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94回国会参議院1981/04/09

文教委員会 第6号

発言数
335
登壇者
15
会派数
6
開催日
1981/04/09

会議録

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 本法案の審議につきましては、本日までそれぞれの角度から質疑が行われてまいりました。まだ触れられていない二、三の問題があると思いますので、それらの問題を中心にいたしましてお伺いをいたしたいと思います。  私は、まず鹿屋大学についてお伺いをしたいんですが、この鹿屋の新体育大学というのは、いわゆる新構想大学という範疇に入るのですか、入らないのですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) いわゆる新構想大学という考え方で申せばそういう範疇に入るもの、かように理解いたしております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いままでの質疑経過をお聞きしてみますと、この鹿屋の体育大学も当初の構想としてはいわゆる教員養成大学ということではなかったんでしょうか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 最初の調査の段階では、そういう形でのいわゆる教員養成に関連します大学としての調査を、最初は、スタートとしてはそういう調査としてスタートをしたということでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 新しい教育大学というのは、いわゆるブロック別という構想もあったでしょうし、そういう意味で言いますと、上越と兵庫とそして今度の鳴門と、その三つになって、そして鹿屋の体育大学、形態が変わってきた。こうなりますと、いわゆる新構想によります教育大学の構想というのは破綻を来している、こういうように私は考えますけれども、どういう見解をお持ちになりますか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 新しい教育大学の構想につきましては、ただいま御指摘のとおり、教員養成審議会等におきます建議でも、たとえばブロック別にというような御提案もあったわけでございますし、そしてまた御案内のとおり、当初の調査では、鹿屋を含めました四カ所について創設準備調査を行ってきたということでございます。  しかしながら、鹿屋市につきましては、鹿児島県におきます教員需給の関係等万般の状況を勘案いたしまして、五十三年度において、新教育大学に限定しないで、地域の実情等を考慮した新しい高等教育機関を構想するということになったわけでございます。  先般来御説明も申し上げている点でございますが、新構想の教育大学につきましては、兵庫、上越、鳴門、この三カ所について、すでに兵庫、上越については発足を見ているところでございますし、鳴門につきましては今回御提案を申し上げているわけでございます。  私どもといたしましては、当面この三つの新しい教育大学の整備充実に力を注ぐという考え方をいたしておりますし、また、既存の教員養成大学学部の大学院の整備ということにも着手をして、構想のまとまったものから順次整備を進めてまいってきておるわけでございます。すでに御説明も申し上げておるわけでございますが、そういう新構想のこの三つの教育大学の整備とさらに既存の教員養成大学学部の大学院の整備という、その両者相まちまして教員養成について私どもとしては整備充実を図ってまいりたい、こういう方針で対応しているものでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 ずばりお聞きをしますけれども、この新構想による教育体育大学——従来は教員養成と言っていましたが、この教育大学がなぜ体育大学に変わったのか、これを具体的にお教えいただきたいのです。いま局長のお話では、何か需給関係だというようなことが一つと、もう一つは何か地元の要請だというようなことが一つこうあったようですが、そういうことではなくて、なぜその体育大学に変わったのか、この教育大学というのが。これをずばりお教えいただけませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) これは鹿屋の体育大学の創設の趣旨についても従来御説明をいたしてきておるわけでございますけれども、体育大学としての設置を考えました基本的なところは、最近におきます国民全体の健康づくり、体力づくりという関心が大変高まってきておりますし、そういうことで、体育、スポーツ等に対します国民全体の欲求が増大して、具体的にそういう面での高い資質の指導者養成が望まれているという点もございます。そしてまた、社会体育の担当職員について量的にも必ずしも十分な配置が行われていないというようなこともございまして、今後のこれからの社会全体から見れば、量、質両面におきまして社会体育の指導者の養成確保ということがやはり重要な課題となっておるわけでございまして、そういうようなことを受けまして、鹿屋の新高等教育機関としては体育系の大学ということでその後調査を進めてまいったものでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 需給関係については後でお聞きをしたいと思います。  そこで、少し戻りまして、最初局長はいわゆる新構想大学なんだと、こういうお話があったんですが、この鹿屋の体育大学の今後の管理運営について、これはやはり新構想大学型といいますか、そういうことになるんですか、どうなんですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 新構想型という御指摘でございますが、具体的な鹿屋の体育大学の管理運営の問題でございますけれども、もちろん現行法令に基づきます一般の国立の単科大学と同じような形で、学長のもとに教授会を中心として行われるわけでございます。なお、たとえば参与を置きますとか、あるいは副学長を置くというような形にいたしておりますが、参与を置きます理由といたしましては、開かれた大学ということを目指すということで、広く学外の有識者の意見も聞くという形で参与を置くことにいたしているものでございますし、また副学長を二人置くことにいたしておりますが、これも大学運営上の責任体制を確立するという考え方で置いているものでございます。そういう形では、私どもとしてはいわゆる新しい新構想の大学ということが言えるかと思いますけれども、一般論として申せば、ただいま申しましたような管理運営体制を考えているというのが現在の構想でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いま開かれた大学を目指すんだという問題の中で、たとえば副学長を二人とか、あるいは参与制度を他の教育大学と同じようにやるんだという趣旨ですね。そのメンバーについても、たとえば兵庫の場合でもいろいろ議論があるところですね。非常にやはり閉鎖的ではないかという議論があるわけですよ。たとえばじゃ担当は具体的にどうするのか。副学長なり参与制度というものを設けることが、他の一般の国立大学と比較をしまして、教授会運営なりあるいは大学の自治なり、そういう点で非常に問題が指摘されているときだけに、同じように副学長なり参与制度というものを置かれるということについてはどうも納得できないんですけどね。その辺は非常にあいまいじゃないんですか。非常にはっきりしているんですか、その辺。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 私どもとしては、この参与なり副学長を置くという形で管理運営を考えているわけでございますが、そのこと自身が大学の自治の問題に直接絡む問題が出てくるというぐあいには私どもは考えておりません。やはり参与参与というものは、先ほど申しましたような学外の関係者の意見も十分聞くというために置くものでございますし、具体的にすでに兵庫教育大学等参与が置かれているものにつきましても、私どもそのことは十分機能は果たしているものと、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 別の聞き方をしますけれどもね。そうしますと、既設の他の国立大学がありますね、一般的な総合大学あるいはそういうところの体育学部。もう一つは私立の体育大学がありますね。これと一体どこがどう違うんですか。どういう違う大学をつくろうとされているんですか。同じなんですか、違うんですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 先般のお尋ねの際にもお答え申し上げた点でございますが、鹿屋の体育大学につきましては、基本は社会体育の指導者の養成確保という点が大きなねらいでございます。従来の体育学部なりあるいは私立の体育大学等があるわけでございますけれども、その卒業生の就職動向等を見ましても、やはり学校体育の指導者養成ということに、主たる——従来の体育学部なり体育大学についてはそういう方面が重点として置かれているわけでございますけれども、この鹿屋の体育大学については、社会体育の指導者養成というところをねらいとしてはひとつ大きく置いているわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは、局長御存じのように、「新体育大学の基本構想」とございますね、五十五年三月三十一日の。この目的を読んでみますと、基本構想とあって、Iが設立の趣旨ですね、IIが基本構想。その小さい3の目的は、「体育、スポーツ、レクリェーションに関する研究及びこれらの分野における実践的な指導者の養成を目的とする」、こうありますね。この目的どおりですね。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 基本的な目的としては御指摘のとおりでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そうしますと、後のところを読んでいくとだんだん少しずつそういうことが出てくるんだけど、目的はそう書いてある。そうしまして、次に教育研究組織として、大講座制、主要授業科目の例示がしてございますね。具体的なカリキュラムとか教員組織というのは、一体、これからは明らかにならないんですけれどもね。現段階で具体的なカリキュラムなり教員組織というのは、この大講座制なり、例示されている主要授業科目、これからどうなるんですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 大講座制をとるということも一つの特色ということが言えるかと思うわけでございますが、さらに具体の事柄につきましては創設準備室が置かれまして、ことしの十月開学ということになるわけでございますが、実際の学生受け入れにつきましては、御説明も申し上げておりますとおり、五十九年四月から学生を受け入れるわけでございます。その間におきまして教員組織を整え、具体のカリキュラムの作成について大学御当局がこれから取り組むことになるわけでございますが、私どもとしましては、この基本構想に示されておりますようなところを基本にいたしまして、この鹿屋の体育大学については、従来の体育学部なり体育大学とは異なる、こういう特徴を持たせたものとして、この大学が、今後具体的な準備としては大学自体で進めていくことになろうかと思います。  したがいまして、ただいま御説明できる点で申し上げますと、そこにございますような大講座制をとり、主要援業科目例としては、そこに掲げておりますような、先般も御質問ございましたが、やはり医学的な観点もその内容としては取り入れていくというようなところも配慮いたしておるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは大臣、一番重要だと思いますのでここを再三お聞きしているんですけれども、局長はいまのようにおっしゃっている、具体的には十月以降準備室でやらなければわからないんですと。ところが、目的はこう書いてあるだけなんですけれども、あと、このところを具体的にいまから一つずつお聞きしていきますけれども、もうどんどんどんどん具体的なことが進んでいるんじゃないですか。そして、その担当者の方々もどんどんどんどんあっちこっちでこのことも言っているんじゃないですか。だから問題だと言っているんです。それなら、準備室ということでなくて、国会審議の段階でもっとそこまで具体的にすべきじゃないんでしょうか、その何が具体的かということはこれから具体的にお聞きしていきますけれども。そのことは、目的だけを二行言っておいて、あとは準備室ですよと。ところが、あとのところではみんな具体的な話がずいぶん出ているんですよ、大臣、いまから聞きますけれども。ところが、法律審議の方は目的の二行だけであとは準備室ですと。これで一体国会の審議というのはいいのかどうなのか、参議院の審議というのはこういうことでいいのかどうなのかというのを、ここだけまず先に大臣、いかがでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘の点でございますが、ここに御審議をお願い申し上げました体育大学の問題につきまして、大本を御説明を申し上げ、またさらに、それが準備段階におきますいろいろのことにつきましては担当の政府委員からお答えを申し上げておる次第でございまして、われわれが社会体育指導者の再教育という点における、あるいはまた国際スポーツの交流等、非常に客観情勢が進展いたしております中にこの体育大学をつくるわけでございまして、国民の要請にこたえるという大本を踏まえまして具体の問題を準備をいたしておると、かように存ずる次第でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 局長からありましたように、社会体育の指導者だということなんですが、以下この基本構想を読みますと、私なりに読んでみても、きわめて偏っているという疑義を持たざるを得ないわけです。非常に狭い意味での専門的、応用的な科目による実用的な教育をねらっている、こうしか考えられません。あと、社会教育なり体育の問題でもお聞きしたいんですが、本来、青少年の体育、スポーツの指導者というのは、単にやはり知識だとか技術を習得しているだけではなくて、生涯教育なり社会教育に対する幅広い識見、そういうものが望ましいんじゃないんでしょうか。この点はいかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それは当然でございまして、いわゆる体育大学をつくるに当たりましても、その基礎におきまして十二分の教養というもの、その教養の中にはあるいは社会教育の問題なり一般教養の問題なり、十分な基礎の上にさらに専門技術を修めなきゃならぬ、かように存じております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 一九六一年でしょうか、あのスポーツ振興法、これができまして以来、社会体育指導員やスポーツ主事の配置というのが少しずつ進んできた。で、文部省の調査研究会が一九七七年からこれらの指導者について何らかの資格付与制度の創設を検討してこられたと聞いておりますが、それは事実でしょうか。しかし、この資料によりますと、その研究会の中間報告では、公的な資格認定制度は見送りとなり、むしろ、指導を求める層の要求が多様である上に、さらにスポーツ主事について言えば、財政困難を理由にかえって配置が抑えられる傾向にあることが明らかになってきたと言われている。こういうことから、文部省としては、一体この中間報告というのを、資格付与制度について一体どうなっちゃったのか、あるいはいまそのことについてはどう検討されているのか、いつごろそういう問題について結論を出されようとするのか、いかがでしょうか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 御指摘の、社会体育指導者の養成確保の一環といたしまして資格付与制度について調査研究をしていくということで、かねてから協力者会議を設置してまいってきております。この調査会では、社会体育養成担当職員の実態調査、また社会体育指導者の役割り、さらには現在各競技団体等で行われております資格認定のあり方、実態、その基準等につきましての検討を加え、今後、資格付与制度をわが国としてどのように確立していくかということの調査研究をいたしておるところでございます。ヨーロッパ等では、たとえばスキーの指導者あるいは柔道の指導者につきましては、国家認定によるオーソリティーを与えてその人が指導できるというような形をとってきておりますが、わが国においてこの面の、そこまで問題を発展させるのか、さらに現在、現に各競技団体で自主的な資格付与がされておりますので、保健体育審議会でも、この辺の基準の明確化について、国も国の立場からこれを支援していくような形での取り組みもしろというような御示唆もございますので、いま実態を調査した上に立ちましてその辺の分析をしておるということでございまして、できれば年内に中間的なものをまとめていきたいと、年度内に、というような作業を進めておるところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 何か年内だったり、最後は年度内ですね、年度内になったりしていますが、年度内に中間報告を出されると。まあその程度なんですよね。  そこで、これはどうなんでしょうか。この単科体育大学の卒業生はどういう資格を得るんですか、卒業されたら。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) この鹿屋体育大学の卒業生は体育学士ということになるわけでございますし、教員の免許状についても、教職専門課程等を経まして教員免許状も具体的には取得する形で構想をいたしておるものでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 それではっきりしてきましたけれども、教員免許状を与えるんですね。そして体育学士だと言う。どこが一体違うんですか。普通の大学では教員免許状を持つ体育の専門家を養成するんでしょう。ここはそうじゃないですと言った、さっきは。ところが、免許状、資格の点になると、教員免許状だと言う、あとは体育学士だと言う。それはあたりまえじゃないですか、体育学士というのは。これは大臣、全然おかしいと思いませんか。私は全くおかしいと思いますよ、これ。どうなんですか、資格の点は。一体そういうことで、本当に皆さんがお考えになっている普通の体育大学とは違うんだということになりますか。はっきりしてください。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 「目的」のところで、勝又委員も御指摘のように、「体育、スポーツ、レクリェーションに関する研究及びこれらの分野における実践的な指導者の養成を目的とする。」というねらいを置いているわけでございまして、社会体育についての質の高い指導者養成を図るというのが基本的なねらいでございます。したがって、将来のここの卒業生の進路としてどういうところが想定されるかということになるわけでございますが、たとえば地方公共団体とか民間の体育館、スポーツセンター、野外活動施設等におきます専門職員でございますとか、あるいは職域におきます健康管理者とか体育指導者、それからさらに言えば民間のスポーツ関連の企業でございますとか、そういうようなところも考えられる。そういうようなところが主として考えられるわけでございますが、もちろん、ここの卒業生が体育についての教官になることは本来から言えば社会体育の分野で、職域としてはそういうものを考えておるわけでございますけれども、免許状そのものにつきましては、やはりここの卒業生についても、大学としては体育の免許状取得については取得させないというような考え方ではございませんので、もちろん学校の体育の教員養成をするということがねらいでは決してございませんけれども、免許状を持つことをさりとて禁止しなければならないというような性質のものではないと、かように考えておるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 非常に苦しい答弁になってきていますけれども、大臣、こういうのを羊頭を掲げて狗肉を売ると言うのじゃないですか。文部省ちょっと困るんじゃないですかね。平たく、大臣、常識的に考えてくださいよ。いまやっぱり資格とか免許状というのは重要でしょう。ほかにいま何があるんですか。資格と免許状、そういう社会的な尺度というものはほかに何があるんですか。ここの卒業生は学校教育の体育の教員にはしないんだというのが目的だってさっきから再三言っている。そして、学校の体育の先生にはさせないで社会教育のところに使うんだという人に資格を与えないでおいて、教員免許状は出すと言っているんですよ。全然おかしいんじゃないですか。  お聞きしますけれども、社会教育法の第二条、これをちょっと定義を読んでくれませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 社会教育法の第二条でございますが、「社会教育の定義」を規定しておりまして、「この法律で「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。」というのが、社会教育法に言います「社会教育の定義」として二条が掲げられております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大変恐縮ですけれども、引き続きまして九条の三に、社会教育主事と社会教育主事補の職務がありますけれども、そこもちょっと読んでくれませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 社会教育法の第九条の三でございますが、「社会教育主事及び社会教育主事補の職務」といたしまして、「社会教育主事は、社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える。但し、命令及び監督をしてはならない。」。第二項といたしまして、「社会教育主事補は、社会教育主事の職務を助ける。」という規定でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そこで、九条の四というので「社会教育主事の資格」というのがありますね。ここに一号、二号、三号、四号とあります。この三号を見ますと、これは私自分で読みます。「左の各号の一に該当する者は、社会教育主事となる資格を有する。」と、こうありまして、三号は、「大学に二年以上在学して、六十二単位以上を修得し、且つ、大学において文部省令で定める社会教育に関する科目の単位を修得した者で、一年以上社会教育主事補の職にあったもの」とありますね。つまり、平たく言っちゃえば、大学を出て一年たったら社会教育主事になれるわけ、そうですね。片方の体育大学の方はどうなんですか。社会教育に関しては何もないんでしょう。それで、教育免許状だけは与えておいて、片方の方は、いいですか、社会教育を専門にやり、社会教育法に基づいて社会教育主事になる人は、同じ大学を四年卒業して一年たったら社会教育主事になれるんですよ。疑問をお感じになりませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 先ほどの基本構想の中の授業科目の例として掲げている点で申し上げますと、大講座の中で社会文化学というようなものがございまして、その中で音楽、演劇、美学等がございますが、文化人類学、社会学、心理学、国際関係論、教育原理、教育心理学、社会教育概論というようなものが具体的な授業科目例として挙げられているわけでございます。したがいまして、この鹿屋の体育大学におきます具体の学習において、社会教育に関します分野の学習というものも、ただいまの基本構想におきましてはそういう具体例を掲げておるわけでございまして、そういう面も含まれることになろうかと考えておるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 全然違うんですよ、大臣。おわかりでしょう、大臣。私の言っているのは、社会的な尺度というのは一定の資格なり、免許状だと言っているんです、そうでしょう。そして、社会教育法に基づく社会教育主事になれるのは、大学を卒業して一年たったら社会教育主事になれるというのが片方にあるんですよ。おわかりになりますね。ところが、皆さんが専門の体育大学をつくるんだ、それは学校の体育の教員じゃない、社会教育の専門の体育の人をつくるんだ、つくるんだと言っている方が、何にも資格がないし、免許状といったら教員免許状だと言っているんじゃないですか。全然おかしくありませんか。もっとわかりやすく言いましょうか。私がここの社会教育主事になる、大学の四年やって一年たつと社会教育主事になれますね。委員長の方は——大変失礼ですけれども、体育大学へ行ったと。りっぱですから行きませんけれども、鹿屋へいらして、四年たって一年たってぼくと一緒になった、同じ年で大学の経験も同じですよ。ぼくが社会教育主事で片方は何もないんですよ。それで、学校で演劇を勉強した、何かを勉強したというような話は、社会的には全然おかしいんじゃないですか。どこの大学だってそういうことは勉強しますよ、あたりまえじゃないですか。どうしてくれるんですか、これ。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 社会教育法の問題でございますので、あるいは私から御答弁申し上げるのはいかがかと思いますけれども、先ほどの第九条の四の「社会教育主事の資格」というのは、大学を出て直ちに社会教育主事になれるというようなものではないわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いや、一年たったらなれるのだ、三号で。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) たとえば、一年以上社会教育主事補の職にあれば社会教育主事になれるわけでございます。それからまた第二号で言いますと、教育職員の免許状を有し、かつ五年以上文部大臣の指定する教育に関する職にあった者で、社会教育主事の講習を終了すれば社会教育主事になれるわけでございます。もちろん、この鹿屋の体育大学の場合でございましても、先ほどの社会教育法の第九条の四の第三号で、当然に一年以上社会教育主事補の職にあれば社会教育主事にはなれる資格は有することになるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、この今度の新構想大学の問題は、こうしていくつか具体的にお聞きをしていくとこういう問題が出てくる。ところが、最初の目的の二行だけではこういう話は全然出てこない。そして、あとはみんな大学準備室ですという話になるので、これは一つ例として挙げている。私は全然納得できませんね、いまの点は。  それから、このことだけでやっていられませんから次に移りますけれども、本来、社会教育というのは、こういう小規模の単科大学で、十分にして適切な教育研究というものがどこまで保障されるか心配になる、そしてまた、大学教育にふさわしいような内容が一体こういう小規模な単科の体育大学で、強調されているような幅広い社会教育の識見を持つ人が一体できるのかどうなのか、ここも非常に疑問が出てくるわけです。  そこで、次にお伺いしたいのは、スポーツなり体育というものを国民の側からどう見ているかという問題なんです。国民が多く望んでいるスポーツとか体育というものは一体どのようなものでしょうか、大臣。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) スポーツ振興法で、国民があらゆる機会にあらゆる場所でスポーツに親しむことができるように諸条件の整備を図るということがうたわれております。またもう一方、スポーツの特性でございましょうか、わが国のスポーツ水準の向上についての施策の推進ということがうたわれております。国民のスポーツに対する関心と実践は、すべての人々が生涯にわたって健康で活力あふれる生活を営む、それに資するスポーツを通して健康と活力のある生涯の生活を送るということに一番多くの方の関心がある。また、スポーツは国境を越えあるいは言語の差を越えて大きな世界の交流があります。その中におけるわが国の日本人の活躍に対する国民のスポーツの面からの期待が大きいという、この二つの面があろうかと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 少し前の新聞で、何か野球人口、野球愛好者のことが出ておりまして、大体国民の半分が野球愛好者、野球のファンだということが出ておりました。甲子園も終わったばかりですし、大臣もこの間いらしたばかりですけれども、このいまの日本における国民的な野球に対する愛好といいますか、それから各地区で早朝野球とかいろいろ行われていますね。こういうような問題について、大体国民の半分ぐらいがそういう状況にあるんだという点については文部省もお認めになりますね。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) そのとおりかと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 同時に、これはやっぱりスポーツなり体育というのが選手の養成制度ではない、やはり国民の全般的な体育なりスポーツ水準の向上という問題もあるし、国民の愛好するこの方向というのをより尊重していく、こういうことも必要ですね。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) そのとおりかと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そうしますと、いま私一番心配になりますのは青少年の基礎体力づくりですね。  実はこれは四月一日の予算委員会の分科会で文部大臣と体育局長にはずいぶん細かくお聞きをしました。私が四月一日の予算分科会で強調したかった意味嘆余りにもいま、体格だけは——体格と言っても身長が伸びただけで、あとは全部劣っておる、特に体力が小・中・高校生を含めて非常に劣ってきている、体力の劣ってきている原因というのは、乳幼児期における体力づくりというものがされていないからだという指摘を私はずいぶん大臣と局長にしましたね。その発端というのが余りにもいま多い骨折、すぐ骨が折れちゃう。それから幼児期には余りにもテレビばかり見過ぎて外での遊ぶ場所がない、こういうことを幾つか指摘しましたので、そのことを繰り返すつもりはありませんが、あのときに強調しましたように、私はいま一番必要なのは、こういう国民のための基礎体力づくり、そのための条件整備、これ文部省は努力しているんだとおっしゃるけれど、全国的に見ますと、なかなか幼稚園や保育園の子供が私たちが子供のときのような外遊びのできる条件にはない、木登りをしたり杉鉄砲をつくって遊んだり、こういうことが自然のうちに体力をつくって、そして私たちの子供のころは全く骨折なんということがなかった。それにかわるべき幼児の遊び場所なりあるいは小学校、中学校の学校施設の開放なり、こういうことこそいま文部省はまず最優先をして私は取り上げるべきだということで声を大にしているんですけれど、この辺はどうなんですか。その辺こそ最優先すべきじゃないんでしょうか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘の、生涯を通じて健康な生活を営む、その基礎がまさに乳幼児期を初めといたしまして発育の過程にあるその段階での基礎体力づくりが最も大事だということは御指摘のとおりでございます。  そこで具体の問題で、たとえば、少年野球が大変普及してきております。この少年野球につきましても、アメリカ等でのリトルリーグは硬球を使っております。わが国ではこの面はソフトな軟球というものが使われております。この面につきまして、いろいろな意味で果たして発達過程にある子供たちのひじにあるいはひざにどういう影響があるのかという問題は、ざらにあらゆる角度からこれを分析しまた積み重ねていくべき課題を抱えております。  いま先生御指摘の、また人間と自然とのかかわりの問題、その中に文化が築かれますが、まさにスポーツもそのことかと思いますが、この面についての問題あるいは人の心と体との問題、そういう面につきまして、さらにいろいろな体育学、健康教育論あるいは体育力学と申しますか、スポーツ科学と申しますか、それらの角度からこれを総合的に見ていくということが現在必要になってきております。したがいまして、私ども体育局としては、この鹿屋の体育大学におかれまして、たとえば総合科目の中で、人間の心と身体、スポーツ文化論、人体基礎論、スポーツと人間生活、人間と自然とのかかわり、あるいはさらに芸術の世界というような面を広く総合科目としてこれも取り上げていただきまして、その面で人間の心と身体の特性、また自然とのかかわり、人間相互のかかわり、その中でよりよい基礎体力づくり、また生涯を通じての国民の健康体力づくり、それに資する研究教育活動がなされることを強く私どもとして期待しておるところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 全然抽象的なんですよね。私がお聞きしているのは、二歳から五歳ぐらいまで、つまり小学校へ上がる前の幼稚園や保育園へ行っている子供たちがいま遊び場がない。幼稚園の中だっていまなかなかそのことができないからもう骨折がふえておるんでしょう。家でテレビばっかり見ているんでしょう。  いま野球の話がちょっと出ましたけれども、私は旧制中学一年のときに硬球でやりましたよ。昔はみんな小学校六年間は軟球だったけれども、ぼくらのころはみんな中学一年のころから硬球でしたよね。それだけの差が、もう何かいまのお話だと硬球を持つとどうとかこうとかというお話がありましたけれど、ぼくも硬球の生活が長いけれど、ぼくらのころはそんなことはなかった。そり違いがいまだって——きょうは野球の話をするわけじゃありませんけれど、一つありますね。それはやっぱり幼児期なり、小学校時代におけるそういう体力づくりが欠けているから。体力づくりの欠ける一番の欠陥は場所がないから。その場所を、文部省のこの間の本を読みますと、学校を、小学校や中学校や高等学校を開放してやるようにしているのだとか、遊び場所をつくる指導をしているのだとか言っていらっしゃるけれど、実際には、予算の面を見ても、各県指導を見てもやられておりますか。幼稚園関係の人たちの声というのを聞きますと、全くその点がいま欠如しておるのだという指摘がきわめて強いわけですよ。だから、具体的にそのことがいまこういうように欠けているんだからこれからはこういう努力をするとか、そのことを具体的にお聞かせいただけませんか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 子供たちの基礎体力づくりの問題は御指摘のとおりでございます。  そこで、文部省といたしましては、まず施設の面からこの面の充足を図りたいということで、五十三年から新たにグリーンスポーツ構想で、自然の中に子供たちが生き生きと活動できる、そういう場づくりということで、野外活動の施設の整備を進めております。これがいま四十七ヵ所ほど全国にすでにできております。  それから、身近な体育館をつくると同時に、五十四年から身近な運動広場の設置に入ってきております。野球場、その他の運動場の整備はつとに補助政策を講じておりましたが、新しく身近なところに運動広場を持つということでございまして、これは最近における高齢者スポーツのゲートボール等の普及と同時に、子供たちの遊び広場ということを兼ねたものでございまして、これにつきましてまだ五十カ所でございますが、新たなそういう施策を推進を図りまして、来年度予算ではこの面積を広げまして、子供のわんぱく相撲の広場とか、あるいは木登りの丘というようなもの、そういう方面の遊び広場をつくっていくということも進めておるところでございまして、よく動くよく遊ぶ子が育つということの、そういう場つくりにそれなりに取り組んでおるということでございます。  また、先生御指摘のとおり、「子育ての中の基礎体力つくり」を第一集、第二集を出しまして、現在第三集の編集に入っておりますが、この親と子の基礎体力づくり教室等も進めております。それらに参考になるようにということで、子供たちが家庭、地域、学校でたくましく心豊かに育つという面の指導資料になればということで、そういうような指導資料の作成も進めておるのが実態でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは、大臣、抽象論でなくて、そういう環境づくりに文部省としてはやっぱりもっと積極的にやってもらいたい。私は、非常にまだ不十分だということをこれは指摘をしておきます。  そこで、次の問題ですが、学校体育の指導者の養成状況というのは現在どの程度なのか。簡単に言えば、量的には過剰生産、過剰になっている、余っているんじゃないか、そういうようにも思いますけれど、この点はいかがですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 学校体育の指導者ということで、体育学部の卒業生あるいは体育大学の卒業生の進路状況という点で申し上げますと、たとえば中学校や高等学校の体育の教員等、何らかの形で学校の教員になった者が、これはただいま手元の資料で申しますと、五十四年三月卒業者の数字で申し上げますと、全体の卒業者四千九百名余りでございますが、その中で千七百八十七名という数字になっております。パーセントで申せばほぼ三六%余りかと思います。ほかに、専門を生かして教員以外の公務員になった者が二百五十八名。民間のスポーツ関係の就職者が六百七十二名ということになっておるわけでございまして、そういう意味では、体育学部の卒業者の全体から申しますと、問題は、体育学部の卒業者そのものが就職の面で完全に一〇〇%就職しているかというとそうではない状況にあるということは言えるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 地方大学の教職員、教員の養成課程におきます就職率、これはもう一〇%を割っているところがある、こういうことは事実としてございますか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 地方の教育学部の保健体育関係の数学で申せば、先生御指摘の一〇%を割っているというのは、ちょっと明確に御説明は、ただいま手元の資料では申し上げられないわけでございますが、全国的な状況で申し上げますと、やはり保健体育の免許状取得者の数というのは、実際に教員になる者から比べれば相当数上回っているということは事実でございます。ただ、免許状取得者について申せば、先生御承知のとおり、これは保健体育に限る問題ではございませんので、ほかの科目についても同様の状況にあるということは言えるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そこで、その最初言っていらっしゃった社会体育の指導者の養成ということですが、この需給計画なりこの見通しはいかがなんですか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、近年国民の健康、体力づくりに対する関心、実践が高まっております。この面から、体育、スポーツ、レクリエーションの分野における指導者の養成に対する声も高まっているということでございます。  現状で申し上げたいと思いますが、現在地方公共団体の社会体育の担当職員の配置状態でございますが、五十四年現在で都道府県に六百二十四人、市町村に五千九百四十四人、合計六千五百六十八人の職員の方が配置されております。十年前の昭和四十四年には、都道府県に二百三十五人、市町村に千二百十六人、合計千四百五十一人という配置状態でございました。この十年間の比較をいたしますと、総数で四・五三倍、うち都道府県につきましては二・六六倍、市町村につきましては四・八九倍の増員となってきております。  また次に、最近公共の都道府県、市町村がつくります社会体育施設が増加してまいってきておりますが、ここに置かれる管理指導員、専任の方について申し上げますと、昭和五十三年が九千四十人でございまして、昭和四十四年には三千二百四十二人でございましたので、この間二・七九倍の増員を見ております。特に最近公共の体育施設の整備が進んでおりまして、昨年調べました五十五年調査では二万九千五百六十六カ所の公共施設が設置を見ております。五十年現在では一万九千八百三十五カ所でございましたので、この六年間に約五割増したという状態でございました。現にいま私どものところに、五十六年、五十七年に総合体育館をつくりたいというところが五十カ所を超えているというような状態でございまして、この面の進展は今後も趨勢としてあるというように見られております。それで、この総合体育館が一つできますと、そこに管理指導員が平均いたしまして四・四人置かれております。また、小さな体育館を含めまして、およそ体育館では一・四人の管理指導員の配置があるということで、この面の配置増が見込まれておるというように考えられます。  さらに、次に民間の商業スポーツ施設に置かれております指導員の方でございますが、昭和五十四年には二千九百七十九人に達しておりまして、昭和五十年の調査では九百二十四人、三・二二倍の増となっておりまして、この面の商業スポーツ施設がわが国で約一万カ所当時よりふえてきておるということでございます。  さらに、これ以外に、スポーツ活動はボランティアの方々の活動を大きく期待しておるわけでございまして、この面で市町村が委嘱する指導員の方がございますが、現在四万八千百七人の指導員の方がおられまして、四十四年現在では二万九千人でございましたので、これまた倍増に近い増員をしておるということ、さらには日本体育協会あるいは山岳協会等で資格を付与しております方々が十七万人おられるという状態でございます。これらの取得をされる方々も今後ふえるのではないか。  以上のような動向から見ますと、今後社会体育の指導者の増員は見込まれる、これに本当に社会体育の指導の立場の実践的な指導力を持った養成が期待されておるという現状であろうかと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いま局長がおっしゃった、一番最後のところを抜きまして、その九九%は全くそのとおり。大臣、おわかりになりますね。つまり、私の言いたい意味は、そういうように国民みんなが努力をしているわけですね。草野球だとか早朝野球の正式の審判の資格をそういうボランティアで資格を取って努力をしてくれている、その集積だと思うんです。そういう意味で言えば、もっともっと一般社会人の中から人材の発掘なり登用なり、そういう手だてをこそもっともっと文部省は積極的に社会教育という分野でも考えるべきなんだ。あるいは各地域における一般の大学、そこのやはり教育課程の充実ということを考えれば十分こういう指導者の養成ということはやっていける、こういうふうに私はいまの局長の九九%の答弁——おしまいの一%は抜きますよ。そうすれば足りるというように考えますけれど、大臣、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと御議論の経過もございますが、ただいま柳川局長から御報告申し上げたような、一つは、ほうはいたる国民的な体育に対します非常な理解と同時にまた大きな成果を上げておるわけであります。そういうことに反しまして、いま先ほど先生が申されましたような、特に体力が劣って体位がという問題、これはやはり真剣に取り組んで検討しなきゃならない問題だと思います。栄養の問題ばかりではないのでありまして、やはり教育の課程における幼児教育というもののまた反省やら、それから環境づくり、特に体育局の方では、最近、土と親しみ自然と親しむようなわんぱく広場でありますとか、あるいは木登りの丘でありますとか、局長非常に一生懸命にがんばってやっております。先日も千葉の方に参りましたが、草笛の里とかというふうな、そこに非常にたくさん周囲から学生、子供さんが集まって、そうしてどろんこになって遊んだり草の中を走り回ったりいたしておりました。ああいう自然と親しむ環境をつくっていくということが非常に大事だと思います。  つきましても、いまずっとお話がありましたような国民の期待と声にこたえまして、やはり体育という面におきましても組織的な教育というものが必要であり、その焦点といたしましての体育大学というものの必要性も十分理解できると存ずるのでありまして、よろしく御審議のほどをお願いいたします。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大臣のも九九%は体育大学は要らないというお話なんです。おしまいの一言だけが体育大学が必要だということがつけ加わってくるだけなんだ。まさに私は、いまや皆さんのお話を聞いていても、先日来の討論を聞いておりましても、国立大学をつくる必要性、これはきわめて少ない。国民を説得する迫力がきわめてない。百歩譲りまして、国立とか公立とか現在できております、あるいは私立の大学のいままでの養成課程の中でおっしゃらていらっしゃるようなことは十分できるんじゃないか、そう思いますけれども、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと申し上げました中におきまして、全体の、国民的な支持を得て各地に各層に体育をいたす方が非常にふえてまいりますればまいりますほど、いまの体育なるもののあるいは科学的な、組織的な養成と申しますか、そういう問題だとか、さらにそのセンターになります何がしかの教育機関というものは必然的に私は必要になってまいる、かように考えますので、いま先生が最後の一行だけとかおっしゃいましたが、そうではなくて、そのほうはいたるものの上に、今度はやはり組織化され、それが科学的な分析やらあるいはあらゆる総合判断のもとになお一層高度のものが必要であり、同時に国内的な問題ばかりではなく国際的にも、日本体育というもの、また国民体位というものの重要性をいやが上にも私は振興してまいらなくちゃならない、そういう点から申しましても、やはりその中枢であります今回の大学というものは十分に必要性を裏づけるものだと、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私の言葉が足りませんでしたが、新構想による国立の単科の体育大学が必要でない、こう言っているわけですよね。  そこでいま出ました、大臣は非常に科学的な体育というお話だったんですが、先ほど私指摘しました新体育大学の基本構想を読んでみますと、学部は体育学部だけで、定員が百四十名、そして体育・スポーツ課程が八十人、武道課程が六十人となっていますけれども、このとおりですね。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) そのとおりでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そうすると、体育・スポーツ課程が八十、武道が六十というんですが、武道というのは一体体育・スポーツに入るんですか、入らないんですか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 体育・スポーツの概念あるいは範疇の中に武道は入るというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 体育全体の中に武道が入る、これは当然なんですね。そういう意味で言えば、スポーツ全般とのバランスの中で武道を考える。先ほど野球の話ばかりしましたけれど、野球でもバレーでもサッカーでも水泳でも皆同じですよね。そういうものそれぞれがやっぱり体育・スポーツ課程という中に入る、その中の一つが同じように並列されてその武道というものが考えられる、こういうことじゃないんでしょうか。大臣、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そうしますとわからなくなっちゃう。そうすると、何で八十と六十、武道だけ六十人というふうに分けるんですか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 一般論でお答えするわけでございますが、体育・スポーツの範疇に武道が入り、特にわが国の体育・スポーツを語るときに、そこに武道があるというのがわが国の伝統のスポーツであろうというように考えております。わが国は柔道にしろ剣道にしろ発祥の地でございます。その国の伝統のスポーツはこれを尊重するということは、ユネスコのスポーツ憲章でも強く指摘されておるところでございます。この面は私ども今後体育・スポーツ行政の推進に当たっても常に心がける課題であろうというように存じております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 何ですか、武道をそういうことでするという気持ちは、それは国民の中にあるでしょう。ぼくはだからさっき言ったんだ。野球は五〇%というのはお認めになっているんでしょう。水泳だって日本古来の水泳があるでしょう。柔道と剣道以外にも日本古来のものはいろいろありますよ。だから、その論理だけで武道を別にするというのはまさに説得力がありませんね。これはやっぱり体育・スポーツ課程の中の一つのジャンルとして、同じものと並列をして当然考えるべきなんです。どうしても武道課程というのを別にするなら、何で水泳をつくらないのか、何でサッカーをと、こうなるのはあたりまえじゃないんですか。これはどう考えたって、大臣、無理ですよ。だからこれは、体育・スポーーツ課程一括にすべきですよ。そうでなければ、とても参議院の良識ある皆さんが、これは承知するわけはないじゃないですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 武道の意義についてはただいま体育局長から御説明を申し上げたわけでございますけれども、具体の武道学科を置いている、これは私立の大学の例になるわけでございますけれども、既存の大学におきましても、たとえば武道学科、体育学科、社会体育学科というような構成をいたしておるわけでございます。そういう大学が三大学ほどございます。そういう意味で、社会体育の指導者の養成の中で、御指摘のように、もちろん野球なり水泳なり、大変人口が多いということもよく理解できる点ではございますが、社会体育の指導者の養成の中で、武道について正しい基礎知識と専門的技術を身につけた指導者の養成が求められているということも事実でございまして、そういう意味で、いま申しましたような正しい基礎知識と専門技術を身につけた指導者の養成という観点からは、武道課程として入学定員六十名のものを設けるということについては私は十分意味のあることだと、かように考えるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 全然わかりません、大臣、これ。八十と六十という比率があるでしょう。国民が体育・スポーツに望んでいる願望という比率はどのぐらいになるんですか。さっき私、一例を挙げましたよね。武道以外のものは八で武道だけが六ですか。私は、柔道や剣道を否定しているんじゃないですよ。柔道や剣道をおやりになるのは結構。ところが、何で柔道と剣道だけが別個に、八対六の比率で分けられなければいけないのかということをくどく言っているんです。並列でいいんじゃないですか。むしろ比率を置くならば、もっともっと国民の願望が高い、国民が愛好しているスポーツの方が多くていいんじゃないか。全然おかしいじゃないか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 武道課程の入学定員六十人が体育・スポーツ課程の八十人に比べて多いではないかという御指摘のように受けとめたわけでございますけれども、この具体の課程の設置なり入学定員の問題等につきましても、私どもとしては調査会によります専門家の御検討をいただきまして、武道課程としての六十人の入学定員とする結論をいただいたわけでございます。体育・スポーツ全体、大変分野の広いものでございまして、もちろんこの鹿屋体育大学の入学定員だけでそれが賄えるものとも決して思っていないわけでございますが、全体的には、武道課程を設置することについては先ほども申し上げたようなところが理由でございますけれども、私どもとしては、ただいま御提案申し上げておりますこういう八十と六十の百四十人という入学定員、規模としてはむしろ大変小規模ということが言えるのではないかと思っております。その点は、先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたように、やっぱり将来そういう分野で中心的に活躍していただくような専門的な技術を身につけた指導者の養成という意味では、この鹿屋の体育大学をお認めいただくことも大変意味のあることではないかと、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これも全然わかりません。全く納得できませんね、大臣。  それでこの鹿屋の体育大学というのは、一校お金が幾らぐらいかかりますか、でき上がるまでに。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 全体の経費の概算はおおよそ百億。全体的に申しますと……

