株式金額の二十分の一以内だったか、これについては質権の設定を認めるという、こういうたてまえをとりました。これに対しては、相当東京税理士会などの反対論があります。今度の改正に反対する一つの有力な根拠に数えられておるんですね。これはどんなふうにあなた方はお考えなんでしょうか。  つまり、東京税理士会の反対理由というのは、そういうことをすることは中小企業の立場を弱めるというような反対論があったように思いますが、あなた方はどういうふうに考えていらっしゃるか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいまの反対意見というものも私ども聞いたことはございますが、中小企業が、何と言いましょうか、関連の企業から自分の会社の株を持てということを言われる、そしてその株式に質権を設定して金を借りるということが多くなるのじゃないか、強制されるのじゃないかと、こういう御意見であろうかというふうに思うわけでありますけれども、私どもは今回のこの改正によりまして、ある限度において自己株の質受けを認めたということによって、中小企業にとっても金融の道をむしろ広くしたというふうに考えております。  ある会社の株を持っております場合に、それを従来は、その発行会社に質入れすることはできなかったわけでありますが、今後はその発行会社に対して質入れすることもできるということになるわけでありますから、金融を得る道が広がったと、こういうふうに考えておるわけでありまして、その反対理由というものは理解できないというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何か参事官の方で補足するところはありませんか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) いま局長から申し上げましたように、たとえば下請に対して元請といいますか、元請会社が自己の株式を新株を発行した際に下請に持たせる、その持たせた際に、株券を渡さないで実質的に質取りしておくという例が出てくるのではないかという御指摘であろうかと存じますけれども、そういう場合に、下請に対しましては元請としては原則として担保を要求するというのが普通の形でございます。  そういたしますと、もし自己株式を損保として取らない場合には、ほかの担保を取らなきゃいかぬということになるわけでございまして、いずれにしても、担保を取るという点では同じであるということになるわけでございます。しかも、これは非常に実務的な問題でございますけれども、実際に不動産等の担保を取りました場合には、登記等でいろいろな手数料、費用がかかるわけでございます。一般に、そういう手数料、費用等は債務者の負担ということになるわけでございまして、これは決して担保価値の大きい不動産等である場合にはばかにならないという問題があるわけでございます。それに対しまして、株券の場合でございますと、事実上預かっておくというような形で、非常に簡易な形でできるという点からも、かえってやはり担保のコストも下がるのじゃないか。  むしろ、そういう点から考えますと、全体から見て決して中小企業がこれによって困る、あるいは圧迫されるという問題ではなかろうと、このように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま局長と参事官が御説明になったことは、私も大体そういう趣旨のことは税理士会の方々に御返事したところなんですけれども、また、さらに愚見を聞いてみて御質問するかもしれません。  それから、大企業の中のソニーが、何かこの自己株式の取得禁止の問題について相当食いついたということも聞いているんですが、それはどういう事情に基づくのか、この辺のことをちょっと御説明いただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先生御指摘のように、一部の企業から自己株式の取得については緩和してほしいという要望があったことは事実でございます。  その理由といたしましては、主にこういう緩和を要望いたしましたのは、アメリカで資本取引と申しますか、業務提携をやって、その業務提携の一つの方法といたしまして相互に株式を交換するという形をとるわけでございます。そういう業務提携で株式交換の契約をいたします場合には、その契約を履行するためには、その前提といたしまして双方の会社で自己株式を持っているということが必要になるわけでございます。  と申しますのは、つまり、もし現在日本で相互に業務提携で株式を持ち合うということになります場合には、実際には大株主に相談した上で、大株主から株式を放出してもらって相手に渡すということをやっているわけでございます。ところが、これは実際の契約の効力という問題から考えますと、自分が持っている株を放出するということであるならば、契約の当事者が放出するわけでございますから、直接の義務者が放出するということで契約上何ら問題がないわけでございますが、もし第三者に頼んで放出してもらうということであるならば、第三者がこれに応じなかったという場合には、契約上の義務を履行できないという問題が出てくるわけでございまして、そのために自己株式を相互で持っているということが必要になってくるわけでございます。  そういう点から、自己株式の取得制限というものを緩和してほしいということになったわけでございますけれども、まだ今回の改正におきましては、自己株式取得制限の理由でございます資本の実質的な払い戻しであるとか、あるいは実際に議決権を行使できる株式が少なくなってしまう、その結果、総会決議の歪曲化が生ずるというようなことについての対策がなかなか見つからないという問題がございます。  それともう一つは、アメリカでは、この自己株式の取得というものを原則として制限なしに認めているわけでございますけれども、アメリカにおきましても、取得した自己株式についての経理上の処理ということについて混乱が起こっていると聞いているわけでございます。つまり、自己株式というものを市場から額面価格で買えるということであるならば、これは買ったものをその分だけ資本から差し引くということでよろしいわけでございますけれども、つまりアメリカ法におきましては、自己株式の取得を自由に認めるかわりに、経理上の処理といたしまして、自己株式を取得した分だけ資本から差し引くという処理をしているわけでございますけれども、ただいま申しましたように、時価で買い入れた場合にはその分だけ資本の額から差し引くということでもよろしいのですが、額面額以上で株式を買い入れた場合に、その超過分をどこから差し引くかということにつきましては、学説、実務ともに混乱しているわけでございます。  したがいまして、そういう点を明確にしない限り、わが国の法制に取り入れることはまだ困難なのではないかということで、今回は見送ったわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次は、株主総会についてお尋ねをしますが、日本での株主総会の審議時間といいますか、開会から閉会までの時間が警察庁の調べで出たんだけれども、これは上場会社七百七十四社の統計のようですが、十五分以内が三百三十九社、四三・五%、十五分から三十分以内というのが三百九十五社、これが五一%、したがって、全くしゃんしゃんしゃんで終わってしまう事実上儀式みたいな株主総会が一般のようであります。これはアメリカ、イギリス、西ドイツなどの状況を聞いてみるというと、かなり時間を長くかけて株主の質問に応じる、実質的な討議が行われて時には夜半に及ぶというようなことを聞くわけでありますが、この差についてはどこからそういう原因が出てくるのか、いろんな見方があるようですね。  法務省としては、日本の株主総会と西欧の株主総会との間にどうしてこの差が出てきたのか、こういう状態が望ましいものと考えておられるのかどうか、この点ちょっとどんな考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) やはり日本の国民性の違いと申しましょうか、そういうことにも影響をしてくるのではないかというふうに一つ考えております。議論をして結論を出していく、場合によれば投票によって決をとっていくというようなことがむしろ普通の状態であると聞いております諸国に比較しまして、日本の場合はなるべく全会一致で決めたい、あるいは議論をすると後にしこりが残るというようなことを申しまして、円満な解決をするというようなことが基本にはあるのであろうと思います。  それから、やはり株主の構成と申しましょうか、考え方というようなことにも影響があるのではなかろうかというふうに思います。株主が株を持って、そしてその会社の経営に参加するというのではなくて、むしろ株式を持つのは投機のため、あるいは投資のためであるということで、経営参加の意識なり意欲なりというものは余りない、要するに株の値上がりを目的に株を買う、あるいは配当を目的に株を買うというようなことでありますから、株主総会が形骸化をするということであろうと思います。そして、そういう土壌の上に、あるいは総会屋の活躍でありますとかというようなことで、ますます株主総会が形骸化をしておるということではなかろうかというふうに私ども見ておるわけであります。  こういう現象は決して望ましいことではない、好ましいことではないというふうに思うわけでありまして、今回、少しでもこの株主総会の形骸化が進まないように、むしろこれを引き戻して株主総会を生き生きとしたものにしたい、これはそのためにできる法律的な手当てというものは何であろうかということで若干の改正を準備したわけでございます。  たとえば、総会屋の排除の手段、方法をとったというようなことでありますとか、あるいは少数株主に対しまして提案権という制度を認めたというようなことでありますとか、あるいは取締役、監査役に株主総会における説明義務を認めたということでありますとか、いずれも株主総会を少しでも実質的な討議の場にしたい、株主に参加の意欲を持ってもらいたいということのねらいのもとに考えた改正でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 確かに取締役の説明義務、これは株主の質問権の裏返しだというこの間の御説明でしたね。それと少数株主の議題の提案権、これを認めた。総会魔に対する金銭の供与を違法とした、犯罪にもしたというそういう努力は確かにある。それも、今度の商法改正案を評価する私なりの理由の一つでありますけれども、いま局長のおっしゃった総会屋というのは日本だけの現象かと調べてみると、いやアメリカにもあるんですと、ただアメリカの方の総会屋は株主の味方なんだ、株主から対価をもらっておるんだというようなことを見るわけでありますけれども、日本の場合は一体どういう存在なのか、どんな活動をしているのか。  これは大体のことは頭に入っているけれども、警察庁の方、来ておられるかしら。−総会屋の問題についてちょっとあなた方に御説明を聞いてみたい。総会屋というのは一体どのぐらいの数おって、どんな活動をしているのか、まずこの点について御説明をいただきたいと思います。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 総会屋の数は、若干年次によって出入りがございますけれども、昭和五十五年末現在の調査の結果を申し上げますと、約五千八百人おるというように把握をいたしております。  なお、警察が総会屋と言っております場合には、いわゆる狭い意味の総会屋、すなわち、総会における活動を中心としてこれに関連していろいろ財産上の利益を得るというそういう形態のもの、狭い意味の総会屋だと思いますけれども、それに加えて、いわゆる雑誌ごろでありますとか会社ごろでありますとか、そういう形で企業に常習的に寄生しているという者も含めて広くとらえておりますので、そういう意味に御理解いただきたいと思いますが、そういう広い意味の総会屋が、昭和五十五年末で五千八百人いるということであります。うち、暴力団員と目される者が一千百人程度いるということでございます。  それで、活動態様でございますけれども、いま言いましたように広くとらえておりますので、主たるものは、この株主総会をめぐって企業から金品を得ましたり、あるいは企業のミスをたねに、あるいは役員のスキャンダル等をたねに企業から金品を恐喝する、取得する。そういう総会屋本来の姿に加えまして、最近は重要な特徴として、暴力団自身が先ほど申し上げましたように千百人もいるわけですが、それ以外の総会屋も何らかの形で暴力団と結託をしている、関係を持っているという形が最近出てきておりまして、そういう面で、私どもとしても暴力団対策の面からこれは無視するわけにはいかないということで、この総会屋問題を重視して取り組んでいるところでございます。  それで、その特徴的な活動でございますけれども、一つは、その活動の多様化傾向というのが言えるのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、その主たる活動は株主総会、株主権の行使に関連をして財産上の利益を取得するというのが本来の姿でありますけれども、それ以外に、雑誌とかその他の刊行物を刊行して、それを背景に広告料であるとか購読料名下に企業から定期的に賛助金を得る、あるいはゴルフコンペ、セミナー、講演会、あらゆる形の各種の催し物を開催しましてそれによって収入を得る、そういうふうな形があらわれております。  それからまた、無視できないもう一つの傾向としまして、大都市における総会屋に対する締めつけが厳しくなったせいか、最近は地方都市にも進出をいたしておりまして、そういう何といいますか、活動の場の広域化と申しますか、そういう現象があらわれてきているというのが、総会をめぐる活動を総括してみた場合の特徴点と言えるかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは警察の出された資料に、暴力団の総会屋が二千八十九名という何か表を見たことがあるんだが、いまあなたのおっしゃったのは千百人というんだが、これはどこからそういう違いが出てくるんだろうか。——ちょっと余りたくさん読み過ぎちゃっていま出てこないんだけれども、何か暴力団の総会屋が二千八十九名、出版ごろが九百七十七名、計三千六十六名、「暴力団とのつながり」という項の中でそういう数字を見たことがあるんだけれども、この点はどう理解したらいいんだろうか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) いま御質問のもとになりました資料がどういう資料かちょっと私承知いたしておりませんけれども、私どもの方で公式につかんでおります数字を申し上げますと、過去の五十一年以降のいかなる年をとりましても、最高のときが暴力団は千二百人というとらえ方でありまして、五十一年が六百、五十二年が六百、五十三年が千、五十四年が千二百、五十五年が千百ということでありますので、ただいまの御質問の数字はちょっと私どもよく承知しておらないところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはまた調べることにして……。  それから、警察の何というか、いろんな書類だけじゃなくて、新聞社の出しているやつがある。あるいはそっちの方のあれかもしれぬけれども、ずいぶん総会屋に貢いでいる会社があるものだと感心をしたんですが、億以上の賛助金を出している会社が五社ある。その中で、三億五千万円も払っている会社もあるというような記述があるんですね。二千数百人の総会屋とつき合っている会社がある。そんなことを読んだこともあるんだけれども、どの程度の利益を得ているかというようなことは、やっぱり警察で把握しておられますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) これははっきりはわからないわけですが、五十三年に、必ずしも総会屋だけに限りませんけれども、暴力団に一体いかなる金額が流れているだろうかという推計をいたしたことがございます。その際に、その一つの対応として総会屋についても推計をいたしておりますが、そのときに総会屋一人の年収と申しますか、総会屋活動を通じて得られるであろう収入というのは約一千万であるというような数字が出ておりまして、先ほど申し上げましたように五千八百人おるわけでございますから、したがいまして一千万を五千八百人の者がかせぐわけでありますので、約五百八十億程度の金が総会屋に流れているのじゃなかろうかという推計をいたしたことが五十三年当時ございます。その後二年を経ておりますので、いまもそのような数字が通用するかどうかはわかりませんけれども、一つの目安として御参考までに申し上げます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはあなた方が大分総会屋を締め出すための努力をして、企業にも呼びかけ協力を求めているという、そういう新聞の記事がありますね。その実績は上がりつつありますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 企業に対する働きかけは二つの対応で行っておりまして、一つは、自主防衛組織を結成していただく。特暴協であるとか企暴協であるとか、いろいろな名前がついておりますが、名称のいかんを問わずに、こういう総会屋に対して企業側が団結をして情報交換をしたり結束をしてこれに対処する、そういうための基盤的な組織として全国自主防衛組織を結成させておりますが、これが徐々に実を結びつつありまして、これまでのところ、三十五県において七十八団体、加盟企業数二千七百三十一社というように自主防衛組織の結成が着々と進行中であり、現にそれを足場に総会屋対策として効果を上げつつあるというのが、一つの動きでございます。  もう一つは、こういう組織を基盤として、総会屋に対して賛助金を打ち切る、あるいはカットするという作業を進めてもらうように強力に働きかけをいたしております。これも、五十五年末現在で賛助金打ち切りの対象となりました総会屋が四百六十三人、カットの対象となりました者が九百四十二人というように、これもやはり年年数はふえておりますので、そういう意味では、企業側の総会屋に対する姿勢というものが徐々に本来の姿になりつつあるし、私どもが進めておる対策も効果を奏しつつあるというように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、警視庁管内特殊暴力防止対策連合協議会というものがあるようですね。これの出した会報、五十五年九月十八日の号外というものを読んでみると、株式会社制度がある以上は総会屋はなくならないなどという、非常にがんこに総会屋の存在を評価しておる会社もあるようですね。それからまた、あなた方の呼びかけに応じて手を切るように努力しておる、もうすでに手を切ったというようなものもあるようです。いまの「株式会社制度が存続する限り総会屋はなくならない。」というのが百五十五社、四六・三%と、そういうアンケートに対する回答を寄せた会社がアンケート調査に応じた会社の中では一番多数のようですね。  