法務委員会 第11号
- 発言数
- 408 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/05/08
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○奥野国務大臣 難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書への加入に伴い、その国内施策として、難民である旨申し出た外国人が条約に定める難民に該当するかどうかを認定する必要があるほか、難民の地位に関する条約に定める難民旅行証明書の交付及び社会保障の面における内国民待遇を図ること等の措置をとる必要があります。 そのために、出入国管理令の一部を改正して、(一) 難民の認定を受けようとする者は、入国後原 則として六十日以内にその申請をしなければな らないこと。(二) 法務大臣が難民であると認定したときは、難 民認定証明書を交付すること。(三) 難民の認定を受けている者が難民でなくなっ たときは、その認定を取り消すこと。(四) 難民と認定されなかったとき及び難民と認定 された後これを取り消されたときは、法務大臣 に異議を申し出ることができること。(五) 難民の認定を受けている者に対する難民旅行 証明書の交付、永住許可要件の一部緩和及び退 去強制手続における法務大臣の裁決の特例につ いて定めること。(六) 難民に該当すると思料される者について簡易 な手続で上陸を許可することができるよう、一 時庇護のための上陸の許可の制度を新設するこ と。(七) 被送還者が人種、宗教、政治的意見等を理由 として迫害を受けるおそれのある国へは原則と して送還しないこと。などの規定を設けることとした次第であります。 次に、社会保障の面におきましては、国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律及び児童手当法の一部を改正して、これらの法律における国籍要件を撤廃することとしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○高鳥委員長 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 まず、会計監査人の解任及び選任について、法律案の内容をただしたいと思います。 この株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の第六条で「会計監査人は、何時でも、株主総会の決議をもつて解任することができる。」と第一項に記されております。会計監査人の独立性並びに社会的責任等を考えますと、その身分がかなり確定していなければ、会社が会計監査人の解任を自由にできるということを言うことについては若干の抵抗を受けるわけでありますが、この第六条で「何時でも、」ということを特に入れなければならない理由は何でありましょうか。「何時でも、」がなくても「株主総会の決議をもって解任することができる。」ということであってしかるべきではないか。「何時でも、」という意味が臨時株主総会ということだとしても、これは何も「何時でも、」が入らなくてもいいのではないか。「何時でも、」ということがいかなる理由でも全くオールマイティーに解任できるというような、法律がそういう印象を与えていることについていかがでありましょう。
○中島(一)政府委員 会計監査人の地位につきましては、その本質は委任あるいは準委任であるというふうに理解をしておるわけでありまして、したがいまして、委任についての大原則であります民法六百五十一条の規定に、「委任ハ各当事者ニ於テ何時ニテモ之ヲ解除スルコトヲ得」というのがあります。それから出発をいたしまして、商法におきましても、取締役につきまして、商法二百五十七条でありますが、「取締役ハ何時ニテモ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得」ということになっております。監査役についても同様であります。そこで、会計監査人につきましても、これに合わせて「何時でも、株主総会の決議をもって解任することができる。」という制度になっておるわけでございます。
○横山委員 民法や商法を引用なさってもいいんですけれども、しかし、少なくとも当事者間において委任契約が行われておる。そして契約があれば双方が責任を負う。その双方の責任を負う者を一方的に「何時でも、」——「何時でも、」という意味が一体法律的にどんな意味を持っておるか私はよくわからないのですが、「何時でも、」という意味がどんな理由があろうと、こちらの一方的な解任で済むのだ、おまえが文句を言う筋合いはない、こういう意味なんですか。
○中島(一)政府委員 法律的にと申しましょうか、理論的に申しますならば、おっしゃるとおりであろうと考えております。
○横山委員 それならば、第二項で、「解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対しこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。」とあります。「正当な理由がある場合を除き、」ここに言う賠償請求権、勝手に首を切られた。けしからぬ。いや正当な理由があったから首を切ったのだ。いや正当な理由がないにかかわらず首を切ったのだから損害賠償を請求するという第二項のくだりは、何のためにここに存在するのでありましょうか。少なくともあなたの解釈をもってすれば、いつでも首を切れるけれども、それは正当な理由があるときと、正当な理由がないときと二つに分かれる。首は切れるのだけれども、正当な理由がないときに首を切った場合には、公認会計士、監査人に対して賠償請求権を認める、こういう論理になるわけですか。
○中島(一)政府委員 委任におきましては、当事者間の信頼関係が基本になっておりますので、解約の事由、解除の事由というものを非常に緩やかに解しておるというのが基本的な考え方でございます。そこで、民法におきましても先ほど申しましたような規定があるわけでありますけれども、しかし、さりとて、いついかなるときでも解除することができるということになりますと、相手方の保護に欠ける場合があるということから、六百五十一条の第二項におきまして、「当事者ノ一方カ相手方ノ為メニ不利ナル時期ニ於テ委任ヲ解除シタルトキハ其損害ヲ賠償スルコトヲ要ス」という規定を置きまして、解除された側の当事者の保護をも図っておる次第であります。 会計監査人につきましては、ただいま申しました六百五十一条の二項よりもさらに損害賠償の要件を緩めまして、解任について正当な事由がある場合を除いて、会社に対してこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。民法の原則は「相手方ノ為メニ不利ナル時期ニ於テ委任ヲ解除シタルトキハ」というかなり厳しい要件になっておりますが、特例法の場合は、正当な理由がある場合を除いて、会計監査人に損害賠償請求権を認めるということで、さらに会計監査人の地位の保護と申しましょうか、利益の保護を図っておる次第でございます。
○横山委員 そうしますと、整理しますと、「何時でも、」という言葉に私はこだわるのでありますけれども、とにかく株主総会の決議があれば自由に解任できる。しかし、その自由ということは、正当な理由がある場合とない場合と両方に論理的には分けられる。自由に解任できるけれども、正当な理由がない場合においては、会計監査人の保護を図って賠償請求をすることができる、こういうことですね。それでよろしいか。
○中島(一)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○横山委員 それでは、一体六条の二項に言うところの「正当な理由」というのはどういう理由でございますか。また、「これによって生じた損害」というのはどういうことが想定されるわけですか。
○中島(一)政府委員 一般的に申しますならば、解任による不利益を会計監査人に帰せしめてもやむを得ないと考えられる事由ということになるであろうと思います。後ほど出てまいります六条の二に列挙してありますような事由はもちろん含まれるかと思いますけれども、それにとどまらないで、さらに範囲の広いものがあろうかと考えております。 それから、損害の内容でございますけれども、これは会計監査人がこちらの会計監査人に選任をされましたために他の会計監査の機会を失ったというようなことによる損害ということになろうかと思います。
○横山委員 いまのお話によれば、正当な理由は六条の二を含んでほかにもある、こういうお話でございます。そうすると、少なくとも株主総会が会計監査人を解任するときには、おまえ気に食わぬからどんな理由であってもよろしい、しかし、六条の二によって監査役の全員の同意を得て解任をするときには、この六条の二の一、二、三でなければならない、こういうことでございますね。一体、監査役全員の場合には限定し、株主総会においては鼻が曲がっておるからいかぬという理由でも首切れるというふうに分けた理由は何でありますか。
○中島(一)政府委員 改正法案によりますと、会計監査人の選任は株主総会の決議、こういうことになっております。したがいまして、その解任ということになりますと、株主総会であれば理由の有無を問わないことになるわけであります。ただ、会計監査人の解任はすべて株主総会の決議によらなければならないということにいたしますと、株主総会が一年に一回しか開かれていない例が多い現状におきましては、機動性に欠けると申しましょうか、会計監査人に非常にふさわしくない状況が発生したにもかかわらず、その解任のためにわざわざ株主総会を開かなければならぬということでは適宜な処置がとりがたいということもございますので、六条の二の一、二、三に列挙いたしましたような会計監査人としては解任しかるべしというような典型的な場合につきましては、監査役全員の同意をもって解任することができるという便宜と申しましょうか、簡易な方法を認めたわけでございます。
○横山委員 六条の二の一、二、三のうちの一はわかる。三もわからないわけではない。しかし、二の「会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。」ということはどういうことが想定されるのでありますか。たとえば会計監査人としての職務執行上どうもある取締役に癒着しておるとか、それから収賄をしたとか、そういう場合はむしろ一に該当すると思われるわけであります。ここに言う二は私生活、交通事故をやった、あるいは過って人を殺した、あるいは酒を飲んでいつもぐたぐたしておるというような私行上の問題を言わんとしておるのでありますか。
○中島(一)政府委員 私行上のと申しましょうか、職務外の非行を含むかどうかにつきましては私どもも考えておりますけれども、現在のところは、それは含まないという考え方が強いわけでございます。やはり「会計監査人たるにふさわしくない非行」ということでありますので、公認会計士としての非行、当該会社における行為ではございませんでも、他の会社における会計監査人としての行為あるいは公認会計士としての行為というようなものがこれに当たるのではないかと考えております。
○横山委員 それはいささか問題が生ずるのではないかと思うのですよ。少なくとも被監査会社との関係上会計監査人たるにふさわしくないということが認められるならばいざ知らず、交通事故を起こしたとかいう私行上の問題あるいはほかの会社で何か問題があったから、おまえはいかぬからおれのところの監査人としても首切るというようなことになるとするならば、これはきわめて問題が生ずるおそれがある。なぜこの第二号がここに存在しなければならぬのであるかという点については積極的必要性がないのではないかと思いますが、どうですか。
