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94回国会参議院1981/04/09

農林水産委員会 第5号

発言数
101
登壇者
11
会派数
6
開催日
1981/04/09

会議録

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る三月三十日、下田京子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。  また昨八日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。  また本日、田原武雄君が委員を辞任され、その補欠として井上学君が選任されました。     —————————————

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 いま議題となりました法案の審議を行うわけですが、その前に、きわめて大変な情報が日本農業新聞でけさ報道をされているわけであります。これは先般一般質疑の際に川村先生の方からも、政府の数量把握その他の規制の問題について厳しく意見がお出しをいただいているところでありますが、この報道によりますと、乳製品の過剰だということを前提にしていわゆる限度数量その他はじき出されてきておるわけですが、その基本になっております在庫数量、保管数量が、つくり出されたものであって実数ではない、こういう立場の報道でありまして、こうなってまいりますと、基本的にこの畜産政策そのものが根本的に揺らぐということに相なるわけです、きわめて重要な報道でありますし、今日農業関係専門にしているこの農業新聞が伝えているところは、ほとんど間違いのない報道が展開をされてきた、私はこう理解をしているわけであります。事実とすれば大変なことでありまして、これはひとつ大臣としての態度表明、それから私は早速省として厳密な調査をしていただく、そうして調査結果を当委員会にきちっと報告をしてもらう、この辺について約束、決意をお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 私もけさ農業新聞のトップにその記事の出ておることを承知いたしたわけでありまして、私もとにかく政府といたしまして、就任以来この畜産問題については特に関心を持ち強力に指導してきたつもりでございます。  その問題点となるところは、輸入の増大というような問題をめぐってのことでございまして、在庫量も多い、こういうことで輸入の抑制等にもそのデータを活用してきたところでございます。しかるところ、その在庫量に問題があるということの記事でございましたので、早速畜産局長にただしましたところ、政府と企ては倉荷証券等を中心にしてきちんとした調査に基づいた上にその在庫量というものの数字を積み上げてきておるわけで、その点については間違いはないと、こういう事務当局の話を私はけさ確認をいたしたところでございます。  これは製品でございます、食料品でございますから、私どもとしては在庫量が月々少なくなっていくことは望ましいことではありますけれども、もろもろの行政措置の根本となる数字に大きく間違いがあるということであっては申しわけないわけでありますので、その辺の点、御納得のいくように数字はきちんと出させていただきたいと、こう思いますので御了承いただきたいと思います。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 きょうは本題でありませんのでそれ以上追及をいたしませんが、省の報告を信頼するという大臣の気持ちはわかりますけれども、これはきわめて基本的なことですから、繰り返しませんが、ぜひひとつ責任持って大臣として明確な調査結果をまとめていただくと同時に、この態度表明を期待しておきたいと思います。  本論に入りますが、今回試験実施中の漁船船主責任保険、これを本格実施に移す、こういうことでありまして、これはきわめて歓迎するところであります。  そこで、漁船保険の体系的な整備、これがこの改正案でもって行われていくわけでありますが、これは私自身が審議に加わりました漁船積荷保険の延長の際の経過から言えば、これは当然本格実施について同時提起があっていいんではないのか。その当時の中川大臣あるいは森長官それぞれ、五年間延長することによって二年間この船主責任保険との期間のずれがある、これをどうするかという立場での質疑を踏まえまして、試験実施期間中であっても積荷保険のデータが整い次第なるべく本格実施をするんだという約束をいただいているわけでありまして、今日の国の財政事情あるいは漁業環境を取り巻く条件の中で、当然船主責任保険の本格実施とあわせて積荷保険の本格実施もあってしかるべきではないかと、こう考えるわけでありまして、なぜこれが提起されなかったのか理由を明確にしていただきたいと思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 私の承知いたしておりますところでは、御承知のように、できるだけ早く本格実施のための準備をしておりまして、ほぼそのデータ等、保険設計等をしてまいります上に十分なデータが得られようとしたときに、二百海里時代に入りまして環境がずいぶん変わった次第でございます。入漁料の問題でありますとか、あるいは漁場の変更でありますとか、あるいは新たな漁場開発でありますとか、もろもろの環境条件が変わってまいりまして、そのためにせっかく積み上げてまいりましたところの二百海里未到来時代のデータそのものが、保険設計上十分な資料としての活用ができないというような面もあったようでございます。  したがいまして、二百海里時代に入りまして、また各国ともそれぞれの立場立場によってその主張も強く、あるいは弱くというような面がございまして、その辺のデータをもう少し集めてみないと一応の積荷保険としての保険設計が十分に完成し得ない。こういうことで、本当であればこれは一緒に提案できれば大変好都合だなと私どもも思ったわけでありますけれども、いろいろ協議の結果、もう少しあと一年か二年のデータをそろえまして、そうしてスタートした以上は本当にりっぱな保険として本格実施できるようにと、こういうつもりで今回提案に至らなかったという点を御了承賜りたい。  詳しい数字等、その辺の事情については事務当局から説明申し上げたいと思います。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 数字の問題は私は必要はないと思うんです。二百海里時代が漁業環境を著しく変化さしたと、こういうことなんですが、これは積荷保険審議の際にも私自身が指摘をいたしましたように、もう当時すでに二百海里時代というのは、その到来はそれ以前から予測されておりまして、積荷保険の延長を決める段階では対応がむしろおくれておったというのが事実なんです。そういう前提に立って残り三年間と五年間とのいわゆる二年間のずれの問題を指摘したはずなんでして、その後の一定の新しい二百海里時代の海洋秩序といいますか、その他が整理をされてきた段階を踏まえまして、もうすでにデータはそろっている、私はこういうふうに見るわけでありまして、そこがきわめて問題だと、こういうふうに言わざるを得ないんですね。  しかも、先ほどちょっと触れましたように、国の財政事情その他からいきまして、三つの保険がそろいませんと、これは大変おかしなかっこうが予測されるようなことになったんじゃ大変だという気が一つあります。  それからもう一点は、前回の一般質疑でも私申し上げましたように、特に積荷保険の場合には、カツオ・マグロを中心にいたしましたいわゆる遠洋がどんどん対象になってくるわけですね、大きくは。そうすると遠洋を取り巻く条件というのは、いまの二百海里をまともにかぶっていますから大変厳しい。しかも今日の経営状況を見てみましたときに、経営体自体が赤字をどんどん背負い込んでいる。こういう時代でありますから、そういうときだけに、むしろ遠洋漁業を安定化さしていく立場からもこの本格実施というのを早く行うという姿勢が、これは水産政策の基本にならなければいかぬのじゃないかと、こういう観点から私はいま申し上げておるわけでありまして、ぜひその辺も含めて、まだ二年あるわけでありますから、二年の終了期を待って本格化じゃなくて、チャンスを見て早く本格実施に踏み切るようにぜひとも約束をしてもらいたい、こういうふうに思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 御趣旨は本当に十分よくわかるわけでありますので、私どもといたしましても、非常にむずかしい環境の中でありますけれども、努めてデータの取りそろえに万全を期し、促進を図り、そうして準備が十分でき次第、二年を待たずとも御提案できるようであれば提案をしてまいりたいと、こう考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 次に、五十一年五月十三日が船主責任保険の臨時措置法案審議の出発でありますし、それから五十三年五月二十五日がいまの積荷保険の臨時措置法の延長審議の時期でありますが、いずれにいたしましても、附帯決議の中で、漁業災害補償法による共済制度、これは全国漁業共済組合連合会、それから共済基金、共済組合、この三つが関係団体でありますが、この共済制度、それから水産業協同組合法によりますいわゆる全水兵、これを関係団体といたしておりますところの任意共済制度、この統合一元化ということが提起をされているわけですし、論議をしてまいりました。  この統合一元化の課題というのは一体どうなっておるんだろうか。特に、今回の改正案からいきますと、全水兵の任意共済部分、それから漁船船主責任保険、今回のやつですね、これとは複合する、補完ならいいんですが、まるきり複合する。こういうところなどがあるわけでありまして、提案に当たってその辺の検討というのはどういうことになっておるんだろうか、これをお聞きしたいのです。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、漁業に関する保険、共済制度の統合一元化問題というのが論議の対象になってから、私たちは五十年度から漁業に関します災害補償制度検討会を開催して検討を行ってきたところでございます。しかし制度の統合一元化につきましては必ずしも意見の一致を見なかったのでございまして、そこで昭和五十二年度から事務運営面の共同化等に関する試験を行うということで、共済団体によります保険、共済事業、共同化事業、試験実施事業を行ってきたところでございます。  試験実施事業におきましては、いろいろ各府県におきます共済事業の実態に応じまして、共済の漁協の役職員及び漁業者に対する保険、共済制度の普及宣伝、あるいは研修、あるいはアンケート調査、あるいは共済事業の共同化、合理化に関します調査研究等を行ってきたわけでございます。  その結果でございますが、やはり制度がそれぞれ別々のままで実施面のみを共同化するということはなかなかむずかしいという判断でございます。それからまた同時に、保険共済事業の総合化につきましては、むしろ都道府県段階でなく、中央で制度も含めて慎重に検討すべきであるという意見が出されてございます。  そのような状況でございまして、この問題につきましては非常に事態が複雑であり、また困難であるという状況にございまして、これは水産のみでございませんで、よく御高承のとおり、農業の問題におきましてもなかなかむずかしい問題がございますので、そこら辺は早急に一元化ということはなかなか実現がむずかしいというふうな状況にございます。  そこで、第二の御指摘の、それではそれぞれ競合して事業を行うというふうな形に相なるではないかというふうなことでございますが、私どもといたしましては、確かに全水兵の共済と漁船保険組合の保険とを併存させる必要性ということについては、これはかねがね議論のあるところでございます。しかし漁船保険組合の漁船乗組船主保険と漁船船主責任保険組合員の人命特約は、加入件数を見てみますと、それぞれ七千六百件、四千四百件というふうに少のうございますけれども、これらの保険の普及宣伝の過程で、漁業者の人命損傷に係る保険に対する関心を非常に高めてきた。それが結果的に乗組員の厚生共済の加入の伸びを相当促進をしてきたのではないか。したがって、現在のような推進の過程におきましては、事業が競合するマイナス面よりも、むしろそれぞれの事業が相励まし合ってといいますか、そういうふうなことで事業をやることが相乗的なプラス面を生ずるのではないかというふうに見られるわけでございます。また同時に、民間の保険におきましては、いずれも船主責任保険におきまして組合員の人命損傷に係りますてん補を行っているところでございまして、漁船船主責任保険のみがこれをてん補しないということではまた適当ではないというふうに考えまして、本格実施に当たりましては、漁船乗組船主保険とあわせまして組合員人命特約を存続させるという扱いにいたしたところでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 確かに長官説明されますように、今日までむしろ相互が励まし合って両方伸ばすという、こういう成果は数字の上からも出ておりまして承知をしておるんです。ただ、制度的にながめてみましたときに、利用する方の側かう言えば、非常に複雑になり過ぎてて、端的に言えばむずかしいなと、こういう感触が率直に出ているわけでありまして、それをこれからの運営の中で、利用する方の側に立って、簡明なもの、望んでいる方向に導いていくということが必要だというふうに思うんです。そのための研究が行われなきゃならぬ。  ただいま答弁がありましたけれども、たとえば共済事務の共同化試験事業等についても、確かに五府県にその事業をやらせはしましたものの、この事業自体の具体的な統合化に向かっての目標といいますか、指針というんですか、そういうものを持たないで、ただ現場でまず研究してみる、やってみろということで、他の目的もひっつけてやってきた経過があるわけですね。これでは真剣になって取り組んできたという話にならぬ。言うならば、五府県でやってきたのは単なる、何といいますか、隠れみのみたいな、かっこうとしては進めておりますよ、検討してますよと、こういう言いわけをつくるような形にしかなってなかった。  