予算委員会 第17号
- 発言数
- 260 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/02/25
会議録
○小山委員長 これより会議を開きます。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。 本日は、理事会の協議により、財政問題について質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
○武部委員 まず最初に、総理大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、今日の物価問題をどのように受けとめられておるのか。特にこれからの質問の中心として国民の暮らしに直接関係のある消費者物価の現状とその動向について私は伺いたいのであります。 去年の総選挙の結果、自民党は安定多数、鈴木内閣が誕生いたしましたが、久々の安定多数の自民党のもとで、国民は一体政治に何を期待し、何に不安を持っておるか。この点について、一月早早全国紙の世論調査が発表されました。これを見ますと、まず政治に期待する第一のトップは物価の安定でありまして、実に七五%という数字を示しておるのであります。複数の回答でありますから一〇〇%を超しますが、次いで福祉が四六、政治の浄化が四三、この数字でも明らかなように、断然トップを切って物価の安定が政治に対する期待であります。逆に不安に思っておることは何か。まず第一が増税でありまして五三、物価対策の後退が三九、いずれも上位を占めておるのであります。これが鈴木内閣に対する偽らざる国民の声だと思うのであります。 総理は、この間の施政方針演説で、「物価の安定は堅実な消費と安心できる国民生活の基礎」だということをお述べになりました。私もそうだと思います。しかしながら、いま述べましたように、国民の不安は一向に消えていない、そうして物価安定への期待が非常に高い、こういうことがうかがえるのでありますが、鈴木総理はこの国民の声をどのように思われ、これにどのようにこたえようとしておられるのか、これを最初にお伺いしたい。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま武部さんが御指摘になりましたように、物価問題、とりわけ消費者物価の問題は、国民生活にとりまして最も重要な問題でございます。政府におきましても、物価と景気の問題、これを経済運営の重要な問題としてとらえまして、今日まで努力をしてまいったところでございます。特に物価対策につきましては、数次にわたる総合的な物価対策を打ち出しまして、誉め細かな措置を進めてきたところでございます。 しかし、御承知のように、石油の予想を超える大幅な上昇、冷夏、それに引き続いての豪雪その他の悪い条件が重なりまして、当初目標にいたしました六・四%というものを達成することが非常に困難になりまして、途中におきましてこれを七%程度というぐあいに改定せざるを得なかったことはまことに遺憾に存じております。しかしながら、最近における卸売物価は非常に鎮静を示しておりますし、消費者物価におきましても、季節商品である野菜等を除きましては、大分鎮静化を数字の面でも示しておるところでございます。 今後におきましても、政府としては、一層この物価対策には最善を尽くしまして、国民生活に対する悪い影響を極力最小限度に食いとめるように努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
○武部委員 この委員会を通じて私は物価の論議をいろいろ聞いておりました。また、いま総理からお答えがございましたように、野菜や生鮮食料品以外は大勢として鎮静化の方向に向かっておる、したがって基調は落ちついておる、こういうことをしきりに政府は述べておるようでありますが、私はこの認識は誤りであると思うのです。 その具体的な例を申し上げますが、少なくとも消費者物価の判断というものは天候によって左右される季節商品を除く総合で判断すべきものだ、このように私は思っております。確かに十二月は若干野菜が下がったけれども、前年同月比で七・一%という数字になりました。それならば、季節商品を除く総合では一体幾らになるかというと八%であります。しかも、問題はその内容であります。季節商品を除いた総合の内容を調べてみると、工業製品、公共料金、出版物、こういうものはいずれも二けた台であります。そういう高い水準を示しておりますし、五十五年一年の平均を見ましても、この工業製品や公共料金や出版物はいずれも二けた台の数字が出ておるのであります。確かに野菜が物価を左右することは、私は否定をいたしません。しかし、この野菜のウエートというのは、物価の中に占めているのは一万分の二百八十であります。季節商品は、生鮮食料品と野菜と果物と生鮮魚介類で、三つ合わせたって八百三十くらいしかなりません。一万分の八百、物価の中に占める割合は八%ちょっとであります。そういう天候に左右されたりするような季節商品がすべて物価の犯人だ、こういうふうに決めつけることは間違いだ、このように私は思うのであります。したがって、いまの動向を見るならば、これは明らかに物価の基調というものは高水準にある、このように見なければならぬのであります。 それならば、一体五十五年度の物価の数字はこれから先どうなるだろうか。あさってには東京区部の数字が出ます。一月の全国の数字があさって判明いたします。いずれあさってになればはっきりするわけですから、私はそういう点から、一体五十五年度の物価上昇率はどの程度になるだろうか、これを具体的に試算をしてみました。十二月まではもうすでに実績が出ておるわけであります。一月も東京区部は出ました。神田の東京中央卸売市場の野菜の動向を中旬まで調べてみました。ほとんど変わりがない。こういうことになってくると、一体五十五年度の物価上昇はどのくらいになるだろうか、これを具体的に試算をしてみました。季節商品を含めた前年度比の物価上昇は八%、季節商品を除けば最低でも八・二%という数字が出るのであります。物価担当の企画庁長官は、私が述べたこの数字について誤りがあるとお思いでしょうか、それとも肯定されましょうか。
○廣江政府委員 お答えいたします。 先生がどういう根拠で御計算になりましたか、いまの御質問で明らかではございませんが、季節商品を除きます消費者物価指数を仮に——一月は前月に比しまして東京都区部では〇・二%減少しておるわけでございます。これを仮に算術的に二月、三月、横ばいとしましたときに、季節商品を除きます総合が幾らになるかという御質問と思いまして、こういうふうに計算をいたしますと、なるほど先生の言われますとおり、そういう算術計算では八・二%に、季節商品を除く総合はなります。ただし、先生も御承知のとおり、今年度の季節商品を除く総合を考慮いたしますと、先生の言われますような八%という数字にはなかなかならないのではないかと思います。
○武部委員 あなたはいま季節商品を除いて八・二%という数字をお認めになりました。そのようになるのです。問題は、季節商品がどのくらいの値下がりをするかということが、これから先の判明しない問題だと思います。いま申し上げるように、神田の中央市場が日本の野菜の相場を決めるわけですから、その動きをずっと調べてみればわかるのです。二十日前後までの状況を私どもは調べてみましたが、その結果、若干下がっておりますが、数字の中にあらわれてくるようなものではないということだけはわかりました。したがって、このまま推移するならば、五十五年度の野菜その他をひっくるめた、季節商品を含めた物価の上昇は八、これは紛れもなく出てくるだろう。ただ問題は、政府がいつもやるように二月、三月になると大安売りをやる。これは数字を下げるために毎年やってきた。しかも二月、三月、いよいよ最後の数字が出る直前になって一斉に全国の小売商店やスーパーやその他の店先で野菜の大安売りをやる。しかも、その大安売りをやる日にちはちょうど物価の調査をする日にちに合わせてある。ここが問題だ。私はいままで何年もその話をしてきましたけれども、一向にこのことは改めません。なるほど物価の数字を下げるために一つの方法かもしれませんが、それは物価問題の本質的な解決にはならぬのであります。問題は、季節商品を除いたその他の物価がどういう傾向にあるかということをもっと政府が真剣に考えていかなきゃならぬ。季節商品というのは天候に左右されるのであります。豪雪もあれば干ばつもある、そういう中で、季節商品にすべての責任を負わせて、それが上がった、下がったというようなことで物価問題を解決することは私は誤りだ、このように思うのでありまして、そういう意味から言うならば、八・二%という数字は、後で申し上げますが、大変な数字です。皆さんのお約束の数字とこんなにかけ離れておるのであります。したがって、いま物価局長は、若干季節商品の野菜が下がるから八%にならないだろうというような話でございましたが、これはあさって具体的な数字が出るわけですから、はっきりいたしましょう。 そこで、この数字は、実は外国と比べてみて算出の根拠に大きな違いがあるのであります。すなわち、わが国の物価の指数の中には地価、社会保険料、税金、住宅ローン、こういう国民の暮らしに最も密接なものは全部除いてあるのであります。したがって、そういうものをこれから申し上げますが、家計の支出にこれだけ大きな影響を与えるものを勘案をして考えるならば、今日物価問題がいかに重要な段階に来ておるかということだけはおわかりいただけるだろうと思うのです。これはいま具体的に物価指数のあれに入っておりませんから、それ以上のことを申し上げません。しかし、この間産業労働懇話会が提言をいたしましたように、日本の消費者物価の調査品目は問題がありはしないか、もっと国民の実感に沿うようなそういう物価指数の調査に改めるべきではないか、これはこういう提言をすることに労使で意見が一致したようであります。これは改めて問題を取り上げなければなりませんが、これ一つとってみても、現在の消費者物価の上昇というものが大きな社会問題になっているということだけはおわかりいただけた。したがって、総理のお話のように、野菜が値下がりした、したがって季節商品によって日本の物価は鎮静化の方向にあり、物価の基調は安定をしておるということは根本的に認識が誤っておる、私はこのように主張をしておきたいと思うのです。 時間の関係で次々に申し上げたいのでありますが、そこで、現在の物価は政府の公約よりもはるかに高い数字になった、なるであろうということは、いまの答弁によっても明らかになりました。政府もこれを認められたわけであります。一体、わが国の国民生活の現状に対して総理大臣はどのような認識を持っておられるか。言うならば、国民生活は向上しておるのか、それとも後退をしておるのか、これについて総理大臣の見解をお聞きしたいのですが、その前に、まず労働大臣にお聞きしたいのであります。五十五年中の勤労者の賃金というものは実質で一体どうなったのか、これを最初にお伺いをいたしたい。
○藤尾国務大臣 お答えをいたします。 非常に残念なことでございますけれども、初めて〇・九%下がりました。
○武部委員 お答えのように、五十五年は勤労者の実質賃金は〇・九%マイナス、これは労働省が二十七年に統計をとり始めてから初めてのことでありまして、まさに前代未聞のことであります。 わが国の賃金水準というものは先進国並みになった、こういうことを政府はしばしば答弁をしておるわけでありますが、問題は、円の購買力と外国の通貨の自国内での購買力を比較してみなければ、賃金の正しい答えにはならぬのであります。そこで国連の月報によりますと、昨年六月の世界各国に滞在をしておりますところの国連職員の生計指数を調べてみました。ニューヨークが一〇〇、東京は一六〇、ボンが一四七、パリが一四三、ロンドンが二二六、東京は世界一であります。こういう数字が出てくるのであります。 そこで、同じく労働省にお聞きをいたしたいのでありますが、時間の関係でちょっと労働大臣に私の方から申し上げますので、それが正しい数字ならば正しい数字とお答えをいただきたいのであります。これから申し上げることが労働者の賃金、生活、そして物価の上昇と非常に大きな関係を持つからであります。 まず賃金の一時間当たりの国際比較、日本を一〇〇とした場合にアメリカ、西ドイツはどうなっておるだろうか。これは七八年に例をとりますと、日本が一〇〇、アメリカが一四四・八、西ドイツは一五九・四であります。これが一時間当たりの賃金の国際比較であります。 さらに、日本とアメリカ、西ドイツの購買力による実質賃金の比較はどうなっておるだろうか。これは同じく七八年で、日本が一〇〇に対してアメリカは二〇〇・八、西ドイツは一五七・八であります。この数字に誤りはないかどうか、お聞かせいただきたい。
○藤尾国務大臣 お答えをいたします。 武部さんのお示しになられました数字はそのとおりでございます。しかしながら、一時間当たりの賃金は、一九七八年調べによりますと、日本を一〇〇といたしました場合のイギリスは七五・三、フランスは九五・四でございます。購買力の平価当たりの比較は仰せのとおりでございます。しかしながら、御案内のとおりこの評価に当たりましては、食料費並びに住宅費につきまして日本が非常に高いということが、その数字を帰結をいたしております非常な大きな要素であるということをつけ加えさしていただきます。
○武部委員 いまの二つの、後のことが非常に重要であります。購買力による実質賃金との比較、これは労働大臣お認めになったように、日本が一〇〇に対してアメリカが二〇〇・八、西ドイツが一五七・八、全部の国のを申し上げるわけにいきませんから、代表的な日本とよく比較される西ドイツを例にとったのであります。 さらにもう一点お伺いいたしますが、購買力の平価と物価水準の推移とを労働省が計算しておるわけですが、七八年の購買力の平価と実際の為替レート、これはアメリカとの間にどうなっておるだろうか。これを調べてみますと、購買力の平価は二百九十八円三十銭、為替レートが二百十円四十七銭、物価水準は一四一・七であります。ということは、物価が日本はアメリカよりも四割一分七厘高いということをこの労働省の統計はあらわしているのでありますが、そのようにお認めになりましょうか。
○藤尾国務大臣 御指摘のとおりでございます。 しかし、これまた注釈をつけまして申しわけございませんけれども、最近におきまする物価の水準は、一九七八年の統計と比べまして、御案内のとおりアメリカ、西ドイツにおきましても急騰をいたしておりますし、それに比べますと日本の物価水準は比較的に安定をいたしておるということで、当時の数字といまでは多少違っておるということでございます。
○武部委員 労働省の一番新しい資料は七八年しかないので私は七八年を言ったのであります。したがって、その後若干の変化があることは私も承知をいたしておりますが、それは決して大きな問題になるような数字ではない。したがって、いまお述べになった点がアメリカは日本よりも四割一分七厘物価が安い、こういうことをお認めになったと思うのであります。 そこで、大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、あなたは本会議でもあるいは予算委員会でも、日本の課税最低限は外国に比べて決して低くない、こういうふうに高姿勢でずっと答弁を続けてこられました。なるほど大蔵省の財政金融統計月報、これを見ますと、昭和五十五年の比較が出ています。一ドル二百二十五円レートにいたしまして、日本は標準世帯で年収二百一万五千円、アメリカは百六十六万五千円、イギリスは八十九万一千円、西ドイツ百五十五万九千円、フランス二百十一万二千円、こういう数字が出て、これが所得税の課税最低限となっているわけであります。しかし、先ほど来ここでやりとりいたしましたように、大蔵大臣お聞きになったように、労働省の答弁によりまして、購買力による実質賃金との比較というものが明らかになりました。いまのお答えにあったとおり、アメリカは日本の二倍、二〇〇・八であります。西ドイツは約一・六倍であります。これを日本と比較をいたしますと、いま述べたアメリカの金額に対して、実質賃金と購買力との比較を掛けますと、アメリカの課税最低限は約三百二十万円になります。西ドイツは約二百四十六万円になります。大蔵大臣はこれでも日本の所得税の最低限は低くないというふうに言われるのかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは考え方の問題でございます。 政府の方は御承知のとおり国際比較は為替レートでやっておりますから、私が本会議で説明したような数字が出ます。家計の実質的購買力を別に計算して、これをもとに国際比較をすべきだという御意見もございますが、実際問題としてこれは非常にむずかしいと私は思うのです。なぜならば、たとえばアメリカにおいて日本的な生活をするということになれば、これは生活費がかなり高いものになりますし、逆に日本においてアメリカと同じような生活をするということになれば、これはまたえらく高い数字が出てくるわけであります。したがって、購買力比較というものをそう簡単に、そのままそっくり当てはめるということには非常に問題がある。総合的な購買力の算定の基礎となるところの財貨サービスをどのようにするかということが問題なわけでございます。このような現状を考えると、やはり為替レートというのはいろいろな要件があって相場がつくわけでございますから、私はこれでやるのが一番現実的で合理的だ、こういうように考えておるわけでございます。 租税負担の高いか低いかという問題につきましては、これは政府の行う公共サービスの水準との関係で、公共サービスと比べて納める税金が安いか高いかというような比較が本当ではないのかなという気がするわけであります。国のサービスを日本の場合一〇〇とすれば、それに対して租税の負担というのは、五十六年度で増税をやった、増税をやったと言われながらも、これは六九しか税金では賄っておらないというのも実情でありますし、これはイギリスの八三とか米国の九六とかドイツの八〇とかフランスの八七とか、こういうものから比べて、サービス水準と比べて租税の負担割合というものは日本は私は低いのじゃないか、そう思っております。
○武部委員 大蔵大臣は低くないことを固執しようと思って、しきりにへ理屈を述べておられるように私は思います。あなたの言われる為替レートが合理的だというような、そういう言葉で一体説得力があるでしょうか。私はないと思います。問題は購買力です。購買力がこのようにきちんと出ておるわけです。その場合に、ただ単に、アメリカと日本とを比較してもこうだとか、西ドイツがこうだというようなことを言って、一体勤労者の皆さんがこれを納得されるでしょうか。 これから私は、まだまだ勤労者の生活というものがどういう状態に追い込まれているかということを具体的に例を挙げて言いますが、そういう中で、課税最低限というものが大変重要な意味を占めておるということをあなたも恐らくお考えになると思うのです、四年間これでこのまま据え置こうというのですから。こういう重要な政治課題になっておる問題であります。しかも、それをただ単に、為替レートが合理的だというような言葉でもってこの比較を否定されるということは間違いだ、私はこのように思います。後でまた申し上げますから、続けたいと思います。 総理府総務長官にお伺いいたしますが、五十年を一〇〇とした場合の五十四年、一番新しいのはこれしか出ておりませんから、五十四年の勤労者世帯の消費支出、それから非消費支出の指数を聞きたいのであります。同時に、非消費支出の内訳、それと指数、これを答えていただきたいのであります。
○中山国務大臣 お答えをいたします。 先生お尋ねの勤労者世帯における消費支出、非消費支出等につきまして申し上げますと、総理府統計局の家計調査の結果によりますと、昭和五十四年平均の全国勤労者世帯の消費支出、これは生活費全般でございますが、五十年を一〇〇といたしまして一三四・〇、非消費支出、御存じのように税、それから社会保険料の支出は一八九・八、勤労所得税、これは給与の源泉所得税を意味しておりますが、一九三・一、住宅ローン、これは一般の住宅ローン及び御両親のお持ちのうちを借りて暮らしていらっしゃる経費も入れて、土地家屋の借金返済は二四一・七となっております。概して見まして、統計局の指数を見てみますと、食料費は四十七年から五十五年まで大体横ばい、衣服費は昭和五十年から五十五年まで横ばいの大まかな状況を示しております。
○武部委員 いまの答弁でもわかりますように、消費支出はこの四年間で一・三四倍伸びておるわけです。ところが、勤労所得税などの税金あるいは社会保障、そういう費用は実に二倍近い伸びを示しておるのであります。さらに、いま最後に御答弁がございましたが、この住宅ローンの返済は二・四倍に伸びておるのであります。この一事は、この四年間に家計がそういう非消費支出によって大変圧迫されておるということがこの面からも明らかになるのであります。二倍以上の伸びを示しておる、こういう事実がはっきりしておるのであります、 先ほど来労働省との質疑を通しておわかりのように、勤労者の実質収入というものはマイナスになった。先進諸国との購買力の比較によっても大きな格差があることがはっきりいたしました。累進課税によって税金がどんどんふえておることがいまの総理府総務長官の説明でもはっきりいたしました。勤労者の、サラリーマンの家計というものはこのような生活実態にある。これが現実の姿であります。ここまで追い込まれておる。これに対して一体総理大臣はどのような認識を持っておられるだろうか。それをお伺いしたいのです。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来武部さんから、いろんな角度から勤労者の実質賃金は目減りをしておる、生活はそれだけ苦しくなっておる、こういう御指摘でございます。確かに五十五年度の消費者物価の思わざる上昇によりまして実質賃金が目減りをし、それだけ勤労者の生活が苦しくなっておるということを率直に私は認めるものでございます。しかし、これは日本だけか、こう申しますと決してそうではない。先進工業国全体を見ましても、石油等の大幅な高騰、それによるインフレあるいは失業の問題、いろいろな面からいたしまして、相当先進国の勤労者の生活もそれなりの大きな影響を受けておるというように私は見ておるわけでございます。インフレの面から見ましても、消費者物価におきましてはアメリカは一二・四%のインフレである。またフランスも一三・六というような消費者物価の上昇を示しておる。イギリスも、またイタリアに至っては二〇%以上も上昇しておる。こういうようなことで、この世界的な不況、インフレの中で国民生活がそれぞれ大きな影響を受けておることは事実であろうと思うのでございます。政府におきましては、そういうことを十分頭に置きながら消費者物価の鎮静化、安定のために今後とも全力を尽くしていきたい、このように考えております。
○武部委員 いま総理は先進国のインフレの状況等をお述べになりましたが、私が先ほど来述べておることは、わが国は国民生産第二位、しかし国民所得の水準は世界で第十五位、このことに端的に表現ができると思うのです。先ほど申し上げたようなことが、経済大国世界で二番目と言いながら国民の生活水準は十五番目だ、この裏づけだと思うのです。そういう考え方を持っていただかなければ困る。これから具体的に申し上げますが、そういう中で一体日本の消費者物価はどうなったか、自民党の公約はどうなったかということ、これを推移をたどってひとつ申し上げてみたいと思います。 昨年の三月、この予算委員会で、大平内閣のときでございましたが、五十五年度の物価上昇は六・四%を必ず達成する、こういう発言がございました。私どもは、政府の見解は間違いだ、軒並みに公共料金の値上げが予定されておりまして、特に電力、ガスに至っては大変大幅な申請が出ておる、しかも査定も非常に高い査定がうわさをされておりまして、われわれは六・四%達成が不可能だということを強く主張したのでありますけれども、政府の答弁は、これに対して六・四は合理的なものである、達成可能なものと確信をしておる、その実現のために万般の施策を講じておる、特に春野菜の早期出荷だとか、あるいは繰り上げの出荷だとか、そういう方法によって需給関係を正常化する、そういう努力もやっておる、こういう答弁がありました。私どもは、電力、ガスの値上げによる間接効果、波及効果、そういうものが非常に大きいということを主張いたしまして、六・四%は根拠のない達成不可能な数字だ、私は特に虚構の数字だということを言いました。正示さんここにおられますが、正示さんがそこに座っておられて、目をむいて反論されました。何が虚構の数字だ、こういう反論でございました。結果はどうでしょうか。かたくなに政府は六・四%の主張を曲げなかったのであります。私どもは六・四は達成できない、したがってこうすれば六・四の達成に近づけるという具体的な政策を述べました。公共料金の繰り延べについても具体的な数字を挙げました。ガス、電力の値上げ幅の圧縮についても具体的に計算をして示しました。そういうことをやったけれども、政府は、必ず守る必ず守るというそれだけの答弁にすぎなかったのであります。結果はどうですか。結果は、突然十二月二十日になって閣議了解として七%程度ということが出ました。十二月の二十日であります。一体、程度とは何ですか。いままで政府の物価の公約の中に程度などという言葉があったことはただの一度もない。この間聞いておりますと、程度とは上下一%のことを言うのだそうでありますが、そういうことをわれわれはただの一度も聞いたことはない。一体何の根拠があって七%程度ということが出たのだろうか、私は大変不思議に思います。このことは恐らくやこの十二月ごろになって、これからいよいよ来年の春闘だということで賃上げの数字をかわそうという政治的な意図があったのではないか、このようにしか思えないのであります。 先ほどやりとりいたしましたように八%の数字、七%程度などということはとてもじゃないが実行不可能でございます。八%に近づくか、あるいは超すかもしらぬ。そうい多数字になるわけです。あなた方の公約は六・四でございました。一体八%を超すような数字になったこの責任をどのように感じておられるか、政府の答弁を述べてください。
○河本国務大臣 十二月になりまして物価の目標を七%程度と改定せざるを得なかったということは大変遺憾でありますが、程度といたしましたのは、九月に戦争が起こって、それ以降非常に石油事情が流動的になっております。それから同時に異常気象が続いておる、こういうことがございまして、確たるコンマ以下の数字を想定することは大変困難であるということで七%程度という目標に変更したのでございます。 現在までのところ、物価情勢を申し上げますと、消費者物価の一番大きな背景をなしております卸売物価につきましては、昨年の四月は前年同月比にいたしまして二四%でありましたが、二月の上旬に至りまして三・九%という数字に鎮静化いたしております。したがいまして、五十五年度の平均卸売物価一四%も、五十六年度に至りましては政府目標どおりおおむね四%程度に鎮静化するのではないか、このように考えております。 それからまた同時に、一月以降やや物価は鎮静の方向にございまして、十二月は先ほど御指摘がございましたように七・一%、それから一月は東京区部が六・八%、こういう鎮静の方向に進んでおりますが、なお今後も引き続きまして物価の安定のために全力を尽くす所存でございます。
○武部委員 いま、これからの物価の動向についてお話がございましたが、その見解にもいささか私は疑問がございます。なるほど卸売物価はどんどん下がってきました。しかし、卸売物価が消費者物価にもろに連動をして、消費者物価の値上げを抑えるだろうか。最初にちょっと申し上げたので御記憶があろうと思いますが、この物価上昇の数字の中に、その他の工業製品というものの値上がりが二けた台、これが五十五年度の数字の中にあらわれています。このことは、卸売物価の値下がりが消費者物価にもろに連動しておらない証拠だと私は思います。その他の工業製品ですから一番下の完成品の部分に入るわけですが、決して卸売物価が下がったから直ちに消費者物価が下がるというものではないということです。この三つばかりの具体的な数字を私は見てきましたけれども、二けた台のものがたくさんございますが、そういう中に工業製品や出版物や公共料金が入っておるわけであります。したがって、生鮮食料品その他の季節商品が下がったからといって、そのことが消費者物価にもろに大きな影響を与えるということはあり得ない。しかもウエートの数字は、先ほど申し上げるように一万分の八百三十ぐらいだということから考えると、そういうことにはならないと思うのです。 いま石油の、いわゆるOPECの思わざる値上げ、いろいろなことのお話がございました。しかし、後にも申しますが、この円高差益の問題等を考えてみた場合に、このOPECの値上げがどういう影響をわが国の石油業界に与えておるか、そういうことを考えると、OPECの値上げが直ちに日本の物価に連動して、大きな物価上昇の原因になるということはない、そのようにわれわれは見ていますし、これはまた最後に申し上げますが、五十六年度の数字の中にはっきり申し上げておきたいと思います。 いま責任のことについてはお触れになりませんでしたが、六・四が七%程度になった理由として、OPECの値上げと豪雪その他の季節商品のことをお述べになりました。しかし、われわれがあれだけ具体的な問題を指摘したのにかかわらず、その点については一向に受け入れなかった。さらに、五百億円の使途の問題等についても、言を左右にしてわずか四十四億しか使わなかった。そういう点から見ても、明らかに政府の物価政策について大きな誤りがある。そうしていま、国民に大きなツケを回し、先ほど申し上げたように実質賃金は物価上昇によってマイナス、こういう事態を起こしておるのであります。 それならば、われわれが物価の委員会でやりとりした点について申し上げてみたいと思いますが、十月に私どもの委員会は三回にわたって委員会をやりました。そこで河本長官が言われたことを私は記憶しておるし、ここに書きとめてきました。これは政府の見解でありましょう。ことしのベースアップ約六・七%というものが決定された背景は、政府がことしの消費者物価六・四%というものを責任をもって実現する、こういう約束の上にこのベースアップが妥結されたものと理解をしておる、そこで、この六・四%という消費者物価水準を実現するということは、これは政府としては最大のことしの責任だ、私はこう思っておる、こういう答弁でございました。これは私の質問に答えられた答弁であります。さらに別な委員に対しては、ことしの春闘が妥結をした背景は、消費者物価を六・四%にするという政府の公約を信頼していただいて妥結をしたと思う、それだけ政府の責任は重いと答えられました。企画庁長官は正直な人ですから、事実を率直に述べられたと私は思うのです。 こういうふうにあなたは、この六・四%の問題について大変大きな責任を感じておるということをお述べになりました。現状は先ほど述べたとおりです。初めに述べましたように、いま勤労者の実質賃金がマイナス。責任を感じるならば、政府自身がその責任のとり方を、具体的な方法をもって勤労者や国民に示すべきだと思うのです。そういう点を一体どのようにお考えになっておるか、これを御答弁いただきたい。
○河本国務大臣 確かに昨年の春闘が六・九%という低い水準で妥結をしたその背景は、政府が六・四%という消費者物価を達成する、そういう経済見通しを立てたという背景があったからだと私は考えております。したがいまして、この六・四%が達成できなかった政府の責任は非常に重い、こう思っておりますが、先ほども申し上げましたように、この背景にはイラン・イラク戦争、それから異常気象、こういうことがございますので、その点についてはひとつ御理解をしていただきまして、ある程度の修正をせざるを得なかったのでありますが、現時点におきましては、先ほども申し上げましたように、大勢としては鎮静化の方向に進んでおる、このように考えておりますが、さらに引き続きまして、むずかしい条件がございましても、物価安定のために全力を挙げたい、このように考えておる次第でございます。