○中島(一)政府委員 一号におきましては、現実に職務義務の違反があり、あるいは職務の懈怠があったという事実に基づいて会計監査人として不適格ということになるわけでありますが、二号におきましては、その会社でなくても会計監査人としてふさわしくない非行があったという場合には、その会社についても会計監査人としての不適格な行為が起こるおそれがあるというわけでありますから、問題は、私行は含まないということを先ほど申し上げたわけでありまして、会計監査人としての行為が果たしてよそで起こったことがこちらの会社でそれほど明らかであろうかということであろうと思います。しかし、公認会計士としての監督も受けておるわけでありますから、そういう監督権者から何らかの戒告その他の処分を受けたというようなことでありますれば、やはり二号の「会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。」に当たると考えるわけでございます。
○横山委員 一体、その非行というのはどういうことなのでしょうかね。通常的、常識的に言うところの非行というのは、人間として常識を外れる、あるいは社会的な常識、行為、そういうものにもとるというところに非行という言葉があると私は思うのです。よその会社で業務上間違いを起こしたといういま例示されるようなことで、だからおれの会社でもやるかもしれぬというので首を切ってしまえということはいかがなものでありましょうかね。 たとえば税理士を例にとってみましょう。あるいは弁護士を例にとってみましょう。ほかにそういう職種を例にとってみましても、一つの会社で問題を起こしたからといって、ほかの会社がみんな首を切ってしまえ、契約を解除してしまえというようなことをやりたら、これは余りにも処分が厳し過ぎるのではないか。しかも、そういうよその会社で起こした問題は一体非行と言えるのだろうか。よその会社で職務上の義務に違反し、よその会社で職務を懈怠したということならまだ——これも私の理論から言うとおかしいと思うのですが、非行という意味は、広辞苑でも引いてみなければわかりませんけれども、人間としてあるべからざる行為、常識的におかしな行為、社会概念上大変適当でない行為、そういう人間的な問題を非行と言うのじゃないでしょうか。一体、何が非行だとお考えになりますか。
○中島(一)政府委員 非行という場合の内容は、ただいまおっしゃるとおり人間としての行為ということになろうかと思いますけれども、ここで問題にいたしましたのは、会計監査人としての行為を問題にしたわけでございます。この条文を立案いたしましたときに参考にいたしましたのは、国家公務員法の八十二条という規定でございます。国家公務員法の八十二条におきましては、職員の懲戒処分の規定でございますが、「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」場合といたしまして、一号は「この法律又はこの法律に基づく命令に違反した場合」、二号は「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、これが六条の二の第一号に当たるかと思います。それから第三号といたしまして「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」、こういうことでございまして、国家公務員の場合には「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」ということで非行をしぼっております。六条の二の二号は、「会計監査人たるにふさわしくない非行」ということで非行を限定したというふうに申し上げておきたいと思います。
○横山委員 国家公務員と会計監査人は同列に論じがたいと思うのです。国家公務員でも、最近においては業務上以外のいわゆる非行については、交通事故を起こしたとかなんとかということなのでありますけれども、それは刑法犯に問われて起訴をされれば休職になるということでありますが、国家公務員は全人格的に一応国民に対する奉仕者としての規範の枠の中にある。しかし、会計監査人は、その会社に対して会計監査をするという自分の業務のうちのごく一部、ある意味では自分の業務の中のそういう契約事項についてのみやっておる人間なのでありまして、国家公務員と同じように、自分の業務の一部としてやっていることをこちらの方で、私行上あるいは他の関係で問題が起こったときに、その責任まで追及しようというのはおかしいじゃありませんか。 この六条の二は、解釈のしようによってはきわめて広範な適用ができる。おまえさんは、うちの会社の監査とは全然関係ないけれども、よそで女をつくってめかけ狂いをしているからけしからぬとか、交通事故を起こしてひき逃げをしたからけしからぬとか、あるいはよその会社の監査報告が大蔵省からしかられたのでけしからぬとか、そういう理屈が勝手につけられる要素を含んでいると思うのです。含んでいないというのはあなたの解釈でしょう。会計監査人としてのありよう、普通の人間としてふさわしくないのじゃなくて、「会計監査人たるにふさわしくない」というのは一体どういう意味か整理してみますと、会計監査人というのは社会的責任を持っておる、株主にかわって監査をするというものであることは私ども認めるわけでありますが、そういう人間にふさわしくない非行というのは、会計監査人に対して過重な責任を課しているのではないか、そう思われてならないのです。どうしてもこれを存置しなければならないとするならば、改めてあなたはここで特に乱用されてはならないという限定的な解釈を明白にされるべきだと思いますが、どうですか。
○中島(一)政府委員 六条の二の二号について、その範囲はどうかということにつきましては、最終的にはこれは裁判所の判断によって確定されるべき問題であると考えますけれども、私どもが現在考えておりますのは、純然たる非行については含まないというふうに考えるべきではないか。しかし、会計監査人が、その本来の職務である公認会計士としての職務に関して非行があったという場合には、これは「会計監査人たるにふさわしくない非行」と考えて、六条の二の解任事由に当たると考えるべきであろうというふうに思うわけでございます。
○横山委員 本来の職務に関して非行があったとおっしゃる。もう一遍聞きますが、その非行というのは、たとえばどんなことを列挙なさるのですか。六条の二の一に該当しない本来の職務に関しての非行というのは、どんなことが推定されるのですか。
○中島(一)政府委員 一号の場合は、当該会計監査事務を行っております会社について、その会計監査人の職務上の義務違背があり、あるいは職務の懈怠があったという場合であろうと考えます。二号の場合は、会計監査人としての職務と申しましょうか、それを一よりは抽象的にと申しましょうか、一般的に考えて、その行為を評価するということであろうかと思うわけでありまして、その行為の内容そのものについては、一号の場合と二号の場合とではほぼ同じであろうというように考えます。
○横山委員 そういたしますと、やはり非行という言葉は適切ではありませんね。この非行という言葉は、いまあなたは純然たる非行は含まないとおっしゃる。純然たる非行に該当するような人間としての欠落条件あるいは交通事故のひき逃げ、そういうようなものを非行と言うとするならば、本来の職務に関しての非行があった場合はいかぬというその非行というのは、六条の二の一に該当するような問題ではないか。そうだとすれば、これは非行じゃない。もう少し限定した書き方をしないと、気に入らぬ会計監査人は首を切りたいという気持ちが常に潜在的にあるといたしますと、この六条の二の二は将来問題を生ずるおそれがある、そういうことを強く指摘しなければなりません。 そこで、六条の二に「監査役の全員の同意」とありますが、監査役は複数である、最小限一人は専従、一人は非専従といたしますと、全員といったって監査役はそんなにたくさんおるわけじゃありませんから、最低線二人だといたしますが、一人が反対、一人が賛成ということになる、そういう場合には監査役はどういたしますか。
○中島(一)政府委員 これは六条の二による解任はできませんので、それ以外の方法を考えるということになります。
○横山委員 どういう方法になりますか。
○中島(一)政府委員 たとえば、任意に退職いたしません場合には、株主総会の決議によって解任をするということになります。
○横山委員 株主総会の決議というのは、提案者は取締役会になるのか、どういうことになるのでありますか。
○中島(一)政府委員 議題の提案は第一次的には取締役でございます。しかしながら、監査役といたしましては、その議題を提案する請求権というものが認められております。
○横山委員 第三条は選任でありますから、第三条の一及び二項につきましては、現在ある会計監査人を新しく選任する——新しい選任じゃないのですから、おる者に対してまず解任をせんならぬ。解任をせんならぬとすると、六条の二で監査役の意見が一致しない場合は解任の提案者がないということになりはしませんか。
○中島(一)政府委員 一人対一人に分かれました場合には、おっしゃるようにそのまま会計監査人としての地位にとどめておくより仕方がないということになろうかと思います。
○横山委員 よくわからないのですが、三条の「会計監査人の選任を株主総会の会議の目的とすることを請求することができる。」ここに言う「目的」と会議の議題ということとどう違いがありますか。
○中島(一)政府委員 会議の目的にいたしましても議題にいたしましても、会計監査人選任の件ということになるであろうと思われますので、同様に解して差し支えないと思います。
○横山委員 なぜ一体「会議の目的とすることを請求することができる。」と書くのですか。なぜ「会議の議題とすることを請求することができる。」としないのでありますか。
○中島(一)政府委員 これは商法の似たような他の場合における表現にならったものであろうかと思うわけでありますが、たとえば商法の二百三十二条の三項におきまして、二項でも結構かと思いますが、「前項ノ通知ニハ会議ノ目的タル事項ヲ記載スルコトヲ要ス」というふうにありまして、「会議ノ目的」という表現を使っておるということによるものでございます。
○横山委員 三条の三項で「監査役は、その過半数の同意をもつて、取締役に対し、会計監査人の選任を株主総会の会議の目的とすることを請求することができる。」この場合には、取締役に、この横山という人間を会計監査人として選任するように会議の目的にしてもらいたいということですね。その場合は、取締役はここで同意を必要としない、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
○中島(一)政府委員 三条の三項におきまして「会計監査人の選任を株主総会の会議の目的とすることを請求することができる。」というのは、これは議題としての会計監査人の選任ということになります。したがいまして、会計監査人選任の件ということになります。具体的に何某を会計監査人として選任すべきであるというのは、その次に出てまいります「会計監査人の選任に関する議案の提出」ということになります。「議案の提出についても、同様とする。」とありますので、監査役は過半数の同意をもって取締役に対して議案の提出を請求するということになります。
○横山委員 私の言っていることがよくおわかりにならないのです。私は二つの疑問を持っておるのです。「会議の目的とすることを請求することができる。」それから「会計監査人の選任に関する議案の提出についても、同様とする。」なぜそんなややこしい二つの言い方をしなければならぬのかという疑問が一つ。それからもう一つは、三条の三項は、取締役をトンネル機関としてそこを通じて出さなければいかぬよと言うておるようであって、取締役が同意をしろとは書いてない。三条の二項は監査役の同意を得なければならないと書いてあるが、三条の三項は取締役の同意を必要としない、トンネルだ、こういうふうに解釈してよろしいのか、こういうことです。