これは長官、水産庁自体がそういうふうにしなきゃならぬという踏み切りをまだしてないわけでしょう。私は、そういうかっこうでは具体的指導というのはなかなか進まないと思うんです。この辺は要望がありました中に挙げられましたように、中央段階でもう少し検討を深めよう、そうして自信を持って現場の方にこういうことならどうなんだ、それでもって試験をやってみろというなら話は別でありますが、そういうかっこうでぜひ今後も続けてもらうように要望をしておきたいと思います。  これは、いずれにいたしましても、附帯決議の問題でありまして、特にこの農林水産委員会はほとんどの法案に附帯決議をつけてるんですが、附帯決議が余り実行されていない。私はこういうのは困ると思うんです。何のために附帯決議をつけ、そうして大臣はその実現に向かって努力しますと言って約束しているのか。形式的にやっていることじゃ困ると思うんですよ。もう少し本腰を入れて、これは一つの例でありまして、もってもらいたいと、こういうふうに注文をつけておきます。  次に、漁業共済収支が大変大幅な赤字を抱えておりますね。国の特別会計であります漁業共済保険勘定、これは四十五年度に四億一千百六十三万円、五十四年度に九十八億八千六百五十七万七千円ですね、合計百二億九千八百二十万七千円、これを一般会計から繰り入れ処理をしているわけですね。ところが、漁業共済組合連合会のおおむね百十三億円の赤字、それは赤字のままで今日来ているわけでありますが、この措置というのは一体どういうふうにされるつもりなんでしょうか。  そうして、この収支状況を考えましたときに、制度改善というのはこれは真剣にしかも緊急にやるべきではないんだろうか。先ほどの論議とは必ずしもぴしゃっとしませんけれども、私は、保険それから共済含めた漁業関係の総合保険共済、すべてをひっくるめたそういう制度的なものを根本的に検討してみる時期に来ていやしないんだろうか、こういうふうな感じがするんです。もちろん、赤字を抱えた団体と黒字の団体とを一緒にされたら困るという論議もあるでしょう、率直に言ったら。しかし将来の日本の国の漁業をどういうふうにするかにつきましては、もう少し大きな観点からこれらを総合的に検討してみる、こういう検討の仕方については必要なんじゃないんだろうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、漁業共済の収支でございますが、発足以来五十一年度までは大体収支が均衡しておったわけでございますが、五十二年、五十三年におきまして、あるいはサケ・マス、コンブ等の不漁でありますとか、養殖ハマチが赤潮でいかれたとかいうふうなこともいろいろございまして、非常な累積欠損金を出しておるわけでございまして、大体五十二年度の契約と五十二年度契約の損害率を見てみますと、一八九%あるいは一七〇%というふうになっておりまして、五十三年度契約までの累積収支は約二百五億円の赤字に相なっております。五十四年におきます収支も、確定いたしませんが、恐らくさらにこれに上積みになるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、御指摘のとおり、これらの問題についての対応というのはきわめて重要な問題でございますが、問題は、いままでの赤字をどういうふうに処理していくのかという問題と、今後の制度のあり方をどういうふうに検討していくかという問題の二つに分かれると思いますが、従来の累積しました赤字は、基本的には被害率に見合った共済掛金率の設定、あるいは事故防止等の徹底等によります全体収支の改善ということで解消を図っていかなければならないと思います。相当長期を要する問題ではないかというふうに理解をいたしております。  今後の制度の改善問題、改正問題につきましては、これは私どもとしまして、漁業共済の重要性あるいは制度の見直しの要請を踏まえまして、昨年三月から検討会を開催しまして、漁業実態に即した制度のあり方について検討を進めておるところでございます。できる限り早く適正なる制度改正を行うように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 そうしますと、制度改善の方は検討会で進めている、これは早く結論を出してもらう。こういうことでいいと思うんですが、赤字の措置は、原則的には言われていることはそのとおりだろうと思うんですね、被災率に見合って掛金率で調整をしていく。  しかし、そうなりますと、この赤字になってきたことの理由の一つに、たとえば赤潮災害で養殖がだめになる、こういう問題なんかが全部がぶっているわけですね。そうしますと、たとえば原因者負担の立場からいった場合に一体どうなるんでしょうか、汚染の原因者負担の原則からいったら。結局掛金でという話になりますと、これは明らかに被災者の方がお互いに出し合いしましょうと、こういう処理方法ですね。果たしてそんなことでこの種の問題というのは解決するんだろうか、根本的に間違いがあるんじゃないだろうか、こういうふうに言わざるを得ません。  大臣、その辺は一体どうなんでしょうね、これ大変なことだと思うんですよ。しかもいまの長官の話からいけば、掛金でやる、したがって長期にかかりますよと、こういう答弁なんですね、はっきり言って。私はそんなばかげた話はない、こういうふうに思います。したがって、いま直ちにここで結論出せと言いませんが、少なくともこの取り扱いの問題について、大臣、ひとつ解決策を早期に出してもらうように約束をしてくれませんか。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) いずれにいたしましても、この漁業共済基金の問題をめぐって漁業共済制度全般についての見直しをどうしてもやらなければいかぬということになろうと思います。したがいまして、去年の三月、水産庁に専門家に御委嘱をいたしまして検討会を設けてございますので、いま御指摘のような線も含めまして、できるだけ早く結論を出していただいて対処してまいりたいと、こう思います。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 じゃ、その言葉を信頼をしまして次に移っていきます。時間がきょうは大分短いものですから、もう少し詰めたいんですけれども、正直言いまして。  次は、船主責任保険、それから積荷保険の試験実施に当たりまして、漁船保険中央会の性格の問題について毎回、そのあり方の慎重な検討、こういうふうにわれわれとしては要請もしてきたし、それにこたえてきたと思うんです。そういう立場からいきますと、今回本格実施に当たってこの問題点というのは解消されてない。言うならば指導団体としての性格と事業実施団体という性格ですね、しかもそれが全く違う事業実施とそれから指導、これならいいんですけれども、自分で指導したところについて同じ関連の事業を行っていくと、こうなるわけですね、再保険ですから。そのための中央会ですから当然それはやむを得ないとしても。そうなりますと、指導と事業実施という観点からいったときに大変な危険性をはらむ、それはだれだれが悪いとかどうという問題じゃなくて、制度的に非常に危険な要素を持っている、こういうふうに言わざるを得ない。  特に料率の算定、それから損害調査、これは一般的に保険者、あるいは共済もそうなんですが、第三者が判断することが必要なんじゃないのか、こういうふうに言われているのが通則であります。そういう観点からいって本格実施、いわゆる恒久法として成立をする場合に、その両面をあわせ保険中央会が握ることになるわけですね。提案から言えば、そのことは試験実施中の中央会で行われてきたいわゆる事業実績、あるいはそれだけの知識を蓄積してきたんだと、こういう前提に立っておりますし、そうして会計の経理区分を明確にすればいいんじゃないのか、こういう大体三つの要素ですね、  私は、もう一つ隠れているのは、いわゆる損害調査をやったりしたときに、仮に国が介入するとすると利害が相むずかしい状況になりますから、直接国が関与したくないという行政上の配慮も逃げも、中央会に性格をそのまま、試験実施の段階のまま延長で押しつけるということになったんではなかろうか、こういうふうに考えますが、私はこれではどうも問題があり過ぎる。いわゆる二重性格をそのまま恒久法の中に取り入れていくということについて、これはよほどの水産庁としての責任感、それからその長としての、農林水産大臣としての明確な決意というものが必要なんじゃないのか。事故は発生しないにこしたことはありませんが、もし不測の事態等が発生をしたときに、その責任を明確にとる、これだけの構えがなければ、私はここのところについてちょっと容認ができないなというふうに考えておるんですが、いかがでしょう。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま坂倉委員の御指摘のとおりでございまして、その点私どもといたしましても、漁船保険中央会が適正にこの保険業務を本格実施するに当たりましても、事故等の起こらぬように、その点については十分指導をいたしまして、この保険業務をして漁業者の心からなる信頼を得ることのできるような実施体制をつくり上げていかなければならないということで、水産庁も挙げてその点については十分監督指導してまいりたいと、こう考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 中央会の人員構成、いわゆる組織の関係、それから会計の問題、いろいろ整理をしていく、目のつけるところ等があろうと思うのですね。したがって、いまの大臣の決意を含めて、その辺さらに検討を深めながら、いわゆる二重性格を明確に整理ができるようにひとつ運営をやってもらいたい、こういうふうに注文をつけておきます。  次に、今回のこの改正の中で、国または中央会が再保険をしていきます割合というのがおおむね九〇%というふうにお聞きをしているわけですね、これはこれからお決めになることのようですが。したがって、そういう方針でいきますと、結果として一〇%は保険組合が責任を負うことになる、それは、保険組合自体が一〇%を負うことによって、保険組合がみずからの基盤を強化していくいい出発点になるだろうと私は思うのです、正直に申し上げまして。しかし現実には今日まで一〇〇%再保険をしてきたわけですから、現実には保険組合にいわゆる保険金の支払い準備金そのものについてはいまないわけですね。これから責任を負うところのものの資金準備をしていかなければならぬ、こういうことになると思う。したがって本格実施までの間にそういう意味でそれぞれの五十二の保険組合のいわゆる準備金をどういうふうにしてつくり上げさしていくのか。それと同時に、これからの資金準備に当たる積立金の積立率等の問題についてはどういうふうにお考えになっているのか。こうした点をちょっと説明をいただきたい。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のとおり、漁船船主責任保険と漁船乗組船主保険につきましては、試験実施の期間中全く保険責任を保有しておりませんでしたので、付加保険料にかかります若干の余裕金以外には準備金を保有いたしておりません。したがいまして、ここですぐに組合に一〇%の責任を持たすということは無理でございますので、当分の間補完再保険事業を中央会において実施するということにいたしておるわけでございます。試験実施の成績によりますと、支払い保険金の額は、大体最高で三千二百万円程度でございまして、危険率も安定的に推移しておるので、組合に責任を持たすとして、当面組合の財源不足額はそれほど多額には及ばないのではないかというふうに見込んでおります。  それから同時に、現在組合で三億一千三百万円ほどの普通保険の準備金も有しておりますので、金の支払いには困らないという状態でございますが、そういう中央会におきます補完事業の実施の過程におきまして加入の促進、それから加入の促進の過程におきまして、準備金がどの程度蓄積されるかということは見通すことはなかなかむずかしゅうございますが、できるだけ早く組合の経営が安定するように努めまして、組合に将来一〇%の責任保有を行っても支障のないように考えていきたいというふうに思っております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 これから責任を持たして、そのための自助努力といいますか、自主的な努力を期待しつつやっていくわけですから、非常にきめの細かいぜひひとつ指導をやってもらいたい。  それから次の質問とも絡んでいくわけですが、結局保険組合のそれぞれの間のいわゆる基盤の格差が、率直に言って、大変大きいわけですね。これはいわゆる業務執行経費というのは付加保険料で賄われているという実態から踏まえまして、付加保険料率というのは組合のいわゆる強弱の格差をあらわしているものだと、こういうふうに受けとめるわけであります、そうしますと、仮に二十トン未満のところの五十四年度の付加保険料率を比較してみましたときに、最高では一・三六%、それから最低は〇・二九%、大体四・五倍の開きがあるわけですね。こういう状況から見まして、各保険組合の均衡した基盤強化というものがこれからの重要な政策の第一に挙げられなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。  そこで、本年度も予算確定をしたわけでありますが、付加保険料率適正化事業、この適正化事業というのがこれに対してきちっとこたえられる仕組みになっているのかどうか、ここのところをちょっと説明をもらいたい、こういうふうに思うんです。  と同時に、料率というのは、漁船保険の場合にトン数その他ありまして、非常にむずかしいわけですが、仮に一つのところを基準にとりまして、付加保険料率の仮に上限を〇・五なら〇・五、あるいは〇・四なら〇・四というふうに引いてみたときに、それ以上のところについて、これを特別に弱い部分について助成するというようないままでの形よりも、もう少しシビアにその辺を整理するとした場合に、予算的にはどれくらい必要なんだろうか。これは事前に通告をしてありますからある程度はじいていただいたというふうに思うんですが、もしはじいて数字が出でおれば教えてもらいたいなというふうに思います。  また、そのような助成手段というものについて考えの中に入れられるんだろうかどうだろうか、ほかに方法があるんだろうか、この辺をひとつ答弁してください、

