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94回国会参議院1981/09/08

外務委員会 閉会後第1号

発言数
170
登壇者
12
会派数
7
開催日
1981/09/08

会議録

秦野章自由民主党・自由国民会議

○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 サンフランシスコ講和会議において対日、平和条約と日米安保条約が調印されてから、きょうはちょうど三十年目に当たります。あの当時、全面平和か部分平和かの問題について国論が分裂しておりました。私の家庭においても、私とワイフが意見の分裂を見たのはあのときだけでありますが、半年ぐらい本当に苦しみました。  しかし、いずれにもそれなりの、独立をまず急いで、その上で、占領されたままにおいて何もできないから、その後でという考え方にも一理があるし、特に野党においては、ここで全面平和を貫徹しないで屈服すると、占領下における条約締結が奇形的なものであるから、もっと正しい意味における条約をつくり上げるきっかけを残しておかなければ、このゆがんだ条約、押しつけられた条約というふうにしか一般が受けとめられないようなものに屈服してしまうと、後でわれわれがこの問題を是正するときに、せめて野党だけでもその調整の足場を残してやらなければならぬというような考え方があり、私らのような穏健の人間も、そういう理想的なものを根絶やししてはいけないという形で、当時、私は両方に対して反対しました。反対しても大体通るとは思っておりました。あれから三十年です。  この間に日本の国民も年輪を積み重ね、ずいぶん苦労して、マッカーサーが十四歳とか十七歳とか言っていたのがまあ三十歳に達して、思慮も私は深いものが持たれてきたと思うんです。このときに、われわれがこの三十年を顧みて、真の日本人は何を考えているのか、現状のもとに及び将来において、どういう展望を持ってこれから歩もうとするのか。日本人というものは、なかなかたてまえと本音が違うのでわかりにくいという印象を、世界にいつまでも与えておくことは決していいことじゃないんで、その問題で政府もずいぶん苦慮し、そうして日米首脳会談並びにオタワ・サミットへ出る前にも鈴木首相が自分の決意を述べ、憲法改正はしないというまでの発言をなして、しかも、ことしの広島における祈念の式においては、ノーモア・ヒロシマの大衆の声に応じて、核兵器絶滅を期したいという内外に対する宣言を、約束をしましたが、このことは、外交には弱いと言われていながらも、やはり日本の政治家の指導的地位に立つ者が体を捨てて、民族の将来に向かってわれわれは苦悩の中から光を求め出そうという大胆な苦悩の表現を私はしていると、そういうふうに評価するものであります。  これには一心同体のように、いろいろな誤解や党内からの誹謗を受けながらも、この鈴木首相のみずからの責任によるリーダーシップを助けてきた園田外務大臣から聞くと、よけいしみじみといまの外交の重大性というものが、私たちも立場は違え、見解にも若干の相違があってもわかり得ると思うんですが、いままでだと、なかなか国民全体も、半分はあっちによろめきこっちによろめき、大事の前の小事だと由良之助が「一力」で酒飲んでいるような形でとぼけているようにも見られる節もあるんで、そこらはひとつ、全部は言えないかもしれませんが……。あなた、わりあいに率直に物を言うて、比較的それで憎まれない点もあるようですから、憎まれても誤解されても、歴史を刻む者は体を張ってやっぱり歴史の中に自分をささげるということが大切と思いますので、そういう気持で一言――国会は国の最高の機関であるということを忘れないで、どうぞ内閣総理大臣のリーダーシップだけに任せられない節々もありますので、ひとつ御意見を承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言のとおり、国際情勢は東西問題を軸にして非常に流動的で不安定、かつまたいろんな懸念が出てきている状態だと思います。この際、日米安保条約を結んで米国とは同盟関係にある日本のあり方というものは、きわめて重大で慎重でなければならぬと考えております。したがいまして、わが国としては、今日、東西間の対話が行われないままに核実験が継続され、核兵器の生産が加速化されるなど、核軍備競争がますます強まる方向を見せているということに強い懸念を有しております。軍備競争の結末は、さような予期せざる火花が散るということはだれしも心配しているところでございます。  そこで、今日の、平和と安定を維持するために、東西間の力が均衡することは大事であると、これを私第一義と言っております。しかしながら、その力の均衡というのは、軍備競争、増強によって力の均衡を図るのではなくて、核軍縮、軍備管理など、軍縮によって東西間が逐次軍備を低い地位に持っていって、低い水準で力の均衡を図るべきだと考えておりますので、可能な限り低い軍備水準において、平和と安全を確保し得るような方向へ最善の努力をしていかなければならぬと考えております。  こういう立場から、御承知のとおり明年は国連の軍縮総会でありますが、この軍縮総会が、単なるいままでのような議論だけであってはならぬので、少なくとも具体的に何らか進歩をさせると、こういう意味で、その前提として近く開かれる国連総会においては、私はいま申し上げたような立場から、すべての国連加盟国、とりわけ米ソ両国に対して、核軍縮を中心とする軍縮努力の強化を緊急の課題として訴える所存でございます。かつまた、明年の第二回の国連軍縮特別総会が、軍縮のための一層真剣な具体的な努力がなされる契機となることを強く求めておりまして、このためには、わが国も特別総会準備委員会の副議長国の一つとして、準備段階から積極的に参加しているところでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いまの園田外相の答弁を通じて、この歴史的な転換期において日本の政府も、軍備の均衡ということも考慮に入れるにしても、事実上核兵器の競争になり、ストップがきかないような状態にまでエスカレートした今日において、少なくとも軍備を低い水準に抑えて、そうして国連の軍縮会議においてそれを現実のものとして実現したいために、政府も努力を払わなけりゃならないということを考えているということがほぼ推定できましたが、私は、この考え方は平凡のように見えるけれども、非常な決意を持ってやらなけりゃ、力と力の対立――始まりは軍備の均衡という形で、力の外交にもその点で限界を示しておりましたが、最近は、圧倒的な優位のもとにおいて相手を抑えようというところにまできているような気がしてならないんです。そういう意味において米ソ両国は名実ともに世界の大国であります。自分自身の力を持ち過ぎてしまってブレーキがきかないところへ、ちょうどマンモスや恐竜がいま化石になってあらわれてきておりますが、あれをそのまま比喩にしてはいけませんけれども、力を持ち過ぎてしまうと、みずからの反省というかブレーキがきかなくなってしまって滅びる危険性もあるので、これはわれわれの安全、世界の安全というだけでなく、米ソ両国のためにとっても、日本がやはりしっかりとした決意のもとに、米ソ両国おのおのやはりみずからの考え方で、いままでのような力ずくで相手を圧倒しようというような形だけでない発想の転換を促すような役割りを日本がすることが、本当の日本の務めであると思います。  そうでないと、西洋文明の崩壊の後を回顧してみればわかりますように、その国の市民の繁栄のために、最終的には奴隷を使って戦争をやった国々のギリシャにおける市民デモクラシーの名によるところの奴隷使役のやり方、あるいはカルタゴにおいてローマにおいて、随所において音を立てて崩壊していった歴史をいままで私たちは記憶しておるのであります。あの外征将軍たちの共和制を破っていった東方からの悪影響のカイザーリズム、及び近代資本主義の父と言われたフローレンスのルネッサンスにおける華やかな文化はそこにおいて発芽したかもしれないけれども、黄金の力によって法王庁の腐敗を促進させ、カイザーリズムと結びついて、諸民族に民族主義をあおりながらも、一方においては戦争をやらして暗黒の中世紀をつくり上げた、ニーチェが神を認めることができないとまで絶望したような状態、あるいはシュペングラーが西洋文明の没落を詳細に歴史的証明において述べているように、いま西洋とは言えないが、世界を覆っているこのイデオロギー的な過重な思い上がり、並びに、金の力さえ持つならば、政治権力さえ握るならば何でもできるというようなゆがんだ文明は、音を立てて崩壊する危機の前夜であると私は思うんです。  そういう意味において私は、この三十年の経験の中から日本は何を学んだか、われわれが相手に要求するのでなく、世界の声がこれにどうこたえるか、その苦悩を代表して、世界の世論を結集しながら世界に新しい発想の転換、コペルニクス的な発想の転換と言っては表現がぎごちないかもしれませんが、真理はいかなる権力によっても、神の名によっても、弾圧されても、真理は必ず勝つんです。そういう意味において、近視眼的な文明観において物を見るのでなく、世界史的な転換期における発想の転換を促して、東方からの光、われわれだけ、アジアだけはよいというのでなく、日本なり中国なりインドなり、あり余るような苦悩をまだ担っておりまするが、西洋のルネッサンスというものだけで、現実を無視して美化された中世紀暗黒をつくり上げた、それとは異なる、未来に対して光を与える、私は、新しい転換の先頭に日本は立つだけの謙虚さと責任感を持つことが必要だと思いますが、勇気はあり余っているようでありますけれども、果たしていまの首相なり外務大臣なり、その他いまの閣僚の人も、ほぼ一致していまの体制は崩さないで前進しようとは考えているんでしょうが、いろいろ起きるもろもろの政治現象というものは、何が何やら、ゴキブリがことしはふえたけれど、やっぱりゴキブリ時代の政治になったのかという庶民は受けとめ方をしておりますが、それと、本当に指導者の腹はこうなんだ、現象形態だけを見ないで、みんなが反省して、現状維持的に、政権さえ握っていればどんな悪いことをしても大丈夫でござるというようなことがまかり通るようなことでは、どこの国も日本を信用する国がなくなります。  そういう意味において、その辺の御配慮は苦労人が集まっているんで、自民党はいろいろな経験の上に立って、政権担当の当事者としていろいろ配慮しているようですが、なかなか、言うのはやさしいが実行は困難の模様ですけれども、どのように外務大臣は受けとめられておりますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) この前の大戦で、わが日本はいろいろ深刻な体験を受けたわけでありますが、大観してみますると、勝った方も負けた方も、非常な深刻な問題を背負っておるわけでありまして、勝った国が繁栄をし、負けた国が絶滅したというわけではございません。この前の戦争もそうでありますが、今度もし再び火花が散ると、それは文化の絶滅であるとか、一国の絶滅であるとかという過去の歴史とは比較にならない問題で、人類すべてが絶滅をするという最後の危機の関頭に来ていると私たちは判断するわけであります。ましていわんや、深刻な戦争の体験を受けた日本はそのとおりであります。まさにおっしゃいましたとおり、国際情勢というものは、緊張、不安定、緊迫の度を加えておりますが、やはりこういうものは一つの波があると私は判断をいたしております。  かつまた東西両方にあっても、ソ連が悪いとかアメリカが悪いとか、一方的に悪いのを決めても解決する問題ではございません。一方アメリカの方から言えば、アメリカも軍備増強は言いながらも、高金利、インフレ、失業と、軍備増強とまさに相反する問題で非常に苦悩しておられる、苦しんでおられると私は判断をいたします。また一方ソ連も、アフガニスタン、ベトナム、ポーランド、キューバ、各種の問題を抱えて相当な、日々の費用というものは莫大なものだと考えます。その上に、軍備増強というものは、これは非常につらい負担になっている。ソ連の方もやはり痛いところがある。アメリカも苦しいところがある。かつまた、東西両陣営に分かれておりますものの、ヨーロッパの諸国の方々と話し合ってみますると、力の均衡は必要だが、それによって米ソに火花を敬らしてはならぬということは、これは全く一致した意見で、その方が深刻な強い意見でございます。ましていわんや第三世界の国々というものは、全く東西の力の競争によって自分たちまでが絶滅するということは耐えがたいということでありますので、私は、やはりこの空気の中に何か波が変わる転機を与えることが、一本外交の責任であると考えておるわけでございます。微力でありますが、そういう方向で全力を尽くす決意でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約のときに、社会党の立場から、河上丈太郎先生及び大学時代からの親友の浅沼君らと深刻に苦悩しました。それ以上に私は、当事者である時の政権を担当した吉田さんも苦悩したものと思いますが、どうも吉田さんにはぴったり私たちの意見が合わないところがありますけれども、その後、いろいろな諸文献を見て研究すると、やはり日本のリーダーシップをとる者の決断においては、強いやはり責任感を持っていたのは事実だと思います。戦争に負けた、これ以上は戦争はできない、結局無条件降服をせざるを得なくなったというようなときに、いわゆる既存の憲法が無条件降服の原点となってしまって、戦争終結に対して、進むことも退くこともできないような戸惑いが生じて、無条件降服への原点は、伊藤博文がよかれと思ってつくった、ドイツにおけるビスマルク憲法よりも超国家的な、天皇の名による憲法において、天皇の軍隊、天皇の命令、統帥権は侵してはならぬ、国会が軍事予算に対して削減することもできない。ドイツにおける議会においては、社会民主党がそれを削減することに成功しているので、この問題だけは削減させないように注意しろという、苦労の足りない、ビスマルクにだけ心酔したウィルヘルム一世が、明治十六年八月の二十八日と思いますが、ベルリンで伊藤博文にそのことを注意しておりますが、ビスマルクを神格化して大宰相としてあがめていたあの苦労の足りないカイザー及び日本の自由民権論者が、大隈にしても福沢諭吉にしても、イギリス流の責任内閣制を理想としたイギリス憲法的なものを日本に受け入れようとしたのに、薩長及び宮廷の保守派が結んで、明治十七年のクーデターで大隈一派を野に放逐し、そうしてつくり上げた憲法というものが、その後、戦争にはいい悪いは別問題として、勝ち負けはつきものであります。あるいは民族のエネルギーを温存するために、進んでいい場合、退いていい場合をも考慮しなければならない場合が、これは孫子の兵法でも荘子の哲学の中にも、乱世においても政治哲学の中に問われている教訓です。そういうことを無視して無条件降伏への最も悲惨な一つの道しか選べなかった原点は、伊藤博文が悪いとか明治憲法が悪いとかというのでなくて、近代国家をつくる上において苦労の足りない不勉強な日本のビスマルクが、やはりプロシャの地主の子弟を官僚、軍閥に育成してああいう軍国国家をつくったように、薩長にあらずんば人にあらずという形でつくり上げた明治国家体制が、憲法というよりもその体制が、日本を道義を失った帝国主義戦争への道を歩ましめ、最終的には無条件降伏で野たれ死にさせた原点であると思うのです。  そういう近代的な社会科学なり政治学においても、アメリカにおいてもそうですが、問題は明治憲法なら憲法の成立の過程、今日の日本憲法なら憲法の成立の過程、そのプロセスを実証的に研究して、その上に立って具体的な事実を挙げての憲法論争ならいいが、去年から一年以上かかったあの憲法論争というものは、日本の官僚並びに学者と言われる者、国会の水準の低さを世界に私は披露した最もこっけいな論争で終わったと思うのです。もっとやはりわれわれは、現在の事実を基礎として現実の大地に根をつけて、民族の憂え、将来に対する希望、そういうものをも托して日本の国はいかに生くべきかということを、内閣の鈴木首相なり園田外相なりは気づいているかと思いますが、無条件降服への道を再び国民に歩ませるというような愚はいまの政治家の全責任であります。断じて国会は、これに対してはわれわれは体をささげても祖国を守り、そうして世界を平和共存の方向へ方向づけるだけの任務があると思うんですが、どういう手順で今後大体の方向を模索していくつもりか。どうも私たちは、ときどきガスに囲まれてしまって、自民党という――まあわれわれも政権をとったことありませんからわかりませんけれど、本当に手品師のような人がいっぱいいるけれども、手品の中から何が出てくるのか、びっくり知をのぞくこともできないで弱っているのですが、どういうふうなお考えをお持ちですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 今日の国際情勢、これに対応する日本の態度というものは、一面的に判り切った方向というのはなかなかできにくいことでもあるし、また二面的な判断をすることは非常に危険だと存じております。  ただいまお話がありました講和会議、三十年がたったわけでありますが、当時私は、少数ではありましたが野党の一人でありまして、全面講和か単独講和か、これは国際社会に早く復帰するために単独講和やむを得ざるということで賛成しておりましたが、第一回目の平和条約並びに行政協定には、野党の立場から反対投票をした一人であります。その後条約の改正が行われ、いまから逐次回顧いたしますと、物事はすべてが絶対的にいいということもないし、絶対的に悪いということもありません。どのような利があり、どのような害があるかということでありますが、やはり当時の吉田政権がとった単独講和、平和条約の締結というものが、今日の日本の繁栄と安定の糸口をつくったと私は判断いたしております。しかしながらまた、単独講和をやったためにいまなお戦後の平和処理の問題が残っておると、これはやむを得ず出てきたものだと、こう思うわけでございます。  そこで一方には、その後逐次日米安全保障条約が結ばれて、日米提携をして、平和を望むという一つの道をとっているわけであります。しかし、今度は一方また、これに対しても若干の懸念があるわけでありまして、この懸念というものを私は守るのは憲法だと思います。いまの日本の憲法は、日本が責任逃れするとか役割り分担を逃げるとか、そういう意味じゃなくて、日本を守る道であるばかりでなく世界の平和の道を何とかして、遅くとも切り開いていくための憲法だと、こう考えておりますので、憲法の精神、諸規定、これを絶えず念頭に置きながら現実の問題を処理していくべきであると考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は、平和・安全保障研究所の理事長である猪木正道さんと必ずしも実証主義政治学を学ぶ学徒として全部一致とは言いませんが、やはり私は立場こそ違え、学者としては尊敬している人でありますが、あの人の吉田さん研究は私たちよりも深いものを持っておりますが、その点において猪木さんは、吉田さんがサンフランシスコ平和条約には吉田全権外五人の全権で調印したけれども、安保条約に対しては自分一人だけで調印したと。平和条約と不可分の関係にあると見られている日米安全保障条約に対して、場所は安保条約においてはアメリカ第六軍司令部に移して、サンフランシスコのオペラハウスにおける平和条約調印は八日の午前十時からかかってやったのですが、アメリカ第六軍司令部に移してからの安保条約の調印はその後に、夜になってからやったのですが、その辺の微妙な配慮も、私は吉田さんは吉田さんなりにやっぱり自分が全責任を負うて、この段階において、この安保条約というものに対しては国民がまだいろんな考え方があるのが事実であるけれども、いま安保条約と平和条約とを結ばなければならないが、平和条約は、国民が大体独立を、一日も早く占領下から解放されたいという悲願がこもっているから、これは全部でやってもいいが、安保条約の問題に対しては、よいも悪いも自分が全責任を負うという決意でなされたと思うんです。  そういうことはもう少し私も研究しなければならないけれども、私はロンドン時代、フェビアンとも関係があった吉田さんと関係のある正金の加納さんと吉田論をやったときに、吉田というのは頭はいいけれども、あれは勉強しないからだめなんだと言って、怒っているのか怒っていないのかわかりませんが、吉田の欠点は勉強が足りないということを加納さんは学究はだの人だが言っておりましたが、私は歴史はやっぱり十年、少なくとも三十年置かなければ、繰り返し繰り返しあらゆる角度で距離を置いて見ないと正しい評価はできないと思いますが、この吉田さんのとった政治責任者の指導性と責任感というものがいかに厳しいかということを私は教えられる点もあると思うんです。恐らくは私よりも鈴木首相なり、いま、若き日を回想しての園田さんの御意見を見ても、国の中にいろいろな意見もあるんだから、それを一つにのみ割り切らないで、そのいろいろな意見をくみ取りながらも、そこから問題を前向きに転換していくのには、相当の配慮が必要であるという意見を聞き、やっぱり政府において責任を担当する者の心得というものが容易でないということを私はこの年になってやや感じてきた次第であります。  けれども、過去のドイツ以上に日本全土が占領下に置かれたときの状態と今日におけるところの状態とは違うんです。時々刻々の歴史の変化の中において、日本が今日、単純なソ連ぎらいあるいはアメリカ批判というだけでなくて、われわれはこの中において、グローバルな時代がすでに到来した、このグローバルな時代に対応すべき新秩序をどうやってつくり上げるかということが、三十年前の苦悩し戸惑った時代と違って、三十にまでよわいが達したならば、もっと大人らしい、しかし理想を忘却しない、自分の失敗に対して大きな反省を持ちながら、謙虚な態度で新しい世界新秩序の方向づけをやる任務が、日本に課せられている最大の任務だと思うんです。  私は、ポーランドも悩み、あるいはいまの中東ももっと苦悩していると思います。そういう意味において、ヨーロッパにおけるそれぞれの個性豊かな先進国の苦悩、きわめてヨーロッパの中央にあったばかりにソ連とドイツから痛めつけられて、民族独立の悲願を達し得ずして今日黙々と前進を続けているポーランドの民衆のことを思うとき、私たちは人ごとじゃないと思うんです。本当にいま、この中東において危険な火遊びがされたならば、油に火がついたようになって中東から世界に飛び火する危険性もあるんで、やはりイラン革命の教訓はいろいろな点において、私たちはイランのみの問題と違ってそんなことは心配すること要らぬよとは古い切れないものがあると思うんです。皆、民族の根底の中には原始的な物の考え方や動物的な煩悩やいろいろなものもわだかまっておると思うんですが、幸い外務大臣はあの火の中にも飛び込む勇気を持ち、欧州諸国の長所からも学ぶべきものはありとして、ドイツなりフランスなりECの国々の指導者とも意見を交換をしてきていると思うんですが、私は来年の国連の軍縮会議のときに、日本が核兵器廃絶をあそこで叫ぶだけでは意味がないと思うんです。それまでに根回しをして、日本だけの力でなく全世界の声を結集してするならば、アメリカにもソ連にも、一つの色で塗れない聡明な人たちがいると思うんです。世界の声が東西南北の苦悩に呼応して、新しい新秩序をつくり上げる機会がこの機会を逃がしてはないと思うので、国連の軍縮会議において、核兵器の根絶を目当てに軍縮をとりあえず実行できればよいという程度なものでなく、転換のときには思い切った転換が促されなければ、平和革命は私は不可能だと思うんです。  そういう意味において、今後に対して私は大きな光と期待を持っておるものでありますが、外務大臣は自分の地位から見て、直感によって動く行動を自制し過ぎているような傾きもありますけれども、どういうふうに見通しを持っておりますか。私はこの半年、ことしが一番大切で、ただ単に軍備を強化するということにおいて、アメリカを助けてソ連を封じ込むというようなアメリカの伝統的なコンテインメントポリシー、ダレス以来の封じ込め政策という形だけでは動きがとれないような感じがするので、日本の中には、いろいろなそれぞれの考え方を持った人がいることは、いいにしても悪いにしても私たちは否定できませんけれども、それを痛罵することもできませんけれども、もっと貫くものを持たなければ国際的な信義というものは、外交においても重要なことは解決できないと思うんですが、私は、少し一生懸命やればできないことはないという楽観的な見方ですが、外務大臣は楽観的な見方はできない立場に置かれていると思いますが、簡単にどういうようなお考えをお持ちか。非常に荒っぽい形の表現でもよろしいから、お答えを願います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 核兵器絶滅を期しての軍縮、軍備管理、対話、この方向に進めていくことは必ずしも楽な仕事ではない、非常に困難な問題であるとは十分私も覚悟をいたしております。しかしながら、この緊張の中にも米ソの対話というものは必ず出てくるし、またその話し合いはある程度進んでいくものと考えております。  かつまた今日の状態が、緊迫の度を加えて非常な懸念すべき極度の状態になることは、これまたみんなが真剣にその後のことを考える時期でありますから、非常に困難なようではあるが、一つの裏から言えば時期が来た、こう思っておりますので、先ほど申し上げたことについて困難は承知をしながら、各国の人々と相談をして、これの打開に全力を挙げたいと思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は、ことしの四月の十日から十七日まで北京に日中議連の一員としてお伺いし、そして早稲田大学の後輩であり、一番古い友人である廖承志君や鄧小平及び首相になった方や、古くからの外交問題、文化問題で話し合う機会を持った雲南の楚図南、ちょうど葉剣英と同じ年の長老でありますが、あるいは孫平化君、肖向前君らともひざを交えて本当の腹を話し合ってまいりましたが、中国のいまの調整段階というものは、内閣改造の前における調整の方式というよりももっと深い意味があるのでありまして、単なる調整でなくて、いままでプラント問題に対する中国の過ちでもってあれを断った態度や何か、いたく日本にも、信義に違反した行動をやったことで、中国の道義生命力の中で信義を貫くというほどとうといものはないのに、それがみずからの過ちでもって他に迷惑をかけた。  こういうことではお互いにやはり不信義を招く危険性がある。これでは近代化路線と言っても、近代化の現実路線を大地に根を張って一つ一つ積み上げていかなければならない段階における最大の失敗をここで演じたのだという反省の上に立って、われわれが、いま近代化現実路線を急ぐにしても、やはり信義を守らなければ外国からも相手にされないし、また国民からも、政府は何をやっているのかというような疑いを受ける。政治の中において一番大切なのは、観念的なイデオロギーや何かには若干の違いはあっても、その行動において他国との信義を守れないようでは、道義生命力む中国の一番の生命線と思って自分たちもこれを堅持してきたのに対して、まことに申しわけないという反省の上に立っての自己批判がなされているので、日本の新聞にいろいろな、昔ならば香港ニュースのような形で、あっちにいいようにこっちにいいように揺さぶりながら報道されていたのとは違うような、実際は成果を上げることに時間がかかってもやり抜こう、意見の違う人を殺したり傷つけたりしないで、やっぱりその人たちに反省の機会も促し、有能な人たちは再び立ち上がれるようにし、そうしてもっと寛容な、もっと謙虚な態度で、中国においていままでなかったような平和革命の実践を、民主的な討議を経てつくり上げようという点に重点が置かれているのを私は知って本当にびっくりしました。  これは中国が変わる、変わるのにすぐ感ずるのは、日本という国は一体どうなのか、戦争における過ちをいつまでもごめんなさいと口先で謝るだけが能ではなくて、みずからの姿勢を中国以上にもっと道義力を健全なものにして、ばくちと賄賂と麻薬の巣のような日本にさせないためにどうするかを実践しないと、私はこの繁栄の中に日本という国が置き去りを食ってしまうんじゃないかという危機感を持っています。今から四十年も前に、東洋哲学及び西洋哲学、並びに政治経済学研究の親友であった一九五一年から復旦大学の近代経済史を担当している呉杰(呉現)君が、嵐の時代の日本の歴史研究の権威者として心身ともに健在であることを確かめ得たので、積もる話し合いをしてみようと思って、三十六年ぶりで手紙をいただき、台風に乗って上海に飛び込みました。  中国は本当に革命と戦争、あの悲劇のるつぼの中から、苦悩の中から模索し、創造しようという意欲が躍動しているのを私は見て、復員大学なり上海の外語大学なりの教師なり学生なんかと触れて、前へ前へと進んでいこうというこの意欲と努力に打たれました。本当に打たれました。これは、三十年たてば日本の水準に達するという最近の朝日ジャーナルで紹介した静岡止まれの華僑出身で一橋大学卒業の凌星光君(世界経済研究所の日本研究組組長)の講演の内容が若い人にも大きな刺激を与えていますけれども、それ以上に、三十八年前に京大の富山岩男教授との中央公論昭和十八年の六月号における論戦は、いま読んでみてもうんちくの深い論戦であります。「中国の道義的生命力」に関する呉杰(呉現)君の論戦は私としては高山教授の主張よりも後世において高く評価されるものと思います。  いまとあのときの状態は違いますが、中国には無数のまだ隠れた人が若い人を育てるために犠牲となり、私よりも十も若い学者が真っ白なしらがとなってあらわれたときには私は号泣しました。本当に苦しみに苦しみ抜いて乱世を泳いできながらも、自分の志をやはり若き人たちを育てるために全力を注いでいる、この良心的な学者の献身というものに私は打たれました。学者も政治家も青年も、この三十年後にはすばらしい私は世界に貢献する人々が出てくるんだと思います。日本も、いますばらしい躍進を遂げておりますが、はらわたの内部が腐ってしまってはどうにもならない。政治の中枢がこんなにだらけてしまっていてはどうにもならない。教育が本当の教育になっていない状態、貧乏人が本当に学ぼうとしても学ぶことのできないようなこんなゆがんだ教育、自分たちの立場だけを主張すれば、それで任務が終わったというようなエゴイズム、これでは私は世界に向かって日本人が呼びかける、世界の心を揺さぶる何物も生まれてこないと思うのですが、このことはまあひとつ大臣にも考えてもらって、もっと日中の明日を担う人を、やはり交流を盛んにしてください。  時間が間もなくだから結論を急ぎますが、結論はただ一曹、私は北方領土の返還の問題は、一九四五年二月十一日のヤルタ協定の清算を米英ソみずからの責任においてやらなければ、北方領土もポーランドの悩みも、中ソ論争の根底も世界新秩序の方向づけもできないと思うのです。私たちが言うのでなく、私が国会で叫ぶ、一葉は彼らに対する挑戦ではない。北方領土の問題も、戦時中における軍事謀略協定としてああいうこともあり得るかもしれないが、次の平和を保障すべき条件を具備しての平和条約なら別でありますが、次に恨みを民族に残すようなゆがんだ権謀術策における条約は、みずからの責任において解消していかなければ、世界平和の新秩序について諮る資格はないのであります。日本も日本。安政元年の二月七日に締結した下田条約を原点として日本領土の返還の口を選ぶなんて、黒船の恫喝に和した徳川幕府の主体性のない腐敗した条約です。  今日の核兵器によって威嚇されて胴ぶるいをしているような条約と何ら異なるところはありません。なぜ現実的な、具体的な、なかなか調整が困難であるということはわかる。わかったとしても、もっとわかりやすく世界にもとどろくような、このヤルタ協定清算をソ連なりアメリカなり――イギリスはアメリカにくっついている子分のようなものでしょうが、一致してこの誤った条約を、一九〇五年の連合国が結んだロンドン秘密協定もベルサイユ講和会議において排除されたんだから、それくらいのことを排除した国々が次の世界新秩序をつくる場合においてなし遂げられないはずはない、ポーランドも言わんとして言わず、中国も紛争を拡大しては大変と思っていま黙々としております。  われわれは紛争を拡大するんではない、実行はなかなか困難であると思うけれども、中途半端なでたらめな、黒船を持ってきて下田で威喝して、腰抜けの徳川幕府が主体性を持たずして結んだ条約は恥ずかしいと思って、後では幕府の外交官も文久二年には竹内下野守、松平岩見守がペテルスブルグに行って主張すべまものは主張してきた。井伊掃部の軟弱外交が桜田門の変でテロのためにたたかれたのも単なるテロリズムではない。佐久間象山なり古田松陰なりも、主体性のない恫喝におびえて国を指導する能力のない政府に政権はゆだねられないという形において、まず血祭りに上げたのが本当だと思います。そういう意味において、みずからの主体性を持たずして他に物を言うことのわびしさは、今後続々として日本の現象面に露呈してまいると思いますが、どうぞそういう情けない、はらわたが腐った外交だけはやめてもらって、民族の心、人類の心をやはり打つようなきわめて具体的に、問題を率直に表現していくような外交表現をもって――北方領土の視察もいい、当然のことである、何も回避することはない。けれども、ソ連が、前に言っているからあなたには質問の必要もないが、ソ連が悪者でアメリカだけが昔人で、アメリカだけが帝国主義でソ連は帝国主義でないというような第五列的な、外圧を加えれば日本の世論は変わると思うような、いま日本の軍備拡張論者がアメリカにうろちょろしているから、あれだけはみっともないからよしてもらいたいというふうにレーガン支持の学君も言ってきましたが、民族の魂と問答するならば別だが、外圧に弱いのが日本の習性だから外圧をもっと加えてくれというような形で、軍備拡張なり憲法改正なんかをそそのかすものがあるとするならば、それはアメリカのためにも日本のためにも何ら益がないんですから、そういうおっちょこちょいな邪道を行くものをまず粉砕して、日本みずからの自覚において日本の体制をつくり、世界に貢献するような方向づけをやり、日本も中国もお互いに反省しながら本当のルネッサンス、真理が具体的に展開されてきたということをやはり東方からの光のように世界に伝えることが目下の急務だと思うんで、外交は現象面の末端ではない、その外交の中枢にあるものの民族の魂をやっぱり私は込めての外交を、鈴木さんなりなんなりにお願いします。答弁を私は求めません。  いま、ちょろちょろして現象形態にとらわれて小細工をやることが一番禁物です。ソ連の第五列、アメリカの第五列たる者も日本のためによかれとして、学が足らない見識の不足からうろちょろするんでしょうが、日本の中にも、外国のことを知り抜きながらも日本の主体性をつくるために、吉田松陰を外国の黒船に乗せようと下田に送ったような、佐久間象山のような遠方が見え、卓越した見識人がいた。しかも日本というものの将来に憂えを抱いて明日の責任者、指導者をつくり上げるような教育者も政治家も一人でも二人でもいいから、私は社会党だけと言わない、自民党からも公明党からも民社さんからも、それから現在、苦悩しながら世界新秩序について模索を続けている野党の各人々からも、現実に即し長期的見通しと大地に根をおろした具体的対策を実践し得る政治家の出現を期待する。妥協もあるときはやむを得ないかもしれないけれども、本来を誤らないように私はお願いして、質問ではなく、お願いの筋もこれで結ぶ次第であります。  どうぞ園田さん、うんと非難し、うんと攻撃されながらも微動だもしない政治家として骨のあるところ、バックボーンのあるところを、余り反り返らなくてもいいですけれども、示してもらわれんことを切にお願いして私の質問は結ぶ次第であります。

