社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 275 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1981/05/12
会議録
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十一日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として浅野拡君が選任されました。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 所得保障の中心である年金制度を初め、児童、母子家庭、心身障害者に係る諸手当の制度については、従来より充実に努めてきたところであり、国家財政の再建が課題とされている最近の財政状況下にあっても、老人、障害者等に対しては適切な配慮がなされる必要があります。 今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、福祉年金及び諸手当について昨今の社会経済情勢の動向に対応し、必要に応じた給付の改善を行うとともに、厚生年金等の拠出制年金について物価スライドの実施を繰り上げて年金額の引き上げを行うこととし、これらの制度の充実を図ろうとするものであります。 以下、改正案の内容について概略を御説明申し上げます。 第一に、福祉年金の額につきましては、昭和五十六年八月から老齢福祉年金を月額二万二千五百円から二万四千円に、障害福祉年金を一級障害について月額三万三千八百円から三万六千円に、二級障害については月額二万二千五百円から二万四千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額二万九千三百円から三万千二百円に、それぞれ引き上げることとしております。 この改善につきましては、必要に応じて重点的な給付の改善を行うという考え方のもとに、老齢福祉年金について、扶養義務者等の所得に比較的に余裕がある場合は、改善額の一部の支給を停止することとしております。 第二に、昭和五十六年度における物価スライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十六年十一月から同年六月に、拠出制国民年金については昭和五十七年一月から昭和五十六年七月に、それぞれ繰り上げることとしております。 第三に、児童扶養手当等の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万九千三百円から三万千二百円に、特別児童扶養手当の額を障害児一人につき月額二万二千五百円から二万四千円に、重度障害児一人につき月額三万三千八百円から三万六千円に、それぞれ引き上げるとともに、福祉手当についても月額九千二百五十円から一万円に引き上げることとしております。 また、児童手当の額につきましては、低所得者に支給する児童手当の額を本年十月より月額六千五百円から七千円に引き上げることとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(片山甚市君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○丸谷金保君 今回の年金法の改正の中で、私たちどうも腑に落ちないのは、福祉年金の受給についてどうして二つの差を、何でああいう線を引かなければならなかったか。そしてまた、引くことについての、数値をあそこにとった理論的な理由、そういうものについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(長尾立子君) お答えを申し上げます。 今回の福祉年金の改善の中で、先生の御質問は、老齢福祉年金につきまして扶養義務者の所得制限につきまして、八百七十六万円の水準をもって全額支給停止になります方と、六百万円の水準におきまして千円の支給停止を行うという二段階の制度をとりましたことについての御質問と思います。 今回の福祉年金の改善につきましては、ただいま大臣からも御説明申し上げましたとおり、財政事情の厳しい中でございますので、重点をしぼりまして、必要な方に必要な給付をという考え方のもとに行ったものでございまして、家計の上で余裕のある方に御遠慮を願うという考え方に基づくものでございます。
○丸谷金保君 そのことはわかるんですけれども、線引きの所得の額を何であそこのところで引いたのかということなんです。
○説明員(長尾立子君) 具体的に六百万円の数字でございますが、いま申し上げましたように比較的余裕のある御家計ということでございますので、現実には民間の給与所得の上で、大体課長クラスの方の所得というものを頭に置きまして一つの線を設けたわけでございます。
○丸谷金保君 大体でなく、もう少し理論的な、こういう理由でというすかっとしたものを、大体ではないと思うんですよ、引いたからには。それをもう少し突っ込んで御説明を願いたいということなんです。大体では困るので、かくかくしかじかをきちっと言ってください。
○説明員(長尾立子君) 現実問題といたしまして、現在八百七十六万円の水準というものが、扶養義務者の方の所得制限として設けられておるわけでございますが、現在の大体の平均の世帯の平均所得というものを考えまして、それを一つのラインにするという考え方もあるかと思うのでございますが、それの水準から約三割程度の上ということを一つのラインといたしました。それからもう一つは、いま申し上げましたように民間の給与で申し上げますと課長クラスの給与であるという、この二つの理由から、六百万円という水準を設定したわけでございます。
○丸谷金保君 ちょっと私の質問の仕方が悪いのかと思うんですが、課長クラスというのは、一体どこの課長クラスを対象にしたのですか。
○説明員(長尾立子君) 五十五年の四月に、人事院がボーナス込みの調査をいたしまして、そのときの金額を申し上げますと、支店長クラスが八百十七万円、部長クラスが七百五十万円、課長クラスが六百二万円と、こういう数字が出ております。これは、人事院がいわゆる公務員の給与を検討いたします際に、民間の給与を調査をいたしましたものでございますが、この水準を基礎といたしておるわけでございます。
○丸谷金保君 そういうことをはっきり聞きたかったのでございます。一つの基準として人事院の数値を援用したということでございますが、しかし、私はどうもそのとり方自体、いわゆる一般家庭の平均的な課長クラスの年収入が六百万円というような感覚でおるわけで、このことについては、何で六百万と八百万という二段階にしなければならぬかという理由は、いまのお答えでもちょっとはっきりしないんです、ただこういうふうにとりましたというだけで。なぜとったかということを私は聞いているので、そこのところをもう少し何といいますか、はっきり、こういう理由で二段階に分けたのだというところをもう少しちょっと御説明いただきたいと思うんです。
○説明員(長尾立子君) 冒頭に御説明を申し上げたわけでございますが、福祉年金につきましては、全額一般会計で負担をしておる年金でございます。したがいまして、財政上厳しい全体のバランスの中で、余裕のある方に御遠慮をいただくという形で福祉年金の改善を図らしていただいたと、こういう考え方でございます。
○丸谷金保君 結局、理由は、年金の何といいますか原資がだんだん少なくなってくるし、どこかで制限をしなければならぬという、年金の財政上の理由というふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(長尾立子君) 重点をしぼらせていただいたという意味は、そういう意味でございます。
○丸谷金保君 そこで、実は厚生年金なり国民年金の財政上の理由ということで、いわゆる高齢者がふえて高負担だけが何かえらい大変だという形で、いま問題視されております。これについて厚生省は、財政再計算結果ということで、今後の年金の推移がどうなっていくかというふうなことを、昭和百年までの計算経過を立てております。これを拝見して感じることは、一体、この場合にはGNPは七%と、現況のあれで出ておりますね。この老齢化の年齢のとり方、これにも相当問題があると思いますので、改めてその点、簡単にひとつとり方について御説明願いたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 今後の年金財政の将来の推計におきまして、どのような基本的な数値をもって計算をしておるかという御質問かと思います。 現在、厚生年金の計算を例にとって御説明を申し上げますと、厚生年金の場合は、今回の財政再計算では十四回の生命表を基本的に使用いたしております。この十四回の生命表につきまして、私ども厚生年金の被保険者についての被保険者の実態調査を財政再計算の場合にはやっておりますので、その被保険者調査をもとにいたしまして、基本的な十四回の生命表を基礎に、若干の修正をいたしております。これは従来、財政再計算の時期には、国民全体の生命表と若干違うものでございますから、そういう修正をいたして将来の見通しを立てておるわけでございます。この場合、支給開始年齢は六十歳ということで計算をいたしております。
○丸谷金保君 それで、その人口統計のとり方は大変むずかしいんですが、厚生省の人口問題研究所で、これは人口についての予測を常に出しております。しかし、この予測を見ましても、石油ショック後の出生率の低下、これは予測を下回る結果がもうこの五年ぐらいでも出てきております。したがって出生率の低下の問題は、いま課長さんの言われたようなとり方で、もうすでに現実の問題として全然狂ってきているわけですね。そうしますと、私はこの年金問題を考える場合に国の人口政策、こうなるんだ、こうなるんだという計数だけは出てきておりますけれど、その大もとになる人口政策というのはちっともあらわれてこないんです。この点について、これは大臣、一体厚生省は、結果の分析だけはやっていますけれども、かくあるべしという人口政策を持っているのですか。
○説明員(長門保明君) お答え申し上げます。 わが国の人口政策の問題につきまして、これに関連した態度を表明いたしましたものといたしましては、昭和四十九年に世界人口会議というのがベカレストでございまして、その際に、日本政府としてどういうふうな姿勢で臨むかというふうなことを当時の人口問題審議会におきまして議論いたしまして、それを持ちましてその会議に臨まれたという経緯がございます。 その際におきましては、世界の人口が開発途上国を中心といたしまして、今世紀の末までにかけまして非常に増加するというふうなことがございますので、そういった中で、しかも資源は限られているといった状況下におきまして、将来のあるべき姿といたしましては人口が増加もしない、それから、かつ減少もしないという静止人口を目指して進むのが世界的に妥当な方向ではないかというふうな姿勢で、そういう御意見をおまとめになりまして、それで臨んだわけでございますが、その当時におきましては、わが国の出生率はちょうど増加の傾向にございました。ところが、ちょうどこの世界人口会議を終わりました後に出生率が、ただいま先生御指摘のように低下いたしまして今日に至っているわけでございまして、こういった出生率の低下は、将来の人口構成の上にゆがみをもたらすというふうなことでいろいろ問題があるのではないかというようなことがございまして、実は昭和五十四年から一年間かけまして、この最近の出生力の動向がいかなる理由によるものかというふうなことを、人口問題審議会の中に特別の委員会をつくりまして研究していただいたようなわけでございます。それで、昨年の夏にその結論をちょうだいして、大臣に報告があったわけでございますが、その中におきましては、最近の出生力の低下というのは、ちょうど第一次の昭和二十二年から二十四年ごろにかけまして非常にベビーブームで出生数がふえたわけでございますが、その人たちがちょうど結婚いたしまして出産の適齢期、これがちょうど昭和四十年代の後半でございまして、この方たちが少し年齢を重ねまして、そのベビーブーム終了後のわりと出生数が減少いたしましたその年齢層の方が現在ちょうど結婚、出産の適齢期に差しかかっているということで、その要素が一番大きく働いているのではないか。そのほかの理由といたしまして、女性の高学歴化によりまして結婚年齢が高まったというふうなことによる影響、あるいは夫婦の間におきまして子供を生むその出生間隔、この間隔がだんだん遠くなってきているというふうなこともございまして、こういったことがその出生力低下の原因になっているのではないかというふうに見込んでございます。 それからなお完結出生力と申しまして、一人の女性が一生涯に何人子供を生んだかというふうなことを実績に即しまして調べました結果、かつては四人ないし五人というふうなところでございましたが、最近の、最近と申しましても昭和五十二年の調査でございますが、二・何人というふうなところでございまして、その二人という線は完結出生力で見る限り維持しているというふうなことで、いましばらくこの出生率が大幅な基調の変化を来すと断定することはできないのではないか。ただし今後の社会経済情勢あるいは夫婦の心理の関係で、どういうふうな出生行動をとるかということにつきましては、いろいろ研究すべき余地があるというふうな御報告をちょうだいいたしております。そういった人口動態の推移を慎重に見ながら今後の施策を進めていく必要があるのではないか、かように考えております。 なお、それからもう一つつけ加えますと、こういった最近の出生とか死亡の動向、それと、昨年の十月に行われました国勢調査の結果に基づきまして、現在の人口問題研究所の将来人口の推計は、昭和五十一年の十一月に行ったものでございますので、これの改定作業をいたしたいということで、現在作業を進めているところでございます。
○丸谷金保君 どうも私の質問がまずいせいかとも思いますけれど、そういう結果の問題でなくて、結果がこういうふうに変わってきています、厚生省のたとえば見通しでも。人口問題研究所で出しているので、中位推計で二・一〇、それから低位推計でも二・〇五というふうなのを出して、それがたとえば年金の計算なんかの場合でも、当然一つの何といいますか、項目としてインプットをされてシミュレーションが行われておってとっていくと思うんですよ。ところが、それが現実にはたとえば五十三年では一・七九というふうに、はるかに厚生省の予測を下回った人口の減少が続いておりますね。そうすると高年齢者がふえるのだと、だから高負担になるから年金財政は非常に苦しくなるので、いろいろな制限をしていかなきゃならないというのが今回の提案の、そういうチェックをしていくという背景にある大きな原因ですね。 だからそういうことだけを、こうなっていく、こうなっていく、予測よりももっと下回った、大変だと、じゃ日本の人口政策をどうするのだというもっと大所、高所から考えないでいいのかということなんです。大変だ、大変だということだけでなくてもっと高度な政策を、大臣、これでいくと昭和百年までに大しては減りません。しかし、現実の学者などのいろいろな論文読んでみますと、厚生省の言っているのよりははるかに下降数字で人口の減少ということが言われておるのです。大変だ、大変だというだけでは政策にならないので、じゃそれでいいのか、じゃ一体日本の政府として、あるいは厚生省として人口政策かくあるべしというような指針を出して、それに対する政策の肉づけをどうやっていくのか、これがありませんと年金問題だけどんなに論議しても不毛の論議になっちゃうんです。この点いかがなんですか。これは大臣ひとつ高所に立って、日本の人口政策はどうあるべきかというお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 将来の人口計画について外務省が概算で計算している数字は、私は、御指摘のとおりにもっと急速に変化していくと考えております。人口問題では国連でも取り上げて、ことしの十月、初めて北京でこの人口問題の会議が開かれるわけでありますけれども、各国ともこの人口問題には非常に苦しんでいるところであります。 わが方でも、いま持っております数字をどのように的確に修正していくか、なかなか困難でありまして、大体二を割っておるそうでございますが、これを少なくとも二・一ぐらいに持っていく必要があるんじゃないかということでありまして、これも的確にここで答弁する基礎的な数字ではございません。
○丸谷金保君 実は、人口政策がきちっと確立しておりませんと、年金の百年後までの計算結果を出してみても何に竜ならないんですよ。もうほとんどこれらの結果が、そのようにいっているためしがないんです。 それで、実は高齢者だけがどんどんふえるということですがね。一体本当にそんなことになるんだろうか。これもこういう計算の結果だけから見ていると、いかにもそれらしい、もっともらしい数字が出てきますけれども、私はそうならないんではないかという、実は心配しておるんです。といいますのは、御承知のようにもう工業化が進んで、地球の上の方に一酸化炭素が充満している。あるいは日本の国内だけ見ても、農薬汚染あるいは食品に対する添加物の複合汚染の問題、いろいろな食品の関係、環境の問題をとってみましても、いまのお年寄りがふえているといいましても、これは日本人が相当体の丈夫な、鍛えられた、骨のがっしりした時代の人が、医療の進歩によって支えられてお年寄りがふえているのであって、一体、これからの子供たちがそんなような調子にいくだろうか、ここら辺について大臣そう思いませんか。いまのような厚生行政で、数値だけ一生懸命論議してみましても、もとになるところの環境、食生活すべてががたがたになっておって、本当に虚弱体質の子供がたくさんふえているという中から、われわれの時代のような丈夫な年寄りができるだろうかと、そこいら辺をきちっと踏まえないで、高齢者がふえる、ふえると言ったってそんなことには私はならないんではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 年金から医療すべてでございますが、いまおっしゃいましたように、健康づくりということに重点を置いて、いままでは目の前に出てきた困った病人、患者、これの医療が専門でありますが、これからは計画的に、老人保健あるいは一般保健等で健康づくり、体力づくりということを考えなければ、いまおっしゃったような心配があると私も考えております。
○丸谷金保君 そこで、実はこの財政再計算書、これについて私はほかの参考書を読んでいて、おやっと思うことにぶつかりましたので、この点について、実はある本で「ある経済成長の過程と人口動態を前提とし、詳細な制度の周知の下に社会保障の将来予測を行なったものに厚生省の年金財政再計算がある。但し、その計算過程はわれわれ部外者には把握し難い。」と。この計算過程、要するに、この中にいろいろな項目をどのようにインプットしてシミュレーションしたかということが明らかでないと言うんです。これらの計算の基礎になった項目、これらは外部発表していないんですか。
○説明員(長尾立子君) 先生の御質問は五十五年に財政再計算をいたしました際の基礎数字等を、公表しているのかどうかという御質問かと思いますが、従来、財政再計算をいたしますと、いまお話しの財政再計算の結果も含めまして、その基礎数字、またその基礎数字の計算の方法等を、私どもは年金財政再計算結果といたしまして印刷物にいたしまして、公表いたしております。
○丸谷金保君 そうしますと、まあいろいろなケースがありますね、計算の。まあ実質GNPあるいは資本ストックだとか固定資本の減耗というふうに事細かくいろいろな項目を計算の中に入れてやる。こういうものを全部、このようにして計算したというのが出ているんですか。
○説明員(長尾立子君) いま印刷物を手元に持っておりませんが、そういう形で公表いたしております。
○丸谷金保君 そうしますと、学者の人たちがそういうことがわからなくて、批判もできないし研究もできないということは間違いですね。これは、要求すればいつでも出してもらえるものでございますね。
○説明員(長尾立子君) さようでございます。
○丸谷金保君 それじゃ、ひとつお願いしておきますが、五十五年度財政再計算結果の基礎となったその計算方程式及び項目、それのシミュレーションのとり方等について資料を要求いたしますので、後で私のところへ提出いただきたいと思います。
○委員長(片山甚市君) よろしゅうございますか。
○説明員(長尾立子君) はい、お渡しいたします。
○丸谷金保君 そうしますと、社会保障の将来予測というふうなものはかくなっていくという大綱は、それらがきちんとしていれば、おおよそ百年計画あるんですから、厚生省としてはできているわけですね。これらの予測、どうなっていくんだと、どうしていくんだというものがございましたら、御説明願いたいと思います。
○説明員(長門保明君) 年金等を含む社会保障全体についての将来の姿が、どういうふうになるのかというお尋ねかと存じますが、まあ、そのような観点に立ちまして試算いたしましたものとして、社会保障給付費の国民所得対比の計算をしたものがございますが、現在、私ども固い数字として持っております現状といたしましては、昭和五十三年度のこれは各事業主体の決算ベースでとりました給付費でございますが、これの国民所得に対する比率が一一・九%でございます。これは、直近の諸外国の例に比べますと若干低うはございますが、これは人口構成の、老人人口の比率がまだ少ないとか、あるいは年金の成熟度がまだ低いというふうなことによるものでございまして、これが先進諸国と同じような条件、人口の老齢化度あるいは年金の成熟度が、ほぼ諸外国並みになるという時期がちょうど昭和七十五年、現在から約二十年先というふうに見込まれるわけでございまして、その時期になりますと、六十五歳以上人口の比率も総人口に対しまして一四・三%、それから年金の成熟度も二八・三%というような姿になると見込まれておりますが、その時点におきまして、現在の社会保障制度を、そういった人口の高齢化の状況とかあるいは人口の総体の拡大というふうなことを要素に入れまして試算いたしました国民所得対比、昭和七十五年におきましては約二〇%になろうかと推計いたしてございます。
○丸谷金保君 そこで、実は二十年後ですね、そういう国民総生産に対する諸外国、特に先進の社会保障制度、要するに制度というより給付の率の高いところに比べると、そこに追いつくのにはあと二十年かかる。ところが大臣、大蔵大臣その他は、いまやわが国は社会保障においては、もう世界の超一流国に伍しているんだということを、盛んに国会答弁やっておりますね。二十年後にそうなるんだといういまの答弁と、閣僚がそれぞれ、社会福祉はもう進んでいるんだ、こう言うこととはずいぶん違いがあると、いまの答弁聞いていてお感じになりませんか。
○国務大臣(園田直君) それは考えようでありますけれども、いろいろな社会保障制度の制度そのものは大体そろっておると思いますけれども、その内容については必ずしも充実されて、これで満足だということにはなっていない。特に、財政負担等も地方財政その他にしわ寄せしているなどのいろいろな矛盾があるわけでありますから、今後これをどのように充足強化していくかということが、われわれの責任であると考えております。
○丸谷金保君 制度としていまの制度でずっと続けていくと、人口構成その他からいって二十年後には、いま事務当局から話のあったような数字が出てくる。ところが、国民に対する印象はそうでないんですよ、いま。いまやと、こういう調子なんですよね。この何というか、違いのあることをひとつ明確にしておきたいと思うんです。これは違うんです。ここのところが非常に私はいろいろな数字を見ましても、どうも意見がすれ違いの論理になっちゃう。それから、国民に対しても、本当にもう年金給付なんというのは世界で一流なんだという錯覚を起こさせる上手な国会答弁が、今国会でも続いてきているんです。だから、いまやの時点では少なくともまだまだ、先進諸国といってもいろいろありますけれども、年金給付が国民所得に対して一流のベースまでは現況ではまだいってないんです。ですから、その段階からこんな差をつけたりなんかするような法案を、先の心配をしてなぜ出さなければならないんだと。あるいは六十五歳にしなければならぬというふうなことも、先行きいって、お年寄りの数だっていまのような環境や職業政策の中でどうなるかわからない。しかも、出てきている数値だって、もうとり方一つでどんどん違ってくるので、恐らくあれでしょう、何十ケースもの計算をやっているんでしょう、企画の方では。その中から一番都合のいいのを持ってきているんでしょう。だから、資料としてはいろいろなケースをくださいよ。これだけじゃなくて、こんなふうに計算しましたうちの、これをとりましたというのを。項目のインプットの仕方によって全然変わってくるんですから。そこら辺は非常に私は今回の法案にも問題があるということを指摘しておきたいと思います。 そして次に、ちょっと今度は具体的な問題に入りたいんですが、実は北海道で、いろいろ年金の通算規定を知らないために非常に損をしている、非常に困っているという方たち、それからこれが、厚生省が言われるほど社会保険事務所等を通じて、決して国民の中に十分にPRされていないということについての実例を一つ申し上げて、これに対するお答えをいただきたい、かように思っておるわけでございます。 最初は、これは私も一応答えておきましたけれども、大正十一年五月八日生まれの女性です。三十六年の四月一日にこの人のだんなさんが、これは道の職員だと思いますが、共済年金の受給資格を受けました。それから四十二年の八月に、今度は退職して厚生年金にかわっております。それから四十二年の十二月から四十五年の五月まで、これは同じように厚生年金に入っているんです。ところが、この奥さんが離婚をしたんです。厚生年金の四十五年の五月から資格を取得したんですが、途中で離婚したんです。そして五十七年の五月、来年六十歳に達するんです。しかし、本人の厚生年金の期間というのは百三十二カ月しかないので、これは受給資格にならない。しかし、離婚前のだんなさんと一緒だったときの空期間を通算しますと十七年というふうなことになって、通老年金の受給資格はつくわけなんです。 ところが、これの結婚していたときの証明書がなかなかとれないんですよ。というのは、だんなさんがその後ほかへかわってしまって、本籍みんな持っていっちゃったんです。で、戸籍の本籍地まで行けないので、手紙でもってひとつ、さきのだんなさんとの戸籍謄本を送ってくれと言っても、なかなか送ってくれない。行く先もわからない。どこへかわったかも知らしてくれない。離れた所にいるんですから、その元の日本籍地の市役所まで出かけて、窓口な旦責任者なりに会って話をすればいいんでしょうけれども、なかなか働いているので、そういう時間もない。どうしたらいいんだろうかと。こういう場合、戸籍謄本をつけないでも、何か立証する方法ないんですか。どなたか……。
