大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/03/24
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十三日、片山正英君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君が、また本日、丸谷金保君及び松尾官平君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君及び野呂田芳成君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(中村太郎君) 酒税法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○穐山篤君 酒税法の改正、いよいよ最終の段階になったわけですが、いままでの審議を通しましてもう一遍確認をする意味もありますし、さらに野党各派の意向も受けまして次の四つの点について改めて御質問申し上げますので、まとめてお答えをいただきたいと思うんです。 まず第一は、地酒の振興の問題ですが、委員会でも再三質疑がありましたように、小売販売免許を弾力的に運用することが必要ではないかというふうに考えるわけです。また歩みりんの販売免許につきましても、この品物は主として家庭用調味料というそういうものに使用されている度合いが非常に強いので、同様な措置を検討すべきではないかというふうに考えます。 第二の質問は、これから採決が行われるわけですが、酒税法が改正になりますと、当然小売価格も改定になるわけです。その際当然予想されることでありますが、便乗値上げなどの不当な値上げにならないようにこの際厳正に指導すべきだというふうに考えます。 第三の問題は、これはもうすべての会派から提起をされたわけですが、清酒が民族文化を受け継ぐ伝統ある酒類であるということは当委員会の審議を通じて確認されたところであります。したがいまして、清酒製造業なかんずく中小の製造業者につきましては、原料米価格の安定を含めて清酒製造業の振興のために実施可能なあらゆる方法をとるべきだと考えますけれども、その点について改めてお伺いをします。 それから最後に、衆議院の審議を通して明らかになったことでもありますが、大蔵省は省内に懇談会を設けて酒税制度の検討を行うと、こういうことになっています。そこで、当委員会でも再三指摘をされているわけですが、酒税の研究につきましては部分的な検討ということではなくして、酒類間の負担バランスあるいは紋別制度、それから課税制度、小売販売制度、さらには原料問題や品質管理などの諸問題があるわけです。ぜひ消費者を含めた幅広い意見や注文を聞いていただきまして、総合的な見地から検討を行って見直しを図るべきだと、こういうふうに考えます。 以上四点について最終的に大蔵大臣の見解をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。 地酒の振興の点でございますが、清酒等の中小企業対策の一環として大蔵省といたしましても重要であると考えております。現在でもたとえば、地酒頒布会に関する販売免許については積極的に対処いたしております。また観光地、温泉地等における地酒販売につきましては販売免許を弾力的に運用するなどの措置を講じているところでありますが、今後とも地酒の振興については御趣旨の線に沿って前向きに検討してまいりたいと考えます。また歩みりんにつきましても、その調味料としての性格を有することに配意いたしまして、今後その限定免許等について検討してまいる所存でございます。 次に便乗値上げでございますが、増税に伴いまして酒類業界においてはマージンについても配慮すべきだとする意見もありますが、金利等の直接的経費増につきましては、取引慣行価格とするための端数調整の形で消費者に負担をお願いすることもあろうかと思われますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。酒税の増税に伴う価格改定に際しましては、御指摘のようにいやしくも不当な値上げとならないよう十分に指導していきたいと考えております。 次に清酒の製造業の育成、振興の問題につきましては、大蔵省としても重要な課題であることは申すまでもありません。したがってかねてより清酒製造業対策といたしましては、食管制度の枠内で酒造米に対して各種の助成を行っております。また中小企業近代化促進法及び清酒業安定法に基づきまして、各種の事業を実施するとともに、酒税の税率の見直しに当たりましては、清酒一級、二級の改定幅を縮小するなどの各般の措置を講じておるところであります。清酒製造業の振興については日本酒センターの設置、需要開発に必要な調査研究など、大蔵省、国税庁としても今後ともできる限り積極的な施策を講じてまいりたいと考えております。 酒税制度の見直しにつきましては、現行酒税法は昭和三十七年に全面的な見直しが行われまして以来、すでに二十五年近くが経過しております。そのため、当院の御審議においても種々の問題が指摘されているところでありまして、抜本的な見直しを行う時期に来ていると思っております。そこで、本国会における御審議を踏まえまして近く適当な場を設け、学識経験者、酒類業界、さらには消費者を含めて広く各界の意見を聴取いたしまして、長期的な観点から酒税法の抜本的な検討を行いたいと考えております。また検討項目を決めるに当たりましては、ただいまの御指摘も貴重な御意見として十分考慮いたしたいと考えております。 以上でございます。
