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94回国会衆議院1981/03/02

予算委員会第三分科会 第3号

発言数
461
登壇者
55
会派数
6
開催日
1981/03/02

会議録

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  主査が所用のためおくれますので、主査が御出席になるまで指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中厚生省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八木昇君。

八木昇日本社会党

○八木分科員 私は、同和問題について質問をいたします。  今日もなお根強く差別の実態が現存しておるのでございまして、私は、昭和五十六年度をもって同対法の期限が切れますけれども、絶対にやはり今後も相当長期にわたって、法のむしろ内容を強化して、そして継続せらるべきものであると考えるのでございます。質問いたしたい点は、医療機関において今日なお差別につながるおそれがある実態が現存しているということについてであります。  国立療養所の久里浜病院附属看護学校の入学願書を見ますと、入学願書に受験生の本籍、自分の信仰、それから家族の欄がございまして、それぞれ家族の氏名を記入して、それぞれの家族の宗教、それから同居、別居の別、それぞれの家族の健康状況、それぞれの家族の学歴、月収などを書くようになっております。ほかにもこのような入学願書の記載内容になっておる看護学校もあるようでございますが、こういう事実を把握しておられるか。これは差別につながるおそれがあると考えるのでございますが、厚生省としてはどのようにお考えになっておられるか。  ちなみに、御承知だと思いますけれども労働省あるいは文部省等は厳重に指導をいたしておりまして、すでにたとえば今日民間市販の履歴書等につきましても、日本工業規格、JIS履歴書の参考例でもこの履歴書の欄は本籍は都道府県のみ、もちろん私がいま申し上げましたような事項は記載しないようになっております。いかがですか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 御指摘の問題につきましては、県当局から事情を聴取したところによりますと、当該学校につきましては入学時に当たって差別的な取り扱いをする意図は全くなかったというように申しておるようでございますが、いやしくもそういうような差別的な取り扱いをしたというふうに思われることがあるとすれば非常に遺憾なことでございますので、今後十分反省していかなければならない問題と考えておるわけでございます。  御指摘の事件は五十四年度の入学選考時に起きたわけですが、五十五年度の入学選考から神奈川県当局におきましては、県下の看護学校の入学に際して関係書類を点検し、提出書類の記載事項について必要最小限度にするなど、改善措置を講じておるわけでございます。今後とも厚生省といたしましても十分指導を行っていきたいと考えております。

八木昇日本社会党

○八木分科員 ほかを聞こうと思ったのですけれども、いまおっしゃったのは違っておりはしませんか。私が申し上げた久里浜病院附属看護学校の場合は、ここに持っておりますが昭和五十五年度の入学案内ですよ。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 五十五年度の入学案内につきましては、先生先ほど御指摘のようないろいろな事項は幾つかは残っておりますけれども、大部分取り除かれているのではないかと考えるわけでございます。

八木昇日本社会党

○八木分科員 そんなことはありませんよ。国立久里浜です。出願手続が昭和五十四年の十二月一日から、学科試験が五十五年一月三十一日、身体検査が五十五年二月一日ですよ。これでしょう。これの中身を私は申し上げているのですよ、本籍とか信仰とか……。指導してないじゃないですか。——それは後でもっと明確にしたいと思います。  時間が短いものですから先を急ぎますが、それでただいまのような事態というのは、この同対法ができてもはや十二年を経過しておるわけでして、今日までほとんど指導がなされていなかった、こう考えざるを得ないわけです。  それで、私がこれから指摘をいたしますのは確かに昭和五十四年度の入試の際のものでございますけれども、神奈川県の藤沢市立高等看護学院におきましてもただいま申し上げたような記載事項があるのみならず、入学試験の際に戸籍抄本も提出をする。入学手続の際じゃないのです。二次の面接におきまして、同和教育とは何か、どんなとき習うのか、だれから習うのか、父母とそんなことで話すことがあるか、身の回りにそんな人がいるのか、同和教育など不思議に思わないか、母の職業は何か、八項目面接で質問をしておりますね。  それで、これは大臣の御出身の熊本県同協から問題提起されておりまして、たとえばこの年に藤沢市立高等看護学院に熊本県の高校からたくさん受験をしております。八代東高校、鹿本高校、荒尾高校、その他宇土高校、大矢野高校。それで鹿本高校の場合について言いますと、六名受験をして一次に三名合格、その三名が面接を受けたのですが、三名ともいま申し上げたような質問を受けておりまして、そのほとんどすべてについてわかりません、知りませんと答えた人のみが二次で合格をしておりまして、その内容についてそれぞれ答えた内容がわかっておりますが、的確に答弁ができた残り二人の人は不合格になっております。差別したと断定できませんけれども、大体余り二次では落ちないんですね。熊本同協から問題提起をしております。  こういう事柄については少なくとも、これは去年の入試ですからね、それを考えますと、かねての指導がほとんどなされていなかったと考えられるのです。その点いかがでしょう。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、従来から各都道府県を通じまして、入学選考時に提出させる書類の調査項目は必要最小限度にとどめるよう指導しておったわけでございますが、神奈川県下の看護学校におきまして先生御指摘のような問題が起きましたことはまことに遺憾に存じておる次第でございまして、今後ともこういうことが起きないようにさらに十分な指導を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。

八木昇日本社会党

○八木分科員 これは少なくとも国立の療養所における看護学校等については、さらに詳細に点検した上で指導してもらわなければ困る。こういう事態というのは、昨今の事例を見まするとほとんど看護学校の場合に限られておりますね。  そこで、次でございますが、地名総鑑を購入した病院がございますが、内容を把握しておられましょうか。それから法務省にその調査をゆだねるのでなく、厚生省自体としてもそういった調査をなされたでしょうか。少なくとも国立あるいは公立及び公的な医療機関については指導が当然なされておるべきであったと思うのですけれども、その辺についてお答えをいただきたい。  それから地名総鑑を購入したと判明しておる病院名、私の把握しているところでは少なくとも三つは大阪でございますが、そういった病院に対してどういう措置をとられたか、お伺いいたします。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 御指摘のように昭和五十年末に地名総鑑を購入した病院が大阪府下に三カ所ございまして、これにつきましては、大阪府及び大阪法務局を中心といたしまして、また厚生省関係の近畿地方医務局も含めまして関係機関におきまして、病院ごとに同和問題の本質、図書購入の問題点の認識と反省などを中心として指導、啓蒙を行ったところでございます。また各病院におきましては、指導、啓発があった後、同和問題についての認識を深めるための体制を確立し、職員に対する研修を実施するなどの措置を講じたという報告を受けております。  厚生省関係の国立病院・療養所につきましては、われわれ従来から政府の方針に従いましてこの問題につきまして十分な指導に努めておったところでございますが、この点に関しまして、先般もこの問題についての研修会等に国立病院・療養所の担当の事務官が積極的な参加をして問題についての理解を深め、取り扱いについて遺憾のないようにという指導をさらにしたところでございます。

八木昇日本社会党

○八木分科員 それではいわゆる残事業という問題について御質問いたしますが、昭和五十六年度末になってもなお残る事業が相当厚生省関係についてもあると考えられますが、どういうふうになっているかということが一点と、それからいわゆる残事業というものの認識についてでありますけれども、これまで自治体から上がってきております要望あるいは要請事項の中でなお昭和五十六年度までになし得ない、残る部分というのを残事業というふうにどうもお考えになっておるようでありますけれども、その分についてはお答えをいただきたいですが、実態を言いますると、たとえば隣保館については原則として五十世帯以上の部落には隣保館をつくる。現在九百ぐらいですか、隣保館ができておるそうでありますけれども、五十世帯以上の部落で隣保館がないものが全国になお九百八十余りあると言われております。五十世帯以下の部落となりますと千八百八十五ある。二部落なり三部落を合わせて隣保館をつくるというふうに考えますと千八百八十五、五十世帯以下の隣保館がない部落があるとすれば、これまた相当数の隣保館をつくらねばならないということになると思うのですが、いわゆる残事業というものについてどういう認識をお持ちになっておるのか。  それから同和対策がいまだ全く行われていない被差別部落がなおたくさんあるわけでありまして、たとえば愛知におきましては三十六地区未解放部落があり、そのうちわずか九地区のみが現在まで指定をされておる、同和対策事業が行われておる。残りは全くまた手つかずである。私の佐賀市におきましても、昨年初めて指定されたばかりの地区もございまして、これから同和対策事業をやるという状況でございます。  こういう状態というものはなお今後相当半永久的に続くというふうに考えられるわけでございますから、残事業というのは、そういう意味合いから考えますと、なお膨大である、こういうふうに考えねばならないと思うのでございます。この点とあわせて端的にお答えをいただきたい。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 どれだけ残事業があるかというのはいろいろ見方があるかと思うのですが、現在関係都道府県からのヒヤリングをいたしまして最終的な詰めを行っておる段階でございます。率直に申し上げまして、いま手がけております事業でございましてもなお引き続いて来年度にまたがるものもございますし、考えておる事業であっても、たとえば土地の入手というようなことに交渉がうまくいかないということでおくれておる事業もございます。また御指摘のような対象地域である国庫補助事業であるけれども、これからというものもあろうかと思います。そういう意味におきまして、私どもといたしましてはこの事業を五十六年で打ち切ってあとはもう一切事業がないという認識には立っておりません。  なお、隣保館の例がございましたが、隣保館の数につきましても、現在のでもうすべて終わりという考え方ではございませんが、ただあと幾つ必要かということになりますと、先生まさしくおっしゃいましたように数地域を集めて一つの隣保館で賄いましたり、あるいは隣保館にかわります教育集会所といったような似たような施設がございます。あるいは厚生省の中でも生活指導員事業というのを昨年から始めております。そういったものもございますので、隣保館の数をいまの段階で何カ所というところまでは理論的にまだ詰めておるわけではございませんが、そのような認識をいたしておるところでございます。

八木昇日本社会党

○八木分科員 次に、長年懸案のいわゆる未解放部落に診療所を設置せよという問題ですが、去年の予算委員会で当時の野呂厚生大臣は、同和対策事業の一環として同和地区に診療所が十分置かれていないのは一つの欠陥であると思う、厚生省として真剣に取り組むと答弁をしておるのでありますけれども、本年度の予算にもこれは上がっておりません。で、大阪あたりではもう自治体が仕方なくみずからの全額負担で幾つか診療所をつくっておるようでございます。これが進まないことについて、あるいはなかなか医者が来ないとか、来ても長くおってくれないとか、あるいは経営が成り立たないとかというようなことをおっしゃる向きがあるのでありますけれども、それはやはり何としてでも克服すべきことであって、余り理由にならないと思うのでございます。国の直営でなくとも少なくとも大幅なる国の補助というものがなされるべきであると思うのでありますが、この点はできれば大臣からもお答えをいただきたいと思います。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、現在六府県におきまして三十数カ所いわゆる同和地区に診療所を設置しているところがございます。厚生省といたしましては、従来から地域の医療の確保という観点から診療圏を設定し、さしあたって救急医療あるいは僻地医療の確保の施策を講じてまいっておるわけでございまして、同和地区の医療の確保についても、この方針のもとに同和地区を含む地域全体の医療の確保を図るという観点から、医療施設の整備等種々の対策を総合的に進めてまいっているわけでございます。同和地区につきまして、特に同和地区だけのための診療所を設ける必要性ということについては、その必要性をいろいろ伺っておるわけでございますが、本年度予算編成のときにおきましてもまだそこまでは踏み切れなかったということで、今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 同和地区の診療所の問題は、全国で三十カ所くらい、御指摘のとおりまだまだ不十分でございます。したがいまして、事務当局が答えましたとおりに、これは僻地診療あるいはその他の診療の面でカバーするようにやっておりますけれども、今後とも関係市町村とよく相談をして鋭意努力をいたします。

八木昇日本社会党

○八木分科員 大臣、厚生省の方自体、なお同和地区に特別に診療所を設けるということについて若干の疑念といいますか積極性が足りないというか、そういう感じがあるわけであります。したがって自治体任せというふうになっているように私としては感じられます。そういうことではいかぬと私は思います。厚生省としてなお積極的な取り組みの姿勢であってもらいたい、そういう私の質問の趣旨でございますので、申し上げておきたいと思います。  そこで、非常に部落の環境がなお劣悪であるということについては御存じだと思うのでございますけれども、環境について申しますと、むしろ大部落それから小部落がなお環境改善がなされていない、中間ぐらいの部落については相当前進をしておるという実態にございます。それから生活保護が非常に多くて、長期のものが多い。あるいは障害者が非常に部落では多くて、特に視覚障害が多い。それから老人がわりあいに少なくて、寿命が短い関係でありましょう、そうして老人の生活保護者が圧倒的に多い。保健衛生について言いますれば、有病率が高くて、肝臓障害が多いというふうに一般に言われておるのでありますが、厚生省としての部落実態調査をやるということになっております。これはいつ集約ができるのか。それまでの間に近々のうちに中間報告というようなものはできないかという点を伺いたいと思います。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 先ほども申し上げましたように、物的施設につきましてはヒヤリングを重ねましていま鋭意まとめておるわけでございます。そのほかに御指摘のように保健福祉面のいわゆるソフト面、これにつきましてもただいま関係府県と協力をいたしまして、実は対象の選定や調査方法の大変むずかしい問題があるわけでございますが、鋭意、生活保護、高齢者、身体障害者、あるいは保育、そういった問題につきまして調査を実施いたしておるところでございます。心組みといたしましては、明年度予算の要求案を厚生省が夏固めますが、それまでにはぜひまとめ上げたいという心組みでおりますが、御要望も強うございますので、その前にもできるだけ努力をいたしたいという心組みでいまやっておるところでございます。

八木昇日本社会党

○八木分科員 できれば中間的に概要でも報告願いたいと思います。  時間がありませんから最後に大臣にお伺いをいたしますが、二月十六日の予算委員会で鈴木総理は、昭和五十七年度の概算要求を政府で取りまとめる時期までに、現行法が延長されたときの国会の意見、決議を踏まえて政府としての結論を出すと答弁しておられるわけでございますが、これは大臣も御存じのとおりであります。特別措置法の強化、改正について当然ことしの夏ごろまでの間には新法が決まっていなければならないと私は考えるのでありますけれども、厚生大臣としての特別措置法の強化、改正についての見解をお伺いいたしたい。  それから一つは、現職厚生大臣の部落視察というのがこれまでには行われたことがないように思うのですが、あるいはあっておればいつかあったかもしれません。労働大臣はよくどの労働大臣も視察をされたと思うのですが、厚生大臣、近い機会に部落を視察するお考えはないかどうか。その二点を伺って、質問を終わりたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 同和対策特別措置法でありますが、総理大臣がお答えになったとおり、大体夏ごろ明年度の概算要求の時期までに、これをどうやるかという基本的な考え方を、これは所管が総理府でございますから、総理府で検討いたしております。厚生大臣としては、いろいろ問題は解決したようではあるが、入学試験だとかその他少なくとも厚生省の所管のことでいまおっしゃったような事件があるということは、なかなか同和対策の問題は根が深くて、相当根気強くやらなければならぬと思っておりますので、そういう面も考えて、総理府と一緒に相談をしてまいりたいと存じます。  なお、厚生大臣の現地視察は、橋本厚生大臣のときに一回やったそうでございますが、それ以外は行われておりませんそうで、私もできるだけ機会を求めて、そういう機会をつくりたいと考えております。

八木昇日本社会党

○八木分科員 終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて八木昇君の質疑は終了いたしました。  次に、野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 私は、医業の倫理の確立の問題、社会保険料の診療報酬不正水増し請求事件、医師会の民主化等の問題について質問をしたい、こういうふうに考えております。  大臣初め関係各位の御案内のとおりに、医業は人命を預かるものであります。また人の命を救う崇高で尊厳な職業であるということは御承知のとおりです。これに従って大多数の医師は、使命感に燃えて、医業倫理を守り、予防や治療に専念されておることを信じて疑いません。しかし、近年、また最近におきましても富士見病院とか十全会とか近藤病院とか、また五日ほど前には「巨額脱税の四医師摘発」という記事がございましたが、これらのような不徳な医師の乱診乱療あるいは薬づけ、検査づけ、不正水増し請求等が相次いで起こって、国民の不信感を増大させておるということも御承知かと思うのであります。この際、このような不祥事件を徹底的に究明して国民の信頼を高めていくということは、医業界でも感じられ、行政としてもお考えになっておると思うのでありますが、厚生大臣は、これら一連の不祥事件に対してどのように現状を認識し、対応をしようと考えておるのか、まず冒頭に伺っておきたいと思うのであります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言のとおり、大多数のお医者さんは非常に良心的に地域また国民に向かって奉仕をされておるわけでありますが、その中で、いろいろ想像もできないような、国民から医療に対する信頼をなくするような事件が起きていることはまことに遺憾でありまして、こういう問題には厳正に、指導監督を強化して、そして国民の信頼を回復するように努めておるところでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 けさの朝日新聞に「乱診乱療にブレーキ?」というのが出ておりますね。ごらんいただいたと思うのですが、二十六日に予算委員会で、近藤病院問題に関連して厚生大臣は、本気になって監査をし、未然防止のために立入検査等の制度を十分生かしたい、こういうふうに述べられておりますね。近藤病院に限らないで、不正水増し等のいろいろとうわさのあるものについてはどしどし立入検査をして、このような薬づけや不正医療やあるいは水増し請求というものがないように措置をおとりになりますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医療そのものは、原則は、医師あるいは医療機関の良心と自制によってやるのが基本であり、いたずらに束縛すべきものではないと考えておりますが、今日のように乱診乱療が行われ、不正な事件が起こる段階においては、徹底的に摘発をして、厳重にこれに臨む必要があると考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 法務省の方に伺いますが、医療の不正請求、水増し請求というものが厚生大臣あるいは関係官庁から摘発される、こういう場合の罪名はどういう罪名になりますか。たとえば詐欺罪とか横領罪とか……。

水原敏博法務大臣官房審議官

○水原政府委員 お尋ねの趣旨が必ずしも明確ではございませんけれども、一般的に申し上げますならば、たとえば医師が各種保険等の診療報酬支払い機関に対して診療報酬を請求する際に、治療に当たって使用した薬品代だとか看護料だとか、これらを水増しするといういわゆる欺罔手段を用いて支払い機関の係員を錯誤に陥れるという行為をした上で、正規の診療報酬額を超える報酬を支払わしめた場合は、御指摘のように詐欺罪の成立が問われるであろうと考えられます。  なお、そのほかにもいろいろな形がございましょうが、たとえば文書の偽造の問題もございましょうが、これらは、だれが、どのような目的で、どのような方法でやったかということによって、犯罪が成立する場合、成立しない場合があろうかと思いますので、一般的にはいま申したような要件が整う限り詐欺罪の成立が考えられるでありましょう。  お答えとさせていただきます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 国税庁にお尋ねをしますが、そういう不正請求、水増し請求によって脱税があるとうわさされるものについては十分調整をされますか。

冨尾一郎国税庁直税部所得税課長

○冨尾説明員 国税庁といたしましては、従来から医師につきまして、全国的な調査業種と指定をいたしまして積極的に調査をしているところでございます。その調査結果を見ますと、連年、私どもとしてきわめて悪質であるという脱税の大口な業種の中に名を連ねているというのが実情でございます。  なお、御質問の水増し請求云々のことにつきましては、税法上、正規の社会保険診療報酬でないもの、いわゆる水増し請求につきましては租税特別措置法二十六条等の適用がございませんので、もしそのような形で水増し請求をした上で租税特別措置法の適用を受けたということでございますと、やはり税法上問題がございますということを答えさせていただきたいと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 わかりました。詐欺罪なり租税特別措置法によらざるものについては十分に調査をするということであります。  そういう不正請求や水増し請求をやった場合、大臣、医道審議会というのがありますね。りっぱな偉い人が十人ばかり委員になっておられますが、こういうことを徹底的にやって明らかにして、医道審議会等で不正請求なり水増し請求というものについては処分をしていく。それがやはり良心的な医師の立場を堅持し、国民の信頼をかち取ることになろうと思いますが、これも議題にして徹底的に処分をするというふうにお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 これはよく御存じのとおりに、医道審議会というのは、いままでは大体大まかに申しますと医の倫理——医の倫理とは治療に関する問題の医の倫理であって、不正とかあるいは二重請求とか水増しとか、そういうものは警察や法務省の摘発するところであって、医道審議会の問題ではないというような惰性で来たような気がいたします。しかし、御承知のとおり先般の医道審議会からは、こういうものをどんどん審議会に相談をして厳正に処分しているところであります。  いま法務省の御意見を聞きましても国税庁の御意見を聞きましても、わが厚生省が保険の所管でありますから、今日の医療は保険でありますから、これは医療ばかりでなくて、不正請求とか架空請求とか二重請求、こういったものはちゃんと取り調べて、そしてその上でこちらは医道審議会にかけて行政的な処分をする。それで、ひどいのは刑事処分あるいは国税庁の処分があるのが妥当であると私は考えておりまして、これはどうもいままでの惰性は若干おしかりを受けるような点はあると思います。今後はそういう点はないように厳正に臨みます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 ぜひきちんとやっていただきたいと思います。  そこで、この間一般質問のときに大臣に禅問答みたいなお話をしたのですけれども、きょうは具体的にお話をさせていただきたい。時間がありませんのではしょって質問をいたしますけれども、厚生大臣が非常に勘がいい方でありますから述べられましたように、去年の三月、四月に週刊誌や新聞に非常に取り上げられました埼玉県の本庄市にあります福島病院にかかわる問題について、これからお尋ねをしたいと思います。  恐縮でありますが、時間がありませんのでこれを見ていただきたいと思います。これは順番を追ってやりますから。  まず一番初めには、お手元にお渡ししております公開質問状というのがあります。これは本庄市児玉郡医師会の会員であります医師中沢政雄さんが埼玉県の医師会長福島茂夫あてに公開質問状を出しておるわけであります。概略お読みいただくとわかりますが、四十八年七月十八日に郡市医師会役員六名、これは当時本庄市児玉郡の医師会長の谷川会長あるいは副会長の高橋、千田、そして県医師会副会長の福島茂夫さん、こういう方々が、「A医師に対して、」と書いてありますが、これは岡部穣作という医師であります。この日の夜九時ごろに保険指導を行ったということが言われております。  二番目には、四十八年七月三十一日に、この岡部穣作氏から「貴殿と密接な関係にある方」これは奥さんを指しておるわけですね、二百万円を出しておるということであります。約二年後、五十年の四月十七日に寄付金の領収証を発行しておるということであります。三年後の五十三年三月二十九日に、この「二百万円は、ある会員が保険の不正診療をしたので、預り金として持っている。」この事は当日総会に出席した全会員の知るところであります。」こういうふうに述べております。これは特に言っておるのは、「不正診療をしても、お金で解決している事がわかりました。いったいどんな根拠でそんな事ができるのですか?」皆さんにはよくわからぬと思いますが、時間がありませんのでお願いしたいと思います。不正診療というものはいわゆる金で医師会に持っていけば終わるのかという意味であります。その結果、五十三年四月一日にこの三百万円は岡部穣作の手元に返されております。これが公開質問状の内容であります。  これは一方的になるといけませんから、これをずっとはぐっていただきますと、福島茂夫さんから通告書というものが中沢あてに出されております。これを読んでみますと、通告書の中では「名誉人格信用に対する重大な侵害である」として、貴殿の法的な責任は明白だ、こういうふうに反論があります。  かいつまんでその事情を説明しますと、いわゆる夜の九時ごろに呼びつけるというのはおかしいじゃないか、こういうことでありますが、これは医師会には夏は暑いがクーラーがない。だから食堂ではなしに会議室でやったんだ、こういうことであります。保険金の不正の一部として七月三十一日に受け取ったんだ、これは州知事あてに、不正診療をしておったという事実は明らかじゃないか、こう言っております。この岡部穣作さんが不正診療をしておったということは、七月三十一日に畑和知事あてに出しております。その不正診療の金額はここにございますけれども、三十四万四千四百七十五円であります。御存じだと思うのです。それが二百万円持っていった。四十八年から五十年に寄付金というものが出ておる。  この経緯が非常に問題なんですが、県の保険課にそれは出す考えであったけれども、県の保険課は監査もしていないのにその金を受け取るわけにはならぬから預ってほしいというふうに言ったというふうにも言われております。それでは県に尋ねてみますと、そういう権限はないし、言った覚えはない、こういうふうに埼玉県庁の保険課は述べております。その辺が非常にあいまいであります。反論としても非常に厳しく述べられておりまして、「岡部医師に対する保険金不正請求に関する調査は本庄市児玉郡医師会が県の指導によってその権限と責任において実施したものであって通告人はオブザーバーとして出席したに過ぎない事は前記の通りです。」云々、「それを貴殿は事実を歪曲して、あたかも通告人がその権限と責任において一方的に時間を指定して岡部医師を呼びつけたかのごとき発言をし、その場所を、ことさらに「食堂」とし、」というようなことがいろいろ書いてございますけれども、これを読んでいただければよくわかると思います。特に当時の「谷川会長はじめ他の四名の理事者及び県保険課中島医療係長に電話で金二〇〇万円を預り保管したことを連絡したところ、「県の医療監査が終了するまで正式には受領手続をとれないから県の監査完了まで会計において保管するように」と指示され、右金額はそのまま福島病院内にある同医師会の金庫に入れました。」こういうふうに述べられております。しかし、この辺がいま申し上げましたように県はあずかり知らない、こういうふうに言っておりますので、非常に不明確であります、まずその点を頭に置いていただきたいと思います。  それから次に、水増し請求、不正請求と思われる点、カルテ、レセプトについてであります。ちょっとこれを見てください。ここに金額を計算して出してありますから、たくさんあります、見てもらえればわかりますから。この(66)というのがありますね、注射のところにたくさん。医務局長、よくわかると思いますが、はぐっていただきますと、ありますね、(66)。  二枚目を見ていただきますと、「上申書」と書いてありまして、織茂ハナエさんというのが上申書を出しております。これは  私は昭和四十五年から福島病院のカルテに関し昭和五十五年二月十日まで福島病院のカルテに関し陪席した者でございます。  カルテの内容に関して投薬、頓服、注射、処置、検査、初診、往診に対して記載して居りましたが、このカルテの内容の中に注射の欄がございますが、(66)と記載されている数字は私の筆跡ではありません。  この(66)という数字は福島病院長福島茂夫の筆跡に間違いないことを証明し、又別の従業員の筆跡もあると思われます。  したがってこのカルテに関し私の筆跡と相違していることは明白であり、負担金額の記載する欄は私のするものではありません。  右私の潔白を証明するものでございます。 こういうことが警察署に出されております。  その(66)は福島さんあるいはその他の者と書いてありますが、たとえば福島先生の場合はほとんど政治活動でありますから病院内にはいない、こういうことを言っていらっしゃる。そしてそれはカルテを盗み出して改ざんをしたものである、こういうふうにおっしゃっております。非常にその辺がまさに不明確でありますが、これのカルテを読んでみますと、たくさん新しいといいますか、太い字で(66)というのがあります。皆さんも御存じの方もあるかないかわかりませんが、リンコシンという抗生物質の注射でありまして、リンコシン三〇〇と言われております。これは(66)というのは、一点が十円でありますから六百六十円、こういうことになるだろうと思います。そういう点についてもたくさんの疑惑が出されておるということであります。  そういうようなことがいろいろと言われておるわけでありますが、このことをひとつ厚生大臣、頭に入れておいていただきたいと思います。  三番目には、同じ本庄市に聖母病院というのがあります。これは根岸重治というのが院長であります。この奥さんの根岸須賀子さんがこの一月三十一日に福島さんを恐喝未遂罪で本庄署に訴えるというような事件が起きております。また二日には謹告罪として逆告訴をする、こういうことがやられておるわけでありまして、新聞には「医の荒廃……不毛の争い」こういうふうにありまして、非常に残念に思います。近所の皆さんはこういうふうに言っておりますね。「富士見産院事件とは別の角度で医の荒廃をみせつけている。こんな不毛の争いは、冷静な話し合いで早くケリをつけてほしい」。こういうことを御近所の皆さん、県民の皆さんが新聞等で述べているわけでございまして、こういうことについてはやはりきちんと整理をしてしまわなくちゃならない、こういうふうに思うのであります。  それで、このことについて警察庁はいろいろと調査をされておると思いますが、今日までのお調べになった状況をお話をいただけばありがたい、こういうふうに思います。  そして、まず警察庁にそれをお尋ねをして、その後にこの公開質問状にもありましたように、金を医師会のそういう権力のある方に持っていけば、そういう不正診療でも実診療として押さえることができる。こういうことになりますと、そういうことはないと思いますけれども、そういうことがもし事実あるということになればゆゆしき問題でありますから、私は県の医師会といいますか、それは医師会は自主的な団体でありますけれども、厚生省として全国の各県の医師会の民主化のために、そういうような通知なり警告なり進めていただくということにしてもらわなければならぬのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  時間がありませんから警察庁のお話を聞いて厚生大臣の御見解を承り、ぜひ調査をして、世の中のこのような水面下でどろどろしたようなことはきちんとやはり整理をして、きっぱり医業を守っていくという立場にしてもらわなければならぬだろう、こういうふうに思っております。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 御質問の点に関連をいたしまして、警察に対して四件ほど告訴等がなされております。これは傷害とか、名誉棄損とか、誣告とか、そういう罪名でございますが、これはそれぞれ受理をいたしまして、現在捜査中でございます。  なお、医療費の不正請求に関連しまして、いま御質問のようなことにつきましてもある方から資料を示して告訴したいという意思表示があったのでございますが、内容的に直ちに犯罪を構成するかどうか不明なために、告訴受理を保留してその状況を調査中である、そういう状況であります。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 医師会に対しまして、こういういろいろな不祥事件について当然医の倫理の高揚を図ることを一つの大きな目的といたしております医師会がどういうふうに対応するかということにつきまして世の中の大きな関心のあるところでございますが、御案内のようにすでに産婦人科の医師の団体である日本母性保護医協会あるいは病院の団体である日本病院会あるいは医師会の中でも都道府県単位の広島県等の医師会におきまして、こういう不正事件が会員の中にないようにという自主的ないろいろな取り決めをして医の倫理の高揚に努めているわけでございます。厚生省といたしましては、こういう自主的な動きを尊重いたしまして、それを盛り上げていくということに努めたいと思っております。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先般の質問でもお伺いしましたし、さらに以前、週刊誌でいろいろ書かれたことも記憶をいたしておりますが、まさにこれは医療の葛藤から来る不毛な争いでありまして、どちらが正しいか、私も判断がつきませんけれども、いろいろ問題が絡んでいるようで、夫婦問題なども絡んでいるようでございます。  そこで、県の方ともよく相談をし連絡をして、間違いがないように、かつまた、すでに警察の方でも調査を始められているところでありますから、こういうところとも連絡をして、間違いのない、少なくとも二度とこのような争いが起きないように十分注意をして、もし事態判明の暁には厳正にこれに向かって対処いたします。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 御答弁をいただきましたが、私は特にお願いをしておきたいと思いますのは、人間関係の葛藤は別であります。やはり社会正義に基づいて、医療行政の正常化ある。いは医業の尊厳さ、こういうことを確立し、国民の不信というもの、県民の不信というものを除去するということを原則にしていただきたい。これが第一点。  それから、やはり権力のある者は何でもできるということではなしに、厚生省は県を指導して直接に厚生省が調査をされて、そしてこの問題については、もし福島先生の方が不名誉なことであれば、これは正さなければならぬ、正と邪は明らかにして、権力によってそういう行政が右に行ったり左に行ったりすることがないようにこの際きちんと正してもらう、そして県民なり国民の信頼をかち得る医療行政を進めていただく、こういうことが一番大切ではないかというふうに思います。そういうことを明らかにして医療行政というもののえりを正させる、医師会の皆さんにも十分御注意をいただくということをやっていただきたいということを厚生大臣に申し上げたいと思います。  最後に、厚生大臣の決意をお聞きをして、そして、これを公表しながら、すべてのこういう問題については社会正義の立場からきちんと整理をしますということをはっきりしていただきたい、こう思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、私は、夫婦間の葛藤などに口を入れる資格もありませんし、また能力もございません。あくまで、厚生大臣は社会正義と医療の確立ということに重点を置いて、厳正公平にどちらにも肩を持たずに重大なる関心を持って推移を見、これに対して厳正なる対応策を講ずるつもりでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 ありがとうございました。  これで終わりますが、これはいままでにそれぞれ週刊誌とかマスコミに載っておりますので、早期に解決をしてもらいたいということをお願いすると同時に、直ちにそういうものについて福島病院なり聖母病院の調査を行っていただくようにお願いしておきます。一言よろしくお願いいたします。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この問題につきましては、先生のこの前の御質問もございました。早速私どもの方は、県に対しまして調査をするように指示をいたしました、県からはその準備にすでに着手をしておる、こういう報告があるところでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、武田一夫君。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 私は、大きく二点につきまして厚生省と労働省にお尋ねいたします。  まず最初に、大臣にお尋ねしますが、国際障害者年ということで、いろいろと体の不自由な方々に対する対応を一生懸命なさろうという努力、非常にうれしく思うわけでありますが、心身障害者、その中で特に私は、この間の予算委員会でも質問がありまして、心の方の障害者の方に対する対応が非常に弱いのではないか。大臣も、いろいろ格差があり過ぎるということで、法的にもあるいは何らかの措置をしなければならないということをおっしゃいまして、お考えがあるようでございますが、今後の対応として、この精神薄弱者といいますか、そういう心の障害者の方に対する対応をもっと充実させていただきたい、こういうふうに思うわけであります。大臣が日ごろ一生懸命そういう方向のお考えをお持ちであろうと私は思いますので、ここでさしあたり今後大臣としてはこういう方向にまず手を差し伸べていかなければならないのじゃないかと思われているお考えがもしございましたらお聞きしたい、こう思うわけでございます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先般委員会でも申し上げましたとおり、率直に言って心身障害者の対策は社会厚生の原点でありますが、その中でも体の方の障害者は参加と平等ということについていろいろ講じなければなりませんし、また丹念にやればできないこともありませんけれども、精神の方の薄弱者、障害者はなかなかむずかしい問題であります。にもかかわりませず、困難であるからこそ重点を置かなければならぬのに、いままではどちらかというとこっちの精神の方のあれが非常に対策もまた弱いということは先般も申し上げたとおりでございます。  そこで、ことしは御承知のとおりに国際障害者年でもございますが、これを契機にして、いままでも特に早期発見、早期治療、それから在宅対策、その他の施設の面、三面からやってきたところでございますが、今後はこの施設の充実を一層図るとともに、この施設のオープン化といいますか、オープンと拡充充実、それから精神薄弱者の通ってやる事業の援護事業及び小規模の通園事業の拡充など、その対策を充実することにしております。  なお、精神薄弱児の方の福祉を含め、心身障害児福祉対策のあり方については、現在実施しております心身障害児あるいは障害者調査の結果を踏まえて、中央児童福祉審議会等の御意見も承りながらこれを具体的に詰めてまいりたいと考えておるところであります。  なお、詳細なことについては事務当局からお答えをいたします。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 そこで、私は、一つ非常に深刻な問題というのは老齢化の問題だと思っております。あちこち歩きますと、老齢化の問題につきまして、やはり普通の方々と比較いたしますと中には三十代くらいからいわゆる老齢化を見せる方もいる、四十、五十になりますと間違いなくそういう状態である。普通の方々の倍は年をとるのだ、こういうふうに聞いております。事実そういう姿を見ております。そうなりますと、今後、それでなくても一般的にも老齢化社会を迎えるわけでありますから、こういう方々に対する対応というのはことのほかに大変大きな課題になってくるんじゃないか。しかしながら、現実にはその対応はまことにはだ寒いような感じがするわけでありますが、現実はどんなものであろうかということをまずお聞かせいただいて、そのためにどういうふうな対応策をいま考えているか、この点をまずお尋ねしたいと思います。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 精神薄弱者につきましても、医療技術の進歩や生活水準の向上に伴いまして、平均余命の伸びにより、先生御指摘いただきましたように、高齢の精神薄弱者の方々が増加いたしております。具体的に精神薄弱者援護施設における入所者について見てみますと、四十歳以上の精神薄弱者につきましては、昭和四十四年十月時点で入所者総数の七・三%を占めておりましたが、十年後の昭和五十四年十月現在におきましては全体の一九・四%を占めるに至っております。  精神薄弱者の老齢化問題につきましては、心身障害研究におきましてその実態把握や処遇方法等の研究を実施いたしているところでございます。たとえば、老齢化した精神薄弱者の処遇につきましては、老齢精神薄弱者だけを集めて処遇する方法、また老人福祉施設において通常の老人とともに処遇する方法、あるいは老若問わず混合して精神薄弱者を処遇する方法等が考えられるわけでございますが、どの方法が最適であるかにつきましては、現在のところまだ結論を得ていない状況でございます。今後この研究成果を参考といたしまして、中央児童福祉審議会の御意見等を承りながら、適切な処遇方法を検討してまいりたいというのがただいまの状況でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 そういう方々をお世話している方々に聞きますと、一つは老若、若い人と年とった人とを混淆して指導するのは大変だということで、これは特別の保護、育成という方向の方がいいのではないかという声が多いということで、私もそのとおり聞いています。こう考えますと、今後は老人棟というようなものを別に設けるとか、でなければまた精神薄弱者専用の老人ホームのようなものを考えるとかの対応は、これは早目に答えを出して手を打つことが重要な課題だと思うのですが、いかがでしょうか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、厚生省で約五億の予算が毎年計上されております心身障害研究におきまして研究が行われているわけでございますが、現在は、高齢精神薄弱者の実態把握と処遇技術の体系化に関する研究ということで、著名な学者先生にお集まりいただきまして、ここ何年か研究いたしているところでございます。五十六年度におきましても引き続き研究をお願いいたしたいと思っておりますが、近くその研究成果が出ましたならば早速対処してまいりたいと思っているわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 その点の充実されることを私は要望して、次に労働省にお尋ねします。  雇用の問題は体の方よりは心の方がまた大変だということは御承知と思うのでありますが、そういう方々の雇用の状況というのは非常に低い、しかもまだ、職業あっせん等々で大変苦労なさっておりまして、思うようにいかないというのが実情だと思うわけであります。雇用促進法を見ましても、御承知のとおり、心の方の身障者の方々への対応というのは非常に弱いわけであります。しかしながら、そういう中でも一生懸命めんどうを見てくださる事業主の方々も大変ふえてまいりました。これは喜ばしいことだと思います。特に従業員が二十人とか三十人とかいうような零細小企業の中で、そういう方々のめんどうを一生懸命見て、地元の皆さん方に非常に喜ばれているケースが出てまいりました。これは非常にうれしいことだと思うのであります。  そういう方々とも関係がありますが、第一番目に、身体障害者雇用促進法というものに精神薄弱者の雇用ということが明確でないために、重度だけでなく軽度、中度の、少し訓練させて教育すれば対応できるというような方々も、職業の選択あるいはまた仕事も不十分である、思うように働けないという事実があるわけでありますから、こういうような方々にとって就職というのは狭き門であるというような点を改善していかなければならないと思うのですが、この点について対応はどういうふうになっているのか、まず簡単にひとつお聞かせ願いたい。

若林之矩労働省職業安定局業務指導課長

○若林説明員 私ども精神薄弱者の方の就職のお世話につきましては、現在五万八千人の精神薄弱の方が私どもの安定所に登録をされているわけでございまして、そのうち五万三千人の方が働いておられます。就職中でございます。私ども有効求職と言っておりますけれども、いま二千六百五十一人の職を探している精神薄弱者の方を私どもお預かりしているわけでございまして、窓口では一生懸命その就職促進活動を続けているところでございます。先生御指摘のように、精神薄弱の方の就職問題は、最近ずいぶん理解をいただいてきておりますけれども、依然としてむずかしい問題を多数持っているわけでございまして、私ども、全国に精神薄弱を専門に担当いたします職業相談員を配置するなどいたしまして、そのお世話に当たっているところでございます。  それで、身体障害者雇用促進法は、すでに先生も御承知のところでございますけれども、名前は身体障害者雇用促進法となっておりますが、精神薄弱者につきましてもほとんど全面的に適用されているわけでございます。精神薄弱者を雇用するというその義務化の規定は適用されておりませんけれども、この法律で規定しております納付金の問題でございますが、精神薄弱者を雇用いたしますと納付金は減額されるというようなかっこうになっておりますし、また、この法律でこの納付金を活用いたしまして各種の助成金を出しておりますけれども、こういう助成金も全面的に適用されております。それから労働者の解雇の届け出というような規定もございますけれども、こういったものも適用されているわけでございます。  先生御指摘のように、精神薄弱者の雇用の問題はいろいろむずかしい問題を含んでおりますけれども、私ども、今後ともいろいろな面で制度を拡充してその雇用の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 それでは、事業主に対する雇用助成の措置につきましていまいろいろお話がありましたので、一点だけお聞きしますが、まず、心身障害者雇用奨励金と職場適応訓練費ですか、それから、ある率以上使っていれば報奨金というものが出る、この点についてであります。現場の経営者、事業主に聞きますと、精神薄弱者の場合は大変な苦労が要るというのですね。二年は苦労の連続である。しかも実際働くとなると、普通どのくらいかせげるかといってもこれも保証できない状況だというときに、先ほども私言いましたように、こういう事業主の中で特に小さい企業の方々は、仕事をとり教えながら、まあ大変なわけです。私の知っている方などは、社長の給料が十万円、それで工場長が十二万円、そしてそこで働いている方々が、重度の方で一番高い人は十万円ぐらいもらっているわけです。軽中度でも六、七万やらなければいけない。こういうことで経営的にも大変苦労でして、私が二、三当たったところでは、まず赤字を覚悟しながらやっているケースが多いというわけであります。しかも、仕事があるときはいいけれどもなくなったときには大変だということで相当苦労しているわけです。  そこで、助成金の問題ですけれども、半年とかあるいは一年とか一年半とありますが、これをそうした方々にはさらに期間を延ばしてあげる、そういう方向でもっと保護してあけたらどうかという点があるのですが、そういうお考えはないか、まずその点について簡単にお答えいただきたいと思うのです。

