大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 387 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1981/03/30
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、和田静夫君及び関口恵造君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君及び野呂田芳成君が選任されました。 —————————————
○委員長(中村太郎君) 物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案、有価証券取引税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。 三案の質疑は終局しておりますので、これより三案の討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大木正吾君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案外二法律案に対しまして、反対の立場から討論を行います。 まず、今次税制改正全般を通じまして感じますことは、所得税減税見送りにより、所得税の実質増税を図り、所得に対し逆進的な酒税、物品税など間接税を増徴するという安易な増税を意図するものでありまして、政府みずからが招いた財政運営の失敗を、社会的、経済的弱者である中小零細企業並びに低中所得者層に転嫁をし、過酷な負担を強要する内容であることを指摘せざるを得ません。 そこで、本題の物品税法改正でありますが、これまでの審議を通じましても、物品税の性格や客観的な課税基準等についての明確な定義も示されないままに、一部税率の引き上げと新規に課税物品の拡大を図ろうとするものでありますが、これを販売価格などへの影響という面から見ますと、大企業に係る製造物品については、増税分を企業内努力で吸収できるにもかかわらず、安易な販売価格引き上げてその負担を国民大衆にしわ寄せをし、また零細・下請企業は税額分を転嫁できずに重負担を強要されることは明らかでございます。 さらに今回の改正で、課税物品に対する買い控えなど国民消費の低迷が予想され、これに対応して企業の減量経営が進むことにもなりますれば、倒産、雇用不安がさらに拡大することも危惧される問題であります。 印紙税法改正につきましては、応能負担の原則が無視されており、取引規模に対する税負担がほぼ一定率でありますし、報酬に係る領収書は非課税となっているなど数々の矛盾が放置されており、そこに印紙税の脱税を助長する要素があると考えざるを得ないのであります。 有価証券取引税法の改正につきましては、その創設された経緯から見ましても、現行所得税制で若干のケースを除き、キャピタルゲイン非課税を容認してきた財政当局の怠慢を改めて問わねばなりません。特に今回の改正内容は、証券会社の優遇に終始をし、私どもが予算の組み替えなどで要請してまいりました財源対策としての有価証券取引税増税の内容とは全く乖離をいたしました不十分なものとなっているのであります。 以上述べてまいりました理由によりまして、これら三案に対しまして、租税民主主義のたてまえから見ましても国民的要請となっている税負担の公平化を進める上からも、説得性のある改正根拠が何ら見受けられないことを強く指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○衛藤征士郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案の三案に対しまして、賛成の意を表明いたします。 わが国の財政は、昭和五十年度以降、特例公債を含む巨額の公債に依存するという異常な状態にあります。 今後、国民生活の安定向上と経済の自立的発展を図り、長期的に見て調和のとれた経済社会を実現するためには、早急に特例公債への依存から脱却し、財政を健全化することが必要であります。 政府はこのような財政事情に対処して、昭和五十六年度予算において、公債発行額を前年度当初予算額より二兆円減額する一方、歳出面において経費の節減合理化を行っておりますが、福祉、文教、地方財政対策等の行政水準を維持するためには、なお相当の財源が必要とされるところから、新税を導入することなく、現行税制の枠組みの中で増収措置を講じようとしていることは、まことに必要にしてやむを得ないものと考えます。 議題の三法律案は、いずれもその一環であり、昭和五十六年度におきまして、物品税について七百七十億円、印紙税について三千六百九十億円、有価証券取引税について五百九十億円の増収を図ろうというものであります。 まず、物品税につきましては、ビデオテープレコーダー等の新規開発物品等を新たに課税対象に加えるとともに、乗用車等について税率の引き上げを行っておりますが、これらは現行課税物品とのバランス並びになお担税力の余地ありと判断される物品について負担増加を求めようというものであります。 次に、印紙税につきましては、最近における国民所得水準の上昇並びに取引規模の拡大等に対応して現在の負担水準を引き上げようというものであります。 さらに、有価証券取引税につきましては、国民の理解が得られると考えられる一部の有価証券について税負担の増加を図ろうというものであります。 これら三法律案におきましては、物品税について新規課税物品の急激な負担増加を避けるために、税率の暫定軽減措置を講じ、印紙税では過怠税の軽減措置を講ずるなどの制度の改善合理化を図り、有価証券取引税においても、資本市場に与える影響について十分な配慮が加えられるなど、適切な措置が講ぜられております。 今回の三法律案による増収措置は、現下の財源事情のもとで行政水準の維持、確保を図るという観点から見てやむを得ないものであり、納税者等に対してきる限りの配慮を行っていると考えられますので、賛成の意を表明いたしますが、今後においては行政改革による経費の節減合理化についてより一層の努力を政府に要請いたしまして私の討論を終わります。(拍手)
○矢追秀彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案について反対の態度を表明し、討論を行います。 議題となっております三法律案は、いずれもその提案理由に厳しい財政事情を挙げております。確かに財政再建は緊急かつ国民的課題であり、政府と国民が一丸となって取り組んでいかなければならない問題であります。ところが政府の姿勢は、国民に負担を強いるのみで、歳出削減への努力が全くと言っていいほど見られないのであります。政府が行政改革、補助金の整理等歳出削減に全力を尽くしてこそ国民の協力を得られるのであります。 今国会に提案されている税改正案を見ますと、赤字財政の責任はすべからく国民にあるのだから、その負担をするのは当然だとばかりの増税であります。しかも財政再建に名をかりた大衆課税の拡大であります。このような増税路線については認めるわけにはまいりません。 物品税は、本来ぜいたく品、奢侈品、一般庶民生活の水準を超えるものに賦課客体を置くべきでありますが、本改正案はそのような立法趣旨を崩し、単に国民の消費動向のみに着目して課税強化を図ったとしか思えないのであります。しかも、委員会審議でも指摘しましたように、課税対象、税率、免税点などについて基準が明確でないなど問題点が多く、不公平を拡大する大衆課税と言わざるを得ないのであります。 印紙税法については、改正のたびにほぼ二倍ずつの引き上げがなされておりますが、その理由は明確でないのであります。事業、営業を目的とするものと庶民生活の必要性に基づくものとは、担税力は異なるのは当然であるにもかかわらず、ただ単に算術的な税額引き上げで国民に負担を強いているのであります。保有価証券取引税の引き上げについては、かねてよりわれわれも主張してきたものであり、ある程度の評価はしますが、有価証券の課税については、譲渡益に対する原則非課税制度を抜本的に見直すことなくして解決はなされません。 以上、反対理由を申し述べましたが、税制度に関し国民の最大の不満は不公平にあります。徴税制度まで含め不公平の解決を政府が全力で取り組むことを強く要望し、討論を終わります。(拍手)
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、物品税法並びに印紙税法の両改正案について反対、有価証券取引税法改正案について賛成の討論を行います。 物品税法並びに印紙税法の両改正案に反対する第一の理由は、政府がこれまで推進してきた高度成長型財政がもたらした巨額の赤字からの脱出を、その財政構造を温存したまま、むしろ軍拡の方向を目指しつつ、その負担をすべて国民大衆からの増税で賄おうとしていることであります。 特に、物品税を財源調達のために増税するのは戦後初めてのことであり、財源確保のためならどこからでも取るという安易な増税方法と言わざるを得ないのであります。物品税はもともとぜいたく品、奢侈品に課税されるものであったが、次第に課税対象が拡大され、普及率が一〇〇%に近いテレビ、冷蔵庫にまで課税されており、今回、課税物品間の調整を理由に対象に取り込まれる全自動洗たく機、ライトバンなどは一般家庭、中小企業者の必需的な物品なのであります。 また、印紙税についても今回二倍の増税がなされるのでありますが、これには個人や中小企業者が日常的に作成する金銭受領書、契約書、委任状などの文書が一律に対象となっているのであります。 第二の反対理由は、当委員会の審議の中からも明らかになったように、物品税については課税対象、税率、免税点などについて何ら明確な基準がなく、今回の増税のように課税物品間のバランスを理由に拡大していけば際限なく広がり、ついには昨年の税調の答申が指摘するように、すべての商品への課税、すなわち大型消費税の導入に行きつかざるを得ないのであります。 第三に、実質賃金の低下と中小企業の倒産が続いている現下の経済情勢のもとで、物品税などの間接税を増税すれば、消費を一層抑制し、不況と経済危機からの脱出を一層困難にする一つの要因となるからであります。 以上が両改正案に対する反対の理由であります。 次に、有価証券取引税についてであります。 今回の改正は、最近の証券市場の急速な拡大と、その背後にある担税力から見て、財源対策上課税強化は必要であり、賛成の態度をとるものであります。 なお、最近の誠備事件などに見られる証券市場への投機資金の流入、賭博市場化を防ぎかつ高額の資産所得に対する課税漏れをなくすために、現在原則非課税とされ野放しにされている株式譲渡益に対する課税を強化すべきことは言うまでもありません。 最後に、このように問題が多く、多くの国民が反対している増税法案の審議はまだ不十分であり、その成立はとうてい認められないことを指摘して、私の討論を終わります。
○三治重信君 私は民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となりました物品税法、印紙税法並びに有価証券取引税法の一部を改正する各法律案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。 これら間接税三法案は、肥大化した行政、財政の穴埋めとして安易な増税を行う一環であります。現下の赤字国債に依存する財政の悪化は、われわれも十分に認識しているところでありますが、従来から行政改革によって財政の体質をいかに改革するか、また経済の安定成長を損わずにいかに進めるかでなければなりません。 ところが、昭和五十六年度予算案においては行財政改革の効果は見るべきものがなく、また不公平税制の現状も改まらないままであります。ただ赤字国債の二兆円の減額に関連して、制度をそのままにして財政収入不足を増税によって賄う方法をとられたことから、基本的に容認できるものではありません。 物品税法については、昭和三十七年に大幅な改正が行われましたが、それ以降二十年を経過しようとしています。課税対象物の拡大や税率の引き上げを見ると、自動車や家電製品に集中し、税額も物品税総額の過半を占める状態にあります。まさに取りやすいところから税を取り上げるという感じがいたします。物品税目をいかなる性格なものとするか、税制調査会の答申にも見られるごとく、物品税が奢侈品や嗜好品等生活必需品と直接関係しない高級品課税という設定当時から、今日の経済の高度化、生活水準の上昇等の変化から見て適宜見直しを行うことを要望するものであります。 次に、印紙税及び有価証券取引税の引き上げは、もし間接税の増強を必要と判断されるならば、この内容や方向に別に異議を唱えるものではありません。 租税体系の直接税と間接税の比率において間接税の比率が低下していく傾向にあります。したがって直間の比率の均衡には、少なくとも累進率の高い所得税に対して物価調整減税をしてから間接税の増強を図るという配慮があって当然かと思われます。 以上のような観点から、三案に反対いたします。
○委員長(中村太郎君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、物品税法の一部を改正する法律案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、印紙税法の一部を改正する法律案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、有価証券取引税法の一部を改正する法律案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 藤井君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井君。
○藤井裕久君 私は、ただいま可決されました三案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について配意すべきである。 一、物品税制について、最近における国民消費生活の実態、産業界の技術革新の進展等を踏まえ、課税範囲及び税率面での権衡等に配慮し、その課税についてさらに検討すること。 一、印紙税制について、今後における経済取引規模等に適合した税負担のあり方について検試するとともに、免税点の引上げについても十分配意すること。 一、個人の金融資産選択の場としての株式市場の重要性にかんがみ、その健全な育成に努めるとともに、最近における株式売買の実情等に配意し、一般投資家の保護に万全を期すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
○委員長(中村太郎君) ただいま藤井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、藤井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮いたしたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(中村太郎君) 次に。昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、両案を便宜一括して議題とし、これより順次趣旨説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長代理越智伊平君。
○衆議院議員(越智伊平君) ただいま議題となりました昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、三月二十五日、衆議院大蔵委員会におきまして全会一致をもって成案を決定し、提出いたしたものであります。 御承知のとおり、さきの衆議院議長裁定第二項、すなわち、「予算修正問題については、今後における財政再建の目途並びに財政状況の推移を踏まえ、昭和五十五年度の剰余金(予備費、不用額、自然増収など)によって対応できる場合は、各党関係者で実施について具体的に検討する。」との裁定に基づき、過日、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党派間においてその取り扱いを協議いたしました結果、 「一、財政法第六条の特例を設け、五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。 二、右の措置は単年度限りとし、議員立法を以つて措置する。」 との合意がなされました。 本案は、この合意に基づきまして、昭和五十五年度の歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例を定めることとしようとするものであります。 以下、本案の内容を申し上げますと、 財政法第六条第一項は、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととしておりますが、昭和五十五年度の剰余金についてはこの規定は適用しないこととするものであります。 以上が、この法律案の提案の趣旨及びその内容であります。 何とぞ、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(中村太郎君) 次に、渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、特恵関税制度の適用期限の到来及び最近における内外の経済情勢の変化に対応するため、特恵関税制度、関税率等について所要の改正を行おうとするものであります。 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。 第一は、特恵関税制度の改正であります。 特恵関税制度につきましては、昭和五十六年三月三十一日にその適用期限が到来いたしますが、開発途上国の経済発展に資するため、これをさらに十年延長することといたしております。 また、この延長に当たりましては、受益国からの制度改善の要請も強いことにかんがみ鉱工業産品に対する特恵関税の適用限度額等の算定の基礎となる基準年次の変更等可能な改善措置を講ずることとする一方、国内産業に対する影響が懸念される品目については、特恵関税の適用例外品目への追加等所要の調整措置を講ずることといたしております。 第二は、関税率等の改正であります。 まず、最近における対外経済関係の状況等にかんがみ、自動車部品につきまして二十一品目の関税率を無税とするとともに一品目の関税率を引き下げることとするほか、製造たばこにつきましては関税率を引き下げることといたしております。 また、鉛の塊、亜鉛の塊及びマグネシウムの塊につきまして、国内の産業事情等を勘案の上、関税無税点を引き上げることといたしております。 以上のほか、昭和五十六年三月三十一日に適用期限が到来する暫定関税率につきましては、その適用期限を一年延長することといたしております。 さらに、各種の減免税還付制度につきましては、昭和五十六年三月三十一日に適用期限が到来するものにつきその期限を延長するほか、製造用原料品の減免税対象の一部除外及び低硫黄燃料油製造用原油等の減税額の引き下げを行うことといたしております。 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を申し述べました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(中村太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 この際、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を議題に追加し、五案を便宜一括して質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大木正吾君 これはきのう、おとついの新聞報道でありますので、事務当局に対する質問の通告をしている暇もなかった件でございますが、一部の新聞に出ていますところの、医師のいわば会社化といいましょうか医療会社の記事が相当大きく取り上げられておるのでございますけれども、これについての大蔵省並びに国税当局のお考え方についてまず冒頭に伺いたいと思います。
○政府委員(小幡俊介君) 医療会社でありますとかあるいは第二薬局でありますとか、いろいろ医療をめぐりまする問題が新聞等に報ぜられておるわけでございますが、私ども国税当局といたしましては、税務上問題がないかどうかというふうなことにつきましていろいろ実態の把握に努めておるという段階でございます。 この問題は、厚生省の医療行政にかかわりまする問題であろうかと思うわけでございますので、私どもは厚生省御当局の指導方針あるいは対処の仕方というものについて注目をしておる段階でございまして、それらの対応ぶりと合わせまして私どもといたしましての検討を進めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○大木正吾君 厚生省がそれは行政所管としては確かに担当省庁でしょうけれども、医療法七条四項の解釈、これはおたくと法制局等の関係かもしれませんけれども、明確に申し上げて、もうはっきり、節税というのじゃなしにむしろ脱税的な行為にこれはやっぱりなると私は判断をするのだけれども、医療法七条四項の解釈等についてあいまいなままでもってあなた方が厚生省と話をしても意味がないでしょう。この解釈を含めてもう一遍答えてください。
○政府委員(小幡俊介君) 医療法の七条一項によりますと「病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でないものが診療所を開設しようとするとき」等におきましては「開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。」という規定があるわけでございまして、それから七条の四項では、「営利を目的として病院、診療所」を開設しようとする者に対しては「許可を与えないことができる。」こういう規定があるという、この点についての先生の御質問であろうかと思いますが、医療法の解釈適用の問題は厚生省がどういうふうに解釈しどういうふうに運用するかという問題でございますので、私どもの方でこの問題が医療法に抵触するかどうかという見解を申し上げる立場にないわけでございます。しかしながら、医療会社の問題につきましては、先生御指摘のように税務の問題としても非常にかかわりを持っておる問題でございますから、厚生省御当局におきまして医療法の立場でどういうふうなお考え方を示されるのか、それを待ってわれわれとしても態度を決めてまいりたいということで、われわれの方といたしましては、そういう意味で現段階では各地における実態の把握に努めておる、こういう段階でございます。
○大木正吾君 実態の把握に努めておるとおっしゃるならば、角度を変えて伺いますが、その実態の把握の状態はどういう状態ですか。
○政府委員(小幡俊介君) これは各地におきましていろいろな形での会社形態のものがあるわけでございますので、全国各地におきます。そういうふうな実態について、私どもとしては実態の把握に努めておるという状況でございます。
○大木正吾君 もっと具体的に、どれくらいの件数がどの地域でどう広がっているかについて答えてくださいよ。
○政府委員(小幡俊介君) 私どもの方でまだそこまで具体的な把握はわかっておりませんけれども、各地におきましていろんな形態がございます。ただいま先生お話ございました医療会社という形態、これは個人のお医者さんが個人としての医師の免許を持ち、そして個人として診療所を開設をしておる。厚生省に対しまする診療所の開設の届出も個人名義でやっておりますし、また支払い基金に対しましての診療報酬の請求も個人の名義で行っている。しかるにかかわらず、税務上は有限会社をあるいは株式会社をつくりまして、有限会社、株式会社が診療行為を行うということにして、お医者さんの方はその会社から給与をもらう、こういう形で税務処理をするという形態が医療会社という形態でございます。 それから、第二薬局でありますとかあるいはトンネル卸とかあるいはまた医療設備会社というような形態の会社もございますけれども、これらはいずれにいたしましても、その第二薬局あるいは医療設備会社あるいは医療の薬の卸会社、そういう名前の会社が設立をされ、そしてそういう会社がそれぞれ取引の当事者として取引の名義人になっておる、また税務上もそういう会社で申告がされておる、こういうふうな形態でございまして、そういうふうにいろいろの形態が全国各地にあるわけでございますので、私どもとしてはそれぞれにつきまして実態の把握に努めておると、こういう状況でございます。
○大木正吾君 中身のことを聞いているわけじゃないので、調査しているとおっしゃるものですから、一体どういう——五十四年度ごろから顕在化してきておるわけですからね、おたくで調査している中身を、大体どういう地域に広がって何件ぐらいがそういうものが出てきているとか、何十件出てきているとか、そういったことはわかってないんですか。
○政府委員(小幡俊介君) まだ掌握しておりません。
○大木正吾君 これは厚生省なり法制局の意見も聞かなきゃなりませんから、いずれあれします。 渡辺大蔵大臣は、かつて厚生大臣であったわけですから詳しいと存じますが、どうもこれは合法的な節税なのかあるいは法に触れて、そして税金を安くするために意図的に自分の息子やあるいは奥さん等まで会社役員に並べていきまして、そしてやっていくと相当税が安くなる、こういうふうになっていって、これがだんだん広がって、全国的に広がってしまいますと、せっかく診療報酬問題について是正をしようとしてきた国会の努力なりあるいは社会的批判が強かった問題点ですからね、これについて大臣、どういうふうにお考え、同時に今後どういうふうに対処されようとされておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も厚生大臣をやっておった当時、医師特例、これは言うならば医療を荒廃させる諸悪の根源だということを私は考えたわけなんです。そこで、あれの是正ということをお願いをしたわけでございますが、一応三十年ぶりに五千万円を契機にして改定されたと。問題点がいろいろございましてね、これは。要は、医業についても医療法人という制度がございます。ございますが、民間ならばむずかしいことなく、酒屋さんでも個人でやっていたものを法人に切りかえて免許法人にもらい直すとか、そういうのはいっぱいあるんですよ。ところが医療法人の場合はいろいろ、医者が何人以上とか、ベッドが二十とか何ぼ以上だとかいろいろ規制があって、そのほかに配当制限、配当はしてはいけないよというようなこともあると。そのために非常に相続税なんかでえらい不利になるということなどもあるものですから悩みがあったわけですね、医者には。そこでひとつ何か医療法を改正して、一人法人のようなものを認めざして、経営と技術料の報酬というものを分離をさせるということができないかというようなことなども話してみたんですが、医師会がなかなか承知しないということだった。ところが最近に至って、非常にトンネル会社がふえたということは、結局高額所得者が御承知のとおりもう医者で五、六千万円の所得というのは、大体中よりもちょっと上ぐらいのところですからね、中の上ぐらいのところが四、五千万ぐらい行っています。そうすると、要するに八〇%、限界税率八〇%ぐらいになるわけですから非常に高過ぎると、実効税率でも六割ぐらいになるわけですね、五千万円ぐらいになると。そこで結局、その抜け穴ということが一つでしょう。それが一つ。それからもう一つは、そういうことをしなければならないほどもうかり過ぎると、問題は。だから人間は幾らもうかったらばいいかという、これは限界がありませんからね。非常にふえたということは個人の税率がうんと高い、それも一つあります。それから魚屋さんでも八百屋さんでも、何でも同族会社をつくっているのに、開業医だけつくれないのかという不満があることも事実、これも。その二つですね。結局はもうかり過ぎて高額所得になると、それでもうけが足りないというのかね、それでも足らぬというのか、いままでは優遇受けたものが今度は受けられなくなっちゃったから、税金がことしからがばっとふえるわけですよ。それを見越してこういうことにきたのであって、両面に問題点がある。医療の制度とそれから医療費の中身。それからいま言ったように同族会社を——いままで同族会社というか一人法人認めないと、いろんな問題が絡んでおる問題であって、税法の面からだけこいつをなくさせるということは非常にむずかしい問題ではないか。両方からよく検討する必要があるんじゃないかという気がいたします。
○大木正吾君 私もそういうふうに、いま両面から考えておくべきだと思いますけれども、七条四項の解釈については厚生省所管だ、まあ関係ではそうでしょうけれども、これはぜひ、要するに開設の「許可を与えないことができる。」と、こういうことの裏返しをしていきますと、これはまあできるものもあると、こういう見方ができるわけですね。ですから各その辺の、要するに個人の開業医というものが営利を目的として、現在開業している方々が営利を目的としてやっているかいないかによって判断もありましょうし、同時にそこはそれとしておきまして、会社にするとなったときには、これは明らかに税金対象をなるべく軽減するということでやっているわけですから、その辺の関係、やっぱり法的な一つの、医療法人あるいはこういった七条四項の解釈、要するに医業というものに対する基本的な見方ですね、一つはね。同時にことしの、この五十六年度の診療報酬関係の特別措置を見ましても、約一千四、五百億になっているわけですね。ですからもしこういうことを認めるんなら、私はもう八百屋さんも魚屋さんも小料理屋さんも全部会社にしちまっていいわけですからね、理屈はそうなるわけですから。もしそういったことを認めていいんだと、こうなったら全部もう特別措置は取っ払っちまっていくという、どっちかにすかっとしてもらわぬかったら、こんなあいまいないことを残すことはまずいと思いますから、ちょうど大臣、両方のことの経験者でもありますから、私はそういったことをしっかりやっぱり固めて、国民から批判が起きないような立場でもって問題の整理をしてもらいたいと、このことを強く希望しておきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 十分検討をいたしたいと思っております。 厚生省との関係でありますから、本当にそういうようなものを認めるんだったらば措置法はなくすというのは当然じゃないかと。それでやはり医業ですから、医業は営利追求ということでやられますといろいろ弊害も大きい。ですからそこらのところの歯どめをどうかけるのか。しかしながら、開業医といってもそれはやっぱり一つの医業。業であることは間違いないんであって、それは経営が伴わなければやっていけないわけですから、経営と技術の分離というものをきちっとさせることが必要だと。で、経営部分については正当な、どっちも正当な税金を払ってやることも結構なことじゃないかと。だから、そこらのところが今後厚生省——厚生省の方の話ですがね、これは。の方から申し出があれば、十分実情に沿ったしかも社会的不公正を招かない、世の中で認めてもらえるようなことで検討を十分にしたいと考えております。
○大木正吾君 ただいまの問題については御検討をぜひ、私たちが理解ができる状態にしていただきたいことをお願いしておきます。 一昨日の所得税問題がらみのことについて少し入りますが、グリーンカード問題について大臣、大分何回も同僚委員から質問がございまして、大蔵省は絶対に考え方変えないというような発言等もあったんですが、一部の報道等からいたしますと、私がこの間問題にいたしました所得税の累進度合いというものを少し調整するといいましょうか寝かせるといいましょうか、そういったことを考えているという趣旨のことなどが、大臣個人の新聞等に対する発言とか、大蔵省内部における何か緩和の見直しを事務的に事務当局自身も始めているような報道もあるんですが、そういうことはやっておられるわけですか。
○政府委員(高橋元君) 過日新聞に、グリーンカードの実施に伴いまして所得税の税率なりそれから罰則の適用なりについて、何らか現実に合うような方法を考えているんではなかろうかという趣旨の報道がありましたのは、私ども承知しておりますが、私どもは現在そういうことを具体的に検討しておる段階ではございませんことをお答え申し上げておきたいと思います。
○大木正吾君 たまたま私が、前日質問したことと関係をしてきておるんですが、大体五千万以上の所得の方々の場合には、これは申告なりそういった方々が多いというふうに考えているんですけれども、ですから申告税の中で云々という話では、これはとてもじゃありませんけれども聞かれる話じゃないんでして、やっぱり所得税納めている全体の方との比率でもって実は人数等も伺ったわけなんですが、あのとき提起した問題は私自身は二つ問題があったと思って考えておるんです。 一つは、やっぱり所得税の自然増税的な——的なとあえて申し上げておきますが部分、これは主として、言えば四百万から一千万ぐらいの層のところにあり、税率の小刻み問題がそこに集中するから、言えばランクアップされて自然増税が実質的に進行してしまうと。それから同時に、三千万、五千万から上の方の所得の方々は、主としてこれは申告そして配当・利子等の関係の方々の適用が多いと見ているわけですね。ですからその辺のことが、今度は合算総合課税の中で、言えば税率を少し寝かしていくとか、そういったことの発想ということは、当然これはあり得るわけですね。しかもそれは、今度はグリーンカード問題でもって完全に捕捉されるから、言えばそういうふうにして見直さないと、税金を納める額がそういった一万数千人の方々は上がってしまうとか……。 これは、まあひとつ雑談として聞いてもらいたいんですけれども、一部政治資金の隠しようがないからとかとひやかし記事もあるわけですが、私はやっぱりそういうことについて、もう少し税体系そのものについて本当に考えるなら、高橋さん、これは本当に考えるということを言ってもらわないと大蔵委員会でもって一生懸命に議論しましても、私は階段をこうなるべく大きくしていって、三年から五年ぐらいはやっぱり税率は同じだ、そうしたらその次に、課長になったら当然これは税金がふえていく、ランクアップ当然だと、こういう説得力を持った方向で行けば、これは高橋さん、それほど所得税問題で恨まれなくたって済むんですよね。同時に私自身は、やっぱり七〇、八〇、九〇という世界一高いという累進度合いの問題の中身がもっとはっきりしてきて、検討していって、おたくの方におけるグリーンカードの問題絡めて税収そのものについてはむしろふくれていくんだという中において、若干階段を寝かしていくという議論ならこれもまた話がわかるわけですよね。そういったことをあいまいもことしておくことは、私は一番いけないと思うんですよ。だからグリーンカード問題からいろんなことが、議論が発展してきているわけですが、換物問題とか物価に、まあインフレが起きないとか、国外へ逃げない、そういったことは一般的にわかりましたけれども、むしろやっぱり国内的に見まして、グリーンカードの導入、さらにそれに関連いたしましての税体系のあり方、同時に総合的なすべての合算課税の問題等含めて、大臣どうですか、もう少しこれは、大体大臣のおっしゃったことは実行されるとぼくらは期待をしておるんですけれども、いま私が申し上げた中間層における問題と同時に、上の方の総合課税化されたときの見方について、数字なんか要りませんから、考え方をもう一遍聞かしていただけませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) グリーンカードというのは税の不公正をなくすというためにできたもともとの制度でございます。しかしそれによって合算課税が行われることになるわけでございますから、所得の把握というものは非常にしやすくなる。そういうような場合に、いままで分離課税制度というのがあって、本来ならば九三%も、八千万ですか、八千七百万円ぐらいになると、九三%限界税率が適用になると、そういうような人はもう残るのは幾らも残らぬというわけですわね。だけれども、分離課税で三五%の分が少しあるから、そういう点で多少息がつけたということも言えると思うんですよ。ところがそれが今度は全部九三%の最高税率適用というようなことになると、きわめてこれは世界に例のない、酷な話になるんじゃないのか。この最高の税率適用というのは八千万円というようなことに昭和四十五年にしたわけでありますが、それから十年たっておって、この税率と金額が動いてないわけですね、ここだけは。下の方は課税最低限が少しずつ上がっていますから、高い人も恩恵は受けてはいるんですよ。受けてはおりますが、要するに最高税率八千万円、七五%と所得税で言えば。住民税一八%と、その八千万円は動いてない。その間に物価は二・四倍上がっているわけですね。そういうようなことを考えると、このままで全額課説だと言っても私は世界で例のない話になるんじゃないかと、あんまり強化をして今度は命がけで脱税なんかやられても困る話でございますから、私はやはりそこらのところは政治のやることですから、その時代の物価も全然顧みないというようなことだけで果たしてうまくいくんだろうかと。だから私はグリーンカードを実施をするという大前提に立ては、いま大木委員のおっしゃったような全体としてのなだらかな税率というものについては、あるいは最高課税の限度をもっと上げるとか、何かそういうことをあわせてそれまでにやはり直す必要がある、五十九年の実施までには。 それともう一つ、これもこの前も私言ったかもしれませんが、たとえば夫婦共働きというのがいま普通になっているわけですよ。ところがいまの税法からすると、結局仮に所得の低い方、仮にそれが毒なら妻にしても、妻の預金に対して利子所得ができて、いまは分離課税だと、それが亭主の方に合算になる。これもそういうことを考えてなかったのじゃないのかと、いままでは。しかしいまは女の権利というのは非常に大きくなって、亭主と同じくらいかせぐ女性いっぱいいますからね。だからそのときに、どっちかに利子所得が合算なんだという資産合算のあり方というものはいまのままでいいのかどうかという非常な疑問を実は持っているんです、実際は。だからここらのところも時代にちょっと合わないんじゃないかという気もするので、これも五十九年までには私は再検討する必要があるんじゃないかと。そのほか余り気のついているところはありませんが、いろいろ私はあるんじゃないかという気がするんです。したがってそういうものも含めて、グリーンカードといういままでやったことのないことを実施するわけですから、そういうような点で余りそれが恐怖感を与えるようなことでも困るわけですから、私は現実に即したような一部手直しは必要ではないか、そう思っているんです。
○大木正吾君 いまの中で私が申し上げているのは、いま渡辺さんおっしゃったことについては部分的には理解できる点もあるんですが、むしろいま一番法律事項として、たとえば自然増収であると、私有身は自然増税だとこういうふうに言う。ここのところの言い方は法律的に言えば自然増収が正しいわけですね。しかし実際問題として、四年間も最低限をいじくっていないから結果的に自然増税が進行していると、それはやっぱり主としてランクアップの部分である。六十万年収ふえたら大体ふえた分について次の税率が適用されるわけでございますからね。このことが一つ。もう一つは、やっぱりこれからのいわば経済動向として仮に六十年までの七ヵ年計画などを見ていきましても五・五%、GNPでもって一〇%前後の経済成長と一応仮定をして、おたくで試算というようなものを仮定として物を考えていきますと、高成長当時みたいに毎年毎年の課税最低限の見直しはできないだろうと思うんですね。問題はやっぱり二、三年間放置しながら、その間にいわばランクアップされる層がどうしても出てくるから自然増税は残っていく。ですから渡辺さんのおっしゃった問題とあわせまして、たしか衆議院の大蔵委員会では、うちの堀昌雄委員の方からはたしか民法の妻の座の関係でもって二分二乗方式が出ていたと思うんですがね。そこにいくには少しくやっぱりまだ私自身の研究も不十分とこういう感じを持っておりまして、とりあえずの問題としては、とにかく税収自身が国民の前に明確になって世界一高いところにあるんだ、こういうことと完全に捕捉されるという問題と、合算したらこうなるんだという問題と同時に、あわせて私たちはいまの所得税体系についての主として中、低のところのランクアップ問題について手をつけないということはこれはまずいぞとこういうふうな感じを持っておりまして、あわせてそういった問題についてぜひこれは課税最低限問題とも若干絡むことになるかもしれませんけれども、また最低率のところとの絡み合いも起きるかもしれませんが、総合的に問題の解決を図るべき課題とこう考えておりまして、ほぼ前日の大臣のお答えの中でもそういった感触は得ているんですけれども、きょうあわせて念のためもう一遍全体的な体系の見直しをされるお気持ちがあるかどうか、担当局長と大臣のお答えをちょうだいいたしたいと思います。
