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94回国会参議院1981/03/27

公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号

発言数
95
登壇者
10
会派数
5
開催日
1981/03/27

会議録

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る二十五日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として大川清幸君が選任されました。     —————————————

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 私は、いままでの当委員会における論議を踏まえながら、きょうは大事な委員会になるということでございますので、少し整理をして御質問したいと思います。  まず、衆議院におきましても参議院におきましても、当公選法の委員会というのは、わが国におけるすべての公職にかかわる選挙について、その制度なりあるいはまた各般の中身について議論をし、法制化をしていく、そういう意味では非常に選挙の民主主義あるいはまた選挙の自由化ということに関して、重要な責任を持っていると思うのであります。  昨今は、御案内のとおり、ロッキード事件に始まりまして、それ以降も最近の千葉県の知事選挙に関しても見られますように、国民に政治的な不信をむしろ助長するような事件が続発をしてまいっております。  本来選挙というものは、もちろん最大限その自由を保障されてとり行うことが民主主義議会政治のもとでは大事なことだと思うのですが、しかし、そのような反社会的な、反民主的な、反道義的な選挙というものの態様が間々見られるとなりますと、それに対する一定の規制というものをルール化しなければなりません。そういう点では、当委員会が手がける制度、法制の施策について、何がしかの規制措置が必要な限度で議論され、決定されていくということを私は否定しないわけでありますけれども、それだけで果たしてじゃ選挙が浄化されるものかというと、いままでの実態から見て必ずしも十分に期待し得ない。したがって、もっと倫理的なといいますか、人間としてのモラルというものを高めていくということに視点を注がなければならぬと思うのであります。そのことが国民の信頼を回復する上で非常に重要だと思うのでありますが、具体的には、そういうことになりますと政治資金の規正の問題などが実は当然日程に早く上らなければならないと思うわけでありますけれども、特に後藤田さんあるいは片岡さん、これらについて今回の改正案を提起される際にどのようにお考えになられたか、基本的なひとつ所信を伺っておきたいと思います。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) ただいま福間委員からお話しのとおりに、選挙制度というものは何といいましても代議制民主主義の根幹をなすものでございます。したがって、この選挙が自由濶達に行われますとともに、どこまでもやはり公正で国民の納得のいくといいますか、公正で金のかからない、そしてきれいな選挙であってほしい、それでなければ私は政治の信頼を国民につなぐことはできない、かように思うのでございます。私は信念的には常に政治は最高の道徳であると、こういうふうに思っておるのでございまして、そういう意味からやはり選挙制度というものは国民に信頼される政治が成り立つための基盤でございます。そういう意味において、どこまでもこの制度がりっぱに運営せられなければならぬ、このためにはいろいろな自由濶達の中にも国民の意思が公正に反映せられるような制度でなければならない、かように思うのでございまして、その意味において私は選挙制度の審議というものは非常に重要な役割りを演じていただく、この委員会もそういう重要な任務を持っておられると思うのでございまして、そういう立場から今回いままでいろいろわれわれの自由民主党において議論せられましたいろいろの方途について十分な審議をいたしまして、大方の了承を得られ賛成を得られたものについて今回御提案を申し上げたような次第でございます。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 今日一番私は日本にとって肝心なことは政治に対する国民の信頼、これを回復するということが重要な事柄だと思います。それがためには健全な民主主義の基盤をなすものはやはり選挙だろうと思います。それだけに選挙が公正でしかも明朗に行われることが私は一番肝心だろうと思います。したがって、本来選挙であるとかあるいは政治活動、こういうものは自由濶達に行われるべきが私はあるべき姿だと思います。しかし、現実は必ずしもそういうわけにもいきませんので、やはりこれに対するある程度の規制は必要であろう、その規制はしたがって公正な選挙を行うことができるための必要最小限度のものでなければならない、かように考えます。そういうような観点から見て、わが国の今日の選挙法、まことに理想には私は必ずしも十分なものとは考えておりません。少し規制が厳し過ぎるなということも率直に考えるわけでございます。しかしながら、現実を踏まえてこういうものはやらなければならぬわけですから、今日の実態から見ればこの程度のものはやむを得ないのではないかなと、かようにも片方で思うわけでございますが、お互いに各党が話し合い、各候補者の自覚を待ってできるだけ今後の方向としては自由濶達に行うことができるようにするのがわれわれの務めではないか、かように考えるわけでございます。そういった観点から自由民主党でもいろいろこの選挙の制度なり、あるいは政治資金のあり方の問題なり今後とも大いに勉強し検討して各党間の話し合いを経て直すべきところは直していかなければならぬと、考えておるわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 まあ御両氏ともお話を聞いていますと私もそうあってもらわなきゃ困ると思います。問題は具体的に、したがってどう対処していくかということが大切なことだと思うのです。立会演説会をめぐる問題、あるいはまたテレビをもっと活用してはどうか、さらにまたかねがね言われてきました政治資金のあり方、すべて含めまして当委員会は積極的にこれからも対処していかなければならぬと思います。私はかねがね感じていることでございますけれども、それぞれの国なり社会なりの歴史とか伝統が違います。また議会政治の発展の足取りも違います。まあ世間的にその国における、その社会における国民の政治に対する関心度合い、あるいはまた民主主義というものの発達の水準、そういうものによってしか、それに見合う政治なり政府しか国民は持てないんだと、こういうふうな格言めいたことが言われておるわけでありますが、私はけだし至言だなと、こういうふうに思っているわけですが、ということは逆に言えば、片岡さんの言葉じゃありませんが、政治はもう最高の道徳だと、こういうふうに考えるならば、したがって政治に直接かかわる立場の音あるいは選挙を具体的にやろうとする者が先頭に立ってより広範な有権者、国民の政治的な意識というものを正常にかき立てていくような啓発の意味合いを持った選挙ということを私は十分考慮すべきじゃないかと思うのです。そう毎年毎年国会の選挙があるわけではありません。地方自治体を含めればことしもずいぶんございますが、何といっても選挙の象徴的な場面は国会の選挙だと思うのです。そうしますと国会の選挙を基軸にして、あるいは地方自治体を含めた首長あるいはまた議員、かなり多くの選挙が全国的には年間通じてあちらこちらで行われるわけです。しかし、その最高のものは私は国会の選挙だろう、こういうふうに思いますので、この国会議員の選挙というものを基軸に選挙のあり方というものを逐年ひとつ改善をしていく、こういう努力を私は必要としていると思います。  で、今回の提案の中身はしたがってその一部であってもすべてではまだないと思うのでございまして、まあ与党自民党としてきょう代表でお二人御出席をいただいておるわけですけれども、この提案そのものは与党だけの提案とは私ども必ずしも思っておりませんけれども、実質的には衆議院段階でも与野党一定の話し合いというものを経てなされてきていますから、それに関しましては与党だけの代表だと、こういうふうに必ずしも思っていませんけれども、一応この場合与党の議員とされまして、今回の改正案はともかくとして、これからの選挙制度にかかわる改善策というものを諸般にわたって手がけなければならぬのですが、どういうふうな手順といいますか順番といいますかスケジュールで考えていかれようとしているのか、特に与党の中でその関係委員会の責任ある立場に後藤田さんもおいででございますので、たとえば今回のこの提案に関しましてもすでに議論が出ていますように、個別訪問の自由化ということについては後藤田さんは個人的には積極論者だと、こういうふうに承知をしておりますけれども、当面はそれはなかなか困難なんだと、こういうことのようですが、しからばどういう手順でこの個別訪問の自由化というものについて手を染めようとお考えなのか、あるいはまた立会演説会についても形骸化している現状を改めなければならぬという議論がありますし、一方においてもっとテレビを活用したらどうか、こういうふうな考え方もすでに口の端に上っているわけでありますけれども、そういうものをいつ研究してみるとお考えなのか。あるいはまた地方選挙の公営化ということもかなりこれは古くて新しい課題でございますが、叫ばれております。これについて、もちろん一定の財源も必要になってくるわけですけれども、どういうふうに取り扱おうとされているのか。まずその選挙運動関係についても以上三つの点を、いままでの議論の中でまた御答弁の中でただしておきたいと、こういうふうに思います。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 自民党の中のこの調査会では、一つは選挙制度それからもう一つは選挙運動もう一つは政治資金と、この三つの小委員会を設けまして、それぞれの小委員会でそれぞれの問題を洗い出していって、そして成案を得れば、各党の皆さん方ともお話し合いをして、少しでもできるものから改革をしていきたいということで検討いたしておるのですが、その基本は、やはり従来の政府の選挙制度審議会、ああいったような委員会での御議論、あるいはまた大平内閣のときに総理の諮問機関としてできた委員会がございますが、それの答申等を見ましても、今日一番問題は、選挙に金がかかり過ぎるんだ、個人選挙に日本の選挙制度はなっておる、やはり選挙というものは政党対政党の選挙に改むべきではないのかという基本の考え方がございます。そういった考え方も根に持ちながら、いま言った三つの委員会でそれぞれの検討を進めておるわけでございますが、まず選挙制度の面については今日一番論議せられておるのが参議院の全国区制度の問題であろうということで、これについて党としてもほほ成案を得ておるという段階になって、これから野党の皆さん方にも御相談を申し上げたい、かよう係な段階でございます。  もう一つの選挙運動の面については、これは御質問の中の個別訪問をどう扱うかとか、あるいは立会演説会が形骸化しているからこれをどのように改めたらいいのかとか、あるいは後援会活動についてもう少し自粛するような方法がありはしないのか。いろいろな問題点がたくさんございますが、これらも実は論議をしたわけでございますが、いろいろな甲論乙駁、結論を得なかったわけでございますので、とりあえず今回は、一応皆さん方のおおむねの御賛同を得られる限度について、しかも野党の皆さん方の御同意も得られるといったような事柄に限って、理想は理想として現実余りにも弊害が多いというものをひとつ是正しようではないかということで今日御提案をしておるわけでございますが、残った問題についても引き続いて検討をして、そしてできるだけ結論を得ていきたい、かように考えておるわけでございます。  もう一点の政治資金の問題は例の附則の八条で政治資金全般の見直しをやらなければならない。その際には個人献金への強化ということと、政党あるいは政治資金団体あるいは組合関係、いろいろな政治資金のあり方、これをどう考えるかというような点についても検討しなければならないということで、まだ作業にかかっておりませんが、近くそういった点も論議も進めたい、かように考えております。同時にまた、選挙の問題を考える場合には定数是正という重要な問題がございます。これらあわせて定数の問題は選挙制度の委員会で論議を進めていきたいと、かようなスケジュールで自民党としては取り組んでおるのが現状でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 個別訪問とか立会演説会、その他地方選挙の公営化等、これから考えていくと、こうおっしゃいましたから当然そうあってもらいたいと思うのですけれども、さしあたっていつごろをめどに考えるということまではこの場ではむずかしいかと思うのですけれども、そういうふうな御答弁だったと思います。それはそれとして私やむを得ないと思うのですが、その前にいま後段で触れられましたように政治資金のあり方、あるいはまた定数問題、これは差し迫った問題として手がけなければならぬということに相なるんだろうと思うのです。特に政治資金は先回も私どもの宮之原委員から触れておられたわけですけれども、皆さん方の中で調査小委員会を設けて五年目の見直しということを契機に、やや事態を逆行させるような企業献金枠の拡大ということが一部の新聞で報道されまして私びっくりしているのですが、後藤田さんも片岡さんもそれについてはどのようにお考えなんですか。そういう方向の改正をしようと考えていかれるのか。実は五年の見直しというのは三木内閣の当時のやや中途半端なものをもっと規制を強化しよう、企業献金などを強化していこうと、おっしゃるとおり個人献金の枠を拡大していくというふうに、もう一歩、二歩踏み込んでいこう、みずからそういう制度の中に新しい道をひとつ求めていこう、これは与野党があるいは各議員がともどもそういってとであったんじゃないかとも思うのですけれども、最近の動きではその点が少し懸念される風潮を感ずるんですが、その点はどういうふうに方向づけとして基本的に考えていかれようとしているのか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 数日前の新聞で塩崎さんの御意見が出ておったのを私も読みました。しかしわが党であれを審議したという事実はまだございません。恐らくやああいった案が塩崎君からは当然出てくるのじゃなかろうかなと思いますが、さて出てきた段階で党内でどのような論議がありますか、ああいう考え方も一つかもしれません。しかしそうでない、これは適当でないよといった議論も出るかもしれませんので、いまここでどういう結論、どういう方向に決まっていくであろうということを私はお答えできる段階でございません。これは時期尚早であろうと思います。  ただ、私の考えは、個人献金を強化する、これは結構でございます。しかしながら同時に企業献金は廃止をしろと、こういう御議論があるのに対しては賛成ができないわけでございます。今日の日本の社会は個人と、それと法人というもので成り立っておって、法人もりっぱな社会的存在でございまして、政治のあり方について、やはり重大な関心を持つということは当然であろう。問題はその政治資金をいかに明朗化するかということが肝心なのであって、団体の献金は初めから悪である、個人の献金は善であるというふうにきめつけるのは今日の実態から見て、私は必ずしも適当ではあるまい。両方とも明瞭にしなければ、個人献金必ずしも今日の段階で明瞭になっておるというふうには考えておりません。しかし、これは私の意見でございまして、そうじゃない、個人献金の方法が一番いいんだ、こういう御議論もありましょうからこれらは自由民主党の中で幅広くこれから検討をしていかれるであろうと、かように考えているわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 後藤田さん、この国会が終わるまでに成案を得、改正法案として提出されるような段取りを考えておられるのですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) それは政治資金の件でございましょうか——これは私はどうなるかまだ論議しておりませんから何とも言えませんが、まああえて申し上げれば、とてもじゃないが間に合うまいというふうに私は考えておりますが、これはまた党の中で、これから検討しますから、ここでこうなるということは言い得ない、私のいまの段階での意見ということであれば間に合うまいと、かように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 ぜひこれからの検討の過程では、先ほど申し上げましたように、現在、三木内閣のときに一部改正施行されてきたこの法案の審議の経過を、あるいは精神をやっぱり踏み外さないで、より個人的な政治への意識の高揚あるいはまた政党なり、支持する議員への協力ということを有権者の自覚に立って促していく。言葉をかえれば、個人的な立場での献金というものにつながっていくわけですけれども、そういうものをより拡大していく。そして、おっしゃるとおり明朗な選挙資金のあり方というものを、出す側も受ける側も一段と鮮明にしていくような、そういう方向での改正を私は心がけてもらわなければいけない。おっしゃるとおり、企業の献金すべて悪だと、こう言い去る気持ちはありませんけれども、したがって、現在でも企業を初め、各団体の寄付については一定の制限というものはやはり加えているわけですね、原則としてそれは否定はしないという立場で。だが野方図にしてはこれはもう悪だということで一定の規制をしているわけですから、その程度、その水準がどういうものが妥当なのかという議論になっていくと思うのですね。その点はもう釈迦に説法でございますので、今後の検討の中で十分趣旨を踏み出さないように善処をひとつお願いしたいと思います。  次に、もう一つの点で後藤田さんも触れられました定数の問題でございます。  これは選挙部長にお伺いをしたいのですけれども、昨年の秋でしたか、ことしの正月明けでしたか、選挙部長の方で、衆議院に関する定数是正について三つの考え方というものを出されたと聞いておりますが、内容をひとつお聞きしたいと思います。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○政府委員(大林勝臣君) 二月の衆議院の公職選挙特別委員会におきまして、今後の定数是正をやる場合に新自由クラブの小杉委員の方から御質問がございました。こういう方式でやればどうなるか、ああいう方式でやればどうなるかという御質問でございまして、その内容は要するに定数是正をいたします場合に考えられる手法として、初めから全面的に是正をし直すという立場に立って、総定数をまず都道府県に人口比例で配分をしまして、その後その県内で選挙区ごとに配分をする、そういう方式。  それから、これは全部衆議院のお話でございますけれども、二つ目のやり方としましては従来定数是正で使ってまいりました方式、つまり一人当たり人口の全国平均をとりまして、上下三分の一ずつを比較いたしますと、上下がちょうど二倍になるということになりますから、その範囲内で定数是正をするとすればどういう増減になるか、こういうやり方。  それからもう一つのやり方は、要するに一番一人当たり人口の多い選挙区から一人減らして、一番一人当たり人口の少ない——つまり上下の格差でありますから、いわゆる増減同数で格差をたとえば二倍以下に是正する場合には、議員一人当たり人口の少ない選挙区の定数を一人議員一人当たり人口の多い選挙区の定数に持っていって、つまり上と下を一人ずつ減らし、ふやしていくと、こういうかっこうで現行定数のままで二倍以内におさまるようなやり方もございます。つまりこの三つのやり方で総定数を現在の五百十一人のままで固定をしてやった場合にどうなるかと、こういうお話でございました。  そこで、一番最初の現行総定数を県に配分をして、県の中でさらに配分をする、こういうことになりますと、増員となる選挙区が三十五選挙区ということになり、減員となる選挙区が六十選挙区に及ぶ、合わせて九十五選挙区、つまり百近い選挙区に影響が出るということであります。  それから二番目の、つまり全国平均の上下、これを二倍というものにおさめるためには増員となる選挙区が二十四選挙区、それから減員となる選挙区が二十一選挙区出てまいります。合わせて四十五の選挙区に影響を及ぼす。この二番目の上下の格差を全国平均で是正をいたします方式をとります場合には、総定数を固定をして行うということはできませんで、その場合には増員が十三名出てまいります。  それから第三の方式、つまり上下一人ずつ足したり減らしたりしていく方式、これでまいりますと、増員となる選挙区が二十二出てまいりまして、減員となる選挙区が二十九出てまいります。合わせて五十一選挙区に増減の影響が及んでくる、こういうお答えをいたしたところであります。

