予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 371 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/02/28
会議録
○上村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中厚生省所管について説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 昭和五十六年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。 昭和五十六年度厚生省所管一般会計予算の総額は八兆七千六百四十二億円余でありまして、これを昭和五十五年度当初予算額八兆一千四百九十四億円余と比較いたしますと六千百四十七億円余の増額、七・五%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一八・七%の割合を占めております。 明年度予算は御承知のとおり、厳しい財政事情のもとに編成されたものでありますが、厚生省予算は、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして、必要な施策については所要の予算措置を講じることができ、これにより国民福祉の増進が確保されたものと考えております。 この機会に各位の御支援に対し衷心から感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして、国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力をいたす決意であります。 昭和五十六年度の予算編成に当たりましては、社会保障諸施策について優先順位の厳しい選択ときめ細かい配慮を加え、真に必要な分野に重点的に経費を配分することといたしましたが、この際私の特に留意した点を申し上げたいと存じます。 第一に、本年の国際障害者年を機に、身体障害者対策及び心身障害児・者対策を初め各種の障害者対策をより一層充実するとともに、記念事業として全国身体障害者総合福祉センターの建設並びに各種記念行事を実施することとしたところであります。 第二に、低所得階層、心身障害児・者、老人等社会的、経済的に弱い立場にある人々に対する福祉の確保を図るため、生活保護基準の引き上げ、老人、障害者の生きがい対策の充実、社会福祉施設運営の改善等を図ることといたしました。 第三に、国民の保健医療を確保するため、救急医療、僻地医療体制の計画的な整備、プライマリーケア対症の推進、医療従事者の養成確保と処遇の改善等を行うほか、国民の健康づくりの推進、難病対策等の充実を図ることといたしております。 以上のほか、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、生活環境施設の整備、環境衛生関係営業の振興等につきましても、その推進を図ることといたしております。 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
○上村主査 この際、お諮りいたします。 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔園田国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活扶助基準につきましては、五十六年度経済見通しによる民間最終消費支出の動向等を勘案し、前年度に比し八・七%引き上げることとしたほか、少人数世帯の処遇改善、教育、出産、葬祭等の各扶助についても所要の改善を行うこととし九千九百十八億円余を計上いたしておりますが、これは前年度予算に比し三百五十九億円余の増額であります。 第二は、社会福祉費であります。 心身障害児・者の福祉につきましては、特別児童扶養手当、福祉手当の額の引き上げを行うとともに、新たに補装具として骨格構造義肢の取り入れ、障害者更生センター、身体障害者通所ホーム等の整備を図るほか、障害者福祉都市推進事業、障害者社会参加促進事業及び心身障害児・者施設地域療育事業等の拡充に意を用いたところであります。 老人福祉につきましては、新たに在宅の寝たきり老人等に対し、入浴、給食等の訪問サービス事業を行うとともに、デーサービス事業、寝たきり老人の短期保護事業及び老人の生きがいと創造の事業等在宅福祉サービスの一層の充実を図ることといたしております。 さらに、母子福祉につきましては、母子福祉貸付金の原資の増額、児童扶養手当の額の引き上げ等を行うとともに、妊産婦、乳幼児の健康診査、先天性代謝異常等検査及び小児慢性特定疾患治療研究事業等を充実することといたしております。 社会福祉施設につきましては、特別養護老人ホーム、心身障害児・者施設、保育所等の整備を進めるとともに、新たに四十四時間勤務体制の実質的な確立を図るための初年度分の経費を計上するとともに、指導員、保母等の増員、入所者の処遇改善等の措置を講ずることといたしております。 児童の健全育成につきましては、児童館、母親クラブ等の拡充を図るほか、児童手当については、所得制限基準額を若干引き下げることとした一方、低所得の方々について手当額の引き上げを図ることとしております。 以上のほか、ボランティア活動等の民間福祉活動の推進、同和対策等につきましても、それぞれ所要の措置を講ずることといたしております。 以上申し上げました社会福祉費の総額は一兆四千九百五十八億円余でありまして、前年度に比し一千二百六十一億円余の増額となっております。 第三は、社会保険費であります。 まず、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆三千二百七十二億円余を計上いたしております。 厚生年金保険及び船員保険の年金部門につきましては、物価スライドによる給付改善及びスライド実施時期を繰り上げて行うこととし、その経費として六千九百二十一億円余を計上いたしております。 政府管掌健康保険につきましては、国庫負担五千二百七十八億円余を、船員保険の疾病部門につきましては、二十億円を計上いたしております。 また、健康保険組合に対する給付費臨時補助金につきましては、十五億円を計上いたしております。 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆七千六百九十一億円余を計上いたしております。 このうち、拠出制国民年金につきましては、物価スライドによる給付改善及びスライド実施時期の繰り上げを行うことといたしております。 福祉年金につきましては、老齢福祉年金の月額二万二千五百円を八月から二万四千円に引上げを行うこととしておりますが、扶養義務者の年収が六人世帯で六百万円以上の場合につきましては、二万三千円とすることといたしております。 障害福祉年金及び母子・準母子福祉年金の年金額についてもこれに準じた引き上げを行い、また、障害福祉年金の本人所得制限を大幅に引き上げることとし、所要の経費を計上いたしております。 国民健康保険助成費については、総額二兆三千七十五億円余を計上いたしておりますが、このうちには、療養給付費補助金、財政調整交付金、臨時財政調整交付金、国民健康保険組合臨時調整補助金などの経費が含まれております。 以上申し上げました社会保険費の総額は五兆四千九百三十二億円余でありまして、前年度に比し四千三百三十億円余の増額であります。 第四は、保健衛生対策費であります。 地域医療対策につきましては、医師臨床研修の充実などプライマリーケア対策を推進するとともに、救急医療施設の体系的、計画的整備と運営の充実、僻地中核病院等を中心とする僻地医療体制の体系的整備を推進するほか、医療情報システムについて普及、導入を図ることとしております。 また、がん、循環器病、小児専門病院等の専門医療機関の整備充実を図るとともに、新たに感染症予防情報網の整備を図ることといたしております。 看護婦等医療従事者の養成確保対策につきましては、看護婦等貸費生貸与金の額の引き上げ、看護婦養成所の整備、処遇の改善を図るほか、新たに理学療法士等の民間養成所に対する運営費の助成を行うとともに、歯科衛生士等の養成確保につきましても所要の措置を講ずることといたしております。 さらに、国民健康づくり対策の推進につきましては、市町村保健センターの整備、家庭婦人の健康づくり活動及び市町村栄養改善事業の推進を図ることといたしております。 原爆被爆者対策につきましては、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見を踏まえて、医療特別手当、保健手当加算制度の創設等を含め内容の改善を図ることとし所要の経費を計上いたしております。 難病対策につきましては、調査研究の推進、専門医療機関の整備を進めるとともに、特定疾患治療研究費の対象疾患の拡大、小児慢性特定疾患治療研究費の対象範囲の拡大等の措置を講ずることといたしております。 以上のほか、精神衛生費、公的病院の助成、保健衛生、医療施設等の整備費なども含めて、保健衛生対策費は総額四千九十七億円余でありまして、前年度に比し百二十八億円余の増額であります。 第五は、戦傷病者戦没者遺族等の援護費であります。 戦傷病者戦没者遺族等に対する年金につきまして、恩給法の改正に準じた額の引き上げを行うとともに、新たに義勇隊開拓団員を準軍属として処遇の対象とすることとしております。 また、遺骨収集、慰霊巡拝等の実施のほか、中国孤児対策等の拡充を行うこととし、遺族及び留守家族等援護費として総額一千四百七十一億円余を計上いたしておりますが、これは前年度に比し十二億円余の増額であります。 第六は、環境衛生施設整備費であります。 まず、水道施設整備費につきましては、簡易水道、水道広域化施設の整備等を引き続き推進することとして九百二十五億円余を計上いたしております。 廃棄物処理施設整備費につきましては、廃棄物処理施設の整備を推進するとともに、新たに広域廃棄物埋立処分場を整備するための経費を計上することとして六百四十六億円余を計上いたしております。 以上のほか、食品、医薬品等の安全対策、環境衛生関係営業の振興、国際医療協力等につきましても所要の経費を計上いたしております。 以上、昭和五十六年度厚生省所管一般会計予算案の概要を御説明申し上げました。 次に、昭和五十六年度厚生省所管特別会計予算案について申し上げます。 第一に、厚生保険特別会計につきましては一般会計から一兆三千七百二億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 第二に、船員保険特別会計につきましては一般会計から三百四十億円余の繰り入れを行い、歳入、歳出予算を計上いたしております。 第三に、国立病院特別会計につきましては一般会計から八百四十八億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 第四に、あへん特別会計につきましては歳入、歳出ともに十四億円余を計上いたしております。 第五に、国民年金特別会計につきましては一般会計から一兆七千六百九十一億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 以上、昭和五十六年度厚生省所管特別会計の予算案につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、本予算案の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○上村主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○上村主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 まず、山本政弘君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し参考人として年金福祉事業団理事横田清治君が御出席になっております。 なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。 山本政弘君。
○山本(政)分科員 年金福祉事業団は昭和三十六年に設立されて、厚生年金保険、船員保険、それから国民年金の積立金の還元融資を行ってきておりますが、その主な事業内容としましては、持ち家需要の高進と個人住宅の融資、それから年金受給者への融資、それから大規模年金保養基地の設置事業というふうになっている、こう理解を私はしているわけですけれども、年金福祉事業団がそういう仕事をやっている中で奇異に思うことは、年金福祉事業団の総数に対してプロパーの職員が非常に少ない。 たとえば五十三年の四月一日現在を見ますと、百六十三名のうちに出向が百九名、五十四年の四月一日は百六十五名のうちに百十一名が出向、五十五年が百六十八名のうちに百十一名が出向、五十五年の七月は百七十名のうちに百十二名の人たちが出向ということですね。三分の二と言っていいでしょう。この人たちが全部出向者で占められているという現実はどうも私は納得いかないわけです。これは昨年も社会労働委員会で同じような質問があったときに、出向者の縮減計画については具体的に検討して、民間からの登用について積極的に推進をするという当時の厚生大臣のお答えがあったのだけれども、どうもそれが進展をしていないような気がいたしてなりません。具体的に論議をし、調査をし、対応策が一体とられたのかどうなのか、プロパー職員の採用というのは、女性係員の退職に応じて二名が採用されただけなんです。男子の場合はゼロ、昭和五十年以降一人も採用されておらぬわけですね。しかも総務課長人事のごときは、本省に帰ってまた元のポストへ戻るのに一カ月の期間しかない。一カ月間とにかく元に戻って、そしてまた事業団に帰ってきている、こういう事実がある。 もう一つは、出向職員が出向時に一号俸高く格づけされているという事実もある。そうしてプロパー職員の場合には、中途採用者は前歴換算時に約八割の査定でしか取り扱われていない。世間によく天下りということが言われますけれども、天下りだけじゃなくて、それ以上のことが年金福祉事業団で行われているのじゃないだろうか。 つまり、職員のうちの三分の二が出向職員で占められているという事実なんというのは、私は言葉として妥当かどうか知りませんけれども、いかに厚生省の指導に当たられている皆さんたちが官尊民卑というのか、そういう感じというものをお持ちになっているのじゃないかという感がしてならぬわけです。その辺についての説明をまず簡単にしていただきたいと思うのです。
○松田政府委員 ただいま年金福祉事業団の職員の構成その他について御指摘がございました。先生御指摘の状況につきましては、そのとおりでございます。 年金福祉事業団は、御承知のように社会保険業務と非常に密接な関係がございます関係上、できるだけ経験豊富な者を登用することによりまして、円滑な業務を実施いたしたいということで、当初から相当多数の出向者をもって業務の運営に当たってきたことは事実でございます。ただ、御指摘のようにやはり人事管理の自主性その他プロパー職員の増員等につきましても、御指摘のありましたようなことについてわれわれ努力をいたしてまいっておるわけでございますけれども、定員の枠その他業務の性格上なかなか新陳代謝がむずかしい、こういうこともございます。したがいまして、直ちに全面的な登用ということはむずかしゅうございますけれども、私どもとしてはできるだけの努力をしてまいっておるつもりでございます。 ただ、具体的な人数から申し上げますと、一名、二名、こういうふうなことで、非常に少ないことは事実でございますが、今後ともそういうふうに年金事業団をも指導してまいりたい、かように考えております。
○山本(政)分科員 業務の性格上と言うのですけれども、社会保険業務とそれから要するに年金福祉事業団の業務というものは性格的に違うと私は思うのです、事業団の年報百五十二ページの中に、総務部、経理部、業務第一部、業務第二部、施設部とこうあるのです。その中で、あなたのおっしゃるような社会保険業務というものとの深いかかわりなんてどこにありますか。これは要するに住宅の融資あるいは貸し付け、管理、担保をどうするか、そういうことが主な業務じゃありませんか。ですから、本来の社会保険業務そのものと一体どこに関係があるのかということなんです。 その証拠に、たとえば業務第二部の管理課債権整理係、ここには「延滞、破算、会社厚生等の債権の管理・回収・保全」というのがあるのです。これは一体社会保険業務とどんな関係があるのですか。これはまさしく専門的な知識が要るわけで、社会保険業務に携わっている人とはそんなに関係があるはずはないと私は思うのですよ。最近倒産が多い。そういうことに対して債権を整理するのと社会保険事務そのものと一体どんな関係があるのですか。そんなばかなことはありませんよ。その証拠に、たとえば融資第一課の住宅第一係あるいは直貸係、相談分譲係なんというところにはプロパーの人たちが中心におる。その人たちがおらないと要するにこの仕事がわからぬわけです。にもかかわらず、厚生省か社会保険庁か知りませんけれども、出向の人たちが出てきておるわけです。その人たちがそれじゃ一切の仕事がわかっているのかというとそうではなくて、むしろプロパーの人たちに教わっておるというのが現実じゃないでしょうか。ぼくは実態としてちゃんと調べているのですよ。社会保険業務と非常にかかわりがあるから、だから出向者が多いんだという理屈にはならぬはずなんです。 もう一つは、事業団ができたのが三十六年。いま何年ですか。二十年たっていますよ。二十年たっているのに旧態依然として三分の二なんというのを占めるような人たちが、厚生省か保険庁か知らぬけれども、そこから出てくるなんというふざけたことがありますか。もう一遍答弁してください。
○松田政府委員 個々の業務につきましては先生御指摘のとおりでございます。直接的な社会保険そのものの経験があるなしにかかわらず、たとえば会計事務でありますとか人事の関係は確かにおっしゃるとおりでございます。ただ、全体といたしましてはやはり事業団は社会保険の原資を使い、そしてまた対象者が被保険者あるいは被保険者であった者、こういうようなこともございますので、全体のかっこうとしてはただいま申し上げたようなことで現在まで運営してまいってきたわけでございます。ただ、御指摘のような点につきましては確かに二十年を経た今日いろいろな問題点があることは私どもも十分承知しておりますので、今後具体的な計画を立てながら固有の職員の採用その他につきましては十分相談してまいりたい、このように考えております。
○山本(政)分科員 私は、こういうことについては分科会で去年も話をした。その後一年たって何らそういう具体案が出てないということに対しては、分科会なんというものは一過性で、質問があっても過ぎちゃうんだ、あとはほったらかしておけば、要するにそういう目が届かないからというような感じがあるんじゃないかという気すらするわけです。お願いしたいのは、具体的に案をつくって、そして一遍知らせてください。そうでなければ、二十年たって旧態依然じゃありませんか。こんなばかなことはありませんよ。中身についてもっと申し上げたいのですが、時間がないから……。要するに社会保険の実務と事業団の実務とは内容的に非常に変わっておって、社会保険庁の人が三分の二も出向するようなばかなことはないと私は思うし、そんなことは考えられない。ひとつぜひ具体案を知らせてほしいと思うのです。 そこで、プロパーの職員を採用するということがあるんだと思うのだけれども、これも要するに年金局の方と事業団の方とは食い違いがある。十二月の団交の中で年金局の方が回答されたのは、要するにプロパー職員の採用の時期というものを来年の四月にひとつ考えてみよう、こう言っていらっしゃるようだけれども、事業団は、いろいろと現在検討中であるから再来年をめどにやっていきたいというようなことがあるのです。一体年金局と事業団というものがこういうことに対してちゃんとした連絡があるのかということに非常に疑義を感じます。そういう意味でひとつぜひ注意をしてほしいと思うわけでありますけれども、時間の関係がありますからこれだけ確認したいのです。これは当時の大臣も言われたことでありますけれども、民間からの登用を積極的に推進していただけますね。
○松田政府委員 これから具体的なことで検討してまいります。
○山本(政)分科員 住宅の融資に転貸貸し付けと個人貸し付けとありますね。お伺いしたいのですけれども、個人貸し付けについてはチェックしているのですか。つまりこの人に幾ら貸すという場合に、要するに資格として何年あるというような場合の調査というのはおやりになっているのですか。
○松田政府委員 チェックしております。
○山本(政)分科員 転貸の場合はどうなんですか。
○松田政府委員 同様でございます。
○山本(政)分科員 個人の場合にはやっているけれども、転貸の場合はやってないでしょう。件数として、これもここに書いてあるのですが、表によれば転貸の場合は約三倍弱ですね、年度別にずっと見てみますと。これは本当にやっていますか。
○松田政府委員 被保険者の資格の確認は実施いたしております。
○山本(政)分科員 会計検査院のあれを見ますと、個人のものは出てないけれども、転貸の場合は不当貸し付けがかなり出ておりますね。これははっきりしておきますよ。いずれ決算のときにお伺いいたしますけれども、いま個人のときには照合しているけれども、転貸のときにも照合しておると言うのだったら、もう一遍改めてやりますよ。
○松田政府委員 転貸の場合は当該業務を扱うのは主として銀行になるわけでございますが、それを通じて確認をする、こういう方式をとっておりますので、その限りにおきましては資格の確認がなされている、私どもはこういうふうに思っております。
○山本(政)分科員 時間を厳格に守ってくれと言うものですから、残念ながらぼくはこれ以上申し上げませんが、個人の場合でも、私はこの際は名前は申し上げませんけれども、要するに先ほどの出向人事、私は官尊民卑と申し上げたけれども、チェックをしているならば起きるはずもないような事実がちゃんと起きているわけですね。しかも本当は年月が足らぬにもかかわらず、出向しているからかもわかりません、あえて申し上げます、出向している人だからそういう甘いことをおやりになったのかもわかりません。これは怒られるかもわかりません。しかし、事実、共済年金から厚生年金それから共済年金と入っていて、厚生年金の期限が足らないのですよ。足らないにもかかわらず、最高限度額を貸しているという事実がここにあるのですよ。私が申し上げたいのは、そういうことをおやりになっておって出向人事は三分のの二なんということがある。この三分の二という出向人事、これもぼくは甘過ぎると思うけれども、いまの貸し出しについてもあなた方は非常に甘過ぎると思うのですよ。これはうかつだとかなんとかいうことじゃないんだ。チェックしているならこんなことがあるはずはないのだけれども、事実としてはこういうものがある。 しかもそういう中で、きょうのぼくの聞きたいことなんですけれども、労使の関係については大変シビアな態度をおとりになっているのです。ぼくの記憶に間違いかなければ労働基準法の第十一条では、賃金は、給料、手当、賞与その他一切の労働の対質として支払われるものについてこれを賃金と言うのだ、こう言っているのです。正確じゃありませんが、そういう意味のものが十一条にあると思うのですね。ところが、いままでずっと支給しておった電話の交換手さん二人の手当というものをいきなり減らします、五カ月後にはこれは全部ゼロにいたしますというのはぼくはどうも納得いかないのですよ。これは超勤手当かもわかりません。しかし、かつて労使の合意の中でそのことが行われたのでしょう。ぼくがあえて一方的にと言うのは、これは率直に申し上げますが、お話をお伺いしたら団交したとおっしゃるのです。しかし事実は違うのですよ。この二人の交換手の人たちのところへ行って、要するに、これから削減いたしまして何カ月後にはゼロにいたしますということをやったわけですね。この手当というのは一三%、一万数千円になるでしょう。これは横田さんにもぼくはちゃんと聞いてほしいのです。きょうの答弁のいかんによりましては、ぼくは今度は決算のときにテープを起こしたのを持ってまいりますよ。そういうことがあっていいのかというのです。プロパーに対してはそれだけのシビアなことをやる、出向に対しては実に天下りというより官尊民卑の思想がはびこっていますよ。一体そんなことがあっていいのですか。これは本当にあなた方が考えてくださらなければ困るだろうと思うのです。なぜそういうものを正規の手当なら手当という名目でちゃんと支給なさるようにしないのですか。機械のいいものをつけたとか人を二人ふやしたとか言うけれども、そういうことはこういう事件が起こってからあなたたちがそれこそ応急の手当てとしてやった事柄じゃないのですか。その点についての説明をひとつお願いしたい。
○横田参考人 ただいまの御指摘について御回答申し上げます。 御指摘の電話交換手に対しまするところの超過勤務手当につきましては、五十三年の九月以降暫定的に二十時間分を支給してまいりましたが、これを、先生のいま御指摘のとおり五十五年の四月から段階的に四回に分けまして、七月までにカットして全廃をいたしました。これは五十三年の九月の時点においてそれまでの時間外労働を含む作業体制を改めまして、いわゆる正規の勤務時間の体制をとることにいたしまして、当然超過勤務手当というものは支給する要素がなくなったわけでございます。五十三年の八月まで支給していたところの勤務手当の支給については、これは経理の面から申し上げるのははなはだ遺憾ではございましたが、実態に沿わないものもありましたので、これを契機といたしまして適正化を図るべく事前に関係者とも協議もいたし、これを全廃しようということを前提にいたしまして、もちろんいま先生のおっしゃいましたように、電話交換手の経済面の減少を避けるという点で段階的に実施してきたものでございます。 なお、この取り扱いにつきましては、その着手の前後において組合側と十分お話し合いを重ねてまいりましたが、そこに理解を深めようとする努力について、最終的にはどうしても交渉が決裂するというふうな状態もございましたので、このような問題が派生したように思っております。
○山本(政)分科員 あなた方がおっしゃる団体交渉というのは、そういうものをいきなり剥奪した後でしょう。これからなくなりますよというものを団体交渉でやりましたか。あなた方の中のどなたか知りませんよ、電話の交換手に対して、これからやめますよ、削減しますよ、五カ月後にはゼロにしますよということを一方的に言ったわけじゃないですか。だから組合側は、それはおかしいじゃないか、初めに団交して取り決めたことじゃないですか、それを団交しないで一方的に当事者である本人だけに言うことはおかしいじゃありませんかと言っておるわけですよ。私の顔を見てくださいよ。そんなうそを言っちゃいけませんよ。
○横田参考人 いま先生から御指摘のお話もございましたが、これは交渉の途中の経過において、この超過勤務につきましては従業員または組合員の同意なくしても変更は有効になし得るのだという考えの、そういう言葉の中において不幸にも曲解された点があったように思っております。もともと考え方といたしましては、やはり労使間というものは、これは円滑な関係の維持の観点からして関係者の同意を得るように努力することは当然でございますので、そういう点については私たちは努力して交渉に当たってきたわけでございます。
○山本(政)分科員 こういうことなんです。五カ月ではございません、四カ月でゼロにするという通告を三月二十四日にやっているわけなんです。そこで、あなた方が組合とは話し合う事項でないとして団交を拒否するのは不当であるということで都労委の問題になったわけでしょう。つまり、いままで支給されておった労働基準法十一条による賃金を一方的に削ったのは不当である、一三%もカットするのは不当である、名称のいかんを問わず労働の対償として支給されるものは一般賃金である、それを勝手に当事者である交換手のところへ行って、これから削減し、そして最後はゼロにすると言うことはおかしいじゃありませんかというのが事柄の発端なんですよ。そしていま申し上げたように、当局が労働組合と話し合う事柄でないと言って団交を拒否したから都労委に上がったんじゃありませんか。そういううそを言っちゃいけませんよ。あなた方がそんなことを言うんだったら私は名前を出しますよ、そして全部これをやりますよ。いいんですか。 こういう不当支出をやっておって、厚生年金の受給期間が満たない者に最高額を出しておって、そしてそのことに対してだれか責任をとりましたか。もう一つは、個人融資に対してはチェックをしているけれども、転貸融資については金融機関にチェックをやらせておりますと言っておりますが、それじゃオンラインシステムなんということはもう要らぬじゃありませんか。しかも転貸の場合は三倍弱ですよ、個人貸し付けよりか。こんなことが平然として行われておって、経費節減のためかどうかは知りませんけれども、一方で一三%もカットをするなんて、あなた、そんなふざけたことがありますか。不当貸し付けなんかたくさんあるじゃありませんか。ぼくが言ってみましょうか、そこまであなた方がやるんだったら。そうしてそういうことに対しては何ら責任をとらない。だれがチェックしたのです。返したからいいというものじゃありませんでしょう。
○松田政府委員 ただいま先生御指摘の転貸あるいは個人貸し付けの問題、具体的なケースについては私も承知をいたしております。確かに御指摘のように不当な貸し付けであったことは事実でございますが、ただプロパー職員でありますとかあるいは出向者でありますからどうこうという趣旨は全くないものと信じております。 また、いまお話しの交換手の手当の問題、これにつきましては、ただいま理事の方からも御説明があった段階でそれぞれの交渉の過程で多少意思のそごがあったということも考えられます。団体交渉があったかなかったか、あるいは一方的に打ち切られたかどうか、その経過につきましても私ども十分承知をいたしておりますので、この問題につきましては現在都労委に提訴になっておりますけれども、双方が話し合いをする機会を設けるなど、今後円満な解決の方向で指導してまいりたい、かように考えております。
○山本(政)分科員 それじゃ確認したいのですけれども、組合と一遍交渉をお持ちになって、それで最大限の努力をしていただけますね。そういうことならば話はわかりますけれどもね。
○横田参考人 ただいまいろいろとお話がございましたが、私たちも、労使間というものは十分とにかく話し合いの場を持ってしていくのが基本でございますので、今後とも話し合いを深めていきたい、そういうふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○山本(政)分科員 最後に、ぼくは、年金事業団に行った人が保険庁に一カ月間戻って、総務課長ですよ、一カ月しかたたぬときに要するに事業団にまた戻ったという経過というものはよく知りませんが、なぜそういうふうになったのですか。一カ月間だけ戻って、またどうして戻ったのですか。この理由をひとつ聞かせてください。
○横田参考人 これは先生のおっしゃるとおり一カ月間で事業団の方で一応採用することにお願いいたしたわけでございますけれども、業務の内容からいたしましても、いろいろ全体的な職員の調整をとっていく場合においても、やはり適任者を得ることが最も大切なことでございますので、これの採用について選考をいたしておりましたが、従来より勤務しておりましたところの本人はとにかく一応公務員というものを退職したわけでございますので、お願い申し上げまして、適任者ということで採用をお願いいたした、そういうわけでございます。
○山本(政)分科員 ぼくの言いたいことは、一カ月戻ったという意味が大変大切だということですよ。あなた方が年金事業団におって一カ月戻したという意味はどこにあるのかということ、ぼくは調べているのですよ、勤務年限から何から。そして一カ月たったら、退職したけれどもまた自分のところへ、事業団へ戻していく。これもまた大変手厚い保護じゃないかとぼくは思うのです。これはいずれぼくは決算で一遍お伺いしたいと思うのですけれどもね。 大臣、ちょっと考えてください。出向人事が三分の二だということは大変おかしいと思うのですよ。しかもそれが三十六年以降二十年たった今日、一向に是正されていないということ。 第二番目は、チェックのシステムということが個人貸し付けと転貸貸し付けでは違うのです。ぼくはここにあるのですが、時間がありませんから申し上げませんがね。これは本来ならば全部チェックすべきなんですよ。銀行、金融機関がチェックをしていると言うけれども、それは要するに資格とかなんとかいうことじゃないはずなんです、金融機関の問題としては。 第三番目は、そういうことをやりながらやはり労使の間については、三分の二が出向人事であってプロパーの職員は少ないということから、そこに要するに正常な労使関係が生まれるだろうかどうだろうかということですよ。まず出向の人たちの意思統一をすれば少数である、要するに組合なんというものの意思が貫徹しないことは、ぼくに言わせたらあたりまえのことですよ。それは正常な労使関係じゃないじゃないかということがぼくの最後のあれなんです。 だから、そういう点にひとつ留意をしていただいて、労使の関係についてもちゃんと考えていただけないだろうかというのが私のお願いなんです。最後に大臣のお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 私の監督あるいは注意が足りなかった点をまずおわびを申し上げます。 第一、労使の問題は、問題が起こってから相談をしたり協議をやるべきものではなくて、何もないときによく話し合い、これから何かやろうという場合には事前に相談をするのが労使の円満な道だと考えております。 それから職員の構成、これはもうおっしゃるとおり、やはり出向というのも横の連絡を密にするためにはある点は必要でありますが、少なくとも出向が主体であってプロパーの者が少ない、これはもうどこの役所を見ても、そういうところには必ず欠陥が出てきております。これも今後十分注意をいたします。 特に三番目の個人と転貸の問題は、金銭の問題でありますから、窓口の金融機関がしっかりしているからおれの方はそのとおり出す、こういうことでは事業団は要らぬわけでありますから、その点も今後十分監督を厳重にいたし、なお、小さい問題については事業団及び年金局長から先生のところへ連絡をとりつつ改善していくようにいたします。
○山本(政)分科員 終わります。
○上村主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。 次に、川俣健二郎君。
○川俣分科員 診療報酬制度、どの方式がいいかというきめつけもなければ自信もないので予算委員会の本委員会では出なかったのですが、分科会をかりてちょっと伺ってみたいと思います。 その前に、国民医療費が一体五十六年度ではどのくらい見込まれるのだろうか、ちょっと事務当局に伺いたいのであります。
○大和田政府委員 国民総医療費、十二兆九千億を見込んでおります。
○川俣分科員 十三兆円弱ですが、大体その内訳はわかりますか。たとえば薬代が何ぼとか。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕
○大和田政府委員 この中で薬代につきましては、五十四年度の社会医療調査によりますと三六%ということに相なっておるわけであります。(川俣分科員「あとの内訳は」と呼ぶ)そのほか、いわゆる一般診療費ということになるわけであります。
○川俣分科員 時間がないから、十三兆円、国の予算が四十六兆円、しかも薬が三六%。一遍諸外国の比較と、診療費の中の内訳と、後日で結構ですからデータを出していただけますか、委員長を通じて確認したいのですが……。
○大和田政府委員 後日データをお出しいたします。
○川俣分科員 そこで、大臣、最近の病気の傾向というのは慢性疾患という成人病、たとえば糖尿病とか高血圧、心臓病、脳卒中、こういうのが非常に多くて、急性疾患はたとえば急性鼻炎とか急性咽頭炎、このくらいのもので、慢性病が非常に多い。これは薬や注射であるいは一時的に症状がやわらげられるんだが、御承知のように慢性というのは完全に治るということは少ないわけです。医務局長も見えていますけれども、これは皆さん方私以上に専門ですから。結局薬だけに頼らないで治す方法は、注射だけに頼らないで、食事、休養、運動、こういったバランスで治す、言いかえれば生活改善によって疾病をコントロールする、こういうことが一般に言われておるのでございます。これはどうですか、そう思われますか。
○大谷政府委員 この十年間に、先生御指摘のように高血圧あるいは糖尿病といった疾患が約二倍に増加いたしております。これはもちろん高齢化社会の進行に伴うものでございますけれども、こういった病気につきましては、先生がおっしゃいましたように栄養あるいは休養、運動といった生活のケアという問題が非常に大きい問題でございます。ただ、そうは申しましても、がんでありますとかそういった問題につきましては、やはり医学的なそういった早期発見という問題も非常に重要でございまして、ただ単に健康づくりだけというのではこれは一方的になろうかと思います。しかし、基本的には生活を医学的に健全なものでやっていくということが一番の肝心なことかと思います。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕
○川俣分科員 そこで、診療所などで医者一人当たりの診察する患者というのは出ておりますか。
○田中(明)政府委員 診療所の医者一人当たりの患者数は年々増加しておりまして、昭和三十年には二十四・三人というような数字でございましたが、現在では五十五人に近いような数字になってきております。
○川俣分科員 一人で五十四、五人見なければならないということになると、さっきの慢性疾患が非常に多くなっていろいろな、いわゆる注射、薬ではなくて相談的に生活改善等を含めて患者に教え諭すようにといったことは、これだけの人員を見るということになるとよく言われる三時間待って三分ないし五分、この中ではとうていできない。そこで、私はその問題を深める時間は持たないが、検査、投薬、注射が機械的に行われて患者は一時的には安心して帰るんだが、本当に治ったものではないのだからまた医者のところへ帰ってくる、通う。薬づけ、検査づけというのは、たとえは悪いが、ちょうど野性のサルにえづけしているようなものだ、こう決めつける人がいる、私はそこまで決めつけられるかどうかはわからぬが。 いずれにしましても、私の取り上げようとするのは、医療費が高くなったのはその辺にあるのじゃないかというのが社労委員会の中心課題だ。それではいまの出来高払い、日本の国の古来からのシステムですが、定着しているとは思うが、この出来高払い制度に欠陥があるのじゃないか、こういう論議をした。 ところが、これに対して過ぐる五十二年でしたか、ある議員が厚生大臣に質問書を出した。五十二年のときの厚生大臣はどなたでしたか、元気のいい厚生大臣だったと思うのだが、それに対して厚生省はこのように回答しておるんだ。「患者が多くないと医業が成りたたない。」それから「医薬品を多量に投与しないと点数が増加しない。」言いかえるともうからない。薬でもうかっている。「より高価な医薬品を投与しないと点数が増加しない。」濃厚治療、これがもうけどころ。「反復施療が多い医師の方が名医よりも点数が増加する。」反復施療、薬、ここなんだ、サルのえづけというのは。また帰ってきたか。これは私が言うんじゃない、厚生省の回答だから。驚いた。それから「施設の良否の差は点数表に反映されない。」それから「診療時間の長短に応じた点数が認められない。」「病名をたくさん列挙しないと点数が増加しない。」「予防措置は点数にならない。」よくも八つの項目に分けて医療行政にあずかっている行政当局がこういうふうに決めつけて回答文を出せるものだなと思う。 ところが、私たちの立場は皆さん御存じだと思います。去年の予算委員会で、中医協、医師会側が拒否してどうしても開けないということになった。そこで、中医協を開かなければ何もできないんだから予算も審議できない。そうしたら田村予算委員長は、それはちょっと私に任せてくれぬかということで休憩した。そうしたら武見会長に電話して、予算委員会がとまっているので中医協を開いてくれぬか、こういうことになった。その後中医協はスムーズにいっていますか。どうですか、開かれていますか。
○大和田政府委員 その後毎月一回中医協の全員懇談会が開かれておるところでございます。
○川俣分科員 そこで今度は、こういう回答書を出したのだから、医師会側が言うのかしらぬけれども、与野党を問わず各代議士に、何を言うか、出来高払い方式であればこそ医療の技術が進歩するし、患者の基本的人権が守られるように治療できる、これを請負とか、いわゆるこの病気はこれだけの単価でしかやれないんだというようにきめつけられると、医者はもっとほかの手だてがあってもやれないじゃないか、こういうように反撃して、出来高払い方式がいいんだいいんだということでいま全国的にやっておる。 ここで、では医療費改定はどうするかという問題は、その時間がないのでまた本委員会で取り上げさせてもらいますが、それでは一体この出来高払い方式がいいものなのかあるいはほかにあるものなのか、長いこと検討課題であっただけにその辺をちょっと聞かせてもらいたいと思う。
