P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
94回国会衆議院1981/05/27

法務委員会外務委員会社会労働委員会連合審査会 第1号

発言数
291
登壇者
37
会派数
6
開催日
1981/05/27

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより法務委員会外務委員会社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましては、お手元に配付いたしてあります資料によって御了承願います。     —————————————  難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 この際、質疑をされる各委員に申し上げます。  本日は質疑者が多数おられますので、質疑は申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。  なお、政府当局におかれても、答弁は簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私が属しておりますのは外務委員会でございますが、ただいま難民条約の審議を内国民待遇の国内法の整備と並行して進めております。きょうは、特に国内措置の中で問題になります国民年金等年金制度などに重点を置いて、少しお尋ねをいたしたいと思います。  さて、三月二十三日付で、国民年金審議会の山田会長から園田厚生大臣あての「国民年金制度の改正について」という文書が出されておりますが、この中で、「今回の改正に当たっては、国民年金制度の基本に触れることのないよう留意されたい。」こういう文言がございます。国民年金制度の基本に触れることのないよう、そして留意されたいという中身、これはどういうことを意味しているのか、少し御説明を承りたいと思うのですが、いかがでございますか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回の国民年金法の改正に際しまして、国民年金審議会におかれまして御審議をいただいたわけでございますが、難民条約の加入に伴いまして国民年金にございます国籍要件を撤廃するということにつきまして御審議をお願いしたわけでございます。この際、国民年金にございます基本的な仕組み、たとえば本来の老齢年金の資格要件でございますとか、社会保険方式を原則的に考えております部分でございますとか、そういった基本的な部分につきましては触れるということのないようにというような御注意をいただいたわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの御答弁ではよく私わからないです、ここに書いてあるとおりおっしゃったにすぎませんから。その国民年金制度の基本に触れることのないよう留意されたいという意味についてもう一度、これはどういうことを考えてこういう文章になって出てきたのかというあたりを少し御説明いただきたいと思うのです。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  御審議の過程におきまして、個々の具体的な事例につきまして基本的な問題との関連で御検討がございましたことは、一つは資格要件の問題であったかと思います。国民年金の場合には強制加入者、原則といたしまして二十五年の加入を要件といたしております。こういった基本的な要件ということについては、これを変更することについて慎重でなくてはならないということがございました。  それから、先ほど申し上げたわけでございますが、社会保険方式といいますか、保険の幾つかの事故がございますけれども、この事故の発生時点におきまして年金の給付要件を定めておりますが、こういった仕組みについても御意見があったわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの、発生時点について仕組みがある、その仕組みについて御意見があった、そうおっしゃるのは、具体的には中身はどういうことをおっしゃっているのですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  たとえば現実には、今回の内外人平等ということで、外国から人生の途中で日本に来られました方ということが問題になるわけでございますが、そういたしました場合に、二十五年という拠出期間、国民年金の場合には二十歳から六十歳までを被保険者期間とするという原則の上からいいまして、年金権の取得に問題があるケースが出てくると思うのでございますが、こういう問題につきましてそれに何らかの対応をするといたしますと、現在の国民年金制度の基本的な体系に触れる問題であるというような御意見だったと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 もう一つ、三月二十七日に社会保障制度審議会の大河内会長から園田大臣あてに出されている文書がございます。「国民年金制度等の改正について」という答申でございます。この中で、「国籍要件を撤廃しようとするものであり、」その次に、「やむを得ないものとして了承する。」という表現がございますが、この「やむを得ないものとして了承する。」というのはどういう意味なんでございますか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  私どもが、先生方からいただきました答申につきまして何らかの解釈を申し上げるということは不適当かと思うのでございますが、基本的には、今回の政府原案につきまして御了承をいただいたものと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これはそれぞれ当時の園田厚生大臣あてに出されている文書でございますから、これをお受け取りになるのは大臣でございまして、きょうは厚生大臣御出席でございますから、大臣に実はお伺いをすべきところであるかもしれませんが、きょうはまだ大臣からのお声が聞こえていないわけであります。実は先日も外務委員会の方で参考人の方々においでをいただいていろいろな御意見をいただいた中に、ただいま私が申し上げました「国民年金制度の基本に触れることのないよう留意されたい。」とか「やむを得ないものとして了承する。」という文言のある中身を見てもわかるとおりで、厚生省それ自身は——厚生大臣は知りませんよ。厚生省それ自身は今回の改正に対してまことに消極的であったのではないかというふうな御発言があったわけであります。  外務省は非常に積極的に難民条約の締結に向けて努力をされているようであるけれども、厚生省について言うならば、改正についてどうも消極的であるのではないか、こういうことでありますが、これは、今回ここで審議をいたしますにとどまりませず、条約に加盟をいたしまして後、いろいろの点で改正が必要だということになってまいりますと、それは時を追ってやはり考えていくということに対して積極的に大臣取り組まれる御用意があるかどうか、そこのところをまず承らしていただきます。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 第一点の、消極的ではないかという御質問でございますが、実はそういうことは考えてございません。難民条約の加盟に伴いまして、厚生省の所管する事項につきましてもできるだけ内外人の差別を廃止していきたい、これが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、今後とも、できるものにつきましてはできるだけその趣旨に従って行政措置も進めてまいりたい、かように考えているところでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大臣はそういうお気持ちでいらっしゃるというのをいま承っておりますが、少し基本的なことにわたるのですが、国民年金法に言う国籍要件というのは、ただいままでの要件の一つの大事な大事なポイントでございました。この撤廃ということは、従来の国民年金法の考え方に基本的な修正をしたということになるのでございますか、どうですか。国籍要件と居住要件という二つの大きな国民年金制度の大黒柱の一つが削除されるということなんですから、国民年金制度の原理を変更されたというふうに考えていいのかどうか、この辺はどうでございますか。大臣、いかがですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 これは考えようでございますが、私は、やはり基本的に大きな変革はあるものと思っておるわけでございます。と申しますのは、国民年金は御承知のように三分の一の国庫補助があるわけでございます。従来そういった財政負担というものを考えて国籍要件、それから居住要件を置いておったわけでございますが、その点について外国人にも国庫負担をやるべきである、こういう考えでございますので、考え方でございますけれども、私は、基本的な考え方の転換である、かように思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 多少と申しますよりも、私はこれは大変な違いが出てきているのではないかというふうに考えている一人なんです。それはどういうことかといいますと、日本に住所を有さない日本人の年金というのは一体だれが考えてくれて、一体だれがこれを保障してくれるのかということを考えますと、恐らくはその滞在先の国がめんどうを見てくれるであろうということを前提として考えて、日本国籍という国籍要件というのがこの制度の中には組み込まれて今日まで来たのではないか。そうすると、逆に滞在先の国である日本について、日本ではだれが一体外国人のめんどうを見るのか。これは日本政府というのは、いままでこのことについてはめんどう見ないというのでこの制度があった。これを今回は法律をつくり直してめんどう見なければならないということになったわけですから、こういうことからすれば、この辺は大変基本的な改革だと申し上げてもいいと私は思っているのです。  しかし、本来、福祉にしろ年金にしろ、こういう制度については、どうも発想の中に、日本においては対象になるのは日本人だけですよ、日本国籍を持っている人だけが対象なんですよという、そういう閉鎖的と申しますか、非常に狭い根性でもってその問題についての考え方があったということが、実は福祉ということを考えていった場合に、そもそも基本的に改革を迫られる要素をいままで日本は持ち続けてきていたんだ、このようにも考えられるんじゃないかと思いますが、この点、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 私もやはり基本的な改革だということを言っているわけでございます。  現在、厚生省の所管のうちで、健康保険法等の被用者保険につきましては、国籍要件はもうないわけでございます。国民年金あるいは児童扶養手当、特別児童扶養手当、それから児童手当法、これについては国籍要件があるわけでございまして、これについて撤廃していくということでございまして、この難民条約の加入に伴いまして、国民健康保険につきましても省令で決めるものもございます。また、地方自治との関係で、一部のものにつきましては法律あるいは省令で強制できない、そういうものにつきましては今後行政指導でやっていきたい、かように考えておるわけでございまして、難民条約の加入に伴いまして、事実上国籍要件はほとんど撤廃されている、かように考えているところでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまのは、ちょっと私の質問に対する御答弁にはなっていないように私には思われるのです。  ただ、それならばいま厚生大臣がおっしゃったことでちょっとお尋ねをしたいと思いますが、今回国籍条項が撤廃されるという対象になっているのは国民年金、児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、こうなるだろうと思うのです。ところが、生活保護法、国民健康保険法というのは国籍条項を置いたままになるのですね。この取り扱いは従前どおりということになるだろうと思うのですが、どのようにこの点は今後改革を迫られるか、どういうふうにお考えになりますか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 生活保護につきましては、昭和二十五年の制度発足以来、実質的に内外人同じ取り扱いで生活保護を実施いたしてきているわけでございます。去る国際人権規約、今回の難民条約、これにつきましても行政措置、予算上内国民と同様の待遇をいたしてきておるということで、条約批准に全く支障がないというふうに考えておる次第でございます。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 国民健康保険でございますが、御承知のように、国民健康保険につきましては市町村が条例でもって外国人の適用を行う。その前に、日韓協定によりますところの永住許可を受けた者につきましても強制適用であるということは御承知のとおりでございますが、こういった市町村の条例、これは財政事情その他の問題もございます、まだ適用していないところもあるわけでございますが、これにつきましては行政指導を強化いたしまして、外国人にすべて適用できるような方向で強化をしてまいる、こういうふうに考えているわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、その法そのものについては従来どおり、生活保護法にしても国民健康保険法にしても、国籍条項は削除しないというままに置くわけでしょう。適用の運用の上で配慮をそれぞれ試みていくというにとどまるわけですね。どういうわけでこれは国民年金や児童手当や児童扶養手当等々と取り扱いを異にして、国籍条項というものを据え置くことになったのですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 難民条約で、難民の方に対しましても日本国民と同じ待遇を与えるようにと書いてあるわけでございますが、それはその形がどうであれ、実質が同じ取り扱いをしておれば差し支えないという解釈であることは先ほど申し上げたとおりでございます。  生活保護法につきまして今回なぜ法律改正を行わなかったかということでございますが、一つには、国民年金等につきましては給付するだけではございませんで、どうしても拠出を求めるとか、そういった法律上の拠出、徴収というようなことにどうしても法律が必要だろうと思うのでございますが、生活保護で行っております実質の行政は、やはり一方的給付でございまして、必ずしもそういう法律を要しないでやれる措置であるということが一つの内容になるわけでございます。  ただ、改正してもよろしいではないかという御議論もあろうかと思うのでございます。その辺につきましては十分検討いたさなければならぬと思うわけでございますが、いろいろむずかしい問題がございます。  たとえば出入国管理令でございますか、今度は法で、出入国の拒否事由といたしまして貧困者等国、地方公共団体の負担になる者、これにつきましては入国を拒否することができるという規定があるわけでございまして、そういった規定との関連を、この生活保護を法律上のものとして改正する場合にどう調整していくかというような問題等もございます。あるいは生活保護につきましては国民無差別平等にやるわけでございますが、補足性の原理というのが強くあるわけでございますが、そういった外国人の方の親族扶養の問題等をどう解決していくか等々非常に詰めなければならぬ問題が多うございますので、今回は、とにかくこういった条約の批准には何ら支障がないし、実質的には同じ保護をいたしておるのであるからこれによって御了解をいただきたい、かように考えているわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いろいろ取り扱いの上で具体的にむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、そうすると、これはそのために新たな通達を今回御用意になるというかっこうなのですか。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 すでにもう昭和二十年代に、外国人に対する生活保護の適用ということで明確に通知をいたしております。かつまた、予算も保護費ということで、国内の一般国民と同じ予算で保護費の中で処置をいたしておるわけで、特にそれを改める必要はないわけでございますが、こういった難民条約の批准等に絡めまして、一層その趣旨の徹底を図るという意味での通知、指導等はいたしたいと考えておるところでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 一層とおっしゃるけれども、適用と準用というのは大分中身が違うので、相変わらず適用じゃなく準用ということにおいては従前と同じなんですから、その辺は少し前向きで今後どんどん考えていただかなければならぬと思います。これは後で、社会労働委員会からもきょうは具体的にさらに詳しい御質問があるであろうと思います。  さて、これももう種々取りざたされて、問題としては焦点の一つになってまいりました国民年金法の改正に対して経過措置がないという問題です。国籍条項の撤廃に従って、今回も恐らく国民年金法の改正のときに従来考えられた経過措置のようなものがあるに違いない、あるはずである、そうでなければ内国民待遇ということで十全なる措置を講じたとは言えない、こういう考えを持っておられる方が多いと思います。私自身もその一人なんでありますが、この経過措置というものがまるで考えられていない。これはやはり必要だと思われますけれども、厚生省としてはどのような心づもりを持っていらっしゃるかというあたりをちょっとお尋ねしたいと思います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回の国民年金法の改正でございますが、これは、難民条約の加入に伴いまして同条約で定めております内国民待遇を実現するということのために行うものでございまして、外国人の方のみを対象とする特別措置は講じないということで御提案をいたしておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外国人外国人といっても、いろいろあると思うのです。国民年金法の対象になる人たちというのを考えてまいりますと、今回の難民条約に伴う国内措置として考えられる難民、本来の難民の数よりもはるかに多いのは、長年日本に定住をされております朝鮮人、韓国人、中国人の方たちについてどうなるのかという問題だろうと思います。  そういうことから考えてまいりますと、これは種々ほかにも考え方としてはあると思いますけれども、一般外国人に対しての厚生省の措置を考えてまいりますと、いま私が申し上げたような方々について、特に一九四五年以前に生まれた方々を結果としては切ってしまうというかっこうになるのではないですか。つまり、三十五歳以上の人々は今回のこの国民年金法の改正の恩恵を受けられないという結果になるわけでありますから、したがって、戦前、戦中、この日本の植民地政策の中で非常な苦労をして、むしろ強制的に日本に移住せざるを得なかった方々、そして今日に至った方方、そういう方々についての道義的な責任というのは日本としてはあるだろうと思うのですが、この点から考えても、今回のこの措置については大変批判のあるところだと思います。いかがですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生の御趣旨は、特殊な歴史的経緯のある在留韓国人等について今回特別措置を講じるべきではないかという御意見かと思います。国民年金法は一般法でございまして、一般法の中で、外国人という方の中の特殊な方々につきまして、先生御指摘のような特殊な事情というものは十分理解をいたしておるわけでございますが、特殊な方々について特別の例外的な措置を設けるということは、一般法でございます立場からできがたいと思うわけでございます。  しかし、そういたしますと、外国人の方につきまして今回何らかの特例を設けるかという問題になると思うのでございますけれども、外国人一般として考えました場合には、先生いま三十五歳という例をお挙げいただいたわけでございますが、今回、昭和五十六年ということで改正案の御議論をいただいておるわけでございますが、日本に入国されます外国人は今後も毎年何人かの方がおありになると思いますし、その方々で入国の時点で三十五歳を超えておられるという方は今後永久にあるわけでございます。そういう意味では、外国人の方について特例措置を設けるということは、日本人と違いまして、外国人の方だけ別に永久的な措置として特例措置を設けないといけないということになるわけでございますが、そういたしますと、本来の原則でございます内外人平等という考え方からいたしますと、日本人より外国人を優遇するということになるわけでございまして、こういった特別措置はとれないというふうに考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの御答弁を承れば承るほど、実は大変怪しげなお考えをお持ちになっていらっしゃるというのがよくわかるわけでありますが、残念ながら、私の方は時間があと五分ということで、それを許してくれません。その問題については後の質問者が詰めていらっしゃるに違いないと思うのです。  同じような意味で、障害福祉年金の問題がもう一つあるわけです。これもまた、二十歳を超えている方で障害を受けていらっしゃる方については、今回の改正の対象として考えていないということが問題になってまいります。つまり、かつての年金法の八十一条のような規定が設けられていないことのために、障害福祉年金が受けられないという方々が外国人の中でたくさん出てくる、こういうことも事実としてあるわけです。同じような意味で、これについてはかつて改正時において経過措置が講じられたわけでありますから、今回も当然のことながら経過措置があってしかるべきではないかというのが大ぜいの声だということを申し上げたいのです。いかがですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回の改正は、難民条約の加入に伴いまして国民年金法における国籍要件を撤廃することとしたものでございますので、二十年前に発足して現在まで運営をされております国民年金制度において、その対象範囲を拡大いたしまして改正後同制度への加入を認めるものでございますから、新たに制度を発足するというときと条件は違うというふうに考えておるわけでございます。  今回、外国人の方のみを対象として御指摘のような措置をとるといたしますと、日本人の方でも、たとえば外国に行かれておりまして外国におられる間に障害になられました方については、日本国に帰ってこられました後でも障害年金の支給対象になっておりません。こういう状態を考えますと、日本国民との均衡を失するわけでございまして、かえって内外人平等という原則からはとり得ないものというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これも非常に問題がたくさん残るところですが、ちょっとお尋ねをしますが、これは年金制度の中で、拠出制になっている立場、そういう部分からいいますと、自分たちが働いて出した年金の拠出金で老齢者の年金に当てていくという、いわばそういう循環システムになっているわけでしょう。それで、いま保険料を支払ってそして拠出していっているこの年金について、当てられるべき年金者というのがないという問題は、この循環システムを切るということになるのじゃないかという考え方が成り立ち得ると思うのですが、この側面からは、いまお考えになったようなことについてはどうなりますか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生の御趣旨は、国民年金の制度の中に今回外国人の方を入っていただくわけでございますが、当然、国民年金は強制適用の仕組みでございますから、若い健康な外国人の方に保険料を拠出するという義務を課しておりまして、一方、給付の面では従来の外国人の方に適用していかないということは不公平ではないかという御指摘だと思うわけでございます。  国民年金の事業を始めます過程におきましても、先生御指摘のような問題点は当然あったと思うのでございます。ある段階を区切りまして、いわば保険集団の規模を拡大していきますと、ある断面におきましては、先生御指摘のような循環の輪というものが途中から広がるということはやむを得ないものであると考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 循環の輪が途中から広がるのはやむを得ないのですか。そうしたら途中で輪が広がる、つまり、それ以前のところは輪が非常に小さい、狭いということも、これもやむを得ないわけなんですね。どうも取り扱いの上で、聞いておりますと、種々矛盾がまだまだあるようであります。  特に問題になります今回の改正案というのを見ておりまして、いろいろ思う人は多いと思うのですが、憲法の二十五条では生存権と呼ばれる最低限度の文化的な生活を営む権利というものが、いろいろ生活保護法とか児童手当とか国民年金とか、さまざまな立法の中で息づいているわけなんですが、しかし、その運用なり具体的な解釈というのは、日本国籍を持つ者であるという解釈がいままで問題になってきたのですね、日本国籍というのが必要要件でございますから。ところが、憲法三十条には例の納税の義務を定めた条項があるのですが、この納税の義務というものを見てまいりますと、日本に住む人、日本国居住者というふうな定義づけになっているわけで、お金をいただくときには内外人平等だけれども、いただいたお金を行政機関を通じて交付するときには、いろいろ問題になるときには、しばしば、あなたは日本国籍がないからだめですということでいままで運用がされてきた、そういう側面もあるわけなんですね。  そういう点を自分の身に受けて感じておられる在日外国人の人たちからすると、今回の年金法の改正について経過措置がないということはまことにおかしいと言われるのは、私はもっともな話だと思うのです。どうも厚生省の方は、いろいろ言うと、へ理屈を並べ立てて、まあ聞いたら形式的にはつじつまの合うような御答弁をなさるかもしらぬけれども、本当にこういう点からいうと血の通った御答弁になっていない。  五十六年二月二十八日という日に私は予算の第三分科会でこの問題を取り上げて同じように御質問申し上げた節、当時の園田厚生大臣が、これは条約について留保なしで批准するということが大前提であって、ようやく話がまとまったところなんです。したがって、条約の加入についていまのように措置をぐずぐずしていると間に合わなくなる。だから大急ぎでこれはやらなければならないので、留保なしに加入するということのために、内国民と同様の資格を得られた方々に対してはいろいろ取り扱いをいま大急ぎでやっているけれども、経過措置についてはなるべく早い時期にその趣旨を考えつつ鋭意努力をいたしましょうというふうな御答弁もいただいているわけでありますが、この点は今回限りということでなしに、やはり年金法の改正の時点なり必要な時期において、改革をどんどんやっていくというお心づもりを厚生大臣お持ちでいらっしゃるかどうか、この点お伺いをしたいと思うのですが、いかがですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 今回の条約の加盟に伴う内外人平等、具体的には国籍要件の撤廃ということに伴ういま御指摘のような制度についての厚生行政の基本的な考え方でございますが、これはやはり、今度の加入に伴いまして外国人についても適用範囲を拡大するという考え方に立っているわけでございます。もう一つは、日本人と平等の取り扱いをする、こういう趣旨でございまして、まさにその限りにおきましては、今度の提案は十分なる条件を満たしておると私は考えております。  ただ、おっしゃるように、制度創設当時、たとえば国民年金につきまして強制的な経過措置を設けたじゃないか、これは制度発足のときでございますから、二十五年間掛けなくちゃならぬという基本法がございます。二十五年掛けられない者はどうするんだ、こういう問題は基本的にあるわけでございますから、これはやむを得ざる措置といたしまして、それは経過年金を設けたわけでございます。これはいつの場合でも、制度をつくるときには、その基本的な要件、それからそれを満たされない人たちについて経過措置も設けることは当然であろうと思うのでございます。  今度の場合は、内外国籍要件撤廃によって加入者がふえるということでございます。ですから、経過年金を設くべし、こういうようなことになりますれば、これは永久に続くわけでございます。どんどん入ってくる、これが一つの問題点でございましょう。  それから、今度はもし外国に長くおった日本人がやってきた。これは日本人は適用にならないわけですね、御承知のように。そうなれば外国人だけ適用するのか。これはやはり内外の差別撤廃という趣旨から見るとおかしい。  それからまた、第三番目には、やはり保険会計でございますから、当然保険数理に立ちまして年金計算をしているわけでございます。通常でございますと、二十五年掛ける者を基本にいたしまして、保険数理に基づいて、そして負担と給付の関係が整合性を持っているわけでございます。したがって、そうでない者について年金を設けるということ、これは定額にいたしまして、やはり何といっても国庫の三分の一の補助という問題等がございまして、やはり保険数理の上からいって保険財政は相当苦しいものになるんじゃないか。  まあ、いろいろな点がございまして、私は、これは今度の措置によりまして、内外人を平等という原則のもとに適用範囲を拡大するんだ、また、それで難民条約で定めている趣旨は達成できる、かように考えているわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 あと一つ。いろいろ、たとえば児童手当なんかの支給などをめぐって、その取り扱いの上で、ずいぶんこれから市町村の窓口がこの外国人の方々に対する取り扱いで難儀をなさるであろうと思われる手続上の問題をお尋ねしようと思いましたが、これは時間が来てしまいました。  実は、外国人登録ということでいろいろこの取り扱いを進めてまいりますと、外国人登録というのは、本来家族が同じどころに住んでおりましても、それを一世帯として登録をするようなやり方になっておりませんで、出生年月日によって順番が登録される、それから入国してきたときに登録されている、そういうことで登録のスタートができ上がっておりますから、行政サービスを拡大してまいりますと、恐らく市区町村の役場というのは取り扱いの上で大変な困難を来されるであろうという問題が一つ手続上の問題としてあるのです。日本に住みついていらっしゃる、定住していらっしゃる在日朝鮮人、韓国人、中国人の方々の取り扱いについては、特に今回基本台帳に繰り込むということが、まず制度上可及的速やかになさるべき一つの手だてではあるまいかということを私自身は思いまして、このことについてもお尋ねをしようと思ったんですが、簡単で結構ですが、一言これに対してのお取り扱いの方向をひとつここで示していただいて、私は質問を終わります。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 ただいま先生申されたことにつきましては、実は私どももある程度承知いたしているわけでございますが、この点につきましては、実は施行の予定日までまだかなりございますので、その間においてできるだけ市町村を指導いたしまして、解決いたしたいと思っております。よく法務省等とも相談いたしたいと思っているわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 終わります。ありがとうございました。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は外務委員会所属でありますから、園田大臣にはまたそちらでお尋ねする機会がございますから、きょうは日ごろ余りお目にかかる機会のない奥野法務大臣、国務大臣というお立場で二、三の点をお尋ねをいたしたいと思います。  初めの第一点は、この難民条約の関係で先般外務委員会で参考人をお招きして御意見を聞きました。その中でこういうことがありましたね。大学の先生の参考人ですが、その先生、自分の教えている学生たちに、君たちが子供のときからいままで育ってくる過程で、外国人の関係で何か特に意識に残ること、印象に残ること、そういうことはなかったか、あったらそういうことをひとつ書いてみてくれ、こう言って学生に書いて出させたそうであります。その中にこういうのがあったそうです。小さいとき、うちの近くに何か朝鮮人の人のうちがあって、あそこは朝鮮人のうちだから、夜遅くなったら余りそばに行くなよ、うちへ帰るときは回り道して帰ってこいというようなことを母親に言われて育った、こういう印象があるあるいは体験があるということを書いて出した学生があった。  その参考人の大学の先生は、その例を挙げながら、要するにわれわれ日本人の中にある対外国人の意識、外国人はよそ者だ、外国人は危ない、あるいはそういう者には余りかかわるなというような意識ですね、そういうのが結局排除の意識、差別の意識というふうなものになっていくんじゃないかと思いますが、そういう日本人の意識のあり方、これでいいのかというようなことを含めて、まず大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 戦後の一時期の混乱期にもいろんなことがございましたし、基本的に日本は島国で一億一民族、なかなか他の民族が同化しにくいというようなことも言われたりしているわけでございますので、いまお話しになったこと、私にもわかるような気がいたします。  しかし、近来、人権思想といいましょうか、平等の意識が非常に強くなってきているわけでございますので、今日ではそういう気持ちがほとんどなくなってきているんじゃないかなと私は思いますし、また、一層なくすように努力していかなければならない、こう思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いま大臣、日本民族のそういう単一民族としての歴史にも触れてお話しになりましたが、振り返って考えてみますと、たとえば明治維新、それで日本が新しい近代国家になった、そのころの明治の政府ですね、ずいぶん外国の学者あるいは外国の技術者、そういう人たちを日本へ招請してその知識を吸収する、あるいはまた、日本から外国へずいぶん積極的に留学生を送って、そして外国のいろいろな経験、知識を吸収して、それで日本の国家の近代化を促進するという面においては非常に大胆な、言うならば開放的政策をとったという時期が明治の初期に非常にあった、こう私は思います。  そういう中から、例のクラーク博士のような、日本の学生、若者に非常に大きな思想的な影響を与えたというような人たちも出てきたわけでありますが、われわれの先輩が歴史的にそういう時代をつくられたということは大したものだった、私はこう思いますけれども、いま言われましたように、これからますます日本は世界に向かって開放時代に入っていく、世界のすべての国と日本はつき合わなければならないし、また、その中において日本人というもののあり方が世界の各国から正当に評価されるというようになっていかなければいかぬ、こういう時代になった場合のいまの日本の国民の対外国人の意識問題ですね、大臣は、最近はそういうことは相当克服されてきておる、こういうお考えでございますが、なおそういう面を促進していく、そういう差別意識をなくしていくというような面について、政府としてあるいは国務大臣として、こういう施策が必要だというふうな御所見がありましたら、お尋ねをしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私も、高沢さんと同じように、日本は外国の文化を積極的に吸収するその過程で発展してきた国だ、こう思っておるわけであります。遠くは千数百年の昔から中国文化、仏教文化を入れましたし、数百年前には南蛮文化を入れましたし、いろんな努力を繰り返してきていると思うのです。今日ではまた日本人が積極的に海外に出かけているようでございまして、内外人の交流というものは、昔に予想できなかったくらいに大きなものになっておるわけでございます。この二、三十年の間に百倍以上出入国の人員がふえておるわけでございます。でありますから、そういうことを通じましても、私は、国民の意識がかなり変わってきたのじゃないかな、こう思います。  同時にまた、今度のこの難民条約を批准します機会に、外国人の出入国に対しましても積極的な施策を進めていこう、こう考えているわけでございまして、おっしゃるような方向に法務省の行政も前進していくものだ、こう考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 もう一つ、これは外国人という関係とはちょっと外れますが、かなり似た問題として、ことしは国際障害者年であります。そういたしますと、心身に障害のある人、そういう人たちに対する、あの人は足が不自由だ、あの人は口がきけない、あの人は目が見えないというようなことでもって、われわれ往々に子供のころに、そういう人は何か特別なものであるというような一種のやはり差別的な感じ方、考え方が率直に言ってわれわれにもみんなあったし、ある、こういうふうに思うわけですね。そうすると、障害者年というこの趣旨からいって、そういう考え方、そういう意識の仕方は当然克服していかなければいかぬ、こういう問題だと思います。  それから、さらにまた、それともうちょっと性格が違いますが、たとえば未解放部落の問題、こういう問題にいたしましても、全く同じ人間である、けれども、あの人はあの部落の人だというふうなことで、何かそれを非常に特別な差別的な扱いをする、こういうふうな意識がわれわれ日本の国民の中にあるというこの実態は、まことに残念ながらやはりあるということは認めざるを得ないと思います。  そういう点において、これもまた対外国人の問題と同じように、障害者の問題やあるいはそういう部落の問題、こういう問題を国民の意識の中から克服していくというような面において、これも含めて、ひとつまた大臣の御所見をお尋ねいたしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 国際障害者年ということもございまして、障害者に対する国民の考え方もだんだん変わってまいりまして、単に保護するだけじゃなしに同じように参加してもらわなければならない、そして生きがいを障害者にも持ってもらわなければならない、こういう気持ちが強くなってきていると思います。今日、基本的人権というようなことから、民族の中で差別なんということはむしろ卑しむべきことだという自覚も高まってきているのじゃないかなと私は思います。また、出入国管理令の中にありました障害者なるがゆえに退去を求めるとかいうような式の規定も今回は削除しているわけでございまして、おっしゃるような気持ちを進んでつくれるようにわれわれ努力をしていかなければならないと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そこで、ただいま奥野大臣の御所見をずっとお尋ねいたしましたが、そういう国民の考え方や意識を変えていく問題では、教育、これは学校教育もあるいは社会教育も含めて、教育の役割りは非常に大きい、こう考えるわけでありますが、文部省の政府委員お見えになっているかと思いますが、この種の問題について、学校教育の中でこういう意識を改めさせていくという面でどういう施策をなされているか、ひとつその対策をお尋ねいたしたいと思います。

