農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/05/14
会議録
○委員長(井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十一百、坂倉藤吾君が委員を辞任され、その補欠として広田幸一君が選任されました。 —————————————
○委員長(井上吉夫君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 それでは、私は年金基金法の御質問に入る前に、その大前提ともなるべき重要な問題だというふうに考えますので、まず二、三お伺いして、それから具体的な法律の中身に入ってまいりたいというふうに思います。 まず最初に、これはぜひ大臣に御答弁いただきたいと思うのですけれども、御承知のとおり、農業基本法が制定されてからちょうど二十年が経過しているわけであります。その二十年の間に農業基本法が目指しているような意味でのいわゆる農業構造改善政策というふうなものが十分に成果を上げているというふうにお考えになるかどうか、その辺のところをまず最初にお伺いしておきたいと思います。 そして、ついででございますけれども、もし十分にその成果が上がっていないというふうなことでおれば、その上がっていない理由は、原因は一体どこにあるかというふうなことについてもお考えをお示しいただきたいと思います。そしてさらに、それを克服するためにどのような考えを持っていらっしゃるか、これについてまず伺っておきたいというふうに思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 山田委員の御質問でございますが、農業基本法が制定されて二十年間、この間構造政策の中で適正な施策が、事業が進行したかどうかといったような御質問でございますが、私はやはり選択的拡大という立場で農業基盤の整備をしなければならないということで、何度かのいわゆる基盤整備長期計画等を樹立いたしまして、それに基づいて仕事を行ってまいってきたわけでございます。私はその面においてはある程度の事業が現在も進行中であると、こう考えるわけでございます。できることであればもっともっと農業面に対する国家投資というものを重視すべきではなかったかという反省があります。しかしながら、当時の事情を考えれば、苦しい国家財政の中から、とにかくいまよりもある意味においては国家予算に占める比率の高い投資が行われてきたわけでございます。 したがいまして、私は相当な成果を上げてきておると、こう見ておるわけでございますが、いかんせん、この基本法に基づくところの長期見通しのその見通しが適正であったかどうかという反省はこれはやはり厳しくされたものと。今回の、昨年の十二月に答申の出ました農政審議会のあの十年間の長期見通しを御決定をいただくに当たりまして、その点大変議論を呼んだようでございます。一人当たりの日本人の平均カロリー二千五百キロカロリーというものを今回採用されたというような点は、その反省であろうと思うのです。その見通しの適正でなかったという点がやっぱり今日の米過剰というような問題を生み出している一つの原因になっておるのではないかというような反省も、私どもとしてはいたしておるわけでございます。 と同時に、戦前ほとんど行われていなかった土地基盤整備という問題が、戦後、とにかく農業基本法が制定されて以降特に速力を速めて基盤整備が進行し得るようになったということは、私は大変その意味においては農業基本法は大きな役割りを果たしたと、こう思いまするし、また、とにかく都市勤労者並みの所得を農家にもということで制定が行われたあの基本法でございますが、その方向に向かってある程度の成果を上げ、今日もう世界屈指の高所得国家という立場を占める日本において、生産性の低い農業に対して、農業者の諸君がやはり農業によってひとつ生計を立てていこうという生産意欲を落とさずに今日まで来れたという、そういう意味における基本法の農政の展開というものは、私はそれなりに成果を上げてきたと、こう見るわけでございます。 しかし、私はここで反省しなければなりませんのは、国内でそれだけ大きな努力を払っておきながら、国の貿易額が増大するに従って、農林水産物資のその輸入額に占める比率がどんどんどんどん大きくなってきた。そうして、どこの国の人が来ても、日本人の顔を見ると、もっともっと農産物を買えと、もう日本の農業なんかそっちのけにしてとにかく買え買え、買え買えと、買わないのは日本が悪いといったようなことを言わぬばかりにして農産物を売りつけようと。今回も経済局長、総理に同行してアメリカに参りましたけれども、表面的な正式な会合では出なかったようでありますけれども、やはりアメリカの側としては日本にもう少し農産物を買わせたいというような気があるのも、これはもう事実でございます。そのように外国農産物の、相手国からすれば輸出を日本に対してしたいと、そういうのに対する日本の政策というものはやっぱりもっと厳しく対処しなければならぬのではないかと、こう私は現在時点において考えるわけでありまして、話せばわかるという言葉がありますけれども、そういう時代になってきておって、やっぱり厳しい生活を強いられておる日本農業の農民の立場を相手の連中にとことんまでわからせる努力、これが必要ではないかと。 そういうことと相まって、私は基本法農政というものが、あの精神は今後も生かしていかなければならないと思いまするし、しかも、あのようにしてまいりますためには、やはりもろもろの計画等をつくる際のその基礎データというものの取り方いかんによっては、その結果に大きな国民の負担をもたらすと。今日の米の消費という問題についてはっきりした的確な見通しがあれば、もっともっと早く、この生産調整的な強行策をやらなくともいい政策が生まれたのではないかという反省もあるわけであります。 そういう意味において、私どもといたしましても、農林水産省挙げて今後の、国会で議決されました決議の趣旨に沿い、しかも厳しい外国からの外国農産物輸入の要請に対してこれを適正にさばいていくという強い姿勢をもって農政に取り組むと同時に、やはり現在日本の農業基盤整備はまだ中途半端であって、完成されていないのだということを農業関係の方は理解されておられるわけでありますけれども、農業以外の特に財界とか産業界とか、そういう方々にそういう点の理解がないということがはなはだ残念である。そういう点に対するPRもわれわれは今後続けてやっていかなければならない、こんなふうに考えて指導をいたしておる次第でございます。
○山田譲君 大変率直に御回答いただきましてうれしく思います。 そういうことで、全体として基本法の精神は二十年の間にかなりのそれなりの成果が上がったと思うと。しかし、米の需給の問題については需給の若干の見通しを誤ったりしたこともある。それからまた、輸入の問題なんかも非常に大きな問題になっているというふうなお話を伺ったわけでございます。ですから、そこで大体わかったわけでありますけれども、ひとつそういう反省あるいは成果の上に立って、今後どういうふうに農業基本法の精神を生かすために農政をやっていこうとなさるか、そこのところをひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) やはり非常にむずかしい問題ではあるわけでありますけれども、いま御指摘をちょうだいしました、これから一体それではどうしていくのだということは、これはもう本当に厳しい困難な道になるわけでありますけれども、しかし、これを踏み越えなければ日本農業の展望というものは開けてこない。踏み越えるためにはどうすべきかというと、まず私は何としても農業の基盤整備、これだけはもうどうしてもやらにゃいかぬ、こう思うのです。やっぱり土壌の改良、土質の改良、基盤整備、これなくしていわゆる生産性の高い農業展開はできませんので、何としても基盤整備を急がなければならないということが大前提でありますと同時に、昨年国会で決議をいただいた自給力を強化をするためには、やはり国内で生産できるものは、輸入しておる小麦とか大麦とか大豆とかであってもこれをやっぱり国内である程度の増産をしなければならないということと、これらの生産を、やはり生産性の高い農業を展開するためには、規模拡大と申しますか、昨年本委員会で成立をさせていただいた農用地利用増進法というような法律の精神に基づいてあの制度を大いに活用いたしまして、そうして規模拡大を図る。また、これから御審議をちょうだいをする農業者年金法、農林年金法、いわゆる農業関係の諸立法の整備充実を図りますと同時に、やっぱり私は必要なところには思い切った国家投資をして、そうして規模拡大を図ってまいる。 同時に、私は将来低利長期の資金というものを豊富に農業者のために準備していくということが大変大事ではないかという感じがいたすわけでございます。先進国の農業関係の金融等を調査いたしてみますと、非常に低利でしかも長期の制度がそれぞれの国々において施行されておるということでございます。日本におきましても、農林漁業金融公庫等においてもろもろの資金制度はできておりますけれども、やはりもっと思い切った規模の大きなものと申しますか、そういう方向に進めていかなければならない、こう考えますと同時に、やはり科学技術関係の面にも思い切った行政体制をつくると同時に、研究体制の成果が上がるようにしていかなけりゃいかぬというふうに考え、そのような指導もいたしておるところでございます。
○山田譲君 さっきもちょっと触れられましたけれども、最近特に財界あたりから農業過保護論というふうなものがかなり強く出てきているわけです。また、今度の臨調の問題にしましても、いわゆる財界主導型の行政改革で、その矢面に立つのは何といっても農業問題じゃないか。農業に対する補助金が多過ぎるとかいうふうなことが世上言われておりますし、それが世論の中でもかなり強い位置を占めてきつつあるのじゃないかというふうなごとが心配されるわけでございます。いま大臣言われたような決意で、そういった俗論に惑わされないように今後もがんばっていっていただきたいというふうにまず思います。 その次に、これも大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、農村から都市へ非常に著しい人口流出が進んだわけでございますけれども、その結果として農業就業人口が物すごく減っていった。しかしながら、農家戸数の減少は非常に少ない。余り大して考えたとおりに実現をして減っていかない。そしてその結果として兼業農家がむしろふえてきているというのが、最初予期しない最近の現象じゃないかというふうに思われるわけであります、そしてもう一方、農地の流動化がこれまたなかなか進展していないということも事実だろうと思いますけれども、その理由として、これは何といってもやっぱり地価の著しい上昇が大きな原因をなしているのじゃないか。つまり、農家としては、やはり地価がこれだけ上がってきますと、資産の保有的観点から申し上げまして、簡単に農地を手放さなくなるというふうな傾向があると思うのです。ですから、やはり農地の流動化という問題と農地の価格の安定対策というふうなものとは表裏一体の問題だろうと思いますけれども、そこで大臣、特にお伺いしたいのは、この農地価格の安定対策というふうなことについてどういうふうに考えていらっしゃるか、そこをお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(亀岡高夫君) その点は、農振法並びに農地法によって、農業者以外は農地を買うことができないとか、いろいろの制限をいたしまして、優良農地を守っていくという措置は確立をされておりまして、そのために土地問題が大きくなっておる中でも、比較的農地に関しましては、農地法並びに農振法等の制度によって、農用地の保護と申しますか、確保は図られておるものと、私はこう考えます。しかし、その潜在的価値と申しますか、いま御指摘になった点は、私ももうそのまま山田先生のお考えと全く同じような見方をいたしておるわけでございまして、この点がやはり日本農業をこれから発展せしめていくための一つの大きな整備をしていかなければならない点である、こう考えております。 と同時に、農地法によりましてやはりその賃貸関係において、一遍貸してしまうとなかなか返してもらえないといったような意識が相当農村に強く残っておることもこれは確かな事実でございます。そういう問題でありますとか、したがいまして、昨年農用地利用増進法によりましてこの賃貸あるいは譲渡等に対して、比較的信頼関係の上に立って賃貸できるような措置も講ずることができるという処置をとっていただきましたので、この点は昨年の十二月ごろからずいぶん現実的にこの法の効用が出ておるというふうに見ることができるわけでありまして、今後農村の地域社会のいわゆる部落ぐるみと申しますか、町ぐるみと申しますか、農村地域社会の信頼関係を図っていくような施策も、構造改善事業の中で着々と取り入れて行っていっておるわけでもございますので、そういう面からも、この規模拡大という日本農業の命運を決すると言ってもいい問題であろうかと思いますこの問題の解決が緒につくものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○山田譲君 農振法の問題がたまたま出されましたので、農振法の問題でちょっと聞きたいと思うわけでありますが、これは局長で結構でございます。 最近、農家戸数の七〇%以上が第二種兼業農家であるというふうなことは事実でございますけれども、そうなりますと、第二種兼業農家に対して農地の貸し手としての役割りを期待することは非常に無理になってきているのじゃないか、実現がなかなかむずかしいというふうな事態になっているのじゃないかというふうに思います。また、特に最近の傾向として、都会で定年退職でやめた人がまた家へ帰ってきて、そしてささやかな農業を営んで余生を暮らすというふうな人もかなりふえているし、私も現にそういう事例をたくさん最近知っておるわけであります。そういうことになりますと、先ほどの農用地利用増進法一こういう法律もかなり実際問題としてむずかしい段階になってきているのじゃないかというふうな感じがいたしますけれども、そういうことに関連して、せっかくできました増進法がその後どのように運営されているか、そこをちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 規模拡大につきましては従来から各種の施策が実行されてまいったわけでございますが、なかなか効果を奏しなかった。その事情については、先生もおっしゃられたとおり、地価が高い、あるいは、そういったことを反映して農家が所有権に執着する、それから、農地法上、一たん貸すとなかなか戻してもらえないんじゃないかというような懸念があるというようなことで、賃貸借もなかなか政策として進めてもこれが実現し得なかったというところがあったわけでございます。ただしかし、先回の農用地利用増進法、これは農振法の実質をとって大改正を行った新法の制定ということでございますが、これによりましてかなりそういう制度面の制約は外れたということと同時に、実態面におきましても、そういったものを受け入れるというか、それを推進するだけの状況が出てまいっていると思います。 といいますのは、兼業農家がますますふえていく、しかも一種兼よりも二種兼の割合が高くなっていくという状況でございますが、これはもちろん地域によって差はありますものの、一般的に兼業の中でも安定兼業、要するに、学校でありますとか、役所でありますとか企業に就職して、農業についてはほとんど時間を割き得ないというような形で、しかし、農業は家族労働の一部を利用して行っている、収入の相当部分はむしろほかの兼業によって得るというような安定兼業農家がふえてまいっているわけでございます。農業に依存する割合がそれだけ少なくなってくる。そうなりますというと、労働力の点からもなかなか、しかも、米価そのほか農産物価格も停滞しているというようなことから、収益性から言っても、さらには大規模経営のメリットというのがだんだん出てくるというようなことから、むしろ専業的な、専門に大規模にやる農家に委託して地代をもらったほうがいいのじゃないかというような気運が生まれてきているわけでございます。 そういう実績が、実情が反映いたしまして、農用地利用増進法の実績はかなり顕著に上がってまいっておりまして、五十五年十二月末現在での利用権の設定、要するに、この事業に基づいて賃貸借が行われたものは約四万七子ヘクタールという相当の面積に及んでいるわけでございます。今後ともこれは大いに進めてまいりたい。 それから、先生先ほど御質問の中で、農家の中でも、ほかの兼業労働をやっておった者がまた戻ってきて農業に従事するような者が出てくるのではないかというようなお尋ねがございましたが、いわゆるUターンという事情は見られますものの、そういう二種兼業農家の農業経営のあり方というのは、多くの場合、いわば生活の生きがいとして農業もやりたいという年配者の方の動向がかなり見られるわけでございます。全体的に見て、一たん出た方が戻ってきてまた農業をやるという場合は、中核農家の経営規模とか農地の流動化、規模拡大、そういったものにそれほど大きな影響を及ぼすものというふうには見ておらないわけでございます。また、種々問題がございますので、せっかくできました農用地利用増進法の制度の趣旨、せっかく普及してきましたその実態、これらを踏まえまして、今後一層流動化が進むよう、規模拡大が進んで生産性が上がるように進めてまいりたい、かように考えております。
○山田譲君 先ほどちょっと具体的な数字を挙げて言われました四万七千ヘクタールというもの、これは本当に第二種兼業農家から実際に耕したいという人に対して貸したものというふうに考えていいですか。
○政府委員(杉山克己君) 地帯、地域によって若干の差はございますが、おおむね、農地を提供している方は兼業農家が大部分だろうというふうに理解いたします。また、それは一種兼ではなくて二種兼農家が大部分だろうというふうに理解いたしております。
○山田譲君 それでは具体的に法律の中身に入っていきたいと思うのです。 これも大臣に伺いたいわけですが、昭和四十五年にこの基金法が制定されて以来もう十年以上になるわけでありますけれども、この制度が、法律が目的としておりますようないわゆる農業経営の近代化あるいは農地保有の合理化というものに寄与しているというふうに考えられるかどうか。もし、寄与しているとすれば、ある程度具体的な実績をお聞きしたいというふうに思うわけです。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、この農業者年金法の制定につきましては、農家にも年金をということが高まりましてできた制度でございまして、もう十年に相なるわけでございます。 この間、この制度の運用をいたしまして、できるだけ適期の経営移譲に資していこうということで、昨年、五十五年の十二月末までに約十七万人が経営移譲を行っておるという実績が出ております。この結果、後継者移譲におきましては一括移譲を要件といたしておりますために、農地の細分化等に対する歯どめ措置としての効果を発揮いたしておると同時に、後継者の確保、農業経営主の若返り等に大変寄与しておるものと私は考えております。 第三者移譲につきましてしは、件数としては一万二千五百六十一人というような数字で少ないわけでありますけれども、経営移譲を受けた者の経営規模の拡大に大変貢献しておる、こういうことでございまして、ちなみに、経営移譲を受けた後継者の平均年齢は三〇・七歳ということで若返っております。 第三者移譲の効果につきましては、五十五年十月から十二月に裁定を受けた六百四十件につきまして、経営移譲を受けた者についてその前後の平均面積を調査してみました結果、一・四七ヘクタールから二・〇八ヘクタールに規模がふえておるという実績が出ております。 したがいまして、この制度を充実しながら維持してまいりますことによって、先ほど来の日本農政のむずかしいいわゆる生産性向上のための規模拡大を図っていく一つの大きな柱の役割りを果たしていかせるようにしなければならない、こう考えております。
○山田譲君 いま大臣おっしゃられたようなことで、それなりに成果が上がっているというふうに評価をされるわけたと思いますけれども、私ども考えると、後からだんだんお話ししていきたいと思うんですけれども、なかなかそういっていないのじゃないかという心配がされるわけでございます。具体的にいま数字のお話ありましたけれども、たとえば法律制定当初の目標というのは大体二百万人くらいの加入者というふうに考えていたというふうに聞いております。それからまた、四十九年の財政再計算のときには百六十五万人というふうな数字で計算されたというふうになっておりますけれども、実際の数字を見てみますと、現在の加入者数というのは百七万五千人程度でございます。ですから、そういう意味で言うと、当初の目標、あるいはその後四十九年の財政再計算期に考えられた百六十五万人に比較しても、相当低い数字じゃないかというふうに思うわけです。そしてまた、資料を見ればすぐわかることでありますけれども、五十年の百十六万四千人というものをピークにしまして、むしろ減少の一途をたどっているというふうに数字の上では見ざるを得ないわけでありますけれども、この辺について一体どういうふうにお考えになるか。これは局長で結構でありますけれども、ひとつ回答していただきたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 加入者の数につきましては、いま先生おっしゃられましたように、制度発足当初は目標を二百万人というふうに置いておったわけでございます。その後、前回の財政再計算時には百六十五万人というふうに改めたわけでございますが、実績は今日百七万人というようなことで、かなりそれを下回った水準でございます。もちろん、いま加入資格を有する者が全部入っているかといえばそうではなくて、有資格者のうちおおむね八割程度が加入しているのではないか。まだ資格がありながら未加入の者が約三十万人くらいはあるというふうに推定されるわけでございます。 それにいたしましても、目標自体、全体としての資格者の数も減っております。これはなぜかということになりますと、年金制度の問題といいますよりはむしろ一般的な社会情勢、兼業化が進展する、そして被用者年金、厚生年金等へ移る者が増加いたしまして、国民年金加入の基幹的農業従事者数が大幅に減ってきたということがあると思います。また、六十歳到達ということで加入資格を失った者がいる。こういったことから、現在の加入者は先ほど申し上げたような数字になっているわけでございます。 それで、問題はまだ三十万人くらいいる未加入者、これがなぜ入ってこられないかというところに一つあろうかと思います。特に若い年齢層の方にそういう向きが多いものでございますから、私どもはそういった若い層を対象に相当思い切った加入促進運動を行うべきであるということで、従来からもやっておったところでございますが、今回の法改正に伴いましてさらに一段とそのための手当ても整備いたしまして、これを進めるということにいたしているところでございます。