○大和田政府委員 この問題につきましては種々検討いたしておるところでございますが、結論的に申しますと幾つか支払い制度があるわけで、現行の点数出来高払い制度とか件数払い制度、あるいは先ほどおっしゃいました総額請負制であるとか登録人頭払い制といったようなものがあるわけでございますけれども、それぞれ長所、短所が実はございます。したがいまして、なお今後ともこの検討を深めていかなければならぬというふうに私ども考えておるところでございます。 若干コメントいたしますと、たとえば現行の点数出来高払い制度でございますが、これは昭和十八年以来定着してまいりました制度でございまして、医師の稼働量に比例しまして報酬が支払われるとか、診療の質及び量が医師の収入に反映されますために高度の医療が迅速に普及して国民に提供されやすいといったようなことが言われておるわけでございますが、反面、診療報酬請求事務が繁雑になるとか各診療行為の頻度が高くなるおそれがある、審査に手間を要するといったようなことが言われておりまして、やはり長短ある。 ほかの支払い制度の長短、これは全部申し上げますとなかなか長くなってまいりますので、とりあえずたとえば件数払い制度の長所、短所というものを検討いたしますと、長所といたしましては、診療報酬の請求事務が簡単である、審査も容易である、各診療行為の頻度と収入との比例関係がなくなるといったようなことが挙げられておるわけでございます。片や短所といたしましては、より高度な医療を国民に提供しようという熱意がなくなっていくのではなかろうか、あるいは医師の勤労意欲をそぐおそれもある、重症患者が敬遠されて軽症患者が大切にされるといったようなこともあるのではなかろうかというふうに言われております。 先ほど申しましたほかの支払い制度につきましてもそれぞれ長所、短所というものがございまして、なおこれにつきましては研究をしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
○川俣分科員 せっかく中医協のテーブルに着いたものが、また妙なことで物別れになってしまっては医療行政に支障を来すということを心配しながら私は質問しているのですよ。というのは、私らにも来ているのですが、医師会から各代議士に配られた文書に「この様な支払い方式が唱えられはじめた背景に、極少数ではあるが、不心得な行為をした医師の存在がある。」というようにあるのです。 ところが、私も富士見病院や十全会等を取り上げさせてもらったが、ではほんの一部だろうかということになると、やはり出来高払い方式がある限りにおいては、五センチのやけどを治したって十センチのやけどを治したとカルテに書かれたってわからない。厚生省が指摘しているように、予防措置なんか点数にならない、かせげないんだ。私が言うのではない。あなた方が言うのだ。「病名をたくさん列挙しないと点数が増加しない。」「反復施療が多い医者の方が名医よりも点数が増加する。」「医薬品を多量に投与しないと点数が増加しない。」「より高価な医薬品を投与しないと点数が増加しない。」こういうように厚生当局が言われると、これはやはり出来高払い方式に欠陥があるのだろうかというように私たちは思わざるを得ないので、これはどうなんですか。
○大和田政府委員 実はいま先生がおっしゃいました事項でございますが、これはかって衆議院の予算委員会の分科会におきまして要求されました資料の回答でございます。「現行の診療報酬体系における点数制の矛盾点について」という項目で回答をしておるわけであります。 ただ、ちょっとこれをコメントさせていただきたいと思いますが、その回答文を読んでみますと、「現行の現物給付による出来高払い方式における点数制の問題点として指摘されているのは、次のような事項である。」こういうようなお答えになっておるわけであります。したがいまして、これ自身、いま先生がおっしゃいましたことを、厚生省がこう考えているのだというふうにおっしゃられますとちょっと困るわけでございます。こういうふうに一般的に問題点として指摘されておる。それは厚生省も指摘されておる問題点があるということは十分承知しておるわけでございますが、厚生省の考え方というのはこれ自体ではない。問題点として指摘されておる。したがいまして、厚生省といたしましては、これらの問題点につきまして国会等におきまして実はこういうふうに指摘されておる、しかし厚生省としてはこう考えるといったようなことにつきましてコメントをいたしておるという経過があるわけでございます。 たとえば先ほどもおっしゃいました第一の問題ですが、「患者が多くないと医業が成りたたない。」という指摘があるということを書いてございますけれども、それは確かに患者が多ければそれだけ医業収入が増加するのは事実でございますが、僻地、離島のような特別な地域を除きまして、一般には医業経営が成り立たないという例はまれなのではないかというふうに考えておるわけであります。「患者が多くないと医業が成りたたない。」こういうふうに言っておりますので、そういったことはなかろうというようなコメントは加えてあります。それ以外にもいろいろこの点につきましてのコメントは加えておるわけであります。
○川俣分科員 局長、あなた方の弁解はわかるのだよ。ところが、医師会のとり方はそうじゃないのだ。あなたが固有名詞を出したから言うけれども、「有島議員の質問に対する回答について厚生大臣の責任を問う」という声明書がある。世間が一般に言っているけれども私たちはそうじゃないということを医師会が言うのじゃなくて、「厚生大臣の責任を問う」、こういうように声明を出して、いま列挙したものに対して全部弁明というか陳述をしておる、文章としては。だから局長がそんな弁解をしたって、とる側の医師会はそうじゃないと言っている、「厚生大臣の責任を問う」と言っているのだから。どうですか。
○大和田政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、こういう問題点が指摘されるという事項を列挙したわけでございまして、先生がいま言われました医師会の文書につきましても承知はいたしておるわけでございますが、恐らくこの列挙したこと自身につきまして問題にしておられるのではないか。ですから私どもといたしましては、列挙はそういう問題の指摘があるということで文書を出したわけでございますけれども、その中身につきましては、先ほど申し上げましたように私どもは別のコメントがある。しかし、医師会といたしましては、そういう問題を列挙したことにつきまして困るということでそういう文書が出たのではないかというふうに思われるわけでございます。
○川俣分科員 いずれにしても、その医療供給側の協力なくしては医療協もできないし、国民医療サービスもできないし、それは厚生省が担当省なんだから、私を納得させたって向こうの方が納得しなければいかぬのだから、それだけは話しておくよ。 そこで、私たちは決してさっきから言ったように出来高払い方式はいかぬと言っておるのではなということだけはここに披瀝しておく。 というのは、この「平和経済」、後で見ていただきたいのだが、河野さんという拓大の講師がこういうように言っておる。 現行の社会保険診療報酬の出来高払い方式であるが、現行の出来高払い方式においては技術料が非常に低い。技術代が低くて薬代、検査代が高くなっているために薬づけとか検査づけとか言われる濃厚治療が行われ、また三時間待って三分診療というような不十分な診療が行われておる。これらを経済的観点から言えば、濃厚治療はそれ自体むだな出費であり、医療費の増加を招く原因であるのだ、まずこう言っている。これは皆さんもわかる。全体として医療費を増大させているのはここにあるのだ。 このような出来高払い方式に対して、同じく出来高払い方式ではあるが、技術料を相当高く、薬や検査料を相当低くするように提案してみたらどうか。私も提案したいんだ、国会で審議してみたらどうか。 そもそも現行の報酬支払い方式というのは、出来高払い方式とはいうものの、真の意味での出来高払い方式ではない。 たとえば、これは例が違うのだが、大工さんがりっぱな家を建てたからこれだけの金をよこせというのならわかる。ここはちょっと手を抜いたからこれだけの単価だと言える。病気にして、がたにして、そして副作用を起こさせて、これだけ薬を使った、これだけ注射を使ったんだという出来高払い方式じゃ診療費を高くしているだけだということを言っておると思うのです。 そこで、もともと出来高払い方式とは、アウトプットとしての出来高に対して一定の金額が支払われるのであって、そのインプットに対して、しかもインプットを個別に分解してその個々のインプットに対して支払われるのではない、こう言っておる。 このように考えてくると、現行の出来高払い方式でも医療費を抑制できないわけではない。つまり薬代、検査代を現行よりも低くして医者の所得なり医療機関の利潤なりを考えれば、医療費の増大はいまの出来高払い方式でもやれる。 だから武見さんも、私はひょっといつかの談話をテレビで聞いたことがあるが、私らと同じことを考えているのだな。いまの出来高払い方式にあるのではない。盲腸を手術したって一万五千円しかくれないのじゃどうして暮らすんだ。やはり副作用を起こした、薬でも使った、この人は腹膜を起こしたというようなことをうんとやって、初めてその盲腸を手術した患者から医者の所得は得られるのだ、こういうようになっておるのだと私は思う。どうですか。
○大和田政府委員 ただいまの先生の御質問は全くごもっともでございまして、この問題は、先ほど一番初めにおっしゃいましたのは、一つは薬づけ、検査づけと言われておるこの面をどうやって是正していくか、そういうようなこと、それで技術料の評価というものを正当にしていくべきではないか、こういうような御意見であろうかと思うわけでございます。 私どもといたしましても、まさしく薬の面につきまして、おっしゃいましたように実勢価格と薬価基準とのこの差というものをどうやって埋めていくかという問題がこの大きな解決になってくる。それ以外に、医薬分業の推進であるとか国民に対して正しい薬の知識を植えつけるといったような問題がありますけれども、薬価基準という現段階におきましてかなり乖離があると言われておる、それを是正していくことによりましてただいまのような線に沿ったような方策が行われていく。それから検査につきましてもやはり検査点数の適正な設定といったようなものも必要であろうかと思います。そういったようなことを是正をいたしてまいりたいと思うわけでございます。 さらに技術料でございますが、技術料につきましては私ども適正な技術料というふうに考えておるわけでございますが、さらに今後中医協におきまして適正な技術料の評価というものの論議をしていただきまして、技術料の適正化につきまして努力をしていきたいと考えておるところでございます。
○川俣分科員 あと三分しかないからその問題に入る時間はないのです。 それでは大臣、結局国会の審議の過程を見れば、せんだって参議院の方でしたか、この前の臨時国会の十一月です。質問はこういうことなんです。「老人保健医療における支払い方式の適正化について確認をいたします。乱診乱療を防止するためにも、負担にたえかねるような医療費の増高を抑制するためにも、老人保健医療においては支払い方式を変えるべきではないか。」年寄りというのはどだい体全体にがたが来ているのだから、そこだけ治そうといったって無理なんです。なかなかいいことを言っているのですよ。「特に老人の特性にかんがみ、登録人頭払い方式」、これはイギリスのホームドクターみたいなものでしょうね。「登録人頭払い方式、総額請負方式」、おまえの体、この病気は何ぼでやる、ちょうど家を建てるようなものです。「何かよい方法はないか検討してもらいたい、このように考えますが、いかがですか。」 そうすると園田大臣は「出来高払いの基本を崩すことは困難でありますが、老人の特性にかんがみ、何かよい方法がないか検討してみます。なお、診療報酬支払い方式について、登録人頭払い、あるいは国民医療費の一定率を限度とする総額請負方式などよく研究してみたい」、こういう前向きの答弁をなされました。 そこで私はせっかく質問に立ったので提案したいのだが、これは検討検討じゃいかぬ、役所用語の検討いたしますじゃだめなんだ、現実に迫られているのだから。そこで私はいろいろと厚生省の、局長のところの担当官方と悩みながら話を伺っているのです。ところが諸外国のものを見たことがないと言うのだ、どの制度がいいものなのか。しかもいま唯一のものがあるというのは、かつてそこに座っておった江間さんがその昔十五、六年も前に書いたもの、江間時彦局長が訳したものだけで、出来高払いの長所と欠点、件数払いの長所と欠点、人頭報謝支払い制度の長所と欠点、俸給支払い制度、特に社会主義国でやっているこの俸給支払い制度、いわゆる公立、官立。こういったところがそうなんだが、そこで私が提示したいのは、ひとつ諸外国を見にやったらどうだ、研究してみたらどうかというのが一つ。 それからもう一つは、やはりいま日本の国に定着したものを根こそぎ支払い方式を検討するのだから、何かの審議会が必要なんだ。これは中医協もなじまない、社会保険審議会もなじまない、さりとて単なる大臣の私的研究会もおかしいと思うので、審議会などもやはり考えないといかぬのじゃないかというようなことで、二つだけ提示して、大臣の所信を伺って終わります。
○園田国務大臣 御指摘のとおりで、事務当局もなかなか研究をしながら答弁していると思いますが、いまの出来高払いが相当の年限を経てきて定着してきているということで、なれているからこれを変えるのは大変だという気持ちがあります。しかしながら、いまいろいろ起きておる事件というのは、ほとんど支払い方式からくる不正事件や間違いが非常に多い。だからこれをこのままやっておけば、これはだれがどういう理屈をこねてみても医療制度というものは崩壊せざるを得ない、こう思います。 そこで、いろいろ制度がありますが、イタリアあたりでも人頭払いに変えているが、法案は通ったがなかなか実施には手間取っているなどというようなこともありまして、一長一短ありますが、第一は診療するお医者さん側のモラルというのが一番大事である。第二番目には、これとよく連絡をしてその制度の欠陥を逐次修正していくという厚生省の態度が必要であると考えます。これを修正していくことは、変革することよりもっと大変な苦労をする必要がある。 それからもう一つは、いまの検査づけというのは、費用の面からばかりじゃなくて医療そのものからいっても問題があります。ごく簡単に言うと、晩酌を五合飲む人に三合の酒をやったって酔いも何も来ない。今度は全然飲まない人に酒を控えろ、こう言ったって効果はないわけでありますが、いまの検査医療というのは、全くその人の経験、体力その他考えないで一律に血糖が幾ら、たん白が幾らという数字で薬を盛ってくる。これは非常に危険があります。 こういうことからいっても、やはり出来高払いというのはどうも、ただ抽象的に考えてみても医の仁術というものから遠ざかっていって仕事の出来高でかせぐということになる、こう思いますので、いろいろ研究もいたしますが、少なくともいろいろな方式の長所をとって短所をどう補うかということで、そのために老人医療の問題に何か新しい方法を考えてみたい。まだ結論は出ておりません。 御指示の海外調査、これはもう御指摘のとおりでありまして、私が大臣就任以来半年、まだ調査の件は海外派遣のサインをしたことはございません。やはり、こういうものを改革する場合には、本や翻訳物ではなくて、しさいに目で見、直接耳で聞く必要がありますから、これはできるだけそのようにしたいと考えます。 それからもう一つ、審議会はいまのところつくっておりませんので、老人医療の審議会にあわせて相談しておるわけでありますが、これで大体めどがつけば、おっしゃるような審議会も、これは非常に大きな問題でありますから、つくってやる方がいいのじゃないか、こう思います。
○川俣分科員 ありがとうございました。
○上村主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。 次に、柴田弘君。
○柴田分科員 私は、まず大臣に児童手当制度の問題につきましてお尋ねをしていきたいと思います。 この児童手当制度は、五十六年度財政事情が厳しいということで、所得制限が強化をされました。しかし、この児童手当制度というのは、本来その性格からいたしまして支給対象は第一子からすべきものではないか。昨年の九月十日に、中央児童福祉審議会から児童手当制度の基本的なあり方につきましての意見具申がありました。そこで、まずお尋ねしておきますが、この意見具申に対して大臣はどのように受けとめられているか、そして今後この児童手当制度をどういった方向へ持っていかれるのか、その辺のところをまずお伺いをしたいわけであります。
○園田国務大臣 審議会の意見は全く妥当なものであると私は考えておりますので、この審議会の答申の線に従って、児童手当は将来さらに充実強化すべきものと考えております。 なお、西欧諸国の例を見ても、児童手当が逐次しぼまっていって制度をなくせというような意見は全くございません。逆に充実しているところでありますから、そういうつもりでやるべきであると私も考えております。
○柴田分科員 そこでこの中央児童福祉審議会の意見具申を見てまいりますと、先ほど申しましたように、支給は第一子から、所得制限の撤廃等々あるわけでございますが、この最後のところに、「厚生省は、本審議会が提言した制度改革について、国民の十分な理解を得るため各種の方策を講ずるとともに、制度改革を実現するため政府部内において議を尽し、その条件整備に最大限の努力を傾注すべきである。」こうあるわけであります。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕 つまり、政府部内で十分な議を尽くすということでありますが、財政当局が財政難ということで、先ほど申しましたように所得制限を強化せよということで五十六年度も四百九十七万から四百五十万に切り下げられたわけであります。ですから、今後大臣がこの具申の意に沿ってやっていくということであるならば、具体的にどういった決意を持ってこの実現化を図られるか、この辺のところを篤とこの際お聞きをしていきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまお願いをしておりまする予算審議においても、大蔵大臣と私の間では十分相談をしてやったものでありますが、この児童手当の将来についてだけは意見が一致しませずに、これは今後の検討事項として残そうと私の方から発言しておるわけであります。正直言って、ややもすると財政上立場がつらいから児童手当というものは縮小、制度をなくしようという意見もあるわけでありまして、残念ながら私一人がこれは拡大すべきだということでございます。しかし、これはどの例から見ても、ILOの問題から見ても人口構造の問題から見ても、これは断じて、制度廃止どころか逐次充実しなければならぬ問題であるということで、以上の決意を持ってそれを守ることに全力を挙げたいと考えております。
○柴田分科員 いま大臣からILOの百二号条約の問題を言われました。御案内のとおり、このILO百二号条約は批准をされましたものの、九部門のうち医療、家族、母性の三給付は本条約に示す基準にいま達しておりません。努力すべきだと思いますが、この児童手当、すなわち家族給付につきましては、ややもすれば先ほど来申しておりますように廃止の方向に持っていこう、これが政府の意向ではないか、大臣は努力するということでありますが、こういう点を私は非常に危惧しているわけであります。これは条約の違反であり、世界の流れに逆行していると言わざるを得ないわけであります。どうかひとつ、大臣も先ほどおっしゃいましたが、異常な決意を持ってこの制度、その改善、そして第一子、所得制限の撤廃へ向けての制度改革に取り組んでいただきたい。重ねてお願いを申し上げたい、こう思います。 それでこの手当額の問題でありますが、審議会の答申では、この「水準は国民が納得する負担との見合いで定まる。しかし、この制度が児童の養育についての国民の連帯感を高めるだけでなく、児童養育費の一部を軽減するという意味をももつことを考えれば、ある程度価値ある額とする必要がある。」このように言われておるわけであります。スタートいたしましたとき、昭和四十六年でありますが、この児童手当は三千円でありました。当時、老齢福祉年金は幾らかと言えば、二千三百円。十年後の今日、児童手当は五千円、老齢福祉年金は二万三千円、こういうふうに大きな差がついているわけであります、当時の児童手当のこの三千円の見解は、養育費の三分の一と言われて三千円となった、こういう経緯があるわけですね。 そこで、この答申にも「ある程度価値ある類と」しなければならない、こういうふうにあるわけでありますが、この養育費の三分の一という概念からすれば、この手当額は現在幾らくらいが妥当であると認識されているか、この辺のところを簡潔で結構でございますので、御答弁を願いたい。
○金田(一)政府委員 児童手当の額の水準をどの程度にするかにつきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、全体としての負担との見合いにもよるわけでございますが、また、児童手当の意義づけをどう見るかによっても異なってくると思います。たとえば児童養育家庭の負担軽減、すなわち所得補償に重点を置くか、あるいは世代間の信頼と連帯の醸成ないしは社会連帯による児童の健全育成に資する制度と見るかによって手当額の水準は異なってまいります。 御承知のとおり現行児童手当制度は、第三子以上の多子世帯の養育負担が重いという実態を考慮いたしまして、所得補償面を一つの柱として考えておりますため、ただいまおっしゃいましたような児童養育費の一定割合を手当額決定の一つの要素としたというように聞いているわけでございます。 手当額の水準をどのようにするかにつきましては、ただいまおっしゃいましたような昨年九月の中央児童福祉審議会の意見書も出たわけでございますので、ただいま政府部内においていろいろ検討いたしているわけでございます。全体の制度改革の一環として私ども今後考えてまいりたいと思っているわけでございます。
○柴田分科員 そうすれば、この手当額ははっきり言いまして現在の水準、これは改正をしなければならない。つまり、十年たっていますから引き上げていかなければならない、そういうふうに考えてみえるのか、この辺はどうですか。
○金田(一)政府委員 児童手当につきましては、抜本的な改革を必要とするということで、すでに昭和五十三年ごろから約三年間かけましてこの議論が行われてまいったわけでございます。その間におきまして、たとえば低所得者に対する手当額を厚くするとか、そういった改革が行われてまいったわけでございますが、今後全体の制度をどうするか、この意見書の中には種々の抜本的な改革案が盛られておりますので、そこらの費用の負担との見合いにおきまして、今後十分検討してまいりたいと思っているわけでございます。
○柴田分科員 はっきりした答弁をいただけないようであります。時間の関係もありますので次に進みたいと思います。 私は次の問題といたしまして、社会保障のエリアにおける所得制限の問題について大臣の御所見を伺いたいと思っておりますが、その前に、この資料は私どもでつくったものですが、大臣、ちょっとお目通しいただきまして……。 社会保障のエリアにおきまして所得制限が課せられているケースというのは現在幾つくらいあるかということでありますが、私が調べました段階では、老齢福祉年金を初めといたしまして、障害福祉年金、母子福祉年金、福祉手当、被爆者手当あるいは老人医療、児童手当、さらには特別児童扶養手当等々、二十二のケースが指摘をされるのではないか、こういうふうに思います。問題は、大臣、いまお目通しをいただいておりますが、このエリアにおいて所得制限によってわずか一円の差で手当とか年金がもらえたりもらえない、これによって総体的な収入に差が生ずるということではないか、こういうふうに思います。 この際、時間の関係もありますので、老齢福祉年金と障害福祉年金の二つに限って具体的に挙げてみたいと思います。 老齢福祉年金につきましては、御案内のように、二人世帯の場合で扶養義務者の所得が六百万円未満のケースでは、本人の収入が二百二十六万六千円であれば老齢福祉年金二十八万八千円を受け取ることができるわけであります。そして合計二百五十五万四千円の収入となります。しかし、本人収入が一円プラスになりまして二百二十六万六千一円になりますと、所得制限がありますから年金額はゼロとなって、前者の二百五十五万四千円との差は二十八万七千九百九十九円、こういうふうになるわけであります。一円多い所得者が少ない者よりも二十八万七千九百九十九円もの減収という、逆転現象と私は言っておるわけでありますが、逆転現象が起こってきている。そうしてこういうふうに計算をしてまいりますと、この逆転現象がなくなる本人の収入額は二百五十五万四千円にならなければならないわけでございます。 同様に、障害福祉年金につきましても、二人世帯の場合で扶養義務者の所得が七百三十一万四千円の場合、本人収入三百万円で年金収入四十三万二千円がいただけまして、合計三百四十三万二千円となります。これが本人収入三百万一円となりますと、一円多くなりますと年金はゼロになりまして、前者との所得差は結果として四十三万一千九百九十九円となり、収入の少ない者より実質所得が四十三万円余も減少するということである。そしてこの場合も、本人収入が三百四十三万二千円に至ったときに初めて逆転額は解消されるわけであります。 扶養義務者の所得も、老齢福祉年金では八百七十六万円が九百三万六千円で逆転差がなくなりますし、障害福祉年金の場合も八百七十六万が九百十九万二千円に至って逆転差がなくなります。 ちなみに、所得制限による老齢、障害福祉年金の実収入の逆転の範囲を申しますと、時間の関係でちょっと申せませんが、大臣にお配りしました二枚目の表の一番上、こうなります。老齢福祉年金二人世帯、六人世帯。所得制限が二百二十六万六千円、逆転する範囲が本人所得二百二十六万六千一円から二百五十五万四千円、逆転の最大額が二十八万八千円、障害福祉年金の場合も同様に、所得制限が本人所得三百万以下、それから逆転する範囲が本人所得三百万一円から三百四十三万二千円、最大の逆転が四十三万二千円。先ほど説明いたしました。こういうふうになります。 問題は、こういったいわゆる恵まれない人への老齢福祉年金あるいはハンディを背負った障害者施策におきまして、たった一円の差で給付の逆転現象を生ずるということについて、これは所得制限の持つ性格からして当然かもしれませんが、やはりもらった人ともらわない人、もらわない人の立場から見れば不公平ではないかということになるわけであります。こういった問題について、私は特に最近の所得制限強化ということに端を発しまして、十分な所得制限についての論議というものを尽くしていかなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。そこで、こういった現実について大臣の御所見、そして何らかの改善措置をしていく必要があるのではないか、私はこのように思いますが、御所見のほどをひとつ大臣から伺いたい、こう思います。
○松田政府委員 社会保障的な給付につきましての所得制限、いま先生おっしゃいましたように、一定の額で切っております関係上、そういうように逆転現象が起こっていることは私たちも重々承知しております。これは現行の所得制限の基本的な考え方にも関連いたしますけれども、現在の所得制限につきましては、ある程度幅を持たせた段階刻みを考えておるわけでございます。したがいまして、この枠から外れる方、こういった方につきましては、比較的余裕のある階層を実は考えまして、そういう刻みを考えたつもりでございます。 先生御指摘のようないわゆる逆転現象を解消するためには、所得に応じた給付、こういったような考え方を基本的に導入いたしませんと、すべての要望におこたえすることは非常に困難だと思います。特に年金の方式をとっております給付につきましては、そういったような個々の需要に応じた給付をするという仕組みを年金制度ではとることが非常に困難でございます。そういう意味で、最初に申し上げましたような比較的幅のある段階刻みということで実は考えておるわけでございます。御指摘のような点につきましては、何かいい工夫がないか、今後とも検討してみたいと思います。
○園田国務大臣 いま御指摘の点は、所得制限をやる場合に、わずか一円でがくっとぎこちなく角がつくじゃないか、こういうことでございます。これはどの程度で切ってみてもそういうことはあるわけでありますけれども、いずれにしてもそういう直角のあれじゃなくて、なだらかなカーブを描くようにいろいろ考えて御趣旨に従うようにしたいと思います。
○柴田分科員 この問題につきまして、私は大蔵委員会で先般大蔵大臣にも質問しました。大臣からも、厚生省と一遍相談をしてよく検討してみたい、このような答弁を実はいただいておりますので、どうかひとつ、そういった不公平といいますか矛盾点もありますので、大臣の御答弁いただきましたように今後の検討課題として十分御検討いただきまして、なだらかなカーブ、まさしくそのとおりでございまして、私はこれをすみ切りと言っておるわけでございますが、どうか前向きな対処をお願いしたいと思います。 時間もありませんので最後に一点、健康という問題につきまして大臣の御所見を伺っていきたいと思います。 大臣は先般の全国民生、衛生部局長会議でごあいさつをされまして、なかなかいいことをおっしゃっているなと私も感銘いたしておるわけでございますが「医療産業を阻止し健康づくり重点に」、こういうことで、健康保険の中の費用の少なくとも半分は使用するということが、今後の高齢化社会に対応する正しいあり方ではないか、このようなことをおっしゃっておられる。そこでお聞きしたい。 一つは、老人医療保健制度、いよいよ厚生省としてどんなふうに法案を作成されるかという段階に来ていると思いますが、やはりまず病気にかからないということが第一だと私は思っております。病気にかかるということによって医療費の負担も多くなります。保険財政も赤字になってくるというのは当然のことであります。だから病気にかかる前のいわゆる健康づくり、予防ということに重点を置いた施策が今後必要になってくるのじゃないか、私はそのように思いまして、保険制度の中で、老人医療保健制度もありますが、とにかく若い人も含めて、将来無料で健康診断といいますか健康診査ができるような方向でいけないものか。あるいはまたそれは非常に大変な制度改革でございますので、なかなか一朝一夕にはいかないかもしれませんが、今後のわが国の高齢化社会に対応していく意味におきましても、あるいは医療財政あるいは医療制度を抜本的に考える意味におきましても、今後こういったことはどうしても検討課題にしていかなければならないのじゃないか、こんなふうに考えておるわけでありますが、どうかひとつお考えをいただきたいと思います。 それで答弁の一つは、今国会に提出されるのかいつになるのか知りませんが、老人医療保健制度、私がいま申した考え方、そういう点にしぼっての御答弁、それから今後の展望として、いま言ったようないわゆる予防給付、健康診査というものが保険制度の中で考えていける方向で御検討いただけるかどうか、この二点を御答弁いただきたいと思います。
○園田国務大臣 私も御発言と全く同様に考えておるわけでございます。全国で二カ町村ぐらいだと私は聞いておりますが、この町村で予防それから健康保健の推進、こういうことに費用を使って、そのために病人が非常に減って、各地方の町村が保険財政で困っているときに、その二カ町村だけは案外困っていないという実情がございます。将来は予防、その次には健康管理推進という面、今日ヘルスクラブなどがはやっておりますが、ああいうものを厚生省でやる、そして給付の対象にする、これはきわめて大事であると考えて、試みといったらおしかりを受けるかもしれませんが、老人医療の法律案の御審議を願う際にそういう点をふくらましてお願いするつもりでおります。
○柴田分科員 もう一点大臣に。 老人医療保健制度の中だけでなくて、中期、長期の展望に立ったそういった国民の健康づくり、予防ということにおいて、保険制度の中で予防給付が検討されないものかどうか。すぐというわけにはいきませんけれども、その辺どうでしょうか。
○園田国務大臣 保健についても将来そういう方向へいくべきであり、かつまた財政上の見地からいってもその方が早道であると考えております。
○柴田分科員 あと五分程度ありますので、もう一点質問をしてまいりたいと思います。 これは私の言葉で恐縮でございますが、生涯健康手帳の策定ということについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。 御案内のように、いま就学前の児童は母子保健法でカバーいたしております。入学後は学校保健法で対処することになっておるわけであります。母子保健法では母子健康手帳があって、克明にその経過が記録されておりますが、学校保健ではこれらの記録をほとんど活用されていないんじゃないかと思います。身体検査というのは学校でやっておりますけれども、生涯健康手帳は一切やっておりません。どうもうまくその辺が連結していないように思います。 せっかくの母子健康手帳でありますので、プライマリーケアとか言われるいわゆる疾病予防、健康管理を含めた地域包括医療が強調されております今日、生まれてから死ぬまでの生涯にわたる健康増進、予防について考えますときに、母子健康手帳の体裁をもうちょっと考え直して、そして厚生大臣の御署名でもあるいはまた総理大臣の御署名でもいいからそれを入れるようにして、子供が持って遊ぶような雑記帳のようなものでなく、ちょっとした体裁にして、子供が成長し、しかも結婚するときに、健康を願い、また健康な子供を生むように親も国も願望しているということを一つの手帳に込めるべきではないか、このように思います。そしてさらにそれが職場の健診あるいはお年寄りになったときの老人医療保健に連動していく、ずっと生涯を通したものにしていくことが、今後の健康づくりの一つとして必要ではないか。先ほど申しましたいわゆる生涯健康手帳というものを一遍検討してみてはどうか、こんなふうに思いますが、この点についての御所見をお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
○金田(一)政府委員 母子健康手帳は、母と子の健康を願って、その趣旨に沿いまして全体的にその様式が定められているわけでございます。私どもといたしましても、子供の健康には関心を持っておりますので、その表現には、さらに先生おっしゃいましたような点、いろいろ検討を加えてまいりたいと存じます。 なお、母子健康手帳を生涯を通じて活用できるように改めることは望ましい方向と考えております。しかしながら、御承知のとおり現在学校保健手帳等もございます。また、その他成人に達しましてからの関係の向きもいろいろございますので、そこらとも十分相談したいということで現在検討を進めているところでございます。 なお、現在私どもの指導といたしましては、子供が結婚いたします際に、その子供の母子健康手帳を結婚まで親が持っておりまして、結婚の際に子供に渡し、さらにその子供が生まれた場合には参考にしなさいということで指導いたしまして、そういった世代間の活用も考えている次第でございます。
○柴田分科員 ぜひ生涯健康手帳を御検討いただきますことを大臣に御要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
○宮下主査代理 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私は、さきの予算委員会で積み残しました年金問題を整理させていただきたいと思っております。 先般は年金の危機という観点から、厚生年金、国民年金、企業年金、個人年金、すべてにわたって疑問点を質問させていただこうと思っておりましたが、あと国民年金、企業年金、個人年金が残っておりますから、その点から話を進めていきたいと思います。 まず、国民年金の問題でございます。 いろいろと問題はありますけれども、国民年金で一番大きな問題は、経過年金とか福祉年金の引き上げという社会的な要請と、それに伴う財源確保の問題が一つ。それからもう一つは、被用者の妻の国民年金への任意加入の問題。この二つが指摘されるのではないかと思っております。 そこで、大臣にお尋ねしたいと思いますが、経過年金、福祉年金は従来からもいろいろ努力をしてまいりましたけれども、依然として低い水準にあることは事実でございます。そういう意味では今後も引き上げ要因というものは続いていくであろうと思います。同時に、年金懇が申しておりますように、給付水準そのものは、被用者の保険であります厚生年金の定額給付部分とともに、国民全体としての年金給付のナショナルミニマム的なものとして設計されなければならないものであり、このような視点からの体系的な洗い直しが要請されておるという指摘がありますように、経過年金、福祉年金の引き上げと同時に、引き上げながら基礎年金的なものとして位置づけるのが至当であろうという判断がなされておるわけでありますが、要はやはり財源の問題でございます。 いま国民年金の財政も大変厳しい状況であることはよく存じておりますけれども、たとえば所得に比例して保険料を徴収したらどうかという問題提起等もありますが、その点も含めて、経過年金、福祉年金の引き上げと財源確保の問題についてどう考えていらっしゃるのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
○松田政府委員 経過年金の水準の引き上げの問題につきましてはいろいろ問題がございますけれども、現行制度のもとにおきましては、福祉年金あるいは経過年金の水準をこれ以上引き上げることはきわめて困難でございます。ただ、こういった問題が基本懇等で議論がなされました際に、大幅な水準引き上げのために、財源対策としてそれぞれの保険制度から持ち寄ってその財源構成をしてはどうか、こういうような案も一時は検討されたわけでございます。この案につきましては、関係団体その他いろいろ御相談をいたしました結果、その実現につきましてはなお早期ではないかという御意見もございまして、現在のところではそれ以上の進展を見ておらないのが実情でございます。 それから、国民年金の将来を考えて所得比例制の保険料を取ってはどうか、こういう御提案でございます。そもそも国民年金を現在のような定額制、給付におきましてもまた定額制をとっております一番大きな理由といたしましては、国民年金の対象になっております階層が、御承知のような自営業者あるいは家族の労働従事者、あるいは小規模な事業所の従事者、こういった多種多様の業種、生活の実態にわたっておりますために、所得比例制のような保険料を取ることについては、所得の把握なりあるいは保険料の徴収の確実性、こういった問題に十分な解決策がなかったということが原因でございます。現在もその事情は変わっておりませんので、所得比例制の保険料を取ることにつきましては、これからの年金財政を考える一つの御提案だとは思いますけれども、実際問題としてはなかなか困難であるというのが私どもの現在の考え方でございます。
○米沢分科員 いまお話を聞いておりますとみんなできないという話だ。しかし、国年は大変厳しい状況で、財政も厳しい状況であることは事実なんでありまして、これもできないあれもできない、そうしたら、結局年金の保険科をただ上げるだけだ、そういう策のない話しかないのですか。
○松田政府委員 国民年金の将来につきましては、私ども昨年の法律改正によりまして、昭和六十年度まで漸次保険料を段階的に引き上げる御承認を国会でいただいたわけでございます。したがいまして、給付に見合った適正な負担をしていただくということがあくまでも基本であろうかと思うわけでございます。ただ、今後予測される公的年金制度の将来のあり方、いろいろ予算委員会等におきましても御議論がございました。そういった点を踏んまえながら国民年金の将来も考えていくべきかと、かように考えております。