河野石根文部省初等中等教育局小学校教育課長

○河野説明員 お答えいたします。  憲法に盛られました基本的人権尊重の精神を踏まえまして、学校におきましては、学校教育活動の全体を通じて人権尊重の教育、あるいは国際理解の徹底を図っているところでございます。  たとえば、小学校の社会科におきましては、第六学年におきまして日本国憲法を取り扱い、また、世界の国々との結びつきを取り上げる中で、人権の大切さと国際協調の精神の育成を目指しているところでございます。  また、中学校の社会科におきましては、「公民的分野」におきまして、個人の尊厳と人権の尊重を正しく認識させることを目標にいたしまして、「目標」の(1)でそのことを掲げますとともに、「目標」の(3)で国際協調の精神の育成をうたっているところでございます。また、「歴史的分野」におきましては、その「目標」の(4)の中で、他民族の文化、生活に対する理解と関心を持たせて国際協調の精神を養うということを示しております。  さらに、道徳におきましては、小学校の指導項目の一つといたしまして、広く世界の人々に対して正しい理解と愛情を持つことを掲げるなどいたしまして、人間尊重の精神を涵養するように指導いたしておるところでございまして、この方針は中学校においても同様でございます。  私どもといたしましては、今後とも各学校において人権尊重の精神、国際協調の精神の育成に関する指導を一層充実させるように配慮してまいりたいと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ただいま具体的な学校教育の中での対策について御説明がありましたが、もう一つ具体的な問題でお尋ねしたいのは、やはり先般外務委員会でお招きした参考人の方から出た問題ですが、在日の外国人、具体的に非常に多いケースとしては在日朝鮮人あるいは韓国人、そういう人たちが日本の公立の学校の教師になる、先生になる、こういう問題について、都道府県の自治体によって、ある県はそういう道が開かれておる、なれるという道が開かれておる、つまり国籍による排除条件がない、ある県では国籍によって、日本人でなければなれないというような形でもって、公立学校の先生になる道が閉ざされておるというような実態のお話がありまして、こういう問題は、実際の教育効果としても、学校の先生がたとえば在日朝鮮人、韓国人の先生である、その先生から日本人の子供たちが勉強を教わるというような具体的な体験の中で、日本人も外国人もそういう間違った差別意識というものはその経験の中で具体的に解消されていくという、こういう面で学校の教師のそういう採用における国籍による制限条件を外していくことが非常に重要である、こういう意味の参考人の意見の表明がありましたが、この辺の実態がどうなっているか。あるいはその国籍による条件を排除していく、こういう施策の展開について文部省政府委員、そのことでひとつお尋ねをいたしたいと思います。

国分正明文部省初等中等教育局地方課長

○国分説明員 お答え申し上げます。  公立学校の教員は地方公務員たる身分も持っておるわけでございますが、地方公務員法上、現在日本の国籍を有しない者を地方公務員として任用することについて、具体的な明文の禁止規定があるわけではございません。しかし、公務員の職のうち公の意思の形成にかかわるもの等につきましては、公務員全体の問題でございますけれども、いわば当然の法理として日本国籍を有しない者を任用することができないという考え方があるわけでございまして、これは御案内のとおりかと思います。教員を含みます地方公務員につきましてはそういう制約もございますので、公立学校教員についても今日まで任用することはできないというふうに一般的には解釈され、運用されてきているというのが現在までの姿でございます。  ただ、具体的にただいま御指摘ございましたように、私ども承知しておりますところでは、東京、三重、大阪府あるいは大阪市というようなところでは、具体的に在日朝鮮人、韓国人を含みます外国人を採用しているというケースがございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それを今後どうするお考えですか。

国分正明文部省初等中等教育局地方課長

○国分説明員 今後の問題でございますが、これは公立学校教員の問題自体というよりも、公務員制度全体の問題でございまして、立法的に解決していけるものかどうか、一つの法理との兼ね合いがございますので、一つの検討課題であろうかというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ただいま文部省政府委員から、現状の御説明はございました。私は、もちろん当然こういう制約を排除して、その道を大いに拡大していくべきだ、こういう考えでございますが、その問題になれば政府委員に意思を問うというのもやや無理があるかと思いますので、この点については大臣、国務大臣の立場で、大いにそういう方向に進めるという、ひとつ大臣の御所見をお尋ねもし、またその方向で大いに大臣の指導力を発揮していただきたい、このようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 数年来、自民党の文教関係の中で、外国人を大学の正規の教授に迎えられるようにしたい——いま客員教授としかできないわけでございますけれども、やはり全力を傾けて努力をしてもらうためには正規の教授にすべきだ。そうすると、国家公務員法を変えていかなければならない、どう改めるか。また同時に、国家意思の中に外国人が入ってくる、それがいいか悪いか。教授として来られた方に、そういう意味において大学の意思決定の中に参加してもらうことも排除すべきでないじゃないか、どう改めるかということで、数年来議論をずっとしてきておるわけでございまして、お話のような方向で関係者はみんな努力している、こう私は考えておりますし、またすべきだと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ただいまの大臣のお答え、ぜひそういうようにお願いしたいと思います。  もう一つ大臣に、今度は別な問題でお尋ねをしたいことがあります。  それは、私のある知人でありますが、その人は戦争中に軍の将校であった、こういう方であります。戦争中にその人の部下の台湾人、当時は日本の植民地で日本人であったわけですが、そして軍に徴兵されあるいは軍属として徴用されるという形で、その人の指揮のもとに台湾人日本兵という部下を持っていた。そして戦争中に、実戦の戦いの中でその部下に多くの戦死者も出たし、戦傷者も出たというような体験を持っておる方があるわけです。その人から私は言われたわけですが、その当時日本兵として戦って戦死したり傷ついたりした、しかし、いまは台湾人で日本人じゃないということで、この人々に対する日本からの何らの補償の道がない、こういう現状について、こんな不合理はないということを常々私は言われているわけであります。  私も、確かにこれは何とかしなければならぬ問題だ、こういうふうに考えるわけですが、その何とかするにはいろいろまた法律、制度の問題が出てくると思いますが、その以前の問題として、かつて日本人としてそうやって戦って死んだり傷ついたりした人に、このままでいいかどうかという道義上の問題として、大臣の御所見をまずお尋ねしたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いまの問題は、日中国交正常化したときにそれらの問題がどういう話し合いになっておったかということだと私は思うのです。私も、たびたびそういう話を聞きながら、身につまされる思いをするわけでございます。したがいまして、その辺のいままでの経過はむしろ外交当局でお答えをいただいた方がいいのじゃないだろうかなと思います。  法務省として処理しなければならない問題の一つとしては、台湾の出身者で日本におられる方々につきまして、今回その直系卑族の方につきましてもあわせまして永住権を与えるというようなことで提案をしているわけでございます。  過去の経過と絡んでいる問題のようでございますので、私からお答えをするよりも、むしろ外務当局の方が妥当ではなかろうかと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 外務大臣には別の機会かと思っておりましたが、ただいまのような法務大臣のお答えでありますから、ここでひとつ園田外務大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この問題は、台湾のみならず、ほかのところにもあるわけでありまして、新しい出発をする日本がアジアの国々に向かって信頼をされるのは、その後始末が第一歩だと私は考えております。ところが、特にこの台湾の方がむずかしいのは、これは二国間の相談で決まることでありますが、台湾とは外交関係が切れておりまして、中国の方と中国の一部であると言われている台湾の方との話し合いもまだつかない。こういう谷間にある問題でありますけれども、これは総理府などと相談をして何かいい方法を考えなければ、このままでほうっておいては日本人としての誇りと信頼をなくするということで、非常に心配をしておるところでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私の約束の時間が終わりますのでこれで終わりますが、いずれにいたしましても、いま奥野法務大臣また園田外務大臣のお答えは非常に前向きのお答えであった、私はこのように実は受けとめております。したがいまして、その前向きのお答えが実際のわが国政府の政策としてこれが実を結んでくる方向で大いにまた御努力をいただきたいということを最後に御要望を申し上げて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 川本敏美君。

川本敏美日本社会党

○川本委員 それでは、私が引き続いて質問をいたしたいと思います。  先ほど来、外務委員の土井委員やあるいは高沢委員からいろいろ質問がありました。ある程度重なる部分があるかと思うのですが、このたび政府は難民条約の加入、難民条約の批准を契機にして国民年金法あるいは児童扶養手当法あるいは特別児童扶養手当等の支給に関する法律あるいは児童手当法等の国籍要件を外して、難民条約あるいはその議定書に定めるところのいわゆる内国民待遇というのを在留外国人に行おう、その実現を図ろう、こういうようなことから今度の法案が出されておると思うわけです。これらの外国人に対して本来もっと門戸が開かれてしかるべきである、在日外国人や難民に対して国民年金やあるいは児童手当、児童扶養手当等を支給するよう国籍要件を外しなさいということを、私たち社会労働委員会でも繰り返し主張をしてきたところでありまして、今日行われることはきわめてよいことだと思いますけれども、一面、遅きに失する部分があるんじゃないかと思うわけです。  そこで、先ほど来土井委員からもいろいろ審議されました国民年金の問題について、まず若干私はお聞きをしたいと思います。  先ほどお話がありましたように、国民年金についての国籍要件は、今度は撤回されて、外されることになったわけですけれども、果たしてそれで内外人平等と言えるのかどうかということについては、先ほど来の企画課長あるいは厚生大臣等の答弁でも納得できないと私は思うわけです。先ほど企画課長の御答弁を聞いておりますと、逆に、三十五歳以上の方々にいま特別措置をするということになると、内外人平等というよりも外国人優先というか、優遇の措置になるからそれはできないというような御答弁をされておった。これは詭弁だと私は思うわけです。国民年金法の立法当時に、わが国においても、三十五歳を過ぎておった方あるいは五十五歳を過ぎておった方には福祉年金が支給をされる、あるいは三十五歳以上の方には五年年金、十年年金、いわゆる経過措置があったわけです。その後もいわゆる特例納付といいますか、それが二回にわたって行われておるし、沖繩が返還されたときにも、沖繩方式というので特別納付が行われておるわけです。  そういう観点から見ると、いまわが国に在留する外国人はすべて立法当時の日本国民と全く同じ状態に置かれておる、いままで年金が適用されていなかったのですから。そうすれば、その立法当時の状態に立ち戻って、いまわが国に在留する外国人に対しては、立法当時の日本人と同じように、いわゆる経過措置を設けるとか、あるいは福祉年金を設けるとか、あるいは特例納付の制度を設けるとかいうことでなければ、本当の意味における内外人平等ということが実現しないんじゃないかと私は思うわけです。その点について、もう一度大臣からお答えをいただきたい。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 先ほどもお話し申し上げたわけでございますが、国民年金法は昭和三十六年四月一日から発足したわけでございます。そのときに、国籍要件それから住所要件、さらに二十歳から六十歳の者に強制加入をさせる、しかし一つの問題は、原則として二十五年間掛けなければならない、老齢年金が中心でございますのでそういうことでございました。そういたしますと、制度といたしまして、二十五年は掛けられない人たちというものがあるわけでございますので、法律上当然その者については経過措置を設けなければならない。  そこで、実は五十歳から五十五歳の者につきましては任意の短い十年年金、それからさらにその後一遍救済しまして五年年金、しかし、三十一歳以上から四十九歳までの人につきましては、強制加入はさせましたけれども、経過年金という形でやったわけでございます。しかし、これは立法技術の問題でございまして、本来言ってみれば、そのうちどれだけの者を任意年金にするか、どれだけの者を強制的な経過年金にするかというのは立法政策上の問題。基本的に考えますれば、二十五年間掛けられないというような人たちについては何らかの経過措置が制度としては必ず必要なはずでございます。そういう意味でやったわけでございます。  今度の措置は、今後内外人の差別をするな、こういうことでございまして、その意味はわれわれも全く賛成いたしているのでございます。そういう意味から申しますれば、今度加入いたした者は新しい加入者がふえた、保険の方から申しますれば加入者が出てくる。ですから、その限りにおいて内外人は全く平等に取り扱うのでございます。  しかし、さかのぼってというお話になりますと、年金というものはずっと時の経過とともにある時点で資格が出る、そういう性格なものでございますので、ですから、過去になかった状態にさかのぼりといっても、事実は実は経過しているのでございます。したがって、もしおっしゃるようなことになりますれば、事実上は経過措置ではなくて、経過措置というのはいつか消えるわけでございますので、今後どんどん入ってくる人は全部未来永劫に続くわけでございましょうから、経過措置にはならない。経過措置といっても、それは将来、未来永劫にこの経過措置は残るわけでございます。  それからまた、日本人でいままでずっと外国に住んでおった人が、国籍のある人が今度初めて日本に帰ってくれば住所要件を満たしますから、これから初めて適用を受ける。年数の計算はそうなるわけでございます。だから、もし先生のことをおっしゃいますれば、日本人同士の平等という観点からいってやはりやらなくちゃならぬということになります。われわれはそういうものが平等だと考えているのでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いろいろ長々と御答弁いただきましたが、私は経過措置だと思うのですけれども、大臣はさかのぼって経過措置をすることはおかしいのじゃないかという御意見です。そうなれば、先ほど来議論になっておりますいわゆる海外に長くいた日本人で、日本へ帰ってきて年金の受給要件を満たすような資格のある人でも、年金が掛かってなかったために現在措置されていない、こういう実情があるじゃないかというのが先ほど来の御意見です。企画課長、申しましたよね。  私は、その点については、この前、園田さんが厚生大臣のときにも申し上げたのです。中国残留孤児、あの人たちはどうなるんだ。国家の政策的な犠牲者として、中国に長い間、親からも捨てられて預けられ、子供にもらわれて残留してきて、今日すでに四十歳になんなんとする人たちが三千人も五千人もおるわけです。この人たちが帰ってきて、そして老後に年金が受けられないということじゃおかしいんじゃないか、これに対して何とか特別の措置を考えるべきじゃないかということを申し上げたら、園田さんから、その当時、考えてみようという御意見を賜った。私は、そういう問題も日本人の問題としてあることは承知をいたしておる。  そうなれば、日本人に対してそういうたとえて言えば特例納付の制度をつくるとか、あるいは一定の期間を限って、いわゆる年金税の納付を免除するとかいう措置で老後に年金がもらえるような措置を講ずべきではないか、そういう特別の措置をいま必要とする段階に来ておるのじゃないか。そのときに一緒に、今度の法改正によって国籍要件を撤廃されて、そして適用されることになる在留外国人にもあわせて行えるような措置をとる必要があるのじゃないかと私は思うわけです。その点について、企画課長どうですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおりだと思います。わが国の、現在の日本国籍を有しておる方につきましても、外国に長期に滞在しておられまして帰国をされた場合、それからの拠出期間では本来必要といたします納付期間を満たさないという方がおられまして、御指摘のようにいわゆる無年金になる老齢者がおられることは事実でございます。  現在、私どもといたしましては、社会保障はある意味で年金その他のいろいろな諸施策等で総合的に老後の生活を保障するという考え方になっておりますために、このような無年金と言われる方があるという制度の仕組みになっておるわけでございますが、それでは、これらの方々に年金権を付与する方法といたしましてどういう方法が考えられるかという問題になろうかと思います。  先生が御指摘になりましたように、たとえばある一定期間を限りまして、従来の期間につきまして特例納付を認める、または外国におられました期間を何らかの資格期間に算入する、幾つかの方法が御指摘のとおりあると思います。これは国民年金審議会の御議論の中でも、果たしてそういう制度をとった場合、現在の四十年の期間の強制加入、その間におきまして二十五年は必ず納入していただくという前提で二千八百万の被保険者の方から保険料を徴収しております現在の体系にどういう影響が出てくるのか、全体を慎重に考える必要があるという御指摘をいただいておりまして、確かに先生御指摘の問題は、わが国の公的年金制度のいわば基本的な問題だと思うわけでございますが、そう長く時間をかけずに、慎重に検討さしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 ただいまの御答弁で、厚生大臣、非常に前向きな御答弁のように私は思ったわけです。何とか前向きに、余り長い時間をかけずに特例措置といいますか特別措置をとりたい、こういう意向のようにいま受けとめたのですが、間違いないですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 この問題は、やはり外国におった期間をいかに通算するかという問題でございます。したがいまして、これは総合的に当該国との間で十分連絡いたしまして、慎重に検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 ちょっと大臣の答弁、企画課長の答弁より後退しておるじゃないの。時間をかけずに早期に結論を出しますと言うておるんですよ。それをまた、相手方の国と連絡とってまた相談をしてみますということじゃ、おかしいと思うのです。その点ひとつ明確にしてもらいたい。  もう一つ。先ほど来言っています在留外国人に対する措置もそのときにあわせて同時にやるのかどうか、この点についてもひとつ……。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 私の答弁が大変言葉足らずでございましたかと思いますが、国民年金審議会の御議論でも、国民年金の大変基本にかかわる問題でございますし、制度の安定的な運営ということを十分にらみながら結論を出すべき問題であるということでございまして、率直に申し上げまして、相当に慎重な検討は要ると思います。その際に、先生がお話しになりました外国人の方の問題も、それは問題点として同時に検討さしていただきますということでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そこで、さらにもう一つ話を進めたいのですが、障害者福祉年金がありますよね。先ほども議論になっておりました。いま審議されている法律は、大体来年、八二年の一月施行されるということ。ところが、その施行の日に満二十歳未満の者でなければ障害者福祉年金は適用されない。今日現在満二十歳未満、きょう審議しておるこの時期に満二十歳未満であっても、八二年の一月施行のときにもう二十歳を超えておったら、生涯この人は障害福祉年金を受けることばできないことになっておる。これも私は、先ほど来御論議がありましたように、やはり一つの問題点ではないかと思うわけです。その点について厚生省は前向きに考えることをしているのかどうかということが一つ。  それからもう一つ、在宅重度障害者に対する福祉手当ですけれども、これは特別児童扶養手当の改正の中に含まれるのですか。これは今度は国籍要件が外されるのかどうか、その点も確認をしておきたいと思います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  障害福祉年金でございますが、これは現在の制度の仕組みといたしまして、拠出制の障害年金を補完するということで、拠出制の障害年金と、何と申しますか、権利の構成の仕方が同じ形になっておるわけでございます。したがいまして、今回の改正以後に支給事由が発生した者から支給されることになるわけでございます。したがいまして、先生がお話しになりました二十前の障害者、二十前に初診日がある障害者につきましては加入後に支給事由が発生する、つまり二十の時点で支給事由が発生いたしますので、その場合には支給されるということでございます。  それ以前に障害になっていた者につきまして、何らかの経過措置を設けるべきではないかという御指摘かと思うのでございますが、この点につきましては、ただいま外国から帰られました日本人のお話が老齢年金の例で出たわけでございますけれども、外国におられました際に二十を過ぎて障害になられ、日本に帰ってこられた方々につきましては、現在の体系では障害福祉年金の受給権はないわけでございます。そういうことから勘案いたしまして、日本人との均衡から、何らかの経過措置ということは考えられないというふうに考えておるわけでございます。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 二番目のお尋ねの、在宅重度障害者に対する福祉手当、ただいま提案されておりますこの法律案の中におきまして国籍要件の撤廃ということをいたしておりますので、この法案が成立いたしますれば、外国人の方にも差し上げることに相なります。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いま企画課長がおっしゃいましたけれども、先天的といいますか、満二十歳以前に障害の事由が発生した人々に対しては、拠出制の年金を免除していわゆる福祉手当を支給するというのが立法の精神だと私は理解をしておるのですが、そういう意味において、いまおっしゃいましたけれども、私は少なくとも在留外国人に対しても、そういう経過措置を何とか検討してもらいたい、このように強く要望しておきたいと思うのです。  そこで次に、これは法務省にお聞きをいたしたいと思うのですが、外国人の潜在的在留者といいますか、いわゆる密入国者とかいろいろ言われていますけれども、そういう潜在的在留外国人というのは、現在どのぐらいわが国におると推定されますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 潜在密航者の数は、当然のことながら把握が非常に困難でございます。大部分、ほとんどすべての人が朝鮮半島の出身者であると思いますけれども、いろいろな推計に基づきますと、数万人いるのではないかと思っております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 密航者と言われますけれども、こういう潜在的在留外国人というものは、戦後、今日まで長い間、わが国において、いわゆる公的地位は何ら与えられていない日陰者の存在として、現在もあることは事実だと思う。その数が何万か、これは潜在的ですからまだわからないというのが当然だと思います。しかしながら、今度の難民条約の批准を契機に、少なくともこういう潜在的な在留外国人、特に朝鮮半島出身の方が、韓国籍や朝鮮の方が多いと思われるわけですけれども、これはやはり日本の明治以来の歴史的な経過にもあると思うわけです。過ぐる大戦において、国の戦争目的遂行のために、あるいは日本本土に連れてこられた、あるいは徴用でいろいろな仕事に携わった、そういう方々が、戦後朝鮮半島へ帰られたけれども、しかし、向こうでは食うに職なく、家族も養えない、何とかしてあの戦時中に行った日本の本土で仕事にありつきたいということで密航してこられた方も多数おられると私は思うわけです。そういう方々に対する処遇を、やはりこの際考えてみる必要があるのではないか。いわゆる公的地位を与えるような改善が必要ではないかと思っておるわけです。  聞くところによりますと、カナダとかオランダとかオーストラリアとかスペイン等においては、一定の期間を設けて、そして一定の期間内に一定の条件を満たす者が、私は不法入国者といいますか密航者といいますか、そういう潜在的在留者でございますということを申し出た者に対しては、審査の上、公的地位を与え、在留を許可しておる、こういうふうな措置がとられておると聞いておるわけです。法務省はこの点について、諸外国のとられておる措置については承知をいたしておりますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、カナダ、オランダ、オーストラリア等でそういう措置がとられたことは承知しております。  ただ、移民の受け入れを基本政策としているこういう国々と、むしろその逆の立場にございますわが国との間で、政策に差があるのはやむを得ないと考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 カナダとかオーストラリアとかは労働移民等に依存をしている。ところが、日本の場合はオランダとよく似ておるというのは、いわゆる朝鮮半島の出身の方々に対しては、やはり旧宗主国とは言えないまでも、そういう言葉が妥当ではないと思うのですけれども、やはり日本の一つの国民として過ごした時期があるわけですから、そういう意味において、その方々を戦争のために駆り立てたという歴史的経過もあるわけですから、そういうことを考えたならば、私はこの際、これらの方々に公的地位を与えるような何らかの措置を考える必要があるのではないかと思うのですが、法務大臣、どうでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 不法入国して多年日本におられる方々、中には同情して人道的な配慮を加えなければならない方も多数いらっしゃると思います。でございますから、一律的な措置をとれと言われても、私は、これは困難だと思います。しかし、ケース・バイ・ケースでそれぞれの実情から考えまして、人道的配慮をして永住を認めるべき者は認めたらいいじゃないだろうかな、私はこう考えているわけでございます。やはり親族の関係でありますとか、あるいは生活の安定度でありますとか、あるいは平素の素行の問題でありますとか、そういうことをいろいろ考えまして、こういう際でございますので、特に人道的な配慮を加えられる方々につきましては、私は配慮を加えた措置をとっていきたい、こう思います。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いま法務大臣から、非常に人道的な立場に立って、この際これを契機にそういう措置をとったらいいじゃないかという御意見がありました。  これは厚生大臣にお聞きしたいのですが、もしそういうような措置がとられました場合には、これはもちろん年金とかいまの改正法は全部その方方にも適用されることになるわけですよね。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  現在、外国人という形で議論をされております方々につきましては、実務上は、日本に住所を有しているという形をどういうふうに判定するかという問題にかかわってくると思うのでございますが、いわばそれらの方々につきまして、適法に住所を有しておるという形になれば、お話しのように適用があるというふうに考えられると思います。

川本敏美日本社会党

○川本委員 次に、私は、戦傷病者戦没者遺族等援護法、先ほど高沢委員からも御質問がありましたが、この問題について若干お聞きをいたしたいと思います。  戦傷病者戦没者遺族等援護法に国籍要件がありますよね。国籍要件はあるはずだと思うわけです。今度の難民条約の批准の中で、なぜこの国籍要件を撤廃しようとなさらないのか、その点についてまずお伺いしたい。

