法務委員会 第16号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1981/05/27
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、出入国管理令の一部を改正する法律案及び難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 これは学者や行政担当の者の間でいろいろと論議が交わされているのですが、法務大臣にお尋ねしますけれども、出入国管理の中において法務大臣の裁量権を行使する点がいろいろあるわけですね。 一例を申し上げますと、「上陸の拒否」の場合に「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある」ときとか、あるいは「永住許可」の条項の中に「法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。」とか、それから「退去強制」、二十四条の一項四号ですが、 「法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行ったと認定する者」は強制退去。これは非常な裁量権限があるわけですが、ここで問題になりますのは、時の政府の政策と、国際的に試されておる、国連における人権宣言等による基本的人権の擁護というような国際的なそういう試された条項との間、もっとはっきり申しますと、政策と国益、国益と人権というような言葉で学者なども論じているようですが、そういうものが法務大臣の裁量権を行使する場合に十分考えられなければならないじゃないか。時の政府の一時的な政策によって法務大臣の裁量権が行使されてはならないではないか、こういうのが学者による通説なんですね。 そういう意味で、たとえば今度の入管令の問題にしましても、韓国の人と在日朝鮮人の人たち、韓国籍を持たない人たちの間にまだまだ差別があるわけなんですね。これはやはりいろいろの要因があると思いますけれども、韓国との間には日本政府との間に協定が結ばれている、朝鮮民主主義人民共和国の間には協定は結ばれていないという点はありますけれども、しかし、朝鮮民主主義人民共和国が社会主義国であるからといって、日本の国と最も近い国でありますし、それから社会主義国だといいましても日本の外交が開かれておりますことは、きょうもドイツ民主共和国の国家最高会議の議長のホーネッカーが来ておることによっても明らかなんですね。そういう意味で、いつまでも韓国と朝鮮民主主義人民共和国の人たちの間の在日の権利に差をつけておくということは好ましくないじゃないか。 たとえばフランスの例をとってみますと、いままではジスカールデスタンで保守的な政策をいろいろとっていたと思うのですね。しかし、今度はミッテランになりまして、左翼的な政権ができましたね。そういうことで、そのたびに入管令の法務大臣の裁定が右へいったり左へいったりするということは、国の主権という点からいっても好ましくないことだと思うのですね。ですから、やはり基本的人権を中心にして考えていくということが大事じゃないかと思うわけなんです。そういう意味で、入管の中における法務大臣の裁量権の問題ですね、どういうようなお考えで行使をしていくかということ。 それから、朝鮮民主主義人民共和国と申しましても、これは外務省も来ておると思いますが、この人たちも何も好きこのんで六十万、まあ在日朝鮮人とすれば二十七万ですけれども、来たわけじゃない。これはやはり日韓併合という植民地的な政策をとられて、そして朝鮮人という国籍が本来あるのを、日本が植民地的な支配をしている間に日本国民の国籍というものを擬制的に当てはめられたんで、日本に来ている人たちは、徴兵あるいは徴用あるいは植民地政策で朝鮮で生活ができなくて日本に来ている、そして長く日本に生活をしているという状態で来ている人たちが多いわけなんですね。 そういう要素に加えて、最近は朝鮮民主主義人民共和国と日本との間の外交関係も、貿易の点あるいは文化の交流あるいは人的交流という点が開けてきていると思いますが、この点が、いま朝鮮民主主義人民共和国との外交関係がどのように結ばれておるのか、結ばれているというか開かれているか、その点を外務省にお聞きし、それから法務大臣には、法務大臣の入管令に対する裁量権の行使の基本的な考え方をここでただしておきたいと思うのです
○奥野国務大臣 出入国行政、これは主権の裁量行為に属するということが国際社会の通念だと考えておるわけであります。しかしながら、外国人の出入国に関しまして、それがどこの国の人間であるかということによって差別すべきでない、そういう基本的なたてまえを持っておるわけであります。しかし、時と場合によっては国の利益、公安に大きな影響を及ぼす場合もございますので、そういう場合にはやむを得ず制限措置をとるわけでございますけれども、基本的にはあとう限り自由にしていきたいな、こう思っております。
○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。 わが国は、北朝鮮との間では、外交、領事関係等政府レベルの関係はございません。他方、貿易、経済、文化等の分野における民間の交流がございまして、今後ともかかる分野の交流は維持されていくということだと存じております。 いわゆる在日朝鮮人の人々の問題でございますけれども、法律一二六−二−六、あるいは四−一−一六−二という形で二十八万の方がおられるわけでございます。他方、協定永住としては三十五万人で、二十八万のうちのかなりの部分は韓国籍を持っている方もおられるというように承知しております。
○林(百)委員 法務大臣、あなたの言われたのに、時によっては公安というようなことも主催の行使の扇異として考えなければならないとありましたが、最近、在日朝鮮の人たちの中で、あなたが公安上これは抑止しなければならないという事例がありましたか、大臣。
○大鷹政府委員 最近、そういう事例はございません。
○林(百)委員 それでは事務当局にお聞きしますが、そういう意味で韓国人と在日朝鮮人の間のいろいろの差別を縮めていかなければならないというように私は考えているわけなんで、今度の入管令でも、その点では一歩前進はあったということは評価いたしますが、まだまだ残っているのじゃないかというように思うわけですね。同僚議員も質問しておりますが、附則の九項「法務大臣は、法律第百二十六号第二条第六項該当者の子として申請期間最終日後に本邦で出生した外国人が、法務省令で定める手続により、その出生の日から三十日以内に第四条第一項第十四号に該当する者としての在留資格の取得の申請をしたときは、これを許可するものとする。」これがありますね。ここで規定されているこの子の、今度はその子はどういうようになるのですか。
○大鷹政府委員 先生がお尋ねの点は、法一二六−二−六の孫に当たる人が今度の特例永住でどういう扱いを受けておるかということだと思いますが、孫につきましては、申請期間までに生まれた者は特例永住の対象になります。申請期間は、もしこの法律が来年一月一日から施行せられるとして仮に五年間の申請期間がありますと、その期間までに生まれた孫の方は特例永住の対象になるわけでございます。ただし、それ以外の三世の方は対象になりません。
○林(百)委員 いや、あなたは早のみ込みで孫と言ったのですが、当事者の子として申請期間最終日後に本邦で出生した外国人なんですね、その子ですから、まあ孫でもいいのですけれども、これはどの条項でどういう手続をすることになるわけなんですか。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
○大鷹政府委員 三世の方は、ただいま申し上げました申請期間までに生まれた直系卑属以外の人は、今度の特例永住の対象にはなりません。そこで、それではこういう三世の方が永住のために何か簡易な方法はないのかと申しますと、実はそうじゃないのであります。と申しますのは、その孫の親に当たる人、つまり一二六−二−六該当者の子供でございますけれども、この方々は全部今度の特例永住の対象になります。そうなりますと、同じ今度の改正法案の中に盛り込んでございますが、日本人あるいは永住者、こういう人たちの配偶者、子供は、二つの要件、つまり素行善良、それから独立生計維持能力、これを満たさなくとも、申請があれば永住が認められる、こういうことになっておりますので、そういう道が開かれておるわけでございます。
○林(百)委員 だから、入管令のどの条項によってそういうことが行われるかと、条項を聞いているのですよ。
○山本説明員 御説明いたします。それは附則の第九項でございます。
○林(百)委員 いや、私の聞いているのは、九項に「子」とあるでしょう、この子の——該当者の子として生まれた者は、あなたの言うように九項でいいですが、その子はどうなるかということを聞いているのです。どの条項で、どのようになるか。
○山本説明員 その子の規定は、特にその子として特定した規定はございません。しからば、それは入管令のどこに来るのかということになりますならば、それは第二十二条でございます。第二十二条の第二項ということになります。
○林(百)委員 それで、協定ですと、これは言うまでもなく昭和四十年にできたのですが、四十年で、直系卑属のことも規定してありますですね。四十年から「五年以内に日本国で出生し、その後申請の時まで引き続き日本国に居住している者」これでいい。それから孫については、この協定の効力発生の日から五年を経過した後に、六十日以内に出生届けをする。これは孫でいい。今度はひ孫のことまで——第二条で、直系卑属として出生した者について、大韓民国の要請があれば協定できると言って、ひ孫のことまで二条で規定してありますね。こう考えられると思うんだ。 ところが、あなたの言う二十二条の場合は、「法務大臣は、その者が左の各号に適合し、且つ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。」こうあるわけですね。だから、法務大臣の許可にかかっているわけですよね。だから、これは協定と全然違うわけだ。協定は、ひ孫のことまでずっと決まって、安定しているわけですね。こちらの方は、二十二条によって、法務大臣の許可を得なければならないということになっているわけですね。このギャップを私たちは縮めなければならないと考えています。 それはさっきの大臣の答弁の中でも、そういう点はなるべく縮めるように考えていくつもりだ、基本的人権でですね。これをどういうように処置なさるのですか。将来、協定に準ずるようなものを在日朝鮮人にも使いますか。それとも、いままでは二十二条の二項の行政的なサイトでやっていくつもりだというような答弁もありますけれども、どういうお考えですか。これは朝鮮の人たちにとっては大変な問題だと思いますがね。
○大鷹政府委員 協定永住につきまして、先生ただいま孫、ひ孫についても保障があるということでございましたけれども、実は協定永住につきましても、三世以下につきましてはまだ何も決まっていないわけでございます。これから両国間で協議が行われる場合には、これも取り上げられる議題の一つじゃないかと考えております。 そこで、その二十二条二の一般永住でございますが、これは御指摘のとおり法務大臣の裁量行為でございます。他方におきまして、協定永住あるいは今度私どもが法一二六−二−六該当者及びその系列の方に認めます特例永住は、これはむずかしい言葉で言うと覊束的な永住、覊束的に許可するということで、無条件に許可される、その辺に違いがございます。 それでは、この一二六−二−六該当者の三世以下の人たちにつきましては、この一般永住、二十二条の二で解決がついたと私どもは考えているかというと、それはそうではございません。孫につきましては、私どもとしましては、朝鮮半島の情勢その他いろいろの情勢を踏まえて、将来しかるべき措置をとりたい、措置を検討したいと考えておるわけでございます。