○稲葉説明員 株主総会の現行法の構造につきましては、たとえば先ほど局長が申し上げましたように、招集通知には会議の目的たる事項を記載することを要すというふうに規定してあるわけでございます。これは要するに、先生の御指摘のとおり議題という意味でございまして、単に何々の件という抽象的な命題が掲げられるだけだということになります。それに対しまして議案というものにつきましては、たとえば三百四十二条に定款変更についての規定がございますが、これについての議案の要領を招集通知に記載しなければならないというような規定になっておりまして、商法は議案と議題というもの、つまり「会議ノ目的タル事項」というものとを判然と区別しているということがございますので、この場合も書き分けたということでございます。 それから第二番目の、トンネルで、その点について取締役の判断は及ばないのかどうかという点については、そのとおりでございます。これは株主提案権についても同じでございまして、適法な請求がありさえすれば、それに対して取締役会は拘束されて議題あるいは議案として株主総会に提出しなければならないと考えております。
○横山委員 私は、監査役というものに現行法及び特に改正法におきましてはかなりの責任性あるいは重要な任務を負わせることは承知しておるわけでありますが、監査役がわずか二人や三人くらいで果たしてその監査役が十分的確な調査、審議そして決断が一体できるだろうかという点について、若干の運用上の疑問を持っておるわけでありますが、それはいいでしょう。 その次に、四条の監査人の資格でありますが、会計監査人の資格を四条の二項で「次に掲げる者は、会計監査人となることができない。」と定められております。この四条の二の二に「会社の子会社又はその取締役若しくは監査役から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者」は監査人になれないということを規定しておるわけでありますが、子会社から継続的な報酬を受けるという意味はどういう業務をしておることが想像をされるわけでありますか。たとえば役員になっておる。たとえば株主になっておる。たとえば取引関係がある——取引関係では報酬と言えないかもしれませんね。どういうことが継続的な報酬として考えられるのですか。
○中島(一)政府委員 規定の体裁から申しますと、使用人というものがまず考えられるわけでありますけれども、実際上のこの法律案の条文を立案いたしましたときの気持ちは、税理士業務というようなものが含まれるということでございます。
○横山委員 「継続的な報酬」はこれまたいろいろな問題、話題を呼びそうな気がして、この種の問題は、先般来議論がございました日税連と公認会計士協会とのやり合いの問題に発展するわけですが、いまおっしゃるような、たとえば税理士をやっておってはいかぬということ、これは今度の基本的な物の考え方で当然ではございましょうけれども、そのほかに何かお考えのものがありますか。想像されるものがありますか。
○中島(一)政府委員 会計監査人の地位の独立性、第三者性ということから申しまして、会社と特別の従属関係にあるということを排除するというのがこの規定の本来の趣旨でございますので、そういう趣旨からいって、「継続的な報酬」という形で不適切なものはすべて排除するという規定でありますけれども、私ども考えておりましたのは、税理士業務あるいは使用人というようなものでありまして、その他に特別にこういうものをということではございませんでした。
○横山委員 重ねて改めて、先ほど御答弁願いましたが、聞きます。 六条の損害賠償ですが、会社に対して請求ができるという損害賠償は、先ほどのお話によれば、いきなり首を切られたから、よその会社の監査をやろうと思ったのだけれども断った、そのために得べかりし利益を逸失したという例が出ました。しかし、そういう理由が本当に損害賠償の理由になり得るだろうかという点について、若干私は疑問を受けるわけであります。 「正当な理由がある場合を除き、」つまり、鼻が曲がっておるので、顔がおかしいので、皆がいやがっておるのでおまえさんはだめだと言っても首は切れるわけです。しかし、それは正当な理由ではない。その正当な理由でない場合の条件、それから損害賠償の仕方、そういう点について討議が法制審議会なり皆さんの中でありましたか。これは新しい規定でございましたか。損害賠償請求権を認めるということは、何かそれらの問題が起こりましたときに、どういう条件ならば損害賠償が請求できるか、会社はそれを受けなければならぬか、恐らくかなり法廷における問題に推移する可能性がある。 公認会計士としては、損害賠償を請求する以上は、自分は正当に仕事をやっておった、何ら会社に対して間違ったことはしていない、むしろ会社は自分が正当なことをしておったのを気に入らぬからやったのであろう、それで改めて自分としても会社の内容についてこういうことを注意し、こういうことを指摘した、けれどもそれを実行しなかった、実行しなかったから意見差し控えをやった、そうしたら報復手段として首を切られた、こういう会社の監査の業務内容に関する問題が法廷で争われることになると思うのです。 そういう損害賠償という問題を新しくここに規定をするということは、気持ちとしてはわかるのでありますが、どういう場合、どういう条件が想定されたのか。討議の状況があれば、あるいはまたあなた方がお考えになるならば聞かしてもらいたい。
○稲葉説明員 先ほど局長がお答えいたしましたように、これは民法の六百五十一条の二項あるいは商法におきましては取締役や監査役につきましての二百五十七条一項というようなところに、委任あるいは準委任に関する解任につきましての損害賠償の規定があるわけでございまして、そういう規定を意識いたしまして、こういう規定との対比においてこの程度の要件にすることが適当であろうと考えられた結果、こういう規定を置いたということでございます。
○横山委員 お役所の答弁はいつもそういうことであって、私どものただしたいところは、もっと生身の現実的な問題をいつも言うわけです。お役所の答弁は、民法に書いてあるから、ほかの法律に書いてあるからそれを横並びしたのだ、こう言ってしまえばそれまでの話なんであります。それなら何も、そこに書いてあるからここに書かぬでもいいわけであります。特に会計監査人の損害賠償請求権をこの法律で特定して認める、ほかに書いてあるけれども認めるという積極的な理由があるはずです。それがなければ何も書かぬだって、民法に書いてあるからいいじゃないかということになるわけです。 私がいま言いましたように、こういう請求権を特定してここに明記をした以上は、これが必ず発展をする、いつかは損害賠償の請求権問題が発展する。しかし、その損害賠償請求権はどういう条件のもとなら、どういうことが適当な要求金額の内容になっていくか、それが発展すれば会社との間に監査内容について争いを生ずる。まじめな監査をしておったのに対していやがられた、こういう論理に必ず発展する。そういうことの想定が法制審議会なりどこかで審議するときに当然あり得たことではないかと言うのですが、いまのお話によりますと、そう深く突っ込んだ議論があってこの六条の二を書いたわけではない、こういうことになりそうですね。それではいかぬと言うのです。だから、私の質問に正しく答えてくださいよ。
○稲葉説明員 私の申し上げたことが誤解を招きましたようで申しわけございません。 結局、現行法の民法の規定だけによりますと、不利な時期ということとやむを得ない事由がないということ、こういう二つの要件がかぶってくるわけでございまして、これは損害賠償を請求する要件としてはややきつきに過ぎるのではないか。もっと先生が御指摘になりましたように、まじめな監査をやったということで首を切られたような場合に、それがたまたま不利な時期でなかったというために損害賠償が請求できないというようなことがあっては困るので、むしろそういうまじめな監査をやって、会計監査人としては当然やるべきことをやったんだというようなことになれば損害賠償が請求できるということにし、それを法廷でさらけ出せるということにすれば、会社としてはあえて火中のクリを拾うようなことはしないだろう、正当な事由がないのに解任をするというようなことは差し控えるであろう、こういう配慮でございました。
○横山委員 それも答えになりませんね。やはりこういうことは現実問題としては起こらない、予防的な規定としての効果を期待する、それもわからぬではないけれども、予防的な規定だけでなくて、実際ここに書いてあれば必ず起こることを想定しなければいかぬ。起こった場合にどんな条件か、どんな方法でそれが行われるかという点についてのあなた方のお考えが十分説明ができません。 それから六条は、前項の規定により解任された会計監査人だけになっていますね。そうすると、六条の二で解任された者については賠償請求権がない、こう解釈できるのですか。
○稲葉説明員 先ほど局長からも申し上げましたように、六条の二に該当する場合は解任の正当な事由がある場合だというふうに考えられますので、こういう事由が実際に存する限りにおいては損害賠償請求権はない。ただ、そういう事由がないにもかかわらず解任したということになれば、それは全く別の問題になるということでございます。
○横山委員 それはちょっとおかしくはないですか。だから、私が最初に指摘したように、六条の二の一の二、「会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。」というのは、その会社に特定した問題ではなくて、およそ議論の生ずる問題であるということを指摘しておるわけですね。六条の二で首切られた者については一切文句の言いようがないではないか、そこへ賠償請求権を認めるのはおかしいではないかというあなたの理論だけれども、六条の二の一の二は、争いを生じやすい文句ではありませんか。そういう点については、この六条の株主総会で首切られた者は正当な理由があれば賠償請求権があって、六条の二で首を切られた者は賠償請求権がないという論理だけれども、それはいま稲葉さんが言うように、書いてなくても、民法の規定によれば賠償請求権は存在しているのでしょう。それは論理の矛盾ではないですか。
○稲葉説明員 六条の二の一項第二号におきます「会計監査人たるにふさわしくない非行」と申しますのは、先ほど局長も申し上げましたように限定的に考えられるわけでございまして、もしこれが広い解釈に基づいて会社が首を切ったということになれば、当然その解任というのは無効であるという形で裁判所で争いになるわけでございます。損害賠償の請求の形になるかあるいは地位確認の関係になるかはともかくといたしまして、そういう形で争われますので、その要件が本当に限定的に「会計監査人たるにふさわしくない非行」であるかどうかという点について争いがあって、そして裁判所で本当にこの規定のとおり「ふさわしくない非行」があったということが認定された場合には、それは損害賠償請求権がないということを申し上げているだけでございまして、もしそれが、その判断は逸脱している、この規定の本来の趣旨から離れた事由に基づいて、この条項を根拠にして解任したというのであれば当然それは裁判所で争うことができる、こういうことになろうかと思います。
○横山委員 しかし、さっき「正当な理由」とは何かと言ったら、六条の二を全部包含し、かつアルファがある、こういう御説明でしたね。だから、六条であろうと六条の二であろうと潜在的に賠償請求権は存在するという解釈を言っておられると思いますね。そうすると、わざわざ六条で賠償請求権を認めながら、六条の二では何か賠償請求権がないかのごとき説明をしながら、突っ込んでいくと、いや裁判で勝てば賠償請求権があるよということは、法文の体裁上としても、会計監査人の解任について、正当な理由がないときには会計監査人は賠償請求権があるというふうに一般論として規定するのが当然ではないのでしょうか。