○政府委員(高橋元君) わが国の所得税の税率構造が、仰せのように最低所得階層の最初の税率というのが比較的低くて、最高説率が主要諸外国に例を見ないほど高くなっておる、これは事実でございますし、私どもそれはかねてから問題点の一つとして考えてまいったわけでございますが、ただいま大臣からもお話がございましたけれども、こういう税率構造そのものが資産または所得の総合の程度ということとの関連でやはり評価されるべきものであろうということを考えておるわけでございます。 昨年の十一月に税制調査会の中期答申の御審議がありました際にも、昭和五十九年に利子・配当所得の総合課税が動き出すわけでございますから、そういうふうに所得の総合の程度が非常に高くなってまいった場合に税率全体をどういうふうに見直すべきかということが指摘されております。「我が国の税率構造については、最低・最高税率の水準を含め、今後、個人所得課税の負担水準のあり方、利子・配当所得の総合課税への移行等租税特別措置の整理合理化の実現による課税標準の拡大等を踏まえつつ、そのあり方について検討を加えることが必要である。」というのが税制調査会の御答申でありまして、私どももその御答申の趣旨に沿って、またこの国会でいろいろとちょうだいをいたしました貴重な御意見等々も踏まえまして、これから恐らく近いうちに始まると考えております税制調査会の中で御検討願いたいというふうに考えております。その場合に、もちろん税率構造でございますから下から積み上げていかなければ全体の税率はできないわけでございますし、またたびたび御指摘もございますように、イギリスとかドイツのようにかなり広い所得階層が一つの税率、一定税率の中に入るというような税率、外国の事例もございます。そういうものも十分参考にして安定的な所得税制、国民の合意ができるだけ広く得られる所得税制というものはどういうものかということを検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○大木正吾君 これは大臣の答弁要りませんけれども、私の方からあえて再度申し上げておきますが、税調というものを私自身も若干体験した経験ございますけれども、やはり事務当局から諮問されるもの、あるいは資料等が出てくるものですね、こういうものと、最近は自民党総務会強くなりまして、いろいろやりましても総務会でもってけられたらまた持って帰ってきて、政府が二つあるのか三つあるのかわかりませんけれども、山中貞則さんの税調の方が強い感じもいたしますし、その辺でちょっとぼくらも物が言いにくい点もときどきあるんだけれども、ただやっぱり税調答申の、主税局長、諮問事項の中に総合的に税体系の見直しなり再検討をしてもらうことについてはこれは事務当局が諮問できるわけですから、いまのお話あった部分と含めて私はやっぱり、しつこく言いますけれども、何だかんだ言ったってこれは課税最低限の若干の調整、午前中やりました例の財政法の六条改正問題等のようなことだけでは、言えばその場しのぎの問題にしかすぎませんから、ぜひ私の申し上げているように中低所得層を含む税率の小刻み、これは経済環境の違いとの兼ね合いを含めて、同時に大臣のおっしゃるように総合課税を完全にやって、そして早く捕捉を完全にしていくならば、やっぱりそれは世界的に最高水準の方々ですからまたどんな、脱税という言い方は悪いですが、節税と言うかわかりませんが、方法が出てくるかもわかりませんから、そういったことを全部全体的に私は考えてもらいたいと、こういうことを強く希望いたしておきまして、時間もありませんからこの問題については一応その辺のことを大臣にも特段とお願い申し上げておきまして終わります。 次の問題は、これは所得税がらみでもってもう一つ、小さなことと言われるかもわかりませんが、不公平の関係につきまして、これをどういうふうに大蔵省御説明になるかわかりませんが、実はおたくでもってはじいている五十六年度の所得の増加割合という資料が手元にあるんですけれども、これを拝見いたしますと、結局給与所得者の場合には九%、営業関係が九%、農業関係一〇%、こうなっておるんですよね。それで二四でたとえは五十年からの納税義務者のふえていく比率を見ていきますと、五十年に給与関係七一・九%、五十六年八三・九%であって、農業所得者は一五・四%、五十六年度はわかりませんが、逆にこれは五十四年度に減りまして一四・六%、こういう数字があるんですね。これについて主税局長ひとつどういうふうに御説明されるか。一〇%程度の所得がふえていくという形だけれども、これは耕運機その他の買いかえとか経費がふくらんでくるからこうなってしまうんだということだけの説明でもって逃げるかどうか、その辺のことについてちょっと聞かしてくれませんか。所得はふえていて、そして納税者の数は減っていくという領内は逆のトレードオフ的な形になっていますからね、そういう点でちょっと説明してもらいたいんですがね。
○政府委員(高橋元君) いまお示しの農業所得者でございますが、これは農家の数が次第に減ってきておる中で、しかもここにありますのは専業と第一種兼業でございますけれども、そういうものの割合がますます減ってまいる。したがって農業所得者というふうに統計上示されておりましても、その中の納税者の割合というのは下がってまいるわけでございます。昭和四十五年に所得者が二百六十六万人おいでになって、その中の納税者が三十七万人、その割合が一四%弱でございましたが、昭和四十八年には所得者が百九十八万人で、納税者が四十一万人、二〇・七%になっておるわけです。最近これが下がってまいりましたのは。一つは農業の作況にもよることではございますが、もう一つ、さらに減反政策が進行いたしまして、一種兼業農家なり専業農家というものの割合が下がってまいる、こういうことも反映しておるんだろうと思います。平均の農業所得の納税者の一人当たりの所得水準というものにつきましては、いまちょっと手元に数字を持っておりませんけれども、これは漸次上昇しておるわけでございますから、農業所得者の納税者割合が下がっておることについては、ただいま私が申し述べたような見解を持っておるわけでございます。
○大木正吾君 まあ専業農家の税金を納める数が減っている部分についてはわかるんだけれども、おたくの五十六年度所得増加割合との関係で、まあ渡辺さんも栃木の出身でよく農業のこと詳しい方ですから、ずいぶんと何回も説明されており、私も千葉県、あんまり最近名前聞こえよくない千葉県の出身で百姓の次男坊なんですけれども、今度知事選にも出ないかという話もあったんですけれどもやめたんですがね。とにかくそれは冗談といたしましても、農業所得一〇%増と、こうおたくの資料が出ているわけでして、そういったことは私たちが見ていると、サラリーマンから見ればやっぱりおかしいじゃないか、こういうようなことの議論が出てくるわけですよ。 それから同時に、ある資料によりますと、農家所得の方が平均給与所得者よりふえているという傾向がここ数年続いていますよね。きょうはその資料持ってきませんでした、時間がありませんからね。 同時に、もう一つ渡辺さん、これは申し上げておきたいんですがね、国税関係の方から聞きたいんだけれども、たとえば自営業者のお店の中でもって家族が使っているところの、要するに電気、ガス、水道のメーターと、営業用メーターと別々にセットしている割合はどういうぐあいになっていますか。調べたことありますか。
○政府委員(小幡俊介君) 把握しておりません。
○大木正吾君 大体、だからあなた方がいろんなこと言うけれども、こういうことありますよ。 大蔵省の係長クラスか以下の方々もそうのはずなんだけれども、三多摩の三鷹、武蔵野、大体革新系市長のところ、ぼくらよく出入りしますが、全部これは所得税額が根拠でもって公共の託児所、保育所の入居条件としているわけですよ。極端に言いますと、お店でもって米屋さんやっている、米屋さんをね。その人の、言えば持っている土地の中にマンションができておる。そのマンションでもって家賃を仮に六万円か七万円も払わされまして、そしてその米屋さんの、マンション持っている方の子供は公共の施設に入れて——これ笑い話じゃないんですよ、本当にあるんですよ。要するに大蔵省とかあるいは通産省とか電電公社とか、そこに来ている中堅のサラリーマンの子供さんは入れぬという問題が出てくるわけですよね。こういった問題、例としてぼくはいま挙げたんです。たとえば商店街でもって——中小商店いじめる気はありませんよ。ないけれども、税の公平感の観点から言ったらすぐできることなんですよ。店があって奥に自分たちが住んでおって、全然別の家に住んでおればまた別なんですけれどもね。そういったところまだまだ三多摩にたくさんあるんですよ。そうするとメーターが、たとえば電気、ガス、水道なんていうのはどこでもあるメーターですからね、営業用のメーターとそうじゃないメーターと別々でなけりゃおかしいでしょう、これは結局は。個人が家庭でもって使っている水も、もちろん花見に行くガソリンだって、全部これはレシートあれば経費で落とせるわけですからね。そういったこととの関係でぼくはちょっと聞いてみたんだけれども、調べたことがないと言うんですよ。言えば財政を民主化しようという世の中ですからね、決して中小企業をいじめる気はありませんよ。自営業者に対して私たちは恨み持っていませんけれども、持ってないけれども、せめてそういったことぐらいはやっぱり、そんなこと調べたって税収が少ないからめんどうくさいというだけのことなのかわかりませんけれども、やっぱり税金の公平感ということでいきますと、私いまの問題でもって挙げたかったのは、本当は公共の施設の利用もすべてが税制関係の問題でもって対処をされるということですよね。 同時に、今度はいろいろな福祉関係でも所得制限が出てきてますよね。そういったことがどんどん強まって、全部が所得税がらみでもって出てきますからね。これについてはぜひ直税関係の方々についても、あるいは主税局長等についても、大臣もあわせまして、税金の不公平感というやつを本当になくするならば、そういったことについてもやっぱり少し時代感覚の変わった見方でもって、だれが悪い、いいと私は申し上げませんけれども、問題をとらえてもらいたい、こういう気持ちでもって申し上げているわけです。もう一遍直税部長の見解を聞きたいんですけれども。
○政府委員(小幡俊介君) メーターが別についているかどうかというふうなことについては私ども調べたことはございませんけれども、いま先生がお話しになりましたような課税の内容の問題でございますと、いまの点についていけば、たとえば御家庭の方とそれからお仕事の場というふうに分けまして、御家庭の方でたとえば電灯の数がどのくらいあるとかあるいは御家庭の人数がどのくらいあるとかあるいは床面積とか、まあいろいろなことを考えながら、そういうことについていわゆる家事関連として使っているのかそれとも業務として使っているのかというふうなことは、私ども実態に基づきまして推計をいたしまして課税をしているということでございまして、決してそういうことを全然課税面で無視しているということはございませんので、御了解いただきたいと思います。
○大木正吾君 あなたそうおっしゃるけれども、いま大体サラリーマンの家庭でもって電気、ガスその他、水道とか何か一ヵ月分に銀行振り込みでもってやったら平均してどれぐらいになっているかわかりますか、御存じですか。
○政府委員(小幡俊介君) いろいろ家庭の事情によりまして違うかと思いますので、一律に申し上げるわけにもいかないと思いますけれども、いま申し上げましたのは家事関連とそれから事業との関連ということで申し上げたわけでございますで
○大木正吾君 これは私は決していじめる気はございませんけれども、ぜひ後でもってもう少し細かな話を、大蔵委員会等終わった、まあ四月に入っても結構ですから、少し聞かしてもらいたいんですよ。 と申しますのは、主として、やっぱりさっき例挙げましたけれども、米屋さんの土地があってそこにマンションが建っている。そこに入っているたな子と言うと言い方がちょっと古くなりますけれども、その方々でもって中央諸官庁に勤めている中堅サラリーマンが入れないと、そこにはとてもじゃないけれども。ところが、そこのいわばマンション持ちの方は入れているわけですよ。ですから、これはまあどういう関係でそうなるかわかりません。普通はマンションの上がりがありますから、そんなことはあり得ないと思うんですがね。ところがある市役所の助役に聞いたら、現実そういう例があるんですよね。 だから、そういうことなどがあってやっぱり税金が高い云々という意見が非常に広がり過ぎているから、ぼくら心配して逆に申し上げているわけでしてね。少しその辺のことについての調査などについて、決してこれは人を、零細の事業主をいじめるということじゃありませんけれども、もうちょっときめ細かな調査をしませんと、主として給与所得者の結果的には不公平税制感というものはぬぐえないことになりますから、ぜひ後でもってこれは——きょう注文つけておきますけれども、資料などについてお調べの状況等を説明に来てもらいたい。このことをお願い申し上げておきます。 次は、税調のあり方についてちょっとこれは大臣の所見を聞きたいわけでございますが、おとついですか木下税調会長代理が来られて、あの先生もずいぶんと税制調査会古い方で、私もよく存じているんですけれども、今度の答申の中にございますけれども、たとえば法人の性格論に対して、四十八ページですか答申の中で、「法人税の負担調整に関する仕組みのあり方を導き出そうとすることは、不毛」の議論である、こういういわば決めつけ方が出てきて、ちょっと私が税調にいたときとは大分、言えばトーンが高くなっていると言いましょうか、厳しい決めつけ方が表現上出てきておるわけでございまして、このことと関係しまして企業の資金調達、個人の金融資産の選択等に「無用の混乱をもたらすおそれ」がある、こういうことも出てくるわけですね。大体、税調答申の言えば素案というものは、これは私が知る限りでは、木下さん個人があの答申案を書かれたものじゃないと思うし、小委員会の委員の方々が書いたものじゃないと思う、事務当局が書いていると思うんですよ。そういう意味合いから、不毛の議論とか無用の混乱とかという言葉はどういうところから出てくるか、その辺について主税局長と大臣のお答え、まずちょうだいいたしたいんです。
○政府委員(高橋元君) 昭和四十年代に二重課税の調整が必要でないという税制がイギリス、ドイツ等にあったわけでございますが、その時代に、四十三年に長期税制についての考え方を税制調査会が御審議になりました時代には、やはり二重課税の調整が要らない法人利潤税方式というものを念頭に置いた御答申をちょうだいしたわけでございます。その後、国際的な所得税と法人税の関連に関します税制のハーモナイゼーションと申しますか国際的な調和化、統一化ということが進んでまいりまして、四十年代の後半から五十年にかけまして、イギリス、ドイツそれぞれの国におきましていわゆる法人税加算調整方式と言っておりますような、インピュテーション方式が現実の税制としても取り入れられてきた、そういう国際的な流れというものを税制調査会でも企業課税小委員会の際に深く御検討になりまして、どこの国の税制も擬制説または実在説いずれか一方で割り切って課税の体系をつくっているところはないのではないか。たとえば、インピュテーションにしましても、ドイツは一〇〇%インピュテーションでございますけれども、イギリスは七分の三のインピュテーションである、フランスは二分の一のインピュテーションである。そういう意味で言いますと、非常に広く申しますと、折衷的な見方というものが現実の税制の中にあるわけで、そこで完全な擬制説といえば、それでは留保所得を個人に帰属させて組合課税を行うかというようなところで不徹底でございましょうが、完全な調整方式といいますとこれはむしろ配当損金算入というような税制上の帰結が出てくる。それでは現実の税制というのはとらえ切れないのでありまして、もっと経済的な側面、個人の金融資産保有という側面、そういうものを広くつかまえて国際的な資本移動がこれだけ盛んになってまいりました時代を受けて税制のあり方を考えてはどうかと、こういう御趣旨からいまお示しのありましたような表現が使われたんだと思います。決して決めつけて無用の議論を起こしているということではなくて、もっと現実的、折衷的な見方、その中で国際的な動向に即応した日本の法人税制のあり方というものを追求をしたい、こういう御趣旨がいまの表現になっておるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○大木正吾君 精読を操り返しておりませんから、私もいまの高橋さんの説明ならまだわかるんですけれども、やっぱり実在説なりあるいは擬制説というものが根底にあることは、これはもう学説的にはいままでの日本の中にはずいぶんいろんな説をなす方がおるわけですから、問題はそういった説があるけれども、その説をどっちかにすぱっとなかなか割り切れぬという問題の中で、言えば所得税との兼ね合いとかその他のことを含めて、だんだんお互いの合意を求めて議論してきているわけですから、私はたから実在説というものを切って捨てるということでなければ、まだこれはわかりますが、いままでの説明したのは記録に残りますからね。ぜひそういった考えで問題をとらえておいてもらいたいと思うんですね。 この不毛という言葉なりその前後の書き方読んでいきますと、要するに実在説なら実在説ばかだと、そんな説はもう古くさくてだめだということを言ったって、日本だって戦争中なりシャウプの前やっておったんですから、シャウプのとき若干変わってきて、またその後に追いつけ、追い越せを中心としながら内部留保のためにどんどん、ぼくらが税調のときには毎年、高橋さんあなた課長だったかもしれぬけれども二%ぐらいずつ軽減して、そして翌年調べたら内部留保少ないから下げたよ、こう言っていながらまた調べたらまた下がっておるんですね。結局企業は競争していますから、下げても下げても景気がいいときには物が売れる、同時に新鋭機械はどんどん導入競争していきますからね。二%下げたって内部留保、当時二七、八%でしたが、全然変わらぬという状態が四、五年間続いたわけですよね。こういうふうなことがぼくら頭に残っていますから、余りこれ不毛だということで、いま高橋さんわかりましたが、そこのところはもう大臣要りませんからね。要するに、税体系の根幹にかかわる問題についてはお互いに勉強し合っていき、同時にそれが、言えば負担の公平感なりというものについてもつながっていくわけですから、ぜひそこのところはいまの答弁のとおり残しておいて、栄互いに勉強課題といいますかね、論争課題として残しておいてもらいたい、こう考えているんです。 さて問題は、そういったことを一つおきまして、税調の構成について、これは大臣からお答えいただきたいんでございますけれども、せめて公益の委員の選び方につきまして、どうですかね、税調の使命も高いというお話もこの間指摘があったんですけれども、政党分野あるいは国会の政党推薦、国会で決めるとか、公益委員についての決め方について大臣、内閣のこれは税制調査会ですから、官房なり総理の方の指名になっているかと思うんですけれども、確かにいろんな階層の方々が参加していることは知っていますしね、分科会にいろんな方々が発言しておることも知っていますけれども、むしろ公益委員を中心としながら、これを国会なりあるいは政党推薦という選び方に変える気持ちはないでしょうか。 もう一つは資料なんですがね、はしなくも木下さんがおっしゃっておったんですが、税調でこんな分厚い資料があるんですよ。それは持ち帰りは絶対できませんでしてね、あそこでべらべらめくって、そしてメモをとったり、頭に入れるしかないわけで、ああいうものについてもう少し表に出すことについて、私たちにしてみれば非常に大事な資料がたくさんございますから、税調委員自身が税調の会議の場所以外へ持ち出しができないですからね。そういったことでは本当の税制議論はできないと思うので、この資料について何らかの工夫はないですかね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 資料の問題は主税局長から答弁してもらいますが、私は委員の構成についてはいま大木委員からお話があったようなことを主眼といたしまして、去年の秋に第七次の税調委員を任命したんです、私のときに。そのときいまのような趣旨を考えまして入れかえしたんですよ。たとえばいままで四十年の第二次のときなどは行政関係で六名であったものをこれを四名に減らすとか、そのかわり経済界の八人も五人に減らすとかいうようにしましたが、逆に中立委員である新聞関係、評論家——経済、財政評論家ですね、そういうのは四人を八人に倍ぐらいにしたんですよ。あとは大体同じですが、地方関係三人、三人、労働界二名、中小関係二名、一名と、非常に中立委員という数をふやすように心がけて、どちらにも偏っちゃいけない。したがって去年の秋にはかなりいま大木委員の趣旨を取り入れて、そういう人をふやした、ほかの方を減らしたということも御理解をいただきたい。すでにもう一部実行済みでございますということを御了解いただきたいと思っております。
○政府委員(高橋元君) 税制調査会でいろいろ詳細な御審議をいただくわけでございますが、その際に、大木委員からいまお話のございましたように、税制に関する、または税務運営の現実に関しますいろいろな資料を御提出して御判断を願うわけでございます。そういうものにつきましては、非常に例外のもの、これは世間に出しますと執行の問題で、まだ必ずしも確実に集計ができていない等の理由で、大体の見当を御判断いただくという程度のものが間々ありますが、そういうものを除きますと全部公表をいたしております。ただ答申案につきまして、いろいろ審議の途中の段階でこれが世間に出てもまたいろいろ委員の方々の自由な御審議にも影響があるということで、これは答申案を起草いたします段階では若干の御不自由はありますもののこれを公表しないということにいたしておりますけれども、現実の姿としてはお持ち帰りになって御勉強になりたいという方については格別その点の公表がされないということが明らかであれば、御不自由のないようには便宜措置をしておるわけで、したがって一言で申しますと、答申案のような特別なものを除きますとすべて公表しておりますし、賃金の概要についても適時ブレス等に発表を行って、国民全体に見ていただけるような形で運営をいたしておるというふうに思いますが、ただいまお話もございますので、さらに税制調査会長にいまの御議論もお伝えをしまして、一層運営につきまして工夫をいたしたいというふうに存じます。
○大木正吾君 特に国会の大蔵委員の私たちにしてみますと、やっぱり大蔵省のデータ一番正しいですからね、見方の違いはありますけれども。やっぱり資料というものはお互いにスタンスが一緒でないと議論しにくいわけですから。そういう意味合いでもってぜひこれから希望する資料については出していただきたいことなどもつけ加えてお願いいたしておきます。 時間がありません。最後に一問だけ。特別措置問題を少しやりたかったんですけれども、ちょっと時間が不十分ですから、貸し倒れ引当金ですね、その他要するに引当金とか準備金の関係についてだけちょっと伺いますが、本会議でも大臣に伺ったんですけれども、余りはっきりした御答弁もちろんなかったんですが、東京都の新財源構想研究会がやりました何と言うんですか、二年ぐらい前の、三年ぐらい前の話ですかね、いわば各種の引当金、これに対しまして、ここに私がいただいた国税庁の「法人企業の実態」、昭和五十三年三月、二十四ページにありますが、これでいきますと、貸し倒れ引当金の場合に、資本金五百万円未満の場合には利用度が三〇%、同じく資本金一億前後のところでもって七五%、同時に十億以上が八〇から九〇%利用できる、これは貸し倒れ引当金と退職給与引当金ですね。こういう一応図表が出ているんですけれども、なお賞与引当金とか価格変動準備金もほぼそれに準じた大体率でありますから、これは明らかに、こういうふうに見ていきますと結果的には大企業優遇というような形で、中小企業に対しましては冷たいと言いますか、中小企業にそれだけ余裕がないと言うか、そういったものでございまして、引当金、準備金ですね、こういったものについての実効上の状態についてはどのようなお考えでしょうか。同時に、これを是正してもっとなだらかな形になる方法寺講じたら税収も上がるはずでございますけれども、最後の私の質問といたしまして、これについての主税局長と大臣の見解を承りたいと、こう考えています。
○政府委員(高橋元君) 貸し倒れ引当金、退職給与引当金、これは引当金の中で残高の大きいものの代表であることはいまお示しのとおりでございます。 これにつきましては、たびたび中小法人の利用状況が低いじゃないかという趣旨の御指摘がございまして、私どもも昨年の夏にいろいろこの辺に関心を持ちまして勉強しておりましたところ、市民生活意識研究会という機関が中小法人に対して、なぜこれを設定しないのだ、設定したとすればどういうふうに利用をしておるのか、こういう御調査をなさいました。それは企業課税小委員会にも御報告して御審議をいただいたわけでございますけれども、一億円以下の法人が貸し倒れ引当金をなぜやっていないかという理由の中で、二七%は掛け売りがないと言っておられます、現金商売であります。それから貸し倒れの損失が出てこないだろうと答えられた方が二二%でございます。合わせて約四九%、半分でございまして、そのほかに設定しても引当額が少ないというお答えをいただいたのが一七%、大体三分の二の方は貸し倒れ引当金の設定について必要性を感じていないというお答えでございまして、その、いま申し上げた三分の二という割合は資本金が小さくなるほど高くなるわけでございます。 退職給与につきましても、中退共その他外部拠出の制度を利用しておられる方が約三割あります。こういう方は社内で引当金をつくっておかなくても損金で完全に退職共済制度その他の外部拠出制度から給付される、必要額が損金で経理できるわけでございますし、その他の約三分の一強、三七%ぐらいの方は退職金を払わない、または退職給与規定がないというお答えでございました。繰り返しになりますけれども、大体これも三分の二以上の方が退職給与の支払いかない、退職給与規定がない、またはあっても外部拠出で処理をするというお答えでございまして、それが中小法人が引当金を利用しておられない実際上の理由である、実証的な理由であるというふうに認識をしております。資本金階級別にならしますと、確かに一法人当たりの期末残高でございますが、適用法人割合は資本金五千万を超えますと急激に大きくなるわけでございます。これは御指摘のとおりでございますが、その裏には必ずしも引当金という形をとらなくても同じように貸し倒れ損失を回避でき、または退職給与の将来の発生に備えて当期の利益の中からその部分を減殺しておくという、運用上の率は上がっておるというふうに考えております。 さらに進んで申し上げますと、中小法人で赤字を出しておられる場合に、引当金でございますと、これは利益の有無にかかわらずむしろ会計の原則から外して取るわけでございまして、そういう引当損というものをさらに計上するだけの資力がないという方もおられるというふうに伺っておるわけであります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もいま主税局長が説明したようなことが大体実態じゃないかと、そう思っておるんです。特に零細企業の場合などは退職給与規定がないと、もともとないんですから、だからそれは適用にならないわけです、欠格条項でございますから。それからその次は、やはり貸し倒れなんかの場合はやっぱり設定しても非常に額が小っちゃいとめんどくさくてというようなことなどがあるんじゃないか、実務的に私は零細中小企業見ておってそのような気がいたします。
○大木正吾君 もう時間がありませんから私の一方的な意見だけ申し上げておきますが、図表等見ていきますと非常に特徴的なのは、退職給与引当金、これが大体資本金五千万から、一億ぐらいのところからきゅうっと大きなカーブ描きましてね。こういうときに私は増税的なことを言いたくないんですけれども、これはむしろ逆に言いますと、特別措置による法人の実効税率との関係が出てくるものですからね。そこのところもう少し時間があればやりたかったんですけれども、実は時間がありません。ただ、二分の一の従業員がやめるなんということはまずあり得ないことですし、大会社が倒産した場合の例なんかも幾つか拝見していますけれども、こういったものによって困ったという事例はあんまり聞いていません。同時に、中小企業がそういった制度がないからといってこれを疎外するということについても、実情はわかりますよ。わかるけれども、そのこと自身も決して私は税金の公平化の観念からしますればあんまり好ましくない、こういう考えです。ですから、むしろ本当はこの話は法人実効税率の絡みでもって質問したかったんですが、時間がありませんから同僚委員の質問に後は譲りますけれども、表向きの実効税率はヨーロッパ並みになったと、こういう話は出てくるけれども、こういった実際政策的に、たとえば今度の電力会社の渇水準備金の問題なんかそうですけれども、ずっとやっていきますと実際には一〇%程度、東京都の新財源構想研究会ですか、これがつくった資料でもそうなんですけれども、大体この資料が示しますのは一二%ぐらい実効税率が実際問題としては政府が発表している公表の数字よりか低いと、こういうこともございますから、下の方をそれは保護ということもありますが、むしろ上の方が過保護じゃないですかということを私の最後の意見として申し上げまして質問を終わらしていただきます。時間超過して申しわけありません。
○政府委員(高橋元君) 一億円以下の法人、一億と百億の間の法人、百億以上の法人と三つに分けまして毎年度国会に「資本金階級別法人税負担割合」という資料を御提出をいたしております。これによりますと、たとえば五十四年では全体として実効税率は、これは法人税だけ切り離してやっておりますから、住民税、事業税は入っておりませんが、三九・四でございます、パーセントにいたしまして。それを階層別に見ますと、資本金百億円以上が四〇、資本金一億と百億円の間が四一・八、資本金一億円以下が三七・三となっております。これは引当金は考慮せず、準備金特別償却につきまして租税特別措置の適用があってさように現実の負担ができておるということを示しておる資料でございます。
○鈴木和美君 まず私は法人税法の一部を改正する法律案について先に見解をただしたいと思います。 別表改正の中で、健康保険組合及び健康保険組合連合会の項が別表改正として出ておりますが、これは何を意味しましょうか。
○政府委員(高橋元君) 大正十一年の健康保険法の制定に伴いまして、健康保険組合それから連合会というようなものの課税上の取り扱いが問題になったわけでありますが、その際には、たとえば水利組合でございますとかそれから健康保険組合等は、国の業務を代行するものという観点で所得税は非課税である、公共団体に準ずべきものであるという取り扱いになったわけでございます。その後、戦後シャウプ勧告等を受けまして、所得税について相当広範な非課税法人の整理が行われたわけでございますが、現在、五十五年に至るまで健康保険組合は非課税法人という扱いがなされてまいりました。 しかしながら、現実の動きとしますと、保養所、結婚式場、こういったものをいろいろ営んでおられますし、共済組合——国家公務員、地方公務員、それからその他の共済組合というものが同様の施設をやります場合にはこれは課税でございますし、病院事業の本体につきましては国家公務員共済組合といえども非課税になっておるわけでございますが、そういった保養所、結婚式場というものを営みます場合は収益事業として課税を行うということになっておるわけでございます。一般法人との競合問題、国家公務員共済組合との扱いのアンバランスの問題、これが多年指摘されてまいったわけでございますが、今回そういう実態を踏まえまして、健康保険組合の性格ないし事業の内容を総合的に見直しをいたしまして、健康保険組合及びその連合会を、国家公務員共済組合と同様非課税法人から公益法人等というグループに移っていただいて、その収益課税については、収益があれば課税をするという形にしたわけでございます。その結果、たとえば保養所、それから結婚式場、レストラン、こういったものは収益が出た場合には課税になるというような税法上の扱いに改めさしていただくことを御提案をいたしておる次第でございます。
○鈴木和美君 現状、健康保険組合と組合連合会の団体数と加盟組合員はどのくらいの数になっていますか。
○政府委員(高橋元君) 組合管掌の健康保険組合は全体で千六百五十六、それで被保険者が一千百十九万三千人というふうに私ども把握しております。政府管掌のは都道府県及び社会保険事務所単位で二百八十九、被保険者は千四百二十五万人でございます。
○鈴木和美君 大変数が大きい、団体の数も大きいということで、影響が大変出ると思うんです。 そこでもう一つお尋ねしますが、いま答弁の中にもございましたが、このような健康保険組合が行っている——収益法人に切りかえるという意味で行っている、主な仕事というのはどんなことがやられていますか。
○政府委員(高橋元君) これは、一番多いのが養所でございます。保養所と民間のまあ族館というものの競合関係というのは多年問題になっておるわけでございますが、そのほかに数で多いのは結婚式場、これは法人税法の施行令の観念で申しますと席貸業ということになるんでございましょうか、料理・飲食、席貸、物品貸付業という範疇に入るようでございます。それから第三がレストラン、これは料理・飲食業に相当いたします。それから売店を営んでおられる場合の物品販売業、それから不動産の貸し付け、以上が新たに課税になるものでございまして、病院、診療所、これは医療保健業ではございますが公益法人等でございますから、収益事業から除外をいたすといったてまえでございます。
○鈴木和美君 いまお話のありました収益事業の方には三十二ありますけれども、いまお話しになった保養所、つまり旅館との関係とか、席貸業の結婚式場、レストラン、物品販売、不動産売買などがあればまあ課税の対象にするというようにお答えになったと思うんですが、新しく適用することでもありますし、数が相当大きいということがありますから、どうぞ余り範囲の拡大ばっかり考えないで、混乱のないように行政指導というか、そこをしっかりしていただきたいと思います。いかがですか。
○政府委員(高橋元君) いまの仰せのとおりに私ども考えております。千六百ばかりあります健康保険組合の中で、保養所を営んでおられるのは八百、半分ぐらいかと思いますけれども、もちろんいま仰せのようにかなり利用者も広いわけでございますし、こういう団体は大正十一年以来何十年ぶりかで課税ということになるわけでございますから、そういった混乱のないように国税庁にもよく——来ておりますが、よく連絡をとりながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 ぜひ混乱のないようにお願い申し上げます。 さて、私は次の問題として、先ほど大木委員から問題の提起がありましたが、厚生省も来てもらっておりますので、開業医の税金逃れというような問題について御質問したいと思っています。 まず、厚生省にお尋ねいたしますが、読売新聞の三月二十七日、二十八日、また、きょうなどの報道が伝えられておりまして、大変多くの国民から共感を持たれ、拍手喝采をいま受けているような実情だと思うんです。私の部屋にも何回か電話が来ます。そういう意味で、「開業医、会社化で税金逃れ」、「診療は個人、納税は法人」と、「”二枚看板”でガッポリ節税」、組織挙げて法人化運動、などという見出しがこうずうっと報道されているんですが、この実態についてどういうふうになってるのか、厚生省から実情を聞かしていただきたいと思います。
○説明員(水田努君) お尋ねのケースにつきましては、医療法上、病院または診療所を開設する場合は届け出をしなければならぬようになってるわけでございますが、これらの医院の方はいわゆる個人として経営する形で届け出がなされ、したがいまして、当然——現在の医業というものは社会保険を取り扱うことが一般的なあり方になっておりますので、健康保険法に基づきますところの保険医療機関としての指定も個人で受けておられますし、また支払い基金の診療報酬の請求も個人でなされているところでございます。
○鈴木和美君 先ほど大木委員からも大蔵省にいろんな御質問がありましたが、大蔵省直接の所管じゃないですから、厚生省からはっきりしてほしいんですが、報道の内容では、静岡県衛生部も黙認、それから国税庁もすでに実態を把握し、課税問題について重大な関心を示していると、こういう検討が行われているという報道が行われている。私もまだ実態は必ずしも的確につかんでいません。 そこで、この種の形態はどのぐらいあって、人的な構成はどういうことになっておって、法人化に対して厚生省がどういう指導を行っていたのか、この事実もはっきりしてくれませんか。
○説明員(水田努君) 医療法の七条で、いわゆる医療というものは営利を目的にして行いますと、やはり医業そのものが国民の生命なり健康を守るという仕事でございますので、営利を目的とした事業でございますといろいろ支障が生ずると、こういうことで、医療法においては、商法及び有限会社法に基づきますところの営利法人がいわゆる開設者となることは禁じているわけでございまして、御指摘の事例はいずれも個人として開設の届けがなされ、また保険の請求も個人としてされているわけでございまして、私どもはいわゆるペーパーカンパニーとして税の上の取り扱いのみについてそういう法人化が行われているとうわさには聞いておりましたが、私どもの厚生省のいわゆる守備範囲においてはそれが有限会社を設置しているかどうか、こういうことについては把握するすべがございませんで、むしろ今後私どもは法務省とよく御相談を申し上げまして、いわゆる医療法で禁じているところの有限会社なり商法に基づく営利法人が、いわゆる営利法人の定款において医療事業をやることを明記してある場合には受理しないようにというふうに今後御相談を申し上げていきたい、このように考えている次第でございます。
○鈴木和美君 いま私が尋ねているのは、その評価の問題であるとか、それがいいとか悪いとかということをいま聞いているんじゃないんですよ。実態は一体どうなっているのかということを聞いているんですよ。それで、その実態についても読売新聞がおかしいと言うんなら別ですよ。厚生省についても何回かお尋ねをしながら、厚生省自身もあることを答えていると報道していますね。そういうことから見て、またこれは丸茂さんの話が出ておりますけれども、何回か厚生省に尋ねて指導が行われている、こう報道されているわけですよ。だから私は、まず事実関係をはっきりしてくれと言っている、事実を。どういうことになっているのか。
○説明員(水田努君) 実態について把握いたしておりません。
○鈴木和美君 私は、五十四年からこういう制度替えが行われて、そのときにいままで七二%であったものが五段階になったけれども、確かに税が負担が多くなるという問題があったりして、その五十四年のときからすでにこういう問題が厚生省やその他関係のところで関係者は聞いているという話も現実に聞いているんですよ。それが、実態がまだつかまれていないということは一体どういうことですか。
○説明員(水田努君) 過去におきまして、早くは二十六年から、県から有限会社の開設の許可申請があったがこれを許可してよろしいかどうかという問い合わせがございまして、できないという回答をいたしておりますし、その後もそういう照会がございましてできないという回答をいたし、またそういう方針は現在まで一貫して変わっていないところでございます。
○鈴木和美君 この医療法の七条の問題というのは、開設をするときに営利を目的とした場合には許可しない、そういうふうに理解していいですか、七条は。
○説明員(水田努君) そのとおりでございます。