○米沢分科員 私どもは従来から経過年金、福祉年金等々、ナショナルミニマム的な基礎年金という体系の中で引き上げを図るべきだという議論をしてまいりましたし、その方向で行政の方ももっと前向きに努力をしてもらいたいと思うのです。しかし、財源が大変問題であることは事実でありますから、ただ保険料を上げざるを得ないということだけで逃げておったのでは、どうしてもそれは引き上げるということにならないわけでございまして、そのあたりは一工夫も二工夫も議論を重ねた上で前向きに取り組んでもらいたいと私は思っております。 それからもう一つは、婦人年金、いわゆる被用者の妻の国年の任意加入の問題であります。言うまでもなく、被用者の妻でありますと加入も脱退も自由で、加入すれば、妻である期間と保険料を納めた期間を合わせて二十五年あれば年金がいただけるという、これは特例として婦人年金ができましたのが昭和三十六年でございます。 御承知のとおり、高齢化社会は寡婦社会と言われますように、どうしても女性の方は長生きされて、チョンガーで過ごさねばならぬ時期が多いのは事実でありまして、そういう意味では、婦人の立場からすると、こういう特例というものは大変朗報であったと私は思うのでございます。そういう意味で、昭和四十五、六年ごろからブームだと言われるような現象が起こり、それから昭和五十年、ちょうど年金水準が上がった段階では、窓口に全国で百万人ぐらいが押しかけた。そういう意味で大変加入率がよくなりまして、現在の加入者は、正確にはつかんでおりませんが、約七百七、八十万ということで、サラリーマンの妻の八割近くがこの年金に加入をし、国民年金の約三割ぐらいがこの皆さんで占められておる、こういう実態であるわけでありますが、問題は、国民年金の財政が大変おかしい、同時に、この調子だったらますます保険料が上がっていくであろう、そういうことから、われわれはいま高い保険料を納めておるけれども、果たして将来本当にもらえるのであろうかという心配があることは事実でございます。 この年金の取り扱い等については、いわゆる基本懇等でも大変大きな論議になったようでありますけれども、この任意加入の婦人年金の問題ほど当事者自身が将来に不安を持たれておる年金はないのではないか、そういうことでございまして、下手をすれば国家総ぐるみで詐欺をするという結果にならざるを得ない一面もあると私は思うのですね。そういう意味では、早く結論をつけてもらわねばならぬ問題だと思うのです。昭和三十六年ですから、二十五年たちますと六十一年ですね。大改正が昭和六十年前後にあるといたしましても、もうここらで一応の結論をつくり、それに基づいていろいろと準備をされなければ、実際この年金をもらえる方々が続々と出てくる段階においては後には引けないわけですね。この前の年金法の改正等によって、遺族年金等を多く差し上げるということは、逆に、ひょっとしたらこれは婦人年金をなくしてしまうのじゃないかという感じも私はしたわけでありまして、こもごもいろいろな諸改正がなされますけれども、将来どうすべきかというものが設定されておりませんから、非常に矛盾したものの積み重ねだけでどんどんやってくる、そこに大きな不満があると私は思うのです、 そういう意味でお聞かせいただきたいことは、もうこの年金は、将来的には国民年金の財政からして大変な荷物である、したがって廃止すべきだという議論と、そんなこと言ってもとめるわけにはいかないではないかという議論があるが、基礎年金構想というものを描けばこんなのはスムーズに解決するわけですね。そこまで至らぬにいたしましても、やめることにはならない、したがって存続させるための諸条件をいろいろ整備しなければならぬという両論がいつまでも相拮抗しておりまして、年金局も全然結論を出し得ない。もう二、三年たったら受給者が出てくるわけですから、もっと検討を急いでもらって、一体これにどういうふうな結末をつけるのか、私ははっきりしたことを言っていただきたいと思うのです。いかがですか。
○園田国務大臣 婦人の年金保障の問題は、これは年金制度の基礎であると考えます。そこで、年をとったらすべての人が年金をもらえるという受給権を確保するということでは、御提案の基礎年金構想が一番有力であると考えております。ただ問題は、そこまで移行する間の費用の問題、それからもう一つは、違った年金に入っておられる方方の問題をどう解決していくか、こういうことでありますから、方向としては、やはり基礎年金の構想を頭に描きながら、逐次そういう問題を解決していくべきだと考えております。
○米沢分科員 基礎年金を頭に描きながら解決をしていこう、大変結構な話ですけれども、当面、では、婦人年金に決着をつける段階では基礎年金構想が出てきておるというふうに見ていいのですか。あるいは基礎年金そのものを頭に描きながらいろいろ考えるけれども、おっしゃったように、財源等の問題で基礎年金はずっと将来の問題だと言われれば、婦人年金の問題はそれと一緒になってずっと将来の解決につながっていく。どうもそこらが整理されておりませんね。婦人年金そのものはいろいろな議論があることは、先ほどから言いますように事実でございますけれども、次の大改正期までにちゃんと結論をつけられる、そういう気持ちがおありですか。
○松田政府委員 妻の年金というよりも婦人の年金権の問題でございますけれども、将来の基本的な方向はいま大臣からお話があったわけでございますが、妻の任意加入の制度が非常に宙ぶらりんである、かてて加えて、国民年金はもうだめじゃないかというムードの中でそういったようなものをどうするのか。私は国民年金制度が将来だめになるとは全然考えておりませんけれども、ただ被用者保険のサイドから婦人の年金権についてアプローチをしていくのか、あるいは国民年金のサイドからそういったアプローチをしていくのか、こういうことにつきましても関係審議会を初めいろいろ意見が分かれているところでございます。ただ次の再計算の時期にはその辺の見通しをつけるべく最大の努力をする方向でいま勉強をしているところでございます。
○米沢分科員 時間だけどんどんたって、どうしようもありませんけれども、経過年金の引き上げのことを考えてもやはり基礎年金ですね。あるいは世帯主か個人別の年金かと言われても、これは基礎年金ですね。婦人年金についてもやはり基礎年金、そういう発想をとらなければ整合性のある公的年金の体系はつくれない。このことだけは事実だと私は思いますので、大臣、基礎年金構想というものを現実化するために最大の努力をするという約束をしてもらいたいと思うのです。
○園田国務大臣 努力をいたします。
○米沢分科員 次は、年金の積立金の有利運用の問題についてお伺いしたいと思うのでございます。 年金財政が大変厳しい状況にありますから、ただ給付水準を下げるかあるいは保険料を上げるかという議論だけではなくて、相当の金額に達しておりますので、これを何とか有利に運用して運用益等をかせぐような方法はできないものだろうか。これは昨年も予算委員会で質問をさしていただきましたが、大変冷たい返事でございました。 御承知のとおり、年金の累積積立金は、五十六年度見込みで厚生年金が三十一兆六千六百億円、国民年金が二兆五千七百億円、総計で三十四兆二千三百億円の巨額となっております。この金が一部還元融資資金として運用されていることは十分承知をいたしておりますが、その残りはみんな資金運用部の方に預託をされて自主的な運用ができないという仕組みになっております。この問題につきましては、社会保険審議会等も何回か改正について建議をされておりますけれども、にもかかわらず改善されていない。これが大きな問題だと私は思うのです。先ほどから言いますように、年金財政が大変苦しい時代になっております今日におきまして、年金財政の健全化のためにもっと有利運用を図って運用益等を生み出して、年金拠出者の期待にこたえるべきときであるというふうに私たちは考えております。そういう意味で資金運用部資金以上の利率、いま八%だそうでありますが、それ以上に有利運用できるような部分をつくる工夫が必要だと主張さしていただきたいと思います。資金運用部資金法第二条の内容は十分わかった上で大蔵省の見解を聞きたいと思います。
○亀井説明員 お尋ねの年金資金の有利運用の問題でございます。 いま先生は、もう十分資金法二条の法文についておわかりの上ということでございましたが、考え方といたしまして、運用部に厚生年金等のお金を預託をいただいておりますが、それは政府の特別会計の各種のお金を統合的にまとめまして運用さしていただく。こういうことになりますとお金の量も大きくなりますし、安定的な運用も可能になります。したがいまして、そういう膨大な量のお金を公共的な必要性に基づいて重点的に運用するということができるわけでございますし、一元的な運用の見地から重複投資を排除いたしまして、できるだけ効率的、弾力的な運用が可能であるということが申し上げられるかというふうに思うわけでございます。そのほかに、もちろん大きなお金の量でございますから、財政金融政策等と整合性をできるだけ保ちながら運用していく、こういった必要性もあるわけでございます。 私どもは、そういう意味で運用部に統合さしていただいて運用させていただいているわけでございますが、先生御指摘ではございませんが、資金法の一条の目的をごらんいただきましても、預託をちょうだいいたしますお金に対しましてはできるだけ確実かつ有利に運用するという精神がございますが、もう一つやはり公共的なお金でございますので、それをできるだけ公共の福祉に役立つように運用する、こういう要請もございまして、そういった要請を両々相勘案しながら預託レートを決めさしていただいておる、こういう状況でございます。
○米沢分科員 大蔵省としてはそういうことしか言えないと思いますけれども、安全、確実あるいは有利、そういう原則で運用せざるを得ないわけでありますけれども、財投は五十四年でも約四兆近く使い残しがございますね。そういうものは右利、安全、確実、本当にそんな観点から運用されているかといいますと、問題がある。 そういう意味で、昨年の予算委員会で野呂大臣が、今後大蔵省を中心にした関係当局とも相談をして将来の有利な運用について話し合ってみたいというような話をされておるのです。これは大変むずかしい問題だと思いますが、厚生大臣、すべての金をおれたちのものだからよこせというんじゃなくて、ある程度の金額をいただいて有利運用さしてもらうように大蔵省とまじめに話をしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○松田政府委員 これからの公的年金制度の充実を考えていく上におきましては、積立金方式をとる限りにおきまして、その積立金の運用がきわめて重要な要素であることは御指摘のとおりでございます。ただ、現在三十四兆以上にわたります積立金の運営につきまして、ことしの財投で言いますれば一七、八%のウエートを占めるわけでございますけれども、そういったものを統一的に運営をするということが全体的な姿としては適当ではないかというのがただいまの私の見解でございます。 ただ、年金資金の運用につきましては、経営者側あるいは労働者側等関係者の御意見もございまして、厚生省内にかねて年金資金懇談会、それから本年からは大蔵省の方にも関係者が入っていただいた資金懇談会、こういったものをおつくりをいただきまして、できるだけ有利運用といいますか、被保険者の意向が反映するようなかっこうで資金の運営を考えていただく、こういう手だてで現在検討をお願いをいたしておるところでございます。
○米沢分科員 還元融資の使い方をいろいろ意見をちょうだいするというのではなくて、それも大変大事なことでありますが、有利運用をするための自主運用する枠をちょっともらう、そういう話もまじめにやってもらいたいと私は思うのです。 これも平行線ですが、これでやめますけれども、しかし自主運用をする場合にも、御承知のとおり共済年金はうまくやっていますよね。一時は共済ダラーと言われたそうでございますが、兜町あたりでがばっと国債なんかを買い付ける。その利ざやを自主的に運用した結果、共済年金の財政運用のために役立てる。そんなことこっちはできないのですよね。 だから大蔵省に聞きたいのですが、資金運用部資金法第二条と共済年金の自主運用、彼らはちゃんと兜町に行って国債を買って利ざやをかせいでやっておるんだ。なぜこっちができないの。なぜ共済年金ができるの。
○亀井説明員 共済のお尋ねで私がお答え申し上げるのはどうかとは思いますが、資金法二条と関連をしたお尋ねもございましたので。 資金法二条は、先生重々御承知の上でお尋ねでございますけれども、規定といたしましては、国の特別会計に入ってまいりますお金につきましては、先ほど申し上げましたような効率的な運用というような理由から、運用部で統合的に運用させていただくという形でございます。 いまお尋ねの共済組合でございますけれども、これは共済の法律の解釈は後にいたすといたしましても、共済組合という組織といいますか、国とは一応異なるような組織体といいますか、個別の法律と申し上げますか、そういうもので運営が行われているものでございまして、資金法二条の趣旨に反するのではないかというのは、そういうことではないというふうに考えているわけでございます。
○米沢分科員 法律に違反するとかしないとか、趣旨にどうだというのじゃなくて、共済年金が自主運用がたくさんできてなぜわれわれができないのか、できないなら官民格差を解消してもらいたい、そう言っておるのです。
○松田政府委員 かねて私どもは、公的年金制度の将来の整備の基本的な考え方といたしまして、八つに分かれております制度を一応前提としながら、相互の整合性を保っていくということをしばしば御説明を申し上げているところでございます。その中には当然積立金の資金の運用の整合性の問題も検討の課題として入っているわけでございますので、将来の問題として十分検討いたしたい、かように考えます。
○米沢分科員 またこれは時間がなくなってしまいましたが、企業年金を簡単に聞いてみたいと思います。 御承知のとおり、老後の所得保障の根幹となるものは公的年金であるべきである。しかし、公的年金の充実ぶり、あるいは将来の展望等を考えましたときに、どうしても老後の所得保障という形では公的年金だけでは物足りないということは事実だと私は思いますね。そういう意味では、やはりそれを補完する意味で企業年金とか個人年金、このあたりの健全な育成を図らなければならない。逆転するといけませんけれども、やはり公的年金を充実させながら、一方では企業年金、個人年金等々幅の広い選択ができるような施策をされることが政府の重要な任務だと私は思っております。 御案内のとおり、企業年金もすでに昭和五十五年三月末現在におきましては、厚年基金あるいは適格年金合わせまして、実施件数が約六万件、加入者数は約千百十七万人、その資産も六兆四千億ということになっておるわけでございます。これは順調に伸びてはおりますけれども、しかし結果的には大企業で約七割、中小企業で約三割、いずれかの企業年金を導入するという数からしたらこういう程度しか至っておりませんね、昭和五十五年に発表されました中央労働委員会の報告によりますと、調査対象の中で四二・六%しか実施してない、こういう数字が出ておるわけでございます。 しかし、現在の企業年金の現状というものを見ておりますと、重大な欠陥があることも事実でございます。これは一つは退職金の繰り延べ的な年金というものがはやりでございますから、やはり低水準であるということですね。それと有期年金。終身年金をとっておるのはわずか〇・四%でございまして、ほとんどが有期年金で五年とか十年という単位でしか年金を出してくれない。あるいはまたスライド制がない、あるいはまた公的に年金受給権が保障されるというシステムができ上がっていない、あるいは通算されるという問題が未解決である、あるいはまた行政そのものも、厚年基金は厚生省、適格年金は大蔵省、企業年金をはやらせねばならないという意味では労働省ですね。そういう意味で多元的でありまして、どうもこの企業年金もいろいろと育ってはおりますけれども、どうしても公的年金を補完する位置づけとして企業年金を見るという意味では、私はまだ大変問題があるというふうに考えておるわけでございます。 そういう意味で、公的年金を補完する意味で上積みするという位置づけをはっきりして、この健全な育成を図ってもらいたいし、特に定年と年金支給開始年齢がドッキングしていないという観点から、このごろその谷間を埋めるものとして企業年金を考えよう、こういうまじめな議論も出てきておりまして、そういう意味ではぜひともこの企業年金の育成について関心を持ってもらいたいと思うのでございます。そのためには、先ほど言いましたように、もし企業を渡り歩いたときの通算の問題とか、公的に受給権が保障されていないとか、スライドとか低水準とか、いろいろな法的な整備をしなければならない部分がたくさんあるわけでございます。 そういう意味で、厚生年金を管轄される厚生大臣、適格年金を管轄される大蔵省、ぜひ法的な整備等を含めて健全育成策を検討していただきたいとお願いしたいわけでありますけれども、両省からの御見解をお聞きしたいと思うのでございます。
○松田政府委員 人生五十年がいまや人生八十年ということでございます。したがいまして、リタイアをいたしましてからの老後の生活、その中心となるものはやはり公的年金制度であることは間違いはないところかと存じます。 ただ、公的年金制度で、リタイアをいたしました後すべてを賄うということにつきましては実際問題として困難でございますので、個人の貯蓄なりあるいは個人の年金なりあるいはそれ以外の企業年金等によって充実した生活を、自分の生活をカバーしていく、こういう構図になろうかと思うわけでございます。 ただ公的年金はやはり老後の中心的な存在でございます。その他の制度がこれを補完する機能を持ちつつ個人の老後の生活を充実していく、こういう構図が最も望ましいというふうに考えておるわけでございます。 企業年金につきましては、いろいろいま先生から問題点の御指摘がございました。大きく分けて自社年金、あるいは税制適格年金、それから私どもが掌握しておりますような年金基金のような調整年金、こういったようなものにつきましては、自社年金は別といたしまして、厚生省といたしましては、将来そういったような老後の生活の機能をより高めるためにできれば統一化の方向でその充実をしてまいりたい。現在私どもの方で、いま御指摘のような水準の問題、あるいは有期か終期がないのかとか、あるいはスライド制の問題、それから通算措置、それからその財政的な裏づけの問題、こういった問題で研究会を持っております。近くその結論を得る予定でございますので、そういったことも十分参考にしながら、遅くとも次期の再計算の時期にはあわせて検討の結果を法律改正なりのかっこうで御審議を願うというスケジュールを現在考えております。
○米沢分科員 もう時間も来ましたが、あと一分だけお願いします。 あと、個人年金ですね。大蔵省としてはこの個人年金を育成するという立場にあると思うのですけれども、その際よく言われますように、個人年金についてはマル優の拡大をやってもらいたいという要請と、現在年金を掛けていく場合の年間五万円の保険料の控除がありますね、その部分を何とか拡大して引き上げてもらいたいというような要請があるのでございますけれども、個人年金の需要の拡大といいますか、健全育成の立場からはそのあたりを踏み込んで検討していただかなければならぬと思っておりますが、その点いかがでしょうか。
○内海説明員 お答え申し上げます。 現在個人貯蓄に関しましてはきわめて厚い税制上の配慮がなされておりまして、御承知のようにまずマル優三百万、それから国債別枠三百万、さらに郵便貯金三百万、合計九百万、これは家族でも利用は可能でございます。それから勤労者については財産形成五百万、その上にただいま御指摘の生命保険料控除がございます。現在の一般的な貯蓄水準というのを貯蓄動向調査で見ましたときに、大体一世帯の貯蓄額というのはすべてひっくるめましてその世帯の一年間の収入に見合う程度というのが統計的に出ております。ですから、大体平均的に三百五十万だとすれば、あらゆる形態の貯蓄額を合計いたしましても三百五十万程度、そういう意味では現在の財政状況とかあるいは国民の貯蓄動向から見まして、現在でも個人貯蓄に対する優遇が過ぎているのではないか、これについては見直しを図るべきではないかという御意見もあるわけでございまして、そういう意味から言ってこれの拡大についてはとうてい考えられない、税のバランスという意味から言いましても財政状況から言いましても困難だというふうに考えておる次第でございます。
○米沢分科員 まあいろんな議論があると思いますけれども、おっしゃたように貯蓄の金額の問題で云々されますけれども、たくさん持っている人はみんな不動産にかえる。だから金だけを比較したらぼくは困ると思う。その点だけ注文をつけまして、終わりたいと思います。
○宮下主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。 次に、土井たか子君。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕
○土井分科員 いま厚生省が省を挙げて大変御苦労になっております問題に、国民年金法の適用をどうしていくかという問題が実はございます。それは何かというと、御案内のとおり難民条約締結に向けて年金のあり方を外国人に対して一体どう考えるべきかという問題なんでございます。 これは従来から、園田厚生大臣が外務大臣でいらっしゃったころから難民条約の締結が急がれながら、しかし国内での年金や健康保険や児童手当あるいは生活保護という問題について踏み切れなかったことのために、今日まで締結をすることがなかなかむずかしかったという過去の事情もございます。さらにその後外務委員会では、国際人権規約を審議して批准をすることになりました節、当時の外務大臣でございました園田大臣の方から、社会保障の内外均等待遇というものは実現する方向で努力をしなければならない、A規約の二条一項は漸進的と言っているけれども、しかしこのための努力は必要だという切々たる御発言がありまして、いままさに厚生大臣として、難民条約締結に向けて大変な御努力をなさったといういきさつも私はよくよく承知をいたしております。 いまその年金の問題についてあらましどうすべきかという素案と申しますか具体的な中身が大体せんじ詰められていっているんじゃないかとも思いますが、その進行状況はいかがでございますか。
○松田政府委員 難民条約の提案につきましては、現在主管省である外務省の方でリザーブをしないで提案ができるように準備中と聞いております。したがいまして、これに伴いまして難民条約の中にございます社会保障関係の国内法の適用につきましても、内外人平等の原則を実現するということで、現在私どもも関係法案の整備について検討をしているところでございます。つまり外国人と日本国民と全く同様に扱う、日本人よりも優遇するわけでもなし、また日本人よりも処遇を薄くするということでなく、全く平等なかっこうで処遇ができるような法律改正も含めての検討をいましているところでございます。
○土井分科員 日本国民と同じ処遇をということを大前提としていま作業をお進めになっていらっしゃるという御答弁をいただいたわけですが、私たちが漏れ聞くところによりますと、国民年金の取り扱いなどにつきましても、三十五歳を過ぎて日本へ来られました外国人は、国民年金に加入しても老齢年金は受けられないという問題がございましたり、いずれにしろ三十五歳を過ぎてからは二十五年以上の保険料を納めるわけにはいかないから、六十五歳になってからの年金の受給資格がないという問題があったりいたしまして、実はそういう点での取り扱いについてまだまだいろいろ問題点は残るようでございます。 しかし、これに対しても何らかの措置を講じて対処を考えていかなければならない。この問題の取り扱い方については、大きく言うと二通りありますが、ふっ切る方向で対処しようとなすっていらっしゃるのか、それとも何らかの措置を講じようとなすっているのか、いかがですか。
○松田政府委員 年齢の問題その他国民年金に対する外国人の適用につきましては、御指摘のようなことも言われていることは十分承知をいたしております。私どもといたしましては、難民条約批准に当たりまして、先ほど申し上げましたように日本人の処遇と変わらない、全く同じ処遇をすべきだ、外国人だからといって区別をしたりあるいは日本人よりも優遇するという方向ではございませんで、日本人と全く同じ処遇ができる、現行の制度に合致した処遇ができる、こういうことで現在検討いたしておるところでございます。
○土井分科員 そうすると、現行のこの法のたてまえからいたしますと、三十五歳でぶつ切るというのはこの法律にかなった取り扱いでございますか。
○松田政府委員 恐らく先生御指摘の三十五歳という意味は、三十五歳で国年に入りますと六十歳まで二十四年くらいしかないので二十五年の期間を満たさない、こういう御趣旨かと思うわけでございますけれども、これにつきましては日本人の場合も同様でございます。 しかし、国年だけ二十五年ということでございますので、通算老齢年金という制度もございます、極端な場合被用者保険に六十歳を過ぎてから加入するということもございましょうし、それぞれの対象によって事情が違いますので一概に申し上げられませんけれども、年齢で区切るとかなんとかという趣旨で私どもは検討しているわけではございません。
○土井分科員 その問題については種々まだまだお尋ねをしなければならない論点が残っていくわけですが、その辺を中心に聞くつもりできょう私は参ったわけではございませんで、問題は別にございます。 厚生年金は国籍要件がなく、現在は外国人も加入しているわけです。ところが国民年金については国籍要件がございますために加入できない、このようになっているわけでございます。今回は難民条約を締結して国民年金から国籍条項を外すことになると、厚生年金から国民年金に通算をすることが事実上可能になるわけでありますか。その辺はいかがでございますか。
○松田政府委員 御指摘のとおりでございます。
○土井分科員 その点はわかりました。 昨年の年末でございましたか、市民グループの方々が園田厚生大臣に陳情されまして、この年金の取り扱い方についていろいろ意見を持ち込まれたときに、大臣はおいおい検討してまいりたい、皆さんからいろいろな点があったらぜひ教えてもらいたいという御意見をお出しになったようでございます。そこでいまから私が申し上げるのは、実はどのような取り扱いになっていくのかという大変気にかかる問題でございまして、ひとつお聞き取りをいただきたいと思うのです。 外国人の中で障害者の方々というのはかなりの数あるのです。それはいろいろな事情による方々がその中にあるわけてありますが、私が友人を通じて知らされました案件につきましても、聞いていると何とかならないかという事情ばかりであります。きょうここでお聞きいただきたい案件は、特にその中の一例二例でございまして、事はそれにとどまる問題ではないということを前置きをさせていただいて、ひとつその中身についても触れたいと思います。 実は大阪の方で、名前はSとしておきましょう、Sさんが両親とも朝鮮人の中に生まれまして、満三歳のときにはしかによって不幸にも両眼を失明されたのです。昭和九年生まれの女性ですからいま何歳かというのはおわかりになると思います。 その後、昭和二十九年、大阪市立盲学校に入学されて初めて勉学の機会を得まして、ちょうどそれはSさんが二十歳のときであります。そうして十四年の課程を十年間に短縮をしてそれを修了いたしまして、それ以後マッサージ師として生計を立てるようになりました。 その後、昭和四十三年に、同じく失明をされている日本人男性と結婚をいたしまして、二人の子供に恵まれたわけでありますが、その夫は当然のことながら障害福祉年金を受けております。朝鮮人であったSさんも、夫の勤めがございまして、四十五年十二月十六日付で日本国籍を取得されております。障害福祉年金の受給を申請するために夫からいろいろ手助けをもらってその手続をとられたのですが、国民年金法に定める障害福祉年金を受ける資格がないということで裁定請求が却下されました。これはなぜかというと、申し上げるまでもなく日本に帰化をされたのが四十五年十二月十六日であったということのためであります。こういう例はほかにもいろいろあると思うのです。 他の一例を引き続いて申し上げましょう。一九四八年生まれ、国籍は韓国籍の三十二歳の方。生後三カ月のときに高熱が続きまして、それが原因で八歳のときに脳性小児麻痺と診断をされるという重度の障害者であります。現在は神奈川県の大磯にございます精薄者施設素心学園で生活指導を受けているわけであります。この素心学園では、七十余名の精神薄弱者のうち二名が韓国人のようであります。 昨日私の友人がここを訪れまして、御当人のお母さんに会っていろいろ事情を聞きましたら、お母さんが言われるには、いままでのいきさつをるる説明して、涙ながらに何で韓国人だからといって年金がもらえないのかというのが本心だ、一生懸命働いて高い税金も納めている、都庁や厚生省に何度問い合わせたかわからないけれども、しかし国籍が違うということだけでやはりだめだった、こういう事情からほとんどもうあきらめかけていたときに、今回難民条約を締結するということを機会に国民年金について外国人に対してもその適用があるということで、どういうことになるかということを片や非常に不安な気持ちで待っていると言われるわけです。ただしかし、自分個人の問題じゃなくて、もし国会で問題にされるのならば、自分の子供ももちろん大切だけれども、素心学園や障害者のことを問題にしてほしい、ことしは国際障害者年と言われているけれども、本当に障害者に日が当たるような施策が必要だと思うと言って涙をこぼされたということであります。 そういう事情なんかを考えていきますと、現行国民年金法八十一条の一項からしてどういう取り扱いがいまこれに対してなされるかというのは大変大きな問題だと思うのですが、どのようなお取り扱い方をいまお考えになっていらっしゃるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
○松田政府委員 現行法が国籍要件を持っておりますために、どこの国でありましょうとも外国籍の方につきましては国年法の適用はございません。したがいまして、拠出制の年金にいたしましても無拠出の福祉年金等にいたしましても、原則的には適用がないわけでございます。今回の難民条約の批准に伴いまして、先ほど申し上げましたように日本国民と同様な処遇を考える、ノーリザーブで批准をいたしました場合にはそういう方向になるということを申し上げたわけでございますが、これは障害者でありましても母子世帯でありましても全くその処遇は変わるところがございません。 ただいまお示しのケースにつきましては、前者の方は結婚されましてから帰化をされましたので日本国籍になったわけでございますが、障害福祉年金に限らず年金制度の障害年金等を支給する要件といたしましては、廃疾認定日という制度がございまして、その時点でどういう要件を備えているかということが年金支給の要件になっているわけでございます。したがいまして、障害福祉年金の場合には廃疾認定日、つまり二十歳の時点で日本国民であるということが要件とされておりますので、前者のケースにつきましては支給は認められない、こういうことでございます。 後者のケースにつきましては、仮に難民条約を批准をいたしまして、そしていま日本人が兼ね備えておりますようなと同等の要件を備えております外国人につきましては、難民条約の趣旨に沿って適用がある、こういう結果になろうかと思います。 具体的なケースにつきましてはその都度認定をいたさなければいけませんけれども、全体的な制度の姿としてはそういうふうになろうと考えております。——ちょっと舌足らずでございますが、申し上げましたように廃疾認定日で、つまり二十歳になった時点で年齢と国籍とこの二つの要件を兼ね備えることが必要でございます。
○土井分科員 年齢と国籍というものの要件を備えることが必要とおっしゃるのはどういう意味ですか。いまの御答弁は、現行国年法に対するコメントにすぎないのじゃないですか。そうじゃなくて、先ほどからるる私が申し上げている問題に対してはどういうふうなお取り扱い方を今回難民条約締結に当たってお考えになるお心づもりかということを聞いているのです。
○松田政府委員 現在先天性の障害につきましては、二十歳になりました時点で障害福祉年金を支給するかどうかを認定いたしておるわけでございますので、この方式に日本人がよっております関係上それと同様な取り扱いになるということでございます。
○土井分科員 厚生大臣、申し上げます。 いまの御答弁でもこれは釈然としない。なぜかと言うと、この国民年金法八十一条の一項という問題は昭和三十四年十一月一日という日が問題になっておりまして、その日に二十歳を超える者でそれ以前に障害を受けているときは障害福祉年金を支給する、こうなっているのです。昭和三十四年十一月一日に二十歳を超える者でそれ以前に障害を受けているときは障害福祉年金を支給する、これがそのときの経過措置なんですね。今回はこれをこのままに置いておきますと、外国人に対して障害者年金というのは一体どういうことになるかというのは、三十四年十一月一日というものを日本国民と同様に取り扱い方を考えるということになっていくわけでありまして、どうもこれでは障害者に対しての措置ということからしたら、みんなぶつ切られてしまいます。三十四年十一月一日に日本国民であったかどうか、このことがこのときには問題なんでしょう。
○松田政府委員 私どもが難民条約との関連において内国民待遇と考えておりますのは、現在の法律が日本国民にどういうふうに適用されているかということを頭に置いて検討いたしているわけでございます。
○土井分科員 木で鼻をくくったような御答弁、ちょっとそれは、そんな問題じゃないのですよ。いろいろこういう障害者の方々に対して経過措置というのをやはりお考えになるというお心づもりがないかどうか、厚生大臣、いかがですか。
○園田国務大臣 私も余りわかりませんのでいまここで小さい声で聞いたわけでありますが、問題は、この失明した時期が日本人じゃなかったからだめだ、結局これは——ではもう一遍答えてからその後で……。
○松田政府委員 障害福祉年金は二十歳になったときに日本の国籍を有する、同時にそのときに障害がある、こういうことでございますので、その当時に国籍がなかったり年齢が過ぎておるということの方には現行法では障害福祉年金は支給されないわけでございます。そういった方針を現行法がとっておりますので、そういったことが基本の検討の方針になろうか、こういうことを申し上げたわけでございます。
○土井分科員 これは難民条約が締結されまして国籍条項が削除されて、外国人に対しても国民年金法というものが適用されるという施行日というのをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○松田政府委員 これは条約批准の手続の関係がございますので、いまのところはまだ施行日は決まっておりません。
○土井分科員 形式的に言うとそういうことでしょうけれども、あらましいつごろからかということはお考えにならないと、これはそれに対する予算も伴いますよ。年金のあり方についても大変大きくがらりと変わるという面が出てまいりますから、あらましお考えになっているはずなんです。
○松田政府委員 拠出制の年金につきましては保険料の徴収という事務が必要でございますので、少なくとも半年程度以上の準備期間が必要かということで考えておりますので、五十六年度中に実施するのが精いっぱいではないかというふうに考えております。
○土井分科員 五十六年度中に一生懸命おやりになることが精いっぱい、そして五十七年度にそれを施行するということになることが、あらましいまの御答弁からすると考えられるわけですが、いずれにしろ施行日がどういうことになるかということが三十四年の法制定のときに経過措置としては問題になっているのです。三十四年十一月一日というのは、やはり三十四年の国民年金法の制定に当たって、その施行日において二十歳を超える者でというかっこうになっているわけですから、今回も外国人に適用する節、この障害者に対しての取り扱いというのを日本人と変わらないような取り扱いでということになってくると、施行日を基準にして、二十歳を超える者でそれ以前に障害を受けているときは障害福祉年金を支給するという経過措置というのを考えられないと、本当にこれは障害者に対して年金というものについての考え方というものをお進めになっているとは言えないことになってくるのです。厚生大臣、この点はよろしゅうございますか。これはお考えいただけますか。
○園田国務大臣 難民条約は留保なしで批准できるよう、ようやく話がまとまったところであります。 そこで、その留保なしということは、内国民と外国民と同じ取り扱いだ、こういうわけでありますが、その同じ取り扱いというところにいまおっしゃったような問題があるわけであります。日本の、生まれたときからの内国民でこれに適用されない人があるわけでありますが、韓国から来た人、特にいまのような場合は、不可抗力で本人の責任はないわけでありますが、そこに経過措置というのが出てくるわけであります。 そこで、それをやっておると批准に間に合いませんが、それをやった後、いまの御発言にもありましたように、年金法の改正の中でそういう問題は考えていかなければならぬと思うわけでありますが、いまの御趣旨は十分わかりましたので、事務当局ともよく相談をするつもりでおります。
○土井分科員 これは十分に相談をしていただかないと、この経過措置というのは、三十四年十一月一日に日本国民でないとこれは問題にされないので、そういうことからすると、このままを援用して外国人にというわけにはいかないだろうと、大変ひっかかるところなんであります。 したがいまして、いま厚生大臣がおっしゃるとおり、やはりこの国際障害者年に当たって、たまたまこの問題を日本としては問題にする年になったということでもありまして、やはり障害者の立場、障害者に対する対策ということを年金の上でも十二分に生かすような方向で、ひとつ今回の難民条約締結に当たっての年金のあり方を考えていただかなければならぬと思います。厚生大臣、その点はよろしゅうございますか。
○松田政府委員 ただいま御指摘のような問題は、本来国民年金法自体にある問題でございます。したがいまして、条約批准に伴う問題とは次元の違う話として、将来、公的年金制度の改善の一環として検討すべき課題ではないかというふうに感じております。
○土井分科員 ただ、公的年金制度とおっしゃいますが、これはやはり過去においても、日本の国民に対しての国民年金を制定する際、経過措置として用意しなければならなかった部面なんですよ。だから、同じように今回外国人に対してこの適用をするというふうなことに踏み切る際も、やはり経過措置ぐらいは考える用意があってしかるべきだと思います。そうでないと、国民と変わらない取り扱いを外国人にというわけにはいかない。この点、厚生大臣、よろしゅうございますか。
○園田国務大臣 はっきりしておきますが、難民条約の加入について、いまのような問題も処置をして加入すべきではあったが、それをやっておると間に合いません。いまのままでもようやく間に合うかどうか、すれすれでありますから、留保なしに加入はします、その後、いまの問題は内国民と同様の資格を得られた方々に対する経過措置でありますから、それはなるべく早い時期にいまの御趣旨に従ってやります、こういうことでございます。
○土井分科員 それは厚生大臣として認めていただいて、できる限り早い機会にということもおっしゃってくださいましたから、ひとつその方向で、さらに具体的にどうあってほしいかということも、私どもも申し述べていきたいと思っています。 それで、時間でございますけれども、あと一例だけ、こういうことをどういうふうに考えたらいいかということをお聞かせいただきたいのです。 台湾から戦時中強制連行をされまして、徴用されて、沖繩の西表島の炭鉱で爆発事故がございまして、そこで失明されたという方があるのです。こういう方は一人二人じゃないと思うのですが、いろいろな意味で、それは朝鮮から、あるいは台湾からあったと思うのですが、この方が、障害福祉年金を受けるために国籍離脱をして日本の国籍を取得するということのための手続を一生懸命とったけれども、結局それが認められなくて無国籍になっているという例があるのです。そのままなんです。これは考えても考えても、何とかなりようがないかという思いがいたしますが、厚生大臣、こういう場合はどうすればいいのでしょうか。
○松田政府委員 国籍とその障害と、時期その他ちょっとよく事情はわかりかねますけれども、やはり現行法では、まず日本国民であるということ、それから、障害の時期が支給要件に合致をし、障害の内容も法律で定める程度である、こういうことでございますので、まず国籍要件という方の解決ができませんと非常にむずかしい問題ではないかと思います。
○土井分科員 これは、国籍要件を充足させることのために、台湾国籍を離脱をして日本国籍を取得するための手続を一生懸命おとりになって、それはどういう理由によるものかという理由のところが一つはひっかかりますけれども、しかしいずれにしろ、日本国籍を取得することが認められなくて、そして今日に至っているという事情があるのです。 そのいきさつを考えますと、障害福祉年金とか障害年金というものを考えての国籍離脱であり、さらに日本国籍取得ということを考えられた行為が過去にあったということをこれはやはり認めざるを得ないのですね。そしてその結果無国籍になったといういきさつがあるわけでありますから、これなどはどういうふうな方向で対処していくべきかということを——私は、障害者対策の一環として忘れられてはならない問題がこういうところにもあるという気がしてならないのです。厚生大臣、いかがですか。
○園田国務大臣 国籍の問題で日本国に帰化したいとしたができなかった、こういう点はどういう事情がわかりませんが、先般発言をされた婦人と男性との差別国籍の問題にも関連しておるんじゃないかと思いますので、私の方だけではできませんが、法務省ともよく相談をして実情を聞いてみます。 しかし、いずれにしましても、単に法律制度に縛られてそういうこぼれたものをほっておくということは社会福祉の本旨ではございませんから、よく実情を調べた上相談をいたします。
