商工委員会 第11号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/05/26
会議録
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本原子力発電株式会社代表取締役社長鈴木俊一君、同常務取締役浅田忠一君、同技術部長板倉哲郎君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(金丸三郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○吉田正雄君 長い間世間を騒がせました敦賀原子力発電所の一連の事故の問題につきましてお尋ねをいたします。 当初に、通産当局にお尋ねをいたしますが、五月十八日付資源エネルギー庁の「日本原子力発電(株)敦賀発電所における給水加熱器及び一般排水路放射能漏洩事故について」という報告書が出されたわけでありますけれども、この報告書の内容を見ますと、敦賀発電所における六カ月間の運転停止というふうな措置が含まれておるわけです。そこで資源エネルギー庁としては調査は一応終了したとみなしておるのか、まだ調査は継続中であるということなのか、その点からお伺いいたします。
○政府委員(石井賢吾君) 日本原電敦賀発電所にかかわります一月に二度ございました給水加熱器の漏洩事故問題及び三月八日のオーバーフローの結果として、構外に一般排水路から放射能物質が漏洩した事故につきまして、この二件につきましては一応最終調査であるというふうに考えております。
○吉田正雄君 いまの答弁では何か限定されたことについて一応終了したというふうに聞こえるんですけれども、まだ隠された事故はございませんですか。隠された事故というのは、現に事故が発生をしておるけれども、通産当局に対して報告がない、あるいはそれが公表されていない、こういうふうないわゆる隠された事故というのはまだあるのではないかというふうに思っておりますが、通産当局としてはそれはつかんでおりませんか。
○政府委員(石井賢吾君) 四月の二十五日にニューラドウエスト系統での漏洩事故の報告がございましたが、それを契機にいたしまして実は四月十日に総点検の指示をいたしたわけでございます。これは保安管理体制が十全でない。したがって、そのときどきの事故に関する判断及び連絡体制、そういったものを基本的に見直すべきであるということで、私どもとしましては当然にそういう見直しの段階に関連いたしまして過去のいわば総ざんげと申しますか、過去もろもろの事象について正しい判断であったかどうか。その辺の総点検に立ちまして今後の保修、保安管理体制を立て直していただくという意味で、四月十日にそういう総点検の指示をお願いしたわけでございますが、四月二十五日に至りましてニューラドウエスト系統の漏洩事故の問題が表に出てまいりました。これをきっかけにいたしまして四月十日以降、実はこの一般排水路放射能事故の問題の原因究明に、敦賀発電所を挙げて協力をしていただいたわけでございますが、それ以上にやはりいろいろな過去の問題点、これを早急に総ざらいしまして、その上に立って保安管理体制の総点検をお願いしたいという旨を改めて二十五日に指示いたしました。したがいまして、私どもといたしましては、五月十八日にいろいろ会社に指示いたしましたが、それらを具体化しさらに保安管理体制の総点検を盛り込みました総点検の報告書、これが会社側から出される段階におきまして、すべての過去の事象につきましての反省、及びその上に立った今後の保安管理体制の立て直しの方向というものが示されるものというふうに考えております。
○吉田正雄君 ちょっと私の質問に答えておらないと思うんですが、それでは原電当局にお尋ねをしますが、原電から通産省に対しての事故の件名ですね、どれとどれとどれの事故について報告されておりますか。
○参考人(浅田忠一君) ただいま通産御当局からお話のございましたように、過去の事象につきましてずっと洗っております。しかし、どれとどれを御報告申し上げたかということは、ただいまの時点ではまとまるまで御報告は申し上げておりません、過去のことにつきましては。
○吉田正雄君 ということは、まだ報告漏れの事故があるということなんですね。
○参考人(浅田忠一君) 事故であるかないかという判断はございますが、いまの時点から考えますと御報告申し上げるべきだったということを、御報告申し上げていないことはございます。
○吉田正雄君 通産当局にお尋ねしますが、調査員まで派遣をして長い間調査をやってきたわけですね。いま原電当局ではまだ報告してないものがありますということなんですよね。私は、通産当局が発表したこの最終報告書あるいは中間報告書等見ても、ここには書かれていないきわめて大きな事故があるということを聞いておるものですから、そういうことで聞いているんですよ。 それじゃ通産当局にもう一回お聞きします。報告のあった事故というのはここに盛られたものだけですか。そのほかに重大な事故というのはありませんか。
○政府委員(石井賢吾君) 私ども最終的な評価はいたしておりませんが、さきに申しました、四月二十五日新ラドウエスト系統における漏洩事故があったという新聞報道がございまして、その結果について改めて会社側の報告を求めたことはございます。 なお、われわれといたしましては、この給水加熱器及び一般排水路放射能漏洩事故問題に関連しまして、過去の四年間についての除染記録を洗いまして、その上で一般排水路放射能漏洩事故につながる案件につきまして摘出いたしましたのが、三月八日と昨年の十一月に起こりました漏洩問題でございまして、それらについてはすべて評価をしたつもりでおります。
○吉田正雄君 ちょっとしつこいと思われるかもわかりませんけれども、内部から告発があるとか、何か外部から、通産や原電当局以外のところからそういうものが出てこないと発表されないというのが、一連の経過なんですよね。そこで聞いているんですよ。だから、もうちょっと具体的に聞きますと、タービンからのいわゆる蒸気を海水を使って復水をするという復水器についての事故というのはございませんですか。これはまず原電当局に聞きます。
○参考人(浅田忠一君) 復水器のチューブから海水漏洩がございまして、これを修理するということはございます。これはほとんど全部の場合、通産御当局には御報告申し上げてあると思います。
○吉田正雄君 それは修理はいつ起きて、どれくらいかかったんですか。
○参考人(浅田忠一君) 敦賀の歴史をさかのぼりますと何遍か起こっておりまして、日時については私にはただいま記憶がございません。ただ、直します期間は漏洩の程度によって変わります。
○吉田正雄君 ことしに入ってからはございませんか。
○参考人(浅田忠一君) ことしに入ってからはございません。
○吉田正雄君 それははっきりとないと言えるわけですね。
○参考人(浅田忠一君) 先生おっしゃるとおりでございます。
○吉田正雄君 もしその事実が出てきたらどうしますかね、これ。
○参考人(浅田忠一君) 一番新しいのは去年の十一月でございまして、ことしに入っては私どもはないと信じております。
○吉田正雄君 すると、その十一月の事故については通産に報告されておりますか。
○参考人(浅田忠一君) 報告されていると思われます。
○吉田正雄君 通産はどうなんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 五十五年十一月の復水器に係る保修につきましては、通産省、県、市に一応その段階におきまして所要の手続をとった上で実施されているものというふうに、われわれは承知いたしております。
○吉田正雄君 その事故の内容というのは、どういう程度のものであったのですか。
○参考人(浅田忠一君) コンデンサーと申しますのは、何万本かのチューブで構成されておりますが、その中のチューブの一つに穴があきまして、そこから海水がタービン側に少量漏洩するという形でございます。
○吉田正雄君 一本だけですか。
○参考人(浅田忠一君) 本数は、見つけましたのは二本でございます。
○吉田正雄君 どういう修理をされましたか、それじゃ。二本とおっしゃったんですが、どの程度のそれじゃ漏れなんですか。どういう穴があいたんですか、それともどういうあれなんですか。
○参考人(板倉哲郎君) 昨年の十一月のものは、パイプを管板にくっつけておきます拡管部でございますが、チューブのリークですとわりに簡単に見つかるんでございますけれども、そのチューブを管板に取りつけている部分でございましたので、多少従来よりも日にちが見つけるのにかかりましたけれども、拡管部でございます。
○吉田正雄君 それは二本であっても、三本であっても、その復水器の運転とめなきゃだめでしょう。
○参考人(板倉哲郎君) この場合にはそのチューブのリークでございませんので、拡管部といいますかそれをイクスパンドしまして修理したわけでございます。それからいまの御質問ございました復水器の修理には、どこにおきましても漏洩の穴の小さな場合には原子炉を運転したまま出力を下げまして、たとえば敦賀の場合でございますと出力を半分に下げまして、小さな漏洩の場合でございますと、復水器を働かしておりませんとどの部分からの漏洩かということが見つかりません。もっと漏洩が大きくなってまいりますと、海の水が原子炉側にわずかながら入ってまいります。これを取るために復水脱塩器というのを持っておりますが、その容量から見まして、漏洩が大きい場合には一定の基準を決めておりますが、その場合にはとめて直します。それから漏洩が小さい場合には、原子炉運転中、敦賀の場合でございますと出力を約半分に下げまして、そして片肺運転と申しますか、復水器の片側をとめます。そういうことによりまして、どこから漏洩しているかということがわかるわけでございます。
○吉田正雄君 だから、私が聞いたのは、その復水器は二つあるわけですから、一つはとめたんでしょうと聞いたんですよ、当初ね。そしたらとめずにと、ただし出力は半分に落としてと言って、いま一番最後になって今度はそれはとめましたと、こういうふうにまた説明がちょっと変わってきたんですね。正確に答えてもらいたいんですよ。いいですか。そういう事故の詳細な内容については、通産はキャッチをされましたか。どれだけの期間どれくらいの人間で修理を行ったんですか、修理の方法、内容。
○政府委員(高橋宏君) お答え申し上げます。 先生御存じのように、復水器と申しますのは、タービンに仕事をした蒸気を水で冷やして水に戻すところでございます。蒸気の方は圧力がマイナスでございますので、仮にそこに穴があきましても、そこから外に出るものは蒸気じゃございません。むしろ海水が外から入ってくると、そのために、その海水による塩分を取り除く必要が原子炉側でありますので復水脱塩器がある、こういう仕掛けのものでございます。ところでこの復水器のチューブでございますが、通常何万本もございまして、排水の腐食等によりまして穴があくことが間々ございます。そのためにその都度これを全停して直すということはむだでございますので、あらかじめ復水器を分割しておきまして、運転中でも片肺状態で直して運転は継続する、こういう仕掛けになっております。したがいまして、私どもは本来この種のトラブルがございましても、必要な事故報告として取る、そういうような部類には入れておりません。普通の火力でもございます、原子力でもございます、タービンなり復水器があるものは通常あり得るものとして処理をいたしております。本件につきましては、したがいまして、当時いわゆる正式の報告書として取ってはおりません。しかしながら、一般情報としましてこういうことがありまして、十一月に数日をかけて片肺運転で直したという一般報告と申しますか、そういうものを受けておる状況でございます。
○吉田正雄君 私の尋ねたことに正確に答えてくださいよ。復水器の機能なんというのは説明していただかなくてもわかっていますよ。何日間とめましたかと聞いておるのですよ。何人の作業員が何日間修理をしたかということを聞いているのです。そういう肝心な質問にはちっとも答えてないじゃないですか。 それから大したことはないとおっしゃっておるんですけれども、とめなきやならぬでしょう、修理のためには。しかも海水が入ってくるんですよ。一次冷却水に海水が入るということになりますと、これはいろいろな腐食というものがあらゆる機器のところに及ぶ心配、危険性というものがあるわけですから、そういう点では早急にこれは取りかえるなり修理をしなければいけない。大したことがないなんという認識は非常に危険な認識ですよ。これは原電の考え方とちっとも変わりないじゃないですか。そんな大したものでなかったら、何でとめてまで修理する必要があるんです、そんなピンホールとか小さな穴で。どうも全然認識違っていますよ、それは。もうちょっと正確に答えてください。
○政府委員(高橋宏君) 当時、一般報告として受けたデータによりますと、この作業全体に関しましては十一月の二十三日から二十九日までかかっておるようでございます。この間すべてハーフロードにしたかどうかは私現在持ち合わせておりません。少なくともその期間であったということでございます。及び作業人員でございますが、原電及び下請を含めまして百五十八人だそうでございます。 なお、海水が入ってくるのは大変だというお話でございまして、これは原子炉でなくても、塩素が入ってくることは大変でございます。したがいまして、そこに復水脱塩器——塩素を取る装置をつけているのでございます。 それからもう一つ、とめるのは大変じゃないかという御指摘でございますが、復水器というのは、いまお話しいたしましたように、蒸気を冷やしてその圧力をマイナスにする、そのためにあるわけでございますから、そのチューブを直そうとしますと出力が当然それだけ出なくなるわけでございまして、そういう意味で出力を落とすと、こういうような技術的な内容でございます。
○吉田正雄君 内部の修理ですから、その復水器の運転をとめずして中の修理はできないわけですよ。だから、先ほども原電の技術部長が出力を半分に落としてと、一つのものを半分に落としているように聞こえた。一つのものはとめたんですね、二つあるわけですから、A、Bとね。そうでしょう。二つあるんじゃないですか、復水器というのは、どうなんです。
○政府委員(高橋宏君) 復水器というのは、一つのこういう丸い円筒型でございまして、その中にいわば何万本のチューブが走っておりまして、その中を通ります。それがちょうど円筒が半分に切っておりまして、その二つの系統で、両方いつも一緒に使うわけでございますけれども、場合によっては一方の系統だけ使える、そういう構造になっておるわけでございます。これは二つ流せると申しますか、一つのものが二つに分かれる構造になっておると表現した方が正確かと存じますけれども、機能的には二分の一ずつの能力を持ったものが二つあって、それが常々一緒に動いておると、こういう表現でいいかと存じます。
○吉田正雄君 余りそこで時間ばかり取ってもおれませんから、そういう点でとにかく約一週間近く修理に要したということがはっきりしているわけですね。その間運転はとめなかったということですから、残りの半分にもし同じような状況が出たら、これはどうされますか。そういうことを想定して運転されておったのかどうなのか。
○政府委員(高橋宏君) 御指摘のような場合は、発電所は全部とめなければいけません。それで何と申しますか、本件は、従来からの火力発電所全部と同じような仕掛けのものでございます。火力発電所でも同じようなことが言えるわけでございまして、二つ分割してございますが、二つの方ともリークが出た場合には、原子力においてもあるいは火力発電所におきましても、いわゆるスチームタービンの発電設備であればとめざるを得ないと思います。
○吉田正雄君 当初、運転をとめなくてもいいんだというふうな発言もちょっとあったんですけれどもね。第四給水加熱器のいわゆる当初の一連の事故が、一月の例の第一回目の事故ですよね、あのときには、ひび割れでもやはり原子炉の運転を停止してやるべきだったということを後で指摘をしているわけでしょう。そのひび割れと、いまの復水器の故障といいますか、穴があいたとか、それから管板が、そこのところのがくっついているものが取れたとか、そういうことで、一体どっちの問題が重大なのかということは、私は、片方はとめるべきものだ、片方はとめなくて簡単にいけるなんていう判断そのものは非常におかしいと思うんですよね。ここで判断論争やってもしようがないと思うんですが、とにかくそういう点では、いまの復水器の事故自体が非常に大きな事故に発展をする、結びついていくという危険性があったんじゃないか、そのことを指摘をしておきたいと思うんです。 そこで、非常に、もう三回にわたって通産から報告も出されておりますし、それから原電の方からもてんまつ書というのが出ておりますし、新聞報道等ありまして、いろいろたくさんの情報が出ているわけですが、一応通産から出されたものが政府の発表ですから、これが正しいかどうかは別にして、一応報告というものを事実として受けとめていろいろお聞きをしてみたいと思うんですが、最初に、まず一月十日の第一回の漏洩発見について、給水加熱器は、発電用原子炉に係る格納容器その他の通商産業省令で定める機械若しくは機器、いわゆる格納容器等に含まれるというふうに思いますが、これはどうですか。これは電気事業法でそういうことが書いてあるんですよ。いかがでしょうかね、それは。
○政府委員(石井賢吾君) 施行規則四十六条で、含まれるというふうに解釈すべきであると思っております。
○吉田正雄君 そういたしますと、この給水加熱器の溶接等については、いま言ったように、当然電気事業法四十六条の適用を受けることになると、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。 そこで、原電側にお聞きをしますが、電気事業法第四十六条の適用を受ける溶接というものが、一月十日の漏洩事故に関して行われておるわけなんですけれども、てんまつ書によると、この事故について通産当局に報告もしなかったと。また事前に、溶接等の保修作業等について、通産当局に事前の連絡もし、通産当局のそういう何というのですかね、認可ですかね、そういうものは受けなかったことは非常にまずいという、ここに出されているてんまつ書にはそういうことが書いてあるわけですね。そこで、皆さん方の場合にはこの一月、第一回目の漏洩の溶接作業指示書、溶接作業というものについて、四十六条の適用を受けないと思ったのか、それともこんな軽微なひび割れ漏洩については報告する必要もないと、こういうふうに判断されたのですか。それはどうなんですか。
○参考人(浅田忠一君) てんまつ書に書きましたとおりでございまして、ただいま現在、私どもはこれは報告すべき事項でございましたし、溶接検査を受けましてから使用すべきものであったと考えております。
○吉田正雄君 通産当局どうですか。原電でもこれは四十六条の適用を受けるべき内容のものだというふうに思っているということですが、通産当局の先ほどの答弁では、四十六条の適用を受けるというふうに判断をされているというふうに思うのですが、もう一回念を押しますが、そういうことですね。
○政府委員(石井賢吾君) 電気事業法四十六条で溶接後の検査を受けるべきものであり、かつ検査を受けて後に初めて電気事業の用に供し得るわけでございますので、この構成要件に該当する可能性はきわめて高いというふうに判断しております。
○吉田正雄君 そうすると、私は同様に電気事業法、第百六条には、通産省が報告を徴収する、そういう義務、逆に言えば原電は報告する義務というものを電気事業法百六条によって負っているということになるわけですね。ですから報告もしなかった、それから具体的な溶接の保修作業については電気事業法四十六条の適用を受けておるにもかかわらず、それについても行わなかったということでありますから、いま四十六条違反というものが非常に高いと思われるという通産当局の回答ですが、百六条、これは明確に報告しないのですから、これは百六条違反になることは間違いないわけでしょう。これ、どうですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもこの報告書に関しまして、一月十日及び二十四日の漏洩事故発見の段階及び三月八日のオーバーフロー、この三点につきまして報告義務対象であるかどうかということを検討いたしました。具体的には電気関係報告規則三条に基づきまして、報告さるべき事項が規定されてございます。これに基づきまして、その規定に該当するものが百六条の報告義務対象、報告事項になるわけです。ここで、電気事業関係報告規則におきましては、規定されておりますものが、放射線事故及び電気工作物の損壊事故という定義でございます。これに該当するかどうかということが、これまで実は明確なクライテリアというものは設定されておりませんし、また、これを外部に公表し、周知をするということではなしに、むしろ五十四年四月におきまして、このようなクライテリア、ここで書いてございますのは、抽象的な表現でございますので、これに該当するかどうか、否かにかかわらず、いかなるささいな故障であっても、通産省に届け出るようにという通達を発しまして、一応全体をカバーしているという認識のもとに、これまで法運用をしてきたということをわれわれ反省しております。その意味におきまして、具体的なクライテリアが明確でなかったという意味におきまして、申し上げました三件の漏洩事故に関する漏洩事情にかかわる報告が、直ちに百六条対象であるかということについては、現段階で振り返ってみますと、たとえば、一般排水路を通じて外へ流れたということはございますが、その時点では管理区域内であったというような認識もございますので、いろいろ具体的なクライテリアはこれからつくるということが必要ではないかということを痛感しておりまして、現段階で断定をするのは非常に困難であるというふうに考えております。
○吉田正雄君 四十六条の適用を受ける内容について、報告の義務がないということになったらおかしいんじゃないですか、これは。そうでしょう。いま溶接については四十六条の適用を受ける内容に入っているんだとおっしゃっているんですから、四十六条の内容に該当するものについては、百六条の報告の義務というのは当然負いますよ。これは、百六条ははっきりとそういうものを定めておるわけなんですから。四十六条を適用しないということになれば、それは一々報告する義務はないというふうにもなるんでしょうけれども、そういうことじゃないわけですよね。四十六条で定めるきわめて重大な内容なんですからね。これまで報告しなくていいということになったら、何を報告することになってくるんですか。そうじゃないですか。 じゃ、もう一回尋ねる。具体的には、四十六条に該当する事項については、百六条で言う報告の義務の中には入りませんか。
○政府委員(石井賢吾君) 電気事業法四十六条は、溶接検査、いろいろな工事がございますが、その工事に関しまして、溶接の方法及び溶接検査を受けるべき旨を定めたものでございまして、直接的には事故とは何ら関係がない規定であるというふうにわれわれは理解しております。
○吉田正雄君 五十二年三月三日付の皆さん方がおっしゃった資源エネルギー庁第二千三百十一号というやつですね、ここでは、「運転上その他原子力発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についてもこれを当省に速やかに報告し、適切な措置を講ずるよう、」そういう通達を出しているわけでしょう。この通達というのは百六条に基づいて出されているものじゃないんですか。これは全然法的根拠のない無効な通達なんですか、どういうことなんです。
○政府委員(石井賢吾君) たとえば、原子炉規制法に係ります軽微な故障を除くとか、そういうような表現が抽象的でございますので、具体的に個々の電気事業者が、これは軽微であるか軽微じゃないかという判断は非常にむずかしいんではないか。したがいまして、私どもとしましては、一切を含めて報告をするようにということで、その一部は法の執行でございますし、その一部は行政指導による補完措置であるというふうに理解いたしております。
○吉田正雄君 いまの説明というのは、これ全くおかしいんですよね。原電当局自身ですら、これについてはてんまつ書の中で、速やかに報告をし、さらにその溶接についても事前の認可、それから溶接後における検査というものを受けてからやるべきだと、いま答弁されたとおりなんですよね。原電当局でもこれは報告すべき事項だと思っているんでしょう。ところが、通産省ではあれですか、これだけの一連の事故について、報告すべき事項なのか、しなくてもいい事項なのかわからないということなんですか、これ。そんな行政というのはありますかね。それじゃ、この通達というのは一体どういう通達ですか。この通達には該当しないんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 一月の二度にわたります漏洩発見、これにつきましては、軽微な故障であるかどうかはわかりませんが、少なくとも軽微な故障であることは明らかでございます。したがって、通達で言うところの報告対象であるというふうにわれわれは理解いたしておるわけでございます。
○吉田正雄君 それを早くおっしゃってもらえばいいんですよ。 じゃ、その次もう一つ、この一月の給水加熱器をめぐる二回の漏洩事故については運転日誌への記載がなかったと、これは原電当局も認めておりますし、それから通産当局の調査でもそのことが認めてあるということなんですが、これは原子炉等規制法第三十四条の記録義務に私は違反をしているんではないかと思うんですが、まず、原電当局はどういうふうに思われますか。
○参考人(板倉哲郎君) 原子炉規制法で書かれております記録ということがございますが、そういうことと、いま運転日誌の記録ということにつきましては、明確にそういう記録というものは運転日誌に皆書くようにというように決められておりませんので、私は、ただいまその運転日誌に書いてないというのは原子炉規制法違反ではないかとおっしゃいますけど、それに該当するとは考えておりません。
○吉田正雄君 通産当局どうですか、運転日誌にこういうのは記載しないでよろしいんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもは、この事故の記録義務ということにつきましては、報告義務との兼ね合いにおいて事故の概念を決めていかなければいかぬではなかろうかと。したがって、この事故と言われるものについては、いま先生御指摘のような記録義務が当然ございます。その記録、実は記録義務をいかなる形態におきまして残しておくべきかということにつきましては、内容についての省令上の定めがございますけれども、たとえばラドウエストの運転日誌に入っておれば足りるのか、あるいは全体の運転日誌に書かなければいけないのか、あるいは除染記録として記録されたらいいのか、その辺については現段階で断定はできないのではなかろうかと、一応総体での部分的な記録は残されているというふうに私どもは理解いたしておるわけです。