○武部委員 今後の物価の問題について全力を挙げる、こういうことをおっしゃっておるわけですが、それでは責任をとることにならぬと思うのです。責任をとることになりません。現実に勤労者は、政府の言う六・四%を信じたのか、抑え込まれたのか、具体的にはそういう結果になった。そういう結果になってマイナスという事態が起きておるのです。先ほど例を挙げて述べましたけれども、そういう問題がいまたくさん出てきておる。こういう中で政府が具体的な責任をとる方法はただ一つ、即刻できる物価調整減税を直ちにやることだ、私はそのように思います。総理大臣はこのことについてどのようにお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 五十五年度で実質賃金が少々減ったということは事実であります。しかし、これは日本だけの問題ではございませんで、アメリカなどはもっと減っています。それからイギリスのように物価を上回る賃上げをした国は、今度は失業という形で、最近は九%台の失業が出ている。このことは要は石油の問題なんであります。 実はゆうべ私はアメリカのある経済雑誌の編集長と三時間ばかり会いましたが、要するに日本の一けた台の物価安定は一体どうしてそれが実現できたんだというようなことをしつこく聞かれました。したがいまして、このことは石油に問題があるわけであって、もう産油国に金が集まっちゃって、その産油国に品物を売るといってもなかなかそんなに買ってはもらえないということで、これは世界的に大問題だということにいまなっておるわけです。したがいまして、確かに去年だけから見れば日本もそうでございますが、これはもう日本だけじゃないのでございますということもまずお知りおきをいただきたい。 それからもう一つは、日本は失業率でも物価の安定でも諸外国よりは非常にすぐれてはおるが、何が一番まずいかというと、けた外れでまずいのは財政支出の赤字なんです。これだけは極端に日本が大きい、こういうようなこともございまして、これはこれなりにいままで効用がございましたが、現在となると、これを拡大していくということは困る。少しでもこれをなくしていく。そうすれば遜色のないものになるわけでございますから、そういうような意味において、今年度において物価調整減税を行えという強い御要望をたびたび受けておるわけでございますが、昭和五十二年から五十六年までの状況を見ると、それはそんなにへこんでいるわけでもございませんし、課税最低限を昭和五十二年以来上げないじゃないかということでございますが、まあ諸般の事情を考えて、現在のような非常な財政の破綻状態にある中での調整減税はひとつ御勘弁をいただきたい、こう申し上げている次第でございます。
○武部委員 いまの答弁を聞いておりますと、勤労者の実質収入は少々減った、こういう程度の認識であります。全く私は言語道断だと思います。そんなものじゃないのです。その具体的な例を私は最初から述べておるわけです。どういう状況でどうなっておるかということを具体的な数字を挙げて外国と比較をして政府側から答弁をいただいたのであります。そういう認識の中で、六・四という数字は全く公約が踏みにじられたのだが、その責任を何にも感じていない。私はそういう態度はいただけない。 総理大臣にお伺いいたしますが、冒頭から私は物価問題一本にしぼって質問をしてきました。いまのような状況の中で政府が責任をとる道はただ一つ、物価調整減税を当然ここで実施を約束すべきだ、こういうことを述べたのでありますが、ひとつ総理の考え方を述べていただきたい。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来河本企画庁長官、渡辺大蔵大臣からるる申し上げておるところでございますが、いま日本の置かれておる状況というものは、国の財政もまた地方団体の財政も、さらに企業も勤労者もみんな苦しい状況にあります。武部さんがるるお話しになっております勤労者の諸君の生活が五十四年以前に比べて苦しくなっているということは率直に私も理解するところでございます。しかし、いま申し上げたように、国も企業もまた勤労者もみんな苦しい状況下にございまして、そういう中でどうやって今後の日本の財政運営をやり、また経済運営を世界各国に比べてよりよくやっていくか、そして長い日で見て国民生活をどうやって守っていくか、こういうことだと思うわけでございます。政府としてはそういう点を総合的に勘案をして全力を尽くしていきたい、こう思っております。
○武部委員 いままでの答弁を聞いておりますと、国民の皆さんが、鈴木内閣は国民、勤労者のそういう実態に対して大変認識が甘い、しかも約束したことを破った、にもかかわらず一向に責任をとろうとしない、しかも所得減税すら拒否をする、そういうかたくなな態度だということが国民によくわかるだろうと思うのです。国民はそう恐らく理解するだろうと思います。レーガン政権はあのように大なたをふるって、財政再建のために向こう三年間一〇%ずつ所得税を減税するという約束をした。鈴木内閣は財政再建のためには物価調整減税などとんでもない、断固増税一本やり、そういうとんでもない姿勢だということだけは国民の前に明らかになるだろう、こう思います。 減税の問題は同僚の堀委員の方からこの後詳しく質問がありますから、私はこの問題は、時間が来ますからこれで終わりたいと思います。 そこで、今度は五十六年度の物価見通し五・五%、これまた一体実現可能な数字だろうか、その根拠は何だろうか、そういう点をいろいろと検討してみましたが、五・五%は決して楽な数字ではない、このように思います。 まず第一は円高。これは期待が薄い。レーガン政権の経済政策によってドルの信頼が高くなった。したがって、円高の期待は薄いと見なければならぬ。公定歩合を引き下げるという話が出ておるようでありますが、この景気刺激策は必ず物価値上げの要因になると私は思います。 さらに、サウジ、クウェートあるいはリビア、こういう原油価格が四月から約一〇%程度現実にはね返ってくる、こういう実態があります。さらに、私鉄、国鉄、ハイヤー、郵便、大学授業料、公共料金の値上げがメジロ押しに控えておる。こういう中で一体五・五%というものの実現が可能だろうか。しかも、二月、三月の物価上昇のげたが四月に入ったときにどういう数字で出てくるか。これが五・五%の中に大きなウエートを占めるのであります。げたはいまのところ推定できませんが、大体二%近いげたが出てくるのではなかろうかとさえ思われるのであります。こういう中で一体五十六年度の五・五%の数字は達成できる、達成する、そういう決意でしょうか、その点について見解を求めたい。
○河本国務大臣 五十五年度に比べまして五十六年度の物価政策はある程度やりやすい、私はこう思っております。その一つは、五十五年度は公共料金が非常に大幅に物価を押し上げました、その最たるものは電力とガス料金の値上がりでございまして、これが一%以上消費者物価を押し上げましたが、五十六年度はそのような大きなものがないということが一つ。それから、先ほど申し上げました卸売物価が鎮静化の方向に進んでおりまして、これは直ちに消費者物価に影響するものではございませんが、若干時間をおきましてこれがいい影響を当然与えると考えております。 ただ問題は石油事情でございまして、これはやや流動的な面がございますが、昨年のような戦争の勃発というようなことは考えられませんし、現在のような石油情勢でありますと去年のような悪い影響は出てこないのではないかと考えております。若干流動的な要素はございますが、五・五%という目標は、先ほど申し上げましたような背景でございますから、これは達成できるであろう、このように考えております。
○武部委員 時間がもうなくなりましたので、あと三、四点ございましたが、残念ながらできません。二つだけ申し上げておきます。 一つは五十五年度の物価対策費五百億円の問題であります。これは三回四党の間でいろいろ話し合いが行われましたけれども、結果は四十四億円程度の支出にいまのところとどまっています。五十六年度五・五%に抑え込むためにはいろいろな情勢がまだ出てくるかもしれません。したがって、五百億円を予備費の中から使ってでも四党の話し合いを続けよう、こういう話が三回目の話し合いの中で自民党の政調会長から出ました。われわれは、この五百億円の問題はそういう考え方が自民党にある、鈴木内閣にある、このように理解をしてよろしいか。この点が一つ。 もう一つは通産大臣にお聞きしたかったのですが、石油の円高差益、電力の円高差益の問題です。時間がございませんから私の方から先に申し上げますが、われわれの計算でいきますと円が一円高くなれば石油業界は年間五百億円の差益がふところに入ります。電力九社で一円の円高によって百五十億円ふところに入ります。したがって、実績も出ましたので計算をいたしますと、石油業界は大体六千二百億の円高差益、電力業界は大体三千五百億の円高差益をふところに入れることになります。もちろんOPECの値上げもございますからいろいろな問題があるかもしれませんが、円高差益は別途勘定に積み立てる、ガラス張りにして国民の目にはっきり映るようにやるべきだ。その中で一体石油業界の今後の対策がどうあるべきか、電力業界の対策がいかにあるべきかということが国民に赤裸々に映ってくると思うのです。そういう考え方、行政指導が通産大臣の方にあるかどうか。 農林大臣、大変申しわけございませんでしたが、時間がございませんのでお聞きすることができません。この二つについて答弁を求めて私の質問を終わります。
○河本国務大臣 物価対策費五百億につきましては、これは四党の間で使途をお決めになりました場合に政府がそれを受けまして具体的に対応していく、こういうことになっております。過去二回そういうお話がございまして、それを受けまして政府の方は必要な対策を立てたわけでございますが、先般自由民主党の政務調査会長から野党三党の申し入れに、対しまして回答いたしておりますが、それを見ますと、引き続いて五百億については機動的に対処する、そういう趣旨の回答がされたようであります。機動的に対処するという意味は、四党の間で必要とあらば相談をして、約四百五十億ばかりの金が残っておりますが、それを使っていこうという合意ができた場合にはやりましょう、そういう趣旨であるという具体的な説明があったというように私は聞いております。
○渡辺国務大臣 五十六年度における物価対策の関係経費といたしましては、各省庁にそれぞれ措置をいたしておりまして、直接、間接両方入れますと約四兆円余のものを講じておる。物価情勢等に応じまして、必要な物価対策をこの所定経費の中で機動的に、実施をしてまいりたいかように考えております。
○田中(六)国務大臣 お答え申し上げます。 電力料金、これは電力九社、それから石油会社は三十五社ございます。私ども、上期と下期に分けておるわけでございますけれども、上期の決算におきましては、石油業者三十五社で約三千五百億円の円高差益があると思っております。九電力につきましては約五百億円、これは武部委員はどのような計算で円高差益がそのように莫大になっておるか、ちょっと私どもと食い違っておりますけれども、私どもはそのように思っております。計算上そう出ております。ただ問題は、上期だけが現在出ておりまして、下期がどうなるかということが決算が出ておりません。したがって、トータルのことは言えませんが、一つ言えることは、円高は、たとえば九電力におきましては電力料金を改定したときに対ドルベースで二百四十二円という計算をいたしました。その後御承知のようにずっと円高になっておりますから、まあ結局円高差益があるわけでございますけれども、下期の決算が出てみなければそういう点ははっきりわかりませんし、ただ私が申し上げたいのは、そういう円高の部分はわかっても、油の値上げの方を武部委員はどう見ておるかということでございまして、油は三・五ドル上がっております。その上に一月一日からまたOPECの値上げがあっております。これが二ドル七十五セントぐらい上がっておりますので、かなりの油の値上げがございますし、そういう点、私どもは下期の決算を見てはっきりしたいと思います。 それから、円高差益の額をガラス張りにしたらどうかという御意見でございますが、私もこれは一つの方法じゃないかと思います。したがって、武部委員の御指摘の点につきましては、国民も円高差益がどの程度あるかということは当然いろいろ考えるでしょうから、私どもも、できるだけその点はガラス張りにしておきたいという考えは一つの案だというふうに思いまして、十分検討し得ると思っております。
○武部委員 終わります。
○小山委員長 これにて武部君の質疑は終了いたしました。 次に、堀昌雄君。
○堀委員 本日はこれから二時間の時間をいただいて、主として税金の問題、所得税を中心にひとつ論議をさせていただきたいと思います。 鈴木総理には、先般公職選挙法の委員会でわずかの時間ではございましたけれども質疑を交わさせていただきましたが、最初に私は、現在の日本の政治の状態は一体こういういまのままでいいのだろうかという問題を少し総理にお伺いをしたいと思います。 日本は、先ほどからも議論がありましたように、確かにいま経済的には大変いい状態にございます。それはしかし、いい状態になったことは、そう申すと皆さんから御反論があるかもしれませんが、政治の力によってそうなったというふうには必ずしも私は思っていないのであります。これはやはり基本的には国民がきわめて勤勉で、そうして努力をし、さらには教育の機会均等等もありまして、高い資質を備えた国民が働いてきた成果が今日あるのでありまして、どちらかというと経済面では実は大変な進歩があるのでありますが、政治の面はそれに比べると大変おくれているのではないかというのが実は私の率直な意見でございます。 それはどういうことかと言いますと、いま日本の政治というのは、私は国会に昭和三十三年に送っていただいて、中で三年休みましたけれども、この三月でまる二十年在職いたすことになりました。ずっと見ておりまして、日本の政治は官僚の政治であって、政治家の政治ではないのではないかということがこの二十年間の率直な気持ちでございます。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そこらの方でない、ないとおっしゃっておりますけれども、要するに官僚の皆さんの協力なくして実はここで私と一対一で答弁ができる閣僚が一体何人いるのでしょうか。やはり皆さんは官僚の協力のもとでやっておられる。私は悪いと言っているのじゃないのですよ。そういう事実を申し上げているのですから、余りやじを飛ばさないで静かに聞いてください。だから私は、どうしても政治家が官僚等の協力を得ながら主導性を持った政治を確立していくということにならない限り、今後の日本の政治というものの将来は必ずしも楽観を許さない、こう考えているのであります。特に高度成長の時期は、言うなれば政治が後ろに引っ込んでいても物事はどんどん進む時期でありました。しかし、いま政治に求められておるのは、財政再建というきわめて大きな課題が実は政治に求められているのであります。 その財政再建をやるということできょうも論議をさせていただくのでありますが、どうも官僚的発想による財政再建が先行しておるという感じがいたしてならないのでございます。私は、所属が大蔵委員会を主としてあるいは商工委員会、予算委員会と経済委員会ばかりを歩いてまいりましたから、その過程の中での私の率直な実感でございます。官僚の諸君は過去にあったことをやるのはなかなか巧みでございます。しかし、新しい情勢に対処するということは、日本の官僚は大変優秀でありますが不得手でございます。 その一つの例は、ともかくニクソン・ショックが起きました。そのときに私は大蔵省に対して、為替市場を直ちに閉めるべきだという申し入れをいたしました。海外の為替市場は欧州を含めて全都市場を閉鎖しているのであります。日本だけが市場をあけて、そうしてドルがどんどん動いているわけであります。実は大変な問題がそこで起きたのでありますが、一週間たってようやく閉鎖をいたしました。これは官僚の諸君はそういう新しい事態に対処するときにどうしていいかわからない、政治家の判断が求められたけれども、残念ながらそのときは政治家の判断は少しも前へ進まなかった、そういう事態があった。わけでございます。 今日の財政再建もそうだと思うのです。この間から大蔵委員会で渡辺さんといろいろとこの財政再建問題をやっておるのでありますが、私はこう考えるのでございます。 第一に行政改革をしろというのがいまマスコミを含めて国民の世論のようでございます。この行政改革に対する声は、何か量的な圧縮を求めておるように私は感じられてなりません。たくさん人間がい過ぎる、余分なものがある、こういうものをどんどんやめたらどうだ。私はそれも一つだと思いますが、問題は、戦後からずっと高度成長の間続いてきたこのシステムが、実は皆さん、私どもが官公労の諸君等のことを言いますと、あれは親方目の丸だとよくおっしゃるのですが、私は、まさに日本の制度は全部親方日の丸になっている、こう思っているのであります。だからこの親方日の丸主義を、やはり経済の問題は経済合理性に基づいてシステムを変えることなくして、効率化の導入以外に行政改革はないと私は思っているのです。効率的な行政を行う、質的な行政を行うことにした結果、むだなものはやめなければならないし、人員も不要なら減らさなければならない。 行政改革というのは結果でありまして、目的は要するに効率のいい——効率のいいということは親方日の丸でやっているのじゃだめで、競争原理をできるだけこの行政機構全体の中に導入をして、その中で競争をしていく過程を通じてむだがだんだん排除されて効率のいい政府ができる、これがいま言われている小さな政府というものの本質ではないか。そのためには、どうしても官僚に依存していたのではできない。要するに政治家が勇気を持って、いまの既成のシステムは既得権がみんなくっついているのですから、その既得権を断ち切る勇気を政治家である私どもや皆さんが持たなくて、私は日本の政治の将来はないと思うのですが、その点について、総理の基本的な現在の政治のあり方についてのお考えを承りたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 堀さんから大変高い立場で、広い視野からの御意見がございました。今日の日本の経済社会というのが、石油ショック後先進国が受けておる大きな打撃の中で、日本が比較的うまくそれに対応している、経済の全般的な成長の問題にしてもあるいは雇用の問題にしても、物価の問題にしてもあるいは国際収支の問題にしても、比較的他の先進諸国に比べてうまくいっておる、しかしこれから今度は高度経済成長でない厳しい国際経済の中で日本が生き抜いていくのであるから、いままでのような惰性的なことではいけない、こういう観点に立ちましての御意見でございました。 私は、日本が比較的賢明な対応ができたということは、やはり自由と民主主義、特に市場経済体制というものをあくまで堅持してきた、こういう点にあろうかと思うわけでございます。私は、レーガン政権が今日新しい経済政策を発表いたしておりますけれども、レーガン政権も民間活力を大きく生かして、そして経済の立て直しをやろう、こういう方向に行っておると思うのでございます。そういう意味で、日本が比較的うまくやったということは民間活力を生かすということ、特に私が評価をいたしておりますのは、健全な労使関係の基礎の上にこれが築かれておる、これは私も評価をいたしておるところでございます。 私は、そういう意味で、今後におきましても、政府が経済運営に当たりましても、規制を加えたりあるいは統制的なことをやったり、そういうことはむしろ民間の活力を阻害するのではないか、自由経済、市場経済というものをできるだけ機能させるようにやっていく、政治というものは余りおせっかいをしなくて、そして民間が本当に活発に伸び伸びと国民の素質を伸ばしていく、そういうことが政治にとって一番いいことだと実は思っておるわけでございます。 しかし、先般の石油ショック等のように、急激な石油の高騰によって民間の経済が大きな打撃を受けた、民間の設備投資等も冷え込んだ、そういう際におきましては、財政が前面に出てこれを引っ張っていかなければいけない、そういう際にこそ政治なり行政なりそういうものが前面に出て牽引車としてやるべきだ、こういうことがあるわけでございますが、通常の際におきましては、私は、民間活力を生かす、尊重する、そういう政治が望ましいのではないか、こう基本的に考えておるわけでございます。
○堀委員 前段の方はそれでいいのでございますが、どうも一般的に私ども社会党に対して誤解がございます。私ども社会党は、先般の大会で中期経済政策というものを決定いたしました。その基本は制御をされた市場経済でやっていこう、こういうことを大会で決めておるのであります。私は経済の委員会におりますから、ごく初期から競争原理というものを唱えて今日に至っておるわけであります。 そこで私が伺いたいのは、いまの前提に立って、現在の政府がやっておりますいろいろな行政、こういうものを見直す必要があるところへ来ておるのではないか。私は、きのうちょっと大蔵委員会で渡辺さんとの間に食管法の改正問題を議論いたしました。これはなぜそういうことを申したかといいますと、日本酒が、いま酒税の法案がかかっておりますので調べてみますと、米が大変値段が上がっておるわけです。これは原料米が日本産の米でございますからね。そこで昭和四十年で見ると二・五倍に実は米は上がっている。ところが、ビールの輸入麦芽というのはわずか三割しかその間に原価が上がっていない。清酒もビールもウイスキーもブドー酒も競争状態にあるのです。清酒以外にも国産品をもちろん少し使っていますけれども、主として外国産の農産物に頼っている。原価は上がらない。清酒だけが国産の米だから原価が上がる。これは何とか方法はないかということで昨日議論をいたしました。しかし、方法はどうしてもいまの食管という制度にかかわる問題になるわけであります。 きのう渡辺さんから、堀さん、そんなことを言ったらあなた社会党から除名になるよと言われましたけれども、うちの党はそんなことをする党だとは私は思っておりません。国民のためにやろうということは、いろいろ既得権があっても、バランスを考えながら徐々にではあっても変革しなくてはならぬ、いつまでも古いシステムのままでいいと考えていないからでございます。それは医療の問題でも国鉄の問題でも、現在問題になっておるところにはいずれも皆構造上に問題があるということを私どもは与党、野党の立場があろうとも真剣に考えなければならぬ問題ではないのか。この間、財政投融資の問題も議論いたしました。これもともかく見直そうではないかという提案をしておるのであります。 ですから私は、総理に伺いたいのは、これまでずっとやってきたものはこのままでいいのだというのではなくて、いまの時点に立って、立ちどまって、そして世界の情勢も見、日本の情勢もよく見きわめた上で勇気を持って既得権に切り込んでいく、そしてベースは、いま総理が言われた自由で民主的な処理が合理的にされるような選択をされなければならないところに来ているのではないのかということを伺いたかったわけであります。その点のお答えをいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 堀さんとは全く基本的に私も同じ考え方を持っております。 現在の行財政が今後どのように経済運営なり政治の面において対応していくかという問題につきましては、高度経済成長時代に行政も財政も確かに肥大化してきております。これを合理化する。減量化する。先ほどお話がございましたように、結果としてそうなるように合理的に物事を処理する、行政を進める、その結果が機構の縮減なりあるいは人員の整理なりあるいは配置転換なり、こうならなくてはいけない。そういう意味合いからいたしまして、私は、いままでの行財政につきまして思い切った見直しをする必要がある、新しい情勢に対応しなければいけない、このような考え方、これは基本的に同じように考えておるわけであります。
○堀委員 そこで、今度は少し政治姿勢の問題を伺いたいと思うのでございます。 〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 実はこの二月二日に、私の同僚の武藤政審会長の質問に答えて、総理はこういうふうにおっしゃっております。「私は、御指摘のように、総理就任以来、和の政治を提唱し、政治に取り組む基本的な理念としておるわけでございますが、これは話し合いの政治でございます。また、真心をもって事に当たる政治である、また、社会的な公正を追求する政治でなければならない、このように考えておるものでございます。」私はこのことは大変賛成なのでありますが、そこで和という問題は、ただ何となぐということではないのじゃないか、こういうふうに思うのでございます。和を図るためには、そのための一つの基準というものがあっていいのではないだろうか、こういうふうに私は私なりに実は感じておるわけでございます。 そこで、その基準というのは何かといいますと、総理も和というのは話し合い、納得だ、納得をするところには一つの物差しがあっていいのではないだろうか。そのお互いが納得する物差しということは、やはり道理にかなった一つの物差しというもので和を図るのでなければ、だれかが自分の方針を決めておいて、これに全部を押し込めようというのでは和にはなりません。ですから、和の政治、納得の政治というのは民主主義の基本でございますが、それは双方の立場にある者が納得するということを前提として和というものは生まれるものだろう、私はこう思うのでありますが、そこはいかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 全くそのとおりでございます。私が常日ごろ申し上げておりますことも、そういう考え方に立つものでございます。これから御論議をいただく問題等につきましても、バランスといいますか、どんな角度から見ても、どんな立場にある人から見ても、やはり公平の原則と申しますかバランスがとれておる。自分だけがいいということを要求する方はいないと私は思います。同じように犠牲を払うのであればみんなが犠牲を払う、みんなが恵まれるのであればみんなが恵まれなければいけない、こういうバランスということもこの和の政治の中には非常に重大な要素になる、こう心得ております。
○堀委員 ありがとうございました。 私もその点は全く同感でございますので、そういう政治姿勢の上で少し税の問題を論議させていただこう、こういうわけでございます。 〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、ちょっと講義めかしいことを申して大変恐縮なんでございますけれども、税という問題について、私はアメリカという国を高く評価しておるわけであります。それは、アメリカという国は御承知のようにイギリスから独立して、新しく植民地が独立国になった、こういう経緯があるのでございますけれども、この経緯が実は関係あるのでございます。アメリカの独立はボストンのティーパーティー事件、これは一七七三年でございますけれども、本国でありますイギリス議会が印紙条令、スタンプアクトを一七六五年に定め、植民地アメリカから議員を出すことを認めないのに税金だけは勝手に決めて取る、アメリカ住民に押しつける、こういうやり方に対する激しい不満がアメリカ独立戦争の口火に実はなっているわけであります。 そこで、そういう独立戦争の経過として、実はアメリカではこの問題については一つの原則が打ち立てられておるわけでございます。それは何かといいますと、要するに現在のアメリカ憲法の土台になっておるのはバージニア権利章典というのが土台になっておりまして、この間からいろいろここで憲法の論議がされておりますけれども、もとを正せばこのバージニア権利章典というのが世界の憲法のもとになっておるわけです。そこでは、ともかく何人も納得ができないのに税金を納めることはしないということがスタートにあるわけでございます。 そこで、現在のアメリカの制度は、御承知のようにセルフアセスメントという税の制度になっているのです。このセルフアセスメントというのは、自分でアセスメント、課税のために査定する、評価する、こういうことなんですね。要するにみずからが自分の税を決めて、そしてこうしますよ、こういうことになる、こういう仕組みなんです。これを日本では実は申告納税制度と訳しているわけです。しかし、日本の税の言葉は全部おかしいのです。なぜかといいますと、総理も軍隊においでになったことがあろうかと思いますけれども、下の者が上の者に言うときに申告という言葉を使っている。これは上下の関係なんです。ですから要するにアメリカは対等なんです。納税者も税金を取る人も常に対等、そこで納得ということが起こるのです。上下の関係では基本的に納得というのは起きないのです。ところが、日本の場合は全部上下なんです。徴収、こうなっていますね。徴という字も取り上げるという字です。収というのも下の者が納めることです。日本の税の言葉はかつての封建社会で、要するに上から下のものを取り上げるという言葉が全部新しい民主憲法の中でも使われておる。だから私がここで申したいのは、さっき総理が自由と民主主義とおっしゃった。そして話し合い、納得、公正、公平、これがバージニア権利章典に発しておるところの西欧民主主義、自由と民主主義の基本はそこだと考えておるわけであります。その点では総理と私との間には違いはない、こう確認しているのです。 しかし、税の制度は残念ながら——言葉の上だけならそれでいいのですよ。言葉の上だけでないのです。さっきからの渡辺大蔵大臣の答弁を聞きながら、やはり上から下へ物を言っておるなという感じがいたしてならないのです。後から大蔵大臣のおっしゃったことで間違っておるところがいろいろあるのをここで明らかにいたしますけれども、それは対等の立場でいまやっているわけですからいいわけでありますが、そういう意味で総理、言葉はいいのですが、税の問題、いまのタックスペイヤー、税を払う者と払われる者が対等、平等の関係で払うのですよという内容をタックスペイヤーという言葉は持っておるわけでございます。税の基本的な認識について総理のお考えを承りたい、こう思います。
○鈴木内閣総理大臣 国民が政府をつくっておるわけでございますから、政府のために国民があるわけではございません。そういう意味合いから、私は、税制の面でいろいろの呼び方があろうかと思いますが、いま申し上げたような気持ちで、とにかく国民の政府である、こういう観点で、税務の問題にしてもすべての行政に対しても取り組んでいかなければならないものだ、こう思います。