○中島(一)政府委員 六条の場合の解任というのは、委任の本質から来る解任制度でありまして、その場合に、解任された受任者の利益を保護するために、あるいは解任の事由とのバランスをとるために設けられた特別な損害賠償請求権であるというふうに理解をしております。 六条の二場合の解任につきましては、解任の正当な事由ということでありますから、もし正当な事由が認められた場合にはこれは損害賠償の問題はない、しかし一、二、三号の事由がないにもかかわらず、それに藉口して、口実を設けて解任したという場合には、その正当な事由があるかないかということが争いの中心になるわけでありまして、損害賠償請求権の有無は、その正当な事由があるかないかの判断によって決まってくるというふうに考えます。 正当な事由というのはどういう場合であるかということにつきましては、正当な事由というものがいわゆる一般条項というふうに言われておりますように、各個別的な具体的な場合場合を掲げることができないあるいは不適当であるために、「正当な理由」というような一般的な抽象的な表現をとっておるわけでございますので、あらかじめこの場合この場合というふうに具体的に申し上げることは困難でありますけれども、委任につきまして、あるいは取締役の解任につきまして、すでにいろいろ裁判例の集積のようなものもございますので、そういうものによって正当な理由の有無というものを判断することになろうと考えます。
○横山委員 どうも釈然としませんな。この六条と六条の二の賠償請求権をめぐる解釈に将来争いが生ずることを予想し、その争いについて賠償請求権についての政府部内の審議が不十分であるということを私は指摘せざるを得ないと思います。 第七条の会計監査人の権限、ここで会計監査人はいつでも会社の帳簿、書類の閲覧、謄写、会計報告あるいは財産の調査、子会社に対する報告等が定められております。これらの会計監査人の権限について拒否をし、あるいは不服従し、あるいはサボタージュし、あるいは間違った報告をするということが往々にして考えられることなんでありますが、それらについては改正法はどういう規定を設けていますか。
○中島(一)政府委員 特に七条関係の規定ということではございませんけれども、取締役あるいは支配人その他の使用人に対しましては、それぞれこの七条の規定に基づいて会計監査人としては報告を求めることができるわけでありますが、その反面として、報告を求められた側には誠実にその報告に応ずべき義務があるというふうに考えております。(横山委員「どこに書いてある」と呼ぶ)七条は報告を求めるという立場から規定をいたしておりますけれども、その報告を求めることができるということは、当然にその相手方に対して報告の義務と申しましょうか、責務を課しておるというふうに理解をするわけでございます。
○横山委員 それは法律屋としてはおかしな言い方ですね。私はあなた方に質問をする権利がある。国会法によってあなた方は答弁をしなければならない義務がある。しかし、商法は会計監査人の権限はあるけれども、会社がそれに対して応じなければならない義務を課していないですよ。そうじゃないですか。そして私が指摘するように、往々にして報告をしない、虚偽の報告をする、あるいはまた報告をサボタージュする、そういうことは容易に想像されることですね。要するにこの商法は、権限はあるけれども義務を課していない。そういうことをしなかった、権限の行使について応じなかった、抵抗した、あるいは虚偽の報告をした者に対する罰則は何にもない、こういうことですね。
○中島(一)政府委員 義務はあるというふうに私どもは考えます。ただ、義務にもいろいろございまして、義務違背に対して罰則を設ける場合もありましょうし、あるいは直接にその義務の履行を強制するというような方法のくっついた義務もあろうかと思います。ただ、この場合にはそういう強制力、直接的な強制力あるいは間接的な強制力というものは伴っておらないわけでありますけれども、取締役あるいは支配人といたしましては、その義務違背があるということになれば取締役あるいは支配人としての責任を問われるということになろうと思います。
○横山委員 どうして責任が問われるのでしょうか。それは道義的責任でしょうか。法律的責任でありましょうか。別に書いていないと私は思うのであります。私は、会計監査人の権限行使の非協力について罰則を設けよとまでは必ずしも言いがたい点があると思うのです。しかし、権限をうたいながらそれに対する何らの保障もない、権限を行使するための担保がないという点はいかがなものか。少なくとも会社はこの会計監査人の監査に対して協力をしなければならぬというような訓示規定でもあってしかるべきではないか。また、会計監査人はこの権限行使について抵抗を受けた場合にどうあるべきかという点についても何らの規定もないわけです。しかし事実上、この権限行使に対する私の言うような非協力について、一体会計監査人はどうあるのが普通でしょうか。意見差し控えをやったりあるいは大蔵省に報告をしたり、どうあるのがこの商法の示すところでありましょうか。
○稲葉説明員 会計監査人といたしましては監査報告書を提出するわけでございまして、その中には監査の方法の概要というのを書かなければなりませんし、また、不十分な監査しかできなかったという場合には、その不十分な監査しかできなかったということと、そのできなかった理由というのを書くことになっております。ですから、それを書くということによって、間接的にと申しますか、取締役あるいは使用人の責任を追及するということはできると思われますし、また、その使用人につきましてそういう違法事実があったといたしますれば、取締役に対しましてそういう職員について懲戒なり何なりの処分をするように要求し、取締役がそれを入れなかったというような場合には、またその取締役についてそういう適当な措置をとらなかったということを監査報告書で指摘するということも可能であろうというふうに考えるわけでございます。 ちなみに、この七条の関係につきましては、会社の財産の調査というのが二項で書いてございまして、この二項の調査権につきましては、この調査を妨げた場合については過料の制裁を課するということになっております。これは三十条の第四号でございます。
○横山委員 少なくとも私はそういうことが権限行使を妨げた——権限と書いてあるのですからね。会計監査人の調査方法でなくて権限と書いてある。権限があれば義務がある。それは罰則ばかりでなくて、会社及びその従業員その他については、その権限を尊重して調査に協力する義務があるということの訓示規定は少なくともうたっておかなければいけないということを指摘をしなければなりません。 次は十条であります。会計監査人が重要な事項について監査報告書に虚偽の記載をしたことによって第三者に損害を生じさせたときは、会計監査人は連帯して損害賠償の責めに任ずる、こうあります。ここで言うところの「第三者」というのはだれでありましょうか。ここで言うところの「連帯して」というのは、会計監査人が一人の場合もあるわけですね。「連帯して」というのは、一人の場合にはなぜ連帯があり得るのか。つまり会計監査人の職員、従業員も指すと思われるのであるか。それから「損害賠償の責めに任ずる。」とありますが、会計監査人は監査法人でも個人の会計士でも、この損害賠償の体制が、一体いま背景的にも税制的にもあるのかないのか。ただ賠償請求の責めに応ずるだけであって、先ほどの会社に対する賠償請求と同じように、これも十分な討議がしてあるのかどうか、その点はどうですか。
○稲葉説明員 この「第三者」と申しますのは、会社と会計監査人以外の第三者という意味でございまして、監査報告書を見て、その財務諸表あるいは計算書類が適正に会社の内容を表示しているというふうに信じて取引をした者あるいは株主あるいは投資家、そういう者が含まれるわけでございます。 その場合に「連帯して」という点でございますが、これはいずれも商法、民法が書いております書き方でございまして、複数の場合と単数の場合と両方を想定して書いておりまして、単数の場合には、先生御指摘のとおりこれは空振りになるというつもりで書いているわけでございまして、決して使用人というようなものを念頭に置いて規定しているわけではございません。ともに会計監査人が複数いる場合に、その複数とも虚偽の記載をして第三者に対して損害を与えたという場合に、その二人は連帯して責任を負う、こういう趣旨でございます。(横山委員「賠償請求の中身」と呼ぶ) 失礼いたしました。この賠償請求につきましては、証取法等にもこういう規定があるわけでございますけれども、一般に取締役にいたしましても監査役にいたしましても、こういう第三者に対する関係の責任というのは規定されているわけでございます。現実にはいままで会計監査人についてこういう請求が起こったということは聞いておりませんが、もしこういう請求が起これば民事訴訟として当然対応しなければならないわけでございまして、各公認会計士の先生方あるいは監査法人の中でどのくらいこれを意識して処理をしておられるかはわかりませんけれども、誠実に監査をしておられる限りにおいてはこういう問題は起こらないということでございますので、誠実に監査の仕事をやっておられる方は、こういう規定があろうとなかろうと余り意に介しておられないというのが事実だろうと思われます。
○横山委員 八条について伺いますが、「監査役に対する会計監査人の報告」で、会計監査人が取締役の不正の行為または法令または定款に違反する重大なる事実があることを発見したときは、その会計監査人は、これを監査役に報告をしなければならないということなのであります。これが果たして実効が担保されるであろうかどうか。会計監査人が報告をしなければならないものを報告しなかったということになりますと、職務上の義務違反で六条の二に該当してくるわけですね。会計監査人が調べておるうちに取締役が悪いことをやったよということに気がついた。気がついたら監査役にどうしても報告をしなければ六条の二の義務違反になるのだということを科するということ、これは現行法でも同じなのでありますが、一体そこまで特定をして義務違反の中に入れなければならぬことであろうかどうか。これは六条の二の直接職務上の義務になっていくわけですからね。そう解釈していいのでしょうね。八条で報告しなかった者は六条の二の一の義務違反になる、あるいは職務を怠ったということになる、こういうふうに解釈してよろしいのでしょうね。
○中島(一)政府委員 そのとおりでございます。
○横山委員 八条は現行どおりではありますけれども、しかし、六条の二を新設したことによって会計監査人がきわめて重大な首をかける、取締役が悪いことをやったということについて監査役に報告しなかったために六条の二で首を切られるおそれありということ、そこまでやることが一体適当であろうかどうかという感じが多少いたさないでもありませんが、次へ進みたいと思います。 ちょっと角度を変えまして、時間が少し足りなくなってきたわけでありますが、せっかく各省から来ておみえになりますので、お伺いをいたします。 まず、総理府に伺いますが、私は、商法、民法の本委員会の審議で、しばしば政府関係の民法公益法人のありようについて自分の意見を言ってまいりました。先年の討議では総理府から、地方自治体を含めますと万を超える民法の公益法人があるけれども、それについては数年の努力の結果会計基準ができて、それを実施するように指導をしておる、試験期間でもあろうからしばらくその結果を見てくれ、こういうことでありました。今日、公益法人のありようというものがマスコミやいろいろな角度で議論がされておるのであるから、この際ひとつ会計基準を法定化すること、それから少なくとも政府が直接監督するといっても、実際問題としては各省それぞれ天下りしておって、OBがそこへ入って、そして適当に後輩に対して便宜を計らうように要望をしておる、そういう甘い状況にあるから、公認会計士の監査それから会計基準の法定化、その二つをもって民法公益法人の適切な運営を図るべきであるという主張を私は続けてまいったわけでありますが、総理府から現状と意見を伺いたいと思います。
○山崎説明員 民法法人における会計基準の適用状況について申し上げたいと思います。 総理府で庶務を預かっております公益法人監督事務連絡協議会というものがございます。その連絡協議会におきまして会計基準の適用状況を調査しようということの申し合わせをいたしまして、昭和五十四年九月に各府省庁が共通の調査票をもって調査を実施したことがございます。その結果によりますと、会計基準の適用率は五十四年三月三十一日現在で六七%でございます。なお、この時点における総理府本府所管法人の適用率は八三%でございましたが、現時点におきまする適用率は九二%というふうになっております。現在各省庁所管の法人の会計基準の適用率は大体八〇%くらいに達するというふうに推測されるわけでございますけれども、今月中にもさきに申し上げました連絡協議会を開きまして、その場におきまして各府省庁会計基準の適用状況を改めて調査を行うというふうに考えております。