福間知之日本社会党

○福間知之君 一人当たりの比率を一対二の範囲内に抑えるという趣旨での試算だと思うのですけれども、もちろん前回の委員会でも単に人口比例だけじゃなくて、経済的なあるいはまた地理的な事情の勘案ということも必要だと、こういうことが言われるわけでありまして、そういう点をいま申された話は加味されていませんからね、加味されていませんから、だから選挙部長はその三つの中でいま言った地理的な経済的な事情などを加味して考える生言いましても、なかなかこれはむずかしいと思う。何も計数的に出てくるものじゃありませんからね、過去の伝統、慣習というものにあるいは強く引っ張られてしまうという可能性があるわけですから。  そういうことはそういうこととして、いまの三つの考え方の中で、選挙区が増員されるところ、減員されるところ、その選挙区の数が述べられましたけれども、第一の案では九十五ですか、選挙区が動く、併合区なんかも含めて考えるとさらに変動はふえると思うのですけれども、この第一、第二、第三と、こういう中で、採用するとすれば、仮定の話ですけれども、どのシステムがよりベターであるとお考えか。変動する選挙区が少ない方が抵抗は少ないということでベターだと、こういうことになる危険もあるわけですね。もちろん、いまの第二の方式の場合に総定数が十三名ふえるという、これはまた別の角度から問題がありまして、にわかに賛成しがたいわけですけれども、定数を現行どおりとして考えた場合に、変動区がより少ない方を求めるということになりがちだと思うのですけれども、そのことが必ずしも合理的だとは私は思いません。だから、まあこういう試算をされた立場でどういう感想をお持ちでしょうか。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○政府委員(大林勝臣君) こういう方式で全くの数字的な計算をしたにとどまりまして、先ほどお話しのように、人口以外のいわゆる大変微妙な諸要素をどういうふうに考えるかということが一番のポイントになってまいるわけでありまして、そのあたりの考え方いかんによりましてどういう方式が一番現実的であるかという結論も出てまいろうかと思います。従来、定数是正のやり方につきましては長い間審議会等でもいろいろ議論がございました。かつては二番目の方式、つまり全国平均をとりましてその上下を何倍かにおさめるための操作をすると、こういうことで過去二回定数是正が現実に衆議院で行われてきたわけでありますが、その時点におきましてはこの第二の方式が実現可能性の一番濃い方式であると考えられた結果採用されたわけであります。したがいまして、人口以外の諸要素その他の政治的な配慮をどう考えるかによりましてどういう方式をとるかということが決まってまいろうかと思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 第二の方式というのは、選挙部長のおっしゃる異動選挙区が比較的少ないということを含んだ方式ですね。したがって今後もそれにならって是正を考えるという可能性が非常に濃厚だと、こういうふうに思うわけですけれども、それはまあそれとしてここでの議論になし得るものじゃありませんが、後藤田さんにお聞きしたいのですけれども、昨年十二月の東京高裁初め、下級審でも幾つか、人口比例で一対二という範囲を超えるものは憲法違反だと、こういうふうに判決が出、ひいては、後藤田さんの言葉によれば、裁判所の取り扱いにはなじまない問題なんだと、こういうことだとすれば、まさに私もそう思うのですけれども、それだけ国会で是正を急がなければならない、そういう責任があると、こういうふうに思うのですね。ただいま一応事務当局でも衆議院に関してそのような定数是正についての検討もされているのですが、後藤田さんはこれを国会の場にのせるということについて、その考え方、その時期というものをどういうふうに決意されますか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 先般お答えしましたように、この定数問題というのは私は司法判断にはなじまない、これはやはり立法府の高度の政治判断に基づく裁量権の範囲内の問題だ、そういうように考えておるわけですから、それだけに立法府の責任は重いわけでございます。やはり余り一票のいわゆる価値というものが開き過ぎるということは必ずしも適当でありません。是正すべき点があれば各党間で話し合いをしてその上で是正するのが筋道だと考えておるわけでございますが、さて、それじゃどの程度がいいのか悪いのかということになると、私は人口というものが重要な要素だということは否定できないと思います。しかしそれだけではありますまい。やはり行政区画であるとか、あるいは産業構造、人口構成、あるいは地理的な条件、あるいはまた過密過疎の評価の問題、いろんな複雑な要素を加味してこの立法府の場において解決すべきであろうと思います。  御質問の中に一対二云々の問題がございますが、人口だけの一対二でやるということになれば、百三十の選挙区のうち戸前後のものが動かざるを得ない。これは言うべくして現実の政治課題にはなり得ない。つまり、定数是正という観点だけで一対二というようなやり方で改正せよと言っても、これは選挙制度の基本に触れてくる大きな変革になりますから、選挙制度全般の改革といったような際でなければそういったトラスチックな改革ができるはずのものではない。またそれは適当とも私は思いません。やはり何らかの選挙制度全般の改正と絡めてそういう問題は解決をしていくのが適当であろうと思います。  もしそれができないといった場合になれば、今度はそれじゃ極端なところだけは直したらどうだという議論が当然出てくると思いますが、その場合にどう考えるかというと、私は最低と最高だけを比較してやるのはいかがなものかなと。やはり投票権の平等ということを考える場合には、全国平均というものを基礎に置いて、そして両極端があるならばそれを是正をする。その是正の際にも、やはり従来のやり方はそういった極端なものを、議員定数をふやすということによって過去二回改正してきておるわけですけれども、今日これ以上議員の数をふやすということは国民的な理解は私は得られないので、やはり現在の定数内で是正をしなければならない。そうすれば、その際に両極端をどの程度に抑え得るかというと、これは当然若干の選挙区の定数の増減を来すわけですから、大変各党間の利害というものが複雑に絡み合うし、個々の議員そのものの利害も絡み合うということでございますから、そう余り大きな改革をやるということはその方法では困難じゃなかろうか。そうすれば、しばらくたてばまたこういった同じような議論がその都度出てくるということでございますから、むしろこの際、改正をするならば定数是正の問題は選挙制度の大きな基本に触れてくる問題ですから、制度全般と絡めて是正をするのが一番いいのではないのかなと、こういうふうに私自身は考えておるわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 そういうことになりますと、衆議院と参議院と多少また判断は後藤田さん自身も頭の中では違っているとは思いますけれども、衆議院に関して本当に定数是正に踏み込んでいくとなれば、制度の改正と、こうおっしゃいましたけれども、それは多分に小選挙区制というようなものを念頭に置かれたお話でしょうか。  それで現に一対二の範囲にとどめるということを固定して考えないまでも、昨年のダブル選挙のときに当日の有権者の数で一人当たり議員の必要得票数を見た場合に、すでに御案内のとおり、千葉四区と兵庫五区、最高と最低のところで三・九五という格差が出てます、約四ですね。これは五十年の国勢調査のときの三・七二からさらにコンマ二三格差は開いているということでありまするし、選挙が終わりました昨年の秋の国勢調査によりますと、さらにこれは一対四・五四というふうにかなり大幅に広がってしまっておりますね。だから、まあ一対二というこの範囲に抑えるという考え方に立たないまでも、もうこれだけの四以上、四・五四という差がついているのですから、私は一対二にいくまでの過渡的な一つの改革というものは、裁判所の判断からいきましても、国会は速やかに手を染めるべきだ、国会のそれこそ権威にかかわる。司法から独立して国会はやるべきだと、こういうふうに思うわけです。その場合に制度の改革を伴うということまでおっしゃられますと、何か百年河清を待つような気がします。その制度の改革が一体何かということにもよりますけどね。小選挙区制までいかないにしても、それならそれで政党が腹を決めたら早くやれるのじゃないかと、こういうふうな気がしております。  それはそれで一つ私の考え方でございますけれども、関連して参議院の場合ですね。これはわが党も一定の定数是正の考え方を持っております。すでに提起もしてきましたが、これはアンバランス是正のために若干の増員を含んでおります。しかし、私は自民党、与党の方も具体的な改正案というものを当然提起されなければ話にならないと思うのです。それがその定数を現行どおりで考えるにせよ、若干の増員を不快と考えるにせよ、具体的な改革案を出して、そして議論に供していかないと、抽象論では一向に事態は前に進まない、こういうふうに思うわけであります。まあ衆議院以上に格差は開いていることはもう御承知のとおりでありまして、この参議院の方についてはどうお考えですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 私は、先ほど申した制度改正とあわせてでなければ、現実に余りトラスチックな案はできないでしょう、ならば、極端なところだけをびほう策で直していく、これは一つの方法でしょうと申し上げているのですが、その都度そういうやり方でやってきたが、それでいくとまた毎回こういう問題が起きてくるなあということがあるので、まあ何とか思い切った改革というものをやる、それは制度とあわせてやった方がいいなあと、こう思っておるわけでございますが、その際に小選挙区を頭に置いているのか、こういうことでございますが、私は必ずしもそんな狭い範囲で物を考えているわけでありません。これは制度全般どうすればいいんだといったような際にやればいいので、一定の小選挙区制度というものを頭に置いて改正をしなければならぬと、そういうふうな狭い考え方でないことはお答えしておきたいと思います。  さて、御質問の参議院の問題ですが、参議院の問題についていま全国区制の改革をやった方がいいじゃないかということで自民党で一応の調査会としての結論を得ておって、これから先、野党に御相談するのですが、これはまさに私の言う制度の大改正になるわけでございますから、参議院については衆議院とは多少定数問題の考え方が違いますけれども、やはりこういった大改革である以上は参議院の地方区の定数についてもこれは私はあわせて考えた方がいいのではなかろうか、その際、現実的に可能な案は何かと考えれば、私は逆転選挙区の定数是正ぐらいはこの際やらなければちょっと筋が通らぬのではないかなというふうに考えておりますが、これはいずれ全国区制の改正案を野党の皆さん方に御相談をする際にもそういう論議は参議院を中心にひとつ十分御議論をしていただきたい、かように考えておるわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 わが党の選対の委員長が隣におるんでございますが、先回もいまのお話の向きは多少議論がされました。時間の関係で私、割愛せざるを得ないのですけれども、そうしますと、一言お聞きしたいのは、全国区制の改正、自民党与党一票制の拘束名簿比例代表制と、こういうことで私どもはちょっと賛成いたしかねる、こういう立場でございますが、それは与野党の話し合いを通じてできれば国会に出せるようにしたい、こうおっしゃいましたが、それとあわせて地方区もできれば通したいと、こういう御趣旨ですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) これは私の考え方でございますから、その際には制度の大改革になるのだから、少なくとも逆転選挙区などというものは是正を一緒にすべきであろうと、かように考えておるわけでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 参議院は全国区、地方区とも、ただいまのお話では、にわかにそれはそうでございますか、結構ですなと、こう言えないものでございますので、改めてまた議論を本格的にやらなければならぬ、こういうふうに思います。  大臣もお見えになりましたので、ちょっと先に急ぎたいと思います。  今回の改正の中身について、一つは後援団体の立て札、看板類の数的規制あるいは事務所、連絡所表示のポスターの禁止につきましていろいろ議論も行われてまいりました。一つは先回指摘がありました東京都議選を控えて、この改正案がいまなお国会で審議中であるにもかかわらず、その内容を前提とした、あるいはまた一部誤解をした候補者陣営に対して一定の指導といいますかを行っているのではないか、こういう指摘がございましたが、それについては、選挙部長、その後、日にちは余りたっていませんけれども、しかるべく善処はしていただいたのでしょうか、その点だけお聞きしておきます。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○政府委員(大林勝臣君) 先般の宮之原委員の御指摘でございました都の選挙管理委員会の方で簡単なプリントを配られたようでございますので、そのいきさつをただしてみたわけでありますけれども、何でも都議会の担当委員会の方からの要請によりまして選挙管理委員会として出したと、こういうことでございます。本委員会における御注意はその際に十分に申し上げたつもりでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 冒頭のお話じゃありませんけれども、選挙の自由を最大限尊重していくといったてまえから言って、少し看板類等に対する規制というものがひっかかるわけでございます。まして新人の場合にはかなりダメージが率直に言って大きい、こういうことになってくると思いまするし、そういう点ではいろいろ議論もされてまいりました。繰り返すことは避けたいと思いますが、人間はもともと性善なのか性悪なのかというところまでいってしまうのですけれどもね。余り性悪説に立ち過ぎますと、規制を一方的に進めていくということにすべてにわたって考えたくなってしまいますので、おのずからそれにはみずからを規制して自由化という原則により立ち戻り、そういう精神で考えていかなければならぬと思っています。  ところで、一応この後援団体の立て札、看板の数について現行を改めるということで、衆議院の場合候補者十、後援団体一団体について十、これを改正案では候補者は現行どおり十、後援団体は一団体について、今度は団体を通じてということになっているのですけれども、十五と五割ふやした、こういうことで確認してよろしゅうございますか。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) 昨日衆議院の公職選挙特別委員会の理事懇において御相談をいたしまして一応決めましたものが、いまお話がございましたように、候補者個人については十、それから後援団体については五割増しといいますか、一団体五割増しの十五本と、これを総量規制とする、総量についてはそういうふうに一応決めた次第でございます。いずれ参議院の問題については皆様方の方でいろいろ御相談をして決めていただくことになると思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 参議院の全国区は現行百ですね。地方区はそれぞれによってちょっと違っていますけれども、この全国区、地方区、さらに都道府県の首長、知事さん、これについても後援団体については一団体で五割アップということで考えてよろしゅうございますね。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) 昨日決めましたものは衆議院について一応話し合ったわけでございまして、大体合意を得たものでございます。参議院についてはこれはやはり参議院の皆様方で御相談をいただいてお決めいただくことが適当ではないかと、かように思っております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 理事の方からも耳打ちがございましたが、もちろん参議院でございますからその話は参議院でするにしましても、片岡さんの方は私がお尋ねしているように衆議院と同様に後援団体については五〇%アップは妥当だと、こういうふうにお考えですか。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) まあ大体そういう線が衆議院との均衡上適当なものかなあと、こういうふうに思っておる次第でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 じゃあ、それはまた改めて参議院の側で相談をさしていただくということにしたいと思います。  拡販車の規制についてでございますけれども、先回も議論がありましたように、一つは機関紙誌の販売という商業的活動の性格もあるわけですから、当然一定量の物をかついで歩くわけにもいかぬし、車で運搬をする。通常政党が選挙のあるなしにかかわらず購読者に対してそのサービスをしていく、これが選挙中においても行われていくわけですね。その場合に広い道路ばかりじゃありませんから、狭い裏道も駆けめぐらなきゃならぬとなれば、比較的に小さな軍を利用するというのは常識でもありますし、そういう場合に輸送の手段としてそういう車を活用することは、これはもう否定されませんね。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) 今回の改正はいわゆる拡販車が選挙中政策の普及宣伝のために使われることについて、対象となることについて規制したものでございまして、いまお話しのように本来の営業のため、ことに物を運んだり、一定の場所へ、AからBに輸送するというような場合あるいは一部の配達のために使われるというようなものについては、それは規制したものでないことは事実でございます。ただしかし、そういうことを利用して、そしてことさらに大きな看板を出したもので、「自由新報を読みましょう、」「社会新報を読みましょう」と書いたものをことさらにあちらこちらと引き回す、運転して回る、そして配達に名をかりてやや行き過ぎがあるような場合にはやはり規制をせられる場合があると思います。(「声を出さないということだけだったろう。違うな。この間と違ったら困りますよ」と呼ぶ者あり)