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 確かに御指摘のように組合別の普通保険の付加保険料には格差がございます。そこで定期料率の改定年に当たります昭和五十六年度以降の平均付加保険料率につきましては、各組合に対しまして付加保険料率の適正化を強力に指導いたしておるところでございます。同時に、五十五年から開始しました付加保険料の適正化事業の効果が全面的にあらわれてくることによりまして、五十六年には大体全組合の平均値が〇・四九で、最高が一・〇五、最低が〇・二一ぐらいになるというふうに見込んでおるわけでございます。したがいまして、この結果、五十四年の実績に比べまして大体最高値と最低値の格差も 〇・八四ポイントぐらいになるというふうに見込んでおるわけで、そういうことでございますならば、付加保険料の格差は相当縮小をしてくると思っております、そこで、五十五年度におきましては、付加保険料の適正化事業につきまして、十月以降の半年分として五十二組合に対しまして二億八千五百万を補助する予定でございまして、昭和五十六年度予算におきましてはまるまるでございますから六億二百万を計上いたしております。この予算の配分に当たりましては、実績に基づく一律配分ということではなしに、組合間の付加保険料率の格差も考えまして、付加保険料の高い組合に対する補助率を高くするということによって格差の是正に努めているところでございます。  それから付加保険料率のたとえば上限を定めまして、これを超える部分を助成するというふうな考え方でどの程度の予算が必要かということでございますが、そういう超過部分を補助することとした場合には、総額で大体六億円予算が必要であるというふうに思っております。  こういう方法でやりますと、付加保険料率は確かに平準化されるのでございますが、一方で漁船保険組合の自助努力といいますか、経費節減意欲といいますか、そういうものが阻害されるのではないかということも考えられるのでございまして、長期的に見た場合に、漁船保険事業の健全な発展という点から見て適当であるかどうかは問題のあるところだと思っております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 確かに言われていることはわかるんですよ。わかるんですが、長官の立場から言いますと、弱いところにまともに援助したんじゃ自分のところで立ち上がる力が阻害されるんじゃないのかと、いまこう言うわけですよね。これはもう指導性を全くなしにした答弁だと、私はこういうふうに言わざるを得ぬのですよ。何のためにじゃ中央会がそういう立場で指導し、あるいは水産庁がそれに音頭をとっているのか。私は指導性を言うんなら、そういう弱小組合が自分たちの力で援助を受けることによってなおさらに足を踏み出す、こういう方向づけをきちっと踏まえて、それが実践できるようにしていかないことにはいかぬのじゃないのか、こういうふうに思いますよ。その辺はもう一遍よく検討してくださいよ。余りめんどう見がいいと怠け者になるという論拠は私はいただけないんです、正直言いまして。いまはそんなに怠けるような状態とこにもありませんよ、正直申し上げて、漁業環境を取り巻いている条件から言いましても。これはもう一遍考え方、発想を変えて検討すべき課題だというふうに申し上げておきたいと思います。  次に、漁船の普通保険勘定、これは五十四年度の繰越利益金が五十五億九千七百六万円、こう出ているわけですね。いままでの形からいきますと、これまた中央会に交付するんでしょうか。あるいは普通保険の場合は過去三年ごとに料率の引き下げをやっておりまして、本年度はちょうどそれに当たるわけでありますし、現在七%引き下げるんだというふうに言われておるようでありますが、もう少し思い切った引き下げというのは可能なんじゃないんだろうかという気がするんですが、下限との関係でその辺は一体どう判断をされておるのか。  それからもう一つはPI保険の方なんですが、これは約十三億円の剰余金が出ているわけですね。十月から保険料率を二二%引き下げよう、こういうふうに言われておるようでありますが、これも同じようにそれ以上の引き下げというのは無理なんだろうかどうだろうか。しかもいま言いましたように、七%、二二%というのはいまのところ動かない確定した数字と受けとめていいんだろうかどうだろうか、それはいかがなものか。  それから積荷保険の方もおおむね五億円の剰余金がありますね。これはどういうふうにお考えになっているのか。  三つあわせて答弁をいただきたいんです。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) まず、第一点の普通保険勘定の繰越利益でございますが、五十四年度末におきます漁船の普通保険勘定の繰越利益は五十五億九千七百万円になっております、五十五年度末では約八十億程度になるんではないかと見込まれますが、しかし同時に、年間約二百億円の再保険金を支払うということ、この勘定においては支払うということでございまして、異常災害に対応しますためには、やはり百億円程度の準備金は必要ではないかと考えておりますので、現在この準備金を処分して中央会に交付するということは考えておりません。  将来もしたまったらどうするんだということでございますが、昭和五十六年度から再保険料率を平均七%引き下げたところでございますので、五十六年度以降において、私はそれほど多額な剰余が発生することはないのではないかというふうに思っておるわけで、この点はなおしばらく様子を見ていかなければいけないのではないかと思っております。  それからもう一つ、第二点の普通保険料率を七%よりもっと下げられないのかということでございますが、五十六年度の定期料率の改定に当たりましては、最近の収支状況を踏まえまして、平均で七%の再保険料率を引き下げたところでございます。今後、五十六年度の収支状況を見た上で、なお余裕があると判断される場合には、さらに再保険料率を引き下げていくということにいたしたいと思っております。  それから漁船船主責任保険の二二%よりもっと保険料率を大幅に引き下げられないのかということでございますが、漁船船主保険につきましては、試験実施期間中良好に推移してきておりますので、このために過去三回にわたって保険料率を引き下げてきたわけでございますが、本格実施に当たりましては、従来の保険料率に含まれているいわゆる安全割り増し部分を大幅に削減することによりまして、保険料率を平均約二二%引き下げることを考えております。  そのほかに、新たに保険料の国庫負担をいたしますから、その点で漁業者の保険料負担は相当に軽減されるというふうに思っております。  今後におきましても、保険収支の動向を十分に把握いたしまして、危険率に見合った適正な保険料率の算定に努めてまいりたいと思っております、  それから漁船の積荷保険の剰余金の問題でございますが、漁船の積荷保険の剰余金は、昭和五十五年の三月末で約五億円でございます。しかし積荷保険におきましては、一契約当たりの契約金額は非常に高額でございます。たとえばマグロはえなわ漁業をとりますと、一契約当たりの平均契約金額は約二億四千万円ということになっておりますたかに、準備金としては十分な額ではないと思います。したがいまして、試験実施を終了した時点で剰余金が生じているかどうかについてはなお予断を許さないというふうに思っております、本格実施移行時に余裕金がある場合には、積荷保険の再保険事業の円滑な運営を図るために原資として活用するのが適当ではないかというふうに思っておるわけでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 次に、これは今日的な段階の提起ではありませんが、三つの保険が本格実施すべてそろいまして、積荷もそろいまして、そして基盤強化ができて、そして余裕が仮に出てくるということになりますと、今日資金運用の問題については、何といいますか、貯蓄それから公債、こうした関係に法律的に限定をされているわけですね。しかし本来資金運用の問題、当然これは利益としてふだんから漁民に還元すべきである、こういう前提に立たなきゃならぬと思うんですね。かといって、余り余裕金をたくさん持つことは好ましくないことでありまして、これは当然の話ですね。だから、直接還元と間接的な還元、こういう二通りの問題を検討してみたときに、余裕金が多額になってきた、基盤が強化されてきた、こうした状況を踏まえていきますと、当然資金の有効運用という問題はさらに新しい観点で検討されていかなければならぬだろう。これはいま直ちにじゃありませんが、したがっていま直ちにやらなきゃならぬことは、むしろそのことを含めて、今日からどういう運用方法を検討すべきなのかという作業に取り組んでいかなきゃならぬ時期じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味で何かお考えがあるんだろうか、あるいはそういう検討作業をこれから進めていくことについてどうなんだろうか、その辺の御答弁をいただきたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 確かに剰余金の運用の問題を長期的に見てどう考えていくのかという問題は、御指摘のとおりでございまして、またお話しのように、毎年多額の剰余金が生じて、年々剰余金が累増していくということもまた好ましくないわけでございまして、したがって、まず、私たちとしましては、それぞれの保険料率の算定に当たって長期的な収支均衡を旨として適正な保険料を設定する、どちらかと言いますと保険料の引き下げということを考えておるわけでございますが、しかし保険事業の基盤が強化されまして、保険団体の有します準備金も相当多額に及ぶというふうな段階を想定いたしまして、その有効運用をどうするのかという問題につきましては、これは将来の問題でございますけれども、いろいろと検討する必要があると思っております。そういう事態に一日も早くなることを私たちはこいねがっておるわけでございますが、そういう事態を踏まえての適正な運用ということにつきましては、他の保険事業の例も参考にしながら十分検討してまいりたいと考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 次に、海上保安庁に海難防止対策につきまして一点だけお尋ねいたしておきたいんですが、五十五年度の漁業白書が提出されました。それによりますと、「海上保安庁は、漁船による海難が依然として高い比率を示しているため」云々と、こういうふうに対策が書かれておるわけですね。この海難防止というのは漁業のまさに基本ともいうべき性格があると思うんです。そういう意味合いで重視しなければなりませんが、漁船海難の最近の傾向、それから今後の防止対策、これをお尋ねしたいと思うんです。  四月七日、おとといですが、午後一時四十分ごろ北海道の紋別港に帰る直前に、第十一昇勢丸ですか、乗組員六人の漁船が遭難、沈没という悲報が伝えられておるわけでありまして、大変悲しいことだと思います。こうした状況等について、これからの本格的な海難防止対策、基本的な考え方、こうしたものをひとつお伺いしたいと思います。

