法務委員会 第12号
- 発言数
- 342 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/05/12
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
○沢田委員 私は、先般本会議でそれぞれ大まかなことをお伺いをいたしました。それでありますので、若干また他の委員と重複する点があるかと思いますが、その点は御理解をいただきたいと思います。 最初に、警察庁においでをいただきました。現在の詐欺それから横領あるいは私文書、公文書偽造、背任、涜職もありますが、等で、これは警察白書によりますと、件数で約八万件。横領であるとか背任であるとかというものも含めまして、これはすでにあらわれた分の件数であります。そういう点を考えますと、それ以外にあらわれない、氷山ではありませんが、地下にあるいは水面下に入ったままでいるものを加えますと、これは推定以外にないのでありますが、恐らく十倍ぐらいになるのではないかと思うのであります。 この商法を審議をするに当たって、こういうことがこの商法の改正にどういうふうに反映をしたか、そのあらわれた実例、詐欺あるいは偽造であろうと横領であろうと背任であろうと、やはりそういうものがある程度抑制される、この法律ができたならばそれが減少するんだ、そういう保証がなければならぬだろうと思うのであります。それは従前どおり野放しですということでは済まされるものではないというふうに思います。そういう意味において、警察庁としてはこの法案作成に当たってどういう対応をなさったか。それがなくなったら商売上がったりだから、警察官は要らなくなるなんということに心配をされて放置をされたのか、その辺どういうふうに対応したのか、お伺いをいたしたいと思います。
○漆間説明員 お答えを申し上げます。 昭和五十二年の五月に「株式制度に関する改正試案」、それから昭和五十三年十二月に「株式会社の機関に関する改正試案」が法務省から公表されまして、私どももその公表された内容を見まして、その中で私どもの仕事に最もかかわりの深いと思われるいわゆる総会屋対策の分野についてはやはり意見を申し上げておいた方がいいのではないかということで、翌五十四年の七月に総会屋対策部分について警察庁の意見を取りまとめて法務省の方にお伝えを申し上げております。 いま御質問のありましたような、前段の部分の詐欺とか横領とか背任とか、いわゆる企業犯罪と称する分野の防遏に関する部分について、警察として意見を申し述べたことはございません。
○沢田委員 法務大臣、警察の対応、これはきわめて遺憾な点だと思うのですね。言うならば、やはりこういう問題は起きることを期待するのではなくて、起きないようにしていくのが政治だと思うのですね。起きてそれに罰則を加えることだけがすべてではない。ところが、警察はこれまでのこの八万件、八万人ですか、さっき申し上げたようにそれを加えれば人数にすればもう十倍にも匹敵するだろう、そういう多くの人が関連していることに対して、警察が法案作成に何ら対応しなかった。法務大臣、これはどういうふうに思いますか。
○奥野国務大臣 警察当局も前提を十分御検討いただいたと思うわけでございまして、その上で積極的に意見を述べるべき部分については述べるということで、結果的には、総会屋対策が一番大きな課題になっておりますので、ことに暴力団との結びつきなど心配される面がございますので、それに結論をしぼられたものだ、こう存じておるわけでございます。御指摘の点につきましては将来とも十分検討していかなければならない課題でございますけれども、現在考えられる点につきましては、一応網羅して改正案をつくらしていただいたというつもりでございます。
○沢田委員 警察の方はこれでもういいですよ。 とにかく総会屋だけのことしか物が言えなかったというようなことでは話にならぬのでありまして、これから商法を審議していくという前提として、あとはそれじゃ法務省の方の民事局長も来ておられますからお伺いをいたしますが、こういう事犯に対してこの商法で防止をしていくための措置、どういうふうに防止をしていこうと対応なさったのか、法務省としてはどう対応したのか、その点お伺いをいたしたいと思います。
○中島(一)政府委員 ただいま御質問ございましたような詐欺でありますとかあるいは横領でありますとかいうようないわゆる犯罪につきましては、むしろ一般の取引にかかわる犯罪であろうかというふうに思うわけでありまして、株式会社だけについて特別な扱いをするということは、これは適当ではない。本来ならば、一般法である刑法等において規制すべきものであろうというふうに考えておるわけであります。 商法にもいろいろ商法上の罰則を設けておりますけれども、これはいずれも組織法としての会社法の一部としての罰則でありまして、もっぱら株式会社法の法秩序に違反するような、そういう犯罪に対する罰則を定めておるわけでございます。たとえば、ただいま問題になりました総会屋に対する規制であります株主権の行使に関する利益の供与の禁止ということになりますと、これはまさに株式会社法の規制する対象になるということになるわけでございます。 そうすると、罰則の点はそうだとして、詐欺、横領などについては、この発生を未然に防止するような措置を何か考えなかったのかというような御質問になろうかと思うわけでありますけれども、今回の改正案におきましては、私どもは内部的な取締役会の権限の強化あるいは責任の強化、監査役の権限の強化、責任の強化あるいは会計監査人の地位の強化、権限の強化というようなことを考えまして、内部的に企業の非行が起こりにくいようにする、それによって犯罪も防止することができるという働きを期待することができるのではないかと考えております。
○沢田委員 警察の方まだおられると思いますが、今日まで、これは五十四年度ですか、五十四年の件数で八万件、七万七千でありますが、詐欺が大体多くて五万件、横領が一万六千件、こういうことになっておりますが、これの実態例の中で内部告発で上がったものはどの程度のパーセントを占めておりますか。
○漆間説明員 私どもはそのような統計のとり方はいたしておりませんので、ちょっとそういう区別はお答えいたしかねます。
○沢田委員 結果的には、これはほとんどだと思うのでありますが、ほかの事件で出てきてからそれが累を及ぼす、これは報道関係その他の状況を見ましてもそれがほとんどであります。 法務大臣、結局法務省としては、この法案をつくるのに、詐欺だ横領だ背任だということに対して、私は刑法のことを論じているのではなくて、それはもう本当に出ちゃってどうにもならなくなった場合なんであって、商法というものは商行為が正常に行われることを確保することが商法の目的なんですね。だとすれば、そういうことが起きないような予備的ないわゆる一つのセーブする、抑制をする、そういう役割りを商法の中に持たなければ、これは精神的であるか現実的な文章になるかあるいは行政になるか別として、そういう趣旨が生かされなければならないということだけは間違いのないことだろうと思うのです。大臣は、その点についてはどうお考えになりますか。
○奥野国務大臣 株式会社の社会的公正を期するというような立場で実質的監視機能を強化する等等の政策を今度の商法改正に盛り込んだわけでございまして、その点は沢田さんが御心配になるような事柄についての一応の対応の仕方じゃないだろうかな、こう思っておるわけであります。
○沢田委員 ただ、重ねて言いますが、いま警察と法務省の見解を聞いたのだが、それは罰則的なもので位置づけてしまって、法の改正の中でそれをある程度抑制をしていこう、規定をしていこう、そういう意図でないという答弁なんです。だから、これから省令もありますし、あるいは行政指導もありますが、行政の分野でそういう内容を生かしていく考えはあるのかないのか。いまのところ不十分だということ、手をつけられなかったという事実はお認めになるでしょう。この分野が詐欺であるとか横領であるとか背任であるとかいうことは、現行規定で万全だとは言えない。というと、それを抑制していくためには他の方法が必要であると思うのです。その点はどうですか。これで万全であると言い切れますか。
○奥野国務大臣 いまおっしゃった問題に対する対応というのは大変広範なものではないだろうかと私は思っております。今度の商法改正の中でそれに対してこたえているものといたしますれば、株式会社の計算・公開、あるいはまた、不正をできる限り防止しますために株式の持ち合いにつきましてもある程度の規制を置いているわけでございます。また、自主監視機能の強化の面におきましては、代表取締役の専横を許さないために取締役会の権限を特別に法定いたしたりしておるわけでございます。監査役あるいは会計監査人の権能を強化するなどのこともしておるわけでございますし、あるいは事前にいろいろなものを株主に連絡する、そしてまた質問権を法定するというようなやり方をしたりしておりますことは、御心配になりますような事例をある程度少なくできることになるのではないかな、こう思うわけでございます。 商法は私人間の行為を律する基本的な規定でございまして、それぞれの分野におきまして、いま御心配になるようなことができる限り少なくなりますように留意していかなければならないと思っておるわけでございます。大蔵省におきましては、証券取引についての責任を負っているわけでございましょうし、通産省においては、商品取引について責任を持っておりますし、あるいは農林水産省におきましては、農林水産物の取引についていろいろな責任を持っているだろうと思うのでございまして、それぞれのところで留意していただかなければならない。基本規定としては、少なくとも社会的公正を期してもらうための思い切った改正をしたいというのが今度のねらいであったわけでございます。そのような社会的公正を期していかなければならないという精神を、これを機会に各分野の指導に当たりまして取り入れていただくように努力をしていくことが私たちの責任ではないだろうか、こう思っておるわけでございます。
○沢田委員 この商法の改正でそれは万全でありますか。これは性善説、性悪説もあります。いかに法をつくろうとしても、その法の網をくぐるのは世の常であります。だから、これがゼロになることは絶無だと私は思うのであります。だけれども、既往の経験にかんがみて、新しい法律ができるときにはその経験が生かされてそれがある程度法律になっていく、そういう要素を盛り込んでいくということだけは必要な要件ではないか。そのことが余り触れられてなかったということはきわめて遺憾だという意味を含めて、それぞれの省でこれで十分だという法務大臣の言い方のようでありますが、いままでの答弁では十分には対応していなかった、その経験、教訓というものを何とか法に生かそうという努力がなかったという点はきわめて遺憾だと私は思うのであります。これは後の質問と一緒にお答えいただきたいと思います。 続いて、法務省の民事局長おられますが、いままで判例がたくさん出ていますね。大正年代からの商法関係に関する判例がありますが、生かされた判例もありますし、生かされない判例もある。それを一応全部点検されましたかどうか。生かされた判例は何割で、生かされないでこの法律の中では抹消された、こういう割合はどういうふうに扱われましたか。全然扱われなかったのですか。扱ったのであればどういうふうな扱い方をしたのですか、その点お伺いをいたします。
○中島(一)政府委員 私どもも常に判例を注意して読んでおるわけでありますけれども、判例というのにもいろいろなものがございまして、一つは法律の解釈にとどまる、あるいはある一つの条文の該当する事例を示すにとどまるというようなものがございます。こういうものは具体的な事件の解決のためには非常に有用でありますけれども、一般的な規則としての働きはしない。それに比べまして、判例の中には、新しい制度を創設すると言ってよいかと思いますけれども、いわば法律の不備な点を補って新しい制度をつくっておるというようなものもございます。こういうものは立法の際に条文に取り入れる必要があるということで、私どもは常に検討しておるわけでございます。 具体的に申しますと、今回の改正におきまして商法の二百五十一条という新設規定がございます。この規定は、「決議取消ノ訴ノ提起アリタル場合ニ於テ招集ノ手続又ハ決議ノ方法が法令又ハ定款ニ違反スルトキト雖モ裁判所ハ其ノ違反スル事実が重大ナラズ且決議ニ影響ヲ及ボサザルモノト認ムルトキハ請求ヲ棄却スルコトヲ得」という内容でありまして、いわゆる裁量棄却と呼ばれておる条文であります。これは昭和十三年に商法が改正されましたときにはこれにほぼ似た規定がございましたが、昭和二十五年に廃止されておるわけであります。廃止されましたけれども、この裁量棄却の制度自体は必要な制度であるということで、裁判所は規定が削除されました後も判例においてずっと認めてきておった。たとえば代表的な判決といたしまして、最高裁判所の昭和四十二年九月二十八日の判決がございます。そういう経過になっておりまして、今回この裁量棄却の制度を改正法において新設をしたわけであります。 それから次に、二百五十二条に総会の決議不存在確認の訴えが新設されております。従来から決議取り消しの訴えあるいは決議の無効確認の訴えというものが法律で決まっておりましたけれども、それよりもっと成立要件を欠いた大きな瑕疵である決議不存在の確認については法律で明文の規定がなかったわけでありまして、決議不存在の確認が許されるかどうかについては学説上争いがあったわけでありますけれども、裁判所の判例は決議不存在の確認というものを認めまして、そして決議無効確認の訴えの規定を準用しておったというわけであります。たとえば代表的な判決といたしまして、最高裁判所の四十五年七月九日の判決がございます。今回二百五十二条にこの決議不存在確認の訴えというものを取り入れたわけであります。 もう一つ、商法二百六十五条の一項後段という規定がございます。これは二百六十五条におきましていわゆる利益相反行為を規定しておりますが、法律の規定は従来いわゆる取締役と会社との直接取引だけを取り上げておったわけであります。利益相反行為は必ずしも取締役と会社との間に行われる取引だけではありませんで、その後段に出ておりますように、「会社が取締役ノ債務ヲ保証シ其ノ他取締役以外ノ者トノ間ニ於テ会社ト取締役トノ利益相反スル取引ヲ為ストキ亦同ジ」と、こうあります。いわゆる間接取引も利益相反行為に当たるわけでありまして、判例は、明文の規定がないにもかかわらず、この間接取引をも利益相反行為として二百六十五条に含ませて解釈をしておったわけでありまして、たとえば代表的な判決として、四十三年十二月二十五日の最高裁判所の判決がございますが、こういうものを今回二百六十五条の一項後段の規定として取り入れたわけであります。 取り入れたものは、以上のようなものが例示されると思います。で、見送られたものと申しましょうか、今回採用されなかったものということでお尋ねでございましたけれども、判例をいろいろ見てみますと、確かに商法の解釈上有用なと申しましょうか、非常によく考えた、法の不備を補充するような判例というものもいろいろ出てきております。たとえば法人格否認の理論でありますとか、あるいは商法の二百六十六条ノ三の取締役の第三者に対する責任の規定がやや具体性を欠くので、これをもう少し具体的な規定にすることはできないかということについていろいろと事例的な判例が出ておりますけれども、そういうものはまだ判例として固まっていないと申しましょうか、あるいはそれを条文にあらわすことが非常に困難であるというようなこともあって、採用するには至っておらないというような事情がございます。
○沢田委員 あと細部は省略しますが、少なくともこの法務委員会に従来の判例で商法上必要な判例は全部列挙して出して、そして採用したものはこれです、採用しないものはこれです、採用しない理由はこうです、そしてこれを国民の前に提示をする、それが法務省としての法務委員会に対する責任の業務の一つであると私は思うのであります。それをわれわれが探し出さなければ提示をしてこないという姿勢は、これはきわめてよくない。今日までの商法の改正に当たって、大正何年からいろいろな判例が出た、その判例はこういうことになっています。どれを採用しますかということについては、私は一つ一ついま言うのは避けますけれども、一応そういう姿勢が必要であったと思うのであります。 これは、法案がこれからどういうふうに審議が進みますかわかりませんけれども、最低限度その程度は、私は正規の委員でないので、連合で大蔵から来たわけでありますが、少なくともそのぐらいのものは出して、そして委員の皆さん方にその審査を仰ぐということは、国会の権威の上において必要な条件ではなかったか。これはあと理事の皆さん方に、委員長としてどういうふうに配慮されるか。でなければ、審議して終わりました、あのときの判例はどうなったのです、あれはあのままだよ、そんなことで国会議員が勤まると私は思いません。あれはこういう事情でこの法文にはならなかったのだと説明をする義務があるのだろうと私は思うのであります。そういう点においては若干遺憾であったと思いますので、あとは後刻委員長等において取り計らっていただきたい。 そこで、自己株式の取得制限の違反の効果、これは改正試案では自己株式の取得等の制限違反のことについて触れているようであります。ところが、私法上の効果については一応明文の規定をしないということになっておりますが、その点はどういうふうに考えられて処理したのか、お伺いをしておきたいと思います。
○稲葉説明員 先生御指摘のとおり、試案におきましては、自己株式取得につきましては私法上の効果に関してかなり詳細な規定を置いたわけでございますが、この考え方は、要するに取り消し説ということに立ちまして、取得した場合に、会社がその取得を、相手方が悪意であれば取り消すことができる、こういう規定になっていたわけでございます。 しかし、そういうことにいたしますと、刑事罰の方で自己株式の取得というのはおよそ無効であるという立場に立って、それに対して厳しい刑罰を科しているわけでございますし、そうかといって、全面的に無効であるということにいたしますと、取引の安全を害するというような問題も起こるわけでございまして、いわゆる相対的無効説というのが現在強いわけでございますけれども、必ずしもそれで統一がされているというわけでもない。むしろ学者の間でも、この点についてははりきり規定を置くのは差し控えるというのが適当ではないかというのが法制審議会の大方の意見でございました。 その結果といたしまして、こういうふうに現行の制度のまま、その点は解釈で処理した方がよろしいということになったわけでございます。
○沢田委員 時間の関係でちょっと急がなければならなくなりましたが、続いて取締役の資格制限について若干触れておきたいと思うのであります。 要するに、取締役の権限が今度、義務があるといいますか、義務がある程度強化をされたことは認めないものでありません。しかし、この取締役の資格についてはまだまだ不十分ではないかと思うのであります。その前提となる事項は、これはいろいろな議論はあるでしょうが、私は、商行為というのは、社会的に公正な正常な取引をやる限りにおいては自由である、これはもう商行為というものは営利を追求するのでありますから、その限りにおいてはその商行為は自由なものだと思います。しかし、その限りにおいて社会的な公正というものが確保されなければならない、同時に公共の秩序が守られなければならないということが総合的な一つの制約状況となってくる。そこに買いだめだとか売り惜しみ防止法であるとか、独禁法であるとか、そういう法律がそれぞれ生まれてきているわけであります。ですから、商行為の自由ということを尊重する意味においては、少なくともその自由である分野の裏側のものはやはり保障されていかなければいけない。そのことによって国民が著しく迷惑を受けない保障というものが法律上確保されなければ、法体系としていわゆる必要にして十分だということにはならぬ、こういうことになるわけでありますから、そういう意味においての必要条件というものが具備されなければならぬ。 そこで、たとえば子会社の親会社の株式の取得制限、これもきわめて重要な案件だと思うのですね。系列化というものがどんどん進んでおります今日、いわゆる子会社と親会社との支配関係、これをどうやって制限をしていくかということもきわめて重要なことだと思うのであります。では、果たしてこの法律が十分であるのかどうかということになりますと、きわめて疑問に思うのでありますし、この点はわりあい放置されている条件になっています。その点はいかがでありましょうか。細かい点ですから、民事局長なりそれぞれの担当からお答えいただきたいと思います。
○稲葉説明員 株式の持ち合いに関しましては、親子会社間につきましては子会社による親会社の取得を全面的に禁止しております。現行法では必ずしもそういう解釈ではなかったわけでございますが、それを先生御指摘のような見地に立ちまして、子会社が親会社の株式を持つということは法律上禁止するのが相当であるという見地に立ったわけでございます。
○沢田委員 これは一歩前進とは見ますけれども、まだまだ十分これがどの程度のいわゆる適用範囲があるかということは、きわめて疑問の点なしといたしません。 そこで、営業報告書の内容についてお伺いしておきたいと思います。 これは省令で決めるということになっているわけでありますが、この営業報告書の内容はきわめて重要なものだと思うのであります。これだけ骨抜きといいますか、答申から大分後退をしているわけでありますから、その部分を補完するものでなければならぬ。これはオーソドックスに物を言えば、補完するものでなければならぬ。こういうふうに、さっき言ったように社会的な公正、商行為の自由、それから公共の秩序、こういうものが確保されるための商法という立場において、営業報告書は社会的な一つの責任の問題として内容が充実されなければならぬ。現在、どの程度お考えになっておられるのか。まあ答申の方も九項目挙がっておりますし、また諸外国のもたくさんいろいろあります。特に連結損益計算書についてはきわめて問題があると思うのでありまして、この点もあわせてお答えをいただきたい。
○中島(一)政府委員 営業報告書の記載方法につきましては、答申では「法務省令で定める。」こういうふうに答申をいただいておるわけでありまして、まだ後退したとかなんとかというようなことではないわけでありまして、今後法務省において検討をするような段階でございます。内容を定めます場合には法制審議会の御意見を伺うということをお約束をしてございますので、今後法制審議会の商法部会を開いて、そこで御審議をいただきまして内容を決めたいというふうに考えておるわけでありますが、その際問題になりますのは、やはり企業秘密というものをどういうふうに考えるか、さらには開示をすることによる利益とその開示に要するコストと申しましょうか、そういうものとのバランスをどういうふうにとるかというような点が中心になるであろうというふうに考えております。
○沢田委員 連結財務諸表の作成については、質問したのですが、どうですか。
○中島(一)政府委員 どうも失礼いたしました。 連結財務諸表につきましては、法制審議会においても検討をされたわけでございますが、今回は時期尚早ということで見送られたわけでございます。でありますから、法律で、商法で採用しませんでした連結財務諸表を省令である営業報告書において採用をするということは必ずしも適当でないということで、今回の省令ではそこまで考えておらないわけであります。ただ、何らかの意味で連結財務情報というものを営業報告書に書かせるということは考えていいことではないかというふうに思います。
○沢田委員 何らかの方法で連結財務諸表を書かせる、こう言われましたね、いま。そう言われたのですね。
○中島(一)政府委員 連結財務諸表そのものではなくて、連結財務に関する何らかの情報を書かせる。たとえば、子会社に関する情報でありますとかあるいはその他関連会社に関する情報を書かせるということは考えられるのじゃなかろうかということを申し上げたわけでございます。
○沢田委員 たとえば、これは銀行を挙げても結構でありますが、まあ銀行法も現在審議をしている最中でありますが、大口融資の問題などについてはまだまだこれからの問題になっております。たとえば、銀行の取締役が会社の金を誠備グループなどに入れていく。しかもこういうことが結果的には、たとえば平和相互銀行を挙げてみますと、本社から出ている金は二億幾らかでありますが、事実上は四十億近い金がいろいろな名目で各子会社を通じて出されている。そのこと自身はあるいは商法上違法でないのかもわかりません。しかし、今日、誠備グループの問題で加藤何がしが一人脱税ということで逮捕されているのですが、そのことによってより多くの社会的な影響を与えた。ある報道によれば、国会議員も多数参加されていたとかされてなかったとかいう話すらあるのでありまして、言うなればこのことが政治に与える影響あるいは国民に対する印象、信頼感、そういうものはきわめてよくないことになるのだろうと思うのであります。こういうことが野放しで許されていいのかどうかということになるわけです。これはそれぞれ銀行は銀行としての一つの条件があるわけでございますけれども、大蔵省から証券局も来てもらっておりますが、そういうことが許されていいと判断をされているのか、あれは望ましくないと判断をされているのか、まず結論的に法務大臣がどちらか言ってもらって後、大蔵省からひとつお答えをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 現状におきましては企業の結合というものが進んでおるわけでありまして、企業単独で物事を考えるべきではなくて、結合された企業全体として物事を考えるべきであろうというふうに考えるわけであります。単独それぞれの企業としての好ましい好ましくないという問題を離れて、そういう関連企業全体として評価しなければならないというわけでありまして、その一部に好ましくない現象があるとすれば、それは全体として好ましくない現象であるというふうに私どもは考えております。
○宮本説明員 お答えを申し上げます。 証券取引法の一条には目的が書かれてございます。国民経済の適切な運営及び投資者保護、こういう観点からのものではございます。しかしながら、経営をコントロールするような大株主というものがなくなった現代の大企業におきましては、そういう経営者をコントロールする手段といたしまして、いわゆるアメリカで発達いたしましたディスクロージャー制度というものが現在採用されておるわけでございますが、このようなディスクロージャーというものが、結局開かれた社会というふうなところから、そういう経営者が悪いことができないという歯どめとして採用されているわけでございまして、こういう手段が投資者保護のための手段としても用いられているというものであろうかと思われるわけでございます。 五十四年の九月に航空機疑惑問題等防止対策協議会というふうなところから提言が出されまして、そこで、そういう投資者保護の観点からするディスクロージャーの強化というものもうたわれたわけでございますが、やはりディスクロージャーの理念と申しますか、そういうものに重きを置いて採用された一つの提言だろうと思われるわけでございます。したがいまして、証券取引法上のディスクロージャーにおきましても、個別企業の財務情報というものだけでは不十分である、やはり互いに支配、従属関係にあります企業集団を単一の組織体とみなして、総合的な集団全体としての経営成績、財政状態というものを開示することが大事ではないか、こういうふうな考え方を証取法上もとっておるわけでございます。昭和五十二年四月以降に開始する事業年度からこの連結財務諸表制度、規則というものを企業に適用いたしまして、そういう連結ベースの財務諸表を有価証券報告書に添付して出させるということをいたしておるわけでございます。 さらにつけ加えて申し上げますと、いま国際的な場で多国籍企業の諸問題を議論いたしております中でこの連結財務諸表の重要性というのはうたわれておりまして、とりわけ、子会社のみならず、関連会社と申しますか資本金の持ち株比率が五〇%未満二〇%以上というような関連会社についてもやはり連結財務諸表を強制すべきだというふうな見解が強く表明されておりまして、私どもといたしましても、先月の二十二日に大蔵省令を改正いたしまして、この連結財務諸表制度に持ち分法を採用すべしというふうな改正を行っておるわけでございます。もちろん実際に適用されるのは二年ほど先になるわけで、これは大企業にとっては数十社に及ぶような関連会社を随時連結させていく準備期間が必要だということで、そういう猶予期間を置いたのでございますが、五十八年からは全面適用というかっこうになるわけでございます。 証取法上におきましても、こういう企業グループ全体としての連結ベースの財務内容の開示というのは大変重要だというふうに考えて施策を講じておるわけでございます。
○沢田委員 さっき、中島民事局長の答弁では、この営業報告書については法制審議会の審議を得て、こういうような言葉を言われていましたが、結果的には、商法全体を見ていった場合にいろいろと後退した分がありますけれども、この省令でどこまで答申の中身が充実をするのかということにかけられているわけです。だから、本来ならばとれと一体のものとして提案をして、だから皆さんの御心配はありません、国民の皆さん安心してください、こういう提案をするのが当然の形態ではないか。あとは後ろの方へ隠しておいて、何が出るかわからぬ。グーが出るか、チョキが出るか、パーが出るかわからぬ。こういうようなことで商法の審議に当たるということは、やはりこれも国会の審議としては不親切なものであると私は言わざるを得ないと思うのです。だから、いま考えているものは何か、これだけはいまひとつはっきり言って、いま現在で考えているものは何か、白紙なのか、これとこの程度は考えているのか、その程度だけひとつ明示していただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 営業報告書の記載事項あるいは記載方法につきましても、法制審議会で一応の御検討がありまして、そしてそれの結果を試案という形で公表をいたしまして、そして各界の御意見を伺ったということがございます。それに対しまして、各界からいろいろな意見をお寄せいただいております。そういうものを参酌をいたしまして法制審議会において検討をすべき段階であったわけでありますけれども、法務省令に定めるということになりましたために、法制審議会といたしましては、差し当たりまず急ぐ法律事項についての審議をされた、していただいた、こういう経過になっておりまして、まだ営業報告書についての記載方法、記載事項につきましては法制審議会の御検討、御審議を得てないわけでございます。 しかしその際に、法制審議会といたしましては、法務省令をつくるときには法務省で勝手につくらないで法制審議会の審議を経るということにしてくれ、こういうことでありましたから、それはお約束をいたしましょうということを申し上げておるわけでありまして、現在法制審議会の商法部会を開いていただくように準備会をいたしておりますが、まだ案としてまとまったものには至っておらないという実情でございます。
○沢田委員 若干それは疑問があるのでありますが、やはりここへ出して国会の意見も聞いて、そしてそれを審議会にかけるというのが筋道なんじゃないですか。それじゃわれわれの意見が全然入らないで、裏側だけで省令がつくられていくという仕組みというのは、これはやはりおかしいということになるのじゃないかと思うのですね。ですから、これはやはり一回こういうたたき台を出して、それが省令がいいか悪いかの問題は別として、やはりそれぞれの委員の意見を吸収したものをつけて審議会にかける、これが筋だと思うのです。これはとにかく税制調査会なんかだってそうでしょう。各党の意見、各界の意見、みなくっつけて税制調査会でいろいろ審議して、それで結論を出しているわけでしょう。われわれの前には、それは秘密です。秘密ですというよりも、意見は問答無用です、われわれだけが勝手につくります、文句言うな、こういう式でしょう。それば通る話じゃないのじゃないですか。 だから、この程度のものは考えております——試案はもう出ているのですね。開示制度に関する各国の法制比較から、あるいは試案も出ているのですよ。それについて、こういうふうなこれが出ていますけれども、まだ審議会の議を経なければなりません、しかし、皆さんの御意見もあったらお聞かせください、それが素直な態度ではないですか。どうですか、法務大臣、そういうわれわれをばかにしたと言いますか、そういう審議のやり方ということは、もう財界だけにこびている法務省の形態を如実に物語っている。われわれを秘密裏にカーテンの外へ出しちゃっておいて、われわれだけが勝手につくります、審議会、審議会、何とか審議会に逃げ場を求めてわれわれの意見を食いとめようとしておる。そういう態度はよくないと思いますね。だから、一応われわれの意見も聞く、こういうことになっていますというものをオープンにする、そしていろいろな各界からの意見も聞いてもらって結構ですよ、そして審議会にかけますというのが私は素直な態度じゃないかと思いますね。若干、私はいまの態度にはこれで了承するというわけにはいかない、こういうふうに思います。
○中島(一)政府委員 文字の形になったものといたしましては、試案というものがある。その後、こういう形のものはできておらないわけでありまして、先ほど申しましたように、この試案に関する各界の御意見、それから法制審議会の御意見等伺いまして、そしてなお一番重要なことは、今回の商法改正の趣旨と申しましょうか、目的と申しましょうか、そういうものを最大限に尊重する、配慮するということになるわけでありますが、その際、国会における御審議の経過あるいは質問にあらわれました国会における御意見の趨勢というものを最大限に尊重するということは、これはもうもちろんのことでございます。
○沢田委員 これは読み上げることは時間の関係で省略しますが、「主要各国における現行開示制度の概要」というのがあります。それでアメリカの場合について申しますと——大体日本の法律というのは、昔はドイツでしたが、いまはアメリカ的な要素が非常に多いのですね。アメリカに体まで染まっちゃったというようなのがいまの日本の実態になっちゃっているのですが、開示制度関係法規は証券法、証券取引法その他、それから開示すべき計算書類等は連結貸借対照表、連結損益計算書、剰余金計算書、資金運用表、附属明細表、年次報告書、それから財務諸表の作成期限は決算日後九十日以内、それから財務諸表の確定権限といいますか、それは取締役会で決める。それから年次報告書をSECに提出する。それから監査制度としては公認会計士監査、監査人は取締役会または株主総会で選任される。これは現行の法規になっているわけですね。SECの報告はすでに出ている。 日本の連結損益計算書などはもう外国には皆行っているのですよ。日本だけがわからないでいる。外国には皆それが行っちゃっているのだけれども、日本人には教えない。こういう商法のあり方、これもまた問題なんですね。これは法務大臣も大いにひとつ反省しておいてもらいたい。日本のわれわれが知らない情報が全部、日本の銀行の中身は皆外国には行っちゃっているのですよ。ところが、われわれにはこの連結貸借対照表がないから、親会社、子会社、どこの株の保有率が高いか、低いか、そういうことがわからないようになっておる。これも国内秘密主義であって、もう時間の関係から結論だけ言いますが、そういうようなことについては全然われわれには知らさない政治体系がとられている。こういうことはきわめて遺憾なことでありますから、この法案についてまだ各委員から御質問があるでしょうから、どうかその中で内容充実をひとつ図っていただきたい、こういうふうに思います。 それからもう一つは、多国籍企業の地位の問題であります。日本にもたくさんの多国籍企業が存在しております。これの地位は商法上どういうふうに考えて位置づけているのか、ひとつお答えいただきたいと思う。
○中島(一)政府委員 多国籍企業全般ということになりますと、非常に広範な問題になってくるかと思いますけれども、特に私どもが関心を持ちますのは、外国企業、多国籍企業がわが国において営業活動をする場合、どういう地位にあるのか、どういう権限と責任を負うのかという事柄であろうかということで考えております。それで、商法の第六章「外国会社」という規定がございます。四百七十九条によりますと、「外国会社が日本ニ於テ取引ヲ継続シテ為サントスルトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定メ其ノ住所又ハ其ノ他ノ場所ニ営業所ヲ設クルコトヲ要ス」、こういうふうになっておりまして、「外国会社ハ其ノ営業所ニ付登記及公告ヲ為スコトヲ要ス」、こういうことになっているわけであります。でありますから、外国会社が日本において営業する場合には、営業所ごとにその代表者の定めがあり、かつ、それが登記をされておるということが前提になろうかと思うわけであります。そして四百八十一条、その登記前には継続取引をしてはならないとか、あるいは四百八十四条、営業所閉鎖命令を出すことができるとかというような法律上の手当てをしておるわけでありまして、さらに商法の……(沢田委員「いいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。そういうような立場にあるというふうに理解しております。
○沢田委員 「代表者」というのは、どういう意味に解釈していますか。