○土井分科員 ありがとうございました。
○上村主査 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。 次に、薮仲義彦君。
○薮仲分科員 最初に、これは大臣と局長に資料を渡したいのですが、よろしゅうございますか。
○上村主査 はい。
○薮仲分科員 私は本日、大臣が特に歯科の専門の勉強をなされたということで、非常に歯科については造詣が深いということを前提にして何点か質問をさせていただきますけれども、私は医者ではございませんので、患者の側、いわゆる診療を受ける側の立場から何点か問題を提起をして、今後のあるべき歯科診療についての大臣の見解を承りたいと思っておるわけでございます。 私がなぜこういうことを問題提起したかといいますと、私ももともと歯のいい方じゃありませんで、歯科の先生には大変お世話になっている方ですけれども、やはり国民健康の維持、そして増進という立場から、健康な歯ということは非常に大事だと私は思うのです。われわれ治療される側から言いますと、安心して、しかも適正な歯科診療というものを受けたい、これは国民として当然な考え方だと思うのです。 しかし、保険給付のあり方、いわゆる歯科診療のあり方というものが大きく医療行政全般をつくり、あるいはある意味では変えていくということがあろうかと思うのです。一部の不心得な先生、乱診乱療、いろいろな問題がございますけれども、私はそういう観点ではなく、まじめな先生とそして診療を受けるべき国民が適正な診療を受けたい、この歯科診療というものが今後健全な形で発展していってほしい、こういう気持ちからきょうは質問をさせていただきますので、その辺をまず御認識いただいて御答弁いただきたいと思うのでございます。 まず、歯科と医科がおおむねどう違うか、お手元にお渡しした資料の表紙を大臣ちょっとごらんいただきたいのです。これは大臣に言うまでもなく、釈迦に説法で恐縮でございますが、これは診療行為別点数百分率でございます。一般診療の場合は投薬の部分が二八・九%、約三分の一です。右側の方の資料をごらんいただきますと歯科診療分がございますけれども、この歯科診療の大宗を占めるのは処置及び手術、それから歯冠修復及び欠損補綴、この部分が約七五%、診療内容のほとんどです。ということは、歯科診療そのものはやはりお医者さんの技術的な面が相当ウエートが大きいのじゃないか。 そこで私は、私のところに来た手紙の一部をちょっと読みますと、「歯の重要性ということは、歯の乱暴な治療や、抜歯などからは決して理解できるものではありません。どんなに弱った歯でも、半年でも、一年でも長もちするようにと歯を丁寧に治療してあげることから」始まります、こういう意味の手紙があるわけでございます。私はやはり患者の側からいっても、歯というものは丁寧に扱っていただいて大事にしていただく。このまじめなお医者さんの気持ちはよくわかるわけです。 ところが、現在の歯科診療は、この歯科点数表によって診療内容というものにどうしてもある程度の方向性がつけられるのはやむを得ない、これは私も理解できます。 そこで大臣、資料の二番目を開いていただきたいのですが、「歯科診療についての一連の流れ」というのが書いてございます。これはもう大臣専門ですからよく御存じの歯髄炎、われわれが虫歯で歯が痛いというときのざっとした診療内容です。初診日から治療が完了する六日目までずっと出ております。細かいことは時間がありませんから、御専門でもありましょうから省きます。 ここで私が問題にしたいのは何かといいますと、一日目、二日目、三日目、普通処置としていろいろ処置がございます。これはどういう処置かといいますと、いま虫歯を診療するのに、麻酔によって一日であるいはもう短期間に処置する方法と、このように麻酔を使わずに失活剤、神経を殺して抜髄してという普通の治療の方法がございます。一枚目は普通の方、二枚目は麻酔を使う方です。この中で、ちょうど四日目の右側から二番目のところを見ていただきますと、抜髄、神経を抜くところが六十点という点数が入っています。五日目には根治、根管治療三十点。六日目に根充六十点、こういう点数がございます。これは何を申し上げたいかといいますと、四日目の抜髄の前後処置、普通処置は保険では算定できません。五日目の根管治療、その前後処置はやはり保険では点数加算されません。六日目の根管充てんも、前後の根管治療も普通処置も保険では加算されないように現在なっております。 これはこれなりに日歯の先生方と厚生省と話し合った結果がこうなっておると思いますが、しかし現在の歯科の先生がこういうことに対して問題意識を持ってないか。非常に問題にしています。虫歯の治療というのは大宗を占めるわけです。この点数をトータルしますと百九十八点。一点十円ですから千九百八十円。虫歯の治療が六日間かかって千九百八十円が高いか安いか、いろいろな考え方はあろうかと思いますけれども、これは一つ大きな問題点である。これを適正な評価をしてほしい。私は幾らだということは申し上げる立場にありませんから申し上げませんけれども、非常に大きな問題点になります。 それから、もう一枚開いてください。これは大臣も御承知の注射抜髄即日根充、単根管の歯を麻酔で一日で根充する。この場合の診療報酬の例が出ております。これはもうめんどくさいから、資料を見ていただけばわかります。これをトータルすると幾らになるか。ここに出ていますように四千六百七円という材料費がかかっているわけです。 大臣、もう一枚開いてください。ここを開きますと、上から一、二と書いてあります二の中間ごろに、別紙のごとく保険点数は、材料、薬剤料、技術料込みで次のとおり請求できますということで、いわゆる即日根充処置二百五十点、二千五百円、根管形成料五十点、五百円、加圧根充料八十点、八百円、合計三千八百円請求できますと。ところがこの前の表で私がお示ししたのは何かといいますと、材料費が四千六百七円かかりますということが出ているわけです。ただ、ここで私が厚生省の方にこのことを言いますと、そんなことないですよと。 大臣、恐縮ですが、もう一枚前に戻ってください。即日根充のところの表を見てください。それにジッペラー社クレンザーあるいはファイルということが出てくるわけです。これは大臣が習ったころとちょっと違っていまして、いまは歯科診療がちょっと違っているので、きょうはわざわざ歯医者さんから借りてきました。これがいわゆるファイルというものです。これでつくつくつくと根管を拡大していくわけです。十一種類、ナンバー四十までで根管を広げていくわけです。これを厚生省は、一回で捨てませんよ、三回ぐらい使えます、ナンバー四十くらいになれば三回以上使えますよとかいろいろ意見があるわけです。これを一回ということで計算していますから、私の言う四千六百幾らという材料費はもっと下がりますという厚生省の見解もこれあることはわかります。 ところが私がなぜ言うかというと、これでももう四千六百七円で、保険の点数の三千八百円でいきますとプラスマイナス赤字ということがあるわけでございます。これはいろいろ考え方、計算の方式はあるかもしれませんけれども、何が言いたいか。このように歯科診療内容の中の材料費の占める割合というのは非常に大きいわけです。しかも歯科材料はあるときには値上がりし、あるときには値下がりするという非常に値段の変動の激しいものです。こういうことで、歯科診療というものがどうしてもある意味では政治的な加算といいますか疑義解釈という形で処置されてきたことはわかりますし、歯科診療の内容も材料費も何回か変えていらっしゃったかもしれない。しかし現実きょう現在の診療内容の材料費でいきますと、このように材料費の占める割合が高くて、いわゆるお医者さんの技術料というものが非常に低く見積もられる部分がございます。材料費だけで出したのですが、こういう意味で、今後の歯科診療の問題点の一つとして、虫歯の治療でも、長い間かかってやる処置も、即日にやる処置についても、お医者さんとしては心を痛めている部分があるということを今後点数を改正する際に大臣の心にとどめておきたいということで、第一点問題提起をさせていただいたのです。 これはちょっと専門にかかわりますので、私のこの問題点をやはり厚生省として検討すべき事柄であろうかと思うのですが、いかがでございましょう。
○大和田政府委員 お答えいたします。 ただいま先生が幾つかおっしゃいましたが、一つは中間材料の問題をおっしゃったと思います。ファイルの問題でございます。これにつきましては、歯科におきましては技術料の中に含む取り扱いになっておるわけであります。これにつきましては御承知のように前回の昭和五十二年の二月、中医協で御審議いただきまして約六〇%を引き上げた。それから一般の歯科材料につきましては毎年一回実勢価格の調査をやっておるわけでありますが、この全面改正は薬価基準の全面改定あるいは診療報酬の改正にあわせまして実施しているところでございます。ただ貴金属につきましては、御承知のように最近において改定をしておるというようなことでございます。 そういったようなことで、私どもといたしましては極力技術料の評価あるいは材料費の適正価格ということにつきまして努力をしているところでございますが、ただいま先生おっしゃいましたようなことにつきましてなお関係方面から十分意見を聞きまして、その取り扱いにおきましては、中医協で御審議いただきまして、ひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○薮仲分科員 では大臣、もう少し、具体的な問題で恐縮なのですが、それからもう一枚、ちょっと下の方になりますけれども、局長、ちょっと教えてあげてください。鋳造冠の原価計算が下の方に載っておりますから。鋳造冠の原価計算、ありますね。それをちょっと大臣に教えてあげてください。 これは大臣がよく昔勉強なさったいわゆるかぶせるというものですね、鋳造冠の大臼歯の原価計算。これも細かいのはここに出ております。これは医家の、専門の先生が計算なさったことですから、いろいろ見方があるかもしれませんけれども、標準的なことで出ております。この大臼歯に冠をかぶせるときに、いま基本的な保険点数は、技術料二百六十点、装着料十八点、合計二百七十八点、二千七百八十円。それから材料料として四百二十五点、合計七百三点、七千三十円がこの鋳造冠の経費に認められている保険料です。ところが、実際いま歯科の先生が鋳造冠をつくるのにどれだけ技工所に払ったりするかと言いますと、材料代、パラジウム合金で三千円から四千円、これは値段の差はいろいろあります。大体現在はこの程度です。技工代が三千円、築造代が千円、計七千五百円。これは明らかに合わないのです。そうすると、これは歯科の雑誌にも出てまいりますけれども、いわゆる金パラジウムが製造料の何倍か請求されますよという言葉も出てまいりますけれども、きょう私はその問題は取り上げません。 こういう実態からして、いわゆる安い材料を使っても高いので請求している現実があるよということが歯科の木にも出てまいりますけれども、これはやむを得ないと思うのです。このように材料費が値上がりして、技術料が非常に安い。ですからどうしてもこの鋳造冠をやるのにお医者さんはいま非常に苦慮しております。 もう一つは総入れ歯ですね。これが、大臣、御理解いただきたいのですが、いま歯科の先生のところへ行って、歯科の先生が一番いやがるのは総入れ歯です。私のところは総入れ歯がうまいですよという評判だけは立てたくないと言うのです。総入れ歯だけはやめさせてくれ。この資料も、大臣に渡したこの表の中に粗っぽく出してありますけれども、ちょっと前に戻っていただきますと、総入れ歯の原価計算が載っておると思います。時間の関係できょうは細かいことを抜きますけれども、いま問題は、総入れ歯をやりますと、これはそこに出ておりますようにいわゆる技工料、材料費でほとんど保険科ととんとんです。その下に歯科の先生あるいは助手の方の、技術的にこれだけの時間がかかりますということが載っております。この資料をごらんいただきますと、なるほど非常に大変だなというのがおわかりいただけると思うのでございますが、やはりこうやって歯冠修復あるいは義歯については、いま歯科の先生はなるべく避けて通りたいという気持ちを持っていらっしゃるわけです。 やはりこの問題は大臣に御理解いただくとともに、歯冠修復と義歯についての実態をお調べいただいて、このように、総入れ歯はやりたくないという歯科医師の方の、保険ではやりたくない、自由診療ならばやりましょう、保険では入れ歯は非常に赤字になる要因ですからやりたくない、あるいは歯冠修復も保険では非常に困難ですというこの問題は、非常に大事な問題ですので、どうしてもこの二つは今度点数改正の中で真剣に検討をいただきたいと思うのです。この点いかがでしょう。
○園田国務大臣 私は専門ではございませずに、学業、行動ともにおさまらず、中途で追い出された方でありますから、なかなか詳しいことはわかりませんが、しかし先生のおっしゃる点は十分理解できます。歯科の関係の方々からも承っておるところでありますし、かつまた中医協で御審議も願っておるところでありますから、次の改正の場合には、本日承ったことをよく記憶して、その上で歯科制係の方の御意見も聞いて善処したいと思います。
○薮仲分科員 私は、この診療行政というものが、まじめなお医者さんのため、そしてまた本当に困っている国民のために役に立ってほしいという観点から申し上げる質問でございますので、どうかその点、いま大臣の御決意を伺って私も意を強うしておりますので、まじめな先生が喜べるような、そして患者も喜べるような診療行政を確立していただきたい。重ねてお願いをする次第でございます。 これは一つ、その中での要望なんでございますが、一つ検討していただきたいというのは、この歯科診療というのはどうしても材料費が大宗を占めます。そして技工料というものもございます。ここでなぜ問題かと言いますと、お医者さんの歯科診療は保険です。技工の方は自由経済社会でございますから、これは歯科診療と技工所とのいわゆる取り決め等によって技工料等が決まってくるわけでございますけれども、やはりこの現在の状態では、私、必ずしもこれが好ましい診療のあり方ではないと思います。 そこで、今後材料費であるとかそれから歯科の先生の技術をどう評価なさるか、それから歯の診療でも、直視できる、目で見て治療できるところと、ミラーでなければ絶対できないむずかしい治療がございます、難易度等があるわけでございますが、こういう問題を十分納得できるような形での評価、さらには技工料と歯科の先生とのあり方を分離したらどうか、こういう点も私の個人的な考えとして、歯科の先生にお会いして感ずるわけでございますが、この辺はいかがでございましょう。
○大和田政府委員 技術料の問題、それから歯科材料の問題、先生先ほどの御質問は、この点の適正評価ということでございます。これにつきましては、先ほど申しましたように、関係方面の御意見を聴取しながら中医協で御審議いただきたい。技工料の問題でございますけれども、技工料のあり方、これは先生がおっしゃいましたように保険ではなく契約でございます。その契約の中身がどうか、こういうようなことでございますので、この辺は私どもといたしまして、技工料をどうせい、こうせいと言うのはなかなかむずかしい、こういうようなことでございます。 したがいまして、問題は、技工料を払う、そこでベイできるようなそういう診療報酬といったようなことが先生の御主張の主眼ではないかという気がいたしますが、その問題につきましては、やはり先ほど申しましたように、技術料あるいは歯科材料、これの適正な評価というものを今後とも努力していきたい、こういうようなことで、中医協の御審議をお願いしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○薮仲分科員 私は、これは一つのあれでございますが、技工のあり方もいわゆる保険の中での制約を受けるというか、保険の給付の対象ということになりますと、一つの方向かなという感じもございます。これはいろいろお考えもあろうかと思いますから、検討いただきたいと思います。 次の問題ですが、さっき中間材料の話をいろいろなさいました。大臣、これが歯科の点数表でございますが、ここの二百四十一ページに歯科材料、いわゆる保険で請求できる歯科の材料がこれだけ載っているわけです。いま局長がおっしゃった中間材料、資料がついていますから、ちょっと大臣に局長教えてあげてください。表の六と書いてあるのがそれです。ちょっと大臣に見せてあげてください。 大臣、いまお手元にある表、三枚にわたっていますけれども、これがいわゆる中間材料と言われて、保険の点数に入ってない、しかし現場の診療の内容では使います。これはいわゆる保険の点数では技術料の中に入っておりますという言い方をなされて処理されておるわけでございます。この三枚にわたるほど、これだけ多いわけです。全部言うと大変ですから、大臣、一つだけにしておきます。 この表の一番最初に、歯肉療法のところにダイヤモンドバー一本五百六十円と出ていると思います。それと、大臣、これをちょっと見ていただきますと非常によくわかるのですが、これが歯科診療のレセプトです。これの一番上の「処置及び手術」のところに「除去」というのがある。除去の点数が入っておりますね。除去は十五点、百五十円です。なぜ私がそれを挙げたかといいますと、大臣は金冠をかぶせていますけれども、それがまた虫歯になったらはめた金冠を外さなければならない、あるいは鋳造冠を外さなければならない。そのときにダイヤモンドバーで外すわけです。このダイヤモンドバーの単価が五百六十円なんです。保険の点数が百五十円です。一つだけ例を挙げたのは何か。この五百円は中間材料で、保険の点数に入ってないのです。除去では十五点。お医者さんは私に言いました。こんなことを思ってはいけないのだけれども、この冠を取るのに、五百円のダイヤモンドバーは一回でだめになる、もらえるお金は百五十円、この中間材料を適正に評価していただきたい、これは現場の声でございますから、御専門の立場でここに挙がっている材料を検討いただいて保険給付の対象とすることが、われわれ受ける側にとってもよりよい診療のあり方であろうと思うのでございます。 時間がなくなりましたので指摘だけしておきますから、中間材料を入れてほしいというのは、そういう意味で、お医者さんに制限診療をさせないように、大臣、十分な医療給付を与えていただきたい、こう思っております。 それから次の問題、もう時間がありませんのでまとめて二つお伺いします。 その中の資料で、一件当たりの金額の推移でございます。五十二年から出ておりますけれども、本当は、私の手元に資料は四十三年から、ずっと過去十年間持っております。ここで何を申し上げたいかというと、私は静岡出身なんです。静岡のところに線を引っ張ってあります。歯科診療一件当たりの金額でいきますと、静岡は五千五百七円です。これは別にひがんでいるわけじゃありませんからさらっと聞いてください。福岡は一万二千三百二円、北海道が一万一千四百十九円。こう見ますと、静岡は全国最下位を過去十年間低迷しておるのです。四十六位、四十七位というのは一件当たりの金額が全国で一番低いのです。 ということは、患者の側から言うと、保険ではある意味では十分な診療を制限されていたという実態なんです。そんなことありませんとおっしゃりたいかもしれませんけれども、これにはいろいろ経過がございますからきょうはやめておきます。これは全国のものがその後ろの方に一覧表になっておりますけれども、全国でこういう差が出てくる。これは政管健保と国保だけ例に挙げておりますけれども、歯科診療で、お医者さんが適正な診療をなさるならば、診療報酬も、こんなほとんど倍近く違うというのはおかしいじゃないか、やはりここに問題があろう。 これはもちろん歯科の医院の先生の理解の仕方も当然あるかもしれません。ただし、ここで問題になりますのは、厚生省の指導のあり方も、これはやはり大事な点ではなかろうか、あるいは点数解釈の中にいろいろな自由裁量の部分があり過ぎるのじゃないかという意味で、全国平準化した歯科の公正な診療が受けられるように、これを基準にしてやはりおくれているところには適正な保険診療を厚生省にやっていただきたいと思うことが一つ。きょうは時間がないので、これはこれだけにとどめます。 もう一点は、これは予防の方でございます。これに資料はついておりませんが、これは大臣御存じだと思います。虫歯が物すごくふえております。子供さん、高校生まで有病率は年々砂糖の消費量と同時で上がっております。この虫歯の予防ということが非常にこれから大事じゃないか。特に厚生省あるいは文部省の資料によりましても、いわゆる処置、未処置を有する方が九〇%近いですね。永久歯などは、これでいきますと八五%、これは厚生省の資料ですから御存じだと思います。文部省の資料によっても同じく八〇%台の高率で虫歯の方がふえているわけです。 やはり私は国民的な課題として虫歯予防ということを、六月四日が虫歯予防デーということだけではなく、特に歯科の先生に言わせますと、乳幼児から歯の生えかわる大事なときに適切なブラッシングやなんかを指導すればいい。そうなりますと、一つは保健所等に歯科衛生士等を配置する、あるいは新潟県などは弗素によって虫歯が二分の一に減った、こういう例もございます。きょうは具体的なことはやめておきますが、この虫歯予防ということについて大臣の御見解、そしていま私が最後に指摘した診療内容で保険給付が余りにも低過ぎる県についてこれを適正な形で指導していただきたいと思いますが、この二点伺って終わりたいと思います。
○大和田政府委員 前段につきましてお答えいたします。 各県によりまして医療費の多寡がある、これは特に医術には西高東低といったようなことが言われたりいたしまして、この事実は確かにあるわけでございます。これにつきまして私どもやはり原因を究明いたしまして、そういったことのないようにできるだけ努力していかなければならぬということは当然のことでございます。これについて、先ほど先生おっしゃいましたもしこれが裁量であるとか行政指導いかんによってということであれば、これは大変なことでございますし、私どもはそういうことをしておるつもりはないわけでございますが、そういうようなことがありましたらいけません。これはもうそういうことのないように強く指導をしてまいりたい、このように考えております。
○大谷政府委員 虫歯予防につきましては、先生御指摘のように大変重要な問題でございます。したがいまして、昭和五十四年五月に保健所法施行令の一部を改正いたしまして、保健所に置くべき職員として歯科医師及び歯科衛生士を追加いたしました。ペースは遅うございますけれども、確実に増加いたしております。今後とも努力いたしたいと思います。
○田中(明)政府委員 虫歯の有病率が高いことは先生御指摘のとおりでございまして、このため厚生省といたしましては従来から虫歯の予防対策を重点的に取り上げております。すなわち、乳幼児に対する歯科健康診査、先ほどお挙げになりました弗化物塗布等による予防処置等を実施しておりますほか、国民の歯科衛生思想の普及に努めておるところでございます。今後とも虫歯の予防対策の充実を図って、国民の歯の健康増進について努力をしてまいりたいと思います。
○薮仲分科員 大臣から一言御決意を。
○園田国務大臣 いま事務当局から答えましたが、虫歯がふえるということは大変なことでありまして、これは単に歯だけではなくて胃腸障害その他の障害を来し、子供の健康に、全身に影響を及ぼしますから、十分御発言の点を体得して努力をいたします。
○薮仲分科員 終わります。
○上村主査 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。 この際、午後一時から再開し、自治省所管について審査を行うこととし、休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○上村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中自治省所管について説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。
○安孫子国務大臣 昭和五十六年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一に、一般会計予算でございますが、歳入は千五百万円、歳出は八兆九千七十三億九百万円を計上いたしております。 歳出予算額は、前年度の予算額七兆五千四百九十五億八千七百万円と比較いたしまして、一兆三千五百七十七億二千二百万円の増額と相なっております。 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省が八兆八千八百四十九億百万円、消防庁が二百二十四億八百万円と相なっております。 以下、主要な事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。 よろしくお願いを申し上げます。
○上村主査 この際、お諮りいたします。 自治省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔安孫子国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。 最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十六年度は八兆八百三十五億二千万円を計上いたしております。 この経費は、昭和五十六年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆八百三十五億二千万円を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。 次に、臨時地方特例交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、千三百六億円を計上いたしております。 この経費は、地方財政の状況等を考慮し、昭和五十六年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。 次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、五千五百二十四億七千五百万円を計上いたしております。 この経費は、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。 この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。 次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、五十二億円を計上いたしております。 この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、四百二十三億四百万円を計上いたしております。 この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては、百二十三億九千九百万円を計上いたしております。 この経費は、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、二十三億三千七百万円を計上いたしております。 この経費は、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、十億五千八百万円を計上いたしております。 この経費は、再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百九十四億二千六百万円を計上いたしております。 この経費は、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体に助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、公営病院事業助成に必要な経費として、一億八千七百万円を計上いたしております。 この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業の不良債務の範囲内で発行を認めた公立病院特例債の利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、九十八億九千九百万円を計上いたしております。 この経費は、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。 なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。 次に、広域市町村圏等の整備の推進に要する経費でありますが、八億二百万円を計上いたしております。 この経費は、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、新広域市町村圏計画並びに田園都市中核施設整備計画の策定及びその整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十一億八千万円を計上いたしております。 この経費は、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。 以上が自治本省についてであります。 次に、消防庁について、御説明申し上げます。 まず、大震火災対策に必要な経費として、四十八億五千八百万円を計上いたしております。 この経費は、震災等大規模災害に備えるための消防防災無線通信施設及び耐震性貯水槽、コミュニティ防災センターなど震災対策のための諸施設の充実を図るとともに、防災知識の啓発を推進するために必要な経費であります。 次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百五十九億七千九百万円を計上いたしております。 この経費は、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備の充実と高度化を地域の実情に応じて計画的に推進するとともに、石油コンビナート、空港等における防災対策の推進を図るために必要な経費であります。 第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は、十七兆四百五十二億千三百万円となっております。 歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。 以上、昭和五十六年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 —————————————
○上村主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○上村主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますよう御願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いをいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西積介君。
○中西(績)分科員 私は、近年各地におきまして大きく問題になっております暴力団の抗争などについてお聞きをしたいと存じます。 大臣も御存じのように、暴力団の義理も何もない陰湿な抗争、散弾銃あるいはピストル乱射などと射殺事件が全国的に相次いで起こっております。その結果は、市民の生活を脅かし、直接かかわりのない市民が大きな被害を受けておるというのが実情であります。 こうした事態に対しまして、それぞれ関係の地域では、たまらなくなってしまって、暴力追放委員会だとか、あるいは協議会が追放集会、いわゆる暴追集会と言われておりますけれども、これらをもって市民が結集をして対処いたしておるところであります。 ところが、私ここでお聞きしたいと思いますのは、市町村の行政が、こうした住民結集運動にありますけれども、それに対応した直接的な自治体の対応策というものが余り目に見えないわけです。こうした事態は大変問題があるのではないかと私は思いますので、もし市町村段階の行政で具体的な取り組みなどがあるといたしますと、この点お示しをいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 地方公共団体が指導いたしまして暴力追放連動を展開しておるという事例につきましては、自治省といたしましてはいまだ承知をいたしておりません。
○中西(績)分科員 いま大臣お答えになりましたように、直接的に各自治体がこうした行事なりあるいは決議なりを上げるためのあるいは具体的な行動を起こすための手だてというものが行われておらないということになれば、これはできないということですか、しないということですか。その点どうなんでしょう。
○安孫子国務大臣 一般的に申しますと、暴力追放の問題は警察取り締まりというものが一つの力になるわけでありますが、それと同時に、国民各層の協力によりまして暴力団というものを社会から孤立をさせるということがきわめて重要だと思うのでございます。この点から考えますと、地方公共団体もこれに積極的に協力をしていくという体制が望ましいものだと考えております。
○中西(績)分科員 そうしますと、もう一つの面では、議会においては、ある程度私たち承知しておるところでは、相当の数のものがその対策を急げということの決議などは上げておるようであります。この点どうでしょう。
○大嶋政府委員 議会におきましてそういう決議をした例はあると存じますけれども、私どもの方にその決議すべてを送ってまいりませんので、自治省としてそういうことにつきまして件数等承知しておりません。
○中西(績)分科員 そういたしますと、自治省としては、いま大臣ちょっとお答えいただきましたように、警察なりそういう機関の取り締まりということでもって、各地方自治体における行政の方からの取り締まりを援助するとか、あるいはそういう行動を起こすための具体的な措置をするとか、こういうことについては、大臣の答弁の中では積極的にやるべきだと思うけれどもと言うけれども、自治省自体はどのように考えておりますか。そこの点、積極的に指導する意思はおありなんですか。どうですか。
○安孫子国務大臣 いますぐにこれを積極的に通達等をもちまして促進しようという考えはありませんが、こうした方向がきわめて重要だという点につきましては、やはり各自治体に対しまして自覚を促していくのが適当じゃなかろうか、そういう段階だと思っております。
○中西(績)分科員 私がこのことを提起申し上げるのは、類推をいたしますと、暴力団の結社など行われた場合に、政治家が賛同署名をしている事実があるのです。国会議員もあり、県知事、市長、地方議会議員、それぞれが入っているのですよ。賛同署名をして、しかもそれが回状みたいにして回されておるのです。きょうは名前は言いません。われわれの同僚だっておるわけですから。 こういうことになってまいりますと、一つの例だけ言いますと、いま銃撃戦の起こっておる地域で死亡した組長が、一九七五年の十一月に結社した際に、そういうものが出回っておるわけです。こういうことを考えてみますと、私は、自治省がやらなくてはならないけれども、いまやる意思はないということでありますけれども、地域でそういう取り組みがなされておらない大きな原因の中には、こうした政治家が介入をしておるということでもってやらないのではないかということを恐れています。この点どのように御理解していますか。
○大嶋政府委員 御指摘の事例につきましては、初めて私伺ったわけでございますが、いずれにいたしましても、暴力団の絶滅のためには、警察力によります強力な取り締まりを基本としながら、住民の組織あるいは安全を図る地方公共団体におきましても警察の活動に積極的に協力する必要がある、かように考えておるところでございます。
○中西(績)分科員 そのようにいま行われておるのが暴力追放推進委員会だとか協議会だとか、ほとんどそういう市民的な団体によって行われる。そうしますと、そこには会長さんなりがおって、その方たちがいままでの経過なりいろんなことを報告をし、そしてそれに対する警察署の所管の課長くらいが行ってあいさつをする。そして、皆さんでたすきをかけたりなんかしてデモるとか決議を上げるとか、こういう状況ですね。自主的な力というものは大変評価をしなければならぬと思いますけれども、何と申しましても、いまそういう地域がどういう状況になっているかということを考えてみますと、たとえば、私の出身の地域を考えてみましても、北九州市一つをとってみましてもいま過疎の傾向になり始めています。さらにまた、筑豊地域というのは、かつて産炭地でありますが、人口も半減に近い状況になって過疎地域です。こういうところでこういうものが多発をしておるという状況から考えますと、産炭地浮揚あるいはそういう地域の再生浮揚というものを論議する際には、市挙げてやるわけですね。ところが、それに大きな障害になっておるこういう問題になりますと口をつぐんでおるということになりますと、私は、地方自治体のあるべき姿としては大変問題があるんではないかと思うのです、特に私がいま言いましたように、政治家がこういうものに介入をしておる、あるいは賛同しておるということと同時に、もう一つ私が恐れるのは、そういう暴力団が地方自治体組織の中にある程度発言権なり仕事の上でいろんなものを持っておるのではないかということを一番恐れるのです。この点はおわかりになりますか。
○大嶋政府委員 暴力団が地方団体の中に入っているんじゃないかという御指摘につきましては、私ども承知をしておりません。一般論といたしましては、地方の政治家、議員あるいは首長のことであろうと思いますけれども、住民の不信を招くことがないような適正な行政の執行に心がけるべきである、かように考えております。
○中西(績)分科員 心がけなければならぬというのはわかりますけれども、自治省としては、これから以降そうした各自治体に対して積極的にやるべきだという意思があるならば、今後その点に関して指導を強めるという意思はおありですか。どうでしょうか。
○大嶋政府委員 本質的には地方がその実情に応じまして自主的に行うべき問題であると思っております。
○中西(績)分科員 大臣は国家公安委員長ですから、具体的な内容等についてお聞きした後でこれはまた御意見を求めたいと思います。 そこで、暴力取り締まり担当の方お見えだと思いますが、全国的にいま暴力団の数なりあるいは人数なり、そしてそういうものの傾向はどうなってきていますか。
○中平政府委員 全国の私どもの警察が把握している暴力団の状況を申し上げますと、暴力団の団体の数、それから暴力団の構成員、いわゆる組員でございますが、これは昭和五十五年の当初で二千五百十七団体、十万六千七百五十四人を把握いたしております。暴力団の団体なり構成員のピークは昭和三十八年でございまして、この当時が五千二百団体、十八万四千人くらいいたわけでございますから、現在は一応当時の約半数になっているわけでございます。しかしながら、暴力団の広域系列化と申しますか、こういうものは年々顕著になっておりまして、二つ以上の都道府県の地域にわたって勢力を張っておるいわゆる広域暴力団というものでございますが、これが全国の暴力団の八〇・一%を占めるようになっておりまして、なかんずく、御家内のように山口組とか稲川会だとかそういうふうな大規模な暴力団は依然として大きな勢力を持ち、なおその勢力の伸長を図っている。こういう根強い勢力を持っている、これが現況でございます。
○中西(績)分科員 かつて十八万四千名いたものが十万六千名台に少なくなってきておる、けれども系列化され寡占化されておるという状況の報告のようでありますけれども、この点どうですか。結局、高度経済成長なりこうした社会情勢の推移、そういうものの影響ですか。それとも、皆さんの日ごろからの真摯な努力によってこういう事態が生じたのか。それとも、系列化されて寡占化される中でふるい落とされていった。どういう条件がその中にあったとお考えですか。
○中平政府委員 これは私どもの立場にとっては大変手前みそになるかもしれませんが、警察は昭和三十年代から暴力団の取り締まりを私ども刑事政策の最重点の課題として取り上げまして、全国的な規模で取り締まりをやってきておるわけです。取り締まりに当たるセクションにつきましても、現在大多数の県では捜査四課というように暴力団を専門に取り組むような組織も置きまして取り締まりをしている。団体数の減少は、その取り締まりの成果によるところが大変大きいと私ども確信をしておる次第でございます。しかしながら、それと同様に、取り締まりだけではなくて暴力団を孤立させるといいますか、資金源を断ち武器を奪い、そして検挙を通じて暴力団の組織を弱め、暴力団をはぐくむような土壌、そうした問題についてメスを入れていく。それは先ほど来御指摘のあったような暴排の世論、行政も含めてでございますが、そうしたものがそれを取り巻く、そういうことによって暴力団が減ってまいる。現実にそうした暴力団の取り締まりをきっかけといたしまして暴排の世論等が巻き起こったところ等がありますが、そうしたところでは暴力団の勢力はある程度弱まっておる。中にはその後復活してきているところもありますが、そういう効果は相当大きい。そういう効果もあろう、私はこういうふうに思っております。 なお、寡占化いたしておりますのは、そうした取り締まりの結果だんだん弱小の暴力団が落ちこぼれていく。しかしながら、世の中、高度経済成長になるといろいろな利権等を含めてそこに食い込むだけのいろいろな問題が出てまいっておるわけでございまして、それには、やはり高度な組織を持った、大きな組織を持った団体がだんだん小さい暴力団を吸収していって、より大きな利権、より社会の深層に入っていくという形になっているのが実情であろうと思っているわけであります。 真っ当なお答えになるかどうか別といたしまして、私どもは基本的にそういうふうに理解しておるわけでございます。