若林之矩労働省職業安定局業務指導課長

○若林説明員 先生御指摘のように、重度心身障害者の方の雇用促進はもとよりでありますけれども、そういう方々が雇用された後の職場適応というものにはいろいろな面で手当てが必要なことは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、身体障害者雇用審議会におきましてもいろいろ御審議をいただいているところでございますけれども、重度の心身障害者の雇用促進と職業の安定を図るためには、雇用後の職場適応のための適正な措置が重要であって、こういったような措置を行います事業主に対しましては手厚い助成が必要ではないか、いま先生お話しのように、一年というような期間ではなくて、もう少し長い期間にわたっての助成が必要ではないだろうか、こういう御指摘がございました。私どももそういった方向で検討してまいりたいと考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 こういう方々を大事に見守ってあげる、それが雇用の促進にもつながるわけてありますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  時間の関係で、労働省関係は終わりまして、もう一度厚生省の方に戻りまして、建築物における衛生的環境の確保に関する法律というものがあるわけであります。いわゆるビル管理法ですか、この問題につきましてお尋ねします。  飲料水の貯水について、貯水槽の汚染などがよく問題になりまして、昨年などもいろいろな事件がありました。この問題につきまして、五月十日からですか、いわゆるビル貯水槽の水質検査とか清掃など、ビル関係の各種のサービス事業の登録基準が改められるということであります。非常にいいことだ、一層充実したものにしてほしいと思うわけであります。  そこで、今回の改正の中で、ビル関係の中にマンション、共同住宅は対象になっているかどうか、この点まずお聞きします。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 いまのお話の件でございますが、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、これにいわゆる特定建築物というのがございまして、これがいわゆる規制という意味での対象になっておるわけですが、お話のマンション、共同住宅については実はこの規制の対象にはなっておりません。しかし、この法律によりまして指導をするという規定がございまして、それについては対象になっておりますので、そういった方向で現在行政指導という形で改善に努力しているところでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 これは十分に指導しないと、私はこの間防災でも取り上げたのですが、たとえば防災の場合、防火管理者というのがある。義務づけをしていながらやらない。それで事故を起こしているのがかなりある。そういう基本的なことに忠実でないと必ず事故を起こして大事件を起こしている、水も同じです。飲み水ですから、これは十分な指導をするということを、今回は時間の都合で要望をしておきます。  そこで、マンホールの管理ですが、これについてはこれまでどんな施策が講じられてきたのか、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思うのです。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 お尋ねは、マンホールといいますか、貯水槽に汚水が流入するということについての御心配であろうと思います。初めに申し上げましたビル管理法に基づきましていろいろ立入検査あるいは指導等を行っているわけでございますが、その中で衛生上問題のある貯水槽につきましては、改善指導をするという形で行っておるわけでございます。さらに、これは私どもの方の担当ではございませんけれども、新たに建築をする場合、当然建築基準法での建築確認という行為が行われるわけでございます。その中でも、汚水の流入等の衛生上のいろいろな措置につきましては指導、監督が行われておりまして、私どももさらに、先ほども申し上げましたいろいろな指導を通じまして、できるだけ汚水が流れ込まないような、そういう貯水槽の実態把握というようなものには今後とも十分努めていきたい、そういったことから汚染事故が生じないように努めていきたいと思っております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 このマンホールというのは容易に開閉ができないものという何か規定はあるわけですか。それともそれは自由か。その点はどうですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 先ほど申し上げましたのは、やはりそういうものが流入しないようにというふうな形になっておるわけでございまして、それをみだりにだれでも開いたりなんかできないようなそういう構造は指導されておるようでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 これは開閉はできないようにすべきだという義務規定、管理規定、監視規定をしなければならぬと私は思うのですよ。  一例で写真を持ってきたんですが、一つは汚物、汚水等が流れやすい構造システムを直してもらわなければいけませんね。これは駐車場のそばです。こういうところ、丸をつけたところがそうです。もう地面と平行です。これは間違いなく汚染されるということがわかりますね。これも同じです。それから、いままでのものはわかりやすいところに比較的多い、ここが間違いなく貯水槽であるということが明らかにわかるような場所にいままでは特にたくさん出ていた。これなんかも露出して、すぐわかりますね。  それからもう一つは、調べますと大体簡単にあく。子供が何か金具でもってあけてもあく、重いだけでありまして。これじゃやはり危険防止という対策の上に——たとえば昨年六月九日のニューデリーでのデモのときに飲料水のそういうものの中に毒物が投げられたとか、これは一つの例ですけれども、こういうことがあるわけです。あるいはまた、五十六年の二月には水がめに猛毒シアンなどがあった。こういうようなケースが報道され、現実にあるわけです。いたずらをした、何かそういうふうなことなどで万々一の場合に大変だ、そういうことに対する備えは十分にしておく必要があるのじゃないかと私は痛感するのでありますが、そういう意味におきまして、十分なる監視体制のもとに、開閉が自由にできない、また、すればすぐにわかる装置等々の取りつけなどによって万全を期す。飲み水ということでございますし、これもきちっと法の中に取り決めていくのが当然ではないか、大体八〇%、九〇%は下に、地下あるいはまた一階に一たんとめる、それから上の方で受ける、こういう形式ですから、そういう意味ではやはり大事に保護をしなければならない、こう思うのですが、いかがですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、先ほども申し上げておりますが、やはり新しく建築する場合のそういった規制、それからさらに、維持管理の上で、御指摘のようなみだりに開閉してそれが汚染するおそれがあるというふうなことはできるだけ避けなければならないと思っております。私どもも、できるだけそういった実態の把握、さらには強力な行政指導によりまして、そういったものが改善されるように努力を十分に払っていきたい、このように思っております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 大臣、安全というのは金にかえられない重大な問題でございます。そういう意味におきまして、やはり今後十分に対応すべきだと私は思うのですが、大臣のお考えと決意をひとつお聞きしたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 近ごろ世の中大分変わりまして、常識で考えられないことがあるわけであります、バスに火をつけるとか。したがいまして、いまの、マンホールのふたが自由にあく場合、細菌とか病原菌を流すなどということも考えなければならぬことであり、かつまた、天災地変の場合大事でありますから、御趣旨に従って直ちに検討するつもりでおります。  なお、先ほどの心身障害児の問題で一言答えさせていただきます。  いろいろな法律で対応をやっているわけでありますが、法律と法律の間にすき間がございます。このすき間にかかる人が本当にかわいそうで、しかも手の打ちようがない。人を助けるべくしてある法律が逆に救えない法律の網になっている。こういうことで、先ほどは心身障害児・者、こう言いましたが、ここにすき間が、老人になる前に、子供さんに対する対応策が大人になると切れる瞬間があるわけでありまして、ある年齢が来ると、同じ病状で国のお助けがもらえない、こういうすき間をまずふさいで、次にはおっしゃいました老人、これは特別のものをつくった方がいいのじゃないかと私も思います。  ただ、精神薄弱と一言にそう言いますが、これをしさいに見ておると、ある点は足らぬところがあるが、ある点はずば抜けていて、われわれが気づかぬところまで気づくような天才というか、天才を過ぎて精神が異常だとか、そういうのが非常に多いわけでありまして、こういう方々に適切な仕事を与え指導を行ってつくったものを見ると、どっちが精神薄弱者がつくったか健常者がつくったかわからぬものが非常に多うございます。そこで、程度に応じてそういう方々だけの工場をつくるとか、あるいは程度の軽い人は一般の会社にやるとか、こういう点も考えていかなければならぬ、こう思っております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 まだちょっと時間があるのですが、いまのに関係しまして、法律と法律の谷間の云々という話がありましたけれども、こういうふうなこともひとつ考えてほしいのです。  身体障害者の方々が独立しまして、二、三人か数人のグループをつくり工場みたいなものを持ちまして一生懸命仕事をやっている。だんなさんが体の自由がきかないので奥さんが助手をやっている。言うならば共かせぎです。しかしながら、さっきも話があったのですが、調子がいいときは二十万、三十万取れるときもあるけれども、仕事がなくなりますと、生活保護を受けている方々よりも給料が少なくてがまんしなければならないということが出てくるわけです。そうすると、大体平均的に見ますと、生活保護というのは高いクラスになりますと十四万くらいもらえます。しかし、障害者は手当をもらっても十二、三万くらいでがまんしなければならないときが出てくるそうですよ。私の団地でも、七、八人の方がグループで洋服の仕立てをやっているのです。そういう方々の悩みは、生活に足らない分を何とかほしいと思って行くと、足らない分の金は出してもらえるのですけれども、生活保護者になってしまう。子供の教育からも、自分の自立した意味からも、それは何としても避けたい。こういうときに、そういう方々に何かその分の補給ができないものか、御検討願えないでしょうか。これは今後の課題だと思うのですが、どうでしょうか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 授産施設、福祉工場等におきましては、直接給与を応援するのはなかなかむずかしいのでございますが、お世話を申し上げる指導員でございますとか、仕事の受注をやってくれている職員でありますとか、そういった組織の中で、できるだけの応援体制を組んでおるというのが現状でございます。その方に給与のかわりに国が直接補てんするというのはなかなかむずかしゅうございます。一般的に障害福祉年金あるいは福祉手当、こういった施策は今後とも努力をいたしていきたいと思いますが、御指摘の点は御了解をいただきたいと思います。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 時間が来ましたので終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 厚生大臣、この前の秋の臨時国会でしたか、難病対策の充実というふうなことについてあなたにお願いをし、大蔵大臣にもこれについて、俗に言うめりはりといいますか、そういうふうなものを充てて金額等をふやしてもらいたいということをお願いしたところ、厚生大臣も大蔵大臣も了解してくれたわけですが、五十六年度予算について、それが前とどういうふうに変わってふえてきておるか、その大筋を厚生大臣から述べていただいて、細かい点は政府委員からお願いしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先般の委員会でも御発言がございましたが、この点については非常に困っておりまするし、私たちは特別にこういう方々の父兄の方と懇意にしておりますので、第一は難病の範囲を拡大をしたい。それからもう一つは、正直に言って、いまのところ難病の原因、治療法の究明がどうも総合的でございませんから、もう少し総合的な方向に持っていきたい、こう考えておりますが、いまお願いしている予算については事務当局からお答えをいたします。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 難病対策につきましては、従来から各種の対策を講じてきておりますが、昭和五十六年度の予算案におきましては、調査研究の推進のために二十三億三千五百万円、また治療研究等の拡充のためには三百八十三億四千五百万円、国立医療機関等の病床整備のためには七十三億九千九百万円を計上いたしております。総額で四百八十億七千九百万円、対前年度で二十九億四千五百万円、六・五%の増ということにいたしております。特に治療研究につきましては、昨年来国会等で御審議いただきました経緯にかんがみまして、二疾患を追加するというようなことを内容といたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いまの難病対策関係予算の推移で、特に重点を置いたものに調査研究の推進と医療対策の拡充がありますね。この医療対策の拡充の中に、特定疾患の治療研究費から小児慢性特定疾患治療研究費、育成医療費、更生医療費、重症心身障害児・者措置費、進行性筋萎縮症児・者措置費、自閉症児措置費、自閉症児治療訓練費があるわけですね。全体としてずっと伸びておるわけですが、その中で特に重点を置いたのは何が考えられるのでございますか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 先ほども申し上げましたように、特定疾患といたしましては二疾患の治療研究の追加ということでございますが、その他全体にわたりまして予算の足らない分について増加を図る、こういうふうにしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 財政再建というような折に、これは予算が通ればですが、六%以上の伸びをこの難病対策の関係予算案で努力して獲得してくださったことに対しては、厚生大臣以下に私も感謝を申し上げたいと思います。  そこで、さっき身体障害者の雇用の問題に関連いたしまして話が出ていましたね。御案内のとおり、雇用促進法がありまして、民間の場合は一・五%、国が一・九%と決まっているわけですが、そこまで行かないものに対して月に三万円ずつの納付金を納めさせているわけですね。これが二百六、七十億ですかあるわけです。労働大臣にこの前ここでやりまして、八十億は重度心身障害者の雇用促進の方に回すということで取り崩しておりますけれども、残ったものをそのまま積んでおいてもいけませんから、これについても積極的に心身障害者の雇用促進その他の問題に、これはいろいろ法律は限定がありますけれども、限定をしなくてもいいと思うのですが、よく労働省と相談してその基金の活用をされるよう、これは大臣にお願いをいたしておきたい、こういうふうに考えるわけです。  そこで、今度は特定疾患の二十一が二十二に一つふえたわけですね。後縦靱帯骨化症というのですか、これはいま全体を通じて研究プロジェクトがどういうふうになっておるのか、こういうことを御説明を願いたいというふうに思います。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 難病対策といたしましては、一つは、病気の原因あるいは治療方法の確立のための調査研究、もう一つは、医療費の負担軽減を図るための治療研究、この二つから成り立っております。調査研究につきましては、四十三の研究班を組織いたしているわけでございますが、従来、疾病別に、昭和四十七年に出発いたしました当時は疾患別の研究をやっておったのでございますが、その後いろいろな難病研究の進歩に伴いまして、これを横断プロジェクト別の研究というふうにいたしまして、現在四十三疾患の研究班、それから治療研究につきましては、五十五年度で二十一疾患ということでございましたが、先ほどから申し上げておりますように、国会審議の経過にかんがみまして五十五年度で一疾患、五十六年度で一疾患、二疾患の追加というふうに考えているわけでございますが、すでにその一疾患につきましては後縦靱帯骨化症ということにいたしまして、あと一疾患につきましては、厚生省に設置してございます難病対策懇談会の専門家の御意見を聞きまして、いずれ近く決めたいというふうに考えているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 私はよく膠原病の患者の方から相談を受けるわけです。私その顧問というか何かやっておるわけです。私のところには獨協大学と自治医科大学と二つ大学がありまして、その辺の先生方の協力をいただいて、治療の相談その他にあずかっておるわけですね。これは若い女の人がかかるのですね。歌手の岸洋子さんがかかったとかなんとかという話がありますが、原因がよくわからないのです。これに対しては、具体的にその原因がどこにあって、どういうような治療をしたらいいか、それからどのくらいの患者がいるんだろうか、こういうことは一体どういうふうになっておられますか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 膠原病と申しますのは、関節等の変性の疾患を総称しているものでございますが、大変むずかしい概念でございまして、実は私も医学部で勉強いたしましたけれども、当時はまだ膠原病という概念はございませんでした。現在では、自己免疫疾患あるいは系統的血管病変あるいはシェーグレン病あるいは皮膚結合組織異常といった形で、いろいろなものを総称いたしまして膠原病と申しておるわけでございます。  しかし、この病気につきましては、難病中の難病でございまして、大変いろいろむずかしい原因上の問題がございます。したがいまして、厚生省としてはいま申し上げましたような六つの研究班を組織いたしまして、これの原因究明を図ろうとして四十七年から研究をやっているわけでございまして、一部についてはいろいろ明らかになってきた点もございますけれども、まだまだむずかしい点が多いということは非常に残念なことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 確かに原因がなかなかわからないし、複合してくるわけですね。ですから、いろいろあれがあると思うのですが、特に若い女性の人に多いのですね。そういう点もありますし、だからというのじゃありませんが、ぜひこういうふうな問題について、厚生省としても各国立病院その他を督励をして、十分な効果を上げるようにお願いをいたしたい、こういうふうに思う次第でございます。  実は、栃木県に腎友会というのがあるのですが、私のところに「透析患者実態調査報告書」というのが参りまして、五十五年の十二月の報告書なものですから、多少その後の状態で、あるいは法律ができた、制度ができたで変わっておるかもわかりません。その点はその点で御説明願いたいと思うのですが、それらの人の要望をいろいろ聞いてみまするというと、一つは、国に対して、「透析センターをもっとふやし地域偏在をなくしてください。」というのがあるのですね。透析センターというのは、具体的にどういうものであって、現在どういうふうになっているのですか。国としてはそれをふやすというような何か考え方があるのか、そこら辺はどうでしょうか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 透析センターという言葉は、国としては余り使っておりませんけれども、恐らく人工透析の機械を相当多く持って集中的に人工透析を行っている機関をそういうふうに呼んでおるのではないかと思っております。そういうセンターを含めまして人工透析の機械を有する医療機関は全国で大体千四百機関ぐらいございまして、また台数にいたしますと一万四千台を超えておるようでございまして、全国的に見ますとかなりよく行き渡ったのではないかというふうに判断しておりますが、先生御指摘のように、地域によりましてはまだ非常に行き渡っていない、いわゆる地域的な偏在が認められるところがあるようでございますので、そういうところにつきましては、厚生省といたしましても国立の病院等に人工腎臓の機械を整備するということを現在も続けているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 それから、「腎臓の移植に際し、医療費を助成してください。」というのがあるのですが、これは摘出の場合をいうのですかね、私もよくわかりませんが。これについてのお答えを願いたい。  それから、栃木県の保健予防課長をやっている川口毅君、これは非常にまじめないいお医者さんですね。私も何回か会いましたが、実に研究的ないいお医者さんです。けれども、この人の書いたのを見ると、あいさつの中に「人工透析患者について、本人はもとより患者家族に莫大な経済的、精神的負担がかかり、」と言っているのですが、この経済的な負担というのは、現在具体的にはどういうふうになっているのですか。いまの「腎臓の移植に際し、医療費を助成してください。」というのに関連をしてお話し願いたい、こう思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの問題は、実は先生から御意見が出ると思ってけさ打ち合わせをして、多分生きた人から腎臓を片一方取って弱い人に移植する、そういう場合に、もらう方は保険がかかっているが、割ってやった方には保険がかかっていないというところに一つ問題があるということだと思います。  それからもう一つは、腎臓移植というのは、死んだ時期をいつ判断するかということも大きな問題で、アメリカあたりでは、脳がとまったらもう死んだというので、早速切って死人の腎臓を病人に移植してやる。日本では、脳がとまって心臓がとまってと、非常に大事を踏んでやっているのでなかなかこれが間に合わぬ。それから、アメリカあたりはそういう方が多いのですが、日本ではどうしても生きたままで自分の腎臓を切ってやろうという方はなかなかありません。  そういう問題がありますが、治療費については何とかそれを考えると言って医務局長、保険局長に話してございますから、後で先生の御意見も伺いながらこれについては検討したいと考えます。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 先生よく御承知のとおりに、医療費一般に高額療養費制度ができまして、社会保険で自己負担の最高額三万九千円という状態に相なっておるわけでございまして、人工透析の医療費もその例外ではないと考えておるわけでございます。ただ、この三万九千円の自己負担もなお困難であるというような場合もあろうかと思います。そういう場合におきましては、大人につきましては更生医療、子供につきましては育成医療ということによりまして、その自己負担分の軽減措置ということを制度上講じておるわけでございます。ただ、公費負担制度でございますので、所得が非常に高い方につきましては費用徴収をするという仕組みに相なっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 それから、「一級障害者でありながら簡易保険や生命保険では障害者として認められないのはどうしてか。」これは郵便局なり大蔵省の問題で、きょう呼んでないと思いますからいいです、別の機会にしましょう。  それから、「一級障害者だが年金は二級になっているのはなぜか。」というのですが、これはどういうことになりますか。

新津博典社会保険庁年金保険部長

○新津政府委員 ただいまの御質問でございますが、端的に申し上げますと、制度の趣旨、目的が違うので必ずしも等級が一致しないということでございます。もう少し具体的に申し上げますと、身障法の場合は一級から六級までございますが、先ほど社会局長からお答えいたしましたように、更生医療を公の費用で給付するかどうかということを判断いたしますために、人工透析を行います前の状態で判定をいたしまして、非常に悪いということで公の費用で人工透析を行うということになります。一方、年金の方は、これも先生御承知のように、所得能力がなくなった場合にその所得能力を補うというのが障害年金のねらいでございまして、最近は医学の進歩もございまして、透析を受けますとある程度働ける場合のケースが多い。したがって、人工透折を受けながらどの程度労働が可能かということを中心に判定をいたしますために、結果として必ずしも等級が一致しないというのが実態でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 こういうあれも出てくるんですね。透析時間が非常に長くかかって、普通六時間くらいかかるのですね、私もよく知りませんが。非常にあれだからもっと短くしてくれ、これは技術的な問題ですから、厚生省にお願いしてすぐどうということじゃないと思いますが、そういうのが出てきていますね。  それから、これは一々入院しなくちゃいけないのですが、通院でできるとかあるいは自宅でできるように、余りぜいたく言ってもいけませんけれども、何かハンディな小さなものでやれるような方法も外国ではあるというふうなことも聞いているのですが、そういうふうな点などを、今後どういうふうにしていくつもりなのかお尋ねしたいと思うのです。  それから、人工透析によってどういう効き目というかあれがあるわけなんですか。素人なものでよくわからぬから、説明してください。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 慢性腎臓炎等の患者で、腎臓が血液の中にたまります排せつを必要とするようなものをうまく排せつできなくなる、したがって、有毒になるようなものが次第に血液の中にたまっていくというのを、人工透析機によりまして、腎臓と同じように、その要らなくなったかえって有害になるような物質を体外に排除していくということをやっておるわけでございますが、現在、先生御指摘のとおり、一回の透析に五、六時間を要しておるわけでございます。これをさらに時間を短縮するということは、現在厚生省としましても研究費を出しましていろいろ研究をしておるわけでございますけれども、余り速く血液の成分を変えるということも、これは人間の体に非常なショックを起こすこともございまして、なかなかこれ以上短縮するということはむずかしいような状態であるというふうに専門家は言っておりますが、さらにこの点については、患者さんの肉体的、精神的な負担を軽減するという観点から努力をいたしたいと思っております。  それから、透析時間五、六時間でございますので、これは平均的なあれでございますので必ずしもすべての人に適用できないですが、一般的な体の状態がいい人につきましては、必ずしも入院されなくてもできるというふうになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 大臣は、難病対策全体について非常に理解のある方だし実行力がありますから、あなたが厚生大臣になってよかったですよ。やっぱり官僚出はだめだな。図太い神経でぴしぴしとやっていかないとこういうのは実行できないですよ。あなたが大臣になっていただいてよかったと思う。そして渡辺君とコンビを組めばいいわけだ。渡辺君もまたああいうタイプだから、よく話しておきますから。  それから、ベーチェット病の問題、これも私のところによく相談にこられる方がおられるのです。「症例による難病へのアプローチ」、ナンバー十一「ベーチェット病」という、厚生省ですか医学研究振興財団が出している本をいただきましたけれども、むずかしくて私どもにはとてもわからないですな、ベーチェット病というものの原因それからこれはどういうふうにしたら直せるのですか。  それからまた、よく相談を受けますのは、注射で足が曲がってしまうのがあるでしょう。ひざのところへ注射をして足が曲がってしまうとかなんとかというのが小児科へ行ってよくあるのですね、あれなんかも相談を受けても困ってしまうのです。何でもかんでも厚生省でやってくれというわけにいきません。ではありましょうが、やはり厚生省が指導してやっていただければおのずから全体が変わってくるというふうに私は思うものですから、ベーチェット病なり、いまの注射で足が曲がってしまったりする、ああいうものの原因なりそれに対する対策、それがどういうふうに現在いっておるか、今後どうするか、こういうことについてお話をしてくださいませんか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 先ほども申し上げましたように、厚生省では、難病の重要な疾患につきまして四十三研究班を組織いたしまして、全国の各大学あるいは大病院等の専門家の方々に横断的にプロジェクト研究を組んでいただきましてその研究の促進を図っております。ただ、先ほどお話しのベーチェット病等につきましては、大変むずかしい病気でございまして、研究もずっと続けているわけでございますけれども、皮膚症状、目の症状あるいは外陰部の症状、その他の関節等の諸症状、そういった多彩な症状を持つこの病気の本体がなかなか明らかにされてこないという状況でございます。しかし、私どもといたしましては、今後ともこれらのむずかしい疾病に対しましては、調査研究を厚生省の重点施策といたしまして研究を続けさせていただきたいというふうに思っております。  なお、これらにつきましても、医療費の軽減を図るために治療研究の対象といたしております。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 大腿四頭筋につきましても、現在、その原因あるいは治療法につきまして、研究班を組織して鋭意研究を続けているところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 医務局長、いまのは注射によって起こるんじゃないの。治療は別として原因そのものはそうむずかしくないのじゃないですか。どうなんでしょうか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 注射に関連しているということは確かでございますが、注射の薬によるのか、あるいは注射をする場所によるのか、あるいは反復注射をしたことによるのかというあたりで意見が分かれておりまして、そこら辺が現在まだ検討中ということになっておるわけでございます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 注射の問題は父母は非常に心配しておるところでありますが、これはいまおっしゃったように、第一は打つ場所、神経の集まっている場所、概して言えば外側に打つか内側に打つかによって非常に影響するわけであります。したがいまして、何回も打つとそれが広がっていって神経がどうかなってそこから萎縮していく、こういうことでありますから、これは医師会、地域医療などの関係者とも相談をして指導をやれば大分減るべき問題だと思います。  それから、先ほど言われました人工透析であります、あれはとって入れるものでありますが、人工腎臓がよくなってどんどん血液が新しくなっても時間の短縮はなかなか大変である。というのは、脈搏のたったったっという、心臓が動いているそれにつれてたったっと点滴をして入れなければならぬので、あわててやると心筋梗塞が起こる。そこで、医者がちゃんと脈搏と血圧をはかりながらやるわけでありますから、なかなか困難であると思います。しかし、やられる方のことを思えば、一日五時間も六時間も針を刺されたまま寝ているのは大変でありますから、これももう少しぐらいは何とかならないかと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 大臣は厚生大臣二回目だから、病気のことに詳しいわけですね。感心した。それほどまでに勉強している人はなかなか大臣の中にいないですよ。本当にあなたは実行力があって、見るからに頼もしそうな感じを受ける、しっかりお願いしたいと思います。  ことしは国際障害者年ですが、それ全体に対して、厚生省としてどういうふうに取り組むのか。完全参加と平等ということがテーマになっていろいろな行事がありますね、ただお祭り的な行事ばかりやったってしようがない。財政再建といったところで、大事なところにはうんと使わなければいけないので、そういうところにはどんどんお金を使っていいし、これは与野党問わず、お子さんの親御さんたち、御本人の気持ちになってみれば大変なことです。  私も実は、精薄や重度心身障害児の作業所のことをやっているのです。いつも見に行きまして、相談に乗って、この前、厚生省へもお願いして認可を早くしてもらって、いまりっぱにやっておるのです。そういうようなことで、これは特に理屈とか何とか抜きにして、対立てはないと思うのです。  国際障害者年に対する大臣の具体的な決意といいますか、プログラムといいますか、そういうものをお伺いしておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 第一は、身体障害者の方に対する考え方、それから身体障害者の方々もここでひとつ考えを変えていただきたい。ということは、気の毒だから、かわいそうだから助けてやれという慈善事業みたいなつもりでやっているところに間違いがあるので、身体障害者の人も歯ぎしりをしながら、一般の人に負けないぞという気持ち、それを助けるために国が何をやるかということが基本だと思います。  二番目に大事なことは、その考え方を、ことしは障害者の年だからといってビラ張るだけでは済みませんので、ことしを契機にどうやるか、こうなってくると、いろいろな行事も大切でありますが、行事は、国民の方に理解してもらうための一つの宣伝にしかすぎません。一番大事なことは、長期の行動計画をつくって、ことしを手始めに一年、二年、三年、四年と、金の面でもやることを具体的にやって、大臣がかわろうと何がかわろうと変更はない、こういうふうにしたいと私は考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 あなたの非常に御理解のある態度、よくわかります。だから、大臣がかわろうとじゃなくて、かわらないであなたがやらなければだめだ。あなたはポスト鈴木にも入っていた。これだけ実行力のあるりっぱな方なのだから、入らなくてはうそだ。遠慮しないで入りなさいよ、みんなで応援するから。  まあ、いずれにしても、厚生行政全体でたくさんの問題があります。親御さんたち、御本人、それは親御さんにしてみれば本当に泣いても泣き切れない、そういう点について十分配慮願って、全力を尽くしてやっていただきたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 先ほども大臣は、国際障害者年に向けてことしを契機にして行動計画をつくっていきたい、こういうふうにおっしゃったわけですが、私も、ぜひ行動計画をつくって実行していただきたいというふうに考えるわけです。  いまこそ障害者に対して必要な医療、教育、労働、町づくり、そういった面で独自の取り組みを計画的に進めていくことが、すべての障害者に対して、一人一人の願いにこたえていくことではないかと考えます。  そこで私は、その重要な一つであるリハビリテーション医療の問題について質問をさせていただきたいと思います。  昨年、厚生省の社会局が行いました調査を見ましても、身体障害者の原因には、病気によるものが六三・八%、これが最も多いわけです。交通災害や労働災害二四・五%、これは七〇年当時と比べましたら大変ふえてきております。これらの人々の日常生活はと見ますと、入浴や衣服の脱ぎ着にさえ困難を感ずる人が二割近く、そして家族の介助を必要としているわけです。たとえば脳卒中を起こした場合に、脳の出血をとめたら時を移さずリハビリテーションの治療を行っていく、そういうふうにしますと、七、八〇%が一応自宅で生活できるような状態で退院することができると言われているにもかかわらず、現状では寝た切り老人のほぼ半数が脳卒中後の患者であると言われているわけです。私は、リハビリテーション医療が普及すれば、ずいぶんこうした人々を救って、生きる喜びを与えていくことができるというふうに考えるわけです。  したがって、これからは健康管理、同時に治療、リハビリテーションの総合的な医療を進めること、そして特にリハビリテーション医療を発展させるために全力を尽くしていくべきだと考えますが、まず最初に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 全く御発言と同意見でありまして、身体障害者あるいは年をとった方々、こういう方々の社会参加ということが本筋であると考えるならば、やはり一番大事なことはリハビリテーションでございます。いま脳出血等のお話がありましたが、年をとって一番先に弱るのは足でありますが、この足でほとんど動かない人が訓練をしてくると平気でマラソンぐらいできるようになります。ところが、残念ながらいままでの厚生行政では、この点が御指摘のとおりに、施設も少ないが、これに従事する専門職も少ない。したがって、今度はこの点に一番重点を置いて、どんな病気でも、毎日毎日焦らず、あきらめずやれば動けるのだ、しかも普通並みになるのだ、こういうことでやるべきだと考えております。  詳細については、事務当局からお答えをいたさせます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 施設と専門職に重点を置いてと、私も同意見なんです。  ところで、これだけ期待されているリハビリテーション医療を引き受ける病院が現状では非常に少ないと思います。私は、これは七六年の資料ですから、その後のがあれば言っていただきたいのですが、たとえば東京都かで見ましたら、七六年現在でまだ九%。作業療法士を置いている病院、これはわずかに三%というふうになっていたかと思います。こういうことで、作業療法士や理学療法士を置いて、きちんと施設をつくっている病院が非常に少ない。  その原因にはいろいろあると思いますけれども、リハビリテーション医療費の評価が他の部門に比べて非常に低い、これがリハビリテーションの開設をためらう大きな原因になっているのじゃないかと思うわけです。自治体病院協議会が行いました病院部内別原価計算というのを見ますと、理学療法部門は千円の収益を上げるのに千四百九十七円の原価を必要とするというふうに言っています。また日本理学療法士協会の会長松村さんは、こんなふうに言っているのです。技術料が非常に低く抑えられているために、リハビリテーションはやればやるほど赤字のふえる不採算医療の代表である、だから、赤字を減らすためには、一人の患者にかける訓練時間を短くして数多く患者をこなすしかないのだ、しかし、そういうことは質を低下するばかりである、そういうふうに、現状では質を低下するばかりであると言っても言い過ぎではないのだと訴えておられます。  このような実態について、厚生省は一体どのように対処されようとしておられるのか。私は、まず技術料を正当に評価するためにリハビリ部門の診療報酬を大幅に是正すべきだと考えますが、この点は大臣からお答えをいただきたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 リハビリテーションの保険診療報酬点数でございますけれども、これにつきまして、私ども実は、従来から改善を図ってきたところでございます。  たとえば前回の昭和五十三年二月の診療報酬の改定におきましても、全体の改定率九・六%、それに対しましてリハビリテーションは三三%と、三〇%強の引き上げ、改正を行ってきておるわけでございます。そういったようなことで、私ども、リハビリテーション医療に対しましては、かなり力を入れておるところでございます。  また、先ほど先生お触れになりました施設基準でございますが、これは身体障害者運動療法であるとか精神科作業療法等の施設基準がありまして、こういう施設におきまして、こういう基準でリハビリテーションが行われました場合には、これだけの点数ということで施設基準が決められておるわけでございます。たとえば身体障害者運動療法の場合は、理学療法士と患者が一対一で行う療法、複雑なものは一人一日十五人が標準等々の基準が定められておりますので、これに対しまして、実はこの基準は、先生もおっしゃいましたように、質というものを低下させない、向上させるということで専門家の御意見を十分お伺いして決めたものでございますので、これは不適正であると考えていないわけでございます。  先ほど申しましたように、私どもは、リハビリテーションに対する診療報酬というものにつきまして、あるいは施設基準につきまして、そのような考え方で参っておるわけでございますが、これからもなお専門家の御意見をお伺いいたしまして、いろいろ検討すべきことがあれば検討し、それから診療報酬につきましても、中医協で十分御審議をいただきまして、その適正化になお努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 基準は、専門家の意見を聞いて不適正であるとは考えていないと言われましたけれども、実際には問題があると思うのです。たとえば精神科の作業療法では、基準は作業療法士一人が、助手を使ってですが、一回に二十五人を二時間ずつ一日三回やれ、こうなっているんですね。そうしますと、六時間の訓練をやった後七十五人の記録もつけなければならない。しかも一通りの記録じゃなしに、場所によったら三通りぐらい記録を残せということになれば、これは二百何枚記録をつくらなければいけない。それからお医者さんとよく相談をしながら訓練士は進めていかなければなりませんから、そうなると、とても手に余るというわけです。  だから、たとえば日本作業療法士協会の調査では、一日に七十五人と基準ではあるけれども、実際には四十一・二一人しか見られないのだ、これは認定施設五十八カ所を平均して現状はこういうことなんだということを訴えているわけです。  したがって私は、この基準の問題についても、もう一度現場の声をよく聞いていただいて、ぜひともその基準を改定し、同時に、それに見合う点数の改善ということを重ねて要望したいのですけれども、大臣いかがでしょうか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいまのところ、関係学会から、ただいま先生おっしゃいましたような基準の見直しということについて御要望がまだないわけでありますが、先ほどのような御指摘につきまして、なお私どもも、専門家の意見を聞きまして、慎重にこの問題については検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 事務当局からお答えをいたしましたが、当初私が答えましたように、このリハビリテーションについての施設、待遇、そういう問題は、大変谷間にあったわけでありますから、ふやしたのは、努力してふやしたと言っても、総括的に見ると、まだまだ水準には来ていない、こういう考え方で、いまの御意見を十分承りながら、中医協等にも、こちらの意見を言って御審議を願いたいと考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 次に、私は、ここに学術会議の勧告書というものを持っています。日本学術会議の「リハビリテーションに関する教育研究体制についての勧告書」です。大臣は、これを御承知でしょうか。この日本学術会議の勧告書は、五点にわたってリハビリテーション医療を発展させるための必要な措置が示されているわけです。この勧告書が出ましたのは、福田総理大臣あてですから、もう四年たっております。しかし、一向に改善が進められていないのです。リハビリテーション医療というのは、何遍も言いますけれども、お医者さんを中心にして理学療法士、作業療法士あるいは言語療法士、さらにはソシアルワーカーや義肢装具士というような多くの人が、一人の患者さんに対して当たって自立を促進していく医療チームで、まさに典型的なチーム医療だというふうに言われているわけです、ところが、その技術士やあるいは技術者やあるいはお医者さんの教育あるいは資格制度というのが非常におくれているのです。だから、勧告が出されたのですが、それが余り進んでいないのです。  そこで、具体的にお聞きしますが、理学療法士、それから作業療法士と並んでリハビリテーション治療でも非常に大事な役割りを果たす言語障害を起こした人に対して治療に当たっている人たちの資格制度の問題については、その後どういうふうに検討を進めていらっしゃるのでしょうか。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 言語療法士の資格制度を創設するということにつきましては、関係学会など関係団体の意見が大体調ってまいりましたので、明日、三月三日、制度創設のために学識経験者から成る検討会を発足させることにいたしております。今後、この検討会の作業を進めまして、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 三月三日ですね、その検討会を始めていただくのは。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 はい。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 そうですか。聴能言語士協会とかいろいろありますけれども、ぜひそういう関係団体の代表も入れて御検討を進めていただきたいと思います。  次に、ソシアルワーカーなんですが、これは厚生省が昨年末の研究報告で、その必要性が非常に高まっているということをたしか示されていたと思います。それから、制度化につきましても、すでに五十三年十月、衆議院の方でも参議院に続いて請願を採択しております。欧米諸国に参りましたら、すでにソシアルワーカーというのは、制度化されておりまして、医療チームの中でも欠くべからざる職種として活躍をしておられるわけです。  厚生省は、このソシアルワーカーというのは、もう一度、どういうふうに必要性を認めていらっしゃるのか、それから、制度化についてどういう御検討を進めていらっしゃるのか、この点をお答えいただきたいわけです。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 先生ただいまお話しのソシアルワーカーというのは、恐らく医療ソシアルワーカーのことをお話しになっていると思いますが、そのようでございますですね。——医療ソシアルワークにつきましては、保健医療が高度化し、また、その背景にあります社会環境の多様化、あるいは福祉施策との緊密な連携が医療との間に必要だというふうな観点から、近年ますます重要性を増していることは、いま先生御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもの方では、厚生省と日本医療社会事業協会共催で講習会を実施いたしまして、そういった社会事業の資質の向上ということに努めてまいっております。  しかし、先生ただいま御指摘の身分資格の法制化の問題につきましては、一般のソシアルワーカーの身分資格というものがまだ法制化されていないというふうな現状もございますし、当面私どもとしては、これを法制化するという考えは持っておらないわけでございます。しかし、この業務や身分資格のあり方等につきましては、先ほど申し上げましたように、その重要性にかんがみまして、引き続き検討を進めたいというふうに考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 制度化されていないということ、実際には必要性を認めていらっしゃる、福祉と医療との連携の大事な役割りを果たすのだ、私もそのとおりだと思うのです。そういうふうに必要性を認めていらっしゃるのに制度化していない、だから、実際にはソシアルワーカーの配置状況というのは実際お粗末ですよ。国の方はソシアルワーカーの配置ということで国立病院だとか国立療養所にも配置をしておられるわけですけれども、実際には四〇%。全国の一般病院のメディカルソシアルワーカーというのですか、医療のソシアルワーカーの方は、もう二三・七%というふうに非常に低いレベルです。保健所の方にも配置を進めていらっしゃるのですけれども、これも四十年から逆に減ってきまして、一八%というのが厚生省の調査ですね。私の方がお尋ねしましたら、そういう数字でした。したがって、厚生省の直接責任を負っている分野だけでも、制度化の検討とあわせて、私は、少なくとも国立病院だとか療養所なんかは、ぜひ一〇〇%を目指してやっていただきたいし、保健所についても、もっと計画的に進めるべきじゃないか。そして資格制度の問題などについては、ぜひ早急に検討を進めていくべきだというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 医療ソシアルワーカーにつきましては、全国の病院で千八百三十一人、精神病院で七百二十五人、結核、らい療養所で十四人、保健所に百五十五人というのが配置されているわけでございます。保健所につきましても、私どもとしては、ほぼ横ばいの状態で推移しているというふうに理解しておるのでございますけれども、先生御指摘のように、やはり大変重要な問題でございますから、私どもとしても、今後とも努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  なお、この医療社会事業というものの性格ということもございますが、特に精神衛生におきます医療ソシアルワークは、非常に大きい分野を占めるわけでございますが、これにつきましては、保健所に精神衛生相談員という名前でこの資格者を養成いたしまして、これにつきましても、配置をいたしておるというふうになっております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 どうなんでしょうね、作業療法士と理学療法士の資格制度ができましたときに、ずいぶん全国で進みましたね。やはり進めようと思ったら、そこのところが非常に大事だと思うのです。だから国会で請願も採択されたわけですから、ぜひここで積極的にこの問題についても検討を進めていくという姿勢を示していただきたいのですが、大臣どうでしょう。ソシアルワーカーというのは、非常に大事な存在だということを何遍も言っていらっしゃるのに、資格制度については一向に積極的でない御答弁なんです。そういうことでは本当に医療と福祉を統一して、国民の暮らしを守っていくというふうにはなかなかなり切らないことになると思うのです。特にリハビリテーションの部門では、そのことが非常に求められているのですけれども、大臣どうですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 リハビリテーションが重要である、こう言いますのは、ある場合においては、お医者さんの薬や注射が大事じゃなくて、こっちの方が主人公であって、そして薬や注射がこれに従うべきもの、こういうふうに比重が変わってきておりまして、しかも、その効果は現実にどんどん出てくる、もっと出さなければならぬ、こう思っております。確かに事務当局と私の意見に少しは食い違いがあるようでありますが、よく打ち合わせをして勉強をいたします。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 それでは次に、リハビリテーション医学は、すべてのお医者さんの基本的な知識に欠かせない一部になっていくと思うのです。  そこで、卒前教育、医学部の中での教育というのが非常に大事な位置づけになってきている、そのことがこれからリハビリテーション医療を充実、発展させるために重要なかぎだということを、この勧告書の中でも特に強調をしております。  九十一国会の参議院社労委員会でも、当時の大臣は、大学医学部におけるリハビリテーション教育について、従来の内科とか整形外科とかいうことではなく、独立した形で授業科目を開設してもらいたいと大学の方にお願いをしているというふうに答えていらっしゃるわけなんですけれども、リハビリテーション講座を設けるというこの問題について現況はどうなのか、そして、いま現在どういう取り組みを進めていらっしゃるのか、きょうは文部省にもお願いをしておりますので、文部省、厚生省の方からお願いいたします。

