予算委員会 第10号
- 発言数
- 369 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/02/17
会議録
○小山委員長 これより会議を開きます。 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田厚君。
○神田委員 通告しておりました憲法問題に入る前に、自動車問題と、それから昨日、証券取引に関しまして証券会社の捜索が東京地検によりまして行われたということでございますので、最初にその二つの問題について質問させていただきます。 まず、自動車問題でありますが、通産省はかねてから、アメリカにおきます自動車問題の解決のために審議官を訪米させまして調整をしているようでありますが、どうも大変むずかしい局面に直面をしておりまして、自動車問題がきわめて政治的な状況になりつつあるという中で、どうしても総理大臣の訪米前に通産大臣が訪米をして、その調整を行わなければならない、こういうような状況に立ち至っているというふうに言われておりますけれども、アメリカにおきます自動車問題の現況と、それから、それに取り組みます通産大臣としての訪米の決意がどういうふうになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 ただいま天谷審議官を米国へ派遣しておりまして、まだ帰国しておりませんので、その報告は受けておりません。ただ、日米間の自動車をめぐる経済摩擦は、神田委員御指摘のように非常に深刻な段階に来ております。しかし私どもは、ことしの一-三月の輸出台数を、昨年の四十六万一千台を四十五万台以下に抑えようという方針は考えておりますけれども、それでは問題の解決の糸口にはなっても、まだまだ大きく問題が尾を引いておるわけでございます。 そういうような客観情勢でございますので、総理が訪米する予定になっておりますので、そのときに向こう側から、具体的ないろんな問題が出るのじゃないかという気がいたします。しかし、その前に私どもは、何とかしてこの問題を解決した方がいいという考えも浮かんでおりますけれども、短兵急にこれが解決へ向かうということはそう安易に考えてもおれませんし、いろいろ事務当局を初め私どもも苦心しておる段階が現状でございまして、私の訪米につきましては、一部報道されておりますけれども、そういうことはまだ正式に決まったわけではございません。
○神田委員 今後の問題の推移によりまして、総理の訪米前に必要があれば訪米をする、そういうように受け取ってよろしゅうございますね。
○田中(六)国務大臣 先ほど申しましたように、まだそういうことは決まっておりませんけれども、これから総理や外務大臣、官房長官なんかと御相談をして、皆さんの御意見も踏まえた上でそういうことは決めたいというふうに考えております。
○神田委員 次に、東京地方検察庁が昨夜、証券投資グループの総帥として誠備投資顧問室というのを主宰しております加藤暠という人を、脱税の共犯の容疑で検挙したということであります。これは兜町のいわゆる仕手戦の代表者として非常に著名な者でありますが、このことによりまして黒川木徳証券が捜索を受けた、そして、この仕手グループの背後には多くの政治家やあるいは大物右翼の人たちがいるとかというふうにいろいろ言われておりますが、まず法務省は、この問題につきましてどういうふうに報告を受けているのでありましょうか。
○奥野国務大臣 いま刑事局長がこちらへ向かっておりますので、刑事局長が参りましてからお答えをさせていただきたいと思います。
○神田委員 それでは、刑事局長が来ましたときにひとつ御答弁をいただきたいと思いますが、大蔵省は、東京地検が黒川木徳証券を捜索したということでありますが、この点につきましてどういうふうにお考えでありますか。
○渡辺国務大臣 私も、けさ新聞で見ただけで、報告を聞いておりませんから、つまびらかにわかりません。
○神田委員 この問題は、証券会社が一般投資家を巻き込んでの投資行為の中で大変責任問題もあるというふうに私は考えております。したがいまして、大蔵省としては、今後この捜査の経緯を見て適切な指導をすべきだというふうに考えますが、いかがでありましょう。
○渡辺国務大臣 実態をよく調べた上で適切な処置をとりたいと思います。
○神田委員 それでは次に、憲法問題に移ります。 憲法問題につきましていろいろ論議がされているわけでありますが、私、自由民主党の政務調査会憲法調査会長であります瀬戸山先生がお書きになりました「憲法について考えること」という、ごく最近出た小冊子を読ませていただきました。ここに大変御見識のある見解が述べられておりまして、たびたび鈴木総理は、憲法調査会の調査行為というものは自民党の中で公式にあるのだということをお話ししておりますが、この瀬戸山先生が述べられておりますことが憲法調査会の改憲の一つの基本的な考え方だ、こういうふうに考えておりまして、これを読ませていただきました。 その中に、こういうことが書いてございます。自主憲法の制定というからには、つまり改憲でございますが、「「改憲」というからには現在の憲法が、国づくりの土台の法律として、不都合な点があるのかどうか、つまり、われわれの日本の国が平和な姿で経済的にも精神的にも(物心両面に亘って)発展し、国民が豊かなくらしを続けていくのに支障があるのかどうかということを掘り下げて検討してみて、どこをどう改めなければならないかという点を明らかにし、改めればもっと良い国になり、国も栄え国民は心豊かに生活ができるようになるという点を示さなければならない」、こういうふうに述べているわけであります。 改憲の基本的な考え方がここに述べられているというふうに考えておりますが、まず改憲の意味として瀬戸山先生が述べておりますのは、国の土台づくりの法律として不都合な点があるのかどうか、それから、日本の国が平和な姿で経済的にも精神的にも発展して国民が豊かな暮らしを続けていくのに支障があるのかどうか、さらには、どこをどういうふうに改めなければならないか、こういう点を明らかにする、こういうことで自主憲法制定を言っておりますが、総理大臣としましては、現行憲法にそうした不都合な点があると考えているのかどうか、さらにはくこういうふうな問題が日本の国を豊かにつくっていくのに支障があると考えておられるのか、この辺をお聞かせいただきたい。
○鈴木内閣総理大臣 瀬戸山さんは、憲法調査会長に就任をいたしました際に、私にあいさつかたがた、今後の憲法調査会の運営のことにつきましてお話があったわけでございます。その際も申しておりましたが、自分は憲法改正の問題については全く白紙である、どこをどのように改正をしたらいいのか、また改正するとすればどのようにすべきかという問題については、十分調査会において論議を尽くし、慎重にやっていきたい、こういうことを申しておったわけでございます。 いまの「憲法を考える」ということにつきまして述べておりますことも、そういう問題意識を持って、そしてどういう点をどのように改正をした方がいいのか、それは自分としてはこういう点に配意しながら検討を進めていかなければならないということを述べたものであろう、こう思うわけでございまして、これから自由民主党におきましては、いろいろの角度からいろいろの議論を展開して、十分掘り下げた研究をしていこう、こういうことであると思います。
○神田委員 ここで述べられておりますことは、つまり、日本の国にとりまして不都合なことがこの憲法で、あるのかどうか、それから、豊かに国が発展していくのに支障があるのかどうか、もう一つは、現行憲法が押しつけて、日本国民の自発的立法でないということは非常に残念だ、しかしながら、それだから現行憲法はだめだということではない、こういうふうなことも言っておられます。 したがいまして、不都合であるのかどうか、支障があるのかどうか、あるいは押しつけの憲法なのかどうか、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 まだ結論が出たわけではございません。いまいろいろの角度から勉強をしておる、こういうことであるわけであります。ただ、全体として、現在の憲法の平和主義、民主主義、基本的人権、この基本理念によりまして、日本は今日まで生々発展を遂げ、国民生活も安定、向上を遂げておる、このように私は評価をいたしておるところでございます。 なお、押しつけ憲法かどうかということにもいま触れられましたが、現行憲法制定の当時は、確かに客観的に見まして、占領軍の強い影響下にこれが生まれたということも事実でございますが、しかし当時、議会において議決、承認を得て成立をしたということからいたしまして、一概にこれを押しつけ憲法というぐあいに決めつけるわけにはいかない、このように見ております。
○神田委員 そうしますと、いま御答弁を聞いておりますと、不都合な点があるかどうか、あるいは支障があるかどうかということについては、お答えがありませんでしたが、不都合な点はない、あるいは国が豊かに発展するのに支障はない、そしてさらに、押しつけと言われる憲法ではない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、繰り返し申し上げておりますように、憲法を改正する考えは持っておりません。鈴木内閣は、その点は国民の皆さんに明確に申し上げておるところでございます。
○神田委員 そうしますと、昭和四十七年に、稻葉調査会長時代に憲法改正大綱草案というのが出されておりますが、これは具体的にどういうところをどういうふうに改正をしたらいいかということの提案があるわけでありまして、たとえば、天皇の地位の明確化とかあるいは自衛力の保持を明らかにする。当時は、安全保障の確立という問題の中では、自衛力を保持しようということをまず認めようというような風潮でございました、三つ目には、国民の責務を明らかにする、こういうふうなことで、各項目にわたりまして、戦争放棄の条項、天皇制の問題、さらには国会、内閣、司法、財政、最高法規、いろいろ具体的な改正の草案が出ておりますが、これにつきましては、現在は、鈴木総理としまして、これらの稻葉試案が提案をしました改正の問題につきまして、どういうふう一にお考えでありますか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、現行憲法を尊重、擁護する、堅持するということを申し上げておる立場からいたしまして、また、内閣総理大臣という立場からいたしまして、憲法の具体的なそういう提案なり見解に対して、あれこれ批判をし、評価をすることは差し控えた。い、こう思っております。
○神田委員 しかし、ただ、こういうふうに具体的に提案がなされております。いまの総理の、瀬戸山会長の見解につきましてはそれなりに、押しつけ憲法ではないというような形での御発言がありました。そうしますと、当然、四十七年六月の稻葉調査会長の試案というのは、いまの総理の答弁から推察をしますと、この問題はすでにないものだというふうな形で受け取ってよろしゅうございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 いま自由民主党におきましては、瀬戸山会長のもとに憲法調査会で引き続き掘り下げた検討を進めておる段階でございます。
○神田委員 それでは、五十五年八月に総理は瀬戸山調査会長と会談をして、その後瀬戸山会長が記者会見をしまして、憲法九条がこのままでよいのかどうかの検討が一つの対象になる、こういうふうなことを言いました。五十五年八月十九日に官邸で鈴木総理と会談をした後の憲法問題についての発言でございます。したがいまして、そのことに憲法九条の問題が触れられておりますから、そのとき総理も、この瀬戸山氏の、憲法九条がこのままでいいのかどうか、これも検討の対象になるというふうなことの中で、会談の中に憲法九条の問題が出たのかどうか、あるいは瀬戸山氏のこういう話に同意をなさったのかどうか、その点はどういうふうに考えておりますか。検討が必要だというふうに考えておりますかどうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、就任あいさつに官邸に瀬戸山君がお見えになった際に私から申し上げたことは、鈴木内閣としては、憲法を尊重、擁護するという立場を強調いたしました。と同時に、憲法九十六条によりまして、憲法をいろいろ研究し、論議し、勉強を深めていくというようなことは、これは尊重、擁護と相反するものではない、そういう観点から、自由民主党憲法調査会で慎重に論議を尽くしていくということには自分も同意である、こういうことを申し上げました。あわせて、憲法改正というようなことは慎重の上にも慎重を要する問題であるから、その点も十分配慮して進めてもらいたいということも申し添えてあったわけでございまして、憲法九条とか何条とかいうような具体的な条項にわたっての議論はいたしておりません。
○神田委員 この憲法九条問題につきましては、各閣僚がかなり大胆な発言をしております。この憲法九条について、鈴木内閣の閣僚の皆さんがどんなふうなお考えを持っておられるのか、これから二、三お聞きをしたいと思いますので、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。 最初に、憲法九条、この問題について肯定するのかしないのか、あるいはこの憲法九条は改憲の検討に値するのかどうか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思うのであります。 まず、大村防衛庁長官から……。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 憲法第九条は、わが国の自衛権を否定しておらず、自衛のための必要最小限度の実力の保持を禁じておらないものと考えております。また、憲法第九条第二項が保持を禁じている戦力は、自衛のための必要最小限度を超えるものを言うものと解しております。さらに、憲法第九条第二項の交戦権とは、交戦国が国際法上有する権利の総称でありまして、自衛権の行使に当たっての実力の行使とは別のものであると考えております。 以上をもってお答えといたします。
○神田委員 憲法九条の解釈をお聞きしたのではなくて、防衛庁長官として、したがいまして改憲の対象にすべきであると考えているのか、すべきでない、現行のままでよい、こういうふうに思っているのか、どちらか。
○大村国務大臣 防衛庁長官といたしましては、現行憲法のもとにおきまして任務の達成を図りたいと考えておるわけでございます。
○神田委員 改憲の検討の必要があるのかないのか。防衛庁長官として任務に当たっているのは当然でありますが、その辺はどういうふうにお考えですか。イエスかノーかで結構ですから、時間が大変少ないので、ひとつよろしくお願いいたします。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 防衛庁長官の見解は、先ほど申し上げたとおりでございます。鈴木内閣のもとにおきまして、現行憲法のもとにおいて防衛力の整備なり任務の達成を図ることに専念してまいりたいと考えておるわけでございます。 強いて申し上げますれば、必要はないと考えております。
○神田委員 強いて言えばということでございますが、改憲の必要がないという防衛庁長官の見解が出ました。 続きまして、中川科学技術庁長官から……。
○中川国務大臣 おおよそ国を守る自衛隊というものは、非常に重要な国家繁栄の基礎をなすものだと思います。それが憲法違反であるとかどうとかと言われるような議論が一方にあることは残念である。もう統一して、そういう議論がなくなるように現行憲法を解釈するか、もし議論があるならば、そこは合意の得られる姿にしたいというのは常識ではないかと思っております。 ただし、いま憲法を改正するとは、鈴木内閣のもとでは言いません。しかし私は、立候補するときから、憲法改正を国民にうたって当選してきておりますから、政治家の信条としては、わが党が改憲政党であるのと同じく、政治家としては改憲の思想を持っております。
○神田委員 改憲思想、当然九条がやはり改憲のポイントになるわけですね。
○中川国務大臣 九条がなるとかなんとかじゃなくて、これはわが党の、昭和三十年に自由党と民主党が一緒になって政党をつくった際に、憲法に対する改憲の考え方が述べられておりますが、これは九条なんとかいうことじゃなくて、全体としてそういう思想の持ち主である、九条については、先ほど申し上げたように疑義がないようにすべきである、こういうふうに思っております。
○神田委員 時間が余りありませんのでちょっとあれですが、中曽根行政管理庁長官……。
○中曽根国務大臣 私は、先般来表明されておりまする内閣の統一見解に従っておりまして、それが私の見解でございます。
○神田委員 鈴木内閣のもとでは、みんな内閣に従っているから、これは内閣の姿勢に従うというようなことでありますが、もうちょっと本音を言ってもらうといいのですが、次に奥野法務大臣、方々でいろいろ発言しておりますが、どういうふうにお考えですか。
○奥野国務大臣 政府として自主憲法制定の動きをすることは適当ではないと思っておりますけれども、憲法九条を中心にいたしまして、政党の間でも学者の間でも大きく意見が分かれておりまして、私は、これが自衛隊の士気に影響していると心配しているものでございます。したがいまして、憲法に関する研究、議論、これが大いに活発に行われて、みずから憲法をつくり直してみようじゃないかという考えが出てくることを望ましいと考えているものであります。
○神田委員 法務大臣自身は、この九条の問題は、イエスかノーかと言われれば、どういうふうにお答えですか。
○奥野国務大臣 政府としての考え方は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ほかに方法があれば格別でありますけれども、やはりもう一遍つくり直してみる以外には、いまの状態では意見が分かれる問題を解決できないのじゃないだろうかと心配いたしております。
○神田委員 憲法九条につきまして、そうしますと、明らかに改憲をした方がよいという立場をおとりになりますか。
○奥野国務大臣 いまのままでは、国民がもう一遍つくり直してみるという方法以外にはないのじゃないだろうかなと、こう思っております。
○神田委員 いま奥野法務大臣は、そういうふうなことで、憲法九条は改正をしなければならないということは明らかに言っておりますね。 官房長官として、閣内におきましてこういうふうな憲法問題につきましての非常に多くの議論が、当然個人個人につきましてはあって結構でございますが、いわゆる鈴木内閣として、たとえば第九条の問題につきましてもこれだけはっきりした改正を主張する閣僚も出てきているということにつきましては、どういうふうにお考えでございますか。
○宮澤国務大臣 憲法第九条がわが国の自衛権を否定しておらないこと、第九条二項が保持を禁じている戦力は自衛のための必要最小限度を超えるものを言っておるのであるというようなことにつきましては、先ほど防衛庁長官が答弁をされましたが、これが政府の正式の見解でございます。 先ほど質問に答えられました二、三の閣僚の中から、この九条のこのような解釈をめぐって国民の間にいろいろ疑義がある、したがって解釈を非常にはっきりしてもらうか、あるいはそれが不可能な場合にもっとはっきりこれを書いてもらうか、そうしないと自衛隊に対する国民の支持というものについてやはり自衛隊の士気に関係のあるような状況になりはしないかと心配をしている、こういう心配の念を一、二の閣僚が表明をされておることでありますが、この点は、政府がこの九条をこのように解釈しておるということをはっきり申し上げることによってそれが定着していくならば、国民のそういう心配はおのずから解消していくであろう、そういうふうに私は考えております。
○神田委員 しかし、主要閣僚であります奥野法務大臣は、第九条は改正しなければだめだということをはっきり言っているわけですね。さらに、中川科学技術庁長官も改憲についての積極的な発言だというふうに私どもはとれるわけでありますが、こういうふうに、鈴木内閣は憲法を守るということを言いながら、閣僚の中に明らかにはっきりと九条を改正しろという意見があるということは、これは非常に閣内不統一というふうに言われてもやむを得ない問題だ。これは大変大事な問題だと思いますが、どういうふうに思いますか。
○宮澤国務大臣 先ほど発言された一、二の閣僚が真に心配しておられることは、この九条についての解釈が不明確であると、現実に存在しております自衛隊についての国民の疑念というものがなかなか解消しない、自衛隊自身の士気にもそれは関係することである、これを心配しておられるわけでありますが、幸いにしてこの点は、政府のこのような解釈がやはりだんだん定着をしてきておって、自衛隊に対する支持も高まっておる、こういうふうに政府は考えておりますから、この際これを改正する必要があるとは考えない。
○神田委員 官房長官の説明と奥野法務大臣との見解、意見の表明、これは全然違いますね。これではやはり受け取る国民としては非常に困惑するわけでありますが、総理大臣は、この各閣僚の御意見を聞きましてどういうふうにお考えになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 憲法の第九条に対する解釈、これは歴代内閣が一貫して申し述べておるとおりでございます。このわが党の歴代内閣がとってきておる憲法九条に対して反対だ、このように改正しなければならないということを私に申し出た閣僚は一人もおりません。全部、憲法を尊重して擁護していくということを、ここで私は明確に申し上げておきます。
○神田委員 総理に直接そのことを言わなくても予算委員会の場で、しかも全閣僚のいるところで明らかに、第九条は改憲の必要があるということを明確に述べている閣僚がいるわけであります。この問題どうしますか。
○奥野国務大臣 私は、憲法九条は自衛隊を否定しているものではない、これは政府の見解と全く同じであります。ただ、現状が意見が割れているじゃないか、それがいろいろな影響を及ぼしているじゃないか、こう申し上げているわけでございまして、それを打開するためには、国民みんなが考える、国民みずからつくったものでありますならばそういう意見が分かれることはあり得ないじゃないか、だから一つの方法として、そういうことしかいまの事態では打開が考えられないじゃないか、こう申し上げておるわけでございます。私は同時に、憲法の改正を求める者もまた憲法改正に反対する者も、ともに、この憲法を遵守していく姿勢には変わりはないと思います。同時にまた、憲法違反の法令をつくろうとする場合に強く抵抗します者は、憲法改正論者も同じであります。憲法尊重擁護の義務と憲法改正を論ずる姿勢、これは何ら変わりはない。やはり時勢の変遷に応じまして、あらゆる法令についてその改正を常に研究していかなければならないことは、私は憲法についても同じだ、こう考えておるわけでございまして、私が申し上げておりますことが閣内不統一ということは、閣内不統一の考え方を少し議論された方が正確になっていくんじゃないか、私はこう思います。私は内閣の方針と違った行動をとろうとは考えていないわけでございまして、思想信条はいろいろある、その思想信条の違いにとどまることじゃないか、この思想信条の違いを日本の憲法は深く守っていこうとしていることも御理解いただけると思うのであります。
○神田委員 憲法を守っていくということはだれも同じであります。どういう憲法をつくって、どういう憲法を守っていくかという問題の中で、法務大臣は、第九条の問題につきましては、これは明らかに改憲の必要があるということをこの席上で言っておるわけでありますから、鈴木内閣としては、第九条も含めていまの憲法、改憲の必要がないということを言っているわけでありますから、これは明らかに意見が違うわけであります。
○奥野国務大臣 閣僚一人一人に思想信条の違いがあることは、これは私は当然じゃないかと思うわけであります。内閣としてどういう行動をとるかということにつきましては、鈴木内閣は憲法改正を考えない。私もこの鈴木内閣にあります限りにおいては憲法改正は考えない、こう申し上げておるわけでございまして、政府としての姿勢と物の考え方と区別して私は申し上げているわけでございます。
○神田委員 そんなふうに、ただいま鈴木内閣のもとでは憲法を変えることは考えないとかかわったら考えるとか、大臣をやめたら改憲論者になるとか、そんないいかげんなことをいろいろ言われたんでは非常に迷うと思うのですね。鈴木内閣のもとでありながら、しかしながらこの憲法九条問題についてどうしても改憲をした方がいいという意見を強力に持っているならば、それは堂々と総理大臣に、私は憲法九条の問題についてはこういうふうな考えである、したがって、現在の内閣の中で九条問題について意見を異にするからひとつ相談をしてくれ、そういうようなことをはっきりぼくは言った方がいいと思うのですが、どうですか。
○奥野国務大臣 私は、いろいろな考え方があるから物の考え方が発展していくのであって、一つの考え方に抑えつけてしまいますと、考え方はそこでとどまりまして発展していかないと思うのであります。また、日本の憲法も、そういう思想信条あるいは表現、いろいろな点について最大限度に自由を尊重しながら発展を図っていこうとする憲法だ、こう考えておるわけでございます。したがいまして、内閣の中におります者が、宗教につきましてもいろいろな宗教を信じているだろうと思いますし、また、いろいろな考え方を持っていると思うのでございまして、それと閣内統一、不統一の問題とは別個の問題だ、次元の違う問題だ、こう私は申し上げているわけでございまして、今日もそう信じておるわけでございます。内閣にあります限りにおいては内閣の方針に違ったような行動はとりません。しかし、閣員それぞれがそれぞれに考え方を持っておる者でございまして、型にはまったような人間ばかりそろっているものだとは私は思っておりません。
○神田委員 奥野法務大臣は鈴木内閣の、日本国を代表する閣僚であります。その閣僚が憲法問題について内閣と違った考え方を持っているということ、これはみんなわかっているわけであります。これはやはり対外的に見ましても、あるいは国内のいろいろな国民の方から見ても、非常に奇異な感じで映るんじゃないでしょうか。やはり内閣というのは、たとえば自衛隊の問題にしろあらゆる問題にしろ、一つのまとまった執行体としてあるわけでありますから、そこで憲法問題、九条問題で真っ向から内閣と違う見解を持った閣僚が、しかも法務大臣という形でそこにあるということは、私は非常に問題だというふうに考えていますが、この辺は総理大臣、どう考えますか。
○奥野国務大臣 憲法九条に関しまする解釈は、私は内閣の考え方と全く同じであります。
○神田委員 しかし、先ほど言ったように、あなたは九条の解釈が全く同じ。じゃ、どうして九条の改憲が必要なんですか。
○奥野国務大臣 政党の間にも学者の間にも違憲の議論が出ておるわけでございまして、私たちは自衛隊の整備を図っていきたい、ところがそういう違憲論があります結果、自衛隊の士気にいろいろ悪い影響を及ぼしておるわけでございまして、これを打開するにはどんな道があるだろうかといろいろ考えてまいりますと、国民がもう一遍考えて新しく憲法をつくり直す、これも一つの方法だろうと思うのでございまして、いまそれ以外には私なりに考える道はありませんので、そういうことも一つの方法じゃないだろうかということを私が好ましいという形で、昨年の八月法務委員会でお尋ねをいただきましてお答えをしたわけでございまして、そのお答えは私の考え方でございまして、別にきょうになって変わっているわけのものでもございません。しかし、閣内統一、不統一にならない、これは大事なことでございますから、そのけじめは十分心得ているつもりでございます。
○神田委員 言っていることが支離滅裂ですね。大体、憲法九条の解釈は全く同じだと言っていてどうして改憲が必要なのか、ぼくはわからないのですがね。九条の解釈が全くいまの内閣と同じだと言っているなら、いまの内閣は改正する必要は全然ないと言っているわけですから、それなのにどうして改憲の必要があるのか、それはちょっとわかりませんね。
○奥野国務大臣 合憲、違憲の解釈の食い違いが起こらないようにしたいということでございます。
○神田委員 ちょっとどうも、法務大臣が言っていることがぼくはよくわかりません。解釈が同じならば当然同じように、改正の必要もないというふうに考えるのが、生物学的に言ってもこれは人間の常識であります。それが、解釈は同じだけれども改憲は必要だ。どうもちょっとわかりません。これは総理、どうですか、どんなふうにお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げておるように、憲法尊重、擁護ということについては全閣僚一致しておるところでございます。私は、憲法の中でこういう条項が気に食わない、どうしても改憲しなければいけない、こういう主張に立って、この鈴木内閣の憲法は改正しないということにはどうしても政治家の信念として相入れないということであれば、鈴木内閣から去っていただくほかはない、このように考えております。
○神田委員 いま総理大臣が、相入れないならば去っていただかねばならない、こういうふうなお話でございます。いままでのこの論議を聞いておりまして、やはり鈴木内閣と奥野法務大臣とは考え方を明らかに異にしている。したがって、私は、この問題につきましては、総理が決断といまおっしゃいましたような形で、閣内においてもう少しこれを十二分に論を詰めていただきたいと思うのでありますが、官房長官、いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 先ほどからるる奥野法務大臣が述べておられますとおり、別段、閣内で調整を要する点はないと思います。
○神田委員 ただいま総理は、そういう場合には去っていただかねばならないと言いましたが、奥野法務大臣の発言は、その去っていただかなければならないという総理の判断に合致するんでありましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほどからしばしば申し上げておりますように、鈴木内閣のこの改憲はしないということにつきましては、閣僚全員一致、その方針を支持しております。
○神田委員 いま全部が支持をしていると言っておりながら、しかし改憲が必要だということをここで言っているというのは、これはやはり問題だと思いますね。しかも、解釈は理解するけれども改憲が必要だ、こんなことでは全くどうも話になりませんし、ぼくは理解に苦しんで、どういうふうに進めていいかちょっとわかりませんね、これは。
○小山委員長 どなたに対する質問ですか。
○神田委員 官房長官、どうですか。
○宮澤国務大臣 何度申し上げましても同じことになると思いますが、九条の政府の解釈については先ほど申し上げました。それについて奥野法務大臣は異存がない、自分も自衛隊というものは九条のもとで認められておるものと思う、こう言っておられますから、一つも実は争点がない……
○神田委員 ちょっと内閣の方も混乱をしておるようでありますが、私はこの問題については納得ができません。理解ができません。後の問題がありますので後に移りますけれども、引き続いてこの問題については今後追及をしていきたいと思っています。 ところで、五十五年十月二十二日に自民党本部におきまして当選二回の代議士と懇談をしましたときに鈴木総理は、私どもは内閣として現行憲法を尊重、擁護し、自民党の結党以来の自主憲法制定の努力をすることの両面の対応が必要となってきた、こういうことを言っております。つまり、現行憲法を尊重し擁護するという立場と、それから結党以来の自主憲法制定の努力をする、この両面の対応が必要となってきたという、この両面の対応というのは、これはどういうことでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 その報道は舌足らずの点が多々ございます。私は、まず鈴木内閣の憲法に対する基本的な姿勢を述べますと同時に、自由民主党は立党の綱領として自主憲法制定ということをうたっておるけれども、しかし、この憲法の改正問題というのは慎重の上にも慎重を期さなければいけない、それには、ただ改憲、改憲と声を大きくしておったのではだめだ、特に若い諸君はもっと冷静に、掘り下げた研究を十分すべきである、このように当選二回の若い諸君を指導した、こういうことでございます。
○神田委員 そうしますと、憲法調査会がいろいろな調査をして結論を出す、こういうふうな時期が来ると思います。両面の対応というのは、つまり、どちらにでもこれができるような形で、国民の声が憲法改正が必要になってきたということならば憲法改正の方に行くんだ、あるいは現在のままで護憲がいいという形ならば政治の判断で護憲になるんだというふうなことであると思うのでありますが、憲法調査会が改憲の方向を出したときには総理はどういうふうに対応なさいますか。
○鈴木内閣総理大臣 憲法調査会の上に総務会がございます。さらに、国の基本法でございますから党大会にかけて、党議としてこれを決定をしなければならないのでございます。私は常に申し上げておるのでありますが、憲法改正の問題は慎重の上にも慎重を期さなければならない。国民世論がこの点をこのように改正すべしというぐあいに成熟をする、そういうようなことでなければならない。憲法は国民とともにあるわけでございますから、そういう意味で私は、憲法改正問題を軽々に扱うというようなことがあってはならない。これが私の基本的な考えでございます。