○堀委員 そこで問題を少し進めまして、昨年の三月に私どもは大蔵委員会で所得税法の審議をいたしまして、所得税法改正案というものが成立をいたしました。これはいま一般にはグリーンカードの実施ということで国民に理解をされておる制度でございます。 ところが、最近私どもが新聞を見ておりますと、与党の有力な幹部の方が、どうもグリーンカードにはいろいろと問題があるようだ、そこで少し様子を見て、場合によっては改めなければならぬというような御発言が新聞に出ておりました。総理、これは昭和五十九年から実施することになっておるのでありますが、どうも最近の政治を見ておりますと、業界の意見がいろいろ出てきて、業界の意見によって国民的利益が損なわれるかのようないろいろな対立その他、最近やや目に余るものがあるような感じがしてなりません。国会というところは業者の問題ではなくて、国民全体にわれわれは責任を負っておるわけであります。国民経済の将来にわれわれは責任を負っているのでありますから、業界の方の意見を聞いていただくのは大変結構だと思いますが、それがストレートに政党の幹部から、一回国会で決めた所得税法を実施もしないうちに改めるかのような発言がなされるなどということは、私は大変残念だと思っております。 そこで、その問題が起きておるもとをちょっと考えてみますと、グリーンカードというのが実施をされて、預貯金その他が大変表にはっきりしていく。そうすると、長い過去の高度成長時期その他でいろいろとたくさん収入のあった方は、裏預金だとか、あるいは恐らく郵便貯金にも実名でないものやいろいろなものでずいぶん入っているのだろうと思うのです。そういうのが今度は郵便貯金もオンラインできちんとやりますよ、銀行預金その他の金融機関預金はグリーンカードではっきりわかりますよ、これは大変だ。そうすると、これを隠したままで、どこかうまいことをやろうということになると、昨年の十二月一日から外国為替管理法の改正がございまして原則自由になりました。外国の銀行へひとつ貯金をして、ないしょの金を隠したらどうかとか、あるいは金にして買っておけば、別に金を買うときにその金はどこから来たかと言われるわけではないから、金にして買っておくとか、いろいろなものにして脱税で蓄えられた預金その他が変形をするのではないか、こういう予測が流れているようでございます。これを受けて金融機関が、そうでなくてもいま国債を大変持たされて手元が窮屈なのに、さらにそんなに預金が外国へいったり、ほかのものにかわったのでは大変だ、これはひとつ見直すべきではないかなどという話が出ておるように私も新聞で承知しております。 しかし総理、それらの問題にはそれなりに対処する道を大蔵委員会で私は議論してございますので、ちょっとその二、三を申し上げ、あとは政府からもお答えをいただきたいのでありますが、実は、昨年の三月二十一日の大蔵委員会で、私は国税庁長官との間にこういうやりとりをいたしました。「今度はグリーンカードの具体的な問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。」いろいろなことを書いておりますが、時間がありませんからちょっと略しまして、「この問題に関連して実は五十五年二月二十日の朝日新聞に「脱税の不安に配慮」「うっかり組柔軟に」「国税庁検討 公認とはいかぬが」という記事が出ておりました。これを読んでおりますと、どうやら「関係者の間では、名古屋国税局がかつて優良な納税者をふやすためにひそかに試みた「名古屋方式」の是非論が展開されている。」というのが記事に出ているのであります。そこで、ひとつ名古屋方式というのは一体どういうものであったのか。」こういうのを調べておりますと、要するに磯邊長官がこう答えているのであります。「これは名古屋国税局管内におきまして、昭和四十七年の暮れころから五十一年の春ごろまでにかけまして、預金の純化あるいは的確な顧客管理等を目的としてほとんどの金融機関が参加していまして架名預金をなくす運動というものが行われたわけでございます。こういった金融機関の運動に呼応いたしまして国税局でもそれに対してのしかるべき措置をとったわけでありますけれども、この運動の中で、従来の架名預金をこれを正当な預金として表面に出すことに伴いまして、当該預金者といいますか納税者が自主的に従来の課税関係の是正を申し出たような場合に対しましては、特に大口であり、あるいはまた悪質な場合を除きまして、原則として、それによって脱税を摘発していくというふうなことはやらずに、個々の納税者の実情を尊重して適切に修正申告の指導を行ったという実績があるわけであります。」そこで、新しい制度の移行に際しましては、無理のないかっこうでこういう処理をいたしたいと国税庁長官が答弁をいたしまして、竹下国務大臣も「結構だと思います。」こう言っているのですね。だから要するに、悪質なものや大口なものは別としても、そうでないものはひとつどうぞこの機会に届け出てください、そうしたら、それに伴う税金はいただきますが、重加算税とか加算税とか罰則的なものはやりません、こういうことなんですからね。それなりの配慮をすでに私どもは大蔵委員会でもやっておるにもかかわらず、そういう問題がいま出ておるのですね。 そこで、私は二つの点について伺っておきたいのです。 大蔵大臣、為替管理法は変わりましたけれども、日本国民、居住者は任意にスイスの銀行に、たとえば一億円とか二億円とか、さっと貯金できるようになっていないと私は思うのでありますが、大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 海外預金は引き続き許可制ということであります。
○堀委員 ですから、スイスに金が流れたということは、総理ございません。 次に、通産大臣にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、金に金が流れるという話がございますね。金の所管は通産省でございましょうけれども、最近、何ですか、どこかの金貨が大変売れているとかという話があります。それは一般の人たちは日本というのは金なんて余り関心がなかったものですから、いろいろ広告が出ていて、それじゃひとつ金を買っておいたら先で値上がりするかななどと思っている人があると思うのですけれども、相当な金を金にかえるなんということは、私はあり得ないと思うのです。しかし、金を監督しておられる通産大臣の立場として、そういう脱税資金が何かのかっこうで金をどんどん買い取るようなことは、私は適切でないと思うのです。行政の対応として当然そういうことには対応できると思うのですが、通産大臣、いかがでございましょうか。
○田中(六)国務大臣 金市場の問題は、最近とみに喧伝されておると同時に、私どももこれをどういうふうにするかということは十分検討中でございます。しかし、まだ結論は出ておりませんけれども、金がだんだん公式に商品市況として市場で操作されるということは、方向としては私はそうあるべきだと思いますし、そういうふうにいくと思います。それからまた、脱税などにつきまして、それを操作していくということもあり得るかもわかりませんけれども、そういうことについても十分勘案した上、金市場の操作並びに金市場の問題は解決していこうと思います。
○堀委員 総理、いまお聞きになったように、いろいろな問題には実は歯どめがかかっておるのでございます。このグリーンカードの制度は、税の公正を求めるために、私どもはいまの利子配当の分離課税を総合課税にしよう——アメリカはもうとうの昔からそうなっておるのでございましてね。そういう国民的な公正を求める所得税法の改正について、総理、恐らくそれは、たまたま何かの話がそういうふうな記事になったのかもしれませんが、政府としては、仮にもそういう問題は五十九年の実施までに方針が変わるというようなことはあり得ないと私は考えておりますので、この点ひとつ総理からはっきりお答えをいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 グリーンカード制の問題は、御指摘のように課税の公平を期するという観点から、いろいろな角度から御検討の上で国会でも御決定をいただいた、こういう経緯がございます。したがいまして、政府としては今後ともその方針は堅持してまいる考えであります。
○堀委員 そこで、今度は税の具体的な問題で大蔵大臣に少しお伺いをいたします。 いま、いろいろ問題になりますときに、増税という言葉が使われますし、減税という言葉が使われます。大蔵大臣、増税というのは、どういうのを増税と言うのでしょうか、ちょっとお答えをいただきたい。——いや、ちょっと待って。最初に私申し上げているように、そんなことはわれわれ政治家の常識の話でしてね。私は、事務当局の答弁を求めるときは言いますから、全部、私がお尋ねしているときは政治家同士でやらしてくださいよ。
○渡辺国務大臣 これは普通は、基本の税制以外の新しい方法で税を取る場合あるいは税率を改定する場合等か言われると思います。また、たまには、現在の税制の仕組みの中でも自然増収として余分に徴収されるものを増税と言うこともあります。
○堀委員 私がこういう質問をしていますのは、言葉の定義を少しはっきりさしておかないと大変混乱があると思うのです。増税という言葉と増収という言葉があるのですね。私の方から申さしていただきますと、増税というのは、何らかの形で税の制度を変える結果、増収になるものが増税だと私は考えておりますが、大臣いかがですか。
○渡辺国務大臣 私もさように考えます。
○堀委員 そうしますと、増収というのは制度を変えないで税の収入がふえるものが増収、私はこう考えているのでありますが、そこはどうでしょうか。
○渡辺国務大臣 常識的にはそう言って差し支えないと思います。
○堀委員 じゃ、減税はいまのルールで言ったらどうなりましょうか。
○渡辺国務大臣 やはり制度を変えるか、税率を下げるか、(堀委員「税率を下げるのは制度のうちですよ」と呼ぶ)ですから、そういうことなら制度を変えるということでしょうね。
○堀委員 いま大変あたりまえのようなことを伺っておりますが、案外それが十分正確に理解されていない。要するに、増税というのは制度を変えて収入をふやすこと、減税というのは制度を変えて減収になるというわけですね。 そこで、増収と減収とあるのですけれども、いまよく言われておる自然増収、あなたすでにおっしゃいましたね。自然増収というのは、大臣、どういうのを言うんでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは対前年で使う場合もございますし、同じ当年度の中でも予算に見積もった以上に増収になるというように使われる場合もあります。
○堀委員 それはいいのですが、何に対して増収ということを言うのか、そこをちょっとお聞きしたい。自然増収というと、何か天から税金が降ってくるような話ですよね。自然増収なんて、私はとんでもないと思うのです。国民が額に汚した汗がにじみ出ているのが増収なんで、自然増収なんて気楽なことを言ってもらっちゃ困ると私は思っているのです。自然増収というのは一体どういうものを言うのか。 私の方からちょっと言いますと、いまあなたが対前年と当年度とおっしゃいましたね。対前年ということは、税の制度を変えないでおいて前の年の税収入よりもことしの税収入が増加をするものをどうやら対前年自然増収と言っているようでありますね。私もそう理解をしております。それから、五十六年の年度が四月一日から始まって、そうしてそこで同じ制度でありながらまだ税金がたくさん入ってくる、これを当年度の自然増収というか当年度増収というか、そういうことで言っておる、私はこう理解しておりますが、大臣も恐らくそうでしょうが、お答えください。
○渡辺国務大臣 さようでございます。
○堀委員 そこで、大蔵省に要求をいたしております資料がございますので、委員長ちょっと配付をお願いいたします。
○小山委員長 配付してください。
○堀委員 実は総理、こういうことなんでございます。 いま自然増収という話が出ましたけれども、実は大変な金額がいま自然増収として出ておるわけでございます。五十五年度の当初の自然増収というのは政府は四兆五千九百八十億円、こうなっておりまして、五十六年度は四兆四千九百億円、こういうふうになっておりますね。これは時間がありませんから私の方で申し上げましたけれども、大体世界の国でこんなに高い自然増収の出る国はないと私は思っているのです。よその国でこんなに大量の自然増収の出ておる国があるのかどうか、ひとつ事務当局の見解をお聞きします。
○高橋(元)政府委員 いま手元に正確な統計を持っておりませんが、前年度予算額に対する次の年の予算の見積額、その比較で申しますと、日本の自然増収は高い方であるというふうに思います。
○堀委員 なぜ高いか、いま大蔵省が皆さんにお配りをした資料をまず見ていただきたいのであります。 まず二枚目のグラフをちょっと皆さん見ていただきたいのであります。これは「給与の収入金額一千万円までの所得税の限界税率の国際比較」という資料を大蔵省に要求をいたしました。これを見ていただきますと、一番左側にイギリスがありますが、イギリスは要するに百十万円のところで税率三〇%でスタートをしているわけであります。ここからスタートです。それから六百九十一万円まで三〇%のままなんです。ずっと平行しているわけです。イギリスはここから累進税率が働くという仕組みになっておるわけです。 一枚目へ返っていただきますと、その税率が税率表のかっこうで出されています。イギリスは要するに三〇%から六〇%まで、刻みはわずかに六段階でございます。そうして最高は千四三十一万九千円で、それ以上は六〇%という税率になっているのであります。そうなりますと、日本の主たる納税者のある部分は同率の税金ですから、要するに物価が上がった、収入がふえたからといって、これでは自然増収が起きない。絶対に起きない、真っすぐだから。 その次は、今度は西ドイツでございます。西ドイツもイギリスに近く、百五十五万円で二二%でスタートをして、五百三十七万円で二二%が終わりになって、それから今度はずっと斜めに上がる、こうなっているわけであります。これも日本の勤労所得が最も多数にある部分のところは、完全に同率の税率になっているのであります。ところが、日本は二百一万円からスタートをいたしますが、一〇%から始まってちょこちょこ、こう小刻みにいくわけであります。 これは一枚目のをごらんいただいて、これにコメントをいたしますと、要するに西ドイツの五百三十七万円、日本では六百万までというところで税率はもう二七%に来るのです。同じいまの為替レートで見てみますと、そこまで来る。イギリスが六百九十一万円、三〇%というところは日本も七百万円まで三〇%、ここが八段階区切りがある。七段階の区切り、八段階の区切りがあるために、政府は増税を意図していないけれども、所得がふえれば、収入がふえれば、それが名目で、昨年のように実質ではマイナスになっても税金だけがふえる、こういう仕組みがこういう税の構造上のためにもたらされておるわけなんです。だから今度自然増収が四兆五千億も出るなんということが起こるので、イギリスや西ドイツは、そういうのがあるにもかかわらず、それでも調整減税をやっているのですよ。 それからアメリカは、ごらんのように階段が大変多うございます。階段が多いのですが、この階段は、表の方を見ていただきますと、金額的には百十九万三千円のところから一四%で始まって、最高が四千六百七十四万一千八百円超のところが七〇%と、刻みが実は十五段階の刻みになっておるのです。アメリカは十五段階、日本は六十万円一〇%でスタートして、八千万円超七五%、十九段階。 小刻みにした方が公平だという時期もあったかもしれません。しかし、いまやかつての税率構造と所得構造が変わってきているわけでありますから、私がさっき総理に申し上げた客観的な情勢が変化をしてきたら、こういう税のシステム、構造を変えることなくしては、日本の勤労者が大変な負担増になるということが、こういう税の構造の仕組みから実は明らかになる、こういうことを私は、総理にまず御理解をいただきたいと思うわけであります。 いま盛んに調整減税の問題が出ておるが、渡辺さん、いろいろなことを言われました。ちょっと渡辺さんの答弁が間違っている点があるから修正しておきますが、イギリスは最初が二〇%とあなたはこの前予算委員会で答弁しておられるのですが、これは三〇%でございますから、後で御訂正をいただいておきたいと思うのであります。そういうことでこういう仕組みがいま非常に問題になっている。 そこで大蔵大臣、あなたはことし所得税の増税をやる気がありますか。それで、いま法律を出されていますか。どうでしょう、所得税の増税について。
○渡辺国務大臣 五十六年度で所得税の増税案は出しておりません。
○堀委員 ところが、さっき増税、増収の話をしましたけれども、こういうシステムのために増収ではなくて実は増税になっているのです。私は、増収というのをもう少し細かく考えますと、法人税収入は常に増収になるのです、比例税制ですから。要するに利益が三倍になれば税が三倍になる。利益とこれが伴っているわけですね。ところが、これは累進構造がむちゃくちゃに細かく多いものですから、大変な実は増税が起きていることを皆さんのお手元に最初にお配りがしてございます「家計調査報告による年間収入五分位階級別、一世帯当たり年平均一カ月間の世帯主収入と勤労所得税」これは家計調査年報の五十二年、五十三年、五十四年、五十五年は月報が十月までしか出ておりませんから、この十月までのものをウエートで引き伸ばして推計をいたしてみました。 そこで、下の方を見ていただけば結構です。五分位階層別の一番低い一、五十五年には十八万三千五百九十二円、月収平均がある人というところですね。これはAというのは世帯主の収入であります。Bというのは勤労所得税であります。それがどう変化していったかというのを見ると、所得の方は、一分位では、五十二年を一〇〇として、五十三年一〇五・三、五十四年が一一六・〇、五十五年が一二三・九。所得は約二四%ふえております。ところが税金は何と五十五年には一九四・九%、ほぼ倍になっているのです。この階層の勤労所得者はわずかに二割四分くらいしか収入はふえないのに税金だけが倍になる。要するに税金負担の伸び率は下の層ほど高くなっている。第一分位が九四・九、約九五%増、次が七一%増、次は七一%増、その上へ行くと六三%、五分位の一番高いところは五四%しか税収の伸びはない。要するに本来なら所得の低い人の方が所得のふえ方に対して税金のふえ方が低くなければならない。所得の多い人の方が所得収入のふえ方に対して税金の支払いはふえなければならない。これは逆になっているのです。完全に逆になっている。 総理、私は、いまこの問題を見ながら感じますのは、まさに日本の累進税率構造という世界に類を見ない仕組みのために、ともかく名目所得が上がれば、それに伴って税金がどんどんふえていく。これを私は要するに意図せざる増税だと思っておる、制度から来ているのですから。そういう累進構造という仕組みから来るのであって、だから所得がふえてそれに伴って完全比例で所得税がふえるというのは無理でしょう。しかし、少なくともイギリスや西ドイツなら、日本の一般的勤労者はふえないのですよ、税率は同じだから。三〇%、二二%からふえない。ところが、日本の場合だけは小刻みにあるものだからこういう事態が来る。意図せざる増税が行われておるという私は認識なんです。総理は、この問題についてどういうふうにお考えでしょうか。——私は総理に伺っているのだから、ここで政治論議をやっているのですから、渡辺さん、余りそう気にしないで……。
○鈴木内閣総理大臣 私はいまの表をずっと見ておりまして、これは確かにお説のような論理もあると思いますが、しかしいきなり百万円の低所得著が三〇%の課税を受けて、それがずっと横並びでしばらくいくということがいいのか。百万円の低所得者は日本の場合は税の面では大変恵まれた立場にあるとか、これは物の考え方だ、こう思うわけでございまして、どちらがいいとか言うわけにはまいらないのではないか、私はこう思っています。
○堀委員 それはそういうお考えもありましょうが、そこのところをちょっときちんとしておきましょう。 さっき武部さんが購買力平価問題というのをお取り上げになりました。私も、これをちょっと具体的に少し申し上げておきたいのですけれども、購買力平価問題というのは、為替というのは、なぜいまのレートが決まるのか。これは河本企画庁長官にお伺いをいたしたいのでありますが、私は現在の為替レートというのは主として工業製品の完成品、こういうものを中心に貿易における条件からレートが決まってくるのではないか、こう考えておるのですが、長官、いかがでございましょうか。
○河本国務大臣 この解釈はいろいろあろうと思います。
○堀委員 いろいろあろうと思いますでは困るんで、あなたはどう考えておられるか、お答えください。
○河本国務大臣 必ずしもいまお述べになったことだけで決まるとは思いません。
○堀委員 私も全部それで決まっていると言わないのです。主として、こういう言葉を使っているのですね。主として工業製品完成品、貿易の財貨の動きによって主として決まる、こう言っているのですが、そうじゃないのでしょうか。何かもし主としてほかに決まる理由があれば、河本さんに新説を伺いますから、おっしゃってください。
○河本国務大臣 確かにいまお述べになったことも一つの要素だと思いますが、しかし基本的にはその国の経済力によって決まる、こう思います。
○堀委員 いまおっしゃったのは、ファンダメンタルズによって決まるという意味だと思いますが、しかしファンダメンタルズというのは総合的な問題でございまして、そこで企画庁に試算をしていただきました。企画庁の事務当局の方で答えてください。為替が変動相場制に移行しました一九七三年を基準として、一九八〇年には要するにWPI、卸売物価をベースにして購売力平価を出したら一体幾らになるのか、CPI、消費者物価を基本にしてレートを出したら幾らになるのか、企画庁に試算をしていただきました。事務当局、答えてください。
○田中(誠)政府委員 お答えいたします。 一九七三年を基準にいたしまして卸売物価、いま先生御指摘の完成品で計算いたしますと二百十七円十六銭でございます。一方消費者物価で計算いたしますと二百七十九円七十三銭でございます。
○堀委員 大体いまこの試算をしていただきました卸売物価、工業製品完成品を中心にやってみますと大体二百十七円、一九八〇年、レートはほぼいいところへ来ていると思うのですね。そんなに違いはない。ところが消費者物価で見ると二百七十九円七十三銭というのが出ているのですね。私は、これは経済企画庁が試算をしたのですが、物の考え方は道理にかなっていると思うのです。 総理、われわれは工業完成品で生活しているのではなくて、消費者物価で生活しているのです。武部さんがかなり時間をかけて議論をなさいました。だから、われわれの生活に関係のあるもの、税というのは生活に関係のあるもの、その関係のあるものの基準、生計費の問題を比較をするときには、私はやはりこういう道理にかなったレートで物を見なければ、工業完成品で、われわれはともかく電卓で飯を食うわけじゃないのでして、さっき申し上げたように、やはり米で食わなければならないのです。大変割り高な米を食わなければならないのですね、いろいろなことがあるわけですから。 そこで考えてみて、大蔵省側に、この経済企画庁の消費者物価指数をベースにして課税最低限が各国比較でどうなるのか調べておいてくれ、大臣から答えてもらうぞ、こう言ってあります。大臣、ペーパー来ましたか。なければ事務当局から答えてもらいたい。
○高橋(元)政府委員 消費者物価指数だけとりましても、その品目ないしウエートが違いますが、そういう点を捨象しまして二百七十九円という企画庁の数字でアメリカの課税最低限を換算いたしますと二百六万四千円であります。
○堀委員 これまで日本が高い高い、二百一万円で一番高いのだと言っておられましたが、これで計算すればそうなるのです。これはほかをやっても皆そういう形が出るのであります。 もう一つ、武部さんもお触れになりましたが、外務政務次官、入っておられますね。大変恐縮でありますが、さっき武部さんが申し上げたのは、実は国連職員の生計費の資料が出ておるのでありまして、ちょっと外務政務次官の方からこの日本の状態を公式にお答えをいただきたいと思うのです。
○愛知政府委員 お答えをいたします。 世界に散っております国連職員の生計費について、日本の場合を申し上げますと、事務局でつくりました最近の統計によりますと、ニューヨークを一〇〇にした場合、東京は家賃を計数として入れた場合は一六〇、除いた場合は一五三というふうになっております。
○堀委員 これらのデータをずっと見て、私どもはやはり生活の問題というものの中身を考えて税を考えるのでなければ——要するに、いまの日本の税というのは取れるところから取ったらいい。私は最初に税の哲学にちょっと触れました。総理がおっしゃった、話し合いによって対等の場で納得をして物が処理できるというアメリカの制度、セルフアセスメントが導入されていながら、実は見ておりますと、何でも税金が足らなければ取ればいいというのが大蔵省主税局の考えだと思います。これは役所の仕事上、主計局の方でともかく税金がこれだけなければ予算が組めぬと言われれば、主税局では何が何でも取れそうなところから取るにはどうしたらいいかと大いに頭をひねってやっていることには敬意を表しますけれども、しかし私が言いたいことは、政治と行政の違いは、行政というのは合理主義というか形式というか、そういう問題の処理が先行する、政治は総理がおっしゃった真心が土台になければ私は政治と言えないのじゃないだろうか、こう思うのですね。ですから、さっき総理が、いきなり三〇%では大変だ、私もそう思います。しかし、それは私はたまたま例を提示しただけでございまして、日本には日本のやり方があると思います。そしてそれを一遍に棒にしろというつもりもございません。しかし、こんなに小刻みにしておかなければならないかどうか、これが一つ問題でございますね。 それから、今度総合課税になるのならば、これは私まだ党に相談しておりませんから個人見解で大変恐縮でございますが、ちょっとさっきの税率表をごらんいただきますと、イギリスは税率の上が千四百三十一万九千円以上六〇%、こうなっているのでございます。アメリカは四千六百七十四万千八百円から上が七〇%でございます。日本はちょっと税率が高過ぎるのですね。ですから、総合課税で公正になれば、税率を一遍見直したらどうか、いいところアメリカとイギリスの中をとって最高六五%くらいにしたっていいのじゃないかと私は思うのですよ。ですから、そういうふうにして中の刻みをこんなにちょこまかちょこまかやらないで、少し上がり階段は高いけれども長く行って、またちょっと階段を上がったらまた長く行ってと、そして上をこういうふうに下げておけば、大変道理にかなった合理的な税の構造になり得る、こう私は思っているわけです。ですから、私はそういう意味で、ことしには間に合いませんから、ひとつ五十七年度にはそういう税の構造に対する見直しを一遍、総理、考えていただきたいと思うのです。 そうしていま日本の税収の負担分布をちょっと申し上げますと、給与所得者の場合は昭和五十年には一番たくさん納めておる納税者が二百万円以下でございました。それが五十一年も二百万円以下、五十二年も二百万円以下のところでありましたが、五十三年になると三百万円以下のところにピークが来ています。そして五十四年は全体の三分の一の一千万人の納税者が五百万円以下三百万円までの間のところに来ているのです。三百万円から二百万円のところは九百万、こういうふうに日本ではいま給与所得者のあれは大変高くなってきたわけです。ところが申告所得税の方を見ますと、実は二百万円以下のところに今日もずっと張りついています。五十年から五十四年まで二百万円以下のところに申告所得納税の方の所得階層は張りついて、ここがピークになっている。ですから、これはある意味ではトーゴーサン、クロヨン問題をここに一つ象徴しているわけです。源泉で全部把握をされる給与所得者の所得はだんだん上がってきている。ところが申告所得税の方は、確かに納税者の数は多少ふえました。ちょっと調べてみますと、——これは私の方から言ってはまずいから主税局長、答えてもらいましょうか。五十年と五十六年で給与所得者の所得者数と納税者数、その比率、同じく農業所得者、農業以外の事業所得者、ちょっと事務当局、答えてください。
○高橋(元)政府委員 昭和五十年の場合、給与所得者の所得者数三千六百四十六万人、そのうち納税者二千六百二十二万人、その割合は七一・九%でございます。確実な比較できる数字が出ておりますのは五十四年でございますから、五十四年は三千八百七十六万人中その八〇・七%の三千百二十八万人が納税者になっておられます。なお五十六年の予算では、総体の所得者四千五十万の中でその八三・九%の三千三百九十七万人が納税者になられると見込んでおります。 農業でございますが、五十年には全体の所得者百八十八万人のうち一五・四%の二十九万人が納税をしておられますが、五十四年は百四十四万人の中で一四・六%の二十一万人が納税をしておられます。五十六年度はまだ農業所得者総数がわかりませんが、納税者としては二十一万人を予定しておるということでございます。 農業以外の事業所得、営庶業でございますが、五十年の場合には六百三十七万人の中で三二・三%の二百六万人が納税をしておられまして、五十四年には六百九十七万人の中で三六・三%の二百五十三万人が納税者であります。五十六年度予算では二百八十九万人を予定しております。
○堀委員 いまのお答えをちょっと試算をしてみますと、給与所得者は所得者数で約二〇%ふえているのです。しかし納税者数は三〇%ふえている。農業所得者は所得者数が減りまして七六%に減っている。これは五十四年であります。納税者数は七二%、これも納税者数が実は減ってきている。そして庶業所得は納税者が一〇%ふえて、納税者数は四〇%とふえている、こういう形になっているわけであります。 そこで、私はこの状態を見ますと、日本の所得税というのは、まさに給与所得者の肩にかかっている、こう言っても言い過ぎではないと思うのですね。五十六年三千三百九十七万人に対して、農業所得の納税者は二十一万人、庶業所得二百五十三万人、合わせまして二百七十四万人でございまして、これは給与所得納税者の一割にも満たないという状態です。ですから私は、先ほどのいろいろな例から見まして、何としてもこの意図せざる増税に対しては、給与所得者を中心にして物価調整の措置があってしかるべきだ。それは何も私どもがごり押しにどうこうではなくて、最初に総理がおっしゃったバランス感覚というのはそういうものではないだろうか、こう私は考えるわけであります。先ほど私がこう言いましたら、渡辺さんあなたも、いまのこの自然増収という言葉が大変安易な言葉だと。これは自然増収でも何でもないのですよね。税構造から来るところの実は増税なんです。だから、このごろ物価調整減税という言葉を皆さん使われるので、私は党内でこう言っているのです。減税と言うのなら、零の水準から下へ税金をまけてくれるのなら減税なんですが、そういう税構造から来る意図せざる増税に対して、その増税を調整しようというのは、物価対策をもとにした増税対応処置だ、こう言っているのです。減税にならないのですようんと取るものの一部をちょっと返したらどうか、こういうことなんですね。 主税局長、もう一つちょっとお答えいただきたいのですが、あなたの方が年初で見積もった四兆五千九百八十億あるいは四兆四千九百億の中の所得税は、この増収分の中の一体幾らになっているか、ちょっと答えください。
○高橋(元)政府委員 五十五年度当初予算の自然増収見込み四兆五千九百八十億円の中で、給与所得に係る源泉徴収九千八百二十億円、その他所得に係る源泉徴収四千五百六十億円、申告所得税四千六百七十億円、合計所得税で一兆九千五十億円、四一・四%であります。五十六年度当初予算の自然増収見込み額四兆四千九百億円のうち、給与所得に係る源泉徴収の増一兆二千百四十億円、その他の所得に係る源泉徴収の増八千六百六十億円、申告所得税の増六千八百九十億円、合計二兆七千六百九十億円で、所得税の合計が自然増収に占める割合は六一・七%であります。
○堀委員 両方合計して所得税合計では幾らになりますか。五十五年分と五十六年分の二年分の所得税の増収分合計です。
○高橋(元)政府委員 両方加えますと四兆六千七百四十億円でございます。これは源泉、申告の合計でございます。
○堀委員 よろしゅうございますか。ともかく今度一兆三千九百八十億円ですか、大変な増税をやった。法人税も二%上げましたといろいろ言われているのですね。いまお話のあったように、五十六年度で、所得税だけで二兆七千六百九十億円の意図せざる増税が行われているのです。五十五年にも一兆九千五十億円の意図せざる増税が行われておるのです。そうしてそれだけではないのです。実は、五十五年度の当初はそうですが、この間補正をやりました。この七千三百四十億円の中の当年度増収の所得税分は幾らですか。
○高橋(元)政府委員 源泉所得税で四千三百二十億円、申告所得税で二千五百二十億円、合計六千八百四十億円でございます。
○堀委員 五十四年度の決算剰余金が三千三百三十五億円出ていますね。ひとつこれの中身もちょっと……これも当年度増収の最後の部分ですからね。これは五十四年度だけれども、五十四年度の決算剰余金三千三百三十五億円の中に占める所得税は一体幾らだったのか。