○中西(績)分科員 そうした事態にいまなっているようでありますけれども、暴力行為なり犯罪の傾向はどういうようになっておるのか。特に顕著なものだけ簡単に言ってください。特にまた、福岡あたりではどういうのが問題になっているのか。
○中平政府委員 端的に申し上げますと、年間暴力団の約半数を警察は検挙しております。それの繰り返しになっておりますが、傾向的に申し上げますと、一番多いのは覚せい剤、それから賭博、詐欺、こういう類型が多くて、一番大きな資金源は、覚せい割とか賭博あるいはのみ行為、そういうものでございます。犯罪の手段としてはだんだん知能化いたしまして、そのほか、暴力団が総会屋と結託するとか、あるいは民事に介入する暴力がふえるとか、そういうふうな知能化の傾向を一面非常に強めておるわけでございます。 御指摘の福岡の地方におきましては、ほぼ同様でございまして、覚せい剤だとかあるいはのみ行為、そうしたものが主たる資金源であろうと思っておりますし、それから、その地方では、商店とかそんなところからみかじめ料、債権の取り立てたとかいうものもかなり多いように見受けられます。
○中西(績)分科員 そうしますと、特にいま顕著に、福岡におきましては、昨年来北九州、筑豊、そして本年に入りまして北九州というように、大変な乱射事件が起こっていますね。市民生活、特にマンションなどというところに入り込んできて、市民を盾にして自分を守る、こういう悪質なものがだんだんふえています。したがって、その周辺の者は十分な市民生活を遂げることができないということがあるし、さらに、建築した者が知らないうちに入られてしまって他の住居者がどんどん出ていくとか、商売が成り立たないという実態等が相当数出ておりますね。 こういうことを考えてみますと、結局、対立抗争事件が高じてくるとそういうところに全部波及していくわけですね。そういう市民生活に全部波及してまいります。こうした対立抗争事件については、何といってもなわ張り争いであり、資金源の争奪であろう、こう理解するわけです。 そうしますと、一番問題は、いまおっしゃった覚せい剤、北九州の場合には一つの基地的なものを持っているのじゃないかという気が私はします。さらにまた、のみ行為についても、それぞれ競輪場だとか競艇場がたくさんあります。そういう状況があるために、特に覚せい剤問題については、高校からいまや中学校まで覚せい剤がずっと浸透し始めている。特にこの場合には、高校生などというものは金がないわけですから、だれかにそれを売らなくちゃならぬ。売りつけてそこからの収入で自分の覚せい剤をということになる。その次の人が、今度自分が覚せい剤を打つためにはまた広げなくちゃならぬ。こうしたものがいまや筑豊地域一帯から大牟田へ北九州へという状況が出ているのですよ。 こういうことを考えてみますと、私たちはこれからどういうふうに対策を立てて事件を押さえ込んでいくかということが大変重要です。この点は、いまどういう具体的な施策なり何なりをお持ちなのか。
○中平政府委員 まず、私どもの立場は犯罪捜査機関でございますから、現実に起こった犯罪を徹底検挙することを通じて、資金を断ち、そして組織を弱めてまいる、これを基本としてやらなければいかぬと私ども思っているわけでございまして、それをさらに強化してまいりたい。同時に、今回、県警本部長なりあるいは北九州の市警部長等それぞれ動いておるわけでございますが、地域の行政団体に働きかけて、暴力団が市の行政等でたとえば土建の請負をしているとか、いろいろなことの企業からの暴力団の締め出し、暴力団の資金の場であるギャンブル場からの締め出し、そういうことを通じ、あるいは覚せい剤等の問題につきましては、教育の問題とかなり関連がございますから、取り締まりと同時に、少年等に蔓延化することについては、やはり防犯活動を通じて、これまた、学校なりあるいは家庭なりそうしたものに対する働きかけを通じて減少させ、広がる根をとどめていく、そういう方策を総合的に講じてまいる、そういう施策を今後さらに積極的に推進してまいりたいと考えております。
○中西(績)分科員 私が一番恐れるのは、いまのあれを見てみますと、大体ほとんどの暴力団員がピストルを持っておる。しかも、それは二十二あるいは二十五、そしていまや三十八から四十八口径という、ますますそれが拡大をされていく傾向にあるわけですね。ところが、手入れをしても、全然これは行ったときにはもういない。挙がってないというのが実態なんですね。 こういう事態を考えてみますと、本当に、いま言われた、抗争前の早期対策なり検挙、そういういろいろな具体的なものがずっと総合的に行われておれば、こういう事態は余り起こらないのではないかと思うのですよ。ところが、そうした事態にならなければなかなかやられてこない。今度の北九州の場合を見てみますと、大体おさまっただろうとしておったところが、二月になって急に出てくる。年末までに大体おさまったというので解かれたところが逆に出てくるという状況ですね。だから、確かにこの抗争事件というのは、出発点は単純でしょうけれども、それが与える影響というのは物すごい影響力を持っているわけですから、この点を十分刑事当局でもう一度見直しをして、いままで経験もあるでしょうけれども、その中での総括をしてみて、どこを押さえれば一番いいのか。 特に私があなたにお聞きしたいのは、こうした北九州だとか特に筑豊地区あたりにおける過疎地域、将来さらにだんだん財源が少なくなってくれば、その資金源をめぐる闘いというのは熾烈なものになってくるわけですから、それをどうするかということを並行して考えていかないと、たとえば国の補助金で、産炭地あたりについてはこれから十年間産炭地域振興法なるものが延長されて、法が今度国会で討議されますよ。ところが、その地域には、再開発あるいは浮揚を目指すそういう企業誘致だとかなんとか言ったって、これは来るわけがない。そういうことを考えてみますと、そこの死命を制するようなことにも、もう事前にそのことが全部押さえていくかっこうになっているわけですから、こういう地域における特に重要な問題でありますだけに、その手だてをどうするかということをお考えになっておられるかどうか、この点どうでしょう。
○中平政府委員 繰り返しになりますが、暴力団というのは反社会的な集団でございますから、やはりこの存立を許してはならない、こういうことでございます。したがって、これにつきましては、間断のない取り締まりを通じて、人を検挙し、そして持っている武器を奪い、よって立つ資金の場を奪っていく、そうしたことを繰り返し巻き返しやることによって、だんだんに暴力団というものは弱まってまいるわけであります。 それと同時に、暴力を許さない土壌、暴力団を孤立化させてまいる、そうした総合的な施策があって初めて暴力団というのはなくなるわけでありまして、これは過疎地域であろうがどこであろうが、共通の原理でございますが、その過疎の問題につきましては、また別途の観点、つまりそうした資金源がだんだんなくなれば、当然激しい熾烈な、暴力団がある限り、資金源を取り締まれば取り締まるだけ激しい対立抗争になる。それはそれとして、私どもの立場から言えば、取り締まりとそうした孤立化、そうして、できれば暴力団がきちんと暴力の足を洗って正常な人間になり、その社会で健全に根づいてもらえればそれにこしたことはないわけですから、少なくとも、私どもの立場としては、厳しく取り締まりをし、総合的な立場からの、要するに孤立化作戦を図っていきたいと考えております。
○中西(績)分科員 最後になりますが、そこで、大臣、いまのような事態で、しかも、この北九州で二月四日から二月十八日までのわずかの間に六回も撃ち合いが起こっておるという事態。ですから、市民の生活というのは大変脅かされ、しかも、あるときは大学生などが訪ねていったためにそれに巻き込まれるという事態、一般の人だってそういう状況になっているわけですね。しかも、警察のそういう手薄なところをちゃんと知っていてやっているという状況ですね。 こういうことを考えてまいりますと、やはり取り締まりの方法というのが、これはよほどいままでのあり方を謙虚に自己批判しながら、より効果を上げるために、そしてまた、他のところには、一般市民に対しては警告を発したりいろいろなことをやりますけれども、こういうことに対する取り締まりの強化という面を強めていかなくてはならないのではないかと思うのです。大臣のその点についての見解なり決意なり、特に北九州に対する特別な措置をするぐらいのことを国家公安委員長としてやるべきではないかということが一つです。 それからもう一つは、国会あたりでは年末年始のいろいろなもの、年賀状を出してはいけないとかいろいろなことの申し合わせなんかはするわけです。ところが、よく調べてみると、暴力団に対して花輪を贈ったとかそういうことを平気でやっているわけですね。だから、私は、国家公安委員長から国会議長に向けて、そういうことは一切なくすべきではないかというぐらいの提言があってしかるべきではないかと思うのですよ。そういう点、二点について決意をお聞かせいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 段々のお話を承りまして、特に北九州地区におきましては問題が非常に深刻化しておるという実情もわかるわけであります。したがいまして、従来の警察の方針は堅持しながらも、なお、問題の多いところには重点的に措置をしていくというような考慮を払うべきだろうと思いますので、この点は内部におきまして十分検討いたしたいと思っております。 それから、国会に対しまして自治大臣等から申し入れをしたらどうかという点でございますが、これは自治大臣から申し入れするよりも、議会自体の働きといたしましてそういうことをやられる方が適切じゃないか、こういうふうに思います。
○中西(績)分科員 いずれにしましても、いま申し上げたような事態でありますだけに、特に私たちも二点目の点については今度はいたそうと思っておりますだけに、自治大臣なり国家公安委員長としても、そうした事態に対してはやはり警告を発すべきではないかと思いますので、この点だけ申し上げて終わります。
○上村主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。 次に、中村重光君。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕
○中村(重)分科員 バチカン元首、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、四日間の日程を無事に終わりまして、昨夜十時、長崎空港から帰路につかれました。帰路につかれるに当たってのあいさつで、関係方面の方々に対して非常に感謝をしておりましたが、なかんずく、警備の行き届いた協力に対して心からの謝意を表しておったということを御連絡を申し上げたいと思います。長崎はかつて経験したことのない猛吹雪でございましたが、その中で警察当局、特に国家公安委員長が私の一般質問の際にお答えいただいたように、過剰警備にならない実質的な行き届いた警備というものを私はしみじみと感じて、公安委員長を初め警察当局に対して心から敬意を表したいと思います。 そこで、大臣、御承知のとおり地方時代とよく言われるのですが、地方時代の受けとめ方というのは、文化であるとか産業であるとか、あるいは中央集権から分権化していくとか、いろいろ広範囲にわたる受けとめ方もあると思うのですが、大臣の御認識はどういうことでしょう。
○安孫子国務大臣 この間の法王がいらっしゃったときの警備に関しまして謝意を表していただきまして、警察を代表して厚く御礼を申し上げます。 また、中村さんがおけがをなさったようでございまして、回復をされてまことに結構でございます。 地方の時代という問題は、最近におきまして一つの政治路線に乗ってきたということを私は心から喜んでおるものでございます。この考え方は前からあるわけでございまして、地方の時代と申しますが、国あっての地方であり、また地方あっての国でもある。この地方あっての国という認識がどちらかというと薄かった、この点にいろいろの問題があったと思うのでございます。それがようやく、そういうものじゃない、地方があっての国であるというところにウエートがかかってきたということについては、私は非常に喜ばしく思っているところでございます。 そこで、地方の時代というものは一体どういうものかと申しますと、やはり地域社会が健全に発展をしていくという、そうした力を持つということだと思っておるわけでございます。その地方地方には、それぞれの独自的な環境もございまするし、産業もございまするし、文化もございます。そういうものが健全に発展をしていくということが地方の時代の基本だろう、こう思うのでございます。 これを達成させるためには、従来の行政組織なり政治感覚というものが、中央が主であって地方が従であるというような考え方がなきにしもあらずであった、あらゆる制度や運用の面におきましてもそういう傾向があったわけでございますが、それを是正していくという努力を重ねる、同時にまた、地方におきましてもいろいろな問題をすべて国におんぶして解決しようということではなくして、自分たちの社会の価値を認めて、それをわれわれの力だけでやっていこうじゃないかという気魄も一応持たなくちゃならぬと思うのでございます。そうしたものが両々相まって、早急にはできないと私は思っておりますけれども、これから五年、十年の努力を重ねて、名実ともに地方が活発に活動し得るような体制をつくっていくということが、地方の時代の一つの基本構想だと思っております。
○中村(重)分科員 時間の制約もありますから多く申し上げませんが、私は、行財政の再編成ということにもこの際相当思い切った措置を講じていく必要があると思うのです。行政サービスの約七割が地方を窓口として支出をしておる。歳入の方は逆に七割程度国が国税という形で徴収していく。ここに三割自治制と言われ、中央集権だと各同僚委員からも指摘されましたように、わずかの補助金をもらうために陳情に数度にわたって上京してむだな時間とむだな経費を費やす、この陳情政治のあり方というものを、この際、八〇年代の地方時代、これを改めるために、自治省は強くこれを要求して改革に乗り出すということが大変重要ではないかと思いますが、その点の御見解はいかがですか。
○安孫子国務大臣 一例をもってお話がございましたが、その点は私も全く同感でございます。したがいまして、地方分権と申しますか、地方が濶達に自己活動し得るような土台をつくってやらなければいかぬ。それには一つの問題はやはり財政の問題があるわけでございます。したがいまして、地方団体にできるだけ独立財源を付与して、地方団体の良識に基づいて地域社会の発展を図るという、そうした活動の場面を拡大していくということに自治省としては努力したいと思っております。
○中村(重)分科員 具体的な問題についてお尋ねをするわけですが、長崎県営バスの累積赤字というものが、このままでいきますと、五十五年度に見込まれる累積赤字が十五億九千七百万円。五十六年度以降に新たに発生が予測される赤字を解消するために、再建計画を実施しなければならない。これをしなかったならば、六十二年度末には累積赤字が百七億八千五百万円に達する。こういったことで、相当大幅の、二百五十何名でしたか、合理化をやる、それから路線の整理も若干やる、合理化案、十三項目かにわたって出されております。一年前に実は合理化が行われて、労使の間に協定ができたわけですね。私もそれに立ち会ったわけですが、まさか一年後に再びそのような大幅な合理化案が示されるであろうことは労働者の方も考えなかったということで、都市交の方でもこれを重視いたしまして、社会党からも現地調査が二十日に行われて、私も同行いたしました。いろいろ県当局からの説明も聞きましたが、いずれにいたしましても、一年前の協定は重く見なければならない、準用再建の申請に当たっては労使合意というものが前提とならなければいけないのではないかということに対して、知事は、御承知のとおりまだいま、病院からは退院をいたしましたが、そういった交渉に応じ得るという健康状態ではない。高田副知事が応対をいたしまして、そのとおりだ、労使合意をして申請をするということでありました。申請に基づく指定という形が当然行われるわけでありますけれども、少なくとも指定は労使合意というのを待って行うということでなければならない、私はそのように考えるわけでございますが、その点に対して、大臣のはっきりした御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 再建に関しまして労使の間で十分な話し合いをして、そして問題を解決をしていくという姿は、やはり基本的に私はそうあるべきだ、こう考えております。ただ、お尋ねの点に率直に申し述べもなかったように思うのでございますが、労使の関係が話し合いつかない限りは準用団体として自治省が指定すべきではないというようなことの点にもお触れになったかと思うのでございますが、この点になりますと、議会で議決をいたしますと自治省といたしましてはそれを取り上げざるを得ないわけでございますから、その段階におきまして、十分労使の話し合いができるように現地におきまして御努力を願いたい、こういうふうに思っております。
○中村(重)分科員 ただいま申し上げたように、申請に当たっては労使合意の上で行いますと、はっきり県当局が調査団に対しまして答えたぐらいでございますから、そこは少なくとも約束を破るようなことは万々ないだろうとは思いますけれども、一歩譲って、申請はいま大臣お答えになったような形で行われることがあるかもしれない。だがしかし、指定に当たってはこれは労使合意というのを待って指定をするということでなければいけないのだろうということで申し上げましたから、ひとつそういうことで対処していただきたいと思います。 それから、これは交付税に関連をしてくるのでしょうが、この準用再建の指定をいたしますと、国としてはどのような措置が行われるのでしょう。事務当局から。
○金子政府委員 ただいま交通事業につきましては交通事業の健全化に関する法律というものがございまして、四十八年の赤字団体につきましては再建を行っております。今回は地方公営企業法に基づく準用再建でございますが、これにつきましては、交通事業につきましてはきちっとしたルールはまだできておりません。しかし、類似の準用団体あるいは健全化計画を持って再建を行っております病院事業等につきましては、不良債務に係る元利償還金の一部について交付税上の措置を講ずるというようなことをやっておりますので、事業の種類等によって若干違ってくるものがあるかとは思いますけれども、その辺をにらみながら今後措置を考えてまいりたいと思っております。
○中村(重)分科員 この点はこれで終わりますが、先ほど私が申し上げたように、ひとつ大臣、指定の際は労使合意というのを待って、その点だけははっきりお答えいただけますか。
○安孫子国務大臣 私の希望といたしましては、長崎の県議会が議決をすることでこれは手続が進まれるだろうと思うのでございますが、その際に、労使の合意が前提とされて議会で議決されるような御努力をぜひお願いをいたしたいということを申し上げておるのでございます。
○中村(重)分科員 それでやりとりをしておりますと切りがないですけれども、いま言ったように、井岡、細谷両氏に私も一緒に行ったわけです。その中ではっきりしていますから、政府委員の方では、その点は私がこの席で申し上げたことはそのとおりに信頼をされて対処されるように。手続論的に大臣が言われたことはわかる。しかし、形式論ということよりも、実際はどうであったか、そういう経過をやはり尊重していくということでないと、行政はうまくいくものじゃないということは言うまでもないと私は思います。そういうことで対処していただきたい。 次に、社会保険事務職員の身分の移管の問題なんですが、これは大蔵省からもお答えをいただきたいのです。都道府県知事というのは、指導監督権だけがあるのですね。人事権がない。私は、久保知事を病院から退院をして公舎に見舞いをいたしました。その際に、これでは話にならない。実はいま、全国的にもそういう傾向がありますが、長崎では病院汚職というのが次から次に出ているわけなんです。こういったこともどうすることもできないのだ。やはり人事権がないと、指導監督ということは形式だけあって実態はないのだと言うのです。だから、身分を移管をするとしてもらわなければいけないということを言っていましたが、私は当然だと思うのです。行政改革なんということも、ここらあたりから手をつけていくということでなければいけないんじゃないか。なぜいつまでも——労働者が反対をしている面もありますけれども、これは労働者の反対もないわけですね。ですから、当然移管をなさるべきだと思うのです。この点に対しての考え方をお聞かせいただきたい。 それから、結核であるとかあるいはがんであるとかいう検査関係の仕事を民間に委託をしたり委譲をしようというような考え方があるようです。これは本質的な問題ですね。そういうことになりますと、県の指導監督なんというものはこれまたなきに等しいという形になってくるのです。こうしたことは大変重要な仕事ですから、そんなものを簡単に、合理化、安上がりだというような形でやるべきではない、このように私は考えるわけですが、それらの点についてそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○砂子田政府委員 ただいまのお話がございました社会保険事務所の問題につきましては、地方自治法ができまして以来大変迷惑をおかけしておりまして、この解決ができないことは大変残念に思っております。特に昭和四十九年以来、地方自治法の改正をいたすたびにこの問題が表面化をしてまいりまして、その以後国の行政改革本部におきましても実はこの問題を取り扱ってまいりました。しかし、なかなか各省との間の意見が一致してまいりませんで、現在まで遅延をいたしているわけであります。すでに御案内のとおり、昨年十二月二十九日の行革本部の決定、続きましての閣議決定におきましても、この問題について行政改革の推進がぜひ必要であるという観点に立って検討、協議を進めるということをいたしております。しかし、この問題は、三十年も過ぎておりますので定着をしている部分も残ってまいりますし、今度は逆にいろいろな点で隘路が出てくるという状態にもございます。私たちといたしましては、一日も早くこの問題が解決するよう今後とも努力をいたすつもりでございますが、各省と今後とも連絡をとりながら、これが一日も早く廃止されるようにいたしてまいりたいと考えております。 さらに、民間委託の話でございますが、あるいはこれは厚生省の方からお答えをいただくのがいいのかもしれませんが、これについては公共団体がそれぞれの必要に応じて民間委託をしてもやむを得ないということでやっておるのが大変多いだろうと思います。ただ、こういう民間委託をするのは、単に採算の問題だけではなくて、少なくとも住民に対するサービスの問題でありますとか健康管理の問題、そういう行政の目的が貫かれていくということが大変大事でございます。そういう点から考えて民間委託をされるべきものだと私たちも考えておりまして、そういう面からの指導もいたしておるところでございます。
○中村(重)分科員 増島管理官おいででございますか。
○増島説明員 地方事務官の関係につきましては、ただいま行政局長の御説明の中にも出てまいったのでございますけれども、非常にむずかしい問題がいろいろ含まれておりまして、いつも行政改革の中では非常に重要な問題として取り上げられてきているわけではございますが、国と地方との機能分担のあり方、あるいはまた身分移管の問題とか、非常に解決困難な問題があるのが実情でございます。御案内のように、陸運関係につきましては、車検登録関係の職員を国の地方支分部局をつくりまして対応するということで、現在国会で御審議をいただいておるわけでございますが、残りの二つにつきましては、今回の五十五年末の閣議決定におきましてもさらに協議、検討していくことになっております。
○中村(重)分科員 大臣、先ほど申し上げたように、汚職に対していま中央から調査に行っているのですよ。県議会で、けしからぬじゃないか、なぜにもっと徹底的にやらぬか。知事はどうにも権限がありません、こう言わざるを得ない。いまそれぞれお答えがあったようなことですが、むずかしいです、むずかしいですと言うが、こんな問題を改革できずして何が行政改革かと私は言いたいですよ。大臣、こういうことは勇断を持ってすっきりさせることが大切だと思うのですが、いかがですか。
○安孫子国務大臣 お説は全くそのとおりでございまして、地方事務官の制度につきましてはこれを地方に任せるというようなことを一遍決めたこともあるわけでございますが、なかなかそれが実行されない。そして、また延ばす、また延ばすで来ておるような実情でございます。私どもは割り切ればはっきりする問題だと思うのですが、実際問題としてはなかなかむずかしい問題ということで、われわれも閉口しているわけでございますが、今後一層努力をしてまいりたいと思います。
○中村(重)分科員 五十八歳以上の賃金の昇給延伸を国はやるようですが、これは地方にも右へならえということで及ぶのですか。
○宮尾政府委員 国家公務員につきましては、五十六歳からは昇給を延伸し、五十八歳からは昇給をストップする、こういう措置を昭和五十五年四月一日からとったわけでございます。これは、御承知のように人事院の勧告に基づきまして、民間の給与実態に合わせて国家公務員についてもそういう措置をとる、こういうことで行われたものでございます。地方公務員の給与につきましては、国家公務員の給与に準じて行っていくといったてまえをとっておりますので、地方公共団体におきましても、それぞれの人事委員会等で、高齢者について昇給延伸あるいは昇給ストップの措置を行うべきであるという勧告が相当数のところで行われておりまして、それに基づいてそういった措置を条例で定めておるところが相当あるわけでございます。
○中村(重)分科員 しかし、成り立ちが違うということだけは念頭に置いてそれぞれ対処されないと、そういう勧告があったからということだけで強引なやり方というものはまた混乱を起こすでおろう。よく行政改革なんかでも、総論賛成、各論反対なんということを言われるのだけれども、やはり中央と地方という点、そうした成り立ちというものは重く見ていくということでなければならないと私は思っていますので、そういう点は配慮されることが適当であろうと思います。 次に、私は予算委員会のたびごとに問題として指摘をするのですが、民生委員とか消防団員は、毎年若干改善をしているようですが、本当に気の毒ですよ。特に民生委員というのは、気の毒な人、特に寝たきりのお年寄りのところに行くときに手ぶらで行けないのです。何か手みやげでも持っていってあげたい。手当というものはそこで消えてしまう。これは大変な奉仕、犠牲なんです。これは交付税でお示しになるのだけれども、消防団員の場合もそうなんです。これは経済的な関係で行動しているのではなくて、消防精神というものによって生命、財産を守っておられるのだけれども、余り甘え過ぎることも問題だろうと私は思うのです。ですから、それぞれの内容があるわけですが、処遇について相当思い切ったやり方をする必要があるのではないか、そのように考えますが、いかがでしょう。
○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、民生委員の方々には地域住民の福祉増進のために大変御苦労をいただいておるわけでございます。身分的に申しますと、これはあくまでも民間の奉仕員でございまして、非常勤の特別職の地方公務員ということで手当を出しておるわけでございますので、地方交付税でも手当について措置をしてきております。 おっしゃいましたように毎年上げてはきておりますけれども、全体として年額これくらいかということになりますと、私どもとしてもきわめて多いとはちっとも思っておりません。ただ、民間奉仕者としていろいろ御活動をしていただいておるということで、そういう立場の方にはそれなりの、一応手当を差し上げておるという程度でございます。五十六年度でも上げましたけれども、その際に、いわゆる保護司の方と社会的使命なり業務が非常に類似しておりますので、そこと均衡をとらなければいかぬということで、五十五年には思い切って一緒にしたわけでございます。五十六年度、国も厳しい財政状況のもとでそういった諸手当を非常に抑えられたものですから伸びが悪かったのですが、こちらとしても、民生委員もそれに合わせたわけでございますけれども、いま御指摘のような点はあろうかと思います。今後どうするかということは、いまの保護司等のあり方も含めて十分検討はさせていただきたいと思いますが、五十六年度は、わずかでございますが一応ふやしたという程度でございます。
○中村(重)分科員 私は、消防の問題については長官の方からもお答えをいただきたいのですが、時間の関係がありますから次にお尋ねを進めます。 その前に、消防団員の出動の際の使用者の理解というものを、長官が来ていないので大臣に聞いておきます。使用者の理解というものをもっと深めないと出動ができないのです。賃金カットなんかしたりしている。ですから、こういう点は、ひとつ大臣から長官の方にも十分指導徹底するように協力を求めていく必要があるだろうということを申し上げておきます。 次に、大蔵省もお見えですが、ローカルエネルギーの開発、これは非常にいい現象ですが、地方自治体がローカルエネルギーというものに相当力を入れてやり出した。これに対して財政援助というようなことをやらないと、これはもう重要な政治課題ですから、計画どおり進まない。しかも、ローカルエネルギーは地方産業の振興という形に結びついていきます。ですから、この点はひとつ十分御留意をいただきたいということ。 それから、長崎県の対馬ですね。実は国立病院がありましたけれども、もう小児科もなければ耳鼻咽喉科もない、放射線科もない、眼科もないという状態。歯が痛いときなんかは福岡までわざわざ行くのです。がまんできないでしょう。これは歯科は入ってないのです。今度、いま私が申し上げたものは、歯科を除いては全部入ったわけです。ところが、お医者さんがいないわけです。もう現状どおり。ただ放射線科だけはどうにかある。ところが、従来あった産婦人科は欠員のまま。こういう状態ですが、離島、過疎地帯の医療問題ということについては、自治省も特に関心を持っていただいて、厚生省とも連携をとりながら、十二分に離島医療の万全を期していく必要があるであろう、このように私は考えます。どうかひとつ、それぞれの点について考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○土屋政府委員 石油代替エネルギーの開発促進に当たりまして、ローカルエネルギー問題についても、地域の特性に応じて開発、利用を図っていくことが大変大事だと私どもも思っております。 ただ、この問題は、基本的には国の責任で行うべきものだと考えております。そういったことから、地方団体も非常に熱意を示してやっておられることはわかっておりますが、現在では、一般的な財源措置は行っておりません。ただ、ローカルエネルギー開発の一環でございます水力開発については、従来から地方債枠の確保を図っておりますし、資金についても全額政府資金というか、あるいは公庫資金で充当するということでやっておりますが、その他のローカルエネルギーの開発に関しても、今後いろいろと研究されると存じます。今後の状況を見ながら、経営上の問題も検討しながら、適切なものについては、地方債以上の措置を講ずることにやぶさかでないということで、そういった気持ちで対処したいと思っております。 それから、いま長崎の国立対馬病院のことについてお話がございました。まだ五名の増員について充足してないようでございますが、県においても、離島関係については関係市町村と共同して長崎県離島医療保険組合を設立しておられますし、また、ドクターバンクなども設けてやっておられますが、今後とも、おっしゃいますような線で協力していくべきことだと思っております。
○安孫子国務大臣 病院の問題でわれわれ一番苦労いたしまするのは、医師の確保という問題でございますが、医科大学もだんだんとできてきましたので、あるいは五年、七年先になりますと、ある程度充足できるのではなかろうかという予測もあります。しかし現実は、まことに困っておる問題でございます。いわんやこれは国立てございますから、厚生省でございますか、ここでこの医師の確保ぐらいは努力をしてやるべきであろうと私はいまお話を聞いて感じておるところでございます。
○中村(重)分科員 それでは終わります。
○宮下主査代理 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。 次に、五十嵐広三君。
○五十嵐分科員 元山形県知事でありまして、地方自治の面では非常に豊富な実践者でもある大臣でありますから、この際、そういう期待を込めて、以下御質問申し上げたいと思います。 まず第一点は、中野区の教育委員準公選の評価についてであります。この問題は、いわば地方自治の本旨の上からきわめて重要な意義を持つ問題だと思いますので、文部大臣とは別に自治大臣という立場でわが国の地方自治の健全な定着ということを念頭に置きながら、その見解をいただきたいと思うわけであります。 昨二十七日、東京都中野区の教育委員準公選の開票が終わりまして、新たな三人の教育委員になることが確実な方々が決まったわけであります。中野区では単身世帯が全世帯数の四七%にも及んでいるというのでありますが、しかし、予想された投票率、三割と言われていたのでありますが、これをはるかに上回って四三%もの投票率に達した。これはいかに住民の関心が高いかということをはっきり示したものだと思うのであります。ことに大都市の住民参加というのは非常にむずかしいと言われているのでありますが、今回の成功は、そういう意味では、まさに画期的なものと言わなくちゃならぬと思います。しかも今回の実験は、教育の地方分権と、それから区民の教育への参加を願う中野の教育をよくする会が中心になられまして、区民約二万人の署名を得ての条例制定の直接請求によって提起された。長い期間のさまざまな区行政あるいは区議会の経過を経つつも区議会の万場一致の賛成を得てこのたびの実施に移りましたことは、まさに区民主体の創造的な文化的な運動の成果によるものでありまして、私は、わが国の地方自治の歴史に新たな一ページを加えたものだと思うのです。 この際、まずこの中野区教育委員準公選について自治大臣から見た評価をお聞かせいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 お尋ねの点につきましては、はなはだ遺憾でございまするけれども、先生とやや見解を異にするものでございます。条例制定というものは、法令に違反しない限度においてというのが通則でございます。これは基本的な観念でございます。この点について、教育委員会の問題になりますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのがありまして、この点から言うと、これは法令に違反するという一つのオーセンティックな結論になっておるわけでございます。それが実施をされたということでございまするので、この点から申しますと、五十嵐先生のおっしゃるような評価は私はできない、こういうふうに考えておるものでございます。
○五十嵐分科員 大臣、本当にそう思っておるのですか。これは大変なことだとぼくは思うのです。文部大臣だって、一定の指導はしているけれども、それから先に入ってないのですよ。だから、できたのですよ。自治大臣がそんな解釈じゃ困るじゃないですか。昭和三十一年に国会で当時、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が警官を導入する中で強行可決された。教育委員は、それまでの公選制から任命制になったわけであります。もともと教育委員の制度は、戦前の中央集権で権力的なそれまでの教育行政に対する一つの反省として生まれて、新しい民主憲法の精神に沿って設けられたものであります。 旧教育委員会法第一条でも「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきであるという自覚のもとに、公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行うために設けられた」ということを明らかにしているわけであります。この旧教育委員会法は、地方教育行政法として衣がえをしたものではありますが、教育委員会制度のたてまえという点では、ぼくは何も変わるところがないというふうに思うのであります。これは教育基本法を見ましても、その第十条に「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と、「直接に」ということが基本法でも明らかになっているところであります。 しかし、三十一年の新法施行によって住民による教育委員の直接選挙は廃止されて、予算の編成も執行権もなくなって、後にまたちょっと触れますが、人事面でも都道府県教育長の任命には文部大臣の承認が要る、あるいは市町村の教育長については都道府県教育委員会の承認が要るということになった。わずか八年ほどで中央集権が復活し、住民の教育への参加の機会が大きく後退させられたわけであります。教育委員会のこのような変質は、教育行政の自主性、独立性を著しく損ない、教育の自治や分権を弱めたことは言うまでもありません。言い過ぎじゃないかなとは思うが、教育委員会盲腸論だとか、どうも飾り物のシンボルではないかなどというきわめて不本意な言辞を聞くようになりましたのも、ぼくはその辺にあるのでないかと思うのです。事務局の長たる教育長と事務局当局が教育行政の実質的な采配を振って、横には実質的に人事と予算を握る首長、市町村長やあるいは知事、縦には上位教育委員会あるいは文部省に結ばれて、その強い影響を受けているのが大方の教育委員会の実態であることは、これはもう知事経験者の大臣、あるいはぼくも市長の経験者でありますから、それぞれ実はよく知っているところであろうと思うのであります。 私は、今日のわが国の教育の荒廃と言われるものの一部は、ここに起因する点もあると言わなければならないと思う。こんな実態では地域住民は教育行政に関心を寄せようがない。そこにあるのは、教育に対する一つの欲求不満だとか、あるいは行政不信だとかいうようなものだけが残ると言わなければならぬわけであります。教育ほど自治や分権を必要とするものはない。これは大臣も同感だとぼくは思うのです。自治や分権はまた教育によって根をおろしていく。その両者は表裏一体に民主主義というものを支えるものであるわけであります。 中野区の教育委員準公選は、教育委員会制度を活性化させて、それを本来の精神によみがえらせるものであるとぼくは思います。けさの新聞を見ましても、開票結果に対する候補者の一言というのがずっとありまして、大臣もごらんになったと思うのですが、その一人、俵さんは「対話のできる教育委員の姿勢をとっていくのだ。」、こうおっしゃっている。矢島さんは「教育は、学校、家庭、地域ぐるみの、息の長い対話の中で築かれるものだ。」、あるいは森久保さんとおっしゃる方は「事務局と委員のつながりをよくして事務局を機能化させる。」、あるいは四番目にはなりましたが、高田さんは「やってよかった、教育の自治という目標に、区民がこれだけ参加したのだから。」、こう言っているんですね。あるいは伊藤さんは「運動を通じて多くの悩みや相談が寄せられました。教育の「かけ込み寺」になった感じ。」、こう述べておられます。実に生き生きとした言葉だとぼくは思うのです。少なくとも中野区の教育委員会は、いま息を吹き返しかかっておるというふうに思います。青空を取り戻した、そういう感じが、ぼくは中野区の関係者にはあるのではないかと思うのです。これこそがあるべき自治の姿じゃないですか。 大臣、踏み込んで、リラックスして、本来の知事の立場でもう一遍お答えいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 お説の点は私もよくわかるわけでございまするが、そういう点から申しますと、現在の教育委員にいたしましても、公選された知事、また選挙によって選ばれた議会、こういうものの承認によって選ばれておるわけでございまするから、非民主的だときめつけるわけにもいかぬのじゃなかろうかと思っております。