○林(百)委員 私たちが孫のことまで言うということは、その直系卑属で、子から孫へいくに従って、ますます日本での生活が定着してくるわけですね、言葉にしても、あるいは社会生活にしても。だから、そういう人の地位が大臣の裁量に任されているということは、これは朝鮮の人たちにとっては非常に不安だと思うのですよ。もしそれが大臣の許可裁量が出なければ向こうへ帰されることになるわけでしょう。二十二条は「永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。」だから、許可しなければ永住できないわけですよ。それはもう当然のことでしょう。だから、そういう末のことを私が何か言うようですけれども、そういう者ほど、朝鮮の人にとっては、ますます日本人との間の融合が深まってき、生活の根拠が日本に置かれてくるようになってき、そして祖国へ帰っても言葉は通じない、知っている人はいなくなる、だからどうしても安定した居住を日本の国で保障してもらいたいという気持ちは強いと思うのですよ。 それが、一方ではあなたは協定は第三世まで考えていませんと言うけれども、これはあなた、協定の二条の第一項を見れば、「日本国政府は、第一条の規定に従い日本国で永住することを許可されている者の直系卑属として日本国で出生した大韓民国国民の日本国における居住については、大韓民国政府の要請があれば、」向こうの要請さえあれば、「この協定の効力発生の日から二十五年を経過するまでは協議を行なうことに同意する。」だから、四十年の十二月ですから、六十五年の十二月までは、韓国から申し入れがあれば協定に応ずるということになっているのです。これはあなた、何といったって韓国の人には保障しているわけです、これから六十五年まで相談があれば乗りますよと。しかし、朝鮮の人たちにとっては大臣の裁量認定に任されているわけですから、それは違いじゃありませんか。だから、あなたの言われる今後検討なさるということは、それはこっちも検討してもらわなければ困るのですが、どういう意味なのか、その内容を説明願いたいと思います。
○大鷹政府委員 先生ただいま、一二六−二−六該当者の孫が一般永住を申請して、不幸にしてそれが認められなかったという場合に、その人たちは日本から追い出されるんじゃないか、こういうことでございますが、それはそういうことじゃございません。一二六−二−六の子供の方は四−一−一六−二、それから孫につきましては一六−三ということで在留が認められております。もちろん両方とも三年ごとの在留許可の期間の更新は必要でございます。したがって、一般永住が認められなかった場合には、そのもとの資格に戻るだけのことでございまして、引き続き日本に在留は認められるわけでございます。
○林(百)委員 簡単に三年ごとの切りかえと言いますが、三年ごとの切りかえというのだって、これだって大変ですね、必ずしもそれが保障されているとは限りませんから。これはやはり将来検討していく必要がありはしませんか。余りにかけ離れていると思いますが、どうですか。なければ次の質問に移ります。
○山本説明員 確かに先生御指摘のとおりに、この法律施行後五年を経過した後に生まれました一六−二の子供、あるいは一六−三の子供につきましては、永住許可の特例の対象となってはおりません。それは、二世より三世、三世より四世の方が日本の社会に定着しておるのに、その定着度が高い人間がこの永住許可の特例の対象になっていないのは不都合ではないかとの御指摘はもっともな面があるわけでございますが、しかしまた、われわれこれを立案します側から見ますならば、これはこれでまた法律的に言い分があるわけでございまして、若干それを御説明申し上げたいと思います。 言うまでもなく、この特例措置は、入管令第四条第一項第十四号に定めます、これは在留資格を定めた条文ですが、この「本邦で永住しようとする者」としての在留資格を付与する手続を規定するわけですが、対象者、つまり法一二六−二−六該当者及びその子孫の一定の範囲の者については、申請さえあれば無条件で付与しようというものであります。一般の人がこの第四条第一項第十四号に定める「永住しようとする者」としての在留資格を得ようとするならば、それは法務大臣の裁量にかかっております。一般の人であれば裁量であるのに、この対象者につきましては、申請さえあれば無条件で付与するという非常に有利な扱いをしようということであります。 そういたしますならば、この一二六−二−六系統の人を、三世から四世、四世から五世と、未来ずっと無条件で与えるということにいたしましたならばどういう不都合が起こるか、日本人の子供、日本人の子供ではあるが日本国籍を有していない者、あるいはすでに永住の許可を受けておる者の子供、こういう人たちがおるわけです。こういう日本人の子供でも裁量によってしか第四条第一項第十四号に定める永住の許可が得られないのに、一二六系統の人は未来永劫、末代まで日本人の子供よりも有利な扱いを受けるということになるのでありまして、これは果たして公平という観点から妥当であろうか、そういう権衡上の問題がありますので、今回のこの法案にございますとおりに、その特例を受けられる、特に有利な扱いを受けられる者の範囲を法一二六−二−六該当者及び……(林(百)委員「それはわかっているからいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
○林(百)委員 私は、何も未来永劫なんて、そんなことを言っていません。あなたは私の質問をオーバーに言って、そうして私の質問を否定するようなことを言っておりますが、少なくとも協定では、四十年から二十五年間で昭和六十五年まで、仮にひ孫になりますかね、のような問題が起きた場合には、いつでも韓国側の申し入れによって日本政府は協議に応じますよ、そこまで言っているわけです。これはあなたも否定できないと思うのです。だから、せめてそこらまで近づけるような努力をお考えになりませんかと言っているんですよ。何もあなた、未来永劫朝鮮の人が日本に住んでいるということになれば、それは私の方で法律的な問題が起きますなんて、そんなオーバーなことを言わないでいいじゃないですか。協定と比べて差別があるから、せめて協定まで持っていくような、そういうお考えはありませんかと質問しているのです。これは局長、答弁してください。
○大鷹政府委員 先生御指摘のとおり、三年ごとの更新というのは、確かに考えてみれば法的に安定してないという面があるかもしれません。さらに、それがありますからこそ、今度法一二六—二−六及びその系列の方、これは一定の範囲で三世、孫まで入りますけれども、そういう方につきましては無条件で特例永住を認めようということにしたわけでございます。そこで、その三世以下のことにつきましては、これは協定永住の場合もこれからの協議事項でございますが、私どもといたしましては、今後とも引き続きこれをどうしたらいいか、いろいろな情勢を考慮に入れながら検討したいと考えております。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
○林(百)委員 それで結構です。参事官は余り生まじめに答弁されるから……。そういうことで検討していただきたいと思います。 もう時間が来てしまいまして、あともう一つしかできないのです。同僚議員からも質問がありましたが、強制退去の条件で、協定によると、七年を超える懲役または禁錮は強制退去になるわけですね。ところが、在日朝鮮人の人たちはこれが一年になっているわけですね。一年以上の懲役、禁錮になっていますね。非常に違い過ぎます。 それともう一つは、これも一方、本人自身には「在留」ということばが附則の七にはあるのですけれども、協定の方の人には「居住」とあるのですね。だから、たとえば何かで入管に入っていた者が在留になるのか居住になるのかというような問題も出てきて、これも不安の一つの理由になるわけですね。そういうことだけでとぎれてしまう。だから、居住の方が在留よりは非常に幅の広い、日本にいさえすればいいのだ。どこにいようといい。しかし、入管に入っていると、これはとぎれてしまうから在留にはならないという問題が一つあるわけですね。 それから、一年と七年の問題ですが、これは私たち朝鮮の人たちに聞いてみますと、事実上五年以上の懲役にならないと強制退去はさせない。そこまで皆さんの努力によってなったと思いますけれども、事実上の扱いはそうなっているのかどうか、ここで、国会の場所で聞きたいし、それから在留と居住という、これも同僚からの質問も出ておりますが、収容所へ入れられていたのは居住にはなるけれども、在留にはならないというような解釈で、これがせっかくの附則の七の一項がむだにされるようなことはあり得るのですか、ないのですか。前に一つ例があったと部屋へ来てレクチュアを受けたときに聞いたのですが、その点は大体同じように扱ってはいるつもりだがというようなお話もありましたが、しかし、ここでしっかり聞いておきたいと思うのです。
○大鷹政府委員 退去強制事由に関しましては、先生御指摘のとおり、協定永住につきましては七年以上の実刑を受けた場合でないと退去強制にならない。他方、一般永住の場合及び一二六−二−六該当者系列の場合もそうでありますけれども、この場合には一年以上の刑を受ければ一応退去強制事由の適用対象になり得るということでございます。これは、わが国と韓国の間に外交関係があって、北朝鮮とはまだないということから由来するもので、やむを得ない違いかと思います。 しかし、私どもといたしましては、法一二六−二−六該当者の系列の方々も協定永住の方の場合と同じように、日本に在留するに至ったいきさつ、それから在留の実態も考慮すべきだと考えておりますので、実際の運用におきましては、一年以上の刑を受けたからといって、一律に退去を強制することはしておりません。運用におきましては、かなり協定永住の方と近いところまで持っていっているわけでございます。一二六−二−六の方が今度覊束的に永住資格を取られた場合にも、もちろん私どもはいままでと同じような運用を続ける方針でございまして、変更することは全然考えておりません。 次に、在留と居住の問題でございますが、在留というのは入管令上は合法的にいるという場合でございます。居住はただ物理的に日本にいればいい。そこに在留と居住の違いがございます。 ところで、今度の特例永住は入管令の枠内の永住でございますので、したがって、その場合にはわが国に引き続き在留しているということが要件になります。ということは、これは合法的に日本にいる人たちのみに適用されるというわけでございます。ということは、強制退去手続を受けて、またはその令書の発布を受けたというような人たちは、日本における在留を否定されたわけでございますから、したがって、今度の特例永住の対象にはならないということになります。他方において、一応強制退去手続の対象にはなったけれども、その後法務大臣の特別の在留許可が出たという方につきましては、これは引き続き在留している方でございますので、この特例永住は適用になります。また、強制退去令書が発布されたけれども、その後いわゆる再審情願の手続を踏んで、強制退去令書がさかのぼって取り消された方、こういう方々も適法に在留しているということで、今度の特例永住の対象にはなるわけでございます。
○林(百)委員 わかりました。(「時間は大丈夫か」と呼ぶ者あり)五十二分まである。委員長、まだいいですね。
○高鳥委員長 いいです。
○林(百)委員 いま局長の答弁にもありましたように、大臣、これは不服審査法の適用がなくて、行政訴訟で強制退去の問題は争うわけですね。このとき執行停止の申し立てをして、その決定を受ける。決定に対して抗告する場合もある。しかし、入管令の五十二条によると、直ちにとか速やかに退去命令が出た場合はこれを執行しろというようなことがあるわけですね。学者とそれから入管の実務を扱っている人たちとのいろいろの論議を聞いてみますと、これは訴訟が最終の判決が確定するまで在留を許しておくということが好ましいのですけれども、少なくとも執行停止の申し立てをして、それがいずれか決定するまでは在留をさせてやる、そういう配慮をしてやったらどうかと思うのです。学者によっては、訴訟が起こされた場合、あるいは少なくとも執行停止の申し立てがあった場合は、強制退去を一時停止させるという法的な制度を設けたらどうかというような説もあるわけですが、その点についてはどうでしょう。 実際は、強制退去の命令が出ますと、行政的な命令が出ますと二、三カ月で出されてしまう。そうすると、行政訴訟の提起やあるいは執行停止の申し立てをする期間もない。場合によっては申し立てによって強制退去の理由が取り消される場合もあり得ることを考えると、それが少なくとも仮処分に等しいような執行停止の申し立てが確定するまでは在留させてやるという措置を講ずる、あるいは将来法制的なそういう措置を考えるということがやはり必要ではないかというように思いますが、その点、大臣と局長と両方にお聞きしたい。大臣にまず……。