○政府委員(新津博典君) ただいまの御質問でございますが、いわゆる通算年金のそれぞれの制度にどれだけ被保険者期間があって、それを合わせると資格があるかどうかというのは、原則は全部、それぞれの管掌機関から証明書を出すということでございます。まさに先生の御指摘になりましたのは、そのほかにいまの国年の空期間がございまして、その空期間の証明をどうするかという点でございますが、これは一応、その戸籍によって証明をしていただくということで、御質問の答えになりにくいかと思いますけれども、いまのケースでございますと、離婚される前の御主人の本籍地の市町村に手紙等でお願いをして戸籍を送ってもらう、あるいはその本籍がさらに動いた場合には、その動いた先に書類で要求をして送ってもらうということで、戸籍関係で証明をしていただいたものを、最終的には社会保険庁の方に裁定請求書につけて送ってもらうというのがルールでございますが、お話ございましたように、これだけの年金時代になって、各個人の方が過去三十年、四十年にどういう職歴を経、どういう婚姻関係があったかというのは非常に複雑でございます。 私ども、一番現在心を痛めておりますのは、そういう個々の方の年金裁定にいかにして年金相談なり行政サービスということでより早く、より的確にそれが証明されて年金が払えるかということでございますが、一方、年金を出す方の立場からすれば、いまおっしゃったように空期間というものについては、やはり何らかの書類上の証明があって初めて最終的に裁定できるということでございますので、一方では年金相談体制の充実ということに一生懸命努めておりますが、何分受給者が非常にふえてきたということでまだ十分とは申せないかと思いますけれども、そういういまのようなケースを含めまして、いよいよ年金をもらいたいという、しかも比較的高齢の方でございますから、そういう方の年金相談に親切に応じて、裁定に早く結びつくような行政サービスの向上に一層努力するということを、取りあえずお答え申し上げておきたいと思います。
○丸谷金保君 これは、答えとしてはそういうことになるんだろうと思うんですが、現場では、本人にとってみればなかなかそう簡単なことではないんですよ。相談に行っても、さあ、これはあなた自分で戸籍簿をとってきなさいというふうなこと。ところがもう除籍されていますから、現在の戸籍にないわけです。そうすると、そう簡単に、行って事情をよく話す、あるいは年金証書を持っていってかくかくしかじかと相当細かく話をしなきゃなかなか出ないんですよ。いま戸籍を簡単に出しませんからね。離婚した妻の場合には出すことになっていても、ほかへ移っちゃったのまで親切に調べてということはなかなか窓口はやりませんので、こういう問題があります。 それから、これはどうしてこういうことが行われるのか私もよくわからないんですが、これは大正十三年五月生まれの方なんですが、三十六年の四月から国民年金に加入しております。四十五年の四月に今度は厚生年金に入っているんです。これは、例の減反とかそういうことで出かせぎをやるものですから、建設会社の方で強制加入です、厚生年金の方は。ところが、国民年金はそのまま役場の方ではとっているんです。納税貯蓄組合とか何とかで、自動的にどんどんとあれしますから、証紙を張って留守家族はこれをかけていたんです。そのうちに四十六年の一月から、これは農家ですから、今度農業者年金というのが出てまいりましたね。農業者年金もまた掛けているんです、四十六年一月から。三本立てなんですよ。これは農協の組勘といいましてね、農協の方で自動的にどんどん引いていくから、本人は余りわからないでもきちっとかけてくれるんです。三本立てで現在まだ掛けているんですが、しかしこれはあれでしょう、この場合、重複していない国民年金の期間というのは百二十八カ月、それから農業者年金期間は実際には百三十二カ月の厚生年金期間のうち、農業者年金とのダブルになった間は百十二カ月あるんですよ。百十二カ月ありますからね。そうすると、二十カ月にしかならないんですよね。後これを掛けていても意味ない。こういうものをどうしてこのままほうっておくことになるんでしょうかね。意味ないんですよね、これは。なぜ気がつかないのか、どこでもこれはチェックできないんでしょうか。社会保険のところで最終的には全部持っているはずですからね。どうしてこういうのができないんでしょう。
○政府委員(新津博典君) 結果的にそういうケースが絶無ではないと思いますが、制度のたてまえでは、国民年金は御本人が厚生年金に移った場合に届け出をいただく。その厚生年金の職場、つまり出かせぎが終わって、また帰って農業をやるときにもう一遍お届けいただくということでございますが、私の古い記憶でございますけれども、東北地方を中心に冬の間だけ出かせぎして、その出かせぎの先に厚生年金の適用のある事業所と適用のない事業所とあって、そのまま国民年金で続く方と、その出かせぎの期間だけ厚生年金に移られる方とあって、その辺を的確に指導するという現場指導を六、七年前にやった記憶がございます。いま手元に資料がないのでございますが、そういう中で、あるいはいま先生がおっしゃったような厚生年金の適用のある職場に出かせぎに行かれたので、その間は本来であればお届けをいただいて、国民年金から抜けて、また帰ってきて農業をやるときに国民年金に入るという、大変千問としてはめんどうでございますが、それが制度のたてまえでございます。 したがって、いまの段階でも、もしそういうことで同じ時期に厚生年金に入っていたのだけれども、同時に国民年金の保険料も掛けていたということがわかりますれば、それはお届けをいただきますと、国民年金の方の保険料をお返しするというのが制度でございます。ただ問題は、先生も御指摘のとおりでございまして、先ほど来申し上げていますように、こういう年金時代になって、それぞれの生活歴は実に複雑多岐でございますが、それぞれについて国民が全部それを正確に認知しているかどうかということは、なお私ども行政サービス、行政相談の努力の足らざるところがあるかもしれません。したがいまして、むしろ結果的に制度としては重複している分はお返しをするということではございますが、それ以前に、いかにして現在国民年金についてはより多く市町村の御協力をいただきながら、その制度の周知徹底とか、市町村でございますと異動の状態等もわかるわけでございますし、保険料の納付組織等もございますもので、厚生年金のある職場に出かせぎに行かれたら、必ずそれは手続をとって重複しないようにという、重複したのを後で返すというよりは、それ以前に先手を打つという方向でぜひ行政努力をしてまいりたいと思います。
○丸谷金保君 まれにはあるというんですがね、ずいぶんこういうのたくさんありますよ。 たとえばこういうのもあるんですよ。これは明治四十三年の三月一日生まれの方で、十七年の六月に厚生年金の被保険者として二十六年の十月まで加入していたのです。ここで資格喪失しました。ここで百十三カ月あるんです。それでずっとやっておりませんで、四十八年に五年年金を一括払いで資格をもらって、六十五歳から五年年金をもらっている。五年年金の方だけもらっているわけですよね。そうすると、前に掛けた百十三カ月というのは、これは通算の方法はないんですね、これはどうなんですか。
○説明員(長尾立子君) 通算制度ができましたときの経過措置といたしまして、厚生年金は三十六年の四月一日以前の期間でございましても、三十六年四月一日以後に公的年金——いまのお話しの国民年金を含みますけれども、それに加入をいたしました場合には、全部が通算対象期間として認定されるという経過措置になっておりますので、いまのお話しの方の場合、具体的なケースを拝見いたさないとわからないんでございますが、先生のお話しては対象になるように考えられます。
○丸谷金保君 ところがこれは、現場ではだめだと言われているんですよ。課長さん、いいですか、もう一回言いますよ。明治四十三年三月一日生まれ、十七年六月資格取得、厚生年金保険被保険者として二十六年十月まで百十三カ月掛けた。その後ずっと各種年金に入っていなくて、四十五年二月に六十歳になって、四十八年に再開、五年年金掛けて、五十年三月六十五歳に達して、五年年金の支給を受けたのです。現在五十六年四月ですね、大丈夫ですか、大丈夫なら早速あれなんです。
○説明員(長尾立子君) ただいま御説明いたしましたように、厚生年金の被保険者期間が三十六年の四月一日以前であった場合の措置につきまして御説明を申し上げたわけでございますが、いまの先生のお話しの場合に、具体的な年数が期間として幾らあるかという問題が一つあると思います。これはいま申し上げましたように、正確にその方の年数を拝見しないといけないと思うのでございますが、いまの先生のお話しの四十三年の三月一日以前にお生まれということでございますと、いわゆる十年組であると思います。十年組であると思いますが、三十六年の四月一日以前の期間で十年を持っておられれば、これは十分対象になると思います。
○丸谷金保君 いや、その十年の期間でないんですよ、五年年金を掛けているんです、いいですか。それで百十三カ月の厚生年金を掛けているんですから、これは通算になるのか、現場ではならないというんですよ。通算する方法がないというんです。私具体的に言っているんですよ、課長さんいいですか。百十三カ月分持っているんですからね。はっきりしているでしょう、月数聞かなけりゃじゃない。月数ちゃんとここにあるんですからね、この場合どうだと——まあいいです。はっきりしないじゃない。はっきりしているんです、何年何月、きちっと。ただ、なかなか課長さんでも、具体的にはっきりしたの出しても、そうすっと答えられないくらい通算規定というのはむずかしいということを、実は私は申し上げたかったんです。それからまだたくさんあるんです、そういうのは。あるんですが、時間もあれなんで、たくさん材料を持ってきていますけれども、以上のような例で、とにかく通算の規定というのは大変むずかしい、そしていろいろなトラブルがあるんです。 それから、先ほど保険金を返すと言いましたけれどもね、この返し方にも問題あるんですよ。物価なり何なりどんどんこう上がっているときに、納付した保険金だけ返されたってちっともそれは身にはならないんです。少なくともそういう二重取りをしているような場合、返す場合に。たとえば厚生年金と国民年金と一緒に掛けていた。そうすると、返す場合にはいまの料率で返すというくらいなことはできないんですか。それてなければ、もらってもちっともありがたくないわけですよ、物価が上がってきて。これはどうなんですか。
○政府委員(新津博典君) 国民感情にはそぐわないかと思いますが、いまの会計法令ではお納めいただいたお金を返すだけでございます。したがって、先ほども申し上げましたが、そういう二重払いの起こらないような方法で努力するということで、私どもは努力したいと思っております。
○丸谷金保君 それで、こういうトラブルが私のところへもう二十も三十もあるんですが、きょうは七つほど持って来ましたけれどもね、こういう相談をたくさん受けるんです。実はこれらのトラブルを少しでも少なくするためにこういう方法があるんじゃないか。というのは、もう少し通算年金の事務を市町村に移譲したらどうだろうか。たとえば北海道の釧路に保険事務所があります。羅臼という町から来るのに、東京から新幹線で博多く行くくらいかかるんですよ、出てくるのに。とってもじゃないけれども相談なんかに来れないんです。巡回相談なんといったって、そのとき出かせぎに行っていなければだめですから。こういうことですからね、いまの年金行政の中ではこの通算規定、空通算なんかも知らない者もいます。そういう中でもずいぶん落ち込んでいる例がたくさんあるんです、何ともしようがないというふうな。これらを早期にきちんと指導してあげればもらえるものがなあと。これをもう少し町村に移す。そうしますと、国民年金の事務は窓口でやっているんですから。ただし、これもあれですね、証紙を張る方だけで、今度は支払いの方は保険事務所ですね。そういうふうなことをもっと町村に移管していくというふうな方法はとれないか。そうすればこれはもういまのトラブル、こういう問題は百分の一になりますよ、私たちの経験から言っても。町村ならもう少し親切に——保険事務所の窓口が、社会保険の窓口が不親切ということでなくて、とてもじゃないけれども、幅広がって忙しくて、そんなに一人一人のことをひざと談合するような相談なんかできる仕組みじゃないです、膨大な数字になってきていますから。しかも行政改革ということで人員はふやせない。一人の持っている量なんかも莫大なもので、これはもう気の毒なぐらいです。こういう事務を移管していくという考えは、厚生省はございませんか。
○政府委員(新津博典君) 実は個人的なことで恐縮ですが、私も北海道の国民年金課長をやって、先生のいらっしゃる十勝あるいは釧路、いかにその管内が広いかというようなことで苦労した経験がございますので、おっしゃることはよくわかります。 ただ、お答えとしては逆の方向なんでまことに恐縮なんですけれども、やはりほとんど全国民に近い数をカバーしまして、その個々の方が住所も移れば職業も移るという、三十年、四十年の各年金の記録というのを全部つなぎ合わせて、最後は年金を出すわけでございますから、どうしても、国営保険として厚生年金なり国民年金をやっています以上、私どもが中央で一括して持っております。その各個人の過去の厚生年金なり国民年金なりの記録、それとまあ主に中央にございますが、国家公務員共済とか、そういう共済関係の記録、そういうからっとした各人の長い間の記録をつなぎ合わせて、最終的には年金の給付に結びつきますもので、制度としてはこれは社会保険庁を中心にまあやらしていただきたい。 しかし、先生のおっしゃることはよくわかるので、ことに国民年金については機関委任で、資格の得喪でございますとかあるいは保険料の納付でございますとか、あるいは裁定請求書の受理でございますとか、いろいろな仕事をお願いしておるので、熱心な市町村ほど国民年金だけじゃなくて、ほかの厚年や共済も勉強したいというお気持ちが強うございます。私どもも、国民年金の担当者の研修などで、およそのところをお教え申し上げましたり、恐れ入りますが、市町村に来たら、通算はこうなっていますからこうしてくださいという資料、データをずいぶんお送りしたり、打てるだけの手を打っておりますし、国民サイドから見れば、身近な市町村で、なるべくいろいろなことを聞きたいという御要望は無理もございませんので、そういうPRについての協力関係、データの提供というような点については一生懸命努力をいたしますが、制度としては、先ほど当初に申し上げましたような制度でございますので、私ども中心にやらせていただきたいと思います。 ただ、北海道のような場合、なお一層……
○丸谷金保君 そこまでで結構です、時間がありませんから。 行管来ておりますね。——行管では、臨時行政調査会で、地方事務官はすべてこれを廃止して都道府県に移すというふうに、権限を移譲すべきだという臨調の意見を早くに出しておりますね。いまでもその考えを変えた話は聞かないのですが、そのとおりですね。
○説明員(神澤正藏君) お答え申し上げます。 第一臨調では、先生御指摘のとおり、地方事務官は速やかに廃止すべきであると、こう答申が出されております。そしてその後、政府におきましては、その答申の趣旨を尊重し、あるいは社会保険事務の実態をも踏まえまして、鋭意検討を続けてきたところでございますけれども、この問題は、いま厚生省の年金保険部長さんからも御説明がありましたように、業務の性格、それから行政責任の明確化、それから国と地方との機能分担をどうすべきかと、あるいは現に勤務しております職員の身分とか・・
○丸谷金保君 それはいいです。生きているか、生きていないかだけで。
○説明員(神澤正藏君) 臨調の答申としては残っております。
○丸谷金保君 それで、大臣。五十四年十二月二十八日の閣議決定で、「地方事務官制度」「厚生省の社会保険関係及び」云々とありますが、「五十五年六月末を目途として結論を」出すということが閣議で決まっておりますね。で、私はいろいろなことをいま言われますけれども、通算年金のいろいろなむずかしい問題、町村の窓口をもう少し利用すべきだと、こういうことを余り頼み過ぎると、ここに影響してくるのを心配してなかなか実際問題として、いま言っているように町村を活用していません。もうその例なら、この次幾らでも出しますけれど。これに対して大臣は一体どういうふうにお考えになっているのか、最後にひとつ。
○委員長(片山甚市君) 簡略に、時間がありませんから。
○国務大臣(園田直君) 引き続いてその関係を各方面と調整するということになっておりますが、これはいまおっしゃったようなことで、事務当局はなかなかねばり強くやっております。私は、こういうものはなるべく早く整理した方がいいと思っております。
○安恒良一君 昨年の十月二十八日に本委員会で、厚生年金等の一部改正を、大改正をやっておりますから、率直なことを言ってまだ半年ぐらいしかたっておりません。こういう中で出てきましたところの国民年金法等の一部改正に関する問題でありますから、本質的な議論はかなり昨年やっておりますので、それらを避けまして、私は過ぐる本会議におきまして日本社会党を代表して、今回の改正に対する法律について鈴木総理並びに厚生大臣に御質問いたしましたが、率直に言って、本会議で時間が十分でありませんでした。そういう角度で、御答弁の方もやや平板と申し上げると大変失礼でございますけれども、そういう点がありましたから、まずそこらの問題を一、二点触れて、あとは少し事務的といいますか、昨年に引き続いて問題点の解明を求めていきたいと思います。 私は、本会議でも申し上げましたように、人口の高齢化が急速に進んでいる、こういう中におけるわが国の年金制度というのがもう制度面、財政面でも多くの問題を抱えている、そして、これが高齢化の急速な進行によって一層困難に直面している。しかしながら、高齢者の所得という問題は、年金は非常に重要な問題でありますから、一応いまも丸谷さんと大臣の間にやりとりがありましたように、年金制度という形は国民皆保険で確立をいたしていますが、これは制度としては確立をしておるが、中身に入りますと大変いろいろな問題点があるというふうに考えます。 そこで、きょうこれから議論を展開していく上に当たって、大臣としていまどういうところに年金の問題点があるのか。また、それらについては逐一これをどういうふうに改正をしようとされているのか、このことについて、本会議場でお答えをいただきましたけれども、時間がございませんでしたから、少し大臣の方なり担当者の方から、わが国の年金制度の制度面、それから財政面で直面をしている問題点と、これが具体的解決策についてどのようにお考えになっているか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 今後の年金制度を考えますと、現在八つに分かれておる制度の中にございます不合理な格差という形で、指摘をされております問題点が一つあると思います。 それからもう一つは、先生御指摘いただきましたように、今後の高齢化社会に向かいます中で、給付費の増大は避けられないわけでございますが、この場合、負担をいただきます被保険者の方と給付を受けられます受給者の方のバランスといいますか、給付と負担のバランスをどのように図っていくかということが、二つの大きな問題点として私どもの現在の課題だというふうに考えておるわけでございます。 給付と負担のバランスを図っていくことというのは大変にむずかしい問題だと思うのでございますが、今後の将来の給付費の増大を考えますときに、ある程度の負担をお願いしていくことにはなると思うのでございますけれども、全体としての給付の効率化、言葉が大変不適切かと思いますが、必要なところに必要な給付を重点的に行うという考え方をさらに徹底する必要があるかと思うわけでございます。 それから、八つに分かれております各公的年金制度を一元化していくということにつきまして、各方面から御提言をいただいておるわけでございますが、これは直ちに行いますことは困難であると思いますけれども、さしあたりは共済年金と厚生年金、すなわち被用者年金相互にございます格差の問題につきまして、これを是正するということにつきまして手をつけていきたいと考えておるわけでございます。
○安恒良一君 企画課長が答弁をされましたが、一つ大きいことをお忘れになっておりはしませんか。というのは、私はやっぱり国民年金を中心に未成熟な部分があって、老齢年金の給付対象者の大部分がなお低水準に置かれている。これをやっぱりどう引き上げるかというのはあなたおっしゃいませんでしたが、重要な課題の一つではないかと思いますが、どうでしょうか。それから、第二番目の問題と三番目とを言われましたが、私はそれと同時に、やはりあなたが言われたことのほかに、インフレの進行に伴いますことと高齢化社会への移行に伴いまして、年金財政の危機がかなり表面化しつつあるんじゃないでしょうか。こういう点についても御指摘がありませんでしたが、どうなんでしょうか。
○説明員(長尾立子君) 第一点の、現在、国民年金、特に福祉年金を中心といたしまして低額な年金制度がある、低額な年金受給者があるということは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、経過的な水準というものを引き上げていくということが現在の課題だと思うわけでございますが、その点につきましては、いまもう一つ御指摘をいただきました物価の上昇下におきまして、こういった年金の内容を充実していく、財政的な面の制約も大変大きいと思うわけでございます。 福祉年金につきましては、これは一般会計でやっておるわけでございますので、現在の国家財政のいろいろな制約がございます。 それから、長期的に見ますと、拠出制の年金の場合、特に先生御指摘のとおり、国民年金の場合には今後の高齢化の中で受給者もふえてまいりますし、それからかつ給付費の面もスライドをやってまいりますと、大変大きな金額になっていくわけでございまして、この点の御指摘はそのとおりだと思うわけでございます。
○安恒良一君 私は、老齢福祉年金だけじゃなくて、やはり拠出制の五年年金も十年年金も経過措置でありますが、大変低水準に置かれて、これらを含めた引き上げというのは、各種の審議会からも御指摘をされているところだと思いますから、いま、あなたは老齢福祉年金と財政の関係を言われましたが、以上のようなところについてそれをどう直すかということになると、いろいろ生臭い議論になってまいりますが、まず問題点の所在ということについては、以上、私と課長のやりとりの間で申し上げたこと等で御認識いただけると思いますが、大臣、どうですか。
○国務大臣(園田直君) 問題点、よく認識をいたしました。
○安恒良一君 そこで、それらの問題点について、これから私たちは、改正のたびに一歩一歩前進をしていかなければならないと思います。 そこで、きょうはその中の一つの問題点といたしまして、スライド制のあり方の問題についてちょっとお聞きをしておきたいのでありますが、今回の国民年金、厚生年金のスライドの予算が七%ということでありますが、すでに政府が五十五年度の物価は七・八、こういうことをもう公式に発表されておりますから、厚生年金、国民年金のスライド率は七・八というふうに理解をし、当初予算額をいろいろ立てられておりましたが、それに伴うところの予算措置、こういうことはされるんでしょうか、その点についてお聞かせください。
○説明員(長尾立子君) 五十六年度の予算編成におきましては、政府見込みの七・〇%で編成をいたしたわけでございますが、七・八%ということで決定を見たわけでございまして、七・八%ということでスライドをいたします。その場合の所要額等でございますが、年度当初でございますので、今後の事業の執行状況を見ながら、必要に応じまして対応を考えてまいりたいと思っております。
○安恒良一君 これは当然のことですから、政府の物価見込みが高くなったから七・八であれし、それに必要な所要財源等は一覧表をもらってありますから、この中身は時間がありませんから申し上げませんが、所要財源等は今後の推移を見て、たとえば予算の流用とか補正まで——金額からいうと大した金額じゃないと思いますが、そういうことはやられるわけですね。
○政府委員(新津博典君) おっしゃるとおりでございます。
○安恒良一君 そこで、これは去年ここで議論をしたときのことを、ひとつ厚生大臣思い起こしていただきたいのでありますが、去年の十月の二十八日のときに、有子の寡婦、それから高齢の寡婦の加算問題について議論をしました。まず数字的にお聞きしたいんですが、当時の議論では、これだけ加算をすると、遺族年金五割がほぼ七割近くなる、有子の寡婦なり高齢の寡婦の場合にこういう加算をすれば。というのは、当時の議論の中で、私どもは遺族年金の五割が低い、また社会保障制度審議会も、加給じゃなくして水準自体を上げるべきだという答申等も出ておりまして、できれば私たちは、政府がすでに約束しております七割にするために、水準自体を上げたらどうかという議論をしたのでありますが、今回の改正では、当面いわゆる有子の寡婦、高齢者の寡婦に対する加給という形でやりたいという御説明がありました。実態的に現在、加給をした結果、水準はどうなっているでしょうか。いわゆる遺族年金五割と言われていますが、それ等に比較して計算をしますとどのくらいになっているんでしょうか、当時は七割近くなるという論争で終わっていますが、どうも実証的に検証してみますと、私、七割にはなっていないというふうに思いますが、そこらはどうなんでしょうか。
○説明員(長尾立子君) 五十五年の財政再計算をいたしました際に、いまの遺族年金の水準が、現在その当時の死亡されましただんな様の年金と比べましてどれくらいの額になるかというものを試算いたしました。そのときには、二十年加入されました平均的な老齢年金の受給者は、死亡されました場合に六九・七%、高齢寡婦の場合でございますが、になるということを申し上げたと思います。二子を有します寡婦の場合、つまり子供さんが小さい方の場合でございますが、この場合二十年加入という方をとりますのはいかがかと思うのでございますが、この方の場合は七九・八%という水準を申し上げたかと思います。
○安恒良一君 そこで、その第二の例は妥当でありませんね。なかなか二子といいましても、これは十八歳未満ですからね、だから二十年加入して十八歳未満が二人おるというのは、実態的に考えますと、そういう場合もありますよ、多くの場合には。しかし平均的にとる場合には問題があると思う。そこで、私はきょうお聞きしたいのは、今度基本年金の方はすでに七・八%全部スライドするわけですね。ところが、加給についてはそのままこれは据え置かれるわけです。去年、そのことをすでに私は警告をしておったんですが、そうしますと、具体的にその水準はどうなりますか。片っ方はいわゆる七・八スライドする、一方はそのままでありますから、そうすると、当然私はいまあなたがおっしゃったモデル的六九・七とか、こういうものが下がってくると思いますが、そこはどうなんでしょうか。
○説明員(長尾立子君) 前者の例で申し上げますと、この場合には加算が先生お話しのようなスライドをいたしませんので、アップ率は六・三%のアップになるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました比率は一%程度下がると思います。それから二子を有する寡婦の場合には、加給の影響がございますので、寡婦加算が上がりませんこととあわせまして四・七%のアップにとどまりまして、これもやはりこの場合には二%近い減少になると思います。