しかし、あなたのおっしゃるように、着々成果も上がっているようですが、あなた方としてはどうですか、今度の商法改正によって事実上総会屋への金銭の供与——株主権の行使に関してという条件がありますね。この解釈が問題になるけれども、しかし、株主に対してやる分には、株主権の行使と推定するというんだから、かなり範囲は狭めることができるけれども、今度の商法の改正でそういう株主権の行使に関して金銭の供与を禁じたというこの規定、これは罰則もついている、これはあなた方の目指す総会屋の僕滅作戦に強力な武器になり得ますか。どんなふうに考えていらっしゃいますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 今回の商法等の改正案の中に、総会屋に関連して、私どもは直接的に影響があると思われる点は二つあるというふうに考えておりまして、一つは、いまの御質問にございましたように、四百九十七条が新設をされて、利益供与は禁止、罰則が加わるということで、会社側ももらった方も罰せられるということで、これは大変総会屋締め出しに有力な根拠となるのではないかということが一つ。  もう一つは、面接的にそれをねらってやられたわけじゃないとは思いますが、間接的な効果として例の単位株制度でございますね、これがやはり有効に働いているようでありまして、従前ですと、少数の株を株分けして、それをもとに株主総会に出席をしていろんな諸活動をして株主総会を混乱に陥れるということがやれたわけでありますが、今回は単位株制度によりまして、最低でも五万円の金を払わなきゃならないということで、いままで賛助をしていただいていた会社すべてに五万円を投資するということは、やはり大変な資力を要するわけでありますので、そういう意味からも、間接的に総会屋が活動がやりにくくなっているということでありまして、現実に彼らの間に出ている反響をとってみましても、その二つが今回の商法改正案に盛り込まれたことによりまして、従前のような総会屋活動はもう不可能である、やはりこの際新しい方向を見つけなくちゃならないということで、現実に別の他の方向に転業した者もおりますし、その他の方法を模索中である者もあるようでございます。  現実に効を奏し始めておるという現実を見ましても、私は今回の商法の改正案というのは、総会屋対策上きわめて有効に機能するというように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それで、あなたとしてはこの商法の規定を活用していく、それからあなた方も鋭意取り締まりを進めていく、会社に対しても協力を求め、そして意識の変革を進めていく、そういういろんな方法をやっていけば、総会屋の僕滅というのは可能だと思いますか。やはりこういう悪者というものを一掃することは困難だと思いますか。どっちです。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、総会屋というものをどのようにとらえるかということによっても違うわけでありまして、先ほど申し上げましたような狭い意味のいわゆる株主権の行使に関連して財産上の利益を得るという形態の活動を行っている総会屋につきましては、今回の改正案というものは大変もろに有効に機能するというように感じるわけでありますが、私どもがとらえております総会屋というのは、もう少し先ほど申しましたように広い概念でありまして、いわゆる雑誌ごろ、会社ごろも含んでおりますので、そういうものにつきましては、直接的に今回の改正案というのは関連はしてまいらないわけであります。  これはやはり商法の守備範囲と申し上げるよりも、むしろ刑法その他の問題でありましょうから、私どもはやはりそういう多角的に法令を適用してその種のものについても従前同様に取り締まりを強化して、今日の企業をむしばんでいる社会悪というものを剔決して、正常な会社の機能というものを回復させたいというふうに考えているわけであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大体わかったから、あなたは結構です。御苦労さまでした。  いま警察の目から見た総会屋の実態というものをいろいろ御説明をいただいたわけですが、最後の結論の中で、つまり、株主権の行使に関連して株主総会でいろいろと策動をしてそれを支配する、そういうものは努力によってなくせるんじゃないだろうか。しかし、たとえば出版ごろというような株主総会と一応離れた総会屋といいますか、そういうようなものは、これは警察の方としてちょっとなくならないんじゃないかというようなそういう結論のようですが、この商法は、しかしいわゆる株主総会の運営を支配するというか、そこで大活躍をする総会屋だけを対象にして、株主権の行使に関連しない出版ごろというか、私も実務をとっている監査役に聞いてみると、こういう雑誌を出します、広告費を欲しいと言うから広告費をやると雑誌は全然出ない、そういう出版ごろみたいな者がおるわけでしょう。そういうものはとても撲滅できないという話だったように思いますね。これは商法のらち外と見ていらっしゃるのかどうか。これはどうです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 御質問にもございましたように、商法は私ども一つの組織法というふうに考えておりまして、ここでは株主総会ということが問題になりまして、その株主総会の形骸化というものに対してどう対処するか、適正な運用、運営ということについてどう対処するかという観点からとらえるものですから、株主権の行使に関する金品の供与というものを規制の対象にいたしておるわけでございます。  株主権の行使に関するということでありますから、必ずしも議決権の行使そのものではなくても、株主になる、あるいはならないことの対価として金品を受け取るというようなことも規制の対象になるわけでありますけれども、先ほどから問題になっております会社ごろ、出版ごろというようなものは、むしろどちらかというと、暴露記事をたねに金を取るということであれば恐喝というようなことにもなりましょうし、あるいは出版をすると言いながら金を取って出版をしないということであれば詐欺ということになるのかもわかりませんが、そういう一般犯罪として商法のらち外の問題であるというふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 武蔵大学教授の西山さんという方がおられるんですね。この方の論説を読むと、株主、金融機関、地域住民、学識経験者、国税庁などで検査役会をつくってその代表が取締役会の会長になる、そこで公認会計士を選任する、不正があれば社長も解任できるようにする。——社長解任というのは株主総会の権限になるからこれはおかしいかな、これは公認会計士を解任できるようにするという意味かもしれないですね。そういう一つの提案をしておられるようでありますが、これは民事局の方もこういう提案を聞いたことがありますか。もしあるとすると、それについてはどういう意見を持っておられますか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 具体的なその方の提案そのものは伺ったことがございませんけれども、株式会社というものは株主のものであって、株主総会を中心に運営していくものであるというそういう考え方に対して、だんだんと株主総会だけではなくて、あるいは株主だけではなくて、従業員はもちろんのこと、地域社会でありますとか、その他のいろいろな利害関係を有する層があるので、そういうものをひっくるめた一つの団体というものが会社の運営に関与すべきであるというような御意見はあり得るというふうに考えるわけでありますけれども、私どもはやはり株主総会を中心に会社の運営を考えていく、そしてそこに何らかのその他のものの関与を認めるとしても、それはあくまで必要欠くべからざる場合に例外的に認められるべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまのは私も新聞記事で見たんです。ことしの一月二十六日の朝日新聞に、たしか「内視鏡」というのがあるでしょう、ああいうコラムで。そのコラムに、いまの西山さんという方が述べておられるんですよ。その最後の方にあるから、ちょっと参考にしてください。  何にしても、総会屋が議事を取り仕切るという実態をなくさないと、個人株主が出ていって発言するというようなことは、とても不可能なように思いますね。ですから、あなた方としては、こういう規定を設けたりいろいろ努力をして総会屋が議事を取り仕切る、そして善良な株主がそこへ出て自由に発育をするというそういうチャンスを奪わないようにしたい、そういう一連の理想から、ずっと商法の規定の整備を図っているという点は間違いないんでしょうね。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) おっしゃるとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、今度、株主総会の権限から定期的な計算書類の承認というのは除いちゃいましたね。そうすると、役員の選任と利益処分に関してだけが総会の決議事項、それから実際問題としては営業の譲渡であるとか、重要な財産の処分であるとか、いろんな重要事項はあるけれども、普通ではその二つが大体株主総会の議題になってきますね。ところが、その中から定期的な計算書類を除いてしまった。これは、ちょっとやっぱり批判を受けざるを得ないんじゃないかと思いますが、どういうふうに考えていらっしゃるか。何か説明書を見ると、そういう技術的な計算書類は一般の株主にはなかなか理解しがたいからというようなことがちょっと書いてあるけれども、ただそれだけで株主総会の権限を取っちゃうというのは、権限を取ったわけではないけれども、かける必要をなくしたというのは、ちょっとまずいんじゃないかと思いますが、これはどうでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいまの御質問は、いわゆる大規模会社、監査対象会社につきまして、今回、貸借対照表と損益計算書を株主総会の承認事項から外したということの御指摘であろうかというふうに思いますけれども、確かに、御質問の中にもちょっとございましたように、貸借対照表にいたしましても、あるいは損益計算書にいたしましても、いずれも数項目、いやむしろ十数項目にわたる項目についての大きな数字あるいは言い方によっては細かい数字というふうな言い方ができるかもわかりませんけれども、が掲げてあるわけでありまして、しかも、その数字が出てきたのはどういう根拠に基づいて、どういう方式をとって、基礎になる数字はどういうことであるかということになってまいりますと、これはいわゆる資本の額が五億以上である、株主も数千人であるというような会社にとりましては、株主総会の決議事項としてふさわしくないのじゃないか。株主総会の議論の対象にするということは必ずしも適切でないというふうに考えるわけでありまして、こういう大会社につきましては監査役もおれば、あるいは会計監査人もおるわけであります。しかも、今回の改正によりまして、従来取締役会が選任をいたしておりました会計監査人は株主総会が選任をするということになるわけでありまして、会計監査人が株主総会の代理人としての役割りを果たすというような面もあるわけであります。  でありますから、株主総会がみずからそういう計算書類を審議しないでも、株主総会が選任をいたしました監査役が、会社の業務の実態に詳しいわけでありますから、これが監査をする。それから、会計の専門家である会計監査人、これも株主総会が選任いたしておりますので、株主総会の代理人、比喩的に申せば代理人としてこういった計算書類を審査をする。そして、監査役なり会計監査人なり、いずれもがそういった計算書類が適法であるという意見を付しました場合には、これは株主総会の承認事項にすることはしないということで、むしろ実態に合うのではないかというのが今回の改正の趣旨でありまして、要するに事務の合理的な配分ということが言えようかと考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこで、この場面ではあなた方の言うたてまえ論が後退しちゃって、現実の実務上の便宜といいますか、そういうものを優先したんですよね。だから、先ほどの監査役の任務などに関してのたてまえ論優先の立場とこの場合では全く逆になっちゃって、現実の事務的便宜論が優先しちゃったんですね。だけれども、なるほどそれは、貸借対照表なり損益計算書というのは、われわれ見ても会計学的にいろんな技術的なものがあるから完全にはわからないけれども、しかし、読んでわれわれなりの評価を下したりなんかして一応の意味を持つわけですね。それは、なるほど株主総会が選任した公認会計士が監査人となって監査をして承認を与えている、監査役も承認したと、だから大丈夫じゃないかというのはわかるけれども、しかし、やっぱり重要な会社の財務状態を象徴しておるそういう書類は、内容はやっぱり株主総会にかけて承認をとるという慎重さが望ましいんじゃないだろうか。  もちろん、株主総会オールマイティーだから、かけようと思ったらかけられるわけですね。それは構わない。しかし、かけなくてもいいという規定を置いてしまったら、特例会社の場合はみんなかけませんよ、それは。そうすると、一般の株主にとっては、会社の経理状況を知ろうと思ってそれば唯一の機会であるそういうもの、もちろん新聞紙にはときどき出るけれども、その書類を受け取るという機会を失ってしまうわけで、これはやっぱり私はたてまえを重んじて、株主総会の承認を経るといういままでの規定をそのまま置いた方がよかったと思いますよ。余り経済界の実情というものに流されちゃって、大丈夫ですよということで、株主総会の承認義務というものを外したのはまずかったと、私はそう思いますがね。  私、これは実は何となく頭にひっかかっていたんです。しかし、いままであなた方の御説明を伺って、ああ、そういうものかなと思った。そこで、われわれの友人の大企業の監査役に聞いてみたんです。大企業の監査役も、やっぱりこれはあった方がいいと言うんですね、実務家が。だから、あなた方の方は、少しこれは現実に堕し過ぎたと思うんだけれども、これは再検討の余地はないだろうか。いかがです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) たてまえ論を私ども重要に考えておりますけれども、事柄によりましては現実も見なければならないというふうに考えておるわけでありまして、現状の姿といたしましては、結局、株主総会におけるこれらの計算書類の審議というものはもう形式に流れまして、結局、株主総会で承認をされたということが取締役会あるいは代表取締役にとっての一つの隠れみののようになっておるのじゃないかというふうに考えるわけであります。  ただいま、ある監査役の方が、こういう制度はあった方がよかったというふうにおっしゃったわけでありますけれども、結局、株主総会の承認を得たと。しかも、形式的な審議によって株主総会の承認を得たということが一つの隠れみのになって、そういった取締役、監査役にとっては、責任逃れになっておるのではないかということを考えるわけで、むしろ取締役会の決定事項である、もちろん監査役なり会計監査人なりの適法意見を条件にしてでありますけれども、取締役会の決定事項であるというふうにいたしました方が、取締役なり監査役なりの責任を強化するゆえんではないかというふうに考えるわけでありまして、一つのあらわれは、現行法に二百八十四条という規定がございまして、「定時総会ニ於テ」この計算書類の承認がありました後、「二年内ニ別段ノ決議ナキトキハ会社ハ取締役又ハ監査役ニ対シテ其ノ責任ヲ解除シタルモノト看做ス」という規定があるわけでありまして、今回、この規定を削除したわけでありまして、取締役なり監査役なりの責任は、これによって解除されないということになったわけであります。  それともう一つ、株主総会の承認事項ではございませんでも、計算書類は株主に開示されるわけであります。しかも、監査役の監査報告書をつけて株主に開示をされるわけでありまして、株主としては株主総会においてこれに対して質問をすることもできる。取締役なり監査役なりは、株主の質問に対して説明義務があるわけであり、それからこの計算書類の結果出てまいりました利益金その他の処分につきましては、これはまさに株主総会の決議事項でありまして、利益金処分案は株主総会において審議されるわけであります。その前提として、取締役は株主総会において計算書類についての報告をしなければならないというようないろんな手当てをしておるわけでありますから、これらの計算関係あるいは利益金の処分関係について、株主総会が全く関与しなくなったというわけのものではないわけでありまして、むしろ形式的な部分は取り除いて実質的な面に着眼をして、そして実質的な面についての審議を尽くしてもらいたい、株主総会らしい審議を尽くしてもらいたいというのが改正法のねらいでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方の御説明を承ると、それなりのやっぱり理由はあるようですね。株主総会の審議というものがもともと非常におざなりな形式的なものだから、それを前提にして考えると、おざなりな形式的なものに余り執着して、それを外すのはどうかというたてまえ論を通すのも現実的でないという評価がなされるかもしれない。この点は私は一応疑問を提示して、それからあなた方の御説明をもう一遍そしゃくしてみるということにします。  それから、今度は書面投票制度という制度を新しく導入しましたね。これは証券取引法に基づく委任状との関係について、委任状が株主総会の通知に一緒に入ってきますね。その委任状の方法をとった場合には、この書面投票制度というものは後退して、委任状にその席を譲ってしまうと、こういうたてまえでしょう。そうじゃないですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) おっしゃるとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、せっかく書面投票制度という株主の会社の業務に参加する唯一の細い道をあなた方がつくられたわけだから、それはいまの委任状の制度よりも参加の直截的な意味を持つから、委任状の方法よりもこっちの方が望ましいのじゃないですか。だから、株主にどちらをとるかという選択権を与えるとか、あるいは両方が並行する場合には、書面投票制度を優先させるという方にした方が望ましいんじゃないかとか、この辺どうです。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 確かに先生が御指摘のように、いわゆる委任状勧誘制度よりは書面投票制度の方が直截的であるということは言えると思います。  ただ問題は、御承知のように、この委任状勧誘規則でございますけれども、これは昭和二十三年から施行されているわけでございまして、各会社では委任状勧誘制度というものに非常になれ親しんでいるということがございます。従来からやってきている方法、これは御承知のように、いま株主総会の招集通知等々はみんなコンピューターでやっておるわけでございますけれども、そういう点から見まして、今回書面投票制度というものを新しく設けたということになりまして、直ちに委任状勧誘制度にかえてしまうということは、やはり事務手続上、相当いろいろな困難があるのではないか。