福間知之日本社会党

○福間知之君 いま話も出ていましたけれども、いわゆるスピーカーでかなり立ててということはいけないというように先回はお話がありましたし、いまのお話ですと小さな車で配達するのもどうも何かぐあいが悪いように聞こえるのですけれども、一戸建ちの一つの団地みたいなところがあると思えば、路地を入りますと肩を連ねた長屋もありますしね。それが一軒一軒購読者であるということもまた常識的には考えられませんのでね。車で運搬するといっても、一軒一軒とめて歩いているというようなことも、まずそういうケースは少ないと思うのですよね。常識的に見て従来のようにやることについてはこれは一向に差し支えないと、こういうように私どもは理解をしているわけですけれども、そうじゃないのですかね。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) これも先ほどお話しのように、性善説に基づいて善意にやっておられるといいますか、いわゆる政策の普及宣伝にという脱法行為を目指しておるということが考えられないような、そういう場合には私はそれは制限の対象にはならないと、かように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 拡声機の問題ももうすでに論議し尽くされましたので、私はそう思いますので、触れることを避けますけれども、大臣に一応お尋ねをしておきたいと思います。  冒頭にも申し上げたのですけれども、当委員会が選挙に関して諸般の制度なりを議論し検討をする、決定していく意味は非常に重要だということで、定数問題につきましても少しく確認をしたわけでございますけれども、大臣に改めて、一つは政治資金の規制、この問題について四十九年秋のロッキード事件に始まって昨今に至る一連の政治不信をみずから政治家が助長するような風潮を是正するために、与党の中でも一定の議論が行われておりますが、大臣はその点についてどうお考えかということ、さらにその場合に、個人献金をふやしていくということ、これはより私たち政党なり議員は追求をしていかなければならぬと思うのです、与野党の立場を超えて。たとえば与党さんでも、総裁選挙絡みとはいえ党員をふやすということについてかなり力を入れられたという経過もごく最近にもあるわけですからね。だとすれば、個人献金をふやしていくという、その手段を探っていくということについてどういうふうに考えたらいいのか、それらの点について企業献金の問題を含めて大臣の所見を伺いたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安孫子藤吉君) 個人献金のいまのお話でございますが、これは政治資金規正法におきましてもやはり十分に検討すべき問題だということを条文上も明示をされておるところでありますが、実際問題といたしましては、各党の政治資金に関する基盤というものがいろいろと違う事情もあると思います。それから、選挙制度、選挙の施行、選挙あるいは政治活動、これについて相当金がかかるということも、これも否定し得ない事実だと思います。それから、この問題は選挙制度の問題にもいろいろ関係を持つ問題でございまするので、大変複雑な要素を含んでおるものだと思います。しかし、お話しのとおりにできるだけ個人献金に移すべきであろうという議論も私は了承するものでございますが、これは総理も言っておられるわけでありますが、善悪の問題でありませんけれども、個人献金はすべて善である、それから企業献金はすべて悪であるという割り切り方もどういうものだろうかということだって、実際問題としてはないわけじゃなかろうと思います。しかし、法律の趣旨から申しまして、個人献金というものをだんだんと強化をいたしていくという方向については、これは恐らく各党とも異存がないと思いますけれども、その背景と申しますか、実態については以上二、三点申し上げましたので、そういう観点からいたしますと、これはよほどお互いに研究をいたしまして、全体としてはそういう方向に持っていくということでいろいろと論議を尽くしていただかなければならぬ、そういう問題だと思っておるわけでございます。  私の見解を申し上げました。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大臣のお話じゃありませんけれども、私も企業の献金は一切だめだと、こういうふうに割り切っているわけではありません。これは少し角度を変えて見ますと、私も大蔵のメンバーの時代によく議論をしておったのですけれども、今国会でも法人税制の改正などが出ているわけですけれども、その法人というものに対する見方が、社会的に、あるいはまた国会におきましても必ずしも与野党一致しておりません。法人擬制説、実在説ですね、あります。それが税金課税の方法論においても考え方としては違ってきているわけであります。そういう現状の中で、だが、現実に、日本は特に企業的社会とも言われるように、企業の待っている財力、あるいはまた国民の日常生活にまでいろいろな面で影響力をかなり持っているわけですから、そういう存在としての法人企業というものが実存しているわけですからね。だから、そこから政治献金を提供されることをこれは全く否定し去ることはできないだろう、そういうふうに別の角度からも感じるわけですけれども、やはりさりとて、先ほど大臣のおられないときに申し上げたのですけれども、与党の一部で企業献金の枠を何か拡大していくような議論が出始めているということに強い懸念を感ずるわけで、現在の資金規正法もあのロッキードの問題に端を発して、実は三木内閣の時代からでき上がってきたわけで、五年の見直しとは言うけれども、時代を後ろ戻りさせるような改革案は私は断じてとるべきでない、そういうことをすると、政党なり国会議員みずから国民に対する政治不信を拡大しても、決して改善することにはつながらない。今回の千葉県知事の問題だってその象徴ですけれども、そういうふうに考えるわけで、ぜひこれは大臣も長い経験を持った国会議員の一人とされて、日本の民主政治、議会政治あるいは明朗な政党の財政のあり方ということを確立するためにもはやり言葉じゃありませんが、政治生命をかけるぐらいの決意でひとつ対処をしてもらいたいと重ねて要望しまして終わります。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時開会

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、福間知之君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君が選任されました。     —————————————