○吉田正雄君 そういう細かいところまで入ってきますと、逆に本来の法の趣旨というものからそれていく危険性というのがあるんですね。よく省令が法律を上回ってみたり、法律に書いてないからということで今度は規制であるとか、そういうものにきめ細かく書いていったら、逆に本法から逸脱するというふうなものが出てくる場合もあると思うんですが、確かに、きめ細かく一々どういうものについてどういうものに記載をしなきゃいかぬかという、細かいことが現在のところ整備をされていないということは確かだろうと思うんですけれども、私は、やはりこの法の趣旨からするならば、運転日誌というのが一番重要な記録簿だと思うんですよ。そうしてそれぞれの部分について、それはまたいろんなものが設けられてもいいと思うんですけれども、運転日誌というのは、これは発電所の運転の中枢をなす部分の記録であるわけですから、これは本来ならば、全体の運転状況というものが運転日誌を見ることによって全体を直ちに把握できるという記録の形態、内容というものが望ましいというふうに思うんですが、その点どうですか。
○政府委員(石井賢吾君) 先生の御指摘どおりであるというふうに考えております。廃棄物処理建屋その他の附属設備に関しましても、原子力発電所の重要な一部を構成しているわけでございますので、全貌が運転日誌で把握できる状態というのが一番望ましいと思っています。
○吉田正雄君 原電では、そんなに三十四条で言うほど重要なものだと、重いものだとは考えておらなかったというふうに私はさっきの答弁受け取っておりますが、そういうことですか。運転日誌に記載してなくても俗に言う三十四条で言うほど重大な記録だとは思ってないというふうに受けとめられたんですか、そうすると。
○参考人(板倉哲郎君) 先ほども先生おっしゃいました運転日誌といいますか、これは当直長の業務引き継ぎのためにつくっている日誌でございますが、それに記載していないことが規制法に違反でないかという御趣旨の御質問と思いましたので、たとえばあの問題につきましてはパトロール日誌に記載されておったり、あるいはそのクラッディングの問題につきましては廃棄物処理施設建屋の日誌に記載されておるということを申したわけでございまして、重要な項目である、ないということでございませんで、運転日誌に書いてないのでこれは原子炉規制法違反ではないかという御質問に受け取りましたので、そのようにお答えしたわけでございます。
○吉田正雄君 本来運転日誌に記載すべきものだとはお思いになりませんか。
○参考人(板倉哲郎君) 先ほどから先生御指摘ありましたように、運転日誌にすべての重要なものが記載されておりますと、先生御指摘のようにその日誌だけ見まして全体が把握できますので、そのようにしてあることが望ましいと思いますし、今後そのようにしたいとは考えております。
○吉田正雄君 いずれにしても、いままでの論議の中で私は電気事業法の四十六条の違反ということと、それから軽微であれ報告をしなかったという点についてやっぱり百六条の報告義務に違反をしているという通産当局の見解なんですね。これはだれが考えても常識的に当然だと思うんです。そうでなかったら、これほどの大騒ぎになるわけないんでして、これは内容からして当然だと思うんですが、そこで私は今後のこともありますから、さらにもうちょっと突っ込んでお聞きをしたいと思うんですけれども、溶接については事前にこれはもちろんひび割れとかそういうものが起きたらすぐ報告をして、そして溶接について事前に通産の認可をとって、それが終わったら事後の検査を受けてオーケーが出てから運転に入っていくということは、これは電気事業法にはっきり書いてあるわけですから、これは当然で、先ほど通産当局認められたんですが、もうちょっと細かい点で言いますと、たとえばこういう指摘があるわけですよ。「保修記録では実施した作業の具体的内容は不明確であった。」というふうに、通産当局は原電から出されたてんまつ書や立ち入り検査の結果、そういう指摘をしているわけですね。これ私はきわめて重要だと思いますのは、具体的な作業内容というものが書かれておりませんと、そこでやった人以外は後日保修工事が適切に行われたかどうか判断をするのに非常に苦しむわけですよね。そういう点で私は、今後そういう保修作業をやる場合には、具体的な内容というものをもっと明確に保修記録の中に残しておくべきではないか、こういう指摘なんですよ、通産の。この点については原電はどういうふうに思われますか。従前もそういうことはやっておらなかったと思うんですよね。ですが、今後は当然そうすべきだというふうにお思いですか、いや、そんなことはやる必要ないというふうにお考えですか。どっちなんですか。
○参考人(浅田忠一君) 先生御指摘のとおり、当時は不完全な記録であったかもしれませんが、これからは詳細なものをやっていきたいと存じております。
○吉田正雄君 それから同じく一、二回とも「文書による請負契約が結ばれていない。」という指摘が行われているわけですね。その文書による契約が行われないというところに手抜きがあったり、それから保修作業後再び同じ個所から事故や故障が出た場合、だれが責任を負うのかという責任分担がきわめて不明確になるわけですよね。そういう点で、私はやはり文書できちっと内容もよくわかるような契約というものを結ぶべきだろうと思うんですね。これも常識ですよ、これは普通。そういう点で通産当局もそのことを指摘をしておるわけなんで、原電としては今後そうすべきだというふうに当然お思いになると思うんですが、その点どうかということと、それから通産当局に対しては、文書で契約すべきではないかというふうな指摘をしているんですが、これは何も原電に限ったことでなくて、私はこういう内容については各発電所においても原電並みのことが行われてきたんではないかというふうに思いますので、それらについても今後きちっと指導をされるべきだと思うんですが、その点いかがですか。
○参考人(浅田忠一君) 契約ということに関しましては、緊急の場合必ずしも文書でなくて口頭で行う場合がございますが、そのときには事後速やかに文書による契約ということを実施いたすことになっております。今後も緊急の場合全部文書によらなければならないとは存じませんが、口頭で指示することもございますが、直ちに文書によってこれを契約にするという方法をとっていきたいと存じます。
○政府委員(石井賢吾君) 私ども十八日に発表いたしました報告書を各電力会社に送付いたしまして、その内容を十分熟読玩味して、それらを各発電所における自主保安体制の総点検の上に役立たせてほしいということを伝えてございますので、その一環として今後とも機会あるごとにこういう指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○吉田正雄君 先ほどは例の給水加熱器のひび割れの二件に集中したような話をしたんですが、問題は、原子力発電の安全性とか、私どもが言っている安全性というのは、要するに放射能の問題ですから、その辺で何が折れようとねじが飛ぼうと、要するに環境に放射能が出なきゃいいんですが、そうはならぬわけですから、したがって一番重大なのは、環境への放射能放出ということになるわけです。そこで、例の一般排水路への放射性廃液の漏洩事故というものについて、福井県が指摘するまで原電は通産に報告しなかった、約一カ月間あったんですね。これはこの程度のものはしょっちゅうあるから、こんなものは報告する必要はないというふうにお考えになったのか、あるいはこういう事故は要するに百六条に基づく報告義務に該当しないというふうにお考えになったんですか、それはどっちなんですか。
○参考人(板倉哲郎君) 環境に放射能が出ますような事象あるいは事故につきましては、これは直ちに報告すべきものと考えております。 それから、今回のオーバーフラッドの問題につきましては、建屋内にオーバーフラッドいたしましてもそれが回収されるという元来設計でございましたし、そういう意味では直ちにこれが環境と結びつくと、先ほど先生御指摘になりました放射能が環境に出るということが一番大事だとおっしゃいましたけれども、われわれも全くそのとおりと考えております。オーバーフラッドにつきましては、建屋の中で回収されるものと現地で考えたがために御報告してなかったわけでございます。 それからなお、県とのいまの環境のモニタリングのことでございますが、これにつきましては福井県当局とまた私の方の会社あるいはそこに存在していますその他の原子力機関と一緒になりまして、環境放射能測定技術会議というものをつくっております。その会議で毎年どの分のサンプルはどこで分担するか、あるいは一つのサンプルをともに一緒にはかって、その信頼性を高めるということが事前に話し合いなり決めてあり、また正式な報告書として公表しております。それに従って環境の測定をするわけでございますが、この間見つかりましたホンダワラにつきましては、それは県の衛生研究所が御担当される分であったわけでございます。したがいまして、一番先にその結果がおわかりになりましたのが福井県の衛生研究所でございまして、衛生研究所から早速測定された日かその翌日御報告がありまして、翌日、衛生研究所とまた当社の者も一緒に改めてサンプルしてその確認を行った次第でございます。 以上でございます。
○吉田正雄君 どういう会議があってどういう手順でどういう分析をするということを聞いているんじゃなくて、私がお尋ねをしたのは、要するに、福井県が指摘をするまで原電としては気がつかなかったのか、気がつかなくてもこんな程度のものは報告する必要はないと思っておったのかということを聞いたんですよ。 と同時に、この漏洩事故については、当然報告すべき内容だと思うんですが、どうなんですかと聞いているんです。
○参考人(板倉哲郎君) 環境におきまして異常値があり、それが通常ルートでないところから出ているということが、確認されればといいますか、それがわかりましたら、直ちに報告すべき事項と考えております。 それから第二番目の、オーバーフラッドのことにつきましては、これが発電所の管理区域内にとどまるものと考えていたために、現地で発電所におきましてはこれを直ちに報告の対象と考えていなかったというのがこれまでの経緯でございます。
○吉田正雄君 これは私も事実どうかわかりませんが、通産当局の調査結果でももちろんそういうものは出てきていないと思うんですが、こういううわさが飛んだんですよね、この問題については。 福井県のモニタリングというのは、ホンダワラの採取等が大体定期的に毎月八日ですかに行われます。そうすると、一カ月間ないと、その後。したがって、放射性廃液というものを単にタンクからオーバーフローした、あふれたなんてものでなくて、どうしても何か捨てなきゃならない何らかの理由があったんじゃないか。したがって、その月の八日の採取が終わった直後に流すと、その翌月まで一カ月間あると、こういう必要性があったんではないかという——これは私は聞いた話で、推測です。しかし、一連の事故隠しやいろいろな調査の結果を見ますと、そういうふうに疑われてもやむを得ないんじゃないかという経過ですよね、いままでの一連の事故隠しからするとね。そういううわさが流れるくらいなんですから、そういう点で私はこの問題というのは非常に重大な問題だと思うんですね。 そういうことで、私はやっぱり通産当局、いま原電の方でも言っておりますように、この事故についてもまさに百六条の報告義務に違反をしたということはこれは間違いないわけですね。これは間違いないでしょう。
○政府委員(石井賢吾君) 電気関係報告規則におきます放射線事故と申しますのは、人及び施設に対する過度の放射能の汚染ということでございます。それから、原子炉規制法によりますと、異常な漏洩という表現をとってございます。ただいま会社側の方からの説明では、管理区域内にとどまっているという判断が一つ示されたわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、この放射能の漏洩につきましても、現実問題として今回の事故経緯におきまして御指摘を受けておりますが、発電所構内における意識とそれから一般住民との意識が非常に乖離している、そこにいろいろな問題、ひずみを生んでくるゆえんであろうと思うんでございますが、これにつきまして具体的にいかなる場所及び量、濃度、それが具体的に対象になるかというものについてのクライテリアを十分に持っておらなかったという点を反省しておるわけでございます。
○吉田正雄君 余りむずかしいことを聞いてないんですよ。要するに、報告の義務のある事故だったでしょうと聞いているんですよね。
○政府委員(石井賢吾君) いま申し上げましたクライテリアを欠いておったという段階で、直ちに報告義務対象であるかどうかということは断定できないというふうに思っております。
○吉田正雄君 この放射性廃液の漏洩事故、それから一般排水路への流出、そして微量であれこれが浦底湾に出ていったと、こういう一連の事故について報告しなくていいんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私は最初申し上げましたのは……
○吉田正雄君 いやいや、私の質問に答えてくださいよ。あなたが自分で勝手に問題を設定して、それに答えることじゃない。私の質問に答えてくださいと言っているんだ。
○政府委員(石井賢吾君) 漏洩段階におきまして、外部への流出があるということがわかっておりましたら、当然にこれは報告義務であるというふうに考えております。今回の場合には、管理区域内にとどまっておるという判断がなされたために、報告をされなかったというふうに理解いたしております。
○吉田正雄君 報告をされなかったじゃなくて、それではあれですか、タンクから放射性廃液があふれた、いろんな除汚作業も行われた、労働者被曝も出てくる、こういう一連の事故について報告しなくていいのですか、それが管理区域内であれば、そういうものがあっても。私の質問わかってないんじゃないですか。私が一貫して当初から聞いておるのは、この一月以来の一連の事故について、法に定めた報告義務というものが完全に守られておらなかったということと、さっき皆さんにも認められたように、溶接等については電気事業法四十六条にも明確に定められていると、それも守られなかったということで、私はさっき二つは聞いて、いま三つ目というのは、放射性廃液の漏洩事故について聞いているんでして、この放射性廃液の漏洩事故については報告する必要のない内容なんですか。それを聞いているんですよ。おかしいですね。 管理区域内であれば報告しなくていいというのはどういう意味ですか。事故でしょう、要するに。放射性廃液の漏洩事故が起きたのですよ。それが一般排水路へ入っていって、そして浦底湾に微量であれ流れ込んでいったということなんで、この一連の放射性廃液漏洩事故については報告する義務はないんですかということを聞いているんですよ。そんなめんどうなことを聞いているわけじゃないのですよ。
○政府委員(石井賢吾君) 外部へ流出したということでございますと、その段階において当然それを掌握している限りにおいて報告義務対象であるということは申し上げられるわけでございます。 それで、問題は電気事業法の報告義務についてのお尋ねでございますが、電気事業法につきましては、過度の放射線事故というものが報告対象とされておるわけでございまして、今回の場合には電気工作物の損傷事故、損壊事故はなかったという判断はいたしておりますが、漏洩そのものにつきまして、電気関係報告規則による放射線事故に該当するかどうか、これの具体的な定義といいますものは実は抽象的にしか規定されておりませんで、人が放射線を過度に被曝し、または機械、機具等が過度に汚染されるということが先ほどの放射線事故というふうに規定されておるだけでございます。したがいまして私は、いやしくも管理区域外に出るというものはすべてこれは報告義務があるというふうに判断いたしますが、管理区域内におきましては先ほど申し上げましたように漏洩の量あるいは濃度及び場所において、具体的に判断しなければいけないんではないかというふうに思っておりますが、私ども五月十八日に発表いたしました報告書におきましても、今後今回の事故を教訓といたしまして、報告義務について具体的なクライテリアを設定する、今後具体的に省令なり告示なりの改正を通じまして、明確なクライテリアを設定をして、ただいま御指摘いただきましたような報告義務対象であるかないかというような問題が出ないような形で、法運用を改善してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○吉田正雄君 あなたの説明を聞いていますと、放射性廃液であれ、放射能そのものであれ、環境外に出て、管理区域外に出て、何らかの公衆に対する被害とか従業員に対するそういうものがなければ、そういうものは報告する義務はないんですか。たとえば一月十九日の例の新設の放射性廃棄物処理建屋の例のあの濃縮廃液貯蔵タンク二基の加熱用蒸気配管のつけ根部分が三カ所から廃液が漏れましたね。あれも直接外部の環境に出て一般公衆だとかそういう人たちに放射能障害を与えたということはないけれども、これもそれじゃ報告の義務はないわけですか、こういうものは。
○政府委員(石井賢吾君) ニューラドウエストの廃液貯蔵タンク室というのは、当然に高度に汚染される場所でございます。したがいまして、漏出の量、これは石質という状態において固まっているということ、非常に微量であったということは確認できておるわけでございますが、逆に放射能濃度は当然のことながら高いということでございまして、先ほど申し上げましたように漏洩する場所及び濃度、量、これにおいて具体的なクライテリアを設定しなければいかぬということをわれわれ反省しておるわけでございますが、直ちにこれが当然のことながらこの報告義務対象であったかどうかという点については、非常に判断がむずかしいところではないかというふうに思っておるわけでございます。
○吉田正雄君 そういう判断であれば、原電が一々報告しなかったからといって皆さん目くじらを立てる必要はないわけですな、それは。いまでも報告すべき内容であるかどうかはまだ判断がつきかねるという答弁であれば、何でこんなに大騒ぎするんです。全然おかしいじゃないですか、それは。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもは、こういった明確なクライテリアを欠いた段階におきまして、通達を出しまして、通達によって法運用全体を担保していこうという方針のもとにこれまで対処してきたわけでございます。したがって、この通達違反がございますと、私ども直ちにこれが法律違反かどうかということの前に、少なくともこの通達の趣旨が踏みにじられたという意味において、きわめて遺憾であるというふうに思っておるわけでございますし、同時にその通達によって拾い上げていったものについて、具体的に内部で検討をして、これが報告されるべき事項であるかどうかの仕分けを今後やっていくということになるわけでございますが、私どもとしては早急にその具体的なクライテリアを設定したいというふうに思っているわけでございます。
○吉田正雄君 じゃ、さっきのあれだけ確認をした五十二年三月三日の資源エネルギー庁第二千三百十一号の通達というのは、どういうことになるんですか。これは詳細に書いてあるんじゃないですか。さっき読んだとおりでしょう。「発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についても」これは報告しなければならぬと書いてあるんじゃないですか。これは入らないわけですね。
○政府委員(石井賢吾君) その通達への違反であることは明らかでございます。
○吉田正雄君 この通達は何を根拠としているんです。法的根拠はないんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 先ほどお答え申し上げましたが、具体的なクライテリアを欠いたままで法執行をする以上、いかなるささいな問題であっても表に出ますといろいろな問題、要するに情報ギャップがございますので、そういう問題を一切根絶するという観点から、すべてのささいなものであっても報告をするようにという通達を出しましたのは、これは行政指導に基づいてでございます。しかしながら、ささいな事故という考え方も明確でございません。したがって、その中に含まれるいろいろな報告内容によって報告義務対象であるかどうかを仕分けをしていかなくてはいかぬということでございます。
○吉田正雄君 そうすると、一月十九日のいま言った新設の放射性廃棄物処理建屋の濃縮廃液貯蔵タンク二基の加熱用蒸気配管のつけ根部分三カ所からの廃液が漏れたというものと、給水加熱器の一月のそのひび割れ、片一方は該当するけれども、あとのは該当しないんですか、そうすると。全然混乱しているんじゃないですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私は、一月十日及び二十四日の発見にかかわる漏洩事故、給水加熱器のクラックに関しまして、これが当然に原子炉規制法及び電気事業法に言う報告対象であったというのは即断しがたいとお答え申したはずでございます。当然通達によっていかなるささいな故障であっても連絡するようにという通達になっておるわけでございますから、その通達に違反していることは明らかでございますものの、具体的に報告対象であるのかどうか、たとえば電気工作物の損壊事故という場合に、その損壊事故の定義は電気工作物の重要な、主要、著しい機能の低下、または運転停止ということになっているわけでございます。そういうような事故に該当するかどうか、いろいろな見方、議論がございます。そういう意味で、にわかに断定はできないということを申し上げておるわけでございます。
○吉田正雄君 あなたの説明では全然わからないんですよね。大体溶接というのは、原電当局も認めておりますように四十六条に該当する内容なんですよね、あの溶接作業というのは。それだけ重大な四十六条に該当する内容のものであっても、これは報告する事項というものが明細に書かれていないから、報告の義務には該当しないと、こうおっしゃるのですか、そうすると。
○政府委員(石井賢吾君) 先ほど百六条と四十六条との関係を御説明申し上げたと思っておりますが、四十六条は事故その他一切関係ない、いわば溶接工事を行います場合の溶接方法の認可と、それから溶接実施後におきます検査の義務づけの規定でございまして、百六条とは関係ない規定であるとわれわれは解しておるわけでございます。したがいまして、四十六条の構成要件該当性が高いという場合におきましても、直ちに百六条の当然のことながら対象であるということではないんではないか。これはたとえば非常におかしな話でございますが、同じような給水加熱器のクラックにつきまして、第一回目におきましては、他の理由によります原子炉停止の期間中に溶接をしてしまったということでございますが、第二回目におきましては、コーキング及びバンドを締めて応急修理をしたということでございます。内容的には同じような給水加熱器のクラックでございますが、これらにつきまして片一方が四十六条に該当する可能性が高いから報告義務違反である、あるいは他方につきましてはその対象でないから報告義務違反にならないという問題ではないんではなかろうか。したがいまして、私どもは百六条の具体的なクライテリアの議論としましてこれを検討しなくちゃいかぬ問題であるというふうに理解しておるわけでございます。
○吉田正雄君 それでは五月十八日のこの報告の中のこれは何を意味してますか。「五十六年一月に二回にわたり第四給水加熱器胴側でドレン水漏れが発生した事象については、監督官庁である当庁に対して報告を怠ったうえ、保修工事に関し適切な施工を欠き、かつ、所要の法的手続きを行わなかった」と書いてあるじゃないですか。これはどの部分を指しているんです、この「法的手続きを行わなかった」というのは。皆さんの報告書に明確に書いてあるじゃないですか、「法的手続きを行わなかった」と。何がそれじゃ法的手続を行わなかったんですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもがここで記述いたしておりますのは、五十二年三月に発しました通達によりまして、いかなるささいな故障であってもすべて原子力発電所にかかわります故障、事故については報告するようにという通産大臣通達を出しております。したがいまして、これに対するまず基本的に報告が行われなかった、そういう懈怠の問題。それからもう一つは、いま申し上げました所要の手続と申しますのは、溶接検査を経ずに行ったことを指しているつもりでございます。
○吉田正雄君 だから溶接そのものは、その前の通産大臣の通達というのは何に基づいているんですか。どの法律にそれじゃ基づいているんです。
○政府委員(石井賢吾君) 先ほど来申し上げましたように、これは行政指導でございますので、通産省設置法の権限に基づいて行っておるわけでございます。
○吉田正雄君 通産省設置法に基づいてるんですね。それじゃそれは第何条に基づいてるんですか。 さっきから、通達はちっとも法的根拠はないという言い方盛んに言っておったじゃないですか。突っ込んでいくと今度はそういうことを言い出す。こっちをつっつけばこう答える、こっちをつっつけばこう答える。都合のいい答え方ばかりしているじゃないですか、あなたは。私の尋ねていることは終始一貫しているんですよ。ところがあなたの答弁は常に変わっていくんだよ、それは。幾ら聞いたってわからない、それじゃ。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもは通産省設置法三条に基づきまして所要の行政指導を行っておるわけでございまして、大臣通達もこれをもとにしまして発しておるわけでございます。
○吉田正雄君 じゃその通産省設置法三条読んでみてください。
○政府委員(石井賢吾君) 第三条は通商産業省の任務を規定いたしております。「通商産業省は、次に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」ということがございまして、五に電気事業の運営の調整というのがございます。これに基づきまして通達を発しておるわけでございます。
○吉田正雄君 それに基づいて通産大臣通達を出したということなんですか。それはどういう内容を持っている、その通産大臣通達というのは。
○政府委員(石井賢吾君) 先ほど申し上げましたように、原子炉規制法の異常な漏洩という表現あるいは電気事業法にかかわります放射線事故あるいは電気工作物の損壊事故、こういう抽象的な表現につきましていろいろ問題がございます。報告すべき範囲かどうかというような問題がございますので、その点を問題にする以前に、すべての原子力発電所のささいな損傷、事故にあっても通産省に報告をさせるということが両法の施行の上にも必要でございます。したがいまして、通産省の設置法を根拠にいたしまして両法の施行を円滑に行うための行政指導として通達を出したわけでございます。
○吉田正雄君 そうすると、その通達ではいまの指摘をしている件については報告する義務があるのかないのか、そういうことは判断できないと、こういうことなんですね。
○政府委員(石井賢吾君) 通達によりますと、すべて報告さるべきである、通達に基づきまして報告しなくてはいかぬということになっておるわけでございます。