順次やはりこれに切りかえていくようにした方がよろしいのじゃないかということで、混乱を避けるためにこの制度をとったということが、こういう二つの制度を並行させたということの一つ。  もう一つは、実はこれは私どもの所管ではないのでございますけれども、この証券取引法に基づきます委任状勧誘制度につきましても、現在見直しが考慮されているということを聞いているわけでございます。さらによりよい制度にかえていきたいというような考慮も払われているようでございます。したがいまして、ここで直ちに委任状勧誘制度はだめだということで廃止するということではなくて、やはりこの制度についても将来見守っていきたい。そうして将来、実際に実務でどのようになっていくかということを見た上で、この両者の併存、あるいはどちらか一つを残すということを考えていった方がよろしいのではないかということで、今回の改正におきましては、とりあえず併存をするということにいたしたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 よくわかりましたが、ただ一つ、いまの委任状制度というものを認めた場合に、確かにわれわれも一つか二つ千株ぐらい持っているやつを、来ると、もうめんどうくさいからほっておきますわね。だけれど、不正を働いた、また、チッソみたいな会社のやり方が非常に極悪非道であるというような場合には、けしからぬと、会社の貸借対照表を認めないというようなことを意見を書いて、この議題は反対だと、こう言って出す場合、それは書面による投票制度とみなしちゃうというような擬制というか、フィクションみたいな制度を置くわけにはいかないでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) これは御承知のように、面投票の結果はそのまま議決権になるということでございますし、委任状の場合は、さらに代理人が選任されて、それが議決権を行使するということでございまして、結果として、いずれにしましても、その株主がどのような意思を表示したかということが明確にならなければいけないわけでございますので、いわゆる法律関係の明確化という点から、やはり委任状制度と書面投票制度というものは画然と区別されたものでないと、法律関係は混乱するのではないかと思います。  ただいま先生御指摘のような問題でございますけれども、もちろん書面投票用紙の記載方法につきましても、これは法務省令で定められるわけでございますけれども、その点が明確にされるように考慮がされることと思いますけれども、それと同時に、現在の委任状勧誘規則におきましても、これは規則の三条でございますけれども、「勧誘者が被勧誘者に対して提供する委任状の用紙は、株主総会の目的たる事項の各項目について被勧誘者が賛否を明記することができるようなものでなければならない。」という規定がございまして、この点からも、この被勧誘者と申しますか、委任状を作成した株主の意思は明確に表示されるようにという配慮はされているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、今度はぜひ大蔵省の証券局の担当官に来てもらっていろいろと質問をしたいと思いますけれども、しばしばアメリカの証券取引委員会ですね、あのSECのような機関を日本に設けてはどうかというような立法論がありますね。いまは行革がにしきの御旗になっているから、新しい制度をつくれなんて言っても現実的ではないかもしれないけれども、しかし、日本の証券局ではとても株式会社の不適正な経理などというものを是正はできない、どうしても証券取引委員会のようなものをつくって目を光らせなきゃだめだという立法論がありますね。これに対しては、法務省としてはどんなふうに考えていらっしゃるんですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 私どもも折に触れてアメリカのSECという機関についてのお話を聞くわけでありまして、アメリカにおいてはそれなりの実効はおさめておる、働きをしておるというふうに聞くわけでありますけれども、これまた、国情の違いもあり、あるいは制度の沿革の違いもございますので、これをわが国に持ってきて直ちに期待するような機能を発揮するかどうかという点については大いに疑いがあるところでありまして、むしろマイナスの面もあるのじゃないかということを考えるわけであります。私どもとしては、現在のところ、自主的監視機能の充実強化ということでやってまいりまして、四十九年に第一段の法改正がございまして、会計監査人による監査制度というようなものも新設をされたわけであります。  今回、一歩を進めましたその自主的監視機能の強化というものを、さらに二歩、三歩と前進させたいというふうに考えておるわけでありまして、この方向でさらに努力をしてみたい。そして、その実績によって、公的な監視機能というものがどうしても必要なのかどうかということは、これは将来の検討課題に残したいというのが、現在の私どもの考え方でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、株式の保有の問題についてお尋ねしたいと思いますが、日本では個人株主は数では決して少ないことはないようですね。しかし、その持ち株数から言うときわめて低いといいますか、アメリカのたとえば半分近いんじゃないですか。いま大体三〇%ぐらいが目標になっておるようで、東京証券取引所の場合は、上場会社の持ち株比率は三分の一を割らないように、それを上場維持の基準としているということのようですね。この個人株主が非常に少ないということは、会社が会社の株式を保有する——いま私どもも知っている会社というものは、ほとんど他の株式会社が出資してつくった株式会社、銀行が出資しておる、生命保険が出資しておる、それから関係の関連する会社が出資する、これでもってほとんどもう占めてしまって、一般の大衆が株式を保有する、所有するということはきわめて少ないようですね。この現実に対しては、法務省としては別段意見がないんですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 株主の法人化と申しましょうか、法人株主の増加、個人株主の減少ということは現実の姿としてはあるわけでありますが、私どもとしては、やはり株主というものは本来は個人であるということが望ましい。法人が法人の株を持って、しかもそれが例外なしにそういう形になるということは、これは望ましくない姿であるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは学者の意見をそのまま御紹介すると、いまやメカニズムがメカニズムを支配しておる、何かわかったようなわからないような表現でこれを説明しておるようであります。結局、株式の所有というものが無意味になったという学者と、いや、その会社が株式を保有しておったとしたって、結局はやっぱり所有権が支配をしておるんだというのと、その説も二つに分かれておるようですね。これは、いま望ましくないという御意見のようです。確かに日本の一般大衆が株式を買うというのは、非常に何か投機のように後ろめたさを感じて、郵便局に貯金しちゃう、あるいは銀行の定期にするというような方に足が向くものだから、よくアメリカの映画でわれわれが見るように、大抵の人間が株式を持って、それでもって将来の生計の足しにするというような考えは余りありませんわね。  しかし、いま局長もおっしゃったように、望ましいことじゃない。これをどうしたらいいのか。東京証券取引所が三〇%のラインというものを守ろうと思って必死になっておる。それだけでいいのか。商法のいわゆる規定するらち外にそれはあるのか。やはり商法が望ましくないというならば、そこへ一歩足を進めて、何とか個人株主がふえるように、一般大衆が株式という形の投資をするように進める方策をとるのか、そういう何かあなた方の抱負みたいなものはないんですか。いまのところはもう五里霧中というか、まだいまだ固まらないというのか、その辺どうですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 事柄は、やはりまず証券行政の問題であろうと思いますので、第一次的には、私どもの方ではなくて、所管の官庁が別にあるというふうに考えるわけでありますけれども、私どもも商法という法律を担当する部局としてそれなりの関心を持っておるという事柄であります。いろいろと法人株主の増加の問題、さらには、それが特殊な法人相互間における株式の相互保有の問題という実態が進んでおるわけでありますから、これに対して何らかの手当てと申しましょうか、そういうものが商法で可能であろうかというようなことは考えておりますけれども、必ずしも適切、的確な解消策というようなものも見当たらない。相互保有という形をとらえて、それに対する規制をするというようなことでもあろうかというふうに考えておりますけれども、引き続き法制審議会におきましては、株式会社についての基本問題であります企業結合、結合企業という問題を審議することになろうと思いますので、その際にいろいろと検討をしていただく、われわれもまた検討したいと、こういうふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何か実際の実務家に聞いてみますと、日本では会社の乗っ取りが多いのでそれを防ぐためには安定株主が必要なんだ、だから自分の関連会社にやっぱり株を相当持ってもらうのが一番安心できるのだというようなことを言いますね。それからまた、昭和四十年に資本自由化が実現したときに外資が入ってきて、外資で乗っ取られちゃ困るという、そこでこれまた安定株主をつくっておくということから、関連の会社に株を持ってもらうとか、取引のメインバンクに持ってもらうというようなそういう考慮が働いたという人もあるようですね。だから、これはいろんな点を考えて、あなた方にまた知恵をしぼっていただかなきゃいけないと思うんです。  それを要望して、きょうは体も余りよくないので、質問を終わります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩    ————・————    午後一時八分開会

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 きょうは、藤原委員の御好意で順序を上へ上げていただいて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  最初に、証券市場の問題であります。  この証券市場の現状というのは、これはどういう考えの人、それは資本主義を守ろう、あるいはこれに反対するという、そういう考えの人の立場を乗り越えて、やっぱり現状に対してはまゆをひそめるものがあると思うんです。そのことを最もはっきり示したのが今回の誠備事件であると、こう思います。ですから、新聞でも大変批判的な記事が続いておりまして、逃げ出す大衆、まるでばくち場と、一握りの大口客が動かしているとか、あるいは投機筋が力を握っておって一般客は手を出せない、そういう密室の中で行われている等等、大変批判的な論調が続いております。  その点に関して、これはことし三月十七日の朝日新聞、日本証券経済研究所顧問の熊取谷さんがこの問題に触れて、こういう指摘をしています。「「誠備問題」をきっかけに株式市場のあり方が問い直されている。今まで出ている論点を整理してみると、次の三つに帰するだろう。イ目に余る投機化ロ個人株主の比率が極端に減少し、大衆を疎外した法人投資家本位の市場になっているハ大手証券会社が市場を独占的に支配している。」ということで、各論点触れておるわけです。  そこで、大蔵省証券局にお伺いしますが、大蔵省としてもこの点について認識は変わりないかどうか。まず、どうでしょうか。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) ただいまの御質問でございますが、私、企業財務課を担当いたしておりまして、いわゆる企業内容開示制度の方の担当者でございますので、そのお尋ねの件について直接的確にお答えできるかどうか疑問でございますが、やはり御指摘のような証券の流通市場を健全なものにするというふうなたてまえから、証券局におきましても証券会社に対する通達を先般も出したばかりでございますが、その市場の健全化という観点からの指導を、こういう事件をきっかけにして行っておるというところでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題については午前中の寺田委員の質問に対して、法務省の方では証券行政の問題であるという答弁だったんです。しかし、私は、これは決して株の取引の問題が法務省に関係ないということであってはならないし、またそういう趣旨ではないと、こう思うんですね。  そこでお伺いしますが、いまこういうマスコミでも指摘されている各論点について、法務省としてはどうお考えか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 個人株主の減少ということにつきましては数字が示しておるわけでございまして、昭和二十五、六年から三十年ごろにかけて約六〇%以上、七〇%近くあった個人株主が、現在では三〇%台になっておるという数字が示しておるわけでありまして、否定しようにも否定することのできない現象であろうと思うわけで、誠備問題で顕著にあらわれたところでありますけれども、現在の株式市場が非常に投機化しておる部面があるということも、これもただいまの御指摘のとおりでありまして、大手証券の独占の問題につきましても、これは私ども実態はよくわかりません。直接の担当者でございませんから実態はよくわかりませんけれども、いろいろと耳に入ってくる話あるいは新聞、雑誌の記事等によりますれば、そういった傾向が見られるということであります。  商法を担当いたします私どもといたしましても、直接のこの問題の関係者ではないといたしましても、関心を持つと申しましょうか、若干その点の傾向について危惧を持っておると申しましょうか、そういうような心境でございまして、商法の上で何かこれに対して手当てをする、規制をするというようなことができるかどうかというような問題は絶えず考えておるわけでございますけれども、必ずしも的確な手段、方法が見当たらないというような実情でございます。しかしながら、少しでもこの健全化に近づくようにあらゆる問題について機会あるごとにその方策を検討もしておりますし、また、将来検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題は、どうもイタチごっこのようなんですね。なぜ投機化するかというと、個人株主が少なくなり売買の対象物件が少ないから、要するに、わずかの金を動かすことによっても買い占めが可能だとか、また、そんなことがあって個人株主が少なくなる、よけいにそういう方向を進めていくという、こういう現状です。    〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕 前回からもこの問題についてお伺いしていますが、どうもそれに対する、この流れを食いとめる方策はどうもないようですね。経済の流れに対して法はむしろ後追いであって、こういう方向を食いとめるということはどうも出てない。しかし、私、それではやはりいかぬだろうと思うんですね。  そこで、これは単に私は技術的な問題であってはならないと思うんです。これから指摘をしますように、かなり抜本的な問題です。国の政治全体の問題、さらにいけば、やっぱり労働者の賃金の問題にさえなるんですね。というのは、これも後で指摘しますけれども、結局、戦後ある程度財閥解体で株が放出されたけれども、そのときに国民に金がなくて、その株をみんなふところに、自分のものにできなかったんですね。そういうようなこともあってこの傾向はますます進んでいるわけですから、そこまでの大きな政策の問題だと思うんですが、しかし、商法の改正ということ、商法の面から見て、私はさらに改善すべき面はあるんだという点から、これから若干の指摘をしたいと思うんです。  本当は、この点は証券局の担当者が来ておればお聞きする予定だったんですが、どうも直接の担当でないようですからこちらで指摘しますが、こういう状況に対して証券業界の中でもやはり反省が生まれておるようです。それで、証券政策委員会という証券取引所の諮問機関が、昭和五十五年一月十六日に答申を出しました。その中で「株式投資魅力の回復策」ということで、「発行企業における配当性向の重視」、二番目に「無償交付の促進」、三番目に「個人株主が不利になっている税制面の改善」とか、さらに四大証券で構成されております株式問題研究会でも、「配当政策の見直し」とか、「税制の問題」とか、「株式分割を促進し、」云々というようなことが指摘されておるんです。こういう問題をずっと集めてみますと、たとえば「株主総会白書」というそこにも同様の指摘がされておって、これはもうほぼ共通の認識になっていると思うんですね。  そこで、これらを列挙してみますと、まず配当の問題、それから無償交付をしたらどうかと、こういう提案もなされています。それから株式分割、これはもっと売買しやすいようにと。それから株主安定工作に対するチェック、そしてディスクロージャー、そういうようなことが指摘されておるんです。  その一つ一つについてお伺いしますが、株式分割ということが指摘されているということは、前回私が指摘をした単位株式の問題とはこれはむしろ逆行する、逆の方向じゃないか。むしろ私が指摘したように、個人株主を逃す方向に今回の改正というのは手をかすことになるんじゃないかということが、私は証券業界内部からも指摘されているんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 単位株制度につきましては、前回も申し上げたかと思いますけれども、個人株主の減少と申しましょうか、株式に対する投資魅力の減少ということに、私どもは直接の関係はないというふうに考えておるわけでございます。  ただいま御指摘ございました幾つかの点でございますけれども、まず配当改策の点につきましては、これも私は証券行政のまず一次的には問題であろうと思いますけれども、従来とかく経営者の間には額面株式を時価で発行いたしまして、そしてその時価と額面との差額を資本準備金として積み立てる、額面金額のみを資本に組み入れる。そして、資本に対して一割配当であるとか、あるいは二割配当であるとかというようなことを重視する傾向があったわけでありますけれども、今回の改正におきましては、時価とそれから額面金額との非常に開きの多い時価発行が頻繁に行われておるということに着眼をいたしまして、発行価格の二分の一を超えない金額のみを資本に組み入れないことができるというような改正をいたしまして、従来の資本中心に配当率を考えるという考え方についての一つの警告とも言うべきものを考えたわけでございます。  