法務委員会 第6号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/05/21
会議録
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十六日、玉置和郎君が委員を辞任されました。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 商法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、最近の経済情勢及び会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図る等のため、商法のうち主として株式会社に関する部分の一部及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の大部分を改正するとともに、これに関連して有限会社法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。 まず、商法につきましては、第一に、株式の流通及びその管理の実態に照らして株式制度の合理化を図るため、株式会社の設立に際して発行する額面株式の金額及び無額面株式の発行価額は、五万円以上でなければならないものとして、株式の単位を引き上げることとし、これに伴いまして、既存の上場会社につきましては、原則として、券面額の合計が五万円に当たる数の株式をもって株式の一単位とし、この一単位の株式を有する株主についてのみ完全な株主の権利の行使を認め、一単位に満たない株式を有する株主については、利益配当請求権等の自益権のみの行使を認めるいわゆる単位株制度を採用することとしております。 第二は、株主総会の運営を適正化するため、株主が株主総会における議題の提案をすることができるとの制度を新設すること等により、株主の権限を強化するとともに、いわゆる総会屋の排除を図るため、株主権の行使に関して会社がする利益の供与を禁止し、その利益の供与を受けた者はこれを会社に返還しなければならないものとするとともに、これに違反して会社の計算でそのような利益の供与をした取締役等は刑罰に処することとしております。 第三は、監査役の監査権限を充実強化するため、監査役は、取締役が法令または定款に違反する行為をし、またはするおそれがあると認めるときは、取締役会に報告しなければならないものとし、必要があるときは、取締役会の招集を請求することができるものとし、また監査役の報酬及び監査費用を確保するための規定を設ける等の改正をすることとしております。 第四は、会社の業務及び財務の内容の株主及び会社債権者への開示を強化するため、営業報告書及び監査報告書の記載内容の充実を図ることとしております。 第五は、会社の資金調達を容易にするため、会社は、新株の引受権の付された社債を発行することができることとしております。 次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、第一に、大規模の会社の計算書類が不正に作成されることによってもたらされる社会的な影響の大きさにかんがみ、一定規模以上の会社は、会計に関する専門家の監査を受けることが適当であると考えられるので、会計監査人の監査を実施する大規模の会社の範囲を、資本の額が五億円以上又は負債の合計額が二百億円以上のいずれかに該当するものに拡大することとしております。 第二は、このような大規模の株式会社につきましては、会計監査人は、株主総会において選任するものとしてその地位を強化し、また監査役は二人以上でなければならないものとし、そのうち少なくとも一人は常勤の監査役でなければならないものとして、監査制度の一層の強化を図ることとしております。 第三は、このような大規模の株式会社におきましては、専門的かつ技術的な計算書類の内容の適否を一般の株主が判断することは困難であること及び計算書類については株主総会により選任された会計監査人及び監査役の厳重な監査がされ、かつ、その監査結果が監査報告書により株主に開示されることを考慮して、貸借対照表及び損益計算書については、会計監査人及び監査役のこれを適法とする意見があったときは、株主総会の承認を受けることを要しないこととしております。 第四は、このような大規模の会社で株主の数が多いものにつきましては、株主総会の招集の通知には、議決権の行使についての参考書類を添付しなければならないものとするとともに、株主の議決権の行使を容易にするため、書面により議決権を行使することができることとしております。 最後に、有限会社法につきましては、商法の一部改正に伴いまして、これと関連する部分について、所要の整理をすることとしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、さきに国会に提出いたしました商法等の一部を敏正する法律案が可決されました場合、その施行に当たり、非訟事件手続法外四十八の関連する諸法律について、字句の修正、条文の整理その他関連事項の改正を行うとともに所要の経過措置を定める必要がありますので、これらの改正を一括して行おうとするものであります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 商法の改正につきましては全面改正の必要が強調されておったわけでありますが、今回、株式会社制度のきわめて重要な点についての改正はありますものの、全面改正の動きというものがちょっと見られないように思いますが、これがどういうわけで株式会社制度の改正にとどめたのか、その理由等について御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十九年に商法の一部改正を行いまして、その際に国会の附帯決議等をいただき、会社法の全面改正ということで法制審議会の商法部会で検討をお願いしてまいりました。その際に、まず株式制度、株式会社の機関、さらに株式会社の計算・公開、この三つについての審議が進められておりまして、それが一応五十四年にまとまってまいったわけでございます。同時に、そのころから経済社会の変遷あるいは会社の実態、加えて会社の社会的責任などのことが論議になりまして、早急に商法の改正が求められてまいりました。 そういうこともございますので、それまでまとまってまいりましたものをとりあえず商法の一部改正として提案をする、あと会社の大小の区分でありますとか、あるいは企業結合の問題でありますとか、残された問題は引き続いて検討しよう、当初全面改正をねらって発足したわけでございましたけれども、情勢の推移からいたしまして、とりあえずまとまったものを先に提案すべきだということになりまして、その際に方針を変更したわけでございまして、そうして五十五年で試案の発表から各方面にいただきました意見も取り入れまして要綱をまとめていただき、ことしの一月二十六日に法制審議会の総会を開いてそのとおり御決定をいただいた、それに基づいて今回商法の一部改正法案として提案さしていただいたわけでございまして、同時に、残された問題につきましては引き続いて審議を法制審議会にお願いをいたしまして、そうしてなるべく早く国会に提案の運びにしたい、こういう考えでおるわけでございます。
○寺田熊雄君 民事局長は何か補足する点はないですか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま大臣から申し上げたとおりでございます。 私からもう少し具体的なと申しましょうか、細かい御説明をさせていただきますならば、法制審議会商法部会の審議が始まりましたのは四十九年の夏のことでありますけれども、そこでまず、大ざっぱにどういう問題を検討するかということが取り上げられまして、その後問題点を整理し、そして検討の結果を試案という形で取りまとめるということで、各界の御意見を聞いて全面的改正ということが進められてきたわけであります。ただいま大臣から申されましたように、情勢の変化もございまして、そのうちの一部を取り上げてとりあえず御答申をいただいたということでありまして、時宜に適した改正を行うということから、法制審議会におきましては、従来取りまとめつつありましたものを別個に御答申をいただいたというような経過になっておるわけでございます。 一月の二十四日に御答申をいただきまして、私どもといたしましては鋭意法律案の作成に取り組みまして、そして国会提出の運びになったというふうないきさつでございます。
○寺田熊雄君 いま大臣と民事局長からいろいろ詳細な御説明をいただきましたけれども、情勢の変化というのは、やはり四十九年ににわかに脚光を浴びてまいりましたロッキード事件、それから後にグラマンも発生いたしましたけれども、そういう一連の大会社と政治家との醜い癒着といいますか、そういうものを念頭に置いて、そういう汚職事件が起きないように、株式会社制度というものをいわば少したがを締めようというようなものが動機になっておると理解していいでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 今回の改正項目の一つに、株式制度の合理化というものがございます。 具体的に申しますと、株式単位の引き上げというようなことでございますけれども、これは前回の国会の附帯決議におきましても株式制度の合理化、株式額面の引き上げというようなことが、検討事項の一つとして御指摘をいただいておったわけであります。そういうものを検討しておりましたけれども、具体的に申しまして五十円株券の一株を五万円に引き上げるというような問題、それを単位株制度ということで既存会社にも準用するというようなことが、もう一日も遷延することを許さなくなったというような事情が一つございます。 それからもう一つ、新株引受権付社債の発行ということで経済界等から非常に要望の強かったことがございまして、それもひとつ取り急ぎ実現を希望するというような声が非常に強くなったわけでございます。 それとあわせて、ただいま御質問にございましたように、企業の非行防止についての対応策を求めるという声も非常に強くなったわけでございまして、具体的に申しますと、五十四年の九月の五日には航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というものの提言がなされておるわけでございます。その中に、会社の自主的監視機能の強化というようなことが出てまいりました。そういういろんな要望と相まって、今回の答申の運びになったというふうに私どもは理解しております。
○寺田熊雄君 いま局長の御説明にある四十九年の法改正の際の参議院の附帯決議、四十八年の衆議院の審議の際の附帯決議、こういうものがどの程度この法改正に生かされているか、ちょっと具体的になるけれども、一つ一つ説明していただけますか。
○政府委員(中島一郎君) 附帯決議において御指摘のございました株主総会のあり方、取締役会の構成及び一株の額面金額につきましては、所要の改正が今回行われた、今回の改正法によって盛り込まれておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。 そのほかに、御指摘のございました企業の社会的責任あるいは大小会社の区分というような項目につきましては、その趣旨は改正法案にかなりの程度取り入れられておりますけれども、そのものを正面から取り上げた改正ということは今回は見送られておるわけでございまして、先ほど大臣も申されましたように、今後の検討にゆだねるということになっておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは、附帯決議は非常にたくさんの項目にわたっておって、私どもとしましては後で、この附帯決議は少し雑然とし過ぎているなということを率直に感じておるわけだけれども、いま局長が言われたのは、それは衆議院の法務委員会の分かな。これは衆議院の法務委員会の分の第一項だけじゃないですか。衆議院の方は、これはちょっと雑然として十項目あるようだけれど……。
○政府委員(中島一郎君) 附帯決議でございますけれども、このうちに、所要の法改正を行うことという形で御指摘をいただきました事項と、それから運用の適正を期すること、あるいは調整を図るものとすること、慎重に措置すること、こういうような実際上の措置、調整等を要望されたものと、両方あろうかと思ったわけでありますけれども、そのうち法改正についての御指摘がありましたのは、ただいま御指摘になりました衆議院の附帯決議の「一、会社の社会的責任、大小会社の区別、株主総会のあり方、取締役会の構成及び一株の額面金額等について所要の改正を行なうこと。」、それからもう一点、「会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。」というようなことがあろうかと思うわけであります。 それから、参議院の方につきましては、大小会社についての項目がございまして、「大規模の株式会社については、その業務運営を厳正公正ならしめ、株主、従業員及び債権者の一層の保護を図り、併せて企業の社会的責任を全うすることができるよう、株主総会及び取締役会制度等の改革を行なうため、政府は、すみやかに所要の法律案を準備して国会に提出すること。」、こういうふうになっておるわけでありまして、私、ただいま申し上げましたのは、「株主総会のあり方、取締役会の構成及び一株の額面金額等」の問題、それから「会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。」等については所要の改正を準備いたしました。それ以外の「会社の社会的責任」の問題、「大小会社の区別」の問題につきましては、その趣旨を今回具体的な規定において、制度においてかなりの程度取り入れておりますけれども、社会的責任そのもの、あるいは大小会社の区分そのものという形で取り上げるということはいたしておりませんという趣旨で申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 局長の言わんとするところはよくわかりましたが、そうすると、衆議院の法務委員会の附帯決議の第一項、これだけが法改正を求めている点である。第二項から第十項までは法改正は必要としないというお考えでしょうか。中には、法改正でないと、ちょっと無理じゃないかと思う点もあるんだけれども、この点どうですか。
○政府委員(中島一郎君) 衆議院の第二項の「会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。」という点につきましても、法律改正とそれからそれ以外の方法と両方あろうかと思うわけでありまして、今回、法律改正という面での手当てもいたしたわけでございます。 それから、参議院の第一項につきましても法律改正が必要であるというふうに考えておるわけでありますが、内容はおおむね衆議院の第一項と共通しておるかというふうに考えておりますので、先ほどの衆議院の第一項についての御説明と同じということでお答えをさしていただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 そういたしますと、衆議院の三項から十項まで、これらはいずれも、あなた方の法務省の行政指導で目的を達し得るものですか、それともやはり力に余るという点があるんでしょうかね。もしやれるというのだったら、現実にどういうふうな行政指導をしてどの程度目的を達し得たのでしょうか。その点、ちょっと説明していただきたいんですが。
○政府委員(中島一郎君) いろいろのものがございまして、たとえば後ろの方からまいりますと、第十項「会計帳簿の作成について零細な商人に複式簿記を強制しないよう行政指導をすること。」ということ、これはむしろ法改正をしないということに主眼があろうかと思います。それから行政指導をするということになりますれば、これは税務当局ということになるわけでございます。 それから、第九項の「学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置すること。」、こうありまして、これは、もし法律を改正するということになれば、民法というようなことになろうかというふうに考えるわけであります。実際上の措置といたしましては、各省庁にまたがる問題でありますので、現在総理府におきまして公益法人の監督事務連絡協議会というものがございまして、そこでいろいろと検討しておるということでございます。 それから、第八番目の「商業帳簿等としてマイクロフイルムを一定の条件の下に認めること。」という点は、これは法務省にも関係をしてまいります、税務当局にも関係をしてまいりますので、両者でいろいろと協議をして検討をする、こういう事柄であろうかと考えております。 それから、第七項の「「企業会計原則」の修正が租税に大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続をとること。」というのは、これは大蔵省と私の方も少し関係をいたしておりますので、この点の調整を図ってまいりたいという問題であります。 それから、六の「休眠会社の整理に当つては、事前に十分なPRを行なう等、慎重に措置すること。」、これは前回の商法改正におきまして休眠会社の整理の規定が置かれましたので、その規定に従いまして法務局において休眠会社の整理を行っておりますが、この附帯決議の趣旨に沿って十分なPRを行っておるところでございます。 それから、五の「監査法人は、その社員が税務書類の作成などの税務業務を行なつている会社について、本法の監査業務を行なわないよう規制すること。」という点につきましては、今回、監査特例法のもとに、公認会計士の資格要件として若干の規定を置いたわけでございます。 それから、四は行政指導の問題でございまして、これは所管が大蔵省の証券局ということになっておりますので、適切な措置をお願いしておる次第でございます。 それから、三「商法の運用については、政府各行政機関において連絡を密にしその適正を期すること。」とここにあるわけでありまして、これは商法の運用に関係のあります各行政機関、私ども、あるいは大蔵省、それから罰則などは警察などにも関係がありますので、連絡を密にして適正な運用を期しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 この第八項の「商業帳簿等としてマイクロフイルムを一定の条件の下に認めること。」、これは法改正は要らないわけですか。 それから「学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置すること。」、これも、義務づけるということになると、やはり立法を必要とせざるを得ないと思いますが、その点どうでしょうかね。
○政府委員(中島一郎君) 八項のマイクロフィルムにつきましては、特に法改正ということではなしに運用で賄えるというふうに考えております。まあ時代の要請でございますから、この方向に検討しておるわけでありますけれども、税務関係その他いろいろ関係するところもありますので、その方向でさらに慎重に検討しておるという状態でございます。 九項の点につきましては、先ほど申しましたように民法の改正ということになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 民法で、そのほかに公益法人について公認会計士の監査対象を義務づけるという規定を置くと、ちょっと不体裁のような感じがするけれども、これはやっぱり特別法か何か必要とするんじゃないでしょうかね。 それから、七の「「企業会計原則」の修正が租税に大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続をとること。」、ちょっとこれはわかりにくいんだけれども、この附帯決議が議決されたときは、恐らくあなた方もこの附帯決議に同意なさって、時の法務大臣もできるだけこの附帯決議の実現に努力をするということをおっしゃったはずなんだけれども、この七項について、もうちょっと詳細な説明をしていただきたいと思いますね。 それから、六項の「休眠会社の整理に当つては、事前に十分なPRを行なう等、慎重に措置すること。」、これは現実にどの程度の実績が上がっているのか。もし、いまその統計がなければ後日でも結構ですから、それを当委員会に提出していただきたいと思います。 それから第四項の問題、局長のいまの御説明、ちょっと理解がしにくかったんだけれども、「監査法人の育成・強化を図る反面、個人たる公認会計士の業務分野についても行政上適正な措置をすること」、業務分野を規制するというようなことは、これは行政指導でできるんだろうか、あるいは活動分野の調整を図るというようなことは行政指導ではちょっと無理なように思うんだけれども。 それから、これが大蔵省証券局の所管だというお話がありましたね。これは、実際そういうことになって証券局は動いておるんでしょうか。 ちょっといまの点について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 九項の公益法人関係でございますけれども、公益法人一般ということになりますると民法ということで法務省の所管ということが頭にあったものですから、民法の改正ということで申し上げたわけでありますが、学校法人については私立学校法、その他関係法人のいかんによりましてはその関係法律の改正ということになろうかと思うわけであります。 それから、四項、七項については元木参事官から、六項については稲葉参事官から答弁さしていただきます。