○高橋(元)政府委員 給与に係りますものが五百六十五億円、それから利子に係りますものが一千五億円でございますが、ほかに減がございますので、源泉全体で千三百十九億円でございます。申告の増、これは主として土地の譲渡でございますが、千四百六十一億円でございます。
○堀委員 減税が五十四年度から行われておりませんから、あわせて五十四年度の当年度増収一兆九千幾ら、その中身における所得税の増収分は一体幾らですか。そうして事務方、いま私が言ったのを全部足し算して計算してください。五十四年度の当年度増収、これは当初は余りたくさん見てなかったのだろうから当年度増収、それからいま言った二年の対前年当初の増収、それから七千三百億の補正減、それからいまの三千三百三十五億の五十四年度決算剰余金、これの所得税の分、いま主税局長に答えてもらうから、それを足し算したのを次にすぐ答えられるように計算しておいてください。
○高橋(元)政府委員 五十四年度、実は補正で一兆九千九十億円と、それからいまお話のございましたように、三千三百三十五億円の年度内の自然増収でございます。両方足しました二兆二千四百億円の方でお答えをさせていただきます。 二兆二千四百二十五億の中で、給与に係る源泉徴収の増が二千六百五十九億円、その他の源泉徴収の増が二千五百七十億円、申告所得税の増が三千五百四十一億円、所得税の合計が八千七百七十億円でございます。
○堀委員 それでは、いまそちらに計算してくれと言ったものの総計を主税局長に答えてもらってください。
○高橋(元)政府委員 ちょっと計算をしておりますので、少しお時間をいただきたいと思います。
○堀委員 それでは先に進みます。 総理、実は大変な意図せざる増税が行われているのですよ。私は、自然増収などというような言葉は国民を大変ばかにしたものだと思うのですね。要するに、これはまさに私が最初に申し上げた日本の、ともかく申告納税制度という名のもとで源泉徴収をやって、そうして洗いざらい全部持っていって、そしてトーゴーサン、クロヨンという話ができておるところはやや違いがあるわけですね。問題は、いま税の公正の問題は、単に税収の問題だけではないのです。たとえば公営住宅に入ろうと思いますと、所得基準が問題になってくるわけですね。これからいろいろと社会保障について、財政再建ということで所得制限をいたします。所得制限をするときの所得基準は何かと言ったら、これは者もとが税なのです。そうすると、税金が正確に把握されない人たちは、税金で得をして、今度は公営住宅に低い所得水準で入れて、そうして社会保障で所得制限の影響を受けなくて社会保障がとれて、何倍にもわたって不公正が拡大をしていくという現状にいまなっているのです。だから、どうしてもトーゴーサンとかクロヨン問題というのをきちんとしなければならないのですが、しかし実はそう簡単にいかないのです。なぜかと言えば、税務職員をふやしたからといって、それはそう簡単になるわけではありませんからね。 そうすると、どうやればこのトーゴーサン、クロヨンの公正が守れるかというと、いま主税局長が申しましたように所得税の中には源泉申告のものがありますが、その中には給与所得者と利子、配当その他がございます。ですから、主税局長は分けて実は答弁してくれておるわけでありますが、何といっても所得税の中で一番負担しているのは給与所得者なんです。そうすると、ここを少し減税することで調整をとる以外に、実はいまのトーゴーサン、クロヨンの調整のとり方はないのです。だから、私どもが物価調整のそういう措置をとってほしいと言うことは、まさにそういう税の基本にかかわる公正を確保していきたいということにほかならないのです。 せっかくそこで計算してもらっているから、所得税全体が幾ら出て、その中の給与所得税が幾らになるのかもあわせて計算して答えてください。ですから総理、そういう意味で、確かにいま財政再建は大変な問題ですから、決算剰余金が出たら、あるいはその他の余りが出たら、それでひとつ国債を少しでも減らしたい、私はよくわかります。 私は、昨年、五十五年度予算のときに、実は党の中で昭和五十五年度予算に対する予算のフレームという問題の作業をいたしました。たまたま党の中央執行委員会で外部に発表するのは適当でないということで、私の、堀昌雄個人の私案として発表しましたが、五十五年度予算で、実は二兆円の国債減額をやったら、なおかつこうなりますよというものを作業をしたことがあるわけです。財政再建については、総理も私も財政再建をしなければいかぬ、国債発行を減らさなければいかぬという点は全く同一だと思うのでありますが、ただ国債だけ減らしたらいいという問題じゃないと思うのです。ことし二兆円の減額は——総理、渡辺さんが中国に行かれたときに臨時代理をなさったのはいつでございましたかね。どっかそっちで答えてもいいよ。臨時代理をしておられたときはいつからいつまでか。
○松下政府委員 正確な日時は記憶いたしておりませんので調べさせておりますが、十二月の上旬のことであったと思います。
○堀委員 総理、私はこういうふうに聞いておるのです。渡辺大蔵大臣にかわって鈴木臨時大蔵大臣は、大蔵省で、恐らく幹部を集めてお話しになったのでしょうが、国債は二兆円、予算の伸びは一けた、こういうふうにおっしゃったと聞いておるのですが、総理いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおり申し上げました。
○堀委員 私はそれを聞きまして、大変すばらしい総理の見識だというふうに率直に受けとめたわけでございます。ちょっとその前ごろ国会では、渡辺さんが、初めは勢いがよかったのですが、だんだん予算編成が近づくと、二兆円程度なんというようなものがくっついてきまして、二兆円程度というのはまずいな、こう私は思っておりましたら、実は総理が二兆円とぴしっと言っていただいたというので、私はそれなりにこの五十六年度予算というものは意味があったと思っておるのです。 最初に二兆円やったのですから、予算の問題もありますが、これだけの実は負担をしておる勤労者全体に対して、五十五年度で多少の余裕が出れば、それをひとつまず優先的に調整措置に回していただいたらどうだろうかと実は私はいま考えているのです。 主計局長、ひとつ答弁してください。現在時点のことと、大体の決算時期の——見通すというのは、いま無理かもしれないけれども、予備費の使用残は現在は幾らか、例年のあり方からすれば出納閉鎖期まででどのぐらい残るか、それから不用額は現在大体幾らぐらいで、例年のやり方でいけば、不用額は、出納閉鎖時期には大体どのくらい残るのか。 それから、今度は高橋さんに答えてもらいたいのだけれども、現在どうもずっと税の進捗率がちょっと低いようですが、私はそうでもないと思うのですね。要するに、毎年の二月までと三月の確定申告によって情勢がうんと変わりますからね。ですから、いまは一三%台の伸びだということのようでありますが、要するに、二月の終わりまでと三月で何%ぐらい例年は伸びておるのか。そういう例年の三月における増収の伸びを計算すれば、私は、ことしも一千億円を超える、実は七千三百四十億の上に足す当年度増収が残る、こう見ておるのですが、それをその後でひとつ用意をして答えてください。 それじゃ、主計局長からひとつ、五十五年度の剰余のあり方、出納閉鎖期における剰余金のあり方。
○松下政府委員 二月二十五日現在で、予備費につきましては使用済み額が千四百十三億円、残額が二千八十七億円でございます。今後どのような予備費の支出要因があらわれてまいるかという点につきましては、性格上大変に見積もりしがたいところでございますが、御参考までに過去の事例で申しますと、一月から三月までの間に使用された予備費というのは、年によりまして大差がございますが、一番小さな例は、五十四年度の二百二十一億円、大きな例で申しますと、五十年度の千五百八十億円というような例がございます。大体、健康保険の関係あるいは災害の関係等ございますので、ことしは大ざっぱに言えば大き目の年であろうかというふうに考えております。 それから、不用の額につきましては、最近時点での集計あるいは見通しということをいたしませんので、これも将来を見通すことは大変困難でございますけれども、過去の例で申しますと、小さな年で五十一年度の千四百十一億円、あるいは非常に大きな年で五十四年度の三千七百五十一億円というような例がございますが、本年度につきましては、当初の予算から一般歳出の伸びが五・一%と非常に抑制されておりましたことと、先般補正予算を組みます際に、相当不用につきましても細かく見積もりを立てまして、これを補正財源に回しましたので、本年度はこれは小さ目の方の年回りであろう、そういうふうに考えております。
○高橋(元)政府委員 一月はまだ日銀の窓口の状況からの推計でございますが、大体補正後予算額に対しまして六五・六程度が収納済みかと思います。あと幾ら入るかということでございますが、そのことを直接に申し上げるよりも、過去の一月末の収納割合を申し上げて比較していただきたいわけですが、六六%を切ったことは、実は昭和五十年しかないわけでございます。そのほかの年は、低いときで大体六六%、高いときで六八%でございますから、大体一ないし三%ぐらい収納状況が下がっておるというふうに御承知いただきたいと思います。
○堀委員 これはまだ五月の終わりでないとわかりませんことですから問題があるのですけれども、ひとつ総理、いまの予備費の残りあるいはその不用額、それから当年度増収の終わりはいま予測はむずかしいのでありますが、これらを含めて普通ならば出ただけを国債の減額に回してしまうわけですね。五十四年、五十五年、五十六年にわたってこれだけの所得税の意図せざる増税が行われておるという事態でございますので、五十六年度予算のことはこの次から始めるのですが、五十五年度の剰余金をこの際さっきのバランス感覚に基づいて調整措置に回すことを、これはまだなってみなければわかりませんし、金額をいまここで特定もできませんけれども、考え方としてこれをお考えいただきたいと考えるのですが、総理、いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来所得税の税制のあり方、特に給与所得税のあり方等につきまして貴重な御意見を伺いました。今後政府におきましてもこれを十分研究をいたしたい、勉強させたい、こう思っております。 それから、五十五年度の剰余金の問題でございますが、これは一部予備費の未使用の分であるとか若干あると思いますが、その他の税収の面につきまして補正後の状況、一月以降の状況等を見ておりますと必ずしも伸び率はよくない、むしろダウンをしておるというような傾向等もあるようでございます。そこで、これを総合的に勘案をして最終判断をしなければならないと思いますが、予備費等の剰余金が一千億とか出たからそれをもってどうということをいま私からお答えをする段階ではない、こう思っております。
○堀委員 総理、私は前段で政治姿勢とかいろいろな問題を伺ってまいりましたね。仮に金額は千億であっても、これだけ出たんだから、国民の皆さんにこれだけ所得税で協力していただいているんだから、ささやかではありますけれどもこの分は皆さんにお返しします、これが政治というものじゃないでしょうか。官僚答弁ならいま総理のおっしゃったことで私はおしまいにしますが、せっかく私も政治家として政治家である鈴木総理とこうやってお話し申し上げているわけでありますから、なってみなければわかりませんからいまお約束してくれとは言わないのですけれども、財源が出たときは前向きに考えてみようという御答弁くらいはあってしかるべきでは。ないかと思うのです。自民党の皆さんもいままでずっと私の話を聞いていただいて、その程度のこともやるなということは皆さんが政治家としておっしゃるとは私は思わないのです。だからこの国会の場で、議員みんなの総意として、それは幾ら出るかわかりません、あるいはマイナスになるかもしれませんが、マイナスになったって決算対策費というのを昭和五十二年に二千億積んでありますから問題はないのですが、私はそれを使えなんて言っているのではないのですけれども、ともかく出たものは、わずかでも真心で皆さんどうぞと言っていただいていいんじゃないかな、私はこう思います。渡辺さんは黙っていてください。あなたとはどうせ大蔵委員会でやるんだから、総理の政治家としての御判断をもう一遍伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 五十五年度の剰余金が出るか出ないか、出た場合については考えるべきではないか、こういう堀さんの御意見でございますが、私も何とかそういうことができればと思いますが、先ほど申し上げましたような状況でございまして、この剰余金を期待をするということは現段階では非常に困難である、私はこういう認識を実は持っておるわけでございます。出たらという仮定の上に立っての御議論でございますが、堀さんのお考え、お気持ちというのは私もよく理解ができるところでございます。
○堀委員 もう結構です。 そこで、今度はいよいよ五十六年度の問題に入らせていただきます。 政府の五十六年度経済見通しは五・三%、名目で九・一%、こうなっています。経済企画庁長官、これはどうでしょうか。一般的には当初見通したときよりも少し情勢が悪いんじゃないかという声もあります。 私の個人的な感覚をちょっと申し上げますと、私はここのところ、昭和五十四年から実はやや強気なんです。五十四年の経済見通し、政府六・三%、当時調整局長でございました宮崎経済企画庁の事務次官が私どものところへ一月にレクチュアに来ておられました。そのとき私は、宮崎さん、ことしはこの六・三%いけますよ、こういうふうに言いました。そうしたら宮崎さんが、いや民間はいずれも低くてそういう点で大変頭を抱えておるところですが、先生がそう言っていただいたので非常に意を得ました、こういう話でございました。実は経済見通しの実績としては六・〇ですが、実際には一兆円余りの公共事業の繰り越しをして結果は六・一くらいになったのじゃないが、こう思っておりましたが、大体そういうところに来ました。今度の五十五年度は、実は政府四・八、私は五・〇はいける、こう見ていたのです。私はまだ希望を捨てておりませんけれども、大体五・〇くらいいくんじゃないかと思っております。そういうことで、このごろ政府のあれに一番近いのは、私の考えているのがどうも一番近いようになってきたんです。一番高いのは、御承知の国民経済研究協会の竹中さんのところはいつも高いのですが、私は、強気に転ずるにはいろいろな理由がありますが、時間がありませんから言いませんけれども、そこでその四・八は、実際ここへ来て可能と思っておられるか、来年度の五・三はどうなのかを企画庁長官から聞かしていただきたいと思います。
○河本国務大臣 昨年の九月までの指標しか集まっておりませんが、九月までの指標ではおおむね達成できるであろう、こう思っておりました。第三・四半期の指標が近く出てまいりますので、それによって最終の判断をしなければなりませんが、おおむねいけるであろう、こういう感じはいたします。 ただ、こういう激動期でございますから、経済の事情がよくなったり悪くなったりいたしますので、悪くなった場合には適切な対策を立てませんと計画が達成できませんので、今後の経済運営の一番キーポイントは機動的に対処する、こういうことだと考えております。
○堀委員 そこで、いま機動的対処ということで、一つは金融政策だと思うのですが、きょうは総理もおいでになりますし、経済閣僚おそろいでございますから、総理、金融政策の問題で経済的にプラスであることを閣僚がおっしゃっていただくのは結構だと思うのです、経済的にプラスの方向なら。ところが、どうも私どもが客観的にその立場から見ておりますと、マイナスになる御発言も実はかなりあるのです。これは率直に言いましてあるのです。 そこで、総理、景気というのは景色の景という字と病気の気という字が書いてあるのです。病気というのは病という字と気が書いてある。私は医者でありますから、要するに病は気から、こういう言葉が昔からありますね。総理も御承知だと思うのです。ところが、景気もこの気が書いてあるということは、要するに景気も気から起こるのです。気が非常に影響するわけです。その気が影響することに対して政府の責任のある立場にある方が、要するに公定歩合をどうやったらいいとかこうやったらいいとか御発言がありますと、国民はそれを見ているわけです、日本の新聞というのは大変詳しく書きますから。おもしろいのは、日本の新聞というのは私かご仁で言ったことは余り記事にならないのですよ。皆さんが答弁したことだけが記事になる。だから私は計数については皆さんの方に必ず聞いているわけなんです。私がぺらぺらしゃべったって記事にならない。これは信頼性がないのですね。おかしい話ですね。最初に私が言った官僚の国、行政の国というのは、まさにマスコミを含めて浸透しているのです。もう少し皆さんも政治家を大切にしてくれ、官僚の言うことを信用するというだけでは日本の政治はよくならないということをちょっと申させていただきたいわけですけれどもね。 そこで総理、この際、こういう公定歩合を上げるべきとか下げるべきということは日本銀行が責任ある立場でやっておりますので——これは私も真剣な話です。日本経済をこれからどうしていくかというときに公定歩合が下がる。下がったらとたんに閣僚から、もう一段と下げるべきだ、こういう話が出ますと、ああもうじきまた下がるんなら、それならもうちょっと待って投資を延ばそう、住宅の金を借りるのを延ばそう……(発言する者あり)いや皆さんによく聞いておいてもらいたいのです。ですからそういうことが出ると、せっかく公定歩合を下げたのが実は役に立たないのです、気の問題ですから。この三閣僚以外にはこんなことをおっしゃる人はないのです。ですからきょうは、この三閣僚のいらっしゃる前でひとつ鈴木内閣が続く限りは公定歩合の問題は政府閣僚は発言しない、挙げて日本銀行に任せると一言御答弁いただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 堀さんからいろいろ御注意がございましたが、確かに政府の責任ある経済閣僚等の公定歩合の問題に触れての発言、それらしい発言というのは影響がございます。本来これは日銀当局が主体になる問題でございますから、さようなことのないように今後とも十分注意をいたします。
○堀委員 ありがとうございました。 計算ができましたか。計算ができていないならもうちょっと後でいいです。 そこで、(「自民党三役は」と呼ぶ者あり)それは無理だ、政党だから。私はここでしか言えないので、あなたは自民党だから、自民党三役もそういうことは言うな、閣僚も言わないんだから、というぐらいなことを、予算委員の皆さんの合議でひとつおっしゃってください。お願いします。 そこで、来年度経済見通しに関連して税収をちょっと伺いたいのでありますけれども、これまで税収というのは経済見通しをベースにつくるんだ、こういうふうに実は言っているんですが、大蔵大臣、そうですかね。経済見通しと税収見込みとは関係ありますか。
○渡辺国務大臣 関係はございます。
○堀委員 五十五年と五十六年を見てみたのですが、給与所得についての見込みは五十五年度当初五兆九千六百五十億円、前年度実績見込みの九%増、こうなっています。五十六年度当初は七兆一千七百五十億円、これがまた同じように前年度実績見込みの九%増となっています。五十五年と五十六年と同じなんです。経済見通しは大分違うのですね。四・八と五・三と〇・五も実質は違うし、名目も違う。卸売物価も五十五年度は当初が九・三と六・四。それはこの間の実績見込みで卸売物価が一四・〇と七・三%になりました。五十六年は卸売物価四・一、消費者物価五・五だ。名目では、当初が五十六年度は九・一、五十五年度は九・四なんです。ずいぶんいろいろ違うのです。しかし、給与所得の見積もりだけは同じ九%程度というのが二つ並んでいる。実際これは関係があるのかないのか。私もちょっと見ておかしいなと思った。何しろ九%伸ばしておけば間違いがないということなのかどうか。だから、大臣はどう思われますか。これは私はちょっとおかしいなと思っている。関係ないとは私も言いませんがね。
○渡辺国務大臣 税収の見込みは景気の見通しだけではございません。実際の税の収納状況とかあるいはいろいろな要素をとりまして、専門家がいろいろなデータで積算をしてくるわけです。私が直接やるわけではございませんから、専門家の方に答弁をさせます。
○高橋(元)政府委員 いまお話しの五十五年度の当初の給与所得の伸びでございますが、それは経済見通しに上りますと、八・七%を丸めて九%と表現をいたしております。大体毎年丸めてやっております。五十六年度も同じように九・二%を丸めて九%と表現しておるわけであります。 それから卸売物価がかなり違うではないか、それに基づいてどうして両年度の法人税等が同じになるかということでございますが、これも御案内のように、卸売物価と鉱工業生産をそれぞれ法人の決算期別に分けまして、各期のサイクルを想定いたしましてはじきますので、課税上の鉱工業生産とか課税上の卸売物価を出すわけでございます。それを掛けまして、あとは経常利益率の変化率を求めてそれを全部掛けまして法人税の見込みを出します。そういうことで、表面に出てまいります経済見通しの直接のそれらのデータと税収の見積もりに使います指標とは必ずしも一致いたしませんが、そこは全体としては合うような形で推計を進めておるわけでございます。
○堀委員 ちょっと企画庁に聞きますが、いま国民所得の中の雇用者所得が一%違うというのは、金額で大体どのぐらいになりますか。いま高橋さんの話だと八・七と九・二ですね。片方は〇・三まとめる、片方は九・二、上に出ているのをまとめる、そして九%程度。〇・五%の差を同じにしてあるわけだが、雇用者所得の伸び率一%は幾らになるか。
○井川政府委員 五十五年度の雇用者所得の実績見通しでございますけれども、これが百三十兆余ということになります。したがいまして、一%違いますと一兆三千億ということになるわけでございます。
○堀委員 いまの〇・五%違うということは六千五百億円違うのですね。これは大ざっぱな話です。だから、さっき説明がありました五十四年度に補正財源一兆九千億が出るなんということが起こるのは、率直に言いましていかに税収見積もりがずさんなものかということをあらわしているわけです。 そこで経済企画庁長官、実は五十六年度経済で皆さんもわれわれもひとつがんばって、政府見通しのような五・三%の実績にしたいと思うのですが、その実績にするためには大事なことが幾つかある。 その一つは、今度の政府の見通しも、いま私が五・二と言っている見通しも、要するに個人消費に大きく依拠しているわけです。ウエートが高いという。ことですからね。この個人消費に依拠して、これが伸びない限り、実は五十六年度経済はうまくいかないのです。 そこで、私はこの間政審会長に、労働組合関係の皆さんにお願いをしてください、ともかく今度の春闘でがんばって、ひとつ賃金を少し取ってください、日本は生産性の枠の中といっているけれども、その生産性の枠に届くどころか低いベースアップにしかなっていないから、春闘で皆さんがんばって、ともかく生産性の枠を超えない範囲で精いっぱい取ってください、これが第一で、二番目は、取ったら、これもひとつナショナルセンターに言ってください、あれを取っただけではだめだ、ひとつ消費運動をやってください、ぜいたくはいけませんけれども、ともかく貯金するだけが能じゃないのだ、お互いの暮らしをよくし、雇用条件をよくするためには、もらったら、もらった幾らかを使う運動を頼みますよ、こう言って私は頼んでいる。ひとつそれも労働団体に言ってください。そうしてこの人たちが音頭をとって、要るものは買おう、不要なものは買ってはいけませんが、要るものはがまんしないで少し買おうじゃないか、貯蓄するだけが能じゃない、使いましょう、そうすれば個人消費はふえてくるから経済はよくなりますね。当然そこで当年度増収が出てくると思うのです。渡辺大蔵大臣、現在五十六年度当年度増収はあると思いますか、ないと思いますか、ちょっとあなた答えてください。
○渡辺国務大臣 これは五十五年対五十六年度の自然増収について幾らあるかということでも論争があって、その中で当年度増収と言われましても、これは神様でない限りはっきりしたことはわからぬですよ。
○堀委員 総理、いまの答弁で私は誠意を欠いている部分が一つあると思うのです。それはどこかと言いますと、当年度増収があると考えるのならあそこまで増税しちゃいけないのです。要するに自然増収、それといまの増税でこの予算がいける、こうなっているのですから、当年度増収はゼロという前提で増税は考えられていると見なければいけないのです。だから私は、大蔵大臣は現在は当年度増はないと考えていますと答えるのが誠実な答弁だと思うのですよ。これから千億も二千億も当年度増収があるのに国民から税金だけ取ればいいという話じゃ、私がさっきから言っていることと論理がつながらない。よろしゅうございますか。だから少なくとも当年度増がないという前提でいまの増税が組まれているのだから、当年度増があったときはどうするかと言えば、この分はまず優先をして、さっきから私がるる申し上げている、いまから金額をここで事務当局から言ってもらいますが、それの幾分かをまず優先して補正財源に回す前に物価の調整のために回すというのが、これが政治というものだ、私はこう考えているわけです。一兆三千八百億ですかの増税をしてそれでなおかつ当然増が出るように、国民みんなでがんばってひとつ国の経済をよくしましょう。われわれもわれわれに見合って皆さんの協力を得てやっておるわけですから、皆さんの方もそれにこたえる姿勢がなければ、私が前段で総理と政治姿勢なり公平の問題なり納得の問題なりいろいろ論じたことが実が結ばないと思うのです。だからこれはまだなってみなければわかりません。十二月になれば来年度予算を組むことになると同時に補正の問題も出るでしょう。そのときには、補正財源に組む前にいまわが党が要求しております四千五百億を、それはそのときの税収によりましょうから何が何でもやれという話にはならぬと思いますよ。やはりこれは道理のかなった話をわが党の政審会長もするだろうと思いますが、その時点で、まず補正財源に組む前に一定のものを国民に還元するということをいま総理が国民の皆さんに答えていただくならば、国民はそうか、それならひとつがんばって働いて、そうして春闘もがんばってとって、しっかり使って、日本経済を大きくして、大きくした中で税金もそれじゃ少し返してもらおうか、こうなると思うのです。これが私は政治というものだと思うのですよ。行政なら、いやそれは補正予算が先です、いや何がどうです、こうなるでしょう。行政というのは計数その他のものが優先する。われわれは血の通った人間同士ですから、政治家同士として心の問題を踏まえて、総理の御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 五十六年度の当年度の自然増収、これがあるかないか。今度の予算編成に当たりましては、歳出につきましても、また特殊法人その他を含めて歳入の面につきましても相当厳しい見直しの上に立って予算編成がなされておるわけでございます。したがいましていまから当年度の自然増が期待できるようなそういうものではない、非常に厳しい内容のものだ、私はこのように考えておるわけでございます。 今後におきまして春闘がどうなるのか、これは民間の企業と労使の間で話し合いによって決まる問題でございますし、そのベースアップがなされた場合に健全な消費ということを私ども期待いたしておりますが、それが今後の経済の動向にどのような寄与をするのか、そういう点もまだ定かでございません。私どもは今後の財政、経済の推移というものを総合的に判断した上でいろいろ措置を考えていきたい、こう思っております。
○堀委員 主税局長、ひとつ答弁してください。
○高橋(元)政府委員 大変遅くなりまして恐縮いたしました。先ほどお答え申し上げました数字は相互にかなり重複をいたしております。 そこで、五十四年度当初予算に対して五十六年の所得税の予算がどれだけふえたかということで申し上げますと、全体の税収九兆八百八十億の中で四兆六千七百四十億円でございます。その中を分けまして、給与にかかる源泉所得税の増が二兆一千九百六十億円、その他の源泉所得税の増が一兆三千二百二十億円、それから申告所得税の増が一兆一千五百六十億円であります。 一言づけ加えさせていただきますと、先ほど私が御説明申し上げましたときに給与の見込みを九%と丸めてあると申しましたのは、租税及び印紙収入の見積もりの中の表現として丸めてあると申し上げたのでございまして、八・七%のときは八・七、九・二%のときは九・一として計算をいたしております。
○堀委員 総理、いま正確な数字をお聞きいただいたと思いますが、大変巨額な増収がいまの制度の結果もたらされておる。私はこれを意図せざる増税、単なる増収ではない、こう考えておりますので、二時間にわたって税にしぼっていろいろと私の考えも聞いていただきまして、鈴木総理との中には共通点を多く見出すことができたことは私はきょうの質問をして大変うれしく思います。総理は前段でお約束をいただいた政治姿勢、さらにはその他の対応をひとつ十分しっかり踏まえて、これからも日本の政治のために献身されんことを望んで、私の質問を終わります。
○小山委員長 これにて堀君の質疑は終了いたしました。 午後二時三十分より再開することとし、休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。正木良明君。
