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94回国会参議院1981/04/23

法務委員会 第5号

発言数
144
登壇者
13
会派数
4
開催日
1981/04/23

会議録

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る六日、浅野拡君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。  また、昨二十二日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 集団代表訴訟に関する法律案を議題といたします。  発議者藤原房雄君から趣旨説明を聴取いたします。藤原房雄君。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ただいま議願となりました集団代表訴訟に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  欠陥商品、やみカルテルによる価格引き上げ等の一企業または数企業の違法行為によって無数の消費者が損害を受けているという現実があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度は、原則的には、一対一の対等な当事者間の紛争を解決することを念頭に置いて紛争を解決するための手続を定めているにすぎないから、このような原則に基づく現行民事訴訟制度のもとでは、一対無数すなわち企業対無数の消費者の民事訴訟を解決しようとしても、その訴訟追行は事実上不可能であります。すなわち、今日の消費者問題は、訴訟を通じては事実上解決できない状況にあります。これは、法制度が社会の進展に即応していないからであります。  すなわち第一に、消費者各人の損害額が少額であるとしても、集団としての消費者の損害額は巨額になると思われます。消費者集団のこの巨額な損害の賠償を企業に対して請求することができる訴訟制度を確立することなしには、社会的経済的公正を確保することはできないのであります。  第二に、企業と消費者との間には訴訟追行能力及び訴訟費用の負担能力の不均衡があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度のもとでは、これを対等な当事者として取り扱っているため、訴訟による権利救済の方途はきわめて厳しい現実にあります。この現実を打破して、実質的に対等な当事者としてみずからの権利を行使できる訴訟制度を確立しなければならないと思います。このような訴訟制度の確立なしには、消費者主権は、裁判によって保障されない眠れる主権、幻の権利に終わらざるを得ないのであります。  第三に、企業の違法行為による無数の消費者の損害は共通の原因によって発生し、またその損害額も一般的には定型化する傾向があります。このような実体について、消費者各人の訴えの当否を個別的に審理することは訴訟経済の観点からもむだと思います。また、企業の違法行為によって発生した損害賠償をめぐる紛争は、事実上は企業対無数の消費者の紛争と思いますので、その紛争の解決は、消費者団体と企業との間で包括的に解決することが望ましいと思います。  われわれは、消費者主権の確立のためには、このような困難を克服して、民事訴訟制度が真に機能する制度を確立しなければならないと思います。  以上の観点から、非訟裁判による訴訟信託の設定方式を採用することにより、消費者の代表者が消費者集団全員のため企業に対して提起する損害賠償の一括的請求を目的とする訴え、すなわち集団代表訴訟を可能にするためのこの法律案を提出いたした次第であります。  以下この法律案の内容たる集団代表訴訟制度の仕組みにつきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、申し立てに係る共同の利益を有する著しく多数の少額債権について集団代表訴訟による紛争の解決が適当であると認められる場合に、非訟裁判により、除外申し出をしない限り債権を一括して訴訟の目的とするための信託が設定されたものとすることができるようにいたしております。すなわち、集団代表訴訟を追行させるため、除外申し出をしなかった少額債権者たる委託者から少額債権者の代表者たる受託者へ当該債権が信託的譲渡されたものとする信託であります。なお、少額債権者の権利を保護するため、信託の設定については公告するほか、非訟裁判所が代表者たる受託者を監督するようにいたしております。  第二に、集団代表訴訟におきましては、職権証拠調べを採用するほか、重要な訴訟行為につきましては、非訟裁判所の許可を要するものといたしております。なお、欠陥商品、やみカルテルによる価格引き上げ等に係る少額債権者全員の損害総額の算定につきましては、推定規定を設けております。  第三に、各少額債権者は、受益者として、代表者たる受託者に対し、勝訴判決の最初の公告の日の翌日から二年以内に通知することにより、その債権の満足を得ることができるようにいたしております。なお、請求してこなかった債権者の分は、国庫に帰属するようにいたしております。  第四に、代表者たる受託者は、集団代表訴訟の追行等に関して必要な費用につきましては、国庫による裁判費用等の立てかえ、支払い猶予制を置くほか、その他の事務費用を含めて集団代表訴訟により得た財産をもって充てることといたしております。なお、敗訴等の場合にも最終的に受託者の負担となることのないように、交付金を交付することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) これより請願の審査を行います。  第一七一号スパイ防止法制定促進に関する請願外二十一件を議題といたします。  本日までに本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。  理事会で協議の結果、第六三七号法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の大幅増員に関する請願外三件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、一七一号スパイ防止法制定促進に関する請願外十七件は、後日改めて審査することにいたしました。  以上、御報告いたしておきます。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 先日、鹿児島沖で発生をいたしましたアメリカ原潜ジョージ・ワシントン号と日昇丸との衝突の事件でありますが、アメリカの方も、この事故が不可抗力によって生じたものではないという前提に立ちまして、すでに損害賠償義務の履行を外務省に通告してきておるわけであります。そういうことがなくても、おのずから事件には事件の性質があるもので、あの事件がアメリカの潜水艦の過失によって生じた、故意ではないでしょう、過失によって生じたということは、ほぼ確実に推定ができるわけであります。ことに、日昇丸の船員の報告なり供述というものが新聞紙上に出ております。そういうものをわれわれが検討いたしましても、ワシントン号の船長の過失は免れがたいという結論に到達さぜるを得ないわけであります。  これが日本の刑法によりますと業務上過失往来危険罪であるとか、業務上過失致死罪であるとか、あるいは船員法違反であるとか、これはたやすくその該当罰条を知ることができるわけでありますけれども、私どもアメリカの法制を検討いたしますと、何か非常に複雑で、連邦法と州の法律とがありますし、連邦法だけをこの際見ておけばいいわけですが、その中にも普通の法律と軍人だけの法律もある、軍法会議もあるというようなことで、よくわからないわけであります。一応連邦法などは当たってみましたけれども、これはやはり専門家の御意見を伺わないといかぬ。そこで、アメリカのこういう場合の法制はどうなっておるか、これがおわかりでしたらひとつ御説明をいただきたいと思うんです。刑事罰関係。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、ただいま米海軍内部におきまして本件事故の状況及び責任に関する調査を行っておりまして、その調査の結果を待ってしかるべき法的措置がとられると承知しております。したがいまして、それまでの間は私どもとしては一般論の制度の御説明にとどめさせていただきたいと存じます。  私どもの承知しておりますところでは、米国の軍人による刑事責任上の問題は統一軍法によって処理されるものと承知しております。ユニフォーム・コート・オブ・ミリタリー・ジャスティスというコートがございまして、統一軍法と訳しておりますが、これによって処理されるものと承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その統一軍法の中に、たとえば日本で言う業務上過失往来危険罪、これは刑法の百二十九条に当たりますね、百二十九条の二項、これは三年以下の禁錮、二十万円以下の罰金に当たることになっておる。それから業務上過失致死罪は日本の刑法では二百十一条、五年以下の懲役または禁錮あるいは二十万円以下の罰金ということになっておる。船員法は十三条に救助義務が規定してあって、救助義務を怠った場合の船長の責任はその百二十四条で三年以下の懲役、それから三千円以下の罰金と、日本の法ではそうなっておるけれども、統一軍法の上ではこれは該当するような条文がありますか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) ただいま先生が幾つか言及なさいましたわが国刑法上の罪に相当するもの個々につきましては、ただいま一々お答えする資料を持ち合わせておりませんが、たとえば他人の財産に対する棄損、損壊等、あるいは過失による死亡等につきましては、それぞれ見合う統一軍法上の規定がございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはいまの外務参事官のお答えでは、該当条文があるかどうか、ちょっと答弁する資料を持ち合わせないという御答弁でしたね。これは法務省の刑事局長の方では掌握しておられますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 私ども、外務省の方からの資料というようなことになるわけでございますけれども、私ども理解しております限りでは、たとえば重過失致死傷といいますか、日本の業務上過失致死傷とはどうも概念が少し違うようでございますので、ぴたりと一致しているかどうかということになりますと若干問題があるように思いますけれども、そういう罪は、たとえばその統一軍法典の百十九条に設けられているというふうに承知しておりますが、過失往来危険のような類型の犯罪というものはちょっと見当たらないように思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまの統一軍法の百十九条ですか、重過失致死傷という、これは罰則はどのぐらいになっていますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) これもちょっと正確を欠くわけでございますけれども、統一軍法典の上では、それぞれの罪につきまして個々に法定刑をどうも定めていないようでございます。刑の方は、いわば総則的といいますか、通則的な形で軍法裁判所がいろいろあるようでございまして、それぞれの軍法裁判所の権限に応じて一定の範囲内の刑を科することができるという、包括的などうも規定になっているようでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その包括的な規定で各軍法会議の裁量に任されているというのは、上限はないんですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 軍法会議のことでございますので、正確であるかどうかちょっと自信はございませんけれども、一般軍法会議というものと特別軍法会議というものと簡易軍法会議、これを軍法裁判所と言った方がいいのかもしれませんけれども、そういう三種類の裁判所というか機関があるようでございまして、それによって一般の軍法会議というか軍事裁判所では、死刑を含むすべての罪を言い渡すことができるというふうになっているようでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは外務参事官にお尋ねをいたしますが、アメリカの俗に連邦法という合衆国法典というのがありますね。あの三十三編六章の三百六十七条に船長の衝突時における救助義務というのがあって、三百六十八条に救助を怠る場合の罪というのがありますね。これは軍人にも適用があるんですか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) ただいま御指摘の連邦法一般法は、軍人には適用ございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、救助を怠った場合の罪はやはり統一軍法によるわけですか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) これは統一軍法ではございません。別途の米海軍規則という規則で処理されることとなっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 もしおわかりでしたら、その海軍規則の何条で、罰則はどのくらいかということをちょっとおっしゃってください。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  米国海軍規則〇九二五——九百二十五条において、御案内の公海条約第十二条に掲げるところの救助義務とおおむね同趣旨の規定がございます。  簡単でございますので申し上げますと、米海軍艦船の艦長は、自己の艦船及び乗組員に重大な危険を及ぼさない限度において遭難船舶の乗組員及び旅客に援助を与え、また可能なときはこれらのものに対し自己の艦船の識別を知らせなければならないと書かれてございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまお尋ねしたその違反の場合の罰則ですがね。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 罰則はございません。罰則規定の実定規定はございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっとよくわからないんだけれども、そこのところ罰則の規定がないということだが、違反した場合に処罰を受けるのかどうか。受けるとすれば、どのくらいの刑の上限があるのかということです。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 海軍規則九百二十五条自体には、罰則の規定がございません。それをただいま申し上げた次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 よく日本の法令でも、そういう義務を課して、その義務に違反した場合の罰則というのはずうっと後ろの方にある場合が多いですね。この場合は、違反した場合の罰則は全くないという意味でしょうか。その辺がちょっとよくわからないんですが。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 個々の規則の条項ごとに罰則規定がなくて一般的、包括的な規定はないのかというお尋ねかと思いますが、先ほど申し上げました統一軍法の九十二条においては、一般的に命令規則等に服する義務がございますので、それの違反という形では責任が問われることになろうかと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大体わかりました。  次に、この事件は、米海軍長官がもうすでに外務省に、損害賠償義務を認めて、その履行を約束してきたというような報道がありますが、これは間違いありませんか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) そのとおりでございます。  より正確には、レーマン海軍長官が四月二十日午後四時、国防総省においてステートメント、政府声明といいますか、海軍省声明を発表いたしまして、その公式発表の中で、米国海軍は本件事故の責任、ライアビリティーを認めると明言してございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは私、何か統一法典の中に、海軍長官が百万ドルについては自己でこれは和解をしたり決裁をしたりすることができるという規定を見つけたわけです。これは海軍長官とはっきりあるものだから、この統一法典が軍人にも適用があるなということがわかったんですが、軍人の行為から生ずる損害賠償義務にも適用があるということがわかった。これはたしか連邦法の第十編第七千六百二十二条の(a)項一号に、百万ドルまでは海軍長官が自由に支出できるような規定があって(b)項でしたか、百万ドルを超えれば議会に報告するというのか承認を得るというのか、何かそういう規定がありますね。これをちょっと説明していただきたい。