秦野章自由民主党・自由国民会議

○委員長(秦野章君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会

秦野章自由民主党・自由国民会議

○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、梶原清君が委員を辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。      ―――――・―――――

秦野章自由民主党・自由国民会議

○委員長(秦野章君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 外務委員会は大分空白が続きましたので、問題が山積みしているのでございますけれども、きょう私は、日米、日韓、日米韓などの関係についてお尋ねしたいと思います。  午前中の戸叶委員に対する御答弁の中で、来年は軍縮特別総会が国連では開かれる、そして軍縮については米ソに対して努力を要請するというふうな御発言が外務大臣からはありました。その総論部分で軍縮を要請するということをおっしゃっているんですけれども、実際に対米外交の姿勢を見ておりますと、レーガン政権の、非常に強硬なソ連脅威を前提としているところの防衛力増強政策に、大変それに従っていっている状況というふうに思えるんですね。日本に対してレーガン政権から、強要しているとも言えるぐらいの態度でやってきていて、そして、それに対して日本国内にも、それに対応しようという環境づくりが次々と行われて、防衛庁の方もそれに対応、協力しつつある。なぜ、そういう具体的なアメリカのソ連脅威論を前提としたこういう外交において、対米外交においてそのようにコミットしていかなければならないのかということを、非常に私は問題だと思っているわけなんです。カーター政権の末期からもうすでに、日本の防衛力増強を非常にアメリカは要求していたと思うんですけれども、外務大臣、先ほど核兵器の競争に対して核軍縮を求めなければならないというふうな御発言がありましたけれども、核競争、核軍縮、一遍に核廃絶に持っていくわけにいかないわけで、私はまず核の凍結から始まって、そして次には軍縮して削減していくと、そういう具体的な政策の提言というものを実際にやっておられるのかどうか、そういう具体論ですね。総論では軍縮を強調するとおっしゃっている。つまり現在のレーガンの外交並びに世界戦略、こういうものをどう考えていらっしゃるのか。やっぱりあの政策が正しいと思っていらっしゃるのかどうか、まず日本政府の対米外交についての姿勢を伺いたい。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 日米関係は安保条約で同盟国でございます。したがって、この日米安保体制を軸にして日本の外交は回っておるわけでございます。レーガン政権は、力の均衡をまずやることが大事だと、均衡がなければ平和は撹乱されると、こういう見方のもとで国防力の強化を図っておるわけでありますが、同伴、に、日本を含む西側諸国がその防衛努力を強化することを希望していることは御承知のとおりであります。  わが国としては、防衛努力の進め方について必要に応じ米側にも十分説明をし、その理解を深めていくことが重要であると考えております。米側との協議をも続けていく所存でありますが、それは、あくまで憲法及び基本的な防衛政策に従って自主的にその防衛努力を進めていくことに変わりはございません。かつまた、同時にこれと並行して米ソの間で対話を澄めていくべきだということは絶えず主張しておるわけであります。  わが国が米国の戦略、防衛政策に同調しているということでありますが、これは同盟国でありますから断然、安定と平和を望む。力の均衡のために安保体制を柱として、わが国が米国の重要な友好国でありますから、何かあった場合あるいは平和、安定を図るために共同対処することは当然のことでありますので、国際情勢に対する認識及びこれに基づく戦略、防衛政策について随時意見交換を行っていくことは、きわめて重要であると考えます。その結果、日米間で考え方の一致を見ることも自然なことでありますが、必ずしもそれによってわが国が米国の戦略、防衛政策に同調しなくてはならないといったことではないと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 鈴木・レーガン日米会談以来、ますますレーガンの強力な防衛力増強政策に同調してきている。同じぺースで同じ言葉を唱和しているという感じがするんですね。アメリカと全く一つの考えではないということであれば、もっとはっきりと物をおっしゃるべきだと思うのですけれども、おっしゃっているのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) アメリカと同調し協力するということは、アメリカと全く同じ行動をとるという意味ではないと存じます。よくお互いに話し合い理解を深め合って、おのおのの立場で役割りを分担することだと、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大平内閣当時、その前に、園田さんも外務大臣をなさいました。あの当時の園田外相の外交方針といまごろ少し変わってきている感じがするわけですね。大平さんのときには大来さんが外相だったわけですが、日本は日米安保条約があるといいましても、EC諸国もやっぱりアメリカとNATOの関係もある。しかしEC諸国は、それぞれ自分たちの独自性を相当強調して、アメリカと全く同じ歩調をとってはいないわけなんですね。そして、たとえばイランのあの革命のときに、アメリカ大使館の人質事件が起こったときも、アメリカが日本にイランへの経済封鎖、経済制裁を要求したときにも、大来さんはすぐヨーロッパに飛んで行ってEC諸国と打ち合わせて、EC諸国が一歩隔たりを持った対応をしているのに対して、日本もそういう話し合いをしながら全くアメリカの言いなりにはなっていないわけなんですね。ところが、どうもこのごろ、鈴木・レーガンの日本共同声明路線というのは、全くアメリカのペースであるように思われるのですが、その辺はどう説明をされますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 国際情勢の変化と微妙な動きにつれて、若干の行動や対応に差異はあると思いますが、外交方針は以前といささかも変わっておりません。なおまた、ヨーロッパと日本はその点は非常に似た点があるわけでありまして、日本は日本の立場として米国の方針に対応しているわけでありまして、それが米国と日本の間に防衛力についていまなお議論が残っている、やられているところだと存じております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それでは大平外交と鈴木外交は、やっぱり同じ線の上で継続されていると、そういう姿勢ですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 全くそのとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私にはそういうふうに見えないんですけれどもね。国際情勢の変化によって対応しつつあるというふうに言われましたけれども、大いにレーガンの世界戦略の中に組み込まれていくという状況にある。それは日米共同声明の中で幾つもいろいろと合意している点が日本外交の基本になっておりますね。朝鮮半島における平和の維持、そのためには在韓米地上軍の維持を認め合ったり、中近東湾岸地方での安全の維持には大いにアメリカがやってくれているので、日本はそれで利益を持っているというような、そういうことも合意しておりますし、それから日米の防衛における極東の平和安定のための役割り分担なども合意し、そして経済協力についても、いままでよりは大変違った形で米ソの対決のある周辺への経済協力も進めつつある、こういう状況はだれの目にも明らかだと思うわけであります。  それで、具体的な問題に入りますけれども、たとえば日米軍事技術協力のことなんですけれども、六月に大村防衛庁長官がアメリカに行きましたときに、米国側から優秀な日本の軍事技術を提供してほしいという軍事技術協力問題が提起されました。それ以来、政府部内で実務的な検討を進めているということですが、一体どのような検討をされているのでございましょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、現在日米間におきましては相互防衛援助協定もございまして、従来の、実績としては長い間米側から、いろいろな技術等々を日本側が受け取るという一方通行的な仕事をしてまいりましたが、これに対して米側からは、この協定が相互援助、両方がやり合うという条約になっている、その精神にも体して、日本からも必要な技術をもらえるような相互交流をしたいという希望の表明がございましたことは御指摘のとおりであります。その後、外務省内及び関係省庁閥で検討、勉強はしておりますが、まだそれが中間的な段階にございますし、なお米側が、具体的にどのような形でどのような技術を希望してくるかについてはまだ言ってきておりません。そういった中間的な状況に現在ございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 新聞報道によりますと、軍事技術協力というのは――私どもは武器輸出の一一原則というのを持っておりますね。昭和四十二年の佐藤内閣のときの佐藤さんの国会での意思表明、それから五十一年ですか、三木内閣のときにもこれをさらに強化しておりますね。いわゆる武器輸出三原則というものを持っております。つまり、最初の佐藤内閣のときのは、共産圏には輸出しない、国連決議による禁輸地域には輸出しない、あるいは三番目に国際紛争の当事国またはそのおそれのある地域への武器輸出は行わないというものでございましたね。さらに、それは三木内閣のときに強化されて、その他の地域への輸出も慎む、それから武器製造関連設備の輸出も武器に準じて考える、大変強化された武器輸出に関する三原則があるわけなんですね。  それで、これは前国会で決議したばっかりなんですね、三月三十一白ですかね。武器輸出問題等に関する決議というのを、日本国憲法に照らしてみて、平和国家として武器輸出三原則に基づいて武器輸出について慎重に対処するということを国会決議しているわけですから。ですから、この三原則に軍事技術協力をするということは違反しやしないかと思いますが、いかがでしょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  武器輸出三原則に即して私どもの武器の輸出関連の仕事がなされていることは御指摘のとおりでございますが、米国との関係ではその他の国とは異なった別の法的、条約的側面があることも御承知のとおりかと存じます。すなわち、安保条約に基づきまして地位協定が結ばれ、その十二条においては在日米軍は特別の調達、すなわち日本にとっての輸出というものが存在してございます。また、先ほど言及いたしました相互防衛援助協定、これは国会の御承認を得た国会批准条約でございますが、これにも、相互にそういった武器関連の援助を行い合うという規定がございます。この二点は、他の米国以外の国々には全く適用のない別の次元の問題でございます。  それで、武器輸出三原則は一般原則として、私ども政府の武器輸出規制の大綱を決めているものでございますが、ただいま御指摘申し上げました二点を含めての全体の武器輸出との絡み合いは、先ほど私が申し上げました検討の一環として、なお法的側面を含めて検討の中間段階でございます。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 追加いたしますが、紛争周辺国という話がございましたが、これは、紛争周辺国は以前からタイ、パキスタン、トルコと決められております、政府部内では。これ以上拡大するつもりはございません。しかもこの三国は、単に米ソの関係からくるものではなくて、その紛争から出てくる難民の問題とかその他の問題から考慮して、紛争周辺国ということをわれわれは考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 先ほどの当局のお答えで見ますと、安保条約があるからアメリカには特別武器輸出してもいいんだ、それから日米相互防衛援助協定によってこれも許されるんだという立場ですね。そうすると、アメリカには武器輸出してもいいということでしょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 決してそうではございません。申し上げておりますのは、現行条約に基づいて、たとえば在日米軍が地位協定十二条に基づいて国内で調達する場合、これは日本からの広い意味での輸出に該当する場合もございますが、そのような場合には条約上の根拠があって、いわゆる武器輸出三原則のそもそも適用外になっているということが、一例としてあるということを申し上げた次第でございます。一般のごく原則的な意味での米国への武器の輸出は武器輸出三原則の枠内で取り仕切られることは御指摘のとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 非核三原則も国会の決議ですが、私どもは非核三原則は国是だというふうに思っております。政府もしばしばそういう言葉も使っていらっしゃる。武器輸出に関しても国会の決議をしておりますので、これをアメリカに関してはそれの適用外であるというふうな言い方は大変問題だと思いますね。それで、この点でちゃんと日本側は対応する準備をしていらっしゃる、検討していらっしゃるということですね。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 誤解のないように再度申し上げさしていただきますが、一般的な意味での武器の輸出は米国も例外としないで三原則の適用があることはるる申し上げているところでございます。ただ、ほかの国には全くそういうことはございませんが、米国との関係では安保条約に根差すところの地位協定ないしは相互防衛援助協定というものがございまして、現にそういった枠がある、仕事ができる実態があると。ただ、現実にそういうものはいままでの長年の間米側から受け取るだけで、相互交流とは言いながらも一方的に受け取るだけでございましたが、その既存のルールといいますか、道を使って米側も技術等を供与してもらえないかどうかということを言ってきておると、それを検討しているというのが私どもの現在の立場でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その検討は外務省だけじゃないと思いますが、通産省、防衛庁などとともに検討していらっしゃるんでしょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 現時点では、それぞれの関係省庁がそれぞれ検討しておりまして、それを近く突き合わせといいますか、政府全体として検討する段階にいずれはいくと思いますが、現状ではまだそこまでいっておりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それでわかりましたね。アメリカの要請に対して武器輸出の準備の検討をしていらっしゃるということがよくわかったんですが、それで、これも報道によりますと、アメリカの国防総省の荷官が、将来は日米で武器の共同開発をしたいというふうなことを述べているんですが、こういう申し入れがあった場合にはどうなさいますか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) その前に、もう一度確認させていただきますが、私どもが先ほどから申し上げておりますのは防衛関連の技術の交流でございまして、製品としての武器そのものの輸出を検討しているというわけではございませんので一言申し上げます。  それから、ただいまお尋ねの点は、先般報道されました米国防総省の高官の発言ということであろうかと思いますが、これは報道としてそういうことがございましたのは事実ですが、米側から正式に私ども連絡は一切受けておりませんし、どういったことを米側が考えているのか現状では理解しておりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 物は言いようで、武器という場合に物は差さないで技術だけ、技術といったって物を使わなければ技術の開発はできないと思うんですがね。大変詭弁だと思います。もうすでにそういう研究がされているように思えてならないわけですが、その点は、非核三原則を持ち憲法のある日本で、厳重に考えていただかなければ困るんですが、外務大臣いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 日米の武器共同開発については、新聞で承知しているだけで正式の申し出はございませんし、かつまた正式の申し出がありましても、相互防衛援助協定の枠内に出るか出ないかという問題でございますので、武器の共同開発ということはなかなか問題が多いと存じております。しかし、事前にまだないことを、仮想してお答えするということは適当でないと存じますので、その返答は御遠慮申し上げたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もうすでに通産、防衛、外務の事務当局で検討しているということはお答えがあっているわけで、共同開発という申し入れがあった場合には、そのような状況での受け入れの問題、これは重大なことですので御注意を促しておきたいと思います。  それから日昇丸事件のことでは衆議院の外務委員会や、それから参議院の内閣委員会などでそれぞれお答えのようでございますけれども、ひとつ、どうしても外務大臣の御意思を伺っておかなきゃならないんですが、アメリカ側から最終的な報告が来たから、それで大変これは誠意とゆるぎない日米関係の維持発展の熱意を示すものとして評価しているというふうに、衆議院の外務委員会で園田外務大臣はお答えになっているわけですね。それでもうこれは結末だというふうにおっしゃっているようなんですが、これでもう全部終わりですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) この最終報告は、わが国並びに国民の方が疑問に思った、なぜこういう事故が起きたのか。次にはどうして人命救助をしなかったのか。次はなぜ報告がおくれたのかという数点の問題がございます。こういうことについてはすべて回答いたしておりまして、しかもその回答も全部一々例を挙げて、すべては米国海軍の責任であるという責任を全部表明し、遺憾と陳謝をしております。もちろん亡くなられた方や関係者、遺族の方々のお気持ちから言えば、どういう解決がついたからといって帰るものではありませんから、満足されるものではないとは存じますけれども、これほど米国が誠意を持って、しかも全部の責任は自分たちにあるんだ、自分たちが悪かったと、こう言っていることは一つの結末の方向だと存じます。ただし、まだ補償の問題とか、それから日本では保安庁等の報告等もありますので、これを突き合わせるという事務的な手続はありますけれども、大筋としては大体結末の方向ではないかと存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 秘密の部分がありますね。であったために人命救助の方をおくらせた、そういう点でまだ納得いかない部分があるわけですね。伊東外務大垣のときに、これも衆議院の外務、委員会で、うやむやに葬ることはない、でアメリカ側の調査結果が出てから日本の態度を決めるというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、大変早く、外務大臣はすぐもうこれでオーケーという態度をおとりになったわけなんで、この点まだ納得いかない部分についてもっとただす。それから二人の人命が失われたことに対して全然抗議はしていらっしゃらないわけですね。賠償さえすればいいということではないと思うんですけれどね。抗議すべきではないかと思いますが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 人命尊重という点。それから事故があった場合にこれの救助をしなかった点。こういう点については抗議をして遺憾の意を表明し、真相究明をやったからこういう事態になってきたわけでありまして、人命についての抗議はしなかったということはこれも御意見は当たらぬと存じます。それについては、軍事機密であるからごまかしているわけじゃありません。ちゃんと向こうでは、こうこうこういう理由でこういう手落ちがあって人命救助に手がいかなかったんだと、はっきり明瞭に最終報告で報告してございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 だからもう、これで全部打ち切りでおしまいということですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) あとはもう補償の問題とかその他の手続の問題が残っておりますが、向こうが全部悪かったと、こう言っているんですから、これ以上責任の追及の仕方はないと私は存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まだ納得できませんけれども、外務大臣の態度はそういうものであるということを私ども非常に遺憾に思います。  それから、けさも軍縮の問題について、米ソに対して軍縮を要請するというお答えを戸叶委員に対してしていらしゃるわけなんですが、戦域核の極東配備のおそれがあるという問題について外務大臣発言していらっしゃるわけです。米ソの核競争をやめさせるということは、いきなり核廃絶に持っていくわけにはいきませんので、どこかで凍結をし、そして縮小していく、削減していくということを実現させなければならないと思うんです。これは、日本国内の軍縮に向かっての運動ももちろんですけれども、ヨーロッパや北欧でも相当大きな運動が起っており、来年の国連軍縮特別総会が全くの演説で終わらないためには、一生懸命な運動が、民間の間の運動も必要ですし、日本という非核三原則を持っており平和憲法を持っている国の発言というのは大変思いわけです。