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94回国会衆議院1981/02/10

予算委員会 第7号

発言数
236
登壇者
28
会派数
6
開催日
1981/02/10

会議録

小山長規自由民主党

○小山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 最初に、法務省と大蔵省にお聞きをしたいわけですが、けさの新聞でも大々的に、例の千葉県の川上知事の念書の問題が取り上げられているわけでありますけれども、これも報道によりますと、別件か何かで税務署がこれを押収か何かで入手をした、そういう経過も報道されております。そして、これが検察庁にいま渡っておるということも言われております。この念書自体も、閣僚の皆さんもお読みになったと思いますけれども、利権という露骨な言葉まで使われた、こういう五千万という大金のやりとりが問題になっておりますけれども、これについて大蔵省、国税庁、そして法務省、それらの入手の経過と、その後の捜査なり何なりの状況についてまずお聞かせを願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 突然のお尋ねでございますが、問題の念書というものが一部の報道で国税当局から検察当局の方に渡ったというようなこともあったように思いますけれども、私ども承知しております限りでは、検察庁当局にその念書が渡ったという事実はございません。

野間友一日本共産党

○野間委員 事実いまのところ渡っていないというようなお答えでありましたけれども、総理、新聞等もお読みになって、また、以前からずっと問題になっておるわけでありますけれども、これについてどのようなお考えをお持ちなのか、感想をひとつぜひお述べいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま事実関係を関係各方面で調査しているという段階でございますから、私からいま内容に触れてどうこう申し上げるということは差し控えたい、こう思いますが、しかし、この問題が政治倫理の問題として各方面の関心を呼び、また、いろんな批判が起こっておるということはまことに遺憾である、こう考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 突然のお尋ねで国税庁がまだ見えておりませんので、もし見えられたら、来られたときに御返事をいただくということにしたいと思いますので……。  では、次に進みますけれども、補正予算について総理、きのう九日、私ども共産党が国民の生活防衛の緊急課題に役立てるための申し入れというのを官房長官を通じていたしたわけであります。特にその中で、補正予算のあり方について私どもの考え方を述べておりますけれども、特に総理に、この幾つかの申し入れの中でお答えをいただきたいわけであります。  その一つは、予備費の未使用額約二千億円強と言われておりますが、これを活用して、特に生活が困難となっている生活保護世帯あるいは老人ホーム、障害者施設の入居者、老齢、障害、母子福祉年金受給者、児童扶養手当、特別児童扶養手当受給者、原爆被爆者、失対事業就労者、これを足しますと約六百万世帯になると思いますけれども、これに一世帯当たり二万円の緊急生活資金を支給されたい。これは合計しますと約千二百億円で済むわけであります。ちょうど同様の措置は、狂乱物価時の一九七四年から七五年に実施された経験もあります。  それから二つ目は、地方自治体が物価、豪雪対策など独自の生活防衛施策を実行できるように、税の年度内自然増収に伴う地方交付税の追加分四千六十九億円、これを年度内に交付していただきたいということを、特に私は、いまの諸般の暮らしの状況あるいは豪雪の状況を考えまして、とりわけこれが重要ではなかろうかというふうに思うわけでありますけれども、特にこの二点にわたって総理あるいは関係閣僚の所見、あるいはそれに対する答弁をいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま野間委員から狂乱物価のときと同じような措置を講じなさいという趣旨の御質問がございました。しかし、今回の物価高の問題は、狂乱物価のときのように当初、たとえば四十八年度で消費者物価五・五に見積もったところが一六%になってしまった、四十九年度で九・六に見積もったところが二一・八になってしまった、この状況とは非常に違っておるわけでございまして、今回は政府見通しでおおむね約七%という見積もりを立てておるわけです。  これに対しまして、すでに五十五年度の当初予算において、生活保護費については八・六%のアップを予算づけておるわけですし、社会福祉施設の入居者に対しましても同じく八・六%予算を組んでおります。なお、福祉年金の改善等につきましても、御承知のとおり二万二千五百円で一二・五%というようなものを当初予算で組んでおるわけでございますから、狂乱物価時とは非常に情勢を異にするので、そのような、新しく二万円を交付するというようなことは考えておりません。  地方交付税の問題については自治大臣の方にお願いしたいと存じます。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 現下の地方財政状況というものはなかなか厳しい状況にあることは御承知のとおりであります。  本年度の補正予算に伴う地方交付税の増額部分につきまして、本年度歳出項目等もいろいろ検討いたしましたが、まずおおむねの問題は歳出の面におきまして結論を見ておりますし、したがって、長期の地方財政の状況からいたしまして、調整減額の分及び本年度の災害に伴う地方交付税の増額の面につきましては差し引きまして、その余の財源を来年度に移しまして、それで来年度における地方財政の健全化を図り、特に財源対策債等の減少を図ることが地方財政にとってきわめて重要だと考えまして、今回その措置を講ずることにいたして御審議を願っておる次第であります。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま大蔵大臣からも答弁があったのですけれども、しかし、たとえば一月の消費者物価、これは東京都の区部ですが、前月比が一・一%、年率換算で言いますと一四%の急騰なんですね。昨年の勤労者の実質賃金が戦後初めて前年を下回った。中小企業の倒産もまた急増しておるという状況でありまして、この中で政治が果たす役割りは、この国民生活を防衛するという観点で非常に重要な時期だというふうに私たちは考えておるわけでありますけれども、いま大蔵大臣は、この申し入れに対して消極的な答弁をされたわけであります。大変遺憾であります。  それからもう一つ、いま自治大臣からお話がありましたけれども、少なくとも豪雪対策ですね、これはいま自治体が、非常に少ない財源の中で大変な工面をしながら奮闘しておるわけでありますけれども、これについて最低この地方交付税の追加分、これを年度内に支払うということがどうしても急務じゃないかと思いますけれども、再度答弁を願いたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 お答えをいたします。  豪雪対策につきましては、今回の特交保留分といたしまして二百四十億を保留しております。したがって、特交総額は五千九十億円になる見込みでございます。これをもって冷害あるいは雪害等に対するところの措置を講じていきたい、かように考えます。

野間友一日本共産党

○野間委員 しかし、それでは間に合わないと私は思いますけれども、これはまた追ってしかるべくお尋ねをするとして、次に農水大臣にお伺いしたいわけですが、農業共済金の支払いについてであります。  御承知のとおり、昨年、異常なやませ等の冷害の中で、農家の経営が大変に深刻であります。そして、農業共済に非常に期待をしておったということでありますけれども、この共済の支払いが一体どうなっておるのかということであります。  私ここに、青森の東奥日報という地方紙をコピーして持ってきたわけでありますけれども、これを見ますとずいぶんと苦情が出ております。「期待はずれの共済金」とか、あるいは「共済評価査定に疑問」、わずかの期間の中で十一人の農民の声が、十二月二十七日からことしの一月二十六日までの一カ月間に載っておるわけであります。査定が共済金の当初申請額の四分の一という例もあります。一様にみな、大変失望の念を表明しておるわけであります。  この中で、私どもは万が一にもこのような被害があった場合、だれもが納得のいく共済金の配分がされるものとこれまで不平も言わずに掛金に応じてきた、こういう状態であれば、任意加入にするとか内容を見直すべきである、こういう非常に深刻な投書も数多く寄せられております。こういうことについて実態を御存じなのかどうか、この点についてのお答えをいただきたいのと、続いてもう一つですけれども、投書にもありますけれども、共済組合員である農家、これが査定について個人として異議の申し立てとかあるいは追加請求、追加要求、これをする制度的な保障、権利がないわけですね。農業共済組合が県連合会に対して異議の申し立てを行う権利は認められておりますけれども、要するに、個々の農家のそういういろいろな不服を申し立てる制度が全くないわけであります。  そこで私は、こういう共済制度の趣旨からいたしましても、一たん申請をすれば、後ほどんな査定をされても泣き寝入りということでなくて、制度的にそのような制度をつくる必要があるのじゃないかというふうに思っておりますけれども、この二点についてお答えいただきたいと思います。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 昨年の冷害に対する最も農家の期待しておりました農業共済金の査定につきまして、いま青森県の事例を示されて御質問があったわけでありますが、被災地全般におきましては、実は東北の農業共済連合会の会長さん方がそろってお見えになりまして、非常にスムーズに農家の方も納得をして再生産に励む方向でおるので、大臣、安心してほしいということもあったわけでございます。  もちろん、農業共済制度は今日まで三十数年間、制度ができましてから、野間君のいま指摘されたように、自分は七の被害があると思っておったところが五の被害しか認めてもらえなかった、そこに二という差がどうしても農家の頭に残って、この制度はよろしくないというような批判を長く続けて、そしてあらゆる努力を続けて今日の、農家もほぼ不服を言わない制度に育ってきたわけでございます。したがいまして、私も、昨年の冷害に当たりましては、農家のそういう被害を受けた気持ちが逆なでされないような、親身のある損害評価並びに特に地方におります統計情報部の統計調査についても念には念を入れて、よくその地方の実態もしんしゃくをして損害評価に当たるようにいたしたわけでございます。したがいまして、大体のところ、県連合会から申告されてきております下から積み上がった被害高を本省としても認定した、こういう数字になっておることもひとつ御理解いただきたい、こう思うわけでございます。  個々にあるいはそういう感情の残ったところがあるのかもしれません。したがいまして、共済組合から連合会に対してはいろいろ文句が言えるわけでありますから、共済組合を通じて、いわゆる共済金支払いに至るまでの間にそういう点を是正する指導をいたしたわけでございます。  御承知のように、もう損害評価をしてしまった後は全部現物がなくなるものですから、後から苦情を申し立てていただいても、それを再査定をするという、そういう技術面において非常にむずかしいことがございまして、実際に口では言えてもやりようがないというのが、現実において個人の不服を取り上げることのできない——したがって、やはり共済につきましては、査定を受けるまでの間に農家にもよく徹底をさせまして、共済組合員の中でお互いに、農家の者同士が損害評価をし合うわけでありますから、そういうところできちっとした実態を把握させるというふうに指導してきたところでございます。  なお、青森のそういう事態は、一応、将来の指導の参考のためにも、農林水産省としては事実調査をさせたいと思っております。     —————————————

小山長規自由民主党

○小山委員長 議事の途中でございますが、ただいまフランスの法務大臣アラン・ペルフイットさんが本委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介申し上げます。     〔拍手〕     —————————————

小山長規自由民主党

○小山委員長 野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 いま農水大臣がるる言われたわけでありますけれども、ぜひ青森の実態を調査していただいて、どこに運用上の問題があるのか、運用さえうまくいけば制度の改善は必要ないのかどうか、ぜひ検討していただきたいと思うのです。おっしゃるように、共済組合は県に、県は国に、これはあるのです。しかし、そういうことだけでありまして、個々の農家のあれはありませんので、ぜひ検討課題として今後進めていただきたい。いま首を縦に振られましたので、そういう方向で進めていただくものと考えております。  外務省、それから防衛庁にお尋ねをしますが、沖繩の伊江島で起こりました米軍のいわゆる銃撃事件であります。  これは御案内のように二月の五日に発生したわけでありまして、米海兵隊によるヘリコプターからの民家の銃撃ということであります。新聞報道を見ますと、危うく命を落とすところだったというような報道もあります。その状況については新聞報道等にもありますけれども、たとえば「二機のヘリが西崎部落の上空も旋回していた。地上からあまり高い所ではなかった。米兵が機関銃を持って弾を撃ち込んでいるのが肉眼でもわかった。いつもと違った無茶な訓練だと思っていた」、これは目撃をしておった小橋川という人の話であります。また、村会議員をやっておるわが党の知念さん等の調べによりましても、「実射訓練はいつもの飛行コースと違っていることがわかった。」「普通、標的からはずれた弾は海上に落ちるようになっているが、この日の演習は流弾が民間地域に落ちた。これでは住民はいくら命があっても足りない」。伊江の射爆場には当時三十人の日本人が働いておった。ところが、「従業員たちも「きょうの演習はおかしいぞ」と外での作業をやめ部屋に逃げこんだ」、こういう報道があるわけです。  そこで、まとめて総理と、それから外務省、防衛庁の長官にお伺いしたいわけですけれども、事件を発生させた米側の原因及び住民に衝撃を与えたことについて、政府は一体どういう措置をとったのか、また、米側は謝罪を含めてどう言っておるのか、それをぜひお聞かせいただきたい。それが一つです。  それから、今回の事件は、射爆場の位置から見てまさしく、いま申し上げたように住民をターゲットにしたとしか言いようがない。これは現地では大変な問題になっておるわけですけれども、アメリカ軍に処分も含めて責任をとらせるべきじゃないかと思いますけれども、その点についての御見解。  それから三つ目は、昭和五十一年七月八日の第十六回の安保協議委員会で、伊江島の射爆場は撤去する約束となっているのですね。この実施こそ事件の再発防止の条件であると私は考えるわけでありますけれども、この撤去を早期に実現するように最大限の努力をする必要があるのじゃないか、こう思います。  この三つの問題についてお答えいただきたいと思います。最後に総理にお答えいただきたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答え申し上げます。  このような事故が発生し、地元住民に不安感を与えましたことはまことに遺憾に存じます。政府といたしましても、今回の事故をきわめて重大視しているところでありまして、防衛施設庁長官をして米側に対して遺憾の意を表明させるとともに、再発防止につき厳重なる申し入れを行わしめたところでございます。  お尋ねの三点につきましては、政府委員である防衛施設庁長官に詳細御説明させたいと思いますのでお許しを願いたいと思います。

渡邊伊助防衛施設庁長官

○渡邊(伊)政府委員 事実関係につきまして若干申し上げたいと思います。  私どもが本件を知ったのは二月五日の午前九時三十分ごろでございますが、伊江村長の方から那覇防衛施設局長のところに通報がありまして、ブロックべいに弾痕らしきものがある、それから道路に機銃弾一個が落ちているという通報を受けまして、直ちに施設局の事業部長を現地に派遣しまして調査をさせました。  現場は提供施設区域内でございまして、いわば黙認居住と申しますか、居住が黙認されているという地域でございます。施設区域の境界から約二百メートル内部でございまして、ターゲットからは約二キロ離れております。その後の調べで、敷地内の地面の中からもう一個機銃弾が発見されております。  当日、米軍は、先ほど先生おっしゃいましたように、CH46というヘリ二機で機関銃の射撃訓練を実施いたしておりまして、その後、米軍からの連絡によりまして、調査の結果、射撃場内に当たった弾のうち二発が跳弾した可能性があるということを確認したという連絡がございました。那覇防衛施設局長は、直ちに現地米軍に対しまして原因究明方を申し入れたところでございます。  昨夜私が報告を受けましたのは八時ごろでございますが、米側の方から改めて文書によりまして、跳弾の可能性があるということを確認した、それからこの種の実射訓練に対する手続及び管理について再検討しており、この再検討が完了するまでの間、伊江島におけるヘリの訓練は中止するという連絡もございました。  そこで、私はけさ、在日米軍参謀長に対しまして電話で厳重に注意を喚起すると同時に、早急に安全に対する具体策を講じて日本政府の方に通知してほしい、それからこの種訓練は安全が確認されるまでの間中止してほしいということを申し入れまして、参謀長からそのようにするという返事が参っております。  なお、最後のお尋ねの伊江島の射爆場の移転の問題でございます。これは昭和五十一年の七月八日に開催されました第十六回日米安保協議委員会におきまして、移設を条件として返還が合意されている施設でございます。現在、移設先あるいは移設規模等について検討いたしておりますが、残念ながら、現在のところ見通しが立っていない状況でございます。ただ、本施設の返還につきましては地元民から非常に強い要請がございますので、今後とも対米調整を促進すると同時に、関係機関と協議をしてこの実現について促進してまいりたいと考えております。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま防衛施設庁長官、防衛庁長官からお答え申し上げたとおりでございまして、伊江村民の方々に不安を与えたことはまことに遺憾なことだと思います。防衛庁の方からも万全の措置をとるように申し入れるということがございましたが、日米合同委員会が十二日にございますので、その席上でも改めて、施設あるいは区域の運用に当たっては万全の措置をとるようにということを厳重にアメリカ側に申し入れるつもりでございまして、特に沖繩は施設区域の密度が高いところでございまして、これは十分に注意するように、外務省からも米軍に申し入れるということをやりたいと思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 先ほども申し上げたわけですけれども、せっかく安保協議委員会で撤去の約束ができながら、いまなおこれが実現していないというところに最大の問題があると私は思っておりますけれども、総理、一たんこういう約束ができておるわけですから、早急にこれを撤去するためにひとつ最大限の努力をされてしかるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、日米安保協議委員会で合意された移設の件でございますから、せっかく折衝中でございますが、移転先等の問題でまだ実現をしていないということは残念でございます。今後も、早期にこれが実現、解決を見るように努力をしていきたい、こう思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 それでは、質問を変えまして、武器輸出の問題についてお尋ねを進めてまいりたいと思います。  いま与野党各党間でいろいろとお話し合いがされておるわけでありますけれども、まず初めにお伺いしたいのは輸出三原則ですね。そして三木見解、政府見解ですが、これを今後とも堅持していかれるのかどうか、総理にお尋ねしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 日本が平和国家としての立場からいたしまして、紛争を助長するような武器の輸出は、これを武器三原則及び昭和五十一年二月二十七日の政府方針に基づいて厳格に、適正に行っていかなければならない、そのように考えておりまして、今後におきましてもチェックその他を十分、一層適正にいたしまして、この趣旨が徹底いたしますようにやってまいりたい、こう考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 通産大臣にお伺いしますが、韓国はもちろん武器輸出をしない対象国だというふうに、いままで国会でも何回も答弁をされておりますけれども、再度この点についての確認を求めたいと思います、これは外務大臣ですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 韓国につきましても、三原則等にあるように、武器の輸出については慎重に考えていくという地域でございまして、従来からこれは慎重に考えますと答弁を申し上げたとおりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、慎重にというのは、これはおかしな答弁だと思いますね。従来国会では、武器の輸出は行わないとはっきり答弁されておるわけですよ。どうでしょうか、外務大臣。たとえば昭和五十二年十一月二十二日参議院の外務委員会で、はっきりこういう答弁があるわけですね。外務大臣、そして通産大臣、両方、再度その点についての答弁を求めたいと思います。しかも、このことは政府見解にも反するわけじゃないでしょうか。慎重にというのは、どうも後退しておるわけです。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 ただいま総理が申し上げましたように、武器輸出三原則と政府方針にのっとって、しないことになっておりますし、それから昭和四十三年ですか、四月五日ですか、衆議院外務委員会に海外協力についての取り決めがございますし、そういうことにのっとって韓国への武器輸出というものはやらないようになっております。