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりなんですよね、いま言われたように。私は当時、大臣にもぜひ加給についてもこれが水準の引き上げが望ましいが、水準の引き上げが無理というなら、加給された部分についてもスライド制をぜひ考えてほしいということを強調して終わっていますが、いま具体的数字を言われたように、せっかく去年の改正で、子供さんのある寡婦であるとか高齢者の御婦人に対して加給をして遺族年金の水準を上げた。上げたのですが、もうことし物価が七・八上がっちゃったものですから、そうすると基本年金の方は全部スライドされる、ところが加給年金の方はスライドされないから二%近くもダウンしてしまう。これじゃ仏つくって魂入れずということで、わずか一年足らずでもう矛盾が出ているわけですね。ところがこの加給制度というのは、次の再計算まではそのままになっていくわけです。たとえば物価でも五十六年度、政府は五・五%どこう言っておられるわけですね。努力したいとこう言っておられる。ところが、去年でも六・四が七・八になっちゃったんですから、私も五・五におさまることを望みますが、しかし、おさまらない場合もあり得るわけですから、そうしますと、もう二年目にまたそれが上がっていくと、こういうことにこれはなるんですが、大臣、この点どう考えますか。 私は、少なくとも加給制度を、去年つくったばっかりですから一遍にやめられなければ、せめて加給した部分についても物価上昇と同じようにスライドしていかないと、どんどんどんどん下がっていくわけです、一年でこれだけ下がっちゃうんですから。これじゃとても私は、せっかく子供さんのある御婦人であるとか高齢者の御婦人に対して、遺族年金の水準を上げるという政府の公約とは違ったことになっていくと思いますが、大臣、この点をどうされますか。これは政策的なことですから大臣のお考えを、いま具体的実例を挙げて大臣に御認識いただいたわけですから、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 物価の変動が激しい今日でありますので、加給した部分についてもスライドするのが理想だと思いますけれども、残念ながらそれができなかったわけでございます。
○安恒良一君 残念ながらできなかったということでありますが、まあ再計算は五年ごととか場合によれば四年ということになりますが、大臣、これをこのまま据え置いておくわけにいかないと思うんですね。ですから、ことしはまあできなかったのですが、たとえばことし七・八上がりまして、来年が政府公約どおりの五・五といたしましても合わして十数%のいわゆる物価上昇になるわけですから、大臣どうなんでしょうか、まあ財政危機で大変むずかしい状況でありますが、やっぱり来年度の改正に向けて、また来年も当然物価が上がれば、これは国民年金、厚生年金はスライドするわけですから、その際には、加給部分についてはやはり大臣としては前向きに努力すると、これはまあいろいろ財政の問題もありますけれど、そういう点について御検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。でないと、このままで四年間据え置かれておったら私は大変なことになると、こう思いますから、ことし七・八、来年はいまのところ五・五ですから、それを両方合わせただけでも一割以上のいわゆる物価上昇になるわけですから、そういう点について御検討くださり、前向きに大臣としてまあひとつ努力してみたいと、こういうお考えはどうですか。
○国務大臣(園田直君) これはもう努力するのが当然であると考えておりますから検討いたします。
○安恒良一君 それではスライド制の問題は、いま申し上げましたように、有子の寡婦とか高齢者の寡婦については、厚生年金や国民年金の物価スライドと同じようにスライドする方向で前向きに大臣に御努力いただくと、こういうことのお約束をいただきましたので、その点をぜひひとつ大臣、来年の改正のときには大臣の御努力によってそれが実現をしたと、こういうことで子供さんを持っている御婦人やら高齢者の御婦人が喜ばれるように、ぜひ一段と御努力をお願いをしておきたいと思います。 では、次の問題に参ります。 次の問題は、これも後から高杉さんから修正案として出てくると思いますが、スライド制に関することの中で私は二つあると思うんです。 一つは、いわゆる年金のスライドの実施の時期について、これももう改正のたびに私たちは毎年のように、たとえばことしの場合には厚生年金は六月から、拠出年金は七月からと、こういうふうに操り上げて実施するとなっていますが、これももう長年議論をしているところでございまして、私たちは、やはり四月からスライドの実施をどうだろうかということを、これはいつも改正のたびに言っています。ところが、事務手続その他の問題でなかなかむずかしいということで、前向きにと、こういうことにはなっていますが、ことしも残念ながらまだ去年と同じような時期でありまして、たとえば大臣、一遍に四月から私はぜひやってもらいたいと思いますし、またそういう案が後から出されるようでありますが、その方向が無理なら、一カ月でも二カ月でも繰り上げた実績が出てきていますとね、その方向に努力されているということがわかるんですが、これを見ますと、またことしも去年と同じように、厚生年金と船員保険は六月から、それから国民年金は七月からと。これでは私は、附帯決議をつけたり努力を約束されても、ひとつも進んでいないと思うんですね。私は、せめて、ことしは一カ月でも二カ月でも、たとえば六月を五月にするとか、七月を六月にする、こういうことで私たちの方に法案を提出されますと、なるほど大臣の御努力、事務当局の御努力というのはよくわかるんですがね、この点はどうなんでしょうか。それが一つです。 それからいま一つは、これもたくさんの方から私のところへ要望書が来ているんですが、支払い回数の問題です。御承知のように、四カ月に一遍とか三カ月に一遍とか半年に一遍、これは時間がありませんから中身を全部言いませんが、もう御承知だと思いますがね。ところが、今日のやはり高齢化社会の中における老人の年金の依存率というのはもう調査でよくおわかりだと思う。それが、厚生年金でも四カ月に一遍ずつとか払われておるのじゃ、これはたまらぬと、せめて毎月払ってもらいたい。これも恐らく返ってくるお答えはわかっているんです。人が足らぬとかなんとか、機械化がと、こういうこと。それでも、じゃ、少なくとも月数を短縮されていればまだわかるのです。どうもあなたたちは、幾ら聞いても、六十年オンライン化、それには何とかするということで、毎年同じことを答弁しているんです。ことしも衆議院で同僚の川本委員が質問したら、同じことを答弁している。だから、少なくとも月数を、いま毎月にできなければ二カ月に一遍はとりあえず払うようにします、こういうことになれば、あなたたちの御努力ということはよくわかるんですがね。どうも私は、あなたたちの答弁というのは、法律を通すために、一過性といいますか、そのときだけは、先生の御趣旨を体しまして前向きに御検討いたします、努力しますと、同じことを、人はかわるけれど、出てきて答弁しているんですね。ところが、趣旨を体しましてとか、努力しますと言うけれど日に見えてこないわけですね。しかも私が言っていることは、決して無理なことを言っているわけではない。老人として厚生年金を四カ月に一遍ずつとか三カ月に一遍ずつもらうなどということはやっぱりおかしいことで、本当は毎月、しかしそれが一遍にいかなければ、せめて支給の回数をふやす、この実績が示されてしかるべきだと思いますが、スライド制の実施時期と支払い回数の問題について、ひとつお考えをお聞かせください。
○説明員(長尾立子君) 現在、スライドの実施時期につきまして六月、七月といたしておりますのは、先生よく御承知のとおり、現在、年度の物価をとっておりますために、事務手続上からこのような扱いになっておるわけでございます。これを何とかもう一カ月、たとえば五月ということに上げられないかということでございますが、これは支払い期月等との関係がございまして、事務上非常にむずかしい問題もあると思うわけでございます。
○政府委員(新津博典君) もう安恒先生から先に言われまして恐縮なんですけれども、現状の業務課の実情では、どう努力しても支払い回数をふやすというのは困難でございますが、そういうことを要望されるといいますか、そういう声が強いことを十分承知しておりますので、わが方のオンライン、郵政のオンラインとにらみながら、何とか早い時期に一回でもふやせるように努力をいたしますが、現状では本当に、スライドをやり、いろいろな諸変更をやりという中では、現在の業務課の体制では現状が精いっぱいでございます。申しわけございません。
○安恒良一君 大臣、これは事務当局に答えさせると全く同じことが、大体ほぼ、議事録を見ると、課長が言ったことも部長が言ったことも、毎年同じことを言っています。だから私は、本当は課長や部長に答えてもらいたくなかったんです。同じことを聞いたって意味ないんです。と言うのは、たとえば物価が確定をするのは、すでに五十五年度は物価七・八ということは確定をしているわけですよ。それから私は、実施の時期を繰り上げようと思えば、努力をされれば一カ月でもできると思います。また場合によれば、去年の改正のように、いわゆるわれわれが国会で、これは遡及ということを決めればいいことなんですから。国会でもやることはあるわけですね、決めた時期に、ある程度。そんな技術的に何もむずかしいことじゃないんです。問題はやる気があるかないかということなんです。また国民の要望にこたえるべく、一カ月でもスライドの実施の時期を繰り上げることになるのかどうか、こういうことなんです。 また、支払い回数をふやすことも、大臣、これは本当にいま多くの年金受給者の非常に政府に対する強い要望なんですよ。そうしますと、今日コンピューター化し、オンライン化が進んでおるわけですから、昭和六十年をめどなどと、そんな悠長なことを言っておらないで、せめてやはり私は、行政管理庁もお見えになっていますけれども、そういう国民のニーズに必要な場合に、機械化が進んだり、場合によれば人がふえるということについて、国民は抵抗しないと思うんです。そういう意味で、行政改革があるから、人を減らさなきゃならないときであるから、そんな国民が強く望んでいることもできません、できませんということでは、私は生きた政治ではないと思います。どうでしょうか。こういう問題もひとつ大臣の時代に、一歩でも二歩でも支払い回数をふやすとか、スライドの実施の時期については一カ月でも繰り上げて、決して四月からやることは間違ったことじゃないんですからね。当然正しいことなんだが、事務的にはいまは大変だ、できないと、こう言っているわけですから、事務的にできないということなら、これはやる気になればやれることなんですから、事務的にできないということは、やれることですから、そういう点についてひとつ、大臣のこの問題に対するお考えをお聞かせください。
○国務大臣(園田直君) 支払い回数をせめて期間を短くするとか、最後の理想は一月に一回という御意見は正しいと思いますが、いま事務当局では能力の問題だと言っておりますので、よく事務当局と点検をして、一挙にはできませんが、なるべく縮めるように努力をいたします。 なお、スライドの十一月から六月、翌年の一月を七月に引き上げたが、さらにこれを四月にという話でございますが、これもいろいろ計算能力の問題があると思いますけれども、これもできるだけ四月に近まるような検討をしてみたいと思います。
○安恒良一君 大臣、事務当局に、ぜひ私はお願いしたいんですが、たとえば昭和六十年までということじゃなくして、いま抽象的に事務能力が大変だとか、オンライン化が進んでないということの答弁は何回聞いたって同じなんですよ。私がきょう期待しておったことは、こういう年次で、たとえばいま昭和五十六年ですが、来年についてはこういうふうにやります、来年はこういうふうにやって、漸次一つずつ支払い回数をふやしていきますとか、もしくはスライドの実施の時期も繰り上げますと。それがためにはたとえばこれだけの機械化が必要です、これにはこれだけの財政が必要でございますとか、もしくはいまの総人員はこれだけでございます、しかしこれをやるためにこれだけの人員をぜひ必要としますから、国会の方でもひとつぜひ御協力をお願いをしたいと、こういう前向きな資料を提出して答弁をされてしかるべきじゃないですか。そうすれば、本委員会の中でも、恐らく私は全体で、自民党の先生方も含めて、そのようなことについて十分ここで御協議願えば、それの促進決議でも何でもできると思う。 ところが、いつもあなたたちは六十年オンライン化、それまでやります、やりますということで、何もあなたたちだけ苦労することもないんじゃないでしょうか、私たちが強く言っているんですから。ぜひ、人員はこうしてもらいたいとか、機械化はこうしてもらいたい、こういう資料をここにお出しになって、そして委員会の中で十分議論をして、場合によれば促進決議等も私はお願いしてもいいと思っているんです、理事の間で御相談願って。そういうことをしていいと思うんですが、それがないと、どうも毎年、去年も同じことを聞いたんですよ、おととしも同じことを聞いたんです、このことについては。六十年をめどにオンライン化をします、それまでに一生懸命やりますと、こういうことを聞いていますから、もうちょっと意欲的に、それらの問題について具体案を、本委員会の審議に御提示されるお考えはございませんか。
○政府委員(新津博典君) おっしゃっていることはよくわかるので、努力をしてみたいと思います。
○安恒良一君 大臣、ぜひそういうふうに事務当局に作業を進めさしてください。そして、これを私たちの審議の場にのせてください。そうすれば私たちは、いいことはいいことだと、賛成することは賛成すると。こういうことで、やはり国民が、非常に高齢化社会でこれから受給者がどんどんふえていきます。その関係において支給回数を、できれば毎月一回ずつもらいたいということ、スライドはできれば四月からしてほしいと。これは本当に高齢者の強い要望ですから、一遍にそこまでいかなければいかないで、漸進的に少しずつでも改善がされていくために必要なことについて、われわれは委員会の議論を通じて協力することにやぶさかではありません。ですから、ぜひそういう角度から、今度は少し前向きに検討できるように、次回からのときには資料等もひとつぜひ出してもらいたい。できるだけ急いで、それは御研究くださって、六十年実施ということを早めるためにはどれだけの人員が要るのか、どれだけの機械化が必要なのか。たとえば、いま年金を受け取っているのは郵便局が非常に多いわけでありますが、そういう場合に、郵政省に対していわゆる郵便局のオンライン化をどう進めてほしいと思うのかと、こういうことですね。銀行の方は、これは商業ベースですから、恐らくすぐでも協力すると思うんですね、市中の銀行は。問題は郵便局の方だと思いますから、そのオンライン化を進めるためにはどうすればいいのかと。必要ならばそのことを郵政省の方に申し出ればいいわけなんですから、そういう形でひとつこの点をお願いしておきたいと思います。これは、具体的にぜひ一遍、大臣そういう方向で事務当局に御検討を命じていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(園田直君) いろいろな、いまの二つの問題を実現するためにこういうことが困難である、こういうためにできない、これをこうやってもらえばできると。そういう具体的な困難な点をさらけ出して、答弁じゃなくて相談するというかっこうで、資料をつくって御相談するようにいたします。
○安恒良一君 じゃ、スライド制と年金の支払い回数の問題はそれぐらいで……。 そこで、これもまた問題でありますが、五人未満の事業所適用問題についても、これももう私、国会議員になってから年金上げるたびに決議されています。私、国会議員になる前の記録も読ましていただいて、去年も申し上げましたが、五人未満事業所の適用問題が依然として進んでおりません。これまた、通り一遍の答弁にいつもなって、先生の趣旨を踏まえましてできるだけ前向きにと、こういうことは去年の議事録にも全部書いてございますが、具体的に、五人未満の適用拡大のためにその後どういう努力をされたのか。現状がどうなっているのか。陸路はどこにあるのか。そしてその隘路を打開するためにどうしようとされるのか。この点について、この五人未満事業所の適用問題について中身を聞かしてください。
○政府委員(新津博典君) 先生のお話のとおり、昨年秋の臨時国会でお話ございまして、その後の経過でございますが、私ども、十二月に省内のプロジェクトチームをつくりまして基礎の資料の検討から始まって、いろいろな制約条件のもとで、どうやったら実現可能かという突っ込んだ議論を現在詰めておる段階でございます。その過程で、その基礎になる数字等の材料はいろいろあるわけでございますが、どうしても、御承知のような零細な企業というのは変動が激しいので、その直近の実態を知りたいということで、六月から最終的な調査もあわせて行うということで、その調査結果も踏まえて、プロジェクトチームとしての結論をなるべく早く出す方向で努力をしているところでございます。
○安恒良一君 まあ、なるほど六月に一遍実態調査をやろうということはわかりましたが、プロジェクトチームを設けられたというのは、これは年金だけじゃなくて医療保険にもかかわるんですが、どういう、だれが長になって、どこの馬とどこの局が合同でプロジェクトチームをつくったらつくったとか、どういう議論をしているか、抽象的では困りますから、そのプロジェクトの中身、それから検討の課題、そういうところについても少し聞かしてください。
○政府委員(新津博典君) どういうプロジェクトがいいかということで、それ自体の議論も実は省内でやったわけでございますが、結果的には十二月三日に発足をいたしましたプロジェクトは、最後の判断は比較的、相対的に上の方でするとしても、事は現場で物がうまくいくかどうかということが大事なんで、現場に詳しい比較的中レベルのということでございまして、社会保険庁の健康保険課長を主査にいたしまして、あと、人員の関係等もございますので、保険庁の総務課、それから内局の方では、制度とのかかわりがございますので、保険局の企画課、保険課、国保課あるいは調査課、年金局でも年金課、社会保険庁の方はほとんど全課に関係いたしますが、総務課、経理課、地方課、数理室、健保課、計画課、厚年課、国年課、これから補佐レベルを中心に、一部作業グループについては係長も入れてプロジェクトチームを発足さしておりまして、大体プロジェクトチーム全体の検討委員会は十二月以降七回やっておりますが、それ以外に数字を詰めるグループ、その他作業グループはほとんど毎週二回ぐらいの頻度で進めております。 問題は、検討の課題でございますけれども、まず最新の対象事業所数とか、従業員の数の把握自体すら実は大変推計のむずかしい問題がありまして、そういう数の問題でございますとか、それから事業所単位でやっております現在の事務の中で、どこまでその事務の合理化で増員を避けて実施できるかという、事務組合方式を含めた問題でございますとか、それにしてもやはり最終的には相当の増員が必要になる見込みでございますので、その実現の方途とか、増員が実現するまではどういう方式が考えられないかとか、あるいは労働との比較で言えば、私どもの方はすでに何らかの形でほかの制度に入っている、つまり具体的に言えば国年、国保に入っている人たちが健保、厚年に移ってくるということで、それぞれの制度に、制度の収支両面についての影響もあるわけでございますが、その辺が、移ります人たちの報酬がどうで、保険料の納付状況がどうで、あるいは受診率がどうでと、いろいろ各制度への影響という意味での試みの計算をいろいろやるというような問題でございますとか、そのほか細かいこともあるわけでございますが、大筋ただいま申し上げたような点で、それぞれにグループ別に分かれまして、どうしたら実現できるかという方向に向かって詰めている段階でございます。
○安恒良一君 五人未満の事業所数及び従業員数、現在でどのくらいあるというふうにおつかみになっていますか。
○政府委員(新津博典君) さっきもちょっと申し上げましたように、数字自体が実は問題があるので、言いわけがましくなりますが、幾つかの材料がございまして、三年に一遍やる事業所統計がその事業所なり人の数の基礎にあるわけですけれども、同時に、私どもの持っている、未適用であれば当然医療保険は国保に入るということで、国保の方の実態調査からの推計とか、いろいろな推計の方法があるわけで、そのこと自体を実はプロジェクトでやっていまして、公表して、これだという数字まで固まっておりません。 私どもは、これはいつもおしかりを受けるのですけれども、公表いたしました数字としては、五十年の当時の厚生省の公表の数字の百二十八万四千事業所、三百四十二万五千人という未適用、非強適事業所と強適事業所の四人以下の数字は一応これでございますが、実はその後の事業所統計、三年ごとのが、一番新しいのは五十三年でございますけれども、漸増の傾向にあるので、この数もふえているだろうと。 一方私どもの方では、四十八年から九年にかけて大規模な調査をやって、この五人未満を解決しようという努力を当時のスタッフでやりまして、その結果かなりの増員が要るということで、遺憾ながら実現できなかったわけですけれども、何とかして、じゃ任包でもやろうということで、五十年以後大体毎年少しずつふやしてきておりますけれども、事業所規模で四万、被保険者規模で二十万ぐらいの適用の努力をしてきているわけでございますが、そういう伸びもございまして、最終的になお現在でぴたり、被用者でありながら国保、国年にいて被用者年金の適用あるいは健保の適用を受けていない者がどのくらいいるかという数字自体が、まだプロジェクトとして最終的に固まっていない状態でございます。
○安恒良一君 答弁は、時間がないから簡単にしてください。 私ども、一番最近の、いまあなたが言われた調査では、大体五人未満の事業所数は百五十一万四千事業所、従業員数が四百八十二万一千人、これが一番新しい資料ではないかと、一事業所当たり三・一八人というふうに人を把握していますが、そういうことは間違いないでしょうか。
○政府委員(新津博典君) プロジェクトで検討いたしました数字の中で、実はいま先生のおっしゃった数字もあるわけですが、公表するだけの自信がないと関係者が言っておるので、最終的にこれでいいかどうかの詰めを行っている段階でございますが、そう大きな狂いはないと考えております。
○安恒良一君 まず私は、プロジェクトをおつくりになったら、一番直近のそういう実態を把握した上で、その上で御議論くださらぬと、これは厚生省だけじゃなくて、必要なら労働省や総理府統計局、その他いろいろ各省に調査資料があるわけですから、各省は各省なりにいろいろ政策上持っていますから、そういうものを突き合わした中で、今度六月調査でなお正確にわかってくると思いますけれども、とりあえず五人未満の事業所数が、いま現在でどれだけあるのか、それから従業員数がどれだけあるのか、それから一事業所当たり平均どれくらいの人員なのかということを把握されないと、なかなか私はせっかくプロジェクトをつくっても、まだそんなことを把握しようということからプロジェクトで話されているのかもわかりませんけれども、私はちょっと作業が、せっかくおつくりになって、もう何か六回もやられたということなんですが、どうも作業進捗がおくれているような気がしてなりません。 ですから、このことにつきましては、ぜひひとつ大臣にお願いをしておきたいんですが、プロジェクトもできたと、それから六月には一番新しい実態調査をやると、こういうことでありますから、それらに伴って、これももう去年幾らでも議論しておきまして、いわゆる任意適用ではだめなんだと、労働省の方は労災保険も失業保険もすべて強制適用の方向できちっとしていますから、ひとつぜひ、五人未満の事業所の労働者が、ある者は国民年金に入っておったり、ある者は国民健康保険に入っていると、こんないびつな形はないわけですから、少なくとも私は次回の改正に向けて、これもここまで調査が完了しましたとか、とりあえずこうしますとか、一遍にいかなければ、とりあえずこうしますとか、そういうひとつ前向きな方向で出していただきたいし、またこれも、恐らくこれを適用すれば事務量がふえます、人も要ります、そういう点についても私が前に申し上げましたように、必要な事務量についてはやはりやむを得ないと思うんです。機械化できるものは機械化する。機械化できなくて、どうしても必要な人員が要るというならば、そういう問題についてもやる。行政改革というのは、むだを省くことはいいことなんですが、何でもかんでも人を少なくすればそれで行政改革ができるということじゃないんですよ。やはり少なくするところとふやすところがあってしかるべきだと思いますし、こういう問題については、国会でこれももう恐らく十年ぐらい附帯決議つけているんじゃないでしょうか。十年ぐらい同じことを改正のたびにつけていますからね、もうぼつぼつ一歩、二歩前進があってしかるべきだと、こう思います。そういう意味で、一段の御努力をぜひお願いをしておきたいと思います。 そこで今度は、次に年金の民主的管理運用についてお聞きをしたいんですが、これも去年、法律改正のときに大分議論をいたしました。年金資金懇談会を当時設けるということが厚生省、大蔵省からの御答弁がありまして、当時は、じゃ何人ぐらいの委員でどういうふうにするのかというところ等は、残念ながら去年の議事録を見ます限りにおいては定かでありませんでした。ただ努力するということでありましたが、きょうは大蔵省からお見えになっていると思いますから、具体的に年金資金懇談会の構成メンバー、それから現在まで何回やって、どのように年金資金の民主的運用管理についての議論が進んでおりますか、そのことをお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 去年の秋、確かにまだ御答弁できなかったわけでございますけれども、年末に資金懇談会を発足さしていただきました。 そのメンバーは、資金運用審議会の秋山会長、それから石野会長代理、それから理財局長を初めといたしまして、学識経験者三名の方、それから事業主の方から二名、それから被保険者の方から二名、合計十名で発足させていただいております。 そして、懇談会は二回現在行っておるわけでございまして、個々の議論につきましては会の性格上、自由な御発言をちょうだいするということもございますので、ここでつまびらかにさしていただくことはできないわけでございますけれども、年金資金を含めました資金運用部資金の運用状況でございますとか、あるいは預託金利の水準でございますとか、あるいは還元融資の現状ないしはあり方、それから年金資金の運用のあり方等につきまして、いろいろと御意見なり御議論をちょうだいいたしているところでございます。
○安恒良一君 年金資金懇談会は定例的に、たとえば一カ月に一回とか二カ月に一回とか、そういうふうにおやりになるんですか。それとも、議題があるとき随時適当にお開きになっているんですか。その運営の規則的なものはどうですか。たとえば定例的なのかどうか。
○政府委員(宮本保孝君) 定例的ではございませんで、そのときどき、たとえば財投計画を御要求のあるときとか、あるいは財投計画を決めるときとか、あるいは預託金利を変えるときとか、そのときどき、議題があります都度、いろいろと御意見をちょうだいするということでございます。