ところが、米ソの戦域核削減交渉というものが行われていて、もしこれが成立したら、ソ連はヨーロッパの方の、NATOの方の戦域核をソ連が、つまりいわゆるSS20ですか、ああいうものを極東の方に向けやしないだろうか、そういう心配がされているわけですね。だから、それに対抗して極東にアメリカのこれに対抗する戦域核を配置すべきだという意見がある。パーシングIIとかなんとかいうようなものを極東に配置することの話し合いがあるというふうに言われていますけれども、そのような話し合いをしていらっしゃるんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 戦域核の問題について第一に申し上げたいことは、この欧州における制限交渉、これは欧州のみならずアジアを含めて世界の安定に大きく関係があるものでありますから、政府としては右交渉の今後の成り行きに注目をしております。このような当方の関心については随時米側に伝え、また米側の説明も聞いているところでありますが、私はSALTの交渉は遠からず交渉が始まる、中性子爆弾の生産の問題が出てきましたからちょっとひっかかると思いますが、米ソ両方とも真剣にこれは交渉をやるという判断をしておるわけでございます。  なお、御発言の極東配備の問題でありますが、誤解がないように申し上げておきますが、七月の衆議院の安保特別委員会で、北米局長の淺尾君が発言したことが誤り伝えられておりまして、何かこの話があったらこれをどういう形で話を受けるかというのが発言の趣旨になっておりますが、そうではなくて、議事録から見ますと、極東における戦域核の問題を含め、必要があれば適宜わが方の考え方を米側に伝えていくことになろうかという考え方を述べたものであります。  なお、戦域核のアジア極東配備については、米側からアプローチを受けたり説明を受けたことはございません。この問題について、米国が調査研究を行っているという報道は聞いたことがございますが、米側が現在、いかなる調査研究をやっておるかは承知いたしておりません。いずれにいたしましても、わが国への核の配備については、安保条約上いかなる核兵器の持ち込みも事前協議の対象でございますから、事前協議があるはずであります。あるべきであります。事前協議があった場合には、政府としては常にこれを拒否する所存であることをはっきりしておきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それですから、ヨーロッパで戦域核についての軍縮が行われた、削減が行われた、そしてヨーロッパの方にデタントが――その程度のですけれども、生じた途端に、今度はそれが極東の方に持ってこられるというようなことでは、これは世界の平和のためにはならないわけですから、米ソのそういう交渉についても、やっぱり世界の緊張緩和の方向に向かって、非核三原則を持っている日本はきちんとした発言をしていただかなければならないのですけれども、七月のいま外務大臣が説明なさった淺尾北米局長の御答弁が、戦域核配備の問題提起があったら、どのような形が望ましいかを含めて協議したいというふうに述べたと伝えられているんですね。で、大変奇異な感じがするんです。どのような形の配備であろうとも、日本は極東へのそういう配備をさせないという立場を堅持しなきゃいけないはずだと思いますが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いまの問題、御発言のとおりだと思います。  それから、淺尾局長の発言は事実とやや違っておりますので、先ほど説明したとおりでございます。  なおまた、ヨーロッパの制限交渉ができたら、それが今度はそれじゃ、向こうでは仲直りできたから、極東の方では相談してないから極東に持ってこようということは、米国といえどもソ連といえども、米ソの制限交渉でありますから、地域の交渉でありませんから、そういう懸念は日本としてしておく必要がありますけれども、まあそういうことはないと私は判断しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 仮にもソ連のSS20を沿海州だのそれから朝鮮半島にでも、いわゆる韓国あたりに持ってくるというような提案がある場合には、持ってくるというようなことがあった場合には、アメリカの方の戦域核を今度はそこへ配備するなんというようなことがあってはならないし、やらせないように努力していただきたいですね。いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりで、両国に対してそういう考え方を持って対応していきたいと存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 レーガン政権は防衛力の強化を非常に強調してきて、そして非常に大きな予算をとってきたんですけれども、最近経済状態が非常に悪い、インフレで大変困るということで、財政難に陥っているために国防費を削減するというようなことが伝えられておりますね。その場合に、非常に、相当大きな額ですね。八三年度、四年度の会計年度に三百億ドルですか、八二年度分もすでに百何十億ドル削るだろう、こういうことではその分日本に肩がわりさせて、そして在日米軍の、駐留軍の経費を肩がわりするんではないかということが懸念されるというようなこと、これも外務大臣おっしゃっているようなんですが、そういう懸念がありますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 米国の軍事算の削減は、まだ大統領決定はされていないようでありまして、正式の通知もございません。しかし、これを見て感ずることは、軍事力の増強を熱心にやっておるアメリカといえども、経済上の問題と絡んで大変な御苦労で困難だなという意識を持つことが第一。この予算の削減によって、日本の防衛努力に何らかの変更も与えるものではないというのが第二赤目。ただし、日本の外務大臣として懸念すべきことは、そのために日本の駐留軍の費用の分担などということが割り勘でこられてはならぬので、その点は注意して見守るべきであると脅えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあ、これは相当な圧力になるんじゃないか。非常に大きな予算のカットですからね。アメリカにとっても非常に重大な問題でしょうけれども、あり得るので十分注意をしていただきたいし、そういうことをやたらに肩がわりをするようなことがないようにしていただきたいと思います。  そこで、日韓関係ですけれども、十日、十一日の日韓定期閣僚会議を前にして、まあ非常に政府も苦慮していられるかと思うんですけれども、大体韓国側が、韓国は日米安全保障のとりでであると、だから日本から大きな経済援助があってしかるべきだという立場をとっているわけなんですね。  で、外務大臣はいまのアジアの情勢ですね、どういうふうに認識していらっしゃいますか。つまりアメリカがやはり北の脅威だとかソ連の脅威だとかということを言っている。韓国側も南進の脅威ということを言っている。それに対して日本とアメリカが安全保障の一番最前線なんだという言い方をしているんですけれども、アジア情勢を非常にそういうふうに緊張状態で見ていらっしゃるのか、あるいはアジア全体をどういうふうな情勢だと認識していらっしゃいますでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 米国及び米国と日本の朝鮮半島に対する考え方でありますが、これは共同声明その他ではっきりしておりますように、アジアの平和と安定のためには、朝鮮半島の平和と安定はきわめて大事であるから関心を持つということで、これ以上のものは一切ございません。米国といえども韓国が日本のとりでであるなどという意見は表明されたことは聞いておりません。ただし、韓国と日本は歴史的な特別な関係がございます。地形的にも非常に隣国であります。したがいまして、韓国が新しい世代の台頭の中で新しい共和国をつくろうとなさっておる、その国づくりに日本が骨身を削って協力することは、これは当然やるべきことだと考えておりますので、私はできるだけそういう努力をしたいと考えております。  しかし、韓国も日本もともにここで新しい日韓関係をつくろうじゃないかと、こういうことは意見が一致しているわけでありまして、その日韓関係とは、お互いが心と心の閥が理解でき結び合って、そして互角で何でも率直に相談できるようないわゆる隣人、友好国としての新しい関係をつくりたいというのが私の脅え方でございます。単に南北問題があるから韓国を助ける、南北問題がなくなったら韓国に協力する必要がないか、そんなことは考えておりません。  それからもう一つは、南北問題は御承知のとおりに、米国、ソ違、中国、これが複雑に絡んでいるわけでありまして、中国と日本の関係は御承知のとおりであります。ソ連と日本がいまはなかなかうまくいっておりませんが、何とかしてやはり、日本のためにも世界平和のためにもソ連と話し合う糸口がないものか、こう考えておりますが、北方四鳥の問題があるので、なかなかこれは困難ではあります。そういう状態ですから、単に南北問題を米ソの問題と考えて一面的に割り切ることは、私はなかなか適切ではないと考えております。  しかし一方、駐韓米軍及び韓国の努力で非常な緊張の中に安定を保っているという韓国の国の努力というものは私は理解をいたします。理解をいたしますが、そのために日本がお力添えをすることは、これは日本の憲法の精神やその他の諸規定から、経済協力が直接軍事援助に回ることは、これは日本の制度として、精神としても不可能でございます。そういう可能と不可能のことをお互いに本当に素直に理解し合って話を進めていかぬと、あいまいにしてこれがいくと、将来の日韓関係にまた間違った日韓関係が出てくるということを私は心配しておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 アメリカと韓国が、韓国の防衛は日本とアメリカの安全保障のとりでになっているというようなことを言ったのを聞いたことがないと、いま外務大臣はおっしゃいましたけれども、全斗煥大統領がことしの二月、アメリカを訪問しましたときにレーガン大統領から大いに激励を受けておりますね。そしてナショナル・プレス・クラブでの発表で、韓国は特に太平洋における日本と米国の防衛のとりでである。協力してソ連の脅威に対抗したいということに合意したというような発表をしているわけですね。いままでのレーガン政権の政策から言っても、それは大いに韓国を勢いづけているということがわかるわけであります。だからこそ、いまの六十億ドルという大きな日本の政府援助を要求するというような態度に出てきたのであろうと思われるんですね。  それで、いま緊張が、アジアの中でも特に朝鮮の中で相当の緊張はあるというふうにお考えのようでございますけれども、その緊張を解くために、いまの朝鮮半島を二つに分けているところの三十八度線の緊張を支えているものというのは、あれはアメリカと朝鮮民主主義人民共和国との間の停戦協定ですね。あれは朝鮮戦争がまだ終わっていない、休戦協定ですね。だから平和協定を結びたいということを北側から要求しておる。しかし、アメリカは一向それにこたえていない。こういう状態をそのままにしておいて朝鮮半島の緊張をなくし、南北の対話が促進されるとは思われない。韓国の方にアメリカの地上軍が厳然としてあそこに控え、そしてその米地上軍があそこにいることは、非常に朝鮮半島の平和のために必要だということを日米共同声明でもちゃんとはっきりと言っているわけなんですね。  で、このことなんですけれども、これまでずっと日本は、南北の対話を促進するために環境づくりをしますと言っているけれども、具体的に何にも環境づくりみたいなことは一遍もしていないと思いますけれども、戦争状態を終結させて北とアメリカの間に平和協定なり停戦協定なりを結ばせると、こういうことが必要なんではないかと思いますが、その点はお考えになったこともないんでしょうか。それともどうお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まず米国と韓国の間で、韓国の安定は日米のとりでであるという意見でありますが、共同声明を読んでもどこにもそういうことは書いてございません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 プレス・クラブ。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) プレス・クラブの大統領の演説の中に出てきた言葉だと私は聞いておりまして、共同声明ではこれに対する関心であるとか、脅威だとか、しかも、それが一致したということもありません。継続的な協議について検討したという言葉になっておりまして、日米のとりでが韓国だということはアメリカの方で共同声明に盛られておりませんばかりでなく、われわれは一言もそういう話は米国から言われたことはございませんし、聞いたこともありませんし、要望されたこともございません。私は、いま韓国の状態が駐韓米軍と韓国自体の努力によって一応緊張とは言いながら安定しておるというふうに見ておりますし、防衛というものは韓国は韓国の防衛、日本は日本の防衛をすることがお互いのこれは平和に対する態度であって、これが同盟国じゃないわけでありますから、一緒にどうこうやってどうだということは考えておりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その後のことは。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 六十億ドルという……。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 休戦協定ですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) それは、停戦協定は御承知のとおり韓国と北朝鮮の問題ではなくて、実質的には米軍と北との協定になっております。これは二国間の問題でありますから、停戦協定について云々するつもりはありませんが、全斗煥大統領も北に対話を呼びかけ、平和的な統一を話しかけております。これはわれわれ評価するところであって、それについて日本ができることがあればやりたい。これは、従来から一貫した北に対する日本の文化の交流その他の問題になっておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、これはアメリカと北との間はまだ終戦処理ができていないんですね。休戦協定ですよね。だから、ここで平和条約を結ぶなり平和協定を結んで、アメリカとの戦争状態を事実上も形式上も終結するというようなことがなければ、南北の緊張の大きな要素がとれないと私は思うのですけれども、そのようなことについては一度も日本側からアメリカにも言われたことがないのかどうか。  それからついでに、時間の関係で急いで申し上げますけれども、例の三十八度線上のミサイル発射の問題ですね。あれを今日の報道で見ますと、北朝鮮の国防次官が、そんなのは全くのでっち上げだというようなことを言っているんですね。それで、北からの脅威という――軍事力その他は南の方が強い、南進の脅威なんていうものはあり得ないというふうに言っておりますが、外務大臣は南進の脅威はあるとお思いになっておりますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○説明員(木内昭胤君) 先ほど休戦協定を平和協定にかえるという問題について御指摘がございましたけれども、これにつきましては、アメリカはこの北の提案につきまして、韓国を除外して話し合うわけにいかないということを言っております。したがいまして、全斗煥大統領が南北対話の推進を提案しておりますので、まず南と北が自主的に話し合うということが前提ではないかというふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあ答えにはなっていませんけれども、日本もそのくらいのことを――本当に朝鮮半島の南北の対話を推進し、そして朝鮮に平和な状況をもたらすためには、アメリカの地上軍にどんどん装備させることを協力するとかそういうことではなくて、そこの緊張状態をなくすための努力をもっと具体的に努力してもいいはずだと思います。  時間の関係で、その韓国の経済協力要請なんですが、六十億ドルというのを五カ年間に、そして社会経済発展計画に充てるんだと。そしてこれは安保絡みですね。向こうの要望は、韓国は日本の安保のとりでだ、だから当然ではないかという立場でございますね。これはその、安保とりで論だけではなくて、さらにもう一つは、六五年の日韓条約に反対した若い人たちがいまの世代であって、そしてその世代はあのときに反対した、いま新しい日韓関係をつくるというなら、新たに賠償を要求するのと同じだという考え方ですね。あのときの、有償、無償五億ドルでしたかね、あんなのはもう話にならないという考え方が韓国内の人たちにあるというふうに聞いておりますね。そういう考え方からの非常に巨額な政府援助の要求に対して、政府は前向きに努力するというような言葉を使っていらっしゃる。その前向きに努力するということは、何らかの形でこれに対応しよう、そういうことですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まず停戦協定に対する問題でございますが、これはやっぱり朝鮮半島で平和的に話し合いが進んで緊張が緩和されることを期待いたし、願望いたします。現状の認識においても、緊張は依然として続いている、ここまで一致しております。その先に私は、しかしながら日本としてはその緊張が緩和の方向に向くことを期待するという一言を加えてございます。それ以上、先生の御発言は正しいと思いますけれども、いまこの時期に日本が韓国の防衛とか安全保障に関連のあるようなことを口出すことはきわめて危険だと思いますので、当分はこの防衛や軍事の問題に口出すつもりはございません。  それから、六十億ドルという数字はどういう根拠から出てきたのか、私にはまだ見出はつきません。  それからもう一つは、前向きに検討するということでございますが、これは先生も御承知だと思いますが、防衛、安全保障の問題と絡んだ協力は、日本の経済協力はやらない、あるいは困難だと、こういうことを言っておりません。私はそれは不可能であって、日本の悪法の精神、諸規定等からいって不可能であるとはっきり答えております。ただし、民生安定等の開発部門に対する協力はできるだけお力添えをしたい。これは青葉だけじゃなくて私本心からそう思っておるわけでありますが、しかし、それはまずさきの問題が解決され、次には、今度は経済協力については御承知のとおり積み上げ方式でありますから、一つ一つの問題で、これを何に使われるのか、それが本当に適切であるのかということは両方の調査団を派遣してそして決めて、その積み上げたものが額になってくるわけでありますから、総枠で幾らがいいとか悪いとかという段階ではないということは明瞭にいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 外相会談のときに、外相は前向きに努力をするということと、それから北朝鮮と何かをするときには韓国と協議するというふうにお答えになっておりますね。この何かをするときというのはどういうときですか。そしてどういうふうに韓国と話し合われるわけですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 前向きに検討するというのは、いまおっしゃいましたように、韓国の外相会談のときの要請に対して、前向きに検討するということは一言も私は言っておりません。明瞭に、軍事、安保と絡みは不可能であります、これと切り離して、民生安定、開発のためならば前向きにできるだけの努力をしますということをはっきり言ってございます。  それからその次の御質問、これはいまの緊張の度合いにおいて、日本は従来から申し上げておるとおり、朝鮮半島が平和的に話し合いで緊張が緩和されていくことは期待をいたしますけれども、いまのバランスが崩れるようなことを日本が北朝鮮とやる場合には、よく関係国と相談いたしてからやりますと、これはそのまま答えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまのことは具体的にはどういうことですか、バランスが崩れるようなときというのは。国交というようなことですか。そこまでいかなくて、もっと貿易関係とか何かそういうことですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これはその場その場で起きてくる問題で、ケース・バイ・ケースだと存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 定期閣僚会議を前にして、恐らく非常に苦慮しながら安保絡みでない経済協力の方法を見つけて、そして六十億ドルというその膨大なものはできないとしても、なるたけそれに近い経済協力をしようという努力をしていらっしゃるんじゃないかなというふうに私は想像するわけですね。もしそういうことであれば、たとえばこれは報道で見たんですけれども、韓国で一千億の教育新税というのを始める、これを肩がわりして援助をしてやれば、これは安保絡みじゃなくて、教育新税の方でやると。この一千億円というのはいままでの援助の一億ドルに満たないぐらいでしょうか、それの五倍ぐらいになる。向こうの要求は十倍ぐらいだと。五倍ぐらいのものはしてやろう、こういうお考えなのかなと。もう十日、十一日に迫った定期閣僚会議に何かそういうものを持っていかなければできないんじゃないか。それで、もし両方が合意できなかったら共同声明は出せないと、こういうことですか、いま二つほどお尋ね続けてやったわけですけれども。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 六十億ドルという数字の根拠が私にはまだわからぬわけでありますから……

