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94回国会衆議院1981/02/07

予算委員会 第5号

発言数
166
登壇者
17
会派数
2
開催日
1981/02/07

会議録

小山長規自由民主党

○小山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総理に見解というのか、考え方をお尋ねしたいのですが、ここ数日来の国会の審議の混乱、空転、これに対して自民党の総裁、総理としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、責任をお感じになっておられないかどうか、その点ひとつ伺いたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 この一両日間における予算委員会の審議の状況につきましては、与野党それぞれ御主張、御意見があるわけでございまして、そこに食い違いがあったり、また意思の疎通を欠いたりというような点がございまして、審議がしばしば中断をしております。しかし、予算委員会における理事の皆さんや、また各党の国会対策の皆さんのあくまで話し合いによって正常化をしようという御努力によりまして、きょうこうして審議が軌道に乗るということになりましたことにつきまして、私は深く敬意を払っておるわけでございます。  今後、やはり与野党あくまで話し合いを通じまして、国会の正常な運営を図ってまいるようにいたしたい、このように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総理も、委員会における質疑、答弁等をずっとお聞きになっていらっしゃいますね。たとえば防衛庁の竹田発言に対して、政府側の答弁は質問者によって二転、三転する。また、閣僚の談話、いろんな点を聞いたり読んだりいたしましても、同様の感じを私は受ける。  ましてや、武器輸出の問題に対しては、時間の関係もありますから私は経過は申し上げませんけれども、法的措置をとるということに対して、与野党は予算委員長同席の中で合意をした。小宮山委員が私に、こういうことで合意ができたから質問をしてくれと言ったのが、委員会が終了する予定時刻の六時だった。それは無理だ、これから質問をするということになれば深夜に及ぶではないか、そういうことであった。ところが、その夜、田中通産大臣からクレームがついた。翌日は、この「とる」というのを「はかる」ということに変えてくれと言う。私どもは、一たん合意をしたことであり、問題はあるけれども、審議に協力をするという意味でそれに応じた。  ところがどうでした。閣議の中ではかんかんがくがく、行政に関する問題を国会運営の関係でいろいろとねじ曲げるといったようなこと、これは問題だといったような議論も出たやに伝えられている。また、田中通産大臣の記者会見の中で——私は直接この談話を、通産大臣が話をしておることを聞きました。  立法府の合意をしたことを行政府の方でクレームをつける、そのこと自体が私は行き過ぎだと思っています。一歩譲って、与野党間で合意をした、そしてそのことが、政府が知らない間に合意をしたというならば、政党内閣制ですよ、これは政府と与党の間の連絡不十分であって、その責任は挙げて私は政府・与党にあると思う。そういうことで、与野党の合意をじゅうりんする、踏みにじる、まことにけしからぬ態度だと私は思います。  昨夜の国会対策委員長会談の中で一応合意を見ましたから、私どもは審議に入ることにいたしました。だがしかし、問題は後に残っています。その合意に基づいて、政府が責任を持って、あるいは与党の中でその合意に基づいて政府と連絡を十分とりながら納得する措置をおとりにならなければ、また再び混乱が起こるであろうことを私は憂慮いたします。そういうことになったといたしますならば、挙げてこれは総理の責任だということを申し上げておきます。  総理、あなたは和の政治ということを強調されております。和の政治というものは、信義を重んずることが和の政治でなければなりません。だから、あなたの指導性の欠如というものがこのような混乱を招いておるということを私はあえて指摘をいたします。この点に対するあなたの所信をひとつ伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いろいろの経過があったようでございますが、しかし最終的に各党の間で合意された事項につきましては、今後、誠実に私ども、政府・与党協力をいたしましてやってまいる考えでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 具体的な審議に入る前に、大蔵大臣ほか関係大臣にお尋ねをするのですが、日米独共同の石炭液化プロジェクト、新聞報道によりますと、アメリカが予算局においてこれを計上しないという方針を決めたというように伝えられています。天谷審議官はそのために急遽アメリカの方へ行ったということなんですが、五十五年度において日本側はすでに二十億円の支出をいたしている。五十六年度の予算も計上しているわけですが、もしこれが中止になるということになってまいりますと、当然予算の修正ということをやらざるを得ないのではないかと私は思います。この点に対してはどのような情報をお持ちになり、どのようにお考えになっていらっしゃるのか伺いたい。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 いまの御質問は、SRCIIの石炭液化のプロジェクトの問題だと思います。  これは御承知のように、西ドイツ、日本、アメリカ三国共同開発のプロジェクトでございまして、当時の大平首相がカーター大統領とお約束して、日米科学協定に基づいてでき上がったものでございまして、すでに十四億ドルを決めまして、その中はアメリカが五〇%、日本が二五%、西ドイツが二五%というシェアで発足するというアグリーメントも出ておりますし、すでに五十五年度の予算では、日本もいま中村議員御指摘のような予算を使っておりますし、五十六年度も計上しているわけでございます。  私ども、新聞報道でそういうことをアメリカがやったということを聞いておりますけれども、正式の通告はまだ来ておりません。したがって、いま鋭意これを確かめ中でございますが、私どもはこれを正式には受けておりませんし、アメリカの予算局がそういうことを言っているんだという報道を受けておりますので、もちろん、正式な通告を受けてから態度を決めなければなりませんけれども、私が頭に描いていることを申し上げますと、日本の場合でございますとちょうど予算原案を出した。アメリカもそういうことを出した。それで、レーガン政権はそれを受けて立って、これからどうするかというようなことに道行きがなるんじゃないかと思います。そうした場合に、ちょうどいま大蔵省と通産省という関係で、大蔵省が政府原案を出した、私どもはそれに対して全面復活だというようなことをやったりやられたりするわけでございますが、もしも予算局がそういう案を出したとするならば、これを全面復活というようなことをしなければならないのじゃないかというふうにいま思っておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私は、いま通産大臣の考えられたような方向になることを望むんですよ。しかし、レーガン政権は、小さい政府ということから、相当思い切った削減等をやっていく。私は、この問題はその一つのあらわれだというふうに思うんですよ。それから西ドイツの方は、これもまた歳入不足というので、これを予算に計上しないという方針を決めたというんですね。見込み薄だというように思うのです、せっかく努力をされても。そういうことになってくると、これは大蔵大臣、どうしても予算の修正をしなければならぬようなことに追い込まれてくるのではないかと思うのですが、どのような見解ですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま通産大臣の御報告されたとおりで、それ以上のことは私もわかりません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私は予算の修正をやることを望んで言っているのじゃないのです。心配しているのです。また、混乱をすることもできるだけ避けなければならぬと思っている。素直な気持ちで質問しているのだから、素直な気持ちで、形式ではなくて、あなたの得意のざっくばらんに思ったことを言う、逃げの答弁はいかぬ、そういうことで素直に答弁してください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは素直に答弁しているのでございまして、予算局長が何かそういうようなことを言ったという新聞報道は聞いておりますが、なかなかあそこも、議会もございまして、そういうことは進めなければならないという強い推進者もいるわけです。したがって、まだどういうことになるか、実際わからないというのが真相じゃないか、そう思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それはまだわからないということだと思うんですよ、いろいろ情報をとっているのだから。しかし、もし不幸にしてそういうことになったならば予算の修正をせざるを得なくなるんじゃないだろうかということで、私は質問をしたわけなんだ。だから、そういう意味で素直に答弁をしてほしい、こう私は申し上げたわけだから、最大限努力をしてこのプロジェクトが成功するように、ひとつ通産省も外務省もやってもらわなければならぬということを強く要請をしておきます。  具体的な質問に入るのですけれども、きょうはエネルギーとか海外経済協力について、総理がせっかくASEANにもおいでになったわけですし、お尋ねしたいと思っているのですけれども、欲張ったわけじゃないのですけれども、国民生活に大変大切な問題をできるだけお尋ねしないと思うのです。したがって、総論的な質問になり、具体的な問題は一般質問あるいはその他の機会に譲りたいと思っておりますが、まず、石油のやみカルテルの問題について、公正取引委員長お見えですからお尋ねをいたします。  石油のやみカルテルの判決によると、公取は怠慢であるということを指摘されたわけです。まず、その点に対して公取委員長はどのようにお考えになっておられるのかということをお尋ねするのですけれども、その前に、石油やみカルテルということであのような判決があったということ、それから通産省あるいは公取に対して怠慢であるということを指摘されたこと——かつて、第一次石油ショックのときに通産省の事務次官であった山下次官が言われた、石油資本は諸悪の根源である、あの大混乱を起こしたというようなこと等を考えてみるときに、今日の石油事情といったような問題もあるわけなんですが、総理は、この判決に対してどのような考え方を持ち、今後どう対応していかなければならぬとお考えになっておられるのか、その点を一応伺ってから、公取委員長のお答えを願います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、あのような判決が出ました以上、今後その判決の趣旨を踏まえまして行政は適切に進めていかなければいけない、このように考えておりますし、また、産業界におきましても独禁法違反というようなことが今後行われないように、厳にこれを強く指導してまいりたい、こう思っております。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 昨年九月二十六日の東京高裁の石油判決の意義につきましては、ただいま総理から概要お答えがあったところでございますし、また、私どもの受けとめ方につきましては昨年の臨時国会の当委員会でもお答えをしたところでございますが、重ねて中村委員から御指摘がございました公正取引委員会の権限の過小行使と申しますか、あるいは怠慢と申しますか懈怠と申しますか、そういう点につきまして裁判所の判断として示されたことに対しましては、厳しく受けとめておるわけでございます。  それで、裁判所の判決文を繰り返し拝読いたしておりますが、昭和四十一年、四十四年、四十六年の三回にわたりまして公正取引委員会の行政のあり方につきまして指摘をされた部分にまいりますと、わきの下から冷や汗が出るような思いをいたすわけでございまして、そういう裁判所の評価に対しますお答えとしましては、昭和五十四年には「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というものを作成、公表いたしておりますし、また、昨年の第二・四半期における産業界における減産のあり方につきまして調査いたしましたのも、裁判所の評価、判断に対する一つのお答えになるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、そういう点で、裁判所の評価に対しましては厳しくこれを受けとめまして、今後自戒してまいらなければならないというふうに考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 通産大臣、あなたはこの判決に対して、指摘を受けているわけですが、これからの行政指導ということをやっていかれるという意向のようにも伺っているわけですが、どのような指導をしようとしておられるのか、その指導のあり方、考え方ということについてお答え願いたい。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 行政指導というのは、やはり日本にとっては大久保利通の官僚機構が成立して以来の非常に長い伝統を持っておりまして、本当の意味の法律に基づいたものではなくて、その点、責任のあいまいさを非常に指摘されております。  いろんな問題があるわけで、今回と申し上げますか、昨年のああいう判決につきましては、生産調整においては一応シロ、価格調整はクロということになっておりますけれども、その中で行政指導というものに対する考え方については、やはり私は、かなり肯定的ではない、むしろ否定的な面が強いと思っております。したがって、私どもも十分反省をしなければならない。したがって、いまの行政指導というものをしみじみ考えてみますと、私どものそういう産業行政、産業の一つの行政のあり方というのは、あくまで市場機能を発揮するということでございます。しかし、非常に経済の緊急性を持つとか、あるいは国家の重大な点というようなことになりますと、必ずしも法律によることがない場合あるいはどうにもしようがないというようなときは、やはり一つの官僚機構が行政指導という名のもとでやっていかなければならないんじゃないかというふうに思いますし、行政指導を全面的に否定するという考えは、いま私は持っておりません。  ただ、もう時代も非常にパーティシペーションと申しますか、非常に皆さんの意向を入れてやらなければならない時代、それから行政指導そのものが非常にあいまいさを持つというような点を考えますと、できるだけ法というものにのっとったものが国民も納得するんじゃないかというふうに考えますので、こういう時期になって、そろそろそういう大きな反省のもとに何かを確立すべき時期が来ておるんじゃないかという気持ちは持っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 判決後に公取は、行政指導の指針というものを公表するということを言われたようですが、その内容と、時期はいつごろになるのですか。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 行政指導と独禁法の関係につきましては長い歴史があるわけでございますが、昔の古いところは別といたしまして、比較的最近の幾つかの事件を申し上げますと、一つは、昭和四十九年三月のいわゆる狂乱物価の時代における、政府を代表しての法制局長官の答弁があるわけでございまして、これはいま通産大臣がおっしゃいましたような異例、緊急の事態における各省設置法に基づくある程度の行政指導が許される、こういう見解でございます。  それから、第二の一つの節目といたしましては、昭和五十四年に公正取引委員会が各省庁の承認を得まして作成、公表いたしました「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」の中に、行政指導がありましても、それによって事業者団体が独禁法違反の行為をした場合には違法性はなくならない、こういうことを決めておるわけでございまして、これが第二の節目であろうかと思います。  それから、第三の節目が昨年の九月の東京高裁の判決でございまして、この判決の中に示されました行政指導と独禁法とのかかわりの問題等につきましては、いま先生からお話ございましたように、われわれとしましては、問題点を整理をいたしまして各省に提示をし、各省の同意も得て、将来一つの判断基準というものを明らかにしたいというふうに思っております。  ただ、現状を正確に申し上げますと、事務局で作業をいたしまして一案をつくりまして、公正取引委員会で一通りの検討はいたしておりますが、まだ委員会としては仕掛かり品の段階でございまして、これは一部の省庁だけでなく多くの省庁にもかかわる問題でございますから、十分各省庁にもお話をしまして、一つの判断基準、問題点の整理をいたしたいというふうに考えておりまして、そういう点で申しまして、まだ多少の時間をちょうだいしたいというふうに思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 通産大臣は、いまお答えになったように、制限つきというのか条件つきというのか、そういうものはあるけれども、個別指導を全面的に判決の中でも否定はしていないんですね。いま大要をお答えになったのだけれども、国民生活に重大な影響を与えるというような問題、それから競争制限で市場条件に大きな変更を与えるというようなことについて何か申し合わせをするといったことも報道されていたわけですが、そのことについての内容なり時期についてお考え方が固まっていたらばお答えをいただきたい。