○安恒良一君 少なくとも厚生年金審議会、ここの、いわゆる社労委員会の議論、それから総理大臣の諮問機関でありますところの社会保険審議会、社会保障制度審議会で議論をされておるところの問題は、いわゆる保険者、被保険者——国もお金を若干出しているからいいだろうと、学識経験者等入れて、年金の民主的管理運用について十分議論をしてもらいたい、こういうことなんですね。それにこたえるものとして、とりあえず年金資金懇談会というのをつくります、こういうことであったのですが、どうもいまの運営見ますと、大臣どうお感じになりますか、ここらで議論したり、われわれがやりとりしていることとそぐっているんでしょうか。私はどうも非常にやり方が、これは本会議の席上でも申し上げましたが、やはりこの懇談会はつくられたのだけれども、どうも問題がありはしないか。もう少し議題をきちっと決め、たとえば年金資金の管理運用についてどうあるべきかということを十分諮問をして、それに応じてきちっとした答申なら答申をもらう。懇談会ですから答申という言葉は妥当かどうかわかりませんけれども、少なくとも私たちは、これは別個に切り離してやるべきだということについて、当面これでやってみたいと、こういうことだったわけですが、どうも、余りやかましく言われるからやむを得ずつくっておくと、こういう程度のように聞こえてなりません。 これは厚生大臣も、厚生年金、国民年金の所管大臣でありますから、これの資金の管理運用を民主的に行うということは、もうこれまた附帯決議それから答申でいつも出ている点でありますが、年金資金懇談会はまだ発足したばかりでありますが、定例的にもやっていない、議題も、その都度何かあるときにやるということで定められた。しかし大きい議題は、年金の資金の有利かつ民主的運用管理をするためにどうすればいいのかというためにこれは設けられていると思いますから、どうも私も率直に言って、ここに出ている懇談会の委員から聞いて、どうもあの懇談会に出てみたけれどぱっとしないということをいろいろ聞いているんですが、大臣、こういう点はどうなんでしょうか。何回も何回もこれも附帯決議なり、それから制度審議会、社会保険審議会からもきちっとした答申がこれは出ているわけですから、いまのような次長がお答えになったような運営では、それにこたえていることにならぬと思いますが、どうですか、大臣。
○説明員(阿部正俊君) 今度できました懇談会の設置の目的といいますのは、あくまでも年金の保険料の拠出者の意向の反映を行うというふうな趣旨でございますし、他面、また先生いま御指摘のように、本委員会を初め関係審議会等からその運営のあり方等につきまして、非常に強い要望が出されているということは十分承知しております。 また、先ほど大蔵省の方からお答えがございましたように、その構成メンバーの中にはその審議会の構成メンバーであられる方々も入っておられるわけでございますので、そういった懇談会ということで、特定の諮問、答申ということではございませんけれども、その懇談会の中でそういった方々の意向が十分反映されまして、しかるべき成果を上げられるんじゃないかというふうに期待をしておりますが、私どももその席に同席いたしておりますので、そういったふうなことを十分念頭に置きまして、重大な関心を持って運営に協力していきたいというふうに考えております。
○安恒良一君 これだけやるわけにいきませんけれども、私は全くいまの運営はびほう策だと思いますね。ですから、もう少しどうしたらこの懇談会を設けた趣旨にこたえられるのかということで、そんな不定期ではなくして、最低月に一回なら一回ぐらいきちっと会合を開いて、何も懇談会ですから諮問方式をとる必要ありません、懇談方式で結構ですから、中身を私は詰めて議論してもらいたいと思う。少なくとも最低月に一回ぐらいのやはり懇談会が開かれて、いま言われたメンバーの方の中で年金の資金の民主的な運用管理、有利かつ公正にやっていくという問題について、たとえばこの委員会等で私たちは宿題として出しているのは、共済でやっているような方法ぐらいはとれないのかと、同じ年金で、共済年金で運営をしている方法ぐらいは、直ちに厚年、国民年金においても運営方法を考えたらどうだということも宿題にはしてあるわけですから、やっぱりそういう宿題を受けて、十分ひとつこの懇談会の中では御議論を願わないと、やかましく言われるから、とりあえず懇談会を設けておくということだけでは私はいけないと思いますが、ぜひこれもひとつ大臣の方から、少なくとも私どもが議題に供している問題、また制度審なり社会保険審議会からも大臣のところに満場一致でいろいろ答申されていることがあるのですから、そういうものをやっぱり実現するためにはどうすればいいのか、どこに問題があるのかと、こういうことをこの年金資金懇談会の中で、最低月に一回ぐらいずつきちっ、きちっと議論を進められていく、こういうことがぜひ必要なことではないかと思いますが、大臣どうですか、この点は。
○国務大臣(園田直君) 拠出者の意向が反映をし、しかもこれが有益に運用されるように別個の審議会をつくってはどうかという御意見もあったわけでありますが、とりあえずいままでの審議会に加えて、いま議題になった懇談会を設置したわけでありますから、この懇談会がその設置の趣旨、われわれの議論と合致するよう大蔵省ともよく相談をして、その成果を上げれるように努力をいたします。
○安恒良一君 まあ時間が十分までしかございませんから、二つの点をお聞きしたいんですが、これは丸谷先生からいろいろな実例が出されて、国民が困っておられる例がありました。私ももう何件かありました。私の場合は、その都度年金部長や担当の方々とお話をして、問題の解決に努力をして、解決した国民からは喜ばれています。それらを調べてみますと、全く本人の責に帰さないのにある場合には年金の支給が一時停止されたり、不安を与えたりいろいろなことがあります。その都度私は、事務当局と一つ一つの問題を解決していますが、幸い私たちの耳に入った人は救われる。ところが、そうでなくて泣いている国民がたくさん私は皆年金時代になってありはしないかと思います。そこで、とりあえずのことでありますが、同僚の丸谷委員からは、御承知のように市町村に事務移管のことが言われました。しかし、これもなかなか地方事務官の問題、その他いろいろなことがあって一遍にはいかないと思うんですが、大臣、こういうことはできるんじゃないでしょうか、年金相談員というのを市町村に一人ずつ置いてもらう、そしてその年金相談員は国民年金だけじゃなくして、厚生年金やその他年金全体については相談を受けられる。そういう人を配置するぐらいのことはぜひ本気になって、大臣がその気になって、自治大臣、その他とお話し願ってやればできるんじゃないでしょうか。 そうすれば、各市町村の窓口に行って、共済年金のことであろうと国民年金であろうと、厚生年金であろうと、通算年金であろうと、いろいろなことを相談に応じてやる。どうしてもいまの社会保険事務所単位では地域的にも、また人員の点でも大変な努力をされてもなかなかな親切な相談ができないわけですね。そういう意味から言うと、私は市町村に最低一人ですね、これは市町村は大きいところもありますから、最低ということを申し上げているんですが、専門の年金相談員がおって、それがこれからいろいろな年金のことがあれば、国民に対して答えていく。もちろん社会保険事務所に年金相談員の方がおられることは知っていますけれども、それだけではどうしてもいま申し上げたような、私が扱ったケースなんかでも、ちょっと詳しい相談員があれば、わざわざ東京まで来て保険庁の皆さん方のあれをわずらわさなくても済む場合があるわけですね。ですから、そういう点で、大臣これもひとつ、この年金相談員というのを各市町村に最低一人ずつ置くことについて、ぜひ前向きに御検討願いたいと思いますが、どうでしょうか。政策のことですから、大臣にお聞きします。
○国務大臣(園田直君) これは昨日も自治大臣との間に出た話でありますが、いまの相談員というのは一つの案だと思いますので、よく相談してみます。
○安恒良一君 それじゃ、もう時間がないですから、最後にこれだけもう一つ、全体の制度の改正について、いろいろ御議論くださっていると思いますが、これもわれわれの前からの持論でありますが、とりあえず、国民年金について、いわゆる保険料の一律定額と、給付も全額定額と、こういうことを基礎にした加入期間の比例でやっていますけれど、すでに国民年金の掛金が四千五百円になりましたし、それから六十年では現在価格で五千九百円、昭和七十年には九千四百円となるという将来見通し、この前のときに資料いただいていますね。私は、今日の物価高の中で、これは本会議で聞いたんですが、大変な問題だと思いますから、もうぽつぽつほかの制度との全体の整合性、たとえば長尾さんがおっしゃったように、共済と厚生年金のいわゆる整合性をやっていくと、これも一つの当面の仕事だと思いますが、私はやっぱり国民年金のいまのあり方について、これはきちっとした方向づけをしないと、いまのままで私が申し上げたような、保険料も一律定額であり、給付も全額定額で、それを基礎にした加入期間の比例でやっていくというこのやり方では、私はいろいろ問題点がもう出てきているんじゃないか。だからぽつぽつ、いわゆる被用者年金の中身の制度改正も非常に重要ですが、国民年金についても、もう一遍抜本的に洗い直す時期に来ているんじゃないかとこう思いますが、これらについてのお考えと、今後どうしようとされるのか、そのことをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(長尾立子君) お答えを申し上げます。 国民年金の財政問題を考えます際に、たとえば保険料につきまして所得比例制を導入してはどうかとか、その場合、給付の面に現在の定額制というものを、比例制という形で改めてはどうかという御提言をいただいております。 国民年金の今後のあり方につきましては、昨年の大改正の際に国民年金審議会におきましても御議論をいただいたわけでございますが、所得比例制の導入につきましては、国民年金の被保険者が非常に多くの職業の方でございますことと、所得の把握が給与所得者に比べまして大変にむずかしいというような要素から、なお検討が必要であるという御結論をいただいておるわけでございます。しかしながら、たとえば国民年金におきます妻の扱い、被用者の妻の扱い等、国民年金の問題が今後の公的年金全般を考えますときに、非常に基本的な面で重要であるという御指摘は当然でございまして、今後の年金制度を考えます際に、御指摘の点も含めまして国民年金のあり方につきまして検討をさしていただきたいと思っております。
○委員長(片山甚市君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十一分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○渡部通子君 一般的に社会保障と申しますと、最低生活の保障のために負担と給付を通じて、所得の高い人と低い人との間の所得の再分配の機能をよりよく果たすべきものであると私は理解しておりますが、いかがでございますか。
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、その機能は年々高まってきております。
○渡部通子君 それでは、その所得再分配の機能は、社会保障の一つである社会保険の中にも当然取り入れられている考えと言ってよいと思いますが、いかがでございますか。
○説明員(長尾立子君) お答えを申し上げます。 年金制度は、働く若い世代がお年寄りを支える仕組みでございまして、世代間の所得再配分という機能がその中に入っているものと考えております。また、厚生年金におきます年金額の算定方法は、定額部分がございまして、所得の低い方、保険料の負担の低い方につきましても一定の給付のレベルを保障いたしておりますし、また負担能力において、他の制度よりも若干劣ると思われます国民年金の国庫負担率が他の制度に比べますと高いわけでございますが、こういった諸制度を通じまして、収入の少ない方と多い方との間に所得の再配分が図られていると考えております。
○渡部通子君 ただいまの世代間の所得の再分配、それも当然含まれると思いますけれども、社会保険の中で、社会保障の大きな問題でありますから、当然所得の再分配もあると、こうお答えになったと理解してよろしいんですね。
○説明員(長尾立子君) さようでございます。
○渡部通子君 午前の質疑の中でも安恒委員から指摘がございましたけれども、現行の国民年金制度では、負担は掛金が一率定額、給付も全額定額、これを基礎にした加入期間比例ということでございます。また、この制度に対する国庫負担は、給付時に給付額の三分の一ということで負担給付、国庫負担一切を通じて所得の再分配の機能は見ることはできないと存じますが、いかがですか。
○説明員(長尾立子君) 先生御指摘いただきましたように、国民年金制度におきましては、被保険者の職業がさまざまでございますために、定額の保険料、年数比例年金という形になっておるわけでございますが、所得の低い方につきましては、免除の制度を設けまして配慮をいたしておるわけでございます。 それから先ほども申し上げましたように、国民年金におきましては、他の制度に比べますと高率の国庫負担をいたしておるわけでございますが、三分の一の国庫負担、経過的には二分の一の国庫負担をしておりまして、税の形におきましてこの制度に対しまして財政措置をしておるわけでございまして、こういう形で所得再分配の機能を果たしておると考えておるわけでございます。
○渡部通子君 私もそれは認めますけれども、大枠において、所得再分配ということが、すべてが定額、あるいは負担給付、国庫負担を通じて定額ということからいまの御答弁を認めますけれども、大変苦しい御回答ではないか、こう思うわけでございまして、社会保障としての大きな年金制度としては、りっぱな制度とは言えないのではないか、見直す時期が来ているのではないかと、こう思いますが、いかがでございますか。
○説明員(長尾立子君) 国民年金の現在の制度につきましては、いまの負担の仕組みまたは給付の仕組みにつきまして、もちろんこれがすべて正しいというふうに考えておるわけではございませんで、御指摘をいただいておりますように、保険料につきまして、たとえば所得比例的なものを検討してはどうかというような御指摘もいただいておることは十分承知をしておるわけでございます。私どもといたしましては、年金制度は御承知のように、長期にわたります見通しのもとに検討を行う必要があると思っておるわけでございまして、御指摘の問題点を含めまして、今後とも検討さしていただきたいと思っております。
○渡部通子君 掛金はこの四月から四千五百円、昭和六十年には現在価格で五千九百円、七十年には九千四百円、これが将来見通しの中で出されています。物価スライドが働けば当然、その額はもっと増加するということになると思うんですね。で、国民の間にはその負担が、苦しい家計の中で大変な支払い額となっている、こういう声が非常に大きいわけでございまして、私もいろいろな奥様方にお目にかかったりすると、一体掛け続けていて将来いいのだろうか悪いのだろうかというような疑問を出されて困ることが間々あるわけでございます。その負担の苦しさから支払いが滞る家庭が出てくる。これが将来の負担増とあわせて懸念をされるところだと思います。また、この掛金の負担増が、サラリーマンの妻の加入意欲を減退させているとも言われていますけれども、この負担増と家計の負担能力についてどのような御見解を持っていらっしゃるか、またサラリーマンの妻の加入状況についてどのように考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 国民年金の保険料の問題でございますが、家計の負担が相当にふえているではないかという御指摘かと思います。しかしながら、国民年金制度におきましては、今後受給者が急増いたしますので、給付費も増大いたしていくわけでございますが、この国民年金の現在の給付水準というものを将来にわたって確保していくということを考えますと、保険料を引き上げていくということはやむを得ないものと考えておるわけでございます。 問題は、こういった負担の増加が急激な姿になるということは望ましくないわけでございまして、その上げ幅ということにつきましては、適正な幅というものを検討いたしたいと思っております。昨年の改正におきまして今後の引き上げ幅を決定していただいたわけでございますが、これにつきましては、現段階において適正な幅であるというふうに考えておるわけでございます。 負担能力の限界という問題でございますが、現在、本年度四千五百円という保険料でございます。御夫婦で合わせますと一月に九千円という負担になるわけでございますが、一方の被用者年金の保険料の方で考えてみますと、この九千円といいます水準は、事業主に負担いただいております分を除いて考えてみますと、大体月給にいたしまして十七万円程度の方の保険料になるわけでございますが、これは単身の女子の方の被保険者も含めました全被保険者で考えまして、大体平均の方の水準ではないかと思っておるわけでございます。こういうことから考えますと、必ずしもこの負担が高いというふうには言えないのではないかと思っておるわけでございます。問題は、負担の限界ということでございますが、御承知のように、昭和五十三年に国民年金の被保険者の調査をいたしました際に、負担できる保険料額について皆様の御意見を聞いたものがあるわけでございますが、この当時の年金の水準を前提といたしましてお答えは大体四、五千円というような水準であったのではないかと思います。こういうことを考えてみますと、現在の状況というのは必ずしも負担能力の限界になっているというふうには思わないわけでございます。 次に、国民年金におきます被用者の妻の加入状況でございますが、現在、女の方で任意加入されておられます方は七百九十万人程度でございます。この方々の大部分はサラリーマンの奥様と言われる方ではないかと思うわけでございまして、全体のサラリーマンの奥様の大体八割程度が入っておられるのではないかと思います。この任意加入の方の数は、年々増加の傾向にあると思っております。
○渡部通子君 その負担の能力の意識調査が出たことは私も承知をしております。四千円と答えている者が約四三・二%、これは五十三年当時ですね。それから五千円と答えている人が一九・二%。そろそろ限界ではないかというぎりぎりの調査が出ているというのを私承知いたしておりましたので、お尋ねをいたしました。したがって、いまなら何とか負担はしていけるけれども、これからどのくらい上っていくだろうかという、将来もずっと納め続けていくべきかどうかというような点でちゅうちょと不安があるということだけは事実でございますので、その辺の国民の不安に対して、どう考えていらっしゃるかということを伺っておきたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 確かに今後の費用負担を考えてまいりますと、現在決まっております国民年金の保険料の引き上げの計画では、一年に三百五十円という形の引き上げをしていくということでございますが、最終的には一万円程度の負担ということもプログラムの上では推計が出るわけでございます。これはある意味で、給付というものとの関連で考えていく必要があるかと思うわけでございますが、ある程度の費用負担というものについてはお願いをいたさなくてはならないのではないかと思っておるわけでございます。
○渡部通子君 そこで、このような掛金の負担増加、この過程で現在の一律定額の保険料の矛盾というものは、やっぱりいよいよはっきりしてくるのではないかと思われるわけです。午前中の質疑にも若干ありましたけれども、所得比例を導入していって、低所得者の負担増をたとえ少しでもいいから抑制をしていくという、こういう方向をとらざるを得ないのではないかと思いますが、その点大臣等はどうお考えでございましょうか。
○説明員(長尾立子君) 所得比例の制度を国民年金に導入してはどうかということでございますが、その問題点として御指摘をいただいておりますものを説明を申し上げます。 所得比例の考え方でございますが、国民年金の保険料につきまして強制的な形で所得比例制をとるといたしますと、まず所得の把握ということが問題になると思います。国民年金の被保険者の職業、これはさまざまでございますが、こういったさまざまの方を市町村とか都道府県とかいう単位でございませんで、全国的な規模でその所得を公正に把握するということはきわめて困難ではないかと思うわけでございます。 それからもう一つは、国民年金の被保険者の多くの方は低所得増でございまして、所得比例を強制導入した場合に、その部分についてどのような所得を把握していくかということが大変むずかしい、どういうような保険料を課すという形になるのかということがむずかしいと思うわけでございます。 もう一つは、これは私どもの事情を申し上げますけれども、現在は均一の保険料、定額の保険料を前提といたしまして事務処理体制をつくっております。これを厚生年金のような形で、個々の被保険者の方につきまして所得を把握いたしまして事務処理をいたすといたしますと、これは、現在厚生年金では事業主を単位に、たとえば保険料を幾ら納めていただくかという納入告知をいたしておるわけでございますが、そういう形をすべての国民年金の二千八百万の被保険者を対象にいたすためには、相当な事務処理体制の整備が必要だという問題があるわけでございます。 所得比例制をそれならば任意加入、任意に所得比例を考えてはどうかという御指摘もいただいておるわけでございますが、この場合には、給付の面で、所得比例制を給付の面の拠出に見合う給付という意味で、どういう給付の体系をとるかという問題があるわけでございますが、所得の再配分ということを強化いたしますと、任意加入をするということがその方にとってメリットがないわけでございます。つまり所得の高い方は任意に高い保険料を納めていただくけれども、給付の方では余り反映しないということでございますと、制度として成立し得るようなものではないのではないかと思います。 それから所得再配分を目的としませんで、所得再配分を目的としないという言葉は不適切ですが、再配分機能を余り重視しない形で、高い拠出の方には高い給付をというようなものを実現いたしました場合には、年金額の物価に見合うスライドというものをどういうふうにするか、財政上大いな不安定要素が出てくると思います。 それから、現実には所得の高い方だけが任意加入をして、高い方について一律の国庫負担が導入できるかどうかというような多くの問題点があると思っておるわけでございます。
○渡部通子君 いま大臣に御質問申し上げたわけですが、重ねて伺っておきたいのですけれども、本会議の御答弁の中でも、所得の把握が十分できないので、所得比例の導入はむずかしい、こういう御答弁もあったように思います。そうしますと、税制の面でも所得再分配の機能が十分働かない、それから社会保障の面でも十分機能していないということを政府自身がお認めになってしまうことになるのではないか、社会保障としての制度の矛盾というものがいよいよはっきりしてくるのではないかという気がします。いま課長さんの御答弁の中に御説明いただいたように、むずかしかろうということはよくよく私もわかるんですけれども、でも何とかしなければならないのではなかろうか、こう思うんですが、大臣いいお知恵はございませんですか、あるいは基本的なお考えなりを伺いたい。
○国務大臣(園田直君) いまの問題は本会議でも答弁いたしましたが、これは将来考えなければ道がなくなることだと考えておりますけれども、現実の問題としてはなかなか実情が把握しにくい、こういうのが実情でございます。
○渡部通子君 その所得の把握という実際は大蔵当局がおやりになることですか、そちらから資料としては受け取るわけですか。
○説明員(長尾立子君) 所得の把握の方法といたしまして、先ほど申しました全国一律、すべての方につきまして同じ方法でということになりますと、税の体系に乗ってくる所得というのが一つの有力な方法ではないかと言われておるわけでございます。
○渡部通子君 きょう大蔵省おいでいただいておりませんのでこれでとどめますけれども、税制におけるクロヨン等と言われる矛盾というものは国民の常識を超えて、怒りぐらいのところへいっているわけでございますから、それに、税制の矛盾、それに連動して社会保障におけみ矛盾、これが導入されてしまうとかえって困るわけでございますけれども、その所得の把握がむずかしい、この一点の壁を何とか突破できる方法がないものかどうか、その点についても御検討いただいて、ぜひとも所得再分配の機能がもう少し国民年金のシステムの上に生かされるような方向で今後も御検討いただきたいし、何らかの道を切り開いていただけないものか、これは私強く要望しておきたいと思うわけです。 同時に、国民年金で考えていただきたいことは、女性の年金権の確立との関係で、サラリーマンの妻の任意加入制度、これをどうするかという問題。これも長年の懸案のことだと思いますが、一部には任意加入制度だから年金の受給権が発生すれば脱退を考える人も出てくるであろう、こういう予測も出てくるわけです。確かに負担がかなり高額になってまいりますと、こういう問題は現実の心配となってまいりました。そういうことは御心配になっていらっしゃるかどうか、まず伺います。
○説明員(長尾立子君) 先ほど先生に御答弁申し上げましたときに女子の、サラリーマンの妻の任意加入の数字について申し上げました際に、任意加入者七百九十万人というものにつきまして女子のみであるかのような御説明を申し上げたようでございます。大変申しわけございませんでした。少数でございますが、男子も入っておるようでございます。訂正をさしていただきます。 現在の御質問は、婦人の任意加入者の脱退の問題についての問題を認識していないかということでございますが、先ほど申し上げましたように、任意加入の数字は現在増加をいたしておるわけでございまして、女子の方の年金についての年金意識といいますか、御自分の年金権を確立するということについての意識が、大変最近は強いというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましては現在のところ、女子の方につきまして脱退者が増加するというようなことは考えておらないわけでございます。
○渡部通子君 現在のところはそういう御心配は持っていらっしゃらないと、こういう話ですけれども、報道などにおいては、かなりその懸念はもうすでに表明をされているわけでございまして、一年間納めればいつでも脱退できるという任意加入制度にはそういう利便もあるものですから、余り保険料が高くなるとさっさとやめてしまう。もしもこういう傾向が出てきたとすれば、国民年金財政に与える影響もかなり大きい、こう心配をするわけです。 それで、脱退者が多く出て保険料収入が減れば、それを埋め合わせるために保険料を予定より増額させなければならないと、こういう矛盾が出てきたときには悪循環になることが懸念されると、私は老婆心と言われてしまえばそれまでですけれども、奥さん方の話をいろいろ聞いて懇談しているうちにそういうことを懸念するわけでございますが、御心配はありませんか。
○説明員(長尾立子君) 脱退者の数が財政再計算におきます見込み数を上回って増加いたしました場合は、当然に先生御指摘のとおり被保険者数の減少に伴いまして当面の保険料収入は減少いたします。したがって、当面の年金財政には厳しい影響が出るわけでございます。しかしながら、この被保険者数の減少に伴いまして給付費もある意味で将来には減少するわけでございまして、平準保険料というような意味の国民年金の収支バランスというような意味で考えました場合には、大きな影響はないというふうに考えております。
○渡部通子君 わかりました。 一方、この制度をこのまま存続させますと別の観点からも疑問があるんです。それは加入している者と未加入の者との間で老後の所得保障に大変な差がつくということですね。公的年金制度で政府が管掌していて国庫から給付時、給付額の三分の一を負担する制度が任意加入で存在する、そのこと自体に納得できない感じを持つものでございます。 で、任意ということで国民の自由な選択に任しておいて、入ることも脱退することも自由ということにしておいて国庫負担を三分の一をしていると、こういうところにやはり所得の再分配という点での矛盾はございませんか。
○説明員(長尾立子君) 年金制度は、ある意味で本質的に強制加入の体系ではないかということの御指摘をいただいておるわけでございまして、国民年金制度にこういった被用者の妻の方の任意加入制度ができましたことにつきましては、ある意味で沿革的なものがあるというふうに聞いておるわけでございますが、確かにこういった意味で、この任意加入制度を国民年金の中に仕組むことが大きな問題点であるということは御指摘のとおりだと思います。
