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94回国会参議院1981/03/19

法務委員会 第3号

発言数
116
登壇者
18
会派数
4
開催日
1981/03/19

会議録

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十六日、臼井莊一君が委員に選任されました。  また、昨十八日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に藤原房雄君を指名いたします。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。  第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を十六人増加しようとするものであります、  第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります、これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十三人増加しようとするものであります。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  去る二月二十六日聴取いたしました奥野法務大臣の所信及び予算説明等について、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 前回の法務委員会で、奥野法務大臣の所信をお伺いしたわけであります。その第一の所信とせられるものは、法秩序の維持ということであり私も同感であります。法務省所管の事務の中で、法秩序の維持と人権の擁護、この二つがやはり大宗であることは、これは何人も異議はないと思います。  ところが、最近私どもが大変憂慮すべき事件を見るのであります。その一つは内ゲバ事件と称せられるもので、昨年の十月三十日、大田区の住宅街で起きました内ゲバ事件なるものに至りましては、一瞬のうちに五人が殺されてしまう、白昼公然と殴殺するというようなすさまじい凶悪犯が行われたわけであります、それから、新聞紙の報ずるところによりますと、北九州市においては暴力団の抗争事件というものが、これもまた大変な乱暴な形で行われておるわけであります。  この内ゲバ事件に至りましては、なかなか犯人が挙がらないということで、その点に特色があるわけであります。しかし、何にしましても、イデオロギーの別にかかわらず、このような殺人事件を許してはいけないということについては、何人も異議はないと思います。警察当局は、何をおいてもこのような凶悪犯の検挙に努めるべきであります。  ところが最近、本年に入りまして、こういう内ゲバ事件の最大のものについて五人の犯人を割り出したという記事があります。これは、まあそれなりに捜査当局の御努力を証明するものであると私どもは考えております、やはりそうしたじみな努力を積み重ねて犯人を検挙し、こういう犯罪の撲滅に向かって進んでいただきたいと思うんであります。北九州市の暴力団の犯人の検挙については、私まだそういう結果の報道に接しておらないんですが、こういう点の御報告を一応警察当局に求めたい。  まず第一に、この内ゲバ事件の方の捜査経過、それから御報告をいただきたいと思います。その次に、北九州市の暴力団抗争事件の捜査経過、これについて御報告をお願いしたい。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) 御質疑のいわゆる内ゲバ事件、昨年の十月三十日、東京大田区で発生いたしました事件についての事件の概要と捜査状況について御報告いたします、山  これは十月三十日の午前十時四十分ころ、都内大田区南千束二丁目二番地先の道路上において発生した事件でございますが、通行中の被害者五人が、白ヘルメットをかぶりまして作業衣等を着用した中核派の犯人十数人にいきなり鉄パイプ、ハンマー等で乱打されまして、頭蓋骨骨折等によりまして五人全員が死亡する、犯人らは用意しておりました車両で逃走するという、いわゆる内ゲバ殺人事件でございます、  この件につきましては、同日の午後一時ころ、都内の報道機関に対しまして、中核派を名のる者による犯行声明の電話があったということでございます。  これに対しまして、事件発生後約十分後でございますが、現場付近の人の届け出で事件の発生を認知したのでございますが、警視庁では緊急配備を早速実施いたしまして、現場の臨検、検問、検索等、いわゆるこの種事件についての一連の初動措置を講じました、また、公安部長を長とする捜査本部を設置いたしまして、関係先四十数カ所を捜索いたしまして証拠出千余点を押収すると同時に、これに基づきまして捜査を推進しておるわけでございますが、その過程で被疑者五名を割り出しまして、逮捕状の発行を得、全国指名手配に付したということでございます。今後ともこれらの犯人の早期検挙ということを期しまして全国を督励し、現在、鋭意捜査を続け、彼ら手配者を含めて検挙したい、こう思っております。  なお、この種内ゲバ事件につきましての現在指名手配者は七十三名おりまして、これらの者を含めて、いま組織的捜査ということで努力しているところでございます、

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方の御努力は、困難な中に五人の犯人を割り出したということで、私どもは一応了とするわけであります。ただ、犯人の指名手配中の者が七十三名という多数に上っておることを考えますと、困難なことはよく私どももわかりますけれども、事件の性質上、なお今後もあなた方が一層御努力くださって、この種事件の撲滅に努めていただきたい。よろしゅうございますか。

鈴木貞敏警察庁警備局長

○政府委員(鈴木貞敏君) 仰せのとおり、私たちもこの種事件につきましては、まさに史上見ざる大変な凶悪事件であるという認識でございまして、努力しているところでございます。  なお、補足して申し上げさせていただきますが、この種内ゲバ事件が起きましたのは大体四十四年からでございまして、そのうち五十年からの数字を見ますると四百三十二件発生しておりまして、死者五十六人、負傷者が八百九十一人というふうな状況でございます。この中で、警察としまして捜査の結果、百四十七件、九百六人を検挙しております。  先生のおっしゃいましたように、この種事件は被害者側が警察の捜査に対して協力しない、まあこういうふうな一つの要素、それから犯行がきわめて組織的、計画的でございまして、短時間のうちに、十月三十日の事例のように一挙に犯行が行われるということでございまして、目撃者の確保が非常に困難であるという、その他いろいろございますが、そういう理由で捜査は非常にむずかしいわけでございますが、私たちとしましてはこういった捜査上の困難を克服しまして、取り締まりの強化を図り、この種事件の未然防止とあわせて最大限の努力を尽くしたい、こういうことでございます。  現に、そういう意味で、昨年一年間の内ゲバ事件は発生が十五件、死亡八人、負傷者三十二人ということでございまして、五十年の同時期と比べますと十五分の一ぐらいに減っておるということでございまして、件数等は非常に減っているという傾向にあるということでございます、

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次は、北九州市の暴力団抗争事件について御報告をお願いしたいと思います。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 御質問の件につきましては、本年の二月の四日午前零時ごろ、北九州市の小倉北区の繁華街の路上におきまして、かねて対立中の工藤会の組員と草野一家の組員がささいなことから口論となりまして、死者二名、負傷者一名を含む乱闘事件が発生いたしました そのほかに、この事件が発端となりまして、引き続く二月十八日までの間に、負傷者はございませんけれども、いわゆる拳銃の発砲事件が六件相次いで起こりまして、御質問にありましたように、北九州市民の不安感が非常に増大したというようなことでございます。  したがいまして、福岡県警では二月四日の最初の事件の認知後、直ちに小倉北警察署に暴力団組長射殺事件捜査本部、それから、この地域を管轄します北九州市警察部に北九州地区暴力団犯罪集中取り締まり本部というのを設置いたしまして、警察官九百八十七名を動員いたしまして、被疑者の捜査と引き続く抗争事件封圧のための検問、張りつけ警戒、特別集団警ら、機動警らというものを実施いたしたのでありますが、残念ながら先ほど申し上げましたように、六件引き続いて発生を見たということでございます。  したがいまして、県警といたしましては、二月十八日にさらに県警本部内に福岡県警察暴力団抗争事件防圧特別対策本部というのを設置しまして、さきに設置しました二つの捜査本部と既作の各地区における暴力団取り締まり本部を総括いたしまして、県警の総力を結集した体制をとって捜査の徹底と警戒の万全を期しているところでございます。  これまでに射殺事件の被疑者を含めまして工藤会側十九名、草野一家側三十六名、両組織の友好団体四十一名、計九十六名を逮捕いたしております。現在も警察官二百七十二名を投入して、引き続く抗争事件の防遏等に万全を期しているどころでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと聞き漏らしたんですが、十九名、三十六名、四十一名というのは検挙者のことですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 逮捕者の数でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは警察当局でも検挙当局でも結構ですが、その中でもうすでに起訴されたのがありますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 処分状況はまだ確認いたしておりません。必要がありますれば、調べまして御報告いたしたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何か新聞紙上で見ますと、公明党さんでしたか、これはどこの政党か間違えるといけませんが、市会議員の家にピストルが撃ち込まれたというようなことで、ピストルを暴力団員一人につき二丁ずつ持っているというふうな報道もあるので、これは大変なことだと思いますね。これは徹底的にひとつこの際検挙して、そういう凶器の押収に努めていただきたいと思いますが、よろしいですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) ただいま御質問のありました拳銃は、暴力団を支えている三本柱の一つであると私ども理解しておりまして、一つには構成員、それから資金源、それと並んで武器である拳銃、この三つが暴力団を構成している三大要素であるというように理解をいたしておりまして、この三つをそれぞれ封圧、崩壊させることが暴力団の解体につながるという観点から、拳銃捜査にも重点を置いてこれまでも取り組んでおりますし、今後ともそのようにしていきたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大変細かいあれで恐縮だけれども、拳銃が何丁ぐらい押収されているんだろうか、その点いかがですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 年によって若干の出入りがございますが、平均いたしますと年間一千丁でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今回の抗争事件においても、すでにピストルが押収されたようなものがありますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(漆間英治君) 今回のこの両事件の団体関係では三丁でございますが、福岡全県下では十四丁をこれらの抗争事件がらみで押収いたしております、