○横山委員 では、政府の監督下にあります民法公益法人については大体会計基準が適用できた、馴致した、定着をした、そう考えてよろしいかと思うのであります。 そこで、法務省と総理府のどちらがお答えになるかわかりませんが、総理府が各省の連絡機構として、お茶とコーヒーを出して、どうだろう、これを一緒にやろうじゃないか、一緒に勉強しようじゃないかというお取り持ちをして部外の専門家を集めて会計基準をつくった、さあお互いにひとつやりましょう、強制力はないけれども、社会の批判にこたえてやりましょうというふうにやって今日に来た。私は当初から、この会計基準は各省が監督する公益法人について共通の基盤、そして国民が見やすいように、共通に監督ができるようにするためには法律化をしろ、そして公認会計士の監査を義務化させろということを主張いたしておるわけであります。ところが、考えてみますと、総理府はお茶とコーヒーを出すだけだ、法務省は民法のことでもあるが、そこまで自分のところの手足はない、こういうことで結局は私のたび重なる主張に対して余り熱意を持って検討していないことはきわめて遺憾千万なことだと思います。一体、私の主張に対して、正確に受けとめて正確に議論をしてもらうのは総理府でありますか、法務省でありますか。どちらが責任を持って私の意見に四つに組んでくれるのでありますか。
○中島(一)政府委員 公益法人の会計が健全に行われますように一定規模以上のものに対して会計士による監査を導入することを検討すべきだという問題につきましては、すでに前回の五十四年の末に成立いたしました民法一部改正法の際の附帯決議にもあったことでありまして、私どもは重要な検討課題であるというふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほどからもお話がございますように、総理府においてその関係の事務連絡協議会がございまして、各省庁の意見がいろいろと出ておるわけでありまして、私どもとしては、立法の問題ということになれば法務省がそれを受けとめてやることになろうかと思いますけれども、各省庁の意見と離れてやるというわけにもまいりませんので、総理府における協議会の検討結果なども見ながらさらに検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○横山委員 これは大臣に聞いてもらいたいと思いますけれども、各省庁は恐らく余りいい顔をしないと思うのです。会計基準については民意であり、どうだろう、これはひとつここまではやろうじゃないかとお茶とコーヒーで総理府が世話したからやっておる。それでも数年かかったわけですね。きょうは材料を持ってまいりませんでしたけれども、政府関係の公益法人は中央地方にわたってたしか万を超えると思います。認可をし過ぎるきらいがある。専従者もない。予算もない。それでも日の丸協会だとかなんとか、めちゃくちゃに認可をしておるわけですね。 だから、公益法人基本法とでも申しましょうか、そういうものをつくって認可基準を——各省ばらばらである。もちろん総理府がある程度整理をしておるけれども、各省省令によって認可基準があるわけです。そして、いままでは会計も適当にやっておった。それではいかぬから会計基準をつくったけれども、万に上る公益法人の運営、脱税あるいはまた目的外事業、そういうものがいっぱいありまして、かつてマスコミが特集を組んだこともあるわけです、私も持っておるわけですけれども。そういうことは行政改革の一環としても取り上げるべき問題ではなかろうか。法務省がそれは民法だから責任はあるとはいうものの、権限その他については、いま民事局長のおっしゃるように各省にまたがる問題だから、民事局長がやろうと言ったって、あるいは総理府の担当者がやろうと言ったって、それはとてもうんと言うはずがないと思うのです。 私は、行政改革についてはいろいろ意見を持っておるわけですが、少なくとも民法の公益法人の現状については行政改革の一つの大きなポイントだ、こう信じます。そのポイントを一遍見直す、あるいは一定の整理統合をする、あるいは全般的国民の監視の目に触れるという意味においては——公益法人といってもいろいろあります。たとえば国鉄のようなものからその辺の何やら協会とか、いろいろなものがありますが、少なくとも民法に基づく公益法人に限定をしてみてもいいのですけれども、民法は法務省の所管でありますから、一遍閣議の際に、これをひとつ公益法人基本法のようなもので、主たる目的は会計基準を法制化する。そして政府が監督するといったって、自分の子飼いの天下りの、そして適当にやっておる運営を統一するという意味で公認会計士の監査を受ける、そういうようなことについて、大臣は各省の間でお骨折りをされるお気持ちはないかどうか、ひとついかがでございますか。
○奥野国務大臣 いま総理府から御説明があって私も知ったわけでございますけれども、協議会をつくって会計基準を定め、それを公益法人に慫慂してきている、だんだん成果を上げてきているように私は伺ったわけでございます。また、お話しになりましたように公益法人——財団法人、社団法人を含めておっしゃっておるのだろうと思いますけれども、ピンからキリまであるように思います。会社につきまして監査法人制度を導入しますにつきましても、漸次その範囲を広げてきたわけでございますけれども、それについてもまたいろいろ異論のある向きも出ておるわけでございます。要は公益法人といいましても種々雑多でございますので、どういうような区分の仕方をするかということから検討を要するのじゃないかな、こんな感じを持って伺っておったわけでございます。 しかし、大事な課題でもございますので、いま横山さんから話を伺いまして、関心を持って今後どうしたらいいのかということを私なりに考えさせていただきたいなと思います。せっかく総理府で御努力いただいておりますので、その総理府の御努力がさらに成果を上げるようにお話し合いをしていくのが一番いいのじゃないかと思うのでございますけれども、なおよく研究させていただきたいと思います。
○横山委員 自治省からお見えになっておるので伺います。 地方自治体の監査ですが、監査のありようについてずいぶん自治体議会の中で議論が起こっております。そして地方自治体で部内監査、たとえば議員が監査を行う場合、どうしてもイデオロギー的あるいは政治的な監査が課題になると思う。そういう場合でも別に悪いという意味で言っているわけではありません。しかし他方において、地方自治体の支出等の財政状況についての専門家としての公正な監査は、もう少し色合いを強めた方がいいのではないか。その点では、部外から監査委員を起用するということがもう少し全国的に考えられていいのではないか。自治省としてその指導があってしかるべきではないか。その専門家といえば当然のことでありますが、公認会計士の起用というものが客観的に説得力があると思うのでありますけれども、この問題について自治省の今日までの経緯及び今後の御意見を伺いたいと思います。
○田中説明員 御承知のとおり、現在の地方公共団体の監査は、監査委員による監査が中心をなしておるわけでございますが、監査委員の選任方法といたしましては、長が、議会の同意を得まして財務管理または事業の経営管理について専門の知識経験を有する者及び議員のうちから選任するということになっておるわけでございます。実はこの規定は、自治法の制定当時は議員及び学識経験を有する者の中からということでもっと抽象的であったのでございますが、三十八年の自治法改正におきまして、選任資格の専門性を強化するという意味で、監査委員は現在の職務でございます財務に関する事務それから事業の経営管理についての専門家であるということを明らかにしたわけでございますが、現在もなおいささか包括的、抽象的であるという御批判があるわけでございます。 昨年末、監査制度の整備の一環といたしまして地方制度調査会の答申がなされたわけでございますが、その中にも、監査委員の選任資格の強化につきまして「職務の専門性を確保する見地から、知識経験を有する者のうちから選任される監査委員の選任資格について具体的に法令中に規定」すべきだという趣旨が入っております。この中に先生が例示されました公認会計士というものは大変ふさわしいものであろうかと思うわけでございまして、こういった点を含めて今後の重要な検討課題であるというように心得ておる次第でございます。
○横山委員 地方自治体の財政につきましては、時間がございませんから特に申し上げませんが、かなりいろいろな問題がマスコミをにぎわしておるようでございますので、いまお話しのような専門性——専門性といいますと結局は公認会計士ということになるのでありますが、その起用を十分図ってもらいたいと思います。 大蔵省がお見えになっておりますが、その意味では、本委員会で各同僚議員からも出ております日本税理士会と公認会計士協会の歴年にわたる意見の違い、いわゆる職域論争という問題について少し大蔵省の意見を聞きたいと思うのであります。 まず、公認会計士の今日的状況として二つばかり指摘することができると思うのでありますが、一つは、公認会計士の国際的能力であります。これはアメリカ等の公認会計士の監査法人と日本の監査法人とを比べますと、国際的能力は月とスッポンとまで極言をしても差し支えないのではないかということが言われます。しかし一方、監査法人をつくっていない個人の会計士は、会計士としての狭き門をくぐりながら監査業務をほとんどしていない。公認会計士の何%か一遍お聞かせ願いたいのでありますが、少なくとも半分ぐらいが資格を持ちながら税理士の仕事をしておる。しかも一般論からいいますと、公認会計士の報酬よりも税理士の報酬の方が高い、こういう状況にあるわけであります。 今回この商法改正によって被監査会社がふえるわけであります。しかし、先年の商法改正のときにも私が苦言を呈しましたように、公認会計士が争って被監査会社のところへ委任の要望に行く。まことに見苦しい話だと私は言ったわけであります。一方、被監査会社の方から言えば、大きなところ、信用のあるところ、報酬の安いところ、そういうところを必然的に選択する。そうして過当競争が起こる。私のところは報酬はこのくらいでいい、監査日数もまあこのくらいでやりますというふうに過当競争の結果弊害が生ずる。そしてマーケットは広がったように見えても、個人の公認会計士には一向に当たる気がない。それで税理士の仕事をしておる。言うならば日本税理士会も日本公認会計士協会も、ここで一昨日余り感心しない双方の御意見で、友誼団体だからもう少し話し合ってもらいたい、意見の違いはさることながら友好的な話ができぬものかということを腹の中で思ったわけでありますけれども、そういうふうに争っておりながら、下の方では両会に加入をしておる人がきわめて多いというような現状であります。 このような公認会計士協会、税理士会の現状について、私が例示をいたしました国際的能力、個人の公認会計士に所を得せしめる方法、その点からまず大蔵省の御意見を伺いたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、わが国の監査法人と国際的な監査法人、特に米国のビッグエイトと言われる八つの巨大な監査事務所との間には、公認会計士の事務所数あるいは人数、そういった規模におきまして格段の差があることは御指摘のとおりでございまして、これが今日国際競争力にも非常に大きく反映されておるという結果になっておるわけでございます。 数字を挙げて御参考に供してみますと、日本で一番人数が多いと言われております監査法人、これは四百二十名おります。事務所も十三カ所でございます。これに対しましてアメリカのビッグエイトで一番大きいと言われております法人は、実に九千十八人という規模の人員を擁しておりまして、事務所も二百五十六というふうな形で二十倍もしくは二十数倍の規模でございます。 