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 説明はまだ十分ないわけですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) あってもなくても、六十億ドルなんていう金は日本の方では出せる見込みはございません。これは国会の承認を受けなきゃならぬ金であります。国民の税金であります。これは来年度の予算ですから、いまから相談することを申し上げておしかりを受けるかもわかりませんが、予算を極度にしぼるという段階、その段階ではありますけれども、日本は軍事的に貢献ができないから経済的に貢献したいということで、経済協力だけは、でき得れば国会のお許しがあれば、五カ年間に倍増してきましたが、さらに向こう五カ年間には倍増以上の協力をしたいという方針を持って予算でお願いするつもりでおります。仮にその予算がそのまま皆さん方がよろしいとおっしゃった場合でも、大体その場合の五カ年間の金額というのは二百十四億ドルになるわけであります。そうすると、その中で国際的に出すべき既定された金がございますから、これを除くと二国間に私がやりくりやってもよろしいとお許しをいただく金はその七割でございます、二百十四億の。その七割のうちでアジア諸地域に振り向ける援助の額はさらにその七割でございますから、大体一年間にこれを計算いたしますと二十億ドル見当になるわけであります。その二十億ドルの元金の中からこんな膨大なお金を出すことは、それはとうてい国会でもお許しにならぬでしょうし、私自身がアジアの国々への協力は全部削って、そしてこれだけ持っていくということは考えられぬところでありますから、前向きに検討するというのは、六十億になるべく近いようにということではなくて、筋道の立った話があって手続が済んで、それで経済協力することになれば、できるだけ骨身を削って協力しますと、こういう意味でありまして、いままでの五倍とか三倍とか四倍というのは元金がないわけでありますから、そういう点をまず御理解を願うことが大事でありまして、日本の経済協力はつかみ金で、どこの国に幾ら、どこの国に幾らということを外務大臣が言える筋合いのものではございません。もちろん考えてもおりません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もう終わります。  そうすると、向こうが納得しないという非常に強い姿勢であれば、定期閣僚会議で共同声明も出さないで終わるということもあり得るわけですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 共同声明の問題で出すとか出さぬとか、外務大臣が共同声明は出さないと言っているとか、これは全部間違いであります。私は、会議をやる以上はまあまあ両方の意見が理解することができれば、その点を共同声明に書くことが将来のためにはよいとは思っておりますから、できるだけ共同声明等も出せれば出したいと思っておりますけれども、しかし、共同声明を出すためにいま申し上げたような線をあいまいにすることは、将来にかえって禍根を残すから、共同声明を出すことに固執はしない、会談の終わった後の模様で両方が相談してやるべき問題だ、出すか出さぬか決めておりません。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 最初に日韓閣僚会議について若干触れさしていただきたいと思います。  安保特別委員会、またただいまも議論されておりますように、韓国側から経済協力として六十億ドルの借款要請、まあ繰り返しの答弁を私もこの場で伺っております。これは実際、わが国の財政事情を考えれば大変無理な話であります。ただ、韓国側としてはこの六十億ドルということは何らかの根拠があるだろう。まあ園田・盧外相会談のときにはそういう内容についてまでは触れなかったろうと思うんですけれども、十日、十一日の会談に当たりましては相当具体的な問題の出る可能性もあるんじゃないだろうかというふうな憶測もないではない。これが一点。  それから、あくまでもそういう不明確な内容のまま、どうしても韓国としてはまあ安保絡みで経済協力をお願いする以外にないんだということをしきりに迫れば、これはもちろん交渉は決裂ということになるんですけれども、そういった見通しを立てることは非常にいまむずかしい段階でありますので、そういった行方というものをここでお尋ねするのはいかがなものであるかと思いますけれども、やはり交渉に臨むに当たっては、いろんな角度に立っての分析も当然行われているであろうと思いますし、これが日韓両方に満足のいく結論が得られるのか、あるいは多少不満は残っても、まあ今回の会議としてはやむを得ないとして決着をするのか、あるいはまた、双方相入れないというような形になって終わるのか、そして将来に継続というような形で残していくのか、この辺がやはり非常に大きなポイントの一つになろうというふうに思うんでありますが、その辺はどのような御判断にお立ちになっておられるんでしょう。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) あしたから出かけることでございますから、私が揣摩憶測することはかえっていろんな問題を起こすと思いますものの、いままでの情勢からすれば、今度の日韓閣僚会議で一つの結論が出ることはなかなか大変じゃないか。しかし一生懸命努力をいたします。言葉だけではなくて誠心誠意私は努力いたします。努力はいたしますが、先ほど申し上げたような大筋の理解ができなければ話は進まないわけでありまして、この理解のできないままに話を進めるわけにはまいりませんし、これをまたあいまいにしておくと、将来に禍根を残して、また新たな意味で違った日韓関係ができると思いますので、私は外交関係は、目の前でおしかりを受けたり目の前で努力が足りないと注意をされたといたしましても、やはり将来お互いが理解し合って、だんだんと日本が韓国の実情がわかり、韓国はまた日本の実情も御理解願って、そして、両方が具体的な相談ができるような方向に持っていければありがたいと、こう思っております。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 まあその御意思というものは十分理解できるところでありますが、さて、六十億ドルは無理にいたしましても、先ほど述べられておりますように、日本側から見ればこれは明らかに民生安定の分野も入っている、開発の部門も入っている、それで金額の面では日本としてこれだけは出せる、そういったことも恐らく想定されていらっしゃると思うんですね。六十億ドルはとにかく無理だと、これぐらいの範囲ならば、民生安定の上に日本としても御協力申し上げることにやぶさかではないと、当然腹づもりはあると思うんですね。  一体、じゃ日韓関係におけるその経済協力、六十億ドルはとにかく無理にいたしましても、どのくらいまでならばという線がやはりあるんだろうと私は思うんです。これは国家財政がやっぱり関連がありますので、ここでもう堂々とお述べになった方がむしろすっきりするんじゃないかと私は思うんです。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 六十億ドルは無理ではあるがこれくらいならば見込みがありますという数字は、私としては挙げられません。経済協力は積み上げ方式でございまして、どこの国との経済協力も、総枠で今年はおたくの方は幾ら、おたくの方は幾らと、こうやるわけではなくて、お互いが案件を出してこれを検討して、両方の意見が一致すればそれに幾らと。農村振興に幾ら、学校施設に幾らと、こういうふうに積み上げてきて、そして大体総枠の見当がつくものでありますから、それをやらないうちに、これくらいならば見込みがありますと言うことは、私は考えてもおりませんし、言えることではございません。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 そこでちょっと角度を変えまして、安保絡みは、これは日本の立場として無理でございましょうと言うかもしれない。と、こちらの主張する民生安定と開発にならば手をかしましょう。さてこれも非常に微妙なんですね、民生安定といい、開発ということになりますと、いろいろな問題が絡み合ってくるであろうというふうに思うんです。いま、学校施設だとかあるいは農村振興のためにということも含まれてのお気持ちを申されたんだろうと私は思うんですが、これが今度は別な面から、過去において、地下鉄の問題であるとか、いろいろ話題を提供したことがありました。あるいは鉄道の問題、高速度道路の問題、あるいは港湾の整備の問題等々を考えますと、一見するとそれは民生安定に寄与するかもしれないけれども、とりようによってはいろいろなふうにこれは使われるなというような判断も出ないではない。まあ、そういったことが、昨日ですか、北朝鮮において日本の記者団の方々が国防次官と会見をされた、そのときに、そういうような趣旨のことの話も出ているようでありますね、それはもう軍事力増強に直結するんじゃないかと。そうすると、こちらとしては、あくまでも民生安定だ、もう真っ正直なそういう立場に立って、あるいは、その開発のために手をかしてあげたんだと。ところが見方によっては、そういうような物の見方をする場合に、今度、北朝鮮と韓国との間にまた刺激的な対立というものが起きる危険性はないのかな、そういったことも十分含んだ上で、当然そうした報道についてももう速やかにキャッチされているはずでございますし、そういったことも包含的に検討の上、あさってからの会談に臨まれるんであろうと、こう思います。そういうような、要するに摩擦が起きないような方向に立っての経済協力、これは当然やるべきだと私も思います、現状から考えますと。また、そういう要請もあるわけですので。その辺の受けとめ方というのは、私のいま申し上げたことがちょっと傾斜的な言い方になるのか、あるいはその辺も十分考慮に入れなければならないのか、その辺はどのようにお考えになりますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは今後の問題でありますから、余り具体的に申し上げることはかえっていかぬとも思いますものの、私が、軍事、安全保障と絡んでの経済協力は、これは困難じゃなくて、不可能でございますということをはっきり申し上げている点、続いて、総枠を先に決めることはこれは困難であります、積み上げ方式であります、こういうことを言っておるのは、韓国に対する経済的な協力を逃げるために言っているわけでは断じてございません。できるだけ韓国の五カ年計画に、何とか日本の立場で日本の許す範囲内で協力したいというのが私の本心でございます。  そこで私は、そうは言うものの民生部分に協力すればそれだけ経済的に韓国は楽になる、その部分を軍事に回す、結局は軍事援助と同じじゃないか、まあおしかり受けるかもわかりませんが、そこまでいくことは私は考えておりません。これは一例を挙げると、先般のサミットでソ連に対する経済制裁の問題が出てきたときに、そういうことをやればソ連とは何もできぬことじゃないか。どこからが軍事でどこからが一般必需品だなどという議論が出てきて、とうとう表ざたにできなかったゆえんでありますが、私は韓国との話し合いで逃げるために、協力しないために言っているんじゃなくて、できるだけ早く協力できる筋道を両国が理解し合って立てたいというのが念願でありますから、その先、農村振興をやれば、あるいは学校がどうやれば、あるいはどういうプロジェクトができれば、結局韓国の力がついて軍事力の増強になるじゃないか、そこまでは私はおしかりを受けても、何とかがまんをしながらやっていきたいと考えておるわけであります。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 韓国は日本の国内政治については非常によく知悉しているんではないだろうかという考えがあるんですけれども、にもかかわらず、なぜこの段階で大変無理な御要求をなさるのかなあ、その意図するところはこれからの話し合いでなければわからぬと言われてしまえばそういうことになってしまうんですけれども、きのうの崖大使との話し合いでも、恐らくそういうような話題題がなされたんではないかと思いますし、崔大使自身も、日本の実情についてはよく理解をしているはずだと思う。にもかかわらずという、どうしてもその辺の疑問がわれわれとしてなかなかぬぐい去ることができない。これはやはりその辺が日韓関係のこれからの交渉に当たる一つの大きなポイントだと思うんですけれども、わかっているけれどもどうしてなんだ、まあその言い方は短絡的かもしれませんけれども、どんなふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。わかっているはずだけれども、どうしてこういうことをおっしゃるんだろうと。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) それがわかりません。この前の外相会議も、私の応答の中には、いまおっしゃったようなことを聞きたい、あるいは聞けなくても、少なくとも向こうの本心を引き出したいというのが私の外相会談の二日間にわたる苦労でございましたが、わかりません。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 恐らく私は、真相というものはこれから明らかにされていくんであろうというふうに思います。ただ、これもいままでの朝鮮半島全体の歴史的な経過に立って考えてみますと、これもしばしば議論されてきた問題でありますけれども、絶えず韓国は北朝鮮に対する脅威というものをわれわれの想像以上に強く持っている、そういう背景のもとに、現状としてもし万が一のことがあった場合に、韓国としてはもう防ぎ切れないという、そういう発想のもとに、国内産業の整備もございましょう、あるいは軍事力の増強というものもございましょう、まあいろんなことが考えられるだろうというふうに思うんです。で、北に対する脅威というものはしばしばここで問題になるんですけれども、韓国が受けとめているようなそういう気持ちと、われわれが第三者的な立場に立って客観的に見た場合と、大きなずれがあるんではないのかなあという感じがしているわけです。まあアメリカとの関係性もあるんですけれども、果たして北朝鮮の脅威というものは、韓国が異常なくらいにいま受けとめているようなそういう実態なんであろうか。  たとえば先般竹入委員長が参りましたときにも話を聞きました。軍事力の面をしきりに強調されたそうです。二対一だと言うんですね。ところが、昨日の日本の記者団の方がお会いになったときは、逆のことがまたそこで向こう側から表明されているという、一体どっちが本当なのか、この辺もよく冷静にわれわれがこれを受けとめてまいりませんと、とんでもないことになりはしまいかという危険すらも感ずるわけです。果たして現状が二対一というような、そういう状況の中で北に対する脅威というものを持っているのか。それからまた、けさ報道された内容を見ますと、それはもう全然逆なんですね、北鮮側が言うのは。人口も全然、もう半分しかないじゃないかというくだりから始まって、それから民間防衛隊まで入れると一千万人超すじゃないか、わが方はもうその半分にも満たないというような趣旨のことが実は述べられているわけです。こういったことで大体北からの南進はあり得ないという、そういうことをしきりに強調されていますけれども、細かいことは伏せられているわけですね、向こう側は。だからその辺を考えますときに、どちらに信頼性があるのか、これはなかなか言うべくして誓えが出ないであろう。そういう状況を踏まえながら、外務省としてもいろんなデータをお集めになっていらっしゃるわけですから、恐らく一足す一は二であるというような、そういう割り切り方ではないだろうと私は思うんですね、いろんな情勢の変化もありますし。  その辺をここで、せっかくの日韓閣僚会議に臨むに当たって、外務省としてどういうふうに分析されているのか、本当に脅威というものがあるのか、そのために韓国側としてはそれに対応する措置を講ずる一環として、いま六十億ドルというような借款要請があるのであろうか。やはりこの辺も筋書きとしてある程度明らかにしておいた方が、日本としてこれからの対応の仕方に非常に弾力性を持って臨むことができるんではないだろうか、こんなふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 隣国の日本にも影響の多い南北の問題でありますから、その実情をひそかに知ることは大事だと思います。しかし経済協力の問題は、脅威があるから額をふやす、脅威がないから額を減らす、今度は全くその緊張が緩和された、その場合には協力は要らぬのか、そういうものではないと私は考えておりますので、それが経済協力へ影響を及ぼすことではない。少なくとも脅威というのは当事者同士の問題でありますから。日本は実情は認識をする、しかし脅威ということは一言も私は言葉も出しておりませんし、使っておりません。これは、脅威というのはそれぞれの国が脅威と感ずるかどうかという問題だと私は考えます。かつまた、在韓米駐留軍と韓国の自分の国を守ろうとする防衛努力というものを信頼をいたしております。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 やはりこのように、軍縮だあるいは軍備管理だということがいまようやく世界の世論として起き上がろうとしている、そういう状況の中で対決を深めるような行き方というものは、これはもう避けなければならぬことは言うまでもないことでありまして、いつどこで戦争への発火点が起こるかわからない、どこが引き金になるかわからない、そういうような、見ようによっては大変逼迫したそういうことも考えられないではないだろう。その一つに朝鮮半島がやはりあるんではないだろうか。  そこで先ほどもお述べになりましたように、これは日本人としても決して傍観視するわけにはいかない、それは私も同感です。じゃ、そのためには一体日本として何が考えられるのか。いろんな問題がいままで討議されながらも、少しも具体的に道が開かれていないということを非常にやっぱり心配をするわけです。  その一つは、北朝鮮との国交正常化という問題もございましょう。あるいは中国と韓国との国交回復について日本の果たせる役割りというものは考えられないのか。少なくとも環境整備ということをいままで主張してきた日本政府としては、やっぱりそういうところからまず可能性を探りながら、そうすると対話の場所というものはいろんなふうに出てくるんじゃないかというふうにも考えられるわけですね。やっぱり対話なくして、ただ想像や推測でもって、向こうはこういう考え方じゃないかというような行き方があくまでも貫かれていくということになれば、これは平行線で、まとまるところもまとまらないということがいままでの経過の中でもしばしば指摘されているところでありますので、こういった機会にやっぱり一つの日本政府としてとり得る可能性を考えてみた場合に、いま私は一つの提言として、中国と韓国の国交正常化への一つの何か手がかりというものをつくる方途というものは考えられないのか、あるいは、北朝鮮に対してもそういう道は開けないものかどうなのか、これはあわせてやはり考えませんと、それは朝鮮半島の平和統一なんていうのは言うべくして大変道のりの遠い、そういうことになりはしまいかと思いますのと樹時に、絶えずその危険が増幅された環境の中で、日本は神経をいら立たせなければならない。のみならず、アジア地域においてもやはりいろんな波及効果というものが出ることを考えると、やっぱり一番近い一衣帯水の国からそういったことをきちんと地固めをするということは、決して私は冒険でも何でもない、やるべき大きな役割りというものが日本としてあるんではないだろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 北朝鮮が南進する可能性があるかどうか、これは全く私はわかりません。かつまた、言うべきことではありません。しかしながら、少なくとも北朝鮮と関係のあるソ連、中国。韓国と関係のある米国。この三者の動きというのは単に北と南の軍事力の比較だけではなくて、それより以上大きな比重を持って響いてくると私は考えます。あとの中国と韓国の問題、これは前の政権のときも起きた問題でございます。私も少し関係したこともございますけれども、韓国の方はASEAN訪問等に見られるとおり、他の国々となるべく話をしたいという希望はおありになるんじゃないかと想像いたします。これは想像でございます。しかし一方、ソ連と中国と北朝鮮の関係は、先生御存じのごとく、きわめてこれは複雑に絡んでおると想像いたします。その時期に中国の方が、北朝鮮を結果的には刺激するような韓国との話し合いを進めていく段階になるかどうか、これもむずかしい問題で、結論は申し上げられませんでしたけれども、そういう問題が複雑に絡み合っておるのが朝鮮半島の問題であると考えます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりかもしれません。それはもう複雑に絡み合わなければ、恐らくとうの昔にこれは解決済みであったはずであるという論理も実は成り立つわけでございまして、しかし、いつまでも複雑だ、複雑だと言って、その絡み合った糸を解きほぐす作業ができないということになれば、絡んだままそのめどが一向につかない。これがこれからさらに五年、十年あるいは二十一世紀を目指して続くということになりますと、大変悲劇的な行き方になりはしまいか。恐らく園田外交としては、いままでの長い御経験の上からやはりその辺の問題点については、私があえていまここでお尋ねをしなくても、すでに一つの青写真というものをお持ちになっていらっしゃるんではないだろうか。平和ということをこいねがい、アジア地域の安定ということをいままで繰り返し標榜されてきた園田外交としてその道を開くいろんなチャンスというものをお持ちになっていらっしゃるはずです。今回もそういう意味では私は一つのきっかけがつくれる状況が考えられはしまいか。いろんな厳しい側面があるでしょう。やはりなおかつ複雑に絡み合っているということで、いましばらくやはり時の流れを待たなければならないと、このようになるんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いまおっしゃいましたように、この問題は道のりは遠く相当困難であるということは想像されるところであります。いま日韓関係をお互いに理解し合える、お互いに実情を認識し合うというところへ持っていきたいと。そのプロセスとして外相会談、関係閣僚会議を私考えておるわけであります。その時期に、いまの中国と韓国の問題などうかつにこれを出しますと、これこそ火中の栗を拾わずして栗が爆発をするおそれがある。これは私としてはまだまだ勇気が出てこないところでございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 重ねてここで一つの区切りをつけたいと思うんですが、この日韓閣僚会議において何らかの前進的な――双方とも満足がいくということはなかなか今回無理だろうと私も思うんです、いままでの経緯から考えまして。先ほどの共同声明の話じゃございませんけれども、可能な限り共同声明が発表できるというようなそういう努力も当然なさるでしょうし、何らかのその妥協点というものが見出せないわけがない、きっと見出せるであろう、そういうやっぱり決意でお臨みになるんだろうと思いますけれども、これが全く決裂に終わるというようなことが、まあもう予測をするということは、あした、あさってから行われる閣僚会議に対してそういう予測をするということはかえって混乱を与えることになりかねませんので、余分なことはお聞きしたいとは思いませんけれども、むしろ決裂じゃなくて、逆に妥協できるという判断をお持ちになっていますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 一歩でも半歩でもいいから相互の理解が前進することを期待し、これに努力をするつもりでございます。これは妥協したら後に禍根が残ると存じますので、はっきりする点ははっきりしながら理解を深めていくべきだと存じております。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 まあ日韓関係をめぐる状況の中では未解決の問題がたくさんあることも事実であります。漁業問題なんかもその一つでございましょう。しばしば問題になる竹島の返還問題についてもそうでありましょう。これまたなかなか困難な要素が絡んでいることも十分認識をしているつもりであります。いずれにしても、日韓関係が少なくとも悪い方向に向かうということは、それだけでも安定を欠く不測の要因をつくることになるわけでありますので、そういった基本的な考え方に立って精力的に取り組んでいただくことが望ましいであろうと。恐らく懸案になっている諸問題というものは引き続き将来に持ち越されるであろうというふうに思いますので、いまこの段階で申し上げるわけにはいかないと思います。  次に、つい先般終わりました下田会議におきましても、非常にかつてないくらいの活発な議論が闘わされたやに伝えられております。そこでやはり象徴的な問題の一つとして浮き彫りにされたのは、ソビエトに対する脅威論ということをめぐって、日本とアメリカとの認識の違いというものがこれはもう相当鮮明にされたような印象を受けるわけであります。