○正木委員 前回、総括質疑で、減税問題でいろいろ政府の御意向というものをただしましたが、きょうはそれに引き続いてという形で、なおかつ、午前中質問がございました社会党の堀委員の非常に詳細をきわめた、説得力のある質疑や御意見、これとできるだけ重複しないように、これまた、その後を追うという形で質問をしたいと思います。 それで、この昭和五十六年度の予算の審議に当たって、ようやく各党の修正の骨子というものが出そろったわけでございますが、その中でやはり一致いたしておりますのが、減税と物価というものがきわめて重点的に取り上げられているということであります。そういう意味から申しまして、なぜわれわれが所得税減税ないしは物価の安定というものが必要であるかということ、これはまあ総理以下閣僚の皆さん方もよく御存じのとおりであろうと思いますが、少なくとも今後のわが国の経済運営が正しい循環になるか、プラスの循環になるか、悪循環、マイナスの循環になるか、実は昭和五十六年度予算というのはその岐路に立っているような気がするわけでございます。その選択の岐路に立っている中で非常に重要な柱の一つには、やはり所得税減税というものがあると思うわけであります。 それはもう多くを申し上げなくてもおわかりのように、最も主要な政策目標であるところの物価の安定というものと、勤労者の所得税減税というものときわめて重要な関連があるということであります。したがって、言葉をかえて申し上げますと、勤労者の実質所得の保障というものが非常に重要な政策になってまいりますし、それが物価の安定にひいてはつながっていくと思うのです。これは私はこのように思いますので、御批判があればその御意見を承りたいと思いますが、悪循環の典型的な例としてこういうことが予想できるのじゃないでしょうか。 要するに、五十六年度予算において所得税減税が行われない、それは、先ほどの堀さんの質問の中にもありましたように、実質的な増税につながってきているわけですね。これが物価の上昇とともに大きく勤労者の実質所得の低下につながっている。これは労働大臣から答弁がありましたように、実質所得は〇・九%低下しておるということが言われているわけであります。そうなりますと、昭和五十六年の春闘においては、もうすでにその気構えがはっきり出ておりますけれども、各労働組合は、大幅の賃上げということで実質所得の低下をカバーしようといましております。 もし仮にこのことが、労使の交渉にまつべきではありますけれども、大幅賃上げというのが実現した。そうすると、当然これは企業の収益の低下につながってくる。そうすると、企業は当然、その収益を正常に戻すために製品の値上げという挙に出てくる。これはすなわち物価の上昇につながってくる。これはさらに勤労者の実質所得の低下というものを倍加してくる。同時に購買力が減る。不況が来る。そうすると政府の税収が減ってくる。それを補うためにまた増税しなければいかぬ、少なくとも減税はできないという状況が起こってくる。この悪循環というものが、昭和五十六年度予算の今後のいかんにかかって、悪循環になるか正循環にしていくかの違いになってくるんじゃないかと思うのです。 したがって、この私が申し上げた悪循環の典型例を、実は少なくとも昭和五十五年度春闘において労働者がきわめて良識的な行動において賃上げを抑制してきた、しかも大きな犠牲を払っているということがいま事実明らかになったわけでありますから、そういう問題から言いますと、しかもこれは不公平が存在しているわけでありますから、ある程度減税という措置を行って、そうして大幅賃上げというものをまた良識的な賃上げの程度に抑えるという形で正循環へ持っていくべきであろうかと私は思うのでありますが、総理、どうですか、私のこういう考え方、間違っていますか。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、五十六年度はわが国経済の今後にとりまして非常に徴しい、むずかしい時期だと私も認識をいたしております。国債経済全体がインフレと不況と失業、いろいろな問題を抱えております。国際収支のアンバランス、また特に非産油発展途上国等における深刻な経済事情、こういうものを考えまして、その中において日本の経済を今後どういうぐあいに持っていくかということは、大変むずかしい場面であるわけでございます。そういう中で、政府の財政も非常に苦しい。企業もまた、だんだん苦しい状況になりつつある。特に中小企業。さらに勤労者の諸君も、いま御指摘があったような状況下でございます。こういう中で、お互いに苦しさに耐え、ある程度のがまんをし、協力をして、この困難な事態を打開をし、そして安定経済の路線に定着をさせる、そういうことがきわめて大事だ、こう考えておるわけでございます。 御指摘の点も私、非常に痛いほどよくわかるわけでございますが、総合的な判断からいたしまして、調整減税というようなことはいま非常にむずかしい、こういうことを申し上げざるを得ないのでございます。
○正木委員 これはもう午前中の武部委員の質問の中にあって、六・四%の当初の五十五年の消費者物価指数の上昇というものは守り切ることができなかった、その政府の責任ということで武部さんが追及なさったわけでありますけれども、そのときに河本長官は、イラン・イラク戦争の発生だとかことしの冷夏の異常気象であるとか、こういう当初予測のできなかったような事態が発生して、そのために見通しどおりいかなかったのだという御答弁があったわけです。 それに対しての責任論が武部さんから展開されましたけれども、これは明確にどう責任をとるというようなお答えがなかったようでございますが、私は百歩譲って、それは確かに五十五年当初においてはイラン・イラク戦争によるところの石油の値上がりであるとか、また夏には異常気象、冷たい夏が来るなどということはわからなかったから、的中しなかったのは、守り切ることができなかったのは無理はないと認めるとしても、少なくともその責任のとり方というのは、結果としてはそういう状況が出てきて、六・四%が守り切ることができなくて七%程度、この間の質疑を聞いておりますと大体七・五%ぐらいまでを七%程度と言うらしいが、これでおさまるかどうか、私はおさまらないのじゃないかと思っていますが、少なくともそういう状況になった。しかし、勤労者は、六・四%の消費者物価上昇というものを守り切りますという再三の政府の答弁によって、あの賃上げを自制し、良識的行動をとったということになりますと、生まれてきた結果についてはやはり責任をとらなければいかぬ。そのためには、当初の見通しはそれはできなかったと百歩譲って認めたとしても、結果においてはやはり何らかの具体的な方途を講じることが、責任をとったことになるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。 そのためには、今後物価の安定を志していきますということも一つではあるかもわかりませんけれども、しかし、それは決して具体的ではないし、自分たちが身を切ってまで低い賃上げでしんぼうした、その勤労者の誠意というものに対して、犠牲というものに対して、具体的に何らかの報い方をしなければならぬと思うのですが、そういう意味から言って私は、このきわめて不公平であるところの実質増税が大きく実質所得の低下にのしかかっているという状況の中では、減税というものは、その責任をとるという立場からもやはりやらなければならぬのじゃないかと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 物価の問題は、日本だけでなくて、実は世界じゅうの問題でございます。日本は幸いにして二けたではなくて、七%台で何とか落ちつきそうだ。去年の一年間の実質所得が〇・九減ったじゃないか、私はそれは全く認めないというのじゃないのです。認めておるのです。認めておるわけでございますが、日本は物価の騰貴の仕方あるいはまた失業率その他の問題におきましても、他の諸外国よりはすぐれておるわけです。ただ、財政事情だけがずば抜けて非常に悪い状態になっておる。このことが国民経済に大きく影響を及ぼすという状況になっておって、国債の発行額を少なくしていくことが最優先課題だ、そのことが国民全体の経済にプラスになるというように考えておるものですから、今回はともかく調整減税は御容赦をいただきたいということを申し上げておるわけでございます。
○正木委員 それはしかし、大蔵大臣、お話が違いますよ。要するに、戦争や異常気象によって見通しが当たらなかったということの言いわけにはなるでしょう。外国だってどんどん上がっているじゃありませんかと、それは言いわけになるかもわかりませんけれども、少なくとも六・四%を守りますという約束を労働者にして、その範囲内におけるところの賃上げに自制させて、そして結果はそうでなかったから、よそが上がっているのを、うちの上がり方の方が小さいのだからしんぼうしろというのは、これは私は責任回避だと思いますね。絶対にけがはさせませんという約束をした、しかしよその国は大けがをさせてしまった、日本の方は小さいけがで済んだ、だから大きいけがに比べれば小さいけがで済んだんじゃありませんかと言いわけしているのと同じであって、けがをさせないという約束をしたのにけがをさせたことの責任というのは残るのです。これは何らかで補わなければならぬし、償わなければならぬ。
○渡辺国務大臣 これは見通しのことでございますから、なかなか……(正木委員「見通しが誤ったことは認めると言うのだよ。結果的にどう責任をとるかということだ」と呼ぶ)だから、この見通しについては、先ほども河本長官から話があったように、いろいろな諸事情があって、日本以上にほかの国は狂いが出てしまったわけですよ。だから、その中で責任がないというわけじゃございませんが、なかなか予見しがたい問題でございますから、これはまあひとつほかと比べて何ですから御容赦を願いたいということを申し上げているわけです。
○正木委員 いや、私は非常に危惧を抱きますのは、こういう状況の中で、ことしの春闘というのはどういう形をとってくるかということです。それが冒頭申し上げたような悪循環に入り込む。大幅賃上げ、コストプッシュという形に入っていくかもしれない、そのことがこわいからです。それは大蔵大臣だけの責任ではなくて、そのしわ寄せは全国民が受けなければならぬ、それを私は心配するからそのように申し上げているのです。これで十五分もとったのではどうしようもないな。これはよく覚えておいてくださいよ。私は横車を押しているつもりは毛頭ありません。 そこで、この前の続きになりますが、結果的には財源があればということになるのです。大蔵大臣と私との質疑応答の中では、財源があればということになるのです。そうなったのですよ。したがって、どうしても必要な財源というものは私は相当あると思うのです。この前、私はこの委員会で、四年連続の所得税減税見送りが、サラリーマンの納税人員で六百二万人ふえた、五十六年度の一人当たりの納税額が二十一万二千円になった、このことを示しましたね。そのことは大蔵省もお認めになったわけです。しかし、これは単純に計算いたしますと、八百二万人に二十一万二千円を掛けますと、一兆一千七百六十二億円、これは五十二年度に比べたら増税構造としてはこれだけは増収にはっきりなる。同じく法人税も、この四年間で、五十六年度のみ初年度分で見ても、税制改正で一兆二千五百十億円の増税構造がつくられている。また間接税その他でも、この四年間で、一兆五千六百八十億円の増税構造がつくられている、こう見でもいいと私は思うのですが、どうですか。
○高橋(元)政府委員 五十四年の源泉徴収給与所得分でございますが、一人当たりの課税額が十六万六千円でございまして、その後給与の伸びに従って、五十六年度予算に見積もっております分では二十一万一千円になっておるわけでございます。それから、それ以外の税目につきまして、いまお話しのように、これは五十一年度以来そうでございますけれども、間接税それから法人税、それから物によりましては所得税につきまして増税措置を図っておることは、いまお話しのとおりであります。
○正木委員 それはもう完全に組み込まれているということですね。しかも、こういう構造的な増税の上に税収弾性値の著しい伸びがあるのです。これも大蔵省の資料ですけれども、五十二年度の一般会計分の税収弾性値は一・二二ですけれども、五十四年度は一・九二にはね上がっております。これは細かく言うと、五十二年度と五十四年度を比較すると、所得税が一・四一から二・二八、法人税が一・二〇から一・八三、間接税が〇・七一から一六五というふうにふえているわけですね。 五十四年度の税収弾性値が一・九二になっているのは、GNPのデフレーター等の関係で高くなったということは私は認めます。しかし、少なくとも大蔵省の見通しでも五十五年度及び五十六年度の税収見通しは一・五程度と言われている。五十二年度の一・一三から見れば三二・七%弾性値が向上したということになる。つまり、先ほど述べた所得税、法人税、間接税、それぞれ一兆円をはるかに上回る増税構造に名目GNPを掛け、さらに向上した税収弾性値を乗じた分の税収が伸びるということは、もうビルトインされていると見なければなりません。したがって、今後は政府が経済並びに財政運営のかじ取りをきちんとしてやれば、税の自然増収は大変なものになるし、まあこれは後ほど抱き合わせ論で入ってまいりますけれども、消費税なんということは考える必要はないし、同時にまた所得税減税ができるというふうに私は考えるのです。 さらに財源探してまいりますと、たとえばたばこ代の値上げ、これは法定緩和をいたしまして三〇%までなら大蔵省の一存でできるようになった。これはたばこの値上げしろというのじゃありませんけれども、こういう方法がある。前回の値上げは平均二〇%で二千億円強、さらにこれも堀さんが質問されて確認されましたけれども、五十九年一月一日からグリーンカード制度が導入され、利子配当所得を総合課税することになっておりますが、これは政府試算によっても、そのうち増収額は、五十六年度の税で考えても国税だけで七百十億円、グリーンカード制度を実施するということで七百十億円、利子配当所得の増収がある。これらも、これは五十九年ではありますけれども、今後財源化される。そういう形で、見通しから言うと、今後の税収というものについては、もうそれこそ、われわれが想像以上の税収があると見てよろしいと思うのです。 したがって、少なくとも五十六年度、われわれは四千五百億円程度。要するに夫婦子供二人、いわゆる標準世帯で課税最低限を二百二十万円まで引き上げる。大体四千五、六百億要るでしょう。その所得税減税というものをぜひ実現してもらいたいと考えているわけなんです。したがって私は、この前の議論の、途中で切れてしまいましたけれども、矢野質問を通じてでも、五十六年度においてはその四千五百億円の減税をやる財源は確かにある、このように考えているわけなんですが、どうですか大蔵大臣、財源あるかどうか。
○高橋(元)政府委員 いまの国税の税制の構造を申し上げますと、四割が所得税でございます。三割が法人税、三割が間接税でございますが、最近の傾向からいたしますと、酒税、物品税、揮発油税といった間接税の伸びはほとんど見込めないということだと思います。そうなりますと、七割を占めております所得税と法人税が幾ら伸びるかということでございますけれども、法人税は比例税でございますから、売り上げと利益の伸びる割合が二割ということはちょっと考えられないと思います。仮に、所得税、法人税合わせて二割伸びたとしても、税制としては一四%ぐらいの伸びる力しかない、それがリミットだということだと思います。 それは石油ショック後の経験に照らしても同様でございまして、昭和五十四年度の国税の伸びは一四・四%でございまして、これが一番高いわけでございます。五十五年度は補正後で一二・一、五十六年度の予算では一三・七というのを見込んでおりますから、いまお話しのように、弾性値が最近一・五であるということは、これはたまたま利子所得の伸びが非常に大きいわけでございますから、その分を差し引いて今後それが平準化していくことを考えますと、傾向的にそれほど大きいものが望めない。したがって、お話しのように十数%ずつ毎年毎年国税の収入が自然増収として伸びていくということは、私どもは、現在の税制とこれから予想されます経済を前提といたします限り、非常に考えにくいということを申し上げたいと思います。
○渡辺国務大臣 税収の見積もりについては、専門家がいろいろな立場から手分けをしましてこれは積み上げて計算しているわけです。したがって私は、やはりその意見を尊重しておるということであって、私が当てずっぽうに物を言うわけにはいかないわけでありまして、私は主税局長の説明が穏当なものと判断をしておるわけでございます。
○正木委員 だって、全部、外れているじゃありませんか。それは堀さんも御指摘になったように、年度中の増収分というのが従来ずっと出ているじゃありませんか。それは古いところじゃない、この二、三年。ということは、少なくとも低目に低目に見積もっている、いわゆる過小見積もりをしているということが歴然としているわけなんですね。ですから、そういう意味から言えば、何でも任せるのではなくて、大蔵大臣は、そういう意味においては自然増収というものが従来の例から見ても、五十六年度にはもっとあるのじゃないかということをやはりおっしゃっていただかなければいけないと私は思いますよ。そういう点、われわれが綿密に計算をして、われわれはわれわれなりの、従来の例を引き当てながら、いわゆる自然増収分というのを五十六年度にそれだけ見込んで、そうしてそれが所得税減税に回せる財源として十分できるのであるというふうに考えているわけです。 したがって、この問題はいまいろいろ議論したって、もっととっくり時間をかけなければいかぬかもわかりませんから、確認をいたしておきますが、減税はあくまでも政策的決断であるとおっしゃった前回のお考えというものには間違いありませんね。
○渡辺国務大臣 いろいろな諸条件を考えて、減税とか増税とかというものは政策的決断でございます。
○正木委員 ちょっと物価の問題に入れそうにないから、公取委員長、忙しいのに、いいです。これは減税で終わりますよ、あと半時間しかありませんから。わざわざ来てもらって悪いけれども……。農林大臣も結構です。済みません。恐らくこれは、物価の問題に入れません。 そこで申し上げたいことは、これは五十七年度なんだけれども、所得税減税と大型消費税の創設というのを抱き合わせにするようなニュアンスの話を政策推進労組会議になさった。そのことが——通産大臣もいいわ、減税だけで、ちょっと物価の方へ入れませんから。済みません。忙しいのに気の毒だ。総理は済みませんけれども、残ってください。 そこで、このやり方が最もまずいということをいまからちょっと警告をしておきたいのです。いわゆる大型消費税を導入するということ、しかも所得税減税をやるから大型消費税を導入するというやり方は非常にまずいと私は考えているので、そのことをひとつ大蔵大臣にもよくわかっておいていただきたいし、総理大臣にもわかっておいていただきたいのです。大型消費税というものは、全くかけらもないぐらい断念したんじゃないでしょう、頭の中にあるでしょう、どうですか。どういう名前であろうと、そういう大型消費税的間接税の導入ということは、ここから先も考えてないということじゃないでしょう。
○渡辺国務大臣 これは物の考え方でございまして、要するに所得税とか法人税というような直接税が日本は非常に大きな割合を占めておるわけです。ところがヨーロッパの諸国などは、アメリカは別ですが、大体半々とか、あるいは間接税の方が多いというフランスのような国もございます。日本の場合は七、三ぐらいになっていますかね、大ざっぱに言って。間接税の割合というものが少ない。したがって、これは物の考え方だけれども、もう少し間接税の割合をふやしてもいいんじゃないかという議論があるわけです。そうすれば、所得税とか法人税の割合が、特に所得税でしょうが、多少少なくなっても、間接税の割合が多くなって税収が賄えるというのならば、そういうことも一つの考え方かもしれない。いろいろなことは決まったわけでも何でもないのであって、こういうような議会の場を通して皆さんからいろいろな御議論をいただいて、最終的にはそれを土台にして政策を考えるわけです。 ただ、税制調査会が、今後歳出の八〇%を租税で賄うということになると、とても自然増収だけではやっていけないんじゃないか、その際にやはり一つの方法として、非常に消費の幅の広いものに着目した税の議論というものも避けて通れないのじゃないかという提言をいたしておりますので、私どもとしても、そういうものは、何かうまい、合理的で税収が確保されるものはないかということで研究をしないわけにはいくまい、こういうことを言っているわけでございます。
○正木委員 ですから、これは私は別に一般消費税、大衆消費税、大型消費税、どんな名称であろうと、そういうものを導入することに賛成ではなくて、むしろ反対の立場でいるのですが、いまおっしゃったとおり、広く消費に着目した間接税の創設の問題については、税調から答申があるわけですね。しかもその答申の中で、国民総生産の二%程度ということを言っていますね。これは二%程度だということになってくると、五十六年度で見ますと、名目GNP二百六十四兆八千億円、これの二%だと五兆三千億円になる。七カ年計画で見てまいりますと、六十年度では八兆三億円になる。これから具体的な問題については諮問をなさるのだろうと思いますが、広く消費に着目した間接税については諮問するでしょう、詳しい内容を。新しく諮問しないでも、そのまままた税調から出てくるんですか。
○高橋(元)政府委員 昨年十一月の税制調査会の中期答申の中で、いまお話しのように、今後、非常に大きな財政ギャップがあるわけでございますから、一般会計の歳出の八割を五十九年までに税収によって支えるという構造に持っていきますためには、自然増収だけでは無理である、したがって、所得税、法人税、それから課税ベースの広い間接税、この三つのことを検討の俎上にのせたわけでございます。 所得税につきましては、執行上の問題もある、それから税負担水準の引き上げと公平との関連もある、そういうことからこれはなかなか問題があるということでございますが、法人税につきましては、法人税が小さいために、それだけで財政再建をするわけにはいかない。そこで、課税ベースの広い間接税については避けて通れない検討課題だということになっております。 その答申を受けまして、五十六年度の税制改正の答申の際にも、なるべく早い時期に今後の税制のあり方について、所得税それから間接税、「幅広い観点から研究を重ねていくべきものと考える。」という答申をいただいております。 それに基づいて今後どう展開をしていくかということにつきましては、その後税制調査会は開かれておりませんし、当面、いつから開始するかという具体的なめども立っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、今後の課題であることは確かであります。
○正木委員 そうでしょう。そう答えるだろうと思ったから、大体考えられることを考えてきたんですがね。 たとえば、直間比率の是正論的なもので考えると、GNPの二%相当五兆円の増税をして、それに見合う所得税減税をするとか、二番目には、財源確保論的に言うならば、つまり現在の政府の増税キャンペーン的なものでは、五兆円の増税をして、若干の所得税減税、つまり、これまで自民党政府がやってきたやり方、ある種の減税施し論的な方法と言えるかもわかりません。三番目は、大蔵省は大体これを選ぶのではないかと私は思うのですが、芽出し論的なもの、芽をちょっと出すというやつ、税率は極力抑えて課税体系だけスタートさせる、そうして初年度はどちらかというとやや減税額の方、所得税減税の方を多くして、そして増税額を上回る、しかし次年度以降は税率のみのアップや課税対象の拡大で増税を図っていく、大体大蔵省が選びそうなものです。いわば一番目が学問的、二番目が政治的、三番目が大蔵省的と言ってもいいかもわかりませんが、こういう方法があるのではないかと思われます。これを聞いても、仮定のことにはお答えできませんと言うかもわかりませんが。そこで、こういう抱き合わせの問題ですが、イギリスではサッチャー政権が一九七九年から、所得税減税と付加価値税の税率引き上げ中心のいわゆる抱き合わせ減税というのをやったのです。大蔵省はこの結果についてどんな評価をしていますか、大臣。
○渡辺国務大臣 私どもとしては、特別にそれをお手本にするとかそういうことは考えておりませんが、やはりそういうあり方もあるのかなと、こう思っただけであります。 ただ、私としては、今後社会福祉というのは、老齢化社会になりますから、これは着実にふえるんですね。そのときに、やはり税調が言うように、景気のいいときは財源があるからまあいい、景気が悪くなったら財源がないから社会保障をまた縮める、そういうようなやり方はいかがなものか、やはり景気、不景気にかかわらず、ある程度の安定した税収というものが今後、社会保障の維持というためにはどうしても必要なのではないかという気もしておるわけであります。しかし、こういうものはやはり国民の代表である国会の皆さんの御了解を得られなければだめなわけでありますから、極力皆さんとこういう場を通して議論をいたしながら、それからどういうふうにしていくかは今後考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
○正木委員 実はこれは実に巧妙な言い方であって、議会を尊重されることは非常に結構なんですけれども、要するに、野党の意見と言わないところがみそなんです。(渡辺国務大臣「国会全体です」と呼ぶ)国会全体というのは、絶対多数の自民党、あなた方は、総理大臣がさあと言えばついてくるのですから。ですから、国会の御意見を、国会の御意見をとおっしゃっているが、実際は、尊重してもらわなければならぬのは、少数意見であるかもわからぬが野党の意見を十分に尊重する、野党の納得なしにそれはやりませんということを言ってもらわぬと、われわれはとてものことじゃないが安心できません。だから、いかにも国会を尊重なさる、その姿勢は私はきわめて高く評価しますけれども、そこにはすりかえが行われているということ、これを言ったって、これでまた時間を食ってしまいますから……(「私は消費税は反対しているんだよ」と呼ぶ者あり)そうですか、それはありがとうございます。 ところが、これは本当を言えば、大蔵省の調査月報の中にも全部出ているのですが、恐らく大臣はそんなものを読む時間はないだろうと思うのであれなんですが、これは大失敗なんです。時間がありましたら事細かく順序を立てて納得できるように言おうと思ったけれども、このためにイギリスはひどいことになっているのです。 内容は、所得税中心の直接税の減税が初年度三十五億ポンド、平年度四十二億五千万ポンド、付加価値税の約二倍の引き上げを中心にして間接税の増税が、初年度二十五億ポンド、平年度四十七億五千万ポンド、こういうふうになっているのです。これはイギリスの大蔵省の発表にもこのことが出ているわけでございます。 この結果、どういうことになったか。これは一九七九年の導入ですが、サッチャー政権がスタートしたのが一九七九年の七−九月期に当たるのですが、それと一年経過した一九八〇年、去年の七−九月期と比較いたしますと、鉱工業生産指数では対前年同月比で、七九年の七−九月期は、七月が三・五、八月が〇・三の伸び、ところが九月には〇・三のマイナスです。八〇年の七−九月期は、七月ではマイナス九・一、八月はマイナス八・五、そして九月はマイナス八・穴と、まさに不振をきわめておるのです。失業率は、実数で七九年の七−九月期は、七、八、九と続けて言いますが、五・九、五・九、五・六。一年たって八〇年には、七月には七・七になった、八月には八・一になった、そして九月には八・三になった、これは戦後最悪と言われる失業率です。小売の売上高も、数量で言うと七九年の七月がマイナス二・二、これは八〇年の七月はふえているのですがわずかに〇・八、八月はマイナス一・七、これがマイナス〇・七、こういうふうに依然として低迷している。中でも顕著なのは消費者物価の高騰でございまして、七九年の四−六月期と八〇年の四−六月期を比べてみますと、一〇・一が一六・九、一〇・三が一六・三、一一・四が一五・九と、大体一六%台の消費者物価の伸びになっているのです。 イギリスのことは余り詳しくないかもわかりませんけれども、そっちのお役人さんでもいいから、こういう不振の原因は何だと思いますか。
○渡辺国務大臣 いろいろ考えられますが、私としては、消費税の問題ということよりももっと本質的な問題ではないか。たとえば、いわゆる英国病と言われることですね。あそこの場合は非常に経済が停滞しておって、自律的な景気上昇機運にないというようなところの中で大幅な賃上げが行われて、物価上昇よりも確かに高く上げた。二〇%ぐらいの賃上げをしたときもあるわけですから、それは生産性の向上をはるかに超える。そういうものが結局物価にはね返って、悪循環というようなことになってきたわけです。一方は、財政も非常に悪いところへ社会保障というようなことも、非常に手厚くやるのは結構だが、それによって一層財政を悪くしてしまった。そこに石油価格の上昇という問題がまた別にある。こういうような幾つものいろいろなものが絡み合って、日本の労働組合と違って長期のストライキを何カ月とかというのをやるわけですから、そういうものもやはり自縄自縛になったということではないか。私は、やはり原因は一つではなくて、幾つも幾つも重なってそういう結果になったのではないか。サッチャーはそれに気づいて、むしろ、そういうような体質から脱却するということで次々に手を打っておるというふうに分析といいますか、私はそういうふうに見ております。
○正木委員 英国病を加速したということです。私は、全く大型消費税だけが、いわゆる付加価値税だけがイギリスの命取りになったとは思っていません。しかし、大蔵大臣、石油の問題も日本と比べものにならぬのです、向こうは北海油田がありますから。これは数字を挙げて申し上げてもよろしいのですけれども、月本が石油で受けるダメージよりもはるかに軽いと見なければなりません。だから、もともと経済環境というものが決していい環境ではなかったということがあると思います、それを私は否定しませんけれども、それをさらに加速したのはこの大型消費税、いわゆる付加価値税の導入であったと私は思います。 これはスタグフレーション指数というものがあるのです。御承知だと思いますけれども、これは消費者物価上昇率プラス失業率で、スタグフレーション指数というものがあるのです。七三年の四月にイギリスは付加価値税の導入をしておるのです。先ほどの七九年はサッチャーの内閣です。同じくイタリアが七三年の一月に付加価値税の導入をしているのです。この資料によりますと、英国とイタリアが格段に悪くなっているのです。片方は英国病で片方はイタリア病だなんて言ってしまえばそれで終わりだけれども、これはよく聞いておいてほしいのですよ。たとえは、導入された七三年は、スタグフレーション指数がイギリスでは一一・七だったのが、一九八〇年にはスタグフレーション指数が二四・八になっています。歴年ずっと——ちょっとよかったのが七八年だけです。イタリアもスタグフレーション指数が、一九七三年に一一・七だったのが一九八〇年には二三・七というふうに、異常に上がってきているのです。これではもう破産状態になりかけているような状況ですね。だから、サッチャー政権がインフレの抑制、消費、設備投資の回復、生産性の回復、国際競争力の向上、持続的な成長というふうに順次やろうとしてきたその道程は、もう相当厳しいと言わなければなりません。これはやはり付加価値税を二倍に上げたというところに大きな原因があると見なければなりません。これが全く影響ゼロであったというようなことは私は言えないと思うわけでございます。 特に、先ほど石油の問題をおっしゃったけれども、通産省の石油代替エネルギー法の解説資料というのがあるのですが、この中では、英国の石油輸入依存度は四一・五%と、先進国の中でカナダに次いで低いのです。原油輸入のOPEC諸国への依存度も、イギリスは七七年の八〇・七%から七〇・九%に縮小してきているのです。このOPEC諸国からの石油依存度七〇・九%は、先進国中最も低い数字です。それは北海油田があるからです。ということを考えてまいりますと、いまこのような悪い状況になった中に石油価格の上昇というものが、全く影響がないとは言いませんけれども、その影響度はきわめて低い国であると見なければならぬ、私はこのように思うわけです。 したがって、そういう意味で、直間比率を直していく、よほどうまいやり方でなければ相当大きな打撃を受けるということになると思うのです。それは物価に直接影響してくるからです。この前、一般消費税の大綱というのを発表されましたが、その中で五%と言っていますね。大体、定率五%と想定されておるわけなんですが、しかし、消費者物価へ影響していくのは、少なくともその半分の二・五%は影響するであろうということが書かれているわけです。ということは、大型消費税を導入するということは物価を少なくとも二・五%引き上げる、一般のそれをやらないときよりもプラスされるということになりますから、これはこれからの経済運営に重要な問題になるだろうと私は思うのです。 時間がなくなってまいりましたから結論的なことを申し上げたいと思いますけれども、私は、少なくとも素直な形で所得税減税というものをやっていただきたい。少なくとも所得税減税をやるについて、片方、大型消費税導入を抱き合わせるという方向は、これは時間がなくて篤と議論はできませんでしたけれども、きわめて拙劣な政策になってしまうということを申し上げておきたいわけです。したがって、何か一般消費税というものが神風みたいな形で日本の財政を助けるというような考え方は断固として捨ててもらわなければならぬと私は思うのです。したがって、われわれとしては、減税をぜひとも政府の同意を得たいわけでございますけれども、そのときにはこの大型消費税を抱き合わせというようなやり方では絶対やらない、こういうふうに考えていただきたいのですが、どうですか。いますぐ返事しろと言ったって無理かもわかりませんが、少なくとも、これについては慎重に検討するという答えが出ませんか。
○渡辺国務大臣 メリット、デメリット両方あることはもちろんだと思います。全体として検討しなければならないし、正木委員が御指摘になったような問題点については、採用することに決まったわけでも何でもないのですけれども、もしそういう場合には、特にそういう点は過去のいろいろな国の状況等もよく調べた上でなければできないわけですから、慎重の上にも慎重に検討いたします。