○神田委員 やはり総理として非常に慎重に御判断なさっておるようでありますが、しかしながら自民党総裁として、責任政党の指導者として、調査会なり総務会なりの方向が改憲の方向というものをはっきり出してきた場合には、やはりその改憲の方向を推進なさるお立場をおとりになるのでありましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 いま申し上げたような慎重な態度で取り組んでまいる所存でございます。
○神田委員 改憲の方向があっても慎重にというふうな、あるいは改憲のそういう土俵づくりにも慎重にという立場だというふうに理解をしておきます。 ところで、裁判所の一連の統治行為論、これが出ております。つまり、私どもの委員長であります佐々木委員長が代表質問の中で、自衛隊の合憲問題を中心として、合憲決議を中心としまして御質問を申し上げました。そのときに、裁判所は、自衛隊の合憲というような問題につきましては、これは直接国家統治の基本に関するきわめて高度の政治性のある国家行為であるから、裁判所の判断に属さないといういわゆる統治行為論をとっております。そういうことで、この統治行為論につきまして、総理はどういうふうに評価をなさっておられるでありましょうか。
○角田(禮)政府委員 憲法解釈の面だけについてまずお答えをいたしたいと思います。 御指摘のように、最高裁判所は、これまで衆議院の解散あるいは新旧両安保条約についていわゆる統治行為の理論をとっているところであります。統治行為につきましては、憲法上明文の規定はございませんが、司法権の本質に内在する制約として、判例、学説の上でも一般に認められているところでありまして、政府といたしましても、この理論を司法権の行使にかかる最高裁判所の判断として尊重しているところでございます。
○神田委員 そういう立場をとっているとするならば、それでは、たとえば自衛隊の問題につきましても、長沼二審判決を初めといたしまして、いわゆる統治行為論が出されております。したがいまして、つまり自衛隊の正当性、合憲性を明白にするというためには、あるいは合憲性に対する疑義を解消するためには、どういうふうなことをなさるおつもりがございますか。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊が合憲であるということは明確に申し上げておるところでございます。したがいまして、私は、これを国会で決議を上げたらどうか、こういう御意見があることも承知をいたしておりますが、それは国会自体がお決めになる問題であろうか、このように思っておりまして、政府としてはあくまで現行憲法のもとに自衛隊は合憲である、こういう基本姿勢のもとにすべての施策を進めてまいる考えでございます。
○神田委員 自衛隊の合憲性を政府は認めているということでありますが、しかしながら、自衛隊違憲だという意見もたくさんあるわけであります。そして、自衛隊の合憲性を明確にする、あるいは自衛隊が合憲であるということをはっきりとこれを確認する意味におきまして、いま、国会決議等は政党の問題だ、国会の問題だというお話でございますが、しかしながら、この統治行為論を受けて、自由民主党の総裁としての立場もあるわけでありますから、たとえば最高裁の最終的な長沼判決等が出ました折には、やはり私は、何らかの形でその立場が統治行為論をとっておるならば、国民に対する自衛隊の合憲性についての問題を明らかにしていく必要があると思いますが、その手だてについてお考えがございますか、総理にお伺いいたします。
○鈴木内閣総理大臣 私は、歴代内閣がとっており、現内閣も明確にいたしております自衛隊合憲、これは不動のものでございまして、改めて国会決議を要しない。これは自由民主党の総裁としてもそのように考えております。また、そういう点を含めて改憲のために国民投票するというようなことも、全然考えておりません。
○神田委員 現在の中で国会決議も国民投票もなさらないということでありますが、私はやはり、たとえば国会決議をするとか国民投票をするとか、あるいは憲法改正をするとか、そういう幾つかの選択をしなければならない時期が来ると思っております。統治行為論を受けて最高裁が判断を下す段階で、何らかのそういう政治判断が必要だというふうに考えておりますが、これは総理の、現在のところでは国会決議も国民投票も必要でないということを聞きますと、それでは憲法改正をそこで準備をしているのではないか、将来的な課題として自衛隊の問題については憲法改正を考えているのではないか、こういうふうなことも思われるのでありますが、その点はいかがでございますか。
○鈴木内閣総理大臣 政党は、いずれの政党におきましても、自由民主党もそうでありますが、国民の中にあります議論、意見というものを吸い上げて、いろいろ政党として研究をし、論議を尽くす、こういうことは当然のことだ、このように考えています。
○神田委員 どうも論議を尽くすことが憲法の改正につながるのかどうか、非常に微妙な答弁でございました。つまり自衛隊の問題は、いま国民の中で、たとえば新聞社のアンケートでも、自衛隊を憲法ではっきり認めることについては賛成というのが多数出ている。さらに、早稲田大学あたりのアンケートでは、やはり自衛隊は必要だけれども自衛隊は憲法違反だというアンケートが出ているのですね。そういうことを見ますと、どうも憲法の問題で国民投票もあるいは国会決議もしないということになりますと、最終的には憲法改正によって自衛隊を認めさせようというような、そういう意見が非常に強くなる危惧を持っております。いま総理は、明確にそのことについて答弁をなさいませんでしたが、再度、将来的な統治行為論を受けての憲法改正はあるのかないのか、第九条についてお伺いいたします。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊合憲ということにつきましては、私ども、いささかの疑義も持っておりません。したがいまして、そのために国会決議であるとかあるいは国民投票であるとか、そういうものを採用するというような考えを持っておりません。
○神田委員 それでは、最後に総理に、どうして合憲性の国会決議に反対なさるのですか。
○鈴木内閣総理大臣 自衛隊合憲ということは歴代内閣がこれを堅持しており、現在、予算その他すべて、それを前提として進められておる、こういうことでございますから、改めてこの点で国会決議とかそういうことは必要がない、こういうことでございます。
○神田委員 そうしますと、私は、将来的なことにわたっても、統治行為論の最高裁判決が出たときにおいてもそうかという話をしているわけでありますから、総理のいまの答弁は、最高裁判決が仮に統治行為論をとった場合においても、いわゆる自衛隊の合憲についてはこれを確認をする、いまの現状のままでいいのだというふうな解釈だというふうに理解してよろしゅうございますか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○神田委員 最後に、先ほど誠備グループの問題につきまして質問をいたしましたが、刑事局長が来られたようでありますので、この事件の経緯と今後の捜査の見通しにつきましてお話をいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの事件は、本年の二月四日に東京国税局から、吉永こと金丞泰なる者の所得税法違反ということで告発がございまして、東京地検で捜査をしているわけでございます。その間、いわゆる強制捜査の必要があるということで、二月の九日に、いま申しました金という人と、それからもう一人田久保という人、この両名を逮捕しておるわけでございますが、その後捜査の進行に伴いまして、いま申しました金なる者の脱税の共犯ということで昨日加藤暠という者を逮捕した、こういう経過でございます。 何分にもきのう逮捕したことでございまして、今後のことは文字どおり今後のことでございますけれども、いま申しましたように、加藤なる者を逮捕いたしましたのは、告発をされました金という者の脱税の共犯という疑いがあり、その金の脱税の告発事実を明らかにする上において必要があるという判断でしたものというふうに承知しております。
○神田委員 証券会社の捜査はどういうふうになっていますか。
○前田(宏)政府委員 ただいま申し上げましたように、金という者につきまして所得税法違反の疑いがあるという告発があって、その共犯、つまり、金という者が脱税をするにつきまして架空の取引口座等を用いまして株の取引をした、それが脱税の一部と申しますか、もとになっているわけでございますので、その事実を明らかにするということでございます。
○神田委員 これで終わりますが、大変質問を残しまして、関係の各省に御迷惑をかけましたが、後日またやらせていただきます。
○小山委員長 これにて神田君の質疑は終了いたしました。 次に、稲葉誠一君。
○稲葉委員 総理にお伺いをしたいわけですが、それは三木内閣ですか、防衛費はGNPの一%以内という閣議決定があるようですが、これは鈴木内閣としても堅持する、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○稲葉委員 そうすると、その一%以内というのの中に、人件費や糧食ですね、これも入っているのですか。
○鈴木内閣総理大臣 三木内閣当時の扱いと同じでございます。
○稲葉委員 いまの点はどうなんです、防衛庁なり大蔵省。
○大村国務大臣 お答えします。 いま先生のお尋ねが一%の中に人件費が入っているかということでございますが、総理のお答えのとおり、人件費は入っております。
○稲葉委員 そこで、お尋ねをいろいろしてまいりたいのです。 まず、去年と比べて防衛費が九・七%ふえるというふうな話がずっと伝わってきましたね。この九・七%という数字はどこから出た、どういう計算の結果出た数字なんですか。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 いま御指摘の数字でございますが、これは昨年の夏、五十六年度の概算要求のシーリングを、防衛予算を担当します私と大蔵大臣と御相談したときに。出てきた数字でございます。 経緯を簡単にまとめて申し上げますると、当時におきます大蔵省の概算要求についての方針が、一般行政経費のほかは七%増程度、こういう方針でございました。その範囲内では明年度の防衛予算がどうしてもおさまらない、こういう見通してございましたので、いろいろ大蔵大臣と御相談いたしまして。防衛予算は大体二兆円ちょっと超したばかりですから、七%でありますと千四百何がし程度、それではどうしてもおさまらないというので、主要経費についての見通しもお話し申し上げまして、その結果この程度のもので受け付けていただきたい、こういうお話になりまして、それを換算すると、率にいたしまして九・七%、そういうことで八月末の概算要求を大蔵省に提出した、こういう経緯でございます。
○稲葉委員 ちょっと順序が逆になって恐縮なんですが、総理、アメリカへ行かれるわけですね。行って帰ってこられる。そうすると、補正予算の問題の中で人件費の問題は、防衛庁の関係でも人件費の問題は一%しか組んでないからということで、糧食費なども補正が出ると思います。だけれども、防衛費に関しては補正は五十六年度については出さない、こういうお約束ができますか。
○渡辺国務大臣 目下、どの問題についても、補正を出すということを前提にしてはおりません。
○稲葉委員 私は総理にお伺いするのは、アメリカへ行ったときに一体どういう話が出るだろうか。結局、防衛の問題が出るだろう、貿易の問題も出るだろう、いろいろな問題が出るだろうとは思いますが、防衛の問題が出たということから見て、その結果として防衛費に関する昭和五十六年度の補正予算は組む考えは全くない、向こうからどういうふうに言われようが組む考えはない、こういうふうに承ってよろしいですかと、こういうのです。
○鈴木内閣総理大臣 すべて予算は自主的に判断しまして編成するわけでございますし、私どもは、五十六年度の予算につきましては最善のものと考えて編成をし、国会に御提案をしておるということでございますから、その補正というようなことは考えておりませんし、また、いろいろな御意見が外部からありましても、これはあくまで自主的な判断によって対処していきたい、こう思っています。
○稲葉委員 私の言っているのは防衛費に関連してですよ。いまのお答えは防衛費に関するお答えだったというふうに私はお聞きをしておきます。 それで、これは外務大臣にお尋ねをするわけです。伊東さん、あなたは去年の八月二十四日から、タイからビルマから、パキスタンからインド、それから中国、ずっと行かれましたね。そして帰ってきたのは九月四日でしょう。次の日にマンスフィールド大使を呼んでいろいろお話をされましたな。これはどういうような経過からそういうふうになったのでしょうか。
○伊東国務大臣 お答え申し上げますが、去年八月から九月にかけてタイ、ビルマ、インド、パキスタン、中国と、私、外相としての第一回の外国訪問をいたしました。帰りましてマンスフィールド大使に来てもらいまして話をしたのでございますが、それは、アジアを回りまして、各国でアメリカ側にこういうことを伝えてほしい、日本側として言ってほしいというようなことを言われたことがありましたので、それを伝えるために実はマンスフィールド大使に来てもらって話したのでございます。 たとえばカンボジア問題につきまして、タイで、国連における民主カンボジア政府の代表権の維持の問題、これはアメリカはまだ決めておらなかったわけでございますが、私、参りましたときに、経済的協力のほかに、そういうことに日本が政治的役割りを果たしてもらいたいということがありまして、アメリカにもそのことは日本から要請してもらいたいということがございましたので、カンボジアの代表権の問題をアメリカに言ったことがございます。アメリカは国連で民主カンボジア政府の代表権を認めるということになったわけでございますが、それを言ったことがございます。 それから、たとえばインドで、インドに対しましてアメリカが、援助をしてくれたり、あるいは一時切れたり、非常に一貫性がないことがあるので、ソ連とインドの関係、インドとアメリカの関係等ございまして、アメリカに対しまして経済的な協力を一貫してやってほしいんだというような意向がありましたので伝えたり、あるいはパキスタンが、ちょうどアフガニスタンに対するソ連の軍事介入で難民を抱えて非常に苦労していたときでございまして、アメリカとパキスタンとの関係は余りいい関係でなかった。それに対しまして、パキスタンからいろいろアメリカに対する意見があったわけでございます。 そういうことを率直に伝えるということで、アジアを回りまして、アジアの国々がアメリカに対して持っております考え方、そういうものをそのまま率直に伝えだというのが、私が帰ってきてからマンスフィールドさんに会った内容でございます。
○稲葉委員 あなたはそういうふうに問題をぼかして言われていますが、あなたの発表されたものを見ますと、「今回訪問の一つ一つの国は別にして、全般的にいえることは、この地域でアメリカの影響力が非常に薄くなっているということがまずいえます。中にはアメリカに対する不信をあからさまにいってる国もあります。そういう感じを持って帰ってきましたので、アメリカはASEANの主張を支持してもらいたい、難民の問題について、もっと積極的にやってもらいたいと、帰ってきてすぐ次の日に、マンスフィールド大使にいったのです。」こういうふうに言っているわけです。 だから、私の聞きたいのは後半ではなくて、それらのあなたが回られた地域の中でアメリカの影響力が非常に薄くなってきておるということを、具体的な事実としてあなたは体験された、こう思うんですね。だから、その点について、どういうところがどういうふうにアメリカの影響力が薄くなっているのか、それを私はお話し願いたい、こう思うのです。
○伊東国務大臣 大分前のことなものですから記憶が薄れたことがありまして申しわけありませんが、いまおっしゃったことは、私が言いました一部は稲葉さんがおっしゃったことに該当することで、アメリカに対していろんな率直な意見があったわけでございます。そういうことを伝えるということは、一つは、先生のおっしゃった前段の、半分のことでございますが、もう一つの、アメリカの影響力が薄くなっているという私の感じを持ちましたことは、これはどの国がどう言ったということは別にしまして、アメリカがベトナム戦争で、あれから引き揚げたということで、アメリカがアジアに対する関心が前より薄れたんじゃないか。特に率直なことを伝えたと言った中には、アメリカがもとはこういうことをしていたことがあるんだ、それがいまは経済援助もやめているとか、そういうことになっていて、それでソ連がその間隙を埋めるような形になってきていることもあるんだということで、アメリカのアジアに対する影響力が前よりも薄くなってきているということを私は感じだということは、これは率直に確かにアメリカに言いまして、難民の問題等についても、もっとアメリカが経済的にめんどう見るべきじゃないかということを言ったことは確かでございます。
○稲葉委員 そこでもう一つ。 あなたは例の防衛問題についての中業の問題、この前のときに、あなた、何か私が誤解しているようなお話をされましたけれども、あなたは、「大平総理が今年五月アメリカに行った際に、アメリカ側に真剣に取り組むといっております。これは何も具体的な約束はしてないのですが、防衛問題に真剣に取り組む、こういったというので、真剣に取り組むということは向こうとしては、中業の何年か繰り上げをするととってる節もある。そこでそこに少し行き違いがあるのだろうと思うのですが、大平総理がこういうふうにいったとよくいわれるので、この問題をどういうふうに片付けたらいいのか、私としてはなかなか頭の痛い問題だと思っています。」こう言っているんですね。 だから、アメリカ側では、いままでのあなたが行かれる前の経過がありますわね。大来さんが行った、その前に山下防衛庁長官が行った、いろいろ経過がありますね。その中で、中業のいわゆる一年繰り上げということについて、アメリカ側としては日本はオーケーした、こういうふうにとっているのではないですか。そういうふうにとっている節があるのであなたも非常に困っている、こういうことなんでしょう、これ、頭が痛いと言っているのは。
○伊東国務大臣 それはどこで、記者会見で言った言葉でございますか、ちょっと場所は記憶ないのですが、そういう意味のことを言ったことがございます。 それは、大平総理が五月一日にカーター大統領と会う前に、いま稲葉さんおっしゃったように、防衛庁の長官でございますとか、当時の大来外務大臣がブラウンさんに会って、中業という言葉が出たということで、帰ってきて、これは閣議決定をしたものじゃない、防衛庁の中のものだけれども向こうからその話が出たということで、防衛庁に伝えると自分は言ってきたということは、去年の三月か何か、あったわけでございます。 それから、その後で総理が行きまして、カーター大統領から、すでに政府の中にある計画の早期達成があればアジアの平和もも有効なんだという話が出た。向こうからありまして、大平総理は、何ができるかできないかということはあるが、真剣に防衛の問題は努力するというようなことを言ったということが、当時向こうから電報が入り、新聞に出たわけでございます。私は留守番をしておりましたが、みんな、それは一年繰り上げ達成の約束をしたんだというようなことが新聞に出ましたので、私はわざわざアメリカに電話をしまして確かめたことがあるのです。 私もその記者会見で言ったのでございますが、すでに政府の中にある計画ということは、前の経過、大来外務大臣も行った、その前の、防衛庁長官が行って中業の話をされたということから見れば、アメリカ側は恐らくそういうことを考えているんだろうということを言ったことがございます。私だけでなくてほかの人も実は言ったことがあるのですけれども、私はそういうことをクラブで言ったことがございまして、そういうことを総理が約束したということが盛んに出ましたけれども、それはえらいことでございますから、本当にそうかということを私はわざわざアメリカまで確かめたのでございますが、そういう約束は一切してない、真剣に努力をするんだ、防衛問題については、ということだけで、一般論で、その計画そのものの一年繰り上げとか、そういうものは約束をしていないということを電話でも言い、帰ってきてからも総理から報告がありましたので、私はずっとそう考えておりますし、この前も稲葉委員にそういうお答えをしたわけでございます。
○稲葉委員 私が問題にしているのは、中業というものを防衛庁は内部の資料としてつくって、総理大臣も官房長官も外務大臣も大蔵大臣も全然知らないうちにアメリカに話して、その資料を見せてしまったんですか、山下防衛庁長官が行ったときかな。どうなんですか、その点については。総理や官房長官や外務大臣や大蔵大臣、みんなちゃんと承認を得て中期業務見積もりというものをアメリカ側に見せたのですか、その点の経過はどうです。
○大村国務大臣 ただいまお尋ねのございました経過でございますが、現在の中期業務見積もりは五十四年七月十七日に作成されまして、同日その概要が公表されたのでございます。その概要につきましては、昨日もお尋ねがございましたが、中業は大別して二つの部分からできている。一つの部分が能力見積もりでございまして、これは極秘でございますから公表いたしておりません。もう一つの事業見積もりの方でございますが、これも能力見積もりとの関連で一応秘とされているわけでございますが、能力見積もりと関連を持たない部分につきましては、できるだけ公表して国民の御理解を願うということで作成して公表いたしたわけでございます。 そこで、お尋ねの米側に対する関係でございますが、同年八月に当時の山下長官が訪米した際などにおきまして、日米両国の防衛問題に関する意見交換の場において防衛庁の考え方を述べる際に、必要に応じその概要を説明しているわけでございます。もとより、国内でも発表しておりません能力見積もりに関する部分は、米側といえども説明をしておらないわけでございます。説明した内容もすでに防衛庁が発表している範囲のものでございまして、米側といたしましても、中期業務見積もりが防衛庁限りのものであるということは十分承知しているものと考えているわけでございます。 以上が経過でございます。
○稲葉委員 中業はあれでしょう、事実上五年で一年が過ぎちゃっているから四年間あったわけでしょう。それを三年間にするという話はどこから出たのです。どこから出たの、こっちから出したの、アメリカ側から出たの。一体どういうふうにして話が出たのです。
○大村国務大臣 現在の中業は五十五年度から五十九年の見積もりだ、五年間であることは御指摘のとおりでございます。それを三年にせよというお話は、私聞いたことございません。ただ、これまで聞いておりますのは、着実、顕著にやってほしい、それに関連して一年短縮してほしい、こういう希望意見が出されたことがあるということは承知しております。
○稲葉委員 五年を四年にするんじゃなくて、もう一年間はすでに過ぎちゃっているから、アメリカ側からの要請というのは、四年間のものを三年間にするという要請があって、それが着実でしょう、ステディー・アンド・シグニフィカントという言葉で出てくるわけでしょう。それを防衛庁側はのんで四年間のものを三年にした、こういうことでしょう。 いいですか、よく聞いてください。だから、計画というものは予算が変わってくるわけでしょう。四年間でやるべきものを三年間でやることになってしまったんだから金額が変わってきて、ふえてくるわけね。そうして後の、来年度、再来年度というものも当然金額がふえてくる、こういうふうになるわけでしょう。だから、ことしそれから五十七、五十八と、こういう中における防衛計画というのは今後どういうふうに推移をしていくのかということを金額的にはっきり明示してほしい、こういうことですよ。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 お答えする前に、大変恐縮でございますが、仕組みを申し上げさせていただきたいと思うのです。 現在の中期業務見積もりと申しますのは、これまでの何次防とかいうものと違いまして、年次別の数字は一切含んでないわけです。五十五年度からスタートして、五十九年度には主要装備品についてこれこれの数量まで持っていきたい、こういう見積もりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一年繰り上げの要望はございましても、最終の五十九年の目標をできるだけ早く実現するように努力したい。しかも、中業に書かれている項目はたくさんあるわけでございますが、財政事情もございますから、そういった装備品の中で急ぐものをできるだけ取り上げていきたいということで五十六年度の概算要求を作成したわけでございます。機械的に一年短縮するとかそういうことではなくて、中身を見まして急ぐものからスタートをさせるという観点からいたしたわけでございまして、決して先方の希望をうのみにするというようなことは一切いたしておらないわけでございます。
○稲葉委員 中期業務見積もりのことしの予算というものがそのままの状態で伸びていった場合、あるいは形を変えてというか、パーセンテージが違った場合とかいろいろあるでしょう。そういうふうに伸びていった場合の数字というものは、これは防衛庁でも計算しているんじゃないですか、それを説明してくださいと、こう言っているのですよ。
○大村国務大臣 御質問の趣旨がよくわかりましたので、数字の問題でございますから政府委員に御説明させていただきたいと思います。
○塩田政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、一年の繰り上げということではなくて、主要装備品について早期達成を図りたいということを私どもは考えておるわけでございますが、その場合、御承知のように、中期業務見積もりの所要経費、もちろん、中期業務見積もりでございますから主要装備品の調達計画でございますが、その見積もりを五年間で二兆七千億ないし二兆八千億というふうに申し上げておりますが、この二兆七千億ないし二兆八千億という数字は、今回私どもが早期達成を図るという前提で、いまその足がかりができたと申し上げているわけですが、その場合でも、特にこの二兆七千億ないし二兆八千億という数字を変える必要はないのではないかというふうに考えておるわけであります。 といいますのは、仮に一部主要装備品について早期達成を図りましても、別にそのことが装備品の調達数量をふやすということではございませんで、要するに五十九年までに終わる計画のものの一部を早期に達成するという計画だけでございますから、全体的に見まして、二兆七千億ないし二兆八千億という金額を変えるほど大きく変わらないというふうに私どもはいま見込んでおるわけであります。 なお、年次割りを持っているのではないかというお話でございますが、私ども、しばしば申し上げておりますように、中期業務見積もりにおきましては年次割りの計画を持っておるわけではございません。
○稲葉委員 そこで、いま、中期業務見積もりをアメリカ側に見せたと、こう言うわけですね。その見せたものについてはここに出ておる資料で、恐らく、補足資料というのかな、防衛庁が出したものだと思うのですが、そうすると、そのほかにいわゆる能力見積もりというものがある。あることは間違いないのですね。それが国会に出せないという理由はどういう理由からですか。一体何が書いてあるの、その能力見積もりというのは。
○塩田政府委員 まず最初に、アメリカ側に説明しましたものは、五十四年の七月に中期業務見積もりができましたときに、中期業務見積りについてという、手元に現在持っておりますが、これによって公表をいたしました。その資料によりましてアメリカ側に説明をしたわけであります。 それから、中期業務見積もりの中身といたしまして、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、能力見積もりと事業見積もりとございまして、両方あわせて中期業務見積もりというものを構成しておるわけでございますが、そのうちの能力見積もりは現在の――現在のといいますのは計画策定当時でございますから、昭和五十三年度でございますが、昭和五十三年度の自衛隊の持っております能力と、中期業務見積もりが完成いたしました場合に達成し獲得せられるであろう自衛隊の能力との比較検討をしたものでございまして、そういう意味で自衛隊の能力そのものの評価にかかわるものでございますので、これを秘密にさせていただいておるわけであります。
○稲葉委員 自衛隊の能力が五十七年にどういうようになるかということについて、それが一体どういうわけで国会に出せないのですか。ちょっとよくわかりませんね。秘密だというのは、それを出すことによってある特定の国に利益を与える、こういうようなことがあるということですか。
○大村国務大臣 お答えします。 ただいま政府委員から申し上げましたとおり、防衛の最も重要な機密にわたる部分でございます。この種の資料の扱いにつきましては各国ともに慎重な扱いをしているということは公知の事実でございまして、わが国の防衛問題を進める上におきましても、そういった事柄は性質上公表すべきものではないとこれまでも考えておりますし、これからもそれは続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、いま言った能力見積もりというのは一体だれとだれが見られることになっているのですか。
○塩田政府委員 中期業務見積もりは各幕僚監部が作成する見積もりでございます。したがいまして、各幕僚長、それから統幕議長……(稲葉委員「能力見積もりだよ」と呼ぶ)能力見積もりは中期業務見積もりの一つでありますから。それから内局で言いますと、私ども防衛局関係者、それから当然、事務次官、政務次官、防衛庁長官。先ほど申し上げましたように、これは防衛庁限りの資料ということでつくっておりますので、防衛庁長官まででございます。
○稲葉委員 そうすると、それは総理大臣は見ないのですか、見せないのですか。
○塩田政府委員 五三中業につきましては、先ほど来申し上げておりますように、防衛庁限りの資料ということでつくりましたものですから長官限りでございますが、その後に開かれました国防会議におきまして、中期業務見積もりを出したわけではございませんけれども、次の年度の予算概算要求の説明に当たって、背景説明という意味で概要の説明を申し上げたことがございます。
○稲葉委員 そういう重要なものを国会に出せないというのは、恐らくあなた方の方の秘密というか、それを出すことによってある特定の国々を利することがあるかもしれぬとかということだろうと思いますがね。 そこでお聞きしたいのは、シビリアンコントロール、シビリアンコントロールと言いますね、いろいろな人がいろいろなことを言っているけれども、それに対する統一的な鈴木内閣としての見解、それはどういうふうなことを日本におけるシビリアンコントロールと言うのでしょうか、はっきりさせてもらいたいと思いますよ。 これは一応述べて、後は書面で出してほしいですね。まあ議事録に載るだろうと思いますが。
○大村国務大臣 シビリアンコントロールについてお尋ねがございましたので、まず私から政府の考え方を申し上げたいと思います。 シビリアンコントロールとは、政治が軍事を統制することを言うものと理解いたしております。わが国の現行制度においては、国防に関する国務を含め国政の執行を担当する最高の責任者である内閣総理大臣及び国務大臣は憲法上すべて文民でなければならないこととされ、また、国防に関する重要事項については国防会議の議を経ることとされ、さらに、国防組織たる自衛隊も法律、予算等について国会の民主的コントロールのもとに置かれているのでございます。 以上をもってお答えといたします。
○稲葉委員 法律なり予算が国会によってコントロールされておる、これはあたりまえのことですね。そうすると、予算の内容の問題についてお聞かせを願いたいわけです。それでないとシビリアンコントロールということは出てこないわけですね。 そこで私がお聞きしますのは、まず最初に、日本とアメリカのシビリアンコントロールの違いはどこにあるか、こういうことをお聞きしたいと思いますが、わかっておりますか。
○大村国務大臣 アメリカはアメリカでシビリアンコントロールの制度が行われていると思うのでございますが、日本とどう違うか、私はその点、専門家でないのでございますので、一々申し上げるのはちょっと……。
○稲葉委員 防衛庁長官、あなた何代目の防衛庁長官ですか。あなた、何代目、わかっていますか。
○大村国務大臣 三十数代目というふうに存じております。ちょっと余り多いものですから、具体的な数字は急に思い出せないので。
○稲葉委員 では、日本とアメリカのシビリアンコントロールの違いを後で研究してちゃんと文書で出してください。いいですか。わかりますか。
○大村国務大臣 努力はいたしますが、ちょっと時間をいただかないとなんでございます。
○稲葉委員 そこで、私がひとつお聞きをいたしたいことは、たとえばこういうことですね。予算はわれわれ国会によってコントロールされる。ならば、この前のE2Cが四機ありました、五十四年度に。それは幾らで、現在どうなっているか。それから今度のE2Cがまた四機、急に計上されましたね。急というか、大蔵省の査定では三機だったものが四機になったらしいけれども、この金額は幾らで、どういう契約になっているわけですか。
○大村国務大臣 数字の問題でございますから政府委員からお答えさせたいと思います。
○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。 E2Cの契約額の内訳というふうに……(稲葉委員「その前のやっと今度のやつだよ」と呼ぶ)はい。それでは申し上げますと、E2Cの購入経費でございますが、五十六年度におきますところの購入経費につきましては総額四百九十一億円でございます。それから、五十四年度に契約いたしましたものにつきましては総額で三百四十二億円、こういうことになっております。