○奥野国務大臣 いろいろな争いがなされております間は、やはり決着するまでは待つべきだろう、こう思います。執行停止の申し立ての場合にも、送還だけ停止処分になる、あるいは全面的に停止処分になる、二つあるようでございます。送還停止の場合にはそのまま収容所に収容しているという方法はとっているようでございます。
○大鷹政府委員 ただいま大臣がおっしゃったことに、特につけ加えることはございません。
○林(百)委員 これで終わりますが、大臣の言うこと、よくわからないのですが、そうすると、結局執行停止の申し立てがあって、それに対する決定が出るまでは、収容はされるにしても日本にいることができる、そういう措置をとるということなんでしょうか。ちょっとそこのところ……。
○奥野国務大臣 そのとおりであります。
○林(百)委員 それじゃいいです。
○高鳥委員長 小林進君。
○小林(進)委員 外務大臣、御多忙の中、当委員会に御出席をいただきまして感謝を申し上げます。たしか時間は十五分という全く短いのでございまして、この点は若干不満はありますけれども、御都合もありましょうから、駆け足でまず外務大臣から御質問を申し上げたいと思います。 インドシナ難民問題に関連をいたしまして、日本政府の首脳がこの問題に関与されたのが数項目あるのでございまして、第一には七九年の六月、東京サミットで、亡くなられた大平首相がこれに関連をしてここで特別声明というものを発せられた。これは総理が関係された。続いてその年の七月に、ジュネーブでインドシナ難民問題国際会議が開かれた。そのときには、ここにいらっしゃる当時の外務大臣園田直先生が出席をされて、冒頭で演説をされている。次は八〇年の五月であります。同じくジュネーブで、これはカンボジア民衆に対する人道援助救済会議というものが開かれた。そのときには当時の外務大臣の大来氏が出席をされて、そこでまた応分の発言をされている。続いて八〇年の八月には、あなたの前任者の伊東外務大臣が、タイの難民キャンプ及びタイの被災民の新村を視察されている。 こういう政府首脳の一連の動きをずっとながめてまいりますと、その中で日本政府の一貫した姿勢というものをどうも感じ取ることができない。国際的な世論とかあるいは世評とかいうものを気にして、何か右顧左べんをしておられるような感じを受けるのであります。これは何も難民対策だけではありません。外交の姿勢それ自体がそういうように私は感じているのであります。予算委員会等でも私はしばしば申し上げているように、外交というものは哲学だ、あるいは正義だ、正義対不正だ。複雑な国際情勢の中では、みずから良心に省みて恥じない正義に基づいた行動がなければ、哲学的な信念に基づいた行動がないと、どうしても国民が納得するような形を得るわけにはいかないということを痛感しているのであります。 私が余りしゃべり過ぎますと与えられた十五分が過ぎますから、難民問題に対する日本政府のきちっとした姿勢があるならば、それをまず外務大臣からお伺いいたしておきたいと思います。
○園田国務大臣 簡単に難民と申しますけれども、難民には大きく分けると二つあります。いまお願いしております難民条約というのは、これはいまのベトナム、カンボジアを中心にしてアジアの国々にいろいろ大変な負担をかけている難民を対象にしたものではございません。現在、難民というと全部こっちの方だと言われておるわけでありますが、御発言のとおり、サミットで私は大平総理と相談をして提案し、声明を出しております。これはASEANの国々の意向に従ってやったものであります。 ジュネーブの難民会議で初めて日本の私がファーストスピーカーをやりました。これで私が主張していることは、タイからカンボジア、ベトナム、この周辺における難民の救済対策ということよりも、各国元首及び首相は、難民の無秩序な流出が自由な出国と家族再会の原則を阻害することなく即時に停止されることの多大の重要性を確認するということで、われわれが苦労して難民の受け入れをやっておる、出す方はいい気になって水道の栓を出しっ放しにしておる、こちらがやればますます難民がふえる、こういうことは非常に残念なことであって、勝手に追い出したりあるいは難民をつくって国境外にやったりするのを停止しなければならぬというのが、私が在任しておるときの政府並びに外務省の考え方であります。 ただし、その結果出てきますタイ、マレーその他ASEANの国々に対する難民のための金銭の負担、物的負担、政治的な負担は非常に大きなものでありまして、その中で日本だけが非常におくれておって、日本は何もしないじゃないか、こういうことで、ベトナムを中心にした追い出し難民というかたれ流し難民というか、これに同意を与えるわけではなくて、その結果として出てきた難民には日本もほかの国々と一緒に物心両面から援助をする、こういうことで、第一は出口を閉めろ、第二番目は人道上の問題でこれに対策を講じよう、こういう方針でございます。
○小林(進)委員 いま大臣の御答弁を聞いて、ああやっぱり来てもらってよかった、実は率直に言って、私はそんな感じを受けました。あなたの言葉を復唱することになるかもしれませんけれども、私はやっぱり二つだ。一つは、人道的見地から急場の問題は解決するために手をかすが、基本的な構えとしては、あなたのおっしゃったような出口、たれ流しと言いましょうか、無責任に出口を広げて流出をさせておいて、その国に住めないようにしておいて、後は先進国だの隣近所でその始末をせいというやり方、これは了承できないと思うのです。 ところで、あなたのジュネーブにおける、いま冒頭スピーカーとおっしゃいましたが、その冒頭の演説も実は私は調べた。きのうあなたのレセプションに行きました。盛大で、まことにどうもおめでとうございます。大変にぎやかでございました。それで、私も三万円の高価な本を一冊購入いたしました。プレゼントを受けてまいりまして帰った。帰ってそれを読みましたよ。いや、なかなかどうも、読んだのが災いして寝不足で、きょうはいささか頭が痛いのでありますけれども、実に肯綮に当たる歴史的な演説をしている。 あなたの演説にはりっぱなものがある。しかし、つまらないものもある。たとえば軍縮会議の国連の舞台におけるあなたの演説というのはりっぱなものだ。あれは歴史に残してもいいが、その後で外務大臣としてまた行かれて国連の舞台で長々とやられた演説があるけれども、あれはもう官僚の作文そのもので。頭が痛くなるようなつまらない演説の長いのもありました。あったが、その中でも難民に関するあなたのスピーチ、要約したら、その中であなたは、ジュネーブにおける演説で、ともかく政治的議論はやめて、建設的、具体的な話し合いに入ろうじゃないかという提案をされて、そして中国、ソ連等もそういうイデオロギー的な発言を控えて、非常にスムーズといいますか、成果のある会議になったという方向を私はちょっと見て、ここでかちんと来たわけだ。 しかし、いまのあなたの御答弁で、ちょっと私の誤解だったことがわかったのですけれども、難民というものが一体なぜ出てくるのかという原因をつまびらかにして、そういうことを無制限にやる国なりパーティーに強く反省を求めるという姿勢がなければ、私どもは正対不正の外交問題にならないと思うのです。大臣の御答弁でわかりましたけれども、いま一度お伺いしたいことは、第二次世界大戦の終わりころの古い話はいいが、いわゆるインドシナ三国における難民がどうして出てきたのかという原因を大臣の口からちょっと承っておきたいと思うのであります。インドシナ三国です。ベトナム、ラオス、カンボジア等の難民は一体何が原因で出てきたのかということでございます。
○園田国務大臣 ジュネーブの基調演説についての御批判は、私は必ずしも間違っておられないと思います。私は、いま言ったようなことを最後に、ぴしっと出口を閉めろ、こう言ってはおりますが、その前に、だれが悪いかれが悪いという政治的責任は言うなということを言っていることは、確かにおっしゃるとおりなまぬるいところです。しかし、御承知のとおり、基調演説というのは、私個人の説だけを出すわけにまいりませず、参加する国々の意見を聞いて下準備みたいな会議がありまして、私の演説が基調になってそのときの国際会議が運ばれるわけでありますから、透徹した小林先生から見れば余りよくない演説だ、こう言われるので、私もそれは自認をいたしております。 そこで、私は、今日の問題は、ベトナムが自分の国の利害に基づいて、善良なるべき国民を、筋肉労働できない者は追い出したり、あるいはカンボジアとの関係で、政治的圧力を加えたり、こういうことで、ここに一番大きな原因があると考えます。そこで、なお時間をちょっとかりて申し上げますが、本年七月、カンボジアを中心にした会議が開かれます。これは私が提唱したもので、余りASEANが賛成しなかったわけですが、ようやくASEANの賛成を求めて、七月にニューヨークでやろうということになっております。いま問題になっておりますのは、ベトナムとソ連が参加しない会議は意味がないじゃないか、これが出てこなければ解決策はできない、こういう意見があるわけでありますが、私は、ベトナム、ソ連が出てきたものなら解決ができるけれども、出てこないからといってこれをほうっておくべき筋合いじゃない、どんどんわれわれが言って国際的な影響力をベトナムやソ連に与えることが必要であるから、われわれだけでも集まろう、こういうことで私も出かける準備をいたしております。
○小林(進)委員 外務大臣のお考えも大変明らかになりまして、私も若干ほっとした感じですが、いずれにいたしましても、インドシナ難民には二つある。いわゆるアメリカとベトナムとの戦いによって出てきた難民、これは旧難民と言うべきか何と言うべきか、私はわかりませんけれども。それからベトナム戦争が一応済んだ後の、新しくベトナムがカンボジアを侵略することによって、ソ連の後押しによって出てきたのが新難民だ。この旧の難民と新の難民というものを画然と区別をしながら、旧難民に対しては、アメリカには責任を持ってもらわなければならぬ。アメリカの長い間の戦いによってこの難民がマレーシアとかタイとかいう国に迷惑をかけて、日本にも押し寄せてきているのであります。特にいまは旧難民が総数百二十五万人と言われているというのでありますが、この数字も後で事務当局に聞きましょう。新難民だけ、カンボジアを中心にベトナムの侵略から逃れた者だけでも九十万人もいると言われているのであります。特にカンボジアを中心に侵略しているベトナム、これにやめさせるように相当強硬な態度が続けられていいと私は思っていますよ。その点がまだ少し世論などを気にして、弱さがあるのじゃないか。 いま大臣は、ソ連も出てこい、ベトナムも出てこい、しかし、来なければ来ないで、カンボジアではやるぞとおっしゃった。私も賛成です。出てこないのはしようがありませんけれども、できれば引っ張っていって国際的舞台で事の善悪をきちっとやって、悪いものといいものの区別をしてもらわなければ、ただ、そういう不正な侵略からはみ出されて逃げ回っている者だけを人道だ人道だと言一ているのでは——こっちだってただじゃありません。税金で後始末をするのでありますから、国民が納得をするような姿勢を整えてもらわなくちゃいけないと思います。どうかひとつ外務大臣、勇気を持ってベトナムのカンボジア侵略をやめさせるという、そういう国際世論を難民会議の中で明確にしてもらうわけにいきませんか。
○園田国務大臣 先ほど言われました私の本の中から抜き読みをいたしますと、「この問題は今や人道問題の域を越えてこの地域の平和と安定に影響を及ぼす重大な政治問題となっております。」それからさらに中間付近で、「しかし問題の核心はなおも増加の傾向を見せている大量かつ無秋序な出国の抑制についてインドシナの難民流出国、特にベトナムが早急に具体的かつ効果的な措置をとることであります。ベトナムはかかる措置をとり近隣諸国の理解を得るように努力すべきであります。」と私は言っているわけでありますが、七月の会議等におきましても、小林先生の大きな声を思い出しつつ、勇気を持って努力をする所存でございます。
○小林(進)委員 大体ひとつあうんの呼吸がそろったようですから、外務大臣、解放いたしましょうかな。それじゃ大臣、どうもありがとうございました。どうぞひとつこの問題に対する毅然たる態度を要望いたしまして、外務大臣への質問はこれで終わることにいたします。 ところで、外務省にお尋ねをいたしておきますけれども、なぜ一体東の方はこの難民条約を批准しないのか。理由はどこにありますかな。