○山田譲君 それにしても、当初の目標二百万人に対してわずか十年ぐらいの間に半分しか達成できないということは一つの問題じゃないかというふうに考えられるわけです。それからまた、先ほど言いましたように、五十年ころがピークであってずっと減ってきているということ、そうしますと、あなた方としては将来この傾向でさらに減っていくというふうに考えられるか、それともそれをふやす何かの手だてというふうなものを、いままでのようなことじゃなくしてさらに一層積極的にやろうということで考えておられるかどうか、そこら辺を具体的にひとつお聞きしたいと思うのです。
○政府委員(杉山克己君) どういう対策をとるのかというお話の前に、全体の見通しとして将来をどう考えているかということでございますが、私ども今回の財政再計算に当たりましても、その人数の推定というのはきわめて重要な要素でございますので、慎重にいま厚生省等とも相談いたしまして推定を行ったところでございます。現在、私どもどのように努力いたしましても、農業従事者自身が、また中核農家の数が減るという傾向にあることはこれは事実でございまして、六十五年の見通しといたしましては、私ども最大限八十万人程度に減少してまいるのではないか、加入者が最大限努力いたしましても八十万人程度になるのではないかというふうに推定いたしております。 そこで、そういったことを達成するためにも、どういうような加入勧誘の努力をなすべきかということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、新規の加入者が少ないのは、若い方の加入が見られないというところに一番大きな原因があるわけでございます。若い方がなかなか加入しないのはなぜかということになりますと、これは一般に若い人はいつまでも元気でいられるというような感じをお持ちで、なかなか将来の老後の年金というものを身近に感じない。さらにまた、将来の自分の進むべき道について、農業経営を将来やっていくのか、それとも何かほかの企業に就職するようなことを考えるのか、必ずしも方向が決まっていないというようなこともあるわけでございます。それから、この農業者年金制度自体、かなり農業をやる者にとって有利な制度になっているわけでございますが、このことの中身が十分に承知されていないというようなことも考えられるわけでございます。 そこで、そういった原因にそれぞれ即した対応を私ども考えていくべきだというふうに思うわけでございます。やはり農政全体として農業に魅力を感じられるような将来の規模拡大、生産性の高い農業を築き上げていくように努めるという基本的な努力をすると同時に、年金制度自体について、特に若い人を個別に対象にいたしました啓蒙、制度の熟知をお願いするような運動をしてその加入を進めていく、具体的には、この種の仕事をそれぞれ第一線において担当していただいておりますところの市町村の職員、農業団体の職員あるいは農業委員会の方々、こういった方々に普及の方の仕事を担当していただく。そのためのパンフレットでありますとか、広報誌でありますとか、放送でありますとか、そういう手段をできるだけ駆使していくということを努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○山田譲君 もう十年もたっているのですから、ですから若い人たちがよく熟知していないということはやはりこれは問題であるし、十年間において一体何をしていたんだ、普及宣伝については余りやっていなかったということを考えざるを得ないんですね。 それともう一つは、いま再計算のお話でたまたま出たわけですけれども、六十年の中核農家の人口、つまり、大体それが加入者数になるかと思いますけれども、それが八十万人というふうになりますと、将来の見通しとして、農水省としては当初目標が二百万人であったものが八十万人に減っていくというふうなことに考えざるを得ません。それは一体、非常に大きな目標違いになってくるのじゃないかと思うのですけれども、さっきの八十万人という今度の財政再計算に当たっての基礎となった加入者の数ですね、これは一体どういう根拠ですか。非常に少ないように思うのですけれどもね。
○政府委員(杉山克己君) 現在の年齢別の農業者の数あるいはさらに中核的な農家の農業者の数、さらにはいままでの各年の加入者数と脱退者数の推移、こういったものを基礎にいたしまして私ども年々の推移を算定したわけでございます。その結果、昭和六十五年においては先ほど申し上げましたとおりおおむね八十万人というふうに見込んだところでございます。
○山田譲君 だから、その根拠を教えてもらいたいということを言っているわけです。そうすると、二百万人というときはそういう計算はしなかったわけですか、最初は。
○政府委員(杉山克己君) 二百万人につきましても、当時としては当時の資料を前提にそういう推定を行ったというふうに承知いたしております。ただ、当時の農家人口なりあるいは中核農家的な、あるいはそういうものを志向する農家の数というのは今日とは事情を異にいたしておりまして、兼業化もそれほどには進行していなかったというような事情もあったわけでございます。一つはできるだけ努力して加入の層を広げたいというような意欲もあったかと思いますが、それは必ずしもその後の現実の推移が実際的でなかったということを示しているわけでございます。それで、今回あるがままの事実、実際可能な状態というものを冷静に分析して誤りなきを期するために、当初とはかなり下がった目標になりますが、それを正確に出すべきだということにいまいたしたところでございます。
○山田譲君 それは事情は変わっていると思いますけれども、それにしてもわずか十年の間にそんなに大きな見込み違いがあるものかという感じがしてなりません。六十年と言えばもう五年後でありますけれども、そうすると余り遠い話をして恐縮ですが、さらにそれから五年後あるいは五年後になっていきますと、その八十万というのはもっともっと減っていくというふうにお考えですか。それとも、八十万人が最後であってそれ以上は減らないというふうに考えられるかどうか、そこのところはどうでしょうかね。
○政府委員(杉山克己君) これは年金というよりは、農政全体の動向として将来の担い手をどう見通すか、あるいはどの程度の水準にこれを持っていくかというようなそういう政策的な意図も反映して決まる、あるいは推定される数値かと存じます。正直申し上げまして、そこら辺につきましてはきわめてむずかしい種々の議論はございますが、一般的に言って、八十万人が底ということではなくて、その先もなお、もちろん減少の傾向はだんだん鈍っていくわけでございますが、なお被保険者の数は減っていくものというふうに考えられます。
○山田譲君 そうしますと、農林水産省としては将来の農政全般を展望した場合に八十万人くらいでいいのだというふうに考えられるかどうか。だから、これは八十万人の数というのは単に加入者の問題ではなくして、やはり非常に中核農家というふうな今後の農政の担い手としては非常に重要な意味を持つ人たちだと思うのですけれども、そういう人たちが八十万人でいいかどうか、八十万人で足りるというふうに考えておられるかどうか、そこのところはどんなものでしょうかね。
○政府委員(杉山克己君) 大変申しわけございませんが、将来の農業の担い手の数を幾らに置くべきかということについては、実は年金というよりは農政全体の問題から、全体的な見地からお答えしなくてはいけないわけではございますが、率直に申し上げまして、私ども構造改善局の立場から、これだけでなければならないというような設定はいたしておらないところでございます。それは農業の将来の見通しの中でも、人数についてはまだ問題の存するところということで議論が干し尽くされているわけではございませんし、それから、先ほど来申し上げておりますところの六十五年の八十万というのは、それでいいとか悪いということよりは、その時点には加入者あるいは被保険者の数はその水準になるというふうに見通した、一時期、一段階の数値でございまして、さらに本当の長い将来の先の農家人口、担い手をどう見通すかということは、その農業全体の構成——当然その時点におきましても兼業農家、一種兼、二種兼というようなものもございましょうから、そういったもの全体とのバランスを考えながら、さらに正確に、非常に重要な政策の対象となるわけでございますから、算定しなければいけないというふうに思っているわけでございます。官房あるいは農林水産省全体としてこの点は検討して吟味していく問題というふうに心得ております。
○山田譲君 これは局長に聞いてもわかるかどうかわからないのですが、私もちょっと忘れたのですが、例の農政の見通しですね、審議会で出された。あそこの十年後のいろいろの展望、十年間の展望が書かれているわけですけれども、あの中で大体中核農家の数というふうなものはどのぐらいに考えておられるか、おわかりですか。
○政府委員(杉山克己君) ただいま申し上げましたような問題が種々ございまして、その議論が干し尽くされていない関係かと存じますが、人口については直接の見通しは出しておりません。
○山田譲君 そうすると、年金の加入者の数が直ちに農政に関係のある数というふうに言えないことはわかりますけれども、そうすると、あなた方は今後一生懸命加入者の獲得に努力をしていくと、いろんな宣伝をしていくのだというふうに言われましたけれども、それをやっても八十万くらいにしかならないであろう、こういうことですか。
○政府委員(杉山克己君) そのとおりでございます。
○山田譲君 八十万人じゃ非常に少なくて残念だし、それは自然にそうなっていくのだからしようがないと言えばそれまでだけれども一せっかくこれだけの制度をつくって、これは後でも聞きたいと思いますけれども、相当の国のお金をつぎ込んでやっている制度でございますから、それがわずか日本全体で八十万人という程度では私は非常に少ないのじゃないかというふうに思います、しかし、今後の努力によって、幾ら努力してもそれが最高だというふうなお答えであるとすれば、私は一つの問題点として考えざるを得ないのですけれども、この点、大臣どうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) この年金制度全般を通じまして、いろいろ問題になってきておりますことは山田委員も御承知のとおりでございます。したがいまして、こういう農業者年金の精神は、これは私は農業の続く限りこの精神を忘れてはならない、こういう感じがいたすわけでございます。しかし、先進国の例、農業発展の過程、歴史的な経過等をたどってまいりますと、やはり生産性の高い農業の方へどうしても進んでいっておるのが現実でございますから、そういう意味において、いま局長から申し上げたように、加入者の減少ということはもうこれはやむを得ない趨勢ではないかと、こういうふうに考えられますので、しからばそういう弱点を補ってなおかつ農業を営む人に対する特別の配慮ということをやってこそ、日本のような面積狭小の国においては、生産性の低い農業に従事するというようなのはこれはなかなか容易なしわざじゃないわけでありますから、そういう配慮をしてこそ生産にいそしんでもらえるという配慮は、これはアメリカなんかと比べてやっぱり違うところではないかと、こう思うわけでありますので、この年金におきましても、やはり基礎年金というようなものをつくって、その上に農業者年金の特別の措置を農業者の手によって形づくっていくような方向に将来はやはり進んでいくべきものではないかなという感じを私は率直に申し上げて持っておる次第でございます。 したがいまして、現行法によって運営いたしております現時点におきましては、せっかくこういう制度がありますにもかかわりませず、まだまだその制度があることすら知らない農業経営者がおるというのもこれは事実でございますので、これは農業会議あるいは農業諸団体の方々の協力も得まして、それからやはり婦人経営者等の問題、婦人の問題等も考慮しまして改善を図っていくというふうにしていかなければならない、こんなふうに考えております。
○山田譲君 先ほどもちょっと触れたわけでありますけれども、とりわけこの加入者の年齢別の被保険者数というのを見ますと、極端に若い人たちが少ないわけですね。この表を見ましてもわかりますが、二十歳から二十四歳までの人が日本全国でわずかに二千六百十六人しかいない。これは全体の比率として〇・二%になっているようでありますけれども、それしかいないわけです。それで全体の数字として、たとえば三十歳から三十九歳までの農民の数を見ますと、これはおたくからいただいた資料によるわけですが、百九十五万六千人というふうな数になっております、これは三十歳から三十九歳まで。それに対してわずか十一万人しか入っていない。もちろんこれは百九十五万六千人全部が対象になる人だとは私も考えておりませんけれども、それにしても非常に加入の率が少ないんじゃないかという感じがしてなりません。それから五十歳から五十九歳までの数が全国で二百九十八万三千人いるようでありますけれども、これについても、そのうちでわずか五十九万五千人しか被保険者になっていないというふうな数字を見ますときに、まだまだやはりこれについては努力が足りないのじゃないか。もっと周知徹底をすればもっと入る余地はあるのじゃないかというふうに考えられてならないわけであります。 それからもう一つ問題点は、こういうふうになっていきますと、この数字から見ましてもわかりますけれども、四十歳から四十四歳までというところでとたんに飛ぶわけですね。パーセンテージが多くなっていく。そうすると、まあそれはよく考えれば四十歳ぐらいになると老後のことをいろいろ考え始めてくる、こういうことでとたんにパーセンテージが倍以上にはね上がるわけでありますけれども、それは逆に言いますと、保険数理から言うと一つの逆選択になっていきはしないかということを考えざるを得ません。そうすると、やっぱり保険的に見ていっても非常に大きな問題になるのじゃないかというふうに思いますけれども、この辺重ねてお伺いしたいと思います。これは局長で結構でございます。
○政府委員(杉山克己君) 確かに五十五年の農業センサ又によって見ますと、男子の農業従事者はかなり多いわけでございます。いま先生が御指摘になりました三十歳から三十九歳の階層では従事者全体百二万七千人、それに対して加入者が一割強の十一万そこそこという数字でございます。なぜこんな大きな差があるかということでございますが、これは一つは兼業の人がおって、ほかのそれぞれの職場から厚生年金等に加入していてこの加入資格がないという者もかなり含まれている。それから、経営規模が零細で加入要件を満たさない者もいるというようなことがあろうかと思います。それを引きまして、純粋に未加入者はどのくらいかということになりますと、先ほど来申し上げましたように、これはこの年代層だけではございませんが、全体を通じて約三十万人というふうに推定されているところでございます。そういうことで全体の農業従事者の数と加入者の数字の間にはかなり開きがあるわけでございます。 それからもう一つ、四十歳を境にして非常に加入率が差があるではないかということでございますが、これはこの年金の制度そのものが、保険料を二十年以上納めないと受給資格が生じないということがございます。そうしますと、四十歳以前に加入していなくては経営移譲年金が受け取れないということから、そこでぎりぎりの年齢ということで四十歳前後に——前後といいますか、直前に加入者がふえるということが一つあるわけでございます。そういうことでは確かに好ましくなくて、しかも早い時期から加入なさっていればそれだけ受給の額もふえてくるわけでございますから、できるだけ私どもはぎりぎり四十歳直前ということでなくて、その思い立ったそれぞれの年齢のときに、できるだけ若い時期に加入していただくようにということで加入促進を図ってまいりたいと考えております。
○山田譲君 さっきもちょっと言われましたけれども、三十万人という数字ですね、これは当然入るべくして入ってもいいと思われるけれども入らない人が三十万人いると、こういう話ですか。それ以外の人はいまの数字の中で全部被保険者になり得ない、その資格のない人たちというふうに考えておられるのですか。
○政府委員(杉山克己君) そのように考えております。
○山田譲君 そうすると、あと三十万人、まあ一生懸命努力してその三十万人をふやすと。片方じゃ今度、現在いる百万人のうちから、差し引き幾らになりますかね、五、六十万人は減るであろうということになりますかね、八十万人が将来の見通したということになりますと。
○政府委員(杉山克己君) 三十万人と申し上げましたのは、これは最近時点での数字でございます。しかし、年々新しく育ってくる若い人がおられる。それから一面、保険料納入を終わって受給される、したがって被保険者としての保険料を納める対象でなくなる人間も出てくる。要するに新規の加入と脱退がそれぞれあるということでございます。そういった出し入れがありますが、全体としては減っていく方が多い、新規加入が少ないということで、現在時点では対象となる未加入者が三十万人おりましても、今後逐次減っていって六十五年では八十万人くらいが努力しての目標として考えられると、こういうふうに申し上げているところでございます。
○山田譲君 その次に進みたいと思いますけれども、経営移譲ですね、経営移譲について見ますと、後継者移譲というのが九二・五%になっている。そして第三者移譲がわずかに七・三%で、生産法人の持ち分譲渡というのが〇・二%というふうな内訳になっております。この傾向はこの制度が始まって以来余り変わっていないのじゃないかと思いますけれども、昨年の農地三法の改正におきましても、農地の流動化の促進というふうなことが主要なテーマであって、この制度はやっぱリそういう一翼を担うという意味だと思うのですけれども、そういう意味の構造政策との関連でこういった現状をどう評価し位置づけていかれるか。つまり、第三者移譲がきわめて少なくて、後継者移譲が九二%以上だというようなことになりますと、そういった目的が達成されていないのじゃないかというふうに思います。それについてのお考えをまず聞きたいということ。それと、当初一体この比率をどの程度考えていたかということについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 規模拡大という場合、直接的に現在の面積をふやしていくという規模拡大と、ほうっておけば面積が減ってしまう、これを防ぐという両様の面があると思います。日本の農地面積、個々の農家の状況について見ますと、特に相続問題等もありまして、ほうっておけば細分化、零細化するという傾向があるわけでございます。その点、この年金制度に加入いたしますと、年金の受給は一括譲渡した場合でなければ受けられないということになりますので、現在お持ちになっている経営者は一括して後継者に譲渡するということが義務づけられるといいますか、この制度上強制されるわけでございます。その意味ではかなり細分化、零細化の防止に役立っている、いわば規模拡大の大前提とも言うようなそういう条件づくりができているということで、私は規模拡大に貢献しているというふうに思うわけでございます、 それから、直接自分の後継者でなく第三者に譲渡すれば、それはそのままその分が面積がふえて規模拡大そのものになるわけでございます。それはわずかではありますが若干実現し得ている。 それは少ないではないかということでございますが、これは一つは、やはり一括譲渡という場合は面積もかなりまとまるというようなこともあって、資金的にもなかなかそういったものを入手し得るというような階層がそうはないというような実態もあろうかと思います。あるいはまた一つは、日本の農家全体を通じまして、自由に企業を他人に譲り渡すというような、そういう風習もないというように思われるわけでございます。 したがいまして、この経営移譲の比率につきましては、当初もやはり後継者への移譲の比率が現在程度に多いのではないかというふうに想定したと考えられます、
○山田譲君 そうしますと、何か局長のお話を聞いていると、この法律の目的はせいぜい細分化を防ぐ程度のものであるか、その程度の消極的な意味しか持っていないのかということになるのですけれども、その点はどうですかね。
○政府委員(杉山克己君) 細分化を防ぐということがその程度というのをどのように評価するかということになりますが、規模拡大のためにはきわめて大きな前提だろうというふうに思うわけでございます。 それから、加入者は、多くの場合かなりの面積を持っているところの専業農家でございます、それから、そういう専業農家が、単に細分化防止だけでなく規模拡大についてはどうかということになりますと、この制度だけでなくて、まさに農用地利用増進法とかほかの各種の規模拡大施策、こういったものとあわせて総合的な効果を発揮させるように進めていくべきだというふうに思うわけでございます。この制度は主として確かに細分化防止ということに大きな働き、機能を持っているところでございます。
○山田譲君 法律の目的として、農業経営の近代化及び農地保有の合理化、これに寄与すると、こう言っているわけですけれども、そうすると、局長のお話によると、この農地保有の合理化というのは、現在持っている土地をこれ以上細分化させないというふうなことを言っているのだと、こういうことになりますか。
○政府委員(杉山克己君) 合理化の内容はいろいろ意味は広いかと思いますが、この制度で意図している一番の大きな目標はおっしゃるとおりでございます。
○山田譲君 私は必ずしもそういうふうに理解していなくて、この法律によって多少でも規模拡大に役立たせるというふうなことかと思ったわけでありますけれども、どうも局長のお話によるとそうじゃなくて、細分化を防ぐのだというふうな非常に消極的な意味しかこの制度は考えていなかった、こういうことになるわけで、私としてはどうもその点じゃ納得できない。やはりもっともっとこの法律をうまく活用していくことによってこの規模拡大に役立たせていくということがなければ法律としてさびしいのじゃないかという感じがしてなりません。しかし、これはこの程度にしておいて先に進みたいと思います。 次に、農地の売買業務とか融資業務というふうなことをやっていますわ。そしてこれの資金配分というのは一体どういうふうに決められているかということをまず聞きたいと思います。 それからもう一つついでに、それらの業務の運用方針、これはまずどうなっているかということを局長からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金基金の財務及び会計に関する省令というのがございます。これによりまして、年金勘定の資産の構成割合ということで、運用の方針について規制といいますか、基本方針が決められておるわけでございます。その省令の第五条でございます。これによりますと、 「農業者年金基金法第十九条第一項第二号に規定する農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに係る業務に対する貸付金の類と」、間は省略いたしますが、これらの「売渡しに係る業務に対する貸付金の額の合計が年金勘定の資産の総額の百分の二十に相当する額をこえないようにしなければならない」、要するに、その年金勘定の資産の総額の百分の二十までそういう目的に運用できると、こういうのが基本方針になっております。 現在、そういう資金をどの程度売買融資に充当しているかということでございますが、これは五十六年度予算におきましては農地の買い入れのための資金枠を九億円、それから農地等取得資金の融資枠を四十五億円ということにいたしております。五十四年度末までの累計の実績を申し上げますと、買い入れで六十四億円、融資で二百二十三億円ということになります。今後ともこの額の配分につきましては所要額を見てまいりたいということで進めてまいりたいと考えております。