○稲葉委員 五十四年度のときは、ぼくは山下防衛庁長官とずいぶんやり合ったんだけれども、たしか九十二億ぐらいですよ、数字が。今度は百二十何億になっているんじゃないですか、二年ぐらいの間に。どうしてこんなに高くなったんです、このE2Cが。どういう為替の換算なの。どうしてこんなに高くなったの。この数字の内容を全部明らかにしてください。これは予算によるシビリアンコントロールでしょう。
○和田(裕)政府委員 先生のおっしゃったように、確かに為替の関係では安くなる要素がございますが、御存じのとおり、アメリカにおいては毎年二〇%に達するというようなインフレがこの数年続いておりまして、それが非常に単価を押し上げている要素になっております。主としてそういった関係で、航空機全般に通ずる話でございますけれども、非常に単価が上がっている、こういう状況でございます。
○稲葉委員 だから。この数字の具体的な内訳をはっきり出しなさいということですよ。これはロッキード社から買うんでしょう。ロッキード社から買うのか、ライセンスの生産にするのか何だか知らぬけれども、いずれにしても非常に価格が上がり過ぎているのですよ。アメリカのインフレが一年か二年の間に二〇%あったかどうかわかりませんよ。それにしても非常に高いのですよ。この数字の内訳を全部表にしてちゃんと出しなさいよ。予算書の中を見たってわかりゃしない。ちゃんと書いてないじゃないですか、しっかりしたこと。
○和田(裕)政府委員 価格の上昇の積算の要素別の内容につきましては後刻御説明するようにしたいと考えておりますが、一般論で申し上げますと、これまでも屡次申し上げ、御了承を得ておりますように、航空機の構成部分別の内容を申し上げるということになりますと、これは現に、後にまた契約を控えているものでございますので買う側の立場を非常に不利にする、こういったようなこともございます。それにつきましては御勘弁いただきたい、そういうふうに考えております。
○稲葉委員 よくわかりませんが、私が聞いているのは、五十四年のときは、三百四十二億というと、いろいろなものが全部入っていますわね、CIFの計算ですか、為替レートも入っているし、一機九十二億円ぐらいでしたよ。今度は百二十何億になっているんだからね。それにしても、ただインフレだけで上がっているわけじゃないんだから。それと同時にこの具体的内容を明らかにしてみなければ、われわれとしては予算の審議できないじゃないですか。こんなものは、ただこれだけ買うんだから予算審議してくれといって、それで済むものじゃありませんよ。国会議員には国会議員としての責任があるんだから、そこはちゃんとしなくちゃいかぬと思うのですよ。こんなものじゃだめだ。ちゃんと詳しい資料を出しなさい。
○和田(裕)政府委員 せっかくの御要求でございますので、できる限りの資料を提出することにいたしたいと考えております。
○稲葉委員 ここは予算を審議しているんですよ。(発言する者多し)ちょっと待ってください、予算を審議しているんですよ。予算委員会で防衛の問題を審議しているんだから、その具体的な資料を出すのはあたりまえの話じゃないですか。準備しておくのはあたりまえの話ですよ、これは。それを、いつ出すんだかわけがわからないなんて、審議できないじゃないですか。こんなばかな話ないですよ。内容がちゃんと出るまで審議できないですよ。 それじゃ、もう一つ別のことをここで聞いておきます。あなた方は去年アメリカへ、E2CとE3Aとの関係を詳細に調査に行っていますね。ずいぶん長い間行っている。そしてE2Cの方がいいということで決めてきたんでしょう。ところが、アメリカは急に――これは昭和五十五年の防衛白書によると、「本年七月から一九八三年までに、日本に空中警戒管制機E-3A四機を配備する予定であったが、韓国における最近の新しい事態の展開を考慮して、予定の一部を早め、本年五月に二機の配備を開始した。」こういうふうに言っていますね。「更に、韓国へは近くA-10攻撃機一個飛行隊(二十四機)が新たに配備される予定であり、また在韓空軍のF-4に代わりF-16の導入も計画されている。」この点、ここで問題になってくるのはE3Aだ。この方が、金額は高いだろうけれども、あれはいいわけでしょう。これとE2Cとの機能の相違、それから、なぜアメリカがE2CをとらなくてE3Aをとったのかということ。それから、急にそれを――これはあなたの方の、防衛庁の防衛白書の一番しまいの方にもちゃんと出ていますよ。昭和五十五年の五月二十二日、「国際」のところに「米国防省、E-3AAWACS機の嘉手納基地配備を発表」と書いてありますね。 私の質問は、なぜアメリカはE3Aをとったのかということが一つと、韓国における最近の新しい事態の展開を考慮して予定の一部を早めてやったという、去年のことですね、これは具体的にどういう事実を指すのかということ。これをなぜ防衛白書のこんな欄にまでわざわざ発表しなければならないのか、こういうこともあわせてちゃんとしたものを説明してほしい、こういうふうに思いますよ。
○塩田政府委員 E2Cの際にE3Aについても調査はしたわけでございますけれども、私どもがE2Cに踏み切ったのは、E3Aは大変高価であるのみならず、機能的に、わが方が要望しておる機能よりはるかに高い。単に捜索するだけでなくて、空中でいろいろな指揮管制をする機能まで飛行機の中に持っているわけです。そこまでの機能はわが国の場合要らぬのではないかということがございまして、E2Cの方に踏み切ったわけであります。 アメリカはなぜE2CをやめてE3Aにしたかということでございますが、アメリカはE2Cはやめておるわけじゃございません。御承知のように艦載できる飛行機でございまして、E2Cは依然として使っております。 いまお話しのように、沖繩に配備があったこと、それから若干それが早まって配備されたこと、それは御指摘のとおりでございますが、韓国の云々といいますのは、私どもが聞いておりますのは、御承知のようにカーター政権のときに韓国からアメリカ軍撤退ということがございまして、結局いま取りやめられておりますが、当時そういうことがございまして、その補完というような意味で、その一環としてそういうことがされたんではなかろうか。E3Aを配備されたということもその一環ではなかろうかというふうに聞いておりますが、それ以上の詳しいことはわかりません。
○稲葉委員 じゃ、そのE2Cの具体的な数字ですね、五十四年と今年度の予算との違いの数字を出してくださいね。それをいただいてから私の方は審議を続けたいと思うんです。そんなに長くはかからないのでしょう。どれくらいかかるのです、具体的数字は。
○和田(裕)政府委員 早速出すようにいたします。ただいま電話で問い合わせ中でございます。
○稲葉委員 そうすると、私がお聞きをしたいのは、韓国におけるいろいろな状態が日本の自衛隊にどういう影響を及ぼすかということ、このことは非常に重要な問題ですから、ここでお聞きをしておくわけですが、韓国の何か新しい事態を考慮してということなんですが、米韓の相互防衛条約がありますね。そして北朝鮮がある。そうすると、もしそこで何か紛争なり何なりが起きたときに日本はどうするのですか。何もできないでしょう。日本は、憲法的にも中立を守っていってそれには巻き込まれないようにというか、全く関与しない、こういうことですか。どういうことになりますか。朝鮮半島で動乱か何か起きた、紛争が起きた、米韓の相互防衛条約がある、日本は一体どうする、日本は中立をしっかり守っていく、自衛隊は何らこれに関与しない、こういうことですか。
○塩田政府委員 直接自衛隊が関与することは、何もございません。
○稲葉委員 自衛隊が関与することはない、これはあたりまえの話です。 そこで、さっきからの続きですが、今度は五四式戦車の問題がありますね。五四式戦車は、六一式戦車と比べて機能はどう違うのか、値段はどう違うのか。一台三億五百何万かな、その程度ですね。これは三菱重工が全部やるのでしょう。どういうふうに違うのかということですね。この戦車はどういう役に立つわけですか。――ああ、七四式戦車……。
○塩田政府委員 五四とおっしゃいましたが、七四だと思いますが、七四の戦車は約三億四千万円の単価でございます。六一はもうずいぶん古いものですから、いま調べておりますが……。 どういうふうな役に立つのかというお尋ねでございますが、私ども、いまの時点で陸上戦闘を考えました場合に、機動力、火力両面において中核的な役目を果たすというふうに考えております。
○稲葉委員 そうすると、総理大臣は国防会議議長でもあり最高責任者ですが、あなたは、戦車が必要になるという状況はどういう状況だというようにお考えなのでしょうか。どうなんでしょうか。ソビエトは北海道にも攻めてくるということはあり得るというふうにあなたはお考えなのでしょうか。――総理に聞いているわけだよ、あなたが責任者だから。
○大村国務大臣 お答えを申し上げます。総理の前に私から一応お答えさせていただきたいと思います。 わが国の防衛の基本方針が専守防衛であるということは、かねがね申し上げておるところでございます。そこで、現在の「防衛計画の大綱」におきましても、限定的、小規模な侵略に対して原則として独力で対処するということで、いま防衛力の整備に努めているところでございます。 そこでお尋ねの問題でございますが、上陸する前にこれを阻止するということがもちろん重要でございますが、阻止し切れない場合には、上陸することも絶無ではない。その場合にはやはり自衛隊が戦わなければいけないわけでございまして、向こう側が戦車を上陸させることもございますし、また、現在の国際的な防衛の常識におきましても、戦車が陸上の主要兵器であるということは否めない事実でございますので、自衛隊といたしましても必要最小限の戦車を整備する必要がある。しかも、戦車の能力というのは各国とも研究して日進月歩でございます。新しい技術水準に相当するものをできるだけ整備しなければならない。貴重な国費を使用するわけでございますので、調達する場合には最高の水準のものを採用するようにいたさなければならない、これが防衛庁のとっている基本的な考え方でございます。もちろん、その数量につきましては「防衛計画の大綱」の別表で示されておりますので、その範囲内におきまして質の改善にできるだけ努めていきたい、そういう考え方を持っているわけでございます。
○稲葉委員 七四式戦車、わかりました。その能力について、前の六一よりはまあいいということでしょう。 それでは、相手の国、「七四式であれば、現在のソ連の主力戦車と完全に対抗できる。もちろん七二型というのが出てくると、あまり威張れないということになるので、また次の戦車を考えなければいかんというときが当然くるわけですがここう言っているんだ、塩田君が。塩田君かな、太った人、塩田君がこう言っているんだよ。いいですか、あなたは装備は日進月歩だと言うんだ。そのとおりだ。それならば、七四型戦車をつくったって、ソ連の七二型というのが出てくればもういばれない、もうだめになっちゃうから、また新しい、いいのを金をかけてつくらなければならない、こういうことなんでしょう、あなたの言う意味は。そうならそれでいいから、ちょっと言いなさいよ。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 七四戦車は、わが国が開発しました、そしてまた、各国の技術水準も考慮しました、そういう意味では新鋭の、相当高い水準の戦車であると考えております。しかし、これを採用しましてから、」また各国も研究努力を続けておりますので、防衛庁におきましてもさらに高い水準のものを研究をいたしているということは事実でございます。防衛研究所におきまして、七四戦車の次の段階の戦車をどうしたらいいかという研究は進めているところでございます。
○稲葉委員 だから防衛費というものは、防衛費と言ったらいいのか軍事費と言ったらいいのか、どっちが正しいのか、どんどんどんどんエスカレートしていくのでしょう。あなた、いま言ったでしょう。これはどんどんどんどんエスカレートしていきますよ。収拾がつかなくなってくるのじゃないですか。だからわれわれは、ここでシビリアンコントロールが必要だと。だから、具体的な内容等についてもしっかりとした予算を出して、それがどういうものであるか、どういう性能であるか、必要であるのか、必要でないのかということをわれわれはここで十分吟味しなければいけない、こういうふうに言っているんでしょう。 これは塩田君が言っているんですよ。「七四式であれば、現在のソ連の主力戦車と完全に対抗できる。」「七二型というのが出てくると、あまり威張れない」と言うんだ。だから、それよりもっと上のものをつくらなければならないというのでしょう。莫大な金がかかるでしょう、あなた。どんどんどんどん膨張してきちゃって、収拾がつかなくなっちゃうじゃないですか。それが私どもはこわいということを言っているわけですよ。あなた、いまそれがどんどん膨張するということも認められたわけでしょう。
○大村国務大臣 お答えします。 貴重な国費を使って、しかも性能の高いものを調達しなければいけないわけでございますので、その内容、また調達単価等につきましては、周到な検討を加えまして、なるべく単価が上がらないように、また、それを取り上げる場合の年度別の採用につきましても、機械的、一律的ではなく、特に必要なものを選択して予算に計上するように努力しているわけでございまして、ただ、いいものができたからそれを無制限に予算に要求するとかそういうことはいたしておらないわけでございます。あくまで貴重な国費を使うという観点におきまして、財政の点もございますので財政当局にも御相談して、緊急のものから実現できるように毎年努力しておりますし、今後といえどもその心がけで進めてまいる考えでございます。
○稲葉委員 防衛庁の元官房長をやっていた竹岡勝美という人がいるでしょう。当然次官にいく人だったのだけれども、ある事情から途中でやめさせられたわけだ。この人が朝日新聞の「論壇」に投稿している。SS20というものがありますね。これは約五千キロの射程であって、シベリアから日本の間は二千キロですから十分間で行けて、その防御は不可能に近い一発のミサイルには三個の核弾頭がついていて、これは動くのでしょう、とてもつかまえられない、これが来たらもうおしまいだということを、あなた方の防衛庁の方が言っているのですよ。そんなときに戦車なんて何の役に立つのですか。だから戦車は内乱用じゃないですか。間接侵略に備える、国内におけるいろいろな問題に備えるために戦車というものがつくられてきている、こういうことになるのじゃないですか。 SS20ですね。SS20とはどんなものなんです。この辺については、防御が不可能に近いということを竹岡君は言っているのだから、それについてはどういうふうに考えているのです。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 SS20は中距離のミサイルでございまして、射程は四千数百キロというふうに承知いたしているわけでございます。ソ連としましてはこの整備を進めておりまして、全体で百基を若干超えるようなところまで来たという話も聞いているわけでございますが、その一部を極東に配備してきている。その数量は確かではございませんが、まあ二けたに近づく程度ではないかというふうに承知しているわけでございます。そういった性能の高いミサイルが配備されるということになりますると、先生御指摘のような問題も今後出てくるかもしれませんけれども、現状におきましては、戦車は全く陳腐化して役に立たなくなった、そう断定するのは時期が早いのではないか、そういうふうに承知しているわけでございます。 詳細な点につきましては政府委員から……。
○稲葉委員 後でいい。 そこで、その「防衛計画の大綱」というものをつくった当時と現在の国際情勢とを比較して、どういうふうに変わっているか、どういうように認識しているのですか。そこのところはどうです。
○大村国務大臣 大綱が策定されましたのは、御承知のとおり昭和五十一年の秋でございます。それから数年経過いたしまして、その間におきますソ連極東軍の配備も、陸海空とも質量ともに大いに改善されてきているわけでございます。一々数字を挙げて御説明するのは時間の関係上省略いたすわけでございます。しかしながら、それなるがゆえに、私どもは潜在的脅威が高まってきていると申し上げているわけでございます。しかし、さればといって、核兵器を含む大規模戦争の可能性が差し迫ったものになってきているというふうには私ども判断いたしておらないわけでございます。そういう意味におきまして、大綱が策定されましてから相当な年数は経ておりますが、大綱の求めております水準にまだ相当隔たりがあるという点に思いをいたしまして、大綱の水準をできるだけ速やかに実現するのが現下の急務であると私ども考えているわけでございます。 大綱の詳細につきましては、先生よく御承知のとおりだと思いますので、説明は省略いたしますが、国際情勢との比較におきまして、私どもはいま申し上げましたような考え方を持っているということを申し上げるわけでございます。
○稲葉委員 その中業の問題については、あなたの方でそれに関連して、さっき言ったように四年間が三年間になったのですから、その次から次へのおおよその計画というものが幾らぐらいにアップするかということのあれは当然あるんじゃないですか。あるけれども発表することはできない、こういうことなんですか。そこがどうもはっきりしないですな、あるようなないようなことを言っていて。どうなんです。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 中業の中の主要装備品の価格につきましては、先ほど政府委員がお答えいたしましたように、五十四年の価格で二兆七千億円ないし八千億円、こういうことを計算しておりまして、しばしば申し上げているところでございます。それをその後の物価に換算したらどうなるかという点につきましても、いろいろ試算はいたしているわけでございます。しかし、これはあくまで五年間にやろうという仕事の、しかも正面装備にかかわるものの数字でございますので、中業全体の数字ではないわけでございます。また、別段年次割りは予定しておらないわけでございますので、一年繰り上がった場合はどうかとか、そういうことは簡単に申し上げるわけにはまいらないと思うわけでございますが、基礎の数字をそれぞれ後年度の価格に置きかえた場合はどうかとか、そういった数字は検討いたしております。そのことは申し上げておきたいと思います。
○稲葉委員 日米協力指針についてお伺いするわけですが、そうすると、日米防衛協力のための指針というのはどういう必要からできたのですか。特にIIIですね、IIIの「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」というのがありますね。これはどういう場面を想像してこういうふうなことが第IIIに入ったのですか。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインでございますが、これは安保条約がございましても、いろいろな場合の具体的な進め方をこれまで何ら話し合っておらなかったという点に着目いたしまして、昭和五十一年でございますか、日米安全保障協議委員会におきましてそういったものを研究しようではないかというお話が起こりまして、まずその研究の項目を話し合おうというのでできましたのが御指摘のガイドラインでございます。そのガイドラインに基づきまして作戦研究とか調整機関とか、いろいろなものがいわば小委員会、部会式にいま検討が行われている、こういうことでございます。 そこで、お尋ねの問題につきましては政府委員からお答えさせていただきます。
○稲葉委員 政府委員じゃないよ。お尋ねの点が一番大事なのよ。それはあなたが答えなければだめよ。本当に頼りないな。もっとしっかりしなさいよ。
○大村国務大臣 お許しを得て、政府委員からお答えさせます。
○塩田政府委員 日米ガイドラインの必要性につきましてはいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、特にその中でIII項を入れまして、日本以外の地域で日本の安全に重要な影響がある場合の事柄がそこに入った理由は、そもそも日米ガイドライン自体が、いまお話し申し上げましたように、安保条約の有効性の発揮といいますか、そういう観点から考えられた指針でございまして、そういう意味から、安保条約の第五条のもののみならず、六条関係につきましても協力関係について研究をしておく必要があるということで指針の第III項が加えられたものでございます。
○稲葉委員 だから、具体的にどういう情勢を想定してできているのか、こう聞いているわけですよ。
○伊東国務大臣 私からお答え申し上げます。 いま政府委員並びに防衛庁長官から御説明、お答えしましたように、これは第六条関係でございます。六条事態に備えて研究をしよう、こういうことでございますが、現実には、いつからこれを始めるとか具体的なスケジュールは実はまだないのでございます。まだやっておりません。 先生の御指摘でございますが、これはこの六条にありますように、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」こういうことでできている条文でございまして、一体どういう事態になったらこれになるかということにつきましては、その対応はそれぞれの具体的な場合にならぬとなかなかむずかしい、一概に抽象的に言うことはできないと私は思うのでございますが、恐らくそういうことを相談するのは、随時協議がございますので、私は随時協議でその場合の相談は当然するというふうに解しておるわけでございます。
○稲葉委員 だから、安保条約があって五条、六条があるのだから、この第IIIというのは要らないのじゃないですか。特にこれが必要なんですか。どこなんですか。これは安保の範囲が拡大しておるのじゃないですか。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 これは第六条のことでございまして、極東というのも安保条約の極東そのままの解釈でございますし、これは何も拡大範囲ということじゃないわけでございます。 ただ、内容は防衛庁関係のこともございましょうし、防衛庁の所管を越える問題も出てくるかもしれませんから、そういう問題については外務省も当然タッチして相談をしていくということになるわけでございますが、まだこの第III項の研究には入っておらぬ、いつからということをまだ決めていないわけでございます。
○稲葉委員 「便宜供与のあり方について、あらかじめ相互に研究を行う。」ということでしょう。そうすると、米軍というものは、米軍に属する機密というものも提供することがあり得る。日本の場合も、その機密というものが日本にあるかどうか知らぬけれども、提供することもあり得るということになってくるのじゃないですか。そこで、あなた方の方としてはこれに関連をして、防衛庁も、この条項だけかどうか知らぬけれども、この全体に関連して、機密保護法というものの必要性がないというとアメリカ側は機密を提供してくれない、だからそれが必要だという考え方を持っているのではないですか。
○淺尾政府委員 日米ガイドラインの制定の経緯については、先ほど防衛庁長官及び防衛庁の政府委員から答弁したとおりでございまして、日米間には安保条約及び地位協定その他関連取り決めがございます。しかし、実際にその五条の場合に、日本が攻撃された場合に日米でどうして対処するかという具体的な研究協議をしておりません。そういうことでこのガイドラインというのはできました。 それから、六条の事態についても、いま大臣から御答弁されたように、米軍は六条に基づきまして日本に駐留しておりまして、当然にその施設、区域を使用する権限を持っております。そこで、日本以外の極東に事態が起きた場合の具体的な便宜供与のあり方についてあらかじめ研究協議しておこうということでございまして、機密保護法制定のためにこのガイドラインをつくったということは、従来の経緯からしてそういうことはございません。
○稲葉委員 そこで、私はもう一つ重要な問題というか質問をしたいのは、この中央指揮所というのが前から計画されて、ことしにその建物ですか、その予算が組まれているわけですね。これはどういうふうなもので、何をするところなんです。どこに予算が組まれているの。
○大村国務大臣 お答えいたします。 中央指揮所は、防衛出動等の自衛隊の行動に関して、防衛庁長官が情勢を把握し、随時所要の決定を行い、部隊等に対し命令を下達するまでの一連の活動を迅速かつ適確に実施するための機能を有するものでございます。 内容は、次のような各機能から成るシステムとして構成されます。一つは情報収集機能でございます。それから二つが会議機能でございます。三つ目が命令伝達機能でございます。その次が業務処理機能でございます。最後に関係機関との連絡調整機能、総理官邸、外務省その他の関係機関との連絡調整のための機能でございます。 以上の機能を備えるものを計画いたしまして、五十六年度予算に初年度分を計上いたしたわけでございます。全体としての予算額は二十億四百万円を予定しておりまして、そのうち五十六年度は六億一百万円を計上いたしている次第でございます。 以上をもってお答えといたします。
○稲葉委員 全体の予算があれで、ここで何か地下三階、地上二階の建物をつくって、そこで全部指揮できるようにする、こういうことなんでしょう。ただ、問題になってくるのは、統幕議長はその中でどういう権限を持つのですか。
○大村国務大臣 統幕議長の職務権限についてのお尋ねでございますので、お答えいたします。 統合幕僚会議議長は、統合防衛計画等の作成、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本等に関し防衛庁長官を補佐する統合幕僚会議の会務を総理するほか、防衛出動下令時に陸海空いずれか二以上から成る部隊、これは統合部隊と言っておりますが、それが編成された場合には、その部隊に対する防衛庁長官の指揮命令を執行する権限を持っております。 以上が、統幕議長の職務権限でございます。
○稲葉委員 それだけのもの、統幕議長の権限というのがその程度ならば、何もこの中央指揮所をつくるということでヨーロッパやNATOのところまで研究に行く必要はないというふうに私は思いますが、なぜそんなところというか、そこまで行って研究したのです。何を研究したのですか。何を主眼に置いて研究したの、外国へ行って。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。 せっかく新しいものをつくるわけでございますので、先進諸国の事例等も調査して誤りなきを期したいということで調査をいたしたものと考えております。 具体的にどういうことを調査したかは政府委員をしてお答えいたしたいと思います。
○稲葉委員 それでは聞きますけれども、日韓の防衛条約がありますね。日韓相互防衛条約と、それから日米安保条約との違う点はどういう点にあるのです、二、三点挙げますと。(「米韓じゃないか」と呼ぶ者あり)日韓じゃない。失礼。米韓と日米との違い。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 米韓と日米でございますか。その相違は、わが国の場合には集団的自衛権を持っておりませんので、いわば何と申しますか片務的と申しますか、日本が攻撃を受けた場合に、日本は日本の自国防衛をいたします。アメリカは日本の防衛に参加する。アメリカが攻撃を受けた場合には、日本は何もしない、何もする義務はないということでございます。米韓の場合には、その点が双務的になっております。その違いでございます。(稲葉委員「もう一点ある」と呼ぶ)もう一点ございますか。ちょっと教えていただきたいと思いますが……。
○稲葉委員 中央指揮所の関係で調査に行ったのは、いわゆる中央指揮所という名前に、ふさわしい統合司令部というものを日本の場合につくったらどうかということで研究に行ったのでしょう。ところが、それは米韓にはあるし、NATOの方式にもあるということだけれども、日本の場合にはそれは適当でないとかなんとかということでつくらなかったのでしょう。だけれども、結局においては、統幕会議の議長というものを将来防衛庁長官と同格にしよう、指揮権を持たせよう、軍政と軍令というものを分離しよう、そしてその統幕会議の議長というものを認証官にしよう、こういう制服組の動きがあるのじゃないですか。それに対して、絶対そういうことはシビリアンコントロールのもとにさせないということを、はっきり言えますか。
○大村国務大臣 お答えいたします。 私は、シビリアンコントロールの原則は今後も堅持しなければならないとかたく信じております。したがいまして、お尋ねのようなことは絶対にありません。
○稲葉委員 だけれども、ユニホームの中ではそういう声が大分出てきているのじゃないですか。では、そういうことは絶対しない。統幕会議の議長というものは、いまは何も権限がないのでしょう。実際上ただ調整するだけでしょう。だから、これに指揮権を持たせようという動きもあるし、同時に、認証官にしようという声も出てきているのじゃないですか。それに対して、いまあなたは絶対しないと言ったのだから、あなたの言うことを信用しますよ。――いや、いいんだよ、それで。別に答えたいことないでしょう。それでいいわけですね。 それから、これに対して「運用に関する法令等の整備」というのがありますね。これは具体的に何を指しているの。中央指揮所に関連して運用に関する法令等の整備をするというのは、一体何をするのですか。
○塩田政府委員 先ほど海外調査のところで、統合司令部のようなものを調査に行ったのではないかということでございますが、そうではございませんで、いま私どもが考えております中央指揮所といいますのは、要するに、建物、施設、つまりハードの面においてどういうものを外国ではやっておるかということを調べに参ったわけであります。日本におきます中央指揮所ができ上がって、それをどう運用するかは日本の独自の考え方でやるべきことでございまして、いま調査に行ったのは施設の方であるということをまず申し上げておきたいと思います。 それで、でき上がりました後、今度はそこに長官以下、人が入って運用するわけでございますが、それにつきましてどういうふうに運用面で考えていくかということは、これは別個の問題でございまして、中央組織のあり方といったようなこともいまからの研究課題として考えておりますけれども、いま御指摘のように、統幕議長に指揮権とかそういうようなことは全然考えておるわけではございませんので、あくまでも長官を補佐するための指揮所であり、長官を補佐するための機能ということを考えておるわけでございますから、その点ははっきり申し上げておきたいと思います。
○稲葉委員 だから、その法令の整備というのはどうしたの。これからやるのですか。どういうような法令が考えられるのです。「運用に関する法令等の整備」と書いてあるから、どういうのをやるのか、こう聞いているわけですよ。
○塩田政府委員 やはりでき上がりますと担当する職員も数十名というオーダーで勤務することになりますので、その管理、運営ということにつきましては、それなりの管理運営規則というものは当然必要になってくると思います。そういうことを申しておるわけでございます。
○稲葉委員 そこで、これができると、いまの自衛隊にとってどういうようなプラスというかな、そういうふうなものがあるのですか。そうすると、防衛庁長官はこの中のどこにいるの。
○大村国務大臣 お答えいたします。 要するに、ばらばらのがまとまって連絡がよくなる。たとえば、バッジシステムが府中にあるとか、あるいはSFが横須賀にあるとか、そこでとまっているわけですね、航空自衛隊なりあるいは海上自衛隊。それが直接ここに集まりますわけですから、シビリアンコントロールを徹底する上におきましても有効に機能しやすいというふうに見ているわけでございます。 それから、先ほど先生御要求のありました単価の調査の点が整いましたので、お許しが得られれば政府委員に答弁させていただきます。よろしくお願いいたします。
○和田(裕)政府委員 どうも、先ほど御答弁できませんで申しわけございませんでした。 申し上げます。 五十四年度の契約実績でございますが、FAC、要するに裸の価格で一機が六十七億、それから初度部品が十九億、締めて八十六億でございます。四機でございまして、総額で三百四十二億、それは申し上げた数字でございます。 五十六年はまだ契約しておりません。したがって予算額でございますが、FAC、裸の価格が九十二億円、それから初度部品が三十一億円、締めて百二十三億円、予算額といたしましては四百九十一億円、これは申し上げた数字でございます。 それでは九十二億円の中身を申し上げます。 まず、機体そのものが七十五億円でございます。そのブレークダウンをいたしますと、まず、そのどんがらといいますか、機体自体が三十四億円、それからエンジンが三億円、搭載機器が三十八億円、締めて、いま申し上げましたように七十五億円でございます。それからそのほかに、先生御存じのように、研究開発費の割り掛け分、いわゆるRアンドDでございますとか、それからFMSの管理費等の経費それから輸送費、こういったものが締めて十七億円でございます。それで九十二億円、こんなふうになっております。 それで、ここでごらんになりますように、約四割強の値上がり、これは相当な値上がりでございます。さっき私は、為替によりまして得をすると申し上げましたが、ちょっとその点不正確でございまして、実はこのときは、実際に契約いたしました時点では為替レートは百九十五円でございました。今度の予算では、先生御存じのように二百十七円ということで、その間に約一〇%の為替損が実は生じているということでございます。したがいまして、残ります三〇%強でございますが、これは先生御存じのとおり、アメリカにおきます最近の非常なインフレということでこの辺の差が生じたということでございます。 以上がE2C関係の御説明でございます。 先ほど御質問のありました六一式戦車の単価でございますが、七四式については防衛局長から御答弁したとおりでございます。六一式につきましては、四十八年の契約でございますが七千七百万円、こういうようになっております。 以上でございます。