野村一成外務省条約局法規課長

○説明員(野村一成君) 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘になりました百万ドル云々につきましては、恐らく合衆国法典第十編の海事請求処理権限法というのに書かれております百万ドルということだと思うのでございますが、それによりますと、これはその法典の第七千六百二十二条でございますが、海軍長官は海事請求につきまして百万ドルを超えない額でその解決云々を行う権限が与えられておる、それを超える場合には海軍長官は議会に対して証明すると、そういう趣旨でございまして、それを受けまして議会の方では、別途予算措置を講じまして支払いその他について手当てを行う、そういう趣旨だと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは争いがあれば当然国家賠償の訴訟になると思うんだけれども、しかし、もうすでにそういうふうに海軍長官が責任を認めて支払いをするということを声明した以上は、国家賠償にまで発展はしないように思われますね。大体そういうふうに見てよろしいか。

野村一成外務省条約局法規課長

○説明員(野村一成君) 海軍長官は、先ほど申しましたライアビリティーと申しますが、これはやはり今回の事故の結果起こりました損害に対しまして補償を行う、その責任があるということでございまして、ただいま先生御指摘になりました国家賠償ということとは別に考えるべきだと思います。国家賠償その他国の責任につきましては、やはりこれは事故その他をよく調査した上でなければ言えないことであると、そういうふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私のお尋ねしたのは、結局、アメリカの方で海軍長官がこちらの要求する額とほぼ見合うものを支出すれば国家賠償にまで発展する余地はないと考えてお尋ねしたわけで、国家賠償制度についてはどうなっているのか、やっぱり日本の国家賠償法と同じようなはっきりとした制度があるのかどうか、その点ちょっと御説明をお願いしましょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 一般論で申し上げますと、ただいま海軍長官が認めて措置をとろうとしているのは、一種の行政救済でございます。その行政救済で当事者間の話がつけば、御指摘のとおりそれで終わりでございますが、被害者側つまり日昇丸の関係の方々が、その行政救済で提示されました額に不満の場合には、米国公船法に基づきまして訴訟を提起することができます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 公の船の法というのは初めて聞いたけれども、それに基づく損害賠償制度というのは、大体概念としては日本の国家賠償法の制度と同じようなものだと理解していいですか。