持永和見厚生省援護局長

○持永政府委員 先生御指摘の戦傷病者戦没者遺族等援護法でございますが、これは先生も御承知のとおり、いわゆる社会保障の体系というよりも、むしろ戦傷病者戦没者遺族等援護法は、恩給と対をなす法律でございます。したがいまして、恩給法との関連で、恩給法に国籍要件がございまして、それを受けた形で私どもの法律も国籍要件を付しておるわけでございます。したがいまして、こういった問題について、今回の難民条約の関係で国籍要件を撤廃することは非常にむずかしい問題だと思っております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いまの御答弁を聞きますと、恩給法並びで、戦傷病者戦没者遺族等援護法については、いわゆる国との雇用関係といいますか、そういう身分関係が確立しておった者だけを対象とするんだというような考え方に立って、福祉全般にわたる問題ではないから、今度は国籍要件は外さなくてもいいのだ、こういう主張ですけれども、私は、これは全く間違いだと思うわけです。これは、やはり内外人平等という原則に外れるし、情においても、過ぐる大戦の中での戦傷病をした人たちが、先ほどのお話にありました朝鮮半島の出身者の方々やあるいは中国人の方々ですけれども、こういう方々に対しては、仮にわが国内に在留しておっても、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を受けない、これじゃ全く不平等きわまりないと言われても仕方がないのじゃないか。原子爆弾被爆者等に対する特別措置法では、これは適用されていると思うのです、すべての方に。国籍要件はないと思う。原子爆弾の被爆者に対しては国籍要件はありますか。

大谷藤郎厚生省公衆衛生局長

○大谷政府委員 国内に居住しておられる方は、すべての方に適用しております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そうでしょう。原子爆弾については、在留外国人であっても国籍要件はない。ところが、戦傷病者戦没者遺族等援護法については、現在台湾とかあるいは朝鮮半島に住んでおられる方々に対しての問題は先ほど高沢委員が質問されましたけれども、仮にわが国内に在留しておる方であっても、これは国籍要件を撤廃されていない、こういう問題があるわけです。これでは、私は、難民条約の批准の中で、内外人平等という、内国民待遇という精神から見て、この点は手抜かりではないかと思うわけですが、厚生大臣、早急に検討して、そして必要な措置をとる気持ちはありませんか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 おっしゃるように、いまいわゆる福祉政策でいろいろな措置をとっておるわけでございます。そういったものの法律的な考え方は、実は今度、原爆被爆者の手当を厚くすることにおきましてその法律的性格を明確にしてくれということを基本問題懇談会にお願いいたしまして、かなり方針が出てまいったわけでございます。私たちが従来から考えておったところにやや近い理念でございますけれども、原爆被爆者というものに対する考え方といたしましては、一般の戦災者とは違う広い意味の国家補償である。  それから、いまの援護法の関係で言いますと、これは特別の身分関係に基づく恩給法並びの考え方として考えざるを得ない、使用関係が立っておるから。そういう意味で、恩給法と同様な系列で考えるべき筋合いである。その理由は使用者責任というところにある。こういうことになりますと、いまおっしゃるような問題はまた別の観点に立って考えないとなかなかむずかしい問題じゃなかろうか。そういった意味で、問題点はよくわかりますが、今後検討させていただきたいと思います。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いわゆる国の使用者責任という意味において原爆法とは違うのだという御説明ですけれども、戦傷病者戦没者でいまおられる方は、軍人とか軍属とか準軍属とかいうことで、その当時は国との雇用関係があった人しか戦傷病していないわけなんですから、その当時は雇用関係があったけれども、いまは日本に在留しておっても雇用関係がないからだめだというような恩給法並びの解釈だって、これはもう間違いだと思うのです。それなら、いまの戦傷病者戦没者遺族等援護法で適用されておるすべての人々が、現在もなお引き続き全部国との使用関係、雇用関係があるのかといったら、そうじゃないですよ。そうでしょう。だから、その辺ははっきりともう一度考えてもらわなければいけないと思うわけです。その点について再度強くそのように要望しておきたいと思うのです。  次に、先ほど土井委員の質問の中で出ておりました生活保護法に関する問題ですが、先ほど来論議もされておりましたように、法律そのものでは、「すべて国民は、」ということで、権利の主体が国民にあることがはっきりしておる。ところが、その後の通達によって、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という通達が出されて、現在は実態としては外国人にも全部適用されているけれども、法的にはまだその国籍要件は残っておると解釈していいのじゃないかと思う。  先ほど来のお話を聞いておりますと、先ほどのお答えをお聞きした範囲内において私が理解できないと思うのは、いわゆる住所要件といいますか、そういう問題に関連してくるのじゃなかろうか。たとえて言いますと、出入国管理令の中でいわゆる生活に困窮してあるいは国または地方自治体等の負担にかかるような者、難民は入国を認めない。そういう条項との関連においていわゆる生活保護法の国籍要件を廃止することはできないのだという考え方の御説明であったように私は思ったのですけれども、しかしながら、生活保護法の中の住所要件というものがいまどのように規定をされておるのか。日本国内に住む者以外、たとえて言えば、海上を漂流しておるような日本国民に対して生活保護を適用するような規定があるのかどうか、私はその点において考え方を改めるべきではないかと思う。  そういう意味において、やはり生活保護法についても住所要件等も整備をして、あわせて国籍条項を廃止する必要があるのじゃないかと私は思うわけですけれども、その点についてもう一度お答えをいただきたいと思う。

山下眞臣厚生省社会局長

○山下政府委員 生活保護法におきましては、憲法二十五条を受けまして「国民」という言葉を使っているわけでございますが、住所要件は実はございませんのです。住所ということで縛っておりません。居住地、また居住地がない者は現在地ということでございます。これは御承知のように、生活保護といいますのは、いわばちゃんとした住所を持っておられる貧困な方ももちろん対象の中心でございますが、いわゆる浮浪者でありますとか、とにかくそこに現在おられるその者を申請があれば生活保護をいたすということになるわけでございます。したがいまして、実際問題としては非常にケースはないのだと思うのですが、いわゆる法律上の観念の問題といたしましては、領海の中であれば、海上を漂っておられるという方であっても、申請があれば生活保護を適用するという法律の考えに現在なっているわけでございます。  何度も申し上げますように、けさほど土井先生に申し上げましたように、実態といたしまして昭和二十五年以来もう明確に国民と同じ措置を外国人について講じておりまして、この条約の批准につきましては何ら問題がないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。

川本敏美日本社会党

○川本委員 次に、国民健康保険法の問題について先ほども御質問がありました。私も重ねて質問をいたしたいと思うわけですが、国民健康保険法についても、法律そのものには国籍要件があるわけですね。施行規則第一条第二号の中に「日本の国籍を有しない者。」という除外規定があるわけです。ただ、ただし書きで、市町村の「条例で定める国の国籍を有する者を除く。」こうなっておるために、市町村の段階の条例で救済されているわけですけれども、しかしながら、その市町村の条例というのは全部一律ではないことは申すまでもありません。その市町村の実情によって適用される外国人もあれば適用されない外国人もある、こういう実情にあると思うわけです。これはやはり私は公平の原則、平等の原則からいってもおかしいと思うわけです。  だから、先ほど来御説明はありましたけれども、御答弁はありましたけれども、少なくとも市町村の条例によっていま外国人に対する処遇を決めておるけれども、この点についてもできるだけ早い時期に国民健康保険法そのもの、施行規則そのものを改正して、そうしてこういう国籍要件的なものは排除すべきではないかと思うのですけれども、厚生大臣、どうですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、この国民健康保険の保険者、これは御承知のように市町村でございます。事業運営につきましては、たとえば現金給付の中身まで条例でもって決めるということで、保険者がこの事業の主体でございまして、財政的にも非常に敏感な状況でございます。したがいまして、これに全外国人の適用というものを一挙にやらせるということはなかなかむずかしい。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、全外国人の適用というものをできるだけ早く進めていくべきであるという必要性は私どももあると思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、すでに全国の主管課長を集めまして、これは内外の要望もあるのでできるだけ早く国民健康保険の被保険者に外国人をすべきである、その方向で努力をすべきであるということは言っております。なお、今後とも市町村の自主性には任せますけれども、全外国人につきまして適用を行うように、そういった状況を早めるように一層の努力をしてまいるというつもりでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 それなら、改めて通達を出すとかして、いわゆる市町村の条例の準則のようなものを厚生省がつくって指導するというようなことを早急にやる必要があると私は思うのですけれども、その点どうですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 おっしゃるように通達を出しまして、先生のおっしゃるような全外国人の適用の推進を行っていくつもりでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 次に、建設省お見えでございますか。——建設省に私はちょっとお聞きしたいと思うのですが、公営住宅に入居する場合にも、私は国籍要件があるのじゃないかと思うわけです。あるいは住宅金融公庫の貸し付けの場合も同じような国籍条件が付されておるのじゃないかと思うのですが、その点について現状は、現在はどうなっておりますか。

北島照仁建設省住宅局住宅企画官

○北島説明員 まず、公営住宅法でございますが、公営住宅法は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃の住宅を供給する、その目的の最後の方に、もって「国民生活の安定と社会福祉の増進」という言葉がございまして、一義的には日本国民を対象とするものであるというふうに従来から解釈してきております。  しかしながら、外国人に対してこの適用を排除するものではないという考えを持っておりまして、昨年の二月に住宅局長その他の通達を発しまして、少なくとも永住許可を受けた方あるいは日韓協定による協定永住の方、それから昭和二十七年法律百二十六号に基づいて日本に在留している方々には、これは地方公共団体が、大体その裁量に任せるわけですけれども、建設省としては、そこまで開放することが望ましい、さらに地方公共団体の裁量によって、その地方における住宅の実情なりあるいはその在留する外国人の状況等を見て外国人登録を有する方々まで広げても差し支えないという指導をしたところでございます。  先ほどちょっと言い忘れましたけれども、公営住宅につきましては、昭和五十年から一部の地方公共団体におきまして、これは全くの裁量でございますが、全面開放をしたところもありますし、全然開放しないところもあったということでございます。  続きまして、住宅金融公庫の関係でございますが、住宅金融公庫法におきましては、目的におきまして、国民大衆が住宅を建設、購入するに必要な資金を融通する、こう書いてございまして、これは政府部内に解釈についてはいろいろ問題あったわけでございますが、一応、国民に重点があるのじゃなくて、大衆に重点があるということで政府部内の解釈の統一を図りまして、その結果、やはり昨年の二月に通達を出しまして、昨年の四月から、公営住宅と全く同じ対象でございますが、その方々に対して融資をする、こういうことで踏み切ったわけでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 ついでにもう一つ、厚生省ですが、環境衛生金融公庫の場合ですね、これはどうなっていますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 お尋ねの環境衛生金融公庫の融資でございますが、これは環境衛生関係営業を営む者であれば、外国人につきましても日本人と区別することなく貸付対象といたしております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 文部省お見えになっていますか。——日本育英会の奨学金、これはどうなっていますか。

菴谷利夫文部省大学局学生課長

○菴谷説明員 お尋ねの日本育英会の奨学金でございますが、これはわが国では貸与制度をとっております。したがって、卒業してから年賦で返還していただくということでございます。それで、外国人に対しましては、永住を認められた者、それから永住の意思が固い者、こういう人々に対しまして、同じく貸与いたしているという現状でございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 もう時間がありませんので、最後にお聞きしたいのですが、先ほど来もいろいろ論議をされておりましたけれども、わが国の国民も最近は世界各国へどんどんと進出をしていって外国で働いておる、あるいは外国の方々も日本へどんどんと入ってこられる。さらに今後、合計特殊出生率といいますけれども、いま赤ちゃんの出生率がだんだんと減ってきておるわけですから、あと二十年、三十年先を見通すと、わが国にも、いまヨーロッパの国々におけるようなあるいはアメリカ等において行われておるような、いわゆる労働移民等の問題も当然出てくる時期があろうかと思うわけです。  そういう中で、現在でも自本は厚生年金の受給者で外国に住んでおられる方には年金を送金しておるというような事実もあるわけですけれども、今後そういう国際的な交流がだんだん大きくなっていくというようなことを考えました場合に、先ほど来いろいろ論議されておりますような、外国で働いておって年金の受給資格を持った日本人、あるいは日本で働いておって日本の年金の受給資格を持った外国人、こういう方々がまた年が寄ると祖国へ帰られるとかいうような、いろんな問題が出てくると思うわけです。  そういうようなことのために、最近、いわゆる国際条約の中で二国間あるいは多国間の社会保障条約というものがお互いに協定される時期に来ておる。わが国においてはまだそういう事実はどこもないわけですが、将来その問題について日本はどう考えておるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、最近の国際交流、盛んになってまいりましたために、外国に長期に滞在する日本人の方、また日本に滞在しておられます外国人が本国へ帰られるというような場合の年金通算の問題、大きな問題になってきていることは事実だと思っております。  御承知のように、外国の制度とわが国の制度とを通算いたします場合には、技術的になかなかむずかしい問題が多いわけでございますが、なお、現在お互いに交流の非常に多い日米間におきます年金の通算問題を検討することといたしておりまして、昭和五十四年に東京におきまして日米両国の厚生大臣会談がございまして、その後事務レベルで検討を続けておるところでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 それは年金に関する問題だけですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 現在検討いたしておりますのは、年金の通算問題でございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 私は、やはり、この問題については、中国とか東南アジアの諸国とかあるいはお隣、韓国、朝鮮の国々の人々とも交流が多いわけですから、そういう国々ともできれば一括して多国間の社会保障条約というようなものに踏み切る必要もあるのじゃなかろうかと思うのですが、その点について厚生大臣はどう考えておりますか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 おっしゃるように、その必要性はますます高まってくることはもう事実でございます。ですから、この問題にどういうふうにして対処していくか、今後その促進方を図ってまいりたい、こう思っております。ただ、非常にむずかしい問題であることももう御承知のとおりでございます。極力進めてまいりたいと思います。

川本敏美日本社会党

○川本委員 もう時間が参りましたので、私の質問もこれで終わりたいと思うのですが、先ほど来いろいろ前向きに検討するというお約束をたくさんいただきました。私は、やはり、これからの国際的な日本の地位を高めるためにも、ひとつ勇気をもって早期にすべてのそういう鎖国的な条項を開放していくために御努力いただきますように特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 田口一男君。

田口一男日本社会党

○田口委員 先ほどからのお話を承っておりまして、この難民条約に加入することによって内外国人に平等の扱いになるんだというお話のようでありますけれども、年金、主として国民年金ですが、さっき断片的に聞いておりますと、内外国人平等の扱いをするのだという話にしては、国民年金法の扱いがどうも平等でないような気がいたします。したがいまして、繰り返しで恐れ入りますが、この難民条約加入によって国民年金法がどういうふうに外国人に対して扱われるのか、もう一遍整理をしてお答えいただきたいと思います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  国民年金の今回の改正につきまして御説明を申し上げます。  第一に、拠出年金の被保険者資格につきまして、国籍要件を撤廃することにいたしております。改正後は、わが国に居住いたします外国人の方は、日本人と同様に国民年金制度に加入していただきまして所定の拠出をしていただく、所定の拠出期間を満たした場合には年金の支給が受けられるという形になるわけでございます。  第二に、福祉年金でございますが、福祉年金につきましては、拠出年金加入者に支給されます補完的な障害福祉年金、母子福祉年金、また二十歳前に障害となった者に支給されます障害福祉年金が、今後支給事由の発生いたしました者から外国人にも支給されるということとなるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 そこで、具体的な問題を二、三申し上げて、その場合にはどうなるのか、はっきりとお答えをいただきたいのですが、在日外国人といいましてもいろいろありますから、私は、しぼって、在日朝鮮人の方々の場合の国民年金の支給要件で例を挙げてみたいと思います。  一つは、この法施行日、七十歳以上になってみえる在日朝鮮人の方々の老齢福祉年金は一体どうなるのか。それから、現に障害を受けておる、もちろん一級、二級という等級がなければなりませんけれども、その方の障害福祉年金などはどうなるのか。  そこで、後でお尋ねしたいと思うのですが、法務省の方からいまから申し上げる年齢区分の概数を教えていただきたいと思います。いま言った七十歳以上の在日朝鮮人ですね、何人くらいみえるのか、また障害者というところまでわかるかどうか。年齢だけわかれば、概数で結構ですから。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 まず、老齢福祉年金、障害福祉年金の支給について御説明申し上げます。  先ほど御説明いたしましたように、福祉年金につきましては、拠出年金加入者に支給されます補完的なもの、それから二十歳前障害が対象となるわけでございますが、老齢福祉年金は、この支給事由を問います七十歳時点というものが、御承知のように制度発足時の経過的な制度でございますために、本年四月以降は日本人でありましても新たに受給者は出なくなるわけでございます。したがいまして、今回、国籍要件を撤廃いたしましても、老齢福祉年金につきましては外国人に支給されることはございません。  それから、障害福祉年金でございますが、障害福祉年金につきましては、現に障害である者はどうかというお尋ねでございますけれども、二十前の方でございまして現に障害であるという方につきましては、二十に到達する時点におきまして改正後の法律が施行されておれば、二十前障害の規定によります障害福祉年金が支給されますが、すでに二十を過ぎておられる方につきましては、障害福祉年金は支給されない取り扱いになっておるわけでございます。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 在留している外国人の年齢別の統計でございますけれども、朝鮮半島出身者という、ことでの統計は持ち合わせておりません。ただ、昭和五十五年における外国人在留者の年齢別の推定数字を申し上げます。在留しております外国人のうちの大体八五%が朝鮮半島出身者であるということから大体見当がおつきになるのではないかと思いますが、七十歳以上の者が約二万一千人でございます。それから六十歳以上六十五歳未満の者が約二万五千人、それから三十五歳以上六十歳未満の者が約二十一万三千名でございます。  なお、身体障害者につきましては、データがございません。

田口一男日本社会党

○田口委員 そうしますと、今度は二つ目の具体例なんですが、いまも二万五千人程度みえるという六十歳から六十五歳未満の方々の年金の扱いはどうなっているのか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  国民年金は、六十歳を超えておられます方につきましては加入資格がございませんので、今回の改正後も国民年金に入っていただくということはできないわけでございますので、国民年金法上は年金権に結びつかないということになるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 さらに三つ目の問題としては、いま二十一万余みえると言われておる三十五歳以上六十歳まで、これは先ほどの大臣の答弁を聞いておりますと、国民年金は二十五年間保険料を納付しなければならぬ、こういうたてまえから見ますと、いま三十五歳の人が二十五年掛けると満六十、したがいまして、三十五歳から六十歳未満の方は一体どうなるのか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  三十五歳以上六十歳に到達しておられない方の場合には、国民年金は強制加入になるわけでございます。これらの方々につきましては、たとえば以前わが国の被用者年金、たとえば厚生年金等に加入期間をお持ちの場合には、入られました後の国民年金の期間と通算いたしまして、通算老齢年金の受給権を発生される方もございますし、また、加入されまして以後、母子状態、障害状態というような御不幸がありました場合には、障害年金、母子年金に結びつくということはあると思いますけれども、国民年金だけで老齢年金の年金権に結びつくということはあり得ないということになるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 そうしますと、全部法施行されたという前提のもとに申し上げますけれども、七十歳以上の方には老齢福祉年金が支給されないのですね。それから六十歳から六十五歳未満の方についてもこれは当然支給されない。三十五歳以上六十歳未満の方についても、三十五歳ぎりぎりならばこれは滑り込みセーフですが、三十六歳、三十七歳になると当然にこれは掛けても年金はもらえない。ということになりますと、数は、さっき法務省の方からお答えがありましたそれだけの数の方が無年金者の扱いになるわけですね。  そうなりますと、私は情においてどうとかということはあえて言いませんけれども、本年三月一日の新聞で、難民条約加入に伴ってこれこれのことを政府は考えておる、社会保障関係だけじゃありませんけれども、新聞に出ました。その新聞を見て私のところへ二、三の、これはほとんど在日朝鮮人の方でありますが、ひとつ早いところ通してもらいたいという要望を含めて相談に来たのです。  第二番目に言いました障害福祉年金のことで、こういう方があるわけですね。現に障害の程度を見ますと、片腕がない。その人はこういう質問をしたわけです。いまからこの法律が施行されて国民年金が私も適用になるらしい。ありがたいことだ。その場合に、前回私は社会労働委員会の席上で企画課長にもちょっとお尋ねをしたのですが、私はいま国民年金に加入を認められるが、障害福祉年金をもらった方がいいでしょうか、幸か不幸かその方は自分で事業をやっておるものですから、保険料を一定期間納めて障害年金をもらった方がいいでしょうか、こういう質問があったわけですね。したがって私は、障害福祉年金は金額的に見て余りいい額じゃない、だからいま掛金を掛けることはえらいけれども、先のことを考えれば保険料を掛けて障害年金をもらった方がいいでしょうと私は答えたのですね。答えたらどうこうという意味じゃないのですけれども、どうもその答えは間違っておることになるのですね。  現にそういった一級、二級の障害を持った方々が門前払いを受ける、こういうことになるのですけれども、これは内外人平等の扱いということからいってもおかしいんじゃないのか。その障害を持った方の扱いですよ。第五十六条の改正で、廃疾の程度における国籍要件撤廃云々とありますけれども、確かにその方の障害を起こした日が日本人でなかった、また国籍要件で阻まれておったということはわかりますけれども、それを今度撤廃をした場合に、障害を現に持っておる人については、これは障害年金ではなくて障害福祉年金は支給して妥当なんじゃないのか、日本人と同じ扱いをする場合には。もちろん掛金を掛けて障害年金云々ということになりますと、これは内国人との差が出てまいりますけれども、障害福祉年金の方ならばそのおそれがないんじゃないのか、私はこう思うのですが、どうなんでしょう。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生の御質問は二つの問題点があったかと思います。一つは、本改正法施行前にすでに障害となっている者については障害福祉年金を支給すべきではないかという問題、それからもう一つは、障害福祉年金が支給されないとしても、これらの者について、加入後一定の拠出を行った場合には拠出制の障害年金を支給すべきではないかということだと思います。  第一点の問題でございますが、国民年金法の障害福祉年金は、拠出制の障害年金の補完という性格を持っておりますために、拠出制の年金がとっておりますような支給事由発生の時点におきまして本来の支給要件を問うという構成をいたしておりますために、一時点で条件を満たしているかどうか、一時点でその方につきまして受給の権利があるかどうかということを問いますために、今回の改正前にその支給事由の、何と申しますか、すでに受給権発生の時点が過ぎておられます方につきましては、支給することができないものでございます。  それからもう一つは、先生がお話しになりましたように、今後加入されまして何らかの保険料を拠出した場合に障害年金を支給できないかという問題でございますが、これは御承知のように、社会保険システムでやっております場合には、障害になられるかなられないかわからない時点におきまして皆様が同じ条件で拠出をしていただきまして、その後ある一定の比率で障害という御不幸に見舞われる方があるわけでございますから、皆様が平等の立場で拠出をしていただいた上で障害年金の受給権が出るという構成をとっておりますために、すでにもう障害があるという方につきましては、当然に受給ができるという条件が先から決まってしまいますので、こういった方につきまして社会保険方式の障害年金を、何らかの拠出要件があったからといって支給するということはできないと考えておるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いまのお話ですと、さっきの三番目のケースで、三十五歳以上六十歳未満ということと絡ませて言いますと、現実に障害を受けた方は四十幾つの方なんですけれども、その場合にはもういまから保険料を納めようと思っても、普通の老齢年金はもうもらえない、障害年金ももらえないでしょう。そこのところがおかしいんですね。障害福祉年金はもちろんもらえない。じゃあ、それならば社会保険方式に従ってひとつ掛金を納めましょう、ところが、三十五歳以上ですから、せっせと保険料を納めても老齢年金ももらえない、その途中で、こんなことがあっては困りますけれども、一年か二年たって腕をなくした場合は、これはもらえますね。ところが、この人は現にもうすでに片腕がない、これももらえない、この扱いはちょっと普通で考えてもおかしいのじゃないでしょうか。  ですから、社会保険で平等を欠くと言うのならば、福祉年金の方はこれは当然支給すべきじゃないか、これは先ほど私が申し上げたとおり。重ねて言いますけれども、どうもここのところが腑に落ちぬ、答弁どうですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  確かにお体が不自由な方につきまして年金の受給権がないということにつきましては、御指摘の問題点、ごもっともだと思うのでございますが、日本の現在の制度におきます日本人御自身の問題といたしましても、たとえばほかの制度に加入するべきであったのが、たとえば国民年金に加入するべきであったのに保険料を滞納しておられたというようなケースの期間に障害になられまして、それから国民年金の保険料を納入されました場合も、これは御承知のように障害年金の受給権は発生しない仕組みになっておるわけでございます。基本的に、社会保険方式で障害年金というものを仕組みますと、やはりそういった意味で制度に加入されます前の障害ということにつきましては、条件が出てきてしまうということはやむを得ない問題ではないかと思っておるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 じゃ、ちょっと立場を変えて、法務省の方にお伺いをしたいのですが、この難民の地位に関する条約、一九五一年という一つの線が引かれておるのですが、最近の新聞に流民という言葉も出ていますね。  そこで、難民、流民という定義、広辞苑で調べてみますと、これは法律用語じゃないのでなんですが、難民とは「1困窮する人民。2戦争・天災などのため困難に陥った人民。ことに、戦禍・政難を避けて故郷を逃れた亡命者。」を難民というふうに書いてありますけれども、では流民はどうか。昔石川達三の小説にこういった題のものがあったと思うのですが、広辞苑によりますと、「1乱世または誅求の甚だしい時、故郷を離れて他国にさすらう民。流浪の民。」「中国南北朝の頃から起った土地なき人の他郷への移動。」というふうなこともあるのですが、一九五一年云々ということはちょっとわからないのですが、わかりやすく言うとどういうことなんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 流民という言葉は、英語のディスプレースドパーソンという言葉の訳語でございます。その定義はまちまちで決まってはおりません。非常に広い意味では、戦乱とか政変とか、そういうものを避けて本国から脱出してきた人たち、こういうふうにも使われておるようでございます。  しかし、ただいま先生がお触れになった最近日本のマスコミで使われております場合の流民というのは、インドシナ三国のいずれかに居住歴を持っていてそこに住んでいた、そういう人が戦乱を逃れて第三国に行き、そこでその国の保護を受けている。その結果その国の国籍を取得して旅券をもらいます。その第三国というのはタイとか多くの場合台湾でございますけれども、そういう国の旅券を持って、それに日本に入るための観光査証等をもらって日本に入ってきて、それで在留期間を超えて不法に残留している人たち、これを最近のマスコミでは流民と言っているようでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 そうしますと、もう一遍年金の方に移るのですけれども、いまお話のあったようなマスコミ用語で流民、難民、こういった方と、私がさっき具体的に例を挙げました在日朝鮮人の方々とは厳密に言うと違いますね。午前中話がありましたように、過去の日本帝国主義とかいうふうな表現も使われておりますけれども、わが国の責任においてずっと戦後も定住をしておる方の方が多い。  したがいまして、社会保険の理屈からいって、これはいま言われておる難民、流民の方で、保険料は納めたけれども、途中で自分の本国といいますか、政情が安定したか何かということで帰っていく人も多かろうと思うのですね、そうなることが望ましいと思うのですけれども。その場合に、私は五年掛けた、十年掛けた、五年、十年では年金の資格は発生しませんから、それを返してもらいたいなどと言っても、社会保険の理屈からいうとおかしなことです。当然それは戻しませんということになると思うのです。ところが、在日朝鮮人の方々の歴史的な経過を考えると、五年掛けたから、十年掛けたから、ひとつ本国に戻りますというようなことはまずないんじゃないか。そういったことを考えれば考えるほど、さっき言った障害福祉年金の扱いであるとかが、私はよけい理屈に合わぬと思うのです。  さらに、こういうケースの場合はどうなんですか。さっき挙げた二番目のケースで六十五歳未満六十歳、若いときに厚生年金の被保険者、ところが、その会社がつぶれて、そのまま厚生年金十年ちょっとでほっておいて、今度、さっきの話じゃないですが、三月一日の新聞を見て、田口さん、私は国民年金に入った、通算できますね、という話なんです。ところが、あいにくこの方は六十歳を超えているわけですね。だから、こういった方は多いと思うのです。あと一年か二年国民年金を掛けた場合に六十五歳になれば通算年金がもらえるだろうという人が、これでまたシャットアウトになると思うのですが、一般的には通算が可能になるのですか、このことについて……。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  いま先生お話にございました、かつて厚生年金の被保険者であられまして、本改正法成立以後国民年金に加入されました場合に、前の期間と今後の期間とがどうなるかということでございますが、これは通算になります。この場合に、その方の年齢によりまして年数が違ってくるわけでございますが、原則的には厚年の期間と国民年金の期間合わせまして二十五年の期間があれば、それぞれの機関から通算老齢年金が支給されるということになるわけでございます。  いまお話しの、現に六十歳を超えておられる方につきましては、国民年金に加入していただくということはできないということでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 そうしますと、ここに二つの場合が想定されるわけですね。六十歳未満で過去に厚生年金の被保険者の年数を持っておった、それがあと若干年国民年金の被保険者になれば、六十五歳になって通算年金が支給される。ところが、あいにくこの難民条約云々というのは遅くなったものですから、もうそのときは六十歳になっておったら通算措置も何もない。全部が全部同じ条件ということはできないことはわかるにしても、いま言った通算の場合は、もう年だから仕方がありません——私はくどいようですが、それはそれとして一応の理屈はつくにしても、七十歳以上、法施行のときに七十歳になった者、それから障害を持っておる者、これはどうしてもだめなのか。ひとつ大臣、さっきから私以外の他の委員もそれに類したことを言っておりますから、問題の所在は十分つかまれておると思うのですが、内外人平等の扱い、それから沖繩復帰の扱いのことも話がありましたけれども、そういった例からも経過措置ということがとれないのかどうか、重ねてお尋ねいたします。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 今度の難民条約の加入に伴う措置は、内外人平等に扱うという基本線でございまして、一方、各種の国民年金の制度という基本的なやり方があるわけでございます。そこから出てくる問題でございます。したがいまして、今後適用されました場合には、全部日本人と同じ扱いになるわけ、さっきからおっしゃっているとおりでございます。  ただ、国民年金の場合は二十歳から六十歳まで、これは日本人にも同様にいっているわけでございます。したがって、年齢制限の関係で申しますと、さっきおっしゃいましたように、たとえば二十年なら二十年日本人がこちらで勤められて、外国へ行ってその間やらなかった。今度はやめて国民年金に入ろうと思っても、やはり日本人もこれは受けられないのでございます。これは国民年金の仕組みがそうなっているのでございます。そこは保険財政がそうなっているわけでございまして、これは日本人も全く同じ扱いをしているわけでございます。  それから、それならこれからは一体どういう人が実益があるのか。たとえばこれから七十歳以上の人はだめといたしましても、二十五年でございますから、仮に三十五を超えている人は二十五年の納入はできないわけでございますから、これはいわば実益がないわけでございますので、この人は強制になった途端に任意脱退ができる、こういう仕組みになるわけでございます。日本人の場合も同様でございまして、海外からやってきた、それでいま三十五歳を超えておるという人については、実益がないとすれば、やはりこれは瞬間タッチでもって、強制加入即任意脱退、こういうことになるわけでございます。これは保険の方から来る仕組みでございまして、国民年金があらゆる要求にこたえておるわけではなくて、保険財政の中で、その計算の中で賄える範囲でやっておるということから来る結果でございます。  老齢福祉年金についても同様でございまして、拠出年金が原則でございますけれども、当時五十歳以上五十五歳までの人は任意年金、当時五十五歳を超えている人については、これは福祉年金待ちということで措置したわけでございます。したがって、考えてみますと、当時五十六歳以上の人でございますからもうちょうど二十年たっておりますから、新しい老齢福祉年金をもらう人というものは日本人についても発生しないのでございます。難民条約の加盟に伴うこの措置がもっとずっと以前に行われたならば、それはできたでございましょう。だからそういう意味で、いろいろな点は保険財政あるいは保険の仕組みから来ることでございまして、これは内外人同一に取り扱っておる、こういうことになるわけでございます。  それから、先ほどおっしゃいました障害年金のうちの、後で保険料を払ってひとつどうだという話でございますが、保険というのはもちろん後払いというのはないわけでございまして、すべて保険は前に払っていただいて、その中で計算いたしておるのでございます。これはもう本当に、ある見方から申しますればまだ不十分じゃないかということでございますけれども、しかし、別の見方で申しますと、本来国民年金という年金はそういう仕組みでできておるのでございます。ですから、この点は内外人は同一に扱うということが基本条件でございますので、その点は十分満たしておる。しかし、これが全部にこたえていないということは、おっしゃることはよくわかるわけでございますけれども、やはり内外人平等という立場からしてどうしてもそれはできかねる、こういうことでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 ここで押し問答してもどうもいい方法が生まれそうもないのですが、御存じのように、日本人であっても、昭和三十六年国民年金制度ができてから、いろいろな事情のために保険料を納めていない方の特例納付として二度まで、いろいろ議論がありましたけれども、特例納付の措置を認めた。そういうこともあるのですから、六十歳から六十五歳未満の年金の谷間とよく言われておったのですが、これは一歩引くとしても、いま三十五歳、三十六歳、一年違うだけでも年金権が発生せぬわけですから、そういう場合の特例納付措置のようなことをおいおい考えてもいいんじゃないのか。  まだこの問題は、法が施行されましていろいろな説明の機会もあるでしょうが、そうなってくると、市町村の窓口に在日朝鮮人の方々がいろいろと照会に訪れると思うのです。ところが、あなたはだめですよ、あなたはいいですよというふうなことになっていくと、いま言った三十五と三十六で明暗を分かつわけですから、そういうことも考えますと、いまここで特例措置を考えますとは言えぬでしょうけれども、そういった経過を見ながら特例措置に準じたようなことをやる必要があるのではないか。  そうでないと、私はこの真偽のほどはわかりませんからはっきりと答えていただきたいのですが、ある在日朝鮮人の方はこういう質問をしてきました。さっき言った私どもは歴史的経過があるということを前提にして、いわゆる難民と言われる方は、この扱いで五年か六年掛金を納めても一定の年齢が来ると年金をもらえるそうですな、私どもはどうもそれはだめらしい、こういう疑問を持っておるのですが、内外人平等と言うけれども、今度は外国人の中でそういった差ということが考えられておるのか、そういった話があったのかどうか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えいたします。  今回の改正は、国籍要件を撤廃いたしまして、広く外国人一般につきまして国民年金制度を日本人と同様に適用するということでございまして、いま先生お話しの特定のグループの方、難民というような方々につきまして特例を設けるということはいたしておりません。