○山田譲君 そうしますと、この資料を見ましても、その辺がわかるのですが、売買と貸付業務というのはどちらも非常に活用が低調じゃないかということが考えられてなりません。特にまた、この金を貸し付ける場合も金利三分五厘ですか、それは間違いないですね。こういうふうに非常に低利であるにもかかわらず、意外にその活用がなされていない。この辺の理由はどういうことだとお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 需要があればそれにできるだけおこたえしていくということで考えておるわけでございます。 それから金利は、これは非常に優遇されておりまして、三%ということで、ほかに類を見ない非常に有利な資金なわけでございます、ただ、それでも借り手がそれほど多くないのはなぜかということでございますが、一つはやはりこの経営移譲、第三者移譲というようなケースが先ほど来出ておりますようにそれほど多くない。それからまた、やはり農地の取得というのは、金は借りられても借りる金は返さなくてはいけないというようなこと、特にまとまった売買になりますというと、そういう償還の負担も大変であるというようなことから、なかなかそう、制度はあっても必ずしも十分には活用されないという点もあろうかと存じます。できるだけこういった制度があるということを十分承知していただいて、活用をお願いしてまいりたいというふうに考えております。
○山田譲君 地域別にこの売買の状況というものはわかりますか。
○政府委員(杉山克己君) 各県別の詳細なものではございませんが、全体の動向として申し上げますと、五十四年度末までの農地の買い入れ総面積は四千二百四十三ヘクタール、それから売り渡し面積は四千九十四ヘクタール。そしてその内容は北海道がきわめて大きゅうございます。きわめて大きいというよりほとんどでございます。それから一方融資の五十四年度末の状況は全国で九千六百三ヘクタール。累計の金額で言いますと二百二十三億円。このうち北海道が八千六百十四ヘクタール、金額で百五十七億円。それから九州が二百九十二ヘクタール、金額で十九億円。それからそのほかの地域が全部合わせて六百九十七ヘクタール、五十七億円ということで、やはり北海道が、売買、そういった農地の流動化が一番進んでいるというか、盛んであるということがこういった面から見られるわけでございます。
○山田譲君 そうすると、やはりこれは実際に活用されているのは主として北海道あるいは九州というふうなところであると、こういうことになりますかね。 それともう一つ聞きたいのは、その土地を買いますね、それを基金が買うと、その買った土地を欲しい人に売るのでしょうけれども、この数字で見ると全部売れているとは思わないのですけれども、そうするとその土地は基金が持っているということになるわけですか。
○政府委員(杉山克己君) 買った土地は、基金はそれは売るということを目的にして買うわけでございます。加入者相手にそういう業務を行うわけでございますが、ときに長い間持ち越すというようなこともあり得るわけでございます。ただいままでの実績を見ますというと、買った面積と売った面積、この間の差は比較的少なくて、持ち越しはそれほど多くないといままでのところは言えると思うわけでございます。 それから余分でございますが、北海道が非常に多いということを先ほど申し上げましたが、理由について若干申し上げますと、やはり北海道はそのほかの一般都府県と違いまして、農業経営に企業的なマインドといいますか、そういう考え方がかなりある。そして農家等の自己資金だけでは対応できない場合、思い切って相当額の借り入れを行って大面積の農地の取得が行われている。それから離脱する方も、そっくりそのまま譲渡してほかへ出ていくというようなことがある程度出てきている。その点はアメリカ型とまでは申しませんが、従来の日本の一般の農家のビヘービアとはかなり違った点も一部見られるわけでございます。
○山田譲君 そうしますと、やっぱり北海道においてはいわゆる第三者移譲というふうなものも多いというふうに言えますか。
○政府委員(杉山克己君) そのとおりでございます。北海道が一番大きいと思われます。
○山田譲君 次に、いわゆる積立金でございますけれども、これは現在幾らになっているかということとその運用状況。これは、運用というのはあれですか、いまの農地の売買と貸し付けだけですか。何かほかに考えておられるかどうか。つまり私が言いたいのは、その積立金が農村に対して完全に還元が十分なされているかどうか、こういう問題認識でございます。 それともう一つ、いわゆるそういった被保険者のための何か厚生施設的なものを建てるというふうなことは考えておられるかどうか、この辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 積立金の運用につきましては、先ほど不動産の買い取りなりあるいは貸し付けということの限度二〇%以内ということを申し上げましたが、そのほかに、やはり先ほども申し上げました省令で、たとえば現金、預金、貯金、金銭信託、有価証券、こういったものに対する配分であるとか、それからそれ以外それぞれ項目が幾つか挙げられておりまして、その間の配分についての限度を設定いたしているわけでございます。 そういうふうな基準をもとにいたしまして、運用がどのように行われているかということでございますが、やはりこれは貴重な加入者のお金をお預かりしているわけでございますから、安全でかつ効率的に運用するということが第一でございます。それから、被保険者に還元してこれを運用する、被保険者に対する還元の一つの大きな形として、先ほど申し上げました農地の売買あるいは取得資金に対する融資ということがあるわけでございます。昭和五十四年度末現在の積立金総額を見てみますと約三千六百五十五億円、その運用の内訳は、この時点におきまして農地の売買、農地取得資金融資として二百七十八億円、それから農林債券等の有価証券の購入は二千七百六十一億円、これはまあ直接還元しているわけではございませんが、農林中金という金融機関の性格からして、これも大部分が農業関係に還元されているというふうに理解いたしております。それから、一般の貸付信託等として六百十六億円、こういう資金配分になっております。 それから、お尋ねの第二点の福祉施設を何かこれから考えていくのかということでございますが、福祉事業は、何といっても長期の資金の固定化ということが心配になるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、この年金の財政事情、たとえば加入者が大幅に減ったとか、それにもかかわらず経営移譲率の方は当初予想よりきわめて高いとか、財政的に見て種々問題を含んでいるわけでございます。そこで、現在までのところ特段にそういう福祉事業を大きく実行するというような構想は出てまいっておりません。ただ、農業者年金の積立金も現在のところ相当の額に及んでおりますし、一部の期待もかなりあるということでございますので、今後、いま申し上げましたような資金の状況も考えながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○山田譲君 せっかくの積立金、相当の金額があるわけでありますけれども、実際にそれが活用されているのは、売買なり貸し付けの問題にしても主として北海道と九州の一部でしかないということになりますと、やはりもっとほかの地域でもせっかくのこの活用を考えていいのじゃないか。そうしませんと、先ほど来言われておりますように、この年金制度そのものが非常に有利な制度ではあるのだけれども、やはり被保険者になっていればこういうことがあるのだというふうなことで、一つの魅力を持たせる手段にもなると思うんです。そういうことで、福祉施設についてはいまのお話でわかりましたけれども、そうでない方法をもっともっと被保険者に教えてやって、そして、被保険者になっていればこういううまいことがあるのだというふうなことを徹底するようにしたらどうかというふうに思うのですけれども、その点いかがなものでしょうかね。
○政府委員(杉山克己君) お尋ねの御趣旨、私どもごもっともに存じます。そのとおり努力してまいりたいと考えております。
○山田譲君 それでは次に行きたいと思いますが、離農給付金というのがありますね。これは昨年この制度改正が行われたようでございますけれども、これの運営の状況がどうなっているかということをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 五十五年度末までにおきますところの離農給付金の支給状況は約二万八千二百件、金額にして二百十二億五千七百万円ということになっております、 その内訳といたしまして、五十五年五月十五日までの旧制度によるものが大部分、二万八千件、二百十一億一千百万円ということになります。同年の五月十六日以降の新制度に基づく分は、現在までのところ二百件、一億四千六百万円ということになっております。 それから、これを支給の地域別に見てまいりますと、北海道が三〇・八%、九州、この場合沖縄を含んでおりますが、三五・三%、それから東北が一三・三%、北陸一〇・七%、中・四国が八・〇%ということになっております。そのほかの関東、東海、近畿、これらの地域は低くて、合わせて一・九%というような状況でございます。
○山田譲君 北海道において特に離農給付金が多く出されているということ、件数も当然多いと思うんですけれども、それは一体どういうふうに考えておられるわけですか。
○政府委員(杉山克己君) この離農給付金は、年金制度に加入したいけれども、すでにかなりの年齢に達しているためにこれには乗れない、しかし農業をかなりやっていて、その農業を引退するときは何かやはりそういう自分たちにも、経営移譲年金とは言わないけれども、それに類する手当てがしてもらえないかという御要望を受けてできた仕組みでございます。そういたしますと、やはりこの支給も、一般的な経営移譲年金の動向と相照応する性格のものであろうかと思います。 その点、先ほど申し上げましたように、北海道では経営移譲の実績が多い、次いで九州が多いということが、そのまま経営移譲年金と並行して離農給付金の面にもあらわれているというふうに考えられます。その他の都府県では、要するに離農も少ないということになろうかと思うわけでございます。 〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕
○山田譲君 そうすると、いまのいろんなお話を伺うと、北海道においてはやはり経営規模はかなり大きくなっているというふうに考えざるを得ないのですけれども、それは事実ですか。
○政府委員(杉山克己君) 北海道は一般的に言ってそもそも経営規模も大きゅうございます。それから、この措置によって経営規模の拡大が行われる場合、それは一般の場合よりもまたさらに一段と相当大きな水準になっているというふうに私ども受けとめております。 数字については、北海道では取得前とその調査時で比較いたしますと、一戸当たり平均が九・九七ヘクタールであったものが十三・三八ヘクタールということで、三割五分ぐらいふえるような状況になっております。それから東日本では一・七八ヘクタールから二・三一ヘクタールに、それから西日本では一・四四ヘクタールから二・〇三ヘクタールにと、それぞれ増加いたしておるわけでございます。 なお、これは全体ということではなくて、離農給付金の受給者から農地等を取得した農家、調査対象戸数五百五十二戸、これについて見た一戸当たりの四十八年当時と比較した調査時との対比の数字でございます。
○山田譲君 そうしますと、これはそちらに聞いても無理かと思うのですけれども、この離農した人たちは一体どういうふうなことになっているか。どこかでいわゆる雇用労働者か何かになっているのかどうか、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 離農した人の追跡調査を完全に行うことはむずかしいのでございますが、まあいろいろ承知しているところでは、やはり本来の兼業といいますか、その言い方はちょっとおかしゅうございますが、企業なり会社あるいは役所、学校等に奉職している人が、そちらに専念するということで農業をやらなくなるという形が一番多いのではないかというふうに思われるわけでございます。
○山田譲君 それはやはりそうするといわゆる兼業農家の人たちが大部分である、こういうふうにお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 兼業農家が大部分でございますが、ちょっと肝心なことを一つ言い落としておりましたので、その点を補足しますが、もちろん引き続いて事業なり活動を行う方は、そういういま申し上げましたような兼業の社会に専念するということがあるわけでございますけれども、むしろ老齢の方で引退するという方の方が主力でございます、そして、残る方では、いま申し上げましたような兼業の社会に戻っていくという人もおられる、こういう状況でございます。
○山田譲君 それでは離農給付金の問題でもう一つ。今回引き上げが行われなかったわけですね、これはどういう事情ですか。
○政府委員(杉山克己君) 離農給付金も、当初設けられましたときの性格とそれから昨年改正が行われましたときでは、若干その意味合いを異にしている点があるわけでございます。旧制度の離農給付金につきましては、制度創設時の年齢制限そのほかの事情によって農業者年金に加入できなかった者に対する救済措置としての性格があったわけでございます。 〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕 そして、経営移譲年金の国庫補助見合い分、それに相当するくらいのものを何か手当てしてもらえないだろうかというようなお話もあって、そういう考え方からその水準も見てまいったというようなことがあるわけでございます。そして、年金額の物価スライド改定と並行してその改定も行ってきたわけでございます。 ただ、現在の離農給付金制度は、これは先ほど来申し上げておりますように、安定兼業農家等の農地、あるいは農地等を専業的な農家に集積させるということをねらいとしているわけでございまして、その額は全く別途の観点から、むしろ離農者が農業を離れるとき一般的にどのくらいの損をするであろうか。要するに残っている農業関係の資産、これを処分をする場合、その本来的な投資の価格を満席には回収できなくて損を発生する、差額が出る、この分を補てんする必要があるのじゃないかということで、離農に対してのそういう相当額を償うという思想で設けられたわけでございます。したがって、老後を保障するという意味合いはなくなっておりますので、私ども今回物価の上昇に合わせて額を引き上げていくというような措置あるいは財政再計算においてこれを改定するという措置はとらなかったところでございます。
○山田譲君 そうすると、離農者の農地が中核的農家の経営規模の拡大に役立っている、農業構造の改善に十分役立っているというふうに考えられるのは、やっぱり主として北海道とかさっき言われたようなところであって、その他のところはそもそも離農者の絶対数そのものが少ないというせいもあるでしょうけれども、そういう意味では余り役に立っていない、こう言うことはできますか。
○政府委員(杉山克己君) 離農給付金はこの制度の一部の姿でございます。この農業者年金制度全体として最もよく利用されている、効果を発揮しているのは、先ほど来申し上げておりますように、北海道であるということはこれはもう事実でございます。それに次いで九州、それ以外の県は全くないというようなことではなくて、それなりに何がしかの利用は行われている。しかし、いま申し上げました北海道、九州に比べればかなり低い、こういう実情でございます。それぞれ地域の実態というものがある程度反映しているのかと存じますが、お尋ねの御趣旨は、恐らく低いところにはもっと実態的にそういったものを促進してしかるべき実態があるのではないか、そういうことについてPR、指導そのほかもっと努力すべきではないかという御指摘を含むものと存じますので、私どももそういった点は今後努力していく必要もあろうというふうに考えます。
○山田譲君 次に、給付の引き上げについて伺いたいのですけれども、経営移譲年金が三千二百八十九円を三千五百七十五円にする、あるいは農業者老齢年金が八百二十二円を八百九十五円にしたというふうなことでこれは上がっているわけです。一時金もそれ相応に上がっているわけですけれども、この上げた根拠ですね、それを伺いたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 今回の財政再計算は五十七年一月基準で行ったものでございます。上がった内容につきましては、それぞれ法案の中あるいは関係資料でお示ししているところでございます。 なぜそういう数値になったかということでございますが、まず給付水準につきましては、これは農業所得を今日の実態から見てどのように推計するか、それをベースにいたしまして厚生年金とのバランスを考えてどのような水準で設定するかということでございますが、農業所得の推計につきましては、これは農家経済調査の当然加入規模、都府県は〇・五ヘクタール、北海道は二・〇ヘクタールということになっておりますが、それ以上の農家の農業所得、これを年金加入農家の規模別加入者数によって加重平均する。年金加入農家の方が一般的に規模は大きゅうございます、その数によって加重平均する。そして、各年の平均農家所得を基礎に、回帰式、将来の——将来のといいますか、動向を推定する各種の算式がございますが、これは半対数回帰式とか直線回帰式とかありますが、それらの四十六年、五十四年のデータをとって、回帰式によって推計をいたしたわけでございます。 給付水準につきましては、以上申し上げましたような根拠によって、それからさらに厚生年金とのバランスを考えてこの給付単価を決定いたした——決定いたしたといいますか、算定いたしたところでございます。
○山田譲君 経営移譲年金の三千二百八十九円が三千五百七十五円になった、パーセンテージにしますと八・七%になるわけですね、老齢年金について言えばこれは八・九%ということです。この八・七%なり八・九%のアップ率というのはいま言ったような計算で出されたのか。それとも、一般の雇用労働者のベースアップというふうなものを勘案してなされたかと、こういうことなんですよ。
○政府委員(杉山克己君) もちろん、全体的な経済の動向として一般の物価なり賃金の上昇というものが反映するということは当然でございます。その反映のさせ方といいますか、いわゆる財政再計算、今日時点での適当な給付水準はということで農家の所得を推計して、それをベースにして、いま申し上げましたような算式によって——根拠としてはやはりきちんとした計算が必要でございますから、算式によって算定したものでございます。
○山田譲君 経営移譲年金は八・七%で老齢年金が八・九%になって、わずか〇・二%ほどの違いですけれども、この違いは一体どういうことですか。
○政府委員(杉山克己君) これは経営移譲年金と老齢年金は当然同率であるべきなんですが、経営移譲年金は、といいますより、老齢年金は経営移譲年金の四分の一ということでのバランスが保たれております。端数計算上五円という単位で処理いたしましたので、その結果、率としては末端の数字でもって算出をしたということで、実質は全く同じでございます。
○山田譲君 脱退一時金あるいは死亡一時金の計算はどうなんですか、
○政府委員(杉山克己君) これはその都度毎年ということでなく、その点は、移譲年金なりあるいは老齢年金の給付の場合と異なった扱いをしておったわけでございます。今回は、五十一年に比べてこの五年間の格差を是正するということで、一・三七五倍ということに引き上げておるわけでございます、これは、実質的に年金額の引き上げ率とバランスをとった同率の引き上げを、五年間の分をまとめて行ったということになるわけでございます。
○山田譲君 そうすると、一時金については五十一年に対して一・三七五倍にしてあるということですが、これは五年間分を一挙に上げたということなんですか。
○政府委員(杉山克己君) これは一時金の性格を御説明する必要があるかと存じますが、やはり農業者年金制度が当然加入の制度になっているというようなこと、それから、ほかの年金との通算制度が設けられていないというような事情があるわけでございますので、一定期間保険料を納付した者の年金受給にこれが結びつかない、掛け損になる者も発生するということから、これを救済する措置として一時金の給付を行うことにしたわけでございます。 その額につきましては、御指摘のとおり、四十九年改正で引き上げて以来据え置いてきたわけでございますが、その後の財政再計算それから物価上昇、こういったことに伴って保険料が改定されてきたために、相対的に見れば水準がかなり低下したというようなことで、それからまた、今後の保険料が段階的に引き上げられていくであろうということも考えて引き上げを行うことにしたわけでございます。
○山田譲君 制度の改善で、法律事項についてはいま大体わかりましたけれども、その他政令なりあるいは省令でもって制度を改善しようとしておられるところがあると思いますけれども、その内容をちょっと教えてください。
○政府委員(杉山克己君) まず、特定後継者についての加入の要件緩和ということを考えております。これは時期的には五十七年一月からということで考えておるわけでございますが、現在保険料が割り引きされる後継者につきましては、各種の要件といいますか、制約があるわけでございます。そのうち、割り引きされる後継者、親が農業者年金に加入していなければ割引は受けられないという要件が一つあるわけでございますが、これはどうも実態からすると適当ではないのではないかという御意見もございましたし、それから、加入促進を図るという観点からもこの要件を外して、親が加入していなくても、つまり、親はもう完全に兼業化して農業を行っている、しかし、後継者が本当に農業をやりたいというなら、観の加入要件を要件にしなくても加入を認めていいじゃないか、割引を認めていいじゃないかということにするようにしたいということが一つあるわけでございます。これが政・省令によって改正を行うことの重点の一つでございます。
○山田譲君 政令ですか、省令ですか、どっちですか。
○政府委員(杉山克己君) これは政令でございます。 それから、経営移譲年金の支給停止要件の緩和でございますが、現在、経営移譲は、本来所有権の移転が望ましいのでございますが、それがなかなかむずかしいということで、使用収益権の設定、つまり、子供に貸すというような形で移譲する場合も対象として認めております。しかし、これは運用いかんによっては非常にルーズになるということで、かなり厳しい支給停止要件というものをつけているわけでございます。つまり、要件を満たさなくなった場合は年金の支給を停止するということにしているわけでございますが、ただ、要件を満たさなくなる場合でももっともな事情があるとき、具体的に申し上げますと、経営が移譲された農地、これをほかへ転用したり貸し付けたり交換した場合は年金の受給資格を失うということにしておりますけれども、ただ、ほかへ転用するといっても、自分が行う農地としてではなく農業用施設用地として使うような場合、つまり畜舎を建てたい、鶏舎を建てたいということでたんぼをそういう形に変換したような場合だとか、それから、そこは手放すけれども、かわりにそれと同等の、もっと便利な、あるいはもっと大きな、規模拡大のために必要な農地を取得するというなら、もとの農地は手放しても実体の経営としては拡大するなら、あるいは縮小を見ないなら、それは差し支えないじゃないか、そういう転用なり買いかえ、交換の場合について特例的に支給停止はしないというようなことにするということにしております。いわば、実態に即して、そういう同情すべき事情の場合にはこれを配慮するということにいたしたいと考えております。