川村恒明文部省大学局医学教育課長

○川村説明員 まず、ただいまお尋ねのございましたリハビリテーションに関する講座でございますけれども、現在、国公私立に医科大学、医学部が七十九ございますけれども、この中で独立をしたリハビリテーションに関する講座を持っておりますのは、私立て三大学あるだけでございます。ほかの大学では、もっぱら従来から、ただいまお話のございましたように、整形外科学でございますとか内科学、その中の一つの分野としてこれを取り扱ってきたということでございますけれども、最近、御指摘のように、この問題は大変重要でございますので、私ども、各大学にそういう方面での講座をつくるということについても考えてもらいたいということを指導しているわけでございます。  当面、教育の問題が御指摘のとおり重要でございまして、現在、リハビリテーションに関する講座はなくとも授業科目として独立の科目を開設をするという大学が、必修科目にしておりますのが国公私立合わせて十七大学ございます。そのほかにも若干の大学で選択科目としてこれを開設をしているという状況でございます。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 リハビリテーションの講座等につきましては、ただいま文部省の方からお答えしたとおりでございますが、厚生省といたしましては、リハビリテーションの重要性、それから残念ながらわが国におきましては、この面でかなりおくれをとっているということを認識いたしておりますので、今後とも、文部省と協力いたしまして、大学での教育につきましても努力をしてまいりたいと思っております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 大臣、現状はこういうことです。  非常に重要なことを認められ、講座を考えてもらいたいと指導しておられても、実際にはその一番国の方の国立の大学で講座が設けられていないということ、これはやはり前進をさせていく一つの障害にならざるを得ないと思うのです。  それで、アメリカなんかはもう五四%の医科大学に講座が設けられているのです、同じことは西ドイツで一六%、スイスで二〇%、スウェーデンでは六七%と講座が設けられております。日本リハビリテーション医学会というところが、最近、専門医と認定医と二本立てで卒後の教育体制をとられることになりましたね。そうすると、結局、医科大学に講座を設けるということが、いま非常に大事なことにますますなってきたわけです。  そこで私は、ひとつ国立大学に、少なくとも国際障害者年をそれこそ記念してと言ったらいやな言葉ですが、そうじゃなくて、行動計画でどんどんこれから前進させる契機にしてほしいのですが、その契機の年の象徴として講座を設けるという立場で努力をしていただくというお約束をいただけませんか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先ほど言われました学術会議の勧告もいろいろございますが、講座の問題と卒後の教育の問題が大体重点でございまして、数年前から勧告されているところであり、しかも現実は、もっともっと早く進んでおります。  したがいまして、いまの障害者年の行動計画の中に入れて、国立大学にこういう講座を設ける、これは非常に有力な御意見でありますから、その審議会等とも相談をして努力をいたします。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 非常に御理解のある御答弁で、私は、心から期待をしておきたいと思います。  最後になりますが、大体リハビリテーションという言葉がこれだけ普及しているのに、お役所の方の言葉というのでしょうか、リハビリテーション科として標榜できないことになっているわけです。理学療法科というのですか、とてもわかりにくいんですね。もっとこういう言葉を、リハビリテーションというふうに非常に常識化した言葉に標榜も変えていただきたい。そのために医療法七十条一項一号に加えて積極的な政府提案を行っていただきたいと思うわけです。

田中明夫厚生省医務局長

○田中(明)政府委員 御指摘の点につきましては、すでに日本リハビリテーション医学会から、われわれの方に御要望をいただいておるわけでございます。関係の医学会の意見を聞きながら、新たに診療科として独立させる必要があるかどうかということについて今後とも検討してまいりたいと思っております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 どうもありがとうございました。  最後に、大臣、お聞きいただいたと思いますが、リハビリテーション医療を前進させていくためには、むしろこれからやらなければならないことが余りにも多過ぎると思います。したがって今後は、このリハビリテーション医療を充実発展させるために、総合的に計画を立てて前進させていくために御努力を尽くしていただきたいと思います、最後にもう一度、大臣の御決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 確かに出発点がいまだということは残念なことでありますが、これから出発をしなければならぬ問題、しかも非常に大事な問題でありますから、御発言の趣旨を十分踏まえて、事務当局ともよく勉強し合って努力をいたします。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時開議

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管について質疑を続行いたします。井上普方君。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 先日新聞を拝見していますと、医師の間で脱税が非常に多いので、今度はその脱税した医者を医道審議会にかけるというような新聞記事が出ていました。これは本当ですか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 先生御専門でいらっしゃいますが、医師法という法律は医師につきまして非常に広範な権限を規定いたしております反面、医師の守るべき義務というものもいろいろ規定してございます。しかしながら、それと同時に、その底には医師の高い倫理性、またそれを裏づけるべき資質、技能というものがあるというのが法の趣旨かと存じます。そういったてまえから、従来は脱税のような刑事事犯は必ずしも医事に関係が薄いというところから審議会の御意見を求めておらなかったわけでございますが、最近、ただ脱税と申しましても事務的な誤りその他ではなく、かなり意図的なものあるいは悪質な、広く言いますと医師の倫理、医道の倫理にもとるような事案も見受けられるという状況がございます。こういうものについて先般国会で御質問がございましたので、医務局長の方から、そういうものは医道審議会の御意見も十分伺いまして、医師の倫理の確保というような観点から場合によっては行政処分にすることをひとつ検討いたしたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 医道審議会は何をするところか、ひとつ御説明願いたい。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 医道審議会は、法律に規定してございますのは、医師法に規定のございますもろもろの違反につきまして審議をいたしまして、医師に対する医師法に基づく処分について御意見を伺い、御答申いただくというのが一つの使命でございます。  そういうことをしておりますが、審議会の先生からは必ずしもそういう法文にとらわれた処分の可否あるいは処分の軽重を決めるだけがこの審議会の職分ではないのではないか、もっと深く医の倫理のあるべき姿その他医師法の趣旨に沿った内容についても審議会の意見を聞くべきではないかという御指摘をいただいておりまして、私ども事務局もそういう方向でこれからは努力をいたしたいというふうに考えております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 そうすると、医道審議会というのは医師法違反の者について処分するんだ、これが法文上の決まりである、しかし、法令にとらわれない処分も今後していきたいというんだったら、法文を直したらどうです。直さなければできないでしょう。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 私の申し上げ方が不十分でしたら失礼いたしました。法文にない処分をしろという御意見ではございませんので、審議会はそういう医師の倫理の問題その他もっと広い医道の問題についても厚生大臣は審議会の意見を聞いてはどうか、必ずしも諮問、答申というような御趣旨ではないと思いますけれども、そういう御趣旨でございまして、先ほど申し上げましたのは法文にはやはり医事に関する不正について処分をするということのほか、その他品位を損なうような行為があった場合という条文もございまして、これは運用の幅のある規定であるというふうに了解しております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 そこで、私は医道審議会に脱税した医者をかけるというのはおおよそ行き過ぎだと思うのです。脱税した者についてすべて医道審議会にかける、そして医師法上の処分をするということになってくると、他の職業もそういうふうにせざるを得ない。脱税というのはあなた方どう考えているのですか。脱税はどの付近までを脱税と言っているのか、ここらあたり分析してお考えになっていますか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 全く先生仰せのとおりでございまして、私どもも脱税というその行為だけをつかまえて片端から審議会で御審議いただくということは考えておりませんが、しかしながらやはり脱税事犯の中には先生もお聞き及びのようなきわめて悪質だというような事案も最近見受けられるわけでございまして、こういうものは必ずしも条文に明示的に規定されているかどうか以前の問題、基本にある医師の職業上の倫理の問題という形でやはり案件によっては処分を要するものがあるのではないか。その点はこれから私どもも十分に内容については分析もいたしますし、また医道審議会の先生方の御意見を十分に伺いながら対処してまいりたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 脱税の悪質、良質というのはどこで決めるのですか、ちょっとお伺いしたい。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 大変むずかしい問題でございますのでその点は事務局でこれから十分に勉強いたしたいと思っておりますが、前回たまたま国会で御議論がございましたのは、一つにはカルテを改ざんして不正な所得を上げたという御指摘がございました。その場合には実は金額がきわめて大きいという御指摘もあったわけでございますが、そういうような問題について線が引けるかどうかは大変むずかしい問題かと思いますが、そういう問題についてどう対処するかを私どもとしては検討いたしてまいりたいと思っております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 それは脱税じゃないじゃないですか。カルテを改ざんするのと脱税とどんな関係があるのです。カルテを改ざんするのは医師法の違反でしょう、脱税と何の関係があるのです。私が聞いておるのは、あなたは悪質な脱税と言ったから悪質な脱税とはどの付近までを言うのだと聞いている。少なくとも公の場所であなた方が御答弁される以上は——脱税した医者に対しては医道審議会にかけるんだと言う。そしてその脱税した医者というのはどの程度なんだと言えば悪質なものと言う。悪質とはどこの付近だと聞いたらあなた方はカルテの改ざんをした者、これを悪質と言う。何を言っているのです、カルテの改ざんというのは医師法違反のことじゃないですか。どうなんです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 カルテの改ざんそのものは御指摘のとおり医師法違反を構成するものでございますけれども、そのことが悪質であると申し上げたわけではございませんので、そういう違法な行為を使って、それが結果として脱税につながったと聞き及んでおるものですから、そういう事案があればと、こういう仮定の上での御返答を申し上げ、かつはまた医道審議会にかけて処分をするということを決めたとは私理解しておりませんので、そういうことについて医道審議会の御意見を聞くことについて、まずはこれは医師法の規定の運営あるいは医道審議会のあり方の問題でございますから、審議会の先生方の御意見をこれから十分にお伺いいたしたい、こう思っておるわけであります。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 先ほどもここで、一般質問では脱税した医者については医道審議会にかけると言っている、そうではないですか。脱税という行為は経済行為なんだ、経済行為であるけれどもそれの悪質なものとあなたがおっしゃるから、特に悪質なというのはどこまでを言うんだと聞いている。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 準備不十分なままそういう方針を申し上げたことを軽卒だとおっしゃる点については重々おわびをいたしますが、どういうものを悪質と見るかということは大変微妙な問題でございまして、その点は先般開かれました医道審議会の場合でも先生方からいろいろ御意見をいただいたところでございまして、私どももできるだけ事務局としては検討いたしますが、詳しい内容、またそれをどういうことで線を引くかという点につきましては、審議会の御意見を十分伺いまして対処したい。これも、かけますと断定したのではございませんので、かけることについて審議会の御意見を聞きながら検討いたしたい、こう申し上げた次第でございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 それは医道審議会の趣旨からいたしますと逸脱してはおりませんか。脱税というのはあくまでも経済行為なんです。この医道審議会というのは医道に反したことをやった場合にやるんですから、当然医師法違反あるいは医療法上の違反をやった場合に医道審議会にかけるのが本筋じゃございませんか。そこまで言うんでありましたならば、しかも処分するかしないかは医道審議会の御意見を聞くと言いますけれども、医道審議会というものはあくまでも医師法、医療法上の処分を決める審議会でしょう。それにこの経済行為である脱税までも含めるということには私は納得がいきかねる。軽々しくあなた方は勉強もせずに予算委員会で表明すること自体に問題があると思うのですが、大臣、いかがでございますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 しばしば私申し上げますとおり、医療行為というものは医療に従事する人の良心と自制心によってやるのが原則であって、手足を厚生省または厚生大臣が練るべきものではないと考えております。しかし、今日のようにあちらにもこちらにも乱診乱療が出て社会の議論になっているところでございますので、審議会にかける最後の項の医師としての品位を傷つけるもの、こういうことで、悪質がどうかは審議会で御判断を願いますけれども、たとえば例を申し上げますと、巨額な脱税でやられて、そして処罰を受けて、その最中にまた二回目の脱税をやるとか、こういうお医者さんとして医療行為、医師法違反は別として、どうも行為がお医者さんらしくないと判定できるものは、これはこの際少し厳しくやるべきではないか、こういう考えからやったわけであります。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 大臣、あなたは乱診乱療こそ取り締まるべきじゃないんですか。それに手がつかないんですか。医師法上で問題になるのは乱診乱療なんでしょう。脱税というのは付随して出てきた事件でしょう。乱診乱療がなぜ医師法あるいは医療法上できないのですか。これでこそ処分をすべきじゃないですか、これでこそ医道審議会にかけるべきじゃないですか、どうなんです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 乱診乱療は当然おっしゃるとおりであります。脱税行為も単なるほかのことに対する脱税行為ならば、これはわれわれは口を出すべきところではありませんけれども、やはり医療行為から出てくる脱税行為というものは無関心でおるわけにはまいりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 医療行為上出てきた脱税とは一体どんなことなんです。具体的におっしゃっていただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 お医者さんが医療をやって、そしてその金をもらう。それに対する脱税、こういう意味であります。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 それは医療行為に対して、そしてその上でもうかった金について脱税をする、これは経済行為じゃないですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いままでは、おっしゃるとおりにそういう脱税であるとかあるいは架空請求であるとかということは医道審議会にはかかっておりません。しかし、この際それは一遍御審議を願うべきだということで、脱税、純粋たる脱税というんじゃなくて、私が審議会にお願いしました脱税行為というものは、その裏に不正請求、架空請求というものがあったものを出しているわけでありまして、脱税の行為そのものを審議会にお願いしているわけではございません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 わかった。それなら話が違う。不正行為。不正なる要求、診療をやるか、あるいは乱診乱療をやった、このことについて医道審議会にかけるのは当然の話です。いままでやらなかったのがおかしいぐらい。そしてその上で、不正請求をしてその結果として出てきた脱税について医道審議会にかける、脱税をのけたらいいじゃないですか。不正請求をしたこと自体についていままであなたは医道審議会にかけなかったとおっしゃる。そのことが問題なんだ。そうじゃないですか。不正請求に対してこそやるべきじゃないですか。それをいままでやらなかった。厚生省というのが医師会とつるんでおったからでしょう。どうです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 非常に厳しい御指摘のあれでございますが、これは必ずしもそういう見逃してきたということには私ども考えておりませんので、従来はそういう事案が確かに散見されましたけれども、私ども考えておりますほどそれが悪質なものということではなくしたがって経済事犯は医師法の観点からします処分とは無縁にすべきであるというのが大方の御意見でございました。ところが最近になりまして、いま先生御指摘のような同じ脱税でありましても、脱税という行為を私ども考えているんじゃないことは御指摘のとおりでございまして、その裏にあるものは一体何かというのは大変むずかしいことかと存じますけれども、先生いま御指摘のような問題について着目するということでございます。しかしながら、現象といたしましてはそういうものについてはあるときは刑法上の犯罪に問われる場合があり、あるときは行政処分にゆだねられる場合もいろいろございまして、ある事案が、たまたま脱税ということが、司法の観点から見ますと脱税という行為だけが表に出るという場合もあるわけでございまして、たまたまそういう事例についての御質問が先般ございましたので、そういう関連での医務局長の答弁だったというふうに私理解しておりますので、必ずしも脱税という行為を形式的にとらえているわけではないことをひとつ御了解いただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 割り切り方というか言葉の表現が御指摘のとおりであることは私も認めます。ただ脱税をした者を医道審議会にかける、こう言えば理屈にならぬことでありまして、たとえば株をやってもうかった、あるいは正当な医療行為をやってできた財産、それで脱税をやったということは私の関係すべきことではありません。いまその点おっしゃるとおりで、脱税をした者を審議会にかけるのか、その違いで、その先はおっしゃるとおりであります。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 しかし、なんですよ、予算の一般質問においては悪質な脱税をした医者、これを医道審議会にかけるべく今後検討するということになっておるはずです。脱税というのが表に出ている。違うでしょうが、いままでのお話ですと。不正請求したというのは、これは詐欺だ。これは詐欺行為なんだ。これこそやるべきなんです。これをいままで見逃してきておった。つかまらなかった。脱税をして初めて不正請求をやったんだということがわかるんだと、こう逆説的な話になってきておる。  しかし、不正請求がなぜ見つからないのか。これはあなた方厚生省の能力に問題がある。能力というよりは医師会と結びついておるからなんだ。考えてごらんなさい。この診療報酬審議会、これは医師会のボスがなりたいんでしょう。現に東京でも医師会のボスになれば、そうすれば不正請求がまかり通るということで、医師会の幹部になり、報酬審議会の委員長になっておったという例もあるんでしょう。大臣どうなんですか。そういう姿、事例があるでしょう。これはここだけ、東京都だけの姿じゃない。全国至るところにある。ひどい医者になってくると、自分の地位を確保するために警察の嘱託医になり、税務署の嘱託医になって、そして脱税であるとか警察事件については全部にらみをきかしておるんだと言って他の医者どもを恫喝しておるような医者もおるのです。だから、地位の保全のためにそういうようなポストにまでついて悪いことをしておる医者がたくさんいる。こういうのをこそあなた方は直さなければならない。医道を直す道じゃないですか。これが何も直されていない。これは渡辺美智雄さんと私はある程度同意見なんです。正直な医者はばかをみているのです。これがいまの医療報酬のあり方じゃないですか。先ほども出たが、カルテの改ざんが行われておる。カルテの改ざんがあるなら、なぜあなた方はそれを徹底的に追及しないのですか。わからないのですか。というのは、あなた方は監査をする。監査をするときに医師会の合意の上において初めて監査ができてきた。今度法律を改正して初めてできるようになりましたけれども、しかし、あなた方は医師会の了解を得なければ監査ができない。いまでもそうでしょう。そこに問題があるんですよ。医師会ににらまれると監査を受けるんだというのが開業医の常識になっている。これを直さなければならない。どうです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 診療報酬の不正にかかわる問題が医師法の観点からいかがかという点につきましては、これは昨年開かれました医道審議会に際しまして、診療報酬の不正な請求、それに伴って起こる事案については、審議会の議に付すべきであるという大方の先生方の御意見がございまして、ことしの夏から秋予定いたしております医道審議会でどういうものをその事案にするか、これはまた審議会の委員の方々の御意見をこれから伺うところではございますが、いま現在自治体と連携をとって事案の調査を進めている段階でございます。  脱税につきましても、さっき申しましたようにこれが刑法の条文に触れるような場合もときにあるわけでございまして、これは脱税によって刑が決まった場合にはすぐということは申しておりません、やはり先生御指摘のように、その裏にある動機あるいはその事件の全体というものが医の倫理という観点からいかがか、こういう判断をすべきであるというのが審議会の御意見でもございますので、私どもこれから十分勉強いたしまして、また審議会の先生方にも一体どういうけじめでそういうものを検討の対象にするか十分御意見を伺いながら対処してまいりたいと思っております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 もうこの場合厚生省は脱税という言葉を使うのはやめなさいよ。不正請求があり、乱診乱療がある場合に医道審議会にかけるんだ、はっきりそうおっしゃる必要があると私は思う。あなた方の能力のないことを脱税という言葉で示そうというにほかならないように思われてならない。  カルテの改ざんが行われ、あるいは不正請求が行われておる。たくさんあります。現に富士見病院のごときはまことに不届きな、医の倫理に最も反した行為をやっておる。子宮摘出のうちの何%が卵巣まで取ったのです、全摘をやったのです。数字わかりますか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 現在資料がございませんので、もし必要なら後刻先生のところへお届け申し上げます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 少なくとも子宮筋腫であるとかあるいは子宮がんの場合にもなるべく卵巣は残すというのが常識なんです、卵巣というのはなかなかがんが転移しないのですから。そして、女性の機能を残すというのが医道の最も大切なところである。ところが、卵巣まで全部取ってしまう。その例の多いのには実に驚き入った。これは卵巣まで取っておる比率からすると、ほかの病院と比べて一目瞭然である。そういうことが報酬審議会でわからないはずはなかった。こういうことを見逃してきておる報酬審議会それ自体に問題がある。  聞くところによると、埼玉県においては医師会の会長さんが、あるいは医師会の最高幹部が不正しておるというような事件が夫婦げんかの末あらわれてきているのでしょう。これはどれくらい出ているのですか。この病院の名前を言わぬけれども、この病院はどのくらいの架空診療があり、不正請求があり、カルテの改ざんが行われておるのですか。調べたことはありますか、どうです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 保険の請求の関係は私ども医務局でございますのでその数字を承知しておりませんが、医療法関係で若干問題があった点は承知しております。これは、一つは何か無資格の職員に医療行為を行わせた事実があり、県衛生部から厳重な注意を受けたという事案を承知しております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 それくらいですか。それくらいしかあなた方はお知りにならないのですか、どうなんです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 埼玉県衛生部が医療監視を実施いたしました際の指摘事項としては、そのほか若干設備、構造その他ございますが、特に大きな問題は私どもに報告を受けておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 いま医療監視とおっしゃいましたが、医療監視って何ですか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 医療監視と申しますのは、医療法という法律がございまして、そこに病院、診療所が遵守すべき設備、構造、配置すべき定員その他を決めておりますが、それを県が監視することでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 その医療法上の病院設備が完備しておる病院なんというのが世の中にあるのですか。ありゃせぬでしょうが。外来診療四十人に対して医者一人、入院患者二十四人に対して医者一人、医療法上の医師あるいは看護婦、これが的確にできておる病院は、大学病院も国立病院もないはずです。ましていわんや開業医なんて、そんなことができているはずがない、どだいあの医療法上の数字それ自体が無理なんです。国立病院全部できていますか。そんなできておらぬことを監視したってどうにもしようがない。  それよりもむしろ、医務局というのは何するところなんです。医務局というのは、医師法上適法に医療が行われておるかどうか監視するところじゃないのですか。あるいはまた監視し指導するところじゃないのですか。あるいはまた医療法上のこんなところに不備があるというようなところを直すのが医務局の仕事じゃないのですか。医務局というのは何するところなんです。医療法上の監視やこんなことをやったって、全部が全部できておりゃせぬ。わかり切っている。国立病院で医療法上の医者、看護婦は完全に充足していますか、どうです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 厚生省が所管しております国立病院、国立療養所では、若干の例外はあるかもしれませんけれども、原則として医師、看護婦は医療法上の基準を満たしております。職種によりまして、たとえば薬剤師なんかの場合でございますが、充足が非常に困難な職種もございます。民間の場合も非常勤の先生とか、アルバイトのパートの看護職員のやりくりでやっておるところもございまして、そういうものは県当局ができるだけの指導を行っております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 いや、国立病院でできておらないのが例外なんというのは、私らどうもちゃんちゃらおかしくてしようがない。そんなものじゃない、ほとんどできていない。医師研修病院というお医者さんを勉強さす病院でできておらぬというのは、私、十四、五年前に指摘したところなんです。  まあそれはともかくといたしまして、そんな監視でもっていかぬというのは、一体埼玉県の福島病院はどうなんです、乱診乱療が行われておる、あるいはまたこれが政治的にもみ消しが行われておる、こういうことが週刊誌に堂々と載っている。これについてお調べになった経緯はないのですか、どうなんです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 御指摘のとおり大変恐縮でございますけれども、現在の医務局が所管しております法令の中には、診療機関の診療行為が果たして学問的に適切であるかどうかその他についてこれを判断し、あるいは指導する権限を私ども与えられておりませんので、私どもやっておりますのは、医療法、医師法に基づく県の指導その他に限定されているのは御指摘のとおりでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 あなたのおっしゃるとおり、医者が行う診療行為それ自体についてだれからも監視せられぬのが医者の職業なんです、そこに不正請求であるとかあるいは乱診乱療があるということについては、これは厚生省全体として考えなければならぬ問題じゃないですか。だから厚生省、これは保険庁かもしらぬ、しかしあれだけ新聞に騒がれておりながらこれをまだ厚生省が全然知らないというのでありましたならば、厚生省の怠慢以外の何物でもない。これがまた世間一般の医者の信用を落とす。ということは、結局は治療を受ける国民全体が不幸なことなんです。医者も不幸であるし、患者も不幸になる、私はこういう観点を持っているのです。だからひとつこういう問題は、問題が起こったときには厚生省が全体となって調べるのが本当でしょう。あの福島の病院のことについては何ら調べておらぬというに至っては厚生省のモラル自体を疑われる、医者のモラルじゃない。大臣、お調べになるお気持ちはありますか、どうです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 県当局と連絡をしてその実情をいろいろ調べているところでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 県当局と調べてます、県の何課なんです。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 医務局の関係は県の衛生部でございまして、診療報酬の関係は民生部が当たるということでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 早急にお調べになって御報告あらんことを強く要求いたしまして、質問を終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園都市の医療問題と国際科学技術博覧会の終わった後の跡地利用に関する問題でお尋ねします。  まず最初に、日本の頭脳都市と言われる筑波研究学園は、五十四年にその概成を見ました。そして、六十年には国際科学技術博覧会が開催をされることになっておりまして、この研究学園都市と科学技術博覧会は連動をしておるわけであります。  ところで、ここには二十万の人口が定着をしなければならない、こういうことになっておるわけでありますけれども、現段階では十万の移転目標に対して三万しか定着をしない、こういう実情であります。その理由の中には、交通、教育、社会施設あるいは家庭の事情等がありますけれども、大きな問題の一つとして医療問題があります。  この医療についてはしばしば予算委員会等で私も質疑をいたしまして、筑波研究学園の中に移ってきた筑波大学に医学部が設けられました。なるほどこの医学部はベッド数もやがて八百になろうとするりっぱなものでありますけれども、文部省の所管でありまして、直接に治療をする前に研究をするという形でありまして、直接に外部からの患者をすぐ診察をしない傾向が強い。先般もある病人が出まして、早く治療をしなければならないということで筑波大学に連絡したところが、二カ月待ってくれと言う。病気を二カ月待つということは、これは大変問題であります。そこで、やむを得ずに農協の病院である土浦の協同病院に連絡をしてこれを引き受けてもらいましたが、こういうことは間々あることであって、何としてでも移転の公務員に対して、集中して集まってきておるわけでありますから、ここにはやはり治療のための医療機関を充実する必要がある。厚生省はこの移転の現状において、筑波及び茨城県における医療の状態をどのように把握をされておるのか、現状把握についてお答えをいただきたい。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 茨城県は、御承知のように、もともと全国の比較におきましても医師数あるいは施設、病床数、必ずしも多くない地域でございまして、そこにまたこういう特別の政策的な目標を持ちまして人口が集まってきているという状況から、地元におきまして医療の供給が不十分であるという御要望が強いことは私どもも承っております。私どもといたしましては、特定の地域ということはなかなか手が届きかねる面がございますので、県全体の問題として受けとめますと同時に、茨城県当局とも十分協議をいたしまして、県の御意見も聞きながらできるだけの努力、必要な御援助をいたしていきたいというふうに考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 厚生省の方が県全体の中で占めている筑波の地域の医療状況についてどういうふうに把握をされておるか、これはどうですか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 筑波研究学園都市ということで限定いたしますと、現在医療機関が七、診療所が六十九ございまして、これは茨城県下の中ではやや恵まれた状況かとは思いますが、やはり全国的なバランスで見まして、ことに住民の方が都会地の医療供給の豊かなところで生活をした方が多く集まっておられる地域ということを考えますと、恐らくこの地域にお住まいの方にとってはかなり御要望が強いのではないかと受け取っております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 特に歯医者の問題でありますけれども、前々から歯科医が緊急を要するということで要請をしてまいりまして、最近は七つの機関ができましたが、大体人口五千から八千について一人という状態です。これではまだいいということにはどうしてもならない。  そこで、学園の皆さんは病気になると土浦へ出ていく。片道タクシーで千五百円から二千円ですから、往復すると四千円、夜は一切交通の便宜はありません。こういうような状況の中で医療問題というものは大変重要な問題になっておりますし、なかんずく救急医療については、これまた全くひどい状態です。その点については前々から要請をしているわけですが、どのようにいまの状況を考えられておるか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 歯科診療の状況を申し上げますと、現在二十八カ所の診療所、それに筑波大の付属病院に歯科があるということでございまして、四十名の歯科医師が診療に当たっておられるというふうに伺っております。この状況は、県下としては、先ほど申し上げましたとおりやや恵まれた状況ではございますが、全国的な見地から見ますとやはりやや不足であるということは御指摘のとおりでございまして、今後ともその地域の歯科診療体制の充実というものは計画的に進めていく必要があると考えております。  また、救急医療体制の件につきましては、現在筑波郡医師会によりまして在宅当番制を実施しておりますほか、救急協力医療機関二十六カ所が休日、夜間の診療体制をとっておるわけでございます。さらにまた、重い患者さんの場合には、第二次救急体制としまして、救急告示病院二カ所が二十四時間体制でやっておるという状況でございます。御指摘のように、この地域の特別な事情その他を考えますと、これではまだ不十分だという御指摘は十分私どもも受けとめておりますが、問題は、一朝一夕でできることではございませんので、県当局の方で県全体の医療体制の整備というものを計画的に進めるように指導をいたしますので、その中でまたこの地域の問題についても十分私どもも必要な助言をする、その他努力をしてまいりたいと考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 大学病院がそういう状態であるし、それから周辺がかなり離れている。そこで移ってきた公務員は、これは主として国家公務員です、学生もおりますが、どうしても国家公務員共済病院をつくってもらいたい、こういう強い要請があるわけでありますけれども、大蔵省としてはこれに対してどのように考えておるか。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 お答え申し上げます。  国家公務員共済組合連合会の病院を筑波学園都市の周辺につくっていただきたいというような御要望がかねてあることはよく承知しております。ただ国家公務員共済組合連合会がつくります病院と申しますのは、そこに投資するお金が年金の積立金でございまして、したがって年金の積立金は相当程度の利息を生まなければいけない資金でございますために、どうしても投下する資金の回収、つまりは病院の独立採算といったような経営状況をあわせ考えた上でないと、病院の設置ということは非常にむずかしいわけでございます。現在連合会が持っておる病院は全国で二十七でございますけれども、実は全体の病院がまだ経営上若干の累積の赤字を持っております。五十四年度末で大体十二億程度の赤字を抱えている状況でございます。したがいまして、新たな投資をさらに行っていくということは非常にむずかしい状況にございます。さらに現在の二十七の病院の中には相当程度老朽化し、これを早急に不燃化したりする改築計画がございまして、まず優先的に新たな投資はそういう方向に向けざるを得ない、こういうような状況でございますので、筑波学園都市に新たに連合会病院を設置するというような計画は、いまのところ非常に困難ではないかというふうに私どもは見ております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 先般も現地調査をした中で、強い要請として国家公務員の皆さんから、われわれも一定の負担をしているのだからということで話があり、日本住宅公団なり国土庁の方からは、土地は大体ある、問題は金の問題だ、こういう話だった。国家公務員共済病院が直ちにできない場合においては、診療所程度のものでもいいからつくってもらいたい、こういう強い要望もあるわけですが、これについてもう一度。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 ただいま筑波学園都市内にございます各省の共済組合が、連合会という形でなくて、それぞれの共済組合として診療所を開設いたしております。文部省、農林水産省、通商産業省、建設省並びに林野庁、この五省庁の共済組合がそれぞれの職場の中に診療所を設置して、いま当面の対応をしているところでございまして、診療所をさらに連合会がつくるというような計画はちょっといまのところございません。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 厚生大臣にお尋ねしますけれども、現実に国が計画し、過密過疎の解消のために努力をした。それで、筑波研究学園というのは二つの目的があるわけです。第一は、東京の過密を何とかして防止しよう、こういうことでできるだけ移ってもらいたいということで学園ができた。もう一つは、静かなところで集中的な研究をする、こういうことです。その後ろの方の静かなところで研究をするということはある程度まで満たされているけれども、移転という問題と過密の解消という問題は依然として解決しない。その大きな原因が医療問題にかなりのウエートがかかっている段階で、いまの大蔵省の話を聞くとやる気がないように思われる、こういうことであるならば、各省に診療を任せておけばいいじゃないか、これではいつまでたっても地元の不満は解消しない。厚生大臣、人間の体を扱う者としてそういうことでいいかどうか、ちょっと御判断をいただきたい。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 御指摘はごもっともだと思うのでございますが、私どもはその地域の診療問題、ことに医療の供給ということにつきましては、厚生省はこれをきちんと指導監督いたしますし、また県のレベルでございますと、これを責任を持って整備を進めていくのは衛生部を中心とした県当局の仕事でございますが、私どもできるだけの御協力をするべき立場にあると存じております。ただ、そういう地域政策から特別な地域ができたということを厚生省の一般行政の面でもろに受けとめるということは御承知のとおりいろいろ障害がございますので、そういうような別なる政策の中で、この地域には茨城県全体とは違う特別の事情があるということで、また別なる政策が登場するということになりますと、その中では私どもは専門的な立場として十分検討もいたさなければいけませんし、できるだけの御協力をすべきだと思うのでございますが、この地域の医療体制だけを県の中から特別に取り出して厚生省がどうこうするということは、いまの段階では立場上なかなかむずかしいという点もぜひ御了解いただきたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 先ほど大蔵省から、各省が医療をやっているという話をしましたけれども、その医療というのは昼間は職場にそれがありますね。ところが住宅は別なところにある。離れているのです。相当の距離がある。病気は昼間だけ出るわけではない。あそこの学園というのは移ってもらっているのです。そういうときにいつまでも、十年たってもあのままでいいということにはどうしてもならないのです。現地にいる者とすれば、国の責任でやっている仕事ですからもっと前向きに考えなければ——県の方へ県の方へというけれども、県では一定の限界がある。県だってふだんからそうはできない、どうしても国なり国家公務員の共済という中で前向きに計画を立ててそれを満たしていく。いますぐはできないけれども、将来はこうするのだ、こういうぐらいの熱意のある話はしてもらわないと、いつも同じようなことはかり言っておってはだめですよ。そういうことでは人間は移りません。これは大臣の判断をまつよりほかないですね。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 医務局の問題でございますのでもう一言触れさせていただきたいのですが、各都道府県には医療供給の体制を計画的に進めていくべきであるという指導は数年来続けてきたわけでございますが、これがなかなか実効を伴ってこないこともいま御指摘のあったとおりでございますので、今国会には医療法に必要な根拠条文を加えまして、そういう地域の計画的な医療供給体制整備を知事にある程度義務づけるということを私どもいま検討しております。その中で県としてもできるだけの配慮をするよう、ことにこの地域は先ほど御指摘のように、そこの住民の方々に県の他のところとは違う特性があるという御指摘もございましたので、そういう点も十分踏まえながら整備の計画的推進に努めるよう私どもも指導してまいりたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 これは局長からだけでなくて、大臣からどうしても答弁をもらわなくてはだめだ。園田厚生大臣は、国際問題あるいは厚生問題においても前向きに物を考え、平和と人間を非常に大事にする大臣だということを知っている。それだけにいまの筑波に彩られた公務員の皆さんがどんなに医療問題で悩んでいるかについてもわからないはずはない。それをさっきの大蔵省のような答弁をされておったのでは、いつまでたっても——ぼくはこの問題は数年来同じことを言っている。ようやくできた筑波大学が第一次診療はしない。二カ月待ってくれ、三カ月待ってくれ、あなたの病気は大したことはないから半年後だ、こういうように病気を軽く扱われたのでは困る。だから、共済の診療所が確かにあるけれども、これは昼しかやらないのですよ。病気は昼だけ出るのじゃない。そういう点についてもう少し前向きな、国としての責任ある方向を少なくとも考えてもらわなければ、やがて六十年に科学技術博覧会が行われるけれども、また同じようなことを言わなければならない。先の方で人間が減るなら別だが、ふえることがわかっているのだから、これはやはり大臣にこの際判断してもらって、筑波における医療体制の問題についてはしっかり進めてもらいたいと思いますが、この際大臣から……。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 筑波学園都市の問題は、経緯は御発言のとおりでありまして、筑波学園としてのことには非常に性急に話が進められてきておりますが、学園都市としての構想についてはなかなかでこぼこで欠陥が多いわけでございます。これは科学技術庁長官の所管ではありますが、科学技術庁、文部省、大蔵省等とも相談をして、学園都市としてのモデルケースとして早く踏み出せるように努力いたします。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 ひとつ前向きに努力をするようにお願いをしたいと思います。これは実際、あそこへ移転した公務員の皆さんを代表して私はお願いするのです。  続いて、これは労働省にお伺いしますが、先般内閣委員会のときにも私は質問したわけですが、六十年に科学技術博覧会が行われる。これは半年やれば博覧会は終わってしまう。そこで土地を両方合わせて二百町歩買ってある。この土地は博覧会の敷地として百町歩、同じように筑波と大穂に百町歩買ってあるのです。その所有は県ですが、終わった後どうするのだという話については、工業団地にしていきたい、すでにそういうことを決めているようです。  そうなると、先ほどの人口の定着の問題とも関係いたしますが、なぜ人口が定着しないかということは、公務員の定年制、これは特別公務員、技術者を含めても、一定の年になればやめなければならない。そこで生活上の問題があって何としてもそこに住みつけないという事情がある。だから、工業団地ができるのであれば当然それには労働者あるいは技術者が必要です。あるいはまた、筑波に移転された中で助手等々をつくるためにも技術者をつくらなければならない。大学の教授あるいは研究所に彩られた学者、技術者、こういう人々を活用して、そこに訓練所、職業学校あるいは職業研修所、それはどういうことでも構わないからともかくそこに施設をつくって、工場やあるいは研究所内や周辺の団地に送り込んでいくということはできないかどうか、こういう問題について、それは下館と水海道と土浦にあるからできないという答弁がこの前労働省から出た。そんな答弁では物が解決しないのです。本当にもう少しまじめに考えてもらいたい。国が事業をやっている中で、地元では安い土地を出して大変迷惑なんです。だから、こういう問題についてもまじめに真剣に考えてもらいたい。労働省、この点についてどうですか。

菊田顯労働省職業訓練局管理課長

○菊田説明員 お答えをいたします。  職業訓練校の設置の問題、それから統廃合の問題、そういう問題につきましては、当該地域におきます産業構造の変化とか企業立地の動向、新規学卒の状況ないしは離転職者の状況というものをもちろん考えてまいりますし、既存の訓練施設の配置状況を総合的に勘案しながら、都道府県と十分に相談をしながら進めているところでございます。  先生おっしゃられます筑波学園都市、そしてその中での科学技術博覧会の跡地利用等の問題、その中でこの訓練施設の問題が出てまいりますれば、そこで工場団地等の造成、導入状況、それから当該地域の人口その他の需要を見ながら、茨城県の方と十分に相談をしながらこの問題に対応してまいりたいと考えます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 茨城県の当局は、特に私立大学のようなものでも導入して、そして民間のエネルギーを活用して工場に出していきたいという考え方を強く持っているわけなんです。あの土地が大学と研究所だけでは余り税金も入ってこないし、活力を持たない。どうしても周辺に工場あるいは工業団地を誘致して、その県のエネルギーを使うと同時に、なお全国的にも人間を集めて、そこで訓練をして供給をしていくということは大事なことだ、こういうふうに県としても考えている。  そういう中で、労働省の方でも、下館や土浦や水海道のように、八十人や百人ぐらいの人間を養成して出すようなところと同じように物を考えてもらっては本当に困るので、国策の一つとして進めてきているこの問題について、しっかり物を取り上げてもらいたいと思うのです。特に十万の人間を収容する建物や施設をつくっておって三万しか使ってない、こういう実情を考えると、いかにこの施設がむだになっているかということをここで申し上げなければならない。余りいろいろなことを言うとまた大蔵省にしかられる面があるが、国家公務員の住宅だってずいぶんあいているのですよ。そういうことを言うと大変むだな話をして申しわけないが、そういうものを早く埋めるためにも、そこに働いている技術者が、自分の子供や奥さんを東京や千葉やあるいは平塚に置いて、自分だけが単身赴任をするということで、一定の期間だけ働いてまたもとへ戻るというようなことにならないようにするためには、どうしても生産と技術が結びついていく形のものをぜひとってもらいたいということをこれまでも私は主張したわけだ。きょうは特別にそのことを追加をして確認をしながら、労働省の方にも強く要請をし、また、これは担当ではないかもしれませんが、厚生大臣にも聞いてもらいながら、十分に国として筑波研究学園というものを文字どおり、約束どおりの人口が定着するようにしてもらいたい、こういうことを要請しておるわけです。もう一度労働省から……。