野村一成外務省条約局法規課長

○説明員(野村一成君) 必ずしも日本の国家賠償制度を私、詳細承知しておるわけではございませんけれども、船につきまして、このような事故につきまして、やはり相互主義と申しますか、のもとで外国人に対しましてそういう道が開かれておるという点については同じであると、そういうように承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは、いまの点で外務省にお尋ねするのは大体以上です。  法務大臣にお尋ねしますが、いま私ども外務省のお答えで明らかになりましたが、海軍長官が大体この事件で責任を認める、ライアビリティーを認めるというステートメントをすでに公式に出したということです。これは事案の性質上、それがなくても、私どもは専門家としてこれはもうアメリカの艦船の過失だということは疑わなかったわけです。  法務大臣もやはりそうお考えになったと思うんですが、ただこの事件でいやな点は、通報がおくれていますね。三十五時間たって初めて外務省に、在日米海軍司令部から通報があったというんですね。その不手際といいますか、これは見方によりますと日本の国家を非常に軽んじている、侮辱だと言う人もあるんです。これが、もしイギリスが被害者であった場合は、そんな無責任なことはしないであろう、当然もっと早く通告するだろう、これは日本の国家を軽んじている証拠だということで、私どもも非常に遺憾に思うわけですね。  もう一つは、船長が救護措置をとらなかったこと。これはただに、いまの統一軍法その他の海軍法規に触れるというだけではありません。海の男のモラルにもとる、あるいは海事の慣行に違反するといろいろ批判をされておりますね。法務大臣としてはどんな御所感を持っておられますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 私もあの事件が起こりましたときに、どうして一たん原子力潜水艦が浮上をしながらそのまま遭難船を見捨ててまた潜航していったのかということについては、大変な疑問と若干憤りみたいなものを感じておりました。ところが、その後いろいろ新聞紙上にあらわれているところを見ておりますと、浮上したけれども、日昇丸はそのまま航行していっているように見受けてまた潜航していったというような向こう側の記事も出ておったりいたしました。  そこで、いずれにしても、日米関係お互いに疑惑を感じるような状態は避けていかなきゃならないわけでございますので、事態を明確にする必要がある、早くしてもらいたいものだと、こう思っておったわけでございます。恐らくアメリカ政府当局も同じ気持ちであったのじゃないかなと思うわけでありまして、それに若干手間取るというところから、私は行政救済制度によってとにかく損害賠償、補償の問題だけは先に片づけなければならない、こういう判断になったのじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。そういう意味において、海軍長官が先ほど来話がありますようなステートメントを出したということで、その姿勢は私は評価すべきじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。  行政救済制度によってとにかく補償問題は先に片づけるのだ。他方で、アメリカ当局はそれなりに原子力潜水艦のとった行動あるいは艦長以下の責任、そういう問題を追及していくのだろうと思うのでございますけれども、日本側といたしましても法的措置によって損害賠償を求めていくということになってまいりますと、故意があったとか過失があったとかいうことがなければなりませんし、そのことの立証から始まっていくわけでございますので相当暇がかかるのじゃないだろうかな、しかしいずれにしても船体なり、あるいは貨物なり、あるいは遺族の問題なりにつきまして補償措置を早くとっていただきますことが国民感情の上から言っても大事なことじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。  やはりそれぞれがいろんな観測をしているわけでございますけれども、これはやはり真相は今後の究明にまつ以外にはないのじゃないだろうかな、またアメリカ当局としても、これは究明すべきものは当然究明するし、ただすべき責任は当然ただすという姿勢は持ち続けているのだろうと思います。それとは別個に、日米関係を考えまして、速やかに補償問題は解決しなきゃならないということで、ああいう声明になったのだろう、それはそれなりに私たちとしても評価してしかるべきじゃないか、こう思っているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもとしましては非常に不審にたえなかったのは、生存している日昇丸の船員が十三人おりますね、その人々が直接体験をし、かつ感じたこと、そのことでもって日本人、日本としてのこの事故に関する大体の原因であるとか、それからこの態様であるとかいうものについての意見を持つべきなんですよね。ところが、アメリカのいわば自白といいますか、過失の承認といいますか、そういうものがなければ事案の真相がわからないとする日本政府の態度というものが、何か日本人の言うこと、ことに位官を持たない一般庶民の証言というものを軽んずる何か官僚的な性格が出ておるのが、非常に私は不愉快でしてね。  おのずから、その十三人の人々の証言というものを聞けば、それがうそを言っているのか本当なのか、事件の原因は何かということはわかるはずですよね。日本政府としてはそれなりの見解を持つべきなんです。ところが、アメリカが自白をしなければ、アメリカの報告がなければ事案の真相はわからないという、これはちょっと私どもとしては理解に苦しむし、非常に不快な念を持ったわけですが、通報のおくれであるとか、それから救助義務を怠ったということ、これはもう疑いがないことですよね。疑いのない事実なんですよ。そういう事実を踏まえて、法務大臣としても、アメリカ側のこの船のとった態度は非常に遺憾なものであるということは御了解になるでしょうね。いかがです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、私も大変憤激を感じたものでございました。その後、いろいろなことで双方それぞれの見方があるのかもしれませんし、アメリカ側も徹底的に究明しようという姿勢を持っているわけでございますから、それはやはり今後の調査の結果を待って最終的な判断はしなきゃいけないのじゃないかな、こう思っているわけであります。また、日本政府も、総理あるいは外務大臣それぞれが強い姿勢でアメリカ当局あるいはまたマンスフィールド大使を通じて日本側の気持ちを訴えてきたわけでございますので、それもまた、今回の海軍長官の比較的早い声明につながってきたのじゃないかと、こう思っているわけであります。  いずれにいたしましても、実態を明確にして、それぞれ双方に明らかにされなければならない課題だと、そして将来に疑惑を残さない姿勢が、日米関係を将来とも強いきずなで結んでいくためには大事なことではないだろうかと、こう思っているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは、その問題はそれだけにとどめまして、次は国籍法の問題に移りたいと思います。  先月の三十日に、東京地方裁判所で国籍法の問題で非常に注目すべき判決が二つありました。一つは、原告がシャピロ・エステル・華子、これはことしまだ三歳になる幼女ですね。これが無国籍でありました。それから、もう一人は杉山佐保里、これはアメリカ国籍の幼女でありますね。年齢はこれもまだ二歳です。この二人を原告とする——この事件はお母さんも原告になっておられるわけですが、国籍関係の判決がありまして、これは私どもこの判決を読んでみて非常にいろいろの問題点について教えられるところが多かった。また、興味深く読んだわけです。  この判決について、所管の民事局長はどういうふうにこれを把握しておるか、まず、その一般的な感想から伺いたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) この事件は、現行の国籍法の二条のとっております父系主義というものが憲法の規定に違反するかどうかということが争われた事件でございますが、裁判所は憲法違反でないという判断を示したわけでございます。  この結論におきましては、私どもも同じ見解を持っておるわけでございますけれども、この判決もいろいろと指摘をしておられますように、諸外国の情勢が変化をしてきておるという点、私どもも十分に承知をいたしておるわけであります。裁判所の御指摘も、私どもは現在着手いたしております国籍法の改正作業の上で尊重したいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 確かに結論としては、この国籍法二条の規定が憲法十四条ないし二十四条等に違反するものではないということになっておりますが、男女の平等の原則というものにはやはり抵触するということを言っておりますね。ただ、その違憲でないという結論を出したのは、国籍の生来的な取得だけじゃなくして、それと簡易帰化制度がこの国籍法に規定があるから、その国籍取得の法的な取得といいますか後天的な取得といいますか、行政的な方法によって取得する方法とあわせ考えて、そして、まあまあ違憲のそしりを辛うじて免れるのだということであなた方に軍配を挙げたので、そんなにどうも違憲でないという判決ですといって胸を張ってあなた方が答弁できるような判決ではないわけです。  そこで、あらゆる種類の男女の不平等を撤廃するという条約も調印はした、それから市民的権利に関する人権規約の二十四条には、御承知のように、あらゆる児童の国籍取得の権利をうたっておる。これは条約はすでに批准しておるんですが、そういう見地にかんがみて、あなたのおっしゃるように諸外国の法制等も勘案して、男系主義から男女の両性の血統主義の方向に向かって法改正をしていく、そういう方向に向かって努力をいたしますということは、前の貞家民事局長も私どもにはっきりとこの委員会で答弁しておられるんだけれども、この判決があったからといって、そういう男女両系主義の方向に向かって法改正に努力をしていくというあなた方の姿勢には変わりはないでしょうね。これをちょっとお答えいただきたい。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 男女平等ということを厳しく追求するという立場から言えば、現行の国籍法二条が問題のある規定であるということは私どもも気づきまして、すでに改正作業に着手しておるわけでございまして、現行国籍法が違憲でないという判断が出されたからといって、国籍法改正の検討の方向が変わっていいというわけのものではもちろんないわけでありまして、また改正作業を急がなくてもいいというわけのものでももちろんないわけでありまして、私どもといたしましては一層努力をいたしまして、改正法案を一刻も早くつくり上げるようにいたしたいと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この判決がありましたときに、この問題を直接担当しておられる一番物知りの田中民事局第五課長がいろいろ見解を明らかにしておられる。その中で、この訴訟の原告になっておりますたとえばシャピロ・華子ちゃん、これについては、無国籍の事実は子供にとって好ましい状態ではない、こうしたケースは簡易に帰化を認めるようにすでに指示しておる。したがって、シャピロ・華子ちゃんも、申請をすれば当然帰化が認められるという趣旨の談話をしておられる。それからもう一人の原告の米国籍の杉山佐保里ちゃん、これは米国籍があるけれども、日本人の子であって日本に住んでいる場合は、通常特段の事情がない限り帰化が認められるという趣旨の見解を述べておられるんですが、法務省当局がそういう見解を持っておられることはこれは間違いありませんか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) そのとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、具体的にこのシャピロ・華子ちゃんや米国籍の杉山佐保里ちゃんの場合は、帰化の申請をすれば、当然その申請は認められるというふうにお伺いしてよろしいでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 個別的な審査のもとに帰化の許否を決するということになるわけでありますから、一般的に申し上げることはどうかと思いますけれども、ただいま私どもが承知しております事実関係であるならば、大きな支障なく帰化が認められることになるのではなかろうかと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは沖繩の例なんですけれども、沖繩は御承知のように大きなアメリカの基地がありますので、アメリカの軍人の男女関係というものは絶えないんです。最近——最近といいますのはこの三月でありますが、沖繩県教育庁が作成をいたしました無国籍、外国籍、混血児帰国子女の調査結果というものが発表せられておるわけであります。  それによりますと、無国籍の児童が小学校に十一名、中学校に八名、高等学校に八名、計二十七名。外国籍が小学校は百七十三名、中学校が三十七名、高等学校が四十六名、合わせて二百五十六名。混血児が小学校が五百四十一名、中学校が二百三十二名、高等学校が百七十八名、合わせて九百五十一名もおります。それから、外国から帰った子女が小学校は百二十六名、中学校が七十九名、高等学校が四十四名、合わせて二百四十九名。これはわれわれが考えても途方もない数字であります。この沖繩の教育庁が作成した調査結果というものは、民事局長も把握しておられますか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 新聞記事によって承知いたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは法務省の方でも沖繩の教育庁に問い合わせられて十分検討していただきたいと思うんですが、そういう無国籍者の中には、あるいは外国籍の子供たちの中には、無国籍の場合は簡易、超簡易帰化という制度、これは民事局の方で御指導になっておられるようで、比較的帰化が容易に認められるようでありますが、米国籍の子供で夫が行方不明であるという場合、これはいままでは民事局の方では母親の陳述書だけで帰化の申請を受け付けますという、そういう指導をしておられたように思うんですね。  ところが、現実には、最近一件でありますけれども、やはりいろいろと証明資料を要求されて、その結果、五十三年六月から五十六年三月まで前後十二回にわたってアメリカの赤十字社、夫の母親、友人などに対して夫の所在を尋ねる連絡をしたと、そういう詳細な報告書を提出したけれども、なかなかそれでもうんと言わない。夫の帰化の同意書あるいは離婚の判決のいずれかを提出してほしいというような要求をしたケースがあったわけであります。  これは、いままでの法務省の陳述書でも受け付けるとしておった方針と違んじゃないかと思うんですね。ことに夫の所在がわからないのに、同意書を持ってこいとか、あるいは離婚の判決を持ってこいというのは、貧しい無力な母親にそういう証明を要求するということはちょっと無理なように思うので、この点はよく法務省の方で現地に、超簡易帰化制度をせっかく行政措置で認めておられるんですから、徹底さしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 事柄は、法定代理人の問題に関係するかと思うわけでございます。  帰化を申請しようとする者が十五歳未満の場合には、法定代理人がかわって申請をするということになるわけでありますので、法定代理人の認定を誤りますと、せっかくの帰化が無効になって日本国籍を取得することができないという点に関係をしてまいりますので、本来、きわめて慎重に取り扱うべき事柄でございますけれども、これは余り厳密なことを申しますと実情にそぐわないというようなこともございますので、従来から母親の陳述書で、父親の行方不明の点についての証明資料にするという指導をいたしております。  ただいま御指摘ございました事件は私ども聞いておりませんので、どういういきさつであったかということをお答え申し上げることはできませんですけれども、この指導は十分に徹底をいたしまして、いやしくもただいま御指摘ございましたような事件のないように努力するつもりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私の方もプライバシーの秘匿というのがあって、現地の弁護士の方からその名前だけは言ってくれるなという厳しい注文がありますので、これは具体的な名前は挙げられないんですね。ですから、よく徹底さしていただきたい。  それから、これは国内で起きた事案でありますが、これは一つでありません。かなりたくさんある事案でありますが、日本人の妻が外国人の夫を持っておる。その場合、いろいろ外国法の関係で子供が無国籍であるという場合があります。  その場合に、両親が子供に日本の国籍を取得するという点で完全に意見が一致しておるわけであります。しかし、両者が申請をいたしますと、法務局の職員の中には、夫が外国におってはいかぬ、日本に居住しなくちゃいかぬ、それから外国籍の父親と一緒に帰化申請をしなきゃいかぬというようなことを言って、なかなかその書類を受け付けない法務局が最近二、三あるわけでありまして、しかし、これは父親と何も一緒に帰化を申請しなくたって構わないわけで、子供だけの日本籍を取得しても少しも差し支えない。ただ、まだ小さい子供ですから、両親が意見を一致さして、この子には日本の国籍を取得させたいという意見の合致があればそれをもって足りると私は考えるんだけれども、この点は当然のことだと思うけれども、一応御意見を伺っておきます。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 一般的に申しますと、おっしゃるとおりであると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、私どもはやはり法務省の御見解はこうなんですよということを、いまの民事局長の御答弁を基礎に法務局の方によく言うつもりではありますけれども、局長の方でもよく法務局に、局長のそういう御意見を徹底さしていただきたいと思いますが、いかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 機会あるごとにそういう方法をとりたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それじゃ、国籍関係のお尋ねは以上にとどめておきます。  今度は金大中関係で、外務省のアジア局長がいらっしゃっているが、金大中氏の判決につきましては、私もこの委員会で局長にもこれをぜひ取り寄せてほしいということをしばしば要請をしてまいりました。宮澤官房長官にもおいでいただいて、そういうふうに要請をしてきたわけであります。  ところが、死刑の判決がおりまして、金斗煥大統領の特赦があったということから、もうこれで目的を達した、判決は必要ないという方針に変わったようでありますけれども、しかし、私どもはこれで問題が解決したとは考えてない。やはりこの判決によっては政治決着の見直しも当然あり得るんだという考え方で判決をどうしても欲しいと思っておりましたところが、最近この判決を日韓連帯会議ですか、それからキリスト教の団体がこの判決を入手されたということで、たしか青地農さんなどが外務大臣にもお会いをして、この判決をお渡しして検討を求めたということを聞いております。それから衆議院の外務委員会でも土井たか子議員が、これは控訴審の判決を外務大臣にお渡しして検討を求めたところが、外務大臣はそれが本物かどうか韓国に照会をいたしますということを答弁しておられる。その後、韓国からの返事があったんでしょうか。まず、それからお伺いしたいんですが。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) 現在、照会中でございまして、まだ返事はございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長もこれをごらんになったと思うけれども、私もこの判決を見まして、この判決はちょっとこれは他人でつくれるものではないので、これが真正な判決に間違いないということは、ほぼ長い間の職務上の経験から判断ができるんですね。大体にせ判決と本物の判決とがわからないような法律家では、本当の法律家とは言えないんです。で、局長や大臣は、この見せられた判決なるものは、本物かどうかという点についてのあなた方の印象というか、そういうものはお持ちになったかどうか。もし持たれたなら、ちょっとお伺いしたいんだけれども。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) 市民団体におかれて入手されたと言われます判決文は、衆議院の外務委員会におきまして土井委員から私ども拝見いたしております。  この判決文の真偽につきましては、せっかくただいま韓国側に照会中でございますので、現段階でコメント申し上げる立場にはないと心得ております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 外務省のお役人は対外関係だから慎重に言葉を選んで答弁されるのはよくわかるけれども、しかしこの判決は、とても他人がつくれるものではないんですね。青地農さんなどいろいろな方々の御意見を伺うと、同じものをすでに外務省は持っておられるのではないかというふうに感じておられるようだけれども、本当に外務省はいままでにこの判決などは全然入手しておられなかったんですか。つまり、何の権力も持たない民間人が入手し得るようなそういう裁判資料を、強大な公権力をお持ちのあなた方が入手できないというのもおかしな話で、ちょっと理解が困難なんだけれども、その点いかがです。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) 先ほど申し上げましたとおり、私ども外務委員会の土井委員から手交を得たわけでございまして、それ以外のものは私ども持ち合わせておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから、これは局長にお願いしたいんだけれども、われわれ法律家の常識としましては裁判関係の当事者、もちろん被告人、弁護人、そういう者は裁判書の謄本を裁判所に交付を申請できることになっています。それでないと判決の公開という制度が徹底を欠くわけで、これはもう近代民主主義国家においては常識なんですね。だから私は、韓国が自由主義国家である、民主主義を重んずると言う以上は、こういうこの基本的人権に関する裁判制度の原理というものを持っていない道理はないと思うんですね。  ところが一説によると、被告人が裁判が確定して刑務所で刑を務めて出る、あるいは執行猶予になって出るというときに、せっかく本人に渡した判決を取り上げちゃうんだというような報道もあるわけです。それから弁護人でさえも、謄本が請求できないで判決を閲覧できるだけである。何か非常に前近代的な裁判制度のような報道があるわけです。  そこで、韓国の軍法会議法なり刑事訴訟法の場合は、裁判関係の当事者は裁判書の謄本を、つまり判決というのは裁判書の一種だから、裁判書の謄本を請求する権利があるという規定があるのかどうか、この点をひとつよく御調査になって御報告願いたいと思うんだけれども、いかがですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) これまで本委員会でも私から御答弁申し上げたことがあるかと思いますが、私どもの承知いたしております韓国における刑事訴訟法におきましては、判決文等の裁判関係の文書につきましては費用を払って請求することができるという規定があると承知いたしております。  ただ、実際に入手できるかどうか、どういうしきたりになっておるのかということになりますと、私ども承知いたしております限り、軍法会議における判決文につきまして、直接関係当事者でない私どもはこれを入手できるしきたりになっておらぬという説明を聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは、これは陸軍軍法会議法か何かによるんでしょうから、それをひとつぜひ、刑事訴訟法も、これは外務省で持っておられますか、持っておられなければ、ぜひ取り寄せて資料として提出していただきたいと思いますが、どうでしょう。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) 韓国の刑事訴訟法は私ども持ち合わせておりまして、これを提出することは可能でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから軍法会議法。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) 同様でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長、この判決がいずれ本物かどうかという韓国からの返事があるでしょうけれども、これはあなたもお読みになったかどうか、私はよく読んでみますと、これは明らかに金大中氏の在日中の韓民統なるものとのかかわりが犯罪事実として認定されておるわけですよ。それが非常に重要な犯罪事実として認定されておる。そして、死刑という刑が選択されておるわけですね。これはもう判文上明らかなんです。ですから、言い渡し当日、法務士が、在日中の言動は外交関係を考慮して問わないと言っておることはこれは政治的なゼスチュアにすぎない。また、あなた方が入手しておられる判決要旨の中にそういう記載があるのも、これは一片の外交辞令にすぎないわけなんです。だから、私どもは判決そのものが欲しいんだ、原文が欲しいんだということをあなた方に要請したのは、そういう理由に基づくわけですね。  だから、あなた方も、まあ事実を糊塗することをもって足れりとするわけじゃないだろうけれども、この点をあいまいにすると、どうも外務省というのは国民の目をふさぐ、事実を隠すことばかりやっているという印象を持たざるを得ないわけなんで、これは真剣にこの事実の真否を問い合わせることはもちろんだけれども、やはり判決の入手というものにあなた方も一生懸命になってもらいたい。この問題は、決して金大中氏の死刑が恩赦によって無期懲役になったからといって解消するものではないんです。それをあなた方に要請したいと思いますが、どうでしょう。