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 結論だけで結構です。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 百億を上回るぐらいの金額になろうかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大臣、百億というお金は大変なお金ですね。それは器認めになりますね。そしてその場所はどこなんでしょうか、これは。鹿屋というのは鹿児島県の何か半島の方ですね。それで、教職員の確保、教員のいわゆる教官の人材確保とか、あるいは学生の確保とか、こういうような点でもなかなか困難じゃないかということもいろいろ識者からは指摘がされておりますね。一体私はこの問題で、このような財政再建のかけ声がかまびすしい中で、しかもいろいろまだ問題の多い鹿屋体育大学を、しかも国民の十分な納得ができないような、こういうような中でおやりになるということについては全く賛成できませんね、これは。そういう意味で、なぜこんな財政が逼迫して財政再建のかけ声が非常にうるさい、そうしてまた文教予算というものは骨身を削られるように削られようとしているときに、しかも国民の大多数の声、賛成が得られないようなこういう体育大学を百億もかけて何で大臣おやりになるんですか。最後に、大臣、これを聞かしてください。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと先生の貴重な御指摘もございますけれども、前段で申し上げたように、体育・スポーツというふうなもの、また武道というふうなものに対しましての本当に国民的な非常な期待と申しますか、願望というものは、ニーズというものは非常に多いと思います。そういう点から申しまして、この際、体育の大学をつくるということの国家的な意義というものは、これは私非常に高く評価しなきゃならない問題であろうと存じます。  なおまた、武道という問題につきましても御指摘がございましたが、これは個々の問題は別といたしまして、全国民のこれに対します競技に携わる者というものも、これまた小学生を初め大学に至るまで相当の数に上っておるのでございましょう。  それからまた、地点でございますが、これもいろいろと経緯のあるところであろうと存じます。  大体以上のようなことを総合いたしますと、やはり鹿屋の体育大学というものはこの際にぜひ実現いたしたい、かように存ずる次第で御提案いたしました次第でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この問題だけに限っておるわけにいきませんから、最後にしますが、大臣の最後のお言葉にありました、国民の相当数のものがという言い方がありましたけれども、私がさっきから指摘しているのは、武道というのはスポーツ全般の中の一つの分野だ、八対六の比率じゃないということを言っているのです。これだけはあくまでも私は主張しますので、大臣が、何か武道を国民の相当数がという相当数が、何か半分以上の国民がというような意味合いなら全く違うということをこれは最後に指摘をしておきます。  そこで、次に、本法案にかかわりまして、国立歴史民族博物館の問題と共同研究所の問題があります。時間がなくなりましたので、一つ、二つに限定しますが、私の言いたい意味は、国立というのはイコール国立大学のことではないでしょうねということを言いたいわけです。国立というのはやっぱり国民の方に開かれたものでなければならない。  その観点でお聞きしますと、たとえば国立歴史民族博物館というのも、当初は昭和四十一年ですか、国立歴史民族博物館を建設する計画があり、そのときの基本構想というのはその目的で明らかですが、「わが国の政治、経済、社会、文化など各分野にわたる歴史資料及び衣食住」、ずっとありまして、そういう「民族資料を、調査研究を基礎として収集し、保管し、展示し、あわせて、これらの資料についての情報サービスおよび教育普及活動を行うことにより」、こうずっとありまして、そして、「国民はじめ広く世界の人々が」云々と、こう続くわけですね。ところが、今度の法案によりますと、これらは、そういうことは一部書いてあるけれども、「国立大学における学術研究の発展及び資料の公開等一般公衆に対する教育活動の推進に資するための」、次なんです、「国立大学の共同利用の機関として」云々と、こう続くわけですね。一体、その「国立大学の共同利用機関として」ということは国立であるがゆえにその国民のために開放される、こういうように私は考えるべきだと。簡単に言ってしまいますと、国立博物館の方は国民のために相当大幅に開放されていますね。国立大学の共同利用機関ということで、こう、何か、閉鎖的というか、狭められているということはないと思うんです。その辺のことは一体どういうように考えたらいいんでしょうか。

佐野文一郎文化庁長官

○政府委員(佐野文一郎君) この博物館の設立準備を従来文化庁が担当してまいりましたので、私の方からお答えすることをお許しいただきたいと思います。  先生がいま御指摘になりましたことは、私はまことにそのとおりであると思います。何か、国立大学の共同利用機関になるということが、いかにも国立大学のみによって、国立大学の間のみにおいて共同研究が行われる場となるというような誤解がもしあるとするならば、それはまことに遺憾なことであって、これを国立大学の共同利用機関としてお願いをするに至ったのは、この博物館の、組織運営面について一設立準備室なり、あるいは準備委員会で検討が進められるに従いまして、博物館の充実した活動を展開するためには、全国の大学の関係研究者等の共同研究というものを深め、それを基礎にした活動が展開されることが望ましい。そのためには、大阪の民族学博物館と同じような設置形態をとるのが最も適切であるという考え方に立ったわけであります。そのことは、いま申し上げましたような、国立大学のみの間における閉鎖的な共同利用機関にするということではなくて、まさに、これを全国の国公私立大学あるいはその他の関係研究者の共同研究の場とし、情報提供の場としていくというところに意味があり、さらに、その研究成果をもとにして、広く青少年あるいは成人に対して、わかりやすい、しかも学問的な水準の高い展示を行うということをねらっているわけでありますから、そうした閉鎖的なものになるのではないかという誤解が、いささかでも生まれることのないように、今後のこの博物館の運営に当たって十分に関係者に留意をしてもらいたいと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 時間がありませんので、岡崎の国立共同研究機構についても一つだけお伺いをいたします。  実は、昨年の一月、本参議院文教委員会で視察に参りました。私もその当時理事の一人として一緒に参加をいたしました。勉強させてもらいました。そこで、資料の要求もいたしまして、文部省から資料もいただきました。お聞きした意味は、この岡崎の国立共同研究機構につきましても、いわゆる私立大学の利用状況について、文部省から過去三年間の実績をいただきました。ここに別紙一枚の資料をいただいたのがあるんですが、この状況を見ても、私立大学なり民間の利用状況というものがきわめて少ない。こういうように私は思うわけです。  それから、ここに「私立大学の危機」という中の百六十七ページにも、「共同利用研究所と私立大学」という指摘がありまして、国立の共同利用研究所というのは、まさに国立大学の共同利用研究にきわめてウエートがかかっていて、そういう国立ということが、全国民的な立場での他の公立なり私立大学なり民間利用度というものがおくれている。そういう意味で、自由な、公開されたそういう利用状況、あるいはこのためにもつと門戸を開放すべきだ、こういうことも必要だと思いますし、たとえば、四十六年のこれは附帯決議ですか、これにも明らかに、この私立大学への利用についての開放等についても指摘をされているところでありまして、これらについてきわめて不十分だと思うんですが、この点はいかがでしょう。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 広く国公私立の大学その他の研究者に開放するという点につきましては、佐野長官から御答弁がありました趣旨で、いま御質問のございました分子化学研究所についても同じような考え方でございます。これにつきましては、原因としまして考えてみましたのは、一つは、その研究分野に関する研究者の層が部門によりまして差異があるんじゃなかろうか。御存じのように、私立大学の場合には人文系の関係が非常に多いわけでございます。そういうようなこともございますし、また、勤務態様等も、一人当たり学生数も私学関係の方がかなり多くなっているというような状況もございまして、利用が若干差が出ておるのじゃないかと思う次第であります。  分子化学研究所につきましては先生御指摘のとおりでございますが、他の共同利用機関の共同研究員の状況等につきまして、たとえば国文学研究資料館というのがございますけれども、こういうところはむしろ私立の方が多いというふうな例もございますし、この運営につきましては、御存じのように、運営協議員というものが置かれまして、その運営協議員が共同研究の計画その他の機関の運営に関する重要事項を研究しまして、機関の長の諮問に応ずるというようなことをやっております。原則的には非常に自由な立場でその研究者が研究計画をつくるということになっている次第でございます。ただ、御指摘のようなこともございますので、私ども、その点につきましては今後とも十分配慮してまいりたいと考えている次第でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私の持ち時間も少なくなりましたので、最後に、教員の養成制度なり、現職教員の研究修養の問題なりあるいは大学改革の問題等について、二、三お伺いをしたいと思います。  一昨日、すでに十分議論をされました鳴門の問題、そうしてこれはまた上越と兵庫、こういういわゆる新構想の教員の現職教育を充実する、こういうことで、三大学合わせて六百名の現職教員の教育研究の機会が与えられている。しかし、よく考えてみると六百名にすぎないわけですよね、全国、まさに大変な数の教員の中で。それで、私が一番言いたい意味は、これは、一体、教員全体の資質の向上なりレベルアップにどうつながっていくのか。こういった点については、文部省はどういう御見解を持たれますか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のとおり、新構想の教育大学、現職教員の資質向上ということを基本的なねらいとしまして、鳴門を含めまして三大学になるわけでございます。教員全体の数から見れば大変量的に少ないではないかという御指摘になるわけでございますが、私どもといたしましては、もちろん、現職教員の資質向上策としてはいろいろな施策を総合的に対応していかなければならない、当然のことでございます。もちろん、そういう意味では、教育委員会なり、あるいはまた自主的に行われます研修活動がございますし、そういうものに対します政府全体としての施策もいろいろ講じておるわけでございます。しかしながら、一面、また、こういう修士課程の大学院を設けましてより高度の研究をするということも大変大事なことであろうと思いますし、そういう意味で、兵庫、上越に続きましで、今回鳴門の教育大学を御提案申し上げておるわけでございますいずれにいたしましても、施策としては、それら全体の施策を含めまして、教員の資質向上が図られるべきことは当然でございます。  先般の御質問にも答えましたように、こういうところへ現場の悩みを持った教員自身が集まりまして、お互いに共通のテーマと申しますか、そういうものについて問題意識を持っている人たちが集まりまして、それの研究を深めていくということ、そしてそれをまた教育の現場へ持ち帰りまして、実際の現場で深めてまいりました研究を実践に生かしていく、それがまたほかの教員にも刺激を与える一つのよりどころにもなるということもございます。全般的にはそういうような意味もあると、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 局長のおっしゃったうちで、何か大学院を出た人が、六百人が現場へ帰ってきてほかの人たちに刺激を与えてそれが、という点が一つありましたけれど、私は、やっぱりそうではない。やっぱり六百人は六百人ですよ。あとの、だから何十万という人は、教育の研究や修養をしたくても、その大学院というのは限定をされている。そうすれば、それ以外のことをいろいろ考えなくちゃならない。当然ですよね。教育公務員特例法の第十九条、第二十条、これも先ほど隣から話が出ましたから、自分で読みますけれど、第十九条の「研修」は、「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」、二項は、「教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない」。それから二十条は、「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」、「教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」、「教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる」。この十九条、二十条で明らかですね。だから、このために文部省は、六百人が現場に帰って刺激を与えるから——そうじゃなくて、大学院で勉強をしたくても入れない、あるいは研究、修養にいろいろ努めたいという何十万という人に、この十九条、二十条を一体——義務なんですからね、文部省の、教育委員会の。だから、文部省とすれば、具体的には、各県の教育委員会に、さらにこの点についての努力なりそのための手だてがきわめて欠けている、そういうふうに私は指摘をせざるを得ないんですけれど、いかがですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、私どもとしてもそういう点に努力をすることは当然なさなければならない事柄であろうと、かように考えるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、教員の資質向上を図るためには現職教育の充実ということが非常に大事なことでございますし、そのための手だてといたしましても、文部省としても、従来、たとえば都道府県の実施いたします新規採用教員でございますとか、あるいは教職の経験者の研修に対しましていろいろ助成もいたしております。またさらに、見識を広めるという意味で、教員の海外派遣というような事業も実施をしてきておるわけでございますし、そのほか、都道府県なりあるいは教員自身が自主的に行います教育研究グループというようなものに対しても、奨励事業に対する助成を行うというようなことで、いろんな角度から、これは現職教員の研修についていろいろ施策を講じております。これは国、都道府県を通じましてそれぞれ今後も充実を図っていかなければならぬ事柄である、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いろいろ局長がおっしゃるもので、そっちをまた聞かなきゃならなくなっちゃった。ほかのことを聞くつもりでいたんですけれども、何だか新採用研修から、海外派遣から、自主的な研究グループに補助を出しているからというような、そんなことまで出てくると、そっちを先にお聞きしますよ、とれ。大変なことになってきちゃった、これは。といいますのは、この間私研究グループのことはお聞きしましたよね。あれは非常に限定されているでしょう。たったわずかあればかりのが、自主的な研究グループですか、全国四十か五十で、これ全然問題になりませんね。もう四十か五十の、各県単位に見ればきわめてお話にならない予算でしょう、文部省。予算と言うよりもやり方でしょう。四十グループとか五十グループといったら、一県一つぐらいのグループになっちゃう。そして海外派遣だとおっしゃっている。これも私は大変な問題を感じていますよ。それから新採用研修会とおっしゃった。  ところが、この間、大臣、出してくれって資料要求しましたね。そうしたら大臣がすぐ出しますというので、やっぱり大臣の一言ですぐ出てきました。なかなか出てこないんです。  この「昭和五十五年度教育研究団体補助金」という中央教育研究団体の明細表が出てきました。これを見て私は大変びっくりしたんですよ。何々研究会、何々研究会とあるんですけれども、単位は三十万とか五十万、ひどいのは二十万ですよ。全国学級経営研究会二十万、こういうのがある。全国看護高等学校長会二十万。それから——これ全部挙げるわけにはいきませんが、出てきたのがここに九十三ありますね。九十三あるうちで、何々研究会というのはみんな三十万とか三十五万とかですよ。この程度の額のお金ですよ。それが九十三にばらまかれている、配分されている。その中には公立学校教頭会の二百万とか、幼稚園長会の百万とか、それから高等学校長協会というのはずいぶんありますね。全国連合小学校長会、中学校長会、これはそれぞれ四百万。それから何々協会とかなんてのは少ないんですよ。日本生物教育会なんというのは三十万。全国中学校理科教育研究会とか、こういう名前のくっついたのが四十万とか、三十万とかある。日本女子体育連盟というのが百万。ちょっと金額の多いのが日本数学教育学会というのが三百三十万。それから日本教育会というやつだけがばかっと多いんですよね。これがどのくらいですか、この単位はこれは三千万。それから全国海外教六日事情研究会というのに一千三百七十三万。これはどういうことですかね。全国高等学校教頭会というのが百万。全国教育研究所百万。こういう形になっているんでしょう。そして、こういうので教育研究団体で勉強さしているんだと言うけれど、私は全然これは現場の教員に、ここにある十九条、二十条に言う研修の機会を与えているということにはなっていない、こういうふうにもうはっきり言わざるを得ませんよ。まじめに自主的に自発的な研究をやっているところ、こういうところは実際問題を感じますね。  そういう意味で、本人の自主性を尊重するという、先ほどちょっと局長からもありましたが、八十四国会のわが参議院文教委員会の附帯決議ですよ。この八十四回の附帯決議というのは、御存じのように、兵庫とそれから上越、これがされたときに出ました、三項にこうありますよね。「既設の教員養成大学・学部については、大学院を含め、整備充実の推進に努めること、また現職教員の研修については、本人の自主性を尊重しつつ、本大学」——ここで言う「木大学」というのは上越と兵庫ですね。「本大学の大学院のみならず、多様な研修の機会の確保に努めること」、こうあるわけです。  そこで、私は特に本人の自主性を尊重しつつ、こういう多様な研修の機会の確保に文部省が、大臣、本当に努力すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御趣旨のとおりでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 御趣旨のとおりというのは、大臣、そうすると、本人の自主性を尊重して多様な機会を与えるようにその機会の拡大を努めてくれるということですから、これは大臣、御趣旨のとおりというのでそういうようにお考えいただきたい。  そうなりますと、問題は二つありますね。本人の自主性を尊重しつつ多様な研修の機会を与えるということになると、問題は二つ出てきます。  一つは条件整備ですね。何十万という人がどんどん出ていっちゃうんじゃとてもできないでしょう。大学院へ行く方は現職現給で行きますね、この六百名は。それ以外の方も全部現職現給だというとこれは私もなかなか大変だと思います。だから、たとえば復職はちゃんと保証しますと、そのかわりその期間は大いに研究しなさいというような形態もあるだろうし、いろんなそういう意味での条件整備ということが必要になってくる。考えられるのは、育児休業制度がありますね、大臣。だから育児休業制度のような形態のものも、そういう場合には条件整備の一つとして考えていいんじゃないか。端的に言っちゃいますと、たとえば教員をやって十年たった、教員をやって十年たったら一年間大いに研究、修養をする機会を与える。こういうような方式については大臣いかがですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 教育有給休暇制度の問題についても……