○説明員(元木伸君) まず、七項の点からお答えいたします。 御承知のように、租税法律主義と申しますのは、これは租税、つまり税金を課するためには法律上の根拠がなければならないということが前提になっているわけでございまして、したがって税金を課するということになりますと、当然会社が計上した利益というものがその対象になるわけでございますけれども、その利益を計上するに際しまして、企業会計原則というものが当然考慮されるということになるわけでございます。そういたしますと、この企業会計原則というものが大幅に修正されてしまうということになりますと、される利益というものがそれに従って非常に変動するということで、実質上、租税法律主義を動かしてしまうというような結果になるのではないか、そういうことがございますので、企業会計原則を非常に大幅に動かすというときには、法律上もそれを考慮しなければならないのではないかということであろうかと存じます。 それから四項でございますけれども、この四項の趣旨は、監査法人、これは四十九年の改正と申しますか、四十九年の監査特例法におきまして、会計監査人は監査法人でもよろしいということになったわけでございますけれども、監査法人、これはもちろん複数の会計監査人が集まりまして、公認会計士が集まりまして監査法人を設立いたしまして、そうして監査をするという面で長所があるわけでございますので、これを育成強化するということは望ましいことなわけでございます。 その反面、そういう監査法人が非常に強力になってしまうということになりますと、個人として業務を行っている公認会計士との力関係が非常に差が大きくなってくるということになるわけでございます。そういたしますと、監査法人の方には非常に仕事が来る、それに対して個人の公認会計士には仕事が来ないというようなことにもなってしまうのではないかというような問題もあるわけでございまして、ことに大都会におきましては会計監査人の業務というものは多いわけでございますけれども、地方におきましてはそういう業務の対象となる会社が少ないものでございますから、そういう点で職域問題が起こってくるというようなことでございます。 したがいまして、個人として業務を行っている公認会計士についても、これは十分業務ができるような配慮をしなければいけないということになるわけでございます。したがって、これは私ども法務省の所管ではございませんで、大蔵省の証券局の所管かと存じますけれども、そこで法改正というところまでいかないでも、適宜行政指導によってお互いに業務の分野の調整を図るということとともに、監査法人、それから個人としての公認会計士、双方通じましてその監査能力を向上させていくということを指導するということを意味すると存じます。
○説明員(稲葉威雄君) 休眠会社の整理の関係でございますが、休眠会社の整理に関しましては、昭和四十九年の改正で本則に四百六条ノ三という条文がありまして、これは五年以上登記を怠っていると申しますか、登記を全くしていないという会社については、一定の催告手続を経た上で会社を解散したものとみなすという手続でございます。 それとともに、四十九年の際には、それまで十年間全く登記をしていないという会社については当然に解散したものとみなすということの規定がございまして、それに基づきまして四十九年の十月一日を基準日にいたしまして解散手続を行ったわけでございますが、この際には、この附帯決議の趣旨を体しまして十分なPRをいたしております。その結果といたしまして、大体二五%程度の株式会社が整理されたわけでございまして、その当時もうすでに百万近い株式会社があったわけでありますが、八十万弱に減ったというふうな数字が出ております。 そして、それから五年経過いたしまして、五年経過いたしますと、その当時五年近くすでに登記をしていなかったという会社がそのまま登記していないという状況になりますと、やはり十年近くまだ登記をしていないという状況になるわけでございまして、先ほど申しました十年休眠に近い状況になってまいりますので、五十四年度にやはり十月一日を基準日といたしまして休眠会社の整理をやったわけでございますが、この際には、大体五%ないし六%の株式会社が整理されております。これは、いま申しました十年休眠という制度がございませんで、それまでに累積しておりました休眠会社というものはほぼ淘汰されていたという事情があって、それほど大きな数字になっておりませんけれども、それにいたしましても、この際に、もうすでに百万近い数字になってきたわけでございますが、九十万前後に減っているという数字が出ております。
○寺田熊雄君 それでは、第七項、第四項については、また後日大蔵省の方の担当者に来てもらっていろいろ説明をしてもらうことにします。 それから、先ほど局長の説明なさった株式制度の合理化、単位株制度を創設して一株の金額を五万円以上とするという、現在まだ五十円株がたくさん残っておるようですが、商法の方は五百円の方に持ち上げておるようですね。この実態についてあなた方がお調べになったところがあれば、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 法律案関係資料の後ろから二つ目の青い紙が参考資料のつづりでございますが、その二ページに「東京証券取引所上場株式の額面金額調べ」というのがございます。昭和五十五年十二月末現在の数字でございますが、一部上場会社につきまして調査をいたしました。額面金額が二十円のものが会社数としては三社でございます。額面金額が五十円のものが九百三十一社でございます。額面金額五百円のものが二十六社でございます。 二部上場会社につきましてもほぼ同じような状態でありまして、二十円のものが一社でございます。五十円のものが四百二十五社、五百円のものが十六社、こういうふうになっております。
○寺田熊雄君 こういう昔ながらの株式については、今回の法改正でどういうふうに措置をされるわけですか。切りかえを必要としないのか、切りかえる場合にはどういう手続でやるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 既存の会社の株式につきましては、御承知のように単位株制度というものを設けるということを考えております。これは既存の会社のうち、上場会社につきましては改正法で強制をするということでありまして、それ以外の会社につきましては会社が定款で単位株制度をとることを定めることができる、定款で定めれば単位株制度をとることができる、こういうことになっておるわけでございます。 単位株制度の内容でございますけれども、一単位の株式というのは額面合計が五万円となる数字ということになるわけでありますから、五十円株については千株、五百円株については百株、こういうことにいたします。 単位未満株につきましては、利益配当請求権等の自益権は与えるけれども、議決権その他の共益権は認めない、制限をするということであります。そういたしまして、単位未満株につきましては会社に対して買い取り請求権を認めるということで、単位未満株主の保護を図っておるわけであります。株主でありながら議決権を制限されるという、いわば変則的な状態でありますので、これは恒久的な制度としては考えておらないわけでありまして、将来ある時期に別に法律で日を定めまして、一単位の株式を一株に併合する旨の株主総会の決議があったものとみなすということを予定しておるわけであります。そういうような手当てをいたしまして、単位未満株というものが次第に解消していくということを期待をしておるわけであります。 その解消の度合いでありますとか、あるいは将来における貨幣価値の変動の度合いでありますとか、そういうものをにらみ合わせまして、将来適当な時期にこれを一株に併合する旨の株主総会の決議があったものとみなすということにしたいと考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの点、ちょっとまた御説明いただく前に、先ほど休眠会社関係のことをいろいろ御説明いただきましたね。それを資料として当委員会に提出していただきたいが、よろしいか。
○政府委員(中島一郎君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 いま御説明いただいた、将来、株主総会の決議で五十円株あるいは二十円株という古いやつを五万円株にするために併合するという決議があったものとみなすというのは、やはり商法改正でやるわけでしょう。これは大体いつごろを目途として考えていらっしゃいますか。
○政府委員(中島一郎君) これは、先ほども申し上げましたように、単位株というものがどの程度解消していくであろうか、あるいは貨幣価値の変動がどういうふうになっていくであろうかというようなことをにらみ合わせまして、その段階で決めるということになるわけでありますが、法制審議会の審議の過程におきましては、発行会社からは、たとえば五年というようなことを決めておいてくれという意見があったというふうに聞いております。それに対しましては一部から、やってみなければどういうふうになるかわからないので、それをいま決めておくことはどうであろうかというような意見もありまして、結局、先ほど申しましたように、日を決めないで別に法律で定めると、こういうことになったわけでありますが、大体この単位株制度を考えておられた皆さんがどういうことをお考えになっておったかということは、先ほど申しましたような法制審議会の審議の状況によって御理解をいただけるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
○寺田熊雄君 その場合には、既存の五十円とか二十円とかいう表示のある株式は、これは全部廃棄して、そして五万円という新しい単位株の株券を印刷してそれにかえるということを、そういう手続を経なきゃいかぬでしょうね。
○政府委員(中島一郎君) その手続ということになりますと、費用的にも手数的にも大変でありますので、それを省略するということを考えておりまして、現在の株券を読みかえるという規定を設けております。そのために、何年何月以前に発行された株券については読みかえると、こういう規定になろうかと思いますので、今回株券の記載事項として発行年月日というものを法律で書くように決めたというわけでございます。従来も、実際上は株券に発行年月日というのを書いてございますけれども、法律には発行年月日を書けという規定はなかったわけでございまして、今回それを、規定を設けることによって読みかえを可能にしたというわけでございます。
○寺田熊雄君 とすると、株券としての効力は、いままでの二十円株でも引き続いて存続をする。ただ、単位株に達しないものは、自益権だけでその効用を持つということですね。
○政府委員(中島一郎君) 単位株制度が行われておる段階においてはそのとおりでございます。併合が行われました場合には、端株という扱いになろうかと思います。
○寺田熊雄君 株主総会の問題でありますが、これは私どももかつて大蔵委員会で、株主のいわば質問権を認めよ、権利として認めろというようなことを主張して、必ずしも民事局長のその当時の答弁が、それをすぐ肯定するというほどではなかったと記憶しておるんです。今回は議題提案権という形で、株主のそういう趣旨の権利が具体化されたようですね。これは大変結構なことだと思いますが、そうすると、かなり事前に準備をして書面で提案をしていかなければ提案ができないということになるわけです。株主総会に出席した株主が挙手をしていろいろ質問しようとする。そうすると、総会屋が立ち上がって、わあわあ言って、その質問を台なしにしてしまう、議長もそれを容認するというようなことが、しばしば私どもの周囲で行われておるわけですね。 そこで私どもは、議題提案権のようなものも大切だけれども、何か質問権のようなものを認めて、もっと民主的に——田中耕太郎博士がかつて、株主総会制度というものは非常に民主的な経済制度の象徴的な存在だというように非常に高くこれを評価しておられた、それが現実化するように、もうちょっと実質的な論議が株主総会で行われるように株主の権利を保護することができないだろうか、そういう感じを持つわけですね。こういう実態なり、また、この実態についてどういうふうな法的な対応をすればいいかというようなこと、これはお考えになったことはありますか。
○政府委員(中島一郎君) 株主総会の実態の一部には、ただいま御指摘のとおりの実情があるわけでありまして、それを何とかその形骸化を活性化すると申しましょうか、株主総会を生き生きとしたものにするための法制度、法律の制度をいろいろと考える必要があるということで、今回の改正法案も若干の点について手当てをいたしております。 いま質問権と提案権と、二つ御質問ございましたので、順次御説明をさしていただきたいと思いますけれども、まず第一番目に質問権に関係してでありますけれども、二百三十七条ノ三という規定を新設をいたします。これは株主の質問権という側から規定するのではなしに、その反面である取締役あるいは監査役の説明義務という面から規定を置いたわけでございます。「取締役及監査役ハ総会二於テ株主ノ求メタル事項二付説明ヲ為スコトヲ要ス」、こういうふうに規定を置いたわけでありまして、当然にこれは株主総会の株主に質問権があるということを前提にした規定であります。 しかも、二項におきまして「株主が会日ヨリ相当ノ期間前二書面二依リ総会二於テ説明ヲ求ムベキ事項ヲ通知シタルトキハ取締役及監査役ハ調査ヲ要スルコトヲ理由トシテ説明ヲ拒ムコトヲ得ズ」、こういう規定も新設をするわけでございます。そういったことで、議場が混乱をする、あるいは総会屋などの跳梁によって議場が混乱をするということに対しましては、二百三十七条ノ四の二項におきまして「議長ハ総会ノ秩序ヲ維持シ議事ヲ整理ス」、第三項といたしまして「議長ハ其ノ命二従ハザル者其ノ他ノ総会ノ秩序ヲ乱ス者ヲ退場セシムルコトヲ得」、これは従来規定はございませんでしたけれども、会議体のあり方として、議長が会議を整理し「秩序ヲ乱ス者ヲ退場セシムル」ということはこれは当然のことでありますけれども、明文の規定がなかったのではっきりしない点もありましたので、今回この規定を設けたわけでございます。 それから、提案権につきましては、二百三十二条ノ二という規定の新設を考えております。「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ一以上二当ル株式又ハ三百株以上ノ株式ヲ有スル株主ハ」——いわゆる少数株主でございますが、「取締役二対シ会日ヨリ六週間前二書面ヲ以テ一定ノ事項ヲ総会ノ会議ノ目的ト為スベキコトヲ請求スルコトヲ得」、こういうことでございます。総会に出席をした株主が、その場で会社の提案をいたしました議題に対していろいろと提案をする、修正意見を述べるということは、これは従来からも認められておったわけでありますけれども、今回の提案権は、一定の資格要件を備えた株主に限るとは言いながら、あらかじめ一定の事項を総会の会議の目的とすることを請求する権利を認めました。そして、その請求がありましたときには、その議案の要領を株主総会の招集通知に書く必要がある、会社としては書かなければならないと、こういうような制度も設けておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの御説明にありましたように、総会屋がお金目当ての質問をして総会を混乱させるということももちろんあるようでありますけれども、それはもともとお金が目的なので、会社の方はお金でこれをあらかじめ牽制することができる。ところが、実際問題として、私ども同僚の弁護士が行って質問をする、それが総会屋の妨害で不可能になってしまった、追い出されてしまったというような実例を見ますと、むしろ総会屋の跳梁を規制した方が実情に合うと私どもは考えておるわけです。 この面で、今度の改正法はかなり実効があると考えられる内容の改正を盛っておりますね。金銭などの供与をしてはいけない。供与した場合には、取締役は会社にそれを返還しなければいけない。取締役に対する罰則などもあるので、これは大変いままでと比べますと思い切った法改正のように思いますけれども、どうせ総会屋は、また、あの手この手の裏をくぐる戦術を発明するに違いないと思いますので、いままでも、たとえば年に一回か二回出すような新聞に広告掲載料を求めるとか、あるいは著書を買ってほしいというようなことをねだる、あるいはいろんな行事の賛助金であるとか協賛金であるとか、そういう名義で金銭を要求するというようなことがあったようですね。こういうようないわば脱法手段的な行為に対しては、これはやはり今度の法改正でそれは全部包摂できるというお考えでしょうか。たとえば賛助金とか、あるいは新聞の広告料とか著書の購入費とかいうような不必要な支出を求めてそれで金銭を受領していく、そういう計画がこれで完全に全部包摂できますか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま御質問にもございましたように、総会屋対策といたしましては、二百九十四条ノ二という規定を設けておるわけでありまして、この規定におきましては「会社ハ何人二対シテモ株主ノ権利ノ行使二関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」となっておるわけでございまして、株主権の行使に関して利益の供与が行われたかどうかということが、これがポイントになろうかと思うわけであります。 ただいまお話ございましたように、賛助金あるいは雑誌の購読料、広告料というような口実、名目がございましても、それが株主権の行使に関しての利益の供与であるという場合には、この規定の適用を受けるということになるわけでありまして、その総会屋が株主であります場合には、無償で財産上の利益を供与したとき、あるいは有償で財産上の利益を供与した場合でありましても、会社の受けた利益が供与した利益に比して著しく少ないときは、株主の権利の行使に関して「之ヲ供与シタルモノト推定ス」という推定規定を設けまして、この訴訟の追行を容易にしておるというような次第でございます。
○寺田熊雄君 そうすると、株主である総会屋が株主にあらざる総会屋、これを使って金銭の供与を求めるというような場合、これは押さえられますか。
○政府委員(中島一郎君) この利益供与の禁止は「何人二対シテモ」と、こういうことになっておりますので、それは株主でありましても株主でありませんでも、金品の供与が株主の権利の行使に関して行われたということであればこの規定の適用を受ける、さらに商法四百九十七条の罰則の適用を受けるということになるわけでありまして、ただ、株主である場合には、二百九十四条ノ二の二項の推定規定と申しましょうか、立証責任の転換によりまして訴訟の追行が容易になるという面はございますけれども、規定の趣旨そのものは、何人に対する金品の供与であっても、それが株主権の行使に関して行われたときには規制の対象になるというわけでございます。
○寺田熊雄君 この規定は、局長が言われるように、「何人二対シテモ」というところではきわめて広範に網をかぶせて、これはまあ非常に効果的だなという感じを持ちますが、いま局長の御説明になった「株主ノ権利ノ行使二関シ」と、ここで逃げられるおそれが何かわれわれにとっては懸念されるわけであります。 いま第二項で「無償ニテ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキハ株主ノ権利ノ行使二関シテ之ヲ供与シタルモノト推定ス」。したがって、恐らくこれからの総会屋の脱法手段としてねらうところは、何らかの意味において対価を提供する。有償の形を整える。そして、株主でない総会屋を使って金銭の供与を受けて、それを裏で山分けするという戦法に出るのではないかと思われるわけですね。そういう脱法手段は、これは決してこの規定に関するものだけじゃなくて、あらゆる法の分野に伴うものでありますけれども、これはひとつ実態をよくこれから運用面で十分調査をしていただきたいと思います。それが懸念される。 で、正面切ってこの規定に違反して金銭を要求する、取締役も金銭を提供するということはないのじゃないかと思うんですが、そういう何らかの意味で脱法的な手段を講じて、正義感の強い株主などがそれを知った場合に、被供与者の返還義務、取締役の会社に対する返還義務というようなもの、それは結局、監査役がその返還義務の履行を促すことになりますか、それとも株主が立ってその脱法行為を糾弾するということになるわけですか。現実には、だれがそういうこの規定の実効を担保するような行動に出ることが期待できるんだろうか。また、取締役に対する罰則、これは内部告発以外に有効な方法はないように思うけれども、あなた方としては内部告発に期待をかけておられるんだろうか。そういう点の見通しを、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) まず、だれがその訴訟の担当をするかということでありますけれども、利益の返還につきましては、第一次的には会社が行うということになろうかと思います。取締役に対する弁済請求、これも第一次的には会社ということになるわけでありますが、取締役に対する訴訟でありますから、監査役が会社を代表するということになろうと思います。それが期待できないときには株主の代表訴訟ということになるわけでありまして、二百九十四条ノ二の四項では二百六十七条の規定を準用いたしておりますので、株主が会社にかわって訴訟を起こすということになろうかと思います。 それから、罰則の点でありますけれども、確かにこの犯罪は被害者のない犯罪ということになりますので、贈収賄あるいは選挙違反というようなものと同じように目撃者も余りおらないという性質から、なかなか表に出にくい事件であるということは、ただいま御指摘のとおりでございます。しかし、その情況証拠というものはいろいろあらわれてくるだろうと思うわけでありまして、たとえば株主総会が特定の総会屋らしい者に全く牛耳られておるという場合には、これは何か利益の供与があったのではないかということも考えられるわけでありまして、必ずしも内部告発だけに限るわけではなくて、また他の犯罪を捜査しておる過程においてこういう事実が出てくるというようなことも考えられます。さらには、監査役の監査あるいは会計監査人の監査というものが行われるわけでありますから、その過程においてもこういうものがあらわれてくる可能性はあるというふうに考えておりますが、それよりも私どもとしては、この商法においてこういった利益の供与が許されないものである、犯罪にもなるのだということをはっきりとさせるということに、非常に大きな意味があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。 従来からも、総会屋対策ということでは捜査機関その他も非常に力を入れておられまして、企業に総会屋と絶縁するようにというようないろいろ指導もし、企業によってはそれを宣言をして実行しておる企業もあるということでありますけれども、一般的には総会屋というのは必要悪であるというような考え方もないわけではございません。今回の改正法によりまして、その点をはっきりと、これは許されないことであり犯罪であるということを宣言をしたということが大きな意味があると思うわけでありまして、その実際上の裏づけとなる訴訟あるいは刑事事件としての摘発というようなことも、私としてはかなりの効果が期待できるというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 総会屋がどの程度会社に入り込んでおるか、会社がどの程度総会屋に金銭的な供与をしておるかというようなそういう実態的な調査は、ある程度は法務省はそろえておられますか。もしそれがあれば法務委員会に、この委員会に提出していただきたいと思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 私どもとしては、その実態、必ずしも的確な資料を持ち合わせておりません。これは衆議院における審議の段階での話でありますけれども、警察庁の係官が御質問に答えて、その実態を、かなり正確にといいましょうか、詳細に御説明をしておったようでありまして、私どもそれを聞いたのでありますけれども、数字のことでありますので、ちょっと正確に記憶いたしておりません。