○中島(一)政府委員 営業所ごとにその営業を代表する者、本社を代表する者というふうに考えておりまして、それについては商法の七十八条に規定がございます。この七十八条の規定を外国会社にも準用いたしております。七十八条の規定というのは、「会社ヲ代表スベキ社員ハ会社ノ営業ニ関スルー切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス」という合名会社に関する規定であります。これを外国会社にも準用しておりますので、代表社員の地位というものは七十八条のようなものであるというふうに理解をしております。
○沢田委員 じゃ、たとえばこの法務委員会に、アメリカの銀行でもいいですが、銀行の支店の支店長を呼ぶことは、代表者ですから当然国内法として適用される、こう解釈してよろしいですか。
○稲葉説明員 この外国会社に関します規制はいま局長が申し上げたとおりでございまして、その場合に国政調査権がどのように外国人について及ぶかということにつきましては、まだ私どもも研究いたしておりませんのではっきりしたお答えはいたしかねるわけでございますが、商取引に関しましてはあるいは営業取引に関しましては、裁判上、裁判外の一切の権利を、権限を、代表権を有することにいま商法では規定しているわけでございます。
○沢田委員 その本社を代表するということは、取締役であるとかの人々を国内法では言っているわけです。あるいは取締役兼工場長であるとか従業員を兼ねるという現状もあります。ところが、いま言われた国内法を適用しない治外法権は領事館内とか、それ以外は国内法が適用するんですよ。そんなことは適用しないと言ったらとんでもない話なんで、これは当然適用するんだ。なぜ呼べないのか、なぜ呼ぶことができないのかといったら、代表権を持っていないからなんですよ。その会社の代表権、日本で言う取締役の代表権を持っていないからなんです。それで呼べないのであります。ところがいまのあなたの答弁では、本社を代表するんだ、こう言っておる。代表権を持っている、こう答えた。その点はいかがですか。
○中島(一)政府委員 代表する本社は外国会社でありますから、外国法人でありますから、外国法人も外国人と同じように日本の国権がどの程度及ぶか、そういう問題であろうかというように考えます。
○沢田委員 どうもかみ合わないのでありますが、いわゆる多国籍企業といえども国内の法律の適用は受けるのが原則である、これは間違いないでしょう。そうでしょう。そうすると、そこに従業員がおられた場合に、あなたはいま代表者と言った。その代表者はすべての商法上の権限なり義務なりというものを同時に担うものである。ところが代表者ということになると、それは本社であって、アメリカであって、日本の営業所の所長であるとか支店長は本社を代表しないとアメリカは言うんですね。その辺のずれがどこにあるのかということをいまただしているわけです。あなたは代表すると言った。代表権を担っているならば日本の国内法を適用してここにも来てもらうことができる。英語でしゃべられるからわからないかどうかそれは別問題として、それは当然国内法を適用するのが筋である。ところが実質上は代表してないのですね。代表してないから本社の重役を呼ばなければ、マネージメントを呼ばなければ話にならない、こういうことになる。 これは一つの実例を挙げたわけでありますけれども、多国籍企業のあり方についてもこれから検討するんだというのでこの法務委員会に提案しちゃって、あとどうなるのかわからないのだけれども、まあ適当にこれで間に合わせておいてくださいよというような提案の仕方というものはずいぶん不見識なものじゃないのかという気がするのですが、お答えがあったらひとつお答えいただきたいと思います。
○稲葉説明員 繰り返しお答えするわけでございますが、結局商法で規定しておりますのは、会社の営業活動につきましての一切の代表権を持っているということを規定しているわけでございます。国会等に喚問いたしますのがそういう営業活動に関する代表権というものの発露としてそういう喚問があるのかどうかという点については私どもつまびらかにいたしませんので、商法の規定の上では七十八条の準用ということによりまして代表権があるという規定になっているということを再度お答えいたしたいと思うわけでございます。
○沢田委員 もう時間がなくなったので、喚問ということを何も無理にくっつけることはないので、参考人であろうと何であろうと同じなんです。ただ問題は、国内法をすべて適用するということが前提でなければならぬのだから、それがもし代表者であるとすれば、会社を代表して、たとえばその会社の業務内容等について企業の秘密に属さない限りにおいてそれぞれディスクロージャーとしての義務を負うものである、こういうふうに私は理解をするわけなんであります。 あと最終的に、いままでの議論を通じて、どうも商法をりっぱにおつくりになっていただいた労苦は多といたしますけれども、一応ほめておきますが、非常に不十分である、そういうことで私としては答弁も十分満足がいかない状況で審議を終了することははなはだ遺憾でありますが、いま申し上げたような諸点に対して法務大臣としてはこれからどう対応していただくか、私もよそ者ですから一応丁寧に物を言っているのでありますが、法務大臣からその見解を承って、質問を終わりたいと思います。
○奥野国務大臣 いろいろ大事なお尋ねをいただきましてありがとうございます。 先ほど来、まだ法務省令を提示できないじゃないかというおしかりもいただきました。これは法制審議会の審議の過程で省令をさらに掘り下げて検討しようということになっておりますし、法務省としては法制審議会の答申待ちにいたしますという約束もいたしております関係上、どうも歯切れの悪いような答弁であったと私も大変恐縮に感じているわけでございます。いろいろお尋ねいただいておりますので、それらの趣旨を体しながら今後の問題に対処していきたい、こう思っております。
○沢田委員 では、終わります。
○高鳥委員長 小林進君。
○小林(進)委員 ともかく、ぼくは大変自分が不満に思っておることからぶつけます。ぼくだって二日分くらいこれを勉強してきているのですよ。本当に一月もかかって勉強しているのだ。それをたった四十分か二十分でやれというのだから、神わざでもできないのだ。だから率直にぼくは不満から先にぶつけますけれども、四十九年に商法を改正せられてから自後、この法律改正のために、国会提出までどういうような経緯を経られたのか。これはうちの稲葉理事の質問にも若干あったようでありまするけれども、関係団体それから利益団体その他に対してどういうふうな調査を依頼したり、アンケートを出したり、意見を聞いたりされたか、その経緯をひとつ私は承りたいと思います。
○稲葉説明員 事実関係でございますので、私からお答え申し上げます。 昭和四十八年と四十九年に附帯決議がなされまして、その際に商法改正が成立したわけでございますが、それを受けまして、昭和四十九年の九月から法制審議会にお願いをいたしまして全面改正の作業ということのための検討をしていただいたわけでございます。 当初の段階におきましては、まず商法改正に関してどういう問題点があるかということを検討いたしまして、それが昭和五十年の六月に会社法の問題点という意見照会をしたわけでございます。これは各界に対しまして照会を発し、また照会を発しなかった団体につきましても自由に御回答いただくということで、広く世の意見を聞いたわけでございますが、これに基づく回答が大体その年いっぱいかかりまして、五十年の三月くらいから、今度はその各界の意見を参酌しながら実質的な審議を始めた……(小林(進)委員「五十年三月、五十一年の三月だろう」と呼ぶ)失礼しました。五十一年の三月です。五十年の六月に意見照会いたしました。 それで、当初株式制度について審議を開始いたしまして、五十二年の五月に「株式制度に関する改正試案」というものを発表いたしまして、これについても各界の意見を伺ったわけでございます。その各界で検討していただく間も、私どもは直ちに次の問題でございます株式会社の機関の問題について法制審議会では検討していただきまして、昭和五十三年十二月にその「株式会社の機関に関する改正試案」というものを提示いたしました。五十四年十二月には、さらに「株式会社の計算・公開に関する改正試案」というものを提示いたしましたが、その間、昭和五十四年九月に法制審議会においては全面改正の作業をそこで停止して、いままで申し上げた三つの部分、株式、機関、それから計算・公開という部分を合わせて全面改正の一部分先取りと申しますか、そういう改正を行うという結論を出したわけでございます。そして去年の初めから、その三つの部分につきまして法制審議会ではスピードアップしていただいて審議をしていただき、十二月に部会の答申をいただき、そしてことしの一月に総会で決定をしていただいた、こういう経過になっております。
○小林(進)委員 それからこの一月、いわゆる法制審議会の答申を受けてからこの国会へ持ってくるまでの期間のこともちょっとお伺いします。
○稲葉説明員 その部会の答申をいただきましてから法制審議会の答申をいただく間も、私どもはいろいろ検討しておいたわけでございますが、最終的に総会で答申をいただきまして、鋭意法案作成作業を行いまして、三月二十四日の日に国会に提出いたしたわけでございます。
○小林(進)委員 いまお話しのとおりだ。あなた方は、いまも言うように、この改正の問題で各界にいろいろ出したり、自分たちの草案を提示したり、また意見を聞いたり、大変微に入り細にわたり結構だと私は思う。それで結構ですよ。しかし、法律をつくるところはここなのだ。ここなんですよ。あなた方はその答申を受けて三月二十四日に初めて国会に出した。いま何日です。われわれに対して一体何の意見を求めている。何の試案を提示した。何の資料を持ってきた。私の言いたいのはそれなんです。 あなた方が本当に法律をつくるための作業の中心をあなたたちの利益団体や関係者や経団連やその方に置いておいて、そうやってあなた方の原案というものが法制審議会を通じてでき上がって、三月二十四日に国会に出した。それから先は一体何です。慎重にわれわれの意見を聞こうと思っているのか。そのやり方は、何としてもわれわれの質問を機械的にしゃべらせておいて、一定の期間を経たら理事会で話を決めて、何月何日にすぽっと上げよう。もう目標は決まっているじゃないか。今度の通常国会のうちにこれをつくってしまおう。御意見がありましたら承るという姿勢が君、一体どこにあるの。各野党だったって、社会党もあれば共産党もあれば民社党もある。みんなある。われわれは国民の負託を受けている。国民の信を受けて、そしてわれわれは法律作業に従事をしているという最も重大なポイントにあるのだ。 そのポイントにある者に対してでき上がった案を持ってきただけであって、その過程の中で一体われわれやわれわれの代表にどれくらい手を尽くして、君たちの考えを普及しながらわれわれの意見を吸収するという作業に移ったのか。この過程の中で、言いかえれば五十年から五十六年五月十一日の間に、一番法律をつくるべき重大な責任があるわれわれに対して、どれくらいに一体試案を提示し、原案を提示し、草案を提示しながらわれわれの意見を聞くという姿勢を示したか、どうぞそれを承りたい。どんなことをやってくれたか。
○中島(一)政府委員 商法の改正ということでございますので、いろいろな学説あるいは判例等を検討するということになるわけであります。法制審議会におきましては、学者を中心として関係団体の代表者を委員にお願いをいたしまして、非常に細かなと申しましょうか、綿密な御議論をしていただいたわけであります。その結果答申を得まして、それを法律案という形で国会に提出をしたわけでありまして、あとは国会におきまして政治的なセンスと申しましょうか、そういう立場から慎重に御審議をいただきたい、こういうのが私どもの願いでございます。 この審議の過程におきましていろいろと貴重な御意見もお伺いさせていただきました。商法改正、今回はいままでのいきさつから申しまして、私どもといたしましてはぜひ今国会において通していただだきたいというふうに考えておりますけれども、これは先ほど稲葉参事官も申し上げましたように全面的改正の一部を取り上げての改正でございますので、まだ全面改正のあとの部分が残っております。その際にも十分に国会における今回の御審議の経過などを反映させていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○小林(進)委員 私はこれが最大の不満なんだ。君たちは学者の意見を聞いたり、専門家の意見を聞いたり、あるいは経団連等利益団体の意見を聞いたり、そういうことをすることを私は決して拒否しない。非常に結構だと思っている。結構だと思うが、それほどの意見を聞くなら、それよりも五倍も十倍ももっと親切丁寧に聞かなければならぬのがこの立法府のわれわれの意見じゃないがと言うのだ。この立法府の法律を採用しているわれわれの意見をその人たちよりももっともっと時間をかけ、もっともっと慎重に聞かれて、その中で修正すべきことは修正するような立場に立つ。立法府尊重ならば、あなた方にそういう姿勢が出てこなければならぬじゃないか。 いま言うように、一月に法制審議会の答申を受けてこの三月二十四日にわれわれのところに法案を出すまで一体何をやった。要綱を条文化するための手続もあっただろうが、その間において、君たちは公認会計士協会や税理士会の意見を聞いて、たとえば負債を百億を二百億にしたとか、利益の百億を削除したとか、最終的に出された答申案も関係団体、利益団体などの手直しで修正しているじゃないか。それほどの修正までやっておきながら、一たんここへ顔を出したら、われわれの修正に応じようとか意見を聞こうという考えは一つもない。 委員長、これは政府側にも言いたいことだし、あなたにも言いたいことだ。いつでも立法府などというものは、もはやそこまで来たらなるべく修正はしてくれるな、早く原案を上げてくれ、それまでは委員長としてある程度目をつぶってもしゃべらしておこうという姿勢しか映らない。これは自民党とか社会党とかいう問題ではなくて、立法府と行政府との関係です。君たちが依然として一番重要視しているのは、この法案修正に関する利益団体の意見だけだ。そういう意見だけは実に緻密に聞いているじゃないか。くどいようだけれども、私は了承できない。 私は、まだこれをもっと研究したいし、税理士会や公認会計士協会や経団連等の修正意見以上に、国民全般に奉仕する立場から修正したいような意見がまだ幾つもあるので、私に修正の意見を出させてください。私の修正意見を聞くだけの時間の猶予を下さい。これは委員長、あなたに言っておく。さもなければ、私は国民から選ばれたる立法府の一員としてこれを了承するわけにはいきません。私は、これは国会議員の立場で厳重に申し上げておきます。 まだ問題は山ほどありますが、時間が限られていますから駆け足で言わなければなりません。 これはどなたでもいいですが、次に、使途不明金問題についてひとつお尋ねしたいと思うのです。これも国税庁に意見を聞けばいいのだけれども、うっかりあなた方にしゃべらせると、このうるさいやつを時間切れにするにはたらりたらりと長い間答弁した方がいいということでやられたらかなわないから、君の言い分も兼ねて私は言う。 国税庁の調査による使途不明金の額は、昭和五十一年七月から五十二年の六月まで、資本金一億円以上の法人一方五千社のうち約五千社について実地調査をした結果、行き先を言えない、使った道を公表できない使途不明金が二百九十五億だ。昭和五十二年度の事務年度、五十二年七月から五十三年六月まで、この資本金一億円以上の法人四千三百社を税務調査した結果、七百社で使途不明金が合わせて二百四十二億円だ。昭和五十三年度の事務年度に、やはり資本金一億円以上四千二百社を税務調査した結果、一千百五十六社の中で使途不明金が三百三十六億九千五百万円。昭和五十四年度も資本金一億円以上四千二百社を税務調査した結果、千四社で使途不明金が三百二十一億円だ。以上のように使途不明金は毎年増加しているじゃありませんか。 この使途不明金はだれの金だ。みんな株主のお金ですぞ。それが使途不明金という名前のもとに毎年毎年増加していることを監督官庁は認めているが、税務署もこれを認めている。税務署はむしろ喜んでいる傾向がある。いわゆる使途不明金というのは、読んで字のごとく支出先がはっきりしない金のことを言っている。はっきりしないのじゃないんだ。会社の中でみんなわかっている。わかってないと言ったら重役の重大なる責任です。その使途不明金と称する金をだれが受け取ったか、ちゃんとわかっている。それを隠すために使途不明金という名前を使っているのだから、これは何でもない、株主の財産の使途隠匿金だ。隠匿金ということで株主を土足にかけ、大衆を土足にかけて隠している。 これに対して国税庁は、税金だけ取っているからいいじゃないかという態度なのだ。こんな態度、考え方で一体結構なんですか。今度の改正でどうされましたか。株主の立場からすれば、使途が明らかにできないような支出自体があることが問題なのだ。これを今度の改正で一体どう改めましたか。——待て待て待て、君が出るとまた長話をされるから、私の方でまだ質問する。 その使途不明金を出した企業みずからが、使途不明ですと損金の計上を否認している。だから、企業としては損益計算をすれば税金が安いのだからやってもいいのを、特に税金をかけられることを覚悟してもその内容を明らかにしないというところに、私の言ういわゆる企業性悪説がある。このやり方は悪人ですよ。こういうケースが目立っているのだが、これからが私の質問だ。 今回の改正でこの使途不明金が生じないような方策がきちっと講じられているかどうか、これが一つ。 監査役は現行法上一体いかなる監査をしているか。この監査がきちっとやられていれば、使途不明金などというインチキな計算方式が許されるわけはないじゃないか。一体どういう計算をやっているか。 特に企業の決算書類を検査する公認会計士は、一銭一厘の行方まで検査するのが仕事でございましょう。その会社の経理内容をチェックしているはずの公認会計士が使途不明金をそのまま認めている理由は一体何だ。これで公認会計士の任務が果たされると言い得るのか、これは法務大臣にお伺いしたい。一銭一厘まで明確にしなければならないのが、こういうことを言って公認会計士の任務は終われりという形を一体正当なりとして認めているのかどうか。これが三点ですよ。 第四点目に申し上げますが、経営状態に重大な影響がない範囲の見落としや落ちこぼれならば、企業がつくった財務諸表は適正と判断してよろしい——よろしいとは言ってないけれども、まあまあ認めているようだ。企業会計の原則で定める重要性の原則というのは一体何だ。こういう使途不明金をどんどんみんな出していることも、重要件の原則から見て支障がないという見解をとっておられるのかどうか。 それから私が特に申し上げたいことは、経理内容をよりガラス張りにしていくことが社会的要請なのだから、これが今度の改正のポイントでなくちゃいけない。営業報告書または附属明細書でこういうことはきちっと明快にするように一体やる気があるのかないのかです。これを法務省令か何かでちょこちょことおやりになるというふうなことも聞いているけれども、最初の法務省の草案はそんなことじゃなかったはずだ。この明細書や報告書の中にきちっとした規定を設けて、そうして一つ一つ明細に公表するというふうな考えが法務省の原案の中にあったと私は聞いているが、この点はどうか。 以上、ひとつ御質問いたします。
○中島(一)政府委員 いろいろの点御質問ございましたので、私どもの方に関係のある部分についてお答えを申し上げます。 まず、使途不明金についての御質問がございましたけれども、これは先ほど御質問にもございましたように、税法上の概念であろうかと思うわけでありまして、商法上は使途不明金というものはないというふうに考えておるわけでございます。税務申告をいたしますのは確定決算に基づいてやるわけでありまして、財務諸表が確定をいたしまして、それに基づいて税務申告をする、そしてその税務調査の段階で使途不明金という問題が起こってくる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。したがいまして、計算書作成のときには使途不明金というものはない。 税法上の概念である使途不明金ではなくて、事実上使途の不明な行き先のわからない金というものがあり得る可能性があるじゃないかという御質問かとも思いますけれども、それは場合によってあり得るということは否定できないと思います。ただ、その場合に監査役は、まずその使途を十分に調査すべきものであるというふうに考えます。商法の二百七十四条によりますと、「監査役ハ取締役ノ職務ノ執行ヲ監査ス」あるいは使用人に対して報告を求めることができるというわけでありますから、疑いのある支出については一つ一つ綿密な調査をしなければならないわけであります。それでも判明をいたしません場合には、あるいは代表取締役に話をする、さらには取締役会を招集をして取締役会の監督権の発動を求めるというような方法も監査役としては認められておるわけでありますから、そういうものを活用しなければならないわけでありまして、それでも最終的に使途を把握することのできないような支出がありました場合には、これは新しい改正法案によりますと、二百八十一条ノ三の二項の十一号でありますが、「監査ノ為必要ナル調査ヲ為スコト能ハザリシトキハ其ノ旨」を監査報告書に書くということになっておりますので、そういう方法をとらなければならないものであるというように考えます。 会計監査人におきましても同様に支出を監査をするわけでありまして、そこに不当なる支出がありました場合には監査役に報告をしなければならないものであるというふうに考えます。 それから、営業報告書及び附属明細書の記載方法についての御質問がございましたが、これは先ほども申しましたように、法務省民事局参事官室のつくりました試案というものがございまして、その試案の中に営業報告書、附属明細書は省令で書くんだけれども、その場合の記載方法、記載事項は次のようなことではどうかという試案の注というものを書きまして各界の御意見を伺ったことがございます。その後、まだその点についての検討は進んでおりませんけれども、先ほどからも申し上げておりますように、今回の改正の趣旨が会社の業務の実態、会計の実態をディスクローズすることによって会社の非行を防止する、あるいは開かれた会社というものを目指すということが、今回の会社法改正の一つの大きな柱でありますから、その点を踏まえてこの内容を考えるということは申すまでもないことでございます。
○宮本説明員 まず、二点御答弁申し上げたいと思います。最初は使途不明金につきまして、それから二番目に、重要性の原則ということでございます。 ただいま法務省の方からも御答弁がございましたように、証券取引法上の公認会計士監査におきまして、いわゆる使途不明金というものがどのように監査されておるかという点について若干御説明申し上げておきたいと思います。 公認会計士協会の方におかれましては、五十四年の十二月に協会長通達といたしまして、「不正支出、使途不明金等に係る監査の充実強化について」という通達をお出しになっておられるわけでございます。この通達の中で、いわゆる税務上生じておるような使途不明金をチェックするために納税申告書をその参考にするようにということがサゼスチョンしてあるわけでございまして、こういうものに基づきまして、公認会計士あるいは監査法人の監査人たちはいわゆる使途不明金と言われたものの内容を手を尽くして監査しておるというのが実情でございます。 これらの使途不明金の中に種々監査手続を尽くしてもなお支出先や使途が明らかにならない、つまり会社側が明らかにしなかったような場合におきまして、そういった金額が非常に大きいもので監査上支障を来すようなものである場合には、当然その財務諸表が会社の財務内容を適正にあらわしているかどうかについては公認会計士として意見を表明し得ないことになるわけでございます。したがいまして、公認会計士は、そういう場合有価証券報告書に添付されます監査報告書の中におきまして、そういう多額の使途不明金があるという事実及びその金額、さらに財務諸表について監査ができなかったわけでございますから、意見差し控えであるとか不適正意見であるとかそういったものを記入するというようなことになっておるわけでございます。 先ほど御紹介いたしました公認会計士協会長が五十四年十二月にお出しになった「不正支出、使途不明金等に係る監査の充実強化について」という通達には、そういったものに対する細々とした調査手段あるいはその監査の方法等が書いてあるわけでございますけれども、とりわけ、その使途が秘匿されて解明されなかった支出といったものを発見しましたときは、こういった事実を監査役に対して文書で報告せよということを言っておりますし、さらに、その写しを取締役会に提出してほしいというふうなことも要望されておるわけでございます。さらに、このような報告における指摘に対しまして会社側がしかるべき措置を講じていないという場合には、公認会計士として引き続き強力にその改善勧告を行うとともに、これまでの是正措置がとられていない理由あるいは今後行おうとしている措置等について会社の方から陳述書を求めるといった通達を出して対処しておられる。こういうふうな措置が証取法上の監査についてはとられておるわけでございます。 それからもう一点、先生が最後にお尋ねになられました重要性の原則ということでございます。 企業会計原則の注解1というその原則の中にも重要性の原則の適用ということは定められてございまして、まあ企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないということが非常に重要なことでございますから、余りに細かいところに入って重要なことが見落とされてはいかぬという観点から、重要性の乏しいものについては本来の厳密な会計書によらないで簡便な方法によることも差し支えないということを企業会計原則で定めておるわけでございます。 公認会計士が監査をいたします場合には、こういった企業会計原則の重要性の原則に基づいて自己の判断でその会社の財政状態、経営成績というものが適正かどうかということを判断して、適宜その重要性の原則を適用しておるわけでございますが、公認会計士協会におかれましては、その重要性の判断基準として、会員である公認会計士、監査法人が一つの指針として頼れるものを通達として会員に出しておられるわけでございます。「重要性の判断基準について」という通達でございますが、これには相当綿密にいろいろな角度から重要性を判断することが求められておりまして、一つには、量的基準というものが細かく規定されてございますし、第二点といたしましては、質的な基準ということについても述べられておる。さらに最後におきましては、その法令の規制に違反する除外事項については特に重視するというふうに、法律事項であればそれは量的な基準よりもむしろ質的な基準とみなして、重要性の原則を適用することが望ましいという趣旨のことが述べられておるわけでございます。
○小林(進)委員 公認会計士の態度だとか、重要性の原則など、ぐたらぐたらと長い答弁をしてくれたけれども、こんなものは実情の面においては何も効果がない。大体原則が間違っている。使途不明金などというものは、だれのためにこれを防衛してくれるのか。株主ですよ。株主の立場で物を考えた場合に、あなたの答弁なんか何だ。そんなものは公認会計士だとか取締役会、重役の密室の中のやりとりだ。重要事項にするといったって、そのとおりだ。本当に利害得失を買っている株主の側から見たら——大株主は別だ、重役なども入っているだろうけれども、いわゆるわれわれが守らなければならない大衆株主から見れば、いまのあなたの答弁なんか何も効果がない。ただしゃべってみただけの話だ。 そんなことを議論したってしようがないから私は言うけれども、第一に私が言いたいことは、こういう使途不明金などという本来株主に帰すべき財産が驚くべき巨額になって不明になっているが、それに対して株主の知る権利、それを今度の法案でどれだけ守ってくれたか。株主こそこの問題に対して一番発言力があるのだ。この立場をどう守ってくれたか、これが一つ。 それから第二番目に、法務省に聞くけれども、営業報告書とか附属明細書に対するいわゆる開かれた会計、これは株主に開かれた会計でなければならぬが、そのために試案をお設けになったというなら、その試案が一体どんなぐあいに今度の法改正に生かされているのか。同時に、その試案を私のところに資料として提出していただきたい。 ところが、参事官だか審議室だか知りませんが、お出しになりましたその試案に対しては、業界を挙げて反対をした、反対ということはなんでありますけれども、財界そろって消極的な姿勢を示した、こういう一つの報道もある。もちろんそれは会計公開の原則で、私ども漏れ承れば、法務省の事務官は相当いいものをおつくりになったと聞いているのだけれども、それを試案としてお出しになったときには、全国的に関係団体、いわゆる経営者団体はほとんどが消極的な姿勢を示した、こういうことなんです。時間もないから長話もしていられないけれども、会社の計算・公開に関する改正試案を法務省がまとめて各界から意見を聞いたところ、これに回答した全国三十近くの経済団体、経営者団体と言ってもいいだろう、それらの団体は消極的であることがわかった。これが改正のポイントなんですよ。そのポイントでなぜ反対したのか。その反対の理由を明確にしなければ、こんな法律改正でわれわれは議論したって無意味なんだ。 だから委員長、願わくはそういう反対をした経営者団体の三十数人の代表をここに並べて参考意見を聞こうじゃないか。一番重大なところをあなた方は何も聞かぬじゃないか。私が理事ならば提案して、あなた方が何と言ったって要求を出すけれども、私は理事ではない。本当に各委員会に理事なんという特殊階級をつくっているのが間違いなんだ。理事会制度というものは国会法にも衆議院規則にもないんだ。これは委員会の運営のための便法として設けられただけだけれども、いつの間にやら——わが党の理事はごりっぱで、正々堂々の理論を吐かれるけれども、わが党をのけてあとの理事は密室の中でつまらない取引をやっている。そして公開における委員会の審議をおかしくひん曲げてしまう。これは長い国会における私の経験ですけれども、非常に悪い慣習だと思って残念でならない。 いまも言うように、今度の法案で審議するとすれば、総会屋退治、使途不明金、これをきちっとやらなければ大衆投資家の利益などは守られない。そのポイントのためには、反対しているそういう諸君をここへ呼んで、偽らざる意見を聞くのがあたりまえじゃないか。何もやらないじゃないですか。私は委員長、あなたに要求いたしますが、こういう重大なる経理の公開に対する法務省の試案に何の理由で反対したのかということを、われわれがみずからの目、みずからの耳で明確に察知できるような場を設けていただきたい。 なお、聞くところによりますれば、そういう経営者の団体からこれこれの理由で反対するという意見書も出ているということであります。これは文書で出ていて、法務省がお持ちだというのであります。これをわれわれに資料として直ちに提出していただきたい。しかし、法務省と経団連などが秘密の癒着の関係があって、野党の国会議員なんかに見せるわけにいかないというならそのとおり御答弁いただきたい。それを出していただきたい。 時間が来ているが、私はまだ質問を打ち切るわけにいかない。 いま一つ。税務署はこういう使途不明金に対して、そのまま税金がかけられるから好ましい。これを明らかにしては、損益計算で取れる税金も取れないからということで、使途不明金などというあいまいな報告書類を税法上簡明とまではいかぬけれども、安易に認めているということもわれわれは非公式に聞いているが、もし事実とすれば大変だ。国家を運営する公務員の立場でありながら、こういうあいまいな経理の内容を、税金が取れるからいいというような考えがあったら言語道断だ。あくまでも大衆の前に、株主、国民の前に、こういう使途不明金などというものが一銭もないようにちゃんと措置する考えがあるのかどうか、これもひとつ明確にしていただきたい。 十二時までというからあれですが、それに関連いたしまして、今度の法改正は株主を擁護するという姿勢はちっとも見えない。株主の権利をむしろ後退せしめ、弱体化せしめている。私はロッキード問題に関連してアメリカにも大分行きました。アメリカのSECあるいは国務省、関係官庁も回りましたけれども、SEC、証券取引委員会がいかに株主の利益を守るために心血を注いでいるか、あの制度に私は本当に心から敬服した。スウェーデンに行きましては、オンブズマンの制度も久しく調査してまいりました。オンブズマンだとか証券取引委員会制度というものは日本には取り入れてしかるべきだという考えを持っていますが、これに対して関係庁はどう考えられているか、その点についてお伺いして、同時にSECに対する資料も漏れなく私のところに提出するようにしていただきたいと思います。
○高鳥委員長 小林委員に委員長から申し上げますが、参考人招請の件につきましては、委員会にお諮りいたしまして委員長に御一任をいただきました。したがいまして、小林委員も御賛成の上で御一任いただいて、理事会に諮りまして、各党異議なく関係団体を呼んでここで意見の陳述をいただいたわけでありますので、したがって小林委員の御要求はすでに満たしておるもの、このように考えます。
○小林(進)委員 確かに参考人をお呼びになりまして、公認会計士や税理士やあるいは経団連、お聞きしましたら日本鋼管の副社長という方だそうですが、そういう四人か五人を各団体の代表としてお呼びになった中に一人いたことだけは事実だ。しかし、それだけのことを了承してそれで能事終われりとする委員長の態度が私は気に入らないと言うのだ。そんなことは国会のわれわれの審議を早く仕上げをする一つの単なる便法といいますか、言いわけの材料をつくられたようなものであって、この法律を本当に正しく審議するという姿勢があるならば、私が言うようにそれはそれ、これはこれです。やはりこの問題でまた特別に参考人を十人なり十五人なり呼んで意見を聞くという姿勢があってしかるべきだと私は思う。私が予算委員をやりましたときには、特に問題を提起して、財界人一同を並べたこともあります。石油の問題が出てきたときには、私は石油の関係者を全部並べてやったことがある。この商法に関する限りは、特に株主総会あるいは使途不明金に関する限りは、法務委員会といえどもそれくらいの姿勢はあってしかるべきだと私は思う。 委員長、それをやってこそ委員長は大委員長の資格あり、次の内閣改造にはそれでは大臣に入れようかということも出てくる。そんなこともやれないようじゃ、とても大委員長の資格なしと言わざるを得ないのであります。いまの御答弁はちょうだいいたすわけにはいきません。 以下、政府からひとつ御答弁を願います。
○高鳥委員長 小林委員に申し上げますが、委員長としては適切な措置をとっておるものと考えております。 それでは、政府側の答弁を求めます。元木参事官。
○元木説明員 お答えいたします。 まず、最初の御質問でございますけれども、株主の知る権利でございますが、まず会社の会計に関しましては、取引その他営業上の財産に影響を及ぼすべき事項というのは全部会計帳簿に記載しなければいけないということになっているわけでございます。この会計帳簿につきましては裁判の際に、商法の三十五条でございますけれども、「裁判所ハ申立ニ依り又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ当事者ニ商業帳簿又ハ其ノ一部分ノ提出ヲ命ズルコトヲ得」ということになっております。さらに三十六条によりまして、この商業帳簿は十年間は保存しなければならないということになっているわけでございます。さらに二百九十三条ノ六でございますけれども、「株主の帳簿閲覧権」というのがございまして、これは発行済み株式の総数の十分の一以上に当たる株式を有する株主はこの閲覧、謄写を求めることができるということになっております。 それで、本来の理想から申しますれば、すべての株主がこういう書面を見ることができるということが望ましいかとは存じますけれども、実際問題といたしましては、企業秘密その他いろいろな問題もございますし、また会社の方でも非常に手間がかかるという問題がございます。それにかわるものといたしまして二百八十一条に定める計算書類というものがあるわけでございまして、これによって開示がされるということになるわけでございます。計算書類といたしましては、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、それにこれに対する附属明細書というものがあるわけでございます。これは、附属明細書を除きましては株主に送付されるということになっております。さらに、この附属明細書につきましては、今回の改正法律案では大中会社におきましては本店及び支店に備え置くということになっておりますけれども、それによって株主はこれを閲覧することができるということになっております。 それからその次に試案でございますけれども、先ほど来局長が申しましたように、昭和五十四年十二月に公表されました「株式会社の計算・公開に関する改正試案」というものの中に、これは当時、営業報告書という名前ではなくて業務報告書という名前にしておりましたけれども、まず、業務報告書は本文で法務省令で定めるということにいたしまして、その(注)で「業務報告書の記載事項を次のように定めることはどうか。」ということで、一応これは九項目でございますか提案をいたしております。これはもちろん民事局参事官室から公表したものでございまして、決して内々に秘密にしているというものではございません。 これに対しまして、先生御指摘のように経済団体からは概して消極的な意見が返ってきたわけでございます。その消極的な意見、いろいろございますけれども、これを概括いたしますと、余り細かな事項を公表するといいますか開示するということになりますと、企業秘密が漏れるということと、それから余りにもコストがかかり過ぎる、しかもその開示したことの効果は余りないというようなこと、そういうことが主な理由になっているようでございます。この関係団体の意見につきましても、概要でございますけれども、これも一応公のと申しますか一般の雑誌にも公表しておりますので、別に秘密にしているわけではございません。