○渡部通子君 ですから、この問題は女性の年金権の確立、こういう観点からもあわせて早急に結論を出すべき問題だと私は思います。矛盾は日を延ばせば延ばすほど拡大していくものですから、問題を先へ先へと延ばすような答弁をなさらないで明確な解決の方向へ、方針だけでも、意向だけでも明らかにしていただきたいと思いますが、大臣の答弁もあわせて要求をいたしまして、この点では終わりたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 先生御指摘のように、サラリーマンの奥様の方の年金の加入問題ということは、国民年金の問題にとどまりませず、わが国の年金制度全般にわたります基本的な問題でございまして、かねてより関係審議会において御審議をいただいておるわけでございます。この御審議の過程で出ております方向といたしましては、一つは、国民年金の任意加入制度を廃止いたしまして、被用者年金の体系におきましてこういったサラリーマンの奥様方の年金保障を図るべきであるという御意見と、職業を持たない被用者の妻につきましては国民年金に全員を強制加入させる、非常に全く方向の違う御意見があるわけでございます。 前者につきましては、いわばサラリーマンの妻の生涯の生活サイクルなり、生活保障の必要性というものを考えますと、被用者である夫と合わせてその体系を考えることが望ましいということがその御主張の理由であると思います。 後者の場合には、現実に被用者の妻が先ほど申し上げましたとおり、ほとんどの方が国民年金に任意加入されておるという実態を踏まえまして、また多くの女性の方から国民年金に強制加入の方向が望ましい、独自の年金権を得るということが今後の方向に合うものだという御意見をいただいておるわけでございまして、それがこの第二の案の御意見の理由であると思います。 この方向につきまして、どちらを今後考えていくかということでございますが、いずれの方向でも、いま冒頭に申し上げましたように、国民年金にとどまりませず、その場合、たとえば、被用者年金である厚生年金の方から妻の部分を除いていくということが、厚生年金全体にどういうような仕組みを与えていくのか、またサラリーマンの妻は、現実には確かに多くの方は国民年金に加入しておられますけれども、受給者になっておる世代層では、事情は全く違うというような経過的な期間をどういうふうに対応するかなど、非常に幅広い検討が必要だと思っております。先生御指摘のように、単にむずかしいから延ばすということではもちろんないわけでございまして、今後、さらに検討を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
○国務大臣(園田直君) ただいまの問題は、しばしば御指摘を受けたところでございますけれども、婦人の方々から御意向も強く聞いておりますので、審議会等に諮っておりますが、結論を得てなるべく早くそういう検討をしたいと考えております。
○渡部通子君 次に児童手当の問題についても若干伺っておきたいと思います。本会議等で、大臣からも大変児童手当については前向きな答弁をちょうだいいたしておりまして、それは評価をするところでございますが、予算編成の時期になりますと、いつも大蔵当局からままっ子扱いにされているような現状でありますので、若干伺います。 そもそも現行の児童手当制度は、どのような目的で制度化されたと厚生省は認識をしていらっしゃいますか。
○政府委員(金田一郎君) 現行児童手当制度の目的は二つございます、 まず第一には、所得保障の面でございます。家庭における生活の安定に寄与すること、すなわち児童養育家庭の家計負担の軽減を目的といたしております。 第二に、児童福祉の面でございます。「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的」といたしております。
○渡部通子君 そこで家計負担を低所得者対策に一点と、それから児童福祉に一点と、ということでございますが、児童の育成については国や社会、これも親ともどもに育成の責務を分から合うという立場からそういうことだと思うんです。一体、諸外国で児童手当について家庭の所得や収入、これを問題にしている国はありますか。
○政府委員(金田一郎君) ただいまの先生の御質問は、所得制限のことではないかと思うわけでございますが、西欧諸国の児童手当制度におきましては、おおむね所得制限は行われていないと聞いております。ただ、私ども一つだけ知っておりますのは、フランスの児童手当でございますが、これは実は第二子から支給されております。この本体の制度には、もちろん所得制限はございませんが、この補足手当として支給されております家族補給金というのがございます。これは三歳未満の児童または三人以上の児童を養育している家庭に支給されるわけでございますが、これにつきまして一子世帯の場合、年収約二百四十万以上の世帯は所得制限というものがございます。これ以上、私どもとしては現に聞いているものはございません。
○渡部通子君 おっしゃるとおり、所得制限をやっているような国というのはむしろ例外に属する方だろうと、ほとんどの国はやっていないと私も理解をしているところです。ところが、政府は現行児童手当法を十分理解しないかのような疑問点を歳出百科とか財政制度審議会等で提起しておりますけれども、それはここで御説明を願うほどのことでもありませんし、時間がもったいないのでそれはやめることといたしまして、その歳出百科等を私も見てみますと、大分大蔵省は児童手当を切りたがっているという問題点を列記しているわけです。その一つに、「わが国の場合、児童養育費に関し、ヨーロッパ諸国に比べ親子の家庭における結びつきが強く、広く社会的に負担するというヨーロッパ諸国のような考え方はとりにくい」と、こう言っているのですが、これに対する厚生省の御見解を伺っておきたいと思うのです。私は本会議の折に申し上げました、高齢化社会を考えて若い世代が担っていけると考えられるかと。すでに現在の財政だって後代負担をもう強いるような現実になっていると、こういう中で単にヨーロッパ諸国に比べて親子の家庭における結びつきが強いからといって、国や社会が応分の責任を果たしていかなくていいという、そういう思想をいま国が持っているとしたならば、これからの福祉国家を建設していく、社会保障を確立していくという上において、思想として逆行するものではないかと、私はこう思うんですけれども、厚生省の御見解を伺っておきます。
○政府委員(金田一郎君) 先生ただいま御指摘のこの大蔵省の歳出百科でございますが、あるいは財政制度審議会におきましても同じように問題点として指摘されているわけでございますが、これは一つの考え方というように私ども考えておりまして、これは児童手当を先生おっしゃいましたように廃止縮小する立場からのものと思われます。 で、ただいま先生おっしゃいましたように、親子の精神的な結びつきが強いことと、養育費の一部を社会連帯の考え方で負担することは決して相反するものではないと私どもも思っているわけでございます。
○渡部通子君 それからわが国の賃金体系は、家族手当を含む年功序列型となっており、生活給としての色彩を有しているから児童手当を支給することは適当なのかどうかという、こういう疑問が提起されておりますけれども、これこそ現行法を全く理解しない、理解しようとしない態度、こう言わざるを得ないと思うんです。現行の手当額が五千円、どうしてこれで家族手当にかわれるか、またこの発想には甲の企業の収益で支払われる賃金と、国あるいは社会連帯で担っていこうとする児童手当制度と全く別の次元の問題を混同しているのではないかと、こう考えますが、いかがですか。
○政府委員(金田一郎君) 私ども考えておりますところでは、わが国の賃金体系は年功型から仕事給に移行しつつあると思います。これは資料の上でも明白であると思うわけでございますが、また家族手当は実は三割の企業しか支給いたしておりません。支給している企業におきましても、児童に対しましては平均で月額千数百円程度でございます。そういうように理解いたしております。 失礼いたしました。三割の企業が支給していないわけでございます。
○渡部通子君 児童手当額というのは、発足当時基礎として使われた義務教育終了前の児童三人を養育している家計では現金支出の三八・八%程度を占めている、この調査をもとにおおむねその二分の一ないしは三分の一を確保する、こういう考えから三千円という額を決めたと承知をしておりますけれども、現在は御存じのように、こちらで申し上げてしまいますと、二百四十万人のうち百七十万人が五千円。七十万人のいわゆる市町村民税非課税世帯ですね、これが六千五百円。五十六年度は七千円と、この程度にアップされてきたという現実です。で、老齢福祉年金あるいは児童扶養手当、これは発足当時幾らであったか、現在何倍ぐらいになっていますか。
○政府委員(金田一郎君) 児童手当制度が発足いたしました当初でございますが、昭和四十六年度におきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、児童手当は三千円ということで発足したわけでございますが、当時老齢福祉年金は二千三百円でございました。
○渡部通子君 いま幾らになっていて、あるいは児童扶養手当も発足当時幾らで、いま幾らになったか、いわゆる何倍になったかという……。
○政府委員(金田一郎君) 五十五年度で申し上げますと、御承知のとおり児童手当は五千円でございますので、三千円に比べますと一・七倍、低所得者は六千五百円で二・二倍ということでございます。これに対しまして、老齢福祉年金は四十六年度の二千三百円に対しまして五十五年度は二万二千五百円ということで、九・八倍ということでございます。 ちょっと申し落としました。先生ただいまおっしゃいました児童扶養手当でございますが、児童扶養手当は、昭和四十六年度が二千九百円でございますが、昭和五十五年度におきましてはただいまは二万九千三百円ということでございます。
○渡部通子君 おっしゃるように、老齢福祉年金や児童扶養手当はすべて十倍近くになっているわけですね。ですから、児童手当はまことに二倍弱ということでまま子扱いだと私が申し上げた、当時厚生大臣は小さく産んで大きく育てると、こう児童手当のことをおっしゃいましたけれども、小さくどころか未熟児で産んでそれっ放し、全然育たない。しかも今度殺そうかというような雰囲気が出てきているわけでございますね。私は、社会保障の大きな柱である児童手当をこういう扱いをされるのを見過ごされては困ると思うわけで、重ねて伺っておくわけです。で、他のいま御答弁になりましたように、制度の条章から見れば大きく落ちこぼれている、これに目をふさいで親子の結びつきが強いからヨーロッパ諸国のような考え方がとりにくいとか、賃金体系がヨーロッパ諸国と違っているという理由をつけることは引き上げを回避するために言っていると、そういう理屈としか考えられないわけです。額を抑えておいて、その意義を認めない、こういう態度はとうてい納得ができないわけでございまして、今回の今年度の予算編成に当たっても大蔵当局とこの点がやっぱり議論になると思いますけれども、ひとつ厚生省、がんばっていただきたいと思います。
○政府委員(金田一郎君) 昨年九月に私どもの審議会から、将来の方向についての意見書も出ておりますので、先生ただいまおっしゃいました御趣旨に沿って努力もいたしたいと存じます。
○渡部通子君 法律自体にもそれはちおんとうたわれているわけですね。児童手当法第六条第二項「前項の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」この規定は全然遵守されていないと言わざるを得ないと思うんです。それで現実の国庫負担額、これを見ましたときに、来年度予算で現行制度を維持したときに比較しまして、どの程度の歳出城ができたわけですか。
○政府委員(金田一郎君) 今回、所得制限につきましては四百五十万になったわけでございますが、四百九十七万円据え置きの場合に比べますと、五十六年度におきましては約十七億円、四月から実施したと仮定いたしました場合の満年度計算では二十六億円の国庫負担の減になっております。しかしながら、他方におきまして低所得者の手当額の改善によりまして国庫負担は十億円の増になっております。また、年度当初から実施したといたしました満年度計算では三十億円の増加になっております。その結果、国庫負担額は七億円の減でございます。また、満年度ベースでは四億円の増ということでございます。
○渡部通子君 わずか七億円しか歳出減にはならないわけですね。わずかこれだけのものをひねり出すのに、社会保障の根幹である、一つの大きな柱である児童手当制度に所得制限の枠を拡大していこうなどという弱い者いじめをする必要がどこにあったのか、この程度の歳出減しかできないのではないか、私はこう申し上げたいわけです。どうしてこういうところにしわ寄せを持ってこなきゃならないのかということです。所得制限強化を拡大していくことの不合理というもの、これは現在の所得の把握、掌握という点にも問題があるということは前段の議論でも御存じのとおりであります。現在の所得税の課税所得がクロヨンと言われておりますように、不公平はもう現実のものでございます。所得の捕捉の不公平がそのまま、税制面だけではなくこうした福祉面でも拡大していくと、こういう傾向についてどういう対応をなさるおつもりですか。
○政府委員(金田一郎君) ただいま先生おっしゃいましたように、児童手当の場合におきましても、所得制限を行います場合、所得の把握は厳正に行われるべきものと考えております。しかしながら、さまざまな業態にわたる多数の受給者につきまして所得を把握する必要がございますため、実際上、税で把握された所得を基礎として行わざるを得ないものと考えているところでございます。
○渡部通子君 今年度の予算による各種手当の所得制限強化、このもとでは、所得制限強化の影響を受けるボーダーライン層というものは、手当の支給停止あるいは所得税の物価調整減税を行わないことによる実質的な増種、あるいは物価上昇による賃金の目減り、こういう三重苦を受けることになるわけです。まさに声なき小さい国民に、最もわが国の平均的であると思われる勤勉な国民層に財政経済の悪影響がもろにしわ寄せをされているという事実、これを指摘しておきたいと思いますが、これに対する厚生大臣の御見解並びに児童手当に対する重ねての御決意を伺って、児童手当の問題は終わりにしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 児童手当の問題は、私と財政当局は真っ向から対立をいたしておりまして、今年度の予算編成の場合も数回大臣折衝をいたしましたのはこの一点であります。そこで最後にやりましたことは、現在の水準を維持するために所得制限を強化をして、その分だけ低所得層につけるということで、その際条件としては、これは過去数年間とめ置きになっているが、それは審議会の答申によって抜本的な改革をやるべきだということで、その抜本的改革の前提として今年度はこれでやると、こういうことでありまして、私はあくまでこれを充実強化すべきだということで、財政当局は口では言いませんが縮小、廃止の方向だと。百科それから財政審議会の答申等を見てもそのように考えておりますが、これは、この児童手当というものに対する本当の御理解がないからだと私は根本的に思っております。中にはこれを、産めよふやせよの奨励金だと思っていらっしゃる方もおるわけでありまして、そんなもの要らないと、こういう意見さえあるわけでありまして、児童手当はそうではなくて、これはまた他の一般の社会保障とは違うものであって、次代の社会を担う健全なる子供を育てるということは、これは未来に対する一番先にやるべきことだと私はこう考えておりますので、今後ともそういう方向で、皆さん方の御協力を得ながら最善の努力をするつもりでございます。
○渡部通子君 ひとつ厚生大臣にはよろしくそれでがんばっていただきたいし、また大臣がおかわりになるときもよろしく申し渡しをしておいていただきたい、これを念を押してお願いをするところです。 若干具体的なことについてもう一、二点伺います。 戦時中の東京空襲のとき、民間消防活動隊として東京防衛の任務に当たられ犠牲になった遺族に対しては、すでに昭和五十年から年金が支給されておりますが、この支給状況はどのようになっておりますでしょうか。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の御質問は、警防団員に対する援護法の処遇の問題でないかと思いますが、警防団員に対して援護法で遺族給与金を出しておりますが、これは五十六年の三月三十一日現在、遺族給与金が千七百四十六件、障害年金が百三件、それから弔慰の意を表するために国債で出します弔慰金、これが二千五百三十八件支給に、なっております。
○渡部通子君 新聞報道等では、当時警視庁から辞令発行された、焼け残った分ですが、その資料でも千二百二十八人の人たちが載っていると、さらに都庁援護課の調べでは、この警防団犠牲者は都内で三千人から四千人ぐらいに上るのではないか、こういう中で都内居住の遺族給与金いわゆる年金受給者は二百七十九人、そういうふうに報道されていますが、厚生省側としての実態掌握もそのようですか。
○政府委員(持永和見君) いま申し上げましたのは全国的な数字を申し上げたわけでございます。東京都の方は遺族給与金としてもらったのが、裁定いたしましたのが三百九十人ございます。
○渡部通子君 それで、この人たちに年金が支払われるようになって、この改正のときに、いわゆる旧防空法関係遺族、この人たちが給与金を申請できる期間を七年と、こうお決めになったようでございますね。そうすると、もうことしの八月が期限だということでございますが、そうですか。
○政府委員(持永和見君) 実は警防団員に対しまして遺族給与金が出るようになりましたのが、先生先ほどおっしゃいましたように五十年からでございます。四十九年の法律改正で警防団まで援護法の対象にしたわけでございます。援護法におきまして請求権の時効がございまして、時効が七年ということになっておりますので、法律改正後七年たちますと時効が来てしまって請求できなくなると、こういう問題であると思います。
○渡部通子君 ことしの八月ですか。
○政府委員(持永和見君) 四十九年でございますから、ことしの八月でございます。
○渡部通子君 そこで、受給資格のある方にしても、もう全部年をとっていらっしゃいますので、もう一度PRをして差し上げてほしいと私は思うわけです。こういう方たちに聞いてみますと、未亡人であることとか、警防団員であったことを証明しないとだめだとか、再婚されていては、まあ当然ですがだめだとか、そういう非常に証明するのが大変だという現実の御意見があるようでございまして、ほとんどもうことしの八月までではと言ってあきらめに近い人もいる。未亡人もいない場合に息子等に検討してもらえないだろうかと、こういう要望もあるわけでございまして、年金を申請できるお方たちがまだかなり東京都内だけでもいるのではないかということで、大会を開いたというような経緯もあるわけでございます。ですから、これをもう一遍何らかの形で親切に教えてやっていただきたい。八月で時効でございますので、この点をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(持永和見君) 援護法関係のPRにつきましては、都道府県あるいは私どもの関係しております戦没者の遺族相談員でございますとか、あるいは戦傷病者の相談員、各相談員が都道府県におられますので、そういった方々を通じましてPRはしております。しかし、いま先生御指摘のようにこういった時効の問題、切実な問題であるかと思います。現実に警防団員の方々はことしの八月に時効になります。で、警防団員の方々につきましては関係団体もあるようでございますから、そういったところと私ども十分連絡をとって、なお一層PRに努めていきたいというふうに考えております。
○渡部通子君 よろしくお願いをいたします。 もう一点、具体的なことについて伺いますが、これは私二度目の質問になりますけれども、実は奉公袋の会という会がございます。厚生省も、それから総理府も当然御承知の問題でありますから、説明は省かせていただきますけれども。 まず伺いますけれども、この恩給に加算される理由、国民年金等に加算されない理由を伺いたいと思うんですが、軍歴が十二年以上の方には軍人恩給が支給されているわけですから問題はないわけですけれども、軍歴がそこまで達しないお方たちに対して、引き揚げ後公務員になられた方は当然恩給にこの軍歴年数が加算をされている。ところが、民間でお仕事をなさっていらっしゃる方にはそれは加算をされない。国民年金、厚生年金には加算をされない、通算されないという、こういう矛盾点に不公平感がつのっているわけでございますが、恩給に加算される理由、国民年金や厚生年金に加算されない理由、これをまず伺います。
○説明員(長尾立子君) 共済制度におきまして軍歴期間を通算いたしておりますのは、軍歴期間はいわゆる恩給の期間でございますので、恩給制度は共済制度の前身の制度でございますために、その前身の制度を共済制度として引き継ぐという意味で、通算をいたしておるわけでございます。厚生年金といたしましても、たとえば旧厚生年金保険法の被保険者期間を引き継ぐという形の通算をいたしておりますけれども、制度が違いますものにつきましてはそういう形で通算をいたしておらないと、こういうことでございます。
○渡部通子君 総理府においでいただいておりますので、そちらの御見解も。
○説明員(勝又博明君) 恩給制度と申しますのは、文官及び旧軍人を対象とするものでございまして、そういう意味におきましては旧軍人もあるいは文官も等しく恩給公務員であるということでございますので、旧軍人が復員後恩給公務員たる文官に再就職した場合につきましては、当然のことながら旧軍人期間及び文官の期間は合算されるということでございます。
○渡部通子君 片方は国家保障の立場であり、片方は社会保障の立場である。制度が全く違いますから、これをつなぎ合わせるのは困難だといったてまえは私もよくわかるのですけれども、このお一人お一人の、現実に戦争に行ってこられた方たちの気持ちから言いますと、帰ってきて官職についた者と、帰ってきて民間で働いている者について軍歴が全く加算されないということに対しては、大きな官民格差ではないかという、こういう議論があるし、私もそれはそう受け取らざるを得ないと、こう思うんですが、この格差問題についてはどうお考えになりますか。
○説明員(長尾立子君) 国民年金ができます以前の期間または厚生年金ができます以前の期間につきまして、たとえばいま問題として提起されておりますような軍歴期間のみをこの期間に通算されますということは、たとえば軍属の方、準軍属の方、さらにはそれらの身分をお持ちにならなかった、制度発足前にまあたとえば厚生年金の適用事業所にお勤めであった民間人の均衡ということから考えますと、私ども厚生年金の中でこういった期間を合算するということは、ある意味でその均衡を失することになるというふうに思うわけでございます。
○渡部通子君 ある意味で均衡を失するという御答弁でありますが、制度上はどうしてもこれは不可能な問題ですか。この奉公袋の会の方たちが要求していらっしゃる、兵役年数を何とか厚生、国民、公的年金等に加算してもらえないかという要求は、絶対受け入れられないものでございますか。
○説明員(長尾立子君) 申し上げましたように、厚生年金保険や国民年金はいわば相互連帯の精神に基づきまして、加入者の方が保険料を納付されるということを前提として組み立てられております社会保険制度でございます。したがいまして、いま御指摘のような軍歴期間を通算することはできないというふうに理解いたしております。
○渡部通子君 総理府もそうでございますね。
○説明員(勝又博明君) 恩給の立場から申し上げますと、年功を対象とする普通恩給と申しますのは、公務員が相当の期間勤務して退職した場合に、その退職後の生活の適当な支えになるものとして支給するものでございますので、そういう意味におきまして一定年限以上在職という条件は当然のことだと思うわけでございます。 ところで、旧軍人につきましては、戦前から下士官以下にありましては十二年、准士官以上にありましては十三年という年限を画しておるわけでございますが、これを現在時点で見直すということは、これはきわめてむずかしい問題でございます。
○渡部通子君 では、大臣に伺いたいと思いますが、そういたしますと何らかの形でこの十二年とか十三年とか言われる軍人恩給法の年限を、もう少し縮めていただけるような処置はとれないものか。あるいは、それも含めて何らかの意味でこういう方たちに、多少救済の手を差し伸べる対応はしていただけないものかどうか。それを伺っておきたいと思います。
○説明員(勝又博明君) ただいま先生の御質問は、恩給制度におきます最短恩給年限を短縮できないかという御趣旨かと思いますが、ただいま申しましたように戦前から下士官以下十二年、准士官以上十三年ということでやってまいった制度でございます。先生御案内のように、現職の公務員には恩給制度の適用者はおらないわけでございまして、すべて退職者でございます。というわけでございまして、恩給は、基本的には元公務員の方方が在職された当時の恩給制度の要件に従いまして恩給を支給するということであろうかと思うわけでございまして、そういう意味におきまして、現在時点においてこの十二年、十三年という年数を短縮するということはきわめてむずかしいと思っておるわけでございます。
○渡部通子君 大臣から一言伺って終わりたいと思いますけれども、何らかの意味でこういう方たちに、何か政府がやってくれているんだ、おれたちのことも考えてくれているなという光は見出せないものでしょうか。
○国務大臣(園田直君) これは各方面からお話を承りますが、御承知のごとく所管はこれは総理府総務長官でございまして、私の所管ではございません。しかし、その御意見を取り次ぐことは、これは当然の責任でありますから取り次ぎますが、なかなかこの年限の欠格者の問題は大変でありまして、これを仮にあと六カ月足らぬとか、ひどいのは二カ月足らぬというのがあるわけであります。それを縮めますと、今度はそこを基準にしてまた三カ月足らぬとか一年足らぬとか、だんだん広がってくるということもありますので、現実の問題としてはどのようにそれをやるか、大変な問題だと思いますけれども、御意向は総務長官によく伝達をいたします。
○渡部通子君 終わます。