○鈴木和美君 仮に七条の規定で開設するときに、そういう営利を目的とするのであればだめだと言うけれども、開設しておって途中でそういうふうに切りかえるというときにはどういうことになるんですか。
○説明員(水田努君) 開設者の実体が個人から法人に実質的に変わっている場合には、むしろ医療法七条一項の違反であって、無許可の診療を行っていると考えるべきだと考えております。
○鈴木和美君 そうしますと、開設のときに営利を目的とするものはだめだと。しかし、それで開業が始まりますね。途中で営利を目的とするようなものになったとすれば、それはつまりもう取り消しということになるわけですか。
○説明員(水田努君) 医療法七条の四項というものはいわゆる営利法人を入り口で排除をする意味でございまして、いつの間にか法人が経営の実体者である、実質的な開設者であるという場合には、別人が医業を行っていることになるわけで、その場合には別人が許可を取っておりませんので、それはむしろ許可を得てない診療行為であると、こう見るのが至当だろうと思います。
○鈴木和美君 もう一度くどいようですがお尋ねします。 そうすると、今回の事実関係というのはまだ厚生省としては必ずしも的確につかんでいないというお話なんですが、そういう問題が起きてきたというのであれば、それはすべて医療法人みたいなことに切りかわって不正が行われたというふうなことがはっきりすれば、もうそれで開業は全部取り消しという指導が行われると、こういうように承ってよろしゅうございますか。
○説明員(水田努君) 私どもとりあえず静岡県に御照会を申し上げたわけでございますが、私どもの県からの報告によりますと、医業の実体は個人としておやりになっておられるというふうに承知をいたしております。
○鈴木和美君 先ほど一番最初に聞いたように新聞報道が、まあ私もこれからもっと調べますけれども、個人がつまりお医者さんをやっておって、税金を納めることになると法人の方で税金を納めるというような実態になっているというような報道ですが、これは間違いですか。全然調べてないんですか。
○説明員(水田努君) 新聞の報道がございまして、早速担当課の方から、税務の関係は私どもは調査権が及びませんので、国税庁の方に御照会を申し上げましたら、守秘義務があってお答えできない、こういうことでございました。
○鈴木和美君 税の方の関係はまた後からお尋ねしますが、実態として同族または同じ人が、お医者さんが社長になり、そして、まあ専務でもいいですよ、奥さんが取締役になっている、そういう同族になっているという形態が今日の形態じゃないんですか。そこまではまだ調べられていないんですか。
○説明員(水田努君) ここはひとつ御理解をいただかなきゃならぬと思いますが、商法または有限会社法に基づくところの営利法人をおつくりになるということは、これまたおしかりを受けるかもしれませんが、厚生省の守備範囲で届かないところでございまして、税の申告を待って初めてわかるか、あるいは全国の登記所を調べない限りにおいては把握できない話でございまして、私どもとしてはその実態は把握のしようがない、このように考えているわけでございます。
○鈴木和美君 厚生省にすでにもう法人化の申請が行われていたんでしょう。だから税の問題じゃなくて、そういう実態が把握できないとあなたおっしゃるから、すでにもうそういうものは申告されて、それで一年間待って税の問題は今回問題になっていると、そういうふうに理解すべきじゃないですか。ですから、知らないということはないんじゃないですか。
○説明員(水田努君) 厚生省の方にそういう有限会社の申告があったという事実はございませんで、こういうものについての認可権を持っている都道府県知事から古くは二十六年から疑義照会があり、一貫してそれは認められてないという通達を出し、あわせて各県に指導の徹底を期するためにその回答をした内容を各県に通達をいたし、そのように指導をいたしているところでございます。
○鈴木和美君 どうも私納得いかないんですが、その事実関係についてはもう一度場を改めて聞きたいと思うんですが、非常に納得できません。 そこで、今度は別な角度からお尋ねしますが、この医療法の二十九条の一項三号というのはどういうふうに解釈したらよろしゅうございますか。
○説明員(水田努君) この三号の犯罪というのは、いわゆる裁判で罰金以上の刑に処せられたものを指しておりまして、医事に関する不正行為というのはいわゆる犯罪行為までは該当いたしませんが、具体的な例で申し上げますと、医療法または医療法の省令に規定してありますたとえば放射線の防護について必要な措置をしないとか、あるいは医師、歯科医師、看護婦等の医療従事者についての守るべき標準を満たしていない場合等がこれに該当いたします。
○鈴木和美君 医療法の二十九条というのは、つまりやめさせるとか、それからおかしなことがあれば多少の期間を入れて病院を休院といいますか、そういうような方法をさせることだと思うんですね。そのときに、三号に「開設者に犯罪又は医事に関する不正の行為があったとき。」には、つまり休院させるかやめさせるか、そういうことをやりたいと、やれると、そういう法律ですね。よろしゅうございますか、そういう解釈で。
○説明員(水田努君) そのとおりでございます。
○鈴木和美君 その場合、犯罪という中に罰金が科せられたという場合という定義を御説明になりましたが、脱税が行われたというときはこれに入りますか、入りませんか。
○説明員(水田努君) いわゆるこの犯罪というのは、医事関係の犯罪と限定されておりませんので破廉恥罪その他も一切含むわけでございますが、いわゆるそれによって罰金上の刑が確定した場合には入り得るというふうに解釈をいたしております。
○鈴木和美君 破廉恥罪も広範囲に述べられています。私どもが聞いているのは、脱税が行われたとき、脱税とはっきりとわかったというときは犯罪の中に入るか入らないかと聞いている。
○説明員(水田努君) 脱税によって有罪の判決が確定した場合には入り得るということでございます。
○鈴木和美君 つまり有罪ということよりも脱税が行われたということがはっきりして追徴税とか何か取られたら、そういうときにはどうしますか。
○説明員(水田努君) これは裁判によって罰金以上の刑が確定した場合のみでございます。
○鈴木和美君 大臣、ちょっとお尋ねしますが、税理士さんですから、節税と脱税とはどう違うんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 脱税はやっぱり法を犯して税を免れると、節税は法の範囲内で合法的に税金を少なくするということだと私は思います。
○鈴木和美君 今回のこの問題について国税庁にお尋ねしますけれども、先ほど大木委員の質問のお答えの中に、まだ的確につかまれていないというような抽象的なお話なんですが、すでに国税庁も何らかのモーションを起こし、すでにこの種の扱いについてどうするかということは一年間検討なさっているという事実を私は知っているんですけれども、全然検討はされてないんですか。
○政府委員(小幡俊介君) 先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、私どもはこの問題につきましてその実態把握に努めているというところでございまして、まだ最終的な結論を得るまでに至っていないという意味でございます。
○鈴木和美君 五十四年からこの税制が改正になりましてそれで申告の手続がことしの確定申告じゃなくて去年も行われておったと思うんですよ。そのときからことしを見て当然こういう問題が起きるだろうということはもう承知しておったと思うのですわ。だから事実関係についてどうするかということは別にしても、こういう問題が起きたときの対策はどうするかということは、国税庁は検討なさっておったんじゃないですか。
○政府委員(小幡俊介君) おっしゃるとおり、五十四年分の所得税の申告の段階からそういう申告が出てきておるということが、五十四年の後半になってそういうことがかなりあるというふうな問題が出てまいりまして、私どももそれについて鋭意実態の解明把握に努め、目下も引き続きその実態解明に努力している段階でございます。
○鈴木和美君 先ほど申し上げましたように、まだ実態が確実につかめていないということを前提にしてでもいいんですが、お医者さんが介入をしていて、個人のいわば診療報酬で差っ引かれてそういうことがずっと行われていた、その経過の中で、今度医療会社みたいなものをつくって、つまり社長とか同族の家族で役員を占めているというようなことになっている実体ですね。そのときには税務署としてはどういうふうにその実体を見ることになりましょうか。
○政府委員(小幡俊介君) ただいまの医療会社のケースで申し上げますと、診療報酬、これは支払い基金等からは個人で取得をするということになっておるわけでございますが、ただいまも厚生省の方からお話ございましたように、有限会社法ないしは商法に基づきまして、多くは有限会社法に基づく有限会社が設立をされておるわけでございますが、有限会社として診療報酬を受け、そしてそのお医者さんはその会社から給与を受ける、こういうふうなかっこうで税務申告がなされておる、こういうふうな状況でございます。これにつきまして、そういう医療会社というものが一体実体があるのかどうかということが税務上問題になるわけでございますが、この点につきましても、厚生省御当局におけるこの問題についての対応というものがわれわれはっきりしておりませんでしたわけでございますが、これらにつきましてのいろいろな方面、厚生省御当局のただいま非常にはっきりした御返事もあったわけでございますけれども、私どもこういうふうな御見解も踏まえまして、この問題についてできるだけ早い時期に実態解明をさらに努めるとともに、早い時期に結論を得るように検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○鈴木和美君 よくわかりません。厚生省の見解なるものもまだどうも釈然としていないみたいなんです。 前段で七条の問題の営利を目的とすることはだめだと、入り口ですか、これは……。入り口においてそういう営利を目的とするようなことはだめだということになっております。ずっと営業しておって仮にそういうようなことがその過程で起きたという場合には、これはやめさせるということになっております。やめさせるということになった場合というのは、まさに犯罪をそこで構成したことになりますね。構成したことになるということは、税金の方でも当然そういうものは追及が行われるわけですね。だから実態をまだ把握が完全でないという前段においても、税務署は五十四年からいろんなつまり実調というか、調べというか、対策というか、そういうのがとられたんじゃないですか。これからどうもやるみたいなことにおっしゃっておりますけれども、すでにやられておったんじゃないですか。
○政府委員(小幡俊介君) 税務調査の方はどういうふうなやり方をやっているかと申しますと、御案内のように、個人の場合ですと実地調査の割合が約五%くらい、あるいは法人の場合でいきますと実地調査の割合が約一〇%ぐらいということを申し上げておるわけでございますが、したがいまして、毎年毎年の申告書が出ましたときに、その申告書についてすべてその年度でイエスかノーか決着をつけるという仕組みにはなっておらないわけでございまして、一つの問題が出てきました場合には、その問題につきましてどういうふうな問題がそこにあるのかというふうなことにつきましてよく実情を調べ、その実情を調べたところに立ちまして一つの結論を導き出し、その結論を得たところでそれらの申告書の案件について処理をすると、こういうふうな仕組みになりますので、ただいまお話が出ましたような問題は非常にいろんな問題を含んでおりますので、私どもといたしましてはまだそれについての結論は出さずに、各局から実態を聴取し、その実態の解明に努めまして、その上で結論を出して対処をすると、こういう段取りでおるわけであります。
○鈴木和美君 いまの実調の問題は、私は酒税のときにもすでに申し上げましたから、あんまりダブって言いませんけれども、直税部長としてもあれでしょう、法人の場合には十年に一遍ですよね、一〇%ですから。十年に一遍しか調べられないんですよね。だから通常ごまかす——ごまかすという言葉は悪いのかもしらぬ、事実ごまかしていると思うんですよ。そういうごまかすことが調べられないということが現在の実情になっている。だからそれは国税職員の問題として大変な問題だから、これはもうとにかく真剣に考えてくれと。ただ行政改革だとか何かというんじゃなくて、それはそれなりに真剣に考えてくれと。それは何回も述べていますから、ぜひそのことは肝に銘じておいてほしいと思うんですよ。ただ、私が述べていることは実調が低いとかどうかという実情じゃなくて、五十四年からこの改正が行われたと、七二%が五段階になって、そのときから税務申告のあり方というものについて医師会がどういう動きをしていたかということは、もうすでにつかんでおったんじゃないかということを私を言いたいんです。ありませんか。
○政府委員(小幡俊介君) その点につきましては先ほども申し上げたわけでございますが、各地におきましてそういうような意味での株式会社あるいは有限会社というものが設立され、そしてまた、ただいま申し上げましたような形での税務申告が出されるというふうなことが出てきてまいりましたので、五十四年の後半以降われわれの方も各国税局に指示をいたしまして、そういう実態の解明というものを続けてきておると。しかしながら、この問題につきましてはいろいろわれわれだけで結論を出すというわけにもいかない点もございますから、厚生省御当局がどういうふうな御見解をお持ちであるかというふうなことの対応も見守りながら検討をしていかなければいけないというふうなこと、そういうふうなことで、われわれとしてはまだ結論を得るに至っておらないわけでございますけれども、そういうふうなことで五十四年以降の問題としてわれわれとしてはずっと検討をしてきておるということでございます。
○鈴木和美君 大臣に後から時間の中でお尋ねしますが、もう一回厚生省にお尋ねしますが、きのうの新聞ですが、丸茂さんが厚生省の関係者にいろんな対策についての接触その他が行われたことがずっと書いてありますね。特に私が問題としたいことは、関係者に申請が行われたときに、まあ、そう問題でないんだと。たとえば「医療法七条四項をたてに、有限会社化を認めない知事が出れば、選挙にひびくだろう」と言いながら大変圧力をかけたというようなお話があるんですが、そういう事実はありましたか。
○説明員(水田努君) 私は昨年の六月の末以来、医務局の総務課長をいたしておりますが、今日に至るまで富士見事件、医療一一〇番、予算、十全会、医療法改正ということに追われておりまして、丸茂先生にはいろいろお世話になっておりますが、税のことで直接先生からお話を承ったことは全くございませんし、また、私の上司の方から税の問題に——現在問題になっている問題について直接御指示をいただいたということも全くございません。
○鈴木和美君 もう一つの問題は、武見会長と丸茂さんとのつまりこの問題に関する対応の仕方が新聞で報道されていますね。武見会長は席上「税法が変わったからといってわれわれの身分から経営形態まで変えることは、医者として見識がなさすぎる。一般小売商人と同じような立場で節税を考え、右往左往している姿は、医師の立場ではない」と、こういうことまで武見会長が述べられているという報道がありますね。つまりそういうことから考えると、つまり本件についてはもう組織的に計画的に、そういうものが五十四年の税制改正のときから動きがあったと私は見ざるを得ないんですよ、これは事実。厚生省がそういうことについて全然知らぬということは私はないと思うんですわ。だからあなたのここでの答弁で、なかなか言いにくいかもしれませんけれども、事実を私はやっぱりはっきりしてほしいと思うんです。こういう事実があったかないか、もしもあったとすれば問題にするし、ないとあなたがお答えになって、あったとすればこれは大変なことになると思うんですよ。そういう意味で慎重に私は答えてもらいたいと思う。
○説明員(水田努君) 私ども丸茂先生からそういう御指示を受けたことはございません。
○鈴木和美君 大蔵大臣、本件に関して大蔵大臣としてのまず感想を聞かしてくれませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は先ほども大木委員にお答えをしたとおりなんです。結局、高額所得者でいままで七二%ですか、経費控除を認められていた。ところが今度は五二になってしまったということで、高額所得者が一遍にどっと出てきたと。えらい高額の税率になりますから、それで結局は苦し紛れというか所得を減らそうということで、所得を法人と自分たちの分散を図る結果になったということではないかと。これは問題は、医療法人制度というのはあるんだけれども、それは先ほど言ったように医者が何名以上とかベッド数が幾らとか、いろいろ規定が細かく書いてございます。そういうようなことのために、一人とか二人のお医者さんでは医療法人にもできないというところからこういうことを考えついたんじゃないかと、それを要するに厚生省認めるか認めないかという問題ですね、これは。でも本当に認めないと無許可営業なんだということになれば、これは大問題だと私は思いますね、実際は。ところが群馬県あたりでは何か古くからやっているのが二、三ヵ所あるという話も聞いております、私確認したわけじゃないが。もう三年、五年じゃなくて、もう何十年間。ですから、そういうのもわかっているのかいないのか知りませんが、これについてはやはり統一した見解を出す必要があるんじゃないか。それがないとわれわれの方も課税についてどうするか困る問題が出てくるだろうと思います。
○鈴木和美君 いま所得税の問題が真剣に議論されている時期に、医師の優遇税という問題に対して大変不公平税制の一番頂点に位置づけられて議論されているわけですね。だからいまの税制そのものに対しても不公平税制だと認識があるのにかかわらず、今回こういう問題が起きるということは大変乱はゆゆしき問題だと思うんですよ。ましてや事実かどうか知りませんけれども、丸茂議員は社会労働委員会もやったし大蔵委員長もやって、いろいろなことを経験されている方が、医師会との関係だけの中身でこういう問題が発生するということは、はなはだ遺憾だと思うんですよ。 それで私は、あしたの朝までに厚生省にお願いしますけれども、七条のあの解釈の問題及び今回のつまり問題の全貌というか、大綱というか、そういうものに対して明らかにしてほしいのと、厚生省としての統一見解もはっきりしていただけませんか。もう本当は大臣に来て示してもらいたいぐらいの気持ちなんですけれども、明朝までにはっきりしてほしいと思うんです。で、大蔵省についても、いま大臣が述べられたように、やっぱり統一見解をはっきり出さないと、下で働いている連中は大変ですよ、これは。働いている者も大変だし、国民の不公平税制に対して大変な危機感を持ってくると思うんですね、場合によっては、それならば医者だけじゃなくたっておれだってやるぞというようなことでみんな法人化にいって、節税だか脱税だかわからぬようなことが行われるということはやっぱり大変なことだと思うんです。私は、そういう意味でももう一度各省と連絡を取り合って、また明朝でも聞かしていただきたいと思うんです。 それから、委員長に私はお願いしたいんですが、この問題で事実人関係まだはっきりしませんから、私は静岡県になるか厚生省のどなたかわかりませんけれども、参考人を呼んでぜひこの問題を究明したいと思うんですわ。そういう意味で、ぜひ理事会で議論をしていただきたいと思うんです。そういうことを申し上げて、ちょうど持ち時間が来ましたから、私はこれで終わります。
○委員長(中村太郎君) ただいまの鈴木君の申し出につきましては、後刻理事会において協議をいたしたいと思います。 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分から再開することとし、休憩いたします。 午後零時十一分休憩 —————・————— 午後一時十二分開会
○委員長(中村太郎君) 休憩前に引き続き、ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、五案の質疑を続行いたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○竹田四郎君 先ほどの鈴木委員の質問に関連して大蔵大臣にお伺いしておきたいと思いますけれども、大蔵大臣が先ほど述べられた医療法人化、この問題は五十四年以前にも何か群馬県の方だか奥の方で二、三あるのを聞いていたと、こういう話でかなり前からあったというようなお話を承ったわけですが、それは税法上どういう取り扱いをしておりますか、ずっと。
○政府委員(高橋元君) 法人として登記ができました場合には法人税法を適用いたします。したがって法人の所得として計算をしておるはずでございますが、具体的なケースについては私承知しておりませんけれども、考え方はそうでございます。
○竹田四郎君 それはこれからの審議の上に非常に重要なポイントになる可能性が私は大いにあると思うんです。ですから、どういうふうな取り扱いをしたのか、それははっきりとあしたの冒頭までぐらいにどういう取り扱いをしたか、ひとつ調べた結果を報告してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(小幡俊介君) 個々の個人あるいは法人の一つ一つの事例については御答弁することをお許しいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、いま問題になっております医療会社につきましての課税処理の問題につきましては、私どもといたしましてもこれが非常に大きな問題でございますので、かねてから関心を持っておるところでございますし、昨年の後半以降は特に各局に指示をいたしまして、この実態調査もしておるということでございますので、現在まだその最終的な取りまとめに至っておりません。したがいまして、最終的な結論も出ておらないという状況にありますことを御理解いただきたいと思います。
○竹田四郎君 私は、直税部長ね、最近の話を言っているんじゃないんですよ。大蔵大臣が前からそういう話はあったと言っておりますからね。少なくとも五十四年以前の問題ですよ。それを一体その当時どういう取り扱いをしておったのかということをはっきりと報告でできるようにしてほしいというんで、あなたのいまのお話は五十四年以降の話のようでありますから、私は、それはもちろん出してもらわないかぬわけですが、これはもう明らかになってくるだろうと思いますが、それ以前にはどういう扱いをしていたのか、そのことを聞いているわけです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も記憶は定かでございませんが、先ほども言ったとおりでございまして、何か三件ぐらい日本にそういうのがあるという話をかって厚生大臣のころ聞いたことがあると、恐らくあるんじゃないかと思います。調べさせてみます。
○竹田四郎君 直税部長そういうことですよ。ですから、新しいことを私言っているんじゃなくて、古い話を言っているわけでありますから、いいですね、それ。
○政府委員(小幡俊介君) 私の方でちょっとその具体的な事実を掌握しておりませんので、どういうふうなものがありますのか、ちょっと、いずれにしても調べてはみますけれども、時間的に先生がおっしゃるようなまでに照会をいたしましても調べがつくかどうかちょっとわかりませんので、その点ひとつ御猶予をいただきたいと思います。
○竹田四郎君 法人税のことについて若干お伺いしたいと思うんですが、今度の法人税の引き上げ一律二%という引き上げでありますけれども、この一律二%というのはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 財政の現状からいたしまして、法人に税負担の強化をお願いをいたすという必要があるということでございまして、これはかねがね日本の法人税は外国に比べて若干まだ御負担をお願いする余地があるというお答えをしておりました。そういうことで法人の実効税率というのをつぶさに見てみますと、御案内のとおり、五十五年までの税制でございますと、法人の住民税、事業税を込みの実効税率は四九・四七%であったわけでございます。国際的に見ますと、日本の場合今回の引き上げ後で五一・五五と相なるわけでございますが、これはアメリカの五一・一八なりイギリスの五二、フランスの五〇、ドイツは若干高うございますが、完全インピュテーションやっております、五六・五二。こういうものに比べて二%引き上げて大体国際水準ということになるんではなかろうかと、まして日本の場合には、五大都府県を中心として超過課税をかなり広範に行っておりますので、超過課税が行われている状態を考えますと、法人の実効税率は五三・二四と相なります。そうなりますと、アメリカ、イギリス、フランスよりも高いというような水準になりますし、二%引き上げが法人の雇用力なり国際競争力ということから見て、これは一つのあるべき水準ではなかろうかというふうに考えまして二%といたしたわけでございます。 しからば、中小法人の方を一緒に二%引き上げたのがどういうわけかと、こういう御質問でございましょうか。
○竹田四郎君 そこまで聞いてない。
○政府委員(高橋元君) その二%の根拠はそういうことでございます。
○竹田四郎君 なぜ三%であっちゃいけなかったですか。
○政府委員(高橋元君) ただいま申し上げましたように、国際的に見て法人税の税率水準というのは、日本の企業の国際競争力、ひいては経済を支えていく力、雇用を支える力からしますと、国際水準五一・五五%、超過課税を行っている場合に五三%という水準で妥当であると考えたからでございます。
○竹田四郎君 必ずしも二%だから国際水準、三%だから国際水準ではないということにはならぬでしょう。三%にしたって五〇・四七%ぐらいが実効税率になるわけであって。だから、なぜ二%かというふうに私は伺っているんです。三%あるいは一%でなくてなぜ二%かということを伺っているんです。
○政府委員(高橋元君) 税率でございますから絶対的な根拠というのは、恐縮でございますが、五二、五三、それぞれについては具体的にはそれでは一%上げるとどうなるかということはないわけでございますが、戦後の法人税の歴史を見ますと、わが国の法人税率が一番高かった時代が四二%でございます。法人につきましてあと一%積んだらという御意見はまさにその御意見として承っておるわけでございますけれども、日本の場合にはそういうことで四二%という留保税率にし、それから都道府県民税、市町村民税につきましてもそのはね返りの負担増があるわけでございますから、全体としての税負担が五一・五五に相なるというところをもって今回御提案を申し上げていることを御了承いただきたいと思います。
○竹田四郎君 なぜ二%かということは、結局過去の一番高いのが四二%だからその線へ持ってきたんだというのが一番説得力のある二%論ですね。私は別に三%上げろと言っているわけじゃないんです。三%の数字じゃなぜいけないのかということを聞いただけであって、上げるということを言っているわけじゃないわけですが、そういうことで余り二%の論拠ははっきりしませんけれども、結局は過去最高のパーセントということと、それからもう一つは、一兆四千億の税収を考えて二%というのをはじき出したんだろうというふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、この一律二%の引き上げということになりますと、大蔵大臣、景気はどうなってまいりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも、景気に対してはプラス要因には私は働くとは思っておりませんが、学問的に二%上げたから景気がこれだけ足を引っぱるという根拠もないということではないかと思います。
○竹田四郎君 景気論争は私も予算委員会でやりまして、大蔵大臣お聞きになったろうと思うんですけれども、私は二%が全体的に景気、特に設備投資を引っぱるとは思いませんけれども、特に中小法人ですね、中小法人は、予算委員会でもとの人の口からも中小法人の景気は悪くなってきた、設備投資も同時にあんまりよくないんではないだろうかという話がありました。たしか経済企画庁長官からも四十七兆の設備投資の三分の二は中小法人だと、こういうお話がたしかあったというふうに私は記憶しているわけでありますが、一律二%というのは、この中小法人に与える影響はかなりあるんではないだろうか。特にいま中小法人の景気動向は必ずしも前向きではございません。特に日銀の短観でも見えますように、設備投資は五十六年においてはかなり控え目に出ているわけでありまして、しかも在庫調整その他の面から見ましても、中小法人に与える影響というのはかなり大きいんじゃないかと、こう思うんですが、大蔵大臣は先ほどと同じ答えでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体先ほどと同じ答えなんです。 一つは、税法というのは非常に幾つもございまして、公正、不公正という問題が常につきまとうわけでございます。 そこで、もともと大法人と中小法人との間というのは五%ぐらいしか差がなかったわけです、開きが三八対三〇何か——五%ぐらいしか差がなかったわけです。それがだんだん時がたつにつれまして一二%まで開いた。中小法人で七百万とか五百万とかぐらいしか所得が上がらないというようなのは、大部分が個人法人といいますか同族会社というか、そういうようなものが大半を実際は占めておるということであって、それをさらに差を開くということになりますと、個人所得税との関係等もございまして、別な問題が起きてくるというようなことから、この際はその差をそれ以上開かないようにしよう、こういうようにしたのでございます。 私、先ほど二八と三〇幾つと言ったんですが、大法人が四〇のときに中小法人が三五%というようなこと、五%の差であったということで訂正をいたしておきます、前半の部分。
○竹田四郎君 五%が一二%になってはいけないという理由はどこなんですか。その開きだけが問題であるというわけではないと思うんですが、なぜその五%ならよくて一二%の開きではぐあいが悪いということなんでしょうか。もともとは法人税というのは私は一律が一番いいと思うんですね、基本的には。しかしこの経過を見るとずっと開いているわけですよね。開いているには開いているだけの経過があったんだろうと思うんですがね。なぜ五%が一二一%になってはいけないのか。恐らく五%の当時の日本の経済構造と今日の日本の経済構造というのは私は大変違うと思うんですよね。ですから、この四〇%と三五%の時代のたとえば大企業と中小企業のいろんな物資の交流のあり方というものと、今日のあり方というものは大分違うと思うんです。たとえばトヨタのかんばん方式というのは御承知のように非常に有名ですよ。昔私どもが会社に勤めていたころは、大きな会社は全部下請から部品を買ってそれを会社の倉庫に入れておいて、大きな会社の責任でその部品をラインに流し込んでいくというのが昔のやり方だったわけです。いまはそうじゃないでしょう、全然。大きな会社というのは在庫持たないわけでしょう、全然。そうして何時何分何秒——極端なことを言えば何秒にこのラインのどこどこにどれだけの部品を持ってこいという指令が出るわけでしょう。そういう形で音といまと同じ下請メーカーあるいは部品メーカーでもあり方というものが全然変わってきている。そういうものが五%から一二%に必然的にならざるを得なかったような情勢ができてきた、私はこのように理解しているんですよ。だから何も五%が一二%になったからけしからぬと、こういうことを私は言っているわけじゃないんです。ですから、どうもその辺が、一二%になったからそれ以上広げられないから、今度も一律中小企業に対しては、じゃ二%の一律税率引き上げた、こういうように聞こえてならないんですけれどもね。その辺はどういうふうに考えていらっしゃるか。
○政府委員(高橋元君) いまも大臣からお答えがございましたように、中小法人に対する軽減税率と申しますのは、中小企業対策の観点からの特別の措置であるというのが税制調査会の意見でございますし、私どももさように考えておるわけでございます。そういう政策的な中小企業対策上の措置というふうに考えますと、大臣からお話のありますように、五%であったものがだんだんだんだん広がって一二%になった、それをこれ以上拡大するかどうかという一つの政策の必要性ということの判断が入ってくると思います。現在軽減税率によりまして、五十四年の実績ベースで申しますと、中小法人、協同組合、公益法人を合わせまして四千二百十九億円と計算されますが、減税額が出てまいるわけでございます。これを今度一律二%のときに、大法人だけ二%といたしますとさらにその政策の効果というのが計数的に大きくなっていく。金融、財政投融資、それらを通じて中小企業に対して各般の措置が講じられておりますし、また下請企業の保護ないし中小企業の保護ということについては諸般の中小企業対策もあるわけでございますから、その辺は各般の措置を総合して中小企業対策という観点から軽課税率について考えていくべきではないかと。そうすれば、いまお答えをしました四千二百億という政策の大きさというものはかなりの大きさであるということを前提にいたしまして、全体について一律二%の御負担をお願いをするというのが考え方の第一であります。 それから二つ目の考え方は、個人形態の事業との税負担の、バランスということでございます。で、仮に七百万円の法人所得を得ている方、これをいろいろモデルを調べてみますと、その場合の代表者給与が五百万円というのが多いようでございますから、個人に換算をいたしますと千二百万円の事業所得ということに相なります。法人形態で事業を営んでおります場合に、法人税と所得税とを合わせて二百三十万円ぐらいの負担でございますが、個人形態で所得税だけということにいたしますと、二百九十六万円の税負担ということに相なって、個人と法人との税負担のバランスということもこの場合考えなければならないということが第二でございます。 以上が税制調査会で御審議をいただいた中小法人に対する軽減税率についての考え方でございますし、そういう考え方に基づいて、今回案をつくりまして御審議をお願いいたしておる次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○竹田四郎君 いま局長おっしゃった数字、よく聞き取れなかったんですよ、大体の話はわかったんですが。後で結構ですから、その数字をメモにしていただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) それはお届けをいたします。
○竹田四郎君 それから今度の場合、中小法人の軽減税率の適用の限度というのが七百万円から八百万円に百万円ふえたわけですね。これは、七百万円になる前はたしか私、三百万円くらいであったと思うんですが、それが四十九年でしたか、そのぐらいであったと思うんですが、どうだったでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 軽減税率が適用されます所得限度でございますが、昭和四十一年から後ろの資料しか持っておりませんで恐縮でございますが、昭和四十一年には三百万円でございました。四十九年に六百万円になり、五十年に七百万円になり、今回八百万円に引き上げることで御審議をお願いしておるところでございます。
○竹田四郎君 そうしますと、前の上がり方と今度の上がり方というのは、ずいぶん今度は緩いカーブで上がっているわけですね。いまのお話ですと、四十九年に六百万円になって五十年には七百万円になった、このようにおっしゃったと思っておりますけれども、今度はそれから比べて五年目になるわけでありますけれども、八百万円という百万円ですが、この百万円というのは一体どういう数字なんですか。
○政府委員(高橋元君) 軽減所得適用限度以下の所得のみを有する法人の割合というものをさかのぼって考えてみますと、いま三百万円とお答えしましたのは三十九年度以来の制度でございますが、三十九年度には三百万円に引き上げたことによって八四%でございました。その後漸次下がってまいりまして、四十八年に六五まで下がったのを、四十九年度に六百万円引き上げることによって七四・二となり、五十年に七八・八%となったわけでございます。その後この割合はほぼ横ばいに推移して、現在七五・四と、改正前で五十四年度でございますが、そうなっております。 今回百万円引き上げをすることによってその割合がどうなるかということでございますが、九割ということに相なります。九〇%でございます。八百万円まで引き上げますと、八百万円以下の所得しか持っていない法人の全法人に、占める割合が、利益法人の場合九割となるわけでございます。したがって従前の考え方からいたしますと、今回の八百万円の引き上げというのは一つのめどというものを達成し得た高さであるというふうに考えております。
○竹田四郎君 これは大蔵省の調べた数字でありましょうから、私もそれをいまにわかに否定はできないと思いますけれども、全体として中小企業への配慮が必ずしも私は今度の税制でできているというふうには申し上げられないと思います。 今度は少し観点を変えた問題をお尋ねしたいと思いますが、税調で企業課税小委員会というのが設けられまして、その一応の報告が出たというふうに思いますが、そのポイントは一体どういうところでございましょうか。
○政府委員(高橋元君) 企業課税小委員会は昨年の四月に設置をされまして、九月に考え方をおまとめいただいたわけでございますが、それは現在の法人税の負担調整ということをめぐりましていわゆる実在説、いわゆる擬制説というふうに概括して言われております。そういう考え方からしていろいろな御意見が出ておる。法人株主とその法人の事業を営んでおる法人、また個人株主と法人、それらの間の課税の調整がどうあるべきか。調整は要らなくて、それぞれの段階でそれぞれ税金を取った方がいいじゃないかという御意見があります反面で、インピュテーション方式といわれておりますように、また受取配当益金不算入といわれておりますように、全く二重に税金はかからずに、個人形態で仕事をしている場合と同じような状態にした方がいいという御意見もございます。その場合に調整をするという考え方であれば、その考え方はどの程度の調整を行ったらいいのかということについても外国の立法例、それから学説、さまざまな考え方があるわけでございます。 四十六年に長期の税制についての考え方というのをおまとめいただいた際に、この法人税のいわばアプリオリの議論ということよりも、むしろ法人税制というものが経済にどういう影響を持つか、また個人の金融資産選択にどういう影響を持つか、さらには国際的な租税の調和ということについてどういうふうに考えるか、そういう金融資産選択なり経済に与える影響なり、それから国際的な法人税の位置づけなりというものとの関連で考えてみる必要があるという御指摘がございまして、現在の考え方も、この企業課税小委員会の御審議の進め方もそういう線に沿って行われました。 その結果、法人と個人との間の税負担の調整を全く行わないというやり方にいまから日本の法人税制を改めるのは適当と言えないんではなかろうかと。しからばその調整をどうするかということになりますと、法人税に長期的に、少なくとも長期的に転嫁ということがある以上、完全調整といことは必要でない。部分調整ということはやはりやってしかるべきだろう。部分調整の程度をどうするか、そのやり方をどうするか、これをいろいろ御検討願った結果、配当損金算入とか配当軽課、それから個人段階での配当税額控除、さまざまな方式を御検討願って、まあやはり理論的には法人税加算調整方式と申しますか、インピュテーション方式ということが理論的には一番適合しているように思うけれども、これまた先ほど申し上げました経済に与える影響、個人の金融資産選択に与える影響、企業の経営ないし国際的な租税の調整ということから、一気にその方向にいくという場合にはいろいろな混乱が起こってまいるであろう。よい方にと思って制度を改正しても、メリットよりもデメリットが大きくなってしまったんではどうにもならないので、したがって配当軽課税率と個人受取配当の税額控除方式というものを組み合わせた現行税制にしばらくいることとして、今後は国際的な法人税についての枠組みの進み方と申しますか、動きの進み方というものを見合わせながら検討を行っていってはどうであろうかというのがこの企業課税小委員会報告の底を流れておる考え方であるというふうに思います。 大変長くて恐縮でございますが、さようにお答えさしていただきます。