○岸田政府委員 先ほど先生から使途不明金の課税の問題につきまして、課税当局は税金を取ればいいじゃないかという考えではないかという御質問をいただきました。決してそういうことはございません。私どもといたしましては真実の所得者に課税をするということが目的でございますので、法人の場合、使途不明金で法人税を取っておけばいいというわけではございませんで、必ずその受取先の所得税まで追及するのが本筋でございます。この点につきましては、私どもの税務方針の一番の基本といたしまして会議があるごとに指摘をいたしているところでございます。ただ問題は、税務調査には限界がございますという点が一つと、それから大量処理という点で非常に制約がございます。いずれにいたしましても、こういう限界、制約を超えて十分調査をいたしたいと考えております。
○小林(進)委員 もう時間が参りましたから、一言だけ言っておきます。 会社の経理のいわゆる使途不明金だって、重役は皆知っているのだ。これは会社の帳簿にないわけはない。なければ大変です。あるけれども彼らは発表しないのだが、それを株主は知る権利があるだけで、いまお話しのとおりそれを知ろうとすれば三十五条によって裁判にかけろと言う。裁判の判決なり裁定を経なければその使途の行方は見るわけにはいかないということが一つ。零細株主ができるわけがないじゃないか。だからこれはできないと言っている。 さもなければ、いま一つ君は何と言ったか。二百九十三条で十分の一以上の株主だけはその要求に基づいて——それでは大株主擁護じゃないですか。十分の一以上の株式を持っている者なんかその会社に一体何人いるのだ。そういう人だけはそういう使途不明金に至るまでの金の行方を見られるけれども、あとの者はそれもできないとなれば、君はしゃべってみたところでそれはしゃべるだけで、事実上は株主はそういう不正な金の使途に対して何にも手を出せないということで、そんなことでこの法律の改正をもってして前進だなんて言ったって了承できませんけれども、午前中はこれでやめます。午後にやりますけれども、そんなのは全部だめだ。
○高鳥委員 長午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小林進君。
○小林(進)委員 私の用意しました質問はかくのごとく山積しているのだけれども、時間がたった二十分では何をやるか。総会屋の問題でもひとつ御質問いたしましょうか。 総会屋の定義は一体何でございますか。
○元木説明員 総会屋の定義というのは必ずしも明確ではございませんけれども、一応株主権の行使に関して不当に会社から金品を受け取る者というふうに定義してよかろうかと存じます。
○小林(進)委員 ここに資料がありますが、警視庁が昭和五十三年の六月に株主総会を開いた四百五十五社を対象に調査した結果、三百五十二社が回答を寄せた、そのうちの六四%が総会屋の存在を認めている。それから、五十四年の六月に株主総会を開いた対象会社四百四十四社では、約七四%に当たる三百三十社が回答を寄せて、うち株式会社制度が続く限り総会屋はなくならないという回答を寄せておるのが百四十四社で一番多かった。会社のトップが困らないように予算の範囲内でつき合ってまいりますというのが四十三社あって、合わせて約七割がやはり総会屋の存在というものを素直に認めている。五十五年の三月株主総会を開いた東証上場企業の四百四十社を対象とする総会屋アンケート調査の結果によると、回答を寄せた三百二十五社で、これらの企業に出入りする総会屋の数は、一社当たり百人以上三百人以下というのが最も多くて四六%、三百人以上五百人以下が約一〇%あって、両方合わせると半数以上の企業が百人以上の総会屋とつき合いをしている。中には一社で二百数十人もの総会屋とつき合いをしている企業もある。なお、大和証券の調査部編株主総会白書五十四年度版及び五十五年度版においても同様である、こういうことでございます。 警視庁のアンケートによる調査の注目すべき点は、総会屋が存在する理由について、株式会社が存在する限り総会屋はなくならない、必要悪だという意見や、地位と経験のある総会屋はむしろ歓迎するという企業側の積極論もあるというのだね。これは困ったものですな。しかも、賛助金といいますか、その金を出す理由として、第一には、総会を無事に終わらせるために必要だ、二番目には、会社に対する中傷、誹謗の記事を書かれないために必要だ、三番目には、会社のトップが困らないように予算の範囲内でつき合っていった方が御身大切であるという説、四番目には、やや合理的で、他社の情報を入手するために企業スパイ的役割りをさせる意味においてもやはり必要だという意見を出しておるものがある。 こういうふうな警視庁の調査にも明確に浮かんでくるこの総会屋というものに対して、今度の法改正でこれを改めることができる、撲滅することができると一体お考えになりますかどうか。これは警察庁の方お見えになっていますな。そこら辺からひとつ聞いていきましょうか、あなたの崇高なる意見を。
○漆間説明員 総会屋が存在し得る基盤と申しますと、いま御質問にもありましたように、会社の側にこれを利用する土壌があるということがやはり一つの原因になってはしないか。それからもう一つは、利用するだけでなくて、場合によっては会社は非常に多数人の集合体でありますから、これをしさいに探りますといろいろと問題点がある、そういう問題点がつけ込まれる原因になっているというようなことで、その二つの理由が両々相まって総会屋の存在を許しておるのじゃないかというふうに私ども考えておりますが、今回は会社の計算において株主権の行使に関して財産上の利益を供与することを禁止いたしておりますので、したがいまして、今度会社の総会屋担当者、いわゆる総務系統の方々がこの規定を理由に賛助金打ち切りを打ち出すということには絶好の機会ではないかというふうに私ども考えております。 現にこの規定の新設されたことを見て、総会屋の中には今後従来のような総会屋のあり方は変えなければならないというような動きが出ておりますし、一部は転業の動きを始めておるというぐあいに聞いております。そういうような状況でありますから、この新しく新設されます四百九十七条は、総会屋対策としてはかなり有効に機能するというように私ども考えております。
○小林(進)委員 頼みに思う警察庁も、これくらいの法改正で効果があるという見解をお述べになる。まことに残念にたえませんけれども、それはそれであなた方が自信を持っていまのような回答をされるのですから、私どもはある程度そうかな、ひとつ私も若干考えを緩めてもよろしゅうございますが、こういう総会屋というようなものをなくして株主の利益を守るためには、何といってもこれは午前中の質問になりますけれども、その会社の内容を徹底的にガラス張りにする以外に方法はないということを私は考えているわけですが、その企業の内容、経理のガラス張りあるいは営業のガラス張りということになりますと、非常にあいまいもことしているわけです。その問題についていま一回法務省側の御見解を承っておきたい。第二百九十四条ノ二ですか、そういう法律の改正で一体目的を達することができるか、いかがでございましょう。
○中島(一)政府委員 総会屋の存在がだんだんと大きなものになりまして、その弊害も大きなものになってきたということ、ただいま御質問にあったとおりでございまして、まことに困った現象であるということで、これを何とかしなければならない。商法の立場から申しましても株主総会の形骸化ということにつながるわけでありまして、あるいは会社経理の不公正ということにもつながるわけでありまして、何とかしなければならないという声はすでにかなり以前からあったわけでございます。 それで、従来からも商法の四百九十四条という罰則がありまして、こういう罰則を生かして警察その他の方面でも非常に努力をして総会屋の排除に努めてこられたわけでありますけれども、われわれ今回考えましたのは、先ほどもお話しございましたように、世間の中には総会屋というのは一つの必要悪である、これはむしろ有用なものであるというような考え方がある。会社側にそういうものがある。これをまず根絶することが必要ではなかろうかということで、二百九十四条ノ二の条文におきまして、「会社ハ何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ス」という規定を設けたわけでございます。 国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会において、商法の条文にこういう利益供与の禁止をうたったということは大きな意味がある。会社側においては、この規定が成立いたしましたならば、これを契機として従来の考え方を改めるための努力をしてもらいたい、また、されるであろうということを期待しておるわけであります。その規定に違反をして会社側が無償で株主その他の者に対して財産上の利益を供与いたしましたときには、会社はその取り戻しでありますとか、あるいは供与した取締役はその弁済でありますとかいうような方法を設けまして、その実効を図るための手当てもいたしておるわけでありまして、私は、この点についての商法の立場というものをはっきりさせた意味において、二百九十四条ノ二というものの規定を高く評価していただいていいんじゃないかと考えるわけでございます。
○小林(進)委員 いやしくも総会屋を必要悪であるという考え方、この企業の根本的な物の考え方を破らなければだめなんですよ。これを破らなければ、あなたは二百九十四条ノ二だとかいろいろおっしゃるけれども、これがいわゆる意見の違いなんだ、私はだめだと見ている。 その例として、この前の参考人にもお聞きしたのだけれども、ああやって三木内閣のときに政治資金規正法という法律をおつくりになって、企業はこれだけ、個人の献金はこれだけ、あとは届け出をしなさい。こんな法律をつくったら、政治家、政党の活動は非常に狭くなるぞという非難が起きたんだが、その後の経過は、法務大臣、どうですか。その政治資金規正法という法律に基づいても、いわゆる政治献金のトータルはちっとも減ってないんだから。ぐんぐん幾何級数的に、ネズミ算的にいまふえているということは、言いかえれば政治資金規正法というそれを規制する法律ができたことによって、むしろそういう政党献金、政治献金がもっと陰湿に、もっと秘密裏にもっと巧妙に、もっと法網をくぐってそれが行われているという実証を示したにすぎないのであります。いわばその政治献金が社会や国民を蠹毒している例はむしろ大きくなっておる、ちっとも狭まっていない、これを私は言うのだ。 いまあなた方が必要悪だと言うこの考え方が、企業の経営者に全部ある。時間がないから言えないけれども、会社の私有化だとかあるいは交際費だとか、これは総会屋と企業の重役とは決して利害が対立してないのだから、共同の利益基盤に立つのだから隠そうとしますよ。もっと巧妙に出すようになる。それば政治資金規正法にその前例があるんじゃないかと私は言っておる。こういう法律をつくって皆さん方がおやりになるということは、やり方をむしろ陰湿にするだけですよ、摘発を困難にするだけですよ、というのが私の言っておることだ。 時間が来るからやむを得ないけれども、しかし、あなた方役人というのは無責任だ。ここでうまいこと言って法律を通してしまって、一年も三年もたつとぱっぱっとほかのポストに飛んでいってしまうだから。おれはあんなこと言ったのだなといっても責任持たなくでいい、役人というものはありがたいもので。しかし、われわれ政治家はそうはいきませんよ。発言した以上は五年たとうと十年たとうと、私どもは人間として自分の発言に責任を持ちますよ。過去だってそのとおりです。私はどこで何を発言したか、自分の記憶にとどめておきますよ。間違ったときには終日自分の良心にさいなまれるという考えが政治家にはあるものだ。しかし、この問題に関する限りは、あなたとこうやってしつこく議論しておるけれども、私の主張は間違いないと思っておるのです。あなた方は法律を通せばぱっぱっといなくなってしまうけれども、国民の側から見れば、これで決して総会屋を根絶するとか歴史的な画期的な改革ができる、刷新ができるなんということは絶対にないと私は言っておる。むしろやり方を陰湿に追い込んでいるだけだ。 そこで、もう時間もないから法務大臣にお聞きしておきたいと思うのですけれども、これも私の多年の所懐なんですが、何といっても交際費だとか総会屋に対する金というものは、午前中から言っておるように株主に還元すべき性質の金である、私はそう考えておる。これは間違いであるかどうか、これが一つ。 ところが、同じ政党献金問題を論ずるときに、必ず出てくるのがいわゆる組合費です。革新の側が、総評だあるいは同盟だ中立労連だという人たちが集めたその金を革新政党に献ずる、これも同じじゃないか。いわゆる保守党が企業から政治献金を受けるのと革新の側が組合費から政治献金を受けるのと同列である。取り締まるなら一緒に取り締まれという議論がある。これほど私は矛盾した議論はないと思う。会社の持っている利益は、これは株主の金だ、くどいがそう思っておる。労働組合が持っておる金、政治献金をするその金は、組合員一人一人から徴収した金です。直接取ろうが、われわれの給料の中から差し引こうが、その金のもとは組合員の一人一人に帰属する金なんだ。その金を集めて政治献金をしておる、これが組合の政治献金です。私は、企業が献金する金と組合の金とは性格が全く違うと思いますが、この点いかがでしょうか。
○奥野国務大臣 企業も社会的に活動しておるものでございますから、いろいろなことについて関心を持ち、またそれに対して関与していくということは大事なことじゃないか、こう思っております。そういう意味で、社会のあり方、政治のあり方、そういうことについても企業としての期待に沿うような形であってもらいたい、それについて何らかの力になりたいということになりますと、政治資金を支出していく、負担していくということになるんじゃなかろうかな、こう思っております。 企業が運営するに当たりましては、単に株主のことだけを考えるのじゃなくて、もちろん資本の提供者のことも考えなければならない、労務の提供者のことも考えなければならない、また消費者のことも考えなければならない、そういう総合的な配慮の上で活動が期待されているから、企業の社会的責任がこのごろいろいろ問われるようになったんじゃないだろうかな、私はこう思っております。また、社会的公正を期しますために今度の商法の一部改正も提案いたしておるわけでございます。ただ、政治資金の負担が企業の規模を超えて大きなものになりますことは、企業の側にとっても適当でございませんし、また受ける側にとりましても不当な圧力になるおそれもあったりするわけでございますから、政治資金規正法が誕生してきたものだ、こう思っておるわけでございます。
○小林(進)委員 もう時間が参りましたから、残念ながら私はこれでやめますが、くどいようで繰り返しになりますけれども、企業が政党、政治家に出す献金と組合が政党、政治家に出す献金とは全く性格が違うということだけは、私はここで明確に申し上げておきたいと思っております。企業が出すのは、企業を通じて株主に当然還元されるべき利益の中から独断的にそういう金の使い方をしているのでありますが、組合費の方は組合員一人一人がもらう自分の労働の対価の中から政治献金として出しているのであって、性格が全く違うということだけ申し上げておきたいと思います。 それからいま一つは、私はもう時間が来ましたけれども、呼んでおいてもしも質問されなかった方がここにおりましたら、ちょっと手を挙げてください。呼んでおいて質問しないとその人に悪いから三十秒ばかり質問をやりますから……。 それじゃ、大蔵省証券局は証券会社を監督するんだな。その証券会社からも一年間に数十億の賛助金が総会屋の方に流れているということは、警察庁の調査にあらわれている。証券会社自体がまさに悪の根源をなしているということは、皆さん方監督官庁としての責任は重大だと思います。今後どうしますか。そんなことはやらせませんか、依然としてそれを助長していきますか、一言だけ言ってもらいたい。それで質問を終わります。
○宮本説明員 私、企業財務課長でございまして、いわゆる企業内容監視制度の方を担当いたしておりまして、証券会社の監督の所掌にはございませんが、先生の御指摘のあったような事実があるかどうか、そういうものをまた調査いたしてみたいと思います。
○小林(進)委員 君にあるかどうか聞いているのじゃないんだ。あることは事実だから、今後それを助長するのかやめさせるのかと聞いているんだ。そういうずるい答弁はだめだよ、君。あるかないかを調査せよなんて私は君に求めているんじゃない。帰って大蔵大臣の渡辺君にもよく言っておきたまえ。
○高鳥委員長 稲葉誠一君。
○稲葉委員 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案というのがありますね。これを見てみますと、たとえば銀行法を直すということになっていて、銀行法の場合に昭和五十六年法と書いてあって、第何号というのはあいているわけですね。これはどういうわけです。 そこで私の質問は、じゃこの法案が先に確定——確定というのは裁判だな。先に成立しちゃいますね。それで銀行法が成立しなかったときこの法律はどうするのです。
○稲葉説明員 私どももこういう立法の経験はございませんで、内閣法制局とも打ち合わせました結果、こういうスタイルで立法するということになったわけでございます。
○稲葉委員 そんなことを聞いていない。この法案が成立して銀行法が成立しなかったときにどうなるのかと聞いているんだ。この法案をどう扱うか。あなた方にわからないのなら法制局だ。だから問題なんだ、この法案は。
○稲葉説明員 結局、その部分は空振りになるということになるのではないかと思います。
○稲葉委員 空振りは三振だけれども、それが空振りになったらどうするんだ。この法案が成立しちゃったら、これは後からどうするんだ。そんな無責任な法案の出し方というものはないじゃないですか。どうするんだ、一体。銀行法の改正案はいまやっているんですよ。通るか通らないかわからないんですよ。(「通るよ」と呼ぶ者あり)通ったところで確定するかどうかわからない。確定というのは裁判だからどうも調子が悪いけれども。だから、この法案は通った、いいですよ、通ったかもわからない。銀行法が通らなかった場合にどうなるのか。そこら辺のところをはっきりしないでこの法案を出したってだめですよ。この法案は撤回する以外ないじゃないですか。理解できないですよ、そこのところ。
○中島(一)政府委員 成立を予定しておりました法律が成立しないという場合であろうかと思いますので、その対象を欠いて商法整理法の予定しておりましたような法律効果が生じない、こういうことになるのではなかろうかというように考えております。
○稲葉委員 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。この法案が成立した後に、もう一遍今度は修正案というか改正の法案を出すのでしょう。そういうことになるでしょう。これはならざるを得ないじゃないですか。削除の法案を出すんでしょうが。そういう法案の出し方がありますかと言うんですよ。そんなやり方はだめですよ。そういうことになるでしょう。
○中島(一)政府委員 銀行法の成立がどうなるかということによって、所要の手当てをしなければならないというふうに考えます。
○稲葉委員 所要の手当てじゃないんですよ。そうすると、銀行法の改正が通ることの目安がついてからでなければこの法案を上げられない、こういうことでしょう、あなたのおっしゃることは。そういうことならそういうふうに承りますよ。そうならそうで、これはむずかしい問題ですよ。大臣は内務省の関係でよくわかっておられるかもわからぬけれども、あなたは、所要の手当てというのはただ棒を引っ張って消せばいいんですか。そういうことじゃないでしょう。国会に再提出しなければいかぬのでしょう。削除の法案を提出してやっていかなければいけないんじゃないですか。どういうことなんですか、これは。
○中島(一)政府委員 銀行法が成立するかどうかということは現在未定でございますので、成立をした場合にはした場合、しなかった場合にはしなかった場合で必要な処置をとるということでございます。いまおっしゃいましたような削除というようなことも考えなければならないということでございます。
○稲葉委員 だから、削除というのは改正案を出して削除するんですかと聞いているんですよ。大臣、お答えください。大臣の方がよく知っている。内務省にいて法律のことをやっているんだから、大臣の方が詳しいよ、こういう点は。だめだよ、一番大事なところをそんなわけのわからぬようなことじゃ。なぜ素直に答えられないのか。
○中島(一)政府委員 直ちに削除の改正案を出すということではございません。そのまま置いておくというような実例も従来あったようでございますが、今回の場合にどういうことになりますかということは、銀行法の成立のぐあい等も勘案をして、その事態に応じて最も適切な措置をとる、こういうことでございます。
○稲葉委員 そうすると、銀行法五十六年法律第何号とあいていますね。あいたままでこの法案を可決しちゃっていいんですか。後からあなた方の方で銀行法ができたら第何号と勝手に書き入れるんですか。そんなこと許されますか。許されませんよ。だめだよ、この法律の出し方は。だから、あした上げようと思ったってとても上がりっこない。その辺をさっきから言っているんですよ。だれか法制局を呼んできてよ。内閣法制局なり衆議院の法制局を呼んできてよくあれしなさいよ。内閣法制局の第二部長か第三部長か知らないけれども、呼んでください、この点は非常に重要ですから。それを聞いてからでないと、納得してからでないと進められません。
○稲葉説明員 その関係は至急調査して、先生の御質問中にお答えするようにいたします。
○稲葉委員 あなた方はこういう質問は出ないと思っていたんでしょう。恐らくたかをくくっていたに違いないんだよ。ぼくは初めてもらったときにすぐ気がついたんだ。気がついたけれども、しばらく黙っていたんだ。これはおかしいですよ。それじゃ、質問が終わるまでに来て答えればいいということにしましょう、余り変なこともできないから。 この問題はいろいろな問題が起きるんです。銀行法が全部決まってしまってからなら問題はないんですよ。銀行法が決まらない段階でこれが決まってしまったら、法律が成立しちゃったら出せないじゃないですか。この法律は公布できないでしょう。後から法律第何号と勝手に書き入れていいんですか。そんなことはできませんよ。銀行法が五十六年でなかったらどうするんです。五十七年になったらどうするんですか。この法案を全部変えなければならないじゃないですか。この法案を変えなければならないということは、それに伴って商法の方を変えるかどうかということは問題がありますよ。そこら辺のところは非常にむずかしい問題です。ぼくはもらったときに気がついたんだけれども、あなた方が気がつぐかと思って少し大事にしておいたんだ。 そこでもう一つ問題は、これはまたよくわからないのですが、大蔵省は財務諸表規則でしょう、法務省は計算書類規則というのかな、これは一体全部合っているのですか、合ってないのですか。合ってないとすればどこが合ってないのですか。また、合ってなくてもいいものなのか。これはどうなんです。
○元木説明員 先生御指摘のとおり、証券取引法に基づいて提出されます財務諸表の根拠になる規則が財務諸表規則で、商法に基づいて作成されます計算書類の根拠規則が計算書類規則、であるということでございます。 これはもう御承知のように、商法におきましては、計算書類作成の根拠といたしましては、利益のうちからどれだけを配当することができるか、それからまた株主及び債権者保護の目的からどのようなことを開示すべきか、そういうことが目的になっているに対しまして、証券取引法におきましては、これは私どもの方で答弁することかどうかちょっと問題がありますけれども、一応投資家の保護という目的からそれが開示されるということになるのではないかと思います。したがいまして、理屈だけから申しますれば、これは全く別個のものであっても差し支えないということになろうかと存じます。 ただ、つくる会社の側といたしましては、全く別個のものをそれぞれつくるということは非常に煩瑣であるという点から、技術的にはこれをできるだけ似通ったものにしておいた方がよろしいのじゃないかということでございます。したがいまして、これは公式にではございませんけれども、企業会計審議会と法制審議会の商法部会とは時折連絡をとりながら、たとえば今回の公開の問題についての審議の際にも企業会計審議会と連携をとりながら審議したという経緯もございます。
○稲葉委員 そんなことを聞いているのじゃないのです。私の聞いているのは、いま言った大蔵省のあれと法務省のそれがどういう点が同じでどういう点が違うのかということです。一覧表をつくってごらんなさい、こう言っているのですよ。これは番場さんの本の後ろに書いてある。だけれども、番場さんのはちょっと古いから、恐らく途中から変わっているでしょう。 そこで問題となってくるのは、いろいろな問題が出てくるのですが、たとえば監査法人と言いましたね。監査法人とは何なんです。法人でしょう。これは民法上の法人なのか商法上の法人なのか、どういう法人なんです。
○宮本説明員 監査法人は公認会計士法上の法人でございます。公認会計士法の三十四条の二に「公認会計士は、この章の定めるところにより、監査法人を設立することができる。」という規定がございます。これに基づくものでございます。
○稲葉委員 そんなことはここに書いてあるのですよ。だから、民法のあれならば民法のどれに準拠しているのかとか、商法なら商法のどれに近いものなのかということですよ。そこに書いてあるでしょう。合名会社に近いのでしょう。書いてあるじゃないですか。だから、監査法人というのは合名会社の規定を準用しているのでしょう。そうでしょう。だから、なぜ合名会社の規定を準用しているのかということをお聞きしたいわけです。どうなっていますか。
○元木説明員 合名会社の規定を準用いたしておりますのは、結局社員各自が全部業務執行の権限と責任を持っているということ、あるいは法人としての責任の問題等々だと思います。
○稲葉委員 合名会社というのは無限責任でしょう。そうすると、各人が無限責任を負って、しかも連帯で負っているわけですか。それはどういうわけですか、監査法人というのは。
○元木説明員 監査法人の特色と申しますか、これは合名会社の特色も同様でございますけれども、つまり法人格を有しているということでございます。その反面、これはいわゆる法人ではないと申しますか、性質といたしましては、これは社団ではなくて、組合的な色彩が非常に強いということでございます。
○稲葉委員 確かに組合的な色彩が強いですね。では、組合的な色彩が強いのに何で監査法人という名前を使うのか、よくわからないな。これはどういうわけですか。こういう点は法務省が専門でしょうが。
○元木説明員 ただいま申しましたとおり、法人格を持っている、つまり権利能力の主体となるということだと思います。
○稲葉委員 いまのそのとおりですが、そうすると、監査される会社、法人について、証取法上は報告義務があるのは資本金五億円以上ですか、大体今度の特例法というのはそれを受けたわけでしょう。そういうことですね。それはそれでいいのですよ。それはそれで別として、そこで、または負債二百億ということになっているわけですね。またはというふうにした理由はどういう理由なんですか。アンドではいけないわけですか。及びではないわけですね。そこはどういう理由からですか。
○中島(一)政府委員 監査対象会社とする基準といたしまして、従来から資本金の額というものが一つあったわけでございまして、今回もその考え方を踏襲をしたわけでございますが、会社の大小あるいは監査の必要の有無というものを判断する場合には、基準となるのは資本金の額だけであろうかという御意見があります。私どももそういう意見であります。資本金の額というのは、会社の大小あるいは監査対象とするかどうかということの判断の一つの重要な要件ではありますけれども、それ以外に、会社の大小を判断するためにはあるいは売上額であるとか負債の額であるとかいうようなものも基準とすべきではないかということから、新しい基準を設けるということで、ただいま御指摘のような基準が出てきたわけでございます。
○稲葉委員 会社の大小と負債の大小はどうして関係があるんですか。あるいは会社が小さくたって、負債がたくさんある会社もあるんじゃないですか。いまの説明はちょっとおかしいぞ。株主保護とかなんとかという形でそういうふうにしたというんならまだ話はわかるけれども、ちょっといまの答弁、おかしくないかな。
○中島(一)政府委員 会社の大小という場合に、一般的には資本金の大小によって会社の大小ということを定めるわけでありますが、考え方によっては、売上額が大きいからそこは大きな会社だ、あるいは負債が大きいから大きな会社だという考え方もあるんじゃなかろうかということであります。資本金の額ということから考えます以外に、それはいろいろな目的によって会社の大小というものは決まってくるんじゃなかろうか。従業員の大小によっても会社の大小は変わってくる、あるいは債権者の数の大小によっても会社の大小は決まってくる。そういうことから考えまして、監査対象会社とするかどうかの基準といたしましては、債権者の保護でありますとかあるいは株主の保護でありますとかというようなことが問題になってくるわけでありまして、そういう見地から考えますと、資本金の大小だけではなくて、債務額の大小ということも監査対象会社とするかどうかの基準の一つと取り上げるべきじゃないかという考え方でございます。
○稲葉委員 小さな会社であっても、借金がうんとある会社も大会社になっちゃうの。それはおかしいんじゃないの。売上金が多いというんなら、これも話はわかりますよ。借金をうんとしょっている会社だって、小さくたってあるでしょう。そういうものまで大会社という考え方は、常識的に言っておかしいじゃないかと私は言っているのですけれども、まあいいでしょう。 私の聞いているのは、資本金五億及びでなくて、どうしてまたは負債二百億、初め百億でしたけれども、二百億という形にしたのか、こう聞いているのです。「及び」でなくて「又は」になっているでしょう。「又は」ということになってきたというのはどういう趣旨なのかということを聞いているわけです。 そうすると、初め負債が百億の原案だったでしょう。それが負債が二百億という形になってくると、どれだけの会社が監査の対象から減るということになるわけですか、大ざっぱに言って。細かいことはいいですよ。
○中島(一)政府委員 たまたま資本金は少ないが債務額は非常に多いという会社がただいま御質問にありましたようにあるわけでありまして、こういうものを資本金が小さいということのために大会社でないというふうに考えていいだろうかという意見がございます。大会社、いわゆる資本金の大きな会社、五億から十億ぐらいの会社の場合の平均的な債務額に当たるものを持っておる会社は、仮に資本金が五億未満でありましても、監査対象会社にするかどうかということに関して言えば、資本金五億から十億の会社と同じように考えるべきじゃないかということになるわけでありまして、それで並列的に問題になってきたということであります。 当初の法制審議会の答申案どおりの監査対象会社ということになりますと、それに該当する会社が約千二、三百というふうに私どもは考えておったわけでありますが、今回の法案の限度におきましては、それが約半数になったというふうに理解をいたしております。
○稲葉委員 大中小会社の区分、これは非常にむずかしいですね。ただ、わからないのは、たとえばドイツでは会社が全部で三千ぐらいですか。日本は物すごく数が多い。百万以上あるんですか。これは一体どういう現象なんです。どこから来ていることなんでしょうか。
○元木説明員 これは非常に日本的な現象でございますけれども、株式会社の数が九十七万五千ということでございます。それに対しましてドイツの場合は、多くの場合が有限会社でございまして、株式会社は非常に数が少ないということでございます。しかも、設立あるいは運営という点から考えますと、株式会社というのは規制も非常に厳重でございまして、その点からも株式会社組織というものが小会社には必ずしも適当でないという問題があるわけでございますけれども、実際にどうもこれは統計的なものではございませんけれども、調べましたところでは、やはりまず第一は、日本人は非常に名を好むということでございまして、会社の代表者になるにいたしましても、株式会社の代表者になるというようなことを非常に望むというような点が一つございます。 それからもう一つは、これはやはり名の問題でございますけれども、たとえば地方に行って新入社員なんかを募集する場合に、有限会社という名前ではなかなか募集できないというような事実もあるようでございます。したがって、好んで株式会社をつけるというような事実もございます。
○稲葉委員 外国のことをいろいろ聞いても日本と実情が違いますから、そう大きな意味があるとも思わないのですが、さっき小林先生がお聞きになった中で使途不明金の問題がありましたね。この使途不明金というのはいろいろ内容があるわけです。 これはちょうど大蔵省の主税局の方が来ておられるので先に聞きますが、これは私が調べた範囲では、フランスの場合が非常にきついのですね。法律的にきついのですよ。それはたしか使途不明金と同じ額を課徴して、それに対して初め二〇〇%のアップだった。それが一二〇%にしたはずだと思いますが、実際にそういうのが行われているのかどうかわかりませんが、フランスの場合の使途不明金に対する制度、それから現実にどういうふうに行われているのかということを大蔵省の方からお答え願って、それが終われば結構でございます。
○内海説明員 お答え申し上げます。 稲葉委員が大変正確におっしゃいましたように、フランスではそういう制度がございます。フランスにおきましては、使途不明金につきまして損金性を否認するとともに、おっしゃっておられましたように前は二〇〇%の特別課税をしておりましたが、現在は一二〇%にしております。ただ、自分でこれは使途を明らかにできないということを自己否認してきた場合には、九〇%の課税になっております。
○稲葉委員 大蔵省の方、結構です。 だから、そういう点も日本の税制というのは非常に資本家保護、企業家保護にできているわけですね。それは資本主義の社会だからしようがないと言えばしようがないかもわかりませんが、その使途不明金の中にもいろいろあるわけですよ。いろいろな恩義があったりなんかして明らかにできないものもあるし、わけのわからぬものもあるし、いろいろなものがあるのですね。それが会計監査の場合に監査人によって明らかにできないということは一体どうなんでしょうかね。それに対して明らかにする義務は会社はないのですか。会計監査人あるいは監査役の監査に対して会社はそれを明らかにする義務があるはずだと思いますが、それはどういうのですか。
○元木説明員 まず、会計監査人といたしましては、当然これは帳簿を精査した上で監査結果を出すわけでございますから、何に使われたかわからないといういわゆる使途の不明な金があるということでは、十分な監査を行ったということにはならないわけでございます。したがいまして、当然その点につきましては、今回の改正法律案でもございますように、また現行法でもございますように、取締役にもその報告を受け、あるいは使用人に対しても報告を求めて、そしてそれを明らかにしていかなければいけないわけであります。もしその点についてそれでもなお不明な点がある、あるいはそれ自体が法令違反のにおいもするということであるならば、当然そのことをまず監査役に報告しなければいけないわけでございます。もちろん、報告した上で、監査役といたしましては監査役の立場から必要な処置をとらなければいけない。しかも、そのような処置をとった上でもなおかつ不明な点があるということでありますならば、監査報告書にその旨努力したけれども結局できなかったということを明記しなければいけないと存じます。
○稲葉委員 それは法制上そういうふうになっているわけですよ。それはあたりまえですけれども、それで一体会計監査人としてのあるいは監査役としての務めを果たしたと言えるかどうかということです。そこまでの内部のことについては、会社の方は企業秘密だとして応じなくともいいのですか。どうなんですか。そこら辺のところはよくわからないんだな。取締役は応ずる義務があるのですか。応じなくともいいの。そこまではこれは企業秘密だからしたら困る、使途不明金についてはいろいろな恩義のあるところに金が渡っているのだから、それは言えないんだということで言えば、それでいいわけですか。具体的にどういうふうになっていますか。
○元木説明員 これは取締役といたしましては、言いたくないから会計監査人に知らさないというわけにまいらないと思います。もちろん、そうすれば報告義務に違背するということになるわけでございまして、違法の行為でございます。
○稲葉委員 報告義務に違背するから違法の行為になる。じゃその場合に、取締役はどういう責任を負って、株主はどういう権限があってその取締役の違法な行為を差しとめることができ、あるいはそれを回避することができるのですか。それをまず最初に聞きましょう。