○賀陽政府委員 ソ連を初めといたしまして東欧圏諸国が難民条約に消極的な態度をとっておるということでございます。これは推測の域を出ないわけでございますが、過去におきましてこれらの国々が難民の発生原因であったということも事実としては否定できないわけでございましょうから、そういう意味ではそういった理由も一つの推測に当たるのではないかと思っておりますが、これは私どもの推測でございます。
○小林(進)委員 推測とおっしゃるが、東の陣営が一つも難民条約を批准といいますか承認をしていない。しかし、関係がないかと言えば、東が一番関係しているわけだ。みずからが関係をしたり、みずから原因をつくったり、みずから追い出したりしておきながら、一体どうしてこの条約の仲間入りをしないのかという心根がわからない。あなたも推測だとおっしゃるけれども、いま少し私どもがなるほどと思われるような理由はありませんか。
○賀陽政府委員 これは私もいろいろ考えてみたのでございますが、繰り返しになるようでございますけれども、東西ドイツの分割の際の多量の難民発生は、難民条約の一つの大きな背景でございますし、それから、これはロシア難民という過去のレジームの話でございますけれども、こういった背景があります場合には、やはり積極的にこの難民条約に入るということに心理的なちゅうちょ感があるということ以外には私はどうも余り知恵がこざいませんで、そういうふうな推測をするのみでございます。
○小林(進)委員 これはどうもわからないのですが、どうでしょう、これはベトナムなどは難民創設の一番総本家ですけれども、難民を出したり、その後始末を、これは東西の思想的対立は別にしても、自分たちの行動によって他国に迷惑をかけていることに対して幾らか責任を持つとか済まないとか申しわけないとかというような、そういう発言とか行動とかゼスチュアなどというものは、一体出てこないものですか、どうですか。
○渡辺(幸)政府委員 現在までのところ、ベトナム政府は公式に難民流出について済まないとか申しわけないと言ったことはないと思います。 他方、先ほど園田大臣が申された五十四年、おととしの七月のジュネーブにおける難民に関する国際会議において、園田大臣その他参加の多数の国が、やはり無秩序な難民流出については元締めの国が何とかしてほしいという強い要請をいたしました結果、ベトナムの代表は一定期間流出について自制をしたいということを言いまして、その後統計的にはベトナムからのいわゆるボートピープルによる流出はかなり減っております。五十四年の五月、六月の時点では月平均五万、六万という数字でございましたけれども、その後一万ぐらいに逓減しておりまして、現在では月五、六千人というレベルでございますので、アメリカ等の受け入れということもかなり順調に進んでおります結果、インドシナの難民の問題については、一時のお手上げの状況ということではなくて、やや小康を保っているという状況かと思います。 他方、それではベトナム政府の自制というか、そういう措置が今後とも続けられるかどうかということについては疑問なしとしないわけでございまして、わが方もハノイの大使館等を通じまして向こうと話し合っている。一つの方法としては、いわゆる非合法、無秩序な流出ということではなくて、家族再会というような合法出国の道を広げることによっていわゆる難民発生を防止したいと いうように考えております。
○小林(進)委員 去年の大来さんが行かれたジュネーブのカンボジア民衆に対する人道援助救済会議、その会議の中で、これは一つは国連決議に基づいてカンボジア問題を早期に解決するということが決定づけられているのだが、その国連決議に基づく早期の解決というのは具体的にどういうことを言っているのか、それが一つと、時間がありませんから、いま一つは、その会議の中でベトナムに対するどうも強い非難を打ち出した国もあったと言うのですけれども、その国はどことどこであるか、この点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
○渡辺(幸)政府委員 先生御指摘の国連の決議は、一昨年の暮れの決議だと思いますけれども、外国軍隊のカンボジアからの撤退及びカンボジア人自身による民族自決と申しますか、その二点を強く主張した決議だと思います。 他方、昨年のカンボジア問題に関する国際会議において各国からいろいろの意見が出たわけでございますけれども、記憶は定かでございませんけれども、ベトナムの措置に対して非常に強い批判が出たというのは、中国あるいはASEANの一部の諸国と日本も、ベトナムのカンボジアからの早期撤退を強く求めたということでございます。
○小林(進)委員 ぼくは、いまおっしゃったその国連の決議というものは実に正しいと思うね。外国の軍隊と言えばベトナムの軍隊ですが、その後ろにソ連があるかもしれませんけれども、そういうのはやはりカンボジアから早期に撤退せしめるということは、これは問題処理の第一の根幹です。これをやらなければだめですよ。あとはカンボジアが自力自決でやれなどということは添え物でよろしいが、そういう点を日本はいま少し勇敢にやってもらわなければならぬ。 私は、難民問題ばかりじゃありません。外務大臣はいなくなりましたけれども、国連における核軍縮に関する、一般兵器の軍縮に関する演説は、日本の国民が挙げて支持していい、歴史的にりっぱなものである。ああいう演説は官僚が書いたのじゃないだろうな。官僚じゃああいう血の通った文章は書けないから、あれは園田外務大臣もなかなか力を入れたと思うのだが、ああいう趣旨をあらゆる場合に活用しなくちゃいかぬ。それは日本が世界に向かってだれにも自信を持って言い得る日本だけの特質なんだから、だからああいう精神はこの難民問題でも大いにひとつ活用して、みずからが世界の平和を望み、アジアの平和を望むならば、そういう観点から私は堂々といまのこの難民を流出しているベトナムに対する正義の声が叫び続けられていいと思う。 その点は足りないですよ。どうも少し緩やかで、私は気に入らなかったのでありますが、外務大臣の力強いお言葉もありましたからこの問題はこれで終わりますが、どうですか、今後ひとつこの問題、外務省いま少し勇敢にやられる決意がありますか。この七月には外務大臣はいまおっしゃったカンボジアの問題で、一体会議はどこで開かれるのですか。だれがついていくのですか。
○渡辺(幸)政府委員 園田外務大臣がお話をいたしました七月の国際会議と申しますのは、ASEAN諸国が提唱いたしまして、国連事務総長に強く働きかけた結果の会議でございまして、カンボジア問題に関する国際会議ということで、多分七月の中旬ニューヨークで開催されるという見通しがかなり強くなってきているという段階でございまして、大臣みずから御出席になられるということを先ほど言われたわけでございますけれども、随員等についてはまだ決まっておりません。 その趣旨は、先ほど私が申しました国連総会の決議、すなわち外国軍隊の撤退、それからカンボジア問題の平和的解決、カンボジア人民による政治の選択という国連の決議を実現するための国際会議でございまして、そこで先生御指摘のような立場を日本政府としても打ち出すということになろうかと思います。
○小林(進)委員 それでは、いま一言聞いて次に移りたいと思いますが、いま七九年七月と八〇年八月のジュネーブでやられた二つの難民会議は、いずれも国連の事務総長主宰に基づく会議になっている。今度場所が変わってニューヨークヘ行くという話でございますが、このニューヨークの会議も従来のとおり国連の事務総長主宰に基づく会議になるのかどうか、性格はどんなものです。
○賀陽政府委員 ジュネーブでは、カンボジアの難民会議、それからインドシナの難民会議、これは国連事務総長が事務総長として招集したものでございます。今回の七月中旬から開催と言われております会議でございますが、これはいまだにちょっとはっきりしない面もございますけれども、当然のことでございますが、いままでの国連決議で、事務総長にこの種の会議を開催するようにということを依頼しておるわけでございますから、その依頼にこたえて事務総長がこれを組織化しておるということでございますので、ジュネーブの場合におきますよりもより国連的色彩の強いものになるのじゃないかと思っております。
○小林(進)委員 わかりました。それではその会議の成功を祈るとともに、できればそこでも、軍縮会議におけるよりももっと崇高な、りっぱな基調演説をやってもらいたい。そのことを期待します。 どうですか、委員長、こういうような会議には立法府としても大いに関心を持つので、立法府もその会議に歩調を合わせて行政府、外務大臣を激励する、一面監視、一面激励ということで、われわれもそのニューヨークの開催地へ行って、側面から協力、監視をする、そういう計画をお持ちになりましたらどうですか。われわれは、こんなところで委員会を開いて、ここで大きな声を出して、時間がたったらもう採決しますという採決要員で何も立法府に来ているわけじゃないのだ。そういうことで常に行動を起こして、行政府のよいところは側面から協力をする、これは委員長としての見識であり、アイデアですよ。それを一つ要望いたしますが、いかがですか。腹を決めて答えなさい。
○高鳥委員長 小林委員に申し上げます。 突然の御提案でございますので、委員長としては、ただいまどのようにお答えしていいか、お答えいたしかねておるわけでありますが、せっかくの御提言でありますので、十分考えてみます。
○小林(進)委員 私も、十数代のいろいろの委員長に何とか仕えてきたというわけじゃないが、やってきたけれども、その人その人の委員長の決断と努力というものがその委員会の性格を変えちゃうのだ。こういう提案は即決、これはいいと思ったら断固としてやらなくちゃならない。委員長は全く賛成だからひとつやりましょうというような勇ましい答弁をしなさいよ。内閣改造が近づいているけれども、そうすれば必ず大臣のいすは回ってくる。こっちもあなたが大臣のいすに座るようにひとつ側面から協力してやるようにしますけれども、いまの返事じゃ、いささかどうも協力もちゅうちょしなければならぬと思っておりますが、時間がありませんから次へ移ります。 次に、難民の問題に対しては三つの原則があるそうです。一つは資金の面において援助するとか、一時庇護の受け入れをやるとか、定住の受け入れをやるとかいうようなことになっているようでございますが、わが国は、難民問題に関連をして、一体今日までどの程度の国家資金をお出しになっているのかということをお聞きいたしたいと思います。
○保岡政府委員 お答えいたします。 わが国がインドシナ難民の問題に対していろいろその解決に努力しているところは、先生がいまいろいろ言われたとおりでございますけれども、五十五年度において、国連難民高等弁務官事務所拠出金として六千万ドル、邦貨にして約百四十億円、世界食糧計画、WFPを通ずる米の援助、これは約二千万ドル、邦貨にして五十億円、それからその他の国際機関、国連児童基金、国際赤十字等への拠出及びタイに対する難民関連二国間協力等約二千万ドル、邦貨にして五十億円、合計約一億ドル、邦貨にして二百四十億円を支出して、それぞれ東南アジア各地に一時滞在するインドシナ難民の医療、衛生、食糧面における援助に充てられたほか、わが国に対するインドシナ難民の定住促進、このためにアジア福祉教育財団に対し六億円を委託して定住難民に対する日本語教育等を実施しております。それから、わが国における一時収容難民に対して、厚生省より日赤に対して約三億円の補助をいたしております。 このような財政援助等いろいろな施策に係る費用によってインドシナ難民に対する経費は、人道的見地はもとより、タイを初めとする東南アジア諸国の安定に効果を上げて、またわが国に対する定住促進にも役立っている、このように考えております。
○小林(進)委員 大蔵政務次官、なかなか御勉強のようでございますから、私の方でいま少し細かく御質問をいたしたいと思います。 UNHCR、国連難民高等弁務官事務所、この最高責任者に個人の職名をつけて、難民問題を国連で扱っているというこの機構についてひとつ承りたい。どうしてこういう機構を設けているのか。