○吉田正雄君 そうすれば、あなたの答弁は百六条に該当しなくても、それじゃあ通産省設置法第三条に基づく、そこの法的根拠を持つ通達に違反をしておりますという適用条文がそれじゃ違うんですが、違反をしていることは間違いありませんと、こう答弁すべきでしょう。あなたのいま答弁聞けばそうなっている。だから、あなたは法律の専門家かどうかわかりませんけれども、私のもし指摘が間違っておったら、それは百六条ではなくてむしろ設置法三条に根拠規定を置く通達に違反をしております。つまりはその法三条に違反をしておりますと、こう説明するのが当然じゃないですか。
○政府委員(森山信吾君) たびたび石井部長から御答弁申し上げたわけでございますが、少し吉田先生の御質問のポイントとずれておるわけでございまして、言わんと欲しますところは、私どもの見解では、法律的に見ましていろいろな報告義務が確かにあるという解釈をいたしております。これは電気事業法においてもそうでございますし、それから、いま説明いたしました通産省設置法に基づく通達上からも報告義務は当然にあると、こういう判断をしておるわけでございますが、ただ、その報告に反した場合に、法律的な制裁措置を直ちにとれるかということになりますと、その辺の基準が大変あいまいでございまして、たびたび石井部長から答弁申し上げましたように、政令及び省令に基づきましてこういうケースの報告違反はどうだというような明確な規定を欠いておるために、はっきりとしたお答えができにくかったと、こういうことだろうと思います。 したがいまして、私どもの気持ちは、すべての事象につきまして報告をしていただきたいということを通達で担保しておるわけでございますので、報告が漏れておりますと報告義務違反、こういうことになりますが、ただ、その報告義務違反を追及するための問題になりますとなかなか立証はしにくい。こういう事態がございますので、そういう事態をできるだけ早く改善するための政、省令、規則等の改正を急がなくちゃならぬ、こういうことを石井部長が答弁しておるわけでございます。
○吉田正雄君 そうすると、いままでの論議で明らかになったのは、四十六条違反だけはこれは明確に認められておるわけですね。 そうするともう一つ、この一連の事故に関連して保安規定ですね、これに違反した、つまり、三十七条第四項に違反をしたということが指摘をされて、結論としてはその条文の適用だけをもって六カ月間の運転停止を命ずると、こういうことになっておるんですね。 そこで私は、いまの論議の中では電気事業法四十六条の違反も明確である。それから保安規定に違反をしているというのは、これはもう一貫して明らかである。これはそうなんですが、今度の行政措置については片方の条文だけを適用したということなので、それは俗に言う裁量権とかいろいろなことが言われると思うんですが、これに対してはこういう批判があるわけですね。 結局、通産大臣も当初厳しく告発等も考えるという非常に強い姿勢であった。それが途中からいつの間にか後退をしていったということは、今後の原子力開発推進にとって余り法どおりの厳しい措置をとるというと、大きな悪影響が出てくるんではないかという政治的判断に立って今回の行政措置というものがとられたというふうに一般的に言われ、私もそうであろうというふうに推測をいたしておるんです。まあ政治的判断なんて言われるといやな感じがされるかもわかりませんですが、こういうのを政治的判断と普通言っているものですからそういうふうに申し上げるんですが、これをもって、先ほどもまだ調査が部分的には継続中ということもありましたが、これは長官でもいいんですが、もう一回ここで聞いておきたいのは、私は調査はまだ終了してないと思うんですね。まだ報告してないものもありますと言って原電でもおっしゃっておりますし、そういうことで通産当局としての一連のこういう事故に対する違法部分もあるわけですが、それに対しては今回の措置をもって終わりと、あるいは今後の調査結果によっては当初大臣がおっしゃったようにあるいは告発する場合も出てくるかもわからぬと、こういうふうにまだ含みがあるのかどうなのか、それをお聞かせ願いたい。
○政府委員(森山信吾君) 政治的な判断という御指摘がございましたけれども、私どもは全く行政的な判断によりまして今回の処分を内定をしておるわけでございまして、行政上の措置といたしましては、原子炉等規制法に基づきます運転停止命令という処分が一つございますし、それからもう一つ、行政指導によります運転の停止という二つの観念があるわけでございます。したがいまして、五月の十八日に私どもが報告をいたしました一連の事項に関しましては、原子炉等規制法に基づきます運転停止命令六カ月に相当する事故である、こういうふうに認定をいたしまして、これは近く聴聞会の手続を経た上で発動いたしたいと思っておりますが、そのほかの行政指導に基づきます運転停止期間というものは、いずれ近く原電敦賀発電所から総点検の結果が出てまいると思いますので、それを見た上で行政指導としての運転停止期間は別途決めていく、こういう感じでございます。具体的には私どもは総点検の結果を受けまして、改善を要する事項が多々出てくると思いますので、たとえば建屋の改修の問題あるいは一般排水路の改修の問題等々ございますから、そういうものを完全に履行していただくまでは運転の再開は行政指導として認めない、こういう二つの一連の処分を考えておる、こういう次第でございます。
○吉田正雄君 それじゃ法務省当局にお尋ねをいたしますが、おいでになっていますか。 いまお聞きになっておって大体経過とか私がお尋ねをしておる内容についてはほぼ御理解をいただいていると思うんですが、五月十一日に原子力発電に反対する福井県民会議ですね、これが代表委員外約百余名と言われておるんですが、連名でいまの一連の発電所事故に関して原電本社の鈴木俊一社長、岩越前敦賀発電所長、それと原電本社そのものですね、の三者を原子炉等規制法、電気事業法違反の疑いで福井地検に告発をしたということが報道されておるわけですね。その事実と、時間がありませんから告発の概要はどういうものかお聞かせ願いたい。
○説明員(飛田清弘君) ただいまお尋ねにございましたような、原発反対福井県民会議の加盟団体等の代表の伊藤実さんという方ほか多数の方々から、本年の五月十一日に福井地検に対しましていまお尋ねのような方々を相手として、被告発人として告発がなされておりまして、現在この事件は福井地方検察庁で捜査中でございます。告発事実の内容と申しますのは、相当長くなるんでございますが、結局、本年の一月十日に敦賀原子力発電所の原子炉とタービンの中間に位置する給水加熱器付近で放射能を帯びた冷却水漏出事故が発生し、また同年一月二十四日午後三時ころ同じ個所において同様の事故がそれぞれ発生いたしまして、保修工事を行ったのですが、それを前提といたしまして、一つとしては、原子炉等規制法等により事故の発生状況、原因、処理等を記録し、これを事業所等に備えつけておかなければならないのにこれを怠ったという事実、それから二つ目が、事故の発生を知ったときは電気事業法などに言う期間内に通産大臣等に対し事故発生の日時等を所定の方法で報告しなければならないのにこれを怠ったという事実、その二つの事実を含めたのが昭和五十六年の一月十日と、それから二十四日の事故に関連した違反として告発されておりますほか、さらに大きい二つ目として、一月十九日に同じような事故があったのに一同じように報告等をしなかったという事実、さらに三つ目は、本年の三月七日にやはり事故があったのにそれを報告等をしなかった、怠ったという事実と、大きく分けて三つで、その三つがそれぞれ二つずつに分かれるような内容の事実で告発が行われてございます。
○吉田正雄君 そうすると、一応この告発は受理をされて、調査は開始をされておるのか、どうですか。
○説明員(飛田清弘君) 刑事訴訟法によりますと、検察庁に告発があった場合には、検察庁といたしましては捜査をしなければなりませんので、この告発が受理されておりますから、現在捜査を行っていると、こういうことでございます。
○吉田正雄君 時間もありませんから、いまの論議をお聞きいただいて、大体問題がどういう点にあるのかということは御理解いただいていると思うのですね。最終的にそれに適合するかどうかの判断ですね。もちろん検察当局がおやりになると思うのですが、私はここでひとつ、いま聞きますと、告発の内容では適用条例というのか法文ですね、のところではさっきから一番問題になっておりました電気事業法四十六条が欠落をしておるという感じなんですが、仮に告発状の中に欠落をしておっても、調査段階でその事実が明らかになれば、これは当然その条文というものが取り上げられるということはこれは当然ですね。
○説明員(飛田清弘君) 御指摘のように、告発状によりますとその罪名は電気事業法といたしましては百六条一項、百二十条十号、百二十一条ということになっておるようでございまして、その四十六条という条文が書いてあるかどうか、私直接告発状を見たわけではありませんので承知しておりませんけれども、少なくとも告発というのは条文の告発じゃございませんで、具体的犯罪事実の告発でございますから、その犯罪事実ということを調べてくれということでございますんで、その事実を調べて、適用法条があればそれはそれなりに検察庁としては判断することになると思います。
○吉田正雄君 ここで私は検察当局にこれはお願いをしておきたいんですけれども、実は一部伝えられているところによりますと、いまもちょっと申し上げましたように、原発開発へのきわめて政治的な判断とか、そういうものによってある程度手心が加えられるんじゃないかといううわさがすでに流れておったり、それからこれはもっと余り言いたくないことなんですが、仮に告発によって起訴をされるというふうな事態になると当該関係者に対して叙勲への影響が出てくるんじゃないかというふうなことで、しかるべき配慮というものがそこでもなされるんじゃないかとか、そういううわさも流れております。私はそんなことでこの問題については判断されるべき問題じゃないというふうに思うわけですね。そういうことで、私としては検察当局は、告発を受けたからということではないんですけれども、これだけ約半年間にわたって世間を騒がせたきわめて重大な一連の事故であり、しかも事故隠しということが再三指摘をされてきておるわけですから、そういう点で私は厳正にひとつこの捜査をやっていただきたいと思うんですが、その点の考えというか決意というものをお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(飛田清弘君) ただいま御指摘にございましたように、検察当局はこれまでもあらゆる事件につきまして常に厳正公平な立場で事件を捜査し、また事案に応じて、重かるべきものは重く、軽かるべきものは軽くという立場から、適切に事件処理を行ってきているところでございまして、その点につきましては今回の事件についても同様の立場をとるものと思います。ただ、何せいま告発がなされたばかりでございまして、実際にどういうふうなことだったのかというのを、刑事訴訟法上通用いたします証拠に基づいて事実を認定した上でなければ、何とも判断しかねるものでございますので、いまの時点で検察が将来どうするかということは、これはまだ全然申し上げるべき段階ではございませんけれども、検察の姿勢といたしましては従前と同じような立場で行う、こういうことになろうかと思います。
○吉田正雄君 原電に対しては、この調査に際して一般排水路の土砂の資料提供とか、その他のいろんな資料提供については、お見えの浅田常務との間に、あるいは青木総務部次長との間に明確な確認もしたわけですが、その約束が守られていない、この点については、実はここに青木委員も見えておりまして、これに関連した、というのはいまのこの資料の問題じゃないですが、いまの一連の問題で関連質問というものを緊急にやりたいということでお見えになっておりますから、この原電が社会党と約束をしたにもかかわらずこれを破ったという問題については、改めてまた委員会で、この委員会なり科学技術振興対策特別委員会でまた証人として出席をしていただいて、この点について原電側の責任ある回答というものをお願いをしたいというふうに思っておりますので、その点社内においてもひとつ十分検討していただきたいと思うんですね。そのことだけ申し上げまして、一応私の質問はこれで終わらしていただきます。
○青木薪次君 四月十八日の福井県敦賀市の日本原子力発電会社敦賀発電所の事故という問題については、同僚議員の吉田委員がいま詰められたわけでありますが、これに関連いたしまして私も、先般以来問題となっておりました運転管理専門官制度について、敦賀発電所のたび重なる事故隠しについて、通産省の原子力発電所に対する監視体制の甘さが、いまもいろいろ発言されておりましたように問題になっているところでありますが、現地に派遣されている運転管理専門官がどうして事故に気がつかなかったかという問題なんでありますが、一部の新聞にはその原因として、専門官の中に米検査官がいると、十五名のうち五人が米検査官から転任された人で農林省出身だと、あたかも専門官の資質や能力の問題であるかのような報道がなされてきたわけであります。国民もまたそう思っているわけでありますが、このことについて、全農林、全国の農林省関係の労働組合では、これを大変問題にいたしまして、農林省からの配置転換者の責任に転嫁するがごときことを通産省が記者会見で言うことについては、これは重大な問題であるというように、いま問題として指摘されて、実はきのうも私のところへ委員長や三役の皆さんがお見えになったわけであります。 これはわが党の矢田部委員が中曽根行管庁長官に質問したところによりますと、行管庁長官の答弁は、農林省からの人はきわめてまじめで優秀、本人の名誉を傷つけることになり大変遺憾に思っているということを実は言っているわけであります。本人の名誉の回復等の救済を行わなければならないと考えて通産省と折衝している、民間では配転に当たっては徹底的に研修を行っており、見習うべきものと考えているんだということで、中曽根長官は通産大臣とこのことについて相談をしているという答弁をしているわけでありますが、果たして相談があったのかなかったのか、通産大臣にお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(石井賢吾君) 事務的な経緯を先に御説明申し上げます。 全農林から抗議申し入れ書というのを私ども受理いたしまして、これにつきまして現在農林当局との協力を得まして、全農林とお話し合いを進めている段階でございます。さきに御指摘いただきましたように、私ども記者会見におきましてそのような発表をしたことはございませんし、事実に著しく反するということ、及び、それがきわめてわれわれとして、われわれの本意でもない報道がなされたことにつきまして、遺憾である旨を申し上げると同時に、われわれといたしましては、現在いただいております五名の方、これは指摘されるように米検査官てはなくて——それは米検査官であってもよろしいわけでございますが、事実はそれに反するということ、及び、われわれといたしましてわずかな訓練期間ではございましたが訓練をし、かつ現在オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しまして日々の訓練をやっていただいているわけですが、具体的な職務は専門官の補佐役としまして地元との連絡調整に当たっていただくと同時に、本省との連絡をとっていただくというような、補佐的職務を現在遂行願っているという意味において、私どもとしてはそれを非常に評価しておる段階でございまして、われわれといたしましてこういう事態になりましたことはきわめて遺憾でございますので、その都度国会の議事録等は御本人にも送付いたしまして、われわれの本意でないこと、皆様方元気でこれまでどおり職務を遂行していただくようにということで、その都度連絡をいたしておるわけでございます。それで、先ほどのお尋ねの行管庁、農林省、それから当局と事務的には十分連絡をとってこの対応を考えております。行管長官も今後の配転の推進という観点から、非常に御腐心いただいているわけでございます。われわれといたしましても全農林が農林省当局との協力のもとに、われわれが適切に対応できるようなお取り計らいをいま進めていただいているものというふうに理解いたしております。
○国務大臣(田中六助君) 中曽根長官からお尋ねがございましたので、ただいま事務当局が申し上げましたように、私としては、誤報とは言いませんけれども、事実に誤認があったようなところもありますと、現在、農林省、それから私どもと十分な話し合い、誤解のないような話し合いを進めておりますというようなことを中曽根長官に申し上げておきました。
○青木薪次君 全農林、農林省の関係の組合としては、部門間の配置転換なら、この際やっぱり応じなきゃならぬということでありますが、省庁間の転勤ということになりますと、全然変わった仕事をしなきゃならぬ。そして農林省としてはいままでいろんな仕事をやってきたけれども、これはもう本人にとって重大な負担になるというようなことで、いろいろ審議をしてきたんだけれども、やはり大道的立場に立ってひとつこの際認めようということで認めたようであります。ところが先般、当委員会におきましてエネルギー庁の高橋審議官が市川委員の質問に対して答えられておりますが、専門官には何ら法的権限も与えられていない、それから原発に対して何らの強制的な調査もできないで、会社側に立ち入りを拒否されれば文句も言えないんだ、こういう法律上の立場に置かれていたことが実は明らかになったのであります。これではいかに有能な専門官でも、会社側が隠そうとすれば事故を見つけることはとうていできないんですね。運転管理専門官制度等については、私どもの方の村田理事から附帯決議等についてもいろいろ後で提案があるようでありますが、今回の事故で十分に機能し得なかったのは専門官の資質のせいじゃないんだということをまずひとつ大臣お認めにならないと、今後大きな問題に発展すると思うんでありますが、いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 先ほども事務当局から御説明いたしましたように、私どもは運転管理専門官、特にそういう配置転換をしてきた人々の、そういう管理専門に当たっておる人々が能力的にもあるいは資格的にもあるいは技術的にも劣っておるというような考えはさらさらありませず、 〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕 むしろ感謝しているような程度でございます。
○青木薪次君 当該敦賀原発については、実は一人も行ってないんですね。それで五十五年行革のときに、八十九人中農林省関係八十五人行っている。ところが今回の敦賀原発については一人も行っていない。原発へは確かに五人行ったけれども、農政事務所の人と統計事務所の人と営林局の人が行っているんです。ですから、この問題については御本人たちはこれは大変なこととして、何も関係ないのにわれわれが、いかにも米の検査官が原発ができるかというようなことで無能呼ばわりされたようなことでやられたんでは、これはもうプライドを傷つけられることはもちろんのことだけれども、今後の省庁間の配転なんか断固としてできない、もうこれはどんなことをしてもできないということで、これからひとつ国民的立場に立って今後の問題についていろいろとわれわれも協力するところは協力するということができるとするならば、これはきょうは通産省が全農林の江田委員長の申し入れに基づいてやはり回答をするということでないと、このことは全体に響いてくると私は思うのでありますが、通産大臣そのことについて全農林の皆さん方の名誉に関する問題でありますから、もう一度このことについては回答も出すし、いろいろと問題がいろんなところに発展したことについて大変遺憾であるということを言っていただきたい、こう思います。
○国務大臣(田中六助君) その件につきましては、たびたびいまお答え申し上げておりますように事実はございませんし、誤報も加えて私ども非常に遺憾に思っておりますし、ここに森山エネ庁長官もおりますが、エネ庁長官に命じてもしもそういう回答つきの抗議というようなことがございますれば、長官名でいつでも御返事申し上げたいというふうに思います。
○青木薪次君 これは中川福井県知事の談話によりますと、専門官制度のできた発端というものは、県はかねてから県民の生活と安全を守るという立場に立って、通産省は現地に専門官制度をひとつつくり、専門官を常駐させることに同意したんだ、こういうように言われているわけであります。これは地方自治体にやはり原子力安全行政上必要な権限を与えなければいけないという問題と符合するわけでございますけれども、通産大臣にかわって一方的な指導責任を果たせるような法的裏づけのあるものでなくては、これでは県民の安全は守れないということに実はなると思うのでありますけれども、今後の問題として通産大臣も遺憾の意を表されておりますので、私はこのことは皆さんに伝えますけれども、 〔理事前田勲男君退席、理事土屋義彦君着席〕 やはり原発地元住民の安全を守るというねらいであるならば、任務に必要な権限等について与えていきませんと、通産省と電力会社とのなれ合いだというように国民は非常に見ておりますので、そういう点から必要な権限の問題について早急に検討して付与する方向でひとつ努力する、森山長官いかがですか。
○政府委員(森山信吾君) 今回の事故を契機にいたしまして、私どもも監督のあり方につきまして検討を進めていくべき事項だというふうに判断いたしております。ただ、この判断基準、監督基準というものがどうしても高度な知識を要求されるところがございますので、それぞれの地方自治体ごとにそういう権限を付与しますことが果たしていい結果になるかどうか、そういうことも見きわめる必要があろうかと思っておりますので、そういう点も踏まえましてただいま先生の御指摘の点は慎重に検討してみたい、かように考えておる次第でございます。
○青木薪次君 私はこのような形で、今後において通産省としてこの問題に対する安全指導その他について相当抜かりのあったことは事実でありますから、そういう点から現地に派遣された人たちの能力のなさがこうなったということについて、非常に問題を他に転嫁するようなことについては許されないということでありまして、重大な国民に対する生活と安全上の最題点が惹起されたわけでありますから、今後においてもこれらの問題について通産省のひとつ対応という問題について監視するということを私はここで申し上げて、私の質問を終わります。
○理事(土屋義彦君) 午前の質疑はこの程度といたします。 なお、鈴木参考人には御多忙中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございました。午前中で御退出下さって結構でございます。 午後一時まで休憩をいたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○森田重郎君 まず、冒頭これは大臣にお伺いをしたいと思うんですが、去る五月十八日にエネルギー庁で「日本原子力発電(株)敦賀発電所における給水加熱器及び一般排水路放射能漏洩事故について」、こういう実はお達しがあったわけでございますが、ちょうど三章から成っておりまして、第二章が日本原発さんに対する措置、これは、かねて言われておりますとおり六項目、同時にまた第三章におきまして「今後の安全規制行政の強化対策」、これがまあ結び、こういうことになっておるわけでございますが、これらの内容をずっと拝見しておりまして、内容そのものは十分わかるんでございますが、どちらかと申しますと、言うなれば各種機器の欠陥であるとか、あるいはまた作業員の方々による不幸にしての操作ミスの問題、さらには今後の管理体制の強化、こういう一連の問題に実は尽きるように私は私なりに判断をするわけでございます。 そこで、これらの問題も、これは非常に重要なことではあるかと思うんですけれども、たび重なる原発事故に対します今後の通産行政としての基本的な認識というものを、この際改めて問い直される時期にあるような気がしてならないんでございますけれども、その点につきまして大臣の御所感を伺いたい、かように思います。
○国務大臣(田中六助君) いま御指摘のように、私どもやはり今回の関連する敦賀発電所におきます事故につきましては、やはり国民の不信感を増幅したということ、さらに不安感をあふったというようなこと、そういう観点から、いままで原子力発電所問題については安全性というものを強調してまいりましただけに、実は私どもも大きなショックを受けておりますし、まして国民の皆さん、それから福井の住民の皆さんもそうだと思いますし、この点につきましては私どもが原子力発電所の増設とか稼働をやめるというのなら別でございますけれども、ますます将来を展望するときに、エネルギー問題というものを抱えてより一層原子力発電所の設置、増設、そういうことをやらなければなりませんだけに、大いにえりを正し、管理官制度あるいは安全審査、検査、そういうものをより一層厳重にしていかなければならないという強い反省を持っております。
○森田重郎君 大臣の強い反省というお言葉は、それなりに理解できるわけでございますけれども、実はこれは新聞報道の中から私承知したことでございますけれども、原発に対する報告義務あるいはまた安全規制の問題も、先ほど申し上げましたようにこれもさることながら、何かアメリカあたりでは内外の原発の運転状況というようなものを、つまびらかにデータで解説をして事故防止に役立てる。そういう意味での、言うなれば大きな意味での安全分析センターがあるというようなことを新聞紙上で拝見したわけでございます。同時にまた西独においても、言うなれば大型コンピューター導入によるところの内外の原発の事故あるいはまた故障情報、そういったようなものを集積して、言うなれば公正な安全行政を行う、そういう意味の研究機関があるやに伺っておるわけでございますが、それらについてどなたか御存じの方がございましたら結構でございます。お知らせいただきたい、かように思います。
○政府委員(高橋宏君) 発電所の運転あるいは建設等に伴いますそういう問題につきまして、幅広くデータを集積いたしまして、それを次の設計あるいは運転に生かしていくということは、技術の向上の基本になる問題でございますが、一般的にはデータバンクという言葉でそういうものを集積し、かつ、ある一定の目的のために随時引き出せるような組織をコンピューター等も導入して行うということをやっております。イギリスにおきましてもそのデータバンクがかなりデータを集積して実用に供せられつつあるというやに聞いております。アメリカにおきましても民間団体におきましてそういうふうな試みがなされております。日本におきましても、私ども通産省におきまして品質管理という問題——クォリティーアシュアランスと言っておりますけれども、そういう角度から、単に事故、トラブルばかりでございませんで、もっと細かいバルブのもろもろの故障等につきましても、ある一定の目的のために整備してやろう、こういう試みのもとに研究開発をやっているところでございます。ドイツにおきましてもKWUという組織がやっているやに聞いております。私いまデータバンクシステム、日本ではクォリティーアシュアランスの面からやっておるということを申し上げましたけれども、現在その次の段階としまして事故故障情報処理システムの開発、こういうテーマで実は五十五年から予算をつけまして委託研究を行っているところでございます。しかしながら、こういうものは、御指摘のように一つの技術的な解析システムの研究も大事でございますけれども、そこにいろんな実際のデータを有効にインプットするということが基本になろうかと思います。今後電気事業者におきましても、自分の発電所のいろいろな運転の経験は次の発電所への技術進歩につながるという趣旨で、積極的にこういうデータをこのシステムの中にインプットする、そういう協力が必要だと思っております。私どもそういう観点から、その充実にもっと努力していきたいというぐあいに考えております。