○竹田四郎君 一応十回ぐらい討議をされて報告が出たんですけれども、大変貴重な報告であるし、いままでのこの法人税と個人所得税との間の負担調整というものをかなり整然と論議をされているという意味では、私も一応読ませていただきましたけれども、評価するわけでありますが、一体これをこれからどうしようというんですかね、この報告を聞いて。まあ報告そのものは私はやっぱり目を通しておくべきだというふうには思いますけれども、その後一体どうしようというお考えですか。
○政府委員(高橋元君) これは企業課税小委員会から御報告がありましたのが昨年の九月のたしか十七日であったと思います。それをちょうだいをいたしまして、税制調査会の総会で企業課税のあり方についてまた何回か御議論がございました。 いま私がお答えをしておりましたようなことよりももう少し詳細に、「法人税の負担調整に関する仕組み」という形で、中期答申の中にいまの企業課税小委員会の御見解が再度御検討になった上盛られております。そういうものを踏まえて今後の「国際的動向についてさらに注視しつつ、当面は、現行の法人税の負担調整に関する仕組みの骨格は維持することが適当であると考える。」というのが中期答申での企業課税小委員会の御作業についての結論でありますが、その注視しつつ骨格を維持していくということは、今後税制調査会の中でも、企業課税のあり方について、また企業課税と個人所得課税との調整についていろいろ御議論が進んでまいります。世の中の経済なり国際的な税制の動きも変わってまいる、それに合わせて考えていく場合の考え方の基礎ということになるというふうに考えております。
○竹田四郎君 そうすると主税局ないし大蔵省では、そのサイドで積極的にこの中からいいものを抜き出して進めていくというそれほど積極的なお考え方はない、結局は税制調査会の中で議論をしてもらう材料、また税制調査会でもう少し議論してもらって、その結果が出ない限りは、貴重な報告ではあるけれども大蔵省としては積極的に手を出していかない、そういう考え方でしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 私ども中期的な税制のあり方というものを、これは私どもの本来の仕事でございますから、常にさまざまな角度から勉強しております。 それから、各年度の税制改正について、当時の財政事情それから社会経済情勢においてどういう税制のあり方がしかるべきということについても、私どもなりにいろいろな考え方を持っておるわけでございますが、そういうものを税制調査会での御議論を通して、制度として確立した方がいいかどうかということについて、いつも税制調査会の御意見を伺い、そのお答えに従って処理してまいっておるわけでございまして、先ほど来私がお答えしております企業課税小委員会の考え方、またその作業の基礎となりましたいろいろなデータなり各国の制度の変遷というものにつきましては、私どもなりの勉強の結果を御報告をして御審議を願ったわけでございます。 結論につきましても、私どもは、いま竹田委員仰せのような意味で、この企業課税小委員会の中で非常にすぐれた御提案もいろいろあるわけでございますし、御解釈も示されておるわけで、私どもなりにまたこういうものをもとにして勉強していくわけでございますが、各年度の税制をどう持っていくか、それから、中期的な税制をさらにはどういうふうに構想し、その中で各年度の税制改正を位置づけるかということにつきましては、その都度その都度税制調査会にまたお諮りをして進めてまいるというのが従来の仕事の進め方でございましたし、今後も、企業課税の分野につきましてもさような運びになるであろうというふうに思っております。
○竹田四郎君 どうも余りよくわからないんですが、どういう点をさらに推し進めていくかというようなことも何か税制調査会任せというようなことで、アヒルの水かきで、下の方では一生懸命あれやこれやと推進しているのだけれども、外から見ますと税制調査会任せというような感じがしてならないわけですけれども……。 そこで、いままでもよく議論のありました法人税の根拠である法人とは何物かという議論がずいぶんいままでされていたわけでありまして、この席上でも先ほども議論されていたようでありますけれども、擬制説か実在説かと、こういうような議論がされていたわけでありますけれども、これからもその点は、大蔵省は、今度のこの報告を受けて、そういう議論に対してはどう対処していくつもりなんですか。
○政府委員(高橋元君) 法人の社会的な活動の実態というものを見ますと、法人は株主と別個の独立した主体として経済活動を営んでおりかつ成果を上げている、これはもう事実だと思います。これはだれも疑えないと思います。しかしながら、同時に、法人がさように経済活動をしておりますことによって得られる所得が配当の形で株主に帰属されるという面があって、利益を上げて株主に配当いたすということが法人という企業形態の存立目的であることも否定するわけにはまいらないと思います。これはこの企業課税小委員会の報告の中にも述べられていることでございますが、私どもさように思っておりまして、そういう二面的な法人の性格というものに基づいて、法人と個人株主の間の税負担、または法人と法人株主の間の税負担の調整をどういうふうに組み立てていくかということにつきまして、これからさまざまな御意見を伺いながら、経済の情勢に合わせて、また国民全体の福祉という観点から具体的な改善を図ってまいりたいというふうに考えるわけであります。
○竹田四郎君 この報告には実在説とか擬制説とかというような議論というのは不毛の議論だと、こういう指摘がしてあったように私は思うんですけれども、いまの局長の話ですと、どうもその辺はこの報告に基づいていないような感じがするんですけれどもね。むしろ具体的にそれが所得の分配にどういう影響があるからこれはこう直すんだ、これはこういうことをすれば大きな企業と小さな企業との関係がこうあるから、これはこう直していくんだというふうな具体的な取り上げ方というものが重要だというふうにぼくは報告は書いてあるように思うんですがね。いまの局長の話ですとどうもその辺がはっきりしない。だから私は、その点は大変この報告の中ではいい点だと思うんです。余りそういう実在説だ擬制説だというところにばかり議論やっていても、これは本当にただ単なる議論にはいいかもしれませんけれども、政策的に見れば必ずしも私はいいとは思えないわけですね。 いまの現在の税率にいたしましても、本来ならば擬制説の立場でいけば二本立てにすることなんということはまさにおかしいことでありまして、その辺も具体的に崩れているわけでありますから、そういう意味ではその議論というのは実態にも合ってないし、その議論が有益だとも私は思わない。そういうふうに思うんで、何かいまのお話ですと、都合のいいときには擬制説持ってきたり、都合の悪いときには実在説を持ってきたり、どうもそんなことを使い分けをしてこれからも議論をしようというような感じにうかがえてならないんですが、そういうものはまずこの報告に基づいて大蔵省、特に主税局長なり主税局のメンバーはそういう立場から離れるべきだ、この際完全に離れるべきだ、その上で議論をすべきだ、こういうふうに私ははっきりしてほしいと思うんですが、どうですか。
○政府委員(高橋元君) 少し言葉が足りなくて恐縮に存じますが、先ほど私が申し上げましたのは、法人が擬制であるか実在であるかというのは、これはたしか十九世紀の民法論争時代以来の法学的発想であると思うわけであります。これは私個人の考えでございますが、そういう法律的な存在としての法人のあり方というものと離れまして、経済的な実態の面で先ほど御説明したわけでございますけれども、法人が実際の経済の中でどういう役割りないし機能を営んでおるかということに絡めて法人の課税のあり方というものを考えていくべきだということは、竹田委員の仰せのとおりに私も思っております。法人擬制説ということを論理的に貫いていきますと、これは留保所得についての課税も株主である個人に帰属させて課税するといういわゆる組合課税方式というものになっていってしまうわけでございます。実在説で法人と個人とは全く別のものだと言えば、法人が個人に行った配当というものはこれは社債権者に払っている利子と全く同じで、これは全部損金算入でいいじゃないかという議論になります。擬制説、実在説と申しましてもそれは徹底したものではあり得ないんで、そういう意味で法律的に徹底させますと非常なおかしな答えになってしまいますから、むしろ経済的な実態をつかまえて、三つの観点と申しますか、四つの観点と申しますか、経済に与える影響とか、金融資産選択とか、企業経営とか、国際経済的な位置づけ、そういうものを物差しとして法人税または法人税と所得税の調整、それらの両方の制度のあり方というものを考えていくべきだというふうに考えておりまして、そういう意味では先ほど大木委員からおしかりがあったわけですけれども、法人実在説と言い、また擬制説と言っても、それをそれから税制を考えるというわけにいかない、そういう意味で不毛の議論だと、この企業課税小委員会の報告の中にもそう書いてございますけれども、そういう立場をとることなく、経済的な実態というものに即してとらえていくということはいまお諭しのとおりであると私は思います。
○竹田四郎君 そこで配当軽課制度、今度のあれでもそこを含めて二%下げていくということなんですがね。その配当軽課制度のかつての目標というものと現在のそれの、ずっとかなり長い期間そういう制度をやってきたわけですが、それの功績といいますか実績といいますか、そういうものは一体どうなっているんでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 配当軽課は三十六年の改正で取り入れたわけでございますが、それ以後特に全産業ベースで見ました企業の配当率というのは上がっておりません。そういう意味で申しますと、配当に対する課税が法人独自の負担であると考える日本の経営者の意識というものも一つあると思いますし、資本に対する配当率を維持することが配当政策である、こういう経営態度ということにもよると思いますけれども、配当に対して軽課することによって、配当を行うことによって自己資本の充実を図っていく、自己資本の増加を容易にすることによって自己資本の充実を図っていくというこの政策的な税制は、それ自身としては、配当率という指標で見ます限りは成果を生まなかったという見方もできると思います。しかしながら、この配当軽課と個人に対する配当税額控除が組み合わさって二重課税調整の仕組みになっているわけでございますから、政策的な効果を生まなかったからこれをすぐやめてしまっていいということには直結いたしますかどうか、その場合には配当税額控除なりインピュテーションなりというものをどういうふうに構想すべきかという新しい問題に発展するものではないかというふうに考えておるわけでございます。
○竹田四郎君 その配当軽課制度が配当率を高めることにもならなかったし、あるいはそれによって企業の自己資本を高めるということもほとんどなかったというふうに私は見てよかろうと思うんですよ。そうなりますと、その法人にかかる税金は二段階、配当が個人に入ってきた場合に配当税額控除方式という、これも二段階の形になるわけですね、どうしてもならざるを得ないわけですね。こうしますと、私は非常に税制というものが複雑化してしまっていると思うんですね。それによって非常に政策効果があるというなら私はそれを続けたらいいと思うんですよ。しかし報告によってもいまあなたのお話によっても、余りその効果というものはなかったように思います。これから外国との関係もありますから、そういう面でもいろいろな問題点というのは私は出てきそうな気がするわけでありますけれども、何と言ってもわかりにくいことはもう絶品のわかりにくさだと思うわけですよね。税というのは大蔵大臣、だれにでもわかるということがやっぱり一番必要だと私は思うんですよ。それをわざわざわかりにくくするということはどうしても改善をしていくべき課題だろうと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 確かに、多年この法人税制というものを研究をしてこられた税制調査会の中でも、支払い段階で、一遍調整をし、受け取り段階で調整をする、しかもそれが片方が四分の一で片方が四分の三だと、そこは本当に税制としてわかりにくいという御意見が強いわけでございます。国際的に見ますと、ドイツと日本がこういう方式をとっているわけでございます。ドイツはかつて極端に三六%の税率差を設けております、一五と五一でございますか。現在はたしか三六と五六でございますから、二〇%の配当税率と留保税率の差を設けております。これにはやはり、外国人株主に対して内国法人の利益をどれだけ分配するかという問題も絡まっておるわけでございます。ドイツは完全インピュテーションをやっておるわけでございますから、ドイツの話になって恐縮でございますけれども、配当軽課をやる必要が本来はないわけでございます。しかしそれであるにかかわらず配当軽課をとっておるというのは、ドイツ企業に対する外国人の株主に対する配当、それの税率を幾らにするかということとの関連があるように聞いております。 日本の税制に戻りまして、大変複雑な税制であることは事実でありますので、より有効で国際的な税制のあり方とも見合った新しい税制が出てまいりますならば、こういう支払い側と受け取り側と両方で調整をする、だれから見てもわかりにくい税制というものは改めていく必要があると思いますし、その時期を見て私どもも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○竹田四郎君 そうい化しますと、早急にこの二つの法人税と所得税の調整問題を一遍に大改革をするということはなかなかできないと思うんですがね。そういう意味では、私意今日の段階でインピュテーション方式というものを積極的に取り入れたらどうだろうか、そうすれば、たくさんの配当をもらっている高額所得者に対しては、それ相当なりの累進税率によって税金がかって負担はたくさんの負担をしなくちゃならぬ、少ない人は低い税率でありますからそれ相当なものをやって、個人の所得に応じての課税になるわけでありますから、これは累進段階によってはっきりわかるわけでありますから、私は今日の段階ではもうそろそろこのインピュテーション方式導入の準備をやっぱり行うべきじゃないか。そのことによって所得に対する課税というものが一応国民にわかりやすく納得できるような形になっていく一つの段階だと、こういうふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 企業が配当政策の決定に当たりまして、払い込み資本と申しますか額面に対する配当率の維持をする、これによって重役さんの成績が決まる、一割配当ができなくなったら役員は総入れかえだと、こういうような配当政策というものが日本にはかなり根づいておると思うわけでございます。配当率の維持じゃなくて、もっと配当政策について、企業の成績と経営者の評価というものが、より経済的な意味での合理的に決められる方式というものができてまいる必要があると思います。現在のような企業の配当政策決定に当たって額面に対する配当率の維持が重視されるという傾向、また株主にいたしてみますと税込みの配当という頭がないわけでございます。法人税込みの配当でもらったという考え方でなくて、やはり税引き後の配当が自分の配当だという考え方が行われておるわけでございます。もう一つ、配当を受け取る個人の段階で税額控除を行うという配当税額控除方式が現在あるわけでございますが、それが配当所得者に対する優遇措置でないというふうに考えるわけですが、そういうことについての一般の御認識というものがまだ十分でないと思います。インピュテーション方式というものは、確かにいまお話のございますように企業課税と個人課税というものを合理化していく上で最も進んだと申しますか、試行錯誤の末OECDの諸国が取り入れる、そういう意味で一番新しい制度だと思いますし、五十年でございましたか、ヨーロッパの税制としては大体五〇%から五五%ぐらいの法人税率にしたらいい、インピュテーションの率は大体五割ぐらいのインピュテーションやったらいいと、そういう形で法人税制そのもののハーモニゼーションやったらどうだという意見が租税委員会の作業部会で出たこともございます。そういうことを申し上げましたのは、そういう意味ではいろいろ試行錯誤を繰り返してまいった法人税制がたどりついた一番新しい制度についての提案だと思いますので、竹田委員の仰せのようなことは、私どももインピュテーション方式が将来日本の法人税がそこに行くべき一つのあり方だというふうに思っておりますし、税制調査会もそういう見解を述べておられるわけであります。 で、冒頭に申し上げた三つのいろいろな現実の障害というものを、できるだけ理論的にも制度的にも緩和していきながら、インピュテーション方式というものを具体的にしからばどういうふうに受け入れるのかということについて勉強を進めてまいりたいと思っております。
○竹田四郎君 私はいまのままで、これは大蔵省でもそうでしょうし税制調査会でもそうだと思うんですが、いまのような形での調整というのは率直に言って余りうまくいっていない。西ドイツあたりみたいに一〇〇%いっているというところに比べますとその半分もいっていないという話なんです。私、自分で計算したわけじゃないですからわかりませんが、恐らく四〇%程度のものだ、こういうふうに一般に言われているわけでして、これからも大蔵大臣あるいは鈴木内閣という立場で見ますと、ある意味で財政再建という形、そういうものをやるにはやはり不公平な税制を改めて、だれでもが納得できるわかりやすい税金というところに歩を進めていかなければ私は財政再建は本当の意味でできないと思うのです。そういう意味で言うならば、私はこの小委員会の報告が出たのは一つの非常にいい契機だと思っているんですよ。だから、このあたりでこの問題を抜き出してさらに一歩進めてみると。そして今度は利子・配当の課税制度も異なってくるわけでありますから、その辺と合わしてやるということがわりあいわかりいいことだと思うんです。一部ではグリーンカードはやめたという説がありますからどうなりますかわかりませんけれども、いまの段階ではそれを進めるという段階でありますから、そういうことであるならばむしろそういうことをやった方がわかりやすいというふうに私は思うのです。だからこの辺で、税制調査会任せにしないで、大蔵省としてもこの点をもう少し抜き出して進めてみたらどうかと私は思うんですが、どうですか。これは大蔵大臣にお聞きした方がいい問題のようですな。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまのやりとりを私聞いておりましてどっちがいいものかよくわからぬのですが。竹田委員の言うことも十分理のある話でございますし、余りきめ細かくやり過きちゃってわからなくしちゃった点もあるんですなこれは、理屈倒れみたいなところもあって。でございますから、今後法人税法を見直すというときには当然大きな問題点の一つとして十分に検討したい、こう思っております。
○竹田四郎君 大蔵大臣、大分先のことを考えているんですね。法人税法を見直す機会があるときには考えてみたいと。これはいつ見直すのか、かなり先へいってしまう可能性が私はあるように思うのです。だから、せっかくグリーンカード制度を導入して個人の所得というものをもう少しはっきりしよう、こういう時期にあるだけに、非常にややこしいように大蔵大臣は言うのですが、いまの方がよっぽどややこしいんですよ。これからになれば、もらった配当はほかの所得と一緒に重ねてそして総合的に計算できる、そして引かれた分は引くわけですから、むしろこれからの方が非常にわかりいい。だからいままでのように、いやそれは大きな株主に対する優遇税制だというようなことを言われなくても済むわけですよ。局長の方は前向きなんですね。大臣の方が何かちょっと今度は後ろ向きのような気がして私はならぬわけですが、もう少しここで進めてみませんか、大臣。そして、せっかく五十九年にいろんな制度が変わる時期ですから、その辺に合わしてこれもやっぱり変えていく方がずっとわかりいいと思うんですよ。さつきのように、いつだかわけのわからぬような話じゃ困るのです。大型消費税だけはわりあいはっきりと言ってみたり、税金を取る方は大変はっきり言うのですけれども、これだって場合によれば税額としてはふえるかもしれませんよ。ですから私は、そういう点ではぜひもう少し前向きの姿勢というものを大蔵大臣から得たいと実は思っているのですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はそれは理屈はよくわかるんですよ。わかるのだけれども、それによって税収が余りへっこんじゃっても困ると思いまして。いま主税局長に聞いてみたところじゃ、それは上げ方だと言うもんですからね、これはやっぱりそういうものを直すとすればグリーンカードの実行の時期ぐらいがいいのかもしれません。内部でもう少しよく相談します。
○竹田四郎君 ぜひひとつ、せっかく私もややこしいものをこれだけ研究したわけでありますから、大蔵大臣も検討をしていただきたい、こういうふうに思います。 では、その次に入っていきたいと思うのですが、どうも私は法人税の中で益金と損金の分け方あるいは算入の仕方というのが大変おかしいのじゃないかという疑問を常に持っているわけです。たとえば退職給与引当金、従業員が半分ぐらいやめるというときにはそのやめた分については一応損金として積んでおく。取り崩しのときにはまた益金へ戻すということはありますけれども、一応そういう形でやる。それにしても、大変巨額な金が一ヵ年間は無利子で銀行の制約を受けないで自由に使えるわけでありますから、それの金利負担の軽減分だって私は決して少なくないと思う。そのほか貸し倒れ引当金にしても、このくらい損になるのじゃないだろうかというわけで、ある一定率を積むわけです。損金になるもの、損金になると思われるものは常にすぐ積むのですね。益金になる方はちっとも積まないんです。こういう法人税の根本的な仕組みに私は疑問を感ずるんですよ。はっきりとこれはもうかるものだと思うものは益金へどんどん算入して計算したらいいと思うのですよね。それでたとえばあなた方が、相続税で、不動産が相続された場合、この場合には現実に昔の価格じゃなくて現時点の価格で評価して、そして金があってもなくても相続税を取るわけですね。そうして金が足りなければ売れと。売ってでも納めるというので、納めて、それがいま農村では農地の細分化というようなことになってきているわけです。またわれわれの例で言いますと、私どもが土地増価税をかけると言うと、それは現実に金にならないからだめだ、こういうことをよくおっしゃいますね。でも、われわれの固定資産税を考えてみると、私なんていま小さなところに住んでいるわけですけれども、毎年のように土地の価格は一〇%ぐらいずつ上がっていくわけです。それで三年ごとに評価がえされる。それがまた調整されて上がってくるわけですね。別にいま住んでいるところで利益を感ずるわけでも何でもない。値段が上がったから特に何か得をしたというわけじゃないですけれども、固定資産税と都市計画税は毎年のように上がっていく。これだって別に、その土地を切り売りして金が入ってきたわけじゃない。こういうことを考えてみると、どうもわれわれのものは、上がるという見込みがあればすぐ取っちゃう。ところが法人の場合には、上がるという見込みがあっても、現実に未実現の利益ではあるけれどもこれを益金に繰り入れて計算するということはしない。一番決定的なのは、受取配当の益金不算入なんというのは私はその代表的なものだと思うのですが、こういうふうに考えてみますと、とりも法人税の基本に税務会計というのがあるのだろうと思いますけれども、その中で益金算入というのは特殊なもので非常に少ない。損金算入というのはもうあらゆるものが損金算入ですよね。こういう形で、企業会計そのものが恐らくなるべく利益は少なくしてというのが原則であろうと私は思うのですけれども、しかし税制はそれと同じであってはならぬ、こう思うんですが、大蔵大臣、その辺に不思議さを感じませんか。あなたもきっと固定資産税は、別に売ったりなんだりしないでただ持っているというだけで、付近の地価が上がれば固定資産税はどんどん取られていくと思うんですよ。それから、相続税でも私は同じだと思うんですね。どうもその辺がすっきりしないんですがね。大蔵大臣どう思いますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 社会党御提案の土地増価税のことは私も考えてみたんですが、法人が持っている固定資産もやはり固定資産税はかかるわけですから、それは地価が上がればやっぱり三年に一遍見直して固定資産税をふやしていく。ただ、現実には固定資産税、実際の取引価格よりは安いですわな、どこでも。だけれども、それがやっぱり値上げを三年に一遍ずつやっているわけですからね。そことの調整をどうするのかという問題もある。したがって、またもう一つは、固定資産税と同じぐらいのものを取っちゃうということになると、業種によっては土地がなくとも商売がうまくできる業種もあるし、それからどうしても土地がなければ商売ができないと、製造業等でも広い面積を要するものと、そうでない面積の五階とか八階建ての中でできるというのとございますから。そこで、その土地の面積だけについて値上がりを課税するということは、その間のバランスを一体どうしたらいいのかというような疑問もございましてね、なかなか賛同しがたい。ただ相続税については、言うならば富の再配分というようなことでしょう。そういうことでかなりきつ目ないまの相続税というのは、本当にきれいになくなっちゃうぐらい取られますからね、これは本当に。かなり高いものをかけておるというのは、富の再配分ということを目的にかなり強く意識してつくられているものではないだろうかと、そう思っております。
○竹田四郎君 確かにそうなんですよ。それで、私は何も相続税をうんと安くしろという意味じゃないんですね。富の再配分としてそれはそれなりにいいと思うんですけれどもね。どうも法人税の中ではそういう偏りが私はあると思うんですよ。これは一つ一つ言っていけば長くなりますけれども、どうも損金の方はすぐこれを入れる、益金の方は余り入れない。確かにおっしゃるように、法人でも固定資産税はあるわけですからね。その面では保有の形になるのか権利の移転の形になるのか、これはいろいろ現象によって、法律行為によって違ってくるんでしょうけれども、どうも法人税の中で益金は余り勘定に入れないで損金の方は早目にこの勘定に入れていくと、こういう方面なんかももう少し私は直していったらどうだろうかと思いますね。それは特別措置の中にもそういうのはありますし、法人税法の自体の中に私はそういうものがかなりあると思うんですね。そういうものをやっぱり直していかないと、財政再建といい、あるいはこれからの時代というのは多様な価値観の中でやっぱりいろんな批判が出てくると思うんですね。ですから、その辺はもう少し、どうなんでしょうか、それこそ一遍に結論を出すというわけにはいかぬと思いますけれども、それこそそういうための企業課税小委員会なりあるいは税務会計小委員会なりというようなものをつくってその辺をもう少し洗い直してみる、その努力は私はやっぱり同時にあっていいんじゃないだろうかと、こういうふうに思うんですけれども、局長、御返事いただきたいと思うんです。
○政府委員(高橋元君) 戦後私どもは先輩からいろいろ仕事を習ってまいりましたときに、税務会計と企業会計をできるだけくっつけてくるという方向で物事が進んでまいったわけです。いまお話しの諸引当金の中でも、退職給与準備金と言っておった時代がございます、貸し倒れ準備金と言っておった時代がございます。そういうものをだんだん純化してきて、合理的に当期の利益の中から減殺しておいた方がいい評価性の引当金、または負債性の引当金として当期利益に算入しない方がより合理的な企業会計の処理であるというものにつきましては、税務上も引当金という形で利益の有無にかかわらず益金から減殺をしておく項目というものにだんだん二十年近くかかってそういう制度をつくりまして、現在の昭和四十年の法人税法になったわけでございます。企業会計と税法また商法と税法、それらの調整については長い歴史を経てきて今日に及んでおるわけでございますが、いまお示しの点につきましても確かに考えなければならない重要な問題だと思いますので、国際的な事例も私どもは考えなければならないとも思いますし、財政上の必要または社会全体のバランス感というものも重要な観点だと思いますから、ただいまの御議論は税制調査会にも報告をいたしまして、これから先どういうふうに審議を進めてまいりますか、会長それから大蔵大臣とも御相談をしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
○竹田四郎君 それじゃまたあしたやることにしまして、きょうのところはまだ若干時間あるようでありますけれども、きょうは終わりたいと思います。
○多田省吾君 初めに法人税から質問いたします。 今回法人税率を二%上げたわけでございますが、大法人の二%アップは当然といたしまして、中小企業の二%アップは私は無理ではなかったかと思います。やはり中小企業の倒産は昨年暮れから本年初頭にかけて著しいものがございまして、またこの景気も七月期にならないと回復しないと言われております。また中小企業の設備投資等も昨年から非常に少なくなっております。第二次オイルショック後の態勢の立て直しは、大法人にとってはある程度スムーズにいったと思われますけれども、やはり中小企業は相当厳しいものがあります。この点大蔵大臣はどのように思いますか。
○政府委員(高橋元君) 現在中小企業が景況が芳しくないということは私どもも承知をしておるわけでございます。そのために税制だけでなくて、金融なり財政なり財政投融資なりさまざまの面で、また制度的な産業行政の面で努力が集中されておるわけでございます。 今回の増税が時宜を得なかったのではないかという御指摘のように伺いましたけれども、法人税を引き上げてまいりますと、確かにその分だけ内部留保が減って、それが企業の設備投資意欲にマイナスの効果を持つという見方は否定できないと思いますけれども、最近は経済企画庁などに伺いましても、更新投資、省エネルギー投資、技術革新投資、こういったような新しい中期的な設備投資循環の上昇サイクルにあるというふうに一般的に考えられますほか、過般の総合経済対策によりまして金利水準が下がって、それがまた金利の動向に影響を受けやすい中小企業の投資環境がそれだけ改善されるというようなことを考えますと、今後中小企業を含めた民間設備投資は堅調な動きで推移するというふうに考えるわけでございます。中小法人の法人税率の引き上げは午前中もお答えを申し上げておりましたし、また先ほど竹田委員にもお答えいたしましたように、法人と個人とのバランス、また法人と法人税率の一般四二%税率と中小法人の軽減税率のバランスということを考えて、この際二%中小法人の軽減税率を引き上げることをぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○多田省吾君 その点は私としては理解できないのでございますが、また反面、大法人の法人税の引き上げにつきましては、一昨日の参考人陳述の際もある学者の方は、大企業のいわゆる二%アップ四二%の法人税率は、その前のときの四二%のときと比べると、配当軽課措置も今回は残っておりますから、もう二%ぐらい引き上げ可能ではないかと、こういう陳述もしておられました。その点はどう思いますか。
○政府委員(高橋元君) これは二%の法人税率の引き上げが実施されますと、法人税と住民税と事業税と合わせました実効税率というものは、日本の場合五一・五五%というふうに現在の四九・四七から二・〇八%上がるわけでございます。これが超過課税を行っております東京、大阪、兵庫、神奈川、愛知、それと静岡は今度入りましたんでしょうか、そういう大都府県におきましては五一・一二でありました実効税率が五三・二四になるわけでございます。それが国際的に見てかなりの水準にあると。アメリカで税金が非常に高いニューヨーク州等につきましても五一・四、それからドイツでバイエルンというのは税金が高いところですが、五七・六二でございますけれども、これはまたこれなりに一〇〇%インピュテーション方式でございますから、法人、個人を通じた配当は必ずしもそれほど高くない、こういうことを考えますと、日本の今回引き上げ後の表面税率と実効税率というものの国際比較をいたしますと相応の水準であるということは申し上げられると思いますので、さような形で二%引き上げの案をつくっておるわけでございます。
○多田省吾君 その学者の方も私も結局、局長のおっしゃった実効税率というものはなるほどそうでありますけれども、実質税負担ということを考えますと、私はまだまだ、ただいまも御質問がありましたけれども、退職給与引当金とか貸し倒れ引当金とか賞与引当金とか、あるいは準備金、こういったものが法人税の中にも残っておりまして、大法人が特にこれを有効に活用しているわけでございます。その結果、昭和四十八年、四十九年ごろも大変東京都新財源構想研究会と大蔵省との間に論争があったわけでございますけれども、その際も新財源構想研究会からは、法人実効率が四六・四七%当時でございましたけれども、いわゆるそういったものを差し引いた実質税負担率というのは三四・五五%であると、こういう指摘がなされたわけでございまして、その後、引当金、準備金等の率は相当変更もございましたから一律には論ぜられませんけれども、私はまだその影響がかなり残っているということを考えますと、わが国の大法人の実質税負担率というものは諸外国に比べてまだまだ低いものがある、このように思えるわけでございます。したがって私もやはり、全従業員が一時に退職した場合に必要な退職金の二分の一まで積み立てることができるというような退職給与引当金、これももう少しやはり益金不算入が多過ぎますので、これも少なくするとか、同じく金融保険業の貸し倒れ引当金も一昨日の参考人のお話にもありましたように、これは実績率のみでもいいじゃないかと、貸し倒れ実績率といいますと、金融保険業では〇・一%程度が昭和五十二年から五十四年の三年間の平均になっております。改正案でもやはり〇・三%ございますから、これだってもっと引き下げが可能である、このように思います。賞与引当金も同様です。税務関係の資料を取り寄せますと、昭和五十四年度で貸し倒れ引当金の残高が三兆三千二百二十一億円に達している。退職給与引当金の残高が六兆八千四百三十一億円に達している。賞与引当金の残高も三兆三百七十八億円、その他の引当金がまた三種類あるわけでございます。そういった現状を考えますと、やはり私も損金不算入がはなはだ多過ぎる、これもまだまだ改める必要があるのではないか。そのほか交際費や寄付金のもありますけれども、三つの引当金だけでも私は損金不算入をもっと少なくすべきである、このように考えますけれども、どう思われますか。
○政府委員(高橋元君) 退職給与引当金、これが負債性の引当金であるということはたびたび御説明申し上げておるわけでございますが、それからこの引当金の繰り入れ限度額は、最近のように企業の在職者というものの予定在職年数が長くなってまいりますと、従前のように百分の五十まで積むことはないので百分の四十に縮減をいたしたのが本年度の税制改正でございます。それから貸し倒れにつきましても、ことに金融機関につきましては四十八年でございますか、千分の十五から今回五十六年は千分の三まで縮減をしてきたわけでございます。それから賞与の引当金も三兆円あるわけでございますが、これは決算期と賞与の支払い日の関係でございますから、いわば未払い賞与という形で一人別に引き当ててもよろしいものを引当金という経理をしているだけでございまして、これは特に引当金としてこれを大企業が利用しておるからということにはちょっと当たらないのではないかと思いますが、貸し倒れ引当金にいたしましても、退職給与引当金にいたしましても、随次その繰り入れ率を引き下げてきて実情に合わせておるというのが現実でございます。 金融機関の貸し倒れ引当金はいっそのこと実額にしてしまったらどうかという御提案で、確かに傾聴すべき御意見だと伺いましたけれども、どこの国でも金融機関は債権と債務をたくさん持っておりまして、これにつきまして毎年毎年金部評価をして引当額を決めるということは大変でございますので、ほとんどの国でこれは概算引当繰入率というのを認めておるわけでございます。ドイツの場合には千分の十・五、アメリカは千分の六というふうに、日本の場合よりはかなり高い引当金の繰り入れを認めておりますが、そういう国際的な数字とはまた別に、日本の貸し倒れ損失の現実に発生する割合との関連で、五十六年四月からこれを千分の三に下げたいというふうに考えております。 これらの引当金が大企業だけに片寄っておるという仰せでございますけれども、退職金につきましては中小企業退職金共済制度というようなものが利用できる人は約三割ありまして、中小法人はそのほかはほとんど退職金の支払いの必要が起こらないということだと伺っていますし、貸し倒れにつきましても三分の二ぐらいは貸し倒れの起こる見込みがない、または起こってもわずかだという理由で利用されないというふうにも伺っておりますが、いずれにしても制度全体について社会経済情勢の推移に応じて今後とも見直しを怠ってはならないというふうに私どもは考えている次第であります。
○多田省吾君 それはおっしゃるように、私は引当金も今後の要望としてやはり引き下げるべきである、このように強く主張するものでございます。 そのほか、租税特別措置法に関係してまいりますけれども、交際費課税につきましてもわが国の商法の問題ということで大分批判を受けている面もございます。大分直ってまいりましたけれども、この際益金不算入率を九〇%にしているわけでございますから条件が整っているわけでございますから、交際費は一定額にとどめまして、一定額以上は全部一〇〇%課税、損金不算入率一〇〇%と、そのようにすべきであり、中小企業に対してはそのほかの措置で救済措置をとる、今後はその方向に向かうべきであるこのように思いますけれども、いかがでございますか。
○政府委員(高橋元君) 交際費の否認制度につきましては、これもたびたび二年おきに租税特別措置法の期限が参りますので、その都度検討しておるわけでございますが、いわゆる定額控除、これがいま資本金一千万円以下の法人の場合に四百万円、一千万円と五千万円の間の法人の場合に三百万円、五千万円を超えますとすべての法人は一律に二百万円という定額を持っておるわけでございます。この定額が中小企業の従属性その他の理由からなかなか四百万円をさらに切り込むと、現実に合わない面が多いのではないかという御指摘がございまして、現在はそのように決まりました定額控除以外には、資本金比例部分とかそういうものは一切とっておりません。 問題は、否認割合を九〇から九五に、さらには一〇〇に上げたらどうかという御指摘だと思います。その前に、現在この制度によりまして交際費支出分の中で損金に入らない、法人税のかかっております割合は、中小法人が二割弱、大法人が八割でございます。そういうふうな定額控除の決め方になっておるわけでございますが、さらにこの割合を引き上げるということになりますと、いわゆる使途不明金が一〇〇%課税でございますが、交際費を一〇〇%課税、使途不明金も一〇〇%課税ということは、これは会社の経費として交際費が社会的に見て望ましいかどうかということは別といたしまして、ひとつ販売拡張なり会社の業績維持ということのために必要な経費性を持ったものであるということを考えますと、特別措置として一〇〇%までいくのはいかがなものかという考え方を持っております。 いずれにいたしましても、交際費課税についてはさらに適正を期するように今後とも研究を続けたいと思います。