菊田顯労働省職業訓練局管理課長

○菊田説明員 今後の動きを見ながら、特に科学技術博覧会の跡地の問題は六十年以降等に出てくる問題でございますので、それらの移り変わり等を十分に見きわめながら、茨城県と相談しながら対応を進めていきたいと考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、いま申し上げたように、筑波研究学園が概成から完成へと向かう過程で、六十年の国際科学技術博覧会と結合しながらこれから新しい課題と取り組んでいくわけですけれども、その過程で、いまのように人間の大事な問題である医療の問題がまだまだ不十分であるということと、科学技術博覧会が終わった後の跡地利用をめぐる問題と、十万を予定して国が計画したことが満たされておらないということを満たすためにあえてこういうことを申し上げているわけですから、これはぜひ国の責任で県を指導しながらやってほしいということを要望したいと思いますが、最後に大臣の感想をお伺いして終わります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 地元としては非常に切実な御意見を承りまして、私の所管であるなしにかかわらず、関係大臣と相談をして当初の計画が遂行できるように、田園都市の構想が予定どおりいってこそ初めて学園都市の目的を達するわけでありますから、ただいまの御発言をよく胸にとめて努力をいたします。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 公衆衛生局長にお尋ねするのだけれども、長崎市の西山地区は、爆心地から直線で三キロ以上あるのですが、残留プルトニウムが周辺の六地点の八倍です。これは第二十三回放射線影響学会で、岡島長崎大学教授が調査をして、野菜などに影響が懸念される、三十五年たってこんな状態ですね。これは特に調査をしましたか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 五十一年度及び五十三年度に残留放射能の調査をいたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 そうすると、その際の調査では、こちらの方が遅いのだけれども、こういう状態はなかったのですか。あなたがしたと言うのは、例の二キロ置きにずっと土表の調査をした、その調査だろうと思う。そのときに、あの西山に非常に高濃度の放射能があったということは明らかになっているのだけれども、この岡島教授の調査のような実態があったのですか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 岡島教授の御研究は、私どもの研究費でやっていただいておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 委託でやったというわけですね。岡島教授が調査をして、野菜などに影響が懸念されるということは、これを食べると濃縮されていく、そうすると放射能に冒されるということになるのだけれども、これをやりましたと言って、ほったらかしておくということはよくないのじゃないですか、何とか早急に対策を講じなければ。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 確かに他の地区に比べると高いということでございますけれども、実は世界的に見ますと、これより十倍も高い自然放射能の地域というのは世界じゅう至るところにございます。私どもとしては、もちろん岡島先生に今後とも御研究いただくという姿勢は貫くわけでございますけれども、一方におきましては、他の地域に比べますと確かに先生御指摘のように高いわけでございますけれども、たとえばブラジルでありますとかあるいはインドでありますとか、いろいろなところで、それの十倍以上という高い自然放射能のところで生活しておる地域が非常にたくさんあるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 ほかの外国で自然放射能が云々ということで、被爆県である長崎あるいは広島の場合に同様な考え方で、それの十倍もあるのだというような簡単な考え方で片づけるなんてとんでもないことだと私は思うのですよ。しかし、これは繰り返してやっておったら大変だから、改めてまたやります。  それから、これは大臣からお答えいただきましょうか。基本懇の答申というものは、御承知のとおり、認定被爆者であるとか近距離被爆者に重点を置くようにというような答申がなされているのだけれども、認定被爆者の申請というのがもうほとんど却下されるのだね。これでは被爆者は強い憤りをさらに強くしている、こういうことなんです。これは私が申し上げると、それは学者先生方がおやりになるのだから、厚生省としてはどうしても、こういうお答えが返ってくるのだろうと思うのだけれども、やはり基本懇の答申ということで、ああいう重点を置いた答申がなされている以上は、それに対しては特別な配慮というのを当然なさるべきだ、そのように私は考えるのだけれども、この点いかがでしょう。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 基本懇の答申におきましては、近距離被爆者についてはできるだけ手厚い措置をやれというふうに申されておるわけで、私どももそれに従って今回も金額の増額をいたしたわけでございます。  ただいま先生御指摘の認定被爆者の問題でございますが、これにつきましては、私どもといたしましては、厚生省の中に設けております原子爆弾被爆者医療審議会というところで専門家の学者に委嘱いたしまして、その意見に基づいてやっているわけでございます。それについてちょっと申し上げますと、一つは被曝線量というものを厳重に検査する。それから傷病名と被曝線量との関係を十分検討する。そういたしまして、放射線の影響があるという場合には、もちろん当然被爆と認定するわけでございますが、そのほかに、放射線の影響の可能性のある音あるいは放射線の影響の可能性の否定できない者までも含めましてこの審議会で認定していただいておるわけでございまして、明らかに放射線の影響が認められないという者についてのみ認定被爆者から外している、こういう結果になっております。ただ、数字といたしますと、先生御指摘のように、最近では約八〇%近くが認定被爆にならないという結果になっております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 私が申し上げるのはその点なんですよ。前は、申請をすると七〇%から八〇%ぐらい認められていたが、最近は逆になっているのだよ。それだけに今度は、被爆者としては、基本懇の答申後も却下が続くものだから割り切れないものを感じている。だから、学者先生がおやりになることで、大臣が政治的にこれを扱えるというのにも限界があるのだけれども、やり方というものを大臣もひとつ勉強してもらって、ここは緩和していく、基本懇の答申の趣旨からいってやはり考慮する必要があるのじゃないか、そういう配慮は必要になってくるのじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 よく勉強いたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 それから地域是正の申請ですけれども、これは局長からで結構です。長崎の場合、十二キロばんと頭から政治的に解決する、事務的にはこれはもうどうすることもできない、政治的に政治的にということで言ってきたのだけれども、今度の基本懇の答申の趣旨からいくと、いわゆる合理性と科学性という点から、手続をどうするかと言えば、前にやっていたように、市町村から申請をして、その申請内容を検討して地域を指定すべきであるか指定すべきでないかということを決定するという手続になるのだろうと思うのですが、そういうように理解してよろしいですか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 はなはだ事務的な御答弁でまことに申しわけございませんが、事務当局といたしましては、今回基本懇の答申をいただきまして、先生御指摘のように科学的、合理的な根拠なしに被爆地域を拡大すると、関係者の間に新たな不公平感を生み出すおそれがあるという御答申をいただいております手前、これにつきましては基本懇の見解を尊重して考えざるを得ないというふうに私としては理解しているわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 あなたの答弁は何を答えているのかわからない。これから申請をする者に、その申請内容を見て、合理的であり、科学的であるというように判断できれば認めるというのが当然なのじゃありませんか、そのとおり基本懇は答申しているのじゃありませんか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 この問題につきましては、五十一年度、五十三年度に調査をいたしまして、政府としても何度も検討いたしてきた結果でございまして、私どもとしてはそういうような考え方に立っているわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 厚生大臣は、私が総括質問の際にお尋ねをしてお答えをいただきましたが、テレビの二元放送等で一種の考え方を表明された、あのとおりであると理解してよろしいですね。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 この問題はいろいろと研究してみたいし、中村先生とも相談して、何らかの方法はないか研究したいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 それから次に、対馬の国立病院のことで認識を新たにして適切に対処してほしいのですが、対馬国立病院は実は建物としてはりっぱなものができました。ところが、医療器具、機材がきわめて貧弱なんです。それから、新たに小児科であるとかあるいは眼科であるとか放射線科であるとか、そうした五つが新設をされたのですけれども、放射線科だけはお医者さんが見つかった。ところが、あとはお医者さんがいないのですよ。それから、従来あった産婦人科は欠員だ。たしか十何名かの定員になるんだろうと思うのですけれども、一応いま充足できるというのは五名だ。こういったような状態ではどうにもならない。医師を最大限努力をして配置をするということ、それから、そういう不備な器具、機材を充足するということ。この点に対しての考え方をひとつお示しください。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 対馬の病院は、御承知のとおり五十六年四月に移転、開設という運びにようやくなってきたわけでございまして、その際、診療機能の充実、ベッド数の増強その処進めてまいったわけでございますが、確かに御指摘のとおり人材の確保、ことに医師の確保に非常に難渋しておる状況、そのとおりでございます。幸い、二月現在での定員六名に対しまして、現在欠員一名あるわけでございますが、これは四月で採用の見通しがついたということを地方局の方から私ども聞いております。さらにまた四月からより一層医師の確保が必要になるわけでございますが、これは大変むずかしい課題でございますので、九州地方局、さらにはここの院長その他が関係方面と鋭意折衝しておりますが、当分の間はまことにやむを得ざる状況として非常勤の先生をお願いすることで対処していかざるを得ないというふうに考えております。  設備についてもこれから逐年、わずかずつではございますが整備を進めておりますので、御趣旨に沿って努力いたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 私は、毎年質問してお答えは毎年同じようなお答えが返ってくる、これは話にならないんだ。学閥が根強く張りめぐらされているということですよ、大臣。対馬の病院は福大と九大のなわ張り、学閥です。そこいらで医者がなかなか手当てができないという原因もあるのだから、メスを入れるところにメスを入れて、そして、あんな離島にどうにもならないでしょう。ヘリコプターを自衛隊から出してもらって福岡まで救急の場合にもやらなければならぬという状態でしょう。それから歯科がないんですね。大臣も歯の痛みだけはがまんができないのじゃありませんか。本当にもうわずか数分でなにするものを、何時間もかかって福岡まで行って手当てをしてもらう、お話にならないですね。  だから、ひとつこの点大臣からも、離島医療の問題については、今後異常な決意で対処してもらわなければなりませんが、いかがでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御承知のごとく私の出身も離島でありまして、この離島、僻地医療には帰るごとに地域の方々から言われております。かつまた、いまおっしゃいました対馬には私の親戚もおりますので、十分努力をいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 それから大臣、集中審議で差額ベッドの問題については非常に意欲的な前向きな答弁をしておられましたが、差額ベッドを、徴収するにふさわしくないのに半強制的に徴収するという傾向があるのです。大体何年間くらいでこの差額ベッド徴収を全廃するというお考えですか。

小林功典厚生大臣官房会計課長

○小林政府委員 ただいま数字を調べまして御報告申し上げます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣、保育所の問題について、これもまたベビーホテルの問題で、この点については非常にテレビを通じ新聞を通じて大臣の意欲的な熱意のある措置というものを期待をしているように思うのですが、保育所の問題で御留意いただきたいのですが、もう少し小規模のを認めていくということにしたらどうでしょう、これが一点です。もう一つは、既存の保育所を経営している社会福祉法人が、やはり安定経営というのか新たに許可をするのをきらうのですよ。こういったような問題を是正していくということでないと、なかなかベビーホテルの解消問題も、せっかく大臣の熱意にもかかわらずこれがうまくいかないということになるだろう。既存の保育所のあり方を再検討していくということ。  それから事務職員の問題にいたしましても、これは規模が大きいからあるいは小さいからということによって変わらないのです、カードで整理いたしますから。だから、もうすべての保育所に対して、認可しているものに対してはこれは事務職員を完全配置するということでないといけないと私は思いますが、この点いかがでしょう。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 保育所の定員につきましては、原則として従来六十人以上ということであったわけでございますが、大都市地域における用地取得難あるいは無認可保育施設の解消、さらに過疎地域等における要保護児童の減少に対応するため、保育所の定員を三十人以上六十人未満とする小規模保育所制度を実施いたしまして、経営的にもマイナスにならないように小規模保育所特例保育単価といったものを設定いたしまして、三十人以上であれば認可するという制度を実施してきたわけでございます。  それから、新たな許可云々と言われましたが、要するに保育所につきましては、各種児童福祉施設共通でございますが、保育所につきましても最低基準を設けまして、物的、人的設備がある一定以上なければ乳幼児の保育のため不適当でございますので、この点はこういった基準は定めざるを得ないということでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 施設整備の充実ということ、いい環境の中で保育するということ、それは当然のことでして、私はその点は指導よろしきを得ているというふうに思っているのです。ただ、やはり自分のやっている保育所に余り近所にできると影響するということもあって、抵抗がないことはないのですよ。私はいろいろ知っているけれども余り多く申し上げませんが、配慮する必要がある。ベビーホテルの解消という面から現在認可している保育所のあり方について再検討の必要があるのだ。そうしなければベビーホテルの解消というものは、なかなかそれだけでもって解消すると言っても無理がありますよと、こう申し上げているわけで、私は非常に保育所問題あるいは幼稚園には関心を持っていますから、あなた方が御存じないことでも私が承知している面が非常に多いわけです。ですから、その点は十分調査もし、改めるところは改める、こういうことでやっていただきたいということを要請をいたしておきます。  それから事務職員の配置の問題も、よろしいですね。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 まず保育所の配置の問題につきましては、今後幼少人口が減少するという傾向もございますので、保育所が幾つも競合することのないように、適正な配置ということについては私ども各地方に対しまして十分指導をいたしているつもりでございます。一方におきましてベビーホテルとの関連では、大臣もしばしばこの委員会で言っておられますように、ベビーホテルとの関係で保育所の内容の充実ということについては私どもも努めてまいりたいと思っております。  なお、事務職員その他保育所の職員につきましては逐年充実を図っているところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 五十六年度からは定員六十名以上のところに配置をすることになったのですが、私は、規模が大きいとか小さいとかということによって、カード制にしていますから事務量は変わらないのだと言っているのです。ですから、全保育所に配置をする、こういうことにされる必要があるということを申し上げているのであって、漸次幼児が少なくなるからといったようなこととは事務職員の問題は関係がないということで、重ねて強くこの点は要請いたしておきます。  次に、先般私が質問をいたしました中で、大臣から比較的懇切にお答えをいただいたのですけれども、時間の制約もありました。先般も触れましたように自営業の世帯更生資金ですね、この問題と、リハビリテーション施設に対する作業療法士あるいは理学療法士が非常に少ないという点、これらに対してのお答えがあっていないわけなんです。これは大きな問題点でもあるわけですし、またせっかく配置しようとしても作業あるいは理学療法士を養成する機関がまた少ないのですね。困ったものだと思います。この点はひとつぜひ力を入れて対処していただきたいということをお願いするのですが、いかがですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 世帯更生資金の生業費の貸付限度額、もう先生よく御承知のとおりに今年度から身体障害者の場合一般よりも二十万ほど高い限度額にいたしたところでございます。今後とも努力をさせていただきたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 その金額についても、七十万円と特別の場合百六十万、こうなっているわけで、そんなことではお話になりませんよ、こういうことで増額をされるように。また中小企業等の資金の償還期限が十五年までになったのに、世帯更生資金が八年や九年の償還というのじゃ余り短いではありませんか。余りにも現実離れしているということで、これを指摘するわけです。  それから年金の支給の問題ですね。小さい問題でもあるのですけれども、当事者にとってみると余りにも冷たいなと思うのは、心臓に機械なんかを入れますと年金支給を外すのですよ。あれは何とかいうのです、心臓を機械でこうやる。あれを入れると外す。あれは入れかえなければならない。こういう点はお答えはいただきませんが、ひとつ検討していただきたい。     〔宮下主査代理退席、主査着席〕  それから大臣、運賃割引の問題について再度申し上げておきますが、ひとつ関係各省と話し合いをやっていただきたいのです。一種の場合距離制限が実はないわけなんです。ただしそれは、一種であっても介護人がついた場合は距離制限がないのです。介護人がつかなければ百一キロ以上、こうなっているのですよ。ところがやはり介護人がつきますとただじゃないのです。五割引きですから、生活が苦しければ、もう介護人が必要であっても介護人を連れていかない、こういうことになるのです。ですから、介護人がつくつかないにかかわらず、この一種は割引を百一キロというのじゃなくて、全行程割引をさせるということ、これはぜひやってもらわなければならぬというように思います。それから特急の料金もしかりです。  それからいま一つ、船と汽車とあるいはバスを利用いたしますね。旅行という形で船に乗ってバスに乗って汽車に乗って、その間百キロ以上であれば割引の対象になるのです。ところがそうなってくると、割引をしてほしいからといって、バスから運賃割引をいたしましたという証明、これだけバスに乗りました、船もこれだけ乗りました、あるいは逆に汽車に乗って船に乗っていく場合、一々証明書をもらわなければならぬ。しかも一種、二種ですから、身障者にそういう手数のかかるようなことをやらせることは、非道という言葉は少し酷になるのかもしれないけれども、私は余りにも愛情がなさ過ぎると考えるのです。  この点は大臣のお考え方でお答えをいただけばよろしいと思うのですけれども、この前申し上げたように国鉄が厳しくしたりするのも、実は国鉄の赤字経営という点からシビアであろうと思うのです。したがいまして、これを関係各省と話し合いもし、公費負担にすべきものは公費負担にする、いまのような愛情に欠けている点は是正をしていくということでないといけないと思いますが、いかがでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 国鉄その他の割引を予算のうちで国鉄が持つか、あるいは身体障害者は厚生省、学生は文部省、こういうふうに持てという意見がありますが、これは幾ら国鉄再建の時期であっても本旨に反することでありますから、ただいまの御意見のとおり関係大臣等に強く折衝をいたします。

小林功典厚生大臣官房会計課長

○小林政府委員 先ほどのお尋ねでございますが、差額ベッドの解消問題でございまして、三人部屋以上につきましては三年をめどに解消に向けて努力をするということにしております。それから個人と二人室につきましては、一般は二〇%、国立が一〇%以内とするように行政指導を行いたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 一人部屋というのはそう急いで廃止する必要もないのでしょうが、いまのお答えの三人部屋、できるだけ早く解消するようにしてほしいと思います。  労働省もお越しですからお尋ねいたしますが、これまた総括質問の際にお尋ねをした件ですけれども、身障者の訓練期間というのが健康者と同じように一年というのは、これもまた実情にそぐわないと私は思います。やはり身障者の場合は少なくとも二年、それから種目にいたしましてもこれをふやしていくということでなければいけないという点。  それから身障者に対しての賃金保障というのがないのです。健康者には最低賃金保障の制度がある。身障者にはない。ひどいのになりますと月二万円ぐらいで働いている精薄者があります。ですから、こういった賃金の保障といった点について愛情ある扱いが必要であろう、こう考えます。  それから、これもまた前回指摘をいたしましたが、職業安定所の紹介の場合におきましては、住宅の問題にいたしましても、あるいは職場環境をよくするための融資の措置がありますけれども、身障者はほとんど縁故採用なんです。職業安定所の紹介ということによって就職の機会はなかなか少ないのです。あれに頼み、これに頼みして縁故採用です。その縁故採用に対しては、住宅に対しましても、あるいは職場環境をよくするための特別の融資措置というのがないのです。こういったことは余りにも現実離れをしているのではないか、そのように考えますが、大臣からこの点に対する考え方としてお答えをいただきたいことと、事務的に、何か政府委員の方から私が申し上げたことが適当でないというようなことがありますれば、労働省の関係ですからお答えをいただいて、あとはひとつ国務大臣としてあるべき姿はどうなければならぬかということで大臣からお答えをいただきたい。

菊田顯労働省職業訓練局管理課長

○菊田説明員 お答え申し上げます。  身障訓練校の訓練期間の問題、義肢・装具科等二年それから臨床検査科三年、その他一年ということで動かしておりますが、障害部位それから技能習得程度、そういうものに応じてその二年までの間延長というかっこうで動かしております。それから先生御案内のように、五十四年十一月に開校いたしました国立職業リハセンにおきましては、一年から二年という形での訓練期間の設定を行っております。今後その御質問の趣旨を体して弾力的にこの問題に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部賃金課長

○八島説明員 身体障害者の賃金の問題についてお答えを申し上げます。  現在わが国におきましては最低賃金制度が実施されておるわけでございます。最低賃金は身体障害者でありましても適用されるわけでございます。ただ心身障害者の方々の雇用の道をさらに狭めないために、著しく労働能力が低い、そのような心身障害者の方につきましては、最低賃金適用除外の許可の制度がございます。適用除外の許可を行うに当たりましては、労働基準監督官が個々の事例に即しまして十分にその方々の労働能率や労働の態様を実態に即して慎重に審査いたしまして、雇用の道は狭めないと同時に、その保護に欠けることのないように配慮をいたしておるところでございます。今後ともこの方向で努力させていただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 時間が参りましたからこれで終わりますけれども、いまあなたが後段にお答えになったようなことがもう常習的に行われているという点が一つです。  それから、この雇用の義務の問題にいたしましても、大企業ほど行儀が悪いということは、納付金制度というものを、悪用というわけにはまいらないでしょう、制度として認めているんだから。早く言えば納付金さえ出せば身障者を雇う必要がないという完全な——肝心の義務化の方向というものは第二義的に考えて、そして納付金を納めていく、それによって身障者を雇わないということ、そういうような抜け道がある。いまあなたが特別な許可を受ければというのがいわゆる抜け道になって、そして身障者に対するその賃金の保障というものがなされていないのが実態であるということを私は指摘をいたしておきます。  身障者に対してはいわゆる生活保障という点にウエートを持った対策が必要であろう、愛情のある、国際障害者年に新たな決意でもって対処していただくことが私は必要であると考えますから、最後に大臣のお答えをいただいて終わります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御注意の点は十分注意をして、生活保障ということを方針にして努力をいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 最初に、昨年の七月でございますが、東京都の衛生研究所がいわゆる柑橘類のカビ防止剤、OPPナトリウムに関して発がん性の疑いがある、こういった点に関して報告があったと思いますけれども、厚生省としてその後どのようにこの問題に対応しておるのか、まずお伺いしておきたいと思います。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 お答えいたします。  OPPナトリウムの発がん性の問題でございますが、いまお示しのように、昨年東京都立の衛生研究所で指摘をされたわけでございますが、これにつきましては、都立衛生研究所で実は遺伝的な影響に関する動物実験の際に、偶然と申しますか、その過程で観察されたものでございます。それで、お話のように昨年七月に東京都から厚生省へ連絡を受けたわけでございます。  本実験結果につきましては、がん研究の専門学者によりましていろいろ検討をされたわけでございます。しかし、その実験結果から、OPPナトリウムに発がん性があるということについては直ちに評価できないというふうな結論になっております。そんな状況から、現在のところこれについて特別な行政措置はとっておらないわけでございますが、厚生省といたしましてはさらに慎重を期しまして、専門学者によります研究班を組織いたしまして、その化学的究明について努力するために、現在実験を実施している段階でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この問題は、すでに五十二年の四月に厚生省が食品添加物に指定したときがございましたね。このときはOPPは安全性にいろいろ疑問があるとする消費者団体の強い反対等がございまして、そして柑橘類に限ってカビ防止剤、こういった形で使用許可をした。同時に、同じ使用目的で食品添加物に指定したわけですね。その時点でもうちょっと、これは問題がなかったのか。昨年またこういった形で問題点が出てきたということですね。  それからまた、その時点でOPPの毒性については、名城大の花田信次郎教授、同志社大の西岡一教授ら、薬理学や生化学の専門家が微生物などを使った実験で遺伝毒性を起こす可能性を指摘しておりますね。そういった点も承知しておると思いますけれども、そういうものも踏まえて、厚生省が委託して検査した中で問題ありとする報告が、その時点で一体なかったのか、そういった点をもう一度ここではっきりとさせていただきたいと思います。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 いまお示しの昭和五十二年四月にOPPを食品添加物に指定いたしたわけでございますが、この当時食品衛生調査会で実は審議をされております。当時OPPの発がん性につきましては三つの動物実験が検討されておりまして、その結果発がん性は認められないというふうな判断をされたわけでございます。  なお、いまお話の中にございましたが、当時この発がん性を見る上での一つの実験方法として、変異原性テストというふうなものがいろいろ論議を呼んだわけでございますが、発がん姓との関係については化学的にいろいろ検討段階にあったという状況でございます。当時、これは残留農研におきます変異原性のテストでは陰性に出ておりました。また、いまお話がございました一機関での自主的な実験で陽性というふうな結果が出されていろいろ議論を呼んだわけでございますが、これにつきましても、当時の食品衛生調査会においてこの実際の実験データ等がいろいろ検討されたようでございまして、これを陽性あるいは陰性と判断するのは困難であるというふうな結論であるというふうに聞いております。また、当時厚生省のがん研究助成金によります実験、これも九機関で行われておりまして、その結果はいずれも陰性であるというふうな結果が得られております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 今回の東京都の実験は動物実験ですね、そしてまた、先ほど私が教授の名前を挙げて五十二年に陽性と出たのは微生物を使ってのものでございます。そうすると、厚生省としてこれだけいろいろな角度からこういった問題点が出てきておるということは、疑いあるものは使うべきではない。これだけがん等が日本の中にあって大きく猛威をふるっておると言っても過言ではない、こういう中にあって、早目にこの問題に手を打たなければ取り返しのつかないことになるのではないか、私はこう考えます。したがいまして、今後どういうように対策を立てていくか。  同時に、今後添加物として認めない方向でいくのかどうなのか、いや心配ないんだ、こういった形でこのままいって、後になって済みませんでしたというものでは済まないと思うのです。そういう面でどういう見解を持っておるか、お聞かせ願いたいと思います。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 お答えいたします。  このOPPにつきましては、実は国際的に相当使われている物質でございまして、現在WHOあるいはFAOにおきましても、この発がん性については一応否定されているという段階でございまして、これの使用基準というふうなものについても国際的に一応示されておるという段階でございます。  ただいまのお話の中で、発がん性というふうな化学物質についての一つの考え方ということについて御質問があったわけでございますが、最近動物実験の手法そのものも非常に高度化されておりまして、そういったことから非常に多くの発がん性物質が発見されてきているということでございます。こういったことから国際的にも、がん学者等によりまして、動物の発がん性と人の発がんというふうなものについてどう評価すべきかということが非常に大きな議論になっておるわけでございます。しかし、私どもとしては現時点におきまして、化学物質の発がん性というのは、少なくとも人体に対して発がん性があるというふうなことが科学的に評価された場合につきましては、原則的には規制していくという方法をとるべきであるというふうに考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、いまのOPPの問題も含めて、最近がんが現代人の不安の最も大きな一つである、こう考えられます。昭和五十年以来、わが国のがん戦争による死者というのは毎年十五万人の大台を超えております。毎分四人が犠牲になっております。このがんの治療はいまだに決定的なものはないわけでございます。  ところが、発がん物質の研究が進むにつれて、私たちが日常食べたり飲んだりしておるものに、化学物質以外のものに発がん性がある、こういったものがいまはっきりしてきております。たとえば肉や魚の焦げた部分であるとかお茶やコーヒー、野菜類まで、食生活に欠かせないもの、こういうものに発がん物質がある、こう言われております。私たちはふだんからかなりの量の発がん物質を体内に取り入れていることになるわけです。しかし、その割りには、昔からそういった形でがんにどんどんなってきたかというとそうとも言えない。昔から口にしてきた食べ物の中の発がん物質に対して人間は何らかの防御力というものを自然に備えているのではないかということで、食べ物が消化される第一関門である私どもの唾液を取り上げた研究の第一段階の成果といいまして、これが昨年の十一月に発表された、これは御承知のとおりです。  そこで厚生省に伺いますが、唾液の中でカタラーゼであるとかペルオキシダーゼ、こういった酵素があるそうでございますが、この発がん物質の毒性を強く抑えるという研究結果が、先ほど私が申し上げた、私の住んでおる同じところにおる教授でございますが、同志社大学の西岡一教授らによって発表されておりますが、このことはどのように受け取っておりますか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 同志社大学の西岡先生が、先生御指摘のような御研究をお進めになっていることは私どもよく承知をいたしております。これにつきましては昭和五十五年度の厚生省がん研究助成金、その中での「人がんの原因としての発がん物質の短期検索方法の開発と評価に関する研究」という班の一員として御研究を願っているところでございます。  ただ、この研究につきましては、いわゆる変異原性あるいは発がん性といったものに対する抑制の研究のやり方につきましては、いわゆる生体の中と生体外との研究がございまして、ただいまの西岡先生の研究の段階では生体外の研究の段階でございまして、その段階では、私ども伺っております限りでは、確かに唾液を交えたものについての変異原性についてのそれが差があるというふうに伺っておりますけれども、なおこれにつきましてはまだおまとめになっておらないということで、現在研究中ということで、今後とも私どもとしてもこういった御研究が進まれることを注目いたしたいというふうに考えている次第でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この研究は、昔から言われておる、健康のためによくかみなさい、そういったものに唾液というものがつながるわけですね。そうして、私たちの食生活ではこういう基本的なことが忘れられておる。日本人は外国人に比べるとせっかちで、食事にも余り時間をかけない、わずか数分間で食事を済ますとか、日本人の性格の一端を物語っておるものがございます。しかし、一方また食べ物の内容も時代とともに変わってきておる。たとえば余りかまなくてもよい、こういったものが出てきていますね。たとえば乳化剤だとか糊料だとか、こういったものを食品添加物として入れております。やわらかくした加工食品が大量に生産されている。こういったことも含めますと、こういう余りかまないということが見逃せない事実になってきておる。  そこで、よくかむということが——西岡教授の研究によれば、今後さらに研究を進めていく、こう言っています。第一段階としては、同じ大学の男子学生の人たちから集めた唾液、こういったもので、AF2や焦げの成分であるトリプ、カビですか、ここに含まれる発がん物質と言われておるアフラトキシンあるいはニトロソアミン、こういった発がん物質に唾液というものを加えたときに、それの発がん物質に対する抑制効果というものがはっきりした、こう発表しております。これは新聞等においても報道されておるとおりでございますけれども、よくかんで食事をしていく、こういった意味というものを非常に強調していく、こういった点が大事になってくるのではないか、こう思いますけれども、どんな見解を持っていますか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 唾液に発がん性あるいは変異原性の抑制効果があるかないかという問題は別にいたしましても、でん粉の消化酵素でありますアミラーゼでありますとか、その他各種の酵素、あるいは口腔を保護するムチンといった、いろいろなものが唾液に含まれておりまして、よくかんで食べるということは経験的にも医学的にも非常に大事なことであるというふうに理解いたしております。したがいまして厚生省といたしましては、健康教育あるいは国民栄養指導といった場合に、先生御指摘のとおりよくかんで食べるようという指導を行っておるわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 学校給食の問題等に関しても後で触れたいと思いますが、この教授グループが、食習慣として一口三十回かむということが大事なんだ、こういった国民運動のようなものを広げていったらどうかというようなことも提唱しておるわけでございますけれども、この国民運動一口三十回、こういったものを運動として考えていくというような考え方はないかどうか、御答弁願いたいと思います。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 そういった一大国民運動がいいか悪いか、私としてもいま直ちにお答え申し上げるのはいささかためらいがあるわけでございますけれども、先ほどから申しておりますように健康教育あるいは国民の栄養指導という観点で先生の御趣旨を十分徹底するよう努力いたしたいと存じます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで学童の健康増進に責任を持つ文部省にお伺いしておきたいと思います。  食事のマナー等を含めて、人間形成の上からもあるいは健康という意味からも正しい食習慣というものをつけていく、これが非常に大事になってきております。そこで、この教授らの研究というものを大いに利用して、学校保健婦の方であるとか教師を通じて、たとえばこういう研究結果も出ているから学童によくかんでいくことが大切なんだということを訴える、あるいは改めてその重要性を認識させる行政指導、こういったものを行うべきではないかと思いますが、文部省のお考えをお伺いしておきたいと思います。

奥田與志清文部省体育局学校給食課長

○奥田説明員 先生御案内のように、学校給食は児童生徒の心身の健全な発達に資することと、望ましい食習慣を身につけさせるという目的をもちまして実施しているわけでございます。  そこで、先生御指摘のように、具体的に教師が子供と食事をともにしながら給食指導というのをいたしておりますけれども、その際には、現に私どもの方からも資料等を配りまして、食べ物の消化をよくするといったような観点からも、おっしゃいますようによくかんでよく食べるというふうなことを指導いたしておるわけでございますけれども、御指摘ございましたように、そういうふうな研究がさらに定着され、その必要がございますときには、あわせましてそういう効果もあるということを十分指導してまいりたいというふうに考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 学校でも、子供たちが例のぎざつきのスプーンで給食をかき込んで食べる姿、これはもう御承知のとおりだと思います。こういう食器具自体を考えたって、ゆっくり、そして健康のためにも、あるいは人間形成あるいはマナー、そういったいろいろなものを学んでいく上からも、これはやはりもう一度この点をよく検討していく必要があるのではないかと思います。  また給食のみならず、中学校等におきましては、たとえば京都市の例をとったって、ほとんど給食が実施されておりません。皆無と言っても過言ではないほどです。そうすると、子供たちは教師と離れて勝手に、食事の時間は思い思いに終わるわけです。ところが、これがもう非常に早食いであったり、その状況というものはいま申し上げたような形になっておる。こういったものも含めてもう一度この点を、学校側に学校給食の指導の手引きであるとかそういったものも含めてどう指導徹底していったらいいのか、そういった考え方をどうお持ちでございますか。