それから、商法の関係で申しますと、ただいまのディスクロージャーというようなことが問題になるわけでありますけれども、ディスクロージャーの強化につきましても、それ相当の手当てをしたという次第でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 一つ一つ聞いていきますが、まず配当の問題です。いま配当率はどれくらいになっているとつかんでいますか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 配当率とおっしゃる趣旨が私どもわからないわけでございますが、利回り、つまり時価に対する配当率という意味でございますと、大体一%ないし二%と非常に低率になっているように聞いております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この点について、これは大蔵省証券局年報五十五年版によりますと、各期の利益の中に占める配当金の割合が大体少ないですね。少ないときには、これは昭和四十八年ですが二六・四%、普通大体三〇%台。逆に社内留保が多くなって、これは大体五〇%、六〇%というようになっております。  それから、いま言われた時価に対する前の、額面に対する配当率でも大体だんだん減っています。昭和四十四年に一一・七%であったものが、五十三年には八・九%、年々これは減っているわけですね。だから、もう株主が魅力を失う傾向にまさにある。また、それを放置してきた、そういう国全体の政策の問題が一つあるわけです。そして、稲葉さん先ほど言われた時価に対する配当率は、一時二%のときがありましたけれども、大体一・三%から一・五%ということで、もういわば投資をしてその配当で食っていこうなんということは考える対象でなくなっているということが、一つあると思うんですね。  それと同時に、もう一つ配当の中身を企業別に見てみると問題があると思うんですが、大体配当の基準なんというのはないのじゃないかと思うんですが、その辺はどうつかんでおりますか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 配当の基準という趣旨が必ずしも私、理解が正確であるかどうかわかりませんが、先ほど局長がお答え申し上げましたように、日本の企業は安定配当という考え方が非常に強うございまして、額面株式を発行している場合には、額面に対して一割なり一割五分というようなものを安定配当にするという考え方があるようでございます。これは利益が多くなる、あるいは時価が高くなるということにかかわらず、そういうことにするということになりますと、まあ相対的に利回りは低くなると、こういう傾向になるわけでございます。あるいは配当性向が低くなると、こういうことになるわけでございます。  もう一つの基準というのは、利益の何%を配当に回すかという考え方でございまして、これはいわゆる配当性向と言われるものでございまして、外国ではこういう考え方が非常に強いと言われておりますし、日本でもだんだんそういう考え方を取り入れる企業が多くなった。たとえばパイオニアというような会社は、一株について三十何円の配当をしているというようなことでございまして、そういう利益の相当部分を株主に対して配分するという、そういう基準でやっている会社もあるようでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私の政治的立場から言いますと、株主に対する配当をもっともっとふやせ、時価を基準に考えろというのはあるいはおかしいように見えるかもしれませんが、しかし、いま現にこれは資本主義社会ですね。そこでやっぱり大衆株主がおる、営々として働いたお金で株を買った、その人の財産はやっぱり保証しなければいかぬ。そういう面から申しますと、そういう配当の問題についてもひとつ国の指導ということが必要ではないか。大体国に配当政策なんというものはあるんだろうか、それに対する考え方ですね。その点はどうですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) これは商法の立場から純粋に申しますと、結局、利益のうち幾らを配当し幾らを配当しないで社内に留保するかということは、株主総会が決定することであるというふうに申し上げざるを得ないわけでありまして、株主総会が決めればそれに従うほかはないということになろうかと思います。決定するのは株主総会、多数の株主でありますから、その株主が配当は少なくてもよろしい、社内留保を多くすべきだという考え方であるならば、それも一つの選択であろうというふうに考えるわけでございます。  株主に対する利益の配分というのは、何も配当だけに限ったわけではございませんで、社内留保を厚くすれば結局株価が上がるというようなこともあるわけでありますから、配当とプラス株価の値上がり、すなわちキャピタルゲインということをプラスして判断すれば、どちらが株主に対して有利になるか、不利になるかということは、結局、先の見通しとの関係であるというふうになるわけでありまして、そこの見通し、判断というものを株主総会に任せるということになろうかと思います。  国の政策ということになれば、これは私の方ではないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いまの局長の答弁は、個人株主が圧倒的に多い場合、昔のように七〇%台の場合にはその理屈でいいと思うんですね。ところが、もう何度も指摘されているとおり、法人株主が逆に多くなる、数も逆転している、そういう状況ですと、結局は経営者の意向で決まってくる。大体、安定株主操作なんというのは、いわば経営者がお互いに株を持ち合っている中でできてきたことですね。局長のいま言ったことは現状に合わないんじゃないか。理屈ではまさにそのとおりです。現状は、そういうことを幾ら個々の株主がそう思っても、時価によってやっぱり配当をしてほしいと思っておっても、またそういう要求が強くても、しかしまた、そういう要求が認められないからこそみんな逃げてしまうんですけれども、現状は、そういうことはもうむしろ経営者の支配という現状から、まず実現不可能ではないかと、私はそういう疑いを持つんですが、どうですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいま私申しました株主の選択というのは、必ずしも法人株主、個人株主を問わず、両者に妥当する考え方であろうというふうに考えるわけでありまして、配当で取るか、あるいは株のキャピタルゲインで取るかというようなことは、これは税制とも関連をしてまいります。あるいはどの程度の期間、株を持つかというような立場にも影響される問題でありますけれども、個人株主必ずしも配当を望み、法人株主必ずしも社内留保による値上がりを望むというわけでもない。株主は株主として、共通の利害関係を持っておるというふうに考えるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私は主に個人株主を中心に考えて、そういう点から論議を進めたいと思うんですが、そういう面から見ますと、値上がりの問題、確かにあるんですね。しかし、大体値上がりによって得をした株主なんて大衆株主の中におるんだろうか。ある時期はもうかったかもしれません。しかし、戦後ずっと見まして、それは全体的だからそれはいろんなのがあるけれども、相対的に見ていわゆる戦後導入された大衆株主というのは株の値上がり問題で得をしたのか損をしたのか、その点はどう理解していますか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) どうも私どもの余り得意でない分野でございますけれども、つい先日新聞を見ておりましたら、これは証券業界の広告でございますからどの程度評価していいのかわかりませんけれども、五年ですか七年ですか前から上場会社の全株を一定の割合ずつ持っておった場合には、五倍でありましたか七倍でありましたか、かなり大きな数字を挙げて、それだけ倍に時価がなっておるというようなことが載っておりましたから、全体としてはやはり値上がりによる利益というものは株主を潤しておるのじゃないかというふうに、私どもは漠然と考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 漠然ということで、実際私は、それは全体でそう上がっているからもうかっておるはずだという計算はできるかもしれぬけれども、先ほど新聞記事にもあったとおり、そういう値段が上がっていく中でもうかったのはごく一握りの人、圧倒的多数の大衆はやっぱり損をしてしまって、それでこれはとても退職金を投資するようなものじゃないというので全部引き揚げてしまった。それが私は戦後の歴史であったのではないかと、こう思うんですが、そういう認識はありますか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) いま局長がお答え申し上げましたように、値上がりを、つまり日本経済の発展を見越してずっと株を握っていた株主は確かにこれはもうかったわけでございまして、そして個人株主の比率がだんだん低下してきたということも歴史的事実でございますが、その過程で個人株主が株を手離していったというのは、それぞれそのあたりが株価の天井だというふうに考えて手離していったのではないか。その背後には、インカムゲインと申しますか、このまま持っていてもむしろ利子と配当とを比べてみれば利子の方が高いという現状があって、そのまま持っていてキャピタルゲインが果たしてどのくらい得られるかという見通しがつかなかったためにだんだん手離していったという、こういう現状があるのではないかというふうに考えておりますけれども、しかし、これは私どもの専門分野ではございませんので、これ以上正確なお答えばちょっとできないわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 あなたの方も専門でもないですね。——じゃ、それはいいです。だから、問題点の指摘だけ私はしたいと思うんですが、確かに一定期間を単純に見ればいま稲葉さん言ったとおりなんですが、そうは問屋は卸さないんですね。そこで、これは証券界の専門家でも、大手証券会社が市場を独占的に支配しているということで、結局はもうからなかったんです。私は周りに聞いても、株でもうかったという話は聞きませんね。結局は損をしているんですね。ですから、そこに一つの大きな問題があった。  だから、いま考えてみれば、戦後の証券民主化というのは、結局はたくさんの人々の金を集めるための手段にすぎなかったのではないか。そのことを多くの国民が見抜いてきたからこそ、もうそんなところには投資しないと。だから、幾ら私は小手先のことをやりましても、なかなかこれはうまくいかぬのじゃないか。だから、全然対策をしてもむだだとは申しませんけれども、それがやっぱり基本にあるのじゃなかろうか。そういう抜本的なところから考え直す必要があるという、こういう指摘をしたいと思うんです。  それから、そういうことに対応して、ある時期には大衆からたくさん金を集めて資本にしたのですが、その後、それよりはもっと効率のいい資金を集められるということが、やっぱり銀行その他からの借金ですね。そういう点は私は歴然と数字上出ているのじゃないかと、こう思うんです。この点で、これはおわかりになるかどうかですが、借入金とそれから自己資本の割合、もっと端的に申しますと、全体の資金の中における自己資本の比率、これはおわかりになりますか。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) これは証券局の資本市場課というところで法人企業統計というものを出しておるのでございますが、この法人企業統計によりまして一番新しい時点、昭和五十四年の年間に調査いたしました企業を対象に先生のお尋ねの数値を出してみますと、総資本に対します企業の自己資本の割合は一四・三%というふうな数値になっておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 これは大蔵省証券局からもう少し長い期間の資料をもらったのでこれを紹介しますと、自己資本比率は昭和二十五年には二六・九%、昭和三十年に二九%とふえましたけれども、その後は年々減りまして昭和三十五年に二〇%になって、後はずっともう一〇%台、そして五十四年に一四・三%、これも法則的にずうっと自己資本比率が減っているんですね。それに対して借入金対資本金比率、これを見てみますと、昭和二十五年に二五六・五%だったものが、要するに資本金に比べて借入金の割合が二五六・五%だったものが、これは逆にどんどんふえまして、五十四年には七三七・三%ということなんです。  そこで、これは法務省の認識をお聞きしたいんですが、もう株式市場がああいう状況ですから、そこから資金を調達するよりは、むしろ借入金の方が費用が安く済むし、めんどうくさくないし、その方がいいんではないか、こういう傾向が出ているのとは違うかと、こういう私は心配をするのですが、その点はどうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 近藤さんがどういう意図で聞いておられるのかよくわからないのですけれども、私はそんなにいまの株式事情、悪い見方ばかりする必要はないじゃないだろうか。もちろん、誠備グループのような行儀の悪いやり方につきましては、取引所の方でもっと指導力を発揮してもらいたいものだなと、こう念願をするわけであります。市場でも指導をするいろんな方便を持っておるわけでございますだけに、私はもっとやってもらいたかったなという感じはいたします。  しかし、いま私は株式が個人で買われているのは、配当を取るというよりも、値上がりを私は期待して買っておる面が非常に多いのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。それだけ日本の経済の先行きに対して私は期待を持っているからじゃないだろうかなと、こう思うわけでございますし、また、外国の資金が日本の株式市場に流れ込んできているのも私はそういうところにあるのじゃないかなと、こう思うわけでございます。  先ほど局長が言いましたように、企業がそのもうけをどう処理していくかということはいろんな考え方があると思うわけでございまして、ただ配当に回すだけが株主に有利だというわけではない。いままでは株主に対しまして増資の場合も割り当てしてきた。このごろは時価発行が非常に多いようでございます。また、時価発行で得ました利益は無償交付で株主に還元もしているわけでございまして、そういう意味で、そのような方法をとってもらった方が株主に有利だという場合もあろうかと思うのであります。また、単に配当だけを取るのなら、大型の公共事業株を買えば、私は利回りは非常にいいのだろうと思うのであります。それは株主の選択によることじゃないか。また、配当政策もそれぞれ所管の政府の方でも必要な指導はしておられる。  たとえば、大蔵省の証券局は、証券会社の配当につきましていろいろな指導をしているようであります。また、銀行局は、銀行の配当についていろんな指導もしておるわけでございます。これは、やはりそれぞれの企業の性格によりまして国がくちばしを入れていいのもあるし、また、入れるべきでないのもあろうかと、こう考えているわけでございます。  同時にまた、借入資本が多くなって自己資本が少ない、税制とも非常に関連するだろうと思いますし、また、景気の先行きとも非常に関連すると思うのであります。先行きが、どんどん設備拡張していけるようでありますならば、ある程度期限も伴うものでございますから、借入資本金をどんどんふやしていく、また、そういう企業なら金もどんどん貸していくだろうと、こう思うわけでございます。日本の自己資本比率が非常に低い、私ももっと安定した運営ができるようにするためには、自己資本比率をふやしていかなきゃならぬと思いますけれども、発展の過程においては私はそういう行き方もあり得るのじゃないだろうかなと、こう思うわけでございます。  根本的には、私もこの間ちょっとお答えを申し上げたわけでございますけれども、資本市場が拡大した割りには株式数が絶対的に不足しているのだ、それが個人株主の減ってきている一番の原因だと、こう言われているわけでございまして、私もそうだと思っているわけでございます。しかし、やはり個人株主をふやしていく方向をとっていきたい。とっていくためには、私はいろいろな政策があると思うのです。  たとえば、個人所得税について二重課税を排除するためには、配当控除の率をもっと上げていったらいいじゃないかと、こういうことであるかもしれません。むしろ若干下げてきているようでございます。あるいはまた、自己資本比率をふやしていくためには配当課税、法人税において軽減措置をとったらいいじゃないかと、こういうこともあるわけでございまして、これについてもいろんな変遷があるわけでございまして、やはり総合的に考えていかなきゃならぬわけでありますけれども、やはり私は株式市場というものが企業の資本を確保するそれなりに機能を果たしてきている、また、機能を果たしてきているからこそ、株価がなお上昇してきているのじゃないかと思うのです。  株がどんどん下がっていくようでしたら、株式市場が資本を確保する市場にはなり得ないのじゃないだろうかなと、こう思うわけでございまして、いろいろ悪い点、御指摘いただくのはいいのですけれども、私はどういう意味でおっしゃっているのだろうかなと疑問に思いながら、先ほど来ずっと聞いておったわけでございまして、たまりかねてこんなお答えをさせていただいたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 結論は一番最後に申し上げるつもりですけれども……。  いま大臣指摘されましたけれども、株の値上がりによる利益というんですが、しかし結局、その利益を得るのはごく一握りの資本やごく一握りの人々ということを示したのが、今回の誠備事件なんですね。ですから私は、今回の事件というのは、そういう意味じゃ、やっぱり株式市場に個人の金が入ってくることに対してずいぶん大きなマイナスになっただろうと、こう思っておるんです。そういう面では、もうマイナス要素がずいぶんだくさんあって、よけい個人保有の条件をなくしているんじゃないか、こういう指摘をしたかったわけです。  そういう点で、一番大きな要素である法人のお互いの持ち合いの問題ですね、私はこれがやっぱり一番本質につながってくるのだろうと思うんですが、その規制として今回、四分の一を超える株式を保有する会社に対する議決権、これを規制したということは、それはそれなりの私は前進であると、こう思うんですが、この立法のねらいをひとつ答弁いただきたいと思うんです。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) まず、株式の相互保有に対する基本的な考え方でございますけれども、株式の相互保有自体がすべて悪いというわけではないわけでございます。つまり、ある程度業務提携をするというような場合には、互いに株を持ち合うということも円滑な提携の運用という点から望ましい場合もあるわけでございます。ただ、これが度を過ぎた場合には議決権の歪曲化であるとか、あるいは資本の空洞化であるとか、そういう問題が生じてくるということになるわけでございます。  