宮本四郎通商産業省産業政策局長

○宮本(四)政府委員 通産省といたしましては、先般の判決を踏まえましてこれを尊重してまいるわけでございますが、何よりも一番大事なことは、独禁法の違反にならないように事業者団体を監督、指導することだ、あわせて企業を指導することだと存じております。  ただいま御指摘の、それでは通産省の中で何かそういうものについて勉強し、内規でも定めをしておるかという御質問でございますが、これにつきましては、私ども十分勉強はいたしております。ただ、御案内のように、行政指導と申しますものは非常に幅のあるものでございまして、個別個別のケースに従いまして非常にバラエティーがございます。したがいまして、基本は先ほど大臣が申されましたような行政指導に関する基本精神にのっとって、独禁法の違反のないようにこれを行うということだと存ずる次第でございまして、私どもの方は、内部では勉強はいたしますけれども、これを外に発表するようなことは考えておりません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 公取委員長、いかがですか。あの判決後通産省は、団体指導というのはこれは独禁法違反になる、個別指導はならないんだから個別指導をやるんだということを言っていたわけです。いまは局長は、独禁法違反にならないようにというようなことですが、形式的には、それは団体に対する指導をやらないというようなことであると、これは独禁法違反にはならない。しかし、個別指導をやりますと、結局はやっぱり横の連絡ということになるんですね。それが勢い価格カルテル、やみカルテルというような方向にならざるを得ないと私は思う。ですから、個別指導というものはいいんだ、これは独禁法違反にならないんだというような、そういう形式的なことは私は適当ではない。したがって、その個別指導のあり方、私が申し上げたように、やみカルテルになるおそれがあるというようにお考えになっておられるのかどうか。だとするならば、どのように公取としては対応しようとしておられるのか。先ほど一応のお考えを伺いましたけれども、なお具体的に考え方をお示しいただきたい。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 あの判決の中にも、団体指導と個別指導と分けて判示をしてあるわけでございますが、一言で申しますと、団体指導の方がより強くカルテルを招きやすい、危険度が高いということでございまして、個別指導であれば一切いいということを判決の中にも言っておらないわけでございます。個別指導の名をかりた団体指導、一律指導というものに対しても厳しい評価をいたしておるわけでございます。  判決内容はわれわれに対する頂門の一針でございますから、判決をそのままなぞるというわけではございませんが、これを重要な参考意見としながら、いま問題点の整理をいたしておるわけでございますが、要は、行政指導の結果としまして民間事業者がカルテルを行うような状態が招来されれば、これは独禁法違反になるわけでございますから、その手段、方法が団体経由であろうがあるいは個別指導であろうが、その方法は問わないわけでございまして、どちらがより危険度が高いか少ないかという評価だけの問題でございます。  したがいまして、各省庁が行政指導をおやりになります場合に、独禁法の領域に踏み込んでこられますと、これは問題が生ずるわけでございますから、そういう点につきまして、先ほど通産大臣からもお話がございましたように、業法その他具体的な法律的な根拠を持った行政作用法に基づく行政指導の場合と、そういう実体的な法律根拠を持たない各省設置法に基づく行政指導の場合と、しかもそれが団体経由であるか個別指導であるか、また行政指導の内容が価格、生産数量等に関するものであるか、あるいは技術、営業時間、営業手段等にかかわるものであるか、指導の内容、程度、方法によって結論が変わってくるわけでございます。  したがいまして、先ほどもう少し時間をいただきたいと申しましたのは、そういう問題点を一切整理をいたしまして、修文にも十分配慮をいたすつもりでございますが、しかし、文章で幾ら書きましても、やはり個別的な事案には十分対処できないわけでございますから、これも先ほど通産大臣から的確にお話がございましたが、個別的な事件、案件ごとに十分関係省庁とは意見のすり合わせをしたいというふうに思っておるわけでございまして、これは積極的に当方からも働きかけをいたしますし、また、関係省庁からもぜひ公正取引委員会に相談をしていただきたい、こういう気持ちで一文をまとめたいというふうに思っておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私も商工委員会で、この行政指導というのはどうもやみカルテルの温床になる、だから法律によってやるべきだ、これは私どもの主張であり、また、歴代の公取委員長がそういう態度をとってこられたのですね。その点は十分今後検討をし、独禁法違反という形にならないようにしてもらわなければいけない。特に今日の低成長時代ということであればなおさら、減産をやってみたりあるいは価格を協定してみたりするということは、勢いこれが卸売物価の値上げ、それが消費者物価にはね返ってきて国民生活を圧迫するということに発展することは避けられないと思います。その点に十分留意をされるように指摘をいたしておきます。  それから、公取は、高炉メーカーの鋼材に対する価格の引き上げ、それから素材産業の減産、生産制限、これに対して調査をされて、同調をしているというような認定をされたというように私ども伺っているわけですが、その後、この生産制限に対しては、通産省とそれから企業に対して口頭注意をしたというのですが、それが口頭注意をするにとどまることであったのかどうか。この高炉メーカーの鋼材の価格引き上げの問題とあわせて、調査はどういうことであったのか、今後どう対応していこうとしておられるのか、それをひとつ伺います。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 素材産業五品目につきまして、昨年の七月から九月、三カ月間の生産の状況につきまして調査をいたしたわけでございますが、念のため品目を申し上げますと、粗鋼、小形棒鋼、エチレン、塩化ビニール樹脂及び紙の五業種でございます。  調査の結果といたしまして、第二・四半期から第三・四半期の十月、十一月までにかけての市場条件、特に市場価格等についてその推移を見ますと、今回の減産の効果が格別大きな影響を及ぼしたというふうには認められなかったのでございます。  ただいまお話がございましたように、企業間に同調的な減産の動きが見られたわけでございまして、その要因としましては、最近における企業が減産を行いやすいような経済環境にあること、それから第二に、こうした経済的な環境のもとにおきまして、事業者団体を場として短期の需要動向等に関する情報の交換活動が行われていることが見受けられたわけでございます。このような事業者団体を場としての短期の需要動向の情報交換それ自体は問題がないわけでございますが、その結果としまして、事業者の間に供給数量につきまして暗黙の了解とかあるいは共通の意思の形成がありますと、これは独禁法違反の問題を招来いたしますので、当委員会としましては、調査対象業種の事業者団体に対しまして、情報交換活動についてもかかる事態を招来しないように注意を喚起したところでございます。  特にお尋ねのございましたのは鋼材でございますが、鋼材は、ここ数年の動きを見てみますと、各高炉メーカー六社の生産シェアはほとんど異同がない状況でございますし、また減産率、それから価格の動向等につきましても同調的な傾向が認められたわけでございます。  一方、いまお話がございましたように、鋼材価格につきましては、昨年の四月以降引き上げが行われたわけでございまして、平均しまして大体一一%程度の値上げでございまして、鋼材につきましては同調的引き上げが行われました場合の監視対象品目として十品目が指定をされておりますが、念査をいたしまして、このうち七品目につきましては価格の同調的引き上げの規定に該当するという認定をいたしまして、昨年の十月に報告命令を出し、十一月に報告書が参ってきております。この結果は、御承知のように、昭和五十五年度における公正取引委員会の活動につきまして国会に報告を提出いたすことになっておりますが、その報告書に概要を記載することにいたしておるわけでございます。  ただ、鋼材価格の引き上げの要因を鋼材各社からの報告によって簡単に御説明申し上げますと、主として原燃料費、電力、重油等の燃料費の上昇と、それを合理化によって吸収してなおかつ不足の分についての値上げ、こういう説明になっておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 また改めて具体的にお尋ねをいたします。  次に、厚生大臣に薬価基準の問題についてお尋ねしますが、大臣は、薬価基準については時期を示して改定をするということを表明をしておられる。それから大原委員その他の委員の質問について、薬価基準の改定とそれから医療費の連動はさせないといったようなこと等も表明をしておられたわけですが、まず、薬価基準の改定の時期、そのことについてひとつ伺います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 薬価基準の改定は、現在、経済で一番大事な物価の安定とも非常に影響するわけであります。かつまた、医療の基本にもなる問題でありますから、非常に急いでおります。与野党から非常に督促をされておりますが、ただいま作業を進行中で、できるだけ、遅くとも年度内にはこれを行いたい、こういうつもりで努力をしておるところでございます。  薬価基準の改定と医療費の問題でありますが、これは原則的には関連をさせないということであります。しかし、関連はしないが関係はある、こういうのが正直でありまして、そこで薬価の改定が終われば医療費の問題もそろそろ議題になるかなあということで、各方面の意見を聞いているところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 厚生省は、薬価の状況について追跡調査であるとかあるいは一斉調査ということをしておられるというように思うのですが、その調査の結果はまだ公表してはおられないのですけれども、この薬価基準と病院、開業医であるとかあるいはその他公立病院等が購入している薬の実勢価格とは、余りにも大きな格差があるというように私は思っているわけですから、その点についてはどう判断をしておられますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、この格差の是正はぜひ考えたい。  もう一つは、新しく薬価の基準を改定する場合には、ガラス張りとはいかなくともビニール張り程度に、世間の人がなるほどこういうことで値段が決まったかといって納得のできるような改定の仕方をしたいと工夫しているところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 このバルクラインの九〇%というのも、余りにも常識外れのラインであるというように私は思っているのです。安い物からずっと積み上げていって九〇%でしょう。これは早く言えば、高く薬を買っている者はいないかというようなことで、それを探し求めたようなかっこうになって九〇%でラインを設定している。この点はどうお考えになりますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 それも御発言のとおりでありまして、薬関係、それから医療関係の御協力を得ながら、そういうものがなくなるようにやらなければならぬ、こう思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 渡辺大蔵大臣、あなたは厚生大臣もおやりになって、よくこういう問題には精通していらっしゃる。問題点も、こういうことはいけないんだというようなお考えをお持ちだろうと私は思う。財政再建ということで大分あなたも苦労をされた。その中身については批判はありますけれども、それはきょうはおくといたします。本当に薬価基準と実勢価格というものを——アメリカが、御承知のとおり総医療費の中に占める薬剤費の割合は一二%でしょう。西ドイツも一三%ぐらいですか。日本は四〇%を超えているのですね。これをまともにやるならば一兆円内外の金は浮いてくるのじゃないか。財政再建ということを強調されるあなたは、この矛盾を御承知になっていらっしゃるのか。得意の渡辺調というのをこういう際にこそ大いに発揮して、メスを入れるところに入れていく、その態度があなたに期待をされたのだけれども、どうも最近になってくると沈んでしまって、そういう渡辺調が出てこないのだな。この点はどうお考えになっていらっしゃるか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 沈んではおりません。一生懸命やっておるわけです。私は大蔵大臣でございますから、薬価基準の問題は、厚生省において同じような考えで、極力むだなことは廃止してもらうということで鋭意やっていただいておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 これは厚生省から資料をもらったんだけれども、大塚製薬のオロキシンというのがあるのだね。これが二百五十ミリグラムで百二十円だ。それから富山化学のラリキシンというのがある。これが百七十円だ。これは実際購入しているのは五十円ですよ。これが実勢価格です。驚きませんか。それから、これはむずかしい名前で、私は余り横文字は得意じゃありませんので、舌をかみ切りそうだから言いませんが、へんとう腺の消炎剤、あれは五円ぐらいでしょう。診療費請求は五十円ぐらいでやっている。これは十倍でしょう。薬九層倍ということがよく前から言われたんだけれども、まさしくそのとおりなんです。これをなぜ放置しているのだろうか。  それから、五十三年の四月一日にセンセファリンカプセル、これは有名な武田薬品で、五百ミリグラム四百円が薬価基準だ。これを百円で売っておった。これをいわゆる薬価基準から削除した。削除したということは販売禁止だ。どうしてこれをおやりになったんだろうかと聞きますと、おまけをしていたんだ。時間の関係があるから私から申し上げるけれども、同じ薬で二百五十ミリを百七十円で武田薬品が売っているのだが、これがやはり値段は五十円だ。そして、おまけというのは、五箱をやって、そのまま一箱はまけてやる。そういうことで武田のセンセファリンというのを削除されたんだ。  ほかもみんなやっている。いまも依然として添付であるとか試薬品であるとかという形で。厚生省は本気になって御指導していらっしゃると言うのだから、私はあえて指導していないとは申し上げないのだけれども、これは絶えないのだ。それをどうしてその当時に武田だけを血祭りにお上げになったのか。その間の事情をひとつ伺いたいし、私が指摘をしたことは、厚生大臣御自身、あるいは渡辺大蔵大臣も厚生大臣の経験でよく知っていらっしゃると思う。そこらあたりはまことに不明朗で、私は何か不純なものが介在をしているように感じてならない。しかも、この五百ミリグラムのものだけにおまけがあったとは私は思わない。武田薬品から購入しているそのことに、包括的におまけというものはあったんじゃありますまいか。それを、これだけがあったんだと言ってこれだけを薬価基準から削除して製薬禁止をした。どうもここらあたりが疑問に感ずるのですが、厚生大臣、いかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いろいろ薬の実価と販売価格と差が非常に大きいことはよく心得ております。したがって、今度の薬価改定の場合にはそういうことを特に注意しろと、野党の議員の方から薬の種類等も指定して御注意をいただいておりますから、十分考慮していたします。  武田薬品の薬におまけをつけてやった、こういう場合には薬価の表から削除するというのは一つの規則があるわけで、それでやったという報告は聞いておりますが、詳細はわかりませんので、事務当局から御必要であれば御報告をいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 事務当局は結構です。私は、事務当局に会館にお越し願って、いろいろ説明を受けました。受けましたが、これは納得いかない。それはいいようにいいように説明をされるからです。私の疑問は依然として解けないから、最高責任者であるあなたの見解を実は伺ったわけです。  そこで、五十五年十二月二十七日に薬事法施行規則の一部を改正する省令というので、帳簿備えつけ、記帳義務というものを指示されて、メーカーあるいは第一次卸、第二次卸、それから民間機関——消費者にはお医者さんからカルテというものが出るわけなんだけれどもね。これに対しては、これは不良薬品があった、したがって、不良薬品というものを発見して、これを迅速に回収せしめるためにこうしなければならぬからこういうようにしたのだと説明なさる。しかし、伝えられるところによると、これは製薬会社から相当いろいろな働きかけがあり、自民党筋からも、厚生省がこの省令を出さなければ議員立法でもやるぞという強い動きが起こってきたというように私は聞いているわけです。自民党筋でどういうお気持ちでそういう動きがあったのか私はわかりませんけれども、うがった見方だという御指摘を受けるかもしらないけれども、私は非常に不明朗なものを感じます。  いわゆるバルクライン九〇%、この記帳義務というものがありますと、なるほど価格を記帳する必要は、公取もこれはやかましくそのころ言ったはずです、流通規制になるからというので。そのためか、価格は記入しろということは書いてないのです。しかし、だれが売ったか、どこから買ったか、どういうことだということを詳しく書くようになっている。勢い、調査をされると、売り込みを盛んにやる製薬会社は多いから、そうすると九〇%以下にこれを売っている製薬会社がたくさん出てくる。そうすると九〇%のバルクラインというものは崩れる。これを下げなければならぬということになる。これは製薬メーカーにとって大変な損害につながってくる。さらにまた、これは薬でもうかるようないまの医療制度の仕組みですから、そのことはそのお医者さんにとっても大変な損害につながってくる。そういうことを防止するために、いわゆる格差を依然として維持していくために、九〇%のバルクラインを維持していくためにこういう制度をおつくりになった。それだけではいけないから、説明がありましたように、それは不良薬品というようなものを早く発見する、これを回収するために記帳することは、私はそれなりのプラス、メリットがあるとは考えていますけれども、本音というものは、私が指摘をしたところにあるのではないかと私は考えます。この点に対してどうお考えになるかということが一点。  それから公取委員長、このように九〇%のバルクラインを守るために、結局、製薬メーカーというものが話し合いをやって、そして勢い価格のやみカルテルといったようなことをすることにつながってくると思う。あなたの方は一般調査をする機能を持っていらっしゃるんだから、これほど大きな社会的な問題になっていることについて公取が目をお向けにならないということについては、私は、手不足でこれはもう大変だろうとは思っているんだけれども、だから、手不足で困っているということは知りながら、どうも行政改革ということであなたの方にもメスが加えられようとしているし、要求をしてもなかなかお認めにならない。これは物価対策の面からいったって、公取の機構あるいは人員というものは、本当に国民の利益を守る、消費者の利益を守っていくという考え方があるならば、私は、必要なところには機構を強化し、人員を配置していくというようなことでなければならないと思うのだけれども、どうもそこらあたり、そういう考え方が見受けられないということはまことに残念であり、そういうことが国民の不信を招く道につながっていくんだというように私は考えます。  公取は、これらの点について無関心であられないだろうとは思うのでありますけれども、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、まず先に大臣からお答えをいただいて、公取委員長の見解をお聞きいたします。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 まず、最初の武田薬品の問題でありますが、専門家のあなたが事務当局から聞かれてなかなかわからぬ、そういう問題を私が聞いてわかるかどうかわかりませんが、大臣の責任においてよく問い詰めて、今後間違わぬように責任をもって指導をいたしてまいります。  いまの記帳義務の問題は、ただいまおっしゃったような理屈で記帳義務を課してはならぬという方と、それからもう一つは、どうしても不良薬品回収あるいは何かあった場合のために記帳義務をしなければならぬという両方の議論があったことは、私も十分心得ております。どちらがメリットが強いかということは別にして、少なくとも記帳義務をやる場合には、これが流通規制にならぬように十分都道府県にも注意し、私の方でも今後注意をしてやる所存でございます。