野間友一日本共産党

○野間委員 韓国への輸出はやらない、対象国だということを通産大臣は確認したわけであります。  それではお聞きしますけれども、韓国へ武器を輸出した実績はあるのかないのか。堀田ハガネがいろいろと問題になっておるわけでありますが、これは大蔵省あるいは通産省ですね、通産省は承認もしたことがないのか、大蔵省は税関を通したこともないのか、このあたりについてお尋ねしたいと思います。

清水汪大蔵省関税局長

○清水政府委員 私の方は通関統計をつかさどっておりますが、その立場から申し上げますと、通関統計におきましては第九三類という分類が、名称は武器というような種類になっております。この中にはもちろん銃砲それからその部分品というようなものがございまして、ここに通関実績がございます。しかしながら、これは調べてみましたところ、民生用のたとえば散弾銃とか猟銃あるいはそれの部品に当たるようなものということでございます。もちろん、ここに該当いたしますものは通産省の貿管令上の承認をとって輸出しているというものがございます。  それから、もう一つつけ加えますと、たとえば競技用のピストルとか、したがってそれの部分品というようなものも同じくこの九三類に掲上してございますが、そのようなものは、通産省の輸出貿管令で言うところの武器ではもちろんございませんので、輸出承認はとらないで輸出されている、このようなのが実情でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 通産省。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 輸出承認の実績としまして二件ございますが、そのうち一件はアメリカから韓国に直送されるもの、これをたまたま日本の港に寄りましたために積みかえるというトランシップの事例でございます。他の一件、これはちょっと事由がわかりませんが、非常に例外的なものであると考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 そうしますと、輸出をしない対象国であるということと、輸出は現にしていないということになろうかと思いますが、井上議員からの質問主意書に対する答弁書の補足というのがありますけれども、「大砲、機関銃等 九三、〇三−〇〇〇」、これは確かに七七年から八〇年までゼロになっております。それから、この「九三、〇六−〇〇〇 武器の部分品」、これにはいろいろ書いてありますけれども、これらの点についてこれからお尋ねをしていきたいと思います。  そこで委員長、お許しを得て、ちょっと資料をお配りしたいと思います。  この資料の説明についてはすぐやりますが、その前に一つお伺いしておきたいことは、出す方は、韓国には輸出をしない、承認もしなければ税関も通さないということのようですけれども、そういうことは韓国側は知っておるのかどうか。つまり、あなた方の国には武器を輸出はできないんだということを話し合い、そして了解があるのかないのか。したがって、韓国は日本から武器の輸出は求めることもできないし、韓国は輸入をしていない、こう思っておるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 もちろん韓国も、そういうふうなことは知っておるんじゃないかと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 ただ、問題を私提起したいのは、かつて、わが党の立木参議院議員が外務委員会の中でもやったのですけれども、堀田ハガネとの関係で問題になっております大韓重機ですね、これは昌原工業団地にあるわけですが、韓国の軍需指定工場ではないか、こういう質問をしたわけであります。ところが、当時の中江外務省アジア局長は、韓国の閣僚に聞いた、正直言って韓国は正式に発表しないからわからないけれども、閣僚に聞きますと軍需指定工場ではない、合弁企業はそうじゃないんだというようなことを答弁されておるわけですね。ところが、いま問題になっておりますように、まさに大韓重機そのものが堀田ハガネとの関係で問題になっておるわけですね。  そういうことを考えますと、韓国のある閣僚が、これは答弁ですから韓国のどなたかわかりませんけれども、そういう答弁をした、したがって、これは軍需指定工場ではないということで大変安易に考えて、ノーチェックというようなことで武器が実際には渡るということがいままであったのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 武器の輸出の三原則につきましては、これは何回も、日本の大使館を通して外国には説明をしてありますので、当然韓国も、このことは知っておることと思います。  それから今度、いま先生がおっしゃった会社につきまして韓国にも大使館を通じて照会をしたのでございますが、そういう指定のものは公表はしないんだということで、それがどういうものだかということについての韓国側の大韓重機の取り扱いについての説明はなかった。指定工場の公表はしないということでございますので、それは韓国側の考え方の説明はなかったということでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 だから、出す方、日本側では、先ほどからるる答弁されておりますけれども、いろいろな技術的な処理の仕方については問題があろうかと思いますけれども、チェックしても、受け手の方が、いま申し上げたように合弁企業である大韓重機、昌原工業団地なんかにたくさんこういうものがあるわけですけれども、そういうものはそうじゃないんだというようなことを向こうが言う。そうすると、そうかな、そう思っておりますというようなことで簡単にこれをうのみにして、そしてその規制を緩めるということが、この堀田ハガネの問題でも恐らく行政上の大きな問題があるのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけですね。かつて、参議院の中でも答弁されておるようなことからしても、出す方だけではなくてもっと受け手の方も、要するに、韓国は日本からもう輸入はできないんだということを承知しているというのはいま通産大臣の答弁にもありましたし、軍需工場であります大韓重機等々、当然これは知り得る立場にあるわけですから。しかし、それを引き合いに出してああいう形で輸出されるということになりますと、どうも私はこれはおかしいと思うのですね。したがって、やはり行政としては出す方だけではなくて受ける方も、これは本当に武器として受けるんじゃない、汎用性、いろいろな問題がありますけれども、相手方も日本の側からチェックするようにしなければ、私は、堀田ハガネのようなものが今後も生じていくというふうに考えざるを得ないと思うのですね。  そこで、お配りした資料をちょっと御説明したいと思いますが、この一枚目、最初の表をつくっております。これは四枚と半片で五枚ありますが、最初の表は、韓国の関税庁が発行しております貿易統計月報ですね。実物はこれなんですけれども、これは毎月出しておるものですね。これを拾いまして、さらにもう一つはイヤーブック、年鑑ですね、これからずっと拾い出したわけであります。  そうしますと、完成品について一九七四年に「大砲、機関銃および軍用武器」、日本が数量が三、重量が十キロ、金額が米ドルで二千八百四十二ドル、これは当時のレートで換算しますと、ここに書いてありますように八十二万九千五百七十九円、これが韓国のこの貿易統計月報の中に明確に出ておるわけですね。「大砲、機関銃および軍用武器」として記載されております。さらに一九七八年、「大砲、機関銃その他軍用火器と発射機」こういう項目のところで、日本が数量が十、重量が六百九十九キログラム、金額が五万九千五百九十三ドル、これを円に換算しますと、ここに書いてありますように千二百五十四万七百五十円ですね。これはまさに完成品なんですね。ですから、井上議員に対する答弁書の中では、武器については輸出はゼロだというような答弁が、これは皆さん、鈴木内閣の名で出されておるわけですね。しかし堂々と、韓国の役所が出しておるこの中に、完成品の輸入がちゃんとあるわけですね。これは一体どういうことなんですか。  さらに説明をしますと、この武器の部分品ですが、これも「大砲、機関銃その他軍用火器と発射機のもの」こういう項目で、ここに表に書いてありますように、年鑑や月報を拾いますと、日本が一九七七年が二万五千五百三キロ、金額が十四万三百三ドル、これは円に計算し直しますと、この括弧の中に書いてあります。七八年が五千八百二十一キロ、十一万一千七百三十三ドル、七九年が一万二千九百七十九キロで六万七千百七十ドル、八〇年、これは十月までの月報を拾ったわけでありますが、二万七百五キロで三十六万一千五十七ドル、こういうことが書いてあるわけですね。しかも、いま申し上げたように、タイトルが「大砲、機関銃および軍用武器」こういう項目の中に堂々と書かれてあるわけであります。  この二枚目は、マンスリー、月報の表紙のコピーであります。  それから三枚目は、七七年の年鑑からコピーをとったのです。イヤーブックからとったのですけれども、この左の欄の四段目のところでしょうか、韓国語と英語で武器の部品ということで「ジャパン」とかいろいろ書いてありますね。  それから次のは、これもやはり月報のコピーでありますけれども、八〇年の九月度のものであります。これを見ましても、右の欄の下から四段のところですね、ここにちゃんと武器の部品というタイトルで、受けたということが書かれておるということであります。  それから、一番最後の半片のものは、右の欄の上から二つ目の項のところですね。これはパーツでなくて、いわゆる完成品ですね。これも「ジャパン」として明確に記載があるということになるわけであります。  これは一体どういうことになるのか、非常に不思議なんですね。どうなんでしょう、これは。

清水汪大蔵省関税局長

○清水政府委員 ただいまのお尋ねにつきまして、私の方としてはこのように考えます。  その御説明を申し上げますが、ただいまお示しいただきました韓国のこの通関統計でございますが、一九七四年と七八年のところで分類のけたが一つ違っておりまして、七八年の方は八けた分類でやっておるようでございます。わが国におきましては七けた分類でございますが、ただ、九三類というのがたまたま同じ分類番号をとっておりますので、その点は国際的に共通性があろうかというふうに思います。  一九七八年、つまり昭和五十三年でございますけれども、これの先生の分類、お示しいただきました韓国の分類によりますと、完成品の金額が千二百五十四万円でございます。それから、同じ年の部分品の金額が二千三百五十一万円でございます。そこで、私どもの通関統計によりましてこれを見ますと、昭和五十三年の韓国向けの九三類の先ほど御質問のございました〇六、これは部分品でございますけれども、これの輸出額の欄に四千七百十八万四千円という数字がございます。つまり、数字だけの関係から言いますと、四千七百万円というのがわが方の部分品のところに載っておりまして、先方の方はたまたま、三千五百万円程度のものが完成品及び部分品に分かれて揚上されているという数字があるわけでございます。この辺が、わが方は暦年でございます。向こうもたまたま暦年だといたしますれば、若干そこで向こうの方が小さい数字になっているという面がございますが、そこで、いずれにいたしましてもわが方の四千七百万円につきましては、先ほど申し上げましたように、貿管令上の武器に形式上該当するという意味で、散弾銃とか猟銃の部品というようなものは輸出貿管令の承認をとって輸出されておりますし、それから純粋なピストルというような、そういう競技用のピストルのようなものであれば貿管令上の承認という手続がなしに輸出が認められているということで、そのようなものがこれらの中に入ってくるだろうと思います。  そういうことでございますので、政府の方針といたしまして三原則以下の方針がございます。税関といたしましてはそれをチェックする立場にございますけれども、いままでのところ、一生懸命努力してきたというふうに思っておりますし、ただいまの数字につきましてはそのような御説明を申し上げられるかと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 おかしいじゃないですか。一つは、この九三、〇三−〇〇〇、完成品、一九七八年は輸出はゼロになっているのですよ。これは井上議員の質問に対する政府の答弁ですよ。これはゼロですよ。これは鈴木内閣がつくられたわけでしょう。これは韓国のマンスリーによりますと、一九七八年、完成品が日本からちゃんと入っているのですよ。これは一体どういうことでしょうか。私の考えによるととあなたは言いましたけれども、これはどういうことですか。ゼロですよ。ゼロがなぜ韓国では「大砲、機関銃その他軍用火器と発射機」の中に入っているのですか。つじつまが合わないじゃないですか。

清水汪大蔵省関税局長

○清水政府委員 相手様の分類がどのようになされたかということにつきましては、一度調査をしてみたいと思いますが、一般的に考えられますことは、完成品の方に分類する場合、部品のような状態のものとそれから完成品というところへ掲上するものとの仕分けの仕方、その辺のところがどのような基準で韓国の場合に掲上されたのか、その辺は一度調べてみたいと思います。  そのような点がございますので、私どもの方では、御引用ございましたように、完成品としての九三類のところはたまたまないということでございましょうけれども、向こうさんの方がどういう分類をしたかということが問題だろうと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 おかしいじゃないですか。そこで調査するのは当然だ。しかし、あなたは自分の考えと、こういうふうに主観的な判断で答弁をされておるわけであります。  いまのお渡ししておりますコピー、これの分類のところを見たらわかるわけでありますが、九三〇三、〇〇〇、これは完成品の場合ですね。これは韓国語とその下に英語で書いてあります。アーティラリーウエポンス、それからマシンガンス、アンドアザーミリタリーファイアアームズアンドプロジェクターズ(アザーザンリボルバーズアンドピストルズ)、ピストルやリボルバーズは、これは抜いてあるわけですね。まさにこれは文字どおり、大砲、機関銃それから、ミリタリーファイアアームズ、火器、それからプロジェクターズ、この分類の中でもはっきり武器としての分類の中にちゃんと入れているわけですね。これはごまかしも何にもないわけですよ。ちゃんとその表を見れば出ているわけでしょう。その中にちゃんと入っているのですよ。しかも、九三〇三、〇〇〇というのは世界共通の分類番号でしょう。その中にちゃんとあるわけですよ。ところが、こちらの方では七八年のところを見ますと、答弁書ではゼロになっている。こんなばかなことがありますか。  それからもう一つですが、一九七四年の分類番号九五一〇二、〇〇、これは一つ足らない。七四年当時は、韓国ではこの分類でやっておったそうですね。これもやはりこのコピーを見ていただいたらわかりますけれども、「大砲、機関銃および軍用武器」こういう項目のところにちゃんと入っているわけですね。  だから、あなたがどんなに自分の考えで云々と言われたって、これはつじつまが合わないわけです。これはまさにあなたの主観であって、何とかごまかそうとする、そういうような答弁としか受けとめることはできないと思うのです。  これは通産大臣や外務大臣もお聞きになっていると思いますけれども、一体どう考えたらいいのでしょうか。どうでしょうか。ちょっと待ってください。それに答えてくださいよ。こんなことありますか。せっかくゼロという答弁書を書いているわけでしょう。全然違うじゃありませんか。

清水汪大蔵省関税局長

○清水政府委員 ただいま御指摘でございますが、いずれにしても先方の統計でございますので、やはりこれは、一たん直接、先方にその分類の仕方につきまして確かめた上でございませんと、最終的な判断はできないだろうと思います。そのような趣旨を申し上げているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 どうですか、これは。大臣、答弁書が実際ゼロと書きながら、同じ共通の分類で向こうでは受けておるわけですね。こういうことが実際起こっているわけですね。これは実際に私は図書館で借りてきて見たわけです。これは日本でありますからだれでも見られるわけですよ。それを見たらすぐわかるわけですね。大臣、いかがですか、こういう奇妙なこと、どうお考えですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 個別の問題であって、局長がわからないことは私はなおわからないのです。これは恐らく、やりとりを聞いておりまして、玩具用とか競技用のピストルとか、そういうものは日本ではいい、それがこちらでは競技用になっていると思っていたのが向こうではそうでないように載っておるのが、そこらのところはもう少し事実関係を調査をしてみないと私から満足のいくような答弁はできない、かように、残念ながら思っております。

野間友一日本共産党

○野間委員 だから、完成品についてもこういうふうに大きな問題になるということと、それから部分品、パーツについてこの表もごらんいただいたらわかりますように、相当なものが入っておる。これについて先ほど、純粋の武器でないものが入っているのではなかろうかというふうな答えがあったわけでありますけれども、これも分類番号を見てみますと、たとえば部品については九三〇六、〇一〇〇なんですけれども、これもパーツとして、あとはアーティラリーウエポンズ、それからマシンガンズサブマシンガンズ、そしてアザーミリタリーファイアアームズアンドプロジェクターズ(アザーザンリボルバーズアンドピストルズ)、こういうことで、パーツの部分を除きますと、完成品と同じ項目のところに全部入っているわけですね。したがって、猟銃とかあるいはピストルとか、そういうものは韓国の方、受け手からすれば入ってないということになるわけですね。  ですから、その月報なり年報を見ていただいたら一目瞭然なんですね。そうしますと奇妙なことに、国会でもよく言われていますけれども、出す方はなかなかチェックはしにくいんだ、通産大臣、そう言われておりますね。ところが、実際にはこのようにして完成品が出、部分品までも出ておるわけですね。しかも、先ほどの事務当局の答弁では分類のあれこれあれこれ、いろいろ言いわけしますけれども、それにしてみても世界共通の分類番号があって、それに基づいて出した。それを受けるわけでしょう。それが出す方と受ける方と合わないというばかなことはないわけです、実際に。それは当然でしょう。何でこんなことが起こっているのか。ここに最大の問題が私はあると思うのです。  先ほども若干申し上げたのですが、大韓重機の問題を含めて、韓国ではこれは軍需指定工場ではない、ああそうですかと、ここにいままでの行政の大きな姿勢の誤りがあった。どういうことで出、どういうようなことでこれを受けておるのか。先ほど、調査をするという話がありましたけれども、こんな奇妙なことはない。受ける方ではわかる。ところが出す方ではこれはわからない。こんなことがあり得るでしょうか。ですから、一体どういうかっこうでこういうふうに韓国の公文書が出ておるのか。逆に、日本ではどういうことでこれが出ておるのか。出と受け、そしてそれぞれの実態を調査して、これらの真相を明らかにすることが大事じゃないか、これは当然だと私は思うのですね。これは大蔵大臣、いかがでしょうか、これからの問題として。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 税関の問題は皆さんも御承知のとおり、外国へ出ていくとぎにはトランクを一々あけない、入ってきたときはみんなあけるというのが実態なんですね。貨物なんかも、私も現場に行って見ておりますが、輸出貨物はかなり厳重な梱包をしてありますから、それを全部開放して調べるということは事実上なかなかむずかしい。したがって、そういうところに、やはり偽って出されるとわからないという場合も起きることがあり得る。(野間委員「分類番号はありますよ」と呼ぶ)分類番号の問題については、品物が一つなんだから二つに分類されるわけはないのであって、何かそこには事実と違うか、あるいはやり方、分類番号を間違って——国によって解釈を別にして分類しているか。したがって、そこらのところは事実関係をもう少し調べさせていただかないと何とも申し上げられませんが、一遍、調査をさせます。