○元木説明員 違法行為でございますから、もちろんそのことについて会計監査人としては監査役に報告しなければいけないと思います。監査役に報告した上で、監査役といたしましては、もしそういう事実を知ったならば取締役会を、今度の改正法案のもとでございますけれども、取締役会の招集をする、そこで報告をするということになろうかと思います。その結果、他の取締役といたしましては、その取締役に違法行為があるわけでございますから、その行為をやめさせる等々の適当な手段をとらなければいけないだろうと存じます。
○稲葉委員 違法な行為といいますけれども、じゃ取締役が、会社にこれだけの使途不明金があるけれども、これは会社の運営上言えないんだ、こういうふうなことを言った場合には、それは違法な行為になるのですか、ならないのですか。どうなんですか、それは。
○元木説明員 およそ会社の支出に関しましては、すべて明確になっていなければいけないものだと思います。したがいまして、それについて秘匿をしている、会計監査人にも明かさない、監査役にも明かさないということであれば、それは十分な監査ができないという問題になると思いますので、当然それは違法であろうと思います。
○稲葉委員 いまの答えは非常に重要です。違法であると思うというようなことになるというと、それは取締役が刑事罰を負う場合も出てまいりますか。単にそれだけでは出てこないかもわからないけれども、罰則の点はどういうふうになっていますか。それが一つ。 いまの取締役の義務というのは一体何の義務ですか。忠実義務ですか、善管義務ですか、どっちなんですか。忠実義務と善管義務とは、取締役の場合どういうふうに違って、どういうふうに同じで、どういうふうに絡み合ってくるのですか。
○元木説明員 忠実義務と善管義務につきましてはいろいろ学説上の争いがございまして、これは先生御承知のように、忠実義務と申すのは善管義務の一場合であるとか、あるいは善管義務とは全く別に新しく義務を設けたんだというようないろいろな説があるわけでございます。ただ、ただいま問題になっております監査役に対する報告の義務あるいは会計監査人に対する報告の義務というのは、これはたとえば監査役に対するものでございましたならば、現行二百七十四条の二項から出てくる一つの義務でございまして、大きく言えばこれも善管義務の一つかもしれませんけれども、特に法律で規定されている義務であるというふうに考えます。
○稲葉委員 忠実義務と善管義務というのは、確かにわかったようなわからないような問題でむずかしいですね。星川長七さんとかいう人がその本をよく書いていますね。それはそうなんですが、一体どっちが古いんですか。善管義務の方が古いんでしょう。善管義務というのはローマ法以来あるんじゃないんですか。
○元木説明員 取締役の善管義務と申しますのは、これは取締役と会社の関係が委任関係であるというところから当然出てくるという義務であろうかと存じます。それに対しまして、取締役の忠実義務は、昭和二十五年にアメリカ法の規定にならって置かれたということでございます。
○稲葉委員 余りそういう話ばかりしていてもあれですから、実態に入りたいと思うのですが、今度の改正法で会社の売買——日本には会社の売買というのは多いですよ。空会社みたいのがいっぱいあるでしょう。そういうのを買って登記するんでしょう。そうすると、資金の預けも何も要らないわけですね。銀行に金を預けることも何も要らない。会社売買というのは、もう公然と行われているでしょう。今度の場合これに対して何の手当てもしてないですね。会社売買というのはどの程度行われているわけですか。ずいぶん行われているようですよ。休眠会社、幽霊会社みたいなのを買って新しい会社になってきたりなんかして、ずいぶん行われている。それに対して何の手当てもしてない。それは実際問題としてできないのですか。そこら辺のところはどうなんでしょうか。
○元木説明員 会社売買につきましては、実際にいろいろあるという話は聞いております。それで、まず多くの場合、会社売買という場合に大きな会社が売買されるという例は少のうございまして、株券等発行していない会社がこの売買の対象になるという場合が多いわけでございますけれども、株式の譲渡につきましては、これは株券の交付が要るわけでございまして、そういうところから非常に紛争の種になりやすいという問題があるわけでございます。 したがいまして、現行法のもとでも、これは理屈から申しますと、現在一般に行われていますような会社の売買というのは、株券の交付がない限りできないはずでございますけれども、その点いろいろな問題があるわけでございます。もちろん将来の改正におきましてはこれは当然重要な問題になってこようかと思いますけれども、今回は言ってみれば企業の自主的監視機能の強化という点を中心にいたしましたので、この点は今後の問題として見送られたということでございます。
○稲葉委員 これは日本独特の制度じゃないですか、会社の売買というのは。どうもよくわかりませんがね。会社の登記があるというのは日本だけじゃないですか。アメリカもないでしょう。イギリスもないでしょう。ヨーロッパはある場合もありますが、会社登記というのは日本独自のものじゃないですか。
○元木説明員 先生御指摘のように、イギリスには登記がございます。それからアメリカでも、登記がある州がかなりあるようでございます。
○稲葉委員 それはおかしいな。あなた方の方の法務省にいた田代氏、あの人の書いているものを見ると、日本は登記国家でアメリカその他は非登記国家だと盛んに書いているよ。法人格否認の法理という、今度判決があったでしょう。形骸説だとか乱用説だとかいろいろあるでしょう。あれを見るとちゃんと分けてますよ。田代さんは登記国家と非登記国家とちゃんと分けて、日本は登記国家だと。機関でしょう、代表というのは。機関の登記なんかはアメリカなんかはないのじゃないですか。日本だけじゃないですか、機関の登記というのは。そんなこと、よけいなことはいいですけれども……。 そこで問題になってくるのは、総会屋の問題が出てきますね。私はわざわざ刑事局長に来てもらったのですが、このごろ刑事局長さっぱり出てこないから——出てこないのじゃなくて、こっちからあれしてないのか。まあ来てもらったわけですけれども、まずその前に、商法でこの前四十九年のときでしたか、やはり「不正ノ請託ヲ」云々ということで、総会屋退治ということで条文をつくりましたよね。四十九年だったと思いますが、そのときの提案理由というか、それはどういうふうになっていますか、その部分について。これがあるから総会屋の退治とは言わぬけれども、それができるというような意味のことが提案理由か何か、その中に入っているのですか。どういう提案理由になっていますか、この前、その点に関連して。
○稲葉説明員 申しわけございませんが、その四十九年というのは何をお指しに……。
○稲葉委員 いや、私、四十九年かどうかわからぬと言っているのだ。四十九年にも改正があったけれども、そのときの改正なのか何か。あれはずっと前、昭和十三年からのものかな、「不正ノ請託」というのは。——そうですね。わかりました。 それでは、「不正ノ請託」というのがあるからということによって、それが捜査に妨げがあるということで、そのときに——四十九年にも改正があったでしょう。その前にも改正があったけれども、そのときになぜそれを取ろうとしなかったわけですか。立法府がそんなことを質問するのはおかしいので、こっちがそれを取るようにしなければいけなかったのでしょう。昭和十三年でしたね。ぼくが勘違いしてました。昭和十三年、戦前の法律だ。それが残っていたわけだ。「不正ノ請託」というのは非常に立証しにくいからということで、いままで東洋電機の一件しかなかった、こういうのでしょう。だから、それならば四十九年の改正その他のときに取ればよかったのじゃないかと私は思うのですが、これは本来は立法府のやることであって、それをあなた方の方にそういうふうにすべきだったというふうに聞くのは、本末転倒でおかしいですから聞きませんけれども……。 そこで、総会屋というものの実態ですが、今度のこの法律によって総会屋が一これは刑事局長ですね。いわゆる総会屋と称するものが、なくなるとは言いませんけれども、それに大きな影響があるということは、どういう点から見て大きな影響があるというふうに言えるわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨を十分理解していないかもしれませんけれども、お尋ねは、今度の改正法案の中で二百九十四条ノ二という規定が設けられて、それに見合うものとして罰則が四百九十七条が設けられている、そのことについてではないかと思うわけでございますが、ただいまも御質問の中でございましたように、現行の商法の四百九十四条、「不正ノ請託」という要件があるわけでございます。先ほど東洋電機の事件だけとおっしゃいましたけれども、それ以外にも何件かはございまして、起訴された例、有罪になった例もございます。ただ東洋電機の事件でも、御案内のとおりその点が問題になりまして、一審ではその点が認めがたいということで無罪になり、高裁でそれが逆に認められるということで有罪になったというような経過もあるわけでございまして、そういうことからも理解できますように、その点が一つの立証上の難点といえば難点になっていたわけでございます。 今度民事局の方でいわゆる総会屋の取り締まりといいますか規制ということで、いろいろと案をお考えになったようでございますが、その結果として先ほどのような二百九十四条ノ二が設けられ、罰則としては四百九十七条を設けることにしたというふうに理解しておるわけでございます。この新設しようとしております四百九十七条を見ますと、いまの「不正ノ請託」という要件はもちろんないわけでございますし、必ずしも四百九十四条の規定を緩和したというだけではない、実質的には緩和したということになるかと思いますけれども、その「不正ノ請託」を取ったというだけの意味ではなくて、もともと性質としては、私ども理解しておりますのは、総会屋等に対してそういう会社の計算における財産上の利益の供与というものをすることが、会社財産、つまり株主の財産とも言うべき会社の財産を不正に減少させる、これを会社の資本充実といいますか、そういう観点から防止しようということが一つであって、さらに一面から、そういう不正の利益の供与またそれを利用して得た者を処罰しよう、こういう精神でとらえようとしたものだというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、要件はいろいろと決められておりますけれども、四百九十四条に比べればいろいろな意味で緩和されているというふうに思うわけでございます。いま問題になりましたような「不正ノ請託」という要件もございませんし、またいわゆる賄賂罪的な意味での必要的共犯としての対向犯という形もとっていないわけでございますので、そういう点もいろいろ考え合わせますと、いろいろな要件がございますから、それぞれの要件につきまして犯意がなければいけないし、それに応じた立証も必要でございますけれども、比較的そういう不正の利益の供与というものが取り締まりやすくなるのじゃないかというふうに考えております。
○稲葉委員 一つの問題は、これをつくるときに刑事局の方は相談を受けたのですか。民事局から相談を受けてこの条文をつくったのですか。
○前田(宏)政府委員 当然、罰則に関係することでございますので、相談を受けております。
○稲葉委員 罰則は相談を受けたのはわかりますよ、六カ月以下というのはやけに軽いけれどもね。六カ月以下の懲役というのは現行法でほとんどないでしょう。法定刑が最高六カ月なんというのはほとんどないんじゃないですか。または三十万円以下の罰金でしょう。これに見合うものは現行刑法の中でどういうものがありますか、罰則的に。いますぐわかりますか。
○前田(宏)政府委員 六カ月というのはもちろん絶無ではないわけでございますけれども、この六カ月の刑が相当であるということを考えましたのは、いま申しましたように、「不正ノ請託」を要件とする規定自体の法定刑が一年以下であるということ、この規定自体は直接的に賄賂罪的なものではなくて、むしろ間接的にそういう総会屋に対する不正供与であり、また会社の財産を減少させる行為という、どちらかというと形式犯的な形という理解もあるかと思いますので、そういう罪質から見まして、一年以下の刑と比べれば、その刑よりも比較的軽い六カ月というものが相当であろう、こういうふうに考えたわけでございます。
○稲葉委員 いまの言葉の中で、形式犯みたいなものだという言葉がありましたね。そうすると、きわめてこの犯罪というものを軽く見ているということですね、法務省としては。これはそういう考え方ですかね。それが一つ。 それから、今度法律について、総会屋に対して金銭供与や何かしたときに処罰されるという場合の捜査の点では、実際問題としてどういう点が問題になりますか。
○前田(宏)政府委員 先ほど形式犯という言葉を使ったので適当でなかったかと思いますけれども、私が申しましたのは、賄賂罪とは違う、要するに不正の支出行為というような形でとらえているということを申したかったわけでございます。具体的な要件はすでに私から申し上げるまでもないと思いますけれども、一定の主体の限定がございまして、それから株主の権利の行使に関してなされたものであること、また財産上の利益の供与が会社の計算においてなされたものであること、こういうことが要件に定められておるわけでございますので、それぞれの要件を満たしていること、これを立証しなければならないということでございまして、先ほども申し上げましたように、それぞれ当然立証の工夫なり努力は要ると思いますけれども、賄賂罪に見合うような形で規定されております現在の四百九十四条に比べれば、相対的な意味ではそういう形式的な要件という意味で比較的楽であろう、こういうことを申したわけでございます。
○稲葉委員 形式的要件として楽であろうと言ったところで、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金の事件について、東京地検なら東京地検の特捜部がそんなに一生懸命やるわけがないじゃないですか。やったってばかばかしいという気になるだけでしょうが。まあそれはあなたはそうだとは答えられないからあれかもわからぬけれども、こんな刑はないですよ、本当にやる気ならば。 それと、これは第一、証拠がなかなかつかめないじゃないですか。それはあなた、贈収賄だって何だって証拠は簡単につかめないのはわかっているけれども、元来総会屋がもらったなんてことを言うわけないでしょう。やった方だって、やったって言いっこないでしょう。何か帳面を残すと言ったって、帳面を残すわけがないでしょう。総会屋に幾ら渡しましたなんて帳面残すものですか。別の枠の中に残しておくでしょう。仮に残すとしても、たとえば旅費であるとか交際費であるとか、何とかかんとかで残しておくだけの話で、あるいは使途不明金と書いておけばわけがわからないですよ。そんなこと形だけですよ。 だから、いまどういう現象が起きているか知っていますか、これは大臣も御存じかもわからないけれども。総会屋は確かに形を変えつつありますよ、これがあるというので。多少それで心理的な圧迫を与えたかもしれない。これじゃまずいなと思って、それで政治結社にどんどん変えているじゃないですか。政治結社に変えて、政治献金もらいに行って、政治献金をもらえば別に犯罪でも何でもないでしょう。政治結社でしょう。政治献金もらったんだから、恐喝になる場合もほとんどないしね。それで出版記念だってパーティー券売りに行けば、みんなパーティー券買うよ。それでホテルでパーティーやって、金もうかって税金も何も払わないのだ。そうでしょう。みんなやっているでしょう、みんなとは言わぬけれども。 そんなので、心理的な圧迫はある程度加えるというあれはありますよ、一般警戒というのはあるかもわからないけれども、こんな六カ月以下の刑なんというのは刑法でありませんよ。三十万円以下の罰金なんて、こんなの。六カ月以下の刑なんて法定刑で、刑法探してごらんなさい。これは刑事局長にここまで来て悪いから、法務省のだれか事務官か何かに探させてごらんなさいよ。六カ月なんてこんなのありゃしないよ。何かあるかもわからないけれども、暴行ぐらいかな。暴行だって六カ月より重いんじゃないの。こんなのおかしいですよ。 そうして、これは実際につかめないですよ。やった方はやったって言いっこないのだから、別な枠でついている。もらった方はもらったって言いっこないのですから、帳面も残りっこないのですから。それで六カ月以下の事件を地検の特捜部が一生懸命になんてやるわけないですよ。ばかばかしいということでやりやしないですよ。全然意味がないと私は思いますね。 今度の法案は形だけはみんな整っているのだ。こういう法案をつくるのに二年も三年もかかったというのは、ぼくは情けないと思うんですよ。本当に情けないな。法務省もこれだけ優秀な人がいてこんなのに二年も三年もかかって、そんなら裁判官になってどんどん裁判をやった方がいいですよ。本当だよ。もったいないよ。裁判官になればみんな優秀な人でしょう、検事になったって優秀な人だけれども。法務省の参事官室にいて外国の法制を一生懸命研究することも有意義だと思いますがね。 今度の法律は形だけは整っているんだ。本当によく整っている。しかし、実態はなかなか無理だ。実態は無理だけれども、それは資本主義社会におけるチャンピオンの株式会社というものを法律で規制しようとすること自身が本来無理なんですよ。常識でこちらが考えるよりも向こうの方が頭が上なんだから、そのことに対してはこっちより向こうの方が一生懸命なんだから、どんどん上に行ってしまうということですよ。それで、総会屋の規定というのは具体的な実質的な意義はない、こういうふうに私は考えております。後であなたの方で反論があれば反論してもらって結構です。 そこで、この前ちょっとお話をしたたとえばチッソの事件の例にもありますように、いわゆる少数株主の権利が今度の法律で一体どうなるのか、ことに一株株主というようなものの権利がどういうふうになるのかということですね。それを、チッソの大阪高裁の民事事件もありますが、それに関連してお話し願いたい、こういうふうに思うのです。 ただ、少数株主というのは一体何を少数株主と言うかというのもまたわかったようなわからないような問題にしても、少数株主、いわゆる善良なる一株株主の保護——総会屋じゃないですよ。公害や何かを摘発するというか、市民的なそういうことをしたいと思っている善良なる一株株主の保護というのが、総会屋の取り締まりということにかこつけて逆にマイナスになってきておる、こういうふうに考えるのですね。 チッソの事件はどういうふうな事件でしたかね。あれは後藤という弁護士が持っていたのかな、あるいは川本という人が持っていたのかちょっと忘れましたが、チッソの株主の場合、少数株主権というものを否定したというのでしょう。だからということで株主総会の決議が無効になったでしょう。ちょっとその経過だけ簡単にお話し願えませんか。
○中島(一)政府委員 原告は、ただいま御質問にありました後藤孝典という弁護士であり、かつ、チッソの株主ほか大ぜいの人でありますが、被告は申すまでもなくチッソ株式会社であります。それで、四十五年の十一月二十八日に開催をされましたチッソ株式会社の第四十二回定時株主総会におきまして、四十五年四月一日から四十五年九月三十日に至る第四十二期営業報告書、貸借対照表、損益計算書、利益金処分案を原案どおり承認するという旨の決議がなされたわけでありますが、その決議に瑕疵があるということで決議取り消しの訴えが提起されまして、一審でこの決議を取り消す旨の判決がありまして、会社側から控訴をいたしましたが、大阪高裁の控訴審の判決におきましても控訴を棄却したという事件であります。 決議に瑕疵があるその瑕疵の内容といたしましては、原告の一人であります後藤孝典が、会社から提案をされました利益金処分案につきまして、当期未処分利益金が三億三千万以上原案では計上されておりましたのを、そのうち三億円を水俣病対策積立金として別途に積み立てて、そして残金三千万余りだけを後期繰越金とするという修正動議を提出しようとしましたのですが、その修正動議の提出が、何といいましょうか封殺されまして決議に至ったということで、会社側は、修正動議の提出に気がつかなかった、議長が修正動議の提出に気がつかなかったということを言って争ったわけでありますけれども、それが入れられなかった、こういう事件のようでございます。 そこで、この修正動議というものは、議決権のある株主である以上は当然に認められる権利であるというふうに考えるわけでありまして、今回の改正法におきましては単位株制度をとりましたので、その間に議決権の有無ということに関しては若干事情が異なってまいったわけでありますけれども、議決権を有する株主であればこの修正動議は、あるいは修正提案権というふうに言ってもい いかもわかりませんが、これは認められるわけであります。ただ、従来五十円券を一株持っておれば株主として議決権の行使ができたのに、今後は、公開会社につきましては、それでは議決権は持てないという違いは出てくるということになろうかと思います。
○稲葉委員 だから、いまのチッソの後藤孝典弁護士の事件はそれはそれとして、それを今度の改正法でそのまま直すと、修正動議を出せるのですか、出せないのですか、どうなんです。後藤君の持っていた提案権というか、何株持っていたのか、それはどうなっているんですか。今度の改正案によると、後藤君の持っていたあれは出せるのですか、出せないのですか。
○中島(一)政府委員 これは後藤その他のそれぞれの原告が何株ずつ所有しておったかということがわかりませんので、新しい制度のもとで単位株に満つるか満たないかということを申し上げるだけの準備はございませんけれども、今後は、こういう修正提案をしようとする者は、議決権を有する株主でなければならないということでございます。
○稲葉委員 いや、議決権を有する株主でなければならぬということはわかりましたよ。自益権と共益権分けて、共益権の問題でしょう。ところが、経団連なんかでは、共益権なんてもう要らないという説もあるじゃないですか。法制審議会でそういう意見が出ているでしょう。株主にはもう共益権なんか与える必要はないんだという意見も出ていますよ。 まあ、それはそれとして、私が聞いているのは、いまのチッソの例で見て、後藤孝典弁護士が出したのと同じようなことが今度の改正案でできるかできないかです。後藤君なら後藤君が何株持っていたか、それは調べればすぐわかるでしょう。それを聞いているわけです。それを聞かなければこの問題は意味ないじゃないですか。そこまでぼくが質問の内容を教えなかったのは悪いけれども、ぼくも意地が悪いからそこまでは教えなかった。教えてはかえって失礼だと思うから教えなかったのだけれども、それが質問のポイントでしょう。あなた方の方でも口頭試験なんかでみんな修習生に試験をやっているのだから、どこに問題のポイントがあるかというそのポイントに気がつかなきゃだめだよ。そこがこの問題のポイントですよ。だから、あのチッソの事件をこの改正案に当てはめたときに、改正ができたときにできるかできないかということですよ。その株主の株券の数を調べなければわからないというなら、それじゃ調べてからでいいから、あしたでもいいから答弁してごらんなさい。
○中島(一)政府委員 新しい制度のもとでどうなるかということでございますけれども、新しい制度のもとで修正提案をする、修正動議を出そうという人は、当然に単位株を持ってその準備をするであろうというふうに私ども考えましたものですから、その点は特に調べておりません。この判決が非常に大部なものでありまして、刊行されております判決そのものがそういう点について省略をして掲載されております。特に株主一覧あるいは原告の一覧表のごときは別紙になっておりまして省略されておりますので、そこまで調査をいたしておりません。
○稲葉委員 恐らく「判例時報」だと思いますが、それはそこまで書いていませんけれども、私はそれを問題にしているわけですよ。いままであった少数株主の権利が今度の改正法でなくなってしまうのではないか、それを問題にして聞いているわけですから、それは調べてくださいよ。それは調べられますよ。調べられなければこの法案は採決できないですよ。それが一つですね。 それからもう一つ、会社の社会的目的というものに対して株主は一体質問できるのか、提案ができるのかという問題があるんじゃないですか。その点が一つの大きな問題になってきているのじゃないですか。それはどうですか。
○中島(一)政府委員 この点は、現行法におきましては一種の修正提案権、修正動議というものでありますから、会社側から一つの提案が議題として出されておる場合にその内容を修正するという意味での提案が許されるにすぎないというふうに考えますが、新しい制度のもとで少数株主権として一種の提案権を認めておりまして、これはいわば追加的な提案権ということでありますから、会社から提案がされておらなくても別項目について新しい提案をすることができるという新しい権利を認めたことになるわけであります。 その場合に、新しい権利としての提案権は、ただいまおっしゃいましたような会社の社会的責任を追及するというものに及ぶかどうか、これがまず一つ大問題であろうかというふうに考えるわけでありまして、すでに諸外国の具体的な判決などではこの点が問題になったようなものも刊行物として紹介をされておるようであります。これが会社の業務の運営にとりまして重要な事柄であるということになりますれば、ただし書きの規定に当たらない限りは提案権の内容に含ませられる、こういうふうに考えるわけでございます。
○稲葉委員 株主の解説請求権あるいは質問権、そういうものに関連して会社の社会的責任を追及する動機からする権利行使がどの程度認められるか、こういうことでしょう。だから計算書類の承認に関する会社の業務、財産状況を株主が質問することは請求権として認められるんだけれども、社会的に欠陥商品だあるいは公害だという大きな問題になっている場合に、これに経営者がどう対処するかということは今後の会社の経営方針の重要なポイントだから、これについて取締役の考えを聞いておくのは株主の質問権の範囲に入る、こういうふうに見てよろしいんですか。そう見てよろしいですか。
○中島(一)政府委員 ただいま御質問の御設例についてはそういうふうに理解すべきものであると考えます。 それから、先ほどのチッソの例でも問題になりましたように、利益金処分案に関連をしてその利益金の処分の方法として、あるいは水俣病の対策の積立金を積み立てるというようなことになれば、これはまさに計算書類に関連する事項ということになろうかと思います。
○稲葉委員 こういう大きな問題になってまいりますのは、兵器生産をしている会社ですね。兵器生産をしている会社で兵器生産の是非について株主が、少数株主権を持っている者もあるし一株しか持ってない者もあるだろうし、法案が五十七年十月一日からですから、それまでの間のことも考えなければいけませんね。そういうときに兵器生産の是非についての質問権というものを社会的責任に関連してできるのかできないのか、これはどういうふうに理解したらよろしいんですか。
○中島(一)政府委員 今回の改正案が新設をしようとしております少数株主の提案権ということに関して申しますならば先ほど申し上げたとおりでありますが、説明義務ということに関しますと、二百三十七条ノ三という規定がありまして、それによりますと、「取締役及監査役ハ総会ニ於テ株主ノ求メタル事項ニ付説明ヲ為スコトヲ要ス」、こういうことになっておるわけであります。ただし、例外がありまして、「其ノ事項が会議ノ目的タル事項ニ関セザルトキ、説明ヲ為スコトニ因リ株主共同ノ利益ヲ著シク害スルトキ、説明ヲ為スニ付調査ヲ要スルトキ其ノ他正当ノ事由アルトキハ此ノ限ニ在ラズ」というただし書きがございます。したがいまして、ただいまの問題はこのただし書きに当たるかどうかという問題になるわけでありまして、今後いろいろな議論がされることになるわけであろうと思いますけれども、私どもは、それが会社の業務との関係で取り上げられるという場合には、特別の事情のない限り説明義務の範囲内に当たる、こういうふうに考えております。
○稲葉委員 委員長、ちょっと自民党の理事を呼んできていただきたいのです、いま法制局の見解を聞きますから。
○高鳥委員長 ただいま呼んでおります。
○稲葉委員 内閣法制局の第二部長がおいでになられましたので、さっき問題になりましたのはこの整理法に対する扱いをめぐりまして法務省当局に聞いたのですけれども、ざっくばらんの話、こういうのは初めてだ、よくわからぬということなんで、よくわからぬと言ったのかそういう意味のことを言われたのかよくわかりませんが、そこで急遽内閣法制局に来てもらおうということになったわけです。 問題は、この整理法案の中で、御案内と思いますが、銀行法を援用しているわけですね。援用というか、銀行法も引っ張ってあるわけです。銀行法はいま審議しているわけです。これは昭和五十六年法律第何号になるかわかりませんが、審議しておる。条文の中にももちろん出てくるわけです。条文の中で第何号の字が抜けて出ているわけです。そこで、仮に整理法案が通ってしまえば公布するというか、裁判では確定と言うんだけれども、そういうことになりますね。そのときに、まだ銀行法が通らない段階で第何号というのをあけっ放しでこの法律を公布してしまうのですかということです。それがまず第一点です。
○関(守)政府委員 お答えいたします。 私ども各国会に法案を出します場合に、いろいろな政策目的からいろいろな法案を出しまして、その中で関連性がある場合がかなりございます。そういう場合におきまして、本件の御質問の場合ですと、銀行法はいま全部改正の法案を出しておるわけでございますが、その場合にどういう措置をとるかと申しますと、私どもとしては、先に閣議決定をいたしますものについては、それを前提といたしまして次の一部改正法案の作業をするということになります。したがいまして、今回もそういう考え方で商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきましても御指摘の条文をつくったわけでございます。そういたしますと、当然その段階では公布されておりませんので、法律番号は入る余地がないわけでございます。同じような問題は、この整理法のもとになります六条の「保険業法の一部改正に伴う経過措置」の第二項のところでも、商法等の一部を改正する法律につきましてそれを援用してやるものでございます。 私ども、これにつきましては、公布の場合には、結局そのまま成立をいたしますればそのまま公布をするということになるわけでございまして、前例といたしましては、その対象になりました法案につきまして継続審議になった場合には、後で官報正誤等の方法で埋めるというようなことをやったことを記憶しております。ちょっと急なことでございますので必ずしも正確ではございませんが、たしかそういうような例があったやに記憶いたしております。したがいまして、そういう取り扱いが可能なのではないかというように考えております。
○稲葉委員 第二部長、私は、この法案がこのままこういう形で出たことが悪いと言っているのではない。それはしようがないですよ。まだ銀行法をやっているところですし、商法と整理法との関係はこういうような関係になっているのだから、それはいいのですよ。私が言うのは、たとえば整理法なら整理法が通ってしまった、参議院も通ってしまった、しかし銀行法は通らなかったという場合、これはどうするのですかということです。銀行法のところはまた改めて修正案か何か出して削除するのですかと聞いているのです。官報へ載せるのは後の話じゃないですか。そんなこと簡単に言われては困るよ。何かさっぱり自信のないような答弁だな。これはまずいな。このままでは採決できないよ。
○関(守)政府委員 先ほども申し上げましたように、その法案が次の国会に継続審査になるということがわかりますれば、それは継続審査になって後で成立をした段階で埋めるという措置がとられたことがあると思います。
○稲葉委員 よくわからないな。継続審査の方はいいです。では、廃案になったときはどうするのですか。廃案になったときは削るのでしょう。継続審査だって、公布するときは削らなければならないのではないですか。削るのは、単に行政的な手続で削るのか、また法案を出して削るのか、どっちかと聞いているのですよ。法案を出して削らなければしようがないじゃないですか。そんなばかな話はないですよ。 もう一回整理しますから、よく聞いていてくださいよ。私が言うのは、銀行法なら銀行法というものが通って同時にそれが決まったということになったら、これも通さなければならないのじゃないですか。先にこれだけ通してしまうと後でそういう問題が起きてくるのではないかという問題なのです。あともう一つありますが、まずそれだけ聞いておきます。
○関(守)政府委員 国会での取り扱いについては、それぞれの提案当局として希望はいろいろございますけれども、私どもはちょっとそこまでは申し上げられないと思います。 ただ、先ほどお話がございましたように、どうしてもそういう事態が生じますので、それはこの法律案が先に可決されて成立をするということになれば、それで公布せざるを得ないということになると思います。そしてもしその対象になっております法案が廃案になれば、その規定は結局空振りと言わざるを得ない状態を生ぜざるを得ないのじゃないかというふうに思います。したがいまして、自後の速やかな機会に、またその両者の一致、意思を合致させるような法案の提出を考えることになろうかと思います。
○稲葉委員 空振りになれば、ほかの銀行法なら銀行法がまだ成立しない段階ならば、一応これは修正して削除しなくちゃいけないのじゃないですか。そうしないとおかしいじゃないですか。この法案で公布してしまって、そうして銀行法法律第何号、そんな法律はないじゃないですか。ないのに、この法律の中で引っ張っておくのですか。そんなことありませんよ。そんな真実と合致しないことはだめですよ。理解できないですよ。だめだめ、もう一遍研究し直し。もう一つ問題があるけれども、あしたの朝もう一遍いらっしゃい。
○関(守)政府委員 公布をいたしますと、その後でそこは空白になっておる、同じ国会で成立をすればそれは埋めていただくということになるわけですけれども、それが成立しなかった場合には廃案にならざるを得ないことになりますが、それについて継続審議ということになって後で、そういう例がたしか行政不服審査法と何かとの関連だったと思いますけれども、あったように記憶しております。もしあれでしたら、その関係の資料をお手元に提出をしても結構ですけれども……。
○稲葉委員 あなた、これはこういう法案を出すときに法務省とよく打ち合わせをしたのじゃないですか。この整理法案というのはだいぶ時間がかかったのですよ。吉野参事官、あなたがやったんでしょう。ちょっとこっちに来て答弁しなさい。この法案はずいぶんおくれたのだから、ずいぶんかかった。 今度逆の場合はどうするのですか。銀行法が通ってしまって、これが通らなかった場合はどうなるのか。いろいろな場合があるでしょうが、このやり方が私はどうもよくわからぬのだ。これは引っ張っているのは銀行法だけですか。銀行法だけがまだ未確定な状態であるわけですか。いまの段階は銀行法だけですね。商法と整理法との関係はあるけれども、これは恐らく一緒に成立する形になるでしょうから。これも本当を言うと議論があるのですよ、別々にやると整理法なんか大変なんだから。これは非訟事件手続法の何条はと一々引っ張って、非訟事件手続とは何かということから始めていくと大変な騒ぎなんだ。これだけで一月かかるんだ。学説もいっぱいあってむずかしいのですよ。そんな話はいいけれども、これはどうもわからぬな。 だから、私の言うのは、銀行法が継続審査になってそれが通れば条文の番号ができますね、できたら、後で勝手にあなたたちが法律第何号と入れるのですかということです。そうしてこれは五十六年でなくて五十七年の法律だったらどうするのだ。片方が五十六年に通るとは限ってないじゃないか。ちゃんと「五十六年」と書いてある。五十七年だったらどうするんだ。だめだめ、これはちゃんと資料を持ってきて、あしたの朝よく説明してください。
○関(守)政府委員 後の国会で継続審議になっておりますから、これは御指摘の例でございますが、銀行法はそのまま銀行法の法案が残っているわけです。そこで、その法案によって修正するという機会がございますので、そこで直すというようなやり方がとられるのじゃないかと思います。
○稲葉委員 とられるのじゃないかと思いますと言うから、あなたの答えがあいまいのように聞こえちゃうのよ。だからまたあしたいらっしゃいということになっちゃうんだよ。そこで、あなたの方としては、答えはこうですと言い切っちゃった方が得なのよ、そんなこと言っちゃ悪いけれども。なかなかむずかしいんだよ、こっちもよくわからないんだから、率直に言うと。どうですか奥野さん、あなたの方が詳しいけれども、どうなんです。
○奥野国務大臣 こういう例はしょっちゅうあることだと私は思っておるのでございまして、国会に提出している以上はすべての法案について整合性を保たなければならない、そういう意味で絶えずやっている。番号は常に法制局で入れられるわけでございますし、言葉は、もし銀行法が通らないためにそれが適当でないという場合には、後日またそれを再修正しなければならないという事態が起こるということだ、こう思っておるわけでございます。したがって、一時期は矛盾する期間は起こるだろうと思います。いま申しますように、提出した法案が成立することを予定してそれぞれが修正しているわけでございますから、一本が通り、一本が通らないというような事態が起こりますと、ある期間だけは矛盾する場合があり得るだろうと思います。したがって、できるだけ早くそれをさらに改めるということになろうと思っております。