○寺田熊雄君 それでは、次回に警察庁の方へお尋ねすることにして、この規定は、たとえば会社の乗っ取りがありますね。非常にたくさんの犠牲を払って、どんどん一つの目をつけた会社の株式を買いあさっていく、そしてその経営権を乗っ取ろうとする。いままでの経営者は、小さな会社だと、株主の名義の書きかえには取締役会の同意を要するというようなふうに定款を変えたり防戦をする。しかし、一般の上場会社などはそういうことを規制すべくもないから、結局たくさん買収されてしまう。と、経営陣が新しい大株主との間にいろいろと人を立てて話し合いをする。株を買い取るか、あるいは一定の役職をその新しい大株主に与えるとするか、そういういろいろな取引をやる。中には金をもらっておさまるかもしれない。その金銭の供与というものに関しては、この規定がやはりそういう場合にも適用があるだろうか。この点どうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 確かに会社の乗っ取りというようなことが世上間々あるようでありますが、その場合に、会社の乗っ取りに対しては商法は特別に何らの規定も置いてないと申しましょうか、無色であるということでございます。 で、現在の経営者としては、いろいろ防戦をする、株を買い集めて防戦をするわけでありますけれども、その際に、自分の個人の金を使って株を集める、あるいは議決権の行使に影響を及ぼす、自分に有利な議決権の行使を求める、これは許されることでありますけれども、その場合に、会社の金を使って株主の議決権の行使その他に影響を与えるということはこれは許されないというのが、今回の法律の立場でございますので、会社の金を使って他の株主にその議決権の行使に影響を与えるということになれば、先ほど御指摘ございましたような事例もこの規制の対象になるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 監査役の権限強化、これは実際上私どもの友人が会社の監査役をやっておる。それを見て、取締役の違法行為があった場合には、あるいはそのおそれがあるときは取締役会に報告をしなさいというようなことを義務づけても、なかなかこれは困難ではないだろうかというふうに考えておるんですけれども、しかし、まあそうは言うても、廉直な、また剛直な監査役もないではないので、こういう規定を置くことはそれなりの意味があると私ども評価はしておるんですね。 そして、いまの取締役の違法行為があった場合に、監査役はそれを取締役会に報告するということを義務づけても、取締役会の承認を得て取締役がその当該の行為をした場合には、この規定は無意味になってしまうと思いますが、そういうことはありませんか。
○政府委員(中島一郎君) その場合には、取締役会はすでにある取締役が違法行為をした、あるいはしようとしておるということを知っておるわけでありますけれども、それを監査役が指摘をすることによりまして、取締役としては取締役会において何らかの措置をとらざるを得ないような立場に立たされる。もしそれを怠った場合には、二百六十六条によって会社に対して、また、二百六十六条ノ三によって第三者に対して責任を負うということになるわけでありまして、監査役からそういう指摘を受けた場合には、取締役としてはその問題を再考する必要が当然出てくるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでありまして、そこにこの規定の意味があるというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 実際問題としては、取締役会が取締役のその行為を承認しておるという場合には、なかなか監査役のその行為というのは非常な困難を伴うとは思うけれども、しかし、まあ正しい行為だから取締役会と渡り合うということができると、そういう意味で意味があるのかもしれませんね。 それから、取締役会の招集を求めても取締役会が開かれないという場合には、これはみずから監査役が取締役会を招集できるということにしないと意味がないと思うけれども、その点はどうなりますか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま問題になっております二百六十条ノ三の第四項におきまして、「第二百五十九条第三項ノ規定ハ前項ノ請求アリタル場合二之ヲ準用ス」というふうになっております。したがいまして、監査役が取締役会の招集を請求をいたしまして、そしてそれが入れられません場合には、二百五十九条の三項の準用によりまして、その請求をなしたる監査役はみずから取締役会の招集をすることができるということにいたしております。
○寺田熊雄君 なるほど、それでわかったけれども、結局、これは労働基準法などというようなものは、労働基準監督官が剛直で、上の命令があっても従わずに労働基準法を守らせると、そういう剛直な基準監督官がいなければ、本来労働基準法なんというのは守れない。これは十九世紀の中葉にイギリスで労働法ができたときにマルクスが言った言葉だけれども、それと同じようなことで、これは監査役というのは相当剛直な、取締役会や取締役とけんかをしても正しいことは行わせる、そういう勇気を持った人でないと、なかなかこの商法の規定は実現できないように思いますね。でもまあしかし、これは意味はある、現行法よりは確かに大きなこれは前進を意味すると、こういう意味で私は評価をしておりますがね。 それから次に、会社の業務、財務のディスクロージャー、この問題についてお尋ねをしますけれども、監査報告書の記載内容の充実というのは、ある程度この今回の改正の条文の中に出てくるけれども、どうも営業報告書の記載内容の充実というのは直接にはこの条文に出てこないように思いますが、これはどうなっておるんですかね。
○政府委員(中島一郎君) 営業報告書につきましては、商法の二百八十一条におきまして、取締役は毎決算期に左の書類をつくることを要すとありまして、その第三号に「営業報告書」というのが出てまいるわけでありますけれども、営業報告書にどういうものを記載する、その記載方法はどうかというようなことについては、従来は何らの規定がなかったという実情にあるわけであります。規定はございませんけれども、各企業ごとに株主に対するPRと申しましょうか、あるいはコミュニケーションを十分にするというような意味から、いろいろと工夫をして営業報告書をつくっておるわけでありまして、特に法律の、あるいは規則に規定をしないで、こういうふうに各企業企業の創意工夫に任せるということも一つの行き方ではあろうと思いますけれども、余りてんでんばらばらというのも好ましくない一面もあるということで、今回の商法改正におきましては、企業のディスクロージャーの強化ということが非常に重要な柱の一つになっておったこともありまして、各企業においてどうしてもこれだけはやはり営業報告書に書かせるべきであるというような事項を定めるべきではないかというようなことになりました。 商法中改正法律施行法というものがありますが、その四十九条に従来は、「株式会社ノ貸借対照表、損益計算書及附属明細書ノ記載方法其ノ他ノ様式ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」というふうにありました。そこに「営業報告書」というのをつけ加えまして、営業報告書につきましても、「記載方法ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」ということになったわけであります。そして、法制審議会の答申におきましては、「営業報告書には、当該営業年度における営業の経過その他会社の状況を明らかにする重要な事項を記載しなければならない。」、こういう答申内容になったわけでありまして、私どもとしてはただいまこの省令の具体的な内容について検討中ということでございます。
○寺田熊雄君 ちょっと私、健康状態が悪いので、次回にひとつ質問します。
○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十一分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○円山雅也君 私の質問時間は一時間でございますので、総論をすっ飛ばしまして各論から入らせていただきます。 まず、単位株制度についてお尋ねいたします。 株式の単位を引き上げるという意味ならば、既存会社の場合、株式の併合ということが考えられる。これが一番ストレートだと思います。それなのに、単位株制度を導入したのはどういう理由でございますか。その辺をまず御説明いただきたい。
○政府委員(中島一郎君) 明治三十二年にできました商法では、御承知のように、株式の単位は二十円あるいは五十円ということになっておったわけでありますが、これが昭和二十五年の改正によりまして、一株五百円以上ということになったわけであります。既存会社につきましては従来どおりということでありましたために、株式の併合という制度がありながら、なかなかこれが五百円にまとまらなかったというのが、過去三十年の実績でございます。 なぜかということをいろいろな人が考えるわけでありますけれども、結局、五十円の株と五百円の株とありますと、割り高感と申しましょうか、割り安感と申しましょうか、証券市場における取引において、五十円の株はかなりの高額に値上がりをするけれども、五百円の株はそれほどに値上がりをしないという実態があります。そのために、なかなか五百円の株を採用しないというのが一般企業の例でありまして、自分のところだけそういう株式の併合をするということについてはなかなか踏み切れないということでありましたために、今回は、それを上場会社については強制をするということで、単位株制度ということを考えたわけであります。 もう一つ、法律でたとえば併合をするということになりますと、併合して一株になった株は、これは一人前の株として通用するわけでありますけれども、併合によって一株にならなかった株、従来の株、今回は株でなくなるわけでありますが、その株主の権利を余りにも一挙に奪うと言いましょうか、制限すると申しましょうか、ということになるのではないか。その中間的な段階として、単位株制度を採用するということが現実の問題として好ましいのではないかというのが、単位株制度を採用した理由でございます。
○円山雅也君 確かに、上場会社の場合、一挙に株式併合といった場合、株式市場の混乱とか、それから株券の交換でいろいろと費用もかかるとか、それはいろいろいま御指摘になった以外の弊害が生ずると思うんですよ。だから、段階的に単位株制度で中間を置いて、それから併合に持ってくる、これはわかるんですが、いわゆる非上場の会社の場合にもこの単位株制度は導入を認めておりますね、改正法は。 そうしますと、非上場会社の場合には、単位株制度という中途半端なものを持ってくるまでもなく、株式併合で思い切ってやってしまった方が、上場もしていないんだし、むしろ改正法のねらいに一致するんじゃないか。それなのに、非上場の小さな規模の会社にまでもこの単位株制度の導入を改正法は認めている、これは何か意味があったのでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 確かにこの単位株制度というのは、本来上場会社を念頭に置いて考えた制度でありますから、非上場会社につきましては特に単位株制度でなければならないという必要はないわけでありまして、ただいまおっしゃいましたような株式の併合ということでも事足りるわけであります。 ただ、非上場会社でありましても、いろんな種類、形態、規模の会社がございますので、中には近く上場を予定するというような会社もあるわけでありまして、株式市場のことを考えますと、株式併合で一株五万円ということにしてしまいますと、どういう影響が起こるかわからない。従来、五十円と五百円の株があるという段階ででも、五百円の株というものはそういう意味では人気がなかったわけでありますから、これが五十円の株と五万円の株ということになりますと、五万円の株についてはどういう影響が起こるだろうか、好ましくない影響が起こるだろうかということが非常に予測がつかないわけであります。 でありますから、企業によっては単位株制度をとるもよし、株式の併合の手段をとられるもよし、あるいは何らの手当てをされないもよし、その企業の選択によっていろんな方法をとることができるような制度が望ましいのではないかというふうに考えたわけでございます。
○円山雅也君 よくわかりました。 そこで、非上場会社がもし単位株制度を導入した場合なんですけれども、その後始末ですが、まず、当然単位未満の端株が生じますね、単位未満株。そうしますと、買い取り請求権の発生が起こってくる。そこで、上場会社の場合だったら、買い取り請求権を行使されたって、大体値段や何かについて争いがない。非上場の場合、当然買い取らせる方は高く買い取らせたい、買い取る方は安くやりたい。ここで値段の、価格の決定で非常にもめると思うんです。これも改正法では二百四条を適用しますから、裁判所が最後には決定することになるんだろうけれども、価格の決定でまず裁判所に手続を煩わして非常にもめるだろう。 そこは一応解決する、理論的には。その後なんですが、会社が買い取ると自己株式になりますね。そうすると、当然この場合には二百十一条で恐らくは「相当ノ時期」以内に処分しなければいかぬ。処分しなければ、罰則の適用があるということになると思うんです。そうしますと、上場株ならば処分も簡単かもしれませんが、そういう非上場の場合の株の処分というのは「相当ノ時期」を限定されて、かつそれに違反したら罰則があるとなると、物すごく処分で困るのじゃないかと思うんですがね。その場合は法務省としては、たとえば「相当ノ時期」について処分の解釈を緩めるとか、何か手当てをされておられるんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 非上場会社につきまして単位株制度を採用いたしました場合には、確かにただいまもおっしゃいましたような単位未満株の買い取り請求の問題が起こってくる、それについていろいろな法律問題、事実上の困難な問題が予想されるということは、御指摘のとおりの面があろうというふうに考えております。でありますから、その会社といたしましては、単位株制度をとることによるメリットと、単位株制度をとらない、現状のままにしておくことのメリット・デメリットというものを十分に比較勘案をしていただきまして、先ほども申しましたように、非上場会社でありますからいろいろな規模、いろいろな形態、いろいろな構成の会社があるわけでありますから、その自己の会社にふさわしい最も適切な方法をとっていただきたい。 先ほどの御質問に関連をしてでありますけれども、確かに単位未満株の買い取り請求についての時価の算定というものについては事実上むずかしい問題がある。そして、会社がそれを買い取りました場合に、その処分についても必ずしも上場会社と同じように容易に行われるという保証もないということであります。ただ、それが「相当」な期間内における処分ということになるわけでありまして、その「相当」というのは、これは具体的なケースケースに応じての概念であろうというふうに思うわけでありまして、処分の困難な株式についてはその「相当」期間というものが長くもなる、あるいは処分の簡単な単位未満株については短くもなるというようなことで、それほど困ったケースが起こることはあるまいというふうに私ども考えておるわけでございます。
○円山雅也君 そういう問題があるので、非上場の既存会社の単位株制度導入については、後のいろいろな問題があるんだということについて、ひとつぜひとも御指導というか、PRをよろしくお願いをしたいと思います。 次に、今度の改正で株主提案権、これについて少しお尋ねをしたいと思います。 まず、今度の改正法が株主に提案権を与えたというのは、何を期待をしてあの提案権を与えておられるのだろうか。というのは、実際問題として株主に提案権を与えたところで、その提案が総会でもって議決されるなんということは、まず実際上は考えられないこと。だとすれば、改正法があえて株主に提案権を与えた意図といいますか、ねらいといいますか、それはどの辺にあったんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) これは、株主総会の形骸化ということが言われて久しいものがあるわけでありまして、これを何とかして生き生きとしたものにしたい、株主総会を、法律が期待しておりますそういう充実したものにしたいということを考えたわけであります。 そのためには、株主に参加意識と申しましょうか、そういうものを持ってもらうということがまず必要ではなかろうかということでありまして、この提案権によりまして、株主としては一定の要件のもとにではありますけれども、自分の言い分、主張というものを会社に対して申し出て、そしてそれを総会の議題にしてもらうことができる。会社に対して自分の言い分をアピールする、あるいは他の株主に対して自分の主張を聞いてもらうということによりまして、会社との間のコミュニケーションを高めると申しましょうか、盛んにする、そして株主と会社の間の連帯感、ひいては信頼感というものを確保する方法として考えたわけでありまして、先進諸国においても例外なくこの提案権という制度が認められておるのも、全く同様の趣旨であろうというふうに考えているわけでございます。
○円山雅也君 わかりました。 そこで、この提案権を認める要件ですが、これは六カ月前より引き続き百分の一、それからもう一つのあれが、これはもう絶対数の三百株ということになっておりますが、そうすると、問題はこの三百株なんですが、改正法の施行前既存会社でかつ単位株制度をとらない会社の場合も、文字どおり三百株という要件はそのままストレートに適用になるわけですね。 そこで、そうなりますと、アンバランスの問題が出てくるんですね。というのは、単位株制度をとる会社は三百単位ということになりますね、三百株という意味は。そうすると、これは仮に五十円株だとすると額面で千五百万円なきゃいけないし、一般の市場価格によると約一億円なくちゃならない。ところが、既存会社で単位株制度をとらない会社の場合は、仮に五十円株だと三百株で一万五千円、市場価格で十万円。片や一億円なくちゃいけない、片や十万円で足りるということは千倍の開きです。千倍の差の株主に、同じように株主提案権を与えるという結果になると思うんですね。 そうすると、そういう千倍の開きを持つ株主に同じように提案権を与えるということは不都合じゃないか、解釈上おかしいじゃないか。だから、この改正法の三百株の解釈は、既存の会社でかつ単位株制度をとらない会社の場合には、これは三行株ストレートに適用になるんじゃなくて、解釈上これはその場合は百分の一が適用になって、三百株は適用にならないんだというような、つまり千倍のアンバランスを縮める解釈としてそういう解釈が生まれてくる可能性があると思うんですけれども、法務省のお考えはその点についてどうでしょうか。つまり、そんな解釈はだめだとか。
○政府委員(中島一郎君) 単位株制度をとらない既存会社に一つきましても、三百株の株主に提案権を認めるという解釈でございます。