加藤書久海上保安庁警備救難部航行安全課長

○説明員(加藤書久君) 最近の漁船の要救助海難は年間大体千百隻程度発生しておりまして、おおむね横ばいないし減少の傾向にあります。  漁船の海難の原因について見ますと、見張り不十分、操船不適切といった運航の過誤あるいは機関取り扱い不良といいました人的要因によるものが大部分を占めております。  このため、海上保安庁といたしましては、随時立入検査を実施しまして、漁船の安全にかかわります船舶安全法あるいは船舶職員法等の海事関係法令の励行を図りますほか、機会あるごとに海難防止講習会を開催いたしまして、海事関係法令の周知、出漁前の整備点検、あるいは気象・海象情報の早期把握、あるいは集団操業の励行等の指導を行っております。今後とも関係法令の遵守を図りますとともに、安全指導を一層推進しまして漁船の安全を確保していきたいと考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 終わります。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 ただいま議題となりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案ですけれども、内容から見ると一歩前進と、このように思います。子といたしますが、いまいろいろお話ございましたが、私も二、三の点についてお伺いをしたいと思います。重複する点があると思いますけれども、御了承いただきたいと思います。  その前に、漁業白書が発表されまして、その点についてお伺いをいたします。  この漁業白書を読むと、苦難する日本漁業というか、厳しい日本の漁業というか、その姿が浮き彫りにされているように思われます。五十二年から本格化した二百海里体制でございますが、もうすでに八十八カ国設定しております。  そこで最初に大臣にお伺いしたいんですが、わが国もこの新しい海の秩序、この中にあって漁業の将来の展望はどうなのか、この辺をお伺いしたいと思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 水産業を取り巻く環境は日ごとに厳しくなってきておるわけであります。とりわけ沿岸国の二百海里規制の強化、あるいは燃油価格の高騰、水産物の需要の低迷ということで、さえない状態がずっと続いておるわけであります。いままで水産業を支えてきました北洋漁場でありますとか、南氷洋漁場でありますとか、ああいうものがどんどんどんどん制限をされまして、日本の水産業を支えてきた諸条件が大きく変化してきておる。それだけ水産業は厳しい情勢にある。  反面、畜産物の需要がぐんと伸びたわりあいに水産がそれだけダウンしておる。いままでたん白質は肉・畜産物で半分、魚で半分、こう言っておりましたのが、魚が四五になって肉・畜産物が五五になってきておるというようなことからくる圧力と申しますか、そういうものが日本の水産業界に大きく厳しい条件を付加させておると、こういうふうに見ておるわけであります。  が、しかし何といっても、国民に欠かすことのできない動物性のたん白質を供給する上から、どうしてもこれは強力に振興を図っていかなければならないと、こう考えております。そのために、わが国が自由に利用ができ、かつ資源も豊富なわが国周辺の水域をできるだけ活用して漁業の進展を図ることを基本としながら、遠洋漁業についても積極的な水産外交を展開し、漁業外交を展開してその進展も図っていかなければならないと、こう考えております。  具体的にいろいろ申し上げれば、つくる漁業ということで、シャケ等の養殖、あるいはその他ハマチ、タイ等々の養殖、あるいはコンブ、ワカメ等の養殖等々、あるいは貝類の養殖等々沿岸漁業の進展も図って、つくる漁業というような方向に力を入れていきますとともに、沖合い遠洋漁業についても関係国との信頼関係を確立しながら遠洋漁業の進展を図っていく。  また、そのためにも漁業の経営の安定を期する。特に現在負債等で一般漁業者が非常に困っておるわけでありますので、その点に対する政策的強化も図ってまいる。同時に、今度は水産物の流通加工の合理化、水産物の価格の安定、それからイワシ、サバ等のたくさんとれる魚をどういうふうに国民の食生活の中に利用させていくことのできるようにしたらいいのかというような問題等も、これは積極的に解決を図っていかなければならぬと考えます。  また、漁業者の自主的努力と相まって、これらの施策のよろしきを得れば、私はいままでの漁業の振興ということを取り戻すことができる、そうして生産体制をさらに強化していくことができると考えるわけでございます。今回御審議をいただいております保険関係の法案も、そういう面における一つの柱として大きな貢献をなすものと確信をいたしておる次第でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 動物性たん白質の五〇%は水産物、それがいまお話があったようにだんだん減ってきている。それは畜産物の関係もあるでしょうけれども、具体的には穀物にしても、先日問題になりました乳製品にしても、輸入が多くなっております。  そこで、魚の方ですけれども、高級魚の輸入依存率が、これも高くなっております。例を挙げれば、世界のエビの一六%、イカが六六%、カジキマグロが五一%、これだけ日本が食べているわけです。ほかにもおいしい魚、珍しい魚、高いものを食べているわけですけれども、しかし白書では、五十四年度の水産物の支出の前年比伸び率は初めて食料支出の伸び率を下回っておるわけです。一方、消費者の魚離れが進んでいることもこの白書に書かれておりますが、その上、いま大臣のお話あったように、漁業者の立場になると、漁場の縮小であるとか、それから燃油の高騰、生産コストの増大、魚価の低迷、まあ二重苦というか三重苦というか、大変な状況になっているわけでございます。その中で高級魚の輸入について大臣はどういうふうに考えておられますか。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) これは私は非常に大きな問題じゃないかなというふうに考えるわけであります。実は、私も水産関係については余り知識はございませんけれども、いままでの果樹類でありますとか、あるいは畜産物関係でありますとか、あるいは養蚕でありますとか、この輸入問題をめぐって、とにかく外国農水産物との競合する部門について一体どうしていったらいいのかというようなことは、一応今日までずっと考え、かつ自分なりのいろいろな施策等についての努力もした経験から考えてみますと、先般この委員会でも指摘を受けました畜産物の疑似乳製品等についての折衝等、これは国内における輸入業者、商社、それから関係業界、そういう方々が積極的に日本の農水産業をもとにしていかなけりゃいかぬのだという気持ちを持ってもらいませんと、もうかるものは輸入するというような立場をとってこられますと、これは大変な事態になるわけでございます。  そういう面で、水産関係のマグロ、あるいはエビ等——私もASEANを回りまして、とにかく漁船をつくってほしい、漁獲技術を教えてほしい、そして、とった魚は、マグロとかエビとかそういうものは日本に持っていくから買ってほしいと、こういうことでございまして、私は、日本の市場を目がけて漁業をおやりになるんなら、本当に経営が苦しくなるから、市場というものを日本以外に求める努力もしてもらわないと大変ですよ、こういうことを申し上げますと、向こうの国の方々はよくわかるわけであります。ところが、日本の商社が、いや、日本に持っていけばいいからというんで、みんな集めて日本に持ってくると。エビ等についてはそういう面がはっきりいま出ているわけでありますので、そういう適正輸入量というものは業界自身が判断をする。何といっても、国際的な需要と供給のバランスの情報を一番よく持っているのは商社でありますから、そういう点もうかればいいというような立場じゃなく、そういう点、適正輸入量の指導というものを積極的にやっていかなければならぬのではないか。私はこう思って、いろいろ水産庁の方でも御検討をちょうだいしておると、こういうことでございます。  これからもそういう点、高級魚につきましては、本当に対策を講じませんと、なかなか業界も容易じゃないというふうに考えておりますので、その点は商社、漁業界あるいは加工業界等々で一つの協議会のようなものを持ちまして、あるいは協会と言ったらいいんでしょうか、そういう民間の機関をつくってもらう、相談をし合うところが必要ではないかという感じを私は持っております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 そういうことでございますので、高級魚に関してはいま大臣の言われたように、話し合いの場というんですか、もうかればいいということじゃなくて、適切な御指導をお願いしておきます。  もう一つ、いま申し上げたように、漁業経営にとってはあらゆる面で大変な状況下にあるわけです。特に燃油の問題でございますけれども、テレビの宣伝ではありませんが、車はガソリンで走るのですと、こういうことですけれども、漁業も石油がなければ仕事ができないわけです。ところが、その石油が、五十年当時から見ると、今日二倍になっておりますし、五十年は物財費の中で大体一五%と、こういうふうになっておったわけですけども、石油代が、そういうことでございますので、遂に三〇%という状況下にあるわけです。しかも、先ほど話したように、魚離れが手伝って漁業者の経営はますます大変になる、こういう状況下にあるわけですが、大臣は燃油の問題について、いままでもこの委員会で何回か取り上げられましたけども、どのような救済措置といいますか、される予定でございますか、この点をお伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のとおり、石油価格は高騰前に比べて二倍以上というふうな状態になっておりますし、水産は、石油がなければ魚はつってこられないわけでございまして、そういう石油価格の高騰を反映いたしまして、コストに占めます石油のウエートも非常に高くなっておるわけでございます。  私たちといたしましては、そういう深刻な影響を受けておる実情にかんがみまして、これは漁業だけの特別措置でございますが、五十四年、五十五年の両年度にわたりまして、漁業用の燃油の対策特別資金というのを融資してきたわけでございます。五十六年度におきましても、融資枠を前年の倍の一千億にいたしまして、同時に末端金利を三%、遠洋は三・五%というふうに改善して融資することにいたしております。  同時に、漁業経営安定資金につきましても、前年度より百億円ふやしまして、六百億の融資枠を確保いたしておるところでございます。  同時にまた、今年度、五十六年度から新しい新規事業としまして、漁業経営安定特別対策事業ということで、昭和五十六年の償還に係ります漁業経営安定資金と燃油資金につきましては、二年間の償還猶予をするということをやってきておるわけでございます。  同時にまた、融資保証制度を充実して、資金の円滑な融資につきまして特に配慮いたしておるところでございます。  しかし、そういう当面の対策のほかに、省エネルギー型の漁業に移行していく、それにはどうしたらいいか。あるいはまた同時に、業界自身の構造改善をどういうふうに取り進めるかという問題があるわけでございまして、省エネルギー対策につきましても検討し、実施に移していけるものから逐次これを実施に移していっておるところでございますし、また業界そのものの体質改善につきましては、十億円の基金を積みまして、業界の体質改善の熱意のある部分につきまして、国として特別な助成を行うことを考えておるところでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 もう一つ、白書の中で魚離れのことでございますけども、この魚離れの原因というのはいろいろあると思うんです。最近の若い人は魚より肉、その肉が相対的に価格が安定しているというか、安いというか、そういうこともありますし、最近の都会の生活で、頭のある骨のある魚というのは余り好まれない、煮炊きすると煙が出て困るとか、においがするとか、そういうことも言われますし、またそのほかにいわゆる魚価の価格操作、これも一つの原因ではなかろうかな、こういうふうに思うわけでございますけれども、この魚離れのことについて、何か防止策といいますか、米の場合は消費拡大ということでいろいろ検討されておりますけれども、この点については長官、どのようにお考えでございましょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 確かに、水産物の消費の減退は基本的には、高度成長下、所得の増大に伴いましていい魚を少量、といいますか、いい魚を嗜好していくという問題と、それから最近におきましては、同時に個人消費支出の伸びというものが伸び悩んでおることが魚にも影響をいたしておると思いますが、同時にまた、御指摘のように、畜産物の価格がわりあい安定しておるということ、若い者は魚よりも肉だ、こういうことで食生活の形態が変わっておるということも大きな要素であろうかと思うわけでございます。  したがいまして、私たちはそういう水産物の消費の実態というのを冷静にとらえまして、日本型食生活におきまして魚の持ちますすぐれた面につきまして十分PRしていくという必要があると同時に、消費者のニーズに合ったような形態での魚の供給といいますか、そういうふうなことを考えていかなければいけないのではないかと思っております。  具体的な政策としましては、PRとしていろいろテレビあるいはパンフレット等によりまして、水産物の栄養面の特性、あるいは水産物の利用方法、あるいは水産物の供給事情等について情報提供をいたしておりますが、同時にまたカツオ・マグロ等について消費者の購入しやすいような単位にしまして、これを産地で冷凍処理をしましてそのまま主要都市であるとか、あるいは農山村の地域に販売するというふうな事業も、新たに補助の対象といたしまして冷凍水産物の消費拡大を図っておるところでございます。  同時にまた、イワシ・サバのようなものは、これはお頭つきのままではなかなか消費してもらえないということで、これを何とか新しいタイプの水産加工品につくり直して、消費を促進するということを考えまして、これらの試験研究等を行ってまいりましたし、それを踏まえまして、水産加工品や練り製品をつくりまして普及、定着を図りつつあるところでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 この白書の最後ですが、日ソのサケ・マス漁業交渉が始まっておりますけれども、    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕 これは毎年あるんですが、本年の漁業交渉の見通しはどうでしょう、