野間友一日本共産党

○野間委員 通産大臣、同じ質問に対してお答えください。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 非常にむずかしいことだと思うのです。というのは、私どもの方では、申請を受けてそれを承認するという形です。税関の方では、その承認を確認するという方式ですね。それに違反しておったら貿管令上罰則があるという一つの道行きがあるわけです。したがって、確認するとかあるいはそこで調査をするときに、非常に膨大な広さにわたるいろんな品物があるでしょうし、人間のやることでございますので、誤りがあるかもわからない。  そういうことで、いずれにしても向こう側の結論と私どものあれが違っておりますので、事実関係を十分調べてみたいというふうに思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 特に時期的に、いま私どもは法律でこの禁止を明記したものをつくる必要があるということで臨んでおりますし、いま各党の間で詰めが行われておるわけでありますけれども、やはりこの実態の解明、これが規制する場合の非常に大事な一つの論点になるというふうに私は思うわけです。  そこで、大蔵大臣も通産大臣も、調査をいたしますというお答えをいただいたわけでありますけれども、ぜひこれは調査をしていただいて、その結果を国会へ報告していただきたい。いかがでしょうか。

清水汪大蔵省関税局長

○清水政府委員 韓国の分類の仕方の問題でございますので、その調査の方法をどうするかというようなことがあろうかと思います。その辺を十分研究いたしまして、できるだけ速やかに調査はいたしたいと思います。もちろん調査の結果は先生に御連絡申し上げたいと思います。(野間委員「いや、委員会で報告してほしい」と呼ぶ)委員会で御説明申し上げたいと思います。  ただ、こういうことをあらかじめ申し上げるのは恐縮でございますけれども、あらかじめ予想される困難な事情というものが一、二あると思うのです。  それはどういうことかと申しますと、完成品に分類するかあるいは部品に分類するかということは、かなり技術的な問題があろうかと思います。それからもう一つは、同じ完成品であれあるいは部分品であれ、これが一つの技術的にむずかしい問題がありますのは、それのそれぞれの、部品であってもその完成一歩手前の状態のもの、それから完成品——完成品といいますか、たとえば大砲の完成品であれば大砲のようになっているものだと普通考えられますが、そのなっているものという完成品を基準にした場合に、その一歩手前の状態のものというような状態のものがあり得るわけでございます。したがいまして、むずかしいのは、後の方で申し上げました、部品にせよ完成品にせよ、それぞれの一歩手前の状態のものというのは一体どこからがその部品というのか、特定の番号の部品というのか、あるいは特定の番号の完成品と見るのかということが、実はこの種の分類をやる場合の技術的な非常にむずかしい分野でございます。ですから、そのようなことにつきましては、それぞれの国によっても判断基準が必ずしも同じでないということがあり得るかと思います。そのようなことが私どもにとっては一つめ実務の上で絶えず直面する問題でございますが、このことはちょっとつけ加えさせていただきまして、いずれにいたしましても、韓国の分類のあり方につきましては至急調査をさせていただきたいと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 同じことを繰り返しますけれども、何にもむずかしくないわけですよね、出るのと入れるのと共通の分類番号があるわけでしょう。だから、出すときの番号で受けるわけです。それを全然違えるわけですから。まあしかし、こんなところで押し問答をしてもあれですから、この点についてはぜひ調査をして国会に報告をしていただきたい。これも確認をして、次に進めたいと思います。  時間がだんだんたってしまいましたが、憲法の問題でお尋ねをしたいと思います。  まず、昨年の八月十五日付の政府の答弁書、これは稲葉議員に対する答弁書でありますけれども、これは官報の号外で、すべての国民に明らかにされたものです。  これを見ますと、   徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解している。   このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考える。 これは宮澤官房長官も、法律的には完璧で、間違いのないものであるということを、何度もおっしゃっておるわけであります。  まず、総理に最初にお伺いをしたいのは、この答弁書は鈴木内閣のもとにおいてつくられたものでありますけれども、すべての閣僚は何の異議もなしにこのような答弁書に署名されておつくりになったということだと思いますけれども、その点、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 閣議において了承されたものでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 そこで、竹田統幕議長が注意処分というような非常に軽い形で処理をされておるのですけれども、総理、「宝石」三月号ですが、竹田発言は全部お読みになったでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 要点は承知しております。

野間友一日本共産党

○野間委員 要点は承知しておるとおっしゃいますけれども、やっぱり十分これはお読みにならなければならないのじゃないかというように、僣越でありますけれども私思うわけです。といいますのは、これは大変な中身を含んでおると思うのですね。  一つは、こういうことを言っていますね。「徴兵をやらないというのは政策だと思いますから、それはそれでいいんです。しかしそれを憲法にひっかけて言うことは、隊員の、後ろを見たら誰もおらんということに関係してきます。」云々、「全然、次元が違うことなんです。」ということを言っているわけです。これが第一点。したがって、徴兵をしないということは単なる政策の問題であって、憲法にひっかけて言うことは次元が違う、こういう発言があるんですね。これは明らかに徴兵制度が合憲だというようなことになるわけです。いかがでしょうか、総理大臣、こういうようなことを統幕議長が言っておるわけですね。どういうお考えでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 統幕議長の真意はわかりませんが、ただいまおっしゃったことだけからは、徴兵は合憲であるというふうに言っておるとはとれません。

野間友一日本共産党

○野間委員 官房長官、どうしてでしょうか。この文章を読んだら、そういうふうにとれるのじゃないでしょうか。「徴兵をやらないというのは政策だと思います」「憲法にひっかけて言うことは、」いろいろありまして、「全然、次元が違う」、こう言っているでしょう。つまり、徴兵はあくまで政策の問題だということでしょう。憲法じゃないと言っておるのでしょう。官房長官、なぜあなたのような答弁が出るのか、一遍教えていただきたいと思うのですが、なぜそうなりましょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 それはその中にも出てまいりますように、たとえば憲法十八条との関連について話が進んでいくわけですが、そういうことを頭に置いて発言をされたものと思いますので、確かに一つは政策の問題でありますが、一つは憲法の問題であると思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、それはおかしいですよ。官房長官、もうだれが考えても、正確にこの文章を読めば、徴兵制度はいまの憲法でも合憲だというふうに読まざるを得ないと思うのですよ。どうしてそういうふうに官房長官お読みになるのか、大変理解に苦しむわけです。  要点だけを総理大臣お読みになったということでございますけれども、総理大臣、お読みになって、いま私が申し上げた点についてどういうふうに判断されましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 徴兵制度はわが国の憲法からいたしまして許容されるところではございません。竹田統幕議長が、十八条の問題と関連いたしまして、現在の自衛隊の士気に悪い影響を与えるというような、そういう点をおもんぱかって言っておるのが趣旨であると考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 これはしかし、そういうふうにお読みになるから注意処分というようなことでお茶を濁される。正確に読めばこれは大変なことを言っておるというふうにとるのは、総理、これは当然な話ですよ。これは文字どおり読めばそうですよ。だれが読んだってそういうふうに読まざるを得ないわけですよ。  もう一つ、いまも官房長官言われましたけれども、こういうことを言っていますね。「私、心外に思っていることがあるんです。社会党の稲葉誠一先生と自民党の森清先生が憲法に関連して徴兵問題を質問されたことがある。そのときの政府答弁というのが、徴兵はやらせないと……。それはいいんです。徴兵をやることがいいかどうかは別問題ですが、その理由がね、憲法十三条、十八条に違反するからやらんと言うんです。十三条は国民の個人的存立条件の尊重、十八条は奴隷的拘束、苦役は本人の意思によらなくてはやらないということでしょう。こんな理由は筋違いでしょう。」こう言っておるのですね。官房長官、どうですか。政府答弁は閣議においてこれを決められた。しかも長官は何度も、法律的には完璧なものだ、間違いない、こうおっしゃっておる。ところが、いま私が正確に読んだところ、長官もお持ちだろうと思いますけれども、これは十三条、十八条を引いて、そして徴兵制は憲法違反だという答弁は、こんな理由は筋違いだ、こう言っていますよね。長官、いかがでしょうか。これは政府がせっかく考え抜いて閣議で決めた政府見解、これに真っ向から挑戦をする、こういうようなことでしょう。いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そうではないのだと思います。つまり、徴兵制というものは憲法のもとで認められておらないということは、政府は長く以前から言ってきたわけでありますが、その後になりまして、ことに最近、それならば憲法何条に照らしてそう考えるかというお尋ねがございまして、昨年の八月十五日の答弁書はまさにそれに答える答えでございますが、御承知のように、憲法の条文には徴兵制を論じている条文はないわけでございます。その問題について答えておる条文がございません。政府としては、憲法全体から考えてこれは認められていないという見解を従来とってまいりましたから、どの条文に照らしてそう思うかということについて従来お答えをしていなかった。それを言えという質問書でございますから、それで、関係した条文から言えば、たとえば十三条であるとか十八条であるとかいうものがまあ関係のある条文でございましょう、しかしこれは徴兵制を規定している条文ではない、御承知のとおりでございます、関係と言えばそういうことでございましょう、こういうのが八月十五日の答弁書でございますが、それに対して竹田統幕議長は、十八条と言えば、それは奴隷的拘束等々言っておるのであるから、いかにも政府がそう言えばそれが自衛隊の職務を奴隷的云々と言っておるごとくではないか、これがここに言っておることでございますね。申すまでもなく、自衛官になるということは、職業選択の自由に基づいてなるのでございますから、十八条が適用されるわけはないのでありますけれども、十八条に関連があるという答弁から何かそこを短絡的に考えやすい、そういうことを理由にされるのは自分たちとしては不本意である、こういうことを言っておられるのだと思います。

野間友一日本共産党

○野間委員 どうも私の質問に対してかみ合ってないと思うのですね。政府答弁は、現憲法秩序のもとでは、いろいろ書いて、その本質があり、そして具体的な憲法の規定からすれば十三条、十八条などから許容されるものではないと、明確に十三と十八を引いておられるわけでしょう。ところが、この竹田統幕議長は、その理由について「政府答弁というのが、徴兵はやらせないと……。それはいいんです。」ところが、「徴兵をやることがいいかどうかは別問題ですが、その理由がね、憲法十三条、十八条に違反するからやらんと言うんです。」最後に「こんな理由は筋違いでしょう。」こう言っているわけでしょう。そうしますと、政府が鈴木内閣のもとでせっかくつくられた答弁、これを否定して、十三条、十八条を引くのはおかしい、筋違いだ、こう言っているわけですね。官房長官、これは素直に読めば、だれが考えたってそうでしょう。どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 もともと、十三条、十八条は、徴兵制について述べた条文ではございません。これは野間委員が御承知のとおりでございます。ですから、そのことからすぐ徴兵制の問題になってくるんじゃなかろうということが、恐らく竹田さんの言っておられることであろうと思います。それは政府といえどもよく承知していることであって、ですから従来、憲法全体から見て徴兵制というものは許されないと考える、こう申し上げてまいりました。  そこで、最近になって、それに関連のある条文はどれこれかというお尋ねですから、それは申せば十三条、十八条ということになりましょう。しかし、これが徴兵制について規定している条文でないことはお互いによく知っていることでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 時間がありませんので、この点については、さらに機会をつくりまして質問を続けたいと思います。  最後に法務大臣、きのうも質問が出たわけでありますけれども、「週刊ポスト」にインタビューされております。これはあなたが言われて書かれたと思うのですけれども、あなたがおっしゃったことが正確に書かれておるのかどうか、これはいかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 インタビューを受けて、向こうがまとめて書かれたものでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 「これまでは、憲法を事態に応じて適宜解釈しながら、運用してきましたが、大きく客観情勢が変化した中で、どこまでそれで行けるか、ということでしょうね。これまでは、そうした憲法をいいように解釈しながら、運用してきましたが、それにも、限界があるんです。」こういうふうに言っておられますね。これは一体どういうことでしょうか。いままで歴代の内閣は、こういう解釈をして運用してきたのでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 きのうも申し上げたわけでございますけれども、憲法ができましてから、最初は完全に武装解除されておったわけでございました。その後、朝鮮戦争が起こりまして、メモランダムで警察予備隊が設置されたわけでございました。独立いたしましてから保安隊に変え、さらに自衛隊に変えてまいったわけでございました。その自衛隊につきましても、国際情勢非常に厳しいものがございますので、自衛隊を整備するという努力を続けてまいってきておるわけでございます。自衛隊を整備するということになってまいりますと、やはり装備を充実するほかに自衛隊員の士気、これを考えていかなければならない。しかしながら、現在、自衛隊は憲法違反だという方々が相当あるわけでございます。したがってまた、いろいろな自衛隊の士気を弱めるような事態が起こっているわけでございます。われわれ、自衛隊を整備しなければならない、こう考えているわけでございますので、防衛費をふやす以外にこの問題に何か解決の道がないだろうか、こう考えているわけでございまして、それが私の発言の趣旨でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 総理、実際この点については、とにかく便宜的に解釈してきた、しかも、これはそういう解釈をしながら運用してきたということまで言われているわけですね。私は、憲法の解釈というのは客観的厳正にやらなければならない、これは当然だと思うのです。一体こういうことをもしやってこられたとしたら大変だ。私はそういうようなことがうんとあると思うのですけれども、それはそれとしても、これは大変だと思うのです。総理は、憲法を尊重し、擁護する、あるいは遵守するということを何度も言われていますね。ところが、実際にあなたの閣僚の中にこういうことを考えておる人があり、しかも、こういうことが実際にあったのだということをおっしゃる人があるとするならば、鈴木内閣が果たして憲法を尊重し、擁護するという姿勢に実際に立ち得るかどうか、国民も私たちも非常に不安と、そして懸念を持つわけです。これはどういうことでしょうか。  総理にこの点についての答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 憲法につきましては、前国会以来明確に申し上げておりますように、鈴木内閣におきましては現行憲法、これを尊重し、擁護する、改憲の意思は毛頭ないということを申し上げておりますし、閣僚の諸君も、鈴木内閣の憲法に対する基本姿勢というものは十分これを銘記して、いやしくも閣僚として内閣の方針に反するようなことはしないということを確約をいたしておるところでございます。また、歴代のわが党内閣が憲法については厳正明快な解釈をとってきておるということも明らかでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 済みません。最後に一点。  国税庁抜けておりましたので、国税庁長官、突然の質問であったわけですけれども、千葉県の川上知事の念書ですね、これは御案内のように、別件か何かよくわかりませんけれども、税務署がこれを入手して云々ということが報道されておりますけれども、その真相についてぜひお聞かせいただきたいと思います。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  これは深石産業という会社がございまして、そこの査察調査につきまして関連した問題でございますが、深石産業の問題は大変古い事案でございます。昭和五十年の二月四日に、この法人の昭和四十七年六月八日から昭和四十八年二片二十八日及び昭和四十八年三月一日から四十九年一月三十一日、この二事業年度分につきまして、法人税法違反嫌疑で国税犯則取締法に基づき強制調査を行ったわけでございます。  問題の知事の念書云々の問題でございますが、これは特別事件の調査過程についての御質問でございますので、御答弁を差し控えさせていただきます。

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて野間君の質疑は終了いたしました。  次に、中馬弘毅君。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 まず、今回の補正予算に関連して、総理に一言、確認をとっておきたいと思います。  政府・与党は、財政再建を重要課題として増税と値上げの路線を進んでおられるわけでございますけれども、それにもかかわらず、さきの臨時国会で、いわゆる公務員三法のうちの定年制法案と退職金削減法案、この法案を積み残して、公務員給与引き上げ法案だけを切り離して成立されました。これは財政再建に逆行するばかりではなくて——また、人事院勧告というのが民間ベースに準拠いたしております。そうするならば、定年制やあるいは退職金の問題にしましても民間ベースに合わすのが当然でございまして、さらに、一般の民間の勤労者から見れば、お役人というのは仕事が楽で、定年制がなくて、そして退職金の上に恩給までついている、そしてそれらはわれわれの税金だ、こういった感情問題にすらなっているわけでございますね。  そういうことでございますので、これは官であれ民であれ、上下の区別なく、同じレベルで日本の発展にともに力をいたすというのが目的でもございますから、この積み残した、継続審議になっております二法案について、総理は、この国会中に早急に審議、成立させるということをはっきりと言明なされますかどうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま御指摘がございました二法案につきましては、衆議院において継続審議に相なっておる案件でございます。私どもは、ぜひこの国会におきまして各党の御理解、御協力を得て早期に成立することを念願をし、努力してまいりたいと思います。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 次に、鈴木政権の国土政策ビジョンといったことについてお伺いしたいと思います。  国土政策、あるいは国土管理と言った方がいいかもしれませんが、これは川をどう治めるか、あるいはどのように山を開くか、あるいはどのように道をつけるか、あるいは町づくりや村づくりの問題、土地をどう分け与えるか、これは古来、為政者の重要な要件でもございます。歴代の内閣でも、その功罪はともかくといたしまして、田中さんは列島改造論をぶち上げられましたし、福田さんは定住圏構想を、そして大平さんは田園都市構想を打ち上げられたわけでございます。  鈴木内閣では、まあ青天のへきれきで突然なられたようなことで、いますぐビジョンをお持ちでないかもしれませんが、その構想とかビジョンといったものをお持ちなのかどうか、そしてそれを、三全総の見直しなども含めてどのような形で御発表になるのか、総理のお考えをひとつお伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、国土政策につきまして、近年、歴代内閣におきまして、列島改造論でありますとか、あるいは定住圏構想でありますとか、いろいろの構想が発表されてきたわけでございます。大平内閣におきましても田園都市構想、こういうことを提唱したわけでございます。しかし、いずれも自由民主党内閣でございまして、自由民主党は一貫して一国土政策といたしましては国土の均衡ある開発、発展を図る、地域格差をなくしよう、こういう基本に立ちまして国土政策を進めておるわけでございます。そういう中におきまして環境の保全、生活環境の整備、そして快適な、ゆとりのある生活ができるような、そういう観点に立っての国土開発を進める、自由民主党はこういう一貫した政策を持っておるのでありまして、私は、今日までいろいろの角度からとらえられてまいりましたところの国土政策、わが党の政策というもの、これを鈴木内閣におきましては着実に実行してまいりたい、こう思っております。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 特に一つの御構想がいま出てくるわけじゃないと思いますので、特に最近問題になっております個々の問題について、鈴木政権のお考えをお伺いしたいと思います。  最近、土地価格、とりわけ宅地価格が急騰いたしております。東京の市街地の住宅地で見ますと、五十四年に一七%、そして五十五年に一八・五%。これは狂乱時代の再来と言った方がいいかもしれません。このように所得の伸びを大幅に上回る地価。これはこの二十年間で見ますと、全国勤労者世帯の年収が約十倍になっております。それに対しまして六大都市の宅地価格は十八倍。非常に格差があいてきているわけでございまして、一般庶民にとっては土地あるいは住宅といったものは高ねの花というような状況でもございます。  一方で、ミニ開発が行われてきているのです。このミニ開発といいますのは二十坪程度のところの二戸建て建て売り住宅、こういうことがミニ開発ということかもしれませんが、これが横行いたしております。これは都市防災上も、あるいはまた、将来スラム化するといったようなことも含めて、非常に問題だと思うのです。そして、そういった土地は、一般の広い土地よりも逆に坪単価にすれば割り高になっております。しかし、ローンで払いやすいだとか、あるいは将来財産価値が出てくるんじゃなかろうかといった庶民のささやかな願いから買われておるわけでございます。しかし、売却価値は乏しいことはわかっておりますし、あるいは建物が老朽化しスラム化すれば財産価値がなくなることも当然でございます。  こういったようなことを考えますと、これでは何のために国土庁を設置し、それから国土利用計画法を制定したのかわからない、存在意義がないじゃないかというようなことになってくるわけでございます。行政管理庁も昨年の十二月八日に、国土法は地価抑制効果を果たしていないと改善通知を出しております。こういうことを含めまして国土庁長官は、この現在の土地政策あるいは国土法の見直しといったことについてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