橋口收公正取引委員会委員長

○橋口政府委員 初めに、記帳義務の問題でございますが、これは一昨年の薬事法改正の際に、法律の中に卸売業者の記帳義務を課する、こういう内容でございましたが、これはいろいろな経緯もあり、われわれも意見を申し上げまして、その点は現在では卸売業者の遵守義務の中に省令で決め得る、こういうことになっておるわけでございまして、法案が法律になりましたときに、公正取引委員会の事務局、厚生省、自治省との間に申し合わせを行いまして、記帳義務の対象とする薬品は、安全性の見地からどうしても必要な薬品に限定する、経時変化の激しいような薬品に限定する、こういう申し合わせをいたしたわけでございますが、先ほど先生がおっしゃいました十二月の省令では、その点の合意というものを超えてある種の意思決定がなされたわけでございまして、この点に対しましては、公正取引委員会事務局の方から厚生省に対して意見は申し上げているところでございます。  問題はそれから先でございまして、医薬品の流通問題につきましてはかねてから関心を持っておるわけでございまして、最近におきましては、特定の事件につきましてある薬品会社に競争制限的な行為のゆえをもって立入検査等もいたしておりますが、問題はやはり医薬品の流通過程全般の問題でございまして、しかも、最後に先生がおっしゃいましたようなユーザーとの関係におきまして一種の談合的な行為があるのではないか、これは医薬品会社のいわゆるプロパーという人の活動とも関係があるようでございますが、そういう疑惑も指摘をされておりますし、同時にまた、流通全体の実態調査を現在十四業種について行っておるところでございますが、さらに加えまして、医薬品の流通につきましても近く調査を開始したいというように思っております。厚生省の方におきましても本格的な調査を開始されたやに承知をいたしておりますが、われわれとしましては、独禁法の立場からやはり独自の調査が必要だということで、医薬品業者、卸問屋、現金問屋等からヒヤリングも開始いたしておりますが、さらに今後ヒヤリングの幅を広げまして、本格的な実態の調査をしたいというふうに考えております。  なお、一番最後に、公取の機構、人員につきまして具体的な御声援をいただきまして、大変ありがとうございました。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 厚生大臣、あなたの勇気というのか見識というのか、薬価基準の問題について、私は、答弁を伺う限り評価をすることにやぶさかではない。しかし、現実問題として、医師会の武見太郎さんはなかなか強いから、そう簡単にはあなたの考え方を容認はしない。抵抗するだろう。結局、薬価基準を引き下げるということは、医者の収入が減るということにつながる。したがって、医療費の問題と薬価基準の問題は連動しろという強い主張をしてくるだろうと私は思う。  同時に、これは外科と内科と小児科とその他泌尿器科、あらゆるここらあたりのバランスをとっていくことにならないと、これはそう簡単なものじゃない。本当に真剣にまじめにこの問題には対処していかれる必要があると私は思います。  同時に、薬でもうかる医療制度を改めなさいと私が申し上げるのは、技術料というものは本当に日本の医療費の中では低いですよ。私、調べました。一番技術料の関係があるのは泌尿器科ですね。たとえば金属ブジー、これは十三点、百三十円ですね。誘導ブジー、これは百三十点、千三百円。それから、そういうことがめんどうだからといって、注射を打ってばんと尿を出すようにする、これは八十点、八百円がな。むずかしい金属ブジーということになってくると、医療技術が相当達者でないと傷をつけたりなんかしてなかなかできない。ところが、誘導ブジーというのは案外やさしい。そっちの方が高いんだな。そして優秀ないい技術がなければならない方が低いわけです。  私は、この技術料の仕組みも非常に問題があると思う。だから、その仕組みも改めなければならないし、正当に技術料というものを引き上げて、そうして薬でもうかって国民を薬づけにしないようにしていかなければならぬ。ともかく、差額はもうかるわ、そして出来高払いだ、そういうことだから結局薬づけということになる。だからして、医療費というものが、総医療費の中に占める医療費そのものも大きくなるけれども、医療費の中に占める薬剤費というものが大きくなる。先進国家と比較にならないような状態になってくる。だからして、こんなばかげた矛盾したことをいつまでも放置をしておくということはいけない。本当に由民の納得いくようなそういう制度に改められていく必要がある。  医薬分業の問題でも、いまわずか三%。どうしてそういうことになるんだろうか。厚生省は形式だけで、本当にこれをやる気がないのか。日本人の持ついわゆるせっかちというものは、処方せんを書いてもらって、薬局に行って薬をもらうなんてめんどうくさい。もうそこでお医者さんからもらった方が一番いいというような、日本人的なものもあるのかもしれない。しかし、いずれにしても、こういう矛盾したやり方というものを正常な状態に直していくためには、厚生大臣、本当に情熱を傾けて取り組んでいかなければならない。あえて、私は何もお医者さんを目のかたきにして申し上げているのではありません。お医者さんの主張は主張として耳を傾けるところは傾ける。私が指摘しましたように、技術料などというものは、低いものは正当にこれを引き上げていく、仕組みが悪いところは改める、そういうようなことで国民が納得する方向に改められていく必要がある、このように思います。この点に対して厚生大臣のお答えを伺い、総理から、これは大変重要な政治課題でございますから、このことに取り組む決意のほどもあわせてお答えをいただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医療費の問題は、薬をたたくだけたたいて、そのたたいた分が医療の方の収入になっている、いわゆる薬づけの一つの原因になっている。医療費を改定する場合には、内科、外科、耳鼻科等、それぞれの科目がそれぞれ平等に値上げができるように考えろ。三番目には、この技術を見込んだ改定をしろ。おっしゃること、すべて私自身が前々から考えているところであり、与野党の方々から承っておるところでございます。  武見医師会長がいろいろ言われますが、武見さんという方はなかなか見識が高い、なかなかりっぱなことをおっしゃる。ただ、ばか、ふうけ、おまえは学問がないと余分なことを言うから、余分に武見さんは人から言われているが、聞くべきところは聞く、理解を求めるところは理解を求める、こういう方だ。ただ、理屈はそうでございますけれども、いま私が一言でも医療費改定の問題をここで先生に申しますならば、予算委員会であります、五十六年度の予算の審議を願っているところで、その医療費改定の予算はどこにあるのかということになってくると、また審議ストップなどという重大問題が出てくるわけでございますから、私は十分認識をしながらも、ある時期までは、まだまだまだまだと言わざるを得ない天野屋利兵衛でございますから、御推察のほどをお願いいたします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 医療費のあり方ということにつきまして、中村さんから先ほど来、るる実態に即した御意見を拝聴しております。医療費は技術料を正当に評価をする、薬価については実勢薬価にこれをできるだけ近づける、いやしくも薬でもって医療費をかせぐというようなことがあってはいけない、こういう御主張は、全く私はそのと知りである、こう思います。  この技術料を正当に評価すべしというのが、医師会においても長年の主張でございます。それを何点に評価するかという問題、バランスの問題その他でいろいろ検討なされておるわけでございますが、今後そういう基本的な方向で医療費というものは算定されなければいけない。  なおまた、それを是正する一つの方向として、医薬分業の推進の問題があるわけでございます。この点につきましては、現実の問題としては、医師会、それに薬剤師会、これが十分話し合いをし、連絡協調を保ちながら現実的に着実にこれを推進をするということが適当であろう、こう考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 次に、被爆者援護法の問題についてお尋ねしますが、総理は本会議の答弁の中で、基本懇の答申があったので原爆医療法を制定をすることは困難であるとお答えになったわけです。そこで厚生大臣、厚生大臣は、この答申があった後に、私どももお会いをいたしましたが、東京と長崎を結ぶ二元放送で、長崎市の本島市長、それから被爆者団体と対談をなさいました。そのときに厚生大臣は、援護法の制定についてはやるなとは書いてない、そしてこの答申は意見書なんだ、この答申に対する被爆者の憤激、感情というものもある、答申は守るべき立場に私は立っている。したがって、その置かれている被爆者の感情、経緯、特にあなたは国連においでになって、国連の場で演説をされたこと、また出席をされたその各国の方々が涙を流して被爆者の訴えを聞いておられたこと、本当に私もほろっとするぐらいにあなたは、あのテレビを通じて切々と訴えられました。私もあなたに頭の下がるような思いでした、被爆者の一人でございますから。その際にも、そうした答申とそれから被爆者の置かれている現状、実態と感情、そういうものを調整をして、現行の法律を改正するか、新しい法律をつくるか、国家補償の理念に立っていい方へいい方へと進めていくというようなことをお答えになったわけであります。  総理大臣、あなたの本会議における答弁の困難ということは、厚生大臣が——いま私が申し上げたことは、私はメモしておりますし、盗聴ではございませんが、マイクにも入れておりますから、間違いはございません。もしそうじゃなかったとおっしゃるならば、ひとつ厚生大臣のお耳にそれを通じて入れてもよろしいわけでございますが、厚生大臣が、私が申し上げたように言われたことと、あなたの本会議の答弁とは異なるのだろうか、厚生大臣の考え方というものに方向としてあなたも同じであるということにはならないのか、その点についてひとつお考え方をお聞かせいただきたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 原爆被爆者の問題につきましては、私が本会議におきまして御答弁申し上げたことが政府の基本的な方針でございます。園田厚生大臣の御意見なり御答弁というものも、私の意見と違っておるとは私は受けとめておりません。この点は、これから厚生大臣がはっきりこの際、明らかにされることと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 原爆被爆関係の問題は、与野党を問わず、長崎、広島の出身の国会議員の方を中心に多数の方々が絶えずいろいろな意見を言われ、支持をされ、熱心な運動を進めてきたことは、私もよく知っております。私も一番おしりからついて、皆さんと一緒にこの運動をしてきた一人であることは先生も御承知でありまして、決して答弁だけではないはずでございます。  そこで、詳細御承知でありますから申し上げませんけれども、結論は、答申が出てきた、その答申の主なるものは、一つは、社会保障から国家補償という観念に切り変わったことは非常に有利であります。もう一つは、反対に一般戦災者、被害を受けた戦災者との関係から、これを共通の問題として、特別この問題だけ扱うことについては国民の合意を得ることが困難であるという、両面から出てきているわけであります。この答申についても、私は皆さん方から言われて、例はありませんけれども、この懇談会に出席をして、将来の原爆関係のために門をあげてほしいという、これは越権かもわかりませんが、述べたことも事実であります。本会議で総理は困難であると、おっしゃり、私も、困難ではあるが何か方法はないかな、こういう言い方でありまして、感じが違うわけでありますが、違うのは、いま総理がおっしゃったとおり、総理は高い山の上から見ておられる、私は厚生大臣という小高いところから見ておる。総理は率直に物を言われる。私はあなた方の顔や総理の目を心配しながら恐る恐る答弁しているところから出てきた若干の食い違いではありますけれども、その食い違いを、食い違いではない、一緒だと言って笑って答えられた総理のお気持ちは、これが原爆問題に関する総理の本当の愛情だと考えて感謝をしておるところであります。  現在の憲法では、昔の憲法のように輔弼の任において共同の責任を持つのが国務大臣ではありません。純然として総理大臣の指揮下にある。総理大臣の部下が厚生大臣であります。総理大臣がだめだ、こうおっしゃれば、私はもう今後は一切の努力はやめて、木魚をたたきながらだめだだめだとお経を言う以外にないわけでありますから、ここはどうか答弁だけではなく、今後とも総理に大目に見てもらいながら、いろいろ知恵をしぼって、いまの法律案を一つにまとめるとか、何か今後とも努力を続けたい、これが私の本心でございますから、この問題については、どうかこれ以上総理にお聞きにならぬようにお願いできればまことにありがたい幸せ、物は相談でございますが……。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 どうも厚生大臣から封ぜられて、いまの厚生大臣の答弁を肯定なさいますねとこうお尋ねしようと思ったのだけれども、あえてあなたがみずからお立ちになって、そして発言を求めて否定されない以上は、いまの厚生大臣がお答えになったような方向を理解し、そういう方向で推進をしてもらうであろうことを私は期待をいたしまして、あえて、このことについて総理の再度のお答えをいただきません。  ともかく被爆者の方々は、私も同じでありますけれども、国が戦争責任というものをお感じになると、過去の補償、現在の保障、将来の保証ということを被爆者が主張しておられることは私は当然であると思います。そういうことから、国家補償による被爆者援護法の制定、こういうような要求になっているわけでありますから、具体的な問題は、いま厚生大臣がお答えになったところで誠意を持って被爆者の方の期待にこたえてほしいということを申し上げておきます。  それから、地域是正の問題についても、長崎市長の質問に対してお答えになった。あなたは、長崎の被爆地域は行政区域で決めたことに問題があるのだ、そこに不公平、不合理というものが生じた、だからして、その点については実態をよく調査をして、これもひとつそういう不合理、矛盾というものがないように改めていくようにしなければならない、本島さん、あなたとよく相談をして進めてまいりましょう、こうおっしゃいました。その点は肯定なさいますね。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 この問題も非常に困難な問題ではありますし、かつまた今度の答申の中にも、科学的、公平にやらなければ、これを是正することによって新たな不公平ができては困る、慎重にやれということがあるわけでありまして、これも相当困難ではあります。困難ではありますが、正直に言って、これは当初、被爆地からコンパスでこうはかればいいものを行政区域にやったというところに間違いがあるわけでありまして、もう三十年たってから、いまからこれを訂正するということは非常に困難ではある。困難ではあるが、何か考えなければならぬ問題であるということは、しばしば公的にも私的にも先生と話したとおりでございます。今後ともよく相談してやります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 基本懇の先生方は実態をよく御承知にならないのですが、地域の是正をすることが新たな不公平を生み出すものではありません。その点だけは、実態を知らない基本懇の先生方のああいう意見ということになってあらわれたと私は思います。しかし、あなたが当初これが間違いであったと言うことによって、そのことは私と同じ考え方の上に立っておると理解をいたします。  次に、住宅問題についてお尋ねをいたします。  住宅の落ち込みは非常に深刻であることは申し上げるまでもありません。これが倒産になり、さらには不況の原因ということになっているわけですが、この住宅問題に対する対策というものをどのように進めていこうとしておられるのか、まずこれは建設大臣からお答えいただきますが、実は時間の制約がありまして、私もできるだけ意見を交えないようなことでお尋ねをしているわけでございますが、お答えは相当長くなろうと思いますけれども、端的に、こういうことだということでお答えをいただきましょう。

斉藤滋与史自由民主党建設大臣

○斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘のように、住宅問題はいま社会的にも重要課題になっております。ただ、諸要因が、私が感ずるところ、少しここで構造的なシフト変化が来ているのじゃないかということをまず前段、考えてみたいと思います。  終戦後、四百万戸絶対不足であったものが、いまは二百七十万戸空き家がございます。数よりも質という状況の変化の中でどのように対応するかということは政治課題であろうかと思います。高年齢者、高所得者の方々の住宅需要から、いま低所得者、若年層の方々への変化シフトが起こっておるという構造的な面からも私たちは対応していかなければなりません。  さすればどのようにするかといいますと、政府といたしましては、まず宅地政策、それから建築費の安定的な低廉の問題に取り組まなければならない。したがって、もう一度長期的な計画策定を十年計円あるいはまた民需関係にもお願いをして、地方においては公共機関を中心に対応する、あるいは民需関係とあわせてやる、中央においてはそれぞれの補助制度等を設けながら指導して、両々相まって住宅問題には取り組んでいこう、こういうように考えているわけであります。  総理からも、就任早々から、魅力ある都市づくりをやれということと、とにもかくにもりっぱな住宅を建てて安定的生活ができるようにせいということ、そしてなおかつ、いい環境のもとで都市生活ができるようにという御指示をいただいておりますので、その線に向かっていま積極的に取り組んでいるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私から一つ提言をいたします。  住宅が落ち込んでおる最大の原因は、私は、やはり土地が非常に値上がりしている、土地高騰に原因があると思っています。かといって、土地の税金を、税制を緩和したらば土地が出るんだという意見が非常に強かった。特に与党の筋ではそれが強かった、緩和しても土地は出ない。むしろ値上がりをしている。これは土地税制を緩和しても土地が出るものではないということが実証されたと私は思っています。私は、土地は増価税というものを取る、そして住宅地に土地を売る場合に減免措置を考えていくといったような、そういうようなことがむしろ大切だというように考えます。  それから相続税の問題。大蔵大臣、これも一つの問題点である。亡くなって、遺産相続ということになれば、ごそっとあなたの方で持っていくもんだから、生前分与をしてしまって、そして土地を亡くなったときの遺産相続という形にならないように、後で大きくなるものだから生前分与をやる。そうすると勢い、土地を放さないですよ。だから、そこらにもあるのだろう。これは武藤政審会長が一番強く強調しているところですけれども、これはひとつ検討してみてもらいたいと思うのですが、大変いろいろ問題があるところだろうと思います。  次に、建設大臣、調整区域がありますね。これに学校とか病院とかそういう公共施設というようなもの、社会保障関係、これは調整区域に建設をすることをお認めになっていらっしゃる。公営住宅を公共団体が建てること、ひとつそれを追加されたらいかがだろうか、こう思います。  次に、都市の再開発。それはいわゆる住宅の高層化、これをおやりにならないと私はいけないと思います。交通問題とも関連も出てくるわけであります。  それから、戦後、木造の公営住宅をお建てになりました。漸次これは年次的みたいに高層住宅にずっとかえつつありますけれども、まだたくさん残っています。これを高層住宅に建てかえられる。そうすると、そこの一戸住宅に住んでいらっしゃる方々は、非常に安い家賃でしょう、お困りだから、その人たちは優先的に高層住宅にお入れになって、家賃をぐっと割引をする、そういうようなことをお考えになったらいかがだろうか。  それから、工業用地として開発をしていますね。ところが企業誘致がなかなか見込まれない。そういうものは住宅用地としてこれを転用するということがいいのではなかろうか。まだたくさんありますけれども、余りたくさん言いますと、あなたがお答えになるときに答弁漏れになりますから、これらのことについてのお考え方はいかがでしょう。

斉藤滋与史自由民主党建設大臣

○斉藤国務大臣 お答えいたします。  市街化区域内の公共施設のことにつきましては、区域そのものの見直しは先ごろ通知いたしましたけれども、内容的な問題については検討させていただきたいと思います。  それから、都市開発の問題でございますが、すでに私たちは進めておるわけであります。なかなか出していただけない土地というよりも、やはり山林農地もさりながら、遊休地の有効高度利用ということとあわせて、都市再開発というものは先生御指摘のとおりであろうかと思います。特に過密都市における高層住宅については、相当の配慮を持って不燃化をあわせて考えなければならないと思います。先ごろも不破先生にもお答えしたのですが、これは単に住宅だけでなく、不燃化防災都市環境整備という面からもぜひ高層というものは考えるべき問題であろうかと思いまして、いまその面からもせっかく取り組んでおるところであります。  なお、工場用地として誘致ができていないというところにつきましては、先生の御意見まことにごもっともと思います。でき得る限り住宅転用ということの方法論を考えまして、その面につきましても住宅対策の一環として検討を進めてまいりたい、このように考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総理、いかがでしょうか。この住宅問題というのは大変重大な問題なんです。いま私が問題提起をいたしまして、いま建設大臣がお答えがありましたが、総理のお考え方としてはいかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 わが国におきまして、国民生活の中で一番おくれておりますのがやはり住宅問題である。衣食住の中でこの住宅の確保ということが、御指摘のように確かにおくれております。これには土地問題が大きな問題になっておるわけでありますが、これを解決いたしますために、どうしても大都市等におきましては、職住近接等の問題もございますし、高層化、不燃化という対策を進める必要がある。また、地方におきましても木造の公営住宅等を高層化する、こういうことも土地利用を高度化するということにもなるわけでございます。基本的にはやはり土地の需給のアンバランスということにあるわけでございまして、土地の供給を確保するということに今後いろいろな角度から私ども努力をしてまいりたい、こう思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私は、アメリカなんかでやっているように、公共団体に土地を優先的に確保させる。そしてこれを民間に払い下げる。そして税金の面はこれも大幅に減免をしていくといったようなこと、いろいろなことをおやりにならないと、この土地の問題、土地を安くする、そして住宅問題の解決というものにはつながらない、こういうふうに考えます。  大蔵大臣、税に関係することでございますから、いろいろ私も提案をいたしましたが、いまの公共団体に土地を優先利用させる。本来、土地というものは、経済というような形でそのときの状況によって土地が変動していくというような、そういうことで奉ってはならぬと思うのです。土地というものは、原則的に社会化というような、そういういわゆる商業財産というような形であるべきではないというような考え方を私は持つのです。いまのいわゆる公共団体に対する土地を優先確保させるという問題等を含めて、ひとつあなたの考え方をお述べください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 土地問題は住宅政策上非常にネックになっておるということも事実だと私は思います。元来、土地とか水とか空気とかというものは、やはり社会公共の福祉のために役立つようにしなければならぬわけでありますから、そういう点でいろいろ各省庁と相談をして、知恵をしぼって、協力できるところは全面的に協力してまいりたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私は中小企業の質問の際にお尋ねをしよう、意見を申し上げようと思っていたのですが、きょうはその時間がありません。  建設大臣、建設業の倒産というのが一審大きいわけですね。その中でも中小建設業の倒産が多い。だから、小規模の工事は優先的に中小建設業者にやらせるとか、あるいは修繕工事はそちらの方に回していくとか、いろいろな手をお打ちにならないと、私は深刻な事態に陥っていくというように思うのですが、その点はいかがですか。