○正木委員 全く時間がなくなってしまいましたが、経企庁長官に来ていただいているのに申しわけありませんから、経企庁長官に一言。 私は、揚げ足を取ろうとかなんとかという気持ちは、河本さん、全然ありません。しかし、少なくとも昭和五十五年に六・四%を守ろうとして守り切れなかった原因は、単にイラク・イラン戦争によるところの原油の値上げ、また異常気象、それだけではないでしょう。私は、五十五年において六・四%の消費者物価上昇率を守り切れなかった原因をあからさまに探し出して、少なくとも五十六年度五・五%の物価上昇率というものを確保する、確保という言葉はおかしいですが、それに抑え込んでいくためには、その欠陥を五十六年度において排除しない限りは五・五%は守り切れないんじゃないかと思うのです。したがって、何が欠陥であったのか、何が間違っていたのか、何が予想外のことであったのか。六・四%を守り切れなかった、これを虚心坦懐に、少なくとも長官のお気持ちとしておっしゃっていただけませんか。
○河本国務大臣 消費者物価が安定するということは、国民生活が安定する前提条件でもございますし、すべての経済政策の前提条件でもございます。そういうことで、いま政府といたしましては物価対策を最重要課題として取り組んでおりますので、いまお述べになりましたようにいろいろな点を分析いたしまして、昭和五十六年度の物価対策には万全を期していきたいと考えております。
○正木委員 それはそうなんだけれども、具体的に言ってもらわないとわれわれとしては議論できないわけなんですがね。さっきの武部さんの質問にお答えになった中で、電力料金、ガス料金を初めとするいわゆる公共料金の問題をおっしゃいましたね。ぼくは確かにこれは一つの大きな要素であったと思うのです。しかし、これは五十六年度、少なくとも値上げをしない限りもう織り込み済みですね。この後考えられることは、通産大臣を帰しちゃったからどうしようもないけれども、これはあなたから伝えてくださいよ。要するに、五十五年度は八回にわたって石油製品の値上げをやっておるのです。しかも、それによって石油会社が有史以来の膨大な利益を上げているのです。この辺に問題がありますよ。問題があると見なければならぬだろうと思います。 それから、いまずっと景気のかげりがありまして、公取委員長も帰しちゃったけれども、要するに、不況カルテルの申請が相次いでいるのです。業界は、不況になったら不況カルテルで価格を維持し、その後、不況が済んでからもずっとその高価格を維持して、また不況になると不況カルテルの形をとっているのです。最近、やみカルテルだとか、明らかに同調的値上げと見られるようなものはある。何回か警告をされておる。それで済んでおるのです。私が言いたいのは、こんな企業ばかりじゃないと思うけれども、いま日本の独禁政策というものは業界になめられています。それはなめられてないと言わぬ方がいいだろうと思います。それは厳しさがなくなってきているからです。痛手を受けなくなってきているわけです。 こういう幾つかの問題が総合されて五十五年度の物価上昇率六・四%を守り切れなかったということを考えますと、私は、それはけしからぬ、けしからぬと責めるのはやさしいけれども、むしろそれを反省の材料として、五十六年度これをきちんきちんとやらない限りは、五十六年度の五・五%の物価上昇率というものは守り切れないだろうと思うのです。少なくとも、こういうこともいたします、ああいうこともいたします、そしてその反省の上に立って私たちは物価安定のために全力を注ぎますということであるならば、私は、この問題は非常に前向きで前進していくんじゃないかと思うのです。 それにつけても、この冷夏で、結局昭和五十五年度も、経済企画庁の持っておる緊急物価対策費的なものは三十億円でしょう。五十六年度も三十億円です。五十五年度にはその三十億円で足りなかったために、われわれが取ってやったあの五百億の枠から四十四億円継ぎ足したわけです。それは経企庁長官、認めますね、どうですか。
○河本国務大臣 五十五年度の物価対策を進めます際に、まず最初に企画庁の持っておりました物価調整費三十億を使いまして、それがなくなりましたので、四党の間で合意された五百億の一部を使ってこれまで物価対策を進めてきた、こういうことでございます。
○正木委員 そうすると、昭和五十六年度においてもどんなことが起こるかわからないわけで、五十五年には冷夏なんか起こって野菜問題が大変なことになったわけですから、少なくともこの三十億をもっとふやすか、ないしは予備費の中に五十五年と同様の五百億の枠をとっておかなければ、きわめて機動的な物価対策というものはできないと思うのですが、どうですか。
○河本国務大臣 先般、野党三党と自民党との間での話し合いをいたしました際には、自民党の政調会長から、五十六年度の物価対策につきましては、まず経済企画庁の予算三十億を使いましょう、それが不足する場合には一般会計を機動的に運用して対処します、こういう表現になっておりますが、その際、質問が出まして、機動的に対処するとは何ぞやということでありましたので、政調会長から、それは必要な物価対策費を五十六年度の予備費から出すということである、こういう回答をされまして御了解をいただいた、このように聞いております。
○正木委員 それじゃ、これ以上あなたとはやめましょう。あと、自民党と折衝の場でその問題を大きく期待していきたいと思います。 最初にちょっと時間をとり過ぎまして、なかなか核心に迫ることができませんでしたけれども、これはやはりひざ詰めで、理を尽くして、納得ずくでやっていかなければならぬと思いますから、今後、予算修正の問題については、総理は総裁としてひとつ指導力を発揮していただいて、われわれの意見も十分取り入れていただきたいことをお願いを申し上げておきたいと思います。 いずれにしても、冒頭申し上げたように、これからの日本の、わが国の経済運営が悪循環に陥らないように、特にこの春闘をにらみながら、ひとつ良識ある政策選択を総理にお願いしたいと思うのです。したがって、これで質問を終わりますから、総理からその御決意を承って終わりにいたします。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、御意見を十分拝聴いたしました。政府においても十分研究させていただきます。
○正木委員 ありがとうございました。
○小山委員長 これにて正木君の質疑は終了いたしました。 次に、大内啓伍君。
○大内委員 私はさきの総括質問で、大蔵省から出されました「財政の中期展望」の中の要調整額についてはいろいろな意味で問題がある、特にこれが増税の対象の基準になるようなことになりますと今後ゆゆしき問題があるという観点から、できれば修正すべきではないか、こういう議論を展開したわけなんです。そこで、いま大蔵省にこの資料を出し直してこいと言っても、これは一たん出したものですから、なかなかむずかしいでしょう。しかし、私どもの疑念、懸念というものは解消しておく必要がある、そういう観点から、まず初めに二、三、お伺いをいたします。 この要調整額というのは、言うまでもなく歳入、歳出の差、ある意味では財源不足類。この額は、この中期展望においては五十七年度が二兆七千七百億円、五十八年度が四兆九千六百億円、五十九年度になると何と六兆八千億、これがともすれば間接新税の対象になるような、ひとり歩きの懸念を持っていたわけなんです。 そこで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、この要調整額というのは、あくまでも増税の前提の数字ではない、かつ固定的なものではない、こういうふうに思うわけなんですが、この辺について明快な御答弁をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 結論から先に言えば、これは必ずしも増税の前提になるものでもないし、固定的なものでもございません。 御承知のとおり、一定の条件のもとで、政策的変更を加えないで野放しにしておけば、こういうような歳出がふえます、また、税金はこの程度しか見込めないでしょう、そうするとこれぐらいの差額が出ますというだけのことであって、そこに政策的変更を当然加えざるを得ないわけですから、もっと歳出をカットしろとか、場合によっては公共事業はこれでいいのかとか、いろいろな議論がそのときどきの経済情勢によって生じてくる。したがって、さきに申し上げたように、固定的なものでもないし、増税を前提としたものでもない、こういうことを申し上げます。
○大内委員 この要調整額というのは、経常部門と投資部門に分かれておりますが、この中の経常部門につきましては、この説明によりますと、「歳出の削減又は特例公債金収入を除く」収入増によって対処する、こう書かれているわけです。したがって、この要調整額の中の経常部門については、今後、大蔵大臣としては、歳出をできるだけ削減して、場合によってこれをゼロに持っていくぐらいの決意でこの経常部門の削減に取り組むべきであると思いますが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 経常部門の増加については、これは法律に基づいて義務づけられているようなものも含めて、こういう財政事情の中でございますから、行政改革を初め徹底的な歳出削減の努力をしていきたい、そう考えております。
○大内委員 そうしますと、この経常部門に掲げられている数字は相当圧縮されるというケースも当然考えられるわけですね。また、しなければならぬ。そういう決意が示されたと思うのです。 問題は、この要調整額の中の投資部門、これはこの計画でも明らかなように、例の新経済社会七カ年計画をフォローアップいたしまして、例の公共投資については二百四十兆を百九十兆にするという基準においてこれが出されている。とすれば、四条公債というのは、五十五年から五十六年度が横並びだから、五十七年度以降も横並びにすると言ったとしても、実際には、現実の問題として四条公債は五十六年度並みに推移するということはあり得ない。そうですね。したがって、相当程度が、この要調整額の投資部門の多くが、四条公債という形で発行されていくケースがある。現に大蔵省は、全額そうなるケースも、試算としてこの委員会にお出しになっている。とすれば、そうした形で四条公債として発行されていけば、当然、この要調整額の中の投資部門の数字というものはずっと減っていく、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますね。
○渡辺国務大臣 投資部門の要調整額につきましては、公共投資の年次別実施額の調整、年次別にどういうふうに、このとおりやるかやらぬかわからぬわけですから、そういう調整、四条公債を含む投資部門の歳入増の余地等もございますから、その額自体は弾力的なものと考えています。そういうように固定していくというのでなくて、弾力的なことがあり得る、そういうわけでございます。
○大内委員 この要調整額の中の経常部門が非常に大きな数字になったというのは、新規政策費であるはずの予備枠というものがその中にぶち込まれている結果大きくなってしまった。しかし、この予備枠についても、これはもとより固定的なものではない。むしろ、こういうものはこれからの財政再建という基本方針、特にスクラップ・アンド・ビルドという立場からすれば、相当これも圧縮しなければならぬ。予備枠もそういうふうに見ておいてよろしゅうございますか。
○渡辺国務大臣 この前もお話ししたように、予備枠については人件費一%しか計上してなかったというようなこともこれあり、また、新規の施策も考えなければならぬというようなこともあって、一応外国の例等も引いてつくったものでありますが、これももちろん固定的なものじゃございませんし、できるだけスクラップ・アンド・ビルドの中で新規の対策というものはやるようにしなければならぬ、そう思っておるわけであります。固定的なものとは考えてはおりません。
○大内委員 私は、以上の質問で、大蔵省が出しましたこの「財政の中期展望」の中の、特に増税対象になるのではないかと思われた要調整額というこの数字が、決して固定的でないのみならず、いま大蔵大臣の説明では今後相当圧縮し得る数字であるということが確認できたという意味では、先般私が出しました懸念の大半が解消された、こういうふうに理解をいたします。そういうことでよろしゅうございますね。
○渡辺国務大臣 これは、現在の施策をそのまま実行する場合にこうなるという数字でございまして、そのとおりやるというわけじゃないわけでありますから、いかにしてふえるものも極力抑えて、それで政府を簡素なものにするように努力をしていくということは当然であります。
○大内委員 ところで、これは大蔵省の事務当局でも結構ですが、この中期展望というのは、もちろん、主要政策について下から積み上げてきた数字ですな。さきに、防衛費については御存じのとおり、後年度負担が一兆三千五百億。したがって、今後の防衛費の伸び率についても当然、各年度について計算を積み上げていると思うのですね。しかし、いま予算の編成というのは、大体人件費は一%しか見ていない。防衛費の場合は、たとえば陸上自衛隊を見れば相当人件費のウエートが高い。したがって、人件費の見方によってはずいぶん違うと思いますが、人件費を一%増、つまり予算のベースで考えた場合と、それから過去三年、大体人件費は四%上がっておりますから、四%人件費が上昇する。この二つのケースに立って、中期展望では防衛費の今後の伸び率、五十七年度、五十八年度、五十九年度、どのくらいの伸びに見ているか、お聞かせいただきたいと思います。
○松下政府委員 まず、中期展望におきます防衛関係費の推計の方法を簡単に申し上げますが、人件費につきましては、御指摘のように給与改善の経費を各年一%、それに従来の昇給の傾向等を織り込みまして推計をいたしております。それから、既定の国庫債務負担行為あるいは継続費の歳出化分でございますが、これは五十六年度までに契約されますものにつきましては、その計画の将来年割り額によって将来の歳出化額を計上いたしております。五十七年度以後は、やはり過去の平均的な契約が引き続いて各年行われ、そしてその年割り額も過去の平均的な年割り額で行われる、ただ、その総額につきましてはデフレーターで伸ばしておりますけれども、そういう計算で将来の各年の歳出化額をはじいております。そのほか、後年度負担を伴わない物件費につきましては、消費者物価指数あるいは公共投資デフレーターで推算をいたしております。 それらの結果といたしまして、防衛関係費の後年度の倍率でございますが、五十七年度は、いまの人件費一%の前提でおおむね六・二%、五十八年度は七・九%、五十九年度は三・二%となっております。これが仮に人件費がいまお示しがありましたように四%ということでございますと、その差三%分がこれの上乗せになるわけでございますけれども、人件費の占めます割合がおおむね防衛関係費全体の半分でございますから、ただいま申し上げました数字におおよそ一・五%ずつ上乗せになるということで、五十七年度はその際七・七%、五十八年度は九・四%、五十九年度は四・七%、こういう計算になっているわけでございます。
○大内委員 私は、この間の総括質問のときに、防衛庁長官にこの数字を尋ねたのですが、お答えができなかったわけです。これがいま既存の計画を進めた場合に、たとえば五十八年度でも九・四%になる。したがって、新規施策がこれにプラスされてくれば相当の防衛費の伸びが出てくる、こういうふうに理解をしておきたいと思います。 さて、そこで総理にお伺いいたしますが、総理は、去る二月十九日に、行政改革の問題につきまして堀内行管政務次官に対して、第二臨調の答申については七月中、遅くも八月上旬ぐらいまでに中間答申を求めて、五十七年度予算にそれらの結果を反映するように努力せよという指示をされたという報道を伝え聞いております。これは事実でございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。私は、財政再建を進めてまいりますためには、まずもって、高度経済成長時代に肥大化したところの行政、財政、これに思い切ってメスを入れ、そして合理化と減量化を図る必要がある、このように考えております。これは単に五十六年度予算の編成だけで終わる問題でございません。今後引き続き努力していかなければならない。そこで、五十七年度予算編成に当たりましては、第二臨調の答申でこれを採用できるものはぜひ五十七年度予算にも反映をさせたい、このように考えておりますので、中間答申を早目に出してもらう、そして五十七年度予算の編成にこれを生かしたい、このように考え、指示をいたしたところでございます。
○大内委員 私は、この総理の姿勢は敬意を表します。大変いいことだと思っております。 そこで、行管庁長官にお伺いをいたしますが、恐らく行管庁長官も、いまの総理の方針の線に沿いまして答申を求めるという形になると思うのでありますが、その場合、中間答申の対象になる項目についてはどういうものをお考えになっているのか。たとえば国家公務員の定員の削減あるいは補助金の大幅カット、さらには許認可事項の仕事減らしの面等々だと思うのでありますが、それと行管庁長官としての七月答申に対する決意を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 七月に当面の緊急課題に対する臨時行政調査会の中間答申と申しますか、それをいただきたいと思っております。それは総理からも、政務次官を通じて御指示がございました。 そこで、どういう内容にするかということは、これは委員におなりになった方々があらゆる角度から検討されて御選定していただき、内容も決めていただくことになると思いますが、来年度予算編成に影響を与えるような考慮のもとにそれはなされるものと思いますから、そういう考えに立って委員がどういう結論をお出しになるか見守ってまいりたい、そうして、もしそれが出された場合には、検討いたしまして全力をふるってそのよいものは実現するために努力するつもりでございます。
○大内委員 行管庁長官としての姿勢としては当然だと思うのでありますが、特に、いま総理の意図として五十七年の予算編成に反映させるという意味は、財政の節約という面でも節約可能なものについてはできるだけ早く答申を得て、その結果を予算編成に反映させたいということであるとすれば、その最も重要な面が補助金の大幅カットである、そういうことを行管庁長官としても期待している、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 このような財政状態にある日本のことでございますから、経費の節減あるいは行政の簡素化、効率化に役立つことを対象にして結論が出されるものと期待しております。
○大内委員 行管庁長官、もう結構でございます。ありがとうございました。 これは総理にぜひ聞いていただきたいのでありますが、去る二月十八日、アメリカのレーガン大統領が例の経済再建計画というものを両院の合同本会議で明らかにいたしました。私は、あれを聞きながら、これは別にアメリカのまねをしたり何とかという意味ではありませんが、あの政治姿勢というものについては学ぶべきものがある。 あそこでは、御案内のとおり八二年度歳出削減四百十四億ドル、これは二百円レートで八兆二千八百億、膨大な歳出削減を提案されております。また、個人減税としては四百四十二億ドル、邦貨にいたしまして八兆八千四百億円を八二年度会計でやろう。しかも、毎年一〇%ずつ三年間引き続いて計三〇%下げたい。こういう形で、歳出削減という一つの柱を持ちながら、三年後の八四年度会計においては赤字財政から黒字財政に転ずる。この歳出削減、すなわち小さな政府づくりによる財政再建という問題を提起しているわけでありまして、これは日本の場合と幾らか差があるように思うのであります。 私は、いま、中間答申を求めでできるだけ歳出削減にメスを入れようというこの総理の姿勢は、このレーガン大統領の姿勢に通ずるものがある、そういう意味で私は敬意を表する、こう申し上げたのでありますが、このレーガン大統領の経済再建計画にかんがみまして、これからの財政再建についての総理の決意といいますか、お伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 いま大内さんから御指摘がありましたアメリカのレーガン大統領が出しました経済再建計画は、御指摘のように連邦支出の思い切った削減、それから三年間一〇%ずつの減税、さらに政府規制の緩和、また安定した金融政策の展開、こういうようなことが柱になっておるようでございます。それを通じまして勤労者、国民の働く意欲、また企業家の投資意欲を高揚させる、強める、こういうことを通じてアメリカ経済の再建と発展を図ろう、こういう思い切った政策でございまして、私どもはこれに大きな期待を寄せておるところでございます。 特に、民間の労働者並びに企業に政府の規制を大幅に緩和をしたり、あるいは金融政策を安定的に展開をしたり、そして民間の活力を生かしていこうという経済政策、私も全く同感でございまして、今後わが国の経済運営に当たりましてもそういう方向で努力をしたいものだ、こう思っておるわけでございます。
○大内委員 私は、ぜひその総理の言葉が実行に移されますように、と申しますのは、過去三年の行政節約、補助金の整理を見ましても、なかなか思うようにいかない、実績が上がらない、そういう意味で、経費節減という面では微々たるものに終わってしまっている。私は、やはりレーガン大統領のこの勇断というのは、かけとして外部から嘲笑するのはやさしいのですが、実行するということは相当な決意があってのことだと思うのであります。ぜひ総理におかれましても、来年度予算にかけて勇断をふるわれますようにお願いをしたいと思うのであります。 本当は、きょう実は物価見通しについていろいろ聞きたいと思いましたのですが、午前中来いろいろのお話がございました。そこで、経済企画庁長官に一点だけお伺いをしたいのは、六・四%を七%程度、こういうふうに改定をされたわけですが、もう年度末もあとわずか一カ月、昭和五十五年度の消費者物価見通しを現段階では何%と見込んでおられるのか、できれば結論的にお伺いをしたい。
○河本国務大臣 消費者物価は最近安定の方向に行っておりまして、十二月は七・一%、それから一月は東京の区部は六・八%という水準でございますが、二月と三月につきましてはまだ明確に判断ができません。二月は数日たてば一応の見通しがたつわけでございますが、なお私どもは、三月にかけましてさらに一段の引き下げの方向に工夫をしていきたい、こう思っておるところでございます。したがいまして、いまの段階でおよそこの見当になるということは、はっきりした数字を申し上げる段階ではございませんが、最大限の安定の方向に持っていきたいと考えております。
○大内委員 金曜日に二月の数字が出るようですから、これを見なければわからないということでありましょう。石油の問題と関連いたしまして後でお伺いをしたいと思いまして、先を少し急がせていただきます。 大蔵大臣、いま減税の問題についていろいろ議論が行われてまいりました。いま野党の中では、新聞等であるいは御存じのように、課税最低限の二百二十万円の引き上げという問題に鋭意取り組んでいるわけなんですが、これについては大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○渡辺国務大臣 課税最低限の早急な引き上げということについては、目下考えておりません。
○大内委員 先ほど来の議論でも明らかなように、政府は六・四%、これを何としても守りたいと言い続けた。そして結果は、いま河本経企庁長官に尋ねましたが、まだはっきりはいたしませんが、少なくとも七・五%前後に五十五年度の消費者物価が終わるであろうということは、いま常識的に見通される。そして労働組合等は、この六・四%というものを念頭に置きながら、みずからの昨年の春闘、賃闘というものを闘った。そして、言われるように六・九%という平均水準でおさめた。英国のような社会契約というものはございませんけれども、労働組合は労働組合なりに、暗黙の社会契約的な発想をもってこの六・四%を見、六・九%を実現してきたと思うのですね。ですから、かつて総理大臣から、この予算委員会においても、そうした労働組合の良識というものを非常に多とするというお話もあったくらいなんですね。 問題は、先ほど来の議論を聞いていただいても明らかなように、減税という問題については、財源の問題がいまのような状態では、この間の十八日の予算委員会でも、現在の財政事情などを考えれば減税できる状態ではないかと大蔵大臣も言われている。そうすると問題は、昨年は初めて実質賃金の低下が御存じのように起こった。この実質賃金低下の救済策というものは何によって解決するのでしょう。つまり大蔵大臣としては、これからの春闘で企業からもらってくれと言うのか。いや、財政がある程度見通しがついたら、何とかその実質賃金低下の救済策については政府としても責任を負いましょう。つまり、暗黙の社会契約というものを裏切ったことの埋め合わせをどうやるのかという問題が、私はやはり減税の問題だと思うのですよね。その点はいかがですか。
○渡辺国務大臣 去年の春闘で、労働組合の指導者の方が非常に良識的な妥結をなさった。そういうことが今回、世界じゅう二けたの狂乱物価——狂乱とは言いませんが、かなりの物価高にかかわらず、日本が七%台で収束をしつつあるということは、私はやはりそういう点にも大きな影響があったと思うのです。したがいまして、労使の問題は政府が口を出すべきものではございませんが、それは生産性向上の範囲内で適宜、それぞれの事情によって決められるものと考えております。 また、物価の問題については、極力物価の抑制というものをわれわれ政府が一緒になって図って、それで引き下げるようにしていかなければならぬ。 それから、いつ課税最低限の引き上げをするかということについては、これもかねがね言っておるわけでございますが、今後歳出面における、現在、法律で縛られているような補助金を初めいろいろなものがあります、そういうような法律がらみの歳出についても思い切った削減策がとられ、歳入面においては、税体系全体の抜本的な見直しにつきまして国民全体の合意が得られ、そしてまた特例公債脱却の明白な目途がつくという事態になれば、歳入、歳出全体の問題として、所得税の課税最低限の問題についても全然考慮しないというわけではございません。
○大内委員 いま大蔵大臣は、減税を可能にする条件といいますか、そういうことについてお触れになったのですね。いまちょっと聞いておりますと、一つは歳出を思い切って削減する、税体系全体の抜本的な見直しをやる、国民全体の合意を得る。これはいまでも大体合意は得られると思うのですよ、国民は被害を受けておりますから。もう一つは、特例公債脱却の明白なめどがつく事態、これはなかなか重要なことをおっしゃったのですね。 そうすると、たとえば特例公債のゼロ地点というのは、政府の提案では昭和五十九年ですね。そうすると、特例公債脱却の明白なめどがつくということは必ずしも五十九年を意味しませんね。その前でもいいわけですね。めどがつくというのは、どういう意味です。これは重要なところです。
○渡辺国務大臣 五十九年になればめどがもうついてしまうわけですから、これはそれよりも前ですね。それよりも前ですけれども、じゃ、いつということになると、いまの段階では、まず歳出の削減という問題につきましても、いろいろこれはむずかしい問題がいっぱいあるわけですから、それについては総理の御決意もあって、今年度、五十六年度の新予算では間に合わない部分もかなりありますから、第二次臨調というような問題もあり、そういうようなものが具体的に俎上に上れるという見通しが立って、そして税全体の見直しもできて、財政再建についてのめどがつくというときじゃないか。したがって、いまここで年次、時間等を明確に申し上げることはまだちょっとむずかしいと思います。
○大内委員 私は冒頭に、「財政の中期展望」を偶然に議論したわけではないのですね。あの議論を通じて、要調整額というものは場合によっては非常に大きく圧縮することができるということを、大蔵大臣も先ほど言明されたのですね。そして先ほど来、総理は、第二臨調の中間答申を求めて財政をできるだけ圧縮するために努力を傾注したい、そしてそれはレーガン大統領のあの方針を見るまでもなく、日本政府の方針としても、そういう問題を勇断を持ってやりたい。税調のこれまでの答申では、来年度は所得税の減税等も含めて税全体を見直す時期である。そうすると、それらを総合してみますと、特例公債からの脱却についての明確なめどというのも、たとえば来年度十分立ち得る条件があるのですね。そうすると、いまの大蔵大臣の御発言を総合すると、五十七年度でも減税はやろうと思えばできる、こういう意味ですな。
○渡辺国務大臣 いま私が申し上げたことが具体的に法案の提出があって、それが国会を通過しなければだめなわけですから、国会を通過しなければ、食い逃げと言ってはなんですがそういうことになってしまうので、やはりそういうような歳出削減というようなものの国会通過が確実になった段階も、一つの段階ではないかと思います。
○大内委員 そうすると、五十七年度も減税をやる可能性がある、こういうことですな。
○渡辺国務大臣 そこらのところは御想像していただきたいと思います。
○大内委員 いま、先ほど来議論しておりますように、減税というものが野党の大きな要求になりつつある。これは、別に野党ではなくて、国民の要求を背景として、野党としてそういうものを要求しようとしている。 総理にお伺いしたいのですけれども、大平総軍は野党との間の話し合いというものをできるだけ重視する、こういう姿勢をとられまして、そして鈴木総理も、和の政治という一つの大きな政治姿勢をスローガンとして打ち上げられた。そして野党との間にも十分話し合っていきたい。私は、予算編成という問題も、これは決して政府の専管事項ではなくて、やはり国会において大いに議論して、野党の中にも建設的な提言、いい提案があればどしどし取り入れる、これが予算に関する和の政治だと思うのですね。野党としては、単なる野党のエゴイズムではなくて、公正に考えて、公正という意味は、今日の日本の苦しい財政事情をも考えまして、なおかつ、その上に予算修正という問題をいま提起しつつあるのですね。総理としては、理が通れば予算修正には応じますか。
○鈴木内閣総理大臣 私は常々、国会の審議はただ多数でもって押し切るというようなことは避けなければならない、国会はあくまでやはり話し合いの場であるということを言ってまいったわけでございます。 この予算の問題に関連しまして、野党各党の御意見を今朝来ずっと聞いておるわけでございますが、これは野党とともに、やはり与党である自由民主党ともお話し合いを願わなければ結論の出ない問題であろうかと思います。私はこの予算案の提案者である政府の責任者でございますから、なし得る最善の案であるということで提案をいたしておりますから、いまここでどうこう申し上げるわけにはまいりません。どうか原案のままひとつ通していただきたいというのが本当の私の腹でございますが、国会はあくまで審議の場でございますから、与野党におきましても十分論議を尽くして結論を出していただきたい、こう思います。
○大内委員 昨年春の予算審議におきましても、大平総理は同じようなことをおっしゃいました。そしてその結果、与野党が話し合い、実質で千四百億円に上る予算修正を実現しました。仮に、いま総理のおっしゃることがそのとおりであるとしても、野党、与党との間に話し合いを詰め、そういう合意に達するようなことになれば、予算修正には応ずるということを含みとしておられますか。
○鈴木内閣総理大臣 国会は国権の最高機関であり最高の場でございますから、国会で与野党がそういうことで一致いたしますれば、政府としてはこれを尊重するということは当然のことだと思っております。