原健三郎自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○原国務大臣 中馬先生にお答えします。  最初に、総理に御質問になりました中で、国土庁としては三全総の見直しをどう考えておるかということでございますが、これは常日ごろ、流動的な情勢の変化をわれわれも注意深く見守っておるところであります。そしてどうするかいろいろ考えまして、現時点においては三全総を変更する意思はございません。  それから第二に、地価安定については、いろいろ狂乱的に地価が上がっておるという説もありますが、われわれの調査によりますと、地価は上昇しつつありますが、その上昇率は鈍化の傾向を全国的に見せております。最近数年間、ことにその傾向がございます。ただし、三大圏域においては地価の動向になお警戒を要することは、私どもも同感であります。  最近の地価上昇の原因は、やはり需要が非常に多くて供給がそれに伴わない、こういう関係でございます。しかし、投機的な土地取引は影をひそめておりますので、それほど狂乱的に土地の上昇はないと見ております。しかし、長期的には、どうしても過密過疎を解消して国土の均衡ある利用をいたしたい。いま総理が申し上げられたとおりでございます。  それで、さしあたりわれわれといたしましては、どうして宅地を供給するか、これが問題でございますが、どうしても宅地、土地取引については厳重な監視を行っていきたい。第二は、国土利用計画法を的確に把握して、これの運用を適切にいたしたい。そして投機的土地の取引を抑制していきたい。第三は、去る臨時国会で成立をさせていただきました農住組合制度の活用を図って、市街化区域の農地の宅地化を増進したり、遊休地の活用をしたり、あるいは都市開発を増進していきたい等々を図りまして、宅地の供給をこの上とも推進していきたいと考えておるところであります。総合的に、積極的に宅地の造成を図っていきたいと考えております。  それから、いろいろ質問がございましたが、昨年十二月七日に行政管理庁から、地価抑制をねらった国土利用計画法は有効に機能しておらないから改善すべきであるという点を指摘されておることは、御指摘のとおりであります。それについてどうするかということをちょっとお答えしておきたいと思います。  行政管理庁の調査は、これは新規の機構については五年ごとに行政管理庁で一応調査してみるという決まりになっております。それで、五年を経過したのに対する定期調査の一環として国土利用計画法なんかも調査を受けた、こういうことでございます。その指摘されました事項も前から検討いたしておりましたが、昭和五十四年以後、土地取引規制制度の運用について、こういう注意を受けております。  第一は、規制区域制度運用のための監視体制をもっと強化せよ、こういうことであります。これについて、私どもとしては従来、土地の規制区域指定事前調査をいままでは三カ月ごとにやっておりましたが、さらにそれに加えて特別詳細調査というのをやっております。一カ月ごとに集計してこれを実施しております。昭和五十五年度、去年から始めておるところであります。  第二は、法の趣旨の普及と無届け事案把握を徹底せよ、こういう指摘でございます。それについては、国土利用計画法開発事業については、昭和五十六年三月上旬に集中実施を予定いたしております。ことしの三月にこれを集中して実施いたしたい考えてあります。  次は、無届け取引の事務処理については、昭和五十四年十二月二十四日、課長通知をもって全国に厳重に注意を喚起いたしております。  第三は、遊休土地制度の積極的活用をなすべしという注意であります。これについても総点検を行ったところであります。  それからなお、届け出勧告制度における基準面積の引き下げ等の勧告もありましたが、これについては、いわゆるミニ開発等については今後大いに検討していきたい、こう思っております。  余り長くなるから、この程度にいたします。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 端的にお願いしたいと思うのですが、国土法をどのように具体的に変えるか。先ほど申しましたように規制逃れがあるのですね。二千平米以上しか届けなくていい。そうしますと、たとえば広い土地でも、それを千九百平米とかいうような形でそれぞれ分割して売り、または開発していくわけでございます。そういうことに対しての国土法の欠陥というものをどう見直されるかということを、まずはお答え願いたいと思います。

原健三郎自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○原国務大臣 簡単にお答え申し上げます。  それは御提案のとおり、いままでは二千平米以上が届け出をしておる、それ以下は届け出を必要としなかった、こういうことになっておるのですが、この国土利用計画法の制定のいきさつは、これは四党の共同提案によってできた法律であります。そのときに、これに対する附帯決議等々で注意を受けております。それによると、これ以上余り小さいところまでいろいろやりますと都道府県の事務能力がそれに及ばないからこの程度でいいであろう。第二は、大規模取引を規制しておけばそれが波及して効果が必ず上がるものであるからこの程度でいいという結論になっておりますので、われわれもその立法府の趣旨に賛成して、いまのところこれを改める意向はないところでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 どうもそういうことでは、いままで問題が出てきておるこの国土法に対しての改善にはならないと私は判断いたす次第でございます。  時間がございませんから先を急ぎますが、同じく国土庁長官にお聞きいたします。  市街化区域内の農地の問題でございますが、市街化区域内の農地は東京圏だけでも六万平米ほどございます。もちろん、区域内の農地が生産緑地として都市に潤いを与えていることも事実でございますし、蔬菜の供給の役割りを果たしていることも事実でございます。しかし一方、課税の不公平感を非常に助長していることになるのですね。  練馬区の方のある一つの例を試算させたのでございますけれども、自分のささやかな宅地三十坪程度のところで固定資産税と都市計画税を年間四万円払っている。ところが、隣の、申しわけ程度に野菜をつくっているそれの十倍ほどの農地、まあ一反ぐらい、三百坪のC農地では二千四百円しか税金を払わないということですね。そして、それらがモータープールを経営され、りっぱなおうちに住んでおられる。これではどうしても課税が不公平ではないかということになってくるかと思います。その格差たるや百六十対一といったような非常に大きな格差でございますし、そういう意味におきましても、この市街化区域内の農地に対する宅地並み課税ということに対しては何らかの是正措置が必要かと考える次第でございます。  原国土庁長官も昨年の十月三日の記者会見で、宅地並み課税は五十七年度から間違いなく実施と言明しておられます。これについて、いまでもそのお気持ちがあるのかどうか、そして実際に実施されるかどうかをお答え願いたいと思います。

原健三郎自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○原国務大臣 お答え申し上げます。  私が申し上げましたのは、昭和五十四年度の税制改正の政府の税制調査会の答申の線に沿って申し上げたのでございまして、現在もその気持ちには変わりありません。  それで、それによると、五十七年度分までは特別の課税をしない、五十七年度以降においていよいよ課税をいたしますよ、固定資産税及び都市計画税を課しますという答申になっております。長期にわたり営農を継続する意思のある者には課税いたさない。農業をやる者には課税いたしません。第二は、新たに農地を課税の措置の対象に加えるということをうたっております。それで、現在課税の適正化措置が講じられておるA農地及びB農地に対する課税を強化する、C農地にも課税する、この方針は、まだ将来のことになりますが、政府においてもそういう方針でいく見解を持っておるところであります。(「何を言っているかわからない」と呼ぶ者あり)

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 本当に、何を言っているかわからないような答弁でございますが、いまのところはおやりになるということと受け取っておきます。そのときに、いわゆる自治体における減額措置で実効をなくしてしまうだとか、あるいはC農地に課税する場合におきまして、営農の意思のある場合にはかけない。しかし、その営農の意思と言いながら二、三年後にはこれを売却してしまうといった場合についてはペナルティーを付すというふうな措置をひとつ御検討願うことを申し入れまして、次の質問に移らせていただきます。  住宅の問題でございますが、公団の家賃が大変高騰いたしております。しかし、給料も上がっているから全体の負担割合は一緒ではないかというお話も聞いてはおりますけれども、実際におきましては、住宅公団法では、住宅に困窮する勤労者のための集合住宅の供給ということになっているのですね。いままでずっと所得が上がってきて、それぞれ、ある程度は満たされてきております。そうすると、住宅困窮者というものはむしろ下方にシフトしてきているのじゃないかと思います。したがって、平均的な所得に対する住居費の割合が住宅公団のいまの家賃と一緒だからいいじゃないかという議論にはならないかと思うのですね。むしろ、低く抑えるのが住宅公団の一つの役目じゃないかと思います。そうするならば、これは公団が悪いだけではなくて、いまの土地政策にも問題があるわけでございますけれども、また公団自体も、民間と競争して高い土地を買いあさるといったようなことにも問題があるのじゃなかろうか。  建設大臣にお伺いいたしますけれども、第四期住宅建設五カ年計画では、いわゆる公営住宅、公団住宅の計画戸数が減っております。建設省は住宅宅地審議会に諮問されるようでございますけれども、そのような観点からするならば、もう少し方法があるのじゃなかろうか。民間の高い土地を民間と競争して購入するのではなくて、国や公有地の払い下げだとかあるいは市街化調整区域の中の土地の開発だとか、こういったことをしてでも住宅に困窮する勤労者のための安い住宅を供給するのが、一つの公団の役目ではないかと思います。この点に関して建設大臣にお願いいたします。

斉藤滋与史自由民主党建設大臣

○斉藤国務大臣 お答えいたします。  公的資金による公団住宅等々についての御配慮につきまして、先生御指摘のとおりでございます。非常に土地の値上がり、建築資材高騰によって家賃が上がりつつあることは、現実の問題として私たちも頭を痛めておるところでございます。したがって、私たちといたしましては、その対応策として利子補給をいたすとか、あるいはいま先生御案内のような形の宅地供給諸施策を積極的に進めてまいるということが一番肝要な問題であろうかと思います。  結局は需給バランスの問題でございます。問題は、住宅戸数の計画が減っているような形にはなっておりますけれども、一応、住宅数は世帯数を上回るまで来ております。それは二百七十万戸の空き家があるということを御認識願ってもわかるわけであります、公団、公営住宅がいま二百三十万戸のストックがございます。このような関係の活力あるいはまた先生御指摘の地方公共団体とあわせて、地域開発をあわせて、宅地の積極的な造成対策あるいは区画整理における遊休地あるいは公有地等々にこういう公団住宅を建てる、あるいは関公施設を積極的に進めてコストダウンを図るというような、あらゆる施策をして進めてまいるところでございますが、先生の御指摘のような形で、なお今後とも、需給バランスを見ながら積極的に、いわゆる若年層、低所得者層にシフトしております需給構造についての配慮のもとに進めてまいりたい、このように考えているものでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 大蔵大臣にちょっとお聞きいたしますけれども、現在のような利子補給ということでございますと、実際問題として、最近の財政状況からして公団や公庫は赤字団体に転落するおそれも出てきております。先ほど申しました公有、国有地の払い下げ等も含めて、大蔵省は住宅問題に対してどう対処されますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 住宅公庫に対する利子補給等につきましては、厳しい財政事情のもとでございますが、今年も継続してやっておるわけです。  それから、国有地を住宅地にしたらどうだというお話でございますが、これはいろいろ検討してみておるのですが、なかなか住宅適地というようなものは余りございません。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 相当な休閑地、未利用地がございますので、特に住宅だけとは申しませんが、これの有効活用を図ることも、一つは財政再建に大きな寄与をすることかと思います。  次に、交通網の整備の問題に移りますが、整備五新幹線の取り扱いについてお伺いしておきます。  これはこれからやりますと大変な建設費になりますが、一方で、財政はこのような状況でもございます。五十六年度確認事項によりますと、「公的助成の方法及び地域の負担に関する制度が整備されるまで」整備五新幹線は留保ということになっておりますけれども、これに対して総理大臣はどのようにお考えか。整備新幹線の今後の進め方を、国土計画とあわせてひとつお考えをお伺いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○塩川国務大臣 御承知のように、新幹線は、国土の均衡ある発展とそれから地域格差をなくするための幹線的高速輸送路として建設を進めておるところでございます。  現在、昭和五十四年から調査をずっと続けてきております。したがいまして、昭和五十六年度におきましてもこの調査を継続いたしたい。ただし、建設に向かっての何かの一歩前進する方法はないだろうかということをわれわれ考えまして、それには公的助成並びにその地域におきます負担というものをある程度明確にいたしたい、こう思っておるのでございますが、しかし、これは非常に大きい制度の改正につながることでもございますし、また、現在、国並びに地方の財政事情が非常に窮迫いたしております。容易ならぬことではあると思っておりますが、鋭意研究いたしましてその方途を見つけ出したいと思って、努力いたしておるところでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 大蔵大臣にお伺いしますが、中期の財政見通しあたりを見ましても、この財源の見通しはとうてい出てこないと思うのですが、いかがでございましょう。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 御推察のとおりでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 そうしますと、青函トンネルはもう貫通いたしております。完成は五十八年度ということでございますが、とうていそれまでに整備新幹線ができるはずもございません。そうしますと、これは完全なむだになってくるわけですね。これはただ新幹線用に計画されておりますけれども、これを有効活用することはお考えにならないのか。在来線を通すだとかあるいは貨物の輸送といったようなことも考えられるわけでございます。また、国防上の問題もあるのですね。国防というのは、ただ軍事的な国防だけではなくて、海上が封鎖されたとか、あるいは大きな災害等で緊急に北海道から本州の方に、あるいは本州から北海道に物資を輸送しなければならないといった事態も起こるわけですね。関門トンネルはそういう意図で一つはつくられております。しかし、あの百面トンネルはただ新幹線を通すだけだ、客車しか通らないんだというようなことになっております。こういうことも含めて、青函トンネルをどう今後は有効活用されるか、運輸大臣、何か御構想でもありましたら……。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○塩川国務大臣 青函トンネルを計画いたしましたその当時から比べまして、現在の日本の産業構造等も変わってまいりましたし、また、交通機関のあり方も変わってまいりました。でございますから、当初のとおり新幹線を通すという事態には相なってまいっておりません。しかし、このトンネルは本土と北海道を結ぶいわば貴重な国民的財産でございますので、これを有効に活用いたしたいと思っております。  そこで、完成の時期をめどにいたしまして、とりあえず在来線の貫通をそれに並行して工事を進めていきたいと思っておりまして、本年度、在来線取りつけ部分の工事費を予算に計上いたした次第でございます。  しかしながら、あのトンネルは多印的にいろいろ利用できます。ただ単に鉄道としてのみではなくして、また、使用の方法によりましては道路としての使用も可能であろうと思ったりいたしておりますし、また、通信ケーブルあるいは電気の動力線を配線するということも可能であろうし、いろいろな面から鋭意検討いたしておるのでございますが、とりあえず在来線を通すということにつきましては決定をいたし、これの取りつけ部分についての予算を計上いたした、こういう次第でございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 最後に、環境問題についてお伺いいたしておきます。  環境アセスメント法案についてでございますが、法案は大体成案はできておるようでございます。しかし、なかなか国会に提出されません。そのあたりの経緯あるいは現在の状況といったことを環境庁長官にお願いしたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 お答えいたします。  五十年十二月に、アセスメントの問題について中央公害審議会の方に答申をお願いをして、諮問いたしたわけです。一昨年の当初に答申がありまして、五月二日にいろいろ政府部内で検討して成案がまとまったということは御承知のとおりでありますが、いま自由民主党の政調会長預かりになって自民党の中で詰めておりますので、一日も早く御審議をいただいて、国会の方に提出し、権威あるルールづくりをいたしたい、こう考えているわけであります。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 全国の知事会を初め各方面から要請が強いわけでございますが、昨年の十二月二十五日に鯨岡さんは経団連と会談をされているようで、そこで財界から法制化反対の申し入れがあったようでございます。この法制化に伴う問題点、どういう点が問題点になったのか。また、それに対して財界、経団連、特に電力の関係でございますから通産大臣にお聞きいたしますけれども、どういうところに支障があるのか、そこのところを少しお聞きしたいと思います。