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 本年の日ソのサケ・マス交渉は四月六日からモスクワで行われております。昨年末、日ソ漁業委員会の第三回の定例会議におきまして、サケ・マスの本年の資源問題を議論したわけでございますが、そのときにおきましても、ソビエトはサケ・マスの資源問題につきまして相当厳しい見通しを持っておるわけでございます。  それから漁業協力費は、現在三十七億五千万円の漁業協力費をソ連に支払っておりますが、これにつきましても、恐らくソ連はこれの引き上げについて重大な関心を持っておると思っております、現在交渉中でございますが、幸いにしてここ一年の間のソビエトの態度は非常に実務的な態度で交渉に臨んでおりますので、私たちといたしましては、この伝統あるサケ・マス漁業の安定的な操業が確保されるという基本的な立場に立ちまして今後鋭意交渉を取り進めてまいりたいと思っておる次第でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それでは本題に入りますが、昭和五十一年に漁船船主責任保険が試験実施された以後二百海里時代を迎えたわけでございますが、先ほどから何回も言っているように、わが国の漁業をめぐる情勢というのは非常に厳しいわけでございますけれども、どのような方針でこの本格実施に入るのか、その決意をお伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 先ほども大臣がお答えを申し上げましたように、水産業を取り巻く情勢はきわめて厳しいものがございます。従来の水産業の発展を支えてきました諸条件が大きく変化しておるわけでございます。  そういう情勢の中で、漁船船主責任保険では、外国の二百海里漁業水域への入漁条件に合わせて、てん補リスクを追加いたします等、制度内容の改善を加えてきたところでございます。  一方、漁船船主責任保険の実績を見ますと、新しいそういう秩序の形成の過程でも引き受けは順調に伸びておりまして、事故の発生状況にもそう特段の影響は見られないということでございますが、しかし今後におきます漁業実態の変化によっては新たな保険需要が生じたり、あるいは保険事故の発生に予想外の影響が出てくるということも言えなくはないわけでございまして、そういう意味におきまして、本格実施に当たりましては、漁船船主責任保険のてん補範囲等を省令にゆだねる、そうして新しい事態が起きた場合にも弾力的に対応ができるようにいたしますと同時に、異常事故の発生等によりまして収支が悪化したというふうな場合に備えまして、国の再保険事業を導入するということにいたしたわけでございます。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕 そういう措置によりまして今後の事態に備えて十分対応できるようにということを基本的に考えているわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 いま御説明あったように、従来の別々の保険が関連することは、損害評価を統一的に行うということで考えれば有効な制度であると考えます。しかし、本制度の実施により、普通保険に加入していない漁船は、試験実施中は加入できましたけれども、本格実施後は加入できなくなるという矛盾がここに出てくるわけです。普通保険未加入船に対する指導は、水産庁としてどういうふうに指導していくのか、この点はいかがでしょう。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 漁船船主責任保険単独の加入者は、船体にかかります保険につきましては、民間保険会社の船舶保険を利用しているものでございます。しかし、これらのもののうち中小漁業者に該当いたしますものにつきましては、できるだけ中小漁業者の相互扶助の精神にのっとりまして、漁船保険を利用してもらえるように漁船保険組合を通じて十分指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 わかりました、  次に、これまでの試験実施中の漁船船主責任保険の損害率は、数字からいくときわめて低い、こういうことになっております。したがって、五十五年三月末の累積剰余金は十二億七千八百万円、これだけの剰余金が出ているわけですから、保険料の引き下げも考えられる、そして漁業者の負担も軽くすべきではないか。先ほども出ましたけれども、今後の保険料率の見直しはどうするか、この点をお伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 漁船船主責任保険の保険料率につきましては、試験期間中の収支状況が御指摘のように良好でございましたので、三回にわたってこれを引き下げてきたところでございます。本格実施に当たりましては、異常な事故に対処しますために、漁船の保険中央会の再保険責任を国がさらに再保険するということになっております。このことによりまして、従来の保険料率に含まれておりましたいわゆる安全割り増し部分を大幅に削減できるわけでございますので、本年十月から平均で約二二%の保険料率を引き下げる予定にいたしております。今後におきましても保険収支の動向を十分に把握いたしまして、危険率に見合った適正な保険料率を設定するように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 次に、試験実施中は国から中央会に試験委託費というのが出ているわけですね。本格実施後の委託費はどういうふうになりますか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 船主責任保険の試験実施におきましては、適切な保険制度の確立に必要な資料を収集するということでございますので、中央会に対しましててん補すべき損害の範囲であるとか、あるいは適正な保険料率の設定等に関します調査を委託しておったわけでございますが、この調査に基づきまして今回漁船船主保険の制度が確立されるわけでございますから、保険契約はそこで終了するということでございますから、本格実施後はその委託費は交付しないということに相なるわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 積荷保険の件は、さっきお話がございましたけれども、重ねてお伺いしますが、漁船積荷保険は試験実施期間を五年間延長して今日に至っておるわけでございますけれども、今回責任保険が本格実施されれば、二百海里の漁業環境の変化があったとはさっき言っておりましたけれども、責任保険より先に試験実施された積荷保険だけが本格実施されないことになるわけでございます。積荷保険の本格実施を見送った理由、先ほども各国との問題等があって一、二年データをとってからと、こういう話がありましたけれども、もう一度お伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 二百海里時代の到来に伴いまして、外国の二百海里水域内におきますわが国の漁業は、操業禁止区域の設定でございますとか、あるいは入漁隻数あるいは漁獲量の制限等のいろいろな制限、制約を加えられておるわけでございます。たとえばマグロはえなわ漁業を見ますと、従来のいい漁場から締め出されたということもございまして、新たな漁場を探索しなければいけない、どうしても航海日数が長期化するということがございます。同時に、魚価はある程度は上昇していきますので、一隻当たりの積荷価格も増大するというふうな実態にございます。  こういうふうな変化は当然に漁船積荷保険の収支にも影響を与えておりまして、支払い保険金の純保険料に対する割合、いわゆる損害率は五十一年度以前には六〇%前後であったのでございますが、五十二年度以降は八〇%を超えまして大幅な上昇をいたしておるわけでございます。二百海里水域の設定期を経まして、沿岸国は自国水域の積極的な活用を図るというようなことで入漁料もいろいろと上がっております。  したがいまして、今後の動向というものはなかなか予断を許さない状況にあるわけでございまして、漁船積荷保険につきましては、適切な保険制度を仕組むということにつきましてさらに試験実施を継続する必要がある、そうしてさらに新しいデータを集積して適切な制度の確立に努めたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういうデータが整い、めどがつきますならば、先ほど大臣がお答えいたしましたように、できる限り速やかにこの本格実施に移行したいというのが念願でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 そうすると、本格実施の時期というのはめどがつきませんか。計画はどうですか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 延長後の試験実施期間が昭和五十八年九月まででございますから、私はこれはどうしても一つの節目であるというふうに考えておりますが、先ほども大臣が申し上げましたように、データの集積その他で制度の確立のめどがつけばできる限り早く実施したいというのが考えでございます、