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 休憩前に引き続き公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 自治大臣がお見えになっていませんので、先日の質疑に続きまして、拡声機の問題については大臣がお見えになってから触れることにいたしまして、初めに今回の法改正のうちの拡声機と同じように重要な問題であります機関紙拡販車の問題について質問をいたします。  二百一条の五以下の選挙期間中の宣伝告知のための自動車の使用禁止の現行法に今回新たに「政党その他の政治活動を行う団体の発行する新聞紙及び雑誌の普及宣伝を含む。」といういわゆる機関紙誌の宣伝カーの使用禁止が追加されておりますけれども、この問題の議論の前提として、私は今日のわが国の議会制民主主義のもとにおける政党の役割りと機関紙の位置についてはっきりさせておきたいと思います。  自治省の選挙部編の「政治活動の手引」の中にもこの辺について触れているところですけれども、  代表制民主政治の下における政党の機能は、まず、世論を組織化して綱領政策を決定しその実現を図ることによって、国民の支持の獲得と党組織への加入を図り、政党を通じて政治社会の構成員たる自覚をたかめることである。すなわち、絶えず党の機関紙その他マスコミの利用によってその主張の普及宣伝に努め、その活動状況を広く国民に報告するとともに、綱領政策を示してその浸透を図り、混乱し、対立し勝ちの世論に秩序と統一をもたらし、これを国政に反映することである。  また、選挙に際しては、特に詳細にわたって当面の政治、経済、社会その他諸般の問題についての党の立場を明らかにし、より多くの所属候補者の当選を可能にし、政権獲得への努力が払われるべきであろう。と、このように述べております。  私は、これは当然のこととして現在の政党ないし政党の機関紙の役割りを述べたものだと考えておりますけれども、この点についてはよもや御異議はなかろうと思いますけれども、提案者の御意見をお伺いしておきます。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) それはそのとおりだと思っております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 もう一歩政党の側から言えば、いま申し上げましたように、機関紙の役割りは重要であり、特に選挙中においてのその役割りは特別なものを持っているということですけれども、一方国民の側から言えばことに選挙中に政党の政策などを知る重要な手段である政党の機関紙誌の販売普及宣伝が拡販車の禁止によってこれが大きく制限され、その基本的な権利である知る権利が奪われるという紙の裏表の関係になる、こういう問題ですね。これがまた国民の知る権利は当然のことながら基本的な権利であると同時に、選挙期間中においてはなおさらのこと、先ほどの自治省の解説の中にも述べてあるように十分に保障されなければならないものであるというように考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) 機関紙誌というものはこれは平素から出ておるものですから、それを購読しておる人はただ選挙期間中というほんのしばらくの間だけに対する規制でありますから、私はそう大きな言論の自由に対する規制であるとは思いません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 選挙期間中と言っても一日や二日の問題じゃないんですよ。この前も私指摘いたしましたけれども、現にいま千葉で行われている知事選そしてそれに先だつ参議院の補選、結局間に若干の選挙期間でない日数を含みつつも、二カ月に近い期間が選挙期間中ということで全面的に禁止をされる。まさに知る権利への重大な侵害だと思いますけれども、なぜそれではそういう明らかに政党の活動としても基本的に積極的に行われなければならない機関紙活動、そして国民の側からも知る権利として当然保障されなければならないそれをこのような形で禁止するゆえんがどこにあるのか、はっきりしていただきたいと思います。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) その政党及び政治団体の政治活動といえども選挙期間中は一定の制限を受けるわけでございます。したがいまして、その拡販車がいままでは本当の機関紙誌の宣伝ということだけに使われるという前提のもとに自由に使われておったのでありますが、その後だんだんこの拡販車が選挙運動に紛らわしいように使われ、しかもその使用の仕方が非常に集中的に行われるということで、まあ社会の静ひつを害するというような点でいろいろと国民の批判もありまして、これはやはりせめて選挙の間だけは公正に、しかも国民に余り迷惑をかけないという範囲においてやるべきであると、こういう立場から脱法行為として使われがちであった拡販車について今回規制をしようとしたものであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いままでの質疑の中でも、たとえば政党の機関紙の拡販という形でそれに藉口して候補者名を連呼するなどのことがあるからそういうものを規制しなければいけないのだというふうにおっしゃる。いまの御答弁もそういう趣旨だと思いますけれども、それでしたら現行の公選法でちゃんと規制されているわけなんだから新しい立法なんか必要ないんですよね。結局新しい立法で拡声機の持ち込みの禁止、そして機関紙カーの普及宣伝もやめさせるということによって新たな政治活動への規制を広げるということ以外の何物でもないということを私は申し上げておりますが、候補者名の連呼などということだったら従来の公選法でできないようになっているわけでしょう。新しい立法は必要ないんじゃないですか。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) その拡販車において、候補者の名前を連呼したりあるいは選挙運動に至る行為が行われた場合には、現行法の選挙運動用自動車あるいは連呼行為禁止の規定の脱法行為として規制の対象としたものであります。いままで行われておったものがそういうふうに使われておる。やっぱりいままでの現行法でもそれは取り締まりができるわけでございますが、これは非常に困難である。どこに何台どう出ておるかというような点についても大変規制といいますか一々違法を取り締まるということについては非常に困難であると、こういうことでこのたび端的に拡販車というものに対する規制をしてほしいと、こういうことがわが党のみならずほかの党の皆さん方からもいろいろ意見が出まして、そしてその合意のもとにこういう案をつくったような次第であります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 これは自民党の議員立法を審議をしているんですよ。委員長、自民党席静かにしてもらってください。まじめにやってください。——実態を申し上げますと、これは衆議院の公選法の委員会でも山口議員が御自分の選挙区の実態として述べておられるのですけれども、こういうことを言っていらっしゃるのです。「私どもの選挙区で見ますと、一番いわゆる拡販車なるものがたくさん出ているのは自由民主党です。自由新報の拡販車が一番台数も多く、盛大に走り回りまして、先ほどのお話のようであれば騒音公害をまき散らしておられるわけであります。」そして「自由新報さんの場合は、日ごろは自由新報の販売活動にはさっぱり従事をされておられないが、選挙になると多数あらわれて、そうして大いに騒音をまき散らしておられるというところに、私はむしろ問題があるのではないかと思うのです。」と、こう言っておられます。大同小異の状態は多くの方が御承知のとおりです。私はそういう点で群馬三区と言えば当然わかるのは福田赳夫派と中曽根康弘派の自由新報カーがきっと盛大に走り回っているわけでしょう。そういうことを、政権党だからといって野放しにしておいて、そしてそのことにそれこそ藉口して、正当な機関紙カーの宣伝普及の活動、そして国民の知る権利を抑えるなどというのは全く言語道断で、本末転倒しているということを私は重ねてここで申し上げておきます。  そこで、提案者にお伺いいたしますけれども——自治大臣お見えになりましたので、先日のお約束でありましたことについて、ここでお伺いをいたしましょう。  簡単に申し上げますと、奥野法務大臣が、要するに選挙期間中は政治活動が禁止されている、自粛してほしいという言葉を使われておりますけれども、それだったら、いままで皆さんが一生懸命おっしゃってきたけれども、やっぱり私どもが指摘したように、それは言い逃れであって、実際には選挙期間中に政治活動をやめてくれ、これを禁止する意図を持ってこの法改正が出されたと言わざるを得ないではないかということを指摘いたしました。自治大臣は奥野さんの真意を聞いてきましょうというお話でしたので、教えていただきたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安孫子藤吉君) 奥野さんに会いまして、私その点を確かめてみました。奥野さんは、こういうことで申し上げたということです。現行法で、選挙期間中におけるところの政党あるいは「その他の政治活動を行う団体」の政治活動がすべて禁止されておるものでないことは当然だと、これはそのとおりでございます。今回の改正も、政治活動全体を禁止しようとするものではない、それもそのとおりだと思います。従来自粛をお願いしていただいておるものに加えまして、宣伝告知のための拡声機の使用についても、選挙期間中は自粛してくださいよというのがその内容だろうという意味でお答えを申し上げたと、こういうことでございます。お伝えしておきます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 奥野さんの発言は、この前も御紹介いたしましたように、政治活動が禁止されているのは選挙期間中である、だから自粛してくださいよということであるということなんです。奥野さんがその発言を訂正なさるのか、その辺は奥野さんいらっしゃいませんから、わかりませんし、これは予算委員会のことですから、引き続き究明をしてまいりますけれども、その点について、関連して、政治活動をやっぱりやめてくれということなんだということを後藤田さん自身も答弁なすっていらっしゃるんですね。これは二月十八日のやはり衆議院における公選法の委員会の答弁です。これは、そこに政治目的を持ってやればあきまへんなという言い方をして、単に一般的に、減税だと言っているならいいけれども、そこに政治目的があれば、それはあきまへんよと、こう言っているわけですね。まさに政治活動を禁止する、政治活動はだめなんだと、こういうことにならざるを得ないですね。その点はどうなんですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院講員(後藤田正晴君) そうではございません。それはこの公選法の二〇一条の五の規定で、一定の団体の一定の政治活動が禁止されていますね。その際の「政治活動を行う団体」というのは何だと、こういうようなことがいろいろ論議になっておったのです。