田口一男日本社会党

○田口委員 これで終わりにしますが、先ほどから私は国民年金の問題ばかりを言っておるのですけれども、特に在日朝鮮人の扱いについて、過去のそういった歴史的な所産というものを、これはどう言おうと消すことができない。したがいまして、安定した在留、正当な処遇ということを考えた場合に、いま私がくどいほど申し上げました障害福祉年金の扱いであるとか、それから日本人に扱ってきた特例納付のような措置ということをひとつ今後、やるということはいま言えぬでしょうけれども、そういった事態に接しながら十分検討する必要があるのではないか、私はそう思うのですが、最後に厚生大臣の御見解を承っておきたいと思います。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 厚生省所管の各種の福祉措置あるいは保険制度につきましては、どういうことになるかということは事務当局から説明したとおりでございますが、おっしゃる点もそれは別の問題としてある、そういう意味で、広い角度で今後検討を進めてまいりたい、かように思っております。

田口一男日本社会党

○田口委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 午後零時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  きょうは各省にまたがる問題が多いわけでございまして、たくさんの方をお願いをするわけでございますが、私の方の質問が終わりましたら、どうぞ御遠慮なく御退席のほどをお願い申し上げます。  まず最初に、今度のこの難民条約の加入に当たって、とかく日本に対する批判の強かった難民対策あるいは難民政策というものの国際的評価を高めることになるわけでございまして、意義は大きいものがあると思うのです。しかし、いわゆる関係国内法規、特に社会保障関係等におきまして、懸案になっておりましたところの在日韓国、朝鮮あるいは台湾の方々を含む約七十万人の在日外国人の方々の社会保障問題についてはいろいろな点で不満があるわけでございまして、その問題を中心に質問をさしていただきたい、こう思うわけです。  まず最初に、現在世界でこの条約あるいは議定書の双方に加盟している国についてお伺いをしたいわけでございますが、何か、条約の加入国が八十一九国、議定書の加入が七十九カ国、若干の差があるわけでございますが、それはどういうことかお伺いをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいま御指摘になりました国の数は、草川委員の御指摘のとおりでございます。  若干の出入りがあるというお話でございますが、若干御説明申し上げますると、条約のみに加入しておる国がマダガスカル、モナコ、ペルーでございます。それからケニアもそのうちに入ります。それから議定書の方にのみ加入しております国がスワジランド、それからアメリカ合衆国ということでございまして、数はそれで合うわけでございます。  なぜそういう事態が起きているかという御質問だと思うのでございますが、条約の方は、これは御承知のように一九五一年一月一日以前の事件をカバーしておるわけでございます。それ以後のカバーにつきましては議定書にゆだねておりますが、私どもの記録では、やはり議定書に入ってなおかつ条約も加入しておるという万全の措置をとっている国が、八十三カ国のうちたしか七十七カ国ございます。そういう意味では、条約の議定書に加入することが大勢でございますので、そういう意味で条約の議定書に加入し、かつ条約につきましても加入をするという措置をとった次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 一九五一年を境にして時間的なずれがある、いまこういうお話がございましたけれども、いずれにいたしましても、日本の加入が非常におくれた理由というのは一体何なのであったのか。また、特に日本の国内法整備の関係で加入に難色を示した問題点があるならば、明らかにしていただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 先生も御承知だと思いますが、難民条約につきましては留保をしないで批准をするということが万全の態度である、こういうふうに私どもは考えておりまして、この点につきまして関係の国内官庁、国内省庁とはいろいろと御相談をしてきたわけでございますが、今回留保なき批准が実現をするというめどを得ましたので、御批准をお願いしたわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 問題は、いま留保というお話がございましたけれども、世界人権規約というのが一昨年でございますか、五十四年にわが国においても承認をされておるわけでございます。人権規約の場合は、たとえば労働組合のスト権の問題等を含めまして、このときに留保した問題点というのがあるわけです。それから、後ほどこれは指摘をするわけでございますが、社会保障の件については人権規約では留保がなかったわけです。今度は、この難民条約では、いまお話がございましたように留保がないということは、これで人権上の問題については国際的に全く遜色がないと理解をしていいのかどうか。これはひとつ外務省にお伺いしましょうか。法務省でも結構でございますが、まあ条約ということならば外務省ですから、これで全く遜色がないと言い切れるかどうか、お伺いします。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 人権規約を御引用になりまして、さらに今回難民条約の加入ということでございます。  人権規約は、御承知のように社会権については漸進的達成という言葉がございました。ゼンシンはようやく進む、ザンシンと読みますのですか、ゼンシンと普通読むと思いますが、漸進的達成というものを社会権の中に規定しております。難民条約は、御承知のようにこれは条約上難民に該当する者に対して社会権、自由権を与え、またさらには、難民の特殊性に付随した規定も設けておるわけでございます。  草川委員の御質問は、人権規約の批准と難民条約の批准、両々相まってどういうような権利保全の体系になるかというお話でございまするけれども、全体としてこれを見まする場合には、難民条約の方がいわゆる対象の範囲はより限定的でございますが、同時に、人権規約に比べますると、内容的には旅行証明書の発給でございますとか、あるいは迫害の待ち受けている国には送還をしないというようなノンルフルマンの原則がございましたり、若干難民条約の方がより詳細な規定があるわけでございます。  そういったことでございますが、全体としてこれを見て、いわゆる日本の法制に照らしてどういう形になるのかという点につきましては、参政権とかそういったような本来自国民のみに確保されるべき問題とは存じますが、そういうような問題を除きましては大幅にいわゆる人権保障の体系が完備するというふうに申して差し支えないというふうに思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 じゃ、また後ほどいまのお言葉を継いで社会保障の点でお伺いをしたいと思いますけれども、とりあえず、この難民条約の締結によって人権の国際化ということがこれで明らかになるわけでございますけれども、実は経済の国際化に比べて、人権擁護という面でしょうか人権の国際化というのは、私、非常に困難を伴うのではないか、こう思うのです。それで、せっかくこの条約を結んだわけでございますけれども、それに伴うところのいわゆる費用分担ということも考えなければいけませんし、あるいはまた、問題は、今後予期しない事態が発生した場合、大量のいわゆる難民と称せられる人たちがわが国に入ってくる場合のことを予測をする、そういうことを考えますと、これは非常に重要な問題があるわけであります。  そこで、外務省にお伺いをしますが、問題は、人種や国籍によるところの差別観というものをどう克服するか、これは本来は各省庁にお伺いをしなければいけない点でございますけれども、開かれた日本を目指すという意味で、法律のみで解決しない、いわゆる心の鎖国というものをどのように開いていくのか、外務省にお伺いをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 人権規約の御批准及び難民条約の御批准に伴いまして、国内法において人権の保全に大幅な人権保護という形でさらに時代が進むわけでございますけれども、法律的な側面のみならず、実態面において人権保護についてさらに努力をしなければならないという御指摘に対しては、まさにそのようにわれわれも存ずる次第でございます。難民条約に限って言えば、難民の受け入れについてはわが国も努力をしておりますけれども、定住受け入れの問題はさらに努力を要するという点もございます。これは、日本の社会の特殊性とかいろいろなものも克服しながら、さらに手を打っていかなければならぬということがあるわけでございまして、難民条約の意義を完全ならしむるためには、さらに法律以外の面で努力をしなければならない点が多々ございます。  また、人権規約の面につきましても、多くのものは単なる法律的な権利保全ということではなしに、やはり国民の意識というものにおいて人権尊重というものがさらに担保される必要があるということでございまして、外務省といたしましては、これは各省庁の御意見も十分徴しながら、なお絶えず御連絡をしながら、先ほど申し上げました人権規約の漸進的な達成に対して努力をしてまいる、日ごろの努力が非常に肝心である、このように考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 では、いまの問題はこの程度にしておきまして、今度は難民の定義について、これは法務省にお伺いをしたいと思います。  問題は、一口に難民と言いますけれども、どの程度のものが難民なのか、あるいは亡命者なのか、あるいはいわゆる流民と言われる方々なのか、この明確な区別が実は私にもわかりません。また、そのときの事例によってこれはずいぶん違う場合があると思うのです。条約では、人種、宗教、国籍、特定社会集団への所属または政治的意見のゆえに迫害を受ける十分根拠のある恐怖のため外国に逃れる者というのですか、何かそういうような言葉になっておりますけれども、つまり、いわゆる政治亡命を含むのか、あるいは単により大きな自由、享楽、楽な社会を日本というものに求めてくる、あるいは天災地変があって逃れてくる難民、いろいろなものがあると思うのです。ひとつ具体的にお伺いをしたらいいと思うのですけれども、いわゆるインドシナ難民というのですか、ベトナム難民は今回の対象になるわけでございますか、お伺いします。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 いわゆるベトナム難民も難民の認定の申請ができます。ただ、いわゆる条約上の難民に当たるかどうかということにつきましては、いまここで一般論で決めることはむずかしいと思います。その個人のそれぞれの事情というものを詳しく調べた上でないと、確認はむずかしいと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もう一回またちょっと聞きますけれども、たとえば本人がいかだに乗って、手を挙げて、おれは難民だとアピールをすれば、いわゆる入管の審査官はとりあえずどういう取り扱いをするわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま先生御指摘のケースは、いわゆるボートピープルのような人々の場合だろうと思います。こういう場合には、このたび入管令の改正案の中で一時庇護制度というものを設けております。したがって、難民らしい、難民である可能性がある人々については、この一時庇護制度で上陸を許すことができるようにしております。ただ、この人が実際に難民であるかどうかは、難民条約の定義に照らして認定する必要がございます。その結果、先ほど申し上げましたように、それぞれ個人個人いろいろな事情がございましょう。ある方は難民と認定される場合もありましょうし、それから、そうでない人も出てくるであろうと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 そうすると、取り扱いに差ができるのではないかという疑問があるわけです。それから、もし認められない場合は、たとえば退去命令を出すのか、その辺はどういうことになりましょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 先生御指摘の第一点、難民の認定を受けた場合とそうではない場合の取り扱いの差でございますが、この点については、入管令上は大体三つの点が関係があると思います。  第一は、難民と認定された者の海外旅行に際しましては難民旅行証明書というものが出されます。それから、難民と認定された者につきましては、永住要件が緩和されまして、独立生計維持能力という要件は外されます。それから第三に、難民の場合には、退去強制事由に該当する場合でも、法務大臣の特例措置の対象になり得るということになります。もっとも、難民と認定されなかった人の場合にも、海外旅行については、難民旅行証明書は発給できませんけれども、再入国許可書というものを出す余地はあるわけでございます。  それから第二の点は、難民と認定されたかどうかによって在留がどうなるかという御質問でございます。難民の認定と在留の可否とは直接結びついておりません。したがって、難民と認定された場合でも在留を認められない場合もあるかもしれませんし、逆に、難民と認定されなくても在留が認められるというケースもあるわけでございます。現に日本に入ってきておりますインドシナからのいわゆるボートピープルの人々、こういう方方が仮に難民認定を申請してそして認定を受けることができなかったという場合でも、人道的な見地からその在留は認める方針でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ケース・バイ・ケースというのが法務省の姿勢になるということだと思いますが、それはいわゆる流民と言うのですか、一種の便乗して大量にわが国に流入するというおそれがあるからそういう態度をとられるのか、あるいは全くそういうことを予測をしなくていまのような態度をとっておられるのか、その辺をちょっとお伺いをしたいと思いますし、あわせて、これは人間でございますから、強制退去をしないというお話でございますが、そのときに子供が生まれる可能性があります。いわゆる滞在中の子供は現在のところ、いろいろな在留資格の一覧表がございまして、四−一−一六−二とか三とかというのがありますけれども、それは四−一−一六−三ということになるのか、あるいは難民として認定された場合は四−一−一四ということになるのか、どういう扱いになるのでしょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 難民と認定された人の在留資格でございますけれども、たまたまその方がすでに学生として日本にいるとか、あるいは商用でいる、報道関係者でいる、宗教活動者としている、いろいろなケースがあり得るかと思います。そういう場合には、そのままその従前の在留資格で滞在されるということになります。他方、そういう資格がない、また、いま新たに取得する具体的な在留資格というものが見当たらないというときには、ただいま先生御指摘のような入管令の第四条第一項十六の三が与えられることになります。在留期間は三年でございます。  それから、日本におります間に生まれた子供に関しましては、その親の方の在留資格いかんによって変わることもありますけれども、多くの場合、ただいまお話のありましたように一六−三が適用されることになると思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 その一六−三で、いわゆる三年以内の範囲で個々に指定をされる、こういう手続になると思うのですけれども、もう一回後でも触れますけれども、実は難民条約に関係いたしまして、いわゆる日本に不法入国をしている在日外国人の方々というのは推定してかなりいると思われると思うのです。その方々との均衡という問題は、いまの御答弁の中には十分反映をしておるわけですか。その点はどういうようにお考えになっておられますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 現在わが国におります潜在不法入国者の数は、これは具体的に数字を把握することは非常に困難でございますけれども、数万人程度いるんじゃないかと普通言われております。この人たちはいわゆる不法入国者でございまして、こういう方々は原則として退去強制の対象になるわけでございます。しかし、だからといって、常にすべての人を一律に国外退去をしているわけではございません。中には、法務大臣の特別の裁量によってわが国に特別在留許可を与えられている者もおります。それは、特に日本人あるいは日本に永住している人たちとの親族関係を持たれた方とか、いろんな方がおられますけれども、常にそういう方々を退去強制にしているわけではございません。  なお、難民問題とこの潜在不法入国者との関係につきましては、私どもはそこで特別に結びつけて考えることはいたしておりません。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 不法入国の方がたくさんおみえになるということは、いろんな事例があるわけでございまして、たとえば交通事故に遭っても、被害者だけれども、逃げてしまうというような痛ましい事実もあるわけですし、実は、不法入国とは言いながら、戦前に強制的に日本に連行されて、戦後一たん本土に帰る、本土というのは向こうの国に帰る、そして親戚、家族が多いので、それを頼って入国をしたというような例も多いと聞いておるわけです。ですから、私どもはいずれかの機会に、いつまでも不法入国でおびえて在留するのではなくて、一回クリアにして、この難民条約を締結したということを機会にクリアにされて、改めて法務大臣のそれなりの対応なり処置をすべきではないだろうか、こう考えるわけでございますし、その方が日本にとっても、長期展望にわたってそれが安定につながるのではないか、こう思うわけでありますが、そういうお考えはございませんか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 いま草川先生おっしゃいましたのは、そういう不法入国者をたとえば顕在化させて、そしてそういう人たちに一律に在留を許可してはどうかということじゃないかと思いますが、目下のところ、私どもはそういう措置をとることは考えておりません。先ほど申し上げましたとおり、しかしすべての潜在不法入国者を国外退去させるということは、実際運用をやっておりません。特別な事情のある方にはケース・バイ・ケースに特別在留許可を与えるということになっております。この方針、このやり方はこれからもこのまま続けていくことになると思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もちろん、ケース・バイ・ケースなり、それなりの判断が必要だということは私もわかるわけでございますが、いわゆる難民条約の締結で難民の定義という問題について、実際上本人のアピールなのか、あるいは自由を求めて来るボートピープルなのか、あるいはそれなりの政治的な背景があるのかということを十分審査をしてやられるとおっしゃっておみえになるわけでありますから、私どもは、個々のケースでそれなりの判断をして対応を立てた方が、双方にとっての安定につながるのではないか、こういう意見を持っておるわけです。  そこで、その件はそれで結構でございますが、諸外国の例だと、いわゆる法務大臣の認定に合うものとして行政審決というのですか、客観的な判断を審議会のようなものなり審査会のようなものを通じて認定をするという例がヨーロッパ等にはあるようでございます。日本の場合は法務大臣の認定ということになりますが、何か一般の行政以外の審査会のようなものをつくられる考え方はございませんか、お伺いします。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま御指摘ありましたような、難民認定につきまして審査会形式、審議会形式をとっている国がヨーロッパにあるということでございました。これは具体的には西独なんかはそういうあれをとっているようでございます。しかし、これは例外でございまして、大部分の国、わが国を含む大部分の国は行政官庁がこれをやっているわけでございます。  わが国について申しますならば、難民認定という手続は、その申請している申請者が難民条約に言う難民の定義に合っているかどうかということを確認するいわば事実の確認行為でございます。したがいまして、だれがやっても結論は同じはずであると考えております。そうでありますと、こういう難民認定手続は迅速にやらなくちゃいけないということとか、現在の非常に窮屈な行財政事情、こういうことも考えまして、既存の行政官庁でやるのが一番適当ではないか、こう考えるわけでございます。既存の行政官庁の中では法務省が行政的に最も接点を有する官庁ではないかということで、法務省が、法務大臣がこの認定手続をやることになったわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 細かいことを聞いて悪いのですけれども、私もこれは非常に重要な条約だと思うので聞くわけでございますが、過去の例ですけれども、具体的なことを申し上げた方がいいと思うのです。五十一年の二月にソ連からベレンコ中尉というのが例の函館に飛行機でおりたわけですね。たまたまアメリカということになりましたが、ああいうような事件で日本におりたいという場合は難民扱いになるのかどうか、この条約の適用で在留を認めるのかどうか。あるいはモスクワのボリショイバレエ団の方々が、これもアメリカへ行かれたわけですが、たとえばあのようなケースで日本に希望された場合には、それはたとえば亡命者ということになるのか、難民条約に基づいて在留を認めるのか、お伺いしたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ベレンコ中尉のような方が難民であるかどうかということに関しましては、まず本人から難民認定の申請が行われなければなりません。難民認定の申請が行われた段階で、本人の陳述とかいろんな資料に基づいて判断するわけでございますけれども、果たしてベレンコ中尉の場合、そういう手続がとられた場合、難民と認定されたかどうかということは、実際やってみないとわかりません。したがって、いまこの場でどうとも申し上げかねます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 亡命者と難民との違いが、何か日本独自の考え方のようだ。ヨーロッパは言葉の違いではなくて、レフュジーというのですか、一つの言葉で一くくりにしておる。だから、いま私が聞いたような質問はないと思うのですね、ヨーロッパならば。日本だと、やはり難民と亡命との違いというのは私自身の心の中にも若干あるわけですよ、ぼく自身の考え方で。だから、そのようなものもある程度は識別をしていきませんと、ただ条約を結ぶ結ぶということだけでは問題があるのではなかろうか、こう思います。  それから、ヨーロッパの場合は流民と難民を区別し、特別立法で流民対策に対応され、社会保障もそのような面で取り扱いをされておる、こういうように聞いておるわけでありますが、インドシナ難民センターというのはいま総理府の方で全国で二カ所ほどつくられておるわけですが、特に難民の受け入れで将来センターをつくるような考え方はございますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 いわゆるボートピープルにつきましては、日本に上陸した後、民間の諸団体のお世話になっております。たとえばカトリックでありますとか日赤でありますとか、あるいは天理教とか、そういうところがセンターを設けておりますが、そこに滞在しているわけでございます。したがって、衣食住とかそういうものはすべてそういうところ、それから資金的にはUNHCR、国連難民高等弁務官事務所の援助で賄われております。  これからどうするかということでございますけれども、日本政府としてそういう庇護センターのようなものをつくった方がいいかどうかという考え方もございましょう。こういうことにつきましては、現在関係省庁と協議を行っている段階でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 では、その件はそれで結構でございますが、実は五月六日の読売新聞の夕刊に不法入国者の記事が出ておりまして、これは日本海沿岸で「海から来たスパイ?なぞの自殺を追う」というような記事があるのですが、これを見ておりまして、何というのですか、外国人登録証を偽造をして入国をするスパイというようなものが現実にあるのか、私非常に疑問なんですね、特に日本のようにこれだけ情報が公開をされておる場合に。これは警察庁の方にお伺いをしたいわけでございますけれども、いままで私が取り上げたのと全然違う不法入国というのは、スパイというものを目的にしておるのかどうか別といたしまして、そういう事例があるならばお伺いをしたい、こう思います。