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法務大臣、私、初めて数字を聞いたんですが、ピストルが年間千丁ですか押収されるとかいうようなことを聞いて、これは警察だけじゃなく、法務当局もこういう事態に対してはよほど思いをいたしていただかなければいかぬと思いますが、いかがです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃるとおりだと思います。銃器の取り締まりを厳正にしてまいりますことが犯罪の防止につながっていく、こう考えるわけでございまして、最近の密輸などのことを考えますと、さらに一層努力していかなければならない、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま凶悪な内ゲバ事件、北九州市の暴力団抗争事件、そういう非常に凶悪な事件についての御説明をいただいて、御努力を多とするものでありますけれども、最近また起きました大阪市の菓子店老女の殺害事件というものがありますね。これはちょっといただけないので、これは警察当局の私どもはミスではないかと思うんだけれども、まずこれについては最高裁の家庭局長から、この事件の審判の内容であるとか事件の性質であるとか、一応お伺いしたいと思います。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○最高裁判所長官代理者(栗原平八郎君) お尋ねの事件でございますが、本年三月十一日、大阪家庭裁判所で、問題となっております触法少年につきまして保護処分に付することができない、つまり不処分の決定がなされた案件でございます。  何分、十一日決定がなされたばかりでございまして、原庁の方に照会いたしましたら、まだ決定書が作成されておらない、関係者にもその決定書の謄本が送られておらないという段階で、私どもの方にも正式に報告を受けるというそういう状況にございませんので、決定書の内容その他については私どもは詳細にはまだ了知しておらない、こういう状況でございます。  ただ、お尋ねの件につきまして若干経緯を申し上げますと、この件は五十四年の五月に、いま委員御指摘の、被害者が自宅で殺害されて十数万円を奪われたというケースでございますが、約九カ月後の本年の二月十日に、別の恐喝未遂事件で補導されました当該本人が、翌十一日にこの事件を自分がやったと、こういう自供をしたようでございます。  ところが、この少年は当時小学校六年生、十一歳でございますので刑事事件の取り扱いの対象になりませんので、警察は事実関係を調査の上、児童福祉法の二十五条に基づきまして大阪中央児童相談所へ通告を二月十四日にいたしたわけでございます。大阪の児童相談所の方から家庭裁判所に対して、改めて少年法上の処遇が相当だということで、二月の二十二日に事件が送られてまいったわけでございます。  裁判所の方で第一回の審判が三月の十七日に開かれたわけでございますが、この際に初めて従前の供述を少年が翻しまして、自分はあの事件はやっておらないと、このように述べたようでございます。そこで裁判所といたしましては、その事実の真偽を明らかにするために、五月から十二月まで六回にわたりまして、少年の父であるとか兄であるとか、あるいは少年の知り合いであるとか、あるいは取り調べに当たった警察官あるいは被害者の子供さんまで取り調べておるようですが、五人の参考人を期日外に裁判官が直接取り調べたようでございます。  その取り調べの結果に基づきまして、一月の三十日に第二回の審判を開きまして、そして事実調べを終えて、先ほど申しました三月十一日の審判期日に、少年が問題となっている事実をやったと認めるに足りるそういう資料がない、恐らくそういう理由ではなかろうかと思いますが、いわゆる非行なしということを理由といたしまして保護処分に付さないという不処分の決定をした、こういうようでございます。  以上でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警察当局におかれても十分御承知と思うけれども、少年と婦人がわりあいに捜査に弱いんですね。それで虚偽の自白をしやすい。これは世界各国いずれもそうなんです。ですから、少年の捜査に当たっては、もうよほど細心に慎重にやっていただかないといけない。私どももこういう経験が、まあたくさんはないけれども、いまは司法の仕事に携わって四十年以上になりますけれども、やはりこういう経験は二、三あるんです。ですから、あなた方もやはり少年の捜査というのはよほど慎重にしていただかなければいけない。警察のこの点についてのお考えをちょっと聞かしてください。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○説明員(石瀬博君) 少年事件の取り扱いに当たりましては、当該少年の再非行を防止し、その健全な育成を期するという観点から、少年の特性に関する深い理解を持って接し、単に非行事実の糾明に努めるだけでなくして、少年の性格とか平素の行動とか家庭環境、さらには交友関係等を十分に調査しました上で、非行の原因、背景を究明する、当該少年に最も適切な処遇を行うように努めておるということでございます。  特に、いまほどお話のございました少年の取り調べ、または面接に当たりましては、その時期及び取り調べ時間等につきまして十分配慮いたしておるところでございますし、また場所につきましても、少年またはその保護者等が落ちついて面接できるように適当な場所を選んで、できるだけ保護者あるいは学校の教師等の適切と認められる者の立ち会いを得ながら行うようにいたしておるわけでございます。また、取り調べまたは面接中には、少年あるいはその保護者等の話をよく聞きまして、警察が一方的な理解をすることのないように努めております。少年またはその保護者等がみずから反省するような方向で、そういうふうにしむけるような方向で取り調べ、あるいは面接を行うというようなことにいたしておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方はそういう方針で指導していらっしゃるだろうけれども、この事件の結果にかんがみると、やっぱり第一線の諸君が自白を強要して虚偽の自白をさせたと考えるほかはないわけで、最終的には家庭裁判所の裁判官が事件の有無を決定するわけだから、これは国家的な判断がもうすでになされているわけだから、あなた方としてもこれは反省してもらって、こういう誤りがないように将来してもらわなきゃいかぬ。その点いかがですか。

仁平圀雄警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(仁平圀雄君) 少年事件、特にいま御指摘の触法少年事案につきましては、これは刑事事件でございませんので、少年の特性というものを尊重いたしまして、捜査の立場におきましても少年警察と緊密な連携をとりまして、少年の特性に影響を与えるようなことのないように十分配慮してまいりたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方としては確信を持ってやったんだから残念だろうけれども、しかしやっぱりそれはしょうがない、人間のやることだから誤りはあるんだから。家庭裁判所が最終的な国家的な判断をする官庁なんだから、それがシロだと断定を下した以上、あなた方はやっぱり捜査のミスとしてそれを受け取ってもらわにゃ困る。いやおれは正しいんだということで、どこまでも突っ張ってもらっちゃ困る。その点よろしいか。

仁平圀雄警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(仁平圀雄君) まだ決定書の内容を拝見しておりませんので、今後決定書をちょうだいいたしましたならば、内容をしさいに検討いたしまして今後の参考にいたしたいと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 くどいようだけれども、参考にして、そして十分反省をして、こういうことがないように努めてもらいたいという、その点よろしいか。

仁平圀雄警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(仁平圀雄君) 御指摘のような方向で、最善の努力をしたいということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 では、警察の方々は以上で結構ですから。  サラ金の問題がありますね。これは各政党の案が、まとまっておるものもあります。まとまっておらないのもあります。御承知のように、利息制限法超過利息の支払いがなされた場合、それを元金の弁済に充当するという最高裁の判例がすでに確立されて長い期間を経ておるわけであります。これは私ども、いわば経済的な弱者の救済に大変温かい配慮がなされているというふうに見て高く評価しておるわけであります。私どももこの判例を手がかりに、巨額の利息を多年にわたって払い続けた債務者の救済がこれによってなし得るということで、こういう事件をもう実に恐らく私どもとしまして何十件となく、もっとかもしれない、扱ってきておるわけであります。  ところが、サラ金業界の方ではこの判例を憎むこと尋常でなくて、政党関係者に働きかけて、そして立法によってこの判例の結果を覆そうとする手段に出てきておる。これはまだ私も確かにその法案の条文を見たわけではないけれども、私どもの法務部会ではそういう案が出ておるという報告もあるわけですね。  そこで、そうなると、これは大変私どもとしては零細な困窮した債務者を一層苦しめる結果になるのではなかろうかというふうに考えますので、これについて最高裁それから法務省の民事局長の御所見を伺いたいと思います。

川嵜義徳最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) ただいま寺田委員御指摘の最高裁大法廷判決、昭和四十三年十一月十三日言い渡しのものでございますが、この判決によりまして、御指摘のように、超過して支払った利息は残元本がなくても不当利得として返還請求ができるということを判示したものでございまして、現在の裁判実務は、裁判、和解、調停、いろんな場におきましてこの判例の線に治って運用されておるものと理解しております。  ただいま御質問の中に出てまいりました法律案、私ども承知しております限りでは、この判例の線とこの法律案とでどのような差異が出てくるか、これは十分検討したわけではありませんので確かなことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、機械的、算術的に計算した場合どういうことになるであろうかということであります。  たとえば、貸金業者が百万円を年十割の利息で貸し付けたと、こういう例を設定して、借り主が一年後に元利金として二百万、元本百万と利息百万を返したという場合を考えてみます。従前の最高裁の判例に従って計算してまいりますと、返還すべき額は元本百万円と利息制限法によります年一五%の割合による利息十五万円、百十五万円ということに相なります。したがいまして、支払った二百万と百十五万の差額八十五万が不当利得として返還請求できるということに相なるわけであります。  私ども拝見いたしました法案によりますとこの場合どうなるかということでありますが、まずこの法案によりますと、元本百万円、これは当然返さなきゃならぬ。さらに取得できる利息として、五十四万七千五百円ということに計算上相なろうかと思います。この元利合計百五十四万七千五百円を貸し主は取得できるわけであります。したがいまして、不当利得返還請求として借り主が返還を求め得る額は四十五万二千五百円ということに相なります。したがいまして、判例の立場による場合といまの法案による場合との差額は三十九万七千五百円、こういう計算に一応なると思われます。  ただ、この法案につきましてどう考えるかということに相なりますと、立法の問題、立法政策の問題でございますので、私ども事務当局としては意見を申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように思うわけでございます、