○円山雅也君 そうしますと、そこまでして、そんなアンバランスにあえて目をつぶってまでも、そういう既存会社の単位株制度をとらない会社に提案権を与えなきゃならなかったのだという何か必要があるんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 提案権を考えました場合に、これを少数株主権とするか、あるいは単独の株主権にするかということは、これは一つの問題であろうかというふうに考えたわけでありますが、これを上場会社に採用するということになりますと、一方においてやはり乱用の防止と申しましょうか、乱用の懸念というものを頭に置いておかなければならないということになるわけでありまして、そのために発行済み株式数の百分の一ということに一つの要件をしぼったわけでありますけれども、非常に規模の大きな会社につきましては、百分の一ということでもこれは大変なことでありますから、五万円の三百株、あるいは既存会社についていえば三百単位という基準、要件というものを一つ設けたわけであります。 ただ、ここで問題になりますのは、単位株制度をとらない非上場会社については、ただいま御指摘ございましたように、額面だけからいくと一万五千円じゃないかと、こういう問題が出てくるわけでありますけれども、非上場会社でありますから株式もそれほど分散をしていない、むしろ非常に制限された範囲内の株主でありまして、異分子が入ってくるという可能性も非常に少ない。この提案権が乱用されることによって会社の経営の安定が妨害をされるというような心配もそれほど大きくないということから、三百株の提案権を認めたわけでありまして、もしその三百株の提案権ではこれは乱用のおそれがある、そういう懸念があるということでありましたならば、先ほど申しあげましたように単位株制度をとっていただく、株式の併合をしていただく、あるいは株式譲渡の制限をしていただくと、いろいろなそれに対応する手段というものもあるわけでありますから、そこは各問題点を比較考量して、それぞれの会社にふさわしい制度をとっていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○円山雅也君 よくわかりました。 それでは、また問題を変えまして、ひとつ今度は株主総会における特別利害関係人の議決権について改正法はいじっておられるので、その辺を少しお尋ねをしたいと思います。 結局、現行法だと、「特別ノ利害関係ヲ有スル者」は株主総会で議決権を行使することができないという条文があった。それを今度は改正法で削っちゃった。なしにしちゃった。そのかわりに、改正法の二百四十七条の一項三号で、「決議二付特別ノ利害関係ヲ有スル株主が議決権ヲ行使シタルコトニ因リテ著シク不当ナル決議が為サレタルトキ」は取り消しの訴えができる、取り消しの訴えの対象に変えられたわけですね。このすりかえが行われたんですが、そこで、そういうふうに特別利害関係人の議決権を行使できないというのを削除しちゃって、取り消しの訴えの対象に変えたことによって、従来からの特別利害関係人とはという特別利害関係人の概念といいますか解釈、範囲、それについて相違が出てきたかどうか。 従来、この点で学説、判例はきわめて利害関係の範囲を狭くやりまして、しぼっておりました。ところが、今度は、特別利害関係人が議決権を行使しても普通の議決がなされたのならいいんであって、著しく不当な決議がなされた場合だけを対象にしぼろうというわけですから、そうすると、もうすでに著しく不当な決議がなされたというしぼりがかかっているんだから、従来のようにあえて特別利害関係の範囲でしぼりをかけなくても、結末でしぼりがかかっているんだから、だから、今度はそうすると改正法では特別利害関係人の範囲をしぼる必要はなくなったんじゃないか。つまり、従来の特別利害関係人の範囲をうんとしぼろうとする学説、判例は、今度の改正法には変わって考えられるようになるのかどうか、その辺はどうでございましょうか。
○政府委員(中島一郎君) 御指摘のように、商法の二百二十九条の五項というものを今回削ろうとしているわけでありまして、この「総会ノ決議二付特別ノ利害関係ヲ有スル者」という点は、確かに従来から商法における一つの難問題であったわけであります。本来、株主でありますから、自分の利益のために株主になったわけでありまして、その株主権を行使する、議決権を行使する場合も、自分の利益のために行使をするということになるわけでありますが、それが程度を逸脱した場合に問題になるということでこの従来の五項の規定が置かれておったわけでありますけれども、実際問題としても不都合な結果が起こるというようなことから、従来裁判例としてはこの特別利害関係の範囲を非常にしぼって狭く解釈しておったということも、ただいま御質問にあったとおりでございます。 今回これを削りまして、二百四十七条の一項三号ということで、「特別ノ利害関係ヲ有スル株主が議決権ヲ行使シタルコトニ因リテ著シク不当ナル決議が為サレタルトキ」という場合に、総会決議取り消しの原因というふうにしたわけでありますが、それによりまして、従来、特別利害関係の範囲を非常に狭く解することによって具体的な事件について妥当な結論を得ようとしておった裁判所の考え方というものが、ある程度変わってくるのじゃなかろうかというふうに私どもも見ておるわけであります。ある程度緩やかにと申しましょうか、広く解するということになるのではなかろうか。そして、著しく不当な決議であるかどうか、それによって著しく不当な決議がされたかどうかということに、焦点が移ってくるのではなかろうかというふうに私どもも見ておるわけでございます。
○円山雅也君 そうしますと、私も当然局長と同じように、これは変わるだろう、つまりそんな無理な狭い解釈をする必要はなくなりましたから、変わるだろうとは思うんです。 そこで具体的に、たとえば従来の解釈だと特別利害関係人にならないとされたものが、改正後だと一応特別利害関係人にはなるんだけれども、著しく不当かどうかでチェックしていくということになりますと、たとえば具体例で申し上げますと、従来のその取締役を解任するかどうかの決議のときに、当該取締役が特別利害関係人になるかどうかでもめまして、最高裁が判例を出して、いや、この場合でも特別利害関係人にならないんだとやりましたですね。これは最高裁の判決。これは今度は、じゃ、取締役の解任決議のときに、その解任決議に当該取締役が参加することは特別利害関係人になるんでしょうか、ならないんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 確かにその点一つの問題ではあろうというふうに私どもも考えておりますけれども、ただ、ただいまおっしゃいました解任の決議の場合には、商法の二百五十七条に解任の訴えというのがありますので、決議の取り消し等ではなくて、解任の訴えで賄うということになるのではなかろうか。でありますから、抽象的に申しますと、その解任の決議において、当該取締役は特別利害関係があるかどうかというのは非常に解釈上興味のある問題でありますけれども、実は私どもは必ずしもそこのところをはっきり詰めておらないわけでございます。
○円山雅也君 そうですね、解任でやれば実際上少なくなりますね、その問題。 そこで、改正法の二百四十七条の一、項の一号に、これは決議取り消しの訴えの理由ですが、一号には「招集ノ手続又ハ決議ノ方法が法令若ハ定款二違反シ又ハ著シク不公正ナルトキ」という、これは取り消しできますね。決議の方法または手続が著しく不公正なるときは取り消しができる。そうしますと、この条文があれば、今度の改正法の一項の三号の、特別利害関係人が参加したことによって著しく不当な決議がなされたということも、この一項一号で賄えるんじゃないか。ということは、たとえば法務省のお考えが、この二百四十七条一項三号の著しく不当な決議というのと同条同項一号の著しく不公正な決議、著しく不当というのと著しく不公正というのとは概念的には違うんだというふうにお考えなら意味があるんです、この二つを残すことが。だけれども、著しく不当な決議ということは当然著しく不公正な決議となるならば、あえて三号を持ってこなくたって一号で、利害関係ということは一切商法上から抹消できるはずなんですね、技術的には。この辺はどうでしょうかな。不公正と不当という……。
○政府委員(中島一郎君) 一号というのは、手続に瑕疵がある場合というふうに私ども考えておるわけでありまして、三号の場合には、その決議の内容に着眼をして、その内容が著しく不当であるかどうかということが問題になる。でありますから、一号とは別に三号というものが必要であるというのが、私どもの立場でございます。
○円山雅也君 それは確かに一号の方は「招集ノ手続」とありますし、「又ハ決議ノ方法」と、こうありますから、何か手続的なように見えますね。だけれども、それなら今度つくった三号だって、利害関係人が参加したことによって、それに株主権を行使させたことによって決議が著しく不当になったというならば、やっぱり決議の方法じゃないんでしょうかな。ちょっと御意見を……。
○政府委員(中島一郎君) 確かに一号の規定によりまして三号のある部分は賄えるかもわからないという気はいたしますけれども、それで三号のすべてを尽くすというわけにはまいらないのじゃないか、その部分を明らかにするという意味から、三号の規定の存在価値があるというふうに考えておるわけでございます。
○円山雅也君 私がそういうふうに一号で賄うようにならないかというふうな意見を申し上げたのは、つまり商法上から利害関係人というのを抹消した方が法体系の上ではすっきりするんじゃないか。というのは、なぜかといいますと、従来、判例解釈で利害関係人というのを四苦八苦してうんと狭くしぼって、あってなきがごとくしておいて、今度は逆に利害関係をあえて三号で残して、さらに今度は著しく不当なのが問題なんであって、その前提の利害関係かどうかは法概念上余り問題にならないんだということになるならば、ここにわざわざ「利害関係」を一つだけ残す必要が意味が余りないんじゃないか、法体系上非常にぶざまじゃないかというような気がしたものですからこういう御質問をしたんですが、ひとつこの点も将来御検討ください。 それでは、今度は株主権行使に関する利益供与の禁止の規定、これについて少しお尋ねをしたいと思います。 まず確認をいたしますが、改正法の四百九十七条、罰則の方ですな、「株主ノ権利ノ行使二関シ会社ノ計算二於テ財産上ノ利益ヲ人二供与シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金」云々と、こうあるわけです。そうしますと、「会社ノ計算二於テ」なんだから、重役や何かがポケットマネーでやる分には、これはこの罰則の対象にはまずならないんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) そのとおりでございます。
○円山雅也君 情状としては、しかし会社の金でやろうがポケットマネーでやろうが、悪いこと、そこでもっておれに有利に株式権行使してくれというんなら、大して変わりはないような気がするんですがね。「会社ノ計算二於テ」というのをここに入れたのは、特に何か立法意図があったんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 四百九十四条という規定がございます。しばしば問題になりますいわゆる「不正ノ請託ヲ受ケ」というのが入るあの規定でございますけれども、従来はこの四百九十四条ということになっておりまして、そして不正の請託を受け財産上の利益を収受したときには、これは会社の金であろうと自分の金であろうと処罰の対象になるというのが、四百九十四条でございます。 この「不正ノ請託ヲ受ケ」というのを削ることが望ましいというような意見があったわけであります。そこで、そういう賛成論もあるわけでありますけれども、しかし事柄はあくまでやはり株式の世界の問題であります。これが公務員の職務の連結性というようなことになってまいりますと、どこから出た金であろうと、その公務員の職務に関して金品が授受された場合にはこれは処罰の対象になるわけでありますけれども、事柄が株式の世界の問題でありますから、金を出して議決権の行使に影響を与えるということは、それ自体は処罰の対象とするほどのものでもないのじゃないか。金を出せば株が買えるわけでありますから、その株式によって議決権を自分の有利に行使するということはこれは許されることであります。でありますから、その株を手に入れないまでも、お金を払って議決権の行使を自分に有利にさせるということは、これはそこまで処罰の対象にすることはできないのじゃないか。いま総会屋対策等で問題になっておりますのは、会社の金を使って株主権の行使に影響を与えると申しましょうか、それが問題なのだということで、四百九十七条はこういう規定になったわけでございます。
○円山雅也君 よくわかりました。 そこで、少し今度は具体例に当てはめてこの規定をお尋ねをしたいと思うんですが、私は弁護士を兼ねております。そこで顧問会社の株主総会によく出るときがあります、株主の資格において。そうすると、帰りにお車代と称して何万円か私にくれるわけです。これは、そうすると無償供与となって例の推定規定が働いて、「株主ノ権利ノ行使二関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」という、刑事じゃなくて民事の項か、そっちでもって私はもらったうん万円のお車代をお返ししなきゃならぬのですかな、こういう場合は。
○政府委員(中島一郎君) 二百九十四条ノ二の規制の対象になりますのは、申すまでもなく株主権の行使に関しての利益の供与でありますので、ただいま伺っておりますところでは、法律顧問と言いましょうか、法律上のアドバイザーとしての職務と申しましょうか、出席に対する謝礼その他の対価としての供与であれば、この二百九十四条ノ二の規制の対象とは全く関係がないというふうに考えるわけであります。
○円山雅也君 そこなんですが、確かに株主総会についていろんな御相談を受けて法律上の指摘をする、そこまではいいと思うんです。だけれども、同時に株主に大抵なっています、顧問会社の。だから、株主の資格で株主総会に参加しているわけです、そのとき私は。それで、まさにその株主総会についていろんなアドバイスをし、お車代をもらうわけなんです。だから、私の株主権の行使に関して財産上の利益の供与を受けたことにはどうもなりそうな気がする。まして、この推定かなんかありますと、無償にしても推定受けちゃうし、有償の場合でも——まあ有償の場合というならば、アドバイスに対するそれは対価なんだということになれば、会社の利益と見合っているから推定は働かないかもしれませんけれども。 だから、私のちょっと懸念するのは、今後そうすると、たとえばそういう危険を防ぐならば、顧問会社の株は顧問弁護士としては持てない。顧問弁護士というだけの資格でもって株主総会のアドバイスをするということにしないと、同時に大抵株主も兼ねるんですがね、いま、ほとんどは。総会に出席し、現に株主権の行使を、たとえば賛成のときは、議長とか言ってやるわけですよ。それでお車代もらうと、ぴったりいきそうな気がするんですが、絶対安全、間違いございませんと保証していただけますかな、それは。
○政府委員(中島一郎君) ただいま伺っておりますと、やはりどうしても株主権の行使に関する利益の供与とは考えられませんので、絶対大丈夫でございます。
○円山雅也君 安心いたしました。 そこで、この民事の二百九十四条ノ二の推定規定ですが、推定規定はどうも私はひっかかるんです。どうしてひっかかるかといいますと、たとえば推定なんだから反証を挙げれば覆せますね。そうすると、反証を持っているようなときには株主の権利の行使に関しない反証なんだから、権利の行使に関しない場合に該当するわけです、ストレートに。そうすると、構成要件に該当しなくなっちゃうんだから、どうせ不適用なんだから、どうしてこの推定がここへ持ち出されるのか。 たとえば、強いて推定が出るとすれば事実上の推定で十分なんであって、これを法律上の推定まで高めておいて、法律上の推定ですから恐らく反証じゃないんですよね。反対立証になるわけですよ、立証責任が転換しちゃうから、必ず。だから、反対の確証までも持ち合わせないとこの適用を防げないというんだから、反対の確証までも持っているような場合には、権利の行使に関しない反対の確証を持っている場合なんだから、だから推定規定なんか要らないのじゃないかなと思うんですよ。また強いて、こんなもの事実上の推定に任せておけばいいはずだし、法律上の推定までこれを高めなきゃならぬ必要があったのかどうか。何か特にそういう法律上の推定まで高める必要があったんだという意味があるんでしょうかね、これ。その点をちょっとお尋ねをしたい。
○政府委員(中島一郎君) 円山先生の推定に関する司法研究の報告書などもございますので、推定問題について私どもがむしろ考え足りないのかもわかりませんけれども、推定規定を置くことにしまして、結局、真否いずれともつかないという場合の解決に資すると。ひいては立証を容易にすることによってこの訴訟の追行の負担を軽減するということに、この規定のねらいがあるわけでございます。
○円山雅也君 私も、そこまでなら事実上の推定でもいいし、経験則でも十分足りるし、それから本来、法律上の推定まで高めるというのは、この程度の立証の困難とかいう場合じゃなくて、構成要件を行政的な目的でもってひっくり返すというような場合に法律上の推定を使うので、だから法律上の推定の場合は必ず反証じゃなくて反対立証、確証しなきゃいけないのだというふうになるわけなんですね。そうすると、内容的には事実上の推定、経験則を法理文化したように見える。それならば事実上の推定で足りたのじゃないかなと思うんですが、その点はちょっとめんどうになりますから、このくらいにします。 そこで、たとえばこれがむずかしいところかもしれませんけれども、「株主ノ権利ノ行使二関シ」とやっていますね、条文が。そうすると、たとえば正当な権利行使もあるわけですよね。不当な権利行使もあるわけだ。総会屋のやるのはまさに不当な権利行使だし、株主としての、真に会社のためを思って株主の権利行使をする場合もあるわけです。そうすると、株主が本当に会社のためを思って株主の権利行使をした、いやありがとうございました、おかげでといって利益供与が出たという場合でも、何か罰則の適用を受けるというのは、これは、だから何か不当な権利行使にしぼらないでいいのかなという気がするんですがね。その辺、ちょっとお考えをお聞かせください。
○政府委員(中島一郎君) 権利行使の内容が正当か不当かということではなくて、議決権その他、権利行使に影響を及ぼした、影響を与えるという趣旨のものであって、しかもその出どころが会社の金であるということが決め手になるというのが、この制度でございます。
○円山雅也君 だから、それはちょっと不当じゃないかという、不当というか、かわいそう、酷じゃないかなというような気もするんですけれども、その辺はこれは考え方の相違ですから、これくらいにします。 そこで、時間が少なくなってまいりましたので、最後に大臣の御意見も伺いたいと思います。 これは、直接今度の改正部分には当たらないんですけれども、四十九年の附帯決議の中に、衆議院の方では大小会社の区別について所要の改正を行えと。それから、参議院の方ではもっと詳しく具体的に、現下の株式会社の実態にかんがみ、小規模の株式会社については、別個の制度を新設してその業務運営の簡素合理化を図るよう改正しろと、具体的になっています。つまり、いずれも、大きな会社と小さな会社とを法律上区別して改正の対象にしてくださいという意味だと思います。 そこで、いまもう大臣も御承知だと思いますけれども、日本の場合、百万社から少し減ったかどうか知りませんけれども、かなりおびただしい数の、本来ならば個人商店で当然やっていく八百屋さん、魚屋さん、規模は別としまして、御主人が社長で奥さんが専務で小僧さんが常務だとか、それでりっぱに株式会社と、そういう会社が五万とあるわけなんです。そういう小さな、本当は実態はもう個人商店なのに単に税金対策上だけのためにそういう外形をとると、これがいま野放しになっておびただしい数になっています。ところが、それもやっぱり株式会社である以上、この詳細な株式会社法が適用になる。適用になるといったって、実際に総会開くわけじゃない、取締役会開くわけじゃない、会社のことなんか何も知らない、運営なんかあり得ないわけです、実体は個人商店だから。こういう状態をこのまま野放しにしておいてよろしいものかどうか。 もしも対税上だけの考慮にすぎないならば、ちょうど鶏を割くに牛刀を用いるみたいな形で、対税上の何か手当てをしてやればいいんであって、そのために会社法を持ってきて会社の組織にして、こっちはそっちのけにして対税だけやるという、これはぼくは法律を何か逆用するような感じで問題があると思うんですが、この点について大臣のお考えをちょっとまずお聞かせいただきたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) いまおっしゃいますように、私も税金対策で法人組織をとっているところがかなり多いのじゃないだろうかなと、こう思っております。また、そういう意味合いで税制上もいろいろ手直しはしてきているわけでございますけれども、結論として、やっぱり法人組織をとっているところの方が、家の経費と企業の経費とをある程度混同してしまっても、なかなか税制上それを指摘することが困難な場合が非常に多い等等の問題がございまして、やっぱりなおそういう弊害が残り続けているのじゃないかと思うのです。 そうかといって、ここで大小の区分ということになりますと、いまは資本金幾ら小さくても株式会社になれるわけでございます。こういうことを考えてまいりますと、やはり有限責任で責任を果たし得るだけの資本金を持っていなければ株式会社として活動することを認めるわけにいかぬじゃないかという議論も出てくるのだろうと思います。そうなりますと、現状に大変な改革を試みることになりますので、やはり慎重な検討を要する。そういうことで、全面改正の際にはこれが一つの大きな課題になるのじゃないか。したがいまして、引き続いて法制審議会で十分な御検討を願いまして何らかの結論を出していただかなければならぬのじゃないかなと、こう思っているところでございます。