鳴海国博警察庁警備局外事課長

○鳴海説明員 二つの点御質問かと思いますが、一つ、最初読売新聞の記事に関してでございます。  との案件は、偽造の外国人登録証を所持しておりました不審者が、三月三十一日朝、富山県の高岡市内のあるホテルから投身自殺をした、こういう事案なんでございます。この人物につきましては、たまたまその前の夜の三月三十日、国分という無人駅がございまして、そこで警察官の職務質問にあっております。ただ、この人は外国人登録証偽造のものを持っておりまして、実のところ一体いかなる人であるのか、ただいま身元確認を進めておる、そういうことでございます。したがいまして、自殺の動機につきましても、遺書もございませんし、いまのところわからない、これが富山県での事案でございます。  第二番目の点、いわゆるスパイを目的とした不法入国が現実にあるのかという御質問でございますが、これは、私ども警察がこれまで扱ってまいりました検挙事案から判断いたしましても、相当の数あるというふうに見ております。ここ数年間においても幾つかのケースがございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 きょうは難民条約のことでございますから、大変個人的には興味があるお話でございますから、本来ならばもう少しお伺いをしてもいいと思うのですけれども、時間がございませんから、この問題について事実があるとするならばぜひ資料をいただきたいし、あるいはまた日本の政府としての対応をどのように考えられるのか、重要な問題だと思いますから、また別の機会にこれは政府の方に態度を求めていきたい、こう思います。  時間がございませんから、社会保障の面に入るわけでございますが、いわゆる永住権を持つ在日外国人の方にも国民年金の国籍条項を撤廃するということになったわけでございますが、問題は、私どももかねがねこの委員会、各委員会で取り上げておるわけでございますが、今回の場合は、三十五歳以下の方々の資格のある方は当然対象になるわけでございますが、三十五歳以上の方々は二十五年間掛けるという加入期間の条件がないわけでありますから、満たされないわけでございます。これはどういう言葉で言ったらいいのか、いわゆる三十五歳以上の積み残しという言葉が適当かどうかは別としまして、永住権を持つ在日韓国、朝鮮あるいは台湾の方々の中で何万人くらいこの対象者になるのか、その数をお伺いをしたいと思います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 約二十九万人と考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 問題は、その二十九万人の方々の経過でございますけれども、実は社会保障ということだけ考えますと、厚生省も国際人権規約を締結したときには留保条項をつけてないわけですから、少なくとも国籍を問わず社会保障を受けるという権利がある、こういうことも考えてまいりますと、二十九万人の方々が国民年金を掛けられないということは、いかにもきわめて重要な問題だと思うのです。ぜひこれらの方々に、特例納付かあるいは特別に経過措置を、五年年金というのですか十年年金というのですか、そういうことをやるべきではないか、こういう意見を私はかねがね主張をいたしております。  それはなぜかと言えば、戦前から強制的に連行をされて日本に定着をした人ではないだろうか、そういう方々が実は高齢化社会の中で一番年金について関心があるわけですから、そういう経過措置があってもいいのではないか。かつて沖繩が日本に復帰した場合も、非常に条件をよくして皆年金に適合させたわけでありますから、せっかく国際人権規約を留保条項なしで締結をし、そして今回のようなこの難民条約で国籍条項というものを外したわけですから、そういう特別の救済措置を考えるべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回の国民年金法の改正は、難民条約の加入に伴いまして同条約が定めております内国民待遇を実現いたしますために、外国人の方につきましても国民年金を適用するという趣旨で改正をいたしたわけでございます。  先生は、いわばわが国と特殊な関係を持っております在日の外国人の方につきまして特別な措置を設けるべきではないかという御指摘かと思いますが、一般法でございます国民年金におきまして、特定のグループの方につきまして特別の措置を設けるということはできないというふうに考えておるわけでございます。     〔高鳥委員長退席、木村(武千代)委員長     代理着席〕

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 その理由はどういうことになるのでしょう。いわゆる年金体系が崩れるというところに趣旨があるのか、「特別の」ということをおっしゃいましたけれども、こういう条約を結ぶ場合は、まさしくその「特別の」人のための条約を結ぶんだから、このときこそ、少なくとも断面で割ったならば、高齢者に対してもそのような措置をとるのが当然ではないだろうか、こう思うのですが、もう一度御答弁を願います。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  基本的には、国民年金法の体系の中で、一般法でございますので、いまの時点で特例法を設けられるかどうかという問題になるわけでございますが、一般法として考えますと、外国人の方は、現在三十五歳以上で在日の方もございますし、来年からまた三十五歳以上で来日される方もございます。ある意味では永久にそういう方はいらっしゃるということでございます。そういたしますと、日本に来られます外国人の方につきましては、永久にそのような特例措置を設けるべきではないかということになるかと思いますが、そういたしますと、本来日本人につきましては、どのような方につきましても二十五年の拠出期間を問うておりますこの原則と比べますと、内外人平等ということからいいまして、そのような特別措置を外国人の方にとることはできないということではないかと思います。  それでは、本質的に国民年金が、外国から帰ってこられる日本人の方も考えまして、そういったような制度の基本を変えることができるかどうかという問題になるかと思うのでございますが、この点につきましては、今回の改正案につきまして国民年金審議会等関係の審議会で御審議をいただきました際、国民年金の二十五年拠出というような基本的な仕組みについては慎重に扱うべきだという御意見をいただいておるところでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ぜひそれは慎重に検討していただいていいのですけれども、慎重に検討すればするほど、いま私が問題提起をしているのは、いわゆるいかだに乗って助けてくれ、日本に入れていただきたいと言ってくる人のことを言っているわけじゃないのです。そういう方にもとにかく今度の条約の文章どおり社会保障を適用するというならば、日本の不幸な歴史的な経緯があって、永住権を持って国内で税金も払い、社会的な生活の中で協調をされているわけでありますから、同和問題ではございませんけれども、私どもはいろいろと過去の歴史的な反省をしながらいまいろいろな対応を立てておるわけでありますから、在日韓国、朝鮮、台湾の永住権を持つ方々の年金適用は、特例納付ぐらいはあったっていいじゃないか、あるいは特別の経過措置はあったってこれは当然ではなかろうか。いわゆるボートピープルだとか、きのうきょう日本に入れてほしいと言われる方とは厳然と差別があって、対応の差があってもいいのではないか、私はこう思うわけでありますが、これは未来永劫いま長尾課長がおっしゃったような態度を厚生省はとり続けられますか。  大臣、ちょっと個人的な見解でいいですから、大臣の見解を一遍、私のいまの発言を聞いていただいて、私の言っておるのが全くなっておらぬとおっしゃるのか、話がわかるとおっしゃるのか、ぜひ政治的な判断を求めたいと思います。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 この問題は非常にむずかしい問題でございまして、私たちがとっております基本的な考え方は、今度の国籍法の要件を外すことによりまして新しい加入者がこの実施後ふえる、これが一つのねらい、一つの考え方でございます。もう一つは、やはり内外人平等にする、本邦人の場合も。たとえば、外国から長いこと向こうにおってそれでこちらに帰ってきた人がどうなるであろうか。そういう意味で、実質的に内外人を平等にするという考え方でございます。  そういうことから申しますと、事務当局から答えたようなことになるわけでございますが、いま委員がおっしゃっておるのは、そのうち特に永住を認められた人にどうであろうか、こういうお話であろうと思うのでございますが、難民条約に基づく国籍の差別を一掃するわけでございますので、ある特定の者について特別の措置をとるということ、これは両方から、ほかの人たちとの関係から一つ問題になりましょうし、それからもう一つは、本来経過規定というものを設けましたのは、御案内のように昭和三十六年でございまして、制度創設のときにはこれはもう必ず法律的に出てくる問題でございまして、二十から六十歳まで、しかも二十五年間掛けろ、こういうことでございますから、それ自身矛盾している面があるわけでございます。そういうものにつきましては当然経過措置を講ぜざるを得ない。それが任意加入の十年拠出であれ五年拠出であれ、あるいは強制加入の十年から二十四年までであれ、事柄はやはり当然いつの時点でも、このような仕組みで立てますれば経過措置を絶対に必要とするわけでございます。  今度の場合は、そうではなくて別の意味の政策としてどんなものであろうか、こういう委員の御発言だと思うのでございますが、先ほど申しましたような基本的な考え方からいたしまして、今度はとっていないわけでございます。これは年金財政に及ぼす影響もまた当然考えに入れなければならないわけでございますので、それらの諸点を勘案いたしまして、今度とっておらぬのでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ぜひこれは大臣に要求をしたいのですが、とにかくこの二十九万人の方々は、では途中で日本に住まない、こうおっしゃる方ではなくて、いわゆる生活環境から考えて、もうほとんど二世、三世、四世を抱えているわけでありますから、永住されるわけでありますから、本人も税金を払ってきたわけでありますから、二十九万人の無年金の方が新しく出るということは、国民皆年金を言っておるわが国としてはいかがなものか、こういう感じでございます。私もぜひこれはいまおっしゃったように政策として問題を取り上げてほしいわけでありますから、まあ今回はだめにしても、次の機会にある程度何らかの対応を考えてほしいと思いますが、これは全く無関心でいくのか、困ったら生活保護を受ければいいじゃないかというような態度なのか、今後の展望の問題について、これは一回課長の方から私のこの意見について再度答弁をしていただきたいと思うのです。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 先生御指摘のように、今回、外国人の方につきまして日本国民の方と同様に国民年金の中に入っていただくわけでございますが、今後の問題の中で、何らかの形で年金権に結びつかない形の外国人の方が出るではないかという先生御指摘の点でございますけれども、これはある意味で外国から帰られました日本人の方につきましても同種の問題点があるわけでございます。  国民年金が生涯の中で二十五年の拠出期間を課しているという制度の基本に触れるような問題点であると思うのでございますが、この問題点につきましては、国民年金を超えまして、公的年金全体といたしまして年金というものをどういうふうに考えていくかという基本的な問題に触れることであると思います。先ほど申し上げましたように、二十五年の拠出要件という国民年金の基本的な仕組みについて触れることについては、なお関係審議会も慎重にという御指摘をいただいておりますし、私ども考えましても、なかなかにむずかしい問題があると思います。国民年金事業の安定的な運営ということを考えていきますと、その拠出期間の要件を安易に変更するということは大きな問題点であると思うわけでございます。したがいまして、非常に慎重に検討させていただきたいというふうに考えます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は、安易に変更しろなんということは言っていないわけです。現実に在日外国人の方々で若い三十五歳以上の人は加入をするわけですから、いわゆるその方たちのプールということだけで考えていくならば、私は年金財政は均衡すると思うのです。別にそれは体系には違反しない。こういうわけですから、割り切りの問題だと思うわけです。  日本人で外国に行っておりますところの海外の青年協力隊あるいは専門委員の方々も年金がないのです。これは私かねがね主張しておりまして、日本の先兵として外国へ行って協力隊で活躍している人が、日本の国に帰ったら年金資格がないというのはひどいじゃないか、それはどこか外務省をセンターにして立ててもらいたい、こういうことを言っておるわけでございますけれども、それは時間がございませんからその点で終わりますが、基本的な問題にわたりますけれども、海外生活をして日本に戻った方の年金適用もあわせてぜひ再検討を願いたいと思います。  そこで、最後になりますけれども、在日外国人の方ですが、厚生年金は適用されるわけですけれども、入っていて何らかの事情でやめた、今回国民年金に継続加入ができるかどうか、これだけお伺いします。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回、国民年金に適用になります方が過去に厚生年金の期間を持っておられます場合には、厚生年金の期間と国民年金に今後加入いただきました期間とを通算いたしまして、原則的には二十五年の期間を満たせれば、それぞれの制度から通算老齢年金が支給されるという仕組みになるわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ですから、厚生年金からの通算ができるわけですから、国民年金のそれもぜひやっていただきたい、こう思います。  時間が来ましたので、最後にいわゆる現実的な差別の問題についてお伺いをいたします。  差別にはいろいろな差別があるわけでありますけれども、心の差別もあるでしょうけれども、具体的に特に就職問題について、これは今後の難民条約に伴って入る方もさることながら、私がいま取り上げております永住権を持つ在日外国人の方方の、特にこれからは子弟になりますけれども、就職差別ということは残るのか残らないのか、あるいは国としてどのような指導をするのか、まず労働省にお伺いをします。そして、きょうは代表的に国鉄、電信電話公社、専売公社の担当の方においで願っておりますから、それぞれ新規採用にどのような考え方を持たれるのか、お伺いをしたい、こう思います。

野見山眞之労働省職業安定局雇用政策課長

○野見山説明員 職業安定法におきましては、国の政策として職業紹介、職業指導において国籍上による差別を禁止いたしております。したがいまして、国といたしましては、永住を許可された方方に対して就職問題につきまして差別のないように指導していくということが基本でございます。  現実に就職を希望される難民の方々に対しましては、生活習慣等の違い等による困難な面もございますので、関係省庁とも十分御相談しながらきめ細かな職業あっせん、指導等ができるように措置してまいりたいと考えております。

泉延寿日本国有鉄道職員局職員課長

○泉説明員 国鉄は、先般政府から御承認いただきました経営改善計画によりまして、昭和六十年度に三十五万人に持っていく、すなわち昭和五十四年度以降七万四千人の人を縮減していくという計画を推進いたしております。したがいまして、新規採用の数は抑制していかなければなりませんものですから、大幅に少なくなっていくという状況下にございます。しかし、現在、私ども職員採用に当たって外国人を区分するという考え方は一切とっておりません。今後ともそのように続けてまいりたいというふうに思っております。

篠田謙治日本電信電話公社職員局次長

○篠田説明員 職員の採用に当たりましては、その者の受験成績と能力の実証に基づいて行っておるところでございまして、国籍による制限というようなものは設けておりません。考え方としまして、今後ともそれを守っていくつもりでおります。

丹生守夫日本専売公社管理調整本部職員部長

○丹生説明員 専売公社でございますが、私どもの採用の方針といたしましても、国籍のいかんは問わないということでございます。現実に地方で採用しているかどうかということにつきましては、現在のところまだ十分把握をしておりませんが、本社採用につきましては、医師等で採用の例はございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまそれぞれの方で差別をしないという御答弁でございましたが、現実的にはなかなか困難なようでございますし、子供が学校の先生にたとえば公社に就職をしたいと言うと、それは無理だろうということで、先生がなかなか就職相談にも応じないというのが現実であるわけでありまして、ぜひこれはそのようなことのないように、能力ある人間には門戸を開放するようにしていただきたいと思うのですが、文部省か自治省にお伺いをいたしますけれども、いわゆる公権力の行使に携わるという一つの制限が公務員の場合にあるわけでありますけれども、いわゆる公権力の行使に携わる職種に教職員というものは該当するのかどうか、これをどちらかにお伺いをしたいと思うのです。

国分正明文部省初等中等教育局地方課長

○国分説明員 お答え申し上げます。  公立学校の教員についてでございますが、御案内のとおり、公務員につきましては、公権力の行使あるいは公の意思の形成への参画に携わる者につきましては、公務員として採用できないという解釈が従来から行われております。     〔木村(武千代)委員長代理退席、高鳥委     員長着席〕  学校の教員につきましては、先生御指摘のとおり、教育活動自体は一般的に非権力的な活動というふうに言われておりますけれども、教員は校長の行う校務の運営に参画するわけでございますし、また、児童生徒の教育をつかさどるということから、従来から公の意思決定への参加と認められるというふうに考えております。なお、一般的ではございませんが、部分的には児童生徒に対する懲戒権の行使というようなこともあろうかと存じております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまの答弁だとちょっと問題が出てくると私は思うのですけれども、現実に地方の教育委員会では採用しておる例もあるわけでありますし、大学の教授はだめだけれども講師ならいいとか、あるいは小学校の先生ならいいけれども高校の先生ならだめだとか、校長ならいけないけれども一般の教員ならいいとかという言い方も私は問題があるやに思うわけであります。それだったら、難民条約なり国際人権規約の締結に対して文部省は留保をすべきではなかったか、私はこう思うのです。そういう留保のないまま事が過ぎるということは非常に問題ではないかということだけちょっと申し上げて、さらに一層の門戸の開放をすべきではないか、この点を主張をしておきたいというように思います。  さらに、具体的な差別の例でございますけれども、昨年来から一般の政府系の金融機関の利用は開放されました。それから、公営住宅等についての入居も開放されておるわけでございますが、たとえば住宅金融公庫を借りる場合にいわゆる保険を担保しなければいけないわけでありますが、生命保険、火災保険ということになりますと、いわゆる国籍条項というのがございまして、それを拒否するという場合がございます。それから、年金住宅の還元融資等を受けまして、厚生省としてはそういう指導はしていないのですけれども、いま申し上げましたように保険会社等において国籍条項で拒否をされる例がある。せっかく公的金融を利用しようと思っても差があるということでございます。特に市中銀行等が系列の住宅ローンを貸す場合にも外国籍は拒否をするという例がございますが、その点、大蔵省としてどのように指導されるのか、お伺いをします。

北村恭二大蔵省銀行局総務課長

○北村説明員 お答えいたします。  ただいま、外国人に対する民間の金融機関の住宅ローンの融資ということでございますけれども、住宅ローンにつきましては、当然のことながら国籍のいかんといったようなことを問わず、返済能力といったようなローン条項に合致する限り、融資の取り扱いに応じているという現状になっております。ただ、住宅ローンでございますので、二十年にわたるような非常に長期の貸し出しということでございますので、在留期間の短い外国人といったような方々に対しておのずから制約が出てくるといったような場合もあろうかとは存じます。そういう意味で、住宅ローンについて特に外国人であるといったようなことで不利な取り扱いとか、そういうようなことにはなっていないというふうに存じております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 時間がございませんから最後になりましたが、いま、外国人なるがゆえに差別をしていないと言うのですが、現実に差別があるということ、しかも居住が短いということ、そういう例を取り上げておるのではなくて、私どもは何回か申し上げておりますが、過去の歴史的な経過の中から日本に居住をしてみえる、永住権を持ってみえる、しかもその二世、三世、ほとんど自分の出身の国の言葉を忘れたような方々に対する差別が現実にあるんではないか、こういうことを取り上げておるわけです。  たとえばこういう例があるのです。これは正式に名前を挙げてもいいのですけれども、これはかなりのインテリでございますけれども、孫さんという人が、つい最近も、東京都内で民間のマンションに入居をしようというので契約寸前になりました。話し合いが進んでおった。ところが、契約のときに、たまたま韓国籍ということを記入したら、うちは困るというので拒否をされた。これは民間の場合でございますけれども、私はぜひ建設省に最後に御意見を賜りたいのです。これは東京のたまたまかなり大きなマンション会社、まるいけ建設というのですか、大きなマンション会社でございまして、相当大々的な業者でございますが、そういうところにおいてすらそのような差別があるのです。こういう民間に対する——都道府県知事の許可を持つ業者でございますけれども、一体何か具体的な指導ができないのかどうか、最後に建設省にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