○多田省吾君 次に、寄付金でございますけれども、いま損金算入は法人所得の二・五%、資本金の〇・二五の合計額の二分の一ということで、これが大分政治献金等にも利用されているわけでございます。これが文教とか社会福祉に寄付されるということならば、一応その存在価値というものは認められますけれども、すでに五年前の政治資金規正法の附則第八条でも、「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」、「政治資金のあり方について、更に検討を加える」と、こういうものがございまして、いま手直しが進められているわけでございます。また、総理も自治大臣等もこれを十分考えに入れてということも言われているわけでございます。まあ一部では枠拡大というような動きもありますけれども、私はやはりこの附則八条の精神でどこまでも、法人の政治献金は禁止する方向に向かうべきである、このように思います。 そういった点から見ますと、私はこの寄付金も文教とか社会福祉という指定寄付金に限って許されるべきであり、政治献金等の寄付金は一切認めない、損金算入を認めない、そのように改正すべきである、このように思いますが、いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 現在、五十四年の会社の数字を見ますと、全体で寄付金の支出が二千百五十四億あるようでございますが、その中で指定寄付金が三百八十八億円、それから試験研究法人に対する寄付金が二百五十七億でございます、その余の寄付金が千五百九億ございまして、これが全部が全部政治献金ということでは全然ございませんで、この中には教育、慈善、宗教その他の一般的な福祉的な使途に充てられておるものが数多いと思いますが、これらにつきましては一々の内容を個々に税務当局が審査をして、否認客か認容かということを決めるのも必ずしも適正でないので、全体といたしまして、その中でいまの寄付金税制によりまして五百二十三億を損金不算入として課税しておるわけでございます。こういう制度がその全体の枠として妥当な水準であるかどうかということは、常時、もちろん実績等を見て検討していかなきゃならないことでございますが、現在私どもとしては、政治献金をこの一般の寄付金の枠の外に出すというようなことは全く考えてないわけでございます。
○多田省吾君 これは政治判断の問題ですから大蔵大臣にもこの点お伺いしておきますが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま局長から答えたとおりであって、寄付金の中身によってこれは何だからいかぬ、かにだからいかぬということは、なかなかこれは、税務当局の主観を入れるということは問題があるんじゃないかと、やはり額で決めるということが一番妥当ではないかと考えます。
○多田省吾君 私はやはり政治資金規正法の改正の問題等も含めて、法人税関係でもそのように規定すべきであると改めて主張しておきたいと思います。 次に、法人税加算調整方式につきまして、税調の昭和五十五年十一月答申では、「仮に、諸外国の法人税制が大勢としてこの方式に移っていくこととなれば、我が国の税制もこれと調和していく必要性が強まるものと思われる。」このようにしておりますけれども、この法人税加算調整方式について、大蔵省としては検討を進めておられますか。
○政府委員(高橋元君) 従来、法人税と所得税のいわゆる二重課税の調整のやり方ということについて長年検討を重ねてまいりました。昨年の秋に出ました企業課税小委員会の御報告は、私どもの長年にわたる検討の内容も御報告をして御審議を願った結果でございます。ヨーロッパでは、たびたびお答えしておりますように、七五年以降インピュテーション方式に統一を漸次図るべきではないかという、OECDの租税委員会の見解等が明らかにされてきておりますが、ヨーロッパの中でたとえばオランダ、これは完全に調整をしない方式でございます。それから世界の大きな国で申しますと、もう一つはアメリカ、ここは法人税とそれから個人の所得税の間の調整はほとんどいたしておりません。ただ法人と法人との間の受取配当の益金不算入制度は両国ともにあるようでございます。そういうような中で、インピュテーション方式、法人税加算調整方式というものは税制の将来の方向を示唆するものとして一つの大きな提案であるというふうに私どもも受けとめておりますけれども、先ほども竹田委員にお答えしたことでございますが、いまにわかに現在の配当税額控除と配当軽課方式とかみ合わさった、いわば複雑な税制を、そのインピュテーション方式の方に持っていったらいいのか、その場合にどのくらいのインピュテーション割合とするか、大臣からもお話がございました法人税の税収確保という観点からそれは問題がないのか、そういった企業の資金調達なり企業の経営態度なり、それから経済全体の情勢なり、国際的な観点なり、財政上の需要充足という観点なり、さまざまなことを念頭に置きながら、過般の企業課税小委員会の御答申をどういうふうに具体的に取り組んでいくかということについて、勉強をいたしておるところでございます。
○多田省吾君 次に、法人税関係でありますけれども、外国に進出する企業が非常に多くなりまして、現地法人や支店に対する課税問題がしばしば論議を呼んだわけでございます。これについて、税制の適正化についてどのような方策を検討されておりますか。
○政府委員(高橋元君) 日本の国内で活動をしておれば完全に日本国内源泉所得で、日本国の法人税の適用があるわけでございますが、子会社または支店というものを日本よりも法人税の相当安いところへつくりまして、そことの間に取引をひとつ置きまして、その進出先で課税を受けるということになりますと、国際的な場を使いました合法的な税負担の回避ということが図られるわけでございますから、五十三年に租税特別措置法を改正いたします際御審議をいただきまして、いわゆるタックスヘーブン税制というものをつくりました。現在そのタックスヘーブン税制によりまして、これは後ほど国税庁からお答えがあると思いますが、相当数の申告を受け、それについて専門的な調査網というものも整備をしてその実を上げるようにしておるわけでございますが、最近にわかに盛んになってまいりましたのは、タックスヘーブンというよりもむしろ先進国相互間で子会社をつくりまして、そこにあるいは高い価格で売るあるいは安い価格で売るということをやって、意識的に利益を操作をするという傾向が指摘されてきております。いわゆるトランスファープライシングでございますが、これにつきまして、一九七九年以来やはりこれもヨーロッパを中心として、トランスファープライシングの統一税制というものを勉強すべきだという声が強くなってきておりまして、現在わが国でも、私どもも国税庁と協力をいたしまして外国の制度、執行状況を参考にして勉強を続けておるところでございます。
○多田省吾君 次に、所得税に対して若干質問いたしますが、今回物価調整減税が制度的には見送られたわけでございますが、五十六年度の税の自然増収見積もり約四兆五千億円のうち六割以上が所得税の増収分ということになっております。この結果、国税総額に占める所得税の構成比は、制度的な増税措置がなかったにもかかわらず、五十二年度が三五・七%から五十六年度は三八・七%と上昇いたしまして、一方法人税は、今回二%引き上げるというのに五十二年とほぼ同じ三〇%そこそこの構成比にとどまっております。自然増収という目に見えない形の中で所得税の増税を続けることは、国民、納税者を軽視することになりますので、私は諸外国のように物価調整措置を所得税制の中に組み込むべきである、それを検討すべきであるということを主張するわけでございます。また昭和五十五年度の消費者物価の上昇は、御存じのようにほとんど確定的に七・八%という姿になりまして、政府公約の六・四%を大幅に上回って、国民のいわゆる実質賃金の目減りという現象になってあらわれているわけでございます。 一昨日も、木下税調会長代理に質問いたしましたときに、税調会長代理も、五十七年度においてはやはり検討すべき課題である、このようにおっしゃっていたわけでございます。大蔵大臣も本委員会でたびたび五十七年度以降は物価調整減税も検討の対象に入るだろうということもおっしゃっておりますけれども、五十六年度は六党合意が成立した以上、これ以上申し上げませんけれども、五十七年度以降においては、やはり物価調整減税というものを考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま五十七年度以降の減税を組織的に考えている余裕は全然ないんです。ないんですが、私はかねて言っているように、財政再建のめどがはっきりついて、そうしてその財源的にも余裕が出る、直間比率の手直しというようなこともできるようなときが来れば、私は当然本格的な減税を考えていいんじゃないかというように思っておるんです。それがいつになるか。歳出カット、これもその中に入るわけですから。歳出カットができて、そして言うならば財政再建のめどもつく。その中には、何も大幅増税を考えるんじゃなくて、景気の動向等によって自然増収が思ったよりよけい出るということになれば、私はその中でさらに直間比率の問題ももう少し何か緩和できないか。そういうことになると、私は所得税の方を減らしてもいいんじゃないかという気がするんです。だけれども、具体的にいつからということはいまの景気の状態とにらみ合いもございますし、歳出カットが幾らできるのかやってみないことにはわからない。したがって私は、歳出カットが大きくできるということはやっぱり一歩前進だと、こう思っております。
○多田省吾君 そうしますと、いわゆる歳出カットがどの程度できるかという問題にかかわってくる、このように私は理解しておきます。 で、剰余金問題で一問だけ大臣に御質問しておきたいと思います。昭和五十五年度剰余金が出た場合は全額所得税減税に回すことになっておりますけれども、その額につきましては七月ごろにならなければ確定しませんし、残額についてもいろいろ論ぜられているところでございます。しかしこの減税額については、確約した政府にも国民に対して大きな責任があることも当然のことです。総理もこれに誠意をもって対応すると確約しておりますが、福田衆議院議長も三月の十七日、自民党と五野党の間で合意したことについて政府は誠実に実行してほしいと政府に申し入れを行っております。これを受けておられる、財政を預かる大蔵大臣とされまして、所得税減税財源確保のために、各省庁に対しどのような具体策をとられたのか、またこれからとろうとなさるのか、一言御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは総理大臣からも閣議で指示があったことでございまして、いままではややもすると、予算を余すと国会でしかられると。不用額を何でこんなにつくったのかということでございますが、今回は逆に不用額をつくれという御下命でございますから、いつでもともかく経費を切り詰めるということは当然のことなんですが、特に今回は閣議での総理指示というものもあって、予算が余りそうだから出張しちゃえとか、予算が余りそうだから早く何か品物を買っちゃえとか、そういうようなことはやらないようにということを厳に申し渡しをしてあるわけでございます。
○多田省吾君 次に、今度利子・配当所得を総合課税制に移行するわけでございますが、三月十三日の閣議後の記者会見で渡辺大蔵大臣が、報道によれば、所得税の累進カーブをなだらかにしたい、緩めたいとおっしゃったように報道されておるわけでございます。それは高所得者層の税率が他国に比べて高いので累進率を緩めるように検討するという意味だと思いますけれども、その真意をお伺いしたいわけでございます。しかし私としましては、やはり低所得者層の苦しみから見れば、高所得者層の累進率をこの際緩める必要はないのではないか、このように考えますが、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、所得税制をもし直す場合は全体的に見直すということを言っておるんでありまして、高所得者だけを直すということを言ったわけじゃないんです。ただ総合課税ということになれば、いろいろ問題があると。九三%の限界税率で八千万円以上が取られることになっているわけですから。そこへ持ってきて今度は、いままでは利子・配当の分離課税というのがあったから、多少そこに緩みもあるが、今度はそういうものもないということになると、世界で例のないほど極端な課税になる、こういうことは高額所得者だからいいじゃないかと言っても、やっぱり企業の意欲の問題もあるし、こういうふうに為替自由化というようなことにもなっておりますと、それだけではありませんが、やっぱり税金ばかり余り高いと外国へ逃げちまうというのがありますからね、資本が。そのことは結局、日本の経済にもプラスにならないこともあるし、結局それは、ひいては勤労者、結局従業員やそういうものにも影響が出てくるわけでございますから、高額所得者だからといって目のかたきにすることは少しもないことであって、それが非常に事業意欲があり、それによって事業を興し、人をたくさん使い、品物をたくさん調達し、ということは経済に、自由主義経済体制をとっている以上は、それによって恵まれる人もあるわけですから、だから、そういうような産業の活力というものをなくしてしまうほど課税強化をするということは、日本の経済にとって決してプラスにならないという私は哲学を持っているんですよ。したがって、そういうような段階で総合課税をするということになれば、何らかのやはり一部の手直しが必要であるということを私は申し上げたわけで、低所得者層は何もしないというわけではもちろんないわけであります。
○多田省吾君 私はやはり、せっかくの大臣のお答えでございますけれども、国民感情からすればどうしても納得できない問題でございますので、もう一考願いたい、このように要望しておきます。 次に、グリーンカード制度の導入についてお尋ねいたします。 わが党におきましても、すでに決定しているグリーンカード制度の導入につきましては、プライバシーの侵害や国民総背番号制の導入に利用されることのないよう十分配慮すべしという条件で早期実施を要求しております。ところが、すでに決定、成立しているのに昭和五十九年一月からのグリーンカード制実施を見直そうという機運が経済界や政界の中から起こってきております。ところが御存じのように、不公平税制是正の一環としてこの制度化が行われたにもかかわらず、いわゆるグリーンカード廃止議員連盟というようなものもできたとかできないとかということを聞くのでございますけれども、この見直し論の理由の一つは、金や不動産などに換物されるからインフレになりやすいとか、あるいは海外に資金が流れていくのではないかというような心配からこういうことをおっしゃっているのだろうと思います。一昨日も参考人の学者の方がそういった点の心配は要らないだろうということもはっきりとおっしゃっておりましたし、大蔵省といたしましてはこのグリーンカード実施による問題点をどのように分析しておるのか、また見直しの有無についてどう考えているのかお答えいただきたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 基本的には見直しの考えを持って、おりません。
○政府委員(高橋元君) 個人の金融資産がいまお話のような金なり不動産なり海外に逃げていってしまうんではないか、それが資金の枯渇を起こすんではないか、そういうような議論が散見をいたします。 若干それについての考え方を申し上げさしていただきますと、土地に仮に行ったといたしますと、これは登記簿でなければ土地に関する権利は表示できないわけでございますから、国税庁当局は登記簿によって土地の移動取得ということが容易に把握できるわけでございますし、現在は土地を取得いたしますと、それを売り払いました場合には一般の総合課税の一割増しという高い税率で課税をいたすという短期重課税制度というものがございますから、これは土地の取得という形でなかなか逃げにくいんではないか。と申しますか、むしろそちらに逃げるということはないんではないかという考え方を持っております。 株でございますが、株につきましては大体最近は、昭和五十年から後毎年個人は売り越しになっておりまして、株の分野にグリーンカードの影響によって個人の資金がシフトしておるという状況は観察できませんし、グリーンカード制度そのものが、自己の名義に切りかえて配当を受ける場合にはグリーンカードの適用があって総合課税になるわけでございますから、そういうことはあり得ないという考え方であります。 しばしば言われますのが金でございますけれども、最近個人の金の購入量がふえておる、また金の輸入がふえておるということは事実でございますけれども、これらの輸入金の量全体の中で、半分が個人に回っているといたしましても全体として六百億足らず、昨年一年間に輸入された金でございますと六百億円足らずということで、とても個人の預金増加額二十二兆円に比べますと問題にならないわずかな金額でございます。そうであるにしても、個人の金の購入がどんどんふえていけば輸入もふえてくるではないかというお話でございますけれども、金価格というのは非常にフラクチュエートするわけでございまして、昨年一年でも七百ドルから一オンス当たり四百ドル台というふうにでこぼこ動いております。たまたま年末になりまして金の価格が下がったために、いわゆるクルーガーランド一オンス金貨というのでございますか、そういう十分の一オンス金貨というんでございますか、小っちゃなあのアクセサリーのような金貨が売れたことは事実ですが、これが投機の対象になって資産の逃避が大量に起こるということにはとうていならないというふうに思います。 それから海外への資金のシフトにつきましては、新しい為替管理法のもとでも日銀の個別許可が要るわけでございまして、現在貯蓄のための海外預金は許可されないことになっておるというふうに聞いております。外貨証券や海外不動産を買う場合には一定の手続が必要であって、その必要な手続の記録というものは国内に残るわけでございますから、必要に応じて執行段階でこれらの記録をチェックできる体制にございまして、海外に対するシフトということは起こり得ないという見解を持っております。
○多田省吾君 いま局長御答弁のように、私は別に問題はないと思いますので、いま大蔵大臣が御答弁のように見直しの考えはないと、その方針で進んでいただきたいことを強く要望するわけでございます。せっかく昨年不公平税制の是正ということで所得税法改正で実施が決まったばかりのグリーンカード制度が、一年ぐらいで変更されるというのでありますと、国の税制の運用は余りにも場当たり的であるという国民の批判も免れませんし、私は見直すべきではない、このように思うわけでございます。 それにつきまして、国税庁の方では、現時点でこのグリーンカード制度発足のためにどれくらい準備が進んでおるのかお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(川崎昭典君) 五十八年の一月一日からグリーンカードの交付事務が行われますようにという予定に従いまして準備を進めております。 いま少し具体的に申し上げますと、国税庁の方に準備室というのを設けて事務的な検討をいたしておりましたが、やはり電算機で処理する方がよろしいという結論になっておりまして、現在電算機で処理をするにはどのようなシステムをつくればよろしいかといったようなことを検討いたしております。また、五十六年度予算案には電子計算機を建設する費用若干と、実際に事務を扱いますための、全国の各国税局で事務を扱うための準備要員と申しますか、若干名の増員といったようなのを認めていただいておるわけでございます。
○多田省吾君 次に、所得税改正に絡みまして寡夫控除問題及び父子家庭問題で若干質問したいと思います。 今回の所得税法の改正で寡夫控除がなされますが、このことは評価しますけれども、五十六年度でどのくらいの予算額になるのか。また当初厚生省は所得制限なしで要求しておりましたが、大蔵省は収入ベース四百三十万円、実質収入ベースで三百万円と所得制限を行ったのは何ゆえか。また女性の寡婦控除は所得制限がないのに、男性の方の寡夫控除にこのように所得制限ありという差別待遇した理由は何なのか、その辺をお伺いします。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の所得税法の改正で寡夫、いわゆる男のやもめに対する控除を新設することをお願いしているわけでございますが、これは従来から国会でも御議論がございまして、こういう制度を設けるべきではないかという御議論がございまして、私どもも政府の税制調査会などでも御議論をいただきまして、父子家庭のための措置として税制上この控除を新設することにいたしたわけでございます。 ただ、お尋ねの件でございますけれども、男性の場合は女性の寡婦の場合と違いまして、たとえば奥さんが亡くなったり、あるいは奥さんと離婚をした、その後すぐ何と申しますか、大体男の方はそのまま働いておられますし、あるいは事業を継続しておられるということで、直ちに女性の寡婦の場合と違いまして、つまり女性の寡婦の場合はだんなさんが亡くなられますと、翌日からいわば家庭を支える柱がなくなるというふうな事態になりますけれども、男性の場合はそういうことではなかろうということでございまして、やはり同じ「寡ふ」という場合でも男性と女性との間におのずから区別があってはしかるべきではないかということで、今回の男性の寡夫控除の場合は。女性の場合と違いまして係累のない場合は対象にならない。係累と申しましても特に子供さんがあって、しかもその子供さんが基礎控除額以下の収入しかない場合に限るということでございます。そういう考え方に立っておりますので、あらゆる男性の寡夫についてこの控除を認めるということではなくて、やはりある種の社会保障的な観点から見ますと、所得制限があってしかるべきであろうということで、現在女性で係累のない場合に所得額三百万円、これは給与収入ベースにいたしますと四百三十万円になるわけでございますが、それとのバランスをとりまして、所得金額三百万円以下の方に限定するという考え方をとっておるわけでございます。ちなみに五十四年の民間給与実態調査によりましても、男性の場合の平均給与がおよそ三百三十万円でございますので、平均的なサラリーマンの寡夫は今回の所得制限で十分カバーできるであろうということでございます。 なお、お尋ねの減収額につきましては、約二十億円と見積っております。
○多田省吾君 その際の所得控除額は、父子家庭、母子家庭ともに二十三万円となっておりますが、いわゆる一般家庭の場合の両親がそろっていて子供がいる場合の扶養控除というものは、赤ん坊から配偶者まで一律一人二十九万円でございます。やはり男性、女性ともに寡ふ控除はせめて一般家庭の扶養控除並み、二十九万円程度にすべきではないかと思いますが、この点いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 係累と申しますか、自分の子供を抱えている寡夫の場合は、その寡夫控除の適用を受けるわけですから、子供につきましては年齢にもよりますが、原則として扶養控除を受けておるわけでございます、二十九万円。子供さんが二人あれば二十九万円、二十九万円という人的控除を受けた上でこの寡夫——女性の寡婦と同じ二十二万円の特別な人的控除を受けるわけでございますから、すべての人的控除を同じにせよというお考え方にはにわかに賛同できないわけでございます。いままでも所得税の減税をいたします際には特殊な人的控除は優先的に引き上げを行ってまいりまして、基礎控除等と比較いたしましても現在すでに相応の水準であるというふうに認識しておることを御理解いただきたいと思います。
○多田省吾君 このような議論になりますと、俗な言い方で、相手方がいる方が大変か大変でないかという論議になりますけれども、たとえば父子家庭を見ますと、家政婦の方を雇い入れたりしなければならないという面もございます。また食事にしましても、先ほどのいわゆる生活力という問題とは逆に、食事にしても男性と女性では男性の方が外食なんかで出費がかかる。洗たくにしても、すぐクリーニングというような姿にもなりかねません。やっぱり生活実感から見ますと相手方がいない方が出費がかさむという姿もあると思います。 厚生省にお伺いしますけれども、厚生省では今回の所得控除要求に伴ってそのような調査をある程度なさったのかどうかお伺いしたいと思います。
○説明員(北郷勲夫君) 厚生省では今回特に調査をいたしておりませんが、福祉関係の公的な団体でございますとか、あるいは都道府県の行いました調査を参考にいたしまして、税務当局の方に要望をいたしたものでございます。
○多田省吾君 それから先ほどの問題で、障害者控除等も二十三万円でありますが、今後やはり私はこういった控除は扶養控除と同じように二十九万円程度に全部一律にすべきだ、このように引き上げるべきだと思いますが、大蔵省のお考えはいかがですか。
○政府委員(高橋元君) たとえば昭和四十年ごろのバランスで申しますと、人的控除は所得控除でございましたが、障害者控除以下の特別な人的控除は税額控除で六千円ということでございました。それを四十二年に所得控除で七万円というふうになりましてからただいままで、二十三万円まで三倍余の引き上げになったわけでございますが、この間、人的控除の引き上げはこれに及んでいないわけでございます。そういう意味では、かなり特殊な人的控除には、先ほどもお答えしたことでございますが、配慮を行ってきたというふうに私どもは考えておるわけでございますが、これから先、所得税制を考えてまいります際に、先ほど大臣からもお答えございましたけれども、財源の事情の中でどういうふうに控除を構成すべきかという点については、時間をかけて基本的な検討をすべきことであろうというふうに思っております。
○多田省吾君 これに関連いたしまして、父子家庭の問題についてお伺いしたと思います。これはわが党の二官議員等も質問主意書等を出して政府に御答弁を願っている問題でございますが、厚生省にお伺いいたします。 前回、五十年度の国勢調査におきまして全国十万余の父子家庭があると推定され、昨年の国勢調査の結果は現在整理中だろうと思いますが、私は相当ふえていると思います。この問題は、実際父親としてのなれない家事、育児と、それから自分の職業との両立という面で大変な御苦労もあると思います。厚生省では、昨年、家事介護人制度を種々検討したようでありますけれども、その概要を御報告いただきたいと思います。
○説明員(北郷勲夫君) 昨年の予算要求の段階におきまして内部的にいろいろ検討したのは事実でございます。各都道府県であるいは市町村の段階で、いわゆる父子家庭に対します介護人の派遣というような事業を実際にやっておるところもあるわけでございます。しかし何と申しますか、家庭内にいわば他人が入ることでございまして、父親がいない間子供だけのとき、あるいは父親がいるときもあろうかと思いますが、仰せそういった家庭内に他人が入ることでございますので、なかなかいろいろむずかしい問題もあるやに聞いておりまして、実際に実施しております例をいろいろ聞いてみますと、利用者が必ずしもそんなに多くないというような状況も聞いております。この問題につきましてはいましばらく研究してみようということで予算要求を見送った次第でございます。
○多田省吾君 最後に厚生省にもう一点だけ要望しておきますが、私どもも関係者のお話をお伺いしましたところ、どうも父子家庭の方々の要望とかみ合っていない部分が非常に多いと思います。現在自治体で進めている制度は収入で制限しているあるいは子供の年齢でも規制している。ひどいところは小学生の高学年生がいるところは適用外となっているところもあるそうでございます。しかも父親が病気にならなければだめだというような姿もございまして、これでは利用者が少ないのは私は当然だと思います。 したがって、厚生省はぜひこの全国の父子家庭の実態調査を行いまして、まあいろいろ困難な面もあると思いますが、御協力をなるべくやりやすい方向でお願いいたしまして、そして父子家庭の方々の要請にこたえて、この制度あるいは他の面においても再度、再検討する必要があると思いますが、いかがでございますか。
○説明員(北郷勲夫君) 母子家庭と若干違った対策面でのむずかしさがございますが、十分研究いたしたいと考えております。
○多田省吾君 次に、関税暫定措置法の問題で若干質問したいと思います。 大蔵省にお尋ねいたしますが、アメリカは銅あるいは鉄鉱石、マンガンなど発展途上国の一次産品の価格安定を目的として、昨年十二月に設立の方向が具体化したばかりの一次産品共通基金への出資を当分の間見送るという方針を決めまして、わが国を初め関係各国に通告したようでございますが、それはどうなっておりますか。
○政府委員(加藤隆司君) 見送るという言葉なんでございますが、ただいまお話がございましたようにアメリカは昨年十一月五日に署名しております。それで外交ルートを通じまして聞いたところによりますと、八二年度ではなくて八三年度へ一年ずらすという方針を検討中であるというようなふうに聞いております。したがって、アメリカが出資金をやめたというような事実はないわけでございます。
○多田省吾君 これにつきまして、まあ一年間だけでもわが国が身がわり出資をせざるを得ないのではないかというような観測もございますが、この点はどうですか。
○政府委員(加藤隆司君) そういうことはないと思います。
○多田省吾君 それはどういう理由ですか。
○政府委員(加藤隆司君) アメリカもまだ検討中でございますし、一回約束したのはアメリカも守ると。ただ支出をするのをずらす案について検討中ということでございますので、この加盟国御承知のように百六十三ヵ国あるわけでございますが、それぞれの一応のシェアが決まっているわけでございますから、そういうようなことは日本だけが云々するということではなくて関係国が集まって議論すべき性質のものであって、目下のところはそういうような動きがないわけでございます。
○多田省吾君 それにもかかわらず、私はこの出資金制度自体が大きな問題であると思います。アメリカという最大の出資予定国が万が一にもこの出資を取りやめるあるいは一年間延長するということになりますと、関係各国に大きな影響を与えます。まあアメリカがやめても、あるいは一年あるいは二年と延期をしても、共通基金は発足するのに全然支障はないということも言えましょうけれども、実質的にはそれじゃ機能が果たせないという、こういう問題も出てくるわけでございます。そういう点ほどのように考えておりますか。
○政府委員(加藤隆司君) 御指摘のとおりでございまして、三分の二以上の国が、四億七千万ドルの拠出資本の三分の二で九十ヵ国以上が批准ということでございますので、アメリカの出資割合である一五・七%はそういう意味で関係ないということは形式的には言えるわけでございますが、何せ一番の拠出国でございますので、そういうおそれは全然ないということにはならないと思います。したがって今後とも、関係国がアメリカに対してそういう協力方の要請をやるというようなことは必要ではないかと思います。
○多田省吾君 次に、武器輸出問題でお願いしたいと思います。 衆議院では本会議で決議案を通したわけでございますけれども、大蔵省は武器輸出問題に関連して、通関体制を見直すことを決定したと聞いておりますが、また特に二月の全国税関長の会議でかなり突っ込んだ検討を行ったと聞いておりますけれども、どのような内容の検討が行われたのか、お知らせいただきたい。
○政府委員(清水汪君) 武器輸出の規制の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、先般の堀田ハガネの事例を契機にいたしまして、衆議院におきましても、政府としてはさらに厳正かつ慎重に対処するとともに、この実効ある措置をとるべきであるという御決議をいただいておるわけでございまして、私どもとしましては、本年初頭にこの事件が生じまして以来、通産省とも緊密に協議をしながら、税関におきまするいわゆるチェック体制というものについてもいろいろの角度から見直しをいたしてまいりました。そういたしまして、今度の事例のような経験をよく反省いたしまして、将来に向かって十分な対応をしていきたいと、このように考えております。 で、具体的に、御指摘のございました二月にも全国の税関長の会議をいたしましたし、それだけじゃございませんで、さらにその下部の担当統括官の会議もいたしましたし、あるいは本省の関税局内におきましても対策委員会を設けて検討してまいり、さらにまた通産省との間では武器輸出監視連絡協議会というものも設置いたしまして検討を進めてまいりまして、ただいまから申し上げますようなことを骨子にして、今後これを着実に実施に移すことによりまして対処していきたいと。中にはすでに一部実施に移しつつあるものもございます。 以下その骨子について申し上げますと、まず第一に大事な点は、国会の御決議につきましてさらに関係業界に対してその趣旨の徹底を図るということが大事だろうと思っておりまして、この点につきましては通産省と一緒になりまして、すでにその行動を開始しておりますけれども、今後さらに趣旨の徹底について努力をしていきたいと。私どもとしては、特により身近な関係にありまするのは通関業界でございますし、現実にも輸出申告という行為につきましては、通関業者が直接税関の窓口で対応しているわけですから、この通関業者に対してやはりさらに一層の協力を得ることが必要であるというような観点から協力を求めていきたいと、こういうふうに思っております。 それからいま申しましたように、やはり通産省との間の連携プレーということが非常に大事でございまして、現在の制度は、簡単に申しますと、通産省が第一次的には輸出貿易管理令で承認するとかしないとかという審査スクリーンがございます。その後におきましていざ通関という段階で、税関におきまして、いわゆるこれは他の法令による行政処分を要するものについては税関がチェックするという定めがございますので、その意味の仕事として税関がチェックしておると、言うなれば二重のチェックシステムに現在なっているわけですが、その通産省との間の連絡を緊密にするために、先ほどもちょっと申しましたが、武器輸出監視連絡協議会、これはすでに二月のうちに設置いたしましてワークしております。 それからもう一つ大事なことは、一つの貨物について輸出貿易管理令による承認を要する事項に該当するかどうかはっきりわかりにくいという場合には、その輸出者の方が通産省に申し出れば、通産省の方でそれを審査して、輸出貿易管理令による承認が要らない場合には承認不要証明書というものを出す仕組みになっております。この仕組みをさらに今後適切に運用していくと申しますか、これを大いに実行していくということがその後の段階におきまする税関におけるチェックの仕事を容易にするという効果もございますので、これは非常に大事な制度だと思っておりますが、この制度のさらに徹底、適切な運用に努力していこうと、こういうことをいま申し合わせているところでございます。 そのようなことがありました上で、今度はいよいよ税関の段階でございますけれども、税関が、よく言われますように、最近では輸出申告件数は四百五十万件から五百万件に及ぼうとしている、こういう大きな数字でございますけれども、そうした中におきまして、いかに有効なチェックをするかということになりますが、私どもいま考えておりますのは、一つは輸出申告を行っていただくその手続の面でもう少し改善工夫を施す必要があろうというふうに考えております。たとえば輸出申告書の様式の上でもさらに工夫をこらすというようなこと、あるいは輸出申告書に添付して出していただく説明資料のようなものについてさらに充実を図っていただくというようなことを考えております。そのようなものが出されました段階で、税関におきます審査あるいは現品検査、この面の充実を図っていきたいと、そういうことのためにはやはり多少とも人員をもう少し手厚くこの輸出審査のラインに配置をしたいわけでございますけれども、その点はただいまの全般的な厳しい定員事情がございますので、そう思うとおりにはまいりません。まいりませんけれども、この際でございますので、税関全体の事務のあり方というものを、この全体にわたりましてさらに見直しまして、合理化あるいは効率化のできるところはそういうことを図り、あるいは事務の運営をさらに重点化していくというようなことをいたしまして、何とか最小限の人手を捻出していきたいと、このようなことも考えているところでございます。そのような一環といたしましては、たとえば各税関の本館に、こうした武器の問題に対して通産省とも連絡の中心になる、あるいは各支署に分かれて行われているそのチェック事務に対していわば情報連絡のセンター役をするような責任者を明確に決めて、この問題のさらに前進、充実を図ろうと、こういうようなことを考えているわけでございまして、中にはすでにたとえば業界に対する働きかけというようなものは実行しつつございますけれども、ごく近いうちに以上のようなことを取りまとめまして、必要なものは通達の形で出すことが考えられますし、通達の形を要しないものはそれぞれ適切な形でその徹底を図っていきたいと、このように考えております。
○多田省吾君 いま御答弁ありましたが、年間四百万件から五百万件に及ぶかなりの審査対象をチェックするということは確かに大変な行政能力を必要とすると思います。しかし先ほど申しましたように、三月二十日の衆議院本会議での武器輸出に関する決議の中で「制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。」と、言われておりますので、通関審査体制には万全の措置を講じられるよう要望しておきたいと思います。 次に、半導体輸入関税の引き下げにつきまして御質問いたします。アメリカの半導体の通商機会拡大のために、わが国の輸入関税率現在一〇・一%を速やかに日米賢人会議提案の四・二%に引き下げるよう要請がなされておりますけれども、これはどう対処するお考えですか。
○政府委員(清水汪君) 半導体の関税率は御案内のように現在わが国は一〇・一%でございます。東京ラウンドの終着駅は四・二%ということになっているわけでございますが、現在のところは日本が一〇・一%、それからアメリカは日本よりちょっとすでに低くて、現在のところ五・六%というようなのが半導体の関税率でございます。 ただいま御指摘の、米国側から何らかのこの申し出があるのではないかと、これに対してどういうふうに対応するかという御趣旨の御質問かと思いますけれども、この点につきましては、私どもそうはっきり具体的に交渉のテーマというような形で申し入れられているというふうには私は承知しておりませんけれども、ただ昨年から、半導体貿易がいままで日米間では日本側の入超であったのが、昨年に至って日本側の出超になったというような背景があるわけでございますし、そうしたアメリカ国内の事情というものを背景にして、米国内においてはこの半導体の関税率を相互に下げていこうということの可能性について日本側に打診をしているという状況はあろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。 さて、これに対してどういうふうに対応するかということでございますが、これはまず一つは、御承知のことと思いますが、大蔵省だけの所管というわけにはまいりませんで、何といいましても通産省とこれはよく意思の疎通を図る、あるいは外務省とも十分留議をして問題に対応していくことが必要だと思いますし、それから私どもとして考えますのに、やはり半導体というのは日本の産業の中におきましても現在及び将来にとりまして非常に重要な一つの産業分野であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。そういうことでございますので、この業界の現在の状況あるいは将来にわたる見通し、それからまた日米両国を初めとする対外貿易の全体の状況、こういったものの見通しというものを的確に判断をいたしまして、関係省の間で十分に意思の疎通を図りながら問題の展開に対応していくてとが必要だろうと、このように考えております。
○多田省吾君 次に、これは外務省の経済協力局だと思いますが、政府の開発援助問題についてまとめてお伺いしておきたいと思います。 総理がさきの施政方針演説で、途上国に対するわが国の政府開発援助を五十六年度から五年間で倍増させるという方針を明らかにしたわけでございますが、五年間の絶対額はどのようになるのか。また、今回も表示はドルベースになっておりますけれども、円安となった場合は援助の追加が必要になりますけれども、これも含めてのお考えなのか。また五十六年度予算において政府開発援助費は八千八百八十八億円と試算されておりますけれども、これは対GNP比で〇・三四%、対前年伸び率で五・八%となっているわけで、過去の実績は平均一五%の対前年伸び率でありましたから非常に後退しているわけです。財政事情が厳しいという理由もありましょうけれども、私はやはり総合安全保障という面から考えても、あるいはわれわれの平和憲法に立脚した平和外交ということから考えても、これは重要視していくべきではないかと思いますが、その辺どう考えておられるのか。また今回アメリカは、対外援助政策について国際機関を通じた発展途上国向け援助を縮小する反面、戦略的な二国間援助に重点を置く方針を固めて、わが国などにも同調を求めてきておりますけれども、これに対してどう対応するのか。その辺をまとめてお伺いしておきたいと思います。