○円山雅也君 確かにそういう株式会社の形態をとって、それが節税になるだけの段階でとどまるならば私は商売のやり方の一つとしてまだ是認できるんでございますけれども、ところがたまたま会社が有限責任なものですから、株式会社は有限責任の特典だけを利用いたしまして、それでもって第三者に迷惑をかける。たとえば会社と取引をして、会社だけつぶしちゃって個人はぬくぬくとして、個人保証でもしない限り別法人ですから、ぬくぬくとしちゃって、会社つぶしてまた別会社をつくってその債権者に迷惑をかける。つまり会社組織を利用して、全く善意な第三者に御迷惑をかけているというような事態までも発生をしている。だものだから、数年前、十年ぐらい前になりましょうか、最高裁が法人格否認の法理というドイツの理論を取り入れまして、そのような実体が個人商店であって、単に対税上のみ会社の外形上やっているやつはこれは法人否認すると。だから、債権者はそんなものは会社として否認しておいて社長にでも請求できる、保証がなくてもという法人格否認の法理の判例を打ち出しました。 ここでそこの問題なんですが、大臣、私は考えるんですが、法人格否認の法理というのは、あれは一種の立法作業だろうと思うんです。というのは、立法府が、こういう組織を持てば会社として認めるよとやって、そのとおりにつくったわけです。個人商店、規模が小さいにしろ何にしろ、これをつくったわけです。ところが、司法判断の方ではそんな会社は認めないよと、対債権者に関する限りは認めないよと言って、法律が認めている会社を裁判所が具体例でもって否認してくるわけです。ということは、本質的には法人格の否認の法理が発達したのはやむを得ない、つまり立法府がその点について手当てをしない、おくれているから、だからやむを得ず緊急避難的な司法権から立法権への介入みたいな形でもって何とか具体的な妥当性を図ろうというふうに出てきたんだろうと思うんです。といたしますと、この問題ですね、大臣、そこまで立法の方がおくれておる。だからこそ四十九年の附帯決議でも、大小会社区別する改正をしてくださいよと、衆参ともにそろってお願いをしたわけですね。 ですから、それでもなおかつ今度の改正に、これは前に寺田先生の質問に局長が答えられまして、いろんな点で大小会社の何とか区別をしようと努力していますが、ストレートに改正は今度は盛り込んでおりませんとお答えになりましたけれども、ぜひともひとつ大臣、ぼくは立法府がもたもたしているものだから、だから司法権が三権分立を侵してまでも、法人格否認の法理までも取り入れて具体的な妥当性を図らなければならないということは、やっぱり立法府の一つの怠慢ではなかろうか。また、もしも大小会社の区別がそれほど単に理論的な問題にとどまって実害を及ぼしていないのならば、何も最高裁が好んで法人格否認なんかを持ち出して無理な理論構成をして、立法府が認めた会社を否認する必要もないわけです。 だから、その辺ひとつ、ぜひとも立法府の責任として大小会社に、どのような形になりますかわかりません。また大臣のおっしゃるとおりこれは大変な大改革、大手術だと思いますけれども、その点でも、個人商店が会社組織にすることが単なる対税上ならば、ぼくはもっと違った形でその恩恵を否定しないで税法上の処理でできると思うんですね。それだから、方法は何も商法の大改正じゃなくて、そっちの方で手当てができたならば、大小会社の区別の弊害はかなりの部分がなくなるかもしれないし、その辺ひとつ総合的にお考えをくださいまして、この点について立法府として御努力をされるようお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○藤原房雄君 商法等の一部を改正する法律案並びに商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、この質疑をさせていただくわけでありますが、全面改正ということを大きな旗印といいますか、一つの目標として御努力をいただいたわけでありますが、諸般の事情によりまして全面改正とまではいきませんでしたが、やはりこのたびもこれは大幅な改正と見てよろしいのではないかと思います。そういうことで、これはきょうも同僚委員からもいろいろ質疑ございましたように、それぞれの項目に分けて、やはり時間をかけていろんな問題についてただしてまいりたいと思います。 私どもこのたびのこの法案につきましては、それなりに大きな前進であり改正であるということから、反対の立場ではございませんが、大きな改正であればあるだけに、それだけにこの急激な社会情勢の変化、また経済情勢のいろんな今日の様相の中で、これがどういう問題をはらむのかということについて各方面のいろんな方々の御意見も賜り、そういう点で確認をしてまいりたいと思います。衆議院におきましては三十数時間、四十時間になんなんとする質疑があったようでございます。そういうことで、衆議院でもずいぶんいろんな角度から御審議があったろうと思うんでありますが、当委員会といたしましても、また私自身といたしましても、それらの問題についての疑義につきまして、確認ということで御質問さしていただきたいと思うんであります。 最初に、今回の改正、当初は全面改正ということを目標にして作業が進められ、四十九年から今日に及んでおったわけでありますが、しかしながら、これが全面改正ということでありますと、月日がどうしてもたち、諸般の要望の中でこれはこたえられないといいますか、現在審議の終わったものについては法制化すべきだという、こういうことで今日の改正になったと承っておるわけでありますが、このたび途中から方針を変えられるその要因になりましたものは、いろんな問題があったんだろうと思いますけれども、大臣も本日の趣旨説明の中で「最近の経済情勢及び会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図る等のため、」と、こういうふうにお述べになっていらっしゃいます。 これは最初に認識をお伺いするということになるかもしれませんが、現在の経済情勢、また会社運営の実態等、こういうことについて率直にひとつ大臣がどのようにお考えになっていらっしゃるのか、そういう必要性の中から、今回、方針を変えましてこのたびのこの改正案となったんだという、この辺のことについてお伺いをしたいと思うんであります。
○国務大臣(奥野誠亮君) 経済情勢といたしましては、基本的に貨幣の単位も実質的にずいぶん変化しておりますし、また、企業が国際的にも幅広く活動するようになってきておりますので、そこから起こってきております必要は達成していかなきゃならない、そういうことで株式制度につきまして一株の単位を引き上げたり、あるいは社債発行につきまして工夫を加えたりしているわけでございます。 同時に、会社の実態といたしまして、株主総会の形骸化、特に総会屋の活動、特にその金が暴力団に流れていっているのじゃないかというようなことが言われたりしているわけでございまして、そうしますと、ある程度会社の自主的な監視機能を強化する手当てをいろいろ講じていかなきゃならない。そういう意味で、いろいろなことをこの際加えさしていただいたということでございます。
○藤原房雄君 最近の経済情勢、これはもう三十年代、四十年代、まあ年を経るに従って非常に変化が激しい。そういう中にありまして、全面改正ということで時間をかけるのは、これは当然幅広いいろんな意見を聞かなきゃならぬわけですから、かけなきゃならぬのですけれども、しかし、こういう急激な経済情勢の中ではできるものからやらなきゃならない、そういうこれは経済情勢の変化というものが非常に最近は急激なんだという、こういう認識がその底にあったのだろうと思うんでありますけれども、その辺のことについてはどうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃるとおりでございまして、事実また株式の取引は五十円株千株単位でやっておるわけでありますから、実質的には一株五万円になっておるということが言えるのではないかと思うのでございまして、単に株式の取引だけじゃなしに、会社が株主との間でいろいろな交渉をしていきます場合にも、五十円の株主に対しまして年間会社としては二千円から三千円の金を管理経費に使っていると、こう言われておるわけでございまして、そういう不経済な点は直していかなければならぬと思いますし、同時にまた、国際的に取引をしておりますと、会社としては売上金を外貨で持っているわけであります。そうしますと、為替変動で大変なリスクを負うわけでございますので、逆に社債を外貨で発行しておりますと、ちょうどそれに対応できるわけでございます。 社債を発行しておりますけれども、できる限り低い金利で発行できるようにしようとしますと、やっぱりそこで株式引受権付の社債というような妙味を加える必要がある。現に、転換社債を海外で発行しているわけでございますけれども、株式に転換されてしまいますと、もうその社債はなくなってしまうわけであります。株式引受権付社債でありますと、株式を引き受けましても本体の社債は残っていくわけでありますので、為替のリスクを回避することにも役立つわけでございますし、また資金を幅広く海外からも確保していきたいという場合にも、低利でそれを確保できるということにも役立とうと、こう考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 総括的な話であれでありますが、このたびの改正は、当初、先ほど申し上げましたように、全面改正ということで進んできたわけでありますが、商法は四十九年にも監査制度等に大幅な改正があったわけでありますけれども、当委員会におきましては四十九年ですか、衆参における附帯決議というものが今回の大きな改正の一つの要因といいますか、これになっているというように私どもは聞いておるわけであります。 今回、全面改正ということには至らなかったとは言いながら、今回の改正はそれなりに、いまも大臣の答弁ございましたように、現在の中でなすべきことについての、国際情勢の中での企業の活動また国内的にも株式の現状、こういうことの中で、なすべきことがなされているということで、それなりに私どもは評価をするわけでありますけれども、今日までとかくに商法は継ぎはぎといいますか、なかなかこの全面改正ということ、まあ二十四年ですか諮問がありまして以来、大幅な改正というのは言うべくしてなし得ずに今日まで来ておると思うんです。 今回、その都度その都度あります問題について継ぎはぎといいますか、改正のあったところの整合性が問われ、それを是正するというこんなことで今日まで進めてきたように思うのです。四十九年この全面改正ということを目標にして進められたというのは、まことに時宜を得たものであったのでありますが、しかし、この経済情勢の大きな変化の中で今回できるものからということで今回の改正になった。 そうしますと、今回のこの改正の法案というものは、全面改正の中の大きな目標の中でどういう位置にあるのかということですね。もちろん、今後また全面改正の目標というものを失わずにさらにまた審議を続けていくのであろうと思うのでありますけれども、当初の目標としました全面改正ということに対しまして今回のこの改正案というのはどういう位置になるのか、こういった今後の進め方といいますか、こういうことともあわせて、全体のこういう流れの中で今回の改正はここなんだという位置づけを中心にしましての関係性といいますか、そういうものについて御説明をいただきたいと思いますが。
○政府委員(中島一郎君) 御質問にもありましたように、前回の商法改正の際の附帯決議を受けまして、法制審議会の商法部会におきましては全面的改正ということで着手をいたしまして、所要の検討、審議を行ってきたわけでありましたが、今回取り上げました項目は、株式制度について、それから株式会社の機関の問題——株主総会、取締役、取締役会、監査役というような機関の問題、それから株式会社の計算・公開の問題、それに新株引受権付社債の問題、こういうものを取り上げまして答申をいただき改正案に盛り込んだわけでございます。 で、全面的改正、全面改正ということで予定をしておりました項目は、このほかに企業の社会的責任に関する一般的な規定を置くかどうかというような問題、あるいは企業結合の項目をどうするか、企業結合に対する規制をどうするかというような問題、それから大小会社の区分の問題、ひいては最低資本金制度というようなことにもなろうかと思いますけれども、そういう問題があったわけでありまして、そのうち、先ほど申しました三項目を全面改正の一部先取りという形で改正案を作成いたしましたので、あと残っております問題は、さしあたりは社会的責任の一般的規定を置くかどうかという問題、あるいは大小会社の区分の問題、さらには企業結合の問題というような項目が残っておるわけであります。 これらも、いずれも緊急に検討を要する事柄であります。しかし、一方また、非常に重要な影響するところの大きい問題であります。法律的にも困難な問題をはらみ、事実上はもっといろいろとむずかしい問題点を蔵しておるという項目でありますから、引き続き法制審議会において御検討をいただきまして、そして法律改正に持っていきたいというふうに考えておるわけであります。 でありますから、全体像と今回の改正の関係ということになりますれば、今回の改正は全面的改正ということで出発をいたしまして、そのうちの一部——大半と言っていいかもわかりませんけれども、その大半を先取りして改正法案をつくったと、こういう関係になろうかと考えております。
○藤原房雄君 先ほど大臣からもお話あり、またいまも一部の先取りというような言葉、お話があったわけでありますが、一括全面改正ということで作業も順調に進んでおったというふうに私どもは見ておるわけでありますが、この審議が進んでおりましたところ、五十四年の七月に分割改正方針というのを打ち出されたわけですね。これはもう航空機疑惑の問題とか、いろんなそういう必要性があったんだろうと思いますけれども、端的に言ってこの大方針が、突如という言葉がいいかどうかわかりませんが、五十四年七月に分割改正の方針に踏み切ることになった主な理由、そしてまたその経緯といいますか、その間のことについてもう少し詳しく聞きたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 先ほどから申し上げておりますように、全面改正ということで取り上げられておりました項目は六つあるいは七つあったわけであります。そのうちの三項目についての一応の審議が終わっていたというのが五十四年ごろの状況であります。その三項目、すでに一応の審議を終わっていた三項目の審議につきましても、すでに昭和四十九年から申しますと、五年余りの年月を要しておったわけでありまして、今後さらに大小会社の区分でありますとか、あるいは企業結合の問題でありますとかというような項目を取り上げて検討をするということになりますと、さらに数年の年月を要するであろうということが予測をされておったわけであります。 しかし、一方、現実の問題といたしましては、先ほどから問題になっておりますように、社会経済関係の変動と申しましょうか、変化が非常に著しいものがありまして、会社としては株式制度についての改正を一日も早く取り入れてもらいたいという要望が強かったわけであります。また、先ほど大臣も申し上げましたように、新株引受権付の社債を一日も早く発行できるような制度をつくってもらいたいという要望もきわめて強いものがあったわけでありまして、これが四年も五年も先ということになりますと、大変困ったことになるというような事情もあったわけであります。また、一面におきまして会社、特に大会社の非行防止に関して、企業内の自主的監視機能の充実ということも一役買うべきであるという意見も非常に強いものがございました。両方の要望が相まって、全面的改正もさることながらそのうちの一部のものについて、現在すでに取り上げることのできる、具体化することのできる一部のものについて先取りをして立法すべきではないかという要望が出てまいりました。それが、法制審議会において入れるところとなりまして、そして一部答申ということになったというのが実情でございます。 全面的改正ということにつきましては、今後ともなお検討を続けるわけでありますので、そのうちの一部について、緊急な必要のあるものをとりあえず立法するというのが今回の改正でございます。
○藤原房雄君 わかりました。 それから、これは法制審議会の商法部会におきます審議の過程の中といいますか、審議会というのは、これはそれぞれの省庁にもございまして、それぞれのルールにのっとってやっておるわけでありますが、いまもいろいろお話ございましたように、五十二年の五月に株式制度に関する改正試案ができているわけですね。五十三年に株式会社の機関に関する改正試案、五十四年の十二月に株式会社の計算・公開に関する改正試案、これは民事局の参事官室の名で公表されているわけですけれども、この改正試案というのはこれはどういう性格のものなんですか。いろいろ審議会で審議があった、それを参事官室でそういう意見を取りまとめたたたき台という意味なのか、どういう性格のものなのか、その審議の全体の流れの中で試案という位置はどういうところにあるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 審議会の各委員の方々にいろいろ御討議をいただくわけでありまして、そのときには問題点ということで持ち出しまして、そしていろんな意見の交換をしていただくわけであります。審議の経過につきましては、議事録、会議録というものをつくりますけれども、この会議録、議事録そのままではこれは非常に膨大でもあり、内容も必ずしもまとまっておりません。それを法務省民事局の参事官室で整理をいたしまして、そして問題点を抜き出してコンパクトなものに取りまとめる、そしてこれを各界に御送付をいたしましてこれに対する御意見を伺う。そして、将来審議会における本格的な審議の場合の参考、たたき台にするというのが、試案の性格と申しましょうか、持つ意味であろうかというふうに考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 そうしますと、審議会でのいろんな意見がコンパクトに整理されたということでありますから、審議会の重要な議題であり、そしてまた、必要性のあるもの等については細大漏らさずその中に盛り込まれているわけですね。 この改正試案を見ますと、非常に画期的といいますか、そういう提案がこの中にはあるように思えるわけでありますが、改正試案と審議会の答申、これを比べますと、画期的ないろんな提案はありましても、答申の段階では採用されないといいますか、答申としてはそれが落っこちておるというような、こういうものも機つかあるようなんですけれども、改正試案から答申に至るまでの議論の経緯といいますか、これはいろんな角度から検討した上で実現性のあるもの等の取捨選択はいろいろなさるんだろうと思いますけれども、経営委員会制度とか、社外監査役制度とか、半期報告制度とか、それから連結決算制度、こういうようなことについては法制審議会の答申から抜けていますね。 それから、この改正試案が今度は審議会の答申ということになるには、またここでいろんな議論も闘わされるんだろうと思いますけれども、われわれとしましても非常に大事な、そしてまた、全面改正ということの中での項目としては非常に大事だなと思われるものがこの段階で落ちておるというようなことで、改正試案の段階から答申に至るまでにはどういう手続といいますか経緯があるのか、この辺のことについてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。