○稲葉委員 いまの戦車のやつはわかりましたけれども、それじゃ、ソ連の言う七二型戦車というのはどういう戦車なのか。どういう能力を持っているのですか。それができたら日本の戦車はもうまるで使えないようなことを言っているんじゃないですか、防衛局長は。どうするんだ、そういう場合には。
○塩田政府委員 戦車の一番主要な武器と申しますのはもちろん戦車砲でございますが、現在、七四式は百五、ミリの戦車砲を持っております。現在、ソ連のT62が百十五ミリで、十ミリばかりT62の方がすでに現在の大砲でも大きいわけでございますが、いろいろな性能を総合しまして、七四式戦車であれば、いまのT62とか現在の世界各国の第一線戦車には十分対抗できるものであろうというふうに考えております。 T72は、さらにT62の発展型でございまして、百二十五ミリの戦車砲を持っておるというふうに伝えられております。そうしますと、火砲の点だけで二十ミリの大きさの差が出てまいりますということで、戦車砲だけについて見ますとそれだけの差が出てくる。そのほかの運動性能でありますとか行動力でありますとか、そういった点についての詳細は必ずしもわかっておりませんけれども、次の世代の戦車であることには違いないというふうに私ども見ておるわけでございます。
○稲葉委員 そういうようなことから、こっちが新しいのをつくれば向こうはまたもっといい新しいのをつくるということで、次から次へエスカレートしていって、これは切りがないということなんですよね。そこに防衛問題の非常に危険な一つの落とし穴がある、こういうふうに考えるので、この点は私、さっき総理に念を押したのです。GNPの一%以内ということを鈴木内閣として守るのだとはっきり言ったのですから、あなたは守ると言うのだから、これははっきり守ってもらわなければいけない、こういうふうに考えております。 そこで、外交の問題に問題を少し変えたいというふうに思うのですが、私もよくわからないのですが、鈴木さん、鈴木内閣には外務大臣が三人いるというのだよね。ぼくは三人だと思ったら、何かあと二人いるという話で五人いるという話もあるが、どうもあとの二人は別だから三人というのだけれども、その三人というのはだれかよくわからぬけれども、まあ聞いていきましょう。 宮澤さん、あなたは「自由民主」という雑誌の二月号で、「軌道に乗る日本の新外交路線」、長谷川慶太郎さんと談話しています。これは題は勝手につけたんだと思いますよ、あなたの機関誌だけれども。そこでよくわからぬことがあるのです、あなたの話では。誤解を招くというのかな、これは。 まず一番の問題は、新年号が鈴木さんでしょう、総理大臣だから。これはあたりまえの話。二月号で、外交の問題について、外務大臣だから伊東さんが出て話をするならば筋だと思う。それが、今度はあなたが外交の専門家としてここへ出てくるわけだ。それでうれしそうに話しているわけだけれども――うれしそうでもないけれども、その中でこういうことがあるのですね。 あなたほどのクールな人だからあれなんだけれども、「東南アジアは日本の選挙区」という言葉がある。よくわからぬのですが、「よく俗語で「東南アジアは日本の選挙区……」なんて言いますね。」ぼくはこんなこと初めて聞いたですね。「ますますその感じが強いと思いますからね。」こうあなたが言っている。「自由民主」の二月号で言っているでしょう。どういうのですか。こういう俗語はぼくは聞いたことありません。きのう自民党の代議士の人に聞いてみたら、こんなことは聞いたことがないと言う。あなたはどこで聞いてきたのか知らぬけれども、「東南アジアは日本の選挙区」というのはどういう意味なんでしょうか。そこら辺をちょっとひとつお聞かせ願えませんか、あなたの真意を。これは非常に誤解されますよ。ちょっと見た人には非常に誤解される言葉だ。よく説明してくれませんか。
○宮澤国務大臣 その雑誌は私どもの党の機関誌でございますので、話をするようにと言われまして話をいたしました。私がその号に出ましたのは、ちょうど鈴木総理大臣が外務大臣等とともに東南アジアに行かれますので、そのことの意味合いを説明しろ、こういうことでございましたので、官房長官という立場から、何ゆえに総理大臣が東南アジア訪問を最初の外国訪問として選ばれたかということについて御説明をする、そういう意味の企画であったのでございます。私が外交の問題について外務大臣に成りかわって物を言おうとしたのではなくて、官房長官としての立場から、なぜ東南アジアか、こういうことが主たる話題でありました。 東南アジアが選挙区である云々と申しました意味は、お互いに選挙区というのは自分のよって立つところでございますし、自分にとって一番大切な、しかも一番責任を感じなければならないそういうところでございますから、そういう意味で申しましたので、別段それ以外の他意はございません。
○稲葉委員 「よく俗語で「東南アジアは日本の選挙区……」なんて言いますね。」と言うけど、こんなこと言っていますか。みんな聞いてごらんなさいよ。ぼくも初めて聞いたのだ。あなたらしくない言葉だと思ったのですよ。こんなこと言うかい。そんなこと言わないですよ、幾ら何だって。これはやはり昔の考えというか、一段と低く見るというか、何かそういう従属的に見るというか、ひねくれて見ればそういうふうに見るようにもとれる。 それじゃ、韓国もあなたの選挙区、そうなりますか。韓国も選挙区ですか。
○宮澤国務大臣 お互いにとりまして選挙区というのは命の次に大事なものでございますから、これを何か卑しめて言ったというふうには、私さらさら思いません。
○稲葉委員 これは座談会のことですから、ぼくはこれ以上聞きませんけれども、こういう考え方はどうも少し全体的におかしいと思いますよ。東南アジアだからこういうことを言うのでしょうね。私は余り感心しませんね。宮澤さんらしくないと思うのですね。あなたはせっかく、ポスト鈴木を目指しているか何か知らぬけれども、一生懸命やっているのでしょう、よけいなことを言うと。ぼくは渡辺美智雄君と宮澤喜一君を足して二で割ったのが一番いいと思っているんだ。これが日本では一番いい政治家だと思うのだけれども、なかなかそういうのはいないのだ。まあそれはよけいなことだ。 それからもう一つ、今度は別のことを聞きますが、バンコクへ行ったとき、鈴木さん、ぼくもあのときバンコクにいたのですよ。一月十七日にバンコクへ行きまして、オリエンタルホテルで食事して、それから帰ってきて、ビルマの方へ行きまして、ビルマの方から帰ってきて、二十日の日にまたバンコクへ帰ってきたのです。バンコクへ帰ってきたら、あそこのバンコクの小学生が日本の旗とタイの旗を持ってあなた方をみんな送っていったですね。あれは初めてなんですね。いままでは日本人学校の小学生しか送らなかった。今度は鈴木さんが来たというので非常に評判がよくて――あなたの奥さんも評判がよかったのですよ。とにかく送ったというのは、あれは初めてですよ。 そこで、問題になってまいりますのは、日本人がうそをつくという話があるのです。なぜかといいますと、福田さんが行ったでしょう。それからその次だれが行ったのかな。そのときに十億ドルの借款の問題を話しているわけですね。ところが、それがさっぱり実現をしていないというふうにタイではとっていたのです。ぼくの知っている人なんか、みんな集まりましたがね。それがよく外務省に聞いてみるとそうじゃない。タイの内部の情勢なんです。タイの内部の情勢でそれがうまくいかない、こういうことなんでしょう。その点がうまく伝わっていないのですよ。伝わってなくて、日本人というのは、ぺらぺらよくしゃべって約束するけれども、ちっともそれは実行してくれないというふうにとらえていますからね。あなたは非常に人の言うことをよく聞いてくれる、何時間でも黙ってよく聞いていてくれるというので、非常に誠実な人だというので、私の友人たちがタイにおりますが、非常に喜んでおったのです。 この間の経過は一体どうなっているのですか。これは明らかにする必要がありますよ。大分誤解がありますね。日本人は約束してもやらないという誤解がありますから、この点をちょっとこの機会に説明してください。
○鈴木内閣総理大臣 約束を誠実に守るということは大変大事なことでございます。外交だけでなしに、われわれの日常のおつき合いの中でも非常に、大事なことだ、こう思っております。 福田元総理が、ASEAN五カ国に対しまして十億ドル、五つのプロジェクトをやる、こういうことでインドネシア等各国にそれぞれ計画を立ててもらいまして、それに対して日本側が協力をする、こういうことにいたしたわけでございます。各国のそれぞれの立地その他の問題があったようでございますし、域内のそれぞれの協力関係におきましても問題があったようでございます。そういうようなことで、一部は進み、一部は大変おくれておる、こういうことで、それぞれの関係各国の政府指導者はその間の事情は十分承知をしておるわけでございますが、一般大衆は、確かに稲葉さん御指摘のように、何か日本が不誠実なためにおくれておる、こういう誤解があったようでございます。私は、そういう点が今後の日本の外交に悪い影響を及ぼしてはいけないということで、その促進方につきましてできるだけの御協力をするということにしたわけでございます。
○稲葉委員 そこで、バンコクのスピーチですね、その中で、日本は軍事大国にならないというようなことを言っていますが、なぜバンコクで日本は軍事大国にならないなんということを言う必要があるのですか。
○鈴木内閣総理大臣 ASEAN五カ国を回りまして、各国の首脳または政府の要人、それから、それぞれの国を代表するような報道機関等々の意見も聞いてまいったわけでございます。各国で内外の記者会見も五回にわたってやりました。そういう全体としての印象を取りまとめまして、そして日本側が今後それを踏まえてどうするかということを発表したものがバンコクのスピーチでございます。 そういう中におきまして、報道機関等の中に、日本は軍事大国になるのではないかとか、いろいろな杞憂、危惧等もあったやに私は受けとめましたので、これははっきりと日本の方針というものを明らかにしておく必要があるということで特にそれに触れた、こういうことでございます。
○稲葉委員 外務大臣が三人いると話したのですから、もう一人あれしないと悪いのですが、田中通産大臣、あなたはメキシコに行かれまして、前に大平さんがやられて、これは話がまとまらなかったのですか、石油の話は。三十万バレルが十万バレルというので、大平さんは非常に図られましたよね。話が当然まとまると思って行ったところが、そうじゃなくて非常に大平さんが図られた話が、大来さんのあの本の中に書いてありますね。あなたが行かれてこれはどういうふうになったのですか。よくわかりませんが、はっきりまとまったという結果が出てきたのですか。全体の枠だけが決まって、そしてその中で今後どうするかという問題が出てきた、こういうことなんでしょうか。
○田中(六)国務大臣 向こうのポルティーヨ大統領と大平前総理が話し合いを進めまして、その結果、日本を立つときから、大平総理の頭の中には三十万バレルをもらえると思って行ったわけでございます。ところが、いろいろな経緯がありましてそれが不可能で、総理は三百億円の円借を持っていったものを持って帰ったのです。 私も、このたびその円借を持っていったわけですが、さあ行ってみると、どうも十万バレルは決まっておるけれども、あと二十万バレルについては、大平総理に言ったと同様に、自分のところの計画は二百五十万バレルで、メキシコの国に百万バレル要る。あと百五十万バレルを外国に張りつけておるのだけれども、それ以上はいまから十年間くらいはできないというわけです。それなら私も三百億円は引き揚げて帰ろうと思いまして、総理がASEAN諸国訪問中でございましたので、現時点でどこにおるかという調査もし始めたのですけれども、向こうのポルティーヨ大統領に体当たりでやってみようと思っていろいろ話をいたしました結果、それならあとの二十万バレルを考えよう、自分たちの計画を変更しようということを言ってくれまして、横におったオテイサという私のカウンターパートの大臣でございますけれども、それに命じまして、ちょっと油の質は悪いのでございますけれども、もう四、五万バレルのことは何かいまからしてくれるようで、そういう空気になっておりまして、一応の成果は上がったのではないか。それからあとの残りについても、いま申しましたように、その計画をチェックし直すということの約束は得ております。
○稲葉委員 そこで、石油の問題で、いまはメキシコの問題でしょう。メキシコの石油は無尽蔵だ――無尽蔵というのはおかしいけれども、非常にたくさんあるという説もあるし、いろいろの説がありますが、石油が非常に大事だということになれば、ソ連のシベリアなりサハリンなりの石油の問題がいろいろありますね、そういう問題も含めて――単に、ソ連の脅威だ脅威だということだけを一部の政党は言っていますけれども、こんなことで片づくものではないですよ。逆にソ連との経済的な協力関係を進めることが、日本に対して戦争的な雰囲気というか、そういうものをなくす一番大きな問題だ、私はこういうふうに考えておる。メキシコは、形の上では非同盟でしょう。非同盟といってもいろいろな国があって、それらが現実に非同盟かどうかということはなかなかわかりにくいことですけれども、形の上では非同盟ですね。メキシコの問題あるいはことにソ連との経済の問題、今後そういう石油の外交をめぐってどういうふうに進めていくかということが一つ。特にソ連との経済外交その他を、どういうふうにしてソ連との間の意思疎通を図っていくようにするのか、こういうことについて外務大臣から――本当の外務大臣ですが、お答えを願いたい、こういうふうに思います。
○伊東国務大臣 お答え申し上げますけれども、何人もいるという話をされて、私はあそこで笑っていたのでございますが、先生は三人とか言われましたけれども、親しい記者によりますともっとたくさんだ、片手で数え切れないぞ、こういう話を聞いているくらいで、それは冗談でございますが、しかし、外務大臣として日本の外交の進路を決める、平和、安全ということについて大きな役割りがある、それを担当する外務大臣の責任というのは非常に重大だということを私は十分認識しておりますし、愚鈍の身でございますが、むち打って、日本国家、国民のために最善の努力をして職責を果たす決意でございます。先ほどからいろいろ御質問があったのですけれども、私は、人間が甘いせいですか、あれは激励をしていただいたと思いますので、どうぞ今後、外交に理解を持って御支援をお願い申し上げます。 それから、油の問題でございますが、いま特にソ連との関係をおっしゃったわけでございます。ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入あるいは北方領土の軍備の配備というようなことで、先生もう御承知のとおり冷たい関係になっているわけでございますが、経済措置は、これは政府ベースの信用供与ということにつきましてはケース・バイ・ケースでやろうということで、サハリンの石油の探鉱の問題でございますとかヤクートの天然ガスの問題とかあるいは石炭の問題とか、そういうものにつきましては実はもうオーケーということでやっておるわけでございまして、シベリアの開発等につきましては、あくまでお互いが恩恵をこうむる、互恵の原則で考えていくということで慎重に取り扱っておるわけでございます。 日ソの関係は、私どもも非常に重大な関係だということはよくわかっておりますので、ソ連に対しましても、ソ連が善隣友好協力の条約というようなことをよく口にするわけでございますが、日本もソ連との善隣友好ということは、もちろん心から希望しておるわけでございます。ただ、前提になる領土の平和条約というものが未解決でできませんので、本当の意味の恒久的な友好関係ができていないわけでございますが、私どもとしましては、いまのような経済に対するケース・バイ・ケースでいろいろ話し合いをしていくというところからも、あるいはほぐれてくる問題もあるかもしれませんし、あるいは国際情勢との関係もいろいろございますし、日ソの関係は、言うべきことは言って筋を通す、しかしながら、何らかの形で恒久的な友好関係が結ばれるということを期待し、われわれも考えているところでございますので、慎重にこの問題は取り扱っていきたいと思っております。
○稲葉委員 これで終わりますけれども、私の言うのは、外務大臣というのは非常に重要な職責だと思うのですよ。だから、もう十分活躍していただきたいと思うし、あなたは非常に誠実な人柄の方ですからね、だから、私もその点については敬意を表するのです。変な策略とかなんとかということはあなたはできない人ですからね。だから非常にりっぱだ、こういうふうに私は思います。 ただ、大来さんの書いた本の中に書いてありますとおりに、外務省の職員というのは非常に数が少ないのです。イギリスの三分の一でしょう。あの中に書いてあるとおり。いろいろ書いてありますがね。それから、アラビア語ができる人というのは、去年聞いたら五十二人しかいないでしょう。これではいけないわけですからね。まあ五十五年に人数をふやしてもらいましたけれども。だから、そういう点についても、大蔵省などを総理も指揮して、外務省の人間というものは長期にたくさんな優秀な人間が集まるように今後してもらいたいというふうに私も希望するわけです。外国を回ってみて、つくづくそれを思うわけです。 それが一つと、それから、さっき私は、日本とアメリカのシビリアンコントロールの違いのことを言いましたけれども、これは古いことですが、坂田さんが防衛庁長官のときに、五十年の七月十四日に言っておりますことの中に、アメリカの場合には文民統制というものは日本と違うので非常にあれしているということを言っておって、陸軍については特に厳しくて二年までしか予算は認められない、こういうことを言っているのです。海軍については多少その点は緩いようです。あるいは文民たる大統領に最高指揮権があるという考え方もそこから出発したと聞いております、こういうことを言っているので、この点をよく調べてみたがよくわからない。ですから、あなたの方でもこういう点、恐らく予算について非常に厳しくて、継続費とか国庫債務負担とかは二年間しか認めない、こういうことの意味じゃないかと思いますが、アメリカの文民統制というものと日本のあれとはどういうふうに違うかということはよく調べておいていただきたい、こういうふうに考えるわけです。 時間が来ましたので、終わらせていただきます。
○小山委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。 午後一時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十一分開議
○金子(一)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。正森成二君。
○正森委員 私は、お手元へ提出しております質問事項に入る前に、午前中の質疑に関連して総理に聞かせていただきます。 鈴木総理は、午前中の質疑で、憲法に関し閣僚の姿勢について、私は、憲法の中でこういう条項が気に食わない、どうしても改憲しなければいけない、こういう主張に立って、鈴木内閣の憲法は改正しないということにはどうしても政治家の信念として相入れないということであれば、鈴木内閣から去っていただくほかない、こう言い切られました。非常にきっぱりとした強い御口調であったと拝見いたします。 ところで、奥野法務大臣は、この予算委員会の席上、鈴木首相の面前で、同僚委員の質問に対して、憲法九条の解釈をめぐって自衛隊が憲法上認められるかどうか意見が分かれている現状を打開するには、もう一遍つくり直してみる以外にはないかと考えている、こう答弁されました。しかも、それが私の思想、信条だ、こう言い切っておられます。鈴木総理の言明からして、奥野法務大臣はやはり鈴木内閣から去ってもらわなければならない人物であると私は考えます。総理、奥野法相にやめてもらうと断言できますか。――官房長官には聞いてない。 〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮澤国務大臣 奥野法務大臣の発言に関してのお尋ねでございましたので……。 私が伺っておりましたところは、奥野法務大臣はそう言われたのではなくて、第九条の解釈をめぐって自衛隊の士気を沈滞させるようなそういう受け取り方が世の中にあるようで、それはきわめて遺憾なことである、したがって、自分は自衛隊が九条のもとで違憲だとは全く考えていない、これははっきりさせておくが、全く考えていないけれども、世の中の一部にそういう受け取り方があるとすれば、やはりその解釈をはっきりさせておく、あるいはと言って、いま正森委員の言ったようなことを言われましたけれども、それはあるいはと言って言われたのであって、奥野法務大臣自身は自衛隊が九条と両立できるということをはっきり言明しておられます。
○正森委員 私は総理に伺ったのですが、どういうわけか宮澤官房長官が出てこられた。東南アジアでも自分の選挙区だというようなお方ですから、これもおれの領分だと思われるのは無理もないかもしれませんが、私は、次の次はどうか知りませんよ。しかし、現在の鈴木総理に聞いているのですり 奥野法務大臣は、いま官房長官があれこれ弁護をされましたけれども、やはりそうはおっしゃっていないのですね。もちろん自分は鈴木内閣のもとでは憲法改正の動きをとることは考えていないけれどもと、こう一応は断っておられますけれども、しかし、御答弁の中ではっきりと、意見が分かれておるというようなことだから、やはり一遍つくり直さなければいかぬというのが自分の思想、信条であるというように言い切られたのもまた事実なのですね。これは鈴木総理の言明と非常に違うと思うのですね。 もしこれをこのまま放置されているということになれば、幾ら総理が憲法を改正しないと言われても、一方では改憲団体に所属されている、一方では閣僚の自分の思想、信条だという改憲発言を野放しにしているということで、総理が改憲しないと言いながら、憲法をつくり直せと言うような奥野法務大臣を直ちにやめさせないとすれば、鈴木内閣は、実は憲法改正を考えており、そのキャンペーンを機会あるごとに実施している内閣であるという国民の疑念は払拭することができないと思うのですね。ですから、現在の総理にぜひ御見解を承り、毅然たる態度を示されて、場合によっては泣いて馬謖をお切りになる決意を伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 奥野法務大臣は、繰り返し、鈴木内閣の憲法尊重、擁護、改憲をしないというこの方針には自分もそのとおり服しておりますということを、機会あるごとに申しております。私が申しておるのは、この内閣の方針に断固反対をして、私は改憲をする、改憲をしない鈴木内閣には踏みとどまるわけにはいかない、こういうことであれば、これは去ってもらう、こういうことを申し上げておるのであります。
○正森委員 これは総理として非常に指導性、自主性のないお言葉だと思うのですね。いまのお言葉だと、奥野法務大臣が断固として改憲を主張して、おれはもうこんな内閣には踏みとどまれないのだと言って開き直ったら、そのときはやめてもらう、あたりまえの話ですよ、本人が開き直っているのですから。それでも、どうぞおってください、奥野法務大臣はなくてはならぬりっぱな方ですからというような、そんなことでは総理大臣としての指導性は全くありませんね。私はそうではなしに、現内閣では、憲法第九条を初めとして改憲はしないという内閣には従うけれどもと、こう言いながら、そこでやめておけばいいのに、いつでもその後に、しかし、私はと、こう言って、自分の思想、信条、九条を変えなければいかぬ、つくり直さなければいかぬというのを予算委員会やら法務委員会やら至るところで言う、総理の目の前でも言うというところに問題があり、そういう人に対しては去っていただくより仕方がない、こういうことになるのじゃないですか。それに近いニュアンスのことを言われたわけですが、私は、総理の、そんなに自分が去っていくというなら去っていってもらうというような、そういう話でなしに、総理としての指導性としてどういうようにお考えかという点を再度承りたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 私は繰り返し申し上げておるように、奥野法務大臣は、鈴木内閣の憲法に対する毅然たる方針に対してはこれに服する、こういうことを申し上げておるわけであります。この点について、いまこの内閣の方針を堅持する、こういう立場を奥野氏がとっておることを考えあわせまして、去ってもらうという段階でない、こう私は思っています。
○正森委員 私は、総理のその御答弁では、国民は言われることと実際に行われることとが違うということで納得はしないであろうということを指摘しておきたいと思います。 そこで、次の「財政の中期展望」についての若干の質問に移らしていただきたいと思います。 防衛庁長官は、今度の五十六年度予算で、防衛庁内部の見積もりである中業の早期達成についての足がかりができたというように言っておられますが、大村防衛庁長官、これはどういう意味ですか。
○大村国務大臣 お答えいたします。 お尋ねの趣旨は、五十六年度の防衛庁予算は、中業の早期前がかりの足がかりを得たと私は申しておるが、それはどういう理由が、こういう御趣旨だと思います。それについてお答え申し上げます。 五十六年度の防衛関係予算につきましては、厳しい財政事情のもとでの予算折衝の過程で防衛庁の要求が認められなかった部分もありますが、ともかくも総額において五十五年度の六・五%の伸びを上回る七・六%という伸び率を確保できた上に、特に正面装備の経費をかなり大幅に伸ばすことができましたので、五十七年度以降もこうした努力を継続するならば、正面装備を中心に中期業務見積もりを早期に達成することは可能であると考えられ、このような意味で、このたびの予算案においては正面装備を中心に中期業務見積もりを早期に達成するための一応の足がかりをつくることができた、さように考えている次第でございます。
○正森委員 五十七年度も努力を継続するならばと、こう言われましたが、五十七年度以降については後ほど申します。 私は五十六年度の防衛予算について伺いたいと思います。 この防衛予算の伸びは七・六一%の伸びである、こういうことになっているのは御承知のとおりですが、この予算では、人件費の伸びを一%と見ているわけですね。昨年の五十五年は二%予算を見ておりましたが、人事院勧告が出まして四・六一%ということに伸ばしたわけですね。来年度予算では一%しか見ていないわけですが、五十六年度政府の経済見通しを見ますと、経企庁長官もよく御承知のことですが、雇用者所得の対前年度比の伸び率は九・二%と見ておるようであります。雇用者総数の伸びが一・六%ですから、賃上げ率は一・〇九二を一・〇一六で割りますから大体一・〇七四八、つまり七・五%ぐらいの値上がりを政府が見込んでいるということになると思います。そうしますと、人件費というのも一%ではなしに政府は七・五%の伸びを見ている。公務員もおおむねこれに準ずるわけでありますから、本当は七・五%前後の人事院勧告が本年度出ると見ても間違いないわけですが、それを大まけにまけて、経企庁が物価上昇が五・五%であると見ておりますから、その五・五%に仮に抑えたとしても四・五%足りないのですね。防衛予算の人件費の一%といいますと百六億円ですから、これに足らない四・五を加えると四百七十七億円、実際上は本年度の防衛予算に品さなければこの年は越せないということになります。そうしますと、この四百七十七億円というのは、前年度の二兆二千三百二億円から見ますと約二・一%ですから、これを足しますと、今年度の防衛予算というのは七・六一%じゃなしにぴったりと九・七%をやや上日る。つまり当初あなた方が概算要求をされた額に合致することになり、防衛予算の伸びというのは七・六一ところじゃなしに、実際上は九・七になるということになるのですね。これは数字の上から言って間違いのない事実ではありませんか。
○大村国務大臣 お答えいたします。 御指摘の人件費の伸び率一%、これは各省共通の方針に従ったものと私ども考えておるわけでございます。これが将来どうなるか、これは人勧が出る、またそれに対して政府がどういう対応措置をとるか、あるいはどういう立法措置が講ぜられるか、いろいろ不確定の要素がございますので、いま先生が御指摘のような数字に直ちになるものかどうか、現在の時点においては申し上げかねるわけでございます。
○正森委員 いまの防衛庁長官の答弁は、人件費一%というのは各省一緒だ、こう言うのです。各省でも、たとえば園田厚生大臣がおられますが、社会保障の伸びなんというのは、公務員の給料が上がっても上がらなくても変わらないんですね。仮に公務員の給料が上がりましても、老齢福祉年金が二万四千円に上がったのが二万五千円、二万六千円に上がるかというと上がらないのです。しかし、防衛庁だけは二十数万の軍隊ですから、人件費の額が非常に割合が多くて、それが上がればもろに防衛予算にかぶるんですね。そして防衛予算の伸びという上では、他の省庁の人件費が伸びる伸びないにかかわりなく、五十五年の防衛予算に比べれば伸びは上がっていくんですね。そして民間の給料が上がれば、人事院勧告もそれに応じて出され、補正予算になるかどうかは別として、公務員の給与もふやさなければならないというのは、これはもうここ数年来決まり切ったことではありませんか。関係大臣いかがです。民間の給与が上がっても、人事院勧告が出ても、絶対に公務員の給料はふやさないんですか。
○中山国務大臣 お答えいたします。 昨年も公務員の給与のベースアップにつきましては、人事院勧告を尊重してまいりましたし、今後もそのようにいたしたいと考えております。
○正森委員 いや、中山さんはなかなかりっぱなものですね。ちゃんとそう答えるでしょう。 人件費というのは、民間の給与に大体ほぼ比例して伸びる。そうすると、政府の経済見通しては七・五%の民間の伸びだけれども、それを大まけにまけて、物価上昇率の五・五にしたって、あと四%余り、四・五足さなければならない。防衛予算はふえざるを得ない。そうすれば、ことしの七・六一%というのは、国内世論向け、あるいは厚生大臣の園田さんが相当怒り心頭に発して物をおっしゃったこともあるようで、そういう点を配慮して、社会福祉関係に比べて余り突出し過ぎてはいかぬので、まあ〇・〇一くらいの差にしておけということで総理が決断をなさって、そうして七・六一と七・六〇くらいに、社会保障費とのバランスをとるというための一つの操作ではありませんか。実際上は、この五十六年度の終わりに補正予算も全部出て、各省庁の伸びが比較されるときには、ふたをあけてみれば九・七であった、あるいはその前後であったということにならざるを得ないと思うのです。これは非常に大きな防衛予算の伸びを低く見せるためのからくりを、事実上大蔵省その他が相談をしてなさっていることにほかならないというように言えると思います。そのことをはしなくも、少なくとも半分は中山長官がお認めになった、こう思うのです。 そこで、園田厚生大臣に承りたいと思います。「四万の海みなやすかれと祈る世になど波風のたちさわぐらむ」というのはどなたの歌ですか。
○園田国務大臣 非常にむずかしい御質問でありますが、多分、明治天皇さんのお歌だと思います。
○正森委員 正解でありまして、明治天皇の御製なんですね。しかも、この歌が単に明治天皇の御製にとどまらず、園田厚生大臣がある場所で引用になりましたように、人口に膾炙されておりますのは、あの太平洋戦争の前の御前会議でいまの天皇がこの歌を引いて、そして戦争に必ずしも積極的でないという気持ちを表明されたので、一躍有名になったのですね。 ところが、この防衛予算などが論議され、社会福祉関係に所得制限が入る、こうなったときに、あなたは十二月二十六日の閣議後の記者会見で、これは本会議でも質問が出ましたが、あなたが記録に残したい、こう言っておられるから、私は予算委員会で記録に残したいと思うのですね。こう言っておられるのです。「(防衛予算の決め方は)異様だ。何を買わなければ防衛に責任を持てないということではなく、パーセントがどうとか、アメリカはどうだとか言っている。所管大臣ならいいが、外務大臣が旅行から帰って、おっとり刀で防衛庁に応援に駆けつけることは、今までにないことだ。」ここで歌が出てくるのですね。「四万の海みなやすかれと祈り行動することが外相の仕事であり、信念であるはずだ。それを大砲買え、飛行機買えとあおっている、これが鈴木内閣の外交の基本姿勢か。そういうことはあり得ないことだ。それが外務大臣の姿か、ということは時期を見て訴えたい。外交が手に負えないから防衛庁しっかりやってくれ、鉄砲持って従いたいというなら、堂々と内外に宣明したらいい。私は(そのことを)記録に残す発言をしたい。我慢できない。」こうなっておるのですね。がまんしなくていいから、どうぞここでおっしゃってください。
○園田国務大臣 予算折衝の過程で、閣議で二、三点お願いしたことはございます。しかし、いますでに終わったことでありますし、閣議の発言を堂々と発言することは閣僚としての心構えにあるまじきことと心得ますので、お許しを願いたい。
○正森委員 非常に控え目な御発言でありますが、しかし、この発言自体は、なさったことは否定なさらないですね。
○園田国務大臣 予算についていろいろお願いをし、防衛予算についても国務大臣としての所感を述べたことは事実でございます。