○山田譲君 それも政令ですね。
○政府委員(杉山克己君) 根拠は政令でございますが、細かい手続等もありますので、省令となってこの措置が行われることになります。
○山田譲君 次に、先ほど来お話がありました財政再計算の問題をもう少し具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 今回の財政再計算におきましては、まず、給付水準、これは年金額、一時金と両方あるわけでございますが、前回に比べまして一・三七五倍の引き上げを見込んでおります。それから経営移譲率の実績、これは前回の見込みに比べまして、非常に重大な変更でございますが、約二倍の約八〇%を見込んでおります。それから農業者の平均余命、何歳まで生きられるかというあとの平均余命、それから年金受給期間、これを延長いたしております。数字で申し上げますと、七十五歳から七十七歳ということ。それから加入者の数が前回の見込みを下回った等の要因によりまして、この下回った内容につきましては先ほど来お尋ねがあったところでございますが、こういう以上幾つか申し上げましたような要因が重なりまして、平準保険料、つまりそういう条件のもとで給付を実現するために必要な保険料その水準は八千五百六十七円というふうに算定いたされたわけでございます。これは現行保険料額の四千百六十円に比べれば約二倍というような高いものになるわけでございます。したがいまして、保険計算上は上げなければならない水準ではございますが、こういう急激な大幅な引き上げは農家の負担の増大、きわめて大きな影響を及ぼしますので、今回の法改正におきましては、初年度の五十七年は五千百円に、これは二二・六%ということになりますが、引き上げて、以後毎年四百円ずつ段階的に引き上げるということにいたしております。そして五十七年以後五年間の保険料を定めだというのが財政再計算の主要項目の内容となっております。
○山田譲君 農業所得は幾らぐらいに推計されているのですか。
○政府委員(杉山克己君) 農業所得は、四十六年度から五十四年度までの推移を見てみますと、年間の一々の数字は省略いたしますが、たとえば、四十六年度は七十万五千円、五十四年度は百八十万九千円ということで逐次上がってまいっているわけでございます。 これらの所得を基礎にいたしまして五十五年度の農業所得を推計いたしますと、推計の方式によって若干の幅は生じますが、百八十七万八千円から二百九万五千円の間におさまるというふうに見られるわけでございます。そこで、この幅の中で農業所得を前提にするという算定を行ったところでございます。
○山田譲君 試みに厚生年金について見ますと、三十年加入のモデル計算をしてみますと十二万九千五百二十四円になります。同じくこの年金で計算した経営移譲年金を見ますと、三十年加入で今度の改定によりまして十万七千二百五十円になる、こういう計算になる。これは間違っていたら指摘していただいて結構でありますけれども。そうしますと、厚生年金どこの年金との差額が、これは即、勤労所得と農業所得の差というふうに考えていいものかどうかということが一つと、それから、今後この差が拡大するおそれはあるかないかということについて局長のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金の給付水準の算定に当たりましては、厚生年金並みの水準ということをその目標にいたしているわけでございます。農業者がその平均的な農業所得をもって厚生年金に加入したならば一体幾らの年金が得られるであろうかということを、厚生年金の算定式の例に当てはめて算定して、その水準を確保するということになるわけでございます。したがいまして三十年加入者のモデル計算の場合、農業者年金の年金額は厚生年金のそれを若干下回るという結果になっておりますが、これは農業者年金加入者の平均農業所得と厚生年金加入者の標準報酬月額とに差があることによるものでございます。その意味では。お尋ねのまさに農業者の所得と勤労者の所得との格差ということになるわけでございますが、ただ、この場合、農業者年金加入者の農業所得、それから厚生年金加入者の標準報酬月額というものの格差であるわけでございます。 それからこの格差が将来拡大するかどうかということにつきましては、私どもむしろ農政の目標としてこの格差を埋める、勤労者並みの所得水準を確保したいということを考えているわけでございます。ただ、現実に近づいた時期もありますけれども、最近若干引き離されているというような実態もあるわけでございまして、むずかしい問題であるというふうに考えますが、私どもといたしましては農業構造の改善、要するに規模拡大を行って生産性を向上していく、あわせて生産対策も充実さしていくというようなことによって農業所得の増大、確保に努めてまいりたいと考えております。
○山田譲君 ついでで恐縮ですけれども、いろんな一部の意見として、年金について定額制をやめて所得比例方式を導入したらどうかというふうな意見も一部にあるわけでありますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 所得比例方式をとるということについては、理屈の上の問題もございますが、率直に申し上げまして、実務の上でとうていこれは実現しがたいというような難点が種々あるわけでございます。それは一つは、一戸一戸の一人一人の農家、農業者の所得を具体的にどうやって把握するか、それから、そういうふうに仮によほどの調査を行って把握しても、その階層区分はどうやって仕切ったらいいのか、その指標なり基準の取り方、さらには被保険者の階層間移動、要するに所得がふえたり減ったりする、そういう場合の取り扱いをどうするのか、それからこういうことを実際問題として技術的にやれないということと、仮にやった場合には農村社会に一つの違和感、所得によって年金まで格差をつけるのかというような一つの釈然としない摩擦を生ずるのではないかというような問題が種々あると思います。したがって、私どもとしてはこの方式は一部の御意見としてはあっても、取り入れることは困難であると考えております。
○山田譲君 その次に老齢年金でありますけれども、これについても、先ほどのお話のとおり大体経営移譲年金の引き上げに見合う——ちょっと多いわけですが、これは端数整理ということでこうなったというお話ですが、八・九%の引き上げをしたわけでございます。金領にして経営移譲年金よりも老齢年金の方が低いということは、これは制度の性格上ある程度やむを得ないというふうにも考えられますけれども、老齢年金の金額をさもに高くする。附帯決議でも何回か言っているようでありますけれども、こういうお考えは今後の問題としてあるかないかということを伺いたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 老齢年金も、いま先生も御指摘になりましたように、経営移譲年金を引き上げる場合、これに伴って引き上げを行ってきたわけで、その間のつり合いはとれていると思うわけでございます。ただ、経営移譲年金を受け取れない方の立場から、老齢年金自体を引き上げられないかという御要請もあることは承知いたしております。ただ、老齢年金というのは、農政の立場、この年金の政策的な意味からいたしますというと、本制度の農政上の政策的な意味というものは比較的薄いというふうに考えられることと、それから老齢年金は終身年金、存命な限りこれが受けられるということになりますと、だんだん平均年齢も長くなるというようなことで総体の給付額がふくらんでくる、そうなりますというと、正直これは保険料にはね返る。そういう直接的な影響というようなことも考えますというと、なかなかこれはその水準を経営移譲年金スライド以上に上げるということは困難ではないかというふうに思うわけでございます。
○山田譲君 この法律の目的、ねらいとするところが、先ほど来お話ししてきましたようないわゆる農業経営の近代化と農地保有の合理化というふうな一つの柱と、もう一つは国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定を図ると、こういうことももう一つの柱としてあるわけでありますから、ひとつこの点についてはどっちを優先させるということじゃなくて、老齢者の方についてもひとつ今後とも考えていっていただきたいというふうに要望をしておきます。これはすでに附帯決議でも何回か言っているところでありますから、十分御承知だと思います。 それからその次に、先ほど平準保険料のお話がございました。平準保険料が月額八千五百六十七円しこれは間違いないですね。こういう平準保険料が計算の結果出てきている。ところが、これに対しまして五千百円の保険料、これは一月から十二月までは五千百円。それから以後毎年四百円ずつ引き上げると、こういうことになっておりますけれども、いずれにしても八千五百六十七円の平準保険料よりははるかに低いわけでございます。こういう数字の関係から見ていきますと、どう考えてもやはりこの基金、年金は完全積立方式とは言えないのじゃないかというふうに思わざるを得ません。従来政府は、この年金については完全積立方式だというふうな二とを言っていたようですけれども、もうすでに厚生年金なり国民年金も修正積立方式に移行している。そうしますと、この平準保険料と今度の保険料との関係から見ますと、この年金につきましても、やはりこれは政府が従来言っていたのとは違って、一種の修正積立方式に移行したというふうに考えざるを得ないのですけれども、この点はいかがなものでしょうか、
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金につきましては、比較的ほかの年金に比べて後から発足したという事情もございますし、それからその仕組みが特殊なものであって、たとえば被保険者の年齢構成がほかの年金に比べ高齢に偏っているというようなことも種々ございましたので、完全積立方式を当初来とってまいったところでございます。そういう考え方のもとに保険料の算定等も行ってまいったわけでございますが、先ほど来種々お尋ねがあり、またお答え申し上げましたように、加入者数なりあるいは経営移譲率なり、かなり当初の予定とは、財政的には悪い方向に実績あるいは動向が動いておるというようなことで、今回の財政再計算におきましては、確かに完全積立方式に必要な平準保険料というものの設定はできないということで、経過的な保険料水準を設定することにいたしたわけでございます。こういうことになりますと、いまのお尋ねのように、もはや完全積立方式とは言えないということは事実として出てまいったわけでございます、しかしながら、これらの問題点、今後さらに五年ごとの財政再計算もあるわけでございますので、各般にわたって十分検討して、できるだけ財政の健全化を図ってまいりたいと考えております。
○山田譲君 これは最後にひとつ大臣に伺いたいと思っておりますのでとっておきますけれども、今後とも非常に大きな問題ではないかという感じがしてなりません。 そこで、別な面からちょっと伺いたいんですが、今度の引き上げによりまして、農業者年金の方が五千百円、それから国民年金の方が四千八百五十円というふうに、両方合わせると相当な金額になります。農家にとってもかなりの負担じゃないかと思うのですけれども、農家の負担能力という点から、この点をどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 今回の保険料の改定の結果、五十七年一月から、農業者年金とそれから国民年金はそれぞれ一人一人払われるわけでございますが、夫婦二人で加入していらっしゃるということで計算いたしますと、合わせた保険料の額は月一万四千五百円ということになります。この水準は、農家にとって決して楽な負担ということは言えないと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、平準保険料、本来計算上取ってしかるべき保険料は急激に大幅な引き上げになるから、これを調整するということで、五十七年一月以降の農業者年金の保険料を設定することとしておるわけでございますので、それからまた給付の充実というようなことを考えますと、この程度の御負担はお願いいたしたい。最近における農家所得の状況、それから他の厚生年金等におきますところの負担の状況といったようなことからしても、何とかお願いできるのではないかというふうに考えております。
○山田譲君 保険料の引き上げ率について言いますと、これは二二・六%というようなことになっております。これは給付の引き上げ率八・七%あるいは八・九%の方に比較しますと非常に率が高いわけですね。これは、先ほど来の話じゃないけれども、今後ともこの保険料の引き上げ率もますます高くなっていくのじゃないか、それで農家の負担がもっと高まっていくというふうに考えざるを得ないんですね。ですから、やっぱりここら辺は、相当農家の所得が上がったとはいうものの大きな負担になる。そしてまた、さっきの話じゃないけれども、被保険者の数がますます減っていくというようなことになるとこれはえらいことになるのじゃないかという感じがしてなりませんが、その辺どうお考えでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 確かに種々むずかしい将来の財政上の問題を含んでいるわけでございます。ただ、今回の再計算におきましては、保険料につきましては今後の年々の物価スライドは別にいたしまして、五年間にわたり、当初の五千百円、これを以後毎年四百円ずつ引き上げていくということで、具体的にお示ししているわけでございます。 それから、五年たったその後はどうなるのかということでございますが、これは保険料だけではなく、やはり財政再計算ということで、給付の水準なり、あるいはそのほか財政運営全体の問題、総合的に検討するということになると思うわけでございます。できるだけ農家負担に大幅な引き上げが生ずることのないよう今後とも努力してまいりたいと考えます。
○山田譲君 これは非常に大きな問題で、いま言いましたように、給付の方は八・七%だけれども、保険料の方が二二・六%というふうな膨大なアップ率を示しているわけです。しかも、五年後の展望をしても、先ほど来の話じゃないけれども、これは安くなるようなことはまず考えられない。そうしますと、これは農家にとっても大きな負担になっていく。せっかくの政府が考えた制度ではあるけれども、農家にとっては非常に困るというふうなことになりかねないので、この点はよくひとつ検討していただきたい、考えていただきたいというふうに思います。 それからその次に、さっきお話しのように、親子の同時加入要件というものを政令で改正して緩和される、これは非常に結構だと思うのですが、その他の要件があるわけですね。たとえば年齢であるとか、農業従事の要件であるとか、あるいは面積であるとか、こういうことについては検討をされたかどうか、これについてお考えを聞きたいと思います。とりわけ、面積緩和については何か考えられたかどうかということです。
○政府委員(杉山克己君) 特定後継者、つまり割引保険料が適用される対象をどういうふうにこれを広げていくかということで、適用要件について検討を種々いたしたわけでございます。 そのうち、親子同時加入の問題につきましては、先ほど御説明したとおり改善を図ることとしたわけでございますが、面積規模要件についてもこれは検討はいたしたのでございます。ただ、これについて緩和をしなかったのは、特定後継者に対する保険料軽減措置、これはだれでもいいというのではなくて、将来の日本の農業を担っていく中核的な担い手となると認められるところの後継者、こういった方の育成確保ということを目標にしているわけでございます。そういうことになりますというと、やはり経営につきましても零細でない、一定規模以上あるということが望ましいというか、必要であるということで、面積規模要件については緩和をしなかったわけでございます。
○山田譲君 もう一つ、これは附帯決議に何回も言っておりますけれども、主婦に対する年金加入の問題ですね、これはどうでしょうか。たとえばだんなさんが役場に勤めている、奥さんが実質的には真っ黒になって朝から晩まで農業に従事している、こういうふうなことはよくあると思うのですけれども、こういう場合に、まあ取り扱いとしては、その場合はだんなが奥さんに使用収益権の設定を行えばいいんだというふうなことになるかもしれませんけれども、実際問題としてなかなかそんなことが農村において行われるはずはないと思うのです。ですから、そういう実質的にがんばっている奥さんを年金加入させてやるというふうなことは当然考えていいと思うのですけれども、この辺どんなものでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) いろいろその御要望は制度発足の直後から承っているわけでございますけれども、ただこの年金の性格上、むしろ理屈に合わないといいますか、きわめて困難な事情があるわけでございます。やはり経営移譲を促進するという農政上の目的を達成するために設けられた制度でございますので、農地等についての権利名義を有しない主婦、これを加入させるということになりますというと、経営移譲というのは一体何を意味するのかというようなことにもなりまして、制度の趣旨にはどうもなじまないというので困難だというふうに考えております、 むしろ、兼業といいますか、役場あるいは企業等に勤めながら名義だけはだんなさんが持っているということの方に一つ問題があるのではないか。できるだけやはり、一部にそういう実例も見られるわけでございますから、主婦に所有権の移転はむずかしいにしても、せめて利用権の設定を行って、その農地についての経営の責任を主婦が有するのだという形で、そして堂々たる資格を持ってこの年金に加入されるように、私どもとしてはこれはお勧めしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○山田譲君 実態をよく考えていただいて、やっぱりできるだけ実態に合うように、逆に言いますと経営移譲しても、移譲したはずのおやじさんが一生懸命働いているというふうな実態だってあるわけですよね。そういうところを考えますと、これは奥さんがそれだけ実態があって一生懸命やっていれば、それを見たっていいじゃないかというふうな気がいたします。 それからもう一つ、死亡一時金の問題ですけれども、これは保険料納付期間が三年以上あれば、年金の支給を受ける前に死亡すると支給されるわけですね。ところが、一度でも年金を受けてしまえば死亡一時金は支給されないということになる、これは支給総額から見て非常に不公平じゃないかというふうに考えられます。そこでこの際、遺族年金制度というふうなものを導入したらどうか、これも附帯決議で言っているところでありますけれども、これも当然のことじゃないかというふうに思うのですが、そこのところはどうでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 遺族年金という問題になりますというと、先ほどの主婦の加入のところで申し上げましたと同じように、やはりこの農業者年金が、農政上の見地から国民年金の付加年金として組み立てられておるということからすると、これは農地の権利名義の移譲を適期に行った者に対する給付だということがどうしても基本になる。その観点からいたしますと、農業者の妻には限りませんが、遺族の老後保障というものは、これは妻が国民年金に加入するということで個人単位で保障される、それから、妻が六十五歳に達する前に夫が死亡するというようなことがある場合は、国民年金の上では母子年金なり寡婦年金という遺族補償の制度があるわけでございます。そういった形で一般的な遺族補償という国民年金の制度に乗っかっていただくということ以上のことはなかなか行い得ないわけでございます。 それから、死亡一時金の問題、一部掛け捨てになるのではないかというお話でございますが、これはやはり保険の原則でこの制度が仕組まれておりますので、途中で死亡した場合、要するに保険事故に該当する経営移譲がなければ年金が受けられなくなる。そしてこれは、過去に納めた保険料に比べて、それまで一回しか受けとっていない、あるいは数回しか受けとっていないということだと一部掛け捨てになるということが出てまいりますが、事柄の性格上やむを得ないのではないかと。そういうギャップをできるだけ埋めたいということで、むしろ死亡に対してはできるだけおこたえしたいということで現在の死亡一時金——この点は脱退の場合も同様な意味を持つわけでございますが、この制度が設けられているわけでございます。これは満席にそれぞれの掛けた額を補償するという仕組みではございませんので、現在の一時金でこれは——この制度改正の問題、すべてどうもネガティブなお答えしかできないのは大変残念でございますが、現在の制度で御理解いただきたいものというふうに思っておるわけでございます。
○山田譲君 それは保険ですから、何でもかんでも掛け捨てはいかぬということにはならないと思いますけれども、しかしいま私が申し上げたような、どう考えても非常に不公平じゃないかということがあるわけですから、そういう点は、やっぱり公平を期すために制度の改正、改善を考えていただきたいというふうに思います。 それから、これは別な話になりますが、近ごろ年金受給者の資格審査の事務というふうなものが非常にふえているようでございます。経営移譲の適否であるとか、あるいは出かせぎ者の国民年金と厚生年金の調整というふうな受給資格の確認であるとか、こういったいろいろめんどうな仕事がふえていると思います。片方、被保険者の方は減ってはいるものの、逆にこういった事務がきわめて多くなってきている。これに対応するために、都道府県なりそういうところの実際仕事をやっている人たちの問題として、この人たちの人件費をもっとふやしてやるとか、あるいは委託費を引き上げるとか、こういうふうなことをしないと、この円滑な運営に支障を来してくるのじゃないかというふうに思われる節があるわけですけれども、それについて政府としてはどのように考えておられるか、これもお伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 確かに、最近この年金の第一線における業務量がふえてまいっておりますし、それから特に新規加入の促進ということで、そのための業務量もふえてきているという実態があるわけでございます。そこで、そういう活動を行うための事務費、業務委託費ということで、国から、この年金基金から経費が出ているわけでございますが、従来からその増額には努めてまいっているところでございます。五十六年度も、なかなかこの種の事務的経費の増額というのは一般的に予算上むずかしいのでございますが、わずかではございますが増額を見ているところでございます。今後ともできるだけそういった努力を続けたい。それからさらに、直接そういう経費を配分するということだけでなしに、費用の能率的、効果的な運営を図るために、関係職員の研修を充実して行うというようなことも農業者年金基金において徹底して行ってまいりたいというふうに考えております。