○政府委員(中島一郎君) 改正試案というものを取りまとめまして、そしてこれを経済団体、学者、その他関係方面にお送りをいたしまして、そしてそれについての御意見を伺ったわけであります。それに対していろいろな御意見をお寄せいただきまして、それを参考にしてもう一度法制審議会の商法部会におきまして試案をたたき台にして、それに各界の御意見を参酌して審議をしていただいたわけであります。 試案は、先ほど申しましたように一つのたたき台でありますから、必ずしも十分に練った意見でなくても、一つの新しい意見が出たという場合には、試案の段階だからということでそれを載せる場合がございます。将来、本格的にもう一度この問題を討議してもらうのだから、試案の段階で落としてしまってはその討議の機会さえもなくなるのだからということで、どちらかといいますと控え目ではなくて余裕を持って載せると申しましょうか、これはあるいは将来法制審議会の討議で反対が多くて採用できないかもしれないじゃないかということが考えられましても、試案の段階ではあえて載せるというようなこともあるわけであります。そういうものをたたき台にして、そして各界の御意見を伺って審議をする。したがいまして、試案の段階から答申の段階へと移る途中におきまして、問題点の多いものは試案にあったけれども答申に盛り込まれなかったというものも幾つかあるわけであります。 特に今回は、先ほども申し上げておりますように、途中で方針の変更と申しましょうか、ある時期までに答申をしたいというようなこともありまして、重要問題と申しましょうか、非常に意見の分かれる問題については今後の審議にゆだねまして、とりあえず緊急なもの、余り異論のないもの、問題のないものというのを中心に取り上げたというようなこともございますので、試案にあったけれども答申にはないというような項目も幾つかあるわけであります。 たとえば、ただいま御質問にもちょっと出てまいりました経営委員会というようなものがございます。確かに試案の中には経営委員会というものがあったわけであります。で、経営委員会の構想ということでどういうことを考えておったかと申しますと、まず経営委員会の設置といたしましては、「経営委員会の設置は、定款に定めのある場合を除き、取締役会が決定する。」、こういうことであります。経営委員会の構成といたしましては、「経営委員会は、取締役の一部をもって構成し、その構成取締役は、取締役会の決議によって定める。」ということであります。経営委員会の権限といたしましては、「経営委員会は、法令又は定款に別段の定めがある場合にはその定めによるほか、取締役会の委任により、会社の業務執行を決定する。」ということでありまして、いってみれば、取締役会の内部にもう少し小規模のそういう委員会を置くという構想であります。これが答申では落ちているわけであります。 なぜかと申しますと、経営委員会というのは、取締役会が形骸化をしておるということを一応肯定いたしまして、そして取締役会ではもう実質的な審議が期待できないので、それよりもっと小規模な、小人数な経営委員会というものを別につくって、そこで従来取締役会に期待しておったような業務執行についての決定機関としての役割りを果たさせるという、そういう構想であります。 そこで、いろんな検討がされたわけでありますけれども、その経営委員会の構想に対しましては、これでは取締役会をますます形骸化させるのじゃないか。経営委員会というものを別につくるということは、取締役会の形骸化ということはこれはどうしようもないものだということであきらめてしまうということになるので、それは時期尚早ではないかというような反対意見が最初からあったわけであります。今回は経営委員会を採用しないで、そして取締役会を活性化させる、そのために幾つかの規定を新設をするという方向で今回の改正は考えようということになったわけであります。 一つ一つの制度につきまして、非常に慎重な審議の結果、今回はこれを採用しないという結論が出たわけでございます。
○藤原房雄君 後からお伺いしますが、審議会も相当な回数開かれたようでありますから、いろんな多方面から検討されての結論だろうと思うんでありますが、私どもいままでのいろんなこういう法案の改正問題にぶつかるのですけれども、最初はもう抜本的な改正ということで、いろんな角度から検討をするわけでありますが、それはいろんな各界の人たちの御意見を聞くには時間もかかるわけでありますし、いろんな御異論があったりなんかするわけですから、それを取りまとめるというのは大変なことだと思うのでありますが、一回こういう形で一つの改正案というものができますと、そのとき時間がないといいますか、十分なお話し合いができずしてここから抜けてしまうやつは、再びこれがこの議題にのって法文化するというのは大変なこれは時間がかかることであり、慎重を期さなきゃならないという半面と、まあそこで合意が得られればいいということで、その法案の中に、改正案の中に入らないやつは今度またいつ俎上に上るかという、こういうことをしばしば経験するわけであります。 大小会社の区分のこととか企業の合併、分割とか、いろんな問題についてはいろいろ議論になっておるわけでありますし、その必要性も論じられているわけでありますが、今回こういう改正案ができて、それなりに、ただいま経営委員会制度等についてはこのもの即の、ストレートのものはないとしても、そういうものは十分に加味して取締役会の活性化を図るというそういう形で生きているということでありますけれども、一たんこれはつくってしまいますと、そこの中に入れなかった問題というのはずっとまたおくれる。それだけに、慎重な審議の中でもやはり各それぞれの問題点については、十分な検討とやっぱりそういうものが生かされる方向というのが大事なことなんだろうと思います。 これはその二律背反といいますか、時間を十分にかけていろんな各般の情勢を話し合わにゃならないということと、できるだけそれが生きるように法案化されるようにという、こういう二つのことを同時にするということは非常にむずかしいことですけれども、往々にして一回この改正案ができますと、また来年というわけにもいきませんし、それ相当の時間がかかるということで、今回入らなかった問題についてはそれなりの審議はするとしても、またずっと遅くなってしまうという、こういうことがいままでの中から、私どもは経験上考えておるわけであります。 そういうことから、先ほどもお話ございましたが、連結決算のこととか、いろんな問題についてこの答申から外れておるもの、こういう問題については、再びこれを継続的に商法部会でまた審議を継続するというこういうことになるのか、まあ別な項目についてやるのでちょっと時間がかかるのか、その辺の今後の審議の進め方といいますか、審議の経緯の中で、今回落ちたような問題についてはどういうことになるんでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 先ほどから申し上げましたように、あと大きな項目といたしましては、企業結合の問題あるいは大小会社の区分の問題というようなものが残っておるわけでありますが、したがいまして、それを今後取り上げていくということはもちろんでございますけれども、すでに一応の審議を終わって今回の改正案に取り入れました株式制度あるいは会社の機関、会社の計算・公開の問題にいたしましても、今回取り上げなかった幾つかの問題点というものがあるわけであります。今回は見送ったけれども、捨て去ったわけではないという項目が幾つかあるわけでありまして、これは先ほどから申し上げております企業結合、大小会社の区分などとあわせて、今後継続されるべき法制審議会において審議をお願いするということになろうかと思うわけであります。 ただいまおっしゃいました連結決算制度等につきましては、企業結合の検討の際に取り上げることになろうかと思うわけでありまして、先ほどおっしゃいました半期決算の制度あるいは社外監査役の制度というようなものも、それぞれ関係の部分を検討いたします際に、再度取り上げて検討をするということになろうかと思います。 要するに、今回の改正作業は終わってないわけでありまして、今後なお継続をされていくわけでありまして、現在取り出しましたもの以外は、すべてなお検討の対象になっておるということで御理解をいただきたいわけであります。
○藤原房雄君 わかりました。 それから、この法制審議会の答申、要するに一月二十六日ですね、それと法案、これを見ましても、まあ何点か相違点があるわけですね。これはもちろん一もちろんといいますか、答申に至るまでには、先ほど来お話のありましたように、審議会でお話があり、それを集約いたしまして改正試案をつくり、それが答申という形に至るわけですけれども、その経緯を経た答申が法案という具体的なものになりますと、これまた何点か相違点が出てきているわけでありますが、これも細々しいことを一々お聞きするのはどうかと思いますが、主な問題点だけでも、それはどういう理由でそのように法案には盛れなかったのか、また相違が出てきたのか。 たとえば、会計監査人の監査対象会社なんかも違っておりますね、答申と法案。それから、株式の併合とか議長の選任とか、細かいことを言うといろいろなのがあると思うのですけれども、主な項目だけで結構ですが、答申から法案に至る経緯について御説明をいただきたいと思いますが。
○政府委員(中島一郎君) 答申にございましたけれども法案に取り上げなかった事柄の一つは、複数の監査役の職務執行に関する点であります。 答申によりますと、五の「監査役」の「3 複数の監査役の職務執行」というところで、「(一)監査役は、その全員の合意により、法律に定める意見の陳述又は報告以外の職務の執行を分担することができる。」、(二)といたしまして、「監査役は、他の監査役が分担した職務の執行を適正に行つているかどうかについて注意を怠らなかつたときは、当該他の監査役が任務を怠つたときでも、損害賠償の責めに任じない。」、こういう答申をいただいたわけであります。 監査役が複数おります場合に、その職務の執行を分担するということは、これは現実にも行われておるわけであります。それに対する法律関係がはっきりしないので、法律の規定を設けるということも、これは一理あるわけでありますけれども、その分担についてのどういう規定を置くかということが、これが必ずしもそれほど全員の同意が得られないというような事柄であったわけであります。また、こういうように、それぞれが職務全般を行うことができるのに、その者が複数いるという例はほかにもあるわけであります。会社を代表すべき取締役が複数いる、そしてその複数の代表取締役が職務の執行を分担しておるという例はほかにもあるわけでありますが、その場合に、その職務の分担について、またその責任の帰属について法律の規定があるかと申しますと、それは法律の規定がないわけであります。で、監査役の場合にのみ、複数の監査役についての規定を置くということはいかがなものであろうかということで、今回の法律案では見送ったわけであります。 答申にあって法案に採用いたしませんでした第二の点は、監査対象会社の範囲の問題でございます。答申におきましては、監査対象会社の範囲につきまして、まず(1)といたしまして、「資本の額が五億円以上の株式会社」、(2)といたしまして、「最終の決算期以前の一年間の営業による収入が二百億円以上の株式会社」、(3)といたしまして、「最終の貸借対照表上の負債の部に計上した金額の合計額が百億円以上の株式会社」という三つの要件を掲げまして、さらに任意適用会社というものも答申しておったわけであります。 それは、資本金の額が一億円以上五億円未満の株式会社にありましては、会社の定款で監査対象会社にすることができる、そして会社の定款でそれを定めた上はこの法律上の監査対象会社と同様の取り扱いを受けるという答申であったわけでありますが、法案におきましては、資本金の額が五億円以上の株式会社というのは答申どおりでありますが、(2)の営業収入二百億円以上の株式会社というのは、これは採用いたしませんでした。(3)の負債百億というのは、これを二百億に増額をして維持をしたわけであります。それから、任意適用会社というのは、これは今回採用いたしませんでした。それが答申と法案との違っておるところでございます。 そういう法案にした理由でございますけれども、この点につきましてはいろいろな反対意見もありました。私どもも各方面の意見を聞きました結果、やはり一挙に激変をすると申しましょうか、大きな変化があるということはいろいろな点で支障があるのではないかということを考えまして、その激変緩和の意味もあって、ただいま申しましたような法案の内容にしたわけでございます。 答申と法案とで差がありますものは、私どもの考えでは以上の二点であろうかというように考えております。
○藤原房雄君 中心的なといいますか、大事な項目はそういうことだろうと思うんでありますが、細々しいことを言うと何点かありますけれども、各論につきましては今度、後日それぞれの問題についてはまたいろいろ御質問したいと思っておるんですが、先ほど来お話いたしておりますように、社会情勢の変化、当初の全面改正という基本方針でございましたが、そこヘロッキード、ダグラス、グラマン、まあそういうこともございまして、さらにこれは審議会の進行等もにらみ合わせまして、できているものからということでありますが、審議会のその審議というものが非常に、各省庁ともそれぞれ審議会を設けていろんな審議をしておるわけでありますが、特にこういう大きな社会情勢の中での問題でもございますので、精力的な審議が続けられてきたんだろうと思います。 どういう形態のもとにこういう審議がなされ、そして取りまとめられ、改正試案ができ、答申ができ、今日に至ったのかという、その辺のことについて大まかなところだけでもぜひこれは私ども十分に認識をしておきたい。こういう経緯の中から今日の試案ができ、答申ができ、そして法案ができたということで、その中の論議の経緯、こういうことが私どもは十分に認識できるということは、その法案に対してより深い理解を持つことになる、こういうことからお尋ねをするわけでありますが、この法制審議会の商法部会、これは部会と小委員会とそれから準備会というのがあるんですね。こういうことで、どのぐらいの日数というか時間、今日までこの取りまとめのために審議がなされたのか、大ざっぱなところで結構ですからお答えいただきたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 準備会の回数につきましては、非常に回数が多くて、六十九回にわたっておりますが、この詳細の、どの部分についてどれだけということはいま資料がございませんが、あとの商法部会と小委員会につきましてはこういう経過でございます。 昭和四十九年から五十年にかけまして、先ほど局長がお話申し上げました会社法改正に関する基本的問題点がどこにあるかということを検討いたしたわけでございます。これにつきましては、商法部会が五回、小委員会を四回開いております。その成果が、昭和五十年の六月十二日に法務省民事局参事官室名で発表いたしました「会社法改正に関する問題点」と題する意見照会でございます。 それから、その意見を受けまして、昭和五十一年の二月十八日と三月十日の両日にわたりまして、この後の審議をどうするかということについて商法部会を開いて御審議を願ったわけでございまして、この場合にはまず基本問題として、大小会社の区分をどうするかというフリーディスカッションが行われたわけでございまして、ただこの問題は、先ほど来お話が出ておりますように、きわめて現実社会とのかかわり合いが大きくていますぐに結論を出すということは適当ではないということになりまして、そのためにさしあたりは、株式会社らしい株式会社と言うと少し言葉が行き過ぎるかもしれませんけれども、相当株式会社としてふさわしいようなそういう会社を念頭に置いて規定の改善というものは考えていくという方針が打ち立てられ、そして今後の審議はまず株式制度の改善策という問題点から検討するという旨が決定されたわけでございます。 それに基づきまして、昭和五十一年の三月二十四日から五十二年の四月六日までの間に商法部会が四回、小委員会が七回開かれまして、この間に株式制度の改善策について検討が行われたわけでございます。その成果が「株式制度に関する改正試案」というものになりまして、これは昭和五十二年の五月十六日に発表いたしたわけでございます。同じく法制審議会の商法部会の審議の経過を踏まえて、民事局参事官室が取りまとめたというものでございます。 さらに、昭和五十二年の六月一日、この発表直後でございますが、六月一日から昭和五十三年の十一月十五日までにかけまして商法部会が七回、小委員会が十回開かれたわけでございまして、ここでは株式会社の機関、つまり株主総会、取締役、取締役会、監査役の改善策について検討が行われたわけでございまして、その結果が、昭和五十三年十二月二十五日付で「株式会社の機関に関する改正試案」という形で発表されております。 続きまして、昭和五十四年の二月二十一日から昭和五十四年の十一月二十一日までの間に商法部会が六回、小委員会が二回という形で株式会社の計算・公開に関する改善策について検討が行われまして、その結果が、昭和五十四年十二月二十五日付の「株式会社の計算・公開に関する改正試案」という形で発表されたわけでございます。 この間、昭和五十四年の七月ごろに、一応、分割と申しますか、一部だけでも先行させて改正するという方針が商法部会で決定されたということでございまして、その後、先に進む検討というのはそこまでで、五十四年いっぱいで終わりまして、五十五年一月三十日から昭和五十五年、同年の十二月二十四日までの間、一年間の間に商法部会を十一回開きまして、各界の意見を参酌しつつ、株式会社の株式、機関及び計算・公開並びに新株引受権付社債に関する改正法律案要綱の作成のための審議を行ったわけでございます。 昭和五十五年の十二月二十四日に、その結果といたしまして、商法等の一部を改正する法律案要綱案というものが部会で決定されまして、これを受けて昭和五十六年一月二十六日に法制審議会総会で、商法等の一部を改正する法律案要綱が原案どおり決定された、かような経過になっております。
○藤原房雄君 ずいぶん精力的に取り組んでいらっしゃった経緯がいまお話ございましたが、いまお話を聞きますと、結局、この審議会の部会の前に行われます準備会というのが、非常に大事なといいますか、この準備会であらあらのたたき台といいますか、項目や何かいろんなことがなされるんだろうと思うんですけれども、この準備会というのはどういう人が主力メンバーになっていらっしゃるんですか。 それからまた、回数等についてはいまお話ございましたけれども、この準備会の構成とか、その様子をちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 準備会につきましては、先生御指摘のとおり、部会あるいは小委員会の進行のための準備をするという会合でございまして、商法部会のメンバーから構成しております。 その主力メンバーは学者でございまして、商法学者が四、五人と、それから実務家と申しますか、実務界の代表委員が一人、あとは事務局と申しますか、法務省関係者、あるいは計算・公開のような審議の場合には大蔵省の担当幹事、それから裁判所からも御参加いただいている。 準備会の構成は、その審議の過程で違っておりまして、メンバーは普通この作業を通じて大体固定していたわけでございますが、計算・公開の問題につきましては、先ほど申し上げました大蔵省から幹事に参加していただいたというほかに、会計学名も数名——三名ないし四名でございますが、加えるというような構成で審議をしていただいております。
○藤原房雄君 法制審議会令によりますと、第五条に「審議会に幹事を置く。幹事は、審議会の庶務を整理する。」と。まあ、いまお話いろいろございましたが、商法部会の幹事を見ますと二十三人ですか、そのうち法務省の担当官が九名外、大蔵、最高裁というこういうお役人の方々が十六名、全体の三分の二という、こういうメンバーになっていると思うんです。準備会というのはその基礎的な段階でのことをなさる非常に大事な立場にある方々ですが、まあこれはこういう直観的な感じといいますか、そういうことでお尋ねをするわけなんですけれども、お役所の方々が三分の二という、こういうメンバーでこの基本的なことをお話し合いをするということになると、どうしてもこれはお役所リードといいますか、役人リードの審議会という、こういう見方も出てくるのじゃないかと思うんです。 この幹事の中の一人に参事官もなっているはずですけれども、実際この運営面については、この審議の中で幹事の担う役割り、まあそういうことではなくて、各省庁間のいろんな連携とかそういうことであって、実際的には先ほどお話ありました経済学者といいますか、商法学者の方々に大きな発言力というか、御意見をいただくというような形になっているのか。ちょっと数の上から見ますと役人の関係の方々——まあ、各省庁にまたがっているからこういうことになるのかもしれませんけれども、ちょっとこのメンバーを見ましてそういう感じを抱いたんですけれども、これはどういうことでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 小委員会におきますメンバーも、商法部会における構成を代表いたしますように、その人選と申しましょうか、各界代表者の割合については配慮しておるつもりでございます。 幹事につきまして、役人、特に法務省関係者が多いのじゃないかということでありますけれども、やはり幹事ということになりますと、審議の準備ということで、いろいろな資料を作成をいたしますとか、あるいは外国文献の翻訳をいたしますとかというようなことで人数が必要になってまいります。そういう意味からも法務省の担当者が幹事に入っておるというのが、あるいは若干目立つというような形になるのかもわかりませんけれども、実際の委員会あるいは準備会における審議の実情というものを見てみますと、決して法務省中心であるとか、あるいは役人中心であるというような感じは持たないわけでございます。
○藤原房雄君 わかりました。 それから、この審議会を見まして、まあほかの省庁の審議会ではどうなのか、余りいままで気がつきませんでしたが、法制審議会の会長は法務大臣になっていますね。ですから、これは答申ですか、大臣が大臣に答申するというような形になるわけですね。これは形だけで、実質的にはもう支障のない形になっているのかもしれませんが、ちょっと奇異に感ずるわけですけれども、これは法制審議会も一つの省令で定まっているわけでありますからあれですけれども、そういう素人といいますか、こういうのを見たときに、ふっとこれはどうなのかなという感じを持つんですけれども、これは実際に審議の過程とか、いろんなことの中では支障のないことなのかもしれませんが、その辺のことについてはどうなんですか。
○政府委員(中島一郎君) 伝統的にと申しましょうか、沿革的にそういう構成になっておるわけでありますが、法制審議会を定めておりますのは政令であります。内容につきましては、ただいま申しましたように、伝統的にと申しましょうか、沿革的にそういうふうになっておるわけでありますが、実際の法制審議会の審議におきましては、私の知っております範囲では、法務大臣が実際関与するというような例はございませんので、立場上と申しましょうか、形式的には若干奇異な感じもしないわけではございませんけれども、実際問題としての支障はないというわけでございます。