浜典夫建設省住宅局民間住宅課長

○浜説明員 お答えいたします。  先生御案内のように、政府関係金融機関としての住宅金融公庫等につきましては、あるいはそこから融資を受けて分譲マンションとか賃貸マンションを建てる企業の方に対しましては、公庫法令によりまして、資格を保有する者の応募なり譲渡の申し入れを差別してはならないという形になっておりますが、それを超えまして、民間の公庫融資、建設金融等を受けない状態での純粋の売買とかあるいは割賦等もございまして、信用供与を伴うと思いますが、これを直ちに国にならえということはいかがかと思いますが、私どもとしては、そういう追随を期待いたしまして政策金融を運用しているつもりでございます。いまの具体の例もつぶさには存じ上げませんが、業界団体等もしっかりしたものがございますから、そこら辺を通じて、強制ではございませんが、そういう意のあるところが普及されるように指導してまいりたいと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 以上で終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 米沢隆君。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 本法案に関連いたしまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、昭和五十四年以降のインドシナ難民の大量発生を契機にいたしまして、わが国も難民問題に関与せざるを得なくなり、政府としてもこれに対する資金協力、定住受け入れ枠の設定等の難民政策によりもろもろの措置を講じて今日まで来られておるわけでありますが、今般難民に冷たい日本という汚名を返上されまして、難民の保護をわが国に法的に義務づける難民条約並びに議定書国への加入を決定されて、それに関連する国内関係法律が整備されるようになりましたことは大変喜ばしいことであります。  それはそれで結構なんでありますが、この条約及び議定書につきましては、すでにそれぞれ八十一カ国及び七十九カ国が締約国になっておりまして、多くの国々が国際的な難民問題に対する協力姿勢を明らかにしておるわけであります。しかし日本は、言われますように、アジアの東の端にある島国で、難民あるいは移民という形での外国人受け入れの歴史をほとんど持っていない、その日本国内では難民条約にきわめて関心が薄かった、こう言われることはよくわかるわけであります。しかしながら、国際社会において責任ある立場に立った日本、あるいは責任を果たさなければならないわが国が、腰を上げるにしては余りにも対応が遅過ぎるという感じが率直に言って否めないわけでございます。  御承知のとおり、政府が公式に批准検討を打ち出したのは昭和五十一年の六月、稲葉法務大臣のときであったというふうに書いたのを読んだことがあります。それから五年、加入しておる国をながめておりますと、ほとんどが歴史的に難民や移民を受け入れている国であることはよくわかります。しかし、それにしてもわが国が条約で八十二番目、あるいは議定書については八十番目に認めてそれに加入するというこのことは、こういうような問題についての国際協力というものに対して日本の政府は余りにも反応が遅い、対応が鈍い、こういうものが日本の国際社会でのある種の非難を醸成しているのではなかろうか、こういう心配があるわけであります。  その点について、外務省あるいは法務大臣の見解をまず聞かしていただきたい。特に、この条約加入に関して一体どういう阻害要件があって、どういう形でその点をまとめてこられたのか、検討経緯も含めて明らかにしていただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいま米沢委員からきわめて端的な御指摘があったわけでございますが、わが国は、いわゆる先進国の中ではほとんど最後という順番でこの難民条約を批准いたしたわけでございます。開発途上国及び中南米諸国においては、まだほとんど批准の状況はございません。そういう意味で、決して対応が早いことではなかったということは、私は時系列的には御指摘のとおりだと思います。  実際問題として、わが国が難民問題にかかわりを生じましたのは、一応昭和五十四年前後のインドシナの状況ということでございますので、その前後を通じてやはりこの条約に対して早期に加入すべきであるという機運が高まりまして、その後、加入をいたしまする以上は留保なしで加入したいということでございました。この点につきましては、国内法においてもちろん若干の対応をしなければならぬということがございまして、そういう意味で各省庁との御協議も大いに励行したわけでございましょうけれども、それに若干の時間を要して、今日においてこういう批准を仰ぐに至ったわけでございます。その意味におきまして、時系列的には、先進国の中で決して早い方ではなかったということは、米沢委員の御指摘のとおりと思っております。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私の個人的な体験から申し上げますと、日本は一億一民族、その中に難民が入ってきた場合に、難民にとっても必ずしも幸せと言えないじゃないか、同時に、大量の難民が発生した場合にはどうするのかというようないろいろなことがございました。同時にまた、日本は朝鮮半島、台湾出身者を多数抱えているわけでございまして、こういう方々の処遇とあわせて考えていかなければならない、こういう問題もあっておくれてきたのじゃないだろうかなと私は思います。今日、国際社会は連帯して進んでいかなければならないわけでありますから、難民に対しましても、国際社会が連帯してそれぞれが責任を果たしていかなければならない、こう考えておるわけでございまして、ようやく今日法案を提案できるようになりましたことを幸いに考えておるわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 この難民条約への加入に関連いたしまして若干質問さしていただきたいのでありますが、いわゆる在日朝鮮人あるいは台湾出身者の法的地位の問題であります。  まず、法務省の方にお伺いしたいのでありますが、法務省はさきに難民条約への加入に当たりまして、難民の処遇とも関連するので、戦前から在日する朝鮮半島、台湾出身者とその子孫に永住権を与える、こういう方針で入管令改正法案を発表されておりますけれども、その具体的な内容と、この改正によって、いままでの在日朝鮮半島あるいは台湾出身者の法的立場がどういうふうに変わるのか、説明いただきたい。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 今国会におきまして御審議いただいております出入国管理令の一部を改正する法律案の中の永住許可の特例措置は、終戦前からわが国に在留しております朝鮮半島、台湾出身者及び一定範囲の子孫については、一定の期間内に申請があれば無条件で永住を許可するというものでございます。  なお、この特例措置は、終戦前からわが国に在留する朝鮮半島、台湾出身者及びその子孫のうち、日韓法的地位協定に基づく協定永住許可を受けた者を除いて、その法的地位が未確定となっているいわゆる法一二六−二−六該当者及びその子孫について、これらの者がわが国に在留するに至った経緯及びその在留実態にかんがみまして、本人からの申請により、出入国管理令上最も優遇されている在留資格でございます永住の資格を与えることとし、その在留実態に見合うように在留上の地位の安定化を図ろうとするものでございます。なお、これは難民条約の加入とは直接の関連はございません。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 いま説明がありましたように、この措置は少なくとも難民条約とは直接関係ない。しかし、難民条約加入に際してこのような方針を立てられるということは、何か別の意味で関連があるのではありませんか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 朝鮮半島及び台湾出身者の法一二六−二−六該当者系列の方の法的地位に関しましては、かねてからその安定化についてどうしたらいいかということについて検討を重ねてきておりました。今度やっと成案を得ましたのはとりあえずの措置でございまして、これも最終的な解決ではございません。たまたまその時期に難民条約加入の話が進みまして、そしてそれに伴って出入国管理令の改正も必要となったわけでございます。しかし、これはたまたま時期が一致したわけでございまして、この両者に因果関係があるわけではございません。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 そこで、今回のこの難民条約加入によりまして、日本に外国人が永住する、あるいは定住する、あるいは在留する形としていろいろな形が存在するようになるわけですね。  まず、最初に聞かしていただきたいのは、永住と定住とどう違うのかという問題が一つあります。  それからもう一つは、たとえば先ほどから話がありますように、元日本国籍を持っていた人が、後、日本国籍を離脱した、いわゆる法一二六号の該当者ですね。あるいは日韓地位協定に基づいて協定永住されておる協定永住者、あるいは今度認める難民、そして一般の永住者ですね、この四者の日本における法的地位がどこがどう違うのか、わかりやすく説明してもらいたいと思うのです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 まず、協定永住者のことでございますけれども、この協定永住者の場合には、日韓法的地位協定に基づきまして、退去強制事由が入管令上の退去強制事由よりも制限されております。具体的に申しますならば、七年以上の実刑を科せられた者でなければ退去強制にはならないということになっております。  それから、法一二六−二−六該当者、その系列の方々、この方々に関しましては、今度の改正案で特例永住を申請によって無条件に認めることになっております。こういう方々につきましては、入管令上の永住でございますので、入管令上の退去強制事由が適用されます。その場合には、一年以上の実刑を科せられた者は退去強制事由になり得るわけでございます。ただし、この場合には、こういう一二六−二−六系列の方々のわが国に在留するに至ったいきさつ、それから在留の実態、こういうものを考えまして、多くの場合、法務大臣が特別の考慮を払っておられます。その結果、運用において協定永住の方々とそれほど大きな差はないということになっておるわけでございます。  次に、難民でございますけれども、難民に関しましては、難民認定を受けた方につきましては一般永住の道が開かれております。しかもその場合、普通、素行善良、独立生計維持能力、この二つが要件になっておりますが、そのうちの後者の独立生計維持能力という要件が外されます。したがって、一般永住は、普通の外国人の場合よりも容易であるということになります。その場合、難民の人がこの一般永住を得た場合には、先ほど申し上げましたとおりの入管令上の退去強制事由の適用があります。  なお、定住という言葉をお使いになりましたけれども、入管令上、定住というものはございません。たまたま定住難民ということで、一般に定住という言葉が使われております。この場合、定住難民の方につきましては、多くのそういう方々は日本にずっと永住しようという意思をお持ちではないかと思います。したがって、そういう方に対しても一般永住の道が開かれております。それで、永住になった場合には、先ほど難民について申し上げましたと同じような地位に立たれるわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 ということは、定住というのはかりそめの言葉、これから永住するか、それとも出ていかれるかわからないけれども、施設等に一たん落ちついておる、そういう形で住んでおる人、こういう意味ですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 インドシナ半島から日本に来ておられます定住難民の方は、私どもといたしましては、一応ずっと日本に住むことを希望しておられる方だと考えております。そういう方につきましては一般永住の道が開かれている、こういうわけでございます。  なお、一時、仮に日本に滞在していらっしゃる難民というのはボートピープルのような人々でございまして、こういう方々は、私どもは普通、定住難民と言っておりません。いわゆる一時庇護の対象になっている方々でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 話を聞きますところ、定住枠というものを五十六年の段階では約三千名ということで決められておりますけれども、どうも聞きますところ、定住する希望者が非常に少ないなんという話があるんですね。これはどういうことなのですか。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 いわゆるインドシナ難民の方々でございますけれども、そういう方が命を賭して、たとえばベトナムを去る場合に、そういう方々が参りたいというところはアメリカであり、カナダであり、豪州であり、あるいはフランスであるということでございまして、その理由といたしましては、やはりアメリカとかフランスにはそういう難民の方の親戚縁者が非常に多いということ、他方、日本については、先ほど来御指摘がございましたように単一民族というようなことで、日本はなかなか定住しにくいのではないかという一般的なイメージと申しますか、印象がインドシナの難民の中にはかなり強いようでございます。したがいまして、日本において定住をすることができる、いわゆる定住条件を満たし得るようなインドシナ難民の方が東南アジア諸国にたくさんいるかというと、必ずしもたくさんはいないということでございます。  さはさりながら、すでに千数百名のインドシナ難民の方が日本に定住をしておりまして、先生御指摘のとおり、先般の閣議において三千名のインドシナ難民定住枠が認められました。外務省を中心といたしまして、関係省庁努力して、東南アジアに一時滞在している難民に対して、定住適格者のいわば発掘調査団というのを累次派遣している、そういう状況でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 定住枠をある程度達成するために調査団を出されて御検討いただいていることは、その努力は評価をいたしますが、問題は、先ほどもおっしゃいましたように、アメリカだとか欧州等には親戚縁者等が多くて、そちらに行きたがるというその本質的なものは別にしまして、日本そのものに定住するということについて、余りにもわからないのですね。説明も行き届かない、定住とは何か、永住とは何か、日本に来たら一体どうなるのかというあたりがわかっていない連中が意外に多過ぎる、そのところに問題があるのじゃないかと私は思うのですね。したがって、わざわざ行かれて、調査団を出されて発掘するという以前において、もう少し定住受け入れ体制あるいはその難民に対するもろもろの日本に定住する場合の立場、環境、そのあたりをもっとわかりやすく説明することが本当は大事なのじゃないか、私はそういう気がいたします。その点ぜひ御検討いただきたいと思うのです。  次に、この条約に加入した後、当面わが国が受け入れなければならない難民はどういう人々がおるのか、数字がわかっていれば、数字も入れて簡単に説明していただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの米沢委員の御質問でございますが、この条約はわが国内に入りました難民について審査の上これを受け入れるということでございまして、国外に現在滞留しております難民を受け入れるというところまでの条約ではないわけでございますが、今後いかなる申請が行われますか、これはしばらく様子を見る必要があるかと思います。したがいまして、いかなる難民がこの条約の批准とともに日本にやってくるかという点につきましては、やはりもう少し様子を見る必要があるかと思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 この条約に加入した後、いわゆる定住を希望する連中が申請をするシステムになっていますね。その申請をいまから受け付けますよというのは一体どういうPRをなさるのですか。本いうのは一体どういうPRをなさるのですか。本当は逆に日本国内のいろいろなところに潜在し過ぎて全然表に出たがらない。出てきたら、ひょっとしたら追い出されるかもしれないという危惧も実際はあるわけですからね。ですから、認定申請をして難民として認定されるかどうかわからない連中が、実際は申請をしない。実際は申請をしない連中は一体どうするのですか。本当ならば難民として認定せざるを得ないような者が申請を怠る、あるいは申請したがらない、その場合、残る連中は一体どうなるのですか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの御指摘の問題でございますが、条約の御批准が今回可能になりまする場合におきましては、所要の手続を進めまして、できるだけ早くこれを国際連合に託しまして発効に至るわけでございますが、もちろんその過程におきましては、十分その条約の内容その他につきまして、関係の国内官庁とも御協議の上、国内に入っております一時滞留の方だとか一時庇護を受けておる方にその条約の内容について周知徹底を図るということは、当然われわれとしてなすべきことであろうかと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 特に留意していただきたいことは、申請したらそのまま強制送還されるかもしれないというおそれを抱いておる連中に対して、何らかの形でわかりやすく、あるいは申請しても直接ひっつかまえませんよというぐらいのことを何か言わないと、実際はみんなもぐり切って出てこない、顔を出さない。出てくるのは当然いま政府が暫定的に難民として扱っておる皆さんぐらいで、あるいは留学生として出て入ってこられた、堂々と胸を張ってこられるような方以外は、実際はみんな表面下に沈んでしまうのではないかというのをおそれます。その点はぜひ一工夫あってしかるべきだと思っておりますから、よろしくお願いしたいと思うのです。  それから、これから受け入れる難民というのは、先ほど言いましたように、暫定的旧いま難民として扱っておる皆さんですね。それから、旧政権下のベトナムあるいはカンボジア、ラオスからその旧政権の旅券で入ってこられて、実際は政権が崩壊したから帰る場所がなくなっておるという人、それも今後難民認定の申請をされる対象じゃないかと思いますね。それからもう一つは、留学生なんかではなくても、旧政権下の旅券でこちらに入られて、しかし今度帰ったら迫害される可能性がある、そういう人も実際は申請されると難民扱いになるのじゃないかと思うのでありますが、実際一番大きな問題は、先ほどから議論になっておりますように、流民だと私は思いますね。流民という言葉が、表現が適切かどうかわかりませんが、難民以外のインドシナ系の滞留者、停留者、そういう者が流民にほぼ範疇的には入るのじゃないかと思いますが、実際流民の実態についてどれぐらい政府は把握をされておるのか。  もう一つは、この流民問題を難民条約の関連で何か救済する方法をとっていこうとされておるのかどうか、この二点をまず聞かせてもらいたいと思うのです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 まず、難民の認定の対象になる者でございますけれども、今度入管令が施行されますと、六十日以内に難民として認定してもらいたい人は申請しなくちゃならないことになっております。その場合に出てきそうな人としては、私どもとしては大体三つのカテゴリーの人がいるのじゃないかと考えております。  第一は、先ほど先生御指摘のいわゆる定住難民、インドシナ半島から日本に来ております定住難民でございます。それから第二が、これまた先生が御指摘になりました元インドシナの旅券を持っていて日本に留学していた人、こういう人たちです。これは現在六百八十六名おりますけれども、法務大臣の特別在留許可をもらって滞在しております。三つ目がボートピープルでございますが、ボートピープルのうちどのぐらい果たして申請に及ぶか、私どもちょっと見当がつかない状況でございます。  それでは、いわゆる流民というものはどうかということでございますが、その流民というのは、インドシナ半島の三国のいずれかにかつて住んでいて、それが動乱を逃れて第三国に行った、それは多くの場合、タイであり、台湾でございます。そして、そこの国の旅券を取得して、そして日本に入るため観光査証を手に入れてやってきました。そして在留期間を超えて滞在しているわけで、これはいわゆる不法残留のケースに当たります。こういう人たちはどうかということでございますが、タイとか台湾の旅券を取得しているということは、そういう国の保護をすでに受けているということでございます。今度の難民条約の第一条にも、そういうすでに第三国の保護を受けるに至った人は難民ではなくなるという趣旨のことが盛り込まれております。したがいまして、そういう方々はもちろん難民申請の自由はございますし、私どもも手続はとりますが、恐らくいま申し上げましたような難民の定義にかんがみまして、難民として認定されるのは非常に少ない、むずかしいのじゃないかと考えておるわけです。ただ、こういう流民の方々につきましては、すべて退去強制するということではなくて、法務大臣としても理由のある方につきましては人道的に配慮をするというふうに考えておられるわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 できれば、いまから入ってくる難民というものを救済する措置であると同時に、もうすでに日本におられる難民的な人々に救済の措置をするということが、私は法の精神からいったら筋ではないかという気がします。特に、いわゆる第三国を経由して入ってこられて、それで不法に停留されて、滞留されておる方についても、もともとは難民だったわけですね。しかし、難民であるがゆえに第三国の国籍を取られて何らかの形で逃げてこられた方ですから、そういう意味では、難民ゆえに第三国籍を取るとか第三国の旅券を取らざるを得なかった人々でありますから、そういう人が日本に入ってきて難民手続をとるならば、やはり認定要件にできるだけ運用の妙を得て難民扱いとする、そういう形での運営をぜひやってもらいたい、こう思うのでございます。そのことが流民対策のまず第一ではないかと思うのです。再度御確認の答弁をしていただきたい。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 流民に関しましては、先ほど御説明申し上げました難民条約における難民の定義との関係で、難民と認定することは非常に困難であろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、法務大臣としてもケース・バイ・ケースに検討して、なるべく人道的に配慮をしたい、こういうお考えでございます。  それに基づきまして、最近、流民に対する方針を定めました。これをこの機会に先生に御説明申し上げたいと思います。いわゆる流民につきましては、さしあたり、次のような考え方で対応することとしたいと考えております。  第一に、インドシナ三国の旧旅券でわが国に入国し、そのまま不法在留となっている者については、帰る国がないという事情を考慮して在留特別許可する。  第二に、台湾、タイ等の第三国旅券を所持していても、それが他人名義の旅券を不正入手するなどしたものである場合には、右と同様に扱う。  第三に、台湾旅券等を正規に取得して本邦に入国している者については、ケース・バイ・ケースで検討、対処するが、たとえば次のような事情にある者は、特段の忌避事由がなければ在留特別許可を考慮する。一、日本人または正規在留外国人と親族関係にある者。二、両親、兄弟等が現に第三国の難民キャンプに収容されているなどのために、本邦から出国しても適当な行き先がない者。三、その他特に在留を許可する必要があると認められる者。  以上でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 あとはその流民に対する取り扱いですね。でき得る限り運用の妙というものを発揮してもらいたい、そう思います。  それから、今回出されております出入国管理令の改正案の中で、難民という定義は条約と議定書に言う難民と決められておるわけでありますから、少なくともその難民の規定を読む限り、やはり将来的には必然的に、あるいは場合によっては国際的な紛争に巻き込まれる危険性、特に政治亡命者あたりの取り扱いをどうするかによって、私は、この難民条約に加入するということと同時に、そのような政治的な亡命者等を受け入れて、あるいはそれを認定基準に合ったからと認定した後、何らかの形で国際的な紛争になる、あるいは犯人をよこせとかよこさないとか、あるいはまた保護するなとかせよとか、いろいろな意味でトラブルに巻き込まれる可能性のある、そういうものが難民条約に加入したということではないかという気がするのですね。  そこで、聞かしていただきたいことは、この認定審査に当たって治安対策面からの配慮はなされるのかどうか、その点をまず聞かしてもらいたいことと、第二番目に、たとえばこの改正法案に盛られております迫害国向け送還の禁止の中に、または「政治的意見等を理由として迫害を受けるおそれのある国へは原則として送還しない」とありますけれども、この「原則として」というのはどういうことを意味するのか、この二点をまず聞かしてもらいたいと思うのです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 第一の御質問は、難民認定に当たって治安対策が入るかということでございますが、難民の申請を行った者の中には、場合によっては犯罪者とかあるいはそれに類するような人がまざっていることもあり得るわけでございます。ところで、難民条約における難民の定義において、そういう犯罪者、ある一定の基準以上の刑を受けた犯罪者は、難民としては認めなくともいいことになっております。したがって、わが国におります難民の中で申請があったときに、そういう疑いがありますときに、私どもといたしましては、関係省庁と十分連絡をとって、必要な調査をして、そしてそういうことが判明した場合には、当然こういう方は難民の認定は受けられないことになるわけでございます。  大体そういうことでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 先ほどからもこれは議論になっておりますが、この国際条約に加入することによって、従来までの方針もちょっと説明してもらいたいのでありますが、亡命者へ門戸を開放することになるのか、それとも従来どおりあんまり変わらないのか、そのあたりがちょっとはっきりしないのですよね。その点をひとつ説明してもらいたいと思うのです。  特に、たとえばソ連あたりからよくやってきますね、そういう人々に対して、ただもろもろの条件によって個々によって違うという発想があるかもしれませんけれども、少なくとも政治的な亡命者がやってきた場合に、それを従来はあんまり受け入れようとされない、あるいは本人の希望があるかもしれませんが、第三国にみんな移していく、そういう措置をとってこられたのですが、今後政治的な亡命者が日本にやってこられて難民と認定された場合には、日本の方で受け入れ、保護していくという、そういう従来とは変わった姿勢みたいなものが見られることになるのかどうか、その点をひとつ御答弁いただきたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 わが国は、これまでも、わが国に亡命を希望する外国人につきましては、政治的迫害の申し立てが十分に根拠のあるものであるかどうかを慎重に検討して、根拠があると認められた場合には、人権の尊重とわが国の利益との調和を考慮して対処してきておりまして、特に迫害を受けるおそれの明らかな領域には送還しないという基本方針を遵守してきており、難民条約及び議定書の締結によっても、今後も亡命事案に関するわが国の基本方針を特に変える必要はないと考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 そこで、たとえば外務省がつくられたこの「欧米諸国における難民の取扱いとその問題点」、その6の「難民の本国に対する反政府的な政治活動に対する監視と規制」、この項の中にも述べられておりますように、「難民の特質である「迫害のおそれ」は、難民が本国政府と政治的な意味で対立関係にあることに発する。難民は、他国で庇護をうけている期間中でもしばしば、そこから本国政府向けの反政府的活動を行なおうとする。難民が隣接諸国の国境内に逃げ込み、国境付近を安全な逃げ場として本国政府転覆の機会を狙うことは稀ではない。」とここに指摘をされておりますように、今後難民を公に受け入れるということにしましたならば、ここで心配されておるような事案が起こり得る可能性も十分出てくると思わなければならぬわけです。  そういう意味で、今後わが国といたしまして、難民がそのもともとの本国に対する反政府的な政治活動をやる可能性が多いわけでありますから、そういうものに対する監視あるいは規制というものをわが国はどういうふうに構築していくのか。いろんな国の例をここに述べてありますけれども、いろいろ違いますね。日本は一体どういう形で監親しあるいは規制をしていこうとするのか、その点をはっきりしてもらいたいと思うのです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 難民の行いました政治活動がわが国の利益とか公安を害する行為に当たると認められる場合には、その難民は退去強制の対象となります。また、難民条約上、難民の政治活動を規制する規定は存在しませんが、国際的には、難民は庇護を受けている国において反本国政府活動等の政治活動を慎むべきものであるとの理解が一般的であると承知しております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 ということは、日本は国際法上の考え方をそのまま適用していくということと理解してよろしいですね。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 難民は、受け入れ国と出身国との間の外交関係を阻害するようなその種の政治活動をすべきでないという国際原則があるわけでありますが、それをストレートに国内法として適用するということではございません。入管令第二十四条、これは退去強制事由を規定した条文でありますが、二十四条の四のヨというところに、利益または公安を害する行為を行ったと法務大臣が認定した者という条項があります。お尋ねのようなケースはこの条項に該当する場合が非常に多いであろう。難民条約自身も、国の安全、公の秩序を害する者の追放を禁止しておるものではありません。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 次は、条約に関しては最後の質問でありますが、結局は難民というものを受け入れる体制をつくった、国際協力にいまから参加するということは大変結構でありますが、もともと難民が発生しないための日本の外交努力あるいは平和維持のための努力、そういうものが内政干渉にわたらない範囲内で今後も力が入れられていかなければならぬと思うのです。そういう意味で、最後に、難民の発生防止という観点から、この難民条約に加入されるに当たりまして外務省がどういうかっこうで対処されていくのか、所信を伺わせていただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、大変重要な点でございまして、外務省といたしましても今後の大きな課題と考えております。  具体的には、国連難民高等弁務官府というのがございますが、この役所がハノイにも駐在員を置いておりまして、先方の政府と合法的出国の励行ということでいろいろな交渉をしております。そういった交渉は今後とも促進をしなければならない。さらには、いろいろな点がございますけれども、ベトナム外務大臣の来日の機会に、あるいは現地駐在大使を通じましてその申し入れも何度か重ねて行っておるわけでございます。  それから、米沢委員も御高承のように、一昨年以来インドシナ難民会議、昨年はカンボジア難民会議というものがございまして、その間におきましても多数国のいわゆる呼びかけが行われておることもございます。さらには、昨年の国連総会におきましては西ドイツの決議案というのが出まして、いわゆる難民の流入の根源を断つということが本件の解決の最も重要な点であるということを呼びかけて、実際問題としてそのためにはどうしたらよいかという国際協力の内容をことしの総会までにひとつめどをつけていこうではないかというような試みもなされているわけでございます。もちろん、その国の客観的な現象というものもございますので、こういった面が終息しなければ流出がとまらないという面はございまするけれども、それにもかかわらず、われわれとしては根気よくそういったような集大成の努力をしていかなければならない、このように考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 次は、条約加入に伴いまして国内法の整備の件に関して若干の質問をしたいと思うのでありますが、何と申しましても、先ほど来取り上げられております社会保障の関係で新しく義務が生ずるという問題が重要であろうと思います。  そこで、今回この難民条約加入によって法的には国内法も整備をされるわけでありますが、整備される以前においても行政の面でいろいろなされておりますね。たとえば生活保護については生活保護法によって現実にその適用は外国人にも認められておりますね。あるいは健康保険の適用についても、例外として地方自治体の条例で定めることによって外国人も加入を認めておる。あるいは協定永住者については国保についての加入はまさに自由である。あるいはまた日韓法的地位協定、先ほど言いました協定永住者、そこらには生活保護、国民健康保険の適用というものを認めておる。  こういうふうに、今度の条約に入る以前から行政的に生活保護あるいは国民健康保険の適用等々について先行して社会保障の適用が行われておるわけでありますが、社会保障の適用、生活保護と国民健康保険の加入、この二つだけがなぜ先行しておるのか、どういう考え方でこれは先行したのか、その点をちょっと説明をしてもらいたいと思うのでございます。その他の社会保障の関係は結局放置されて、今回でカバーできるわけでありますが、その他の方については単に財政上の問題で認めていないということにすぎないのか、それとも生活保護と国保そのものは認めるというのは、何か別な考え方、思想の延長があるのかどうか、その点をちょっと説明してもらいたい。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように、国保につきましては、先ほどおっしゃいましたように、日韓協定に基づく永住許可を受ける者等につきましてすでに国民健康保険においては適用になっておりますし、それから、地方、市町村の条例によりましてその他の外国人につきましても適用の道があるというわけでございます。  これはなぜそうしたかということでございますが、それは医療の確保ということにつきましては、外国人にとりましても非常に重要なことである、これを確保できるような道をできるだけ開いておきたいという趣旨であるわけでございますが、ただ、国民健康保険の実施主体が市町村でございますので、市町村の財政力とかあるいは受け入れ体制、事務体制といったものを無視して押しつけるというわけにはなかなかいかぬというようなことで、私ども、条例によって認められるところはどんどん伸ばしていこうというようなことで行政指導をやっておるところでございますが、要するに、すでに外国人に適用しておったというのはなぜかというのは、先ほど申しましたように、医療というものをできるだけ外国人にも及ぼしていくということの必要性というものの認識に立ったわけでございます。

金田一郎厚生省児童家庭局長

○金田(一)政府委員 私から生活保護関係についてお答え申し上げたいと思いますが、生活保護につきましては、人道的な見地から外国人につきましても放置できないということで、昭和二十五年から、通牒によりまして日本人と同様の取り扱いをいたしてきたところでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 そこで、時間もなくなったのですが、今回の条約加入によって国内法的に今度は整備されるわけですね。そこで、たとえば国保の適用等についても、今回は御承知のとおり難民にすべて適用される。従来の協定永住者は適用される。あと残った外国人は市町村に条例があったならば適用される。しかし、市町村に条例がない場合にはその他はみんな適用されない。この際、この白地をみんな埋めるような措置はできないのですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この国保につきましての外国人の適用は、厚生省令で行っておるわけでございますし、さらにそれに基づく条例でもって行うことになるわけでございますが、先ほど申しましたように、やはり実施主体が市町村でございまして、財政的にも非常に敏感なものでございますので、これを一方的に押しつけるというわけにはなかなかいかぬ。したがって、これはできるだけ市町村が自主的にこれを導入できるように、外国人に適用ができるように、そういう方向に私どもは行政努力をしてまいる、行政指導を強化していくというような方向でこの解決を図ってまいりたいというふうに考えておるわけであります。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 市町村の財政だけを言われると、じゃ、今度は難民を認めてみんな適用させるんだから、市町村の財政に関係ないとは言えませんな。そういう意味では、単に市町村の財政だけではなくて、この難民条約に入ることによって国内法を整備するということでございますから、やはり国際的な人権規約にも加入しておる関連もありますし、難民条約に今度加入して国内法的には社会保障も外国人に適用させようという、そこらのことを先行させて、市町村の財政次第だという議論は逆におかしいと思うのですね、今度は難民を認めることになるんだから。そうじゃないですか。そういう意味で、市町村条例のみで排除するのではなくて、どうしても市町村に条例がなかった場合にはほかの外国人には全然適用できない。今度入ったという法の趣旨に基づいて、私はこの空白を埋めていただく努力をぜひしていただきたい、そう思います。  それから、これも何回も問題提起されてもう食傷ぎみだろうと思いますが、やはり問題なのは、今回の法改正がありましても、国民年金、福祉年金の不受給者が発生をする、無年金者が当然のごとく出てくるというこの問題を避けて通れないと私は思うのですね。先ほどの話では、三十五歳以上でこの国年なんかの受給を得られない、そういう方が二十九万とか二十二万とかいろいろな数字があるのですが、それは別にしまして、全体の七十七万がこの恩恵を受けると言いながらも、実際は二十万単位の人間が当然のごとく無年金者として放置される、これは人道的な問題からも私はやはり問題だと思いますね。  先ほど草川委員も話をしておられましたように、特にこの際、在日朝鮮、韓国人あるいは台湾出身者、こういう皆さんは、従来は日本国籍を持って、そして日本国籍を離脱されざるを得ない、あれは強制的に離脱させられたのですが、そういうかっこうで、私は日本人とほとんど一緒だと思うのですね。いわれなき差別にも遭ってこられた人でもありますし、あるいは日本人とともに苦楽をともにされたそういう人でもありますし、特に昔日本国籍を持っておったという方々について、そしてそのままずっと日本に永住されるという方について、やはり特別措置をつくるのが当然なのであって、そういうものが法的にはなじまないとか、そんな議論が私はおかしいと思うのですね。どうなんですか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  先生の御指摘は、わが国と特別な歴史的な事情にある方々につきまして何らかの特別措置を設けるべきだという御指摘だと思います。この御指摘は大変ごもっともだと思うのでございますが、一般法でございます国民年金法におきまして、外国人の一部の方につきまして特別な措置を設けるということはできないと考えております。  また、今回の改正案は、外国人の方と日本国民の方との間に差がないように、内国民待遇を実現するために行うものでございまして、また外国人の方だけに特別な対策を設けるということもできないと考えておるわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 一般法にはなじまないという議論だけれども、たとえば生活保護法とか国民健康保険法はちゃんと従来から外人の適用をもうすでにやっておる。国年だけがなじまないというのはちょっとわからないですね。同時に、内外差別をしないというのが今度の条約によって発効するわけでありまして、今度たとえば在日外国人の皆さんに特別措置をするということは、何も日本人そのものに差別をつけることじゃないと思いますね。そのあたりがちょっとわかりませんね。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  一つは、日本人との差を申し上げましたのは、特例措置を、それでは具体的な内容としてどういう形の特例措置を設ければ三十五歳を過ぎた方で日本に入国されました方につきまして年金権が取得できるかという形の問題になると思うのでございますが、その場合には、本年度入国される方もございますし、来年度入国される方もあるわけでございますから、そういう方々につきまして入国の時点におきまして、またはほかの外国におられました期間を何らかの期間として資格期間に算入するなどの方法を恒久的な形でとらざるを得ないと思うのでございます。  現在、わが国におきましては、何らかの御事情で三十五歳になられますまで国民年金を滞納しておられた方とか、外国から三十五歳を過ぎて帰ってこられました日本人の方につきましては、そういった措置はないわけでございます。そういたしますと、外国人の方だけにそういう措置を設けるといたしますと、日本人のそういった方々との間の均衡を失するのではないか、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 たとえば外国から帰ってくる日本人についても場合によっては法の適用がない、それは法の不備なのであって、その法の不備を今度はそのあたり一挙に解決すればいいと私は思うのですよ。何も現在の法の不備を盾にとって、そういうことで認めてないから今度外国人に適用するのはけしからぬ、こんな議論はおかしいのであって、法そのものの不備なのでありますから、その問題もこの問題と一緒に一挙に解決したらどうなんですか。  同時に、難民が今後どういうかっこうで入国するかわからない、したがって、永久的なものをつくろうとしたら大変むずかしい、むずかしいことを言うてもらわぬで結構なんですね。いまから入ってくる人は、逆にいまつくった法律でいいじゃありませんか。現在在日しておる皆さんに、特に在日の外国人、そのあたりに日本人と同じような特例措置を制度ができたとき同じようにやれということが、何もそんなに、法的にどうだとか日本人との均衡を失するなんという、それは理屈であって、法そのものが不備だから日本人に対してもいろいろな問題点があるわけですから、一挙に引っくるめて改正すべきだ。逆に、もうそういう法がどうだというそういうたてまえ論で反論されるんじゃなくて、お金の問題で大変なんです、だから堪忍してもらいますと言うた方がまだずっとすっきりする。大臣、どうなんですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 ただいまの米沢委員の御質問は、先ほどの草川委員の質問とも相通ずるわけでございます。  今回は、難民条約の加入に伴いまして日本人と外国人を同一に扱う、こういうことで必要な措置をやったわけでございます。そういう意味で言いますと、現在の国民年金の関係では全く平等になるわけでございまして、その扱い方は、結局考え方としては、この法律が実施されたときに新しく加入される、こういう考え方によることが現行の国民年金の制度の上ではバランスがとれる結果になる、こういうことなのでございます。  いま、経過措置を設けるべきだというお話でございますが、二つ議論があるだろうと思うのです。なぜ三十六年のときにとったか、これは言うまでもございません、ある時点でとりますと、資格要件は二十から六十歳でございまして、二十五年間加入要件が要るわけでございますので、三十五歳以上の者については何らかの経過措置を設けませんと、国民皆年金にならないわけでございますので、したがってあのときはとりました。それで、すでに福祉年金については、とりました結果、ことしからは新たに発生しないことになるわけでございます。  それから、第二の問題は、いま米沢委員が御指摘になりました、それはわかった、しかし今度は現行の国民年金制度とは別にそういうものをひとつ受け入れる受けざらをつくったらどうか、こういうことになりますと、当然年金会計の中で年金計算をやっているわけでございますので、従来の国民年金で、この中でプールしてやるということは、当然二十五年の人とそれから短期の人が入ってくるわけでございますので、これはやはり保険会計を別にしなければならないわけでございます。それにはそれなりのやはり保険数理に適合するものをつくらなければならない、こういうことになろうと思うのでございます。  ですから、ただいまいたしましたのはとりあえず内外人平等、こういうことを現行の国民年金の制度の上でやったということでございまして、いまのような御要望に沿うためには、どうしても将来また新しく別の年金財政というものをつくらなければならぬ、これにはやはり相当の検討を要する、こういう問題であろうかと思うわけでございまして、先ほど草川委員に対しましても、その問題は問題として今後検討いたしますが、そういうむずかしい問題がございます、こういうふうに申し上げたわけでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 将来的にまた新しい制度を、あるいは新しい何か特別措置をつくるということになれば、それこそめんどうくさいわけでありまして、いま肝心かなめのスタートの時点が私は大事だと思うのですね。  そういう意味で一つだけ聞かしてもらいたいのは、たとえば現在の在日外国人あるいは難民に対して、特例納付制をつくるとか、あるいは特別措置をやるということは、現在の法律ではやろうと思ってもやれないのですか、それともやろうと思ったらやれるのですか。この一点だけ聞かしてもらいたい。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 二つ問題があると思うのです。  一つは、法体系の上でそういうものをもし入れたといたしますと、この附則は附則ではなくて、永久に続く附則であるという問題にならざるを得ない。第二の問題は、財源の計算の問題でございまして、この計算はやはり年金計算でやっているわけでございますので、非常にむずかしい問題である、こういうことでございます。理論的に技術的に絶対不可能とかなんとかいう問題ではもちろんないわけでございましょう。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 速記をつけてください。  野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 先日、外務委員会で参考人の質疑をやりましたときにも話がありましたが、日本の場合には人権感覚の面で後進国だ、ところが、今度の難民条約の批准やあるいはこれに伴う国内法の一部改正、これはおくればせながら大変よいことだという参考人の話もありましたが、私も同感であります。私は、時間の関係もありますので、主として出入国管理令の一部改正を中心に少し質問をいたしたいと思います。  まず、最初にお聞きしたいのは、難民とかあるいは亡命者、それから流民、いろいろと言葉が使われておるわけでありますが、これは国際的に統一したものがあるのかないのか。恐らくないと思うのですが、日本の政府はどういうふうにこれらについての認識を持っておられるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 まず、難民と亡命者でございますけれども、この定義、なかなかまちまちでございまして、統一的なものがございません。ただ、大まかに言えば、難民と亡命者とはほぼ一致するのじゃないかと考えております。その場合、定義は難民条約の難民に該当するかどうかということでございますが、これに該当した場合には、普通、難民と言われている者も政治亡命者と言われている者も、そういう意味で難民というところに入ってくるわけでございます。  その次に、流民でございますが、流民という言葉は、英語のディスプレースドパーソンという言葉の訳語でございます。これがまた非常にたくさんいろいろな意味がございまして、使われる場所によってその意味するところも違うようでございます。しかし、非常に広い意味では、戦乱とか政変とかそういうものを逃れて本国から出てきた人人ということを意味する場合もあるようでございます。  それから、最近日本のマスコミなんかで盛んに登場してきております流民という言葉は、これとは少し違います。それは、インドシナ半島にかつて居住歴を持っていた人々が今度の戦乱とか政変とかを逃れて第三国にやってきます。これは多くの場合タイとか台湾でございますが、そこの国の旅券を取得して、その旅券に日本に入る観光査証をもらって日本へ入ってきます。観光査証の在留期間が非常に短いですから、ところがこういう人たちはずっと日本にいようという魂胆で入ってきておりますから、在留期間が切れてもそのまま在留するわけです。これがいわゆる不法残留のケースになるわけでございます。これが最近言われております流民でございますが、この流民は、難民条約の定義に従いますと、すでに第三国の保護を受けておりますので難民としての資格は終わっている、失っているというふうに解されております。