奥田與志清文部省体育局学校給食課長

○奥田説明員 先生御指摘のように、学校の給食の目的を達成するためには十分ゆとりを持って行うということが大事でございます。限られた時間の中ではございますけれども、特に今日学校教育の中にありまして、ゆとりのある、しかも充実した学校生活を送らせるということは非常に大事になっておりまして、その中で学校給食の果たす役割りも非常に重要になってきているわけでございます。したがいまして、私どもも学校給食の指導に当たる者を含めまして、関係者の実践的な研究会というふうなものをしばしば開いておりますけれども、そういうところにおきましても、先生御指摘のような趣旨を体して十分学校の給食指導に生かしていくよう努力してまいりたいと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この問題は今後もっとはっきりとしてくると思います。  そこで大臣、一言御所見をお伺いしておきますけれども、性別であるとか、あるいは年齢あるいは健康の状況、そういったものまで含めて、唾液がどれだけ発がん性物質に対して抑制効果があるのかということが今後教授のグループではっきりしてくることは間違いないと思いますが、学校児童のみならず国民の間に健康増進のためによくかむという運動を、いま担当の方からは話がございましたけれども、そういった面も含めて大臣の所見をお伺いして、この問題は一応終わりたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 よくかむということは、食い物の消化をよくするという意味あるいはマナーの問題だけではなくて、相当以前、ドクター・フレッチャーという人が本を数冊出して、あごをしょっちゅう動かす、それからここを指圧する、これは若返りの特別な療法だと言って世界に大きく宣伝したことがございます。今日では唾液からとった唾液ホルモンというのは成人病に対する有力な薬でもございます。そういう意味で単に消化を助けるということではなくて、これは制がん作用があるかどうかまだ私わかりませんが、戦争中は結核療養所でかめかめ運動で何十回もかまして、それで薬のなかった時期に結核の治療をやって相当効果があったという実例もございます。これは単に消化を助けるということではなくて、一つの運動として行うべきことじゃないか、こう思いますので、さらに研究をいたします。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 時間がありませんので、若干個々の問題点についてお伺いしておきたいと思います。  京都府に施設されている国立病院並びに国立療養所の整備充実についてお尋ねします。特に国立京都病院というのは、救急医療体制の中心的なものとして確立していくために、現在外来診療棟の工事が行われ、八月には完成する予定になっております。救急体制の中核的な病院として機能が果たせるような整備充実をこの国立京都病院に対して望みたいと思います。  同時に、同じく国立療養所南京都病院あるいは福知山病院、こういったものも含めて地域の中核的病院として機能が果たせるような、器具の充実等も含めて、そういった面を要望したいと思いますが、お考えを明らかにしていただきたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 国立京都病院につきましては、五十五年度から御指摘のとおり外来診療棟の整備を進めておりますし、また救命救急センターを整備するということで事業を進めているところでございまして、工事が全部五十六年で終わるわけにはいかないかと思いますが、五十六年度中には既存の建物を利用するその他で運営を始めるという運びになっております。  また国立療養所南京都病院でございますが、ここは現在重症心身障害児それから脳卒中リハビリということで、長期慢性疾患専門の病院として内容の整備、人の配置その他をいろいろやっているわけでございまして、これが御要望のとおりオールラウンドな中核的な役割りを果たすということにはもろもろの制約があって若干むずかしい面があるとは思いますけれども、現在持っております機能の範囲では、御指摘のような機器の配備その他これから一層充実を進めまして、地域の御信頼にこたえるように持っていきたいというふうに考えております。  また福知山病院の場合には、現在救急、がん、難病、それぞれ専門分野においてその地域の中核的な役割りを果たしているところでございますが、御指摘のとおり、なお設備その他の面では病院側からも強く要望されているところでございますので、たとえば五十五年度においてシンチカメラを配置したりいたしたわけでございますが、今後ともそういう設備の充実にできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 現在京都府は、府内に府立小児医療センターを建設しようということで準備を進めております。政府に対して各種の助成を要望していると思いますが、京都府にはこの種の小児医療センターという形のものはございません。したがって小児疾患の治療、治療法の研究、リハビリなど大きな支障を来している、そのため、この医療センターに対して従前より早期建設を京都府民は強く要望してきております。この医療センターはいまの府立病院の中にできるわけでございます。今後いろいろ連携をとりながらやっていくようになると思いますが、京都府としては二月よりすでに工事を開始しております。多額の建設資金が見込まれておりまして、建設費は約十三億四千万円、こう言われています。医療機械費等に数億円要し、そういったものも含めると十六億から二十億円かかるのではないか、こう言われています。  そこで京都府は、一般財源のほかに起債をもって財源に充てようとしておりますね、この起債に関しての配慮と、それからまたこの小児医療センターに対して国は補助金を出してほしい、このように要望をしておりますけれども、この国庫補助事業の採択等に特段の援助措置を要望しておりますが、いかがでございましょうか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 私どもも、京都府当局からは五十六、七両年度にわたる整備計画ということで概略の話を伺っている段階でございまして、御承知のように、私ども医務局が所管しております補助金は基準に合致する部分だけについての補助でございまして、必ずしも御要望に十分こたえられるほどりっぱなものとは言えないかもしれませんけれども、京都府の地域の医療体制にとりましては大変重要な施設だと思いますので、これから京都府から具体的な計画の内容その他十分お話を伺いながら対処してまいりたいと考えております。  起債につきましても、必要な部局とも連携をとるように当局でも配慮いたします。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 私は、在日外国人、とりわけそのほとんどの割合を占めます在日韓国人の権益の問題についてお伺いしたいと思います。厚生大臣が席を外しておられますので、厚生省以外のことを先にお尋ねをしたいと思います。  きょうの新聞紙上に、ほとんど一面のトップ記事として、法務省の方でレクチュアされた出入国管理令の一部改正につきまして報道がなされております。内容をよく拝見いたしますと、それぞれこれに該当をする皆さんが強く望んでこられた内容ばかりでございまして、また私もこの四年間この場所において訴え続けてきたわけでありまして、そういう意味では心から敬意を表したいと思うものであります。  問題は、大体いつごろ国会へ提出されるのかということと、もう一つ、これはあえて御要望を申し上げたい内容なんですが、退去強制事由の整備というものもなされますけれども、強制退去に関連をいたしまして、たとえば協定永住権者で七年、一般の永住権者で一年以上の懲役の刑を受けますと服役後強制退去をさせられるわけであります。これにつきましては日本の法律に基づいてその刑を受けるわけでありますけれども、それに加えて強制退去という刑を受けるということで二重に刑を受けることになるわけであります。また人情的に考えますと、家族の分散という事態も招来してまいるわけであります。人権擁護の上から考えましても少々過酷に過ぎるきらいがあるのではないかという感じがするわけでありまして、これらにつきましても改めてぜひ再検討をしていただきたい、こう思うわけであります。  もちろん、だからといって安心して犯罪を犯すなどのことがあってもらっては困るわけでありますけれども、それに対しては、日本国民と同様の法律に基づき、そして刑に処せられるわけでありますから、二重の刑を受けるというような形にならないように何らかの措置が検討されてしかるべきではなかろうか、こういうふうにも思います。  出入国管理令の一部改正につきまして、その要点とその提出時期、そしていま申し上げましたこと等につきまして、まず法務省からの御説明、御答弁をお願いしたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本(達)説明員 出入国管理令の一部を改正する法律案の国会提出時期の問題でありますが、本日各紙の朝刊で報道されましたあの改正案につきましては、目下関係省庁と協議をしておるところでございます。その後法制局の審査を得なければならない、こういう段階でございまして、これら協議、法制局審査をできるだけ早く整えて、早期に国会に提出したいと考えております。  次に、退去強制の適用の問題でございますが、確かに先生御指摘のとおり、協定永住を取得した者の退去強制事由は大変しぼられておりまして、たとえば犯罪を例にとりましても、協定永住該当者は懲役七年以上の刑に処せられて初めて退去強制事由に該当する。しからざる者は、一般永住を含めましてその他入管令上の在留資格を持って在留する者については、一年以上の刑に処せられた場合に退去強制事由に該当する、こういうことになっております。  ただ、戦前から日本に居住いたしております朝鮮半島、台湾出身者あるいはこれらの子孫に対する退去強制の適用に当たりましては、これらの者がわが国に在留するに至った経緯あるいはすでにわが国に定着化を深く進めておるという在留実態、そういうものを考慮いたしまして、従来から慎重に取り扱ってきたところであります、この方針につきましては、仮に本日新聞で報道されました出入国管理令の一部を改正する法律案が成立いたしまして、いま申し上げました者たちに一般永住を許可することになりましても、変更はないということを申し上げておきたいと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 このことにつきましては運用上の御配慮がなされているということでありますけれども、あわせまして、最近の人権に関する国際的な感覚の進歩、そしてまた日本の置かれております位置づけ、こういうふうなものを考えますと、より一層この法令の内容につきましても改めて御検討をしていただく時期にあるのではないだろうかという感じを強く持つものでありまして、そのことについて今後、これも一つの検討材料として前向きに御検討いただけますかどうか、いかがでございましょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本(達)説明員 入管令の一部改正案をこれからお諮りしたいという段階で、さらにその後のことまで言及するのはいかがかと思われますが、将来の課題としては検討事項の一つにしたいと考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 でき得る限り早く前向きの処理をしていただけるように、改めて御要望申し上げておきたいと思います。  もう一つ、昨年もお約束をいただいたところでありますが、外国人登録法の改正であります。  日本に住みながら、いろいろな、この外国人登録に関連をして、たとえば指紋の問題であるとか切りかえの問題であるとか、そのほか登録証の常時携帯の義務であるとかいろいろな諸問題について、それぞれ該当される皆さんから御要請があるところであります。もちろん法制化上無理な問題もあるかもしれませんけれども、昨年のお約束いただきましたことを踏まえまして、出入国管理令の御検討に大変だったと思いますけれども、なお引き続いて外国人登録法を御検討いただき、早急にまた御提出をいただきたいと思いますが、その作業及び時期等についてどのようにお考えでございましょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本(達)説明員 ただいま御指摘のございました指紋制度あるいは確認期間の問題、証明書の常時携帯義務の問題、これらにつきましてはかねがね長期在留外国人の方を中心として御要望を承っておるところであります。それらにつきましては、昨年外国人登録法の一部を改正する法律案を御審議いただいた際にも、御指摘の事項はいずれも登録制度の根幹に触れる問題ではあるが、しかしながら、たとえば指紋制度についてはその年齢を現行の十四歳から幾らか引き上げること、あるいは押捺の回数を減らすこと、また携帯、呈示義務を課する年齢も、現行の十四歳からさらに引き上げることなどは検討の余地がある、基本問題検討の場でそれらについては前向きに検討したいということをお約束いたした次第でありまして、その点については現在も変わりございません。  なお、昨年、その結論の出る時期につきましてはおおよそ三年後をめどとしたいということを申し上げたわけでございますが、それからすでに一年たちましたので、現在は、二年ぐらい後には一応の結論を得たいというように考えておるということを申し上げさせていただきます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 外国人登録法につきまして、きちっと御記憶をいただいておって、昨年これについては二、三年お待ちいただきたいという御答弁で、きちっとあれから一年たったからということで引き算をしていただいて御答弁していただいたわけであります。どうか、昨年の御答弁、二、三年ということでございましたので、一年引きまして一、二年、できれば来年の通常国会には御上程をいただけるように御努力をお願いしたいと思います。  それじゃ、どうもありがとうございました。  続きまして、厚生大臣にお伺いをしたいと思います。  私は、在日韓国人を中心にいたしまして在日外国人の皆さんへの、特に永住権者への、国民年金そして児童手当等、あと残されております国籍条項のございますものにつきまして、何とか国籍条項を外して早く内国人並みに適用をしていただきたいということを御要望申し上げ続けてまいりました。一年目、二年目は残念ながら厚生省からこれといって前向きの御答弁をいただくことはできませんでした。昨年野呂厚生大臣のときにやっと、初めて、前向きに一度検討してみたいというお答えをいただきました。ことしは、質問申し上げる前に園田厚生大臣の方で、難民条約の批准に関連をしてではありますけれども、国民年金等の適用について大臣の方から具体的に検討を指示されたということを各種報道等でも拝見をいたしました、そして今国会にもそれを提出されるという運びになろうかという状態のようでございます。  これらの問題につきましてぜひとも早急に御提示をいただき、でき得ることならばといいますか、ぜひお願いをしたいわけでありますけれども、あの特別措置、いわゆる三十五歳を過ぎた方々に対する特別措置のことも含めましてぜひ前向きに御検討いただき、その実現を改めてお願いをしたいと思います。そのお願いするといいますか御要望申し上げる趣旨については、くどくど申し上げるよりも大臣御自身がもうよく御存じでございます。大臣の今日の決意と、そして現在の作業状況につきましてお尋ねをしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 わが国の社会保障制度は、内国民、外国民、大体同等の対応をしてきているところでありますが、なお年金その他において若干の問題があったわけであります。  先生の御発言は記録においてもしばしば拝見をしておりまして、私も当然この国籍撤廃、日本に生まれた内国民と外国から来ておられる外国民との差は撤廃しなければならぬ、こういうことで、年金等を初め残った問題をただいま関係省庁と折衝中でございまして、ぜひ今国会に出すよう準備をしております。準備は、今国会に出すようになると思いますが、予定よりも四、五日おくれておるので、鋭意急がしているところでございます。  その中で、いま御指摘の三十五歳以上の問題がありましたが、これは確かにお気の毒なことで、事情から言えば何とか考えなければならぬところでありますが、これは外国民ばかりでなく内国民も同等の待遇を受けていることでありまして、国籍を撤廃した後年金法の改正のときに将来何とかこのこぼれを防ぐ必要がある、けさも事務当局と相談したところでありますが、今度出しまする法律案の中に経過措置などを考えておりますと間に合いませんので、とりあえず留保なしで批准、それから将来の問題としていまの問題、このように考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 そういたしますと、今度検討対象となっておりますのは国民年金ほかどういうものになるでしょうか。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 ただいま大臣からお話がございましたが、対象になります法律は、国民年金法、児童手当法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当法、当面その四点でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 三十五歳以上の問題なんですが、これは国民年金だけの問題だと思いますが、国民年金の場合には強制加入ということになっているわけです。先般も検討しておりました段階で、この三十五歳以上につきましては二つのやり方といいますか、方法があると思うのです。  一つは、三十五歳を過ぎている方々にはある程度短期間にまとめて払っていただく、納入していただくという方法と、それからもう一つは、たとえば母子年金ですとか障害年金でございますとか、こういうふうなもの等のこともございますのでそっちの方を勘案して任意に加入する方法とか、こういう二つないし三つのやり方があろうと思うわけであります。この分は今回なかなか間に合いにくいからということで検討材料になっているという大臣の御答弁でございますけれども、そういうことも含めての御検討が前向きになされているというふうに受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 今回の難民条約批准に伴います国民年金法等の改正につきましては、ただいまいろいろな点を検討いたしておるところでございます。  先生御指摘の三十五歳という年齢の問題でございますけれども、私どもといたしましては、現在日本国民が現行法で受けておりますもの、それ以上でもなくてまたそれ以下でもない、これが難民条約に言う内国民待遇の精神であろうかと思います。同時に、外国人の中で、外国人同士の間で差別があるというのもこれまた難民条約の意図するところではないと考えております。そういう意味で、私どもは年齢によってどうこうということは現在のところ考えておりません。日本人が受けております処遇と同様の問題として考えていく。  ただ、現在の国年法上は、強いて申し上げますと無年金者が網の目からこぼれるという点もございます。これは、公的年金制度であります国民年金法を今後どのように充実をしていくかという問題でございますので、その一環として当然検討の課題にはなろうかと思いますが、難民条約とのかかわりにおきましては、その点につきましては内国民待遇ということでございますので、そのような方向で検討するというのがただいまの状況でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 それでは、いわゆる日本人自身も含めて年金制度の体系の中でこれからも御検討されるということでありますから、それこそ日本人のためにもその御検討が早急に進められんことを心から御要望申し上げておきたいと思います。  同時に、実は昨年の十月に目の不自由な女性が日本に帰化した。障害福祉年金の支給を求めたけれども、大阪府がかつて韓国人だったことを理由にして請求を拒否したということで裁判が行われ、大阪地裁の判決がございまして、それが拒否をされているわけであります。このような具体的な事例というものはどういう事例が転がっているかわかりませんけれども、いろいろな事例が出てくるだろうと思うわけであります。  これらの問題についても今後法改正がなされれば解決されていく問題かもしれません。しかしながら、これらの問題についても、むしろその障害を受けたときというよりも現在障害者であるということ自体もわれわれが配慮しなければならない一つの条件になっているのではないだろうかということも考えるわけでありますが、この判決につきまして、これは大阪府との争いの関係でございますからとかくのあれはないと思いますが、これについて今後の対策としてどのようにお受けとめになっておられますか、お聞きしたいと思います。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 私から申し上げるまでもなく、年金制度につきまして、一定の年金権を付与するという場合には、一定の時点で一定の要件についてその際権利を設定するということでございまして、個々の対象のそれぞれの個別の状況に応じて権利を設定するということは現在の年金制度のたてまえ上不可能でございます。したがいまして、いま御指摘になりました事例も含めまして、障害年金であれ母子年金であれ老齢年金であれ、一定の時点で一定の要件の者について権利を設定する、こういう年金制度のたてまえ上、その時点で要件を満たしてない者につきましては、はなはだ冷酷のようでございますけれども、現行法上は権利を付与することはむずかしい、こういう事例に当たるものかと思います。  ただ、そういう無年金者が現行制度上あるのがいいのかどうか、これはまた関係方面もいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、無年金者をどうするかという問題は今後の公的年金制度の問題として検討していかなければならない問題であろう、かように考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 いわゆる法治国家として法律に基づいて適用がなされるわけでありますから厳しい内容が残されていることは私も承知をいたしますが、そういう事例が起こってきたこと、その原因が何であったかというようなこと等も考えますと、国籍条項等がこういう社会保障制度の中に存在することについて私どもも大変遺憾に感ずるわけでありまして、なお一層の御検討をお願いしたいと思います。  なお一点、文部省の方にもお尋ねしたいのでありますが、最近、とりわけこういう問題にも関連をいたしまして、ぜひ国民体育大会等へ参加させていただきたいという要望が強くあるわけであります。これは大分前の話でありますけれども、王選手が甲子園で高校時代に大活躍をいたしました。その後国体の野球大会に出られなかったケースがあったわけであります。その王選手はいまも日本人ではありませんけれども、国民栄誉賞第一号でございます。いろいろ体育関係者の間でむずかしい条件があろうかと思いますが、これらについて、たとえば高校生の参加を認めていくとか暫定的な措置等を講ずることも含めながら、前向きに関係諸団体との意見を調整し、そしてそれを文部省等にリードしていただいてこれらの解決にも御努力をいただきたいと思いますけれども、どういう御見解でいらっしゃいましょうか。

戸村敏雄文部省体育局スポーツ課長

○戸村説明員 先生御承知いただいておると思いますが、国民体育大会は、財団法人の日本体育協会と国、それに開催都道府県という三者共同で主催することになっておるわけでございます。しかし参加資格の問題とか実施競技をどうするということにつきまして、つまり運営の基本的な問題等はすべて日本体育協会の中に設置しております国民体育大会委員会で決定するということになっておるわけでございます。  ただいまの御質問の趣旨につきましては、昨年の四月にすでに国民体育大会委員会の中に小委員会を設置いたしまして、この問題も含めて現在検討を重ねておるわけでございます。また、国体というのは関係する機関、団体が大変多うございます。したがいまして、この問題につきましても種々意見がございまして、議論がなかなか進まないというような報告も受けておるわけでございますが、一応、なるべく早い時期に結論を出していただけるよう体協の方に重ねてお願いしていきたいというふうに思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 時間が限られておりますので先に進みたいと思いますが、ぜひその結論がいい方向に向かって出されますように、文部省としてもなお一層御努力をお願いしたいと思います。  最後に、これは厚生大臣の御所管ではないのでありますけれども、昨年の四月には住宅金融制度というものが社会保障制度に先立ちまして、まあ、言うならばこれも一つの福祉政策でありますけれども、門戸が開放されました。実は、あと残っている一つの大きな問題として、公務員の採用の問題があります。  在日外国人は、国籍が外国であるということのために、永住権者であっても職業選択についてはかなり門戸が狭いわけであります。もちろん自治省等の見解では、公権力の行使または公的意思形成への参画については都合が悪いというふうな通達も出されておるわけでありますが、これらを除外する問題につきましては、むしろ問題ではないのではないか。そして就職上の門戸が開放されることが、ひいては社会的な位置づけについて誤解を招くことも少なくなってまいりますし、そしてまたいい仕事につくことができればそれだけ生活の安定が得られます。また、よく犯罪の発生率が在日外国人は多いと言われる場合があるわけでありますけれども、そういうことについても、職業上の希望が子供の中で生まれるということになりますと、当然これはまたいろいろな面でいい方向に作用していくのではないだろうかと思うわけであります。  内閣の一員として、厚生大臣にはせっかく前向きに年金制度等にお取り組みをいただいておるわけでございますが、これらの問題につきましても御検討をいただき、せっかくの御努力をお願いしたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの問題は、公務員という性格上いろいろ国によって違います。非常に厳しく制限しているところもあれば、全然制限していないところもあります。あるいはまた、外務省とかそういうところだけ枠を設けて他の役所は枠がないということでありますが、アジアそれから中東等はほとんど、外務省、軍隊といえども重要なところに他国人がどんどん入っておって、しかもそれで実際の成果は非常に上がっておるわけでありますから、そういう点を考慮しながら、国務大臣として関係各省の大臣とよく相談していきたいと考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 大変前向きに御答弁をいただきましたことを感謝したいと思います。どうか年金制度の充実等を初めといたしまして、なお一層の御努力をお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、四ツ谷光子君。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 私は、厚生大臣に、身体障害者・児の歯の治療の問題について二、三の御質問をさせていただきたいと思います。  私は、重度の障害児を抱えていらっしゃるお母さんから、生まれてから障害が見つかってけいれんだとか発作が起こるのでその方にだけ気を奪われて、子供の口の中にまで注意が行き届かなかった、学齢に達して初めて歯の状態が大変なことになっているということに気がついた、こういうお話をよく聞くわけでございます。  また、脳性麻痺の子供さんあるいは知恵おくれの子供さんでは、歯が痛いということが言えないために、だんだんと食事をしなくなる、そしてかぜでも引いたのかと思っている間にほっぺたがはれてきて、歯が痛かったということが親にもわかる、そして痛さに耐えかねて泣き出す、親と子が、手近に障害児の歯の治療をしてくれるところがなくて一晩じゅう泣き明かしたことがある、そういうふうなお話を聞いております。  また極端な例でございますけれども、余り子供が痛がるので、遂にお母さんが子供の命を奪ってしまった、そういう実例も報告をされております。     〔主査退席、宮下主査代理着席〕  私たちが口を通して食物をとる、これは人間として命の根源ですけれども、障害者・児におきましては、人間としての欲望が障害の度が重くなるにつれてだんだんと削減をされてまいります。最後に残されている命の糧をとる口の問題、そして最後の欲望である食物をとりたい、こういう問題を考えますと、障害者の歯の問題というのは、障害者・児のいわば命の根源にかかわる非常に重要な問題ではないか、私はこのように考えております。  国際障害者年に当たりまして、推進本部が昨年の閣議決定で置かれ、いろいろと方針を出しておられますけれども、その中では、中央心身障害者対策協議会の総合的でかつ長期的な計画をという提言を入れて方針を出しておられると思うのですが、いま言いましたような意味におきまして、障害者・児の歯科保健対策も含め長期計画を考えていらっしゃるのかどうか、大臣にまずお聞きしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 一般の人にもそうでありますが、特に心身障害者の方々にとっては、口からとる食物の栄養というのはきわめて重大でありまして、そのために、歯の衛生ということは御指摘のとおりきわめて重要な問題であります。ところが、一方これの治療ということになると、これまた御承知のとおり非常に複雑な問題がありまして、歯と脳神経とがすぐそばにあるものでありますから、健康な人でも注意をして歯の治療をやらぬとほかの病気を誘発するおそれがありますが、特に心身障害児、脳性麻痺等の人は歯医者さんだけでは治療できない。治療をすると大変なことになる。こういうわけで、いままでは地域の歯科のお医者さん方が、休業のときに医師会と一緒になって総合的な治療をするとか、あるいは巡回診療をやるとかやっておったわけでありますが、今年度の予算からはそういう脳性麻痺患者の施設に歯科の総合的な治療所を設けるように考えております。かつまた内閣で持っております障害者年特別委員会では、いま特別のプロジェクトチームをつくって本年度末までに結論を出すようになっておりますが、この結論を受けて政府は具体的な行動計画をつくるわけでありますから、その中にはいまおっしゃいました歯科の問題も十分加えて検討していきたいと考えます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 ぜひそのようにしていただきますように、重ねてお願いをしたいと思います。  さて、対策を立てるにつきましては、やはり障害者・児の歯の治療の状態あるいは疾患の状態、そういうものが十分に把握をされていなければ対策が立てにくいと思うのですけれども、障害者・児の歯科治療対策を進める上で障害者・児の歯科疾患の実態を調査すべきではないかと私は考えておりますが、厚生省としてはどのようにお考えでしょうか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 御指摘のとおりであると思いまして、同じ身体障害児でございましてもその程度あるいは歯の疾患の状況によりましては対応措置もそれぞれ講じなければならない性質のものかと考えておりますが、やはりそういう非常に細かい個人的な事柄にわたりますことの調査といいますものはプライバシーの問題、あるいは大げさに言いますと人権問題とも非常に深いかかわりがございますので、ある意味では非常に慎重にアプローチしていかなければならぬものかと思いますが、御指摘の趣旨は十分理解しておるつもりでございます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 障害者の方の種々の調査というのはいまおっしゃったようにプライバシーの問題があるということで、非常に慎重にやらなければいけないということは私もよく承知をいたしておりますけれども、本当に障害者の健康を守るためにはいろいろな調査の仕方があると思いますので、国の機関としてはそういうプライバシーも守りながら障害者のためにぜひとも調査を進めていただきますように、再度御要望させていただきたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 私どもも厚生省で国立の病院、療養所をかなり運営いたしておりまして、たとえばそこでカルテその他を当たりますとある程度の数字はないわけではないのでございますが、しかしこれは診療のために必要なことが記載されるカルテでございますから、決して立ち入った障害の程度とかそういうことは出てこないわけでございます。一方、歯科医師の団体の方で最近障害者センターというような事業も逐次進められておりますので、あらゆる機会をつかまえて私どもも実情はなるべく理解できるように努力いたしたいと思っております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 ではよろしくお願いします。  次の問題に移りたいと思います。  大阪の泉南というところに町立の尾崎病院というものがあります。そこに昭和五十三年の四月から障害児の歯科治療センターが設置されまして、専門医一人、歯科衛生士四人ないし五人、保健所よりの担当保健婦、精神衛生相談員二人、それから「泉南障害児(者)を持つ親の会」より介助、応援として二人、こういう方々が当たられまして、計七人から八人、多いときには十人ぐらいで障害児の歯科治療に当たっているということなんです。  この尾崎病院で治療を受ける前段としまして、尾崎保健所におきまして母と子の歯みがき教室というのを実施いたしております。何の病気もそうですけれども、歯は治療の前にまず予防、特に歯の問題については予防ということが非常に重要だと私たちは考えているわけですけれども、ここでお母さんにも歯の口腔衛生の問題を十分に教える、そして子供たちにも口の中をきれいにするということを教えるという意味で三カ月間の歯みがき教室を行っているのですけれども、その歯みがき教室をやっています目的のまず一つは、口を一人であけられること、二番目は口の中をきれいにすることが自分でできるようにする、あるいは自分でできなくてもお母さんにしてもらうことを上手に受け入れられるようにする、これは治療を受けるときに非常にいいわけなんです。そのような行為を通しまして母と子の心の交流を進めることが、すべての生活の面によい反映を与えるようになる。こういう三つの目的で歯みがき教室が行われておりまして、この泉南というのは大阪でも南の端の方なんですけれども、遠いところから二時間も三時間もかかってここまで歯みがき教室に来られる人もあるというふうに聞いております。  そこで、いま全国に八百五十からの保健所がございますけれども、この資料はちょっと古いようですが、この保健所での歯科医師の設置が二七・二%、歯科衛生士の配置が四六・四%、まだ保健所の歯科医師や歯科衛生士が十分に配置されていない。これを十分に配置していただきまして、ここでも治療ができるようにしていただくと同時に、先ほどの尾崎の保健所のように障害者の母子対象にたとえば歯みがき訓練などの歯科保健指導を強化すべきではないか、こういうことをぜひとも厚生省としてやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。  また、それに関連いたしまして、電動歯ブラシというのがそうした心身障害の子供たちの歯をみがく上に非常によいというふうにお医者さんたちが勧めておられます。  委員長、ここに電動歯ブラシの見本を持ってきておりますのでちょっと見ていただきます。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 はい、どうぞ。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 これはウォーターピックと電動歯ブラシが両方ついている方ですけれども、電動歯ブラシといいますのはこういうふうにして歯ブラシだけが振動するわけです。そういたしますと脳性麻痺で自分で歯ブラシが使えない子供でも、これをお母さんが口の中へ入れてやることで十分に歯がみがける、こういうふうなものなんです。この電動歯ブラシを使うことによりまして、脳性麻痺等で言葉も言えなかったような子供が、喃語ではございますけれどもアーとかウーとか、そういう言葉も言えるようになったという実例も挙げております。  それでこのような電動歯ブラシを日常生活用具として支給されるように私としてはぜひお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 先生御指摘のような障害児の母と子を対象といたしました歯科保健指導を初めとする歯科衛生活動というのは、私どもも非常に重要であると考えております。それにいたしましても保健所の歯科医師あるいは歯科衛生士というのは必ずしも十分な配置とは申せませんが、昭和五十四年五月に保健所法施行令の一部を改正いたしまして、保健所に置くべき職員として歯科医師及び歯科衛生士というものを追加いたしました。歯科衛生士もだんだんと増加してきております。今後ともその努力を続けていきたいと思います。  また先ほどの障害児の日常生活用具の給付の対象となる種目というものにつきましては、心身障害児ニード調査の結果等を踏まえまして検討いたしたいと思っております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 ぜひ母と子の歯みがき教室のようなものを各保健所で実施ができますように、それから保健所の機能というものを、いま御説明がございましたけれども地域の障害者・児の対策のために十分に機能させていただきますようにお願いをすると同時に、この電動歯ブラシにつきましても厚生省でよく検討をしていただきますようにお願いをしたいと思います。  ところで、最近各地に口腔保健センター等が歯科医師会等の力あるいはそれぞれの自治体等の協力によりまして設置されるようになってきておりますけれども、こういう口腔保健センター等で障害者・児の歯科治療を実施している場合に、休日等歯科診療所運営費補助の対象とすべきではないか、このように考えているわけです。いまのところは、休日、小児それから障害者と三つそろわなければ補助の対象にならないというふうに聞いているわけでございますけれども、国際障害者年ということで、各自治体が積極的にそうした障害者・児の治療施設をつくろうという動きが方々で出てきております。そういうことに関しましてもぜひこの補助対象にしていただきたい、このように思うわけでございます。  これは私の地元の寝屋川市の第八養護学校で、四月に歯科検診を校医さんがやりまして、三百八名の子供が検診を受けました。要治療が二百十五名。ところが三十五名しか治療を受けていない。わずか一六%にすぎない。あとはもう治療を受けに行くところがないということでございまして、ぜひとも地元で歯科の治療を受けたい、こういうふうな切実な御要望がございます。  そのためにそれぞれの自治体が積極的にこういうことに乗り出そうとしておりますし、また口腔保健センター等も積極的にやっていただいているわけですが、そういう点につきましては厚生省の御見解はいかがでしょうか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 確かに御指摘のとおり休日診療、小児歯科、それに身体障害者・児歯科、この三つの診療区分を実施していただく場合に補助をするということでやっておるわけでございまして、特に必要な場合には、そのうち二つを実施していただけばまた補助するという道も開いておるという状況でございます。抱き合わせのようではございますが、これはいずれもそれぞれの区分ともに歯科保健の上では非常に重要な項目でございますので、身障児の治療だけをやっておられるセンターというものが十一カ所ほどあるということも承知しておるのですが、そこに補助金を出すことも御指摘がございますので、検討させていただきたいと思います。  私どもとしてはできればこういうところが小児歯科あるいは休日診療という面でも事業範囲を拡大していただくことをお願いするもので、結果として助成できるようになっていただくのが一番ありがたいわけでございますが、先生せっかくの御指摘でもございますので、身障歯科だけをやっておるところでも補助対象にできるかどうかはまた検討させていただきたいと思います。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 障害者・児の歯科治療というのは、これはもう不採算診療だということは非常にはっきりしております。先ほど私が申し上げました泉南の尾崎町立病院でも、非常な赤字を抱えているわけなんです。これは診療報酬の話にもなるかもわかりませんけれども、その問題はさておきまして、人手がとられる、時間がかかるということで、赤字になるのを覚悟でやらなければできないということでございます。先ほど申しましたように、とにかく校医さんは要注意だとおっしゃるけれども、じゃ校医さん診ていただけるかというと、そういう現状にはなかなか立ち至っていない。ということであれば、こういうふうなセンターがあればそこにはぜひ補助をつけていただきまして、これだけでも地域のそうした障害者・児の要求にこたえていただけますように再度御要望いたしまして、次の問題に移らしていただきたいと思います。  実は大阪の阪大病院では、障害者の歯科治療が行われていないわけなんでございますが、国立病院における障害者の歯科治療の実態、これは第八十国会ですから昭和五十二年の四月でございますが、内閣委員会でわが党の柴田前議員がこの問題について御質問を申し上げております。そのとき厚生省としては、大学病院での歯科のウエートというのは非常に低いけれども、いろいろ問題があるので今後とも配慮していきたい、このようにお答えになっているわけです。  昭和五十二年からもう四年もたっているわけなんですけれども、阪大病院に障害者の診療がないということでは、大阪のような人口の多いところの国立病院にもない、こういうことでは厚生省は一体どういうふうに対応しておられるのかと私は少し心配になってまいりまして、歯科治療の実態を調べていらっしゃるのかどうか、その点について御質問をしたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 私、不勉強で五十二年の事情を実は承知していなかったのでございますが、大阪大学附属病院ということでございますとこれは文部省の所管でございますので、私ども正確なところを存じておらないのでございますが、私どもの関係では国立大阪病院というのがございまして、そこでは歯科診療科を持っておるというふうに聞いております。国立病院全体としても、歯科につきましては必ずしも地元の御要望にこたえるに至っていない点は多々あろうかと思いますが、この点はまた私どもとしても地元の府当局、さらには地元の医療をする側受ける側、それぞれの御意見を伺いながら将来に向かっては整備に努めたい、こう考えております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 国立大学での障害者の歯の治療という問題につきましては、非常に重要な意味を含んでおるわけです。最初に厚生大臣もおっしゃいましたけれども、脳神経と歯は近づいているので治療の問題でもいろいろと問題点があるということなんですけれども、脳性麻痺の方などで非常に治療が困難な場合には、全身麻酔をやらなければいけないというふうなことも起こってくる。それから障害の度合いによっては、全身症状とも兼ね合わしで他の内科のお医者さんの力もかりなければならない、こういうふうなことになってまいりますと、そういうふうに総合的に障害者の歯の治療を診ていくところと言えば、国民の側からとりますと国立病院、公立病院ということを考えるわけでございます。障害児の方の歯の治療につきましては、最近小児歯科の方が非常に進んでまいりまして、そこで障害児の問題を比較的よく取り扱っていただいておるわけですけれども、いわゆる十五歳以上の成人の障害者の歯の治療については、そういう点で大変おくれているということがあるのです。  それで、最後に大臣に御質問申し上げたいのですが、私がいま国立大学での障害者の歯科治療の実態を調べているかどうかということをお聞きいたしましたのは、ただいまの障害者の歯の治療につきましては大分厚生省も前向きに取り組んでいただいていますし、それから歯科医師の先生方もこの問題についてはこのごろ大変積極的に前向きに取り組んでいただいております。その点は私も大変すばらしいことだというふうに思っているのです。ところが、いまいわゆる開業医の歯科医師の皆さん方に障害者・児の歯の治療ということになりますと、これはいろいろな問題点がございます。  お医者さんたちの医者としての良心に頼るといいますか、ボランティア活動だけでは覆い切れないものがあるということは、もうすでに大臣も御存じだと思うのですけれども、軽度の者は障害者についても地域のお医者さんも引き受けることができる。ところが設備の問題、先ほど申しました採算の問題、それから事故の保障がないということ。これは診てもらう方の障害者・児の方に事故の起こることもあれば、治療をされる先生方にも事故が起こらぬとは限りません。その事故の保障がいまのところ全くありません。それから何人もの人がかかって体を押さえてあげなければできないというふうな問題もございます。人的配置、こういうものには開業医には限度があるわけでございます。そういたしますと、救急医療体制と同じように、二次、三次にわたってこうした障害者・児の歯の治療を引き受けてくれるところがなければ、開業医としても安心して障害者・児の治療を引き受けることはできない。応急手当てはやるけれどもとてもできない、また、現在、応急手当てをしてそういうふうな専門にやってくれるところに治療を頼みに行きますと、大体もういっぱい詰まっていまして、予約制ですから、早くて六カ月、長ければ二年くらい待たされる、こういうふうなことになっております。そういうふうなことにおきまして、歯科医師の先生方の良心だとかボランティア活動だけに任せるということではなくて、やはり行政が責任を持った体制をつくっていただかなければならないと思うわけです。そういう意味で、二次、三次を含めました総合的な障害者・児の歯の治療体制についてその体制をつくっていただけると私は思っているのですけれども、厚生大臣としてはいかがお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりの問題でありまして、これは一般開業医にお願いしても無理なことはこれまた御発言のとおりと思います、こういう問題こそ国立病院あるいはその他の公立病院が引き受けるべきことであって、それが厚生省の責任である、こう考えております。ただいま中央心身障害者対策協議会国際障害者年特別委員会で障害者歯科に対する計画を検討しておられますので、それを受けて、いまの御発言等も加えてこれに対する体制を早急に検討するつもりでおります。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 ただいま大臣の方から検討課題として考えているという御答弁がございましたけれども、ぜひとも専門家の御意見あるいは障害者・児を抱えている家族の意見等も十分に取り入れていただきたい。  障害者年というのは、国連では十年ということになっておりますけれども、日本では本当に十年という計画を考えているのかどうかというのがまず一つの問題がございますけれども、国際的に見てます十年計画を立てていただく、そして十年ごとの計画で百年の計画を立てていただく。障害者というものは決してこれから数が減るものではないと思うのです。社会的要因で先天的、後天的な障害者の数が非常にふえていく傾向にある、これはきわめて重大な問題だと思うのですけれども、こうして不幸にして障害を負われました方々にも、本当に健常者と同じような権利と社会参加、そういうふうなことが十分に保障されますように、厚生省として十分にお取り組みいただきますように、最後に御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて四ツ谷光子君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。

上原康助日本社会党

○上原分科員 実は私は、きょう厚生省、厚生大臣に対して、私がこれまで何度か取り上げてまいりました戦災障害者の問題、特に沖繩戦における六歳未満の戦争被災者の件について、重ねてお尋ねをして、ぜひ早期実現方を御要望するつもりでございましたが、幸い厚生省としてもいろいろ御検討いただいて鋭意その実現に向けての御努力をなさっておられるとのことでありますので、長い懸案でございますので、ぜひ一日も早い善処方が実現できますように御要望申し上げて、別の問題をきょうはお聞きしたいと思います。  そこで、これは本来ですと法務省の方が所管官庁かもしれませんが、児童福祉の面からもきわめて重要な問題でございますので、国際児の問題についてお尋ねをさしていただきたいと思います。  実はこの問題につきましては、わが党の土井先生に法務委員会あるいは外務委員会、予算分科会でたびたび取り上げていただいております。また私も、特に無国籍児の問題と関連をして、沖繩に国際児というのが大変多い、無国籍になっている児童もほとんどが沖繩県に在住しているというようなこともありまして、昨年の三月七日でしたか、沖特でこの問題を取り上げたことがございます。そういう経過もありますので、改めて国籍法の改正問題あるいは児童福祉という面等々からお尋ねしたいと思うのですが、一体日本における国際児の実態といいますか実数、そういう実情については法務省なり厚生省、どういうふうに把握をしておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 国際児というお尋ねでございましたけれども、私の方で関心を持っておりますのはそのうちの無国籍児ということになろうかと思いますが、無国籍児のうち外国人登録をいたしております者については把握している面もございますけれども、その他の面については十分な把握はいたしておらないというのが実情でございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 この問題をお尋ねするたびに、実情把握が困難であるあるいは把握していない、しかし十分検討してみたいとか調査を進めるということは、いまさっき申し上げたように委員会でもたびたび御答弁しているわけですね。実情把握がむずかしいあるいはできないというのは、どういうところに理由があるのですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 外国人登録をしている者については実情把握ができるわけでありますが、米軍の軍属関係その他の者で外人登録の義務のない人もおるわけでありますので、その辺についての把握が十分でないということでございます。もっとも、最近になりまして、国籍法を改正するという必要からもその資料にいたしますために何らかの実態調査をしなければならないということになったわけでありまして、今春からいろいろと方法を考えて、現在まで把握していない部分についても実態の調査を行っていきたいというふうに考えております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 その実態調査は大体いつごろまでになさるおつもりですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 実態調査の方法でございますけれども、外国人と婚姻をいたしました日本人の婚姻届というものがございますので、その婚姻届に基づいて、そういった夫婦が子供があるかどうか、あるとして国籍関係はどうなっておるかというようなことをアンケート調査をしてみたらどうであろうかというようなことを考えておるわけでありますけれども、事柄は関係者のプライバシーにも触れるわけでありますし、関係者の御協力を得なければできないわけでありますから、いつまでにということは申し上げられないわけでありますが、できるだけ速やかに結果を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。     〔宮下主査代理退席、主査着席〕

上原康助日本社会党

○上原分科員 国際児の実数把握というのは確かにいまおっしゃるような難点があろうかと思います。もちろん個人の基本的人権であるプライバシーは保障されなければいけないことも当然でありますが、それ以上に無国籍児であるということがなお問題だと私は思うのです。人格構成の上からも問題です。  そのことはまた触れるといたしまして、そこで、無国籍児というのは一体どのくらい把握しておられるんですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 先ほど申しました一部把握しておる人数といたしまして、昨年の六月現在の数字といたしまして七十三名というような数字も出ております。ただ、これは全部アメリカ関係の無国籍児というわけではございませんでして、その中には中国系の無国籍児もかなり加わっておるというような実情でございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 去年私が取り上げた時点からと、数の上では余り変動はないですね。しかし、一説には、それは推定であって、推定としてはもっといるんじゃないのか。百名以上あるいは百四、五十名もいるんじゃないかという推定もされているわけです。  そこで、時間の都合もありますから、細かい議論はもうすでにされておりますので省きますが、要するに、無国籍児が生まれるというのは、現在の戸籍法に重大な欠陥といいますか問題があるということもこれは指摘されているとおりなんですね。もちろん、アメリカとの関係においては、米国の国籍法の問題も必要条件の面で触れられていることは指摘するまでもありません。  いずれにしましても、きょうは主として米国との関係において取り上げますが、日本人を母親として持ちながら、アメリカ国籍を有せない、また日本国籍を取ろうにしても取れない、こういう実態というものは速やかに改善すべきだということを私たちはずっと主張してまいったわけですが、なかなか改善されていない。これまで皆さんは、こういうことを解決する一つの方法として、簡易帰化をもっと簡素化していけば解決するんだということをおっしゃってきたんですが、この問題が持ち上がって以後、そういう方法で一体この国籍問題が具体的に解決された例があったのかどうか。また、国籍法には手を触れないで、簡易帰化を簡素化すること、あるいは手続面を簡略化していくだけで無国籍児がなくなっていくという確たる見通しなり確信をお持ちなのかどうか。ここいらの点について、ぜひ改めて法務省の御見解を明らかにしておいていただきたいと思うのです。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 国籍法を改正いたしますればこの点はかなり抜本的に改善されるのではなかろうかという点は、ただいま御指摘のとおりでありますけれども、国籍法の改正につきましては、御承知のように、無国籍児の救済の問題の面からだけではなくて、男女平等の面から父母両系主義をとるべきだという形での改正が問題になっているわけでありまして、この改正ということになりますと、そう近い将来というわけにもまいらないのではなかろうかというふうに考えるわけであります。その間の解決といたしましては、やはり帰化手続を簡易にすることによって救済を図っていくべきじゃなかろうかということを考えておるわけであります。  そこで、私どもといたしましては、この国際児の無国籍児につきましては、現在の国籍法の許す範囲内であらゆる配慮をいたしまして、これらの人の帰化事件が簡易に許可になりますようにということで対処しておるわけでありまして、最近の例で申しますと、その所要期間というようなものも著しく短縮されておるというような実情でございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 それは説明だけの問題であって、いまそういった帰化手続簡素化面で解決された例があるかとお尋ねしても、実際にはないわけでしょう。むしろ、土井先生も取り上げておりますように、具体例としては、法務局を通して福団地方裁判所に出したら却下されたという面もあるわけでしょう。そういうことだけでは解決できないという事態が出てきているじゃありませんか。進展しているじゃありませんか。  それはいずれ時間があるときにどこかで詳しく、私も若干調査してありますので触れますが、要するに、そうしますと、いまも国籍法の改正までにはいろいろ検討しなければいけない点もあるので時間がかかる。しかし、すでに何回も引用いたしましたように、一九七九年に批准された国際人権規約、「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」とはっきりうたわれています。さらに、昨年デンマークでこれは日本代表も署名をしておられる婦人差別撤廃条約の第九条、そういう面から考えても、それは確かに国籍法というのは、ヨーロッパ諸国あるいは社会主義諸国を含めて父系血統主義をとっている。父親優先主義をとっている面、あるいは両親血統主義をとっている面、いろいろ違いはありますけれども、国際的潮流としては父母両系主義をとるということが最近の著しい変化じゃございませんか。そういう面からしても、この際、日本も、国際条約なりそういったことで国内的にも現に問題を抱えておって、国民世論としても、男女平等の原則の憲法の面からいっても、いまの国籍法というものは早々に改正をすべきだという強い要求が出ている以上は、もう少しこの問題について積極的な態度を示すべきじゃないのか、こう考えるわけです。  そこで、一説には、国際児童年の最終年度あたりまで向こう五カ年間に、国籍法なども、いろいろ各国の調査をして改正すべきところは改正をしたいというようなお話もある、法務省としてはそういう作業も進めているやに聞いているのですが、この面はどうなのか、もう少し具体的なお答えをいただきたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 ただいま御質問にもございましたように、父母両系主義をとるという方向が問題になっておるわけでありまして、その方向で私どもも検討いたしておるわけでありますけれども、国籍法の改正ということになりますと、これは影響するところ非常に大きい問題でございますので、いろいろと関係方面から資料を集める、あるいは関係方面の御意見を聞くということも必要になってくるだろうというふうに思うわけであります。私どもは現在その準備作業に着手をいたしまして、諸外国の制度あるいはその運用の実態などを調べます、あるいは外務省を経由して各国の日本大使館にお願いをして、各国の制度や運用の実態というものを調査をいたしておりまして、その御返事がぼつぼつと返ってきておるというような段階でありますので、今後こういう調査の結果を踏まえまして、そして問題点を洗い出しまして、関係省庁にも御連絡して、さらには法制審議会というようなところでも審議していただきまして、そして法改正に持ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 まだまだ消極的なような感じがするわけですが、少しずつでもそういう方向に、検討に着手しているということは、あるいは半歩程度前進かなという感じも受けますが、これまで皆さんが、国籍法を改正するといろいろ問題があるのだあるいは支障を来すのだということで、重国籍の問題が出てくるから困るのだ、これは昨年私が沖特で取り上げたときもそういう説明をしておられます、三月七日でしたか。たとえば、重国籍の場合、国際私法の準拠法の適用問題がまず出てくる。二重国籍あるいは場合によっては三重国籍ということもあり得るかもしれません。二番目に、外交保護権の問題がある。三点目に、国家に対する忠誠義務の関係問題が、兵役とかそういう問題が二重国籍になった場合に出てくる。三つを挙げてこられたわけですね。確かにそういうことは一つの法律的分野というか国籍法という面からはあり得るかもしれませんけれども、同時に、しかしそれは解決できない側面ではないと思うのですね、法律によっては。西ドイツあるいはフランス、スイス、デンマーク、スウェーデン、そういう国々も漸次改正をしてきたわけですよね。そういう過程で、そういった問題になりそうな面は、本人のオプションを設けるとかあるいは相手国との協定を交わすとか、いろいろな面でチェック機能というかそういう弊害が起こらない手だてというのは、私は専門じゃございませんが、十分可能性はあると思うのですね。そういった面はいかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 父母両系主義をとりました場合に予想される二重国籍、そして二重国籍になった場合の問題点あるいはその解消の方策というような点につきましては、ただいま御質問中にお述べになりましたとおりでございまして、私どももそういった諸問題につきまして、いろいろと外国の制度なども調査をし、そして国内法の問題になるような面を洗い出し、どういう方法が最も望ましいかということを検討して改正に持っていきたい、こういうようなことでございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 では、外務省おいでですので、後ほど厚生大臣にもちょっと御見解をお尋ねしたいのですが、その前に外務省に、実は昨年、いま申し上げた三月七日、沖特で私がこの問題を取り上げて、主に無国籍児の件が、まあ中国の方との関係もあるわけですが、大多数はアメリカとの関係ですね。ですから、この種のことについてはもっと米側とも話し合いをすべきじゃないかということについて、外務省の説明員の方はこういう答弁をしておられるのですね。「一昨年の十月」、去年のことですから一昨年というと五十三年ごろになりますか、「たしかアメリカの議会の会期の最終日であったと思いますが、移民国籍法の修正が行われまして、結局その国籍を喪失する該当要件というものは削除されまして、」云々というふうにして、中略いたしますが、アメリカの法律が改正されましたので、これによって問題は大分片づくはずでございます、しかし、具体的なケースはケースとしてまた問題は残るだろう、こういう御答弁をしておられるのですが、一体、言うところの三百一条g項が改正されたというふうには私たちは理解していないのですが、その後本当に、答弁なさっておられるようにこの問題が解決するふうになっているのかどうか、もしおわかりであればお答えをいただきたいと思います。