斉藤滋与史自由民主党建設大臣

○斉藤国務大臣 お答えいたします。  中小建設業界、特に中小業者の方々の倒産の多いことは事実でございます。昨年一万数千件の倒産の中で三分の一、私の記憶するところ五千八十七件の倒産者があるわけであります。建設業界五百四十万の就業者があるというこの大きな支えとなる建設業の倒産については、頭を痛めているところであります。この要因は、やはり昨年上半期で、オイルショック以後の経済的な不況もさりながら、公共事業の抑制も若干響いておりましょう。それから民間の建設投資も冷えたというようなことから、弱小の業者が倒産していったわけであります。  先生御案内のように、建設業は一口に五十万と言われております。そのうちの九十何%かがほとんど一人親方等々全く弱小企業でございますだけに、この救済については、幅広く、細かく、本当に目を届かしていかないとならないわけで、したがって、先生もいま御指摘ありましたように、後半公共事業をまず完全執行していただくということを財政当局にお願いして、早期に契約を進め、いま中小企業対策に取り組んでおるわけであります。特に中央における仕事を、いままでのように大企業中心でなく、中央の業者が末端業者と手を握り合ってともに生きていくような施策で仕事をやっていくというような指導もいたしておるわけであります。なお、足りない分につきましては、近代化の指導とかあるいは不況業種に指定していただいて救う方法とか、中小企業金融公庫の特別措置の活用というような面でお救いして、この問題について取り組ませていただいておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 国際障害者年の問題についてお尋ねをいたします。  総理は、身障者の共同目標である完全参加、平等の理念で施策を進める、具体的にこの点はおっしゃったわけです。厚生大臣は、これは「ための年」ではなく、——私、聞き違えかもわかりませんが、こうおっしゃった。「ための年」ではなく、「障害者の年」である。個々の施策よりもというか、障害者が地域社会の発展に参加することだ、そうした理念で対策を進めるということで、小規模作業所のことについてお触れになったわけです。これは精神論でして、理念として私も否定はいたしません。そのとおりであるというように思います。  しかし身障者は、国際障害者年というもので胸をはずませていますよ。かねての願いがこれによってかなえられる、本当にひとつ私たちを社会に復帰させるようにしてほしい、参加させてほしい、私たちの本当の願いを具体化してもらいたい、そういうことだと私は思います。  五十六年度の予算で二十四億円、この国際障害者年としての予算をお組みになっていらっしゃいます。しかし、内容を検討いたしますと、けちをつけるわけではありませんが、中身といたしましてはきわめて貧弱だというように思います。もちろん、障害者の願いを一年や二年で直ちにできるものではありません。十年計画、さらにまた十年というようなことで、中長期に、本当にこの障害者の願いを完全にして生きがいを与えていくという施策でなければならないと思います。国連の障害者年として世界的規模で施策の見直しをということで提起をいたしているわけでございます。  これらのことを考えてみますと、不破委員も言っておりましたが、労働大臣、いかがですか、大企業はなぜに雇用率が悪いとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。納付金を免除されておる三百人以下の中小企業は比較的雇用率が高い、この点に対する考え方をひとつ率直に、端的にお答えください。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま、障害者の雇用につきまして大企業の成績がよろしくないという御指摘でございました。まことそのような統計になっております。しかし、これをお考えいただきたいと思いますのは、最近になりまして雇用者が非常にふえておりますし、雇用率といいますものも、わずかではございますけれどもふえてきておるわけでございます。ただ、私が申し上げたいと思いますのは、大企業におきましては採用ということが新規採用が多うございまして、御案内のとおりの終身雇用でございますために、途中から大企業に御就職になられるという機会がきわめて少ない。そういったところが、中小企業が非常に雇用率が高いのに比べて、大企業におきましてはややその成績が劣っておるということになっておるのではないか、かように思います。  しかしながら、最近におきましてこの身体障害者の皆様方の雇用につきましても、その重要性に特段と大企業におかれましても気をつけられまして、積極的に普通の雇用のほかに特別枠を設けまして、障害者の方々に限って御就職いただけないかというような姿勢をとっておる企業も非常にふえてまいってきておる、非常にありがたいことだ、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総理、ひとつお聞きをいただきたい。私は、納付金制度というのがよくないと思う。ヨーロッパの国々のように完全に義務化すべきだ。完全に比率によって雇用しなければならぬということを義務化する。罰金を納めれば、納付金というのは罰金とおっしゃらないのだけれども、納付金を納めれば雇わなくてもよろしいという思想がある。モラルというものが大企業にはないということを私は指摘をしたいのです。しかも、雇えば、その管理人も要るだろう、いろいろと環境整備もしなければならぬだろう、こういうことで、御丁寧に、金を一たん納めさせるけれども、その金をまたお返しになっていらっしゃる。還元という形ではありませんが、そういうことで費目をつくって金を交付していらっしゃるのですね。ここが私は、障害者を雇用しなければならないということのそういうモラル、そういう義務感というものを薄めているということにつながっているというように考えます。  ですから、いかがですか。五十四年は百八十一億の納付金でしょう。そして交付していらっしゃる金は百三十一億、こういうことになっている。なるほど五十四年度の残額は二百五十三億あります。ところが、重度障害者を雇うと一人十万円支給をするということになりますから、恐らく五十五年は七十億くらいこの残が減るだろうと私は思っているのです。ともかく、本当にヨーロッパのように義務化されることを私は強く求めます。そして、本当に義務感を持たせる、モラルを持たせる、そういうことでなければならない。  それから中小企業の場合におきまして、なるほど奨励金というものを出していらっしゃいますね。しかし、これが非常に厳しい、制約がひど過ぎる。十人以上でなければならないとか、一・五%以上の雇用率を達成したものでなければならないとかという制約があります。この制約をひとつ検討される必要があるということを申し上げます。  それから、何といっても職場環境というものをよくしなければなりません。車いすで作業ができるように。この間、三晩か四晩か続きました、あのヨーロッパの国々の障害者を雇うあるいは勉強させておる、本当にもう行き届いた施策だなと私は思って、食い入るようにその施策をしておるのをメモいたしております。  障害者も能力があるのです。精薄児童でもそうなんです。やはり全部だめじゃないんですよ。これは非常に特性というものが実はあるわけですから、それを伸ばしていくということでなければならぬ。そのためには訓練というものが必要である。その訓練にしても、労働大臣、いかがですか、身体障害者も健康者と同じように一年じゃありませんか。これが行き届いた施策でしょうか。こういうこともひとつお考え直しをされなければならぬ。それから、やはり障害者でありますから、種目もふやしていくということにしなければならぬというように思います。  それから、障害者の一級から三級というのはほとんど就職ができません。放置されておるといってもよろしいぐらいでございます。  住宅にいたしましてもいかがですか。障害者ですから遠くから通勤できないのです。近くでなければならぬ。ところが、なかなか住宅が手に入らない。障害者ですから特別の設備をしなければなりません。職業紹介所を経由して雇い入れる場合は融資の道があります。縁故採用にはこれがありません。しかし、障害者はほとんど縁故採用であります。こういうところに配慮が足りないということを私は指摘をいたしておきたいと思います。  それから給料にいたしましても、ハンディがありますから五割から八割、ひどいところになると二割、そのくらいの支給しかされておりません。しかし、最低賃金の保障がありません。こういったような問題は、もう数え立ててまいりますと切りがございません。  自由業にいたしましてもいかがですか。住宅で七十万、特別の場合に九十万、世界更正資金の場合におきましても七十万、特別の場合において百六十万、こういったような貧弱な金によって、どうして障害者の方々がいわゆる自由業として自立をしていくことができるでしょうか。総理が言われるように社会参加が、社会復帰が、国際障害者年の国連の提起であるところの完全参加というものが、どうしてできるでありましょう。  こういったような点は、十分ひとつ本当に障害者年に、理念だけではだめなんです、具体的な問題を解決をしていくということでなければならないということを申し上げるのですが、五十六年度の予算の中にそういうような温かい配慮がないということを私は申し上げるのです。  それから、演説みたいになってなんですが、時間の関係があるから申し上げざるを得ませんが、リハビリテーションの問題もそうです。非常に少ない。国立は一カ所。各都道府県に一カ所か二カ所。なぜにできないのだろうか。それは財源の関係もありましょうけれども、理学療法士それから作業療法士、そういうような療法士がいないということであります。また、この療法士を養成をするところのそういう機関が少ないのであります。だからして、リハビリテーションというものができないのであります。こういったようなもろもろの点、国際障害者年というものはこういう点に本当に配慮していくのでなければならないというように私は考えます。  まだ申し上げることがたくさんありますが、一応ここらでお答えをいただいて、もう二、三点申し上げ、お尋ねをしたいと思いますから、お答えをいただきたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。  これは先生が非常にお詳しく御研究でございますから、私どものやっておりますことが先生の目からごらんあそばしますとなかなか満点というわけにはいかない。至るところ欠陥だらけである。よくわかります。しかしながら、いずれにいたしましても、国際障害者年であるからすべて満点にできるというような簡単なものじゃございませんから、これをそういった先生の御指摘の種々の問題を解決をするための発足点にいたしまして、あらゆる面に努力をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。  たとえば雇用率というような問題にいたしましても、あと一人雇用願えれば雇用率が達成できるというような会社もたくさんございますし、そういった点で、雇用率を上げるということも決してむずかしい問題であるとは私は考えておりません。あるいはその給与額に差があるというような御指摘、確かにそのとおりでございまして、これはお働きになられます方々のそれぞれの能力というようなものを考えてみましても、私は、一律にこれが八〇%なら八〇%というように並べるわけにはいかない点もあろう、かように思います。しかしながら、いずれにいたしましても、そういったことを心得た上で、その自立しようとされる障害者の方々の自立できるようなところにお助けをさしていただくということが、私どもの政治、行政の仕事でございますから、これはあらゆる点で努力をしてまいらなければならぬ、かように考えます。  それから、その職場への通勤でございますとか、あるいは住宅でありますとかというような問題につきましては、はなはだ足りませんけれども、本年度から予算の中におきまして、障害者用の住宅のための私どもの努力をさしていただく予算でございますとか、あるいはお通いになりますための通勤自動車の補助の問題でございますとかというようなことは、それなりにやらせていただいておるわけであります。もちろん、これで万全というわけにはまいりません。これが初年度であるというようにお考えをいただいて、なおこれから失いろいろ御注意をちょうだいをさしていただいて、そして先生の目からごらんをいただいて及第点になったなというようなところまで努力をしてまいりたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 次に、運輸大臣と国鉄総裁にお尋ねします。  運賃の割引の問題ですが、私どもは国会で議員立法で、心身障害者対策基本法というものをつくりました。本当に私は、このくらい基本法というものを無視されているということは心外にたえない。運賃の割引もいかがですか。百キロ未満は割引をしない。特急、急行というものは、これもそういう料金は割引しない。基本運賃だけ。新幹線もしかりであります。身体に障害がある人ほど目的地に早く着きたい、ゆっくりしたいという気持ちがあるのじゃないでしょうか。何十年間、基本法を制定する前から今日に至るまで改善されない。本当にけしからぬことだと思います。百キロと言わないで初めから割引をすること、それから特急、急行、新幹線、そういうものも料金を割引をすること、そのことを主張いたします。  ところが、今日、何でも国鉄にそういう割引をしろと言うのは私は間違いだと思う。国鉄は赤字だ。これは公費で負担をすべきです。国鉄に負担をさしてはいけません。国が責任を持ってやる、そういうことでなければならないということを申し上げておきます。この点に対する考え方を、これは政府はだれがお答えになるのか……。  それから運輸大臣、船のことを申し上げます。  船の運賃も、これは一種に対して介添え者を含めて割引をしていらっしゃる。旅客船業者がもっと割引をしたいという申請をしても、運輸省がだめだと言って認められないじゃありませんか。運賃体系を乱すから。こんなふざけた話がありますか。身体障害者の運賃の割引をするな、業者がしようとしていても運輸省がこれを認めないというやり方、こういうことが今日行われておるということを、あなたは初めてお聞きになったかもしれません。私は、この問題に取り組んでまいりましたから承知をしておりますから、あえて申し上げるわけであります。そういうことはいけません。だから、できるだけ船の運賃、あるいはバスもそうであります。この私どもの基本法は、そういうことを政府に促しているわけでありますから、少なくとも国会尊重という立場から、この障害者年を契機にいたしまして、思い切ってこういう問題に対処してもらいたいということを強く要求をいたすわけであります。  それから、文部大臣にお尋ねをしておきますが、養護学校をおつくりになった。ところがどうですか、その養護学校に入れる選定は。これには就学指導委員会というのをおつくりになっていらっしゃる。これにはお医者さんも入らなければならぬということになっている。親は普通学校に就学をさしてくれと願う。ところがだめだ。肝心のお医者さんもいないようなところで、一方的に養護学校だと決定をしておる。そういう都道府県があるということをあなたは知ってください。これは初中局長もよく知っています、この矛盾は指摘してありますから。だから少なくとも、できるだけ養護学校ではなくて普通学校で、健康な子供たちと一緒にやはり勉強させ、遊ばせる。そして養護学校に入れるような場合でも、あくまで親の納得を受ける、親が反対をするのに強引なやり方はしない、そういうことが本当に愛情のある、本当に障害児を守ってやる道につながるのだというように考えます。  これらの点についてそれぞれお答えをいただき、最後に総理大臣から、障害者年に対して、理念だけではなくて、私がいろいろと指摘をいたしましたことに対して今後どのように対処していこうとされるのか、お答えをいただきます。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○塩川国務大臣 お答え申し上げます。  まず最初に、私に対する御質問でございますが、国鉄の公共負担、特に身体障害者の割引をもっと大幅にふやせということでございます。これは障害度によりましていろいろと違っておりますが、お尋ねの重度の方でございましたら五〇%割引しておることもございますが、これはなおしの増額を図っていかなければならぬとはわれわれも思っております。私鉄もこれに準じてやっておりますし、バスも同様でございますが、さて、これらの割引負担の分をどのように企業で負担せしめるか、あるいはまた公共負担としてどの程度持つかということにつきましていろいろ検討いたしておみところでございまして、国鉄等に関しましては、昭和五十四年十二月の閣議了解に基づきまして、国鉄再建対策の中にこの公共負担関係を各省庁間で検討するということになっておりまして、昨年の五月この検討会を開催し、以降十回いろいろ検討いたしておりますが、それぞれ財源難のところから思わしく進展しておらないことは事実でございますが、なお一層の努力は続けていきたいと思っております。  お尋ねの船会社、海運でございますが、これは内航であろうと思っておりますが、この関係でわれわれも、いま御質問の御趣旨がございましたので、十分に調査いたしまして御返事申し上げたいと思っております。恐らく、さらに割引するということについての均衡性の問題、他企業との整合性等を考えてそういう返事をしたのではないかと思うのでございますが、事実関係をよく調べまして、負担の軽減はやはり真剣に取り組んでいくべきだと私は思っておりますので、調査した結果また後刻御返事申し上げたいと存じます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  養護学校におきます義務化の問題から指導いたしておりますが、先生もよく御調査のように、各県必ずしも一律にいってないといううらみがあるかとも存じます。なおまた、御指摘のとおりに、その心身の障害の程度に応じまして、教育委員会におきまして医師並びに教師の委員会をつくりまして指導いたしておりまするが、先生が多分おっしゃっておられるところは、健常児との間の問題も未解決の点が多いこともよく承知いたしております。御趣旨に従いまして善処いたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私は、ローカルの問題で言ってないのだ。子供を養護学校に入れる場合、そういう場合は基本的なあり方としてはどうなのか。本当は身障者というものは、親が願うのであればできるだけ普通学校へ就学させるということでなければならないではないかということを言ったのだが、その線でお答えいただきたい。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 いまの先生のおっしゃっておられます点もよく承知いたしております。なおまた、そういうふうな指導ということにおきましても、身障児の場合におきましては、その養護者の両親の方もありましょう。もう一つは、今度は地域社会における健常児側の方もいろいろと問題がございます。そういう問題を逐次解決いたしまして、おっしゃった方向に向かって指導をいたしております。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 身障者の問題は、社会全体の理解と協力によらなければ十分これを進めることができない、このように考えておるわけでありますが、たとえば、いまお取り上げになりましたところの教育の問題あるいは保健医療の問題、特にリハビリテーションの問題あるいは雇用の問題あるいは生活環境の問題、いろんな各般にわたる身障者対策を充実していかなければならないわけでありますが、それには、前段で申し上げたように社会全体、各界各方面の理解と御協力というものが必要である、そういう意味で、この身障者年、これを契機といたしまして、社会全体の身障者に対する福祉あるいは社会への完全参加、平等の問題、これに対する啓蒙活動、これも十分やってまいらなければならないと考えております、各方面の理解と協力を得ながら今後身障者対策を推進をしていきたい、こう考えております。今年のこの国際障害者年、これを意義ある年として、これを契機として一層身障者対策の充実を期したい、こう考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 持ち時間終了の通知を受けましたからこれできょうはやめますが、海外経済協力の問題。エネルギー問題、中小企業、経済見通しの問題等は一般質問その他でお尋ねをすることにいたしまして、これで終わります。