鯨岡兵輔自由民主党環境庁長官

○鯨岡国務大臣 この問題は総理が再三にわたって言明されているように、先ほど申し上げたように二日も早く御審議をいただきたいと思っていますが、一方、御承知のようにいまから十年といいますか、もう十年ありませんが、それまでの間に、たとえば油のことで言えば、油に依存することを五〇%にしよう、こういうことでございます。これもともかく大変なことでございます。したがいまして、私としては、このアセスメントに危惧を抱く人にはどなたにも会って、財界ばかりではありません、だれにでも会って、私どもの考えを申し上げて御理解をいただきたいと努力しているわけであります。  そこで、いまどういう点についてというお話でございますが、いろいろやろうとすると反対運動などもあります。そういう運動がアセスメントをつくることによってもっと大きくなってくるのじゃないかという心配、これはもうそういうことはありませんよということで一生懸命説得しているわけであります。  さらには、いろいろ条件があります、データが。科学的知見といいますか、それが確立していない段階でそれをやったらどうかという御心配もあります。これはいまやっているとおりのことをやればいいのであって、わからないことをやれと言ったってできることじゃないのですから、通産省がいままでやっているそのことでやればいいのだから心配はないのですよ。あるいは条例と法律の関係とかいろいろあります。その一つ一つについてわれわれの考えていることを申し上げて、財界に限りませんが、どなたにでも、反対をして心配をなさっておられるわけですから、心配をなさっておられる方には理解してもらおう、こういう努力を続けているわけであります。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 通産大臣、ひとつどういうところが問題なのか、そちらのお立場からお答え願います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 いまの問題点は環境庁長官が指摘しておりましたが、そのとおりだと思います。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 これは政府の関係閣僚協議会でも認められて、そして成案ができているわけですね。通産大臣もお認めになったようなことでございますから、むしろ財界筋に対しても通産大臣としても説得に当たるのが立場じゃないかと思うのです。  時間がございませんのであれですけれども、要するに、この法案を出さないというのはどういうことなのか。四党合意で今回出すということになっておりますし、また、それをとめておるのが、では自民党なのか、あるいは閣内の不統一なのか、その点を最後に総理にお伺いいたしまして、今国会に必ず提出するという責任ある御答弁を期待いたしまして、この質問を終わらせていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 この法案の取り扱いにつきましては、すでに、御承知のように政府としては政府案がまとまりまして、現在、自由民主党の政調会等において、各関係部会等で鋭意検討を進めておる、これを急いでもらっておりますが、できるだけ早く党議をまとめまして提案をいたしたいと考えております。

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて中馬君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

小山長規自由民主党

○小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 最初に法務大臣にお聞きをして、それに関連して、後から総理大臣にお聞きをしたいと思うのですが、この「週刊ポスト」——どうも週刊誌をあれにして質問するのはいやなんですがね、どうもしようがないですな。  一月二十三日に法務省の大臣室でこの「週刊ポスト」の記者とお会いになったことは、まず間違いがございませんか。それが第一点ですね。  それから第二点は、そのときに憲法の話が当然出るということは予期されておられたのでしょうか。それから、あなた自身がこのインタビュー、約一時間ぐらい行われたようですが、それに応じて何をしゃべられようとしたのか、どういう自分の御主張をされようとしたのか、そこら辺のところを最初にお聞かせ願いたいというふうに思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法に関しましてインタビューの申し込みはたくさんあったようでございましたけれども、秘書官が「週刊ポスト」の方とお話し合いをいたしまして、昨年来、私が国会で話していますること、それについての真意を聞きたいということだ、こういうお話でもございますし、それなら何もかもお断りし続けているのもいかがなものであろうかということでお引き受けしたわけでございました。それが秘書官と先方との間で、私の日程も見て一月二十三日と設定されたわけでございまして、私がどういうことをしゃべったということよりも、先方は私の発言の真意を聞きたいということでお尋ねになったように記憶いたしておりますし、できる限り国会で申し上げましたことをお話しするという気持ちでお話ししたように心得ております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは法務省の大臣室でのお話ですね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 そのとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それに関連をいたしまして、原稿ができましたよね。原稿をあなたの方で見せてくれと言ったのでしょうか。原稿を持ってきて一原稿じゃない、ゲラ刷りかな、あなたに見せまして、それで大臣の方では、てにをはを直したり誤字を直したり何かされたわけですね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 当初の秘書官と先方との話し合いで、発言の真意を聞きたいんだということと、出す前にはチェックしてもらいますよという話があったようでございました。そういうことで一月二十三日にお話ししたわけでございましたけれども、持ってこられまして、これはいかにも刺激的な書き方になっているな、こう思ったわけでございました。そういうことで、私としては、予算委員会がこういう状態でございますから、延ばしてくれたらどうだろうかという話もしたわけでございましたけれども、どうしても出したいということでございましたから、チェックしたものをお渡しをしたという経緯でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私のお聞きいたしておりますのは、ゲラ刷りですか、原稿ですか、とにかく持ってきて、それはあなた自身も直された。そのときに、名前を言わなくていいのですけれども、法務省の幹部の人もあなたの原稿なり何なり、あなたのしゃべったことの原稿ですね、これをごらんになったんじゃないでしょうか。法務省の幹部の名前は言わなくてもいいですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 秘書官に、見てほしいということで頼みました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、あなたとしては、自民党の櫻内幹事長、それから宮澤官房長官に対して、これが出る前に、何かこういうものが出るけれどもということで相談に行ったことはございますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 相談じゃございませんで、私、小学館の相賀社長に電話したんです。いま予算委員会が竹田発言などで大変問題になっているところへ、また憲法問題を持ってくることは、よけいな紛議を醸すように思うんだ、だからいま時分出すことは適当でないから延ばしてくれたらどうだ、そうしょう、こういうことでございました。ところが、後で、やはり出さざるを得ないということでございましたから、どうせ何か言われるに違いないから、こんなことがありますよ程度のことを私、幹事長たちに報告をしておいたわけでございました。(稲葉委員「官房長官に」と呼ぶ)官房長官も、ここで、聞こえたか聞こえないか程度の、そんな話を私が申し上げたわけでございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 けれども、あなたとしては、これは週刊誌ですけれども、出れば相当反応がある、こういうことは予期されておった、こう思うんですが、掲載を一週間ほど延ばしてくれというのは、あなたがお電話されたんですか。何か秘書官がお電話されたように聞きましたが。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私がああいう編集をしたわけじゃございませんで、向こうが、話した結果をああいうように書いてこられたわけでございまして、それを見まして、やっぱり刺激してもいけないじゃないかな、こう思ったものですから、私としては相賀社長に電話したわけでございます。もっと早い時期に出るんだ、こう思っておったんです。思っておったのが、こういう憲法問題が議論になっておるさなかに発行するということは、いかにも反対の皆さん方を刺激するんじゃないかということを私なりに心配したわけでございます。(「わかっててやってるんだ」と呼び、その他発言する者多し)

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いやいや、まあいいです。ここは言論の府ですから、私は私なりに聞いて、あなたはあなたなりにお答え願えれば、私は結構だと思うのです。決してそのことでどうということは一ない、とは言えないのですけれども……。  私の言うのは、櫻内幹事長や宮澤さんに何か相談に行ったようだが、それはあなたが小学館に電話する前じゃないのですか。ですから、宮澤さんも、この内容については知っていたんじゃないですか。違いますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 どなたも内容は御存じございません。私が相賀社長と話をして、それはやめましょう、こう言ってくれたにかかわらず、編集部の関係で出さざるを得ないという連絡があったものでございますから、こんなことがありますという程度の御報告をしただけのことでございます。中身は何にも話しておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、内容についてお聞きするんですが、どうもよくわからないのは、あなたが社長か何かに電話したというのは、これが出ると、何ですか、問題になるということですか。問題にはならない、ただ野党を刺激するというんですか。与党を刺激するというんですか。どこを刺激するというんですか。あるいは鈴木内閣の中であなたの立場がうまくなくなっちゃう、そういうようなことも入っているのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 昨年の国会審議を通じまして必ずしも憲法論議がタブーでなくなったように思うのですけれども、完全にタブ一でなくなったとは言い切れない面もありますし、たまたま竹田統幕議長の発言をめぐりまして憲法問題がまた———になったわけでございますので、やはり予算審議に支障になってはいけないというふうに心配をいたしまして申し上げたわけでございます。(発言する者あり)