○藤原房雄君 支障があったら大変ですけれどもね、ほかの委員会なんかでよくこういう審議の問題いろいろ見ましたけれども、余りないことなので、ちょっとお伺いしたわけです。 それから、この法制審議会の会議の内容、これは、よくそれぞれの委員会等においても、こういう法案審議のときには問題になるんですけれども、会議の内容について知りたいといいますか、どういうことが議論になったんだろうか、しかしこれは会議は公開しないという原則になっておりますからあれなんですが、名前を挙げますとどうしても自由な発言ができないということや、そのほかいろんな理由で審議会の内容というのは公開しないということになっておるんですけれども、しかし、これは名前を伏せるとかなんとかという技術的なことはいろいろあるかもしれませんが、要綱についてはどういうことが議論になったのかということは、やっぱり法案ができた段階か、本来ならば法案の審議の過程で、私どもこういうことがあってこういうふうになったということが知り得ると非常にありがたいわけです。 審議会の会議録といいますか、中身については、これは永久に非公開ということではないんだろうと思うんですけれども、審議会の会議の内容について、これは現在、法制審議会についてはどういうことになっているのか、その間のことについて法務省の今日までの取り扱いをひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 会議が非公開ということになっておりますので、議事録についても非公開ということでやっております。審議の内容につきましては、委員の方々が許される範囲内でいろいろな機会に物をお書きになる、あるいはそれを話されるということで一部外部に伝わっておるというようなものもございます。また、立案当局者として、法務省参事官室のメンバーが、許される範囲でその内容を紹介をするというようなこともあるわけでありますが、全般的に議事録を公開するということは従来もやっておりませんし、今後もやらないということでまいりたいと思います。
○藤原房雄君 審議の過程の中での要点といいますか、こういう意見があったとか、議事録そのものということになると、しかもそれはまだ法案ができていないということであれば、それなりのことがあるんだろうと思いますけれども、いまもお話ありましたんですけれども、要綱とか、それからこれは永遠にということじゃなくて、やっぱりある程度期日がたったら公開するということも何らはばからないのじゃないかと思うんです。 これは最近、国民の知る権利ということからいろいろ議論になっておりまして、わが党初め民社党さんや新自由クラブとか社民連の方々で公文書公開法案というものを私ども提出をいたしているわけですが、中曽根行管庁長官も言っていますように、歴史の流れというこういうお話もございますが、差し支えのないといいますか、私どもやっぱりこういう法案審議とか、その必要度に応じ、また差し支えのない範囲内でできるだけ、内容的にはどういう形にするかはいろいろ議論のあるところだろうと思いますけれども、そういう方向でこれは取り組んでいただきたいものだと思いますし、私どももぜひやっぱり法案の審議の過程の中でもそういうことを痛感をしておるわけです。 何についてどうするかという具体的なことになりますと、これはいま即断はできませんけれども、できるだけこういう審議の過程について資料要求といいますか、私どもが求めるものについては支障のない限り公開する、こういうようなひとつ法務省でもお考えを持っていただきたいと思いますが、いかがですか、これは。
○政府委員(中島一郎君) 従来の取り扱いを直ちに変えるということは考えておりませんけれども、情勢の変化に応じまして、将来一部公開をするという方向で検討することもあろうかというふうに考えております。
○藤原房雄君 これはいままで全然そういうものは出していないということじゃなくて、過去にも、これは刑事法の特別部会ですか、審議の概要等については出したことがあるというふうにも聞いておるんですけれども、今回の商法の改正に当たりましても、大事な問題については審議の概要、こういうものについては私どもぜひ、これは公にできることとできないこととあると思うんですけれども、審議に資する、そういう資料としてこれからもまたお話しを申し上げたい。また、いま絶対もうだめだということじゃなくて、考えましょうという御答弁のようでありますから、それはそれにいたしておきますが、ぜひこれは今後のあり方としてお考えいただきたいことの一つだと、こう思うんであります。 最後に一つお伺いしたいと思うんでありますが、先ほどもお話ございましたが、四十九年の衆参における附帯決議、何項目かあるわけでありますが、当時のいろんな議論の中で、企業の社会的責任ということがずいぶんこれはロッキード事件を初めとしまして議論されたわけであります。そしてまた、その後ダグラス・グラマンの問題が起き、政府におきましても協議会等つくりまして、五十四年ですか、航空機疑惑問題等防止対策の協議会、こういうものが設けられて、企業の倫理の確保と対策、こういうことについても議論になったわけであります。 こういうこと、こういう背景の中から言いますと、企業の社会的責任ということは非常に大事なことで、これはもう審議会におきましても当然いろんな議論があったろうと思います。ただ、どういう形でこれが明文化されるかということになりますと、学者間にもいろんな議論があったようであります。しかし、この四十九年の改正のときに衆参委員会におきまして附帯決議が付された。そういう厳しいいろんな問題が提起されたという背景には、そういう社会情勢があったわけでありまして、それにこたえるためにも、社会的な責任という問題については、これは今回の改正の中にぜひ組み込まれていなければならなかった問題だろうと思います。 しかし、企業の社会的責任ということをどういう形で入れるかということはいろいろ議論があり、大事なことであり、当初参事官室から七項目の問題が出されていろいろ審議をしようとしましたが、これはすぐ結論が出ることじゃないということで、一応次に回されるというか、そういうことでありましたが、今後の課題ということになっているわけです。 今回のこの改正法の中にも、企業の社会的責任ということは、そういう大義名分の上に立って考えれば、このこともあのこともといろんなことが入っていると言えば入っているかもしれませんが、やっぱり明文化すべきという、こういうことから言うと、ちょっとこれは遠のいたような感じもするわけです。企業の社会的責任ということに対しまして、今日までの審議の経緯を含め、そして今回の法案について、また今後の検討の課題といいますか、こういうことを通しまして法務省としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 企業の社会的責任に関する規定を商法の中に盛り込む方法といたしましては、二つの方法があるわけでありまして、一つは、申すまでもなく直接に企業の社会的責任を明文の規定でうたうという方法でありますが、もう一つは、現在の会社法の個々の制度の改善を図りまして、これを通じて会社が社会的責任を果たし得るようにするという方法が考えられるわけであります。 先に申しました一般的な規定、社会的責任について会社法の中に一般的な規定を設けるという考え方に対しましては、一部にはこれを積極的に評価するという意見もあったわけでありますけれども、消極論が圧倒的に多かったというふうに聞いておるわけであります。 その消極論の理由でありますけれども、最も多い理由は、企業の社会的責任という場合にその概念が不明確であるということであります。その不明確という意味にもまたいろいろありまして、その一つは、規定の解釈に混乱を生ずる、特に企業の営利性との関係で疑問があるという意見であります。もう一つは、社会的責任に関する規定を設けることが法技術的に困難であろうという趣旨のものであります。さらには、社会的責任に関する一般的な規定を設けても実効が期待できない。実効が期待できないという理由にもまだいろいろありまして、概念が不明確であるから実効が期待できないというもの、それから抽象的な訓示規定にすぎなくなるから実質的に効果は期待できないゆえのものもあったわけであります。 それから、企業の社会的責任という場合に、それはすでに民法の一条あるいは九十条、七百九条、商法の五十八条、二百五十四条ノ二などの規定があるからそれで十分に対処できる、だから改めて商法の中に社会的責任についての一般的規定を置く必要はないという意見であります。 そういうようないろいろな消極的な意見がありまして、さらには社会的責任の問題とされる公害とか、買いだめ、売り惜しみなどの企業の不当な態度は会社法とか、あるいは経済法による直接規制の問題で、その改正、運用を改善すればいい、商法の改正は考える必要がないというような御意見もあったわけであります。そういうような消極説が有力でありましたために、今回の改正におきましては、先ほど冒頭に申し上げました後の方の方法、個々の制度について規定を整備することによって会社が社会的責任を果たし得るようにするという方法をとったわけであります。 今回の改正案におきましてこの方向に沿うものといたしましては、株主総会における取締役及び監査役の説明義務の規定あるいは株主提案権に関する規定の新設、さらには営業報告書の記載方法の法定あるいは監査報告書の記載事項を充実することによって企業内容の開示を強化する、そういうような改正が盛り込まれておりますほかに、監査役の監査権限の強化及び会計監査人による監査の拡充強化等のための規定を設けまして、これによる株主及び会社債権者の保護を目的とするというようなことを考えておるわけでありまして、これによって広い意味では会社の社会的責任の問題を取り上げておるということになるわけであります。 先ほどから申し上げておりますように、今回の改正は全面的改正のうちの一部改正ということでありましたために、法制審議会商法部会におきましては、まだこの一般的規定を設けるかどうかという点を直接のテーマとしての審議は十分に行われておらないわけでありまして、この点に関しましてなお残された問題があるとすれば、今後継続されるべき法制審議会の審議において検討されることになるであろうというふうに考えておるわけでございます。
○藤原房雄君 四十九年の改正ですね、これは大会社に会計監査人による監査が導入される等が大きな柱であったわけでありますが、監査制度とか監査制度の充実強化というのが四十九年になされたわけでありますけれども、にもかかわらず五十三年ですか、永大産業や不二サッシ、こういう大きな会社の粉飾決算ですね、こういう問題が起きたり、またKDD等の事件が起きたり、企業の非行というものは相次いでいるわけですね。 こういう問題を考えますと、四十九年の改正ではこういう問題には十分ではなかったと見なければならないのか。これは企業のことですから、すべて法律で縛って法律で判断するというわけにいかないかもしれませんけれども、こういう粉飾決算ということになりますと、概念的に見ますと、四十九年の改正で何らかのこれは網にかかるのじゃないかと、こう思うんですけれども、四十九年の改正では足りなかったということなのか、どういうように法務省ではお考えになっていらっしゃるのか、この点をお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 四十九年の改正によりまして、監査役による監査あるいは会計監査人による監査というものは非常に充実をした、会計監査人による監査のごときは四十九年において新しく制度として発足をしたということでありまして、それ以来、事態は非常に改善をされたというふうに私ども考えておりますけれども、それでもなおかつ病理現象として幾つかその網に漏れたと申しますか、悲しむべき事態があったということも事実であります。 法律の制度に不十分な点もあったかと思いますし、関係者の自覚あるいは努力の面において不十分な面があったかというふうに思うわけでありまして、今回の改正におきましてさらに監査役による監査あるいは会計監査人による監査を充実し、強化し、その地位を高めるということにいたしたわけであります。あとは、その衝に当たる人々においてその職責の重要さというものを十分に認識をしていただきまして、制度本来の趣旨を生かすべく努力していただきたいというのが私どもの期待でございます。
○近藤忠孝君 最初に総論的にお伺いいたしますが、商法、わけても会社法は、企業の所有と経営に関する法律であります。 〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕 ところが、この所有について、大変大きな変動の中にあると言わなければなりません。一口に言って、これは個人株主減少の傾向。戦後の財閥解体に伴って証券民主化運動の推進で大きな変革があって、昭和二十五年度の個人持ち株比率は全国上場会社で六一%であったけれども、その後一貫して低下傾向であって、昭和四十九年には三三・五%になってしまった。現状は、これはどんなものでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) 御指摘のとおり、法人化現象というのは逐年そういう現象が進行しておりまして、現在、大体七対三の割合になっておるというふうに聞いております。
○近藤忠孝君 そこで大胆、これはきわめて基本的な問題ですので大臣の所見をお伺いしたいんですが、かつて財閥解体したのには理由があったわけですね。結局、日本を支配したのは少数の持ち株会社。しかも、それを財閥華族が支配をしておって、結局それが非民主的な方向に進んで、そしてあの戦争の一因をつくった。ですから、これが財閥解体の大きな原因、戦後の民主化に役立ったと思うのです。ところが、戦後はその財閥解体のときに銀行の持ち株は許されたものですから、結局、銀行を中心にまたずっと企業持ち株が進んでしまって、いま稲葉さんが言ったような状況なんですね。しかも、実質的にもう銀行を中心とする大企業がほとんど中心に株を持っている。 となりますと、ある本などは法人資本主義といっていますよ。要するに、実際上支配しているのは個人じゃなくて法人である。というと、私はこれは資本主義の根幹にかかわるものであると思います。もっとも私は資本主義、これはぐあいが悪いので変えようと思っている立場です。ですから、そのことについて私の意見は申しませんけれども、少なくともいまは資本主義の社会、そしてその国の法務大臣であると、そういう立場から見まして、この傾向についてどういう御所見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 近藤さんが個人株主が減ってきていることを大変関心抱いていただいていることをありがたいことだと、こう思っております。私もできる限り個人株主をふやしたいなと、こう思っておるわけでございます。 一ころ株式の恐慌時代がございまして、その後増資が比較的少ないのじゃないかという気がいたします。株数が不足している、そこへ企業が株式の持ち合いをやって、できる限り協力体制をとりたいというようなこともございましたりしまして、一瞬個人株主が結果としてウエートが下がってきているということじゃないかなと、こう思います。税制の問題もございましょうけれども、できる限り個人株主のウエートが下がらないように政策としてはやっていきたいなと、こう思うわけでございます。 今回、企業の持ち合いにつきましても、二五%を超えるものについては規制をするような規定を織り込ませていただいたわけでございまして、若干の配慮はしているわけでございますけれども、今後さらに一瞬、個人株主のウエートがふえてくるような方向に配慮していきたいものだと、こう思っております。
○近藤忠孝君 いまの規制が実効性あるものかどうか、この大きな流れに歯どめがかかるものかどうかについてはおいおい質問していくべき問題ですが、私が大臣にお聞きしたいのは、単に個人株主の数が多い方が好ましいという程度の問題なのか。それとも、これはよく大臣の属している政党が、いわゆる自由社会を守れと言う。自由社会というのは、結局個人のための自由だと思うんですね。それが、いわば持ち株というのは個人が企業を支配すると、そういうのが株式だと思うんですね。ところが、実質的にはもうそれが三割程度、そしてこれは会社の支配というのは、御承知のとおり一定以上の株があれば完全支配できるんです。 となりますと、まさに法人、しかもごく少数の法人が企業を支配をしている。この傾向が、大臣のおっしゃるそういう基本的立場から見ましてゆゆしき事態ではないかというふうに、逆に私心配してあげているんですけれども、そういう点についての大臣の御所見はいかがかということなんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 企業につきましても株主の意向がある程度反映するように、株式会社の株主総会が形骸化する、それを今回はある程度是正していきたいというような努力もしているわけでございます。同時にまた、日本の経済の先行きが強いと見られるせいもございまして、オイルダラーなどがどんどん入ってきている、そのことが今日の株価の暴騰にもつながっているようでございますけれども、半面、また日本の企業なり、あるいは日本の個人なりが外国の株式もかなり持ち始めているようでございます。株式の国際化という時代を迎えてきているのじゃないかと思います。でありますから、日本の企業の株式だけのことを考えないで、国際社会の株式についての変動もあわせて見ていかなければならないなと、こう思うわけでございます。 いずれにいたしましても、企業につきまして自主的な監視機能が強化される、半面、個人個人の意向というものが企業の運営にも反映される、これも大切なことじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。あわせて、御指摘の個人株主のウエートが下がらないように、将来ともいろいろな面において配慮していくことはこれも非常に大事なことだと、こう思っております。
○近藤忠孝君 ごく一般的な答弁にとどまったのは残念ですけれども、九条問題については大変感覚が研ぎ澄まされているというか、反応の早い法務大臣にしては、この問題については多少これは感覚が少し遅いような感じもしますので、これはおいおい今回のこの討議を通じて大臣にも御認識いただきたいと思うんです。 そこで、これは局長にお伺いしますけれども、個人株主が減少するといろいろな問題を生ずるということが指摘をされております。どういう問題が起きるのか、その点はどう理解されていますか。これ中心には大蔵省証券局の問題ですが、しかし実質的にこの株式の問題を法改正を行うわけですから、私は法務省としてもそれについての的確な認識を持ってしかるべきだと思うんですが、どういう御認識をお持ちですか。
○政府委員(中島一郎君) やはり本則から申しますと、株主が自分の支出によって、自分のところから金を出してそれで株式を持つ、そして株主としての権利を行使するというのが本則であろうというふうに思うわけでありまして、それが法人株主がふえるということになりますとそうじゃなくなりますので、ゆゆしい問題であるというふうにまでは考えないにいたしましても、私どもとしても好ましくない現象であるというふうには考えておるわけであります。 さらにそれが進んでまいりまして、その法人が互いに持ち合いをするということになりますと、株主総会の形骸化につながる、あるいはそれが環状的に株式の保有が行われるというようなことになってまいりますと、本来素朴な感じとしての株式会社制度に持っておりましたわれわれのイメージというものとは大分変わったものになってきて、それが場合によっては悪用される、乱用されるということにもなりかねないというようなことは、われわれとしても懸念をしておるわけでございます。 〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕
○近藤忠孝君 その点は、私はもっと大変な問題だろうと思うんです。これは大蔵省の証券取引審議会が五十一年五月十一日に、「株主構成の変化と資本市場のあり方について」という答申を出しておりますが、そこで「個人株主減少に伴う問題点」として四つ挙げておるんです。 「第一は、株式の法人保有の行き過ぎが経済的社会的な弊害をもたらすことである。」と、これはいま局長言われたとおり、株主総会が形骸化して会社のイメージが変わってくる、場合によってはそれを乱用して不当な問題が起きるというのですが、これはもう現に起きているわけですね。たとえば狂乱物価、あのときに悪徳商社が追及されたわけです。なぜそれが追及され問題になったかというと、結局、過剰流動性で金が余ったわけですね。その金を銀行が貸し付けるときに、大いに商社などに貸した、あるいは民間にも貸したわけです。そのときに、株を持っている、大体銀行というのは筆頭株主あるいは上位にずっとランクされていますね。そこで、そういう立場も大いに活用して、金のさらに利用先まで指定をしたと言われていますね。そこで土地の買い占め、あるいは物の買い占めなどが起きて、そしてああいう狂乱物価が起き、国民は苦しんだ。 ですから、法人が、そしてしかも特定の法人がある法人を支配する。銀行などについて、もちろんそれは保有の制限ありますよ。あるけれども、グループを通ずればそんな制限などとっくに超えちゃうわけですから、となれば、ある意図のもとにその株主としての力、さらに貸し主としての力、あらゆる経済力をまさに乱用して国民を苦しめる存在になる。現に起きました。起きたからこそ、いま同時に審議されている銀行法の改正問題なども起きているわけですね。これが第一点です。そういう御認識はありますか。
○政府委員(中島一郎君) 狂乱物価についてのお話ございましたけれども、それがすべてただいまの法人株主の増加ということによるというふうには考えておりませんけれども、ただいま御指摘のような一面もあるのではないかということは考えております。