木内昭胤外務省アジア局長

○政府委員(木内昭胤君) ただいま、先ほど申し上げましたとおりせっかく韓国側に照会中でございますので、いずれその照会の結果につきましては、御報告申し上げることが可能になるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは局長はもう結構です。  最後に最高裁判所にお尋ねをするんですけれども、最近また裁判所の不祥事故が起きて、もうこの委員会で鬼頭のことから始まって、しばしば裁判所の裁判官の奇行、醜行についてお尋ねせざるを得ないということは、私どもにとっても非常に遺憾なことだけれども、今回の谷合判事補、板垣判事の非行について、あなた方としてはどういうふうな御見解を持っておられるのか、まずそれからお伺いしたいと思います。事務総長に、これは裁判所を代表してお答えいただきたい。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いろいろな機会にすでに申し上げておりますが、まことに遺憾であると申し上げる一語に尽きるわけでございます。  まあ、相当数の裁判官がおりますのでこのようなことがあったのだと申し上げてしまえばそれまででございますが、決してそういうような気持ちではおりません。一人でもこういう人が出てくるということは、まことに申しわけないという一語に尽きるわけでございます。いまも御指摘がございましたが、近時このようなことは二度とないようにしたいと申し上げておる後から実はまた出てくるということでございまして、このような事態に立ち至りますと、一体今後どのように対処していっていいのか、実は本当に苦しんでおる次第でございます。  いずれにいたしましても、問題はすでに起こったことでございますので、この機会に徹底的にでき得る限りの努力をいたしまして問題のまず解明に努めまして、それからこれに対する対策というものを緊急に樹立していきたい。現在の心境といたしましては、ただ申しわけないということの一語でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私は鬼頭のときも安川のときも感じたんですけれども、裁判所の何か明治以来脈々と伝わっておる伝統がありますね、私もかつてその一員だったのでよくわかるんですが。で、いやしくも当事者から物をもらうとか、ごちそうになるとか、あるいは女性と交渉をするとかいうようなことは、全然これはもう論議の余地がない、考えられないことですわね。それが起きたと。何か、こう明治以来脈々と伝わってきた裁判所のよき伝統というものが、もう少しずつむしばまれているんじゃないか、崩れているんじゃないかと、そういう感じがする。これは規律の乱れというようなそういう月並みなことじゃないので、日本の公務員の中で裁判所だけが持ちこたえてきたそういうとうとい伝統というものが崩れてきているのじゃないかという印象を受けるんですが、これは事務総長いかがでしょう、そういうことはないでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の清廉潔白という裁判官の徳目というものは現在でも確固として存在しておると、その点は私は信じたいわけでございます。しかし、このような事実が起こってまいりましたこともまた現実でございまして、一体どうしてこういうことになったのかと、本当にいま苦しんでおるわけでございます。ただ、きわめて例外的な人を除いた全裁判官は、いまでも御指摘の倫理観というものは十分に持ち続けておる、この点はひとつ御信頼をいただきたい、こういうふうにいまお願いするだけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 安川の場合は、特任のいわば簡易裁判所判事という特別な試験を受けて入った人ですね。しかし鬼頭にしろ、谷合、板垣、この三人の判事はいずれも正規のルート、つまり司法研修所の教育を受けて裁判官に任命された人でしょう。それがこういうことになったんだから、これは司法研修所の教育あるいは教官の資質、そういうものをやはり検討する必要があるんじゃないでしょうか。  というのは、私はかつて同期の、いまは退任しているけれども、裁判官なんかと話してみて、司法研修所の教官の中で、上司のところを訪問するときには手みやげの一つぐらい持っていけというようなことを言った教官があったですね。それを私、こんなやつがおるんだからといって同期の裁判官と話し合ったことがある。昔は先輩が後輩にごちそうするのはあたりまえのことで、私ども修習中なんか、教官が毎日のように喫茶店に連れていってくれてお菓子やなんかであれしたことがあるし、飲む裁判官は後輩に金を出させるなんてことはなかった。それが、手みやげを持っていかなきゃいかぬなんということを教える教官がおるというのでびっくりしたんだけれども、これは事務総長、司法研修所の教育、教官の資質、これをやはり検討していただかなければいけませんよ。いかがでしょう。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の点も緊急に検討すべき課題の一つであろうかと思います。寺田委員がかつて御経験になりました当時は判検事司法官試補ということでございまして、全体の数も非常に少のうございました。それなりのマン・ツー・マンの教育ということがある程度可能であったわけでございますが、現在御承知のように、一期五百人の修習生でございまして、また研修所の教官も裁判教官、検察教官、弁護教官、全部で五十人という多数の教官でございます。その辺のところに非常な機構が大きくなってきたということからあるいは行き届かないという面も出てくるのではないかというふうにも思われないではないわけでございますが、私どもただ、よそのことは別といたしまして、裁判教官の人選等には十分意を尽くしておるつもりでございますが、今後そういった面につきましてさらに十分の検討を加えていきたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ことに、これはもう新聞紙上出ておりますが、私どもは戦前のときは、尾崎判事が小山法相の時代に逮捕されたけれども、これは思想犯ですからね、確信犯、いわゆる破廉恥の罪じゃない。今度は一般の刑法犯で破廉恥罪ですから、これは恐らく裁判所始まって以来のことじゃないかと思いますが、事務総長はもう御経験豊富だけれども、こういう事例は初めてでしょう。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現職の裁判官が刑法犯で逮捕されたということは初めてでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかも、これが破産事件の処理で起きたという点で、私どももいろいろ考えさせられるわけです。破産判事というのは、かなり行政上の行政官のような仕事があり得ますからね。ことに管財人を選定するというのには——これは同期だというんですから、同期の弁護士を任命したというのは、私はそれ自体は決して悪いことだと思わない。人柄もよくわかるし、あいつは間違いないと思えば、これは選択するのは少しも不思議はないと思うけれども、ただあの事件のように、管財人の報酬が年間一千万円もあるというような大きな事件になりますと、管財人というのはちょっと一人じゃ無理なんじゃないでしょうか。  つまり、更生事件の場合も、更生会社の管財人というのは複数の場合もあり得るわけでしょう。それと同じように、破産の場合も大きな事件ならば、やはり一人でなくて二人というようなことはできないのかどうか、この点どうでしょう。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま御指摘のように、本件問題となっております破産事件は、管財人の報酬から見てもおわかりいただけますように、非常に大きな破産事件でございますとともに、普通の破産事件と違いまして、営業継続の議決があって営業をやっておるというそういう破産事件になるわけでございます。そういう意味では、普通の破産事件のように財産を換価して配当だけすればいいというものではなくて、営業をもするという意味では、ただいま仰せになりました会社更生事件に非常に似た性質の破産事件になるわけでございます。  で、更生事件の場合には、いまお話の中にもございましたように、管財人が複数というふうな更生事件もかなりございますし、それとともに、法律上管財人代理というようなものを置けるような規定にもなっておりますので、管財人代理という法律上決まったそういう制度に乗っかった代理を置けるというようなこともあるわけでございますけれども、破産事件につきましてはいま申しましたように、原則的には営業継続を前提としていないわけでございますから、そこら辺の手当てが法律上及び運用上十分ではないというふうなことがありまして、本件のような事件が起きたのもそこら辺のところにも一つの原因と申しますか、そういうものがあるかもしれないという感じはいたします。  そこら辺のところは、今後の破産事件をどういうふうに処理していくかということを十分考えなきゃいかぬということになっておりまして、今後いま御指摘のような問題も含めて検討するようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、板垣判事はまだ処分が決まらないようですね。これはいま調査中だというんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 板垣判事につきましても、すでに二回ほど事情聴取をやっておりますけれども、なお解明すべき点が大分残っておりまして、今後調査をまだいたしたい、かように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは刑事局長の方にお伺いしたいんだけれども、谷合判事補が逮捕されたという非常にショッキングなことなんだけれども、これにはいろいろと批判があって、逮捕までさせぬでもいいんじゃないかというようなことが言われておりますね、人権を無視、軽んじているんじゃないかとかいうような。まあ、あなた方が逮捕するというのは、これは容易ならぬ理由があったからだと私どもは考えておるんだけれども、なぜ逮捕しなきゃいけなかったのか、その辺刑事局長、ちょっと納得のできる御説明をしていただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいまのお尋ねの中にありましたような御意見もあるわけでございますが、検察当局といたしましては四月初め以来捜査をしておりまして、当初は任意捜査ということで捜査を進めておったわけでございますけれども、やはり任意捜査では事実関係の確定について限界があるという判断に立ちまして、一昨日、関係者の逮捕に踏み切ったというわけでございます。  事柄の重要性にかんがみまして、もちろん慎重な配慮の上での判断でございますので、やはりそういう措置も事案によってはやむを得ないものではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 逮捕状には罪名を記載することになっていますね。これは刑事訴訟法に規定がある。これはどういう罪名によりましたか、罰条をちょっと御説明いただきたいと思うんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 谷合判事補につきましては収賄罪でございますし、井上弁護士とまたその秘書である片桐という人につきましては贈賄罪でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ単純収賄……。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 逮捕状記載の被疑事実といたしましては、御指摘のとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはあなた方も慎重にやられ、恐らく法務大臣のお耳にも入れていることだと思うけれども、やはりあれですか、新聞紙上に言われているように罪証隠滅のおそれがある、そういうおそれを認めるに足る行動があったということによるんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 何分にも捜査の内容でございますので、この席で具体的なことを申し上げるのはお許しをいただきたいわけでございますけれども、いわゆる抽象的に申しますと、先ほど申しましたように、関係個所の捜索もし、また関係者の任意の取り調べ等も続けておったわけでございますけれども、そういうことでは関係者の供述の間に食い違いがあるというようなことで捜査が十分できない、事実関係が確定できないという事態になりましたので、逮捕に踏み切ったということでございます。もちろん逮捕の場合は、寺田委員に申し上げるまでもなく、裁判官の令状を得てのことでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 最初に、四十七、八年ですか、あの第一次の石油ショックがございまして、狂乱物価といいますか国民生活が大変に破壊された当時、臨時国会を開きまして、それに対してどう対処するかということでいろいろな角度から議論がありまして、また世界経済というものがストレートで日本の経済にも大きな影響を及ぼす、こういうことの中から、国内法としましてできるだけの対策を講じなきゃならぬ、こういうような観点からそれぞれ立法措置がとられたわけであります。しかしながら、当時のこういう問題の対処としましていろんな問題が山積したわけでありますが、その中でやはり消費者を守るという立場から何点か問題提起がございます。  今日もまだいろいろな角度から検討はされておるわけでありますが、その一つとしてこの集団代表訴訟に関する法律、私どもこれを立法化いたしまして毎国会提出をいたしておるわけでございますが、高度成長に伴いまして多種多様な製品というものが出回り、それに伴います欠陥商品というものも大きな問題となり、またやみカルテル等につきましても、消費者をいかに守るかということの一つの問題提起ということで今日まで検討されてきたわけであります。このことにつきまして政府、法務当局のこれは見解を一般論としましてお伺いをしておきたいものだと思うんであります。  今日、経済企画庁国民生活局等におきましても、この欠陥商品を初めといたしまして、消費者主権というものをいかに守るかということについてはそれぞれいろんな角度から検討され、また、法的な措置等につきましてもあるべき姿というものについていろいろな検討がなされて、それらにつきましてはそれぞれ公表されておりまして、私どもも製造物賠償責任保険等につきましてのいろんな問題についてはそれなりに理解をいたしておるわけでありますが、本日わが党が提起をいたしましたこの問題につきましては、やみカルテル等によりまして多数の消費者でありながら少額の被害というか、こういう問題については、とかくなかなか立法もむずかしいということもございますが、それに伴いましてこの問題も軽視されがちではないかというような感じがするわけであります。  こういうことは、これは何らかの立法措置をいたしませんと、巨大な大企業が暴利をむさぼり、その陰で多くの消費者が泣かなければならないという現実が、今後また同じように続くということでございまして、何らかの歯どめをしなければならないということを痛感をいたしておるわけであります。  これは山形県の鶴岡におきます生協で、石油のやみカルテルのために消費者は大変な被害を受けた、このことに対しての訴訟がございまして、また判決もあったわけでありますが、やみカルテルのことにつきましてはこれは認めるとしましても、その流通段階におきましての事実というものについての明確でない点がございまして、やはりこれは生協の方が消費者の立場に立って訴えた立場が認められるところにはなりませんでしたが、今後複雑化する社会の中で、どういう経済状況が起きるかわかりませんし、やはり消費者を守るということに対しての年来の努力というものを欠かしてはならない、このように思うのであります。こういう点から、現在の法整備等について検討しなきゃならぬ、こういう観点から私どもはこの法案の提出をいたしたわけであります。  最初に大臣に、こういう消費者主権を守るということについて、これは当然そうあるべきでありますし異論はないだろうと思うんでありますが、最近こういう非常に複雑化する社会情勢の中で数が多い、たとえ被害額が少ないとは言いながら、こういう問題についてはやはり重大な問題として関心を払うべきだ、私どもはこう思いますし、また大臣もそう御認識になっていらっしゃると思うんでございますが、今後の対策をどうこうということについてはそれはまたいろんな問題があろうかと思いますけれども、最初にこの消費者被害、こういう問題についてどのような御見解を持っていらっしゃるのか、お尋ねを申し上げたいと思うんであります。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいますように、消費者を守るということは、行政の上でも近来特に重要度を増してきておると思います。消費者行政に特に力を入れまして、それなりにその方面の力を充実してきている。そのためには、いろんな検査機関でありますとか、あるいは情報をできる限り提供していく仕組みでありますとか、あるいはそれなりに監視、摘発していく仕組みでありますとか、いろんなことが工夫努力されてきている。やはり昔と比べますと、消費者行政の充実はかなり進んできているのじゃないかな、こう思うわけでございます。  そういう意味で、さらに一層充実させたいということで先ほど藤原さんが特別な御提案をなさっていると思うのでございますけれども、今後とも消費者一般を守っていくことを行政の分野においても特に力を入れていくということは大切なことだ、かように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 製造物云々ということは、これはまたその流通経路、これは通産行政とかそれぞれの行政で扱うべきことでありますし、またそれらについてはいまいろいろな御検討をなさっていらっしゃいます。総括的には経済企画庁国民生活局、こういうところで消費者行政等についての検討がなされておるわけでありますが、端的なことは、起きたことに対してどうするかということになりますと、現行では民事訴訟法ということになるんだろうと思います。先ほどの提案理由の説明の中にも申し上げたのでありますが、現在の民事訴訟法という、不幸にしてこういうことで争わなければならない、また消費者の権利を確保しなければならぬという段階になりますと、現行法としましては、やはり多くの方々が被害を受けたということになりますと、非常に手続の上で問題が多い。  さらにまた、被害額が相当額ということでなければ泣き寝入りということになりがちである、こういう複雑な現行の民事訴訟法の制度の中では、こういう問題について積極的に取り組もうという方はごく限られたといいますか、そういうことにならざるを得ないような現況でありますし、その一方では、一人一人は被害は少ないとは言いながら、巨大な企業は大変な利益ということでございますから、本当にどこから考えてみましても、こういう制度的な不公平是正のために措置をとらなければならない。  こういうことから民事訴訟法制度、これはそのものになるのか、また特別な形にするのか、いろんな立法上のことについては問題があろうかと思いますけれども、これからもプラスアクションというこういう問題は、ふえても減ることはないだろうと私ども思いますし、法務当局としましてもこういう問題については、今日までありました問題についてのいろんな御検討をなさっていらっしゃったと思いますが、そういう検討の中から今後についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 先ほどからお話しが出ておりますように、欠陥商品を買って損害を受けたとか、あるいはやみカルテルによる価格の引き上げのために損害をこうむったというようないわゆる消費者損害につきましては、一人一人の消費者の受けた損害は小さくとも、全体としては巨額に達するという場合があるわけでありまして、現在の民事訴訟におきましては、こういう場合にあるいは選定当事者という制度があり、あるいは多数の共通の利益を有する者がともに原告となって、一人または複数の共通の代理人を選任することによって訴訟をするというような方法もあるわけでありますけれども、さらにこれを一歩進めて集団代表訴訟、プラスアクションというふうに言われておりますが、そういう制度を設けるべきではないかという御提案、私どももしばしば伺うわけであります。  