○稲葉委員 だから、その改め方の問題なんですよ。改め方の問題として、片っ方の法案が、たとえば銀行法なら銀行法がいまかかっているわけでしょう。これが継続審議になって来年までかかったとなると、五十七年の法律になりますわね。そのときこの法案で出たのは第何号というのは抜けているわけで、「五十六年」と書いてあるでしょう。そのときに勝手にあなたの方で、行政当局の方で直していいのかということなんですよ。いまので言うと直していいように聞こえるから。官報に載っければいいんだと言うから。そんなことないでしょう。だから法案を、修正案というのはどうするのか知らぬけれども、出してやらなければならないんでしょう。そういうことならば、そういうふうなことだと何か未確定な状態のような法案になってくるんじゃないか。だから結局、片方の状況を見ながら採決をしなければいけないんじゃないか、こういうことを私は言っているわけなんですよね、必ずしもそうじゃないと言う方もあるけれども。 急だか何か知らぬけれども、あなたの方と法務省の方とよく打ち合わせたはずだと思うのだよ、これ。これは官房長会議なんかでもよくそういう話が出ているはずだと思うのだな。あなた、第二部長、人柄がよさそうで、ちょっと役人らしくないからな、学者みたいだから。だから余り断定的に物を言わないわな。ずうずうしい役人だったら断定的に言って知らぬ顔してふん反り返っているんだけれども、あなたのように言うと、あれで問題が起きてくるんだけれどもね。 だからぼくは、結局後からそういうように修正を予定しているような法案というものは、片方の法案の審議の進行状態というものを見てから採決するのが正しい採決の仕方ではないか、こういうふうに思うのですよ。前に一回あったって、行政不服審査法なんというのは二十何年前の法律だよね。そのときにあったと言うのだけれども、そういうふうにあったと言うならばあったで、後で資料を出してもらいたいのですがね。ぼくはどうもこのやり方、実は私も初めてなんですよ。法務省も初めてだといま言うんだ。前田刑事局長は違う違うと言っているようだけれども、じゃ刑事局長、もとの官房長という経過で答えてくださいよ。
○前田(宏)政府委員 どうも所管でございませんので申し上げられないかと思いますけれども、私の理解しておりますのでは、先ほど大臣もお答えになりましたように二つの法案が同じ国会に出る、それが当然政府側としては成立を期待して出しておるということで、いまのような形で提案されることはやむを得ないといいますか、当然あり得ることだと思います。 ただ、御指摘のように一つの法案が通ってしまって、いまの場合商法の施行法が通ってしまって銀行法が通らない場合にどうなるかといいますと、銀行法というのは通っていませんわけですから、その附則によって直すべき対象がないということになりますから、形の上ではその附則が法律としてございますけれども、修正されるべき対象がないという意味で、先ほど来お答えがありましたように空振りということであろうと思います。 ただ、その場合に、たとえば五十六年ということになっておりますけれども、それが五十七年になった場合には、その次の銀行法の御審議の際に、政府提案というわけではなくて、むしろ国会で議員の方で修正案を出されて、そこで「五十六」とあるのを「五十七」と改めるという修正の議決をされるんじゃないか、かように思います。
○稲葉委員 これは立法府ですからね。立法府が直すのが本当なんで、政府が直すというのはおかしいです。あなたがいま言ったようなのが本当なんですね。だから、いま前田刑事局長が言われたのは大体——大体というか正しい。とすれば、そういうことは法務省内部で当然予想して、十分内容を打ち合わしておかなければいけませんよ。この点については通告しなかったのだけれども、これをもらったときに気がついたのよ、知らぬ顔をしていたけれどもね。これは吉野参事官もやっていたんじゃないのか。あなた、そっちの方へ行ってしまって、出てこなければだめですよ。どういうふうにするかについてはよく考えますが、いま大臣と前田刑事局長の言われたような形でいいと思うのです。 ただ私は、逆に今度は銀行法が通った。それからこれも通った。これが先に通って銀行法が後から通ったという場合、ここへ番号は勝手に入れられるのですか、それはどうなんですか。
○関(守)政府委員 先に通りました法案を公布するまでに他方の法案が通っておりませんと入りませんので、番号はまだできておりませんから、したがいまして、それは後ほど成立いたしました時点で、官報正誤等の方法でその番号を入れるということになろうかと思います。
○稲葉委員 そうすると、結局はこの法案が通っても、片方の銀行法なら銀行法が通らないと、いつまでたっても公布できないということですね。公布はできるの。公布はできて、後で官報で補充すればいいというのですね。ただ年が変わってしまった場合にはそれはだめで、議会で訂正するということね。大体わかったような気もするけれども、しかし、その点は法務省でもしっかりしてくださいよ。そんなこと言っては悪いけれども、この法案出すときに、整理法でもめたはずですよ。だから、この商法の法案よりも整理法の方が長くかかったのだから、その点についての十分な打ち合わせをしておかなければだめだな、重要なことですから。ここら辺にしておきましょう。 そこで、たくさんの問題があるのですが、いままでの中で、営業報告書を九項目にわたって省令にするというお話がさっきありました。この前の鴻教授や河本教授の話を聞いたときには、これを法律事項にするという話もあったのですが、私は法律事項にすべきだと思うのですが、法律事項にしなくても、省令事項にするにしても、国会で論議をされたこと、特に論議したのは(g)項ですね。(g)項について明確に崩さないようにしてほしいということなんです。そのことを含めてこの前御答弁願ったのですが、小林先生からまた国会のいろいろな意見を聞けということもございましたが、これについて法務省がせっかく立案をしてあれしたものを省令において後退することのないように、経団連あたりのいろいろなプレッシャーで後退することのないようにしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、一体この点はどうですか。簡単でもいいから、大臣からお答え願いたいと思います。
○中島(一)政府委員 まず、私から申し上げますが、この点につきましては先ほども申し上げましたように、「業務報告書の記載事項を次のように定めることはどうか。」という試案の注記が提示をされまして、それに対して各界の御意見が参っておる、そういう段階でとまっておるわけでございます。私どもは、この試案の注記と、それからそれに対する各界の御意見、そしてそれとは比重において比較にならないわけでありますけれども、もっと重要な意見として国会の御意見、そういうものをすべてそろえまして法制審議会で御審議をしていただく、こういうことを考えておるわけであります。その際に、今回の法律改正の目的、趣旨というものを十分に踏まえまして結論を出したいと考えております。
○稲葉委員 だから、私が言っているように、ディスクロージャーの制度を実効あらしめるためにそれを十分実りのあるものにしてほしいということ、私どもはこの法案でいろいろ議論したのです。ところが、やはりその点がひっかかってきたのです。八日だかにやったのですけれども、その点がどうしてもひっかかってくるのです。私どもの勘ぐりでは、経団連か何かの反対で、一たん法律にしたのを削ったというふうにとっておる向きもあるのです。これは正しい見方かどうかわかりませんよ。だけれども、そういう点もありますし、ディスクロージャーという趣旨から言えば、明らかにその趣旨を十分くんでもらったものをしっかり営業報告書の中に入れてほしいということです。この点については間違いないでしょうね。これは念を押しておきたいのですよ。なぜ念を押しておきたいかというと、後で必ずこれは問題になるのです。ここが問題になるというごとは目に見えているのです。だから私は聞いているわけです。大臣、いかがでしょうか。
○奥野国務大臣 法制審議会でもいろいろな意見が出たようでございます。詳しくは承知しておりませんが、いろいろな意見もあるようでございまして、結局法制審議会で十分検討していただいた結果を尊重して決めます、こう申し上げているようでございます。国会におきましてもまたいろいろな意見を伺っておるわけでございますので、十分御意見を配慮しながら、最終的に法の改正の趣旨に沿うように検討していきたい、こう思っております。
○稲葉委員 そこで、試案にあったもので法律案でなくなったもの、いろいろあるのですが、たとえば五のところで、三から五の計算書類等の商業登記所への提出、これはなくなりましたね。商業登記法というのはあるのだけれども、一体いま商業登記所というのはあるのですか。
○稲葉説明員 商業登記法によりますと、商業登記の事務は法務局、地方法務局及びその支局、出張所で扱う、こういうことになっておりまして、そういう商業登記を扱っている役所を商業登記法の方では登記所と言っているわけでございます。登記所には、不動産登記を扱っている登記所、これは不動産登記法によるわけでございますが、それと両方ございますので、ここでは区別するために商業登記所という言葉を用いたわけでございます。
○稲葉委員 それは法務省設置法のどこに書いてあるのですか。設置法に書いてあるのですか。
○稲葉説明員 設置法には特に商業登記所という言葉は出ておりません。
○稲葉委員 だから、設置法には法務局とかそういう形で出ているのでしょう。商業登記所というのは、商業登記簿を扱うのだから商業登記所というのかもわからぬけれども、わざわざ法務局という形にして登記所という名前をなくしたのです。それがいまも残っているというのはちょっとよくわかりません、大した問題ではありませんけれども。 そこで私が疑問に思いますのは、これらの計算書類をいわゆる商業登記所へ提出しようということを試案や何かで考えておったのでしょう。どういう趣旨でそういうことを考えていたのですか。
○元木説明員 御承知のように、現行法のもとでは、総会で計算書類の承認がなされた後、遅滞なく貸借対照表を公告しなければいけないということになっているわけでございます。その公告の方法は、定款で定めた日刊新聞紙に掲載しなければいけないことになっているわけでございますけれども、実際には、ほとんどの計算書類と申しますか貸借対照表の掲載を扱っております日本経済新聞だけでも、せいぜい二千社くらいしかやっていないということでございます。全国に九十七万五千からの株式会社がありながら、そのくらいしか公告を掲載していない。地方にもいろいろ新聞社がございますので、そういうものを合わせたところでほんのわずかの会社しか公告をしていないというような実情でございます。 しかし、株式会社と申しますのは、御承知のように公開会社であり、かつ有限責任会社であるということを考えますと、債権者の保護のためにも、少なくとも計算書類の公開あるいは公示ということはぜひやってもらわなければいけないのではないかということで、そのために、すべての会社に強制するために商業登記所への計算書類の提出ということにしてはどうかということでございます。すべての会社が計算書類を提出することになりますれば、各登記所には会社の登記があるわけでございますから、計算書類を提出しない会社はすぐにわかるということから、公告をしないことについての制裁をするという点からも便利なのではないか。つまり開示の強化という点からもこれがよかろうということでこのようにしたわけでございます。 ところが、実はこういたすことにつきましては、小さい会社についてはこれは過大な負担を強いるものであるという反対が非常に多く出てまいりましたので、今回はこれを取り上げないでさらに今後検討していくことにしたわけでございます。
○稲葉委員 小さい会社というのは具体的に何を言うのかはっきりしないけれども、それを除いたらいいじゃないですか。
○元木説明員 実は試案でこのように書きましたのは、できれば小さい会社にやってもらいたいというために書いたわけでございます。つまり、大会社につきましては、今度の改正法律案でも、貸借対照表のほかに損益計算書も一公告してもらうことにいたしているわけでございまして、そういうふうな大会社には、むしろ公告ということを強化していくことで十分これに対応できるのではないかと思うわけでございます。それに対しまして小さい会社に公告を強制することになりますと、費用の関係から非常に無理な点が出てくる。一流の新聞紙でございますと、貸借対照表を載せるだけでもかなりの費用がかかるという問題がございます。その見返りといたしまして、すべての会社について商業登記所への提出を義務づけようというのが試案の立場でございます。
○稲葉委員 だから、小さい会社小さい会社とあなたは言われるけれども、小さい会社というのはどれを言っているのですか。「中小会社の運営と会社法」というあなたの書いた本がありますね。なかなかりっぱな本です。きのう読んだけれども、なかなかいい本だ。普通の大学教授ではなかなかこれだけ書けないが、三千八百円はちょっと高いよ。 それは別として、大中小の会社の分け方をどうするか。それと大中小の会社の中で一番問題になっておることですが、「会社の規模による監査役の具体的権限の違い」というのがありますね。これが一番大きな問題ですね。これを「監査役の権限」「不当決議取消の訴」「取締役会への出席」「取締役の報告義務」「監査役の差止請求」「取締役・会社間の訴訟」「新株発行無効の訴」「小会社の監査報告書」「資本減少手続の違法」「合併無効の訴」「特別清算開始の申立」「監査役の地位」、大中小の会社によって十二に分けて問題点がありますね。まず、大中小の会社というのは一体どういうふうに分けるのが正しいのか、どういうふうにしようとするのかというのと、その場合の監査役の具体的権限は、いま言った十二項目の中で小会社の監査役の権限はどういうふうに低いのですか。
○元木説明員 今回の改正法律案におきましても、現行法と基本的には同じ大中小ということで一応分けているわけでございます。それで、もちろん大会社法あるいは小会社法をつくるというような問題につきましては、これは今後の課題でございまして、今回はあくまで大会社を中心といたしました監査制度の強化ということが目的になっているわけでございます。したがいまして、今回の改正法律案とは直接関係はございませんけれども、現行法のもとにおきましては、一応小会社とそれから大中会社と申しますか、それに分けられるんじゃないか。 それで、大中会社におきましては監査役は業務監査権限と会計監査権限を持っているということでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありましたいろいろさまざまな訴え、たとえば総会の決議の取り消しの訴えにつきましても、これは監査役に業務監査権限があるということを前提にいたしまして、訴えの提起権者になっているということになっているわけでございます。これに対しまして小会社、つまり資本の額一億以下の会社につきましては、今度の改正法律案におきましては負債の額が二百億以上ある会社は一応除かれるわけでございますけれども、小会社にありましては監査役は会計監査の権限のみしか持っていないということでございます。これは、小会社におきましては業務監査も会計監査も両方やれるような監査役というものがなかなか人が得にくいのではないか、そういう前提で、一応そういうような権限に区別を設けているわけでございます。
○稲葉委員 それはお話はよくわかるのですが、そこで、もうさっき出ました監査法人というのは合名会社の規則というか法律を準用しているわけですが、その監査法人というのが私はよくわかりませんが、それはどういうふうに言ったらいいのかな、監査法人が会社と契約を結ぶという形になるわけですか。実際にはどういうふうになるのかな。そうすると、監査法人から何人を、だれをどういうふうにすることになるわけですかな。
○元木説明員 監査契約は会社と監査法人の間で締結するということになるわけでございます。そういたしまして、これは現行の監査特例法の五条にもございますけれども、「会計監査人に選任された監査法人は、その職務を行なうべき社員を指名し、これを会社に通知しなければならない。」ということでございます。
○稲葉委員 そこで、法制審議会で、五十三年十月二十五日の部会の中で、会計監査人の監査を受ける会社における計算書類の総会の承認についていろいろな意見が出ましたね。いいですか。甲の意見、「現行法どおりすべての計算書類について総会の承認を要するとする案」、これが甲ですね。乙が「機関試案第一、一〇の案」、丙が「貸借対照表及び損益計算書だけでなく、利益処分議案についても、会計監査人及び監査役の適法意見があったときは、総会の承認を要しないとする案」、こういう三つの案があって、「甲案を支持する意見」「丙案を支持する意見」「乙案を支持する意見」こう三つあったわけですね。これは結論的にはこのうちのどれが今度の場合に残されているのか、あるいは折衷的になったのでしょうか、どういうふうになりましたのですか。
○稲葉説明員 今度の法案では、先生御指摘のその乙案というものを採用しております。
○稲葉委員 乙案というのは、「貸借対照表及び損益計算書については、丙案意見のとおりだが、利益処分議案の承認は総会権限に残すべきである。」こういうのが乙案であるわけですね。だから、甲案については、すべての計算書類について総会の承認を必要とするという案でしょう。この案が、株主総会が仮に形骸化したといっておっても、株主総会に一つのビビッドな空気というものを生かす意味においては甲案の方がよかったのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
○稲葉説明員 先ほどちょっと説明が足りませんで失礼いたしましたが、原則は、今度は甲案をとっているわけでございますが、ただ、会計監査人の監査を受ける会社についてはその乙案を採用したということでございます。会計監査人の監査を受ける会社と申しますのは、先ほど来いろいろ出ておりますように、資本の額が五億円以上というのと負債の金額が二百億以上という非常に大規模な会社であるわけでございまして、そういう会社の場合には計算書類の内容も複雑である、そしてそれを逐一審査するということについては、いろいろ時間的にも株主総会というものの性格上も、つまり多数の人間が一堂に会していろいろ論議をするということでございますので、いろいろ困難な場面がある。それであるならば、むしろ会計監査人と監査役の意見というものを十分参酌して、そこで問題点が指摘された場合には株主総会に持っていってそこで審議をするという形にした方がよろしいという音寛が大勢を占めまして、そういう形になったわけでございます。
○稲葉委員 少数株主ということはどうも今度の法案によってずっと上に上がってくるわけですね。上がってくるというか、範囲が狭まってくるというか、高まってくるというのか、どういうふうに言ったらいいですか。そこで、「株主提案権について、その濫用がけねんされるので、その法定は好ましくないとの意見が述べられたが、これに対しては、提案権を少数株主権とする以上その問題は特に重要ではないとの意見が述べられた。」こういうことがありますね。 だから、株主の提案権というものについて乱用がある。乱用は確かにあるかもわかりませんよ。乱用があったってそれは否決すればいいんです、乱用ならば。乱用というのは具体的にどういうことを言っているのか。さっきのチッソの後藤孝典君の修正動議というか提案のようなものをあなた方は乱用と見ているのかもわからぬわけですが、どうもよくわからぬですな。だから、株主の提案権というものについて、少数株主というもののレベルを上げたというのかその上限を上げたことによって、株主の提案権というものは従来あったものであるけれども、正しきものであったものが、それが今度はできなくなったということも考えられてくるんじゃないですか、場合によっては。場合によってはですよ。すべての場合にそうだと言いません。もうさっきのチッソの提案権のような問題がいままではあったけれども、今度はできなくなってしまうというようなことも考えられてくる。しかも、会社の社会的目的、公害の問題であるとかいろいろな薬品公害の問題であるとか、いろいろな問題がありますね。そういう問題に対する提案がだんだんできなくなってくるような動きになってきておる、こういうことになるんではないんでしょうか。
○稲葉説明員 今回の提案権の規定は、現行法で認められております総会場における修正動議の提出というものには何ら影響を及ぼさないという考え方でございまして、議決権を持つ株主が総会場へ出ていって修正動議を出すあるいは意見を述べるということは、これは従前どおり全く影響を受けないという考え方でございます。 ただ、提案権という制度を新設いたしまして、会社の手によって株主が提案した事項を各全株主に送付する、そういう制度を設けたわけでございます。そういたしますと、この場合には、乱用と申しますか、たとえば売名行為のために選挙提案と申しますか取締役に立候補するというようなこともあるわけでございますし、また総会屋がいやがらせのために定款変更でございますとかあるいはそれに類するような提案をするということも考えられるわけでございます。そういうことを考慮いたしまして、たとえば公職選挙法の場合においても泡沫候補の立候補を制限するという趣旨で供託の制度があるのと同じように、ある程度の株を持っている人間であればそれほどふまじめな行動はしないのではないかということを考えまして、少数株主として三百株あるいは百分の一という単位を設定したわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、株主の提案権の問題については、提案権ですよ、権利ですよ。それと、ただ一株くらい持っているということで株主総会へ出かけていって——今度は一株くらい持っているのじゃ株主総会へ出かけられないのですか。出席はできるんでしょう。出席して意見を述べられるの。何ができるんですか。議決に応ずることはできるのだろうけれども、意見を言うことができるの。そうすると、少数株主より下の株主もいるわけでしょう。今度はいなくなっちゃうの。そこのところがよくわからぬな。もしおるとすれば、三百株以下とか百分の一それ以下の人がいるとすれば、その人たちは株主総会においてどういう権利を持つのですか。
○稲葉説明員 提案権につきましては、先生の御指摘のように、百分の一または三百株という単位が要るわけでございます。この三百株という単位は、少数株主を決めております数は新しい一株でございまして、額面が五万円になった、そういう単位が引き上げられた株で三百株というふうになっております。本則ではそういうつもりで書いているわけでございます。その一株でも持っておりますと、単位株のことは除外いたしまして、一株でも持っておりますと、これは総会へ出席して議決権を行使することはできるわけでございまして、その議決権の行使の際に意見を述べ、あるいは質問をし、あるいは修正動議を提出することはできるわけでございます。 提案権について特に乱用を懸念いたしましたのは、会社の手で株主の提案した事項が各株主に送付されなければならないということに新しい提案権の制度ではなっているわけでございますから、そういう費用を会社にかけるあるいは手間をたくさんかけることにするということについてはやはり乱用の問題が起こるのではないかというふうに考えたわけでございます。 総会場で修正動議をするということでございましたら、これは何もほかの人に迷惑のかかる話ではございませんし、それについて先生が先ほど言われたように、その場で否決してしまえばそれまでのことでございますから、それについては何ら制肘を加える必要はない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、その三百株以下あるいは百分の一以下、そういう人たちに対しては総会の通知はしないのですか。
○稲葉説明員 総会の招集通知はいたします。
○稲葉委員 総会の招集通知をするのならば、ちっともよけいな費用がかからないじゃないですか。同じじゃないですか。そこへちゃんといろいろな営業報告書なんか入れるんでしょう。何によけいな費用がかかるというのですか。ちょっとよくわからないな。
○稲葉説明員 つまり提案権というのは、自分が、ある株主が提案した事項を招集通知に記載いたしましてそれを送るということでございますから、会社が本来そういう提案がなければ送るべき通知よりもよけいなことを書くわけでございます。その分、結局印刷の費用がかかるということになりますし、それからそれによって枚数がふえるということ、あるいは手間がいろいろかかる、あるいは総会においても追加提案でございますとそれを審議しなければならないということ、あるいは大会社の場合でございますと、それに対して参考書類をつける、あるいは書面投票用紙にそれについての賛否の記載をする欄を設けなければならない、そういういろいろな手間がかかるわけでございまして、そういう点を考えているわけでございます。その送付を受ける株主につきましては何も費用がかかる話ではないということは御説のとおりでございますが、ただ、提案をいたしますとそういうふうなよけいな費用が会社にふえるということでございます。
○稲葉委員 それは大してふえないじゃないですか。だって、どうせはがきで株主総会の通知をするわけじゃないでしょう。封書でやっているのだから、中に入れればいいわけで、どうということはないと思いますが、それはそれとして……。 それから、一株五万円というふうにはっきりしなかったのですね。これはどういうわけなんですか。
○稲葉説明員 一株五万円にしなかったという御趣旨が余りはっきりいたしませんが、要するに、会社設立の際に発行する額面株式の金額と、それからその際に発行する無額面株式の発行価額というものは五万円以上でなければならないという規定を設けたわけでございます。必ずしも五万円、会社によって五万円よりも多い金額にすることが適切な会社もあるだろう、非常に株主数が少ないような会社についてはそういう例もあるわけでございまして、現行法で五百円以上というふうに決めておりますけれども、一株の金額を一万円あるいは十万円にしているという会社もあるわけでございますから、そういう点を考慮いたしまして五万円以上というふうにいたしたわけでございます。
○稲葉委員 私の言うのは、定款で一株五万円とするというふうに決めるか、あるいは法律でもう株式は一株五万円なんだ、こういうふうに決めるやり方もあるんじゃないかということです。何かそういうふうにすると非常な混乱が起きると言っている人もいるんですね。河本さんなんかそういうふうに言っているんです。だから、こういうふうな端株制度を設けてやったんだと言っているんですね。ぼくもその意味がよくわかりませんが、一株五万円ということにしてしまって、そのときに端株も全部併合してしまえば一番簡単なんだろうけれども、それでは経済界が混乱するからそういう制度をとらなかったんだという意味のことも言っている。ちょっとぼくもよくわからぬのですがね。 この前、河本さんの言った中で、そうすると結局、一株と端株がいろいろありますね。それと併合するための法律を今度はまたつくるのですか。そういうことになるのですか。何かそういうふうなことをこの間ちょっと言っておられたですね。
○稲葉説明員 この商法等の一部を改正する法律案の附則の第十五条という規定がございまして、これによりますと、「附則第六条第一項の株式会社で次の各号の一に該当するものについては、」これはつまり単位株をとっている会社ということでございますが、これは「別に法律で定める日に、次条第一項に規定する一単位の株式を一株に併合する旨の改正後の商法第二百九十三条ノ三ノ三第一項の決議があったものとみなす、」ということになっておりまして、この併合の効果を生じさせるためには別に法律で一定の日を指定する必要があるわけでございます。
○稲葉委員 私もよくわからないのですよ。河本さんの本を読んだときにどうもよくわからなかったのですが、一株を五万円とするということに法律で決めてしまうと経済界に非常に混乱が起きるということを言うので、それで単位株という制度をとったのだと言っているんですね。そういうふうに出ているのですよ。その意味がちょっとよくわからないので、それをお聞きしたわけなんです。
○稲葉説明員 株式単位を引き上げる手段として子株を一株に併合してしまうということになりますと、いまたとえば九百九十株持っている株主というものは株主の座にとどまるということができなくなるわけでございまして、それは金にかえてしまうということになるわけでございます。そういたしますと、株式市場においてその端株については全部換金しなければならないということになるわけでございまして、株式が過剰になって株価が暴落するというようなことになって、結局はその小さな株主、千株に満たない株主についてはいろいろ不利益をこうむるということがあるわけでございます。 また、端株制度をとりました趣旨につきましては、一株ずつでそれ以上の小さな単位というものを一切認めないといたしますと、一株だけ株主になっているという人がいるといたしますと、そういう人についてたとえば一割の無償交付が起こったというようなことを考えますと、〇・一株分でございますからこれは端株でございまして、端株が全然権利として認められないということになりますと、結局それは金として出てくる。そうしますと、株式が自然にふえていくというのは株主の一つの楽しみなわけでございますけれども、そういう楽しみが味わえなくなる。それは個人株主として株式に対する魅力をそれだけ減殺するものであるという考え方があるわけでございまして、私どももそういうことはもっともではないかというふうに考えまして、それでこの端株の制度をつくりまして、〇・一株分の端株を会社に登録しておいて、そしてそれがたまっていくと、またそれが二株目になるというような制度をつくったわけでございます。
○稲葉委員 いまあなたのおっしゃったとおりですね。だから、単に五万円ということに切り上げてしまうと経済界が非常に混乱したり何かするということで、こういう端株の制度をつくったんでしょうけれども、問題はなかなか複雑ですね。 そこで、ECの第八ディレクティブというのがありますね。これはまだ案なのか、ちゃんと正式なあれになったのかよくわかりませんが、少数株主が、監査役なり公認会計士というか、それが不適任であるというときには裁判所へ申し立てをしてその監査役なり公認会計士の解任を請求できるというように、このECの案ではなっているようですね。こういうことは日本の場合でも認められていいんじゃないでしょうか、どうなんでしょうか。 これは裁判所がそこまで関与することがいいか悪いかといういろいろな議論があると思いますけれども、不適当な監査役がいる、あるいは会計監査人がいるというときに、これは株主総会であれできることはできますよ。特別決議でしたかな、何かできると思いましたが、しかし、それは多数の威力でできない場合があります。そういう場合に裁判所へ申し立てをして、裁判所でそれを解任させるという制度がECの第八ディレクティブでとられているというふうにありますが、そこら辺のところは日本としてもどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
○稲葉説明員 現行法におきましては二百五十七条の第三項、これは取締役に関する規定でございますが、これが監査役にも準用されております。そしてこれによりますと、取締役の解任決議が否決された場合には、発行済み株式の総数の百分の三以上に当たる株式を有する株主はその取締役の解任を裁判所に請求することができる、こういう規定になっておるわけでございます。 ただ、これは会計監査人については特に準用しておりません。それは職業的専門家としての会計監査人は一定の資格が当然あるわけでございますから、その資格がある者について、そしてそれについては大蔵省の公的な監督もあるわけでございますので、あえて株主からするこういう監督、つまりこの場合には「職務遂行ニ関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アリタル」場合という限定がついてありまして、そういうことを請求原因として解任の訴えを起こすということになっておりますが、そこまでの必要は会計監査人についてはないのではないかという判断を下したわけでございます。なお今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○稲葉委員 時間が参りましたので質問はこれで終わりますが、いろいろ質問してまいりまして、あしたの討論で申し上げますが、法律としてはよくできているのです。確かに形はよくできている。長い間苦心されたのもよくわかるのだけれども、さあ果たしてこれで十分実行ができるだろうか、こういうことについては私は非常に疑問を持つのですね。形はつくっている。では具体的にどうするんだと言われたって、法務省としてはそれ以上タッチすることはできないでしょう。それは自由主義経済のもとにおいて役所がそう関与するわけにいかないからということで、形はできているけれども、これ以上のものはできないかもわかりませんが、実質的には大した効果がないんだ、こういうふうに私は考えるのです。 まだたくさんの問題が残っておるということを本法について痛切に感じます。時間が参りまして、これでやめます。あとはあしたの討論の中で申し上げたいと思います。
○高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○高鳥委員長 それでは、速記をつけてください。 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 ただいまから民社党といたしましては締めくくりの質問をさしていただきたいと思います。簡潔にお答えを願いたいと思います。 質問の第一は、法務省に対してでありますが、従来は監査人というものは取締役会で選任されるということになっておりまして、取締役への従属性というのが非常に強く印象づけられておりました。そこで監査の妥当性が疑われるというような状態でありましたが、今回の改正ではどういうふうに改善されるかということについて、簡単にお答えください。
○元木説明員 今回の改正におきましては、監査人は株主総会で選任するということでございます。さらに、その議案の提出、それから議題の提出につきましても、監査役の過半数の同意を得なければいけないということになっております。
○岡田(正)委員 そこで、監査人を総会で選任するというのでありますけれども、現実の総会というのがこの法改正があったためにがらっと変わるとはちょっと私も思えないのです。現在の総会はどういう状態であるかというと、五分でやった、あるいは十分でやった、大手柄だというような状態で全く形式化されております。それで、監査人を総会で選ぶのだからということで独立性というのが非常に認められたということはよくわかるのでありますけれども、総会は一体だれが招集するのでしょうか。総会はだれが一体牛耳ると言ったらおかしいのですが、だれが取り仕切るのでしょうかということを考えてみますと、総会で選ばれる監査役というのがそれほど実効性が上がるかな、独立性が出てくるかなという問題があるのであります。その問題とあわせて、実質的な総会の価値が上がっていく、形式化しない実質的な総会になり得るような対策等を含めまして、法務省の御見解を伺いたいと思います。
○元木説明員 まず、総会自体の問題でございますけれども、総会につきましてはすでに議論が出ておりますように、総会屋対策等々、つまり現在総会が形骸化しているということについて最も元凶と言われます総会屋退治、これについてかなり新しい規定を設けまして、これをもって直ちに明くる日からということ、これは将来の問題でございますから申し上げられませんけれども、かなり改善をされるのではなかろうかと思います。 それから、総会で会計監査人を選任するということにつきましては、従来取締役会という密室で行われていたものが、言ってみればオープンの場で討議の上に選任されるということになるわけでございます。さらに、先ほどもちょっと触れましたけれども、会計監査人の選任の件という議題を総会に提出する、あるいは何のだれがしを会計監査人の候補者に推薦するというような議題及び議案の提出につきましても監査役の過半数の同意を必要といたしますし、さらに監査役の方から積極的にそういうものを議題なり議案とすることも請求することができるということで、従来とかく監査される側が監査する人を選ぶというような批判に対しては対処いたしたつもりでございます。
○岡田(正)委員 次に、今回の改正案の中で導入されております提案権の制度、非常にいい制度であると思うのでありますが、この提案権の制度を利用いたしまして株主が監査人の選任に実質的に関与する道があると思うのですけれども、これが実際的には可能かどうか。また、その実効性についてどう思っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
○元木説明員 提案権につきましては、先ほど来問題になっておりましたけれども、いわゆる株主総会の議場においてする動議と、それから今回新設されましたような規定に基づきまして前もって提案をするという方法と両方あるわけでございます。その議場においてする動議につきましては、新たな提案あるいは新たな議題を提出する、つまり会計監査人選任の件というふうな議題を提出するということはできませんけれども、その議場において候補者を推薦するなり何なりという方法はできるわけでございまして、そういうことは現行法のもとにおいても可能であろうと思います。 それから、今回新たに法律案にできました制度のもとにおきましては、これはたとえ会社の方で会社監査人選任の件という議題を出しておりませんでも、株主の方で積極的にそれを行うことができるということで、一応有効の制度ではなかろうかと存じております。