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いや、それだけに限定しませんよ。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) そういうような事柄について御提案がございますことは十分承知をいたしておるわけでございますが、たとえば教育有給休暇制度について申し上げますと、やはり関係する省庁と、それらの制度の具体化についてはなお十分協議を進めなければならない。労働省を初めといたしまして、そういう問題点があるわけでございます。  お話しのように、この新構想の教育大学の大学院において現職教員の研究、研さんの機会を深めるということと相まちまして、従来御答弁申し上げておるわけでございますけれども、既存の教員養成大学学部におきます大学院の整備も片や進めるということがございまして、大学院の面で申し上げても、そういうような両々相まって教員養成なり教員の資質の向上を図るという対応をいたしておるわけでございます。  そのほか、研修については、いろいろ研修定数の確保、その他の問題もございますが、それらの問題点は初等中等教育局の方で対応している問題点でございますので、私からは、先ほどのいろいろ研修の内容についての具体的な点については、あるいは私の方からちょっと御答弁申し上げるのはいかがかと思うわけでございますが、考え方といたしましては、そういう研修の機会の充実ということと、それとこういう大学院において現職教員の資質向上を図るというようないろいろな施策をそれぞれ組み合わせて教員の資質向上を図るということが肝要であろうかと、かように考えるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いま初中局長云々の言葉がありましたけれども、大臣、私は非常に専門的なことをお聞きしているわけじゃないわけです。ですから、非常に専門的なことだったら初中局長でなけりゃわからぬということでしょうけれども、教育の基本問題ですからね。これは文部大臣の意見を十分お聞きしたいんですよ。  一つは参議院と衆議院の違いを常に私たち指摘をしておりますね。やっぱり参議院の文教委員会だからこういう議論をすべきだというように私は思うんです。  私は、先日の民社党の小西委員の意見——もちろん全部というわけじゃありませんけれども、民間経歴を教員が持つべきだという点については大賛成なんだ。ぼくも常にそのことは前々から主張していることなんです。教員というのは学校を卒業してずっと学校にしかいない。そこにやっぱり幾つかの問題というものを感じていまして、小西委員のそこのところは私も全く賛成。そういう意味で、たとえば教員を十年やった時点で一度幅広い形で考えると。これはサイクルを考えりゃそんな無理な話じゃない。たとえば適切な、調査室というのもあるでしょうし、研究所というのもあるでしょうし、あるいは社会科の教員が会計事務所で一年勉強するということもあるだろうし、生産工場に行く場合もあるでしょうし、流通機構に行く場合もあるだろうし、マスコミの中に入る場合もあるでしょう。あるいは農場へ行ってもいい。マーケットへ行ってもいい。漁業でも林業でもいい。これは小学校、中学校、高校のそれぞれの教員の分野で、そういうことを真剣に、十九条、二十条が本当に生かされるようなことを大臣、やっぱり考えるべきだ。ただ教育大学の大学院に六百人が行って、その人たちだけが現場へ帰ってきて刺激を与えればいいということではなくて、どうなんでしょうかね。行かない人たちもやっぱりそういうような幅広い形での研修の機会、研究の機会を与える。そのことが一遍にできないなら、そのための条件整備を考えてやる。現職現給で金を全部出してやるというようなことを私は主張しているわけじゃない。この辺はいかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 先生のいろいろ新構想なり御意見を拝聴いたしましたが、当面といたしましては、現行の制度の枠内におきまして教育の実習の自主的な改善、充実を図ってまいりますためにいろいろな施策を進めておるところでございまして、今後ともなお一層教員の方々の資質の向上なり、あるいはまたいま御指摘になりましたような、一定の期間、実習と申しますか、研修をいたすというようなことも、これもやっぱり一つの貴重な御意見であるとは存じますが、現在お話を申し上げておりますのは、現行制度の枠内における研修なり資質の向上、研究ということを申し上げておる次第でございます。  なお、先生の貴重な御意見といたしまして十分参考にいたしたいと考えます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、大臣、現場にいましたときに、高等学校と中学と小学校と三つ経験しているわけです。そして、教員ですからスランプに陥るということがあるわけですよね。全くもう授業に出るのもいやになっちゃうときがある。私がいた当時は、一学級七十人、八十人というような合併授業をやった時期もあったんですよ。そういうようにスランプに陥ったときに、私は、校長さんが勉強に行ってこいと、東京へ二泊三日で行ってもいいというときに、私は東京へ来ませんでした。どこへ行ったかといいますと、私は盲学校へ行ったんです。それで盲学校に二日間行ってくると、もう次の日から物すごい、人間が生まれ変わったような授業ができましたよ、二日間盲学校へ行ってきて。だから私は、やっぱりそういう現場の教員がはだ身に感じている問題を真剣に取り上げるべきだ。そういう意味で、一般の小学校、中学校の先生が盲学校へ行って勉強してくる。目の見えない子供を教えるのはどんなに大変なのかということを普通の学校の先生も勉強してくる。逆に、盲学校の先生が今度は中学へ来て教えてみる。高等学校の先生が小学校の三年生を教えてみる。ぼくは自分が高校も中学も小学校もやったからある程度わかるつもりなんです。やっぱり高等学校の先生が小学校の授業をやってみるということが必要ですよ。何かそういう、いまの法律の枠の中だけだということでなくて、もっと言えば、幼稚園や保育園と小学校ということだって考えてもいいし、本来ならば小学校の先生こそ大学教授クラスの人がなることが望ましいという議論だってあるわけですよ。やっているわけでしょう。そういう実践もあるわけですよ。  ですから、そういう意味でいけば、もっともつとそういう意味の、研修の多様なという意味があると思いますね、ぼくは。文教委員会の附帯決議の「多様な研修の機会」という、この意味を大臣真剣に考えていただいて、何か狭い法律の枠の中だけの問題じゃない、もしそれを法律改正なりもっと長期の検討があるというなら、それこそ参議院の文教委員会という六年任期のある議員のところで長期的な展望を持って議論すべきじゃないんですか。大臣、いかが思われますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変貴重な御意見でございます。私は、やはりいまの教育というものが、本当に狭い範囲で、限られた枠内だけで教鞭をおとりになっておられるということでは本当の教育にはならない。広い視野から、あるいはまた高いいろんな教養の積まれた上に本当の教育ができるんだろう、かように考える次第でありまして、いまのようなお話は本当に参考になる御意見だろうと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 それでは、時間もなくなりましたので、最後にこの教員養成制度の問題ですが、いろいろ議論がありますけれど、文部省は戦後の反省に立ちまして、いわゆる戦前の旧制の師範学校の反省の上に立って、教員養成制度というものを開放制のもとに樹立したわけですね。この開放制の原則に立つ教員養成制度というものは、これからもあくまでも堅持なさるおつもりなのかどうなのか、大臣にお伺いします。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) もちろんその方針のもとに進めてまいります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そのとおりなんですよね。そうすると、私はその次に問題になるのは、地方の国立大学の充実、こういう問題になると思うんです。  いま、地方の国立大学を開放する、そしてまた公開講座とかを実施するとか、社会人の再教育とか、こういうことをいろいろ地方の国立大学も努力しておりますね。同時に、開放制の教員養成制度というのは何も国立の既成の教育学部だけではないんだ、私立の大学も物すごい努力をしているわけですね。そして、私立の大学の教員免許状の資格取得者の人たちが、現場でこれまたいろいろ多様な意味での日本の教育を支える努力をしている。  ところが、大臣、地方の国立大学の充実なり私立大学の充実を一番阻害しているのは、私はどう言っても三年やってきた共通一次だと思うんです。この共通一次の問題が、いまやまさに国立の一期校と二期校を一本化をして併願がなくなった。初めは配点も一次と二次は半分ずつだったのが、現在はまさに共通一次にウエートが高く、八対二ぐらいというように言われますね。二次は実技、面接、小論文だけ。その結果、いまや国立大学へ入学可能な、いわゆる合格得点圏別、こういう言い方の中で、まさに輪切り状況によるランクづけがされている。もう国立大学がまさにそういうランクづけがされた中で、旧帝国大学を中心にした傾向と現在の地方国立大学の序列化と、この辺について、私は三年間の共通一次というのはまさに結果的にはそのことしか残念ながら生み出していない、そういうように思うんですけれども、この共通一次についての反省はいかがですか、現状に立っての。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 共通一次試験も本年で三回目を迎えるわけでございまして、私どもとしては、だんだん制度としては定着をしてきているというぐあいに考えておるわけでございます。御指摘の点は、一部において共通一次試験の自己採点によります成績といいますか、それを受験指導の参考資料として、各大学の難易度といいますか、それの判定に用いたりしているというところについて問題点があるという御指摘がなされているわけでございます。私どもとしては、この共通一次試験については、基本的には高等学校における通常の学習による達成度というものを評価するものでございまして、さらに各大学で二次試験等におきまして工夫をこらして、共通一次試験とさまざまな比重による組み合わせというようなことで総合的な判定を行うという考えで実施をいたしておるわけでございます。高等学校なり受験生自体の方がそこを十分理解をして対応していただくことが大事ではないかと思っております。  入試の問題について、いろいろな意味でいろいろな角度から取り上げられている点は承知をいたしておるわけでございますが、私どもとしては、この共通一次試験の制度、さらにいろいろ改善を要する点については今後も改善の努力を重ねていくということはもちろん必要なことでございます。しかしながら、基本的な考え方としては、ただいまの制度というのは、全体の受験戦争というものについて適正な入学試験を行って、本人の能力、適性を丁寧に評価をするというような意味では意味を持っているものというぐあいに理解をいたしておるところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 共通一次についてはずいぶんいま専門書が出ておりますね。ですから、もう三年間の共通一次の結果については私は論評は定着している、そう思いますよ。そして私立大学への影響と、特にまた高校への影響の問題ですね。まさにいま高校さえ全部この共通一次でランクづけされている。そうでしょう。あの大学は八百から七百五十までだ、こうなれば、もう高等学校の中でそれが全部ランクづけされるのはあたりまえじゃないですか。そして高校での到達度をどう見るかという問題は、いまや全く、結果として、残念ながら、共通一次の試験の内容さえ、高校での到達度を見るということとは違ってきているんじゃないですか。そして高校の正常な教育を守るというのが本来の目的であったはずでしょう。共通一次の当初のねらいというのは、受験準備あるいは受験地獄の解消、正常な高校教育の発展、こういうことにあったんじゃないですか。  ところが、いままさにそれは、局長、いまおっしゃいましたけれども、逆の状況を高校教育に与えているんじゃないんでしょうか。それから、私立大学にも影響を与えているんじゃないんでしょうか。だから、やり方は定着したでしょう。しかし、結果としては、まさに共通一次が生み出している弊害というものを真剣にやっぱり考えて、むしろ大臣、抜本的な大学改革の問題に私はつながっていくというふうに思いますよ。これはこの間うちの同僚議員からもありましたけれどもね、東大の学長の卒業証書の廃止という議論もありましたね。そういうようなことも含めまして、本来的には大学改革の問題にもう一度つながる、そういう議論をしないと、共通一次の弊害と日本の大学制度、これは教員養成制度にもかかってくるでしょう。そしてまた、高校教育への影響ということも出てくるでしょうから、時間もありませんので以上で質問を終わりますけれども、これらの問題につきまして、何か定着したからもういいんですという乱暴な話じゃなくて、まさに事態は大変な状況にあるわけですから、国民はこのことを注視しているわけですから、文部省の責任は重大ですよ。やっぱり教育というのは国家百年の大計ですからね。これは常に田中文部大臣もおっしゃっているんだから、まさに教育が百年の大計に見合うような抜本的な検討をぜひひとつお願いをしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 共通一次の問題につきましては、いろいろと功罪、いろんな御批判もあるかと存じますが、しかしながら、われわれは共通一次の実践ということは非常に意義のあることである、かように存じておる次第でございます。同時にまた、大学からずっと高校、中学、小学さらに幼児教育という一連の教育の問題でございます。やはりいろんな意味におきまして相関性のあることももちろんでございますが、なお一層制度の改正、改良につきましては努力をいたさなきゃならない、かように考えております。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時休憩      —————・—————    午後一時十一分開会

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、浅野拡君及び吉田実君が委員を辞任され、その補欠として江島淳君及び藤井孝男君が選任されました。     —————————————