野間友一日本共産党

○野間委員 いわゆる条約上の難民と、とりわけインドシナ難民というふうによく言われておりますが、この範疇ですね、これは相当違いがあるという——これはいろいろ論議がありますけれども、政府としてもいまはそういうように認識しておるわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 いわゆるインドシナ難民が条約難民に該当するかどうかということに関しましては、やはりそれぞれ個人個人いろいろな事情があろうかと思います。そういう事情を十分に調べないと何とも言えないので、難民認定手続の過程でこういう関連事実を確認していくということになろうと思います。したがって、現在のインドシナからのいわゆる難民が条約上の難民に該当するであろうかどうかということについては、一般論としてはなかなかお答えにくいということでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 もともと条約上の難民の定義というのは一つ歴史的な経緯がありまして、御案内のとおりで、非常に定義そのものがやはり古い。社会的な実態としてあるいは歴史的な実態としては、いまあなたも言われたように、さまざまな形で新しい形態のものが現に存在するわけですね。戦乱難民とかあるいは経済難民とかいろいろあるわけですけれども、そこで皆さんも一番懸念しておるのは、果たして今度の条約の批准、それに伴う国内法の改正、これで、現にいまいわゆるインドシナ難民と言われる人たちが約千五百人ですか、日本におられるわけですが、こういう人たちに対して全部カバーできるものであるかどうかということ、これが大きな問題の一つではなかろうかと思うのです。  この点について、条約上の難民と実態というか社会的な事実としての乖離ですね、この中でどうやってこの批准や国内法の改正によって現に存在するあるいは今後日本に来るであろう難民を救済するか、この点についてどういう認識を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま先生、日本に現在おります手数百名のインドシナ半島からの難民と言われました。恐らくいわゆるボートピープルのことを指しておられるのだろうと思います。このボートピープル、現在日本に約千三百名ほどと承知しておりますけれども、こういう人たちのうちの果たしてどのくらいの割合の方々が難民認定を申請するかについては、私どもとしてはわかりません。しかし、その方々が難民申請をされた段階で、私どもといたしましては、そういう方々のいろいろな背景となる事実やあるいは経験されたこと、それから国の外へ出られた動機、いろいろなことについて詳しく本人からの陳述を聞き、必要な場合にはさらにそれを補強する資料も求めて、その上で、果たして彼らが条約難民に該当するかどうかを確認するということになっております。  したがって、そういう手続を終わるまでは、果たしてその申請されたいわゆるボートピープルが条約難民に該当するかどうかということについては何とも言えません。そのうちの何人かは難民と認定される場合もあるでしょうし、また難民と認定されない人も何人か出てくるかもしれません。しかし、いずれにしましても、たとえ難民と認定されなかった場合でも、それだからといって日本にいわゆる在留を否定することではございません。人道的に配慮する必要がありますので、そういう方々は引き続き日本に在留できるように取り計らいたいと考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 この国内法が改正された場合に、現に日本に居住ないしは永住の意思を持っておる人たち、こういう人たちに対する経過措置と申しますか、これはどうなんでしょうか。十八条の二からやられるわけですか、それとも現にいま日本に居住しておるわけですから、手続的に難民の認定の申請から事を始める、そういうことになるわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 先ほどから話題になっておりますいわゆるボートピープルというのは、必ずしも日本に永住を求めてやってまいるわけではございません。他方におきまして、いわゆる定住難民という方々、この方々は日本に定住するつもりで日本へ来ていらっしゃいます。こういう方々は、現在法務大臣の特別在留許可ということで、一六—三という資格で来ておられますけれども、難民の認定手続、難民に認定してもらいたいと希望される人は申請をされるだろうと思います。これは今度入管令の改正が施行されてから六十日以内にされる必要があります。その上で必要な調査を行って、私どもとしては確認をするということになっております。

野間友一日本共産党

○野間委員 難民に対しまして条約上いろいろな権利が保障されておるわけですね、自由権とか社会権とか。これは今度出しておられます国内法の改正によって、条約上の権利はすべて充足されるというふうに理解してよろしいのかどうか、この点はいかがでしょうか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 今回の難民条約の御批准が実現いたしました場合には、難民条約の規定いたしまするもろもろの権利について、その待遇の態様に応じまして難民に対する権利の量が確定をするわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 私の申し上げているのは、この条約の批准と国内法の改正によって、権利が条約上いろいろありますね、これが全部充足されるかどうかということを国内法との関係で聞いているわけです。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 今回の御批准については、留保なき御批准をお願いしておるわけでございますので、このまま御批准をいただければ、現在用意されております国内法の成立を待って条約上の権利の保障が実現するわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 またあす外務委員会がありますので、詳しいことはその席でお伺いするとして、この認定を残念ながら申請をしたけれども受けられなかった、こういう人たちの法的地位が一体どうなるのか。この点が大きな焦点になっておりますが、これはさまざまな権利を享受する上において、いわゆる難民の認定をした者と同じような扱いを受けるというふうに理解してよろしいですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 難民認定を受けた人と難民認定を受けられなかった人の入管令上の待遇の差について御説明します。  三点ございます。第一点は、退去強制事由でございますが、難民と認定された人は、そういう事由に該当する場合でも、法務大臣の特別の裁量を得る道が開かれております。それから第二に、海外旅行でございますけれども、難民の方は難民旅行証明書というものの発給を受けることができます。それから第三に、永住でございますけれども、難民と認定された場合には永住要件が緩和されます。独立生計維持能力という要件を満たす必要はないということになっております。  なお、難民と認定されなかった人につきましては、海外旅行につきましては、難民旅行証明書と等しい効果を持つ再入国許可書を発給してもらえる可能性があります。

野間友一日本共産党

○野間委員 一時的庇護についてお伺いしたいと思います。  これはいわゆる条約上の難民の定義よりも広いのは当然のことでありますが、一時的な庇護を受けたが、残念ながら認定を受けられなかったという人たちの法的な地位に関連して、行政処分や刑事処分は一体どういうことになるのか、いまどういう見解を持っておられるのか、聞かせていただきたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 一時庇護の上陸許可を受ける対象となる人を考えますと、そのほとんどは旅券を持っていないであろうということであります。としますならば、これは法律上どうなるかという話でございますが、旅券を持たずに本邦に入ったということで不法入国の罪が成立する、その不法入国の罪が成立した後に一時庇護の上陸の許可を受けたからといって、前に成立した罪が消えるという筋のものでないということは、先生もよく御理解いただけると思います。ただ、難民条約は、その者が難民であって、速やかに当局に出頭して相当の理由を告げた場合には、処罰してはならないという規定があり、これを受けまして、今度の国内法の措置におきましても、入管令の七十条の二という規定を設けまして、条約で言うような要件を満たした者については刑を免除するということになっております。したがいまして、そういう人が難民であり、速やかに当局に出頭して相当の理由を告げた場合には、刑を受けることはないというようになっております。  なお、たとえ旅券を持たずに本邦に入った者でありましても、一時庇護の上陸の許可を受けた後、不法入国の理由をもって退去強制を受けるということがないのは申すまでもないことであります。

野間友一日本共産党

○野間委員 この十八条の二の一時庇護と条約一条のD項、E項との関係はどうなるわけでしょうか。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 一時庇護の上陸の許可の対象となる者は、難民である可能性のある者であります。したがいまして、それがD項あるいはE項に該当するかどうか、そこまでのせんさくはいたさないで、とりあえず、その場で難民の可能性があるかどうかによって決められるべき筋合いのものであります。

野間友一日本共産党

○野間委員 国際的にもこの点についてはなかなか詰まってないというふうに私も聞いておるわけですけれども、ぜひ運用上きちっと被害あるいはダメージのないように取り扱いをしなければならぬと思います。  それから、同じく十八条の二の三項「上陸期間、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件」、これについては省令で定めるとなっていますね。この省令の中身は一体どういうものを考えておるのか。特に衣食住の支給等あるいは居住場所、居住条件、この中身について省令をどういうふうにしていくのか、お答えいただきたいと思います。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 省令の中身につきましては、詳細はまだ固まっておりません。しかし、その内容となるべきものは、まず上陸のできる期間であります。これは本人の希望なども聞きまして、たとえば第三国に出国する予定の者であれば、それに要するであろう日数が考慮されて決められることになります。次に、どうしても条件の中に入ってまいりますのは住居であります。これはそのときどきに応じて決められていくと申し上げる以外にな  いと思います。  なお、流行性の病気、悪い病気を持っておる人につきましては、病気が治るまでその一定の範囲から出てはいけませんよという意味で、行動の範囲の制限が付されるということにいたす予定であります。

野間友一日本共産党

○野間委員 ちょっとわかりにくいのですが、そうしますと、衣食住は国において確保するということの中身の省令をつくることになるわけでしょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 一時庇護の対象となっている難民の人たちの衣食住をどうするかということを、この省令で定める予定はございません。現在、こういう方々の衣食住は、民間の篤志団体、支援団体のお世話になっております。たとえばカトリックであるとか、日赤であるとか、天理教であるとか、そういうところでやっております。ただしかし、難民の中には犯罪者が入っていることもありましょうし、それから伝染病の患者がまじっているということもあるかもしれません。そういうことも考え、衣食住のめんどうも含めて政府が何らかの庇護センターをつくるべきではないかということについて、その可能性とか、そういうことをやる場合にどこが主管したらいいかということについて、現在関係省庁の間で協議をしている段階でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 少なくとも皆国籍国を追われて来ておるわけでしょう。それに対して刑事上の免責ですか、単にこれだけではなくて、やはり生命の安全、衣食住の確保をボランティアに全部頼るということではなくて、この点については各省庁で十分協議して、身の安全をぜひ図っていただきますように要望しておきたいと思います。  それから、難民の認定の手続について、これも先ほどからいろいろと論議がありました。この間外務の参考人の質疑の中でも、認定機関について法曹資格を持った者を入れるとか第三者機関を設定する、こういうことが認定の公正という点から望ましい、これはほとんどの方がそう言っておるわけですね。しかし、いまの国の制度としては法務大臣が認定するということになっておるわけで、これで果たして公正が担保できるのか、恣意的になりはしないかという心配が私はあると思うのです。  この点について法務省は、審理ですか、認定するのに迅速性を要するというようなことも言っておるようでありますが、難民の認定についてはさまざまな知識が要りますからね。そういう人たちを入れて認定することと、法務大臣が、法務省が認定するということとの間、迅速性の有無については矛盾はないと私は思うのですね。やはり公正さを担保するためにはどうしてもこういうものが必要になってくると思うのです。この点についての見解と、さらに、国連の難民高等弁務官、これとの間でどうされるのか。私は、できれば国連あたりでガイドライン等をつくることが必要ではなかろうかというふうにかねがね思っておるわけですけれども、この点との関係もあわせてひとつお答えいただきたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 難民の認定手続と申しますのは、本質的に事実の確認行為でございます。つまり、申請をした個々の人が果たして難民条約上の難民に該当するかどうかということを確認する行為でございまして、したがって、これはどなたがやっても結論は同じになるはずと考えております。そうであるとすれば、私どもとしては、既存行政官庁のうちどれかがこれをやるべきである、その場合に、たまたま入管は行政的に接点が非常に多いものですから、ここがやるのが最もふさわしいということになりまして、法務大臣が認定をされることになったわけでございます。  ただ、現在の法務省の行政は、基本的に裁量ということが基礎になっております。しかし、裁量が非常に重要な役割りを果たす場合がございますが、今度の認定手続というのは、全く裁量の余地のない行為でございます。この点を明らかにするためにも、私どもといたしましては、認定につきましては別個の手続を定めたわけでございます。また、手続のみならず、これを担当する難民調査官というものも任命することになっております。いずれにいたしましても、御心配のようなことはないと私どもは確信しております。  それから、難民高等弁務官事務所、UNHCRとの関係でございますが、私どもは平生この機関とは密接な連絡を保っております。今後ともこういう国際機関とは十分に連絡をとっていきたいと思っておりますが、難民認定に際しましてUNHCRに意見を求める場合もあるかもしれません。また、UNHCRの方からわれわれに意見を言ってくる場合もあるかもしれません。いずれにしましても、そういう場合には、私どもとしては十分これを参考にするつもりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、いまあなたが答えた中で、だれが認定しても結論は一緒だという、これはもう暴論なんですよ。何でそうなりますか。それなら、たとえば不服の申し立てなんか要らぬわけですよ。出入国の管理というのは、国が外から入ってくる者をチェックするというのが一つの機能の本質になっておるから、そういう点で、社会的な実態としての難民、そういう者を認定するためには、いまの国際的な実態、動きとか、あるいはその他のいろいろな事態を踏まえた上で認定するためには、法務省だけではなしに、そういう点で知識とか経験のある人たちを入れて、そこで認定して初めて公正さが担保されるのじゃないか、こういう点から聞いておるわけで、あなたは、だれが認定したって結論は一緒だ、これは私は単純な考え方だと思うのですね。  これはそうでしょうか。そんなことは言えるのですか。まず申請して認定する、しかし、それでも不服であれば異議の申し立てがある、それでも不服であれば行政訴訟があるわけでしょう。これは公正さを担保するためにいろいろな手続があるわけで、あなたのそういうたてまえとは違うわけですよね。ですから、最初の段階でそういう第三者の公正な機関を入れることが、本当に難民を認定するかどうかの公正さを担保する保障じゃないか。これはいろいろな学識経験者もこう言われるわけですけれども、これについて検討する余地はありませんか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私どもといたしましては、法務大臣が認定をされるということで十分公正な認定ができると確信しております。何と申しましても、この認定手続というのは事実の確認行為でございます。個人個人のいろいろな事情というものを聞いて、その事情が難民条約に言う難民の条件に合っているかどうかというその確認でございますので、今度の法務大臣が認定を担当されるということで十分であると考えております。  しかし、その場合でも不服の申し立ての道は開いて、公正な認定を担保するということはやっておるわけでございまして、さらに、先生御指摘のとおり、それでも不満の方は行政訴訟に訴えることもできるわけでございます。こういう一連の手続によりまして、私どもは認定手続の公正は保障されている、こういうふうに考えておるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 いや、この事実の確認についても、条約の一条にさまざまなことが規定されておりましてね、この一つ一つが果たして認定の際に該当するかどうかということは、たとえ事実の確認であったとしても、法務省が認定するのでなくて、やはりそういうふうな第三者が入った方が公正さが保たれる、これは当然だと私は思うのです。これはD項、E項あるいはF項、こういう点が入りますからね、そういう点で私は申し上げておるわけですけれども、これ以上、時間がありませんので、この点についてはこれでおいでおいで、次に進みたいと思います。  この異議の申し出についても、これはいずれにしても、申請して認定する法務大臣がさらに異議の申し出についての認定、こういうことになるわけですね。あなたの先ほどの答弁ですね、だれが認定しても結論は一緒だということになれば、しかも認定権者が法務大臣、これはいずれもそうですね。しかも国内法の中では、これは行政不服審査法の適用も排除する、こういうごとになっていますね。つまり、直接主義あるいは口頭主義とか、まあ当事者主義ですね、こうでなくて、審理の一つの対象物として難民を見るというようなことが不服審査法の適用除外の中に出ておるのじゃないかと私は思うのです。  しかも、難民の場合にいろいろなハンディキャップがあって、日本の言葉の問題からあるいは知識の問題から、いろいろあると思うのです。しかも付添人と申しますかそういうような者が一体どうなるのか。果たして本当に本人の言い分が十分聞いてもらえるかどうかということが、認定と同じように異議の申し出についても問題になるのじゃないか、こういうように私は思うのですけれども、これについての省令ですね、どういうものを予定されておるかということ。  それから、時間がありませんので続けてお伺いします。永住許可の要件については特例が設けられておりますが、この帰化については、条約三十四条があるのにもかかわらず、帰化の要件については緩和されていない。この点についてなぜ改正しなかったのか、この点についてのお尋ね。  それから旅行証明の発行について、これは在日朝鮮人を初めとする人たちとの間に差がある、不平等じゃないか、同様の扱いをしなさいというのがいろいろな団体から要求がありますけれども、これについてどういう見解を持っておるのか、ひとつお答えいただきたいと思うのです。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 まず、行政不服、異議の申し立てに関して、本人が十分その自己の権益を守れるように何か人をつけるようなことについて、どういう省令を考えておるかとのお尋ねでありますが、省令でどうするかはともかくといたしまして、当然代理人による不服の申し立てができるわけでありますから、本人の権益の擁護はできると考えます。  なお、付添人、立会人というような制度に関しましては、行政不服に関する一般法である行政不服審査法も一その制度を設けておりませんし、また、この法律のように個々にその不服の申し立ての規定を置く特別法と言うのですか、特別法におきましてもそういう制度は設けていないようであります。  次に、第二番目の帰化のお尋ねがございましたが、これは私ども入管局の所管ではございませんので、私からお答えはちょっとできないということでございます。  それから、難民に対して発給する旅行証明書とそうでないものというのは、恐らくこれは再入国許可書のことかと思いますが、これは確かに、難民旅行証明書と再入国許可書では、その根拠が違うわけでありまして、難民旅行証明書は難民条約に基づいて発給し、引き取りの義務を発給国に負わせるとともに、締約国に対してはある程度の国際強制通用力を認めておるものであります。これに反しまして、再入国許可書は、どちらかといいましたら一般の旅券などと同じように、それを有効な旅券と認める国においては旅券として通用するというような性質のものでありまして、これは両者の存在の根拠が異なることによるやむを得ない差異かと考えます。