○賀陽政府委員 国連の高等弁務官府ができましたのは一九五一年であったと私は記憶しておりますけれども、これは難民に対する国際的な保護を与えるということで発足をしたものでございまして、ランキングはアンダーセクレタリー・ゼネラル・国連ということでございます。有名なカーンという人が初代の長官でございまして、現在は二代目のハートリングと申しますデンマークの総理大臣をやった人でございます。これはあくまで国外に流出しました難民を対象といたす機関でございまして、国内で苦難を忍んでおるという人たちは、実はその国が責任を持つ形でございますから、あくまで国外に出た難民を助けるという機関でございます。この存在はかなり大きなものがございまして、先ほど小林委員が御指摘になりましたカンボジアの難民会議でございますとか、あるいはインドシナの難民会議でございますとか、最近では数カ月前にございましたアフリカの難民会議、こういったものに多くの国が拠出をしていくというのも、やはりこの国連難民高等弁務官というのが統一的にその資金の有効な運用に当たっているからであろう、こういうふうに考えております。
○小林(進)委員 私は、これはなぜこういう個人の職名をつけたのかということを聞いたのですけれども、そんなことをやっていると時間がないようですから、この点はこれで終わることにいたします。 この国連難民高等弁務官事務所の職員は一千二百人前後、これは国連総会の決議で五年ごとに継続が決められるということで、現在のところでは、期間は八三年までですか、そこでまた、廃止になるか継続になるかが決められるということでしょうね。こんなこともあなたにお聞きしたがったのだけれども……。 そこで、この予算は一体どこから出ているのかということが一つ問題であります。それに対してわが国はどれだけの資金の協力をしておるのか。私は、いままでの資金の協力を最初に大蔵省にお聞きしたわけです。そうしたら、副大臣は五十五年度をおっしゃった。あなたは八〇年度の拠出の分だけをいま御説明になった。私は、今日まで幾ら出したか、そのトータルを聞いているのです。 それでは、五十四年、一九七九年は難民救済のために一体どれくらい費用を出したのか、これをお聞きしましょう。七八年はどれだけ出したのか。七七年、七六年まであるんなら、それを年度別に教えてもらいたい。
○保岡政府委員 先生、大変申しわけないのですが、いままでの全部のトータルはちょっといま手元にないのでありますけれども、五十四年度については六千四百万ドルでございます。
○小林(進)委員 それは、難民救済援助のための所要経費の半分をお出しになった、その半分がいまあなたのおっしゃった六千四百万ドルからあるいは六千五百万ドル。実施のベースにおける総額は一体どれくらいになっておるか、五十四年度の総額は。——時間がかかりますから私がひとつ申し上げます。いいですか。いまあなたのおっしゃったのは弁務官にお出しになったのが六千四百万ドル。それから、インドシナ難民救済計画で内訳で幾らお出しになったのか。それから、パターンと書いてあるが、パターンて何だ。RPCとは何だ。パターンRPCとは一体何だ。これで五百万ドルというんだな。それからガランRPC、これは何だ、三百五十万ドル。それからUNICEF、これは国連の児童基金だという、どういう機構になっているのか知らないが、これが五百万ドル。それからICRC、これは赤十字国際委員会、二百四十万ドル。WFP、世界食糧計画で一千三百三十万ドルというんだ。いま言ったRPCというのは私はわからないんだが、この機構を説明しながら出した金額な私の言ったことが間違っているかどうか、教えてもらいたい。
○渡辺(幸)政府委員 先生御指摘のとおり、インドシナ難民に関する国際機関による救済計画というのはかなり多岐にわたっております。 まず、UNHCRについて申しますと、先生の御指摘のとおり、わが国が約半分負担すると申しましたのは、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所のインドシナ難民救済計画の所要費用の約半分ということでございます。それが五十五年度においては約五千万ドル弱ということでございます。 先生御指摘のガランあるいはパターンのRPCというのは、レフュジー・プロセシング・センターでございまして、インドネシアあるいはフィリピンに一つのセンダーをつくって、そこでアメリカとかあるいはヨーロッパへ行く難民を収容いたしまして、アメリカ、フランスへの定住が容易になるようにいわば船待ちをさせるセンターでございます。そういうセンターがどうしても必要であるという認識がUNHCRあるいはアメリカ、ヨーロッパで非常に強くて、どこか東南アジアに建設すべきであるということで、フィリピンのパターンあるいはインドネシアのガランにそういう センターをつくろうということになったわけでございます。それで、アメリカもヨーロッパも定住の受け入れについては大幅に拡大をするけれども、そういうセンターの費用についてはなかなか出しにくいので、何とか日本に出してほしいという話がございまして、それについてもそれぞれ三分の一ないし二分の一の費用負担をした。それが先生御指摘の三百万ドルとか五百万ドルという数字でございます。 以上がUNHCR関係でございます。 それ以外にユニセフ、これは国連児童機関でございますけれども、これを通じましてカンボジア難民の救済計画というのがございます。これについても五十五年度大体五億円ほど出しているということでございます。
○小林(進)委員 おれはみんな五十四年のことを聞いているのだ。五十五年までいかない。いま五十四年を聞いている。
○渡辺(幸)政府委員 ユニセフについても五十四年度から始まっておりますので、先生御指摘の数字は正しいと思います。 もう一つは赤十字国際委員会、ICRCというのがございます。この機関もカンボジア難民の救済について非常に積極的な役割りを果たしておりまして、非常に申しわけないのですけれども、私がここに持っていますのは五十五年度の数字でございますけれども、五十五年度に日本は三億円拠出している。 さらに申しますと、世界食糧計画、WFPというのがございます。これもカンボジア難民救済計画というプロジェクトを持っておりまして、これも申しわけないのですけれども、五十五年度でこれについては十億円拠出しているということでございます。 カンボジア問題については、大体いま申しましたユニセフ、赤十字国際委員会、それから世界食糧計画、その三団体が主たるカンボジア難民の救済機関でございます。 他方、UNHCRの方は、ベトナムのボートピープルであるとか実際に出てきた難民について世話をしておるということでございます。
○小林(進)委員 いまお話のあったとおりでございます。私は五十四年からお聞きしたのですけれども、あなた方は皆五十五年からでもって私の質問をちょっとごまかそうとしたのだが、それはいずれにしてもいいです。細かいことは言わない。 そこで、いまの難民弁務官、UNHCRに出した五十四年度が六千四百万ドルか、五十五年度が何もかも含めて約一億一千万ドル、一億ぐらい出ているのだが、これは一体大蔵省のどういう予算の中から出ているのか、これが一つ。 それから、今度はいま言われたフィリピンやインドネシアに何か一時の船待ち所みたいなものを設けているというRPC、それに対して五百万ドルだか三百五十万ドルの費用が出ている。これは一体大蔵省のどこから出ているのか。 それから、カンボジア難民に対する国連児童基金、いま五十五年度に大体五億円とおっしゃった。ドル計算でどのくらいか知りませんが。 それから同時に、赤十字社に出した。これもやっぱりカンボジアの難民問題だな。これもいま三億円とおっしゃった。これは大蔵省、どこから出ているのか。 それから、世界食糧計画にお出しになった十億、これは五十五年度十億と言うが、この金は一体どこから出ているのか。その支出の項目を教えてもらいたい。
○保岡政府委員 お答えいたします。 国連難民高等弁務官事務所への拠出金、これは国際分担金其他諸費に該当しますもので、これは項の名前でございます。目としては経済協力国際関係機関等拠出金、こうなっております。 それから、RPCについても同様でございます。
○小林(進)委員 そのほかの国連の児童基金にお出しになったり赤十字の国際委員会にお出しになったり、あるいは世界の食糧計画にお出しになったその項目はどこから出ているか。
○保岡政府委員 世界食糧計画、WFPですか、これに出す米の援助の費用は、項としては経済協力費、それから目としては食糧増産等援助費、こうなっております。 それから、国際機関への拠出は、ユニセフとか国際赤十字とか、いまおっしゃったものは、項は経済協力費、目は経済開発等援助費、こうなっております。
○小林(進)委員 そうすると、これはみんな経済協力局の関係だな。わかりました。少しわかってまいりましたが、五十五年度の分へまいりまして、ドルと円との換算で、まあ先ほどあなたが言われた八〇年度、五十五年度の会計年度では大体一億から一億一千万ドル出すという、額がそういうふうになっているわけですが、これは先進国の負担分から見て、一体日本の分担率はどうですか、比率からながめてどういう順序にいっているか。
○賀陽政府委員 現在、私ここに資料を持っておりませんが、従来御答弁を申し上げております記憶にたどりますると、順序は米国、日本、西独という順序でございます。
○小林(進)委員 それは何年の基準かわかりませんけれども、恐らくそれは去年、五十五年度においてはアメリカ、日本、西独。こういう難民対策については日本が一番おくれていると言われたんだが、急にピッチを上げてきてそこまで来たということでございましょう。 金の問題については、先ほどから外務大臣にも御質問申し上げておるように、少し世評とか世論に押されて、日本がどうも若干右顧左べんしながら、急いで金をまき散らしたというふうな感じで受け取らざるを得ないのです。もっとその前に腹を決めて、けしからぬのはけしからぬ、しかし、出てきて追い回されている難民それ自体は決して憎むべきものでもないし、ないがしろにすべきものでもありませんから、人道的立場で、これは後でまたその問題に触れて御質問申し上げまするけれども、それは大いにやるべきだ、めんどうは徹底的に見るということは私は賛成はいたしまするけれども、どうも少し安易な金の出し方をしているのではないかという点において、まずそこらに外務省も腹を決めて、金も出すが口も出す、そういうような無鉄砲なたれ流しのようなやり方の後始末だけはそう無条件についていけないというくらいの毅然とした姿勢を示してもらいたいということをお願いいたしまして、金の問題はこれで終わります。 次に御質問をいたしたいことは、何しろ時間がないから、言いたいことを言えないで本当に残念なんですけれども、余り足踏みしているといけませんから次に移りますが、日本に難民が定住をしたがらないという問題が一つあるわけです。これほどお金をお出しになって、あの持てるアメリカに次いで日本がこうやってたくさん金を出して、いろいろ外務大臣から総理大臣まで乗り出して、あっちへ飛びこっちへ飛びしておられるけれども、せっかくボートピープルですか、一時滞在をしているその難民が日本に定住したがらないというのだが、その理由は一体どこにあるのか、これをひとつお聞かせを願いたい。
○渡辺(幸)政府委員 インドシナ難民が多数発生しているわけでございますけれども、そのうちの非常に多くの者が日本に定住を希望しているわけではないということは、小林委員御指摘のとおりでございます。その理由といたしまして、難民がベトナムなりあるいはカンボジアを離れて、いわばその命を賭して難民となる際に念頭にありますのは、やはり親戚縁者の多いアメリカであり、フランスであり、あるいは豪州、カナダというところでございまして、日本という国については、言葉の問題あるいはなじみが薄いということで、必ずしも希望者が多くないということかと思います。 さらに申しますと、日本の船が南シナ海等で救助した難民を乗せてまいりまして、一時上陸ということで日本に滞在した者が累計で四千五百名ほどおりまして、現在滞在しているのが千三百名ほどでございます。その四千五百名のうちで日本に永住を希望した者がわずかに六十二名ということでありまして、日本に現にいて、日本の施設に収容されながら、日本に永住しようという決意をする者は六十二名ということで、その理由については、やはり言葉の問題親戚縁者が少ないという問題、さらには、けさほども議論にありました日本が単一民族国家である、何か住みにくいのじゃないかというような印象がかなり強いのではないかと思っております。 その点に関連いたしまして、政府といたしましては、先生御案内のとおり、定住促進センターというものを設けて定住の促進に努力しておりますし、東南アジアに一時滞在している者についても適格者の発掘調査団を派遣しているということは御報告したとおりでございますけれども、必ずしも現在までのところ、日本に定住を希望している人が押すな押すなの状況ではないということは事実でございます。