○説明員(松浦晃一郎君) 先生からいろいろ御質問ございましたのをまとめて御説明いたしたいと思います。 最初の、今回の新しい政府開発援助計画の中期目標についてでございますが、過去五年間の政府開発援助の実績が大体、まだ昨年につきまして最終的な数字がわかっておりませんので推計になりますが、全部昨年を含めまして足しまして約百七億ドルになっておると思っております。今回の中期目標はその過去五年間の実績を今後五年間で倍以上にするというものでございますので、数字で申し上げますと百七億ドルの倍の二百十四億ドル以上にするということになります。 それから、具体的な点につきまして今回の中期目標には三点盛られておりまして、最初が国の予算つまり一般会計の政府開発援助にかかわる予算についてでございまして、これにつきましても過去五年間の実績を今後五年間で倍以上にするということになっております。一般会計の政府開発援助予算は過去五年間の累計は一兆二千四百六十九億円でございますので、今後五年間でその倍以上といいますと、二兆四千九百三十八億円以上ということになります。それからあと、具体的な点は数字にはなっておりませんが、二つ中期目標に入っておりまして、一つは政府借款の積極的拡大を図るという点でございます。それからもう一つは、国際開発金融機関の出資等の要請に対し積極的に対応するという点でございます。 それから、先生御質問の円安との関係でございますが、今回の中期目標は、いま申し上げましたようにドル建てで基本的な点は立ててございますので、したがいまして、ドルが中心になっておりますので、円安などによる目減りということはないものと考えております。 それから、御質問の三番目の、来年度の政府開発援助事業予算全体の伸びが従来に比べまして低いのではないかという御指摘でございますが、政府開発援助にかかわる事業予算の中の一番中心は一般会計でございます。一般会計に関しましては来年度は一二・八%ということでかなり大きな伸びになっております。ただ残念ながら、あと二つの柱でございます財政投融資と国債が五十五年度に比べまして四%から六%のマイナスになる見通してございます。したがいまして、全体といたしましては先生御指摘のように、数字では八千八百八十八億円で、伸び率といたしましては五・八%ということになりますが、政府といたしましては一般会計に一番力を入れておりまして、一般会計につきましては、いま申し上げましたように一二・八とかなり高い伸びになっております。したがいまして、今後の問題といたしましては、一般会計の予算を今回設定いたしました中期目標に従いまして伸ばしていくと同時に、先ほど御指摘ありました政府借款、それから国際開発金融機関への出資に対して積極的に対応していく、こういうことで政府開発援助事業予算全体を伸ばすようにしてまいりたいと思っております。先生まさに御指摘のように、政府開発援助は日本にとりまして、特に平和に徹し軍事大国にならないということを内外に表明しております日本にとりましては重要な施策でございまして、また日本の総合安全保障にもつながるものでございますので、私どもとしては力を入れて政府開発援助を今後伸ばしてまいりたい、こう考えております。 それから、最後に御質問の米国のレーガン政権の今後の対外援助政策でございますが、確かに先生御指摘のように、レーガン政権は多数国間援助よりも二国間の援助に重点を置く、それからまた二国間の援助の中でも政治的な色彩の濃い援助に重点を置いていく、こういう政策を確かに内外に表明しております。ただ先般伊東外務大臣が訪米いたしました際に、二国間援助の配分につきまして、一時アメリカは事前に開発途上国を友好国それから非友好国に分けて、友好国には援助するが非友好国には援助しないというようなことも伝えられておりましたので、その点をヘイグ国務長官に指摘してもらいましたところ、そういうようなことはないということを言っておりましたので、一般的な傾向といたしましては伝えられておりますように、二国間の援助の中でも政治的色彩の援助を伸ばしていくと思いますけれども、必ずしも事前に友好国、非友好国を分けて、友好国は援助するが非友好国はしないということではないと私どもは了解しております。しかしながら、日本の援助政策のあり方といたしましては、伊東外務大臣が予算委員会などでも繰り返し説明しておりますように、日本独自の立場から今後とも実施してまいりたいと思っておりまして、特にいま二国間援助の配分の基準といたしましては、私どもといたしまして相互依存、それから人道的協力と二つの尺度を採用しておりまして、それに基づきまして日本独自の立場で判断していきたい、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 最後に大蔵大臣に、補助金削減問題で一問御質問したいと思います。 総理も大蔵大臣も政治生命をかけられた行財政改革、いわゆる第二臨調の発足に伴いまして補助金はいま現在約十四兆五千億円でございますが、二兆円程度、一割以上削減する方向と聞いておりますけれども、総理は否定されましたけれども、一律削減を行って財政再建法案で解決するんだというような報道もなされたわけでありますが、それは否定されたように聞いております。私もやはり、前に五十六年度予算編成方針でとられた財源の重点的かつ効率的配分、経費の徹底した節減合理化を図るために各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、財源を重点的、効率的に配分するという方針は私は変えるべきじゃないと思います。やっぱり補助金の中でも、一律に削減してよろしいような姿ではなくて、国民にとって納得できるような優先順位を決めた削減でなければならないと私は思う次第でございますが、当然五十五年度行政改革の一環として閣議決定された補助金等整理合理化計画の、五十五年度以降四年間にその件数の少なくとも四分の一を整理するというようなことはもうすでにそれを超越して、そういうのを乗り越えて検討されるわけであると私は了解しておりますが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的なことは主計局次長からお話をいたしますが、私といたしましては、それは優先順位を決めて削減する、これが基本的、一番いいんです。いいんですが、だからといって社会保障、文教、公共事業で補助金の大半を占めてしまうわけですから、これはもう重要なんで、手はつけませんよというようなことでは実は補助金削減にはならないわけであります。どういうふうにこれから組み合わせをやっていくか、これからの検討課題でございます。 計画的な問題については事務当局から説明させます。
○政府委員(吉野良彦君) 一昨年の暮れに閣議決定が行われました補助金整理合理化計画との関係でございますが、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、これからもなお一層補助金整理問題につきまして積極的に取り組んでいかなければならないわけでございまして、いろいろな角度からより的確と申しますか、実効性のある仕組みが考えられないものかどうか、私どもは常にこれ見直しといいますか、研究、工夫を重ねていかなければならないと存じております。 したがいまして、あるいは五十七年度予算編成あるいはそれ以後の予算編成の過程におきまして、私どもの検討結果を踏まえまして、現在進めております計画よりもさらに実効性の高い仕組みというものがもし考えられるようになりますれば、現在の補助金の整理合理化計画を乗り越えまして、いわば新しい計画でさらに推進をしていくということは十分にあり得ないことではないというふうに考えておりますが、率直に申しまして、現在のところ具体的な腹案があるわけではございません。したがいまして、現時点において申し上げますならば、少なくとも一昨年の暮れに決定をいただきました補助金整理合理化計画を最小限これは完全に達成をしていくということが私どもに与えられました最小限の課題である、かように現在のところ考えている次第でございます。
○多田省吾君 私どもは補助金のいわゆる一律削減ではなくして、やはり重点的、効率的考えにのっとった削減であるべきであると思っておりますけれども、いま大蔵大臣、また次長の御答弁では、それでは社会保障あるいは教育、公共事業等がほとんどであるのでなかなか優先順位も決めがたいということで、半分は重点的に考えていくけれどもあと半分は一律削減もやむを得ない、このように現在のところお考えである、このように受け取ってよろしいんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そこもまだ決まってないんです。決まってないんですが、そういうこともやらざるを得ないかもわからない。これから国会を早く解放してもらってその方の勉強に取り組みたいと思っております。
○塩出啓典君 グリーンカードの問題につきましては他の委員からもいろいろ質問があり、重複を避けたいと思います。 大蔵大臣は、内外の見直し論、反対論はあるけれども断固やる、こういう御決意と承っておりますが、ただ利子・配当の総合課税の移行に際して預金者に無用の不安を与えないよう、移行に際して税務執行上取り締まるというよりもむしろ親切に指導して過去の過ちを正すという、こういう基本的なスタンスが必要ではないか、悪質なものは別としてですね。そういう点についてはどのようなお考えであるのか承っておきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 執行上の問題は、まだ具体的な細かい相談をいたしておりませんが、いずれにしてもグリーンカードというのは不公正の是正のためにつくったものですと、しかしそれはこわいものじゃありませんよと、まず庶民大衆に知ってもらわぬと困りますから。中にはへそくりまでみんなだんなにばれるんじゃないかと心配している人がいるらしいんですよ。私聞いてみてびっくりしているんですよ、本当に。何百万も持っているのかと思ったら、二百万円ぐらいしか持っていないおかみさんが持っているのをどこへ隠そうかとかね。しかし現実にはそういう人もいるんだということを頭に入れてかからないととんだ間違を犯すということで、そういうような点はまだ時間がございますから、やはり心配ないんだということをしたい。それから、いままでため込んでおいていろいろあったけれども、要するに今度みんな過去の蓄積まで何十年分もさかのぼって取り上げられるんじゃないかと思って心配している人もいるんです。これはもう心配ないんですよ、昔できた原資は。ただそこから入ってくる所得については、利子については免税になるのは三百万円分ですよ。あとはまあともかく税金を適当に払っていただきますというようなことなど。また午前中に話したような、いろんな税金全体の見直しというようなものも含んで、結局突拍子もない問題が起きないように、みんながそんなに心配することないよ、ただいままでうまいことやり過ぎた人はちょっと困ることがあるかも知らぬけれども、それはもともと不公正の是正ということでやってきたわけですから、その基本原則は変えないということで、なだらかに、塩出委員の言うように、そういう趣旨をくんでやっていきたいなと、そう思っているわけです。
○塩出啓典君 次に、きょう午前中でもいろいろ質問がありましたお医者さんが有限会社をつくるという、こういう問題でありますが、診療所であってもいろいろな機械の購入とかあるいは人件費とか、そういうものは経費として全部認めるようになっているんじゃないか。またそういうようなのを計算するのは非常にややこしいと、そういう人のために課税の特別措置、これは先般の改正でかなり少なくはなりましたけれども、庶民の感情からすればまだ優遇ではないか、こういうふうな意見もあるわけでありますが、にもかかわらず税金を少なくするために、これは脱法行為とは言えないにしても、そう言われそうなようなことを非常にやっておる。あるいはまた第二薬局とかそういうような問題もあるわけですが、大臣としては、やっぱりそういうことをしなければいろいろ機械の購入とか、そういうことできないのか、私はそういうこともないように思うんですけれども、その点の所感はどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は具体的に分析して、計算して調べたわけじゃないからわかりませんが、私の経験からいたしますと、一つはやっぱり七二%控除制度がなくなって、とたんに高額所得者がいっぱいできたということですよ。確かにそれは間違いない。そのために超過累進税で課税をばっちり、六割とか七割とか受ける人がぞろぞろ出てきた。税金を納めるのに借金したことないのに借金していると、これ事実のようです、実際問題として。ところがその一方、それほどもうかる仕組みをつくっておくこと自体の方が問題じゃないのかと、医療機関がそんなにもうかる仕組みになっていること自体が問題じゃないかと、もう大体採算が合って適正利潤ぐらいでいいんじゃないかという議論も一つございます。もう一つは、個人と言っても医者二人でやっているために医療法人になれないんだ。看護婦が三十人もいるとか、でかい施設を持っているというようなところで自分の月給が、技術料の報酬が分離されないと、だからおれたちも医療法人認めると。しかしそれは医者三人以上いないじゃないかということで、一人や二人では認めぬよという制限が、医療法人に制限がうんとある。医療法人だってそんなにできるんならば、三人以上でできるのなら何で二人でできないんだ、一人でできないんだとかいう議論も当然出てくるでしょう。そこらにも問題があると。 いろいろこれ問題があるんですよ。問題は要するに、安い薬を仕入れておって、しかしどうも利潤が出過ぎるからそれじゃそこでトンネルひとつつくってコストを高くしてと、それからもう洗たくその他についても安く頼んであるんで利潤が出過ぎるから、それで高額所得になるから途中でトンネル会社つくって少しそこで手数料取ってとか、いろいろ頭使っている人もそれはあるかもわからない。ですから、なかなか複雑怪奇な問題がいろいろございますから、問題は医療でそんなにもうかるという制度ですな、医療で、社会保障でえらくもうかるという制度、仕組み、ここらに何か問題点がないかな。一番の問題はそこを直さなければ、幾ら医療法の会社つくることいかぬどうのと言ったって、これは始まる話じゃないわけですから、そういう点から私は考えていかなきゃならない。 その次はやっぱり純然たる節税という問題で、別にそういうようなおかしなことはやっていないが、要するに自分は高額所得者だという——物理的ないろんな自分の投下した資本に対する事業報酬というものも一緒になって、医者がもうけ過ぎもうけ過ぎと言われるんだが、おれの方はそれは事業に対する投下資本の利益なんだと、それを分離して自分の技術料についてはちゃんと納めますと、事業の報酬に対しては正当な税金払いますという思想でやっているのかどうか、そこら辺も問題がある。いるいろ問題がありますから、私はそのうちのどれが原因でどうだということはいま断定的には申し上げられません。
○塩出啓典君 で、きょうの午前中のいろいろ同僚委員の質問に対する厚生省の答弁等を聞いておりますと、厚生省の側から見ると、保険医の指定も個人であり診療報酬の請求も個人、また診療所も個人で認可をされておると、そういうように言っておる。だから、これは有限会社の届け出も医療法人と違って商法に基づくわけですから、全然厚生省の方はタッチしていない。これは法務省の管轄になるんじゃないかと思うんですね。それから、そういう場合も税金を納めてみなきゃわからぬし、その税金はどうかと言って国税庁に聞くとこれは守秘義務だというように言われると。ところが先ほどの大蔵省の直税部長の話では、こういう法人を認めるか認めないかは厚生省の問題で、もう認めてしまえばこれは法人税になっちゃうと、こういうようなお話で、やっぱり法人をつくるのは自由ですけれども、何か高額所得者が勝手に全部法人をつくるようになるということになると、これは日本の税制度に対する非常な挑戦と言うか、非常な問題になってくるんじゃないかと思うんですね。 そういうことで、これはもう早急に厚生省あるいは法務省も関係があるわけですけれども、大蔵省がどこかがやっぱり音頭を取って、早急にそういう問題に対しては対応を決めるべきじゃないかと、きょうのお話では五十四年の下期あたりからこういう問題がどんどんふえておると、そういう点を考えますと、お互いに各省の管轄の違いからちょっとこの問題に対する積極性が足りないんじゃないかと。これはもうぜひ大蔵大臣が音頭を取って早急にこの関係する省と打ち合わせをして、やっぱりまじめな納税者の気持ちに沿った処置を私はとるべきじゃないかと、この点どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 要するに、医業といえども公益事業ではないわけですから、医業といえども業であることは間違いないんであって、それはもう社会奉仕の公益事業であるというふうには私は考えておりません。しかし医業が営業であるかどうかということになると、いろいろ議論のあるところでございましょう。だから医療法人という制度があるんでしょう、会社ではなくて。しかし業である以上は、経営の採算性というものを考えるのはあたりまえなことであって、経営の採算を度外視して業は長く成立するわけがない。でありますから、経営と要するに自分の技術料報酬と分離をするということ自体が悪いというふうには考えておりません、私は。そのこと自体が悪いとは思わない。ただ問題はどこに伏在するのかと、要するにもうもうかり過ぎて仕方ないからそういうことをやるんだということになれば、もうかり過ぎる制度そのものを直してもらわぬと困るんであって、それは私の方は税金をいただけばいいだけの、大蔵省の方はそういう立場でございますから、どういうふうにするか、そういうこともあるように、要するに支払い基金の源泉徴収も拒むということになると、これは拒むといっても源泉徴収義務者というのがあるんですから、それを認めなければ拒むも拒まないもないのであって、払うときに天引きすればいい話であって、大きさには関係のない話ですから、それはもう別な問題だと私は思うんです。したがってその辺はどういうふうに対処するのか、よく担当者同士でもう少し突っ込んだ話を早急にして、認めないんなら全部認めない、認めるんだったらばそういうふうな弊害をなくすことを前提としてすっきりした形にするとか、私は今後の問題じゃないかと、そう思っております。
○塩出啓典君 それから、使途不明金の問題についてちょっとお尋ねをしたいと思うんでありますが、新聞の記事によりますと、使途不明金が三百億円ぐらい出ておると、これは当然法人、会社において使い道を言いたくないと、だからこれはもうちゃんと税金を払っておるわけでありますが、しかし税金の上からはそれでいいかもしれませんが、これは使途不明金を受け取った方が場合によっては脱税をしておるということにもなる。で、これは小さな個人企業というんではなしに、れっきとした大法人においてこういうようなことを認めるということはちょっと庶民の感覚から見ていかがなものかと。商法にはちゃんと帳簿を備えると、書けという、そういう法律もあるわけで、そういう点についてはどう考えていらっしゃるのか、これをお伺いします。
○政府委員(岸田俊輔君) 使途不明金につきましての税務当局の考え方でございますが、先ほど先生御指摘のございましたように、企業が法人税を払えば真実の所得者を言わなくてもいいというようなことで安易な態度、また税務当局が法人税を取りさえすればすべてばいいんだと、事足れりというような態度であることは非常に問題があるかと思います。私どもも常に真実の所得者に対しましての課税ということで実態の究明ということを指示をいたしております。ただなかなか税務調査につきましては限界がございまして、どうしても企業側が言わないというときには解明がし切れないというところはあるかと思っておりますが、今後とも一層その実態解明には努力いたしたいと考えております。
○塩出啓典君 悪質な場合にはいわゆる重加算税を取る場合もあると、このようにお聞きしておるんですけれども、大体そういう場合はどの程度あるんですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 具体的な数字につきましては把握をいたしておりませんけれども、使途不明金になります過程において悪質な行為がございました場合には、当然重加算税をかけていると思います。
○塩出啓典君 これは大蔵大臣、私はぜひそういうようなものの出ないようによく指導もしてもらいたいし、場合によっては、使途不明金を出した場合にはそういうものを公表すると、どこどこの会社は使途不明金を出したということでですね。それはやはり経理の不明朗ということで株主に対しても私は責任があるんじゃないかと思うんですけれどもね、そういう点も含めてこれは今後検討すべき課題ではないかと、そう思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 使途不明金を、税務の立場からこれを公表するということはできないと思います。しかし使途不明金がどうしてつくられたかというそのつくられた経過等が、仮装、隠蔽によってつくられたものが後ではれたというような場合等は、当然重加算税あるいはいろんな脱税としての摘発を受けることもあるだろうと思います。
○塩出啓典君 それでは、間税暫定措置法の改正の問題について二、三お尋ねしたいと思います。 今回の改正によりまして、乗用車のタイヤ、タイヤケース以外は自動車部品はすべて無税と、こういうような改正になっておるわけでありますが、現在の日米自動車摩擦にはどのような影響を及ぼすのか、またタイヤを除いた理由は何か。 それから、たしかこういう部品の関税を下げるということのほかに、輸入検査手続の緩和ということが米国からも要望があっておるわけでありますが、こういう輸入検査手続の緩和の問題はどうなっているのか、この点をお伺いいたします。
○政府委員(清水汪君) お尋ねの第一点でございますが、部品関税の引き下げの効果、影響、それが現在懸案になっている日米間の自動車問題の交渉にどういうふうな関連をするかという点でございます。 この自動車部品の関税率を下げるということは、もちろんわが国の国内市場のさらに一層のいわば開放を進めると、こういう趣旨でございますので、言うなれば日米間で現在自動車が摩擦になっておりますけれども、やはりこういった摩擦の問題を広い視点あるいはより深いすそ野から問題の円滑な解決を図るということで考えてみますと、やはり向こうの事情に理解を示すということもきることながら、やはりわが国自身が今日ここまで経済力が高まり、あるいはまた現にその輸出力が高まっているわけでございますので、そうした観点から考えますと、国内の市場の開放度合いというものをさらに進めていくということがわが国自身の国益にも合致するということが言えるかと思います。で、もう少しその点を詰めて考えますと、この問題は昨年の五月の時点で、やはり自動車問題に関して両国政府間での話し合いが持たれました。その段階から、アメリカ政府におきましても国内のいわば保護主義的圧力が非常に高まっているわけでございますけれども、議会あるいは業界のそうした保護主義的圧力に対しまして、やはり大きな視点から自由貿易の原則を堅持していくという姿勢を示してきているわけでございまして、現在もその点が続いている、このように理解をいたしております。したがいまして、わが国としては、昨年来そうした米国側の自由貿易を堅持するという姿勢と相まっ措置といたしまして、わが国側のそうした、いま申しましたような市場開放の努力をさらに進める、こういうようなことで、いわば両国間の貿易の自由な体制のもとでのそういう原則を維持した上でさらにその発展を図っていこう、こういう趣旨から出ている措置でございますので、私どもとしては、この措置を約束どおり進めるということがまず大事だろうと思いますし、こうした措置を進めることは必ずや現在の自動車問題の解決にもプラスになる、このように考えているわけでございます。 それから、その中で二十二品目、自動車の部品について取り上げておりますが、タイヤ及びタイヤケースだけはゼロにはいたしませんで、ほかのものは関税率をゼロまで下げようと、こういうことでございます。タイヤにつきましてそのような判断をいたしましたのは、やはり国際競争力の点から、タイヤにつきましては東京ラウンドで最終の税率としておりますところへ下げるのがせいぜいである、このような判断の結果そうしたことになっているということでございますので、御了解を賜りたいと思います。 それから、なおこの検査等の問題についてどうかということでございますが、これも昨年の五月のときの日米間の話し合いにおきまして、こういうものも含めて、いわば一連のパッケージの措置というふうに呼ばれておりますけれども、その中の一つとして、やはり検査に関する日本側の、いわば緩和措置といいますか、もう少しわかりやすくする、あるいは透明なものにするというような議論がございまして、その点につきましては、直接は私どもの所管ではございませんけれども、私の承知します限りにおいては、その後においてこれは現実的にも進展を見ているように聞いております。
○政府委員(垂水公正君) ただいま局長が申し上げた点を、運輸省にかかわる検査、規格手続の改善について若干補足をさせていただきますと、この問題は局長が申し上げましたように、もっぱら運輸省所管の問題でございますけれども、私どもが理解しておりますところでは、先方が申し出てまいりました日本が輸入しました場合の検査手続あるいは規格手続、そういうものについては簡素化をしてもらいたい、あるいは規格を緩和してもらいたい、こういう要請であったわけでございます。その中で運輸省がとりました措置は、安全性にかかわる部分については、やはり要請の強さはあるとはいうものの、それは日本のいわば規格の根幹でございますので、それには応じられないということで断っておるわけでございますが、一部手続面で対応できるような、たとえば提出資料を緩和する、つまり簡素化するとかあるいはその具体的に一つの例を申し上げれば、デジタル速度計というのがございますが、そういうものについてはデジタル速度計の装置そのものを認めてやるとか、そういうことで現実に改善が図られております。さような状況にあると御理解いただきたいと思います。
○塩出啓典君 それでは、余り時間もございませんので関税暫定措置法の問題はその程度にいたします。 最後に、税務署で働く労働組合からいただいた資料等によりますと、この十三年間で所得申告件数とか法人数、いろいろな納税人口がふえておる。今回もまた物品税も新しい課税がされるわけでありますが、一方企業の取引は規模の大型化、内容の多様化、取引の広域化、また税務調査の複雑性、困難性が増しておる。こういう点は私も率直に認めなければならないと思うわけであります。また一方、先般も大蔵大臣も言っておりましたが、企業がコンピューターを導入して、銀行を初めとして、なかなか調査するにいたしましても新しい調査手法を開拓しなければならない。また一事案当たりの調査日数は増大をしなければならない、こういう状況もあるわけであります。さらには今後グリーンカードの実施、さらには株式におけるいわゆるキャピタルゲイン課税の問題も昭和五十九年一月ごろまでには一つの方向を決めなきゃならぬ。 こういう点を考えますと、これから非常に大変になってくるんじゃないか。しかもいまこの税務の実調率も法人で一〇%、個人事業者では五%と、こういうことでやはりこれからは、税務行政も調査というよりも指導重点に、行くことが一つの指導にもなっていくんじゃないかと思うんです。それから一方、先般同僚委員の御質問では、現在税務署も四十六歳以上が五万数千人のうち二万人もいる。一方、一人前になるのには七年、十年かかる。そういうようなお話を聞きますと、果たして三年先、五年先がどうなるのか。もちろんいろんな税務事務もコンピューター化されたり、コピー使えるとか、そういうような点を含んでもなおかつ非常に将来問題になっていくんではないか。そういう点で私は、やはり大蔵省としても国税庁といたしましても、もうちょっと長期的な計画に立つべきではないか。そういう点を税制調査会等にもどんどん議題として出して、そして必要である場合にはこれはやはりある程度人員をふやす必要があるんではないか。まあ行政改革等が言われておりますが、決して国民は、不必要なところを減らして必要なところへ回せということで、いま外務省の外交官等はふえておるわけでありまして、そういう点から見て決して国民の意識に反するものでもない。私は、そういう点、長期的な展望に立っていまからその対応を考えておかなければいけないんじゃないかと、このように思うわけでありますが、その点の御見解をお伺いしたい。
○政府委員(川崎昭典君) 先生御指摘のような事情がございまして、税務職員の負担が相当重い状況になっておることは十分承知いたしております。しかしながら、単に増員のみをお願いするということではなかなか通らないような状況にもなっておるわけでございまして、外部的には増員をお願いします一方、内部事務の非常に合理化を図ってまいったわけであります。また内部の職員配置にも工夫を加えまして、事務官の配置転換もやってまいりました。一方で、電子計算機の導入ということも考えております。また納税環境の整備ということをずっとやってまいりまして、特に税理士さんの活用と申しますか、税理士にお願いして申告指導に当たるとか、あるいは協力団体にお願いして若干の事務もやっていただくといったことも工夫しておるわけでございます。 しかしながら、やはり長期的に考えていきますと、いろいろ事務は増大の傾向にございますので、やはり政府の方針の中で、公務員全体の数をふやすということは適当でないと考えますけれども、政府の部内での配置転換といったようなことで、いろいろこれから私どもはお願いをしてまいりたいと考えておるわけでございます。また職員構成の問題もありまして、いろいろ採用の場合に当たっても、将来を見越して採用を考えなきゃいかぬという面もございます。そういった意味で、非常に長期的な視野と計画が必要であると、必要な時期に参っておるということは十分考えておりますので、今後とも大蔵省にもよく相談をいたしまして、いい線を出していただくように努力をしたいと考えております。
○塩出啓典君 大蔵大臣、やはり税制度の公平とともに、執行面の公平ということも必要であると。昭和二十六年でございますか、有価証券のキャピタルゲイン課税が廃止されたと、これは制度があっても全然実行されないために新たな不公平を生むということで廃止をされたと、こういうようないきさつもこの前お聞きをしたわけでありますが、やはり執行面の公平ということを維持していくということは、私はこれからの税務行政において非常に大事なことであると。そういう立場からも、やはり定員の問題、執行体制というものをさらに充実したものにしていかなければいけないと思うんですが、そういう意味でもうちょっと長期的な展望に立って、いまからやはり手を打っておかなければいけないんじゃないか、そういう点、大蔵大臣として検討する用意があるか。さらには私は、税制調査会とかそういうようなところを通して、より客観的に多くの人の判断を得ると、そういうことが早急に必要でないかと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) やっぱり税務調査というのはかなり高度の技術を要しますから、枠がふえたから一遍に人がふえて調査がうまくいくという筋合いのものではありません、これは。したがってかなり年齢層も高齢化しておりますので、そういう長期的な観点に立って今後とも実務的に対処していく必要があると、そう考えております。
○委員長(中村太郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中村太郎君) 速記を起こして。
○近藤忠孝君 午前中も問題になりました、税金対策としての医師の会社化の問題であります。 いろいろ問題がありましたが、私は中身の問題もさるしとながら、ちょっと不可解な点があると思うんです。国税庁の方では、すでに五十四年以降いろんな事実が出ている中でその事態はつかんでおったと、いろいろ検討もしてきたし、実態の解明もしてきたと。大臣は、厚生大臣時代からそれは知っておったというわけですね。そうであるならば、なぜそのときに、五十四年ないし五十五年の段階で厚生省と連絡をとって対応策を立てなかったのか。というのは、厚生省は先ほどの答弁では全然知りませんと、実態はつかんでおりませんと言うんですね。大臣が厚生大臣のときにそれをつかんでおったれば、当然そのときから問題点はわかっておったわけでしょう。だから当然国税庁から連絡があり、一応その違法性はないか——ともかく厚生省とすればそれは好ましくないという通達まで出してるんですから。となれば、もっと前の段階で対応できたんではないか、なぜそれがなされてこなかったのか、この点ちょっとお答えいただきたい。
○政府委員(小幡俊介君) 私どもは課税処理の問題につきましていろいろと研究をし、また対応すべき点はそれぞれのところと意見交換を行うわけでございますけれども、ただいまの問題等につきまして、どういうところとどういうふうな相談をしておったかというふうなことはちょっと答弁を差し控えさしていただきたいと思うんでございますが、いずれにいたしましても、私どもの方といたしましてはこの問題が、五十四年の後半ごろからこういう会社の設立というものが全国的に起こってまいりまして、五十四年分の確定申告のときにこういう問題が出てきたと。それ以降われわれとしては実態把握に努めておるということでございまして、実態把握そのものにつきましてまだ私ども自身十分な実態把握が進んでいないと、まだ私ども自身の検討が終わっていないということがございますので、私ども自身の検討、分析の結果というものもできるだけ早く取りまとめるようにいたしまして、また厚生省御当局のいろんなこれらの問題に対しまする方針というふうなものも承りながら、適切な結論をできるだけ早く出すようにしたいと、こういうふうに思っております。
○近藤忠孝君 まあそれは説明ですけれども、ただ、どうも実態としましてはね、厚生省が先ほどの答弁のように全く知らぬと、実態つかんでないと言うのはどうしてもおかしいんじゃないでしょうか。で、国税庁は税金だけ取ればいいと、相手がどろぼうでも所得があれば取るという、その面だけでしてね。 国務大臣は、国政全体の法執行に責任を持たなきゃいかぬわけですから、この面について、全く厚生省とのかかわりはなしにきたという点はやっぱり問題だったんじゃないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは国務大臣ではございますから、国の基本的な問題についてはそれは皆もうお話し合いいたしますが、それぞれの省にまたがる技術的、専門的な問題についてはそれぞれ所管大臣がおるわけです。したがって、そういう細かいことまで話すことはまずめったございません。で、私も実は先ほど、昔から何か二、三件ぐらいどっかに、群馬県とかどっかにあるという話は聞いたことがあるということを申し上げましたが、このように新聞に出ていることが本当ならば、このように組織的に大がかりにそういうものが進んでおるというのは、ここ二、三日の間に新聞で知らされたというのが実情でございます。
○近藤忠孝君 次の問題に入りますが、これもきょうの午前中から問題になっている高額所得者への所得税の税率の問題ですね。少し高過ぎるんではないかという議論ですが、新聞記事によりますと大臣の言葉として、余り高額所得者の方の税率が高いと勤労意欲がなくなる、そういう点が出ておるんですね。それはそのとおりなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは問題はね、税というのはどこでも同じで、余り事業禁止的な税を取るということになれば、事業をやらないか、資本が逃避するか、自由社会においてはみんなそうなんですよ。でありますから、問題は程度問題でございますので、まして国際的に資本や為替の自由化が進むという中にあると、日本でもある程度のいろんな資金というものは必要なんでございますし、みんな外国へ事業するのに逃げ出すようでも困るわけですから、そういう意味のことも含めまして、もう一つは、日本の税率というのは八千万円以上七五%、住民税が一八%。で、理論値で限界税率九三と。これはもう世界にもそう例を多く見ない、私は知らない、寡聞にして。スウェーデンと日本ぐらいじゃないか。それだけの高額税率を課しておるわけですから、しかしその人たちは分離課税というものがあって、その人たちばかりじゃありませんがね、やっぱり所得の多い人は預金の利息も普通の人よりも多いと見るのは常識でしょうから、その部分は三五%で済んでおったということは言えます。しかしそれが今度は合算になるというようなことになると、本当に文字どおり一〇〇%それは最高税率になる。しかしこれはもう昭和三十五年かな、三十七年以来ですか、ずうっと据え置かれておるわけですね。上の方が動いていないという状態ですから、三十七年以来動いていないというような状態でございますから、いかがなものであるかと。やはりそういうふうなときにはある程度の手直しというような問題も全体の一環として考える必要があるんじゃないかということを申し上げたんです。
○近藤忠孝君 その説明は午前中来聞いておりますし、外国との比較の問題はまた外国との関係でしてね、問題はわが国としてどうするのかという問題がまた独自の問題だと思うんです。 その問題の一つとして、この新聞記事によれば、渡辺さんは、高額所得者の勤労意欲が失われる、こうおっしゃったわけですね。それは事実なんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは税金が余り高いと事業意欲がなくなるでしょうね、それは。事業家が事業意欲をなくすというほど高くしちゃったんでは、やっぱり自由社会では事業意欲なくなる。イギリスあたりでは、あそこはお医者さんなんかが、いいお医者さんが外国に打っちゃって、外国のお医者さんがイギリスで働いているという例がたくさんあるし、スウェーデンなんかでも税率を高めた結果、産業が非常にふるわなくなったということも大体世間の一致した見方なんでございますから、そういうふうな点はわれわれもやはり考える必要がある、こう思っておるんです。
○近藤忠孝君 事業意欲とまた勤労意欲とは少し違う面があると思うんですね。事業意欲なら事業意欲の問題としてこれはまた議論したいと思うんですが、大臣がはっきりと勤労意欲と言っているものですからね、税金が余り高率になると勤労意欲を失う、こうおっしゃっているものだから、私はその問題についていま質問しておるんです。勤労意欲がどういう場合損なわれるとお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は事業者のことを言っているわけですからね、この表現が不適当だったんでしょう。むしろ事業意欲と言った方がいいのかもしれないね、それは。しかし、高額所得者でも給与所得をもらっている高額所得者もありますからね。だからそれは事業意欲なのか勤労意欲なのか、そこらのところはどっちからでも見られますわね。会社の社長とかなんかで数千万円という人ありますから。だから、勤労意欲といった一給与意欲という言葉はありませんから、だからそこらのところがあいまいではございますが、事業意欲というふうに解した方があるいは妥当かもしれません。