政治活動を行う団体というのは、ほかの目的を持っておっても、副次的に政治活動を行うという場合には、政治活動を行う団体として認定せられることがございましょう、こういう趣旨で、そこで、いままで文化団体であるとか市民団体であるとかいろいろの団体があって、それらが一体、政治活動を副次的に行う団体と認定せられるのかどうかということになると、いままでそう認定せられていないものがいままでどおりの活動をやるのならば、それは心配ありませんけれども、一定の政治目的を持って、副次的な政治活動を行う団体と認められるようになったらあきまへんよと、こういう意味でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 このやりとりの中で、そういうことにはなっていないのです。政治目的を持ってやっておったということになると、それはあきまへんよ、こうおっしゃっているわけね。ですから、まさに政治活動そのものがだめなんだと、あなた方は。つまり国民が単に一般的に減税してくれと、こう言っている程度のことならばいいけれども、それがある力を持って、その選挙に影響を与えるということになったらだめなんだ、この意図はこういうこと以外の何物でもないのです。まさに政治活動を制限し禁止していくという、そういう内容を持って、その範図を拡声機を導入することによって無限定に広げていくということは私は繰り返し指摘しましたけれども、あなた方がいままでおっしゃったこと、奥野さんがおっしゃったこと、そういうことも含めて結局、そういう意図が衣の下のよろいと言うより以上にはっきりとしているということを私は改めて指摘せざるを得ないわけです。  そこで、提案者にお伺いいたしますけれども、この法改正の理由として、繰り返し金のかかる選挙を解決したい。それからまた、選挙の公正を図る、こうおっしゃっています。で、金のかかる選挙と言えば、金権買収選挙にまさるものはないのですよ。これが最高のものです。それで、ごく最近全国的な問題になりましたのも、千葉の泰道三八派の買収金権選挙、宇野亨派の同じく金権選挙、それから少し前になりますけれども、糸山英太郎派の、それぞれ億の単位ですよね、一億、二億、五億、六億という、そういう大金権買収選挙が行われている。それで、提案者である後藤田さん自身も、一九七四年の第十回参院選挙で、あなたのところ、実に二百六十八名の空前の買収選挙事犯を出しているのですよね。そういう方たちが、何で金のかからない選挙だと言いながら、こういう国民の言論を大きく抑圧する重大な法改悪を出していられるのか、私はまさにその神経を疑いますけれども、もしもあなた方がどうしてもこうおっしゃるならば、今後自民党は絶対に買収事犯は出さない、金権選挙はやらぬと、そういうことをここで断言できるわけですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 選挙をやる者は、だれしも選挙違反をやろうと思ってやっている者はございません。そういうような意味合いにおいて、私のみならず、全部の人が選挙違反にならぬように選挙運動をやるということは、これは当然のことだと思います。そういう心構えでやっていきたい、かように思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 過去三回の衆議院選挙の公選法違反事件で、法務省統計によって調べたところによりましても、常に全体の違反者のうち八五%から九二%が買収の違反事犯なんです。そして、約八千人から一万四千人の違反者が出ています。ほとんどが自民党または自民党と基盤を一にする保守派です。あなた、心構えだけおっしゃるけれども、今後絶対やらぬとおっしゃれないのは、この実際があるからです。ここの方が先決じゃないか。金のかかる選挙をなくすというなら、まさにこれを本当に腹をくくって、自民党は、後藤田さん自身、御自分の問題も含めて取り組むという姿勢を示さない限りは、何が金のかからない選挙だという、あなた方の趣旨説明を、理由を納得することもできないし、しようと思ったってできないというのが実際です。  次に、ステッカーの全面禁止に至る今回の改悪の問題について伺いますけれども、後援団体の立て札、看板の総量制限、同じく後援団体の連絡所のステッカーはいかぬというふうになるわけですね。いま実際、毎日歩いていていろいろ皆さんも知っていらっしゃると思うのですけれども、防犯連絡所だとか、青色申告会議だとか、それから後援会連絡事務所ありますね。世界人類が平和でありますように何というのが一番張ってありますでしょう。こういうステッカーがたくさん張られていて、それでなぜ後援会の連絡所だけが美観を損なうのですか。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) 美観を損なうというのは、これは比較の問題でございますが、まあ現状は、非常にべたべたと至るところに立っておるというような状況で、これはわれわれ選挙する者から言うと、ぜひ宣伝をしてもらうのだから立っておった方がいい気持ちなんですが、見る方から言うと、何だ選挙で、あちらにもこちらにもべたべたとああいうものが立っておる、実に見苦しいという批判を受けることがございます。またそういうことは、やはり選挙を公正にしていただく選挙民の気持ちの上からも、できるだけその批判にこたえていくように、お互いに土俵づくりをしていく必要があると、こういうことでございます。あえてその美観を損ねるということだけに大きくしぼったわけではございませんで、それが大変あちらこちらにもそういうものが立てられたり張られたりすることはよけいな金を使うことになります。それがやはり選挙にたくさん金がかかる原因になるわけでございますので、そういうものを制限し、お互いに土俵づくりの上において規制することが私は選挙目的のために大変いいことであると、こういうふうに思って、いろいろなそれぞれの御意見を皆統合して、そういうコンセンサスのもとに案をつくった次第でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 べたべたなんて張ってないですよ。べたべた張ってあるのは憲法を改正しるなどという右翼のポスターだとか風俗営業のポスターこそ、歩道橋だとかいろいろなところに張ってあるでしょう。後援会連絡所のあれがべたべた張ってあるなんということじゃないです。ちゃんとその家が自分の意思を持って積極的に政治へ参加するということで、きちんと了解もして張っている。自分の家にどういう仕掛けをつくってどういうものを張ろうと、それは偶人の自由じゃないですか。まさに美観論で言うならば、もっときれいにしなきゃならないことがたくさんありますよ。そういうことをもって結局何人の積極的な政治への最低限のささやかな参加です。そういうものまで封じ込めるという、そういう内容で、しかも私が問題にするのは、これはこの法文の関連から言って違反をして罰則が適用されると「二年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金」というふうになっているんですよ。当然御承知だと思います。二十万円以下の罰金を刑法で見れば、私この前も申し上げましたけれども、過失致死の場合に二十万円以下の罰金なんです。ステッカーを張ってそれを取れと言われて取らないで罰則が適用されて二十万円以下の罰金、禁錮二年、そんなばかな話がありますか。いかにこの法改悪がそういう意味で論外なものであるかということを私は改めて重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、先日も若干議論になりましたけれども、新聞やあるいはその他伝えられるところによりますと、自民党はこの改悪をした後、さらに公選法の大改悪を考えていると思われる節が伝えられているんです。立会演説会の廃止、選挙運動期間の短縮、総選挙なら現行二十日を五日程度短縮したい、街頭などでの選挙運動時間の短縮、これも朝夕一時周ずつ短縮したい、テレビ政見放送の見直しあるいは放送時間の短縮、こういうものの検討に入って、秋の臨時国会で公選法改定をしようとしているということが報道されたり伝えられたりしておりますけれども、この点についてはどのような考えをお持ちになっていらっしゃいますか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 山中さんは何かお気に召さぬことは全部改悪改悪とおっしゃいますけれども、われわれは改悪などというものは考えてはいかぬことだし、考えておりません。やはり漸次現状を踏まえながら、一歩一歩できるものから改善を図っていきたい。中にはあなたのお気に召さぬものもあるかもしれませんよ、あるかもしらぬが、それはあくまでも実態を踏まえて私どもは改善案を考えていくということでございます。  御質問のような点につきましては、いろいろここでもお答えいたしておりますように、今日までまだ結論を得ておりませんから、そういった点については今後自由民主党の選挙制度調査会の中で十分論議を尽くし、そして結論を得るならばこれまた野党の皆さん方ともお話し合いをして、できるものから改革をいたしたいと、かような趣旨でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いま申し上げましたようなことが考えられていることは事実だということでございますけれども、問題は国民が緊急に解決をしてもらわなければ困る、とりわけ公正な選挙という意味で言うならば、もうすでに何回も議論になっておりますけれども、高裁の違憲判決も出されている衆議院、参議院地方区の議院定数不均衡是正の問題ですよね。国政上の優先課題であって、各党の協議を開始すべき問題だということならば、まさにこれがもう緊急焦眉の問題じゃないですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 定数是正の問題もここでしばしばお答えしておりますように、きわめて重要な課題であろうと思います。したがって、これも引き続いて検討いたしたいと、かように考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうおっしゃるけれども、実際にはこういうふうに具体的に、あなた改悪じゃないとおっしゃるけれども、別に私が一人で改悪だと言っているんじゃなくて、いままでもうずっとそういうことで議論されて、その問題が明らかになってきているんですけれども、こういうふうに公選法を変えていくということが問題なんじゃなくて、まさに緊急焦眉の問題として引き続き検討するんじゃなくて、すぐにでも解決を図るように取り組まなければ、口で幾ら言ったって全然この不公正は解決されないという実態に国民がどんなに大きな怒りを持っているかということは改めてあなた方知るべきだと思います。  私は、次に長時間の演説の規制の問題について一言だけ伺って確認をしておきたいのですけれども、これは一昨日の議論の中にもありまして、単に、警察が自分の守備範囲ではないということで、まあ場合によっては調整のお世話をすることもあるというふうなお話でしたけれども、警察のお世話というのもなかなかいろいろありますから、問題は今後その実効が伴わないからというようなことで罰則を設けるなどというふうなことをお考えになってはいないと思いますが、その点だけ確認をしておきたいと思います。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) いまそんなことは考えておりません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いや、今後お考えにならないということですね。