○大内委員 そういたしますと、総理としては、今後の与野党の話し合いによりましては、予算修正という問題についても当然謙虚に受けとめていく、こういうお話であったと理解をいたします。しかし、問題は、恐らく総理は与党に期待をしているのじゃないかなという感じもいたしますが、まあその先は申しますまい。しかし、少なくともいまの総理の答弁では、与野党の話し合いによっては修正という問題については謙虚に受けとめていく、それが和の政治である、こういうふうに理解をさしていただきたいと思うのです。 さてそこで、先ほど来、大型新税の問題でいろいろ議論がございましたが、「財政の中期展望」では、例の要調整額が二兆七千七百億という数字が出ておりまして、これは大きく変動する数字であるということが言われておるわけでありますが、大蔵大臣としては、いまの情勢でいきますと、五十七年度の財源不足類、これは要調整額を極力圧縮することによってきわめてわずかにとどめ得ると仮にしますと、たとえば投資部門については四条公債でやる、あるいは経常部門の要調整額についてはこれを極力圧縮するとすれば、要調整額というのはぐっと圧縮しますね。そうしますと、五十七年度の段階では、それが実現すれば新税導入というのは必要ないんじゃありませんか。いかがですか。
○渡辺国務大臣 税というものは、必要がある場合に必要最小限度を課税するわけでありますから、そういうような財源の見通しがつけば必要ないのはもちろんでございます。われわれはその前に、ともかく圧縮ということは口では簡単ですけれども非常にむずかしい、したがって、これについては国会の皆さんの御同意を得て、法律事項にかかわる歳出も含めて圧縮をするというようなことで最大の努力を払いたい、そう思っております。
○大内委員 私は大蔵大臣にぜひ本当に——もちろん真剣にやられていると思うのですけれども、やはり日本の財政事情というのはなまやさしいものではないのですね。ですから、高度成長時代にふくらんだあの行財政を、そのシステムをそのまま温存しながら財政再建をやろうといったってこれは無理ですよ。ここにどうメスを入れるかということが私は根本の財政再建の問題だと思うのです。ですから、歳入と歳出を一生懸命比べてみて、いままでのものはなかなか減らせません、したがって、これだけ足りなくなりましたので増税をお願いしますというこの姿勢では、なかなか日本の財政再建はできない。そういう意味で、いまお話しの財政節減なんというのは本当にむずかしいですね。やはり大蔵省が本当にその気になって各省庁に要求しなければできませんよ。ですから、そのことについては本当に、異常な決意を持ってひとつお進めをいただきたいのです。われわれもそういう面では鞭撻いたします。 そこで、その大型間接新税に関連しまして、私はこの間もお伺いしたのですけれども、たとえば、五十三年末の政府の税制調査会で答申が行われまして、一般消費税の大綱というのが出ましたね。そして五十四年末には例の国会決議によりまして一般消費税の導入まかりならぬということで、一般消費税の導入を断念されたわけですね。しかし、その他の新税というのはあるのです。私はこの前の総括質問でも指摘しましたように、たとえば庫出し税、つまり製造者消費税等々幾つかの新税といったようなものがあるのですね。つまり、この国会決議に抵触するものは、この五十二年末の政府税制調査会が答申した一般消費税大綱だけだと思っているのか、そうじゃなくて、いま指摘したような庫出し税等もこの国会決議の中に含まれる新税だと理解しているのか、その辺を明確にしていただきたいのです。
○渡辺国務大臣 五十四年末の国会における財政再建に関する決議というのは、その前の年の税調が答申をされた一般消費税(仮称)ということを私は意味すると思っております。その決議があるからといって、今後歳出の削減というものはまだ決まってないわけですから、したがって、そういう削減をして足りるか足りないかといろいろなことをもちろん工夫をするわけでありますが、将来の問題として消費に着目した新税を一切検討しないということを、いま言明することはできません。具体的にどれが該当してどれが該当しないというようなこともまた、申し上げられません。ただ、国会決議は、当時の税調の答申にあったそのものだというように考えております。
○大内委員 そうすると、たとえば庫出し税みたいのは検討できる、こういう解釈ですな。
○渡辺国務大臣 それをするかどうかということではありませんが、消費に着目した間接税は一切だめなんだということにはならない、かように思っております。したがって、具体的にどれを検討できる、あれを検討できるというところまで、まだ勉強いたしておりません。
○大内委員 時間がありませんから次の問題に入ります。 これは外務大臣にお伺いをいたしますが、最近、報道によりますと、外務省は、中東の湾岸諸国の政治経済安定を目指して、その一環としてオーマンへの政府援助を本格化する、こういう方針を決定した、こういうふうに聞いておりますが、事実でしょうか。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 オーマンの湾岸地域における重要性ということはよく認識しておりますが、いままでオーマンに対して行いました技術援助、調査でございますが、五十二、五十三、五十四、五十五とずっと調査の援助はしております。 それで経済援助、いわゆる借款問題について何か決定したのかというお話でございますが、まだそういうことは決定はいたしておりません。あそこの地域の一人当たりの国民所得や何か相当高いというようなこともありますし、これはどうするかということにつきましては、外務省として決定してこういうふうにしますというようなことにはまだ至っておりません。
○大内委員 まだ至っていないが、検討を始めたのでしょう。
○伊東国務大臣 これはあらゆる問題について検討していることは確かでございまして、オーマンにつきましても検討の対象にしたことはございますが、まだ何も決めておりません。
○大内委員 もちろん、検討するのはあたりまえなんですよ。検討しないとすれば怠慢なんです。というのは、これから春のアメリカの上院の動きを見ておりますと、この湾岸諸国に対する経済協力の強化、特にアメリカにとっては、たとえばケニアあるいはソマリア、オーマンといったような各地に確保している基地の機能の強化という問題は最大の問題なんですよ。ですから、恐らくこの春の上院ではこの問題が中心課題になってくる。それは、うらはらの問題として、日本に対してそれらの湾岸諸国に対する経済協力を求めてくることになるのですよ。ですから私は、このオーマンの経済協力という問題を外務省が検討し始めだということを重視しているのですよ。これは大型の円借款等を含む政府援助について検討を始めた、こういうことですか。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 まだ、大型借款でございますとか、そういう具体的なことに立ち入った検討ではございません。
○大内委員 そうすると、何を検討しているのですか。
○伊東国務大臣 経済協力の対象というのは、先生も御承知のとおりでございまして、いわゆる軍事的なものには政府の援助はしないようにということで、その国の社会経済の開発あるいは民生の安定、社会福祉の向上ということが対象でございまして、そういう面からいきまして、その国との依存関係の問題、あるいは人道上の問題とかいうことが経済協力の原則として考えなければならぬ問題でございますので、そういうことの対象になり得るところかどうかということの検討をしているということでございます。
○大内委員 少なくともこれから政府援助を強化していきたいという意味での検討である、こういう理解はよろしゅうございますか。
○伊東国務大臣 そういう対象になる地域がどうかということで、アフリカの問題でございますとかアラブの問題でございますとか、あの地域がいろいろ経済協力の問題で言ってくることがございますので、そういう問題の一環として検討しているということでございます。
○大内委員 私は、これからアメリカはそういう形でいろいろな安全保障上の分担というものを厳しく求めてくる、この問題についてはやはり政府としても相当腰を据えてかからなければならぬ、その都度その都度じゃいかぬと思うのですね。 きょうは、本当は通産大臣、防衛庁長官も来ておりますので、油や防衛の問題をお聞きしたいと思っておりましたが、時間がございませんので、簡単にまとめてお伺いをしておきたいのでありますが、たとえば、一月二十八日にジョーンズという統合参謀本部議長が米議会に対して、八二年度の軍事情勢報告というものを送っております。そしてこの中で、このジョーンズ統合参謀本部議長は、これからアメリカ、ヨーロッパ、日本などが安全保障協力を強化していく必要がある。したがって、防衛努力の合理的な分業というものをアメリカとしても求めていかなければならぬ。そしてアメリカにとって関心のある問題は、いま言いましたような湾岸諸国に対する経済協力の強化やあるいは基地機能の強化あるいはフィントレー構想に見られるようなシーレーンに対する日米欧の分担というものを相当厳しく求めてくると思うのです。ですから、防衛庁としても、その辺の協力の限界ということを国民にやはり心配ないようにきちっと説明しておく必要がある。このことが一つ。 それから通産大臣には、この二月二十日にジュネーブでOPECの秘密会議が行われて、サウジの千三十万バレルの石油生産削減を初めとして、大体全体で二百万から三百万バレルの石油生産削減というものが合意されたというふうに伝えられておるのですが、それらの真偽と、その日本に対する影響というものがどういうふうにこれから出てくるか。実は、これは経済企画庁長官にも、こういう石油不安というものが来年度の五・五%という物価上昇にどういう影響が出てくるか、本当は聞きたいのです。 そして、総理にあわせてお伺いしたいのは、この二月二十三日にソ連の第二十六回共産党大会で、ブレジネフ書記長がああいう形でブレジネフ提案をされました。これは国際緊張緩和と軍縮のための七項目、こう言われておりますし、米ソ首脳会談の開催を初め軍事面での信頼強化措置の極東への拡大、これはなかなか重要なことを言っているのですね。このブレジネフ提案については、これは新しい姿勢と受けとっているのか、この全体的な評価、そして米ソ首脳会談については日本政府としてはどういうふうな期待、何か求めているものがあるのか、その辺をあわせてお伺いして、私の質問を終わりたいと思うのです。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 一月二十八日の米議会に提出した八二年度軍事情勢報告の中で、ジョーンズ統合参謀本部議長が、先生御指摘のような、同盟諸国と米国との間である種の防衛努力の合理的分配が必要であり、西欧と日本はそれぞれの戦略地帯内においてみずからの防衛につき一層の努力を払わなければならないと述べられたことにつきましては、私ども承知いたしております。 そこで、これについての防衛庁の見解でございますが、米国及びその同盟諸国が西側の一員としての自覚に基づいて防衛努力を強化すべきことを強調したものだというふうに理解しておるわけでございますが、日本が自衛以上のことを行うように求めているものではないと理解いたしておるわけであります。 防衛庁といたしましては、現下の厳しい国際情勢にかんがみ、あくまでわが国の自主的判断に基づき、わが国の防衛のため必要な防衛力の整備に今後とも鋭意努力してまいる所存でございます。 また、御指摘のございましたペルシャ湾からの海上輸送路の防衛のための分担協力ということについて、米側から具体的要請がなされた事実はございません。また、わが国の領域外の海上交通路において、わが国以外の国に対する武力攻撃に対処するため海上自衛隊が当該国の海軍と共同して武力行使を行うことは、集団的自衛権の行使に当たり、憲法の認めるところではありません。このようなわが国憲法上の制約については、米側としてもよく承知しているものと考えている次第でございます。
○田中(六)国務大臣 お答え申し上げます。 サウジアラビアを中心とする七カ国がジュネーブでこの十九日、二十日両日、秘密会議をやったということは、正式の通知を受けておりませんけれども、そういうことがうわさになっておりますし、たびたびOPECの数カ国はよく秘密会議をやりますので、十分あり得ることだと思います。しかし、サウジアラビアが減産を決めたということ、あるいは価格にどう響くかという両方を決めたということは、これもまた正式にありませんし、ヤマニ・サウジアラビアの石油相は何も決まってないというようなことがまた流れております。しかし、イラン、イラクが生産並びに増産に踏み切っておるのは事実でございますし、その肩がわりをサウジアラビアがやっておったのもこれまた事実でございますので、当然、減産問題について話があったんじゃないかということは、十分推測できます。 ただ、それが価格にどういうふうに響くか、あるいは価格をどうするかということは定かではございませんし、いまここで、国会でそれに触れられませんが、いまスポット物が、一時、一バレル四十二ドルしておったのが、三十六ドルちょっとぐらいになっておる現実でもございますし、かなり緩んでおるんじゃないかと思っております。したがって、大幅な価格値上げが早急にあるというふうには考えられない実情でございます。
○河本国務大臣 昭和五十六年度の物価見通し五・五%の中には、ある程度の石油価格の上昇は織り込んでおります。ただ、石油価格の交渉をいたします場合に非常にデリケートな問題になりますので、これは公表しないことにいたしております。ただ、私どもの希望といたしましては、OPEC諸国は五十五年、一九八〇年も約千二百億ドルのいわゆるオイルマネーが余っておりますし、五十六年、一九八一年も、先般のバリ島のOPEC総会における値上げを考慮いたしますと、やはり千二百億ドルぐらいのオイルマネーが余っておる、こういう状態でございますから、消費国といたしましては、世界経済全体を考えて賢明な行動をしてもらいたいということを強く期待しておるところでございます。
○渡辺国務大臣 ただいまの大内委員の御質問の中で、財政運営の中長期的な部分について有益な、御示唆に富んだものもございますので、今後十分参考にさせていただきたいと考えております。
○鈴木内閣総理大臣 先日のソ連共産党大会におきましてブレジネフ書記長が、演説で国際的な問題に触れました中におきまして、再び緊張緩和ということを強く打ち出しております。そして、その具体的な一つの提案として、軍縮と米ソの首脳会談の開催ということを提案しておるわけでありますが、これはこの緊迫した国際情勢の中での提案であり、デタントを志向してのことであるということで、政府におきましてもこれを評価いたしておるところでございます。しかし、実際にこれから具体的にソ連がどういうことをおやりになるのか、一般的な平和攻勢に終わるのか、そういう点はやはり慎重に今後の推移を見守っていく必要がある、このように考えておるわけであります。 米ソ首脳会談につきましては、米側もこれに大きな関心を持っておるようでございますが、慎重な対応を示しておるようでございますから、今後これも見守っていきたい、こう思っております。
○大内委員 ありがとうございました。
○小山委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。 次に、四ツ谷光子君。
○四ツ谷委員 けさほどから物価問題それから減税問題について、各同僚議員から御質問がございましたけれども、国民、とりわけ家庭の主婦にとりましては、政府の物価に対する言い分というのは全く腹に据えかねる言い分だ、安定をしていると言うけれども、これはまさに高値安定をしているわけであって、主婦の暮らしはますます厳しくなる一方である、こういうことが言えると思います。その中でも、物価値上げの大きな要因の一つである公共料金の値上げの問題につきましては、物価の安定を図ると言いながら政府みずからが公共料金の値上げの主導役をやっているということは、本当に国民の立場からは許しがたい問題だと思います。 わが党は、国民生活を守るという立場から公共料金の値上げを凍結をする、こういうふうな提案をしているわけでございますけれども、私の親しいある主婦の方が、年収四百三十一万で四人家族の方ですけれども、この方が家計簿をちゃんとつけていらっしゃるのですが、昨年、公共料金が軒並みに非常に上がりました。生活費の中で公共料金の占める割合が二四%にも上っていると言われています。また、年金生活者に至っては、公共料金の占める割合が生活費の三五%にもなるということで、低所得の人ほど公共料金の値上げが生活の中に非常に大きな圧迫を加えているということは、非常に許しがたい問題だと思います。 そういう点で、私は公共料金の問題、とりわけ、近々、私鉄の運賃の値上げが申請をされ、認可がされるという状況にございますので、私鉄運賃の値上げの問題、これは査定内容にも、査定の方法にも、申請の内容にも、非常に大きな問題がたくさんございます。公共的な事業であるということを逆手にとって、大企業がきわめて横暴な申請をしているという点では大変問題になっている点が多いので、そういう点で運輸大臣に二、三の御質問をさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 まず、皆さん方にお配りしてございます資料の第一枚目の二番を見ていただきたいと思うのです。 今度の申請内容の理由の中で、電気代の値上げというのが一番大きな理由になっているというふうに私鉄は言っているわけですけれども、この資料を見ていただきますと、各社とも電力料金の値上げ、いわば動力費の値上げが電力料金のアップ率よりもはるかに上回っている。確かに輸送力の増強を図ったところがあるかもわかりませんけれども、たとえば東武、西武、五五・八八%のアップ率に比べて非常に高い。関西でもそういうことが言えるところがあります。南海、阪神、こういうところは非常に高くなっている。ここには水増しをされているのではないか、私はそういう疑いを持っているわけでございます。 この問題の動力費以外のその他経費、これは業務経費と備品・消耗品費等でございますけれども、これは同じページの資料三を見ていただきたいのですが、この経費の査定方法ですが、鉄軌道部分の業務経費、備品・消耗品等は基準方式により算定し、こうなっておりますが、その基準方式とは、過去何年間かの実績から直線を引いて、その伸び率から算定をするというふうに私は承知しているのですけれども、それでよろしいのでしょうか。
○塩川国務大臣 お尋ねの私鉄の値上げ申請につきましては、申請がございました以降、現在、運輸省におきまして鋭意その内容を詰めておる段階でございます。したがいまして、具体的な査定の基準というものはまだそこの段階には入っておりませんが、しかし、そういう具体的な動力費……(四ツ谷委員「大臣、私の問うていることにお答えいただけば結構なんです」と呼ぶ)動力費並びに、現在それは査定している最中ですから……(四ツ谷委員「いま、基準方式はそれでいいのかとお伺いしているわけでございます」と呼ぶ)ですから、そういう内容につきましては事務当局から説明させます。
○四ツ谷委員 時間がありませんので、私の聞いたことにだけ的確に答えるようにお願いします。
○杉浦政府委員 お答えいたします。 最初の電力料金でございますが、各社で……
○四ツ谷委員 違います。私の質問しているのは、その他経費の基準方式の考え方は私の言ったとおりでいいのかと聞いているのです。
○杉浦政府委員 そのとおりでございます。
○四ツ谷委員 そういたしますと、いまの基準方式でいきますと、この増加率がきわめてばらばらの状況です。これを見ていただくとよくわかると思いますが、業務経費だとか備品・消耗品費等が、ある会社で急に二倍も三倍もになるということはあり得ない。もし仮に固定資産院奏費、こういうものがふえたという理由であるならば、京成などは非常にたくさんふえているわけです。設備投資、工事量が増加している。しかし、京成という私鉄がいまどういう経営状況にあるかということは、皆さん方もよく御存じです。そういうふうなところで、この辺がふやされている。非常に大きな問題点を持っているわけでございます。 また、その次に修繕費につきましても、増加見込みがいずれも前回査定を大きく上回っています。京阪などは前回一四一一%、それが今回の増加見込みが四一・二%、基準方式から見ても非常に異常であると考えざるを得ないわけです。きょう、あすにでも大事故が起こりそうな、そういうふうな修繕費の使い方というのも問題です。ここのところには、水増しをしているという疑いが濃厚だというふうに思うのです。以上は、支出の面から私は問題を指摘いたしましたが、次、収入予測についても多くの問題があります。 これは資料一を見ていただきたいのですけれども、これは営業外収益の見込みです。非常に見込みが過小になっております。基準方式が基礎になっているはずなのに、このように急激に減ることはないと思います。営業外収益につきましては、前回申請のときには拘束預金を落としたそうです。ところがいろいろあって、査定のときには拘束預金を入れた。ところが今度の申請では、また拘束預金を落としている。こういうふうなやり方は、利用者を非常にばかにした申請の内容だ、こういうふうに思うわけでございます。 私がいままで指摘をしてきましたのは、まさに氷山の一角だと思うのです。先ほど大臣の御答弁の中に少しございましたけれども、十一月の申請以来三カ月たっておりますので、監督官庁である運輸省では、私以上にいろいろな問題点をつかんでいらっしゃると思うのです。私が指摘しましただけでも、申請内容に非常に水増し、あるいは水割りと言ってもいいと思うのですけれども、収入、支出いずれも疑問点が非常に多うございます。厳正に査定をしていただきたい、このように私は思うわけでございますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○塩川国務大臣 先ほども申しましたように、非常に厳正にいまやっております。昨年の末に申請を受理いたしましてから、個々の項目ごとにずっと、運輸省民鉄部を中心といたしまして洗い直しをしておるところでございまして、仰せのように厳重にやりたい。特に鈴木内閣は、いま物価の問題に非常に真剣に取り組んでおりますし、でございますだけに、安易な値上げは認めないという方針でわれわれも努力しておるところでございます。
○四ツ谷委員 ぜひとも厳正にお願いをしたいと思います。 しかし、まだ問題があるわけでございます。この申請が出されましたときに、各新聞が一斉に私鉄の申請については、一斉申請、同時認可、問題があると指摘をしております。消費者団体の皆さん方、利用者の皆さん方も、その問題を指摘しているわけです。私鉄の運賃値上げの申請については麒麟麦酒型だという話もあるわけです。経営状況のよい会社が経営状況の悪い会社にそろえて申請をしている、それが一つです。もう一つの問題点は、原価の算定方式が各社ばらばらであるということなんです。 これは資料の二枚目を見ていただきますと、減価償却費のやり方、これは私鉄十四社がどういうふうにして減価償却をやっているかというのが一目瞭然でわかるようにしてございます。定率法あり、定額法あり、まさにばらばらの状況の原価の算定方法をやっているわけです。ここのところに、一斉申請、同時認可の二重の意味で非常に問題がある、こういうふうに私は思うのですけれども、もし運輸省が現在のとおりに、一斉申請、同時認可の方法をこのままとり続けるとされるならば、算定基準をやはり統一されるべきではないか。と申しますのは、新規設備につきましては統一をしておられます。ところが、既施設分についてはいままでの各社の方法ということになっておりまして、新規分からはやはり必要があって統一するというふうに運輸省が指導しておられるのだろうと思うのです。ですから、こういうふうな減価償却のやり方につきましてぜひとも統一をされるべきだ、私はこう思うのですが、運輸大臣、いかがお考えでございますか。
○杉浦政府委員 お答えいたします。 減価償却のやり方でございますが、御指摘のように既設の施設につきましては、会社が採用している、いわば定率、定額いずれかの方法によってやっておりますけれども、新規施設につきましては車両について定率を掛けておるのみでございまして、その他の新規設備につきましては定額を採用しております。こういうような基本的な統一基準を持っておる次第でございます。
○四ツ谷委員 いま御答弁がございましたが、新規分については統一しているというのは、私がさっき言いましたとおりです。ところが、既施設分につきましてはそうではないというのが、私の資料で示しているわけなんです。 定率法といいますのは、運輸大臣も御存じのとおりに、一度に初年度に原価にたくさん加算されるわけですね。定額法といいますと、平準化されるわけですから、ずっとならされてくるわけです。いま私が問題にしておりますのは、先ほども大臣は、鈴木内閣は物価問題については非常に気を使っているとおっしゃったけれども、気を使っているなら、そこに気を使わなければいかぬことがあるわけですよ。いま物価高で国民が苦しんでいるときに、一度に負担がかかるような定率法をたくさんとっているような会社では——これは定額法をとっているところと定率法をとっているところでは、ずいぶん利用者の負担が違ってくる、こういうことになるわけです。 それで、私は試算をしてみました。これが資料五でございます。これは先ほどもおっしゃいました車両の分ですが、車両につきまして定率法と定額法をとった場合に、初年度の利用者に対する負担の差額がどのくらいになってくるかということを試算をしてございます。たとえば近鉄の場合、五十六億三千四百万、五十五年度の車両の分です。それを定率法に直しますと八億二千百万、定額法でいきますと三億八千五百万、こうなりましてその差額は四億三千六百万、こういうふうに減らすことができるわけですから、これだけ利用者の負担が軽くなることになります。 さらに、資料六を見ていただきますと、これは鉄道営業関係のいわゆる減価償却の状況を一覧表にしてみました。鉄道の有形固定資産、このうちからどのように減価償却がされているかという状況を一覧表にしてみたわけです。上の方に黒丸の多いところはいわゆる定額法をとっているところです。白丸の多いところは定率法をとっているところですので、定額法をとっているところは大体減価償却率が三・五%平均になっています。ところが、白丸の多いところを見ていただきますと、そこを超えているわけなんですね。だから、それを三・五%に直してみますと、定率法をとっているところ、たとえば西武などですと十四億円、これだけ利用者の負担を軽くすることができる、こういうことになりますので、ぜひとも査定基準を統一されると同時に、定率法をとっているところは定額法にして原価の算定方法に採用するように、そういう御指導をぜひお願いをしたいと思うわけでございます。 では次に、まだ問題があるといえばそんなに問題があるかということですけれども、次は、この運賃の申請の査定方法につきまして、非常にいろいろな問題点を含んでおります。これは事業報酬方式、これが一つの問題になっているわけです。で、事業報酬の対象資産の中に建設仮勘定一〇〇%含んでおりますね。ところが、御存じのとおり、建設仮勘定というのは、工事中のいわばまだ動かしていない資産。将来使用される資産の費用を現在の利用者に負担をさせている。非常に問題だと思うのです。十四社全体の建設仮勘定合計で、値上げ幅の約一二%に当たるのです。金額に直しますと約百二十億にもなるわけなんです。だから、いまのように非常に物価高でみんなが困っているときにこういうふうな建設仮勘定を、いまでない、将来に使われるものをいまの人に負担をさせる、こういうところは非常に大きな問題だと思うのですが、さらにその上に大きな問題を持っている会社がございます。これは東武、京王、小田急、京浜急行、南海の五社なんですけれども、これは設備投資の借入金の利息を建設仮勘定に入れているわけなんです。運賃原価を算定する場合に、これは非常に重大な問題になるわけでございます。 委員長、ちょっと表を見せたいと思いますので……。これが建設仮勘定、これはいま未稼働資産として、事業報酬資産として仮に二百億計上された。利息を入れていない会社は、これがいま五十六年として六十年に事業が始まったとしますと、供用開始になったとしますと、この二百億はそのまま固定資産として減価償却にいくわけです。これは利息を入れていない会社の場合。 ところが、設備投資の利息、借入金の利息を入れた場合はどうなるかといいますと、事業報酬率仮に八・五%、これを掛けたといたしますと、赤いところ、この分が事業報酬として支払われることになるわけなんです。そういたしますと、この利息を入れている会社は、今度営業をし供用を開始したときに、この利息分もこちらに固定資産として移っていくわけでございます。おわかりになると思います。そういたしますと、ここでまず事業報酬として利用者が運賃の算定基礎に入れられているわけですから、利用者の負担がここでまず一つかかってきた。いよいよ供用開始になったときに、この利息分がこちらの方にいっておりますので、二百十億の固定資産ということになり、これが減価償却として再び運賃原価に勘定されるということになりますので、大臣、利用者は二回取られることになるのですよ。これは非常に問題だと思うのです。高い上に二回も取られるというのは、とてもたまったものじゃない。この問題について、これはぜひとも大臣のお考えを聞かしていただきたいのですが、どういうふうにお考えでございましょうか。
○杉浦政府委員 お答えいたします。 おっしゃるような経理の仕方がとられておることは事実でございます。この問題につきまして、いろいろな考え方がございます。私鉄の場合におきましては、工事の建仮が新しく開始いたしました時期において、おっしゃるように利息相当分は固定資産として計上されるわけでございますけれども、それがいけないというお考え方と、それからその方がいいんだ、こういうようなお考え方と、両方実は意見があるように私ども聞いております。こうした点につきましては、他の例等も勘案いたしまして、十分今後研究をしたいというふうに思う次第でございます。
○四ツ谷委員 ただいまの御答弁で、建設仮勘定を入れるとか入れないというのは、これはいろいろな意見があるのは私も知っています。しかし、私がいま問題にしておりますのはそのことではなくて、利息を入れているというところが二重取りになっているんじゃないか。二重取りでもかまへんのか、それは国民が許すんですかということを、大臣も大阪の方だからつい大阪弁が出ますが、そういうことを聞いているんです。大臣、これは事務当局じゃなくてぜひ大臣、御答弁願いたいと思うのです。二重取りははっきりしているんですから。
○塩川国務大臣 建設仮勘定のその利息の払いについては、これは私も十分研究いたしたいと思いますが、しかし、経理基準から言いまして、全額利息を資産に入れてそれを償却していくのと、それから建設仮勘定の場合に、利息を経費として落としてしまってそこで経理をするのと、企業としてどちらが健全であるかということが一つ問題であろうと思いますし、また、資産として繰り入れて順次償却していくのも、これも利用者から見ましたら負担を長い期間で償却していくという、そういうことにも通じるだろうと思ったりいたしますが、私は何としても経理は弱い方でございますし、その点、重要な問題だと私は認識しておりますだけに、当局に十分研究させまして、そのことを今度の査定にも参考にするようにいたしたいと思います。
○四ツ谷委員 ただいま大臣の方から御答弁がございましたが、事務当局に検討させていただくに当たりまして、確かに会社が健全な経営をする、これは大事なことだと思うのです。会社がふらふらしては困るのですけれども、私たちの立場から見ますと、会社が健全であると同時に、利用者がみすみす二重払いさせられるようなことがあってはこれは困るということでございますので、御検討の際には会社の健全経営の方にばかり目を向けないで、利用者には絶対に二重の負担にはならないというふうな結果が出るようにぜひ御検討願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○塩川国務大臣 当然その両面から検討しなければならないと思いますし、とにかく経済合理性に基づく査定というものをいたしたいと思っております。