小山長規自由民主党

○小山委員長 お静かに願います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 表現の問題ですけれども、憲法問題が———という考え方は、憲法に対する侮辱というか軽視ですね。それは取り消された方がいいのじゃないでしょうか、どうでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法の論議は大いに両論あってしかるべきだと思うのです。ただ、審議がとまったりしますと、やはり予算を年度内に成立させたいという政府の基本的な考え方があるわけでございますから、それに支障を与えることは特に私たち配意していかなければならない、こう思っておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私はそんなことを言っているわけじゃなくて、———という言葉自身が不穏当ではありませんかということを言っているわけです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 御注意でございますから取り消します。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、この中身は、いま言ったようにあなたが原稿などを見てあれしているわけですから、間違いがないのだというふうに思うのです。  そこで、さっきもだれか質問したのですけれども、何か答えがよくわからなかったのですが、最後の方に、「これまでは、憲法を事態に応じて適宜解釈しながら、運用してきましたが、」こういう言葉がありますね。これは具体的にはどういうことを指して言っていらっしゃるわけですか。適宜運用というのはどういうことですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 午前中にも申し上げたのでございますけれども、憲法制定当時、わが国は完全に武装を解除されておったわけでございました。その後、昭和二十五年に朝鮮戦争が起こりまして、占領軍の覚書で警察予備隊を創設したわけでございます。この警察予備隊につきましても憲法との関連が議論になっておるわけでございます。その後、独立を回復しましてから保安隊にしたわけでございますし、さらに自衛隊にしたわけでございます。この過程で常に憲法論議が続いているわけでございます。そして今日に至っているわけでございまして、相当な防衛力になってきている、こう考えるわけでございます。私たちは防衛力にある程度の抑止力を求めたい、こう考えますし、また、国際情勢が大変厳しいものでございますので、それなりに考えていきました場合には、お金をふやせばそれで全部解決するという性格のものじゃなしに、やはり隊員の士気旺盛な自衛隊でなければならない。そうしますと、常に自衛隊をめぐりまして憲法違反だ、いや、そうでないという議論が繰り返されておるわけでございます、  御承知のように、義務教育の教科書で自衛隊を紹介しているところでも、みんな憲法違反の議論があると書かれているわけであります。私たちが考えますと、自衛隊法という法律、国会がつくった法律に基づいて自衛隊が創設されているのだから、何も義務教育の教科書にまで憲法違反の議論があるということを紹介する必要はないと私は思うのですけれども、やはり厳しい対決があるから自然そうなっているのだろうと思いますし、教組の中にも自衛隊に対して厳しい皮発の態度をとっているところもあったりするわけでございますので、この辺の問題、自衛隊の整備を考えるものとしては知恵がないものかなと考えざるを得ない、そういう意味において私は発言をいたしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたの言葉では「適宜解釈」だ、こう言うのでしょう。適宜というのは、その都度その都度便宜的に解釈した、こういうように常識的に普通とれる言葉じゃないでしょうか。だから私はお聞きしているわけなのです。あなたの考え方だと、結局、警察予備隊なりその後の変化というものは、率直に言えば日本の憲法から見ると違反なのだ、違反なのだけれども、それを違反でないように言いくるめて、いま適宜解釈しながら進んできているのだ、こういうようにあなた自身は考えておられるのじゃないでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、たびたび申し上げておりますように、合憲だという解釈をとっていますし、それなりの理由も申し上げてまいってきているわけでございます。ただ、これまで、どの程度の自衛力を保持できるのか、これが一つの議論の焦点になってきていると私は思うのであります。私は、客観情勢に応じて、どの程度まで自衛力を持てるかという内容もある程度変化していっても差し支えないのじゃないか、こう思うわけでございまして、そういう意味合いにおいて、憲法と自衛隊との関係につきまして、これで支障はないのだという説明を政府はずっと繰り返してきておるわけでございます。しかし、実質はかなりな自衛力になってきていることには違いはない、こう思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 教科書の中に自衛隊違憲の論議があるということが書いてあったって別に悪いことはないじゃないですか。論議があることは事実なのでしょう。事実なのだからそれを書いたって別に悪いことはない、こう私は思うのです。それを何も、統制しなければならぬ、一つにまとめなければならぬという議論は成り立たない、こう思うのです。  そこで、あなたは、「憲法をいいように解釈しながら、運用してきましたが、それにも、限界があるんです。」ということを言っていますね。憲法をいいように解釈してきたが、それにも限界があるんだ。限界があるから、だからどうしろと言うのですか。だから改正しろ、こういうことにした方がいいということにつながるのじゃないでしょうか、この言葉の内容は。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 教科書の問題でございますけれども、国会が法律をつくって自衛隊ができている。最高裁判所も別に違憲の判断は示していない。違憲の議論があることは当然でございましょうけれども、やはり国法に基づいて制定されているものは、最高裁の判断が違憲を示さない以上は、私は、義務教育の小さい少年にまで、そういう議論があるということを示さなければならない、これは少し行き過ぎているのじゃないかなという考え方をしているものでございます。  また、こういうことがありますので、学校に自衛隊の募集について若干の紹介をしたい、多くの学校ではこれを拒否するというような事態もあるわけでございまして、自衛隊についていまのままで政治家として責任を負えるのだろうかと考えますとやはり心配でならないものでございますから、そういう問題になってまいりますとお金だけでは片づかない、これからどうしたらいいかということを政治家みんなが真剣に考えていかなければならない事態にあるのじゃないだろうかな、こうも思っておるわけでございまして、そういう意味合いで申し上げたわけでございます。  それともう一つ……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、いいです。あなたが言っているのは、そうした憲法をいいように解釈しながら運用してきた、だけどそれにも限界があるんです、こう言っているでしょう。「限界があるんです。」というのはどういう意味ですかと私は聞いているわけです。解釈でのあれには限界があるのだ、だからここで何とかしなければいけないのだ、こういうことを言っているのでしょう、あなたの言う意味は。それは、そうならそうで率直に言ってくださいよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 恐らく質問の趣旨は、憲法の運用によって今日まで来ているわけだから、これからも運用によっていけるじゃないかというようなことじゃなかったのだろうかと思うのであります。それに対しまして、私がいま申し上げますように、やはり自衛力の整備ということを考えていった場合には、精神的な面も無視できないのじゃないだろうか。そうすると、合憲、違憲の判断が分かれている、これはやはり何か解決の道をお互い考えていかなければならないのじゃないだろうかな、こういう話のいきさつであったと理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、そんなことを質問していませんよ。質問値、「自民党でも、国会議員の三分のは、憲法改正の必要なしとしています。」これがそのとおり正確かどうか私もあれですけれども、質問はそういう質問ですね。私の聞いているのは、「それにも、限界があるんです。」とあなたが答えているから、なぜ限界という言葉を使われたのか。限界なんだからどうするんだということをあなたは言いたいのでしょう。だから限界という言葉を使ったのでしょう。だからどうするのですか、率直にお話しください、こう言っているわけですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 防衛費を増額する、そういうことも自衛力を整備したいという考え方だと考えるわけであります。自衛力を整備するということになってきた場合に、金だけでは済まされない、やはり自衛隊員の士気をどうするかということも考えなければならないだろう、こういう意味で申し上げているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いやいや、私の聞いていることに答えていない。意識的に答えていないのだと思うのです。  こういう解釈、運用をしてきた、それにも限界があるのだ、自衛隊の士気を高めようとかなんとかいうことにもいまの状態じゃ限界があるのだから、だから憲法を改正してしっかり——あなたは、九条を改正して、自衛隊が合憲なら合憲ということをはっきり言うようにさせたい、こういうことなのでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、当初稲葉さんのお尋ねから、自主憲法を制定、それは好ましいと思いますよ、しかし政府がそういう動きをすることは適当でないと思いますよ、これが一貫した私の考え方でございまして、限界についての答弁は、私が先ほど申し上げたとおりでありまして、違っておとりになるかもしれませんけれども、私は御答弁申し上げたとおりに考えているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 違っておとりになるかもしれませんと言ったって、この言葉を読めば、いいですか、しつこいですけれども、「これまでは、そうした憲法をいいように解釈しながら、運用してきましたが、それにも、限界があるんです。」と。もう解釈では限界がきているんだ、だから法律をしっかり変えよう、こういうようにとるのがだれだって常識じゃないですか、この文章は。私は、そういうふうにとりますよ。それならそれで、あなたの一つの識見だと思うんですよ。それならそれでいいじゃないですか、あなた。それを鈴木内閣の一員だからとかなんとか、ああだこうだとあなたはこれから言うんでしょうけれども、そんなことはいいじゃないですか。もっと率直にお考えを吐露してくださいよ、あなた。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 率直に申し上げて、私がどういう言葉を使ったかはよくわからないのですけれども、持ってこられたものにはそう書いてあるものですから、そうチェックしたわけであります。しかし、私の申し上げている趣旨は、繰り返し私がお答えをしているとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたが原稿をチェックしているんですよ。それで字も直しているんですよ。いいですか、「ございます」というのを「ありました」とか直したり、それから誤字を直したり何かしているんですよ、あなたが。それで、これはずっと出てきて、そこには「限界がある」と書いてあるのですからね。その意味というのは、私の言った意味にとれるのが常識だと私は思うのに、あなたは、あえていろいろなことを言って長々と答弁してあれしているわけですけれども、あなたは奈良県ですね、大和の武士のようにはどうも思えないような感じがするなあ。大和武士というのはもっとさらっとしたものじゃないかな。万葉の心というのはそんなものじゃないような気がするんだけれども……。  それは話は別として、そこでいろいろ聞きますが、これはまだいろいろなことがあるんだな。「いまは安定多数をもっているんだから、そんなに他人の顔色ばかりうかがってモノをいわなくてもいいんじゃないか。」——「他人の顔色」ってこれは何ですか。具体的にどういうことを言っているの。これは社会党の顔色ばかりうかがって物を言わなくてもいいんじゃないか、そういうことも含んでいるんでしょう。それはそうだよ。(「生意気だよ」と呼ぶ者あり)構わないから、生意気でも何でも、それはあたりまえのことだから、それでいいですよ。もっと率直に言いなさいよ。あなた、ここは決してこわいところじゃないんだから。本当だよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、きわめて率直にお答えさせていただいているつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、「他人の顔色ばかりうかがってモノをいわなくてもいいんじゃないか。」というのは、これは具体的にどういうことなんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 国会は日本の運命を背負っているところでございますから、言論にタブーをつくってはいけない、こういう気持ちでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 言論にタブーなんかつくっていませんよ。ちっともつくっていない。ここでこうやって自由に論議しているんじゃないですか。それで、あなたは何か言うと、それであなたの罷免の声が出たりなんかすると、あなたは言論封殺だということをここでも言っているんだ。この前も言っているんですね。ぼくは不思議でしようがない。罷免の要求が出たっていいじゃないですか、運動なんだから。そんなものはあなた、自分の信念に従って言ったことに対して罷免の要求が出たって、そんなものは構わぬ、私は私の道を歩むんだ、それがあたりまえな話でしょう。それがどうして言論の封殺になるんですか。短刀でも突きつけて、これは何だというわけでやるなら、これは言論の封殺かもわからぬけれども、こうやってあなたも自由にしゃべっていて、罷免の要求が出たって、それはちっとも言論の封殺でも何でもないでしょうが、そういう考え方は非常におかしいですよ。そう私は思うんですね。ここにも出てくるんですよ。あなたは発言封じだとかなんとか、そんなこと、ちっとも発言なんか封じていないですよ。あなたにはよけいなことまでしゃべるくらいしゃべっていただいているのだから、こんなことはない、こう私は思うんですね。  そこで、結論的に言うと、結局どういうことなんですか。警察予備隊は、何ですって、メモランダムによってできた、だからどうだっていうんです。メモランダムによってできたということは、どういう意味なんです。それは強制的につくらされた、こういう意味ですか。あるいは、強い指示によってつくらされたという意味ですか。主権がなくてつくらせられたという意味なんですか。それはどういう意味なんです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 武装解除させられておった状態から、今日自衛隊を持つに至った経過を申し上げたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私は、そんなことを聞いているんじゃないのよ。警察予備隊は、司令部のメモランダムによってできたとあなたは言うんでしょう。メモランダムによってできたという意味はどういう意味ですか、と。私は、いま挙げましたよね、強制的につくらされたという場合もあるだろうし、強い指示の場合もあるだろうし、主権がない場合につくらせられたという場合もあるだろうし、いろいろあるだろう。その中で、一体どれをどういうふうに指すのか、こう言っているわけですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 覚書でございますから、国会にかけなくて、法律でなくて政令でできたのじゃないか、こう思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは、法律の形式はそうなんで、それはそれでいいんだよ。それはいいけれども、だから私の言うのは、強制的につくらせられたと、こういうことでしょう、警察予備隊は。国会にかけられなかったというんですか、そういうことでしょう。政令についても、メモランダムで、このメモランダムどおりやれと言ってつくらせられたのでしょう、そういうことでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 覚書は総司令部の命令だと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、命令によってつくらせられたものが発展をしてきて保安隊になり、自衛隊になったのだから、自衛隊というものも総司令部の命令を母体としてでき上がったものだ、これはこういうことでしょう。そういうふうになるでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 警察予備隊が保安隊、自衛隊と発展してきている、これには違いありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなこと聞いていないよ。だから、警察予備隊は命令によってできた、こう言うんでしょう。だから、それを母体としてできてきたのだから、いまの自衛隊もアメリカの命令という要素を含んででき上がってきているものなんだ、こういうことでしょうと言うんですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、そういう意味で申し上げているのじゃなくて、自衛隊は自衛隊法という法律、国民が自主的に議論をしてつくり上げたものに基づいているわけでございますから、いまおっしゃったようには考えたくございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは、言葉をつかまえて恐縮ですけれども、考えたくないという気持ちはわかりますよ。気持ちはわかるけれども、実際はアメリカの要請によってでき上がったのだと。それじゃ、今度は要請という言葉にしましょうかな。そういうことを認めていることにあなた自身もなってくるのじゃないんですか。  それから、自衛隊の士気が上がらないというんですか。そこはどこに原因があるというんですか。何かまるで社会党や何かが悪いようなことのようにあなた言われますね。それはどういうことですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 先ほど一つ申し上げたことも原因になろうかと思います。憲法違反の部隊に協力する責任はないじゃないか、こういう発想につながっていっていると思います。また、市町村が自衛隊募集に協力をします場合にも、違憲の部隊に関することに協力することは不穏当だということで、抗議行動もあちらこちらにあることは御承知のとおりでございますし、また、相当多数の市町村はこれに全く関与していないという事実もあるわけでございますし、その他いろいろなこと、前国会でも申し上げましたけれども、やはり自衛隊の士気に影響を持っていることは、ぬぐえない事実じゃなかろうか、私はこう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、自衛隊の士気に影響があるということはやむを得ない、それはどこに責任があるというのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法をめぐりまして解釈が分かれてきているというところに原因があろう、こう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 憲法をめぐって解釈が分かれてきている、そうすると、だからどうしたいというのです、あなたは。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、昨年、自主憲法のお話がございましたから、国民の間で議論が起こって、同じものであってもいいからもう一遍つくり直してみようという空気が出てくるなら、それは好ましいと思いますと、こう答えたわけでございます。そういう考え方を持っておるものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの、自主憲法をつくりたい、国民の間からそういう声が出てくれば自主憲法をつくりたい、こういうことは、鈴木さんとしてもその考え方には同調する、こういうことですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、現行憲法をあくまで擁護、堅持するという政府の基本的立場に立っておるわけでありますが、こういう国の基本法につきましては、慎重の上にも慎重にこの改正の問題というのは考えなければならない。九十六条で改憲の手続等も制定はされておりますけれども、いま申し上げたようなことで慎重に扱わなければならない。特に国民世論が、この点はこういうぐあいに改正をすべしということが国民の圧倒的な世論になり、それが成熟した形において初めて日程に上るべきものだ、このように考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 奥野さんは、恐らく今後もいろいろなことを通じて、これと同じようなことで憲法を改正したいという意味のことを、そういうふうにとれるようなことを次から次へ発言されるのだろう、こう思うのですが、それはあなたとしては放置していくわけですか、むしろ奨励をしていくわけですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 奨励をするとか、そういうことを私、申し上げたことはございませんよ。(稲葉委員「こっちは聞いているんだよ」と呼ぶ)ありません。奨励はいたしません。(稲葉委員「放置しているのか」と呼ぶ)私は、前国会以来申し上げておりますように、政府は現行憲法を尊重し擁護する、これはもう明快に何遍も申し上げておるところでございます。しかし、一方において、九十六条で憲法についていろいろの論議をするということまでは封じてない、こういうことでございます。奨励も何もいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、奨励はしないのはわかりますよね。だから、あなたの姿勢、鈴木内閣の姿勢に疑問を生じかねないようなことを平気であちこちで言うということについて、あなたは放置しておくのですか、こう言っているのですよ。どうなんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私の憲法に対する解釈、とっておる姿勢、これは政治姿勢でございます。奨励するとか放置するとか、そういうことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの政治姿勢というのはよくわからぬけれども、そうすると、それに対して奥野さん、何か発言したいようなふりがあったが、何か発言したいのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私が稲葉さんから最初にお尋ねを受けましたときには、まだ内閣の方針が明確にわれわれには示されていなかったころだったと思います。しかし、その場合でも、私は好ましいと思うけれども、政府がそういう動きをすることは適当でないと思いますと、こう答えたわけでございました。その後、総理から明確に考え方を示しておられるわけでございますので、私はその姿勢に疑問を与えるような行動は慎んでいかなければならないだろう、こう思っておるわけであります。しかしながら、思想、信条の自由を縛っていくというまでの考え方は、自民党全体としてはないのじゃないだろうか。大変自由な政党でございます。しかし、私が総理の姿勢を疑わせるというような言動は慎んでいかなければならない、そう心得ておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私どもは、奥野さんが自分の考え方をもっと率直に言って、そして世の中に対して批判を求めるなら批判を求める、そういう態度をとるのが深いというふうに考えるんですよね。鈴木内閣の中にいて小さくなって——小さくもなっていないけれども、とにかくからの中に入って、憲法を守りますなんて、あなた、自分の意思に反することを言わせられて、なお大臣のいすにとどまっておられるということは、これはあなたの自由である。あなたの自由だけれども、そこら辺のところは、ひとつもっと率直なあなた自身の行動をおとりになられた方がいいのじゃないか、こう私は思うのですが、これはあなたに対するよけいなことかもわかりませんので、お答え願えなくても結構です。いずれまた、あなたはどこかで発表するでしょうから、ゆっくり時間をかけてやります。きょうは補正予算の問題で、きょうとにかく時間までに質問しなくちゃいかぬということなので、この程度にしておきますけれども、どうぞ勝手にしてください。  そこで、私は千葉県の知事の問題で、前から疑問に思っておったのですが、いろいろ調べておったんですよね。そうしたら、きょうの新聞を見ると、いわゆる念書と称せられるものが出てきているわけですね、総理。私、これを読みましたときに、自民党の知事さんになる人たち、自民党推薦というか自民党公認というか、とにかく自民党側の知事になる人というのは、こういうような念書なんかを交わしてうんと会もらって、そうして利権を与えるとかなんとかという念書をやるというようなことを普通にしているわけですか。これはきわめてレアなケース、レア中のレアケースだというふうに伺ってよろしいのでしょうかね。どうなんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 それはもうレアケースの、全くそのとおりでございましょう。私は、こういうことにつきましては本当に遺憾なことだ、このように思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、これについて質問をいたしますけれども、たとえばこの中に深石鉄夫という人が出てくる。この人はさっき国税庁からもちょっと話がありましたが、深石産業ですね、その後これは日炭というふうになったわけですね。それからかたかなでニッタン、こういうふうになったわけですが、これに対するいわゆる強制捜査というか、法人税法違反ですか、この査察というものが行われたということの説明がありましたが、その日時その他のことをもう一遍国税庁長官からお話し願って、その結果は一体どうなったのか、どういうような強制捜査をやって、どういうふうになったのかということを御回答願いたいというふうに思います。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  御質問の深石産業株式会社の査察調査につきましては、昭和五十年の二月四日に、昭和四十七年六月八日から昭和四十八年二月二十八日及び昭和四十八年三月一日から四十九年一月三十一日の二事業年度分につきまして、法人税法違反嫌疑で国税犯則取締法に基づき強制調査を行っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなことは、さっき質問があってわかっているんですよ。では私は、こういうふうに聞きましょうか。強制捜査というのは裁判所の令状をもらってやったわけでしょう。ですから、これは法務省にも聞くんだけれども、令状をもらうについて検察庁の方と連絡をとってこの強制捜査が行われた、こういうふうにお聞きしてよろしいでしょうか。その間の経過をお話ししてください。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  査察調査におきましては、国税犯則取締法に基づきまして裁判所の令状をとり、臨検、捜索、また必要な場合には差し押さえを行うわけでございますが、その際、いわゆる査察立件をする際には検察庁とは何も連絡をいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはうそですよ、あなた。査察をするときには告発を前提とするというのが普通の状態です。だから、裁判官の令状をもらうときには検察庁と通常打ち合わせをして、そして報告をして了解を得て、令状をもらって押収、捜索をする、これが普通の状態ですね。  そこで、それじゃ結果はどうなったんですか。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、査察立件をする際の裁判所に対しまする令状の交付の請求に当たりましては、検察庁とは連絡をとっておりません。  それから、本件深石産業につきましての査察調査の結果でございますが、これにつきましては告発するに至らず、課税処理でもって終了いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、裁判所の令状をもらって強制捜査をやって、告発するに至らずということは異例です。それで、どういう結末がついたんですか、はっきり言ってください。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 査察事件に当たりましては、もちろん、刑事訴追ができることを前提としました犯則調査を実施いたすわけでございますけれども、事件の内容によりまして、悪質の程度あるいは犯則の規模あるいは証拠の収集程度の内容に応じまして告発するに至らないという事例がございまして、私ども全体の査察調査のうち約三割は告発をするに至っておりません。  本件につきましては、先ほど申し上げましたように告発するに至らなかったわけでございますが、これにつきましては課税処理を下しておりまして、ちなみに申し上げますと、昭和五十一年十二月二日、当社の昭和四十九年一月期につきまして七億二千六百万円の修正申告書が提出されております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、いまの強制捜査をやったわけですから、押収されましたね、いろいろな品物が。そして、その処分に関連をして、あるというか特定な政治家筋からいろいろな、国税庁なり東京国税局に関連をして依頼というか話が行われた、こういうようなことが言われるわけです。こういうものがあると間々そういうふうなこと、ほとんどと言っていいくらい政治家の介入するというととがあり得るわけですが、そういうふうなことがどういうふうにあっ先かということについて、知っている範囲でお答え願いたいと思います。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  個別事件の調査過程についての御質問でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、査察調査は刑事訴追を目的とした調査でございまして、陳情の有無にかかわりませず、常に適確に処理しておるところでございます。  また、差し押さえ物件につきましても、陳情があったといたしましても特別な扱いはいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だれが差し押さえ物件について聞いたのです。そんなもの、まだ聞きもしないじゃないですか、あなた。一般論として、陳情があった、本件の場合にも、名前を挙げればすぐわかるような政治家から、何とかこの処理を寛大にしてくれとか、あるいはそこに押収になっておる念書、これを返してくれというような話があったんじゃないですか。  それで、川上知事は五十年六月五日になってから、知事選前に深石氏が脱税容疑で国税局の査察を受けた際、念書が押収されたと聞いたということを、はっきり県議会で答弁しているわけですね。だから、その中に問題の念書というものもあった、こういうふうに理解をするのが常識的な解釈だと思いますが、いかがなものでしょうか。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  念書の有無につきましては、午前中もお答え申し上げましたように、個別事件の調査過程についてのことでございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、答弁を差し控えるのは差し控えるとして、念書がなかったということは言えない、それが一点と、それからもう一つは、そうすると、とにかく押収したものは全部深石産業に返したわけですか。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 査察事件によりまして押収いたしました書類につきましては、脱税事件として検察庁に告発をしました際には、これはすべて調査資料を検察庁に引き継ぎます。告発しない事案につきましては、これは検察庁に引き継ぎをいたしませんで、その事件が終了いたしました際にすべて当事者にお返し申し上げております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 本件は検察庁に送らなかったというのでしょう。だから、全部返したのでしょうと言えば、そのとおりですと答えればそれでいいじゃないですか。それはそのとおりだからね。  もう一回、五十二年の八月から十二月にかけて、東京国税局か国税庁かで、やはりこの深石産業あるいはニッタンに対して、この査察を入れて追徴金を八億取ったことがある、こういうふうなことが言われているのですが、この事実はどうですか。あなたの方じゃ、ないと言うに違いないのだ。きのう聞いてみたら、そんな事実はないと言うんだけれども、ないということはない、あるというんだな、こっちの調べでは。だから、これはあなたの方で果たしてそういう事実があるのかないのか。これはある人から聞いたことなので、よく調べてください、あなたの方で。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  そのような事実はございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そのような事実はございませんというのは、調べた結果ないというならばそれは私それでいいけれども、調べもしないでそのような事実はないというんだったらだめですよ。よく調べてごらんなさい。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 調べた結果に基づく責任ある答弁でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の方の調べと相当違うわけですが、それはまあそれにいたしましょう。後でまた、さらによく私の方でも調べてみます。  そこで、このいま問題になっておりまする念書で、利権を与えるという言葉が出てくるわけですね。私は、こういう言葉が出てきて、しかも相当長い念書で、これに内務官僚の知事立候補者が署名するということは、ちょっと常識で考えられないのですけれども。  そこで、この利権の問題をめぐって、荏原インフィルコという合弁会社がありますね。この会社は、この念書のときに出てまいりまする立会人の久保田顕三というのがおりますが、これが社長をやっているのが東日本設備管理株式会社。それからもう一つ江戸総業というのがありますね。この東日本設備の中の取締役三名には、荏原製作所の関係の人が入っておりますね。相馬八郎という人も入っておる。その他の二人も入っておる。それから、この東日本設備というのと江戸総業というのは、社長は同じ久保田顕三で、取締役も同じ人も入っておる。こういう関係になり、これは荏原の出資が六〇%ともあるいはそれ以上とも言われておる会社なんですが、この荏原インフィルコの水道局の契約状況を見ますると、昭和四十九年、五十年から、ある数字があったものが、五十年は一億四千幾らですか、それが五十一年になって十五億二千三百万、非常にふえておるわけですね、荏原インフィルコは。ということは、その利権の一つがこの荏原インフィルコに対する水道の工事契約金という形であらわれてきておるのではないか、こういう疑いがそこに、出てくるわけです。  そこで、この荏原インフィルコに対して国税庁が調査をしたことがありますか。したことがあるとすれば、その内容についてお話し願いたい、こういうふうに思います。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。保存原インフィルコに対しましては、最近におきましては、昭和五十二年三月期と昭和五十二年九月期につきまして昭和五十三年の一月に、さらに昭和五十三年三月期と昭和五十三年九月期につきまして昭和五十四年の五月に、これは法人税の通常の調査をいたしております。  調査内容にかかわりましては、個別の法人のことでございますので差し控えさしていただきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その調査中に、去年の二月二十八日に経理担当重役が自殺したということが報ぜられておるのですが、この点については国税庁としては聞いておられますか。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  荏原インフィルコに対しましては、先ほどお答え申し上げましたように、昭和五十四年の五月に調査をいたして以後、その後昭和五十四年三月期以降につきましては現在まで調査をいたしておりません。  総務部長が亡くなられたという点につきましては、私は新聞等で拝見はいたしておりますが、その原因等については存じておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 荏原インフィルコがどうして急にこういうふうに契約高がふえてきたのか、こういうようなことについては、国税庁として疑問を持ってその点も含めて調査をされたわけですか。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 お答え申し上げます。  法人税の調査に当たりましては、当該企業の事業の概況等を十分見まして調査をいたすわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなことはあたりまえじゃないか。  それで、この調査の結論はどうなったの。