片岡清一自由民主党

○衆議院議員(片岡清一君) これはやはりお互いに譲り合い守り合っていこう、これこそ性善説を深く信じて決めて、そういう犯罪とか取り締まりとかということにならぬようにお互いに話し合って円満にやっていこうと、こういう趣旨でありますから、そういうことは今後も考えておりません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 これも議論が出ているところでございますけれども、いわゆる自民党の参議院の一票制の案の問題についてです。これは私どもも、まず第一に憲法上重大な疑義がある。重ねて指摘が繰り返されておりますけれども、全国区について有権者の独自の意思表示を行わないで、地方区への投票をもって全国区の比例代表議席への投票というふうにみなすということは、まさに憲法四十三条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」という精神に反するし、また多く指摘をされているように、法のもとの平等の問題にも大きくかかわり合ってきます。その、第一憲法上大きく問題があるということと、第二には、まさに自民党の党略というかそういう観点からこれが企てられているということについては全く許しがたいことだというように思うんです。  まあ、新聞報道でも、自民党がいまの全国区の定数五十の少なくとも過半数を確保するにはこの方法しかないと改革チームの主力メンバーが発言したというような報道がありますけれども、そういう点では、単に自民党に有利ということだけでなくて、石破前自治大臣が昨年の委員会でも述べられているように、物には順序がある、まず参議院の全国区簡を検討してもらうのが順序だということで小選挙区制の導入の問題について触れておられます。まさに私はそういう点で憲法上の重大な疑義、小選挙区制の導入との結びつき、そして自民党の党利党略、どういう観点からこの参議院一票制の案については、もちろんわが党としても重大な問題があり反対であるということを表明すると同時に、これらの批判について自民党はどのように認識されておられるのかお伺いをしたい。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 現在私どもで参議院全国区を改正しようということで一応の成案は得ているわけですけれども、その論議の過程で憲法問題も出てきたことは事実でございます。もちろんこういったものを改正する際に憲法違反の規定がつくれるはずのものでもありませんから、そういう点の御心配のないような結論を得たいということで得ているわけでございます。したがって、これから先、野党の皆さん方と十分お話し合いを遂げて、でき得べくんばこの問題は早く改正をいたしたいと、かように考えております。  なおその際に、党利党略ということでございましたが、まあ選挙法の改正ですからそういうような批判を受けることは当然ですけれども、選挙というのは議会を構成する各政党の運命に影響するわけです。同時にまた、それぞれの各候補者の運命にも関係する重要な問題でございますから、自由民主党が単に多数党であるといったようなことで何もごり押しのものをするつもりもありませんし、またそれができると私どもは思い上がった考え方をいささかも持っておりません。あくまでも十分お話し合いをしてその上で改革をいたしたい、かように考えておるわけでございます。同時にまた、これは衆議院選挙について小選挙区の第一歩でないか、こういうことでございますが、これは新たな御批判ですから……

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いや石破さんそう言っているの。自治大臣です。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) それは石破さんのお考えでしょう。自由民主党としてはまだ衆議院の選挙区制についてどうこうするというような議論は話題として挙がっておりませんので、いまの段階で小選挙区にするのかしないのか、比例代表制にするのかしないのか、こういったことについて結論じみたことを申し上げる段階ではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 私はきょう三十分しか時間を与えられておりませんのでもうこれ以上の質疑ができません。拡声機の問題につきましても多くの問題が残されて統一見解との決定的な矛盾が解明されておりませんし、その他、いま私が本当に最低触れた以外にも地方議員の候補者ポスターの制限の問題、立て看板の総量規制の問題なとたくさんの問題が山積しているこの法案が、私は十時間の質疑がどうしても必要だといって要求いたしましたが、きょうで二時間三十分しか質疑ができないできょうの質疑も終わらなければならないということは、参議院においてこそ十分な審議が必要だし、そうしてくれるであろうと期待をされている国民の皆さんを裏切ることになるものでもあるし、はなはだ遺憾でありますということを表明いたしまして質問を終わります。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 立て看板等の制限につきまして私の党の中でいろいろ議論をいたしましたときに、田舎では一体どうなんだろうか町場ではどうなんだろうかという議論が出まして、とにかく多々ますます弁ずるだというぐあいに議論になりまして、なるほど場所によっていろいろ違うんだなということを改めてかみしめたわけですが、同じように人口との関係をどう考えていったらいいんだろうかという観点から、これはわかりやすい例として法定はがきを例にとりながら、お尋ねしたいと思います。  法定はがきですと、衆議院の場合は三万五千枚として画一的に決まっております。これが選挙の実態を見ますと、前回の選挙のときに最低得票で当選されたのが香川二区で三万五千四百三十五票、最も多く票を必要とした、トップ当選された方が二十一万七千四百九十、約六倍に開いているんです。この票の重みの問題はかねて議論がありましたし、これに立ち入るつもりは私はありません。ただ、この議論のときに、恐らく自民党からだろうとは思いますけれども、反論の一つとして、実はこれだけ票が開く背景には過密過疎がある、また選挙区固有の歴史的な背景もある、したがって数だけで論ずるのはおかしいという御議論があることはよく承知をしております。それも確かに一つの議論だと思います。したがって、票の重みの問題を整理するというのは相当の時間をかけながらしていかないと現在の制度のもとでは私はなかなか無理ではないかと、としますと、いまの票の重みの不均衡がしばらくは続くぞという前提に立ちますと、二十一万七千四百九十票で当選するところも、それから三万五千四百三十五票のところも画一的に法定はがきは三万五千だ、こういう決め方をするというのは選挙をする国民の側から見ますと非常に不公平だということにはならないでしょうか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 栗林さん御指摘の点は私確かに有力な一つの合理的な御意見だと思います。ただ、現在の選挙法がはがきのように一候補者について何枚と固定して書いてある部分と、そうでなしに人口要素を入れてある部分と二つあるんですね。たとえば同じような種類の掲示板、ポスター、あれなんかは面積と同時に有権者の選挙人の数というようなことで二つの書き方があるんです。  そこで、いまおっしゃったはがきの点はそのとおりなんですが、それだけの問題ではないだろうと、これは。そういうようなことでございますので、今後ともただいまの御質疑の点は大変に重要な問題ですから検討さしていただきたいと、かように考えます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 実際選挙をやっておりまして、そのはがきが間違いなく有権者のうちまで届くのでございまして、御経験もあろうかと思いますけれども、そのはがきをどうやって有効的に使うかというのは、それぞれ候補者が選挙に当たって知恵をしぼるところなんです。これが画一的になっているというのは、この制度から見ますと、いまの票の開きが長いこと続くということは前提に置いてなかった、むしろそれは可及的速やかに是正されるという前提に立っていまの公選法のこの規定になっている。しかし現実は変わらない。そこで、どっちかもし仮に現状で六倍開いても一つの理屈があるといったてまえをとるのだったら、このはがきの方は実態に合わして直さなければいかぬでしょう。これを直さないのだったら定数の方を思い切っていじるしかないという議論に私はなろうかと思うのです。これは特にどの選挙区が得だの損だのということはありませんし、制度としての不備ですから、ぜひ可及的速やかに定数論の問題と合わせて、しかもその結論が長引くんだったらこれだけでも早く法律改正をする、その必要があろうかと思いますが、自治大臣としてはいかがお考えですか。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安孫子藤吉君) お尋ねの点は確かに一つの理論だろうと私は思っております。しかしながら、いまの制度というものは長い間行われてきておる事情もありますし、それからいまもお話がありましたとおりに、選挙制度のほかの部門の問題との兼ね合いという問題もあるわけでございますので、これはいますぐどうというわけじゃありませんで、ひとつ十分に検討すべき問題だ、こういうふうに私は考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 大臣に私初めてお尋ねをするんですが、毎回私立ちますと、大体現職議員が寄ってたかって選挙法を改正するのは反対だ、新人の声は反映されておらぬ、どうしても新人は出づらくなる、その傾向にある。だから制限をするんだったら戸別訪問の自由化について思い切って踏み切りなさいということを申し上げながら御所見を伺っているんですが、この戸別訪問の問題について、これもかねて議論がありました。ある先輩に聞きますと、戸別訪問というのは中に入ってドアを閉めるだろうと言うから、それは閉めますよと言ったら、閉めてしまったらこれがわからぬ、これはもう買収、供応の絶対のチャンスになるんだから、あれは認めるわけにはいかぬと言われますし、それは確かにそういった面があることも否定はできませんけれども、戸別訪問が禁止されたおかげで本当は国民のお祭りであっていい選挙が非常に陰惨なものになっていることを考えますと、思い切って踏み切るべきだと私は思いますが、御所見いかがですか。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安孫子藤吉君) 戸別訪問の問題については賛否両論があるわけでございます。まあいずれもなかなかその背景がございまして、急にその結論を出すというわけにはいかない、それで今日まで至っているわけでございまするが、もう少しやっぱり検討してみて何か合意を得られるものなら得たいものだと思いますけれども、しかしそう簡単に結論は出にくい問題だ、これは各党におきましてそれぞれ良識を持ってこの問題について取り組んでいただければあるいは結論が出るかもしれませんけれども、両論が並列をいたしまして大変むずかしい問題だということだけは私も考えますが、これからの検討問題の一つだろうと思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 各党でとおっしゃいますけれども、戸別訪問に抵抗なさっているのは自民党……でございまして、あとは各党とも早くやってもらいたいということを言っているわけで、これも、では無差別に無制限でやっていいかというと確かにある問題はあろうかと思います。そのときにある数の腕章だけつけたらその運動員はやってよろしい、しかし運動員は全部無給ですよと、手弁当という条件つきだとかいろんなことを考えながら方法手段はあるんでありまして、確かに現実としてはなかなかむずかしいでしょう。だから続いてきたんです。続いてきたから変えられないと言われたのでは改革のしようがないんでありまして、真剣にこの問題もお取り組みいただきたいと思います。  私、この機会なんで、全国区、地方区の改善について現在自民党の中で御検討が進んで成案が得られたということでもありますので、二、三お尋ねをしたいと思います。  一つは投票の有効、無効を判断する場合には、立会人が本人の意思をなるべく確認をしながらしなければいかぬということが公選法に書いてあります。そのとおりだと思います。ところが、地方区に名前を書きまして、地方区に名前を書いたらそれはもう自動的に全国区の投票とみなす。したがって、地方区の、名前を書いた人が所属をしている政党への投票とみなすと、こういう規定になっているんですが、選挙の実態としまして、人に入れるのか党に入れるのかといいますと、ごく大ざっぱに言いますと、大体世論調査が半々でして、しかも参議院選挙の場合には人の比重の方がおしなべて高い。そうすると、地方区に名前を書いて全国区は何も書きませんと、その書いた人の所属政党の所属になるのだけれども、それが空欄の場合には、忘れたのか、書かなくたってその党に入るから書かなかったのか、支持政党がないから白票を入れたのか、簡単に言って三つの選択がある。しかもそのどれだという決め手はない、本人の意思がわからないんです。それを強引にこれは所属政党に入れたんだと決めてしまうのが選挙制度としていいのだろうか。いま政党支持なし層は自民党の支持層以上に最も広く全国に広がっています。これは既成政党としてそれぞれ反省すべき点なんですが、現実としてそうなんです。いまの現状に対して批判票をどうするかというと、その全国区欄は政党名しか書けないんですから、白票を投じたい、その道もない。それを全部一括して自動的にその候補者の所属政党と同じだとするのは制度として、民主制度の基本にかかわる投票のあり方として正しいのでしょうか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) その点については栗林さんおっしゃるような御批判もあろうと思いますが、私どもの考えは、拘束比例代表制というのは、これは政党選挙ということを前提にいたしておりますから、したがって地方区といいますか、県単位の選挙区の立候補者に投票をすれば、それは当然に政党に対する投票とするんだという前提に立っておりますから、候補者をそのときにはみなすんじゃなくて、同時に各党が出してある候補者名簿にも投票の意思を表明するんだということでやっていただくと、こういう前提でございますので、いまおっしゃったように候補者の名前さえ書けば政党欄が空欄であればその候補者所属の政党に投票したと、こういうことになるわけですね。  ただし、大ぜいの選挙人の中には、個人には入れるけれども政党は別の政党を自分は投票したいんだ、こういう人もおりますから、そこは異党派投票ということを認めることによって選挙人の投票の意思を尊重しようと、こういうようなことにしておるわけでございますので、私どもとしては政党選挙を前提にしながら、同時に異党派投票と認めることによって、それで選挙制度としてはいいのじゃなかろうか、もちろんいまおっしゃったような第三でしたかな、そういった問題もあると思いますけれども、やはり政党選挙を前提にしておりますから、今回のようなことで問題ないのじゃないか、またそれによって憲法上の問題もクリアできておるのじゃないかと、かように考えておるわけでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 いまの政党選挙なんですが、各政党が名簿をつくります。どうつくるかは各党の任意ということになっておりますが、ただ、考え方としますと、その名簿は民主的に決めてもらいたいということが前提だと思います。それで、でき得れば国民の声がその名簿づくりにも反映していることが望ましい。したがって有権者としては党員という資格で名簿づくりに参加をし、さらに政党に投票してドント方式で枠が決まって、上から何番目。あくまでも名簿というのはあてがいぶちじゃないんだ、私がその政党員なんだ、したがってその作成過程にも入っているんだということが多少でも言えるようになりますと、政党選挙は私はやってもいいと思う。たとえば西ドイツでもフランスでもほかの例を調べればあろうかと思いますけれども、政党というのは憲法上書いてあります。政党というのは国民の意思形成に努力をして協力をしなければいかぬ。正規の国の機関として憲法上書いてある。したがって政党法は当然ある。そういう公の機関だから選挙手続の中に組み込んでも何らおかしくはないということですね。  じゃあいまの日本の政党がそんな実態があるのだろうか。後藤田正晴と投票用紙に書いてあるときに、自民党に対してこの票は推してくれたんだろうというぐあいにお考えになりますか。自民党はどうもぐあいが悪いけれども、後藤田さんには世話になったから後藤田正晴と書くのがほとんどでしょう。自民党へ行ってもあの八個軍団をどうやって分けるんですか。実体というのは八個軍団の派閥の方に政党の実体があるので、自民党というのは派閥連合体でしょう。じゃあ野党の方はどうかと言いますと、残念ながらわが民社党、党員わずか五万ですよ。社会党も恐らく同じぐらい。全部足しても五百万に満たない党員を背景にして七千万有権者と選挙するというのはいかにもそれは無理です。政党選挙とおっしゃるんだけれども、それだけの環境がいまあるかどうかという意味では、私は大いに疑問を申し上げておきます。  そこで、仮に百歩譲って政党選挙だとして、一つお伺いしたいのは、今度はたとえば全国区の場合で言いますと、自民党なら自民党と書くだけですよね。鳩山威一郎と幾ら書きたくても書けないです。自民党と書くわけです。そうですね、政党と団体名しか書けない。それが集まってきてドント方式で配分される。そうすると、まず政党は枠をもらうわけです。その枠に満たすように拘束式名簿で上から順番に拾っていく。それで当選が確定する、こういう手続ですね。選挙後一カ月後に政党が分裂したら、全くそれぞれ別な政党に分裂をすることは十分ありますよ。分裂をした場合に前の選挙は一体どんな意味があるのか。しかも分裂後、それぞれ議員の資格は確定してしまっていますから憲法上は三分の二以上の議員の議決がないと首にできない。しかも参議院には解散がない。あと五年間というもの、一体この人たちはどういう資格で議員なんだろうか。しかも政党というのはどういう基盤を有権者とのつながりで持っているのだろうか。常識で考えますと、私はいま申し上げた例であれば解散して真意を問うべきだ。だって政党が分かれたということは、名簿が役をなさないんです。それをさかのぼってあの選挙は無効とは言えないけれども、改めて出直し解散、これが制度として私は当然だと思う。ということは、いまの自民党のお考えの制度は、参議院に解散というものを持ち込まない、制度としてはおかしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。