○正森委員 本来なら、ここでかたき役の伊東外務大臣に出てもらわなければならないところですけれども、時間の関係で割愛さしていただきまして、次は総理に伺いたいのです。 ここに十二月十三日付の新聞がございますが、アメリカのブラウン国防長官が来て、日本の軍事力の増強といいますか、恐らく内容は中業の早期達成だと思いますが、それをおっしゃったときに、総理は若干それにストレートにはお答えにならなかった。そして言われたことが、「防衛力整備は五十六年度にとどまらず五十七、五十八年と将来までに及ぶので、国民の理解を十分に得る必要がある。大きな魚を釣るためには、いっぺんに釣り上げようとすると釣り落とす。時間をかけて釣り上げる必要がある。」こうおっしゃっておるのですね。総理の言う大きな魚というのは何ですか。ちょっと後学のために教えてください。
○鈴木内閣総理大臣 予算というのは全体のバランスが必要でございます。私はそういう意味で、全体のバランスを崩すようなものは大きな魚だ、こういう認識です。
○正森委員 全体のバランスというものが大きな魚だ、こういうわけですか。
○鈴木内閣総理大臣 全体のバランスを崩すような大型のものが大きな魚と、こういうことです。
○正森委員 それは総理、原稿も見ずに非常に苦心のお答えだと思いますけれども、しかし、それは違うんじゃないんですか。総理のおっしゃるのは、大きな魚というのは時間をかけないとつり落とす、つまり総理としては大きな魚をつり上げたいわけでしょう、この趣旨は。ところがいまの答弁だと、予算のバランスがとれてない魚が大きな魚だと言うのですから、全然違うんじゃないんですか。バランスのとれてないような大きな魚は困ると言うなら、それは別のことであって、総理がブラウン長官に会われたとき言われたのは、おれは大きな魚をつりたいんだけれども、余り大きな魚を急いでつるとつり落とすから、それで今度はちょっと抑えたんだという意味のことを言っておられるのですから、そこで言う大きな魚というのは、バランスのとれない予算という意味じゃなしに、その予算の中でバランスを崩しかねないある部門の予算について大きな魚と、こういう表現をなさったのでしょう。それは軍事費のことじゃないんですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、防衛費であろうと何であろうと、全体から見てバランスを崩すようなものはこれはできないことである、こういう意味で申し上げておるわけであります。
○正森委員 私はどうも日本語として理解がしにくくて、むしろ普通に、大きな魚をつろうと思ったんだけれども、余り一遍にやるとつり落とすからぼちぼちやろうということで、何らかの分野の予算をお考えになった。それはブラウン国防長官が軍事費について総理とお話しになった後での御発言ですから、わが国の防衛費について言われた、こうとるのが普通で、世間もそうとっているのですね。しかし、総理が予算委員会で非常に真剣にそうお答えになるのですから、そういうぐあいに承っておきたいと思うのです。 そこで、次にいきますが、防衛庁、「財政の中期展望」というのが出ておりますけれども、手元にお持ちだろうと思いますが、それの第一ページ目の説明を見ますと、この中期展望というのは「五十六年度予算における制度・施策を前提とし、その運営方針に変更がない等一定の仮定の下に、これを将来に投影する後年度負担類推計を基本とする」こう書いてあるのですね。そうすると、防衛予算についての「五十六年度予算における制度・施策を前提とし、その運営方針に変更がない」というのは、何を意味するわけですか。
○大村国務大臣 「財政の中期展望」についてのお尋ねでございますが、……。
○正森委員 そんなことをまだ聞いていませんよ。あなたがそう自覚なさるんなら、それはそれでもいいですけれども……。
○大村国務大臣 この文章を引いて現行の制度云云のお尋ねでございました。その点につきましては政府委員をして答えさせます。
○吉野(實)政府委員 お答えをいたします。 いま先生が御指摘のように、第一ページに書いてありますように、五十六年度予算における制度、施策を前提といたしまして、その運営方針に変更がない等一定の仮定のもとにつくったものでございます。 具体的のお尋ねであろうと思いますので、具体的な説明に入らせていただきますが、人件費につきましては、簡単に言いますと、自衛官等の五十六年度のベースアップ一%、これを前提にいたしまして昇給の従来の趨勢を勘案して、人件費、糧食費を組むということであります。物件費につきましては、物件費のうち国庫債務負担行為や継続費に係るものにつきましては、各年度の国庫債務負担行為との設定額を物価上昇率等によりまして推計をいたすとともに、年割りにつきましては過去の年割りを勘案した、こういうことであります。また、その他の物件費につきましては物価上昇率を勘案して計上する、こういうことでございます。
○正森委員 考え方の概略はわかりましたが、大臣も少しお答えかけになりましたが、防衛庁の予算というのは、人件糧食費と正面装備とそれから後方関係と、大まかに三つに分かれます。正面装備については、この中期展望で言う「五十六年度予算における制度・施策を前提」にしてどういうぐあいに積算をしましたか。
○吉野(實)政府委員 お答えをいたします。 物件費のお尋ねでございますけれども、正面、後方という区別はいたしておりません。ですから
○正森委員 いや、私は抽象的な物件を聞いているのじゃなしに、正面装備というのを考えなければいかぬわけですが、ここでは「五十六年度予算における制度・施策を前提とし、その運営方針に変更がない」こういう前提になっていますから、あなた方が前提とされた施策、運営方針というのはどういうものですか、こう聞いているのです。物件について物価デフレーターを掛けるというのはあたりまえのことで、その前提があるでしょう。
○吉野(實)政府委員 お答えをいたします。 物件費につきまして二つありますけれども、国庫債務負担行為、継続費に係るものにつきましては、五十六年度の予算にベースを置きましてそれを毎年やる、こういうことで、それに物価上昇率を掛ける、こういうことでございます。それで、その他のものにつきましては物価上昇率だけ、こういうことでございます、
○正森委員 わかったようでわからないようなのですが、あなた方が出した資料でも、後年度負担というのは資料が出ておりますけれども、五十六年度は予算編成したからわかりますけれども、五十七年度以降は後年度負担は、五十八、五十九となるほど低く出るでしょうが。それはあたりまえの話なんで、五十七年度には新規の装備の予算計上が行われ、初年度にちょっとだけ頭金が出て、翌年度以降四年間で後年度負担が入る。五十八年度はまた同じことになるということですから、それをどういう計画のもとに、つまり、ここに書いてある五十六年度予算における施策を前提としてやるのかというのが決まらなければ、大体五十七、八、九なんというのは積算ができないじゃないですか。一定の根拠で積算をやったからこそ、大蔵省が「財政の中期展望」を出してきたのでしょう。だから、それを言いなさいと言っているのです。
○吉野(實)政府委員 お答えをいたします。 先ほど申しましたように、五十六年度をベースといたしますということは、五十七年度以降新たに追加して正面装備等、要するに国庫債務負担行為や継続費を組まないという前提に立っておるわけでございます。
○正森委員 新規装備が含まれなければ、五十七年度や五十八年度の防衛庁の予算総額なんて出てこないじゃないですか。
○吉野(實)政府委員 五十六年度と同じベースというのは、五十六年度と同じベースの新規が組まれているということでございます。
○正森委員 いまやっとわかりました。 そうすると、宮澤官房長官、今度は名指しで答弁をお願いしたいと思います。あなたは、二月一日のNHKの国会討論会で、私も拝聴しておりましたが、防衛予算について、防衛庁専門家の意見と前置きして、いまのままで整備をやっていけば中期業務見積もりの一年繰り上げは達成できるのではないか、こう官房長官として発言されておりますね。これは間違いありませんか。
○宮澤国務大臣 たしかそのときには、専門家の意見によると、五十七年度以降のこともあるが、この調子でいけば早期に達成できる可能性がある、そういう判断のようであるという意味を申しました。 なお――いや、お尋ねがあったら次を申し上げましょう。
○正森委員 含みのある答弁ですが、つまり、政府を代表した官房長官が、NHKで全国民の前で、防衛庁の内部の計画である中業が一年前倒してできる見込みである、こう言っておられるのですね。 それで、いま政府委員の答弁を見ますと、この防衛予算の「財政の中期展望」をつくるに当たって、大蔵省に出したかあるいは大蔵省と相談した考え方というのは、五十六年度と同じように新規装備もやっていくということで出した、こういうことなんですね。 そうすると、防衛庁長官に伺いますが、大体そういうことで防衛庁内部の計画である中業が一年前倒しでできるというように考えてよろしいですね。
○大村国務大臣 お答えいたします。 先ほども私、答弁の際に申し上げましたように、五十七年度以降もこうした努力を継続するならば、正面装備を中心に中期業務見積もりを早期に達成するための一応の足がかりをつくることができたと申し上げたわけでございまして、五十七年度以降もこうした努力を継続するということが前提に、なっております。 また、中期業務見積もりは全体として一年繰り上げできるということは申しておりません。
○正森委員 全体として一年繰り上げができてないということは、正面装備についてだけはできそうだという別の表現であろうと私は思います。その他人員だとか後方だとかいろいろあるけれども、それは一遍にできないけれども、正面だけは何とかできそうだということが言いたいのだろうと思います。後でまとめて答弁してもらいます。 そこで、皆さん方は五十五年の五月に、中期業務見積もりの補足資料というのをお出しになりました。私のところにありますが、その中では、これは皆さん御承知のことですが、中業関係の経費面というのが出ておりますが、大体、五十四年度価格で二兆七千億から二兆八千億が正面経費で要るということを言われて、それを達成するための三つのケースを想定しておられますね。一つは、当時は〇・九〇二幾らというくらいの対GNP比だったのですが、それで五十九年までいく場合、それからいきなり一%でいく場合、五十九年度に一%になるように等率で随時ふえる場合という、三つのケースを出しておられますね。 皆さん方は、この三つのケースをわれわれにお示しいただいたのですが、それ以外の想定、これが一・五になるとかあるいは〇・九が〇・八とか七に低下するとか、そういう想定をお考えになってこの「財政の中期展望」をお出しになったのじゃないのですね。三つの計画のうちのどれになるかは、将来のいろいろ可変要素があるでしょうけれども、そのどれかの線でおさまるだろうということでお出しになったのですね。
○吉野(實)政府委員 先生のお話は、中期展望と中業の早期達成というのが少しこんがらかっているようでございますけれども、われわれの方で考えておりますのは、中期業務見積もりというのは防衛庁の見積もりでございまして、それと今回の「財政の中期展望」とは切り離されております。そういうことです。
○正森委員 切り離されてないのですよ。ここに、一月三十日の閣議での大村防衛庁長官の発言の載っている各紙があります。その中で防衛庁長官は、防衛費はどこに入っているのか、こう聞いて――「財政の中期展望」では、防衛費関係は三枚目の経常部門の「その他」の「その他」のところに入っているわけですね。ところが、それには大村防衛庁長官は不満で、防衛費はどこに入っているのか、伸びた分は予備枠で処理するなら賛成だ、こう言って各紙に載っているのですね。その予備枠一・五%を活用することを条件に、国会へ提出することに賛成するというように、どの新聞にも載っているのですね。ですから、あなたの心の中には、五十七年度以降の防衛費の一定の枠組みあるいは展望があって、これは大蔵省との話し合いの中で、通常おさめるべき「経常部門」の「歳出」の「その他」の「その他」のところには、ほかの経費もいっぱいあるから防衛費はおさまらない、だから、せっかく予備枠をつくってくれたんだから、予備枠を活用して防衛費を伸ばしてくれると言うならおれはこれに賛成する、こう言って、提出に賛成するときに留保条件をつけたのでしょう。全部の新聞に載っていますよ。そうでしょうが。
○大村国務大臣 お答えいたします。 「財政の中期展望」を閣議で審議されました際に、私が発言したことは事実でございます。ただいま御指摘になりました新聞報道は、必ずしも私の発言のあれを正確に伝えているものではないと考えます。(正森委員「では、どう言ったのですか」と呼ぶ)私の申し上げました点をこれから言わせていただきます。 「財政の中期展望」は、昭和五十六年度予算における制度、施策を前提とし、その運営方針に変更がない等一定の仮定のもとに、これを将来に投影する後年度負担類推計を基本とするものでありまして、将来の新規施策による経費増は取り込まれないこととなりますので、将来の新規施策のための財源等として予備枠が計上されており、この中には防衛関係の経費も潜在的に含まれるという当然のことを念を押しただけでございまして、別に他意はございません。
○正森委員 別に他意はないということですけれども、大蔵大臣、予備枠をお考えになりまして、その予備枠の中には、従来の答弁では人件費一%しか見てない。これが二%、三%になればどこかに入れなければならぬとか、ほかにも新規施策もあるだろうということですが、いまの防衛庁長官のお考えだとその予備枠の中に、どうしても防衛庁の新規施策というのは「その他」の「その他」だけじゃ入り切れぬから入れてもらうんだぞ、そこは当然入れてくれるんでしょうなという趣旨の御発言があったわけですね。それは結局、予備枠を設けた趣旨からいって、そのときどきの内閣の方針にもよるでしょうけれども、入れることのでき得る費用なんですね。
○渡辺国務大臣 ただいま正森委員がおっしゃったように、そのときどきの内閣の方針によってこれは決まるわけですから、防衛費のためにだけとってあるわけでもないし、あるいは全部新規をやらないということもあるかもしれないし、ということでございまして、何も決まってないわけです。
○正森委員 何も決まってないと言われましたが、私がいままでるる防衛庁の政府委員や防衛庁長官に言いましたように、五十六年度を基本として新規施策も五十六年度と同じような水準でやはり入れた、政府委員がこう言っているのです。だから、その新規施策の歳出化部分は、これはやはり「その他」の「その他」で入らない部分は予備枠で見てもらう、それを見てくれるのですな、こう言って閣議で発言したと言っているのですから、非常にはっきりしているじゃないですか。新規施策を予備枠で見るつもりなんですね。 そうだといたしますと、この「財政の中期展望」の歳出部分というのは、たとえば防衛予算案一つをとりましても非常にふくれ上がっていくという内容をやはり内包している。いま政府委員は巧みに、お答えにはなりませんでしたけれども、われわれがもらっている中期業務見積もりの試算では、対GNP比〇・九%前後で伸びる場合と、いきなり一%にする場合と、五十九年に一%にする場合と、いろいろ書いてあるのですね。それに基づいて考えますと、もし〇・九%がそのまま維持されるとしても、政府の計画ではGNPというのは五十七年度から一一・七%ずつ伸びることになっているでしょう。そうしたら、〇・九%維持するだけで防衛予算は毎年一一・七%は必然的にふえるということになるのです。ことしの七・六一%やら、あるいは人件費をちょっとごまかして実際は九・七ですけれども、それどころじゃなしに、最低一一・七はふえていくということにならざるを得ないのですね。これはまさに軍備増強のための中期展望であるという一面は、否定することができないと思うわけであります。 そこで、厚生大臣に、伺いたいと思います。厚生大臣は、予算編成のときに、いろいろお考えがあったようでございますけれども――防衛庁長官、あなたは予備枠を使って防衛予算を確保したいという意味のことを言われたようですが、国民は決して防衛費の増強を望んでいないのですね。 ここに二月九日付の読売新聞がありますが、「防衛、国民は“さめた目”」とこう書いてあって、「政府が予算案で防衛費を大幅に増やしたことに、国民の五三・一%が反対」これは回答した人の中で五三・一ですね。 ここに私は、「国民のための財政百科」というのを持ってきています。これはいろいろいいことが書いてあるのですが、防衛庁長官も読んでほしいのです。その五十五ページに世論の動向が書いてあります。私がなぜこれを言うかといいますと、あなたは「防衛計画の大綱」を見直すのにも三つ条件がある、一つは国際情勢の変化で一つは国民世論の動向、もう一つは中業の達成程度、こう言っているのですね。三つのうちの一つに国民世論の動向を挙げているのです。 その国民世論は、先ほどの読売新聞でも防衛力の増強を、予算の中でふえることには賛成でなかったのですが、七九年十一月二十四日に読売、八〇年十月十日に毎日新聞が世論調査を行っております。回答しないという人を除いた率で見ますと、財政再建のために特に厳しく削るべき項目で防衛関係費を挙げている人が六一・七%、これは読売です。防衛力強化のための増税に反対七五・八%、防衛力強化のための増税、福祉切り詰めに反対七二・六%、これは毎日、こういう内容になっているのですね。 ですから、あなたがもしいろいろな点で国民世論の動向ということを参考にされるというのなら、ぜひこういう点は参考にしていただかなければいかぬ、こう思うのですね。あなた、われわれのこの「国民のための財政百科」をお持ちですか。――持っておられない。それじゃ、これを無料で差し上げますからぜひ読んで、そういう世論の動向があるということを御参考にしていただきたいと思うのです。
○大村国務大臣 いまいろいろ御意見を交えて御質問があったわけでございますが、私も、防衛予算の編成に当たりましては国民のコンセンサスを得ることが重要であるということは、十分認識しておるつもりでございます。いま御指摘の新聞の世論調査あるいはちょうだいいたしました御本、よく拝見して勉強いたしたいと思います。 なお、先ほど御指摘になりました新聞の世論調査、まあ反対が多いということは事実でございますが、一応賛成も従前より大分ふえているという事実もございました。私は、冷静、客観的に各資料を拝見いたしまして、まだPRの足らぬ点があれば一層努力してまいりたいと考えております。 以上お答えをいたします。
○正森委員 園田厚生大臣に、えらい中断いたしましたが伺います。 国民の世論は、いま時間の関係でごく簡単に言ったのですが、福祉関係の削減には反対だというのが圧倒的に多いのですね。ところが、この「財政の中期展望」これの三枚目を見ていただきますと、社会保障移転というのが五十六年度は八・一%の伸びなんですが、五十七年度が八%で、五十八年以降は六・四%なんです。大幅にダウンしているのですね。 私どもがこれに基づいて試算をいたしましたら、対国民所得比で、五十五年度は五・〇六%あったのが五十六年度は五%に低下し、この率でいきますと、六十年度には四・〇六%に社会保障移転の対国民所得費が低下することになるのですね。しかも、一方、受給者等は増加いたしますから、全体として社会保障移転は伸びなきゃならない。一方伸びるのに予算では減る。それは何を意味するかというと国民の直接負担ですね、社会保険料等で。それがもう非常にふえるということにほかならないのですね。私は、これはこの「財政の中期展望」の歳出を考える場合にゆゆしい問題である、こう思うわけであります。 なぜこういうことになるのか。一つ言いますと、この歳出の「その他」の「その他」のところにはいろいろ入っているのですが、つまり国債費と地方交付税関係等々を除いたものが入っているのですが、その中で人件費は一%の伸びしか見ていませんから、その人件費の一%というのは大体六百億余りですから、それを引きますと残りの伸びは、この「財政の中期展望」に書いてある五・四とかいうのじゃなしに、実に高い伸びで、五十七年度は一二・九、五十八年度は九・七、五十九年度は九・三でふえる。予備枠を入れると二〇%台に伸びる、こうなるのです。それは結局社会保障関係とか、そういうのに回るのじゃなしに、いま言いました軍事費に回る、経済協力関係に回る、エネルギー関係に回る、公共事業の投資がふえるという方に回る、こういうことになるのですね。 これは厚生大臣としては、やはりご言なかるべからずじゃないか。あなたは、厚生白書も私の就任前にできたもので気に入らぬ点がある、こう言われたようですけれども、国民はやはり厚生大臣の顔を見ているのですよ、総理大臣と一緒に。あなたの御意見はいかがですか。
○園田国務大臣 中期展望における社会保障費は、いま御発言のように、五十六年度の制度その他を変化のないものと前提をして、運営等その他についても変化なしという一定の仮定のもとに投影をされた後年度負担の額でございますから、この展望の面から言っても、あるいはそれぞれの社会保障の制度の面から言っても、負担と給付それから財政、こういう問題が大きなことになってくることは、これは私も十分考えておりますが、これは「財政の中期展望」でありまするから、何といっても政治の根幹は人の問題でありますから、この展望を基本に、こういう言葉が入っておりますから、その点は十分注意をして、今後財政当局に理解を願いたいと考えております。
○正森委員 経企庁長官に伺いたいと思います。 この「財政の中期展望」では投資部門のところで、公共事業が大幅に伸びて九・六%ずつふえるということになっております。これについては他の委員からも質問がありましたが、「「新経済社会七カ年計画」フォローアップ昭和五十五年度報告」というので、五十三年度価格で二百四十兆公共投資をやるというのを百九十兆に減らされました。つまり、六十年までにやるものを一年半ほどゆっくりやるということになったようでありますが、あなたの方でお出しになった資料で昭和六十年度の主要な経済指標のところを見ますと、従前は財政収支差額つまりバランス、それが約十七兆円ほどの赤字になっておりましたのが、今度の見直しによって五兆円に減っております。これはどういうわけで減ったのですか。
○白井政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように計画では昭和六十年度、政府全体、これは地方を含めまして約十七兆の赤字ということでございましたが、それが約五兆に減りましたのは、社会資本の二百四十兆円を昭和六十年度おおむね百九十兆円にいたしまして、それで約九兆、それからCg、政府消費支出を二兆と見ましたので、それで大体十一兆ということで約五兆になるわけでございます。
○正森委員 いまの答弁で非常にはっきりしておりますように、当初の七カ年計画では十七兆六千億円ぐらいの財政収支赤字になる予定だったのが、二百四十兆円の公共投資を一年半ほど事業計画を繰り延べて百九十兆円に減らしたということが主な原因になって、十七、八兆円の財政収支アンバランス、赤字が五兆円の赤字に是正されているのですね。しかも、この計画を見ますと、景気は依然として五%余り実質成長率は伸びますし、失業は一・七%程度に減りますし、国民の所得はふえる、こういうぐあいになっているのですね。結局、公共事業をどんどんふやして景気をよくするというのでなしに、逆に公共事業をある程度抑制することによって、景気も悪くならず、財政バランスは大幅に改善されるというのが、この「新経済社会七カ年計画」フォローアップ五十五年の結論になっているのです。 しかも経企庁長官、これは五兆円の財政赤字で済むということは、この「財政の中期展望」を見ますと、五十七年度から五十九年度までは赤字公債が減っていってゼロになって、しかも四条公債というのは六兆七千九百億円で横ばいになる。五十九年は六兆七千九戸億円しか、つまり国のレベルで赤字にならないということなんですね。そうすると六十年は五兆で済むということになれば、国のレベルで四条公債を六兆七千九百億円からさらに五兆円に減らしてもやっていける、いい財政の姿になる、そういうことになるでしょう。あるいは四条公債を六兆七千九百億円で続けるとすれば、地方財政が黒字になる、あるいは社会保障関係の基金が黒字になるというのでなければ、「新経済社会七カ年計画」フォローアップのように全体で五兆円の赤字に減少するというようなことにならないはずなんですね。一体どこが改善されると見ているのですか。
○白井政府委員 先ほど申し上げましたように、これは国、地方、社会保障基金が入っておりまして、社会保障基金の黒字が主たるものだと考えております。
○正森委員 いまのお答えですけれども、私は聞きましたら、そこのところで二兆円ぐらい改善されるというのですが、そうすると地方財政は、赤字はその時点でなくなるということですね。そして六十年度は国のレベルでも四条公債をそれ以上ふやさないでいい、それで改善されるということなんです。これは結局、公共事業にそれほど非常に大きなウエートを入れなくても、二百四十兆を百九十兆に減らすことによっていい財政バランスが出てきた、こういうことになるのでしょう。ですから、私はこういう考え方を、やはり「財政の中期展望」の中でも歳出を考える場合に貫く必要があると思うのです。 ところが、この財政計画を見ますとどうやら――総理、「男子の本懐」という本があります。多分お読みになったと思いますが、濱口雄幸と井上準之助の話であります。これをひもときますと、しばしば出てくる言葉が、「入るを量って出ずるを制す」という言葉ですね。まず何ぼ歳入があるか、それを計算して出る方を考えていく、こういうことです。ところが、この案を見ると、どうやら鈴木内閣は出るをはかって入るをふやす。つまり、出る方を先にはかって、入る方は要調整額で増税なり何なりで行こうか、こういう考えのようですね。濱口雄幸ならざる鈴木総理の御見解を承りたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 財政再建は今後も引き続きこれを行っていく考えでございますが、そういう際におきましては、高度経済成長時代に肥大化してきております行政、財政各般にわたりましてその合理化、減量化を極力図る、したがって特に歳出面につきましては厳しく見直しを行う、こういう方針で臨むわけでございまして、これは五十六年度だけに限りませんで、五十七年度以降におきましてもこれが財政再建の基本である、こういう考え方で進めてまいる考えでございます。したがって、安易な歳入増というようなものだけに期待するということはいたしません。
○正森委員 安易な歳入増に期待しないというお言葉でございましたので、今度は歳入について伺いたいと思います。 資料を配っていただけますか。委員長、理事会であらかじめお許しを得ておりますので……。 まず、総理に伺いたいと思いますが、新経済社会七カ年計画というのをつくられまして、その後フォローアップというのも決定されましたが、これは閣議決定であります。そこで総理としては、その新経済社会七カ年計画では、あるべき財政の姿として租税負担率は、かつて二〇・五くらいに低かったのですけれども、昭和六十年度には何とか上げて二六・五%までは持っていきたいというように書いてございますが、閣議決定されたのですから、それは総理のお考えに間違いございませんね。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○正森委員 そこで、経企庁長官に伺いたいと思います。 ここに「租税負担率の推移試算」というのを提出いたしました。国民総生産の五十三年度実績が二百九兆二千億円、五十六年度が二百六十四兆八千億円、六十年度は四百十二兆六千億円。こういう伸びになります。したがって、国民所得は五十三年度実績百六十六兆、六十年度三百四十兆、こういうことになるわけですが、それはそのとおり間違いございませんね。
○河本国務大臣 そのとおりであります。
○正森委員 そのとおりだそうであります。 そこで、大蔵大臣と自治大臣に伺います。 私のこの資料は、できるだけ政府の言い分を前提にしてつくってあります。政府の言い分では国税の自然増収の租税弾性値は一・二ということになっているが、間違いありませんね。
○渡辺国務大臣 そうでございます。
○正森委員 自治大臣、地方税の自然増収は弾性値一・一で間違いありませんね。
○安孫子国務大臣 間違いございません。
○正森委員 大蔵大臣も自治大臣も、いずれも間違いないと言われました。 そこで、それで税収がどうなるかというのを計算してみました。「租税額の計算」の項を見ていただきますと、国税収入が一番上に出ておりまして、その次が一番大事ですが、一般会計分であります。五十六年度は三十二兆二千八百四十億円、これは今年度の予算であります。それを五十七年度以下は租税弾性値を一・二で伸ばしているわけですね。これは「財政の中期展望」の大蔵省主税局の出している金額と同じであります。六十年度はその率で伸ばしました。地方税収入は、五十六年度十七兆五千七百三十億円、これは地方財政計画の数字で、それを弾性値一・一で伸ばしておりますから、政府の言い分と全く同じであります。その他の税収の項は非常に低い率で伸ばしておりまして、物価上昇率等を勘案して租税弾性値が〇・一とかいうような割合で非常に低く伸ばした分がありますから、主税局長がごらんになっても、これは税収がふえ過ぎておるというようなことはないと思います。そして大蔵省の言う租税統計の額が書いてありますが、国民経済計算ベース、つまり経企庁は大蔵省の租税収入から相続税分は引いてしまう、そのかわりにその他の税収、これが一番最後の方に書いてありますが、国民経済計算ベースでは、日銀納付金だとか中央競馬会の納付金だとかそういうものが入りますので、これを足します。そうしますと、国民経済計算ベースでの租税額Dが出てまいります、このDを国民所得Bで割りますと、Eのところに出てくる租税負担率が出てまいります。このうち五十三年度の二〇・五%というのはもうすでに出ている数字、五十四年度の二二・四%もすでに出ている数字であります。 そこで経企庁に伺いますが、五十七年度以降は別として、五十五年度の二三・三、五十六年度の二四・七というのは間違いのない数字だと思いますが、いかがですか。これは私は経企庁にあらかじめ聞いてあります。これでほぼ間違いないということであります。
○井川政府委員 ただいま拝見をいたしまして、五十五年度、五十六年度のそれぞれの細かい数字についてはちょっと検証のいとまがございませんけれども、計算の方式についてはただいま正森委員言われたとおりでございますし、それから出ております結果、すなわち、五十五年度について二三・三、それから五十六年度二四・七、大体その数字でございます。
○正森委員 経企庁に私の計算がほぼ正しいということを認めていただいたと思います。 そこで、そういうような前提で五十七、八、九、六十、これは全部政府側の言い分をのんで伸ばしたのです。それを見ますと、六十年度には、五十七年度以降何ら増税をやらないでも租税負担は二五・四%になるのです。増税なんかやらなくてもこうなるのです。ところが、大蔵大臣、税調の税制についての中期答申が出ておりますね。これを見ますと、六十年より前に、つまり五十九年までに大体歳出の八〇%ぐらいを租税で賄おうとすれば、そうしなければならないのだが、それには国税で大体GNPの二%、地方税で一%、合計GNPの三%増税が必要である、こう言っていますね。それは間違いありませんか。
○高橋(元)政府委員 「歳出規模を国民総生産に対する割合でみてほぼ横這いに維持できるとの前提の下で」ということで、いま仰せのようなことが書いてございます。
○正森委員 歳出をほぼGNPの伸びで横ばいにできるという前提のもとではそうだ、こう認めました。そして「財政の中期展望」を見ますと、まさにそのとおりになっていますね。歳出の伸びというのは国民総生産の伸びにほぼ匹敵するような額で伸びていますね。ですから全部、私の前提が合っているわけです。 そうすると、税調は、五十九年までに国税で二%、地方税で一%、合計三%増税しなければならぬ、そのためには課税ベースの広い間接税は避けて通れない課題である、こう言っているのです。 そこで、私のこの資料一を見てください。その二のところを見ていただきますと、中期税制答申ではGNPの三%を伸ばさなければならない、国税二%、地方税一%。ところで、昭和五十六年度に一兆三千九百億円の増税をやった。これは平年度では国税は一兆五千四百四十億円、地方税では一千五百三十七億円。これをGNPの比率で見ますと、国税は〇・五八三%、地方税は〇・〇五八%だから、税調の計算どおりふやさなければならない税金というのは、国税で残り一・四一七%、地方税で〇・九四二%と、こういうことになります。これは単純な数字の問題ですから、間違いないのです。 そこで、これを来年の五十七年度に、課税ベースの広い間接税は避けて通れない課題だということで一遍に増税をするということになると、国税で四兆一千九百億円、地方税で二兆七千九百億円、合計六兆九千八百億円の増税になります。これは国民所得に対する租税負担率で二・九%になります。もし来年度は増税を見送って五十九年度に一遍にやるということになれば、国税で五兆二千三百億円、地方税で三兆四千八百億円、締めて租税負担率二・九%ふやさなければならないことになります。そうすると、六十年度にはどうなるかというのが一番右側に書いてありますが、驚くなかれ、租税負担率は、五十七年度に一遍に増税をやったとすると二八・四%になってしまうのです。これは非常に簡単な数字の問題です。 総理、あなたはいま、新経済社会七カ年計画というのを閣議決定した、租税負担率を国民経済ベースで二六・五だと言われた。ところが、一方、税調がやらなければならない国税で二%、地方税で一%、三%の増税を五十九年までにやらなければならぬ。それをやると租税負担率は二八・四%と大変な苛斂誅求になるのです。一体あなたは、新経済社会七カ年計画でいかれるのか、それとも税調の中期答申でいかれるのか、どっちなんです。