○小林(進)委員 いまおっしゃったように四千五百名もの人が救済をされて日本にいて、その中には二年以上滞在している者四百五十何名、三年以上滞在している者も百三十六名いるという、これはあなた方外務省のお出しになった資料の中にそういうことが報告されているのだが、それくらい二年も三年も滞在しておりながら、その中から日本に定住を希望した者がいまお話しのとおりわずか六十二名だ。その理由として、あなたは言葉の問題があるとか日本語になじみがないとかおっしゃったのだが、何か難民救済に対する日本の取り組みがアメリカ、カナダ、フランス、西ドイツに比較して若干まだぎこちないところがあるのではないか。たとえば在留の期間、最初は三十日がいまどうですか、百八十日になりましたか、それもしかし、事情によっては更新を許されたら二年も三年も滞在をする人がいるということになるのでございましょうから。けれども、基本の点において、そういう在留の期間がまだ少し法的にかた苦しいところがあるんではないかということが一つ。それから、何か日本籍の取得がアメリカ、カナダ、豪州に比較して日本の方が少し厳しいのではないかというような意見がありますが、この点はどうか。 私は、先ほども言いますように、くどいようでありますけれども、こういう難民を出す国は心から憎いんだ。けしからぬと思っておる。しかし、難民自体は、日本に来たらどこの国よりも親切に、思い出と言ってはなんでありますけれども、せっかく来たものを悪口言われて帰すよりは、日本に難民として滞在したときにいい思い出が残った、日本は親切な国だ、こういう人道的見地からももとよりでありますが、やはりとことんまで親切にしていい気持ちにしておくというその政策は、私は大変必要だと思っている。この点はどこの国にも負けちゃいけないという、そういう観点から私は質問をいたしておるわけでありますけれども、そういうことがあるのじゃないか。 いま一つは、なじみがないと言うけれども、なじみがあり過ぎるんじゃないか。いわゆる第二次世界大戦で、われわれは中国から東南アジアの国国へ勇ましく侵略をして大分痛めつけた。そういう痛い思い出が、日本という国に対して後遺症が残っている。それで定着したがらないのではないかというような一つの推定を持っているわけですけれども、この点いかがでございましょう。
○渡辺(幸)政府委員 難民受け入れの経験あるいは歴史に乏しいという御指摘は、そのとおりでございます。他方、一時滞在者、現在でも千三百人以上おるわけでございますけれども、日本に永住、定住を希望する者が必ずしも多くないという点について、最も直接的な原因はアメリカに行きたいということでございまして、彼らがベトナムの地を去る際に念頭にあったのは多分アメリカである。いずれアメリカに行けるという期待があるというのが片っ方にございます。 他方、一時上陸については、日赤あるいはカリタスその他のセンターがありますけれども、そこではある意味では衣食住が保障されている。かつ、一日じゅう徒食をしているというわけにはいかないということで、ある程度のアルバイトといいますか、そういう道も開かれているということで、非常に皮肉な状況でございます。一時上陸といいながら、ある意味では衣食住が保障されていて、ベトナムを出るときの自分たちの夢であるアメリカにも行ける、その夢は保存しておきたいということで、決心して日本に永住を希望すればその結果としてアメリカに行く道が断たれてしまうというような問題もあって、なかなか日本に永住を希望する人が多くないという状況だと思います。
○小林(進)委員 順次お伺いしましょう。 一時滞在する難民の施設について、いまの問題に関連するわけですから、関連してお伺いいたします。 これは皆さん方からもらった資料ですが、UNHCRの保護のもとで日本の赤十字関連の施設に九百二十三名、それからカリタス・ジャパンに七百九十六名、天理教に七十八名、立正佼成会に五十三名、こういうふうに施設の中へいま入っているわけでございますが、この施設の中に入っている状況はどうでございますか。 なおあわせて、先ほどもお話のあったように、赤十字社には政府、特に厚生省を通じて、先ほど三億円とおっしゃいましたが、三億円の補助金が出ている。それ以外の団体には補助金は出ていないが、出すのと出さないのと差別をつけられている理由がどこにあるのか。 それから、全体として収容施設は現状のままでいいのかどうか。また、将来の見通しとしては、ボートピープルがやってくる見通しはどうなのか。もっと施設をふやす必要があるのではないか。これらの問題について御回答を願いたいと思います。
○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。 一時上陸者の収容状況については、先生御指摘の数字のとおりでございます。すなわち、一番大きい施設は日赤でございまして、それ以外に立正佼成会あるいはカトリックのカリタス、さらには天理教ということでございます。 彼らの食費等については、UNHCRから日当という形で支給がされておりますけれども、施設管理費等については、日赤につきましては先ほど先生の御指摘のとおり、年間約二億七千万円ほどの予算が計上されておりまして、そこで賄われているということでございます。 他方、カリタス、天理教、さらには立正佼成会という組織については、国の資金を供与するということは憲法八十九条との関係で不可能というのがわれわれの結論でございまして、(小林(進)委員「八十九条は何です」と呼ぶ)憲法八十九条によりますと、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは團體の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に射し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」ということでございまして、私どもといたしましては、一時収容についていま申しましたカリタス、天理教、立正佼成会、宗教団体に大変お世話になっているわけでございますが、それに対して公のお金でその意に報いるということは、憲法の制約上できないという状況でございます。
○小林(進)委員 施設がいま十分か、将来施設が間に合うか間に合わないか、聞いているんです。
○渡辺(幸)政府委員 一時上陸、すなわち日本の船が南シナ海等を通過する際にボートピープルを見つけて運んでくるというケースでございます。昨年のちょうどいまごろ、あるいは秋にかけて、非常に深刻な事態で一時収容センターが収容能力がパンクするという状況であったわけでございますけれども、その後、先ほど申しましたとおり、インドシナからのボートピープルの流出が絶対量として減ってきているということ、さらに、アメリカその他の引き受ける方がわりあい順調に進んでいるということで、現在千三百名ということで、大体その施設の状況としては間に合っている。 ただ、先生御指摘のとおり、こういうことは予測不可能でございますので、将来どっと出てきたときに収容センターが足りなくなってどうするかというようなことになるわけであります。その場合には、応急の手当てとして安価なホテルを頼むとか、あるいは十人とか二十人という単位で民間の方にお願いするということをやっているわけですそれでは他方、見越して五百人とか千人の施設をつくることが適当かどうかということになるわけでございますが、これはそういうボートピープルが出てこない場合には必ずしも有効なお金の使い方にならないということで、決断をしかねているということでございます。
○小林(進)委員 そこでお伺いしますが、ここに滞在をしている人たちの生活費を支給されているんだが、これは一時滞在の難民に対し一人当たり一日九百円、子供といいますか、これは十六歳以下はその半分の五百円を支給している。ただしかし、アルバイトで九百円以上の日当のある者に対してはこの金は支給しないということになっている。この九百円ないしは五百円という金は、これはいわゆる高等弁務官事務所から出た金で、わが政府が負担する金じゃないね。でありますから、これは日赤のみならず、他の宗教団体のいわゆる設備にもみんな応分にその費用は配付されているわけでございましょうね。これが一つ。 時間がないから、あわせてこれに関連してお尋ねしますが、今度は定住者の場合。定住者の場合も、定住センターの生活費をやはり一人一日九百円を支給している。そのうち十六歳未満は五百円をやっていて、その他医療費や光熱費は全部無料だが、定住センターの場合は、その中から食事代として一日五百五十円取っている。十六歳以下は三百二十円を取っているのだが、この金、この九百円は日本政府が支給をするのか、あるいは高等弁務官事務所がこれを支給しているのか。金の出どころだ。同じ性格のものかどうか、それをお聞きしたいわけです。
○渡辺(幸)政府委員 一時上陸者については、日赤その他の施設で滞在しているその食費その他必要な経過についてはUNHCR、国連の高等弁務官府から支出されていて、その金額については、先生御指摘のとおり、大人九百円、子供五百円ということでございます。 他方、日本政府が運営しております定住促進センター、定住希望者の定住を促進するためのセンター、神奈川県と兵庫県に、二つございますけれども、これに関する日当費用については、全額日本政府の予算でございます。
○小林(進)委員 なるほど、同じ九百円、九百円でも金の出どころは全く違うわけですね。一時の滞在はそれは国連から出てくるけれども、定住センターの費用はみんな日本政府だ。これは一つ私は勉強になりました。 これは、国連の場合は別として、日本政府が出す場合に、九百円をやって五百五十円で飯を食わして、当該者、滞在者にとってこの賄いは一体これで十分なものか。日本はどうも鳥のえさを食わしたなどという非難の原因となるおそれがないかどうか。そういうことも含めて、次には定住センターのことについてひとつお伺いいたしましょう。 一九七九年の十一月から、日本政府は、定住受け入れについてアジア福祉教育財団なるものに委託をして、そのアジア福祉教育財団が難民事業本部というものを発足させて、ここで定住センターの仕事を請け負ってやっているようでありますが、アジア福祉教育財団というのは一体何なのか、そこら辺からひとつ聞かせてもらいたい。
○渡辺(幸)政府委員 アジア福祉教育財団と申します財団は、ベトナム戦争中にベトナム戦争の被害をこうむった南ベトナムの孤児に対して何らかの職業訓練その他の手を差し伸べようということで組織された財団でございまして、奥野法務大臣が理事長をされております。 そこで、ベトナム戦争終了後インドシナ難民問題が発生いたしまして、日本においても定住促進のための事業を国家として行うべきであるという意見が出てきたわけでございますけれども、他方、日本語教育、職業訓練、職業あっせんというような仕事については、国の行政機関が直接行うことは行き届かないところもあって適当でないという議論がございまして、何とか民間の財団ないし社団にお願いしようということで政府部内で検討いたしましたところ、外務省所管のアジア福祉教育財団にお願いしてそこに特別事業本部を設けていただいて、そこに委嘱するという形で定住難民の定住促進について、日本語教育、職業訓練、職業あっせんということを行うことになったわけでございます。その時期については、先生御指摘のとおり七九年秋でございます。 予算といたしましては、外務省予算が四億円弱、日本語教育ということで文部省予算が一億円強、それから職業訓練、職業あっせんということで労働省予算が一億六千万円、合計七億円弱の予算を計上させていただいているという状況でございます。
○小林(進)委員 いや、これは私も初めて聞きました。アジア福祉教育財団なるものがあることを初めて聞いたが、奥野法務大臣が理事長でいらっしゃるという、これも実はホットニュースでございまして結構でございますが、その費用の出所、これはいま何とおっしゃったのですか。七億何とかとおっしゃいましたけれども、私はちょっとよそのことを考えていたものでございますから、いま一回教えてください。これは民間の寄付その他は全然なしですか。いまの内容をひとつお聞かせいただきたい。