後藤田正晴自由民主党

○衆議院議員(後藤田正晴君) 栗林さんの御意見、いろいろそういう御批判も私はあると思いますね。ただ、その前提をちょっとお考えいただきたいと思います。  前提は何かと言いますと、現在の一体全国区選挙制度というものをこれがいいのか悪いのか、それとの比較検討ということになってみれば、私はやはりわれわれがいま考えておる案にいろいろな御批判があると思いますけれども、これは拘束比例代表制ということによって日本人の中の英知と言われる人を各党は名簿に掲げて、そしてその人を国民に支持を求めていくということになるのじゃないかな、これが参議院のあり方としても私は少なくともいまよりはよほどよくなるのじゃないかなと、こういうことでございますから、選挙制度は御案内のように国によってもみんな沿革がありまして、みんな違いますし、どれがいい悪いは言えないし、また絶対にこれでなければならぬということは、それは私はあり得ないと思うのです。みんな一長一短があると思います。そこで、比較をしてどちらがベターなんだということで選定をしなければいたし方がないではなかろうかと、かように考えているわけでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 お話しのように、現行の全国区制度というのは、ねらいは確かにわかるんだけれども、いざやってみますと日本というのはこんなに広かったのかということでまずもってもてあますのが現状ではないか。そこで、何とかしなきゃいかぬという点に関しては各党とも全く同意見だと思うんです。ただ、これをどういう方向に変えていこうかというときに、では国民の皆さんに一々聞いて歩くわけにいかないけれども、国民の皆さんはどういう参議院であってもらいたいと思うのだろうか。なぜそう申し上げるかといいますと、参議院を参議院たらしめるために当時の先輩が苦労してつくった制度が全国区なんです。これが地方区だけに全部してしまいますと、じゃいまの衆議院制度とどう違うんだ。要するに、何か参議院が変わった味を出す場所として、新しい制度として全国区を考えようというねらいを持って発足したことは事実だと思うんです。  そこで、では国民の皆さんかどういう参議院を望んでおられるのか、参議院で論文を公募しまして、これは相当集まりました。拝見して感動したのは、皆さんまじめに書いてくれまして、いまのままの参議院では困るよということをおっしゃりたいのだろうなとつくづく思いました。ただ、その意見の中を見ますと、十人が十人と言っていいほど口をそろえてこうした参議院がほしいと言っているのは、党議拘束の緩和、政党化ではなくて非政党化なんです。衆議院の場合にはこれは政党化はやむを得ないと思うんです。ところが、それに対してチェック機能の役割りを果たす場所にいる参議院が衆議院以上により完璧に政党化する形になる。拘束名簿式の場合になります。それが果たして国民が願っている方向なんだろうか。  それから、こういった名簿でこういったりっぱな人があるから入れてくださいという、それも一つのねらいとしてはわかりますけれども、これまでの全国区というのがどういう役割りを果たしてきたかということを振り返ってみますと、新しい政党ができた場合に最初に国会議員を送る登竜門は全国区だった。そこで足場を築きながらやがて衆議院、地方区と伸びていくんです。それが今度の場合には政党条件がありましてある議員抱えていることと、こうなりますから、新しい政治勢力が芽生えても全国区には送れないんです。要するに、国会議員が五名以上とか以内とか、こうありますからね、数字が。そうすると、一番最初の芽生えの段階を摘んでしまう。しかも、芽生えの、一番の芽生えというと無所属議員なんです。無所属議員のほとんどは全国区で当選しているんです。また、参議院では衆議院と違って小会派が多い。こうしたものが、むしろ参議院らしい面が出ているんだと。そういった意味では全国区というのは確かに創設者の意図に合って機能しているのだという評価をむしろぼくはすべきじゃないかと思うのです。  それと、あの広いところに手紙を配るだけでと会計算をするからこういった改正案になるんでしょうけれども、そうではなくて、衆議院はあるのですからね、そのほかにしかも、少なくない税金をかけてやっているこの参議院というものにどういう仕事をさせたらいいのか、国民が何をねらっているのか、そのためにはいまさしあたって全国区、地方区についてどういう改正をしていったらいいのだろうかというところまで一遍おりた検討をしないと、私は各党の合意はとうてい得られない。その意味では、いまお考えになっております拘束名簿比例代表制というのは余りに安易だし、手を抜こう、金をかけまいという才覚ばかりが先に立っているように私は思います。時間ですから御答弁要りません。一応意見だけ申し上げておきます。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について小谷君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小谷君。