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) 現行の利息制限法一条一項、二項の解釈として現在確立されているやに見えます最高裁判所判例の立場と、新しく問題になっております法案の立場とで具体的な事件の取り扱いとして差が出てくるということは、ただいま最高裁判所の民事局長が申されたとおりであろうというふうに考えております。  現在の最高裁判所の判例は、現行の利息制限法の一条一項、二項の解釈としてのものでありますし、新しい法案は、新しくその関係を貸金業者については特則を設けるという立場でありますから、両者差が出てくることはやむを得ないことであろうというふうに考えておりまして、法理上、格別の問題はないというふうに考えておるわけでありまして、新しい法案が相当かどうかということは、これは先ほど最高裁判所の民事局長も申し上げたように、立法政策と申しましょうか、政策選択の問題であろうというふうに存じております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま両民事局長が答えられたように、それは立法政策の問題ではあるけれども、事実上、最高裁が営々として築いた弱者保護の判例というものが立法によって覆されてしまうんですね。私どもとしては、いままでの最高裁の判例のように、経済的な弱者を守るという立場の方が社会政策的な見地からいっても妥当ではないかと考えておるわけなんですが、これは立法政策上の問題となると、最終的には私どもの判断にゆだねられできますね。しかし、一応、法案については、これは法務省も非常に関係してきますね。ですから、法務大臣の御意見というものが大変大切なことになりますね。法務大臣はこれをどういうふうにお考えでしょう。どっちの方に味方なさるのか、あなたの御所見をまずお伺いしたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) サラ金の問題、いろいろな事件が多発しておりますから、早くよい方法が打ち立てられないものかなと心から念願している一人であります。  同時に、サラ金の融資を受ける方はできる限り利息が少ない方がいい。と同時に、融資が円滑に受けられる、これも大事じゃないかなと、こう思うわけでございまして、したがいまして、金利を抑える結果、融資が受けにくいということになったのじゃまた問題解決にはならないのじゃないかなと、こう思うわけでございまして、両方調和をとって解決していかなきゃならないものでございますから、皆さん方の苦心が、今日までなおかかっているのじゃないだろうかなと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣のおっしゃることはよくわかるんですよ。そういう論法で、融資が円滑に行われなくちゃ困るじゃないかということでサラ金業者の方に味方をして、最高裁の判例が邪魔だと、だから立法で片づけようという計画があるわけですね。しかし、そういう零細な融資というものをサラ金業者に頼らずとも、何らかの国家的な、あるいは自治体による融資の道を開くという方法もあるわけで、現存のサラ金業者の融資を容易ならしめる方に救いを求めるというのはどうだろうかと考えますね。  ですから、どっちの味方をするかということになりますと、私どもとしては、サラ金業者の金融の便宜ということに味方するということはどうもしにくいですね。それは法務大臣としてはどっちがいいと思いますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 両方満足できるのが一番いいと思うわけでございまして、悪らつなサラ金業者、これは抑えてかからなきゃならない、こう思っておるわけでございます。ことに、暴力を伴うようなことまで出ているわけでございますので、早く無理でないサラ金の融通が必要なところには行き渡るような配慮が大事じゃないかなと、こう思うわけでございます、  両方を同時に満たそうとしますので、なかなか意見が合わないで苦心が今日なお続いているのじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 よく大臣のお気持ちはわかりますね。ただいますでに最高裁の判例が確定してもう長いわけですよね。しかし、そのために、それじゃサラ金業者の存在が危うくなってサラ金業者が消えてしまうかというと、そうじゃないですね。ますますはびこっているわけです。そういう意味の非常に高利の庶民金融というのは、もう至るところはんらんしていますね。  だから、ああいう判例があったのでは円滑なサラ金業者の金融が得られないという理論は、現実的でないんですよ。実証的でないんですよ。そんな判例があったって、やっぱりあるんです。はんらんしているんですよ。だから、この判例があったのでは円滑な金融は借りられないんだという理論でもって最高裁の判例を覆そうとするのは、現実的でないんですよ。実証的でないんですよ。だから、その点を法務大臣、お考えいただきたいと思うんですが、もう一度。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、サラ金の融通も公明に行われていくという体制をつくることが大事じゃないかなと、こう思っているものでございます。  借りる人も、どういう条件で借りるかということが常に明確である。貸す方も、それを明確にしなければならない。その場合に、余り利子負担を軽減することに力を入れ過ぎて抑え過ぎますとまたやみが出るのじゃたいのか、起こるのじゃないだろうかなという心配を持つものでございます。やみが出てきたのじゃ、せっかくの改革が意味をなさない。まあ、そういうところで皆さん方御苦心いただいているのじゃないだろうかな、私はこう思っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法務大臣の理論はわかるけれども、結論としては、どうもサラ金業者の味方をしておるような結果になりますよ、あなたの御所論は。どうも余り感心しないですね、それは。しかし、あなたに、いますぐ説を改めて私の説に同調してくれと言って私が求めるのは無理でしょう。ですから、私はこれ以上お尋ねしませんけれど、もう一度考えてください、これはいずれ出てきますから。それじゃ、これはこの程度にしておきます。  次に、刑法、少年法、監獄法、それから最近、簡易裁判所は事物管轄を拡大するという問題が起きているようですね。これは構想ですか、まだ。法務当局はお持ちのようでありますけれども、これはかなり実務家である弁護士の問題でもあるわけですね。そこで、われわれとしては、日弁連と十分意思の疎通を図ってもらいたいということを前々からお願いしておるわけですね、  これらの法改正についての日弁連との折衝はどうなっているのか。ある程度お伺いはしておるけれども、その後の経緯について御説明をいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) まず、刑法と少年法の関係について申し上げますが、刑法の全面改正につきましては、御案内のとおり、昭和四十九年に法制審議会の答申がございまして、その後私どもといたしまして改正作業を進めておるところでございますが、日弁連あるいはその他の団体等からの反対意見もあるわけでございます。そこで、特に日弁連とは密接な関係もございますので、十分意見を交換していきたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、私どもと日弁連との意見交換会というふうなものを持ちたいということで話し合いを進めておりまして、去る二月七日と二十八日にいわゆる予備会談というのが行われたわけでございます。これは、いわゆる本会談と申しますか、意見交換のためのテーブルづくりというようなことで進められているものでございますが、その話がまだ十分詰まっておりませんので、本会談が始まっていないというのが実情でございます。で、三回目は今月の二十日という予定でございます。  そこで、いま問題になっておりますのは、日弁連側の御要望といいますかお考えで、その意見交換の会議を公開にしたらどうか、公開にすべきではないかという点が一つあるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、この刑法改正問題は重要な問題でございますし、両方の意見というものを、忌憚のない意見を交換し合って議論を詰めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、いわゆる公開討論会のような形になったのではいかがなものかというような感じを強くしておるわけでございます。  したがいまして、その公開ということも、日弁連側のお話によりますと、いわば密室的なところで話が進んだのではいけないのじゃないかということにあるように思われるわけでございますので、たとえばその話し合いをしました場合に、その後で両方で共同で記者会見をするというようなことも一つの方法じゃないか、それによって御心配のような点はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、そういう点がまだ十分詰まっていないということが一つございます。  それから、いわゆる本会談をどの程度の頻度で行うかということもあるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ回数を重ねて速やかに意見の交換を進めたいということでございますが、その開催の頻度については、予備会談では、日弁連側の委員と申しますか出てきておられる方は授権をされていないのだというようなことのようでございまして、その回数等についても話し合いができないというようなことになっておりまして、私どもといたしましては、いま申しましたように、両者の忌憚のない意見を何回も早くやりたいというふうに思ってお話を進めておる状態でございます。  それから、少年法でございますが、これはやはり五十二年に法制審議会の答申がございまして、その後私どもといたしまして改正作業を進めておるわけでございますけれども、やはり日弁連等の反対がございまして、特に刑法よりもむしろ少年法については反対が強いような感じもするわけでございます。そのようなことでございまして、私どもといたしましてはこの少年法の問題につきましても日弁連と十分意見の交換を行って作業を進めたいものと考えておるわけでございますけれども、実はそこまでいってないというのが実情でございます。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 監獄法改正の関係での日弁連との接触状況について申し上げます。  監獄法改正につきましては、日弁連と直接の折衝は持っておりません。と申しますのは、この改正に当たりまして法制審議会審議において弁護士会推薦の委員が出席しておられ、また弁護士会作成の刑事拘禁法要綱を参考として審議を尽くしておりまして、その結果、日弁連推薦委員を含めまして、ほとんどすべての点につきまして全会一致でこの要綱が成立いたしております。したがいまして、基本的には対立のない法案であるというふうに考えております、今後とも、日弁連側の理解と協力を得て立法を進めたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 矯正局長の御説明はよくわかりますけれども、ただ私どもも日弁連の理事で、やはり監獄法の改正はもうすでに十何年前に取り組んだ経験があるわけですね。で、よくこの種の審議会で問題になりますのは、法務省が御委嘱になる審議会委員ですね、日弁連側の委員、これがどちらかというと法務省、最高裁のOBでして、それで十分に弁護士会の大勢なり空気を代弁せずに、官側にくっついているというようなことも言われることがあるわけですよね。  そうなりますと、後でごたごたする場合もありますので、いま局長が最後におっしゃったですね、よく日弁連との意思の疎通に努めたいということをおっしゃったでしょう。ですから、形式的に法制審の弁護士会側の委員が全面的に賛成したからもう日弁連はなべに入った、問題ないと、こう直ちに即断しがたい面もあるんですよね。その点、御注意願いたいと思いますが、いかがですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 法制審の委員の中にいわば検察、裁判所のOBである弁護士委員がおられるのも事実でございますけれども、そのほかに日弁連から推薦されました委員が部会におきまして三名、幹事がほかに二名おりますが、それから総会におきましても日弁連推薦の委員が四名、幹事が一名常時出席しておられたわけであります。そういたしまして、まあ私どもの理解では、審議冒頭に日弁連の監獄法改正の組織との連携をとりながら意見を述べておられたというふうに理解いたしております。  そういたしまして、総会におきましても修正の案が実は七つ出たわけであります。そのうち一つを除きましてすべて撤回がなされ、合意が得られたという経緯になっております。もちろん撤回なされなかった点につきましては、これは接見交通の部分でありますけれども、私どもも十分理解いたしておりますので、踏まえながら今後の立法作業を進めたいというふうに考えております。  なお、委員御指摘のように、今後条文化作業を進めます上におきまして問題のある個所は、十分に日弁連とのタイアップも考えながら立法作業を進めたいというふうに思います。

千種秀夫法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(千種秀夫君) 先ほど裁判所法の改正に関しまして御質問がございましたので、関連してお答え申し上げます。  司法制度に関して法曹三者——裁判所、法務省、弁護士会の法曹三者がいろいろと協議をして意思の疎通を図るということはかねがねの懸案でございまして、特に昭和四十五年の裁判所法改正の場合に、当委員会におきまして附帯決議もございましたことが契機となりまして、法曹三者の間で三者協議会と称しております協議会が持たれることになって、今日までいろいろな問題について協議を重ねておるところでございます。  ただ、ただいま刑事局長、矯正局長からもお話がございましたけれども、それぞれテーマによりまして三者協議会だけでは協議できないような、たとえば刑法の問題になりますと、刑法の専門の担当局と専門の弁護士会の委員というようなことになるものでございますから、そういうものはまた別な協議会なり意見の交換会なりというものを持って、その結果を常に三者協議会において報告し、調整をするというようなやり方で話を進めてまいっております、刑法、少年法あるいは監獄法の問題も特別な問題もございますし、法制審議会もあることでございますから、それはそれなりにその機関を通じていろいろな協議を重ねておりまして、特に刑法につきましては、そういう審議会の答申もあった後にまたいろいろな意見を聞くというようなことから、現在、先ほど刑事局長が御説明申し上げましたように、特に法務省と弁護士会の間で意見の交換をやろうということをいまやっておるところでございます。  裁判所法の問題につきましては、裁判所、いわゆる簡易裁判所の事物管轄の問題というのがございます。これは現在裁判所法の三十二条の一項一号におきまして、簡易裁判所で取り扱う事件は訴訟の目的の価額が三十万円を超えないものということになっておりますが、この三十万円というのは、先ほど申し上げましたように、先回昭和四十五年の改正のときに改まった額でございます。それから約十年をたちまして、物価の上昇その他を勘案いたしまして、この三十万円が今日適当であろうかという問題が出てまいりました。  一昨年の秋ごろでございますが、裁判所の方からそういう問題があるということが三者協議会の席でも話題になりまして、以来弁護士会の中におきましても、簡易裁判所についていろいろと問題があるようであるから、各地の意見を徴するというようなことをやっておられまして、その結果もそろそろまとまるというような話になってまいりまして、ことしに入りまして二月でございますか、そういう問題をそれでは三者協議会の議題にしてはどうかということが三者協議会で話題になりまして、近くどういう問題をどのように協議しようか、その議題の調整をしようということを話し合っておるところでございます。近々と申しまして、来週にその打ち合わせをしようというような段取りになっております、

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、難民条約の批准に伴う立法上の措置ですね、これをどういうふうにいま考えていらっしゃるのか、どういう構想をお持ちで作業をしていらっしゃるのか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○政府委員(大鷹弘君) 難民条約に加入するとなりますと、入管令に一連の改正が必要であると考えております。  具体的に申し上げれば、たとえば難民認定の手続であるとか、認定された難民に証書を発給すること、それからその難民が海外に旅行する場合の旅行証明書の発給、それから迫害されるおそれのある国には送還しないといういわゆるノンルフルマンの原則を明文化することとか、さらに難民の方の永住条件を緩和するとか、こういうことがございます。  そこで、現在関係省との協議とか、あるいは法制局の審査とか、こういう必要な手続を急いでおりまして、今国会にお諮りしたいと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何か入管令の改正だけじゃなくて特別な立法を、たとえばいろいろな国民年金の支給その他に関係するので、別の単行法を用意しておられるというようなことも聞いていますが、その点いかがでしょう。

大鷹弘法務省入国管理局長

○政府委員(大鷹弘君) 入管令の改正は、難民条約の加入に伴う部分とそれ以外の部分とございます。そこで、これをどういう形で国会にお諮りするかにつきましては、現在検討中でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもが聞いているところでは、つまりこの法務委員会で国民年金法の改正なども含めた法案の審議があるのではないかというようなことを聞いているわけですね、そうすると、何か別の単行法をあなた方が用意しているのじゃないかと思われるんだけれども、その点どうなんでしょう。