わが国の企業の海外への発展に伴う監査業務の国際化に対応いたしまして、このようなわが国の監査法人の国際化ということも御指摘のとおり大変重要なことでございまして、先生が五十二年四月にも本委員会で御指摘されたとおりでございますが、私どもそういう御指摘を踏まえて業界とも話し合い、指導をいたしてまいっておるわけでございますが、現在、幸いなことにわが国の監査法人も次第にそういう意味では力をつけてまいっておりまして、国際的な会計事務所と対等な形で業務提携をかなり進めております。それからまた、海外事務所の新設というふうなことも相当行っておるのでございまして、そういう意味では徐々に成長しておるというふうに言って差し支えないかと思います。私どもといたしましても、こういう方向はまことに望ましいことでございまして、今後とも一層この国際化の方向を積極的に支援してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それからもう一点の個人の事務所ということなんでございますが、ここのところは非常にむずかしいところがあるわけでございまして、公認会計士に独立性の強化を要望するという点になりますと、なるべく公認会計士が大きな被監査企業に対しまして組織的に客観的に監査ができるようなシステムであることが望ましい。そうなると、やはり規模が大きくなるということがそれに対応し得る非常に有力な手段になる、こういう意味で法人化ということはある意味で望ましいわけでございまして、私どももできればそういう方向にということで、昨年も監査法人の認可基準というものを実情に合わすような方向に持っていっております。 しかしながら、先ほどちょっと御質問もありましたが、公認会計士は五十六年三月末現在で六千二百三十三名というものが公認会計士協会に登録いたしておるわけでございますが、このうち監査法人に属しております公認会計士は約二千人、千九百六十六名でございます。ちょっと時点が違うのですが、五十五年九月末現在で見ますと、この六千余りの公認会計士のうちの四千五百人が税理士会にも登録しておるという意味では、二またでその仕事をしておられる方もかなり多いということでございます。 そういう意味で、組織的監査という要請から会計監査人がグループ化していただきたいという要請もある一方、やはりこういう個人の方々に適した仕事といいますか、監査業務というものもわれわれクリエートしていかなければいかぬ義務もあるのじゃないかと考えておるわけでありまして、そういうようなものといたしましては、現在上場会社以外の会社の監査、中小法人といいますか、そういうものの任意監査を含めた監査、それから学校法人であるとか労働組合等の公益法人の監査、こういったものも現在強制されておりまして、こういうふうな道も開かれてまいっておるわけでございます。そのほかいろいろなマネジメントサービスと申しますかそういったもの、それから財務書類の調製、それから財務に関する調査立案、財務に関する相談、こういった個人業種としてふさわしいいろいろな業務というものもあるわけでございますが、今後ともそういう道が、先ほど先生御指摘のような公益法人あるいは地方自治体といったものへも監査の道が開ける方向というものを考えていく必要があるかと考えております。
○横山委員 先年私が要望いたしました問題で、外国の例示されたアメリカの監査法人の日本上陸についてはしばらく待った、日本の監査法人が国際的能力を持つ前に外国監査法人が上陸したら途端に席巻されてしまうということを言い、それでその趣旨は了承してもらい、どうしてもやむを得なければ協定を結んで対等、平等に契約を結ぶというふうにしてもらっておるわけでありますが、いまもって外国の監査法人の日本上陸についてはその方針を堅持をしておられるかどうか。 それから第二番目としては、先ほど例示をいたしましたように、今度新しく被監査会社になるものとこの公認会計士、監査法人との委任契約のあり方について、どういう指導をされようとしておるのか。 第三点は、いまお話があったように、学校法人や労働組合なんかは、戦後労働組合法ができた瞬間から、労働組合法に外部の公認会計士の監査を受けろ、こういうふうに労働組合も一番先戦後義務づけられておるわけですね。それと比べますと、先ほどから私が言っております民法の公益法人だとかあるいはまた宗教法人だとか医療法人だとか、そういうものは当然のことのように国家の何らかの恩恵あるいは補助、協力を受けておるわけでありますから、そういうところは当然のことのように公認会計士の監査を義務づけられてしかるべきではないかという意味で先ほど大臣に要望いたしたところでありますが、大蔵省としても、この民法公益法人の公認会計士の監査等を含めて御協力を願いたいと思いますが、いかがですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 まず第一点の外国事務所の日本における法人化の要望でございますが、そのビッグエイトと言われる八つの巨大な監査法人のうちの二つから、かねてからそういう要望がございましたけれども、現在は日本公認会計士協会への登録という形で共同事務所——単に個人の公認会計士の集まりではなく、共同事務所というふうな制度が協会の自主的な運営であるわけでございます。そういうものに一応名前を変更され、協会もそれを受け入れられたという形でおさまっておるわけでございます。 それから第二点の、今回商法の改正が仮に実現いたしたとしますならばふえるであろう被監査法人について公認会計士の方々が過当な競争をしないように、かつて銀行監査のときのようなことがないようにというふうな御指摘かと思うわけでございますが、これについては、公認会計士協会におかれましても独立性保持の見地からいろいろな規則をつくっておられるわけでございます。紀律規則第七条というのがあるわけでございますが、この中で「会員は直接であると間接であるとを問わず業務の委嘱を懇請してはならない。不当に依頼または勧誘してはならない」というふうな定めがあるわけでございまして、これによって公認会計士としての品位を失墜しないように、あるいは独立性を阻害しないように、あるいは会員相互の信頼を傷つけないようにというふうなことがうたわれておるわけでございます。当局といたしましても、このような協会の自主的なお気持ちを尊重しつつも、しかし先生から御指摘のありましたような点もよく配慮してまいりたい、このように考えておりまして、この改正が実現しました暁には、いやしくもそういうふうなせっかくの自主規制の趣旨がないがしろにされて業界の信用失墜につながることのないような方向で、協会とも十分話し合ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから第三点のお尋ねの、公認会計士の特に個人あるいは小事務所の業域といたしまして、そういう公益法人への関与というふうな点でございますが、これは現在私ども協会の方々とも協力いたしまして、いろいろな省にも陳情に上がったりそういうふうなこともいたしておるわけでございます。現在、国の監督下にあるようなそういう公益法人の中で、何らかの形で公認会計士が監査をしたりあるいは会計業務に関与したりということで関与いたしておるものは三二%ほどございますし、さらに、公認会計士が役員というふうなものになっておるものも五%ぐらいあるという意味では、相当大きなものにはそういうものが関与していっておるのではないかというふうに数字的には推定されるわけでございます。
○横山委員 日本税理士会が自由民主党との間に、会計監査人の独立性を確保するため、会計監査人の選任または解任についてチェックすることができるようにする制度その他会計監査に関する基本問題を自民党内にて検討するという点について合意をされたというふうに承知をいたしております。また日税連は、この趣旨を野党であります私どもにも、商法の審査を含めて十分に検討されるよう要望がございました。大蔵省もそれは十分承知をしておることだと私は思います。聞いておると思います。この件についてどう判断をされていますか。
○宮本説明員 税理士会の方にそういう御要望があるというふうな点は明確ではございませんが、間接的に承っておるわけでございますが、しかし、先ほど基本問題を検討するための企業会計監査制度調査会というふうなものを設ける必要があるかどうかというふうな点につきましては、現在大蔵大臣の諮問機関で公認会計士審査会というふうなものがございまして、そこで公認会計士の諸制度あるいはいま行っております厳正な国家試験であります公認会計士試験、それからまた公認会計士に対する懲罰、こういったことを現在行っておるわけでございまして、特にこういう新たなものをつくる必要はないというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 これはこの文書どおりにいけば、自民党内で検討することを合意したということなんで、政府部内にその基本問題の調査会を置けと言っているわけではないのですよ。そうでしょう。あなたも先ほどから聞いておられたと思うのですが、商法上の会計監査人の選任及び解任については、まだまだ解釈によってはいろいろ問題が生ずるということを私が指摘をいたしたところであります。しかのみならず、運用面では問題はないと思うけれども、しかし実際問題としては、その会社から金をもらって、会社の不正なりいろいろなまずいところを探すという古くして新しい基本的な問題については、現実的にはそうであってもそうまずいことはありませんよと言う方がありますけれども、理論的にはどうしてもやはり問題が残ることだと思うのです。さりとていまいい知恵があるわけではない。 あるわけではないけれども、この問題は、かつて私が国税審判法案を国会に提出した際にも、たとえば税務署長が百万だと更正決定した場合に、納税者がそんなことはない、五十万だと言って争う、それを百万だと決定した税務署長が、おれのやったことは正しいか正しくないかを審査するなんてばかなことがどこにあるか、第三者機関を持つべきだ、同じ穴のムジナじゃないか、国税局長だって同じことだ、こう言って第三者機関であります不服審判所ができたわけですね、完璧ではありませんけれども。そういうような経験を踏まえて見ますと、いまの理論的矛盾は、白紙に地図を描くことはできないけれども、どうしてもやはり問題が残ると私は思いますよ。 ですから、公認会計士制度の審議会でも、この日税連が言っておること、これは本来から言うならば、日税連が言うべきことではないのです。日税連が自分のところの仕事に直接関係ない公認会計士協会及び被監査会社の問題に適切な発言者であるかどうか、疑問がある。疑問があるとしても、問題の本質については言うべきことを言っておると私は思わざるを得ないのです。ですから、この種の問題は、公認会計士制度の審議会に、こういう意見が国会内で議論されたということを十分伝達してもらいたい。 それから、国税庁お待たせをいたしましたが、さきの商法改正の際に私から申し上げまして附帯決議にもなりました商法による商業帳簿、これを近代科学の発展によってコンピューター化した。マイクロフィルムにおさめた。そして倉庫がいっぱいなのにそれで整理できた。私はこの種の会社を見たことがございますが、非常に近代化しておる。ところが、税務署が行って、そんなものは商業帳簿とは認めぬ、原始記録を保存せよと言う。何のためにコンピューター化したかわからぬ。何のためにマイクロ化したかわからぬ。だから商業帳簿として当然のようにコンピューターによる書類も認めるべきではないかと言ったところ、あけすけな話、税務職員もまだそういうコンピューター、マイクロの取り扱いになれておらぬから少し時間をかしてくれ、そしてまた、マイクロ化もまだまだ一部であるからもう少し発展をするまで待ってくれ、こういうことであったわけであります。それはもうすでに五、六年前の話であります。いまここまで発展いたしましたコンピューター、マイクロフィルムについて国税庁はどういう対応をしておるのですか。やはりそういうものは商業帳簿として認めぬ、原始記録をきちんと保存していかなければならぬと言うつもりでございますか。