ところで、現在、じゃわが国におきまして、いわゆる株式の相互保有というものがどういう形で行われているかと申しますと、いわゆる何々財閥系と称せられる会社が互いに持ち合っているという実情があるわけでございますけれども、そのお互いの持ち合っている株式数というものは非常に少ないということでございます。したがいまして、それに参加している会社数は非常に多いわけでございますけれども、持ち株数としては現実に少ないわけでございまして、そうなってくると、たとえばその財閥系に属している会社すべてが一時に倒産してしまうというようなことになりますと、これは資本空洞化の弊害が出てくるということでございますけれども、およそ現在ではそういう事態は考えられないということでございます。したがいまして、いまのようなわずか一%、二%ずつ互いに多くの会社が持っているという相互保有状態が果たして悪いのかどうかという問題、まず第一点にございます。  それから、よしんばそれが問題だということになったといたしましても、法技術的に互いに一%、二%持っているものを制限するという方法が果たしてあるだろうかという問題がございます。そういう点から今回は、そういう問題については今後さらに企業結合等で考えていかなきゃいけないのではないかということで、直接規定の対象にはしなかったわけでございます。  ただ、先ほども申しましたように、はなはだしい相互保有というのは議決権の歪曲化あるいは資本の空洞化というような問題もございますので、ちょうどドイツがいま二五%をもって相互保有の限界といたしておりますけれども、そういう他国の例もございますので、それにならいまして、要するに商法としては相互保有というものを決して野放しにはしないのだ、問題のある相互保有についてはやはり好ましくないということを明らかにするという立場から、二五%を超える相互保有につきましては議決権の行使ができないというふうにしたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この好ましくない相互保有の限界というのはなかなか出てこない、むずかしいと思うんですね。と同時に、これも私は資本の論理といいますか、経済の流れというか、自然にほうっておくと好ましくない相互保有になってしまう、そういうものだと思うんです。日本の場合には、私はその兆しがもう相当はっきり出てきていると思うんですね。  というのは、アメリカの法人所有と中身を見てみると違うわけでしょう。アメリカの場合の法人所有の内容は信託的な、別に個人がおって、その人のための信託的な所有ということですから、実質的なバックがあるわけです。それに対して日本の場合には、そういう面よりも、むしろいま指摘されたような経営上の目的、そういう別の要素でこの相互持ち合いをやっているという傾向が大変強いと思うんです。  そこで、これも法務省の認識をお聞きしたいんですが、法人は何のために他の会社の株を所有するのか、これは幾つか類型あると思うんですけれども、つかんでおられる状況をお答えいただきたいと思います。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) もちろん、一番基本的な持つ条件というのは、投資のためというのが一つあるわけでございます。そのほかに業務提携と申しますか、取引を円滑に行うために取引先の株を持つというようなこともございますし、それから系列化と申しますか、そういうものの一環として株式を持つという類型もあるわけでございまして、その持つ動機というのはさまざまなものが考えられるというふうに思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 このうち資金運用の面というのは、私は大変動機としては少ないのだと思うんですね、先ほど来具体的に数字を挙げてきましたように、とにかくもう配当率は少ないんですから。これはもうたとえば銀行なんかで見れば、人様の金を借りてこんな低い利回りだったら、これはもう全然、まさに背信行為ですね。だから、資金運用の要素というのはきわめて少ないので、先ほどもお答えがあったようなお互いの相互関係をよくする、相手企業との友好関係を維持するということが、私はやはり中心じゃないかと思うんです。これも言葉ではいいんですね。言葉ではいいけれども、それがだんだん積み重なって系列化になり、そしてその頂点に商社が存在し、あるいは銀行が存在するという系列化になってくるという、これはやっぱり一つの資本の論理ですよね。経済の流れです。  そこで、これはやっぱり大きな弊害が出てくるんじゃないか。そのことによって、かつての財閥支配にかわって、いまやごく少数の企業グループの支配という要素がこれは出てくる。だから、単に好ましい相互保有——本来、相互保有なんというこういう抽象的な議論じゃなくて、まさに現実を直視して、要するに株式の取得によってその企業を支配するという、こういうことはもう必然的に行われてくるんだ、こういう認識を持って対処するということが必要でないかと思うんですが、どうですか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 確かにおっしゃるとおり、企業グループという形でいろいろの仕事が行われているということは御指摘のとおりでございますが、それに対する弊害に対しましては、独占禁止法というような別の規定もあるわけでございまして、その企業結合自体がいけない、抽象的に企業結合自体が悪であるというふうに決めつけてしまうわけにはいかないわけでございまして、その運用と申しますか、その企業の行動がおかしければそれを規制するという態度が望ましいのではないか。  また、もちろん商法あるいは証券取引法の立場としても連結決算制度を導入するというようなことを考えて、企業集団全体としてその企業の姿というものをとらえていくという努力は必要でございますし、また、先ほども局長から申し上げましたように、企業結合の問題というのは非常に大きな課題でございますので、今後とも商法全面改正の一環としてこれについての検討作業は進めなければならないという、こういう認識は持っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 確かに、独禁法の問題という面が主要な問題だと思うんです。せっかくできた財閥解体、持ち株禁止が、戦後いち早く一番大事な場所がこれはもう骨抜きになってしまったからこそ、現在また起きているわけですね。    〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕 確かに、独禁法違反という具体的な事例が出てくればそれなりに対処できるんでしょうけれども、なかなかこれは表へ出てこないもの、しかし実際上は支配が進んでいるという、こういう面があるんですね。  そういう側面と、もう一つ、資金をしっかり調達するという面からも問題があると思うのは、こういう事例なんですね。たとえば、ある生産会社が商社に援助を求めて商社が株を持つと、商社は銀行から融資を受けるわけですね。この生産会社は、結局、その系列の関係でその銀行に金を積むんですよ。だから、銀行は結局紙切れちょっと書いたことで、金は動かないでまた銀行へ入ってくる。ここへ行き着く要素を持っているんですね。だから、ある生産会社が増資をした、あるいは設立をしたと。当然そこに資本ができるはずだけれども、実際上は金は銀行から商社へ、商社から生産会社へ行ったと思うけれども、銀行へ行く。結局、資本充実の原則をいわば経済的に免れている、こんな面が出てくるということは、学者が大いに指摘しているところです。こういう問題についての認識と対応策はあるんですか。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 法律的に、それが互いに花見酒と申しますか、互いに金をキャッチボールして資本額をふやしていくというようなことが起こりますれば、これは資本の空洞化というゆゆしき事態が起こるわけでございますけれども、そうでない場合には、名目上と申しますか、貸借対照表の上ではちゃんと資本金ができておるわけでございまして、それが基準になって配当等の制約もできる、あるいは資本充実の原則の適用があるということでございますので、その相互持ち合いが非常に行き過ぎた状態になればそういう事態も起こり得るであろうというふうには思いますけれども、いま直ちにそういう状態になっているというふうには思わないわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この問題の最後にしますが、四分の一というところに一つ基準を置いたんですが、この四分の一という根拠と、そしてこれによっていま私が幾つか指摘したような問題点ですね、それを十分にチェックできるのかどうか。というのは、確かに一企業であればそれは一%とか二%とかわずかなものでしょうけれども、これはもうはっきり言われているとおり、グループで持っているわけですから、全体とすれば二五%をはるかに超える、あるいは五〇%その他を超える高い比率をそのグループが持って、そこで支配をするという関係があるんですね。この辺、確かにむずかしい問題あると思うんですが、現状はそういうのがどんどん進んでいる、そういう状況の中で今回のこの改正でそれがチェックできるかどうか。どうですか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 先ほど来もちょっと触れましたけれども、二五%といたしました根拠には二つございます。一つは、ドイツで二五%以上の相互保有については制限しているという海外の立法例もございます。それからもう一つは、これは実質的な意味でございますけれども、主としてアメリカあたりで言われているのでございますけれども、二〇%を超えた場合には、大体持った会社が持たれた会社を支配できるということでございます。つまり言ってみますと、もちろん二〇%そのもので直ちに支配ということは言えないのでございますけれども、一応の推定が生ずる。したがって、もしその反対の立証がない限り、支配されているのだというふうな考え方があるようでございます。  今回、商法を改正するにつきまして、そういうふうな立証の問題として相互保有の問題を考えるわけにいきませんので、二〇%を超える、つまり二五%ということになったならば一応これは支配力があるのだということにいたしまして、先ほど来も申しましたドイツの立法例も参考にいたしまして、二五%ということにしたわけでございます。  これの効果でございますけれども、先ほども申しましたように、先生ただいま御指摘の一%ないし二%のものは相互持ち合い、つまり大きな環状的相互保有というものは規制できないのじゃないかということでございますけれども、これにつきましても、果たしていまそういう一%ないし二%の環状的な相互保有というものが、相互保有という問題から見まして果たして弊害があるのかどうかという問題でございます。もちろん、この場合に、その大きな環状的相互保有に所属している会社のすべてが一遍に倒産してしまうというようなことになりましたならば、これは問題が出てくると思うのでございますけれども、そういうことは現実的には実際にはあり得ないということになりますと、これはやはり極端にそういうものがあらわれてくるというところをとらえて規制していくということが法技術的にもこれは可能でございますので、この程度でよろしいのじゃなかろうかということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 一時期に倒産するかどうかという問題はこれは資本充実の原則の問題で、もう一つの重要な側面、企業支配という面については一企業で二五%持ったら規制できるけれども、数グループの企業支配に対してはどうも手の打ちようがない、こういう状況であることがはっきりすると思うんですね。対処はむずかしいと思いますけれども、これは今後の問題として、ひとつ御研究を願いたいと思います。  時間もあとありませんので、ディスクロージャーの問題についてお伺いしますが、ディスクロージャーについてはやっぱり二つあると思います。一つは、株主保護という先ほど来問題になっている点です。それからもう一つは、企業の社会的責任を確保する、企業が不正行為を行わないような社会的監視のための機能であると、二つの側面があると思いますが、それは立法上はどう生かされているんですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいま御質問にありました株主の保護と企業の非行防止、両方のねらいをもってディスクロージャーの強化ということを考えたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ただ、私は両方だと思うんですけれども、なかなか今回の改正程度では十分効果を発揮しないだろうと思うんですね。例で申しますと、銀行法も同時に審議されてまいって、ここでもディスクロージャーは問題になったんですね。しかし、これは普通の企業よりもずっと進んだディスクロージャーですね。直接多くの人に見せるということですから進んだものですけれども、しかし、その中身は、本当にみんなが求めるもの、たとえば大口融資の現状とか、その他の今度は系列の問題で言えば、どういう人事配置になっているか、要するに役員派遣になっているかという、そういう問題については、これは全部企業秘密ということで出さない。だから、これは実質的に見ると、法の本来の目的を十分達し得ないのではないかと心配するんですが、商法の場合には、もっともっとディスクロージャーと言えるかどうかと思えるくらいにつつましいディスクロージャーだと私は思うんです。  そこで、現状をちょっとお伺いしますが、現在は、証券局としてはこの問題についてはどう対処しておって、この改正によってどれだけうまく進むのか、この点について伺いたい。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 証券局といたしましては、証券取引法に基づきまして、上場会社でありますとか、あるいは店頭上場の会社でありますとか、あるいは公募をいたしますような会社に対しましては、投資者保護というふうな観点からの相当詳細なディスクロージャーというものを求めておるわけでございます。  そういった証券市場で投資家からお金を集める会社というのは、もちろんわが国でも超大企業でございますから、できる限り投資者の投資判断のための材料になるような情報というものは必要不可欠なものであろうというふうな観点から、そういうことを行っておるわけでございますが、今回、商法の改正によりまして、投資者ということだけでなくて、株主あるいは債権者保護というふうな観点から、商法の中にもそういった方向での試案を出されましたし、かつまた、法律でもそういう意図を含んだ改正をなさっておられるということは、五億以上、負債二百億以上の企業ではございますが、こういったすべての株式会社に適用されるという意味におきまして、大変評価されるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 現在の証券局が扱っているこの法の対象になっている企業件数と、それに携わっている職員の数、わかりますか。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 現在、私ども大蔵省で有価証券報告書制度というのがございますが、これに関連いたしまして扱っております日本の企業の数は、五十四年末現在におきまして二千八百二十八社でございます。  他方、先生お尋ねの大蔵省証券局の予算定員を申し上げますと、百三十二名ということでございます。さらに、財務局におきましても、証券監査官といいまして有価証券報告書をチェックする職員がおるわけでございますが、その者が十九名おりますので、合わせまして百五十一名というふうなのが現在の定員でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 この約百五十名が全部有価証券報告書に対してチェックするわけじゃなくて、実際チェックするのはこの十九名でしょう。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) 本省におきましてそういうチェックにかかわっております者は十七名おります。地方の方に先ほど申し上げましたように十九名おるわけでございますので、全員で三十六名前後という、併任もございますのでそれよりやや多いというふうな状況でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 午前中も指摘があったSECとよく比較されるんですが、SECは担当の職員が二千名ぐらいでしょう。それに比べると、人数からも、また権能からも、これはかなり見劣りするわけですね。ただ、法律上、SECまでいかなくても、それに近いこともできるのだと思うんです。証券取引法二十六条、「大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、有価証券届出書の届出者、有価証券報告書の提出者若しくは有価証券の引受人その他の関係者に対し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員をしてその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」という調査権能も持っておるわけですね。  ただ、合計三十数名では三千近い会社に対してはとても無理だとは思うんですが、この権能をフルに発揮して成果を上げたというようなことば聞いたことないけれども、あるんですか。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) この二十六条の調査権あるいは検査権を用いまして、私どもの方で紛飾決算をしているような企業を検査いたしました例は、十九件というふうにかなりの数に上っておるわけでございます。その意味では、私ども、SECに比べまして人数は必ずしも多くないのでございますが、少数精鋭といいますか、相当の成果を上げておるというふうに思っておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 十何件……、十九件ですか。というのは、毎年ですか、それともこの制度始まって以来ですか。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) いままでの成果でございます。失礼いたしました、十八件でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 もう時間が来ましたので、最後に申しますと、大臣、毎年かと思ったらそうじゃなくて、始まって以来だから、戦後すぐですから、一年に一件上がっていない、こういう状況ですね。決してたくさん上がることは好ましいとは申しませんけれども、私はいまの機能ではとてもこれは無理だと思うんです。  ですから、これも今回の改正には間に合わなかったけれども、そういう行政の面からもチェックが私は大変必要だろうと思いますので、ひとつ現状も正確に見、現状というのはチェックする側の現状です。そして今度、実際横行する企業犯罪とか、あるいは企業支配、そういうものに対しても厳正な態度で臨むように求めまして、質問を終わります。