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それではまた話が変わって大変恐縮ですけれども、今村長官、二月に訪米されていろいろ対米交渉されたわけですけれども、この対米漁業外交のあり方についてお伺いしたいと思います。  昨年の十二月二十六日に成立したブロー法案ですけれども、ことしに入ってからズワイガニ割り当て枠問題、イルカ、キングサーモンの混獲規制等米国の外国漁船、特にわが国の漁船に対する締めつけが厳しくなったように思うわけです。昭和五十二年に先進国が一斉に二百海里漁業水域を設定したきっかけというのはこれは米国から始まったわけです。その直後から連鎖反応的にソ連等が二百海里の設定に踏み切っている状況でございます。このことからも明らかなように、国際的な漁業規制は米国の影響がきわめて大きいと、このように私は思うわけでございますが、したがって日本としてもこの米国の動き、これには絶えず注視をしなければならないし、また対応策を立てなければいけない。  そういうことで最初にお伺いしたいのは、この対米漁業外交の基本方針、これはどういうことになっておりますか、その辺をお伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 対米漁業関係は、現在までのところ私は大筋として大体うまくいっておるというふうに認識をいたしております。  昨年、貿易問題でいろいろと若干の問題はあったわけでございますが、昨年春から夏にかけまして向こうのフランク長官が来日し、私がアメリカへ行きましてこの貿易問題についても解決を見たところでございます。昨年の割り当てが百四十万トンの割り当てでございまして、今年はすでに百二十万トンの割り当てをもらっておるということから見れば、大筋としては円滑に推移をしてきたというふうに見ていいのではないかと思います。  ただ、先ほど御指摘のように、イルカの混獲問題でありますとか、ズワイガニの問題でありますとか、あるいはキングサーモンの混獲問題でございますとか、そういうとげといいますか、そういう問題がございます、これらにつきましては、それぞれ話し合いによって解決をいたしたいと思います。  ただ問題は、御指摘のように、今後の日米におきましては、アメリカは自分の国内の漁業を振興したいということの基本的政策を持っておるわけでございます。それからまた、そういう観点から外国割り当てを行うに当たって、アメリカの魚を買う国に割り当てをたくさん出すということをブロー法案等でも明示的にこれを規定いたしておるわけでございます。  したがいまして、アメリカとの漁業関係は、日ソ、ソ日のようにとったりとらしたりという関係ではございませんで、一方的に百二十万トンないし百四十万トンの割り当てを受けておる、そういう関係にあるわけでございますから、今後の対米水産関係につきましては、私は十分な留意と努力を要するものであるというふうに認識をいたしておるわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 大体うまくいっているという最初のお話でございますけれども、それじゃブロー法案に限って、これは自国の、アメリカの漁業振興と外国漁業の締め出し、このようにもとれるわけですけれども、それではブロー法案に限ってどういう認識をされておりますか、

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) ブロー法案の当初の案というのは非常にシビアな案であったわけでございますが、その後いろいろとやりまして、現在成立しておりますブロー法案について問題を申し上げれば、一つはフェーズアウト条項というのがございます。これはフェーズアウトという言葉は表面から隠れておりますけれども、実質的にはフェーズアウトでございますが、それは外国漁獲枠の削減は米国漁業の伸展の度合いに応じたものとするということでございます。  現在のブロー法案以前においても、それは適正漁獲量を決めまして、それからアメリカの漁獲数量を引きまして、それを外国割り当て数量の総量といたしまして、その総量をそれぞれどういうふうに配分するかということでございますから、考え方としては、ブロー法案が成立する以前におきましても、アメリカの漁業が振興をする度合いに応じて外国割り当ては減っていくという考え方が基本にあるわけでございます。  しかし、そこのところをもう少し端的に、どの程度アメリカの漁業が発展すればどの程度外国の割り当てを滅していくかというふうな一つの基準のようなものが設定されておりますから、それをさらに強力に前面に押し出したという形に相なっております。  ただ、漁期当初の漁獲割り当て量が減少いたしました場合にでも、米国が漁獲できない未利用部分が生じた場合にあっては、それは翌期中に割り当てを追加して行うという形になっております。したがいまして、米国の漁業が今後伸展が見込まれます一部の魚種、たとえばギンダラのようなものについては、わが国に対する漁獲割り当て量の減少度合いが加速されるということはございます。  しかしながら一番大きな問題は、百二十万トンのうち八十万トン以上はスケトウダラをとっておるわけでありますから、スケトウダラのアメリカの漁獲実績といいますか、アメリカの漁業の振興度合いというものは、これはそんなに急速にいくものではございませんから、当面このフェーズアウトが働くといいますか、大きく働く余地は私はないのではないかというふうに思っております。  それから入漁料は非常に上がったというふうに認識をされておるわけでございますが、従来のアメリカの三・五%の入漁料というのは、これは日本の内地へ持ってきた水揚げ価格ではございませんで、向こうでの舷側価格でございますから、これを水揚げ価格に直しますと大体一・七%ぐらいに相当いたします。したがいまして、これが倍になったとして三・五%ぐらいで、通常入漁料三・五%と言われておった水準になったということでございまして、倍率として非常に引き上がったというふうな印象を受けますけれども、実態上の負担といいますならばまず三・五%、通常の水揚げ入漁料の水準になったということでございます。しかしながら、それは上がることは確かでございまして、今後一体入漁料はどういうふうになっていくのかということにつきましては、これは重大なる関心を有するところでございます。  それから第三点のオブザーバー問題がございますが、これは法律運用におきまして例外規定を設けられましたので、私は、実行上の問題としてはそれは窮屈にはなりますけれども、そんなに急速に窮屈になるというふうには思っていないわけでございます。  もっとも、実は私たちが一番関心を持っておりますのは、漁獲割り当て量決定の考慮要件として、明示的にマーケットアクセスということの問題が取り上げられておるわけでございまして、一言で申し上げますならば、アメリカの魚をたくさん買う国にそういうことを考慮して割り当てをするということでございまして、この問題につきましては、わが国としましても、なかなか対応がむずかしい問題ではないかというふうに思っておるわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 入漁料の問題まで御答弁願いましたけれども、去年に比べると四十億円にも及ぶ、こういう数字が出ております。今後の見通しは、いまおっしゃっておりましたけれども、最後に大臣に、この米国の輸出攻勢への対応はどのようにされるか、その決意をお伺いしたいと思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 常々申し上げておりますとおり、日本の漁業に大きく影響のないようにやはり話し合いを十分にする。幸い、アメリカとの間におきましては、農産物あるいは果物等についても十分話し合いがついておるわけでありまするし、水産関係におきましても、ただいま長官から申し上げましたように意思疎通が非常によくいっておる、お互いに言いたいことが言えるという立場にありますので、その点は心を開いて、そして十分お互いに認識し合って、そして話し合いによって解決するという方向をとるべきである、こう私は考えておりまして、それによって日米間の漁業関係の問題につきましても十分いままで以上にやってまいれる、こう考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 以上、終わります。     —————————————

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として茜ケ久保重光君が選任されました。     —————————————