○森田重郎君 ちょっと質問の向きを変えたいと思いますが、最近しきりと言われておることでございますが、この六カ月間の運転停止処分と六項目の安全措置あるいは七項目の改善策の指示、これを公表したあとで、この原子炉等規制法の規定では処分前に聴聞会が開催されるということになっておるようでございますが、この辺がどういうミスでこういうことになったのか、この辺についてちょっと通産御当局の御意見を伺いたい、かように思います。
○国務大臣(田中六助君) 多分聴聞会を開かなければ六カ月の言い渡しができないという問題だと思いますけれども、私が現地の敦賀に参りまして六カ月という運転停止命令を決めたわけでございますが、これは一日も早く私としては実行することが大事だというふうに思いまして、事務当局に早目にするようにということを命じたわけでございます。事務当局としてもそれをのみ込んで、それに応ずるようにしたわけでございますけれども、ただ役所の一つの長い間のシステムといたしまして、やはりそれを実行するにはチェックをしなければいけないということで、事務当局がきわめて冷静に予定どおりずっとチェックをしておるわけでございまして、したがって聴聞会は開かなければならないと、幾ら大臣がとやかく言っても、というようなこともありまして、聴聞会を予定どおり開くという、あたりまえのことをあたりまえにやっておるだけで、世間ではこれを大きなミスというような判断を下しておるところもあるようでございますけれども、事務当局はちゃんとそういう法規に照らして、物事を実施する場合はチェックシステムになっておりまして、それをチェックしたことと、それから私が早くやれやれというようなことで、たまたま人間が違いますものですから、当局者を呼んでおったということの食い違いが、非常に何か大きく喧伝されたということが真実でございます。
○森田重郎君 それでその聴聞会でございますが、これはいつごろ告示になるんでございましょうか。近日中というようなお話を伺っておるんですが、大体いつごろ開催されるか、ひとつお伺いしたい、こう思います。
○政府委員(石井賢吾君) 官報告示の手続をいまとりつつございまして、所内手続が現在進行中の段階でございますので、今明日中に具体化できると思います。
○森田重郎君 恐らくこういう聴聞会はこれは初めてでございましょう、と思います。そこで、この聴聞会がどういうふうな形で開かれるものか、大体私もわからぬではないんですけれども、あえてお伺いしたい、こう思います。
○政府委員(石井賢吾君) 御承知のように、聴聞は行政機関の処分の適正さを確保するという観点、この際におきましては処分の相手方及びその他利害関係人の権利、利益、これを不当に侵害されることのないように、そういう目的において聴聞会を開催いたすわけでございます。したがいまして、その陳述者と申しますのは、処分の相手方と利害関係人ということになるわけでございまして、若干の傍聴人を含めまして聴聞会が開催されるというふうに私ども考えております。御指摘のように、原子炉等規制法が施行されまして以来、具体的なケースがございません。したがいまして、今回が最初のケースになるわけでございますが、各法律にございます聴聞にかかわる細則等を参考にしつつ、適正な運営を図っていきたいというふうに思っております。
○森田重郎君 利害関係人というお言葉なんですがね、これは利害関係人というのはこれは停止命令によって不利益をこうむった方、当然入るわけでございますね。この辺の解釈なんですが、もう一度、そこを御説明願いたいのと同時に、具体的にはどういう方々を予定しておるのか、お伺いできればと思います。
○政府委員(石井賢吾君) 処分の相手方は一応利害関係人でございませんで、これは処分の相手方として陳述をさせるということでございます。お尋ねの利害関係人でございますが、御指摘のように処分が行われない場合に比べまして、処分が行われることによって利益を侵害される立場にある者が、一応利害関係人ということになるわけでございますが、この場合にも、利害と申しましてもそれは単に反射的な利益を含むものではございませんで、法律上の利益、直接に法的に保護された利益を持っている者というものに限定されるというのが一般的な考え方でございます。したがいまして、今回のケースに当てはめましてこれを考えてまいりますと、具体的にはこれから告示をいたしまして、同時に陳述希望の方には利害関係あることを疎明する書面をいただいた上で、陳述者の選定に入らせていただきたいと思っておりますが、具体的には今後その疎明——利害関係を持つことの疎明についての書面を審査しまして、最終的には決定させていただきたいと思います。しからば、一体どういう範疇、パターンのものが利害関係人になり得るであろうかということでございますが、常識的に考えますと、敦賀発電所から電力を購入している、敦賀発電所と指定してその電力を購入している電力会社がこれに該当するのかどうか、あるいは労組代表が該当するのかどうか、こういうところが言うならば利害関係人の範疇に入ることを検討すべき方々であるというふうに思っております。
○森田重郎君 そうしますと、もうちょっとその辺を突っ込んで伺いますと、仮に地域住民の方々あるいは漁民の方々というような方々で、私も利害関係人なんだというような意見の陳述、開陳があったような場合には、そのいまのお話の疎明資料によって、その辺は結局、弾力的という表現がいいか悪いかは別としまして、その聴聞会に参画できると、こんなふうに理解してよろしいんでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) いま御質問がございました方々の立場というのは、法律上の利害関係ありという方ではないというふうに理解いたしております。 ただ、先ほど申し忘れましたが、私どもといたしましては、処分の相手方及び利害関係人のみならず、たとえば地方公共団体の代表される方、こういう方々を参考人として御出席を願いたいというふうに考えておるわけでございますが、いま御指摘の地域の意見というのは、そういう参考人の方を通じて反映されるであろうというふうに考えておりますし、そういう運用をしてまいりたいと思っております。
○森田重郎君 私があえてこの問題を取り上げましたのは、今回のこの原発事故によります聴聞会としては、これは初めてのケースということになるわけですので、それだけにこの聴聞会そのものが何か一つの大きなまた問題になりはせぬかというようなことを私なりに危惧もしたものですから、あえてその辺を御質問させていただいたわけでございますが、そうしますと、一般論から言いますれば、ただいまの御意見では、その地域の方々あるいはまた漁民の方々とか、そういったような方々は、これはもちろん公開でおやりになるわけでしょうから、言うなれば傍聴をするというような形になると、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。 〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
○政府委員(石井賢吾君) 漁民の方々がその会に出席し得るかということに関して言えば、傍聴人として出席する場合に限られるであろうということでございます。
○森田重郎君 それから次に、ちょっと問題が飛びますが、関電さんの美浜発電所一号機の原子炉格納容器内における水漏れ事故について伺いたいのでございますが、これも新聞報道等によりますと、水漏れというかむしろ噴き出したんでございましょうが、何か三十分間に約ミトンほどの一次冷却水が噴出したというような報道でございますが、新聞報道だけからしますれば、あくまでも作業員の方々の手順ミスと申しましょうか、そんなふうに一応承知しておるわけでございますが、この問題についてひとつおわかりの範囲をお知らせいただきたいと、かように思います。
○政府委員(高橋宏君) 御指摘の関西電力美浜発電所一号機でございますが、御承知のように加圧水型でございまして出力三十四万キロの発電所でございます。本発電所は去る五月の十八日から定期検査に入っております。定期検査に入りますと、まず原子炉のふたをあけまして燃料の検査をするというのが第一番目の手順になるのでございますが、そのための、すなわち原子炉容器の開放準備のための作業を行っておりましたようでございます。そのとき、二十二日の夜でございますけれども、作業員の作業手順の不手際によりまして、あるボルトを緩めましたところ一次冷却水が漏れたということなんでございます。手順の不手際と申しますのは、本来その日は原子炉容器の上部を覆っております保温材を外すというのが、主たる作業命令書の作業でございましたところ、誤って本来二十四日にやるべき作業、この場合には炉内温度計測用素子ハウジングをボルトを緩めて取る作業でございますが、そのボルトを緩めた、そして中に圧力が五キロぐらいまだ残っておりましたので、そこから冷却水が約三立方メートル出まして格納容器内に漏洩したという事実でございます。 その際、作業をしておりました三人の作業員にその中から出ました水がかかりました。しかしながらシャワーにより直ちに除染をされて異常なきを得ております。 また、この漏洩した冷却水の中には放射性の気体がございます。その気体は水の中から出ましてこれが排気筒を通じて外に出るわけでございますが、微量でありまして周辺環境に対する影響はございませんでした。 数字で申し上げますと、この作業員の被曝量は、三名でございますが、十ミリ以下でございまして、許容限度の三千ミリに比べて十分低いわけでございます。 なお、外部に放出された気体放射能、一キュリーと考えられますけれども、本発電所の一日当たりの放射性廃棄物の放出管理目標値が五千九百キュリーでございますので、五千九百分の一ということで、きわめて微量で影響はないわけでございます。 発電所の中の、特に格納容器の中の問題ではございましたけれども、手順の不手際によりまして異常な作業になってしまったわけでございます。今後このようなことがないように十分注意をいたしたところでございます。
○森田重郎君 私もこれ、エネルギー庁御当局から水漏れ事故についての簡単な資料はちょうだいしたんです。いま御説明のございました三名の作業員の被曝線量はいずれも十ミリレム以下というようなことがここに書いてございますが、十五人の作業員の方々が作業に従事しておった、その十五人の作業員の方々の中の三名と、こういう御説明でございましたが、これは新聞報道等によりますと、比較的被曝量は軽微であるけれども、十五名全員というふうにも解釈できるような実は記事等もあるのでございますけれども、この辺はどうなんでございましょうか。
○政府委員(高橋宏君) 少し詳しく御説明申し上げます。 本件に関係します作業員の数は十五名でございます。そのうち全体の、いわゆる普通マン・レムと言っておりますが、全体でどのくらいの被曝量であったかということを申し上げますと、八十四人ミリレムでございます。これがトータルでございます。このうちそれでは一人で最大の被曝をした人はどれだけかと申しますと、十四ミリレムの人が最大であったようでございます。それからこのうち、いまの十五人のうちの三人が水がかかった人でございますが、その人について申し上げますと、十ミリの人がお一人と、それから一人が六ミリだったと思います。もう一人が、ちょっといま記憶にございませんが、十ミリと六ミリの間だったと思います。 そういうのが全体の状況でございます。
○森田重郎君 大体わかりました。 次に、これまで通産御当局で確認をされております、言うなれば放射能の外部漏れ事故、これは大体何件ぐらいあるんでございましょうか。通産御当局で確認をされた事故件数ですね。
○政府委員(高橋宏君) 本発電所において、すなわち敦賀発電所におきまして、私ども本件を契機にしましてとりあえず立入検査で調べました過去四年間でございますが、につきまして見ますると、この放射性廃棄物処理建屋内の不手際によりまして外部に出たと、たとえば、一般排水口を通って出たというのは本件一件だけ確認されております。ただし、放射性発棄物処理建屋の中でそういうようなオーバーフローと申しますか、廃液が床等に漏洩したという件につきましては、たとえば去る昨年の十二月六日にも、大体規模は六十分の一ぐらいでございますけれども、あったということが確認されております。 それから、全発電所、これまでの日本におきます原子力発電所全体でどうだったかということでございますが、私、手元にちょっとデータがございませんので正確なお答えができませんが、いわゆる通常の放射性廃棄物の出るルート、すなわち 一つはスタック、一つは放水口でございますが、こういうルート以外から出たケースというのは私の記憶では本件以外はなかったように思います。
○森田重郎君 美浜発電所については過去に何回かそういった事故がおありだったんでしょうかな、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(高橋宏君) 美浜の事故でございますが、これもちょっといま手元に正確なデータがないので私の記憶でお答え申し上げますが、美浜の事故でかつてありましたのは、二つ大きな事故がありました。 一つは、蒸気発生器の細管の漏れでございます。これは、蒸気発生器と申しますのは、美浜の発電所、すなわち加圧水型の場合には一次系統と二次系統とこの蒸気発生器によって熱のエネルギーが伝達をしている、そういう機構でございます。一次系統は放射性の物質を含む水が流れておる。二次系統は全く普通の水であると。その間にありまして熱交換をいたします蒸気発生器、ここの細管にピンホール大の穴があきましてそこから、一次系統から二次系統にいわゆる放射能が漏れたと。それがわずかではございますが、スタック、排気筒を通じて外に出たということがございました。 〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕 本件は、世界的にもパリセーダスとかベズノーとかいった同型のPWRで同じようなことが発生いたしまして、その腐食防止対策につきまして、 一言で言いますと一年半ぐらいかかったと存じますけれども、一次系統の水処理を抜本的に変えまして、その原因がほぼ除去されたというぐあいに考えております。 もう一件は、美浜の発電所の場合、かつて、たしか四十七、八年ごろのことだったと存じますが、燃料棒の折損、部分的な折損があったと。炉水が 一部燃料の中のフィッションプロダクトを含むもので汚染されたというようなことがございまして、調べましたところ、一部の燃料にそういう事実があったことが発見されました。 本件は、この原子炉の中に水が入るわけでございますが、水が入っていくいろいろルートが機械的にできておりますけれども、そのルートの一部のすき間から水がバイパスと申しますか、直接燃料の方に流れまして、それがかなりのスピードで流れて燃料を振動させて、その当たった当該燃料が破損したというようなことがございました。それも対策を立てまして、原因は除去されたわけでございますが、そういう事故がありましたことを記憶いたしております。主な事故は、そういう二件が美浜事故に関します主なものと記憶いたしております。
○森田重郎君 何か福井県が言うなれば事故の発祥の地のような気がしてならぬ。今回の日本原電さんの事故、それからいまの御説明によると美浜で二回そういった事故があった、こういう御説明。 大飯はいかがなんですか、関電さんの大飯は。
○政府委員(高橋宏君) 大飯につきましては、私ちょっといま記憶ございませんが、たしか第一回目の定期検査、かなり長くかかっておりますが、一部ふぐあいのところを直したために定期検査が長くかかったということだろうと思っておりますので、大飯におきましても、何と申しますか、あそこはPWRの百万クラスの新しいタイプでございましたけれども、すでに対策はできておりますが、一部手直しを必要とすることがあったやに記憶いたしております。
○森田重郎君 まあいずれにしましても車で一時間半ぐらい、約五十キロぐらいですね、大飯と美浜との間は。そこにおいて、ただいまの御説明を伺うと、やはり内容はとまれ事故があるというようなことで、いささかこの原子炉問題というのは今後の大きな一つの宿命をしょっているような問題ではないかと思うんです。そういう意味で、先ほど大臣にもちょっと御質問申し上げたんですけれども、機器の欠陥であるとか、操作上のミスであるとか、そういう問題をも離れて原子力行政に対する基本的な認識、これをわれわれはこの際改めて考え直す必要があるんじゃないかというような意味で、幾つかの事故の事例をお伺いしたわけでございます。 時間もございませんので、最後にちょっと一言。 これは毎日新聞さんですか、溶融塩炉の記事を私は拝見したんですが、たしか私自身も昨年の十月でございましたか、エネルギー対策特別委員会で西堀博士の提唱しておられる溶融塩炉の問題についてちょっと質問させていただいたことがあるんです。大臣にお伺いしましたら、溶融塩炉というのは私は知らぬと、聞いたことないというような御答弁が当時あったやに伺っておりますが、この点につきましてひとつ通産御当局の溶融塩炉に対する今後のあり方、姿勢、その辺をちょっとお聞かせいただければ大変ありがたいと、こう思います。
○政府委員(高橋宏君) 溶融塩炉と申しますのは、現在の軽水炉あるいは私どもが今後の夢の原子炉と称しておりますが、高速増殖炉の場合でございますが、いずれの場合にも燃料は固体状になっております。ペレット状になっておりましたり、あるいは仁丹状になっておったりしまして、それを装荷しましてある年月燃やし続けて、それで後で取り出すわけでございます。 これに対しまして、モルテン・ゾルト・ファースト・ブリーダー、通称溶融塩炉と申しますのは、最初から燃料が溶融してどろどろしたマグマのようなそういう状態で使うわけでございます。したがいまして、原子炉の中を一種の流体として流れまして、その過程で燃えまして、そして流体の状態でまたおしりから出てくるわけでございます。そして、その出てきた燃料はそのまま今度は再処理工程を通りましてぐるぐる回る。言うなれば、再処理工場を中に持ったような原子炉でございまして、大変理屈はうまい炉でございます。と同時に、いま御指摘の西堀博士も言っておられますが、トリウムを使えるということで、トリウムは日本にはございませんけれども、賦存をする国が違いますが、大変核燃料サイクル上も有利だというような利点を持っております。そういう利点はございますけれども、一方ではまだまだ基礎段階の技術だと私ども認識いたしております。溶融塩の温度は二千度近くなるんだろうと思います。したがいまして、私どもは現在軽水炉からFBRへという基本路線の完成にいわば全力を注いでおりますが、御指摘の溶融塩炉につきましては、学問的な優秀さと申しますか、ございますので、現在のところ、日本におきましては原研の一部及び大学等においてやっておる。通産省といたしましては、関心は持っておりますが、現在の位置づけは大体そんな感じの位置づけだろう。興味ありますが、まだ基礎段階、基礎の勉強を続ける段階ではなかろうか、こんなような感触を持っております。
○森田重郎君 時間がございませんので、簡単で結構でございますが、これも大臣にお聞かせいただければ大変ありがたいと思いますが、日米自動車摩擦に引き続きまして、日欧の自動車摩擦がしきりと云々されておりますが、この辺の見通しをお聞かせいただければありがたい、かように思います。
○国務大臣(田中六助君) 日米自動車の交渉、話し合いにつきましては、まあまあ一応片づいたわけでございます。これでカナダとかEC諸国も日本の自動車がかなり出ておりますので、アメリカ同様に話し合いをという持ちかけはございますけれども、私どもは、カナダやEC諸国をアメリカと同様に取り扱うことはどうかと思っておりますけれども、といって、日本が自由主義貿易を提唱しておりますし、保護主義貿易にならないためにも、一応話し合いを持ちかけられたら、それを峻拒するだけじゃなく、一応話し合いに入ってもいいという考えでございますけれども、根本的にはアメリカ同様に規制してどうというようなことは、厳しい規制はやらない方針で進めております。
○森田重郎君 もう一問だけ伺います。 このEC委員会といいましょうか、外相会議でしょうか、これがステートメントを発表したというふうなことは、これは私ども新聞紙上で承知しておるんですが、EC委員会の方から正式に日本政府に対して何かはっきりした話でもこれまでにあったのかどうか、この点だけをお伺いして、私の質問を終わります。
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、この十五、十六日の段階でEC外相理事会がございまして、日本問題が議論されまして、幾つかの日本に対する要望というのがそこで結論づけられておるわけでございます。二つございまして、一つは対米措置の結果といたしまして、日本車の共同体へのダイバージョン、これは他地域から市場転換してくるわけでございますが、ダイバージョンが行われないか、そのためにしかるべき措置をとれということが第一点。それから日本車の共同体への輸出に対しましては、対米措置と同様の措置をとってくれ。その二つが外相理事会の決定ということになっております。
○森田重郎君 終わります。
○森山眞弓君 ただいま森田委員からも問題が提起されましたけれども、私は、まず自動車輸出の問題についてお聞きしたいと思います。 昨年来、日米の間で最大の問題になっておりました自動車輸出問題は、五月一日の大臣の、八一年四月から一年間乗用車の対米輸出台数を百六十八万台に抑える、二年目は米国市場の拡大に応じて輸出台数を上乗せする、三年目は規制の是非は改めて検討するという声明が出されたわけでございまして、これで一応決着したということでございます。その結果、その後米国議会の日本車輸入規制法案は取り下げられまして、大きくなりかけていたこの問題が、どうにか一段落したということで胸をなでおろしたわけでございます。 しかし、アメリカについてはこれで一段落ということでありますが、わが国にとっては必ずしもこれは終わりではないということがわかったわけでございまして、むしろこのことによりまして、ほかの国々との問題を新しくスタートさせたような感じがいたします。これからも引き続いてむずかしい局面を乗り切っていかなければならないのではないかと思いますが、そこで、カナダ、ECが当面の課題であると思います。いずれも一言で言えば、アメリカに対するのと同じような輸出抑制を求めているというふうに思われるわけでございますが、政府はどのような考えでこれに対処されるおつもりなのか、まず基本的な方針をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(田中六助君) 森山委員にお答えいたします。 対米自動車の話し合いというのは、御指摘のように、済んだわけでございまして、カナダ、EC諸国もこれにならえというような、簡単に言えば、そういう要求があるわけでございますが、カナダにつきましては、一昨年が八万台ぐらい、去年が十三万台ぐらいにふえているわけでございますけれども、カナダは、御承知のように、国産品はないわけで、アメリカのビッグスリーの支社みたいなもの、もうアメリカ同様の生産をアメリカ会社がやっておるんで、ただアメリカと違いまして、輸入車に対する関税が一一%−一三%ぐらいになっておりますし、それから日本との貿易関係などちょっと見ますと、向こうの方が日本に対して輸出しているのがちょうど倍ぐらいあるわけです。非常にインバランスと申しますか、そういう状態。EC諸国十カ国をとってみましても、これはECと言えばすぐ一まとめというお考えも出てくるんですけれども、実は十カ国ばらばらでございまして、フランスは、御承知のように、日本の輸入車を三%台に抑えておりますし、イタリーに至っては二千二百台に抑えておる、イギリスは一一%程度。問題は西ドイツやベルギーなどでございまして、これは非常にたくさんの日本車が入っております。こういう点につきましてはやはり話し合いをして、集中豪雨的な輸出だと言われないように、保護主義貿易に陥らないような配慮はしていかなければならないというふうに思って、対カナダ、対EC関係はそういう考えでおります。
○森山眞弓君 アメリカもそれからEC諸国も同じだと思いますけれども、インフレとか失業とか経済問題が大変深刻であるということには同情しなければいけないと思いますし、自動車産業も需要の落ち込みというような事情がありまして、大変不振だということはよくわかるわけでございます。しかし、これは日本車の輸入が直接な原因ではないということでございますし、いまカナダのことにつきまして大臣がおっしゃいましたように、大体カナダの自動車業界というのは、アメリカの子会社あるいはその分工場というようなものが主でございますし、カナダと日本の関係では、日本の方がはるかにたくさん物を買っているわけでございますから、日本の車を抑制するということは決してプラスの意味は何もないと思うわけでございますけれども、特にそういう問題についての配慮というのがこの際強調されるべきではなかろうかと思いますし、大体わが国が特に石油ショック以後の、オイルショックを乗り切る政策に成功いたしまして、官民協力して努力した結果、いろんなむずかしい経済的な問題の処理を何とかこなしてきた。それらが余りうまくいかなかった欧米諸国に比べますと、いいものを安くつくることができるようになって、それを供給することができるというのが実態であるわけでございますから、日本の責められるべきところは何もないと思うわけでございます。日本にとりましては資源がほとんどないわけですし、頭脳と技術と勤勉というのが唯一のわれわれの財産でございますから、ほかに生きる方法がないということを考えますと、自由貿易体制というものをぜひとも守っていかなければならないと考える次第です。ですから、いわゆる先進国——いまでは余り先進国と言う資格もないかもしれませんけれども、いわゆる先進国に対しまして日本がみずから一種の輸出自粛のルートをつくるというようなやり方で進めるというのは、最も好ましくないと思うわけでございます。自動車産業の立場からはもちろんですけれども、日本全体の立場からも、それから大きく自由貿易体制を世界的に守るという立場からも、もっと日本の主張を強く訴えていくべきではないかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(田中六助君) 森山委員のようなお考えもございますが、私どもも対米輸出の制限をみずからやったのは、実は自由主義貿易を維持しようと。世界がいろいろクレームをつけて、そんならおれのところはもうおまえのところと貿易しないぞとかいうような保護主義傾向を排除するための手数料と申しますか、そういう観点からアメリカの言い分も聞いたわけでございまして、EC諸国に対しましてもいろんな文句を言いまして、それならそれをほうっておいたらということになりますと、ちょうどアメリカのベンツェン・ダンフォース法案に見られたように、輸入制限といいますか、保護主義貿易に陥る、半分はおどしかもわかりませんけれども、各国ともいろんな理屈をこね上げておるわけでございまして、私どもの根本の精神はあくまで自由主義貿易をいかに守るか、いかにこれを発展させるかということにあるわけでございまして、私どもがみずから制限することによって、保護主義貿易、世界の貿易を閉塞させるという意味じゃなくて、より一層発展させるための手段としての態度でございます。したがって、EC諸国あるいはカナダに対しましてもそういう一つの基本ベースは忘れることなく対処してまいりたいというふうに思っております。