そういう新しいプラスアクションという制度につきましては、これはアメリカにもそういう制度があるようでありますが、それによりますと、多数の少額被害者が存在する場合におきまして、その一部の者がそのクラスを代表して全員のために訴訟を遂行する、そうなりますと、特段の授権がないにもかかわらず、その判決の効力が有利な場合であっても不利な場合であっても全員に及ぶ、こういう訴訟制度というふうに理解をいたしております。  この特段の授権がないにもかかわらず訴訟が起こされる、しかも、その判決の効力が不利な場合であっても全員に及ぶという、これがクラスアクションの一つのねらいでありますとともに、まさにこの点がクラスアクションの一つの重要な問題点であるというふうに考えるわけでありまして、ほかにもいろいろと問題点があるかと思うわけでありまして、クラスアクションというのは、確かに現在の民事訴訟の限界を打ち破るための、言ってみれば非常に画期的な制度ということになろうかと思いますが、それだけにまた、現在の民事訴訟制度とどう調和させていくか、現在の訴訟理論とどういうようにつなげていくかという点でいろいろとむずかしい問題があるわけであります。私どもとしては慎重に検討を続けてまいりたい、こういうように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ただいまアメリカにもというお話がございましたが、これはやはり日本だけではなくて、先進国それぞれ直面しておる問題だろうと思いますし、こういう問題については諸外国の状況、ヨーロッパですね、こういう先進国においては一体どういう現状なのか、その辺のことについておわかりでございましたらお伺いしたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) そもそもアメリカで創設をされ発展をしてきた制度でありまして、現在のアメリカの連邦民事訴訟規則二十三条というのが最も整備された法制であるというふうに言われております。  その基本的な構想は先ほど申し上げたとおりでありまして、代表者が勝訴をいたしました場合には、クラス全員に対する賠償額の総計が一括して支払われる、そしてそれが各被害者に分配されるということになるわけであります。クラスアクションを提起するためには、クラス全員の氏名を挙げることも必要でない、また人数を示すことも必要ではなくて、確定が可能でさえあればよいということになっております。  ただ、クラス全員に対して、告知と申しましょうか通知と申しましょうか、自分が代表者になってこういう訴訟を提起するのだということを知らせなければならない。その知らせを受けて、自分がその集団の一員とされることを好まない者は除外の申し出をすることができるということになっておるようでありますが、その通知の方法というのが、判明をしておりますクラスの者に対しては個別的な通知をしなければならないのではないか。ともかく訴権を他人が代理行使する、こういうことになるわけでありますから、判明しておる全員に対しては個別的な通知をしなければならないのじゃないか。  この点につきまして、一九七四年であったと思いますけれども、アメリカの連邦裁判所で一つの判決が出ております。原告がアイゼンという人でありましたのでアイゼン・ケースというふうに呼ばれておりますけれども、この事件では、判明しておりますクラスメンバーが約二百万人いた。裁判所は、原告がその二百万人に対する通知の費用を負担すべきものであるということを言っておりますので、そうなりますと、クラスアクションの機能的限界というものも問題になってくるだろうというふうに考えるわけであります。  先ほども申し上げましたように、新しい非常に画期的な制度でありますだけにいろいろと問題が多い、アメリカでもなおいろいろと問題点が指摘されておる現状であるというふうに理解をいたしております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 その問題はまた後日に譲ることといたしまして、同僚委員からも先ほどお話がございましたが、去る三月三十日の東京地裁におきます国籍法についての判決、私どもも、昨年以来国籍問題いろいろ当委員会におきましても議論がございましたし、また中国孤児のことや難民問題、こういうこと等を通しまして国民も非常に国籍問題については関心が高まっております。もちろん、沖繩におきましては、復帰以来この問題が大きな問題であることは御存じのとおりでございます。さらにまた、一昨年ですか、婦人差別撤廃条約に署名をいたしまして以来、この問題についてはにわかに一にわかにといいますか、非常に関心を持たれ、当委員会におきましても、法務当局としましては、父系血統主義というものに対しまして、時代の推移の中で検討しなければならぬという意味の御発言もあったと理解をいたしておるわけであります。  いろいろな問題があるわけでありますが、限られた時間でございますので多方面にわたるお伺いはできませんが、一つは、国籍法の改正については昨年の質疑あるいは本年に入りましてですか、当委員会におきましてもいろいろございまして、この国籍法の改正について法制審議会に諮問するということについても、なかなか積極的姿勢が私どもうかがわれたわけでありますが、この前、法制審議会に諮問するに当たりましては、それなりに国際情勢といいますか、各国の状況等についても調査をしなければならないということで係官を派遣するというお話もございましたが、あれは去年の十月ごろですか、もう半年以上たったわけでありますが、この各国の調査の状況、そしてまた、今後の法制審議会に対する諮問の見通しといいますか、いつごろになるのか、非常に国民の関心も高まっている今日でございますので、まず、国籍法の改正についての関連した諸問題についてお伺いをしたいと思うのであります。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) ただいま御質問の中にもございましたように、まず、いろいろと資料を集めることが先決であろうというふうに考えまして、職員を派遣して諸外国の制度を調査いたしました。  西ドイツ、フランス、オーストリア等でございますが、そのほかに、外務省にお願いをいたしまして在外公館からその国の法制度並びに運用の実情というものを調査をしていただいております。それが五十二カ国であったかと思いますが、現在のところ、約半数以上の国の分につきまして御返事をいただきました。いろいろ資料も送っていただきましたので、そういうものを翻訳をしたり検討をしたりいたしております。  それともう一つ、日本国民の配偶者につきましては、帰化要件につきまして特別の扱いをいたしております。簡易帰化というようなことで、特別の要件を定めております。こういうものの実態がどうなっておるか、今回改正ということになれば、その辺のところも問題になるのだろうと思われますので、その辺の実態がどうなっておるかというようなことにつきまして、若干の追跡調査も着手をいたしました。  それから、そういった資料もいろいろ検討いたしました上で、日本の国内法との関係、国籍法を父母両系主義ということにいたしました場合に、日本の国内法とどういうふうにいろいろ問題が出てくるか出てこないかということを検討しなきゃなりませんので、これを近く関係の省庁との間に協議をいたしたい、こういうふうに考えております。  そういういろんな準備段階が終わりました上で、法制審議会になりますか、あるいは法務省にもう一つ民事行政審議会という審議会がございますので、ここになりますか、まだ決めかねておりますけれども、そういう審議会で御検討をいただく、大体ことしの秋ごろからやりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 このたびの判決を見ますと違憲ではないということでありますし、また、簡易帰化制度という制度もあるんだからということでありますが、やっぱり同僚委員からもお話ございましたが、国籍を争う裁判というのは決しく少なくない、特に最近はこういう問題が中国弧児を含め、国際的に国際交流といいますか、こういう問題が非常に広がったということ等もあり、多くなっておるのではないかという気がします。こういうことから、このたびの判決等、そして請願にも毎国会出ておるわけでありますし、そういうことから法務当局としましても、この問題についてはできるだけ早く進めたいという気持ちでおるんではないかというように私も思います。  こういう現状認識というのは、手続等についてはいまお話ございましたけれども、大臣としましてはこういう問題についてはできるだけ早い機会に結論を得る、この前の御答弁では、国際婦人年のちょうど中間点にありますから、あと五年ですか目標というお話もございましたが、こういういろんな問題が出てまいりますと、やはり急ぐといってもそう物理的に急がれることではないんですけれども、気持ちの上では早急にというような気持ちが強いのではないかというように、強くやっていただかなければならないという気持ちがするんですが、その辺のことについてはどうでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年、婦人差別撤廃条約に署名をしたときから、父系の血統主義を父母両系の血統主義に改めるべきだという結論を持って、自来、鋭意いま民事局長からお話をいたしましたように検討を進めているわけでございます。  最大の課題は、いかにして重国籍の発生を少なくするかということでございます。そういう意味で、各国の法制を調べながらその間の調整をどうやれば少なくできるかという課題に取り組んでおるわけであります。私は事務当局に対しまして、来年の春国会に提案できないかと、こう言いましたら、それはとても物理的に不可能ですと、こういう返事が返ってまいりましたので、そうすると再来年の春の国会しか仕方がないのかなと、こう思っておるところでございます。  理論的には、いずれにいたしましても、国連の婦人十年の年というこの期間中にはいろいろな問題を片づけなきゃならないわけでありますから、国籍問題についてもその例外ではない、こういう意味で十年のうちにと、こう申し上げたわけでございまして、おっしゃいますとおり一年でも早く解決しなきゃならない。私としては来年の春はどうかと、こう言いましたときに、とても物理的に不可能だと、そうすると再来年の春の国会を目途にすることになるのかな、こう考えておるところでございます。法制審議会の審議の過程においてどういう進行を見ますか、そういうことと関連は持ってくることだろうと、こうも思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 無国籍ということになりますと、いま沖繩のことがどうしても中心になって、今日までもそれぞれの委員会におきましてこの現状というのはいろいろ議論されておるわけですが、当委員会におきまして大分、法務当局としましても対策を講じてまいりましたので、一ころとはずいぶん変わってきたのじゃないかと思います。  私は、もう沖繩返還条約、こういう時点におきましては非常に数的なこととかいろいろな現状については調査をしたりいたしましたが、新聞報道によりますと、いろいろ現状については数的なものも出ておるようでありますが、法務省としましてこういう沖繩の無国籍児の実態ということについての調査とか、またはこういうものについて沖繩の関係当局に対して実態の報告とか、または現状とか、こういうたとえば無国籍児の簡易帰化申請の受理された件数がどうなった、それから帰化が許可された件数はどのくらいかとか、こういうことについてお調べになったことがありましたら、ひとつ現状を御報告いただきたいと思いますが、どうでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 沖繩における無国籍児につきましては、特にアメリカ系の無国籍児が問題になるのではないかというふうに考えるわけでありますが、どうもプライバシーとの関係もありまして、従来余り調査が十分でなかったというのが実情でございます。まあ、私どもは四、五十名ではなかろうかというふうに推測をいたしておりますけれども、これは各機関ごとにいろいろまちまちの数字が挙げられておりまして、もう少し多い七、八十というような数字を挙げるところもございます。  私ども今回、国籍法の改正というものを考えました場合に、沖繩の無国籍児はどういう原因で無国籍になっておるか、それは国籍法の規定をどういうふうに改正をすればどの部分は解消できるか、どの部分は解消できないかというようなことを調べる必要もございますので、本年度におきまして実態調査をやりたいということで、間もなく着手することにいたしております。この実態調査をいたしますれば、無国籍児の実態がかなりはっきりしてくるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから、現在はその無国籍児の救済は帰化によって行うということにならざるを得ないわけでありますが、以前にも申し上げたことがございますように、この点につきましては超簡易帰化という言葉をお使いになった方もございますが、私どもの方で十分な配慮をして、できるだけ簡易な手続で帰化ができるようにということを、現地の地方法務局を含めまして全国に指示をいたしております。私どもその手続によって帰化の事件を処理するという態勢を整えておるわけでありますけれども、沖繩に関しましてはこのところ無国籍児の帰化申請がないという現状でありまして、どうしてそういう事情になっておるのか、これも先ほど申しました実態調査によってできるだけ明らかにいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 関連。  ちょっと法務大臣と民事局長に、いまの藤原委員の御質問に関連してお伺いしたいんです。国籍法を男女両系主義の方向に改正していくということで、作業がいつごろまでにできるかということを前の民事局長にお尋ねしたことがあるんです。貞家民事局長は国連婦人年の終わりまでにと、ですからまあ五年以内にというお答えがあったわけです。藤原委員のいまの御質問で、法務大臣は非常に御熱意がおありになるせいでしょうか、来年の国会には間に合わぬかということを事務当局に尋ねられて、事務当局はとても物理的に不可能ですと、こう言ったら、法務大臣、それじゃ再来年の国会を考えなくちゃいけないのかなというふうに感じたとおっしゃったでしょう。  大分、事務当局の目標と法務大臣のそういう希望的な観測とが、ちょっと事務的な処理で食い違いがありますね。これはどういうふうに理解したらいいんですか。法務大臣の方は御希望でおっしゃったのか、事務的には再来年の国会なら間に合うということを事務当局から法務大臣の方に言っているのかどうか、その辺ちょっと明らかにしてください。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 一刻も早くというのが私どもの気持ちでございますけれども、先ほども申し上げましたように、審議会で御検討いただくということをいたしております。ここまでは私どものやる仕事でございますから、おくれないように予定どおりに進めてまいるつもりでございますけれども、審議会における審議がどのぐらいかかりますか、その点が私どもとしては何とも申し上げられない次第でございます。  私どもとしては十分急いでいただくように進めてまいりたいと思いますけれども、その辺が必ずしもはっきりいたしませんので、いつということは申し上げられない次第でございますけれども、次の国会はどうかというような大臣のお気持ちもわかっております。それじゃ次の次の、再来年の通常国会かというような大臣のお気持ちもわかっておるわけでありまして、大臣に言われるまでもなく、私どもとしてもできるだけ早く進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣、いかがなんですか。大臣の方針なんですか、感想なんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど率直に申し上げたわけでありますけれども、事務当局に来年の春の国会に出せるようにできないかと言いましたときに、いろいろな日程、手順を説明してくれまして、とても不可能ですと、こう言ったわけでございまして、再来年は不可能だとは言っておりませんから、再来年の春を目途に事務当局も努力を続けていくものだと、こう考えておるわけであります。  やはり法制審議会に出しましても、諮問する側の考え方は申し上げて御審議を願うのが筋だと思っておりまして、結果として、じゃそんなことを言ってもできないじゃないかというそういう問題になるかもしれませんけれども、私は再来年の春、法律を国会へ提出するという目途で法務省としては努力を続けていくべきだと、こう考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いま局長からもお話ございましたが、この法改正、それが現在の無国籍の方々を救済する形にならなければならぬわけで、もちろんこれは男女差別撤廃条約、そういう大きな意味の上からもこの法改正というのは大事でもありますし、現実的には沖繩にいらっしゃいます無国籍の方々に対してそれが有効な一つの手だてになるといいますか、実効あるものでなければならないのは当然のことだと思います。  現実は帰化制度でということで、帰化ということは非常にその立場の方々にとりましては恩恵的なものであって、もともと日本人なのに帰化とは何だというようなこともよく言われるわけでありまして、そういうことでこの法改正というのは非常に待たれるところであり、また実効あるものでなければならない、そういうことから実態調査ということについてお取り組みになるということでありますから、その成果のほどを私どもも非常に期待をするわけでありますが、今度の判決等におきましても簡易帰化という、まあ超簡易帰化というお話もございましたが、そういう点では、確かに現状の中で何とか救済の道をということでこういうことをいろいろ御検討になっていらっしゃったんだと思います。  法務当局の皆さんにお聞きしますと、窓口へいらっしゃればそれはそうむずかしいことではないんだということでありますが、また、さっき最近の現況についてお話を伺いましたところ、最近は申請なさる方が少ないようでございますが、申請能力のあるそういう立場の方はこれはまあお済みになったのか、現在申請するにも時間的、経済的ないろんな制約の中でできないそういう方々が現在残っていらっしゃるのか、そこらのところは定かではございませんが、いずれにしましても、掌握する立場では数には差異はあるとは言いながら、いらっしゃることには間違いがございませんで、その方々の救済のために、現在改正になる以前の現状の中では、こういう簡易帰化という手続が唯一の道なんだろうと思います。  これは実際窓口ではどういうふうになっているのか、窓口以前のことが非常に手数がかかるのか。やっぱり関係者の方に聞きますと、そう当局のおっしゃるように簡単ではないのだというお話もよく聞くんですけれども、この辺のことについてはどうなんでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 無国籍児の解消のためにはいろいろ相談を受けるということが重要でなかろうか、簡単に御相談いただけるような体制をとるということが必要ではないかというふうに考えまして、那覇の地方法務局におきましては十分に配慮をいたしておるわけでございます。昨年におきましても各地に出張をいたしまして、この関係の相談所を開設いたしまして、相談を受けたというようなこともいたしておるわけでありまして、そういう相談を御利用いただければ、適切に懇切な相談に応ずるということにいたしております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 いまお話しのように、窓口へ来ればそれなりにいろんな手当てというのはあるんだろうと思いますが、そこまで行くまでに家庭事情とかいろんなことがあるようです。これは地方自治体とか民間のボランティアといいますか、いろんな団体の方々の協力を得なければできないことで、法務当局としましてはこれはPRということなんだろうと思いますが、やっぱりあとはいらっしゃる方についてはということなのかもしれませんけれども、地方自治体またはこういう公的な機関、さらに民間団体とかいろんな方々との連携の上で進められなければならないんだろうと思います。  