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 時間が限られておりますから、二つの問題にしぼって御質問いたします。  第一は、保険金額の問題にかかわる点です、五年間の試験実施期間中に事故一件当たりの支払い保険金額の最高金額を見てみますと、三千万円余りということで、比較的低かったというように言われております。その理由の一つに、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律による船主責任制限額の設定が挙げられております。この法律によりますと、船長や乗組員が第三者に与えた損害について、船主は一定の金額を支払ってその責任を免れることができるとされておりまして、その制限額は、三百トン未満の漁船の場合、物損のみで六百九十万円、大損も含めて二千百三十九万円となっているというわけであります。  この船主責任制限制度については、制限額が低過ぎて加害者保護になってはいないかという不平も出ております。たとえば最近の事例ですが、昨年の十一月に最高裁で、この制限制度が財産権を保障した憲法二十九条に違反するかどうかが争われておりまして、これは合憲であるということで特別抗告が棄却されております。  実際にこの場合、中身を見ますと、衝突を受けて沈没した漁船の被害額は約二億一千四百万円。しかしこの事故を起こした側の船舶の所有者は六百九十万円の責任で済むということになっているわけです。したがって、この法律自身が憲法二十九条に照らして合憲であるとしても、今日の経済情勢の実態から見ますと、きわめて納得し得にくい事情もあるのではないかというふうに思います、  そこで、まず法務省にお尋ねしますが、いま世界の各国でこの制限額を引き上げる方向で動きがあるというように聞いておりますが、この船主責任制限制度の今後の動向についてどういった見解をお持ちなのか。具体的に言いますと、引き上げの予定があるのか、あるいはその場合、制限額はどのくらいに設定されるお考えなのか、こういった点についてまずお答えをいただきたいと思います。

稲葉威雄法務省民事局参事官

○説明員(稲葉威雄君) 御指摘のとおり、現在の船舶の所有者等の責任の制限に関する法律に基づく責任制限額は、客観的情勢に比べて若干低きに失するのではないかという批判があることは十分承知いたしております。  これは実は一九五七年に成立しました海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約という条約に基づく国内法でございまして、この条約につきましては、一九七六年にこれの改正という形で海事債権についての責任の制限に関する条約というものが調印されております。これを私どもとしてはできるだけ早い機会に批准いたしまして、これを国内法化するということで検討いたしたいというふうに思っております。  その金額でございますが、先ほど先生の方から三百トンの船の例が出されましたが、これをたとえば例にとってみますと、この新しい条約によりますと、これはSDRで責任限度額を定めることになっておりますので、日々変動するわけでございますが、きのうのレートで申しますと、物損の場合に四千三百四十二万円ということでございまして、大体六倍ぐらいに引き上げられる。これはトン数に応じまして非常にばらつきがありまして、概して申しますと二倍程度ということでございますが、小さい船に関します限りはかなりの程度に引き上げられる、こういう予定になっております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そこで水産庁にお伺いいたしますが、そういう客観情勢の変化に伴いまして、現在まで試験実施されてまいりました保険金額の体系では、現実にいま十分対応できないのではないかというふうに思うんです。  たとえば十トン未満の漁船でこのクラス最高額の保険金額は三千万円ですが、それに入っていた場合に、事故で物損が六千万円、あるいは五千万円から六千万円という物損、損害を与えた。そうしますと、これは仮にいまおっしゃったように四千万円余り、五千万円近くまで引き上げられたといたしましても、残りの二千万円ほどは保険のてん補ができない、自己負担になりますね。  ですから、この点でも支障が出てくるわけで、十月からの本格実施に当たっては、漁業者が安心して入れるような保険制度にするために保険金額の改善ですね、これを考えるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 今回の漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険の内容につきましては、試験実施期間を通じて逐次改善を加えてきたところでございますが、保険の仕組みあるいは実施機構につきましても、事業の安定的な運営が確保されるように十分検討いたしております。しかし保険金額でありますとか、保険料率などの漁業者の保険需要あるいは危険の変動に応じまして、随時改善を図っていくことはもとよりでございますから、船主責任制限法の改正等があれば、それは省令の改正によって弾力的機動的な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 これは法務省の方でそういう改善があれば当然合い議があると思いますから、大臣の方も十分こたえていただきたいというように思います。  第二の問題は積荷保険の問題であります、  水産庁は五十五年の八月に五十六年度予算の要求重点事項を発表していますが、その中にかねて試験実施してきた漁船船主責任保険及び漁船積荷保険を本格実施するということで、保険料に対する国庫負担額約二千万円を計上されています。それからその後も大蔵省との予算復活折衝を行ってこられましたが、十二月二十四日に発表された復活要求重点事項、さらに第三次の内示額の発表に際してもこの問題は折衝中として扱われております。  このように水産庁としては一貫して、積荷保険の本格実施のために、五十六年度予算の重点項目として、最後まで大蔵省と折衝されてきたという経過を承知しておりますが、そこで長官にお尋ねしますが、そうやって努力されてきた積荷保険がどういう理由で予算に計上されなかったのか、その点まずお聞きしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 本格実施することができなかった諸般の事情につきましては、二百海里時代を迎えましての状況の変化等を踏まえまして、それが漁船積荷保険の収支にも影響が出てくる。こういうことでさらになお資料を収集をし、検討をいたしたい、こういうことでございます。  予算要求のときに要求をしておったにもかかわらず実現を見なかったのはなぜかと、こういう御質問でございますが、私たちは、八月当初予算の段階におきましては、これは十分詰めないといいますか、そういう事態の検討も必要であるということを前提にして予算を要求いたしておるわけでございまして、概算要求時点におきます状況というものが即本格実施に踏み切るということの状況とは異なるわけでございます。  それから最後まで残しておいたのになぜやらなかったのかという問題でございますが、これは予算折衝の一つの、何と申しますか、作戦というと語弊があるわけでございますが、たとえば片一方の本格実施の場合におきましても、大蔵省はこれに対する国庫補助というものを非常に問題にいたしておるわけでございますから、そこら辺の兼ね合いということもあるというふうにお考えいただいても結構ではないかと思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 いまの長官の答弁は、私はちょっと大変だというように思うんですね。最初おっしゃった予算に計上できなかった理由については、二百海里その他のいろいろな諸般の情勢、問題、それからデータの収集、こういったことをおっしゃる。先ほど同僚議員からも質問ありましたけれども、それは八月段階でわかっている問題です。それで八月段階の重点項目に挙げ、そして先ほど言いましたように、十二月の復活折衝や内示の段階まで要求するだけの根拠を持っておられたはずです。単に見せかけの要求だったのか。予算折衝というのはそういう形でやられるということになりますと、それが実態だということはるる巷間言われていますけれども、もっと根拠に基づいた必要なものを最低限度要求して、そしてこの後は政府の政策決定、方針と相まって具体化される問題であって、いまのような言い方というのはどうもこれは納得できないというように思うのです。結局、業者の皆さんの強い要求もあるし、そして漁業保険の三つの体系を確立する、三本そろって確立するわけですから、そういう点で当然これは一体のものとして実現されなければ、本格実施されなければならないものであって、結局は大蔵省にぐっと抑えられて、抑え込まれたということを告白しているだけであるというように言わざるを得ぬと思うんです。  そこで、もう時間もありませんから、最後に大臣にお聞きしたいと思うんですが、いまのような答弁では、どうもこれは農水省、責任者の大臣としても黙っておるわけにはいかぬだろうと思うので、この点は一言大臣の見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一つは、いま言いましたように、漁船の船体、積荷及び船主責任保険の三制度、これの本格実施が三つそろってやられますと、ほぼ完全な姿になって、漁業者やあるいは漁船保険組合などにおいても、漁業運営の一層の安定、保険加入の促進、事務の簡素化、こういったものが図られるというように思うのです。ですから、五十六年度はついに押し切られるということになろうかと思うんですけれども、一体のものとしてやる構えで水産庁自身が本当に根拠を明らかにして奮闘される、がんばるならば私はできていたんじゃないかと思うのです。そこで、一日も早くこれを本格実施に移していくという点で、再度五十七年度予算で要求し、最重点項目として計上してその実現のために努力すべきだと思いますが、この点の大臣の決意を改めてお伺いしておきたいというように思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 来年は補助金二兆円カットというような大きな問題も抱えておりまするし、できるだけ早く提案をしたい、本格実施にいきたいと、こうも考えておりまするし、私自身も五十六年度の予算で何とかならぬものか、この程度のデータでも大蔵省を押し切れるんじゃないかというようなことで概算要求をいたしたわけですけれども、やはり金勘定は大蔵省の方が上手でございますから、その面でもう少しのデータが不十分であるというようなことで一歩下がらざるを得なかったというのが実態でございます。したがいまして、五十七年度には必ずやるというようなことはここでは申し上げられませんけれども、全力を挙げて早期本格実施ができるように、そうして困難なる水産業界の皆さん方が安心して操業できるような法的体系を確立していかなければならないと、こう考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 終わります。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 すべてに立ちおくれておる沖縄の状況でございますが、きょう審議されます漁船損害補償法の一部改正につきましても要請の電報がたくさん参っております。ここには特に沖縄県漁業保険組合長の名前で長文の電報が参っておりますが、一例としてここに持って上がったわけでありますが、このように非常に待望いたしております。  そこでその法に関連して二、三お尋ねしたいんですが、この表によりますと、沖縄の場合、加入状況が全国平均に比べて、全国が五二・八%、沖縄が二五%、半分以下でありますが、この原因はどこにあるんでありましょうか。

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 沖縄県における漁船保険の加入状況が低い理由といたしましては、日本内地でもそうでございますが、保険需要の少ない一トン未満の動力漁船、この比率が非常に高い、全漁船の五〇%を占めている。これが一つの原因でございます。保それから第二点といたしましては、全般的に漁業者に対する漁船保険の啓蒙普及がいまだ不十分である。こういう二点が考えられます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 不十分であるということなんですが、これはどうしても全国並みに啓蒙していただかなければいかぬと、こう思うのですが、その指導、助成に対する具体的な方法をどのようにお考えですか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 沖縄県におきます漁船保険の加入推進を図っていきますために、四十七年度以降、沖縄県の漁船保険組合が漁業者及び漁業協同組合の役職員を対象として行います、漁船保険制度の普及宣伝活動に要します経費、それから沖縄県の漁船保険組合の事務の執行に必要な経費を助成することにいたしまして、同時にまた水産庁の職員を現地に派遣いたしまして、加入推進の実地指導を行っておるところでございます。さらに五十五年度からは、漁船保険の加入推進、付保率の向上等に資しますために漁船保険の付加保険料適正化事業を実施いたしておりますが、これによりまして、漁業者の保険料の負担の軽減を図ることによりましてその加入の拡大に努めているところでございます。今後とも沖縄の漁船の保険への加入の促進につきましては私どもとして特段の努力をいたすつもりでございます、