○沓脱タケ子君 それでは、国民年金法の質疑に入ります。 今日わが国では、高齢化社会が急速に近づいております。豊かな老後の保障というのは政治の大きな責任があると思うわけでございます。老後保障の確立というのは、当然のことといたしまして国民共同の事業でもありますし、したがって当然国民の理解と協力、合意なしにはやれないものだと思うのでございます。政府の責任がまた非常に大きいのも当然でございます。総合的な老後保障という点で考えますと、医療や年金、社会福祉、住宅、それから仕事、こういう総合的な老後対策の早期の確立というのが、今日わが国では非常に大事な要求になり、また政府の大きな責務にもなっていると思うのでございます。 ところで、四十八年四月の閣議決定をされて発足をいたしました老人対策本部ですが、総理が本部長で副本部長が厚生大臣、それから総務長官ほか十七省庁次官等で構成をされているこの老人対策本部がございます。ところが、この老人対策本部というのはこれは余り活動していないんですね。この辺がちょっとよくわからないんですけれども、一方、総理の私的諮問機関として老人問題懇談会がありますね。こういう点で考えますのに、国民各階層を代表する人たちの意見を聞きながら、要するに国民的合意の形成を図りながら、老人対策本部というのも単なる老人対策というのではなくて、いわゆるこの高齢化社会対策というような形での総合的な取り組みというのが必要なのではないだろうか。そういうことで来るべき高齢化社会のビジョンあるいは方針、かつてライフサイクルなどと言われておりましたけれども、そういったこの総合的な高齢化社会に対応するビジョンづくり、こういうことが必要ではなかろうかと思うのでございますけれども、そういった点について、厚生省としてはどういう基本理念でお取り組みなのか、簡潔にちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) この老人対策本部が余り活躍していないということですが、副本部長と言われたのはきょう、が初めてでございます。 第一に、この老人対策本部を高齢化社会対策本部に変える、これは全く同意見でありまして、私は厚生省の老人対策という名前は、名前が変わっていいわけじゃありませんけれども、その受ける印象や機能性から高齢化対策と変えるべきだと思います。そして、これがもっと活発に動いてそれぞれ対策をしながら、各省庁に影響があるわけでありますから、この本部を中心にして各省庁とそれぞれ歩調をそろえて、高齢化社会対応の措置をすべきであると考えます。
○沓脱タケ子君 ぜひそういうお立場で推進をしていただきたいと思います。 ちょっと話が別になりますけれども、労働省が昨年の五月に実施をいたしまして十二月に発表いたしました高年齢者就業実態調査というのがございます。これは労働省のお話ですけれども、この発表された実態調査には、大変いろいろな問題が提起をされております。この個人調査というのは、五十五歳から六十九歳の三万五千人の人が調査対象であります。この中には年金の受給者に関する調査も含まれているわけでございます。これは細かいことをお聞きしようと思っているわけではありませんが、この労働省の実態調査の結果から言えますことは非常にはっきりしているんですね。年金制度の成熟に伴って非常に低い年金というのはだんだんなくなってくるといたしましても、現状ではまだ低い年金の人が多い。したがって当面は、可能な限り公的年金の充実がまず必要だ。それからもう一つは、老後における所得保障の柱は、何といっても公的年金制度であるという、この二つが総合的に言えるんではないかと思うんです。この点は厚生省でのお取り組みの中でも、当然そのことが柱になろうと思いますけれども、その点はどうですか。
○説明員(長尾立子君) 老後の所得保障の中で、公的年金制度が中核的な役割りを果たすべきであるという御指摘はそのとおりと考えております。
○沓脱タケ子君 関連をいたしまして、この労働省の実態調査を拝見してしみじみ思いますのは、雇用と年金の関連性なんですね。雇用と年金の間にすき間があったらぐあいが悪いわけですね。継続していることで生活をしていくというのが最も望ましいわけだし、当然だと思うのですが、現状では大きなすき間があるということは御承知のとおりでございます。労働省の雇用管理調査によりますと、定年年齢を五十九歳までとしている企業数が、つまり一年間のすき間のある企業ですが、この企業数というのが率にいたしまして五九・八%なんですね。これは四十九年の同じような調査と対比をしてみますと、四十九年には六四%なんですね。若干少なくはなってきていますけれども、今日なお約六割というのが断絶というか、すき間が残されている。 ところが、労働省の第四次雇用対策基本計画によりますと、雇用と年金が連続をするように六十歳定年制、これを一般化するのは昭和六十年度だということでございます。一般化するということでこれは閣議決定をされたと理解をしておるわけですが——労働者の方おいでですか、ちょっとお聞きをしておきたいんですが、六十年度に六十歳定年制を一般化するという方針が閣議決定をされた、それから先はどうするのですか。
○説明員(若林之矩君) まず、ただいまの先生の御指摘の五十九歳までを定年としている企業の割合でございますけれども、すでに御承知でございますが、四十六年のとき、いまから十年前でございますが七六・九%でございましたが、それが昨年一月現在で先ほど御指摘になりました数字の五九・八でございまして、近い将来この数字が五一・八ぐらいになるというような状況でございます。ただいま御指摘の六十年六十歳定年ということで、私ども強力な行政指導を進めておりまして、鉄鋼、私鉄に始まりまして電力、金融、生命保険といったところで大手企業を中心に六十歳定年が普及している現状でございまして、大きな流れとなっているわけでありますが、ただいま御質問になりましたように六十年以降の問題でございまして、六十年以降につきまして見ますと、人口増加の波が六十歳代前半層になってくるわけでございます。したがいまして、当然雇用対策の中心は六十歳代層の就業の確保をいかに進めるかということにあるわけでございまして、すでに私どもいろいろな形でこの問題に取り組んでいるわけでございますし、なお一層この問題に重点を置いた施策を今後講じていく必要があるというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 ちょっと私の質問が的確でなかったと思うんですけれどもね、昭和六十年に六十歳定年制度を一般化するというふうに閣議決定をしたけれども、それじゃ本当に六十年には一〇〇%になるだろうかと、やっぱりこういう政策方針を決めても実効を上げるのは簡単なものではなくて、相当数年限がかかるのではないかということをちょっと御指摘を申し上げたかったのですが、これは確かに労働省の行政指導等で一定の前進をしているのは、私も申し上げたように、またあなたもおっしゃったように数字は示しておりますけれども、いまなお五十九歳と六十歳の間のすき間のある方が六割おるということは、そう簡単に片がつかないのではないかという心配をしているわけですよ。その点についてどういうふうに対処されようとしているんですか。
○説明員(若林之矩君) その点につきましては、先ほど申しましたように現在六十歳定年をとっているところが四割ございまして、近い将来定年年齢を六十歳とするというものが四七・五%でございます。最近の労使の動向を見ますと、先ほど申しましたように鉄鋼、私鉄が六十歳定年を採用いたしまして、さらに五十五年に入りまして繊維、電力、銀行、生命保険といったところが定年延長の実施を決定しているわけでございまして、今次春闘におきましても、多くの労使においてこの問題が論議されているところでございます。私ども、こういったような状況から見まして、今後、定年延長というのはこれまでのベースよりも以上に急速に進展をしていくというふうに考えておりまして、六十歳定年の一般化に向けて着実に進んでいるというふうに考えているわけでございます。しかし、私ども決して楽観をしているわけではございませんで、やはり中小企業等においていろいろな事情で困難視するというようなところも出てまいろうかと思います。こういうところに対しましては、いろいろな助成措置とともに強力に個別指導を展開をして、一般化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○沓脱タケ子君 いずれにしても重要な施策ですから、そう二年や三年で一般的な方針が決められたからというので、どんぴしゃりといくというふうにはなかなか考えられない。そこで私は、年金の問題についてやはり考えなきゃならないと思いますので、特に労働省のお話を伺ったわけです。 それで、先ほど申し上げた労働省の調査を見てみますと、貯蓄保有額を見たら五十五歳から五十九歳の方々で五百万未満の貯蓄の人が六七・二%ですね。まあ五百万というのを基準に置かれたという労働省の理由は、一年半の大体生活費だという説明が書かれているんですがね。それから住宅ローンの返済と教育費負担の状況がどのようになっているかという資料も出ているんですが、その調査資料によりますと、住宅ローンの返済は、五十五歳から五十九歳の層で二〇・六%、これが六十歳から六十四歳でも一四・一%、六十五歳から六十九歳までの方でも六・九%。まあ、住宅ローンの返済というのは大変な状況になって、五百万未満の貯金しかない方でも住宅ローンの返済にかかわっておられる。それから教育費の負担も、五十五歳から五十九歳の層で一五%、六十歳から六十四歳で六・五%という状況でございます。ですから、高齢者の世帯というのはゆとりがあるというどころではなくて、全く住宅ローンから教育費まで背負っているという状況がよく出ているわけでございます。しかも五十歳代の後半の方々では、まだ年金については支給年齢まで年数があるわけですね。こんな状態ですから、これは昨年も大問題になって国会でも修正をしたわけですけれども、厚生年金の六十五歳支給というようなことはとうてい無理だという点が、やはり国民の生活実態からもあらわれていると思うわけですけれども、その点は厚生大臣どうですか、いまの労働者の置かれている実態、あるいはいわゆる定年年齢と年金とのすき間のかかわり、そういった点で御見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 年金開始の年齢と雇用が切れる年齢とはつながるべきものであって、その間にすき間があってはならないと、こう思っております。
○沓脱タケ子君 余りたくさん時間がありませんので、もう一つお聞きをしておきたいと思っておりますのは、やっぱり今回の法律改正の中での一番大きな問題になっております所得制限ですね。この所得制限というのが福祉の切り下げ、水準の低下に直結をしてはならないという問題だと思うわけです。老齢福祉年金に、各委員からもすでに御指摘になっておられますように、扶養者の収入によって格差を設けて一部停止措置ができるようにするというのは、これはちょっとどう考えても納得のしにくい重大な問題だと思うわけです。もともと国民皆年金という事態になって、年金制度の成立過程から見ますとこれはいろいろと制度間格差があってもまあやむを得ないわけです、今日の姿では。しかし、国民的な課題というのは、できるだけこの格差を早いこと縮小していくというのが国民的な課題なんですね。最も望ましいというのはそういう立場だと思うんですね。ところが、今度の老齢福祉年金の所得制限によって一部支給停止という、千円の格差をつけるというやり方というのは、新たな格差を導入するということとしか考えられないわけですね。だから、そういう点では制度的な後退と見ざるを得ないと、そういう点での重大な問題点を感ずるわけでございます。 そこで、これらの年金の経過から見まして、こういう格差をなくしていって、そうして老後保障、老後の生活の確立に大きなアンバランスの発生というのをなくしていくという立場から言ったら、こういうことというのは理解できないんですね。朝からずうっと聞いていますけれども、御説明では、政府の財政事情もあるので、できるだけ所得の低い方に手厚くして、何とかごしんぼうできるところはごしんぼうしていただけるようにというふうなお考えのようなことをたびたびお聞きしましたけれども、私はその点では非常に理解がしにくいわけです。むしろ格差をなくしていくということが課題になり、命題になっているときに、わざわざ福祉年金だからといって格差を新たにつくるというふうなこういうやり方というのは、明らかに財政的な理由を前面に出して制度を後退さしていくと、こういう立場にしか考えられないわけですが、その点についてはどうなんですか。
○説明員(長尾立子君) 今回の老齢福祉年金の改善につきましては、必要に応じまして重点的な給付の改善を行うという考え方のもとに、比較的余裕のある六百万円以上の年収の方には、改善額の一部を御遠慮いただくということにしたものでございます。で、福祉年金につきましては、全額国庫で支出をいたしておるものでございますので、納税負担者との均衡からいいまして、一定の所得のある方につきましては御遠慮をいただくということはやむを得ないものと考えております。今回のような改善額の一部を御遠慮いただくということは、必ずしも制度的に格差を設けたものというふうには考えておらないわけでございます。
○沓脱タケ子君 ただ、私はこういう所得制限という形でこれを強化するということが、財政的な理由を前提にしてやるという形で、実質的には福祉政策、福祉対策を後退さしていくという制度的な後退につながるという点が、最大のやはり注目すべきところだと思うんですね。国民が心配しているのもそこなんですね。千円が多いとか少ないとかという問題が中心ではない。ここに足を踏み込んだということは、将来ともどんどん所得制限強化というものによって福祉対策、福祉政策というものを後退させるのではないかと、この辺が国民の一番注目をしているところであります。その心配というのはすでに財政審の建議などを見ましても、これは非常に所得制限については強く求められていますね。そういうものとあわせて考えていきますと、今後ますます、財政的理由をもって所得制限強化というものが迫られるのではないかという点が、これは今日の日本の政治の中では一つの重要な問題点になってこようと思うんですね。その第一歩を踏み込んだという点で、わずか千円のことをという感じが一部にはあるようですけれども、そうではないんですね。制度全体の大きなエポックになるような改正だという点で、きわめて重大な問題としてとらえているわけです。 そこで、これは先ほども児童手当で渡部委員からもお話が出ておりましたけれども、いわゆる老齢福祉年金で所得制限を強化することによって、支給停止によって国庫負担の減というのは幾らですか。
○説明員(長尾立子君) 六百万円以上の方につきまして、千円の額を御遠慮いただきます場合の国庫負担の、何と申しますか節約額でございますが、約七億と見込んでおります。
○沓脱タケ子君 わずか七億なんですね。だから財政対策というよりも、制度的な大きな後退というか改変というか、そういうものが中心であって、財政対策が中心ではないんだということを示していると思うんです。これが何百億、あるいは何千億かの節約になるんだという点でこういう問題が提起をされているということであればまた話は別です。児童手当にいたしましても十七億、老齢福祉年金にいたしましても、所得制限を強化することによってわずか七億の節約にしかならない。そうしてきわめて重要な福祉対策の大きな枠組みを後退させていくという第一歩になるというおそれが十分にあるわけで、この点は、今後とも所得制限強化拡大が迫られていくおそれがあろうと思うんですけれども、この点については厚生省どうなんですか。
○説明員(長尾立子君) 今後の所得制限のあり方ということでございますけれども、所得制限の問題は、一般財源で負担をいただいておりますということから、納税者との均衡という観点で設けられたものでございまして、今後の社会的な経済的な状況の推移を考えながら対処してまいりたいと思っております。
○沓脱タケ子君 そういう点がきわめて重大な問題として、わが党としても今回の改正案については認められないという立場をとっているのはそこなんですね。たった千円のことということではないという点を明確にしておきたいと思います。 残り時間が少ないので、少し具体的な問題を含めてお伺いをしておきたいわけですが、国民皆年金というのが制度化されている以上、もう一つ大事な点は、被保険者の年金権というのは極力守っていかなけりゃならない。いやしくも制度の不備だとか運用上の問題点で、年金権の侵害があってはならないと思うわけでございます。そういう点で、午前中も同僚委員からいろいろと具体的な点が出ておりましたけれども、やはり制度の不備、運用上の不備によって当然受け取るべき人たちが年金権を侵害されているという実例というのは、いろいろな姿になって出てきていると思います。そういう点で、私二、三実例を挙げて改善方をお願いをしたいと思うんです。 その一つは、保険料免除の問題なんですね。国民年金の保険料というのは四月から引き上げられまして一カ月四千五百円、夫婦二人で九千円。これは低所得者の家庭では大変大きな負担になっているということは、これはすでに予算審議の過程でも、経済企画庁の五分位の資料などでも、低所得者ほどこういう掛金などという非消費支出が、格段に上がっているという点で問題になっていたことでも明らかでございます。こういう人たちは、心ならずも負担にたえかねて滞納するということがまま起こってくるわけです。ところが滞納いたしますと、老齢年金もそうですが、特に問題なのは、障害年金は直前一年間、一カ月でも滞納があったらこれはもらえなくなるわけでしょう。そういう制度になっていますね。こういうことで被保険者の年金権が、一カ月でも滞納していたというために当然の権利というのが保障されないということになるわけですね。そこでお聞きをしたいんですが、現在の保険料免除の樹皮というのはどうなっていますか。
○政府委員(新津博典君) 国民年金の保険料の免除につきましては、国民年金の対象自体が比較的低所得が多いということで、非常に細かい配慮をしながら運用しているわけでございますが、大筋を申し上げますと、毎年賃金とか物価の変動を考慮しながら改定をしておるわけでございますけれども、細かい基準がございますが、大筋を一口で申し上げますれば、前年度の所得に対して市町村民税が課されていない程度のものは原則として免除、免除は丁寧に言うと法免、申免ございまして、生活保護を受けていれば当然にこれは免除になります。それ以外の方は、いま申し上げたようなラインをおおむねの基準にして、申請があった場合に審査をして免除をすることができるといったてまえでございます。
○沓脱タケ子君 残り時間が少なくなっていますので簡潔に問題点を言いたいと思うんですが、法定免除という形で、生活保護世帯あるいは障害年金受給者ですか、そういう方々は法定免除ですね。それ以外は、生活の苦しいときには申請をするということなんですが、生活が苦しくても免除されないために、やむなく滞納が発生しているという事例も幾つかあります。それはどういう事例かというと、生活保護世帯よりも低い所得水準ですね。それで免除されないという事例が出てきています。 ちょっと具体例を言いますと、たとえばこういう世帯があるんですね。これは名前は言いませんが、三十九歳の男子、職業が防水業で、前年所得は百一万四千百二十二円、妻が内職をしていて所得十万円、十二歳の長女と十歳の次女です。この人の生活保護基準を調べてみたら、この人の所在地は二級地ですから、二級地で見たら年間百六十六万二千五百十六円なんですね、計算してみたら。ところが、この前年所得が百一万四千百二十二円のこの方が免除措置が受けられない。なぜかというと、自分のところの住んでいる家が固定資産として三百六十一万二千九百八十八円という形で評価をされる。そうすると、計算をしますと、むずかしい計算によると三点か四点上回るんです。だから生活保護基準より少ないけれども保険料免除の恩典が受けられない。同じような実例を三つ私は持っておりますけれども、二級地二つ、三級地一つですが、いずれも生活保護基準よりも低いんです、収入は。なぜかからないかというと、固定資産が百七十九万余りに自分の住んでいる家が評価をされていると、そういうことでどうにもならぬと。計算したら八百四十二点になる、あるいは八百三十三点になると、三点から十点ぐらいが上回るというために適用できないわけです。 私は、これは非常に問題だと思うんですよね。こういう低所得者のために何とか免除の基準を引き上げて救済するべきだと思うんですね。特に問題になるのは固定資産の評価額なんですね。自分が住んでいる貧しい家ですよ、恐らくね。百数十万とか三百万の評価額ですからね、そんなりっぱな御殿と違いますよ。たとえば家がりっぱであっても自分がやっと住んでいるんだから、これによって固定資産がプラス要因として働くということもないわけですからね。計算方法などを見直して、こういう点は改善をするべきではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(新津博典君) いま先生のおっしゃったことはまことにごもっともだろうと思います。それで、具体的には後ほどまた個々のケース、場所なども伺って善処をしたいと思いますが、考え方といたしまして、私どもの免除基準はそういう機械的な運用にならないように、別な言葉で言うと、生活保護の基準よりも低いような場合には認定方法の特例というのを使って免除していいという指導をしております。ただ問題は、その原則論の点数の方でやると、いまおっしゃったことがございまして、その固定資産を所得と見ること自体やめたらどうかという御批判もあるのでございますが、これはやっぱり都市部なんかでかなりの家屋敷を持っていて、不労の所得は少ないけれども、かなりの家屋敷を持っている方と木賃アパートの方を一緒にするのはどうかという逆の批判もございまして、原則はそうなっておりますけれども、いま先生が具体例としてお挙げになったようなケースについては、不労の所得が明らかに生保の基準以下であるという者について、ぎりぎりの自分の家があるから免除しないという指導はしていないつもりでございますが、場所によってはそういうケースがあると思いますので、これは後ほど恐れ入ります、個別にお聞きして解決をしたいと思います。
○沓脱タケ子君 それで、年金権を制度とか運用の不備で侵害されるということのないようにという立場で私申し上げておるんです。 もう一つそういう点では、たとえば障害年金の受給についてですけれども、私数年前にもこの問題は触れたことがありますが、事後重症制度の改善なんですね。厚生年金は五十一年度に制度改正をされて、これは少し喜ばれているわけですけれども、問題点がある。これは事後重症の認定期間が五年間に限定されているでしょう。現実にいろいろな例が出ているんですよ。たとえば網膜色素変性症という患者さんがある。これは発見されていろいろ手当てをするけれども治らなくて、だんだん見えなくなって盲になるわけですね。この具体例で言いますと、四十三年ごろ発病した。だんだん悪くなりますよと診断された。しかし、いわゆるこの一年半のとき障害認定をするときには障害認定の基準には入らなかった。ところが十年後になって盲になった。それで、障害等級に該当するからということで早速申請をしたら、五年を経過しているんでこれはできませんということで却下された。こういう疾病というのは、たとえば眼科では緑内障だってそうだと思いますし、内科ではリューマチだってそうですね、ロイマチス、関節リューマチもそうだと思うんですね。治療の方法がなくてだんだん悪くなっていく。だから、障害認定をしたときには認定基準にははまらない。しかし、三年、五年あるいは十年後には悪くなる。その場合には新たに認定ができるというふうにしなければ年金権が侵害される、あるいは二級としか認定をされなかったけれども、その後の増悪によって当然一級と認定を変えなければならないという状況がやっぱりいろいろあるんですね。時間がありませんから、社会保険庁にもお伺いしたいと思いましたけれども、恐らくそういう具体的な申請が出ているんじゃないかと思うんです。そこで、五年というふうに決めることがやっぱり無理があるのではないかと思います。そこで、障害年金に該当する疾病の場合には、これは被保険者の年金権を保護するという立場から言いましても、当然これは法改正をするなりあるいは運用上の何らかの行政指導をするなりやって、窓口で、もう五年過ぎたからあなたできませんというふうなことにならないように改善をするべきだと思いますが、いかがですか。
○説明員(長尾立子君) 厚生年金の事後重症制度についてのお尋ねかと思いますが、厚生年金の事後重症の期間が、五年というふうに五十一年の改正におきまして制定されました理由といたしましては、いま制度が幾つかに分かれておりますので、厚生年金の制度の中でその障害年金の保障をしていくという場合に、その厚生年金の被保険者期間中に生じた障害であるということを認定する必要があるわけでございますが、そのためには医師法によりまして医療機関にカルテが保存されておる、カルテの保存が義務づけられております期限というものを一応考えたというふうに聞いておるわけでございます。 先生は、ほかの諸制度におきましてはこの五年よりも長い例があるのではないかということを御指摘になっておられるのかと思いますけれども、厚生年金の場合には、さまざまな民間の会社を対象といたしておりますので、共済組合のように退職時まで一つの職域でという場合と必ずしも同一に考えられない要素があるのではないかと思うわけでございます。この五年の要件を撤廃すべきではないか。いま、いわば長期的に進行性の難病についての御指摘があったわけでございますが、なかなかむずかしい問題が多く、慎重に検討させていただきたいと思うわけでございます。
○沓脱タケ子君 時間がまいりましたので、最後に一つお伺いしたいのは、やっぱりこの被保険者の年金権を保護していくという立場でぜひ考えてほしいと思うんですが、これはかねがね申し上げている人工肛門、人工膀胱の方々なんです。厚生年金は三級までありますから余り問題はないんです。ところが、国民年金の場合にはなかなか依然としてこの問題が残されている。これは具体的な事例があるんですが、たとえばこの人は却下をされたんですが、この方の内容というのは、京都大学の医学部の附属病院の外科で診断をされて、当然だということでの申請診断書が出ている。私が拝見をしても、どうしてこれが却下になったのかなと思う内容があります。 そこで、時間がありませんので、最後に質問をして改善をしていただきたいのは、こういうのは各府県で認定審査をしていますね。各府県で認定を審査するということになると、統一的な基準でやりにくいということが起こると思うんですが、少なくとも判断の困難なとき、特に新しい分野ですからね、この場合には。こういう新しい分野であり、判断が困難なときには書類審査だけではなくて、本人の具体的な障害度というものを確認をするというふうなことで、運用上の改善をやって、できるだけ救済をするというようなことがぜひ必要ではないかと思うんですが、その点を伺って終わりたいと思います。
○政府委員(新津博典君) あわせてお答えして恐縮ですが、前段の事後重症の関係の運用は、なるべく実情に即して救済できるような方向をとりたいと思います。たとえば初診日が前にあっても、ある程度よくなって勤めだしていた、また悪くなってという場合に、その二度目の悪くなったのを初診日にするというようなことで、私ども社会的治癒と言っていますが、そういう方向で救済をしたいという努力をしております。 それから、お尋ねの人工肛門の件につきましては、先生からこの前も御指摘を受けておるとおりでございまして、国年の場合、ことに二級までしかないということでございますが、最後に御指摘の、各県がばらばらにならないようにという点は特に注意しまして、中央の認定の先生が現場を指導して歩くとか、年一回は必ず最低でも認定の研究会を開くとか、いろいろな形で各県の認定がばらばらにならないように努力をしておりますが、なお、個別の問題についてございますればまたお聞かせいただいて、私どもも調べて、善処できるものは善処したいと、かように思っております。
○委員長(片山甚市君) ただいまから三時五分まで休憩いたします。 午後二時五十四分休憩 —————・————— 午後三時五分開会