こういうことで、PR等については先ほども御答弁ありましたようにいろいろなさっているようでありますが、民間団体とか、こういうあらゆる手だてを尽くして、こういう問題についての取り組み、この実態調査の中でまたいろんな問題が浮かび上がってくるんだろうと思いますけれども、今後こういうことも含めて、ひとつ厳重に徹底した一つの対策を講じていただきたいものだと思います。二重国籍をどうするかというこの国籍問題については、これは一つの大きな問題だろうと思います。この二重国籍の防止という観点と、こういう無国籍の方々、これは二者択一というわけにはいかないでしょうけれども。  それともう一つは、無国籍の現状を一日も早く解消するというこういう点では、法制的にも非常にむずかしい問題もあろうと思います。しかし、非常に個人の権利にかかわる重大な問題でありますので、ひとつあらゆる手だてを尽くして推進を  いただきたい、このように思うわけであります。このことについてはもう時間もございませんので、このぐらいにしておきます。  最後になりますが、私もまことに残念なことでありますが、谷合判事補の問題について一言、二言お尋ねをしたいと思うのであります。  これは、私どもは新聞報道で見たり聞いたりという範囲内でありまして、公の問題についても発表のあったものについては見ておりますが、きょう当委員会としましては初めてこの関係の方がいらっしゃって公的な立場でお話を聞くわけであります。そういう点で、不正確なことがあってはならないし、また、直接この問題についての改めてきちっとした見解というものをお伺いしたいという、こういうことでお尋ねを申し上げるわけであります。  時間もございませんから詳しい事情等についてはお聞きする時間もございませんし、また、起きたこと自体、これをどういうことでどうかといういろんな追及をしなきゃならないかもしれません。しかし、最高裁といたしましても最大の努力をなさって、再びこういうことのないようにいろいろな御検討をなさっていると思いますし、これを教訓として、今後国民の信頼を失うことのないような善後策というものをひとつ講じていただきたいということを希望しながら申し上げるわけでありますが、一つは、先ほど同僚委員からもお話がございましたが、司法修習生時代の教育の問題ということにちょっと触れられました。  そういう今回のことを反省するといいますか、教訓として、起きてはならないことが起きたことに対してのショックは非常にもう大きかったと思いますが、それに伴いまして、こういう問題を起こしてはならぬということでの御検討、これはこれからいろいろなさるんだろうと思います。その中に、やはり裁判官に対する教育ということについても当然含まれておるんだろうと思います。長い伝統に培われて、今日国民のまた大きな信頼を得てまいりましたが、行政という立場から見ますと、社会の大きな変動の中でやはり人の心も大きく移り変わり、社会の機構も大きく変わり、そういうものに適時対応しなけりゃならぬということで、行政というものは絶えず時代の推移というものについて、また人の心のそういう動きというものについても非常に敏感にある程度察知しなければならぬという、こういう立場にあるんだろうと思います。  それで、司法という立場になりますと、どちらかというと非常に閉鎖的な社会ということで、しかしながら、社会のこういう時代の推移というものは全然念頭に置かなくてもいいということではないんだろうと思います。そういうこと等考え合わせますと、まあ伝統に培われたという言葉はきれいでありますが、一つは、やっぱり時代に対応し得ないものがあるというふうに一面から言えば考えざるを得ないというふうな気もするわけでありますが、こういう体制的な——体制的といいますか内部的なことについても、あわせて教育とか体制的なこととか、そういうことについて、ここでちょっとこんなに問題が連続して起きますとやっぱり検討しなきゃならないそういうときに来ておるのではないか。当然、そういうことについては御認識いただきながら検討をされていると推察をするのでありますけれども、その間のことについてはどうなんでしょう。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 先ほどの寺田委員の御指摘といい、ただいまの御指摘といい、いずれも司法に対する信頼というものを基礎に置いていただいての御理解ある御鞭撻でございまして、その点は非常にありがたいと存じております。  今回の不祥事、これについてはもう先ほども申し上げましたように、何とも申し上げる言葉がないわけでございますが、そういったものを根本的になくしていくということになりますと、やはり裁判官に人を得ていくということ以外には私はないというふうに存じます。裁判官に人を得るということは、結局、ただいまの藤原委員の御指摘にもございましたように、柔軟な人格の人間、そういった人がまたこれまでの伝統を踏まえて公正な裁判に従事する、こういうことに帰するのではなかろうかと思います。  ただ、言うは非常にやすいことでございますが、実際の問題といたしまして、裁判を長年続けてまいりますと、どうしてもそれなりのゆとりをなくしていくといったような面がないわけではないような気がいたします。裁判官がその仕事に従事いたします期間はかなり長うございますので、その間にうむことなく、時におのれを振り返って社会の推移も十分にながめていけるような、そういったようなゆとりを持った裁判官を維持していくということが、これからの課題ではなかろうかというふうに考えております。  御指摘の点も十分踏まえまして今後の改善策といったようなものを考えていきたい、これが現在の考えでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 先ほど同僚委員からもお話ございましたが、かつてないこういう逮捕という形になったことに対して、関係の方々の御心痛というのは大変だったろうと思うのでありますが、時間もありませんからくどくど長々しいお話はできませんけれども、結果論と言えばそれまでですけれども、こういう倒産した会社というのは債権者があるわけでありますから、そういう債権者があって、債権者というものはそれらに投資した債権がどう推移するかということで非常に注目しているわけでありますから、そういう中で、普通ならば相当これは注意を払うんでしょうけれども、どういう心境にあったのか、こういう事件に発展したということでありますし、本当に大胆だったのか、こういうことに無知だったのか、普通、世間常識ではちょっと考えられないような状況にあったと思います。  また、制度的には、管財人に対しましてはこれは裁判所がすべての責任を持っておるというようなことでありますから、後からこれはかえたようでありますけれども、これは裁判所に、裁判官に非常に大きな権限が与えられておるということで、それが今日まではそれで推移してきたのでしょうけれども、こういうことにぶつかりますと、それがまた大きなうみとなって出てくる、問題となって出てくるということです。  それから、どちらかというと、こういう破産問題については担当の方は一年ごとに交代するのが、谷合判事補につきましては二年半ぐらいおったということであり、さらにまた、一般的には裁判官は一年ごとに交代しますので、書記官という方々が中心的に指導的な立場にあるんだというようなこと等、いろいろな問題が言われております。  私、教育ということを申し上げましたが、何も机に向かってむずかしい倫理規定とか何かということだけじゃなくて、やっぱりさっき同僚委員からも経験の上からお話ございました人間対人間の結びつきといいますか、先輩のそういう姿というか、そういうものがやっぱり非常に大事なことであり、先輩の人間性、先輩のそういう姿の中から無言の教育というものが、人間形成については非常に大事なことなんだろうと思います。  そういうことで、カリキュラム的にどういう項目を入れて何時間どうするなんということじゃなくて、やっぱり先ほどお話ございましたけれども、とかく閉鎖的になりがちなそういうお仕事であるわけでありますから、先輩、後輩、こういう中で深い人間愛の上に、これは人間的にもつき合いの中でいろんなことが職務の公正さとか清潔さとか態度といいますか、そういう姿の中から教えられる、そういうものがまた受け継がれていく、今日までもそうであったんだろうと思いますが、そういうことを基本とした、そして時代の推移というものも決して見失ってはならない、こういうことで今後ひとつ国民の信頼をかち得られるような体制、内外についての諸問題についてひとつ積極的に御検討いただき、そしてまた信頼をかち得ていただきたいものだと思いますが、どうですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいまの御意見を十分に体しまして、できるだけの施策を講じていきたいと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 最初に、いまも問題になりました谷合裁判官などにかかわる贈収賄事件について、事務総長から繰り返しまことに遺憾の一語に尽きる、今後どのように対処してよいか苦しんでいるという大変率直な見解表明がございました。司法の信頼を回復するために多くの意見に率直に耳を傾けて、そして改めるべき点は改めていく、そういうお考えだと思いますが、いかがですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのとおりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういう点から、私からも若干の問題提起も含めて質問をしたいと思うんです。  まず、裁判所の威信が落ちたわけですが、裁判所の威信はそのためにあるのじゃなくて、法の威信を守るためにあると思うんですね。そして、裁判の威信というのは公正でなきゃならぬ、その公正さは独善の公正であってはならない、何人も得心できるようなものでなきゃならない、そこで初めて裁判の威信が保たれる、こう思うんですが、その点はどうでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘のとおりだと存じます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その裁判所の威信を保つ上で一番守っていくべきものは裁判官の人格であるということは、もうすでに御答弁もありますし、これはもう学者もそのように指摘しております。その意味で、今回の谷合裁判官の問題は大変深刻な問題だと思うんです。    〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕  そこでお聞きしたいんですが、なぜこのような事例が続発したと最高裁はお考えになっておりますか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昨年の秋以来、裁判官の不祥事が相次いだわけでございまして、その都度、このようなことがあってはならないということで、私どもなりに全力を挙げて問題の再発の防止に努めたつもりでございます。  昨年の秋、長官が異例の訓示をいたしまして、結局は各人の自覚にその基礎を持った不断の努力が必要であるということを申し述べた次第でございまして、いろいろの司法行政としてやらなければいけない問題は確かにあろうかと思いますが、帰するところは各裁判官が不断の努力を続けていく、しかもそこに自由潤達な気風を失わせてはいけない、非常に一見矛盾する命題でございますけれども、それをなし遂げていかなければいけない、これが問題の再発の防止につながることであろうかと思いますし、また、今回の不祥事、そういった点の自覚に欠けるところがあったということに、最大の原因を求めなければならないのではないかというふうに考えております。    〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私はその点はそのとおりだと思うんですが、問題は、最高裁自身のいままでやってこられたいろいろな措置、そのことが裁判官個人個人の自由潤達な雰囲気を壊したり、あるいはそれを阻害する、そういうようなことがあったという反省は、全面的にまだそうお述べになる時期じゃないかもしれませんけれども、頭のどっかに、あるいは腹のどっかに出てはいないか、その点はいかがですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 問題が起こりました場合に、そういう御指摘をいただいておるということも十分承知をいたしておりますし、私どもそのようなことがあってはならないということは、常に反省しながら司法行政の事務を担当しておるつもりでございます。今後もその問題そのものの究明を急ぐことをいたしますとともに、私どものやり方と申しますか、そういうことについて何らか改善すべき余地があるかどうか、その辺も真剣に検討をいたしていきたいと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その検討の基準は私は憲法である、特に憲法七十六条「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」このことだと思うんですね。これは一見、言うはやさしく、実際守っていくのは大変なことだと思いますし、また、それを最高裁自身が補助することも現実の社会では大変だと思うんです。その関係で申しますと、私は、裁判官自身が時の政治や行政に左右されない、このことも大変大事なことだと思うんですね。そして、従来やはり司法の独立を明治以来守ってきたという中に、そういう面もあったと思うんです。  私は、残念ながら戦後、特に最近、そういう点に最高裁判所自身に反省してもらう問題があるのじゃなかろうかと思うんです。先ほど寺田委員から戦前もしくは裁判官在任中のお話がありましたけれども、私自身の司法修習生時代の経験から申しますと、ちょうどあの六〇年安保時代ですね、あの当時は国会周辺にデモがたくさん来ましたけれども、司法修習生もずいぶん行ったんですね。あるときには教室が空っぽになるくらい出かけたんです。だから、その当時デモに行った人の中には、その後、判検事になっている人も私ずいぶん承知しているんですね。当時、研修所の教官会議でも問題になったそうです。ただ、結論としますと、司法修習生に対してデモに行っちゃいかぬとは言えない、ただ、余りつかまらぬようにしてくれよ、そういうようなことが当時話し合われたということを教官から、これは大阪高裁長官までやられた中野次雄先生から聞いたわけでありますけれども、そういう自由の雰囲気があったんです。  裁判官が、余り政治やそういう具体的行動にかかわり、あるいはかかわった過去を持つのは望ましくないというような感があるのかもしれませんけれども、しかし、私と一緒に研修所を出た裁判官の皆さんは、ちょうどいま大体裁判長クラスですね。みんなりっぱな仕事をしておりますし、検事ですと、大体ロッキード事件の中心のメンバーで、大変すぐれた活動をしておると思うんです。そういうやっぱり自由潤達な空気というのは、裁判官が思想、信条を独自に持つ、そして持つということは具体的行動もあるわけですが、裁判官になってかなりはっきりした政治行動はまた問題があろうかと思いますけれども、そうでなくて、そういう一定の考えを持ち、みずからの思想を持ち、そして独立して行動する、そういういわば骨のある裁判官、むしろそれを養成するということが必要ではないかと思うんですが、その点いかがですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官がどのような人生観を持って仕事をするかということは、これは各裁判官の自由でございまして、ただ職務を行う上におきまして法律と良心に従って独立して職務を執行する、この点に欠けるところがないのであれば、私どもとしてはそれ以上要求するべき筋合いのものではないと、これはかたく考えております。  ただ、裁判は、やはり公正であると同時に、国民の方々から公正であると思われる裁判である必要があるわけでございまして、そういったことは常々申しておりますけれども、修習生の教育等におきまして自由潤達な気風というものを阻害するというような意味での教育はこれまでもいたしてきていないし、また今後もそういうような教育をするというつもりは毛頭ないと、これは申し上げられるかと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その関係では、いわゆる青法協問題で、私は四代目の青法協議長だったものですから、ずいぶんその面ではかかわりを持ってまいったわけですけれども、そしてまた、私自身は共産党員ですが、しかし国会議員をやめまして、それで仮に裁判官に採用してもらえば、私自身は実際の裁判の事実認定ですね、別にこれは思想、信条と関係ないことですから、事実認定をしっかり行い、法の適用というのはやっぱり科学的なものですから、これは行うと思うんですね。そういう点で、残念ながら過去のある時期から、公正らしさを保つというそういうことでいわゆる青法協問題が起きたということは、私は残念なことだと思います。しかし、それは裁判所は余り杞憂なさることではないし、逆にそういうことで青法協加入裁判官の脱会工作などがあった。そのことが裁判所の中に、はっきり物を言いづらい雰囲気をつくった。  ですから、自分の思想、信条を持つ、あるいはしっかりした信念を持つということよりは、形だけを整える、そういう雰囲気が裁判所の中に起きたんではないか。私は、そのことが今回こういった問題を起こした一つの要因になっているんではないかということを、これは指摘をしたいと思います。それで、御答弁いただくといってもなかなかそれはいま言いづらいでしょうから特に求めませんし、きょうはそのこと独自の問題じゃありませんので、この程度にとどめます。  そういう反面、形だけ整えるという面では、こういう問題があるんですね。これは研修所の教官が司法修習生に対して、たとえば列車に乗ったときグリーン車に乗れ、裁判官になる人間、あるいはその卵だと。しかし、そんな給料もらっていませんね。そうすると、普通車に乗るわけですよ。しかし、出ていくときだけはグリーン車から出ていけとか、それから裁判官に成り立てのまだ給料の安い人々ですよ、そういった人々について、任地へ行く場合には出迎えがある、そういう場合にはちゃんといま言ったようなことをやれとか、そんなような話がされていると聞いておるんですね。やっぱりそういう形式主義形を、を整えていくことはこっけいなことになりますし、そのことがやっぱり中身のない今回のような事件が起きる一つの要因になっているんじゃないかと、こう思うんですが、この点はどうでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官が赴任をいたします場合には、正規の赴任旅費をもらって行っておるわけでございまして、いま近藤委員御指摘のグリーン車云々の点がございましたが、裁判官が正規の旅費としてグリーン車の費用ももらってないということであれば、にもかかわらず乗っていけということを決して申しておるわけではございませんで、グリーンの費用が出ておったときがあろうと思います。きょう現在の旅費法は必ずしもそうでないかもしれません。そういうふうにもらっておる場合には、けちらないでちゃんと乗っていきなさいということを言っておるだけでございまして、決して旅費をもらってないのにそれに乗っていけ、みえを張れと、そういうことを言っておるわけでは決してございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 前半はそうかもしれませんが、尾ひれがついておりまして、普通車に乗った場合には出るときだけはグリーン車の出口から出ていけと、こんな話が現に実はあるんですね。これは耳に入っているんだから、間違いないことなんです。だから、そういう点では、形式主義というのはやはりちょっと問題があろうと、こう思うんです。  そこで問題は、司法の権威を保つために、また同時に、司法が国民のものであるためには、やはり裁判の公開ということが必要だと思うんです。これは近代訴訟の公理であると思うんですね。現憲法も当然これを原則としておるんですが、公開とはやはり一般の傍聴を許すことだと思うんです。ところが、一般の傍聴を許す問題について、最近ずいぶんいろんな問題が起きているわけです。  そこで、端的にお聞きをしたいと思うんですが、ことしの三月十一日、甲府地方裁判所で開かれました原告渡辺令子さん、被告東京電力株式会社外一名の損害賠償事件に関して、異常な警備態勢があったということで関係者から甲府地方裁判所に対して抗議がなされていると聞いておるんですが、この点についての御報告をいただきたいと思います。