松田慶文外務大臣官房外務参事官

○松田説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年の沖特委員会で先生の御質問がございまして、当時の担当の者からただいま先生議事録お読み上げのとおりの御答弁をさせていただいておりますが、大変申しわけございませんが、その後、事態の把握は必ずしも先生のただいまの御質問の御趣旨に沿った形で明確になっておりません。私ども不勉強でまことに申しわけございませんが、ただいま本日のお答えといたしましては、さらにチェックして明確なところをできる限り早くお手元に差し上げたいと申し上げたいと存じます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 これはちょっと問題ですよ。私も疑問に思ったんで会議録を少し読んでみましたが、そういったその場限りの答弁でお茶を濁すということはゆゆしい問題になりますよ、ぜひ調べていただきたいと思います。  そこで、私は、厚生大臣、これは法務省だけの問題でもないと思うのですね、この国際見の問題、特に無国籍児が存在をするということは、人間形成の戸籍がないということですからね。この世に生を受けておっても人格として認められないということですよ。なぜこういう問題が起きるかということは、もう言うまでもなく、一つは、日米安保条約が存在をするということ、特に米軍基地の五三%が沖繩に集中しひしめき合っているということ。その意味では、私は日米両国政府の責任は大きいと思うのですよ。  そういう観点から考えますと、これはやはり政府全体としていろいろと取り組んでいかなければ、解決するための手たてを講じていかなければいけない問題だと思うのです。確かに、私たちがいろいろ取り上げて、母子福祉年金であるとか、児童扶養手当であるとか、特別児童扶養手当であるとか、そういう面はかなり政府の御努力もあって改善をされている面はあります、それは否定はいたしません。しかし、無国籍であるがゆえに学校への進学も、市町村の教育委員会の取り計らいで恩恵的に便宜というか認めている面はあるわけですね。そういう不自由さをその国際児の皆さん、無国籍の児童は背負っている。さらに就学の問題、進学の問題、就職の問題、成年に達した場合の結婚問題、海外渡航の旅券取得の問題、自動車の免許証を初め各種の資格取得をするという場合に、いろいろの障害——障害というよりハンディを持っているわけですね。あるいは国民年金、健康保険への加入問題も、市町村によってはそういった条例制定によって解決されている面もあるのですが、またほかの児童と同等の権利という立場では認められていない。教育面からしても児童福祉の面からしても、私は、これはないがしろにできない、政府全体として早急に解決すべき問題だと思うのですね。  そういう意味できょうはお尋ねをしたわけですが、同時に、園田厚生大臣は、外務大臣のときに、七九年、一昨年の四月二十七日の外務委員会で、単に窮余手段でなく人間として基本的問題、先ほど引用しました国際人権規約の批准をしたんだから、それに相応することをやらなければいけないということをお述べになっているわけですね。そういう面からしても、この際、政府全体として、この国際児問題、特に無国籍をなくしていくということについて、五年というような悠長に考えずに、連絡会議を持つとかあるいは関係大臣が御相談をするということで、私は早急に解決すべき問題だと思うのですね。そういう意味で、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの問題は非常に各般にわたって大きな問題を抱えておることでありまして、いま言われました委員会における私の発言、現在も少しも変わっておりません。人権規約の男女の差別、いわゆる日本人の男と外国の女の間にできた子供は国籍があるが、日本の女と外国の人との間にできた子供は日本人になる資格がない、ここから来ておるわけでありますから、国籍法の改正、それから続いて、そういうものをやった上で米国と正式にかけ合う必要がある。これは米国で米国の国籍を与えるのか、あるいは日本に置くのか、本人の希望によってどうやるのか、こういう交渉をやる必要があると考え、これは一大臣の問題でございません。手続は法務省あるいは外務省、これに非常な関心を持つのは厚生省ということでありますが、内閣全般の問題でありますから、いまも発言の意思は変わっておりませんから、そういう方向で相談をいたします。

上原康助日本社会党

○上原分科員 そこで、そのほかに離島医療の問題とか沖繩の医療格差の問題についても少し触れたいと思ったのですが、余り散漫になってもいけませんから、きょうは時間がありませんからこの問題だけにしぼらざるを得ませんが、いま大臣がおっしゃいましたように、確かに、法務省は国籍法の改正とかいろんな法律面の担当官庁であることは当然ですね。しかし、福祉の面から考えてもそれだけでは済まない問題がある。それで、大臣は、国際的御見識も非常に広いし、外務大臣もなさった、もう有力な閣僚ですから、政府全体として、この問題について外務省、少なくとも厚生省、法務省が早急に解決をするという意味で、大臣がイニシアチブをとっていただいて、もっと法律的な面あるいは福祉の面、対米交渉という関係で、この際腰を上げるべきだと私は思うのですが、その程度のことは当然おやりになると思うのですが、よろしいですね。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 国務大臣として責任を果たしたいと思います。

上原康助日本社会党

○上原分科員 ぜひひとつ、これも長い懸案事項ですから、解決方をお願いをしたいと思います。  同時に、法務省にも要望申し上げておきたいのですが、国籍法の改正問題についてはいろいろ検討すべき事項もあるでしょうが、国際的な潮流になっているということと、日本国内にこういう無国籍の児童が非常に肩身の狭い思いをしていろいろの隘路を背負いながら成長していくということはあってはいかぬと私は思うのです。そういう意味でも、ぜひひとつ国籍法の抜本的な改正に向けて、この問題の解決に特段の御努力をいただきたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 ことしは国際障害者年ということでありますが、まず冒頭に、大臣にその意義と理念とでもいいましょうか、そういうものを伺って話を進めたい、こういうふうに思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 国際障害者年は、第一は、障害者、障害児が社会の発展、育成に参加すること、健康な人と一緒になって地域づくりに参加すること。第二番目には、したがいまして、身体障害者に対する施策はいままでのような慈悲、恩恵のようなものではなくて、もっと積極的に国が障害者の方々が一般の人と一緒に働けるようなことについての協力をすることが基本であると考えております。と同時に、身体障害者年はこれを単に一カ年間の標語とすることなしに、これをスタートとして長期行動計画をつくって、これによって一年度から年度ごとの目標を立てて達成していくべきものであると考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 まさにそういう大事な元年ともいう年に当たりまして、それでは、大臣がお考えになっているそういう理念に基づいてわが国としてはどのようなことを具体的にこれからお進めになろうとしているのか、その辺のところをひとつお聞かせいただきたい。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 五十六年度予算におきましても、この障害者の関係、特に厚生省の関係の予算は相当飛躍的な増加をいたしておるわけでございますが、非常に細々したものまで多数ございます。  主なものを申し上げますと、一つは、障害者福祉都市の事業でございます。大臣折衝まで上がりまして、明年度は一県一市はということで四十七市新たに指定するというようなことが一つございます。それから、障害者社会参加促進事業というメニュー事業がございます。従来十七事業でございましたのを三事業ふやしまして、新規に、たとえば脳性麻痺者等の重度障害者のガイドヘルパー事業でありますとか、中途失明者の緊急生活訓練事業でありますとか、あるいは聾唖者のための手話筆記要員の事業でありますとか、そういう新規事業の追加並びに事業費の拡大というようなこと等も行っておるわけでございます。そのほか新規事業といたしましては、在宅の重度障害者の方に対しまして、訪問サービスといいますか、居宅サービスをして差し上げる。これは、あるいは給食、あるいは入浴、あるいは洗たくというようなことを市町村が主体になりまして出かけていってサービスしてあげるというような新規事業もこの中で位置づけをいたしておるわけでございます。あと施設関係におきましては、適所ホームでありますとか障害者の更生保養センターでありますとか、そういった幾つかの新しい事業の芽を出しているのが一例でございまして、全体といたしまして厚生省の中でも特に障害者の関係の予算は大幅に伸びておるというのが実情でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 予算の面で言えば、いままでの予算がなきに等しいみたいな感じでありますから、根が少ない予算のところにこれを伸び率だけで見るというのは間違いでありますが、そういう点で言えば、いまお話に出てまいりました点では非常に重要な意味を持つだろうということで、一応の評価をすることができると私は思うのですが、そもそも、先ほどから大臣がお述べになっております参加と平等、こういう考え方が基本にあって障害者の対策が進められていく、この参加にしましても平等というものにしましても、障害を受けていらっしゃる方々というのはそれなりにハンディをしょっている、普通の健康な人たちと比較すれば精神的にも肉体的にも大きなハンディをしょっているわけであります。それを単にお金をつければいいというだけで済まない。障害者対策というのは非常に大事な基本のところがいままで見捨てられてきたといいますか、ややもすると見落とされてきて大事な点に配慮が足りなかったということを反省しながら、国際障害者年は参加と平等というスローガンで進められていくということになったんだというふうに理解いたします。  平等にということになりますれば、精神面も含めていわゆる平等な社会というものをつくっていかないと、障害者の方々に対する平等とは一体何なんだという点でいろんなところでそごを来す。ですから、そういう意味では、まずせっかく五体満足で生をうけても、途中でいろんな障害によって身体が損なわれる。これは人間の体は構造的には非常に複雑なものでありますから、いろんな対策というものをそれぞれ講じていかないと一律にはなかなかいかないということが言えるのでありますけれども、しかし、精神面ということを考えますれば、一様に重度障害の人であれ軽度の人であれ、極端な話をすれば指一本なくてもやはりそれなりのハンディというものはあるわけですね。そういうことを考えますと、精神面におきます平等という問題を考えますときには、なかなかこれは口で言うべくして実際の問題とするとむずかしいということになって、これが平等という言葉によってきちっと画一的に整理されるというものではないわけであります。ややもすると政府の対応は、これは社会も含めてそうでありますけれども、お金を出せば平等として取り扱う、こういうふうな認識に流れるということが多いわけであります。  したがって、障害者の対策とすれば、建物を建てたりあるいは車いすを用意したり、あるいは道路を歩く場合でも一般の歩行者と同じように歩けるような条件づくりをしたりということもそれは大事ではありますけれども、ややもするとそんなところでお茶が濁されてしまう、こういうことになるわけでありますが、精神というものを大事にしていくということが障害者年に当たっての忘れてならないことではないか、私はこう考えています。  政府の施策の中で、こうした精神面の平等という立場に立った施策というものが具体的にどのような形で進められようとしているかがいま一つ実ははっきりしないというのが、障害者の間においての声でもあり、私どもの立場で見ていてもそういう感じがするわけです。そういう面はどういう点で施策を講じようとされておるのですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 まさしく御指摘のとおりに私ども考えるわけでございまして、障害者の福祉の問題は、国、地方公共団体が責任を持ってその施策を強化していくということも大事でありますと同時に、やはり一番基本になりますのは、国民全般各界各層の方々がこの問題に深い理解と認識を持って、その場その場ですべての人が協力をしていって障害者の福祉を進めていくということが非常に大事なことだと思うのでございます。  近時、世界的な傾向といたしましてよくノーマライゼーションということが言われます。障害者がおられる社会が本来の社会なんであって、障害者の方がいないような社会というのはないんだという考え方。かつまた、障害があろうとなかろうと、一般の者と障害の者と同じような形でともに生きると申しますか、そういう社会をつくっていくのが必要なんだというノーマライゼーションの考え方というのが、非常に世界的な一つの傾向ということになってきておるわけでございます。  非常に精神面にわたる事柄につきまして、政策として具体的にこういうというのはなかなかとりにくいものでございますが、私どもがとります施策すべての基礎にありますのはそういう考え方でございまして、いろんな広報、啓発事業、各種の事業の基礎を流れます精神、御指摘のとおりの考え方に基づいておるものと理解をいたしておる次第でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 なかなかお答えづらいだろうと思っているのでありますが、まずそういう平等というものを啓発していく。それは単に障害者の限定された分野だけではなくて、健康な者も集まってこの問題を真剣に考えていかなくてはならない問題ですから、それを何かの形であらわして予算をつけてやるというのはなかなかしづらいのはわかるわけですけれども、しかし、全国では障害者と言われる人は相当数おりますね。そういう人たちを中心にして、健康な者も寄り集まって、本当に平等な世界なんだということを啓発していくといったようなことにもっと力を入れていってはどうなんでしょうか。そういう計画は全くない、なかなかやりづらい。やりづらいのはわかるのですけれども、そういう点がやはり大事だろうと私は思う。  これは国会で論議していても、一体どこがきちっとしたものになるのかというのは、私自身も名案があって言っているわけではないのでありますけれども、しかし、非常にたくさんの障害者の皆さん方とお会いをする機会が私も多うございまして、ややもすると、障害者は障害者のグループの中でいろいろな話し合いやら行事やらといったものが開かれるということがよくあります。私どもはそこに参加をさせてもらっていろいろな話を聞かしていただくのでありますけれども、同じ立場に立っている人たちが一番話もしやすいし、ツーと言えばカーとこたえるような間柄だということで集まりやすいのではありましょうけれども、そういう人たちと御一緒に、五体満足だと言われている者も積極的に参加をして、そして一緒になって社会を考える、人生を語り合う、こういうふうなことがどうも欠けている感じがいたします。これは何でも政治でという話ではない分野だってたくさんありますが、われわれの心がけというものも大事だということはわかるのですけれども、そういう点についての啓発というものをもう少し真剣におやりになってもらいたいという希望が私にはあるのです。いかがですか、大臣。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 本年の国際障害者年、単なるお祭り騒ぎじゃないということではございますが、記念事業を各種のものを用意いたしておりますのも、考え方はそういうことでございます。特に広報、啓蒙、啓発活動、これはことしの障害者年事業の重点の一つでございまして、総理府の広報予算を中心といたしまして、御指摘のような点につきまして最大の努力をいたしてまいりたいと考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 ところで、参加ということでありますが、そういう面がきちっとなって初めて参加——参加という以上は平等な立場に立っての参加ということになるわけでございます。しかし、ハンディをしょっておることは間違いないわけですから、どこの分野でも平等な形で参加をするということは、そのままではこれはでき得ない問題であります。したがって、参加をしてもらう限りは、しょっておりますリスクをカバーしてあげるとか、いろいろな形で参加できるようなものでないと、これは参加をせよと言ったって、どんどん自由に歩き回れる人あるいは耳も聞こえたり目も見えるというようなわけにはいかない。ですから、そこのところはいままでもおやりになっているでありましょうけれども、やはり参加とうたった以上は、参加できる、そういうもののハンディをカバーしてあげるということがなかったらいけない、こう考えるのです。いまの施策で十分だと私は思っていないものですから、その辺のところは、この意義ある国際障害者年という国際行事に当たって、おくれている日本の障害者対策というものを一定の水準にまで引き上げていくという努力が大変必要だ、手帳はもらっていても実際には皆さんと一緒になって参加できるという状況にない人の方がまだまだ大半な状況にあるわけです。そういう点では、皆さん方の参加しやすいようなそういう行事とか、あるいは日常の社会に対しての貢献をしてもらうという立場ででも、これは積極的な政府みずからの姿勢としてやはり参加を期待するような施策というものが必要だ、こういうふうに思うのです。  そこで、いろいろそういうハンディあるいはリスクをカバーしてあげるという施策で、たとえば現行制度の中でも行われておりますけれども、汽車賃やバス賃の半額助成をしてあげたり、あるいは車の中には最近は障害者のための席が設けられたり、あるいは公衆便所にはそういうものが施設されたりといったようなことが行われているわけでありますけれども、もう少し、こんな記念すべき年でありますから、少なくとも障害者元年と言われるような気構えで、わが国が障害者対策に取り組む、こういうことを決意されているのでありますから、目に見えるような何かプレゼントをひとつ贈ってあげるというようなことにならないか、こういう立場で少しお尋ねをしたいと思うのです。  いま汽車賃やあるいはバス質なんかの割引制度というのがかなり拡大されてまいりました。しかし、このような時代の進展の中では、当然いま飛行機に乗りたいという気持ちをお持ちの方もいらっしゃる。しかし、これはなかなかある一定のところで線を引いておりまして、全部にこれが適用されていない。それも割引率はわずか二五%ということでありますから、なかなかリスクをカバーしてあげるというほどの価格ではない、私はこういうふうに考えますが、いま四級のところの一部まで航空運賃の割引が拡大された。昨年の制度改正によって行われたようでありますが、五級、六級、七級といったようなところまで拡大をするというのはなかなかむずかしいという説明も私は聞いておりますけれども、しかしさっき、平等ということを申し上げますと、これは五体満足な人の間における平等もさることながら、やはり障害者、身体障害あるいは精神障害いろいろ含めて障害をお持ちになっていらっしゃる方の間における不平等感というものが一面で広がっていくようでは、参加と平等といったってなかなかそれは理解がしにくいのではないか、こう考えますので、私は、段階的で結構ですから、もう少しこの枠を広げるということで、ことしは障害者年に当たっての政府の一つのプレゼントだという気持ちに立って検討できないだろうかという気持ちを持っていますが、いかがですか。

近藤憲輔運輸省航空局監理部監督課長

○近藤説明員 航空運賃の身体障害者の方に対する割引率については、ただいま先生ちょっと御指摘ございましたように、昨年の三月から、それまでは介護者の方と一緒に搭乗する場合に限っておりましたのを、身体障害者本人が単独で搭乗する場合にも割り引かれるように拡大をいたしまして、さらに引き続き六月から、従来その適用対象者が国鉄の場合の第一種身体障害者に限られておりましたものを、これより軽度の四級程度にまで拡大する措置を講じたわけでございます。航空につきましてこのような措置を講じましたことは、介護者の方が添乗する場合には航空会社の手数も省けるといったような観点から、介護者の方の添乗を容易ならしめるために、介護者の添乗が必要であるとかあるいは好ましいといった程度の方々にも拡大をしようということで、これは医療専門家の方の御意見も徴しました上で、現行は四級程度まで拡大をいたしたわけでございます。したがいまして、これをさらに航空会社の負担におきまして拡大するということにつきましては、いろいろむずかしい面があるわけでございますけれども、なお今後改善の余地があるかどうかにつきまして、慎重に検討してまいりたいと考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 ただいま航空運賃の場合は、視覚障害あるいは聴覚障害、身体不自由、特に下半身の不自由な方、これは四級まで拡大した。平衡機能障害とかあるいは音声機能または言語機能の障害といったところは三級でとまっていますが、これは何か理由がありますか。

近藤憲輔運輸省航空局監理部監督課長

○近藤説明員 これはただいまも御説明申し上げましたように、航空機に搭乗する場合に介護者の方が添乗する場合は航空会社側のいろいろな手数も省略できるといったような観点から、できるだけ介護者の方にも添乗していただいた方が好ましいといった程度の方々にまで拡大しようということで、四級の中でもただいまお話のございました範囲にまで拡大をしたわけでございますが、航空会社の負担においてこれを拡大するかどうかにつきましては、その辺の航空会社の経営上の問題とかいろいろございますので、今後さらに慎重に検討してまいりたいというふうに思います。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 そもそも二五%、四分の一、これは五割ぐらいにならぬのですか。何か二五%というのは、ここで線を引いたわけがあるわけですか。

近藤憲輔運輸省航空局監理部監督課長

○近藤説明員 これはいろいろな経緯があろうかと思いますが、航空の場合は、もともと鉄道とかバスとか船舶とかいった生活に直結する一般的な交通機関と異なりまして、運賃そのものが通行税の対象になっているというふうなこともございまして、そういった経緯から、身体障害者割引の割引率についても一般交通機関との間に差を設けてきたというふうに思われます。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 その場合、やはり航空機ということになりますれば、民間の企業でございますから、企業の犠牲ということで行われるということになるわけです。私は、年来主張しておる点でありますけれども、しかし、こういう障害者対策が、冒頭で申し上げましたように、やはり国の大事なこれからやらなければならぬ仕事の一つだというふうに考えますと、このように民間にゆだねて、言い方は悪いが、犠牲にさせてやる障害者対策というのは、私は本来間違っておると思っておる。ですから、二五%をなかなか五〇%にできないという問題にもなりますし、これはやはり政府がきちっと予算を組んで、直ちに全額をめんどう見るということはむずかしいとしても、この辺のところは民間にやらせるなんということ自体がおかしい。しっかり、やはり政府が、国が責任を負う、こういう形でないと、私は、冒頭からことしの意義とか理念とかというものをお尋ねしてきた中でも、どうも矛盾である、こういうふうに考えているのですが、この辺のところは、そういう検討は全く余地がありませんか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 大変失礼なんでございますが、ただいまの点につきましては、実は私どもは先生といささか考えを異にいたしておりまして、国なり地方公共団体、公の責任で伸ばすべき施策は全力を挙げて私ども伸ばしていかなければならぬ。しかし、この障害者の対策、福祉というのは、ひとり国、地方公共団体だけでなくて、国民の各界各層すべての者が、先ほど申し上げましたようなことで障害者の問題に理解をし、努力をし、その認識をしていくという努力をしていかなければならぬ問題だと思うのでございます。割引問題一つとりましても、国鉄を初め現在航空各社、そのほかにNHKの聴視料、あるいは有料道路の料金あるいは各種郵便物の制度等々、相当多数の御努力をいただいておるわけであります。そういったものも、やはりそういった立場におけるそれぞれの公共的な機関、あるいは民間の場合におかれましてもその分野でできるだけの御協力をしていただくという形においてこれを進めてまいりませんと、すべてを国が責任を持つ、すべてを公が賄っていくという考え方では、おのずから限界が出て、かえって障害者の福祉のためにいかがなものであろうかというふうに私は考える次第でございます。大変失礼でございますが、そのように考えます。

島田琢郎日本社会党

○島田分科員 ちょうど私の質問を逆手にとった話になっているわけでありますが、確かに国民みんなが挙げてこの対策に取り組む、その精神は、私、否定するものではありません。ただ、それあるがゆえに二五%を五〇%にできないというネックになるとしたら、この辺のところの一部くらいは、全部直ちにやれとは私は申し上げておりませんが、やはり一定程度は国が責任を持つということによって、よりこれを拡大することができる。そういう点で私はお尋ねをしているわけで、あなたがおっしゃるように、みんなの責任でこういう問題に取り組むというのは、まさにおっしゃるとおりですから、それは私、否定いたしておりません。  ただ、いろんな問題の解決に当たって、ややもすると民間の方に任せて素知らぬ顔なんという姿勢になってはいかぬので、そういう点については、しっかり政府も責任を持ちます、国も責任持ちます、こういう形であわせて進めていくという体制が今日私は必要だ、こう思って、いまの点をお尋ねし、私の主張をいささか述べさしてもらったわけであります。  いずれにせよ、もう時間がなくなりましたが、私は、大臣に強く要請をいたしておきますが、この種の国際行事というのは、ややもするとおざなりで、やや形だけ整えてお茶を濁すといったようなことに傾向としてなりがちでありますが、この障害者対策というのは、わが国にとって福祉国家の面目をかけての大事な仕事の一つだというふうに考えます。厚生行政には非常に卓越した力を持っておられるばかりではありません、鈴木内閣の有力な閣僚の一人として重大なポストを持っていらっしゃる大臣にひとつ大いに期待をしたいのでありますが、いま事務当局からの、やや木で鼻をくくったようなあいさつではなしに、何とか検討をしてみたいと思っている、なかなかむずかしいがという前置きはありますが、そういうお答えがありましたから、そこに私は期待をして質問を終えたいと思うのですが、私の申し上げた趣旨が、時間の関係で本当にごく一部の点にしかしぼることができませんでしたが、申し上げたかった趣旨は御理解がいただけたと思います。大臣の御所見を承って終わりにしたい、こう思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言の趣旨は十分理解をいたしたところで、特に今年度の国際障害者年、これをむだに過ごしてはならぬ。これを元年にして真剣に長期の計画で臨めという御指摘の点を十分守りながら努力をいたします。  なおまた、割引の範囲の拡大等についても、一挙にはできないかもわかりませんが、逐次、運輸省を初め関係当局に相談してまいる覚悟であります。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて島田琢郎君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 本年度の予算案につきまして、老齢福祉年金及び児童手当等につきまして、多くのいろんな議論がなされてまいりましたが、そういう議論と社会的背景の中で、いわゆる制度の見直し論や、それから所得制限の強化等もこれあり、大臣としては大変なる御努力をなされたと聞いておりますが、その重点はどこにあったのか、御所見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 財政再建のために非常なやりくりをしていることはよくわかります。しかしながら、財政再建で赤字を解消するためには、ほっておくとどうしても一番弱いところにそのつらさ、しわ寄せをされるわけであります。しかしながら、そういうときこそ社会福祉事業というのはきわめて大事であって、こういう人々に支える棒あるいは覆う布、こういうものを準備してからそういうやりくりはすべきものであると考え、そこを何とかして守ろうということが、今度の予算編成のときの重点でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 いまお述べのとおり、大変造詣の深い大臣に恐縮でございますが、老齢福祉年金は、設立の経緯といいますか、その趣旨から見ましても、受給者の方々は、わが国の一番大変な時期に、いまでは想像もできないような御努力によって、今日のわが国の発展の基礎を築いてこられた方々に対するものである、こういうように私は認識しております。また、児童手当につきましても、児童の健全育成という法の精神からも、そのほか多く述べることはありませんが、すなわち、わが国の将来の発展のためにある、このように聞いております。この二つの福祉政策は、今後の社会変化の中でも重要なものでありますし、なお、急速に訪れるであろう老齢化社会を考えてみましても、このたびのそれぞれの所得制限の強化という方向はいかがなものだろうか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 年金と児童手当、これが将来の日本の柱になることは、私も、同様に意見を持っております。今年度はいろいろな観点から、所得制限を強めるものは強めるが、そのかわり、そのお金は困った方々の手当の方に回す、こういう方向でああいう処置をとったわけでありますが、問題は、今後これをどうするのかということが一番大きな問題であると考えます。  児童手当については、今後私は、これを足がかりとして抜本的な改革をやれという児童審議会の答申をそのまま実行すべきであると考えるし、政府部内としては、これに反対の意見もあるというのが実情でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 福祉の根本は、やはり国の政治の責任であり、当局の厚生省としては、所得制限の強化は仕方ないというような意味のことを大臣はいまおっしゃいましたが、それぞれの受給者が大変減少しております。こういう状況を見ますと、厚生省としては、先ほどの弱い者を守るという大臣のお気持ち、これがあるならば徹底的に守ってやらなければならないし、そういう中で不公平や不満が起こらないようにすべきじゃないかと思いますが、重ねてお尋ねします。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言のようにすることが望ましいことであると考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 そこで私、不公平、不満と申しましたから、大臣おわかりになっているかと思いますが、少し例を申し上げておきたいと思います。  いわゆる所得制限が据え置かれた昭和五十年、その当時にさかのぼりますと、ある年老いた夫婦で、当時限度額いっぱいの、たとえば年金収入があった方は、昭和五十一年からわずかな物価上昇くらいの収入がふえたために受給者から外されておるというふうに思います。わずかな収入がふえたことで、税金とかその他の公課もふえて、生活実感からはかわいそうではないか、このような方々には多少の不満は残っておるのではないかと思いますが、残ると思われますかどうか、そのことだけ大臣、お答え願いたい。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 年金その他各種の所得制限がございますが、特にただいま先生年金のことをおっしゃったわけでございますが、年金につきましては、これは社会保険としましてどうしても画一的な給付にならざるを得ないと思います。そういったことで、先生おっしゃったような例もないわけではございませんが、従来から、こういったやり方で所得制限を設けているわけでございますので、また、その所得制限の額もある程度余裕のある額をもって設定いたしておりますので、こういったことは画一的な社会保険としてはやむを得ないのではないかというように思っているわけでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 私の質問によく答えてください。あなたどこの人か知らぬけれども、昭和五十年に所得制限額いっぱいであった人が、収入がふえれば対象からのくじゃないですか。だから、そういう人はやはり不満があるのはある、これは当然だれが考えてもそうですよ。——大臣、わからぬ人に答弁をさせてもわからぬと言うから、私の求めておるものを簡単に言ってくださいよ。それじゃ不満は残りますね。もう一遍残るか残らぬかだけ……。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 先生御指摘のような場合もあろうかと思います。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 そこで、給与所得以外の商売なんかやっておられる方と比較しますと、なお、その不満、不公平というものも出てくるわけです。なぜかといえば、事業所得の場合は、収入所得の一〇〇%捕捉が困難であるという現実がございます。これはしばしば所管の大蔵大臣が予算委員会等でも認めております。ですから、いまの捕捉困難なものはありますけれども、それをおいて、仮に収入所得が一〇〇%捕捉されておる場合でも、次のような大変な不公平が起こります。  ですから、主税局に来てもらっておりますから、ここで一つの例を主税局の方に所得と税額だけ御確認いただきたいと思います。大臣、聞いておってください。  まず、給与所得者で世帯構成が六人で本人が老齢福祉年金受給者、その人の年収入が八百七十六万円とすれば総所得が六百八十三万円、こうなるのです。そして所得控除が百八十五万円、これは幾らか多い、少ない人もありましょうけれども、一応百八十五万円と仮定すれば、課税所得が四百九十八万円で所得税は八万六千五百二十円です。そこで、この所得税八万六千五百円を、同じ負担をする事業所得者を見てみますと、ただ、事業所得者の場合は、長男が専従者として給与をもらっているという条件です。これは商売をやっている以上はそうなります。そこで、この同じ所得税を納める事業者の場合は、扶養控除が一人分減りますから、控除の合計金額が百五十六万円となり、総所得は六百五十四万円となると思いますが、この点主税局、大体間違いありませんね。間違いあるかないかだけ言ってください。大体その辺だと言ってください。——それでは続けましょう、これは大体間違いありませんから。  ここで申しておるのは、給与所得の場合と事業所得の場合では、そこにどうしても扶養家族の関係で二十九万円総所得に差が出るということです。ですから、簡単に言えば、事業所得の場合は二十九万円までまだ受けられるということですね。  この二つの例を見ますと、事業所得者は、給与所得者と総所得において二十九万円の差があります。すなわち約三十万円ですね。事業所得者の場合は、収入所得が正確に把握されている人であっても、三十万円までは収入所得が多くなっても受給の対象者になるということですから、不公平ではないですか。そして現実には、事業所得者の方は、長男が専従者でおりますから、その専従者が百万円給与を受けておるとすれば、その所帯の収入は、いわゆる給与所得者に比べて百三十万円まで多くありながら実際に受給者のあれを受けられる。しかし、そこの生活実感からいえば、まだ相当の差が出るのですけれども、仮にそれがなかったとしても百三十万円、給与所得者よりも所得が多くても受けられる、こういう不公平がありますが、これはどうでしょうか。所得税は同じだということで、総所得についてそういう差があることを認めますか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 先生は、税の関係については非常に御専門と承っておるわけでございますが、私も、余り詳しゅうございませんので、ただいま先生おっしゃいました点、また、いずれよく研究してみたいと思います。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 大体、大臣はうなずいておられますから……。  給与所得の場合は、給与控除分を引きまして、その所得ですね。ですから、法律には所得で限度額を決めてあるわけです。ですから、事業所得の場合、専従者がおる場合は、当然、その人は扶養控除の中から外れて、そのかわり専従者給与を受けている。その場合は、総所得が給与所得の限度額の人より下がっても受けられる。しかし、実際の収入所得は百三十万円多い。そういうことを言ったわけです。  そういう状況で、今度はまた六百万円未満という段階をつくって支給するということになりますと、先ほどの給与所得と事業所得の場合、それから、また専従者がおる場合、こういうことで不公平の上にさらに不公平をつくっていくということになります。児童手当の中においても、そういうことが繰り返される。特に先ほどからお話がありますように、ことしは障害者年ということでございますが、この障害者関係の年金等においても、はなはだ不公平といいますか、そういうものが起こってくるのです。  そこで、具体的なあれは述べる時間がございませんが、大臣、たとえば障害者年にこういう不公平をさらに拡大するような所得制限については問題があると思いますから、いまからまた申し上げますけれども、もう少し聞いていただきたい。  いま私が例を申し上げたことは、いわゆる所得制限を据え置くということについての一つの不満といいますか、そういうものがある。その制限を今度は強化する。ことしみたいに二つに分けていくということに対してまた不公平が残る。それと先ほどから言いますように、給与所得と事業所得の場合には、さらに——さらにと言うとあれですが、不満、不公平が残る。さらにまた先ほど大臣が、財政再建ということはあるけれども、弱い者を守ろう、こういう立場からいきますと、課税最低限が据え置かれておりますから、また実質的な生活実感の上からは大変な不満が起こって、放置される、こういうことになります。  この福祉ということにつきましては、私なりに乏しい知識もございますが、福祉の面における行政サービスの向上というのは、私は、政治の責任であろうと思いますが、いかがでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 今度の予算編成で他の部分はかろうじて守ったわけでありますが、いまの所得制限の点で最後に私はおりざるを得なかった、それは御指摘のとおりでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 大変がんばっていただいた大臣にまた重ねて恐縮でございますが、私が言わんとしておりますのは、いわゆる所得制限の強化をことしやるわけですが、そういうことによって不公平はさらに大きくなるのですが、その辺はほっておくのでしょうか。これはまた来年はどうなるのでございましょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ことしの予算編成では、所得制限の三年間の足踏みに続いてこれを強化されたということについては、その強化した分を手当の方に、さらに困った人に回す、こういうことで話がついたわけでありますが、明年度以降の問題は、児童手当というものはさらに充実強化すべきものであって、いまここで足踏みしておるのは、将来の抜本的改革の足がかりだということを主張し、ただし、財務当局は私の意見に賛成とは言わずに、そのまま残っておるわけでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 ここで財政の問題をまた出してもどうかと思いますが、先ほど私が述べましたように、こういう所得制限の強化ということは、厚生省としてはやってもらっては困るともちろんおっしゃったと思いますが、何といいましても、財政が窮屈であるということになって、大臣の御努力にもかかわらず、所得制限の強化がさらにまたされた、段階に分かれていくということですね。それなりにわからないことないのですけれども、その中で先ほどから何遍も言いますように、給与所得者とそのほかの商売等をやっておる方の所得でも格差があって不満が残る。それをなお今度は拡大することになる、その拡大することは、厚生省の立場では認めるわけにはいかないではないかという気が私はどうしてもしてならないんですね。  財政の問題でも、私は、先日大蔵大臣にも、ことしの五十六年度の税制改正の要綱、この見積もり等につきましていろいろ申し上げたわけですが、現行法によります税収の見込みも、三十兆九千十億円というのが出ておりますけれども、まあ、これは大蔵大臣のことですが、大臣と大変親しいお互い税理士の専門家同士でお話しになったときにも、この三十兆円に相当するところに三兆円か四兆円ぐらいの税収はまだ上がるというお話があって、大蔵大臣も、それは大変ありがたいことを教えてもらったというふうなお話もなさって、よく検討しますということでその話が終わっております。  私、その問題を取り上げて、先日、税収の中で法人税、所得税が主なものですから、その所得税、法人税だけでも一兆六千億ぐらいの税収過小見積もりは出てきますよと申し上げた。それを、そのとおりですという御返事ではなかったのですけれども、確かに適正なものにしていけばという前提がついて、認めたとも言えない、認めぬとも言えないようなお話になったわけですが、まあ、そういうこともございますから、大物政治家であり、実力大臣であり、温情もある園田厚生大臣の勇断をもってでないと、こういう問題は解決できないと思いますから、もう一度、最後にそのことをお聞かせ願いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 さらに、この上ともいろいろな手段を講じて努力をいたします。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 次に、私は、職域病院の一般開放についてお尋ねしますが、このことについては、会計検査院が昭和五十二年、五十三年度にわたりまして、公社及び現業の職域病院を調査しました結果、どこも大変な赤字である、そこで、改善策の一つとして地域の住民にも利用できる一般開放をしてはどうかという提言をしております。この病院の開放は、住民も大変望むところでありますし、国の財政にも寄与するし、国民の医療にとっても望ましいことでありましょうし、国民医療に熱心な大臣の御所見をまずお聞かせ願いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 職域病院がその地域の一般の人から開放を望まれていることは、私もよく承知しております。これがなかなか開放に進まぬという理由も、先生は詳しく御存じでありますから、よく御承知だと思います。  一概に言えませんが、関係者、地域との円満な話し合いでこれが開放され、一般の地域の人も利用されることができるように努力をしたいと考えます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 現状を少し述べてもらいたいと思いますけれども、各関係当局は、完全なる一般開放をすることについて大変努力をしておるようですが、この開放がどのくらい進んでおるか、また、いつごろまでにできるのか、また開放ができないというところは、どういうところがネックになっておるのか。まず大蔵省造幣局、そして電電というような順序で簡単に述べていただきたいと思います。

富田駿介大蔵大臣官房企画官

○富田説明員 ただいま御指摘のありました大蔵省関係の病院は、いずれも部内の職員のためのいわゆる職域病院でございまして、現在のところ、印刷局の小田原病院以外はいわゆる一般開放をいたしておりません。しかしながら、大蔵省といたしましては、一般開放を行いまして、病院の有効利用を図り、地域の医療に貢献することは望ましいことと考えておりまして、造幣局の病院以外につきましては、一般開放を行う方向で鋭意努力しております。ただ、造幣局病院につきましては、規模が非常に小さいという問題もございまして、廃止の方向を含めた今後のあり方について現在検討いたしておりますが、その検討の際、一般開放の問題についても検討いたす所存でございます。