○山田譲君 もう一つ問題点がありますのは、たとえば経営移譲を受けた後継者の約半分、これは五十四年度でありますけれども、後継者の約半分が国民年金へ加入していない。しかもこの比率がますます多くなってきているわけです。また逆に、国民年金に加入はしているけれども農業者年金に加入していないという人も四二%ほどになっている。これは非常に大きな問題じゃないかと思うのですけれども、この事実について政府はどう考えておられるか、伺いたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 経営移譲を受けた者がどういう状況にあるかということでございますが、これは国民年金に加入していらっしゃる方が約半分、国民年金にもそもそも加入していないという方が約半分でございます、この国民年金に加入していらっしゃらない後継者は大部分が厚生年金等のほかの年金に加入していらっしゃるというふうに考えられるわけでございます。その半分の加入者のうち、国民年金に加入していらっしゃる方のうち、農業者年金に加入している方はどのくらいかといいますと、これは全体の八・四%というような数字になっております。いま申し上げております数字は昭和五十四年度のものでございます。 そうしますと、後継者は、経営移譲を受けたけれども、農業者年金に、国民年金に加入している以上加入資格があるのだろうがどうして加入していないのかというような話になる。もっとこの加入率を高めろというお話になってくるわけでございますが、一つは、先ほど申し上げました後継者加入の場合の加入要件を満たしていないというような場合が相当あるのではないかというふうに思われます。それから加入要件を満たしている者でも、これは若い人の加入が少ないというところで若干申し上げましたが、やはり実際に自分が農業経営の責任者になるまでは、そういう年金の問題についても関心を持たないというような向きもかなりあるのかと思います、そういうことの一つのあらわれとしてか、経営移譲を受けますと、その後で農業者年金に加入してくるというケースもかなり見られるわけでございます。私どもとしては、やはり後継者として経営移譲を受けた人はできるだけ農業に専念していただきたい、そしてこの年金に加入していただきたいということで、そういった人たちを対象に、一般的な加入勧誘の中でも特に重点を置いて加入をお勧めしてまいりたいと考えます。
○山田譲君 他の厚生年金に入っていて国民年金に入っていない、それは結局はどこかへ勤めているのじゃないかと思いますよ。そういう人で経営移譲を受けているというのはどう考えてもおかしいと思うのですけれども、それはどうですか。
○政府委員(杉山克己君) 確かに本来の構造政策、中核的な農業の担い手として専業的に農業を営んでいらっしゃる方に経営を譲渡する、移譲するということが一番望ましいわけでございます、ただ、この年金制度の目標というか、性格といたしましては、先ほども御答弁申し上げたところでございますが、そういう方に、兼業の方にいく場合でも、さらに一層の分散、零細化を防止するということが、とりあえずというか、さしあたっての政策効果を意図されるところであろうかと思います。そういった向きから、さらにできるだけまとまった形で農地の流動化が図られて中核農家的な農家に集積が行われるというならば一層望ましいし、あるいはその兼業農家自身が兼業から脱却して農業本来の姿に戻る、移譲を受けたのを機会にさらに経営規模拡大等に励んでいただくというようなことが望ましいというふうに考えるわけでございます。それらの対策は、これは農業者年金制度の性格といいますか、機能を超えるところがございまして、農政全体の中で構造政策なり流動化対策の中でできるだけ促進を図ってまいりたいというふうに考えます。
○山田譲君 どう考えてもそこはおかしいと思いますから、この点はまた改めていろいろお聞きしたいと思います。 時間になりましたから、最後に一つ、ぜひともこれは大臣のお考えを聞きたいわけですが、五十六年の二月の社会保障制度審議会の答申を見ますと、「近い将来、年金財政上ゆゆしい事態が生ずることは必至とみられるので、この際、農業者年金制度そのもののあり方について、抜本的検討を行われたい。」ということを言っております。確かに最近のこの情勢、いま聞いたところでもおわかりだと思いますけれども、政府の予算をずっと見てみましても、膨大な金を、五十六年度の要求も六百億に上る金をつぎ込もうとしている。それがもう年々歳々すごい勢いで伸びていく。これは当然だと思うのです。被保険者が減って受給権者がふえていけばそうなるのはあたりまえである。こういう状態に対して、社会保障制度審議会でなくても当然ゆゆしい問題であるというふうに考えざるを得ません。この審議会の「抜本的検討を行われたい」ということについてひとつ大臣のお考えを聞きたいと思うと同時に、これから特に大変厳しい財政状況にますますなっていくわけでありますけれども、こういう状況との関連で、大臣はこの制度の将来についてどういうふうに考えておられるか。この点を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほどもその点にちょっと触れたわけでございますけれども、御指摘の社会保障制度審議会の答申及び国民年金審議会の意見は、年金財政を健全に維持していくための制度のあり方につき抜本的な検討を行う必要があるというふうに答申をいたしておるわけでありまして、これはもうこの農民年金制度についても私は当てはまる問題であると、こう考えておるわけであります。したがいまして、今後制度を支えてまいりますところの若齢者について積極的な加入促進、資金の効率的な運用に努めますと同時に、制度の抜本的なあり方につきまして、農業者年金制度研究会を設置をいたして現在検討を進めておりますので、厚生省、大蔵省等々の意向等も十分しんしゃくしながら結論を出すようにしていきたいと、こう考えます。まあ高福祉高負担という道はやむを得ないのだという見方もあるわけでございます。そういう中にたって、やはり農業者年金法の法の精神というものがたとえ抜本改正の際におきましても十分生かされていくような方向に持っていかなければならぬという観点で検討を進めるように指示をいたしているところでございます。
○山田譲君 今後の財政との関係はどうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) その財政のためにも、これはもう今回の改正に当たりましても、再計算をした結果、とてもとてもその負担には農家は耐えられないであろうということで相当な配慮をし、そうして年度ごとに分割をして負担を高めさしてもらうという形をとったわけでございます。これからも十分財政当局とも話し合いをいたしまして、農家の負担をできるだけ軽減をしながら、農家の負担をそう大きく増加をすることを防ぐ努力をしながら、やはり国からのたとえばいろいろな助成の措置を強化してまいると。御指摘のように、資格ある者がまだ加入していないという面があるわけでありますので、そういう面に対する加入を促進してまいりますための事務費の増額等も、ことしは若干ではありますけれどもやらしていただいたわけでありますので、今後もそういう面についての努力を進めてまいりたいと考えます。
○山田譲君 終わります。
○委員長(井上吉夫君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十五分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を再会いたします。 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鶴岡洋君 本法案の審議に入る前に、行政改革に関して二点ほど大臣にお伺いいたします。 臨時行政調査会が七月の中旬の答申を目指して、特別部会が精力的に作業を進めているようでございますが、来年度予算に臨調の答申を反映させると大臣はおっしゃっておりますし、その中でどうしても補助金の整理が大きな焦点になってくると思います。各省庁の中でも、特に農林水産省は数多くの補助金行政を行っているのは事実でございます。五十六年度予算を見ると十四兆五千億、これが補助金で占められております。そのうち農林関係は二兆六百億、国の補助金の総額の一四・二%。件数においても千百二十六件。このような実態から見れば、臨調の厳しい指摘も、数の上からも額の上からも受けなければならない、こういうふうに当然思われるわけですけれども、農林水産大臣はこの補助金の整理削減について、現時点で農林水産省各部局に具体的な検討をもう指示されていると思いますけれども、どのようになっておられるか、これが一つと、それからこの行革に対する大臣の基本的な姿勢、これを最初にお伺いいたします。
○国務大臣(亀岡高夫君) 行政改革につきましては、内閣といたしましてもこれを厳正に執行をしてまいるという決意をいたして着々と準備をいたしておるわけでございます、阯 農林水産省といたしましても、農林水産行政の的確な実施に配慮しながら、簡素で効率的な行政の展開に努めていく考えでございます。 今後、御指摘のように七月に第二臨調の答申がなされるわけでありますが、その答申につきましては、これを十分尊重をして実施をしていくというふうに、これまた内閣で決定をいたしておるわけでございます。 しかしながら、農林水産業というものは、自然的、社会的、経済的な不利条件を持つということは農業基本法にも明示してありまして、その不利条件をカバーをしながら食糧の供給、国土の保全等の重要な課題を解決をしてきており、また、していかなければならぬ特殊性を持っておるということを十分理解すべきであると考えております。 また、農林水産業活動を通じまして、国土の保全やあるいは自然環境の確保にもこれまた寄与しておるわけでございます。さらに、わが国の農林業は諸外国に比しまして零細規模のものが多く、また水産業は二百海里規制等の困難な事態に直面をいたしておるということでございます。と同時に、いつも申し上げておるわけでありますが、これは事務方ではなかなか言っておらないのですけれども、日本の農業基盤の整備が非常に大事である、これがすベての基本であるとさえ言っても過言ではないほど大事な農業基盤整備というものが、本当に農家のために、また農業の生産性向上のために国家投資が積極的になされてまいりましたのが戦後でありますから、その歴史は三十年。したがって三十年では基盤整備が全部でき上がるわけはございません。先進国はすでにもう百年、二百年前からそういう農業の基盤整備が完備しておる。そういうところで展開しておる農業と、基盤整備をやりながら、膨大な国家負担を出しながら、そうして先進国の農業と戦っていかなければならない、伍していかなければならない、そういう特殊事情、それを忘れてはならない、こう考えるわけでありまして、しかも、昨年の当院において食糧自給力強化という御決議もちょうだいしておるわけでありますので、これらの決議を踏まえまして総合的な食糧自給力の維持強化ということも果たしていかなければなりません。 したがいまして、そういう点を十分に考慮いたしまして、そういう点は賢明なる臨調の委員の皆さん方も十分理解された上で筋の通った答申がなされるものと、こう期待をいたしておるわけであります。 また、農林水産省といたしましては、多年にわたり行ってきた補助制度等について、もう十二分にその目的を達成したものでありますとか、あるいは、メニュー方式にしてそうして農民の生産意欲をより強くリードしていくことのできるような補助金でありますとか、あるいは、むしろ補助よりも融資の方がいいという面も出てきておるわけでありますので、そういう点を十分検討をして、今日までも検討はされてきておるわけでありますが、さらに一歩進めて検討をして、先ほど申し上げましたような、適確にして合理的な農林水産省の農林漁業政策を進めることのできる体制をつくっていきたい、これが私の考え方でございます。
○鶴岡洋君 答申を受けてからでは私は間に合わないと思うのです。そういうことで、先ほど、もう始めているのじゃないか。話に聞けば、一律カットであるとか、それから点数制にして優先順位を決めてやるとか、こういううわさは出ておりますけれども、農林水産省の中で、先ほど言ったように、数も多いし額も多いのだから、答申が出て、それきたということでやるわけにはいかないと思うのです。そういう意味で、大臣の方で各部局に具体的に検討を指示しているのか、また、やっているのか、その点を重ねてお伺いいたします。
○政府委員(渡邊五郎君) 七月上旬に中間答申が出るということは私ども承知いたしておりますが、具体的にどういう方向で出るかという点については、いろいろ報道等で伝わっている点はございますが、はっきりした方針的なものはまだ私ども聞いておりません。 ただ、先般、各省官房長会議で、大蔵省財政当局の方から、来年度予算編成についてのシーリング、概算要求の伸び率についてはきわめて厳しい状況にある、先般の大蔵省から提出しました中期計画を踏まえてみると、伸び率ゼロという想定のもとに検討をしてもらいたいという要望がございました。かなり、来年度予算要求について厳しい状況にあるということを私どもも承知しております。 そういう点につきまして、私ども内部で、そうした状況を前提にした場合にどういう取り組み方があるかというようなことで現在官房中心に検討をいたしております。まだ検討に入ったばかりの段階でございますが、状況としてはそういうことでございます。
○鶴岡洋君 私は中身を教えると言うのじゃなくて、来年度予算編成で大蔵省の方からそう言われた、これに従って準備をどんどん進めている、こういうことですね。 この行革については、人員の削減というのもございますでしょうし、それから部局の合併等ももちろんあると思いますけれども、農林水産省の補助金というのは、確かに先ほど申しましたように数字の上でも多い。いま大臣からお話があったように、不必要に近い補助金、またはすでに目的を達成したものについては当然廃止すべきであると思います。だが、農業というものは時間と労働力がかかる産業であることを考えれば、今後の行政改革の成り行きによっては、日本農業に与える影響というのは半面また大変に大きなものではないか、こういうふうにも考えるわけです。 農林水産大臣は、将来の日本農業の展望をしたとき、人員とか部局とかはもちろんそうですけれども、補助金だけに関して削減のあり方をどのようにとらえておられるか、もう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 私は、戦後日本の農林水産行政が、厳しい国際環境の中で、しかも、急速なる経済成長、経済の発展基調の中で一億国民の食糧を供給をしてまいった、また、外国との農産物問題関係等についても外交を巧みに行いまして、国民をして食糧に不安なからしめてきたということにつきましては、農林水産行政は相当日本の急速なる経済成長をもたらす縁の下の力持ちと申しますか、バックをなしてきたということは、これはもうだれも認めるとこみであろうと思います。 そういう点を考えますとき、これからも一億一千万の食糧を不安なからしめるように供給してまいりますためには、やはりそれ相当な国家としての力も入れなければならないと思いまするし、あらゆる手だてを講じていかなければならない、こう思います。特に外国からの農産物の、非常に厳しく日本に対して輸出をしたい、輸入をせい、こういう要請が年々強くなってくる中で、日本農業を健全に発展せしめていくためには相当な投資をしていかなければいかぬということはだれしも否定し得ない事実であろうと思います。 したがいまして、今日までやってまいりました農林水産省の補助金等については、私はそれなりに相当な成果を上げてきた、そういう成果を上げてきたからこそ食糧の供給に不安なからしめるような農政を展開することができた、こういうふうに確信をいたしておるわけでございます。特に、農林水産関係の補助金の特色といたしまして、とにかく、国が県を通じてある事業に補助をするという場合には県の協力も必要である、また、市町村の協力も必要である、さらに、事業実施をするところの土地改良区でありますとか、あるいは農業法人でありますとか、あるいは生産組合でありますとか、いろいろな事業実施の事業主体に対しまして補助金が交付されていく。したがいまして、それが必ず基盤整備になったり、あるいは、いわゆる農村の地域社会のコミュニケーションの中核、中心をなす集会所になったり、さらには、いままで水びたしになっておった地帯が幾ら雨が降ってももう完全に湛水から防御された、そういう結果を生み出したりして日本の農山漁村を今日あらしめておる、こういうことでございます。 御承知のように、なかなか、公共事業を進めるに当たりましては、ある一定の助成というものがありませんと、なかなかそういう無理した工事をしなくともいい、事業をしなくともいいというような方々の協力を得るためにも、やはりこの補助制度の果たしてきた役割りというのは非常に大きいし、これからもなおかつ農林水産業関係で仕事が残っておるというところは、条件の悪いところというか、財政力の非常に少ないところがやはり後回しになって、これからやっていかなければならない地帯はみんなそういうところが多いということを十分に考えますとき、やはりこの補助制度というものは私はこれからもなくちゃならない制度であると、こういうふうに確信をいたしているわけでございます。
○鶴岡洋君 いろいろ御説明がありましてわかりました。何も全部切れとか、私そういうことを言うつもりはありません。ですけれども、先ほど言ったように、もうすでに目的達成したものは廃止しなきゃならないし、また不必要なものに近いものはこれは矯正しなければならない、こういうふうに思いますので、お願いしたいのは、慎重にそれを検討してもらいたい、こういうことでございます。 それでは、ただいま議題となっております農業者年金の一部改正について若干の質問をいたします。 年金法の第一章第一条の目的については、「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする」、こう明記され、本制度が実施されすでに十年を経過しておるわけでございます。また、五十一年からは経営移譲年金も支給されている段階で、本制度の導入が農業の構造改善にいままで果たしてどのような役割りを果たしてきたのか、この点をまずお伺いいたします。
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金制度は、たくさんある一連の構造政策のための各種の施策の中で、適期の経営移譲を進めるということを目的にして仕組まれているものでございます。制度が発足して以来五十五年十二月末までの間に、約十七万一千人がこれに基づく経営移譲を行っております。こういうことの結果、後継者移譲におきましては一括移譲ということを要件にしておけますので、農地の細分化等に対する歯どめの措置としての役割りは果たしてまいった。それと同時に、後継者の確保、さらには農業経営者の若返りということに大きく寄与していると思うわけでございます。 移譲の形は後継者移譲が大部分で、一部第三者移譲もあるわけでございますが、その第三者移譲におきましては、これは後継者がいない場合になされるということになっておりますけれども、経営移譲を受けた者の経営規模は相当格段に規模拡大が実現しているということが見受けられるわけでございます。参考までに数字で申し上げますと、先ほど、いままで経営移譲を受けて年金支給の対象になった方が十七万一千人あるということを申し上げたわけでございますが、そのうち後継者に対する移譲は十五万八千人、第三者移譲の分は一万二千人、こういうことになっております。そして、経営移譲を受けた後継者は、年齢的に見た場合平均でもって三十・七歳ということになり、大幅に若返っていることが見られるわけでございます。 それから、第三者移譲の効果ということ、これは全体についての調査はできませんので、一部五十五年十月から十二月の間の実例につきましてその分析を行ってみましたところ、譲り受けを受ける前の面積が一戸当たり平均一・四七ヘクタールであったものが譲り受けの後では二・〇八ヘクタールに増加しているというようなことが見受けられるわけでございます。
○鶴岡洋君 本制度は特に農地の専業農家への集積を中心としたものであるわけでございます。しかし、いま数字を出されましたけれども、後継者移譲は十五万八千六百八人、第三者移譲が一万二千五百六十一人、こういうふうに数字が出ておりますけれども、第三者移譲が非常に少ない、こういう数字が出ているわけです。これでは、農業後継者の確保、いわゆる若返りということについては効果はあっても、経営構造の大規模化とか近代化、これには効果が少ないような気がするわけです。この効果に対しての認識はどういうふうにお思いになっているのか、また、大規模化が進まない原因はどこにあるのか、また、その対応策はどうしたらいいか、この点についてお伺いいたします。
○政府委員(杉山克己君) 経営規模の拡大、そのための農地流動化を進めるという政策は、構造政策全体としていろいろ仕組まれているわけでございます。農業者年金制度はその一部をといいますかむしろ基盤を支えるような機能を果たしておるわけございます。といいますのは、いまの日本の農村の状況からいたしますと、これは一般的な地価の値上がりもありますし、それから相続において分割相続がかなり普及してきているというようなことからいたしますと、ほうっておきますと農地の相続は細分化、零細化するというおそれがあるわけでございます。そういった点、この年金制度では、後継者に対して一括移譲した場合に初めて年金支給の対象となるということにしておりますので、そういう零細分散化の防止にはきわめて大きな役割りを果たし得るものというふうに考えております。やはり零細分散化を防止することが規模拡大の大きな前提条件であるというふうに考えるわけでございます。 それから、規模拡大が一般的に進まないのはなぜかということでございますが、これはやはり農地自身を先祖伝来の財産、むしろ精神的な意味を込めた資産ということでこれを保有する傾向もございますが、経済的な価値も非常に高いというようなことで、資産保有的にこれを保持する、農業経営上生産活動にということよりも、むしろそういう動機でもって保持している向きもかなり出てきている。それから農外就業の機会がふえておりますので、農業所得に依存しなくても、つまり土地を貸すとか売るとか処分しなくても生活が保たれるというような状況が出てきていること、それから稲作技術が進んだというようなこともございまして、いわば二種兼農家が片手間でもある程度の農業経営もやれるというようなこと、そういったようなことがいろいろ手伝って農地の流動化が進まなかったものと思うわけでございます。 ただ、最近の状況を見ますというと、兼業農家も中にはいろいろございますが、特に安定的に労働力の大部分を兼業の面につき込むような安定兼業農家もかなり増大しております。むしろ、二種兼の中でもその割合がきわめて高くなっている。したがって、労働力事情等からしても保有の農地について耕作を行うことができなくなってきているというようなところも見受けられるわけでございまして、そういう農家は活用したいというようにお思いになっている向きもあるわけでございます。そこで、そういったものを引き出す意味で、御承知のように、昨年、農用地利用増進法以下農地三法を制定あるいは改正していただきまして、流動化特に賃貸借を中心とする流動化政策を進めることにいたしておるわけでございます。そういう事情、それからそれに対する対策、今日いろいろ講じているわけでございまして、そういったことが総合的に効果を逐次発揮してきていると思うのでございますが、この利用増進法に基づく農用地利用のための賃貸借の面積も、昨年、五十五年十二月末現在では四万七千ヘクタールとかなり順調な進行を見せて、それだけの実績をあげているわけでございます。