○四ツ谷委員 事業報酬の問題につきましては、まだ幾つか問題点があるわけなんです。 それで、事業報酬対象資産の中にいわゆる自己資金を入れている、これは当然だと思うのです。全部借金ばかりでおやりになるはずがありませんので、自分のところでおためになった自己資金をお使いになる、これは当然だと思うのです。自己資金といいますと、減価償却費だとかあるいは各種引当金、準備金などの内部留保ですね、こういうようなものを充てられていると思うのです。それは自分のところの金だから、よそから借りてくるわけではありませんから、利息も払わなくてもいいし配当も考えなくてもいいということなんですけれども、この事業報酬の対象資産をよく検討してみますと、利息や配当を考えなくてもいいはずの自己資金にいわゆる報酬率を掛けまして、そしてやはり利用者に負担をさせている、こういうふうな問題点も出てきております。 この問題はもう少し詰めたいと思うのですけれども、次に減税問題に移りたいと思いますので、この問題はまた追って、運輸委員会等で大臣に篤と質問をさせていただきたいと思いますが、その減税問題に移ります前に、今度は総理大臣に御答弁をお願いしたいと思います。 いま、私鉄十四社のいわゆる申請内容につきましても、どうも過大、過小、いろいろ問題点があるということを私は指摘をいたしましたし、査定方法につきましても、運輸大臣が検討したいとおっしゃるような問題まで出てきているわけでございます。今度の私鉄運賃の値上げにつきましては、国鉄運賃の値上げにいわば便乗した値上げであるとも言われております。それから、先ほど言いましたように、麒麟麦酒型の値上げだ、こういうふうにも言われているわけなんですけれども、私鉄運賃がこれほど大幅に値上がりをいたしますと、私鉄に足を任せている人たちがどれだけ困るかわからない、非常に重要な問題を含んでいるわけでございます。 〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 このように、私鉄運賃の値上げが国民生活に及ぼす影響は非常に大きい。そういう観点から、先ほど運輸大臣からも厳正に査定をしたいという御答弁はございましたけれども、いまのような種々の問題点を含んだままで近々認可がされるということでは大変なことになると思いますので、その問題について総理大臣としてのお考えを聞かせていただきたい。 それと、私鉄運賃の値上げをされる、サービス改善はどうなるのか。特にことしは国際障害者年でもございますし、総理は国際障害者年推進本部長でもいらっしゃいますが、この私鉄の障害者施設の問題につきましては、なるほどスロープだとか点字券売機、そういうものについては少しずつ進んできておりますけれども、身障者用のトイレになりますと、これは見るも無残なありさまでございます。しかも、障害者対策というふうなものも計画が立てられていないという、きわめてお寒い状況でございます。推進本部長としてこういう問題についてどうお考えなのか。 最後にもう一点は、私鉄から相変わらず自民党に政治献金が行われております。私たちは団体による政治献金というのはいずれにしても反対の立場ですけれども、とりわけ、このように公共的性格を持っている、しかも政府の許認可の事業を行っている私鉄から政治献金をいただいておられるのはきわめて不明朗であり、国民の立場から見ると、今度の私鉄の値上げも変なのではないか、こういうふうな声も出てきているわけでございます。そういう問題につきまして、総理・総裁として、私鉄からの政治献金は受け取らない、こういうお言葉を聞きたいと私は思います。 その三点についてお答えください。
○鈴木内閣総理大臣 私鉄の運賃改定の申請がなされておるようでございますが、公共料金が御指摘のように国民の日常の生活に大きな影響を持っておりますので、その審査に当たりましては国民の皆さんも納得できるように厳正にやってまいりたいと考えております。 それから、身障者に対する施設の整備の問題でございますが、これは国際障害者年であるから、ないからということでなしに、常に私どもは、身障者の皆さんの利便のためにもそういう施設の整備を急いでおるところでございます。今後も一層促進を図ってまいりたい、こう思っております。 なお、国際障害者年特別委員会におきまして、御指摘の点も含めて広範な対策の検討をいま進めておりますから、その結論を待ちまして政府としても真剣に取り組んでいきたい、こう思っております。 それから、私鉄各社の政治献金の問題でございますが、こういうものは料金改定とは全く関係のない問題でございます。私は、各社が法の定めるところの規制によりまして自主的に判断をしてなされておることでございますから、とやかく言うべき筋合いのものではない、このように考えております。
○四ツ谷委員 初めの一点、二点は大変結構だと思いますけれども、最後の三点目についてはましとに了承しかねる御答弁でございます。 向こうは規制に合わせて勝手に下さる、下さるものはもらわぬわけにいかぬ、そうはいかぬのです、私鉄の問題については。こういう運賃値上げの申請が出てくるときに、国民が一体何を思っているか。こんなむちゃくちゃな値上げを申請している、必ず裏には政治的な何か暗いものがあるのだ、汚いものがあるのだ、政治献金があるからだ、国民はそういうふうに見ているのですよ。だから、いかに差し上げると言われても、政治を浄化するというのは鈴木総理大臣の方針じゃなかったのですか。みずから清らかにするという意味で、そういうところの疑いを持たれるようなものについてはもらわない、こういう態度を明確にしていただきたいものだと私は強く要望しておきます。 それでは次に、減税問題に移らしていただきます。 減税問題につきましても朝からいろいろと問題がございましたが、ある大きな新聞が春闘のアンケートをやりましたときに、一番は物価問題、そして同じぐらいの割合で増税反対、こういうのを挙げております。これは皆さん方がおとりになっている物価高、増税の政策に国民が強い不満と怒りを持っている証拠ではないでしょうか。 所得税の課税最低限、これは日本が低いのか高いのか、朝から論議がありました。政府は、変動する為替レートで国際的に見て日本は非常にいいのだ、こういうふうにおっしゃっておる。ところが主婦の立場からいきますと、変動する為替レートで比較するというふうなことが本当にわれわれの税金の問題にかかわりがあるのか。これはやはり購買力平価で計算をするとか、あるいは社会福祉というふうな問題も入れての比較でなければ、本当の国民のものにはならないのです。これはまさに大蔵省が、政府が国民を欺瞞するための、減税をやらないための非常に汚いやり方だと私は指摘をしたいと思うのです。 先ほども数字でおっしゃいましたけれども、私はこういう表にしてみましたら、これは一目瞭然なんです。購買力平価であらわしてみますと、日本がこのとおり、一番所得税の課税最低限が低い。これはだれが見ても非常によくわかります。低いのです、確かに。しかも、この四年来減税をやられない中で、見えざる増税がどんどん進行している。これは皆さんが御論議をされましたので、私がいまさら言うまでもございませんけれども、年収一千万の方と年収二百五十万の方が、一九七七年を起点としてどれほど税負担率が変わっているかということを、これは図示したものでございます。上が二百五十万の人なんです。下が一千万の人なんです。所得が低いほど税金の負担率がこんなに高くなっている。これはもう図ではっきり示していますから、いかに政府がおっしゃろうとも、国民が減税をされないことで、見えざる増税でどれほど苦しんでいるかということが非常に明白ではないでしょうか。わが党は六千億の減税要求をしております。財源がないじゃないか、軍事費を削ればいい、そういうことではっきりしているわけですけれども、私はそれと関連して、減税問題についてお聞きをしたいと思います。 まず最初に、厚生省にお聞きをしたいのですけれども、生活保護基準は五十六年度ベースでどうなっているかということが一点でございます。 それから、生活保護基準についての考え方ですが、生活保護法は、その第一条、第三条、第八条に照らしまして、生活に困窮する人たちの最低生活を保障するという観点から、その最低生活を保障するにふさわしい基準を生活保護の基準として定めている、こういうことでよろしいのでしょうか。
○山下政府委員 五十六年の標準四人世帯の生活保護基準の試算を申し上げます。 東京都区部のような一級地の、一番高いところでございます。三十五歳男、三十歳女、九歳男、四歳女という標準四人世帯でございますが、生活扶助にいたしまして百五十八万六千六百六十円という年額になりますが、全部ではございませんけれども、家を借りるというような住宅扶助でありますとか、あるいは子供が学校に行く教育扶助あるいは年末の一時扶助、これらを加えますと百七十五万三千四百三十円ということになります。これを二級地で見ますと、生活扶助百四十四万程度、住宅扶助等も入れますと百六十万七千円程度。三級地でございますと、生活扶助百三十万、住宅扶助等を合わせますと百四十一万でございます。 なお、生活保護の考え方は、御指摘のとおり、憲法二十五条の規定に理念は基づいているわけでございますが、生活を保護するわけでございますので、個々の世帯に大変個性がございます。要保護者の年齢でありますとか、世帯構成でありますとか、あるいは地域、そういったことを考慮いたしまして、健康で文化的な最低生活を保障するという考え方でやっている次第でございます。
○四ツ谷委員 それでは、大蔵大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、ただいま生活保護基準について厚生省から御答弁がございました。百七十五万三千四百三十円、東京等の一級地だ、こういうことでございます。ところが東京、大阪等の住宅扶助、これが一般基準額月九千円加えて、厚生大臣の認可で三万四千六百円まで扶助をしている、こういうことになっております。そういたしますと、ほかにもいろいろと加わる分があるのでございますが、時間の関係で住宅扶助の点だけ申してみますと、先ほどの厚生省の百七十五万三千四百三十円にいわゆる現金給付が行われて、そして合計いたしますと二百六万六百三十円になる、これは東京の場合でございます。ところが一方、いわゆる税金の方の最低限度額は二百一万五千円、こうなっております。ところが、給与所得控除七十五万五千円、これは必要経費ということですが、大蔵省はこんなにも要らぬというふうな話もあるそうでございますので、必要経費はそれの二分の一と、こちらの方が少し遠慮して計算させていただきました。それを引きますと百六十三万五千円になります。そういたしますと、先ほどの東京のような一級地で住宅扶助、厚生大臣の認可のものを現金給付として加えたものとの差額が四十二万五千六百三十円、こういうことになるわけでございます。仮に住宅扶助のそれをプラスしなくても、給与所得控除を引きましたものの差額では十万三百四十三円、こういうふうに一般の勤労者の方の方が生活保護基準を下回るということになるわけなんです。こういう問題については、大蔵大臣、どういうふうに国民に御説明をいただくのでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は厚生大臣をやったこともありますが、生活保護については、身寄りのないというか扶養者のいない、しかも財産のない、そういうような方で、資産的にも、また能力的にもなかなか勤められないというような、非常にお気の毒な方でございます。したがって、そういう方にはできるだけ今回等も、厳しい財政の中でも生活保護の一人当たりの生活費用というものは考慮してきた。これは政府が手厚くやってきた証拠じゃないかと私は思っておるのです。一方、所得税の課税最低限というのは、財産の有無にかかわらず、どれくらい財産を持っているかとかどうとかという問題ではなくて、個人の年間の所得について基礎的な生活費部分に課税しないという考えでやってきておるわけでございます。したがいまして、たとえば個人の事業者で利益が生ずる年もありますし、赤字になってしまって欠損の年もございます。赤字になってしまったからといって、直ちに生活保護を受けられるというわけじゃありません、これは財産を持っていますから。そういうようなことで、この基準を同じく比較するということはちょっと無理じゃないか。やはり生活保護の方は、もう何の手だてもない方で、財産的にも持っていてはいかぬと言われているわけですからね、ですから手厚く見ておるということであって、性格が異なるものだから、課税最低限と必ずしもあわして比較するということは適当じゃないんじゃないかと私は考えております。
○四ツ谷委員 いま大臣は、生活保護をお受けになる方はお気の毒だから手厚く保護するとおっしゃいました。これは結構なことだと思うのです。十分に保護していただきたいと私は思います。 しかし、いま大臣もおっしゃいましたように、生計費非課税の原則はあると思うのです。そういたしますと、日本の国の中において最低限の生活の基準、健康で文化的で最低限の生活の基準というと、これはやはり生活保護が基準になるのではないか。それは生活保護法でもそうなっているし、憲法の第二十五条で、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。」その権利ぎりぎりのところを生活保護基準で支えているわけですからね。ですから、そういういろいろな障害をお持ちにならないで働ける方、そういう方のいわゆる課税限度額が生活保護基準を下回ってはおかしいんじゃないですか。大臣は比べてはおかしいとおっしゃいますけれども、私は、憲法のたてまえから言いましても、最低限度が生活保護基準を下回るというふうなことがあっては、これは考え方がおかしい、こういうふうに思うわけなんです。 私は、大蔵大臣と総理大臣と両方にお聞きしたいのですけれども、政府は、とにかくいま、これほど減税要求が国民の中に切実であるにもかかわらず、財源がないから——その財源がないというのも、別に国民が財源をなくしたわけじゃなくて、いままで自民党政府がやってこられたいろいろな施策の上で財源がなくなってしまったわけですね、その帳じりをこっちに持ってきて、そしていま、財源がないから減税はしませんよ、取るだけ取りますよ、こういうふうな話で、憲法で保障されている一番ぎりぎりの生活の保障よりも下回るかもわからないようないわゆる課税最低限のそこのところ、これを持ち上げようとしないというのは、これはどうも憲法の精神に違反するように私は思うのです。鈴木総理大臣は憲法の精神を守っていきたいといつもおっしゃっておりますので、財源がないから憲法二十五条を踏みにじってもいいのか、それとも、やはり憲法を守るという立場からここを引き上げて、国民のために減税をされるのかどうか、これは憲法の第二十五条の立場から、私は国民の声として、大臣お二人にお聞きしたいと思います。憲法を守るという立場から、ぜひとも減税をやるというふうにおっしゃっていただきたいと私は強く要求するわけでございますが、お二人の大臣のお答えを聞きたいと思います。
○渡辺国務大臣 給与所得者の課税最低限は二百一万五千円ですからね。ですから、そこから五十万引いてしまう。二分の一引くとおっしゃいますが、実際はそのことも問題があるのですよ。ですから、これは直接比較すべきものじゃないんじゃないか。ただ、感じとしては私はわかると思いますよ。片方は百七十万も見ているんだ。だから、もちろんそれより高くはしてあるわけです。してあるわけですが、日本では、生活保護についてはできるだけ配慮をして、いままでも赤字財政の中でもかなりのことをやってきておるわけです。ですから、そこらの点も考えますと、私は特別に憲法違反だとは思っておりません。
○鈴木内閣総理大臣 この予算編成に当たりまして、本当に生活保護世帯のようなお気の毒な方々には、苦しい財政の中ですけれどもできるだけ配慮をしようということでやってまいったわけでございます。私は、これは国民の皆さんも大変喜んでおられることだ、こう思っております。 一方、税の問題につきましては、なるほどこの四年間、課税最低限を据え置いております。そういうようなことで、いま御指摘のように、生活保護世帯との関連その他の問題をはらんでおるわけでございますけれども、先ほど大蔵大臣が申し上げましたように、生活保護を受ける家庭とはいろいろな面で違う、十分自立できる方々であるわけでございますから、こういう財政の苦しい際でございますから御協力いただきたいというのが私どもの考えでございます。
○四ツ谷委員 もう終わりますけれども、自立できる人と生活保護を受けている人とは違うというふうに、いま総理大臣おっしゃいましたが、そういう問題と、それから憲法で保障されているいわゆる健康で文化的な生活を国民がだれでも営む、その最低を基準とするということとは、これは考え方がやはり違うと思うのです。そういう意味におきまして、お二人の大臣が憲法を違反しないとおっしゃっておりますけれども、これはまさに憲法を違反して国民のために減税をやろうとしておられない、きわめて遺憾であるということを強く申し述べまして、私の質問を終わらしていただきます。
○小山委員長 これにて四ツ谷君の質疑は終了いたしました。 次に、依田実君。
○依田委員 きょうは時間がございませんから、一つだけ問題をお話しさせていただきたい、こう思うのであります。 いわゆる道路財源、これを一般化できないものかどうか、こういう議論があるわけでございます。私たちの政党も早くからこの議論でございました。特にことしのような財源難、そういう中で一兆九千億に上る道路財源というものをこれまでどおりにしておいていいのかどうか、こういうふうに考えるわけであります。 公共事業はもちろん大事でありますけれども、公共事業も時代の変遷によってその目的、使用目的が変わるべきだろう、こう思うのであります。敗戦直後ならいろいろ治山治水、河川のそういう問題、そしてまた、いわゆる高度成長期には物流の意味からいって道路、そういうものが大事であったということはよくわかるのでありますけれども、いまの社会情勢の中で果たして道路が一番いいのか、あるいはまた、都市生活の環境整備という意味からいって、住宅であるとか下水道であるとか、あるいはまた公園、こういうものにこそ多額の公共投資をするという方がいいんじゃないかというように思うわけであります。 大蔵省も、この道路財源を一般化することについていろいろお考えになっておると思うのであります。特にことしは例の自動車の重量税、これだけでもひとつ一般化しようじゃないかということで御努力なさったようでありますが、なかなかそういかず、ついに抑え込まれた、こういうことでございますけれども、大蔵大臣、この道路財源の将来についてどうお考えですか。
○渡辺国務大臣 いままではいままでのことでよかったと思っておりますが、将来の問題については、今後の道路事情やあるいは財源の見通しや、あるいは道路以外で非常に要請の強いいま言ったような下水、公園、そういうようなものとの関係等いろいろ検討をした上でどういうふうにするか、今後の問題だ、こういうように考えております。 あなたのお考えは一つの見識であると思います。
○依田委員 建設大臣、いま大蔵大臣は将来の問題としてと、こういうことでございますけれども、建設大臣のお考えはいかがでございますか。
○斉藤国務大臣 お答えいたします。 先生御案内のように、道路特定財源は、利用者の方々が受益者として、また損傷者として特別の負担を願って道路整備に向けられている財源でございます。 いま先生、道路事情につきましていろいろ御意見があられたようでございますけれども、道路整備がわが国で、諸外国に比べて果たして充実しているであろうかと思いますと、恐らく先生も御承知のように、いま日本の国の道路は百十万キロと言われております。そのうちの国道三万八千キロがようやく簡易舗装を含めて九〇%、三万八千キロが九〇%ぐらいのものでございまして、いわゆる一般国道、都道府県道、約十七万キロございますが、この幹線道路の半分は車もろくにすれ違えないような状況でございます。バス路線が十三万キロございますが、これもバスが交差できない道路が約半分というような状況でございます。 都市の中における道路は見た目には整備しているように見えますが、地方へ行きますと、道路需要が一番要望が強く、大きく、なお非常にエネルギッシュな要望をしているのは御案内のとおりでございます。このたびの豪雪地帯における道路につきましても、一番の御要望はやはり道路の確保でございました。生活道路、産業道路として、日本の道路整備のいまの状況はいま申し上げたとおりでございますので、私は、利用者がせっかく出しておられる特別負担のこの問題については、いろいろな事情があろうかと思いますが、やはり道路財源として道路整備の方にいただいて、いわゆる一般財源に影響を与えないという面からも、ぜひこの点につきましては道路の方に向けていただきたい、このように考えているものでございます。
○依田委員 大蔵大臣、もう一度伺いますけれども、財政の中での優先順位、ことしの予算編成の中で、それでは財源難、それとまた公共事業、どちらが大事かということになると、おのずから財源難をいかにつくろっていくかということであろう、私はこう思うのであります。そういう意味で道路財源というのは非常に大きいものであります。それを生かさないという手は私はないのではないかと思うのであります。また、税の体系、原則の上からいってもおかしいと思うのであります。 御承知のように、ことしはもうあらゆる間接税を増税したわけであります。きっと大蔵省はこの揮発油税を、五十四年に上げましたからことしは簡単には上げられないと思いますけれども、一兆五千億に上るこの揮発油税というのをいつか上げたい、しかし、いまの税のあり方から言いますと、せっかく上げてもこれはひもつきだ、こういうことになるわけであります。あるいはまた、いまの揮発油税というのは従量税になっておるわけであります。大蔵省は、石油の高騰などに見合ってやがてこれも従価税にしたい、こういう考えもおありになると思うのでありますが、しかし、そうやって上げても、結局これもひもつきだ、こういうことになりますと、将来、間接税の体系の中でこの税をどうやって扱っていくかということが非常に問題になってくるのではないかと思うのでありますが、その辺から、大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
○渡辺国務大臣 これも本当に問題点ではあるんですね。だから、実際問題といたしまして、これから仮に非常に財政難であるというようなときで、一般財源を下水とか何かに投入できない、そういうような事態があった場合には、その中でどうするかはやはり建設省で考えてもらった方が一番いいと思うんですよ。道路だけやればいいというのならそれも結構だろうし、それから、下水もやるということになれば、その中でどうするかということは、大蔵省がいろんなことを言うよりも、建設行政として与えられた財源でどれを優先するかという問題は、専門家に考えてもらった方がいいのではないか。私が余りどうこう言う必要はないだろう、そう思っております。 ただ、揮発油税が上がったのは、一般財源に、ほかの部門に使われてしまうのではないかというような心配もあって、いろいろ異議のある方もございますが、しかしながら、今後とも公共事業というものは、景気の維持その他も必要でございますから、なくなるわけではないので、かなりの規模で実行されていくということは間違いない。限りある財源の配分についてはやはり創意工夫も必要で、いつまでも同じというわけにもいくのか、いかないのか、ちょっと問題があるところだと私は思っております。
○依田委員 余りそれをやっていると時間がありませんからあれですが、先ほど建設大臣は、これは道路利用者が払っておるのだから、道路に還元するのが当然だ、こういう御理論、つまり受益者負担論を展開されたわけであります。しかし、受益者負担の理論から考えるならば、これはおのずから都会へ還元されるべきだろう、こう私は思っておるのです。自動車の使用者の数からいって、ガソリンはだれが一番使っておるかというと、都会に住んでおる方が一番使ってガソリン税を払っているのではないかと私は思うのであります。そういう意味で、本当なら都会の道路をもっとよく整備していただく、それなら私は理解がいくのでありますけれども、どうもそうじゃない。みんな田舎へ持っていっちゃう。都会からお金を取っていっちゃあ田舎へ持っていく、こういうような考え方があるのじゃないかと私は思うのであります。そこで、いわゆるガソリンの消費量と道路投資、そういうものについて数字的にいろいろお持ちになっておるのかどうか、ちょっとお尋ねします。
○渡辺(修)政府委員 道路の整備でございますけれども、やはり都市、地方を通じまして調和のとれた道路整備ということが一番大事なのではないかと思うわけでございます。ただいま先生から消費量のお話があったわけでございますが、都会の中でガソリンを買って、それが全部都会の中で走るのに使われているかというと、必ずしもそうでもない。やはり消費量よりは自動車の走行合キロ、台数掛けるキロでございますが、こういったものが都会の中でどのくらいある、地方でどのくらいある、こう言った方が正確にあらわせるのではないかと思うわけであります。 私どもの方で調べますと、たとえば大都市圏ではガソリンの販売量が四六%、その他が五四%でございますか、こういうデータもございますが、一方、走行合キロでは、大都市圏は三七%に落ちてまいります。そういったことで、道路事業費は確かに御指摘の面もないわけではございませんけれども、都市圏で三一%ほど投資をただいましておる、こういう状況でございます。
○依田委員 都市では、いわゆる道路を拡幅するというようなことは、いま権利義務がふくそうしていて、とても用地買収ができない。そういう意味で、都市の道路の整備のためにはもうこれが限界点だろうと思うのであります。そこで、もう少し道路財源というのを拡大解釈をしていただきたいと思うのであります。そして、都会で言えば道路の周辺の生活環境の整備、つまり植樹であるとか、あるいは騒音防止、そのための防壁、緩衝地帯の土地の買収であるとか、そういうような方向へもう少したくさんの財源を使っていただくのがいいのではないか、こういうふうに思うわけであります。 やっとことしから幹線道路の沿道の整備に関する法律というのができたようでありますけれども、これには大体どのくらい予算がついて、どういうことをなさるのか、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
○渡辺(修)政府委員 沿道整備事業の内容についてのお尋ねでございますけれども、先生御承知のとおり、道路交通騒音の大きさが一定の要件に達しておりますものを沿道整備道路として指定をいたしまして、この沿道について沿道整備計画を定め、その地域内においていろいろな施策を講ずることによりまして、道路交通騒音の障害の防止と沿道の適正かつ合理的な土地利用を促進しよう、こういうものでございます。 本年度は、この沿道関係につきましては、まだ法律ができてすぐでございましたので、予算的には大したものはございません。一億五千万程度でございます。五十六年度につきましては、これを二億ぐらいに上げてまいりたい。——失礼いたしました。これはその一部分でございまして、いろいろございます。たとえば沿道整備をするために土地を購入しよう、これにつきましては、五十五年度一億五千万でございましたが、五十六年度三億を計画をいたしております。それから、いわゆる後背地に対して遮音のかわりをするような、緩衝性建築物と言っておりますが、これにつきましては、五十五年度一億八千六百万でございましたが、五十六年度は二億五千二百万を見ております。それから、先ほどちょっと間違えて申し上げましたが、防音工事助成について、五十五年度一億五千万が五十六年度二億、こういうことにしているわけでございます。法律ができましたので、この幹線道路の沿道にふさわしい土地利用、これを早く実例をつくるように努力いたしたいと思います。
○依田委員 法律が施行になったばかりでありますから予算が少ない、こう言うのもわからないこともないのでありますが、いま局長が言われた用地の買収に三億。いま東京で三億の用地買収費といったらどのくらいの土地が買えるのか、お考えになっていただきたいのであります。大体三百坪、このくらいであります。 また、騒音防壁のために予算をつけたというお話でありますが、これは二階まで、こういうことになっておるのであります。御承知のように、いまマンション用地が暴騰しておりますものですから、大体マンションはどういうところに建つかというと、やかましいけれども仕方がない、日照権の問題があって、広い幹線道路の南側に建つ、そうしますと北側が日陰になっても幅が広いから日照権の問題が出ない、こういうことで、東京を走られればすぐにわかるのでありますが、大体幹線道路の南側に大きいマンションが建つ。その二階部分しかこの助成をしない、こういうことであります。これをもっと、たとえば七階とか八階とか高層が建つのでありますから、そういうものの道路へ面している方の壁の部分は助成する、そのくらいのことをやっていただきたいと思うのでありますが、どうですか。
○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。 二階までにいたしておりますのは、結局、そのビルの後ろにあります通常の木造の住家、これに対する防音効果を考えまして二階までということにしているわけでございます。まあ二階までと申しましても、高さが道路との相対的な高さで変わりますときには、その相当する部分ということにはいたしております。しかしながら、私どもの計算では、やはり七階建て、八階建てとなればだんだん薄まってきますけれども、建築に対する助成の効果というものはかなりあるのではないかと思います。
○依田委員 そのほか、いま外国の都市などではいわゆるモールといいますか、歩行者道路、こういうものがどんどん取り入れられてきておるわけであります。日本でも、これから都会の生活を快適にしていくために、そういうものもぜひたくさん取り入れてもらいたい、こう思うのであります。そういうものに対して道路財源というのが果たしていま充当できるのかどうか。聞くところによりますと、新規でないとだめだとか、いろいろ制約があるようであります。 また、歩行者の優先道路、コミュニティー道路、こういうものの整備などについても、この道路財源をどんどん利用さしてもらいたいと思うのですが、総合的にこれから都市の環境整備のために道路財源をどういうふうにお使いになるか、ひとつ建設大臣にちょっとお答えいただきたいのです。
○斉藤国務大臣 お答えいたします。 道路財源は、先ほど申し上げましたような特定財源を基盤にいたしておるわけでありますけれども、道路の直接的整備と、あわせてその関連につきましては、おのずから財源措置を弾力的に運用することによってカバーできるものと私は考えております。それであればあるほど、特定財源というものの重みが発揮できる。したがって、先生の御心配の関連した問題につきましても、幅広い、それにプラスアルファの財源によって環境整備についても弾力的に使用さしていただくならば、こうした問題も、先生の御懸念のことにつきましても十分な配慮をもって整備が進んでいく、このように考えるものでございます。
○依田委員 時間が参りましたのでこれでやめさしていただきますけれども、ひとつ受益者負担ということをおっしゃっておるわけでありますから、その線に沿ってぜひこの道路財源を有効に利用さしていただきたい、というよりは、もうそろそろ道路財源というものは一般化しろ、こういうようなことを私は重ねて申し上げたい、こう思うわけであります。
○小山委員長 これにて依田君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十五分散会