○委員長(片山甚市君) 社会労働委員会を再開いたします。 引き続き質疑を続行いたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○柄谷道一君 五十五年度、ベースの老齢福祉年金の年金額は二十七万円でございますが、十年年金の場合、全期間納付のときは三十一万八千六百円となっております。しかし、繰り上げ支給の場合を見てみますと、これを請求年齢別に分けますと、六十歳以上六十一歳未満は五八%で十八万四千八百円、六十一歳以上六十二歳未満は六五%で二十万七千百円、六十二歳以上六十三歳未満は七二%で二十二万九千四百円、六十三歳以上六十四歳未満は八〇%で二十五万四千九百円、六十四歳以上六十五歳未満は八九%で二十八万三千六百円となっております。 六十四歳未満は、いずれも無拠出年金である老齢福祉年金の年金額を下回っているわけでございます。もちろん私はこの減率、そして年金額というものが各年齢ごとに平均余命年数を基準として算出をし、六十五歳支給の場合と均衡をとっておる。そして、何歳から受給を受けるかは全く本人の自由な選択にゆだねられていることは十分承知をいたしております。しかし、繰り上げ支給を受けている者が七十歳を超えたときに周囲をながめてみて、拠出制年金であるのに、無拠出年金より年金額が低いのではないか、こういう不満を漏らすということは、心情的に頭からそれが間違いだと押さえつけられない問題であろうと、こう思うのでございます。 私は、要は厚生省の窓口の姿勢にあるのではないか。本人から六十五歳以下で繰り上げ支給を請求してきた場合に、十分その仕組み、情報を提供いたしまして、正当な判断が本人にできるよう親身になって相談に乗る、それが心の通う厚生行政であり、そうした行政の姿勢が窓口にあってこそ、不満や後悔を後に残さずに老後の生活設計が立てられるのではないかと、こう考えるわけでございます。私のもとにいろいろ陳情が寄せられております。私はその都度その仕組みを説明はいたしておりますけれども、厚生大臣、今日までも努力はされていると思いますけれども、多くの苦情が寄せられてくるということは、やはり窓口の姿勢がまだ完全ではないことを物語るのではなかろうか、こう思うのでございます。 まず、大臣のこの点に関する御所信を、これは政治姿勢の問題でございますからお答えをいただきたい。
○国務大臣(園田直君) どこのお役所でもそうでありますが、厚生行政では特に直接接する窓口の態度というのは非常に大事でございます。御指摘のとおり、市町村、その他関係事務所等にも連絡をしてよくその気持ちが徹底をして、皆さん方に親切に、丁寧に、事細かに御相談に乗るようにしたいと思います。
○柄谷道一君 その点は強く要請をいたしておきたいと思います。 次に、質問に入るわけでございますが、多くの委員から述べられました点につきましては極力重複を避けたいと思います。 最近国民の一部には、国民年金が財政的に行き詰まるのではないかという懸念が持たれ出しております。国民年金は、すでに年金の支出額が保険料収入を上回っております。年金支出額の三分の一を国庫負担することにより、収支のバランスをとっているというのが現状であろうと思います。しかも、今後年金の受給者は、現在の六百万人が毎年約五十万人ずつ増加をいたしまして、六十年には八百四十万人、九十年には現在の約三倍の千八百万人に達すると推定されているわけでございます。一方、その年金を負担する加入者は、今後横ばいの状況が続きまして、やがて現在の二千八百万人よりやや減少するという見通しすら持たれております。私は、年金が修正積立方式をとり、さらに物価上昇に連動して年金額が引き上げられることを考え合わせますならば、この水準の改善を一応別におくとしても、後代の負担が今後大きくなることは避けられない情勢であろうと思います。 私は、国民年金の過去二十四年間の発展段階を三つに整理して把握しておるのでございます。 第一段階は、制度発足の昭和三十六年から四十年までのいわば育成期でございまして、安い保険料でできるだけ多くの加入者を集める、そこに重点が置かれた段階であったと思います。そして、加入者は千八百二十四万人を超えました。 第二段階は、その後昭和五十年ごろまでのいわゆる成熟期でございまして、五年年金、十年年金、物価スライド制の導入、二回にわたる特例納付の実施、年金水準の引き上げなど、中身の充実が図られた時期であったと思います。しかしこの段階では、強制加入者は約二千万人程度で横ばいになりまして、増加したのは、任意加入者と特例納付の加入者がそのほとんどであったと思います。 そして第三段階は、五十一年以降今日までの段階でございまして、負担の段階的引き上げに着手した時期と、こう把握をいたしております。 今後迎えるのは、いわゆる第四段階になろうと思うのでございますが、五十五年の年金法改正の際も国民年金の制度改革は全く手がつけられませんでした。そして現在、その国民年金改革の方向も明らかにされておりません。財政再建のための福祉見直し論とも相重なりまして、不安感が増大し、国年破産説が真実味を持ってささやかれているその背景になっているのではないかと、こう思うのでございます。 高齢化社会を展望しつつ、この第四段階の改革について、いつ、どのような方向でそれをなされようとしておられるのか、大臣の基本的所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 国民年金の財政についていろいろ意見がありますけれども、これは国の運営する制度であって、若い加入者がお年寄りの受給者を支える仕組みとなっておりますので、財政が行き詰まるような心配はないということははっきりしておきたいと存じます。 ただ、この制度は国、国民、全部が力を合わせてこれを守り抜くということが大事でありまして、したがいまして今後来るべき問題は、いま御指摘のように受給者にどんどんふえてくる、一部これを支える若い人はだんだん数が減ってくると、こういう受給と負担の問題が出てくるわけでありまして、これについては早急に長期的な計画をつくり、いまある計画等は修正をしてこれに対応しなければならぬと考えております。
○柄谷道一君 そうすると、抜本改正の国会に対する提案がいつごろになるというめどは、いまのところお持ちではございませんか。
○国務大臣(園田直君) まだ具体的には出ておりませんが、これは五年以内に御承知のとおりにやるようになっておりますが、なるべく年限を詰めてやりたいと考えております。
○柄谷道一君 国民年金制度の抜本改正につきましては、社会保障制度審議会の提言を初め現代総研、社会経済国民会議等から貴重な提言が行われております。私たち民社党といたしましても、昭和五十三年に中期経済計画を発表いたしまして、その改革の方向を具体的に明示したところでございますけれども、いま改めて、高齢化社会に対応する総合施策の一環としての国民年金のあり方について、鋭意検討を続けておるところでございます。ことしの秋、大体その大綱が定まると思いますので、厚生省に提示をいたしますので、十分前向きの御検討の資料としてお取り扱いを賜りたい、このことをお願いをいたしておきます。 そこで、本日は時間の関係もございますので、制度改革の抜本的な問題は次の機会に譲ることといたしまして、当面改正が必要ではないかと思われます二、三の点について質問をしたいと思います。 第一は、保険料を毎月納付する道を開いてはどうかということでございます。厚生省は、昭和百年までの国民年金の財政の将来見通しをまとめておられますが、その試算によりますと、今後保険料を毎年三百五十円ずつ引き上げていけば赤字にならない、こうされております。その方法をとりますと、昭和五十五年度価格で、保険料は、昭和六十年月額五千九百円。六十五年七千六百五十円。七十年九千四百円。八十年一万二千九百円。九十年には一万六千四百円となるという計算でございます。あと五年で六千円の線を超えるということが予測されるわけでございますが、夫婦で加入している場合は、六千円としますと月額一万二千円になります。三カ月に一度の納入制度では、一回三万六千円を納めなければならぬということになります。問題は、これだけの高額保険料を比較的所得の低い国民年金加入者が払い切れるかどうかということでございます。年金制度基本構想懇談会の委員であります小林節夫先生も、三カ月徴収を一カ月徴収に改める必要があると指摘されているところでございますが、いまは現行法がありますから何ともなりませんけれども、次の改革の際に、このような配慮を生かされる用意ありや否や、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(新津博典君) 先生おっしゃるとおりでございまして、現行法では三カ月分を、三カ月経過した翌月に後払いで三月分ずつ払うといったてまえになっておりますので、四、五、六を七月に払うという形でございますが、お話にもございましたように、保険料の額が高くなってまいりましたので、事務的な体制のあるところでは徐々に二月に一遍あるいは毎月というところもふえております。それから都市部では口座振替で、まとめて貯金通帳から移しかえてもらうという口座振替制度が大分普及してきているというようなことでございますが、現状では後払いになっているというようなことも若干ひっかかりがございまして、四月分をいまなら七月に払えばいいけれど、直して毎月になると四月分は四月に払わなきゃいかぬというような点もあるわけですけれども、方向としては、高くなるにつれて多少事務が繁雑であっても毎月検認をやると、毎月納付をしていただくという方向だろうと思いますので、制度改正のときにその点も含めて検討さしていただきたいと思います。
○柄谷道一君 第二の問題は、現行の定額保険料制度を続けていきますと、現在でも低い水準にあります国民年金の抜本的改善を期待することは、保険料負担の面から大きな壁に突き当たることになると考えざるを得ません。また算出されました平準保険料に比べて、過去二十年いずれの年度も実際に徴収している保険料はそれより低いものでございます。その不足度合いは毎年拡大しておるというのが実態であろうと思います。したがって、従来のこのフラット制のまま八〇年代を乗り切ることが非常にむずかしいということは、客観的に見てこれは明らかな事実であろうと、私はこう見ます。 そこで、イギリス、ニュージーランド、カナダ、オランダ、スウェーデン、西ドイツ、フランス等の先進国の年金制度における自営業者の拠出方法は、いずれも給付水準の向上、負担の公平、保険財政の充実、所得再配分効果などの政策効果を発揮するために、いずれも所得比例保険料制度を採用いたしております。わが国の場合も現行は名ばかりの付加年金制度があるわけでございますけれども、これを抜本的に改めまして、やはりナショナルミニマム的なものは固定的なものとして残すとしても、その給付及び保険料徴収の面において、所得比例制の導入を早晩図らなければならない時期に来るのではなかろうかと、こう思うのでございますが、次回の抜本改正における、厚生省当局としての基本姿勢をお示しを願いたい。
○説明員(長尾立子君) 国民年金は、現在定額の保険料になっておるわけでございますけれども、これを所得比例制の保険料にいたしまして、給付の面におきましても所得比例の給付の体系をとってはどうかという御提案だと思います。先生から各国の自営業者を対象といたします制度におきまして、所得比例制の保険料の制度があるという御紹介をいただいたわけでございますが、私どもが従来、審議会等からの御指摘をいただいておりますことから申し上げますと、国民年金の被保険者におきましては、自営業者以外のたとえば家族従業者でございますとか、それから無業者、被用者の妻というような無業の方も含んでおりまして、非常に多岐にわたる被保険者の層になっておるわけでございます。これらの方々につきまして、所得を全国規模でどのように把握していくかという問題、それからそれを徴収いたします際に、現在の事務体制の中で二千八百万人の被保険者の方それぞれに違った形の保険料をお納めいただくような事務体制を、これからとり得るかというようなことを考えてみますと、非常にむずかしい問題があると思うわけでございます。
○柄谷道一君 むずかしいということでございますと、それでは、現行のフラット制で今後乗り切っていく見通しはありますか。相当高い保険料になってくると思われるんですが、その点いかがですか。
○説明員(長尾立子君) 確かに、今後の保険料の水準を考えますと相当に高い負担をお願いせざるを得ないという状況になっておるわけでございますが、所得比例制の問題は非常に困難であって、現在結論をいただいておらないわけでございますが、もちろん私ども将来の問題を考えるに当たりまして、なお検討いたさないという趣旨ではございません。
○柄谷道一君 この問題だけで論議いたしておりましても時間が食うばかりですから、改めてこの問題は深く論議を尽くしたいと思いますが、さきに渡部委員からの御指摘がございました所得再配分機能と、この一点から見ましても、私はこの国民年金第四期の改革というものは、相当長期を展望した、思い切った制度そのものの本質にメスを入れるものでなければならないと、そのことだけを指摘をいたしておきたいと思います。 次に、国民年金財政上メスを入れなければならない問題は、国庫負担のあり方でございます。国民年金の給付に関する国庫負担率は、原則として三分の一でございますけれども、現在の給付費の八三%を占める老齢年金のほとんどは五年年金、十年年金などのいわゆる経過年金でございます。これに対する上積み優遇給付に対する国庫負担率は二分の一となっているわけでございますが、これらの現状というものは、さきに述べました一期の育成期、それから二期の成熟期、この政策結果として生まれたものでございます。しかも、無拠出老齢福祉年金との見合いでこの金額というものが徐々に決められておるわけでございますから、私はそういう政策結果のすべてを、国民年金加入者に負わせるということが果たして妥当であろうかという疑問を感ぜざるを得ません。私は、現在の国民年金は超賦課方式化した財政現状であろうと思うわけでございまして、経過年金の優遇に対する国庫負担というものは、少なくても老齢福祉年金化ないしはそれに近い程度とすることが、国民年金制度発展の経過から見ても至当なのではないだろうか、非常に財政窮迫のときではございますけれども、私は真剣に、国保の収入補てん財源として、このいわゆる経過年金に対する国庫負担のあり方、これに対しては発想を新たに検討を加える必要があると、こう思うのでございます。いかがでございましょうか。
○説明員(長尾立子君) 現在の国民年金の負担率でございますが、先生から御指摘いただきましたように、被用者年金と比べますと三分の一という高い国庫負担を原則といたしておりますし、経過年金のかさ上げ部分につきましては、二分の一の国庫負担をさらにすることとなっております。現在、全体といたしますと四割近い国庫負担率となっておるわけでございまして、これ以上国庫負担率を引き上げるということは困難であると考えております。
○柄谷道一君 財政事情の面から言いますと、いまの課長のような答弁になるでしょう。しかし、国民年金発展の過程から見た経過年金というものについて、優遇上積み分の二分の一でいいという根拠は客観性を帯びるものかどうか、私はこれは疑問と考えなければならないと思うのです。もう一つの視点は、やはり老齢福祉年金というものとの見合い、それとのバランスということから、私は真剣に洗い直しが行われてしかるべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
○説明員(長尾立子君) 国庫負担というものが国民年金に、他の被用者年金と比べますと非常に高い形で入っておりますのは、先生御指摘のような国民年金におきます被保険者の所得水準というものを勘案したものと思うわけでございますが、現在の四割近い国庫負担率といいますものは、相当に高いものというふうに申し上げられると思いますし、これを引き上げていくということは大変困難であると申し上げざるを得ないと思います。
○柄谷道一君 水かけ論になると思いますが、しかし、国民年金協会の中にもこの説をとる方があるということは、もう厳然たる事実でございます。本件に対しましては引き続きまして、私は深く国庫負担のあり方について今後論戦をいどみたいとこう思います。 次に、本会議の質問でも出ておったのでございますが、海外在留法人の扱いの問題でございます。五十四年十月一日現在の外務省調査によりますと、三カ月以上のいわゆる長期滞在者は十八万一千八人、日本国籍を有し、永住権を持つ、いわゆる永住者が二十五万四千四百六十五人、合計四十三万五千四百七十三人いると、こうなっておるわけでございます。厚生年金の加入者は年金権が継続されておりますが、現在では、国民年金に関しましては中断をするわけでございますから、いわゆる無年金者の発生に結びつかざるを得ないというのが実態であるわけでございます。これは、国民皆年金という趣旨からしていかがなものであろうか。そこで今日まで、これに対する救済策でございますが、一つは、帰国時に本人の希望により遡及払いを認めるということが言われておりましたが、これは相当多額の金額になります。第二に、海外に住所を移すときに前納を認めるということも言われておりますが、これは何年何カ月外国に行くのか、これは行くときは定かではございませんから、ここにも問題がございます。 となりますと、一つは、当面、空期間として認めるという方法。第二には、現在の所得税法には納税者にかわって申告書の提出、納税など、所得税に関する事項を処理する納税管理人制度というのが明記されておりますし、地方税におきましても、地方税法第三百条によりまして納税管理人という制度が置かれております。年金保険料というのは税に匹敵するものであろうと私は思われるのでございまして、当然この国民年金につきましても納税代理人制度、これを置くということを真剣に検討して、そして国民皆年金下のいわゆる無年金者をなくすということが、一つの大きな政策課題ではないかと思います。いかがでございましょう。
○説明員(長尾立子君) 海外に在留しておられます日本人の方の年金権の問題、確かに現在の皆年全体制の中におきます大きな問題であると思います。問題は、国民年金にいたしましてもまた厚生年金保険にいたしましても、いわば強制加入というような形を基本的に持っておるわけでございますが、こういった日本の国内法であります年金法を、外国の領域に適用できるかどうかという基本的な問題があると思うわけでございます。国民年金の場合には、日本に在住しております日本国内におります間が、強制加入の期間としていわば強制加入の網がかぶるわけでございますが、外国の領域に住んでおられます場合、それが日本人でありましても、そういった網をかぶせることができるかという基本的な問題があると思うわけでございます。また、資格の得喪の確認でございますとか、保険料の徴収の問題など、技術的な問題点もあると思うわけでございます。 先生の御提案の方法でございますが、税法のように代理者を定めて、その者が本人にかわって保険料を納めるということでございますけれども、税法の場合には、その対象となります所得の源泉自体が、国内にあります場合においてとられておる措置でございまして、年金法の場合には、対象者自身がいわば年金の対象になるわけでございますので、その方が国外にいる場合とは事情が異なるのではないかと思うわけでございます。また、空期間としての扱いということでございますけれども、たとえば被用者の妻に現在認められております空期間も、任意加入できる期間であるといういわば裏側の、実質の意味がある期間が裏にありまして、その上で空期間ということになるわけでございますので、制度に本来加入できない海外の居住期間を空期間として認めていけるかどうか、これは現行の空期間の考え方と全く違ってくるわけでございますが、そういう問題があるかと思うわけでございまして、御提案の方策も含めまして、慎重に検討させていただきたいと思っております。
○柄谷道一君 技術的な問題よりも、いわゆる国民皆年金というのが厳然たる基本に据えられておるわけですね。国際化時代を迎えて、日本人のいま四十数万人の方が外国へ出ておる、そして年をとって日本に帰ってくる。その場合に、年金権に全然結びつかない。これは大変な問題だと思うのですね。国民皆年金という理念を生かすためには、私はいま四つの方法を申し上げたんですけれども、そのほかにもまた適切な方法があるかもしれません。要は、年金権に結びつけるという前提に立っての検討というものでなければ意味をなさないと思うんです。 それからこの納税代理人制度でございますけれども、将来、所得比例式の保険料ないしは給付が出てきた場合はまた新しい問題でございましょうけれども、いまは固定額なんですね。納税代理人が所得税を納めるときに、合わして国民年金保険料をその人が納める。何にも問題がないわけでございますから、その点、実務者のお答えはそういうことでございましょう。しかし、これは私の申しました基本的理念に立った、本当に解決のための積極的検討というものがなされてしかるべきだ、こう思うんです。大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) これは大分前から言われている問題でありますが、近ごろ、海外在留の方方の数が急激にふえているわけであります。それからまた、同じ会社でも、会社の支店とか何とかというところへ行かれた方は、年金の方はわりに都合よくいっておるようであります。同じ会社でも、合弁会社をつくって、行った会社は別個の会社だというので、そういう恩典がない。こういういろいろな矛盾もありますので、いろいろ言われました方法、他にもたくさんありますが、事務当局といたしましては事務的に多少困難だと思いますが、私はできないことではないという気がいたしますので、事務当局ともよく相談をして、何らかの解決方法を見出すようにいたします。
○柄谷道一君 政府は、今国会に、国連難民条約への加入承認案件として出入国管理令等の一部改正法案を提出されております。これは法務委員会で検討されますので、改めて、細部は機会を得て御質問したいと思いますが、本日、その基本的な幾つかの問題について質問をしておきたいと思うのでございます。 厚生省は国民年金法、児童手当法などから国籍要件を撤廃するという姿勢であると承知いたしておりますが、国民年金につきましては、国籍要件を撤廃いたしましても特例措置または経過措置を講じない限り、現在三十五歳以上で六十歳までに二十五年間の保険料納付期間を満たせない人々というのは、通算老齢年金に該当する者または短期納付による障害年金の給付等を除きまして年金権に結びつかないという事態が生ずるわけでございます。このいわゆる三十五歳以上切り捨て、いわゆる見切り発車というものにつきまして多くの抗議や要望が寄せられていることは、厚生省も御承知のところでございます。私は、一応、厚生省がなぜこういう姿勢をとったのかということにつきましては、厚生省の言い分は承知しておるつもりでございますけれども、一般の外国人と、元日本国籍を持ち終戦後も引き続き日本に居住している者、これを画一視することに大きな疑問を持つものでございます。 昭和二十七年四月二十八日に発効いたしましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく外務省関係諸命令の措置に関する法律、非常に長い名前でございますが、いわゆる法律第百二十六号と言われておりますが、その中では、平和条約の規定に基づいて日本国籍を離脱する者で、昭和二十年十月二日以前から二十七年四月二十八日まで引き続き日本に在留していた者、及び二十年九月三日から法施行の日までに日本で出生じた者につきましては、出入国管理令の規定にかかわらず、引き続き日本に在留することが保証されております。いわゆる出入国管理令の例外として取り扱われているわけでございます。これは、元日本国籍を持っていたという事情の特段の配慮であろうと、こう思うんです。 また昭和四十年六月に、日韓両国で「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」、この前文には、「これらの大韓民国国民が日本国の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにすることが、両国間及び両国民間の友好関係の増進に寄与することを認めて、 次のとおり協定した。」と、こう明記されておりますから、この地位協定は、一般的には内国民待遇を与えるというのがその精粋であったと思うのでございます。しかし、当時厚生省は、国民年金に対して内国民待遇を与えることにいわゆる難色を示されました。そして今日に至っております。いま四千人の難民を受け入れるために、現在、この地位協定に基づく永住権を取得した者三十四万一千四百四十人、法律第百二十六号適用者五十四万一千二百十九人、こういう人を、四千人というものは認めて、当時これは認めなかったわけですね。私は、そこに大きな矛盾というものがあるのではないか。画一視する、その政府の姿勢についてまずただしたいと思いますが、いかがです。
○説明員(長尾立子君) 先生御指摘いただきましたように、日本国籍を戦前に有しておられた方につきまして、歴史上の経緯に基づきます特別な御事情があることは承知をいたしておりますけれども、国民年金制度は、一般的な社会保障制度でございますので、国民年金の中で、特定の国籍の方だけに特例措置を設けることはできないと思います。この場合は、現在御提案をいたしておりますように、内国民待遇を外国人について実現するというように、一般の外国人を対象とした措置しかできないというふうに考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 私は、特定の国に対してのみということを言っているんではないんです。法律百二十六号に基づく、いわゆるポツダム宣言受諾に伴う日本国籍を離脱した者、これは、その中には北朝鮮人民共和国の方もおりましょう。大韓民国の方もおりましょう。現在、中華民国の方もおられると思うんです。これらは特別の事情を持っている。たとえば、その大半の人々は戦前もしくは戦争中に、強制的もしくは半強制的に日本に連れてこられた、戦中戦後ともあらゆる辛苦をなめながら今日まで日本に定住されておられる、こういう事情もございます。また、これらの人々は、長らく日本人同様納税を初めとする義務を果たしておられるわけでございます。もう戦後三十五年義務を果たしておられるわけです。またこれらの人々は、日本社会にあります排他性のために、その多くの方々がいわゆる零細自営業者でございます。三十五歳以上を制度的に無年金者とすれば、老後の生活に不安を生ずる実態にあろうと思います。さらに、今度は国籍要件を排除されますから、これらの人々の子弟は保険料を納めるわけです。しかし、その親は保険給付の対象にならないわけです。これは、それらの人々につきましては、保険料の負担ということと親の扶養という二重負担を負わされるという結果を招く、まあ多くの問題点が私は介在するのではないだろうかと、こう思うんです。時間の関係で深くこの問題は突き得ませんけれども、別途の機会に質問をすることといたします。 最後に、この問題に対する厚生大臣としての御所見をお伺いいたしたい。 なお、児童手当問題につきましては質問を予定いたしておりましたけれども、私は昨年十一月七日の決算委員会でこの問題について詳細質問をいたしましたし、かつ、さきの同僚委員に対する大臣の明確な所信の表明がございましたので、この質問は取り下げさしていただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 難民条約の加入に対する経過は御承知のとおりでありまして、外国人を内国民同様、国籍を撤廃するというのがその趣旨であります。い重言われました三十五歳以上の者に対する特例措置とおっしゃるのは、これは現にいま日本人もその中に入ってるわけでありまして、これは国内措置の問題であります。そこで、難民条約に加入するための国籍撤廃、それによって出てくる特典と、それからいま国内にあるいろいろな問題の改正というのは別個に考えていかなければ、一緒にやろうとするとなかなか難民条約の加入ができない。そこで、国籍撤廃をして、将来日本国民を含む、戦前からおられる方々の三十五歳以上の問題もこれは解決すべきであると考えておるわけでありまして、これを同時にはできなかったと、こういうことであります。