○鶴岡洋君 次に、若年者の加入促進対策ですけれども、内容を見ると、現状では毎年被保険者が減少しております。数字のうえでもすでに出ているのですけれども、また被保険者の構成を見ても、若年者の割合が他の年金制度に比べて著しく低い傾向にあるわけです、若い人の加入率が低ければ今後の年金の運営にはこれは大きな支障を来すということは間違いございません。政府はこの若年者の加入促進対策の対応策についてどんな策をとられるか、この点お伺いいたします。
○政府委員(杉山克己君) おっしゃられるように、まだ加入資格を有しながら未加入であるという方がかなりおられる。実数でも三十万近くおられるのではないかというふうに思うわけでございます。しかも、その大部分は若い人であって、年配者には未加入者は比較的少ないという実態でございます。加入促進の対策を講じていく上にはなぜそういう若い方が加入しないかということをよく検討する必要があるわけでございますが、やはり若いうちはなかなか将来について、いつまでも自分が元気であるように錯覚して老後の措置を講じない、なかなかそういったことに気が回らないというような点もございます。それから基本的には、自分が将来何をやっていくかということについてまだ方向が定まらない、農業に長いこと従事していくんだという決心も固まっていないというようなこともあろうかと思います。それからいま一つは、この制度自体の問題といたしまして、きわめてほかの年金等に比べれば優遇された年金制度でございますが、その存在について、これは従来からも一生懸命PRに努めてきたところではございますが、なお十分には周知されていない、そういったような事情があるわけでございますので、もちろん農業全体について魅力を感じさせるような農政全般の対策は、それはそれとして農林水産省全体として努めなければなりませんが、制度自体について関心を向けていただく、そして先の将来設計をきちんとお考えいただくということのためには、やはりPRが一番必要であり有効であると考えられるわけでございます。そのため、農業委員会、農業団体、市町村等の各職員にお願いいたしまして各個に勧誘をしていただく、さらにはそういったことのために必要なパンフレットでありますとか、広報誌でありますとか、あるいは放送等、こういった報道手段を通じてPRを進めていく、そういうことを十分今後とも一層、特に若い人を対象にして努力してまいりたいと考えます。
○鶴岡洋君 確かに三十万人おられて、その方々へのPRとかいろいろな対策は立てているのはわかりますけれども、私はこの問題についてはやはりもう差し迫った問題であるし、いまの状況でいけば将来必ずそうなると。したがって、どうしてもこれはやらなければならないと、こういうふうに私は思うわけです。そういった意味からして、やはりこの点については真剣に取り組むと、こういうことから、たとえばいまいろいろ情報は聞いているとか状況は見ているとかこう言っておりますけれども、実際に総点検をするなり、また個人のプライベートのこともございますけれども、実際にあなたはどうして入らないのかというようなアンケートをとるとか、そういうことを、細かいことですけれども具体的にやっていったらどうかなというふうに思うのですけれども、アンケートなんかやりましたか。
○政府委員(杉山克己君) 各種のアンケート調査はこれは農業者年金基金で行っておりまして、なぜあなたは加入されないのですかとか、将来加入の意向はありますかといったような調査もいままでやってきております。御指摘の点はごもっともでございまして、そういう調査をさらに詳しく進める。それから、むしろ個別に、どこにどういった人が加入資格がありながら加入しておられないか、そういう実情を把握して、各個撃破といいますか、農業団体なりあるいは農業委員会の職員の方が一人一人説得に努めていただくというようなことを重点的にやっていけば、ある程度効果は上げていけるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
○鶴岡洋君 その次に、後継者の問題でございますけれども、特に農業白書では、農業後継者確保対策として、農業者教育の充実、農業後継者のための教育、生活資金の融資面からの優遇措置等が述べられております、しかし、これだけでは最近の農業の厳しい情勢からして実効は非常に乏しいのではないかなと、こういうふうに思われます。今後の若年いわゆる後継者対策、方策、この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のとおり、後継者の確保ということは、日本農業を発展せしめていくための大変重要な施策であるわけでございます。したがいまして、農林水産省におきましても、最大の努力をいたして後継者の確保対策に力をいたしておるところでございます。どういうことをして確保していくかということにつきましては、まず何といっても農業というものが魅力ある産業であるということを理解していただけるような農業情勢をつくっていく、そのための施策を積極的に進めてまいるということが最も大事であると考えまして、それを基盤にいたしまして、後継者が意欲を持って農業に取り組めるような方向に持っていきたいということを基本といたしておるところでございます。 このため農林水産省としては、農業生産基盤の整備、農用地の流動化促進、地域農業の振興、農村生活環境の整備などの各般の施策を講じますとともに、これにあわせて、高い経営能力を持ったすぐれた農業後継者を育成していかなけれりゃならぬという立場から、普及部あるいは農業改良普及員を通じ、農業後継者に対する実践的研修教育を強化してまいる、さらには就農青少年の自主的な集団活動、四Hクラブとか、そういう自主的な団体活動を通じて農村青少年の教育をしてまいるといった問題でありますとか、あるいは資金援助の強化策を講ずるというような諸般の対策を講じまして、後継者のために資することといたしておるわけでございます。今後ともこれらの施策を強化してまいりまして、後継者の確保に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○鶴岡洋君 次に、年金額の引き上げについてですが、改正案で、昭和五十七年一月基準の財政再計算に基づいて年金額と保険料を引き上げようとしておるわけです。ところで、年金額の引き上げの方式としては、五十五年度の農業所得の推計を基礎とし、厚生年金の算定方式の例によって年金額の算定をしているわけですけれども、五十五年度の農業所得はどの程度の、どれほどの推計になっているか、さらに、現在の年金額を算定した根拠、この点についてお伺いいたします。
○政府委員(杉山克己君) 今回の財政再計算におきます給付水準の算定根拠といたしました昭和五十五年度の農業所得、これは農家経済調査の当然加入規模、この当然加入規模は都道府県の場合〇・五ヘクタール以上、北海道は二・〇ヘクタール以上ということになっております。その農家の農業所得を年金加入農家の規模別加入者数によって加重平均いたしまして、その各年の平均農業所得を基礎に一定の数式を用いて推計したものでございます。一定の数式というのは、昭和四十六年から五十四年までのデータを用いまして、回帰式で算定をしているわけでございます。この結果、五十五年度の農業所得の年額は約百九十万円から二百十万円という幅の中に推計されたわけでございます。 それから農業者年金の給付水準の算定につきましては、その平均的な農業所得をもって厚生年金に加入したとすれば一体幾らの年金が給付されるだろうかという、いわゆる厚生年金並みの水準、これを基準にいたしまして、国民年金とのバランス、農業者年金の財政事情、物価上昇率の見通し、こういったものを総合的に勘案して、年金単価について、いま先生もおっしゃいましたような八・七%の引き上げを行うということにいたしたわけでございます。
○鶴岡洋君 ところで、その厚生年金のモデル計算をしてみると、三十年加入は十二万九千五百二十四円、この経営移譲年金は三十年加入で十万七千二百五十円と、こうなっておるわけですね。この格差が勤労所得と農業所得の差に基づくとすれば、その格差は、いまの経済状況または日本の農業の生産性から見て今後はますます広がるのじゃないか、拡大するのじゃないか、こういうふうに懸念されるわけです。本制度は、いまお話がありましたように、厚生年金並みを保障しようとしているのが趣旨であるわけであります。年金額の格差の是正の見通しはどういうふうに処置をしていったらいいのか。この点はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) ここに出ておりますところの格差は、農業者年金加入者の推定されたところの平均農業所得と、それから厚生年金加入者の標準報酬月額、その間の格差でございます。いわば農業所得と勤労者所得との格差ということになるわけでございますが、この格差につきましては従来からできるだけ縮める、勤労者並みの所得を確保するということがわが農林水産省としての目標として努力してきたところでございます。まあ縮まった時期もございますが、最近におきましては残念ながらこの格差は若干開いてまいっている実情にございます。これをどうやって縮めていくかということは大変むずかしい問題ではございますが、これは年金制度というよりは、農政全般の問題として規模拡大を図り生産性を上げていく、あるいは有効な生産対策を講ずるといったような全般的な対策によってできるだけその格差を詰めてまいりたい、勤労者並みの所得を確保するように努力してまいりたいと考えるところでございます。
○鶴岡洋君 話が変わって大変恐縮ですけれども、それでは次に飼料穀物について何点かお伺いいたします。 初めに、わが国の畜産事業が外国からの輸入飼料にその多くを依存していることはすでに御承知のとおりであります。このため、輸入飼料の価格動向が、国内の畜産農家の経営にも、またわれわれ消費する消費者の畜産物の購入価格にも影響をすることになるわけです。さらに、昨今世界的な異常気象により飼料穀物の関心はますます高まっているわけです。わが国の農産物輸入、特に飼料穀物の輸入の現状はどうなっておりますか、数字で報告してください。
○政府委員(森実孝郎君) 最近の数字で申しますと、昭和五十年度の飼料穀物の輸入量は千六百五十万トンでございます。その主要な内容はトウモロコシが約千四十万トン、コウリャンが四百二十万トン、大麦が百五十万トンでございます。これ以外に小麦、燕麦等があるわけです。 なお、正確に申し上げますと、実は輸入された大豆かすから供給される濃厚飼料原料、それから輸入される小麦から供給されるふすま等があるわけでございまして、それを全体で足すと約二千万トンというふうになるわけでございます。
○鶴岡洋君 千六百五十万トンというお話ですけれども、日本の農産物の輸入金額は昨年は百七十六億ドルですか、前年比六・五%増、そこで、私は特にその輸入に占めるアメリカからのいわゆる割合、すなわち対米依存度ですか、これがどんどんふえている。数字ではそう出ているわけです。ついにことしは農産物のいわゆる米国からの輸入割合が四〇%を超えた、こういうふうにも報道されているわけですけれども、大豆が九五%、トウモロコシが九〇%、小麦が五七%、こうしたアメリカに限って特定国へのいわゆる集中ということになると、日本は自給率がしたがって低いわけでございますから、自給率が高ければ余り心配はございませんけれども、この自給率の低い日本にとって、いざというときを考えると非常に不安になるわけです。特定国の天候不順ということもこれはあり得まずし、また、外交面の不手際ということもなきにしもあらずと、こういう点で非常に食糧安保の上からも心配されるわけです。この点農林水産省としては、特定国にいわゆる偏るというのですか、この点についてはどういうふうに考えておられるか、またどうしたらいいのか、この点をお伺いいたします。
○政府委員(森実孝郎君) なかなか実は現実と観念とは食い違っているむずかしい点がある問題だろうと思います。と申しますのは、最近の世界の飼料穀物の増産の趨勢を見ますと、世界全体としてもやはり増産がアメリカに集中している。一番安定度が高いという問題がございます。それからもう一つの問題は輸送条件でございまして、今日の石油高という状況になりますと、たとえば日本と主要輸出国との関係を考えますと、アメリカが一番運賃が安いという状況がある。アメリカも、それも従来のようにガルフージャパンではなくて、西海岸に陸上輸送して西海岸から持ってくる輸送のウエートがどんどんふえるという実態がございます。さらに特に五十五年に多かった事情といたしましては、やはりソ連が買い付けをかなり中南米等に集中した結果であるという点があるだろうと思います。 私ども他の条件が許す限りは、やはり輸入ソースが多元化することが好ましいと考えますが、むしろそれは直接話法の姿をとるだけを考えるとすれば、先ほど申し上げましたような供給の安定度の問題と価格の問題、特に輸送コストの問題からやはりなかなかむずかしい問題があるのじゃないか。私ども基本的には、やはり発展途上国その他の農業に関する開発援助をできるだけ強化していくということでございますが、たとえばその場合も、ブラジルの大豆の問題に代表されますように、直ちにそれを日本の開発輸入に直結するだけで考えないで、たとえばブラジルの場合はヨーロッパ市場が経済距離から見てはるかに近いわけでございますが、その結果ヨーロッパの買い付けが相当ブラジルに集中して、むしろ日本のアメリカ市場での買い付けが緩やかになってくる、こういう関係も頭に置きながら、やはり第三国の、いわゆる発展途上国の農業開発援助を強化していく二とが重要だろうと思います。 しかし、当然輸送条件に恵まれております東南アジア等の発展途上国への援助と、それを開発輸入に結びつけることは重要だと思っておりまして、過去におけるタイのトウモロコシ等の問題もありますし、さらに次の飼料資源としてはタピオカでん粉等をどう考えるかという問題もありますので、飼料資源の転換の問題と、それから全体として世界の供給構造を変えていくということを頭に置きながら、やはり広角的な目でそういう開発援助を進めていくということがこの場合基本になる課題ではないだろうか、このように思っているわけでございます。
○鶴岡洋君 私先ほど言ったように、心配するのは、要するにアメリカにもしやの事があった場合には、これは現実にそれだけふえていますし、四〇%にもなっているわけですから、どこの国からもということで平等にと、こうは穀物のことですからできないわけですから、それはよくわかりますけれども、その点についてやはり先を見通した考え方を持っていなけりゃいけないのじゃないか、こういうふうに思って申し上げたわけです。 次に、最近の米国農商務省の発表では、一九八一年六月末の飼料穀物の在庫は全世界の合計で五千五百万トンとなっております。近年にない低い在庫率、こういうことになっております。昨年の八千八百万トンから比較すれば、在庫率は六二・五%、こういう数字になるわけです。これらの統計から観測すれば世界的に大変な飼料穀物の不足であると、こういうふうに断定できます。こういったことから、わが国に与える外国産の飼料穀物はどんな影響があるか、どういうふうに思っておられるのか、この点について。
○政府委員(森実孝郎君) いま御指摘のありました、実は五千五百万トンの数字でございますが、これはことしの一月十六日の公表数字でございます。実は四月十三日にまた新しい公表が行われまして、今回は若干前回の予測を上回って六千二百三十万トンという予測が出ております。これは実は全体として飼料価格の高騰から消費量が少し減少してきたということが一つと、それからアルゼンチン、南アメリカ等の南半球の大増産によるものでございます。ベースはやはり先生も御指摘のように、昨年のアメリカの異常気象、熱波による減産、ソ連の連年の凶作ということが背景になったわけでございまして、その意味合いから、昨年の暮れまではかなり価格も乱高下いたしましたし、高い水準をたどってきたという経過がございます。 長期的な問題は一応別としまして、ただ最近の情勢を見ますと、先ほど申し上げましたように、南半球はきわめて増産の度合いが大きかったこと、それからもう一つは、アメリカの作付がかなり順調でございまして、懸念された雨についてもいままでのところかなり良好な状態で、余剰水分の測定値も発表されておりますが、良好であると。それからエンバーゴーが解除されたという問題も問題になっておりますが、実はソ連がそれ以前に推定で三千百万トンから三千四百万トンぐらいの買い付けをすでに完了している。手当て済みであるという状況、したがって直ちに追加の買いが出ないと、こういう状況から、幸いおかげさまでいまのところどちらかというと従来の水準よりやや下がった水準で推移しているわけでございます。ただ、もちろんこれからのアメリカの天候ということが一番懸念されるわけでございまして、私どもも十分監視を続けなければいけないと思います。 長期的に見てもやはり飼料穀物は不安材料があります。確かに一番消費の成長度の高い部門でございますし、また同時に従来のようにアメリカにセットアサイドの面積、つまり休耕地がもうそれほど大きくないという状況もあります。そういう意味においては、われわれとしてもやはり飼料穀物の安定確保というためには広角的な努力が必要であろうと思っているわけでございます。
○鶴岡洋君 それに関連してでございますけれども、いま言ったように、在庫量が減少している中でアメリカのレーガン大統領は四月の二十四日に、一年三カ月ぶりですか、選挙の公約もあったとも言えますし、いわゆる対ソ穀物禁輸の解除を発表しました。米国内の事情もいろいろあるということは報道されておりますけれども、これがわが国にも大きな影響を与えたわけです。事実、これに対して鈴木総理は非常に遺憾の意をあらわしたと、こういうふうにも報道されております。日本はまじめというか、誠実というか、そういうことで対ソに対しては対処してきたわけです。この先日の鈴木さんの訪米の首脳会談のときの共同声明では、「同盟」とかいう問題が問題になっておりますけれども、こういうことで、二十四日、一日前に一方的に通告を受けると。通告が、その前に協議がなかったからそうなったのか、そういうことで甘く見られているとか、そういうふうにも感じないわけではないのですけれども、農林水産省としてはこの処置についてどんな認識を持っておられるか。
○政府委員(松浦昭君) 去る四月二十四日、レーガン大統領がカーター政権当時にとりました対ソ穀物の禁輸措置を解除いたしたわけでございますが、米国政府からは、外務省に対しまして事前に連絡があったというふうに承知をいたしております。ただ、先生おっしゃいますように、事前に協議がなかったという点につきまして、対ソ措置全般の角度から総理が御意見を述べられたということは私どもも伺っている次第でございます。 農林水産省がどういう認識であったかという点でございますが、この点につきましては、本措置がとられる以前から、私どもといたしましては禁輸解除というものはレーガン大統領の選挙公約だったという事実もございますし、また、最近米国の中におきましては小麦を中心にかなりの豊作が見込まれているという状況から、農業団体等からかなり解除の要請が強かったという状況もございまして、私どもとしましては、きわめて的確な、時期であるとかあるいはそのやり方の詳細というものはなかなか捕捉はできませんでしたが、ある程度までこのような事態が生ずるということにつきましては予測をいたしていたという状況でございます。
○鶴岡洋君 それでは先へ進みますけれども、その対ソ穀物禁輸の解除によって国際穀物市場に与える影響というのは非常に大きいのではないか、あれだけのアメリカのことですから。この点について日本に及ぼす影響はどうでしょうか。
○政府委員(松浦昭君) 今回の禁輸解除措置の国際的なあるいは日本に及ぼす需給上の影響でございますが、先ほど畜産局長がちょっと御説明を申し上げましたけれども、この措置をとりました結果、ソ連が直ちに買いに入ったかということについてでございますけれども、どうもその前にソ連はかなり大量に穀物あるいは製品を買っておったという状況がございまして、この措置がとられました後におきましても直ちに買いに入るという状態ではございません。したがいまして、目下のところ目立った穀物取引上の影響はない状態でございまして、したがいまして、わが国への影響も現時点ではあらわれていないという状況でございます。
○鶴岡洋君 現時点においては影響はないと、このようにいまおっしゃいましたけれども、かつて日米関係について、アメリカがくしゃみをすれば日本はかぜを引くと、こういうことも言われてきました。その後、日米の経済関係は、自動車問題などを見る限り対等の立場になりつつあります。しかし、穀物の取引関係について言えば、米国は先ほどもお話がありましたけれども、世界に君臨する大国として健在であるわけです。論ずるまでもなく、飼料穀物の中心であるトウモロコシの世界の輸出市場における米国のシェア、専有率、一九七〇年には約四四%であったのが一九八一年には二倍近い八四%に上昇しております、これは数字の上から。小麦も一九八一年には全世界のシェアで約四六%を占めているわけでございます。これらの状況を見ると、脅威的なシェアを占めている米国の輸出コックの締め方次第では世界はどちらへでも動く、揺さぶられるというか、これが現状であります。そこで、飼料穀物の輸入価格は、いま言いました対ソ穀物禁輸の解除によって従来より割り高になるのではないか。飼料穀物が高くなって入ってくるのではないか、今度は値段の点ですけれども。これを懸念されるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(松浦昭君) 今回の禁輸解除措置はどのように穀物価格に影響するかというお尋ねであろうかと思いますけれども、実はこの解除の動きはある程度まで事前に伝えられておりまして、実勢上市場に対しましてはある程度まで織り込み済みであったということが言えると思います。そのような状況から、実は解除後も各穀物は平静に価格が推移しているという状況でございます。特に最近では、今年の穀物の作柄が特に冬作の小麦、これがかなり豊作でございますし、それから先ほど畜産局長も御説明申しましたような穀物、特に飼料穀物の作柄の状況でございまして、昨年に比しましては全般的に穀物の作柄は良好な見通しでございます。したがいまして、在庫見込みも好転しているというような状況から、やや飼料穀物も含めまして解除後は価格水準は下落ぎみというのが実際の状況でございます。もちろん、今後天候の状況等によりましては、穀物の需給をめぐりまして条件が大きく変化するということもございますので、私どもはこれにつきましては十分にこれを注意深く見守ってまいらなきゃならぬというふうに考えておりますが、現在の段階では、穀物の価格水準は、特段のことがない限り急騰することはないというふうに判断をいたしております。