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、休憩前にすでに質疑を終局いたしております。  この際、本案の修正について、本岡君、下田君及び大島君からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。まず本岡君。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私は、日本社会党を代表し、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明を申し上げます。  修正案の内容は、原案中、鳴門教育大学及び鹿屋体育大学の設置に係る部分を削除するものであり、その理由は次のとおりであります。  今回の鳴門教育大学は、すでに設置されている上越、兵庫の両教育大学と同趣旨のものであり、教員養成のあり方、現職教員研修のあり方において、既設の教育系学部・大学院との関係において多くの疑点があることは質疑の過程で明らかにされたところであり、むしろ、今後の教員養成、教員研修に弊害をもたらすものと信じます。  また、鹿屋体育大学については、社会体育・スポーツの指導者養成を目指すものとされていますが、このような指導者養成には、既設の大学の体育学部の充実及び社会に埋もれた人材の発掘、養成など地味な努力が必要であると思います。  今日、国の財政危機が叫ばれ、必要な文教関係予算の確保が困難になりつつあるとき、かような不要不急の大学新設には全く反対でありますので、原案から、両大学設置に関する部分を削除しようとするものであります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。以上。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 次に、下田君。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、国立学校設置法の一部を改正する法律案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されておる案文のとおりでございます。  ただいまより、その趣旨について御説明申し上げます。  第一に、修正案の趣旨でございますが、改正案中、鳴門教育大学の設置に係る部分を削除することです。  第二番目に、修正案提出の理由ですが、今回提案されております鳴門教育大学は、昭和五十三年度に設置された兵庫教育大学、上越教育大学と同構想のもので、主として現職教員の研究、研さんの機会を確保する趣旨を持つ大学院と初等教育教員の養成を行う学部を有する大学とされています。  わが党は、これら新教育大学の設置には、現職教員研修のあり方、また、大学院のあり方などを含めた教育制度全体に影響を及ぼしかねない重要な問題が含まれているので、慎重な審議による問題解明が必要であることを主張してまいりました。特に、現職教員の大学院派遣に際して教育委員会の同意を必要とする問題は、教育行政側による研修派遣者の恣意的な選択を招きかねないので、慎重な問題解明と適切な措置がとられるべきであることを強調してまいりました。実際、昭和五十三年の兵庫・上越教育大学設置について審議した参議院文教委員会において、「本大学の大学院に現職教員が出願するにあたっては、適正な手続・基準に基づく公正な運用を図る」との附帯決議がなされています。  ところが、今回の審議で明らかになった愛知県教育委員会の行政措置の具体例は、研修の自発性や研修機会の保障をうたった教育公務員特例法第十九条、二十条などに照らしても重大な問題点を持っており、大学の自治、入試の機会均等を制約するおそれもある内容となっています。  この愛知県教育委員会の派遣要項について、文部省は私の質問への答弁で、今後改善指導の用意があるとの態度を明らかにしておりますが、実際に改善されるとの保障もなく、また、愛知県教育委員会のような運用がそれぞれの都道府県教育委員会で行われないとの歯どめもなお明確ではありません。その結果、今回の大学院構想が、エリート教員づくりや教育現場の上からの管理統制強化に利用されかねないという従来からの疑念は払拭されるに至っておりません。  さらに、今回の鳴門教育大学の設置問題は徳島大学教育学部の改組問題と絡んでおり、徳島大学教育学部の将来構想が大学当局と文部省の間で具体的合意に達していない今日の段階で初等教員養成学部を持った鳴門教育大学の設置を決定することは、徳島大学教育学部の将来構想の検討に事実上のかぜをはめることになりかねない問題を含んでおります。  こうした問題点を持っている鳴門教育大学の設置については慎重な審議が必要であり、院生と学部生の受け入れ年度がそれぞれ昭和五十九年度、六十一年度と提案されている点からも、時間をかけての問題解明は無理なことではありません。  一方、千葉大学の人文学部改組や香川大学への法学部設置、滋賀医科大学への大学院設置や神戸大学への医療技術短期大学部併設などは、学生募集などとの関係から、鳴門教育大学に関する審議によって成立をおくらせることには問題があります。  以上の点が鳴門教育大学に関する部分の分離を要求したい趣旨でありますが、法案採決に当たっての技術的な問題もあり、削除する修正案を提出することになったものです。  各委員の御賛同をお願い申し上げ、提案の趣旨説明といたします。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 次に、大島君。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○大島友治君 私は、本案に対し、自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合の二会派共同提案に係る修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  修正案の内容は、原案の施行期日である本年四月一日がすでに経過しておりますので、これを「公布の日」に改めるとともに、これに伴って在学年数の計算に関する経過措置を定めようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) それでは、ただいまの三修正案について便宜一括して議題といたします。  三修正、案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに三修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、日本社会党を代表して、さきに提出されました日本社会党提出の修正案に賛成し、政府原案並びに共産党提案及び自民、民社共同提案の両修正案に反対する討論を行うものであります。  政府原案は大別して三つの内容から成っております。その一つは、鳴門教育大学及び鹿屋体育大学の創設であり、その二つは、既設大学の学部増設と改組、医科大学大学院や医療技術短期大学部の設置であり、三つには国立大学共同利用機関の整備にかかわるものであります。  第二の学部等の新増設については、地元の要請も強い地方国立大学の充実に関するものであり、また、学生募集をおくらせることには問題があることなどから、異議を差しはさむものではありません。また、国立大学共同利用機関にかかわる部分については、各研究機関の自主的な運営の確保、教官や技術職員あるいは研究経費の充足、国公私立大学等との協力体制の整備などを条件に賛成するものであります。  しかしながら、第一の鳴門教育大学及び鹿屋体育大学の創設については、以下に述べる理由から容認することはできません。  鳴門教育大学は、昭和五十三年度に設置された上越、兵庫の両教育大学に続いて、主として教員の現職教育を充実するという名目で新設しようとする新構想大学でありますが、わが国の教員養成制度の中でその意義はまことに疑わしいものと言わざるを得ません。  政府は、新構想の教員養成大学は鳴門教育大学が最後であるとしておりますが、既設の二大学と合わせてわずか六百人の現職教員に教育研究の機会を与えるにすぎず、しかも、本人がやりたい研究のテーマや方法、内容が十分に認められておらず、教員全体の資質のレベルアップにつながるとはとうてい考えられないのであります。それどころか、大学院に就学を希望する者には地教委の同意が必要とされるなど、入学者決定のシステムなどから見て、三大学における教員養成が地方教育行政の人事管理の手段とされ、いたずらに教育現場を混乱させるおそれさえはらんでいるのであります。事実、上越・兵庫両教育大学については、これら幾多の問題点が指摘されているところであります。  現在必要とされているのは、むしろ既存の教員養成大学、教員養成学部の教育研究条件の充実と、現職教員が主体的かつ広範に参加できる多様な研修機会の確保であります。しかし、現職教員を受け入れる既設の教員養成大学の大学院も、本年度新設のものを含めて八大学にすぎず、ある程度の進展は見られるもののまだまだ不十分であります。  現在のわが国の開放制教員養成制度は、戦前の師範学校教育の反省に基づいたものであり、今日ではすでに定着しているのであります。しかるに、政府・文部省は、現行制度の充実を怠ってきたばかりか、教育研究条件の劣悪さによる教育の諸問題を開放制教員養成制度ゆえのものであるかのごとくみなして、再び閉鎖的、画一的な教員養成大学を、巨費を投じて設置しようとしているのであります。  現職教員の再教育についての長期的な方針を持たないまま、また、既存の教員養成大学・学部との連携も明らかでない鳴門教育大学の創設には反対せざるを得ません。  なお、以上指摘した問題点は、上越・兵庫両教育大学が設置された八十四回国会の当委員会の質疑や附帯決議でも指摘されたものであり、そのほとんどが解決されていないことを強調しておきたいと思います。  次に、鹿屋体育大学の創設についても、必然性のあるものとは言いがたいものがあります。  まず、「社会体育の実践的指導者の養成」をうたっておりますが、需給計画などの疑問に対して文部省は全く答えを明らかにしておりません。近年、国民の体育・スポーツ熱の高まりは急激なものがありますが、それにこたえる施策としては、社会体育・スポーツ施設の整備はもとより、その指導者養成については、既設の各地域の大学の教育課程の充実、あるいは一般社会人の中からの人材発掘など抜本的な養成計画を確立することこそ必要であります。これらの施策についての措置を怠ったまま、卒業後の資格制度が明確でない単科体育大学一校を創設することがどれほどの意味を持ち得るか、はなはだ疑問であります。  第二には、青少年の体育・スポーツの指導者には、単に知識、技術を指導するだけでなく、生涯教育、社会教育に対する幅広い識見が要請されていることは言うまでもありませんが、人材誘致に困難が予想される僻遠の地に設立される小規模のしかも単科大学において、果たして、適切な教育、研究が保障され得るのかどうか、はなはだ疑問なしとしないところであります。また、入学定員百四十名のうち、体育・スポーツ課程八十名に対して六十名を武道課程としておりますが、武道をあえて体育・スポーツ課程の中から切り離し、その専門家を養成しようとする意図にも不明瞭なものを感ぜざるを得ないのであります。  以上指摘したようなあいまいな性格を有する体育大学を、財政が逼迫し、文教関係予算の確保が危うい状況の中で、しかも巨費を投じて創設することには反対せざるを得ないのであります。  鳴門教育大学の設置にかかわる部分のみを削除すれば足りるとする日本共産党提出の修正案では不十分であります。  以上述べました理由から、新構想の二大学の創設にかかわる部分を削除する日本社会党提出の修正案に賛成し、政府原案、日本共産党提出及び自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の両修正案に反対することを表明して私の討論を終わります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する態度を表明して討論を行います。  わが党提案の修正案に賛成し、政府原案に反対いたします。  この法律案には、わが党が賛成できる部分と反対する部分がともに含まれています。一括して採決される可能性もありますので、それぞれの部分について、わが党の態度を明らかにして討論いたします。  まず第一は、地方大学等充実のための千葉大学人文学部の改組による文学部及び法経学部の設置、香川大学の法学部設置、滋賀医科大学の大学院設置、神戸大学への医療技術短期大学部併設は、国民及び大学関係者の要望するものであり、積極的に賛成いたします。  第二は、宇宙航空研究所の廃止及び宇宙科学研究所の新設を初めとした国立大学共同利用研究機関の設置についてでありますが、これらの機関が全構成員の声を民主的に反映して運営されるよう文部省として十分配慮することを要望するとともに、特に宇宙科学研究所については、平和利用、自主、民主、公開の原則を運営の基本に据えることを強く要望するものであります。  宇宙科学研究所の業務の一つには、米航空宇宙局(NASA)との協力がうたわれております。NASAの「スペースシャトル計画」の中には公然たる軍事利用計画が含まれています。  よって、文相は、宇宙科学研究所が平和利用の目的に限ると確約されていますが、なお、私は軍事利用の危険性を指摘するとともに、今後、国際研究協力においても平和利用に徹することを改めて主張するものであります。  第三は、鹿屋体育大学ですが、武道課程の設置をこの新しい大学の特徴としています。  既存の地方大学の体育学部の新設を図るのでなく、なぜ新構想の単科大学方式をとるのか、私は理解できない点もあります。その運営、教育内容などについても、資料不足で不明な点が多くあることを指摘しておきます。  わが党は、わが国の伝統的スポーツである剣道、柔道などの武道について、他のスポーツと同様に重視し、その振興、発展を図ることは重要なことであると考えます。したがって、鹿屋体育大学における武道の教育研究が、「真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす」とした教育基本法を初めとする教育の民主的原則にのっとって行われることを希望するものであります。  鹿屋体育大学は、今後、問題点を慎重に検討することを前提として、武道を含めた体育指導者の養成を民主的に推進し、体育・スポーツ分野における科学的な研究、教育の発展を図る立場から設置されなければなりません。そして、全教職員の声を尊重することはもちろん、全国の体育教育関係者や国民の英知や要求を結集して、国民の期待にこたえる大学として発足すべきだと思います。  したがって、今後わが党は、この大学の運営、教育内容に関心を持って、その民主的発展のために、国会でも引き続き追及していきたいと考えています。  第四は、鳴門教育大学の創設であります。これには賛成できません。  現職教員の研修の保障は、教育公務員特例法の第十九条、第二十条からも一層促進されなければならないことは当然であります。しかし、今回の鳴門教育大学の設置は、兵庫・上越両教育大学と同様、現職教員の大学院を受験するに際しての教育委員会の同意が悪意的に行われるのではという懸念が何ら解消されていないからであります。  その危惧の念は、私も質問いたしました愛知県教育委員会の研修要項に見られますように、現実、的なものとなっています。このことは、教員の創意ある教育活動に必要な自主的な研修を妨げるという点からも、また学生の選考等に関する大学の自治という点からも問題があります。  また、新教育大学の構想が、昭和四十六年の中教審答申に示された上級教員づくりの構想を背景にしたものではないかという国民からの批判に対しても、何らそうでないという明確な歯どめがないこともあわせて指摘をしておきたいと思います。  鳴門教育大学と徳島大学との関係については、徳島大学の意向が十分尊重されるべきであります。  以上述べました理由から、本法案には賛成すべき部分もありますが、一括採決に当たっては、総合的判断から反対の立場を表明いたします。  したがいまして、わが党の修正案に賛成、政府原案には反対の立場を表明し、討論を終わります。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、本岡君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 少数と認めます。よって、本岡君提出の修正案は否決されました。  次に、下田君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 少数と認めます。よって、下田君提出の修正案は否決されました。  次に、大島君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 多数と認めます。よって、大島君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  勝又君より発言を求められておりますので、これを許します。勝又君。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、ただいま可決されました国立学校設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  政府及び関係者は、左記事項の実現に特段の配慮を行うべきである。  一、現職教員の研修については、本人の自主性を十分考慮するとともに、既設の大学・教育研究センターにとどまらず、さらに多様な研修の機会の拡充に努めること。  二、鳴門教育大学の運営に当たつては、第八十四回国会における本委員会の附帯決議の趣旨を尊重するとともに、徳島大学及び地元小学校・幼稚園との連携協力にとくに留意すること。  三、社会体育・スポーツの施設の整備拡充に一層努めるとともに、その指導者の養成については、社会に埋もれた人材の活用に努めること。  四、鹿屋体育大学については、体育・スポーツ技術の教育研究のほか幅広い生涯教育の識見、教養を備えた人材の養成を図ること。  五、国立大学共同利用機関の運営については、第六十五回国会における参議院及び衆議院の文教委員会の附帯決議の趣旨を尊重し、とくに教官、技術職員等の充実及び研究経費の確保を図るとともに、国公私立大学等の研究者の利用体制を一層整備すること。  右決議する。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) ただいま勝又君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 全会一致と認めます。よって、勝又君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田中文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中文部大臣。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしてまいりたいと存じます。  ありがとうございました。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のるあ方は順次御発言願います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、三月二十三日の予算委員会で質問をさせていただきました児童生徒の非行、校内暴力の防止の問題、これを学校からなくしていく問題について、いまからこの文教委員会として掘り下げて、文部省の積極的な取り組みを要請したいと考えます。  そこで、文部大臣にお伺いしたいんですが、文部大臣の所信の中に、児童生徒の校内暴力の問題について触れている部分がございます。そこを読み上げますと、「校内暴力等を防止するためには、まず第一に、教育関係者が学校教育の現状について謙虚に反省し、この問題に積極的に取り組むことが肝要でございます。」と、このように述べられております。私もこのとおりだと思いますが、そこで、「教育関係者が」と書いてある「教育関係者」とは、一体具体的に言えばどういう人々をあるいはどういう組織を指すのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 最近の児童生徒の校内暴力等の非行事件が増加しておることは、まず冒頭にまことに遺憾であることを申し上げたいと存じます。  学校は、教師が心身の発達過程にある児童生徒の訓育指導をする場でございまして、このような教育の場において暴力事件が発生いたしますことは本来あり得べからざることでございます。まず、学校において、学校長以下の全教師が一体となって、全力を挙げて真剣にこの問題に対処することが肝要でございます。さらに、家庭や社会におきましても、それぞれがその責任を十分に自覚いたしましてこの問題に取り組まなければ相ならない、かように考えますが、文部省といたしましても、各学校における生徒指導を充実し、人間性豊かな児童生徒の育成が図られまするように、今後ともに努力してまいる所存でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 皆さんも聞いていただいたと思うんですが、私はあのような答弁を何も要求していないわけです。大臣、私の質問に答えていただけませんか。だれがそのような答弁を書いたか知りませんけれども、私は、質問を予告するときには、正確に、「教育関係者」とは一体どのような人たちかということを答えてくださいということを申し上げている。長々と校内暴力の問題の現況の概略を報告してもらうことなどを何も求めてないんですよ。ちょっと困りますね、これは。委員長、困ります。正確に答えるようにひとつ言ってください。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 速記を起こして。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 「教育関係者」というものは、私の申し述べましたことは、およそ教育に関係のありまする、学校当局はもちろんのことでございますが、校長さん以下全教師の方々が一体となってということでございまするし、同時に、それと関連をします、家庭もありますればあるいは社会関係もございましょう。そういう意味におきまして、これは関係者というのは全部をひっくるめて申し上げたいと存じます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 まあ私の想像したとおりでございまして、いま答弁の中で出てきましたのは、学校関係者、校長初め、それから家庭もありましょうし、社会もありましょうし、しかし一番肝心なのは、教育行政に携わる者ではないかと私は考えます。とすれば、文部省、教育委員会というその中軸に座るべき組織の方々は教育関係者ではないのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それは当然なことでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 当然だでは済まぬと思うんですがね、私。当然では済まされない問題だと思う。そこに何か文部省の発想というのが、自分たちの責任の問題をたな上げにして、学校、家庭、社会というところにその問題の責任を持っていく。何か部外者のような立場に絶えず立とうとする、そのあらわれがいまの文部大臣の答弁ではなかったかと私は思うんですが、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 全く違います。まずもって責任を持っておりまする文部省、それから教育委員会はもちろんのこと、校長先生以下ということでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そこで、いまおっしゃるとおりのことを素直に読みますと、「教育関係者が学校教育の現状について謙虚に反省し、この問題に積極的に取り組むことが肝要でございます。」と、このように述べてあるのですから、まず「謙虚に反省し」という事柄について、一番謙虚に反省しなければいかぬのは教育行政のかなめにある文部省であろうと思います。それでは文部省は、これ、どのように謙虚に反省されているのか、ここでお伺いしたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 青少年の非行が近年増加をしてまいっておりますし、特に校内暴力、さらには教師に対する暴力事件が顕著になってきておるということでございまして、これは先ほど大臣から申されましたように、本来教育の場でこういうことがあってはならない事柄でございますので、私ども文部省といたしましては、これもたびたびほかの場でも申し上げておりますが、学校というものが、やはり教師と児童生徒の間で本当にしっくりした教育の場としての、あるいは教育環境としてのいい状況に持っていかなければならないということで、特に直接関係がありますのは、これは全部の学校の指導というものがかかわりありますけれども、直接にはやはり生徒指導でございますとか、あるいは道徳教育の部面でございますとかが非常にウエートがあると思います。そういった事柄につきましても、従来、平素のやはり体制づくりと申しますか、状況づくりが必要であるということで、各種の指導資料をいろいろと作成をしましたり、あるいは講習会、研修会等も催して、この面における教員の専門的な資質の向上にも努め、それから、これは研究指定校制度でございますとか、生徒指導推進地域というものの仕組みもつくりまして、数個の学校をくるめ、あるいは地域もくるめてのこの問題、こういった問題に対する対応をやってきたわけでございます。  さらに、これは特に非行を、起こったから防止するという、そういう抑制面、消極面だけではなくて、平素から子供たちが生き生きとした学習ないしは生活を送るようにという積極面をもねらって進めてきたわけでございますけれども、これらがなおやはり十分でなかったということも考えまして、やはり不十分な点はさらにこれを充実していく必要がある。  それから、大臣も申されましたが、やはり文部省や教育委員会が当然この部面についてのいろいろな協力の措置を考え、かつ指導助言もいたしていかなければなりませんが、何と申しましても、現実に子供たちを訓育、指導してくださっておるのは校長以下、先生方の学校の現場でございますので、学校の現場におけるまた一段の努力も要請しなければならない、こういうふうに反省もし、考えなければならないと思っておるのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部大臣、学校の教育現場の教職員がとにかくがんばらなければいかぬと。そのとおりだと、私もそう考えます。しかし、現場の教育の諸条件が非常に困難な状況にある中にあって、現場の教職員に、がんばれ、しっかりやれという激励、また、いろんな困難に立ち向かっていく勇気、こういうものを持たしていくためのやっぱり文部省の責任というものがぼくはあると思うのです。それはいま三角局長も言われたように、現場の校長以下の教職員にそうした勇気と自信を与えていくそういう教育環境、また生き生きとした教育現場づくり、そうしたものについての文部省の積極的な教育行政の立場からの支援体制、こういうものがあってこそ、現場の校長以下の教職員集団も積極的に——ここに述べられているようにこうした社会問題化した非行あるいは校内暴力、家庭暴力を含めて、あってはならないこうしたさまざまな諸問題の解決に当たっていくのだろうと思うんですが、そのことについてひとつお答えをいただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変抽象的な御質問なので、具体的にどういうことを申し上げてよろしいか、まことに広範多岐にわたる御意見だろうと思います。それを個々の問題を総合いたすことによりまして現場の先生方を勇気づけ、そうして積極的に教育に対する熱情を持っていただく、かような次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私がそれをいま言いましたのは、この前の文教委員会で質問をさせていただきました青少年問題関係閣僚会議——これはまだ仮称のようですが、この設置が検討されている。文部大臣もこの中に入って青少年問題について積極的にかかわるようになります。そこで、まことに失礼ですけれども、文部大臣のその心構えのようなものについて要請を私はさしていただいた、こういうことです。  そこで、新聞の報道によりますと、青少年問題関係閣僚会議の設置がされますと、そこでの主たる論議が、国家が期待する青少年像の理念確立に向けて何か協議がされるのではないかというふうな報道がなされておりますが、そうしたことがこの青少年問題関係閣僚会議の中の主要な討議になるんですか。文部大臣にお伺いいたします。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の青少年問題関係閣僚会議がまだ設置されたわけではございません。実は、内閣の総務長官の方から、国家公安委員長と私を含めた三者で青少年の健全育成に関しての問題について意見交換をいたしたい、こういう申し入れを受けたわけでありまして、近いうちに会合が持たれることと存じます。しかしながら、この会合では、それぞれの立場からの青少年の健全育成についての率直な意見交換をすることになるだろう、かように考えておりますが、どういう内容のものか。そもそも国家公安委員長とそれから——これが一番最初でありますが、総理府の総務長官とが非行少年等々のたくさんおります現場を視察なさいまして、これは予算委員会のときにお話があったと思います。それで見てきたところが、これは非常に重要であると、文部大臣も含めてひとつ三者会談を持とうじゃないかということの発想で、総務長官から——これは青少年対策本部長でございますから、私の方に三者会談の要請がある、こういうことでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 要請ですが、これは設置されるのでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 三者会談は、閣僚会議を持とうということでございまして、まだ持っておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 くどいようですが、これが設置されるということは、政府というのですか、閣議、そういうところで決まったのではないんですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それは誤解でございます。新聞にいろいろと出ておりますけれども、まだ設置されておりませんし、申し入ればまだ正式にも来ておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それならそれで結構なんです。  そこで、もし今後こうしたものの設置に対する話し合い等があるときには、私は新聞がずっと報じていることは非常に重要だと思うので、ぜひ文部大臣にこのことをよく考えておいていただきたいと思います。というのは、新聞等の報ずるところは、やはり非行防止策というものに絡めて、かつて期待される人間像というふうなものがよく出てきましたが、今度は国家が期待する青少年像というふうなものをそこを通して打ち出されて、道徳教育の強化、それから何か価値観をある一つのものにまとめ上げていこうとする動きがあると、そのことが心配だと新聞も述べております。私もこれは、もしそのようなことになれば大変なことだとこう思うわけで、それはイコール教育基本法の見直しあるいはそれの改定というところに結びついていくことも考えられるわけで、絶対そういうことであってはならないと思うのですが、教育基本法のそうしたことの絡みの中での見直しとか、あるいは国家が期待する青少年像をここでつくっていくというふうな事柄、私はあってはならないとこう思うのですが、文部大臣の見解をお伺いします。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) この会合では青少年の健全育成という観点からの意見交換でございまして、私どもは教育基本法の見直しというふうな論議はいたす考えはございません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは文部大臣、まことに申しわけありませんが、ひとつ文部大臣も中学校の教師になったつもりで、ちょっと私の質問にお答え願いたいんですが、まあ新聞で子供たちの非行、暴力の問題を切り集めておりますともう大変な分量になるのですね。そこに、現場の教職員や親、教育委員会の悪戦苦闘の物語が出ております。絶対一つの視点では解決のできない根深いものがあります。  そこで、私がここを職員室というふうにして、文部大臣にいま校長先生になってもらって、いまのような事例があったときにどう生徒に対応されるかということです。少年院等に送られたいわば突っ張った子供、絶えず学校の中で問題になっている子供が、たまたま学校にふらっと来て、ぜひ自分の気持ちを先生に伝えたいと思ってやって来た。英語の時間、担任の教師は英語を一生懸命教えている。窓の外でこつこつとたたいて先生に合図する。先生は、ああ珍しい者がきょうは来とるなと、こう思う。そして、とにかく授業をやめてはならぬと思うけれども、「ちょっと待て」と言ってやめて、「何や君」と言ったら、「先生ぜひ話したいことがあるんや」と。そこでその先生は、「いま私は授業中や、だから三時間日になったら君と話す時間ができるから待ってくれ」と、子供の顔は緊張して引きつったような顔になっておるけれども、こちらの四十何人の子供を待たすわけにいかぬので、「そうしてくれな、ええな」と言って授業にかかって、そして三時間目の授業の合間にその子がいたから「君どうだ」と、その子は「先生もうええねん、もうええ」と言って、何を言っても取り合ってくれず、すっと出てしまった。その先生の心境、私もそのときはそうせざるを得ぬと思うのですがね。そのときにその先生はどうしたらよかったんでしょうね。その子はその後もう言わず語らずで、その先生はどうしてもとっつくことができなくなってしまったんですがね。文部大臣、あなたどうされますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いま先生の学校の御体験による非常に貴重なそういうふうなお話がありました。何はともあれ、非常に多感な年齢を迎えたそういうふうな子供さんたち。まあ一方において、片方は正規の授業をいたしておるのでありますから、それを放てきしていくということは事実上できない。そういうことからいたしましても、本当にやっぱり一人一人の子供さんに対して愛情を持って対さなきゃならないけれども、やはり筋は筋で立てていかなけりゃならないと私は思います。そういうことから申しまして、そこに当該生徒の訴えに対しまする非常に心の痛むような問題が一方にありながらも、それがやっぱり教師としてのむずかしい立場だろうと、こういうふうに思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そのむずかしい立場がわかっていただけたらいいんです。私も、そのときは「待ってくれ」と言ってその残っておる子供たちの英語の授業を続けたと思います。  もう一つ、こんな例もあるんです。あす私学の受験を控えて、先生は職員室でみんなそれぞれ願書に、その学校、その子供のいわゆる調書をつくっているわけです。就職する子供が飛び込んできて、「先生、おれの相談に乗ってくれ。」その先生は、「ちょっと待ってくれ」と、「おれ、これ書かなんだらあした私学に行く子供の調書書かれへんねん、ちょっと待ってくれ」。その子供はしばらくそこに立っとって、「そうか、どうせ私学へ行く子の方が大事ねんやな。まあいいわ、先生」と。先生はそのときに気がついて、これは大変なことしたと、さっと後追いかけていって、「君」と言ったけども、「もういいんや、もう先生私学へ行く子のことしたらいいんや。どうせわしら就職するもんやでな」と言って、一人の子供を逃がしてしもうたというんですね。私もそのとき、あした私学に願書書かないかぬというときになると、やっぱりその子供に対してそういうことを言ったんじゃないかと思うんですね。これは文部大臣に聞かなくても、先ほどと同じような答弁をいただけると思うんですが、やはり現場はこういう中で対応しているんです。だから、現場の教師が子供が非行に走ったり暴力したり、起こっていく状況を単純に判断することは大変な間違いを起こすということで、私は例示として申し上げた。  そこで、文部省にこれからこの問題でお考え願いたいんですがね。この間NHKの放送がありました。「非行ゼロ、横須賀池上中学校」ということで、一時間にわたって八時から九時という時間帯、まさに一番視聴者の多い時間帯にわざわざそれを取り上げて、私初めからおしまいまで見ました。突っ張った子供が最後卒業していくところを見て、私も涙がこぼれました、その学校の先生の大変な取り組みに。しかし、長くここでその実例を取り上げる時間がありません。そこで結論だけ言いますと、そこが非行ゼロにしたという大きな柱が二つあったと思うんです。一つはその学校の主人公が子供であったということですね。その学校で起こった非行とか暴力とかさまざまなものを解決するのに先生が中心になっていなかったということ。子供が自分たちの問題として、これはおれたちの学校だという、学校の主人公は子供たち、生徒だということで、子供たちが池上中学憲章ということで憲法をつくって、そして生徒会で、もう五時になろうと六時になろうとある一つの問題が解決するまで徹底的に論議して、そしてお互いに進学の中で大切な一時間だけれども、このいま盗みをした子供をみんなで立ち直らせなきゃいかぬという。先生は横でじっと時間をかけて、その生徒が立ち上がっていく姿を見守っている。職員室に行くと、生徒がたくさん来て、先生と一緒になってがやがや自分のクラスのこと、友だちのことを真剣に考えている、そういう学校であったんです。そしてその姿は私は管理体制というんですか、管理社会化された学校の様子でなく、まことにその教師も子供たちも、自発的に、自主的にその事柄に自分の問題として取り組んでいく姿を私はそこで見ました。  だから、文部省のこうした非行、校内暴力、そうした事柄に関してのやはり指導方針というのは、学校を社会にあるような、そういう管理社会化というものをそのまま学校に移さないで、子供たちの持っている力、教師集団の自主的な力、とうしたものが積極的にいまある非行、暴力問題等に立ち向かっていけるような教育環境、教育条件というものを育てていくこと、これ以外には私はないのではないかと、 このようなことを思います。だから、政治の場が携わるというのは、結局、だれが悪いのやと、もちろんそれぞれの責任はあるにしても、文部行政の、あるいは政治の立場からのかかわり合いというものはそういうところではないかと私は考えるんですが、文部大臣、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私は実は「非行ゼロ」というのは、ちょうど委員会の作業がございまして残念ながら見ることができませんでしたが、ただいまの先生の池上中学校の問題でございますが、たまたま生徒同士がその非行の問題についてみんなが一致して取り組んで、そうして先生は静かにそれをながめておられて非常にいい結果を誘導されたと、こういうことだろうと存じますが、私はその問題は、その先生というのは実にりっぱな、そうして多分体験豊かな、本当に生徒の心を把握し尽くした先生であったろうと、かように思うのでございます。しかし、そのような本当に十全を期したような先生と生徒との関係というものは、これはもちろん一朝一夕にできるものではないのでありまして、先生の長い御体験なり非常な貴重な高度の教育性と申しますか、人格と申しますか、によってでき上がる。その姿をすべての学校に、すべての教育にそうやってできるということは私はまた望みがたいことじゃないかと。つまり、管理体制というものをもって組織的に学校の運営を図っていく、また校長先生と各先生が一体となり、さらにまた本当に愛情を持って生徒さんの心を包んでいく、こういうふうなこと。その先生のような「無為にして化す」といったような、孔子みたいな仏様のような先生はなかなか少ない。そうすると、次善ではありますけれども、やはり管理体制という組織を持って教育をしなきゃならぬ、こういうことになると。私はその先生は実にりっぱな先生であり、またそうありたいと存じますが、百の学校が百そういうふうなことができるものでは私はまたあり得ない。レアケースであろうと思うんです。しかし、その先生の姿なり学校の姿はこれは評価いたします。しかし、それはやはりそうばっかりはいかないということもまた御理解をいただきたいと思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 何も仏さんのような先生がたくさん集まっているからそうなったのじゃなくて、私はやっぱり学校というものの基本というのは、これは小学校は少し無理でも、もう中学校であれば、高等学校、大学のように学校の自治というものを基本に据えた運営というものが基本になければならない、このように申し上げているわけです。だから、その学校も、何も仏様のような人が「無為にして化して」やっているわけじゃない、もう必死になって先生はやるだけのことをやって、そして最後は生徒の力にまつと、こうやっているんですから、仏様じゃないんですよ。それは生きた人間ですよ。だから、そういう教師の活力が生まれてくる源泉は何かということを私は申し上げています。それはやはり学校は私たちで責任を持たなければならないという、文部省も言っているように学校しっかりぜいという、その根源が学校の自治、そこに教師集団が管理体制の中でやらされるんじゃなくて、自分たちがやらなければならないという、そういう自発性が学校の自治というふうなものの中から出てきているんじゃないかということを私は見てとった。だからそれをやはり大事にするということを、これからのこうした学校の中のさまざまな問題に対する解決の方法として文部省はしっかり考えてくださいということを申し上げたんです。よろしゅうございますか。文部大臣、わかっていただけましたか。——もううなずいていらっしゃいますから、わかっていただいたということにします。  そこで、そういう先生なり教職員なり、親なり子供たちに勇気を持たせるというのですか、励みを持たせる、自信を持たせる、そのことが予算委員会の中で私は参考人に来ていただいて御意見を述べていただいた二つの柱であると見ています。その一つの柱が、文部省よ初心に返れということであります。二つ目が、子供たちにとって本当に楽しい学校にしてやってほしいという願いであります。これがまさに文部省の取り組むべき重大な二本柱であろうと考えますが、その文部省よ初心に返れというのは、新制高校が発足した当時の文部省のお気持ちどおりにやっておれば、今日の受験戦争もなかっただろうし、子供たちの非行あるいはさまざまな暴力というふうなこともここまでならなくて済んだんではないかと、私もそう考えます。  そこで、その文部省の新制高校発足時の「初心」とは一体何であったのかということを改めてここで申していただきたいんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) この御質問は、恐らく高等学校の教育の機会をどういうぐあいに広げていくかということであろうかと存じますが、戦後の新制高校の発足の当初におきましては、やはり教育の機会均等という理念に基づきまして、当時としては、できるだけ多くの者に高等学校教育の機会を与える、そういう観点から、高等学校の整備というのに非常に努力を傾注したわけでございます。当時におきます高等学校への進学率は全国平均でもまだ四〇%台そこそこでございまして、こういった段階では、やはり高等学校教育の普及を図るという観点からも、できるだけ希望する者に対してはこれを入学させるという方向で対処しようと、こういうことで、それを一つの理想とするそういう方針があったわけでございます。ただ、その後、高校の整備が次第に進みまして、進学率も上昇するにつれまして、やはり高等学校というものが責任を持って教育に当たれるように高校独自の選抜を行うべきだという考え方が強まってまいりまして、学力検査を入学選抜に実施するということが一般化してまいったわけでございます。  文部省といたしましては、こういった現状を踏まえまして、昭和三十八年に学校教育法の施行規則を改正いたしまして、高等学校の入学選抜に当たりましては、志願者が定員を超過すると否とにかかわらず学力検査を実施するということを原則としたものでございまして、この年の進学率は六六・八%と、こういう状況の変化もあったわけでございます。その後も、御承知のとおり進学率の上昇は続きまして、文部省といたしましても、なるべく多くの者に高校教育の機会を与えるために、いろいろな行政の手段も講じまして高等学校の整備に積極的に取り組んできたわけでございます。結果として今日進学率が九四%を超えまして、また、進学希望者の九八%が入学をしておるということでございますので、高等学校の現在の状況並びに実態は、これが発足当初の昭和二十年初頭の時代とは全くいわば様相を異にしておると、こういうぐあいに考えなければならないと思っております。  現在そういうことで、高等学校はいわば大部分の青少年を教育する非常に一般的な教育機関としての役割りを非常に強めておるわけでございますが、したがいまして、やはり今後の生徒急増ということも控えておりますので、いろいろな手だてはなお続けていかなければならない。それから、社会的な移動による必要な整備ということもございましょうし、それから、地域によりましてはなお平均の進学率に比べますと開きがある地域もあるわけでございます。  ただ、結論的に申し上げますと、やはり非常に多様なこれだけ大ぜいの子供が参りますと、その子供の状況は非常に多様でございますので、私どもとしては、やはり高等学校の教育の内容と機会をなるべく多様化する。それから、高等学校に参りませんで、就職をしたり、あるいはその子供の適性等から考えて専修学校を希望するという子供もかなりな数いるわけでございますので、そういった能力、適性進路等の多様な青少年にできるだけ意義ある教育を提供するということが重要であると考えてございますが、いわば初心に返れという、「初心」というのを高校全入というふうにお考えになっているとすれば、私どもは高校全入ということは、そのこと自体をこれまで申したこともないわけでございまして、そういったことよりは、やはりいま申し上げましたような意味合いでの多様化した機会を用意するというふうに考えて事柄に処してまいりたい、こう思っているわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 全入という言葉は使っていないですよね。しかし、この昭和二十六年九月十一日の文部省のこの文書によると、「現在の高等学校は義務制でこそないが、国民全体の教育機関として、中学校卒業者で希望する者はすべて入学させることを立前とし、」こう書いてありますが、このことは、言ってみれば国民の教育機関、そして希望者をすべて入学させることを「立前とし」と——たてまえと本音という言葉がありますけれども、「立前とし」と書いてあるということは、やはりその考え方というのはここに出ている、こう考えるんですが、いかがですか。これは文部省の文書ですよ。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) でございますから、先ほども申し上げましたように、まだ全国でも進学率自体が四〇%にすぎない時代でございますし、希望者というものもいまのような数字ではなかったわけでございます。当時の状況下におきましてはできるだけこれを高等学校に収容するという方針で臨もう、こういうふうに考えたのであろうと思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 しかし状況は、いま局長も言われたように、希望者の九八%が入学しているというんですね。その上での九四%ということです。だから、条件は逆に昔よりもいまの方が国民全体の教育機関としてということが整っているんじゃないんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 結果的に見ますと、いまおっしゃいますように、ほとんどの、非常に多くの青少年が入っておると、一種の国民的教育機関と申してもよろしいかと存じますが、やはりこれは、高等学校教育は義務教育ではございませんし、それから、先ほども申し上げましたように、いろいろな意味で多様な教育内容あるいは形態、これをできるだけ各都道府県で工夫して用意をしてもらうということもございますので、それぞれの高等学校になるべくその高等学校の状況に見合った生徒を受け入れていくという意味もございまして、これはやはり現在、先ほども申し上げましたように、入学選抜の制度というものをとっておるわけでございまして、一方におきまして、先ほども申し上げましたが、専修学校、各種学校等の教育機関もございますし、それからなお、高等学校におきましては約三割を私立学校に依存しておりまして、それを入れました上での九四%という状況もございますものでございますから、希望者もう九八%だからあと二%の話ではないかという御趣旨かと思いますけれども、二%だからそれでは直ちにどうこうする、こういうふうにはいまのところ申し上げられないのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 その私学の問題も含めて、もうこの段階までくれば、希望者が全員高校へ入学できるということを制度的に保障をしてやらなければならないんじゃないですか。無理に私も義務制にして高校にということは考えません。しかし、就職する子供があっても、その子供にもやはり高等学校で勉強する権利というものを与えて、やがてそういう状況が出たときには高等学校で勉強する機会を与える、こういうふうなことを保障しながら、国民の教育機関としての高等学校像というものの検討を始めなければ文部省として手落ちではないか、このように申し上げているんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これまでもやってまいりましたが、私どもとしては、今後とも高等学校教育についてはできるだけ適性、能力に応じて希望する者の就学の機会を確保していくという方向で整備を図っていきたい、こういうふうに思っておりますけれども、希望者全入とかあるいは義務制とかいうことになりますと、教育上も行財政上も種々問題がございますので、そういった意味で、それらのことについては現行の方式を改めるということは困難である、こういうふうに申し上げざるを得ないのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 この当時からずっと言われているんですが、受験地獄とか進学競争とか、こうしたものを解決する方法というのは、結局試験を廃止するという以外ないと文部省もはっきりここに言っておられるわけで、そういう意味で、それではいまの受験戦争、受験地獄、中学生が中学教育の名のもとに振り分けられていく、輪切りにされていく、そうしたことから中学生を守ってやる方法、文部省としてはどうすればいいとおっしゃるんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 入学選抜のやり方というものは、これはなかなか容易なことではないのでございますけれども、いろいろな工夫をして各都道府県の教育委員会でもその改善を逐次見直しながら図ってきてもらっておるということで、調査書の活用でございますとか、あるいは学校によりましては推薦制の導入でございますとか、あるいは試験科目の決め方あるいは試験問題のつくり方、あるいは学区制の決め方とかいろいろあるわけでございます。これは本岡委員御出身でございますから私よりもよく御存じのことであろうとは思いますけれども、ただ、これはやはり先ほど来申し上げておりますように、それぞれの高等学校が、やはり輪切りとか何とかでなくて、受け入れた子供たちに、先ほどもおっしゃっておりましたが、学校が非常に充実した学習及び生活の場になるような学校、子供たちが非常に学校の生活がおもしろいといいますか、興味があると、そういうように持っていきますためには、やはりそれぞれの学校が、いろいろな教育課程なり教育活動のあり方なり、それぞれ特色を持って多様な用意をしていくということが一方において必要でございますので、その用意に応じて、やっぱり子供たちについても、どういった子供たちをそこへ受け入れていくかということがあろうかと存じます。そこに一種の競争というようなことが現実問題として出てくることは当然あるわけでございますけれども、それが非常に一種の競争のための競争ということじゃなくて、いかにこの九四%という多様な能力、適性の子供たちを、的確にそれに合った高等学校が受けとめていくかという、そういう営みがどうしても必要であるということでございますので、試験地獄とか何とかということではなくて、むしろ、高等学校の多様な教育が実際にしっかりと機能しますような方向でやはりこの入学選抜ということを検討し改善を図っていかなければならない、そういうふうに思うのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 多様な教育で失敗をしているじゃないですか、文部省は。多様化教育というのはもうすでに破産していますよ。だからいまのその受験地獄が起こっているんじゃないですか。いまの三角局長の言葉は責任を持ってもらいたいですね。これから何年か後、それではあなたのおっしゃっているいまの高等学校が新しい教育課程のもとで多様化政策を持っていく、それで受験地獄、受験戦争は解消するかせぬか、その結果を待たなければならないけれども、しかし、その渦中にほうり込まれた子供はたまりませんね。何遍も同じ過ちを繰り返す、私はこういうことはしてはならぬと思いますよ、文部行政は。多様化政策はもう昭和四十年代のときに破産しているじゃないですか。もうここでちょっと時間がありませんから、そのことのやはり警告を私は発したいと思います、子供たちのためにも。  そこで最後に文部大臣にお伺いしますが、六三三制の見直しというふうなことまでまさかお考えじゃないんでしょうね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私はただいま考えておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 自民党の中では、その多様化政策の中の柱として、かつてのように、小学校から中学進学に当たっての試験をやらして複線の教育に戻そうという試みがありますが、文部大臣は自民党の方でございますが、文部大臣としてそのお考えはない、このように明言をしていただけるんですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げたとおりであります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、教科書の問題を若干時間のある限りちょっと質問したいんですが、予算委員会でこの教科書問題がずっと論議されて、最後に鈴木総理大臣が、「文部大臣を中心に政府部内におきまして十分調査検討をいたします。」「検討の結果によって措置いたします。」というふうなこの教科書問題に対する答えを出されているんですが、その教科書問題について、政府部内、閣僚の中で調査検討が始まっているのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) これは誤解がないように申し上げておきますが、九日の日の参議院の予算委員会におきましての玉置議員の御質問に対する総理の答弁であったと思います。教科書の問題についての「文部大臣を中心に政府部内におきまして十分調査検討をいたします。」というものでございます。教科書を含めまして教育に関しまする問題は、政府といたしましても真剣に取り組んでいかなきゃなりませんが、このことは教育基本法の第十条に違反しないものと考える、その限度でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 だれもそんなこと尋ねてないでしょう。調査が始まっているかいないかということを聞いたんですよ。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御心配は要りません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そこで私は、いま教育基本法十条に触れないものと思いますと言って先回りして答弁なさいましたけれども、しかし、鈴木総理が閣議でそのことを取り上げて、ここでは閣議のことでしょうね、恐らく、「政府部内」というのは。どうですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 鈴木内閣のいろいろな行政は、すべて閣議の場だけで行われるものではございませんし、また鈴木総理大臣から、その命によりまして教育文教政策をお預かりいたしておりますのが文部大臣でございます。でございますから、私のいたすことは即鈴木内閣のことだろうと存じますが、それはいま具体的に閣議でどうこうするというようなことではございませんでした。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私の見解は、教科書の内容の具体的なものにかかわって、つまり玉置委員がいろいろ教科書の具体的な中身を申しておりました。そのことを閣議の中で、あるいは政府が、いいか悪いか、悪ければこういう措置をしようというふうなことを決められることは、これは教育基本法十条、つまり不当な介入になると、こう考えます。なぜ文部大臣、具体的なそうした教科書の中身の問題を政府が検討することが教育基本法の十条の違反にならないのですか。まさに政府そのものはその不当な介入の対象たり得るわけでしょう。まさに政党政治をやっているんですから、自民党の閣僚はみんな自民党員でしょう。そうすると、自民党の物の考え方でもってよい悪いを決めて、それで政府がこう言ったんだからこの教科書の内容はよいとか悪いとか、そうした判断までこれからなさるおつもりですか。大変なことじゃないですか、これは。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私は先生の申されることがちょっとわからないんでございますが、いまの問題は検定を通じていたしております現行のあれでありまして、それはやはり政府といたしまして重大な関心事でございますと同時に、教育行政の根本でございます。また、不当な介入と先生がおっしゃいましたが、私は、政府が教育問題を考えますことは、また文部大臣として検定制度を通じまして検討いたしますことは不当とは実は思わないんであります。政府の権力、政府の行うことは私は不当ではないと思う。不当という言葉は、すべての政治の問題につきまして——権力の介入といういまのお言葉ですが、権力といいましても、いい権力もあれば悪い権力もありまして、やはり政府の行政で行います現行の体制のもとにおける権力機構というものは、これは不当とおっしゃることはちょっと私解せません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 しかし、私は、教科書制度の問題とか採択の問題あるいは教科書はいかにあるべきかというふうなこと、そういうことを論議することはそれはいいと思います。しかし、この間の予算委員会の中で論議されたのは教科書の中身ですよね、具体的な。公民の教科書にはこういうことが書いてある、こういう統計が出ている、これがいいとか悪いとかという、そこの論議を総理大臣が引き取って、政府部内でそれを検討しますと、それで措置しますとしてやられたんですよ。そうすると、これから国会の中へ絶えず教科書の中身をそれぞれ各党が皆出して、それがよいか悪いかをまた総理大臣が引き取って、そうしてそれの判断をして措置をしますというふうなことになったら大変なことでしょう。教科書の中身というのは、そういうことじゃないでしょう。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 一政党がいろいろの教科書の問題について批判をしたり、議論をいたしましたことにつきまして、私は何らそれに対して左祖をするものでもございません。あくまでも文教政策を守って、そうして中正公平な姿において処理をいたしておるのでございます。一政党の議論をそのまま採用する、そのまま政府の中に持ち込む、あるいはまた権力的にどうこうするということは私は考えておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それは一政党の問題は当然です。しかし、政府という機関が、文部省の中の教科書検定にかかわるそこの部署が、教科書検定制度ですから教科書の中身の問題をあれこれ論議する、これは当然の仕事です、それは。しかし、政府が教科書の中身の問題を引き取って論ずると。政府は絶対公正な立場に立ち得るというその保証はどこにあるんですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 文部大臣は厳正中正でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部大臣は厳正中立にひとつやっていただかなければなりません。このやりとりはそうしたらもうこの辺でおきますが、やはりこれは次の機会に、ぜひこれはいろんな裁判のそうした判決なり、いろんな文献を一遍取り寄せて、政府がその教科書の中身をあれこれと検討することが教育基本法の十条に違反するかしないかということを改めて私は論議さしていただきたいと思います。  最後に、それでは三角局長にお伺いしますが、あなたも教科書問題について、「教科書を考える」というところに一つ出しておられますね。いい写真が載っています。りっぱですわ、にこやかに。この中にこういうことが書いてある。たとえば、  「広告業や貿易業のくだりなどで記述が変更された部分はあるが、いずれも教科書会社が自主的に手直ししたもの」、そうですね。その後がいいですよ。「〃こういう意見が業界からあった〃と取り次ぎはしたが、文部省が手直しの圧力をかけたというのは当たらない」と。これ正確に読んだんです。そこでいい言葉というのは、「〃こういう意見が業界からあった〃と取り次ぎはしたが、」という「取り次ぎ」ですね。そうすると、これは「取り次ぎ」というのは、いろんな団体、教科書の中身の問題についていろんな意見を持っておるところが三角局長のところへ持っていったら取り次いでいただけるということですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ちょっと仮の状況に基づいてお尋ねをいただいておりますので……