○四元説明員 お答え申し上げます。 国会等でも御指摘いただいておりますし、また横山先生にも何回か御指摘いただいていることはよく承知をいたしております。私どもの基本的な考え方は、先生のいまのお言葉にもございましたように、そういう技術の進歩の成果というものを踏まえまして、またそういう企業のニーズがあれば、これを積極的に私どもの分野でも取り入れていくべきだという基本的な考え方は十分持っているところでございます。しかしながら、帳簿書類と申しますのは、青色申告者を中心といたしまして現在の適正申告を担保しております唯一と極論してもいいぐらいの基礎的なものでございまして、これを税務調査によって検証、確認をさせていただいているわけでございますが、その際、日々の税務調査にこの帳簿書類のありよういかんが重大な影響を持っておるわけでございます。 そこで、どういった形で諸条件を整備しながらマイクロ化をわれわれも取り入れていくかということでずっと研究会等を続けてきているわけでございます。現在、制度上の帳簿書類で言いますと、先生御承知のとおり、法人税法の施行規則の五十九条でございますが、一号帳簿、これは仕訳帳とか総勘定元帳とかその他資産、負債、資本に影響を及ぼす一切の取引に関する帳簿、二号帳簿がたな卸表とか貸借対照表とか損益計算書及び決算に関する書類、三号が日々の取引に関します契約書とか領収書とか見積書とか、これに準ずるようなものでございます。私どもの非公式な考え方でございますが、このうち一号関係の仕訳帳とか総勘定元帳、二号関係のたな卸表とかBS、PLあるいは決算関係の書類、こういうふうなものはマイクロによる保存というものが相当可能なんではなかろうか、こういうのを民間の主要な団体にも非公式に表明しているわけでございます。 あと残りますのがいわゆる三号書類で、領収書とかあるいは契約書とか注文書とか、こういった原始証憑に属するものでございます。これももっと厳密に申し上げますと、このうち取引の相手方から受け取ったものとそれから自分が交付したものとがあるわけでございますが、自分の交付したものは当然控えしか残らないわけで、これのマイクロ化はもう現実にも相当行われておりますし、私どももそれを活用させていただいているところでございます。あとは自分の方に保存されている原始データにつきまして、これまで拡大をしないとマイクロ化の本当のメリットが出ないという点で、なお私どもと業界等との意見の一致が図られていないという状況で推移してきております。 なお、マイクロ化につきましては、本当に日進月歩で技術も進んでおりますし、また、いまJIS規格の見直し等による標準化作業も意欲的に進んでおるようでございます。 私どもの税務の立場からいきますと何が問題かといいますと、いわゆるマイクロ化によりまして税務調査をさせていただきました場合に、検索システムが十分整備されていること、それから見読可能な状態に十分に御協力をいただけるということ、こういったようなことが一番基本的に重要でございます。それからさらに、税務部内のこれまでの考え方からいたしますと、原始データについてはやはり税務としては非常に重要なもので、それがある程度加工されていくことについての抵抗感があるわけでございます。しかし、マイクロ化をするときの手順なりあるいは検索システムの整備なりということで、そういう不便さはかなり補われていくのであろうというふうな見方をいたしております。今後とも先生御指摘の方向で取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
○横山委員 おっしゃるように、コンピューター及びマイクロ化については日進月歩でございますから、一定の開発の成果が定着したころにという気持ちがあるということを認めないわけではないけれども、そんなことを言っておったらいつのことかわからない。それから、税務職員が勉強してそれに対応できるような体制をとってからなどということも、無責任きわまる話です。 問題は、いまあなたが指摘されたようにマイクロ化する条件です。インチキをやるとかなんとかというのならば、原始記録だってインチキをやるのだから、それでは国税庁としてマイクロ化するについて少なくともこういう条件は満たしておいてほしい、そういう条件を提示すべきではないか。また、コンピューターなりマイクロフィルムを使っておるところは、すでにそういう条件を、私どもはここまでは条件に応じてもいいという案をもう数年前に出しておるわけですね。それにもかかわらず、あなたの方が、いまもお話によれば非公式である、自分の意見だ、こうおっしゃっておる。そんなことでは聞いたって何にもならぬわけです。 ですから、この際国税庁として、コンピューター、マイクロフィルム、COMというものを使用するに当たって商業帳簿として認められる条件はこれこれであるという点について具体的に提示をし、もちろんその提示に当たっては、専門家なりあるいは実際に使用しておる企業等の意見を聞いて十分詰められるべきであるけれども、もういいかげんにこの問題についての決着をつけてもらわなければいかぬと思いますよ。のみならず、きのうの本会議で、脱税はいままで三年だったものが五年、五年だったものが七年になりましたね。そういたしますと、商業帳簿をしまっておかなければならぬ。それはコンピューター化してないところでは大変なものですよ。領収書一枚ずつ、ひどいところになると七年持っていなければならぬ。普通でも五年は持っていなければいかぬ。どこへそれを置いておくかということになりますから、この際、脱税捕捉期間が二年延長された機会に、この種の問題については大胆な発想をして基準を示すべきだと思いますが、重ねて御答弁をお願いいたします。
○四元説明員 先生御指摘の点は、まことにそのとおりであろうと私どもも思っております。税務行政を預かる立場から、かなり保守的な考え方にならざるを得ないという点についての、弁解になるかもしれませんが、御理解をいただきたいわけでございます。しかし、いまおっしゃいますように、国会で御審議を賜っております除斥期間の延長等に伴いまして当然帳簿書類の保存年限が長くなる。それに伴いまして納税者の負担の増大ということが現状のままでは比例的にふえるわけでございますので、これをいい機会といたしまして一層積極的に導入をする方向で、いろいろな条件はつくかと思いますけれども、検討させていただきたいと思います。
○横山委員 若干残りましたけれども、時間でございますから、次に譲ります。
○高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 きょうはディスクロージャーということを中心として、いろいろ質問をしたいというふうに考えるのです。 私は、一番疑問に思いますのは、これは素朴な疑問ですが、ディスクロージャーという言葉、クロージャーというのをディスするという形で、二つのネガティブ、ダブルネガティブのような形で言葉ができているわけですね。なぜこれはたとえばオープンアカウントとかオープンシステムとかという形で言わないのでしょうか。どうもそこら辺が私の素朴な疑問なんですよね。これはどうぞお答え願いたいと思います。
○元木説明員 言語学的にはよくわかりませんけれども、恐らく想像いたしますのに、会社の内部事情、つまりクローズを逆に明らかにしていくという意味で、ディスクローズと言うのだろうと思います。
○宮本説明員 私、二年前にこの職につきましたときに、実はディスクロージャーという言葉をちょっと英英辞典で引いてみたのでございますが、日本の研究社の英和辞典の訳では、暴露だとか摘発というような意味が確かにあるのでございますが、英英辞典の場合にはそういう意味はありませんで、むしろ観察であるとかあるいは理解を深めるために要求される開示行為というふうな意味が主たる意味でございまして、また二番目には、たとえばノーハウであるとか発明とか、そういったものの説明書をディスクロージャーと言う、こんなふうな意味があるようでございます。
○稲葉委員 原則がクローズであって、それをディスするのだということになれば、原則と例外がひっくり返るわけですね。原則がオープンではなくて、原則がクローズなんだという考え方でしょう。ですから、これは法務省がこの試案なり何なりをつくったときに、どういう立場でつくったわけですか。アメリカ型とヨーロッパ型とディスクロージャーの型が違いますね。これが一つあるわけでしょう。それから、企業秘密とディスクロージャーとの関連でどうとるかという問題があるわけですね。この二つについて詳細を説明願いたいと思います。——そんな詳細でなくてもいいですよ。
○元木説明員 私どもが開示制度の問題を考えますにつきまして、これは別に言葉としてのディスクロージャーということを念頭に置いたわけではございませんで、つまり日本的なものとしていかにあるべきかということだろうと思います。 その前に、いま御指摘のヨーロッパ型それからアメリカ型というものがあるということでございますけれども、つまり、ヨーロッパ型の場合には、開示の制度はもっぱら会社法でやっている。つまり、証券取引法というような一般の投資家保護のための法律はないということでございまして、会社法がすべてについてその役割りを担うということだろうと思います。 それに対しましてアメリカ型の場合は、証券取引法による開示とそれから会社法による開示と、いわば両方からの開示の要求があるということになるわけでございます。ただ、これは御承知のように、アメリカの場合は証券取引法は連邦法でございまして、それに対して会社法は州法である。つまり、言ってみれば州の立法権限に属します会社の問題について連邦では立法できませんので、それにかわるものとしてインターステーツ・コマース条項に基づきまして、そして連邦がそういう証券取引について立法していくということになっているのかと存じます。 そういたしますと、日本には商法もあり証券取引法もあるということでございますけれども、アメリカとは明らかに制度が違うということでございます。また、法律のたてまえからいいましても、ヨーロッパの制度とも違うということになるわけでございます。そこで、日本ではどのような開示をするべきかということになろうかと思います。 今回の法律案の作成の際の法制審議会商法部会の議論では、まず、会社はすべての情報は開示すべきであるという前提に立ったわけでございますけれども、しかし、企業秘密に属することが開示されますと、そのことによって会社の営業が非常に困難になる、その結果債権者あるいは株主を害することになるという問題がございます。そこで、そういう債権者や株主を害することになるような開示は行わなくてよろしいということと、もう一つはコスト・ベネフィットの問題でございまして、つまり、開示をするについてどの程度の費用がかかるか、つまり開示の効果とそれに関する費用との相関関係、こういうことを考えて、余りに多額の開示のための費用が要するものについては、しかもその効果の薄いものについては開示をしなくてもよろしいというたてまえに立つわけでございます。
○稲葉委員 アメリカの場合とヨーロッパの場合といろいろ違いますけれども、特にヨーロッパの場合は、会社法で決めてあるだけではなくて、利益の配当だけでなくて、その他詳細のことに関連して詳しい規定がヨーロッパでは置かれてあるのではないのですか。そういう点がアメリカの場合と違うということは一つあるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この点はどうなんですか。
○元木説明員 御指摘のとおりでございます。
○稲葉委員 それは御指摘のとおりで、あなたの書いた本に書いてあるのだもの、そのとおりだよ。 そこで、一つの問題は、あなたの書いたものを見ると、これはちょっとあれしなかったのですが、「ジュリスト」に書いてあるものです。「株式会社の計算・公開に関する改正試案の概要」、元木さん、稲葉さん、濱崎さん、三人の参事官だな、こういう人たちが書いたものですが、何か手分けして書いたようですね。一と七が元木さんか。そこで、これは実はきょう部屋で発見したもので、あれしたのですが、これを見ると、「本試案が今回の会社法改正に関する最後の試案」だと書いてありますね。どうしてこれが最後の試案なんでしょうか。