野間友一日本共産党

○野間委員 もう時間が参りましたので終わりますけれども、やはり認定とか異議の申し立てについて、どうも認定が法務省だけでは恣意的に、しかも当時の政治的な判断に流れるという危険性があって、非常に危惧の念を感ずるわけでありますが、時間が参りましたので、この点について公正さを担保するような、そういう制度的な保障をさらに要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 小沢和秋君。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 最初に、この条約と国内法の改正の問題について総括的にお尋ねをしたいと思うのです。  私たちは、今回のこの難民条約の批准、それから国内法の改正については、遅きに失したとはいえ、これは結構なことだったと思うのですが、何しろこれが行われるのが余りに遅過ぎたのではないかという感じを持っておるわけです。この難民の地位に関する条約は、いまから三十年前に国連総会で採択されたものですし、二十七年前には条約が効力を発生しているわけですが、一体どうしてこんなに批准までに時間がかかったのか。先ほどからちょっとお話が出ておりましたけれども、いわゆるインドシナのボートピープル問題というのが起こるまでは、わが国は全くこの条約について批准に関心がなかった。あれからにわかに関心を持ったために、結果として今日のように非常におくれるということになったのではないかというふうに私は考えているのですけれども、そのとおりかどうか、お尋ねをしたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 御指摘のとおり、わが国の難民条約の批准がもっと早く行われるべきでなかったかという点でございますけれども、これはもともと小沢委員も御承知のように、欧州の第二次大戦後におきまする大量難民をどうするかという手当ての問題から発した問題でございます。それがより地域的にだんだんと拡大してまいりまして、今日の条約の体をなして、最終的には議定書という形で現在条約とともに併存しておるという状況でございます。  そういった見地から、日本政府として非常にこの問題に対して関心を持ちましたのは、やはり何と申しましても、五十四年前後の、先ほど御指摘のインドシナの事態ということであることは、私はやはり事実問題としてはなかなか否定できないと思うわけでございます。しかし、それをもとにいたしまして、われわれとしてはその緊要性を認め、関係国内官庁とも御協議を重ねまして、留保のないりっぱな批准を果たすということがその責務であると考えたわけでございまして、今回関係官庁の御努力によりまして留保のない批准が達成される段階に来たということは、私どもとしては大変結構なことであるというふうに考えておる次第でございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 おくれたけれども、留保のないりっぱな批准をするからいいじゃないかというのは、私は責任を逃れている発言だとしか言えないと思うのです。先ほどからもお話があっておるとおり、先進国の中では一番ビリ、国際的に見てももう八十カ国以上が批准をしておるというような中で、ようやく批准を行った。このために日本の国内でも、先ほどから議論されているように、多くの人たちが年金その他のことで損害を現実に受けておるということについて、外務省は責任を感じてもらわなければならないと思うのです。  この点で関連してお尋ねをしておきますけれども、そうすると、国民年金法が一九六一年に制定された、そのほか児童手当とか一連の児童関係の手当の諸法というのもそのころから七一年ころにかけて次々に制定されたわけですけれども、これはいずれもいわゆる国籍を要件とするものとして立法をされたわけです。いまのような経過からすると、この法律がつくられるときには、これが難民条約と抵触するというような問題意識は厚生省にはいわば全くなかったということなんでしょうか、端的にお尋ねします。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  国民皆年金になりましたのは、先生御指摘のとおり昭和三十六年の四月一日からでございます。国民年金制度をつくりまして皆年金体制をつくりましたときの考え方でございますが、これは他の年金制度に加入できなかった国民を包摂するという形で皆年金の思想を実現したということでございます。  御承知のように、年金制度は一方におきまして強制のシステムを持っておりまして、拠出自体が強制されるわけでございます。こういったその強制すべき被保険者集団というものを考えました場合、一般的には外国人の方は短期にわが国に在留されるということでございますので、その場合におきましては、日本国民というものを強制適用の範囲として考えて、この制度を創設したというふうに聞いておるわけでございます。外国人の制度加入問題につきましては、制度創設当初、特に問題として議論されたということは、私ども聞いていないところでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 そうすると、外務省にもお尋ねしますが、外務省は、厚生省がそのような国籍を要件とする法律をつくろうとしたときに、やはり難民条約に抵触するという意識は、これまた全く持たなかったわけですか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 ただいまの点でございますが、社会保障についての国際的な努力と申しますか、社会保障を内外人平等で与えるという努力は、一つの流れといたしましては、人権規約ということで、これはもちろん漸進性を条件として社会保障はこれを付与するという方向の人権規約等の流れがあったわけでございます。これにつきましては外務省も多年にわたって努力をしてまいりましたが、一昨年の御批准にこぎつけたということがございます。  難民条約につきましては、これは社会保障につきましては即時性を持っておるわけでございまして、したがいまして、難民に対する社会保障については、人権規約と異なりまして、これは即時性を前提としておるわけでございます。そういう意味では、難民条約が成立いたしましてから、その事実は私どもが承知していなかったということはもちろんないわけでございますが、今回の年金法の改正の方は、これは難民だけでございませんで、外国人全体に対するより大きな枠における改善でございます。  そういう意味で、われわれとしましては、先生の御質問に対してお答えいたしますには、当時、難民条約といわゆる関係国内法令との抵触とかあるいは若干それに整合性を欠くからこの際このような希望を表明すべきであったかという点につきましては、現実の問題としてそういう話し合いをしていなかったということはございませんけれども、どうしても年金法をそういう方向に改めるために難民条約というものが存在するのであるというような問題意識に直接つながっているとは私は思えませんので、これはやはり人権規約の流れの中で社会保障を漸進的にお願いする、しかし一方、難民条約もあわせて存在しておる、そういう事実関係は私どもとしては認識しておったというふうに申し上げるべきだと思います。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 余りむずかしいお答えでよくわからぬのですが、要するに、当時はそういう問題意識を持っていなかったということじゃないかと思うのですね。だから、そのために先ほどから議論になっているような経過措置というようなことを考えないというと、たくさんの人たちがそのために迷惑をこうむっているじゃないかというふうな現実が生まれている、私は、これは政府の責任は非常に大きいのだということをこの機会にまず申し上げておきたいと思うのです。  そこで、この難民条約だけでなく、日本が先進国といって諸外国に伍してつき合っていくためには、国際的に見てもっと真剣に批准を進めなければならないような条約というのがたくさんあるのじゃないかと私は思うのです。私は、社会労働委員会に所属しておりますから、特にILO関係の条約について関心を持っておりまして、一遍調べたことがあるのですが、驚いたことに、このILO関係の条約、戦前に定められたような条約でもまだ批准できていないものが何ぼでもあるのですね。  たとえば第一号条約というのは労働時間を定めた条約なのですけれども、これは工場などで労働時間を一日八時間かつ一週四十八時間に制限するという条約、いまは国際的には四十時間どころか三十五時間労働なんというようなことも問題になっているような時代に、いまだにこの第一次世界大戦の直後の時期に結ばれた第一号のILO条約さえ批准し切っておらない、そういう調子で、挙げていけば切りがないのです。第三号、第四号などというような婦人の産前産後やあるいは夜間などの保護の条約にしたってそうなのですね。  これを言い出したらもう切りがないから、私は、ほんの一、二の事例でやめておきますけれども、先進国と言うためには、こういうようなものは即刻批准をするために、外務省としてもこれは国の体面にかかわるのだということで、もっと国内法を整備して、批准をするために真剣な努力があってしかるべきではないかと私はかねがね思っておるのですが、この機会にお尋ねします。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 小沢委員の御指摘のILOの一号条約、さらにはその他の条約もございますけれども、未批准のILO条約につきましては、その採択の後に改正が行われたこと等の理由によりまして批准の意義が失われたものを除きましては、そのほとんどがやはり国内法制との整合ということが問題になっているわけでございます。そういう意味では、外務省といたしましても、関係省庁とは従来接触を保ち、その検討を重ねてきているわけでございます。  ただいま、さらにそれを促進せよというお話があったわけでございますが、批准に当たりまして国内法制上必要となる措置につき検討の結果、問題がないとの結論が得られる条約につきましては、速やかにこれの批准をお願いするという手続を進めてまいるつもりでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 国内的に見て問題がないような状態になったら批准をするということで受け身になっておったら、いま申し上げたように、第一次世界大戦直後に結ばれたILOの第一号条約、いま国際的に三十五時間労働というような要求も出るときに、まだ一日八時間労働というようなのを批准できない。これはあなたは国の体面にかかわると思いませんか。外務省の立場からも、もっと真剣に努力をしていただきたいと思うのです。  時間もありませんから、私も、先ほどから議論が集中しております経過措置の問題でも、やはり若干質問をいたしたいと思うのです。  いままで述べてきたことではっきりしておりますように、一九六一年に国民年金法が制定された。このときにはもうすでに難民条約が結ばれておったわけですから、わが国がそのことについて真剣に関心を払っておれば、この時点から国籍要件というものを抜きにして、在日外国人が国民年金に入れたはずだと私は思うのです。ところが、国籍を要件にして立法を行った。そのために、その後二十年間こういう人たちは入りたくても入れないという状態にずっと放置されておったわけです。私はその点で、さっきも言いましたように、日本政府に非常に大きな責任があると思うわけです。  今回それを改めたからいいではないかというお話なのですが、さっきから議論されているように、実際には満三十五歳以上の方にはほとんど実益がない。これについて救済策は一切考えないということなのかどうか。私は、何らかの救済策はどうしても、こういう国の責任ということも考えてみるならば、これはやはり真剣に取り組まなければならないのではないかと思うのです。だから、たとえばこれまでの二十年間を加入していた期間というようにみなすということによって救済をするというような道でも、私は開こうと思えば開けるはずではないかと思うのです。この点、どうでしょうか。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  今回の改正につきましては、原則的に国民年金の定めております国籍要件を撤廃いたしまして、難民条約の定めております内国民待遇を実現するという趣旨で改正を行うものでございます。先生御指摘のような、いままで国民年金に加入をされませんでした外国人の方につきまして何らかの特例を設けるといたしますと、いま御指摘のような、たとえば前の期間を加入していたものとみなすというような措置をするといたしますと、現実には、外国に行っておられました日本人の方、何らかの御事情で保険料を納付してこられなかった方といった方々との均衡というものが問題になると思います。したがいまして、外国人の方と別の取り扱い、外国人の方に別の特別措置を設けるということは考えておらないわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それはさっきから聞き飽きておるのですよ。それで、この在日外国人の大部分が、さっきからお話があっているようないわゆる在日朝鮮人とかいうような方々で、戦前日本はこれらのところを植民地にして無理やりに連れてきて、私の地元であります筑豊などで炭鉱労働者として働かせたというような経過で日本に住みついたような人たちなのですね。だから、私はこういう日本が歴史的に負っている負債を少しでも清算するという意味から考えてみても、この在日外国人の大部分である朝鮮人の人たちに対しては、とりわけ政治的にも救済の手を差し伸べなければならないはずではないかと思うのです。  私は、いま加入していた期間とみなすべきだということを一つの提案として申し上げたのですが、そのほかにも、たとえば特例納付ということをいままでやったこともありますよ。こういうようなことをこの機会にこういう人たちについてやるということだって考えられると思うのです。いま課長が言われましたが、大臣、どうですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 今度の措置は、難民条約の加入に伴いまして内国民待遇を与えるということに主眼があるわけでございまして、実は救済という問題は別個の問題であろうとわれわれは思っているのでございます。そういう意味で申しますと、今度新たに内国民待遇を与える人に経過措置をとったらどうか、これは先ほど言っているように、日本人との均衡を失するという問題があるわけでございます。本来、経過措置というものは、国民皆年金をやったときに、二十五年の掛金をしなければならない。ところが一方、それが三十五歳以上の者については施行当時不可能でございます。他方また、国民皆年金という方から言えば全部入らなければならない。その整合性のために経過措置をとってきたという事実でございます。  またもう一つ、沖繩のときに特別措置をとったことも私、承知しておるのでございますけれども、これは永久に日本国民になるのでございまして、また、われわれの意識としまして、沖繩復帰は国民ひとしく願望しておったのでございます。そういう意味で、外国人とそれから日本人を同等に扱うという問題と、復帰によって永久に本来の姿に戻ったという問題とはやや問題を異にするのではなかろうか、これが第二点でございます。  それから第三点は、おっしゃるような経過措置をとったといたしますと、先ほども御説明しましたように、実はそれは経過措置ではなくて、永久法になるわけでございます。なぜならば、今後とも大ぜいの難民が入ってこられましょう。  そこで問題は、いま委員がおっしゃったように、いや、昔からおった人だけにやったらどうか、またさらに、それとあわせて外国から帰ってきた日本人にもやったらどうか。これはまた別の考え方の問題だろうと思います。そのときに一つ問題になりますのは、日韓協定によって永住を与えられた者と、そうでない難民であるとかこういった者を難民条約の加入に伴って別に扱うことが適当であるかどうかという問題をまた検討しなければなりません。  それから第二の問題として、年金財政が果たして成り立つか。二十五年間掛けるという保険数理で計算しておる年金財政でございますから、もしそういうものをつくるとすれば、当然別の会計で別の年金計算によるものをつくらなければならない、こういうことになるわけでございまして、検討事項ではあろうと思うのでございますけれども、今度の加入に伴う内外人の平等待遇という問題については今度の措置で十分こたえておる。それ以上、難民条約に入るのが遅くなった、その結果としてこれはどうも気の毒じゃないか、特に永住者についてはどうか、これはもちろんそういう問題意識は十分あるだろうと思うのでございますが、いま言ったようなもろもろの問題を慎重に検討しなければ実施ができないのでございますので、今回はそのようにいたしました。そういう問題については引き続き別個の問題として検討を進めたい、こう申し上げているのでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 そうすると、大臣、もう一遍念を押す意味で端的にお尋ねしますが、いま最後に、これは別個の問題として検討していかなければいかぬというふうに言われたと思いますけれども、それは私どもが先ほどから指摘しているような点について、ぜひ何らかの形で救済の手を差し伸べてほしいということについて検討するという意味に理解していいわけですか。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 種々要件を申し述べましたように、これが非常にむずかしい問題であることは事実でございます。ですから、厚生省もまた検討いたしますけれども、非常にむずかしい問題であるということ、本来これは附則にはならぬわけでございまして、別個の救済措置になるわけでございます。そしてまた、年金財政というものは全然別の体系のものを別につくらなければならぬ、こういう問題になりますので、問題が非常にむずかしいということを御理解いただきたいと思います。検討は進めます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それから、いまのことに関連して、日本人の人たちも年金を受けられぬケースがいろいろあるのですよ。だからそのバランスで在日朝鮮人などに対して余り手厚いことができないといったような種類の弁解もいろいろあったのですけれども、では、ひっくり返して、そういうような日本人の人たちについてももっと改善をするということをむしろこの機会に私は提案したいと思うのですよ。そちらの方はどうなのかということですね。そういう点で私自身気になっている点を一つ持ち出してみたいと思うのです。  この前から社会労働委員会で、中国からのいわゆる残留孤児の引き揚げ問題というのが盛んに議論になりましたね。これは私も議論したのですが、このような人たちが帰ってきたらどうなるだろうかということを考えてみると、さっきから言われておりますように、第八条で「日本国内に住所を有するに至った日に、被保険者の資格を取得する。」ということで、この人たちも大体みんなもう四十過ぎですからほとんどだめということになりますね。こういうような人たちも、肉親が見つかったとかいうような形できっとこれから帰ってみえると思うのです。こういうような人たちなんかはどうするのですか。早速、一つの改善のケースとして伺ってみたいと思うのです。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答え申し上げます。  先ほど日本人の方との均衡ということで御説明を申し上げましたのが、いま先生が御指摘のような場合だと思うわけでございます。国民年金は、大臣からも申し上げましたように、二十五年というものを資格要件といたすという前提で制度が成り立っているわけでございます。外国から人生の途中に帰ってこられたという方の場合には、年金権が実際は取得できないという実態になっておるわけでございますが、それならばこういった方々につきまして何らかの形で年金に結びつける努力を国民年金の中でできるかどうかということが、大臣が申し上げましたわが国の年金の基本的な問題になると思うわけでございます。これは確かに国民年金全体の基本の構造にかかわる問題でございますので、先生御指摘の問題も含めまして、大きな課題といたしまして慎重に勉強させていただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 勉強というのは、私の常識では検討よりもまだ前の段階のように思うのですけれども、もうちょっと前を向いてもらわないといかぬということを指摘しておきたいと思うのです。  ぼつぼつ時間がなくなってきたようですけれども、あと二点だけ端的にお伺いをしておきたいと思うのです。  私、この質問をするために在日朝鮮人の人にお会いして意見を聞いたら、国籍要件というようなことでいろいろな問題で自分たちは差別を受けているのですというようなお話があったのです。その一つとして、たとえば住宅ローンなどで差別を受けている。先ほどこのことがちょっと出まして、住宅金融公庫などはすでにそれを撤廃したというようなお話もありましたけれども、たとえばここに、これは二十六日の朝日新聞の住宅の分譲広告を一つ持ってきたのですが、これを見ると、やはりローンを受ける資格として、「日本国籍を有し、継続して安定した収入のある満二十才−満六十五才未満の方」というように、日本国籍ということでそのローンを受ける資格をいまでも限定しているようなところもあるのですね。  こういうものについてはやはり指導も徹底していただきたいし、全体として国籍要件などを何も設けなくていいようなものについては、この機会に全部外すということでぜひ総点検をしていただく必要があるんじゃないかと思うのです。こういう立場に立っていま御検討をしていただいておるかどうか。もしそういう総点検ということがやられていないなら、私は、あらゆる法律全体を洗って、不必要なものは皆外すということでぜひやっていただきたいと思うのですが、その点どうか、これが一つ。  それからもう一つは、いまの年金の仕組みというのを見ておりますと、どうしても無年金者というのが次々発生するような仕組みになっておるのじゃないかというような気がするのです。私も、きのうも雑談をしておってひょっと思ったのですが、たとえば私の娘も二十になったのですけれども、いま学生で私の庇護下にいるものですから、別に国民年金加入の手続も何もしておらぬのですよね。ほうっておいたらどうかしたら無年金者かなと思ったのですけれども、これはよほど日常的にも年金制度というのについて絶えず宣伝もしていただく。特に今回のような在日朝鮮人なども、そういう対象にするようになったというようなことについても、これはよほどそういう関係者に周知徹底を図っていただかないと、またこの面からも、せっかく権利が発生した方も権利を行使できないというような事態もずいぶん起こるのじゃないか。どうしてもこういうのをなくしていくためには、抜本的な取り組みの改善が必要ではないかということを常々感ずるのですが、この点どうお考えか。二点質問します。

新津博典社会保険庁年金保険部長

○新津政府委員 先生御質問の後の方にお答え申し上げます。  国民年金創設の三十六年以来、私ども一番苦心してまいりましたのは、年金制度自体が非常に複雑であることと、いまお話がございましたように、対象者にどうやって徹底をするか、単に一般広報だけでなくて、いわばダイレクトメールというような形で直接加入を勧奨するか、この体制をどうやってつくるかということにこの二十年間苦心してきたわけでございますが、おかげさまでかなり徹底してまいりました。まだなお大都市の一部では、いわゆる適用されるべき者で適用漏れというのがあるわけですが、かなり徹底はしてまいりましたけれども、最近、お気づきいただきますかどうか、私ども、一般の新聞、テレビ、ラジオ初め、あるいは社会保険庁、県、市町村の広報紙に出す、あるいはパンフレット、リーフレットを用意して成人式のときに配るとか、あらゆる努力をしておりまして、ことに今度の場合は、先ほど来御議論がございますように、外国人適用になりましても、それぞれが複雑なケースで、入ってどういうことになるかということをよほど周知徹底しないといけません。その上に、さらに言葉の問題もございますので、この法律が通りました暁には、万全の準備をしてそういう点は手落ちがないようにしたいと思います。  なお、余談でございますが、先生のお嬢様のお話は、学生でありますと任意加入でございますので、強制にはなりませんので、一言申し上げます。

北島照仁建設省住宅局住宅企画官

○北島説明員 住宅関係につきましては、先生御案内のとおり、昨年五十五年度から、在日朝鮮人の方につきましては全面開放ということも行ったわけでございます。したがいまして、住宅金融公庫なり公団あるいは公営住宅等につきましては、日本人と同様の扱いをいたしております。  ただ、いまの民間の住宅ローンの問題でございますが、これにつきましては、どうも建設省の方からお答えすることができる問題かどうか、ちょっと迷っているところでございます。建設省としては望ましいことではないというふうに一応考えますけれども、なお、関係省庁いろいろあると思いますので、検討させていただきたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 御質問にございました国籍要件の総点検でございますが、今次御批准をお願いするためのいままでの政府の努力というのは、国籍要件の総点検に基づいてなされてきているわけでございます。従来の人権規約、これは一昨年御批准を賜ったわけでございますが、本年におきまして難民条約が御批准をいただけるならば、両々合しまして、先ほどちょっと申し上げたのでございますが、参政権のような自国民にのみこれを認めるというような自由権の種類を除きましては、権利の保全が大幅に改善をして実現をするという方向になると考えております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 菅直人君。

菅直人社会民主連合

○菅委員 今回の難民条約の批准に伴う国内法の整備ということで、先ほど前の方もおっしゃいましたけれども、三十年前にこの条約ができてもう八十カ国を超す国々が加入をしているのに、日本がここまでおくれてきたということは大変残念であったと思うわけです。しかし、とにかく今回、おくればせながらもここまで加入をするということになったこと自体については、私も高く評価をしたいと思います。  ただ、難民の方をどのくらい受け入れるかという問題でいろいろな議論があるわけです。最近、内閣の決定では、三千名に枠を広げたということを伺うのですけれども、たとえばアメリカの三十五万人などに比べると、日本のいろいろな事情があるにしろ、余りにも少ないという感は免れないと思うわけです。そういった点で、こういうことについてのもう一層の努力を内閣には望みたいわけですけれども、この点について外務大臣に、こういう方向の促進について御意見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この条約の批准がおくれましたのは、小沢さんからもお話がありましたが、二つに分けて考える必要があると思います。  この条約というものは、いまのベトナムを中心にした難民のためにつくられた条約ではございません。そこで、その当時は、余り関係がないと言うとしかられますけれども、現実にそうひしひしと感じなかったものですから、間々国内の関係各省の意見がそろわないということでここまでおくれてきた。さて、今度はベトナム中心に難民が起きた。ところが、これについても、過去二、三年の例をお調べになるとわかるように、日本は全く孤立をして、各国から非難を受けて、どうも日本だけは難民に熱心じゃない、こういうそしりを受けたわけであります。  そこで、それから一生懸命やりましたが、難民の方々も、ベトナム中心の難民の方は余り日本に住むことをお好みにならない、むしろアメリカかどこかに行く足場にしたいという考え方があるのも一つの理由でございますけれども、急に施設その他もできなかった。そこで、まず米国と相談をして、数の方は自分の方で引き受けるから、高等弁務官に対する救難金という金の方を日本が持て、こういうことで大幅にこれを増大をして、そして受け入れる人間とお金の問題で日本は何とか追いついたわけでございます。この時点が、ちょうどジュネーブで難民会議をされた時期でありまして、この時期で初めて日本がファーストスピーカーを命ぜられたというようないきさつもあったわけであります。しかしながら、一時はそれでかせいだようなものでありますが、その後どうして事入間の数がよその数に比べて少ない、こういうことで、どんどん数をふやしてきてようやくいまの数に達したわけでございます。  そういうわけで、絶えずおくればせというか出足がおくれましたので、ことさらに日本は難民の問題に不熱心だ、こういうことがいままでのいきさつでありまして、さて、今度はこれを留保なしの条約をつくろう、こういうことになってから初めて各省が詰めたわけでございますから、留保なしの条約をつくることに留意して国内法の整備は後に回そう、こういうことになったのが本当のいきさつでございます。しかし、今後は十分そういう点から注意をして、人道上の問題、先進国の仲間入りをしているという立場から日本ももう少し積極的に他国を考えながらやらなければならぬと考えております。

菅直人社会民主連合

○菅委員 ぜひ、平和外交の推進という立場からも、こういった問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それでは、この問題に関して多少視点を変えてお伺いをしたいのですが、まず外務省にお伺いをしたいのですが、現在、外務省がアジア福祉教育財団に委託をされて、定住者希望の調査チームを何回か現地へ出されていると思うのですけれども、そのときに、国連の方から、身障者難民の受け入れの要請があったというふうに伺っているのですけれども、これは実際にあったのでしょうか。

渡辺幸治外務大臣官房外務参事官

○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。  たまたま本年、一九八一年が国連の決議によりまして国際障害者年ということで決定されたということを踏まえまして、UNCHR、すなわちハートリング国連難民高等弁務官は、定住受け入れ国に対しまして、十人ないしそれ以上の障害者難民を受け入れるよう各国に呼びかけているということが実情でございます。わが国といたしましては、累次の閣議了解に定められております条件と枠のもとにインドシナ難民の定住促進に努めておりまして、いま御指摘がございましたように、財団を中心といたしまして、東南アジアに一時滞留しているインドシナ難民の中で日本の定住にかなう人の発掘に努めているわけでございます。  わが国の定住条件は、いま申しました身体障害者を包括的に排除しているということはございませんで、すでに軽度の身体障害者、すなわち難聴、小児麻痺あるいは歩行困難な難民の方約十名でございますけれども、実績として受け入れております。今後とも、先ほど申しました国連難民高等弁務官の呼びかけということを踏まえまして、定住条件に合致する限り、従来どおり受け入れてまいりたい、かように考えている次第でございます。

菅直人社会民主連合

○菅委員 相対的に三千名という枠そのものが、日本の人口規模から言えば他国に比べてかなり少ないわけですから、確かに障害者の難民を受け入れるということは、日本の国にとっても相当の負担にはなるかとも思うのですけれども、やはりそういった特に各国で受け入れることがむずかしい障害者の難民の少なくとも何人かをもう少し、いま軽度の方を十名と言われましたけれども、もうちょっと受け入れられないものだろうか。たとえばスウェーデンなんかの場合には、ここにありますある資料ですと、七八年には二百三十四名受け入れた難民の中で八十六名が障害者であったというふうなデータも出ておりまして、その人数が少ないのであれば少ないなりに各国とも努力をしているわけですから、ぜひともそういう方向で御努力をいただきたいと思うわけです。  それからもう一つ、これはどちらにお伺いすればいいのでしょうか、難民対策会議の方にお伺いしたいのですが、現在難民の方がいわゆる外国から日本に来られると、定住促進センターに入られているということなんですけれども、もともと日本にいたインドシナ系の人たち、たとえば留学で日本の大学に来ていて、その家元がといいますか、サイゴンやプノンペンが陥落をして仕送りがとまったり、そういう人たち、また、とりあえず観光ビザ等で入国をして、もう国内に、一般の社会の中に一応入っている人たち、こういう人たちに対する対応といいますか何らかのフォローというものがどういう形で行われているか、その点をお伺いしたいと思います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、従来政府がやっておりましたインドシナ難民受け入れと、その均衡において、政変時たとえば留学生、それから修習生その他別の理由で日本に入国して、そして滞在して、そしてやはり難民と同じような理由によって日本の長期滞在を許可されたという方々、それから先生はそういう言葉をお使いになりませんでしたけれども、俗な言葉で申しますと流民と言われる方々、こういう方々の保護、それから援助、それはどうなっているかというお尋ねかと思います。  そこで、内閣のインドシナ難民対策連絡調整会議と申しますのは十三省庁から成る合議体でございまして、いわばインドシナ難民の主務官庁に相当するものでございます。その事務局ということでございまして、若干所管に外れる部分もございますけれども、基本的な考え方をお答えいたしたいと思います。  まず、政変時日本に留学生その他の理由で滞在しておられて、政府のインドシナ難民対策が発足したとき、やはり横並びという理由によって同時に救済した方々は七百四十二人おります。こういう方々は当然日本に長く滞在しておられまして、ある程度日本の社会に溶け込み、あるいは適応しておられるので、生活その他の問題は現実には起こりませんでした。したがって、政府としてこれに対する対策ということは特に実施しませんでしたし、問題は起こっておりません。  それからもう一つの問題、流民の問題でございますが、流民は、最近、一定の条件により法務大臣の特別在留許可ということで、非合法滞在という異常な事態をこの際一挙に解決する、救済するという政策に基づきまして、いまその条件に合う方々が救済されていると聞いております。そういう意味では、難民という理由ではございませんで、特別の事情があるために人道上の配慮を加えて救済するということで、難民という理由で救済されるカテゴリーの方々とは認識しておりません。したがって、インドシナ難民対策という政策のものに実は入ってこないわけでございますが、そういう人たちの就職とか、それから必要ならば生活保護とか、そういうものをいかに考えるかという御質問かと思いますけれども、その基本的な考え方はこういうことでございます。  そういう方々は、多かれ少なかれ、あるいは数年あるいは数カ月すでに日本に滞在して、ある程度日本の社会に溶け込み、適応をし、生活しておられる方々がすべてでございます。したがって、就職の件に関しましても、生活相談の件に関しても、一般行政の枠内で当然救済し得る対象の方々と認識しておるわけでございます。たとえば就職でございますれば、全国に公共職業安定所という網の目がございます。それから、生活相談ということでございましたならば、地方公共団体にそういうセクションがございます。最近知り得たところによりますと、たとえば大分県では、難民あるいは難民類似の方々の援護、生活相談というために特定のセクションが指定されて、地方行政の段階でやっておられます。地方行政のレベルでそういう対応が全国的にこれから広がれば、それは一つの解決だと存じております。

菅直人社会民主連合

○菅委員 いまの御返事ですと、いわゆる元留学生についてはもう社会に適応しているから特に問題はない、いわゆる流民、イリーガルとか不法滞留、不法残留者と言われておりますけれども、そういう人たちについては特別の許可が出ているから、あとは一般のやり方でいいというふうにおっしゃったわけですけれども、これは私が知り得ている実態とはかなり違うのじゃないかと思うわけです。  これは、せっかく各大臣来られておりますので、ぜひよく認識をしていただければと思うのですが、たとえば留学生でやってくる、突然——突然といいますか、ああいう形で自分のもともと来た国に政変が起きて対応ができなくなる。そうするともちろん、たとえばお金を送ってくるのもとまるわけですし、一、二年いれば本国に帰るつもりだったわけですから、必ずしも日本で生活をするという意識はなかったわけです。ですから、そこで突然出されて、しかも家族との関係が絶たれる。家族は難民になってどこかへ行ってわからなくなる、死別をする、そういう状況の中で、ある意味では国内での難民になってしまっているわけですね。国内に残ったまま、国内といいますか、日本国内で一種の難民のような状況になっている。もちろん、中には日本語のうまい方もおられますけれども、言葉の問題にしろ、また職業訓練の問題にしろ、そしてその生活の問題にしろ、実はちょうど新たに入ってこられる難民と同じような問題を全部抱えている。  特に、いまおっしゃった流民、不法の残留者と言われる人は、つかまると本国に帰されるかもしれない、またどこかビザの途中の、たとえばタイのビザ、台湾のビザであったら、そこへ送り帰されるかもしれないということで、半分は犯罪者のような気分で逃げて歩いているわけですね。さらに、生活保護の問題も、本来生活保護は受けられるはずなんですけれども、ついせんだってまで、今度の法律改正でしょうか、生活保護を受けなければいけないような状況に陥ると、これまた強制送還されるというふうな取り扱いがされてきたわけですので、そういうこともうかつに出ちゃいけない。さらに、今回三千名という枠が広がってきて、申請があればその枠の中に入れられるという方もいるわけですけれども、実際自分が入ったら、申請を出せば本当にどうなるのか、下手に出しに行って、いやあなたはだめですよ、不法だからどこかに強制退去ですよとならないだろうか、そういう意味では非常に不安な人たちが多いわけですね。  ですから、場合によっては難民の定住促進センター自体をもう少し拡充をして、これ自体にそういう機能を持たせてもいいのかもしれませんし、または新規に何らかの対応をするのかもしれませんけれども、国内にもう入った人、場合によっては難民定住促進センターを介して入って、一遍社会に溶け込もうとして若干失敗をしたような人も含めて、何らかの対応といいますか、情報の面、生活の面、職業訓練の面、場合によっては里親等の面、そういう面で対応する施策をやる必要があるのじゃないか。  いまのお話では、ほとんど問題がない、あれもこれも問題がなくてうまくいっていると言われておりますけれども、実際にはいろいろなボランティアのグループですとか民間のグループがそういう人たちを抱えてがんばっているという実例が、新聞等においてもよく報道されておりますけれども、たくさんあるわけですね。そういう点をもう一度、何らかの施策をすべきじゃないかという点についてお伺いしたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 答弁は簡潔に願います。

色摩力夫インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長

○色摩説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、たとえばいまあるインドシナ難民のための定住促進センター、そういうものに収容したらどうか、あるいはそれに類するものをつくったらどうかという御質問かと思いますが、基本的な考え方を申し上げますと、インドシナ難民のための定住促進センター、これは日本にもう全く知識もなく、ほとんど着のみ着のままで来られて定住許可を受けたインドシナ難民の方々の施設でございます。したがって、日本の社会がもしこういう人たちをスムーズに受け入れられるような社会構造を持っていましたならば、またそのような経験と申しますか歴史がございましたならば、恐らく不要であった施設だと思います。これを横並びで見ますと、これに類する施設を中央政府が運営しているという国は、私の調べた限りございません。すべて地域社会がそれぞれの方法によりそれぞれの経緯により吸収しております。そういう意味では、日本も国際社会において難民問題についてりっぱに解決するという目的を達するためには、政府のみならず、日本の社会全体の意識とそれから努力、そういう長い間の非常な努力を必要とするものだと思います。  そういう見地から申しますと、現在政府のやっておりますインドシナ難民のための定住促進センターは、日本の地域社会は当面とても処理し得ない、つまり、全く日本に着いたばかりの方々に短期間日本語を、十分マスターするという意味ではございません、とりあえずの日本語の……(菅委員「もう時間がないので簡単にやってください」と呼ぶ)どうも失礼いたしました。そういうことでございますので、すでに日本に長い間おられる流民の方々は当然一般行政の枠内においてアクセスはあると考えられますので、その範囲において解決するのが一番妥当な施策ではないかと考えておるわけでございます。

菅直人社会民主連合

○菅委員 どうも長いばかりで余りはっきりした御回答を得られないのですけれども、実際には、たとえば厚生省の施策の中では民生委員の制度とかあって、普通でしたら、困っている人がいたら、やはりこういう人は生活保護を受けた方がいいのじゃないでしょうかとか、いろいろな手当てが確かに日本の社会の中はそれなりに機能しているわけです。しかし、いまも申し上げたように、インドシナ系の難民ないし難民に準じるような、特に国内にもう入っている方についてはそういう特別な事情が多くあって、うかつにそういう公の人に相談をすると、不法だといって持っていかれるかもしれないとか、そういう不安もあって逃げている、場合によったらそういうのが犯罪にもつながったりしているということも、まれにはあるわけですね。  ですから、そういう点で、これは難民の施策になるのか、それとも本来の厚生省なり法務省なりの定常業務の中ででも、たとえば通達ですとか何らかの指導で、そういう人たちに対しての情報と国内のそういう制度にマッチするような形をぜひ進めていただきたいということを申し添えて、何か私がしゃべる時間が余りなかったのですけれども、これで質問を終わらしていただきたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後四時十分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