澤田道夫日本電信電話公社厚生局長

○澤田説明員 電電公社でございます。  ただいま大蔵省から申されましたように、私ども、電電公社の逓信病院につきましても、われわれの持っております医療資源の地元還元を行いまして地域医療に貢献する、また一面、医療資産の効率的な運用を図りまして病院の収支の改善を図る、両方の見地から一般開放というものを積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  そこで、最近の動向でございますが、昨年の八月一日に仙台にございます東北逓信病院につきまして、医療保険機関の指定を受けまして、地域の方々の診療を開始いたしております。それから伊豆にございます逓信病院が伊豆逓信病院でございまして、昭和三十二年から、これは国民健康保険だけでございますが、地元の方々一般の診療をさせていただいております。なお、他の病院につきましても、病院の事情とか背景になります地域の事情等々ございますが、行政機関あるいは地元団体と十分話し合いまして、円満な形で体制の整いましたところから逐次開放を実施していきたい、こういうふうに考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 時間の関係で、あと郵政とかそれぞれございますが、省略しまして、この職域病院は、いま述べられたように、ほかのところもおおむね開放するという方向では進んでおるというふうに思います。  そこで、ネックになっております。その地域の医療団体との調整の問題がありますが、また反面、住民の強い要望もあります。しかも、政府機関に対するいまの厳しい環境もございます。いわゆる親方日の丸等々の非難もありますし、医療行政を預かる厚生省の強い指導が望まれるところであります。その関係地域の医師会等の指導なりを進めて話し合いをしたことはございますか、お尋ねいたします。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 私どもが直接そういうお話し合いに表向き参加したということは私、聞いておりません。ただ、この種の病院と申しますのは、もともとが特定の職域の職員の福利厚生ということで設けられたものでございますので、そのあたりは、やはり当事者の間の円満なお話し合いということかと思うのでございますが、その地域で医療の供給が非常に不足しておるというような場合には、開放される方向が望ましいと思うのでございますが、一口に病院と申しましても、医療の供給というものにはまたいろいろな局面がございまして、いわゆるプライマリーケアと言われるような基礎的な、初歩的な分野とか専門的な分野、いろいろあるわけでございまして、それは一つ一つの状況で事情もいろいろな違いがあろうかと思います。  現在私どもとしては、地域の医療供給というものについては計画的に整備を進めるということで、都道府県にいろいろお願いをしておるわけでございまして、そういう場面を通じまして必要な助言をするなり努力をしてまいりたいと思います。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 職域病院としてその使命を果たすためには、もちろん、それぞれの機関がそれなりのことをやらなきゃならないわけですが、いわゆる国と関係のある機関の病院ということでいろいろ改善する余地、また要望にこたえられる問題等があるから、医療行政は医師会だけが問題でないと私は思いますし、関係のところとも話を進める方向での指導はしていただいていいのではなかろうか、指導というとあれですが、話を進めていただいていいのではなかろうか、こういうふうに思います。  そういう意味で、同じ政府機関として厚生省の国民医療という立場に立っての強い働きかけをしていただきたいと思いますが、そのことについての厚生省の決意をもう一回お尋ねしたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 地域の医療供給を適切な形で確保していくということは大変大事なことでございまして、これは第一次的には、その地域の自治体の御努力と御協力が不可欠でございます。それにはまた私どもが国の立場からのいろいろ助言をし、あるいは御相談に乗るということも当然私どもの責務でございますので、ひとつそういう地域の医療供給を計画的に整備するという大きな仕事の中で、こういう職域病院の一般開放というものについても、それぞれのケースに即して必要な努力を行っていきたいと考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 厚生省のお役人としては、いろいろなことでその域を出ないわけでございまして、大変残念ですが、国民と政府は一体でなければならぬ、そのことを考えますと、やはり厚生大臣は、勇断を持ってそのくらいの話し合いくらいは進める方向に持っていっていただきたいと思いますが、最後に、大臣のお言葉をお聞きしたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまお聞きになりましたように、職域病院自体は開放を拒んでいるところはないわけでございます。したがいまして、厚生大臣としては、各関係者に強く要望して開放の方向へ前進するよう努力をいたします。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 以上で終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 私は、高齢化社会への対応という面から、主として年金を中心にお伺いしたいと思います。  厚生省が昭和百年を見通した一つの財政再計算というものを厚生年金、国民年金について行ったことを、私は非常に評価したいと思います。  そこで、この内容はざっと見ましたけれども、概括的に、この年金財政の見通しとその対応策についてお答えをいただきたいと思うのです。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 まず、厚生年金の今後の状況をちょっと御説明申し上げたいと思いますが、約二十年後、被保険者数は現在の一・二倍になる見込みでございますが、これに対しまして、老齢年金の受給者は約四倍、給付につきましては五・四倍、こういうような状況になろうかと思います。また三十年後には、被保険者数は一・三倍、受給者数は約五倍、給付費は約八倍、こういう一応の試算をいたしてございます。  また、国民年金につきましては、被保険者数はほぼ変わらないというふうに予測をいたしておりますけれども、老齢年金の受給者数につきましては一・六倍、給付につきましては二・八倍。三十年後には、老齢年金の受給者数は一・七倍、給付費は三・七倍、こういうことで一応の試算を発表したわけでございます。  ただ、これは幾つかの前提条件がございますので、今後、公的年金制度の方向づけと関連をいたしまして、内容的にはいろいろバリエーションがあろうかと思います。  こういったことを一応の前提にいたしまして、この数字で見る限りにおきましては、年金の財政は非常に厳しいものがあろうかと思います。したがいまして、一つには、やはり年金水準をこれ以上落とせない、維持していくという方向で、それに見合った適正な負担をお願いしていかなければならない、また同時に、給付の内容等につきましても、公的年金制度全体の整合性を考えながら、給付の合理化、調整等にも努めていかなければならない、かように考えております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 いま、現在の年金水準を維持していくためには、適正な負担をしなきゃいけないというお答えがありました。今日、勤労者一人当たりの税負担率、そして社会保険料の負担率、これを合わせますと大体一二%ぐらいですね。これはいま、このままでいきますと、これが四〇%ぐらいまで上がってしまうということで、厚生省としては、適正な負担率というのはどのぐらいまでが限界だとお考えになっているでしょうか。  この表を見ますと、昭和百年とかあるいは三十年後というのは、年金だけで三〇%、これは半分としても一五%ですから、租税負担率とかほかの医療の関係の負担から考えますと、恐らく四〇%、五〇%という時代はすぐ来てしまうと思うのです。  これは、たとえば欧米諸国、スウェーデンなどにしても、いまそうした高福祉、高負担が限界に来ていると言われておりますけれども、大体負担率として厚生省としてはどの辺までが限界とお考えか、お答えいただきたいと思います。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 先生御承知のように、現在の年金制度におきましては、長期的な見通しのもとで保険料を段階的に引き上げていく、つまり、給付を受ける世代と、それから、それの負担をする世代との均衡を考えながら段階的に上げていくという方式をとっているわけでございます。したがいまして、現行の水準を維持しつつ給付を行いますためには、それ相応の世代間の負担をしていただくということが必要であろうか、こう考えております。  ただ、保険料としてどの程度が負担の限界であるかというお尋ねでございますけれども、これは単に年金の保険料だけではございませんで、その他の社会保険料の負担もございましょうし、また一般租税の負担その他もございましょう。また、これからの日本の社会が経済的にあるいは社会的にどのように変動していくかということもあわせて考えなければなりませんので、一概に申し上げることは非常にむずかしいと考えております。  ただ、参考までに申し上げますと、現在の西ドイツが、老齢化の度合いが大体日本の倍ぐらいでございますけれども、西ドイツの場合は大体二〇%ぐらいというふうに一応考えられております。これが、その数字が限界だということではございませんけれども、今後、いろいろなことを考えていく上の一つの参考になるのではないかというふうに考えております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 厚生大臣に伺いますが、昨年、法改正のときに、厚生省としては支給開始年齢を六十五歳に引き上げるということにしたわけですけれども、これは各党の反対、特に与党の中にも反対があって日の目を見なかったわけですが、将来の方向としてこの六十五歳に引き上げるということは断念をしたのかどうか、伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 この前の法案提出のときに、六十五歳を六十歳に修正しないでそのまま原案のとおり出して、逆に修正されたことは御承知のとおりでありますが、その経緯は御承知でありますから省略をいたします。将来、この開始年齢について問題が起こる時期があると思いますけれども、ただ、そこで考えなければならぬのは、一方、雇用、就職、定年の問題等を考えて、それにすき間がないようにやらなければならぬと考えております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 はっきりしたお答えはなかったのですけれども、現在のままでいくと、非常な負担になるということでありますから、六十五歳引き上げということは、一つの検討課題として厚生省もやっておられると思うのですが、いま大臣が出されたその定年制の問題についてですが、労働省は、いま定年延長や労働力を、さらに継続して保持していくということのためにどんなことをやっておられるか、労働省からお答えいただきたいと思います。

若林之矩労働省職業安定局業務指導課長

○若林説明員 先生御指摘のように、高齢化の急速な進展と厳しい高年齢者の雇用失業情勢を考慮いたしますと、高年齢者に安定した雇用の場を確保することは、雇用政策上の最重点課題でございます。わけても、私ども、こういったような高齢化社会の中で、できる限り同一の企業で高齢者が継続して雇用されるということが、わが国の終身雇用慣行のもとでも望ましい形態だろうというふうに考えております。  そういうことで、六十年度までに六十歳定年を一般化するということを目標といたしまして、強力な行政指導を展開しているところでございますけれども、そのために、私ども、労使会議の開催でございますとか、あるいは高年齢者の雇用率の達成指導等を通じての定年延長指導等を進めておるところでございますし、さらに、職種や何かの関係で職場の面で改善をしなければならないというようないろいろのところにつきましては、高年齢者の職場改善融資の資金制度を創設して、高齢者の職域を拡大するといったことも考えているところでございます。さらに、六十歳代前半層につきましては、いろいろ個人差が出てまいりますので、一律に定年延長ということはむずかしいわけでございますけれども、定年延長を中心にいたしまして、再雇用、勤務延長といった方策を講じて雇用の安定を図ってまいりたいと考えているところでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 いま東京都区内で高齢者事業団というのができておりますけれども、この実態を調べてみますと、仕事の確保というのがなかなかうまくいかない。仮に確保されたとしても、特定の、たとえば大工さんの技術を持っている人の仕事はたくさんあるけれども、また雑役とかあるいは経理事務とかは比較的需要が多いのですけれども、それ以外の職種はなかなか仕事がないという実態なんです。  今度労働省では、シルバー人材センターという構想を持っているようですけれども、実際のいまの姿と照らし合わせて、これからシルバー人材センターはどういうふうに運営をしていこうとするのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。

伊藤欣士労働省職業安定局失業対策部企画課長

○伊藤説明員 ただいま先生から御質問がございましたシルバー人材センターにつきましては、今後、急速に進展する高齢化社会に対応するための新しい労働施策ということで、労働省といたしましても、非常に重要視して、今後これを拡充発展させていきたい、こう考えているわけでございますが、本年度につきましては、現在まで九十二団体が設立されておりますが、来年度は、これを百五十団体に拡充いたしたいと考えておるわけでございます。  その内容につきましても、現在までのところ、東京都が先進的にやってこられたということで東京都のウエートが高いわけでございますが、全国各地で非常に好評でございまして、ことしはほぼ全国的に行き渡るのではないか、こう期待しておるわけでございます。その内容につきましては、まだ発足後日が浅うございまして、全国的な統計等はございませんが、現在までのところ、平均会員は五百名程度おられるということになっておるわけでございます。  それから、仕事につきましては、働く方と働かれない方、登録だけといったような実態もございまして、月平均四日程度ということになっておりますが、現実に働いておられる方につきましては、東京都の場合は十二日から十四日くらいという実績になっておるわけでございます。  それから、仕事の中身につきましては、先生おっしゃられましたような需要と供給サイドのギャップが若干あるようでございます。それにつきましても、本年度は予算の中に入っておらなかったわけでございますが、来年度五十六年度の、現在御審議いただいております予算につきましては、いわゆる会員の方の技能訓練の費用等につきましても、その補助態様の中に含めるというような形で仕事の面に高齢者の方々の技能なり嗜好が結びつくように、これからも努力していきたいと思っておるわけでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 仏つくって魂入れずということにならないように、すでに実績のある高齢者事業団の実態を十分調査をされて、労働省として仕事の需給のギャップをなるべくなくすように、できるだけ大ぜいの人が仕事につけるような研究を大いにやっていただきたいと思います。  それから、再び年金局長に伺いますが、先日来の議論の中で、いまの八種類の年金制度を統一せよというような主張がありますけれども、たとえば、いま国鉄の年金が破綻しつつあるわけですから、少なくとも第一段階として、官民格差ということを言われますが、とりあえず官だけでも統一したらどうかという点、それからもう一つの考え方は、国民として最低限の部分を統一する、そして付加部分だけ各年金が受け持つというような考え方があるようでありますが、この二点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。

松田正厚生省年金局長

○松田政府委員 私どもは、かねて申し上げておりますとおり、年金制度の将来の方向といたしましては、当面、八つに分かれております諸制度をできるだけ整合性を保つ、そうすることによって将来の方向づけがおのずからできるのではないか、こういうようなことを基本的な考え方にいたしておるわけでございます。  共済組合の問題につきましては、私どもの所管ではございませんけれども、現在大蔵省の方でも、研究会を設けられて、共済組合の今後のあり方について御検討をされていると聞いておりますので、そういった方向づけを見ながら、厚生年金あるいは国民年金との整合性について検討をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、将来の姿といたしましては、各方面から議論がございまして、年金制度の一元化、統合、こういった問題の提起もございます。また、いま御提案のようないわば基礎年金といいますか基本年金といいますか、そういったものをベースにして制度の再編成を考えたらどうか、こういうような御意見もございます。  ただ、これらの御提案の中には、まことに有力な御意見もあろうかと思いますけれども、現実にそれへの移行の問題でありますとか財源の調達の問題でありますとか、実際問題としては非常にむずかしい問題も多々含まれております。そういうことを十分頭に入れながら、今後検討すべき課題ではないかというふうに考えております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 次に、老人保健法に関連した問題ですが、いま厚生省では、この立法の準備を進めているということですが、この事業の内容と、そのねらいを簡単にお答えいただきたいと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○吉原政府委員 現在、この国会に老人保健法案を提出すべく準備、検討を進めているわけでございますけれども、この新しい制度のねらいは二つございます。  一つが高齢化社会の到来に備えまして健康な老人づくりを目指す、そのために医療だけではなしに疾病の予防でありますとか健康増進でありますとかリハビリテーションでありますとか、そういった各種の保健事業を総合的に行う仕組みをつくるというのが第一のねらいでございます。  もう一つのねらいは、老人医療費の費用負担について現在、非常な不均衡、アンバランスが指摘をされているわけでございますが、そういった費用負担の公平を図る、そういったことに第二のねらいを置いているわけでございます。そういったことから、新しい制度におきましては、医療を初めといたしまして四十歳以上の住民の方々を対象にして健康教育でありますとか健康相談でありますとか健康診査、機能訓練、訪問指導、そういった各種の事業を総合的に実施いたしたいというふうに思っております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 ここでつかぬことを大臣に伺いますが、大臣は、何か朝五時ごろから剣道の訓練をしているということであります。今度の老人保健法の考え方として、健康な老人づくりということで四十歳以上の健康ということを非常に大きな柱にしておりますが、大臣は、日ごろ訓練している場合と、そうでなくてただぼんやりと過ごしている場合とで、後年になってどれくらい体力差というものが出るとお考えですか。御自分の体験でどうお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 何でもそうだと思いますが、人間の体と頭脳は、しょっちゅう使っておれば一つも不便を感じない。ところが、しばらく休むと、そこで停滞をして筋肉はかたくなる、骨はかたくなる、頭は動かなくなる。こういうことで二十代、三十代、四十代、五十代と、一番若いときには半月ぐらい休んでもすぐまた元気になりますが、四十代になると、一週間休むと体が痛くなるということで、運動することによって抵抗力はできるかもわかりませんが、体力の蓄積はできない。それを焦らず、あきらめず、やめずに、絶えずやっているところに一つの効果がある。したがって、老人の健康づくりというのは、いま各所でヘルスクラブというのがありますが、ああいうのを頭に描きながら進めていきたいと考えております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 そういう考え方はもっともだと思います。  そこで、いま中年、高年の人たちの健康づくりということは、文部省でも労働省でもやっておられると思うのですが、各省でいまどんなことをやっておられるか、参考までに聞かしていただきたいと思います。

戸村敏雄文部省体育局スポーツ課長

○戸村説明員 ただいま大臣がお答えいたしましたような趣旨を踏まえまして、五十五年度からでございますが、市町村が高齢者を対象にスポーツ教室を開催する、あるいは各種のスポーツ大会を開催する、さらに健康とか体力に関します相談というような事業を実施いたします場合に、それを補助の対象にいたすということを始めておるわけでございます。

林部弘労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○林部説明員 お答えいたします。  労働省の立場といたしましては、年齢をとるに従いまして人間の生理機能は低下いたしますので、生理機能の低下は、結局、労働適応能力の低下ということになりますから、できるだけ若いうちから健康づくりに意を用いることによって、高齢に達しても労働適応能力の低下が防げるということであれば、それはまことに結構ではないか、そういうような角度から、五十四年度からでございますが、中高年労働者の健康の維持増進を図るために中央労働災害防止協会においてシルバー・ヘルス・プランという事業を進めておるところでございます。この事業は、三十五歳以上の労働者を対象といたしまして、生涯を通じましての健康づくりを目標とするものでございまして、各種の施設を有しますところで、健康教育、運動指導といったものを二つの大きな柱といたしまして、労働者の健康づくりに資するようにいたしたい。そのほかに、職場の健康づくりを進めるという意味で、健康づくりリーダーの養成等によりまして、職域における組織的な健康づくり運動を推進いたしたい、そういうような見地から行っておるわけでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 いま、文部省、労働省から聞いたわけですけれども、今度やろうとしている四十歳以上の健康な老人づくりは、厚生省とどういうふうに違うのか、その辺明確にしていただきたいと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○吉原政府委員 私どもが考えております健康な老人づくりの重点といたしましては、心臓病とか高血圧という循環器の病気が老後の疾病の大半を占めているという実態に着目をいたしまして、循環器の病気の予防というものに重点を置いた健康づくりというものをやりたいというふうに思っておるわけでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 よくわからないのですけれども、具体的にどういうことなのでしょうか。労働省は、主として職域を対象とした対策のように伺ったわけですし、それから、文部省の方は各市町村で地域的にやるいろいろな健康づくりの援助というふうに受けとめているわけですけれども、厚生省がやろうとしているところというのは、そうすると、循環器に何か欠陥のある特定の人だけを対象とする考えなのですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○吉原政府委員 私どもが考えております健康づくりの対象といたしましては、まず職域につきましては、いま労働省から御答弁がございましたように、ある程度の健康管理が行われている。ところが職域以外の、地域の四十歳以上の主婦の方でありますとかあるいは自営業の方につきましては、そういった健康管理体制が十分できておりません。そういったことから、まず私どもが考えておりますのは、地域の住民を対象にした市町村による健康管理体制というものを、この制度においてつくり上げていきたいということでございます。  それから、健康診査の事業の内容といたしましては、先ほど申し上げましたように、脳卒中でありますとか心臓病でありますとか、そういったものが老後の病気の健康障害の大半を占めている、その発生をできるだけ少なくするということが大事でございますので、そういったものを中心にした健康診査というものを行いたい。それは現に病気を持っておられる方だけではございませんで、一般の現在健康な人に対しても、そういう健康診査を、定期的に年一回程度はやっていくという仕組みをつくり上げていきたいということでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 これからの年金あるいは雇用の問題を考える場合に、老人をできるだけ健康に生きがいのあるものにという願いは、各省すべてに関連する問題であります。厚生省が今度せっかくこうした新しい考えでやられるわけですから、文部省なり労働省とよく連絡をとって、広く国民の健康増進に寄与できるような体制をつくっていくべきだと私は考えますが、大臣いかがでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 文部省、特に労働省とよく関係を密にしてすき間がないように、しかも、むだがないようにやっていくことがきわめて大事でありますから、御発言のとおり、よく連絡をして企画、実行いたします。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 最後に地方事務官の問題です。  いま労働省あるいは厚生省には、どんな事務官が何人くらいいるか、それぞれお答えください。

正木馨社会保険庁長官官房審議官

○正木説明員 まず、社会保険庁の厚生関係のお答えをさせていただきます。  五十五年の十二月末現在でございますが、都道府県の保険課、国民年金課、それから社会保険事務所に勤務します社会保険関係の地方事務官が一万五千七百六十五名でございます。

齋藤邦彦労働省職業安定局庶務課長

○齋藤説明員 労働省関係の地方事務官でございますが、五十五年度定員二千三百四十九人ということで、都道府県におきまして職業安定法、雇用保険法、労働保険徴収法等の施行事務に当たっております。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 勤務の実態ですけれども、ほとんど地方自治体の職員と同じようにやっているんですね。そして国家公務員ではあるけれども、給料も実際には大体地方自治体の職員と同じ金額をもらっているということですから、私はかねがね、こういう人たちは地方自治体に移管すべきであると考えておりますけれども、これについての考え方、これはどちらからでも結構ですから……。

正木馨社会保険庁長官官房審議官

○正木説明員 地方事務官の勤務関係でございますが、身分が国家公務員でございますので、国家公務員としての給与と勤務条件でございますが、ただ、都道府県に勤務いたします政府職員の勤務時間、休憩時間に関する省令というのがございまして、地方によって勤務時間等の違いがございますので、それは当該都道府県の例によるということでやっております。  それから、ただいま先生お話しの地方に移したらどうだということでございますが、これは先生十分御案内のとおりでございますが、社会保険関係で申しますとたとえば健康保険あるいは厚生年金保険、船員保険、国民年金、これは全国統一的に保険料を徴収し給付するという仕事でございます。そこで、社会保険の仕事で申しますと国が保険者といいますか経営者としての仕事をやっていくわけでございます。そういう意味から、これに従事する職員につきましてもやはり国の責任体制が全うし得る形でという方式がどうしても必要になってくるのではないかというふうに思っております。  なお、この問題につきましては昭和二十二年以来いろいろ議論されて、いろいろな沿革がございます。私どもはこの業務の性格並びに国民サービスの向上という面で的確な処理をしていかなければならないという考え方で対処しておるつもりでございます。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 時間が来ましたからやめますけれども、まだまだ追及したい点があります。特に、年金がどんどん成熟していきますと窓口を訪問する住民が非常にふえていくわけですよ。従来厚生保険は会社相手の仕事がほとんどだったわけですけれども、最近、退職して個人でいろいろ社会保険事務所なんかに行く人がふえているわけですね。六割ぐらいはそういう個人相手の仕事になってきているわけです。そういうときに、社会保険事務所がどこにあるのかわからない人がいっぱいいますよ。それでしたらむしろ区や市の窓口へ全部移管をして、そういうところで扱った方がよっぽどいいと思うのですけれども、これはいま第二臨調も発足を控えておりますし、それから日本全体に行政改革を求める声が強いわけでありますし、住民のサービスという面からいっても厚生省、労働者はここで思い切って、特に一万五千人を超える厚生省の地方事務官をできるだけ早く地方へ移管すべきだと私は思うのですけれども、大臣どんなお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 この問題はいま事務当局からお答えしましたとおり、歯が立たないほど事務当局の態度はかたくて厳正でございます。しかしながら、これは昨五十五年の十二月の閣議決定によって、厚生省関係の地方事務官制度の取り扱いについては引き続いて関係各省庁間で協議をする、こういうことになっておりますので、よく協議をしたいと思います。

小杉隆新自由クラブ

○小杉分科員 終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて小杉隆君の質疑は終了いたしました。  次に、三浦隆君。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 いつでもどこでもだれでも医療が受けられるということが医療制度の根本にあります。これから特に救急医療についてお尋ねするわけですが、初めに救急医療の基本的な考え方についてお伺いいたします。  戦後、社会の大きな変革の中から人権意識が大きく盛り上がり、交通事故その他不慮の事故による傷害あるいは休日や夜間において発生する急病等に対処するため、救急休日夜間医療体制の整備充実が強く叫ばれるようになりました。にもかかわらず、わが国の救急医療体制の整備が欧米に比べおくれたのは、一つには車の激増に伴う交通傷害に対して主として私的医療機関に頼ってきたこと、また国民皆保険制度はしかれても医療の供給体制整備への発想が不足していたことなどにあったと思います。それでも現在では整備計画の実施に伴い、全国的に一応の体制は整ってきました。しかしなお、救急医療体制が完備されていれば治癒し得るはずの病人が救急医療体制の不備のため死亡する例はいまでも少なくないと言われます。もとより交通事故やその他不慮の事故については、事故の未然防止が完全になし得るにこしたことはありませんが、不幸にして事故等による傷病者が出た場合、また脳卒中、心筋梗塞などによる急病人が出た場合には、その被害等を最小限にとどめることが必要です。そしてこれらの傷病者等に対して迅速かつ適切な医療を行うための体制の整備充実をこれからも強力に進めていかなければならないと思います。  そこで第一に、救急医療の考え方として英語で言う救急医療、すなわちエマージェンシー・メディカル・サービセス、EMSと同じく、狭義の医師の行う医療よりも広く救急搬送、病院前救助なども含め、広義にこれを理解すべきではないか、第二に、これからのあるべき救急医療体制に向けての整備計画とその見通し、第三に、救急医療対策費の昭和五十六年度予算措置についてなど、三点について御意見、御説明をいただきたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 救急医療の必要性、御指摘のとおりの実情がございまして、厚生省では五カ年計画ということで整備に努めてまいりました。私どもが進めてまいりました救急対策というものは大きく言いまして四つの柱を持っておりまして、初期救急医療体制、第二次救急医療体制、第三次救急医療体制いわゆる救命救急、それと四番目に広域救急医療情報システム、そういう四つの柱で進めてまいったわけでございます。     〔主査退席、宮下主査代理着席〕 先生おっしゃいますように、救急というのが医療だけに尽きないことは御指摘のとおりでございまして、こういう施策の展開を通じて関係の政府部周あるいは民間の団体その他の協力を求める形で、広範な対策として進めてまいったところでございます。  次に、この計画の進捗状況でございますが、昭和五十五年に見込まれますもの、さらに昭和五十六年度予算で計画されているものを含めますと、休日夜間急患センターにつきましてはおおむね八割程度、休日歯科診療所、在宅当番医制、病院群輪番制、また共同利用型病院、救命救急センター、こういう項目につきましては大体目標が達成される見通してございます。  最後に、救急医療情報センターでございますが、これは四十七カ所の計画に対しまして五十五年、五十六年の見込み、計画を含めまして三十一カ所、まだ十六カ所が後年度に持ち越された、こういう状況でございます。さらにこの問題を今後どうとり進めていくかという問題につきましては、昨年救急医療体制に関しまして調査を実施いたしまして、現在その内容を評価検討中でございますので、その結論を得まして、五十七年度以降のこの問題の展開の仕方について十分検討努力してまいりたいと考えておる状況でございます。  最後に、昭和五十六年度の予算措置の状況について申し上げますと、救急医療対策費といたしまして総額百五十三億円を計上いたしまして、五カ年計画の最後の年次の事業を実施することにいたしております。  これを項目別に申し上げますと、初期救急医療体制の面では二十一億三千四百万円が計上されておりまして、休日夜間急患センター四百四十七カ所の運営を行うことになっております。  第二次救急医療体制につきましては四十五億二千七百万円を計上いたしまして、病院群輪番制等三百三十六地区の運営を行うことといたしております。  また、第三次救急医療体制につきましては四十六億九千八百万円を計上いたしまして、救命救急センター六十九カ所のほか新設九カ所の運営を行うことといたしておるわけでございます。  また、救急医療情報センターの経費といたしましては九億五千百万円を計上し、全部で三十一カ所の運営が行えるようになっているところでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 次に、救急医療に関する法制化についてお尋ねいたします。  救急医療に関する国庫補助事業として、現在、休日夜間急患センターの施設整備費、設備整備費及び運営費に対する補助事業、在宅当番医制運営費補助事業、病院群輪番制運営費補助事業、救命救急センターの施設整備費、設備整備費及び運営費に対する補助事業などがあり、その経費分担の割合は、国三分の一、県三分の一、市町村三分の一で行政機関の対応にゆだねられています。一般に行政機関が経費分担をするためには、国、県、市町村の責任の所在、分担割合等を明確にする必要がありますが、現在では法令上の定めがないため、特に市町村のレベルでは議論の分かれるところとなり、さらにこれらの施策を実施するためには、多額の経費すなわち設置費、運営費が必要となるので、市町村での予算化が図りにくい状況です。  そこで、国、県、市町村の責任分担と医療機関の果たす役割りを明確にするため、救急医療に関する法制化を行い、その実効を上げたらよいと思うのですが、いかがでしょうか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 まず補助率の問題でございますが、これは現在御指摘のとおり、国、県、市町村が三分の一ずつとなっておるわけでございまして、これは必ずしも確たるこれでなければならないという根拠があるということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、やはり事業の中身、性格から申しまして、国、都道府県、市町村、それぞれの主体責任を自覚いたしまして応分の負担をするという構えをとるところにこの事業が円滑に発展するいわれがあるのではないか。この補助率を改めるかどうかということについては、現在のところ考えていないのでございますが、三者のそれぞれの責任を明らかにし、またこの事業に対する熱意をあらわす一つの数字ではないかと私どもは考えているわけでございます。  こういうものを法制化するかどうかという点につきましては、補助率に限らないのでございますけれども、救急医療と申しますのはそういう国、自治体、医療を提供する側、さらにはまた医療を受ける側、それぞれの立場の者がわが国の救急医療の体制をよりよく持っていくというところに一つの熱意と努力がある、そしてそれを協力して進めていくというところに重要な点があるのではないかと考えておりまして、これを法律によって義務づける、あるいは画一的に決めるということが必ずしも実体的な意味での救急医療体制を進めるゆえんであるかどうかについては、慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 次に、救急医療にかかる国庫補助単価の引き上げについてお尋ねいたします。  休日や夜間の診療体制を確保するには、医療機関側に不採算性が強いので、これを補うために救急医療体制を実施するための経費を行政機関が対応せざるを得ない状況にあります。しかも経費が多額のわりには、現行の国庫補助単価は実情に反し余りにも低額です。たとえば横浜市の場合、病院群輪番制の実情は、一診療日当たり夜間単価が十二万九千円かかるのに対して、国の補助単価は六万円にすぎません。このため、国、県並びに横浜市の負担額はそれぞれ六万円の各三分の一ずつで各二万円となるはずですが、市の計算によれば、十二万九千円から四万円を差し引いた八万九千二百円となります。  また、休日診療所の運営費は、一カ所あたり一千百五十五万三千円が実際に必要ですが、国の補助は一カ所当たり七十九万二千円にしかなりません。したがって一千百五十五万三千円から国と県からの補助費を差し引くと、市の負担は九百十五万四千円になります、これをパーセンテージにすれば、国六・九%、県一三・九%、市七九・二%の割合です。要は、国、県、市の負担額は三分の一ずつではなく、市の超過負担が多過ぎるということを知っていただきたいと思います。  したがって、現実に市町村の負担となっている超過負担額の軽減を図り、対応しやすい状況にしなければ救急診療のための各種施設を全地域に定着させることはむずかしいと思います。それゆえ第一に国の補助単価の大幅引き上げ、第二に救急医療対策費補助金の補助率を市町村に有利に改善してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。なお、大臣もお見えでありますし、大臣からもいろいろと御意見を承りたいので簡略にお願いしたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 御指摘のように、私どもが用いております補助単価、それが実際に救急事業を実施されます現場において不足しているという御指摘は私どもも承知しているわけでございまして、一応そういう補助単価というものが実際の所要額に足りるようにということで逐年努力をしてまいったわけでございますが、現在なお不十分であるという御指摘を踏まえまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 救急医療がなかなか問題が多いのは、第一の原因はそういうところにございます。したがいまして、今後ともこの補助の引き上げには十分努力をして、現場で大変な努力をしておる救急医療従事者の方々がこれ以上に真剣にやってもらえるように足場をつくりたい、こういうつもりでおります。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 次に、救急医療体制整備計画の内容の充実等につきまして大臣にお伺いいたします。  厚生省による昭和五十二年度からの年次計画を受けて、各都道府県もこれに対応して救急医療体制の体系的整備を進めてきました。このため各都道府県とも現在までにかなりの整備計画の達成を見ています。しかしこの整備計画は、一応昭和五十六年度が最終年度であり、このままでは一部に未整備の地域が残されるおそれもあろうかと思います。特に二次救急医療対策としての病院群輪番制については、都道府県ごとに幾つかの地域設定を行い、その地域内の複数の行政機関及び複数の都市医師会、病院等の相互調整を行い、幹事市町村を決めて実施することとなるため、関係者のコンセンサスを得るための調整に時間を要し、計画どおり実施できないのが実情でございます。したがって、各都道府県の実情に合わせて整備計画の内容の充実と拡充を考慮した弾力的な対応が望ましいと思います。  また、厚生省で整備計画を進めている救命救急センターは、これこそ真の救急医療であり、むしろ休日急患診療や夜間急病センターはその前衛と言ってよいものと思います。しかも真の救急医療は最高の設備、最高の技術が必要であり、全くの不採算医療として私的医療機関ではなかなかなし得るところではありません。それゆえこれからはますます国公立大学の大学病院をより活用し、救命救急センターの充実を果たすべきものと考えます。  なお、文部省と関連するところですが、救命部ないし救命講座の一層の拡充も必要であろうかと思います。  さらに横浜市神奈川区メディカルセンター及び神奈川区医師会の編集によります「神奈川休日急患診療所五周年記念史」によれば、小児科及び内科診療でかなりの成果を上げていることと並びまして、休日診療所という性格もあってか来所患者のうち真の救急患者は一一%で、不急患者もかなりおります。もし他の休日診療所もこれに類するものならば、このままでは真の救急医療に支障を来すおそれもあります。それゆえ医学常識の普及、すなわち患者教育なりを含めて真の救急医療が行われるよう行政指導の徹底を図ることも必要であろうと思います。  以上三点について、大臣からの御所見を承りたいと思います。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 かなり多数の項目がございましたので、私から一応申し上げたいと思います。  御指摘のように救急体制は五年間駆け足で進んでまいったわけでございまして、一応の整備ができたという評価をいただいて大変恐縮いたしておりますが、それぞれの具体的な地域に即して見ますと、まだまだ不十分な点が残されている状況があるということを私どもも承知しております。そこで、先ほどここまでできてまいりました体制整備の評価をいたすために昨年度調査を実施したということを申し上げましたので、今後はその調査結果を踏まえましてこれから先の一層の整備というものはどうあるべきか検討してまいりたいという状況であります。  また、三次救急につきましては厚生省というわけでございますけれども、実際には厚生省だけではございませんで、厚生省所管以外のりっぱな設備、人材を備えた病院にも協力をいただいておるわけでございまして、これにつきましても今後さらに充実する必要があるという点につきまして十分検討してまいりたいと考えております。  また、最後に横浜市医師会でございましたかの御指摘の、患者の中に必ずしもそれだけのりっぱな設備と陣容を要する救急病院に頼らなくても済んだはずの患者がかなりあって、それが結果として救急医療体制の業務の出来高といいますかそういうものを損なっているという御指摘につきましては、これは医療制度全般にわたる問題でございまして、ある患者にとってある医療が必要かどうかということはきわめてむずかしい、患者御本人にはなかなかわかりませんので、医療機関に行ってそれなりの水準の医師の判断があって初めてわかるという場合も多々ございます。これが、患者さんでも当然わかるべきような方までがお見えになるということじゃいかぬわけでございますが、そのあたりは患者の啓発というような方向で対処できる分野が何がしあるという御指摘でございましたが、なかなかこれも持っていき方のむずかしい微妙な問題かとも思いますけれども、せっかくの先生の御指摘あるいは横浜の医師団体の御指摘があるようでございますので、私どももそういう点を検討いたしたいと思います。  また、現在そういう医師団体その他が救急体制についての啓発運動をいろいろやってくれておりまして、国のサイドでもそういう啓発運動をもっと活発にやれという仰せのようでございますが、救急体制ができ上がらないうちから余り啓蒙運動ばかりやるというのもいかがかという状況もございますので、一応の体制が五十六年度で一つの区切りを迎えましたところで、またそういう御指摘のような患者に対するあるいは住民に対する啓蒙啓発も御指摘の趣旨を踏まえて検討させていただきます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 時間の制約もありまして若干早口になったりしておりますことをお許しいただきたいと思います。  せっかく大臣がいらっしゃるわけでして、日本の医療水準の高さあるいは昨今のコンピューターなどの発達、そうしたことを踏まえてより人権の尊重という見地から、これからの救急医療体制整備の内容の充実あるいは拡充に向けましての大臣の一般的な御所見を承りたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言のとおり本年度は五カ年計画の最終年度になりますが、なお救急医療情報センター等重要な事業が残っております。そればかりでなく近々この結果の評価の総まとめができるわけでございますが、それに基づいてさらに急激に前進すべきである救急医療の問題の根幹等が出てまいりますから、これを基礎にして五十七年度もさらにこれを充実強化する方向にまいりたいと考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 大臣にお尋ねいたします。  褒章制度の活用についてでございますが、特に前向きの御見解を承りたいと思います。  実は一昨日の予算第一分科会で、私は社会福祉の向上のため無償で奉仕活動を行っているボランティアの人々に対し褒章への道を開いてほしいと要望したわけですが、政府は褒章の運用基準を改め藍綬褒章授与対象者にボランティア活動者も含める、そうした答弁をいただいたわけです。これと同じような趣旨で善意と使命感に燃えて休日夜間の医療業務や僻地及びタイなどの難民キャンプでの医療業務に携わっている医師などに厚生大臣名による表彰制度の創設ないし適用の拡充を図ることは、これらの人々の功労に報いる意味できわめて意義あることと思います。そうしてこれをさらに進めて藍綬褒章などへの道へとプラスになるようにぜひつなげていただきたいと思うのですけれども、いかがお考えでございましょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 近ごろ医療に対する国民の信頼を失うようなことばかりあるわけでありますが、実は大多数の人々はいまおっしゃいましたようなきわめて奉仕的な精神でやっておるわけであります。これの表彰については全く同意見でございますから、これは絶対に御意見のとおり実行いたします。そして将来のいろいろな制度につないでいくよう検討いたします。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 大臣から大変ありがたい答弁をいただいたと思っております。恐らく医療業務に携わる関係当事者の大きな喜びになることと思います。  それでは、いましばらく時間があるようでございます。警察当局と消防庁の方にお尋ねしたいと思います。時間の関係もありますので一括して質問いたしますのでよろしくお願いしたいと思います。まず警察庁の方にお伺いをいたします。  交通事故による負傷者の取り扱いについてであります。交通事故による死傷者数は、交通事故を未然に防止するための施策が効を示して昭和四十五年度をピークとして減少化の傾向にあります。それでも交通事故による負傷者数は年間六十万人に近く、また昨年度は再び交通事故の増加に伴い負傷者も前年に比べて増加しているようです、救急医療に関連して警察当局より、第一にこの数年来の休日夜間の交通事故による死傷者数、第二に事故により負傷者が生じた場合の対応策、第三にそのほか救急業務に関して何か御意見があればお伺いしたいと思います。  そして消防庁の方にお尋ねいたします。  救急患者の搬送体制についてですが、消防法に救急業務の規定がありますが、救急医療に関連して第一に救急業務の実情、第二に交通事故による頭部外傷等の重症患者の搬送処置、第三に交通事故以外の急病患者に対する搬送処置、第四にいわゆるたらい回しと言われるようなことが原因となって死亡に至るという事実がいまでもあるのかどうか御説明いただき、終わりに救急医療について何か御提言があればお伺いしたいと思います。

浅野信二郎警察庁交通局交通指導課長

○浅野説明員 最初に休日夜間におきます交通事故の発生状況でございますが、死傷者数というより休日については一応件数で見ておりますのでそれで御説明させていただきますが、昭和五十五年中の数字で申し上げますと全体の一二・七%が日曜祭日に発生しております。これはその他の曜日よりも低い数になっております。しかし、死亡事故に限って見ますと全体の一五・六%ということで土曜日に次いでほかの曜日より高いという状況になっておりまして、一般的な人身事故の発生率はほかの曜日よりも低いけれども死亡事故は土曜日に次いで高い、これはずっと同じような傾向を示しております。  それから夜間の交通事故でございますけれども、これも全人身事故の発生件数で見ますと、昨年の例で申しますと昼間が七三・三%、夜間が二六・七%ということでありますが、死亡事故に限って申しますと昼間が四九・二%で夜間が五〇・八%というふうに夜間の方が少しふえております。これは大体五〇%を境にして年によって若干畳の方がふえたり夜間の方が多くなったりということで、大体半分半分の数字になっておる。死亡事故はそういう状況でございます。  それから交通事故の負傷者が出ました場合の私どもの対応策でございますけれども、交通事故が発生しました場合に、警察はその他の誘発事故の防止、交通の原状回復、事故原因究明のための捜査等の活動もございますけれども、やはり人命尊重という立場から負傷者の救護を第一として所要の措置を講じることとしております。事故の発生に際しましては、救急機関と警察とは相互に通報し合っておりますし相前後して現場に到着する場合が多いわけでございますけれども、私どもの方がまず現場に到着した場合には、負傷者に対する応急措置等必要な措置を講じつつ救急車の臨場を待っておりますし、状況によってはパトカー等警察車両によって救護も行うという臨機応変な措置で対処することにしております。  それから先生の第三点目のお尋ねでございますけれども、交通事故において負傷者が発生しました場合に被害の拡大防止というのは大変大事なことでございます。そういう意味で休日、夜間というようなときはもちろん、一般的に救急体制が一層充実されていくということについては私どもとしても大変望ましいことであるというふうに認識しております。