これも軍事力というものを考えてみた場合に、そういった論理というものが成り立つのだろうと思うんですけれども、一体どうして認識のそういうずれ、まあ基本的には違わないという、こういうことがもうかねがね言われているわけでありますけれども、具体論になってくるといかがなものであろうか。具体論の上でもそのようなことが、食い違いというものが考えられないのか。それはごく一部の人たちの言うことであって、アメリカ全体の世論を代表するものではない。また日本の見方も、少々アメリカとの認識のずれがある。こういったことはやはりこの機会に整理をしておく必要があるんではないだろうか。これも何回か話題になりながら、その辺が非常にぼやけたままに今日まで来ているという状況でもありますので、この機会に特にこれから予定されている各般の国際会議があるわけでありますので、そういった会議に臨むに当たっても、明瞭にしておく必要があるんではないか。まずこの認識のずれから、ここで再確認をさしていただきたいというふうに思うわけです。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 東西問題、米ソの問題、これがもう戦いは必至だと、戦わざるを得ない、必ず戦争はあるんだと、それに対して負けないように軍備増強をやるんだという腹の中の意見と、力の均衡を保って、同時に対話をしながら戦争が起きないようにしようという意見と、基本的には二つあると思います。私は、米ソ必ずしも戦う――もうよける道はないと、こういう意見は米国といえども大多数の意見ではないと判断いたしております。  次に、ソ連に対する一般的認識、これについては日米間で差異はございません。すなわち日米両国は、ソ連が軍事力の増強に一貫して努めてきた結果、米国に迫る軍事大国の地位を確立し、世界各地のうち、その影響力の増大を図っておるという一般的な認識は共有しております。これは日米ばかりでなく、かかる対ソ認識については、先般のオタワ・サミットにおいて日米を含む西側主要国が、ソ連の軍事力が引き続き増強されていることに対し共通の懸念を表明するとともに、ソ連との関係において軍事力の均衡と政治的自制、かかる観点からソ連の行動を見つつ、対話と協力をやるべきであるという点は合意をしているところでございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 ただ、その脅威を排除していく、いたずらにその脅威論をあふり立てるのもいかがなものだろうか。昨日、カーター前大統領の日本人記者クラブでのいろいろな質疑応答があったようでありますけれども、それとなくレーガン政権の姿勢というものを批判しつつも、余りに脅威論を振り回すことはいかがなものであろうかというような、そういう趣旨の発言だったろうと私思うんです。確かに余りこれが過度になってしまいますと、それでなくてもいま軍拡の道がどんどん加速度的に進んでいるわけでございますので、もう歯どめがないわけですね、はっきり申し上げて。だから、当然あるいは一方においてはその軍事力増強ということで脅威論が台頭してくるだろうと思うし、その脅威を排除するためには、一方においてもまた軍備拡張しなければならない。これはどこまでいっても際限なく続くであろうと。ですから、こういった事態がただソビエトに対する脅威ということだけで片づかない。特にアフガン進攻以来、米ソ間においても話の糸口が全くない。日本もそれに同調してきた。もう大変冷え切ったそういう状況の中でオタワ・サミットで、いま申されたようにやっぱりそういった脅威論というものを排除するための一環として対話というものが必要であるということが強調されておるわけです。  ただ残念なことに、いままでそういうことが過去においても実はあったにもかかわらず、それが破られているという形跡があるんですね。たとえば一九七九年にはウィーンでもって米ソ頂上会談が行われた。そのときの共同声明があります。ところが、その共同声明の精神がもう全然破棄されたような方向へ突っ込んでいるわけですね。どんどんどんどん軍拡への道を広げている。そういったところに米ソ間における不信感、そしてまた、それぞれ西側陣営に属する国々の大変な不信感というものが、今度は逆にその不信感がつのればつのるほどそういったソビエトの行き方に、あるいはソビエトを取り巻く衛星国家のありようについて、当然その対抗手段として何らかの措置というものをとらざるを得ないだろうと。これは現状においてずっとアフガン以来今日まで続いてきておるわけです、残念ながら。対話のチャンスは全くない。そういったときに今度脅威論を表に前面に出しつつ、そして軍拡を正統化しようというような、そういうふうな行き方にいま変貌しつつあるんではないかということを非常に恐れるわけであります。  少なくともレーガン政権がいま何を意図し、確かに八月十三日にブレジネフに対して首脳会談の呼びかけを行ったことは知っております。しかし、それがまだ全然具体化してない。できれば年内という推測もあるようです。果たしてそれが可能性があるのかどうなのか。それで一方においては今度は中性子爆弾の製造を開始した、そういう状況を考えると、ソビエトとしてはとてもそんな話に乗れるかという、さっきSALTのお話が出ましたけれども、それだって具体的に実際手がかりというものがあるんだろうか。だからこのままですと、ただうやむやにしていきますと、もう脅威論、脅威論が先行し、その脅威論を正統化するために軍備の拡張をやるということになった場合に、これはもうどうにもならないような大変悲惨な方向に道を開くことになる。これはもう常識論ですね。だれが考えてもそうだろうと思います。  そこで、日本として北方領土の問題もありますけれども、これはもうなかなかそれは、いままでのソビエトの考え方というものは何回かの交渉の経過を振り返ってみましても容易ならぬことです、これははっきり申し上げて。じゃ、北方領土の問題が解決しない限りは絶対日ソ関係の関係改善というものはできないのかと、今度はそういうようなことまでいかざるを得ない。気持ちはわかるんです。われわれだってそういう気持ちは、早く北方領土の問題を解消してもらって平和条約締結まで何とか考えられないのか。しかし、もうソビエト側の回答というものは繰り返し繰り返し同じことがいままで述べられてきている、日本に対して。政府がそれなりに努力をされておることも事実であります。しかし、そのうちにだんだん北方四島に対しての軍備が強化されておる。あるいはナホトカ、ウラジオストクを中心としてまたその周辺がもう相当整備されておるというようないろいろな情報が入りまじっておりますし、日本海あるいは太平洋沿岸をソビエトの原潜がしょっちゅう行き来している。そういったことはいつまでも、決して日本としては拱手傍観しているわけじゃないんでしょうけれども、ただ日本が防衛力を強化することによってそれは対応措置がとれるのだと、そして安保条約のかさのもとに入って一たん緩急があればそれができるのだ、これがいままでずっと繰り返されてきた政府の一貫した考え方、それはわかるんです。  けれどもいまこの機会に、やはり方向転換をする何らかの手だてを、きっかけをつくる必要があるんではないだろうか。特に八〇年代中ごろあたりにおいては、非常に緊迫した事態が起きるんで  はないかというようないろんなそういう予測もいま取りざたされているということで、決して緩和の方向よりもむしろ緊張激化の方向へいっている。そういった中に、日本として避けて通れないのは北朝鮮の問題でありソビエトの問題であろう。何らやっぱり打つ手がないのかどうなのか。先般安保特別委員会でも私触れてお答えをいただいたのですが、グロムイコとの会談も予定されているようであります。あるいは恐らく、国連総会でまたいろんな人とお会いになる機会もあるだろうと思います。やっぱり交流がない、対話がないということは、お互い揣摩憶測でもってああではないかこうではないか、それは家庭の中でも同じですからね、それは大きくしたら、国対国になったら何を考えているかわからない。やっぱりこちらが積極的に臨む姿勢というものがなければ、いつまでたっても同じことの繰り返しでもって、相も変わらず同じようなことが繰り返され、それが政府の方針として続いていくんではないかというところに危険性を感ずる。全くそれがないのかどうなのか、もうこの辺でどこかに方向転換をする必要があるんじゃないか。その脅威論をまず言う前に、日ソの関係の改善あるいは米ソの関係改善、決していままで努力をなさっていないとは私は申し上げません。申し上げませんけれども結果が出ていないわけですね、結果が。何らかちょっとでも一歩でも前進的な結果が、そこで曙光が見えたというようなそういう時期に入っているのではないだろうか。いままでいろんなことが積み重ねられてきているわけですから、それを整理されながら今後の道をどう切り開いていくだろうか。当然私は抱負をお持ちになっていらっしゃると思うんです、園田外交として。この辺を、いままでのずうっときた経過をたどって整理をしていただいて、政府の考え方をお聞かせいただければありがたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 個人が硬直した状態が長く続くということは苦痛でありまして、なかなか硬直した状態が持続することはできないことは先生よく御承知のとおりであります。国と国との関係もそうでありまして、緊張、話し合い、緊張、話し合いということは一つの波があると存じております。過去の米ソの関係を見ても、たとえばキューバの問題その他を見ても、米ソが対立をして異常に緊張をしてあわや火花というときに、取り巻いた者はわんわんわんわん熱を上げておるが、もうそのときは米ソ両方で話し合いがあっておったという事実は過去幾らもございます。私は楽観するわけではありませんけれども、ソ連にはソ連の苦しいところがあると存じます。きわめて常識的でありますが、キューバからアフガニスタン、ベトナム、ポーランド、各所を抱えて相当経済的につらいソ連が、どのように軍費や軍事力を消耗しておるか。それへなおわれわれから見れば相当無理な軍備増強をやっておる。これはソ連としても人に言えないつらさであろうと存じます。かつまた、一方軍備増強を盛んに言っておられる米国の方もあの高金利、ヨーロッパが困っている、南米が困っている、インフレ、失業、こういう問題と軍備の増強とはなかなかこれは両立しないもので、これまた非常な苦しみがあると思います。  私は個人の推測ではありますが、すでに米ソの間にはある程度の打診は始まっているものと判断をいたします。またわれわれ西側にあろうと東側にあろうと第三世界にあろうと、米ソが話し合いをすることについては微力であろうと、影響力の大小にかかわらず必死に努力すべきであって、この話し合いというのは必ず私はある程度進んでくると思いますから、いま軍縮もお経を言っているだけで意味はないという言葉もありますけれども、そのすべての国々に対してスイッチを押す絶好のチャンスだと、こう思っているわけでありまして、ただいたずらに一方が悪者だとか、一方が脅威だとか、やれ一方が軍備増強だとか言っておるのではなくて、その動きの陰にやはり何か動きが出てくると、こういうことを私は判断をし、かつまたその話し合いは必ず、遠からず具体的に表面に出てくると。首脳者会議も中性子爆弾生産の問題がなければ私はもっと話し合いは順調にいったと思います。これがあるので、ちょっとひっかかるかスピードがおくれると思いますけれども、ソ連側といえども軍備増強しながらもやはり話し合いの糸口を探しておる、こういうふうに判断をしながら努力をするつもりでございます。米ソの関係――ドイツの外務大臣に、あなたの方はなかなかソ連とうまくやっておりますな。私もあなたと同じようにやりたいんだ。西側陣営にくみしておるけれども、西独というのはソ連と、まあ国境を接しておる。わが国の地形も同じようなものだ。あなたと同じようなことをやりたいが、日本とソ連の間には全国民、全党的な悲願のもとに四島返還の問題があるからなかなかテーブルに両方とも着けないで困っている。これを、何とかテーブルに着く糸口をつかみたいと、こういう話をドイツの外務大臣としみじみ話したことがございます。これが私の本心でございます。しかし、かといって、いま方向を修正、転換する意思は全くございません。北方四島の問題を不問に付するとか、たな上げにするとか、これを横にのけて話し合いを進めていくことは、未来永劫にこの問題はたな上げされるおそれがありますから、困難でありましょうとも、つらく、あるいは厳しい問題でありましょうとも、やはり四島の問題も含めてソ連と話し合いをしたいというのが私の気持ちでございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 もう一つ、いたずらな対決の方向へ向かわしめない努力というものを日本としても当然とらなければならない。特に、米ソの対決というものがいろんな面であることは、過去においてもそれが実証されているわけであります。ベトナム戦争がそうでありました。現在カンボジアの問題もそうでありましょう。あるいは中東の問題もそうでありましょう。あるいはアンゴラの問題もそうでありましょう。一見すると、民族独立という場合のその言い方もあるかもしれません――のために内乱が起こった。しかし、やはりそこには必ずと言っていいくらいに米ソが絡む、あるいは代理戦争的な性格を持つ、そして紛争が拡大をする、あるいはそれが今度大きな戦いへの引き金になりかねないとも思われるような状況が、昨今残念ながらございます。あるいは中米においてもニカラグア、エルサルバドルあたりがそうでありましょう。こういった問題なんかについてもやっぱり対話というものが全くありませんと、いたずらにそれが先鋭化し、対決の様相をますます色濃くしていくと言う以外にはありませんでしょうし、得るものは何もない。得るものは何にもないどころじゃない。その国々の国民にとっては大変な被害を受けるというのがいままでの歴史の経過であります。もう二度とやはりこういったことを繰り返させないためにもどうしても、いま米ソを除いての話し合いというものはまずこれはナンセンスだと思うんです。ところが、残念ながら国連においても安保理事会や何かの運営なんかを見る限りにおいてもなかなかそれが歩調が合わない。それがずっと続いてきている。しかし、それを打開するために南北サミットも近々行われる。  先般も申し上げたように、あらゆる機会をつかまえて国際世論の喚起を促す責任と役割りというものは、日本にとっても非常に大きいものがあるんではないだろうか。そういったところから米ソの話し合い、日ソの話し合い、あるいは米国の硬直した、中性子爆弾の製造をやめさせるというような、そういうような話し合いについても、これは日本として最も有利な条件に置かれているんではないだろうか。恐らくそういったことを十分踏まえつつ、外務大臣としては相当の決意を持って軍縮、軍備管理というものを標榜しながらその具体的な方途を考えつつ取り組まれようということが、いままでの答弁を伺いましても十分わかるんでありますが、やはりこれはただ話をしっ放しと、こういうことがいままで非常に多過ぎた場合があるんじゃないかという、先ほどもちらっとそういうことを触れられたようでしたけれども、やっぱりこれを具体化していく方向に持っていくことが、いたずらに、いま脅威論なんというものが表面化しなくても、だんだん鎮静化の方向へ向けていく大きな私は道しるべになっていくんではないか。その辺について、いろいろといまあれもこれもといってもなかなか整理がつかない。たとえば、南北サミットに一つのポイントをおいて考えてみた場合に、これなんかも一つの大きな有効的な、効果のあるそういう手がかりというものがつくれるんではないだろうかというふうに思います。果たしてソビエトが出るか出ないかということはわかりませんけれども、それはともかくとして、いいチャンスだと私は思うんですね。いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 話が進もうと、成果があろうとあるまいと継続的に対応することがきわめて大事であることは御発言のとおりであると考えます。ただいま問題になりました日韓間においても、ここ数年間関係閣僚会議その他が断絶したところに今日の問題もあると私は思います。ソ連と日本の間では話し合いは進まない、平行線、あるいは動きそうでとまったり、いろいろありますけれども、対話は絶えず継続しているつもりです。私の在任中は前の外務大臣、その次の外務大臣、絶えずソ連と対話は継続いたしております。外務大臣同士の継続ばかりでなく、そのほかいろいろ苦心をして話し合いを進めていくよう努力をいたしておりますから、今後ともいまの御注意をよく守って、そういう方向で努力をする所存でございます。  なお、米ソの対話については、これは一方的に米国だけでもないし、一方的にソ連だけでもなくて、両国に対してわれわれの真意を理解させることが必要だと考えておりますので、この点も十分努力するつもりでございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 先回も安保特別委員会でも触れましたけれども、南北サミットについては話し合いで終わって、前進的な結論が得られるかどうかということが非常に憂慮される、そういう評論もあるようであります。しかし、開けるということはあるいは何らかの形で一歩前進という、そういう性格を持つかもしれません。やっぱり具体的に、そこで日本側として提示するようなことをいろいろお考えになっていらっしゃると私は思いますが、その中で特に南に対する救済というものが、いま逼迫した国際的な課題だと私は思いますね。いま世界の軍事費が約五千億ドルを超えると言われていますね。その三分の二が米ソです。ですから、単純に一ドル二百円というレートで考えてみて百兆円を超すという、とにかく、何でそんな金を人殺しの兵器を生産するために使わなければならないのか、本当に悲しい現実でありますけれども、実際アフリカを初めとしてバングラデシュやインドも入るんだろうと思うんですけれども、食えない世界の人たちが八億いると言われているんです、八億。それから、文盲率だって非常にそういう地域ですから高い。そういう教育施設が非常にもうなおざりにされている。  国運あたりでもしきりにそういったことをいろいろ計算をしながら、せめて世界各国の軍事費を一割削減しても五百億ドルですね。十三分に賄えるというんです、いまその救済の方向に。そういう試算の内容については私わかりません、どういう試算の仕方をしたのか。いま国連の何か経費でも、この間ワルトハイムさんに会ったときに、わずか五億ドルだというんですね、年間の経費が。とてもじゃないがやり切れませんという、そういう非常に深刻な表明をなされた。せめてあと軍事費を減らして十億ドルぐらい国連の管理運営費に回してくれるとずいぶん助かりますというような、そういう深刻な御要請もありました。そういう具体的ないま面が出てきているわけですね。そのいろんな研究所でもって収集されたデータを集めて、そこで計算された内容というものは大体もう共通しているものがあるようであります。いかんせんその五千億ドルというものは余りにも多過ぎる。だから、軍事費の削減ということから一つのきっかけをつくることも必要でありましょうし、南北問題解消の上からも私は非常に大きな役に立つ行き方につながるんではないか。  ただ、アメリカのレーガン政権になってから、南は南で、敵か味方を選別しなきゃならぬという問題も、非常に強く支配的に一つの考え方として貫かれている。果たしてそういう南北問題というものがそういうようなアメリカの発想の中でまとまるものであろうか。一事が万事ということがありますけれども、そういうことが一つの障害になるということになると、理想としてはまことに雄大であり、ぜひとも速やかに進めてもらいたいという世界じゅうの人類の願望がありますけれども、現実的にいくとそういういろんな障害が起こってくる。こういったことも、整理してまとめていく上で、日本外交としてやっぱり非常に大事な側面を私は持っているんではないかと思います。そういう具体的な提言というものを十分お考えになっていると思うんですが、私は、いま申し上げたのも一つの方法ではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 南北問題というのが、御承知のとおりに先進国は、どこの国も深刻な経済問題を抱えております。一口にして言えば、援助疲れという意味の気配があったわけであります。一方、開発途上国は石油ショック以来先進国以上の打撃を受けているわけであります。そこで、南北問題がこのまま停滞をするか、あるいは後ろへ下がるかという非常な懸念を各国持っておったわけでありますが、幸いに南北サミットが計画され、これが実現をし、先般南北サミットの準備のための外相会議があったわけであります。  そこでこの会議は、第一は、いまややもするとしぼまんとする南北問題に力を入れる、活性化するということもありますが、それより以上に多数の第三世界、これを含む各国が集まるというこの機会、しかもそれがお互いの生存、世界の経済の向上、平和ということを同一の目的にして集まっているということは、これはいままでにないことであります。だから、この会議をむだにしてはならぬ、これを起点にして、世界平和につながる方向に持っていかなきゃならぬと思うことが第一であります。第二番目は、この南北会議にいまなお参加してない国々がなるべく参加できるような道を開いて、将来多数の国が集まるようにすること。三つ目の注意というのは、幸い先進国及び第三世界、その他が集まったから、その席上で、東西問題を出されて絡まれぬようにしなければならぬ。こういうことが今後注意すべきことだと思います。  この南北問題はきわめて重要であって、ややもすれば消極的であった先進国を推進し、かつまた南の方に、対決をやっては目標は実現しない。お互いがおのおのの立場で世界の経済を向上し、平和をつくるという同一の目的で、連帯と共存ということで切りかえていこう、こういう日本の提案が全会一致で取り上げられたわけであります。そこで、今度は本会議があるわけでありますが、この本会議では、先般のサミットの例にならって、事務官僚が準備をした印刷物の議題を中心にして議論したのでは何ら飛躍的な議論はできない。自由な議論もできない。そこで今度は、議題を決めずに自由に首脳が討議するような会議に切りかえていこう。これは今後の会議も、だんだんそれが広がってくると思います。したがいまして、議題は制限されておりません。ただ、それでは議論にならぬから、自分が議論したいと思う主題を、各国が前もって通知をする重点事項通報方式というものを、これまた日本が提案をして、これも取り入れられたわけであります。そこで、そういうすべての問題で自由に活発に論議をする。会議のやりようによっては、非常に成果がある新しい歴史を開く会議だと思います。  先般、安保特別委員会で、渋谷先生からだと思いますが、これで軍縮問題を出したらどうかと、こうおっしゃいましたときに、私はその真意がわからずに、いや、これは軍縮問題とは大分縁が遠うございますからという消極的な意見でありますが、軍縮、軍備管理をやって、軍事予算を削減をして、それを南北問題の解決に向けろと、こうなればりっぱにつながることでありますから、いまの御意向は十分拝承して、今後努力をしたいと考えております。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 おっしゃるとおり、ぜひ推進をしていただきたいと思いますし、ただ南と言っても、御承知のとおり産油国もあれば非産油国もあるということで、経済的にも非常に落差が激しいという、そういう状況の中で、一律にはなかなかいきかねるその問題があろうかというふうに思いますね。これから北の先進国として何ができるのかという問題、いま私が先般質問したことにお触れになっていただいたのですが、そういったことを含めながら、やはり一つの具体的な方途として、軍事費の削減なんかも一つの大きな意味合いを持つのではないだろうか。これがソビエトが出てくれると、これは非常にありがたいことなんですけれども、なかなかいまの情勢では果たしていかがなものかということでありまして、まあ、でき得べくんば将来、社会主義国家の指導階層の方々も出られて、本気になって、やっぱり今後の世界の平和ということを考える、その一つの先駆をやはり日本外交としてぜひ切っていただきたいなあというふうに思うわけであります。  それから、いろいろある中で、もう一つだけ最後に触れまして終わりにしたいと思いますが、イランの問題なんです。これは、日本としてやっぱり重大な影響がありますね。石化の問題もありますし、ああいう抜き差しならない、内乱と言えば内乱ですね。どういうふうにこれからなっていくのか、見当もつかないというのが率直な見方だろうというふうに思うのです。村田さん、ちょうど難い出てこられたので、非常にうんちくのあるところを傾けていただいて、まあ、われわれはイランあるいはイラク等々、サウジアラビアも、あの中東一帯を考えると、何か紛争が起こる。非常に短絡的な言い方かもしれませんが、すぐ油というふうに関連性を持たせる悪いくせがあるのですけれども、日本にとっても決して影響なしとしない問題でありますだけに、また先ほども若干触れましたように、これが米ソがまた介入するということになると、混乱が一層拡幅されていくような、助長されていくようなそういうような心配もあるんではないか。そういう点、これからの推移ということは、なかなかこれもむずかしいことであろうと思うんですけれども、日本としてどういういま判断を持ちながらこのイランを中心とした――イランとイラクのまだ戦争状態が続いているわけですから、こういったものに対応措置といってもなかなかとりにくいと思います。しかし、大使館を引き揚げたわけではございませんので、どんなふうにこれから考えて取り組んでいったらいいのか、その辺をお聞かせいただければありがたいですね。