宮本英利大蔵省証券局企業財務課長

○説明員(宮本英利君) ただいまの数字をより正確に申し上げたいと思うのでございますが、制度始まって以来、紛飾経理会社として私ども注意いたしましたのは全部で百八十件あるわけでございます。そのうち、私どもが告発という一番最もハードな手段を用いましたものが九件でございまして、そのほか、行政指導等によりましたり、あるいは訂正命令だとか、行政指導による自発的訂正だとか、そういうものを入れますと全部で百八十件というような数字でございますので、訂正さしていただきたいと思います。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 前回の委員会におきまして、このたびの商法改正に伴います審議会で精力的な審議がいろいろな手続を経て行われてきた、この辺のことにつきましてるるお話をいただいたわけでございます。  今度は、各論に入りまして、それらの所要手続を経て現実的な法案となったわけでありますが、このたびの改正は全面改正には至りませんでしたが、改正部分につきましては相当な思い切った改正もございます。その間につきましては、それなりのいろいろな議論があり今日の結果となったんだと思います。特に、このたびの改正の中で最も柱といいますか、大きな改正部分といいますか、目玉といいますか、そういう大きな改正は株式制度、ここにあるんだろうと思います。私も株式制度そのものについて若干御質問申し上げたいと思います。今日は同僚委員からいろいろお話がございましたので、それらと重複を避けたいと思いますが、基本的な問題につきまして確認ということでお伺いをするわけであります。  このたびの法案の単位株制度におきましては、額面の合計金額が五万円に相当する数をもって一単位、こういうことになっておるわけでありますが、また、法務省の資料等いろいろ見さしていただきますと、今日の上場会社は一株五十円の株式を発行している、そういうことから千株が一単位、こういうことが非常に妥当であるという今日までのお話もあり、資料等を見ましてもそれはそれなりに私どももそう思うんでありますが、千株を一単位にするということ、これは妥当であるかどうかということについては、それなりにいろんな今日までの経過の中で議論があったろうと思います。大きな改正、思い切った改正ということで現実に即したという面ではそれなりの意味もあるのでありますが、これだけの大きな改正ということになりますと、やはり緩和措置といいますか、中間的なものといいますか、いろんなことが考えられておったのだろうと思います。  私はいろいろ見まして、株式の取引について重要な役割りを担っております東京証券取引所、ここが株式制度改正試案に対する意見書、これを五十二年の十一月出しておりますけれども、その中に、株式管理事務の合理化と一般株主の利益保護との調和のある解決を図り、単位株制度を早急に実施するものとすれば、単位株の単位については既存会社の株式併合の経過的措置と考えて、百株を一単位とすることを原則とするのが適当であるという、こういう意見書がございましたですね。これは五十二年当時のことでありますが、こういういろんな論議の中でこのたびの法案は千株ということになったんだと思いますが、法務省としては千株というふうに決定するに当たりましては、こういう東京証券取引所の意見等もあわせ、また多方面のいろんな現実的な問題等考えあわせ、そしてまた、大きな改革になるわけでありますから、改正になるわけでありますから、そういうこと等も十分勘案して決定したのだろうと思うんでありますけれども、その辺の経緯といいますか、今日この千株に至りました法務省の考え方、これをひとつ今日までのいろんな議論の中から御説明いただきたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 単位株制度をとるにいたしましても、その単位株の数を幾株にするかということについては、当初におきましては全く議論がなかったわけではないというふうに聞いております。多数の意見は、ただいま御質問にもございましたように、五十円券千株ということでございました。額面五万円ということでございました。その根拠といたしましては、現在、証券取引所における株式の取引単位が額面五万円であるというようなことが根拠になっておったわけであります。あるいはまた、株主一人に対する管理費用が年間二千円から三千円あるいはもっとよけいにかかるというようなことから、新しい改正法のもとで設立される株式会社にあっては、一株の額面は五万円以上とするというような線が出てまいりまして、そして自然と千株というような単位が出てきたわけでありますけれども、それに対してただいま御指摘ございましたように、百株単位が相当であるという御意見もあったわけであります。  確かに、その代表的なものといたしまして東京証券取引所の株式制度改正試案に対する意見というものがございます。これでは、具体的な数字といたしましては百株を一単位とするのを原則とするのが相当であるということで、諸外国との株価の比較でありますとか、あるいは現在、転換社横を発行いたしておりますけれども、その転換社債が必ずしも大きな単位で発行されていない、あるいは五万円、十万円というような転換社債も発行されておるわけでありますから、一単位が千株ということになりますと、現在の時価で平均三十万一とか四十万とかというようなことになりますので、その転換社債を転換請求いたしました場合に、株式として一単位未満のものしか取得できないというような点でありますとか、その他いろいろな理由を挙げて百株説を主張しておられるようであります。  ただ、改正試案において考えておりました単位株制度というものは、原則といたしまして単位未満の新株を発行いたします場合に、株主個人に現実に株式を取得させるのではなくて、その単位未満の新株をまとめて一括処分をいたしまして、換価をいたしまして、そして株主には現金で配分をするということを原則的に考えておったわけであります。  そうなりますと、株主といたしましては単位未満株をだんだんふやしていって、株式を増殖をすると申しましょうか、持ち株をふやしていくということができなくなるわけであります。さらには、単位未満の新株を一括して大量に証券市場で処分をいたしますから、それが株価に悪い影響を与えるというようなこともあります。そういうことが株主に対して株式投資に対する魅力を失わせるのでないかということから、証券取引所方面では難色を示しておられたということが大きな理由であったというふうに考えるわけであります。  それに対しましては、証券業界以外の経済界、特に発行会社などからは、百株ではとても合理化効果というようなものは期待できない、少なくとも千株単位でなければ、改正法の単位株制度の目指しておる合理化効果というものは考えられないというような意見があったことはもちろんであります。  そこで、この試案をたたき台にして、さらに法制審議会で議論をされました結果は、単位株は千株単位とする。しかし、その千株未満の新株を発行する場合には、現実に株主に株式を取得させるという方法を採用するということにいたしたわけであります。それに対して東京証券取引所初め証券業界も、そういうことであればということで賛成、納得をされまして、そして現在の単位株制度の構想が確定をした、こういう経過でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 その点についてはわかりましたが、そこで問題になるのは、単位未満株の問題が出てくるわけでありますが、過日の委員会におきましても局長から、この単位に満たないいわゆる単位未満株式がある程度整理されたら、一単位の株式を一株に併合することになるだろうというような趣旨のことをおっしゃっておりましたが、今回のこの法案の中で単位未満株の整理のためにはどうい方策といいますか、どういうことが手だてとして考えられておるでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) まず、単位未満株のみを所有する株主を現在以上にはふやさないということが必要であります。したがいまして、単位未満の新株を発行いたします場合に、株券を発行しないということを一つ考えております。それからもう一つは、株主以外の者に対して単位未満株の譲渡がありました場合には、会社は株主名簿の名義書きかえに応じないということを考えております。この二つの方法によりまして、単位未満株の拡散と申しましょうか、広がっていくのを防ぐわけであります。  単位未満株主の数をこれ以上ふやさない、そして一方におきまして、単位未満株につきましては会社に対して買い取り請求を株主にさせるという権利を認めまして、そして単位未満株の解消を図っていく、これが改正法の態様でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 わかりました。  次に、株式制度の改正試案ですね、これを見ますと、たとえば現在七百株を持っておりまして、あと三百株買うと単位株になるんだというこういう場合に、三百株を売ってくれという売り渡し請求権を株主に認めるという、こういうことであったと思うんでありますけれども、改正案ではそうじゃなくて、売り渡し請求権というものは採用されなかった。実際、個人株主の希望といいますか、個人株主をふやしたいという希望に沿うためには、売り渡し請求権ということの方が実際は現実的なのだろうと思うんですけれども、そうじゃなくて、会社の買い取り請求権ですか、こういうようになったわけですね。この辺のことについては、これはどういう論議といいますか、議論があってこういう結論になったんでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 確かに、試案の段階では売り渡し請求権というものを単位株主に認めておったわけでございますが、会社が売り渡し請求に応ずるという制度を設けるということになりますと、手続が非常に煩雑になるというようなことが問題になったわけであります。  それともう一つ、理論的な問題でありますが、売り渡し請求に会社が応ずるためには自己株を持っておらなければならないということになるわけであります。それは何回も出てまいっております商法二百十条の自己株式の取得の禁止ということに抵触をするわけでありまして、理論的にも難点があるというわけであります。  一方、単位未満株主がその不足分を買い取るという方法は全くないわけではないわけであります。すでに発行されております単位未満株式というものは世上に流通をしておるわけでありますし、あるいは今後も会社が単位未満株主の請求によって買い取り請求に応じて単位未満株を買い取るということがあるわけでありまして、会社がその単位未満株を処分しなければならないわけでありますから、その株式の買い手として単位未満株主があらわれるということはこれは当然考えられるわけであります。  でありますから、先ほど申しましたように、非常に煩雑な手続を設け、商法の二百十条の自己株式の取得の禁止に抵触するという理論的な難点を克服してまでも、そういうものを制度として認めることは必要がなかろうということで、売り渡し請求は認めなかったという経過でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 この法案の附則によりますと、単位株制度というのはこれは暫定的な処置であって、将来は別に法律で定める日に一単位の株式を一株に併合する、すなわち、額面金額は新設会社と同様に五万円に引き上げるという、こういうことになるわけですね。「別に法律で定める日」と、こうあるんですが、これは法務省としましてはいつごろというふうに見ていらっしゃるのか。いままでのいろんな議論の中で、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃったのか。とかくにいままでのことを考えてみますと、非常にむずかしいいろんな問題が出てまいりますので、なかなか移行というのはむずかしく、半永久的になるという、こんな心配はないのかどうか、この辺のことについてはどうでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) この点は、単位株制度というものが動いてみませんとどういう先行きになりますかわかりませんので、それによって判断をさせていただきたいというふうに考えておるわけでありまして、今後単位株というものがどのように解消されていくのか、あるいはまた、貨幣価値の変動というものがどういうふうになっていくのかというようなことともにらみ合わせながら、法律で別に定める日というものを考えたいというふうに考えております。  ただ、法制審議会の審議の過程におきましては、特に発行会社側から、五年後にこの決議があったものとみなす日を設定すべきであるというような意見もあったわけでありますが、それに対しては一部、特に証券業界などからはっきりとした期間を切るということに対しては消極的な意見もあったようでありまして、やっぱりやってみなければわからないじゃないか、やってみて、その実情を見て、そして具体的に妥当な時期を選ぶということが望ましいのじゃないかということで、このような規定になったわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 現実的には予測し得ないいろんな経済情勢等も勘案しなきゃならないわけですから、いま御答弁のあったとおりだと思いますが、しかし、いろんな議論の末にその結論が出たんだろうと思います。いまお話ございましたのであれですが、ここらあたりなかなかむずかしいところなんだろうと思います。  次に移りますが、株主の平等の原則ということから、当委員会でもいろいろ議論がございましたが、単位株制度ということになりますと、いろいろ今日まで議論ございましたように、単位未満の株式については総会におきまして議決権が認められないということ等についてもいろいろ議論がございました。これはいままでもいろいろの説明ありましたように、これが採用されるということにはそれなりの意味があり、また株主管理、コストの節減とか、いろいろなことを通しまして、それはそれなりに時代の流れの中ではやむを得ないものだろうと思うんでありますが、ただ株主の平等の原則ということの上からいきまして、普通の株主総会、こういうときの議決権ということであれば、それはそれなりに納得し得ないわけでもないだろうと思います。  しかし、株主の地位に重要な影響をもたらす営業譲渡とか、株式の譲渡制限とか、会社の公平問題とか、こういう重大な問題については、単位未満株式に対しましても、株式を有する株主に対しましてこれは非常に重大な影響を及ぼすということであると、これは何らか考えるということも大事なことではないのかなという感じがするわけなんですけれども、これもこの前の委員会におきましてもいろいろ議決権のことについてはお話ございましたが、こういう株主に重要な影響を及ぼすような問題についても、当然あらゆる角度から検討したんだろうと思いますけれども、この間のことについてどうでしょう、いままでの審議の経過とか、いろんな検討の結果について御報告いただければと思いますが。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 確かに先生御指摘のように、重要な問題についての株主総会の決議に単位未満株主が参加できないという点は問題があるようにも見えるわけでございますが、しかし、事柄は、やはり議決権を行使させることのメリットとデメリットという一点に集約されるわけでございます。単位未満株式の場合には、これを全部合わせてみてもその発行済み株式総数に占める割合というのが非常に少ないわけでございまして、まして、そういう重要事項を決める総会の場合には、議決権については多数の議決権の賛成を得なければならないということになっておりますので、それに対してその単位未満株式が参加しても参加しなくても、それほど大きな影響を与えないという事情があるわけでございます。  それに対しまして、それに参加させることに要するコストというのは、先生先ほどから御認識いただいておりますように非常に大きなものがあるわけでございまして、そういう点を考慮し、さらにまた、先ほど局長からも申し上げましたように、単位未満株主というものについては買い取り請求というものが与えられておるわけでございまして、いつでも時価で買い取ってもらえるという、そういう恩恵と申しますか、利益があるわけでございます。  そういたしますと、もしそういう方向、単位未満株主抜きで決議がされたという方向に反対であるというのであれば、その買い取り請求を行使することによってその会社の株主たる地位をいつでも離脱することができるわけでございまして、そういう点から考えても、あえてその場合に限って単位未満株式についても議決権を認めるというまでの必要はないのではないかと、かように考えたわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 私ども関係の方からいろんなお話を聞いたり、非常に広範囲なことですからそう広い範囲についてお話を聞く機会もございませんし、また、あらゆることを網羅してなんていうところまでとてもいくわけはございませんが、いま二、三の問題について指摘し、また過日も申し上げたわけでございますが、この単位株制度というのは、御承知のように複雑といいますか、大事な問題でございますので、株主や投資家に対しましてこれは十分な理解をさせることが必要なことなんだろうと思います。  そういうことから、混乱の起きないように株主や投資家に対しまして十分なPRが必要だろうと思うんでありますけれども、これは政府としてはこういうことに対してのPRの対策といいますか、責任を持ってやるのは法務省なんでしょうけれども、当然これは大蔵省の証券局も関係するんだろうと思いますが、この辺はひとつどういうふうになっているのでしょうかね。今後、株主、投資家に間違いのないようにPRする対策に一ついて、現在までどういうふうに御検討なさっておるのか、今後またどういうふうに取り組もうとなさっておるのか。この間のことについてお伺いしたと思いますが。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) ただいま先生のお話にございましたように、単位株制度への移行というのは非常に大きな株式制度の変革でございます。したがいまして、投資者保護の観点、さらには株式の流通市場の混乱を防止するという観点から、この制度が施行される事前に、制度の仕組みなり取引の方法につきまして関係者に十分周知方を図る必要があるというふうに私どもも考えておるわけでございます。  問題としましては、一つは、発行会社と株主との関係があろうかと思います。原則として単位株制度、先ほどからお話に出ておりますように、五万円を額面で割った株式数というのが原則でございますが、定款によって異なる定めもすることができるわけでございますので、そもそもある会社の単位株というのが何株になるのかというようなことは、まず上場されているその会社がお決めになって、当然その株主に周知させるということも必要だと思いますし、第一義的には、何らかの形で制度発足前に発行会社が十分御自分のところの株主に対して制度の仕組み、運用について周知方を図っていただく措置をとっていただく必要があるのじゃないか。  