○五十嵐分科員 自治大臣、自治大臣なんですよ。大臣はかつて知事であった。その知事のときには、自治に対する燃えるような理想があったと思いますね。今度は知事をやめた。やめて国会議員になるときには、国会に行って、自分のそういう自治の理想というものは国会を通じて実現しようと思ったに違いないと思う。しかも国会の中で大臣になった。自治大臣になった。ぼくは、やはりそういう理想というものを忘れては困ると思うのです。 そこで、さらに今回のこの選挙のあり方というもの、非常に貴重な経験であったというふうに思うんですね。これは大臣の所管のところになるわけですが、戸別訪問を自由にして最大限の選挙の公営化を図った、あるいは連呼の禁止だとか選挙違反の自主規制だとか、大胆な理想選挙への模索によって幾つかの選挙制度変革の実験資料をももたらしたというふうに思うのでありますが、こういう試みについては、大臣、ごらんになっていてどうですか。
○安孫子国務大臣 そうした運動形態の問題につきましては、参考になる点は多々ある方と思っております。
○五十嵐分科員 参考になる点が多々あるというのは、つまり、参考にして積極的にまたこれからいろいろ試みていく努力をしようということですね。
○安孫子国務大臣 これを一般の選挙にどう取り入れるかという問題になりますと、また一般の選挙につきましてはいろいろ別の問題もあるわけでございます。それから、また各党のいろいろな考え方もあるだろうと思うのでございまするから、参考にいたしましても、これをすぐに取り入れるとかなんとかいうところまではなかなか飛躍はできない問題だろうと思っております。
○五十嵐分科員 中野区のあの実験については、御承知のように、自民党を含めて区議会では満場一致で決めているわけですね。区長も区議会も一致してああいう方向というものを決めている。こういう精神というものは尊重しないといかぬのじゃないですか。 どうもさっきからお聞きすると、きわめて消極的であるが、ぼくは、自治省というのは、もう少し政府内であっても型の変わったものでいいのじゃないかと思うのです。やはり三千三百の地方自治体のいわば連合体的な意味合いといいますか、そんな期待を集めているようなものがあっていいと思うんですよ。だから、そんな意味では大臣の勇気を持った御奮闘をぜひ期待したいのです。 次に、この機会に、同じように自治と教育をめぐる問題として教育長の承認制度についてお伺いをしたいわけであります。 都市経営総合研究所というのがあって、ここで去年一年がかりで「地方の時代−その総実態分析」というのを実施いたしました。その結果が、先ごろ時事通信の地方行政版に載っておりましたから、あるいは大臣もごらんになっているかと思うのでありますが、この調査は、全国の市町村及び府県職員の主として幹部百八十四人にフリーアンサー方式で各項目ごとのアンケート回答をお願いしたものだそうであります。大変興味ある内容がさまざまあるのでありますが、実は、この調査の中で私が最も関心を持った一つは、都道府県教育長選任の際の文部大臣の承認制度について意見を聞いている点なのであります。それに対する回答は、承認制度は必要ない、廃止をというのが実に九三・三%ある。現状どおりでいいというのはわずかに六・七%で、ほとんどの人が現行制度は自治権の侵害であり、中央集権化で好ましいものではないというようなことで、その廃止を強く主張しているわけです。同時に、問うている中野区の教育委員準公選制度については、この回答は必ずしも積極的でないのです。積極的でもないこの各自治体におけるいわゆる幹部クラスのこの人たちでさえ、この教育長の承認制度については、圧倒的多数が実に確固たる主張をしているわけですね。 大臣は、このアンケートにどう答えますか。
○安孫子国務大臣 教育長の承認制につきましても、法律に基づいた一つの承認でございますが、私の狭い経験からいたしますと、私が最も適当であろうと考える教育長についてクレームがついて、それが拒否されたというような事例はございません。恐らく各県とも、大体そういうことじゃなかろうかと思うのであります。そういう点から申しますと、この法律に基づく教育長制度がありましても、教育の実態に大きく影響するというようなことはないだろうと私は思うのでございます。 しかし、いまのアンケート調査等によりまして、そうした圧倒的な世論があるとすれば、この点についても、あるいは文部省といたしまして、その方向を受けて検討するようなこともあり得るかとも考えられるわけでございまするが、その際には私どもは、その問題について自治体の意見としての申し入れをするようなことはあるかもしれません、しかし、いまの教育長の承認制度でありましても、私は、教育の実態に影響のない教育が行われておるものだ、こう思っておるわけでございます。
○五十嵐分科員 そういうことが文部省側から出ればこう言うという受け身なんですね。そうではなくて、自治を定着させていくといったてまえから言うとやはり問題がある。より自治というものを発展させる上で改革が必要だという点については、これは自治大臣がそれを提起しない限り出てくるところはないわけですから、もうちょっと前向きに取り組んでほしいのですが、いかがですか。
○安孫子国務大臣 私のいま申しました狭い経験から申しますと、承認制度であっても教育の執行上決して不適切なことはなかった、そういうふうに運行されておるという考え方を持っておるものでございますから、私は、この点について積極的に文部省に自治制度の観点からというだけで申し入れるという考えは持っておらぬわけでございます。
○五十嵐分科員 さっき中野区の教育委員準公選について述べた折にも申し上げたのでありますが、昭和三十一年の新法への改正時にこの承認制が導入されたわけです。つまり、公選がなくなって任命制になった、このときに、また同時に教育長については承認を要するというのが導入され、この二つが当時、地方自治が教育の部面で大きく後退をしたということで非常に論議を呼んだところなわけであります。 しかも大臣、文部省は五十四年春からひそかに、都道府県、指定都市の教育長候補者を事前に呼びつけて面接試験をしているわけです。これは去年の八月に問題化して、文部省は、いわば開き直って、今後事実上、これを確立した制度として実施するということを言っているのでありますが、これでは教育委員会の教育長任命権というのは全く空洞化してしまう。承認権というよりは実質的な任命権を文部省が完全掌握するというようなことでないですか。こんなことがどんどん進むようでは、憲法で言う地方自治の本旨というのは何だろうかとわれわれは思わざるを得ないのであります。いわば地方自治の本山という立場で自治大臣のお答えをいただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 承認制の主体性は中央が持つのか地方団体が持つのかということになれば、これは地方団体が持っているわけでございます。したがいまして、これが地方自治を損ねているものではないと私は認識しておるものでございます。
○五十嵐分科員 どうも余りお答えにならぬような気がしますね。しかし、これからまた地方行政委員会でいろいろ対話を深めたいと思います。 最後に、国鉄再建法の問題です。 いよいよ煮詰まって、来週中にも地方線廃止の基準を決める政令が出されるというような気配であります。これもずいぶん論じ尽くされておるわけですし、ぼくも実はいろいろな機会にお願いをしてきているわけでありますから、くどいことは申しませんが、これは関係の自治体や沿線住民にしてみると死活の問題だ。大臣よく御存じのように、これを廃止されたらおれは首だと本当に泣きを入れている市町村長もずいぶんあるわけです。これはがんばってほしい。いままで自治省は非常にがんばっていただいているということなどは、いろいろな機会に仄聞はいたします。けっぱっておるのだろうというふうに御推察はいたします。しかし、なかなかやはり厳しいようなことをお聞きしております。 大臣、自治省は、どういう点を運輸省に強く要求をして、それがどういう状況になっていますか。
○安孫子国務大臣 具体的なことは申し上げる段階ではございませんけれども、やはり地方にとりましてきわめて重大な問題だという認識のもとに、われわれといたしましては、地方の立場に立ってこの問題を扱っていきたい、こういう決意を持って従来当たってきているところでございます。 特に五十嵐さんのおくにでございます北海道につきましては、また特別の事情もあるのじゃなかろうか、こういうことも私は十分認識をいたしまして、主張いたしてきているわけでございます。 しかし、この問題もいつまでも放置するわけにはまいりませんので、やはり近く結論を出さざるを得ない段階に来ておりまするが、いま申し上げましたような趣旨で今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
○五十嵐分科員 地方から言えば、人口が少ないから収支係数が悪い、これはあたりまえの話です。しかし、人口が少ないから高校はうちの町にない、病院もうちの町にない、さっきもお話が出ていましたがね。だから、通わなければいかぬということになるわけですが、地方にしてみれば、いや鉄道がないのならないでいいですよ、しかし、病院をこの町に建ててください、高校を建ててください、そうすれば何も通わなくていいですよ、こういうことじゃないですか。それがないから行かなければいけないわけですね。ですから、経済性と必要性というのはやはり逆だと私は思います、地域に行けば。経済性が低いということは、逆に言えば、また必要性が高い事情が裏返しにあるわけであって、やはりこういう点を考えていかなければ大変なことになるのではないかと私は思うのです。 だから、国有鉄道法は、その目的で「公共の福祉」ということを明記しているわけですね。経済の論理だけでいくのじゃなくて、やはり公共の福祉の論理というものも忘れないでやってほしい、こう思うのです。 まあ、上越・東北新幹線が開通になることは、それはそれで私はいいと思うが、その場合は、何かお聞きすると、当分は年間で約三千億ぐらいの赤字になるそうですね。しかし一方で、当初九十線と言われた特定地方交通線全体の赤字だって合わせて九百億までないわけですから、これはわれわれ納得いかないですよ。 何としても大臣、ここはあと数日しかなさそうだけれども、首をかけてがんばってほしいと思う。ここでこの問題で首になったら、その次は総理大臣になることは間違いないのじゃないか、そのくらいの強い関心が地域から寄せられている問題でございますから、がんばってほしいと思いますが、ここで決意のほどを最後に言いただきたいと思います。
○安孫子国務大臣 おっしゃることは十分わかっております。最大の努力をいたしたいと考えております。
○五十嵐分科員 どうもありがとうございました。
○宮下主査代理 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。 次に、武田一夫君。
○武田分科員 私は、この際、特に火災対策、火事対策、これについてお聞きしますが、時間もございませんから、答弁はなるべく簡潔、明瞭にお願いいたしたいと思います。 あしたからですか、春の火災予防週間というのが行われるわけですが、毎年、この火災予防週間というのがあると、不思議とそういうときに火事があるわけです。緊張して起こすのかどうかわかりませんが、特に最近は、高層ビル、そういう雑居ビル等が非常に多いというようなことで、そういうところでの火事も相当ある。昨年の川治温泉の例もこれあり、ずっといままで非常に火災の多いのは旅館、ホテルというのがそのトップらしいですね。これは最近出た中に詳しく出ていますが、大体朝方が多いですね。一時−四時ごろというのが多い。死んでいる方も多い。 こういうことで、一般の民家でも多くの方々が亡くなられているというようなことでございますが、これからの対応としましては、やはりこの防災対策、火事の中で特に煙の問題というのに、相当研究しながら対応しなければならないと思うわけです。 大臣にまずちょっとお伺いしますが、現在の日本の火事対策というもの、いろいろとお考えになりましてどうあらねばならないかという何か御所見をお持ちでございましたら、ひとつお伺いしたい。知事としても、私、宮域県で、隣の知事さんでございますから、ずいぶんいろいろとがんばっておることを知っておりますので、そういう御意見をひとつちょうだいしたいと思うのです。
○安孫子国務大臣 最近の火災の状況を見ますと、必ず死者が出る、これが不思議でならないのです。昔の火事でございますと、それは家屋が焼失しただけであって、人命の損傷なんというのはほとんどなかった。最近は必ず人命の損傷が生まれてくる。これが最近の一つの特徴でございますが、少なくとも火災を予防すると同時に、人命に対して影響しないような措置は何とか講じなければいかぬのじゃないか、こういうことを痛感いたしております。
○武田分科員 それで、亡くなった方々を見てみますと、焼死した方が六割から七割くらいというデータがあります。それから一酸化炭素中毒というのが大体三割ぐらいある。しかし私が見るに、その焼け死んだという中の多くは、特にビルなんかの場合で、大体聞きますと、二階あたりでそういう方が非常に多いということでございますし、やはり逃げてきても、途中で、一酸化炭素が一番こわいということになりますから、これによって目まいがし、そして焼けたというのがかなり多いのじゃないか、こう思うのですが、消防庁に聞いても、そこまでは残念ながらわからぬのだ、こういうことでありますが、私は、そう考えた方がいいのじゃないか、こう思います。 そこで、煙というもの、特に一酸化炭素の中毒を回避するためのいろいろな研究を国としてもしてきているのじゃないかと私は思いますが、その実情をまず簡単に聞かしてもらいたいと思うのです。
○近藤政府委員 煙に対する対策といたしましては、基本的には建物の構造を煙に対して強くするということで、建築基準法関係の問題かと思います。 先生御承知のように、四十年度以降、建設省は、数次にわたりまして建築基準法を改正しております。消防法におきましても、若干の所定の措置をとっております。しかし、最近のこういう煙に対する予防の問題につきまして、私どもも、消防研究所の一つの大きなテーマとして取り組んでおるところでございます。 いま、具体的にどういうことをしておるかというお話でございますが、現在研究しておりますのは二点でございまして、火災時における人間の行動と避難誘導に関する研究、もう一点は、炎を防ぐ、防炎物質から発生する有毒気体に関する研究、この二点についてここ一両年研究を続けております。早急に成果を得て実践に役立てたいと思っております。
○武田分科員 私も、いろいろと、こういう事態ですから、煙に対して、特に一酸化炭素については研究しているかと思ったら、余り研究が進んでいないということでびっくりしました。 それで、いろいろと東京消防庁などに聞いてみましたし、三鷹にある消防研究所にも行って聞きましたが、まことにお粗末だというその一語に尽きると私も思いました。 そのことはさておきまして、私は、いま長官が避難誘導という問題、確かにこのデータを見ましても、避難誘導が非常にまずかったというのが死亡者あるいは負傷者をたくさんつくっておるということ、昭和三十八年くらいからのデータをずっとチェックしてみますと、まずそれが第一番ですね。それから一般の家庭では、消火器をきちっと使って消しているという初期消火、これは七割くらいは使っておるわけですね、失敗も入っておりますが。ところがビルの場合は、たとえば一つ横浜の例をちょっと見たら、わずか五%以下です。要するに、みんなもう消す前に煙がこわくて逃げちゃう。火元はもちろん危いということで逃げちゃうんですね。それで逃げ切れなかった人がそういう事故に遭っているということで、この避難誘導に当たる責任ある方々、たとえば高層ビル、雑居ビルあるいはホテル、旅館等々には、消火器という以上に、本人が安全でなければそういう担当の者も逃げちゃうわけですから、やはりその安全を保証するための防煙マスクのようなものが欲しいものだなと私、思っておりました。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕 そうしましたら、これは昨年の十一月十七日、消防庁予防救急課長の名前で各都道府県の消防主管部長あてに「火災避難用保護具等に関する基準等について」という通知が出されましたね。これで聞きましたら、そういうのを認定して、おいおい検定まで持っていって、いいものは義務づけの方向に持っていきたいという考えなんだということをお聞きしたのですが、そういう意向でございますか。
○近藤政府委員 基本的にはお説のとおりでございますけれども、現在、こういう防煙マスクというのは市内にいろいろな物が出回っております。その性能が、実は買う方の側から見ればはっきりしない。そこで、各方面からいろいろ要望も出てまいりましたので、消防庁といたしまして、一応の基準をつくりまして、その基準に対して具体的なそれぞれの防煙マスクがどの程度の性能を持っておるかということを表示しようということで、この認定制度というのを設けたわけでございます。 この認定というものを基礎といたしまして、私ども、この防煙マスクが全国的にできるだけ早い機会に普及することを期待しておるわけでございまして、いま直ちに検定の段階まで持っていく、検定の段階というのは義務づけということと関連いたしますが、そこまでは将来の問題という考え方でおります。
○武田分科員 いずれにしても、将来はそういう方向で行くというその一段階としてのこういう体制である、こう理解してよろしゅうございますね。 そこで、この通知を読みまして、私は、ちょっとびっくりしたのですが、この文書のトップのところに「現在のところこれらの火災避難用保護具等に関する判断基準は規定されておらず、またこれらの中には、使用条件及び使用方法を誤まれば、生命、身体に危険を及ぼすおそれのあるものもある。」、こうあるわけですね。要するに、そういうものが現実に出回っていたということは認めているわけですね。だから、こういうものは危ないから一掃しなければならないということでこういうものに入ったと私は思うのです。 私も、どこでどういう物を売っているのかというのをいろいろと調べましたら、都内でも大きなデパートでは防災コーナーなんてございまして売っています。 きょうはその見本をちょっと持ってきましたので後でお見せしますが、六百円から二千六百円とか、高いのでは九千円とかで出ているわけです。さあそうしますと、ここにある「使用条件及び使用方法」だけでなく、構造的にも非常に危険な物が出ておるのじゃないかという心配が一つはあるわけです。果たしてそれを一つ一つチェックして明らかにしているのかどうか。もしそれが危険だとすれば、買った人にはそれを使わないように、あるいはまた回収を呼びかけて安全を期さなければならぬと思うのです。 というのは、今後認定されますと、これは堂々と安全センターですか、ここでレッテルか何か張ってくれるのでしょう、そして信用度が一層高まるわけですね。そういうときに、そういうのが出てわからぬ人がもし万が一それを使った、さあ三分は大丈夫だと言ったけれども、三分ところでない、一分たたないうちにそれをやって事故に遭ったとなったら、責任は重大だと思うのですが、その点どうでしょうか。
○渡辺説明員 先生御指摘の基準におきましては、最低三分程度の使用ができる防煙マスクについて規定がされておるわけでございますけれども、現在私どもは、その基準に合うようなものの普及の促進を図っているところでございます。それで、基準に適合しない防煙マスク等につきましては、それが直ちに欠陥のあるものというぐあいには考えておりませず、用途によっては使えるもの、このように考えております。 今回基準を決定したことでもありまして、メーカーに対しては、それらの製品が基準に適合するよう所要の改善をするように。指導をしていきたい、このように考えております。
○武田分科員 それでは全部一つ一つ、これは六百円だそうですけれども、これが三千何ぼかな。これが九千五、六百円、一番高いのです。これが二千六百円ですかな。そうしますと、これの二ページ目を見ますと、保護具等の種類としまして、簡易防煙マスク、大体こういうのを言うそうですね、いわゆるこういうマスク。「火災によって発生する有毒燃焼ガスのうち、一酸化炭素を有効に除去し、」とあるわけですね、除去しないものはまず認定の基準にならないわけですが、そういうものといままで出たものと、たとえば私がこわいと思うのは、煙が発生してどのくらいたつかわからぬけれども、すぐ一酸化炭素が出てくるからこわいのでありまして、煙なんというのはちょっとくらいあったって、われわれの経験からいっても逃げられますよ。そうすると、三分間というふうな基準もあります、しかしながら、肝心のこういうものが、一酸化炭素を除去するようなものが使ってなかったことが、いままで出たものに明らかであった場合どうするわけですか。そういうことまでちゃんと調べて、科学的な実験の上でのお考えをたさるわけですか。その点どうなんですか。
○渡辺説明員 御指摘のものの中には、一酸化炭素を除去する能力を持たないものもあるかと思います。このようなものの中には、たとえば一分程度で避難できる場合に使えるような種類のものもございまして、一般家庭のような場合で使用する場合には使える、このように考えておる次第でありますが、先ほどの基準のものは、もう少し大きい中低層程度の建物について考えておるものでございます。
○武田分科員 私が言うのは、だからそういう場合、何か聞くと五、六階くらいというのを基準にしておるようですが、もっと高いものもどんどん出ていますね。そうすると、ちょっと聞きますけれども、火事が発生しまして煙が出てどのくらいの一酸化炭素が出てきたときに、何分後に一たとえば二〇〇〇ppmとか三〇〇〇ppmという濃度があった場合、そこに何分間人間がいたときに危険になる、あるいはこのくらいだったら大丈夫だというその基準はどうなんですか。
○渡辺説明員 ただいまの御質問は、一酸化炭素濃度がどの程度かということでございますけれども、一般に木造建築におきましては、大体二分三十秒後、いわゆる壁体等に火がつきまして。鉄筋コンクリート等におきましては、七分程度からかなり危険な状況に入ると思います。 また、濃度につきましては、一酸化炭素だけについて考えてみますと、一般的に言いまして大体一%あたりが致死濃度に近い値、ただし測定者によってはコンマ二%、いわゆる二〇〇〇PPm程度の値をとる場合もございます。ただし、これは一酸化炭素の濃度の場合でございまして、火災に伴いまして他の有毒ガスが同時に存在する場合には、もう少しこの濃度が低くなってくるのが一般的でございます。
○武田分科員 そうしますと、これで基準を決めて認定しますね、そのとき何かいろいろ認定する委員になっている方なんかに聞きますと、ずいぶんもめたらしいですよ。三分間というのはちょっと甘いのじゃないかという意見も相当あったそうです。それでも三分になった。それから、余り厳しい基準にしますと、たくさんある業者さんのあれは大体みんただめになる、それじゃかわいそうだ、それである程度の基準で押さえておいて、段階的にいいものをつくってきたときに基準を高めていこうということも話し合ったそうです。それで、その基準の中でも高いランクの基準のレッテルも張るし、低い基準のレッテルも張るのだ、はっきりそう言っているわけです。 そうしますと、たとえば一つだけ取り上げてみますと、高い基準の防煙マスクと低い基準の防煙マスク、いずれも基準は三五〇PPmですか、三分間たって五〇PPmになればいいという、そういう一つの基準がありますね。それを通ったとして、そのマスクをかけた場合に、そういう煙のたくさん出ている、一酸化炭素のある中でどのくらいの濃度のものをそのマスクによって軽い濃度にする性能を持っているかという、その最低の基準というのはどの辺を考えているのですか、要するに基準として認める場合の。
○渡辺説明員 防毒マスクにつきましては、三五〇PPm程度を考えております。その技術的な根拠は、防毒マスクが使える条件としまして、まず酸素欠乏状態下にないというのが第一点。第二点としましては、簡易型という性格から、呼吸器をつけた消防隊員が最悪の状況で活動する状況よりも低い煙の濃さで使える、そういった条件からしますと一酸化炭素濃度が一応三五〇PPm、このようになるわけでございます。 なお、これを約七分の一程度まで除毒をいたしまして、五〇PPm以下に抑えることができれば合格という判定基準になっております。
○武田分科員 それじゃ、一酸化炭素が三五〇pPm以上になると危険だというわけですか。そうでしょう。 そこで、これは労働省で出している「危険有害物便覧」の中で一酸化炭素の項があるのですが、このデータを見ますと、要するに人体への影響はどうかというのがいろいろ書いてあるのです。これは「消防白書」ですかな、これにも出ているわけですが、それをいろいろと勉強してみましたら、一五〇〇PPmくらいであれば十分くらいは全然体に影響がないという一つのデータが出ているわけです。三五〇PPmというのと一〇〇〇PPmというのとはずいぶん違いますが、私が計算したら大体一五〇〇PPmで十二分くらいは一酸化炭素があっても体には全然影響がない。 それから三〇〇〇ppm、これは十分くらいしますと多少異常の状況が体に起こってくるというわけですよ。こういうデータが一つあるのですが、これは消防白書の中にもその数字が出ております。 そうしますと、非常に低い基準でたくさん出ているのを救済して、業者の皆さん方を救うということだけに中心を置いて、肝心の——それは厳しい方がいいですよ、厳しいのはいいですが、厳しい安全性というのはもちろん大事ですが、何かそういうあたりまえのときでさえも、そんなのたくてもいいものも売るというような、そういう商行為を助けるような基準になり過ぎているのじゃないかという気が私はするのですが、その点どうですか。
○渡辺説明員 三五〇ppmの値が甘いという御指摘でございますけれども、避難用保護具は、事業所等で発生しますガス用の防毒マスクあるいは鉱山等で狭い空間を長い距離にわたって避難しなければならない鉱山用の一酸化炭素マスクと違う点は、一般市民が火災環境下において使うということでございます。したがいまして、一般市民が避難できる条件というものの一番最初に出てくるのは、実は煙でございます。いわゆる足元が全く見えなくなるような条件下においては避難ができない。このような条件下における一酸化炭素濃度が三五〇PPm、そういう値から実は来ておる次第であります。
○武田分科員 そんなのだったら、どのくらいそういう方がいるかわからぬ。全部いままで亡くなった方がどういう環境で亡くなったかわからぬにしても、これから特に問題になってくるのは、そういう煙が出て逃げるに逃げられず、しかしながら、あと五分間もてば、あるいは三分間もてば死んだ多くの方々が逃げられたというような、しかもまた誘導するホテル、旅館とかビルなんかの防火管理者がいるわけですね、そういう方々が誘導して安全なところに連れていく、その間にもし五分もあればそれもできたのだというような対応には全然役立たぬじゃないですか。どうですか、その点は。
○渡辺説明員 いま御指摘の三五〇ppmのものは、簡易防煙マスクに対する基準でございまして、同じ基準の中に自給式呼吸保護具というのがございます。これは酸素あるいは空気を供給し使えるもので、この中には三分型、十分型、二十分型とございます。そのような目的、目的に応じて、いわゆる避難誘導に旅館の方たちが使うもの、それからお客さんが使うもの、その辺は仕分けた考えになっております。
○武田分科員 そうしますと、そちらの方はかなり高くなるはずです。高いものを、そういうものを将来の義務づけの中にきちっとやっていかなければならないという考えですな。私はそれはそれとして結構です。しかしながら、そういうものと対等あるいはそれくらいの力を発揮する安いもの、一般の方でも逃げられるというようなものが必要になってくると思うのです。そうなれば、何もちょっとしたくても逃げていけるような、常識的に考えて、そういうようなものの基準をつくるよりは、やはりそういうビルとかあるいはホテルとか、人命にかかわるような不特定多数の方々がたくさんいるようなところのそういうものは、こういういわゆる簡易なものであっても、きちっとそれだけの性能のものはそこに取りつけておくのだというくらいまでなっていかなければならないと思うわけです。そういう意味で、普通の一般の二階あるいは平家の皆さん方がお逃げになるときのそういうようなものとしてのものであるというよりは、そちらの方のもっともっと重要な機能を発揮させるべきではなかろうか、こういうことを私は申し上げているわけです。そういう私の考えです。おたくの方の考えもわかりました。 そこで、これから認定するわけですから、恐らくいまつくっている人はいろいろ持っていっているのでしょう。それを結局、これからよければ実験して基準を通れば認定書を与えて何かレッテルを張ってやるのですか。そうすると、いままではそういうことは国の機関で全然やってないわけですから、そういうのはどこを探してもないわけですね。ところが、私がこれをたまたま手に入れたら「自治省消防研究所試験合格」というのを張ってあるのです。自治省消防研究所というのはどこの機関ですか。
○近藤政府委員 自治省消防庁の消防研究所は私どもの機関でございますけれども、御承知のように消防研究所でそういう認定行為というのは行っておりません。国家検定の場合も、かつて行ったことはございますけれども、いま検定協会というのが別にございまして、そこでやっております。したがって、後でそのものを拝見させていただきますが、どうも不審な点がございます。
○武田分科員 こういうものは消防署なんかで各管轄の人がときどき見て歩かないのですか、防災コーナーなんか。もう明らかにこれは、いいですか、ナンバーA二〇二四、検査「粕谷」という判まで押してありまして、ほかのこういうものは全然ないわけです。そうすると、お国のお墨つきだからこれはいいんだろうということでかなり売れたのじゃないかと言っていましたね。売れているわけです。こういうようなことを放置しておくということがどだい——大体そういう悪いものもあるということがわかっていながらチェックもしなかったという責任はまことに重大だと思うのです。しかも聞くところによると、今後こういう認定が出てきても、基準に漏れても、こういうレッテルを張らないで売りたいというものが野放しなんだそうですね。取り締まれないという。こんなことを許しておくわけにはいかないのじゃないでしょうか、どうですか。こういうようなものをもう一度調べて——中身はどうだかわからないですよ。聞くところによると活性炭が多いというのですが、活性炭は一酸化炭素は全然処理できないのです。そういうものが野放しになっているということは危険きわまりない。業者もたくさんあるでしょう。聞くところによると八十社ぐらいあった。少なくとも八十種類から出ているわけですから、ある物を全部回収するか何かして、よく調べた上でもう一度見直しをして、こんなものを放置しておくというのはとんでもないと思うのですが、どうしますか。
○近藤政府委員 先ほど申しましたように、私としてはいま初耳でございますので、早速厳重に調査いたしました上で対処したいと思います。
○武田分科員 私はこういうのを通して見ますと、ずいぶん指導監督が甘いような気がします。いずれ業界との関係がどうなっているかというのもいろいろ調べてみたいと思うのですが、業者寄りであってはいかぬと思うのです。やはり消費者、特にこういうときだけに、地震がある、あるいはまた火災が多くて亡くなるということで、こういうものが各家庭の中に入ってきているわけです。そういうときにこういうまがいものみたいな、あるいは権威ありそうななさそうなものを平然と野放しにしておくということは厳重にチェックしなければならない。しかも今後認定するわけです。認定されたものについても、こういうものが出てくるかどうかというのは、出ないという保証はないわけですから、そういう点について厳しくやっていただきたいと思います。大臣、どうですか。こういう点はまことに不手際だと思うのですが、今後の対応のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○近藤政府委員 消防の機械器具はほとんどが国家検定ということになっておりまして、それぞれの品目ごとに工業会という業界ができておるわけでございますが、この防煙マスクにつきましてはまだその段階までいっておらないという状況でございます。工業会そのものが実はないわけでございます。いろいろな業者がいろいろなものをつくっておられるという状況でございまして、私どもこれまでのところ、それについて一々調査し指導するという段階になかったわけでございまして、昨年の暮れ初めて基準をつくりまして、これから認定というものを通じて業界を強力に指導していこうという段階でございます。
○安孫子国務大臣 いま消防庁長官からもお答えいたしましたけれども、ちょうど初期の段階でございまして、それから体制をつくっていかなければならぬという問題のように承知いたしましたので、その方向に努力いたしてまいります。
○武田分科員 時間が来ましたので、この問題についてはまだずいぶん納得できないことがありますので、追ってまた何かの機会でお聞きしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○上村主査 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。 次に、三浦久君。
○三浦(久)分科員 私はいま大きな社会問題になっております北九州小倉での暴力団抗争の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 まず一番最初に、警察庁からお見えになっていらっしゃいますので、警察庁の方からお尋ねいたしたいと思います。 小倉の暴力団を二分していると言われているのが工藤会と草野一家であります。草野一家の草野高明という総長が紫川事件で刑務所から出所してまいりまして、工藤組から抜け出て、そして草野一家を構えてからこの工藤会と草野一家との抗争が始まったわけでありますけれども、その対立抗争の火に油を注いだという形になったのが一昨年十二月に起きた草野一家極政会による工藤会田中組長田中新太郎の殺害事件だったと思います。 その後昨年ずっと見てみますと、六月、七月、九月と北九州市で、そして十月には福岡市で、十二月十六日には北九州市で、そして十二月十七日には直方市、十二月二十日には北九州市というふうに、工藤会と草野一家との発砲事件が全県下で相次いでいるわけです。 そこで、ことしの二月四日、これは繁華街で発砲事件があったわけです。小倉北区の堺町にありますニュー南国ビルの前の道路上で、工藤会の矢坂組長矢坂顕ら六名と、それと草野一家の大東亜会会長佐古野繁樹というのがおりますが、これら六名とが路上で衝突して発砲事件が起き、そして矢坂と佐古野が死亡する、こういう事件が発生しました。この工藤会矢坂組長は工藤会の理事長もやっておりまして、工藤会のナンバーツーと言われている人間です。大東亜会の佐古野繁樹というのは、草野一家のナンバーツーと言われている人間だと思います。そういうことで、その後お互いに草野一家と工藤会は復讐に燃えて、警察がかなり特別な体制をとって警戒していたにもかかわらず、二月六日、二月七日、二月八日、二月九日、連日して発砲事件が起きておる。二月十八日には二回も発砲事件が起きています。合計六回にわたってその後も発砲事件が繰り返されているわけであります。 刑事局長も御承知のとおり、小倉の北区の堺町というのは小倉では一番の繁華街です。北九州一の繁華街と言ってもいいかもしれませんが、飲食店がたくさんあるところであります。この飲食店街でこの発砲事件以後、私調べてみましたら、大体五割から六割くらい売れ行きが落ち込んだというのです。これは二月という月が二八型といいますから、そういう問題もありましょう。特別な不景気という点もありましょうけれども、しかしこの暴力団抗争が大きな原因になっているということはまず間違いがないだろうと思うのです。私もたまにお店に行きますから聞いてみますと、お客さんの中に、もう小倉に行って飲むなと女房が言うとか、それからまた、あなたの店は暴力団と関係があるのか、そういうことをよく聞かれたり言われたりするということです。十一時ごろになるとほとんど人通りがなくなってしまう。ここは大体二時から三時ごろまでふだんはやっているところですが、いまは十一時に大体終わってしまう。タクシーも手持ちぶさたというような状況になっている。警察もいま一生懸命全力を挙げておやりになっておられますけれども、市民の安全とか営業を守るためにも、一日も早く暴力団の壊滅はなし遂げていかなければならない問題です。 私はまず最初に、二月四日の射殺事件が起きた以後警察としてどのよう在対策をお立てになったのか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
○中平政府委員 ただいま御指摘のように、北九州市内で暴力団の相次ぐ対立抗争事件が起きていることは事実でございまして、市民の方々に多大の御迷惑をおかけしているという点については、私どもも大変遺憾に思っている次第でございます。 さて、この事件に対する取り組みでございますが、現在警察本部長以下の特別取り締まり本部を設置いたしまして、千名を超える警察官を動員いたしまして対立抗争の封じ込め、これを契機とする徹底的な検挙、それから暴力団のこうした対立抗争を許す土壌といいますか、一般の行政あるいは一般の市民の方々と暴力団とのいろいろな関連と申しますか、公共事業から締め出すとか、競艇場から締め出すとか、あるいは暴力団にいろいろなみかじめ料等を払っている、そういうことは自粛してもらうとか、そういうような暴力団の孤立化作戦、そういうものと相まって所期の目的を果たしたいということで全力投球しているわけでございまして、現在までのところこの射殺事件の被疑者を含めまして工藤会側から九名、草野一家側から十七名、計二十六名を逮捕いたしまして、拳銃二丁を押収いたしております。さらにこの対立抗争を契機に徹底的な取り締まりを行いたい、こういう方針で臨んでおるところでございます。
○三浦(久)分科員 まず当面のそういう対人関係といいますか、暴力団をどんどん警察力で逮捕、また検挙していくというやり方と同時に、やはり資金源対策とか武器対策が非常に重要だと思うのですよ。北九州には大体六百名くらい暴力団員がいると言われておりますけれども、警察がこの前料飲組合連合会の暴力追放の対策会議に出てきまして、暴力団員一人について二丁くらい拳銃を持っているのじゃないか、そういうような説明をしたということが報道されておりますね。常識的に見ても大体組員一人について一丁ずつくらいは持っているのじゃないかということが言われているわけであります。そういう意味で、資金源対策、それからまた拳銃対策については具体的にどのような措置をおとりになっていらっしゃるのか、警察の方からお尋ねを申し上げたい。
○中平政府委員 資金源対策についてでございますが、暴力団のよって立つ勢力の基盤は何といってもまず金でございますから、この金につきましては暴力団の取り締まりの三本柱の一つ、要するに資金源を断つこと、戦闘の根源である武器を断つこと、それから大量の検挙を通じて人の面からの暴力団の勢力の弱体化を図っていく、この三本柱の一つであって、なかんずく資金源対策は最も重要なものの一つであるわけでございます。したがいまして、資金源の問題につきましては、今回の問題につきましても、まず暴力団の主たる資金源は、北九州地区でも同様でございますが、覚せい剤、それからそこにある競艇、競輪等のいわゆるギャンブル場からののみ行為、それからいろいろな債権の取り立て、いろいろなみかじめ料と称するもの、こういうものでありますから、これらについて徹底的なメスを入れるという方針で現在臨んでおるわけでございます。 それから武器の問題につきましては、具体的な対策といたしましては、やはり暴力団の検挙を通じて徹底的に拳銃の入手ルートを追及してまいるということでございまして、昨年金国で一千百丁の拳銃を押収しておりますが、そのうち福岡県警では百八丁の押収を一応いたしておる。全国の約一〇%は福岡県警が昨年一年間努力してやっている。しかしながら、ただいま御指摘のありました六回にわたって拳銃乱射が行われているということは、ある程度暴力団の連中は日常的に拳銃を持っている疑いが相当あるわけでございます。したがいまして、これらにつきましてはさらに、捜索、差し押さえ等とは別に、職質等を通じて持っているところを押さえてしまうというような諸般の対策をとりたい。 もう一つの問題は、拳銃というのは要するに密輸ルートから来るわけでございますから一種の水際作戦、特に九州の地区につきましても同様に密輸される可能性が大変強い地域でございますから、その辺も今後さらに徹底した取り締まり対策を講じてまいりたいと考えております。