大鷹弘法務省入国管理局長

○政府委員(大鷹弘君) 難民条約の加入に伴う改正と、そのほかの関連する部分を一本にして、そのほかをまた一本にまとめるという可能性を含めて、現在検討の段階でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、結局、出入国管理令の改正と、それからその他のいろいろの関連法規の改正も含めた単行法の制定も含めていま検討中だと、こういうふうに伺ってよろしいかな。

大鷹弘法務省入国管理局長

○政府委員(大鷹弘君) ほぼそういうことになろうかと思います。入国管理令の難民に関する部分とその他の部分、これは場合によっては二本立てになるかもしれませんけれども、いずれにしましても入国管理令の改正ということになります。二本立てになった場合に、そのほかの関連法案と一緒になるということの可能性もあるわけでございまして、この点、現在検討の段階だとお答えしたわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 過日の法務大臣の所信表明をお伺いいたしまして、それに関連いたしまして若干の御質問をいたしたいと思います。きょうは予算委員会の開会中でもございまして、長い時間お伺いする時間もございませんので、何点かにしぼりまして、基本的なお考えについて大臣の所信をお伺いをしたいと思うんであります。  冒頭にもございます、また、ただいま同僚委員からもお話があったわけでございますが、大臣は内外の諸情勢の厳しい中、わが国の国民生活が比較的安定しているというのは、法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることにある。国の安定のためには、法秩序の維持と国民の権利の保全というのは重要なことであることは私どもも当然だと思うんであります。しかるに、先ほどお話ございましたが、暴力事件等そのほかまた複雑多岐にわたります最近の犯罪傾向、件数という数の上からしますと刑事犯というのは横ばい状況と、こういうことなのかもしれませんが、その質的な問題につきましては特殊犯罪の増大とか、麻薬やまたは銀行、こういう関係の犯罪、こういうものが非常に多くなっておる。  こういうことで、今後ともこれは司法としましても法務行政といたしましても、使命達成のためには新しい時代に即応した新たな決意といいますか、体制といいますか、こういうものが望まれると私は思うんでありますが、現在の複雑多岐にわたります社会情勢の中で、それに即応した今後の法務行政というものについて大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、最初にお伺いしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 法秩序を維持していく、そのためには何としても犯罪を防止していかなきゃならない。犯罪を防止しますためには、行われたものについては一〇〇%検挙する、こういう体制が非常に大切じゃないかなと思います。幸いにして関係者の努力等もございまして、国際的に見ました場合に日本の犯罪発生率はきわめて少ないようでございますし、検挙率も特に高いようでございます。この体制をより一層高めていくための努力をしていかなきゃならない、こういう強い決意をみんな持っているわけでございます。  同時に、最近の犯罪情勢、覚せい剤犯罪が多いとか、あるいは青少年の犯罪がふえているとかいった問題がございますので、最近の傾向も絶えず察知しながら、それなりの対応を積極的にとっていかなきゃならない、こう考えておるわけでございまして、いろいろとこういう機会に御意見を伺わせていただきながら、それなりの対応に常に細心の注意を払っていきたいと、こう思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 次に、所信では、最近の当面する諸問題についてそれぞれ触れられておるわけでありますが、刑法の全面改正作業ということについても私どもは非常に関心を持ち、また長い間いろいろ議論もされておったところでありますし、また御検討という先ほどのお話もございましたが、これはいろいろな問題があるがゆえに、現在まで日弁連とテーブルについて話し合いの場か持たれたということで、なかなか問題があるようであります。  保安処分等いろんな問題の提起がなされていることは私どもよく承知しておるわけでありますが、現段階で作業の進捗状況とか、または今後の見通し等については法務省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、今後手続とかいろんなことがございますから、確定的なことはお答えはできないだろうと思うんでありますけれども、およそのめどとして現在全面改正作業の進捗状況ということとあわせて、この見通し等についてお伺いしたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど寺田委員のお尋ねにもお答えしたところでございますが、刑法の全面改正作業は多年にわたって続けられているところでございます。  御案内のとおり、昭和四十九年の五月に全面改正についての答申がございまして、その後も事務当局といたしましては、その草案をもとにといいますか、具体的な政府原案の作成作業を続けておるところでございます。その間いろいろと積極、消極の御意見また御批判等もあるわけでございまして、そういう点を十分勘案しながら、真に時代の要請に適応した新しい刑法典を実現したいものという気持ちで努力を重ねているところでございます。  ただいま申しましたように、日弁連あるいはその他の団体等から反対意見あるいは批判的な意見も出ておるところでございますので、刑法典というものがきわめて重要な法律であるということから、広く国民の方々の御意見も聞きたいということで、そのためのまた努力も重ねているつもりでございます。  具体的には、日弁連とのお話し合いといいますか、意見の交換ということを当面の課題といたしておりまして、先ほど申しましたように、その機運は強まっているわけでございますけれども、いわゆる本会談と申しますか、意見交換それ自体にまだ入っていないというのが実情でございます。したがいまして、その後どういうふうになるかということにつきましては、いま現在、明確な見通しが立たないわけでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 寺田委員から概括的なことはお話がございましたが、先ほど商法の問題についてちょっとお話がございませんでした。この商法のことにつきましては、商法改正、本年の一月二十六日ですか、答申がされまして、今国会に提出されるという予定のお話は承っておるわけでございますが、この商法の問題につきましては、巷間いろいろお話あることは私どもも十分承知しておるわけでございますけれども、現在、一応十三日をめどに法案をいろいろ提出なさる問題についてはお話があったようでありますけれども、その中には商法は入っておりません、こういうことで、商法の提出のおくれている理由とか、また現在どういう段階にあるのか。  それから、この商法の改正要綱によった場合に、またこれは提出されていないわけですからあれですが、要綱の段階で税理士業務の影響の度合いというのは一体どのぐらいにこれを法務省としては考えていらっしゃるのか。これはいろいろ議論もあり、私どももそれなりに見ておるわけですが、法務省として現在、こういう要綱を基準にいたしますと、公認会計士と税理士との職域の問題が一つの大きなポイントになるんだと思いますけれども、この要綱によりますとどのぐらいの影響があると見ているのか、この二点についてお伺いしたいと思うんです。

中島一郎法務省民事局長

○政府委員(中島一郎君) お答えを申し上げます。  ただいま御質問にもございましたように、本年の一月二十六日に法制審議会の答申をいただきまして、その後法案の作成に着手をいたしまして法案の作成を急いでまいったわけでありますが、条文の数も非常に多くございます。問題点も多岐にわたっております。関係方面との協議その他にも時間を必要といたしまして、当初予定しておりました先ほどの三月十三日というのに間に合わなかったわけでございますが、ようやく成案を得つつありますので、近く閣議に提出をしたいという段取りになっております。  それから、第二点の税理士業務に対する影響の点でございますが、御承知のように、現在の監査特例法におきましては、本則におきまして資本金五億円以上の会社が監査対象会社ということになっておりますが、附則におきまして、当分の間五億から十億までの非上場会社については対象会社としないという附則が設けられております。それを今回附則を外しまして本則どおりにする、五億以上の会社は、上場会社、非上場会社を問わず監査対象会社にしたいという案でございますが、それによりますと、税理士会の一部には税理士の職域侵害であるというような反対論も当初ございました。私どももその点いろいろ調査をしてみたわけでありますけれども、その程度の改正であるならば税理士業務にはほとんど影響がない。  具体的に申しますと、資本金五億円以上の会社で現に税理士が税理士業務を行っておる会社はどれぐらいあるかと調べてみたわけでありますけれども、たとえば東京国税局管内の会社には一社もないということであります。全国に全くないと申し上げるのもどうかと思いますけれども、あってもほんの二、三社ということでありますから、ほとんど影響がないというふうに私ども見ておるわけでありますけれども、それにいたしましても、税理士会からそういう意見もありますので、十分に税理士会の意見なども聞きながら法案の作成に努めてきたところでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これはまた、近いうちにということでございますから、いろいろ検討させていただき、またその段階でいろいろ触れさしていただくことにいたしまして、次に、最近家庭内または校内暴力等でいろいろ、今日までもそういう事件はあったのかもしれませんが、最近は非常に多発をいたしておるという、今度の中学校の卒業式にも二百ですか、そういう注意を払わなければ卒業式ができないようなところがあったというようなことも報じられております。  これは社会の一つの大きな問題ということで取り上げられておるわけでありますが、そういうことに伴いまして、先ほどもちょっとお話がございましたが、少年法の改正問題、先ほどお話ございましたからあれですが、先ほどお話あった大阪の少年の事犯について、新聞等における報道されたものしか私どもは認識はないわけでございますが、審判手続においては弁護士など付添人がこれは少年法の十条でつけられることになっておるようでありますけれども、この場合はついておったということですが、こういう付添人として弁護士がつくというのは非常にまれなケースだというふうに言われておるわけですし、また弁護士の方のお話を聞きますと、実態はどういうふうになっているかよくわからないというようなお話も聞いておるんですけれども、少年というのは婦人と同じように非常に弱い立場だと先ほどお話ございましたが、そのために少年のためにはいろんな手だてがなされているわけです。  実際、捜査とか逮捕の時点とか、それから勾留ですか、こういうことになりますと、現実問題として、少年だからといって特別に法があるわけじゃございませんで、やっぱり刑事訴訟法にのっとった形で逮捕だったり、また取り調べの段階におきましても、少年に対してのそれぞれ警察におきましては内規でこれを決めておるようでありますけれども、どうも弁護士が付添人としてついておる事実というのは非常に少ないようなことが報じられ、またそういう話もちらほら聞いておるんですが、この辺のことについてはどうなんでしょうか。捜査段階においてもやはり弁護人がついて、そういう立場をよく守るというのは当然のことのように私どもは思うんでありますけれども、ここら辺の実態と、またその辺のことについてのお考えについてお伺いしたいと思いますが