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 外交、防衛政策についてお尋ねをしたいと思います。  初めに、先日、武藤社会党政審会長の問いに答えて、憲法は国民の中に定着しているというお答えが総理大臣からありました。閣僚の中にはどうも余りまた定着していないようでありますが、私も、国民の中に定着している、同時に、国内ばかりじゃなくて国際社会の中にも、日本の憲法、とりわけ前文と第九条から成ります平和主義というのは定着をしてきているのではないかというように思うのです。歴代の外務大臣が国連の総会に行って演説をする、あるいは総理大臣の中にも国連総会で演説をされた方がおられますが、その演説をずっととって見てみますと、皆さん、憲法の前文、憲法の九条を引用しながら、それがまさに国連の目指している方向、精神と一緒のものである、こういう主張をされてきたわけでありまして、そんな意味では国内的にばかりじゃなくて、国際的にも日本の憲法というのは定着してきているということが言えるのじゃないかと思うのですが、総理大臣のお考えはいかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、憲法問題につきましては、わが国の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この基本的理念というものは、国民の大多数がこれを理解をし、支持しておられる、そういう意味でわが国の平和憲法というものは国民の中に定着をしておる、このように考えますし、国際的にも、日本が平和国家である、平和を希求しておる、世界の平和に貢献しようと努力をしておるということは理解もされ、そういう日本の平和国家としてのイメージ、これは定着をしておる、このように認識しております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そのいわば基本をなしているのは日本の憲法であるという意味で、憲法は定着しているということが私は言えるのだろうと思うのです。  いま世界が抱えている問題は、一つは大変な米ソの軍備拡大の中におけも軍拡、これをどうやってとめていくのかという問題、それからやはり南北問題にどう対応するかという基本的なこの二つの問題が、われわれに問われている大きな問題だろうというように思うわけです。日本もそんな意味では、この憲法の精神に基づいて軍縮の主張というものを従来からしてきています。ただ、日本の軍縮の主張というのは、どちらかといいますと国連の軍縮の動きをフォローするというところに力点が置かれておって、アジアにおいて軍縮をどうするか、あるいは世界の軍縮をどうしていくのかという積極的な提案が日本から出ておったかといいますと、必ずしもそうじゃなかったという弱さを持っているように思います。  ただしかし、その中で唯一例外的にわが国が率先して提起をしている問題があるのです。再三指摘をされておりますが、七八年の国連の軍縮総会における当時の園田外務大臣の演説の中からちょっと一節を引用しますと、「わが国は、平和国家に徹するとの基本的立場から、一般的に武器の輸出を慎しむという、先進工業国の間においては極めて例外的な、独自の政策を堅持しております。さらにわが国は、従来から主要兵器供給国に対し、紛争地域への兵器輸出を自粛するために協議を行うよう呼びかけると共に、無統制な兵器の移転を抑制することを目指した国際的な検討を開始することを提唱してまいりました。」「われわれは、問題の複雑性を認識しつつも、この軍縮特別総会において、まず通常兵器の無統制な国際移転を抑制する方向への第一歩が踏み出されるよう、衷心から望みます。」こういう演説をしてきておるわけであります。  これは、今日の世界紛争が主として開発途上国、第三世界の中で起きているわけですが、その要因の一つが米ソ両国のいわば武器輸出あるいは武器を供給するということによってコントロールをしていく、これは紛争当事国からの要請もあるわけでありますけれども、やはりそれが一つの要因になっているという点に着目をしたわが国の率先した提案であったと私は思うのであります。それ以後わが国は、ジュネーブの軍縮委員会の中でも、あるいは国連の総会のあらゆる場を通してこの問題の主張をしておるわけでありまして、米ソによる協議も今日始まっているわけであります。つまり、この軍縮の中で通常兵器の移転の問題というのは武器の輸出を禁止するということなわけであります。この態度は、私はこれからますます国際社会に日本が率先して提起していくべき問題であるというように考えるわけでありますし、世界も、日本がこれをリーダーシップをとってやっているということをみんな十分理解をしているわけであります。  総理大臣の基本的なお考えはいかがでございましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 園田外務大臣が当時国連軍縮総会において表明いたしました武器輸出に対するところのわが国の基本的な方針、またそういう提案を率先してやった、これは高く評価されておると私も思っておりますし、私は、その方針を日本政府は堅持していく、今後におきましてもそれを実践していく、こういう考え方に変わりはございません。  先日来、五十一年以前あるいは五十一年から五十三年当時等に起こった問題、これがいろいろ新聞その他にも指摘をされまして、政府としてはそれを調査をし、そういう非違な、法に触れるような問題につきましてはこれを司法の手にゆだねて、いま究明をいたしておるわけでございます。今後におきましても、武器輸出を禁止する三原則並びに政府方針に基づいて厳正にやっていくという方針には変わりがございません。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 実際にどうなっているかという具体的な問題についてはまだ議論をいたしますが、日本が国際社会の中で平和憲法に基づいていままで主張してきた問題で大変重要な点は、この武器輸出禁止の三原則とそれから非核三原則だろうと私は思うのです。非核三原則も、今日、ラテンアメリカにおいて非核条約というものが締結をされる。それから、国連の総会においては、南アジアそれから中東、アフリカについて非核地帯を設定しようという決議が成立をしているわけです。つまり、わが国が持っている非核三原則をいわば国際社会の原理にしていくというこの動きだと思うのですね。それを地域的にやれるところからやっていこう、この武器輸出禁止三原則というのもわが国の憲法に基づく方針だけれども、これを国際社会の原理にまで高めていこうということだと思うのです。私は、日本国憲法というのは、そんな意味でいわば人類の道義あるいは道理というものを代表しているといいますか、表明しているといいますか、やはりそういう憲法であるだけに実はそういうことが言えるわけでありまして、わが国の国内政策がいわば国際社会の原理にまで高められようとしているということが言えるのじゃないかと思うのです。  したがって、そういう意味で、今後国際連合を通して、この二つの問題ばかりじゃなくて、究極的には憲法九条の目指している方向が全面軍縮という形で実現するのが一番望ましい究極の姿だろうと私は思います。そんな意味では、憲法全体のいわば原理というものが国際社会の原理になるように努力をしていく、このことがやはりわが国外交の基本的な方向ではないだろうかというように考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 横路さんおっしゃるように、日本の特殊な事情といえば平和憲法、それから核の被爆国という、これが日本がこの問題に取り組む基本として考える特別な立場にあると思うわけでございます。先生がおっしゃったように、いまの通常兵器の輸出禁止の問題も、これは憲法の精神から出た問題であることは間違いございませんし、あるいはいまラテンアメリカ地域その他の地域で非核地帯の設置の決議に日本も賛成したということをおっしゃったわけでございますが、これも、核兵器の拡散防止条約というのに日本が入っているということの趣旨からして、核がなるべく広がらないということを目的としたものでございまして、現実はいろいろ非同盟国の反対でございますとか、その地域の信頼関係がないというふうなことでできない問題はございますが、そういう大きな目的に向かって外交が進んでいくということは、私はこれは当然だというふうに思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そこで、今日、アメリカでレーガン政権が発足をしたわけですが、成立以後の発言を聞いておりますと、どうも全面的な対ソ対決の姿勢をとるのではないだろうかというような心配もあるわけであります。そんな心配を受けてヨーロッパでも、ドイツ、フランスの首脳会談が開かれたというように報道されておるわけでありますが、一体、まだ全面的に明らかになっているわけではないけれども、このアメリカの政権の性格、特に対ソ政策についてどういうぐあいに考えるのか。やがて、国会の日程の合間を見ながら総理大臣もアメリカに行こうとされている。この日米会談というのは大変重要な会談になるだろう。そこで本当にわれわれが、世界平和のために日本の立場をしっかり物を言うことができるかどうかというのは、大変これからの日本の政治のあり方にとっても大きな問題なわけでありますが、このレーガン政権をどのように見ておるのか、首脳会談に臨む総理の考えはどうなのか、基本的なところをお聞かせ願いたいと思います。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私から最初に一言申し上げます。  アメリカの新政権の性格の問題でございますが、私ども、まだはっきりした政策が打ち出されておりませんので、いまここでとやかくは申す立場にないわけでございますが、いま横路委員がおっしゃるように、国会の御同意がもし得られれば、あるいは向こうの都合がつけば私が先に参りまして、予算の終わった後に、これも国会の御同意、先方の都合、みんな同意が得られれば総理に行っていただいて首脳会談をと思っておるわけでございます。これは、日本の立場、日本の考え方というものもはっきり向こう側に伝え、向こうの考えも聞き、相互の理解を深めよう、信頼関係を深めようということが目的でございますが、いま、どういう議題で相談をしようかという、それまで具体的にはなっておらぬわけでございます。  ただ私、去年十二月にヨーロッパへ行きましたとき、ドイツのシュミット首相に会いましたときに、シュミットさんは十二月にすでに、当時まだ大統領になっておられませんが、レーガンさんに会ってきた、そのときにSALTの交渉の話も出て、言われるように、ソ連とはもう対決だというような、自分はそういうふうには理解していない、レーガンさんも、SALTの交渉については時間をかけてやるということを言っていたという話が、いろいろ議論したときにあったわけでございます。  その後、新しい政権の大統領の座に着かれた後でも、これは新聞記者の諸君との会談でございますが、ソ連も核兵器の削減ということを目的とした交渉に応じよう、テーブルに着こうということであれば、自分もその交渉に入ることにやぶさかでないというように新聞記者の諸君に答えておられるわけでございまして、私どもはまだはっきりした政策はわかりませんが、米ソも全面対決で核の戦争になるというようなことは、極力両超大国は避けることだと私は思いますし、私どももそれは期待しているところでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そこで、私は二つの点について日本政府の立場をはっきりすべきじゃないかと思うのですが、一つはSALTIIについてであります。SALTII条約は、アメリカの議会の同意を得ていないわけですけれども、SALTIIを批准するのか、あるいは新たに交渉を始めるのかはともかくとして、今日まで米ソ両国が結んだSALTIの協定、あるいはSALTIIの目的に反する行動はとらぬでもらいたいということを、やはりはっきりとアメリカ側に要望すべきじゃないかというように私は思います。  それからもう一つは戦域核の配備の問題でありまして、SS20とバックファイアに対する対抗措置としてアジアに戦域核を配備する、ということを決めたわけじゃないけれども、いまの米ソの状況の中でアメリカ側として配備することを考えるというような発言が行われておるようでございますけれども、今日のこの状況の中でアジア配備なんということに、なりますと、ますます軍拡を高め、緊張を高めることになるわけでありますから、アジアにおける戦域核、特にSS20やバックファイアに対抗する核の配備というのは日本としても賛成できないという立場をはっきりすべきじゃないだろうか。  アジアにそれを求めている国はないというように私は確信をしておりますけれども、その二点について、日米首脳会談が開かれた場合には、日本側として核軍縮の立場から要求すべきではないかと私は考えますが、いかがでしょう。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答えを申し上げます。  第一点のSALTII条約の交渉の問題でございますが、これはこれからアメリカの新しい政権がどういうふうに考えられるかの問題でございます。私、去年ブラウン国防長官に会いましたときに、SALTIIの国会の批准の問題をいろいろ議論したことがございます。私は、なるべく早く批准があった方がいいのじゃないか、旧政権のカーター政権の時代でございますが、そういうような意見を言って議論をしたことがございます。今度新しい政権ができまして、向こうへ行っての話でございますが、そういう問題が議題になるかどうか、まだ何も決めておりませんが、いま先生のおっしゃったことはよく頭に入れておきたいと思います。  それからもう一つ、戦域核の問題でございますが、これは昨年米ソで、スイスで話が始まったばかりでございまして、軍縮の……(横路委員「ヨーロッパ」と呼ぶ)はい、ヨーロッパのスイスで話があったばかりでございまして、ヨーロッパについての戦域核についてもまだ話し合いはついておらぬ。ただし、今年また交渉しようということになっておりますけれども、いつということは決まっておらぬわけでございます。  この話し合いの結果、アジア、極東において戦域核の配備というようなことが問題になれば、これは非常に関心のある問題でございますので、日本としましてもアメリカにあります日本大使館の係官を通じて、これは日本としても非常に関心のある問題なんだという関心をいままでしばしば向こうに伝えているというような状態でございますので、向こうへ行ってどういう話をするかわかりませんが、いまおっしゃった二つの点は十分頭に入れておきたいというように思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 対ソ関係は、日米安保があるとしても、やはりアメリカ側と日本側との対応というのは違うわけですね。違って当然なわけです。アメリカは核を持っているし、こちらは核がない。距離的にも近いわけです。ヨーロッパともまた違ってくるわけです。ですから、ヨーロッパはどうしても、対ソ対決というよりはデタントということを基調にしていかないと国の安全保障は確保できないという、きわめて切迫した気持ちがあるわけであります。  きょう、北方領土の日ということで、昼に式典があって総理も出られたようであります。二月七日という日には社会党は賛成しておりませんけれども、ただ、ソビエトが、北方領土の返還というのは日本国民全体の気持ちじゃなくて、一部の右翼の気持ちだということを言ってきているわけであります、それに対して、いや、やはり日本の国民全体、すべての政党がこれに参加しているということを示したことは、皆さん方がこれから平和的に交渉していく上で大変大きな力に多分なるだろう。問題はこれからなわけであります。  私は、そんな意味で、今後の日ソの改善等について若干御質問をいたしたいと思いますが、まず、この北方領土の日にきょう出席されて、北方領土返還に向けての総理大臣の決意というものをお尋ねしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 北方領土の早期返還、四島の一括返還、これは私は、国民ほとんど大多数の長年の願望である、このように認識をいたしておるわけでございます。ソ連はわが国の重要な隣国でございまして、日ソの友好協力関係を発展させるということは、相互の利益に合致するのみならず、アジアの平和と繁栄のために不可欠の問題である、このように考えておりますが、その日ソの真の友好関係を確立いたしますためには、この北方四島の領土問題を解決して、そして平和友好条約を締結する、そういう基礎をかっちりと固めることによって恒久的な日ソの平和友好関係を確立する、こういうぐあいに考えておるわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、全国民的な運動としてこの北方領土の早期返還ということに取り組んでおるわけでございます。  この二月七日、これは日本とロシアとの間に、話し合いによりまして、友好的な中で国境線を明確にしたという意義ある日でございます。私どもは、これを北方領土の日とこう定めまして、今後の運動を展開していきたい。そして、これを実現することによって私はこの日を日ソ友好の日にしたい、こう念願いたしておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 対ソ脅威ということを力説して軍備を拡大して増強すれば、じゃ世界というのは緊張が緩和して日ソ間の友好的な関係ができるかというと、そうではないわけであります。問題は、今日のこの状況の中でどうやって日ソ間の友好関係を高めていくか。国際緊張が高まれば高まるほど、外交というものの持っている重要性は高まってくるわけであります。総理は、施政方針演説やその後の委員会における答弁の中で、ソビエト側が誠意を示すべきだということを再三主張されています。その誠意を示すべきだということは、たとえばアフガンからの撤退であるとか、北方領土からのソビエト軍の撤退ということを条件にされて言っておられるのか。いつもどうもお話はその二つを強調されて、したがって誠意を示すべきだ、こう言われているわけでありまして、北方領土のソビエト軍が撤退するということがいまの日ソ関係を改善する糸口だ、そこが出発点なんだ、そこしか出発点にならないのだ、こういうお考えなのですか、どうなんですか、総理大臣。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 私からお答え申し上げます。  ソ連との関係は、ソ連の潜在的脅威ということを言っていますけれども、これにはわれわれは本当に冷静に対処しなければいかぬと思っております。特にソ連との問題で、いま先生おっしゃったように、アメリカあるいはヨーロッパと日本との違いじゃないかとおっしゃったところに一つは領土問題があり、そこへの軍備の拡張という問題がある。あるいはアフガニスタンの問題がある。軍事介入の問題がある。これは世界的な共通の問題でございますが、そういう問題からこういう冷たい関係になっている、好ましくない関係になっていることは事実でございまして、私どもは、やはりソ連がひとつ誠意ある態度を示してもらいたい、すべきだということを言っているわけでございます。  その態度というものは一体どういうものだということにつきましては、先生は二つの例をお挙げになったわけでございますが、私どもはソ連に対してどうしてくれ、どれが誠意ある態度だということは一切言っておりません。これは向こうの考えられることでございますが、先生も御承知のように、共同宣言では平和条約の交渉をするというようなことがあるわけでございます。あれは領土問題を前提にしているわけでございますが、あの問題も、今度は向こうからグロムイコさんが来て平和条約の交渉をする番になっておるわけでございますが、これはその後来ておられないというような問題もあるわけでございまして、私はいまここでどれが誠意ある態度だというようなことは申し上げませんが、やはりいろいろ方法はあるのだろう、こう思っておりますが、挙げて日本からこういうことだということじゃなくて、それはソ連がひとつよく考えてもらいたい、こう考えております。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま伊東外務大臣から申し上げたように、ソ連側がどういうことを改善するかということはみずから自主的に御判断を願うということであろうかと思いますが、私は率直に申し上げまして、少なくとも一九七三年にわが国の田中首相とブレジネフ書記長との間に、北方四島の領土の問題につきまして、戦後未解決の問題というものを共同声明の中で明らかにいたしました。なるほど北方四島ということは明記しておりませんが、日ソの間に存在する未解決の問題といいますとわれわれは領土以外にない、またその点は言葉で確認もいたしておる、こういうことでございます。したがって、この一九七三年の戦後未解決の問題というところにソビエトがその立場に返りまして、そしてそれをベースにして今後領土問題について両国の間で平和的な話し合いを進める、こういうようなことは私が強く期待をいたしておるところでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 解決済みというのがソビエトの主張ですね。こちらは、田中・ブレジネフ会談で向こうも了解しているじゃないか、こういうわけですが、その後ブレジネフ、ソビエト側と会談したこともこちら側は全然ないわけでして、何とかその糸口を見つけていくために、たとえば北方領土に対する墓参だとかいろいろなことを、私は北海道ですが、北海道でも積み重ねをしてきているわけであります。人的な交流を拡大するとか経済的な交流とか、時間がございませんから議論をいたしませんが、やはりそういう何とか糸口を見つける努力を日本の外務省もやるべきだというように考えます。伊東外務大臣、いかがでしょうか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 お答えいたします。  