○鶴岡洋君 そこで、いままでいろいろお話をお聞きしましたけれども、この輸入穀物については不安定な条件が非常にたくさんあるわけです、いろいろな面で。そこで、この飼料穀物の確保については、輸入に依存する姿から国内産の確保に目を向ける時期がもう当然来ているわけです。食糧が武器になる時代が来ると、こういうようにも言われているわけでございますので、さて、この飼料穀物の国内産の確保でございますけれども、力を入れなきゃならないという状況に来ている現在、具体策はどういうふうに農林水産省としてなっておるのか、その点をお伺いいたします。
○政府委員(森実孝郎君) 飼料穀物の国内供給を考える場合、どこまで一体可能か、どの程度の価格で可能かという問題がやはり基本にあるだろうと思います。 今日、日本が輸入しております飼料穀物、先ほどの千六百五十万トンという数字自体をとって考えましても、もしわが国でつくるとすれば、六百万ヘクタールというわが国の耕地面積以上の面積が必要になるという、もう全然入れ物の違いがございます。それからもう一つは、何と申しましても飼料穀物は規模の農業でございまして、コストに規模の差が非常に大きい。そういう意味においてわが国が一番パンティを負わざるを得ない問題でございます。事実、現在われわれ飼料用大麦の振興ということについては努力をしておりますが、遺憾右がら現在の内外での価格差は大きく、輸入麦については最近若干価格が上がったといっても五万円から六万円でございます。それに対して、国内でトータルとして生産者に保証しております価格は十四万八千円という水準になります。そういう意味で、私どもやはりわが国の土地資源の制約なり経営の動向から考えると、飼料穀物自体に増産を直結することはなかなか無理があるだろうと思います。 その意味で、一つは、議論がありますのは、前々からも御議論のあります飼料用麦の問題でございまして、これについてはいろいろな形で多収品種の安定の問題とか、あるいは米管理の中における識別なりチェックの問題あるいは価格体系の問題等を含めて検討しなければならないという気持ちでいろいろ検討を進めているわけでございますが、この問題を除けば、そう量的に飼料穀物の大幅な増産を期待するということは、私は率直に言ってむずかしいのではないだろうか。その意味で、わが国の飼料政策としては、やはり大家畜のえさである飼料作物の増産ということに重点を指向することがやはり優先順位が現実的に置かれるのではなかろうか、このように考えているわけでございます。 そのような意味合いで、実はこの前の長期見通しの上でも、飼料穀物については特段の増産は考えておりませんが、飼料作物についてはTDN換算で九百万トンという現在の水準を六割以上も上回る増産目標を掲げて、草地造成、改良の問題、さらに既耕地への飼料作物の導入、それらの地域における反収の増加という問題に施策の重点をしぼるということを打ち出しているわけでございます。 飼料穀物の問題は、やはり先ほど申し上げましたように、輸入の安定化努力、それから発展途上国に対する開発援助の強化による世界全体としての供給の増大ということにわれわれとしてはやはり力点を指向すべきであり、また事情が許す限りは輸入ソースの多角化ということを考えるべきものだろうと思っているわけでございます、
○鶴岡洋君 それでは最後に、飼料作物の増産という話がありましたけれども、飼料米についてお伺いしますが、一部の農家の中には、米の需給均衡を図るために転作作物としての飼料米の生産に着目をしているわけでございます。しかし、飼料米の生産はこれまで経験していない分野でもございますし、近年一部の地域において試験を実施しておるわけでございますが、国は一定の条件の試験研究田については転作面積のカウントを行うということで、衆議院の農林水産委員会で前向きの答弁があったように報道されておりますけれども、飼料米の本格生産について農林水産省としていまどのように考えておられるか、お伺いいたします。
○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。 いわゆる飼料米の問題でございますが、御存じのとおり、農政審議会の昨年の答申におきましても、長期的な課題として取り組む必要があるという指摘も受けておりまして、省内でもこの問題についての検討を始めたわけでございます。ただ、この農政審議会の答申並びに長期見通しなりの段階におきまして、この飼料米の本格生産に入ることはこの期間内には非常に困難であろうと。まあ、わが国の自給率の問題等を考えます際に、第一義的には、国内で直ちに生産可能であり、国民生活に直結いたします麦、大豆、飼料作物というようなものを志向すべきだろうと、このように考えておるわけでございます。 ただ、御指摘のように、飼料用の稲、飼料米というものが、将来を考えますとやはり重要な意義を有するだろうという点は御指摘のとおりだろうと考えまして、したがって、現在本格生産には至りませんけれども、まず収益性等の面から考えましても、当面は超多収品種の育成の試験研究を進めるべきだと。五十六年度予算におきましても、こうした意味での予算措置もとったわけでございまして、試験研究機関として、国の試験研究機関を中心に体系的にこれを進めようと。その際、民間の試験研究につきましても、実規模によります諸特性の検定のための試験田が、ただいま申し上げました国の試験研究の参考となりまして、全体の試験研究の体系の中に位置づけられるようなもので、その品種なり作付の規模等が一定の要件に従えば、これを転作面積のカウントに入れてこうした試験研究を推進していこうと。転作を奨励するような性格のものでなくて、試験研究というような性格でございますので、これに対する奨励金は考慮いたしませんが、転作カウントはしまして超多収穫品種の育成を推進してまいりたいと、このように考えておりまして、近く通達を出そうと考えております。
○鶴岡洋君 奨励金を出さないといまおっしゃいましたけれども、都道府県、市町村独自にこの実験栽培に奨励金を出しているところがあるわけです。これは宮城県だとか茨城県、千葉県、長野県、石川県、まあ宮城県などは一千八百万円になりますか、千葉百六十万円ですか、こういうふうに出ているわけです。重要な課題であり、またそうしなければならないと、そういう官房長のいまお話がありましたけれども、政府も奨励金を出して、飼料米の開発に本格的に、いろいろなむずかしい問題はあると思いますけれども、取り組むべきであると私は考えるのです。自給率の面から言っても当然やらなきゃならない問題だと思いますけれども、再度この点についてお伺いいたします。
○政府委員(渡邊五郎君) 私どもただいま考えておりますのは、試験研究の体系の中で早急にこの超多収穫品種の育成を図ってまいりたい。技術会議におきましては五割増の反収を目標に研究をいたしておりますが、まあかなり長期の時間を要する試験研究だろうと考えております。 ただ私どもは、これは転作の話であるということよりも、むしろ試験研究の借り上げ円その他に対します措置として考えてまいりますので、これは私どもが転作を奨励していく現在の他の作物とは取り扱いは異にいたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鶴岡洋君 以上で終わります。 ありがとうございました。
○下田京子君 最初に、保険料軽減の後継者の要件緩和の問題でお尋ねしたいのですけれども、先ほど他の委員に対して、ペア要件ですか、親子のペア要件緩和ということを考えているという旨のお話があったかに思うのですが、今回の財政再計算では、新規加入者を毎年三万三千人見込んでいるのじゃないかと思うんですが、いままでの状況を見てみますと、保険料の納付の特例措置を除いて通常の加入はどうかといえば、五十三年度の場合には約一万九千人、五十四年が約一万五千人だったと思うのですね。特に、若年層の加入促進が非常に思い切って重視されていかなければならないと思う中で、いま検討されている内容というのはそれだけなのかどうかという点をお聞きしたいわけです。
○政府委員(杉山克己君) 加入促進の対策いかん。制度的な面におきましては、いま先生が御指摘になりました後継者、特定保険料の対象となる後継者の加入要件、これは従来ペア加入ということを要件の一つとしておりましたが、その点を外すということを考えております。これは政令以下で措置することにしておりますが、一般的なPR等は別にいたしまして、制度的な加入促進の改善点というのはその点だけというのは残念でございますが、その点でございます。
○下田京子君 そこでちょっとお聞きしたいのですけれども、五十五年の三月末現在で後継者加入は何人で、うち特定後継者がどのぐらいになっているのか、その割合いかん、いかがでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 特定保険料の納付者の数が、これは五十五年十二月末現在でございますが……
○下田京子君 私、五十五年の三月末で聞いているのです。
○政府委員(杉山克己君) ちょっといま手元にありますのは十二月末現在の数字でございますので、これで申し上げさしていただきます、 二万四千三百九十二名ということになっております。後継者比率二二・八%ということでございます。
○下田京子君 加入者数は。
○政府委員(杉山克己君) 加入者数は総数百七万五千三百九十五名でございます。
○下田京子君 私は、後継者加入が何人で、うち特定後継者どのくらいかと、こう尋ねたはずなんですよ。
○政府委員(杉山克己君) いま一番初めに申し上げました特定保険料納付者というのは、特定加入者であるというふうに考えたわけでございます。これが二万四千三百九十三人、未納の者とかなんとかというもので若干数のずれはあるかもしれませんが、これが実際に納付した者の数でございます。それに対して後継者の加入総数ということでございますが、これは加入総数でよろしゅうございますが、これは二十四万五千四十九名でございます。
○下田京子君 そうしますと、後継者加入の中での特定後継者というのは約一割程度ですね。一方、三十五歳未満の加入者全体で見ますと五万七千七百五十五人、これが五十五年三月末であると思うんです。とすれば、そのうち特定後継者ということでいわゆる割引されているのは、全体の中での三十五歳未満の中では四割程度になるのじゃないでしょうか。そうですね。
○政府委員(杉山克己君) 計算してみればそういう数値になります。
○下田京子君 そうしますと、この年金がどういう状況かといいますと、私が言うまでもなく二十歳から二十九歳の加入者がいま現在で一万七千八百六人で、だから一歳年につきますと千七百八十人ということですね。一方、五十歳から五十九歳はどういう状況かというと五十九万五千人で、一歳年につき五万九千五百人と、こういうことになるわけですね。そうしますと、いまのような状況の中で、一方三十五歳未満が五万七千七百五十五人もいるということならば、思い切ってこの若年層の加入を進めていくということならば、三十五歳未満すべての保険料軽減という対応を考えてしかるべきではないかと、こう思うわけなんですが、これは大臣にお聞きしたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 当然、未加入者の加入促進を図っていかなければなりませんけれども、ただ、経営主である人自身を対象にするというよりは後継者を対象にするということで考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます、未加入者の促進を奨励する場合は。それからその場合は、当然規模等とかそのばかの要件、これについてはこの法律の目的なり趣旨というものがございますので、おおよそ加入したい人ならだれでもというわけにはなかなかまいらないということで、私ども今回ペア要件を外すということでまあ制度的にはかなりの改善を図ったつもりでございます。
○下田京子君 三十五歳未満で早くしてお父さんを亡くして経営主になったという人が、その同じ年齢であっていわゆる学割が受けられないという不合理なんですよね、大臣。これはやっぱり財政問題等ももちろんあると思うのですけれども、大いにこれは考えていかなければならないのじゃないかと思うんです、大臣に聞いています。
○政府委員(杉山克己君) 大臣には、私からお答えした後でまた一般的な所見として答えていただきたいと思いますけれども、やはり事務的にいろいろ検討していきます場合、どの範囲までを対象として取り上げるかということになりますと、政策目的なりあるいは財政負担なり、ほかとのバランスということになりますというと、私どもやはりペア加入要件は外しても、親からその後を引き受けて若くして経営に参加するという方々は当然これは一番重点として考えてしかるべき対象かというふうに考えるわけでございます。 それから、いま、そういうバランス論から言えば、親を亡くして、まあ後継者という立場ではないけれどもみずから経営者として世の中に立っておる人、その人にも割引保険料をやってはどうかというお話でございますが、実は経営主であります以上は、これはこの保険制度のたてまえからして、強制ではございませんけれども、当然加入ということで当然にこの制度に入っていただくということになっているわけでございます。その点、後継者は親が加入するということが一つの前提になっておるわけでございますので、当然の加入ではなく任意加入ということで、この点は制度的にもむしろ大いに働きかけて加入していただかなければならない対象というふうな仕分けになっておるというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま局長から申し上げたとおりでございまして、まあ下田委員の質問の趣旨はわからないわけではございませんけれども、いま直ちにそういうふうにしてまいりますためには、農林水産省としてはそこまではまだ考えていない、こういうことでございます。
○下田京子君 当然加入者でなおかつ三十万人のまだ未加入者がいるという話ははっきりしているわけですね。そういう中で、三十五歳未満であって今度はペア要件を緩和するんだよと言いつつも、お父さんが亡くなったということで今度受けられないという点での問題点ははっきりしていますし、いま私が御指摘ということでしたけれども、大臣、これは私だけの要望じゃなくて、関係者が、できたらそういう問題は考えてほしいという要望を強くされているということは御認識いただきたいと思うわけです。 次に、業務体制の充実の問題でお尋ねしたいわけですけれども、「農業者年金」ナンバー五十四という雑誌が出ております。これは見ますと北海道の例や全国各地の例が出ているのですけれども、その中で特に加入促進はどうしたら効果が上がるかという点で、戸別訪問が一番だと、こういうふうに書かれております。これは先ほど来からの政府の答弁にもそういう旨があったかと思うのですけれども、ちょっと詳しく御紹介しますと、北海道の連絡事務所の場合には、札幌市にあるのですけれども、職員が三人だそうです、で、二人出張しちゃって一人ぐらいになるということになれば、変な話だけれども、もうトイレに行く間もないぐらいに電話がひっきりなしにかかってくると、こういうふうに書いております。そしてさらに農業委員会や農協の担当者は、他の業務との兼任職員でもって、年金業務の事務処理で目いっぱいやれるというふうにはないと。その上に加入促進だとか、年金相談だとか、いろんなものをもう持ち込まれて一人で悩んでいるというお話も出ております。改善方向はどうあるべきかということにつきましては、加入促進や年金相談を農業委員さんのうちから適任者を年金相談員あるいは年金推進員などの名で町村から委嘱してもらって、行く行くは予算化して民生委員のような地位を確立して年金業務の推進に当たっていただくようなことも考えてもらわなければならないと、こういうふうに言っているわけなんです。こういう本当に現場で苦労されている、そして農水省の考えでいるように加入促進を具体的にしていくとすれば、どうこたえていくお気持ちなのかという点でお聞きしたいわけです。
○政府委員(杉山克己君) 実際のそういう加入促進のための実務というのは、主として農業委員会の職員の方が担当しておられる。そのほかに農業協同組合なり、あるいは県段階なら農業会議、それぞれ所管して担当しておられるわけでございますが、ただ、専従職員を置いて巡回させるというようなことになりますと、実は時期的に繁閑もあるというようなことで、なかなかその点は私どもは悩みのところでございます。そこで、そういう業務活動に必要な事務費について、業務委託ということでこれを農業者年金基金から金を支給するという形で進めているわけでございます。まあそこにありますような年金相談員あるいは年金推進員というようなことで、少し一般の方の中から、農業委員さんの中から協力していただける人をというのも一つの御提案であろうかと思います。実際にどういうふうに進めていくかということについては、地域地域の実情もございましょうから、そこはまたもう一つ予算の制約という点もありますので、今後相談しながら一番有効な方法を探っていくということで進めていく必要があると考えております。 予算的な手当て、率直に申し上げまして、この種の事務的な経費の増額というのはなかなかむずかしい。また特に五十七年は予算についての圧縮ということでの厳しい情勢が目に見えているわけでございますが、五十六年度におきましてはそういう情勢の中でも若干の増額を図ったというようなことで、できるだけ努力しているところでございます。今後ともそういう現場の意見も聞きながら有効な対策を検討してまいりたいと考えます。
○下田京子君 現場の声は聞くけれど、予算の制約があってなかなかむずかしいという話ですけれども、そういう結果どういう状態が出ているかと言えば、一つ具体的にお知らせしたいのは、昨年、五十五年の五月に離農給付の制度改善をしましたが、それ以前の申請者が五十六年三月末時点で未処理になっている人がいま一千件あるわけですね。それから五十五年の新制度になって新たに申請された人が一千二十五件あるけれども、そのうち支給された人が二百三十五人というふうなことで、申請してからもう一年ですよ。それで、旧制度の時点で申し込んだのにいまなおもらえないということで、離農して卵もらえると思っていたのに延々と一年もかかっているということについて問題が起きているわけです。 さらに、これも農年の資料ですけれども、五十六年の一月三十一日付で農業者年金基金の理事長が、「事務処理について」ということでもって通達をお出しになっているのですね。その通達は何かといえば、いま先ほど申しましたけれども、例の特定保険料の割引の問題です、間々申し出が遅かったために、資格があったのに、もうずるずるしている間に三十五歳を過ぎてしまったというふうなことも起きているので、ぜひ改善しようということで通達を出した。しかし、通達を出したからといって、もうさっきの北海道の例じゃないですけれども、戸別訪問というのが一番よくわかると、すべて片一方からというのじゃなくて、いろいろ相談があったら相談があったところには、電話だけじゃなくてせめて出かけていくとか、そういう体制というのが必要になってくるわけですよ、とすれば、当然これはやはり考えなければならないのじゃないかと思うんですが、どうです。
○政府委員(杉山克己君) 離農給付金の裁定状況がおくれているということについての御指摘でございますが、御承知のように、昨年の制度改正、かなり離農給付金の本来的な性格を変える基本的な改正であったわけでございます。この結果、一時期に多数の申請件数が出てきた。旧制度に乗っかっておった者が全部この際ということで当然出てまいったわけでございます。そういう意味では一時期だけの過渡的な現象でございますが、このために事務的に繁忙をきわめておる。最大限努力して今日まで毎月三百ないし四百件程度の裁定が行われておるという状況でございます。何分にも金銭を伴う事務処理でございますので、慎重を期するということもあって若干時間がかかっておりますが、この調子でまいりますれば、未処理件数は少なくとも本年じゅうできるだけ早い時期に、もうことしいっぱいということでなく、できるだけ早い時期にと考えておりますが、ほぼ解消できるというふうに見ておるわけでございます。 それから予算の話と同時に、指導の話あるいは研修の話、総合的に運用する話になってくるかと思いますが、個別加入の促進については、専従職員を置くというようなことはできないにしても、研修によって職員の質も高める。それから、そういう勧誘に必要なパンフレットでありますとか、その他印刷物、一般的なPR手段についてその整備を図るというようなことをいたしながら、当然予算の確保にも努力をしながら、その勧誘についての充実を図ってまいりたいと、こう考えております。
○下田京子君 未処理の問題はとにかくことしじゅうに何とかしたいということですけれども、それはもうできるだけ早くやっていただかなければなりませんが、現実的にいま一年たってもなおかつ未処理があるんですということは事実ですよね。そういうものが業務体制等から来ているということもまたはっきりしていますよね。いろんなそのほかのこともあるでしょうけれども、審査やなんかを一つ一つやらなければならないわけですから。 それから、これは大臣に最後に業務の問題でお答えいただきたいのですけれども、大臣も御承知のように、福島県の農業会議の場合は正職員が十名、嘱託員が六名です。年金業務をしている人が二人おりますけれども、年金の相談だけでも、毎日とにかく少なくても二、三件、多いときでは十件を超すと、こういうふうに言われております。さっき局長が少し努力して予算も上乗せしたと言われておりますけれども、国からの助成金は百六十五万七千円ですね。別途そういう中でもって年金の協議会として七百万円を予算化しているわけなんです。そういう中でもって加入促進の事業をいろいろとこうお骨折りしながらやられているわけですね。とすれば、これから加入促進をもっと進める、あるいは年金業務の方も受給者が非常にふえていくということになりますと、これは老齢年金の方もそうですし、それから経営移譲年金もそうですから、大変なことになると思うんですよ。そういう点を考えたらば、当然、私はこのいつも問題にしております業務問題、体制も含めて、予算措置というのはもう新たに全国調査し直して考えるべきだと、こう思います。大臣どうでしょう。
○政府委員(杉山克己君) 業務の能率的な執行、そのための体制整備ということを総合的に考えながら、できるだけ必要な事務費予算の確保に努めてまいりたいと、かように考えております。
○下田京子君 その次にちょっと財政問題でお聞きしたいわけなんですけれども、今回の財政再計算とそれからいままで過去二回やられた再計算で大きく違っている点は、何といっても過去二回の場合には年金額の引き上げ率と保険料の引き上げ率が基本的に同じだったと思うんです。ところが、今回の場合には年金額が現行比で八・七%アップという中で、一方保険料はどうなるかといえば、これは二二・六%と最終的には六一・一%も上げられる、最も違う点はここにあると思うのですけれども、この認識でよろしいですか。
○政府委員(杉山克己君) そのとおりでございます。