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの大阪の事件は、先ほど警察の方からお答えがございましたように、いわゆる触法少年ということで警察から児童相談所の方に送られて、それから家庭裁判所の方の審判に付されたということでございまして、検察当局はそこに関与していないわけでございますので、具体的な事件のことについては直接詳しいことがわからないわけでございます。また、警察の逮捕なり捜査の過程でどういう扱いをしているかということにつきましても、先ほど警察の方から御説明があったところでございますので、私から申し上げるのが適当かどうかと思いますけれども、先ほどもお話がございましたように、少年につきましてはやはり取り調べの面で配慮しなきゃならぬ点が多々あるだろうということは、御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私ども検察当局の調べの場合におきましても、少年に限らず被疑者、参考人、それぞれに応じましてそれなりの配慮をするということでございまして、少年の場合には必要に応じて付添人的な人を、まあ親であるとか、そういう人の付き添いのもとで調べをするということも配慮しているところでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 捜査の段階では、警察庁のことですから法務当局は直接タッチしてない、そういう点ではこれは警察庁に聞かなきゃならないことかもしれませんが、閣僚の一人として法務大臣、やっぱりこういう問題についても十分にこれは御認識いただきたいと思いますし、また、少年法の改正ということについてはこれには一つも触れてない。非行少年が云々というようなことで、こういうことで少年法についてのこともこれは非常に長い間の懸案ということになっておるわけであります。  そういうことから、少年法については私ども非常に関心を持っておるわけですが、きょうは時間ありませんから個々についてお話しする時間もありませんが、たまたま身近にこういう問題が起きた、その事犯の中でこういう付添人の問題等、こういう面についてどういうふうになっているのかと非常に関心を持ったのでちょっとお伺いしたわけでありますが、この点についてはぜひひとつ御検討いただき、それから少年法についてもいろいろ議論があるのは、やっぱり最近少年の犯罪が非常に多いということと、それから体力的にも一ころと違ってきたということについていろいろ議論あることは当然でありますが、ただ保護処分という形で窓口が開かれるようなことになりますと、やっぱりそこに問題が出てくるという、こういう危惧というものがあるわけでありまして、こういう少年事件の捜査のあり方とか、またこういう問題を通しまして少年に対しての時代的な推移の中でどうすることが大事なことなのかということは、一つの大きな課題だろうと思うんであります。  少年法について現在までもいろいろな検討をなされてきたと思うんでありますけれども、現況はどうなんでしょうか。ここには全然触れていませんけれども、簡単で結構ですから、ちょっと現況だけをお話しいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 少年法の改正問題でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、五十二年に法制審議会の中間的な答申がなされておるわけでございます。その後その答申、要綱的なものでございますので、細かい技術的な点も含めまして法務省部内、矯正局あるいは保護局等も関係するわけでございますし、また最高裁とも大変密接な関係がございますので、個々の問題につきまして条文化作業の中で問題点を詰めているところでございます。  ただ一方、やはりこの少年法の改正につきまして日弁連等の反対があるわけでございますので、これも先ほど申したところでございますが、私どもといたしまして日弁連の御意見も十分聞きながら作業を進めたい。しかし、遺憾ながら日弁連の方で少年法の問題についてはまだお話し合いをするということができるような状態でないように理解しておるわけでございますので、作業を進めながら、そういう点につきましても努力を続けたいというふうに思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 刑務所とか少年院等における施設内処遇とそれから実社会における社会内処遇、これは矯正及び更生保護行政の問題でございますが、施設内処遇の実態というのは、これは大臣の所信の中にも触れられておりますように、時代の要請に応じて適切に対処していきたいというようなお話でありますが、社会内処遇——まあ施設内処遇のことについても、刑務所はさておいて少年院のことでありますが、少年院についてはこれは統合したり、またいろいろ少年の施設内処遇というものは世界的にもいろんな流れがあるようでありますが、できるだけ施設の中でじゃなくて社会で矯正するような形の方が望ましいという、こういう方針といいますか、そういう考え方が底流にあってか、少年院というのは非常に統合されたり数が少なくなって、現在少年院にいらっしゃる方は非常に少ないという、一ころよりずっと数が少なくなっている、このように私は認識をいたしておりますけれども、それは間違いございませんか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 少年院収容者の数は、ここ数年ふえ続けております。委員御指摘のように、非常に多かった時期を考えますと、たとえば二十七年当時には約一万人の収容者がおりました。それから第二のピークと言われております三十四年当時にも一万人の収容者がおりました。それに比べますと、現在は毎年入ってまいります新収容者で四千七百名ばかり、それから一日平均でいたしますと三千五百人ばかりでございますから、確かにその当時と比べますと減ってはおりますが、ここ数年累増の傾向にございます。  私ども施設を預かるものとしまして、少年院の処遇はいわゆる刑務所の処遇とは違うのでありまして、ここで対症療法的に少年を改善し非行を防止していくという役割りを果たさなきゃならぬというふうに考えております、