○三浦(久)分科員 昨年一年間で拳銃を百八丁押収した、それは前年度に比べてかなり多い数になっていると思うのです。この事件では二人殺される、対立しているもの同士が両方一名ずつ死んでいるわけですね。そうして最初は、公判維持のために必要最小限度の二丁しか押収されていない。それも一丁は自首してきた組員の自供に基づいて発見されたということですね。 そうすると、いまのお話ですと、二十六名も逮捕されていますね。これはこの事件と直接関係のない事件で、いわゆる余罪というか、別の事件でずっとやっているのだろうと思うのですが、ガサもずいぶん入れられておりますね。ところが、拳銃はたった二丁しか出てこない。もっと何とかならぬものかというのが市民の声だと思うのです。そうすると、どうしてそれが発見できないのか、どうしてもっと押収できないのかという素朴な疑問に対して警察庁はどういうふうにお答えになりますか。
○中平政府委員 最初に、ただいまの答弁でちょっと訂正させていただきたいと思いますが、昨年千百丁と申しましたが、このところ数年間の平均が千百丁ということでございまして、訂正させていただきたいと思います。 それから拳銃の問題でございますが、暴力団は拳銃が彼らの非常な戦闘力の根源になるわけでございますから、したがって、それの隠匿手段等というものは非常に巧みになっているわけでございます。必ずしも暴力団の住居、拠点自体にはなくて、情婦の家だとかあるいはとんでもないところに隠してあるとか、そういうこともあるわけでございますが、いずれにしろこれはあらゆる法令を駆使し、あらゆる方策を講じてこの事件に関連してもっともっと拳銃を摘発してまいりたい、こういう不退転の決意で臨んでいるということでございます。
○三浦(久)分科員 いろいろな困難性があると思いますけれども、やはり武器の押収というのはかなりの重点を置いてやっていただきたいと思います。 それから、また資金源対策なんですが、民事介入暴力の問題がありますね。この事件を契機にして、福岡県の弁護士会が民事介入暴力被害者センターというものを設置いたしております。そうして警察とも連携をとりながら民事介入暴力の被害者を救済していこう、こういうふうになっているわけですが、警察庁自身も五十四年十二月一日に民事介入暴力対策センターというものを設置する、そういう方針を決められまして、そして専門的な指導システムを確立して各都道府県警察に専門担当官を置くということを決定されておられますね。 福岡県警にこういう民事介入暴力の専門担当官はいらっしゃいますか。それから小倉警察署、各警察署はどういう体制になっているのかお尋ねしたいと思います。
○中平政府委員 暴力団の民事介入の問題につきましては、日弁連とも私ども協議いたしまして、全国的に一応そうした民事介入の暴力につきまして取り締まり、検挙の徹底を期してまいる、そして一人でも暴力団の民事介入によって被害をこうむることのないようにしてまいりたい、これは弁護士会と両者意見が相一致いたしましてともどもにやっている次第でございます。 したがいまして、福岡県でもただいまセンターができたということで私どもも大変喜んでいるわけでございますが、私どもといたしましては、福岡県警本部に五名、一応民事暴力について市民の方からの相談を受ける者を置いておる。そのほか各署に、これは兼務でございますが、大体一署に一人くらいずつ置いてあるわけでございますから、御指摘の北九州の署にも置かれているものと考えております。
○三浦(久)分科員 県警五名というのは専門ですか兼任ですか。
○中平政府委員 五名は兼務の職員でございます。
○三浦(久)分科員 これをいわゆる兼務を解いて専任させるという方針はございませんか。
○中平政府委員 これは人の手当てを伴わないとなかなかむずかしい問題でございますが、私どもとしてはでき得べくんば、できるだけ大きな県から逐次専門の体制をとってまいりたい。それで警視庁とかあるいは愛知県警だとか、幾つかの県ではとっているわけでございますが、だんだんにそういう方向をとってまいりたいと考えております。
○三浦(久)分科員 時間が余りありませんので、今度は自治省の方にお尋ねしたい。 五十三年の警察白書では暴力団の特集をやっているのですね。そこの中に、暴力団を鎮圧するためには二つの手段がある、一つは直接的な制圧だ。その直接的な制圧というのは、いま刑事局長が言われた三つの手段があるわけですね。いわゆる人に対する検挙の問題、あと武器の問題、資金源対策。それともう一つは、暴力団というものを社会的に孤立させるという仕事がある、こういうわけですね。市民一人一人が市民の敵、社会の敵として告発していくことが大切なんだ、こういうことが述べられているわけです。そうしますと、市民一人一人が暴力団を社会の敵だ、市民の敵だといって告発するだけではなくて、こういう方針が出ているわけですから当然国や地方公共団体も市民、国民に率先してその方針を貫徹していかなければならないと思うのですが、いかがでございましょうか。
○安孫子国務大臣 暴力団の撲滅についてはやはり市民の協力というものがきわめて重要でございます。そこで、市民の各自の努力によってこれをやる。お尋ねは、それを地方団体も積極的にやるべきじゃないかというお尋ねだろうと思います。これはでき得る限度においてはそういうことが必要であろうかと思っております。
○三浦(久)分科員 でき得る限度といっても暴力団と癒着したりしてはいけないわけでして、やはり全力を挙げて社会の敵を孤立化させるという方針は貫いていかなければいけないのじゃないでしょうか、でき得る限度というのは何か条件づきみたいな気がするのです。 ちょっと時間がありませんので次に移らしていただきますけれども、福岡県や北九州市の場合には、暴力団との癒着が非常に激しいというふうに私は感じているのですよ。たとえば今度の抗争で射殺された佐古野繁樹、大東亜会の会長ですね。これが五十年十一月二十三日に、政治結社東亜友好社というものをつくっておる。これは、草野高明、草野一家の草野総長が出所する一年ちょっと前なんです。何でつくったか。それは自分たちの組員を組織しておいて、草野高明が出所してきたときに草野一家大東亜会を旗上げするという準備としてやっているのです、ですから、事務所は現在も二つあります。この前殺されてもまだ残っているでしょう。政治結社東亜友好社というのと草野一家大東亜会というのと二つ若松区にあります。ところが、中身は一緒です。みんな暴力団員です。この政治結社東亜友好社をつくるときの賛同者に、これは自民党のことを言って悪いのですが、三原さんとか藏内修治さんがなっています。それと福岡県知事の亀井光さん、北九州市長の谷伍平さんが賛同者になっているのですね。これにございます。 そうすると、警察庁の方針では社会的に孤立をさせるのだと言う。ところが、暴力団の社会的な孤立とは全く逆の方向ですね。そういう暴力団が政治結社をつくるに当たって賛同者に名前を連ねるなんということは、私は絶対にやってはいけないことだと思っているのですよ。この点について自治省としてはどういうふうにお考えになるのか、いままでどういう指導をされたのか、また今後どういう指導をなさるおつもりなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○安孫子国務大臣 この点はやはり名前を出す方方の判断にまつ問題だろうと思うのです。自治省がどうこうと言う性質のものでもないのじゃないかと私は思っております。要するに、そういう方方のその地域社会においての関係というものを十分に考慮いたしまして善処をしていくことが基本じゃなかろうかと思います。
○三浦(久)分科員 余りすごい名前が出てきたので、明確にしろと言ってもできないのかもしれませんけれども、しかし自治省としては、暴力団は社会的に孤立させる、それには自治体が積極的に率先してやらなければならないということをおっしゃっているわけですからね。そうすれば、やはりそういう人たちの判断に任せて、自治省としては何もしなくていいのだということにはならないと私は思うのです。警察の方はどういうふうにお考えですか。こういうことは社会的な孤立化作戦としてふさわしいとお思いですか、どうですか。
○中平政府委員 私どもの立場から率直に申し上げれば、好ましくないことである、このように考えております。
○三浦(久)分科員 だれが見たってそうです。 それから、この北九州というのはいろいろな問題があるのですけれども、暴力団関係に関して言いますと、こういう事件があるのです。殺された佐古野、草野一家のナンバーツーですね、この佐古野が、北九州市若松区に株式会社九州工築という会社を持っています。建設業者です。当初これは佐古野繁樹が社長でしたけれども、五十年八月、もう五年半ぐらい前になりますか、社長を奥さんの名義に変えました。そして、その年その月に北九州市の建設業者有資格者名簿に登録されているのです。いわゆる指名業者に登録されたと言いますが、公共事業を発注できるわけです。これが五十年九月の議会で問題になったのです。暴力団員の妻がやっている会社を指名登録業者にするのはおかしいと追及された。ところが、いまだに改められていないのです。いまだに市の指名登録業者になっておるのですよ。これについては自治省はどういうふうにお考えですか、またどういうふうに御指導なさいますか。
○安孫子国務大臣 その事実は初めてお聞きしたわけでありますけれども、大体、そういう暴力団を主体とするようなものは公共事業から排除すべきであるという方針をとっておるわけでございます。具体的な事例につきましては、今後措置をしていきたいと思います。
○三浦(久)分科員 もうちょっと具体的な問題を言いますと、二月十一日の新聞が一斉に報道しているのですけれども、横断歩道橋の横にある暴力団事務所のために、北九州市が二百万円で大型の目隠し、いわゆるガードですね、ピストルの弾を撃たれてもいいようなものをつくってやっているのですよ。これは読売新聞に大きく報道されている。その場所は、小倉北区の三郎丸小学枝の前です。三郎丸歩道橋と言っておりますが、暴力団は工藤会矢坂組系二代目山本組、この事務所がここにあるわけです。暴力団の紋がついていますけれどもね。のぞかれたら困る、プライバシーの権利があるとねじ込まれまして、それで目隠しをつくって、高さ三・一メートル、長さ十四メートル、厚さ五ミリの特殊強化樹脂板を六十四枚使っている。それは全部鉄枠でやっているのですね。北九州にはほかにも歩道橋で目隠しをやったのがあります。しかし、みんな塩化ビニールです。こんな三・一メートルもありませんよ。そんなものは必要ないのですから。それを、暴力団に屈服して、市の金を二百万円も投じてこういうものをつくっている。私は、市長が市長だからこういうことになるのだろうと思うのです。こういうこともやめさせなければいかぬと思うのです。市民は憤慨していますよ。みんな、自分たちは全く商売をなげうって、事によれば今も危なくなるかもしらぬという中で暴力団追放の運動をやっているわけでしょう。そういう中で市が自分たちの市費を投じて暴力団を守ってやっている。そんなことは全くもう憤慨にたえないことじゃありませんか。これは大臣としてはどういうふうに思われますか、どういう御指導をなさいますか。
○安孫子国務大臣 これもいま初めてお聞きしたことでございますが、お話の点をそのまま承ればまことに適当じゃない、そういうことだと思います。この辺も事実を調査したいと思います。
○三浦(久)分科員 そういう自治体がはっきりした態度、毅然とした態度を暴力団に対してとらないということが、さっき大臣がおっしゃったような暴力団を醸成する土壌をつくり上げているのですよ。 それだけじゃないのです。政治家が暴力団との醜い癒着を深めているということを私は指摘したいのです。たとえば、またいまの草野一家大東亜会の佐古野会長、この妻がもう一つ別の会社をやっています。生コンクリートを製造する会社であります。その会社の創立祝賀会が去年の十一月十九日に小倉北区の堺町の「北京」という中華料理屋であったのです。たくさん人が来ました。そのときに名前入りの生花を贈っているのです。だれが贈っているかというと、これまた悪いのですが、自民党ですね。田中六助通産大臣、三原朝雄さん、麻生太郎さん、藏内修治さん、民社党は宮田早苗さん、県会議長の吉村範眞さん、この方も自民党だ。その他、行橋とか豊前とか中間とか、各市会議員が十六名祝電を打ったりしているのですね。ここに新聞がありますから、ちょっと見てください。そういう政治家というのは、たとえば何万という票をとりますね。恐らくそこに並んでいる政治家の名前を合計すると何十万という票を集めている人々で、社会的に大変影響力の大きい人ですよ。そういう政治家が花輪というか生花ですね、名前入りの生花を贈るということ。これはやはり私は暴力団を社会的に孤立させるという基本的な方針と相反していると思うのですけれども、大臣どういうふうに思われますか。
○安孫子国務大臣 先ほどお答え申しましたと知り、こういうことはやはりその個人の見識と、それから考え方によるものだろうと思うのです。やはり自粛してもらいたい気持ちはありますが、これは個人の判断に基づくものになると思います。
○三浦(久)分科員 刑事局長にちょっとお尋ねしたいのですが、これは警察庁の方針と真っ向から相反することですね。これだけ大きな影響力を持っている人々が暴力団の妻がやっている会社の創立祝賀会に生花を出すというようなことは、これは私、大変な事態だと思うのですよ。警察としてはいいことだとは言えないと思うのですね。悪いことだ、好ましくないことだと言われると思うのですが、好ましくないと言うのであれば、たとえばいま北九州市では市議会も暴力追放の決議をやっているのですよ。料飲店組合の方々も暴力追放の決議をしている。弁護士会もやっている。市も一応暴力追放推進協議会というものをつくってやっている。警察も千名以上の人間を投入して暴力団の壊滅作戦をとっている。そういう状況の中で、政治家が暴力を助長するような行為をすることは不謹慎であって許されないと思うのです。ですから、こういう事態がたびたび発生する。たとえば、この前殺された二人の葬式にもやはり政治家が電報を打ったりしているのですよ。そういう事態があるのです。ですから、こういう問題について今後こういうことがないように警察として注意をするとか警告をするとか、そういうことくらい私はやった方がいいんじゃないかと思うのですけれども、刑事局長のお考えをお聞きしたい。
○中平政府委員 先般この問題は委員会でも問題になりまして、一応事実関係の調査あるいはこれは公職選挙法に触れるではないか、そういう側の立場からのいろいろ御質疑等がありました。私どももそういう立場から、事実関係の把握並びにその事実関係の中に刑罰法令に触れる行為がないかということで一応の調査はいたしたわけでございますが、特に証拠上刑罰法令を適用するような事案はなかった、こういう報告を受けておる次第でございます。 しかしながら、ただいま御指摘のありましたように、世の中を御指導される立場の方々の、これは御本人が御存じない間に利用された向きもあるようでございますが、いずれにしろ市民からいろいろな不信を招くもとでございますから、くれぐれも私は御注意を願いたい、こういうふうに思っております。
○三浦(久)分科員 もう時間がありませんが、一応稲川会の仲介でこの工藤会と草野一家の和解が成立した。これは何か今月の二十五日ごろにそういう報道がなされております。しかし、彼らがそういう和解をしたというのは、とのまま抗争を続けていると警戒態勢も厳しいし、自分たちの商売が上がっちまう、そういう理由からだと思うのですね。ですから、今度の和解が行われたということによって直接的な発砲事件というのは多少減るかもしれない。しかし、私は、彼らをこの機会に壊滅させるということが大事だと思います。したがいまして、警察が手を緩めることなく、やはり資金源対策、そしてまた武器対策、さらにいろいろ小さな犯罪でも彼らを検挙するという、そういういまの特別な態勢は崩してほしくないと思っているのですが、この点について警察庁はどういうお考えでございますか。
○中平政府委員 暴力団同士の間に和解があっても、これはわれわれの関知するところではなくて、取り締まり方針には何らの影響はございません。したがいまして、今後とも徹底的な取り締まりを行いたい、こういうように考えます。
○三浦(久)分科員 終わります。
○上村主査 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。 次に、沢田広君。
○沢田分科員 大臣、大変連続ですからお疲れかと思いますが、われわれがここへ出てきて質問をするというのは、事務当局の説明を聞いたりそういうことを期待しているものではないのでありまして、言うならばやはり政治家として、それぞれ今日持っている社会の公正あるいは正義あるいは政治の信頼、そういうものを取り戻していくためへの一つの提言として申し上げておるわけですから、事務当局の答弁ではなく政治家としての発言、こういうことで心してひとつお願いをいたしたいと思います。 最初に、同和対策の問題で一つお伺いをいたします。 ここに写真があるのでありますが、ごらんになっていただきたいと思います。現在私もいろいろな場所をこの同和対策の問題で回りましたときにも、その墓場といいますか墓石に今日でもいまなお革であるとか草であるとか屠殺の屠であるとかあるいは血であるとか、そういう文字を戒名の中に入れられたままでそのまま残されておる。政府は同和対策ということで努力しているつもりなんでしょうけれども、現実的にそういう宗教的な立場の問題も含めて今日そのものが残っている。こういう状況を大臣としては、同和対策を進めていく今日の状況の中から判断してどうお考えになっておられますか、ひとつその御意見を承っていきたいと思います。
○安孫子国務大臣 こうした資料は初めて承知をしたわけでございまするが、過去を思い出させるようなこういうような石塔は余り適当じゃないと思います。しかしまた、本人から言うと、これは霊を祭ってあるわけでございまするから、これをどうするかということは後裔の方々の判断にまつところでございましょう。しかし、こうしたことが過去の歴史的な事実として残っているということについてははなはだ遺憾に思います。
○沢田分科員 遺憾に思われるということで、やはり同和対策をやられる場合には私の先祖がこうなんですということを明らかにさせていくことは望ましいことではないということですね。ですから当然、墓地の撤去とか改葬とかあるいは別な墓地をつくるとか、こういうようなことを当然行政指導として、宗教上の問題はもちろんあるにいたしましてもそれは行わなければならない。もし希望すれば、希望すればでなくて、私が行ったところでも全部別な墓地をつくっておられました。つくっておられましたけれども、そこへ一般の人と全然分離されちゃっている、こういう宗教上の差別もなくはない。しかし、本人たちは、本人たちはと言うと言葉が悪いのですが、もちろんそういうことを残したいと思ってないんですよ。ところが、一般のところへはなかなか入れない。相当な寄付金を出さなければ戒名も変えられない。こういう事実を大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○安孫子国務大臣 まあいまのお話を承っての感じでございますけれども、こういうところは、個個の墓地で石塔を変えるとかこれを抹殺するようなそうしたことをすれば、一応こういう歴史的な事実というものは消えるのじゃないか、そういうこともやはりその方々としては考えていい問題じゃないか、こう思います。
○沢田分科員 この問題で余り長くやっていられないのでありますが、いま大臣がそう言われました。ではそれを具体的に本人がやったらいいじゃないかと言われるけれども、とにかくその一つが問題じゃなく、その墓地全体が、そのものが集積しているわけですから、そうすると、全体の墓園といいますか、墓園というものそのものを改造しなければできない。そうしますと、どうしてもこれは地方団体が行政指導をしたり、墓園そのものを許可したり、今度はそれの移動なんかについても当然行政指導が必要になってくる。個人だけ石塔を変えたらいいというわけにはいかない。どうも大臣はその認識がちょっとないのじゃないかと思うのですね。だから、そこだけ変えたらいいじゃないか、そうはいかないのですよ。そういうところに行っていないからなのじゃないですか。これなんかも、行ってみれば草むらの中にそういうものがたくさんありますよ、差別の戒名があちこちにありますよという資料なのです。それを本人負担で、墓石の負担はいざ知らず、そこだけに集落地として置かれているような状況を排除——排除というかなくして、全体的な差別をなくしていくという、それはやはり国なりが指導して同和対策の一部としてやっていかなければ、これは全国津々浦々いまだに残っているものですからね。そして、しかも戒名を変えるというのは宗教的になかなかむずかしいものがあるらしいのですね。私も宗教上のことはまだ不勉強でありますから十分ではありません。しかし、いずれにしてもそういうことに対して自治体が指導をしつつ、こうした方がいいでしょうということのリードをとってもらわないと、個人だけが変えたらいいじゃないかという、それではそこの墓地そのものはなかなか動かないのですからね。 では、一般の人も一緒に含めて、一般の人と言うとこれもまた差別になるわけなのですが、そういうことで、そこの市民の人はだれでもが同じように公園墓地なら公園墓地というものができた中に包括していくような一つの政治行政というものがないと、そういうものが統合されていかない。いつになってもそこの墓地は差別の中に、戒名だけ変えただけでは差別というものが残ってしまう。これはおわかりになるでしょう。そこの部分だけ、その部落の中に一部分つくって、そこの戒名を変えたら変わったのだ、こういうことにはならないですね。やはりあそこに行ったらそうだ、こういうふうに言われてしまう。だから、これは基本的に全市民的な立場に立って市町村としてはやらなくてはならぬでしょう。そういう必要性はお感じになられませんか。
○安孫子国務大臣 お話を承りますと、こういうのが一つの墓地に、全部それがそうなんだ、こういう実態だということであれば、個々の名前を変えただけではやはり問題は解消しないで、あそこの墓地であればこういう方の墓地であるぞという社会的な認識が払拭されない、したがって、それを変えなくてはいかぬのじゃないかというのがお尋ねの趣旨のように承りました。そうであれば、やはり別途の方法を講ずる必要もあるのではなかろうかと私も思います。
○沢田分科員 ですから、そういうことの別途の方法というのは、一緒に公園墓地にするとか、だれでもが自由に入れるというところのものができるか、あるいは一カ所に集積して全体的に市民が利用できるという形にするか、そういう形にしなければそれは払拭できないわけです、しかし、それには市としては相当な金をつぎ込まなくてはならない。だから、この同和対策の事業の盲点といいますか、残されているこういうものはたくさんあるのだろうと思うのですけれども、これもこれから考えなければならない一つの点だと私は思うのです。その点についてはいかがですか。
○安孫子国務大臣 ただ問題は、こういうものが今度別途のところに移る、そうするとその別途に移ったところがこういうものだけの集団であるということじゃやはり問題は残るのじゃないかという気もするわけです。混在すれば効果的には一番いいわけですね。そういう工夫がないものかどうかということも私はちょっと感ずるわけでございます。個々の墓地だけを全部別の墓地に移す、全部それがそうだということになると、墓地を移したからといって必ずしもその感触が払拭されるということも、問題としてはなかなか残るのじゃないかなという感じがするが、いかがなものでしょうか。
○沢田分科員 大臣から私が質問されているようなかっこうになりましたが、そのとおりで、その人の分を集めただけでは結果的には何にもならない。それには、全体的な市民があらゆる場所において平等である。それは宗教上の差、違いはありますから、宗教上の差は当然あるとして、たとえば一つのものであれば一つのものの何の宗教であるにせよそこに結集できる、そういう条件をつくり上げていくべき考え方、これをまず大臣が持ってもらわないと、同和対策室に来てもらっていますが、これは幾らやろうと思ってもできないから、今度それを政治の中に組み込んでもらわなくてはならない。この組み込んでもらうことについてはどういう方法か、これはこれから模索をしていくわけですから、いろいろあると思うのです。しかし、そのことについては見解は一致をするというふうに理解をしてよろしいですか。——首を縦に振っているから、これはそう言わないと速記録が残りませんから、首を縦に振っているからそのとおりだと。同和対策室長も、そういう意味においてはそういう政策の一部に入れていかなくてはいかぬ、こういうふうに考えておられると解釈してよろしいですか。
○小島(弘)政府委員 先ほど第一分科会でも同様のお尋ねがございまして、現在まで政府としてその点に対して措置をとってまいっておらなかったことを残念に思いますが、実態をよく調査いたしまして、いろいろ関係者の御意向もあろうと思いますが、できるだけ最善の解決策を講じてまいりたい、かように考えております。
○沢田分科員 そういう答弁が気に食わない。実態を調査してとか、今後よくとか、しばらくとか、そのうちにとか、一番けしからぬ官僚答弁なんだ。大臣ですらこれだけの答えをしているのだよ。だからその大臣の答弁を受けたあなたは、その大臣の趣旨に——それは総理府総務長官の部下であるかもしれぬけれども、大臣がここで政府を代表して答弁しているのだから、御指示に従って処置します。こう答えるのがあたりまえじゃないか。どうです、もう一回言い直しなさい。
○小島(弘)政府委員 最近、伝え聞くところによりますと、宗教界の方にもそれに対して何らかの対策を講じようという動きもあるやに伺っておりますので、十分関係者の御意向も伺って、政府としてどのような措置をとるか十分検討してまいります。
○沢田分科員 どうもあなた方の口癖なんだね、検討しますとかなんとか。だから、官僚の答弁は必要ないということを言うのはそこなんだ。向こうでも呼ばれているらしいが、そういうことでは済まされませんぞ。いいですか。ひとつ心して今後当たってもらわないと後が恐いということを私は言っておきたいと思うのですが、そういうことではだめだ。われわれがわずか三十分の間来て、やはりその輿望を担って発言をしているのだから、この一分、二分というのはまさに血の一滴に匹敵するのだからね。そういうことをよほど考えてもらわないといかぬ。あなたら給料を取っているから安心だと思っているかもしれぬが、そうはいかないのだからその点はよく考えてもらいたい。 それから、これは大臣に聞くのですが、同和対策の期限が切れるということになります。これは当時の前国会のときに、五年がいい、二年がいいとか三年がいいとかいうことで議論した結果、三年ということになったわけです。いま、これから私はこの残事業を全部述べようと思いません。大臣も、いま各市町村団体から出ている要請は御承知になっておられると思いますが、いかがですか。
○安孫子国務大臣 まだ新米なものでございますから、そこまでは承知いたしておりません。残事業のあることだけは承知しております。
○沢田分科員 残事業があるということを承知していれば、もうそれで十分なのであります。問題は、それがどのくらい大きいかはこれから調べてもらうということでいいですか。ひとつこれから残事業は調べる、これも首を縦に振っている、こういうことを言って次にいきます。 そうしますと、これで期限が切れたのでは済まされない。やはりこれは延ばさなければならないということになりますね。大臣、いかがですか。
○安孫子国務大臣 理屈はそういうことだろうと思います。
○沢田分科員 大臣も、そのとおりだろうと思うので、延ばすと。 同和対策の室長は、これもまた官僚答弁でなくて、大臣のかわりに来ているのだから、これはいま言った大臣の返答に対応してどう考えていますか。
○小島(弘)政府委員 総理からもすでに御答弁申し上げておりますように、同和問題のできるだけ速やかな解決を図るために必要な施策は何か、今後どのような施策をどういう形に展開すべきか、現在本当に鋭意検討しておるところでございますので、その結論をもとに必要な対策を講じてまいるつもりでおります。
○沢田分科員 どうもあなたの言葉はごまかし答弁ばかりやっている。そんなことで済まされないのだから、もう一回注意しておきます。 それでもう一つ。大臣、地方団体はえらい苦労しているのですよ。これは地方団体が単独事業——超過負担という言葉は余り使いたくありませんが、地方団体はその地域の同和対策のためにえらい苦労してそれぞれ仕事をやっているわけです。だから、できれば地方交付税の算定の基準なり、あるいは地方債ももう四千七百億幾らかになっちゃっているという状況なんだそうですが、そういうものの元利償還のある程度の手当てなり、そういうようなものを考えなければならぬ段階に来ていると思うのですが、特に地方の市町村が一生懸命同和対策を単独事業でやっている、政府の金だけでは不十分ですから。そのやっている状況というものを、逆に言えば政府の方で受けとめてやる、そういう気持ちはありませんか。
○安孫子国務大臣 一般財源の配分の問題になりますと、他の団体にも波及する面が多々あるわけでございます。でありますから、この点はよほど研究をしてみないといかぬのじゃないかと私は思っております。
○沢田分科員 他の団体に影響すると言っているのではなくて、いわゆる地方で同和対策を、政府は二年とか三年とかどんどんなるべく縮めたい、こういう気持ちでやっていますから急いでやるわけですね。急いでやっている緊急な措置なんですから、その他の団体、まあ百年もかかるような団体、十年かかる団体、いろいろあると思うのですが、しかし、この問題はやはり緊急性ということについては大臣もお認めになっていただけるんじゃないかと思うのですね。ですからこの緊急的な情勢に応じて、やはりそれが政治であり政策だと私は思うのです。ですから大臣も、普遍的なものとしてはそのとおりの答弁でいいと思うのですが、この問題の政治的な立場から考えると、やはりその点は急いでやらなくちゃならぬのだな、急いでやるためにはやはり地方自治体が苦労しているな、地方自治体が苦労して自分の金をつぎ込んで何とか早目に解決していきたいと思って努力している、この努力に自治大臣としてもこたえようという気持ちはあるでしょう。どうですか。
○安孫子国務大臣 これは計画的に仕事を進めておるのではなかろうかと私は思っております。したがって、いま緊急にそれを繰り上げてやるということではなくて、やはり計画的な事業を執行しておる。ところが、その計画的な事業の中にもいろいろな事情からして十分に進まないという面も多々あるようにも承知しておるわけです。計画どおりにもいかない、そういうために残事業も出てきておる、こういうことでありますから、その辺の財政事情についてはお話しの点も承っておきますけれども、十分実情を私としても承知をいたした上に結論を出すべき問題だろう、こういうふうに考えておるところでございます。
○沢田分科員 大臣は同和問題に対して余り勉強されてないですね、率直に言って。その気持ちはわかります。気持ちはわかりますが、ほかのことで追われていて勉強できないのか、勉強しようとしないのか、そのことはわかりませんけれども、やはりもう少し——どこの委員会でもやられているわけでありますが、もう少しこれは大臣も同和問題について認識をもう一回深めてもらわないと議論がかみ合っていかないんじゃないかという気がしますね。ですから大臣ももう一回ひとつよく総理府から聞くなり、部下がいっぱいいるわけですから、そのためにいっぱいいるのですからよく聞いて、一回勉強していただけますか。
○安孫子国務大臣 これは大いに勉強いたします。
○沢田分科員 そこで、地名総鑑とかいろいろ言われている。この言葉は御存じでしょう。
○安孫子国務大臣 知っています。
○沢田分科員 知っていますね。 それで人を採用する場合、興信所とか何かに身元調査を頼むわけですね。安孫子藤吉、あれはどこの出身なんだ、あれは何者なんだ、こういうことで採用のときに興信所に頼むわけですね。そのときに住民票を公開する市町村があるわけです。この市町村が公開すると採用のときに落とされてしまう。この住民票の差別利用ということを——ある意味においてその人たちだけを隠すということになると、またそうでない人はそうでなくて、そうだということになってしまいますから、ある一定の限界というものをつくらなくちゃいけないのではないか、こういうことが必要になってきているわけですね。そのことを追及されていくことによって、その人の結婚であるとかあるいは就職であるとか、そういうことに現実の問題としては差別が出てきちゃっているのですね。これは大臣、どういうふうに思われますか。
○安孫子国務大臣 なかなかむずかしい問題でございまして、いまは一概に結論を出してお答え申し上げることはちょっとむずかしゅうございます。
○沢田分科員 一概にというけれども、いいことでないということだけはお認めになられるのでしょう。
○安孫子国務大臣 そういうことがないようにしたいとは思いますけれども、いまお話しのように、それをはっきりさせますとまた差別的な状況が出てくるとかいろいろな関係が出てくるので、どうすればいいかということについてお答えを申し上げることができない、こういうことです。
○沢田分科員 そうすると、その趣旨については同意をする、方法論については、なかなかいまのところは目鼻がついてないから、これから提言があれば検討して、それはそういうことの起こらないように大臣としても配慮する、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。——これは立たないで首を振っていますから、そのとおりというふうに理解をしてまいります。 いずれにしても、同和対策の問題は本当に各般にわたりまして問題がまだまだ残されております。各自治体も市町村長の会議ではもう超過負担で悩んだり、それぞれ事業の執行に苦労したり、あるいは地方債の償還が来ちゃっているから困る、こういうことの陳情が出てきているわけです。これは大臣の目には届いてないらしいですけれども、事務局、これはちゃんと報告をして——全国市町村団体がこうやって全国市長会同和対策特別委員会、こういうことで、こういう実態にあるのだから何とかしてくれ。あなた方、これは持っているのでしょう。首を縦に振っているから持っているということですから、持っているのだったら、それを大臣に見せないというのはどういうわけですか。
○砂子田政府委員 同対法の問題あるいは六団体が政府に申し入れている件、すべて承知をいたしております。大臣に申し上げないのは私の失態でございます。
○沢田分科員 もう時間がなくなってきましたから……。申し上げなかったというようなことでこの同和問題が解決するなんて甘っちょろく物を考えていること自身に、あなた方の姿勢に問題があるわけなんで、これは大いに反省してもらって、大臣もそういう点については部下を督励してもらう。そして積極的にやはり理解を深めて、どう対応していくかというその熱意を示していただきたい、こういうふうに思います。あなたの責任は本当に腹切りもんだよ、そんなことでは。本当に首を洗い直して出てきてもらわなければだめなんだ。そういうことで大臣、ひとつしかっておいてください。国会の場所で、報告しないでそれで答弁にならない、大臣も理解ができなかった、こういうようなことでは国会の審議を軽視するということになりかねないので、あなた、十分注意しなさい。笑いごとでないぞ。 それで、時間がなくなってきましたから、次の問題に入ります。 このごろはマンションブームと言って、このごろ幾らかすたれてきましたが、マンションがたくさん出てまいります。すると、住民の問題として日照、日影の問題がたくさん起きてくるわけでありますが、各市町村の中で紛争解決条例ができているのは東京とか数少ないのですね。基本的に私がいまここで聞きたいと思いますのは、マンションができて日陰になる、あるいは日照が奪われる、そういう状況の場合に、つくる者の権利とそれによって周りの人たちが受ける被害とが平等の立場で問題の解決に当たるという考え方、これは当然のことではないかと思うのですが、その考え方——法律がどうこうということではなくて、つくる人もそれによって被害を受ける人も対等の立場で、労働組合と使用者と同じくらいのものですが、対等な立場でそれぞれが利益なりあるいは相互に意見の交換ができて、その合意の上に成り立つものでなければならぬというふうに考えますが、その点は、大臣は地方行政を預かる立場からどう思われますか。
○安孫子国務大臣 建物を建てる場合に、周辺に対して日照権を阻害することのないようにということは、いまや常識になっておるわけでございますから、そうした周辺の者との交渉というものは現実に行われており、またそれなりの効果を上げておるものだと私は承知しておるのです。
○沢田分科員 時間がなくなりました。残念でありますけれども、大臣、それは大分認識がずれている。やはりお年を召されたのかもわかりませんが、大分現状の認識がずれているようですよ。そういう答弁で時間がたてばいいやという式じゃなくて、これはとれていると思っているのじゃなくてとられていないのです。片方は、建設省の建築基準法、それから今日の日照の問題等に法律があって、そして権利を持っているのです。商業地区なら商業地区、近隣商業地区にはということが可能である。ところが、一方建設の審議会の答申には、付近が一般の平家の住宅の場合については十分考慮をしなくちゃいかぬと出ている。ところが、住民には戦う武器がない、現行では法律上の保護がない。商業地区なり近隣商業地区だったら訴訟やれば負けるに決まっている、片方はつくれることも法律上認められているのですから。そうなると、あとは、座り込みをやるか、爆弾でも抱えてぶっ込むか、あるいは何かやらなければ住民としては戦う方法がないのです、いまの法律体系では。だから、これは平等の法律の条件を与えて、対等に交渉できる条件というものを法律上つくってやらなければいかぬ。 そこで、東京とかその他では、二、三でありますが、いわゆる紛争解決の条例というのができているわけです。条例でつくっているわけなんです。ところが全国にはまだない。ですから、これを対等な条件に持ち込むように指導してもらうというのが大臣の任務だと私は思うわけです。大臣もそう思われるでしょう。対等でないということはよくないでしょう。だから、地方住民を預かっていく自治体としても扱いにくい。片方は、法律で建設できるんだ、こういうことで法律上できてしまうのですから、それを下げろとか小さくしろとか、これは行政指導でやっているのですから、住民に対等に交渉できる力、あるいは地域の住民との調和を図っていくということ、こういうことに対して住民に一つの力を与えてやらなければならない。その点は御理解いただけますか。
○安孫子国務大臣 事態については私も理解いたしますし、中には条例を持って処置をしているというところがありますから、そういうものがだんだん広がってくれば、おのずからそれだけの効果を上げていくわけでございますから、いますぐに国の法律としてこれを決めるかどうかについては、やはり研究を要するのじゃなかろうかと思っております。
○沢田分科員 以上で終わりますけれども、それが敷衍できるようにひとつ行政指導していただこう、こういうことをお願いしますが、よろしいですね。首を縦に振っているようですから、そういうことで指導していただくことをお願いして、終わりたいと思います。
○上村主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。 次に、水田稔君。
○水田分科員 いま沢田委員の方からも質問いたしました、同和対策事業の問題について質問したいと思うのです。 七八年の十月の八十五国会で特措法が三年間延長されました。その際、三項目の附帯決議が衆議院で採択されておるわけであります。その一つは、「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討する」、こうなっておるわけです。これは事業そのもの、たとえば道路は建設省、隣保館は厚生省等々それぞれに分かれておりますけれども、実際に事業をやっているのは地方団体が窓口として全部やっているわけです。そういう中で、自治省独自の担当の、たとえば消防関係のような実態もありましょうし、もう一つは、これは地方の財政に大変な影響を及ぼしているわけですが、そういう点では自治省なりの全体的な像をどれだけ把握できるかわかりませんけれども、この附帯決議に基づく実態の把握、あるいは法の改正の問題は言いませんが、運営の改善ですね、これらも地方自治体からいろいろな要望も、先ほどの話にもありましたように、毎年のように出ていると思うのです。そういう点の運営の改善等について、この二年間どのように進んできたかということを御質問いたします。
○砂子田政府委員 わが省の所管にかかわります消防の問題なりあるいは財政の問題につきましては、それぞれの担当からお答えいたしますが、総括的にお答えを申し上げておきたいと存じます。 お話しのように、三つの附帯決議がついてございまして、いまその趣旨を尊重しながら、関係各省の間で協力をしながら実態の把握あるいは今後の施策はどういう方向に行くのかというのを検討中でございます。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕 個々の事業の残事業というものがどのくらいになりますか、あるいは運用上の問題等につきましても、こういうヒヤリングをする段階におきまして、各事業官庁それぞれお聞きになっておると聞いております。そういうことでございますので、いまの精査が終わり次第そういうものがまとまるものだというふうに理解をいたしております。自治省といたしましても、このような各省の調査をするほかにも、担当官を現地に派遣をいたしましたり、そういう意味での実態の把握というものに努めておりまして、各省庁にその結果を申し入れをしたりいたしまして、今後の施策の方向を決めていきたいというふうに考えております。