その点につきまして、原則として上場会社でございますから、単に発行会社が何らかの措置をおとりになるのを待っているということじゃなくて、取引所の方で必要があれば上場企業に対して、そういった周知方の措置をとるように要請するというようなことも、当然検討されていいのではないかというふうに考えておるというのが一つございます。  さらにはまた、証券界自身としましても、これは一般の投資者の方に対しまして、この新しい制度の仕組みというのはどういうものなのか、また今後の売買の仕組みなり何なりはどういうふうに変わっていくのか、あるいは変わらないのかというようなことにつきまして、これまた、十分周知方を図る必要があるというふうに考えております。  ただ、何分にも、この新しい制度ができまして、いま申し上げましたような点につきまして、ことに売買等がどういうような仕組みで行われるようになるのかといったようなことにつきましては、今後なお実施までの間に検討を要する問題がいろいろあるわけでございまして、現在、東京証券取引所におきましては政策委員会という場を設けまして、そこでその種の問題の検討を急いでいるところでございまして、一応結論が得られ次第、十分なる広報の措置をとるよう指導してまいりたい、このように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いろいろ御検討なさっていらっしゃるようでありますが、非常に大きな改正でありますし、非常に今回の商法改正の目玉といいますか、大きな柱になっているわけで、混乱のないようにしなきゃならぬだろうと思いますし、また、いよいよ審議も大詰めに来ておりますこういう段階でありますから、ひとつ積極的な御検討をいただきたいと思います。  株式の話が出たついでにといいますか、ちょっとお伺いするわけでありますが、最近新聞等で株券振替決済制度といいますか、こういうのをよく耳にするわけですけれども、株券振替決済制度というのはこれはどういう仕組みになっているんでしょうか。概略的なことは私どもも聞いてはおるんですけれども、ポイントになる点だけ、ひとつ御説明いただきたいと思いますが。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 株券の振替決済制度につきましては、一昨年の暮れ以来、大蔵省におきまして証券取引審議会に御検討をお願いしておりまして、同、審議会の専門委員会において鋭意検討中のものでございます。  どのような内容かというお尋ねでございますが、これは株券の流通、保管を合理化するための制度でございまして、投資家の方は証券会社等に株券を寄託いたしまして、この証券会社は寄託を受けた株券をさらに中央の、まあ受寄機関と呼んでおりますが、ある機関に再寄託いたしまして、その後の売買取引や担保取引等については一々株券の受け渡しを伴わないで、いま申し上げました中央の受寄機関ないしは証券会社の口座上の振替記帳だけで権利の移転等を行う、こういう制度でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 証券取引審議会で検討中だということでありますが、最近のいろんな動きの中で、そう遠くないうちにこういうことの考え方というのは実現の方向に進むんだろうと思いますけれども、これはいつごろ結論が出るような見通しなんでしょうかね。  それから、当然これは法案の作成段階では法務省との関係も出てくるんじゃないかと思いますが、また、この制度と商法との関係、こういうことについてはどうでしょうか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) お答えいたします。  一昨年の暮れから、この問題の検討を鋭意専門委員会の場においてしていただいておるということを先ほど申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては株券の流通、保管の合理化、円滑化というような観点から、この制度は非常に有益な制度であるというふうに考えております。  現在、証券会社が保護預かりしている株式は三百億株を超えておりますし、また、東京−大阪間で受け渡しのために毎日三千万株前後の株券が輸送されているというような実情でございますので、欧米の諸国ですでに定着しているこの制度をわが国の実情に即して取り入れたいというのが、そもそも審議会に検討をお願いした趣旨だったわけでございます。  その後、検討をしていただいているわけでございますが、実はこの制度には非常に大きな問題がございまして、これは発行会社といいますか、企業といいますか、企業の株主管理の基本にかかわる問題でもあるということでございまして、現在、株主名簿によって企業は御自分の株主を把握しておられる。まあ、主観的に言えば、常時把握しておられる。そうして意思の疎通を随時図っておられる、こういう認識でおられるわけでありますが、この制度がわが国に仮に取り入れられた場合には、必ずしもそういった形で、発行会社が御満足いただけるような形で御自分の株主が随時あるいは常時把握できるかどうかというような点について、発行会社のサイドに御懸念があるわけでございます。  昨年の夏以来、約一年近く専門委員会でその問題を中心に検討していただきまして、ようやくこの形であれば産業界においても株主管理の上で一応の御満足は得られるのではないかというような骨子が大体方向として得られたわけでございまして、これからまだそのほかの、担保取引のあり方であるとか、いろいろ技術的、実体的に詰めていかなければならない問題がたくさんございますが、そういった問題を鋭意検討していただきまして、おおよそ制度の骨組みについて概念図が得られましたならば、これも先ほど先生が御指摘になられましたように、これは商法の株式制度の原則に対して一部手直しといいますか、特例を必要とするような内容を含むものでございまして、株券の受け渡しではなくて帳簿上の記帳によって権利が移転するといったような点につきましては、これは商法の規定に対する特別な立法の措置を必要とするわけでございますし、そのほか幾つかの点につきまして私法上の重要な問題が含まれてくるわけでございますので、ある段階になりましたら、私どもといたしましては証券取引審議会の審議と並行いたしまして、法務省にお願いいたしまして法制審議会でもそういった私法的な側面の詰めをしていただくと、こういうことを考えているわけでございます。  現在のところ、その時期が大体いつごろになるだろうということをまだ申し上げるところまで詰まっておりませんが、可及的速やかにそういう段階に持ってまいりたいと、こういうふうに考えて一おるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 現在、株式の市場価格というのは、平均しますと額面金額の六倍から七倍ということですね。額面五十円の株式ですと株価は三百円から四百円ということになるのだろうと思うんですが、今度額面が五万円ということになりますと、こういういままでの考え方からいきますと、三十万とか四十万というようなことになるのかどうか。また、株価が何十万ということになりますと六けたというようなことになるわけですけれども、こういうことになりますと、新聞なんかの表示とか何か、この法案が通過いたしまして現実これが動き出すということで、先の話かもしれませんけれども、大きな一つの単位株制度の実施に伴いましていろんなところにいろんな変化がある。そういう中の一つとして、これは技術的にこういうことはどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 御質問の趣旨は、私どもの方の受けとめ方としましては二つあるのじゃないかと思います。  一つは、市場で、取引所でどういう株数を単位として値をつけるのか。たとえば、単位株一単位について幾らといったような値のつけ方をするのか、従来どおり一株について幾らといったような値のつけ方をするのかという値のつけ方、値つけの基準の問題というのが一つあるのかなというふうに思っております。  それからもう一点は、それとは別に、また取引所における売買単位、現在は原則千株が単位でございますが、この売買単位をどういうふうにするのか。定款等で単位の株数がさまざまになった場合に、そういったものをどういうふうに扱うのかといった問題、この二つの問題があろうかと思います。  これらの点につきましては、率直に申しまして、まだ証券界内部においても答えが出ておりません。それで、先ほど申し上げました取引所の内部におきまして委員会を設けまして、それらの点につきまして最も円滑に、かつ投資者の利便を図りながら取引が円滑に執行されるような方法はどういうことであろうかというような観点から、鋭意検討を急いでいるというのが実情でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 現在、株式の取引単位というのは額面五十円ですと千株ですね、五百円ですと百株ということですけれども、いままだいろいろな検討とか何かお話しのようですが、こういう取引の単位株、取引単位ですね、これは新設会社については一株が五万ということになりますから、そういうものがどういうふうにこの取引単位として扱われるのかというのは実際大事なことでもありますし、私どももこういう移行の段階でトラブルが起きないのか、またどういうような仕組みにこれは考えるのか、これはもう何年も先ということじゃございませんだけに、私どもも非常に危惧といいますか、関心を持っているところなんですけれども、これについてはどうですか。

小山昭蔵大蔵大臣官房審議官

○政府委員(小山昭蔵君) 先生の御指摘のとおり、売買の単位となる金額が投資者から見て望ましいような形で決められることが、取引の円滑のために当然必要なことでございまして、その辺は十分配慮いたしまして決めてまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。  ちなみに、現在におきましても、額面五十円の株式につきましても原則は千株が単位でございますが、非常に値がさの株、これは現在、内規で、一株当たり時価が六ヵ月以上継続して三千円以上というような一部の値がさ株につきましては、旧株単位で売買ができるというふうに取引所の方で決めてございますが、いずれにいたしましても、この新しい制度が導入されました際に、取引の円滑を欠くことのないように十分配慮してまいりたいと、このように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 次に、大きな改正というか、私どもが関心のあります問題といたしましては、株主総会ですね。これはもういままでも同僚委員からもいろいろ議論がございましたが、株主総会の形骸化ということが一つの大きな問題になって午前中もいろいろ議論があったわけでありますが、これはいろんなデータによりますと、九〇%以上の会社が三十分以内で終了するとか、こういう数字的なものでも、株主総会のなんぼ中身が充実したといっても、十五分や二十分で会社の大事なことが審議できるわけはございません。そういうことから見まして、そういう数字的な上からも、こういうことについては費えるんじゃないかと思います、中身の問題ですね。  それと、株主総会の形骸化ということもいろいろ議論されておりますし、この問題についてもぜひ私も二、三お尋ねを申し上げておきたいと、こう思うんですが、この形骸化の対策として、一つは取締役等の説明義務、これが設けられたわけでありますが、これは二百三十七条ノ三で、「取締役及監査役ハ総会ニ於テ株主ノ求メタル事項ニ付説明ヲ為スコトヲ要ス」という説明義務の規定が新しく設けられたわけですね。  これはこれなりに私どももよくわかるんですが、ところが、これ以前の改正試案ですね、これでは説明義務というんじゃなくて、株主の質問権という形で規定されておったわけですね。これが法制審議会の答申、それから法案、ここで説明義務という形に変わったわけなんですが、裏返すという言葉も先ほど言っておりましたけれども、株主の質問権という形と取締役等の説明義務といり、こういううらはらと言えばうらはらかもしれませんが、これは考えようによっては非常に大事な異なりがあるようにも思うんですけれども、こういう説明義務という規定にした根拠といいますか、また、今日までいろんな議論の中でこういう説明義務という形にしたんだろうと思います。特に改正試案におきましては、株主の質問権ということであったのが変わったということについては、それなりの理由があるんだろうと思いますけれども、この間のことについてひとつ御説明をいただきたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 試案におきましては、ただいま御質問にもございましたように、質問権という形で考えておったというのは事実でございます。その後における法制審議会の審議の過程におきまして、質問権という株主の権利の形で書くと乱用のおそれがあるのじゃないかというような意見もあったわけであります。それを考慮いたしまして、表と裏と申しましょうか、盾の両面と申しましょうか、取締役、監査役の説明義務という面から規定をする。答申の段階ではそういう答申になったというわけでございまして、若干表現がやわらかくなったというような点はあるかもわかりませんけれども、本質と申しましょうか、実質は全く変わりがない。質問権に対応するものとして説明義務があり、説明義務に対応するものとして質問権があるということでありますから、実質は全く変わりがないというふうに考えております。  また、こういうふうに取締役あるいは監査役の説明義務というふうな書き方にいたしますと、取締役なり監査役の株主総会における出席義務というものが当然前提になるわけでありまして、出席をして説明しなければならない義務ということになるわけでありまして、その点も明らかにするというような意味もあるわけであります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 二百三十七条ノ三の第一項ただし書きによりますと、株主が説明を求めた事項が会議の目的たる事項に関しないときは取締役は説明義務が免除される、こういうふうになっているのですね。会議の目的たる事項に関しないというのは、具体的にはどういう場合かということなんですが、これは最近いろんな問題が起きておりまして、株主総会における会議の目的というのはそれなりに、利益処分とか取締役や監査の人事問題とか定款のこととか大体あるんだろうと思いますが、会社の株主が危惧するといいますか、経営上の問題ということになりますといろんな問題が出てくるわけですけれども、この条文で、会議の目的たる事項に関しないということで、大事なことが除かれるといいますか、説明されないで終わってしまうというようなことが出てきやしないか。  こんな老婆心からちょっとお尋ねをしておるわけですけれども、たとえば公害のような場合ですね、公害の責任を追及するとか、それから最近いろいろ言われております欠陥商品、こういうことを追及するとか、また、近くには兵器産業の是非、兵器生産の是非を追及するというような、こういう企業の社会的責任を追及するような動機から質問をするというふうなことの場合には、会議の目的たる事項に関しないということになるのかどうか、説明の義務は負わないのかどうか。現在、こういうことが非常に問題になっておりますし、大事なことだろうと思いますので、まず所見をお伺いしておきたいと思うのであります。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) この新設の二百三十七条ノ三の第一項のただし書きの「会議ノ目的タル事項」と申しますのは、現行法にもございますけれども、二百三十二条の二項に、これは総会の招集通知でございますけれども、これに「会議ノ目的タル事項ヲ記載スルコトヲ要ス」というのがございます。したがって、簡単に言ってしまえば、これは議題ということになるわけでございます。議題の中には、要するに報告の議題と決議を要する議題と、この二つに分かれるであろうと思われます。  先生ただいま御指摘のいろいろの問題につきましては、これがもし営業に関することでございましたならば、営業報告書は総会での報告議題になるわけでございます。したがいまして、その営業報告書、これは御承知のように、営業報告書には会社の業務に関する状況を記載するということになるわけでございますので、その業務に関連するということであるならば、これは説明義務の対象になるということでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 株主総会の形骸化ということで、これは午前中もいろいろお話ございましたが、やはり国民性とか社会情勢とか株主の意識や何かいろいろな問題点があるのだろうと思いますけれども、何といっても大事な株主総会というものについて、蘇生させるといいますか、活性化させるといいますか、こういうことについてはやっぱり意を用いなければならないだろうと思います。今度のこの改正案では、こういう株主総会の形骸化に対してとった手段といいますか、法案の中にも方策というものが何点か講じられているわけですけれども、その中で私は、午前中にもお話ございましたが、総会屋という問題については避けて通れない重大な問題があるだろうと思います。これは世界に類例のない日本独特のものだというわけですけれども、こういう世界にないものが日本の国に大きな力を持つようになったそれなりの土壌といいますか、風土というものがあるんだろうと思いますけれども、こういうようなことについては法務当局としましてはどのようにお考えでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 午前中にも申し上げたかと思いますけれども、会社の経営者といたしましては、できることならば株主総会を円満に終わらせたい、余り議論をさせずに結論を出したい、しかも経営者の望むような方向に持っていきたいということを考えるわけでありまして、したがいまして、その根回しと申しましょうか、ということで大株主を煩わすわけでありましょうけれども、それで不十分な点につきましては、総会屋というようなものを使って、そして自分の考えるような方向での株主総会の運営を図るというようなことが、自然発生的に出てきたのではなかろうかというふうに考えるわけであります。そのためには金品の授受が行われる。それによって、また利得を得るいわゆる総会屋というものがそれに味をしめていろいろと活躍をする。だんだんに持ちつ持たれつ、そういう弊害が顕著になってきておるというふうに考えるわけであります。  