○近藤忠孝君 やっぱり勤労意欲と事業意欲とは少し違うんですよ。そこら辺は厳密に分ける分野やっぱりあると思うんです。だから確かに高所得になって事業意欲の失われる分あるいはあるかもしれぬ。しかしそれはその分野のどれかといって、また厳密に検討しなきゃいかぬ問題だと思うんですね。もし大臣が勤労意欲という面も含めて事業意欲ということを考えておるとすれば、この勤労意欲の問題についてちょっと申し上げますと、勤労意欲というのは働いたけれども報われない場合、あるいは働いた成果が十分活用できないとか、大体それに類することだと思うんですね。ところが、だからその問題に限って言えば、高額所得者の所得がどういうものかということを考える必要があると思うんです。となれば、これはその中心は利子・配当、土地譲渡所得と。となりますと、この部分は余り勤労意欲とは直接関係のない分野じゃないか、いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはその事業、事業の成功の結果として得られたものでしょうから、やはりただ偶然に株券が転がってきたり、偶然に貯金が転がってきたりというんじゃなくて、それは親の財産を引き継いだ人もあるかもしれませんがね、しかし立志伝中の人もあるわけですから、それは全部不労所得だけでできたんだというふうに一概にも言えないんじゃないか。短期的に見ればそういうことが言えるが、長期的にはそれだけの財産を取得するのに自分がいろんなことをやって苦労をして築いてくるということですから、それはやっぱり事業なり勤労の中に入るんじゃないでしょうか。
○近藤忠孝君 そこで、これは数字をお伺いしますけれども、大体分離課税の恩恵を受けるのが主に年所得二千万円超の人あるいはもう少し上かもしれませんが、主にその辺です。そこで昭和五十四年で納税人口のうちこの二千万円を超える人々の総数とその全体に占める割合をお示しいただきたいと思います。所得階層別に……。
○政府委員(高橋元君) 昭和五十四年分の納税者の所得階級別構成比で申しますと、二千万円超の所得を得ておられる方は、源泉、申告合わせて十二万人となっております。
○近藤忠孝君 割合は約一・八%だと思うんですね。 そこで、大臣、この辺の層の人の事業意欲か勤労意欲かまた別問題として、大体その辺の人の問題なんですね。ということで、ひとつこれはまたその後に議論をしていきたい、こう思うわけであります。 そこで次に、先ほども話がありました使途不明金の問題ですが、この使途不明金を出した企業について、先ほど塩出議員から公表したらどうかという指摘に対して、公表は税の立場からはできない、脱税があった場合はまた別だという話でしたけれども、どうしてこれは使途不明金の場合公表できないのか。これは実質的には脱税の予備軍、もしくは汚職の予備軍、どんな書物にもどんな論文にもそれがまずい金である、表にできないまずい金である、そういう指摘がされておるんですね。だからこれは大蔵省の態度、場合によっては立法措置もあるいは必要かもしれませんけれども、そういう大蔵省の決意いかんで、要するにこれをなくそうという決意いかんで公表可能じゃないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) やっぱり税務については個々の案件にかかわるものになりますね、これは。したがって使途不明金の会社だけは公表できると、その他のものは公表できないというようになかなか分けることが非常にむずかしいと私は思っておりますので、一般的な会社の問題については先ほど言ったようにその使途不明金が仮装、隠蔽等の事実に基づいてつくられたものであったと、後でそれがばれたと、そのために告発されるという例はありますよと、それは裁判の結果や何かによってある程度自然にわかってくることでございますから。これはいいとしても、一般のものについてはそれは公表しないという守秘義務の中に入るんじゃないか。それじゃ交際費の中身も公開したっていいじゃないかという話になりますね、これは。否認された交際費をいっぱいたくさん使ったと、その中身も公開したらどうだというようなことに発展しかねない点もありますので、税の立場からは公表はできないと、こう申し上げたわけです。
○近藤忠孝君 この問題は使途不明金に対する大蔵省の姿勢の問題、単なる会計の一分野であると、そういう処理として見ておるのか、それともこれはもうなくさなきゃいかぬ、そういう問題と見るかという、私はそういう判断の問題だと、こう思います。 中身についてお聞きしますが、これの使途不明金の調査が行われておりますが、調査した企業数とその中の使途不明金を出した企業の数、割合、一社当たり不明額、それからどの業種に不明金が多いのか、お答えいただきたいと思うんです。
○政府委員(岸田俊輔君) 五十四年度、最近の数字でございますが、私ども使途不明金につきましては調査個所間の、これは資本金一億円以上の企業だけを対象にいたしておりますが、これは大体一万八千社ございますが、そのうち四千二百社を抽出いたしまして調査をいたしました結果、約一千社で総額三百二十一億でございます。ちなみに五十三年でございますとこれが三百三十七億。それから五十二年——事務年度でございますが、二百四十二億という形になっております。それから一件当たりの使途不明金の金額でございますが、最近の五十四事務年度でございますと、三千二百万という数字になっております。それからどういう業種かということでございますが、これにつきましては、うちの方としまして資料はとっておりませんのですが、一般的に、まあ感じでございますが、医薬業とか建設業が多いんではなかろうかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 商社はどうですか、商社。
○政府委員(岸田俊輔君) これは多いというのの取り方でございますけれども、商社あたりは規模的に取引が多うございますので実数的には多いのかと思いますが、全体の取引高に比べますと余り大きくないんではなかろうかなというふうに考えております。
○近藤忠孝君 それからこの使途不明金を発見して、それを追及した結果、その使途が判明した件数とその割合、そして使途の内訳はどういうものが多いのか。
○政府委員(岸田俊輔君) 内容的に申しますと、使途の判明をいたしましたのが五十四事務年度で四十二億でございます。で、パーセンテージでまいりますと、これは大体一三%になっております。それからちなみにこの判明率でございますが、五十三年度で二一%、五十二年度で一〇%というような数字になっております。それから内容でございますが、私どもが把握いたしましたのは、特別に分析をいたしました報告を受け取っておるわけではございませんけれども、リベート、手数料、それから交際費等でございます。まあ内容でちょっと特殊なものでは、株主総会の対策費だとか従業員の裏給与というようなものも含まれております。
○近藤忠孝君 この使途不明金は小企業の場合のつけ落としなどのミスというような問題じゃなくて、大体大企業の場合には本来あり得ない問題ですから、これがあるというのはまさに不正の現金支出であると。要するに受け取った相手を知られたくないために相手を隠す意図的なものであるというぐあいに言われております。で、正確には使途不説明金であるということを論じている論文もあるわけです。要するにリベートや裏献金などの工作資金である場合が多いわけですが、大臣にはそういう御認識がありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 商売上必要な金だけれども、表に出すといろいろな反作用もあるというようなことが多いんでしょうね、やっぱり、表に出せないというんですから。
○近藤忠孝君 単なる商売上のやむを得ないような問題だけじゃなくて、政治献金に行ったり、汚職、疑獄に行ったりと、いわばそういう温床なんですね。そういう御認識はあるんじゃないでしょうか。まあ税理士さんだからそれはようわかっているんじゃないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは汚職の温床かどうか私よくわかりません、中身調べたことありませんから。わかりませんが、リベートなんというのは多いんですよ、案外。案外リベートなんというのは多いです。
○近藤忠孝君 それから、先ほど件数の報告あったんですが、こういう調査をした総数と、その中での使途不明金出した企業という数が出てきますと、全体の使途不明金というのはわかってくるんではないか。そして全体の使途不明金がわかってくれば、そこが渡辺さん、要するに金をたくさん取る、財源の問題として大きな財源になってくると思うんですが、これもわかってくるんじゃないかと思うんですが、これはどうなんでしょう。
○政府委員(岸田俊輔君) これは先ほど申し上げましたように、調査課所管一億円以上の大企業が対象になりましての抽出でございますので、全体となりますとこれはいささかちょっと把握しがたいと思っております。
○近藤忠孝君 わからないという説明いつもされておるんですが、たとえば最低限少なくともこの数字に出ている数三百二十一億円、それから全体としますと——そのまま総体の企業数この割合で伸びるものじゃないと思いますけれども、そういうのにねらいをつけて調べているんでしょうからね。そうでないと思うけれども、長い間調査した結果から一定の推定は私は可能ではないかと思うんです。私はそういう努力をすべきだと思うし、そういうものをこれから追及すべきだと、こう思うんです。問題はこれに対する課税の問題ですね。この課税はどうなってますか。
○政府委員(高橋元君) 使途不明金につきましては、法人税法の解釈としてこれは否認をいたしまして全額課税をするのが執行上のやり方でございます。
○近藤忠孝君 この問題また後で触れますが、もうすでにこれは二年前の予算委員会分科会で神谷議員が取り上げています。そのとき高橋主税局長はこう答えていますね。「企業がモラルに従って経営を行って」いかなければならない。「課税の公平という面からその点についてさらに私どもとしては各国の法制も調べましてそのよって来るところもよく追跡をして検討を進めていきたい」それから当時の大蔵大臣金子さんですが、「課税の公平というか、課税に対する信頼感を回復するためにはある程度切り込まなければいかぬ面かもしれません。そういう点につきましてはこれからもしっかりひとつ検討いたします。」こういう答弁をしておるんです。二年たっております。税制面で、フランスなんか相当これは厳しく課税をしていくという面ですが、こういう面でどういう対応策が進んでおるのか、いかがでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 各国さまざまな税制をとっておりまして、アメリカのように使途不明であろうとなかろうと、いわゆるブライブと言うんですか、日本語に訳せば賄賂と言うんでしょうけれども、公私をあわせてブライブはもう全部課税するというやり方もございますし、フランスのように、いま仰せのありましたように特別所得税をかけるというやり方のところもあります。 そこでフランスが、いまの事例につきましては私もこの委員会でも前にお答えしたことがあるわけですけれども、フランスの使途不明金をどうやって課税物件としてつかまえるかというやり方を見ますと、配当や役員報酬を除く社外流出利益について法人が所得を申告する際または税務署から要求された際、受領者の氏名を届け出ないか、届け出ても内容が不十分な場合または手数料、仲介料等を支払って受領者の氏名を翌年の一月中に税務当局に届け出なかった場合、こうなっております。これはフランスの企業が持っておりますところの記帳義務の上に乗りまして、それで使途開示の義務というのをその上にさらに課して、その開示義務違反に対する制裁として特別所得税という制度が上に乗っておるわけであります。 ドイツと日本とは同じ法制をとっておりまして、自己否認しても、税務上の調査で明らかになっても使途不明金は経費性がない、損金性がないという法制をとっております。イギリスも同様ですが、支払い先を明示しない場合には一回五十ポンドですか、何か罰金をかけるという制度がございます。 すべてそれは、記帳を直接義務づけておりませんでも、税務当局が要求した資料に対する資料開示義務というものがあっての構成でございますから、日本の場合にそれでは法人税法上支出先を明らかにする義務を課さなければフランスと同じ法制がとれないわけでございます。そうなりますと、もう一つ裏側に法人税法上一般に記帳義務を課するということがざらには必要になってくるわけでございます。そういうことまで下がりませんと、特別所得税という案だけ切り離して取るわけにはまいらないというのがいままでの勉強してまいった結論でございます。この点につきましては税法の表だけでなかなかわかりませんので、執行の実際というものも、海外に人が行く都度いろいろ聞いてきてもらっておるわけでございますけれども、いま到達した結論はさようでございます。 それから、フランスのこの特別課税は従前一五〇%でかけておりました。ところがたしか昨年の改正でございましたが、なかなかそうやっても実効が上がらないと申しますか酷な場合が多いということで、その一五〇%の特別課税を一二〇%に引き下げ、さらに自己否認の場合に九〇%に引き下げるというようなことで、つまり個人の代替課税として法人税を払い、それを個人の所得とみなしてもう一遍かけるという従来の論理は貫かれていない、こういうのが現状のようでございます。
○近藤忠孝君 大臣先ほど、使途の中身としてはリベートなんか多いんじゃないんですかと、のんびりしたことを言っておるんですけれども、しかしこれは多くの識者が指摘するとおり、あっちゃいけないものなんですね。ですからフランスなどで大変厳しい対応をしておるんです。わが国の場合には相手のことは考えないで、ともかくそれは損金認めない、せめて加算税がある程度ですね。だから税金の限度はそんなに大したことはないわけなんです。しかしフランスの場合ですと、それを出した以上の税金を払わなければいかぬ。こういうぐあいになりますと、これはなくしていく方向に行くと思うんです。国の法制はそれぞれ違いますからそのままは入らないにしましても、そういう使途不明金に対する課税強化の方向、わが国に一番合った方向、少なくとも使途不明金のその額ぐらいは徴税するとか、それは可能な方法だと思うんですよ。そいつを超えて、フランスなんかはそれを超えてしまって課税ができるという制度になっていますけれども、そこまでいくのは急には無理だとすれば、少なくとも一〇〇%ぐらいの課税ができるとか、そういう方向は、これは考えられないんでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 日本の場合には、その法人の使途不明金が、だれか名前を明かせない個人の所得だというふうに考えます場合には、これは認定賞与なり認定配当として個人の段階でもかけておるわけでございます。これは実行上やっております。その場合には、法人の段階でも個人の段階でもそれぞれ情状に応じて重加算税も取っておりますから、そういう極端なケースを考えますれば一般的には一〇〇%を超える課税にあるいはなっておるかもしれません。ただすべての使途不明金についてそういう法制を頭からつくることがいいかどうかという問題は、法人の社会的な記帳水準、その上に乗った記帳義務、それから支払い先の明示義務というものをどう構成するかにかかってくるわけでございます。宙に浮いて使途不明金だけ特別に重い課税を使途不明金であるという理由だけでやっていいかどうかということになりますと、記帳の不備な会社にはしばしばこういうことは起こってくるわけでございますから、またそれがかえって社会の公正上適当というふうに考えられるかどうかという問題も新しく発生してくるように思いますので、たびたび御指摘をいただいておりますから、いまその辺のところを掘り下げて検討いたしておるところであります。
○近藤忠孝君 次は、貸し倒れ引当金について、これは午前中も指摘があったようですが、まず繰入率について、実績率と法定との間に差が設けられています。予算委員会に出てきた資料によりますと、卸・小売業では法定繰入率が一・六に対して実績は〇・五、割賦販売業が二・〇に対して〇・六、製造業が一・二に対して〇・三、その他の事業一・〇に対して〇・四、金融保険業いままでは〇・五に対して実績は〇・一、それを今度〇・三に改正する、大体二・五倍から四倍の間にあるわけですね、実績と法定との差。この差を設けている理由は何でしょうか。
○政府委員(高橋元君) これはあまたあります法人の貸し倒れの実績率の平均でございますから、実はこれはかなり大きな分散がございまして、五十四年に改正を願いました際にお答えをしておることもあるかと思いますが、分散の一番高い方をとりますと概算繰入率が上へ出てしまうわけでございます。金融保険業と申しましても、すべてが銀行とか大保険会社だけではございませんで、貸し金業も全部含まれておるわけでございますから、金融会社まで含まれておるわけですから、したがって〇・一の貸し倒れ実績率と申しましても中には一%をはるかに超えておるというものもあるわけでございます。そこで現実の問題として、貸し倒れの概算繰入率を切り下げていきます際に、五十四年の改正において実績率過去三年の平均の方が繰り入れが多くなるという場合にはそれを選択してもよろしいということにしたわけでございます。 金融機関につきましては午前中もお答えしたことですが、貸し金と、それから預かり金と申しますか金融資産の担保のようなものもたくさんあるものでございますから、どこの国も概算繰入率をとっておりますが、日本の場合、金融保険業の〇・一と今回の〇・三、四月一日からこうさしていただきたいと思っておるわけですが、〇・三と申しますのは貸し倒れの実績に対して三倍で、大体全体として貸し倒れの実績率に対して三倍というところで一応バランスをとりまして、これよりも重いところにつきましては概算率を使っていただくということを考えておりますが、一方で貸し倒れ引当金はすべて洗いがえでございますから、過剰に繰り入れたところで翌年度利益金に戻ってくるということは変わらないわけでございまして、その辺のところの御理解をお願いしたいと思っております。
○近藤忠孝君 この実際の貸し倒れが発生しまして、それが法定繰入率を上回ったような場合、そういう場合には税法上どういう扱いになりますか。
○政府委員(高橋元君) 貸し倒れの損は貸し倒れの損でございますが、前の年の貸し倒れ引当金を繰り入れて戻しの利益に立てますので、それを埋めてしまいまして、出っ張った分はその年の実損ということになるわけでございます。
○近藤忠孝君 それから昭和二十五年のシャウプ税制において貸し倒れ準備金ができたわけですね、それからこういう制度になったんですが、その前はどういう制度だったんですか。
○政府委員(高橋元君) 昭和二十五年には、所得の二割または期末貸し金の千分の三、銀行の場合には千分の六、いずれか高い方を毎期繰り入れてきまして、期末貸し金の二%というところまで積めるいわゆる貸し倒れ準備金というものがつくられたわけでございます。それ以前は制度としてこういうものはたしかなかったわけでございますけれども、現実の所得の認定上、第一線においてその益金を、総所得を算定いたします際に、基準を設けて実際に即した措置をしておったというふうに承知しております。
○近藤忠孝君 ですから税法上は、対応策はこの制度はなくても十分に対処できるんですね。 そこで、問題を私が指摘したいのは、引当金にもいろいろありまして、費用性の全然ない偶発損失準備金のようなものと、それから一応費用性があると言われている評価性引当金あるいは負債性引当金があると思うんですよ。一応この貸し倒れ引当金は評価性引当金だと言われておるんですが、果たしてすべて全部がそうなのか、評価性引当金なのか、性格的にですね。
○政府委員(高橋元君) 商法上も、回収不能の債権については減額して貸借対照表に表示しなければならぬという規定がございます。そのように、評価をいたしまして金銭債権の総額を資産として計上して利益を計上いたしましたのでは、会社資産に穴があいてしまう、会社債権者の保護上も問題があるということから、商法上そういう規定が置かれておると思うわけでございます。そういう意味で、貸し倒れ引当金は評価性の引当金であるということは、各国の会計上、税務上の実例もほぼ一致しておると思います。退職給与引当金、それから賞与の引当金、この辺になりますと、これは負債性の引当金でございます。退職給与支払い債務または翌朝に支払うべき賞与の債務というものが具体的に金額として決まっておりまして、見越しの損失を計上して利益を調節するものでないということが明らかな場合、これを引当金として立てておるわけでございますから、こういうものは負魔性の引当金ということが言えると思います。 いま近藤委員仰せのありますのは、むしろ租税特別措置法の中に準備金というのが二十種類近くございますが、こういう準備金につきまして政策的な意味で、何といいますか、将来の蓋然的な費用というものを負債として処理して利益から減殺することができるということになっておりますが、これらにつきましては、たとえば五十五年度改正でも一律に五割カット、または中小企業等の政策的な分野につきましては二割カットということをやっておりまして、そのほかに、逐次、準備金という名前でやっております特定引当金の整理は行ってまいりました。現在ありますのは評価性引当金、負債性引当金ということで、会計の基準にかなったものを税法でも認めておるというふうに御承知おき願いたいと思います。
○近藤忠孝君 私は現在の企業会計原則でどういう扱いをされているかというその問題以前の問題として、もっと理論的にこの問題を詰めていく必要があると思うんです。そういう点からいきますと、そして、評価性引当金の典型はこれは減価償却引当金だと思うんです。この場合には、固定資産の取得原価の費用配分の手続ですから、まさにこれは完全な費用性を持つわけです。そういう基準で考えますと、貸し倒れ引当金の場合はとにかく将来の貸し倒れ危険に備える、こういう準備金的な性格を持つわけでしょう。だから減価償却引当金並みに考えますと、ことしあそこが倒産したから、いまはまだ帳簿上出てこないけれども、会計上出てこないけれども、ことしたとえばある時期に出てくると、貸し倒れになってくると。そういう場合もう発生が可能なものに対して引き当てをする、これはまさに減価償却引当金に準ずるものだと思うんです。だからそこを厳格に考えて、評価性引当金の本質から考えますと、この貸し倒れ引当金のかなりの部分が費用性からはみ出してくるんじゃないか、この点どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) それはまさに冒頭にお尋ねのございました実績率と概算繰入率の乖離ということだと思うんです。当期にそれだけの損失が発生する蓋然性があるからこそ貸し倒れ引当金の引き当てを認めているわけでございまして、かつての貸し倒れ準備金のように、期末貸し金の二%になるまで積み立てていくという考え方はいまの引当金にはございません、これは洗いがえでございますから。金融機関であれば、〇・三%貸し金があっても取り切れないであろう、取り切れない部分は当期の利益から引いておくと、処分可能利益士して外に出さないと、こういう制度でございます。それと、減価償却の引当金と申しますのは、直接法で資産の額を減額してもいいわけでございます。それを、資産の額を取得価格のままにしておいて、それで今度貸し方の方に減価償却引当金という負債項目を立てて資産の額を減額しておくと、両建て法でございますから、これは貸し倒れ引当金につきましても商法の解釈を貫くならば、百万円の債権が全額取り切れるものでもないから九十九万七千円と書いておくと、それを両建て掲示するというふうに考えれば、そこは同じかもしれませんが、常時私どもが申し上げておりますように、概算繰入率、法定繰入率というものにつきまして、現実の経済情勢なり企業の需要に応じて見直しを行って、過剰な引き当ての発生しないように努めておるところでございます。
○近藤忠孝君 時間が来てしまったので議論これしかできませんけれども、また後に譲りたいと思うんです。 私が指摘したい点は、理論的に見て費用性について問題がある引当金、それを認めることは利潤を費用化してしまうのではないかということで、やっぱり企業の内部留保を不当にふやしていく。企業会計原則自身そういう問題があるんだと思うんです。これは私は、引当金の額を実績率に合わしたとしてもそういう問題が起きてくるんだと思うんです。問題は、これは午前中来ここでは見直していくというんですが、私が指摘したのは、実績率でさえ問題があるのに、実績率と法定率はさらに離れている、三倍から四倍も離れている。そうなると、これはやっぱり問題であろう。利潤の費用化を防いでいくと、そういう面からもこの問題は見直しを図るべきだと、こう思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいろいろむずかしい問題ございますが、高度成長期には税収がどんどん上がったものですから、やはりいろんな引当金や何かいっぱいつくって企業の内部留保を図ってきたと。それによって国際競争力のつく会社をつくるということも私は事実だと思いますね。こういう時代でございますから、一遍見直しをするということは、私は大切だと考えています。
○三治重信君 まず、法人税関係の方から質問に入りたいと思います。 法人税の一律二%の引き上げは、われわれは中小法人と中小法人以外の法人との引き上げ率について、一律というのは少しひどいじゃないかと、こういうふうなことを言っているわけなんですけれども、当局の御説明だと、初めの中小企業の軽減税率は五%であったものがいまや一二%にまで拡大したんだから、この際一律でしないとさらに中小法人とそれ以外の法人のいわゆる税率の格差が開いてしまうからと、こういうのにはある程度の説得力はあると思うんです。もう一つは、軽減税率の適用の限度額なんですが、百万円引き上げると。これで、大臣は九〇%の中小法人が八百万円以下だから軽減税率の適用を受けると、こう言っているんですが、私はほかの資料を当たって、いままでは七百万円のときには大体八〇%というふうに言われているように資料見ているんです。その百万円を上げただけで一〇%も適用が、若干上がるというのは何かちょっとおかしいような気がするんですが、その点、事務の方と大臣の方と両方でひとつ百万円上げた、この限度が百万円限度でというのはどういうことかということについての御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 最初に私からお答えさしていただきますが、全体の法人が百三十九万三十七社と申しますのは五十四年度の会社標本によります法人数でございます。この中で所得金額が八百万円未満の法人というものを出しますと百二十三万一千七百十八社、その割合が八八・六%と相なっております。この傾向は最近の申告所得の状況からしてもそう大きく変わっておるというふうには思えませんので、大臣からは約九割であるというお答えを申し上げておるわけでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も大体同じような考え方です。
○三治重信君 いや、九〇%というのは、まあ何かそういうことだと思うんですが、前の七百万円時代に八〇%というふうに大蔵省発表していたんじゃないんですか、八〇%。
○政府委員(高橋元君) これは何と申しますか、一つは全法人をとるか欠損法人をとるかということもあると思います。利益法人だけでとりますと約八割でございますが、欠損法人が全体の半分ぐらいありますので、それを含めたところで申しますと約九割というのがいまのお答えでございます。 それから、先ほどお答えを一つ落としまして恐縮に存じますが、八百万円にしたのは個人と法人の権衡ということもやはり税制上は大きな問題であるからであります。七百万円の企業でございますと代表者の給与が約五百万円になりまして、その五百万円と七百万円を足しました千二百万円に対する個人の所得税の税負担というのは二百九十六万円というふうに計算されます。これが改正後でございますと二百四十二万三千円となります。改正前でございますと二百二十九万二千円でございまして、個人形態で同じ規模の事業を営んで同じぐらいの利益を上げておられる際に、片っ方が二八%ないし三〇%の税率で済むということになりますと税負担上のアンバランスが生じる、そういうことで七百万円を八百万円に引き上げさしていただいたということでございます。
○三治重信君 わかりました。ちょっと税金を出している法人に対する割合が九割で、その全法人の割合だと八割だと。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 逆……。
○三治重信君 逆、これは済みません。 法人の分母が違う、両方とも理屈があるんだと、こういうことですね。わかりました。 それで、納めている法人の大体八割、こういうことはやはり景気の変動によって若干ずつ変わってくるでしょうが、これだけカバーされておればある程度納得もいく数字かと思うわけなんですが、ひとつ今後とも軽減税率については、なかなか中小企業は要望が多いわけですから、この比率については常に今後とも限度額について注意をして弾力的に改正に向かっていってもらいたいと思います。これはどういうことかというと、結局、一方では中小企業は大変欠損や、何と申しますかつぶれる中小企業も多いわけなんですけれども、一方また新しく伸びる企業もあるわけなんで、その点を、インフレの数字になって余り頭を抑えちゃうと伸びるやつも伸びない、こういうことになろうかと思うわけなんで、その点の軽減税率の限度額についてのやつは、ひとつ景気の変動というのですかインフレ率を特に注意していただきたいと思います。 それから二番目に、これは幼稚な質問なんですけれども、みなし法人の場合には、いわゆるおやじさんも女房も息子も所得税を課すんだと、こういうこと。これはどうなんですか、所得税の源泉徴収の方の数字にはこういうのはみんな入っているのですか。またいわゆる個人所得税として源泉徴収をしているんだというみなし法人の青色申告について統計上はどういう取り扱いをされているのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(小幡俊介君) みなし法人課税を選択している場合、それから選択していない場合両方ありますが、いずれにいたしましても青色申告の方の親族が事業に専従しているというふうな場合にこれが給与として処理されるわけでございますが、これらにつきましてはすべて源泉徴収いたしております。給与所得者になっております。
○三治重信君 そうすると、一般の総理府の統計、労働力調査や、それから毎勤の調査のやつ、いわゆる労働関係の調査と税法とは大分一これは大して数なければいいんですがこれどれぐらいあるんですか、わかりませんか、このみなし法人による源泉徴収の給与所得者数。
○政府委員(小幡俊介君) 数はちょっと後であれしますが、いずれにいたしましても、これらはすべて統計上は給与所得者ということになっております。
○三治重信君 それからもう一つは、何というのですか、調べていってわかったんですけれども、その他の事業者の統計の中に、いわゆる給与所得者で総合申告したやつがみんなその他に入っているというのですか、これはダブル計算になっているわけなんですか。
○政府委員(高橋元君) 税務統計は申告所得税と源泉所得税とでそれぞれ系統別にとっておりますものですから、人員でお答えしております際もそうでございますし所得でお答えしている際もそうでございますが、重複しております。たとえば、一千万円以上の年収の給与所得者は源泉も受けておりますがこれは必ず確定申告で、年末調整はございません。それから、それ以下のサラリーマンであっても給与以外に収入が、たとえば勤労性の収入ですと今度の改正後は二十九万円以上ありますと申告をしていただくわけです。人数は二人となるわけです、ただし税額は一本でございます。ですから、所得金額と人員はダブっておる。税額は、必ず源泉徴収税額を引いて税額を決めますから、税額は同じでございます。
○三治重信君 ちょっとわかりにくいのですが、税額というと、その他の申告者の中では、給与所得で、申告で、源泉徴収している金額は載っていない、その他の事業所得の中には入っていないということなんですか。そういうぐあいにすると、本来から言えばいわゆる所得税の非常に高額な、一人当たりに平均すると高い税金を総合課税で納めるはずの人が非常に割り引かれて、給与所得者、農業所得者とかそういうような職業別、従業上の地位別ですね、の統計だと、まあいい悪いというのは別にして、その他の所得税の課税者のやつは源泉徴収だけ割り引かれて出ている、こういうふうに理解していいわけなんですか。大体割合はどの程度になっているのですか、その他の事業者のうちの総合所得の申告の数として入っているのが。
○政府委員(高橋元君) 所得はダブっておりますが、税額は、源泉徴収税額を引くものでございますから税額の和は変わりません。それから、それでたとえば業種別たとえば所得階級別の税負担のあり方が変わってくるのではないか、統計の加工をしただけではすぐにはわからぬじゃないかというお尋ねでございますが、頭数が倍になるわけでございますから、むしろ一人当たりの税額とかそういうものは、源泉徴収を単純に合計しました人員を基準にして統計の加工をいたします際にはむしろ低く出てくる、こういうことでございます。私どもは適宜推計を加えて合計をいたしておりますが、これは残念ながら、源泉と申告の取り扱いの税務署の組織が違うものでございますから、実際にネットの所得、ネットの人員が幾らであるかということは推計以上の数字はないわけでございます。
○三治重信君 その中身をどうのこうのということじゃないので、統計をとられる場合のそういうようなのは、別に統計をとるために税務署があるわけじゃないわけなので結構なんですが、ただ、ここでいろいろな資料を見たときに、給与所得者、農業所得者、農業以外の事業所得者、その他の所得者、いわゆる申告納税者、こういうふうに分けて書いてあるのはちょっと備考なりほかのところで説明しておいてもらわぬと、説明をずっといろいろ読んでいってああそういうものかということがわかった。しかもその他の所得者、いわゆる申告納税者の数の中で、解説の説明では五十四年でその他の所得者、いわゆる申告納税者数が約三百万、二百九十八万ある中で給与所得者が二百二十万も入っている、こういうふうなことなのですね。しかしこれはよっぽど説明を見ないと非常な誤解を受ける。こちらが誤解をしているのかもわかりませんけれども、ひとつその点また御説明の必要があったら後個人的にレクチュアをしていただきたいと思います。統計の出し方についてとかく給与所得者がひがみ根性を持つと言っては悪いのですけれども、そういうときに統計の中で解説をつけていただかないと、多いにしても少ないにしても非常に正確な認識、こういうことが必要じゃないか、こういうふうに思うわけなんです。 それから租税特別措置法の問題なのですが、交際費の問題で、中小企業でも一般の法人でも、いわゆる交際費というものを法人なるがゆえに会社の役員なりあるいは管理職なりというものが自由に相当使えるということについては、社会的不公平もあるしむだ遣いにもなる。これがまたしかも税金減らしになるということになると問題だということで、大蔵の方、税務当局の方もこの点については日本の特殊事情として相当メスを入れてこられたわけなんです。実際今度もまたさらに強化されるわけなんですが、この中で結局大蔵、税務当局の方で、交際費の許容限度、大体この点まではいわゆる損金に入れてもいいというのと、これは課税、利益として計算するというその本来の許容限度に対するいわゆる不算入の割合というものがわかるか、もうそれは一〇〇%オーバーしちゃっているのか、またもしもそういうことだったらひとつ不算入の範囲内、いわゆる交際費課税のかからない法人の割合がどの程度あるかというようなことがわかったら、この中身の構造的なものですね、交際費課税を課税している、その点の説明を少しお願いしたいと思います。
○政府委員(高橋元君) たとえば昭和四十五年でございますと、千円の売り上げを上げますに当たりまして五円十一銭交際費を出しておったわけでございます。昭和四十六年に五円十八銭になりまして、この辺が売り上げ当たりの交際費としては最近において一番高い時期であったわけでございます。その後企業の業績が大きくなってまいりますのと交際費に対する世論の批判ないし税制上の規制が厳しくなってまいりますことに応じまして、この割合はだんだん下がってまいりまして、五十四年の会社標本調査ですと四円五十五銭ということになっております。この四円五十五銭出すと全体で、しかし四円五十五銭と申しましても全体で二兆九千億円という大きな金額でございますが、二兆九千億の中で五十四年ですから五十三年税制の適用を受けて損金不算入になりましたものが一兆九百二億、全体の三七・五%でございます。五十四年と今回御審議をお願いいたします五十六年の改正によりまして交際費に対する規制はさらにきつくなるわけでございますが、五十六年には全体約三兆五千億ぐらいの交際費が出ようかと思っておりますが、その四八%は損金不算入に相なるというふうに私どもは見込んでおります。
○三治重信君 そうすると、その不算入の割合は増加をしているというふうに判断をしていいわけですか。
○政府委員(高橋元君) 五十四年改正で先ほど三七・五と申しましたが、これは五十五年の国税庁の会社標本調査やると明らかになってまいると思いますが、三七・五が四五%ぐらいに強化されたはずでございます。これが五十六年の改正でその前年の一〇〇%を超えた場合に十割課税と、こういうことが実現をいたしますと五十七年分の会社標本調査でいま申し上げた四八%という数字が出てまいろうかと思ってあるわけでございます。
○三治重信君 こういうふうなこの課税の仕方というのは日本の特殊な法人のあり方じゃないかというような感じを常識的に持つんですが、英、米、仏、西ドイツなんかについてのこの交際費課税というようなものについてはどういうふうになっているんですか。
○政府委員(高橋元君) アメリカの場合には、一般に事業を営むためまたは所得を得るために出した経費で、通常かつ必要な金額は損金になるということでございますが、その中身が事業と直接関連する場合の経費、事業目的の会議の直前直後に行われる接待活動で事業と密接に関連する場合の経費というようなものは損金になりますが、たとえば接待施設に関連する経費、これは原則として損金に算入されないとか、贈答の場合一人当たり年二十五ドルまでしか損金に算入されないとか、そういう具体的な手続、実行上の基準があるようであります。 それから、ドイツは接待施設、宿泊施設、それから事業所の所在地外にあるもの、これに関する支出とか、狩猟、調馬、ゴルフ、釣り、ヨット、モーターボート、それから通常の通念に照らし不相応と認められる支出というようなものは損金に算入されませんが、それ以外の交際費は認容をするという制度であります。 フランスは、事業遂行上直接必要な経費で過大でないものは損金になりますが、やはり同じような考え方で狩猟、釣り、ヨット、モーターボート、別荘、これらにつきましては損金不算入という制度でございます。 イギリスが交際費については一番辛くて、海外の顧客に対する合理的な支出を除き損金に算入されない。贈答は広告として提供されるもので、飲食物、たばこ、商品券でなく、かつ一人当たり各年二ポンド以下損金算入、これが一番辛い事例でございます。
○三治重信君 どうもありがとうございました。またさらにこういうふうな問題研究をしてみたいと思っております。 それから、これは各委員から何度も質問されていることだろうと思うんですけれども、グリーンカードの制度が法律上できて、このまま実行への移行過程においてなかなかいろいろのやかましい議論が出てきておるわけなんですが、それについてひとつきょうは、私はむしろいろいろささやかれている問題について大蔵当局の判断をお聞きしたいと思っております。 一説によると、新聞にも一部出ておるのですが、昨年の十二月の外国為替法の改正によって容易に個人が送金できる、こういうふうに言っているのですが、いままでの御答弁だとそれは送金はできるようになったのだけれども、それはちゃんと銀行でチェックできるようになっているのだから、それは税金逃れに外国へ預金を移すということにはならぬ、こういうことなんですが、送金のチェックというのはどういうことなのか。もしも外国へ預金をする、こういうふうになってくると、その利子は総合課税の中へなるようになっていくのかどうか、こういうふうなことについての御見解。 それから換物連動、これはちょっと常識的にもそう大金が動くというようなことは考えられないわけなんですけれども、もしもこういうふうなことが考えられるとすれば、けさやった物品税なんかでも書画骨とうなんかいわゆる奢侈品、ぜいたく品として全然ノータッチになっている。これは課税が困難だということになっているだろうと思うんですけれども、そういうものの配慮を改めてやる意欲があるのかどうかという問題と、それから一番まじめな意見は、こういうことによっていわゆる中小企業の産業資金が不足をしてこないか。銀行、信用金庫なんかの預金が少なくなって資金需要に供給が不足を来さないか、こういうようなことについてのひとつまとまった総合的な御見解を発表していただきたい。