○渡辺(幸)政府委員 財団法人アジア孤児福祉教育財団にこの難民定住促進の業務を受託していただくことになりまして、一昨年の九月に財団の寄附行為を改正していただきましてアジア福祉教育財団と改称、そこに、同財団に難民事業本部を設置していただいた。この難民事業本部に対して日本政府から予算をもって費用を提供する。その費用の金額は、先ほど申しましたとおり総額で八一年度予算、本年度予算で申しますと六億八千万円 でございます。外務省がセンターの運営費そのもの等の予算として四億円弱、日本語教育等について文部省の予算として一億二千万、職業訓練等の予算として労働省に一億六千万という形で計上させていただいているという次第でございます。 先ほど御指摘の九百円とか五百円ということでは、食事その他問題があるのではないかということでございますけれども、量と質については現在までのところ大きな不満はない、味つけに若干問題があるというようなことが言われております。 一般にセンターについては、かなりセンターに入っている人から高い評価を受けておりまして、ここを出所した人の就職率というのは、現在までのところ、労働省その他の御努力もあって一〇〇%という状況でございます。
○小林(進)委員 時間もありませんから、くどい御質問もしていられませんけれども、アジア福祉教育財団の中に難民事業本部が設けられて、その事業本部の運営活動のために八一年度六億八千万円、外務省が四億円、文部省が一億二千万円、労働省が一億六千万円程度が支出せられてそこでやっていられるということでありますが、アジア福祉教育財団それ自体の運営の費用、これはどこから出ているか。どうなんですか。
○渡辺(幸)政府委員 理事長であらせられる法務大臣が一番お詳しいわけでございますけれども、財団自体の運営はすべて自己資金及び寄付で賄われております。ですから、特別事業本部については政府の予算ということでございます。本体の財団自身の運営については、自己資金及び寄付ということでございます。
○小林(進)委員 そういたしますと、アジア福祉教育財団自体の一切の費用は民間からの寄付でございますか。これは政府資金とか政府出資というものは出てこない、民間の資金。それで難民の事業本部は政府あるいは国に準ずべきところから費用が出て委託をされている、こういう勘定でございますな。わかりました。そういうふうに理解いたします。これはまた一晩じっくり考えさせてもらうことにいたします。 次に、この難民事業本部の仕事といたしまして一番大きなのは、七九年十二月姫路市において定住促進センターが設けられた。越えて八〇年二月に大和市においてこれまた定住促進センターが設けられたわけでございまして、なお、今年の四月二十八日の閣議で、定住の枠を五百名から出発したものを今度三千名に広げる、こういうことに決定をされておりますが、いまの収容の状況その他についてお伺いをいたしておきたいのであります。
○渡辺(幸)政府委員 神奈川県大和市のセンター及び兵庫県姫路市のセンター、二カ所でございますけれども、累計で申しまして、このセンターに入った人の数が六百三十七名、卒業した人の数が四百三十九名ということでございます。現在二百名弱が二つのセンターに滞在しておるという状況でございます。
○小林(進)委員 委員長、あなたにひとつ要望しておきたいと思うのですが、私も法務委員をやってずいぶんあなたに要望したけれども、あなたはどうも不思議と私の言うことは一つも採用されたことがないんだが、あなたは私に恨みがあるのかね。少しは私の言うことも、決して私は思いつきで言っているわけじゃないし、なにですから、ひとつ慎重に考えてもらいたいと思うんだけれども、やはりこういう難民問題というものは、日本がしょった新しい一つの歴史をつくりつつあるんだから、姫路市とか大和市のセンターをやはりわれわれ立法府として一回見ておく必要があると私は思う。そういうことをひとつまじめに考えていただいて、実情の調査、見聞を広げるということを考えていただきたい。強く要望しておきます。 なお、ここでひとつ申し上げておきたいことは、この難民事業本部に関連をいたしまして、いま一つの仕事は、定住者の、何といいますか、適格者の発掘ということをおやりになっている。これは難民事業本部がおやりになる。時間がないから私の方で申し上げるんだけれども、そのために十一班の調査団を出して、そしてタイとかマレーシアなどの東南アジアのキャンプを見て歩きながら、その中から適格者を発掘せられているという。これも大変な事業でありますけれども、人道的であることはこれは間違いないのでありますから、決してけちをつけるような性格のものではないと思うのだが、その中で言われる適格者の条件というのは一体何なんだ。現地に派遣をして調査されている調査の状況と、その適格者と称するものの資格は何なのかということを、時間もありませんからひとつ駆け足で御説明を願いたいと思うのであります。
○渡辺(幸)政府委員 インドシナ難民を日本に定住させようという政策決定が行われましたのは、二年ほど前でございます。そのときの定住条件というのはかなり厳格なものだったわけでございますけれども、ある程度の経験を経た上で順次緩和してまいりました。 本年四月二十八日、閣議の御了解をいただいたものによりますと、二つございまして、一つは、アジア諸国に一時滞在しているインドシナ難民の許可条件、それから、日本に一時上陸してしまっている人の許可条件と二つございます。 アジアに一時滞在しているインドシナ難民の定住許可条件といたしましては、一つは、日本人の配偶者、親戚がおる者ということで、かつ相互に扶助が可能である者ということが一つでございます。それから一つは、確実な呼び寄せ人がある者、または生活を営むに足りると認められる職につくことが見込まれる者、その配偶者、親もしくは子等々ということでございまして、そのうちで幾つか項目がございます。かつて日本の大使館に勤めていた者、日本の企業に勤めていた者、あるいはかつて日本に留学した者、あるいは日本人の個人的使用人であった者等々ございます。最後に、「その他、日本語の会話能力がある等、日本社会への適応力があると認められる者」ということでございます。 私が述べました最初の方は、日本の大使館にいた者とか企業にいた者、留学生とか日本と直接の関係がある者という縛りがあるわけでございますけれども、最後に読ませていただいたのは、日本社会への適応力があると認められる者ということでございます。これは最近の閣議了解の結果導入された条件でございます。 こういう条件に合致する人が東南アジアにたくさんいるかと申しますと、それは必ずしもいないということでございます。しかるがゆえに、発掘調査団を過去何回も出しているということでございます。新しい条件緩和を御了解いただいたものですから、近くさらに発掘調査団を二班、三班と派遣いたしたいというように考えている次第でございます。
○小林(進)委員 私は、適格者の条件というものを、最初は、日本に親族がいるとか、過去において日本に何らかの関係があったとか、厳しい条件があったのを、いまは適応力のある者まで拡大をせられたと言うけれども、これは実際の面においてはなかなかむずかしいのではないかと思う。現在ラオス人で二百七十七名、これは皆さん方の報告書類です。ベトナムが二百十五人。このベトナムの二百十五人の中には、先ほどお話のありました一時滞在者の中から六十二名が定住に切りかえた、これを含めて二百十五名になったわけですね。その六十二名が含まれているわけです。それからカンボジア人が百二十四名、合計六百十六名ですが、日本に定住が決定したという報告が来ているのです。そういう数だ——。時間はどうかな。——五分じゃだめだな。——だから、三千名を閣議で決められたとしても、実際三千名というのは大変むずかしいと思う。 それに関連して、定住センターでいま生活をしているその生活の内容を、私はいま少し、ちょっと矛盾を感じて質問をしたかったのだけれども、時間がないというからこれはやめますけれども、入所をして大体三カ月の間で日本語を研修せしめて、そして社会に出す。その出すときに、退所時には十万七千円、十六歳以下には定住手当としてその半額を支給して日本国内の社会へ出すというのだけれども、これで独立して、女の人はパーマネント屋に入ったり、男の人はどこかの工場へ、大体中小企業者、零細業者のところへ就職していくというのだけれども、これが一体うまくいっているのかどうかということに、私は非常に不安を感じざるを得ないのです。得ないが、これは時間がないからあなたの答弁はもらわない。これはどうしても現地を一回見せてもらって、現地視察の上でそれを見たいと思う。 最後に、もう五分ですから、流民の問題について質問をして、私の質問を終わりたいと思う。 これはいつの新聞かね、ちょっと読み上げますよ。 一九七六年一月、中国系ラオス人のチャン・メイランさん(当時十七歳)が隣国のタイに密出国したとき、世間に通用する「身分証明」を手に入れる道は、旅行業者に約十万円相当のお金を払って旅券を手に入れる以外になかった。以来、彼女の公式の名は、旅券の名義人として記載された「タイ人ソム・シー・セロ」となる。 七七年夏、メイランさんは、観光客の資格で日本に入国した。二カ月の滞在許可期間が過ぎたのちも、行くあてはない。そのまま東京の深夜レストランで働き、七九年秋、不法残留がわかって逮捕される。八〇年三月、出入国管理令違反、外国人登録法違反のカドで、懲役六月、執行猶予二年の実刑判決。 もちろん「タイ人ソム・シー・セロ」の旅券保持者としてである。このままではタイに“送還”されてしまう。弁護団はラオスとタイへ飛び、彼女が本当のラオス人、チャン・メイランである証拠を集めて控訴した。 自分の存在を証明するために手に入れた旅券が、こともあろうに「自分は他人である」という証明になってしまった。しかし、タイの旅券を持っているからただちにタイ人だときめつけるのは、法的には正しいかもしれないが、常識ではおかしい。 彼女はタイ政府に定住や帰化を申請していないから、タイ人になる意思がなかったことは明らかで、旅券を買った目的は外国へ行くことにあった。実質的には、普通のラオス難民と同じである。その実情を無視して彼女をタイに送り返すとすれば、これは法律上タイへ送り返されるのです。 送り返すとすれば、これは形式主義もいいところだ。本人が日本に定住したいと言っている 以上、難民と同様に遇するのが人道的な扱いと いうものだろう。云々であって、こういうような流民がまだ日本にはどれくらいいるかというと、六、七百人くらいいるのではないか。これは社会主義国家になる前の、旧国時代の旅券を持って日本に滞在している学生にも同じく言い得ることなんだけれども、こういう問題をどう扱うか。 これはやはり難民として扱って、定住の措置を講ずる、それをやるべきではないか。犯罪人にして刑を着せて、そして買った旅券の国であるタイへ、彼女が見たことも聞いたこともないよその国へそれを追っ払う、そういう残酷な措置は行うべきでない。こういう問題、これはいま日本にふえて、掃くほどあるのですが、この問題に対して政府は一体どうお考えになっておりますか。
○大鷹政府委員 いま先生がお触れになりましたそういう流民が現在日本にどれくらいいるかということでございますが、六、七百名という数字をちょっと先生おっしゃいました。私どもの推計では現在約百二十名程度ではないかと思っております。こういう流民は、厳密に言いますと、難民条約の難民には該当いたしません。しかし、他方におきまして、インドシナ半島における戦乱とか政変等を逃れてきた、そういう事情もありますので、個人個人についてよくそのいきさつを吟味して、そしてケース・バイ・ケースに検討して、できるだけ人道的に配慮したいと考えているわけです。 先日、法務大臣からの御指示によりまして、当面、私どもはどういう対策、どういう措置をこういう流民に対してとるかということについて検討いたしました結果一案を得まして、それで別な機会に委員会でもその問題について触れました。もしあれならば、もう一度ここでその対策を申し上げてもいいのですが……。 ところで、いまのチャン・メイランさんにつきましては、一審の裁判では、彼女は正規にタイから旅券を発給されたものと認められております。他方、チャン・メイランさん自身は、いや、そうではない、自分は写真とお金を渡してパスポートは買ったものであると主張しているわけです。裁判所は、そのパスポートの写真が改ざんされた様子は見られないというようなことを指摘しているわけです。いずれにしましても、チャン・メイランさんは、一審の判決に不満で現在控訴中でございます。そこで、その裁判の帰趨を待ちまして、私どもとしては、このチャン・メイランさんのケースが新しい私どもの方針の中で取り込めるかどうか、つまり、私どものあれに合致するものとして特別在留許可が出せるものかどうかについて、その段階で検討したいと考えているわけです。