○森山眞弓君 大臣は自由貿易体制を守るために仕方のない措置であったというお話でございますけれども、アメリカについてはもう済んでしまったことだからという考え方もありましょうけれど、そのときも、それからいまもなお、何も日本の方からあんなことをあんなときに言う必要はなかったんじゃないかという意見もあると思います。特に責任ある立場にある方の中にもそういう意見をお持ちの方があるやに聞いております。私も必ずしもすっきりしない気持ちが残っているわけでございますが、あのときは鈴木総理が間もなく訪米されるということが控えておりまして、それまでに何とか手際よく片づけてほしいという総理のお気持ちが反映されたのではないかと考えますが、いわゆる同盟関係ということでございますから、その気持ちもわからないことはないのでございます。しかし、その結果が自動車業界に大変な無理を強いるということになりまして、さらにアメリカだけで片づくかと思ったところがカナダ、ヨーロッパということで、いろいろむずかしいことをかえってふやしたような結果になったわけでございます。こういう交渉事というのは、あらかじめ自分で期限を決めまして、内容や結果よりもその締め切りの方を重視するというのは一番まずいやり方ではないかと思うわけでございます。 アメリカについていろいろ申しましても、いまは仕方がないかと思いますけれども、さしあたって、六月の中旬ですか、総理がまたヨーロッパに行かれるというふうに聞いております。それで、またまたその日を締め切りというふうにお考えになって、いろんな対策をEC向けに、あるいはサミットのことも頭に置いてそれを締め切りにということで、むやみと急いでいらっしゃるということはないのでしょうか。新聞の報道によりますと天谷審議官、機械情報産業局長などがきょうあたりヨーロッパへ行かれるというようなことが書いてございましたけれども、アメリカのときのことを考えますと何となく心配になるわけですが、その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(田中六助君) いろいろ御心配をいただいておるわけでございますが、私ども先ほどから申し上げますように、いかにして自由主義貿易の拡大あるいはその維持というようなものをやるかということの手段の一つに、いろいろ考えるわけでございまして、森山委員の御指摘の点も十分踏まえて、対処していかなければならないというふうに思っております。
○森山眞弓君 いずれにしましても自動車産業と申しますのは、わが国工業の中の約一割を占めております大きな産業ですし、輸出額から言いましても約二割ということでございまして、これにわが国の生活がかかっているという部分が非常に大きいわけでございます。働く人たちの数も、下請とか末端で家内工業、家庭内職をやっているような人たちまで加えますと、非常に大ぜいおりまして、一口に五百万と言われているわけでございます。家族を含めましたら膨大な数になるわけでございまして、自動車産業の様相というものが、わが国の経済に、また国民生活に及ぼす影響というものが非常に大きいということは、もう申し上げるまでもないわけでございます。欧米諸国の経済政策や雇用対策の間違いのツケを、大変勤勉にまじめに働いている日本人、わが国の勤労者に寄せる、ツケを回してくるというのは、いかにも納得しがたいという感じがいたします。しかも、そのツケは、大企業も大変でしょうけれども、中小企業、下請、家内工業、内職、下にいけばいくほど厳しくなるわけでございまして、その点をよく頭に置いていただきたいと思うわけです。 去る十九日に行われましたECの外相理事会で、西ドイツのラムスドルフ経済相が孤軍奮闘したという新聞記事を読みました。対ECの日本車の輸入枠を、七八年か七九年の水準で固定するということをベルギー、フランス、イタリーなどが強く主張したというのに対して、西ドイツのラムスドルフさんが、それは日本の自動車産業に死刑を宣告するのと同じだと言って大いに断固反対してくださった、そのおかげで一応日本の問題はたな上げになって命拾いをしたという書き方をされておりました。 大体、先ほど大臣もおっしゃいましたように、フランスやイタリーはすでにもういろんな抑制措置をいたしておりまして、日本の現実の輸出もその枠の中におさまっているわけですから、こんなことを言われる筋合いはないわけなんですけれども、ラムスドルフさんが大変がんばってくれたということで、私も二回ばかりラムスドルフさんにお会いしたことがあるので、よくやっていただいたと思って読んだわけですけれども、あの方は自由貿易論者のチャンピオンでございますから、そして、自分の理屈が結局は西ドイツのためであるということで一生懸命言ってくださったんだと思います。だけども、西ドイツの大臣に任しておくのではなくて、日本もあらゆる機会に日本の実情をよく説明して、ラムスドルフさんのように毅然たる態度で迫力のある交渉をしていただきたいというふうに思います。この点特に大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) 迫力のある交渉をやれということでございまして、迫力の度合いがどの程度か、ちょっとあれでございますけれども、これから迫力のある話し合いを進めていこうと思います。 それから一言、天谷審議官がまたECに行くかもわかりません、行かないかもわかりませんけれども、行く場合でも実は非常に出先で苦労しておりまして、それこそ迫力のある主張をやっておる次第でございまして、私どもやはり国益はどこにあるかと。日本の自動車産業が御指摘のように日本の製造業の一割を占めておる。従業員も五百万人、下請を入れますといますし、出荷額はちょうど十八兆オーバーしております。輸出は五兆ですが、そういうような大事な産業でございますし、これを痛めつけて意気阻喪させるというようなことのないように、一生懸命努力したいと思います。
○森山眞弓君 次に、小規模の自営業に携わっている婦人の立場から質問を一ついたしたいと思います。 去る十五日に可決成立いたしました商工会の組織等に関する法律の一部を改正する法律、この法律によりまして商工会の会員資格が拡大されまして、その地区で商工業を営む者以外の者も、定款の定めるところによりまして会員になれるということになったわけでございます。この改正によって、いわゆる商工業者の妻や後継者、その意見を商工会の運営に反映することができるようになったということで、まことに喜ばしいことだと思っております。わが国では伝統的に婦人は家庭の中ではかなり発言権がございますけれども、一遍外へ出ますとなかなか一人前に扱われないというきらいがございます。女性の力を男性と同様にもっと社会の発展に活用すべきである、そういう考え方で昭和五十年に国際婦人年が持たれまして、以来、日本でもいろんな面で努力が続けられてまいりました。メキシコで採択されました世界行動計画を受けまして、わが国の政府も昭和五十二年に国内行動計画というものをつくりまして、その冒頭に、婦人をもっと政策決定の場に参加させようということをうたっているのでございます。もちろん、民間の各種の団体の中でも婦人の意見を積極的に取り入れて、婦人が公式に発言する場をもっとふやすという方針で進んでいただいているわけでございますが、たまたま法改正が通りました同じ十五日に、総理を本部長といたします婦人問題企画推進本部が婦人の十年、後半期の重点目標を決定いたしましたが、その中でも最重要事項の一つとして、政策方針決定への婦人の参加の促進ということが掲げられております。ですから、商工会法の改正は、まことに時宜に適したものだと考えまして、私は心から喜んでいるわけでございますが、一つ気になりますのは、商工会の中での婦人の地位でございます。商工会には婦人部というものがあるというふうに言われておりますけれども、その組織の状態はどんなふうでございましょうか。単位商工会のうち、婦人部の組織を持っているのはどのくらいありましょうか。婦人部の部員はどのくらいいるかというふうなことをお聞きしたいと思います。
○政府委員(村野啓一郎君) お答え申し上げます。 先般、本委員会におきまして商工会法の一部改正を可決していただきまして、その改正法は去る五月二十二日公布されておりまして、法律に従いまして三カ月たった段階、すなわち八月二十二日にこれを施行するということになっておるわけでございます。御指摘のように、この改正によりまして、非常に重要な一点でございます定款会員の規定、すなわち従来は商工業者だけがメンバーでございましたが、今回の改正によりまして商工業に密接に関連する方々につきましては、定款によって定めるところによりまして、商工業者でなくても会員になることができるという規定を設けさせていただいております。これによりまして、今回各商工会で定款を改正いたしまして、そこに新たなるメンバーを入れるわけでございますが、特に婦人部、先生御指摘の婦人部、それからあと青年部という組織がございますけれども、そういう方々のリーダーの方々、大体部長なり副部長なり、こういった方々は、新しい定款によりまして会員となっていただくという予定でございます。各商工会もそういったことで、現在定款改正に向かって作業中でございますが、そこで御指摘の婦人部でございますけれども、この婦人部の組織と申しますのは、先ほど先生も御指摘のように、まず商工会の中の女性会員、すなわち女性の経営者の方で商工会に入っておられる方々、それから男性の会員の奥様あるいはその娘さん、めいごさんといった方で家業を手伝っておられる方々、こういった方々によりまして婦人部というものができております。一方、後継者、若手後継者を中心といたしまして青年部というのがございますけれども、青年部と並びましてこの婦人部が商工会の非常に大きな力となっておるわけでございます。すなわち、たとえば自己啓発活動でございますとか、あるいは地域活動、あるいは生活改善等の活動、いずれにいたしましても地域に密着した各種の活動を行っておられるわけでございますが、これは発生的には実は三十六年ごろ自然発生的にできたものだそうでございますけれども、現在非常にその数がふえてきておりまして、数で申しますと、現在、と申しましてもこれは昨年の七月の統計でございますけれども、二千百四十二の商工会におきまして婦人部が設けられております。このときの商工会の数は全国で二千八百五十九でございましたので、いわゆる組織率をとりますと七四・九%ということで、ほぼ四分の三の商工会におきまして婦人部ができているというふうな現状にございます。 なお、部員でございますけれども、部員の方々、現在は、これも五十五年七月の統計でございますけれども、約十八万四千人が部員の数でございます。なお、商工会の会員全体といたしまして、このときは百七万三千人でございますので、大体その一八%ぐらいが婦人部員ということになります。なお、この間非常にふえてきておりまして、十年間に部員が約倍増したという実情にございます。
○森山眞弓君 十年間に倍増したというお話でございましたけれども、それにしても商工会の会員全部が百七万人いらっしゃるのに、婦人部員が十八万人というのはずいぶん少ないんじゃないかと。先ほど婦人部は男性会員の夫人あるいは女性の家族あるいは女性の経営者をもって婦人部の構成をしているという話ですから、もう少し多くてもいいんじゃないか、少なくとも半分ぐらいはあってもいいんじゃないかというふうに素人考えで思いますけれども、非常に少ないのはどういうわけでございましょうか。
○政府委員(村野啓一郎君) 一つには、男性の会員はこれは商工業者の方々が皆さん入っておられるわけでございます。婦人部員の主体となりますのはやはり女性の経営者でございますので、やはり男性に比べまして相対的に数が少ないというのが実態でございます。それからもう一つは、何といいましても婦人部の活動が、歴史もまだ新しいということもございまして、目下その勢力の拡大中ということでございまして、数こそ少ないわけでございますが、伸び率は非常に高くなっているという状況でございます。
○森山眞弓君 そうしますと、先般の法改正で婦人の意見を取り入れていただける場ができたというのは大変喜ばしいわけですけれども、婦人部のない商工会あるいは婦人部員が非常に少ないところは、どうやって婦人の声を吸い上げていくんでしょうか、それをお聞きしたい。
○政府委員(村野啓一郎君) 先ほど申しましたように、商工会全体の約四分の三が婦人部を持っているわけでございますが、残りの四分の一はそういった組織がございません。ただし、その場合でも御婦人の経営者の方が各地にいらっしゃいますために、その女性の会員、これは各商工会ほとんどおられます。全部かどうかちょっと統計的にはまだはっきりつかんでおりませんけれども、ほとんどの商工会では婦人の方の会員、すなわち婦人の経営者の方々が入っておられますので、しかも御承知のように商工会の運営におきましては最高の意思決定機関は総会でございますけれども、これはいわゆる直接民主主義的でございまして、会員の方々全部参加して議決に参加できるということになっておりますので、そういった機会を通じまして御婦人の会員の方々からいろいろ御婦人の立場からの御意見が出ているわけでございます。それによってその地域の御婦人の御希望等も組み入れることができるわけでございます。またそれから、商工会の全国連合会とそれから県連合会がございますが、ここでのたとえば理事会といった場合には大概御婦人の、婦人部の連合体の代表の方々がオブザーバーとして参加されておりますので、そういった意味で、広い意味では婦人部のない商工会の御意見も伺えるという状況ではございます。ただ、むろん今後婦人部をもっと拡大いたしまして、各地の御婦人方の意見を十分くみ上げるという体制が必要かと思っております。
○森山眞弓君 婦人自身が経営者である方の意見が聞かれて、そしてそれが取り入れられるのはあたりまえだと思うんでございますけれども、商工会員の奥さんたちですね、ほとんど小零細企業ですから事業主と協力していく奥さんの力というのは非常に大きいと思うんです。御主人は外回りで、お店の中や会社の中のことは奥さんに任せっきりというようなところも珍しくございませんし、中には大体あそこは奥さんでもっているんだというような家だってあるんではないかと思います。家事や育児のほかに事業にも精出して働いている、そういう奥さん方のこと、そういう方々はむしろ男の方よりも地域のことには詳しいわけですし、こういう御婦人方の意見を積極的に取り上げてくださるようにさらに努力をしていただきたいと思います。そういうことによって商工会の発展もあると思います。 今度の法改正で、特に商工会の目的の改正もありまして、社会一般の福祉の増進というのもつけ加えられたわけでございますから、特に婦人の組織の拡充、それから方針決定の参加の促進ということを積極的に御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 それから次に、このことに関連しまして、農業や漁業に従事している婦人のことにも触れたいと思いますが、農林水産省の方はいらしておりますでしょうか。商工会の会員と同じように農家や漁家でも婦人の役割りは非常に大きいものがあると思います。たとえば農業をとってみますと、わが国の農業就業人口の六二%が婦人だというわけですし、日本の農業の半分以上が婦人の手で支えられているということになるわけでございます。漁業も後継者難というようなことから婦人が夫と一緒に就業するという者が多くなっております。ところが商工会とちょっと違うところは、農協や漁協では、法律上は問題がないはずでございますのに、農協や漁協の一人前の組合員として婦人が受け入れられないという習慣があるというふうに聞いておりますが、これは大変な問題ではないかと思うのでございます。現在はどんなふうになっておりますかお聞かせいただけますでしょうか。
○政府委員(矢崎市朗君) 農協の関係につきまして申し上げますが、御指摘のとおり農業就業者の約六割が婦人で占められる現状になっておりまして、農業生産の担い手としましても非常に農村婦人が重要な役割りを果たしているわけでございます。 そこで、農業協同組合におきます婦人の地位につきましての御質問でございますが、ただいま御指摘のごとく、実は法律上は全く組合員資格というのは性別によります制限というものは一切ございませんで、これはいわゆる農業に従事する者あるいは農業を営む者は組合員になれると、こういうたてまえになっておるわけでございます。ところが現実には、農村で婦人の方が農協の正組合員になっているケースというのは、実は統計上のデータがございませんのは申しわけないんですが、きわめて少ないという現状にあるという御指摘は、私どもそのように実は認識をいたしておるわけでございます。 これは現状はどうなっているかという理由でございますが、一つはこれは農協につきましては、婦人ということの問題では実はございませんで、いわゆる一農家一組合員を原則にしていこうというふうな一つの申し合わせのようなものが自主的に実はございまして、たとえばこれは議決権の問題なりあるいは出資の問題と絡むためのようでございますが、一戸の家でどなたか一人が組合員という形をとる。そうなりますと、奥さんでありますとか、それからいわゆる後継者の若い方であるとかいう方が、なかなか現実問題としては組合員という形で認められていないという現状にあるというのは、まさに御指摘のとおりでございます。 そこで、実は現在こうした婦人の方々というのは、農協の下部組織としてたいていの農協が婦人部というものを構成いたしておりまして、そこを中心に活動をし、婦人の立場というものの発言権を反映させると、こういうふうな活動が非常に活発になっておりまして、その活動の一環といたしまして、みずからも正組合員になるような運動を展開しようということで、いまそのような運動も進められているというふうに聞いているところでございます。 何と申しましても、自主的な共同組織でございますので、私どもは十分にその成果を見守りながら、この法律の趣旨というものが生かされまして、婦人であるがゆえに加入がその他の方と区別されるというふうなことはないようにという点で、十分に今後とも指導に努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
○森山眞弓君 それでは漁協の方はいかがでございましょうか。 漁協ではたしか昭和五十二年でしたか、大変元気のいい婦人たちが裁判に訴えたことがございまして、福岡地裁の小倉支所で門司のこれは柄杓田漁協に対しまして、女性も男性と同じ一定の条件を備えている者は組合員に受け入れるべきである、という判決が行われたわけでございますが、御存じだと思いますけれども。当時は女はだめという漁協が全国的には半分ぐらいあるというような新聞記事がございますけれども、その後どんなふうになりましたでしょうか、御指導いただいたかと思いますが、その結果を教えていただきたいと思います。
○説明員(西川俊幸君) 漁協の問題につきましても、農業の農協の問題と法令上の位置づけはほぼ同じでございまして、年間を通じて九十日ないし百二十日の間で、定款で定める期間漁業に従事しておれば男性であろうと女性であろうと、組合員の加入資格があると、このように法律で規定しております。その結果、現在どの程度の漁業従事者の女性が組合に加入しているかということにつきましては、明確な統計の数字は整っておりません。ですが、男性の漁業従事者に比べて非常に割合は少ないと考えております。 法令のたてまえがそうでございますから、常日ごろ私どもの行政指導の上におきましても、男女の性別で加入について差をつけるようなことのないようにと、常日ごろ指導しておったわけでございますけれども、先生の御指摘のように、昭和五十二年の柄杓田漁協の福岡地裁の事件で、漁協の組合員加入の申請を行いました婦人の漁業従事者が勝訴いたしまして、そんなこともきっかけといたしまして、その後昭和五十三年、翌年でございますが、水産庁から各都道府県及び各漁協の系統団体の上部団体でございますが、特別に通達を出しまして、今後組合員の加入資格のある漁業従事者からの、女性でございますけれども、加入申請があった場合の予防的な指導措置という意味合いを込めて、通達を出しております。 中身は、組合員の加入資格がある漁業従事者の方から加入の申請があった場合において、すでに同じ世帯の別な漁業従事者が組合員になっているからとか、あるいは申請のあった漁業従事者本人が家庭の中での戸籍筆頭者でないといったようなことを理由にして加入を拒否はしないように、こういう通達を出して指導をしております。その後、その指導通達の状況がどのようになっているかと、その結果、どのような状況の変化が見られたか、こんなことの把握もいたしたいと思いますので、本年度漁協の全国実態調査を実施することにいたしておりますけれども、その一環として、いまのようなことのフォローをいたしたい、こう考えております。
○森山眞弓君 そうしますと、漁協については五十二年の判決ということがきっかけになって、大変具体的な指導をしていただいているということがわかりました。そしてことしまた調査をしてくださるということですから、その結果が大変期待されるわけでございますが、農協の方は、先ほどのお話では大分抽象的なように受け取りましたのですけれども、法律上の条件が全く同じで、しかも実際にはなかなか女の人が受け入れられにくいということは、漁協と農協はほとんど変わらない同じ状態だと思いますので、農協についても具体的な御指導をぜひお進めいただきたいといいますが、いかがでございますか。
○政府委員(矢崎市朗君) 私ども、先ほど申しましたんですが、婦人であるがゆえに区別される問題というよりは、どうも問題はいわゆる一戸当たり一組合員というところとの問題をどう考えていくのかというところにあるように思うわけでございます。そこで、そういった問題も含めまして現在農業協同組合中央会におきまして、これからの農協の課題あるいは今後の方向等につきましていろいろと論議、検討もされている段階でございます。私ども一般的な、いわゆる婦人を特に組合員としてというふうなことでなくして、たとえば定年制等の問題で、これはむしろ組合員というより職員の問題になりますが、農協等においてどうもとかく婦人とそれから男性の場合との取り扱いに差別があるケースがあるというふうなことを把握いたしまして、たとえばそういうふうな問題につきましては具体的な実は最近通達指導をいたしたということもございます。そういうことで今後とも、いろいろ長い慣習もございますし、組織自体としての自主的な方向づけというものも尊重する必要があろうというふうに思いますが、私どもはやはり具体的な問題をとらえまして、できるだけそういうことをきっかけにして、これからも具体的な指導あるいは状況の把握も努めてまいるつもりでおります。
○森山眞弓君 先ほども申しましたように、婦人の十年の後半期におけるわが国政府の重点目標というのの中に、特に農山漁村婦人の地仕の向上のための一章が設けられておりまして、そこに実際には婦人が働いているのに、働いているのは婦人の方がはるかに多いのに、婦人がその地域の公の場で発言することが非常に少ないということを問題にいたしまして、農業委員や農協、漁協の役員にもっと婦人がなるように啓発しようということが決められているわけでございます。先ほど農業委員のことは申し上げませんでしたけれども、この農業委員というのも非常に少ないようですね。〇・〇九%、女性の率はないに等しいと言えるようなものでございまして、農業そのものを担っているのが女性の方が多いのに、はなはだ不公平と言わざるを得ないわけでございますが、農林省では、そのお仕事である農業の担い手、漁業の担い手が婦人が非常に大きな役割りを占めているということを肝に銘じていただきたいと思うわけです。とかく農村婦人の問題ということを取り上げて農林水産省に持ち込みますと、婦人の問題は生活改善課だというようなことをおっしゃいまして、ほかの局では知らぬ顔をなさるという傾向がいままではどうも見受けられたように思うわけでございますけれども、農業、漁業の担い手が女性だということを特にこの際もう一度思い起こしていただきまして、強力な御指導をいただきますようお願い申し上げまして私の質問を終わります。
○馬場富君 最初に、前の方も質問されましたが、敦賀原発の質問に入る前に、先般も私、大臣に総理の訪米前に質問いたしました米国に対する日本車の自主規制の問題について、あの時点で私は大臣に、やはりこの日米自動車問題は日米間の問題ではあるが、特に日本自動車業界及びこれに関係する産業に対する大きい影響もあるし、また日本の貿易上も重大な問題であるという点で、これはやはり総理の訪米のみやげやら訪米のために間に合わせるということではなくて、慎重に考えて、日本の立場を考えた上での対処方を強く要望いたしましたし、またそれについて時間をかけるべきだと、その時期に間に合わなくたって時間をかけて両方が合意に達する、そういう点をやっぱり見出すことが将来のために必要だということを私は強く主張したわけですが、まあ結果は結論が先ほど出たという結果に終わっておりますけれども、そのときに私は前提条件として、日本のことであると、相手方のことでもあるけど日本に対しても大事な問題だと、そういう点でもっと大臣がこれについて業界や関係者等との話し合いをしっかりやった上で、一つは臨むべきだということを主張しましたが、それについて大臣は、それはしっかりやると。おやりになりましたが、これは各業界とも完全に了解されての上での今回の総理の訪米に対処されましたか、どうですかそこら辺。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、日本の業界が納得しなければこの問題はできないことでございます。まあしかし商売のことでございますし、日米の自動車問題で、たとえば数字を挙げますと、一九七八年が百四十一万台日本から出ております。七九年が百五十五万台、それから八〇年が百八十二万台と大幅にふえているわけでございまして、したがって業界もこれ以上ふえればというような、ほくほく顔のところもあったと思いますけれども、そのようにどんどん集中的に輸出ができることはうれしいことかもわかりませんけれども、世界のあちらこちらで不平、不満が出て、日本が最も望んでおる自由主義貿易に大きなひずみを来す。つまり逆を言えば、保護主義貿易が世界に蔓延することは日本にとっても結論は自分の首を締めることでございますので、ある程度の手数料と申しますか、ある程度の向こう側の悲鳴も、声をやわらげてもらうことも必要だというような観点から、日本の業界も完全な納得とはいきませんが、ある程度の納得をして対米交渉に当たりました。