私どもも向こうがまず誠意を示すべきだということは言っておりますが、日本側としましても、いま先生のおっしゃったような態度といいますか、糸口を見つけて、いま日本が考えている目的をなるべく早く達成するようにという努力をすることは必要でございますので、その点はおっしゃるとおりだと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そこで、具体的に五十六年度防衛予算に入っていきたいと思うのですが、まず、総理にお尋ねします。  総理は施政方針の中で、わが国の防衛力の整備について、アメリカが、ソビエトの軍事的増強などの厳しい国際情勢にかんがみ、わが国へも防衛努力の強化を期待しているのだと答えているわけですが、そういうアメリカの要請にこたえて今度の防衛予算というのは組まれたということでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 防衛予算、これはわが国政府の自主的な判断に基づいて組まれたものでございます。もとより、日米安保体制ということが日本の防衛の一つの基軸にもなっている、こういうことからいたしまして、日米安保体制の円滑な運営というような面からいたしまして米側が関心を持つということは自然な姿であろう、こう思っておりますが、私どもは、最終的な決定というものは政府の自主的な判断によって決定をしておるということを明確に申し上げておきます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、予算編成の中で、昨年の概算要求の段階で対前年度比の伸びをどうするかというときに、防衛関係費について対前年度比の伸び率を一〇%以内まで認めるというような特例措置がとられたわけですが、これは防衛予算のどの部分に関してそういう特例措置をとられたのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 八月の概算要求の際に、全部の各省庁について前年対比七・五%という要求を出してください、しかしながら、外国との条約に基づいてすでに国庫債務負担行為や継続費となっているものについては、要求といたしましてはそのほかにプラスして要求されても結構です、こういうことでございまして、特別にどうこうということを言ったわけではありません。そういうことになりますと、たまたま防衛庁と科学技術庁に少しあったのですが、そういうようなものがプラスアルファで要求として出された結果九・七の要求が出たというのが事実であります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは外国からのいろいろな購入による国庫債務負担行為や継続費ということだけじゃなくて、もうちょっと明確に防衛庁との間にその概念というのを決めたのじゃないですか。これは防衛庁、どうですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答えいたします。昨年夏の五十六年度予算の概算要求を出すときに、一般行政費の伸びが七%台である、こういうお話でございまして、それで計算しますと、防衛庁の必要とする予算がどうしてもその範囲では達成できないということがわかりました。その最も大きな原因は、いま大蔵大臣の言われたような経費が相当増額する、そういった点に配意いたしまして、一般行政費の予定されている率を若干上回るのをめどとして概算要求を提出するからそれを大蔵省に受け取っていただく、こういうお話をしたわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そうではなくて、三つの点について例外扱いがされたのだと思うのです。一つは、アメリカからの武器購入に必要な国庫債務負担行為による歳出化分。もう一つは、日米地位協定に基づき日本が米軍に提供しなければならない施設等に必要な国庫債務負担行為による歳出化分。もう一つは継続費の歳出化分。この三つについて例外措置をとるというように大蔵と防衛庁と話をしたんじゃないですか。これは大蔵大臣。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 ただいま大臣からお答えをいたしました国際条約等に基づいて外国政府との契約に基づく債務の支払い額等とおっしゃいましたことの内容を具体的に分けますと、ただいま御指摘の三つの種類でございまして、その総額は五百五十二億円でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 つまり、これは、日本が自主的にというよりも、やはり米国から要求しているところを特例措置として認めたということは明らかだろうというように私は思うのです。  それで、防衛庁長官は、この五十六年度予算について、中業早期達成の足がかりをつかんだ、こう言っておられるようですけれども、これはどういう意味でございましょうか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答えいたします。  防衛庁といたしましては、「防衛計画の大綱」の線によって防衛力の充実に努めているところでございます。五十六年度の予算編成に当たりましても、この観点に立脚しながら「防衛計画の大綱」をできるだけ早期に実現したいということで予算の要求もし、予算の編成にも当たったわけでございます。  そこで、「防衛計画の大綱」に基づきまして、中期業務見積もりというのが現在防衛庁内部の見積もりとしてございます。それを土台に要求をしたわけでございますが、最近のわが国の財政事情もございますので、中期見積もりのうちの主として正面装備のうち緊急を要するもの、また、この正面と密接なかかわりのある後方の方に重点を置いて予算要求をいたし、また予算折衝いたしました結果、いま申し上げました点につきましては、中期業務見積もりの早期達成の足がかりを得たものと考えておるわけでございます。もとより、中期業務見積もりというのはまだあと三年あるわけです。五十六年度が二年目でございますので、五十七年度以降も相当の努力をしなければなかなか目標を達成できないことは言うまでもないところでございまして、そういう意味で、足がかりを得たと私ども考えておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大蔵大臣と防衛庁長官のお手元に届けたと思うのですが、防衛関係費の推移がどうなるか、今年度の防衛予算を軸にして社会党の方でちょっと試算をしてみました。お配りした資料の中にその試算の方法がございますが、前提は、GNPの伸びは五十七年−五十九年を九%としております。その「試算の方法」の4のところで、デフレーターはそのようなデフレーターを使っております。防衛費は人件・糧食費と物件費の二つに大別されますが、そのうち防衛費の増加が物件費のうちの歳出化額によって左右されることに着目をして、これは皆さんの方の中業の補足資料の中に、五十五年度から五十九年度の正面装備経費の総額を二兆七千億ないし二兆八千億とございますから二兆七千五百億というようにして、ここにありますような前提を置いて試算をしたものであります。  この試算の結果、これは前提を変えればもちろん中身は変わってくるわけでございますけれども、ただ、GNPにしてもデフレーターを入れていますから、そんなに大きな変化はないだろうというように思います。もし、一年繰り上げ達成ということになりますとどういうことになるかといいますと、五十八年の段階でGNPのもう一%を超えてしまう、一・〇一になる。五十九年には一・〇五になるということを示しています。同時に、後年度負担が、五十九年までの中業ペースでいつでも一兆五千億から一兆六千億台になっていく。これが一年繰り上げになりますと二兆円ないしは二兆五千億というような数字になっていきまして、防衛関係費の全体が一年繰り上げでいきますと五十九年には三兆五千九百億になるというような結果が、私たちの試算でやりますと出てきているわけです。  今年度予算の中で、特に防衛費の、しかも正面経費を重点に見たという先ほどの大蔵大臣や防衛庁長官のお答えがございましたが、これが、この試算にもありますように後年度負担をまず大変重くして、予算の硬直化と膨張がとまらないというような予算に踏み込んだその第一歩をこの五十六年度予算につくってしまったのじゃないかと私は思うわけです。皆さんの方から「財政の中期展望」というのが出てきておりますけれども、この試算よりもこれははるかに実際には多い額になってくるわけですね、中業ペースでいつでも、中業の一年繰り上げペースでいつでも。  私は、こんなことではとても財政再建にならないということを示していると思うのですが、大蔵大臣、この正面経費を重視することによって後年度負担を重くした、財政の硬直化を招いたという点について、いかがお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 防衛の問題は、日本にとって非常に重要な高度の政治問題でございます。したがいまして、われわれといたしましては、日本の防衛を充実することが非常に重要である、そう考えております。しかしながら、政府といたしましては、中期業務見積もりの繰り上げ達成というようなことを約束しておるわけではございません。われわれは「防衛計画の大綱」というのに基づいて着実な防衛を充実していくという考え方に立っております。しかしながら、やはり財政の問題もあるわけでございますから、そのときの国の経済事情、財政事情等を勘案しながらその年その年決めていくということでございまして、先々までいま決めておるわけではございません。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 先々まで決めているわけではないのだけれども、実はこの五十六年度防衛予算の構造そのものはこれから後を拘束する、そういう形ができ上がってきている。その理由は、正面経費を重視して後年度負担をふやしてきたということによるわけだと私は思うのです。やはり政策というのは他の政策とのバランスの問題ですから、大蔵大臣、別枠だとか、アメリカの期待があるとか圧力があるとかいうことじゃなくて、やはりしっかり政策のバランスを持ってやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 社会党から出されている資料にもございますように、後年度負担の問題については、この資料が示すように、五十五年度でも一三・九ですか、そういうような数字も出ておるわけでありまして、この表を見ても、どういう経過があれで出したかわかりませんが、仮にこれをうのみにしたとしても、いままでの経過から見て、必ずしも後年度負担が非常に極端にふえておるというわけでもないんじゃないか。  それからもう一つは、確かに後年度約束したといいますか採用することにしても、本年度は余り要らない、後年度で歳出化がかかってくるというものがございます。ございますけれども、それはその年々の財政事情によって政策のバランスも御指摘のとおり考えて決めていくわけですから、防衛だけが最優先で、そこのけそこのけで通るというものでも実はないわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 この予算について、去年は文教の予算に追いつき、ことしは福祉の伸び率、このハードルを超えた。もうこれから五十七年度、つまり次の予算のときには福祉との対比は問題にされなくて済むという意見が防衛庁の関係者から言われているというわけですが、厚生大臣に聞くのはちょっとおかしいかもしれませんが、園田さん、やはりこれから国が平和で安全であるというのは、まず国内がしっかりしているということが何といっても前提なわけであります。今日、紛争の原因になっている第三世界は、国内の紛争がともかくアメリカを呼び込み、ソビエトを呼び込むということになっているわけですね。したがって、これからの日本というのは、ともかくいろいろな問題で金をかけなければいけないところがたくさんあるわけでありますから、こういう五十六年度予算について福祉のハードルを超えたという意見については、厚生大臣はいかがお考えでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 その意見には私は賛同できません。今年度の私の方の所管の予算は、交付税、国債、これを除く一般会計の伸びが四・三%、その伸びの半分は私の方の厚生行政でいただいておりますわけで、私どもの伸びは七・五%であります。しかし、数字よりも、その中でたとえば児童手当その他のように締めたものとさらに手当を上げたものと、それから所得控除をしぼられたものと緩められたものとあります。これは重点的に本当に困った人は助けよう、こういうことで、これは経緯でありますが、将来私は、安全保障はいま発言されたとおり、日本でやるべき安全保障の第一は世界の紛争を防ぐこと、第二番目は国内の人人が平和を望むような体制をとることで、飛行機や軍艦で国は守れない、守るのは人間である。これからいって、やはり厚生行政というものは、ばらまきはいけないけれども、これは一つの基盤になるのだ、こういう意味で、私は今後どんどんやられていくとは考えておりません。また、そうあってはならぬと考えます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大蔵大臣、この防衛費の伸びは、GNPのデフレーターでやると、実質の伸びは幾らになりますか。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 来年度予算におきましては、三・九%と計算いたしております。  なお、先ほどのお尋ねに関連いたしまして一言申し述べさせていただきたいと存じますが、五十六年度予算におきます防衛予算の後年度負担の金額は七千五百二十六億円でございまして、これはむしろ五十五年度予算に比して一六・九%の減少でございます。予算の査定に当たりましては、後年度負担に大きな重みがかからないように配慮しながら査定をいたしたところでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 実質で三・九というのは、大蔵大臣、これはヨーロッパを上回る伸びですね。それで、実際の防衛費を見てみると、六〇年代、七〇年代と日本の防衛費というのは、たとえば一九六〇年を基準にしてやりますと、もう大変な伸びですね。十三倍以上。ヨーロッパは五倍ぐらいですね。ところが、今度は七〇年代になってどうかというと、日本の伸びというのは名目でいつでもヨーロッパ諸国を上回る。いまお話があったように、五十六年度予算になりますと、実質で三%を上回る三・九という数字をいまお答えになった。だから、日本というのはともかくGNPが大きいですから、GNP対比でいくとそれは大変少ないけれども、実質的には前年度比でもどんどんふやしているし、ヨーロッパ以上の防衛費の伸びになっているということは、これはお認めになるでしょう。大変金を使っている。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 御指摘のとおりでございます。問題は、日本の防衛費の根っこが小さいわけですから、確かに……(横路委員「世界で第八位」と呼ぶ)いやいや、それは日本の経済的な国情というものから見ると、GNP対比で、御指摘のとおり、これも小さいということもそのとおりなんです。御承知のとおり、防衛予算についてはいろいろ議論がありまして、伸び過ぎだと言う人もあれば、足りないと言う人もあるわけでございまして、われわれはいろいろな点を勘案をいたしまして、大体この程度がいいということで、足りないと言う人にもがまんしてもらう、それから多過ぎると言う人にもがまんしてもらうということで、大体この程度ということで最終的に決めたわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大蔵大臣、この中業ペースでいった場合、それから中業の一年繰り上げていった場合に、防衛予算の姿がでは一体どうなるのかというのを、中期財政計画のさらにちょっと詳しい資料という形で、皆さんの方で、この置かれた前提で結構でございますからGNPそのほかひとつ出されて、この予算の審議までに提出していただけませんか。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 中期財政展望で計算をいたしております主要経費の内訳につきましては、現在集計整理中でございますので、まだ数字はできてございませんけれども、機械的な計算による後年度負担の推計でございますから、中業をどう取り扱う、あるいは大綱に比してどうなるかという政策判断の入っていない数字でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いや、それは知っているのです。だから、その政策判断の入っていない数字と、それから中業ペースで、特に中業の補足資料の中で言っている二兆七千億ないし二兆八千億という正面経費の総額というものでいった場合に、中業ペースでいった場合どうなるか、あるいはそれを一年繰り上げした場合どうなるかということを、ちょっとこの議論の参考に、これは私の後で阿部助哉代議士が質問することになっておりますので出していただきたいと思うのですが、大蔵省、いかがですか。——これは大蔵、きょうはちょっと大蔵省と議論します。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 中業は、御承知のように防衛庁内部のそういう計画でございまして、私どもといたしましても、予算査定あるいは今後の防衛予算の方向を考えてまいります場合に、これを手がかりといたしていることはないのでございます。したがいまして、ただいま御要求のような資料は私どもとしては作成することが困難であろうと思いますので、御了解をいただきたいと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大体そこがおかしいですよ。そう言いながら、では、どうしてアメリカとの間にこの中業の話が出てくるのですか、政府部内の計画という形で。どうして出てくるのですか。おかしいじゃないですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 ただいまの点は大蔵省の方は関係のないことでございまして、いま大蔵省からもお答えがありましたように、現在の五三中業は防衛庁限りの見積もりでございまして、それをアメリカの方でいろいろ言っているというお話でございますけれども、それは防衛庁の方の対米説明、そういったようなことから出てくることでございまして、大蔵省の立場は、先ほど大蔵省の主計局長が答えられたとおりであろうと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そんなことを言ったって、最初にお話ししたように、五十六年度予算の編成に当たって特例措置というのは、米国からの武器購入でしょう。もう一つは、地位協定に基づく日本が米軍に提供しなければならない国庫債務負担行為でしょう。あと継続費ということですけれども。つまり、もう流れを見るとそれははっきりしているんじゃないですか。そういうごまかしの答弁をなさらないで、全く内部限りのものと言いながら、しかし、実際にはそのことが予算編成の中でも中心になってくる、これが現実の姿になっていると思うのです。これは大蔵省でできないのなら、では防衛庁でそういう計算ができますか。そういう試案としてつくってみるということができるのならやって、資料として出していただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答え申し上げます。  自衛隊の装備品等のうちには性質上その製造等に多年を要するものが多いので、これらの調達のためには、従来から財政法に基づき国庫債務負担行為及び継続費を予算に計上してきたところであります。その計上に当っては真に必要な経費に限定し、後年度に過大な負担を生ずることのないよう常に配慮いたしております。  五十六年度予算における後年度負担額は、先ほど主計局長が申されましたとおり、新規分で七千七十五億円、対前年度一八・五%の減少となっております。これに前年度までの既定分を含めた合計額でも一兆三千四百八十五億、これは先生の資料の中にも上がっておる数字でございますが、対前年度六・一%の増、こういうことで、一般に言われるほどの増にはなっておらないわけでございます。  そこで、五十七年度以降を出せ、こういうお話でございますが、五十七年度以降の防衛予算のあり方につきましては、「防衛計画の大綱」に従い、そのときどきにおける経済、財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ対処してまいる問題でございまして、現段階でその見通しを申し上げるということはきわめて困難でございます。しかし、せっかくのお話でございますから、何とか工夫していきたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども、歳出化経費の今後のあり方につきましてはできるだけ膨張を抑制していきたい、そして必要な事業は推進できるようにしたい、その点の調和を図ってまいりたいという考え方を持っておることはひとつ申し上げておきたいと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 中業の早期達成とあなた言っているのですから、ではそれはどういうことになるのかということを明らかにしていただきたいと思うのです。いま可能だと答えたのですか。できるということなのですか。できるというなら、防衛庁として、それは前提をいろいろ置かなければいけませんから、枠の方は、たとえば大蔵の「財政の中期展望」でもって数字の大枠にして、あと政策的な中業というものと、それの一年繰り上がりなら繰り上がりという形でどんな姿になるのか。