渡部周治国税庁長官

○渡部政府委員 通常の調査に基づきます更正決定を行っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そして、この念書に「利権」という言葉があるわけです。私はどうもよくわかりませんが、こんなことがあるのはレア中のレアだということをさっき申し上げましたが、これに基づいて——まあこれに基づくか基づかないかは別ですが、また別の、農地の転用というか、宅地開発をめぐっての問題があって、一つの覚書というものもまた出ておるというふうなことも言われて、いま各方面で調べておるのが実態である、こういうふうに私は思うのです。  そこで、この関係で知事とこの深石とが会ったときに、深石という人は総理大臣クラスの人の名前を挙げて言ったので知事の方では非常にこわくなったというふうなことを言っておる。その当時三十五、六歳ですからね、どうして五千万円という金がぽんと出たのか。この人はカーターに二億円寄付したとかいう話ですから、どこからどういうふうになったのかわかりませんが、そういうふうなことを言っている。また逆に片方から言わせれば、知事の方で頭を下げてぜひお願いしますというようなことを言った。こういうような念書が出てきた経過というもの、念書の内容、その後の経過、そういうようなことは私は非常に重要だと思います。  しかも、ここに、当時の農林部長であって、いま代議士をやっておる池田淳という人が立ち会っておる。それから、立会人の一人の篠塚という人は亡くなりました。それから久保田顕三という人は、深石の代理人となって金を四千五百万円受け取っておる。ところが、深石はそれを受け取らないとかなんとか言っておる。こういうようなことで、この問題をめぐるところの疑惑というものが、単に千葉県だけの問題ではない、これはもう単に自民党全体に対する一つの不信というだけでなくて、日本の政治に対する不信というものも非常に強烈に植えつけておる、こういうふうに私は考えるわけです。  そこで、総理にお尋ねをいたしたいのは、あなたは総理になられてから、政治倫理の確立とかあるいは金権政治の打倒とかいろいろなことを言っておられるわけですね。政治倫理の確立なり、金権政治をやめるとか派閥の解消をどうするとか、いろいろなことを言われましたが、あなたとしては、それに対して具体的にどういうことをいままでやってこられたわけでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 川上念書の問題は、政治倫理の上からいたしましてきわめて遺憾な事件でございます。本来、私は、政治倫理の確立という問題は、政治家の個人個人が常に身辺の清潔の面に対して配慮を払いまして、そして自粛自省をするということが根本であろう、こう思うわけでございます。  この川上氏の問題が中央の政界等にどういうかかわりがあったかということにつきましては、私はつまびらかにいたしておりません。しかし、一般的に申し上げまして、政治倫理の確立をする、これは日本の民主政治に対する信頼の問題であり、国民の信を失うようなことになっては大変な事態に相なるわけでございます。そういう観点から、できるだけ、選挙制度にいたしましても金のかからない選挙制度、個人本位の選挙から政党本位の選挙制度、また、いろいろの制度その他の面におきましても、改善を要する点は真剣に取り組んでいかなければならない、このように考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の質問は、ちょっとその問題と離れて、いままであなたは総理になられてから、政治倫理の確立なり金権政治をやめるということについてどういうことをやってこられましたか、こういうことを聞いておるわけです。だから、こういうことをやった、こういうことをやったということをお答え願いたい。あるいは忙しくてまだやれなかった、今後こういうふうにやるんだ、こういうことを具体的にお話し願えればと、こういうふうに思うのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 自由民主党におきましては、御承知のように党則を改正をいたしまして倫理憲章を制定をいたしまして、自由民主党の党員諸君は、その精神を踏まえて政治倫理の確立に努力をいたしておるところでございます。  さらに私は、国会におきましても、やはり国会全体として政治に対する信頼を保持する、確立をするという面からいたしまして、国会に倫理委員会を設けていくべきであるということで、この点につきましても自由民主党に指示し、これを国会の段階で各党各会派にいま御相談を申し上げておる。論議を尽くして早く成案を得るようにしてほしい、このように努力しておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 国会に倫理委員会を設けるということは国会が決めることであって、あなたが決めることではないわけですけれども、そんなことよりも、まず私は、具体的にまた話を戻しますが、この川上知事がこんな、常識で考えられないような念書を書いて——これは公知の事実ですね、四十九年の三月六日でしょう。立会人までつけて、それで一年三カ月かたってその金を返した。返したんだからもうそれでおれは清らかなんだ、潔白なんだ、政治倫理に関係ないんだと言って、それで知らぬ顔しておる。こういうようなことで一体日本の政治はよくなるのでしょうか。その点はあなたはどういうふうにお考えなんでしょうか。いや、利権絡みで金をもらった、五千万円もらった、しまっておいて一年何カ月たって返してしまった、はいさようなら、それで、そんなこと、おれ関係ないよ。こういうことで一体いいんだろうかどうか。あなたとしては、こういう事件について一体どういうふうにしたらいいのか、どういうふうに指導するのかということをはっきりおっしゃっていただきたい、こういうふうに思うのですよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 この政治倫理の問題は、私先ほど申し上げたとおり、個人個人が責任を持ってこれに当たらなければならない。川上念書に発するところの政治に対する不信、川上知事に対する県民のいろいろな批判、こういう点を承知いたしておりますが、これは川上君自身がいかにこういう世論の中で反省をし、どういう出処進退をするかということは、まず本人自身が決むべき問題である、このように考えますし、なお、自由民主党の千葉県連が、この問題につきましていろいろ対応を検討しておる段階でございます。私はその結果を見守っておる段階でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 結果を見守るというのは、それは言葉としてはそういうことになると思いますが、あなたとしては、こういうことは非常によくないことだということはわかっておるのでしょう。レア中のレアなんだ、よくないことなんだ。だから、こういうことをなくすために、千葉県連なら千葉県連に対して、どうするんだということをはっきり指示すべきではなかろうかというのが国民の声ではないか、こう私は思うのですが、この点、どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 冒頭に、私は心から遺憾の意を表しております。そして、党執行部におきましても、いま申し上げたように千葉県連と十分連絡をとりながらこの処理に当たっておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 この事件は、いろいろ申し上げましたように、いま非常に大きな問題になっておりますね。きわめて異例な事件であると同時に、異例というか、むしろ、あるいは本質的に自民党の体質に根差した事件であるかもわからないという理解の仕方もあるでしょう。そしてまた、この念書の解釈をめぐっていろいろ意見も分かれており、その場の状況というものも違う。そして、その後の利権の問題がどういうふうに具体的に発展をしてきたか。国民の政治倫理の確立の上から非常に大きな問題となっておることでありますから、この問題は単に千葉県連だけの問題ではなくて、国会士しても当然これらを呼んで全客を解明すべきだ、これが正しい政治のあり方であると私は考えるのでございます。恐らく自民党の諸君も、そういうことをしたら自分たちに不利になるから、これは呼ぶのはやめようじゃないかということは言わないだろう、こう私は思うのですね。言う人があったらば、ちょっと政治倫理の感覚というものが麻痺しておる人、こう私は考えるわけでございます。  そこで、委員長にお願いをいたしますが、当委員会でこの間の事情を明らかにし、同時に政治倫理の確立というか、こうした事件を再び起こさないということのためにも、国民の環視の的であるこういうことを十分踏まえた中で、お互い言い分が皆違っておりますから、その真相を明らかにする、こういう利権の巣を断ち切るということのためにも、知事の川上紀一、それから深石鉄夫、それからいま代議士になっております池田淳、それから久保田顕三ですか、これらを証人として当委員会において調べていただきたい。こういうことを委員長に対してお願いをしておきます。

小山長規自由民主党

○小山委員長 ただいまの件については、理事会で相談いたします。(「千葉県議会でやれ」と呼ぶ者あり)

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま、千葉県議会でやれとかなんとかという声を発する人があるのですね。これは理解の仕方がちょっとおかしいですね。こうやって逃げて、そして問題にふたをしてしまおう、こういう行き方は私は賛成をいたしません。一々そんなやじに応じておったのではしようがありませんから、やめますけれども。  いずれにしても、国会がこういうような人を呼んで十分真相を明らかにしてもらう、これだけの念書が出てしまった以上、それはもう当然そこまでするのが義務である、私はこういうふうに考えておりますので、ぜひ理事会において善処のほどを願いたい、こういうふうに思います。  そこで、政治倫理の確立についてもう二、三お伺いをいたしたいのでございますが、私は、これはいま自民党の中で問題となっておる、しかし、単に自民党だけの問題ではないと思うことは、これは日本の総理大臣が金で買われるというような印象を国民に与えることは非常によくないですね。従来そういうふうなことが仮になかったとは言えないということを考えますと、いわゆる総裁予備選挙というもの、これはあなた方の内部のことで、私どもが立ち入ってかれこれ言うべきことでないかもしれませんけれども、そのことについて、やはりそれが日本の金権腐敗政治の一番の根本なんですね。そうでしょう、それは。そういうふうに考えられるので、総裁が金で買われた、総理大臣が金で買われたなんということの言われないようにしてもらいたい、こういうふうに私は思うのですね。だから、それについて、総裁の予備選挙というものをどういうふうにするかということを、これはあなた方内部の問題かもわからないけれども、それについてお答え願えればお答え願いたい、こういうふうに思うのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私に関する限りは、さようなことはございません。  なお、自由民主党の党則、総裁選挙のあり方、これは自由民主党の党内の問題であり、せっかく検討中でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 検討中は結構なんですよ。だけれども、そのことで国民の間から日本の政党政治というものに対する不信の声が起きないようにしてもらいたい、こういうことを私は希望をいたしておくわけですよ、いいですか。それはおわかり願えるというふうに思います。  そこで、まだちょっと時間がありますからお聞きをしてまいりましょう。  私は、憲法の問題なり、それからいまの問題についてはこれから別の機会にまたお聞きをいたしますし、防衛の問題について二、三お聞きをしてまいりたい、こういうふうに思うのですが、いわゆる中期業務見積もりというものが、これはどういう経過でできて、そしてアメリカとの交渉はどういうふうに進んできたのか、こういうことをお聞かせを願いたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 中期業務見積もりについてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。  わが国の防衛力整備の進め方につきましては「防衛計画の大綱」、これは昭和五十一年十月二十九日閣議決定になっておりますが、これが制定されて以来、政府レベルとしては一定期間を限りた防衛力整備計画を作成する方法はとらず、各年度必要な決定を行ういわゆる単年度方式を主体とすることとなりました。  一方、防衛庁が「防衛計画の大綱」に基づき逐年の防衛力整備を進めていく上では、重視すべき主要な事業についてある程度その将来の方向を見定めておくこともまた必要なことであります。そのような観点から、毎年度の予算概算要求等を作成する際の参考として中期業務見積もりを作成することといたしたのでございます。そして具体的には、五十二年四月「防衛諸計画の作成等に関する訓令」を防衛庁は制定いたしまして、これに基づきまして五十四年七月、五十五年度から五十九年度までを対象とする中期業務見積もりを作成いたしたものでございます。  そして、アメリカへいつ話したか、こういうお話でございますが、いま申し上げましたとおり、現在の中期業務見積もりは五十四年七月十七日に作成され、同日その概要が公表されたものでありますが、米側に対しましては、同年八月に当時の山下防衛庁長官が訪米した際など、日米両国の防衛問題に関する意見交換の場において防衛庁の考え方を述べる際に、必要に応じその概要を説明しております。その内容はすでに防衛庁が発表した範囲のものであり、米側といたしましても、中期業務見積もりが防衛庁限りのものであることは十分承知しているものと考えております。  一方、米側からは、五十五年三月、当時の大来外務大臣が訪米した際などに、中期業務見積もりの一年早期達成についての希望表明がなされておりますが、これは厳しい国際情勢にかんがみ、日本がみずからの防衛力を速やかに整備するため、着実かつ顕著な防衛努力の強化を行う必要があるとの考え方から、このような希望表明が行われたものと理解いたしております。  いずれにいたしましても、わが国といたしましては、中期業務見積もりの早期達成につき米側に約束するというようなことはなく、日米安保体制を堅持するとの基本的態度のもとに、あくまでわが国の自主的判断に基づき、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成すべく防衛力の整備を行っているところであります。  以上、経過を御報告申し上げました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その中で大きな問題、一つは、これは防衛庁限りの計画なんですけれども、山下防衛庁長官がアメリカを訪問した際、相手方のブラウン国防長官に対して、防衛庁は今般このような五年間の見積もりをつくりましたというぐあいに説明された、こういうわけですね。何で防衛庁長官がアメリカに対してその内容を説明する必要があったのかということが第一点、いいですか。  その前に、七月二十五日に防衛庁長官は韓国を訪問していますね。なぜ韓国を訪問したのか。それから八月に山下防衛庁長官がなぜアメリカのブラウン国防長官にこういうものをつくったというふうに示したのかということです。これをお聞きしたいのです。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答え申し上げます。  五十四年の七月に中期業務見積もりを決定いたしました。その後、山下長官が訪米しました際に、わが国の防衛の進め方について説明をする際に、さきに決定しました中期業務見積もりの概要を説明した。それはすでに発表した範囲のものにつきましてわが方の考え方を説明した、こういうことでございます。  なお、韓国についてのお尋ねがございましたが、その方はちょっと政府委員から御説明させていただきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 韓国の訪問のことについては、その前の七月二十五日でしょう。そこまであなたの方で資料は用意されていないのでしょうけれども、これは後で聞きましょう。  そうすると、後から外務大臣の大来さんが訪米したときに、五年間でやることになっているけれども、最近の国際情勢は非常に厳しい、したがって、日本はこれを四年間で達成してほしい、こういうことを要請された。これが中業の前倒しです。こういうふうに外務省の安保課長は言っているわけですね。このようなアメリカの要請を受けて中業を、本来五年でやるところを四年でやるためには、実はもう今年一年間過ぎていますから三年間しか残っていない、あと三年でこの中期業務計画をやるためには、防衛費の名目の伸びが毎年約一五%以上必要となる、こういう事態になったわけです、こういうふうに言っておりますね。ということは、これはアメリカの要請をそのまま受けたということですか。どういうことなんですか、その間の経過は。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、先方から希望があったわけでございますが、これは希望でございまして、わが方といたしましてはあくまで自主的判断に立って進めているわけでございますので、いまお尋ねの点について約束したことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あと三年しか残っていないというのでしょう。そうすると、三年間で中期業務計画をやるためには、防衛費の名目の伸びが毎年約一五%以上必要となる、こういう事態になったんだ、こう言っているんですよ。その点はどうなんですかと聞いているのです。外務省の安全保障課長がちゃんと言っているんだから。その点どうなんですかと防衛庁長官に聞いているのです。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 中期業務見積もりの一年繰り上げ達成という希望が出ていることは先ほどお答えしたとおりでございますが、私どもは、中期業務見積もりを、五十九年まででございますけれども、五十九年を全くゼロにして五十八年までに全部やってしまうという意味での繰り上げは考えておりません。私どもは、早期達成ということを言っているわけでございますけれども、中期業務見積もりの中の主要なものにつきましては早期達成を図りたいと考えて、いま努力をしているわけでございますが、一年繰り上げということを考えておるわけでもございません。ましてや、アメリカ側にそういう約束をしたことはないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、「防衛計画の大綱」の別表があるでしょう。別表と中期業務見積もりとの関係で、またそれに届かないというのでしょう。届かない点は何と何が届かないのか。これはいますぐと言っても無理だから、この次の総括質問までにちゃんと表をつくってやってきてほしい、こういうふうに思います。  それから、防衛局長、あなたは一体この五年計画、中業の見積もりで、正面装備については幾らぐらいかかるというふうに考えているのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 中期業務見積もりで計画しております正面装備につきましては、五十四年度価格で五年間に二兆七千億ないし二兆八千億かかるであろうというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあなたはほかでも言っている。そのとおりだ。そうすると、これは五十四年度価格でそうなんだから、五十五年価格なり五十六年価格に直すと、大体幾らになるのですか。いますぐわからなければこの次でも結構ですが。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 五年度通しまして伸びを計算しておりませんので、あくまでも私どもは、五十四年度価格の実質で現在見込んでおるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、いま言ったことはこの次までによく整理をしてきてもらいたい、こういうふうに思います。  そうすると、この中期業務見積もりというものを当面の目標としてやってきておるわけですね。これについては、伊東外務大臣も別のところで答えているのですよ。アメリカからは着実かつ顕著にという言葉があって、それに対して大平さんが答えた。そのことに対しては、アメリカ側は日本が承知をしたというふうにとっておる向きがあるので、自分も本当に困っているんだということをあなたは答えているのですね。それは後で、この次のとき資料を出しますから。  だから、約束をしたというのが本当なんですよ。少なくとも約束をしたととられるような言動をとったことは間違いないので、これは約束したのならしたでいいじゃないか。そういうように表明をした、そのことをアメリカ側は当然日本も約束したというふうにとっているんだ、これならこれでいいんじゃないですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いま稲葉さんから大切なことの御質問でございますから正確に申し上げておきますが、亡くなりました大平総理が昨年五月カーターさんに会いましたときに、大統領が希望を表明したことは、政府部内にすでにある計画がより早く完了されるならば、アジアの平和と安定のために日米双方にとって有益であると考えられるというふうな発言があったわけでございます。これに対して大平総理が——その前段はいろいろあります。日本の法律の制約とかいろいろなことをアメリカが理解したということがあるので、それに対する答えは別としまして、右に対して故大平総理の発言は、わが国が防衛努力について真剣に検討していく旨を一般的に述べたものである、こういうことで、真剣に検討するということを言ったことは、これは一般的に言ったわけでございます。向こうも中期業務という名前は出ていないのです。すでに政府の中にある計画という抽象的な言葉で出ているのです。ということが確かでございまして、これは中期業務計画の繰り上げを約束したとかそんなことじゃないのです。私もあの当時、その点に非常に関心を持って確かめたこともありますし、いろいろ言ったのでございますが、大平総理はそういうことを約束したんじゃない。防衛努力については真剣に検討している、こういうことを言ったわけでございますので、その点はひとつ稲葉委員、誤解ないようにお願いします。

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十五年度補正予算三件についての質疑は終了いたしました。     —————————————

小山長規自由民主党

○小山委員長 これより昭和五十五年度補正予算三件を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。越智通雄君。