○前島英三郎君 障害者の所得保障、経済保障に直接かかわる法律案ですけれども、私は昨年来、この問題につきましては何度も総合的な見地からの見直しの必要性について申し上げてまいりましたので、私の言わんとすることは十分御理解いただけていると思うので、今回はなるべく簡単に、特に重度障害者の所得保障のあり方にしばってお尋ねしたいと思います。 さて、これまでの論議の中で、重度障害者が自立して生活できるような所得保障制度を確立するには、年金なら年金、あるいは生活保護なら生活保護、それぞれの枠組みの中だけでは解決できないという点は、かなり明確になってきたと思うんです。そこで、厚生省内に各局にまたがったプロジェクトチームをつくって検討すると大臣が確約されたわけなんですが、この点私は高く評価しているところでございます。そのプロジェクトチームはすでに先月スタートをしたと聞いておるんですけれども、まず、その構成及び進行状況について承っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(長尾立子君) 身体障害者の方の生活保障問題を検討いたしますものといたしまして、すでに省内に国際障害者年推進本部が設けられておるわけでございますが、その本部内に障害者の生活保障問題検討委員会が設けられたわけでございます。構成といたしましては、官房の総務審議官を中心といたしまして、社会局、児童家庭局、年金局及び社会保険庁等、関係の各局庁の関係課長が参加をいたしておるわけでございます。で、これは四月中旬に設けられたわけでございますが、第一回の会合が開かれまして、その後、この課長の所属いたしております課の課長補佐レベルの作業委員会が設けられることが決まっておりますが、作業委員会におきまして検討が行われておるという段階でございます。
○前島英三郎君 まあ四月中旬からということですが、これまでの議論、これまでの障害者団体から出された要請や陳情、そうしたものを踏まえれば、まあプロジェクトチームが今後どのような方向で検討を進めるべきか、おのずから明らかになってくるわけなんですけれども、プロジェクトチームとしての検討の基本的な方向をどのように考えておるのか、まだ一回ということではつかみにくい面もあろうかと思いますが、その辺を伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(長尾立子君) ただいま申し上げましたように、プロジェクトチームの編成といたしましては、所得保障というものを相当幅広く考えるという立場で構成をいたしたわけでございます。 障害者の生活を支えるための所得保障対策は、単に、経済的な面に終わることなく、社会への復帰、参加というものをどのように図るかというような観点から、障害者の生活全般を考えたものでなくてはならないと思っておるわけでございます。私は年金局におる者でございますけれども、所得保障問題、現在の年金制度の中だけですべて解決するということはなかなか困難な面もあるわけでございますので、各種の年金や生活保護、各種手当といったような所得保障は、それぞれいかにあるべきか、いかに組み合わさるべきかということに加えまして、他の福祉施策というものがそれとどのように関連を持つべきであろうかというような、総合的な観点から検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
○前島英三郎君 そうすると、検討がこれから何回も何回も繰り返されて行われるわけでありますけれども、ともすればその検討だけで終わってしまうという過去の例もあるわけでありますが、いつごろ結論を出す考えかということは、質問とすればなかなか答えにくいでしょうが、いかがですか。やはりこの、結論を出すというものを前提として取り組んでいただきたいということが特に大きな問題だろうと思うんですけれども、その結論はいつごろという予定でございましょう。
○説明員(長尾立子君) 五十六年度中をめどに、結論を出すようにという指示をいただいております。
○前島英三郎君 検討を進めるに当たりまして、適宜、障害を持った当事者の意見、専門家の意見を聞き、それを取り入れていくことも大変大切なことだというふうに私は思います。福祉を受ける側、年金を受ける側、保障を受ける側もその保障あるいは福祉を考えていく、そういうことも大変大切だというようにも思います。いまいろいろ課長さん、補佐の方というようなメンバー構成を伺ったわけでありますが、そういう中に専門家の意見あるいは当事者の意見、こういうこともぜひくんでいただきたいというふうにも思います。 その意味で、昨十一日に障害者団体の要請活動が厚生省になされたことはきわめて注目に値するものであったと思うんです。きのう要請活動をいたしましたのは、障害者の生活保障を要求する連絡会議とそれに賛同する各団体の仲間たちでございます。そして、脳性麻痺を初めとする幼いときからの障害者の所得保障制度の新設を訴えたものでございます。私がこの行動を評価するのは、第一に、要請の内容がきわめて具体的であり、現行制度についてもよく検討してまとめられているという点でございます。いままでのような陳情とは一味違って、むしろ国の台所事情をもしっかり見詰めてぎりぎりの要請を出している、こういう点だと思います。第二は、すべての経過が障害者自身の手で進められ、まとめられてきたということでございます。いままでのように、障害者に対してかかわりを持つ人々が、それなりの思惑で要請をした内容とは違うという点だと思います。そして第三に、障害者団体の横の連帯を自覚的に推進しているという点でございます。いままでのように無数の団体が、個々の枠の中でそれぞれ悩み、苦しみを訴えてきたというような運動の仕方とは違っているという点でございます。国際障害者年のことし、障害者自身の運動が広がり、高まっていることの一つの証明にもなっていると私は考えます。厚生省としてはどのように受けとめているか、伺いたいと思うんです。
○国務大臣(園田直君) 昨十一日にお会いしたのは、私及び関係各局各課の事務職員も同席をさしてお会いしたわけであります。私は第一には、いろいろ個性のある方々、体の不自由さにもいろいろ程度がある方々でありますが、その十幾つの団体が議論をして議論をして、その上で現実から来る一つの共通の決議というか、共同の案を出されたということが第一。 第二番目には、じかに自分でやってきて、自分で私に手渡しをして、自分で流暢にしゃべる方もあるし、なかなかじっと聞いておらなければわからぬ方もありましたが、火を吐くような熱心さで一生懸命に途中でやめずに私に訴えておられました。中には、脳性麻痺患者でありながら英語、フランス語を初め四カ国語をこなすような方もあるし、話を聞いておっても、なかなか体は不自由だが頭脳は他の方よりもすぐれておるなあと、こういうことであります。 一番私が感心しましたことは、大体私がいままで受けました陳情は、過去六回ぐらい大臣をやりまして、何をやれ、国がどうしろという、義務を迫る。自分たちの権利を主張されるのが多いわけでありますが、この方々のお話で一番驚いたのは、まず自分のやることを明確に、おれたちはこうやると、たとえば各種施設の食費及び日常生活諸費は本人負担とする、われわれが受け持つべきだと。その他、おっしゃることはいろいろありますけれども、自分たちは子供のときに特別親に迷惑をかけているのだ、二十過ぎたら少しでもいいから親にその御恩返しをしたいんだと、そのために、自分たちが働けるようにひとつ所得保障制度というものをやれと、こういう趣旨のことでありまして、現実というか何というか、本当にわれわれよりもこういう方々の方が先に、われわれはこういう方々の社会参加を、手を組んで一緒に行こうということを言っているが、もうすでに立ち上がって、自分たちはこういうことをやろうとしているのだと、だからやれるようにしてくれと、何でもかんでも頼むわけじゃない、自分たちでやれることは自分たちでやる、その自分たちがやれるようにしてと、これがお話の趣旨でありまして、私はこれこそ新しい一つの方向だと、こう思いまして感激もいたしました。しかし、感情でやったわけじゃありませんが、立ち会った事務当局の関係者には、現行制度の運用あるいは弾力あるやり方によってできることもあるし、制度を変えなければできないこともあるが、とりあえずできることからまずやって、そしてこういう方々とじかに事務当局が話し合って、制度改正の方向に努力してもらいたいと、こう言ったところでございます。 なお、後じっと見ておりますと、事務当局同士と相談されたときには、やっぱり事務当局は現実の問題からいくものですから、少し不満を持たれたようでありますが、何回も話し合っていただければ両方に一つの方向が出てくると、こう考えております。
○前島英三郎君 大臣も直接会っていただき、それぞれの障害者と親しくお話しいただいたということで大変ありがたいと思うのでありますが、その要望の具体的な内容は、幼いときからの障害者で満二十歳に達した者を対象として、現行の障害福祉年金及び福祉手当の給付を廃して、生活保護基準の基本生計費と障害者加算を合わせた額と同程度の金額を給付する所得保障制度を新設する、これが大きな骨子であり、さらに三つの付帯条項がついていたと思うのであります。一つは、この制度の受給権を決定する基準は、稼得能力の喪失の度合いを十分反映すること。それから二つ目として、一定額以上の本人の稼得状況に合わせて減額支給制度を導入するということ。それから三つ目として、現行の諸種制度を改め、各種施設の食費及び日常生活費を本人負担とする、このような内容でございます。 いま、大臣からもその辺は御説明いただいたわけでありますが、現実に制度を改革するためには各種の困難もあろうし、ほかとのいろいろなバランスも考えなくてはならないと思います。したがって、この要望内容について、直ちにその是非を述べることは厚生省としてもむずかしいと思うんですけれども、しかし給付水準のとり方、あるいは受給権を持つ人の決定基準に稼得能力を反映させるべきだとした点等は、現実的な重要な問題提起となっていると私は思うんです。また、本人の稼得状況によって減額支給する制度の導入、あるいは施設入所者の費用負担のあり方に言及している点などは、障害者の自立について深く考えた上での節度のある問題提起だというふうに思います。いままでの陳情とは一味も二味も私は違っているというふうに思います。今回のこの要望についても、当然プロジェクトチームの検討課題に含まれるものと考えるのですが、いま大臣のお話では、若干それぞれの省内では異論もありと、このように伺っているんですが、検討課題に含まれるかどうか、その点はいかがでしょうか。
○説明員(長尾立子君) 御提案の方向といいますのは、現在、社会保険方式でやっております年金制度、また一般会計負担でやっております社会福祉の諸施策というものを、全く基本的に組みかえるというような御提案であると思いますが、その御趣旨とするところは、やはり障害者の方の完全な社会への参加ということを考えての御提案だと思います。確かに現行制度から考えますと、現実にはさまざまな問題が率直に申し上げてあると思いますけれども、御提案の趣旨、十分検討させていただきたいと思います。
○前島英三郎君 きのうの要請内容は、ある意味ではきわめて控え目な部分というふうにも感じますけれども、というよりも、非常にしぼりにしぼったこれは当面の要望と理解すべきだというふうにも思います。つまり内容をしぼり込んで、国際障害者年のことし必ず実現してもらいたい、こういう必死の気持ちが私は感じられたと思うのであります。 ところで、ここに一つの小論文がありまして、これは法政大学の高藤教授が書かれたものでございますけれども、「障害者の所得保障 障害者手当試案」という提言でございます。これは「月刊福祉」という雑誌の今月号に掲載されたものでございますが、この内容は、実はきのうの障害者団体の要望の内容を包括したものとなっております。さらに介護の問題等々含めた総合的な試案が書かれております。前回、四月の当委員会で私は介護保障について質問をしたところでありますが、私は所得保障制度の将来のあり方に関するきわめて適確なガイドラインとなっているというふうにさえも思います。厚生省としては、将来のあり方についてどのような展望を持って検討する考えかも伺っていきたいというふうに思うのでありますけれども、私は昨年三月、この無年金の障害者の救済策の必要性というふうなことも当委員会で訴えました。国民皆年金ということにはなっておりますけれども、どうしても、その皆年金の中でも落ちこぼれてしまう人たちが何人かいるわけであります。この高藤試案では、無年金者の解消を図ることも含まれているんですが、まさに適切な考え方と言えると思います。しかし、無年金者の解消は将来の課題ではなく、当面の緊急課題だというふうにも思います。今回発足したプロジェクトチームの検討の中でも、あわせてこの無年金者の問題も早急に図るべきだというふうに思うんですが、その辺も含めて御答弁いただきたいと思います。
○説明員(長尾立子君) 障害者の方で無年金者となった方のその経緯、さまざまなものがあると思うのでございますが、無年金という言葉にこだわるようでございますけれども、たとえば社会保険の仕組みを前提といたしまして考えていきますと、あらかじめ保険料を拠出しなかったという形で無年金となられました方の救済ということは困難であると思います。実はこの事情は、たとえば老齢や遺族給付ということに波及をいたしますのでそういう事情になるわけでございますが、先生の御指摘は、これは無年金という言葉よりも、障害者が障害者であると、その障害者の稼得能力の点で所得保障をすべきかどうかという点からの判断をして、その上で所得保障の体系の中で、どう対応するかという方向で検討すべきことではないかというふうに考えておるわけでございます。
○前島英三郎君 せっかく前向きに取り組みを開始したところでもありますから、私としては余り苦情は申し上げたくないわけでありますが、しかし、今回提案された改正案については、総合的な検討以前のものとはいえ失望の念を禁じ得ないものであります。国際障害者年なんですから、もう少しはという期待が大きかっただけに、そういう気持ちを抱いている仲間が大変多いわけであります。そしてその分だけよけいに今後にかける期待というものは一層大きなものとなっていると思います。その高藤さんは終わりにこういうことを言っております。 障害者は、労働年齢期において労働不能であるという決定的側面で、他に比して最も保障の必要性は強い。この最も保障の必要性の強い、言いかえれば最も取り残されている者に手厚い保障をなしてこそ健全な社会の姿が得られる。しかも現在はたまたま健常者であっても、将来自己や家族に障害が生じる可能性は大いにあり、障害者保障の確固たる制度の樹立はすべての国民の利益でもある。 こういうことを述べられておるわけでありますが、最後に一つ、所得保障並びに経済保障というようなもの、今後にかける大臣の御決意を承りまして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 今回お願いしました改正は、年金制度全体の中で年金額の引き上げあるいは所得制限の緩和等、今年度の予算で何とかお願いできたものをまず改正するということでありまして、今後については障害者の実態、生活等によって一層適合するように、その御要望に沿って所得保障施策のあるべき姿についての総合的な検討、これに対する前進を図りたいと思っております。 —————————————
○委員長(片山甚市君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、浅野拡君が委員を辞任され、その補欠として森山眞弓君が選任されました。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないものと認めます。 本案の修正について高杉君から発言を求められておりますので、この際これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、本案に対し、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会の各派共同提案による修正案を提出いたします。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 それでは、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、 一、政府原案では、老齢福祉年金について、扶養義務者の所得に応じた二段階制を導入しておりますが、これを現行どおりとするための修正を行おうとするものであります。すなわち、老齢福祉年金について、扶養義務者などに一定の所得があるときは、政令の定めるところによりその一部を停止する旨の改正規定を削除することであります。 二に、昭和五十六年度における年金額の物価スライドの実施時期について、政府原案の厚生年金保険及び船員保険については昭和五十六年六月から、国民年金については昭和五十六年七月からとしているのを、いずれも同年四月に繰り上げることであります。 以上二点であります。 何とぞ、各委員の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(片山甚市君) ただいまの高杉君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。園田厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいまの日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会提出の修正案については、政府としては反対でございます。
○委員長(片山甚市君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより国民年金法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、高杉君提出の修正案を問題に供します。 高杉君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片山甚市君) 少数と認めます。よって、高杉君提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片山甚市君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。 一、本格的な高齢化社会の到来を迎え、中高年齢者の雇用の改善と特に適正な給付と公正な負担のあり方を含め公的年金制度全体の抜本的検討を加え改善を図ること。 二、婦人の年金権のあり方については、被用者の妻の国民年金への任意加入制度との関連も含め総合的な見地から検討を進め、速やかにその確立に努めること。 三、各福祉年金については、引き続きその充実に努めるとともに、関係諸制度との関連を含め、基本的な検討を行うこと。 四、本格的な年金時代を迎えるに当たり、受給者、被保険者に個別的かつ具体的に対応できるよう年金相談体制を充実するとともに、業務処理体制の強化を図り、これにあわせて、支払期月、支払回数及び支払方法の制度間の整合について検討すること。 五、老齢年金及び通算老齢年金は、非課税とするよう努めること。 六、五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用の問題について、具体的方策を樹立し、その適用の促進に努めること。 七、積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、積立金の民主的運用に努めること。 八、児童手当制度については、長期的展望に立って、制度の基本的な検討を進め、その改善に努めること。 九、国際障害者年に当たり、障害者の所得保障施策について総合的に検討すること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(片山甚市君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片山甚市君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、園田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
○委員長(片山甚市君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査のうち、社会保険労務士法の改正に関する件を議題といたします。 本件につきましては、遠藤君から委員長の手元に社会保険労務士法の一部を改正する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。遠藤君。
○遠藤政夫君 ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案の草案について、その趣旨を御説明申し上げます。 近年におけるわが国の産業、社会事情の急速な変化に伴い国民の労働・社会保険制度への関心は一層高まってきており、またその重要性は増しつつあります。 さらに、労働・社会保険諸法令の整備充実に伴い、その内容も複雑かつ専門的なものとなっており、社会保険労務士の果たす役割りは、量的、質的にも著しく拡大されております。 このような実情にかんがみ、昭和五十三年には、それまでの社会保険労務士制度の発展と実績を踏まえて、業務の拡大、充実、法定団体の設立等に関する規定の整備が行われたところであります。 また、その際、衆参両院の社会労働委員会において、できるだけ早い機会に、登録制度への移行措置を講ずる旨の決議がなされております。 その後、全国にわたって法定団体が設立され、社会保険労務士の組織化が進み、かつ、全国社会保険労務士会連合会の事務処理能力も著しく向上しております。 社会保険労務士制度の以上のような実情等を考慮すると、業務のより適正な運営に資するためには、懸案の諸点について、この際、制度を整備充実する必要があり、ここに本法律案を提出する次第であります。 以下、本案の内容の概要を申し上げます。 第一に、社会保険労務士の職責の明確化を図るため、社会保険労務士は、品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で誠実に業務を行わなければならないこととしております。 第二に、社会保険労務士会の会員である社会保険労務士は、すべての申請書等の提出に関する手続を行うことができることとするとともに、省令で定める申請書等で他人が作成したものにつき、これを審査した場合、その審査した事項等を書面に記載して申請書等に添付し、または申請書等に付記することができることとする等業務内容の充実を図ることとしております。 第三に、資格要件を整備し、社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験の合格に加えて、二年以上の実務経験を必要とすることとしております。 第四に、現行の免許制を登録制に改め、登録事務は全国社会保険労務士会連合会が行うこととし、所要の登録手続について規定することとしております。 なお、現在すでに免許を受けている者については、経過措置を講ずることとしております。 第五に、社会保険労務士会の会員でない者は、他人の求めに応じ、報酬を得て、申請書等の作成事務及び提出代行事務を業として行うことができないこととしております。 なお、この改正によって税理士、行政書士が法令の定めるところにより行ってきた既往の業務内容に何ら変更を加えるものではないのであります。 以上がこの法律案の草案の趣旨でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(片山甚市君) 本草案に対し質疑、御意見等かございましたら、御発言願います。——別に御発言もなければ、本草案を社会保険労務士法の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会の各派共同提案による社会保険労務士制度の改善に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 社会保険労務士制度の改善に関する決議(案) 社会保険労務士制度の現状に鑑み、次の事項について改善を図るものとする。 一、労働・社会保険関係事務の複雑化専門化に対応し、社会保険労務士の業務の充実を図るため、事務代理制度の実施について検討すること。 二、中小企業における労働及び社会保険に関する事務の改善を図るため、社会保険労務士を活用する方途について検討すること。 三、社会保険労務士制度と行政書士制度との関係については、過去の経緯、実績をふまえ、両者の業務の円滑な運営が可能になるよう法改正を含めて、できるだけ早い機会にその解決を図ること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(片山甚市君) ただいまの高杉君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(片山甚市君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、園田厚生大臣及び深谷労働政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいまの社会保険労務士制度の改善に関する御決議につきましては、厚生省としてはその趣旨を尊重し、今後とも社会保険労務士制度の一層の適正な運営に努めてまいる所存でございます。
○委員長(片山甚市君) 深谷労働政務次官。
○政府委員(深谷隆司君) ただいまの社会保険労務士制度の改善に関する御決議につきましては、労働省としましてはその趣旨を尊重し、今後とも社会保険労務士制度の一層の適正な運営に努めてまいる所存であります。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず政府から趣旨説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。 廃棄物の適正な処理は、国民の生活環境を保全し公衆衛生の向上を図る上で必要欠くべからざるものであり、廃棄物処理施設の適正な整備を図ることはその中心となる施策であります。このため昭和三十八年度以来四次にわたり廃棄物処理施設の整備計画を策定し、廃棄物処理施設の計画的整備を図ってきたところでありますが、なお緊急かつ計画的な整備が必要となっているため、現行の廃棄物処理施設整備計画に引き続き、昭和六十年度までの第五次廃棄物処理施設整備計画を策定することとした次第であります。 改正の内容は、厚生大臣は、昭和六十年度までの間に実施すべき廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び事業の量について計画を策定し、閣議の決定を求めなければならないこととすることであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(片山甚市君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(片山甚市君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 広域臨海環境整備センター法案について、運輸委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。午後四時二十四分散会 —————・—————