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 社会内処遇というのはまた非常に大事なことで、これは少年に限らないわけでありますが、その中で大事なのはやっぱり保護観察官ですね。それから保護司とか民間篤志家の関係の方々、こういう方々の御協力を得なければこれはなかなかむずかしいことで、理想は高くとも現実はなかなか厳しいことになるわけでありますが、ことしの予算で保護観察官の活動面について、観察官の数としてはどうなのか、また処遇上のことについて今度の五十六年度予算ではどういうふうになっているのか、また保護司のことや篤志家のことについて、先ほどお話しのように少年犯罪、数も一ころよりは決して減ってはいないぞという、最近の数からいいますとやや多い傾向にある。  特に、最近非行少年のことが非常に問題になっているわけでありますが、施設内のことについてはそれなりに適切な処置はとられていると思うんでありますけれども、社会内処遇の問題について現体制としては、特にことしの予算の中ではこれはどういう配慮が払われているか、その辺のことをちょっとお伺いしたいと思うんですが。——結構です。事前に言ってなくて申しわけございませんが、これは社会内処遇について私の危惧するのは、これはこの前の委員会のときにもちょっと申し上げたんでありますが、定員法とか何かになりますと、また私どもこの前視察をいたしましていろいろ現場を見ますと、社会内処遇に一番大事な保護観察官のような立場の人や、それから少年鑑別所のようなところの人たちが一人で多くの方々を扱っておるということで、非常にハードスケジュールの中、御苦労なさっているという、こういうことを視察の中でお話を聞き、また見てまいりました。  そういうことの中で、最近の傾向としまして、施設内処遇ということはそれはそれとしまして、できるだけ社会の中でという、こういう考え方もあるわけでありますから、そういうことでもし社会内処遇について、保護観察官やまた保護司等のこういう方々に対しての態勢というものが相伴いませんと、理想と現実というものがマッチしないということでお話し申し上げたわけでありますけれども、担当の方がいらっしゃらなければ、また犯罪再発ということになりかねない重要な問題でございますので、この点については十分にひとつ御配慮いただきたい。これに対しての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 大変大事なことだと承知しているわけでございます。保護司の方々が、刑を終えた、あるいは仮釈放になったそういう人たちのめんどうを見ていただきまして再発を防止する、そういうことで大変御努力をいただいているわけでございます。また、それぞれ各地域で施設を持って運営に当たっていただいているわけでございますので、私たちもその施設の運営が財政的に少しでも負担が軽くなるように特別な努力をしていかなければならないと思いますし、そういう努力をさらに強めていきたいと、こう思っております。  同時に、少年鑑別所、特に学校内の非行、暴力が目立ってきておりますので、こういうところとの連絡もよくしながら、一層従来の成果を上げていかなきゃならないじゃないかと、こう思っておるわけでございまして、社会一般との連絡を密にしていくということも非常に重要な課題になっておるわけでございまして、そういう意味で、近来、そういう方面の関心も高まってきておりますし、また世の親御さんたち、あるいは学校の先生方、少年鑑別所と積極的に連絡をとるという風潮も強まってきているように思われます、ぜひそれを、さらに効果を上げるように努力をしていきたいと、こう思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 大臣のお話のとおり、非常に大事なことでもございます。また、非行少年の過半数はやっぱり愛情に飢えているとか、いろんな生活環境、家庭環境の中にあるようでございまして、そういうこと等もあわせまして、ぜひひとつ人員面だけじゃこれはないかもしれませんが、施設面やいろんなことで処遇問題については御配慮いただきたいと思うのであります。  次に、時間もございませんからはしょって申しわけございませんけれども、訟務行政のことについて、大臣は「国の利害に関係のある争訟事件は、最近の多様化した社会情勢を反映して、社会的、法律的に新たな問題を含む複雑困難なものが増加」している、このようにお話しになっているわけでございますが、これは基本的には国民の権利意識の向上というものが一つにはあるんだろうと思います。こういう国を相手にして、または大きな団体とか地方自治とか、こういうものを相手にしていろいろ争訟事件というのは、これからもふえても減ることはないだろうと思います、これはやっぱり時代の一つの要請の中で、権利意識の向上ということと密接不可分なことだと思います。  こういう複雑多様化した社会の中でありますから、今後もこういう問題についての対処といいますか考え方というものは、当然国民の意識の中にもあり、それに対応する法務省としても対応策というものが、対応といいますか、それを処理するそれに対応する体制というものも、また当然、今日までもとられてきたんだと思うのでありますけれども、大臣として争訟事件というものが最近複雑な社会の中で非常に増加しつつある傾向にある、こういう問題について基本的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように、国民の権利義務意識が高揚してきている、したがって争訟事件が逐年増加をしておるわけでございますし、また、国関係のそういう争訟事件も非常に多くなってきているわけでございますので、関係者は苦慮しているようでございます。しかし、いろんな方々の御協力もいただくその範囲も広げながら、絶えず注意をして研究もし、万全を期するような態勢を強めていきたいと、こう思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 最後に、過日中国から参りました中国残留孤児のことでございますが、むずかしいことはまたその時折いろいろお伺いするとして、一つだけお伺いしたいんでありますが、これは予算委員会でもずいぶんこの問題が議論になりまして、各大臣それぞれ御答弁があったようであります、厚生省とか外務省、厚生大臣や外務大臣、何といっても中国で日本人というこういうことで処されておるわけでありますから、小さいときの記憶のある方、ない方、いろいろな立場の方々いらっしゃるわけですけれど、今回も約半数両親と再会したということでお喜びになりましたが、半数の方は失意のうちにお帰りになったわけであります、しかし、中国へ帰りましても、日本人というこういうことになっておるわけでありますから、どんなにかさびしい思いでお帰りになったろうと思います。  今回参りましたのは四十何名ですか、四十七名ということであります。調査依頼されたのが千百八十五名ですから、潜在的には一万近いとか何かいろんなことを言われておるわけでありますが、こういう数多くの方々がいらっしゃる。この方々は、中国からは日本人という目で見られ、また法的にも、それは人、人によって一概ではないかもしれませんが、日本国籍のある方、またいわゆる日本人という扱いを受けておる方、こういう方々であるわけです。  その中で、肉親にお会いしてそれが判明なさる方はよろしいんですけれども、判明できない、肉親にお会いすることができない、それを証明することのできないという方々にとりましては、これは非常にお気の毒といいますか、厚生省としましても外務省としても、それぞれの立場で肉親の見つかるまでは何とかしようということや、永住希望の方々に対しては検討しようとか、こういうことを言われておるわけですけれども、法務大臣のお話、予算委員会の答弁、これは新聞で見る限りでありますが、国籍ということになりますと、なかなかやっぱり法の上から非常に厳しい立場をとらざるを得ないのかもしれませんけれども、非常に厳しい答弁のように私ども受け取っておるわけであります。  最善を尽くしてあげるということは当然として、中国に行きましても、そういう人たちは日本人というようなこういう扱いを受けている。日本に来てみても肉親の人がすぐ見つからぬ、これから見つかればいいわけですけれども、中国国籍があって中国人という方が不法にということではございませんで、こういう方々につきましては、中国人として中国に法的にまた社会的にということではない、日本人という扱いを受けている方々に対しては、やっぱりこれは考えてあげませんと、捜査とかなんかということについては外務省的な感覚や、また厚生省的な問題についてはこれはいろんな手だてがあるのかもしれませんが、やはり法務当局としても柔軟に対処する考えというものがなければならないのじゃないか。  どういう形にするか、これはまたいろいろ議論のあるところだと思うのですけれども、新聞の報ずる範囲内では、非常に何かかたくなな大臣の答弁しか載っておりませんので、私、この席ではっきり大臣のお考え、中国残留孤児の方々に対して法務省という立場からどういうふうにお考えになっておるかし今後また、いろいろ実は進展するだろうと思います。また、たくさんいらっしゃって身元のわかる方、よくわからない方、いろいろこれからまた、この前初めてですから、今後これからの中で、法務省としてこの残留孤児について柔軟に考えていくそういうお考えがあるのかどうか、その辺のことについてお伺いしたいと思うんです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 私がかたくなな発言をしたようにいまお話がございましたが、逆じゃないだろうかなと、こう思います。中国孤児、いずれも日本人なのだから、日本人として出入国についても、あるいは在留についても十分な配慮をしていかなければならない、こういう立場で答弁してまいったつもりでございます。今後もそうしていきたい、こう思っております。  中国孤児は日本人の子供でありますから、今日も大部分日本の国籍を持っておられる、こう考えておるわけであります。中国で養子縁組みいたしますと中国国籍が与えられるようでございますけれども、中国国籍が与えられましても、積極的に日本の国籍を放棄していない以上は日本の国籍も持っておられる、こういう原則的な考え方を私たちはいたしておるわけでございます。  したがいまして、日本へ帰ってこられた場合に、日本人として戸籍が見つかればその戸籍を利用すればいいわけでございますし、戸籍がわからない場合には家庭裁判所の審判を受けまして就籍の判決をもらう、それによって戸籍をつくっていけばよろしいじゃないか、こう思っているわけであります。不幸にして日本国籍を失っておられるという場合がありましても、その場合には簡易に帰化を認めるという方式でよろしいじゃないだろうかな、こう考えているわけでございます。  同時にまた、日本へ帰ってこられます場合におきましても、関係者がわからない、日本の方でそれを招く、その招く方が生活のめんどうを見られるなら、喜んで帰っていただく手だてをすべきじゃないだろうかなと、こう考えているわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 まず、警察庁にお伺いしますが、昨年の十一月三十日、京都の川端署管内で起こりました前田鉄雄君に係るポスター張り事件、この事件の経過について報告を求めます。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) 昭和五十五年十一月三十日の午前九時ころでございますが、場所は京都の左京区近衛通川端東入路上におきまして、パトカーで警ら中の川端警察署員二名が、交差点のところの信号機にビラを張っておった人物を見つけましたので、職務質問後、京都市屋外広告物条例違反の疑いで検挙いたしまして、翌日、身柄を釈放しているという事案がございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 身柄釈放は、その日の一時過ぎじゃなかったですか。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) 失礼いたしました。訂正いたします。  当日の十三時五分ということでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 前田君がポスターを張っているところをパトカーの警官に注意をされて、そこに張ってはいかぬということを指摘をされて、それで本人は謝ってすぐポスターをはがしたわけでしょう。その点はどうですか。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) 私どもの報告によりますと、すでに数枚張り、なおまた二枚ほど所持しておったというふうなことから、警察の認定といたしましては、なおビラを張る嫌疑といいますか疑いといいますか、そういう判断が現場では行われたようでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 その逮捕というのは、現行犯逮捕ですか。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) 現行犯逮捕でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 その京都府警の報告というのは、事実に相違しています。張られたポスターというのはここにあります。これです。(資料を示す)どれも、日社労及び私保労共催の文化祭の会場を示す地図です。  この会場は、いまおっしゃったように、大通りからちょっと引っ込んだところにある風の子保育園なんですね。だから会場がわかりにくい、京都市内あっちこっちから集まってきますから。だから、この手書きのポスターを四枚つくって、まず一枚、その保育所から大通りへ出たところの電柱に張った。それでその次に、次の角、いまおっしゃっているように信号機のある交差点のところで一枚張った、その張っているところをパトカーの警官に指摘をされて、本人はあと二枚持っておった。全部で四枚だった。それで、済みませんと言って謝ってはがした。パトカーの警官は川端署に無電で連絡をした。そうしたら本署へ連れてこいということで、来てくれと。これはおっしゃるように九時から九時半ごろです、始まるのは十時です。だから本人は、時間がない、もうすぐ戻らなければいかぬからと言うたけれども、本署がそう言っているのだ、来なければ手錠をかけてでも連行するぞと言って、とにかく事情を聞くのだから来てくれと言って行ったんですよ。  そこで、行きましてから、御承知のように指紋をとられ写真を撮った、そして、持っていったのは二枚です。あとどうしたかと言うので、いま言ったように二枚あると。それで、もうそれは破ったと話した。その指摘されたところで、その場へほかしたですね。それじゃということで現場へ行って、それは注意をしたパトカーの警官は知っているわけですから、そこにある。はがしてその場へほかしたやつを一つは持つ。もう一枚は、先に張ったやつを取って持って帰って、現場の検証も同時にやって、それから後調書をとった。そういう事実も含めて調書をとっているんですよ。調書にもそういうことが出ています。そういう調書に基づいて、最後に身元引受人はおらぬかという話になって、妊娠八カ月の奥さんを電話で呼び出してやっと釈放された。現場には弁護士も来ているのだけれども、それには渡さないということで、わざわざ妊娠八カ月の夫人を電話で引っ張り出して、やっと一時五分釈放ということになった。  それで、これは送検、検察庁に送られて、検察庁は不起訴の処分をしたことは御承知ですか。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) 承知いたしております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 事実経過が示しますように、大臣、京都市の広告物条例違反ということで電柱に張っている現場を確かに見とがめられて指摘をされたけれども、その本人自身はそこで謝って、はがしているわけですね。それで多数——こっちは数枚と言っていますけれども、四枚です、はっきり言って。そして、さらにそのあとの持っておったものも回収して、もう十時から始まっているんですから、一時過ぎでしょう、釈放が。だから、わざわざ現行犯逮捕してどうのこうのと、そして送検が、必要な事件だというふうにお考えになりますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 若干食い違いがあるようでございまして、事実をつまびらかにいたしておりませんので、ここでどちらがどうだというお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 確かに、この事実自身は、大臣はいまお聞きになったところで御承知ないでしょう。私は事件直後現地へ行って、いろいろ現場もよく知っていますし状況も聞きました。ですから、その点では認識の相違があります。しかし、法を執行する検察官なり警察当局としては、問題は罪人をつくることに目的があるんではなしに、犯罪を未然に防ぎ法の秩序を確立するというところに根本の問題があるんでしょう。  だとすれば、一般的に言うなれば、こういう軽微な事案で、人の物をとったとかどうかということではないそういう事案で、しかも本人がもうやめて撤去している。それで、わずか四枚であるということも確認できるという状況の中で、現行犯逮捕までする必要があるかどうか。それじゃ法の精神というのは一体どこにあるのかという点についてはいかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 具体の事実に絡んでの判断を求めておられるものですから、そこで私、つまびらかにし得ないので、その判断をどうだと申し上げることは差し控えさせてほしいと、こう申し上げておるわけでございます。  もちろん、警察の取り締まりにいたしましても、できる限り国民の信頼が得られるような方向で運営していかなきゃならないことは、言うまでもないことだと考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 この広告物条例が制定されたとき、四十八年ですが、衆参の建設委員会でこの問題は議事録を見ますと非常に議論されているわけですね。それは特に集会、結社の自由あるいは政治活動の自由、思想、表現の自由、こういった憲法で規定をする国民の基本的人権とのかかわりで、一体これが警察権力の行き過ぎた行使にならないのか、あるいは検察当局のそういう行使にならないのかという点で、いろいろな角度から議論をされています。  時の金丸建設大臣は、「この法は美観風致の維持、あるいは公衆に対する危害防止というようなことに限定」されておりますということをたびたびおっしゃっていて、決してそういう政治活動や思想あるいは集会、結社の自由を妨害するようなことは絶対にありません、そういう御心配は全くございませんということをおっしゃっている。警察当局もその中で、「いずれにしましても、」「警察官に、屋外広告物のあるいはビラ張りなり」の「行為に対して不当な行き過ぎた取り締まりというものがないように十分指導はしてまいりましたし、今後もしてまいるつもりでおります。」という御答弁をなさっている。  また、金丸建設大臣は、先ほど私も言いましたが、「法は罪人をつくるということであってはならぬと思いますし、その前に指導ということがあってしかるべきだと私は思います。」と、こういうようにも言われています。これは衆議院の記録を見ましても参議院の記録を見ましても、同様のことがしばしば答弁として出てきています。そして、実際の広告物条例はこれをモデルにして、若干自治体によって内容が違うところがありますけれども、つくられているわけですね。  そういう法律であり、それに基づくまた条例であるという状況で、私はわずか四枚のポスターを、しかも十時から始まるその直前に、これから来る人に道を教えようということでやろうとする。御承知のように、そう簡単に張る場所というのはすぐ言ってありませんから、ビラを電柱に張るということになったのだと思うんです。それがいかぬということを指摘をされれば、それは撤去しているわけです。だとするのに現行犯逮捕というのは、まさにこれは行き過ぎではないかというように私は思うんですよ。  それが警察の方は私が言ったとの点を否定をなさるのかちょっと理解に苦しみますが、いずれにしても撤去されたことは事実なんです。本人が謝ったことも事実です。だからさっさと、こんなもの悪いことをしているということにもなりませんから、そのまま質問に答えて、すぐ一時五分にはもう釈放しているわけです。ちょっと事情を聞くだけですと言って連れて行って、そしてそういう調書をとって送検までしなければならない、それほどのひどい事案なのか、そうしなければ法の秩序を守れないのか、あるいは社会の安全は期することができないのか。  私は、事柄は小さいことのようですけれども、警察官あるいは警察を指揮もされている、協力もされている検察を含めまして、これは捜査当局としては厳に戒めなければならないそういう問題ではないかと思うので、再度ちょっと法務大臣、明確にひとつお答えいただきたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) たびたび申し上げているとおりでございます。特定の政治活動を……