村田良平外務省中近東アフリカ局長

○説明員(村田良平君) まず、イランの内部の情勢でございますけれども、先生御案内のとおり、特にこの六月以来いろんな事件、爆破事件等が続きまして、また、政府側から反対制派に対する弾圧と申しますか、逮捕、処刑ということが続いておりまして、現在、まさに御指摘のとおり混沌たる状況でございます。これが先行きどういうふうになるかということは、はっきり申し上げましてまだ何とも断定できない、要するに推移を見守る以外にないというのがいまのイランの内政の状況かと存じます。  現在のイランの内部を見てみますと、反体制派というのが実はいろんな組織がございまして、これが統一していまのイスラム共和党政権を打倒すると、そういうふうな動きをしているということではなくて、むしろ散発的なテロというのが中心でございます。そういうことでございますから、直ちに内乱になるとか、そういうふうな情勢ではないということは申せますけれども、しかし、といってそのいまの政権が、安定の方向に向かっているという徴候は残念ながらないと、こういうふうに判断をいたしております。  それから、イラン・イラク戦争でございますが、これは現在相当膠着化、長期化の様相を示しておりまして、すでにイスラム会議あるいは非同盟それから国連の事務総長、いろんな調停の努力をいたしまして、八月にも非同盟のグループが参りまして両国であっせんをしたわけでございますけれども、これが全然成果を上げなかったということでございまして、イラン・イラク戦争は残念ながら当面これが休戦、停戦になる見通しはないというふうに一応判断せざるを得ないかと思います。しかしながら、最近の戦闘の状況を見てみますと、戦闘の激化という状況はございませんで、ごく局地的にはイラン側が攻勢をかけたとかそういったたぐいのことはございますけれども、全体として、これ以上戦火がどんどん拡大するという方向にはないと、こういうことでございます。  それに対して、わが国がどう対応するかということは非常にむずかしい御質問でございまして、いまのところは情勢の推移、非常に不透明でございますけれども、これを不断に見守りながら、その対策を考えていくということ以上のことはちょっと申し上げられないという状況でございます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 こういった混乱が長引けば長引くほど、われわれがかつて戦争中に経験した体験がありますように、非常に民生が不安定になる、あるいは食糧初め医薬品等々も欠乏していくだろう、国内経済が非常にまたそれに輪をかけて混乱の色合いを濃くしていくだろう。そういうような状況を見たときに、ただ手をこまねいて鎮静化を持つ以外にないだろうということで、一体解決になるのか。やっぱり国連があるんですから、何とか平和への話し合いというものができないものか、その可能性は全くないのか。やっぱりいまの状況がますます続いていけば、お互い疲弊もしていくのは当然ですし、その疲弊が長く続けば困ぱいの度がもうその極に達して、また不測の事態が起きかねない。これはやっぱり世界に対する波及効果が非常に大きいだけに、いま述べられたようなことで、ただ見守っている、静観するということだけでいいのかなあという、やっぱりわれわれとしては心配がございますね。石化の問題もあるわけでしょう。こういったことも全然もう撤退を余儀なくされるようないま事態に入っているわけですし、その辺、いまおっしゃったとおりでいいのかなあと思う。どうですか、外務大臣としては。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) イランの現況については、いま村田局長から答えたとおりでございますが、実は、先般サミットの会議のときに、いままでに例がなく外相会議が非常に頻繁に持たれました。この席上で、世界各地の情勢分析をいたしました。そのとき各国の外務大臣から、日本の外務大臣として一番心配なところはどこかと、こう言われて、私は中東――イランであるということを率直に申し上げました。  現状はいま言ったとおりでありますが、これがさらに内戦状態に進み、いついかなるときにこれが内戦がさらに分かれて混乱、混戦状態に陥るかということは逆賭しがたい情勢でございます。その場合、ソ連とイランは善隣友好条約協定を結んでおります。こう考えてくると、このイランがどう動くか、これに対応する策を誤ったなら、これはとてもいままでの例とは違った、直接火花のつく原因になるということを長時間かけて私は説明をしましたところ、各国の大臣がなるほどそうだと、だからあなた方アフガニスタンとかポーランドとか地域的に自分に近いところばかり心配しているが、もっと中東問題を心配されたいと、こういうことを言ったわけでありますが、まあ、これは心配しているだけでは役に立ちませんので、問題はやっぱり何といっても、この逆賭しがたい情勢の中に大国を介入さしてはならぬということが第一だと私は考えます。  こうなってくると、やはり関係各国が国連憲章の遵守を通じて、おっしゃるとおりに平和的手段により解決されるべく、国連中心に積極的にわれわれが努力するべきであるということは御意見のとおりでありまして、たとえば、国際の平和と安全の維持の第一義的責任を有する安全保障理事会、こういうものが中心となって武力行使の陥止、当事国間の話し合い、事務総長の特使または事務総長自身が現地に出かけていって紛争の解決をやるなど、国連による和平のためのあっせん、紛争の拡大防止と平和解決のための具体的方途を、いまから関係諸国と綿密に相談しておくべき必要があると考えます。

渋谷邦彦公明党・国民会議

○渋谷邦彦君 大国の介入を断じて許してはならない、これは全く同感です。これをやったらえらいことになりますから、もう引っ込みがつかない、まあそういう状況になるでありましょう。  いま最後のところで締めくくっていただいたその手の打ち方、これはもうできるだけ早急に日本政府として手を打っていただきながら、悲惨な現状というものを何とか一刻も早く救済できる方向へ努力をやはり続けていただきたい、これを要望しておきます。  じゃ終わります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私も日韓閣僚会議が目前に迫っておりますので、この問題で若干最初にお尋ねしたいと思うんですが、もう大臣御承知のように、レーガンの大変な力の政策ということがいろいろ言われております。また、先般の日韓の外相会談等々で見られた韓国側の態度ですね、これもいろいろ新聞で報道されております。まあ非常にそういう、きわめて何といいますか厳しい状況の中で行われる。同時にことしの二月、米韓首脳会談が行われて共同声明が出され、さらに五月には、同じように米韓の安全保障会議が行われて、これまた共同声明が出されたわけですね。同時に日米間においては、ことしの五月に大統領と首脳会談が行われて共同声明があり、その後、安保事務レベル協議等々事態が進行しているわけですね。そういうこととの関連で、今度の日韓閣僚会議というのがどういう意味を持つのかということを、やはり当然考えざるを得ない事態にあるだろうと思うんです。この問題を広げて論じることは、私は園田さんがお帰りになってから十分にお尋ねしたいと思いますが、とりあえず、今度の日韓閣僚会議に大臣が臨まれる基本的な姿勢といいますか、基本的な考え方というか、どういうふうな基本的な姿勢で今度の日韓閣僚会議に臨まれるのか、そのことをお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 第一にこの背景でございますが、アフガニスタンとかその他のように、米ソの対決が直接朝鮮半島にあらわれておると私は判断いたしません。米国、中国、ソ連、しかもそれぞれの国と日本は特別の、あるいは同盟国、あるいは友好国、あるいはいまから話を進めていきたいという国でありますから、これを単純に米ソの問題が朝鮮半島で出てきているという判断は私のとらざるところでございます。  そこで、これに臨む基本的な姿勢は先ほども申し上げましたが、日本と韓国は特殊な歴史の過去を持っております。伝統もあります。地形的にもきわめて隣国でありますから、日韓が新しい段階で本当に互角で助け合う、新しい日韓関係をつくりたい、その念願のもとに、韓国の方で必要なことはできるだけの協力はしたいと、こういう考え方を本当に持って臨むわけであります。  しかしながら、やはりそこはきちんとしておかなきゃならぬ問題はあるわけでありまして、私がどうも一番心配するのは、軍事、防衛、安全保障というものになぜこだわるかというと、日本と米国は同盟関係にあり、米国と韓国もまたそういう関係にあるわけでありますが、日本と韓国は同盟の関係にはないわけであります。したがいまして、それがいつの間にか日韓米という関係をつくられることは、これは日本の将来のためにも、アジアの平和のためにも決していいことではなくて、これだけは避けなきゃならぬ。したがいまして、日本の経済協力の本旨からいっても防衛、安全保障に肩がわりするような経済協力は、これはお金を出すことが不可能である点、これはもうはっきりしておきたい。  次に今度は、経済協力の問題に理解ができて話が移ってくれば、これは個々に積み上げ方式で両方で誠意を持って検討して、なるべく早く個々の問題解決をして、そして積み上げて、どれくらい協力ができるかという相談に移りたい、こういう基本でありますが、今度の関係閣僚会議でとてもとてもそこまでいく段階ではないと私は想像しながら、大変困難な苦痛な会議であるという考え方で臨むつもりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 基本的なお考え方というのはわかったのですが、先ほど来問題になりました対韓援助の問題ですね。額についてはどうするかというようなことはお尋ねしませんが、いろいろ新聞で報道されているところによりますと、前回よりもやっぱりふやしていくという方向で検討なされているというふうに報道されているわけですが、やはり対韓援助というのはふやしていく方向なのか、あるいはいまと同じような水準でとどめておくのか、それとも削減をするのか、基本的な方向だけでも、検討されておる方向だけでもよろしいんですがお聞かせいただきたい。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 削減するつもりはございません。話が筋にのってくれば、特殊な関係であり、韓国の困難な状態も十分認識しておりまするから、できるだけのことはしたい。したいと言いましても限界がありまして、他のアジアの国々に対する経済協力の配分も兼ね合いもございますから、そのこともにらみ合わせつつできるだけのことはやりたいと、こういう意味でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いままでのODAに対しての政府がとっておられる考え方ですね、有償の場合ですとその国のGNP一人当たり千ドル以下、無償の場合が六百五十ドルですか、以下という一定の基準が定められて、そうしてそこにおける民生の安定あるいは経済開発等々の一定のそういう基準の範囲内で行ってきたと思うんですね。韓国の場合には、昨年のGNPを見てみましても、一人当たり千五百ドルを超える額になっているわけですね。それで、つまり日本の政府としては、こういういままでのODAの考え方からするならば、世界じゅうもっと日本との関係もありながら、援助しなければならないところも少なくないと思うんですが、とりわけ韓国に対して援助をふやすという理由と必要性は一体どこにあるんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは韓国だけじゃなくて、一般的の経済協力の問題でありますから、おっしゃるとおりに、開発途上国と、それから中進国というふうにわれわれ呼んでおりますが、いわゆるGNP、いままでの比率よりも上回る国でございます。一つは、このGNPに余りこだわり過ぎるなと。実際問題、GNPの数字は上がっておっても、国民生活や国家経済のつらいところもあるから、その点は考慮をして弾力性を持てということが一つ。それからもう一つは、経済協力でこれは全般的に大型プロジェクトだけに偏るな。むしろ、本当に農村の振興であるとか病院であるとか、国民生活に直接流れていくような経済協力に、めんどうであっても両国と相談してやれと、こういうのが私の経済協力に対する事務の諸君に相談しているところでございます。  韓国とは、やはり皆さん方と立場が違いまして、われわれは、やっぱり隣国であって、特殊な関係、歴史的関係等もありますので、そういう可能性の限界の中ではできるだけお力添えをしたいと、こういうのが私の気持ちでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 結局特殊な関係ということだと思うんですね、やっぱりふやしていくという姿勢は。だけれど、大臣先ほどおっしゃいましたけれども、言うならば、いままでの日韓閣僚会議の中でも、韓国自身が自分たちは中進国であるというふうに称しておりますし、そうして今度五カ年計画の内容から見ますと、GNP一人当たり二千百数十ドルですか、七十ドルですかを目指してやっていくという努力もされている。そういう状況の中で、だんだんODAを減らして民間に移行するという経緯があったわけですね。ところが、今日はそうではなくなって、今度はまたやはり政府が前面に乗り出して援助をふやしていく。  ここでやっぱりどうしても疑問が残るのは、これは韓国の平和と安全、つまり朝鮮半島の平和と安全というのは、日本を初め、東アジアの平和と安全に重要なかかわりを持つ。これは間違いないですね、そういうお考えであることは。それから同時に、レーガン大統領が韓国の大統領との会談を行って、韓国の防衛に対してコミットメントを続けていく。つまり駐留ですね、韓国における米軍の駐留を引き続いて維持すると。これも日本側としては、大変結構なことだと言って評価をされている。そうして先ほど大臣がお挙げになった日米首脳会談の共同コミュニケの中でも、アジアの平和と安全に対する双方の関心を確認したという項の中に、朝鮮半島における平和の維持を促進することということが書かれている。その後に重ねて、いわゆる在韓米地上軍の維持ということに対する評価のことまでつけ加えて述べられているわけですね。つまり、こういう安全保障的な考え方、こういう考え方と、今回進めようとしておる対韓援助というのが一切関係がないのかどうなのか。これは日本政府がとっておる姿勢から言うならば、形の上では安保絡みではないと言うけれども、事実上やっぱりこれは木内さんがいみじくも吐露されたように、そういう考え方は理解できますと言って参議院の安保特でお話になる。こういう安保絡みの考え方とこの対韓援助とは一体どういう関係があるのか、全く関係がないというふうに大臣はおっしゃるのか、そこらあたりのかかわり合いについて、これからの姿勢がありますから、日本政府としてどういう姿勢をとられるのかということとも関係しますので、かかわり合いについて大臣にお伺いしたい。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 逆にお答えをいたしますと、南北の問題が緊張しようと緩和しようと、その懸念が全然なくなろうと、日本と韓国の経済協力の姿勢に基本的な問題のかかわりはない。したがいまして、安全保障とは関係はない。共同声明でも、朝鮮半島の云々のことはありますが、それについては米軍が駐留することを評価する、日本がまた政治経済の面でアジアに協力していることは、おのおのその立場において評価すると、こういうことであって、役割りの分担はございません。したがって、安全保障とは全然関係ありません、今後とも。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣もお読みになっておると思いますが、日韓閣僚会議を前にして、一般紙でもいろいろと注文をつけておられますね。注文といいますか要望といいますか、いろいろ書いておりますし、それもお読みになっているでしょうし、現にいままで国会の席上で何回か繰り返された園田外務大臣が、本当に閣僚会議の席上でそういうことを忠実に実行されるかどうかということがもう数日後でわかりますので、ですから私はあえてこれ以上いまの席上ではお尋ねせず、帰ってからいろいろその実際の結果を見て重ねてお尋ねすることにしたいと思います。  次に、核の問題に関連してお尋ねしたいんですが、前回の九十四国会の席上で、御承知のように非核三原則の問題で非常に大変な議論になりました。また、とりわけその中でも核通過の問題が大きな問題になって、何回かこの委員会の席上でも私たちも質問いたしましたし、大臣自身にもお答えいただいたわけですが、これらの問題に関して、非核三原則並びに核通過等々の問題に関して、国会が閉会してから外務大臣はヘイグ長官とは六月、さらには七月、マニラとニューヨークでお会いになっているのですが、この話し合いの席上では全く話し合いにならなかったのか、あるいは話し合いがなされたとしたらどういうふうな話し合いがなされたのか。あれほど九十四国会で問題になった非核三原則のことですから、多少話題になったんではないかというふうな感じがするのですが、大臣いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まず事務当局から答えていただきます。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) 御指摘のとおり、外務大臣とヘイグ国務長官との会談は、六月、七月の二回にそれぞれ行われまして、日米関係、国際情勢等について広範な意見の交換が行われましたが、ただいまも先生の御提起されましたいわゆる核、わが国における核問題という話題は特定的には話題になっておりません。それは、むしろ東京において園田大臣とマンスフィールド駐日大使との間で随時話題になったことはございますが、御指摘の園田・ヘイグ会談では、別途の問題が論議されております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 じゃ大臣は、非核三原則の問題は大臣からも一言も出さなかったわけですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは機会あるごとに言っております。ミッドウェーの問題、ライシャワー発言の問題等で話しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その六月と七月にはなかったわけですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 私とヘイグ長官とは、マニラとニューヨークだけではなくて、そのほかもう数回会っておりますので、そのたびごとに話しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 話しておるの。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) はい。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これ、私もたしか話し合いをなされているのじゃないかというふうな気がしたのです。これは六月の国会の一日の場合も四日の場合も、当外務委員会の席上で何回か大臣が言われている。そういう問題については鈴木総理ともよく話し合いをしてどうするか考えてみたいというふうなことも言われておりましたし、じゃ時期を見て話し合った方がいいかもしれないとかいうふうな大変微妙な発言をされておったので、話し合いをされているのじゃないかと思うのですが、どういうふうな話し合いをされて、どういうふうな内容だったんでしょうか。特に核通過の問題に関しては、これは大変な問題だったと思うのですね、九十四国会の。その問題に関してどういうふうな話し合いがなされたのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは大した議論はございません。非核三原則の問題を堅持するということをはっきり言っただけで、向こうのヘイグ長官からはライシャワーに対する痛烈な批判があった、こういうことでありますが、その他の個々の協議、調査については事務の方からお答えをいたさせます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 話が若干飛びますけれどもね、先ほども問題になりましたが、戦域核の問題に関してはどういう形ででも話し合いの中では問題にならなかったのかどうか、大臣御自身の場合に。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 全然ございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 全然ございませんか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) はい。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この間の安保特の会議の席上で、この戦域核の問題も米側から話し合ってくるそういう時期が来ると当然予測しているというふうに九月三日の安保特の席上で述べられた。そういう当然予測しておることが話されてきた場合に、大臣はどういうふうにお答えするつもりでしょうか、この戦域核の配備の問題ですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これはもう当然事前協議の対象であって、その場合にいかなる場合にもノーと、こういう方針はちゃんと持っております。向こうから話がないのにこちらからわざわざいやな話を催促するわけにまいりませんから、私からしなかっただけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは日本への配備だけではなくて、極東への配備についてはどうです。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) それも全然ございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いやいや、そういう話が持ち込まれてきた場合には、極東に配備するから日本政府としても了解してほしいという趣旨の話が出されてきた場合、これは日本への配備じゃなくて極東への配備というふうに出されてきた場合にはどうなさいますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは御承知のとおりに一つの報道でありまして、研究しているとかいないとかという報道はありますけれども、米国が極東配備について何らかの決定を行ったということは全然私は公式にも非公式にも聞いておりません。またアプローチや説明もありません。ただ、調査研究を行っているというニュースは私も承りました。いずれにせよ、これは事前協議の対象でありますから、国内に持ち込む場合には当然であります。極東の配備については日本の国内に持ち込むこと以外の問題でありますから、これは、それがないのにこちらが事前にどうこう言わぬ方がいいと存じます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 つまり、極東への配備の問題に関しては大臣はいま明確にお答えなされなかった、報道の範囲だからという趣旨ですが、しかし先般の下田会議で、アメリカの政策を立案するのに重大なかかわりを持っている方自身も、第七艦隊に対して巡航ミサイルが配備されるということはもうほぼ間違いない。そういう状況が進みつつあるということが述べられていますね。それから中性子爆弾の配備についても、すでに八月の十一日、国防総省のスポークスマンが記者会見で述べております。つまり戦域核の配備等々は、これはただ単に欧州だけの問題ではないということで、極東の地名をも挙げた発言すら行われているわけですね。ですから、現実にこれは極東に対する配備というのは、私はそういうことが着々と進められつつあると、大臣自身もそういう相談をしてくる時期が当然予測されるというふうに言われているのですが、ですから極東への配備、つまり日本への配備ということと区別をして、極東への配備についてどういう態度をおとりになるのか、それを歓迎なさるのか。まさか私は園田さんはそういうことはなさらないだろうと思いますけれども、歓迎なさるのでなければ、そういうことはきちっと拒否をなさるのか、そういうことは好ましくないことだという態度を自主的にお述べになるのかどうなのか、そこらあたりを聞いておきたいんですが。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 歓迎はいたしません。ヨーロッパで制限交渉を盛んに主張しているとおりでありまして、その延長として、ヨーロッパでやめたからこっちへ持ってくるなんというようなことは米ソ両国ともそういうことは考えまい、ヨーロッパにおける制限交渉ということは、これは全世界に対する制限交渉と考えておりますから、そういう話はだんだん遠のいてきたと思いますけれども、そういう事態が来ればこれは当然日本側として、そういう緊張を厳しくするようなことは慎しまれたがよかろうという程度の意見は言いますが、よそに対することでありますから、日本への持ち込みとはややそれが違うことは事実であります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 ですから、この問題に関しては、今度来月でしたかね、カルリッチという国防副長官が来られるというふうな話があるわけですが、私はこれが一つの機会になるだろうと思うんですよ。これは新聞でもいろいろと報道されておりますが、ソ連の極東におけるいわゆるアジアにおける核配備、この問題を公表するかどうかということがいま新聞で盛んに言われておりますね。それで、大臣はどのようにお考えになっているかわかりませんけれども、私はよくこの点を警戒しておいていただきたいと思うんです。これは大臣が大変日米首脳会談後御苦労なさったことだと思うんです。それは何か、つまり、ソ連の脅威ということを中心にして、それこそ一遍に十階建てをするような要求が出されてきたということがあるんですよね、ソ連の脅威ということが問題にされて。今度ソ連のアジアにおける核配備、極東における核配備ということを公表するということを問題にして、今度アジアにおける核配備、日本における核配備等々も含めてどんどん迫ってくるということはこれは目に見えているんです、アメリカさんの考え方というのは。だから、これに最初の初動からひっかからないようにするためにはどうするか、最初から明確にびしっと断っておくことが必要だと思うんです。ですから私は、カルリッチ国防副長官が来られた場合に、もしか話し合いをする機会があって、相手から明確にそういう問題が提起された場合には、先ほど園田さんがお述べになったような考え方で、はっきりとそういうことは好ましくないということを明確に述べていただきたいんですが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いまおっしゃいました国防総省の副長官は今月の末ごろ極東訪問の帰り道に寄るという話でありますが、防衛庁長官とも話しておりますが、その極東配備の問題よりも、日本の自衛力の強化ということが重点だと思いますので、そういう話は出ないと思います。ただ、そういうことを前もって言うことは避けますけれども、私はアジアの非核地帯の設定ということが好ましいとさえ国会で答弁している……