小谷守日本社会党

○小谷守君 私は、本案に対し、日本社会党を代表して修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  第一は、任意制ポスター掲示場に関する事項であります。すなわち、改正案による任意制ポスター掲示場制度が適用される選挙から指定都市以外の市町村の議会の議員の選挙を除くものとすることであります。  市町村の議会の議員の選挙においては、市町村の大きさによって議員の定数も違い、候補者の数も大変な数になる場合もあり、ポスター掲示場制度は実際上は実行不可能ということになるだけでなく、新しく立候補する者は、できるだけ多くポスターを貼付したいと思ってもポスター掲示場制度で規制されることになります。しかも、条例で選択できるといっても、条例を決めるのはそのとき在職している議員の意思によって決まるわけですから、どうしても在職議員の有利不利の判断が優先される結果を生じかねません。したがって、任意制ポスター掲示場制度は指定都市以外の市町村の議会の議員の選挙から除くこととするものであります。  第二は、「政党その他の政治活動を行う団体」の宣伝告知のための自動車及び拡声機に関する事項についてであります。改正案中、「政党その他の政治活動を行う団体」の宣伝告知のための自動車及び拡声機に関する改正に係る部分を削除しようとするものであります。  改正案において禁止しようとしている自動車及び拡声機は、「政党その他の政治活動を行う団体」が常時継続的に使用しているものであり、その目的は、その団体の機関紙誌の普及宣伝にあり、これが直ちに選挙活動であるとは考えられず、これを禁止しようとすることは、選挙の公正に名をかりて、政党等の通常の活動をも制限しようとするものであります。選挙の公正を害するおそれがあるとすれば、各政党等はこの点を特に留意して、政治活動の自由をみずから縮小することのないよう努力すべきであります。また、本案は選挙に直接関係のない国民の諸活動をも禁圧するおそれなしとしません。よって、自動車及び拡声機に関する部分を改正案から削除しようとするものであります。  何とぞ、御審議の上、御賛成くださるようお願いいたします。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党提案の修正案に賛成、原案に反対を表明し、討論をいたします。  まず初めに、原案について、反対の理由を述べます。  第一に、昭和五十年の本公職選挙法改正を通じても、日本社会党は、選挙制度に対する国民の強い関心、すなわち、選挙制度が、真に、民主政治を実現させるため、公営選挙の拡大等によって金権選挙を排し、法のもとに平等、公平な選挙権を行使し得る、いわゆる一票の重みについて国会が最優先で、取り組まなければならない課題として、その抜本改正を主張してきたところであります。  とりわけ、定数是正問題については、今日まで、数次にわたり違憲判決が示されているに加えて、昨年十二月、東京高裁は、平等の原則を最優先にとらえ、議員一人当たりの人口、有権者数が最も多い選挙区と、最も少い選挙区の間で、おおむね二倍を超える場合は、違憲であるとの判断を下し、この結果は、国会の怠慢によるものだとも指摘していることであります。  当該選挙管理委員会が控訴の道を選ぶとしても、一方では、なぜわれわれが被告の座に座らねばならぬのか、行政府こそ、その責めを負うべきではないかとも要求しているのであります。  また、昨年十月実施した国勢調査によりましても、一票の格差は、衆議院で四・五四倍、参議院地方区では、五・七三倍に達しています。昭和五十年、国勢調査当時においては、衆議院が三・七二倍、参議院地方区は五・五〇倍であったことからいたしますと、この五年間に、さらに格差が拡大し、有権者が、その非を唱えることは、当然であり、もはや放置することは許されないのであります。  ましてや、参議院地方区の定数是正については今日まで一度も行わず、昭和五十年改正当時、河野議長あっせんによる三党申し合わせで、昭和五十二年執行の参議院通常選挙を目途に実施するとの公党間の約束も守られていないことを考えるとき、あるいは都道府県選挙管理委員会連合会及び全国市区選挙管理委員会連合会からの多岐にわたる要望事項についても、ほとんど顧みられず、今日の選挙制度をめぐる多くの問題点を放置したままの本公職選挙法改正案は、全く妥当を欠くものと言わざるを得ません。  第二に、本法律案は最近の選挙の実情にかんがみて、選挙の公平を確保し金のかからぬ選挙実現に資するためと言い、議員立法として提出されていますが、審議を通じて明らかにされたことは、最近の選挙の実情に関しごく一部についてのみ取り上げ、かつまた、国民の正当な権利である政治活動に対して大きな制約を加えるがごとき提案であるとも受け取れることを率直に指摘せざるを得ません。  従来に増して多くの規制を、また、これを警察権力の判断にゆだねるがごとき法改正であるとすれば、選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行なわれることを確保するという公職選挙法制定の趣旨を著しく逸脱するものであります。  これらを踏まえ、本改正案で提起されている諸点のうち、特に問題のある項目について意見を申し上げます。  その第一は、日本社会党が修正案として提案いたしました「政党その他の政治活動を行う団体」の宣伝告知のための自動車及び拡声機に関する事項であります。原案中の、本項目に係る部分につきましては修正案どおりとすることを強調いたします。  すなわち、政策の普及宣伝のための拡声機使用規制については、政党及び政治団体の通常行う政策宣伝活動を著しく規制するのみならず、規制の対象を、従来その対象となっていたものに加え、主として政治活動を目的としない、たとえば労働組合や一般の各種団体等が行う、通常の宣伝告知等についてまでも拡大解釈し、従来行われてきたこれらの活動まで全面的に禁止される道を開くおそれなしとしないからであります。  その第二は、任意制ポスター掲示場に関する事項についてであります。  これにつきましては、わが党の、任意制ポスター掲示場制度が適用される選挙から、指定都市以外の市及び町村議会議員の選挙を除くものとする修正案どおりとすべきであります。  衆参両院選挙で認められている、いわゆる法定ビラの制度や、新聞、放送を通じての選挙運動が認められていない地方議会選挙において、ポスター掲示は選挙運動の最も重要な手段であります。都道府県議会、市議会議員の候補者については一人千二百枚、町村議会議員については五百枚の掲示が認められているにもかかわらず、今回の改正案により義務制掲示場を選択した場合は、おおむね十分の一以下にこの活用の制限を加えることとなります。選択により条例で定めるといいましても、これは現職議員が採択いたすわけでありますから、結果は、現職にとって有利、新人にとってはきわめて不利ということになるのであります。選挙人の意志による表現の自由を可能な限り確保することが公職選挙法に課せられた使命として、わが党の修正案がぎりぎりのものであることは言をまちません。  第三に、連座制に関する事項についてであります。わが党は、親族連座が公職の候補者と同居している親族にあっては意思を通じていないときにおいても連座規定が適用されるべきものと、従来から主張していますが、今回、連座制を強化する観点からの法改正であるとすれば、親族という固有の人間関係からいって、立候補の事実を知っていることのみで十分であり、意思を通じたかどうかをことさら推定規定として入れる必要はないものであります。「意思を通じて」の部分は削除すべきであることを強調いたします。  第四に、街頭演説時間の規制に関する部分につきましても、訓示規定であるということのみでは、規制の口実のみを与える、内容の不明確さに問題があることを指描いたします。  以上のとおり、本公職選挙法改正案は、公職選挙法第一条の目的とする日本国憲法の精神、すなわち、民主主義の根本にある、思想、表現の自由、政治活動の権利を最大限尊重するルールとしての本法律の趣旨にもとるものと言わざるを得ません。  したがって原案について反対、日本社会党提案による修正案については賛成を表明し、討論を終わります。(拍手)

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して自民党提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について反対し、社会党提案の修正案に賛成する立場で討論を行います。  まず、指摘しなければならないことは、公職選挙法が憲法で国権の最高機関と定められた国会に、主権者である国民の意思がどれだけ正しく反映できるかどうかを決定するかぎを握る重要な法律であるということであります。  したがって、その法改正は十分過ぎるほど慎重に、かつ公正に行われなければなりません。  ところが、本案審議に当たって一貫して問題になった政治活動に対する新たな規制をもたらすものだという指摘に対して、その心配はないとする統一見解なるものと、今回の法改正の条文そのものとの間には決定的な矛盾があり、その点について国民の納得のいく解明もなされないまま質疑が打ち切られるなど、審議は全く尽くされておりません。  六月末告示の東京都議選に間に合わせるということで、重大な問題点の徹底究明にふたをしたまま私の引き続く質疑要求を封じ、採決を行うということは、本法案の中身のファッショ的本質とともに、参議院においてこそ納得のいく審議が行われるべきだという国民の期待を裏切る行為であり、厳しく糾弾せざるを得ないものであります。  次に、本法案の具体的な内容について申しますと、まず重要な問題は、政策の普及宣伝のための拡声機の禁止であります。提案者や政府は、この法改正によって新たな規制の対象となるのは拡声機による機関紙誌の宣伝のみであり、その他は従来どおりだと強弁していますが、改悪条文そのものは紛れもなく「政党その他の政治活動を行う団体」が「宣伝告知」のために拡声機を使うことをすべて禁止しているのであります。  また、規制の前提となる「政治活動を行う団体」についても、自民党政府は一貫して政治目的、政治活動が副次的であっても政治活動を行う団体とみなされるという答弁を繰り返しており、その認定は警察の一方的な判断に任されることも明らかになっております。  これまで規制されなかった団体、集会でも今後は拡声機を使って政策の普及宣伝をしたとして取り締まられる危険性が無限定に広がっていき、結局は選挙期間中の政治活動を禁止する意図を持つきわめて危険な内容であることを改めて強調するものであります。  どういう団体のどういう行為が法に違反するのか全くわからず、警察の恣意的な判断で言論、政治活動を封殺できるというのでは、罪刑法定主義の原則にも反し、何をするにも警察にお伺いを立てないとできないという実質的な検閲や警察国家の招来につながるもので、断じて容認することはできません。  この拡声機禁止条項のみならず、機関紙誌の宣伝普及のための機関紙カーの全面禁止を初め、候補者ポスター、街頭演説の時間規制は、国民が、それぞれの党及び候補者を知る身近で重要な機会を大きく制限するものにほかなりません。また、後援会の看板、立て札の枚数制限、ステッカーの全面禁止は、国民が自発的に政治活動に参加する最少限の自由さえ奪うものであります。  これらは、憲法前文にうたわれている国民主権の政治原則、二十一条に保障される言論、表現、結社の自由など国民の基本的人権を侵すものであり、また、公選法上の政治活動規制の趣旨、つまり、必要最少限のものでかつ特定の候補者名と結びつく選挙運動と紛らわしい活動に限って規制するという立法目的からも大きく逸脱するものであることは明白です。  自民党は、本改悪案を合理化する口実として選挙の公正、金のかからない選挙を言い、また騒音公害論、美観論などの議論を持ち出しています。しかし、騒音や美観を損なうという点については、本来これは政党と国民の良識ある判断にゆだねるべき性格のものであり、法律で規制すべきものでは全くないのであります。  また、選挙の公正を言うならばまずもって行うべきは、昨年の十二月東京高裁で違憲判決の出ている議員定数不均衡の是正であり、同時に企業ぐるみ、官庁ぐるみ、団体ぐるみの締めつけ選挙に徹底したメスを入れることであります。  また、自民党が本気で金のかからない選挙を言うのならば、いまなお後を絶たない金権買収選挙を根絶するための必要な措置を早急に講ずるべきではありませんか。  なお、社会党提出の修正案は、本改悪案を全面的に削除するものではありませんが、本案の最大の問題点である機関紙誌カー及び拡声機の使用禁止などを削除するものでありますので、賛成いたします。  最後に指摘しておかなければならないことは、提案者や政府が立法時にいかにごまかしの説明をしようと、法律は一たん成立したらひとり歩きをするということです。  戦前・戦中の弾圧諸法規の軸となった治安維持法が、当初は労働組合や農民組合などには適用しないと説明されながら、成立したら直ちに、労働争議や小作争議などをも弾圧する道具となり、ついには宗教者も含む広範な国民の良心を圧殺し、言論の自由を弾圧することになった近代日本の痛恨の歴史を厳粛に想起すべきであります。  同時に、今回の改悪が単に機関紙誌の拡販活動を取り締まるというものでなく、すでに報道されていますように、党利党略の参議院一票制や、立会演説会の廃止などの公選法の大改悪、企業献金を拡大しようとする政治資金規正法の改悪、引き続いて小選挙区制導入など一連の選挙制度の改悪の一環であり、日本型ファシズムへの道を開くものであることをあわせて指摘し、本法案には断固反対するものであることを表明して討論を終わります。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより公職選挙法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、小谷君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 少数と認めます。よって、小谷君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小谷君から発言を求められておりますので、これを許します。小谷君。

小谷守日本社会党

○小谷守君 私は、ただいま可決されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたっては、政治活動を目的としない一般の各種団体等が行う宣伝告知等について、これを不当に抑制することのないよう運用すべきである。  右決議する。  以上であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) ただいま小谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 全会一致と認めます。よって、小谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安孫子自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。安孫子自治大臣。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重をいたしまして、法の運用に努めてまいります。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議

○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十五分散会      —————・—————

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