梅田晴亮最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 御指摘の事件の傍聴の取り扱いにつきまして甲府地裁に問い合わせましたところを申し上げますと、この事件につきましては甲府地裁の四階の傍聴席五十二席、報道関係者用も含んでおりますが、その大きい法廷が使われておりましたが、昭和四十九年の十月の第一回口頭弁論以来、毎回傍聴席を上回る六、七十人の原告の支援者の方々が参集されますので、裁判所構内の裏側、東側になるようでございますが、そこの庭で抽せんによって傍聴券を交付し、南側の階段に職員が誘導、案内していたようでございます。しかし、数回の期日を重ねてまいりますと、もう傍聴の方々も庁舎の状況におなれになりまして、余り職員が御案内するまでもなく、適宜東側の通用口等を通られまして、階段あるいはエレベーターをお使いになって四階の法廷に入っておられたようでございます。  ところが、本年二月十三日の第二十五回の口頭弁論の日に、それまでにない百人ほどの多数の方々が来庁されたようでございまして、その中には原告を支援するためのゼッケンですとか腕章をおつけになったまま構内に入られたために、当日整理に当たっておりました職員との間で若干のトラブルがあったようでございます。さらにその後、支援の方々が、委員が仰せられました三月十一日の結審を予定されております口頭弁論期日に、裁判所までのデモとか、あるいは法廷傍聴をしようという呼びかけのビラを配布されたというようなこともありまして、この日は相当多数の支援者の方が来庁されるであろうということが予想されましたために、警備の態勢をとったというふうに承知しております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 警備の態勢をとっただけではなくて、門を全部閉めまして、そして要するに門といいますと、午前十時ごろ正門と裏門を閉鎖して、南門に職員を配置して、そしてこれは一般の市民の入構も禁止をされたわけです。それから、従来ですと、傍聴人など車を構内に入れていることもあったようですが、それも拒否をされて、そして正面前の道路、そこに占用許可をとって傍聴者を並ばした。だから、従前とは全然違ったわけですね。いままでは建物の中ではないけれども、構内、庭の中で並んで傍聴券を取っておったのが、このときは路上ですね、外へ出して、一切門を閉めて、出入りが不自由になった。  そして、それだけではなくて、これは障害者の山本透さんという方——きょうも見えていますけれども、この方が傍聴券を入手して入るときに、従来であると、庁舎の裏側を通って東側から入って、これはエレベーターがありますし大した階段もない、比較的スムーズに行けたんですが、その日に限ってはこの山本さんに対して、そういう方法をとることが禁止をされている。二十九段もある南門の入り口、しかも、これは大変急な階段です。私もこの甲府地裁には、二十年ほど前何度も連日行っておったことがありますからよく知っておりますけれども、大変急な階段を、この方は足が悪いんですね、きわめて不自由でこれは上れない。ですから、従前どおりやろうと思ったら、それを拒否をされたと。そういったことから抗議が起きたわけですね。ですから、こういう異常な態勢、従前と違った措置をとる、その理由は何でしょうか。そして、その点については反省はないんでしょうか。