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それなら、はっきり言います。ちょっと待ってください。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) そのくだりに関する限りは、これはたしか日本貿易会の意見が私どもにも寄せられましたし、新聞にも出ていたわけです。それから広告の方も、何かたしかその団体筋から出ていまして、そういうものについて私どもは、まあ何でもかんでもというわけにはまいりませんけれども、中身によって、たとえばの話をおっしゃいますから、たとえば気違いみたいなことを言ってきたのを一々これ教科書会社に取り次ぐ。取り次ぐというか、取り次ぐという字も、私そういうふうに言ったかどうか記憶はございません。参考としてお伝えするということはいたしたわけでございます。それの処理は、教科書会社は何も文部省の言いなりにどうこうということじゃなくて、自主的にお考えになってなさったと。正誤訂正の申請がありますれば、これはいろんなたくさんの申請が正誤で毎年出てまいりますが、それと同様な扱いでこの承認という形で処理をしたと、こういうことでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 教科書問題はまた改めて他の社会党の委員と一緒になってやらせていただきますが、最後に局長。私はこれ結構だと思っているんですよ。あなたが広告業者や貿易業者の財界からの要請だけを取り次ぐんじゃなしに、いま、教科書問題についてはいろんな人がいろんな意見を持ってますから、だからそれをどんどんとあなた取り次ぐなら大いに取り次いでいただきたい。私の考えていることもぜひ取り次いでいただきたいと、こう思っているんですよ。だから、これはまことに結構なことをおっしゃっておられるなと大いに賛意を表しておる。ただ、あなたさっき気違いと。なら、私は気違い扱いにされるかもしれません。本岡みたいな気違いのやつはこれは扱えぬと。それは困るので、どうですか、これは大いに賛成で、私はやっぱり、教科書というのはもっと公開でオープンで、逆の意味でやるべきだという立場に立っているんですよ。だから、大いにこれからこういうことをやっていただきたいということを要請しておきます。よろしいですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私は、それは経済界であろうと、労働界であろうと、あるいは教育界そのものでありましょうと、教科書について意見があれば、教科書をつくっているのは教科書会社でございますから、教科書会社の方へ言っていただきたいと思います。教科書会社の方に直接言っていくのが本来の筋道だと思います。  私どもはそれを検定をする立場でございますから、本来はそういうことでございますが、有益であるいは参考になると思われますようなものについてそれをお伝えするということは、事実上の行為としてこれはやってはならないわけでもございませんので、そういうことをするという場合もありますけれども、教科書にいたしましても、たとえば非常に個別の意見がありますれば、ある教科書に対してだけそういう意見を言いたいというそういう方というか、そういう場合もありましょうから、これは本来は直接会社に言っていただきたい、こういう話だろうと思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 もう時間が来ましたから、また改めてやらしていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 三月二十四日の日に文部大臣の所信表明に対しまして私は全般的な質疑を行いましたが、時間の関係で、幾つかの問題に触れましたけれど、そのうちの一つとして私も教科書問題に触れました。しかし、当日はそういう所信表明に対する質疑ということでしたので、教科書だけにまいりませんでした。本日は教科書だけに限定をしてお聞きをしたいと思うんです。  そこで、早速この間文部大臣がおっしゃったことから聞こうと思っていたんですけれども、いままさに同僚の本岡議員からの話に全然お話にならぬことを答えられていらっしゃるから、予定はいたしていませんでしたけれど、これをまず先にお聞きいたします。  わが国は法治国家ですよね、あたりまえのことですけれども。これは一体法律ではどうなっているんですか。これは大臣にお聞きするよりは、局長がいらっしゃるんだから、学校教育法の第二十一条でちゃんと決まっているんじゃないんですか。これは大臣わからないでしょう。局長に聞きますよ。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 学校教育法二十一条は、「小学校においては、文部大臣の検定を経た教科用図書又は文部省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」こうございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そのとおりでしょう。だから、そういう学校教育法の第二十一条に基づいて、「文部大臣の検定を経た教科用図書」、それを受けて教科用図書の検定規則もあるわけでしょう。そしてそこで検定をしていらっしゃるんでしょう。これは法律的にあたりまえのことじゃないんですか、文部大臣、そうでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そのとおりだから、そのとおりの範囲でやるのは、法律、規則、細則その他に基づいてやるのはあたりまえじゃないんでしょうか。その他が介入する余地は全くないんじゃないですか。だから政党内閣がどうだとかこうだとか、厳正中立な文部大臣だとかという話じゃないわけです。法律で運用されているんです、法律と規則で。教科書はこういうようにして法律に基づいてつくりますと、そうでしょう。ですから文部大臣は権限を持っていらっしゃるわけ。それから法律に基づいた検定委員なり調査員がいろいろあるわけでしょう、その方々がやりている。どう法律が運用されているかというのは政府としてあるでしょうけれど、政府が何か閣議の中で、ここの三十四ページのデータがおかしいからすぐ直せとか、こんな話にならぬことは、もう法律、規則的に全く明らかじゃないんですか。そのことを言っているんです。大臣、そのとおりでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そういうようにはっきりしていただければ、いまの大臣の厳正中立とかどうとかということはありませんし、もう文部大臣よく御存じだと思いますので、前に申しましたところは大臣よくおわかりいただけると思うんです。そういう意味で申し上げているのですから。  そこで、早速本論に入りますけれど、三月二十四日の会議録ができ上がってまいりまして、これを見ますと、私の広域採択に対する質疑の中で、文部大臣は再三にわたりまして、「私」——というのは文部大臣という意味です。「私自身が戦後知事をいたして」おりました時期に云々というのが二、三カ所にわたって出てくるわけでありますが、文部大臣が知事の在任期間中というのは何年から何年だったんでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 昭和二十年から二十八年まででございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そうしますと、昭和二十二年から、思い出しますと、二十五年ごろまでというのは、まさに戦後の混乱期でしたね。そして二十一年ごろというのは、まだ教科書に墨を塗って使ったり、それからざら紙の、悪い紙質の教科書を使ったりいろいろな時期がございました。まさに二十四年までは戦後の混乱期、こういうように言っていいと思いますね。そうすると二十五年、六年、七年、八年ごろというのは、大臣のおっしゃることになるんじゃないかというようにこの間の議論で考えるわけです。  実は私はちょうどそのころ、先ほど午前中も申し上げましたけれど、教育現場におりました。教育現場で教員やっていたわけですから、そのころのことをつぶさにいま思い出すのですけれど、大臣は再三にわたってこう言っていらっしゃるわけですね。これは会議録の十一ページ。「先ほども申し上げたとおり、私は戦後県知事をいたしておりまして、その当時の、あの自由販売と申しますか、教科書の現状というものは、本当に目に余るような各販売会社、あるいはまた売り込みの競争が各県の教育委員会にずいぶんあったものでございます。それに関連しましていろいろな事件が起こったり、弊害がありました。」こうおっしゃっているわけですけれどね。私にはさっぱりわからないんです、ここのところは。具体的に二十五年から二十八年ごろ各校採択の場合に、文部大臣が知事であったときに目に余る弊害があったと言うんですけれど、各校採択の場合の目に余る弊害というのは具体的にはどういうことだったんでしょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ちょうど新教育制度になりましてから後、御案内のとおりに教育委員会の問題、さらにまた各教科書会社が各県に参りまして、展示会のみならず学校にいろいろと応援を頼みましたり、いろいろな売り込みの問題があったことは先生現場でよく御承知のとおりと存じます。そういうふうないろいろな経過を申したのでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 お聞きをしていますと、学校採択だった、教員が教科書を採択するために勉強をする、業者が学校へやってくる、各校採択だから各校へ業者が来る、だから非常にうるさい、こういうことだったんですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと県々によりましょうけれども、私の在勤いたしました山口県あたりはずいぶんいろいろ、私のところにも教科書会社がどうしても会ってくれという面会を強要されたり、いろいろなことがあったことは御案内のとおりでございます。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 知事のところへ来られたのは御案内のとおりだというんですが、それはそうでしょう、知事のところへいらっしゃったかもしれませんね。しかし、大臣がこの間、三月二十四日におっしゃっているのはそういう意味じゃないんでしょう。各校採択で、学校採択だったから、販売会社が売り込むのでうるさくてしょうがなかったという趣旨になっているわけですよ。そこのところは私にはさっぱりわかりません。  たとえばわかりやすい例を、大臣、申し上げますと、一つの学校で千人の子供が一冊百円の教科書を使う。百円の教科書としますね。千人で、百円ですから、十万ですね。千人の子供に百円の教科書を売り込むために各学校を回って歩く業者が、十万円の営業するために、何か物すごい大臣がおっしゃっているようなそういう弊害が起きるんでしょうか。たとえば金をばらまいたり、供応したり、十万円をとるために、そこの学校で、四十人、五十人の先生がいるところでどんなことが起きますか。起きるというように予測をされますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私は県知事でございますから、そのころは教育に直接、教育長や教育委員会のように、タッチはいたしておりませんが、しかし報告を聞きましても、いろんなことがあったようでございます。同時にまた単価も、現在の物価とは違いますから、また確かに教科書会社というものがたくさんございましたし、その競争の激しかったことは、これはもう先生もよく御案内だと思うんです。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そこの競争の激しかったというのがわかんないんですよ。各学校に採択権があるから、教師が教科書を選ぶ権利を持っているから各学校へと業者が行ったと。教科書を見ますね、そしてこうして比べてみますね、四社でも五社でも、来たとしたら、それを比べてみる。それはどういう弊害が起きるんでしょうか。何にも弊害は起きないんじゃないんでしょうか。教師が手にとって教科書を見る。四種類、五種類の教科書を比べてみて、この教科書が一番いい、子供たちの役に立つ教科書なんだと言うことができるというだけであって、何らそこには弊害は起きないんじゃないですか。その辺はどうなんでしょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私が直接売り買いをしたわけでもありませんし、また私が学校の現場におったわけでもございませんけれども、私の受けた報告に関する限りは、あの当時というものは大変いろいろな弊害があったことは事実でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 知事ですから細かいことは、現場のことはわからないという。そこは全くよく文部大臣そうおっしゃってくださったと思って感謝をするぐらいですけどね。そうだと思うんですよ、私は、本来。知事がそんなことまで知っていらっしゃるということがどだい無理だということはよくわかります。私も。だけど、この三月二十四日の会議録を私よく読み直してみますと、私がこの広域採択の弊害をいろいろお聞きしたときに、いや学校採択だった、私が知事だった時代の方がはるかにたくさんあったんだという表現になっているので、大変気になるわけです。ですから、それはやっぱり具体的に言っていただかないといけない。しかし、いまお聞きしますと、知事の時代で、いろいろ教育委員会の報告等を聞いて、思っていたんだということでありますので、私は当時現場にいた方ですから、教育現場にいまして、うるさいという意味は、そういう意味、私が言ったようなことで学校へ来るということがうるさいというならそうでしょうけれども、別にそれは教員の仕事としては何らうるさいことではない。あたりまえのことなんだ。  で、ここからお聞きしたいのは、いま言いましたように、一校千人で、百円なら十万ですね。ところがこれが広域採択になって、たとえば十万人に百円だったら幾らになるんですか。大変なお金になるわけです。十万人がこの教科書を使えるということになれば、これは大変な額になることは、もう大臣すぐおわかりいただきますね。そうすると、十万人とるために使う営業費というのは、千人の子供に百円の教科書を買ってもらうよりは、はるかに営業費を使っても採算が立つわけです。教科書会社というのは商売なんですから、営利会社なんですから、株式会社ですから、利潤を目的にしているわけですから、そういう会社がやろうとすれば当然そうなりますね。広域採択になればなるほど営業費が使える。これはもうまさにあたりまえじゃないのか。そうなれば広域採択になればなるほど販売合戦が激しくなる。こういうように私はこの間から言ってるわけです。この辺はいかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 制度が変わりまして、広域採択にいたすようになりました事後の経過というものは、その前後から私はタッチいたしておりません。政府委員から答えてもらうことにいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは具体的にどういうケースが起こるかということでございますので、余り断定的な物の言い方はできにくいんじゃないかという気がいたしますけれども、現在、広域と言えるかどうかですが、現在のいわゆる広域採択と申しますか、郡、市単位でやっておりますという意味で広域と言えば、その広域採択の中で、余りにも営業活動的な競争が極端になってはいけないということで、いろいろな手だてをやらしていただいておりますし、会社相互の申し合わせと申しますか、そういう一種の自粛の手だてもやっておって、それなりに推移をしてきておりますが、これは細分化されますと、その上にまた何らか新たな競争というものがそこへまた加わってくるんではないか。そういうことも予想されますし、過去のいろいろなことも、私ども、勝又委員からの問題提起がございますわけですから、もう一遍復習もし、調べてみたいというふうに考えますけれども、直ちにそのどっちがどっちということは申し上げにくいと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 局長ね、ここだけを簡単に言ってくれませんか。いまいろいろなことを言っているもんでさっぱりわかりません。  千人の子供に百円の教科書を売る場合は十万ですね。十万人の子供に百円の教科書を売る場合の方がはるかに営業費は使えるという、これはどうですか。ここだけ言ってください、どっちが使えるか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 千人と十万人とだけ比べますと、何と申しますか、宣伝費なら宣伝費というのも、一冊当たり何%ということで計算すれば、これは算術の問題でございますから、十万人の方が多くなる数字になると思いますが、またその千人が幾つか固まって、千人とか二千人とかあるいは千二百人とかいうのが集計された結果、それがまた十万人という数字になる場合の十万人と、それからまとめて十万人と、それの比較をする必要があるんじゃないかと、こういうふうに思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 全く違うじゃないですか。各校採択ですよ、片方は。各校採択で千人の学校に百円の教科書という場合と、全部ひっくるめて十万人にという場合と、全く違うんじゃないですか。どうして千人の方が合計になるんですか。なりっこないですよ。もっと簡単に言いますと、千人の方に、百円の教科書で十万円でしょう、そのためにたくさんのお金を使って営業をやるばかがおりますか。営業をやるようなそんなことできないでしょう。そこを聞いているんですよ。十万人でまとまれば、ある程度の営業費を使っても採算が立つからやれるんじゃないか。小さければ小さいほどそういう活動というのはできないんじゃないかと、そう言っているわけなんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 会社の一つの営業の仕組みとかやり方の話でございますので、私ども文部省側として、いまのような御質問にお答えする筋合いの事柄かどうかちょっとよくわからないんでございますけれども、教科書でございますから千部だけで済まないわけで、教科書会社というものはこの学校採択で個々の学校に採択してもらう場合でも、全国的に見てかなりまとまった部数にならないと、これは採算というか、損をしてまで教科書をつくるということはぐあいが悪いわけでございますから、そういうことで営業経費なり宣伝費なりをどういうぐあいに使うかということになるわけですが、これは見方によりますと、相手がふえりゃそれだけ苦労も多くなって金もよけいかかるということもあり得るものでございますから、ただ私は直接の当事者じゃございませんので、先生に向かってこうであるというふうなはっきりした物の言い方はなかなかしにくいと思っております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 単位が小なくなれば小さくなるほどそういう弊害が起きないということを私は言っているわけですよ。起きる余地があり得ない。こんなことがどうしておわかり願えないんですか、まじめにお答えいただきたい。単位が小さくなればなるほどそういう弊害は起きにくい、単位が大きくなればなるほど弊害が大きくなる、こういうことを言っているわけなんです。  そこで、次にお伺いをいたしますけれども、この会議録を読みますと、私が警察の方にいろいろお聞きしたときに、警察の方はこう言っているわけですね。いろいろ新聞社等に投書で、「そういう情報が入ってくる場合でありましても、警察が調査に参りますとなかなかこれはその実態がわからない、言った方もうっかりすれば自分も罰せられるということでございますので、そういう意味でこの事件特有の情報収集のむずかしさがあるわけであります。」つまり私が広域採択の中に絡んでいろいろ聞いたときにそう答えておりますね。これは会議録の七ページです。しかし、「したがいまして、十分な関心を持って対処していることは間違いございませんけれども」、こう言っているわけですね。そういうふうになかなか相手が言わないから、すぐに捜査に入れないんだということを警察がこの間明らかにされたんです。実はそういう事実があるということを十分な関心を持っているということで明らかにわかるわけなんです。そうですね。そういうことがいまは広域採択の中で起きているという事実は、局長はお認めになりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私はそういうことは承知しておりませんし、それから当時の説明員の警察の方のお答えの読み方について、必ずしも私は勝又委員と意見を一にすることはできないんじゃないかというふうに思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これももうすでに各新聞社が再三にわたって公表をしておりますし、それから単行本になっているのもあるわけでありまして、どれを見ても明らかにされているわけですね。私はそれだから言っているわけです。たとえばここにあるのを見ますと、時間がありませんから途中だけにいたしますが、「これでは業者は教科書の質で勝負するわけがない。教育現場に流れる営業費は国が買い上げる教科書代の三〇パーセントになるといわれる。五十五年度の教科書代は四百九億円。実に百二十億円もの税金が間接には教育を〃汚染〃している計算になるというのである。先進国で、教科書の使用を義務づけているのは、日本だけだ。子どもの置かれた環境におかまいなしに、決まった教科書を使わなければならない。その教科書の種類は限定され、どうやって選ぶのかは不透明なままだ。北海道から沖繩まで教育の平等の名のもとに同一の教科書が使われ、だれも不思議と思わない。」こういう個所がございますし、「教科書の内容は採択にほとんど影響しない。営業にかけた費用で決まるといってよい。当然、各社とも生き残るために営業に力を入れる。編集者が営業マンを兼ねる社もある。内容での〃不戦協定〃すらつくっているほどだ。」  この幾つかのこういう指摘を見ましても、いま教育産業と言われる大きな教科書会社を中心にしたのが、これもう先日も再三にわたって指摘をしておりますけれども、広域採択の中で害毒を流しているという事実は、もうこれ、局長、明らかじゃないんですか。そういう点はお読みにはなっていらっしゃらないんでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私どもはやはり広域採択にはいろいろなメリットがあると思っておりまして、勝又委員の御指摘にはよくわからない点が多いというふうに思うのでございます。  それから三〇%というような話がございましたわけですけれども、ちょっと私ども常識で考えられない数字でございまして、教科書はこれは無償制度で国が予算を手当てしているわけでございますので、教科書会社の主なサンプルを取りまして、その収支状況を見た上でこれについての定価の改定について審議会で審議をしてもらうというそういう仕組みをとっておりますけれども、今年度におきまして教科書会社のいわゆる宣伝活動費というのは二・二%を見込んでおるわけでございますが、会社によりましてそれは、この間も勝又委員から御指摘あったわけでございますが、たくさん売れる会社と、そうでない会社では、同じ二・二%の積算でも金額の上ではいろいろ変わってくるかと存じますけれども、三〇%というのはちょっと考えられない数字でございます。  それから不戦協定みたいなものもあるようでございますが、これはお互いに他の会社の教科書の内容にいわばけちをつけるというような方法での物の言い合いをしないというようなことはあるようでございます。  いずれも検定を経ている教科書でございますから、そういうことも一つの公正な競争のためには必要じゃないかという気がいたしまして、広域採択制度だからいろいろなデメリットが出てくるというふうには私どもは考えておりませんで、現在定着しておりまして、この制度は、問題がありますれば、いろいろな意味で気をつけて注意はしていかなければいけませんが、この制度そのものはいい制度であるので継続していきたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから先ほどの千部しか売れないという話の関連でございますが、これは売る単位が小さいキャラメルとか、あるいはラーメンとか単位が小さい場合と、非常に大きなものを一括して売る場合と、私もいろいろ考えてみたんでございますけれども、申し上げにくい話だというふうに重ねて言わせていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 一番おしまいのところは、ラーメンの話とは違いますよ。  これは確かに全国四十七都道府県のうちのそれぞれの学校にというのなら、集積としては大きくなるでしょうけれども、採択が各校単位になっている場合には限定されるわけでしょう。そういうことを言っている。  それから、これはお聞きしたいのは、ここに家永訴訟の原告の準備書面というのがございます。これは第五回、つまり昭和四十二年の三月三十一日に提出をされておりますが、裁判所に提出されている準備書面の中の項目でありますので明らかだと思いますが、この中に次のようなところがあるわけです。  「文部省は、一九六三年の国会に提出された、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の立案にあたり、自民党に対し、その同意を得るために、「義務教育諸学校生徒に対する教科書の無償給与実施要綱案問題点」と題する文書を提出しているが、そのうちの「義務教育の国定化」と題する項目には次のようなことが記載されている。」こうありまして、「(一)」と「(二)」とあります。「(一)義務教育教科書については、国定化の論もあるが、現在検定は学習指導要領の基準に則り厳格に実施されているので、内容面においては実質的には国定と同一である。またかりに、名実ともに国定とするためには、検定教科書について著作権の買上げ等の方法による補償を行なう必要があり、そのためには莫大なる経費を要する。(二)今後企業の許可制の実施及び広域採択方式整備のための行政指導を行なえば、国定にしなくても五種程度に統一しうる見込みであるので、国定の長所を取り入れることは現制度においても可能である。」こうあるわけです。  これは、文部省が出しているこの文章はこういうようになっておりますけど、これは事実ですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) いまいきなりの御提示でございますので、私いろいろ細かいことのいま知識を持っておりませんけれども、ただいまお読み上げになりましたのは、家永氏側の御主張であるというふうに考えておりますが……。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私のお聞きしているのは、第五回の準備書面として裁判所に出すということは、いいかげんなものを出しているというようには思えないから、文部省はこういうものを自民党に対して出された事実がありますかと聞いてるんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは、私どもにとりましては、訴訟の相手側の出されました準備書面でございまして、それがいいかげんであるかどうかというようなことは私どもとしてはわかりませんし、またわかっても言うべき筋合いのことではないんじゃないか。それは裁判の場面ではいろいろ申し上げることはあるかと存じます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 そういうものが、そういう事実があったかどうかということもおっしゃれないんでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私はいま御指摘のような事柄につきましては存じておりません。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 行政の継続性からいって、初中局長が存じていないということは——そう昔の話じゃないんですよね、これは。しかも三月二十四日に私再三お聞きしました、教科書の無償配付と広域採択制に絡む問題で、私はいろいろの観点からお聞きしているわけですね。そのときにこのことを初中局長が全然——当時はもちろん初中局長でおありでなかったんでしょう。しかし教育行政の継続性からいけば、しかもきわめて重要なこの義務教育教科書の問題について、そのことを私が存じていないということはおかしいんじゃないですか。あったんですか、なかったんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私は知っておりませんので、ただいまの私としてはなかったんだろうというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 なかったとおっしゃっていますけれど、これはここのだけではなくて、別のいろいろの発刊されている図書の中にもこの文書は出てきますね。出てきているんですよ、局長。そうすると、文部省としてはお読みになってるんでしょう、こういう本は。何らか文部省として、そういうものがなかったとすれば、反論をされてしかるべきじゃないんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) それは私どもの方の訴訟上の相手方の方の準備書面でございますから、それが図書なり雑誌なりに引用されるということはあり得ることでございますから、それがいろいろな場所に出てくるということも結果としてあり得ることで、私どもの関知するところではないわけでございます。で、内容について議論がありますれば、それは法廷で争う事柄であろう、こういうぐあいに思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私ちゃんと全文を読み上げましたよね、(一)と(二)を。(一)と(二)は法廷で争う話ですか。そうじゃない。いまのこの無償制度と広域採択制、そしてまた、この間から大臣は私の質問に、国定化は考えていないということを答弁をされている。それは明確になっているけれども、実質、広域採択制の中で国定化と同じような状況がいま生まれてきているから、そして、そのことは一項、二項で文部省が出している文書であるから、当然国会の中で論議されるべき問題だと考えるから言っているんですよ。これは文部省の出した文書だと言ってるんですよ。準備書面の中の作文じゃないんでしょう、これは。はっきりしてくれませんか。文部省が自民党に対して出した文書だと言ってるんですから、そんなものを文部省は絶対出してないというなら出してないと、こうはっきりしてくれませんか。中身はきわめて重要な問題点を含んでいるわけだ。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは向こう側の準備書面の中での一つの付帯的な御議論のお話でございますので、私どもはそれについてどうこうと言うことはどうかと思うんでございますが、私はそういう事実があったということは知っておりませんし、ですからそういう事実はないんだろう、こう思っております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは再三、局長、くどく言いますけれども、恐縮ですけれども、準備書面の作文じゃないということだけは明らかですよ、局長。よろしいですね。準備書面には間違いないけれども、その中に文部省が出した文書だと書いてあるんですよ。わかりますね、そこは。局長、よろしいでしょう。文部省の出した文書だということは明らかになっているわけだから、文部省が出していないなら出していないということをちゃんと言っていただかないと困る。  同時に、中身ですよ、問題は。お聞きしますけれども、「義務教育教科書については、国定化の論もあるが」と。ここで文部省が言っているには、「内容面においては実質的には国定と同一である。またかりに、名実ともに国定とするためには、検定教科書について著作権の買上げ等の方法による補償を行なう必要があり、そのためには莫大なる経費を要する。」だから、そういうことはやらないんだと、こういう意味ですね。どこの人がこんなことを言うんですか。どこかの出版会社が言った話じゃないでしょう。文部省以外には言わない話でしょう。(二)ですよ。「今後企業の許可制の実施及び広域採択方式整備のための行政指導を行なえば」、同じことですけれども、「国定にしなくても五種程度に統一しうる見込みであるので」、こうなっているわけなんです。局長ね、現状はいまこの(二)のような現状になっているんじゃないんでしょうか。現状はいかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) お読み上げの文章について、私どもは文部省で作成したということはどうも事実じゃないと思うんでございますけれども、これは準備書面でございますから、おつくりになる方がその責任でおつくりになる、そういう文書でございます。  それでいまの御質問でございますけれども、五種程度に統一ということ。私どもは広域採択制ということで、何も教科書の種類をしぼっていこうとか、それからその内容をそんなに画一的なものにしようとか、そういう考えは持っておりませんし、また結果的にもそれは教科書の種類その他によっていろいろでございますので、いまの御質問、単純に御指摘のようなことが言えるかどうか、それはちょっとむずかしいのじゃないかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いや、いまの現状は、この(二)に書いてあるような状況にいまなっているんでしょうと、こう聞いているんです。そこだけ答えてください。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 教科書の発行者の数とか発行した種類の数は、検定制度が始まりまして数年の間は増加いたしまして、その後は漸減してきておりますけれども、そういった傾向は無償措置法成立以前からのものでございます。したがって、現行採択制度によってもたらされたというふうには考えられないと思っておるのでございます。  ちなみに、児童生徒数の減少というようなことがありますと、教科書の需要増が望めないとか、あるいはそういった教科書の需要増による事業の拡充が望めないような状況下にありまして、発行会社が経営の健全化を図るためには、各発行者が発行教科の種類をそれぞれの会社にとって特色のあるものにしぼりましたり、あるいは一つの教科で数種類出していたものを一種類にまとめていくといったようなそういう過程で漸減をしたということはあるのでございますが、これは無償措置法成立以前からあったことでございまして、広域制によってにわかにそういう状況になったとか、そういうことではないわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 問題が二つありますね。一つは私の質問にちゃんとお答えになっていない、それが一つなんです。それはお答えになれない、現状がそうだからお答えになれないだけの話なんです。言わないということは肯定しているということですよ。それが一つ。  それからもう一つは、いま局長は、無償制度になる前から広域採択制になっていた、なっていたということをいまおっしゃる。これも三月二十四日の会議録を読み直してみました。九ページの上段で局長はこうおっしゃっておりますね。  それから、なおもう一つ事実関係といたしまして、今日の無償制度の実施以前におきましても、一定地区においては同じ教科書を使うということがいろいろな意味で便利であるということ、そういうことの理由で郡、市等を単位とします共同選択というものが事実上かなり広く行われておる、そういう実績の上にも立って今日の姿ができておるというふうに考えておるのでございます。 こういう答弁を私の質問に対してなさっていらっしゃいますね。これは局長がおっしゃったとおりのことなんです、九ページの上段。  そこで、このことをよく考え直してみますと、この当時そういうことに文部省はいろいろの形の中で指導されていたのです、そういうように。文部省が指導されないのにこういう事態が自然発生的に生まれてきたのじゃないんですよ。これは局長は当時どういう担当だったか私よく存じませんけれども、その当時のことをよく考えてみてください。無償制度の以前というのに、各校採択のところが少しずつでも採択範囲が広がっていったというのが、むしろ文部省なり県の教育委員会がいろいろな角度でそういう指導をされていた、そういう事実は明らかなんです。その点についてはいかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 制度的には勝又委員おっしゃいますように、採択は、無償措置に関する法律によっておっしゃいます広域採択制度が法的に整備されたわけでございまして、それまでは制度としては個々の教育委員会がそれぞれ独自の立場で採択を行うという仕組みであったわけでございますが、この仕組みの上でそれぞれが教育委員会の規模でございますとか、体制によっても異なるかと思いますが、それぞれがおのおの別々に採択をするには十分に調査研究をするというだけの能力や余裕がない、そういうような問題点もありましたので、おのずから郡程度の地域を一つの単位地域として、その地域内の教育委員会が協議をして一つの種類の教科書を採択するという方法が次第に普及してきたというふうに私どもは考えておりまして、こういった方法は無償措置法実施の直前には、全国的に見まして、郡市の数で言えば約八三%、学校の数で言えば小中学校いずれも約七五%に及んでいた、こういうことでございますので、前回そのように申し上げたのでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 もう一つの問題は、この「教科書の体様について」、教科書会社が、業者が談合してつくっているこの「しおり」、そして言葉は「めやす」ということに変わりましたけれども、これで教科書のあり方を決めちゃっているわけです、ページ数から大きさから。そしてただ上限に、幅はある程度ページ数では持たしたというかっこうだけはできているわけです。ですけれども、この「しおり」なり「めやす」なりに基づいて業者が教科書をつくっているということは事実でしょう。  そして、この間公取にいろいろお聞きをしたら、公取の方では、文部省が発注者であり購入者だから、この業者が談合してもそれは独占禁止法違反にはならないんですということを言っている。そして初中局長はそこに横にいらっしゃって何らそれに対しては抗弁をされていないんです。つまり公取の言い方を認められていらっしゃるんです。余りにも責任逃れというふうにお考えになりませんか。  文部省には検定基準があるわけでしょう、さっき言いましたように、法律規則に基づく。ところが、業者の方にそういう「めやす」をつくらしておいて、業者の方はそういう「めやす」で教科書をつくって、売る方は広域採択ですよね、広域のところに売れるのだから。だからこう書いてありますよね。「五十五年から「しおり」は「めやす」と名称を変えた。内容は最高ページ数に幅を持たせただけ」「実質的な内容は「しおり」と変わらない。もちろん、文部省が承認したものである。文部省は、業界お手盛りの最高基準を認め、それ以上の教科書が出現しないように指導しているのだ。これでは業者は教科書の質で勝負するわけがない。」こういうふうに続くわけです。  こういうように、これはまさに日本を代表する朝日、毎日、読売等を初めとする各社のこれは決定的な世論形成といいますかね、あたりまえな、この方々から言えば常識的な判断になっているわけですよ。これらについて文部省は全く無責任なんだ、業者に一方的にぬれぎぬを着せておいて文部省は知らぬ顔をしている。うんとひどい言葉を使えば、素知らぬ顔をしてこれを流していると、こういうことに極言をしますけれどもね、きょうは。御立腹なさったら大いに反論してください。一体どういうことなんですか、これは。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私どもは教科書につきましては、学習指導要領の目標、内容に即した、そうしてそれから児童生徒の各学年におきます発達段階に即したある程度の標準的な分量というものはあろうかと思いますし、それから表紙でございますとか、紙の質でございますとか、そういう体様と申しますか、体裁と申しますか、そういうものにつきましても、やはり一つの標準的なものがあるということ自体は、むしろそういったところでいたずらに華美にわたりましたり、あるいは非常にぜいたくなものができましたりすることよりは、現実問題としてその方が好ましいのじゃないかというふうに考えておりまして、したがいまして、会社が自主的に御相談になって、一つの目安といいますか、標準的な考え方をおつくりになるということでございましたので、私どもとしてはそれについて同意をしたと、こういう次第でございまして、やはり中身のしっかりしたものをそれぞれの年齢段階に応じてつくっていただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 昨年三月のときには、公正取引委員会は独占禁止法違反の疑いがあるという態度を公式に委員長がされた。これは継続しておる。そうしておいて、公取に、そういう問題が起きたら、今度は文部省が発行者であり購入者であるから公取に対して独禁法違反にはならないんだと、こういうように認めさせておいて、つまり認知をさしておいて、まさに業者の談合を文部省が手をかして合理化をしていると、こんなことほかの社会では許されませんよ。そういうぐらいに私は極言をして思う。いや、これでこう指摘しているんだ。だから、私に対して怒るんじゃないんですよ、局長、文部省は。そういう社会的世論に対して立腹をなさいませんか。されるのがあたりまえじゃないんですか。そういうことを言っているんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは、御指摘のように、公正取引委員会の所掌にかかる事項について問題提起があり、かつ公正取引委員会での御検討があったわけでございますので、私どもはこういった事柄について十分に公正取引委員会にいろいろお話を聞きまして、そして公正取引委員会と御協議の上でこの事後処理といいますか、これに対する対応方針は考えてまいったわけでございます。  それで、談合というお言葉をお使いになりましたが、これは入札なんかの場合に入札価格を話し合って、本当の競争をしないというそういう事柄とは若干——若干というか、全然違うことでございまして、先ほど御説明申し上げましたように、教科書としての一つの標準的なスタイルというものを申し合わせをして目安をつくって、それにのっとって各社がやっていこうということで、それも堂々とやっておるわけでございまして、そういう意味で私はいま御指摘のような形で非常に問題があることであるというふうには考えられないと思っておるんでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 時間がありませんのであと一、二の問題しかお聞きできませんけれど、一つは、社会科の公民科問題ばかりずいぶん議論になりましたよね。そして、まさにさっき御質問しましたように、何か政府部内で検討するんだなんていうばかげた話にまで発展しましたけれども、私は本来教科書の問題の本質はそこにはないと思っています。私は本職が社会科の教員ですからよくわかりますけれど、社会科の授業に、教師が毎日の授業に、大臣ね、どうしているかといえば——どうぜ教科書というのは時間かかるんですから資料の古いのがどうしても出るわけです。ところが、子供にはきょう、あすのものを教えなくちゃならぬ。教員のあたりまえの仕事なんですね。新聞からスクラップをとるとか、参考書からとるとか、図書室へ行って勉強して持ってくるとか、そんなことやるのはあたりまえの話なんです。ですから、十年前の資料がどうだとかこうだとかいうのは、私に言わせると、むしろ本質的な教科書論議ではない。そういうのは学校の教師が少し古いデータならかえればいいんで、問題はそれだけのことなんだ。  そうじゃなくて、私が一番言いたい意味は、教師が、教員がどの教科書が一番いい教科書かということを、使う教員ですから——もちろんそれに父母を含めてもいいと思いますよ。そういう意味で、いま展示会だとか教科書センターにこういう教科書が置いてありますね、それがどれだけ利用されていますか。武蔵野での例をいろいろ私も聞いて承知しています。武蔵野市の例がある。ところが、全国的に見たらどうなんでしょうか。本当に教員がどの教科書がいいかというのを見比べてやれるいま余裕がありますか。局長、大臣、いかがでしょうか、教育の現場の中で。まずそういうことこそ文部省というのは教育条件整備として整えるべきじゃないんですか。それが一番文部省がやるべき仕事だというふうに私は思う。教師が自分で教科書を選べる、あるいはそのための時間的な余裕なり、そういう教育条件整備こそすべきなんです。そしてまた子供の親たちがどういう教科書がいいかということを見れば見るほどいいんじゃないんでしょうか。  最後に大臣にお聞きをしたいのは、たくさんの人が見れば見るほど、仮にいろんな方がおっしゃっているような教科書に問題があるとすれば、まさに目につくんじゃないんですか。広域採択で、何百万部というのが特定の教育界のボスを一人か二人握ればできるような仕組みになっているから、余りみんなが読んじゃいないんですよ。父母や教員の目にこの教科書がたくさん触れないんですよ。そして文部省は、展示会制度をしてありますから、教科書センターに置いてありますから、ほこりをかぶってるんじゃないんですか。見に行きたくても、見に行ける教員にそういう時間的な余裕を与えていないんじゃないんですか。そういうことこそ文部省がやるべきで、これは教育基本法にも明らかになっている、文部省の教育条件整備、文部省の義務、これは当然そうじゃないかというふうに思いますけれども、大臣いかがでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ボスが決めるというようなことではないはずだと思うんで、もしそういうようなことであれば、それは委員御指摘のように、そういう状況は改善しなければいけないということでございますが、現在の採択制度については、改めて申し上げるまでもなく、まず都道府県教育委員会に置かれます教科用図書選定審議会の方でいろいろ検討していただきまして、それが市町村に対して指導助言をするという体制になっていまして、市町村の教育委員会は、これは郡の場合には数個の町村が寄り合いまして必要な採択のための協議の組織をつくりまして、その組織は通常は、これは別に法律で決めてあるわけでございませんけれども、それなりに責任と能力とを持たされ、持っております調査員を頼みまして調査をする。そして、その上でその地区でどの教科書が一番適切であるかということを公正妥当な方式で決めていただく。こういうことでございまして、その際にもちろん教科書展示会場等に意見箱を置きまして、一般の方々ないしは教員の意見を聞くということもいいわけでございます。あくまでしかし現在の仕組みでは採択権者である市町村の教育委員会が責任を持っておるわけでございますから、その教育委員会がきちっとした採択のシステムの運営をやっていただきたい、こういうことでございまして、この教職員のたとえば投票でございますとか、あるいはPTAの投票でございますとか、そういうやり方もあるか、あるいはそういう考え方もあるようでございますが、やはり採択権者というものが本当に責任を持ってやらなきゃいけませんので、その責任が不明確になるようなやり方は好ましくないと思っております。  教員が教科書を調べるひまがないというお話でございますが、私どもとしては、教員が教科書の内容にいい意味で興味を持って、いろいろな意味でこれを比較したり研究したりしていただくということは、大事なことだと思いますし、それから教科書の展示会も、これは十日間ということでございますけれども、センターにはその後も常時教科書は常備しておりまして、これはアプローチできるような形になっておりますので、ほこりをかぶっておるという御指摘でございましたけども、教科書センター、せっかくつくっておるのでございますから、時間を見てそういうところに来ていただくようにしていただきたいと、こういうふうに思うのでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 時間がなくなりましたから、これで終わりにいたしますが、これは非常にいやな言葉で、余り言わないつもりでおりましたけれども、それはよく使われる言葉ですから、何か政府がお金を出して、共産党がつくって、社会党が何だかこれを使ってなんというばかな話がある。まさにばかな話だと私は思う。だから、余り言いたくなかったんです。だけども、こんなこと全くお話にならぬ話ですけれども、いま文部省がしっかりしていただきたいのは、さっき言いましたように、国定化をしないというように大臣この間もおっしゃっているし、きょうもおっしゃっている。ところが、私が指摘したように、現状は文部省の文書があると私言いましたけど、その二項に明らかなように、まさに文部省の思ったとおりの準国定化の中身と変わらない状態になってきている。だから、局長お答えにならなかったんです。そういう片方に現状があるだけに、そして局長この間は何か抱き合わせということを言いましたね。いいことと悪いことをするのが抱き合わせだと、両方ともいいんだからと言ったけど、まさに広域採択はね、警察が認めるような問題までいま出てきているから、悪いものが出てきているんだからね。これはやっぱり広域採択の方はこの際全面的に文部省が検討し直す、そして学校の教育をやっている教師が本当に勉強して教科書を選べるような状況をつくっていく。それは何も共産党だ社会党だなんという話じゃないんだ。そういう意味で、やっぱり現場にいる教師を本当に信頼をする。教師を信頼しなくてどういう教育ができるのか。これは釈迦に説法ですからこれ以上言いませんけど、大臣、この辺をよくお考えいただいて、この辺の改善について抜本的に取り組んでいただきたいというように考えるわけです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと御注意ありがとうございました。私も先生と同じように、若かりし日、満鉄の育成学校で教鞭をとっておりまして、それは種々新聞でありますとかその他の時事問題を取材いたしまして、そして生徒に教えておったのでございますが、しかしそれにいたしましても、基本になります教材はやはり教科書でございまして、教科書というものの重要性は、現場で実際教えておりますことをさらに意義あらしめるためにもいい教科書を、正しい教科書を持つということはこれは絶対な私は必要条件、大前提であろうと存じます。さような意味におきまして、冒頭申し上げましたように、私どもはりっぱな教科書をつくる、そうして検定制度も至公至平、そうして正しい教科書を青少年に与えていく、この重大な責任と義務を果たさなきゃならない。これをひとつよろしく御協力のほどをお願いいたします。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 私は、高校生のバイク問題について何点かお聞きしたいと思います。  まず、バイクの免許取得が十六歳から可能になっております。四輪車よりも二歳若い。こうした理由と根拠はどこにあるのでしょうか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) お答えいたします。  現在、自動二輪車と原動機つき自転車につきまして、運転免許を受けることができる年齢は十六歳となってございます。この基準は、わが国が加入しております道路交通に関する条約の規定と同じ趣旨のものであります。また、諸外国の免許年齢ともおおむね一致しているものでございます。これはこの十六歳という年齢になれば二輪車を安全に運転し得る知力とか体力を一般的には備えるようになるという考え方に基づくものでございます。  四輪車に比べて二歳下になっておるということでございますけれども、これは四輪車と二輪車の運転操作の複雑度の違いによるものというふうに理解しております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 諸外国における免許取得可能年齢、これはバイクの場合、四輪車の場合、どういうふうになっておりますか、おわかりでしたらお聞かせいただきたいと思います。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 諸外国における免許取得年齢でございますけれども、アメリカでは州によって若干違いますけれども、おおむね十六歳になってございます。イギリスではモペット、五十ccを超えないものでペダルつきのものでございますけれども十六歳、モータースクーターは十七歳というふうになっています。また、イタリアでは十六歳と、車種によっては十八歳もございます。西ドイツでは同じく車種によって違いますけれども、十五歳から乗れるものもございまして、十五歳、十六歳、十八歳というふうになっております。多少は違いますけれども、諸外国においても大体わが国と同じような、ほぼ近いものとなってございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 高校生のバイクによる事故が非常に多くなっております。そこで、十六歳から二十歳までの各年齢別、そして二十一歳以上は一括して結構ですが、ハイクによる事故数、それと死者数、これがどうなっていますか。これは過去五年間にさかのぼってお聞かせいただければ幸いでございます。また、その事故の種類、これもわかっていると思いますのでお願いいたします。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 二輪車の事故でございますが、五年間ということで昭和五十一年と五十五年という形で申し上げます。  二輪車の事故全体で申しますと、昭和五十一年が全体の件数が三万九千二百九件でございまして、五十五年は四万四千六百三十五件、指数にしまして五十一年を一〇〇としまして一一四ということになっております。死者数でございますけれども、五十一年が千三百九十一人で、五十五年が千六百九十三人となっておりまして、五十一年を一〇〇といたしますと指数は一二二ということになってございます。  これが全体でございますけれども、年齢別で申し上げますと、十六歳で申し上げますと、十六歳の者の昭和五十一年におきます件数は六千百十件でございます。五十五年は六千三百六十三件で、これは指数で申し上げますと一〇四ということになってございます。それから十六歳の者の死者でございますけれども、五十一年が百六十三人に対しまして五十五年は二百六十三人ということで、これは指数としては一六一ということになってございます。  十七歳につきましては、五十一年が件数で六千四百二十三件でございます。五十五年が六千百五十九件で、指数は九六ということになっております。十七歳の者の死者数は百七十九人で、五十五年が二百十六人でございますので、指数は一二二ということになっております。  二十歳以上の者で申し上げますと、五十一年の件数が二万三千六百五十四件、五十五年の数字が二万六千百六十九件、指数が一一一ということになります。二十歳以上の死者数につきましては、五十一年が八百七十九人、五十五年が九百九十五人で、指数としては一二二ということになってございます。  なお、事故の種類でございますけれども、これは二輪車の事故の種類は、全体の事故の場合と死亡事故の場合とで若干異なっております。全体の事故で申しますと、車両対車両——車両相互でぶつかるものが約六割を占めておりまして、次いで人と車両とがぶつかるもの、これが二六%程度を占めております。死亡事故で申しますと、車両単独というものが一番多くて、これが全体の四五%を占めておりまして、次いで車両相互が四二%を占めておる、こういう状況になっております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 二十歳とおっしゃったのは、二十歳以上のですか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) そのとおりでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 十八、十九、そういうのは数はわかっているんでしょうか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 十八歳の者で申し上げますと……