私、なぜそういうことを言うかといいますと、それはやはり今年度予算と大いに関係があるわけでありまして、われわれ、まさにそういうレールを五十六年度予算というのはつくってしまった、こういうように考えるわけでありまして、そのことを明らかにするためにも、防衛庁の方でもしできるものならばそれをつくって、ぜひこの委員会に提出していただきたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 中期業務見積もりは、私ども、主要装備品の整備計画として持っておるわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、年度割りをつくっておるわけではございません。したがいまして、先生のいまの御指摘のように、五十七年度以降の推移を年度割りを追って示せという御要求であれば、私ども、そういった年度割りを持っておりませんので、御要望に応じかねるというふうに思うわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 しかし、その補足説明の中で、正面装備について二兆七千億ないし二兆八千億という数字を出しているでしょう。その数字をもとにして考えたらどうかと言っているのです。私の方のこの試算というのも、だから人件・糧食費はたとえば四%増なら四%増ぐらいでもってずっと計算しているわけです。これは仮定の置き方でいろいろ違ってきますけれども、しかし、大体の傾向はどういう傾向になるかということはわかるわけですね。どうですか、そういう数字を置いてちょっと出してみてください。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いま先生からお出しになりましたこの資料、非常に精細な表でございまして、私、改めて勉強させていただきたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、なるほど人種なんか、一応ここにございますように四%なら四%の仮定を置くということは、それはやってできるわけでございますけれども、肝心の主要装備につきまして、もともと年度割りを持っておらないものでございますから、それを割って逐年の経緯を追っていくという意味での作業は、私どもいたしかねるというふうに思っておるわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 時間がございませんので、さらにこれを受けて阿部議員の方から質問を続けていくことにいたしまして、最後にちょっとこの問題について総理大臣に伺います。  このわれわれの試算でいきますと、たとえば一年繰り上げ達成というとGNPの一%を超えてしまうわけですね。これはもう超えないということが方針になっているわけですから、つまりそれは不可能だということになると思うのです。いずれにせよ、全体的な政策のバランスというものが必要なのであって、別枠という形でやるのはもうやめにして、やはり政策バランスをしっかり考えるということを私はお約束をいただきたいと思うのですが、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 「防衛計画の大綱」に基づきまして防衛力の着実な整備を図っていくということが政府の基本的な方針でございますが、お話のございましたように、他の政策とのバランス、総合性というものを十分配慮しながら、国民の皆さんの御理解を得ながら進めてまいりたい、こう思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 最近の軍備拡大ムードというか、この議論の中で、私、二つのことをいま考えておるのです。一つは、五十六年度予算を見ても大変高くなったですね。装備品、たとえば戦車なら戦車にしても、七四式戦車が三億四千六百万ですか、いまから十年前は六一式で大体七千万くらいだったのが、そういう値上がりであります。機関銃も、十年前には四十万くらいだったものが、いまは百九十万。大型の護衛艦になりますと、十年前に百九億くらいなものが、今年度の予算では五百九十九億円。潜水艦にしても、十年前には八十五億程度のものが、今日この五十六年度予算では三百五億円。飛行機にしても、F4Eの最初のころは二十億程度のものが、いまF15では八十四億。五十六年度予算には出てきませんが、来年度の予算にまたF15が出てくると、今度は多分百億近いものになっているのじゃないかと思うのです。  日本のこの防衛予算というものは、二次防、三次防で骨格が決まって以来、大体その骨格に沿って、あとは兵器の更新をやってきた。戦車があればその次期戦車をどうするか、すぐそういう形でしょう。戦闘機があれば次期戦闘機をどうするか、そう言って品物をかえながら、どんどん値段の高いものになっていっているわけですね。一体こういう政策をどんどん続けていっていいのか。もう少し今日の財政の中で、全体の合理化であるとかあるいは縮小というようなことも考えられないのだろうか。北欧のいろいろな国防政策というものを見てみると、いろいろな工夫や努力というものが行われているわけであります。  そこで、ひとつこれは大蔵省の方に、どうなんですか、こうやって装備をかえるたびにどんどん高いものになっていく。そのうち護衛艦なんというのは、大型護衛艦になると一千億を超えるようなものになりますよ。もう少し知恵を働かしたらどうですか。そういう余地というものはないのですか、大蔵大臣。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 予算の編成に当たりましては、防衛当局と十分全体の経費の節減、合理化あるいは重点化について御相談を申し上げながら査定をいたしてまいっておるところでございますけれども、今後におきましてもよく防衛庁当局あるいはその他関係の当局との協議を重ねながら、いま御指摘がございましたような財政資金の効率的な活用という方途に向かって努力をいたしたいと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 もう一つは、専守防衛ということをこの国会でも強調されているわけですね。専守防衛に徹して軍事大国にならないのだと言っているわけです。専守防衛ということの中身は何かといいますと、従来の答弁は、運用上は海外派兵をしないということですね。それから装備上は、他国に対してもっぱら壊滅的打撃を与えるようなものは持たないというようなことだった。それ以上のものでもなかったわけですね。だから制服の中から、攻撃は最大の防御なりというような議論が出てきているわけです。しかし、これも最近のいろいろな軍事科学の発達の中で、必ずしもそうは言えなくなってきている旧もうちょっと専守防衛なら専守防衛というものを、制服をも説得できるようないろいろなシステムを考えていく必要があるのじゃないかと私は思うのです。  先日、東大の坂本教授がある新聞に投書をして、専守防衛といっても、対立する相手側がどう受けとめるかという問題もあるのじゃないか、こちら側が考えるばかりではなくて、相手側がどう受けとめるかということも大変大事だ、相手方から考えても、それはやはり防衛的だというような兵器や装備のシステムというものがあるのじゃないか。あるいはたとえば行動ですね。領土、領海に限定してそれ以上出ていかないということにするのも一つの方法でしょう。そういうような提起があって、私も今日のこの制服の、攻撃は最大の防御なりという考え方、皆さんがそうじゃないとおっしゃるならば、その専守防衛の中身をもう少し具体化する努力というものが必要じゃないかと思うのですが、総理大臣、いかがでしょう。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 総理のお答えになる前に、主管大臣としてお答えさせていただきます。  専守防衛の方針にのっとっていま防衛力の整備に努めておりますことは先生御存じのとおりでございます。  具体的には、五十一年に閣議決定になりました「防衛計画の大綱」に基本方針が示されておりますので、それにのっとって進めているわけでございます。そして別表では大体主要な兵力量は決まっておりますので、私どもはそれを充足することに努力いたしますが、それを超えるということはいま考えておりません。むしろ質の改善に力を入れておるわけでございます。  先ほど先生の御発言の中に、単価がふえているではないか。同じ数量でございましても、創設以来三十年ですから、新しく取りかえる場合にも、物価も上がっておりますが、性能の向上という点もありますので、三十年前と同じものにかえるわけにいきません。そういう場合には、近代的な技術水準にもかんがみて必要なものを備えなければいかぬ、そういうことで単価が高くなっているという点もあるわけでございます。  それならば、合理化の努力をわれわれは全然していないかというと、決してそうではございません。たとえば、艦艇の延命化という問題。ことしの予算で一隻だけは計上いたしておるわけでございますが、耐用命数の来ました護衛艦につきまして七、八年の延命を図るとともに近代化を図る。御指摘のように、一隻新たに発注すれば数百億円かかりますものを、こういったことによりますれば百億円に至らざる金額の範囲内で延命化もでき、近代化の要請にも応ずる、こういう方法もございます。また、戦闘機につきましても同様な工夫をいたしておるわけでございまして、私ども、こういった財政事情でございますので、できるだけ単価をふやさない方法で時代の要請にこたえるようにいろいろ工夫しておりますし、今後もそういったことをやっていくということを申し上げておきたいと思うわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 どうも防衛庁長官、よく理解されておらないようで、私の質問の答えになっていないのですね。先ほどから答弁されていることは、もうそれを前提にして私の方は質問をしているのです。  時間がないので端的に答えていただきたいと思いますし、もしお答えが無理な場合は政府委員の方が答弁されて結構でございます。  専守防衛を言うならば、内局がちゃんとやはりそのことを、ただ単に海外派兵をしないとか攻撃的打撃を与える兵器を持たないということだけじゃなくて、もう少しシステムとして考えるべきじゃないかというこの東大の坂本教授の意見というのは、私は大変参考にしなければいけない意見だと思うし、皆さんがそれをしっかりやらぬから制服からいろいろなことを言われるのですよ。それをやるのが皆さん方の仕事でしょう。どうなんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 坂本先生の文章を私も読みましたが、横路先生のおっしゃいますように、相手側から見て防御的な体制であるという体制というものは、当然私ども一番重点に考えなければいけないことであります。よく言われます攻撃は最良の防御なりということも、いまの時代に即した考え方でとらなければいかぬということはおっしゃるまでもないことでございまして、攻撃でも防御でもそれぞれ有利な点、不利な点があるわけでございます。私どもは防御の有利な点を最も生かすという体制をつくっていくということが必要であります。たとえば警戒監視態勢でありますとか、そういうようなことは、わが国としては最も重点を置いていかなければいかぬことであろうと思いますし、そういうような趣旨で、いま横路先生の御指摘の点は私も同感であります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その議論をちょっと続けていきたいと思うのですが、その議論をする前提として、陸上自衛隊で要域地誌というのをつくっていますね。これは三次防で十カ所つくりまして、その後数カ所さらに追加になっていると思うのですが、現在何カ所になっているのか、それからその内容はどういうことか、概略御説明いただきたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 要域地誌は現在、いまおっしゃいました十カ所を超えておりますけれども、何カ所になっているかということは公表を差し控えさせていただきたいと思います。  どういうものかと申し上げますと、警備地誌という名前の地誌が現在陸上自衛隊の場合設けられておるわけでございますが、陸幕地誌と言いまして、一番大きなものは陸幕が全国を単位にした地誌をつくっております。それから、各方面隊が方面地誌というものをつくっております。それを受けまして、各方面隊の中でさらに幾つかの区域に分けて、いま先生のおっしゃった要域地誌というものをつくっておるわけでございます。その三者でもって警備地誌というものができ上がっておる。その中身は、防衛出動や災害派遣などの自衛隊の行動に際しまして重要と判断されるその地域の地理上の特性及びそれに軍事的な観察を加えたデータを収録しておる、こういうものでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 皆さんのところへいまお配りしたのは、これは要域地誌そのものではもちろんありません。地誌そのものは多分機密か何かの扱いになっているのじゃないかと思うのです。三次防の中で皆さん方が十カ所ほど要域地誌をつくりました。その内容がこの資料でわかるわけですが、これは陸幕の資料であります。これは北海道については道北地区と道央地区と道東地区と青函地区と四カ所作成をすることになっておりまして、昭和四十二年から四十七年の間に作成をされております。  この要域地誌の中身は、いま配りました資料の最後の方にございますが、路外の機動図、空挺及び上陸行動図、築城図、視界隠蔽図、重要施設及び要注意地域図、集結適地ということになっておりまして、いまこれをやろうとしているのは、ちょうど私の選挙区になっております石狩湾。石狩湾を上陸地域として、たとえば、ここの説明によりますと、道央地区でやる説明はこうなっております。「道央地区は、北海道の政治、経済、交通の中枢であるとともに、地区内に良好な上陸適地及び空挺適地を包蔵しており、北海道の防衛、警備上極めて重要な地域である。」こういうようにしてあるわけでありますが、これはいわゆる防衛計画上の侵攻想定地と必ずしも一緒であるとは思いませんけれども、少なくともこれを見ると道央と青函地区を、東京、大阪、名古屋そのほかございますけれども、一応想定しているということはこの資料で言えますね。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 先ほど申し上げました方面隊単位で要域地誌をつくります場合の重点的な考え方としましては、政治、経済の中心都市を中心にした区域あるいはまた海峡等の戦略的な重要地域あるいは重要港湾、そういったような地区に着目しまして幾つかの区域に分けて要域地誌をつくっておるわけでございます。その場合、いま道央のお話が出たわけでございますが、道央はもちろん札幌を中心にしまして滝川から室蘭に至る間の地区を単位としているものでございますが、その中に上陸適地がある、あるいは空挺隊の行動の適地があるというようなことはそれぞれ記述してあるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 実はある意味で言うと、この道央地区の一番上陸適地の真ん中に石狩町という町があるのであります。その石狩町に陸上自衛隊の一一師団、真駒内の部隊ですね、演習場として土地を取得して持っていますね、三カ所、四カ所ほど。石狩町花川、石狩町花畔ですね。買ったときは多分、ちょうど海岸を見通すことのできるちょっとした高地になっていて、この目的はざんごうを掘るということが目的になっておりますが、いい場所だったんでしょう。ところが、札幌がどんどん膨張いたしまして、実はこの用地の周辺全部住宅街になってしまいました。いま町の方は学校建設用地として払い下げてもらいたい、こういうことを要求をしているわけであります。北部方面総監部に行ったら、とんでもない、ソビエト軍が上陸するのを迎え撃つ大事な場所なのに学校に建設用地なんて払い下げることができるか、こう言われて、実は関係者の人たちがびっくり仰天して、どんなことになっているのかということで調べてみたら、どうもこれは上陸侵攻想定地域にして、そのために——それでも大した広い土地ではないのですけれども、ざんごうを掘ってやろうということのようですね。これはどうなんですか。皆さんの方にも、学校建設用地として払い下げてほしいという要望が行っているでしょう。周り全部住宅ですよ。こんなところにざんごうを掘って迎え撃つといったって無理ですよ。払い下げてやったらどうですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いま御指摘のような陳情があることは承知いたしております。いまおっしゃいましたのは紅葉山演習場のことだと思いますが、これは先ほども申し上げましたが、石狩湾が上陸適地であるということと、そこに上陸を予想しておるということとはおのずから別個のことでございまして、私ども、あの演習場は、北海道のいろいろな演習場の中で砂地といいますか、地質がちょっとほかの演習場と違っておりまして、そういう訓練には非常に貴重な適当な訓練場であるというふうに考えておりますので、いまのところ、そういう陳情は受けておりますけれども、払い下げということに応ずることは御勘弁いただきたいというふうに申し上げておるわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 ちょっと後の議論のための前提の議論を幾つかしたいと思うのですが、「日本の防衛戦略」という陸上自衛隊のOBの人たちが書いた本がございます。これは堀江さんといういま自民党の参議院議員ですか、この人たちの議論の中で、石狩湾上陸のケースというのが検討されているのですね。その中に、堀江さん、元陸将の方がこういうことを言っている。一応そういう状況を道北と道央について自衛隊は想定しているのだということを述べた後、「しかし最近の石狩平野は、札幌百万都市の膨張で、上陸海岸のすぐそばまで家が建っているのですね。あそこでどういう戦いの姿になるのかなあ、と私は考えあぐねている。」こう述べておるわけでありますが、これは防衛庁はどういう姿になるのですか、そういうことになると。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども、具体的な上陸予想地点として考えておるわけではございませんで、上陸適地ということで考えておるわけでございますが、お話しのように、その後の人口動態とかいったようなことで、適地といいましてもどんどん変わっていくということはあり得るわけでございます。  いまの御指摘の、実際にあそこにもし上陸があった場合の戦闘はどういう姿になるだろうかというお尋ねでございますけれども、もしお尋ねの趣旨が、そこにおられる住民の方々の避難、誘導、そういったことについてどう考えておるかということでありますれば、私どもは、それは先ほどの要域地誌のこととは別個の問題としまして考えていかなければならない問題で、これは広く言えば、民間防衛の問題として国家的なレベルで考えていかなければいけない問題ではなかろうかというふうに思っておるわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これは避難することを防衛庁は考えているのですか、それともそこにとどまってがんばれということを考えているのですか、皆さんの方はどういう立場なの。いまの答弁だとどうもはっきりしない。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 具体的に、先ほど申し上げましたように、あそこの地区でそういう状態を想定した計画を持っておるわけでございませんので、一般論として申し上げますれば、住民の方を安全なように避難、誘導していくということが、いざという場合には大事なことであろうというふうに考えております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 なぜそんな議論をしたかというと、ことしのこの五十六年度予算の中でまた、七四式戦車が七十二両、これは合計二百四十九億円ですね、大蔵省認めておりますね。さらに、次期新戦車の開発予算として一億八千何がし認めておるわけであります。しかもこれは、恵庭と千歳の第七師団を変えて戦車を中心とした機甲師団をつくったわけですが、一体こういうときに戦車というのはどういうぐあいに使うのですか。戦車の機能というのは、ある意味で言うと騎兵のかわりに機動戦をやる、まあヨーロッパ大陸なんかではそういうことになるんでしょう。あるいはトーチカのかわりに使う。これはトーチカがわりに使うつもりなのか、機動戦をやるつもりなのか。何でこんなに北海道に戦車ばっかり、しかもこの戦車をどういうぐあいに使うのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 具体の作戦形態になりますと、具体の地形、戦闘状況によっていろいろ異なりますので、一概には申し上げにくいと思うのですけれども、戦車はやはり対戦車武器としては最も有効なものであろうというふうに考えております。具体的にはその地形に応じた使用の仕方になりますので、一般論としてしか申し上げかねるわけであります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 先ほど紹介した本によると、石狩平野で相手国の戦車と対決するというんじゃなかなか勝ち目がない。しかし、わが方に有利な点がある。何が有利かというと、石狩平野はおおむね都市化して家が立て込んで、戦車が自由に走れないようになっている。走れないようになっているのが何で有利かというと、横町から幹線道路に至るまでみんな知っているからこちらの方が有利なんだ、こういうような議論を、これは本の中でありますが展開をしておるわけであります。  確かにいまお話しのように、具体的にどうするかということになれば、それは問題だとおっしゃいますが、つい最近防衛庁の長官をやっておられた人も、名前は挙げませんが、戦車には戦車というような時代は、もうそんなのは古い、戦車を整備して大陸作戦用の部隊をつくったところでどうにもならない、こういうことをおっしゃっているわけですね。これはどうなんですか。     〔発言する者あり〕