○馬場富君 私が質問したのは訪米の直前でございました。その時点ではまだ白紙だと大臣はおっしゃっていました。そして、それから短期間の間に交渉がなされたとあなたおっしゃっていますけれども、私はそういう関係のことをずっと聞いていますけれども、一通りの話をされたという程度のことであって、やはり力を入れてこれだけの大問題を担当大臣である通産大臣がされたというような経過というのは、私よく調べてみたけれども余り出てません。そういう点について、この種についてはかなり日本の関係者やあるいは結局業界等からも不満の声を残したまま今日になったと見ていいんじゃないか、こう見ております。そういう点につきましても、じゃ、そういう中でこれが一つは決まりました。一体私は通産省はこの措置をどのように実施されるのか、その具体的な方法をひとつ教えてもらいたい。
○政府委員(小長啓一君) 先生御承知のように、百六十八万台という初年度の枠につきまして、これから具体的な配分作業をやることになるわけでございます。具体的にはまだ私どもといたしましても、配分基準というのは決めてないわけでございますけれども、考え方といたしましては公平かつ厳正にやってまいりたいと考えておる次第でございます。
○馬場富君 この点ですが、先日も来日した米国の代表の説明等によりますと、米国市場においては今後やはり拡大の方向にあるということを言っておるわけです。そういう点で、やはり今回の対米措置については、一九八四年三月までの措置となっておりますが、それ以前においても、やはり今後の米国市場の回復に応じて適宜対米輸出台数等についての上限修正とあるいは終期の繰り上げとか、そういう点についてこういう問題について対策を講じる考えがあるかどうか、この点もお伺いします。
○政府委員(小長啓一君) 五月一日、通商産業大臣の発表文の形で措置の内容が発表されたわけでございますが、その中にもはっきり明文化されておるわけでございますが、この措置は三年を限度としておるわけでございます。しかも、第二年度におきましては、市場の拡大の増分の一六・五%は日本車に枠の配分をするということになっておるわけでございまして、したがって、その市場の増加に対応いたしまして枠は増大していくということはもうはっきり明文化されておるわけでございます。それから三年目の扱いにつきましては、二年度の末におきまして数量規制を継続するかあるいはウォッチシステムだけにとどめるかということについて協議をすることになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、なるべく早くその規制全体が撤廃されるような方向で市場の条件が改善されることを期待しておる次第でございます。
○馬場富君 そこで、じゃあこの実施に当たりまして、私は大臣にまだ聞いておりませんが、私は完全に了解されるというような状況まで、訪米前には業界対策や中身についてはなされてなかったというふうに見ておりますし、そのとおりだったと思います。だから、そういう点で、この実施段階についてはもっとやはり時間をかけて、こちら側の納得されるような対応策を十分ひとつ考えてもらいたいと思いますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(小長啓一君) 先生にちょっとお言葉を返すようでございますけれども、業界との調整の過程では私どもは日夜、大臣の指示をいただきまして調整工作を続けたわけでございます。最後の段階では、先生御指摘のように、表立った不満というのは最後まで残りましたけれども、私どもは、まあ実質的には業界の御理解はいただけたんではないかというふうに考えております。
○馬場富君 そこで、もう一点大臣に質問しますが、今回の政府措置が発表された。やはりアメリカの政府関係者やアメリカの直接の自動車業界については、これは喜んだ声があるかもわかりませんが、アメリカ世論の中にも、やはり良識ある世論というものは、大変、日本の自由主義貿易に臨む取り組み方についての弱さをずいぶん指摘しております。私ここで、この一つであるウォール・ストリート・ジャーナル紙の文面にこれ触れますけれども、ここでやはり——自動車問題での日本の協力精神には感謝するものの、日本は輸出自主規制よりも自由貿易の防衛を強めるべき立場にあると考える。米国人は、日本が近年公式な輸入障壁のほとんどすべてを撤廃したことを知れば驚くだろう。ほとんどの品目について日本の関税は世界最低である。その上日本はどの同盟国よりも対ソ貿易問題で米国に協力してきた。しかし日本はその経済力の増大に伴う国際的責任を受け入れるのをためらっているように見える。日本の現在の立場は十九世紀の英国、第二次大戦後二十年間の米国のそれと同じである。それは世界の自由貿易に最も直接的な利害を持つ国で、国際的な場では自由貿易を一番主張しやすい政治的な立場にある。しかし日本はこの戦いから身を引き、依然戦後の米国の歴史的役割りに頼っている。こういう批判が有力な新聞にも批判されておりますが、こういう点で、この受けとめ方等についても、私はやはり必ずしも、日本の外交やこの問題等について、将来にわたってこれは成功であったかどうかということは大きな疑問だと思うんですね。そういう点について、こういう世論もアメリカ内部にも多くあるということ、その点について大臣どのようにお考えですか。
○国務大臣(田中六助君) いまウォール・ストリート・ジャーナルのお話が出ましたが、私もそれに似たようなことはアメリカの人たちが言っているということも聞いておりますし、特に御承知のように、ITCの結論、昨年の十一月でございますが、日本車の輸入、つまりアメリカの自動車産業の不振は輸入車によるものでないという結論を、五人のうち三人がシロという判定を下したことは非常に生々しい印象を残しておるわけでございまして、常に盾の両面がありますように、大きな行動をすれば裏面の批判もございます。ただ、これはレーガン大統領と日本の鈴木首相が会談をする前から、自分たちのトップ会談にこの話を持ち込む前に何とかしてくれまいかという話し合いがございまして、それに基づいたわけでございまして、アメリカもこれは自由主義貿易を、自分たちはその旗をおろすんじゃない、それを、旗を振り続けるためにもこれをちょっとやってくれないかというような、明らかに申し入れに似たような話もございましたし、そういう観点からこのお話を進めたわけでございまして、御承知のように、反面、五月十二日にこの話し合いがつかなければベンツェン・ダンフォース法案、御承知のようにこの法案の車の規制は百六十万台、これもバンという車を含めた台数でございまして、約十万台、日本流に言えば百五十万台になるわけでございますが、そういう法律を通すということを五月十二日にもう待ったをかけているわけでございまして、いろいろ総合的に判断した結果、このような話し合いを進めたわけでございます。
○馬場富君 そこでもう一点、この前の質問のときにも私は念を押しておきました。米国議会での法案の問題の取り下げの問題とあわせまして、米国の独禁法の問題でございます。これについては、今回は、この独禁法問題については米国司法省からの書簡をやはり受け取られて、これでわが国の業界が訴訟を免れたと、こう理解されたようでございますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(小長啓一君) 独禁法問題につきましては、今回の措置を具体的に決定するに当たっての前提条件として大変重要な問題であったわけでございます。したがいまして、五月一日の決着の前に、天谷審議官を団長といたしますミッションが参りました際に、米国司法省の関係者と独禁法問題について最後の詰めを行ったわけでございます。先生御指摘のように、今回の措置は政府がその権限と責任に基づきまして独自の判断に基づいて講じるものであるということが認められまして、したがって、本措置に業界は従わざるを得ないという立場になるわけでございますので、米独禁法には抵触しないという公権解釈がなされたわけでございます。その解釈は米司法当局のレターの形でこちらへ送付され、かつ公表をされたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてはそのレターの有権解釈によりまして、次の三つのことが効果として出てきているんではないかというふうに考えておるわけでございます。一つは、強制捜査権を有する司法当局による訴追は行われないということでございます。それから第二は、私訴については事実上抑制する効果があるということでございます。第三に、仮に私訴を提起された場合でも、早期に勝訴に導き得るというその三つの効果があると考えておるわけでございます。
○馬場富君 じゃ、ここで、これもやはりアメリカの中でもそれを非とする声もかなり強いわけです。これはあくまでもアメリカの司法長官の書簡でございます。法律的文書でも何でもありません。これをちょっと解釈したものを私は読んでおりますが、やはりここで要点となるのは、スミス司法長官の書簡の中で、「通産省によって指示された輸出制限に日本の自動車メーカーが従うことは主権を持つ日本政府によって強制されたものとみなされることになる」と、こういう考え方が、一つは、政府がやったことだから、法律と同じであるというような見解で、結局向こう側はこの書簡を出しておるということです。 それからもう一つは、「日本政府による輸出規制の実施、通産省によるメーカー別の割当てとそれに日本メーカーが従うことは米独禁法に違反していないというのが司法省の見解である。」わけです。それで、なお司法省の見解は、「独禁法を解釈する米国の裁判所も同様の見解を持つものと信じる。」という、こういう言葉で終わっておるわけです。これは決定ではありません。この文書は法律効果のあるものじゃないです。そうやって、決定的なものじゃないと。 これを受けて、わが方の通産省の発表しておるこの措置の文面の中は、どういうふうにこれを受けておるかというと、「本措置を担保するため、今後万一必要が生じた場合には速やかに乗用車の対米輸出を外為法に基づく輸出承認制度の対象とする」という点と、「また本措置は米独禁法上全く問題かないとの」——いいですか、ここでですね、「全く問題がない」とここで決定的な意思を通産省は表明しながら、この後が、「米国独禁法当局の見解が確立されているものと理解している。」という、ここらあたりの問題、後は「理解」という言葉に変わっていますけれども、ここで、私はなぜこの問題を取り上げたか、ちょうどいま国会で問題になっております総理の核抜きの問題と同じ問題なんです、この点は。解釈の仕方により、また訴訟等の問題によっては、どうにもこれは引っくり返ってくる問題の内容が含まれておるということですね。 それで、それじゃその一つの例としては、かつてあなた方も体験されたわけですが、あの鉄鋼事件があるんじゃないですか、鉄鋼事件が。あのときに、やはり自動車と同じようなケースで、七二年にこの問題があって、連邦の地裁では違法の判決を下したわけですよ。そこで、違法の判決が出たために、七四年にあわてて通商法による特別立法によってこれを切りかえたという、ちゃんと日本が体験済みの経過があるんじゃないですか。これは同じ結果ですよ。同じ方法ですよ。そのときの地裁の判決文を見ましても、「大統領は、ある特定の行為が、たとえその政府職員の勧告によるものであっても、シャーマン法または議会で制定された他の関連法規に違反」した場合のこういう問題が生じた場合には、これはだめだというやはり地裁の判決によって覆されておるわけです。そういう判決文を私はここに持っていますけれども、そういう問題によってこれは覆されておるわけでございます。 そういうふうな状況下で、これは今後とも絶対的な問題だということが確認されるかどうか、この点の見解をひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(小長啓一君) アメリカの場合には、先生も御指摘のように、三権分立というのが非常に確立をされておりまして、したがって、その裁判権の分野まで行政がどこまで立ち入れるかという問題は、きわめて疑問なわけでございます。しかしながら、先ほども御説明いたしましたように、司法省の書簡という形で、先ほど先生がお触れになりましたような内容の書簡が公表されたということは、非常にこれ重みのある話でございます。しかもその中で、先生もちょっとお触れになりましたけれども、このような状況において、反トラスト法を解釈するアメリカの裁判所が、恐らく同様の見解を有するであろうと信ずるものであるというのがその司法長官の見解として出ておるわけでございまして、裁判所の判断そのものを拘束することはできないわけでございますけれども、そういう期待が表明されておるということで、かなり行政府としては、ぎりぎりのところの判断を示しておるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
○馬場富君 かつての七二年のときの鉄鋼事件のアメリカ地裁の判決文の中に、「外国の民間会社が相互に合衆国で販売される商品の実質的な数量を制限するむねのあからさまな協定はシャーマン法違反であって、参加者が当裁判所の管轄に服するかぎりにおいて刑事罰が課せられ、かつ損害賠償または衡平法上の救済のための民事訴訟を追行することができる」と、こういう同じような問題で、アメリカの地裁で鉄鋼が判決で負けているじゃないですか。そうしてアメリカは、改めてこんな書簡、法的根拠のない書簡でなくて、法制上の処置をとり直しているじゃないですか。そういうように、やはりアメリカの裁判というのは、そのようにはっきりとした自主性を持った体制をきちっととってきておる、こういうような前例があるのです。そういう点については、じゃこの趣旨のように、地裁の判決がこういうふうに出ておる。こういう結果で、私訴なり訴訟がなされた場合に、損害賠償を含む、そういう問題がなされると書いてありますが、こうなった場合には、責任はどなたがおとりになるのでしょうか。
○政府委員(小長啓一君) 先ほど先生御指摘の鉄鋼の例につきましては、私、いま、この現時点では詳細に承知をしておりませんけれども、少なくとも今回の措置との相違点として考えられますのは、今回の措置の場合には、民間会社相互間の意思疎通というのは全くございませんで、通産省が責任を持って個別に行う行政指導であるという点が一つの特徴であるわけでございます。 それから、さらに第二点の特徴といたしまして、強制力の差があるんではないか。つまり今回の措置による行政指導によりまして、その行政指導が守られない場合には、貿管令の適用という形での強制力のバックアップというのが、今回の場合にははっきり明定をされておるわけでございます。したがいまして、その点を司法省は判断の材料とされまして、今回のような書簡が来たんではないかというふうに思っておるわけでございまして、鉄鋼の場合の具体的な協定の内容につきまして、いま詳細に承知しておりませんので、正確な比較は申し上げられませんけれども、概括的に言って以上二つの相違があるんではないかというふうに考えます。
○馬場富君 私の聞いているのはそういうことじゃないのだ。そういう場合が生じた場合ですよ。いままで鉄鋼でそういうことが生じておるのだから、そういうものが生じた場合に、責任はどなたがおとりになるかということです。大臣の立場で答弁をしてもらいたい。
○政府委員(小長啓一君) 先ほど先生にも申し上げましたように、今回の司法長官レターによりまして、三つの効果があるということでございまして、一つは、強制捜査権を有する司法当局は、もう訴追は絶対行わないということがまずあるわけでございます。 それから、私的な訴訟につきましては、これは絶対禁止ということはできないわけでございますが、事実上抑制する効果があるということでございますし、それから第三に、仮に私訴が提起された場合でも、早期に勝訴に導き得るということでございますので、私訴が絶対起こらないという保証はないわけでございますけれども、起こった場合でも早期に勝訴に導き得るということで実害は相当少ないのではないかというふうに考える次第でございます。
○馬場富君 この点について、これもやはり独禁法のアメリカの権威者であるヘイル氏が言っておるのですね。何点かの問題を私出しますが、日米の輸出規制の問題については、やっぱり独禁法上問題がありという見解を出しておるのです。「日・米双方の政府及び関係者が、日本車の対米輸出を規制したがっていたという事実そのものがシャーマン法の基本精神に反する。シャーマン法は、輸出規制のための合理的な根拠が見出せないならば、この種のプログラムは根本的に違法行為である」ということが一番問題になるのです。合理的な根拠が見出せないならばだめだと、こう断定しておるわけです。日米自動車問題の合理的な根拠というのはどこにあるかということなんです。アメリカはこの問題について討議し、また国会でも論議が尽くされたのです。それのやはり合理的な根拠というのはやはりITCの論議じゃないかと私は思うんです。ITCの論議ではシロが判定されておるわけです。合理的な根拠というのはシロなんですよ。だから、結局シャーマン法による合理的な根拠があると。規制をするという根拠というものの中心は、このITCによるシロの判定が一つはアメリカ議会で論じられた中の大きい根拠だと私は思うわけです。そういう点について、それがやはりむずかしいというような、シロという状況ではむずかしいというような状況からいけば、合理的な根拠というのはどこからも見出せられないじゃないかと。先ほどからあなた方御答弁なさっているじゃないですか。あれは日本車の問題じゃないと、アメリカの自動車の問題はアメリカ自体の問題だと、アメリカでも言っているがわれわれもそう考えているとあなた方はおっしゃっているんですよ。それが根拠じゃないですか。根拠のなきものにシャーマン法というのはこれは精神に反しておるということを、このヘイル氏は指摘しておるわけですし、それから先ほど私の申しました鉄鋼の問題もそうですし、それから通産省の個別行政指導も、シャーマン法に照らすと結果としては共同謀議とみなされる可能性が強いと、こういうことを指摘しております。 それから、たとえ管理令で抑制した場合でも私訴の可能性があり、その場合勝訴するだろうが、事実上の不利益を回避することはできないと。それから、訴訟のトラブルを完全に封じ込めるには、独禁法の適用除外立法を議会で通す以外、この独禁法から逃れる道はないとヘイル氏は言っておるわけです。ここらあたりの問題を検討の上、この書簡を理解されたかどうか。
○政府委員(小長啓一君) 天谷審議官を初めとするミッションが司法省と折衝したわけでございますが、司法省の折衝相手はバクスターという次官補でございまして、これは独禁法問題のいまアメリカにおける最高の権威者の一人と言われている人のようでございます。その権威者が、先ほどのような見解に基づきまして判断をし、かつその司法長官書簡の原案を書いたわけでございますので、私どもは特別立法という助けを待たないでも、本司法長官の書簡によりまして、先ほど申しました三つの効果は期待できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○馬場富君 質問は時間がありませんからこの辺でとどめますが、こういう複雑な要素、そしてまたこれは奇々怪々の内容を含んだ、いわゆる私は総理の核抜きの話と同じだと思うんです、この両方の見解というのは。そういうように、お互いがはっきりとした法的根拠もなしに信じ合っておりますと、こういう両者の文面でこの重大な日米自動車問題の帰結と結果をそこに焦点を置いておるというところに、これは非常に将来について大きい問題を残す内容を含んでおることを考えて対処されたいと、こう思いますし、またその責任の所在をよく腹に置いて私は臨まぬと大問題になると思いますよ。 次に、先ほども出ておりましたが、これに並行してカナダやECの問題が問題になっておりますが、この点は先ほど何点か質問されましたので私はあえて避けますけれども、これは大臣の言われたとおり、アメリカの問題とカナダの問題とまたECは個別に全部違う状況でございます。これこそ私は先ほど、アメリカで大きく有力紙が報じておるように、自由貿易を守る立場で敢然と闘ってもらいたいと思うし、また日本が、やはり自由貿易というのは単に日本の利益だけじゃなくて、先ほどの新聞紙の指摘は世界の自由貿易を守るとりでが日本に課せられておるのじゃないかと、英国もアメリカも時代が過ぎたと、日本がやはり自由貿易を主張し得る唯一の国だと、こういうことを主張しておる。そういう点に立ってひとつ臨んでもらいたいということです。それについて天谷審議官や栗原局長がヨーロッパに行かれるという話でありますけれども、これは行かれる場合に自動車問題を含んだ話をなさるかどうかお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田中六助君) 自動車問題を含めて天谷審議官、栗原局長が行くかどうかということでございますが、含むのじゃなくてそれが主体でございます。それで、私どもは主としてこれは自由主義貿易をいかに守ろうかということでございまして、いまやっておることは自由主義貿易に反することで逆じゃないかという御指摘でございますけれども、自由主義貿易というものも、一人で自由主義貿易貿易と言っても相手が保護主義貿易に転換すれば、これは何にもならないことでございまして、向こうの方も自由主義貿易をしたいけれども、おまえのところの車は来過ぎてどうにもならぬから何とかしろ、そうしないとおれのところはおまえのところの車はもう入れないぞという、まあおどしとも言えよう、あるいは自分たちが食うためにはいたし方のない論理の展開と申しますか、そういうこともあるわけでございまして、その点は私どもはあくまで自由主義貿易を下敷きに置きまして、向こうのごきげんもある程度伺いつつ、その線を維持するための手段としての方法でございまして、私ども自由主義貿易を否定することは日本人自身の首を締めることでございますので、その点は何かと十分考えていきたいというふうに考えます。
○馬場富君 大臣に一言。それでカナダ、EC問題、質問が重なって失礼でございますが、これはやはり本当にアメリカの、一つは総理訪米前に間に合わせのような決着ということで解決され、短期間のうちにこのような問題が処理されてきておりますけれども、私が言いたいのは、大臣もやはり日本のためのことを思い努力したと、お互いに自由貿易を考えての努力だと思います。だが、やはりそこにいろんな時間をかけた一つの交渉や経過というものはぼくは必要じゃないか、そういう点についてこちらが身を投じてまでもやはりそこまで粘るべきだ、そういう点にこのECやカナダ問題については、あわせて私は、先ほど質問も出ておりましたが、アメリカの二の舞を踏むような考え方でお臨みになっておるかどうか、そういうことは絶対ないかどうかはっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) アメリカとECあるいはカナダとは全く違うケースで、その内容も種々さまざまでございます。私どもは十分いま御指摘の点を頭に置いて交渉は進めていきたいというふうに考えます。
○馬場富君 次に、敦賀原発について質問いたします。 最初に通産省に今回の報告書が出ましたが、これには給水加熱器と一般排水路放射能漏れ事故の二件が報告されておりますけれども、この他に何件かあったように私たちもつかんでおりますが、この点はどうでしょう。
○政府委員(石井賢吾君) 日本原電に対しまして、四月十日及び四月三十日の立入検査結果が判明した時点及び五月十八日の数項目にわたります指示事項を含めまして保安管理体制の総点検を指示し、かつその報告書の作成提出を要請いたしております。いま御指摘の報告書にかかわります問題以外の問題につきましては、すべてその総点検報告書に盛り込みまして、今後の保安管理体制を再構築する前提条件として十分吟味していただくということで私ども考えております。
○馬場富君 簡単でよろしゅうございますから、その二件以外に何年何月にどんな事故があったと、そして合計何件あったと、それを教えていただきたいと思うのです。
○政府委員(石井賢吾君) 私どもいま申し上げましたような意味におきまして、会社側から最終的な報告を受けておらないわけでございますが、これまでの報道及び立入検査等によりまして判明いたしたものは、ことしに入りましては一月十日、二十四日の給水加熱器における漏洩問題、それから三月八日の旧廃棄物処理建屋におけるオーバーフローの問題、この三件が報告事項の対象でございますが、このほかに新しい廃棄物処理建屋におきます漏洩折出問題が一月十九日に起こったということになっております。このほか午前中御質疑がございました昨年十一月下旬におきまして、復水器の補修が必要となった事態が生じておるというようなことで、これら合計いたしますと六件程度ではなかろうかと思っております。一応われわれこれまでに承知しておりますのはこの程度のことでございますが、さらに報告書の中で述べておりますが、昨年の十二月六日におきましても小範囲ではございますが、廃棄物処理旧建屋におきまして漏洩があったということを承知いたしております。
○馬場富君 いまの六件ほどあったと、こういうふうにおっしゃいますが、この六件についてはかつてその事件の起きた直後に、原電から通産省の方に報告がなされておりますか、どうですか。
○政府委員(石井賢吾君) 私ども表に出るに応じまして報告を受けております。もちろんこれは先ほど申し上げましたように、昨年十二月におきます旧建屋におけるオーバーフローの問題等は、立入検査による除染記録の点検の結果判明したこともございますが、それらを含めて会社側の報告を受けております。
○馬場富君 そのいままでのあなた方の説明でいきますと、それじゃなぜいままでそんな大きな問題が、その六件がその直後に通産省に報告があったというんでしょう。通産省が隠しておったんですか。いまになって報告がわかったということは、このことは私聞いておるんじゃない。事件が起こった直後に、みんな日にちがきちっとしておるじゃないか。そのときに報告があったかどうかと いうことですよ。
○政府委員(石井賢吾君) 正確に申し上げませんで失礼いたしました。六件のうちの最後に申し上げました昨年十一月下旬の復水器の保修問題につきましては、その当座において報告があったわけでございますが、その他につきましては、その事故といいますか、漏洩が生じました直後に会社側から報告がなされたものではございませんで、立入検査あるいは報道等をきっかけにして会社側から改めて説明があったというものでございます。
○馬場富君 だから今回の事件の中でやはりこの点が一番残念だし、やはり日本のこれからの原子力発電の発展の上で、これはアメリカのスリーマイルの原発事故が大きかったけれども、それにも増してまずいのは、こういうやはり一番安全管理を必要とする原子力発電の中で、いわゆる報告事項がなされるというそういう大事な問題、特に事故やそういう問題について隠すという考え方が、これが今回の問題の事故の中の一番最大だと私は思うんですよ。またどんな方法を講じたところでこれは私はだめだと思うんですよ。この点について大臣どのようにお考えですか。
○国務大臣(田中六助君) まあ報告がおくれたというよりも、いろいろ世間が騒いでいろんなことが明らかになったという方が正しいかもわかりませんけれども、私どもが日ごろ安全性あるいは国民の信頼というようなことを持ち出していただけに、私どもにとってもこれは大きな衝撃でございますし、これからも原子力発電所の運転、管理、審査、検査、そういうものについて行政上も十分なより以上の配慮を持って臨みたいというふうに考えます。