梅田晴亮最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 三月十一日の日には、約二百五十人の方が来庁されたと聞いております。裁判所正門前の公道の占用使用許可をとりまして、そこで百七十六枚の傍聴整理券を交付いたしまして、その方々の間で抽選をしていただきまして、四十七枚の傍聴券を発行したようでございます。残りの五席は報道者用だったようでございます。  それで職員が、仰せのとおり南側階段の方へ誘導、案内したようでございます。ところが、南側階段のあたりで松葉づえを使用しておられる足の御不自由な方があることを他の支援者の方から指摘されまして、その際職員は、二階からエレベーターを使ってもらうよう呼びかけたようでございますが、そのまま他の方が背負って四階まで上がられたというふうに聞いております。なお、御本人は、お帰りにはエレベーターを使って二階までおりて、お一人で一階まで歩いて出られたというふうに聞いております。  実は甲府地裁の庁舎には、南側階段近くに、委員も御承知だそうでございますが、エレベーターが一基設置されておりますが、そのエレベーターは、裏口の通用口の方から入りますと階段なしに使えるようでございますが、正面玄関、あるいは当日誘導いたしました南側の出入り口から入りますと、階段を上らなければならない構造になっております。当日、正門前で傍聴券を交付いたしまして、四階までつながっている階段に最も近い南側の通用口に案内したというふうに報告を受けております。  したがいまして、あえて正面玄関を使わなかったとか、あるいは正面玄関から入っても多少の階段があるというような状況であったように御理解いただきたいと思います。  今後の問題といたしましては、先ほども申し上げましたように、少し迂回していただきまして、東側の通用口の方にお回りいただきますれば、階段を使わないでエレベーターを利用できる状況にございますので、甲府地裁といたしましても今後とも十分配慮すると申しておりますし、すでにこのことは関係の方々にもお伝えしてあるというふうに聞いております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 若干の配慮を約束しているということは、少しはまずいと思ったからだと思うんですが、しかし、いまの報告は正確な報告じゃないと思うんです。この山本さんは正面玄関から入廷したいと、本人とその周囲の人が希望を裁判所側に申し入れたんです。そうしたら裁判所側は、協議の上ということで拒否をした、こういうことなんですね。  で、矢口さん、ぜひこういう状況を正確に認識をして対処してほしいんですが、これはたしか決算委員会でしたか、わが党の安武洋子議員の指摘に対して、今後は身障者について車いすで入廷できるような配慮をすると、国際障害者年だけあって裁判所も理解を示しておるんですが、現場ではそうでない。そこの写真にあるとおり、おぶって急な階段を上がったというんです。全然これは障害者に対する配慮も何もない。要するに、決まったということで、ごく普通に傍聴券もらったすぐ近くの玄関から入っていけば、これはすうっと行く。あるいは従前の方法もありますけれども、そういうようなことをなぜ拒否したか。拒否をする裁判所の姿勢が、私先ほど指摘をしたいわば形式主義。そして、相手がちょっとデモなどやりますと、それだけで裁判所が興奮しちゃって、異常な態勢をとって、こんなごくあたりまえなことまで拒否をするという、その辺の体質に問題がありはしないかと、こう思うんです。その点いかがですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いま御指摘のように、御同僚の委員から決算委員会でお話がございまして、ごもっともであるということで十分の配慮をするということを申し上げたと報告を受けております。私の気持ちといたしましても、できるだけのことはしなければいけないというふうに存じております。  ただ、甲府地裁の場合、これはもう近藤委員もよく御承知かと思いますが、少し古いと申しますか、建物でございまして、階高等が非常に高くできております。これを改めていくということになりますと、相当の時間と費用がかかるわけでございますが、私どもの気持ちといたしましては、あとう限りの施設の改善等をいたしまして、体の不自由な方々に御迷惑をかけることのないような配慮を十分にするように、すでに全国の裁判所にもその旨を伝えておるところでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 施設を改善してもらうということは大変結構ですね。ただ、幾ら施設を改善しましても、裁判所の姿勢が変わってなかったら同じことが起きるんです。だから、今回のことについては率直な反省が必要だと思うんですね。やはり身障者に対して、それを通したってどうということないんですよ。そんなことまで形式的に拒否をするというこの態度、しかも、先ほど何か大ぜい来たかのようなことですけれども、写真を見てもわかるとおり、ゼッケンをつけている人は余りいないんです。ごく町の中にいるような普通の人が傍聴に来ておる。みんな勤め人であり、覆面かぶってゲバ棒でも持っておれば何をするかわからぬけれども、普通の生活をしている人が傍聴する。こういうことに対して率直な私は反省が必要だと思うし、今回、谷合裁判官問題などの基礎にこういう問題があると思うんですけれども、その点も含めての反省がほしいと思うんです。  そして、しかもこれは全国にかなりいま共通してきているのは、つまり傍聴制限などがありまして、この場合に、傍聴券の交付を受けながら開廷までに入廷しない者は権利を放棄したものとみなしますと。それからもう一つは、開廷中の交代を認めませんと。現に、傍聴中トイレへ行くために出入する、それまでも、もう一たん出たらだめだ、こういう形式主義なんですね。恐らく裁判所の方では、出入りすると自由に審議できないと言うんでしょうけれども、国会なんというのはしょっちゅう出入していますよね。別にそのことで審議は妨げられていない。だから、そういう問題も含めて、そういう形式主義をこの際大いに変えていくという点で事務総長の御見解はどうでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の点まことにごもっともな点がございます。十分に今後配慮していきたい、職員に対する関係においても十分の配慮をいたしたいと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ということは、反省した上でそのように処置すると、こういうことだと思いますが、いかがですか。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのとおりでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 本当は東京地裁の異常な警備問題も触れたいんですが、時間がもうありませんので次の問題に移らせてもらいます。  これは法務省刑事局長に伺いたいんですが、敦賀の原電の事故について、これはすでに電気事業法違反あるいは労働者の被曝については労働安全衛生規則の問題が起きておるのですが、私もっとこれは根本的な問題があると思うんです。私も実際現地へ調査に入って見てみたんですが、あってはならないことが起きているわけですね。要するに、一般排水路に——ということは、絶対これは放射能が出てきてはならないところに出ている。いろいろ調べてみますと、単に漏れて入ったんじゃなくて、どうも投げ捨てたらしいということです。私もマンホールを二つ、三つ見てきましたけれども、投げ捨てなければ入らない場所なんです。となりますと、これは単に行政上の違反だけではなくて、私は刑法犯の問題が起きてくると思うんです。  そこで、一つは傷害罪の問題が起きやしないか。と同時に、もう少し重要な問題としては、放火罪あるいはガス漏出罪等この辺と同じような考え、要するに、特に放火罪の場合には抽象的危殆犯、こういう立場からこの放射能問題について対処するお考えがないかどうか、どうでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの具体的事案につきましてまだ事実関係が十分把握されていないように思いますので、その事案そのものについてどういうことになるかということは明快にお答えできないわけでございますが、傷害罪の場合について言いますと、場合によっては傷害罪ということも考えられるのじゃないかというふうに思うわけでございます。そのほか、放火とかガス漏出のようなとらえ方ということでございますが、それも一つの考え方かと思いますけれども、やはり相当技術的な問題がございまして、工場なら工場、事業場なら事業場におけるきめ細かいむしろ規則というものがまず先に必要じゃないか。  こういうものを直ちに刑法犯ということでとらえるということよりも、きめ細かい規制が必要じゃないかというふうに思うわけでございまして、そういう観点から、本件のような場合につきましてはいろいろな特別法、たとえば核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律その他ございまして、細かい規制がございます。そういうことで、むしろ設備なり、あるいは廃棄の方法なり基準なり、そういうものを細かく決めていって、そういう事故が起こらないようにするという方が先であって、ストレートにそういう事件が起こって被害があったから刑法なら刑法的なもので罰するというのは、果たしていかがなものかなという気もするわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 もう一点だけ。  放射能による被曝がいかに大変かということは、日本は原爆被害を経験しているわけですから明白なんですね。実際これは急性障害としては白血球それから胎児への影響、それから晩発障害としては、急性障害が治癒した後に発生するものとして白内症、がん、それから生体諸機能の低下、そして遺伝的影響がある、さらに生殖機能にまで影響があると、こういうふうに言われておるんですね。  問題は、基準をどこに置くかはこれはいろいろな問題があるし、かなり専門的なことだと思うんですが、今回の問題というのは、絶対放射能というのは外へ出ないことになっておったんです。仮に事故があってもこの中ですね、いわば危険地域の中だけで終わる、一般のところへは出ないと、こう言われたけれども出た。出ないはずのところになぜ出たかと調べていったら、投げ捨てたということですね。となりますと、中の問題は、局長言われたとおり、これはかなり細かな行政措置で可能なんです。ただ、外へ流すやつは、これは全くとんでもないことですね。まさにそれ自身が抽象的危険ですよ。となれば、私は少なくとも研究なさっていいんじゃないか。この点どうでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 私が先ほど申しましたのも特に中に限ってという意味ではなかったわけでございまして、外部、一般公衆、国民に対する被害の防止という観点からもきめ細かいいろいろな規制あるいは事前の監督といいますか、そういうものが先行すべきじゃないかということを申したわけでございます。  現に、いろいろな公害関係の法律ができておりまして、そういう関係の罰則も、いろいろな事前予防といいますか、危険防止の観点から規定が設けられ、その違反に対する細かい罰則がまずあって、それからいわゆる実害的なものが起こった場合にそれをまた罰するという二段、三段の構えになっているように思うわけでございまして、そういう一般国民なり地域住民なりに対する被害の防止ということも、そのような二重、三重の構えで規制をすべきじゃないかということでございまして、その点につきまして今後の問題といたしまして、不備が仮にあるということでございましたならば所管の省庁からも御連絡があると思いますので、そういう御意見を伺って考えてみたいと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 終わります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会      —————・—————

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