○岡田(正)委員 次は会計士の独立性でありますが、これは大蔵省の方にもっぱらお伺いしたいと思いますが、この独立性を確保するために抜本的な対策の一つといたしまして、よく聞くのでありますが、会計士協会を強化をいたしまして監査業務を一手に引き受けていただく、それで各会計士にそれを今度は配分をするというような方式をとったらどうか、こういう考え方があるということを聞いておりますが、大蔵省としてはいかが思われますか。
○宮本説明員 いま先生から御提案のような、そういう方法というのは、先般四十九年に商法が改正されましたときにもかなり議論があったように私伺っております。そのときはその必要はないという答弁をしてまいったわけでございますが、しかしその一方、公認会計士の独立性というものは他の方法によってもっと促し得ないだろうかということで、われわれ相当努力してまいったわけでございます。その証左といたしましては、その商法改正以降、公認会計士が協力したような大きな粉飾事件というのはほとんどない、不二サッシというのが一件ございましたが、ないような状況でございまして、われわれとしては、現行制度をますます発達させることによってそういう独立性の保持というのは維持されるのではないかというふうに考えているわけでございます。 現行法の中におきましても、公認会計士法には、そういう不当な証明をした公認会計士を懲戒する処分規定がございますし、商法監査特例法にも過料の規定がございますし、さらに、証取法におきましても損害賠償の責め等の規定があって、その罰則による担保というものがなされておるわけでございます。 それから、さらにつけ加えさせていただきますと、公認会計士協会におかれまして、その監査人の交代に関するルールというものを自主的な運営の形でつくっておられる。そこでは、前任者と引き継ぐ場合において、スムーズにその引き継ぎが行われない場合には、後任者は新たな契約を結んではいかぬというふうなことが行われておりますし、さらに、その両者間にトラブルが生じましたような場合におきましては、公認会計士協会長を長とする監査契約裁決審議会というふうなものが設けられておりまして、そこで処理していく。さらにそれでもだめな場合には、第三者の中立的な人を入れた紛議調停委員会というのがございますが、そういう場でもさらに処理していくというふうな方途が講ぜられておって、その点は余り心配ないのではないかとわれわれは考えております。 したがいまして、今回商法で先ほど来御説明のような形のものが取り入れられれば、公認会計士の独立性というものはますますモラルサポートされるのではなかろうかというふうに考えます。主たる先進国におきましても、ほとんどの国が株主総会での選任というふうな形をとっておるわけでございます。 先生から御提案ございましたような協会が一括して契約するというふうな方法は、実は、言うはやすくして大変むずかしい問題なわけでございます。たとえば、その特定の会社へ派遣する監査人をどのようにして選任するか、また、適格者をある程度選び得たとしましても、いかにしてその監査団を編成するか、上下をつけていくか。あるいはさらに、会社と監査人との間には基本的に、任意監査でございますから、信頼関係というものが必要なわけでございまして、その監査がスムーズに行われるためには、やはり自由な契約で信頼関係に基づくものが実は望ましいので、さもなくば、監査が非常に形式的に流れるとか、あるいは摘発型のような監査でなかなか会社の方の協力が得られないようなかっこうで、監査がどうしても不十分にならざるを得ない。いろいろこういう監査制度の根幹に触れるような問題を含んでおるわけでございまして、そういう制度につきましてはよほど慎重に考えてまいらないといかないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○岡田(正)委員 大蔵省の方に重ねてお尋ねするのでありますが、この監査の公正さを担保するというために、アメリカのSECのような制度を導入するというようなことに対しましてどう考えられるか。そういう制度を導入して監査の内容をさらにチェックするというようなことについてどう思われるか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 先生も御承知のように、米国のSECといいますのは、一九二、三〇年代初期の大恐慌を経まして、資本市場における非常に頻発いたしました詐欺的違反行為に対する措置として誕生したという、そういう歴史的な背景がございます。したがいまして、運用の面でも、SECというのは司法警察的な色彩が非常に強いというふうなものでございます。 このSECのような制度をつくるかどうかといいますことは、たとえば行政機構全体にわたるようなことでもございますし、さらに、わが国とアメリカとの間におきましては、法制面において違いがありますほか、たとえば裁判所の運用の仕方におきましても大変大きな違いがある。先ほど申しましたような司法的な違いがある。そういう意味では、SECのような機構をそのまま日本の中に取り込むということについては、これまた同じような答弁になって恐縮なんでございますが、相当慎重を期す必要があるのではないかと考えているわけでございます。 公認会計士の独立性の確保というのは、そういうことのほかに、たとえば公認会計士監査の一層充実という形で、協会と私どもとでいろいろ相談し合って、現在適宜適切な方法をとっておるのでございますが、たとえば一、二の例を述べさせていただきますと、この間公認会計士協会長もこの場で申しておられましたけれども、組織的監査というものを協会の中で会員に指導していったり、その指導していくための直接の機関として、会長の直属の常設機関でございます監査業務審査会というふうなものを設けまして、個々の会員に、あるいは個々の監査法人に直接そういう指導をしていくというふうな形で、その独立性を監査水準のレベルアップというふうなかっこうで推し進めておるというふうなことでございまして、私どもといたしましては、現段階におきましてそのSECを設けるというふうなことは考えていない、こう申し上げてよいかと思います。
○岡田(正)委員 これも続いて大蔵省で恐縮でありますが、現行法の中で、主として証券取引法及び会計士法におきまして、会計士と税理士との間のいわゆる兼業禁止の規定がありますね。それで、今日その実態が一体どうなっているかということを、もし数字でお示しがいただければ大変ありがたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 五十五年十二月末の数字でお答え申し上げたいと思いますが、公認会計士として登録いたしております数は、全体で六千三十六名ございます。また、公認会計士補として登録しておりますのが二千二百九十四名でございます。それで、この公認会計士の資格を取りますと税理士業務ができるわけでございますが、先ほどの六千三十六名のうち、税理士登録を行いまして税理士業務を行い得るという形になっておる方は、現在公認会計士の中で四千五百名ぐらいということでございます。
○岡田(正)委員 ちょっと時間がありませんので、次へ急がせていただきます。 これは法務省と大蔵省と両方にお尋ねしたいのでありますが、今回の特例法の改正におきまして、実質的に、公認会計士と税理士との兼業禁止という、いわゆるその兼業が完全に排除できるものでしょうか。さらに、そのことの今後の運用につきまして、それぞれのお立場における姿勢をこの際伺っておきたいと思うのであります。
○宮本説明員 先生御指摘のとおり、ただいまの公認会計士法、それから証券取引法、この両法に、監査業務と税理士業務を同時にできないという規定がございます。その規定は現在適切に運用されておる、私どものところでそういうことについての苦情というものは全く聞いていない状況にございます。 そこで、先生の第二の御質問で、今後そういうものをうまくやっていけるかどうかという点でございますが、今回の監査特例法の改正案の中におきましても、幸いなことに、商法上の監査について監査人の独立性を明確にするという観点から、同趣旨の規定が、四条、五条、七条というふうに分けて入れられたわけでございます。そういう意味では、今後とも引き続き問題はなからんというふうに思うわけでございますが、先般の参考人の質疑におきまして、日本公認会計士協会長と日本税理士連合会の四元専務理事からもお話がございましたが、仮にそういうものがあれば両業界で何らかの形で協力し合って、そういったものが仮に起こっても仲よく解決していこうではないかというふうな提案があったやに伺っておるわけでございますが、私どもといたしましても、そういう方向をできる限り支援して、そういうトラブルが生じないようにしてまいりたい、こう考えております。
○岡田(正)委員 ただいまの質問に対するお答えでありますが、これはぜひひとつ親切丁寧にいまの答弁を事実上生かしていただきたい。恐らくトラブルが出てくると思いますよ。トラブルが出てくると思いますので、そのことについては、両業界だけで話し合いをするというのは利害が相反するわけでありますから、恐らくなかなかむずかしい問題だと思います。そういうときにはひとつ大蔵省は積極的に仲に立って、十分調整をとっていただきたいというふうに思う次第です。 このことにつきましては、非常に重要なことですから、法務省からもお答え願いたいと思います。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
○中島(一)政府委員 今回の特例法の改正におきまして、証券取引法上の資格の制限というのを特例法にも取り入れまして、全く歩調を合わせた規定を置いたわけでございます。私どもといたしましては、証券取引法上の規定の運用の実績をいろいろ伺っておりますので、特例法の運用につきましてもこれで一応の必要な手当てをしたというふうに考えておりますけれども、なお実績を見まして、将来の全面的改正の際にもまた考えてまいりたいというふうに考えております。 それから、法律上の手当てはそういうことでございますが、その運用におきましていろいろトラブルが起こるというようなことも全くないわけではないというふうに考えるわけでありまして、そのトラブルの解消ということにつきましては、先ほどから問題になっております苦情処理の方法というようなものもいろいろ御提案があるわけでございますから、私どもは両業界の監督官庁という立場ではございませんけれども、求められればそれに協力してまいりたいというように考えております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。これは法務省にも特に要請をしておきますが、求められることがなければいいのでありますが、あるいは出るかもしれぬという危惧を私は非常に持っておるわけでございます。したがいまして、そういうときにはひとつ積極的に相談に乗っていただくよう、法改正をいたしましたら、何といっても当面の関係省でございますから、その点十分含んでいただきたいと思います。 それから次に、大蔵省にお尋ねをいたしますが、証取法上の監査と商法上の監査と二本立てでございますね。そこで、この二本立てがあることについて、とかく従来から批判がよくあります。これは御承知のとおりだと思いますが、たとえば大蔵省令で出ておりますところの財務諸表の規則、それから法務省令で出ております計算書類の規則、これも同じようなものでありますけれども、実際には書式が全然違うというようなことで、何でこんな同じことをするのに書式が違うのかいなという戸惑いがある。それからいま一つは、会計処理の方法もそれに徳って違ってくるというようなことなどがあるわけでありまして、大変迷惑をしておる事態が事実上あるわけです。これを将来ぜひ一本化するべきではないかと考えておるのでありますが、大蔵省の方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○宮本説明員 先生よく御承知のとおり、証券取引法上のディスクロージャーといいますのは、あくまで資本市場の維持といいますか投資家保護という観点から行われておりますわけで、そういう意味では、資本市場で増資を行い、社債を発行し得るようなきわめて大きな企業というものが対象にされておるわけでございます。そのような企業の内容を投資家が買うという趣旨でございますから、そのディスクロージャーというのはできるだけ詳しいことが必要であるという趣旨で、証券取引法が二十三年に制定されて以降、その制度というのは徐々に発達して、今日のようなほぼ欧米に比肩し得るような詳しいものになってきておるわけでございます。 商法の方は、御承知のように、これはまた商法上の特異の目的から昭和三十七年に計算規定というものが導入されたというふうに伺っているわけでございますが、そのように法律の目的とするところが違いますがために、そこには、両規則の間には勘定科目の精粗であるとか注記事項にいろいろな違いがあるということは否めない事実だろうと思われるわけでございます。しかしながら、四十九年に商法の中にも商法上の監査と会計人による監査というものが導入されましてから、やはりその会計監査人の監査が両法のもとにおいて同じであるべきである、一元化さるべきであるという考え方から、その両規則の調整というものが図られてまいったわけでございます。で、四十九年のときに商法の三十二条の二項に、公正な会計慣行をしんしゃくすべしというふうな規定が加えられることによりまして、その両方の監査というものが同じ基準を考慮して行われるべきであるということが明らかにされたわけでございます。 それでもなお若干のそごがあったわけでございますが、先日来議論されておりますように、たとえば特定引当金と言われるものについて大きなそごがあったのも、今回の改正によってこれが完全に一元化されたというふうなことで、その意味では両者間の大きなそごというものはほとんどないような状態に現在なっておるのではないかと私は考えておるわけでございます。
○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わらしていただきますが、何といっても大きな法律の改正でございます。利害関係団体もあることでございますし、どちらが笑ってどちらが泣くというようなことがあってもいけない。大臣も非常に御苦心をなさったところであろうと思いますが、なおなおこの問題は尾を引くのではないかというような気がいたします。職域の侵害ということがお互いに起こらないように、そういう点も行政機関として温かい目で、トラブルのないようひとつ十分なる指導監督をしていただきますように、そしてこの法律の実効が上がりますことを心から願いまして、質問を終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○青木委員長代理 安藤巖君。
○安藤委員 前回に引き続いてお尋ねをいたします。 二百三十七条ノ四、総会の議長の権限が新設をされておるわけですが、このうちの第三項に「議長ハ其ノ命ニ従ハザル者其ノ他ノ総会ノ秩序ヲ乱ス者ヲ退場セシムルコトヲ得」、これはまあ総会屋対策とも言われておるわけなんですが、いろいろ株主総会には一株運動の人たちとか、今度質問権もいろいろな制限があるようですが、たとえば公害を出している企業の場合、住民の人たちがその会社の株式を持っておって、そして株主総会の機会を利用してしかるべき発言をしようというような場合にも、これは程度にもよろうかと思いますけれども、そういうものも、会社を非難する者はけしからぬというようなことでもって、簡単にこれを振り回されてしまうというようなことはないと思うのですが、この辺のところはどういうふうに考えてみえますか。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○元木説明員 この二百三十七条ノ四の三項の規定は、これはもちろん総会の秩序を維持するための目的で設けられた規定でございまして、株主の正当な権限の行使を特に抑圧するという目的で置かれたものではないわけでございます。したがいまして、株主といたしまして正当に動議を出すあるいは質疑を行うということについて、これが気に食わないからということで退場させることができるということではございません。かえって、そういう正当な権利の行使をさせないまま決議してしまうということになれば、これは決議の方法が法令に違反しているということになるわけでございまして、決議取り消しの対象になるということでございます。
○安藤委員 次に、二百六十条の関係でございますけれども、これは取締役会の強化の規定だというふうに理解をしております。 そこで、この二項の一号と二号、これが新たに新設をされて追加をされたということば前進だろうというふうに思っております。ところが、法制審の答申の要綱案にもっと項目があったわけですね。「営業の譲渡及び譲受け」あるいは「重要な寄附、出資、貸借、保証、担保の供与及び債務の免除」というのもこの取締役会で決すべき重要な業務の執行の中に入れておったのですが、これが法案の中に入っておらなくて欠落しているのじゃないかと思うのですが、それはどういうような理由でこういうことになってしまったのでしょうか。
○元木説明員 結論から先に申し上げますと、法制審議会の答申をそのまま条文に持ってきたということでございます。つまり、法制審議会の答申の中で取締役会の権限として列挙された事項は、これは全部この一号から四号の中に読み込まれているということでございます。たとえばただいま先生御指摘の重要な保証でございますけれども、保証は条件つき債務の負担でございますから、二号の「多額ノ借財」の中に入ってくるという解釈でございます。
○安藤委員 法制審の答申、要綱案の中には、先ほど読み上げました中に「重要な寄附」というのがあるんですね。これは明確なある大きな財産、たとえば一つの工場をどこかへ寄付してしまうとかというのも当然入るかと思うのですが、これまでいろいろ問題になっており賞した政治献金とか、それからいわゆる総会屋に対する無償の供与とか、こういうようなのもやはりこの中に入ってくるんじゃないかと思うのですね。そうすると、いまおっしゃった御説明によると、これは二項一号の「重要ナル財産ノ処分」の中にそういう「重要な寄附」というのも当然入ってくるんだ、そういう解釈でよろしゅうございますか。
○元木説明員 仰せのとおりでございます。
○安藤委員 それから二百六十条ノ四、これは四項になるわけですね。これは前にもいろいろ議論されておったところなんですが、取締役会の議事録の閲覧の問題ですね。現行法では株主あるいは債権者、これはいつでも行って見れるということになっておるのですが、もちろん営業時間内ということですが、今度は「裁判所ノ許可ヲ得テ」ということになるわけですね。一遍裁判所をくぐってこないとだめだということですと、これは公開を制限することになるのではないかというふうに思えるのですが、その点はどうでしょうかね。
○元木説明員 確かに制度的には一応公開を制限したというふうに見られるわけでございますけれども、現状は御存じのように、取締役会の議事録と申しますのは、本来業務の執行を決定する機関でございますから、それには業務執行の決定に関する件が記載されるということになるわけでございます。ところが、業務の執行にはこれは企業秘密がつきものでございますので、現在のところ会社としてはなかなか見せたがらないというのが実情でございます。そのために方向といたしましては、どうも取締役会で重要なことを決議しないとか、あるいは重要なことを決議しても取締役会議事録には明確に記載しないとか、そういうことが出てまいります。さらにもっと悪いことは、総会屋がこの取締役会議事録を見せろということを種にして金品を要求するというようなことが非常に出てくるわけでございます。むしろ現状では、一般に株主、債権者に公開しているということがマイナスの結果としてしか出てきていないという問題がございます。 そこで、真にその取締役会の議事録を見る必要のある人はだれなんだろうかと申しますと、これは株主なり債権者なりがその権利を行使するためにこれを見るということが必要なんじゃないかということでございます。したがって、正当に権利を行使するという人ならば、むしろ裁判所の許可を得て堂々と見た方が、そこで裁判所の目を通して真に権利の行使のために必要なのかどうかという判断を受けますので、むしろかえって結果的には開示の実が上がるのではないかということでございます。
○安藤委員 一応そういうことも言えるのかもしれぬと思うのですが、たとえば私は弁護士でもあるのですけれども、よく一般的には、裁判所の門をくぐるなんということは一生に一遍もない方がいい。それは一つのしっかりした権利があって、それを守ってもらうというために必要ですから、もちろん大いに利用もしてもらわなければいかぬですが、これはやはり一般的な国民感情としてはどうも裁判所と余りかかわり合いを持ちたくない、これは一般的な感情として申し上げておるのですが、それでどうしても株主権をちゃんと行使したいというお気持ちになった人が、恐らくこういう手続を改正された後はおとりになるだろうと思うのですけれども、いま言いましたような一般的な日本の国民の感情からすると、どうも裁判所というのは足が遠のくというようなことでもって、裁判所の門を一遍くぐってこないとだめだということになること、それがもう一般大衆株主にとっては非常におっくうであり、あるいは苦痛でありというようなことになりはせぬかということが、私は本当に気になるのですけれどもね。 それは元木さんは、そんなことはない、当然いままでのお立場からすれば、大いにそれは裁判所を利用してもらってあたりまえだというふうにおっしゃるかもしれませんが、やはり一般国民はなかなかそこはむずかしいんじゃないかというのですが、その辺は何も抵抗は感じておられないでしょうかね。
○中島(一)政府委員 この規定がございましても、会社が閲覧、謄写を拒まなければ、それで株主としては目的を達するわけでありますが、もし会社において拒まれた場合には、これは株主の言い分と会社の言い分とが食い違うわけでありまして、その間の解決と申しましょうか調整というものは、これは裁判所で決めてもらうよりは仕方がないということになるわけでありまして、確かにただいま御質問にありましたような裁判所に対する国民感情があるということは、これは私も認めるものでございますけれども、そこはひとつ乗り越えていただいて、権利の上に眠らないで権利の行使をしていただきたい。そして裁判所の判例が集積されていくならば、こういう場合にはこの規定による閲覧の許可が出るんだということになれば、会社も無用な争いをしなくなるというようなことも期待されるわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、こういう規定が今度できるのだけれども、まず裁判所の許可を得なくても、一応営業時間中に会社に行って見せてくれということを言うことはできるわけ、そこでいろいろ問題があったときに初めて今度は裁判所に行って判こをもらって、もらってきた、見せろということになるのですか。
○元木説明員 会社がみずから閲覧を求めてきた人に正当な権利があるということを認めまして閲覧させるということは、一向問題がございません。
○安藤委員 次に、二百六十四条の関係でお尋ねをしたいのですが、これは取締役のいわゆる競業避止義務の関係ですけれども、これでいきますと、これまで株主総会のいわゆる三分の二以上の特別決議でなければ、自己または第三者のために会社の営業の部類に属する取引をなすことはできぬわけですね、そこで認許を得なければ。そういう特別決議でもってしっかりと抑えるといいますか、調査といいますか、いろいろ議論をしてといいますか、それでこれはなかなか厳しい制限がついておったのですが、今度は取締役会の決議でこれができるということになると、前々から私どもは、株主総会の形骸化にこれは手をかすものではないか、全般的にいろいろ各所でも申し上げたのですが、これもやはりそのうちの一つの重大な問題じゃないかと思っておるのですが、その辺のところ、どうして取締役会の方に来てしまったのですか。
○元木説明員 先生御指摘のように、現行法の二百六十四条は、いわゆる取締役の競業につきましては株主総会の認許を要する、それも三分の二の多数であるということになっているわけでございます。ただ、これには特殊な効果が付せられておりまして、いわゆる免責の効果でございます。つまり、少なくともその認許に基づく行為については、会社に対しては損害賠償義務がなくなるということになっているわけでございます。 ところが、現在の認許の要件というのが非常に重いために、実際にはこれを得ることは大会社にとっては不可能だということがございます。そのためにいろいろこれを狭く解釈するということが行われておりまして、競業といっても、単に形式的に競業になっても、実質的に会社の利益と衝突しない場合には、これは競業ではないんだというような解釈が行われまして、そして事実上、形式的には競業になるものが、総会の認許を得ないで行われておるという事態も聞いているわけでございます。 そこで、今度はむしろこの認許と申しますか、取締役会の承認ということにしておりますけれども、現実的な立場に立ちまして、この取締役会による承認ということにした方がよろしいんじゃないか、そして現在、現行法のもとでございます免責の効果というものは取締役会の承認から外してしまった方がよろしいんじゃないかということでございます。そのことによりまして、まず、取締役会がたとえ承認いたしましても、その承認についていろいろ問題があるということになりましたならば、これは承認した取締役自身が二百六十六条に基づいて責任を負わなければいかぬということになるわけでございます。 さらに、免責の効果がございませんから、たとえ取締役会の承認のもとに競業するといたしましても、これは会社にできるだけ損害をかけないようにという方法で競業をやっていかなければいけないという義務を生ずるわけでございまして、結果としてはかえって取締役が慎重に承認するのではないか、そしてまた慎重に競業をやるのではないかというふうに考えております。
○安藤委員 取締役会で慎重にやるのではないかという希望的な御答弁だったのですが、私も実際に取締役会がどういうふうに運営されているのかよく知りませんけれども、今度の改正案でも、いろいろ取締役会に対する権限が強化されるに従って、それぞれの取締役の責任というのもうたわれておるわけですが、やはりどうも総会の特別決議という非常に厳しい枠が取っ払われてしまったことによって、いわゆる経団連あたりがよく言うております経営あるいは会社の運営の機動性を発揮するためというメリットに非常に貢献するということで、取締役会でなあなあとまでは言いませんけれども、何かあいまいもことしたような形でもって処理されてしまうという一とにかく株主総会の特別決議といったら、これは大変なものだと思うのですね。だからなかなか実現困難だというふうにおっしゃったのですが、そういうしっかりした厳しい枠を取っ払ってしまうのはどうも気になってしようがないのです。 いまおっしゃったような御答弁は、そういうような希望的な観測も含めての御答弁じゃないかと思うのですが、果たしておっしゃるような方向で取締役会がきちっと民主的に、責任を追及すべきところは追及する、競業になるのだというような点もきちっとあからさまに議論を尽くしてやるということを期待できるというふうに思っておりますか。
○中島(一)政府委員 取締役会というものが設けられましたのは昭和二十五年の改正法によるわけでございますが、それ以前は株主総会によって選任をされる取締役、すなわち代表取締役、こういうことになっておったわけでありまして、その中間に取締役会という委員会と申しましょうか、ボードをつくって業務執行の意思決定をさせるという発想になったわけであります。ところが、その取締役会がまた非常に膨大なものにだんだんとなってまいりまして、今度は株主総会の形骸化のみならず、取締役会の形骸化ということが言われてまいりました。株主総会の形骸化も何とかしなければいけませんが、取締役会の形骸化も何とかしなければいけないというのが私どもの考え方でございます。 そこで、株主総会の審議すべき事項、それから取締役会に責任を持たせて処理させた方がふさわしい事項というものを合理的に調整いたしましてそれぞれに配分をする、そしてそれぞれ配分された仕事については全力を挙げて審議をしてもらう、職責を尽くしてもらうということを期待したいわけでございます。 そういうふうに考えてまいりますと、取締役の競業行為というものの認許、承認というものは、大会社におきまして株主総会の認許を要するというふうにすべき事項であろうか、あるいは取締役会の承認に係らせるべき事項であろうかということになるわけでございますが、私どもは、現在の競業取引の実態あるいは株主総会の実態、取締役会の実態ということから考えて、株主総会の認許に係らせるよりは取締役会の承認に係らせて、そして実効ある監督を期待する、こういう考えでございます。
○安藤委員 そううまいこといくのかなというふうに私は非常に疑問に思うのですが、これだけお尋ねをするわけにもまいりませんので、本会議がありますから、もう一つだけ質問しまして本会議後に譲ります。 特例法の十八条、監査役の関係ですね。これは特例会社にあっては監査役二人以上、それから一人は常勤の監査役ということですが、これは前にもお尋ねをしたことがあるのですが、社外監査役が必要じゃないかと思っておるのです。これは何度も試案との比較を申し上げますけれども、法務省参事官室がおつくりになった試案の中には「監査役のうち一名以上は、その就任前の一定期間、会社の」途中省略しますが、「取締役又は使用人でなかった者でなければならない。」非常に明快にあるのです。 ところが、経団連の方の意見書は、そんなものは無理だ、そういうようなことでは会社のことなんかわかりっこないのだという答弁も前のどなたかの質問に対してなされたと思うのですが、しかし、この前参考人の方、経団連の坪内さんでしたか、私もその点は、監査役になる人は取締役の古手か、もう取締役になれぬ人がやっと監査役の地位になったとか、そういうような方を監査役にしておるというような実態では本当に監査の仕事はできないんじゃないかとお尋ねしましたら、これまでは確かにそうだ、しかし、これからはそういうことのないように努力していきたいというふうに話をしていただいたと思っておるのです。 だから、そういうようなことを踏まえていけば、会社のこと何がわかるかということではなくて、社外監査役という人をちゃんと据えて、仕事のこともしっかりわかってもらうという努力もして、本当に監査の実が上がるようにするということは企業経営努力の中の重要な一部分としてやってもらえるんじゃないかと思うのですね。だから、そういうようなことからすれば、社外監査役というのを本当に考えて、試案のところへ戻ってもう一遍考えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○元木説明員 確かに先生御指摘のように、試案ではいわゆる社外監査役という制度を設けるということにされていたわけでございますけれども、その後の法制審議会商法部会の議論におきまして、なるほど社外監査役という制度にはそういうメリットはあるだろう、しかし反面、全く仕事が何もないいわゆる浪人をしているような人を連れてきて、取締役が自分の好きな方向で仕事をさせる、つまりイエスマンとして監査役に登用するというような弊害も起こるのじゃないかということで、かえって制度化することによって起こる弊害ということも考えると、いま直ちに社外監査役制度というものを採用することはいかがかということで、今回の改正においては見送られたというわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、先ほども言いましたが、経団連の方でも、そういうようなこれまでの監査役の選任あるいはその対象者の選任、特定についていろいろ問題があったけれども、それはもう改めていこうということを言っておられるわけですから、そういうことを踏まえていけば、将来社外監査役ということも考えていけるあるいはいきたい、そういうことも考えているというふうに伺ってよろしいのですか。
○中島(一)政府委員 企業におきまして社外監査役に適任者を得られる、そして社外監査役が望ましいということで社外監査役を採用されることは、これは一向差し支えないわけでありまして、今回の改正法によってそれを強制するという点は時期尚早と申しましょうか、今回は見送ったということでございます。
○安藤委員 一応これで終わります。
○高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後四時二十二分休憩 ————◇————— 午後五時十七分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。安藤巖君。
○安藤委員 続いて二百六十条の三項「取締役ハ三月二一回以上業務ノ執行ノ状況ヲ取締役会ニ報告スルコトヲ要ス」、これも新設規定になっております。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 ところが、これは特例法の関係では、いわゆる小会社に対する除外規定がないわけですね。だとすると、これは三カ月に一回以上業務の執行状況を報告といいますと、四半期決算を義務づけるのじゃないか、こういうような心配をいわゆる中小の会社の皆さん方はしておるのですが、これはどういうものでしょうか。
○元木説明員 お答えいたします。 改正法律案の二百六十条の三項の趣旨でございますけれども、これは、取締役会は「取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス」ということになっているわけでございます。そういう監督権限を十分に行使するためには、少なくとも三月に一回以上、本来から言えばできるだけ頻繁にその業務の執行状況を取締役会に報告してほしいという線がまずあるわけでございます。したがいまして、これは取締役会が適切に職務の執行を監督し、また業務の執行の決定をするためのものでございますから、単に決算というようなものではないわけでございます。決算において報告されるような事項よりはもっと詳しいものを業務の執行の状況として報告してほしいということでございます。 したがいまして、別にこのことが直ちに四半期決算につながるというようなことはございませんし、また、中小の会社におきますれば、取締役の範囲というものも小さいわけでございますから、取締役会もより容易に招集することができるという問題もございます。したがいまして、この規定を置いたからといって特に中小会社に負担が大きくなるということもないのではないかと存じます。
○安藤委員 四半期決算を義務づけるものではない。将来そういう方向へ行くんじゃないかというようなことを懸念している向きもあるのですね。四半期決算をやっている会社というのはほとんどないと思うものですから、そういうことになったのでは、それはいま中小の会社は取締役会なんか簡単に開けるからかえっていいんじゃないかというお話があったのですが、そういうようなこともいろいろ懸念しまして、これは中小会社にとって大変な負担になるという話があるのですね。 そうしますと、この報告というのは、特に形式は書面にしなければいかぬとかどうとかというようなことは全く考えてはおられないわけですか。
○元木説明員 この場合の報告は、先ほども申し上げましたように、業務執行の決定それから取締役の職務の執行の監督ということを適切にするものでございますから、できるだけ具体的なものがよろしいということでございます。したがって、報告というような形式的なものよりは、その内実といいますか、その内容自体が重要でございます。多くの場合は口頭でなされるというのが普通であろうと思われます。
○安藤委員 次に、二百八十一条ノ三の関係でお尋ねをしたいのですが、これは現行の二百八十一条ノ三の二項に五号それから九号というのが新設されているわけです。 そこで、いろいろ条文なんかを検討してみたのですが、特例法の二十五条、これは適用除外の条項ですね。その中に二百八十一条ノ三というのが除外規定になっていることはなっているのですね。そういうように読めるのですが、いろいろ調べてみますと、この特例法の二十五条の終わりの方にずっと条文が書いてあって、そこの関係だけを読みますと、これは百十六ページの六行目ですが、会社の監査役に関する規定は適用しない、こういうふうに読めるわけです。ところが二百八十一条ノ三、先ほど私が言いました二項の方は監査役に関する規定ではないんじゃないか。そしてもう一つは、二百八十三条の二項も除外規定の中に入っているのです。二百八十三条の二項、これも二十五条にうたってありますね。適用しないんだという中に入っておるのですが、この二百八十三条の二項は二百八十一条第一項の各号に掲げる書類及び監査報告書の謄本を定時総会の招集通知にちゃんと添付することを要す、これは取締役の仕事になるわけです。だから取締役の仕事の方が適用しないとなっているし、先ほど言いました二百八十一条ノ三の二項は監査役の方ではないし、だからこの二百八十一条ノ三の二項というのは適用除外にはならないんじゃないか。そうなると、これは新設された規定ですから、そうして適用除外にならないとすれば、いわゆる小規模の会社に非常に負担になるんだなというふうにも思えるのですが、その点どうでしょうか。