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 わかっていましたら、後でちょっと教えていただければ結構です。わかっているわけですね、略したわけですね。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) わかっております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そこで、もう一つお聞きしたいのは、十八歳以下の免許取得者で高校生、勤労青年、こう分けてどんな数になっているか。それから両者の間で事故の発生件数がどういうふうに違っているか、そういう点教えていただきたいと思います。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 高校生と有職少年に分けての免許取得者の数というのは正確にはつかんでございません。年齢別でのデータは持っておりまして、十八歳以下の者で二輪免許を持っておる者、これは約九十三万人ございます。そのうち有職少年がどのくらいおるかでございますけれども、これは私ども警視庁と山梨県、熊本県の三県のサンプリング調査によりますと、一二%という数字が出ております。大体十八歳以下の者で申し上げますと、一〇%程度が有職少年ではないかというふうに免許取得者数上は見てございます。  なお、事故の方でございますけれども、事故につきましては、これは十八歳以下の者の二輪車の事故を、これを第一当事者の事故でとらえたものでございますけれども、十八歳以下の者で高校生が、これは五十五年中の数字で件数で八千九百件、十八歳のその他の者というのが七千四百七十二件という数字になってございます。  事故率につきましては、高校生と有職少年の間でどちらが高いかということにつきましては、明確なデータは現在のところ持ち合わせておりません。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 バイクの免許取得年齢の引き上げということが賛成、反対、こうした意見が出ておりますが、現在警察側としてはこの問題についてどういうお考えを持っていらっしゃるんでしょうか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 年齢引き上げの問題でございますけれども、先ほども申し上げましたが、現在の十六歳という年齢は条約の趣旨にもかなっておりますし、また諸外国の免許年齢ともおおむね一致しております。この年齢を引き上げることにつきましては、先ほど一〇%程度というふうに申し上げましたけれども、二輪車が有職少年によって利用されておるということ、さらに相当数の高校におきましてそれぞれの実情に応じてアルバイトとか通学とかというものに利用されている実態というようなものがございます。さらには、これだけモータリゼーションというものが進展してきますと、やはり年少者のうちに徹底した安全教育を行って車社会の構成員として溶け込ました方が長い目で見た場合より安全ではないかというような考え方もございますので、年齢引き上げにつきましては慎重に検討していきたいというふうに警察としては考えております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 慎重にというのは、当分現状のままでということですね。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 当面は現在の免許年齢の中で必要な安全対策、私どもは十六歳とか十七歳、年少の二輪免許取得者に対しまして安全講習というものを実施しておりますけれども、そういうものとか、あるいは二輪車の教習所における教習カリキュラムを強化する等の安全教育を当面は充実していくべきであろうというふうに考えております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 現状のままでいくとしても、こうした高校生のバイクによる事故というのは非常に今後もふえていくだろうと言われているわけで、慎重にということは現状のままでというふうに受けとめますけれども、その中でこういう点を規制していこう、こういう点をつけ加えていこうというような、こうしたものは全くないんでしょうか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、二輪車の免許を取得する者の八割以上の者が自動車教習所を経由してまいります。そういうことで教習所における二輪車教育というものをより強化する必要があるということで、本年四月一日から施行になっているわけですけれども、教習所におきます教習時間の延長を図りまして、これらの教習の充実を図っております。  さらに、二輪車の免許を取得した者のうちで十六歳とか十七歳の年少者に対しましては、免許を与える段階で必要な講習を行いまして、安全運転の道義づけを行うというような活動を現在やっておるところでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そういう手の打ち方で高校生がバイク事故で非常に悲惨な死に方をしていく、こういう点について防いでいける、こうした事故数を減らしていけるという自信をお持ちでそういうことをおっしゃっているか、その点いかがですか。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 二輪車の事故を非常に長期的に見ますと、非常な車の台数の増加に比べますと件数はそれほどふえておりません。台数当たりの事故というのは、かなり減ってきておるわけでございます。私ども、いろんな二輪車に対する安全対策を強化していけば、二輪車の事故を現在よりは減少できるんではないか、そういう考えで取り組んでおるわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 もう一言お聞きしますけれども、ほとんどの高校では許可しないと、それにもかかわらず法律では許可している、そこに何かお考えになる余地があるんじゃないか。勤労青年のこともお考えでありますし、その他有効にバイクを使っている高校生もいるかもしれませんけれども、こうした事故を学校としてはゼロにしたいと思っているわけですね。しかし、法律が許可をしているがためにこれどうすることもできないということについての問題点をもう少し真剣に考えていただきたい、その点いかがでしょう。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 免許資格年齢ということになりますと、これはすべての者に一律な問題でございますので、ある者にはいいけれども、ある者にはだめだというような規制の仕方というのは非常にむずかしゅうございます。したがいまして、先ほど言ったような問題もございます。  現場の事故防止の解決の仕方としましては、学校の方で教育上の配慮、立場から、免許取得につきましての禁止とか、あるいは制限あるいは免許証の保管というようなことをそれぞれの地域の実情に応じて行っているわけでございますけれども、私どもそういう現場の教育的配慮から事故を防ぐためにそういう措置を講ずるということも理解できる面が十分ございますので、これらの要請があった場合には私どもの方もそれなりの協力をいたしているわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そこでお聞きしたいんですが、教育委員会や学校のレベルでこの免許の取得を禁止したり、また免許を預かったりしていろいろな問題が起きているわけです。その状況をつかんでいらっしゃるんでしょうか。もしつかんでいらっしゃるんでしたら、こんなふうだという実態をお聞かせいただきたいと思います。