○小林(進)委員 あなた、百二十名とおっしゃったが、私が六、七百名と言うのは、チャン・メイランさんだけではなくて、旧の学生も含めるとこの諸君がこれだけいるぞということを言ったのです。いずれにしましても、私の用意した質問は三分の一しか終わってないのです。これからもっと深くこの問題はやろうと思ったけれども、時間がなくてだめになりましたから、残念ながらこれで私の質問は終わります。
○高鳥委員長 横山利秋君。
○横山委員 出入国管理令の審議がきわめて熱心に続いてまいりました。同僚議員の質問と政府側の応答がいろいろな角度でなされましたが、この際、締めくくりの意味におきまして、また、確認の意味におきまして幾つかの問題につきまして簡潔に質問をいたします。 まず、事務当局から御回答願った方がよろしかろうと思います。 第一は、仮放免等を許可するに際し納付させる保証金の額の上限が今回十倍と大幅に引き上げられているが、実際に適用するに当たっては、本人の生活状態等を十分考慮し、保証金を納付させる趣旨の限度でできるだけ低い額で保証金を納付させるよう努めてもらいたい。これが同僚委員の一致した意見でございます。いかがでございますか。
○大鷹政府委員 仮放免等の保証金は、仮放免されるその外国人等の出頭を保証するに足りる相当な金額であればよいので、被仮放免者の退去強制事由、性格、資産、逃亡のおそれの程度、その他諸般の事情を考慮して、関係外国人に無用の負担をかけないよう適正な金額を決定するよう指導し、御指摘の趣旨に沿うよう運用してまいりたいと思います。なお、この保証金は、仮放免を受ける本人にかわってほかの者が納付してもよく、この場合、保証書をもって保証金にかえることができる便法も設けられております。
○横山委員 第二番目の問題は、退去強制令書の発付を受けている者は、永住許可の特例の対象から外されているが、この人々のわが国社会における在留の実態にかんがみ、この人々も特例の適用が受けられるよう措置すべきであるという問題であります。
○大鷹政府委員 元法一二六該当者または元四—一−一六−二該当者で退去強制令書の発付を受け、未送還の者は現在六十六名おります。これまでも刑罰法令違反者については、裁決後の事情の変更、仮放免後の素行、家庭状況等を総合判断して、再審査の上在留特別許可を与えてきましたが、右の者の大部分はそのような再審査によっても退去相当とされたものでございます。しかしながら、この際、御指摘の趣旨に沿ってさらに救済できないか、再審査情願があれば、好意的に検討してみたいと思います。
○横山委員 第三の問題は、今回の改正案の附則第九項では、法一二六−二−六該当者の子については、申請期間最終日後に本邦で生まれた者も永住許可の特例の対象としているが、孫についても永住許可が得られるよう配慮さるべきだという点であります。
○大鷹政府委員 法一二六−二−六該当者の子供は、現在日韓地位協定に基づくいわゆる協定永住許可を受けているか、または在留資格四−一−一六−二として在留しているものであり、在留資格四−一−一六−二の者については、今回の改正案の附則第七項第二号に該当して特例による永住許可を受けられるものでございますから、いずれにしましても、これらの子、すなわち法一二六−二−六該当者から見れば孫に当たる者が申請期間経過後に生まれたときは、第二十二条第二項ただし書きに言う「永住許可を受けている者の子」に該当するのが通常でございます。 したがって、右条項該当者ということで永住許可を付与することとなりますが、これらの人たちには、素行善良、独立生計維持能力の要件を備えない場合でも裁量で永住を許可することができることとなりますが、その許否に当たっては、御指摘の趣旨に沿って、親が永住許可を受けている者である等の事情を十分踏まえて、できる限り永住を許可することにしたいと思います。
○横山委員 第四番目は、不法入国者や不法残留者の存在は社会的な大問題となっているので、この際、その絶滅を図るために総合的な対策を検討されたいという点であります。
○大鷹政府委員 不法入国者等、特に長期潜在不法入国者の絶滅を期するためには、まず、水際においてこれら不法入国者を摘発し、その潜在化を防止することが肝要かと考えます。不法入国者等の摘発にはこれまでも鋭意努力してきたところでございますが、今後はさらに工夫をこらし、関係機関とも緊密な連絡をとりながら、その協力を得て所期の目的を果たしたいものと考えております。 ところで、このような努力にもかかわらず潜在化した不法入国者の処遇については、個々の事案についてその実情を総合的に判断して、法務大臣の在留特別許可の許否が決定されてきたところでございますが、その許否を決定するに当たり、一般的な裁量基準を設けて運用するというわけにはまいらないということを御理解願うため、最近の裁決事例の中から具体例を二、三挙げて御説明いたしたいと思います。 その一は、昭和三十六年に不法入国し、その後協定永住許可を受けた女性と結婚し、その間に三子をもうけ、飲食店経営者として月収三十万円を得ておりましたが、本国にも正式婚の妻と三子が在住するという典型的な重婚事例であることから、退去の裁決となりました。 その二は、同じく昭和三十六年に不法入国し、現在自動車整備工として月収十八万円を得ている独身者でございますが、協定永住許可を受けた老母を扶養中であることなどの事情が考慮されて、在留特別許可となりました。 その三は、昭和四十六年に不法入国し、現在プラスチック成形工として月収二十五万円を得ている男性でございますが、法一二六該当の妻とその間に生まれた二子を扶養中であることなどが考慮された結果、在留特別許可となりました。 以上の例から見ても明らかでありますように、不法入国時期が同じであっても個人的な事情は千差万別であって結論を異にすることとなり、不法入国の時期、すなわち潜在期間のみを基準として在留特別許可の可否を判断することは不可能と言わざるを得ません。 ところで、法務大臣が在留特別許可を与えるかどうかを判断するに当たり考慮される主な事項ないし主な要素について言うならば、さきに申し述べた三例からも御推察できますように、不法入国の時期、目的、態様、わが国及び本国における家族関係、生計維持能力、素行等を挙げることができますが、このほか当該事案特有の事情のあるケースも少なくなく、これらの諸事情を総合判断して在留特別許可の可否が決せられるわけでございます。
○横山委員 まだそのほかにも同僚諸君の質問の中に重要な点がございますが、一応整理して四問といたしました。 本来ならば附帯決議に付すべき問題ではございましたが、内容が御答弁のようにきわめて具体的でございますので、附帯決議を省略をして最終の質問といたした次第でございます。 これらの四問につきまして、法務大臣としていま局長が答えました趣旨について同感でございますか、責任を持っていただけますか。
○奥野国務大臣 いま政府委員からお答えいたしましたとおりに存じております。
○横山委員 あわせて一、二伺いたいことがございます。 今回の入国管理令の改正は、かなりの前進だとは評価をいたしておりますが、同僚諸君の質疑の中にございますように、必ずしもわれわれのすべての希望を満たしておらないのであります。今後この種の出入国管理令、今度名前が変わるわけでありますが、これから一体どういう検討が必要かとお考えになるかという点であります。 たとえば、いままだ南北朝鮮に居住をし、国籍を持つ者についての差別は残っております。いまお話しのような不法残留者あるいは密入国者が、これで全面的な抜本的な解決ができるとは思いません。航空機による出入国はさらに激増をいたすものと思われます。国際交流もまた当然なことでありましょう。大村収容所の状況につきましても私ども意見がございます。これに対します行政機構、出入国管理のあり方についても多々改善を要することがあろうと思われます。たとえばサービスの改善が必ずしも十分ではありません。敏速な業務の執行もまた私どもとしては希望が多々あるところでございます。この法案は法案といたしまして、今後の検討課題はどんなことが考えられるか、説明を伺いたいと思います。
○大鷹政府委員 このたびの改正は部分改正でございまして、全面改正ではございません。私どもといたしましては、いろいろとまだ考えなければならない点があるのではないかと思っておりまして、そういうものについて成案ができた暁には、全面改正をお諮りするということも頭の中にございます。 その中身といたしましては、たとえば在留資格制度そのものをどう考えるか、あるいは非常に重要な点だけを、出入国管理及び難民認定法と今度名前が変わりますが、法律の中に盛り込んで、あと詳細な部分は政令とか省令に任すとかいろいろなことがございます。さらに、先ほど申し上げましたが、在日朝鮮半島出身者の法的地位に関しまして、時が経過して私どもの検討が進んだ段階で、またいろいろとお諮りする場面も出てくるかもしれません。こういうことを現在念頭に置いております。
○横山委員 法務大臣にちょっと伺いたいと思うのでありますが、質疑応答の中で、朝鮮民主主義人民共和国の諸君の問題が多々質問の焦点となりました。朝鮮民主主義人民共和国を、入管法上また政治的にどうお考えになるかという点であります。私の承知する限りでは、再入国申請は、朝鮮民主主義人民共和国という国籍をもって申請がされておると思うのであります。それに対して許可は朝鮮となっておると思うのであります。このことについては、もう長らく話題問題になってきたわけでありますが、朝鮮というのは一体何でありましょうか。国籍ではございませんし、一時はもう符号という話がございましたが、いま符号なんということをお考えではないと思うのです。事実上朝鮮民主主義人民共和国がいま存在し、そこへ、自由民主党はもちろんでございますが、私どもも行き来をいたしております。貿易額も最近はきわめて順調に両国の間に伸びておるわけであります。朝鮮というのは朝鮮民主主義人民共和国の略称とお考えになってお使いになっておるのでありましょうか。その点についてどうお考えでありましょう。
○大鷹政府委員 現在、出入国管理令あるいは外人登録の関係で朝鮮と申しますときには、私どもの運用では南北両方を指しております。つまり、朝鮮半島全体を指して朝鮮と言っているわけで、北朝鮮という意味ではございません。
○横山委員 それは率直に申しまして、何といいますか、かっこうをつけておるということにすぎないと思うのです。この話を聞いておりますだれしもが、朝鮮ということが南北朝鮮のことで法務省が使っておるとだれも思う人はありません。南の方は韓国というきちんとした名称を使用しておる、旅券にも使用しておるわけでありますから、朝鮮というのは朝鮮民主主義人民共和国を指すものだ、これは常識になっておるわけであります。その常識を、いつまでも南北朝鮮のことなんだと言っておることに無理があると思うのでありますが、いかがですか、大臣。
○奥野国務大臣 今回の改正に当たりましては、現在の国籍によって差別をつけない、従来、戦前に日本の国籍を持っておられた方につきましては、引き続いて日本におられる以上、協定永住と同じように永住権を与えたい、そしてその生活を安定させたい、こういう考え方に出たわけでございます。 いま、旅券の表示について御意見がございました。外務省当局にもいろいろな事情があるかもしれませんから、政府部内でよく検討した上で、将来どうすることがよろしいか、横山さんのいまの御意見を契機に検討させていただきたいと思います。
○横山委員 質問を終わります。
○高鳥委員長 これにて両案中出入国管理令の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 これより出入国管理令の一部を改正する法律案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高鳥委員長 次回は、明後二十九日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十四分散会