○元木説明員 今回の改正法律案の二十五条、これは現行法も同じでございますけれども、これこれの「規定中株式会社の監査役に関する規定」ということになっておるわけでございます。したがって、監査役そのものということよりはやや範囲が広いということになるわけでございます。したがって、当然二百八十一条ノ三の二項、これは監査役の監査報告書でございますから、それにつきましてもこの小会社につきましてはこういうふうな記載事項について縛られないということでございます。 現に現行法のもとにおきましても、今度の改正案では二百八十一条ノ三の二項の項目が幾つか加えられましたけれども、同じような問題が出てくるわけでございますが、現行法の解釈といたしましても、小会社につきましては監査役の監査報告書はこの二百八十一条ノ三の二項には縛られないということになっているわけでございます。同様に二百八十三条の二項につきましても、小会社につきましては監査報告書の謄本は株主に送付しなくてもよろしいということになっております。
○安藤委員 そういう答弁をお伺いして安心をしましたけれども、二十五条の先ほど私が読み上げましたところのくだりは、「監査役並びに監査報告書に関する規定」というふうに書いていただけたらもっとはっきりするんじゃないかというふうに思っておったのですが、いまおっしゃったことで了解をしておきます。 それから、二百八十二条の関係ですが、これは取締役が二百八十一条一項の書類及び監査報告書を五年間本店、それから謄本を三年間支店に備え置くことを要す。これは現行法では別に五年間とか三年間という規定はないわけですね。それが今度五年間とにかく備えつけておかなくちゃいかぬ、支店で三年間備えつけておかなくちゃならぬというふうに義務づけられることがやはり小規模の会社にとっては負担になるのではないかなという懸念を持つのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
○元木説明員 まず、現行法におきましては、どのくらいの期間備え置くかということについては規定はないわけでございます。それで、考え方としましては、総会の会日の一週間前といいますから、備え置き期間一週間かというふうな解釈もあり得るかと思います。しかし、そういう解釈自体もいかがか、いろいろ訴訟で争われた事例もあるわけでございますが、判例では、少なくとも会社にある限りにおいてはこれを閲覧させなければいかぬというような判例もあるわけでございます。そういう点で、法律関係が非常に不明確であるという問題がございます。そこで、今回はこれを明確にしようということでございまして、やはり法律関係が明確になった方が会社の事務処理上はよりよいのではないかという立場でございます。 それから、五年間という期間が長いかという問題でございますけれども、これは御案内のように、商事時効なんかでございましたら五年という問題もございます。したがって、少なくとも有限責任である会社におきましては、たとえ小規模であっても計算書類はこの程度は備え置いてもそれほど大きな負担にはならないのではないか。さらに、大中会社におきましては、今回は本店で五年それから支店で三年ということになっておりますけれども、小会社におきましては、本店だけに五年ということにしているわけでございます。
○安藤委員 御答弁をお聞きしましたが、いろいろ問題があったというお話も聞いております。どうもいままでよりも五年間備え置かなくちゃならぬというようなことを負担に感じているという声も聞くのです。しかし、いま説明をいただいたことで別に了承するわけではないのですが、そういうことで法案化されたんだというふうに理解をしておきます。 そこでもう一つ、これは同僚議員の方からもいろいろ、提案権というのが新設されたことによっていわゆる小規模の会社で提案権を悪用というのでしょうか、代表取締役解任の決議案というのが提案されて、とにかく三百株を手に入れればいいんだからというような心配をして質問をしておられたのを私も伺っておるのです。いま二百六十条の三項の業務の執行状況の報告とか、いまの帳簿の備え置き義務の問題とか、大規模会社あるいは小規模の会社との間にはどこのところで線を引くかということが一つ問題ではあろうかと思いますけれども、とにかく特例法の関係では一応一億円未満というのが線になっておるのですが、提案権も非常に結構ですが、いま私が言いましたようなことも含めて、これまで出されてきたような問題もありますから、どこかで一遍きっちりと線を引いていただくということがいいのじゃないかなというふうに思っておるのです。 これは大臣にもお伺いしたいのですけれども、念のために申し上げるのですが、この前の商法改正のときの衆参両院の決議案の中に、衆議院の当委員会における附帯決議ですが、第一項に「会社の社会的責任」というのがあって、「大小会社の区別」というのもちゃんとあるわけですね。それから参議院の決議では、「現下の株式会社の実態にかんがみ、小規模の株式会社については、別個の制度を新設してその業務運営の簡素合理化を図り、」こういうふうになっておるわけですね。だから、私がいま言いましたほかにもいろいろあろうかと思うのです。この特例法の二十五条にもいろいろ出されておるわけですが、いま言いましたようなことも含めて一遍考えていただく必要があるのじゃないかと思うのです。やはりどこかで大規模会社と小規模会社の、小規模会社はこれでいいのだというようなのをもう一遍総ざらいしていただくというのがそういう附帯決議の趣旨にも合致するのではないかと思うのですけれども、大臣、いかがなものでございましょうか。
○奥野国務大臣 おっしゃっていること、ごもっともだと思いますし、法制審議会でもそれが一つの検討課題だとされているようでございます。ただ、五十四年の段階で取り急ぎそれまでのできましたものを今回提案をするということにさせていただいたわけでございます。全面改正、その中ではいまの株式会社の規模についての論議がなされるべきだと思っております。となりますと、資本金の額というようなことが一つの課題になってくるのじゃないかと思うのでございまして、やはり有限会社という以上は相当な資本金の規模でなければという考え方も出てくるのじゃないかと思うのでございまして、これは引き続いての検討課題だと皆が心得ておるわけでございますので、その検討に譲らせていただきたいと思います。
○安藤委員 それでは次に、二百十条の関係でお尋ねをいたします。これは自己株の取得禁止の関係です。 御承知のように、現行の二百十条、自己株の取得は「質権ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ズ」という全面禁止になっておりますね。それを今度は二十分の一までは認めたということになるわけなのですが、これはどういうような根拠でそういうことになるのですか。この前の坪内参考人の意見ですと、前々から経団連としては自己株の取得禁止はいかぬので緩和してくれ緩和してくれと言うてきた、二十分の一でもまだ十分でないような御意見だったのですが、どうもそういうような意向に迎合しているのじゃないかというような気がせぬでもないのですが、この理由はどういうことですか。
○元木説明員 自己株式の取得を禁止する理由といたしましては、これは自分で自分の資本を払い戻すことになるおそれがあるということで認められないという問題がございます。それからもう一つは、現行法でも自己株式については議決権を行使することができないわけでございますが、少なくとも自己株式を持ち過ぎますと、その分だけは言ってみれば議決権がなくなってしまう、つまり少ない議決権で会社の意思が決定されてしまうという問題が出てくるわけでございます。したがって、自己株式については取得を制限しなければいけないというのが理屈でございますけれども、問題は、アメリカあたりでいわゆる資本取引と申しますか、そういうものをやっている会社につきましては、たとえば業務提携をする場合でございますと、アメリカあたりでございましたら、相互に株式を交換した上で業務提携をするような場合があるわけでございます。そのためには前提として自分で株式を持っていなければいけないという問題がございますので、自己株式の取得をぜひ認めてほしいという要望が強いわけでございます。 これに対しまして、自己株式の質受けと申しますか、これを担保に取ることがどうして認められないかというと、脱法行為として利用されるからいけないということでございまして、質受け自体が直ちにいけないのだ、そのもの自体が自己株式の取得と同価値的に見られるというものではないわけでございます。むしろ、特に信用力のある会社でございますと、担保として取る場合に、自己株式を担保として取る方がより安全だという場合があるわけでございます。安全な担保を取るということは、株主なり債権者保護のためにはかえっていいことでございますから、そうかといって、制限なしに自己株式の質受けを認めるということもいろいろまた弊害が出てくるのではないかということで、一応発行済み株式総数の二十分の一以内で担保として取ることを認めるということにしたわけでございます。
○安藤委員 いまいろいろな理由をお聞きしましたが、結局、質権の目的として二十分の一までは取ることができるということになれば、もちろんこれは優良企業でないと、いまおっしゃったように優良な質のいい担保にはなりませんからね。もちろんそこには株主もおるわけですが、そういう優良企業の利益を優先させるということにやはり重点があるのではないか。どうも経団連の言うことばかり言っておるという、何かひがみみたいなことで言っておるとお考えになるかもしれませんが、やはりこれはそういう優良大企業の利益を図る、そのために、こういう二十分の一という限定つきであるけれども、認めたというふうにしか考えられないのですが、その辺は少しもお考えになったことはありませんか。
○元木説明員 これは結果としてはそういうことになるのかもしれませんが、しかし、やはり担保として取りやすいもの、それから、ことに株式を担保として取るということは、必ずしも債務者自身にとりましても不利なことではないのではないか、つまり、担保に入れやすいものを担保に取るということでありまして、もちろん結果として優良企業が得になることになるのかもしれませんけれども、そのこと自体で特に反道徳的といいますか違法に近い行為だとか、そういうことにはならないのではないかと思われます。
○安藤委員 いまお認めになったように、結果においてはそういう優良大企業の利益を守るという方向で動くというふうに思っておるのです。 そしてもう一面、この前も日税連の四元専務理事が言っておられたのですが、その大企業と取引関係にある子会社関係にある会社、あるいはそうでない会社にしても、その大会社に対して債務を負担している、そこから仕事をもらって仕事をする、いろいろな債務を負担するという場合に、その仕事をもらった大会社の株を持たされて、そして債権の担保によこせというようなかっこうで利用される。その子会社あるいは中小会社にとっては、優良会社の株ですから、これも自由ですから持っておるのがいいですが、そういう株であるからこそ金融機関に担保として入れて融資を受ける、あるいは仕事をくれた会社に入れてそこから融資ということも、それはいいかもしれません。しかし、そこには小規模会社の自由意思、自由裁量というのが働くと思うのですね。ところが、四元さんも言っておられたように、仕事をやると、そのときの債権の担保のためにおれのところの株をちゃんと確保しておってそれを担保によこせというようなことで、かえってほかの金融機関へ担保にして融資を受けるというような金融操作ができにくくなって、結局資金繰りで相当困る場面が出てくるのじゃないか、そういうところへこれを利用されるのではないか、こういうような懸念も言うておられたし、私もそういうことは大いにあり得るのじゃないかと思うのですが、その辺のところはどういうふうに考えておられますか。
○稲葉説明員 私どもは、この自己株式の取得緩和が決して債権者のためばかりではなくて、つまり担保に供する能力というものを、中小企業が仮にそういうほかの会社の株式を持っていた場合に、それを利用してもちろん金融機関に対して入れるということもできますし、また、金融機関の株を持っていた場合にそれを金融機関に提供するということもできるようになるわけでございまして、資金調達能力を中小会社にとってはむしろ広めるというメリットがあるのではないかというふうに考えております。 また、先ほど先生の御指摘の御懸念でございますけれども、その株を持たせるということ、系列化のために自分の株を持たせるということは、いま現にいろいろ行われているようでございますが、必ずしも自己株式の質受けを許容したということと何も関係がないわけでございまして、要するに、力関係で安定株主を確保しようとするのであれば、そういうビヘービアに大企業が出るということはあり得るわけでございます。それは必ずしも質受けを許容したということとは関係がないのではないかというふうに思うわけでございます。 また、大企業に質受けを、その株式を差し入れるようにと言われたために金融機関から調達ができないというお話もございますけれども、しかし、いずれにしても、取引をする上においてその債務を負っているということであるならば、担保を要求されるということはあり得るわけでございます。その株式を担保として供給しなければほかの担保を供給せざるを得ないという立場になるわけでございますから、そうだとすれば、この株式を担保に提供したということによってほかの担保提供が免れるということになるわけでございます。したがいまして、その担保の方を今度は銀行の方へ差し入れればいいということになるだけでございまして、それほど資金調達能力という点では差はないかというふうに考えられます。 また、私どもの立場から申しますと、この自己株式の取得というのは何も好んで会社がやるのを奨励するというつもりではございませんで、そういうふうに信用を供与しようとする相手方が自己株式しか持っていない、あるいは非常に担保に提供しやすいものとしては自己株式を持っているという場合には、それを利用するという余地を認めるというだけのことでございまして、好んでそういうものを担保に取るということをするとすれば、やはりそれは問題が起こる場合もある、脱法行為的な利用の仕方をされればやはり監査の対象として指摘されるということもあり得るだろう、かように考えているわけでございます。
○安藤委員 もちろん、脱法行為云々というところまで私も言うておりませんで、この二百十条というのが新設されたことによって、先ほど言いましたような中小企業に対する金融上の圧迫になるのじゃないかということですね。それはいまいろいろ御答弁がありました。そういう優良な企業の株式を持っておるということがいい担保を持っていることになるんだ、それはそうかもしれません。だからこそ、そういうおれのところの会社の株を持っていればいい担保になるんだから買っておけ。そして、これは何もこういう条文ができたからといってそうしなければならぬというわけでなくて、それは好き好きだ、それはおっしゃるとおりですよ。しかし、実際これができるとそういうようなことで動き出す。その中小の企業にとっても、そういう大企業の優良な株を持っているからいい担保を提供することができる、それはそういう面があるかもしれません。しかし、やはりつまるところは優良な質のいい質権の担保をその優良大企業が確保することができることに道を開くじゃないかというふうに思えてならぬわけですね。だから、そういうような懸念を私どもは持っているわけです。使う使わぬは自由だ、しかし、こういうのができれば、これはいい、かねて経団連が望んでおったことなんですから、そういうように利用される余地が十分ある。だから四元さんもその辺のところを懸念しておられると思うのですね。 時間がありませんから、まだ株式の相互のあれもあるけれども、引当金の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。これはいろいろこれまでも議論がなされておりますから簡単にお尋ねしますけれども、これは元木さん、稲葉さん、もう一人浜崎さんですかが執筆しておられる「会社の計算・公開改正試案の論点」というのがあります。この一部については先回も引用いたしましたが、きょうは引当金の関係について、これはどなたがお書きになったか知りませんけれども、三十八ページの中段の(b)「具体的範囲」、これは引当金の範囲のことが書かれておるわけですが、「企業会計原則〔注解18〕にいう負債性引当金に限定することは、若干狭きに失すると考えられる。」というふうに述べておられるわけですね。そうしますと、これは負債性引当金よりも範囲を広く考えておられるということになりますか。
○稲葉説明員 この現行の企業会計原則注解18の場合には、「将来において特定の費用(又は収益の控除)たる支出が確実に起ると予想され、」という要件を付しているわけでございまして、この将来のものとしては支出というふうに限定しているわけでございます。しかし、支出ではない損失というものも起こり得るわけでございまして、これはかつてこの当委員会の審議の過程でも申し上げましたけれども、たとえば為替差損というようなものは必ずしも支出ではない損失ということになるわけでございまして、そういうものについてもやはり引当金を計上させるのが相当ではないかということで、これは企業会計審議会においてもそのようなことを申し上げ、そして大体そういう方向で今後検討するということの御了解になっているように考えております。
○安藤委員 そこで、負債性引当金に限定はしないということになってくると、続いてこの「論点」の三十九ページの上段のまん中辺に「負債性引当金のほか、未確定の損害賠償債務のための引当金」と、それからさっきおっしゃった為替差損もあるのですが、「その他偶発債務のための引当金、いわゆる契約損失引当金等が考えられる。」こういうふうに説明をしておられるわけです。企業会計原則の注解18には「偶発損失についてこれを計上することはできない。」こういうようになっておるわけですね。 この前私は、こういう企業会計原則と、商法あるいは財務諸表に関する規則だとか、それから法人税法だとかいろいろ基準がありますね、これは一体どういうような関係にあるのかとお尋ねしましたら、商法三十二条だとか法人税法だとか財務諸表に関する規則だとか何かを一つにまとめたものがこの企業会計原則だというふうに元木さんから御答弁いただいたのですが、この企業会計原則の注18に、偶発損失については計上することはできないと。しかし、この「論点」によりますと、偶発債務のための引当金が考えられるというふうにあるのですね。そうすると、企業会計原則のこちらの方はもうけ飛ばしてしまっているみたいに聞こえるわけです。これはどうなんですかね。
○稲葉説明員 私どもは必ずしも負債性引当金に限定することが不適当であると言っているわけではございませんで、負債性引当金という言葉が非常に多義的に使われておって、必ずしも明確でないわけでございます。ただ、ここで言っておりますのは、企業会計原則に言う負債性引当金というのは、それでは十分ではないのではないかと言っているわけでございます。同時に、ここでも指摘しておりますように、国際会計基準というのがございまして、これは大蔵省からも先般御説明がございましたように、企業会計についての国際的統一を図るための一つの試みの案でございますけれども、この中でも、偶発損失についての引当金というものを、一定の留保をつけてではございますけれども、これを認めようという動きがあるわけでございます。 こういう動きを踏まえて考えてみますと、企業会計原則の方でもやはりこれは修正しかるべきというのが大体の御意向のようでございまして、この企業会計原則というのは、企業内で行われております会計慣行のうちで公正な会計慣行を取りまとめたものということになっておりまして、そういう公正な会計慣行が成立してまいりますれば、やはりそれを取り上げて企業会計原則というのは変えていただくというのが筋道でございまして、そういう国際的な潮流を踏まえた上でのこういう動き、今回の立法ということになったわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、この企業会計原則の方を変えてもらう必要があるんだ、こういうようなことですね。いろいろな各法律の中の基準というのの総まとめだけれども、そっちの方を変えてもらうというようなことだというふうにお伺いしておきます。 そこで、この偶発性ということは、この「論点」の中に「いわゆる契約損失引当金」というふうにも記載してあるわけですね。そうしますと、これは一つの条件が成就するかどうかというような、いわゆる条件に係るみたいなことにもなってくると思うのですね。そうすると、その条件が成就しなかったらいわゆる債務になるけれども、成就したら債務にならぬのだというようなものだってあると思うのです。何とかの条件に係って、その条件が成就したら払います、成就しなかったらこの契約はだめですというようなのもやはり引当金として積み立てることができるということになると、その偶発性の考え方いかんによっては、やはり利益性を持ったものまで入り込んでくる余地があるのではないかというふうに懸念をしておるのですが、この点は、そんなことは全くないのでしょうか。
○稲葉説明員 偶発損失につきましては、その性質上、その条件の成立、債務が現実化する蓋然性というものが非常に問題になるわけでございまして、その蓋然性が高い場合に限ってこれは引当金として計上を認めるということになるわけでございますから、利益留保性のものが入るということはあり得ないというふうに考えております。
○安藤委員 時間が来ましたので、最後に一つ、これは大臣にお答えいただきたいのですが、新株引受権つき社債の問題なんです。 この前も経団連の坪内さんは、これは前から要望しておったことだというふうに言ってみえておったのですが、今回の商法改正の一つの大きな柱は、企業の社会的な責任、これをいかにきちっと果たしてもらうかということですね。これが一つの大きな柱になっておった。そういうこととあわせて、株主の提案権の問題とか、あるいはひっくり返しての質問権だとか、いろいろ工夫がこらされておるわけですが、それも問題点があることは指摘したとおりですが、この新株引受権つき債券というのは、初めはなかったと思うのですよ。これは法制審の要綱案にもなかったんじゃないですか。あるいはそれに突如として出てきたのですか。とにかく、最終段階になってすぽんとこれが入ってきて、一つの款、十一条という大きな柱になって、すぽっと出てきておるわけですよ。 だから、最初のこの商法改正に取っかかったのと、急遽これを早くやるということで進められた企業の社会的な責任、ディスクロージャーの問題ということとは全然別なのがすぽんと来ているのですね。そこがどうも気になってしようがないのですが、一つは、これはどういうねらいなのか、なぜこういうのが新設されたのか、そして、その最初の本件の商法改正の趣旨からするとどういう関係があるのか。私も、先回の改正のときの衆参両院の附帯決議を読んでみても、こういうのを早くつくれなんということは一言も載っていないのですね。どうしてこれが入り込んできたのか。そこのところを、二つお答えいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 新株引受権つき社債につきましては、まず、その目的から御説明を申し上げたいと思いますけれども、外貨建て債権というものを持つ会社が非常に多くなってまいりまして、対外国取引をしておる会社におきましては、その債権の三〇%程度が外貨建てのものであるというようなことも言われておるわけでありまして、そうなりますと、この為替差損のリスクということが問題になるわけであります。その為替差損のリスクを少なくするといいましょうか、なくするためには、反対に今度はその国で借金をするということが必要になるわけであります。たとえばアメリカというようなことになりますと、アメリカで社債を発行するということになるわけでありますが、アメリカの利息は非常に高いということであります。そこで、尋常な借金ということになりますと、これはとても外貨建て債権の為替差損によるリスクの保護ということになりませんので、何かうまみのある債券を発行しなければならない。そこで、こういう新株引受権つきの社債というものの必要性が出てくるわけでございます。 それともう一つ、金融の道を多様化すると申しましょうか、金融の道を方法を多くするというような必要性もあるわけでありまして、こういった制度についての要望というものは、従来からかなり強いものがあったわけでございます。 法制審議会におきましては、先日から何回も申し上げておりますように、全面改正ということで幾つかの項目について検討してきた、それが途中で方向変換というような形でその一部を取り上げることになった、それとともに、若干異質のものではありますけれども、経済界において非常に要望の強く、しかも緊急性の高いものでありましたこの新株引受権つき社債というものをもこれとあわせて審議して答申をしていただいた、こういう経過になるわけでありまして、必ずしも当初予想しておらなかったものではありますけれども、非常に時宜を得た答申であるということで、今回の法律改正に盛り込んだということでございます。
○安藤委員 結局、新株引受権つき社債、その会社の社債を買っておけば、何年後と決められた後には新株が手に入る。だから、いわゆる成長産業ですね、優良企業、そういう会社しかこれはできない芸当だと思うのですが、そういう会社が資金を調達するのに都合のいいものであることは間違いないと思うのです。だからそういうものが、これはいまおっしゃったように異質なものなのでしょう。異質なものが入り込んできたというのは、やはりこれはそういう経済団体の方の意向を十分尊重して、全然違ったものだけれども入れ込もうということで入ってきたのじゃないか、まさにそうだとしか思えないのです。だから、基本的にそういうことも含めて、本件の商法改正案なるものは、何度も言っておりますけれども、経団連の言い分を相当多分に盛り込んであるというふうに言わざるを得ぬと思うのです。 いまの新株引受権つき社債、大臣、やはり異質なものだということはいま民事局長もおっしゃったのです。これが何ですぽんと入ってきたのか、大臣の方から一遍御答弁いただいて、それで私は終わることにいたします。
○奥野国務大臣 私は異質なものだとは思わないのですけれども、広く株式制度を経済情勢の実態に合わせるということになりますと、やはり会社の資金確保の道を現状に合わせていくということになるのじゃないかと思うのです。転換社債の制度がありまして外国で転換社債を発行する。外貨建てですから、一応将来に対する外貨の支払い義務を負うわけですけれども、転換されてしまいますとそれがなくなってしまうわけです。いま民事局長が申し上げましたように、為替でリスクを負わないようにしていく、将来外貨で収入を得る、物を売った場合に将来外貨で入ってくる、その場合に外貨で支払うものもありましたらバランスがとれるわけであります。そういう意味において、リスクを避けるために外貨建てで社債を発行する、その社債を有利にするためには、新株引受権つきというメリットを置いておきますと、利息が低くてもわりあいに消化しやすいわけであります。そういう意味で、いまの日本の経済活動が国際社会にまたがって行われておるわけでございますので、企業としては為替差損で大変な損害を受けないように両建てにしておいておくということも私は大事なことじゃないかな、こう思うわけであります。 そういう意味で、もちろん経済社会も要望しておるわけでありますけれども、広い意味で経済社会の実態に合うように株式制度を直していくということになりますと、株式も会社の資本を確保する仕組みでありますけれども、単に一株の単位を上げるだけのことじゃなしに、資金確保も多様化する。どうも外国で転換社債を発行しても、転換されてしまったらもうなくなってしまうわけでありますが、新株引受権つき社債でありますと、新株を引き受けましても社債は残っていくわけであります。外貨の支払い義務は将来にわたって負っていくわけでありまして、将来外貨で受け取るという場合に為替のリスクが両方で相殺されるわけでございますので、大きな損害は受けないということになるわけであります。 同時に、新株引受権のメリットがあるわけでありますから、低い利率で外国で社債を発行しやすいということがあるわけでございますので、経済社会の実態に合うようにする意味における改正を含んでいるのだ、そういう意味で取り上げたのだ、こういう意味で御理解いただきますと、ことさら異質のものだというふうにお考えいただかぬでもいいのじゃないか。しかし、経済社会がこれを要望しておることはおっしゃるとおりでございまして、その要望にマッチするものであることもおっしゃるとおりだと思います。
○中島(一)政府委員 私、突然でありましたので異質というような言葉も使ったわけでありますけれども、私の申し上げました真意は、当初この新株引受権つき社債という具体的な制度そのものは予想をしておらなかったという意味で、若干唐突の感はぬぐいがたいという意味で、必ずしも表現は適切でありませんけれども申し上げたわけであります。しかし、広く商法改正の目的といえば、商法の規定を時代の進展に合わせて経済の実勢にマッチするように持っていくということが目的でありますから、そういう意味におきましては本来の目的に即したものであって、異質なものではないということで御了解をいただきたいわけでございます。
○安藤委員 あれでやめようかと思ったのですが、やはり民事局長のおっしゃった答弁が正直だと思うのですよ。大臣がおっしゃったからといってそう直ちに迎合してもらっては困るのです、あなたが当面の責任者なのですから。歴史的な経過をたどってみても、急遽本件商法改正案なるものが提案されることになったのは、企業の社会的な責任をいかにして真っ当に果たしてもらうかということと、それのための一番肝心な企業の計算書類等のディスクロージャーをいかにして実現するか、これが大きな柱ですよ。ロッキード問題のこともあって、企業のそういう非行防止というのも柱として入っているわけです。そういうので出てきているはずですよ。だからいままでの答弁も、ディスクロージャーのためにはこうやって努力して、こうやってつくってあります、株主の権利も提案権とか質問権とかこうやっております、一生懸命述べておられたではないですか。それが柱のはずですよ。だから、この新株引受権つき社債なんというものは全く異質なものなのです。法制審の最終段階で突如としてこれは姿をあらわした。それは本当なのですかうそなのですか、法制審の最終段階で突如としてこれが出てきたのだということは。
○稲葉説明員 これまでこれについて試案というものを発表したことはないということはそのとおりでございます。ただ、これにつきましては、昭和五十年の意見照会において会社法の問題点を提示いたしまして各界の意見を伺ったときに、経済団体の一部から緊急改正事項として要望があったわけでございまして、この緊急改正事項の中の一部にたとえば社債発行限度の引き上げというようなものがございまして、これにつきましては特に商法改正の全面的な検討と切り離しまして、昭和五十二年に社債発行限度暫定措置法というような形で処理をしたわけでございます。それと同じように、経済情勢の変転に伴って処理を急がなければならないという問題点につきましては、私どもも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておりまして、今回の改正の機会にこの点についても取り上げるということになったわけでございます。
○安藤委員 終わります。
○熊川委員長代理 林百郎君。
○林(百)委員 お尋ねしますが、今度の二百四十一条に、発行済み株式の総数の四分の一を超える株式を持たれている会社は議決権の行使ができないという問題が出ておりますね。要するに株のもたれ合いの問題ですね。これは私が言ってはなんですけれども、どうしてこういう条文が設けられておるのですか。
○元木説明員 これはいわゆる株式の相互保有という問題でございます。基本的に株式の相互保有ということは、これは極端な例で申しますと、たとえばここに百万円の金があって会社を設立する。そうした場合に、その設立したAという会社がございますと、それをBという会社に投資する、そしてBという会社を設立いたします。今度はBの会社がAにまた戻しまして、これを増資に使う。さらに、今度はAの方の会社がBに対してその百万円を増資のために投資するということで、いわゆるキャッチボールをやってまいりますと、もとのお金としては百万円しかないのが、名目的には巨大な会社ができてくるというような問題があるわけでございます。そういう点で資本の空洞化に資するという問題、もう一つは、相互に持ち合うことによって、その議決権が相手方の影響のもとに行使されるために株主総会決議の歪曲化が起こるというような問題があるわけでございます。そこで、株式の相互保有に対しては何らかの意味で制限を置かなければいけないのではないかということで、こういうふうな規定を置いたわけでございます。
○林(百)委員 それではお尋ねしますが、他の会社の四分の一の株式を持っているという会社は、一部上場会社で何%ぐらいあるのですか。
○元木説明員 幾つか実際にはつかんでおりますけれども、一部上場会社の何十%になるというようなことはございません。
○林(百)委員 結局何%かはわからないということなんですか。四分の一という数字が現実に合っているのかどうか、そういうことをあなたに聞いているのですよ。
○元木説明員 株式の相互保有というものがすべて悪いかという問題がまず第一にございます。株式の相互保有も、私が先ほど例に挙げましたような状況になりますと明らかに問題があるということになるわけでございますけれども、少量の株式の相互保有の場合には、業務提携という面から見ますとかえってプラスになる場合もあるわけでございます。したがいまして、株式の相互保有を全面的に禁止するということではなくて、極端な場合、つまり悪い影響が出るような場合を制限することが必要なのではなかろうかということで、こういう規定が設けられたわけでございます。
○林(百)委員 だから、そういうことはわかりますけれども、一部上場会社でどのくらいあるかということなんですよ。要するに、他の会社を支配するだけの力を持っている会社が一部上場会社で何%あるのか。それで四分の一という数字はどこから出てきたのか。
○元木説明員 一部上場企業で四分の一を持たれている会社の数は非常に少ないと思います。恐らくパーセンテージにしても取るに足らないものであろうと思います。(林(百)委員「要するに、数字はわからないということですね」と呼ぶ)はい、わかりません。(林(百)委員「それならそれでいいですよ」と呼ぶ) それじゃ、なぜ四分の一という数字を出したかということでございますけれども、現在一般に、アメリカあたりでも言われていることでございますけれども、大体二〇%持っているとかなり影響力があるということでございます。たとえば現在でも、財務諸表規則の関連会社というのは、二〇%持っていて、しかも営業面、人事面で種々の影響を受ける会社が関連会社であるということになっております。二〇%ということと実際の影響ということになってまいりますと法律関係が不明確でございますので、それを二五%、つまり四分の一ということで法律関係を明確にするためにその他の要件を除いたわけでございます。
○林(百)委員 二〇%なら法律関係が明確でなくて、四分の一の二五%ならなぜ明確になるのですか。
○元木説明員 関連会社といたしましては、二〇%の場合には、それにプラス実際の影響を受けるという要件がついているわけでございます。しかし、それでは法律関係が不明確になりますので、その要件を除きまして、そのかわりにパーセンテージを少し上げまして、二五%ということにしたわけでございます。また、実際の立法例といたしましても、ドイツでは二五%以上をもって株式の相互保有制限の基準にしております。
○林(百)委員 何だかそこのところ、はっきりしませんね。 法務大臣、三井グループにしても三菱グループにしても、社長会というものがあるのは御存じですか。どんな社長会があるか、名前を御存じですか。その社長会は、その社長会の支配下にある会社の株をどのくらいお持ちになっておるか、わかりますか。もしわからなかったら、細かいことは事務当局から聞くにして、社長会というものがあるのは御存じですか。
○奥野国務大臣 承知しております。
○林(百)委員 大臣、そうすると、その社長会はどういう機能を発揮しているのですか。
○奥野国務大臣 相互の情報交換、相互の連絡提携におのずから資していくということだろうと思います。
○林(百)委員 たとえば、三井グループでは約五百社ぐらいの支配下にある会社を持っているわけですね、ああいう大きなコンツェルンになりますとね。そうすると、そこの主な会社十社ぐらいの社長が集まれば、大体三井グループの企業を支配できるようになっているわけですね。それが現実なんですよ。これはもう私が言わなくても法務大臣も御存じだと思いますけれども。そういう大きな支配力を持っている、たとえば五百社くらいを十人くらいの社長会で支配できる、具体的に言いますと、たとえば三菱グループには金曜会、住友グループには白水会、これは毎月、会をしているようです。三井グループには二木会というものがあるわけであります。そうすると、持たれる方が持っておる方に支配されることを株の二五%ぐらいで規制するというなら、この社長会というものを商法で規制しなくてもいいのですか。現実はこれが支配しておるのですよ。それは御存じでしょう。どうですか。まず大臣にお聞きして、それから後、事務当局にお聞きしていきます。