○馬場富君 この件についてはまた後で質問を大臣にいたしますが、私はこれは重大な問題だと思うんです。だから、幾ら安全性を考えてみたところでそういう事業に携わる人たちがそういうような考え方を持っておったならば、安全性なんかどんな規制を決めてみたところで何にもならなくなってしまうということがこの問題の一つだと思いますし、それからもう一つは、これだけの事故があったにもかかわらず、やはりこれは監督するのは通産省一省に限られておるわけですが、そういう点について、このようなことが事前にいままでもつかむことができなかったというのは、これはやはり行政上の監督の問題なのか、それともそういう点についての結局力が弱いのか、その点ちょっと通産省どういうふうにこの問題について考えてみえますか。
○政府委員(石井賢吾君) 原子力の安全確保ということにつきましては、私ども第一義的に自主保安体制ということを前提として考え、原子炉設置者ないし電気事業者が十分な自覚の上に立ってその責任を遂行するということが基本になっておるわけでございますが、まあ規制当局と電気事業者との信頼関係の上に立って、これまでの安全行政を遂行してきたということでございますけれども、今回の事故を振り返りまして、この信頼関係が崩されたんではないかというような懸念さえございます。そういう意味においてきわめて遺憾であると思うわけでございますが、今後は先ほど申し上げましたように保安管理体制の再構築を原子力発電株式会社に徹底していただきまして、その上に立ちまして、かつ単純な信頼関係ではなしに、サイトに常駐いたします専門官の仕組み、あり方につきましても十分検討を加えまして、会社側のいわば自主保安という大原則の中ではあるものの、保安規定の中に専門官への対応責任者あるいは提示すべき書面の確定その他を盛り込みまして、いわば自律的規制の中でこの専門官制度の復活といいますか、息を再度吹き込みたいということで現在検討を進めておるところでございます。
○馬場富君 もちろん今後の対策については、これは考えてもらわなきゃなりませんが、このようないま先ほどあなたにお聞きしましても、六件の中で何度か報告を受けたのは一件だった、それまではわからなかったと、まあ結局流れ出した水がその量こそ少なかったということで、問題をあなた方は軽く見るかもわかりませんが、量が少なかったか多かったかの問題じゃなくて、やはり安全管理というのがそんなに粗雑に行われておるということと、それからそれをしかも隠してこれは報告しないように握りつぶしてしまおうとしておるということや、そういうことについて通産省が監督をする立場にあるのが一件しかそのことが感じられなかったというのは、私は責任のいいかげんのところじゃないかと思うんです。まあ先日の新聞等によれば、各地方自治体の方が、やはり今回の問題も福井県が一つは指摘した問題から端を発しておりますけれども、そういう点についてのやはり自治体での原発の監督権限を与えるべきだという声も出ておりますけれども、この問題についてはやはり今後協議し、また研究の段階があると思いますけれども、この点をひとつ自治体の問題のことも答弁いただきたいが、あわせてやはりこの責任ということ、通産省が監督しておってこんな事故が起こっておって、一件しかわからなかったというような問題やら、あるいは建築は結局県側だと、施設はあなた方だと、こういうような考え方で、実は今回の排水路の問題の旧建屋内の地下をくぐったあの設計等の問題についても、専門の建築家から言わせれば常識としてそういうことは全然行わないのが普通なんだと、必ず外に回すというふうに設計を改善するのが建築家としての常識だと言っています。法的な根拠はなくったってそのくらいのことは常識だと、こういうふうにも言われておる。こういうような問題等について、もわれわれにチェックする権限がなかったと。それじゃだれが責任を持って原子力発電を監督しておくのか。いわば、通産省じゃないですか。その通産省が、建物は建設省や県庁の建築課の方でやっておるからそれはわからなかった、知らなかったと、こんな方法でやられておったんなら、安全性も何もあったものじゃございませんよ。だから私はこの点については、通産省が実は大きい責任があると思います。そういう点で、この責任をどのようにあなた方は考えてみえるかという点等の地方自治体からそのような声が出ておりますが、大臣、これについて、これはまた専門的にむずかしい問題もあると思いますが、どのようにお考えか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○政府委員(森山信吾君) いま馬場先生から二つの問題の御提起があったわけでございまして、一つは今回の事件に関します通産省の監督責任の問題、もう一つは地方自治体に対する権限移譲の問題この二点だろうと思います。 まず第一点につきましては、御指摘のございましたように、私ども通産省が現在監督責任にございまして、特に今回の事件を反省いたしますと、安全審査の体制のあり方、それから検査のあり方、それから安全の管理監督体制のあり方、この三つのポイントにつきまして率直に反省すべき点が多々あったのではないかということを反省をしておるわけでございます。したがいまして、私どもはいま申し上げました点に十分留意をいたしまして、本当に名実ともに安全であるということの立証と申しましょうか、今後そういう仕組みを確立していくことが一つの責任を果たす方向ではないかというような認識を持ちまして、鋭意そういう方向で努力をしてまいりたいと、かように決心をしておるところでございます。 それから第二点の御指摘の、地方自治体への権限問題につきましては、私どもも今回の事件を契機といたしまして、そういった自治体からの権限移譲の御要請も多々耳にいたしておるところでございます。ただ問題は、権限の問題とそのうらはらにございます責任という問題になりますと、大変高度な安全管理、高度な知識、技術、こういったものが要求されるわけでございますので、そういったものを県に——まあ表現は悪うございますが、ある意味で共同分担していただくということが果たして妥当かどうかというような懸念もございますので、自治体からの御要望の線を頭に入れながら、どういうふうな体制をとっていくことが本当の安全監督に資してまいるかという観点で、慎重に検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○馬場富君 それとあわせましてやはり設計ミスともいうか、そういう排水路の問題等について現状のままでいくと、いまあなた方が国会等で答弁していらっしゃるように建物は県側の方だ、施設はあなた方、こういう考え方で以後も続けられていくということになりますよ。そうすると欠陥設計というのがこれからもどんどん出てくるということになります。これは一刻も許すことができないです。これについてやはり法的対策をどのようにいま考えてみえるか、大臣なり長官なりどちらかできちっとしてもらいたい。
○政府委員(石井賢吾君) 放射性廃棄物処理設備その他の付属設備に関しまして、現在その建物につきましては建築基準法の耐震設計、支持構造物としてのチェックにとどまっておりわけでございます。これはまさに建築基準法の範囲で処理をしていただいておるわけでございますが、今回の事故を教訓といたしまして、廃棄物処理施設その他付属設備に関しましても単に電気工作物を設置し、その機能をチェックするというだけでなしに、その設備が設置される施設全体を含めまして、放射性廃棄物その他その建物の施設の仕様に合った形での安全審査基準を設定する必要があるんではなかろうかと思っておるます。たとえば流体状の放射性廃棄物を処理する場合におきましては、漏水防止のための施設が同時に設置されなくちゃいかぬ。したがって建物もそういう観点から、たとえば床面あるいは壁面につきましてもそういう観点からチェックする必要があるわけでございます。そういった点を技術基準の省令政正という形におきまして実施すべく、現在検討をいたしておりまして、その技術基準を十分チェックできる安全審査の手続を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○馬場富君 もちろん建設省にもそういう建築基準という問題もございますが、今回でも通産が、一つはその安全性の責任はあなたのところにあるわけです。そのチェックするあなたのところが全体の排水路やそういうことについても明らかにそういう安全性のことについては、結局建設省よりあなたのところの方が専門家でしょう。そうしたならば、その排水路等の設計等についても建屋等の建設についても、総合的にあなたのところがチェックもし検討もするという機能がなかったならばおかしいんじゃないですか。片一方は建設省の方で考慮しておらうというような措置では、私は通産省が原子力発電を監督するという責任は逃げておると思うんですよ。その点、はっきりとした措置を講ずることをここできちっとしてもらいたいと思うんです。
○政府委員(石井賢吾君) 言葉が足りませんでしたが、従来は支持構造物としての耐震性ということで建築基準法で見ていただけでございますが、今後はラドウエスト系統その他の付属設備につきましても、その設備の機能との関連におきまして、その施設の漏洩防止措置その他必要な措置については、すべて安全審査においてチェックをするという方式にいたしたいと思っているわけでございます。
○馬場富君 最後に大臣にお尋ねしますが、いま日本の中でも原子力発電が各所で行われておりますし、またエネルギー自給見通しの中の今後の伸びの中でも、原子力発電の力というものが大きい数字でもって期待がかけられておるわけです。そこで、私どもはやはりまだ原子力の安全性については完璧なものではないという、学術的にもそういう一つの疑念はありますが、その中でも現在行われつつある発電所については、安全管理やそういう問題についてはきちっとなされておるし、たとえば本体以外のそういう処理施設についても、完全に管理がなされておる。まして事故隠しなんかはあるわけがないと信じてきたわけですけれども、ここでこういう問題が敦賀で起こってしまったということは、私は国民に対する原子力の疑惑というのはなお深くしてしまったということと、それから、エネルギー上の原子力の占める位置というものを私は大きく後退させたんじゃないか、あなた方はこれを何とかすればまだ持っていけるとお思いになりますけれども、この問題だけは国民に自信をなくさせてしまったということが私は言えるんではないか。こういう点について大臣の——先ほど長官に聞きましたけれども、通産省の責任は私は大きいと思う。どのように責任をひとつ感じ取られようとしているかという点と、それから、大臣は事実が固まれば委員会等では告発すると答弁なさっておりましたが、この報告書の中でもはっきりわかりますように、六カ月間の運転停止ということで考え方を変えられました。この理由はどこにありますか。
○国務大臣(田中六助君) 一つは責任はどこにあるかということでございますけれども、先ほど森山長官からも申し上げましたように、私どもは、原子力発電所というものは長期エネルギー需給暫定見通しの中にも、十年後には油を半分にする、今回またさらにこれを見直して油は半分以下にするということになるわけでございますが、それだけに代替エネルギーの原子力発電所の占める役割りというのは多うございます。 私どもの計画は、いま二十三基動いておりますけれども、これを三十五基にまで持っていって、これを十年後には五千二百から五千三百万キロワットという想定をしておるわけで、今回の問題でこれが挫折するようなことがあっては、日本経済はもちろんでございますが、国民の生活の安定度においても電気料金その他の問題を勘案しましても、原子力発電はコストが他の発電関係の半分でございますし、外国の例を見ても鋭意原子力発電所の数をふやしているような段階でございますので、そういうさなかにあっての今回の事故でございます。したがって、これは十分拳々服膺しなければなりませんし、こういうことのないようにすると同時に安全性、また信頼あるいは管理行政、そういうものにつきましてもより以上の安全の措置をとらなければならない、それから、原子力発電所に働く人々の感覚と申しますか甘えとか、それからなれ、そういうものがないように、この人たちの管理行政と申しますか、審査、検査を厳重にしなければならないというふうに思っております。 それからまた、事故の具体的な項目というようなものをもう少し細部にわたってつくっておかなければ、何が事故かということについても非常に発電所の中ではむしろ奇異に感じているような、これは故障だ、事故ではないというようなことを堂々と述べる人もあるんだそうです。私どもは直接聞いておりませんけれども、事故隠しではない、故障を修繕したんだというようなことを、私どもにはそんな放言はしませんけれども、そういう感覚ではまさしく原子力発電所の推進はできません。したがって、私どもは、そういう点の審査、管理、そういうものについて厳正に持っていかなければいけないというふうに思っております。 それから、第二点の罰についてでございますが、おまえは告発すると言っておって、それは避けたではないかということでございますが、私が言っておったのは、やる、やらぬは別にして、告発を含めた厳正な措置をとりますと言っておったことで、それをインクルードした、つまり含めた罰を考えておるということであって、告発を必ずしますということではないことは、速記録を見てもわかると思います。 しかし、私が言いたいのは、告発が非常に厳しくて、半年の運転停止が厳しくないとか、そういうような価値判断はどういうところから出てくるのか、私は非常に奇異に思いますけれども、御承知のように告発は十万円の罰金でございます。運転停止というのはこれこそ伝家の宝刀を抜いた初のしろものでございまして、これは発電所にとっては、あるいはこれを推進しておる会社にとっては一番手痛いことだというふうに思っておりまして、私どもはどちらが重い、どちらが軽いという考えはさらさらなく、どっちを選択するかということになったときに、半年の運転停止といういままでにない厳重な、しかも厳正な罰則を、行政処分をしたわけでございまして、その点の配慮を御推察願いたいと思います。
○馬場富君 もう一点ですが、私は何も告発が重くて運転停止が軽いという議論じゃなくて、大臣が事実が固まれば告発もという言葉はちゃんと委員会でおっしゃったことは私聞いております。含めてとおっしゃっていますが、それじゃ告発をするような内容がなかったのか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(田中六助君) 内容がなかった、あったというわけではなく、罰と申しますか、処分には告発もありますし、停止処分もございますし、まだいろんな処分があるわけで、その中の一つを選択したということでございます。
○馬場富君 じゃ告発の考え方は、ここでないというように理解していいんですか。
○国務大臣(田中六助君) いまのところははっきり半年の運転停止ということでございますので、告発するという考えは消えております。
○馬場富君 最後に一問浅田参考人にお尋ねしますが、先ほども通産側にずっとお聞きしましたが、この報告書の中でも、私は大事なことは、事実起こってしまったことだ、みんな過去のことです。だから、お互いに通産側も原発側もやはり謙虚な気持ちになって、この事故の真相はいずこにあったのかということで、この機会に洗い直して、欠陥のものは欠陥で、全部問題点を出し尽くして、そして再建すべきだと私は考えるのです。またそうしなければ国民の信頼も戻らない。中途半端な解決策であったならば、やはりこれからの発電についてはみんな疑問を持っていくんじゃないか。 そういう点で、私はこの報告書をずっと見ておりましても、たとえばベルの鳴ったというような問題等についても、通産省の報告では鳴ったであろうというような報告しかなされておりませんし、現場ではどうか知りませんが。 それからもう一つは、これはボタンを押さなければとまらないから、とめた人があるということがあるだけで、とめたという事実のこともはっきりされてない。こういうようなところに私は本当のこの問題の解決の中に暗さがあると思います。 そういう点で、そこらあたりも洗いざらいやはり従業員の方々も知った関係を全部言い尽くして、閉め忘れは閉め忘れ、ランプを見たがそれは見忘れと、はっきりとしたやはり解決でもって私はこの問題を処理しなきゃ、いつまでたっても国民に与えた疑問というのは解決しない、こう思うんですね。 そういう点について、いま通産省のこの報告書を見る限り、まだ真実が本当にやはり関係者からはっきりされてないんじゃないかという点の疑問を持つわけですが、その点質問とあわせて私の要望ですが、ひとつ今後の解決の中でもっともっとやはりはっきりした明確な回答が出るような、一つは通産との協力の中で調査がなされるように希望したいわけですが、どうでしょうか。
○参考人(浅田忠一君) 先生御指摘のとおりでございます。 一番私どもが感じておりますのは、先ほど通産省の側からも御指摘ございましたように、運転している側のあるいは放射能に対する感覚と、それから社会一般の方々がお考えになっていらっしゃる感覚とが非常にいつの間にかずれておった。それで、私どもが軽微と判断したということが各所に出てまいりますが、その判断に社会では通用しないものができてきたということを、ここ二カ月間いろいろな委員会その他で御質問を受けたりお答えしている間につくづくと感じております。 そういう点から考えまして、私どもその点を中心にいたしまして、先生御指摘のとおり、できるだけ明るい、影のないかっこうでこの問題は解決していきたいと存じます。 ただ、ここでお約束いたしかねますのは、いままでの感覚が残念ながらそういう感覚でございましたので、すみずみまでこれから洗っても洗い出せるかどうか。たとえば非常に無感覚に操作をしているという点がございますので、その点であるいは先生のおっしゃるとおりの御満足がいただけるかどうかわかりませんが、私どもは十分の努力をいたすつもりでございます。
○市川正一君 大臣おいででございますので、緊急の問題としてSRCII問題でお聞きしたいんであります。 けさの日経によりますと、御承知のように、日米独共同開発による石炭液化計画の中止が報ぜられております。この問題については私四月一日の本院エネルギー対策特別委員会でこういうことも懸念しまして大臣にお尋ねしたんでありますが、ここに私議事録も持ってまいりました。しかし、田中大臣を初め、森山長官も従来どおりやると。いわば突っ張った答弁をなされたんでありますが、そこで、本格的な質問は次回以降に譲ることとして幾つかお聞きしたいんであります。 第一に、これまでアメリカに送金した資金をどうするのか。計画を一方的に途中で中止された、主としてアメリカの責任をどう追及されるのか。 第二点は、今年度の予算をどうするのか。 第三は、液化計画がおくれたことはこれで明らかでありますが、エネルギーの長期見通しの改定が必要と思うが、どうか。 第四に、今回の事態でも明らかなように、外国に依存した技術開発を進めるのではなくて、自主的な立場から技術開発を進めることの重要性が私示されたと思いますが、この点いかがか。 四点についてお伺いしたいんです。 〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
○政府委員(福川伸次君) お尋ねの本日の日経新聞に出ておりました記事でございますが、SRCIIのプロジェクトにつきましては、四月の十四、十五の両日東京におきまして三国協議を行いました。今後アメリカにおいてコストの見直し、あるいはスケジュールの見直し等を行いまして、今後関係国においてさらに検討の上、六月に再度協議をするということに相なっておりまして、現在のところ六月の二十三、二十四の両日ボンにおきまして三国協議を行う。こういうことになっておるわけでございます。 現在の状況を御報告さしていただきますと、米国のエネルギー省の要請に応じまして、SRCインターナショナル社、これは先生も御存じのP&M社、ガルフの系列の会社でございますが、それと西ドイツのルール・コーレ、それから日本側のSRCとの三社の合弁でSRCインターナショナルというのができておりますが、それがコストそれからスケジュールにつきまして、いま見直しをしてそれを提出をいたしておりまして、現在アメリカ政府を初め各国、関係国におきましてそれを検討している段階でございまして、まだ私どもの方に米国政府の評価あるいは今後の対応、そういった見解につきましては、私どもとしては連絡を得てないわけでございまして、けさ新聞で報ぜられておりますように、民間におきましてこの建設を中止し、それを米及びドイツの両国政府がそれを決めたというふうには私どもはまだ承知をいたしておりません。 それから報道されておりますように、一部の部分、技術的な解明をし、さらにまたその基本設計等の関係でやるというような御意見も新聞に出ておりますが、それも私どもとしてはまだSRCインターナショナル社が正式に決めたというふうにはいたしておりませんし、またわが国におきましても参加主体であります関係会社におきまして現在検討中ということでございます。
○市川正一君 時間がないのでわからなかったらわからぬと。だからあっさり言うてくれ、もう。時間がないんだよ。まだつかんでないんやな、そういうことやな。
○政府委員(福川伸次君) はい。まだ米国政府の見解は来ていないということでございます。
○市川正一君 あと四点あるけれども、それはお答えになるんですか。
○政府委員(福川伸次君) それじゃ質問の点を簡単に御説明さしていただきます。 現在、米国に払った金はどうするか、あるいは責任はどうするかという点につきましては、今後米国の対案を考えて、どのような対案が出てくるかということを考え、どのような展開になるかを考えて私どもとしては対処をいたしたい。 また、今年度予算につきましても、今後の協議の結果を見て慎重に対処をいたしていきたいというふうに思っております。 それから、液化計画がおくれることでエネルギー需給見通しがどうかということでございますが、これも協議の結果を見、またエネルギー需給暫定見通し、これにつきましても私ども今後いろいろ改定等の作業の中で考えてまいりたい。 それから、技術開発につきまして、国産技術を進めるようという点につきましては、私どももちろん国産技術を進めるということも必要でございますが、こういう先進的な技術につきましては、関係国で持ち寄って技術開発を進めていく。それもまた必要な場合もあり、それは私どもも多角的に考えてまいりたいということでございます。
○市川正一君 五分いかれてしまったんだよ。これで大臣の御答弁なら黙って聞きますけれども、もうよろしいわ。 一遍改めて、大臣、これね、あんな突っ張ったような答弁ではなしに、中身のある、少し血の通ったことを一遍やりたいと思うんで、それはもう後にします。 本日は、原電の参考人もお越しなのでありますが、先般要請にこたえて若干の資料を提出されました。それは多とするものでありますけれども、これ自体なおいろいろの問題を含んでいるというふうに私は思います。 そこで、若干資料に即してお伺いしたいんでありますが、まず資料の2の「運転日誌」に関する問題でありますが、今回のオーバーフローの原因の一つとなったAO——△——二七五のリミットスイッチの修理依頼が三月九日の運転日誌に記載されておりますが、ここにございますとおりですが、実際に故障した日はいつなのか。その点ちょっとお伺いしておきたい。
○参考人(板倉哲郎君) 故障を見つけました日は三月八日の日に、夕食前に一度フィルタースラッジの移送をしております。その時点で初めて運転の者は、リミットスイッチによるランプの点灯が正常に行われていないということを、夕食前のフィルタースラッジの移送の時点で見つけております。その前の移送のときには正常であったと。
○市川正一君 三月八日ですね。
○参考人(板倉哲郎君) はい、さようです。
○市川正一君 それは通産省に報告なさいましたか。
○参考人(板倉哲郎君) ランプの点灯が不備の点については通産省に報告しておりません。
○市川正一君 していない。 次に、三月九日には大規模な除染作業が行われているんです。これはもういまや周知の事実です。 ところが、同日付の運転日誌、これを拝見しますと、それにも書いてないし、実際の作業をやった「廃棄物処理設備運転日誌」、いただきましたが、ここにも「(特記事項)」の部分がありますが、記載されておりませんが、これはどうしてですか。
○参考人(板倉哲郎君) 「廃棄物処理設備運転日誌」の方には、オーバーフローをして建物の床が汚染が生じておるということの記載がございます。
○市川正一君 それ八日でしょう。
○参考人(板倉哲郎君) はい。
○市川正一君 九日にいわゆるちり取りとバケツでやったわけでしょう。
○参考人(板倉哲郎君) 作業をした件についてですか。
○市川正一君 ええ。
○参考人(板倉哲郎君) 作業をした点については、先生御指摘のように……
○市川正一君 書いてないね。
○参考人(板倉哲郎君) 運転関係には書いてございません。
○市川正一君 いやいや処理の方に。
○参考人(板倉哲郎君) 処理の方にも……
○市川正一君 書いてないな。
○参考人(板倉哲郎君) はい。 〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
○市川正一君 それで、私、こういう事故が昨年の十二月の六日にも発生しているということから考えると、運転日誌にも記載してない、そうしてまたオーバーフローやそれに伴う除染作業が、いわば日常茶飯事的にやられているという疑いを私は持つんであります。 これはまた別の機会にお聞きするとして、資料に即して申しますと、資料7でありますけれども、ここで原電の定期検査の進め方に関連してでありますが、定期検査という場合に、普通原子炉の本体を停止してシステム全体を検査するように私どもは理解しておりますが、そのほかにも、たとえば新旧の廃棄物処理建屋ごとに定期検査を実施するということがあるのかどうか。その際のサイクルはどれぐらいの期間ですか。また五十五年から現在までの定期検査の実施状況というのは一体どれくらいなのかということがもしわかれば、——まあ、サイクルだけでも結構です。
○参考人(板倉哲郎君) 原子炉本体の方は、先生御指摘のように、原子炉をとめまして年に一回検査をいたします。それから、廃棄物処理施設の方は、原子炉の運転と直接関係がございませんし、原子炉の定期検査の場合にはかえってその時点で廃液などたくさん処理しなければならないこともございます。したがいまして、期日をずらしまして、廃棄物処理系は別の期日にやはり年に一度、機器類の点検をしております。
○市川正一君 そうしますと、ここにもありますが、濃縮廃液の漏洩を起こした貯蔵タンクの保修修理は定検中発見工事として処理したことになっています。こういうことはしばしばあるんですか。わかりますね、あなた方から出された資料です。
○参考人(板倉哲郎君) 先生おっしゃいましたように、定期検査中に機器を綿密に見まして、それによって、故障といいますか、事態が出ますと、その定期検査中に直してしまうということは通常でございます。