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 いや、政治活動じゃないんです。文化祭です。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 抑えるとかいうような意図を持って行動することは適当でございませんけれども、同時にまた、環境を守るという気持ちも国民から従前以上に強い気持ちが出てきているものでございますので、それにもこたえなければならないというようなこともあったりしまして、具体の事実でございますので、事実を明らかにしませんし、同時に警察当局の行動でもあったわけでございますから、私からその批判をするということは勘弁してほしいなと、こう思っておるわけであります。  基本的に、住民の信頼を得なければ警察活動も効果を発揮することはできないわけでございますから、住民の信頼感を裏切るような過ぎた取り締まりになりますと、これまた考えていかなきゃならないことだと思います。  具体の事案につきましては、いずれにいたしましても私の判断は差し控えさしていただきたい。しかし、いまおっしゃっていますことは私なりによく理解できることだと思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それじゃ、警察の方に最後にもう一度お聞きしますが、国会の周辺の電柱には黒々としたポスター、いろいろなポスターが張られています。もういつも、ないときがないぐらい張られています。あれは取り締まらない。現行犯逮捕もできないし、私、よう毎日のように通っていますが、撤去されたのを見たことがない。弱い者いじめになるようないまのような事件が起こっている、それについては一体どういうようにお考えになるんですか。  いまおっしゃったように、国民の信頼を得なきゃならぬのでしょう。そういう事態を見て、張った人は、そうかそれはいけなかったな、電柱はいかぬのだなということを、まあ一般の者は言われなきゃわかりませんから、だから張るのはやめたんです。それで、だから供述調書にも、適当な場所がほかになかったんで、電柱によく張ってあるから電柱に張ったんやと、こう言っている。ほかのポスターも張ってあるわけですよ。そういう右翼団体やいろんなものを張っているやつはそのままで、ところが文化祭の会場を示すわずか四枚のポスターだったら現行犯逮捕ということで送検までする。この辺は、どう考えても国民は信頼をすることはできぬ事実じゃないかと思いますが、いかがですか。

佐野国臣警察庁刑事局保安部防犯課長

○説明員(佐野国臣君) いま御指摘がありましたような、われわれの身近で目につくような広告につきましては、これは事後の問題が通常多うございます。この種のものにつきましては、道路管理者とか、あるいは知事部局、そういう場面での定例の会議その他、そういったものを通じまして撤去方の要請をする、いわば事後始末でございますが、何らかのそういった積極的な活動はわが方としては行っておるところでございます。  ただ、一般にビラとかそういった広告物につきましては、やはり何と申しましょうか、張る場所といいますか、あるいは張る品物あるいは信号機なのか一般の電柱なのか、あるいは張り方の問題あるいは強固にべったり張るような場合、そうでない場合、そういった具体的な問題。それからさらには、撤去をすることを指示するような場合も、相手先の住所なり管理者との連絡先とかそういった形で、やはりそういった現場で確認しますと数時間ぐらいの事情聴取という問題にはどうしてもなろうかと思います、その際に、事件の処理の決着としましては、やはり現場の方としては、警察限りの適当な適宜な処分というよりは、あるいは事件としては書類その他ではきっちりと始末しておく方がベターじゃないかという判断も働いたろうと、かように考えております。  ただ、一般的に申し上げますのは、こういった軽い罰金あるいは拘留以下のような罪刑の取り締まりに当たりましては、私どもの方といたしましても、張る場所であるとか張り方とか張った枚数であるとか、あるいはそういった具体的な状況がやはり相当大きなウエートを占めようかと思いますが、極力ただいま御指摘がございましたような点を念頭に置きまして十分対処をしてまいりたいと、かように考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 時間の関係がありますからなんですが、軽微な事案ですからね。これを張る態様は、ここにもありますが、テープで張っているだけですよ。雨が降れば取れてしまうようなものだし、すぐ終われば外せるやつですよ。そういう事案だから、現場のパトカーの警察官は、もう私はいいと思うけれども、ちょっと本署へ連絡すると言ったんですよ。そうしたら、本署の方から上司が連れてこいと、こう言った。それで事はむずかしくなってきた、だから、行き過ぎた取り締まりにならないように私は警察の方もちゃんとしてもらいたいし、法務大臣としては、警察庁長官や国家公安委員会がある事案、問題に軽々に意見を言うのはなかなかむずかしいということで控えておられるんですけれども、趣旨は御理解いただいたと思いますから、その点で検察庁の方も警察と一緒に指揮をし捜査に当たる、あるいは協力して捜査活動をやっているわけですから、十分警察官の行き過ぎのないように、この点でもひとつ要望しておきたいと思います。  時間がありませんから次の問題に移りますが、先ほどから同僚議員が指摘をしておりました少年の大阪の老女殺しの冤罪事件です。これはもうすでに経過その他明らかになっておりますので、私は二点だけちょっとお伺いしておきたいと思うんです。  それで、今回の事件で明らかになったことは、一つは、家庭裁判所を重視することが大切だということ、こういうことが一つあると思うんです。そこで、過去十年間の少年事件の数及びそれに対応する家裁の裁判官、調査官の数、これがどれほどふえてきたかし事件数に応じてどの程度ふえてきているのか、この点を一つは示してもらいたい。  もう一つは、この少年審判事件で弁護士の付き添いの制度化の問題について検討する必要があろうかと思います。この二点についてそれぞれお答えをまずいただきたい。

梅田晴亮最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) まず、過去十年間の少年事件の推移でございますが、昭和四十五年ころは約七十八万六千件でございましたが、翌四十六年になりますと四十八万三千件に減少いたしております、これは、前年の八月に交通反則通告制度が実施されたことによって減少したものと思われます。自後、年によっては若干の増減を繰り返してまいっておりますが、昭和五十一年ごろから少しずつ増加の傾向を示しまして、五十四年度には約五十四万件に達しております。  なお、昭和三十九年から四十二年ころが少年事件のピークでございまして、百万件に達していた時期がございます。  一方、家裁の調査官の定員でございますが、少年事件の調査の充実強化を目的といたしまして、昭和四十七年から四十九年ころにかけまして増員が図られておりますが、その後、五十年以降は現在のままの定員が維持されてまいっております。家裁の調査官は、御承知だと思いますが、教育学、心理学、社会学等、専門的な知識が必要でございまして、養成するにも限度がございます。まあ年々四、五十人ずつその養成が可能でございますが、ただいまのところは、先ほど申し上げましたピーク時の四十年前後の事件数から見ますと、それほど負担が過重であるということにもなっておりませんので、最近では、今回定員法でお願いしておりますような民事事件の増強等について増員を図ってまいったものでございます、

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 少年事件におきますいわゆる付添人制度でございますが、御案内のとおり、現行少年法上、家裁の審判手続につきましては私選の弁護人等の付添人制度があるわけでございますが、さらにこれに加えまして、いわゆる国選弁護人的な国選付添人制度というものが考えられるかと思いますが、その点は、先ほどの御質疑の中でも出ました少年法の改正の作業の中で一つ考えている問題点でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 お聞きのような状況で、事件数はピークは百万件からあったのがそこまではいってない状況ですね、現在は。しかし、その件数は、いわゆる交通違反事件が反則金制度になって外れてきているということを考慮すると、実質上は少年犯罪といいますか、そういう事件が、少年事件が凶悪化をする、あるいはいろんな非行が複雑化してきているというような状況が、数だけではなしに中身の問題としては質的にむずかしくなってきていることは事実だと思います。私も、だから来年度からすぐふやせと言っているわけじゃないんだけれども、来年度は民事裁判系でですね、きょう趣旨説明なされているこの点はそういう少年犯罪事件の複雑化、質的な変化、こういった点と、やっぱり漸増していることは事実のようですから、それらを考慮して、しかも専門的な知識、いろんな分野が必要ですから、急に言ってふやすわけにいかぬ。この辺は、ひとつ法務大臣の方で十分長期的な展望も持ちながら、人員の確保といいますか、増員の問題では十分努力をしてもらいたいという点が一つ。  それから、今度の少年事件の問題は、やっぱり弁護士が幸い付添人としてついたために事実が明らかになったということも一面言われていますから、この点ではいまおっしゃったように、少年法の改正をめぐっていろいろほかの問題では議論がありますが、十分考慮をしてもらいたい。この点を要望したいと思いますが、いかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 青少年犯罪の問題は、幅広い角度から政府として取り組んでいかなきゃならないと考えておるわけでございまして、また、そういう意味もございまして、総理の施政方針演説の中でも、青少年の健全育成ということを大きな柱にされているわけでございます。  家庭裁判所の問題は、最高裁判所のことでもございますので、裁判所側の御意見に従いまして積極的に協力をしていきたいと、こう思います。  少年法の改正の問題は、これは懸案でございまして、その中で法改正についても十分検討していかなきゃならない。刑事局長が申し上げたとおりでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 最後にもう一つ、財田川事件の再審問題ですが、免田事件に続いて財田川事件でも再審が開始されることになったわけですが、これはともにどちらも死刑事件ですね。判決、死刑の事件。だから、刑の執行がもしなされていたらということを考えると、これはもう身のももよだつ感じがするわけです。だから、判決に対して最終的に責任を負うのは裁判所だろうとは思いますが、最近の相次ぐそういう再審開始決定に関して、捜査当局の責任を追及する声もまた一般には強いわけですが、大臣の所信表明の中では国民の権利がよく保全されているというようにおっしゃっている。おっしゃってはおるけれども、こういう死刑事件が再審決定になるというような点を考えますと、これは命の問題ですから、この点でも捜査機関の最高責任者として大臣はどのようにお考えか、まず御意見を伺っておきたいというふうに思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 裁判については三審制度がとられ、それにまた、そういうことについても再審請求の道が講ぜられている、この自由な仕組み、これは将来とも守っていかなきゃならない大事なことでございます。  財田川事件につきましては再審決定になったわけでございますので、速やかに裁判が開始されまして公正な結論が速やかに得られる、それを私たちとしては見守っていかなきゃならない、こう思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、国民の権利が保全されることに留意をしていかなければならないし、そういう意味におきまして再審という問題よりも、三審制度をとっておるわけでございますから、検察、裁判それらについて将来とも過ちのないように細心の留意をもって進めていく必要が大切だと、こう思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 戦後、再審開始の決定があったのはどれぐらいかということで、これは最高裁の方から資料をいただきまして見てみますと、無罪になったのが四百五十三件ですね、全部合計しますと、簡裁、地裁、高裁、最高裁合わせまして。ただし、この中には交通違反事件が圧倒的に多い、道交法関係が圧倒的に多いようですから、実際のいわゆる免田事件とか財田川事件とかいうようなその種の事案として見ますと、戦後で三十件ぐらい、二十四年から五十四年の累計ですが、約三十件ぐらいではないかとおっしゃっているんです。大体一年に二件ぐらい無罪、あるいは再審の事案が起こっているといいますか、そういう状況だということをお伺いしました。  そこで、こういう免罪事件が生まれる原因は一体どこにあるのかという点ですね、これをまずお聞きをしたいことと、それから第二には、その中で捜査当局の方が証拠の隠滅や、あるいはでっち上げ、これを行った場合、そしてそのことが明らかになって無罪になった場合、それは一体どういう罪になるのか。その罪は問われるのか問われないのか、そのことによって捜査当局の関係者が処罰されたのはあるのかどうか、人数はどのぐらいなのか、この点をお聞きしたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 再審で無罪になりました件数は、いま神谷委員も仰せになりましたように相当数に上っておりますが、御意見の中にもございましたように、その大半は道路交通法違反等でございまして、いわゆる身がわり犯人と称せられる者が後でわかりまして再審になったという場合が多いわけでございます。その場合には、改めて申すまでもございませんが、むしろ検察官側の方から再審の請求をして、再審になって無罪になっておるという実態でございます。  次に、そういう事件の発生原因は何かということになりますと、これはいろいろな事情がかみ合ってなっていると思いますので一言で申しにくいわけでございますが、やはり後から見ますと、捜査の不手際と申しますか、そういうことが原因だと言わざるを得ないと思いますわけで、そういう点では、捜査当局といたしまして多々反省すべき点があろうというふうに考えておるわけでございます。  ただ、最後のお尋ねで、いわゆる再審等で無罪になった場合に、そういう事件につきまして捜査官の犯罪になるような行為があった者があるかということでございますが、そういうケースはどうも最近の事例では見当たらないように思うわけでございます。ただ、そういう直接的に無罪の原因になったわけではございませんけれども、警察官の捜査の過程で、被害届けであるとか、あるいは関係者の調書であるとか、そういうものが偽造と言えば偽造になるようなもの、そういうものが行われたということは遺憾ながら何件かはあるわけでございまして、そういう場合には文書偽造であるとか、あるいは犯人隠避であるとか、そういう犯罪が成立するわけでございます、