それは、株主総会の正常な運営ということから申しますならば、全くとんでもない話でありまして、株主総会の形骸化をもとへ戻すということから申しますならば、非常に大きな障害になっておるというふうに考えておるわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 総会屋の実態等については午前中もいろいろお話ございましたが、これは数的なことについては午前中いろいろお聞きいたしておったようでありますが、警察庁ではいろんな資料もございまして、実際、総会屋というものが動かしておる金、資金源としてどのぐらいのものがこういうところの金として動いておるのかということや、それから、そうしますと一人当たりどのぐらいになるのかとか、総会屋が動かす金銭的なことについて、数と金銭的なこと、概要については白書等でもいろいろ述べておるようですけれども、かいつまんでひとつその辺の動きについて警察庁に御説明いただきたいと思いますが。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 午前中の御質問にもお答えしましたけれども、いろいろの形態がございまして、非常に多額の金銭を取得している総会屋もおれば、そうでないいわゆる小物もあるわけでありまして、非常に落差は激しいわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、五十三年にたまたま部外の学者の協力も得まして暴力団の資金源推計をやっていただいたことがございます。そのときに、その一つの分野として総会屋についてはどうかということで検討がなされまして、その五十三年時点で直近において検挙されました各種の事件に際して解明された資金から推計して、総会屋一人当たり平均すると一千万程度の年収になるのではないか、そういうような推計が出ております。  したがいまして、先ほど、現在把握しております総会屋の数は五千八百人であるから、したがって年間五百八十億程度の金が総会屋に流れるのではないでしょうかというお答えを申し上げたわけでありますが、これはあくまで一つの、五十三年当時の数字を基礎にした、あくまでも理論的な推計値でありまして、実態はわかっておりません。  最近、直近において検挙しました事例では、一人の総会屋で十億に近いような巨額の資金を手に入れた総会屋もあるわけでありますので、一概になかなか決めにくい問題ではないかというように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 五十四年の四月二十五日の官報資料版によりますと、暴力団の資金源の推計、これをいただいておりますが、暴力団の資金源の推計として、年間総収入は約一兆円。その中で総会屋関係というのは四百二十一億というような数字が出ておりますけれども、いまあらあらのお話ございましたが、それにそう差異のない数字といいますか、こういう大変な金額が動いているわけです。  私も、これをちょっと見さしていただいてびっくりしましたが、これについては警察庁にもいろいろな、東京都中心にしまして警察庁は警察庁のいろいろな資料もあるようですし、また、地方は地方の県警ですか、県警を中心としての、それなりのいろんな集計なさったその結果なんだろうと思いますけれども、こういう傾向は、これは五十三年にあれしたんですね。こういうようなことについては五十三年に調査をしたということであって、余りしょっちゅうやってはいないんだろうと思いますけれども、この調査といいますか、こういう推移や何かについては、今日まで全国的なものについてはどんなふうに警察庁は取り組んでいらっしゃるのでしょうか、実態等について伺いたい。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 五十三年の推計は、トータルとして見た場合に、暴力団に一体どの程度の金額が流れ込むであろうかということについて二つのアプローチの仕方で推計をしたわけであります。  一つは、暴力団員が年間にかせぎ出すであろう平均値を各種の統計から出しまして、それに暴力団の総数を掛けるという方式で出す方式と、もう一つは、暴力団の資金源には各種いろんなものがございます。覚せい剤でありますとか、その他のいろいろな事案がございますけれども、そういう資金源の態様ごとに推計をしまして、それを総合計する。そういう二つのやり方をやってみたわけでありますが、たまたま結果的には、両方とも一兆をちょっと超えるというところで同じような結論になったわけでございます。  その中で、いま御質問ございましたように、総会屋を通じて暴力団に流れる額が四百数十億というふうに書いてあるわけでありまして、先ほど私が申し上げましたのは、総会屋そのものが、総会屋の中には暴力団である者もありますし、そうでない者もありますので、総会屋そのものに流れるであろうと見られるものが五百八十億ということでありまして、その辺、若干統計の違いがございます。  その官報に掲載してございますのは、総会屋が暴力団自身である場合にはストレートに行くわけですが、そうでなくて、総会屋がかせいだ金をさらに暴力団に上納するという形で暴力団に流れる金もございまして、それも推計をいたしまして、両方ストレートに流れるか、間接に流れるか、両方合わせまして四百数十億という数字が官報に掲載してある数字でございます。そのように御理解をいただきたいと思うのです。  これは、本当であれば毎年やればいいのでございましょうけれども、やはり節目節目で、大体わが国において暴力団の勢力に変動があった際に、おおよそどの程度の額が流れているかということを推計して、その推計をもとに暴力団の諸対策を講じていく必要があるだろうと感じておりますので、毎年やりましてもそれほどの意味を持ちませんので、やはりその暴力団勢力に変動があって、節目節目ごとにそういう推計をやる必要があるというときに、また改めてやってみたいというように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ことしの四月ですか、新聞報道になっておりましたが、ある有名な総会屋グループがアメリカに進出しまして、バンク・オブ・アメリカとかゼネラルモータース、こういうアメリカの会社の総会に乗り込んだというようなことが出ておりました。週刊誌なんかではその中の記事としまして、今回、商法が改正されても生き残れるように、生き残れる方法を探すために外国へ行って勉強してくるんだというようなことも書いてあったようでありますけれども、捜査当局としましては、こういう点についてはいろいろ実態の把握とか、いろんなことのためにこういうことについてももちろん御存じのことだろうと思うんです。  今度の商法改正は、それなりに単位株制度そのほか通しまして、こういう総会屋にも一つの大きな道をふさぐといいますか、彼らにとってはやりづらい状況になるんだろうと思いますけれども、その後どういう形で出てくるかというのは予測しがたいことかもしれませんが、捜査当局としましては、こういうことについてはどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、今後の対応策といいますか、お考えがもしあればお聞きしたいと思いますが、どうでしょう。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 確かに、総会屋が欧米の会社の総会に出席をしまして、いろんな言動があったというようなことが新聞紙なり、あるいは週刊誌に掲載してございます。私もそれを拝見をしました。そういう動きとはまた別に、海外に事務所をつくりまして、その事務所をつくったことを日本の企業に案内をして賛助金をもらうという手口の総会屋もあらわれてきております。  そういうことで、彼らの説明によれば、いずれもこれはやはり経済の国際化に対応するためには、新たなやり方が必要であるということで説明しているようでありますけれども、果たしてそれが真意であるかどうかというのは、今後の推移を見守る必要があるというように考えておりまして、いまの段階で、総会屋が海外の企業の総会に出席したからといって、直ちにこれが今後どういうふうになるかということを即断するにはまだ早いのではないか。今後やはりじっくり状況を見守りながら、先ほど申し上げましたように、今回の商法改正は、やはり株主権の行使に関連する財産上の利益の供与の禁止規定がございますだけに、彼らにとってはまともに打撃を受けることは間違いのない事実でありますから、これをくぐり抜けるために彼らがどういう新手を考え出すか、よくその動向を注視しながら対策を打ち出してまいりたいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 警察庁の方、結構です。どうもありがとうございました。  次、関連するわけでありますが、このたびの改正案で二百九十四条ノ二ですか、会社は何人に対しても株主権の行使に関して財産上の利益を供与してはならない、こうなっておるわけですね。こういうことで、総会屋等に対しての利益供与、こういうことを禁止しておるわけでありますが、「何人二対シテモ」というこの点ですけれども、これは改正試案の段階では、一部の株主に対してという、こういうことだったんですね。  これは局長もいままでの答弁の中、衆議院なんかでもいろいろ御答弁なさっていらっしゃって、一部の株主というよりも、「何人」と、こういうふうにしたのは、総会屋の手口として株主にならないことを条件として会社から金品の供与を受ける、こういう場合もある、そういうことをも規制の対象にするんだということでこの方がいいんだというお話があったように聞いておりますけれども、これからいろんなことが考えられるわけでありますが、株主にならないことを条件として会社から金品の供与を受ける、こういうことになりますと、これは株主権の行使に関してとは言えなくなるわけですね。  こういう場合も、当然これは見逃していいということではないだろうと思うんですけれども、株主権の行使に関してというこの読み方ですね、株主にならないことを条件として、そして会社から何がしかの金品を供与を受けるということになりますと、ちょっとここのあたりの問題というのはどういうようになるのか。罰則の規定等と考え合わせて、これは触れるのか触れないのか、いろんな手口の中の一つとして考えられる一つではないかと思うんですけれども、この件についてはどういうふうにお考えでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」というのは、株主権の行使、不行使に関しという意味であるというふうに私どもは理解をするわけでございます。株主が株主権の行使の仕方によって利益の供与を受けるというのが、最も典型的な場合であろうと思います。試案が一部の株主に対しということを規定いたしておりましたのも、そういう最も典型的な形というものを念頭に置いておったのであろうというふうに思うわけでありますけれども、そうではなくて、株主でない者が、今度おたくの株主にならしてもらいますというようなことで会社に話を持っていく、会社としては株主になってもらわないにこしたことはないわけでありますから、株主になってもらわないことに対して利益を供与するということがあるわけですから、最初に申しましたように、株主権の権利の行使、不行使に関しという意味に考えますと、そういうものも当然含まれるということになるわけであります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 次、総会屋に対する利益供与をした場合の罰則規定の四百九十七条ですか、この四百九十七条「会社ノ計算ニ於テ」という、こういう文言が入っておるわけですね。ですから、会社のお金じゃなくて、会社のお金じゃないというか、取締役が自分のポケットマネーを出して総会屋等を利用するというような、こういう場合はこれはどうなるのか、これも決して考えられないことじゃないわけですね。  取締役というのは重要な職責を担っている立場にある方でありますが、その方がこの「会社ノ計算ニ於テ」ではなくして、自分のポケットマネーという、こういうことで、もし総会がスムーズにいくようにというようなことでしたということであれば、——もしこういう株主総会を総会屋を利用して運営を混乱させるようなことがあれば、二百五十四条ノ二の取締役の忠実義務ということからいってこれは問題になるわけなんですけれども、そうじゃなくて静めるということで取締役、責任ある方が動いたということになると、これはまたどういうことになるのかという疑問が出てくるわけなんですが、これについては法務省の見解はどうでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) 四百九十七条のこの罰則の趣旨でございますけれども、結局この場合、つまり株主権の行使、これは「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」ということは、正当な場合も不当な場合も含まれるわけでございます。そういう場合に、とにかくいずれにしても、株主総会の運営について、会社の金を使って自分の思うとおりにするということに問題があるのではないかということでございます。したがいまして、たとえば取締役が自分のポケットマネーから出しましても、最終的にはそれが会社の金だということになりますれば、これは「会社ノ計算ニ於テ」ということでございますけれども、もし取締役が自分が取締役に再選されたいということで、自分個人のお金を使いましてそして他の株主に依頼するということになりますと、それもなお処罰の対象にするということには、やはり問題があるのじゃないかということでございます。  これは、言ってみますと、もしその取締役が株主にお金を渡さないで、株式を自分のポケットマネーで買い取りまして、そして議決権を行使するということであるならば、何も問題はないわけでございます。それと同様に、自分のポケットマネー、あくまでもこれはポケットマネーでございまして、会社とは関係ないお金で、それを使って自分が取締役に再選されるということであるならば、これもやはり処罰の対象にするのは問題であろうということでございます。  したがいまして、ここではあくまで「会社ノ計算ニ於テ」そういうことをやるということに問題があるということで、処罰の対象にはこれだけをするということでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 総会屋のことをいろいろ午前中からお話あったんですけれども、総会屋というのはそんなにたくさん株を持っているわけじゃございませんから、端株の所有ということが問題になるのだろうと思うんですけれども、総会屋の平均的な持ち株の状況というのは、平均的というか、現状というのはどんなふうになっておるんでしょうかね。法務省ではわからないかな。  それから、現状を踏まえて、今度法改正になりまして単位株制度、こういうものがもし採用されますと、先ほど来いろいろ話しておりますように、一部にはそれを危惧をして海外まで乗り込んでいったということですけれども、総会屋の活動にもそれなりに影響があるんだろうと思いますが、端株の所有というのはどういう現況になっているか、それに応じてこういうものに対してどのぐらいの影響力といいますか、どのぐらいというか非常に大きな打撃ということになるのか、どういう程度の影響力があるのかということもあわせて考えることができるのじゃないかと思うんですけれども、こういう暴力団の端株の所有に、今後のこの法改正によってどれだけの大きな影響力があるのか。定量的にはあるであろうという話はいままでもあったんですけれども、このぐらいのことがこうだろうということがもしおわかりならば、御説明いただきたいと思います。

元木伸法務省民事局参事官

○説明員(元木伸君) いわゆる総会屋がどの程度の株式を具体的に持っているかということにつきましては、計数的なものはこちらでわからなかったわけでございます。しかし、いわゆる小物総会屋と申しますか、そういうものにつきましては、今回の単位株制度あるいは株式単位の引き上げということによって、かなりの影響はあるであろうと思われます。しかし、大物総会屋につきましては、必ずしもこれが万全の策ということは言えないのではなかろうかと存じております。  したがいまして、私どもといたしましては、私どもと申しますか、今回の改正法律案におきましては、そういう技術的なと申しますか小手先の方法だけではなくて、本来、株主総会が正常に運営されるということが必要なのではないかということで、そのために利益の供与の禁止であるとか、あるいは質問権の説明義務の規定の明示であるとか、提案権であるとか、あるいは議長の権限であるとか、そういうふうなことの規定を新設いたしまして、そうして正常な運営を図ろうという意図でこの法律案がつくられているわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 もう時間が参りましてこれで終わるわけでありますが、いま最後に元木参事官からお話しありましたように、実際は総会屋がどうだこうだということだけで、これで株主総会の活性化というものが図られるわけじゃないだろうと思います。やっぱり原因の一つに、日本の国民性とかいろいろのことを言われておりましたが、やっぱり株主としてそれなりの発言、また企業に対しての関心も深め、そしてまた責任も、そしてまた、これは一つのことだけで解決つくものではございませんので、あらゆる手だてが必要なんだろうと思います。こういうことにつきまして、総括的に株主総会の活性化を図るための今度の法改正というのはいろいろあるわけですけれども、それとともに、今後さらに検討しなければならないといいますか、いろいろな方策、施策というものが考えられるだろうと思います。  大臣、最後に、この株主総会、非常に大事な今度の改正ではございます。いろいろな何点か指摘しましたその中の活性化し得ない形骸化しておる問題点も、先ほど来午前中からもいろいろお話しございましたが、この株主総会の形骸化を打破するために今回の法改正、それに伴いますさらに一つ一つの手だてを積み上げていくという、こういう意味におきまして、今後いろいろな角度から検討をいただかなければならないだろうと思いますけれども、総括的な御所見をひとつお伺いしたいと思いますが。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 総会屋の問題に関連してお述べになりましたように、今回の改正で完全に解決できるかどうかということになりますと、私もなお問題が残っていくだろう、こう思います。  総会屋に限って申し上げますと、暴力団の資金源になっているような事態はやはり放置できない。今回、株主権の行使に際しまして、金を出した方も受け取った方も刑事罰に問われるということになるわけでございますから、会社当局者はあとう限りそういう金を使うまいと努力してくれるだろう、こう思うわけでございまして、そういう姿勢がまず大事なことじゃないだろうかなと、こう思います。  もちろん、また今後いろいろな問題が起こってくるかもしれませんけれども、それはそれなりに新しい事態に対応いたしまして、必要な改正を怠らないように努力をしていくことじゃないだろうかと、こう思っておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は、明二十七日午後一時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会

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