○近藤忠孝君 私はその認識が必要であると思いますし、もっともっと極端な形になると、大体経済というのは、特に商法の部分というのは事実が先行しますから、そういう点でよほど法規制をしっかりしないと、資本の論理によって、まさにそういう反社会的なことが企業の具体的な活動として起きるという部面をこれは絶対に無視はできないということを、指摘しておきたいと思うんです。 さらに、証券取引審議会で、個人株主減少に伴うマイナス面として指摘していますが、列挙しますと、国民の金融資産運用の場を狭めることになる。要するに、個人の株式投資の機会を減少させる。 それから三番目には、「株式流通市場の機能が低下し、流通の円滑性及び公正な価格形成が妨げられる」。現にこれは、いま証券市場というのはばくち場と言われているんですね。現に誠備の事件がいまもう裁判になっておりますけれども、要するに個人株主が少ないから、ごく少数の投資によって乗っ取りできるわけです。あるいは株価操作ができる。だから、まさにいま普通の個人が近寄る場所じゃなくて、いわばそういうばくち場化してああいう不正事が起きるということは、もうすでに指摘されているわけです。これが、やっぱり法人株主がふえることの一つのマイナス面だ。 さらに第四には、「株式発行市場の機能が低下し、企業の長期安定資金の調達が阻害される」という、こういうたくさんのマイナス面がありますけれども、第二から第三の問題は、これはかなり技術的な問題でもありますし、私はこれは法務省としてもかなり技術的問題として取り組むべき問題だと思うんですが、これについての御認識はいかがですか。
○政府委員(中島一郎君) 確かにただいま御指摘ございましたような弊害もある場合には起こり得るというふうに考えておるわけでありまして、私どもといたしましては先ほども申しましたように、好ましくない現象であるというふうに考えておりますけれども、商法が直接この問題に関与をするということを申しましても、現在のところはそれにふさわしい手段、方法というようなものも直ちには見当たらないというわけでありまして、私どもはそれを企業の内部的監視機能の充実の問題あるいは株主総会による監視の面からというような商法本来のあり方からその問題を防止と申しましょうか、していくということを現在のところは考えておるわけでありまして、さらに先ほどから問題になっておりますように、今後継続して行われる商法の全面的改正の作業におきまして、企業結合の問題、そういう問題を審議をするということになっておりますから、それとの関連で、ただいまの法人株主の増加の問題、個人株主減少の問題、さらには株式の環状的保有の問題というようなものに取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○近藤忠孝君 もちろん、私はこれは総合的な問題だと思うんですね。ただ指摘したいことは、商法は確かに技術法だと言われていますね。きわめてすぐれた技術法である、倫理性がむしろ少ない分野だとわれわれ教わってきたんですが、それでいいのだろうかというこういう問題があるんです。というのは、大きな流れがあるから仕方がないということで手をこまねいているということは、あるいは十分な対処をなし得ないということでそれを見過ごしておるということは、むしろいま言ったマイナス面がどんどんふえてしまうんですね。これは指摘だけにとどめておきますけれども、そういう問題についてもこの機会に大いに検討すべきであると、こう思うんです。 ここで私は、技術法としての商法について特に指摘をしたいのは、少なくとも商法改正の際に、いま言った個人株主減少化を促進するような規定が一つでもあってはならないと思うんです。むしろチェックする法律は、完全でないにしても大いに設けるべきだろうけれども、それを促進するような法律があるということは、まさに法務省も一緒にこの好ましくない株主法人化に手をかすことになるんじゃなかろうか。 そういう面で、きょうはその問題にしぼりたいと思うんですけれども、単位株式問題、これはいわば所有の一番基本に関する問題ですからお聞きするんですけれども、この点についてはそういう側面がありゃしないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(中島一郎君) 単位株制度そのものは、確かに現在の株主から議決権を制限するということになるわけでありますけれども、それによって個人株主が減少をする、あるいは法人株主の割合がふえるということには直接のつながりはないというふうに私どもは考えておるわけであります。 単位株制度の目的ということから申しまして、これは株式制度を合理化するということにねらいがあるわけでありまして、その結果として、単位未満株の株主には共益権が制限されるということになるわけでありますが、私どもの考えでは、個人株主が減少をしたというのはほかに理由がある。株式というものが個人の投資対象から見て魅力がなくなっておるとか、そういうようなことからもうすでに発生をしたといいましょうか、すでに進んでいる傾向である。今回、単位株制度をとったからといって、それによってその傾向がさらに進むということは、私どもは考えておらないわけであります。
○近藤忠孝君 法改正によって個人株主が減少することが明らかであるにもかかわらずやったとなれば、それは法務省は主犯者ですね。主犯ですね。仮に、いわばお手伝いだけなら共犯ということになるんですけれども、私はその認識はやっぱり甘いんじゃないかと思うんです。もちろん、これが主要な問題として減少につながるということじゃないと思いますね。しかし、いまある傾向に歯どめにならないだけじゃなくて、やっぱり促進することになるし、また、この単位株式を要求する一つの層がありますけれども、その人々のねらいもそこにあるんじゃないかと、こう思うんです。以下、私、実証していきたいと思うんですね。 この問題は、いま指摘した問題と同時に、あるいはそれ以上に重要な問題として、やはり株式に対する基本的な考え方の問題だと思うんです。すでに局長からも指摘がありましたように、議決権を奪うというんですが、しかし、会社法の理論として株主の議決権は、これは配当請求権、それから残余財産分配請求権と並んで主要な権利である。これは常にその存在が予定されている権利であるわけですね。いわばこれを奪うことは、人間にとっては基本的人権を奪うというのに等しいんですが、その点はお認めになるでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 議決権が株主にとって非常に重要な権利であるということは御指摘のとおりでございますけれども、現在私どもが問題にいたしております単位未満株というものの実態を考えてみました場合に、その実態はどういうふうになっておるかということであります。五十円で千株一単位という例で考えてみますと、その単位未満株しか持っていない株主は一体上場会社全体についてどれくらいいるかということにつきましては、全体の約二七%であるというふうに言われております。人数にして五百数十万人、パーセントにして二七%であるというふうに言われております。その全員の持っております単位未満株の総合計はどれくらいかと申しますと、それは全株式数の〇・八%であるというような統計的な数字がございます。 どうしてこういう単位未満株が出てくるかと、こういうことでございますけれども、現在普通の取引におきましては千株単位の取引が行われております。でありますから、株式を手に入れる場合には千株単位の株式を手に入れるというのが通常の事態であります。千株、二千株、三千株というような形で入手をするわけであります。それにもかかわらずどうして単位未満株ができるかと申しますと、それはあるいは無償交付をする、あるいは新株引受権を株主に与えるということで、その新株が現在所有の株式に対して〇・一の割合あるいは〇・二の割合というようなことで発行をされますために、千株持っておる株主は百株の新株を手に入れる、二百株の新株を手に入れるということになるわけであります。 今度処分をいたします場合に、千株単位の処分であればこれは容易にできるわけでありますけれども、その未満の株式については処分も容易でない、処分の条件も不利になるというようなことで、千株単位の株式は処分をいたしまして、残りの単位未満株を、これは処分しにくいからと手元に置いておくというようなことで、そういった株主はすでに株主としての意識も非常に薄い。いわんや、議決権を行使しようというような意識は非常に乏しくなっておるというのが実態であるというふうに私どもは理解しておるわけであります。 そういう実態でありますから、その二七%の株主に対する株主総会の招集通知、その他の管理コストの節約をすることができるならば、これは株主全体のためにとって非常に大きなメリットがある。その反面、〇・八%の株式数について議決権を制限するということは、これは確かにマイナスの面であろうと思うわけでありますけれども、そのマイナスは、先ほど申しましたプラスの面に比べるならばこれは許されることであろう。最小の犠牲によって、株主制度の根本的な制度であります株式制度というものの合理化を図りたいというのが今回の改正の眼目であります。そういうことから考えて、単位株制度の採用に踏み切ったというわけでございます。
○近藤忠孝君 いまのは法務省の認識としてお聞きしておきますが、これは新たな引き受けとか新たな取引の問題というよりは、むしろ既得権の問題ですね。いま局長は実態ということを申しましたけれども、実態ということから見ますと、これは法務省のつくっている参考資料の五ページ、先ほどもお示しになりましたけれども、千株未満の株式ですね。結局、議決権行使できなくなる株主というのは、先ほど人数の発表がありましたけれども、資本の総合計の〇・八%というのは、これはきわめてある部分的な強調であって、ここにあるとおり実際上議決権行使できなくなる株式というもの、それは何と二・三%になる。そうでしょうね、数字はそうなりますね。この点、間違いないでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 株式ということに着目をして申しましたならば、御指摘のとおりであります。私、先ほど申しましたのは、株主という点に着目をして御説明をしたわけでございます。
○近藤忠孝君 ですから、千株未満しか持っていない株主という点であればあるいは〇・八%かもしれませんけれども、しかし、実際上行使できない株式は資本に比べて一一・三%と、一割ですよ。一割を超えるという、これだけの議決権を奪うということは、これはゆゆしい事態だと思うのです。 しかも、これは法律上大問題があることです。すでにこれは指摘をされておりますように、共益権と自益権とありますが、所有権にたとえて、これは商法学者の通説、多数説だと言われておりますけれども、利益の帰属において認められる権利が自益権、それから企業の支配関係において認められる権利が共益権で、前者はいわば所有権の収益権能の変形物であり、後者は所有権の支配権能の変形物にほかならぬということで、いわばもう権利の一番基本に関する問題ですね。しかも一時は、この二つの権能はこれは分離できるという田中耕太郎先生などの意見もあったようですけれども、その後の学者は、これは一切そういう態度をとらないで、これはもう一体のもので分離不可能である、こういう考えをとっておるわけであります。 それはそうだと思うんです。自然人の権利についても、たとえば物を支配するとか実体的な中身のある権利と、それからそういう権利のほかに、参政権とか、あるいは裁判を受ける権利——まあこれは司法の独立があるから安全だという、そういう手続的な面ですね。両方があって、初めてその個人の個々の権利もこれは保障されるわけです。いかに憲法上いろんな実体的な権利が書かれてあっても、それを自分で守る権利がなければ——参政権なんというのは一年に一遍あるいは四年に一遍とかいうことかもしれぬけれども、しかし、そのときにそれを行使できるから中身を守れると、こういう仕組みになっているのがやっぱり近代法の原理だと思うんです。 となりますと、今回のこの法務省の改正案というものは、この分離できない共益権と自益権を無理やり分離している、そして実際上の実態という名のいわばある階層の要求を優先させたと、そう言われてもこれは仕方ないんじゃないでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 共益権と自益権、分離できない二にして一つの権利であるというような学説もあるということを承知いたしておりますけれども、これは私どもといたしましては、性格としては分離は可能である。そして、今回私どもが準備いたしましたような単位株制度というようなことでやるならば、これは法律をもってすれば許されることであるというふうに考えておるわけであります。 ただ、株主であるにもかかわらず議決権がないということは、これはもう変則的な状態であるということは御指摘のとおりでありまして、私どももこういう状態を恒久的に続けるということは考えておりませんで、将来しかるべき時期に、この単位株を一株に併合をいたしまして、そしてすっきりとした形に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 それは将来の問題であって、一定の期間の間は、人間にすれば基本的人権に関するようなものを奪うことになるわけです。しかも、いま局長言われた、法律をもってすれば云々ということですけれども、確かに法律によって権利の中身を決めることは可能です。しかし、それは憲法に違反してできないわけですね。しかも、これはすでに存在する既得権ですよ。それを法律で奪う以上、これは憲法上の制約が必要だと思うんです。私は、憲法上二十九条違反、それから憲法十四条違反の問題が起きると思うんですね。 奥野さんとよく憲法論争をやるわけですけれども、奥野さん、どうですか、これは憲法二十九条違反の問題が起きないでしょうか、あるいは十四条違反。
○国務大臣(奥野誠亮君) 経済社会の実態に株式制度を合わせていこうとするわけでございますし、また、五十円の株主に、先ほど申し上げましたように、管理に二千円から三千円も金がかかっている。やはり公共の福祉に従って株式制度も運用していかなきゃならない。民法も私の権利——「私権ハ公共ノ福祉二遵フ」と民法第一条にも書いているぐらいのことでございますので、やっぱり経済の流れに従って改めていける。だから私は、単位制度というのは非常にいい知恵を出していただいたなと、こう思っているのでして、むしろ単位制度というのを評価していただきたいなと、こんな感じさえしているわけでございます。 好んで端株を皆さん確保しておられるわけじゃなくて、結果として私は端株の持ち主になってきているのじゃないだろうかなと、こう思うわけでございまして、株式の場合はもう千株単位でございますから、だんだんと私はそういう方向にまとまっていくのじゃないだろうかなと、こう思っているわけでございます。
○近藤忠孝君 憲法二十九条は、「公共の福祉」とあわせて、権利を奪う場合には「正当な補償」が必要なんですね。今回の場合、「正当な補償」はどこにもこれはないわけです。 それから、もう一つ学者が指摘するのは、これは株主の平等の原則に反するということですね。しかも、これはいい知恵だとおっしゃいますけれども、知恵のある学者は、むしろほとんどこれは反対じゃないかと思います。 これはもうこの経過の中で、田中誠二・一橋大学名誉教授が「商事法務」五十二年七月号に「単位株制慎重論」というのを二回にわたって載せまして、そしていま私が指摘したのとある部分で共通する部分、私、それ以上にちょっと憲法二十九条を追加しましたから、田中先生は主に十四条違反、そして同時に会社法の本質という点から指摘をされておるんですね。 田中名誉教授が指摘するのは、単に法的にこれを批判するだけじゃなくて、幾つか言っている実際上のいわば困難な問題を指摘されていますね。それがあるためにいろんな不便があるとか、金がかかるとか、そういう問題についてはいずれも回避することは可能だと、こういう指摘をしておるわけですよ。たとえば金の問題については、いろいろ調べてみたら大してかからないじゃないか。かかるとしても、金額的にも全体で株式数にして一億五百万株ぐらいでしょうね、全体で。ですから、一企業にすれば大した株数でもない。そして、金額的にも一企業に分ければ大したことない。しかも、一時にやるから金がかかるということですけれども、しかしどっちみち将来これはやらなきゃいかぬことです。そうすれば、いまやることですね。また、会計上の利益が出ないとか、いろいろな問題があるかもしれませんね、一時期に金が出るから。しかし、その場合、いろいろな督促も技術的に可能だろうということで、田中先生は幾つかの提起をしています。 それは論文を見てもらえばわかると思うし、すでに読んでいると思いますね。これだけの商法での大先生が、そういう慎重論を提起されたらば、多くの反応があったようであります。そして多くの商法学者、まあ圧倒的多数の商法学者と言われておりますけれども、やはり商法の理論的な問題や、いま言った田中先生のこの回避論やその後具体的な解決策、修正案も提起されておりますから、そういう問題を受けとめて、この田中先生の提起に圧倒的に賛成したというんです、学者が。その事実はお認めになるでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 先ほど憲法二十九条のお話が出ましたのですけれども、今回単位未満株につきましては、会社に対する買い取り請求権というものが認められております。現在は、先ほど申しましたように、千株未満の株式でありますと、その処分は非常にめんどうである。しかも、その処分の方法は非常に不利であるということになります。手数料も高い、あるいは売買価格は低くなるということで、非常に不利でありますけれども、今回の単位株制度によりますと、会社に時価で買い取らせることができる。手数料は千株単位の株を処分する場合と同じ額であるということでありますから、単位未満株の所有者にとっては、ある一面ではむしろ現在よりも有利になるという面もあるわけであります。 それから、有力な学者で、単位未満株制度に反対をしている人があるじゃないかという点につきましては、一、二そういう先生がおられるということは私どもも承知いたしております。ただ、その反対説の中には、単位未満株というような中途半端な制度はやめてしまって一挙に株式の併合を強制しろと、こういう御意見もあるわけであります。むしろ現在の株主にとっては、非常に不利な結果になるというようなお考えもあるわけであります。 そうすれば、あるいは株主の平等の原則に反しないというような面では、理屈としてはすっきりするかもわかりません。私どもはそういう点もいろいろと考えました結果、問題がないわけではないけれども、現実の制度として単位株制度が最もすぐれているのではないかということで、この制度の採用を決意したというような次第でございます。
○近藤忠孝君 一、二の学者というのは、これは事実に反するんじゃないでしょうか、どうですか。
○政府委員(中島一郎君) 法制審議会にも数多くの商法学者あるいは実務家に御参加をいただいておるわけであります。その法制審議会の商法部会におきまして、当初はいろいろと反対の御意見もありました。最終的には委員全員の一致をもって御答申をいただいたというのが事実でございますので、少なくとも法制審議会に御参加をいただいた先生方は、単位株制度について御賛成をいただいたわけでございます。 もっとも、学者として、それはいろいろ理論的なことを申しますならば、自分はこの点は不満だとか、この点は気に入らないというようなこともございましょう。しかし、実際問題として、現実の制度としてどうするかという最終的な結論を迫られたときに、法制審議会に御参加の先生方は、いずれもこの単位株制度がまあ一番欠点が少ない、現実的には一番好ましい制度であるということでこの結論を出していただいたというふうに私どもは考えておるわけでございます。私どももその結論に賛成をして、その答申を採用させていただいたというのが実際でございます。
○近藤忠孝君 上田明信教授は「ジュリスト」の上でも、経済界の近視眼的な要望に引きずられるな、こういう指摘をしておりますし、また多くの学者が書いていて引用されている中に、政策論と本質論とをすりかえるものだとか、いろんな手厳しい批判もありますし、何よりも田中名誉教授の提起に対して大きな反響があり、多くはそれを支持する考えだったということで、私はやっぱり法務省自身がまだ周りしか見ていないんじゃないか。やっぱり学界というのと法制審議会の学者というのは違いますから、そういう点では私はやはりここで指摘されているとおり、学界からは反対されているけれども、財界の要望が大変強い。それに引きずられた可能性がある。 そのことは、これはきょうちょっともう時間がありませんけれども、次回以降に論じたいと思うんですけれども、冒頭に申し上げた個人株主の減少傾向、歯どめどころかむしろ促進することになってしまうという問題提起とつながってまいるわけです。基本権を奪った上にそういう問題が起きてくる。 しかも、問題なのは、これはどっちかというとやっぱり企業の方の要求ですね。企業の方で金がかかると言うけれども、結局自分の企業のことに関係するんですが、片や権利を奪われる、これは少数個人株主です。いろんな均衡上から見ましても私は大変問題のある改正案だろうということを指摘しまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
○委員長(鈴木一弘君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回は来る二十六日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三分散会 —————・—————