○鈴木内閣総理大臣 確かにそういう中間答申が出ておることは私も承知いたしております。しかし、国会におきましてしばしば申し上げておりますように、今後の税制のあり方につきましては、国会における御論議や今後の経済社会その他の動向、そういうようなものを踏まえまして幅広く検討し慎重に対処したい、こう考えています。
○正森委員 ここにあなたの本会議での答弁を持ってまいりましたが、まさに、今後の税制のあり方については国会の論議など幅広い観点から検討したいと書いてあります。そうしますと、私がきょう提出いたしました、政府の認めておる税収の伸びから言っても、租税負担率が二五・四になり、税調の言うような大幅増税をやりますと二八・四にもなってしまう。これは大変なことではないかという御論議は参考にしていただけますね。
○渡辺国務大臣 もちろん、いろんな方の御意見を十分謙虚にわれわれは聞いて、中期財政計画という財政展望というものを出した以上は、それを足場にして幅広い国民の合意によってどう運営していくかということを決めたい、こう思っておるわけです。 その前に事実関係で、主税局長からちょっと説明をさせます。
○高橋(元)政府委員 よく御承知のことだと思いますが、税制調査会は、今後の中期の税制のあり方を答申する際に、基本的な考え方としておよそ三つのことを言っております。 一つは、どうしても五十九年までに特例公債から脱却をする。それをどうやって表現をするかと申しますと、一般会計の歳出の八割を税収をもって賄う体質に改善しなければならない。五十五年度では一般会計歳出のGNPに対する割合は一七・二でございます。その八割と申しますと一三・八でございますが、ちょうど当時の一般会計税収のGNPに対する割合は一〇・七でございましたので、この三・一をどうやって埋めるかということであったわけでございます。この三・一を埋めます場合に、今後の自然増収と、そのほかに国民の御理解を得て税負担の増加をお願いをする、その二つでやっていくわけでございますが、その幅がおよそ三ポイントあるということが当時の表現でございました。当時はGNPの伸び、およそこの作業をいたしました段階では一〇%くらいの名目の伸びであろう、弾性値を一・二とすれば大きな間違いはあるまいということで、毎年一二%ずつ伸びていくというふうに考えたわけでございます。そうなりますと、五十九年度に到達する状態から申しますと、やはり二%くらい税の負担の引き上げ幅が必要になってくる。ただし、それは負担増の限界であるという表現でございます。 いまお話しのございましたように、何が何でも二%は負担増をしなければならぬ、自然増収は一%しかない、そういうことを別にこの答申では言っておられたわけではございません。五十六年度予算をつくってまいりました段階で振り返ってみますと、国民総生産の数字が変わったこともございまして、一般会計の歳出のGNPに対する割合はただいま一七・七でございます。それから一般会計税収は一二・二でございます。したがって、八割の関係もおのずと変わってまいりますし、税制調査会の中期答申で考えておりましたような一〇%の名目成長であるのか、一一・七%という計算であるのか、これはすべて計算の問題でございますから、基本的に目標年次までに一般会計税収を歳出の八割まで持っていく、そういうことを税制調査会は基本的に国民に提起をしておったわけでございますから、その方法については、さらにそのときそのときの経済なり財政の状況に応じてこれから考えてまいらなければならぬというふうに思っております。
○正森委員 主税局長が答弁されたのですが、大筋では私の意見を変えるものではないと思うのです。しかも、今度の予算総額のGNP比が一七・二じゃなしに若干上がっていると言われましたが、税調が言った五十五年度予算にしても、当初予算に比べて一七・二と言っていますから、補正後で比べますと一七・四とか五になるのです。だから、ほとんど変わらないのですね。ですから、主税局長のいまの反論というか意見というのは、一応言ってみられただけであって、私の主張を何ら崩すものではない。やはり八割を税収で確保しようと思えばいまのような増税をせざるを得ないという議論になると思うのです。私は、私自身の計算の中から、そんな大幅な増税をやる必要は何らない、というのは、国税庁といいますか、大蔵の計算、自治省の計算からも出てくるということを言いたいわけです。その基本については何ら本格的な反論はなかった。それは自分のところが出した資料に基づいて計算しているのですから無理もないと思う。 そこで、経企庁長官に伺います。 経企庁長官は私の説に非常に近いようでありまして、経済審議会の総合部会で、一月の下旬でありますが、租税負担率について五十四年度は二二・四%、五十五年度は二三・五%程度になったと見られる、五十六年度は税の自然増収と増税で二五%程度になり、経済運営をうまくやれば自然増収が期待できるので、六十年度政府目標の二六・五%を五十七年度に達成できそうだと語った、こう書いてあるのですね。そうすると、河本経企庁長官のお考えは、新経済社会七カ年計画をお出しになった所管大臣としては、もう五十七年度で租税負担率は二六・五%になってしまうのだから、そんなものを増税なんて全然要もないというお考えですね。そうでしょう。
○河本国務大臣 大体そういう趣旨のことを申し上げました。ただし、それには前提条件がついておりまして、五十六年度、五十七年度の経済が計画どおり維持、拡大される、経済が活力を維持する、これが前提条件になっておる、こういうことでございます。
○正森委員 いま河本経企庁長官は全面的に認められたと思うのですね。そうすると、大蔵大臣は、金が足りないから増税が必要だと言うと、経企庁長官は、経済の運営よろしきを得れば――悪ければ、ここにおられる大臣皆やめてもらわなければいかぬです。この予算を通していただければ経済はこういうぐあいに成長します、失業も出ません、雇用者所得も出ます、企業所得も出ます、こう言って出しているのですから、その前提さえ守られれば増税の必要はないと言っているのでしょう。ところが大蔵大臣は、かねや太鼓で増税は必要だ必要だということをどうやらPRしたいらしい。そうなれば総理、明確な閣内不統一じゃありませんか。あるいは閣内不統一でないとおっしゃるなら、どうか経企庁長官の方に意思統一してもらって、課税ベースの広い間接税というのは避けて通れない課題であるなんて言わないで、十分避けて通れる課題である、むしろ、経済運営よろしきを得れば要らない課題であるということが言えるんじゃないですか、いかがです、総理。
○河本国務大臣 一定の条件を置きましてそういう見通しになることも可能であるということを言ったわけです。ところが、現実の経済は最近少しおかしくなっておりまして、いまのままでは非常に問題が生ずるのではないか、こう思います。 そこで、一体どういう対応をしたらいいのか。この二月末から三月初めにかけましていろいろな経済指標が出てまいりますから、その指標を見た上で政府としての対策を考えたい、こう考えておるところでございます。
○正森委員 これは頼りない話ですね。予算を提出して、この予算を認めてください、この予算は新経済社会七カ年計画を前提にして公共投資も百九十兆つけます、そうすれば順調にいきますと言っておいて、それでそれがうまくいけば増税の必要なんかないじゃないかと言えば、いや、見通しが危ないのでどうも信用してもらったら困る、これじゃどうなるのですか。こっちをきゅっと押されればこっちが引っ込む、こっちが引っ込めばぷっとふくれる、これじゃ予算審議にならないじゃないですか。
○河本国務大臣 私が言っておりますのは、経済は、こういう激動期でございますから、内外の情勢に応じて非常に激しく動くわけです。でありますから、それに対して適当な対策が必要である、それを機敏に進めることがその前提条件である、その対策をよろしきを得れば見通しは可能である、こういうことを言っておるわけです。
○正森委員 それで、見通しよろしきを得るために皆さんやっているわけでしょう。それを答弁のときには、見通しよろしくいかぬだろうから、あるいはその可能性が多いからやはり増税を考えなければいかぬのだなんて、こういうことに結局なるのですよ。――いや、もういいです、時間がないから。あなたもいろいろおっしゃりたいでしょうけれども、しかし、あなたがちゃんとこう言っておられるのですから、経済審議会というような公の場でちゃんと言っておられるわけですから。 そこで、私は次の問題に移ります。 しかも総理、自然増収の見込みが非常に低いのです。私は二枚目に、いまの租税負担率の推移をずっと図にしましたでしょう。これを見ていただくと、政府の案のとおりだったら、いままで二〇・五から急速度にぴゅっと伸びてきたこのカーブが、まるでけんかに負けた犬のしっぽみたいにしゅっと下がるのですよ。それでも二五・四までいくのです。だから、通常にいけば増税なしでも二六・五ぐらいにほぼなるだろうというのは、このカーブを見てもらうだけでも言えるのですね。 そこで、三枚目を見ていただきますと、租税弾性値の推移というのが出ているのです。これは大蔵省が出してきた数字ですから、私がつくった数字じゃないのですよ。これで一番大事なのは、昭和四十年代の数字も書いてありますが、これは高度成長のときですから、現在のような五%前後の安定成長のときの比較の対象にならないのです。一番比較の対象になるのは、安定成長に入った五十四、五十五、五十六の辺なんです。それを見ますと、一般会計の租税弾性値は一・九二、一・五一、一・五一。政府は一・二で見ているでしょう。弾性値は一・五とか一・九二になっているのです。しかも三税、所得税、法人税、酒税の弾性値を見るともっと高くて二・〇〇、一・七八、一・六三になっているのです。これはあたりまえですよ。所得税というのは、所得減税がないから、累進課税だから、名目成長率の伸び率よりもぐっと税収がふえるのはあたりまえの話なんです。 その次のページを繰ってください、大蔵大臣。これもあなたの方が予算委員会にお出しになった数字です。これの五十六年を見ていただくと、自然増収が四兆四千九百億あって、うち所得税が二兆七千六百九十億、法人税が一兆二千二百四十億、これだけで自然増収の九割を超えているのですよ。九割を超える分の弾性値が過去三年を見たって二以上だとか一・六だとか七だとか言っているのに、どうして五十六年だけ急に、しっぽを下げたみたいに全体で一・二にしゅっと下がっちゃうのですか。そんなことはあり得ないじゃないですか。 もう一つ言いましょうか、時間がありませんので。 国民所得の伸び率を見ますと、これは根拠は言いませんが新経済社会七カ年計画から計算したのです。雇用者所得は五十七年から六十年まで一二・六%の割合で伸びるのです。企業所得は一五・二%の割合で伸びるのです。ところが五十六年度の雇用者所得の対前年度の伸びは九・二しか伸びないのです。企業所得も九%程度なのに、自然増収は当初予算に比べると二六・八%、補正後で一八・九%伸びる、これを弾性値にすると二・〇九になるというのが大蔵側の出した資料なんです。そのとおりでしょう。そうすると、雇用者所得が九・二%しか伸びないときでも税は一八・九%、補正後でも伸び、弾性値は二・〇九なのに、一二・六も伸びるときにそれよりも税収の伸びが低いなんて、そんなばかなことがありますか。企業所得にしたって、あなた方の五十六年度はざっと一〇%の伸びだというのに、今度の新経済社会七カ年計画を伸ばしてみると一五・二ふえるでしょう。それなのに税収の伸びは低いなんて、そんなことは経済学の法則から言ってもないじゃないですか。
○高橋(元)政府委員 弾性値について、いろいろ御批判がございました。昭和五十四年に一・九、五十五年と五十六年が一・五一、これは事実でございます。しかしながら、考えなければならないと思いますのは、弾性値は税収の伸び率をGNPの伸び率で割ったものでございますから、したがって名目GNPの伸びについて、五十四年のように輸入物価が上がったために実質に比べましてはるかに小さく出てくるという場合には、弾性値が高く出ます。五十五年、五十六年について所得税の見積もり、または法人税の見積もりについていろいろ御疑問がございましたけれども、五十五年、五十六年は所得税の中で利子所得の伸びが非常に高いわけでございます。したがいまして、五十四年の末、五十五年の四月ごろから始まりました普通預金で一・七五%も上がっておりますが、そういう利子の引き上げに基づきます所得税の増収というのは一時的な要因でございますから、仰せのように長期的にこれをカウントすることはできないわけでございます。いま時間もございませんので詳しく申し上げませんけれども、私ども、そういう一時的な要因につきましては税収の見積もりについて慎重に考えまして、これを五十六年度に取り入れるものは取り入れておりますし、それから、これは五十五年度または五十六年当初限りのものであるというものについては外しておるわけでございます。決して弾性値で税収をはじいているわけではございませんので、個別の数値につきましては、私ども、経済見通しに合わせまして慎重にやっておるつもりでございます。
○正森委員 弾性値だけを考えられないというのは一つは事実でしょう、名目成長率が大きく伸びれば弾性値が一あるいは一・一でも税収の伸びは非常に大きいわけですから。しかし、五十六年度を見ますと、弾性値だけを考えるのでなしに、税収の伸びだって、所得税の場合は補正後で比べたってパーセントで一八とか一九とかあるわけでしょう。それは名目成長率と弾性値とを掛け合わせたものですからね。ところが、あなた方の方を見ると一四か一五しか伸びないようになっているでしょう。ですから、そういうことは雇用者所得や企業所得がふえるのにあり得ないというのは非常に簡単なことで、弾性値の問題だけじゃないのです。時間の制約がありますから、私はそのことを指摘して、弾性値一・二というあなた方の主張を認めても、昭和六十年には租税負担率が二五・四になり大幅増税の必要はないというのは、経企庁長官も経済の運営よろしきを得ればということで認められた、だから余り課税ベースの広い間接税だ間接税だと言う必要はないということを結論として申し上げ、それを内閣としては全体としてお認めになったということで、次に移らせていただきたいと思います。総理、そう伺ってよろしいですね、国会の論議を踏まえて判断するとこう言っているのですから。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。
○正森委員 国会の論議を参考にするということですから、私のきょう提出しました資料や論議は十分に参考にしていただき、抜本的に考えていただけるということを申し上げて、次に移りたいと思います。 時間がございませんので先へ進みます。 天然ウランの問題について申し上げますが、一九七二年以降の価格の推移はどうなって潜りますか。また、価格変動の要因をどう見ておられますか、お答え願いたいと思います。
○高橋(宏)政府委員 お尋ねのウラン鉱石の価格の推移でございますが、御存じのように天然ウランは、電力会社が個別企業の立場でウラン鉱石を購入いたしておりまして、個々のケースにひきましては商業秘密に属するかと思いますので、言及は差し控えたいと題います。 しかしながら、ニューエクスコ社の発表いたしました米国内のスポット取引価格によりますと、昭和四十七年には六ドル前後でございましたが、オイルショック後の急騰によりまして、昭和五十一年には四十ドル台となっております。しかしながら、最近原子力発電計画の進展のおくれ等によりまして昨年四十ドル台を割っておりまして、現在その価格は低迷状況にあると考えております。
○正森委員 お手元に差し上げました資料のナンバー六を見ていただきますと、いま通産省が答弁した価格の推移がグラフになって載っております。大体こういうように六ドル前後だったものが突如値が上がり始めまして、七六年にはもう四十ドルを突破するという状況になったわけであります。この価格変動の要因をどう見ておりますか、通産省。
○高橋(宏)政府委員 一つには、オイルショック以降の一般物価、価格の値上がりによるところがあろうかと思いますが、一つには、原子力発電の推進という立場から、需給上の観点からの値上がりがあったというぐあいに承知しております。
○正森委員 それは真実に合致しないですね。あなたの方の答弁は、ニュークリア・アシュアランス・コーポレーションというのがジョージア州のアトランタにありますが、おたくの原子力産業課のシンクタンクとしてウラン資源確保対策委員会というのがそこに委嘱してレポートを提出してもらっていますが、そのレポートの中にそういう意見が書いてあるから、恐らくその意見をもとにして通産省の独自の見解としておっしゃったのだろうというように私は思います。しかし、実際にはそうではなしに、ウランの生産者の間でカルテルが存在したというのが世上言われている重大な原因であります。 まず第一に、アメリカの下院の商業委員会がありまして、その下に監視・査察小委員会というのがあります。それが公聴会をやっておりますが、そこで一九七七年六月十六日にジョン・E・モス委員長は、秘密ウランカルテルに関するガルフ石油会社とカナダ政府関係者の極秘文書を提出しております。そして、公聴会に召喚されたガルフのジェラルド・マカーフィー会長がウランカルテルの存在を認めているわけであります。 あるいはまた、一九七七年十一月十八日に、アメリカのTVAが海外ウラン会社に対する反トラスト法違反の訴訟を起こしまして、多くの企業を告訴しておりますが、この中でウランカルテルが存在したということが言われているわけであります。 第三番目に、一九七八年五月九日にアメリカの司法省が、ウラン価格協定のため国際ウランカルテルに参加したとしてガルフオイル社を告発しております。これはアメリカの司法省が告発したものですから間違いがないというように思うわけでありますが、そういうぐあいにカルテルが存在して、そして、これ以下では売らないということでどんどんつり上げたから、値段が非常に高くなったわけであります。 こういう動かぬ事実がありますが、それに加えて、最近外電の報ずるところによりますと、これは一九八一年二月十六日号のビジネスウイークでありますが、同じように一月三十日に、わが国の共同通信もこの事実を伝えております。それはどういうことかというと、独占禁止法の訴訟で、ウエスチングハウスというアメリカの原子炉製作会社が、カルテルをつくられたために、自分のところが原子炉を売り込んだ電力会社に一括してウラン鉱石を売るということだったのだけれども、値段が上がり過ぎて売れない、義務を免除してほしいという訴訟なんかをやっておったのです。これがシカゴの地裁で裁判を起こしておりましたが、裁判外で和解に達した。その和解の条件で、ガルフのマカーフィー会長というのも記者会見をやっております。その内容を見ますと、恐らくカルテルがあって悪かったということを前提にしているのでしょう、二千五百万ドルをおわびに払う、そのほかに、過去にウエスチングハウス社が請け負っていたウラン供給契約千三百万ショートトン、これを十五年間供給して、そこから値引きすることによってさらに七千五百万ドルをウエスチングハウス社に損害賠償として払う、計一億ドル払うということで和解が成立しているわけであります。これはウランカルテルが存在したという当事者の間の紛れもない事実ではありませんか。 こういう事実をわが国の通産省というのはつかんでないのですか。
○森山(信)政府委員 ただいま正森先生からお話のございました訴訟事件は、私どもも全部承知いたしておりまして、特に、ウエスチングハウス社によります一九七六年十月のいわゆるウランカルテル訴訟につきましては、おっしゃるように、一部の業者の方は和解をしておられます。 それから第二番目のTVAの問題につきましては、アンチトラスト法違反で現在提訴中かでございまして、係争中の事件でございます。 それから、御指摘のございましたガルフ社に対します司法省の提訴につきましては四万ドルで和解が成立した、こういう事実関係を私どもは承知いたしております。
○正森委員 いま一部については私の主張をお認めになりましたが、いまの答弁自体、ウランカルテルが存在していたということをやはり間接的に認めざるを得ない答弁だったと思うのです。 問題は、こういうウランカルテルにわが国の商社が、しかも三井、三菱、住友、日商岩井あるいは伊藤忠というような日本のいわゆる総合商社が、ほとんど全部加担しているということであります。ナンバー五の「電力会社則ウラン精鉱確保量」という資料がありますが、それを見ていただきたいと思います。これを見ていただきますと、たとえばデニソンというカナダの会社がありますが、その代理人は三井だ。リオアルゴムというカナダの会社がありますが、その代理は三菱。あるいはナフコールという南アフリカの会社がありますが、その代理は住友商事。ウラネックスというフランスの会社は日商岩井。こういうように、わが国の一流総合商社が全部、まさにウランカルテルで訴えられた生産会社と特約契約を結んで事実上加担をしておるわけですね。そして、住友商事は私どもの調査に対して否定はしておりますけれども、資料によりますと、住友商事などがこのウランカルテルに関与して情報提供までしたということが明らかになっているのです。 公正取引委員会に伺いたいと思います。 私は、あるところから昨年十月公正取引委員会事務局経済部国際課に出された「国際ウランカルテル――全容と日本――」という資料を入手しておりますが、これはおたくに提出されておりますね。そしてこの中には、私が資料として提供しましたナンバー五、ナンバー六というものも含めたウランカルテルについての実情の報告がなされていると思いますが、間違いありませんか。
○橋口政府委員 民間の経済専門家に委託をいたしましていただいた調査結果のことだと思いますが、そういうものは確かに受け取っております。
○正森委員 時間がなくなってまいりましたので、これの詳細を御説明することは略しますが、つまり、一億ドルも払って、思うございましたと言って和解をしている生産会社の相当部分と、わが国の商社が全部代理契約をしておる。しかも、この資料を見ますと、ウランカルテルは、日本というのはウランを非常に大事にして欲しがっているから、少々高い値段をぶっかけても大丈夫なんだということで、日本には特に対目差別価格をもって売ったということがここにちゃんと書いてあるのですね。そうだとしますと、この商社というのはカルテルに対して重大な責任を負わなければならないと思うのですね。 独占禁止法によりますと、第三条で、不当な取引制限を事業者はしてはならぬ、こうなっております。東京高裁の判例等によりますと、これは水平的な対等者間の結合について言うので、垂直の関係はカルテルだと言わないんだ、したがって差しとめ命令なんかできないんだというような判例もあるようですが、公取はどういう見解を持っておりますか。
○橋口政府委員 先ほど来お話がございますように、日本の商社はウランのメーカーの代理店でございますから、代理店の資格におきまして日本に対していわば売り込みを図っておるわけでございますから、そういう点で申しまして、いまお話がございましたような不当な取引制限とかあるいは価格カルテルとか差別価格というのは、これは生産者が行った行為でございますから、単なる代理人としての日本側の商社には直接の責任は問えない。 いまお話がございましたように、法律上の問題としましては、確かに取引制限というのは、競争関係にあるメーカー相互間が取引を制限する場合でございますから、商社としての代理人がこれに仮に参画をいたしたという事実があったとしましても、これを直ちに責任を問うことはむずかしいというふうに考えております。
○正森委員 いま一応の法律的見解を述べられましたが、それについて私は最後に反論したいと思います。 そこで、事実関係を申し上げたいと思いますが、こういうようにウランカルテルが結成されて、六ドルのものが四十ドルにまではね上がったために、わが国の九電力会社がべらぼうに高い天然ウランを買わされているわけであります。 私どもは電力九社の核燃料購入総額を試算いたしましたが、どういうように試算したかといいますと、貸借対照表、有価証券報告書から固定資産の核燃料の項を各年度差し引きして当該年度の増加額を算出する、電気事業営業費用明細書の核燃料減損額をプラスして当該年度の購入額全体を算出する、これがほぼ間違いのない計算方法であります。ちなみに申し上げておきますが、サプライヤーの倉庫にストックしてあるものやアメリカの濃縮工場にあるものなどで、現物が外国狂あって通産当局の統計に入っていないものでも、ウラン精鉱の購入代金や濃縮役務代を支払うたびに電力会社はその費用を計上しておりますから、実際の納入と時間的にタイムラグができるということだそうでありまして、これは私は電力会社に問い合わせであります。そういうことで計算しますと、ウランカルテルが結成された一九七二年、昭和四十七年から五十四年度、一九七九年度までの核燃料購入総額は約一兆六千八百三十三億円であります。 私が商社と電力会社から、そのうち天然ウランの占める比率を聞きましたら、約四割だと言っておりますから、ウラン精鉱の購入代金は約六千七百三十三億円であります。そして、私がある有力商社から、ウラン精鉱の実際のコストは現在どのくらいだと聞いたら、約二十ドルぐらいだというのですね。適正利潤を五ドルつけ加えましても二十五ドルぐらいのものを、現在では四十ドルから四十五ドルで買わされているのです。この比率は、約四四%高いものを買わされたことになります。四四%とすると、購入総額六千七百三十三億円で比べますと約三千億円も高い買い物をさせられた。三〇%高くぶっかけられたとしますと約二千億円高く買わされたということになるわけであります。 時間がございませんので申し上げますが、そうすると、これは一体だれに。かかってくるのですか。全部電力料金として国民にかかってくるわけであります。二千億円ないし三千億円高く買わされたものは、全部電力料金として国民の負担になってくる。しかも、通産省、これは真実かつ有効な試算と認められたら、事業報酬として在庫の八%は全部費用に認められるのでしょう。そうなれば、親方月の丸ならぬ国民で、電力会社は幾ら高く買っても通産はそのまま認めてくれる、それは全部電力料金にはね返るということになるではありませんか。こういうことでは国民はたまったものじゃないと思うのですね。 こういうチェックを厳正にすると同時に、電力会社に、これから高く買わないように、いままで高く買ったものについては取り返すようにという指導をするのが、国民的見地から見て当然じゃないですか。現にウエスチングハウスは、裁判を起こしたりなんかして金を取り返しているのですから。それについての答弁を伺いたいと思います。
○森山(信)政府委員 日本の電力会社がウランを購入します場合は、先生御承知のとおり長期契約で購入をするわけでございます。したがいまして、その長期契約の枠内で年度ごとに年度の価格を決めていくというやり方でございまして、先ほど先生が御指摘になりました数字は、数年前の数字を一定と仮定いたしますとそういう数字になるわけでございまして、現に一九八一年に購入しようといたしております鉱石につきましては、先ほど私の方の高橋審議官がお答えいたしましたとおり、現在市況が安くなっておりますから安い価格で購入する、こういうことでございまして、いやしくも公益事業でございますから、私どもは、電力会社が購入するに当たりましては高いウランを購入しないような指導は十分しておりますし、今後もやってまいりたい、かように考えております。
○正森委員 八一年の、世界でもう値が下がり始めた、そしてウランカルテルのものが悪うございましたと言って謝って賠償金まで払っているという状況で、値が安くなるのはあたりまえであります。私の言っているのは、八〇年までの八年もの長い間高いものを買わされたじゃないか、それをどうするんだ、こう言っているわけであります。 そして公取に伺いたいと思いますが……
○小山委員長 正森君、時間です。
○正森委員 はい、最後です。もう終わります。 独占禁止法では、不当な取引制限になろうがなるまいが、国際契約というのは届け出をしなければならない、届け出をしなければ、独禁法の九十一条の二の一号で二百万円の罰金に処せられるとなっております。ここで言う三井や三菱や住友やあるいは日商岩井等々は、国際契約の届け出をしていますか。
○伊従政府委員 ウラン鉱石の輸入につきましては、輸入の代理契約につきまして、七社、二十件の届け出が出ております。
○小山委員長 もう時間です。
○正森委員 はい、終わりです。 届け出だけは出ているようでありますが、私が独占禁止法関係の専門の学者に聞きましたら、いま公正取引委員長が縦の関係ではカルテルは成立しないと言われましたが、もし、それぞれ代理人になっている商社が横の関係で販売上相談をしたとすれば、これは販売カルテルになる可能性はあり得る、こう言っております。 しかも、これらの商社はウラン協会というのに加入して、イギリス等でしばしば会合したということは当事者が認めております。したがって、国民に重大な関係のあることでありますし、対日差別価格が高く設定されたという内容でもございますから、こういう点について、重ねて公取なりあるいは通産の資源エネルギー庁で、いやしくも国民が不当な負担を負わされることのないように調査し、そして検討していただきたいと思いますが、いかがですか。 これで終わります。
○橋口政府委員 貴重な御意見として十分承っておきたいと思います。
○小山委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。 次に、山田耻目君。
○山田(耻)委員 私は、昨日、川俣同僚議員が御質問いたしましたベビーホテルの問題について御質問いたしたいと思います。 目の非常にきれいな、かわいい子供たちが人間として幸せに生きていくように、そうして健康にこれを育てていかなければならないという責任を国や地方公共団体、保護者は持っているわけでございます。そうした将来の日本の国を背負って立つ若い、幼い子供たちが、日の入らない暗いビルの谷間の中で、中にはビルの七階、八階、九階、十階という高いところで保育をされているという実態を政府は知っていなかったように思います。昨年、こうした事態がだんだんと国会で取り上げられるようになって厚生省も調査に入られたようですが、その調査もおざなりで、きわめて不十分でございます。 手元にお配りいたしたと思いますが、この資料は、民間の団体で非常に熱心にベビーホテルの問題を追及されて、これは憲法の違反だ、児童福祉法の違反なんだ、行政の手の届かなかった谷間の事件だということで訴え続けておられます。私はいまから、この資料に基づきながら御質問をいたします。 この民間団体の資料は皆さんも御存じと思いますが、TBSの調査に基づいたものです。その真実確信性も非常に高いと思っていますので、どうかひとつ総理を初め関係大臣の皆さんも、まじめな気持ちで答弁をお願いいたしたいと思います。 〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 まず、保育制度の実態についてどうなのかということを申し上げたいと思うのです。 実施業者は届け出をしていない、無許認可の状態でございます。したがって、設置基準もございません。保育資格もないのです。ダンプの運転手さんであったり、キャバレーの業者であったり、ホステスであったり、あるいは暴力団の絡んだ事業であったり、あるいはラーメン屋の主人であったり、お母さんであったり、しかし中には看護婦さんの資格を持ち、保母さんの資格を持ち、その資格者たちがまじめにこの保育所をやっている方もおられます。しかし、一概に言ってこの保育体制は、人間を預かっているという状態ではなく、荷物を預かっておる、こういう状態が続けられております。その業者にいろいろ会った資料に基づいて調べますと、笑いがとまらぬほど金がもうかると言うのです。文字通り金もうけ中心主義の幼児産業と化してしまったと言わざるを得ません。 ベビーホテルの機能についてちょっと触れてみますと、公認の国の諸施設と同じように保育園があり、乳児園があり、養護施設があり、一時預かりがあり、緊急預かりがあり、休日預かりがあり、いまの国や自治体がやっている保育園と、この無届けの保育所とに通じて入っておる、昼間は保育園、夜はこの無認可の保育所、こういう二重保育が継続されている分野、中には一カ月、三カ月、半年、一年と長期に滞在をする等、きわめて多岐にわたっております。 厚生省の昨年十一月の調査を見ますと、全国の都道府県にまたがってゼロという県はありません。その総数も五百八十七カ所と調査が出ております。いまお手元に差し上げたこの一枚目の表が厚生省の調査の資料でございます。この資料を見ますと、東京は百六十九カ所、岩手県を初め一カ所のところが七県もあります。しかし、これは調査が不十分なんです。TBSの調査によりますと、この三倍から四倍あるわけです。 私は、今日のベビーホテルがなぜこのように急激に蔓延してきたのか、その実態を皆様方とともに明らかにして、忌避することのできないこの現実をみごとに救済していく、こういう立場をとっていただかなければならないというふうに強く感じ取っております。 総理大臣は、お名前が示すように非常に善をとうとばれております。こうしたかわいい子供たちが差別なく、どのような家の子供も大事に生育させなければならないという児童福祉法の第二条を承知しておられると思いますが、第二条を読み上げてみますと、「国及び地方公共団体は、児童の護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」こうなっています。総理大臣も十分この児童福祉法の一条、二条を御承知だと思いますが、これを受けて行政をなさる政府は、今日のこのようなベビーホテル蔓延の現状についてどのようにお考えになっておられますか。総理大臣の善意に満ちたまじめなお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 私から一言。 ベビーホテルの問題は御指摘のとおりであります。これは昨年の三月ごろからやかましく言われてきたところであります。これがこのように急速に出てまいりましたのは、御承知のとおりに、働く婦人の数が非常にふえてきた。そしてまた、結婚されても働いておられる。そのために夜働かれる方も相当ある。これが昼だけ預かる保育所ではどうしても間に合わない。そこで、自動車や電車に乗っていって預ける町の要所要所の保育所よりも、手近にちょっと頼めるところに子供を預けていく。一番手軽なのは、お隣のうちに預けるとかあるいはきょうだい、親戚に預けるとか、こういう一人を預かるベビーホテルもあるわけでありまして、そういうことから急速に広がり、これに目をつけてベビーホテルというものが隆盛をきわめてきた。 そこで、厚生省では早速調査をいたしましたが、無届けで、かつまた、その実態調査というのはなかなか困難でございます。とりあえず腰だめで調査をいたしましたのがいま先生がおっしゃった表でありまして、これは見ただけでも、たとえば京都はゼロになっておる。そんなはずはありません。これは決して完全なものではありませんが、とりあえずこれをどうするか、見当をつけるために調査したものでございます。 そこで、まず応急にやらなければならぬ問題があります。それはいまおっしゃいましたように、わりに設備のいいところもあるし、資格を持った方もあるし、あるいはこれならと思われるところもありますが、何か物置き場みたいな、しかも火事があったらもう逃げ場所もないというところでやっている場所もあるわけでありまして、仮にそういう事故があった場合にはだれも補償しない。そうすると、結局、働きながら涙をのんで子供を預けていらっしゃるお母さん方は、自分が働いている間に子供が死んだ、その子供の補償もできない、こういうことになってきておりますから、とりあえずは立入検査ができ、かつ消防庁とも協力をしていろいろな設備の改善等を命ずるようなことを一応急いでやっておいて、その先に抜本的な対応策を考えなければ、事務当局は、なかなか保育所には吸収できません、かつまた、このような無認可のものにはとても助成金など出せません、こういうことでありますけれども、これは根本的に考え方を変えて、保育所は朝から夕方まで預かるのだという観念、概念を捨てて、夕方から始めて夜明けまでやる保育所もあっていいはずでありますし、あるいはまた保育所の分所をつくってもいいはずであり、あるいはまた、こういうベビーホテルの質のいいものを数を集めて何か組合みたいなものをつくっていただいて、これに対して指導監督並びに助成をやる、そういう格別なことを考えなければならぬと考えております。 この悲惨な赤ちゃんの生命を守るために、取り急いで必要な法律改正だけをお願いするつもりでおりますが、詳細については事務当局からお答えをいたさせます。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま園田厚生大臣から申し上げたところでございますが、このベビーホテルの問題は、本当に保育行政の面からいたしましても、当局の指導監督の行き届かないところにおいていろいろな欠陥と不備が指摘をされておるところでございます。児童福祉法におきまして、国及び地方公共団体は、保護者とともに、児童の健全育成を図らなければならない、こういうことがうたわれておるわけでございますから、政府におきましてもまた地方団体におきましても、このベビーホテルの対策につきましては早急に必要な措置を講じてまいりたい、こう考えております。