○下田京子君 そうしますと、ここにやっぱり今回のこの法案の大きな問題点があると思うんですよ。 そこでお聞きしたい点なんですけれども、この農業者年金の場合には厚生年金並みにということから出発してきたと思うのですね。ですから、計算の方法もそういうことでやってきたと思うのですけれども、一か月にしますとどのぐらいになりますか、金額。今回の推計農業所得月額がどうなるかということ。
○政府委員(杉山克己君) これは幅があるのでございますが、十一万九千円ないし十三万三千円、こういうことになるわけでございます。
○下田京子君 モデル計算で逆算した場合には一か月こういうことになりましたか。
○政府委員(杉山克己君) モデル計算の場合は十二万九千円という金額になります。
○下田京子君 モデル計算で、正確に言えば十二万九千百十円じゃないでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 端数まで入れればそうですが、私どもモデルの計算は事例としての計算でございますので、扱う場合には端数を切り捨てて処理いたしておるわけでございます。
○下田京子君 その計算の具体的なことを私はお聞きしたのではなくて、月額に直すと幾らかということを聞いているわけで、正確にお答えいただきたいと思いますが、いずれにしましても、厚生年金のモデル計算の平均の標準報酬月額は十九万八千五百円ですね、ところが、農業所得の方は十二万九千百十円ということでもって、ベースになるのが厚生年金の月額の六五%ということになると思います。実際にモデル年金で言えば厚生年金に対して農業者年金の方はその八二%と、こういうことになると思うのですけれども、そこでお尋ねしたい点は、過去の四十六年、五十年それから五十二年、今回と——今回のはわかりますけれども、それぞれの年金加入農家のいわゆる推計農業所得がどうなっているかというのが一つ。それから次に、それを計算の際に使っておられます。その十五二八で割った場合の月額がそれぞれどうなっているか、ちょっとお知らせください。
○政府委員(杉山克己君) いまお手元にあります資料は、農業所得の月額で出してございまして幅がございます。制度発足時四十六年一月は五万七百四十円から六万九千五百八十円の間、それから四十九年度改正、五十年一月の場合は五万六千九百十七円から八万二千九百十七円の間、それから五十一年度の改正、五十二年一月の場合は九万六千円から十二万一千円の間ということになっております。年間所得はこの十二倍ということで、後ほどまた計算して差し出しますが、以上のような数字でございます。
○下田京子君 どうして言ったことに何か正確に答えてくれないんでしょうわ、私、いろいろ調べてみましたら、四十六年度の場合には月額四万五千円だと思いますよ。いいですか。それからそのときの月額の保険料は七百五十円でしたが、それから五十年の場合には——推計農業所得ですよ、五十年が十一万二千円、それから五十二年が十一万四千円、そして今回が十二万九千百十円ということだと思うのですが、間違いないでしょう。
○政府委員(杉山克己君) 計算技術的な問題でございますけれども、幅をつけて計算をいたしておるわけでございます。それから推計農業所得についてはいろんな計算の仕方がありますが、年金額の積算根拠として使っている数字は、ちょっとその点が私の手元の資料と違うのですが、四十六年一月の場合は、四万五千円と言われましたが四万円になっております、平準保険料は七百五十円。それから四十九年の場合は五万二千円に対して二千三十円、それから五十二年一月の場合は九万五千円に対して三千百七十六円、それから今回が十二万九千円に対して八千五百六十七円。 なお大変申しわけありませんが、先ほど私農業所得見込み月額を十二倍すればと言いましたのはこれは誤りでして、賞与等もございますので、これはむしろ所得を逆に割ったという感じでございますので、十二倍ではございません。
○下田京子君 どうもややこしくって……。これは農林省からいただいた資料なんですよね。農業所得の推移で見ますと、四十六年には年額でもって七十万五千円なんですよ。それを月額に十五・八で割ったら幾らですかって聞いた。そしたら四万五千円になるんです。それからそうやっていきますと、五十年度の場合には百七十六万五千円なんです。それを十五・八で割ると十一万二千円になるんです。数字、そうでしょう。もう一度確認します。
○政府委員(杉山克己君) わかりました。おっしゃっておられますところの農業所得と、私どもが年金算定に用いました過程の——過程といいますのは、プロセスにおきますところの数字とには若干の開きがあるわけでございます。これはなぜかと言いますと、農業所得の推移それ自体は農家経済調査に基づいてとりました場合、いま先生がおっしゃった数字、そのとおりでございます。したがって、逆に月額も計算すればおっしゃったような数字でもって出てまいるわけでございます。
○下田京子君 そういうことで、年金加入農家の推計農業所得というのは、四十六年当時——四十六年というのはつまり農業者年金の発足当時のことなんですよ、月額にして四万五千円でしょう。そして今度の再計算のときで、五十七年一月以降でどうなるかというと、十二万九千円でしょう。この比率——比率というか、どのくらい上がっているかといいますと、約二・九倍になっているわけです、推計農業所得の方は。ところが、それじゃ月額保険料はどうかと言いますと、四十六年度の発足当時が七百五十円、今度が五千百円と、こういうことになっていますね。そうしますと、保険料の掛金の方のアップ率、これは何と六・八倍にもなるんです。つまり、推計農業所得をはるかに上回った形で月額保険料が上がっているということが一つ言えるわけです。 それからもう一つ、農業所得の中で保険料がどのくらいの割合になっているかというのを、これは私の方から数字を申しますと、四十六年で一・七%、五十年で一・五、五十二年で二・一、五十七年で四%と、つまり、推計農業所得の中に占める保険料の割合がどんどん上がってきている。これが一つです。 それから同時に、こういう中で、御夫婦で加入されている場合にどういう計算が成り立つかといいますと、五十七年四月以降は物価スライド分七%織り込むとして、農業者年金の掛金は月五千百円でしょう、五十七年一月以降。それに今度は国民年金が土台になきゃならないわけですよ。御夫婦ですから五千百九十円掛ける二ということになるわけです。そして付加分が四百円ということで見ますと、何と一カ月で一万五千八百八十円という負担になるのです。農業所得は名目ですら二年連続マイナスになっているのです、いま。こういう状況の中で保険料のアップがどんと行くということは、だれが見たって農家のいまの負担能力をオーバーするものではないだろうか、こう思うのですけれども、大臣、そこはどういうふうに説明されるんですか。
○政府委員(杉山克己君) 農業所得の増加に比べて保険料の増加の割合がはるかに大きいというのは、いま御指摘になったとおりでございます。それから、農業所得に対する保険料の割合を見ますというと、これは実は、制度につきまして改善、改定を加えます場合は、推定所得に対する比率で見ておるわけでございます。実績の所得に対する比率は若干違ってくるわけでございますが、先生の数字は実績所得に対する比率で、若干の差はありますが、そういう傾向で、それから今回の改正時のものはこれは推定所得に対する見込の比率、これは四・〇%ということになります。 確かに、保険料の所得に対する割合というのはいずれにしてもかなり上がってまいって、年々重くなってきたということは事実でございます。ただ、これにつきましては、給付の実態が変わってきている、そのほか加入者の数等についても情勢の変化があるというようなことで、保険計算全体から見て、この仕組み、制度のたてまえ上、私どもはやむを得ないところというふうに考えているわけでございます。 ただ、平準保険料をそのままとりますというと、本来上げるべき水準はそうかもしれませんが、まさに先生の御指摘になったように、農業所得が停滞している今日、そういう急激な変化はこれは好ましくないということで、私ども今回は平準保険料をはるかに下回る改定にとどめて、さしあたって五千百円ということで保険料を設定し、その後毎年四百円ずつ五年間にわたって引き上げていくという措置をとったところでございます。そういう意味で、保険財政も考慮し、また農家負担の点も考慮してこれだけの引き上げということで御理解を願いたいということで提案申し上げているところでございます。
○下田京子君 いずれにしても、農家の負担能力が非常に困難になってきているということはお認めになったわけです、いま。 そういう中で、なぜこの大幅な保険料の値上げが必要になってきたかという点なんですけれども、これはやはり、経営移譲率が非常に増大してきたというところが一つの大きなやっぱりはっきりした要因になっていると思うのですが、これをもし、当初、前回の計算のときのように、仮に経営移譲率を四〇%と見た場合には平準保険料はどのくらいで収まったでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) いろいろな要素が変わってきたことが保険料に響いていることは確かでございます。その中で一番大きく保険料に響いたのは、経営移譲率が見込みよりもはるかに高くなったということでございます。見込みの段階では経営移譲率四〇%ということで見込んでおりましたのが、これが実績、それから今後の推定もしたがってそれを延ばすということになるわけでございますが、約八〇%というふうに見込まれております。この原因は、経営移譲の要件は、所得権の経営移譲だけでなしに、五十一年改正の際に、利用権の設定をも移譲対象に認めるという、移譲の要件として成立するということを認めるということをいたしたためにこういうふうに高くなったという事情がございます。 いすれにいたしましても、その結果は保険料を引き上げざるを得なくなったという事情があるわけでございまして、仮に先生がいまその前提を出されましたようなことで、経営移譲率だけを前回並みに置きかえて保険料はどうなるかということを計算しますと、これはそのほかの諸要素をどう置くかということがいろいろ問題がありますので正確ではございませんが、大体の見当といたしましては、平準保険料は約五千六百五十円程度となるというふうに計算されます。
○下田京子君 とにかくその経営移譲率が上回ったということで財政負担が非常に大きくいま求められてきているということははっきりしたわけです。私は経営移譲率の増大が悪いということを言っているのじゃないのです。それは誤解しないようにしてください。 そういう中で問題なのは、残された経営移譲できなかった二割の人たちの問題が出てくるのです。この人たちはどういう状況かといいますと、今回の財政再計算に見ましても、月額保険料が——これは財政再計算の話ですから、実際に平準保険料が八千五百六十七円でしょう。そういう中でもって給付は老齢年金でもって五千九百五十九円ということになりますね。そうすると、納めた保険料に対してもらうのが約七割ということになるんです。これが一つですね。 その結果、これはモデル年金の話ですから、じゃモデル年金で三十年間、実際にいま現在の保険料は月六千七百円ですから、その六千七百円を三十年間、信託で、年利七%で、半年複利で預金した場合にどうなるかということを、国会の下にあります大和銀行に計算してもらったんです。そうしたら、コンピューターにかけまして出されてきたのが、驚いたことに元利合計が八百六万一千円になるそうです。そして元金には手をつけないで、毎年利子分だけで五十六万四千円ずつ受け取れるという実態が出たわけなんです。ところが、老齢年金の場合には、経営移譲できなかった二割の人は年額で三十二万二千二百円しかもらえないということになる、この問題はどういうふうにするのかという点が残るわけですね。とすれば、その経営移譲だとか何とかということはもう必要ないじゃないか、新たな形での抜本的な農業者年金の仕組みを再検討すべきではないか、こう思うわけなんですが、どうでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金の性格といいますか、政策目的をどう受けとめるかということにかかわる問題かと存じます。一般的な老後保障ということなら、現在国民年金という制度がありまして、一般の自営業者と同じように農家もこれに加入できるわけでございます。わざわざ農業者年金制度というものを設けましたのは、やはり農業政策上の経営の若返り、適期の経営移譲、それから農地保有の合理化、これは目的にもうたってあるとおりでございまして、そういう意図があるわけでございます。そういうことを推進するための保険制度ということになりますと、保険事故といいますか、保険に該当する事由、これが発生しなければやはりそれに相当する年金は支給できないということになるわけでございます。その意味では、確かに二割の方が老齢年金だけしか受け取れないという事態は出てまいりますけれども、それはそういう保険を期待して加入されたということで、まあ掛け捨て的な、むしろ支払った金額を賄い得ないような保険では御不満だというような事態があるいは出てくるかもしれませんが、およそ保険というものの性格から私はやむを得ないところではないか。そのかわり、経営移譲をされた場合には、そういう実質に見合ってそれなりの、相当ほかの制度にはないような手厚い老後保障を含めた年金給付ということが行われるようになっているわけでございます。それからまた、こういったことに対して国庫の負担も、一般の場合よりかなり高い率で負担が行われているというような政策的な支持もなされているわけでございます。
○下田京子君 政策的年金だから仕方がないよということなんですが、それじゃその政策的な年金の中身の話で、いまもありましたが、経営者の若返りの話ですよ。経営移譲を受けた後継者のうち、農業者年金に加入している者の割合、これは五十一年から推移を示していただきたいというのが一つです。 それから、同じく五十一年以降その経営移譲を受けた後継者の中で、国民年金非加入者の率はどうなっているか。
○政府委員(杉山克己君) 五十一年が、全体の件数が一万四千九百七件。これは裁定請求時における農業者年金の加入状況ということでございますが、その裁定者の総件数が一万四千九百七件、そのうちに、国民年金非加入の方が五千九百五十二名、それから農業者年金に加入していない方が七千百八十七名、農業者年金加入の方が千七百六十七名。これが五十二年は、国民年金非加入が一万四千九百五十二、農業者年金非加入が一万四千六百六十五、農業者年金加入が三千百四十九。昭和五十二年は、国民年金非加入が一万八千九百九十三、農業者年金非加入が一万七千五百四十四、農業者年金加入が三千六百三十八。それから昭和五十四年が、総数四万二千百四十、そのうち国民年金非加入が二万一千八十一、農業者年金非加入が一万七千五百十二、農業者年金加入が三千五百四十六と、こういう数字になっております。
○下田京子君 実数で示されましたが、わかりやすくしますと、そうしますと、経営移譲を受けた後継者の中で、農業者年金に加入している者が全体の中で何%かといえば、五十一年が一一・九、五十二年が九・六、五十三年が九・〇、五十四年が八・四と、年々下がっていますね。それから国民年金の非加入者の率で言いますと、五十一年が三九・九、五十二年が四五・六、五十三年が四七・八、そして五十四年は五〇%という実態になっていますね。 そうしますと、午前中から他の委員にもお話しになっておりましたけれども、若返りを図るんだと、こう言いつつも、それからまた、今後大いに若返り促進のために努力すると言いつつも、実態は、過去の四年間を見てもどんどんどんどん悪い状況になってきているんですよ。一方、加入促進ということを言葉で言いつつ、そういう業務体制については予算の範囲内でという話になっているんですね。それじゃ、もうこれは一体どういうことになるんですか、というふうに問題が非常に多いと思うのです。 それから、これも農業者年金の政策的な中身の一つだと言われている農地の保有と合理化、細分化しないように、こういう話もいろいろされているようですけれども、時間がもう迫っておりますから私の方から言いますが、これは確かに農地の分散化という点で一定の役割りは果たしていると思いますよ。ただし、厳密な意味で言ったらどうかということなんです。これは経営移譲の要件で、私が説明するまでもなく御承知だと思うのですけれども、一年前に三十アール自留地を残しておいて、そしてこれは売ってもいいし、貸してもいいわけでしょう。三十アールだけ残しておけばいいんですよ。それをもう何か本当に唯一のもののようなかっこうで、農地分散化を防ぐだとか、あるいは政策的な意味があるんだとか、こういうことを繰り返されていますけれども、実態はそうなっていないということがはっきりしてきたと思うのです。 としますと、私はどうしても、これは社会保障制度審議会の答申でも指摘されておりますけれども、今回の財政再計算の結果によれば、近い将来、年金財政上ゆゆしい事態が生じることは必至と見られるので、この際農業者年金制度そのもののあり方を抜本的に考えなさいと、こう言っているわけです。で、いろいろ検討しておりますよということなんですが、その検討の方向として、一つは、大臣自身も言われていると思うのですけれども、もう保険料の大幅アップというふうな方向だけじゃなくて、一定の国の負担ということも考えて対応しなければならないだろうと。 それから二つ目には、やはり国民年金の上積み年金だということを考えたときに、基礎年金ということの充実ということで一体化していかなければなりませんでしょうし、現在ある国民年金で、支給開始年齢が一歳でも二歳でもこれがまた上乗せになれば、それだけ財政的にも浮くということがはっきりしてくるわけなんです。そうして、何よりもやっぱり農業者年金の基盤強化という点では新規加入の促進を図らなければなりませんし、主婦の加入も進めなければなりませんから、そういう点を総合的に検討されるおつもりがあるかどうかという点で、これはもう今後の大きな方向ですから、大臣から一言だけ決意をお聞かせください。大臣に、これはもう一言だけです。
○政府委員(杉山克己君) 大臣から後で申し上げさせていただきますが、事実関係についてちょっと説明させていただきたいと思います。
○下田京子君 もう時間がないからよろしいです。やれるかどうかだけです。
○政府委員(杉山克己君) いいえ。ただ、先ほど御指摘になった国民年金加入の問題について、確かに農業者年金の加入の比率、裁定者の中で比率としては下がっておりますが、実数としては上がってきている。五十三年に比べて五十四年は、ほぼ横ばいより若干下がったということはありますが、五十一年当時に比べればほぼ倍くらいに上がってきておりますし、それから国民年金の非加入がふえているのは、これは全体的にむしろ厚生年金等の加入者がふえたという全般的な社会情勢が反映されているのだということを御説明しておきたいと思ったわけでございます。あとの問題については、もう少し御説明したいこともありますが、大臣から御答弁申し上げることにしていただきます。
○国務大臣(亀岡高夫君) この農業者年金は、制度が始まりましてから十年、やっと十歳になったということで、十年間としては、それぞれの立場の方々の御努力により、ここまでよく育ってきたという見方もありましょうし、まだまだこういう未熟児じゃ困るという見方もありましょう。私どもとしては、これで十分というような考えは全くなく、よりよくいい制度にし、内容を充実していかなければならぬということはしばしば申し上げてきているとおりでございます。したがいまして、今後も年金全般の、この農業者年金だけじゃなく、その他の、国民年金にいたしましても、各種共済年金にいたしましても、それぞれ大きな問題を抱えておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、これら年金制度全般にわたりまして抜本的な検討を加え、それに対する対策をいまにして決断をしませんと、将来大変なことになるというような認識を私自身は持っておるわけであります。したがいまして、この農業者年金につきましても、それらの一環ともにらみ合わせながら、いま研究会をつくりましてそこで検討をさせておるということで、目標とするところは、法の精神を十二分に生かした年金に育てていきたいという意欲のもとに実施しておるわけであります。しかし、御承知のように、福祉国家の先進国を見ましても、やはり高福祉、高負担というような道を歩いているという、やはり先進国の例等も十分に踏んまえて、日本は日本独自の、日本型のやはり年金制度をつくり上げていかなければならぬ、そんなふうに考えております。
○下田京子君 時間になったのですが、最後に一問だけ。 いま秋田県の沖で、日米対潜共同訓練が行われているわけなんです。この問題について、地元の漁民の方々、関係者から非常に大きな不安と怒りの声が訴えられているわけなんです。即時中止せよという、この問題についてどういう態度をとられているのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) これは私も新聞を見てびっくりしましたので、すぐきのう、閣議の前に防衛庁長官に対して、こういう点は、やっぱりお互いにいつも近くにいるのだから、せめてこういう演習をやる、ついては何かありませんかと言うくらいのことがあってもいいのじゃないかと、こういうことを防衛庁長官に私はきちんと申し上げて、注意を促しておいたところでございます。まあしかるところ、いろいろ防衛庁の方でも連絡をしてきたわけでありますが、農林水産省側から見ますと、はなはだもって不親切きわまりないということ点、私は防衛庁の事務当局に申し上げたわけであります。実弾射撃をしなくなったのだから、皆さん方の言うことを聞いて実砲射撃をしなくなったのだから、来て漁業を続けられれば、自分の方で演習を緩和しながらやっていくのだから、といったような調子であったわけであります。しかし、それじゃ困るのであって、やっぱり軍艦が、自衛艦が浮かんでおれば、それは演習をやっておるということになればどうしたって漁民は魚をとりにいく気になれないと。そういうことなんだから、少なくとも地連というものが各県にあるんだから、漁業協同組合やらあるいは県庁やら関係市町村に対して、せめていつ幾日からいつ幾日までこういう演習をやりますよと、危ないですよと、こういう連絡くらいはしてくれてもいいじゃないかと、こういう注意を、申し入れをいたしておきまして、今後そういう点を十分配慮して、二度とこういうことのないようにしますという事務当局からの話も私は聞いておるわけでございます。まあ今回のは非常に遺憾なことであったなと、私も閣僚の一人として感じておる次第でございます。
○下田京子君 一言。ちょっと御認識が甘いような気がするんですよ。漁民が、いまマスの最盛期で最もいい漁場でもあるというような中で、過去に見ましても、十年前にも網が切られただとか、七八年にも事故があっただとか、そして今度は原潜の当て逃げ事件だとか、いろんなのがあるわけですね。これはもう時間オーバーしちゃっておりますので申し上げませんけれども、再度抗議もし、また中止を申し入れてほしいということを、関係者にかわって私は大臣に要望しておきたいと思います。 以上です。
○委員長(井上吉夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二分散会 —————・—————