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それで、そういうことが判明した場合には処分をされているわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 現に起訴し、有罪の判決があったものもございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 次に、こういう冤罪事件の発生を予防するために一体どういう対策をとっておられるか。たとえば司法研修所などでの教育を含めまして、お答えいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 司法研修所ということになりますと私の所管ではございませんが、いまも申し上げましたように、あってはならない冤罪事件と称せられるものが遺憾ながら絶無ではないということでございますので、その責任はいろいろな点にあろうかと思いますが、とりあえず捜査当局といたしまして十分反省しなきゃならぬ点が多いというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、私どもの検察当局といたしましては、そういう無罪事件がありました場合には、審査ということでどこに原因があったかというようなことは究明もいたしますし、また、それに対してそれを反省の材料として今後の参考にするというようなことを常務として繰り返しているわけでございます。そのほかにも、定例的な検事の会同等におきましてそういう点を指摘をいたしまして今後過ちなきを期すると、また検察の立場として一線の警察に対しましてそういう指導も怠らないようにするというようなことを、いろいろと考えている次第でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 時間の関係がありますから、二つ一緒に聞きます。  問題は、こういうあかずの門と言われている再審制度に対して、日弁連を初め各方面で改正を望む声が強まっているわけですが、わが党も現在再審開始の要件を緩和するための法案を準備しておりますが、法務省としても御検討になっているかどうかということが第一点。  第二点は、今度の場合は特別抗告なさらないということになったようでありますが、再審開始の決定がなされたのにそれに対して抗告あるいは特別抗告が繰り返されるということは、さらにこの再審の開始がおくれるわけですね。これは再審の開始が決定されればもう一遍やり直すわけですから、そのこと自身を何遍も繰り返すということ自身が、人権擁護という点から言っても私は大変問題があるのじゃないかというように思うんです。ですから、争うならば再審の場で証拠をもって争えばいいわけである、こういうように思うんですが、抗告や特別抗告等については、再審開始の決定がなされるならば、それについては少なくとも慎む態度をとるべきではないか、この点についての見解をお聞きしたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 第一点の法改正の問題でございますが、確かに再審の事由を広げるべきだという御意見があること、これは十分承知しておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても全然それを検討しないというわけではございませんけれども、わが国の再審制度、その問題の再審事由につきましては、諸外国の立法例と比べましても特に狭いというふうには理解しておりませんし、また現に運用上も現行法の解釈、運用によりまして再審が開始されている事例が逆に言えばふえているようなことでもございまして、そういう点からも、直ちにこの再審事由というものを緩和すべきかどうかという点につきましては、慎重に検討をいたしたいというふうに思っているわけでございます。事は、やはり確定判決の重要性と申しますか、ということと、無実の者が罰せられてはならないということと、その両方の調和を図るというむずかしい問題でございますので、そういう基本的な問題につきましては慎重に対処いたしたいというふうに思っておるわけでございます。  第二点の、抗告あるいは特別抗告の問題でございますが、これはやはり裁判でございますので、当然裁判所の御決定につきましてはこれを尊重すべきこと、当然でございます。しかしながら、やはりその内容いかんによるわけでございまして、その裁判所の御決定の中で、検察官側として一方的な当事者というのみならず、公益の代表者というような意味も含めまして納得できない点があって、さらに上級裁判所の御判断を仰ぐのが相当であるというふうに思われるものも全くないとは言えないわけでございまして、そういうものにつきましては、やはり定められた手続によりまして上級裁判所の判断を仰ぐというのが、むしろ制度上のことではなかろうかというふうにも思うわけでございます。しかしながら、すべて抗告をしたり特別抗告をしたりしているわけではございませんで、著名な事件につきましても、過去の事例におきまして抗告等をしなかった事例ももちろんございます。  そういう意味で、いわばケース・バイ・ケースと申しますか、その事案、事案に応じ、また裁判所の決定の内容いかんによって適切に対処すべきものと、かように考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 最後に大臣にお伺いしておきますが、いま刑事局長の方から御答弁になりましたが、わが国の三審制度、その三審の裁判の結果、判決の権威を維持するという点で、これは再審を開始する要件というのは非常にそういう点では厳しい状況がいまあって、あかずの門とも言われているわけです。しかし、人間が行うことですから誤りがないとは言えないし、まして今度のように、死刑という判決をもう一遍やり直す必要があるという状況になったという、それ自身は非常に重大なことだろう。とすれば、私は逆に言うならば裁判の権威を守るためにも、裁判所の判決の権威を守るためにも、疑問が出ればそれについて改めて裁判をやってはっきりさせていく、解明をしていくということの方が権威を保つゆえんにもなるだろうという点を痛感するんです。  したがって、その点では再審制度について検討はなさるようですが、十分そういう点、まあ裁判所の権威の問題とも関連していろいろの問題があろうかと思いますが、ひとつ十分に検討してもらいたい。場合によれば、あるいは諸外国のように陪審制度とか参審制度とかいうようないろいろな制度も含めて、広くひとつ真実を解明していくあらゆる方途というものを考えていただきたいというように思います。  第二番目に、そういう意味もあわせまして、私は理由いかんによっては抗告せざるを得ないそういう場合もあるんで、それはケース・バイ・ケースだとおっしゃる。それも一つの理屈です。しかし、その理屈の中に、私は検察、警察含めた捜査当局のメンツにこだわる、あるいは権威にこだわるといいますか、そういうものの片りんなきにしもあらずというように思うんです。それなら、再審の場で証拠物を用い、そして論理をもって争えばいいわけなんです。三審やって確定をして、そしてなかなか再審の申し立てをやっても取り上げてもらえないのを、繰り返し長時間かかってやっと再審を取り上げてもらえる。そして、一定のまた期間を経てやっと再審開始の決定がなされる。その間に被告は冤罪に——冤罪かどうかまだ結論は出てないにしても、そういう自分が納得できない状態が長期間にわたって続いているわけですね。  被告のそういう、三回少なくとも裁判をやってきて有罪だと認定をされても、私は無罪だという確信を持っていろいろな努力をし、再審決定にこぎつけて、それでやっと再審開始の決定をもらった。ところが、いや検察官のやったことに誤りはないということで——裁判所自身は再審開始、やり直しを決めている。独立をしているとはいえ、同じ裁判所の権威、判決の権威を守る立場にある裁判所自身はやり直しを決めている。ところが、捜査当局の方は、それはぐあい悪いと言って抗告あるいは特別抗告をする。どうもこの点、私は納得いかぬと思うんですね。この辺は、ひとつ本当に国民の権利を守る、人権を守る、真実を解明するという立場から、少なくともやっぱり抗告あるいは特別抗告はもうやめる。真実を解明してもらいたいというその人の権利を妨害するそういう行為は、少なくともやめるべきだというように私は思うんだけれども、その点についての大臣の見解をお聞きしたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 刑事局長が御答弁申し上げたことで御理解いただきたいと思います。  なお、私なりに申し上げさせていただきますと、裁判は三審制度をとっておるわけでございますから、三審の過程において権利の保護に欠けるところがあればさらに必要な改革を加える。この間に過ちを起こさないように最善の努力を払うこと、これは第一義的には最も大切なことじゃないだろうかなと、こんな気持ちを持っておるわけでございます。  同時に、抗告、特別抗告、ケース・バイ・ケースと刑事局長はお答えをしたわけでございまして、やはり公益を守るその代表者、これは検察当局、そのつもりで努力しているのだと思いますしメンツにこだわってあえて抗告する、特別抗告する、これは戒めていかなきゃならない、こう考えるわけでございまして、しかし反面、公益の代表者として当然抗告すべきだと判断するなら、抗告を一概にしちゃいけないということも私は言えないのじゃないかなと、こう考えるわけでございます。  いずれにしましても、権利を守る、あらゆる面において抜かりのないように、われわれ十分配慮していかなきゃならない、こう心得ております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 最後にお聞きします。大臣の日ごろの言動からいうとちょっとその辺は、まあ刑事局長が言いましたから、それを否定するようなことは言いにくいからそういうおっしゃり方をされるのかなあと思ったりしてお聞きをしているんですけれども、公益を守る立場に検察が立っているとすれば、裁判所で再審の開始をやりなさい、やり直しをしなさい、疑問が残っていますと言われれば、その疑問を解明することがなぜ公益を守ることに反することになるのか。そうじゃないのじゃないか。その決定の過程、その結論に至る論理に検察当局として納得できない面が仮にあったとしても、それは再審の場で、公益を守る立場から堂々と明らかにする、主張することもできるわけです。  公益を守る立場だから抗告をせざるを得ない、特別抗告せざるを得ないという理屈というのは、どうも承服しない。そこにはもう国民の人権を守るという一番根本の大事なところが抜けているんじゃないか。疑問があると言った本人だけではなしに、裁判所まで、自分のところの以前の裁判所の判決とは違う、やり直しというそのことをあえて裁判所がやっている。とすれば、やっぱりその人の権利あるいは未解明の部分、これについては再審の場でやっていくというのが、真の意味の公益を守る立場ではないのか。公益を守る立場と人権を擁護する立場と対立させるようなそういう考え方は、私は納得できないと思う。  この点は、もう一度最後に大臣にお答えいただいて、刑事局長がいま言われたからなかなかむずかしいところですが、大臣、しかし歯に衣着せないでお考えのところを率直におっしゃる大臣だと思っていたので、もう一度、再度御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○国務大臣(奥野誠亮君) 起訴した段階で検察当局はそれなりの証拠を集めて、自信を持ってその行動をとっているのだと思います。再審決定がありました場合に、なるほどそれももっともだ、平行線だというのなら、私は抗告すべきでないと思います。しかし、あくまでも自分たちの集めた証拠に基づいて判断すべきだという確信が揺るがないのなら、やはり私は抗告すべきじゃないのだろうかなと、こう思うわけでございます。  いずれにしましても、それぞれの事態で判断する以外にはないのじゃないかなと、こう思います。メンツにとらわれて何が何でも抗告するのだ、特別抗告するのだというような考え方はとるべきじゃありませんし、また、私はそういう気持ちは持っていないじゃないかなと、こう思うのでございますけれども、その点には将来とも留意をしていかなきゃならないと、かように考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会      —————・—————

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