○山田(耻)委員 総理も厚生大臣もかなり前向きで、法律の基本理念に沿って、今日の手薄になっていた行政の点も御認識なさっておるようでございまして、認識なさっておるだけではなくて、これから先へ進めますが、ひとつ具体的な施策をぜひとも講じていただきたいし、非常に緊急性のあるものだと私は理解しております。 一つは、やはり厚生大臣もおっしゃっていましたが、社会構造がうんと変わってきているわけです。この児童福祉法ができたのは昭和二十二年十二月十二日です。あのころの世代を背景にしてつくられた児童福祉法、これに基づいてできました児童の諸施設、こういうものが今日まで続いて、その設置と運営がなされているわけです。それに現代社会に生きておる人々はそぐってついていけない。だから、そこに生まれておる現在の私立、公立の保育園、乳児院その他にはとても入れない。そういう現行法の割れ目から流れ出てくる人人が多くなった。それを受けておる受け皿がベビーホテルなんです。 御存じのように、高度経済成長の過程を経て、いま日本には婦人のサラリーマンが一千三百万人もいられます。このうちの三人に二人、八百七十万人以上が既婚者で働いておられます。また、乳幼児を抱えておられるお母さんは百万人を超えています。ベビーホテルに預けておる実態は、昼間のみ預けたい、そして仕事をしたいのだという人が三六・四%です。夜間のみ仕事がしたいので預けたいというのは一六・七%です。昼夜通して預けたいというお母さんが二二・五%であります。お母さん自身が働かなければ食っていけないのだ、そういうお母さんは四六・四%であります。預け期間の長短にいたしましても、昼夜通して預けていかなければ、しかもその期間も一年以上の経過がよろしい、一年以上預かってくれるところがいい、こういう人が五七・五%と半数を超えているのです。これが現代社会の構造から生まれておる私たち日本人の勤労者の家庭です。いま私が申したのは、この一千三百万人の人は勤労者の家庭だけではありません。自由業の人もいらっしゃるし、いろいろ多種多様でございますが、主体は、こうして勤労者のお母さんによって占められております。 ところが、現在の公設の保育所の状態というのは、朝九時から夕方の四時まで、ないしは延ばしておるところで六時まで。この時間に子供を預けていたのでは、仕事に出て帰れない。どうしても保育所はそれでは預かれませんと断る。仕方がないから、いつでもいい、いつまでいてもいいよと手続の簡単なベビーホテルに流れていくのです。これは現行法上の制度が悪い。もっと社会に、国民のニーズにこたえるように、もっとその制度を何とか広げてあげて、保育所で預かってあげるという制度がなぜできなかったのだろうか。しかし、厚生大臣は、何とかそこも法制度を拡大をして考えたいというお話でございますから、後ほど、これだけではなくて、まとめてお願いをします。 こういう現状にあるわけでございますから、ベビーホテルに預かっておる子供というのは本当に幸せであろうか。昭和二十二年、児童福祉法ができたころは、やはり子供はお母さんの愛情に抱かれて、そのふところで育つものだというのが当時は常識でした。ところが、時代の変遷、経済の変遷、今日では預けてでも働かなければ生きていけないんだ、ここまで変化をしておりますだけに、やはりベビーホテルに預けた子供たちの指摘すべき状態を申し上げたいと思います。 一つは、いまの公設の保育所といいますか認可されておる保育所は、大体建物は二階までです。三階以上は危険で困るということで二階までとお決めになったのでしょうが、それは、日の当たるのが欲しい。子供というのは太陽の光を浴びて、そうしてすくすくと元気に育っていかなければならない。広い座もあるし、子供の遊戯場もあるし、それがいまの公立の保育園です。 ところが、ベビーホテルはほとんどがマンションとかビルなんです。しかも、ビルの三階以上が六割でございます。中には。申し上げているように七階、八階、九階、十階というのもあります。しかも雑居ビルでございます。家賃の安いビルを探しますから雑居ビルで、下の方にはキャバレーがあり、飲食店があり、火を使う店が多い。だから、災害上も大変心配なんです。一たん火災が起こったら逃げ道はない。逃げることを知らない。大災害を起こしますよ。 そして、去年、四国の松山で生後三カ月の子供が、こうしたベビーホテルに入っておる子供を送り迎えしてあげるのを忘れていて、送迎のバスの中で死んでおりました。こういう死亡事故がきわめて多いのです。これは零歳児の預かり。厚生省の調査でも零歳児が一八%と示されております。一、二歳、三歳は四〇%をはるかに超えているんです。こういう本当にまだまだかわいい、いたいけない子供が、そういう保育所の不備のために死亡事故がふえていく、こういうことは許されるものではありません。 このベビーホテルに預けたお母さんたちの言葉は、先ほど申したように、受け付けてくれる時間が、保育してくれる時間が遅くても六時までだ、私はどうしても帰るのに八時までかかると言えば、お断りをしますと断られる。こういうふうな状態で、なかなか公設の保育所は、働かねばならない子供を持ったお母さんにとっては、ありがたいところというよりか冷たいところになっているんです。 児童福祉法第二十四条では、保育に欠ける子供が、付近に保育所のないなどによってやむを得ない事由があるときには、「その他の適切な保護を加えなければならない。」とあります。いまのような事情を承知してこの法律はつくられておるのです。しかし、この法律がありながら、それは園田厚生大臣は、その不備を整えてきちんとしてやりたいとおっしゃっていますが、いま私が言って始まったことではないのです。厚生省の調査も昨年十一月だったでしょう。昨年一月から民間団体のTBSの皆さんは、プロジェクトを組んで全国くまなく調べておられるのです。一年も時間が経ておるのに、なぜ今日まで放置をされていたんだろうか。私は残念でたまらないのです。行政の立ちおくれというものを痛感せざるを得ません。 厚生大臣、先ほどの話を伺ったのですけれども、この状態は私は放置できないと思うのです。一刻を争って国民のニーズにこたえるような諸制度、法律を完備していただきたいと思うのですが、重ねてお願いします。
○園田国務大臣 御発言はよく承りましたが、また一方から言うと、乳幼児、零歳児を預かることは、これは健康の激変で、朝何ともなかった赤ん坊が、昼ごろは急に熱を出したり、夕方は急にけいれんを起こしたりするという例が多いわけであります。したがいまして、乳幼児、零歳児を国がお預かりするということは、そういうことも考えて、その設備とか要員というのは普通の保育所とは違って、やはりお医者さんなどもすぐ駆けづけられるような施設も必要でございますから、御意見はよくわかりますが、各方面の御意見を聞いてやらなければならぬが、早急にできることではありません。 ただし、早急にやらなければ、いまおっしゃったようなことがありますから、まず第一に手近にやるべきこと、立入検査あるいは設備の改善あるいは届け出制あるいは場合によっては閉鎖命令、こういうことはできるようにして、とりあえず急場をしのぎながら、いまおっしゃったような乳幼児、零歳児の問題を解決するように、御意見を承りながらやりたいと考えておるわけでございます。 したがいまして、福祉法ももう三十年以上たっているわけでありますが、福祉法ではこういう事態を予想してないわけであります。ただ義務だけ列挙してあるが、さてどうやるかという措置は書いてないし、予算措置もないわけでありますから、まず第一に、とりあえず、この赤ん坊の生命に間違いがないような措置をするために、福祉法の改正をお願いをして、その足場の上で恒久的な対策を急いでやりたいと考えます。
○山田(耻)委員 おっしゃっていることはそれなりにわかりますけれども、いま私が御指摘申し上げた事柄等は真実でありますし、本当に御苦労なさって調査をなさった方々のまじめな成果でございまして、これらについて言われておることが日本の国民のことでありますし、子供さんを抱えて働かれるお母さんたちのことでございますから、何としても一刻も早く状態を解決していかねばならぬと思っています。 だんだん、このベビーホテルの入居希望者はふえるんです。ふえている傾向にあるんです。それはいま厚生大臣がおっしゃいましたように、公認の保育所が零歳児を預かるような設備になっていない。あの立法当時はその情勢も考えにはなかったんだと私も思いますが、しかし、現実はもう国民はそれを求めているんです。それで、保育所に行くと入園を断られる、だから、いつでもいらっしゃい、御希望のとおり期間も結構ですからお預かりしますよ、そういうところへ流れていくんです。この勢いはだんだんふえています。最近では、こういう業者の中でチェーン組織が生まれまして、東京で八店いま開店しております。恐らく今年じゅうには東京都全域につくる。大阪にもその萌芽は出かけております。こういう完全に企業化した状態にまで発展をしていく需要を持っておるわけです。 この点があるだけに、私は、設置基準も資格基準も、立入検査をなさいまして防災の基準もきちんと整理されて、子供たちが本当に健やかに成長して、将来の日本の国を背負ってくれるような情緒豊かな強いりっぱな子供に育ってくれるように早く手を打っていかなければならないと考えております。このままの状態を放任することは許せないと思うのです。 だから、いま厚生大臣がおっしゃいましたように、ベビーホテルは認可事業とする、資格や設置基準を定める。 二つ目は、認可されておる現在の保育所に地理的に可能なものはベビーホテルを吸収合併して行う。 こういうふうに資格なり設置基準なりいろいろ設けますと、利用なさっておる方々は大変お困りになります。だから、国として適正な助成、補助をいたさなければなりません。 四番目は、児童福祉法を改正して、申し上げたいろいろの措置をするとともに、これは即刻、厚生大臣、できるんじゃないかと思いますが、保育所は毎年四月一日に締め切るんです。そこで定数を決め、保母さんの数も決める。だから、四月二日に行ったらだめだと言うんです、もう定員いっぱいだと。だから、ベビーホテルへ入れておるお母さんたちは、そういう保育所へ行くのはもういやだ、こういう人も多くいらっしゃいます。だからそれは、その定員の中に相当数のあき定員を持っておって、いつでもいらっしゃいよ、こういうふうな制度に変えなければ、ベビーホテルに行っておる人たちは、安心してあの子供たちを育成していくことはできないと思うのです。いつでも入園できるようにひとつ配慮をしていただかなければならないと思っております。 ところが、そのようにいたしますと、保育所の保母さんたちの働く時間が長くなります。これはここにも一つ人権問題が発生しますから、長時間にわたっていくような保育所では保母さんの二交代制をとられて、保育制度もきちんとしてあげなければならない、こういう整備をお願いしなければなりません。 六つ目には、消防法第四条を適用しまして災害防止の立入検査、これをしっかりやっていただかなければなりません。 そうして最後に、保護者であるお母さんの教育。子供の育て方というのは、ミルクを飲ませて寝かせておけば育つというものではないんです。やはり三歳までで子供の基礎的な人間形成は終わるんだと言われておるほど大事な時期であります。この間テレビを見ていましたら、小児科のお医者さんが、十年前に少しでも楽をしようと思って子供をこうした無認可のベビーホテルに預けておくと、この子供が大きくなって十年後には仕返しを受けますよ、こういう小児科の先生のお話も聞きました。私は、本人たちにとっても不幸だと思いますが、日本の国家にとっては甚大な損失です。忙しいお母さんたちですから、お集まりいただいて育児の基本について御教育願うことはむずかしいと思いますので、やはり書面を家庭に発送される等々を経て十分PR活動をしていただかなければならないと思います。 以上申し上げた点につきまして、総理大臣、そうして園田厚生大臣の熱意ある御答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 保育所は、苦しい財政事情ではありますが、毎年七百から八百カ所程度、人員にして七万から九万までの増員を行っておりますが、とても追いつくことではありません。 かつまた、保育所がだんだん田舎にもできてまいりまして、田舎では保育所に入った子供と自分のうちで遊んでいた子供は、ある年齢に達するとじつけが違う。そこで新しい幼稚園というか、田舎の、農村の幼稚園というか、低所得者の幼稚園とかという意味も持ちましてどんどんふえてきておるわけであります。 そこで、この保育所の方も、つらい中ではありますが、なるべく要員とかそれから施設の補助の対象になる資格というのを分割をして、小さく切りかえていくようにお願いしなければならぬと考えております。 かつまた、この乳幼児の問題は、もっともっと激しく言えば、毎日新聞紙をにぎわしておる、生んだ子供をビニールの袋に入れて駅のロッカーに捨てるとかあるいは便所に捨てるとか、こういう事件とも必ずしも無関係のものではございません。働く人がいかに子供を育てるについてつらいかということであります。 かつまた、いまのような倉庫に品物を預けるような育て方ということは、生命の保障もさることながら、未来を背負う人間養成という点からいっても、これは放置するわけにはまいりません。 だが、現実問題はなかなか大変でございます。大変だからといって手をこまねいておれませんので、とりあえず、いまおっしゃいました立入検査、改善、それから場合によっては停止命令等緊急の、子供の生命に異常がないような手はすは、これは時間を食わないでやって、そしてその上でいま言ったようなことを全力を挙げて努力したいと考えております。
○鈴木内閣総理大臣 山田さんから、ベビーホテルの実態調査に基づきまして、これが改善策につきまして大変貴重な御意見を伺うことができました。設置基準の問題あるいは資格基準の問題、また、現在の既設の認可保育所との関連においてどう対応するか、いろいろ貴重な対策、御意見を拝聴したわけでありますが、政府におきましても、この問題の重要性を考え、また児童福祉法の精神を踏まえまして最善の努力をいたしたい、こう考えています。
○山田(耻)委員 総理並びに厚生大臣には、よろしく善処方をお願いいたします。 〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 お手元に差し上げておるこの資料をごらんいただくとわかるのですが、東京都では杉並、中野、渋谷、新宿、豊島、この地区にかなり集中いたしております。そうして乳幼児もかなり預かっております。この地区は緊急に手を加えていかなければならないと思うのです。だから私は、この地区はベビーホテルと既存の保育所、この公設の保育所と吸収合併するということについては緊急中の緊急だと思いますが、厚生大臣、いかがでございますか。 それで、私が最初に申し上げた、いま総理がお答えになりました設置基準とか資格基準をつくる、そしてそれに、合わないものは閉鎖命令をする。現行の法律ではなかなか閉鎖命令を措置することがむずかしいと思うのです。法制をしていかなければなりませんが、これをやって子供を守ることは大事です。しかし、それは、いまの自由業のようにおやりになっておる方々にはかなり苦痛が伴います。そこで、こういう基準を設定していきますと、当然国の助成措置をしてやらなければなりません。この点について二点お尋ねいたします。
○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、閉鎖命令というのはなかなかむずかしゅうございます。少なくとも福祉法ではできません。そこで消防庁と協力をして、生命の危険という見地からやむを得ざる措置に出ざるを得ない。 それから次には、保育所を改善して吸収合併、これも一つの手段だと思いますが、全部が全部というわけにはまいりません。かつまた、これには御承知のとおり、やってみれば非常に大変だという問題がありますが、地区によってはこれも一つの有力な手段かとも考えますので、そういう点も考慮をして検討いたします。
○山田(耻)委員 余り時間がありませんからぼつぼつ終わりにしたいと思いますが、厚生省がお調べになったこの表でも、全国に、またがっています。厚生大臣の直接の意思もなかなか通じにくい。また、行政上の漏れがあってもいけないと思いますので、児童福祉法によれば、都道府県知事がかなりその責任を持たされています。だから、都道府県知事に対してもここでいろいろお伺いしたような事柄を通達をなさって、都道府県知事の行政の指導を的確におやりになっていただけますか。
○園田国務大臣 全く同意見でありまして、実態調査並びにこれに対する対応の策は、都道府県の御協力を得るほかにございません。その御協力を得谷手配をすでにしてございます。
○山田(耻)委員 この問題はこれで終わりますが、後ほどの時間、また補足されて御質問なさる方がいらっしゃいますことを申し上げて、この問題については終わりたいと思います。 次に、不公平税制についてお尋ねをいたします。 いままで本委員会では、数多くの同僚の方から不公平税制について御質問がありました。その中で、特に不公平税制の根幹となっておるものは捕捉率の問題であろう。たとえば給料取り、サラリーマンの皆さんは一〇〇%捕捉されます。しかし、申告所得者の皆さんや法人の方は大体一〇%前後の実調率しかございません。この違いが大変大きな不公正税制の根本になっておりますだけに、きょうはこの捕捉率、実調率をどう直すべきかということについて大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
○渡辺国務大臣 一つは、何といっても申告納税制度ですから、納税者が正しく申告をするという納税思想の高揚ということが最大、これが一番大事だと思います。 その次は、納税をきちんとしようと思いましても、税法というものは非常にむずかしい。それで、善意であってもいろいろなミスがございます。修繕費に入れたらいいのか資本的支出にいたしたらいいのか、素人でなかなかわからないようなことがありますから、そういう意味での税務の啓蒙、それは青色申告会とかいろいろなことでそういう啓蒙運動をやる。一方、税理士会等が無料で申告指導等を毎年義務づけられる――義務づけられるということはありませんが、協力的にやっておりますから、そういうものも活用する、そういうことがまず根本だと思うのです。 その次は、やはり限りある税務職員でございますから、税務の事務体制というものについてコンピューター化できるようなものはできるだけ機械化をしていく、そういうものも大切であります。その中で、収益性が一般から比べ極端に悪いとかあるいは申告率が非常に低いとか、そういうものについて重点的に実調というものをやっていく。しかしながら、現在税務署の職員も少ないというようなこともあって、一方では、調査をする職員の数をふやしてくれという要望もございまして、われわれも極力努力はいたしておりますが、こういうことも必要でしょう。 もう一つは、やはり職員の質の問題もございます。数だけふえたから的確な所得の捕捉ができるというものではございませんで、そういうような職員の訓練、教育というものも必要だ。その他いろいろあろうかと存じます。
○山田(耻)委員 税法学というものが独立したのはいまから六十年前、ドイツでやられたのでございますが、大蔵大臣に税法学の話をするのは釈迦に説法でございますが、税法学では課税制度の原則と呼んでおります。これは課税の平等というのが前提なんですね。これが貫かれていたならば、税の不公平を叫ぶ人々はいない。トーゴーサンとも言われないしクロヨンとも言われないだろう。この犠牲の平等、税法学では課税制度の原則というこれを踏まえて税法というのをつくり上げていかなければならないと私は思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 課税の公平ということが一番大切であります。
○山田(耻)委員 私は、この委員会で多く議論されました中で、申し上げたように税の捕捉率、実調率に非常に差が出てきた、そのためにサラリーマン、給与所得者からは大変な不満が出ておるという声を幾たびか聞いてまいりました。これを是正する方法は一体何であろうか。これは源泉所得一〇〇%に見合うように申告所得なり法人の実調率を高めていく。ところが、大蔵省も御努力なさっているんだとは思いますが、私の調べたところでは、実調率は一〇%を割っている時代が長かったのです。昭和三十九年、高成長時期に入るそのころは実調率は三割ございます。それから十年たった昭和四十九年には実調率は六・六%です。ここまで下がっておる。今日では七%ちょっと超している程度が実調率の姿ではないかと思うのですが、この実調率を高めていく、言いかえたら捕捉率を高めていくというやり方は、具体的に、いままでできなかったのはこれだからできなかったのだ、だからこれをこうする、そういう意見があれば大蔵大臣、聞かしてください。
○渡辺国務大臣 いろいろあると思いますが、一つは、やはり人不足ということもございましょう。そのほかには、私は、実調率よりも一番大事なことは、何といっても納税者の納税意識だと思うのです。警察官をふやしたから犯罪が少なくなるということと違いますからね。納税する人が自分で計算をして納税する制度になっておるわけですから、その計算が正しければ問題はない。問題は、第一はそこなんですよ。だから、そういうような点で、最近はかなり青色申告なども普及をしてきて、実調率は低くとも、そのために税収がうんと下がったということにはすぐ結びつかないのじゃないか。しかし、やはり願わくは、もう少し人が欲しいということも事実でございます。
○山田(耻)委員 私は、税務執行に当たっておる税務署の職員をふやしていけば徴税コストが高くなるという意見を、過去大蔵委員会でしばしば伺いました。しかし、いま私が申し上げたように、実調率が非常に低い。その中で一生懸命税務署職員は努力してくれているのですが、昭和五十一年の資料でございますが、申告所得税の調査接触率、実調率は、申告所得がなされたのが七百三十三万件、このうち八万八千件しか実調されておりません。一一%程度であります。この中にありまして、脱税と言えるかどうかわかりませんが、それに類した脱税、脱漏の行為があります。追徴税額は、一件当たりに直しますと、大体五十九万程度の追徴税が出ております。一年間で一人税務署員をふやすと五千万円を超える追徴があるのです。一人の職員を雇って、大体年収三百万と仮定いたしまして五千万も追徴していくとなると、公正な徴税執行をするわけで、国としても大変な歳入欠陥をみずから招いたのではないだろうかという気もいたしております。 いまの税務署職員は昭和三十年――その前年に約一万数千名整理をされました。昭和二十六年に取引高税が導入されましたが、一年でこの取引高税制度は廃止になりました。そのために一万数千人の人が解雇されたわけです。昭和三十年の五万二千人の税務職員が、いまもそのままなんです。法人関係の納税者の増加は、ここ数年前と比較しても六〇%から倍近くになっております。にもかかわらず税務職員がふえない。この相関性がだんだんと実調率を下げてきたのです。この状態というものは、大臣もお認めになっておられるように、公正な税制を正しく執行するためには実調率を上げねばならぬ、実調率を上げる要素として税務職員をふやさねばならない、こういう一面の結論に到達をするのです。いまの税務職員は非常にまじめで勤勉な人たちです。組織している労働組合もありますが、余り声を大きくしてそれを叫びません。しかし、今日、行政改革の問題もある時期でございますが、横並びで見るのではなくて、税務執行職員に対しては、そういう国民の不満にこたえるためにも、不公正税制をなくするために御配慮願わなければならないという気持ちがいたしております。中曽根行管長官のお考えをお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 国税の職員の皆さん方が非常な御努力をもってやっておることはわれわれも評価しておるところでございます。しかし、行政改革の理想からいたしまして国税当局にも御協力を願うことにいたしております。 そこで、大蔵省の内部におきましていろいろ御努力願って、ほかの部局から国税当局の方に人員を回していただいて、大蔵省全体としては増員のないように、結局結論におきまして、たしか本年度において国税当局で四百数十入減員になりましたけれども、また四百数十人増員いたしまして、大体プラス・マイナス・ゼロということで御努力願いました。ほかの一般官庁の行政職におきましては、軒並みに相当数マイナスにしたのでございます。その中でも、外交当局と国税当局には、われわれの方としてもできるだけの苦心をした次第でございます。今後も努力してまいりたいと思っております。
○山田(耻)委員 中曽根さんの御努力には私は感謝をいたしますが、私が申し上げているのは、ことしはプラス・マイナス・ゼロであったということをいま求めておるのではないのです。プラス・マイナス・ゼロでは実調率は上がらない。納税者はふえてくる、とても税務官吏の手は足らない、こういう状態を解決しないと国民の不平不満は直らないということを申し上げておるのですから、いまのお答えでは不十分でございます。四百三十八名ですか、減らすところをプラス・マイナス・ゼロにされたのだから、言いようによっては四百三十八人ふやしたのだよ、こうおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、私がお尋ねしておるのはそういうことではございません。 そこで大蔵大臣、よく実情を御存じと思います赤、いまの五万二千人は昭和三十年の定員であると申しました。この五万二千人の中では、二万人の人がずっとあれから二十六年間、まじめに真剣に徴税業務に尽瘁してくれました。文字どおりベテランの税務担当官であります。しかし、この人たちはもうすでに四十六歳になりました。これから十年しますと税務署を退いていくことになるでしょう。税務職員というのはそば屋の出前持ちではございませんから、きょう来たらすぐ使えるというものではありません。やはり相当長期間かけて実務に携わって初めて一人前の税務職員になっていくのであります。その意味から考えますと、これから十年後の税務行政の実態を考えれば、中曽根行管長官のお言葉もわかりますけれども、ただ横並びで行政改革を続けていくという立場から、あしたの日本、将来の日本の徴税業務を考えて、逐次若干増員を始めていくということの責任は、大蔵大臣、あなたにあるのですよ。それをやっていかないと、現行税制の執行ができなくなってくるのです。重大なことですよ。ところが、税務署に新規に採用して、さっき他省から異動してきた数も多くなったとおっしゃっていましたが、すぐは使えないのです。やはり税務大学校へ入れて基本勉強をみっちりしていただく期間も要るのです。その収容人員の枠もあります。そういう枠等を考えて、逐次増員をしながら十年後の徴税政策に対して全きを期するような、そういう施策をおとりできないものでしょうかね。お尋ねいたします。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、正しい申告をしてもらうということが根本なんです。本来から言えば、もう調査をしなくとも本人から申告してきてオーケー、オーケーとできれば、申告制度ですから、それが本当は一番理想的なんです。しかし現実には、先ほど言ったように不心得な者もいる。それからもう一つは、税の知識がない。そのために間違いが多いというのも事実なんです。したがって、これに対しましては、ただ税務署の職員だけでそれに対応するということは、恐らく現実の問題として不可能でしょう。したがって、まず何といっても納税者の意識を高揚することが先決問題なんです、数が違いますから。 それからもう一つは、税理士の数も最近ふえまして、何名ふえているか、事務当局からふえた数は言っていただきますが、これがかなりの顧問先を持って指導してもらっております。それから最近では、商工会でいろんな記帳の指導というようなものをかなりやってもらっております。そういうものを並行的にやって、それでまず申告納税で、それでもう正しいということが一番いい姿なんであって、ただ全部調査をした結果是正できるということよりも、調査をしなくとも正しい申告が行われる、これが一番いいから、まずその方向を充実をさせる。 しかしながら、現実には、いま山田委員の指摘するように、悪い者もおるのも事実でございますから、それらについては適切な調査ができるような仕組みというものも充実をさしておかなければならぬし、調査を受ければぼろが出る、ぼろが出れば重加算税を取られるよという体制をつくっておくことも、やはり核抑止力みたいなものであって、調査をしなくてもそういう能力が税務署にあるということだけで不正申告が減るということも事実なんです。したがって、やはりそういう高度な勉強も必要だ。 それから、いま言ったように年齢構成からいって、非常に一生懸命みんなやっておるが、かなり平均の年齢が高くなった。後がうまくついてこなければ断層ができてしまうわけですから、そういうことも非常に重要な――何といったって国の基本は、税金によって国は運営をしておるわけですから、確実な租税の確保ということは非常に重要な問題です。したがって、精神論だけではうまくいくはずもない。でございますから、今後ともいろんな合理化、効率化、機械化、そういうことも進めますが、外部との協調体制もとりますが、内部においてもやはりいい人を充実していくという不断の努力はしていかなければいけない。 私も、ぜひともことしもふやしたいという希望もあったのですが、やはり全体との枠の問題がありまして、本年はともかくプラス・マイナス・ゼロになったということも事実でございます。しかしながら、今後一層、その職員の数、質、両面において充実するように、誠意を持って努力をしてまいりたいと考えております。