○奥野国務大臣 昔は三井合名というようなかっこうで、ホールディングカンパニー、株式を持って、そのことを通じて会社を支配していたことが実態だと思っております。いまの、おっしゃっているような社長会は基本的には親睦団体じゃないだろうかな、私はこう思っております。しかし、そのことを通じてお互いに情報交換、相互に連絡、協力し合われることは可能だと思います。しかし、昔のホールディングカンパニーが持っておった力はいまは全然ないし、また、そんなことを意図しておるものでもない、こう思っております。むしろそれぞれの企業が独立性を発揮していった方が全体として大きな力を上げることができる、そういう考え方に立っておるのじゃないだろうかな、私はこう思っております。
○林(百)委員 事務当局。
○元木説明員 お答えいたします。 この商法、言ってみれば会社法でございますが、会社法の目的は会社の組織の問題でございます。ところが、いま先生御指摘の社長会は、言ってみれば人的なつながり、組織以外の人間関係でございまして、これを商法で直ちに規制する——もちろん、そのこと自体が商法の組織の問題として反映してくるような問題が出てくるということであればその対象にしなければならないのではないかと思いますけれども、現在のところ、たとえば三菱系あたりでございますと、三菱系のトップクラスがお互いに持っておる株式の数はわずか一%か二%ずつであるということでございます。そういたしますと、相互に保有してはいけないあるいは制限するというようなことは技術的には非常に困難なのではないか。また、株主あるいは債権者の保護という点から見まして、その一%、二%持っていることが直ちに問題が出てくるかということになると、これもまだ相当検討しなければいけない問題じゃないかということで、今回はそれは特に取り上げなかったわけでございます。
○林(百)委員 事務当局もそういう法解釈の点だけで言っていますが、たとえば三井グループだって、三井グループのトップクラスの社長が十人集まれば、三井系統の五百社ぐらいは人事から事業から何でもできるのではないですか。そういう巨大な力を持っておるところを法制的に何とか規制しなければ、二五%の株を保有することによって株の相互保有を規制するというのは、余り現実には合わないですね。しかもあなた方は、二五%の株を持っておる会社が幾らあるのかも知らないじゃないですか。知らないでおいて規制するということはおかしいと思うのですね。 試案では、株式の相互保有に関する規制がもっと現実的に考えられていたのではないですか。それがいつの間にか削除されたというのが事実じゃないですか。こんなことを設けたって現実に合わないですよ。二五%も持っておることによって支配するとか支配されるとかという会社は余りないですよ。あったら数字を言ってもらいたい。とにかく、株式保有に関する規制を考えるということが試案にあったかどうか。そして、それがなくなってしまってこの二百四十一条になったということはどうですか。
○元木説明員 先生御指摘のとおり、試案には相互保有の制限についての提案がございました。その提案の要旨は、たとえばAという会社がBという会社の議決権を有する株式数を一〇%を超えて持った場合には、今度は、たとえBという会社がAという会社の株式を取得しても、それについては議決権を行使することができない、言ってみれば、この法律案では四分の一になっておりますけれども、それを一〇%というふうにしたわけでございます。ただ、そういうふうにいたしました場合に、議決権を双方で一〇%ずつ持ち合うというような場合がございます。そのためにどちらが議決権を行使できないかという問題がございましたので、言ってみれば、先に通知をした方が勝ち、先に通知を受けた方は、たとえ相手の株を持っても議決権を行使できないという非常に複雑な制度を考えたわけでございます。 この試案に対する各界の反響といたしましては、非常に評判が悪いと申しますか、そんなにややこしい制度が実際に動くのかという批判があったわけでございます。事実、そういう非常に微妙なといいますか、細かい制度が本当に実務にたえ得るかどうかという不安がまず第一にあったわけでございます。それから、先に通知した方が勝ちだというような制度も、むしろ早い者勝ちだということで、かえって相手方の株式の取得合戦を起こすのではないかという問題がございました。 そこで、実際の制度としてたえ得るためにはできるだけ単純な制度がよろしいのではないかということでございます。そのためにドイツの制度などを見習いましてこのような四分の一、とにかく相手方から四分の一を超えて持たれたならば、こちらは議決権を行使することができない。それで、双方で四分の一以上を超えて持ったならば、相打ちでどちらも議決権を行使することができないという、非常に単純でございますけれども実際に動くだろうという制度にしたわけでございます。
○林(百)委員 先ほど西ドイツの例が出ましたが、アメリカはどうですか。相互保有についてはどういう規定になっていますか。
○元木説明員 アメリカにおきましては、相互保有は全く制限されていないと思います。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
○林(百)委員 そこで、西ドイツの例が出ましたのでお尋ねしますが、これは株式の相互保有とは若干ニュアンスの違う問題ですけれども、西ドイツでは、企業の支配関係からいって、親会社から子会社に役員を派遣した場合に、その親会社から派遣された役員が第三者に損害を与えた、あるいは派遣された子会社に損害を与えたという場合の親会社の責任というものは規定されておりませんか、おりますか。
○元木説明員 その点についてはまだ勉強いたしておりませんので存じません。 企業結合の問題につきましては、すでに五十年六月の関係各団体に対する照会におきましても、これを改正の問題点として取り上げているわけでございます。今度は企業の自主的監査機能の強化という点を中心にいたしましたので、これはさらに今後検討していかなければならない問題だと思っております。
○林(百)委員 ひとつそういう重要な点を研究してもらいたいと思うのです。西ドイツでは、子会社へ役員を派遣して、その役員が子会社に損害を与えたり第三者に損害を与えた場合は、あくまで親会社が責任を負うということになっているのです。西ドイツの二五%だけは知っているけれども、大事なそういう点を知らないのでは困ります。これは日本でも必要だと思うのですよ。こういう支配関係が多面的になってきておりますからね。 この問題について大隅教授がどういう意見を吐いているか、御研究になっていますか。たとえば社長会というような一部の者で実際五百なら五百の会社を支配できるという実情がある現実に対してどういう意見を述べているか知りませんか。それも知らないなら知らないで、やむを得ませんな。
○元木説明員 読んだ記憶はあるのでございますけれども、どういう結論であったか、ちょっと忘れました。
○林(百)委員 そういう大事なことは記憶しておいていただきたいと思うのです。大隅教授は、そういう強力な力で会社の理事者が支配関係を持つ、そしてその理事者によって会社の方針を決定するとか、あるいは株式の相互保有をし合うとか、そういうところで最高の意思決定がされるということについては適当な規制をしなければならない、こういう意見を持っておるわけです。この教授の著書にもありますが、われわれの調査したところでも、一部上場会社で株式保有を一〇%以上しているのは四社しかないのですよ。二五%なんていうのはとても現実離れしているのですね。それから、二五%以上なんていうのはほとんどないと言ってもいいと思うのです。 ですから、そういう点をひとつ十分御研究なさって、現実に社長会というようなものがその傘下の、たとえば三井なら三井資本が傘下の五百社を支配するというようなことが行われているときに、株式の相互保有だけでそういう規制、親会社が子会社を、あるいは株を保有している会社が保有されている会社の支配をレギュレートできるかというような単純な考え方では、現実の資本のあり方、会社の運営のあり方には若干そぐわないのではないかと思いますので、これは将来の検討問題として、ひとつ民事局の方でも検討していただきたいと思います。 それから次に、これは安藤委員も質問されたのですけれども、二百八十七条ノ二の特定引当金です。最近みたいに、イラン石化で三井物産の五千億の大型プロジェクトがパアになった。そうすると、三井物産のこうむる損害は千億だと言われている。それから今度、中国の製鉄の大型プロジェクトがパアになった。そのために何千億というような損害をこうむる。あるいは小さいところで言えば、日商岩井が香港で円とドルの価格の変動をスペキュレーションの対象にしたと称されていますが、あるいは実際は木材の損失と言われておりますけれども、日商岩井の香港会社が破産をしてしまった。それで百六十億の損失をこうむった。こういうような臨時の巨額な支出が予定されている場合はどうやって埋めていったらいいのですか。一千億以上の巨額の臨時の支出が生ずる。日商岩井の場合はあるいは二百六十億とも言うし、あるいは中国の製鉄所がパアになったために、これに関係している諸会社のこうむる損害なんというのはちょっと算定しにくいようなものが出ていますね。ある程度国の保険制度もありますけれども、しかし、今度の商法上はこれはどうすればいいのですか。繰り延べでこれを埋めていくことは認めないというようなことになりますと、どうなるのですか。
○稲葉説明員 現行の商法は繰り延べ資産の制度というのを認めてはおりますけれども、これは限定列挙主義だというふうに考えられております。したがいまして、もしそういう損失が現実化したということになりますと、これはその期の損失として落とさざるを得ないということに商法上はなろうかと思います。
○林(百)委員 その期の損失として埋め切れなければ、どうなるのですか。
○稲葉説明員 繰り越し損失として残すということになるわけでございます。
○林(百)委員 繰り延べ勘定はそうすると認められるのですね。それをはっきりここで言ってください。繰り延べ勘定で繰り延べ損失として埋めていくということは認められるのですね。この二百八十七条ノ二の条文によりますと、「其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額二限リ」、要するに利益保留分を入れてはならない、「之ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルコトヲ得」とありますけれども、そういう場合は、それじゃ当期でなくてもいいわけですか。
○稲葉説明員 想定しているシチュエーションが若干違うようでございまして、正確に申し上げますと、この二百八十七条ノ二という条文が考えておりますのは、まだ損失が具体化していない場合に、その損失に備えるための引当金という制度であるわけでございます。私が先ほど申し上げましたのは、すでに損失が現実化したという場合にどうするかという問題でございまして、それは当期の損失にならざるを得ないということを申し上げたわけでございます。 イラン石化のような場合におきましても、これはまだ完全に撤退しなければならないということになったわけではございませんで、まだイラン側とネゴシエーションが続いているようでございまして、そうしますと、まだ損失が現実化したということではないのではないかというふうに思われるわけでございます。
○林(百)委員 現実になった場合はどうなるのですか。千億を超えるような損失が臨時巨額の支出として現実になった、そうしましょう、あなたはネゴシエーションの段階だからまだまだだと言うのですけれども。そうなったらどうするのですか。そしてまた、ネゴシエーションの段階ならこの引当金に充てることはできるのですか。それはまだ具体化していないからできないということですか。そこをはっきりさせてください。
○稲葉説明員 現実化いたしました場合には、損失としてその分は収益から控除しなければならないということになるわけでございます。 それからこの引当金は、先ほど安藤先生の御質疑もございましたけれども、要するにその損失の発生する蓋然性に見合って引き当てをすることができるということでございますので、その蓋然性が非常に高いというふうに考えられるということであれば引当金が取れるということになろうかと思いますが、ただ、現在の企業会計原則の立場からいいますと、どうも引当金は認めていないようでございます。
○林(百)委員 そうすると、仮に具体化した場合に、当期の利益あるいは計上利益でも結構ですが、それで埋め切れない場合は、損失としてずっと残っていくわけですか。そして、それは引当金として計上していいのですか。
○稲葉説明員 これは損失として残るわけでございまして、その部分が埋め切れない間は配当をすることができないという結果になるわけでございます。
○林(百)委員 それでは、この引当金というのは、利益性の引当金、それは配当の方へ回さなければいけないわけですけれども、具体的にどういうものですか、ちょっと列挙してみてください。
○稲葉説明員 一番典型的に申し上げますと、修繕引当金というものがこれに当たるわけでございまして、すでに使用している機械等につきまして来年度に現実に修繕契約を結ぶというようなもの、これは当期の稼働というものに対応する修繕ということでございますので、こういうもののために引当金を立てるというのが典型でございます。そのほかにも、たとえば役員の退職手当のための引当金でございますとか為替差損のための引当金でございますとか、そういうものが入るのではないかというふうに考えております。
○林(百)委員 二つ質問しますが、「損失ト為スコトヲ相当トスル額」というのは、だれが認定するのですか。会社の執行部が認定すればいいのですか、それとも、客観性がないのにそうすれば執行部の責任になるかどうかということ、これが一つ。 それから、次のものが利益保留性の引当金になるかどうか答えてみてください。ちょっとメモしてください。退職給与引当金、価格変動引当金、貸し倒れ引当金、返品引当金、渇水準備金、こういうようなものは利益性のある引当金なのか、あるいは評価性のものか、負債性のものか。これは会社会計上の問題も絡んできますから、必ずしも民事局だけに答えろと言ってもあるいは無理かもしれませんが、まあどういうように認識されておるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○稲葉説明員 列挙されました引当金が利益留保性のものであるかどうかというお尋ねでございますが、退職手当引当金というものは本来条件つき債務として、二つケースがございまして、一つは、就業規則とかあるいは労働規約、そういうもので法律上の債務として一定の年限が来て退職すれば必ず与えられるという法律的な請求権が成立する場合と、そうでない場合とあるわけでございます。法律的な請求権として成立するという場合には、これは条件つき債務そのものでございまして、むしろここで言う引当金の問題ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。 それから価格変動準備金、これにつきましては、価格変動の蓋然性というもの、そして先ほども申しました損失発生の蓋然性というものと絡むわけでございまして、一律にこの価格変動準備金というものを設定するということば必ずしも適当ではないと思いますけれども、価格変動準備金がすべて利益留保性のものだと言うこともまたできないのではないかというふうに考えるわけでございます。 貸し倒れ引当金についても同じでございまして、現実に貸し倒れが生ずるという蓋然性が非常に高いという場合は、これはむしろ引当金を積まなければならない。返品引当金についても同様であろうというふうに考えるわけでございます。 渇水準備金につきましては、これはむしろ利益平準化的な要素が強いわけでございまして、将来の渇水というものが当期の費用となるということはないわけでございます。たとえば返品でございますとか貸し倒れということになりますと、これは当期に貸したということ、あるいは当期に販売したということから、そういう将来の返品とかあるいは貸し倒れという原因が生ずるわけでございまして、すでに当期において事由が生じているということが言えるわけでございまして、そういう面でその蓋然性の評価によって変わってくるのではないかというふうに考えております。
○林(百)委員 国税庁、お尋ねしますが、今度の商法で民事局の方では利益保留性のものを引当金に充てることについては規制をするということになっているのですが、現実の会社の運営を見ますと、税法でこれまではこの限界までは税金を控除する、租税特別措置やいろいろの法律がずっとありますけれども、そこまでいま私が例で申し上げたようなものを一定の率までは課税をしないということになっていますが、そこまでをこの会社の準備金といいますか保留分の方へ回して、そして配当の方へ回さないようにする、こういうことを現実に行っているわけですね。免税点の目いっぱいまで配当金の方へ回さないようにして、会社の準備金なり内部保留なりにしておく、こういうことがあるのですけれども、これは一体国税庁の考えから言えばどうなるのか、また民事局から言えばどうなるのか、ここを混同しているように思うのですね、現実の会社の運営から言えば。会社としてはなるべく配当の方へ回さなくて社内保留しておきたい。税務署の方は、これまでは租税特別措置が、いろいろわれわれも一定の批判をしておりますけれども、税金をかけないとしてある。そうして税法上の制度であるにもかかわらず、それを会社の内部保留、配当金に回すというのと実際は混同しちゃっているのですね。こういうことについて両者の意見をここではっきりさせておきたいと思う。 ということは、おたくからもらった資料、きょうちょっとここへ持ってきませんでしたが、社内保留が約七兆円くらいあるのに、配当が二兆二千億ぐらいになっておりますから、余りに社内保留に回すのが多過ぎると思うのです。それは結局いま言ったようなものを混同して、免税点まではいいや、ことに交際費なんかは免税点を超してもどんどん使うくらいですから、ましてや免税点なんかは使わなければ損だ。そんな税金で取られるくらいなら銀座へ行って飲んだ方がいいじゃないかというような、極端に言えばそういう考えを持っている会社が、みんな会社がそうだとは私言いませんけれども、非常に多いわけです。だから銀座あたりの高級キャバレーやいろいろ非常に繁栄するわけです。こういうことの混同について、国税庁と民事局の意見をはっきり聞いておきたいと思うのです。
○四元説明員 お答え申し上げます。 御指名でございますので、私国税庁からきょうここに出席させていただきましたけれども、国税庁の立場は、税法に従いまして、税法で許容されたところで引当金、準備金を、また税法の諸条件に従って各企業が積み立てている場合に、それは税務上も認容をしていくということで税法を適正に執行していくという形で処理をいたしております。 先生おっしゃいました、私どもの総務課が毎年調査をしております企業の実態調査、これはサンプルでございますけれども、その数字によりますと、この社内留保金額は御指摘のとおり七兆五千億円になっております。これは要するに、税法上の処理を行いました結果、当年度の課税所得から、役員賞与ですとかあるいは支払い配当ですとかあるいは法人税や住民税あるいはその他の社外流出等を除いた余りの金額ということでございます。その社内留保がどのようなものから成っているのか、これは恐らく大部分は利益準備金ですとかあるいは有税でいろいろ積まれたものですとかいうようなものが大部分を占めると思いますが、一部には、交際費の限度超過分でございますとか減価償却費の超過額とかあるいは諸引当金等の繰入超過額とか、そういう税務否認金のうち社外流出していないもの、こういうようなものから成っていると思われますが、具体的な計数は私どもちょっとまとめておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。
○稲葉説明員 先生の御質問の趣旨をあるいは正確に理解していないかもしれませんが、私どもが考えておりますのは、利益留保性の引当金は今度は計上を許さないということでございまして、利益たるものはちゃんと貸借対照表なりあるいは損益計算の上ではっきりと表に出す。それに対しては株主総会で利益処分をするわけでございまして、その利益のうちどの部分を配当に回し、どの部分を社内留保してそれをさらにいろいろの事業に使うかということは、これは株主の判断によることでございまして、それが何%であるのが適当であるか、その利益のうち、つまり何%を配当に回すのがいいか、これはいわゆる配当性向の問題でございますが、これは企業がそれぞれ自主的に決めることではないかというふうに考えております。ただしかし、私どもが一つ考えておりますのは、そういう利益について誤解を与えるようなことがあってはならない。本来は利益を出しているにもかかわらず利益を出さない、つまり利益隠しでございますが、そういうことがあってはならないという見地から、今度の引当金について利益留保性のものを認めない、こういう措置をとったわけでございます。
○林(百)委員 大臣にお聞きしましょう。大臣、最近は、たとえば株式を持つ持たないというよりは、その会社の内部保留がどのくらいあり、その会社の内容がどういうことかということから株の値上がり値下がりがあって、それで株式がスペキュレーションの対象にだけなって、配当ということが重大な関心になっておらないのですね。ということは、今度は民事局もそれをお考えになって、二百八十七条ノ二ですか、これをお決めになったことだとは思いますけれども、しかし実際は、大臣も御存じのとおり、会社が幾ら内部保留を持って、会社の内容がどのくらいいいか。会社の内容が悪くなったぞということで株がぐっと下がる、会社の内容がよくなったぞということで株が上がる、結局株式はスペキュレーションの対象にはなるけれども、配当にほとんど関心を持たないというのが実情ではないでしょうか。そういう意味で、いま言ったように、国税庁が幾ら免税点がここまでだからといって、免税点の限界まで内部保留にするようなことは、今度の商法の改正の精神からいっても当然規制されるべきではないか、そういうように思うのですけれどもどうでしょうか。
○奥野国務大臣 企業が利益を留保して、その実態を充実させていくことは好ましいことじゃないか、こう思っておるわけであります。いま問題になっておりますのは、貸借対照表の負債に、本来その年の利益に計上すべきものをことさら債務に計上して利益隠しをする、それを防ぐということでございます。そのことと、企業が自己資本を充実させていくということとは別のことじゃないか、こう考えておるわけであります。 現在の日本の企業は借入資本金が非常に多いものでございますから、自己資本比率は一八%内外ではないかと思いますけれども、この実態をできる限り早く四、五〇%までは持っていきたいものだなと思います。また優良企業は事実そこまで持っていっているところもあるわけでございますし、あるいはそれ以上もあって、そのために株価が非常に高い。それなりに企業の実態価値を株価に反映してきているということはたくさんあると思います。また、そういう意味合いで、配当の利回りだけで株価は買われていない。その企業の自己資本比率が高く、将来とも安定をしているというようなところがかなり株価に反映してきていると思います。そういう意味合いで、企業の資本が充実していくことは好ましいことだ。この問題と、いま論議されております貸借対照表の負債に、本来利益であるものを利益隠しのためにそちらへ計上してしまって利益を隠すことは適当ではないということ、この二つは別の問題だと思います。
○林(百)委員 いや、別個のものだから両方聞いているのです。それはあたりまえのことです。もちろん会社ですから、内部保留もある一定のものを持っていることは必要ですけれども、ただ、税法上これまでは課税されないという限界ぎりぎりまでを利益隠しとして社内保留の方へ回すという悪しき慣習がある場合には、そういうことは今度の商法の精神からいっても許されないのではないか。先ほども言うように、二百八十七条ノ二の損失が相当の蓋然性を持ってきている場合には、それは引当金として充てるということになって、それから利益保留分をなるべく配当の方へ回せということが今度の商法の改正の精神の一つです。それをたとえば交際費みたいに、この会社はここまでは交際費が許される。それなら全部使わなければ損だからそこまで全部使ってしまって、それを利益隠しの方に回そうというようなことが、法務大臣は知っているかどうか知りませんが、現実に行われているのですよ。そういうことは許されるべきではないじゃないか。税法上の問題とそれから利益隠しの問題とは別個の、あなたもおっしゃるように、制度として考えなければいかぬじゃないか、そこを聞いているのですよ。そのとおりならそのとおりで結構ですが……。
○奥野国務大臣 税法の問題と利益隠しの問題とは必ずしも一つではないと思います。商法で基本の原則を書いているわけでございます。また、それぞれの業種によりまして、電力は電力についての経理基準を通産省が決めておるわけでありまして、渇水準備金などについても制度がある。できる限りそれと税制と合わせていかなければならぬわけでございましょうけれども、できる限り利益留保的なものは損金に認めないという意味で、金融機関の貸し倒れ準備金なども切り込んできているわけでございまして、そういう問題と商法の基本的な姿勢とは別の問題だと思います。
○林(百)委員 結構です。 それから、大臣にちょっとお聞きしますけれども、商法に前近代的用語がえらいあるのです。たとえば「番頭、手代」「使用人」とありますね。大臣、番頭、手代というのは会社内のどういう人を言うのですか。明治時代の店なら番頭、手代、支配人ということもあるでしょうが、大臣どういうことか御存じですか。商法で「商業使用人」の中にありますけれども、ただどの程度の責任を負うということだけで、たとえば司法試験のアチーブに番頭、手代、これはどういうものかなどといったって、いまの司法試験を受ける学生なんか知りませんよ。こういうものをいつまでも残しておくつもりですか。大臣にちょっとお聞きします。
○奥野国務大臣 商法が制定されたころにはそういう言葉が一般的にも使われておっただろうと思うのですが、いまでは何のことかわからなくなってきている、使われてもいないということじゃないだろうかと思います。そういう意味で、全面改正を急ぎながら今回はとりあえず五十四年までにでき上がったものを商法改正案として提案させていただいた。引き続いて全面改正の際にはそういう問題も当然取り上げなければならないと思っております。
○林(百)委員 時間が参りますので……。 警察庁、お待たせして非常に恐縮でした。今度の商法改正の一つに総会屋の問題があるわけで、これをちょっと詳しく説明を願いたいのですけれども、いわゆる総会屋というのは、昔は、入れ墨でもしておったような者が腕まくりして、総会があるとき一番前列にいて、大きな声で異議なしと言ったり、あるいは質問などをしようという者に対してはすごい顔でにらみつけるというようなものを総会屋の概念としてわれわれは考えていたわけですけれども、最近の総会屋はそんな前近代的な活動はしていないと思うのです。だから、最近はどういうような活動をしているのか、この点二、三点質問したいと思いますから、時間もありませんが、説明していただきたいと思います。
○漆間説明員 いわゆる総会屋と呼んでいるものにつきましてはいろいろな考え方があるわけでありまして、非常に狭く解する場合には、先ほど来法務省の方でも御答弁ありますように、株主権の行使に関連して財産上の利益を得ることを主としてやっておる者を総会屋と言っている場合もありますし、私どもの場合はもう少し広く解しておりまして、狭義の総会屋にプラスいわゆる雑誌ごろとか会社ごろとかという形で企業に寄生するものも含めて幅広く総会屋というふうに呼んでおります。 したがいまして、いろいろな形態があるわけでありまして、総会屋一つとってみましても、いろいろな発展形態があるというふうに言われておりまして、まず一番初めの原始的な形態は、雑誌ごろ等の形で会社側にコネをつけて、次には総会に乗り込んでいって攻撃をする、その次は、さらに会社の信用を得て防御に回る、最終的には名前を出すだけで金を吸い上げる、そういうような形でいろいろと発展していくというふうに聞いております。
○林(百)委員 それと暴力団との癒着の関係ですね。そういういわゆる総会屋というものは、この前もちょっとお聞きしましたけれども、組織的にはいまどのくらいあると見ているのでしょうか。ことに暴力団との癒着の関係は、どういうように癒着して、どういうようにそれを利用するのですか。
○漆間説明員 これは先般もお答え申し上げましたけれども、昭和五十五年末現在で警察が把握しております先ほど申し上げたような広い意味の総会屋の総数は五千八百人でありまして、そのうちいわゆる暴力団と目されている者が千百人でございます。 この両者の関係でございますが、いろいろな態様がございまして、一つは暴力団が支配、介入する関係であります。二つ目は相互に交流をする関係。三つ目は友誼関係。何か事があるたびに力をかす。それから暴力団に対する総会屋の方からの、いわゆる総会屋の関連するいろいろの行為がありますが、その指導行為。それから共同実行関係。こういうような主として分けますと五つくらいの態様で暴力団と総会屋が結びついておる。最近は総会屋の行為を通じてストレートにあるいは間接的に暴力団にいろいろな資金が流れ込んでいる。そういう意味で、暴力団の資金源としても私どもはこれを重要視しているわけでございます。
○林(百)委員 それでは、その総会屋へ企業が、この前約五百億から千億という数字が出たのですが、企業から総会屋へ、総会屋からまた暴力団へ行きますが、企業から総会屋へ金を年間五百億流す。それはどういう形態で流れていくわけですか、あるいは渡されるわけですか。
○漆間説明員 ただいま御質問にありました年間五百億から一千億と言いましたが、先般五百八十億とお答えしましたが、これはその基本に、五十三年当時の推計の基礎として当時いろいろ検挙しました実例から割り出しまして、一人の総会屋平均年収一千万であるということを基礎にして、五千八百人いるわけでありますから五百八十億ということで申し上げたわけでございますが、これはあくまでも五十三年当時の推計のことでありますから、現在そのまま通用するかどうかわかりません。 それから、その推計の基礎となった一千万の内訳でありますけれども、先ほど申しましたように狭義の総会屋行為によるものと、それにプラス雑誌ごろあるいは会社ごろといった形態でもって会社から吸い上げるもの、一切合財含んだ数字でございます。
○林(百)委員 そうすると、会社を脅迫してやるのですか。それとも会社の取締役から依頼を受けて——それは今度は法律で、情を知って金を受けた者も処罰されるわけですけれども、どういう結びつきで金が五百八十億も企業から総会屋へ流れていくのでしょうか。そこのところはちょっと遠慮なく、法務省が、民事局がいたって構わないから、警察庁で調べたことを説明してください。どうもわれわれは、その点をやらない限り、幾ら商法を変えたって、たとえば密室でそういうようなことをやって、わからぬようにして表に出ないようにするとかなんとかというやり方もありますからね。あなたの言うように、それは雑誌ごろとかなんとか、おどかして、種を出すぞとかということならわかりますけれども、いまそんなことでないやり方で、もっと巧妙な企業と総会屋との結びつきがあるように思うのですけれども、そこら辺はもう少し最近の実情に即した説明はできませんか。
○漆間説明員 先ほども御説明申し上げましたように、総会屋が企業から金を吸い上げる形というのはいろいろな形があるわけでありまして……(林(百)委員「ちょっと例を言ってみてください」と呼ぶ)先ほど申し上げましたように、雑誌ごろのような形ですと、雑誌に会社の問題点を書くぞという形で、それを背景にして金員を回収する場合もありますし、それから、先ほど言いましたように、総会の進行を引き受けて、その対価として金員の交付を受ける場合もありますし、さらにもっと発展していきますと、そういういわゆる金員の交付の基礎となる行為は一切なくても、賛助金という形で、いわば顧問料みたいな形で年間一定額が総会屋のもとに流れ込むケースもあるわけでございまして、実にさまざまな形であります。先ほど推計の基礎になりましたものにつきましても、検挙によって解明されたものもあれば、その検挙を機会に各会社にアンケートを回して、この総会屋についてはどの程度の賛助をなしているかという調査をしたものも含めて一切合財総平均すると、年間一人当たり一千万であるということであります。
○林(百)委員 それでは最後に大臣、五十三年で五百八十億というのですから、これは相当な金ですね。これは直接株主の権利の行使に関するようなこういう単純な、四百九十七条で規定するような簡単なものでないわけですね。ですから、これについては相当会社の執行部の秘密事項にも関してくることだと思いますけれども、最近の総会屋の巧妙な動き方、暴力団との癒着、これは恐らく企業の取締役の執行部だと思いますが、そういうものの結びつきを厳格に規制するということをしませんと、これは大きな企業ほど暴力団をむしろ顧問として雇っておくというような事態も起きてきて、非常に社会的な不健全な事態が起きると思いますので、これについては、今度は罰則も変わりますけれども、厳重な規制をして、そして日本の株式会社のあり方を健全なものにしていくことは、これはもう総会屋を一掃することが非常な大きな柱の一つになると思うのです。そういう点について大臣の決意をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○奥野国務大臣 おっしゃるように、企業の健全な運営、そのことも今度の商法改正の大きな柱でございます。自主監視機能を強化するという意味でいろいろなことをやっておるわけでございますが、同時に総会屋、特に株主権の行使に当たって財産上の利益を供与した者も処罰されるし、受けた者も処罰される、刑事罰を受けるというような規定を置いたわけでございますから、いろいろな脱法行為で金銭を受け取ろうとする動きもあるだろうと思うのでありますけれども、それを渡した人間は刑事罰に処せられるということにしておるわけでございますので、そういう立場でもあるのでということで断りやすくもなるのじゃないだろうかと私は思います。また、商法の改正がそういう趣旨でありますので、企業もそれなりにその趣旨を体して運営するように努力してくれるだろうと思います。もちろん、だからといって、刑法上の恐喝罪がなくなる、詐欺罪がなくなるとは思いません。それはそれでやはりそれなりの取り締まりもあわせて努力していただかなければ解決するものではないと思います。今度の商法の改正は、いま御指摘になりました点が一つの大きな柱だと考えておりますので、その趣旨の徹底にはわれわれとしても努力をしていきたいと思っております。
○林(百)委員 四百九十七条は議決権の行使というのですけれども、いまも聞いたように、直接議決権の行使に結びつかない、因果関係をずっとたどっていけばどうか知りませんけれども、そういうものもあるわけなんですね。そういうものも規制していかないと、将来はそういう点も検討していかないと、刑法上の恐喝だとかいうものと結びつけばそれは刑法上の概念で取り締まりできますけれども、そういうものにも該当しないような、たとえば顧問というような形で設けている場合には別に恐喝でもありませんし、それから議決権にも直接関係ありませんからね。そういうものを規制するような方向、これは技術的にいろいろな問題点があると思いますけれども、将来、商法を全面的に改正することを検討する場合は、そういう近代的な総会屋のあり方も規制していく。四百九十七条にある直接議決権の行使に影響するような金をやる者もらう者ということでないような、さっき警察庁が説明したようなあり方もあるわけですね。そういうものを規制していかないと、根本的に総会屋の対策にはならないと思いますので、これは検討課題で結構ですけれども、将来、商法を改正する場合にはそういう点も検討の一つの課題として検討していただきたい。株式会社の社会的責任を果たす上でもそういう点はやはり厳格に規制していかなければならないと思います。 将来の課題として、商法の全面的な改正の場合には、直接の議決権と短絡しないような総会屋あるいは暴力団との結びつきというものも規制するような方向を考えていく必要があるのじゃないかと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。その点についてもう一度お答えいただきたい。単に四百九十七条の議決権の行使だけじゃありませんのでね。
○奥野国務大臣 議決権の行使の条文を通じて会社運営に当たる人たちの心構えが明示されたのだと思うのです。総会屋が金員を取るについてはいろいろな手法があるでしまうけれども、会社運営に当たる者は社会的な公正を維持していくためにそれなりの心構えを持っていかなければなりませんよということをいまおっしゃいました条文を通じて言うておるわけでありますから、私はそれなりに毅然とした姿勢を会社の責任者には持ってもらわなければならないと思うわけであります。しかし、いずれにいたしましても、この法律の運営を通じまして、せっかく総会屋を排除しようと努力したけれども、いろいろな点においてなお抜かっている点がありはせぬかということは絶えず検討していかなければなりませんから、またそういうことが出てきた場合には、この次の機会には当然必要な措置を講ずべきだと思います。
○林(百)委員 それでは結構です。終わります。
○高鳥委員長 次回は、明十三日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時十四分散会