山越芳男消防庁予防救急課長

○山越説明員 消防庁の方からお答え申し上げます。  まず第一点の救急業務の実情でございますが、全国で百八十六万件ほど救急出動いたしておりまして、十七秒に一回の割合で全国的にどこかで救急車が動いているという状況でございます。その内容といたしましては、約半数が急病によるものでございまして、約四分の一が交通事故によるものでございます。  それから第二点の交通事故に関する応急措置の問題でございますが、交通事故による救急患者は挫傷とか骨折、打撲等を受けるものが大部分でございますので、応急措置も出血に対する止血処置ないしは骨折に対する固定措置が中心となっております。  それから急病患者につきましては、呼吸停止とか心停止とかの症状がございます場合には気道確保、人工呼吸、心マッサージ、さらには酸素吸入などの措置をとることといたしておりますが、急病の場合には通常それほどこういったことが多くはございません。  それから第四点でございますが、たらい回しというお話がございましたが、私どもの統計によりますと、五十四年中に転送がなされたものの人数は四万五千五百九十九人でございまして、全体の救急搬送人員の二・六%でございます。この場合転送といいますのは、傷病者を医療機関へ搬送する際に何らかの理由によって一つの医療機関で収容できないために他の医療機関に搬送をするという場合でございまして、とりあえず救急現場の最寄りの医療機関で応急措置をし、その後専門病院に搬送するというような場合もこの中には含まれておりますので、いわゆるたらい回しとはちょっと意味が違うと思います。  それから転送の理由といたしましては、その病院では措置が困難であるとか専門外であるとかいう場合がございます。転送中に傷病者が死亡した事例があるかどうかということにつきましては、救急隊員は医師と異なりまして死亡の確認をすることができませんので、そのような調査は行っていないわけでございますが、医療機関収容時に医師の診断をもとにしまして傷害程度を把握しておりますので、これによりますと、五十四年中に四回以上転送したものが十五人ございますが、そのうち死亡は一名でございます。  それから最後に、救急医療に関する消防庁の考え方でございますが、先ほど厚生省の方からも御答弁がございましたように、さらに今後救急医療体制の充実強化につきまして取り組むようでございますので、私どもとしましてもその成果を十分期待したいと思います。  以上でございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)分科員 救急医療の充実に向けまして大臣より、関係者への褒章の適用などを含めまして大変前向きの御見解をいただきましたことに感謝いたしまして、質問を終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて三浦隆君の質疑は終了いたしました。  次に、田中恒利君。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 保育所と難聴者対策について御質問をいたしたいと思います。  まず保育所でありますが、昭和五十年十一月に幼児の保育及び教育に関する行政監察に基づく勧告が厚生省と文部省になされておるわけでありますが、これに基づいて幼保懇なるものが設置をせられて必要な検討をしていらっしゃるようであります。これがその後どういうふうになっておるのか、いつごろ方向が出てくるのか、まずこの点をお尋ねいたしたいと思います。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま田中先生御指摘の昭和五十年の行政管理庁の勧告でございますが、これは幼児の保育及び教育に関する行政監察結果に基づく勧告ということでございます。これを契機といたしまして厚生省と文部省は、幼稚園及び保育所に関する懇談会を設置したわけでございます。座長は林修三先生でございます。この懇談会におきましては、幼稚園及び保育所を通ずる基本的な問題につきまして、昭和五十二年十月から現在に至りますまで十回にわたって協議が行われたわけでございますが、それ以後、小委員会を設けまして、ただいままとめの段階に入っておるわけです。しかしながらきょう現在におきましてはいまだ結論を得るに至っておりませんが、近くその結論が出るものと思っております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 近くというのは本年度中に出るというふうに理解してよろしいですか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 本年中には出るのではないかと思っているわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 これは勧告がなされて五年たっておるわけでありますが、その間にやはり保育の問題をめぐって行管の勧告事項が大きな問題になっておると私は思います。たとえば長時間保育、夜間保育につきましては、当時からすでに現実にこういう動向があるわけなので、厚生省として十分に保育の実態を把握して、これに伴う必要な対策を立てなさい、こういう勧告内容であったと思います。これに対して厚生省の方も回答していらっしゃるし、毎年予算を中心にして必要な御努力をされていらっしゃることはよくわかるのでありますけれども、特に夜間保育の問題については、厚生省としては幼児の心身上好ましくないという立場をとっておられたようでありますが、しかし好ましくないということだけで済むことでもないのであって、しからば好ましくなければないだけにどうするのか、こういうものが当然求められておったと思いますが、それらの点が不十分なままに推移をして、今日ベビーホテルのような問題が表に出てきて、法改正をしなければいけない、こういうことになっておるわけであります。  私はこの際重ねて厚生省に御要望しておきたいと思いますが、やはり保育需要の実態というものをもう少し的確に厚生省として握る必要があるのではないか、こういうふうに思います。五十一年にも調査をされておりますけれども、あの調査報告を見た限りでは、夜間保育等についての保育実態の報告はなされていない、こういうふうにも読み取れるわけであります。この辺についてはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 まず長時間保育及び夜間保育について申し上げたいと思います。  保育所における保育時間は一日につき八時間が原則でございます。しかし、地域における保護者の就労時間その他家庭の状況等を考慮いたしまして施設長がこれを延長することも可能でございます。それで朝夕の保育時間の延長についての需要に対応いたしますため、最低基準に定める職員定数のほかに、定員九十人以下の施設につきましては常勤保母一名を加算いたしております。また、定員九十一名以上の施設につきましては非常勤保母一名を配置することができるような財源措置を講じております。これを超えてさらに長時間または夜間に及ぶような保育を行うことにつきましては、ただいま先生も御指摘ございましたが、子供の福祉の観点から疑問視する意見も従来からあったわけでございますが、私ども審議会からもそういう御意見をいただいていたこともございます。しかしながら、社会情勢の変化を考慮いたしまして弾力的な対応を検討いたしているところでございます。  次に、乳児保育でございますが、保育所における三歳未満児の比率は、五十四年十月一日現在では在所見数の一四・三%でございます。必ずしも高い比率ではございません。三歳未満児につきましては、子供の福祉の観点から婦人の就労条件の改善を図り、母親みずからが保育し得るような条件整備に努める必要があると考えております。しかしながら、三歳未満児に対するやむを得ない保育需要も現に存在いたしております。特に成長の重要な時期に当たります乳児の保育に十分対応がとれるようにするため、厚生省といたしましては昭和四十四年度より乳児保育特別対策を実施いたしました。来年度におきましても対象の拡大を予定いたしているわけでございます。  なお、ただいま先生御指摘のベビーホテル問題を契機といたしまして、さらに大臣からもいろいろ御指示ございまして、私どもいろいろ検討いたしているところでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 いま局長さんの方から御報告がありましたようなそういう内容は私どももよく承知をしておるわけでありますが、この夜間保育という問題、これはむしろ大臣の方でお答えいただいた方がよろしいと思いますが、理屈はいろいろつきますが、これほど婦人の労働が進出をし職場の環境が多様になってまいりますと、公的な保育所においてもいろいろ問題はあるわけですけれども、これはやはり何らかの形で対応しなければいけないのじゃないか、こういうふうに私どもは思います。単にベビーホテル等に対する公的な規制なり指導なりができるという処置をとるだけではなくて、やはり将来婦人労働の大幅な増加、こういうものを考えますと、夜間の勤務、いま厚生省は、看護婦さんなどに対する事業所に対してはこれに対して必要な処置もしていらっしゃるわけですが、何かこれは考えなければいけないのじゃないかという気がするのです。勧告を通しても一つの方向が出るかもしれませんが、園田厚生大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 保育所が前のとおりに保育に欠けるところのある児童を保育するのが目的であるなどという漢字の保育所から、やさしい、もっとわかりのいいかたかなの保育所に変わる必要があると考えております。数をもっと小さくするとか分散をするとか、それから朝の九時から夕方の五時までなどというお役所みたいなことを言わないで、夜間やるものもあればあるいは夜間と量とやるものもあるというようなことにしなければならぬし、また幼稚園と保育所の問題が出ておりますが、田舎では保育所を単なる保育所ではなくて子供のしつけをする場所だと思って、一生懸命に運動して保育所に入れてもらうことが出てきているわけで、すでに現実の問題として田舎では保育所が幼稚園と同様のことになってきているわけであります。ベビーホテルなども、これを幾らやってみたってだめなんで、こういうところに預ける人がいなくなるように、保育所だとか乳幼児を預かる場所をどんどん小さく手軽に使えるようにしてやることが眼目である、このように考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 私も同じですが、小さくというのは余り保育所を縮小していくというようにとられると困るわけでありまして、そうではない思いますが、(園田国務大臣「そうです」と呼ぶ)ひとつやはり機動的に保育の需要に対応し得るような、社会経済の変化に対応し得るような、そういうものにしていただきたいと思うし、私も実は田舎でありまして幼稚園は余りなくて、行きますと皆保育所であります。そこで、いま三歳未満児一四・何%ということですが、厚生省は二〇%以上を指導しているけれども、なかなかそうはいかぬのでありますけれども、五歳、六歳の就学前の幼稚園に入る子供が入っておるわけですね。そこで、おたくの方も指導せられておるが、保育所の保育内容も単に子供を預かって飯を食わして遊ばせるということだけではなくて、何か質的に教育的な、人間性を伸ばしていくようなそういう方向にだんだん保母さんも動いておると私も思います。  同時に、これももう大臣の方が非常にはっきりすると思いますが、保育所というのはこれからは単に預かる子供だけの問題ではなくて、その地域全体のいわゆる保育センターというか、これからの日本の国民の出発になる人口でありますから、そういう保育の一つのセンター的な機能をそこに持たしていく、こういう方向で保育所というものを本格的に充実をさせていくということが私は必要だと思いますが、これは大臣の方であわせてひとつお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 私が発言したことも、先生のおっしゃることをそのまま言っておるつもりでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 そこで二、三具体的な問題で御質問いたしますが、私などもよく保育所へ参りますと、保母の労働というものが非常に余裕がない、こういう感じを持つわけであります。この保育一元化ということについては、これはいまの法律なり行政のたてまえがいろいろ分かれておるわけでありますからそう簡単にはいかないと思いますが、せめて幼稚園と保育所に働く人々の環境なり労働条件なりというものはできるだけ一元化をしていく、こういう方向に向けなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そういう意味で、たとえば労働基準法上の位置づけから言いますと、幼稚園は教育現場という立場になっておるし、保育所は医療機関に携わるような立場で就業時間なども基準法上からいくと九時間許される、こういうことにもなっておるようでありますが、この労働基準法、きょう労働省は呼んでおりませんけれども、厚生省としてはこの労働基準法上の保母の労働に対する区別、これはどういうふうにお考えになっておるでしょうか。私はこれなども変えていかなければいけない問題じゃないかと思っておるわけであります。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 できるだけ勤務時間につきましても配慮する必要があるということで、実は五十六年度予算におきましても省力化の経費をお願いいたしまして、保母等の勤務時間ができるだけ少ないように配慮いたしているところでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 基準法の改正という問題も私は問題になっていくと思うので、そういう際に、これは細かく言えば施設の労働基準法上の分類ということでは、保育所は労働基準法の八条十三号に該当しておる。幼稚園の場合は八条十二号に該当しておりまして、教育、研究上の事業、こういう位置づけになっておるわけですね。こういう点をやはり一本にしていく、こういう努力をぜひしていただきたいと思いますし、いまことしの予算で四十八時間を四十四時間にということは段階的に処理する、こういうことのようでありますけれども、これは御承知のように四週五休制の問題も新しく出てきておるわけでありまして、この保母の労働時間を四十八時間から四十四時間に、さらに四週五休制へ、こういうふうに向ける場合に当然要員の増加という問題が考えられざるを得ぬと思うのですね。そういうことについて、これは法律で決められてきたわけでありますから、これをどういうふうに、単なる普通の業務と違って人間を預かっておる職場でありますから、そういう職場の実態に合うために思い切って保母の定員増加ということは考えなければいけないと思いますし、同時に四十四年につくられました保母の設置基準六、二十、三十の割合、これももう大分経過しておりますし、おたくの方も予算編成ごとにこのことについて緩和をしてきていらっしゃって、実態はこの形にはなっていない。学校なども四十人学級といったようなものが本格的に動き出すという時代でありますから、思い切って保母の設置基準などを大幅に緩めていくという措置が必要であろうかと思うのでありますが、この辺につきましてはどういうお考えで臨まれるか、お答えをいただきたいと思います。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 先ほども申し上げましたが、昭和五十六年度におきましては業務省力化等勤務条件改善費ということで新たにお願いしておるわけでございます。この経費といたしましては、非常勤職員の増員とかあるいは外部委託になじむ業務につきましては委託する等のことをやりまして、その結果、措置費の上でもできるだけ一日八時間労働ということでできるようにしていきたいというように考えまして、これは年次計画をもって処理していきたいと考えておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘のような方向に現に向かっておるというように御理解賜りたいと思います。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 大臣、これはどういうものでしょうか、労働基準法のたてまえからいきますと、保育所というのは保健衛生事業所のような位置づけになっておるのでありまして、「病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業」こういうところに保育所の職員の労働の分類がなされておるわけでありますが、私はこのことを変えなければいけないと思っておりますけれども、こういう要素が全然ないとも言えません。やはり保育所というところには、学校で言えば養護教諭といいますか保健婦といいますか、そういう種類の人々が必要なんじゃないか。確かに保母はその種のことを一通りわきまえていらっしゃるようでありますけれども、子供の体、病気、ちょっとしたかすり傷などの治療はできても、子供の心身を正常に発展させるというような意味から、養護教諭的な保健衛生的な視点に立つ専門家が配置されるべきじゃないかというように思うわけです。こういう点についても、保育所の要員の充実とあわせて、これはことしの予算でそういう問題が出ておるわけではありませんが、私は日ごろから考えておるわけでありますが、ぜひひとつ頭に入れておいていただいて、こういう面についての何らかの対策を立てていただくことが、老人の医療対策も大切ですが、こういう保育所や幼稚園へ通う子供の医療対策というものは、日本を背負う人間をつくるわけでありますから私はこれも同じように大切だと思いますので、この点を意見として申し上げて、もし大臣に御意見がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 保育所の性格が社会の変化に応じて必然的な変化をしなければならぬ、こう考えてまいりますと、養護教諭みたいなものもここで勉強してみる必要があると思いますが、事務当局ともよく相談して勉強いたします。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 時間がありませんので、難聴者の問題についで御質問をいたしますが、いま日本で難聴者と称する人々は一体どのくらいおるのでしょうか。十分把握していらっしゃいますか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 難聴という定義の範囲その他にも絡むと思うのでございますが、私どもの方で把握をいたしておりますのは聴覚障害者、言語障害者ということで、昨年身体障害者の実態調査をいたしました。総数百九十七万のうち聴力関係三十一万七千人という数字をつかんでおる次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 これは恐らく届け出があったそういう方々だと思います。私ども、非常につかみがたい面ですけれども、特に難聴者というか、先天的な方ももちろんですが、中途で聞こえなくなったという方々が相当身辺にいらっしゃるわけで、関係者は三百万ぐらいおるのじゃないかとこう言っておるようでありますが、相当な人がおると思います。  この難聴者の皆さんでありますが、実は私どもの党の方で、国際障害者年ということで私の県で私ども国会議員が障害者との対話をやりまして、その際にこの難聴者からいろいろな意見が出まして、ぜひ国会の方でもおつなぎをいただきたいということでありましたから私もお約束を申し上げて、専門外ですがこういう質問をさせていただいております。  実はこの間うちから予算委員会の議事録、昨年の分科会などを見てまいりますと大体指摘をされておることでありますが、一つは補聴器の問題であります。補聴器をいわゆる障害者手帳を持っていらっしゃる方に支給されておりますが、強いのと標準と二種類である、なかなかよく聞こえない、こういう話がありまして、補聴器というものに対する開発、いわゆる聴力障害に応ずる開発、しかもこれは専門家に聞くと非常に多様な構造になっておるらしいので、そういうものに伴って多様なものがつくられねばならないし、現にできておる。私も実はこの間、東京のこれの展示会のようなところへ行って見てきたのですけれども、やはり十何種類、私が見たのは十四ぐらいありましたが、そういうふうに非常にたくさんなものが最近日本でも開発されておるようでありますので、支給の補装具の中にぜひこれを採用していただきたいということが一つであります。これは昨年の分科会でもどなたか質問せられて、検討するということになっておったようですが、まだことしもどうも変わってないようでありますので、ぜひこれをお願いをいたしたいし、御見解をお聞きをいたしたいということでありますが、どうでしょう。     〔宮下主査代理退席、主査着席〕

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 御指摘のとおり、いまの交付基準の典型的なものといたしましては箱型の補聴器につきまして普通型と高度難聴型ということで、実際にそれを差し上げる場合には、専門家が障害の程度に応じまして処方なり適合判定をして差し上げるということをやっているわけでございます。昨年から実は耳がけ型、これも対象にするという措置を講じております。その他多種多様ございます。耳穴型というのもあるようでございますが、これは審議会の補装具部会の専門家の先生にお尋ねいたしましたところ、機能的にもうちょっと待ってくれという感じになっているような状態でございます。いずれにいたしましても、補聴器を含めまして補装具のあり方については常に研究をいたしまして、実情に合うように努力をいたしてまいりたいと考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 電電公社お見えになっておりますか。これは電電公社に検討していただきたいと思うのですが、ことしは国際障害者年で、障害者対策というものを政府も関係者が非常に大きな課題にしているわけであります。電電公社も国庫納付金を相当お出しになるということになっておるのですが、この国際障害者年にちなんで障害者に対する、特にいわゆる難聴者、耳の聞きにくい方々に対しての公衆電話をターミナル等に何カ所か設置してもらいたい、こういう声がありまして、これはいろいろ調べてみると地方自治体などではすでに相当やっておるようですけれども、この際思い切って公社の方でこの程度のものはことしの障害者年にちなんで、プレゼントというわけじゃありませんけれども、実施したっていいじゃないかと私ども思うわけですね。  それから、公社の方は老人の福祉電話として「あんしん」とか、難聴者用として「めいりょう」であるとか、こういうふうなものをつくられておりますが、何かたとえば「めいりょう」の方は普通の料金よりも百七十円高いわけですね。こういうのは百七十円ぐらいこれは何とか普通の電話料になぜできないのか。それほど電電公社ももたもたしておるわけではないでしょう。こういう障害者に対して、それこそそういう部面で公社が動いていくというところが国民に対して電電公社の存在を身近にさせるということだと思うのですよ。  ですから、私どもの県でも関係団体から非常に強い要望がありましたので、きょう国会を通して御要望申し上げるわけでありますが、いわゆる公衆電話の配置の問題と、障害者に対する電話料金を普通並みにしていくというようなことについて検討せられたことはあるのか。このことについてどういうようにお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

飯田克己日本電信電話公社業務管理局次長

○飯田説明員 お答えいたします。  まず最初の、先生の御質問の公衆電話のことでございますけれども、これはすでに五十一年から公社としては特別な型の公衆電話、私どもは通称公衆電話「めいりょう」と申しておりますけれども、それを開発いたしまして、これはもちろん公社が独自に開発し、また公社の金でいわば必要な個所に無料でおつけしているというものでございます。  これは五十一年から始まっておりまして、場所といたしましては老人ホームであるとかあるいは身体障害者施設であるとか、あるいはそのほかにも主要な駅あるいは市役所あるいは総合病院、そういったところを重点にしまして、もうすでに一番新しい資料で全国で約三千弱設備されております。  また、この方針につきましては、ことし特に身体障害者年ということも念頭に置きまして、従来ペース以上の増設ということをやっております。したがいまして、これは一般国民の皆さん方に負担なしに、いわば公衆電話として設置しておるというもので、すでに始まっておるところでございます。  それから二番目の御質問でございますが、私どもは一般の難聴者の方に「めいりょう」であるとか、あるいは骨伝導といいまして耳のところで振動で自然に聴覚に伝わるという新型のものを開発いたしまして、すでにこれは昭和五十年ごろから皆さん方に提供さしていただいておるわけでございますけれども、これにつきましては先生おっしゃるとおり、たしか百七十円等々とおっしゃいましたけれども、私ども一応事業をしております立場上、その辺に関しましてはきわめて考えた値段をおつけしておるということで、これは私どもとしてはいまの料金で供さしていただきたい、かように考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 最後になりましたが、厚生大臣に御質問いたします。  厚生省は障害者福祉法の改正をお考えの向きがあると承っておるわけでありますが、これは相当思い切った内容になるのではないかと私ども期待をしておるわけであります。従来の社会復帰面ということだけではなくて、内容的に、この国際障害者年にちなんで難聴者などを含めたさまざまな身体障害者に自信を与えていくような、そういう法改正の方向に努力をしていただきたい、こういうふうに思っておるのですが、関連をいたしましてもし大臣の御所見をいただければ、以上で私の質問を終わらせていただきたいと思うわけであります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 身体障害者福祉の問題につきましては、審議会に審議をお願いしているところでございますが、その審議の結果を受けまして、いまおっしゃいましたような方向で改正の方向に着手したいと思っております。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて田中恒利君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 昭和五十三年二月二十七日の予算委員会の分科会で、わが党の浦井議員が重症心身障害児施設の改善問題について質問をされているんですね。これに対して当時の小沢厚生大臣は「全国の重症施設についてはよく調査をいたしまして、必要な整備をやってまいります。」こういうお答えが出ているわけであります。  さて、この調査はいつ、どのように行われ、また、整備はどのようになっているのか、答弁をいただきたいと思うのです。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 当時浦井先生からの御質問は、重症心身障害児が入っております国立療養所が老朽化しているものもあるので、そういったものについて整備を進めていく必要があるという御趣旨であったというように承ったわけでございますが、まことに恐縮でございますが、手元にただいま資料を持っておりませんので、調べまして後ほど御報告申し上げたいと思います。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 五十五年版の厚生白書を見ますと「在宅の身体障害児は約九万三千八百人であり、これに調査日現在で身体障害児関係施設に入所していた児童約一万七千三百人を加えると、我が国の身体障害児の総数は約十一万一千百人と推定される。」、また「在宅の精神薄弱児(十八歳未満)は約十四万一千七百人であり、これに調査日現在で精神薄弱児施設に入所していた児童約二万八千三百人を加えると、我が国の精神薄弱児の総数は約十七万人と推定される。」こうあるわけですね。これは一体いつの調査なんでしょうか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 四十五年に実態調査をいたしました結果でございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 十年前なんですね、大臣。だから、当時八歳ないし十八歳とされている児童は、現在は十八歳ないし二十八歳の成人になっているわけです。  このときの調査の内容を見ますと、「在宅精神薄弱児について障害の程度をみると、重度の精神薄弱児は約二万二千四百人、一五・八%、中度は約三万二千四百人、二二・九%、軽度は約八万五千五百人、六〇・三%」と書かれているのですね。これももちろん十年前の資料なんです。当然、十年間に変わっていてあたりまえで、固定化しておったらおかしいですね。  その一方で、この五十五年の厚生白書はどう言っているか。「障害者の「完全参加と平等」というテーマを掲げる国際障害者年を明年に控え、障害者の社会参加の拡大という流れが強まる中で、総合的な施策の必要がますます高まってきている。」こう言っているわけです、当然、総合的な施策の前提には調査が要るわけなんですが、その調査が十年前であります。  さて、果たしてこれで国際障害者年にふさわしい総合的な施策ができるのでしょうか。これは大臣のお考えを聞きたいと思うのです。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 先生御指摘のように、ちょうどことしは国際障害者年でもございますが、今回心身障害児並びに精神薄弱者につきまして実態調査を実施することになっております。主として行政機関サイド及び関係団体等から、精神薄弱者あるいは身体障害児等につきまして在宅対策、施設対策を含めましてどのような需要があるかということを中心といたしまして今後の対策を樹立していきたいと思っております。  特に、ただいま先生おっしゃいましたように、国際障害者年ということで十年間の行動計画もこれから立てていかなければならないわけでございます。総理府で総合的に検討されておりますが、私どもも私どもの部門といたしまして、施設の整備その他をこれから計画的に実施してまいりたいと思っております。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 私は、明年に国際障害者年を控えていると言いながら、本来ならその時点でちゃんと直近の調査が終わってなければならないのに、平気で十年前の調査が載っている、これは一つは厚生省のこういう身体障害者並びに精神薄弱児・者に対する姿勢のあらわれではないかと思うのです。それだけやはり、これから調査ですからおくれるわけですね。  そこで私は、特にそういう調査に当たって、もちろん数字も大事であるが、実態が大事であるということで具体的に強調したいと思うのです。  私の地元であります滋賀県は、発達障害を持つ人たちに対する教育、福祉の対策では、精神薄弱者福祉法もなく、ましてや成人施設など全国になかったころから先進的な取り組みをしておったことは、これはもう十分厚生省の方なら御存じだと思うのです。重度心身障害児施設としてはよく知られておりますびわこ学園、精神薄弱児施設の近江学園、信楽学園、落穂寮など、さらには精神薄弱者更生施設としてはあざみ寮、一麦寮など、精神薄弱者授産施設としてはもみじ寮とか信楽青年寮など、それぞれユニークな存在なんであります。  私の住む石部町というところは、このうちの近江学園、あざみ寮、もみじ寮、落穂寮、一麦寮、この五つが集中しているところなんです。ですから私もいやおうなしにつぶさにその実情を知る立場、常にその現場に行き、また職員の方々からお話を聞く、こういう立場にあるわけであります。  時間が多くありませんから一、二の例を引きたいと思いますが、近江学園を例にとってみたいと思うのです。ここは現在急速に成人施設化しつつあります。在園児・者は九十八人なんですが、十八歳以上が三十九人になってきております。約四割ですね。在園年数を見ますと、十五年以上が六人で、最高は十九年六カ月です。十年以上十五年未満が三十四人、五年以上十年未満が四十一人、こういうことになっているのですね。在園はだんだん長期化し、永住化の傾向があらわれてきているのです。  ところが、もともとこれは児童施設でしょう。児童期間だけ預かるということでつくられていうわけです。そのため成人としての生活の場、憩いの場、くつろぎの場、つまり家庭としての要素はもともと持ち合わせていないわけなんですよ。今日よく言われます最低居住水準などはどこにもないわけですね。職員の大変な努力もされているのでありますが、本当に殺風景そのものなんです。  また生活の時間とかスケジュールを見ましても、成人も児童も全く一緒なんです。児童に合わせているのですね。だから朝七時に起床で七時半朝食なんです。九時から十一時四十五分まで午前の作業、十二時から一時まで昼食、一時から三時半まで午後の作業、四時半から掃除、五時半には早くも食事であります。そして八時に就寝、八時半消燈なんです。入浴日は週三回ありまして、その日は夕食が繰り上がって五時になるのですね。成人にしては一日の生活はまことに短く、単調なんです。  もちろん、作業としては、れんがづくり、木工、窯業、織物、農畜産、こういうものがあるわけですね。ところが、これらはいずれも教育的見地から行われているものですから、上げた収益は全部一たん県に入ります、県立なんですから。それで教材費としてまた支出される。こういうふうな仕組みになっておって、働いて報酬を得るという社会的な意味は持ち合わせていないわけですね。果たしてこれで社会への「完全参加と平等」の展望が開けるだろうかと私は常々思っているのですが、いかがでしょうか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 精薄関係の施設におきましても、ただいま先生がおっしゃいましたが、授産関係の施設におきましてはその収益金については関係者に配分することができることになっております。ただ、ただいまのケースは県立施設のことを言われましたので、県立施設としての特殊な事情があるいはあるのかもしれませんけれども、一般論としては私が申し上げたようなことでございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 適切なお答えでは全くありませんが、できるだけ実情を紹介しておきたいと思うので、先に進みます。  次に、重度精神薄弱児の比重がきわめて高くなってくるのです。それは一方で養護学校の整備が進んできたことによって、通園される方が多いことは事実なんですね。したがって、入園者は親ではとうていめんどうの見切れない重度の児童、それからその児童が家庭にいることによって家庭そのものが崩壊しかねないような、そういう状況の場合、そしてまた経済的に非常に困っていて働きに出なければならないために、めんどうを見たくても見れないような場合、こういう場合ですから、結局重度化し、そして直接福祉を必要とするそういう人たちがどうしてもこういうところへ集中してくるのですね。その結果、大変な苦労があるし、またどういう結果があるか。ちょっとこういうことがあったということをお知らせしておきたいと思います。  この近江学園は、園医、お医者さんの定員を一名持っておるのですが、来てくださる方がないので現在空席なんです。ある日、深夜、てんかん発作を持つ児童が発作を起こしました。保母さんは直ちに寮に住んでいる保健婦さんに連絡をとって通常の処置をとったのですが、発作がとまらないので、夜の明けるのを待って指定医であります町の開業医の先生に連絡をとった。その指示で済生会病院に連れていったわけであります。治療を受け、発作はおさまったのですが、病院側も、入院さしても処置することもできないということで、学園に引き取らしているわけですね。夏のちょうど暑い盛りで、クーラーもきいていない部屋で体力の消耗が非常に激しい。目に見えて消耗している。もちろん、それまではスプーン等は自分の手で持てたのですが、それも持てなくなってくる。ちょうどキャンプの予定もあって保母さん、指導員が大量に外へ出ていくということもありまして、やむなく親に引き取ってもらって、そして親元から長浜日赤病院に連れていってもらったわけですね。  ところが、結局もともとの知恵おくれに脳性麻痺がプラスされてきまして、座れなくなる。両手両足麻痺になってくる。こういう状況で、一時は入院していたのでありますが、病院でも専門の機能回復訓練とかあるいは心理発達等に対応する態勢がないので退院させた。再び学園にという親の希望はあったようでありますけれども、しかし学園としても専門の医者はいない、機能訓練の設備も理学療法士もいない。こういう状況では責任を持ってなかなか受け入れにくい、こういう状況になるのですね。  また、悩んでいるのが歯の治療なんですよ。滋賀県は努力して草津市に口腔センターをつくりました。ここに医師会の協力でボランティアとして開業医の医師が週二回出張してくる。そこへマイクロバスで要治療者を一回三人ないし五人、これに一人ないし二人の保母さんまたは指導員がついていくわけですね。お医者さんが交代で来なさるものですから、なかなかなれていただくわけにいかない。保母さん、指導員の介護と、いろいろな特別な装置もしてあるようですが、それを使うのだけれども、やはりコミュニケーションが非常に大事らしいですね。結局、口をあけないで治療できずに帰るのが、一回に必ず一人ぐらいおるというのですね。こういう苦労が非常に多い。重度が多くなってまいりますと、先ほど言った専門スタッフの必要性はもちろんのこと、現在いらっしゃる保母さん、指導員にしても、従来の知識、経験だけではどうしても対応が不十分で、新たな研修の必要性も痛感している、こうおっしゃっているのですね。  こうした施設の直面している困難に対して、政府としても制度上、予算上、もう少しきめ細かく配慮ある対応が必要ではないか。すでに一定の歴史的な経過というものを背負って存在しているこういう施設なんですから、だから机上のプランどおりなかなかいかない。こういう点にこそ、私は厚生省の持ち味が生かされなければならないと思うのです。いかがでしょう。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいまいろいろ精薄児施設の実情について御指摘いただいたわけでございますが、精神薄弱児施設等の介護体制につきましては、児童福祉法に基づきまして中央児童福祉審議会の御意見を踏まえて基準の改定を行っているわけでございます。今後とも必要に応じていろいろ改善してまいりたいと思っております。  簡単に改善の経過を申し上げますと、直接処遇職員でございますが、これは従来入所者七人について職員一名ということでございました。これが三十七年度でございますが、その後三十九年度に六対一というふうに変わってまいりまして、現在は五十一年度に四・三人に一人というように、こういった職員が確保できる経費を措置費で出しているわけでございます。  なお重度の方々も多いわけでございますが、これらの方々につきましては重度加算によって対応いたしまして、必要な職員の確保に努めております。特に重度加算というのはどういうことかと申しますと、普通の入所者の経費、人件費、それからその他の処遇費、それにさらに二五%ないし三〇%の加算をしているという、かなり手厚い加算をしているわけでございます。  それから次に、精神薄弱児・者施設の入所者の医療の問題でございますが、これにつきましては、施設に嘱託医を配置いたしまして、入所者に対する必要な医療を行っております。さらに五十四年度からは、施設入所英児等の日常における心身の状態等を理解しながら診療ができる医療機関といたしまして、各施設が協力医療機関を定めるなどいたしまして、要するに常時施設の入所者の状況を知っているような医療機関をお願いしておきまして、精神薄弱児・者がいつでも必要な医療が受けられるようその確保に努力しているところでございます。  いずれにいたしましても、医療につきましては、嘱託医以外に地域の医療機関の御理解と御協力を得なければならないと思いますので、その点いろいろ私どもも努力しているところでございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 私は決して厚生省は何もしてないとは言ってないのです。ただしかし、いまおっしゃった現行制度のもとで現にこういうことが起こっているのですよという説明をしたのでしょう。これを受けて、では今後前向きにこういうことをしたいと思うのだという答えをわれわれは期待しているのであって、いまの説明は何も説明していただかなくてもわれわれは皆わかっているわけです。時間つぶしですね、残念だと思います。  こういうところで、では職員の労働条件がどうなるか、これも知っておいていただきたい。  ここに一週間の勤務をちょっとお知らせしてみます。断勤務、つまり中間が切れる勤務が出てくるのです。午前の七時から九時三十分、午後三時から八時三十分、こういうのが週に一回ないし二回かんで、その他は午前七時から午後三時四十五分のパターン、それから午後一時から八時三十分までのパターン、それかも午前十一時四十五分から午後八時三十分のパターン、こういうものの組み合わせで週四十七時間となっているのです。そのほかに週一回当直があって、これが夜の八時半から翌朝六時半というのが入る。これにはもちろん宿直手当はつきますが、勤務時間に入らないのです。しかもこの当直のときは二十四時間勤務になります。つまり十一時四十五分出発の場合なら翌日の十一時四十五分まで、こういうローテーションになるのです。  現在のように確かに四・三人に一人にしているかしりませんけれども、先ほど言った、全体として一方に児童あり、一方に成人あり、こういう状況のもとで、婦人の方々の労働は大変なのです。とりわけ結婚でもした日には大変で、結婚したての小さい子供さんを持っている若い御婦人は実につらい勤務条件になるのです。自分の家庭などの条件は全然入れないわけです。病院ですと三交代になっているとか託児所があるというふうなことがあるのですが、そういう点がいまの厚生省の基準では全然できないわけなんです。もともと使命感を持って入っていらっしゃるから、がんばってはいらっしゃるけれども、だからといって、その精神力にのみ頼っているべきではないと思うのです。だから、こういう実情を知って、いま到達している時点からさらに前進してほしい、私はこういうことを言っているのです。いかがですか、一言。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 先生から詳細に実情を承りましたので、十分参考とさせていただき、検討いたしたいと思います。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 それから民間についてもちょっと紹介しておきたいと思います。  先ほど言いましたあざみ寮、もみじ寮ですが、民間はさらに深刻になるのです。あざみ寮の方はもちろん成人施設でありますが、三十二人いまして、そのうちの二十人が十五年以上の在寮者、四人が十年以上十五年未満、十年未満というのはわずかに八人なんですよ。そのために年齢構成では、五十歳以上がお一人、四十歳代が五人、三十歳代が十五人、二十歳代が十一人、こうなってくるのです。一方で児童施設が成人施設化していくと同時に、この成人施設は今度は老齢化をしてきているわけです。これを食いとめようにも、行ってもらうところがいま全然ないのです。退園者は現在のところ全く出てこない。だから文字どおりこれこそ永住の地ですね。  この中で、画一的な施設とかスケジュールのもとで高齢者を抱えていく、そういう寮の困難さを一遍想像してみてほしいと思う。これは職員にかかってくる肉体的、精神的負担というものは大変なものです。だから、私も何遍も足を運んでいるのですが、これはひとつ大臣もこういう施設をぜひ御視察いただきまして、国としてもこういう成人施設の将来にどう対処するか、これはやはり国際障害者年の重大な課題としてぜひ御検討をしていただきたいと思うのです。いかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ぜひ機会を見て現地を視察し、さらに勉強して、ただいまの御発言のような方向で努力をいたします。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 それから、もみじ寮の方は授産施設ですね。ここでは幾つかやっておりますが、特に代表的なのは織物とかクリーニングがあるのです。ところが仕事の確保が大変むずかしいのです。織物の方はここは大変伝統がありまして、東京あたりでも展示会など開いて相当さばいているのですが、クリーニングは、民間の業者にいろいろ協力いただいているのだけれども、その仕事はそう十分じゃないのです。ですから、せっかくの国の援助で授産施設はつくれても、仕事がなかなかとれない、こういう現状であります。また地元の中小業者の温かい理解で一名ないし二名がその寮から職場に通っているという事実がありますが、しかし大企業は全然関心を示してくれない現状にあります。  職員の勤務時間も、近江学園よりさらに悪くて、通常の日勤がすべて断続勤務で、朝七時から夜九時半までの拘束になるのです。そういう保母さんあるいは指導員が、たとえばクリーニングなんかの仕事も一緒にやるわけです。そうしないとこれは商売にならぬわけです。本当にこういうところは大変だと思うのです。  ですから、こうした実情をつぶさに見れば、障害者の仕事の確保の国の施策は、努力はされているだろうけれども、決して十分とは言えない。やはり一度心の通った調査をされまして、せっかくつくった授産施設が本当に生きるように、仕事確保の具体策を少し検討してほしいと思うのです。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま先生おっしゃいました授産の種目の問題は、各地域の施設におきまして園長以下皆さん非常に御努力いただいていることだと思います。地域の実情にもよると思うわけでございますが、また若干申し上げて先生にしかられるかもしれませんが、私ども、施設へ流します措置費の上におきましても、五十四年度から二年計画で作業開拓のための指導員を特に各施設一名ずつ配置するということにいたしまして、これは通常の指導員以外にということでございます。そういうことで何とかこの授産を中心といたしまして施設が十分経営が成り立っていくようにしていきたいと思っているわけでございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 もう少し直接的に経営にプラスになる方法を考えてもらわないと、いまのが決してむだとは言いませんよ、役には立っていると思いますが、もう一つ有効ではないのじゃないか。それと、先ほど三十七年以来いろいろと措置を強化したとおっしゃったのですが、それについて注文があるのです。  近江学園に戻りますが、現在園児九十八人で、直接介護職員は四十五人なんです。だから現実は二対一になっているのです。国の予算はさっきおっしゃったように四・三対一で来ているでしょう。国の四・三対一でいきますと三十一人にしかなりませんから、実際の職員よりも十四人少なくなっちゃうのです。現実この二対一でもさっき言ったようないろいろな問題が発生してくるのですよ。先ほどお話があったように重度加算がついているのですが、八十人分なんです。九十八人全部じゃないのです。  厚生省は知能指数から判断し、食事とか排便に手間がかかる、あるいはてんかんの発作が起こるなどの児童を重度加算の対象にされているようです。それに基づいて児童相談所が認定し、国に申請するのですが、申請した数は九十八人なはずなんです。ここで十八人削っちゃっているわけですね。八十人分で来ておりますのが年間二千六百三十五万なんです。だから学卒早々の職員で単純計算しても、これは十人分にしかならないのです。そういう人ばかりうまく集められたとしても、先ほど言いましたように四・三対一でいきますと十四人足らないところを、重度加算で十人補ってもなお四人足らない、こうなるのですが、そううまく古い人にやめてもらって新卒ばかりにいかない。むしろこういう施設は古い人もおってもらわなければやれないわけです。  実際は重度加算をもらっているのとほぼ同額ぐらいを県が持ち出しているという状況にいまなっているのです。せめて、重度加算九十八人申請があればそれは全額認めてあげましょう、いまの四・三人に一人をもう少し前進させましょう、こういう思いやりがあってもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 私、先ほどちょっと説明が足りず恐縮でございました。四・三人に一人というのは通常の入所者でございまして、特に重症の場合におきましては二・八人に一人、あるいは初年度は二・六人に一人というような形になっております。  ただいま近江学園の場合は二人に一人というように県費を継ぎ足してやっておられるようでございますが、この点につきましては、先ほど私が申し上げましたように全国共通の基準ということでございます。そういうことでひとつ御了解いただきたいと思うわけでございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 重度加算でもいま言った九十八人申請して八十人しかつかない。これはどうですか。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 その点申し忘れまして失礼いたしました。  措置いたしますのは、重度の障害児・者であるということを判定いたしますのは私ども事務的に判定するわけではございません。これも先生よく御承知かと思いますが、各県にございます児童相談所が措置権を持っております。児童相談所におきましては心理的、医学的等の専門職員がおりまして、さらに個人で決めるのではございませんで、判定会議というものを開きまして、そこで最終的に所として決めるわけでございます。そういうことでございますので、私も実情はよく存じませんが、一応適正に判定されたものと考えておるところでございます。

瀬崎博義日本共産党

○瀬崎分科員 これはぜひ調査してください。九十八人申請しているにもかかわらず八十人という実態があるのですから。  時間が来ておりますので最後に大臣に伺って終わりたいと思うのです。  実は私自身も、大学時代非常に熱心なクリスチャンの友人の感化を受けまして、たまたま戦災孤児救済施設を見学した、それに感激しまして、卒業後すぐ、大阪の小学校と寮が併設されました戦災孤児救済施設、助松学園というところに勤めた経験があるのです。もちろん資格は小学校の教師として勤めたのですけれども、何せ一クラス約四十人で、これに教員一人、男子生徒に保母一人、女子生徒に保母一人、こういうぎりぎりいっぱい。当時はそういうことしかできなかった時代ですね。そのために交代で当然教師の方も寮に泊まりに行かなくちゃいけない、また食事とかあるいは学校以外の生活もともにしなければならないというふうなことで、二十四時間勤務が前提になっておったわけですね。  私はもちろんそれを望んで行ったわけであります。したがって、私なども近くに家がありましたが、自分の洗たく等のために帰るというのはせいぜい二週間か三週間に一回と控え目にしておったのですが、それでも子供たちに、先生は帰る家があるからいいな、こう言われて、本当に隠れて帰った記憶を持っているのですよ。五年間勤めまして、その後五人だけ個人的に引き取ったのです。そうして中学校、高校までめんどうを見たわけです。ですから都合十一年間戦災孤児と私は暮らしたわけであります。当時は若いときですから一心不乱わき目も振らずやったわけでありますが、振り返ってみて果たして自分のやったことが本当にそういう子供たちの役に立ったのかな、この点では相当じくじたる反省があるわけです。  私の得ております教訓というのは、そう簡単に親がわりというものは務まるものではない、やはり子供にとって親がないということほどさびしくつらいことはない、これはしみついて離れませんね。そして戦争が始まれば必ずまた戦災孤児が生まれる、障害児・者が生まれる。間遠いない事実ですね。だから戦争と福祉は両立しないとそのとき私は感じました。そういうことが私自身が社会主義に接近した出発点であったわけなんです。  そういう意味で大臣にぜひ伺っておきたいのです。いままた軍拡がどうも福祉に優先されそうな気配を感じる。非常に私は心配なんです。たとえイデオロギー、立場は違いましても、やはり福祉の番人である厚生大臣が頼りなんですから、どんなことがあっても福祉を軍拡の犠牲にしない、こういう決意と行動で臨んでもらいたい。このことが一つです。私自身はそういう体験を持っております。だから先ほど来のああいう答弁は本当は腹立たしいのです。私はもちろん普通の児童の学園に勤めておったのですが、それでもずいぶん苦労でした。ましてやこれが精神薄弱児・者ということになってきますと、職員の苦労は大変だと思うのです。そういう点でももっともっと、国際障害者年らしく、思いやりのある、配慮のある施策というものが厚生省から打ち出されてしかるべきだ、こう私は思うのであります。  以上、二点について大臣の答弁をいただいて終わりたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 感銘すべき御体験を承って非常に勉強になったところであります。私は全然違った立場から深刻な体験を持っております。したがいまして、世界観は違いますけれども結論は同じでありまして、安全保障というのは、戦争のない社会をつくることが最大の安全保障であり、かつまた国の安全保障というのは、個人個人の生命と健康を守る社会福祉が最優先すべきものであるという信念においては、あなたと一つも変わりはございません。微力ではございまするが、そういう点についてはいささかのひるみもなく努力する所存でございます。

上村千一郎自由民主党

○上村主査 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三日火曜日午前九時三十分から開会し、引き続き厚生省所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十八分散会

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