○山田(耻)委員 職員の問題は、中曽根長官も、税務担当職員は横並びでは見れない重要な職種だとおっしゃっていますし、大蔵大臣も、誠心誠意努力するとおっしゃっていますから、私はひとつ具体的にお願いをして、いまの御返事の中ではとても聞けそうに思えませんが、大体十年前後を予想して、いまから五年間に一万人ぐらい増員をしなくてはなるまい。それは税務大学校の受け入れ設備等も考えまして申し上げるのですが、まず、年次計画で一年に二千名ぐらいふやしていただいて、五年間で一万人の増員をして、十分税務行政に粗漏のないようにひとつ完璧を期していただくように、これは私の意見としてお願いをしておきます。御検討いただきたいと思うのです。 それから、大蔵大臣は先ほどから申されておりますが、日本の場合は申告制度を基本にしております。最近では青色申告もだんだん進んでまいりまして、たしか五〇%程度まで青色申告がなされておるようです。しかし、青色申告をなさいますけれども、申し上げた七百三十三万件のうち接触調査をしていけるのはわずかに八万八千件、一一%だ。その中にも、まあ意識してやられたかどうかは別としても、虚偽の申告がなされております。それが数々の申し上げた追徴税を受けておるのです。 この申告制度が人間の善意を信じ、間違いなく申告できるようにする基礎は一体何なのか、それは記帳の事務の厳正化であります。日本の税法というのは、古くからドイツ税法を参考にいたしておりました。終戦後はシャウプさんなどの来日もあったりして、アメリカ税法がかなり日本に入ってきております。アメリカにしても欧州にしても、税法、会計法で記帳事務については義務化いたしておるのです。永久保存として義務化いたしております。ここでそうした税法を全部紹介をしたいと思うのでございますが、時間がありませんので省略をいたします。 日本もこの徴税義務、記帳義務、裏表の関係ですから、記帳を正確に、脱漏のないよう正しくやって、その上に基づいて申告制度をやる、こういう指導が今日まで決して十分であったとは私は思いません。いま税法を直ちに改正して罰則規定を加えて、そうして記帳を義務づけるということまでは申し上げませんけれども、そういう税法改正をしなくても、それに準ずるような行政指導というものができないものかと強く感じていますが、いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 事業をやる人が記帳をするということは、これはもう税務署に対してというよりも、自分自身の経営を把握するという意味で非常に重要であります。したがいまして、中小企業の対策等において、商工会とか青年何とか会議所とかいろいろございますが、そういうところでいろいろな経営の勉強をする。しかしながら、自分自身がそういう数字を持っていないというのでは、一体自分の事業がうまくいっているのかうまくいってないのか、どこに欠点があるのかわからないわけですから、本来、事業をやる者は正確な帳簿を備えて、自分がその内容を常につかんでいるということが事業の成功、失敗においても非常に重要なかぎになる。したがって、そういうふうな一般的な中小企業の育成という点からも、私はこれは大いに慫慂をすべきものだ、かように思っております。 ちなみに、青色申告は、いま先生おっしゃるように五三%、法人関係では約九〇%が青色申告になっております。したがって問題は、個人の問題が主たる問題だと思いますが、これらにつきましても、諸外国の例も確かに、ある一定の限度以上のものについて記帳義務を課しているという点がございます。私は、記帳義務を課す前に、まず記帳をすることが自分の商売の成功の秘訣だよということをよく徹底的に教え込むということが一番いいのじゃないか。そして、ある金額以上のものについて記帳義務を課すかどうかという問題については検討をさしてもらいたいと思います。
○山田(耻)委員 記帳義務については、おっしゃるように、厳格にやればかなりむずかしい問題もあります。しかしながら、自分の商売を的確にみずからが把握して将来伸びていくためには、記帳作業というのは貴重な仕事なのです。それがわかっておりますから、二重帳簿をつくれと指導なさる方もおるのです。だから、本当の日本の申告納税制度というものは、売り上げ、収益性を基準にしておるのか、そこから必要経費を引いて算出するのか、必要経費をみずから引いちゃって課税対象額を申告するのか、後者の方をおとりでございましょう。そういう後者のやり方でなくて、所得金額を全部申告の基準にしておいて、それから減額制度を採用して必要経費減額をして課税をする、こういたせば、かなりむだがなくなると思うのです。脱税、脱漏もなくなります。そういう記帳事務を的確に御指導なさるという意思はありませんか。
○渡辺国務大臣 山田委員のおっしゃることは売り上げを、売り上げですな、売り上げとか収入、それをまず正確につかめ、そこから必要経費を引いていけば所得が正確に出るじゃないか、全くそのとおりでございまして、いままでもやっておりますし、今後ともそれは大いに普及し奨励をしていかなければならぬ、こう考えています。
○山田(耻)委員 税の不公平を是正するというやり方の中心は、徴税職員の数を適正にするということと、申告税制をやられる方にとっては記帳義務を負わしていかねばならぬ、この二つが両々相まったときにクロヨンとかトーゴーサンとか、いまのような国民の中にある不公平感は払拭されると思うのです。これが犠牲の平等負担であるし、社会正義でもあるのです。この点を大蔵大臣、これから着々として御検討くださるというお話でございましたが、こうした問題で必要な法改正がありますれば、それらも十分検討願って、早く、不公平税制と言われないような日本の徴税のあり方を確立してくださることを私は強く求めます。少なくとも来年のこの委員会では、ここまでできましたというふうな報告が願えますように、条件づけて厳しくお願いしておきます。よろしいですか。
○渡辺国務大臣 税務署の職員を充実させるということについては、先ほど言ったように極力努力をさしていただきます。まあ大蔵省が各省に行政改革、効率ある業務体制とかいってやっておるわけですから、私がここで満足いくだけふやせるかどうかお約束はできませんが、極力努力をします。 それから、記帳義務の問題は、これはもう一挙にこんなによくなったというわけになかなかいかぬだろうと思います。ただ、トーゴーサン、トーゴーサンと言われますが、恐らく給与所得者が十で、あとは六が中小企業で、五が農業というようなことを、普通はそんなように言われておるのですが、私は実はそうは思わないのです。農家の方は、所得というものは、たんぽや畑を隠すわけにいきませんしね、大体標準的なものは出ておる。ただ納税者が少ない。少ない割りに自動車なんか持っているというような点から言われるのじゃないかと思いますが、これはむしろ所得が少ないというために納税者が少ないということは言えるだろう、そう思っております。 農家などでも最近は青色申告をする人も出ておりますけれども、そういうような者についても全部記帳義務をかけるということは、私はなかなか約束はできない。できないが、農業といえども経営であることに間違いないのであって、やはりどれだけの支出があって、どういうところにむだがあってというようなことは、やはり記帳をすることによってよくわかるわけですから、農業も経営でございますから、そういう点でやはり記帳を奨励するという点は、通産省、農林省などと一緒になって、広く記帳をすることを奨励をしていきたい、そう思っています。
○山田(耻)委員 大変むずかしいことですが、ひとつ十分な行政指導を積み重ねて、いまのような国民から出ておる不公平、不満を早く消すようにお力添えを願いたいと思います。時間がありませんから、税法関係はこれで終わりたいと思います。 次に、週休二日制、時間短縮の問題についてお伺いをいたします。 労働省は、去年の十二月二十二日に労働事務次官通達をお出しになりました。この事務次官通達について若干お伺いをしたいと思います。 「週休二日制等労働時間対策推進計画」をおつくりになったようです。これはサブタイトルで「昭和六十年度までに日本の労働時間を欧米主要国の水準に近づける」、こういうサブタイトルがついております。 そこで、労働大臣にお伺いしたいのでございますが、この週休二日制なり労働時間短縮というのは、いまや世界の経済の常識であります。六十年は少し遅過ぎると思うのですが、もっと早目に実行に移すという気持ちはございませんでしょうか。遅くとも六十年には完全に実施をするという決意で、この次官の通達にあなたはサイン、印判を押されたのでしょうか。労働大臣、いかがでございますか。
○藤尾国務大臣 お答えをいたします。 昨年の十二月に労働次官通達を出しました。これは仰せのとおり非常に迂遠のようでございますけれども、遅くとも昭和六十年までに、週休二日を含めて、ヨーロッパの標準労働時間でございます大体二千時間程度のところへわれわれの労働時間を短縮をいたしたい、そのためにできるだけのことをしてもらいたいという通達でございます。 私といたしましては、山田委員の御発言のとおり、六十年までかからなくても、五十九年でも五十八年でも、その目的を達成すればいいではないかという仰せの御趣旨と同じ考えを持っておるわけでございますけれども、まあまあこれだけのことはやってお目にかけたいということを余裕を置いて六十年ということを申し上げておるわけで、必ずそれより前にそのような実績を達成をいたしたいということを、私自身も性根を据えて考えております。
○山田(耻)委員 労働大臣の確信に満ちたお答えでございましたが、この中で欧米の主要国並みの水準とすると言っておられますが、いま日本の労働時間は二千百十四時間ぐらいですね。欧米の水準は二千時間以下でございますが、このことが日本の国際貿易の上にもいま多くの非難を浴びておる最中でございます。この欧米主要国並みと言われておりますが、ここで、これをひとつよく読んでみますと、欧米の主要国の労働時間は一定でない、一体どこの主要国をモデルに指しておられるのだろうかと私は思うのです。 それから二つには、この通達をお出しになったのが五十五年十二月二十二日であります。この時点で見た欧米の労働時間の水準か、到達しようといまおっしゃっていた――五十八年、五十九年でもやれると言ったけれども、六十年は下らないよという御決意の、その六十年の欧米主要国水準を指しておられるのか、今日の水準を指しておられるのか。それによっては国内の行政指導も大変異なってきますので、主要国はどこなのか、五十六年か、六十年の水準なのか、それらについてお話し願えればありがたいと思います。
○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。 山田委員の御指摘は、いま日本の平均労働時間は二千百十四時間である、こういう御指摘でございましたけれども、実は最近の統計では二千百八時間でございます。 そこで、いま御指摘の欧米という一つの水準でございますが、これは御案内のとおり、ドイツとフランスとイギリスとイタリアとアメリカ、みんな違っております。したがいまして、一番労働時間が短いと言われておりますのはただいまのところドイツでございますけれども、これは御案内のとお力千七日六十時間台ということでございますから、私どもが目標といたしておりまする昭和六十年に二千時間というようなものを一つの目標と考えましたならば、なおかつ百五十時間ぐらいのところは勉強をしていかなければならぬ、こういうことでございますので、これを欧米主要国の代表としては見てはいないということは御了承いただけると思います。 そこで、そういうように考えてみまして、欧米諸国と申しまする場合の一つの水準は、アメリカの大体千九百何十時間というものと、イギリス、イタリア等々の大体二千時間あるいは千九百時間というようなところが私どもの肩を並べていこうとする第一目標になっている、こういうことでございまして、私どもの目標が二千時間と申しておりまするけれども、それは欧米列強がこれから先六十年にどうなっておるかということは、私どもにはいまのところ推測がつきませんから、ただいま実行されておりまする欧米諸国の水準、まあそれと余り大きな遜色はないではないかという意味で二千時間程度にひとつ持っていきたい、かように考えておるわけでございます。 御案内のとおり、現実にいまの日本の水準におきましても、自動車産業等々の代表的な大企業におかれましてはすでに千九百時間台でございますから、まあまあ非常に離れておるということではないわけでございます。ただ、御案内のとおり、業種により、あるいは規模によりまして、この労働時間というものが非常に凹凸が多い。そういうことでございまして、私どもの申しておりまする六十年に二千時間と申しまするのは、いまどのような状況の悪い、たとえば小売業でございますとかサービス業でございますとかいうような中小企業におきましても、二千時間というところはどうしても達成をしていただかなければならぬという指標でございます。
○山田(耻)委員 あなたの御指摘になっているところでございますが、確かに欧米水準で大体それに見合う二千時間以下にしたい。そのためには、週休二日制の完全実施をしたい、年次有給休暇の完全消化をしたい、所定時間外労働をできるだけ抑えていきたい。そこの中で、産業別、企業別格差の著しい日本の労働時間水準の中で、特に中小企業の労働時間対策は、御指摘のようにまことに重要です。この中小企業の労働時間が重要であるだけに、ここには具体的な解決の指針、方針をお持ちにならなければ、行政指導はむずかしかろうと思うのです。だから、これらについて、日本的な労働時間の格差についてどのような統一的解釈をお持ちなのか、方針をお持ちでございましたらお伺いしたいと思います。
○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。 御案内のとおり、中小企業にとりまして金融というのは大変に大切なことでございまして、商売をやっていきたいというようにお考えになられましても、銀行その他の金融機関が閉まってしまうということでございますと、なかなか所期のお仕事が続けていけない、そういうことになりがちでございます。でございまするので、私どもは、もちろん、どなたにもおやりをいただくわけでございまするけれども、そういった道を開くという意味におきましては、まずもって銀行等々の金融機関に週休二日ということを徹底をしていただけば、土曜日に仕事をしたい、こういうことでございましても、取引銀行が閉まってしまうということになりますから、勢いそれじゃ自分の方も土曜日はちょっと店を閉めてみるかということで、そこに道が開かれてまいる、そういう可能性を持っておるわけでございますので、私どもといたしましては、当面、民間におきましては、これら銀行等々の金融機関の週休二日をまず第一に実行をさせていただけないものだろうか、かように考えております。 いま一つは、これは印紙その他の関係もございまするけれども、官庁でございます。この官庁と申しまするものが週休二日で土曜日も閉まっておるということになりますと、これまた、ある意味におきまして、中小企業の方々も、許可をおとりになりに行かなければならぬ、何か書類を届けに行かなければならぬという場合に、それがなかなかしにくいというような要素にもなってまいろうと思いますので、そういった意味におきまして、官庁の週休二日といいまするものも、まずさしあたって、当面一番初めにやっていただきたいものだ、さように考えておるわけでございます。今日のところ、御案内のとおり先生方の非常な御努力によりまして、週休二日とはまいりませんけれども、四週に一日、半交代ということで、とりあえず四月の一日からその実行を願って奉るわけでございますから、その一つの施行ということを足場にいたしまして、官庁の週休二日に大きな道を開いていけないものだろうか、かように考えておるわけでございます。
○山田(耻)委員 大蔵大臣、大変責任ある荷物を背負っているわけですが、金融機関の週休二日については、私はこの場所で昭和五十二年、お亡くなりになった大平総理が大蔵大臣のときに、文書でここでお約束したのです。一両年中に必ず実施をするということをお約束なさっていたのですが、なかなかできません。この席におられる自民党の村山さんも大蔵大臣になられましたが、村山さんも大蔵委員会の理事のときのこの文書の合同合作の一人であります。村山さんも御苦労をなさったが、なかなかできなかった。ようやく金融制度調査会で銀行法十八条改正ということの方針が出ました。この国会にも銀行法改正が提案なされるものと私は期待をしておりますが、この中に銀行法十八条の改正も含まれています。この法改正ができ上がったら、直ちに金融機関週休二日を実施なさるのか。いま労働大臣のお話しになりましたように、金融機関が先行してくれ、そうしたら民間中小企業等含めて助かる、こういうお話で、あなたにすべて期待をされております。 そこで、私はあなたに質問するわけですが、いかがでしょうか、すぐ実施をなさいますか。
○渡辺国務大臣 御承知のとおり、現行の銀行法では、十八条で休日というのが決まっているわけですね。したがって、まず法律を直さなければならぬ。そこで、この銀行法の改正は今国会にぜひ出したいということで、いま盛んに交渉をしているんです。そこで、この国会でまずその法案が通らなければならない。私はぜひともこれを通したいと思っているのです。それから、あとはどういうふうに指定するかという話ですが、政令等でたとえば土曜日を指定をするということになるでしょうね。 しかし、現実に週休二日制が実現するというまでには、これはやはりその利用者のことも考えなければなりませんので、銀行が休んだら利用者が喜ぶのか、利用者のために銀行を開くのか、これはいろいろ議論のあるところなんです、実際は。したがって、この利用者の理解。もう一つは、郵便局などとの問題がやはりございますね。片方が開いておる、片方が閉まっちゃったということになれば、開いている方へみんなお客さんが行ってしまうということになりますから、それらと実施との関係がどうなるのか、こういうようなことなども含めまして十分検討したい。それで、準備期間に時間は相当かかるんじゃないか、そう思っておりますが、余り波乱のないように、利用者からも理解されていくようにしなければならぬ、そう思っておりますが、方向としては、いま言ったような方向で進めたいと思っています。
○山田(耻)委員 時間がありませんから進めますが、これは郵便局なり農協なり関連金融機関に対して同時に決着させるということは、去年、週休二日制の各党委員会を持ちましてお話し合いを深めたときから、そう私も理解しております。だから、この銀行法改正が提案されますと、私は大蔵委員会で成立をさせてほしいと、この法案に長い間かかってきました私としては考えています。その十八条改正の法律を通さなければ金融機関の週休二日はできません。だから、この法律は成立さしてもらうように御配慮願いたいと思っております。 それが通ったという前提で、郵便局なり農協の問題については、渡辺さん、あなたが郵政大臣、農林水産大臣とお話しになってまとめていただかなくちゃ困るのですよ。そのための推進計画を作成されて、そういう関係各省の皆さんと御相談願って、それができ上がればいつから政令を出すのかということに発展をしていくのですが、その準備は万遺漏なくお進め願っておるものだと私は思っておりますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○渡辺国務大臣 私も、法律が通ればそういう方向に持っていくように努力いたします。いたしますが、先ほど言ったように、それは農協もあるし、信用組合も信用金庫もあるでしょう。やはり農民の理解も得なければならぬ。みんな一生懸命、土曜日も日曜日も働いているのに、農協だけが先にさっさと皆閉まっちゃった、けしからぬというようなことになっては困るわけです。ですから、そういう理解を得るような方向に努力をしていきたい、そう思っております。
○山田(耻)委員 亡くなった方に悪口を言ってもいけませんけれども、やりたいという気持ちはみんな持っているけれども、最後になるとあなたみたいなことをおっしゃるのですよ。政治家というものは、約束をしたら実行するのですよ、そのことは私は大事にしてほしいと思うのです。あなたも決して私の言う意見に反対ではないと思うし、大蔵省の関係の局長もその気持ちを強く持っていることを私は承知をしています。十分ひとつ作業を強めていただいて、万遺漏ないように措置を願いたいと思うのです。 ところで、労働大臣がお話しになっておりましたが、公務員は四週五休を四月一日から、そういうお気持ちのようです。そうして、民間も大体五〇%を超えて週休二日制はやられておる、こういうことになりますと、金融機関の関係、公務員、民間と、この三者が一律にそろわなければできないというのがかなり過去にあった意見でございました。ところが、きょうの労働大臣は、金融機関が先行してくれ、そうしたら中小企業その他を引っ張っていきやすい、こういう率直な見解を述べられておりますが、大蔵大臣は、同時に出発することを望まれるのか、金融機関が先行してもやるという腹を据えておられるのか、その点についてお伺いいたします。
○渡辺国務大臣 先ほど申し上げましたように……(「約束したことは守ってくれよ」と呼ぶ者あり)いや、約束したことは守らなければならぬからね。ですから、金融機関が先行しろと言われましても、金融機関といっても、大銀行の方はいいかもしれませんよ。しかし、現実の問題として、農協とか漁協とか、それから中小企業、零細企業を相手にしている信用組合とか、そういうものも一緒にともかくやるんだよということを命令的にするということは非常に問題がある。われわれといたしましては、そこらのところをどういうふうに納得してもらうようにしていくか。中小企業の人は、日曜も祭日もなく働いているという人もいっぱいある。そういうときに信用組合だけが二日間閉めちゃうんだというようなことは、果たして利便者のためになるかどうか、問題は、要するに従業している人が週二日休めるようにしろということなんでしょうから、そこらの工夫はしなければならぬけれども、直接農民が金を出してつくっておる、あるいは中小企業者が直接経営者を出したり出資をしてつくっておるというところまで、そういう利用者のことを考えないで、私がここで、銀行が通ったら一斉にやるんだということまではなかなか言えない。しかしながら、大銀行とか何かについては比較的その点はまた別でしょうし、問題は、そこらのところも兼ね合わせて、要するに週休二日の方向に持っていくことを努力はしたいと思っております。
○山田(耻)委員 週休二日についてはもう古い、議論をしてきた経過がありますだけに、その個所個所で歴代の総理大臣は、非常に積極的であったし、そうしてまた消極的であったりしておりますが、いま私がここで申し上げましたことを、そう紆余曲折することなく、国際情勢もそうです、日本の置かれている立場についても指摘を受けておるのですから、申し上げたような事柄を早急に実施していただけるように総理大臣の見解を求めまして、私の質問を終わります。
○鈴木内閣総理大臣 公務員につきましては、前国会におきまして、とりあえずあのような法律の制定を見たわけでございます。 ただいま銀行法の改正につきましても、大蔵大臣から御報告を申し上げたような内容のものを国会に提案をしたい、このように考えております。この内閣としては、そのように具体的にこれを推進をしようということでございます。成立をいたしましたならば、非常にむずかしい問題がございますけれども、できるだけの努力を払ってこれが実施できまするようにいたしたい、こう考えています。
○山田(耻)委員 終わります。
○小山委員長 この際、金子みつ君より関連質疑の申し出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、短い時間でございますけれども、山田議員が質疑の最初にお取り上げになりましたベビーホテルの問題につきまして、時間もございませんことですので、一つ、二つ政府の御見解をただしたいと思うところでございます。 お聞き及びになりましたように、また配付された資料をごらんになりましたように、ああいう実態が今日起こってきたということについて、私はこんなふうに考えています。 その一つは、認可の基準に到達しない保育所を無認可保育所などという名前をつけて、そして無認可だから、法律には一つも抵触しないからということで全く放任してきた国の行政の甘さと申しますか、あるいは逃避的な姿勢、態度と申しますか、これは私は非常に大きな問題だと思います。 それからいま一つは、保育所の基準の厳しさがございます。大変に厳しい認可基準であるという問題です。保育所の規模にいたしましても、小規模保育所などがあってもしかるべきであるのに、数は六十人以上でなければならぬとか、そのほか細かくは申し上げる時間がありませんけれども、基準が大変に厳しくてなかなかこの認可に到達できないというところがたくさんにあるという問題。 それから三つ目の問題は、既存の保育所が保育所としての機能を私は果たしていなかったんじゃないかと思うわけでございます。なぜかと申しましたら、皆さんも資料でごらんになりましたように、なぜベビーホテルを選んだか。その選んだ理由をごらんになったらおわかりになりますように、保育所は昼間でなければ預からぬとか、四月でなければ受け付けないとか、三月には卒業させてしまうとか、そして長時間はやらないとか、夜はやらないとかいうようなことを言っておりますね。しかし、なぜ選んだかという資料をごらんいただいたと思いますが、それはみんなその逆をいっているわけですね。いつでも、どこでも、預けたいときに預かってもらえる、そして手続は簡単、身分のことはいろいろと聞かれたりしない、夜も昼と同じように預かってくれる、このニード、最近の母親の働く状態から出てくるこのニードが、私は本当の実態のニードだと思うのです。そのニードに適合したような保育所が運営されてこなかった、保育所が機能されていなかった、だから私はこういう問題になったのだというふうに思うわけです。 ですから、その問題について、こんな社会的な大きな問題になった今日、厚生省は、先ほど御答弁を伺っておりますと、厚生大臣のお話では、いま急にいろいろしようということで立入調査をする、あるいは必要ならば閉鎖命令も出す、それも結構だと思いますけれども、そうなったらどうなるんですか。子供はあしたから追い出されてしまう。母親はその子を抱えてどうするんですか。仕事がない。いま母親の仕事は、先ほど山田議員が御報告しておられましたように、大変に広い範囲で三分の一の仕事を婦人がいたしておりますけれども、子連れの母親、ことに母子家庭の母にはきちんとした仕事はなかなか与えられないのです。どうしても仕方がなくてああいうかっこうになってしまう。夜の仕事が非常に多いのです。このベビーホテルを利用している母親の二番目に高い率は夜の仕事をしている人なんです。そういうことを考えてみていただいたことがあったでしょうかということです。 ですから、私はぜひ厚生大臣にお願いしたいことは、大臣がおっしゃった緊急措置です。法律を改正して、それから直すというような悠長なことは言っていられないのです。いま子供の命が危ないくらい危険なんです。段ボール箱やなんかに入れられている赤ちゃんはたくさんあるわけです。ですから、緊急措置として何をしてくださるのか、それを私は伺いたい。 私は、ぜひその子供たちを既存の保育所に引き取って、その保育所で預かってもらいたい。そしてその保育所の機能を十分に運営できるように助成をしてください。それでこそ助成金が生きる、国の税金が生きると思うのです。それをぜひお願いしたいのですが、いかがでしょう。
○園田国務大臣 ベビーホテルが急激にふえました原因はおっしゃるとおりでございます。社会構造の変化というか、婦人の就職の急増、それから住宅問題あるいは育児に対する婦人の考え方の変化、こういういろいろなものがあると思いますので、これに対する対応策は、総合的な立場から子供の健全育成を図るためにやらなければならぬと考えております。 今日までこうなってきた原因は、確かに御指摘のとおり、保育所というもののあり方に原因があると存じます。人間のやることでございますから、欠点や間違いもいっぱいございます。しかし問題は、十何年前にできた福祉法、それから保育所、このときの考え方と現在の育児、乳幼児に対する問題とは、百八十度変わらなければならぬときでありますが、依然としてこの福祉法と保育所の概念にとらわれて、乳児を預かるのは大変だとか、あるいは零歳児を夜起こして移すのは健康に悪いとか、そういうことを言っているうちにここに来たわけでありますから、ここで思い切って発想の転換をやらなければならぬことは御指摘のとおりであります。 そこで、おっしゃることはよくわかります。閉鎖命令を出したら、すぐそれを引き取って育児所に預かれということでありますが、これは先生も厚生省におられた経験がおありでありましょうけれども、役所としては予算と定員というのはなかなか大変な問題でありまして、ここで大臣が簡単に答弁するわけにはまいりません。そこで、私は応急の措置として、立入検査であるとか、消防庁と協力をして危険なものに対する改善命令であるとか、そういうとりあえずのことをやりながら、いまおっしゃったような方向に御意見も承りながら努力をしたい、こう考えておるわけであります。
○金子(み)委員 いまの御答弁ですと、私はその予算が大変なことはわかっているつもりです。そうでありますけれども、この問題を解決するためにはまずそのことが一番大きな問題だと思ったわけです。ですから、立入検査も結構でございますけれども、いまのベビーホテルを改善させるなどということのために助成をするのじゃなくて、正しい保育をするところにその子供たちを預けていかなければいけないから、私は保育所を新しくつくってもいいくらいだと思っているのです。それぐらいの予算を用意していただいてもいいのじゃないかというふうにすら思っているわけなので、大臣のいまの御答弁では十分満足がいかないのですけれども、予算の点では大蔵大臣の御援助もいただきたいと思っております。
○園田国務大臣 山田さんの御質問に私、答えたつもりでございましたが、答弁に不足があったと思いますが、一遍に育児所を改善するとか、あるいは一度に吸収するということは困難でございます。したがいまして、できるものから逐次、改善できるものは改善し、吸収するものは吸収し、分散するものは分散するという努力をいたしますということを山田さんにお答えいたしたとおりでございます。
○金子(み)委員 緊急措置というのは本当に緊急措置なのでございまして、ゆっくり時間をかけてやることは緊急措置ではありませんので、さしあたってどうするかという問題ですから、いま大臣がおっしゃったこともよくわかりますけれども、それだけでは私は解決がつかないと思うのです。ですから、既設の保育所に預けることができるということになれば一番安全だと思いますので、それに対しての助成をしていただきたいとお願いしたわけでございますから、そのことを十分考えていただきたいわけです。 それからいま一つ、そのことをやっていただきますにつきまして、これは総理大臣にも聞いていただきたいのですけれども、保育所の問題といえば厚生省の問題だと皆さん、聞いていらっしゃる方は思っていらっしゃるかもしれませんけれども、そうじゃないと思うのですね。この問題は決して厚生省だけの問題ではないと思います。いまの予算の問題では大蔵省にまず考えてもらわなければなりませんし、それから、先ほど来のお話の中でおわかりになりますように、預ける側の母親の職業、母親の労働の問題が関連してまいりますから、労働省の問題も非常に大きな影響があるというふうに考えます。それから、先ほど厚生大臣がいみじくも発言なさいましたが、母親の育児に対する考えが変わったというお話がありましたけれども、どう変わったのか伺う時間がありませんから伺いませんが、母親に対する社会教育の問題もございます。それから子供の育成の問題もございます。文部省にも決して無関係ではないというふうに思いますし、建物の安全性から言えば、これは火災の問題あるいは安全性の問題、消防関係の問題も出てまいります、けさほどからお話があったように。ですから、幾つかの省庁が関連します。さきに埼玉県の富士見産婦人科病院のときに、厚生大臣は関係省庁と打ち合わせをする会をつくるとおっしゃってつくっていただきましたね。あれと同じように、今度もやはり関係のあるところと総合的に対策を立てるということをぜひやっていただかなければ、私はこれは解決しないと思うのです。この問題について、厚生大臣の御意見もですけれども、総理大臣の御意見も聞かせていただきたいというふうに思っております。 なお、大臣がお答えくださいますときに、このことも含めてお答えいただきたいのです。児童福祉法に「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と言っておるのですけれども、こういう血の通った保育制度ができていない。現在の場合は、すべての児童にはなってないのです。大変に不公平だと思います。将来を担うすべての子供が「生活を保障され、愛護されなければならない。」ということにはなっていないので、この不公平の問題、大臣は所信表明のときに貧しきを憂えるのではなくて等しからざるを憂うるのだとおっしゃいましたから、ぜひ、等しくないというところを考えの中に入れていただいて善処していただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、このベビーホテルの問題に対する対策、これは各般にわたらなければなりません。先ほど山田さんから、広範な調査に基づきましていろいろ問題点を挙げていただきました。私は、したがって対策も非常に広範になるなということで拝聴しておったわけであります。ただいまの御意見等を参考にいたしまして、政府としても、原産省だけでなしに、総合的な施策を進めてまいりたいと思います。
○園田国務大臣 いま総理からおっしゃったとおり、総合的に対処いたします。 かつまた、予算がないと言ったのは、ないからできないということは言っておりません。できるものはできるように早急にいたします、こう言っておりますから。ただ私は、できないことを、自信のないことを言うわけにはまいりません。そこで、事務当局と検討して、どういうものができるか、どういうものができぬか、こういうことを言ったつもりでございます。
○金子(み)委員 ありがとうございました。
○小山委員長 これにて山田君、金子君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十八日午前十時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会