越智俊典警察庁交通局運転免許課長

○説明員(越智俊典君) 私どもが各県警から報告をいただいてまとめた数字でございますけれども、まとめたものによりますと、全国の高校の中で免許の取得というものをほぼ全面的に禁止しているという学校の数が約千校ございます。それから通学やアルバイト等の目的の場合はいいと、その他の場合はだめだという目的を限って免許の取得について許可を与えているという、逆の意味では制限しているということになりますけれども、この学校が約三千校ございます。この調査の際には全体の学校数が五千四百校ということですので、約七割五分程度の学校が全面的かあるいは部分的かの制限をやっておるというふうに承知しております。また高校生が取得した免許あるいは法違反とか、事故を起こした場合に学校の方で免許を保管しているのは約千五百校というふうに承知しております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そこで、これは大臣にお聞きしたいんですが、こうした動きについて賛否両論がある、また警察の方の態度はいま述べられたような立場に立っておっしゃっている。そこで法律で認められている、それを教育委員会や学校が制限するのはけしからぬとか、まあ禁止するなら無免許でも乗るぞというような抵抗もあるように聞いておりますけれども、教育委員会や学校レベルでの規制措置、これに対して大臣はどのようにこれを評価していらっしゃいますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 交通事故の死傷の問題でございますが、何としてもこれは防止しなきゃならぬ、かように考えております。  高校生の運転免許取得の規制の問題は、現在相当の、いま先生が御指摘になったように、高等学校で行われておるのでありますけれども、このような処置は現在の交通環境等を踏まえましてお父さんやお母さんでありますとか、地域社会の要請も受けて教育的に配慮のもとに行われておりまして、事故防止に一まあ私どもといたしましてはただいま警察からのお話もございましたが、学校その他の御両親やなんかの注意とか、あるいは補導というものが相当の成果を上げてきておるんじゃないか。ただいまこのバイクの数が全体的に見ればふえておりますけれども、相対的には減っておるということも報告がありましたが、まあこの点はいまお話が出ましたように、職業を持っておられる有職者の青年も多いんでありますからなかなかこれはむずかしい問題でありますが、御本人はもちろんのこと、学校における安全指導あるいは補導といったようなことで相当効果を上げつつある、こういうふうに踏んでおりますが。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 大臣にお聞きしたのは、教育委員会が法律では認めている免許証を取り上げたりまた制限させようとしたりいろいろやっているわけです。こういう教育委員会や学校でやっているその規制措置に大臣は、大いにやれ、しっかりやれと、こういうふうにおっしゃっているのか、やらない方がいいぞという立場で臨もうとしていらっしゃるのか、そのどっちなのかということをお聞きしたいわけなんです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変むずかしい御質問でございますが、危ないからやめなさいと言っているんです。しかしながら、まあ商売の上からいってやっぱり乗らなきゃならないような有職者もありましょうし、いまのところやむを得ない形において推移いたしておると思います。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 もう一度お聞きしますが、私がお聞きしたいところを大臣はお答えにならないわけなんですね。まあ法律で許している、だから乗ったっていいんだ、免許を取らせないようにするなんていうのはけしからぬと、こういう生徒側の立場があるんです。それに対して賛成だ反対だという意見もあります。そういう中で委員会がまた学校がやっているわけでしょう、禁止したり免許を預けさしたりしているわけですね。ですから、大臣はその総元締めなんですから……。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) まあそれは元締めといいましてもいろんな元締めがありまして、学校の方の元締めは私の方でありますが、バイクの方の交通事故の元締めは警察の方でありまして、したがってここのところをできるだけ、本当に重大な問題でございますから真剣に取り組んでおります。取り組んじゃおりますけれども、まあ事故防止につきましてある程度成果を上げつつあると先ほど来申し上げております。これを一切禁止しろと申しますことはこれまたやっぱりできにくいことだろうと思うんです。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 それ以上は——次の問題でまたいろいろ御意見伺いたいと思います。  いわゆる暴走族、こういう若者は騒音で迷惑をかける、また自分の命も落とすかもしれない、他人に迷惑を非常にかけるという点では大変な問題だと、こんなことは百も承知でやっていると私は思います。しかし、その危険性とか緊張感、まあ瞬間瞬間にあのスピードで走る妙味というものは生きがいを感じてこそやっているんで、そういう暴走族の気持ちもわからないわけではないんですが、しかしそれをあえてやっているというあの青年の姿を見ると私は彼らはああいうところに生きがいを感じているんだなと、これでいいだろうかと、そして現実の社会とか学校から逃避しているんだというふうに感ずるわけなんです。文部大臣もバイク少年とか暴走族を御存じと思いますが、教育問題としてこれをどう見ていったらいいだろうか、特に大臣としては責任感を感じた立場でこれをどういうふうに考えていらっしゃるか。先ほどは免許取得の問題でいろいろお尋ねしたわけですけれども、これをもう一歩教育の問題に置きかえて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 文部省といたしましては、この暴走族を初めといたしまして生徒の問題行動の防止につきましては、学校教育におきまして不適応生徒を生み出さないようにいたすことを基本といたしておりまして、学習指導なり、あるいはまた、生徒指導の改善でありますとか充実に心を配っておるような次第でございます。問題は、暴走族のあの青年諸君の若さというものの、はけ口と申しますか、ああいうふうなスリルを追うような結果になりますこの点につきましては、教育上の見地からも今後とも一層戒めてまいります。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 何か抽象的な、そんなことでこの問題が防げるものだろうかと、情けないような、また大臣にもっと真剣にお考えいただければという期待を込めて、私なりに、この問題は単に免許取得年齢をそのままにするとか、引き上げた方がいいとかという是非の問題、これも議論をするべき問題点でございますけれども、若者がバイクで不満を発散させている、はけ口を求めているという背景、それはやはり最も重要な問題であって、これを防ぐ決め手だと私は思っているんです、事故を防ぐ決め手は、やはり教育問題としてこれを受けとめていくことの方が解決の道じゃないか、こういうふうに思いましてお尋ねしたんです。  私は、高校教育というのが大学入試の準備教育にもうなってしまっている、高校教育といえば進学者に対する教育だというぐらいに言ってもいいような偏り方をしていると思うんです。そういう中で、就職者に対する教育が非常におろそかになっている。そこで、就職者に対する教育の現状、大学には行きたいけれども行けないという、こういう若者たちに対する対策というものを大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お願いいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 高等学校への進学率は九四%で、大学へ行く者は四割弱でございますから、就職をする人たちの指導をやはりきめ細かくやっていかなければならないということは、ただいま委員のおっしゃいましたとおりであると思います。そういうことで、やはり、高等学校の現場で大学進学ということを目指した一種の画一的な教育というようなものが支配的なぐあいになるということは、確かに生徒の教育上好ましくない影響を与えると思います。で、九四%にも達しておる高校生でございますから、生徒の進路を初めといたしまして、その能力でございますとか、あるいは適性というものはきわめて多様なもの、それがみんな高校へ入ってきているわけでございます。したがいまして、文部省としましては、これは、明年から実施に移すべくいま準備中でございますところの学習指導要領の改定におきましてやはり基礎的、基本的事項の精選を図るということをいたしまして、高等学校に入っております生徒の多様な興味、関心あるいは進路等に応じて選択ができますような科目を拡大しております。そういうことなど私どもは教育課程の基準の多様化、弾力化を図りまして、できるだけ生徒一人一人に応じたきめ細かな教育が用意できるように考えてそういうことにいたしまして、ただいまその準備のために各都道府県教育委員会もいろいろと力を尽くしていただいておるところでございますので、この新しい教育課程にのっとりまして、委員御指摘のようなぐあいに多様な教育が展開できるようにできるだけ私どもも都道府県教育委員会ともども努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 いまのお答えは、新しい教育課程にそれは任せてある、それに組み込まれてあるとか、また、一人一人にきめ細かに考えているんだという、そうした漠然としたお答えならば何も聞かなくてもわかるわけで、私がお聞きしているのは、就職者に対する教育というものを何か新しい観点から、またそれを充実していこうという方向にどういうふうにやっているかということのもう少し具体性のある御説明がいただけないんでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) やはり受験のためのような教育というのは就職者にはなじまないだろうと思うんでございますけれども、しかし、高校教育の中で、国語にしても数学にしても、あるいは社会にしても理科にしても、あるいは外国語のようなものにしても、就職する人としてもやはりそういう学力をつけるということは大事でございますので、受験する人本位の教育はいけないと思いますが、やはり就職する方にもそういう学力もしっかりつけていただく、あわせて、職業科の学校もあるわけでございまして、この職業科の学校における職業教育のあるべき姿については、私ども、理科教育及び産業教育審議会の方に大臣の方から御検討をお願いしておりまして、適切な職業教育のあり方をさらに検討したいと思っておりますし、それから普通科の中でもどういうふうに職業科目というものを用意して就職者等にこれを指導していくか、これもあわせて大事な問題なのでお願いしております。  それから全般的な問題として、高校教育の中で一種の勤労体験的な学習を新しい指導要領の中でも取り入れてもらって、やはり体を使って働くことの意味なり、あるいはその値打ちなりというものも体験さしてもらうような機会をつくってはどうかというようなことも考えていた次第でございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 先ほど、高校教育の今後の問題として、大いに改善していく、その一つのねらいとして教育課程が改善されるというお話がございました。私、この問題も、高校教育の一つの問題点としてお聞きをしたかったので申し上げるんですけれども、私は、やっぱり科目は依然として国語、社会、数学、理科、外国語といったようなもので、魅力のある内容じゃないじゃないかと、また各教科の内容もやっぱり同じことじゃないんだろうかと、こう思うわけです。そういうふうに申し上げると、基礎的、基本的なものはそう簡単に変えられないと、こういうふうにおっしゃるかもしれませんけれども、やはり時代がどんどん進んでいく、特に情報化時代、こういう中で現代の学校教育というものは若者の心をつかんでない、また若者の関心を引きつけるだけの魅力がないと、こういうふうに言えると思うんです。そういう点いかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 何と申しますか、やはり教育課程の内容といたしましては、教科というものが改定前も改定後も主要な柱はおっしゃるとおり同じなわけでございまして、国語、社会、数学、理科、保健体育、芸術、家庭科、こういうことでございますが、その教科の中身の科目と申しますか、これについては若干いろいろ工夫いたしまして、たとえば社会の中で現代社会というような新しい科目をつくりましたし、そういった試みも取り入れられておるわけでございます。そして、全体で見ました場合には、必修科目の数とその単位数を大幅に削減いたしまして、従来四十七単位でございましたものを三十二単位に減らす、それから卒業に必要な最低の単位数として従前八十五単位以上と言っておりましたものを八十単位以上というようなふうにいたしました。これによって、選択科目を拡充した教育課程が組めるように、あるいは教科科目の内容を精選できるように、あわせて先ほど申し上げましたような勤労体験学習というようなこともやっていただきまして、望ましい勤労観を育成していこうとか、あるいは道徳的な実践の指導を徹底する、さらに日常生活における体育的活動の実践もやってもらうということで、できるだけ徳、知、体の調和のとれた子供をつくっていこうと、こういう構え方での改定をしておるわけでございます。これがこの改定の中身をつくっていただくのはそれぞれの学校でございますので、ひとつ先生方にこういった全体の枠の中で血の通った指導を展開していただきたいというふうに願っておるのでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 時間が大分だんだんなくなってきましたので、簡単にお答えいただきたいんですが、もう一つこうしたバイク少年、暴走族ができる、その原因がやはり高校教育の中にいろいろ問題があるという点でお聞きしているんですが、その中の一つとして、高校格差、これも大きな原因じゃないだろうか。優越感、劣等感、こういうものを現に持たせているわけです。こういう問題を考えましたときに、高校教育、これは中高一貫教育にすべきだというふうに思っておりますが、この中高一貫教育、これを文部省はお考えになっていますですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 先ほども申し上げましたこの今回の学習指導要領の改定に際しまして、これは三年がかりで教育課程審議会でいろいろと御検討、御審議いただいた、それを受けて行ったものでございますが、先ほど申し上げましたように教育課程の基準の思い切った弾力化を図りまして、一つの標準ということで決めておりまして、そしてこの際に中学校及び高等学校の教育を一貫的にとらえて改善を図っております。それは審議会でもそういうふうな考え方にのっとってこれをやっていこうと、こういうことで議論をお進めいただいた次第でございます。で、文部省といたしましては、今後それぞれの学校で、弾力化をしたわけでございますから、それぞれが特色のある教育課程を編成していただいて、全体として見れば非常に多様な高等学校が存在するという結果に持っていっていただきたい。こういうふうに思っているのでございます。  なお、中高一貫教育ということがすべての高等学校で同じような単一の指導内容や指導方法をとる、そのことによって義務教育である中学校からすぐすっとつながると、こういうような発想の、そういう御主張もこれは柏原委員の御主張がそれかどうかわかりませんが、そういうものもあるようでございますが、それはこの高校生という年代の非常に多種多様な希望に沿うことにはかえってならないんではないかというふうに思いますので、教育の内容においていろいろな多様な方へ中学校からつながっていけるようにこれは配慮する必要がある。ただ、学校制度のような形での中高一貫ということはなおいろいろ問題があるんではないか、こういうふうに思っております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 それは次の機会に譲っていろいろとお聞きしたいと思います。  で、次に交通安全教育、これがどういうふうに行われておりますか。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) 学校における交通安全教育につきましては基本的理念として自他の生命の尊重、この理念に立ちまして心身の発達段階や地域の実態に即しまして、一つには常に安全で必要な基本的行動様式につきまして十分理解を持たせる。またさらには身近な交通環境におけるさまざまな危険に気づいて的確な判断のもとに安全に行動できる態度と能力を養うという、ここにねらいを置きまして行っておる次第でございまして、具体的には教育活動におきます特別活動の学級指導、ホームルームあるいは学校行事を中心といたしまして、各教科、道徳など学校の教育活動全体を通じまして総合的、計画的、継続的に指導が行われるようにしているところでございます。具体に小学校、中学校におきましては、歩行者としての安全のみならず、自転車の安全な乗り方についても重点的に指導しております。また、高等学校にまいりましては、さらに小中学校における指導を一層発展させるとともに、よき社会人として必要な交通のマナーを身につけさせるとともに、生徒や地域の実情に応じましては二輪車や四輪車の安全に関する内容と、将来運転者として必要な内容につきましても指導を行い、安全に対する意識の高揚と実践力を図るということで取り組んでおりまして、このため文部省といたしましては、小中学校につきまして安全指導の手引き、また自転車に関する安全指導の手引き、高等学校につきましては交通安全指導資料、主として二輪車に関する指導の指導資料をつくりまして、研修会等の開催によりまして教職員の指導力の向上、また教材、教具の整備等を図っておるところでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 どこかの会合で報告しているような言い方じゃなくて、聞いたから答えればいいと、そういう何だかそらぞらしいようなことじゃならないと思うんですね。それも事故が起きているわけでしょう。その事故も本当に悲惨と言えば若者が一瞬にして死ぬ。  いまも、私のうちの近所に高校生のバイクの事故があって、もう一年以上たっていますけれども、そこに花がいつもさしてあるんですね、それを見ると本当に生々しい、親の気持ち、本当に二つとそういうことがあってはならないと思うような事件が起きているわけでしょう。  そういう問題をいま取り上げた上で安全教育というのはどうなっていますかとお伺いしているのに、そんな言い方で済まされるという、その文部省の姿勢が私は一番問題だと思いますよ。そらぞらしいですよ、余りそれじゃ。そんなことでこういうものは防げないじゃありませんか。しかも現場では問題起きているんじゃないの。学校は法律で許されているものを知っていながら禁止していると、禁止した学校や委員会は突き上げ食っていると、こういう現場でしょう。これはもっとひどくなりますよ。そういうのを御存じだと思うんですよ。御存じならばそんな、ただ口でべらべら言えばそれでいいと、教育の場で安全教育なんかされてないと言われてもしようがないじゃないですか。安全教育はりっぱにしていると、されていると、こう思っておっしゃっているんですか、どうなんですか。よけいなことはいいですから、安全教育は行き届いていると、一生懸命やっていると、少しでも進んでいると、どうなの。こういう言い方しちゃ失礼ですけれども、あなたの答え方失礼ですよ。だから私もこういう失礼な言い方で言わなきゃならないんですよ。

柳川覺治文部省体育局長

○政府委員(柳川覺治君) ただいま実際に学校における安全教育に対する取り組みの基本的なあり方を御説明したわけでございますが、先生御指摘のとおり、いまこの交通安全教育の問題をめぐりまして片方に先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、いわゆる三ないのような規制の運動が各地で起こってきておるわけでございまして、いま学校では従来子供たちを車の危険から守るということでの交通安全の取り組みに主眼を置いた取り組みをしてまいっておりますが、さらに将来にわたって社会人として将来運転者になるという点に視点を置きまして、より一層この面の徹底を期していくということの取り組みに入っておるというように考えておるところでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 本気になってやっていただきたいと思うんです。  交通も激しく、またバイクの性能ですか、これも非常によくなっているので、教育の取り組み方もやはり昔みたいなままじゃだめだと思うんですね。それでいろいろお聞きいたしましたが、私はもっと、最初は被害者にならないための交通安全教育、最近は加害者にならないための交通安全教育が行われていると、変わってきているようですけれども、それも当然ですが、私は車から身を守る、こういう安全教育をもっと進めて交通ルール、また排気ガスや騒音などの問題、公害の問題、この自動車事故の非常に悲惨な問題、賠償問題、こういうところまで、責任という問題に立って教育できるような、そういう面も期待するわけなんですね。その点、もちろんお考えでしょうけれども、一言どうでしょう、大臣にお答えいただけましょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 先生の非常に切実なお気持ちもよくわかります。この際思い切ってオートバイの販売を禁止してしまう、製造を禁止するとかまで行けばごくっと来るわけですけれども、そこまでできないところに非常に実は悩みがございます。しかし何はともあれ大事な大事な若者がどんどん死んだり、けがしたり、廃人になったりしていく姿はもう社会的に見ても容易なことではありません。  それからもう一つ、私は過去のわれわれの生活を考えてみますと、お父さんやお母さんずいぶん金があるのか何か知らないけれども、あんな高いものを子供が、いかに月賦とはいいながら、割賦でしょうけれどもずいぶん買っているんですね。本当に驚くわけですけれども、もう少しやっぱり生活それ自体も堅実なものになっていかなければいけないように思うんです。それがいまの警察庁で言われるように、有職者が職業上ぜひ乗らなきゃならないバイクと、そうじゃなくってみんなが遊び半分に乗っておるバイクとは、やはり私はバイクの製造の種類も違うんじゃないかしらと思う。たとえばそば屋さんが出前でやっていますあのバイクというのはあれはもう実際営業上絶対必要ですから、そういうふうなことを考えますが、けがしたり何かする非行の青少年がすばらしいりっぱなバイクを乗り回しているということはこれは目に余るものがございます。その点またひとつ近く青少年対策の方から総務長官から連絡があるだろうと思いますが、みんなでひとつ相談してまいりたい、かように考えます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 最後に高校生のバイク規制に関して規制する側の姿勢も正しくしていかなければならないと思うわけなんです。  具体的に言いますと、教師、学校側が一方では生徒にバイクに乗るな、免許を取るなと規制しておきながら、教師はマイカーで通勤しているというわけです。それじゃ説得力がないじゃないか、こういう意見も聞くわけなんです。こういう教師のマイカー通勤、これに対して大臣はどうお考えですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 確かに柏原委員のような考え方なり、あるいは現場での状況としてそういうことも注意しなきゃいけない場合があろうかと存じますが、ただこれは通勤問題でございますので、やはりどうしても自動車に乗るなり、あるいはバイクに乗らないと学校へ来れないとか、あるいは非常に来にくいという、そういう場合もあろうかと思います。したがいまして先生が乗っているからどうも先生の指導にすぐに迫力がなくなるともあながち言い切れない場合があるだろうと思いまして、ですからそのことはそれなりに場合場合によっての判断が必要じゃないかという気がいたします。  なおただ現在は官公庁、これは公立学校を含むわけでございます。それから私立の学校にもそういう要請をいたしておりますが、石油消費節減対策の一環といたしまして、マイカー通勤というものにつきましては、身体障害者の場合でございますとか、あるいは特別の深夜勤務とか早朝出勤の場合でございますとか、あるいはその他マイカーによらなければ通勤が著しく不便になる等、各機関の長がやむを得ないと認めた場合、それに限ってマイカーにするようにということで、公務員の場合はできるだけマイカーの通勤は自粛するようにというたてまえがとられておりまして、恐らく各県でもそういう線で御指導いただいておると、こういうぐあいに受け取っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 質問に先立ちまして、大変恐縮なんですけれども、私持ち時間全体で三十分でございますので、御答弁の方は簡単にお願いしたいと思います。  第一番目にですけれども、大学問題で午前中はいろいろ議論をしましたが、大学の総合化という点は広く国民の大きな要求になっていることは御承知のとおりだと思います。そこでお尋ねしたい点なんですが、五十六年度の予算要求の中に、まず大学学部等の創設準備等経費をどのように要求されているかという点で、一つは創設準備経費を措置しているものは何々、どこどこなのか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 大学学部等の創設準備等の経費の措置の状況についてのお尋ねでございますが、創設準備経費を措置しているものといたしましては、短期の高等教育機関ということでこれは高岡でございます。それと三重大学の人文学部につきまして創設準備経費を措置いたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 続いて、創設準備調査経費を措置しているものは。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 創設準備調査経費を措置しているものとしては、身体障害者高等教育機関につきまして筑波大学、九州工業大学の情報工学系学部につきまして創設準備調査経費を措置いたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 次に、大学改革等調査経費を措置しているものは。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 大学改革等調査経費を措置しているものとしましては、大学名で申しますと、福島、群馬、山梨、鳥取というようなところにつきまして人文社会系学部構想について措置をいたしております。ほかに、広島大学について体育学部の構想、徳島大学について教育学部の改組、長崎大学について併設医療技術短期大学部設置調査、千葉、金沢については教員養成系大学院について措置をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 こうした大学の中で、これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、福島大学の場合ですね、いまお話にもございましたけれども、これは五十四年のときに調査費がついたんでございます。それで五十六年に早期開設をというふうなことで地元から大変御要望もございました。なぜそういう状況が出ているかということでちょっとお知らせ申し上げたいんですけれども、五十四年度で大学入学者の中で県内に残っている者ですね、これが宮城の東北大学の場合と——宮城には東北大学という総合大学がございますので、宮城県と福島県の場合を比較してみたいと思うんです。福島県の場合には県内高校卒の大学入学者数というのは五千九百五十八人でした。宮城県の場合には六千四百四人。うち県内大学に入学した者が福島県の場合には七百九十人で率にすると何と一三・三%。ですから残りの八六・七%は県外、特に首都圏に五十数%以上が来ざるを得ないという実態になっています。一方、宮城の場合には県内大学への入学者が三千七百三十二人で、それは五八・三%というふうな実態になっているわけなんです。福島大学の場合には、国立大学で二学部だけという状態で、ようやく今度移転いたしまして関係者は喜んでおりますが、一日も早く当面するこの人文社会系の学部の構想ですね、本格実施してほしい。それから引き続き同学部理工科系という話も出ているわけなんで、こういう御要望に一日も早くこたえられるような方向で予算措置等を進めていただきたいという点で大臣の御決意を聞きたいわけです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 先生の御要望につきましては確かに拝聴をいたしました。  なお、その他必要の御答弁などにつきましては政府委員からお答えいたさせます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、福島大学の学部創設につきましては、五十四年度から調査費を配分して大学における検討を願っているところでございます。学部創設という問題については、昨今の財政事情や行政改革の方針等もございまして、なかなかむずかしい点もございますが、私どもといたしましては地方の国立大学の整備充実を図るという観点に立ちまして、今後とも大学におきます検討状況等を見た上で具体の計画が十分練られました、計画が本当に成熟しましたものについて準備が整うのを待って対処をいたしたいと、かように考えているわけでございます。  なお、改革調査の経費のことでございますが、実は福島大学は五十四年でございますが、すでに五十三年度から着手しているのがほかにも何校かあるわけでございますし、またこういう新しい学部、特に人文系の学部の創設というようなことになりますと、一番大きい点は教官の確保の点が問題でございます。そういう点が十分大学側の計画が練られましたものを見ました上で対応いたしたいと、かように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣に、はっきりしませんでしたから、確認したいんですが、地元の条件がきちっとそろっていけば、財政当局等のいろんな圧力もあるけれども、大臣としては決意を持って臨みたいというふうに受けとめてよろしいですね。その点はっきりちょっと一言。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) いま局長からお話があった点も加えまして、地元の方の整備状況といったようなことにプロフェッサーの問題なんかございましょう。その点は具体的なことは私存じませんけれども、既定の計画は一日も早く実現できるように鋭意努力しなきゃならないことは当然でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いま計画に基づいてできるだけ早く実現したいという大臣の決意でございましたけれども、ちょっと私なぜこれを質問したかと申しますと、いよいよ予算が通りましたでしょう。今度第二次臨調の問題が出されてきまして、いよいよ今度来年度に向けて予算編成の作業が部内では各省庁でやられているという話を聞いているんです。そういう中にあって、実はこれは衆議院の文教委員会に自民党の方から次のような法律が準備されているということを聞いたわけなんです。私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案ということで、理由の中に、「私立大学の設置等の認可を抑制する期間を昭和五十九年三月三十一日まで延長するとともに、国立大学の設置等を昭和六十年三月三十一日までの間抑制する等の必要がある。」と、こういうことを出してきていまいるんですね。だから、つまりいままでいろいろ計画はあるけれども、そういう計画はもう一時凍結だよと、六十年まではこれはもう見送りだよということにも受け取れる内容だと思うわけなんですね。ですから、こういうことがいろいろ自民党内部からも出てきておりますが、あるいは財政当局からも出てきていますし、財界等やいろんなところからも出てきていますけれども、文部大臣先ほど言われたように非常に教育行政がもう犠牲にならないという立場から、大学の総合化も含めたそういう充実という点で取り組んでいただきたいということで再度決意をお伺いしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、非常に厳しい財政事情があり、また行革という問題を目の前に控えておりますけれども、われわれといたしましては、既定計画につきましてはその完遂を期さなきゃならない、当然のことでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 次に、国立大学の学生寮の問題についてお尋ねしたいわけなんですが、時間がございませんから私の方から申し上げたいと思うんですが、学生寮の設けられている意義、必要性をどう見るかということなんです。  いろいろございますでしょうけれども、一つは昭和三十七年七月に文部省が出しております、学徒厚生審議会が出された「学寮の意義」という点、これは非常に簡潔にまとめてありますので、私あえてお読みして、この考え方がいまもなお生きているということを信じるわけなんですが、確認の意味でいまお話し申し上げたいと思います。  一つは、学生寮がなぜ設けられたかという点では、「学寮の物的環境を整備することによって、その居住者の心身によい影響を期待すること」、それから二つ目が、「そこにおける共同生活に特有な人間関係を通じて、居住者に貴重な生活体験を期待すること」、こういう二つの面をうたっています。そして、特に生活体験を期待するという面で七つについて細かくお話しになってあります、規定しております。一つは「心理的欲求の充足」、二つは「大学生活への適応」の問題、三つ目に「人間的交流の緊密化」、四つ目に「学究的思考態度の形成」、五つ目に「社会的視野の拡大」、六つ目に「問題解決への援助」、七つ目に「共同社会の生活体験」というふうなことで、非常にいわゆる居住住居としてというだけではなくって、学生という特有な中で非常にこう幅広く、対人間的に、学問の研究も含めて大きな意義があるという指摘をされているわけなんですけれども、この点についての認識はいまも同じでございますでしょうね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 本件につきましては政府委員からお答えいたします。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、三十七年に学徒厚生審議会で答申のなされた点についての御指摘でございますので、その精神は私どもくんでいるわけでございます。ただ、学寮の問題につきましては、その後国大協等においても見解も出されておりますし、学寮全体の設置、管理、運営等につきましても、私どもとしては寮の整備ということで全体的な対応はいたしてきておりますが、その後の社会情勢の変化と申しますか、そういうことも踏まえまして、学寮に対します学生の嗜好といいますか、そういうふうな変化も今日では当時とは変わっている、変化もきておるわけでございます。主として今日では、勉学と生活のための良好な居住施設であるということに対する期待感が強いということが言えるかと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私、運営までは聞いてなくて、意義と必要性は間違いございませんねと念を押しただけなんです。  それで、そういう意義と必要性を踏まえながら、それじゃ国立大学の寮の実態はどうなのかということなんですけれども、これはちょっと御報告いただきたいと思います。五十六年の一月三十一日現在で国立大学の老朽寮の状況ですね、どうなっていますでしょう。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 五十五年度末についてお尋ねがございましたが、私どものいわゆる老朽学寮の改築についての取り組みでございますが、昭和五十年九月に百八寮ありましたいわゆる老朽寮は、その後年々建てかえ等が進められまして、五十五年度末には六十一寮が措置済みということになっております。したがいまして、今後建てかえ等が必要なものとしては四十七寮ということで把握をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 御質問しないのも答えてくださるんですね。私はいままでどうなのかということで伺ったつもりなんですが。  私がいただいた資料によりますと、五十六年一月三十一日現在で、北海道大学だけで八つの寮、それから北海道教育大学で二つの寮、東北大学で五つの寮、そういうことを合わせまして十七大学で計四十七寮、文部省の方でおつかみになっている数字で老朽学生寮だということを聞いておりました。  それで、いままでどのぐらい改善してきたかというお話なんですが、これまた五十六年の一月三十一日現在で、文部省の方から資料としていただきましたものによりますと、過去十年間の間に——大臣、よく聞いてほしいのです。十年間の間に二十八大学の中で五十五寮をやってきたというお話なんです。十年間に五十五ですよ。そうしますと、いま現在で四十七寮がいまなお老朽化しているという実態なんです。実情、いろいろ申し上げたい点があるんですけれども、一部だけ申し上げますと、これは東北大学の松風寮というところなんです。ものすごいですね。建設されたのが昭和十八年なんですけれども、木造モルタル二階建て、実態はどうかということですけれども、寮自体がゆがんでおります。お部屋は水平ではありません。天井が抜けています。廊下歩くたびに揺れます。きしみ、ときには踏み抜けることもあります。窓枠が外れそうです。夏に窓をあけるとそれっきりになり、なかなか閉まりません。すきま風が多く、冬は室内外の気温差がないような状態です。階段はすり減って、とてもよく滑ります。この前、地震がございまして、大変な実態になっております。こういう状態なんです。そのほかいろいろございますけれども、もう実情を挙げたら切りがございません。耐力度数はどのくらいかと言ったら、もう三千点以下だというような状態なんですね。こういう状況がございますだけに、ぜひこれまたさっきの予算の話じゃございませんけれども、いままでかかって五十五でしょう。いま四十七も老朽化している状態ですから、早急にやっぱり計画的にこういう老朽寮の改築という点で取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。これは大臣の方から。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の東北大学の学寮の整備につきましては、私どもとしても五十六年度にも具体の計画を持っておるわけでございまして、さらに条件が整備されましたものから順次建てかえるということで対応いたすつもりでございます。いずれにいたしましても、老朽寮につきましては居住条件等が悪い等、大変問題があるわけでございまして、私どもといたしましても大学側に対しまして条件整備の整ったものから逐次建てかえるという方針をとっておりまして、引き続きその整備に努めたいと、かように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 条件整備というのはどういうことでしょう。これまた簡単にひとつお答えください。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 具体的な点で申し上げますと、管理運営は大学当局が責任を持つということで、いわゆる学生の自主管理でないということ、第二点といたしまして、所要の経費について大学側と寮生個人との負担区分が適正なものとなる見通しがあること、そういうような点につきまして大学の学内機関で確認がなされ、寮生においても原則としてその方針を了解しているというようなことを考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 これは大臣に、ちょっと判断してくださいね。  いま条件とは何かと言いましたら、大学が責任持つんだと、これは当然なんです。それから負担区分の話、これまた一定の費用区分があっていいんです。ただ、私はもう時間がないから端的に申し上げたいんですけれども、もう大学部内の話を文部省がいろんな形でもって行政指導と称して大学の自治だとか運営について干渉しているんではなかろうかと、もし、こういう事実があればおやめいただきたいということなんです。  具体的に申しますと、負担区分の話の中で一つ根拠になっているのが三十九年の二月十八日の通達問題だというふうに一方では言われているんですね。しかしこの二・一八通達というものの中にはいろんな問題があるんですよ。どういう問題があるかといいますと、寮の食堂は必要でしょう、食堂が必要なら炊婦さん必要なのに、その炊婦さん——栄養士や何かの方は大学は見るけれども、国が見るけれども、炊婦さんだけは学生見なさいよという言い分もあるし、それから共用部分で、皆さん一緒に顔を洗ったり、おふろに入ったりする、その水道料金やガス料金まで個人持ちだとかということになるんです。これ共用部分だから明確にならない。これはいろいろ議論があるわけなんです。この問題はもう大学の自治に任ぜるということになりまして、それぞれ大学の部内で教授会や学生や寮生が皆さんと相談しておやりになりなさいという方向でずっと進んできたはずなんですが、最近また、さっきの老朽化の問題で建てかえのことが出てきたらば、いや、ということでまた出してきているわけなんですね。だから、老朽化の建てかえ問題必要なんですから、それはそれとしてやっていただくと。それから負担区分の問題等についてはやっぱり大学部内でよく教授会そして学生、寮生みんな含めてやって、大学の運営とそれから大学予算配分の自主性という点を尊重した形でもって私はこの寮問題ということについて解決を図るように指導をいただきたいと、これは大臣の御答弁だけでよろしいです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話でございますが、運営管理の具体の問題でございますので、政府委員からお答えいたします。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の三十九年二月十八日の「学寮における経費の負担区分について」という、それに基づきまして私どもとしては処理をいたしておるわけでございます。  御案内のとおり、学寮の設置管理に必要な経費は大学で負担し、寮生の私生活にかかわる経費は寮生が支弁するという基準でございます。少なくとも私生活費の全額を負担するというたてまえが貫かれるということは必要でございまして、その点は国大協の「学寮のあり方について」という見解でも述べられているところでございます。私どもとしては、寮生の私生活に要する経費を国費で負担することは一般の下宿学生等との均衡から考えても適切でないと、かように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私はそういう突っ込んだ論議いまするつもり全然ないんです。つまり、大学予算に配分されるその予算をどう使うかというのは、大学の予算配分の自主性という点でこれは尊重してもらいたいと。それから大学のそういう寮の運営も含めてどうしていくかというのは、これはもう寮生や教授会や大学当局のことだから、そういう点での大学自治という点の基本的な姿勢は踏まえて、ひとつその不当な干渉、介入がないようにお願いしたい。これ一点だけなんです。だからこれは大臣に御答弁いただきたい。運営上の具体的な中身じゃない、姿勢の問題でお聞きしているわけですから、ひとつよろしく頼みたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 簡単なようでありますが、なかなか重大な問題でございます。これは政府委員からお答えします。