○委員長(中村太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題になりました酒税法の一部を改正する法律案に反対であることを表明し、その理由を申し述べたいと思います。 反対の第一の理由は、今回の改正案が大衆増税計画の一環に位置づけられていることであります。来年度歳入見積もりの税の自然増収は四兆五千億円に上り、それに新規増税の一兆三千九百億円が加わると実に五兆九千億円にも及ぶ大増税が行われるのであります。 しかも自然増収の六二%は所得税で占められており、この酒税の引き上げによる増税分二千八百三十億円とで三兆円を超える負担が勤労大衆に課せられます。政府の増税とは弱い者により重い負担を求めるきわめて不公平な政策にほかならないのであります。このような勤労国民の生活破壊につながる安易な増税案を認めることはできません。 第二の反対理由は、この増税が国民の負担はもとより物価上昇に拍車をかけることにより、家計を圧迫し、経済運営の面でもマイナス要因となることであります。酒税の増税分を全世帯数で配分すれば、一世帯平均七千七百八十円の負担となりますが、今回の一連の増税案が実施されれば間接税だけで一世帯二万円近い負担増加となるのであります。政府の家計調査報告によっても八〇年の勤労者世帯の収入は実質で〇・六%のマイナスと六年ぶりに実質減少に落ち込んでいるのであり、実収入から、税金、社会保障費などの非消費支出を差し引いた可処分所得、言いかえれば手取り収入は一・四%のマイナスとなっているのであります。このように家計の状態が深刻化する一方で、物価の動向も楽観できないのであり、酒税の引き上げが消費者物価に及ぼす影響を政府は〇・一六%と見ていますが、実態はそれを超えるのが公共料金の物価上昇に与える影響の特徴でもありますが、政府はこれを無視しているのであります。家計の負担を高め、個人消費を抑えることは現在必要としている国内需要拡大による経済成長政策に逆行することとなります。国民生活にも経済運営にも配慮の足らない増税を認めるわけにはいかないのであります。 反対の第三の理由は、酒税制度の改革を放置し、国民酒たる清酒の醸造業界に大きな打撃を及ぼすのが必至であるにもかかわらず、税収増だけを追求していることであります。清酒の等級別制度の見直し、国際的に異常に高いピールの税率、酒類間税率のバランス、中小清酒業の振興、近代化対策など社会構造及び酒の生産、流通、消費の変化が著しく、それには応ずべく酒税のあり方も根本的な改革を必要としているのでありますが、そのための取り組みをしないままに単なる税金を取る対策として酒を見ている姿勢は容認できないのであります。 最後に、財政再建は増税によって財政赤字を埋めればよいという単純な財政至上主義に立つべきではなく、社会的公平の実現を目標に徹底した不公平税制の是正を初め、福祉型税財政の確立を展望すべきことを強調しておきたいのであります。安易に大衆に負担を要求していく増税路線を政府は直ちに改めるよう要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○藤井裕久君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、酒税法の一部を改正する法律案に賛成の意を表明いたしたいと存じます。 現在のわが国の財政は、昭和五十年度以降毎年度特例公債を含む大量の公債発行に依存するというきわめて異常な状態にあります。このような状態が今後もなお継続することとなれば、経済にインフレ要因を持ち込むおそれがあるばかりでなく、財政は硬直化し、社会経済情勢の変化に即応して弾力的に対応することがきわめて困難となることは明らかであります。経済の着実な発展と国民の生活の安定、向上を図るためには、現在のような公債依存体質から早期に脱却して、その対応力を回復することが必要であり、これが財政に与えられた当面の緊急課題であると考えます。 このような財政事情に対処するため、政府が昭和五十六年度予算において、公債発行額を前年度当初予算額よりもさらに二兆円減額し、また、歳出面においても徹底した削減努力を行おうとしていることはきわめて適切な措置であります。同時に、その中で福祉、文教等の行政水準を維持するための財源を確保する必要から、現行税制の基本的枠組みの中で徹底した見直しを行い、相当規模の増収措置を講ずることとし、その一環として本法律案において酒税につき昭和五十六年度約二千八百三十億円の増収を図ろうとしていることはやむを得ないことと考えます。 酒類は特殊な嗜好品であり、従来から財政物資としてかなりの税負担を求めてきたところでありますが、酒税の税率が従量税率を原則としているため、価格が上昇すると税負担率が低下していくという関係にあります。現実に昭和五十三年の酒税改正時の負担率はその後の物価水準の上昇等によりかなり低下しておりますので、この際従量税率を原則として二四・二%程度引き上げ、前回の改正時前後の負担水準に戻すというのが本案の基本的な考え方であり、この考え方は酒税の性質から見ても妥当なものと認められます。 また特に、清酒一級、二級及びしょうちゅう等につきましては、消費及び生産の態様等に配慮してその税率の引き上げ幅を極力圧縮しているのでありますが、これらの酒類がどちらかというと大衆の飲み物となっていることや、これらの生産の多くは中小零細な清酒製造業者により行われていること等から考えましても、適切妥当な措置と認められるのであります。 最後に、今後とも清酒製造業に対する配慮が必要なこと、及び今回の増税に伴い流通段階で生ずる金利負担の増加等を価格に転嫁できるよう配慮する必要があることを指摘し、政府の適切な指導を要望して私の賛成討論を終わります。(拍手)