○政府委員(高橋元君) 海外へ預金をするという場合には、新しい法律のもとでも日銀の個別許可が要るわけでございます。現在のところこの許可を与えられていないというふうに承知しております。海外へ旅行するときに外貨を持っていって向こうへ預けてきたらいいじゃないかということでございますけれども、帰国後そのままにしておきますと外為法違反に問われる。これは懲役または罰金でございます。そういう制度でございますから、預金で出ていくということはなかなかむずかしいと思います。 それから、土地や金塊で出ていくということはどうかということでございますけれども、海外の不動産の取得、海外からの金塊の購入、これは外国為替銀行なり、取り扱い者のところに記録が残りますので、その記録を税務当局がチェックをするという形になります。 それから証券会社を通じて外国の証券を買うという場合は、外為法上の手続は必要でございませんけれども、顧客が証券会社と口座設定契約をやりますが、その口座を通じての受け払いという記録が残りますので、これにつきましてもやはり国税当局がチェックをできる体制に現在なっております。 それから、書画骨とう、これに逃げていったらどうかということでございますけれども、オイルショック後と申しますか、その直前に過剰流動性時代に骨とう品の値段が大変上がったことがございます。切手のコレクションなどがべらぼうな値段になりまして、古銭の値段も上がったというような時代がございますけれども、その後、オイルショック後、価格の暴落のときに、書画骨とう、その古いものというものがえらい値が下がりまして、これで投資リスクがあまねく大衆の頭にしみついておるというふうに思うわけでございます。一遍店で買いましてから売り戻すとしますと、どんなに甘く見ても二、三割損をしなければ売り戻せないということでございますから、換物をしても換金のときにロスが出てきて、これは資産の保持としては大変な難点のある財産であろうというふうに思います。 最近、金融資産が、貯蓄が伸びていないのはこの個人、グリーンカードのせいではないかということでございますけれども、五十五年中の個人貯蓄の増加額は三十二兆六千六百億円で、前年に比べまして二・六%という小幅な増加にとどまったことがひとつその根拠に挙げられているかと思いますが、これは年の前半には前年比増加の増々ベースでマイナス八・八%だったんでございますけれども、年の後半、七月から十二月までの間を見ますと、前年比一〇%増と持ち直してきております。それからもう一つ、要求払いの預金は落ち込んでおりますけれども、銀行、信金、相互、信用組合、郵便貯金全体を含めまして定期性預金は伸びておるわけであります。十月−十二月という昨年の第三・四半期の数字を見ますと、定期性預金は全国銀行ベースで対前年に比べて三割近く伸びておりますが、定期性以外の預金は逆に増々ベースで四八%の減ということになっております。こういうことが誇大に言われているかと思いますけれども、貯蓄の伸びというものをその後見ております限り、金融資産の増加は昨年の秋以降順調に進んできておるというふうに判断してよろしいんではないかというふうに思うわけでございます。
○三治重信君 それから、いま分離課税であるから結局預金、それから債券、それから配当、これはみんな分離課税になっているわけなんです。この分離課税だといわゆる地方税がかからない。だから分離課税だと、一つは非常に高く三五%ですか、とか二五%とかかかっているわけなんだけれども、これは地方税がかかってないから、少し高額所得になるとこれは総合課税より相当楽であろう。こういうことから判断されると、結局こういうのを分離課税を総合課税にしていくために、しかも総合課税になることによって、預金とか債券とか株の配当とか、またあるいは信託の利益配分の中で地方税も考慮した、いわゆる所得税の累進率を考慮する、検討をやらなければ、この総合課税をやるときに、非常に理屈は合っても現実にいろいろ文句の出るところであると思うんです。そういう中で言われているのは、いわゆる一千万円以上の所得が夫婦のうちいずれかあると両方合算されるという問題が一つと、それから税務当局の説明によりますと、日本とドイツとのいわゆる累進税率のから合うところが千三百八十四万円だと、これ以上の所得だと日本が非常に重い、それ以下だと日本が軽い。そうすると、いわゆる所得が約千四百万円以上になると日独比較では日本の方が非常に重くなる。しかも総合課税になってくると、この千四百万円以上の人が総合課税の課税をかけられると、こういうことになろうかと思うわけなんです。それからアメリカとの個人所得税の比較でいくというと、同じような税務当局の資料だと三千三十九万円、約三千万円の所得、これは相当日本でも高額の所得だと思うんですが、これでも、これ以上になると日本の方が急激に高い負担税率になる。しかも所得税全般から見ると、日本の方が軽い軽いとおっしゃるわけなんですけれども、総合課税をやっていくとなると、この点について所得税が軽い軽いという説明だけでは、これはなかなか納得できない問題が出てくるんじゃないかと思うわけなんですが、これはどれくらい、この分離課税の金額はどれぐらいかというのはわかっても、これが個人の所得階層別になってくるとこれはどうしようもない、わかりにくい、推定もちょっとしにくいだろうと思うんですが、こういう問題についての配慮がやはり何と申しますか、先ほど質問をしたいわゆる金持ちが所得税逃れのためにほかへ資産を隠すんじゃないかと、こういうことに対する予防措置として配慮が必要じゃないかと思うんですが、こういうことについての当局の御説明と大臣の所見をひとつお願いしたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 利子所得の中で源泉選択をしておられますものが、全体の利子の総額、これは法人と個人とを合わせてであろうと思いますが、十六兆ある中で源泉選択になっておりますものは七千億でございます。これは五十四年の数字七千二百億。それでこの七千二百億円というものが、五十九年をもって制度が閉まってしまうわけでございますが、その際総合課税に移っていく。いまも委員からお話ございましたように、日本の所得税の実効税率というものをごらんいただきますと、千三百万円以上になりますとドイツを超え、それから三千三十九万円になりますとアメリカを超え、三千七百二万円になりますとイギリスを超えて世界で最も高い所得税率ということになるわけでございますが、そういう税率構造の問題は、これは財政再建のめどなり大臣からたびたびお話がございますように、歳出の削減の確実な見通しなりそれから税制全体についての新しい見直しなりというものができた上で、所得税負担のあり方として考えられることですが、仰せになりますような資産合算ということが、高額所得分割による税負担の回避ということを防ぐために設けられている制度でございますけれども、そういう税率構造、所得税構造全体の中で課税単位、それから税率構造、資産合算と、そういった問題はあわせて考えていかなければならないことだと思いますし、大臣からもそういうお答えはたびたびありましたところでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も右に同じでございます。
○三治重信君 この点、中小企業者の中でいろいろ予防線もあるんでしょうけれども、こういうことが強く言われるところは、やはり税務当局としても、それは国の財政再建の全般を見なくちゃわからぬとか、それを先へ先へとやっていくと非常に資産家に不安、動揺を来すと思うんですが、ある程度そう大したことでなければ、アメリカを基準にとるか、ドイツを基準にとるか知らぬけれども、どちらか、少なくともアメリカの所得税の累進税率よりかは上げないように必ず五十九年にはするからとかいうようなひとつ大胆な発言があった方が、私はグリーンカードを円満に、総合課税制度を円満にやっていくためには必要じゃないか。私は決して資産家の擁護とか総合課税反対とかいうことでなくて、いままでの日本人の、ことにでっち小僧から薙難辛苦をして会社をつくり、そして非常に新しい技術革新もやって、せっかく資産もつくり、そうしたのがいま現在相当隠し預金——女房がちょうど何と申しますか、へそくりを持っていると同じように隠し預金、あるいは余りいい例ではないけれども、ロッキードのときのように二重帳簿の会社もなきにしもあらず、二重帳簿をやっていればどこかに預金をしている。それが偽名とか無記名とかどこかに隠されていると、こういうことは量は少ないにしても、そういう問題を、やはり毎年のフローの所得だけはつかまえる、元についてはそう問わないと、この際、一遍のことですから、そういうような配慮をやらぬと、疑心暗鬼で、せっかく自分が何というんですか、大した金額じゃないと思うのですが、またあるいはごく特殊な人は億単位のがあるかもしれぬけれども、そういうふうでなくて、ある程度の善良的な、ちょうど女房が何と申しますかへそくりをためていると同じように、何千万円とかいうようなことについてはひとつしっかり出しなさいというふうな、安心して浮上させる、分離課税を総合課税に持っていけるような配慮というものが何かないかと、知恵はないかと、こういうふうに思うわけなんですが、大臣いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう趣旨については考えているんです。ただ駆け込みで、分離課税でいままでも税金を受けておったというような者と、まるっきり幾つも幾つもマル優つくっちゃったり、郵便局へたくさん納めちゃったりね、こういう人と多少差がなくちゃ困るんじゃないかと、それは。ですから、分離課税で税金を納めて、給料が何百万か幾らか知らぬが、何千万か——何千万は多いかな。そういうものがあったとしても、それはさかのぼって原資の追及というものを私はする必要はないんじゃないかと。しかしマル優幾つも、三百万までというのに三千万もマル優つくっちゃったりしているのは、これはどうか私もここで言うほど元気がないですな、またこれは。だけれどもそれは、だからマル優からいまのうちに外しておけばいいんじゃないの、分離課税の方へ。心配のある人は。(笑声)
○三治重信君 これは非常にいいことを聞きました。また新たな知恵が…… きょうはこれで終わります。
○野末陳平君 文部省にまず聞きますが、私立医大の、歯科大もそうだと思いますけれども、入学に際する寄付金ですね、この寄付金は大体どのくらいが普通なのか、あるいはひどいのになると幾らぐらいなのか、その辺の事情をまず説明してもらえますか。
○説明員(北橋徹君) お答えを申し上げます。 昭和五十五年度の私立医科大学の入学者にかかわります寄付金の収納状況は、昭和五十五年の六月一日現在でございますが、全二十九大学のうち十六大学において収納しておりまして、寄付者一人当たりの平均額は千百五十七万円でございます。寄付者一人当たりの最高額は三千五百万円となっております。
○野末陳平君 そのほかに学債とか何やかやいろいろあるようなんですが、そういうものを含めまして、学生が一人どのくらいのお金が入学に際して要るんでしょうか。まあ、これはわかる範囲でもちろん結構ですけれども。
○説明員(北橋徹君) ただいま寄付金のことについてお答え申し上げましたが、このほか学校債でございますが、これをやはり一人当たり平均でございますが、約七百八十二万円、これは一人当たり平均でございますが、こういう金額を学校債として学校が借りるという形をとっておるわけでございます。
○野末陳平君 参考までに聞きますが、この学校債というは最終的には父兄のところに返るのが普通なんですか、それともうやむやになって学校に寄付みたいな形で残ってしまうというか、取られてしまうというんですか、どちらなんでしょう。
○説明員(北橋徹君) お答え申し上げます。 その点でございますが、学校債は大体十年、まあ六年という場合もございますが、大体その年限の中で学校がその時点で借りた金額をお返しをすると、こういったてまえになっております。
○野末陳平君 いま若干数字が出ましたけれども、少なくも、平均にしても一千万円を上回る寄付金あるいは三千五百万というような寄付金ですね、これは例の隠し寄付金なんというのもあったんでしょうけれども、こういう入学寄付金は親が子供にやった贈与とみなしていいんではないかという声もあるわけですが、国税当局に聞きますが、これは贈与税の対象はちょっと無理ですか。
○政府委員(小幡俊介君) 確かに先生おっしゃるような見方もあろうかと思うわけでございますが、しかしながら、この入学に伴います寄付といいますのは、やはり直接的な利益といいますのは学校側にあるわけでございまして、その子供さんは間接的な利益を受けるということでございますので、やはりこの問題につきましては、贈与税というものを課税するというのはどうであろうかということで従来課税はいたしておりません。
○野末陳平君 これも広い意味で言えば教育費には違いないけれども、何と言ったって長い年月にわたるんじゃなくて一時的にどんと支払われるわけですよね。と同時に、間接的にと言うけれども、やはりその金によって得る一種の資格というか、卒業しなければしようがないけれども。しかしその資格を買い与えるという意味ではやっぱり経済的利益を受けていると、直接利益を受けていると、こういうふうに見てもいいんじゃないかと思うんですよね。だから贈与のあるいは贈与税の定義を拡大すれば、やっぱりちょっと網にかかるんじゃないかと思うんですが、どうですかね。
○政府委員(小幡俊介君) その辺のところは非常に微妙なところがあろうかと思いますし、先生のおっしゃるのも一つの考え方だと思うわけでございますが、私どもといたしましては、従来からやはり直接的にその利益を受けるのは、その学校がそれによってたとえば設備をよくするとかあるいはそれによって経費を賄うとかということでございまして、子供さんの方はそこで入学できるという確かに間接的な利益はないとは言えないわけでございますが、まあわれわれの実務上それは子供さんに対する贈与というふうには考えないということで従来から取り扱いをしてきておるということでございます。
○野末陳平君 ただ実態を考えてみると、もちろん入試の公正というような教育上の見地からはいろいろな問題あることはもう当然だと思いますがね、この金の働きですね、まあ学校によっても違うけれども、補欠入学の場合なんか、相場があるんですよね。文部省も正式には把握してないかもしれないけれども、補欠入学の場合、足りない点を金に換算して寄付金を要求するというか、一点百万円ですよね。そういう話聞きませんか、全然知りませんか、文部省。
○説明員(北橋徹君) そういうことは聞いておりません。
○野末陳平君 夕刊見ていたら、きょうから文部省がいろいろ事情聴取ということありますから、どこまで実態がつかめるかわかりませんけれども、もちろんこれは補欠入学ですから例としては平均ではありませんけれども、一点百万円でしょう。それで、大体足りない不足の点数掛ける百万円で、金に換算してますよね、実態は。いやそういう人もじゃいるということにしましょうか、そういう学生も。そういうことになりますと、何かいまの寄付金が学校の設備になったりなんかするとは言うものの、やはり一般の納税者感情から——納税者というか、この場合国民溝と言いますか、何となく不明朗だと思うんですね。ですから、あえて贈与税の対象になり得るかどうかと質問したわけなんです。で、お答えは、従来子供に対するこういう広い意味の教育費は贈与税の対象にしてないということですが、問題は、贈与税になるとかならないとかいう以前に、こういう金が動いたかどうか、捕捉できるかどうかの方がまた問題ですからね。そこで、今回いろいろと北里初め問題になりましたけれども、子弟を医大あるいは歯科大に入学させるについて、どこのだれがどのぐらいの寄付金を払ったなんということは、これは税務署にはわかる仕組みというのは全然ないわけでしょう。
○政府委員(小幡俊介君) いわゆる法定資料ということにはなっておりませんので、自動的には税務署に資料は参りませんけれども、私どもといたしましては課税上の非常に関心のあるところでございますので、私立大学の入学寄付金等につきましてはいろいろ努力をいたしまして、資料の収集に努めておるところでございます。 それで、先ほど先生お話のございましたような面での贈与税の課税ということはいたしておりませんけれども、その資金の源泉がどういうものであるかというふうなことにつきましては、必要に応じて追跡の税務調査もし、またそれによりましては課税処理もしておるという実績もあるわけでございます。
○野末陳平君 もう当然そうだろうと思いますね。ぼくなんか知っている範囲では、大体この何千万と言われる寄付金の出所ですけれども、やはり問題があるように思うんですね。税金を逃れた裏金がね。さっきからグリーンカードの問題も出ていますけれども、裏金というのは何しろ表現資産の方にどうしてもいかないでほかのところへいきますから。そうすると入学資格を買うというか、入学寄付金というのは裏から裏へ行くから、裏金はわりとこっちが好きなんですね。ですから、事実出所は問題あると思うんです。ですから、いまのお答えは当然だと思いますが、ただ念のため聞きますけれども、文部省にね、私立医大に入る学生というのはやはりお医者さんの子弟が多いやに聞いておりますけれども、何かデータでもありますか。
○説明員(川村恒明君) ただいまお尋ねの点につきまして、私どもがそれを正面から調査したことはございません。ただ、数年前でございますけれども、別途のことで私立医科大学十校ほどから、これはランダムでございますけれども、抽出をいたしましてその調査をいたしたことがございますけれども、その場合に保護者が医師である者の比率が私立医科大学の場合は約五〇%ぐらいという数字が出ております。まあこれは、ただいま申しましたように、きわめてランダムの調査でございますけれども、そんな状況でございます。
○野末陳平君 まあ世間的常識で言っても、お医者さんの子弟の方が、家を継ぐという意味もあるでしょうし、それから寄付金なども調達しやすいというか、そんなことで多いだろうとは思うんです。 で、この開業医の——まあ個人開業医でいいんですが、の問題について午前中も質疑がありましたけれども、最近の個人開業医に対する税務調査の実態が興味あるんですが、データは何かありますか。
○政府委員(小幡俊介君) 個人の開業医、五十三年分の調査の実績を申し上げますと、病院につきましては、調査件数二百七十七件やっておりまして、一件当たりの申告漏れ所得が千二百三十六万六千円、一件当たりの追徴税額が八百八十九万八千円でございます。それから産婦人科医について同様の数字を申し上げますと、調査件数が七百六十六件、一件当たりの申告漏れ所得が六百七十五万二千円、一件当たりの追徴税額三百七十五万五千円。それから外科医につきましてですが、調査件数が六百十一件、一件当たり申告漏れ所得五百六十一万四千円、一件当たり追徴税額三百五十万一千円。それから整形外科医、調査件数が二百二十一件、一件当たりの申告漏れ所得五百二十六万二千円、一件当たり追徴税額三百九万七千円。それから歯科医、調査件数が二千六百六十七件、一件当たりの申告漏れ所得四百八十万九千円、一件当たり追徴税額二百三十三万七千円という状況でございます。
○野末陳平君 大体お医者さんというのは、国税庁でも重点調査の対象にしているということは聞いておりますけれども、いまの件数というのは、大体開業医の比率から言ってどの程度になるんでしょう。つまり、たまたまこれは調査の何かきっかけがあったから調査をしたということなんで、ほかにもお医者さんいるわけですからね。で、みんながこういう状態だと思いませんけれども、おおむねお医者さんというのは、納税状況といいますか、どんなようになっているか比率がわかりますか、いまのこの調査件数の比率でもいいですけれども。どのくらいお医者さんの中でこういう対象になったんでしょうかね。
○政府委員(小幡俊介君) 個人につきましては、一般的に四%ないし五%というのが一般的な調査率でございますし、法人につきましては、一般的に約一〇%程度ということでございますが、これらの医療をやっている方につきましては、先生もお話しございましたように、私どもの調査の重点業種ということでやっておりますので、詳細な数字はございませんけれども、一般の調査割合の二倍近い調査割合に高めてやっておるというふうに考えます。
○野末陳平君 いまの数字だけでお医者さんが全部悪いと言っているわけじゃないんですが、いずれにせよ、お医者さんの場合は納税状況がほかの業種に比べて芳しくないことはわかりますね。ですからそうなると、そういう申告で浮かしたお金というのは、いわゆる世間で言う裏金ですから、これがたまたま、たとえばこういう入学の寄付金なんかに流れていると。というのは、寄付金は捕捉が非常にむずかしいですから、どうしてもそうならざるを得ないと、そんな気がするわけですよね。そこで異常なる寄付金によって入学することももちろん教育上としては好ましくないことなんですけれども、ましてその金が仮に、いわばダーティーなものであればなおのこと、ここに国民の非常に何といいますか、反感を買う理由があるといいますか、あるいは納税意欲に対して非常に問題が出てくるだろうと思うんです。いまのお医者さんの調査件数でしたが、その中でさっきそちらでお答えになりましたけれども、たまたま寄付金が多額にどんと一時的に出たということをきっかけに、それが何かでわかって、それをきっかけに調査に入ったなんということはありますか。
○政府委員(小幡俊介君) ケースとしてはそういうケースもあります。
○野末陳平君 それはどうしてわかったわけですか。
○政府委員(小幡俊介君) 私立大学の入学寄付金ということにつきましては先生おっしゃったように、非常に私どもにとりましても税務上も関心の高い資料でございますので、私どもといたしましては大学当局からそういう入学寄付金の資料をいただきまして、それに基づきまして個別に税務調査をする必要があるかどうかというふうなものを判定をし、そして必要があると認められる場合には、そういう資料に基づきまして調査をするということがあるわけであります。
○野末陳平君 そうしますと、いまのお答えでいきますと、大学当局はそういう父兄が出した寄付金の額とかそれから父兄の名前のリストですか、そういう資料というものは税務当局に出しているわけですか。
○政府委員(小幡俊介君) 私どもといたしましては、そういう情報が非常に私どもの仕事上必要でございますので、御協力をいただいておるわけであります。
○野末陳平君 その辺が非常に興味があるところといいますか、それをもう少しきちっとやるかどうかということなんですが、たとえば不動産の場合などは、大金が動けば当然それが捕捉されるから当然なんですが、お尋ねがあり必要があれば調査すると、これが当然ですね。ところが入学に際しての金の動きですが、これはもし学校側が言わなければ当然わからないわけですね。だから表の寄付金もあれば裏の寄付金もあるわけですが、文部省に聞きたいんですが、これはやはり税務上非常に重要というか参考になる資料なので、学校がこのリストを、税務署にというんじゃありませんが、文部省にきちっと報告するような体制になっているのかどうか、その辺はどうなんですか。
○説明員(北橋徹君) お答え申し上げます。 いまの先生のお尋ねの点は、ちょっと私も意味がよく——不明確な点がございますが、いまの御質問は、各大学が文部省にその寄付者の氏名を報告をしているかどうかと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございましょうか。
○野末陳平君 いいです。
○説明員(北橋徹君) そういうことはございません。現在全く任意に各大学からその当該年度の寄付金の金額を御報告をいただいております。
○野末陳平君 そうすると国税庁のさっきのお答えは、何かの事情で必要と認めたならば、学校当局に直接聞いて協力を仰ぐと、こういうことですか。
○政府委員(小幡俊介君) そのとおりでございます。
○野末陳平君 そうなりますと、むしろもっと積極的に、何かの必要があって税務当局が大学側に質問するのでなくして、いつでもそういう参考資料が当局の目に触れるようにしたらばもっといいんじゃないかと思うんですよね。ということは、当然この大金が動くということに対して税務当局は関心を寄せざるを得ないわけですから、それが即いけないわけではなくして、たまたま税務資料としてあればなおいいんだと、そう考えるわけですね。 そこでいまの文部省ですが、全く何も知らぬということになっていますがね。これはどうなんでしょうかね、税務上文部省がそういうことをやれと言うのは乱暴ですけれども、文部省としてもやはりその資料を学校から取るというぐらいのことをしておくべきではなかったのか、少なくもそれをしてもいいんではないかと思うんですが、それはどうなんでしょう、全く文部省としてはいままでどおり総額の問題で、個人的ないわばプライバシーにもかかわってくる問題ですが、それについては立場上は関心が持てないと、こういうことになりますか。
○説明員(北橋徹君) お答え申し上げます。 文部省の指導といたしましては、その入学に関する寄付金の収受等を行わないと、それからまた入学の許可後に任意の寄付金を募集する場合には、その額の抑制に努めると、こういうことが指導の基本でございまして、今後ともこの点について強く指導をしてまいりたいと、こういう観点で指導をいたしておりますので、その当該大学に寄付者の氏名を報告をさせるというようなことは、これはちょっとできにくい事柄ではないかと思うわけでございます。
○野末陳平君 文部省の立場だとそうなってしまうのかもしれませんが、そのままにしておくと、やはりこの問題の弊害というのは非常に深く潜行する形で続くだろうと思ってそれを憂えているんです。 じゃ国税当局の方に聞きますが、もしこの寄付金あるいは学債を含めて、多額の金が一度に入学に際して動くということがかなりの資料としてわかれば、非常に税務調査はやりやすくなるというか、少なくも調査上参考になってプラスである、そう考えているんでしょう。
○政府委員(小幡俊介君) そのとおりでございます。
○野末陳平君 となると、いまのままでは税務当局にはスムーズに資料が入ってこないわけですね。
○政府委員(小幡俊介君) 私どもといたしましても、各大学関係者によくお願いをいたしまして御協力をいただいておるという状況でございます。
○野末陳平君 そうなりますと、ちょっとここで主税局長に、立場がちょっと違うんですけれども、お聞きしますけれども、これはちょっと荒っぽい話になりますけれども、やはり寄付金の問題が非常に世間によくない影響を与えているわけですね。もちろん文部省は教育上の問題、いわゆる入試の公正を重点的に考える立場からこれをチェックするでしょうが、しかし今度は個人の所得という点からいきまして、不動産の方だったらば、これは完全に税務署に十分な資料があるから、いろいろな参考になる。しかし入学に際してはどうも十分な資料がないから、この方はお目こぼしというか、関心を持ってもなかなか実効が上がらない。まして、こういうお金が、息子に一千万円のベンツでも買ってやれば、これはもう間違いなく贈与税の対象にはなり得ながら、入学資格というか、この辺を金で買っても、こっちは贈与税も全くないしと、こうなると何か割り切れない気もするわけですよ。ですから、これに対してどういう方法かということは、すぐにはむずかしいんですが、この辺は、これもうしようがないんだと言って済ませるかどうか。ぼくなんか知っている範囲では、医者がやっぱり言いますからね、裏の金はなかなかうまく使い場所がないけれども、学校だったらばこれは税務署関係ないから出せるんだというようなこともわりと言いますね。これを手がないと言ってほうっておいていいかどうか疑問ですが、ちょっと感想で結構ですからね。
○政府委員(高橋元君) そういうことで、本来なら医者の資格のないような学生が卒業して医療に携わるということは、将来の医療の水準としてもいろいろ問題はあろうかと思いますし、お医者さん全体はやはり基本的にはモラルを第一の職業倫理にしなくちゃならないわけでありましょうし、また税制としてもいろいろの世の中の生きた御意見というものを取り入れながら常時見直しをしていかなければならないものだというふうに心得ております。ただいまのお話は私どもこの席で承っておりまして、非常に示唆に富む御意見でございます。税制調査会にまた、こういう御意見のありましたことを申し上げて、いろいろ将来の税制の中で御検討を願いたいというふうに考えております。
○野末陳平君 税の不公平ということがしきりと、ずうっとここ長いこと言われておりますね。で、税制の不公平については、ぼくはこの間もこの委員会でちょっと触れましたけれども、いろいろな角度からかなり是正されつつあるとは思います。まだ十分ではないかもしれませんがね。しかし今度はこの税の不公平と言った場合に、課税上の問題というか、執行上の問題といいますかね、そちらに重点が移りつつあるように思いますから、となると、やはりこのような大金が不明朗な形で動くという実態は説務上も放置できないと、そう思っているわけなんですね。 再び文部省に聞きますが、これは文部省がやりにくいと言われればそれまでなんですがね、これはぼくの考え方ですからね。そちらでたとえば寄付は一千万以内にするのが好ましいとかいろいろなことを指導なさっているようですが、どうなんですかね、かえってそんな枠なんかもう決めることをやめて、出したい父兄というか出せる父兄にはもう認めてやると、補助金との関連はこれ別ですよ。とにかく父兄に出したければ出せと、学校側も取れと。そのかわり納付した父兄については額と名前を文部省に報告させると。報告させること自体はそんな悪いと思わないんですよ。文部省に報告させるんですよ。それを義務づけるわけですね。そうなれば文部省もさらに詳しく、つまりこれはオープンになるわけですから、寄付金その他入学をめぐる実態がつかみやすくなるでしょうから、むしろ変な指導をしているのをオープンにしちゃう。これを義務づけておいて、もっともこれは大蔵委員会だからどうしても税の立場になっちゃいますけれども、このリストが国税当局が税務署側がもし必要であればいつでもこれを参考にできるという形で保存しておくというか、そういう協力もちょっとしてもらった方が今後いいんじゃないかと思うんですけれども、どうですか、文部省の立場上の感触としてこれは全く検討にもならないのか、無理があり過ぎるか、ちょっと聞きたいんですがね。
○説明員(北橋徹君) お答え申し上げます。 先ほどもお答えをいたしましたとおり、文部省の寄付金をめぐります指導は二点ございまして、一つはその寄付金が入学に絡まないかどうか、この観点が一つでございます。もう一点は、やはりこの寄付金の額が一時に父兄に高額の負担を負わせないと、あくまでもそういうことで学校は長期的な観点から資金計画等も立てて学校経営を十分配慮してやってほしいと、こういう点がもう一点でございます。したがいまして、先生の御意見でございますが、文部省としてはその二点についての指導が一つの限界と申しますか、その辺までが必要な指導ということになると考えます。
○野末陳平君 余りくどく言ってもなかなかすぐにこうしたらいいという名案があるわけじゃないのでやめますけれども、何かもう少し連動するというかな、協力し合ってほしいと思うんですよね。文部省の立場は文部省の立場だからそれでやっていけばおしまい、税務署の方は関心はあるけれども資料の収集という面で非常にうまいルートがついてないからどうにもならぬ、たまたま情報とかあるいはほかの理由できっかけがつかめたら入学金の問題も参考にする、こういうような非常に回りくどい、消極的なことなんですね。だからちょっとその辺が問題じゃないかと思いますけれども。 じゃ、この間の北里大学、あれは隠し預金まであったわけでしょう、父兄名義の。あの隠し預金を返済するという話になっていたけれども、文部省、その後の報告でどうなんですか、あれはもう返済したの、それともまだしてないの。
○説明員(北橋徹君) 父兄に返すということを決めておりまして、その後の手続をどのような方法でどのようにして父兄に返すかということを現在いろいろと準備中である、このように聞いております。
○野末陳平君 返すのは簡単だと思うんだけれども、何で準備中なのかな。その辺がちょっとまずいね。ですけれども、文部省としても返還をさせるという指導なのか、それともかなりあちらの自由意思に任せているのか、その辺ちょっともう一回、くどいけれども。
○説明員(北橋徹君) もともとの寄付金につきましては大学が父兄の承諾といいますか、得た上でいただいたものでございますので、文部省としてはそれをすぐどうこうせいという指導というものはいたしておりません。大学の自発的な意思でございます。
○野末陳平君 何といったって、大学というのは学問の独立とか自由とかいろいろあって踏み込めない部分があり過ぎるようで、こういうときに不都合が起きますね。これは実は銀行とも関係があるので税の立場、それから銀行のいろいろな動き方、それも含めて非常に重要な問題だと思うんですね。で、今後ここらでもってしかるべき手を打ってないと、全然こんなもの騒がれただけで是正されないんじゃないかと思うからあえていろんな手を変え品を変え、何か規制しなきゃと思っているわけなんですがね。 それで、国税当局に聞きますけれども、北里大学はたまたまああいう形で新聞に出ましたからそちらの関心もあると思うんですが、これを一種のテストケースにしてみて、さっきから言っているお金が動いたことを参考資料に取るかどうか、これは取る方法がいまないと思うんですけれども、どうなんでしょう、これをひとつこの例でいいから文部省に依頼して、お金が返還されたかあるいは隠し預金持っていたか、それはもうわかるわけだから、この辺からちょっととっかかりをつかんで——調査しろというんじゃないですけれども、そういう資料を参考までに取るようなことを考えてみていますか、それとも全然これは個別ケースに立ち入るからいまのところ無関心が、どっちですか。
○政府委員(小幡俊介君) 北里大学という固有名詞の問題でございますと、ちょっと私どもとしてもお答えしかねるわけでございますが、一般的に申し上げますれば、私立大学につきましていろいろ問題があるというふうなことがありますれば、私どもの方といたしましては、源泉所得税の面での調査をするということはあるわけでございまして、私どもといたしましては、一般論としては必要があれば税務調査も行いまして適正に課税処理をするというふうになろうかと思います。
○野末陳平君 なかなかむずかしいね、個人的な問題も入ってきますからね。 それで、じゃそのまま続けますけれども、大学と銀行がかなり寄付金集めについて癒着しているわけです。たまたまいま北里が出ましたから、もっとほかの例は後から言いますが、この北里大学の経理部長が現職の銀行員だった、こういうふうに聞いているんですね。これは事実なんですか。どっちがどう——経理部長が銀行員なのか、銀行員が経理部長なのか。つまり、給料どっちからもらっているのか、その辺がちょっとわからないんで正確なところを文部省に聞きたいんですが、これはどうなんですか、この経理部長と銀行員のこの関係というのは。どちらが本職で、どちらがアドバイス役であったのか、ちょっと。
○説明員(北橋徹君) 経理部長は銀行員の身分を保有をいたしております。出向という形式でこの学校法人の職務に従事をしておるというふうに聞いております。本人は銀行の方は休職となっております。したがって現在銀行の業務には携わってはおらないわけでございます。なお、給与の問題ですが、給与は学校法人が銀行に支払いまして、銀行から本人に給与が支払われている、このように聞いております。
○野末陳平君 何か非常に複雑で一回聞いただけじゃわからないけれども、普通の出向と言っていいのかどうか非常にわからないですがね。いずれにしてもその人物が、じゃ一体どういう役割りを果たしていたわけですかね、銀行との関連においてですよ、経理部長なんでしょう。この経理部長が三菱銀行の恵比寿支店だか何だか知らないが、その辺でどういう役割りをここで果たしていたのか、それについても説明をちょっとしてください。よく聞いておかないと……あと銀行と大学の癒着についていろいろ関心もあるし、例も知っているので聞きたいんですが、まずこれがわからない。どういう役割りをやってましたか。
○説明員(北橋徹君) いま身分関係のお尋ねでございましたので、ちょっと詳しく申し上げましたが、そういう形はとっておりますが、この学校法人の事務本部の経理部長というポストを占めておりました。学校の経理全般にわたる業務を担当しておった、こういうことでございます。
○野末陳平君 そうすると、この三菱銀行恵比寿支店の利益になるようなことも、特に経理部長の立場であれやこれやと結果的にはやっていたということになるんですね。経理は経理でやっていた。しかし今度は金集めその他のいろいろな過程でこの銀行の——自分がもといたのかあるいは出向していたか何か知りませんが、もといた旧識ですから、その銀行のプラスになるようにいろんなことをやっていたと。知恵もつけたり、人間関係もあれこれうまくさばいたりとか、そういう仕事もしていたということは確かなんですか。
○説明員(北橋徹君) 私どもはその業務の内容、状態についてどうであったかということを詳しくは承知しておりませんが、少なくとも学校法人本部の経理部長でございますので、その職務を行っていたと、こういうふうに理解をいたしております。
○野末陳平君 経理部長の職務よりも銀行とのつき合い方の中でどんな役割りを果たしたかを知りたかったんですが、まあそれ以上は無理でしょうから。 もう一つ聞きますが、また固有名詞が出ますけれども、北里の場合の募金の、あれは何か建物を建てるとかいろいろ目的があったようですが、そういう意図の一種の募金運動ですか、それとも募金の委員会ですかね、そういう委員会の委員長ね、募金委員長と言うのかな、それがやはり銀行の人間だったということも聞いているのです。この場合で言えば三菱がかんでいるから、三菱銀行の頭取がそうだったと聞くんだけども、それは本当ですか。
○説明員(北橋徹君) 私どもは、その点ちょっと聞いておりません。
○野末陳平君 これはちょっとぼくもわからないから聞いたんですけれども、もしそうであればそこにまたどんな問題があるか、それはわかりませんけれども、とりあえず非常に銀行が私立医大の寄付金集めに一役も二役も買っているということが言いたいわけなんですね。北里の場合の説明を聞いている時間もなくなっちゃったから、じゃこれはあしたやります。 どうでしょう、大蔵大臣、もうあっちこっち話飛びましたけども、この寄付金問題をすぐ税務に生かせというのも乱暴だとは思いますけれども、しかしそれも絡んでいることは事実なんですね。ですからね、文部省には無理だと言われたけれども、やはり文部省は少なくも寄付金の額とか父兄の名前を把握しておいて、それが必要とあれば税務当局の参考にもなるというようなシステムをつくる必要があるんじゃないかなと、これはかなり乱暴だと思いますけれどもね。そうでもしないと、これはちょっと無理だと思うのですね。全部寄付金が裏金だとは言いませんけれども、お医者さんの場合に限ってどうしてもグリーンカードになる以前はかなり裏金持っているお医者さんが多くて、その裏金の生かし場所がなくて困っている人もいるんですよね。その場合に一番息子たち、娘たちのための寄付金というのは、裏から裏へ行ってわからないからね。とっても行きやすいんですよ。でもそれはしょうがないと言われれば別で、そこから税務調査云々というのは邪道だとも思うのですけれども、その辺のことを引っくるめて、ちょっとほうっておくのが何かおかしいと。かといっていい手もないというんで、ぼくも実はいろいろそちらのお考えをお聞きしているんです。 きょうは時間が来ましたから、大臣から一言感想をちょっとお聞きして、あした銀行と医大の癒着の問題について質問したいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税務調査はいろんな発端が参考になることが多いことは事実でございます。したがって、重要な参考にいたしたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 五案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十五分散会