立木洋日本共産党

○立木洋君 非核地帯の設定。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) ええ。こういうことさえ国会で言ったことがございますので、極東に核が配備されることを歓迎するはずはございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そういう態度をきちっと貫くと同時に、一番最初にお尋ねしました非核三原則ですね、非核三原則がしり抜けにならないようにするために、九十四国会で繰り返し議論をされました内容についても、しかるべき時宜にやはりアメリカ側とぴしっとやるということも私は必要ではないかと思うので、そのことも重ねて述べておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 非核三原則がなし崩しにされたり三原則になったりしないよう十分注意をいたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それで、九十四国会で、松田さんね、幾つか私たちの党から調査をしてほしいという依頼をしました。  これは一つは、岩国基地におけるいわゆる核兵器組み立て作業所なるものを私たちが指摘をしまして、それについての調査をするということがありましたし、それからあそこにおけるMWWU1については、これはそういう部隊がいるが核兵器そのものはそこにはないという回答、それはあったわけですが、作業所の方ですね。  それからもう一つは、これもミッドウェーの問題について衆議院でわが党の議員が取り上げて、大使館からの一般的な回答はあったけれども、さらに引き続いて調査をいたしますという大臣からの答弁がありました。  それから最後の三点目ですが、B61の核兵器ですね、核兵器そのものが嘉手納の基地に運び込まれた、そして事実上修理が行われたというふうなそういう文書が提示されて、その事実関係を調査してほしいと、その三点お答えいただきたいんですが。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) ただいま御指摘の三点は、いずれも前国会において共産党議員からのお尋ねがあり、政府として照会ないしは調査をすることをお約束した案件でございます。  第一点の岩国の問題につきましては、六月一日の当院連合審査会で上田議員から岩国基地の建物番号一八一一について御質問がありました。これにつきまして米側に照会いたしましたところ、米側の説明は次のとおりであります。  すなわち、この建物は別の建物一八一〇とともに海兵航空団第一武器隊が使用している。この二つの建物は、同武器隊の執務室及び岩国配属中の海兵隊に対して弾薬取り扱い訓練を実施する場所として利用されており、兵器貯蔵庫としては使用されていないというものでありました。  第二点のミッドウェーの問題につきましては、御指摘のとおり、五月二十九日の衆議院の連合審査におきまして金子議員から、ミッドウェーの中にあると言われている「コーション ラジエーションエリア」の標識について御質問があり、政府はその以前に対米照会の結果として、これは米海軍軍艦内にある標識の一つであって、対水上及び対潜捜索レーダーなどあらゆる形式のレーダー、高周波無線アンテナ並びに医療及びエックス線設備の近傍に人がいることによってもたらされることのある危険に対する警告としてその標識があるということを御説明いたしました。そして、これに対しては重ねての御要望がございまして、政府としては、その旧すなわち五月二十九日に米側に照会し、六月二十四日にそのとおり間違いないという確認を得てございます。  第三点の御質問は、嘉手納基地におきまするいわゆるB61の問題でございます。  これは去る五月二十二日の衆議院本会議におきまして不破議員が嘉手納所在の第四〇〇弾薬整備スコードロンの、これは六年前一九七五年二月の週間整備計画書を提示なさいまして、その中に核爆弾B61が整備対象となっているという御指摘がございました。この点に関する米側への調査の結果は次のとおりであります。  すなわち、この週間整備計画書に記載されておりますB61とは、B61タイプスリー、すなわち三型のトレーナーと称される地上訓練用の装置でありまして、いかなる種類の爆発物も含んでいないという回答を得ております。  以上、三点まとめてお答え申し上げました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大変な問題が、米側の報告自身が私は、言うならば、極端な言い方をすれば、最後のB61なんというのは、これは明確な指定ナンバーがされてあるわけですね。核爆弾、核兵器それ自体でなければ明確なナンバーが指定されていないんですよ。そういう点とも関連して、この問題についてはわれわれは引き続いて、やはりそういう問題が明確にされていない点については大変不満ですから改めてやっていきたいと思うんですが、それで、この点についてひとつ大臣の方でお調べいただきたいと思うのは、いま辺野古の弾薬庫にアメリカ海兵隊の核兵器専門補給部隊が存在しているという問題に関して間違いがないかどうかということをお調べいただきたいんです。これは核兵器があるかないかということを言っているんじゃなくて、私が申し上げているのは、核兵器専門の補給部隊である核弾薬小隊、NOPと言われておりますが、こういう部隊が存在しているかどうかということをお調べいただきたいということです。  これはどういうものかと言えばアメリカの海兵隊の「核戦争教範」という文献によりますと、核作戦の成功にとって決定的に重要なのが、効果的な核兵たんシステムであるということが明記をされております。それで、同時にこれは核兵器を使用する部隊ですね、これは核攻撃飛行隊、核砲撃部隊、核地雷使用部隊というようなものがあるわけですが、これらの部隊に対して核兵器を提供する核兵たんシステムという意味です。この海兵隊にしぼってみますと、これがつまり岩国にあるMWWUと言われる部隊と、この沖繩にあると思われるNOPという核弾薬小隊であるわけです。これは、そういう意味できわめて重要なので、事実関係を調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) ただいま御指摘のいわゆるNOPという部隊につきましては、本年二月十六日の衆議院予算委員会におきまして共産党の東中委員から御質問がございました。したがいまして、その段階で政府は調査し、米側に質問し、回答を得ておりますので御披露申し上げます。  沖繩辺野古弾薬庫に置かれております海兵隊第三部隊役務支援軍、第三補給大隊、弾薬中隊、第一分遣隊、これがこの部隊の正式な名称でございますが、これは科学兵器ないし核兵器を整備する能力を有する部隊である。ただし、実際の貯蔵、搭載云々というものは全くないが、能力を保持するということは総合的な軍の機能維持のために全世界的にやっておりまして、これは従来からいろいろな国会の委員会で重ねて政府が申し上げておりますとおり、そういった能力を各般の段階で保持していることは米軍の体制上あるが、しかしそういう部隊の存在が、これは先生核兵器の存在はお尋にならないというふうにただいまおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、そういった核兵器の存在とは全く別個の問題であるということを申し上げたいと存じます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その部隊が存在しておるということをお認めになるわけですね、NOP部隊が。

松田慶文外務省北米局外務参事官

○説明員(松田慶文君) そのように聞いております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それじゃこの問題の最後ですが、大臣御承知のように、いわゆる戦域核の配備という問題については、これは戦略核と違ってより使用がしやすい、そして事実上これはヨーロッパで大変な反対運動が起こっていますし、いろいろな政府でもその配備に対して反対だというふうな意思表明が最近も多くのところでなされております。これらの問題はどうかといいますと、事実上アメリカなどの本国は、いわゆる核戦争が起こった場合でも枠外に置かれて、いわゆるその局面だけで核兵器が事実上使用されるという大変危険な、またそれだけに使用することも容易になりがちな危険な内容を持っているわけですから、こういう問題については十分に私は対処していただきたい。先ほど述べられたことをアメリカ側のそういう問題が提起された場合には、はっきりとした姿勢をとっていただきたい。同時に、やはり日本の国内にそのような事実上核戦争を進めるようなシステム、体系等々を支える部隊が現実にある、これは核兵器そのものがあるということになると、また、ございませんということを大臣言われますから、それは私はいまの場合には問題にしませんが、しかし事実上いろいろなそういう形で核兵器を補給する部隊がいる、あるいは修理をする部隊がいる、いろいろな組み立てる部隊がいる、あるいはそれに類似する作業所がある、あるいは第七艦隊に先ほど言いました巡航ミサイルが配備される可能性というのが目前に迫っている等々のことになってきますと、これは相当本当に国民の要望にこたえた非核三原則の立場で、毅然としてこういう問題に対する態度を貫いていくということがますます重要になるというふうに思いますので、その点についての大臣の御意見をお聞きしたいんですが。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 国内の問題は先ほど申し上げたとおりでありまして、きわめて明確にお答えしたつもりであります。  極東配備の問題については、これはまた一方ソ連の方も極東配備するという情報等もありますので、これが事実とすれば、ソ連の極東配備もアメリカの極東配備についても、われわれ意見を申し述べてきちんとしていくつもりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう時間がありませんで、村田さんの方に中東問題を詳しくお聞きしたいということで予定はしておったんですが、一問だけ大臣に、その中東問題でお尋ねしたいんですが、最近、御承知のようにアメリカの中東に対する政策というのはどんどん軍備を提供する。これは最近の報道だけでも、エジプトに対して早期警戒偵察機の導入で八月十二日に合意しておりますし、今後の五カ年計画としては軍事援助の規模が五十五億ドルにも上るんではないかということが言われています。また、イスラエルに対しても、イラクの原子炉爆撃後引き渡しを停止していたF15、F16等々がいわゆる停止は解かれるという状態になりましたし、サウジアラビアに対しても、これは早期警戒管制機を初めとする軍事装備八十五億ドルになるこれらの予算が八月二十四日議会に上程された。ヨルダンやチュニジアに対しても、戦車売却等々が進められておる。以前から問題になっておりますサマリア、ケニアあるいはオマーン等々では基地使用の拡張が進められておる等々、大変な事態にあるんですが、このような中東の事態に対するアメリカの動向をいわゆる日本政府としてはどう考えているのだろうか。  つまり、日本政府はいままで中東における和平の問題、この核心がパレスチナの問題にあるということを繰り返し述べてこられた。そういうパレスチナの問題を本当に解決する上から言っても、このような中東における米軍の軍備増強ということが、いわゆるいいように働くというふうには言えないんじゃないか。それどころか危険な状態をますますつくり出すんではないかという懸念がどうしてもぬぐい去ることができないわけで、こういう点から、中東の問題についての基本的な考え方、今度の外交青書を見てみますと、中東地域は極東、欧州と並んで重要な戦略上の地位を占めているという表現がなされておりますけれども、いまの政府の中東に対する基本的な考え方と、アメリカのそういう動向に対する考え方等々、あわせて最後に大臣の見解をお聞きして質問を終わりたいと思いますが。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 中東地域が戦略上という言葉を使っていることは、これはそのとおり書いておりますが、これはただ前提がありまして、東西関係の観点からすればという前提がついており、中東問題はイラン・イラクの交戦が一年以上硬直状態に入って、いまなお何らの和平が得られない。さらにイランは流動化しておる。ソ連のアフガニスタン軍事駐留は依然として継続しておる。こういう中東地域の情勢が不安定であるということはわれわれ認識しておりますし、米国も、ここまでは大体認識は一つだと思います。ただし、中東紛争の解決の進め方については、日本と米国は違っております。これは公的にも私はっきり中東問題については、米国と日本は足並みはそろっておりませんということを明瞭にいたしております。一番問題は、いまおっしゃいましたパレスチナ人に対する自決権の承認問題それからPLOの和平交渉への参加の必要性、こういうことをわが国は認めておりますし、推進したいと思っております。米国はこれは認めてないと、こういう非常に大事な懸隔があります。  なお、全般的な問題については、アメリカが一方的に支持することによって他の多数の国を敵に回すことは賢明ではない、こういう点はしばしば私の意向は伝えてございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 大臣にお尋ねをしますけれども、最初日韓問題について御質問します。  私も、やぶから棒みたいな韓国の要求なものですから、どうしたものかと思っていま自身困っておりますけれども、とにかく韓国政府が要求している経済協力というのは、額についても基本的な考え方についても、天と地の隔たりがある内容だと私は思うんです。普通二国間で非常にはなはだしい意見の対立が、しかも相当基本的な部分にわたって存在する場合に、一体二国間はどういう接触を普通するだろうか、こう思いますと、まず外務大臣同士のいろいろな話がある、それが終わると、基本的な部分にかかわるわけでありますから、首脳会談で大筋を決着をする、それが終わると実務者会談に移ってくる、こういったかっこうで両国関係は私は進展していくんだと思います。日韓の定期閣僚会談というのは従前からやってまいりましたけれども、これは実務者レベルの会議、どちらかと言えばそういう性格のものでありまして、いまのように天と地の隔たりがある場合に日韓関係閣僚会談を開くべきなんだろうか。いま一番必要なのは、両国の外務大臣同士でこれだけ違っているものを、どうやって相互理解を深めていこうかという話し合いが必要なんであって、首脳会談も何も飛び越して関係閣僚会談ですという舞台をしつらえることは私はよくないんじゃないか。それは共同声明を出すとか出さないとかじゃなくて、実務者が議論できるステージがない。日韓関係というのは歴史がありますけれども、少なくも今回先方の経済協力要請の額並びに基本的な考え方からすると、それはまさに新しい日韓関係であって、仕切り直しで入っていくしかない。諸般の事情で開催にはなったんでしょうけれども、私としては、開かないということになるといろんなマイナス面が出るかもしれませんけれども、かえって開かない方が、相互理解が深まるんじゃないか。開いて共同声明が出ないとなればまた同じことですから、その意味で、これはお答えしづらい点かもしれませんが、もし御所見があれば承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 日韓問題に対する基本的な問題、いろんな背景等、私の想像するところはいままで申し上げたとおりであります。この前の外相会談は、このような情景のもとで日韓協力関係の増進を図って新しい関係を開こうじゃないかという話し合いのスタートを切ったところに重要な意味があったと思います。したがって、相当な差がありますから、関係閣僚会議はまだこれは尚早ではないか、もう少し話をしてからやるべきではないかというのが事務当局の意見であります。私はそれを十分聞いた上で、それもよくわかるけれども、外相会議をやってから予定の関係閣僚会議を開かぬということになれば、外相会議というものが相互理解の第一歩であったということではなくて、話し合いが両方後ろ向きになったという印象を与えては韓国のためにもよくないし、礼儀でもない。またもう一つは、非常に今度開かれる関係閣僚会議というものが大事だ、重要だ、微妙である、だからこそそれが何回もあって、これで話がつかなければさらに外相会議ということで随時外相会議を、定期から随時に変えた、こういうわけで私は関係閣僚会議を関係閣僚と相談して開くことに決めたわけでございます。したがいまして、今度関係閣僚会議を開いてどうなるのか、共同声明も出すとか出さぬとか考えておりません。できるだけ出したいと思っておりますが、相互理解がどこまで進むか。ただし会議をやって、理解が少しも進まぬということはないと考えます。こういう無理なときには、むだであっても、むだな会議を何回も開いて、その集積が一つの理解の方向へ進むものであると考えて行う次第でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私が心配しますのは、さっき大臣が、安保とのかかわり合いは、経済協力について、これは因りますと、それから従来から積み上げ方式でやってきているので、つかみ金のような額そのもの、これは困りますと、これはあくまでもわが国政府の基本的な線でありますという趣旨のことをおっしゃいましたが、これは先方が最も重要なこととして要求している二つです。一つは安保との絡み、もう一つは黙って六十億ドル。入り口から違っているのですよ。入り口は一緒で、途中でちょっともつれて出口が見えないなあというのだったらいいんだけれども、入口から違っちゃっている。違っているのはいまや事実ですから否定するわけにいかないのだけれども、入り口から違う議論を外務大臣と先方の外務大臣がそれぞれ御議論になる。これは何遍重ねても、それが前進があるように私は思えないのだけれども、関係閣僚会議という舞台で、しかも入り口から違うというと、入り口の違いというのは際立って出てしまわないか。共同声明つくれるわけがないです、どだい。違い過ぎているのだもの。開催の運びになったんですからこれ以上言っても仕方がないのですけれども、まことに日韓関係は困ったことになったなあというのが私の率直な実感であります。何でこんな入り口からの違いになったんだろうか。  ひとつ伺いたいんですけれども、韓国の要求している、あるいは理解を求めている安保とのかかわり論、要するに三十八度線を前にして韓国軍六十万を支えているわが国の努力を理解してもらいたいという言い方ですね。それに対して日本は相応の努力を、貢献をすべきではないか、この韓国側のシナリオというのはアメリカの国防省が裏響きをしているんではないか。これはお答え求めません。求めませんが、アメリカに行った際に、私ではありませんけれども、その種の感触を得たような経過もあったものですから、そうなってくると韓国側がこの主張をなかなかおろさない。一体これから日韓関係というのはどうやって議論を進めていったらいいんだろうか、それが問われている気がするんですね。それで、たとえば南進の可能性があるかどうか。これはわかりません。仮にあったとしても、日本とすると緊張緩和の外交努力とそれをめぐる貢献しかこれはできないのですから、というのが従来からのわが国の立場なんだけれども、それを言っていて済むんだろうか、あるいは済まないんだろうか。というのは現在の東西関係の大変もつれた一つの局面が出ていると思うんですけれども、韓国が三十八度線で大変な負担を強いられながら国を守っている、そのことが世界にとって、特に自由諸国陣営にとってどういう意味を持つんだろうか。恐らくいま韓国の言いたいのはその点だと思うのですね。それはあくまでも朝鮮半島の南北問題でありますと、こうきめつけてしまえるんだろうか。これは私の思い過ごしかもしれないのですけれども、ソ連が極東軍を増強しているのは、これはもう周知の事実です。そのときに北朝鮮が南進をする。アメリカの資料によりますと、気づかれずにしかも援助を受けずに南進できるだけの能力を持っておるというのが米軍部の資料のようであります。そうは言っても、三十八度線を境にして南北が争うということになりますと、兵たん基地がないとなかなか戦いはできない。兵たん基地がないということが三十八度線の問題についてはまあまあ大丈夫ではないかという見方をわれわれがしている一つだと思うんです。兵たん基地があるかないかということは、朝鮮半島のつけ根のところにありますのは中国であります。  ことしの正月に私中国に参りました。現地でいろいろ聞いたのだけれど、中国政府も大変財政赤字で困っているんだということをしきりに言っておりました。言っていた後で先方の人が、これは中国人では必ずしもありませんが言っておりましたのは、実は中央政府にはお金はないんだけれど地方には案外あるんです、税金を送ってこなくなったんですと。送ってこないところは旧満州、東三省ですね、あの地域と広州、広東、あれが一番目立つんです。どうも最近中国をながめておりますと、これは他国のことですから無責任なことは言うべきではありませんけれども、どうにも東三省の動きで理解できない面がある。大慶油田にしても、一年前は約一億一千万キロリットル年間に生産していた。これが一年たって八千万キロリットルに減っちゃった。北京政府の説明は、採掘の技術上の問題でありますと、こう言っているんだけれど、それだけでこの大幅な原油の生産減を説明できるんだろうか。一説ではそれはウラジオストク、ハバロフスク方面に原油が供給されているんだという説もあります。これは私の推測ですけれども、これ以下はモスクワ発表ですから事実であります。  北朝鮮はどうかというと、北朝鮮の一部をソ連に租借をした。これは七九年の一月五日のモスクワ放送で正式に発表しているようです。それはどういう地区かといいますと、豆満江、羅津、雄基を含む地区です。咸鏡北道の一部です。だれが考えてもシベリア方面に相当の人を集めるということになりますと、生活必需品の兵たん基地が要る。その一部として中国の東北部分あるいは北朝鮮が組み込まれてきたんだろうか、そうなってくると、さらにそれからずっとおりてきて、三十八度線をめぐるあの対決というのは、単に朝鮮半島の中の問題にとどまらないんだろうかという変化が何か私はありそうな気がするんです。これはお答えを求めたくて言っているんではなくて、現在の状況で三十八度線をめぐる国際情勢というのはどうも大きく変化をしているみたい。それを背景にして、この韓国陸軍六十万があそこで守っている事実に対して日本は相当考えろと。もし仮に韓国政府がそう覆っているとしますと、入り口の違いというのは縮まらない。私、入り口で違っているからと申し上げたんですけれども、この入り口の違いというのは、相当基本的な部分で日本のこれからの安全保障を問い詰めている問題だと私は思うんです。これはお答え要りません。  次の、額について申し上げますと、なぜ六十億ドルと言うんだろうか、中身は先方から説明がないからわからないというお話でした。ただ外相会談やっておられた感触を伺いたいんですけれども、それは時期的に急いでいるんでしょうか、相当後でもいいというゆとりのある先方の要請だったんでしょうか、その点いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まあ会談で本心はわかりませんけれども、これはもう早急に額だけでも決めて帰りたいという非常に急ぎであったことは事実であります。ただしこれは五カ年という話はございました。  それからなおまた、入り口で違っておりますが、違っておるからといっていろんな話し合いを中断することはかえって私は後ろへ下がるおそれがあると思いますので、困難でむずかしければ私がおしかりを受ければ済むことでございますから、話し合いは続けていきたい。困難であればあるほど言いたい。特に日本と米国の関係を少し誤解しておられるような気もいたしますので、日本と米国の関係等についても必要があればよく説明をしたい、こう思うわけであります。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 現在の韓国の外貨事情がどうなっておるか、細かい数字はよくわかりませんけれども、八〇年末の債務の元利合計返済額、要するに返済しなければいけない額は恐らく五十億ドルに上るんではないかと言われているようです。しかも現在、対外債務の累積額というのは三百億ドルを超えておるかもしれない。そういった中で待つたなしに金が欲しいという状況にあるのではないんでしょうか。私、なぜ伺うかといいますと、入り口がこう違っているんだと、何遍会談重ねてもいい、やがて理解が深まると、こうおっしゃるんだけれど、せっぱ詰まった要求だったらそのゆとりが先方でないんじゃないですか。その点の見通し等については、仮にいまおっしゃったからといってこれから続く会談にプラスにこそなれマイナスにはならない。いやそれは韓国がどのようにせっぱ詰まろうと、それは向こうの責任なんですから、日本としてとかくのことを言う必要はないんだけれど、実態がそうだということはよくわかりますということまでは言っていいと思うんだけれど、いま韓国の経済状況というのは、そういった意味で相当外貨の資金繰りが苦しくなっているんではありませんか。