○市川正一君 そうすると、その点で、去年からことしにかけての定検中の発見工事というものの一覧表をお教えいただきたいんですが、きょう結構ですから、後で資料をいただけませんか。これでもうあなた方、私、終わりますから、うん、と言うてもろうてどうぞお帰りください。
○参考人(浅田忠一君) ただいま通産省からも総点検を命じられております。その中で恐らくごらんに入れることになるかと存じます。
○市川正一君 委員会及び私にもそれはいただけますか。定検中の発見工事の一覧です。
○参考人(板倉哲郎君) ちょっと質問させていただきます。 いまおっしゃいましたのは、廃棄物処理の昨年の十月からことしの三月三十日までかけて廃棄物処理施設で定検をいたしましたので、その関係でどういう項目があったかということについてでございますか。
○市川正一君 はいそうです。
○参考人(板倉哲郎君) 質問の御趣旨はよしわかりました。
○市川正一君 じゃあちょうだいできますね。いただけますね、その一覧を。
○参考人(板倉哲郎君) 十分検討さしていただきまして。
○市川正一君 そうしますと、私の質問では参考人の方にはもうお帰りいただいて結構でございます。
○委員長(金丸三郎君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたりまして御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御退席くださって結構でございます。どうもご苦労さまでございました。
○市川正一君 大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣は四月二十一日の本委員会で私の質問に答えられて、先ほども触れられましたが、あれは少し正確でないと思うんですが、ここに会議録があります。こう述べていらっしゃるんです。「私の見通し、」私というのは大臣でありますが、「判断を申し上げますと、やはりこれは電気事業法並びに他の法律にも十分規定されておる報告義務ということに対する怠りがあり得るというふうに考えております。したがって、それらを含めまして、告発の対象になるんではないかというふうに考えております。」というのが正確には大臣の御発言であります。そうしますと、どうして今回、この告発をやらないということに立ち至ったのか。この態度というのは当日の朝の閣議にもたしか報告なすっているというふうに私確認しておりますが、この点についてしかとお伺いしたいんであります。
○国務大臣(田中六助君) いまも告発の対象になるということについての考えは変わりはありません。しかし、告発の対象にもなりますけれども、また、運転停止という会社にとっては手痛い処分ということの対象にも十分なり得るわけでございまして、私は告発の対象にならないと言うているわけではないんでございまして、選んだものが六ヵ月の停止処分というものでございます。
○市川正一君 そうしますと、法違反の行為はなかったという認識でございますか。
○国務大臣(田中六助君) 電気事業法並びに原子炉等規制法、こういうものについての法律違反の疑いは十分あります。
○市川正一君 私は、たとえば日本原電の鈴木社長、午前見えておりましたが、彼ですら、五月十九日付のこれは朝日新聞でありますけれども、告発されるのではないかと考えていたというふに、告発を覚悟していたということを漏らしております。にもかかわらず告発をしなかったということについては、国民は事故の発生とともに一層の疑惑と不信を深めていると言わざるを得ぬのであります。先ほどもお触れになったが、六カ月の運転停止は厳しい処分だというふうに言われましたけれども、これはとんでもないことであります。というのは、敦賀原発は毎年実施する定期点検の時期にいま当たっております。また、今回指示を受けた旧廃棄物処理建屋は、ランドリー室の撤去などの改善措置をとらなければならない、つまり運転停止処分がなくても相当期間運転停止をしなければならないということであります。これでは実質的な処分の意味をなさぬと言わざるを得ぬのであります。つまり、行政処分自身が日本原電を事実上救済するものである上に、告発はしないというのであれば、実質的に処分をしないと同じことじゃないですか。私はこういう点で、田中大臣のあの御紹介しました先般の発言と、そしていま現におとりになっておられる態度というのは、結局法律違反がある、その疑いありと、こうおっしゃっている。それを見逃して日本原電の刑事責任を見逃す、免罪することになるというふうに率直に思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(田中六助君) 行政処分をしたわけでございまして、何も見逃した覚えはございません。この行政罰という、六カ月の運転停止というものは永久に消え去りがたい処分でございまして、告発しなかったからこれがどうだとか、どうせ点検期間中であり、将来もまだいろいろあるから何の効果もないというお考えは私は少しもとっておりませず、この処分というものはやはり会社にとっては手痛い処分でございまして、永久に消えがたい処分でございます。また、半年たったからすぐこれが運転が開始できるかという、今度は実態面からいきますと、いろんなことが、暴露といいますか、具体的にあらわれておりますので、その立て直しを次々にやっていかなくちゃいけませんので、これは半年たつか、一年たつか、それ以上たつかわからないような問題を抱いておりまして、半年たったからそれで終わりだというような実態面のこともないわけでございます。
○市川正一君 じゃ、伺いますが、石井部長、あなたは五月十九日付の読売新聞をお読みになったと思うけれども、こう書いておりますよ。会社側は十分な社会的制裁を受けている、情状酌量と受け取られても結構です、と言い切っているんですね。午前中吉田委員とのやりとりがありましたけれども、結局あなたの真意というのは情状酌量ということですか。この情状酌量ということについてはいまも変わらぬのですか。
○政府委員(石井賢吾君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、敦賀発電所の一連の事故、これ……
○市川正一君 いや、情状酌量ということについて聞いているんですから、大臣のことを聞いているんじゃない。
○政府委員(石井賢吾君) 敦賀発電所の一連の事故がずさんな保安管理体制、及びこれに起因する事故対応のまずさ、これに尽きておるわけでございまして、これが幾つかの法律違反の疑い、あるいはそういった法律違反の問題を提起しておるわけでございますが、根幹として問題の所在をわれわれ考えますに、それは保安管理体制の立て直しをさせる、徹底的に反省をしていただいて、その六カ月間に十分な反省をしていただく必要があるという判断で、単に将来の違法ないし違法の可能性のある状態を除去するというだけじゃなしに、この停止命令におきまして具体的な過去の行為に対する制裁を科しておるというふうに私ども考えておりますので、これとの兼ね合いにおきまして告発問題を考えておったということでございます。
○市川正一君 情状酌量ということをあなたはいまもそう思っておるのですかと聞いているんですよ。
○政府委員(石井賢吾君) 情状酌量とは考えておりません。
○市川正一君 じゃあこれは取り消しますか。
○政府委員(石井賢吾君) 私自身が公式の場でそういう発言を積極的にしたことはございません。
○市川正一君 大臣、情状酌量ということを部長が新聞に書かれて、しかもいま私が初めてここで言うたら、それを認めているわけです。こういう見解が情状酌量というのが、いわば告発に対して情状酌量が六カ月だということに論理的になるんですが、こういう立場ですか、大臣も。
○国務大臣(田中六助君) 告発と情状酌量が論理的な立場に結びつくというふうには私は考えません。
○市川正一君 そうすると、この情状酌量という措置がとられたというような認識をお持ちですか。
○国務大臣(田中六助君) いま石井部長が言っておりますように、公式の場で情状酌量と……
○市川正一君 非公式に言っているというんですよ。
○国務大臣(田中六助君) だから非公式だというふうにもこれも私も解釈はできませんが、本人がそういうことを公式の場で積極的には言ってないという以上は、やはり私は新聞の記事よりも本人の言ったことをとります。
○市川正一君 じゃあ新聞の記事を信用しないというのならば、それでまた一つの議論ですよ。しかし、こういうことが公然といわば報道されているんですよ。 私は続けて紹介したいと思います、あなた方は新聞読んでないようだから。五月十二日付の読売は、資源エネルギー庁のある課長は、「エネルギーの安全供給を目指す当省としては、電力九社が大株主の日本原電と、できることならケンカしたくない」ということで、告発反対の理由を述べているというんですよ。現に、また五月十九日の読売新聞によると、ここにいらっしゃる森山長官は「「企業をつぶすわけにはいかない」と告発派の田中通産大臣を」——大臣のことです。「説得したという。近く勇退する同長官にとって」——これは私は知りませんけれども、「告発阻止はいわば置き土産」とも報じておるんですね。これ皆新聞はでたらめ書いておるのやと言うのだったらそれで結構です。しかし、こういうようなことがやはりいろいろ出てくる。私は大臣、国家百年の大計のために率直に原点に戻って見解をもう一度重ねてお伺いしたいと思う。
○政府委員(森山信吾君) 私のお話が出ましたので、一言お答えを申し上げておきたいと思いますが、置きみやげというのは何かいいことをしてあげることが置きみやげというのが常識じゃないかと思うんですが、私は原電にとりましてきつい処分をしたと思っております。告発問題も含めまして検討いたしました結果、先ほど大臣からお答えがございましたように、原子炉等規制法で運転停止処分を受けるということは、この会社が生きていく限りぬぐい去ることのできない汚名を着せられたことになりますから、私は大変きつい処分をしたことになると思っておりますので、決してみやげを差し上げたつもりは毛頭ございません。
○市川正一君 大臣は特にございませんか。
○国務大臣(田中六助君) 別に森山長官が私に圧力をかけて私が告発を変えたとか、それはそれこそ読売新聞に悪いんですけれども、真っ赤なうそでございまして、私どもは別にどうということはない、みんなで話し合った結果、一番日本原電には気の毒でございますけれども、過酷な一度も私どもが経験をしたことのない、まあ一年間が一番長いのでございますが、その半分の半年をとったわけでございます。
○市川正一君 じゃ、伺いますが、もし告発して日本原電が原子炉等規制法の違反で有罪になった場合に、同法の第二十五条によってたとえば六十一年運転開始予定の敦賀二号機の建設が二年間凍結されることになると思いますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(石井賢吾君) 原子炉規制法二十五条の欠格事由の規定で、もしそれが欠格事由に該当するようになればおっしゃるとおりの事態になります。
○市川正一君 欠格条項というのは、結局原子炉等規制法の違反で有罪になった場合ということに当然相なるわけでありますが、私はそういう点で先ほども六カ月ということの意味するものを触れましたけれども、結局政府の原発促進にブレーキがかかることを恐れているというふうに言わざるを得ぬのです。現にこれは朝日新聞でありますが、五月十九日、通産省のある幹部が「告発すれば、ことは敦賀原発にとどまらない。」「各地への波紋は大きいし、反対運動にさらに油を注ぐ」こういうふうに報じております。こういう姿勢が私、第二、第三の事故隠しを誘発するというふうに思うんであります。これは私、持ってまいりましたが、電力会社がスポンサーになっておりますところの財団法人日本原子力文化振興財団の「プレスレリーズNo——85」でありますが、この中にこれは「原電・敦賀発電所の放射能漏れ」というタイトルであります。どう書いているか。「すべてのトラブルを最大漏らさず公表していけば、たぶん日本全国の原子力発電所の運転は不可能に陥るだろう」というふうに述べているんです。これはお手元にお持ちのようでありますが、5の「まとめ」、四十二ページのところであります。これは事実上の事故隠しの宣言にも値するものというふうに私は言わざるを得ぬのでありますが、もしこれが電力会社のいわば総意とするならば重大であります。私は改めて通産省が各電力会社に対しましてまさに彼らの言うすべてのトラブルを細大漏らさず報告するように厳重に指示し、それを公表するという立場で指導なさるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
○政府委員(高橋宏君) 私もこの記事を見まして、何と親の心を知らない子供だろうという気がいたします。
○市川正一君 親を見習ったのかもしれませんね。
○政府委員(高橋宏君) この論調はやはり原子力発電所のPRがむずかしいということで、必ずしも「現場が故意に「隠した」とも断定しがたいようである。」こうも書いてございまして、なかなかこの真意がはかりかねるわけでございますが、私は結果的には細大漏らさずに公表することが原子力の信頼性を高め、そしてその原子力発電所が今後できていくベースだろうというふうに思っております。ただし、細大漏らさず発表しまして、その都度その評価の適切を欠いて細かいことでも重大なごとく誤解しまして、そしてとめるということになりますと、あるいはとめろという声をいつとなしに出していただきますと、結果的には隠すというようなことにもなりかねませんので、私どもは細大漏らさず公表すると同時に、適切な判断をして、とめる必要がないものはそのまま運転を継続させる、あるいは継続させながら直すということも全部ひっくるめて物が成立するということが前提だと思っております。そういう記事にこの記事を解釈しております。
○市川正一君 高橋さんとはいろいろおつき合いのやりとりをやりましたが、前半の発言はまことに珍しく積極的であったのですが、後半はどうもカーブしたようですが、これは読み方をどうお読みになろうと、やっぱり事故隠しの宣言ですから、親の本当の真意がもしそうでないというのだったら、厳しくちゃんとやっておいていただきたいんでありますが、私は運転管理専門官の問題で一つだけお伺いしたいのですが、通産省の最終報告書も拝見しました。私は四月二十八日の本委員会でも専門官のマニュアルについてお伺いしまして、そして改善を要望いたしました。田中通産大臣も森山長官も検討を約束いただいたんでありますが、この報告書によりますと、たとえば点検すべき記録の種類だとか、パトロールの場所など業務方法の明確化が述べられています。さらに、教育研修もあります。もちろん私、これ結構なことだと考えますけれども、問題の根源は、やはりこの専門官制度の権限問題だと私は思います。つまり、各原発のサイトに派遣している専門官に、電気事業法や原子炉等規制法に基づいた立ち入り調査権を常時付与するかどうか、ここがやはり私問題のかぎだと思うんです。今回の一連の事故を、ずうっと経過を見ましても、ああいう事故が起こってから、立ち入り調査権を与えても、これはやっぱり事故隠しは防げない。けんか過ぎての棒ちぎりということに相なるわけですね。だから、やはり法律に基づいた立ち入り調査権を付与するように改善するということについて、いまどういう見解におありなのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(高橋宏君) いま御指摘がございましたように、私ども今度の問題を反省するに際しまして、この運転管理専門官制度の改善を一つのポイントと考えております。ここに、報告書に書いてあることはもうすでに御存じのとおりでございますので省略いたしまして、そのうちで、立ち入り検査権を与えるかどうかという御質問について端的にお答えさせていただきますが、私は、その点につきましてはもう少し、たとえば全商工という組合もございます。午前中、全農林からお米検査官についての話が、厳しく御批判があるという話がございましたけれども、私どもこの制度につきましては、全商工でも非常に関心を持って注目いたしております。常時立ち入り検査権が与えられまして、そして常時被曝をするような業務を義務づけて、そして万一のときに怠慢ありやというようなかっこうで勤務させるのがいいか、これはもう当然、組合は非常に問題にすると思います。私ども具体的にそういう話を聞いております。それとも、いまのような形で、通常の勤務状態にさせておきまして、そしていざそういう怪しいときには、本省の指示によりまして直ちにそういう検査権を与えるという方式の方がいいか、あるいはそういう方式でカバーできないか、従来は後者でございます。慎重に検討いたしたいと思っております。
○市川正一君 この問題は、確かにそういう権限と同時に、それが十分行使できるような体制の保障ですね。つまり、人員を確保すること、それからいま指摘のあった被曝する危険性があるわけでありますから、そういう点での放射線取扱手当なども支給されていないという不合理な待遇を改善するとか、身分や資格も明確にするとか、こういう問題が、私やっぱり付随して出てくると思うんですね。この問題については、私ぜひ大臣にも積極的に研究検討を進めていただく、あわせて、私この機会に、大臣にたびたび提案をし、要請もいたしておるんでありますが、いわゆる第三者機関、これはスリーマイル島の事故の際には、アメリカでは、大臣も御承知のように、大統領のもとにケメニー委員会という特別な委員会がつくられて、そして徹底的に調査をして大きな成果を上げております。したがって、私は今回日本としても、この教訓を大いに活用しながら、政府やあるいは電力会社から独立し、調査権限を持った特別の委員会を設置していくという方向について、現在大臣の御検討の段階ではどの辺まで進んでいるのか、これで私三回目だと思いますが、今日の時点の到達点をちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) 御承知のように、原子力安全委員会がダブルチェックの大きな機関としてございますが、委員これで三回目の御指摘だそうでございますが、私ども具体的にはまだ何ら検討しておりませんけれども、この案件が片づく方向にある現段階において、徐々に十分検討してもいい一つの方法ではあるまいかというふうに考えております。
○市川正一君 大臣には長時間ありがとうございました。私の質問の上では、大臣はお引き取りいただいて結構でございます。 最後に、私は中小企業の問題で前回も取り上げましたですが、若干具体的な問題でお聞きをしたいわけです。御承知のように、昭和五十二年に中小企業の分野法ができまして四年たちました。しかし、この間に大企業の中小企業分野の進出はますます激しくなっております。そこでお伺いするのでありますが、これらの進出に対して分野法の運用、調整勧告とか一時停止勧告がなされた例はございますでしょうか。
○政府委員(中澤忠義君) 分野調整法施行以来三年半でございますけれども、その間に本法に基づきまして、調査、調整の申し出が六件なされております。しかし、そのいずれも主務大臣のあっせんあるいは県の仲介等、当事者間で話し合いが行われまして、その結果、当事者間で合意が成立いたしまして、調整申し出が取り下げられまして、現在までのところ、一時停止勧告あるいは調整勧告に至った例はございません。
○市川正一君 お話があったようなことに相なって、結局、大企業の進出で中小企業が非常な圧迫を受けているというのが実態であります。そこで、中小企業の業界から、分野法の効果をもっと本当に上げるためには改正すべきであるという運動が起こっているのは私は当然だと思いますが、この点政府としてはどう受けとめておられるかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(中澤忠義君) 現行の分野調整法でございますが、調整権限はすべて事業の主務大臣が有しておるという形になっております。これはその理由は、広域的な紛争に至るということが分野紛争の場合の大部分でございますので、そのような実態を反映して、主務大臣の権限となっております。しかし、具体的には個々の業種あるいは業態に応じまして、紛争も区々でございますので、事実上その調整に当たりましては都道府県知事と十分に連絡いたしまして、その意見を聞きまして調整しておるということでございますので、現行法の運用によって十分対処し得ると、このように考えております。
○市川正一君 具体的な問題でお伺いしたいのでありますが、京都は御承知のように観光都市でありますが、その京都の中小の旅館業界は相次ぐ大手資本によるホテルの進出で大きな影響を受けております。京都府の旅館環境衛生同業組合の調査によりますと、京都市内の例でありますが、営業中のもの四ホテル五百七十三室、建設中のもの三ホテル七百二十七室、設計中のもの三ホテル千二百二十九室、そのほかに進出が計画されているもの六ホテルということで、いずれも三井、西武といった大資本によるものが多数含まれております。そのために、ここ数年間で三十五件の転廃業が生まれておる。事態を憂慮した京都市が、分野法に基づいた調整ができるかどうかを確認するために、大阪通産局の調査官に問い合わせたところ、影響が京都だけでなく、滋賀や大阪府も含めた広域的な影響が出るものでなければ調整の対象にならないというふうに答えたと聞いておるのでありますが、まさかそんなことはないと思うのでありますが、念のため確かめておきたいし、またそういう見解に立たないということも確認をいたしたいのであります。
○政府委員(中澤忠義君) 分野調整法の対象でございますが、これは相当数の中小企業者に影響がある紛争案件を調整するということになっております。しかし、影響が複数の都道府県にまたがるということは、条件とはなっておりません。したがいまして、ただいま御質問のケースにつきましても、その影響が一つの県内にとどまるという場合におきましても、分野法の対象となることは当然でございます。通産局の回答につきましても私どもが確認した場合には、そのような回答をした事実はないというふうに答えております。
○市川正一君 わかりました。 厚生省の方、旅館業の所管は厚生省でございますけれども、通産省のように地方に出先機関がないために、直接本省に連絡し交渉せざるを得ぬので非常に不便だという声が上がっております。この面からも、先ほど分野法の改正問題に触れましたが、地方自治体にその調整の権限を付与してほしいというのは、一定の私は根拠を持っていると思うんですね。こういう点でやはり検討する必要があると思うんでありますが、厚生省にお聞きしたいんですが、こういう中小旅館業への大企業の進出について、これまで厚生省が調整をしたものあるいはあっせんをしたものがございましょうか。
○説明員(田中治彦君) 旅館業につきまして昭和五十四年に調整の申し出があった例がございます。
○市川正一君 そこで、その際に、中小旅館業界が分野確保を考える場合に、中小企業分野法を利用する方法があるのかどうか。環衛法に基づくところの特殊契約を活用する道が法的にも開かれていると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○説明員(田中治彦君) 分野調整の問題につきましては、先生御案内のとおり、分野調整法によります紛争の解決と、それからただいま御指摘ございましたように、いわゆる環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に基づきます特殊契約という形での解決というのがあるわけでございます。 先ほどの調整の申し出がありました五十四年の例は、これは分野調整法によりましての調整の申し出があった例でございまして、この申し出はその後の両者の話し合いで結果的には申し出は取り下げられたわけでございますけれども、私どもこの分野調整の問題につきましては、たとえば地域的な事例につきましては環衛法によりますところの特殊契約によりますと、ケース・バイ・ケースによって適切に対応するように都道府県あるいは環衛組合を指導しておるところでございます。
○市川正一君 そういう道は開かれ得るということでございますね。
○説明員(田中治彦君) はい。
○市川正一君 わかりました。 じゃ最後に、私時間が参りましたので、伝統産業の問題について一問だけお伺いして質問を終わりたいと思うんでありますが、京都に御承知の京友禅という伝統産業がございますが、その京友禅の黒引き染めに使うロッグウッドという植物性染料が、これ化学染料では出ない発色をするという点で広範に使用されております。ところが最近、輸入の激減のために品薄になって業者の間では入手できない、できても通常の三、四倍になって非常に困っているということで、転廃業もせざるを得ないという声を私のところへも言ってまいりました。状況がどうなっているのか、またこういう点で業界の間で非常な困難と混乱が起こっておる中で、この見通しなどについてしかるべき情報その他も指示され、そして指導も賜りたいと思うんでありますが、この問題について担当の部局からひとつ状況をお伺いしたいと思います。
○政府委員(若杉和夫君) 先生おっしゃるような事態がございます。 このロッグウッドというのは高級の墨染めの呉服に使うものでございます。京友禅の五%ぐらいあるいは黒の呉服の二五%ぐらいがこれを使っておるわけでございます。 それで、大変なことでございますが、事態はこういうことでございます。 原木はメキシコでつくられておるわけです。メキシコでハリケーンとか熱波のために原木が減ってきまして、メキシコ政府は資源保護のために輸出を禁止したわけでございます。それまではメキシコからフランスに送られまして、フランスで精製をして日本へ持ってきた。ところが原木が輸出禁止になりましたので、急遽フランスの企業は操業を昨年の末に停止いたしまして、現在メキシコに技術提携で工場を建設しておるわけでございまして、この現場に行ってきた商社の話によりますと、ことしの六月末に稼働するという状況でございます。したがって、航空便で送れば七月ぐらいから少しずつ入ってくると、こういう状況でございます。昨年からおかしくなりまして量が減ってきたんですが、ことしの一、二月までで終わりと、後は一トンも入っていないという状況なんです。 そこで、業界の方は大変不安でございますが、まあ何とか業者同士のやりくりその他で秋ぐらいまではもつだろうというのが現場の業者の見通しでございます。一部の人は困難な線が出てくるかもしれませんが、それはできるだけ融通し合うと。したがいまして、すれすれで何とか間に合うという状況なんです。 しかし、まあ何せ一社しか世界でやっていませんので、何かの事情でトラブルが起こると、ぎりぎりでスイッチしようとしていますから非常な困難が起こるということを非常に心配をしております。したがいまして、通産省といたしましても今後ともウォッチするとともに、メキシコ政府を通じてその辺の事情をよく話して、そういう事態がないように、業者が心配しないようにいたしたいと思います。また、金融上の問題があればできるだけごめんどうを見たいと、かように思っております。
○市川正一君 伝統産業である京友禅を守るために、原料確保を初め、通産省の積極的な対策を要望いたしまして質問を終わります。
○委員長(金丸三郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後四時十七分散会 —————・—————