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいのは、この資料から見ますと、特に最近漁船の事故が、総合、全損、分損、衝突、こういった分類がありますが、沖縄の場合事故が年々ふえてきておりますが、これはどういうわけなんでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 確かに御指摘のように、最近におきます事故発生率は非常に大幅な上昇を示しておるわけでございます。事故の内容は分損事故の増加でございまして、その原因として私たち考えますに、最近沖縄県におきましてはFRP船が非常に普及いたしまして、旧来の木船から新鋭機関を装備したFRP船に切りかわりつつある。その過渡的な現象として、たとえばエンジンの取り扱いの問題でありますとか、新船でありますから操作の問題でありますとかいうことによって、どうも事故が多発しておるんではあるまいかというふうに見ておるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ特別の配慮で育てていただきたい、要望いたします。  次に、沖縄における組合の収支のバランスといいますか、健全な収支が行われておるかどうか、この状況はどうなっておりますか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 沖縄の漁船保険組合の収支でございますが、最近加入隻数でありますとか、あるいは保険金額が着実に伸びてきております。したがいまして、五十四年度には約二千万円の剰余金を生じるに至っておりまして、五十四年度末の準備金は約五千八百万円ぐらいになっております。今後も引き続き加入の伸びが見込まれると思います。したがいまして、保険事故の防止に努めることによりまして収支が安定的に推移していくというふうに期待いたしておるところでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 次に、経営基盤に脆弱性があるわけでありますが、この経営基盤の強化ということについて特に御配慮願いたいわけですが、この強化策としてどういうことをお持ちでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 沖縄県の漁船保険組合に対しましては、本土に復帰しました昭和四十七年度から事務費の一部を補助しますと同時に、加入促進の重点的な指導を行うことによりまして経営基盤の強化を図ってきたところでございます。この結果、先ほども申し上げましたように、加入隻数は順調な伸びを示しておりますし、準備金も着実に蓄積されておるという状況にございます。  しかし、沖縄県におきます漁船保険の加入率はまだ低うございまして、加入拡大の余地は大きいと思っております。したがいまして、沖縄県の漁船保険組合に対しましては、今後とも関係団体の協力を得まして加入推進に努めると同時に、経営基盤の一層の強化を図るように特段の指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 この加入分析から見ましても、千四百四十九隻のうち五トン以下の小型船が圧倒的に多いわけなんですね。そういうこととにらみ合わして、小型船の保険料の負担過重、こういうことになっておるのではないかということも察せられますが、その点どうでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 漁船保険の純保険料につきましては、できる限り漁業者の保険料負担を軽減する、それによって加入の拡大を図って危険分散を容易にしていくということが重要でございますので、今回保険料の一部につきまして国庫負担を行っておるところでございます。その国庫負担の割合につきましては、漁業者の保険の負担能力等を考慮いたしまして小型漁船の国庫負担率を高くいたしております。  同時にまた、五十六年からは純保険料率を平均約七%引き下げますと同時に、五十五年度から実施いたしております漁船保険付加保険料率の適正化事業によりまして付加保険料率の引き下げを図ることにいたしておりますので、小型漁船の保険料負担はさらに軽減されていくものだというふうに考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 その点よろしくお願いします。  次に、特に沖縄は、全国的にもそうでしょうが、海難事故防止に対する対策が徹底せぬといけないのではないかと、こういうことを痛切に感ずるわけですが、その事故防止の対策を二つの面から、漁業者の立場あるいは漁船の安全性の立場、この二面からお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか、

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 海難防止につきましては、主として海上保安庁の所管でございまして、保安庁といたしまして、訪船指導であるとか、海難防止講習会、海難防止強調運動を通ずる等、指導啓蒙を図っているところでございます。水産庁といたしましても、運輸省、保安庁と連絡を密にいたしまして、漁船法に基づく漁船の検査、漁業無線の整備等のほか、乗組員の技術向上講習会の開催等を通じまして事故の未然防止に努めているところでございます。  現在、事故の原因といたしましては、依然として漁船乗組員の見張り不十分等による運航の間違い、あるいは機関取り扱いの不良等、人的要因によるものが非常に多い。こういうことから、海難未然防止のためには関係者の自覚が必要である。こういうことから水産庁としてもいろいろ漁業者の啓蒙指導に当たっていきたい、こう考えておるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 漁船の面からお聞きしますと、漁船というと木材船だと思っておりましたら、最近木材船にかわってFRPといいますか、それにかわっておるということを聞いておりますが、木材船とそのFRPとは安全性の面からどういう長所、短所があるんでしょうか。

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 最近FRP船は主として小型漁船につきまして非常に増加しているわけでございます。FRP船は木造船に比べまして船体の重量が非常に軽い、それから維持管理が容易である、あるいは量産が可能である、こういう長所がある反面、建造価格が高い、あるいは電食対策上問題がある、あるいは船の重心位置が上昇しやすい、こういうような欠点があるわけでございます。いろいろ調べまして、船の安全性につきましては、FRP船と木造船等につきましてさほど変わらないであろうと、こう考えられております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 船の値段の上からはどうなっていますか、

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 建造価格はFRP船の方が高くなっております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 次に、沖縄における漁船船主責任保険の加入率が低いように思われますが、この原因はどこにあるか。また、どうしてもこれは加入を進めていただかぬといかぬじゃないかと、こう思いますが、今後この加入拡大を図るためにどういう対策を持っておられますか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 五十一年十月から五十五年の二月末までの加入実績を見ますと、基本契約は、加入隻数が七十二隻、保険金額は十三億九千万円、純保険料が二百六十九万円、それから乗組員の人命特約は、加入隻数が二十八隻、保険金額は二億六千万円、純保険料が四十七万八千円ということになっております。また、漁船の乗組船主保険は、加入隻数が二十二隻、保険金額は四千二百万円、純保険料は七万五千円、こういうことでございまして、確かに加入状況は低うございますが、幸いにして漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険ともに加入は年々増加をいたしております。今後加入の拡大がさらに必要であるというふうに思っております。  このための対策につきましては、本格実施に伴いまして純保険料二二%を引き下げる、あるいは純保険料の国庫負担を行う、先ほども申し上げましたように、小型漁船については特に率の高い国庫負担を行いますと同時に、漁船保険中央会を通じまして本保険の普及浸透に努めまして、その加入の促進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 非常に強烈なこの補償法の改正に対する要望がある反面、現状はいままでいろいろお尋ねしましたような状況であります。  そこで、五十六年度の国庫負担額、それから漁船保険国庫負担額、その二つの面の額はどうなっておりますか。

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 時間が参っておりますので簡潔に願います。

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 漁船船主責任保険につきます国庫負担額は四千七百万円でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 国庫負担額の……。

山内静夫水産庁次長

○政府委員(山内静夫君) 普通保険は総額七十二億円でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 じゃ、時間が参りましたので大臣に、以上お聞きしましたように、沖縄の場合にはまだまだこれからというところでありますので、どうぞひとつ特別の御配慮をもって早く本土並みに引き上げていただきますように、希望を持って安心して取り組んでいけるように、こういう願いを込めて、大臣の決意を承りまして終わりたいと思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) 沖縄の水産業は、わが国唯一の亜熱帯地域であるという自然的特性を活用して大いに振興してまいりたいと、こういうことでございまして、いまいろいろ保険関係についての御質疑があったわけでありますが、その間いろいろ御指摘をいただいた点につきましては十分配慮いたしまして、五十六年度も漁業関係につきましては、約八十五億四千万の経費を沖縄に行使いたしまして沖縄の漁業を振興したいと、こういうことで努力いたしていこうということにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます、山  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですので、これより直ちに採決に入ります。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、坂元君から発言を求められておりますので、これを許します。坂元君。

坂元親男自由民主党・自由国民会議

○坂元親男君 私は、ただいま可決されました漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  我が国の漁業をめぐる情勢は、二百海里時代到来に伴う諸外国の漁業規制の強化、第二次石油ショック後の燃油の高騰、水産物需給の緩和を反映した魚価の低迷等、まことに厳しいものがあり、漁業経営も困難の度を加えている。  よって、政府は、漁業における保険・共済制度の充実等、漁業経営安定のための施策を強力に推進するとともに、とくに、本法の施行に当たって、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。  一、漁船船主責任保険制度の本格実施移行に当たっては、試験実施中の保険収支の実態にかんがみ、純保険料率の適正化を図るとともに、漁業の現状に即したてん補範囲の拡大、保険金額の弾力的な設定及び加入の促進に努め、もって、制度の充実を期すること、  二、漁船保険中央会の再保険事業については、指導事業との関係にも留意して、厳正な常例検査の実施等、指導・監督を強化すること。  三、漁船保険組合の付加保険料率等の格差が、組合の経営規模の差を反映したものである事実にかんがみ、組合合併等の経営基盤強化対策を推進すること。  四、試験実施継続中の漁船積荷保険については、必要な資料の収集・整備を急ぐとともに、漁船船主責任保険制度及び漁船保険制度との関連性を十分考慮して、可及的速やかに本格実施に移行すること。  五、漁業に関する各種保険・共済制度の相互関係の実態等にかんがみ、引き続き制度の統合、一元化及び簡素化に前向きに取り組むとともに、漁業共済制度の収支悪化の現状に対処するため、制度改善措置を検討し、早急に結論を得るよう努めること。  六、漁船の海難多発に対処するため、海難防止対策の拡充を図ること。  右決議する。  以上でございます。

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) ただいま坂元君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、坂元君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀岡農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します、亀岡農林水産大臣。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(亀岡高夫君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努めてまいりたいと存じます。

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか、    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上吉夫自由民主党・自由国民会議

○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会      —————・—————

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