下田京子日本共産党

○下田京子君 もういいわ、わかっているんだから。  大臣ね、二これはもう姿勢としてそういう方向でおやりいただきたい。時間がありませんから、また後日これはじっくり時間かけたいと思うんです。  次に、これ、ごらんになりましたでしょうか、政労協天下り白書というの、一九八一年版がきのう出たんですね。四月八日付で出たものなんです。政労協といいますのは、政府関係特殊法人労働組合協議会がお出しになっているものなんです。これ見まして私もう驚いちゃいました。なぜ驚いたかといいますと、文部大臣所管の中の文部省でも日本育英会でしょう、学徒援護会、日本私学振興財団、それから国立競技場、日本学校安全会、それから私立学校教職員共済組合、これはもう当委員会では何回か以前にも議論になっていることとは思うんですけれども、この六法人で一体天下り人事がどういう状況かと申しますと、八〇年十月、昨年十月ですね、一九八〇年十月、役員数二十六人中で内部の登用はたった一人、天下り人員が二十名で全体の七六・九%という状態なんです。こういう状態は五十四年の十二月十八日の閣議了解から見てもおかしいじゃないか。私が申し上げますまでもないと思うんですが、念のために言いますと、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」というふうになっているわけなんですが、大臣、こういう点で、いっこの目標を達成するために、こういう設定をされておやりになるのか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 政府委員からお答えします。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま御指摘の点は、文部省所管の九法人がございまして、これは閣議了解の対象となるものでございます。お挙げになりました中にはそのほかの学徒援護会等の数字も入っておりますけれども、九法人の役員について御説明申し上げますと……

下田京子日本共産党

○下田京子君 いいです、いいです。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 定員が四十名でございまして、そのうち公務員出身者が二十五名でございます。この比率は七一%でございます。このうち文部省出身者が二十名で五七%、その他の役員が、民間人でございますけれども十名、現在三十五名でございまして欠員が五名でございます。  それからただいま御指摘のございました民間人の登用におきましては、五十四年十二月の閣議了解の線に沿いまして、この法人の目的、役員の職務内容等に照らしまして最も適任な者を起用するということを第一といたしまして、適正な人事を進めているわけでございますが、現在のところ、内部登用一人のほか、もう一人……

下田京子日本共産党

○下田京子君 私、状況聞いているんじゃないんです。いつまで解決するかって聞いているんです。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 国立競技場につきましても民間登用をしております。これは文部省におきましてもその職務の内容等に応じましてできるだけ民間で登用できるものはそれにするような方針でやっているのでございまして、ただいま一名との御指摘がございましたけれども、二名いたしまして、順次これをふやしていくということでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣、やる気があるのかないのかですよ。政府委員の方に聞いているんじゃないんです。目標をいつまでに解決するんだと聞いているのに、状況説明でしょう。いいですか、これは特殊法人の高級官僚の天下り問題というのは第一次臨調のときにすでに指摘されているじゃないですか。それからもう十六年たっているんです。そういう中で私たち共産党もいつも言っていますけれども、あの高級天下り官僚問題で不当な給料と退職金の問題、それから業務内容の不正の問題、もう国会でもずいぶん議論になってきたでしょう、で、そういう中でこういうものをみずから決めておやりにならないというところが問題なんですよ。で、申し上げますと、第一に日本育英会の場合ですけれども、理事長は村山さん、六十歳、月額報酬七十七万五千円、退職金、推定ですけれども二千六百二十二万六千円です。文部省の事務次官をおやりになった方が理事長になっていますね。それから日本学校安全会理事長渋谷さんです。この方は年齢五十九歳、報酬六十九万円、試算退職金二千三百三十四万九千六百円、文部省の体育局長から行かれていますよ。それから国立競技場理事長岩間さんという方で報酬が六十九万円、退職金が一千四百五十九万、文部省事務次官から行っていますね。こういう状態を大臣自身がどういうふうに見るかということだと思うんですよ。少なくとも役員の高額給与あるいは法外な退職金のあり方というものは、一般公務員並みにすべきだというのは当然じゃないですか。いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおり、いま官房長からお話し申し上げたのは、やはり期間にいたしましても経過をちょっと申し上げといた方がいいと存じましたからでございますが、政府の方針に従いまして、文部省はもちろん、これに対しましては善処をいたします。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 きょうは青少年の非行の問題について数点にわたって御質問させていただきます。  青少年の非行の問題が最近は特に顕著にあらわれておりまして、特に非行だけではなくて、自殺あるいは暴力、あるいは覚せい剤の乱用、あるいは家出、時には殺人というような大変大きな問題を提起しているわけでございますが、文部省はこれに対して具体的な対策としてはどういうことをおやりになるか、やっておられるか。これをお聞かせ願いたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) いま御指摘のようないろいろな問題がございますので、私どもとしてはいろいろな対策につきまして、それが実効が上がるように努めてまいらなければいけない。こういうふうに思っているわけでございますが、御指摘のような事例に対しましては、私どもは、やはり一つには生徒指導の充実ということが必要であろうということでございまして、それがまず肝要であるというふうに考えております。そして、そのためには生徒指導主事というものに適任者を求めまして、これを学校に適切に配置していただく。そして生徒指導部の組織化等、校内の体制の整備を図っていただくということでございますが、それと並行しまして教職員の専門的な資質の向上を図る必要があるということから、生徒指導の面では、生徒指導講座あるいはカウンセリング技術講座を開催いたしましたり、あるいは生徒指導資料の編集、配布をいたしております。  それから、生徒指導研究推進校でございますとか、中高の生徒指導研究推進地域の指定、それから今年度からは新たに小中をくくりました生徒指導推進地域の指定を行いまして、これらにおいて実践的な研究をひとつ深めてもらいたいということをいたしておる次第でございます。  それから、あわせて道徳教育についてもこれを充実して実施していく必要があるということで、これまた講習会あるいは資料を用意いたしますと同時に、道徳教育共同推進校という呼び方によります実践的研究を進めていただくということも推進いたしておる次第でございます。  それから、大きく申しますと第五次の教職員定数改善計画によりますいわゆる四十人学級の実施なども、できるだけ学校の現場できめ細かい教育が進められるように、そういう意図のもとで考えたことでございまして、いずれにいたしましても、各都道府県の教育委員会と十分な連携をとりまして、現場におけるいろいろな対応が一生懸命に熱心に行われるように図っていきたいと、こういうふうに考えております。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 いまのお話を伺いますと、大変のんびりしているような感じがいたすわけでありますけれども、何としてもいまの教育の問題の中で、この少年の非行あるいは暴力という問題が一番私は早期解決を要するような問題だというふうに考えているわけであります。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 そうであれば、なぜそういう非行少年が発生するのかというその原因追及を各種の情報分析によってやるのが、まず第一義的な問題ではないかというふうに考えます。  実際には、一つ一つの事件が発生いたしますと、それに対して新聞報道であるとか、あるいは雑誌に有識者がいろんなその原因究明をやり、そして推測にあるいは基づいて、具体的な方策について書いているわけなんですね。そういう情報に対して、いまさっき三角局長が申されたように、将来の計画としてというような感じを実は私とるわけですが、各教育委員会にこういう通達を出してこういう指示をしたいんだという、あるいはしているんだということだというふうに私考えるわけですけれども、むしろ文部省の内部でもう少しその辺の研究というものが実は私は大切じゃないんだろうかなと。確かに各法案でいろんな研究所ということが出てまいりましたけれども、特にこういう非行、暴力という問題に対して、文部省の内部でもっともっと研究してみる必要があるのではないかということを思います。そういう意味で、その辺の考え方をお聞かせ願いたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) おっしゃいますように、非行でございますとかあるいは校内暴力等の事柄に対処いたしますためには、やはりその原因と申しますか、まあ原因にも直接的な原因もあれば、あるいは背景となっておりますような意味合いの要因もあろうかと存じますが、これをやはり見きわめた上で対策を講じていくということが非常に大事であると思います。で、まあ個々の事件、事例に即しては、やはり何よりも学校現場でそういう取り組みをしていただくということが肝要でございますが、私どもまあ文部省の体制といたしましては、初中局の中の当該の課でございますとか、あるいはその課の中で専門の教科調査官でございますとかあるいは視学官、これらの能力をしかるべく結集していろいろなことを考えていかなければならない、そういうふうに思っておるわけでございます。  それから、私どもとしてはまずはやはり都道府県の教育委員会のいろいろな意味での指導を充実していただかねばなりませんので、都道府県の教育長の会議あるいは直接には都道府県教育委員会の指導部課長会議等におきまして、この一月もそれを招集いたしましていろいろ協議、検討を重ねた次第でございます。なお、やはり消防ポンプですぐこう消すというようなぐあいにまいりませんので、非常に迂遠に聞こえるかもしれませんけれども、常時の日常のやはり指導をしっかりやっていくということが基本にどうしてもなければならないということがあろうかと思います。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕  それともう一つは、指導部課長会議でも協力を求めまして、昨年中の校内暴力等の非行の実態について報告をもらいまして、いま全体を集約し分析をしておるところでございます。原因、背景はどうかという御質問でもございますので、若干まだ最終的にきちんとしたまとめができておりませんけれども、ただいまのところ読み取っておる点を申し上げますと、生徒と家庭とそれから地域と学校とそれぞれ問題があるわけでございますが、一つは、事件を起こしました生徒は自己顕示欲が強く、自制心や忍耐力に欠ける。それから学習意欲が乏しくて従前から学業を怠ける、あるいは喫煙をするなどの問題行動があった場合が多い。それから、非行集団とのつながりを持っている者が多い。  第二に、家庭の問題といたしましては、親の養育の態度が放任かあるいは甘やかし、あるいは過保護といったような状況があるようでございまして、家庭におけるしつけあるいは教育が十分でない。  それから、第三に校内暴力の発生する地域の問題でございますけれども、最近のこの宅地化、住宅化に伴いまして新しい住民が入ってこられたというような場合に、住民間の連帯感が欠けて、それからまだその新しい方々の地域に対する愛着というものがまだ根づくに至っていないという場合が結構多い。それから最後に、学校の問題でございますが、学校としての指導において、教師間に足並みの乱れがございましたり、あるいは個々の生徒に対する理解が十分でなくて、たとえば注意の仕方なら注意の仕方がその生徒の心情を無視したようなぐあいに行われたということをきっかけに生徒の怒りが爆発するといったような場合がわりと多く見られる。そんなような点が、いま、昨年一年間で各都道府県が協力して出してくださいました事例二百三十八件、うち校内暴力事件二百二十一件を通して見てもらった中からわりあいと顕著に見られる傾向としてピックアップできた事柄でございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 確かに、実際に起きた一つ一つの事象をまとめたら、恐らくそういう結果になるというように私も考えます。  私がまず申し上げたいのは、各県の教育委員会あるいは市の教育委員会、一切の学校を担当している校長あるいは教員、こういうそれぞれの分野で努力するのは、私はもう当然だと思うし、現実にそういう努力をされていると思うんです。しかし、それでもなおかつなかなかこういう問題の解決というのは見当たらない。いまおっしゃったようにいろんな現象が出ているわけなんですが、その現象をさらに細かく分析して、そして非行少年が出ないような具体的な研究、対策というものが、いまのところは恐らくそれぞれの方がもうばらばらにそういう一つの事件を取り扱って出しているわけです。私は、文部省の中でそういう研究的なことをぜひやっていただいて、そしてそれぞれの校長さん、先生方にこういうような対応の仕方をしたらいかがですかという、まさに文部省の助言とあるいは援助ということでぴったりだというふうに考えるわけですね。そういう意味で、文部省、これはずいぶん組織も、いろいろレクチュアで教えてもらったり、人数もずいぶんたくさんいらっしゃるということは知っているわけですが、具体的にそういう調査、研究というのをいまからやっていく場合に、あるいは現在やっているかもわかりませんが、どういう課といいますか係といいますか、所管でやっておられるんでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 青少年非行全般になりますと、学校教育の面では私の所管する局でございますし、それから社会教育の面になりますと社会教育局、体育局それぞれが取り組んでまいらなければならない、そういう事柄になるわけでございます。  で、具体的に今度は初等中等教育局の中ではということになりますと、やはり最近は御承知のように中学生の非行が増加しておりまして、そうして校内暴力を高校、特に対教師暴力は高校生の段階になりますと、より成長してクールになってくると申しますか、それが一つの私は救いであると思っておりますけれども、数も少のうございますので、中学校教育課が中心になりまして、これにもちろん幼少時からのしつけの問題があるわけでございますので、幼稚園教育課、小学校教育課、高等学校教育課も協力をして調査なりあるいはこういった資料の分析なりに取り組んでまいっておるわけでございます。そのほかに専門家としての視学官という者もおりますので、随時そういった人たちの意見も出していただいてやらなきゃいけない、こういうことでございます。  そして、先ほど申し上げました都道府県からの報告の中から、よその都道府県にとっても参考になるような取り組みの事例について少しそれをしぼりましてまとめてみたいと。そして、そのまとめた結果を全都道府県の方にバックをして対策のための一つの参考に活用していただけるようにできればと思いまして、いままとめておるところでございます。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 どうもこれは文部省だけではないと思いますけれども、私のような新しく国会へ来た人間から見てみますと、本来は省庁というのは、しかもトップクラスの方々というのは、どんどん新しい企画を持って、そして国民全体にそれを実際化していくといいますか、具体化していく。むしろそっちの方にほとんどの重点があるんではないかというふうに私は考えておったわけなんですね。いろいろ質疑の中でお話を聞いておりますと、まさに過去の実態のデータをまとめて、そしてそれを国会の中で答弁していくというのがもう力いっぱいのような実は感じがいたします。  もっともっと実は課長さん、部長さんというような立場になりますと、現象をいろいろ情報キャッチして、そして新しい具体的な企画をしていく、そしてそれを実行に移していく、これが実は私は一番大切な分野ではないか、そのために大変たくさんの給料ももらっているんではないか——たくさんでないかもわかりませんが、そのような気がするわけなんですね。企業はもうまさにそうであります。現実を把握するというのは、本当に恐らく一〇%ぐらいのウエートじゃないでしょうか。もっともっと新しいもので前進していくための企画というものが一番大きな要素になっておるんです。ところが、どうもそういう感じがしてならないんです。  いまの文部省で一番私は大きな問題は、この非行問題、その他青少年の問題だというふうに考えるんですね。それほど大変な問題だから、よけいに、もっと具体的にあるいは先ほど申されたように、体育とか社会とか、いろいろ分野によって違うというんですけれども、事非行問題に対しては何かこれが一つになりまして、具体的な研究をぜひやっていただきたいなと。  私はこの非行青少年が出る原因というのはたくさんあるだろうと思います。いろんな本見ましても、たくさんの要素があります。学校そのものの原因もあります。家庭の原因もあります。いろいろ私は問題があると思うんです。そして本人の性格もこれはゼロではないと思うんです。そういうことは、常にこうやって話はできるんだけれども、じゃ具体的にA君についてはどうなのかといいますと、それはその子だけの問題として新聞報道その他で出てしまって終わりという、大変私は残念でならないんです。何かそこにひとつ新しい方向を決める場合のいいデータがあるはずだというふうに考えるんですけれども、どうもそういうような姿勢がいまの文部省の中にないんではないだろうかな、現状を追っかけるのがやっとだと、教科書の問題が出れば全部一斉に教科書に突っ走っていく、そういう問題では私は教育を語れぬのではないかというような感じがしてならないわけです。  その中で、特に私は幾つかの問題を提起したいわけなんですけれども、まず非行、暴力などの増加の背景というのが一つあろうと思うんですね。非行少年がどんどんふえていく、その背景というのは私は四つほど考えてみたわけですが、一つは、家庭内の教育機能の低下という問題があるんではないかと思うんです。それから二番が、地域社会での教育や非行等抑止する機能の低下。三番、受験体制の影響と学校教育機能の低下。これは先ほども委員から出ておりました受験体制の影響と学校教育機能の低下。四番、少年を取り巻く有害出版物など生活環境の悪化、さらには経済や物質の万能主義といった現在社会のあり方そのものである。こういう私は四つ、一応問題点として挙げてみたんですけれども、この問題に対して三角局長はどういうふうにお考えでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私どもそれなりの月給をちょうだいいたしておりまして、やはり月給の高は限られておりますけれども、そういうことにこだわらずに夜、昼なく相努めなければならない、こういうふうに思っておる次第でございます。確かに新しい発想なり取り組みなりの姿勢ということについての委員の御注意は、私どもも素直にお聞きをして相努めなければならないと、こう思う次第でございます。ただ、教育の事柄というのは、急に目新しいことが考えられて、それをやれば頓服を飲んだように熱がさめると、こういうわけにもまいらない性質の事柄で、やはりこれまでやってきたことで、何らそれじゃ新味がないではないかという御批判も、それはそういう御批判も当然あり得るわけでございますが、長年やってまいりました取り組みというものを、忘れている面があればそれをさらに充実してやっていくというようなことで、新味はないけれどもやはり情熱を持って事に当たって務めていくということが、やっぱりいろんな場面では多いんじゃないかという気がいたします。まあしかし、御批判でございますので、私どももできるだけ仰せのような線で、何か新しい手はないかということは、常にいろいろな部面で、あに非行の問題に限らず考えていかなければならない、そう思っているんでございますが、ただ、いまの行政なり政治の体制から申しますと、予算編成から、予算委員会、国会終了までの間は、とにかく国会での議員の先生方に誠実にできるだけ丹念な対応をしなければならない、これは国政の上での非常に重大なことでございますので、そういったこともございまして、とかく新規政策の検討のための時間というものが、どうしてもその間は若干希薄になってくるということを感じております。  で、次に、ただいまおっしゃいました、いろいろな非行の背景として小西委員が御検討の上に御分析をいただきました事柄は、私どもの考えておりますこととかなり共通しておるような印象を受けまして、一々私はそのとおりのことが言えるであろうと、こういうぐあいに思ってお聞きしたわけでございます。家庭の問題、それから地域社会のまあ、たとえば抑止機能というふうにおっしゃいましたが、暴力が行われておりましても、それが他人事であれば知らぬ顔をして見ないふりをするとか、あるいは生活環境の問題として非常に、まあ部分的ではございましょうが、享楽的なような場面があるとか、それから学校内の問題といたしまして、受験体制ということがおっしゃられますが、やはり受験競争がまあ特定校への志願の集中というようなことによって激化するというようなことは事実としてあるわけでございまして、そういった面に対してもいろいろ考えて都道府県の教育委員会でも改善を図っておりますけれども、そういったことももちろんいろいろ複雑に絡み合っている原因の一つである、こういうぐあいに申せると思います。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 ちょっと、短くひとつ答弁をお願いしたいと思います。  で、私は、そういう問題に対する総合的な対策というものが非常に大切になってくるんじゃないかと思うんです。そして、特に非行あるいは暴力、自殺というふうな問題の場合は、子供の耐えがたい環境からの逃避状態というふうに私は理解しているんです。耐えがたい状態から逃避する、そのことがまあ非行であり、自殺であり、暴力である、このように解釈しておりますので、そういう意味では具体的に四つほどまあ対策を考えてみたわけです。  その一つは、やっぱり学校と家庭、地域とが相互信頼に基づいて協力し合った教育ということですね、これがどうしても必要ではないかと思います。  二番が、地域教育機能の向上、これが非常に私は大切だと思うんです。つまり、地域というのは大変流動性が強いということですね。そういう意味で絶えずその環境も変わってくる、いろんな問題に対して関心も不十分になってくる、そういう要素が転勤その他でやっぱり出てくるんではないかというふうに考えます。  三つ目は、やっぱり落ちこぼれ対策というのがこれはもう大きな課題として考えていくべきではないか。  四番目は、私学の充実という問題だと思うんです。これは受験という問題で私学の充実をこれからやっていかなきゃいかぬだろう。  その中で、落ちこぼれという問題なんですが、いまは確かにたくさんの知識を同時に吸収していかないと上級の学校に上がれないということで、大変学校の、特に小学生なんか忙しいと思うんです。中学生も大変忙しいと思うんです。まともに教科書をちゃんとやってしまうということが大変むずかしい状態になってきているんではないか、そのように私は思うんですが、この落ちこぼれ対策について私は幾つか提言をこれもしておきたいと思います。  まず第一は、教師の情報提供機能を拡大するために情報提供機器の整備が必要である。いわゆるコンピューターその他、あるいはテレビであるとかビデオあるいはオーバーヘッドプログラム、こういうようなものを自由自在に使っていく、これはスライドなんかもそうだと思います。そういうものを有効に使っていく授業をやっていかなきゃいかぬだろうと思うんです。  それから二番目は、反応測定機能の重視、つまり教えたものが実際にどれぐらい理解されているかということを早くやっぱりつかんだ方がいいと思うんです。いまの場合は、一学期、二学期、三学期ですから、各学期末の試験によって初めて、あっ、わからなかったんだなということが理解できるというとおかしいんですが、そういう方向だと思うんです。だから判断がずいぶんおくれてしまう、そういう意味では、アナライザーというのがございます。これはNHKなんかでよく使っておりますが、この問題はわかりましたかと言ったら、すぐボタンを押したら、すぐ結果が何人かと出てくる、こういう形が私は必要じゃないかと思うんです。そしてそういうものを上手に使って、個別指導ということにやっぱり重点を置いていくような教育体制をぜひやっていただきたい。そういうことになりますと、勉強の仕方も非常に大切だし、同時に先生方もそういうことを十分理解した上でやっぱり教える、これは教員の研修会の中で相当私は詰めてやっておられると思うんです。大変いまの子供は視聴覚といいますか、特に目に訴えるというものが反応的にいいようであります。しかも理解力は大変向上しているという実際のデータもありますので、その辺もあわせてひとつ研究課題にしていただきたい。  全部ひっくるめて申し上げますと、先ほど私がずっと質問しているのは、何か文部省の内部にそういうすべてにわたる教育に対する研究機能をもっと充実してやっていただきたいなと、いまの場合は全部実際の教員にお任せだとか、あるいは地方の教育委員会に全部お任せしているんだと、そして紙一枚でいろんな通達をやっている、その辺のところにどうも姿勢として積極性が見られぬのじゃないかという感じが常にしているものですから、何とかしてその辺をはっきりした答弁をしていただきたいと思うんです。これは大臣の方からひとつお願いしたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 大変示唆に富んだ御意見をいただきましてありがとうございます。  私は自分の経歴から、企画院におりましたり、軍需省におりましたり、非常にスピーディーな、しかもプランニングボードにおりまして、いまのお話しのようないろんな問題を速やかにプランメーカーといたしましてもきちんとまとめて措置いたしたい、こういうふうによく就任後も考えるんでありますが、先生よく御承知のとおりに、文部省という役所というものは御案内のとおりに実施の権限、機能を持たないということがあらゆる点において役所としての非常に対応の、権限問題というものはやはり根底には重大な問題だということをしみじみ感じます。というのは、われわれもいま御指摘のいろんな御意見のとおり、諮問機関といたしましても、役所の中におきましては青少年問題の審議会でありますとか、あるいはまた総理府と一緒にやっております青少年対策のいろんな問題でありますとか、社会教育審議会とか、こういうふうな審議機関もございますし、ただいま局長からお話しいたしましたように、非行少年の問題につきましては中等課が中心になりまして上級、下級の各課の検討会というものを持っております。しかし、これを非常に一生懸命に各局長や課長が努力いたしましても、すぐにコンポジションしたものが命令、通達となり、下部の方に徹底するかといいますと、先般来先生といろいろと御議論いたしましたような、教育委員会というものが実は現場で権限を持っておる、あるいはまた青少年の問題にいたしましても、その範疇を超えてのいろいろな警察治安問題あるいはその他社会教育の問題なかなか思うようにならない。こういう点で本当に申しわけないことをしみじみといつも考えながら、何とかひとつ能率的にぴしっとした姿をとりたいものだと。私も政治家でございますし、過去の役人の経歴からいたしましてもやりたい考えを持ちますけれども、どうも文部省という学校の、何といいますか、機能を中心といたしましたものは、普通の現場を持っておるような役所とはなかなか違うのです。それからまたできましたものはやっぱり作文なんですね、これが。それで、何で作文ばっかりつくってだめじゃないかと。なぜ実施にやらぬなんといっても、どうもやっぱりそういう点が隔靴掻痒の感にありますことを遺憾に存じます。しかしいま先生のおっしゃったような一つ一つが本当に肯繁に当たる問題でございますし、大いに御意見を踏まえまして今後文教政策の責任を感じながら、実施面におきましてもこれを督励してこの問題と対処いたしたい、かように思いを新たにいたします。ありがとうございました。

小西博行民社党・国民連合

○小西博行君 ひとつ最後にもうこれ答えてもらわなくて結構でございますが、私、ちょっと誤解されているように聞いたわけなんですが、そういう文部省の中でちゃんと研究したものを各教育委員会とか先生に拝しつけるという意味じゃないんです。私は、そういう本当に困っているのは現場の教員だというように、こう理解しているんです。したがって、そういう問題というのはなかなか専門家が、しかも大ぜいで各分野で集まってやらないとできない問題だから、それぞれの先生方がいろいろ対策はとってやるんですけれども、それ以上にもうちょっと何か専門的なものの研究をされて、そしてそれを一般の図書として各買っていただくという形にすればいいという意味なんです。だから、どうしてもそれは無理やりやりなさいという、これやらなけりゃだめよという意味ではないんです。実際に困っているのは現場の先生方だという、あるいは父兄だという認識ですね。その結果が子供さんにいろんな影響を与えていると、そのようにひとつ理解していただきまして、質問を終わりたいと思います。

降矢敬義自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬義君) 以上で本調査に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会      —————・—————

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