越智通雄自由民主党

○越智(通)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度補正予算三件について賛成の討論を行います。  御承知のとおり、世界経済は、近年における石油価格の大幅な値上がりの影響を受けて、各国とも物価の高騰や国際収支の不均衡、さらには景気の後退に悩まされ、いまだ不況を脱し得ず、中期的な世界経済の展望は必ずしも楽観を許さない状況にあります。  わが国においても、昭和五十五年度における石油価格の急激な高騰による物価の上昇と国内景気のかげりに対応するため、経済各部門においてそれぞれの努力が続けられ、政府は、景気と物価の両面に配慮した経済政策の運営を続けてまいりました。この結果、昭和五十五年度におけるわが国経済は、消費者物価上昇率七%程度、経済成長率実質約四・八%と見込まれ、また、失業率においても約二%とかなり良好な実績を示しており、このことは諸外国からも高く評価されていることは皆様御案内のとおりであります。  わが国がこのように比較的好調な経済を維持することができましたのは、国民の節度ある消費態度と民間経済主体の賢明な対応姿勢に負うところが大でありますが、同時に、政府・自民党が景気の動向に細心の注意を払いつつ、早目早目に諸施策を機動的に運営し、経済環境の整備を図ってきたからにほかなりません。この結果は、財政面においても租税収入の増加となって如実にあらわれております。すなわち、所得税や法人税の増収を初め各税目を通じて、昭和五十五年度中に七千三百四十億円の増収が見込まれております。  今回の補正予算は、この年度内の自然増収のほか、専売益金の増収分約二百四十四億円、前年度剰余金約三千二百六十四億円等の合計一兆九百二十五億円を歳入に追加計上するとともに、昨年夏全国を襲った異常低温等による農作物の被害に対する農業保険費、年度内に発生した災害の復旧費、国家公務員の給与改善費、野菜価格安定対策費等、当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった事項などについて所要の追加措置を講ずる反面、既定経費の節減等を行おうとするものでありまして、国民生活の現状にかんがみ、まことに時宜を得た適切な措置であり、心から賛意を表する次第であります。  ことに、既定経費約七百三十八億円の節約につきましては、財政健全化を目指す政府の姿勢の一端を示すものとして、これまた心強く感ずるものであります。  ところで、野党の一部では、今回七千億円余の年度内自然増収が出たことにつきまして、これは当初予算編成時における税収見積もりの誤りか、または意図的に過小見積もりをしたことによると申しておられます。しかし、最近のように経済変動の激しい情勢のもとでは、見積もりの多少のそごはもともと避けられないことであり、また、今回の自然増収の額は当初予算で見積もった税収二十六兆四千億円の三%弱に過ぎず、野党の批判は全く当を得ないものであります。  問題は、むしろ、毎年行われてきた人事院勧告に対し予算上いかに対応していくかであります。今後とも厳しい財政事情のもとで、当初予算編成後の公務員の給与改善費が一千億円を超える多額に上ることは財政上の構造的問題であり、年度途中で出されている人事院勧告の取り扱いについては、今後、政府において、経済社会情勢等を十分考慮して慎重に再検討されるよう要請いたしたいと存じます。  なお、この際もう一つ要望しておきたいと思うのが物価問題であります。  わが国の消費者物価は、昨年半は以降の卸売物価の落ちつきを反映して、秋口から次第に騰勢鈍化の傾向が定着しかけておりましたが、今回の東北、北陸地方を初めとする豪雪の影響などによって野菜類の値上がりが見られ、これが消費者物価上昇の原因となっております。  政府は、去る二月六日の閣議において、この野菜価格を引き下げるため野菜の出荷促進とキャベツの緊急輸入等を行うべく、予備費から約二億円を投入することを決定されたのでありますが、今後とも、情勢に応じて適宜適切に鎮静措置を講じられるよう政府に強く要望いたしておきます。  わが国は、これまでも幾多の政治経済上の困難な諸情勢に直面しましたが、われわれ自民党は、常に現実的な政策づくりとその遂行能力を遺憾なく発揮して、国民各位とともに今日のわが国の繁栄を築き上げてまいりました。  今後私どもは、わが自由民主党及び鈴木内閣に寄せられている多数国民の御期待にこたえるべく、民間経済活動の自立的拡大を促進して経済の発展を図り、国民生活の一層の向上を目指して精いっぱいの努力を続ける決意であることをここに表明し、私の賛成討論を終わります。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 次に、川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております五十五年度補正予算三案について反対の討論を行います。  そもそも補正予算は、当初予算成立後の経済社会事情の変化に伴い政策の変更が必要であるなど、必要やむを得ない場合組むべきものであるわけであるが、その内容は、国民が直面しておる課題に適切に対処するものでなければなりません。しかるに、この補正予算三案は、本予算の不適切な点に起因する内容を多く含み、物価上昇等国民生活の困難を解決するものになっておりません。そこで、四点にわたり補正予算に反対する理由を明らかにするものであります。  反対理由の第一は、物価対策と減税についての適切な措置を欠いていることであります。  本年度の消費者物価の上昇を六・四%にとどめるという公約を政府が守れず、八%の上昇になろうとしている中で、勤労者の昨年の実質賃金が一九五二年の調査開始以来初めて〇・九%減少するという深刻な事態に至っているのであります。さらに、政府が三年間も物価調整所得税減税を行っていないため、勤労国民はいままでにない重い税負担を強いられているのであります。  したがって、この際、戻し税による三千億円の年度内所得税の減税を行うべきであり、また、物価上昇に対しては、与野党四党合意に基づき、物価抑制のため有効な措置を講ずるべきであります。なお、減税財源を確保し、不公平税制を是正するため、会社臨時特別税を復活し、史上空前の利益を上げている大企業に対し適切な課税を行うべきであります。  反対理由の第二は、当初から補正予算を前提にし、総合予算主義を危うくする予算編成がなされている点にあります。  その最たるものは税収の意図的な過小見積もりであります。わが党が当初から指摘したとおり、税収見込みの追加額が出てきているではありませんか。大蔵省による税収の過小見積もりは、歳入不足を過大に見せかけ、大衆課税や福祉切り詰めを図り、一般消費税または大型消費税導入の口実をつくるためのものではありませんか。  国家公務員の給与改善費を当初予算でわずかしか計上しないことも不適切そのものであります。本予算における二・〇%の給与改定率は、現実とは全くかけ離れたものであると言わざるを得ません。これは公務員だけの問題ではありません。政府が経済見通しで雇用者所得の伸びを低くし、賃上げを抑制しようとするのと軌を一にしたものであります。  わが党は、このように当初予算であらかじめ歳出、歳入見積もりを意図的に操作し、安易に予算を補正するやり方に反対しているのであります。この傾向が来年度予算においてはさらに強まっていることも見逃しにできません。  反対理由の第三は、地方財政に対する軽視と圧迫であります。  本年度に生じた法人税、所得税、酒税の増収額の三二%は、本年度の地方交付税交付金として地方自治体に交付すべきであります。しかるに、昨年度に引き続き今年度においても三千七百五億円を次年度に繰り越しているのであります。これでは、地方の時代と言われているのにもかかわらず、地方を軽視し、地方財政の不適切な財源対策を助長するものと言わざるを得ません。  反対理由の第四は、国債の減額が行われておらず、既定経費の節減が不十分なことであります。  会計検査院が指摘した五十三年度の経費の不当支出等だけで二百七十億円になり、不要不急となった行政機関や特殊法人、補助金等が多く残っているにもかかわらず、これらを整理し、冗費を削減した跡が何一つうかがえないのであります。行政経費のむだを省き、不公平税制を是正するならば当然なし得る公債発行の減額を行おうともせず、財政再建を危うくしているのであります。  以上の理由によりまして、私は、補正予算三案に反対し、討論を終わります。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 次に、草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度補正予算三案に対し反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、五十五年度当初予算における税収の過小見積もりについてであります。  五十五年度補正予算案では、租税及び印紙収入を七千三百四十億円追加計上いたしております。言うまでもなく、税収の正確な見積もりは、適正な資金配分を行う上で欠かすことのできない条件であります。もし、税収が過小に見積もられるとするならば、それは福祉予算が削られたり、いたずらに増税がまかり通ることになるのであります。当委員会においてわが党の矢野委員は、政府が発表した「財政の中期展望」に対し公明党試算を示し、中期展望における税収の過小見積もりをただしたのでありますが、税収の過小見積もりは政府の増税キャンペーンの道具にさえ使われかねません。  政府は、昨年の五十四年度補正予算でも一兆九千九十億円の租税及び印紙収入の追加補正をいたしました。五十四年度にはさらにその上に三千三百三十五億円もの決算剰与金が発生したのであります。五十四年度に引き続く五十五年度の巨額な税収の過小見積もりの責任は重大であると言わなければなりません。  五十五年度に正確な税収見積もりが行われていれば、われわれが当初予算の審議に当たって要求した予算修正の財源は十分に賄うことが可能であったと言えます。このことは、五十六年度予算案における税収見積もりについても疑問をはさまざるを得ないのであります。  反対する第二の理由は、給与所得者に大幅な見えざる増税を押しつけながら、補正予算案ではその調整措置を講じていないことであります。  さきに述べた七千三百四十億円もの年度内増収見込みのうちには、給与所得に対する源泉所得税が二千億円近くを占めております。五十五年度のそれは一兆二千三百三十億円もの増収になったのであります。こうした給与所得に対する源泉所得税の増収は、五十三年度以降所得税減税が見送られ、所得税の課税最低限が据え置かれている結果にほかなりません。まさに給与所得者に対する見えざる増税の実態であります。  わが国の所得税制は、基礎控除等の所得控除が定額で、給与所得控除は所得の伸びより低い伸び率でしか増加いたしません。また、課税所得には累進税率が適用されるのであります。少なくとも物価上昇に伴う課税最低限の調整を行わなければ、必然的に給与所得者は実質増税を余儀なくされるのであります。  政府は、五十五年度予算編成においてわれわれの所得税減税の要求には耳を傾けようとはいたしませんでした。源泉所得税の増税が四千三百二十億円の巨額に達する以上、物価調整措置をとるのは当然であります。給与所得者の税負担の増加に目をつむろうとする本補正予算案を認めることはできません。  反対する第三の理由は、著しい物価上昇が続いているにもかかわらず、本補正予算案において物価安定に積極的に取り組もうとする姿勢が欠如していることであります。  政府は、五十五年度の物価上昇率を六・四%に抑える旨、言明をいたしました。ところが、さきに発表した改定経済見通しては、この公約を放棄し、七%程度に修正してしまったのでおります。物価の著しい上昇は実質賃金の減少というゆゆしき事態を引き起こし、個人消費の低迷、そして景気の停滞をもたらしているのであります。しかも、物価情勢は、この七%の達成すら絶望視され、八%程度の上昇が危惧されています。  本来であるならば、五十五年度予算修正で社公民三党と自民党が合意し、政府が有効活用を約束した物価対策費五百億円を補正予算案に計上し、その具体策を講ずるのが筋であります。昨日、われわれは、この物価対策費の具体的活用を提示いたしました。この際、改めて物価対策費の適切な活用を含め、政府が物価安定を実現する具体策を速やかに実施するよう強く要求するものであります。  以上、補正予算三案に反対する主な理由を申し上げ、討論を終わります。  以上です。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 次に、林保夫君。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計補正予算等三案に対し、反対の討論を行います。  昨年、わが国経済が比較的安定的に推移した背景には、民間企業の努力、特に中小企業のバイタリティーと、民間労組を中心とした勤労者の生産性町上への努力並びに賃上げの合理的自粛の成果があったことは、高く評価されねばなりません。しかるに政府は、その公約であった消費者物価上昇率六・四%への抑制に失敗し、そのために勤労者の実質賃金は、戦後初めて一月から十二月までマイナス〇・九%を記録したのであります。消費者物価上昇率は、政府の改定見通し七%程度についてもなおその実現の見込みはほとんどなく、八%前後にまで高騰することは必至の情勢であります。このような結果をもたらした政府の責任は厳しく糾弾されなければなりません。この状態を放置するならば、一層国民の生活困難、不満を惹起することはもちろん、労使間のよき慣行が破綻を来さないとも限りません。この際、政府は、勤労者の生活水準を最低限維持するため物価調整減税を年度内に実施すべきであります。にもかかわらず、補正予算においてこの措置がとられていないことはきわめて遺憾であり、わが党が補正予算に反対する第一の理由でもございます。  反対する第二の理由は、税収の見積もりに余りにも大きな狂いが生じたことであります。  租税及び印紙収入が当初予算に比べて七千三百四十億円もの増収を見込むに至ったことは、単に財政当局のずさんな見積もりというにとどまらず、政府は意図的な税収の過小見積もりによって財政危機をアピールし、大衆増税の導入を画策しているとしか考えられないのであります。五十四年度における二兆二千四百二十五億円もの税収見積もりの狂いに続いて、五十五年度においても税収見積もりを大幅に狂わせた財政当局の責任はきわめて重大であります。  第三に、行政経費の節減がきわめて乏しいことであります。  今回の補正予算には、既定経費の節約及び不用額の減額措置として七百三十九億円を計上しておりますが、そのうち、政府の歳出削減の努力によるものはまことに微々たるものであります。一方で、会計検査院が例年指摘するように、各省庁等の予算のむだ遣いは後を絶たず、たとえば五十四年度決算では実に五千七百二十四億円に達する事実を前にして、国民は、このような一時しのぎの経費の節減に決して納得するものではないのであります。政府は、民間の血のにじむような経費節約、減量経営の努力にならい、断固たる決意で行財政改革を推進すべきであります。  第四に、昨年の冷害の救済が不十分であったことであります。  わが党は、被災地を救済するため、補正予算または予備費により救農土木事業の本格実施など各般の施策を講ずるよう政府に強く要求いたしました。しかるに、政府のとった措置は、第三・四半期の公共事業の前倒しにすぎず、被災地の救済が十分になされなかったことはきわめて遺憾であります。  第五に、財政投融資計画に関してであります。  第二の予算ともいうべき財政投融資は、資金の繰越不用額が多額に、しかも恒常的に発生しており、融資対象機関のあり方を含め、財政投融資計画を根本から見直すべき時期に来ております。にもかかわらず、今回の補正予算に見られる措置は、従来の惰性的な運用の延長線上にあると言わざるを得ません。  以上、五十五年度補正予算三案に反対する主な理由を申し述べましたが、この際、政府は、われわれが指摘した以上の諸点について十分な反省を加えられ、改善の措置を講ぜられるよう希望して、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、昭和五十五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、本案が制度上当然の農業保険、公務員給与、余りにも少ない災害復旧補正以外には、国民生活防衛のための積極施策を何一つ講じていないことです。  昨年、勤労者家庭の実質収入は戦後初めて前年を下回りました。農家も二年連続農業収入を低下させられた上に、冷害の苦しみに遭っています。個人消費の不振は、中小企業経営にもはね返り、昨年の倒産は実に史上第二位を記録しました。  国民生活防衛は急務であります。そしてそれは、当面の経済危機打開のためにも、財政再建のためにも不可欠の課題です。しかも、そのための財源は十分にあります。税の年度内自然増収は七千七百億円にも上り、予備費も二千億円が手つかずで残されています。これをわが党が申し入れたように、生活保護者、老人ホーム、障害者施設入居者など六百万世帯に上る生活困窮世帯への一世帯当たり二万円の緊急生活資金の支給や物価抑制を初めとする生活防衛対策に振り向けることは、やる意思さえあれば簡単にできることであります。  ところが、政府は、その措置を全くとらず、国民に冷酷な仕打ちをもって臨んできたのであります。それがこの補正であり、絶対に認めることはできません。  反対の理由の第二は、防衛費の問題です。  五十五年度当初予算は、疑惑がらみのP3C対潜哨戒機、F15要撃戦闘機の大量購入、米軍地位協定上も何らの義務のないいわゆる思いやり予算の拡大など、最悪の不要不急経費である防衛費を大幅に増額する危険な道を選択しました。しかも、補正予算では、軍事費を削って暮らしと福祉、教育の充実を求める国民世論を無視して、一円の減額も行わなかったばかりか、逆に、戦闘機、戦車、軍艦などのための石油購入費を百三億円もふやしたのを初め、合計で三百六十三億円も追加したのであります。防衛費のこの増額は、いまでも少ない中小企業予算や国立研究機関の研究費、地下鉄建設のための補助金等をさらに削り取ったことと著しい対照を見せています。  反対理由の第三は、補正予算が地方財政の困難をさらに深刻にしていることです。  税の年度内自然増収に伴って地方交付税も四千六十九億円追加されますが、それはすべて来年度の交付税財源に繰り延べられ、豪雪対策費の急増など、いま財源不足に苦しんでいる地方自治体の手には渡さないのであります。これは来年度の国の負担を軽くするために、交付税制度の本質をゆがめるものであり、絶対に許すことはできません。  以上、幾つかの理由を申し述べましたが、私は、国民が政治に期待するものを踏みにじっている本補正予算に強く反対することを強調して、討論を終わります。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 次に、中馬弘毅君。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬委員 私は、新自由クラブを代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計補正予算外二件に対して、賛成の立場から討論を行うものであります。昨年夏の異常低温による農産物等の被害補てんのため措置される農業保険費、また災害復旧等事業費については、事態の深刻さにかんがみ当然の措置と考えるものであります。  人事院勧告の実施に伴う国家公務員の給与改善につきましては、さきに、わが党が内閣委員会において指摘したとおり、人事院勧告制度のあり方に疑義を持つものでありますが、現在の勧告制度が存在する以上、その財源の裏づけとしての本補正予算の給与改善費計上を是とするものであります。  この件に関連して、わが党はさきの臨時国会で、給与法改正と同時に、公務員定年制を導入するための国家公務員法の一部改正案、民間の実情等を考慮し、退職手当の支給割合を改めるための国家公務員等退職手当法の一部改正案、この二法案を審議することを主張いたしました。給与改善の指標となるのが民間給与の実態ベースであるならば、定年制の導入や退職手当水準も民間に準拠するのは当然のことであります。かかる観点に加え、財政再建が急務である現況からして、給与改善法のみの成立は民間納税者の心情を裏切ったと言わざるを得ないのであります。したがって、公務員給与改善費の計上は、継続審議となったさきの二法案の今国会における速やかな審議、成立を前提としてのみ認められる性格のものと考えるものであります。  一般会計の歳入補正につきましては、前年度剰余金受入額を除いた補正額が七千六百六十億円余となっておりますが、この額は、当初予算編成時における歳入見積もりの妥当性について疑問を持たせるに十分な額ではないかと考えます。当初予算審議は、当局の歳入見積もりに一応の信頼を置いて行われている現状から見て、このような大幅な見積もりの狂いは、単純な誤差として見逃せる性質のものではないと考えます。今後の歳入見積もり算定に際しては、より正確な積算技術を検討されんことを望むものであります。  以上をもちまして、新自由クラブを代表しての私の賛成討論を終わります。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————

小山長規自由民主党

○小山委員長 これより採決いたします。  昭和五十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して採決いたします。  右三件に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

小山長規自由民主党

○小山委員長 起立多数。よって、昭和五十五年度補正予算三件は、いずれも可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小山長規自由民主党

○小山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

小山長規自由民主党

○小山委員長 次回は、来る十二日午前十時より公聴会を開きます。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十九分散会

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