木内昭胤外務省アジア局長

○説明員(木内昭胤君) ただいま栗林委員御指摘の数字と若干違いますが、私どもが掌握いたしております韓国の対外債務は現在二百四十三億ドルというふうに承知いたしております。したがいまして、これに対する年間の、返済額は恐らく四十億ドル前後に相なるんではないか、そういう意味では、アメリカにおける高金利の影響もございまして、金利高を反映しまして確かに相当高額な返済に今後追われるであろうということは予測されておることでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 で、もともとそういった状況に立ち至った理由というのは、第二次オイルショックに対して日本ほどうまく切り抜けられなかったということが私は原因の一つだと思います。日本はおかげで世界自由主義諸国家群でただ一つと言っていいほど第二次オイルショックは切り抜けてこられた。これは国民の努力の成果ですから、同様に韓国民に対して、あなた方も努力をせいということは言うべきでありますけれども、といって、いま韓国がそういう状況にあるのに対してどうしていくんだろうか。いま入り口から違っているんですよ。  で、韓国の新経済五カ年計画というのは御承知だと思いますけれども、これは実質平均七・六%の経済成長を実現していこうというまさに気宇壮大な計画でありまして、ただ七・六%できようができまいがやってみてからの話だと言うにしては、韓国は現在失業率が五%です。この七・六%の実質成長率を達成したとして失業率はわずかに一%しか下がらない。どの国でも一番社会の激動につながる経済数字というのは失業率とインフレですからね。そうすると、韓国政府とすると何とか七・六%の実質経済成長率は達成したいと思うかもしれない。そのときに必要になる必要外貨というのは四百六十五億ドルだといわれています。片方で外貨がとまり、しかも片方では気宇壮大な計画をやらないことには国内問題がなかなかうまくいかない。四百六十五億ドルを一体、これから世界の中でどうやって探してくるんだというと、まずは近い日本に六十億ドルと。先方がそう思っているかどうかは別にして、だれでも韓国政府の立場になるとこのぐらいの理屈はわかる気がします。そのときに日本としてどうするか。六十億ドルというのはとうてい出せる金額ではない。きょう閣議があったようですけれども、各省概算要求まとめての御説明があったと思います。人事院勧告しようったって金がない。その窮状にいま日本は立たされている。それでいて隣の韓国がまさにやぶから棒にこういう上要求を突きつけてくる。何とかこれをさばいていかなきゃいけないんだけれども、これ私本当に困っているんですよ、どうしたらいいだろうか。  つくづく思うんだけれども、韓国と日本は国が違うんですから、先方がどうあろうとそれはおたくの国のことでございますと言えるし、それから、北朝鮮が南朝鮮に攻め込んだとして半島内の局地戦でおさまってくれるんだったら、それはおたくの国のことですと言えるのが普通の関係なんだけれども、なぜ日本にこういういわば理不尽な要求が、しかもあたかも当然であるかのようにして舞い込むのだろうか。しかも、その要求に対してアメリカでさえなぜ心情的な支持を与えるんだろうか。やっぱり私は、ここに形を変えたフリーライド論があると思うんです。日本が本当にこれからむずかしくなるのは、現行憲法のもとで自衛力だけを持っていればよろしいということをやっているんだけれども、それにしては余りに国が豊かになり過ぎたんです。だから、現行憲法をもって平和国家でいこうよということだったら、もっと貧しい暮らしをしてないとバランスがとれない。それがここまで豊かになったものだから、理屈はどうあれツケを回してこないと気持ちが済まない、そういう感じじゃないかと私は思うんです。ですから、いま日本の経済力をそのまま享受しながら、なおかつ周りの国々のそういういら立ちをも抑えて日本がこれからどうやって生きていったらいいか、今後の日本の生き方という点については、大臣はどうお考えになりますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 経済が豊かということは戦前に比べれば確かに豊かであります。しかし、まだ計算しておりませんが、今度の経済成長はせいぜい日本は四から五までの間で、大体四・五%かまあ無理をすれば五%にいく程度であります。これから言えば、他の先進国に比べればまあまあいい方であると思います。経済大国という面影は大分なくなる。それよりもっとわれわれが考えるのは、経済はまあまあでありますが、国家財政はまさに破綻を来しておる。これはおっしゃるとおりであります。これはいろいろ原因があるかもわかりませんけれども、過去数カ年間世界経済の沈下を防ぐために、日本と西ドイツが他国から要望されて相当高度の経済成長をやった後遺症でもあるわけであります。  この二つの面から日本は一つの限界があるわけでありまして、その中でもいまおっしゃいましたような、しかしよそに比べたら豊かじゃないか、おっしゃるとおりでありますから、軍事的な援助、軍事予算の援助はできないが、経済協力についてはこのつらい中でも過去の五年間をさらに向こう五カ年間で倍増以上にしようと、その数字が先ほど申し上げた数字でございます。  したがいまして、韓国の方のおっしゃることは真意は私わかりませんけれども、おっしゃる理屈は、いまあなたがおっしゃったような理屈を言われて、これはもう十分専門家が検討した数字でございます。これは確かに韓国の立場から言えば研究された数字でございましょう。だが、日本の立場から言えば、協力する道が閉ざされておるというわけでありますから、これは外相会議をやってもまとまらぬから首脳会議をやったって、総理大臣が出て行ったからといって、軍事予算の肩がわりとか安保絡みの予算、あるいは六十億ドルの金が出せるはずがございません。したがいまして、これはそういう日本の実情も理解してもらう、かつまた韓国のつらいところもわれわれはできるだけ理解をして、何か両方の言い分が通る方法はないかと、こういう研究をするためにしばしば話し合いをすることが大事であると、こう考えておるわけであります。これがこのまま中断をしておりますと、この問題が感情的な対立になってきて、これは恐るべき状態になるという心配をしているわけでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 心配している点は私も全く同じなんですが、ただわが国もそうそう経済が豊かになったというわけでもなくて、現在は三から四、四から五ぐらいの成長率だとおっしゃいましたけれども、それがよ過ぎるのですよ。去年の韓国の成長率はマイナスの五・七%、マイナスですよ。ことしは一応四%ぐらいに推定はされていますけれども、それとて果たしてそうかどうかはわからないし、しかもヨーロッパ、ソ連も見渡して大体いま横ばいでいけばいいところでしょう。だから、いま企画庁の推定では本年度五%であろうと言っていますけれども、四だろうと五だろうと三だろうと、うらやましくて仕方がない数字なんです、これ自体は。日本としますと、せめて五、六%の成長率がないと完全雇用に近いかっこうまで持っていけない。いまそれはとてもだめで、二%近い失業率ですけれども、あれが改善できないという国内事情はあるけれども、外から見るとよだれが出るくらいにいい数字なんです。その物持ち集団に、この波風が激しいときにどうやってかさを差して歩いたらいいかと、これは私はいま本当に政治家の知恵が求められている時代ではないかと思うんです。  時間がありませんから、ほかの点で一点だけ伺います。  日米共同声明の中にはありませんけれども、恐らく付随した会談の中で鈴木総理が先方と決めたんだろうと思います。記者会見でも言っておられました。それは航路帯千海里。周辺海域数百海里、航路帯千海里というのは平たく言うと守るということですけれども、航路帯千海里を守るということの意味なんですが、私、防衛庁に質問しまして、いまの護衛艦というのはどのくらいの航続距離があるんだと聞いたら、軍の機密ですから教えられませんと言われまして、しょうがないですから、昔もいまもそんなに艦船の性能が変わっているわけじゃないから、昔の記録はどうかと思ったら、ちょうど前の戦争が始まったときに、一隊がハワイに行く、一隊がマレーに行く、もう一隊がなんとグアム島に行ったのです、駆逐艦二隻。駆逐艦三隻が行って帰ってこれないのです、燃料がなくて。千海里というのは大体グアム島周辺までの距離ですから。したがって、護衛艦の燃料が心配になる距離なんです。飛行機はどうかといったら、恐らく航空母艦が要る距離かもしれない。その距離を守るとなると飛躍的な防衛力が必要になる。ここまでは私は軍事常識の問題だと思うんです、別に目新しい話じゃなくて。いま私この問題をお尋ねしません、時間がありませんから。  そこで関連しまして、千海里を仮に守るとしてその何を守るのか。当然、それは船ですというお答えが返ってくると思うんです。それは日本の船を守るんですというお答えだと思うんですよ。それは個別的自衛権の行使であります。そこで、これは一遍本会議でも伺ったんだけれども、余りおかしな御答弁だったので重ねて聞くんですけれども、原油を運んで日本にタンカーが来ますね。あのタンカーの中で日本国籍のタンカーは一体幾らぐらいあるんだろうか。要するに、日本に入る原油というのはどういう船舶で運ばれているんだろうか。運輸省海運局外航課に手伝ってもらって推測をしますと、推算です、日本船籍タンカーが五三・八%、外国船籍が一〇・三%、外国の用船が三五・九%。そうすると、日の丸の旗をかざして日本に持ってくる原油を運んでいるタンカーというのは、平たく言って半分しかないんです。日本とすると、この日の丸の旗をかざしているタンカーだけを守るのか。リベリアの旗をかざしたりどこぞの旗をかざしているのは、これは集団的自衛権の行使になるからいかぬ、日本はあくまでも個別的自衛権でありますと、守るわけにいきません。日本はこの外国用船も外国船も全部入ってくれないと国がもたないんですよ。したがって、航路帯千海里ということになってくると、いやでも従前の個別的自衛権の行使の枠内でということでは済まなくなる。これもお答えずらい問題でしょうからお答え要りません。要りませんが、これが現実ですよ、あくまでも現行憲法でありますと。  したがって個別的自衛権だ、集団的自衛権の行使はできないと言っていたら、日本が必要とするタンカーの半分はどうぞ沈んでください、そう言っているに等しい。では一体、グアム島を越えてマラッカ海峡の方まで、当然そこまで船が行くわけですから、そこをどうやって守るか。そこを通っている日本の旗をくっつけたタンカーはわれわれが守るというかっこうでマラッカ海峡に出ていったら、ASEANはどう思います。いまだってASEANは身構えてますよ。それは当然ASEAN諸国と共同であの海域を守るしかない。これは集団的自衛以外の何物でもないんです。ですから、現行憲法は守っていかなきゃいけないんだけれども、憲法の解釈としてあくまで集団的自衛権はだめですみたいなかたい解釈を守り続けていけるんだろうか。憲法解釈というのは時とともに進歩していいんですよ、基本精神は保ちながら。同様に不満ではあるけれども、これだけ豊かになった日本がどうやって生きていくかというときに、国連の派兵をさえ受けられない日本の社会力というのはまことに奇妙に見える。国連の警察行動に対してもだめだと。  こうした議論のもろもろが積み重なって、私は韓国のあのびっくりするような要求になっていったと思うのです。しかも困るのは、韓国の人たちはあのセオリーをつくるのにずいぶん苦労しているんだと思います。彼らにすれば金城鉄壁の理論構成でいま立ち向かおうとしているわけでしょう。しかも、日本とすると六十億ドルはとても受けられないし、しかも積み上げ方式でない援助というのは、もともとがわが国の援助の基本姿勢に反する。出口に行ったってだめですよ、これは。入り口で食い違っていて出口でも食い違うのです。それを韓国は隣の国だから、まあこの際あれはやめないでとやっておいたら、私は問題がますますこじれていく。  で、これはお願いなんでありますけれども、従前からある答弁のスタイルが決まっていましてね、前にはこう答えたから今度はこうだというかっこうで答弁書を御苦労されてつくるんだけれども、そういった継続でこれからは私渡れないと思う。それは野党の方にも責任がないとは言いません。言わないけれど、もうそろそろ本当の議論をしていかないとね、日本の孤立感は深まるばっかりですよ。日本を孤立させないのが外務宵の仕事でしょう。だから、日韓閣僚会議で御苦労されるんだけれども、それもこれも含めて、少し腰を据えたお仕事を私はお願いしたいと思いますし、何となくそばにある国だから甘えてどうこうっていう形で私はもう韓国はいかぬと思う。もう日本語が通用しないんだもの。韓国のテクノクラートは、どっちかというと、アメリカの方に親近感があるんですよ、留学しているから。最近は韓国の連中と話すときには英語でしゃべるしかないんですよ。東洋人の非常に機微のある感じをどうやって英語で伝えるのか。不可能でしょう。  ほっといたら日韓関係はこれから問題ばっかり抱えます。そのときに、どう考えたって入り口が分かれて出口も分かれているというものをあいまいにしてはいかぬ。したがって、韓国の要求に対してはこの際お断りするしかないんですけれども、断るだけじゃなくて、日本がいままでやるべきだったけれどやっていなかったこと、そこに向かってやはり努力を私は集中すべきだと思います。  時期が時期ですからお答え求めません。一方的に申し上げましたけれども、意のあるところはぜひおくみ取りをいただきたいと思います。  以上です。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 先日、NHKのテレビドラマで「マリコ」というのが放映されましたが、これは太平洋戦争を中心に、戦前、戦中を通じ、平和を愛する一人の外交官の姿を通して、外交官の必死の努力もむなしく軍部が力を持ち、政治を支配したとき、国民を悲惨な戦争に引きずり込んでいった経過を感動的にドラマ化したものでしたが、最近の軍備増強、防衛予算の聖域化など政府の方針に国民は少なからず不安を感じていると思います。外務省としては平和外交推進の立場から、防衛庁の言いなりになるようなことは断じてないと思いますが、外務宵が第二防衛庁というような陰口をたたかれるようなこともあり、現園田外務大臣が厚生大臣であったころ、外務省の防衛積極論に批判的な発言をされていたことを新聞で読んだ記憶がありますが、文民統制の上からも、将来にわたって外交優先の立場を貫かなければなりません。ことしの外交青書は防衛白書に比べハト派的な要素の多いものと私は受け取っているんですが、大臣のまず御所見をお聞かせください。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) わが国の平和と安全、将来の繁栄というものは、御発言のとおり世界の平和と繁栄の中にのみ生きる道があると私は考えております。日本の国の繁栄は他の国の繁栄であり、他の国の繁栄は日本の繁栄である、こういうことから平和外交というもの、戦争のない社会というもの、これが日本の生きる道であるというつもりで、積極的に平和外交を推進してまいらなければならぬと強く考えております。そのためには、もちろん基本的価値をともにする米国、ECのみならず、第三世界の方々とも足並みをそろえてこれに邁進する必要があると思います。なおまた、防衛庁と私の外務省との仕事は分担がございまして、防衛庁の方はいざという場合におくれをとらないように必死に準備してもらうことが防衛庁長官の仕事である。私は、そのように命をかけてと言われる防衛庁の方々が出番がないようにすることが外務大臣の仕事であると考えますから、防衛庁長官と外務大臣の言うことは当然違うのがあたりまえだと、こう考えております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 下田会議では、いろんなテーマについて率直な意見の交換が行われたようですが、米側は、日本のGNPが三十年前は米国の二十分の一であったのがいまは二分の一になっている、そのわりに防衛面の努力がおくれている、もっと防衛支出をふやせというのがアメリカ側の言い分のようですが、その前提となるソ連の脅威についての国際情勢の認識に日本側と大きな開きがあるようです。日本側から、ソ連が第三世界で軍事侵攻する意図や能力があることをどう論証するのか。またアフガニスタン事件の対ソ経済制裁の例を見ても、米国の政策に一貫性がない。また世界の不安定要因の多くはソ連の脅威と余り関係がないんではないかなどの疑問点が出されましたが、米側はこれらに明確な答えを示さなかったとも言われておりますが、下田会議では腹を割った率直な意見が述べられたようですが、今後は公式の席でもアメリカに対して、下田会議で発言されたような内容の議論が交わされることが日米の相互理解を深める結果になると考えておりますが、大臣はいかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 下田会議は必ずしも各国の意見をそのまま述べたものであるとは考えませんけれども、それぞれの立場でそれぞれ違った意見が率直に言われたことはこれはいいことであるし、今後ともこの中から一つの国際的な問題が出てくると期待いたしております。なお私は、米国に対しては率直に忌憚なくいろいろな会談で意見を申し述べていることは下田会議以上に率直に意見を言っていることであって、これが本当に米国に対する真の友人としての協力だと考えております。今後ともそれは続けるつもりでございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 アメリカ原子力潜水艦の衝突事故について八月の三十一日、米側から最終調査報告書が日本に伝達され、日本側は誠意ある回答として事実関係については再調査を求めず、政治問題としては決着する意向と聞いておりますが、疑問点は幾つもありますが、その中でやはり衝突後の日本側乗組員の救助に関して、アメリカ側の調査報告と乗組員の証言に大きな開きがある点です。軍事機密というようなことが介在すれば、真相の究明はなかなかむずかしいとは思いますが、今後の同種事故再発防止について具体的な取り決めがなされましたか。また、事故の賠償については万全を期するよう、政府が力添えすることを望みたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言の趣旨は十分理解をいたし、今後このような事件がないように強く米国に要請したところでございます。かつまた、今後そのようなことがないように、いろいろな問題についても日本としても注意深くいきたいと思っております。  なお、最終報告は、これはいままでに例のないことでありまして、具体的にわれわれの疑問点を列挙して、これはすべて米国の責任であるという具体的に責任を挙げております。人命救助がなされなかったという点についても、だれの責任でどういう間違いをして、どういうふうであったということを具体的に書いております。遺族の方から言えばなかなか不満足なところでありましょうけれども、これがもしよその国であったら、これくらい誠意を持って自分の非を認めたかどうか疑問に思うところであります。しかしながら、日本の海上保安庁の報告と食い違っている点や、あるいは補償の問題等もまだ残る問題でありますから、こういう問題等はまだいろいろ相談していかなければなりませんが、これも要求してございます。したがいまして、政治的には米国が全責任を持ったというこの報告書で、この問題は決着の方向へ進んだと、こう考えておりますが、こういう事故がないようにということについては、米国の方でもこういうことに注意をするという例を挙げております。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 きょう一時過ぎに大阪の相馬弁護士と連絡をとって話を聞いたのですが、死亡者一人につき一億円、それが八千六百万円、一千四百万円の差で相手方一等航海士の方はどうしても経済的な問題があるので妥協したということですが、あと生存者十三名に、階級によって違うんですが、千二百万から千一三百万。神戸ナビゲーションサービス会社が五千万の額を五月ごろに第一回お会いしたときに米側に提示しているそうですが、相手はただそのときには高い金額だということのみで帰られて、その後きょうに至るまで何ら回答が来ていない。だから先日の米側のああいう形の謝罪的な文を見ておりますと、あと残られた遺族の方、また生存者の方の解決は近いとは見るんですが、弁護士が申しますのには、この十四日か十五日に最終的な詰めをしたい考えであるということをきょう電話で言っておりました。恐らく十四日か十五日に最終的な話し合いが行われると思います。遺族側もまた生存者側もこの千二百万から千三百万に対して固執をしているわけではないと、まだ話し合いする機会を持ちたいというふうに弾力的に言っているそうですが、ただ高いというだけで交渉が打ち切られているのでいかんともできないということが弁護士側から強くきょう言われておりました。外務省の範囲内でできる限りのことはひとつ早急に、ここまで解決のめどがついたんですから、国民感情的にも早くこういう問題についての処理を格段な御便宜を与えていただきたいと私は思います。  最後に、外交官の海外勤務期間の一カ所平均は現在二年であるのを三年に延長する方針を外務省が明らかにしておりますが、外交官にとって海外勤務は宿命的な仕事で大変御苦労とは思いますが、その職責を全うするためにはいかに現地に溶け込み、相手国関係者と親密になり、信頼関係を築くかが重要であることは言を待ちません。そのために必要な勤務期間の延長はやむを得ないと思いますが、在外公館百六十三のうち半数以上が省令地と呼ばれる暮らしにくい地域であると聞いております。気候、風土、医療面など、また政情不安など人命にもかかわる場合もあるわけですが、そういう苦労の多い勤務地では帰国休暇が大きな励みとなると思いますが、法律では省令地については一年半ごと、またその他の地域は三年に一回の帰国休暇が認められておりますが、実際は予算不足また人員不足で十分こういうことが行われていないと聞いておりますが、今後これらの点をどうする気持ちですか。

柳谷謙介外務大臣官房長

○説明員(柳谷謙介君) ただいま御指摘のありましたように、外交任務がますます近年多くなっているという状況の中におきまして、在外交館に課せられた使命もいよいよ重くなっておるわけでございます。御指摘のとおり、現地に溶け込み、その信頼を得て仕事をする、あるいは人脈を持ち、その上に立って情報の収集を活発にするということが在外公館の一つの大きな任務であることはそのとおりでございまして、私どもも、そのためには勤務期間をなるべく長くしたいということで過去長い間努力をしてまいっております。現在、これは数字のとり方によっていろいろございますが、大体二年数カ月というのが現状でございます。これを三年に延ばしたいと。これは平均でございまして、たとえば国連代表部などは四年ぐらい置く。それから著しく環境の悪いところについては、各国ともそうでございますけれども、ある程度短くせざるを得ないということで、平均で申しまして三年ということにいたしたいと、大体三年計画ぐらいでこれを達成したいというのが現在の私どもの考え方でございます。  御指摘のように、そのためにはただいまもお話にありましたように、在外公館の数で申しますと全体の五四%、それから在外職員の数で申しますと全体の四五%が気候、医療事情その他の悪い不健康地にあるということでございまして、この地に勤務する者につきましては、十分の私どもの不健康地対策あるいは省令地対策と呼んでおります措置が行われる必要があることは御指摘のとおりでございます。現地におきます医療関係あるいは健康管理のためのいろいろな手配、さらには教育問題もございますし等々、さらには健康管理のための休暇、これも一時的な健康のチェックから、いま御指摘のありました法律で許されております一年に二カ月の有給休暇というものがそのとおり実行できることが、これらの地に勤務する職員の活動を十分支援するに不可決のことと考えております。過去におきましては在外職員の旅費が必ずしも十分でございませんで、資格が発生した者については一月、二月先に延ばすというようなやりくりをしてきたことは事実でございますけれども、近年は財政当局もその点は特に理解を得まして逐次改普を図っております。  まだ率直に申しまして完全に全該当者を即刻認めるということには至っておりませんけれども、これも来年度の予算の非常に厳しいいわゆるゼロシーリングの中ではございますけれども、特に私ども濃淡をつけまして、その濃の方に入りまして、三年平均勤務を支障なく達成するための不可欠なものとしてこの種の休暇、帰国旅費というようなものの確保も一つの重点に置いて努力している次第でございます。

山田勇第二院クラブ

○山田勇君 最後の質問ですが、勤務配置がえなどは、本省へ戻ってきて一年ぐらい本省勤めをして、省令地等に勤務された方はまた違う気候、風土のいいところへ勤務を命ずるというような形で外務省なりの御努力とそれなりのローテーションを組んでやられております。その点は十分私もわかるんですが、たとえば出先の書記官等なんかは勤務地へ行きましてから、そこで家を探したり大変御苦労が多いと聞いております。その国情によっては物価も非常に不安定なところもありますし、給与だけでフォローできない面もあるというふうに聞いております。  たとえば先日メルボルンへ行きますと、領事館がかわるということで、どうして急にかわるんですかということをお尋ねいたしますと、どうしても家賃がどんどん上がっていくんで少し安いところへかわろうというふうなことを聞いて、少なくとも国の出先機関としては何かそういう形の中で買い上げるとか、そういうふうなことをこれから処置を講じられた方が私はいいように思うわけですね。たとえばABCぐらいのクラスに割って、個人差はあるにしても在外公館の住宅などはその国がまだインフレ傾向が助長しない間に先に買っておけば、いま賃貸で何十年もこれから進んでいくより、少し当初の予算はきつくともそういうところでお買いになって、そういう不安を出先機関に与えないような処置というものはできないかどうか。一度もっと詳しいデータを持ってゆっくりとお尋ねしたいんですが、きょうはこの程度でお尋ねをしておきますが、何かそういうふうにさっきの領事館だとかそういうものは買っていけないものだろうかということだけをお尋ねして、私の質疑を終わります。

柳谷謙介外務大臣官房長

○説明員(柳谷謙介君) 確かに不健康地に着任した職員の最初の苦労は家を探す苦労でございます。あと子供を学校にうまく入れられるかどうか、現地にそれに適する学校があるかどうかというような苦労とか、やっぱり健康に不安がある場合にそれに対する医療上の手当てが十分か、さまざまな苦労があるわけでございます。  いま山田委員は、そのうちの住宅の点を特に御指摘あったわけでございますが、これは国有化の促進ということは相当前から私ども推進してきているわけでございまして、社会主義圏等のように国有化ができない、買えない土地もございますから、一〇〇%ということはできませんけれども、現在国有化されました在外公館は、事務所では四十五、これは全体の二七%でございます。大使公邸につきましては九十三、全体の五七%でございまして、毎年この種の予算は少しずつつけてもらいまして買えるものを買う、あるいは買いかえるというようなことをやっておる次第でございまして、その努力は続けているわけでございます。これもまたゼロシーリングというようなこともありますので、せっかくいい出物があってもその年に予算が伴わないとできない。予算がついたときには売れてしまっていたというようないろいろなこともございますけれども、全体としては、国有化率を高めていく努力はいままでもしてまいりましたけれども、今後も続けていきたい。  そのほかに、いまは公邸と事務所だけを申し上げましたけれども、館員住宅につきましても、いま御指摘のありましたように一部買い上げあるいは国による長期借り上げということによりまして、館員の不便を少しでもやわらげるという努力もあわせて行っている次第でございます。

秦野章自由民主党・自由国民会議

○委員長(秦野章君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会

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