○近藤政府委員 自治省所管の補助事業といたしましては、消防関係があるわけでございます。消防関係の同和事業の残事業につきましては、都道府県等のヒヤリングを通じて鋭意その実態を把握しておるところでございますが、そのうちで昭和五十六年度に実施可能の分につきましては、各団体の要望に基づきまして明年度の予算案に計上いたしております。前年度対比二五%の増ということで相当大幅な増加を見込んでおりますので、これによりまして、関係市町村の消防関係の施設整備は急速に進むことと思っております。なお、この補助金の配分を通じて五十七年度以降の残事業はどの程度あるか捕捉したいと思います。 消防は、御承知のように水槽というのが一つの大きなウエートを占めておりますけれども、これは用地の確保、それからその団体の財政状況、そういったことも勘案いたしますので、五十七年度に若干ずれ込むのじゃないかという予想を持っております。毎年度御承知のように消防関係につきましては、前年度の実行状況を見まして予算単価の改定等を行っておりまして、五十六年度につきましても五%程度の単価改定を予定いたしております。
○水田分科員 消防についてはことし二五%の増ということですが、それじゃ相当数残事業は残る、いまの答弁から言うと五十七年以降に相当残る、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
○近藤政府委員 あると思います。五十六年度の予算配分を通じて各地方団体からヒヤリングをしたいと思います。
○水田分科員 もう一つは、運営の改善についてです。消防について言われたのですが、もちろん各省ですからね。後で具体的に触れますけれども、自治省として見られて、運営の改善については、消防は五%、こういうことを言われましたが、それ以外では自治省が地方団体を見るという見方で、アウトラインでも、運営の改善の問題をどういうように取り組まれたか、どういうぐあいにされておるか、お答えいただけませんか。
○砂子田政府委員 同和対策の特別措置法の関係につきまして、先ほどもお話がございましたが、そのほかにも市町村それぞれ単独事業を持っているわけでございます。先ほどお話がございましたが、自治省全体で、いろいろな補助条件の緩和なり、あるいはいろいろな地方債の充当の議論なり、こういう問題が出てまいりますが、基本的にはやはりそれぞれの事業所があるわけでございますから、補助金の対象の拡大ということをもってそれにだんだんかえていくという方向が望ましいことだと思っております。
○水田分科員 自治省の財政局長が毎年関係省庁へ文書を出しておられますね。これだけ出せば、いまこうは地方団体の超過負担というのはほとんど、まともに取り組んでおればないはずなんです。ところが、五十四年度の状況を見ましても、これは住宅関係をのけての数字ですが、総事業費で二千七十四億五千九百万円、そして、地方の単独事業、超過負担分を含めて七百五億三千四百万円、超過負担が全体の事業量の三四%という数字を示しておるわけです。この中で、先ほど言われましたように、一つは十条適用がされないために、しかし現実には事業としては必要性があるということで地方団体がやる。あるいは補助単価の問題ですね。先ほど出ました単価が実勢価格と違うという問題、あるいは、その地域の要望に応ずるのに、基準がありまして、その大きさの基準とか、そういうもので国から補助が来るものよりは大きいものを地域の特性に応じてつくらなければならぬ。その分がいわゆる超過負担という形で来ておるものが多いと思います、この七百五億三千四百万円というのは。ですから、これらの解消ということをやらない限り、地方の負担は、特に財政事情が厳しいですから、そういう中では大変な負担になっておることはもう間違いないと思います。ですから、たとえば十条適用というのをなぜできないのか。 たとえば消防を見ますと、五十六年度も防火水槽というのは対象になっていませんね。
○近藤政府委員 防火水槽の用地費でございますか。用地費は入ってございません。
○水田分科員 入ってないですね。防火水槽をするとすれば当然用地は要るわけです。それは完全に地方の負担になるわけです。 いま言った点を具体的に自治省が各省へ、局長が一応は文書を出すけれども、がんばってもらう以外には、地方団体としてはこの負担をどうしてもかぶるわけですから、その点についてはどういうぐあいに考えますか。いま十条関係は簡単に言われたのですが、いま地方団体が取り上げておるものを全部十条適用してもらえば、地方負担というのは一挙にゼロになるわけです。 それから、こういう事業というのは画一的にやってもだめなんです。その地域である程度地方の特性というものがあります。全く同じものをみんなが要望するというのじゃないのです。そういう点を含めた十条適用の要望を出していかなければならぬと思うのです。その点についていかがですか。
○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、同和対策事業の五十四年度の状況を見ますと、確かに地方単独事業が三四%になっておりまして、これには超過負担を含んでおるわけでございます。私どもとしては、地方財政の状況から見まして、補助対象事業の拡大なり補助単価の引き上げ、あるいは補助対象範囲、基準数量等の基準の改善、それに伴います予算の増額等について、かねてから関係省庁に対して、お示しのございましたように文書をもって強く要請しておるわけでございまして、予算の総額等々いろいろと見てみましても、それ相応に改善は見ておるというふうに受け取っておるわけでございます。 具体的な、超過負担等がどういう形になっておるか、一々の事業について私どもも詳細に承知しておるわけではございませんけれども、私どもとしては、補助対象事業が広がることが大事でございまして、いまの十条適用の問題についても、とにかくすべての事業を国と地方の責任でやるべきことでございますので、やはり基本的には国がそういった補助対象にするという姿勢のもとに運営されることが望ましいし、そういった意味で私どもとしても、いま申し上げましたように、補助対象基準の改善のほかに補助対象事業を広げてもらうように各省に強く要求をしておるわけでございます。 ただいま申し上げましたように、単独事業が三四%となっておりまして、だんだん国庫補助事業のウエートは高まっておりますけれども、国と地方の負担割合の方で見ますと、国が四四%で地方が五六%ということで、なお財政上いろいろ問題がございますので、私どもとしても、引き続いて負担基準の改善とか予算の増額、対象事業の拡大ということについて今後とも努力してまいりたいと思っております。
○水田分科員 いまの答弁の中に、国と地方団体とでパラレルで両方が見るような御発言なんですが、本来の法の精神というのは、「特に、同和対策事業については、同法の基本的精神にかんがみ原則としてすべての事業を国庫補助負担事業として採択しこと。ウエートは国じゃないですか。部落解放の最大の責務は国にあるというのが考え方でしょう。それが前提にないと、いま言われたように、国が四四%の負担で地方は五六%の負担で、それもやむを得ないというようなことになるのです。 もう一つは、さっき言いましたように、十条適用を全国一律の画一的な基準でこういう事業をやるよりは、基本的なものはいいですよ、しかしその地域の特性に応じたこういう事業というのは——いま地方が単独事業でやっておるものなんかを挙げてみなさい。たとえばそこのニーズに合ったものなら、これがいいというなら、それもやはり十条適用するというようなことを具体的に働きかけない限り、国の予算というのはパーセントで言いますから、たとえば五%単価を上げてみた、物価の方は七%上がっておるということになって、実質の事業をやってみれば地方の負担は減らないということになるわけです。だから、考え方としてそういうことはとれないのかどうか。 それからもう一つは、この同和対策事業の主体は国にあるという原則に立ってやってもらいたいと思うのです。
○土屋政府委員 私、国と地方とで、こう言ったのがあるいは誤解を与えたかもわかりませんが、この事業そのものは原則としてすべての事業を国庫補助事業としてやるべきだということで、法律の精神がまさに国が責任を持ってやるべきことという意味で、もちろん地方も関与しておりますのでああいう言い方をしたわけでございます。 そういった意味で、私どもとしては高率の補助をすべて適用してもらいたいと存じますが、いまいろいろとお話がございましたように、それぞれの地域において適切な事業というのはあるかもしれません。しかし、それも、私どもとしては各省として必要なものを国庫補助事業として取り上げてもらう、そういうことによってわれわれとしても対応していくということになると思いますので、おっしゃった意味も含めまして実態に合う運営ができますように、今後とも努力してまいりたいと考えております。
○水田分科員 次に、運営費の関係なんですが、これは所管が、厚生省なりあるいは建設省になったりいろいろな省庁の所管があると思うの。ですが、隣保館とか児童館とか保育所等の管理運営費というのは、これは人を置かなければならぬわけですから、この財政負担というのは地方団体にとっては大変なものなんですね。個別の財政援助の措置というのは本当にごく限られた一部にしか措置されてない、こういうことなんで、この財政圧迫、これまた大変大きなウエートを占めておるわけです。そして、これは交付税の基準財政需要額の中に入らないのです。そういう問題もあるわけですね。現実の問題としては、地方団体としてはこの運営費に大変頭を痛めておるという問題もさっきの問題とは別の問題としてあるわけです。これに対して、負担を軽減するために何らかの対策が講じられないのかどうか。
○土屋政府委員 同和対策関係施設に係ります運営費については、お示しのございましたように、隣保館等の一部の施設については補助対象とされておりますが、全般的に見て十分とは言えない状況でございます。私どもといたしましては、法の精神にかんがみまして、先ほどから申し上げておりますように、原則として国庫補助の対象とするのが基本であると考えておりまして、運営費に係りましても、その拡充について関係省庁に要請をしてまいっておるところでございます。 ただ、この同和対策事業は、御承知のように、地域の実情によって事業の種類なり範囲等もかなり異なっておる状況でございますから、標準的、画一的な方法で算定をされます普通交付税の算定を通じて措置するということは困難でございます。そういったことから、財政需要につきましては、いわゆる十条債に係る元利償還費を除いて特別交付税によって措置をしておるわけでございます。その意味で、運営費の増高等をも勘案して年年算入の充実を私どもとしては図っておりますが、前半申し上げましたように、国において国庫補助対象の幅を広げてもらいたいということをさらに強く要請したいと思っておるわけでございます。
○水田分科員 そこで、そのやり方の問題なんですが、特措法の第九条一項で、同和対策事業については地方債の制限が解除されている。したがって、純理論的に言えば、この運営費関係については、地方債で賄えば、同和対策事業債で賄えば、十条適用は可能なのではないかという考え方もあるわけですね。これは運営費が大変負担が重いということから、法律のたてりを読んでいってみるとそういう解釈はできないかどうか、できるならそういうことでも運営費の軽減を図ってもらいたい、こういう考え方なんですが、いかがでしょうか。
○土屋政府委員 お話のございましたように、特別措置法では同和対策事業に要する経費については、地方財政法五条に規定する経費に該当しないものについても「地方債をもってその財源とすることができる。」こうなっておりまして、率直に申し上げて、法的には運営費への起債の充当も可能であろうというふうに考えます。ただ、地方債はその団体の債務となるわけでございますし、将来の住民の負担によって償還を行うものでございますから、そういう点から見まして、財政の健全性の確保あるいは世代間の負担の公平ということを考えて、慎重に行わなければならぬと思っておりますので、人件費なりあるいは維持管理費等の経常的な性格の経費につきましては、地方債の対象とすることは適当でないのではないか、やはりその年度の一般財源で措置することが適当であるというふうに私は考えておりますので、起債充当ということは行っていないわけでございます。 ただ、先ほどからいろいろ申し上げましたように、運営費等に要する経費につきましても国庫補助の充実拡充が図られるように要請をしておりますし、また、運営費の増高等も考慮して、特別交付税算入の充実を、いまも図っておりますが、今後ともできるだけ努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○水田分科員 それからもう一つ、いろいろな事業をやる場合の事務費の見ようが各省庁によっても大変な差があるわけですね。これらがまた事業をやる場合地方負担にはね返ってくるわけです。たとえば、建設省関係では事務費が二・四から七・四%見てある。消防施設は事務費は全く見ないのですか。土地代も見ぬのですから事務費も見ぬのでしょうね、ゼロです。それから、厚生省の地方改善施設整備費補助対象事業は二%とわずかついておるのもあるわけですね。それで、事業をやるときにはどの予算を見ても皆事務費がついておるわけですね、事業をやるわけですから。そして、このことがまた地方負担として大きな圧迫を加えておるわけで、これらの改善についてぜひやるべきだと思うのです。特に自治省は、私が調べた範囲では消防施設については事務費が出ていない。これは自治省自身の問題ですから、地方財政の苦しさを知っておりながらそういう点も地方に負担をかけておるというのはよくないと思うのです。これの改善はぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○近藤政府委員 消防関係は、水槽については三%見ております。それ以外は物品購入になりますもので、事務費は見ておりません。
○土屋政府委員 いわゆる事務費の比率についていまいろいろお話があったわけでございますが、事務・事業の規模なり性格なりに応じまして、妥当な率をそれぞれの所管省庁でお決めになっておるものだろうと私ども承知いたしております。どういった経緯でどういった算定に基づいて率が決まっておるか、そこまで詳細には存じておりませんが、それぞれの立場で適切にお決めになっておると思います。自治省が直接率の決定に関与する立場にはないわけでございますが、そういった意味では、諸官庁ごとに適切な方途を検討していただくほかにはないと存じますけれども、ただ、全般的に地方財政に影響する問題でございますので、御指摘の点については、私どももさらに検討いたしまして、必要があれば関係省庁にもまたお願いもしたいと存じます。
○水田分科員 それぞれの事業は各省でやるわけですけれども、財政局長も各省庁に対して、延長の際の衆参両院の附帯決議の趣旨にかんがみ、国庫補助負担制度の大幅な拡大及び補助負担基準の大幅な改善並びにこれに伴う特段の配慮というのを出しておるわけで、い事言われたような同じことをまたやっても、それほどの改善になって返らぬと思うのですね。問題は、地方財政に大幅に負担をかけておることを少しでも解消するのは自治省の仕事ではないかと私は思いますので、それは介入するあれはないけれども、いま現実にどうなっておるかを調べて、それで文書を出すのでも、実はこうなっていますという自治省が調べた一覧表でもつけて、地方負担が大きいからできればそこらも配慮を願いたいというふうにやれば、少しは違ってくると思うのですよ。ただいま言葉で言われるだけ、あるいは財政局長のこの文書一片では、たとえば先ほどの話のように、単価を五%上げましたと言っても、物価が七%上がっておったら実際には負担は同じ以上にかかってくるわけです。ですから、事務費についてもぜひそれだけの調査をやって、その上で各省庁に、余り介入すると怒られるかもしれませんけれども、少なくとも財政局長がこうやって依頼の文書を出すわけです。それには、実態はこうなんですというぐらいのことはぜひ調査して出すべきだと思うのですが、いかがですか。
○土屋政府委員 御意見は私もよく理解できるわけでございますし、私が申し上げたのは、いろいろな実態を見て適当な率はこれくらいであるべしということは、なかなか私どもからは適切には申しにくいということでございまして、経済情勢なりいろいろな実態の推移に応じまして適切なものをやってもらいたいということは、私どもとしては十分各省に申し述べたいと思っておるわけでございます。
○水田分科員 それを言うためにも、ある程度各都道府県から市町村に——たとえば、都道府県に対して市町村の事務の状態はどうなっているかという依頼を出したら、全部返ってくるでしょう。実態をつかまえてでなければ物を言うたって迫力はないですよ。だから、調査してその要望を出してもらいたい。もう一遍それについての答えをお願いします。
○土屋政府委員 いまの御趣旨で検討いたします。
○水田分科員 地方財政の問題については、どこが原因かというのは本当は自治省の方もよく御存じなんです。ですから、いま申し上げましたように、一つは十条適用の問題、それから単価の問題あるいは事務費の問題については、これまで以上に地方財政の負担の軽減を図るための最善の努力をしていただきたい。このことをこの問題については最後の要望にしておきます。 それからもう一つは、全然別の問題ですが、これも附帯決議に、啓発運動を強化するためにという第三番目の条項があるわけですね。それで、この啓発運動というのはそれぞれの地方団体がやるわけですが、御承知のように大阪で、これはいまの法律からいいますと住民票は閲覧できる権利があるわけですが、住民票を閲覧することによってその人の出身を調べるというような、そういう悪用をされておる例がある。これはたしか昨年の二月にも、衆議院の予算委員会といいますから恐らく分科会だろうと思うのですが、上田卓三君の質問に対して、自治省は行政局長が答弁していますね。閲覧等制限ができるよう検討していきたい、こう答えているわけです。これは法律改正しない限りなかなかできない問題だと思うのです。あれから一年たっておるわけですが、具体的にはどのような検討がされて、どのように対応されるお考えか、お伺いしたいと思います。
○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、住民基本台帳につきまして、大変悪用して、そのために住民の権利を侵害するという事件が、当時のお話ですと島根県で起きました。ちょうど予算の一般質問の段階でございましたか、上田先生からそういうお話がございまして、いまお話のようなことを私が申し上げました。 結果的に申し上げますと、いまお話がございましたように、本来基本台帳は居住関係の公証の制度でございますので、公開を原則といたしておるわけであります。ただ、これを悪用するというのが大変問題でございまして、もともとそういうために基本台帳をつくったわけでは毛頭ございませんで、それがそういう形で使われる、あるいは地名総鑑というようなことになっていくということになりますと、これはただごとでないということで、昨年お答えを申し上げたわけであります。その結果、住民基本台帳を、いまお話がありましたように、法律を全面的に改正をして公開を禁じてしまうという議論になりますと、本来居住関係の公証ということのためにつくった法律の本体が失われてしまうということもございます。そういう意味で、実は関係省庁あるいは地方公共団体の方々あるいは学識経験者のお集まりを願いまして、そこで検討していたわけでございます。近々、これに対する法律の議論までいたしますとすごくむずかしくなるものでございますから、私たちの方で内容的に考えまして、近日中に通達を出しまして、さようなことのないように取り扱いをいたしたいと存じております。
○水田分科員 去年の論議、それからいまの答弁を聞いて、そういう実効ある措置がとれるのかどうか私は疑問に思うのですよ。法律は公開の原則をたてまえとしておりながら、片一方では、それをどういう便法を講じて——これはたとえば閲覧させるというのを訴訟を起こされたら、変なもの、内規みたいなもので決めておっても、それは訴訟になれば、見せないということが負けますよ。だから、実効のあるというのは、具体的にはどういうことなのでしょう。
○砂子田政府委員 御案内のとおり、住民基本台帳法の中に、正当な理由があれば閲覧を拒否できるという規定がございます。この規定をどこまで解釈できるかというのが実はその最後の詰めになっておりまして、現在のところ、その正当な理由というものについて、いまのようなことが起きるものですから、閲覧を求めた人に対して説明を聴取しようということを実は考えております。ただ、この説明を求めると、役人側の方が不当に制限をかけるというようなことでこれはまた問題になるということもございますので、その辺の技術的な解明に暇取っておったことも事実でございます。そういうことでございますので、正当な理由に当たって、しかも法律上問題を起こさないという説明の求め方、それを少し研究しながら、近日中に結論を得たい、こう考えておるわけでございます。
○水田分科員 内容まではまだ詳しくはわかりませんが、近々というのは大体どの程度の時点で出せるのか、それを最後にお伺いしたいと思います。
○砂子田政府委員 年度中にはいたしたいと存じております。
○水田分科員 はい、わかりました。 終わります、
○宮下主査代理 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。 次に、山口敏夫君。
○山口(敏)分科員 実は、予算の総括質問のときにも、自治大臣また消防庁長官にお話を伺いたいと思ったわけでありますけれども、時間の関係で御質問できませんでしたので、この分科会を通じて何点か、消防防災の問題について伺っておきたいと思うわけでございます。 実は、教育問題、家庭内暴力でありますとか校内暴力でありますとか、教育問題の立場からもいろいろ資料や、また小中学生、そうした子供たちの考え、気持ち等調べております中で、やはり大きくはこの世界の軍拡あるいは核の問題、そういう中で、自分たちの責任の範疇を超えたところで生殺与奪の力を握られている、こういうことからくる一つの、人命に対する受けとめ方、考え方というものもあるわけでありますけれども、身近においては非常に、災害でありますとか防災でありますとか、そういう点の施策や状況の、中に、案外、こういう防災教育でありますとかいう点の普及も通じて、やはり人命尊重という一つの精神、考え方ももっともっと普及していく必要、必然性が大いにあるのではないか、こういう考え方も持ったわけでございます。 質問を申し上げる前に、そういう意味におきまして、防災活動、また防災教育等を通じて、人命の問題、また生命の尊重、そういう点につきまして、まず自治大臣から、その辺の決意といいますか考え方も承っておきたいと思います。
○安孫子国務大臣 人命尊重というような観念、これはきわめて重要な考え方でございますけれども、これを抽象的にわれわれが理解するのじゃなくて、身近な問題としてこれを認識させるということがきわめて重要な施策だろうと思います。その点から、たとえば御指摘のような防災教育等において、そういう問題を契機として人命尊重という抽象的な観念についての実感を持たせるということは、きわめて重要な教育手段だろうと思っております。
○山口(敏)分科員 そういうことで、たとえば小学校や中学枝の教育課程の中にも、やはりそういった防災時に対する安全でありますとか、人命確保でありますとかいうような一つの施策や普及がややおくれておる面も一面あるのではないか、こうも考えるわけでございます。 いずれにいたしましても、国民の生命、財産、安全を守る消防防災活動の立場から、今年度、五十六年度予算の中におきまして特に重点的な施策やその予算的内容について、長官からちょっと経過、概要を御説明いただきたいと思います。
○近藤政府委員 消防庁の五十六年度の重点施策は、地域ぐるみの防災体制の確立ということでございまして、大きく言って二つに分かれるわけですが、消防力を充実する、その消防力の中には常備消防と消防団というのが含まれるわけでございます。もう一つは、地域住民の方々が、自分たちの地域は自分たちで守ろうという自主防災意識を強く持っていただく、自主防災体制の整備、これが二つの柱でございます。 具体的な予算といたしましては、本年度の予算案の中に載っているわけでございますけれども、消防庁全体として二百二十四億円、前年対比五・三%の増ということになっております。 項目は大きく二つに分かれまして、大震火災対策に必要な経費といたしまして四十八億六千万程度、これは前年対比七・三%の増となっておりますが、その中で大震火災対策に必要な消防施設の整備、耐震性の防火水槽であるとか各種の消防ポンプ等に対する補助金がこの中に含まれます。それから、最近の消防防災体制の確立のためには情報網を整備するということが非常に重要なウエートを持っておりますので、特に消防無線の整備ということに力を入れまして、前年度対比七・五%の増、二十一億五千万をこれに振り向けております。それから、地域住民の方々に防災意識を高めてもらおうということで、コミュニティー防災センターにつきまして、前年度四億五千万に対しまして六億五千万と相当の増加を図っております。これが大震火災対策の重点でございます。 そのほか、一般の消防施設整備の補助金につきましても、明年度は百五十四億五千万余りでございまして、前年度対比五・八%の増ということになっておりまして、国の財政は厳しい中でございますけれども、消防関係補助金につきましては地方団体の要望をほぼ満たすことができるという状況になっております。 一方、御承知のように、消防の予算につきましては、これはほとんど一般財源で賄われております。つまり、それぞれの地方団体が税金あるいは地方交付税によって措置するといったてまえになっております。そこで、交付税の方も、別途今国会に提出されております地方交付税法の改正案の中で消防費に対する単位費用が決められておりますけれども、前年対比八・五%と、厳しい中でございますけれども防災のために相当の経費を割いていただいております。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕 これらの予算を地方団体が完全に消化することによりまして、わが国の防災体制は一歩前進するのではないかということで期待を持っておるような次第でございます。
○山口(敏)分科員 長官の御説明にもありましたように、わが国の消防力が、少なくとも通常の条件下においては火災に対する一応の対抗力といいますか、抑止力を持っておるということは評価するわけでございますし、また、常備消防の普及率も非常に高くなっておる。しかし一面、地域消防団等について、地元におりましても、いろいろな条件が大変異なってきているということはありますけれども、その辺がむしろ後退をしておるという部分もあるわけです。 そういう中で、消防力の高度化、専門化、また小規模消防、また消防のそういう組合の体制の強化でございますとか消防団の機能の充実、いろいろあるわけですけれども、その中で自主防災組織、地方組織といいますか地域組織というものをむしろきめ細かに進めるということが、防災に対する一つの思想や実際の効果をあらしめるのではないかというふうに思うのですが、その点の消防庁の努力といいますか、具体的な施策、方針について承っておきたいと思います。
○近藤政府委員 これからの地震の問題、それから多様化する災害の問題等を考えますと、予防の問題を含めまして、やはり十一万人の消防職員、百十万人の消防団員だけで対応できるものではなく、国民全体が防災意識に燃えて、自分たちの地域は自分たちで守ってもらうということが必要だと思いまして、ここ数年来自主防災に力を入れているわけです。 この自主防災というのは二つの部分に実は分かれるわけですけれども、一つは、自衛消防と申しますか、ある程度の規模を持ったところの事業所というものは、自分たちのところの防災は自分たちでやってもらいたい。御承知のように、コンビナート地帯でございますとか、危険物を抱えておる事業所については、消防法上で自衛消防隊を義務づけております。しかし、それ以外の事業所につきましては法規上の規制はございません。しかし、一定規模以上の事業所等につきましては、やはり自分のところで自衛消防隊を持っていただく、そのことが必要だと思います。東京などにおきましても、もうすでに現実にあるのですけれども、大きなデパート等におきましては自衛消防隊を持っておりますけれども、たくさんの人々がそこへ出入りするわけです。そういうものを防ぐのはその事業所の責任じゃないか、安全を守るというのは事業所の責任じゃないかという考え方を持っておりますので、そういった意味での事業所における自衛消防の強化というのが一方の柱でございます。 それよりもより普遍的に地域ごとの自主防災組織というものを組織しようということで、地震問題を契機にしてこの高まりが非常に強くなってきておるわけでございまして、学校区あるいは町内会単位等を基礎といたしまして、地域の自主防災組織が年々できつつございます。現在、全国的に見ますと、世帯数におきまして一二%程度が組織化されたという状況でございますが、地震に対する関心が非常に強い静岡県などでは八〇%に達しております。それから、東京、神奈川などにおきましては六〇%に達しております。現在の状況では、組織化されたとは申しますものの、その中で非常に活発に活動を行っておるところと、まだ組織化されただけというところもあるわけでございますが、私ども、これからの地域防災のかなめといたしまして、そういった地域ごとの自主防災組織を全力を挙げて育成していこうという体制で臨んでおるわけでございます。
○山口(敏)分科員 地域消防なんかも二百万以上いた組織がいま半分の百万近くになっている、こういう現状をわれわれも身近に見ておりまして、物質的な一つの社会あるいは地域的連帯というものが残念ながら徐々に薄れている。そういう中で、お互いの生命、財産を守るという立場において、町内会単位とか自治体単位のそういった消防といいますか、民間の協力、防災組織というものをもっと広げる必要があるのじゃないか。いま憲法論議とか国防論議も非常に盛んですけれども、お互いの身近な地域の社会的安全や財産を守るという精神がだんだん欠如しているときに、GNPの一%、二%論という防衛論議も決してそういう点においては、背景として消防と防衛は違いますけれども、国の問題として考えるならば、非常に重要な一つの問題点を含んでいると私は思うわけです。 そういう意味で、たとえば婦人消防でありますとか少年消防、この間もちょっと触れましたように、関東大震災とか第二次世界大戦のときに、上から何か落ちてきたとか手足から火が体について焼死したというような方が三〇%から四〇%近くいる。たまたま私がある会社を訪ねましたら、ヘルメットとそのヘルメットの後ろに手袋を入れて、応接間から従業員の部屋から皆飾ってあるわけです。それで、いざというときにはそのヘルメットをかぶり手袋をすれば、これは十人のうち三、四人は何とか助かるだろう、こういう非常に素朴な発想でそういった器具を備えておったわけです。私は、子供たちなんかも、こんなヘルメットなんかも五百円か千円か、そう大きなお金じゃないと思うので、教室なり学校なりにそういうものを耐えておく。そういうものの中に、命は大切なんだよという社会としての教え方がいろいろな広範な問題解決への一つの大きな土台になるのではないかというふうにも考えるわけです。 そういった一つの立場から、防災の問題でありますとか防災組織の問題、少年消防等も含めた問題に対して、五十六年度予算ではそういうことはむずかしいわけでありますけれども、国として、また責任者として自治大臣は、文部大臣とか大蔵大臣とも話をすることも必要じゃないかという点についてどうお考えか、承っておきたいと思います。
○安孫子国務大臣 いま大変重要な御示唆をいただいたわけでございますが、防災の関係から申しましても、特に大都市等におきましては、末端におけるところの団体的行動というものがやはり混乱を未然に防ぐ一つの仕組みだろうと思うのでございます。そういたしますと、いろいろな経過がございまして、町内会というものを上から結成するというわけにはいかぬような事情にはありますけれども、自発的な運動といたしましてそういうものがだんだんとでき上がっていくということの指導をわれわれはしていかなくちゃいかぬのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。これはひとり防災対策のみならず、地域社会の今後の発展のためにも役立つ問題でございまするので、この点についてどういう施策を講じたらいいか、いろいろ研究すべき問題はありますけれども、考え方といたしましては、ぜひそういう方向に持っていきたいものだ、こういうふうに考えております。
○山口(敏)分科員 そういう手近な防災対策の実施というものも、消防行政上欠落しているような点において、大変小さな問題でありますけれども非常に大事な点でもあるということから、消防庁長官、自治大臣に、ひとつそういう立場からの問題認識というものもこれからの消防行政の中に生かしていただく必要があるのではないかということで、申し上げさせていただいたわけでございます。 それから、これは老人会とかの地域の会合でも話になっているわけですが、火災予防の中で、基本的には火を出さないことが一番大事なわけでありますけれども、同時に新建材に代表されるように、不燃化の促進という点が非常に大事なことだと思うのです。カーテンとかじゅうたんとかの防炎措置は法律で義務づけられておるわけですけれども、火災が七万件、八万件とばかにならないくらい非常に多発している中で、老人の焼死という事故が非常に多いわけですね。この中で、特にベッドとか布団、家具というものの防炎措置は行政指導だけで足りるのか。カーテンとがじゅうたんと同じように、その辺まで火災の原因を分析して広げる必要があるのかということも大事だと思うのですが、長官としてはいまどういう御判断でおられますか。
○近藤政府委員 カーテン、じゅうたん、特にじゅうたんにつきましては五十三年の消防法施行令の改正によりまして防炎物品に指定いたしまして、高層ビル、地下街、ホテルといった多数の方方が出入りされるようなところにつきましては、防炎製品でなければならないというふうにしたわけでございます。 いまの御指摘は、ベッド等の寝具にまでそれを押し及ぼすかどうかという問題でございますが、ベッド等につきましては、これまた御承知のとおり、現在防炎協会におきまして、そこの検定を合格したものにつきましては防炎シールを張るということで、これが防炎製品だということを一般の消費者にわかるようにはしてございます。それをカーテン、じゅうたん並みに法律でもって設置を義務づけるかということになりますと、これは消費者の動向、それからいろいろな関係者がございます、そちらの方の動向を十分調査した上でやらなければならないと思いますが、いまの程度の防炎の表示ということでもそれなりの効果は上がっておると思います。 なお、私どもといたしましては、特に老人世帯であるとかいうところはできるだけこういう防炎シールの張ってある寝具を使うようにというような指導は、春秋の火災予防運動等を通じてやっておるところでございます。これを義務づけるかどうかは今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
○山口(敏)分科員 老人病院とかそういった福祉関係のお年寄りの方々の医療施設などでも、そういった点の配慮を持たないで、かなり無神経で、防炎の家具等も十分行き渡っておらない。これは細かく指摘している時間がありませんが、そういう点も、消防庁が指導したからそういった配慮がなされたということよりも、本当は福祉関係の立場の人の責任において解決しなければならない問題ですけれども、そういうケースが一、二あったわけです。ですから、消防庁も仕事が多岐にわたっているわけですけれども、そういう点についても十分その精神を徹底すべく今後御努力をいただきたいと思うのです。 また、伊豆大島近海の地震とか、特に五十三年ですか宮城沖地震のときに、仙台市等で高層住宅のドアの開閉ができなくなったものが数十棟を下らなかった事実があったわけですね。幸い大事には至らなかったわけですけれども、年々歳々、都市化、再開発が建築基準でなされていくわけでありますけれども、一方において、欠陥住宅といいますか、高層住宅の居住者のそういった問題が非常に旧態依然としておる。高層住宅、雑居ビル、デパート、病院の避難対策をもう少し厳しくすべきではないか、そういった行政の監督がちょっと滞っておるのではないかということでございますが、そういう点、どういう指導を進めておられるかということをお答えいただきたいと思います。
○近藤政府委員 まず、前者の老人ホームなどのベッドの不燃化の問題でございますけれども、消防当局としてはぜひやってほしいわけでございます。先生の強い御指示もございますので、厚生省当局とよく話し合ってみたいと思います。 それから、仙台あるいは大島沖地震によりまして、ビル等におきましてどうも防災上不十分な点が出てきているという件でございますけれども、御承知のように、建築基準法あるいは消防法によりまして、一応そういうものについての防災上の設備を義務づけているわけですが、この前の川治の大火の例もございますように、必ずしもそれが十分守られておらないというような現状でございます。私ども、建設当局とも連携をとりながら、法律の違反がないように督励してまいりたい。従来以上に一層この点については目を光らせてまいりたいと思います。
○山口(敏)分科員 そういった避難のいろいろな問題、避難手段の安全確保のためにも、防災思想を一層普及すべく御努力をいただきたいと思います。私どもも都市政策をいろいろ議論をしていく中において、防災問題、災害対策がどうしてもおくれるきらいがあるわけです。この点についても自治大臣が相当旗を振っていただいて、こういったものに真剣にまじめに取り組むという決意、姿勢が社会的連帯の上において非常に大事なことではないかということで常に議論もしておるわけでございます。そういうことで、消防、防災の備え、こういうものが常に背中合わせに生活をしていながら意外におろそかになっている部分もあるわけでありまして、そういうことをわれわれは教育や福祉政策の中でもあるいは都市問題の中でも非常に痛感をしておるわけです。そういう意味で、きょうは分科会において自治大臣と消防庁長官に、いま進めているそういった世界に誇る消防行政また施策というものは評価しつつも、もっと普遍的な一般的な啓蒙とか呼びかけというものがおくれておる、そういう点をひとつ御努力をさらにいただいて、そして国民の生命と財産、安全を守るんだ、人命を尊重する、命を大切にするという教育的立場からの問題点も広げることが、国の平和、安全を守るという国民的連帯にもつながっていく。ですから、あくまで、防衛思想も大事でありますけれども、防衛思想の立場からのみこういった平和、安全という問題じゃなくて、もっとわれわれの地域的な日常活動や訓練の中からそういう考え方、教訓というものを持っておかなければならない、こう考えるわけです。そういう意味で、最後に自治大臣から、ひとつ今後の施策における決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○安孫子国務大臣 きわめて重要な傾聴すべき御意見だと思います。都市生活における最大の欠陥は、連帯感がないという一つの大きな欠陥があるわけでございます。これをわれわれが実践的な活動の面においてどういうふうに形成をしていくかということが重大な問題でありますけれども、ただいま御指摘のように防災活動というようなものを一つのきっかけとして連帯感をつくり上げていく、それがひいては都市生活を、もっと緊密な関係を持つ都市を形成する基本的な命題じゃないかというようなことがお尋ねの趣旨だろうと思うのでございまして、この点は全く私もそのとおりに考えるわけでございます。これをどういう政策手段によってやっていくかということになりますと、手近な問題といたしましては、防災活動等についてできるところからひとつやっていこう、こういうことをやっていかなければいかぬのだろうと思うのでございまして、この点は十分配慮いたしまして、来年度以降におきましても、予算の面なりあるいは活動の分野の確立なりについて努力してまいりたいと考えます。
○上村主査 これにて山口敏夫君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、自治省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、来る三月二日月曜日午前九時三十分から開会し、厚生省所管について審査を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時六分散会