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 まず反対する第一の理由は、政府のとっている財政再建の方法が、社会的不公平の是正や行財政改革によるのではなく、本法案の酒税の引き上げのように一方的に国民に負担増を押しつけるものであるからであります。 たとえば、政府の昭和五十六年度予算案及び税制改正案を見ても、所得税減税の見送りによるいわゆる見えざる増税二兆七千六百九十億円と酒税の二千八百三十億円だけでも三兆円を超える大衆増税になっております。 それに比べ、国民の強い要望でありました歳出削減につきましては、昭和五十六年度予算において行財政改革や補助金の整理合理化に何ら見るべき成果がないというのが実情ではないでしょうか。 このように財政再建の名のもとに行われる安易な大衆増税路線の一環としての酒税の引き上げには反対せざるを得ないのであります。 反対理由の第二は、酒税の引き上げが国民生活を圧迫することはもとより、わが国の経済成長や財政再建にとっても、マイナス要因となりかねないことであります。 それは実質的賃金の低下により、個人消費の低迷を招いている現状において、この酒税等の引き上げは国民生活の負担増にとどまらず、国民消費の伸びを抑え、経済成長の不振を招くおそれが十分に考えられるからであります。 反対理由の第三は、日本民族の伝統酒である清酒に対して特別の配慮がなされていないからであります。 清酒業界は、原料を外国に依存するビール、ウイスキー業界に比べて、原料米が国際的にも高い国内産米を使用するためハンディを背負っております。米の消費拡大に貢献し、そのために高い国産米を使用している清酒業界に特別の配慮がなされるべきであります。そのような配慮の少ない本法案には賛成できません。 反対理由の第四は、家庭用調味料である本みりんにまで増税が行われることは、酒税本来の趣旨に反した課税であるからであります。歩みりんはしょうちゅうとまぜて飲用にされる可能性のあることを理由に家庭用調味料にまで課税されておりますが、これは課税の行き過ぎであり、賛成できません。 以上要約して反対理由を四点申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております酒税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、今回の増税が財政再建の名のもとに一兆三千九百六十億円もの大増税の一環としてなされることであります。財政再建はこれまでの高度成長型の歳出歳入構造を全面的に見直す方向でこそ行われるべきであり、従来の財政構造を温存したまま、しかも軍拡の方向を一層推し進めながら、他方その負担を国民大衆に押しつけるなど全く国民の願いに逆行しているのであります。 特に酒税については、所得階層十分位別の負担状況から見ますと、低所得者層は高所得者層の約二倍の負担率となっており、このような著しい逆進性を持つ間接税の増強は、庶民の家計負担をますます圧迫することは必至であります。 第二に、消費者への転嫁と端数処理の問題についてであります。 今回の増税により消費者は増税分を負担するだけでなく、総計数十億円にも上ると見られる端数についても、切り上げ計算で消費者の負担とされることが業界で合意されているということであります。 もちろん、たび重なる増税と値上げで経営の危機に直面している中小の小売、卸売業者などに適正なマージンを保障することは当然であります。しかしそれは市場支配力、経済力のあるビール、ウイスキーのメーカーにこそ負担させるべきであり、これをすべて消費者に転嫁することなどもってのほかであります。現に清酒に比べビール、ウイスキーの流通マージン率が低いのは、これらのメーカーの市場支配力の強さを物語っているものにほかなりません。 最後に、清酒醸造業界に与える深刻な影響についてであります。 清酒は洋酒などの大メーカーの宣伝力に押され、消費の減退を余儀なくされていますが、今回の増税はさらにそれに追い打ちをかけることは目に見えておりもす。清酒は民族の酒、日本の味であり、古くから日本国民が育ててきたものであり、特に他方の地酒などは厳しい条件の中で芳純で香り高い酒が数多く生産されているのであります。 このような清酒メーカーに対する原料米の手当てなど手厚い援助措置の心要性を強調し、私の反対討論を終わります。
○委員長(中村太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 酒税法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 穐山君から発言を求められておりますので、これを許します。穐山君。
○穐山篤君 私は、ただいま可決されました酒税法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読をいたします。 酒税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項につき留意すべきである。 一、酒税制度については、酒類間の負担バランス、紋別制度、課税制度、原料問題など、諸問題について幅広く意見を聴取し、総合的見地から検討を行い、見直しを図ること。 一、清酒が民族文化をうけつぐ伝統ある酒類であるいとにてらし、清酒製造業、特に中小製造業については、原料米価格の安定を含め、清酒製造業振興のための育成指導に十分配慮し、さらに所要の措置を講ずること。 一、酒税法改正に伴う小売価格の改定については、不当な値上げとならないよう厳正に指導すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
○委員長(中村太郎君) ただいま穐山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 全会一致と認めます。よって、穐山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) なお、審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十分散会 —————・—————