小山長規自由民主党

○小山委員長 お静かに願います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 戦車の今後の戦闘における価値というものをどう判断していくかというのは、大変むずかしい問題でございます。戦車には戦車をと私先ほど申し上げましたが、もちろんミサイルあるいはヘリコプターといろいろな手段がございまして、総合的な対処ということになろうと思いますが、私ども、いまの時点で戦車の有用性を低く評価するといいますか、もう時代おくれだとか、そういうふうに考えるわけにはまいらないというふうに思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これは物の考え方ですからいろいろな考え方があろうかと思うのですけれども、大蔵省にちょっとお尋ねしたいのですが、七十二両で二百四十九億ですね。さらに次期新戦車、もう必ずこうなるのです。もう次期の戦闘機、次期の艦艇、次期の潜水艦、次期の何と、こうなって金ばっかりかけてどんどん上がっていくというのが現状なわけでありまして、次期の新戦車のためにも一億八千二百万も認められているわけです。世界的に議論されていることは、第四次中東戦争でイスラエルがソビエト製の対戦車ミサイルのサガーというようなもので壊滅させられたということから、PGM、もう第二世代、第三世代に入っていくと、あれはもうばかちょんカメラみたいなものでありまして、そんな照準を定めなくても、方向を認めてやれば飛んでいく。しかも、これは大量生産で大変安くなって、たとえば一千ドルぐらいで一式買えるだろうというのも中にあるようであります。  私がこういう議論をしたのは、大蔵省の方が査定に当たって——ところが、防衛庁でやっているのは、戦車に対して対戦車ミサイルか戦車砲かというものの費用対効果をやっているのです、どっちがどういう点だということは。しかし、システムとして戦車に対して戦車という考え方を変えていないわけです、がんこにそういう路線で。その前に、たとえば対戦車ミサイルで費用対効果はどうなるかというようなチェックの仕方もあるのではないか。ともかく装備を変えるたびに高くなってくるのを何とかしなければ国家財政は大変ですよ。しかも、軍人というのはどんどん大きいものを持ちたいのですから。どんどん足の長い、遠くに出かけていく、そういうものばかり持ちたくなるようになるのです。だから、私は大蔵省に、一体皆さんは七十二両を何の根拠で認めたのか、そういう費用対効果をきちんとやっておられるのかどうか、もしやっておるならば、その資料を出してわれわれの検討の材料にさせていただきたいというように考えているのです。これは大蔵大臣。防衛庁は要求する方ですから勝手なことを言うわけでしょう。皆さんはチェックするのだから、そこはやはりしっかりチェックしなければいかぬ。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 防衛予算の査定に当たりましては、防衛問題の専門家でございますところの防衛庁職員と昨年の夏以来協議を重ねまして、その間でいろいろと兵器の効率性でございますとか費用の関係でございますとか議論を重ねました上で、防衛庁の最終的に判断をいたしてまいります予算上の優先順位等も配慮をいたしまして予算の査定を行った次第でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そういう費用対効果というのをやってないでしょう。これもそうなんですよ。たとえばF15についても、防衛白書の選定のところを見てみますと、飛行機には後継機、飛行機だという概念で作業しているわけですね。だから、機種はヨーロッパを含めて七種類を挙げて、その中からアメリカのF14、15、16ですか、三種類にしぼって、そして防空効果と費用効果をやっているわけです。  ところが、スウェーデンの国防合理化計画というのは一九七二年に、国防を半分にするという目標を掲げて出発したわけです。その大きな理由は何かといいますと、あそこはいまビゲンという戦闘爆撃機を持っているわけですが、五〇年代がツナソ、六〇年代ドラッケン、七〇年代ビゲン、どんどん上がってきて金がかかって仕方がない、そこで根本的に見直そうというところから作業が始まっているわけです。そうすると、たとえば、さっきの坂本教授の議論じゃないけれども、相手国に近いところには要撃戦闘機なんか置かないで、たとえば地対空のミサイルならミサイルを配備するというような考え方、スウェーデンなんかの北欧諸国の考え方はそういう考え方なんですね。したがって、周辺から脅威だと言われないで自分のところの態勢をとるというようなことを考えてやっているわけです。  皆さんの方は、ずっと過去のやり方を見ていますと、そういう発想が全くなくて、飛行機といえば後は飛行機、戦車といえば後は戦車ということで、金をかけてどんどん高いものになっていく、こういう仕組みになっているわけです。このF15の場合も、地対空ミサイルとの間の費用対効果というのはやってないでしょう。だって、低空の方は陸上ですね。ホークは陸上でしょう、ナイキは航空ですけれども。だから、何かというともっぱらF15のように高度の空中戦を中心としたような飛行機を選んでいるわけです。専守防衛にふさわしくない飛行機を選定しているから、また周辺諸国から疑惑を持たれる、こういうことになっているわけです。だから私は、防衛庁の方も、内局は本来そこをしっかりやるべきだと思うのですね。大蔵省と防衛庁の方は、そういうような意味での合理化、縮小、こういうことをもう少し考えてやるべきじゃないか。従来の枠組みだけで、装備だけ変えてどんどん大きくするという予算の要求、そして決め方というのをやめなければ、軍事費ばかり金がかかって大変ですよ。大蔵省、あなたのところはいま、シビリアンコントロールの中では実質的機能としては一番期待されているところです。どうですか。これは大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 いろいろ貴重な御意見、ありがとうございました。われわれも実際専門家じゃない。横路先生、大変博学な知識を持っておられるわけですから、ひとつ自衛隊をお認めいただいて、もの中で、どうしたら金がかからない、性能のいい自衛隊ができるかというところに一歩突っ込んで今後も御指導願えれば幸いだと存じます。われわれも十分に努力します。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これは自衛隊を認めるとか認めないとかいう議論じゃないのですよ。だって、現実に自衛隊法があって、こうやって五十六年度予算、大変膨大な予算が出てきているわけでしょう。だから、そういう、人の揚げ足をとるようなことを言ってはいかぬのです。  問題は、どうやってシステムとして、本当に皆さんが専守防衛を言うならば、そういう体制をつくるのかということです。われわれは軍縮ですから、できるだけ縮小していく。たとえば、陸上だってそうですよ。陸上自衛隊と海上、航空のいろいろな人員の配備を見てみると、日本というのは海洋国家というよりも、むしろ大陸国家の型の人の配置になっているわけです。数が、日本の場合は陸上がうんと多いのです。これはどちらかというとドイツなどのタイプなんですね。海洋国家のタイプというのはそうじゃないです。陸上なんというのは、ある意味で言うといまの数を半分に減らしたっていいと思うのですよ。そういうことをやろうと思えばできるのですよ。何も平時からこんなたくさんの陸上自衛隊の隊員を抱えている必要はないでしょう。そうすると、半分に減らして、あとは予備自衛官か何かにしてしまえばいいんじゃないですか。それで大変たくさんの経費が浮くわけです。  だから、そういうことをともかくシビリアンが、防衛庁の内局が中心になってやらぬと、いまの制服の声ばかり大きいのに、しかも皆さん方も政治家もそれに引きずられるから、これは不安な気持ちを持っているのは何も国内のわれわればかりじゃないですよ。外務省の方に聞いてみると、アジアの日本にいる大使館の人たちが最近の議論を見て、一体日本はどうなるのですか、前に福田さんがマニラへ来て大変いいことを言っていった、鈴木さんも来て軍事大国にならぬと言ったけれども、最近の風潮は一体どうなんだ、そういう心配をして外務省を訪ねてくる人が最近大変ふえているのです。防衛庁の方では、そんな意味ではスウェーデンのように、たとえば半減するということだってやろうとして努力しているところがあるのですから、皆さんそういうことを考えていかないといかぬというように思うのですが、いかがでしょう。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 お答え申し上げます。  いろいろ貴重な御提言がございましたので、私どもも参考にして検討させていただきたいと考えます。  ただ、わが国は海洋国家でございます。島国でございます。同じ島国のイギリスと比較しました場合にも、陸上自衛隊の兵力というのは必ずしもそう多くはない。実質的にはむしろ低いのではないか、そういった点も考えられるわけでございますが、わが国の国土、国情に適合した兵力を備える、しかも陸海空均衡のとれたものに持っていきたいと考えておるわけでございます。  また、航空機等の選定に当たりましても、そういった観点からいたさねばならないと考えておりますし、また、基地防空につきましては、またそれにふさわしい新しい方法も考えていかなければならない。今回の予算におきまして短SAMもお願いしているというのも、そういった配意のあらわれであると私ども考えておりますので、念のため申し上げておきます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 総理大臣にお答えいただきたいと思うのですが、軍事大国にならぬ、専守防衛に徹するんだということだけを繰り返したってだめなんです。もうちょっと、そういうことの中身はどういうことなのかということを政府全体として考えて、やはり周辺諸国家がそう見なければ何もならぬわけですから、周辺の国が日本のこれに脅威を感じて軍事力を整備するということになりますと軍拡競争になるわけでしょう。日本は周辺諸国家と軍拡競争をやろうなんと言ったって、それはできるものじゃないのです、そんなことになったら大変なわけですから。したがって、そういうような専守防衛の中身をもっともっと具体的にしていくという努力を政府がしっかりやらなければいけないというように私は思うのですが、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、わが国の防衛は専守防衛に徹する、こういうことでございますから、その専守防衛の中身、体制はどうあるべきかというようなことにつきましては、私は、防衛庁当局及び自衛隊は真剣に取り組んでおる、こう思います。しかし、御指摘がございましたように、なおいろいろの面で改善をする必要があるという点もあろうかと思います。今後ともそういう方向で努力してまいります。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 日本では専守防衛、軍事大国にならぬと言っているのですが、最近のアメリカとの間のガイドラインをつくって以来の状況というのは、大変私は危険な方向に進んでいるというように思いますので、一、二御質問したいと思うのです。  米国と共同で軍事計画を立案するということは、ある意味では日米両国が、脅威の性格だとか脅威に対する対応だとかいうことについて合意をするということなわけです。そのことは、アメリカの戦略と同じ戦略を日本が持つということになりはしないか。日本はいま言ったように、日本の自衛隊というのは、自衛隊法から言ってもいわば日本列島守備隊ですね。アメリカの方の軍隊というのは、世界的に対ソをにらみながらグローバルな展開をしているし、そういう戦略を持っている部隊です。それがいわば軍事的なレベルで計画を進めていくということは、結局日本の戦略をアメリカの戦略に合わすということになるのではないですか。これは外務大臣ですか。いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまの問題でございますが、防衛協力小委員会でいろいろ協議したことは事実でございますが、その前提になっておりますのは、憲法上の制約についてはこれは何も変えない、あるいは非核三原則はこれも協議の対象にはしない、事前協議もこれは何も対象にしない、そういう歯どめをかけての議論でございまして、いままでの安保条約あるいは従来の取り決め等の枠内で検討しようという歯どめがかかっておりますので、いま横路さんのおっしゃったようなずるずると枠から出ていくということには、あの防衛協力の小委員会ではちゃんと前提があるということを申し上げて、その点の御心配はございませんと申し上げます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 ガイドラインの中で、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の中の一の「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」、このおそれのある場合に「日米両国は、」「整合のとれた共同対処行動を確保するために必要な準備を行う。」そして、「自衛隊及び米軍は、それぞれが実施する作戦準備に関し、日米両国が整合のとれた共通の準備段階を選択し」ということになっていますね。これはつまり、米軍は米軍でDEFCON態勢をしいているわけですね。この前の防衛局長の答弁ですと、日本の方もそういうDEFCON態勢の研究結果がまとまったということなんですが、このアメリカのDEFCONと日本のDEFCONということは、つまりおそれのある場合の共同部な共通の準備段階ということになりますと、DEFCONが一緒だということになるのではないですか。これはどうなんですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 この前申し上げましたのは、防衛研究の中におきます警戒態勢につきまして、一定の区分をつくってそのとるべき措置の基準を設けるということを考えておると申し上げました。防衛準備につきましても研究しておるということを申し上げました。  いまのDEFCONのお話は、いまの防衛準備の方の話でございまして、米軍は御承知のように現在米軍のDEFCONの制度を持っております。それは私どもの日米共同研究の中のテーマといたしまして、整合のとれた防衛準備の段階を考えたらどうかということで研究テーマになっておりますが、まだ現在、米軍との間にその点の研究は余り進んでおりません。今後の課題だと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは統一化されると、これは大変なことになるわけです。つまり、米軍というのは世界的に展開しているのですから、キューバで何か起ころうと、どこかヨーロッパで起ころうと、それに対応したDEFCON態勢をとるわけでしょう。日本の自衛隊というのは列島守備隊なんですから、そのDEFCONが一緒になって、一緒の共同対処をやるということになりますと、これはまさに安保の趣旨にも反してくることになるわけです。そこのところはこれから研究すると言ったけれども、実はそれは一緒にやるとそういう問題が出てきますよ。そうならぬようにしなければだめですよ。そこはひとつ外務大臣、これは防衛庁に任じておいたらだめな問題なんです、こういう問題は。あなたのところが安保の運用に当たっているわけですから、ひとつそんなことにならぬようにしっかりしていただきたいと思うのです。外務大臣、いかがですか。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまおっしゃったことはいろいろ問題があるということは私もわかりますし、特に基地の使用等につきまして、六条の問題等については防衛庁だけではできない問題があるわけでございます。外務省も安保条約の運用という面からは、当然それに重大関心を持ってやっていくということは当然だと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 たとえば「武力攻撃がなされるおそれ」というのはどういうのかということについて、朝日ジャーナルに出ております想定問答集を見ると、これは自衛隊法七十六条の「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」より広いように解するんだということになっていますね。これはそういう解釈をしているかどうかというのをまずちょっとお答えいただきたいと思うのです、前にも委員会でそういう答弁がありますけれども。つまり、そのおそれというのも、いまのDEFCONと同じ対応なわけです。そのおそれを、本来は、日本の場合だったらアジアの状況を見ておればいいわけです。アメリカの場合は世界的に判断するわけでしょう。その違いというのはあるでしょう。ここでそこを広げだということは、やはり米軍が世界的に展開している、アジアのみならずヨーロッパなどのいろいろな事態を想定して、それに対する共同対処ということを考えているから拡大解釈しているのじゃないですか、これは違いますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 攻撃を受けるおそれのある場合の解釈につきましては、御指摘のように、七十六条の「おそれのある場合」は非常に差し迫った状態を考えておりますけれども、ガイドラインにおきます「おそれのある場合」はそれより広い概念であるということは御指摘のとおりであります。  その際に、いまアメリカのグローバルな戦略体制の中で巻き込まれるということの御指摘でございますが、私ども、御承知のようにガイドラインに基づく作業は、すべてそれぞれの国の行政上、法律上、予算上の制約をするものではないということははっきり申し上げておるとおりでありまして、日本はそういう協議はいたします、調整はいたしますが、その実施はあくまでも日本が日本の判断によってやるんだということは、これはもう十分考えておるところでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは前段の対応を一緒にすると、結局それは米軍の戦略に日本の自衛隊の戦略が対応することになるというように私は思うのです。たとえば、このおそれのあるという場合、その情勢の判断というのは、アジアの情勢判断ですか、それとももうちょっと広く、ヨーロッパを含めた国際的な状況判断になるのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 日米ガイドラインそのものが、そもそも日本が攻撃を受ける場合の、あるいは受けるおそれのある場合の研究でございますから、いまのお話の世界のどこかで何か起こったという場合でも、要するに考える視点は、私ども、日本が攻撃を受けるおそれがある場合を考えまして研究作業をやっておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 防衛局長、去年の参議院の安保の特別委員会の答弁で、ある程度シナリオというのは年内にまとまるだろうというお話があった。アメリカ側のいろいろな国防報告であるとか議会の証言を見ていますと、日本に対して直接的な侵略があるということはもう考えられない。その意味では、日本は地理的にも大変恵まれた位置にある。むしろ問題はヨーロッパだ。これはアメリカもソビエトもヨーロッパを第一と考えている。最近は中東であるとか。そういう紛争が起きたときに日本の自衛隊がアメリカと協力をしてくれ、こういうような発言が、大体アメリカ側の発言をピックアップすると、こうずっと一連のものとしてあるわけです。日本の場合はあくまでも日本列島守備隊、自衛隊法による日本列島守備隊なわけです。そのずれがこのガイドラインの検討の中で出てきているはずだ。シナリオ一つにまとまったと言うけれども、これはどんなシナリオになったんです。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いろいろアメリカの人の発表の中に、ヨーロッパ等の事態で日本に何か期待しておるというお話でございますが、先ほど来申し上げておりますように、日米ガイドラインに基づいて行っております研究においてはそういうことは考えておりませんで、その点は米側もよく理解をしておるというふうに私は思っております。  なお、どういうシナリオがまとまったのかということでございますが、これは幾つか考えられる侵略の想定の中で、千差万別でございますから、研究するに当たってはどうしても一定のシナリオを想定せざるを得ないということで、一つの設想を設けて研究をしておるわけでございますが、それがどういう内容の設想であるかということについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは対応としては、世界的な情勢と関係なしに、日本が単独で攻撃をされたという場合のシナリオ想定になっているのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 日本が攻撃をされて、安保五条によってアメリカが日本を援助する義務が発生した場合のことを考えておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いずれにしても、このガイドラインの中で、いま言ったDEFCON態勢を含めて大変重要な問題が軍部サイドでもって進められているということに、私は大変大きな不安を感じます。特にこれから問題になる第六条の問題ですね。先ほど外務大臣の答弁がありましたが、アメリカ側の軍事委員会等における発言を聞いてみますと、これは日本に対して六条による大変大きな期待をしているのです。  たとえば、昨年の二月九日だったと思いますが、軍事委員会の議事録を見てみると、日本が直接攻撃された以外のシナリオを含む、特に日本が現在提供している基地、その基地の提供のほかに、たとえば輸送であるとか救助行動であるとか捜索であるとか、そんなものがあるかもしれない、あるいはもし日本政府が弾薬や燃料などの貯蔵を少し多目に倉庫をつくっておいてくれるならば、何らかのときにそれが役に立つかもしれないというような発言があって、これからのお話だということですから、これはアメリカ側の期待の表明なのでしょうけれども、第六条に関連してわが国に対する協力の要請は大変強くなってくる。しかし、これは大変重要な問題なのでありまして、つまり日本が攻撃されたという場合じゃない、極東地域の安全に関して米軍が出動する場合のことでありますから、われわれはここのところをともかく急いで軍事レベルでまとめるということだけしないで、もう少し慎重にゆっくり考えてやらないといけないのじゃないかというように考えます。  アメリカのこの委員会の証言を見て、これは要求が大変拡大していることに実は私びっくりしているのでありまして、時間が参りましたから、詰めた議論は一般質問のときにすることにしますが、ともかくこれは防衛庁でなくて、外務省は第二防衛庁なんて言われておりますが、あなた方はしっかりしてひとつ第六条の協議に当たってもらいたい。日本の自衛隊と米軍との違いというものを明確にさせることを前提にしてやるべきだと思うのです。外務大臣の再度の答弁を求めます。

伊東正義自由民主党外務大臣

○伊東国務大臣 いまおっしゃった六条の場合の研究はまだ始まってないのです。これからでございます。これは慎重にやれとおっしゃることはよくわかります。これは安保の取り決めの範囲の中でやるということの前提をつけておるわけでございます。それで、これは防衛庁以外にも関係することが多い問題でございますから、特に外務省もこのことについては十分関心を払ってやってまいります。  最後でございますが、第二防衛庁というお言葉は、これは私らは平和外交に徹してやりますので、そのお言葉はお返しを申し上げます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 総理大臣に最後にお尋ねしたいと思うのですが、結局問題は、脅威をどうやって減らすかという努力を日本としてしなければいけないのでありまして、脅威に対応するということを優先課題にしては私はいけないと思うのです。脅威をどうやって減らすかということ。脅威というのは、意図と能力だということをよく言われるわけでしょう。能力に対応しようということになりますと、それは抑止力を持たなければならぬということになります。抑止力を持つということになりますと、それは力の均衡だ、バランス・オブ・パワーだ、こういうことになりますね。そうすると、これは軍拡の論理に入っていってしまうわけです。つまり脅威論というのは何かというと、これはどうしてもすぐ能力対応論になって、軍備拡大の議論にしかならないのです。  われわれ政治家が考えるのはそうではなくて、むしろ、意図に対しては働きかけができるわけでありますから、外交であるとかお互いの経済的な交流を深めるとかいう努力が必要でしょう。能力に対してだって、いわば軍縮あるいは軍備管理という問題が非常に大きな課題として出てくるのです。いままで日本は日本の政策として、軍縮の問題というのは安全保障政策として位置づけたことはないのですね。これは国際的な平和環境をつくるという意味での軍縮政策だけだった。ところが、今日日本も世界でこれだけ第八番目の軍事費を費やすということになりますと、アジアの地域においてその軍備のコントロールということをもう一つ考えながら外交重点でいくという政策のとり方というのがこれから必要になってくると私は思うのです。  総理大臣の言う軍事大国にならぬ、専守防衛に徹するということの中身はどういうことなのかということを、私はこの議論の中で明らかにしたかったわけでありますが、きわめて不十分なものだったのは残念であります。しかし、ともかく今日の状況の中でそういう脅威を減らす努力をアジアにおいても日本がやるということを、総理大臣、ひとつしっかり考えていただきたいというように思います。答弁をお願いいたします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま日本が考えておりますのは、もう何遍も申し上げておりますように、「防衛計画の大綱」に基づいて防衛力の着実な整備を図っておるということでございます。私どもは、それだけの防衛力でもってわが国の安全と平和を確保するということはできないと考えておるわけでございます。どうしても平和外交を強力に展開をする、また日本の平和と安全のための内政、外交、資源の問題、食糧の問題、あらゆる問題を整合性を持って総合的な立場から防衛努力を図っていく、こういうことでございまして、防衛力を増強することによって、それだけで日本の平和と安全が確保できるとは考えておりません。そういう考え方で、防衛の問題も必要最小限度のものにとどめるという考えであります。

小山長規自由民主党

○小山委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会

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