○元木説明員 すでに申し上げましたように、今回の商法改正におきましては、まず最初に、商法の全面改正、会社法の全面改正ということで商法部会の審議を進めてきたわけでございますけれども、その後、企業の自主的監査機能の強化ということを中心にして早急に立法を図るということに方針が転換されたわけでございます。それで、全面改正という目的のもとに、最初にまず株式制度を取り上げまして、それで、これについて「株式制度に関する改正試案」というものを出し、引き続いて株式会社の機関に関する審議を行いまして、その審議結果を「株式会社の機関に関する改正試案」ということでまとめたわけでございます。 ところが、先ほど申しましたように、自主的監査機能ということの強化を中心にして早急に立法を行うということが、会社の計算・公開の審議の途中に決定されましたので、そしてその決定の結果、従来審議してきた株式と機関と、それとその当時審議中であった計算・公開を一緒にして早急に立法を行うということになったわけでございます。したがいまして、今回の立法におきましては計算・公開の問題が最後の議題ということになりましたので、それに関する試案も最後ということになったわけでございます。
○稲葉委員 最後といっても、これはあなた方の考えているところでは重要な点が、いろいろな点が削除されたりなんかしてきておりますね。たとえば商業登記所に備えつけるとかなんとかということが削除されたりなんかしたでしょう。だから、今後情勢の変化によってはいろいろ問題点がまた出てくるので、あなた方としては最後の試案だというのは、これは自由な発言ですね。私どもはこれが最後かどうかということについては、これからいろいろ議論をしていきたい、こう思うのです。 そこで、また私のよくわからないところは、これはこの次のときに詳細にお聞きをしたい、こういうふうに思っておるのですが、あなたの書いたものを読むと、こういうことが書いてあるんだな。「企業会計原則や会計慣行は、まだ、法律が全面的に依拠しうる程確立していない」ということが書いてありますね。確かに企業会計原則というものについては、学者が各人各様なことを言っていますね。それはしかし、企業会計審議会があることはあるのでしょう。あるし、それから法務省の参事官の中でも意見が分かれているというのでしょう。この企業会計原則に対する考え方が違うということを言われているのではないでしょうか。だから、どうして企業会計原則というものが大蔵省にありながら——これは先に大蔵省に聞いた方がいいかな、法務省では法律が依拠し得るほどこれはあれしてないと言っているんだよ。こんなものはだめだと言っているんだな、結局簡単に言うと。こんなものは信用できないとまでは言ってないな、これは。言ってないけれども、「わが国における企業会計原則や会計慣行は、まだ、法律が全面的に依拠しうる程確立していない」、こう言っている。 だから、企業会計原則というのはありますね。私も、番場嘉一郎さんの本を買ってきていま読んでいるところですが、それから武田昌輔さんの「新企業会計と税法」ですか、それから同志社大学の山本先生ですか、本がありますね。そういうのを読んでいますが、率直に言うとよくわからぬですね。みんな、各人勝手なことを言っている、わけですよ。番場さんの言うことも黒沢さんの言うこともみんな違う。それからいまいろいろな勉強をしている人に聞いてみたら、中央大学の飯野さんの説が割合にオーソドックスだと言っていましたね。オーソドックスだという意味は、受験勉強にいいという意味なのかどうかはちょっとわかりませんが、そんなことを言っている。法務省の中でも、これは意見が違っているというのですね。 企業会計原則に対する考え方、これが特定引当金に影響してくるわけですね。そこらのところを一体大蔵省としてはどういうふうに考えていますか。企業会計原則というのは何年ぐらい前にできて、とにかく有数な学者がいっぱい集まって何回も論議しているのでしょう。それはだめだというのですよ、法務省の方では。そんなものは大して信用できないとは言わないけれども、それに近いことを言っているのですね。それはどういうことなんですか。——ちょっと待ってください。大蔵省を先聞いてから、法務省の方は後から聞くから。そうでないと話がおもしろくないと言うと語弊があるけれども、その方がおもしろいから。どうですか、その方は。
○宮本説明員 まず最初に、企業会計原則が最初に公にされました時期は、昭和二十四年七月九日ということでございまして、その後数次にわたり改正が行われておりますが、一番最近の改正は、四十九年八月三十日というふうなことでございます。 そこで、企業会計審議会というものでございますが、これは随時意見を公表していただいておる、大蔵大臣に答申していただいておるというものでございますけれども、この企業会計審議会の一番大きな役割りと申しますのは、企業会計の実務の中に慣習として発達したいろいろな会計の規則、法則というふうなものの中から、一般に公正妥当と認められるようなものを最大公約数的なものを整理いたしまして、企業経理の指針というふうなものとしてまとめておりますのが、この企業会計原則というふうなものでございます。それで、大蔵大臣は、このように審議会が出されました意見を受けまして、これを公正妥当なものとして取り扱うことが適当かどうかという判断を大蔵大臣としても加えた上で、これを証券行政、証券取引法上のディスクロージャーの基礎とする企業財務規則であるとか連結財務諸表規則であるとか、そういう省令のものに採用していくというふうな形をとっておるわけでございます。したがいまして、この企業会計原則といいますものは、いわゆる一般に公正妥当と認められておるものの最大公約数的なものというふうにお考えいただいて結構かと思うわけでございます。企業会計の基準と申しますのはこういうふうなものでありまして、その慣行というものは、世の経済実態が変動していくにつれてやはり変わり得るもので、永久に不変というものではございません。そういう意味で、一律に法律といったもので定めるということは技術的にも非常に困難なものであるというふうなことで、こういったシステムがとられておるというふうに理解しておるわけでございます。 そこで、企業会計審議会なるものでございますが、先ほど先生が述べられました会計学者の先生方は皆さんこの中に入っていただいております。大体の構成を申し上げますと、委員は全部で二十名、それから会長が一名ということで二十一名の委員の方がおられるわけでございますが、その中で会長は御承知の番場先生でございます。それから、二十名のうち十一名が学者で先ほど申されたような先生方も入っておられる。その十一名の学者のうち九名が著名な会計学者である。それから二名が商法学者であられる。あと残りの九名でございますが、会計士から会長、副会長が二名入っておられる。なお実務界の代表も必要でございますので、企業の代表者として四名入っていただいておる。そのほか団体から三名入っていただいておる、こういうふうな状況でございます。
○稲葉委員 いまの企業会計審議会に法務省関係の人、ことに商法の学者だけじゃなくて法務省関係の実務家、実務家と言うと語弊があるかもわからぬけれども、そういう人が幹事とかなんとかという形で入ってないのですか。だから絶えず商法と証取法との関連がうまくいかないでごたごたしているのです。
○宮本説明員 先ほど申し述べましたのは正規の委員の方々でございます。もちろん企業会計審議会には、必要に応じて随時臨時委員あるいは幹事というものを任命し得るようになっておりまして、現在その臨時委員は八名、幹事は三名というふうにお願いしているわけでございますが、この三名の幹事の中に法務省の方の担当課長に入っていただいておる。そういう形で連絡をとり合っておるということでございます。
○稲葉委員 法務省の担当課長が三名というか、課長の三名というのはよくわかりませんが、現在はだれとだれが入っていますか。
○宮本説明員 幹事として現在三名の方が任命されておるのですが、その三名の中の一人に法務省の稲葉参事官にお見えいただいておるということです。
○稲葉委員 そうすると、おかしいじゃないですか。法務省から専門家として第四課長として入っていたわけでしょう、いまは参事官だけれども。その人が入っていて、企業会計原則なんというのは、法律が全面的に依拠し得るほど確立していない、こう言っているのです。だからこれはおかしいというか、おかしくない。おかしくないという理由は、本来法律が全面的に依拠し得るほどの確実性というか何というか、そういうふうなものができるべき筋合いのものではない、そういう意味ならばまた理解ができるのですけれども、法務省民事局の第四課長だと思うのですが、入っていて、企業会計原則に対してどういう立場をとっているのですか。それでどうしようとしているのですか、企業会計原則を。そこら辺の説明を願わないとわけがわからぬですよ。
○稲葉説明員 先ほど大蔵省の方から御説明がございましたように、企業会計原則というのは公正な会計慣行というものを集約したものというふうに言われておりまして、私どももそういうものであるというふうに考えております。 ただ、法規というものにつきましては、先生御案内のように法規範性というものが必要でございまして、それによれば、規範として非常に強い強制力を持って通用するというものでなければならないというふうに考えるわけでございますけれども、企業会計審議会の場合には、これは行政機関の諮問機関でございまして、国会というようなものを通じてはおりません。そういう意味では、法規範性という点ではいささか欠けるところがあるのではないかということでございます。 ただ、商法では、御案内のように三十二条という規定がございまして、「公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」という規定があるわけでございまして、その公正な会計慣行を集約したものが企業会計原則というものでございますから、それを十分しんしゃくした上で商法の規定というものを解釈すべきではあるということは当然のことでございますけれども、商法の規定を全く廃止して全面的に企業会計原則に会計処理をゆだねるというほど法規範的な要素は習熟していない、こういう趣旨で考えております。
○稲葉委員 もちろん規範となれば一つの強制力というか、ことに法規範となればそういうふうなものが必要になってくることは、おおよそのことはわかりますけれども、それじゃ「公正ナル会計慣行」という言葉が商法に出てまいりますね。これはまたさっぱりわからないのじゃないですか。これがまた各人各様によって解釈が違ってきておるのじゃないですか。何もそれなら公正なる慣行によるとかなんとかという、そんなことを書かなくたって、あたりまえのことなんじゃないですか、条理から言って。わざわざそんなことを書かなくたっていいじゃないの。特にそれを書かなければならないという理由はどこにあるわけですか。
○稲葉説明員 これは昭和四十九年改正で入った規定でございまして、このときには先生もいろいろ審議に御参画なっておられますけれども、結局、企業会計審議会の方のいろいろな意見と、それから商法の方のいろいろな考え方というもののある意味では妥協の産物でございます。そういうものを介して会計理論というものが商法の中に取り入れられるようにという趣旨でそういう規定を置いたということでございます。
○稲葉委員 その「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」、これは訓示規定でしょう。
○稲葉説明員 解釈の指針を示しているわけでございます。そういう意味では、それに違反したから何か罰則がかかるとか、そういうものではございません。
○稲葉委員 そうすると、これは四十九年のときだから、私いたのかちょっと忘れましたが、そのときぼくは法務委員をやっていなかったか、忘れました。都合の悪いことは忘れますが、いずれにしても、「公正ナル会計慣行」というのはそれじゃ具体的に何なのかということになってくると、どうなんですか。何とかの原則、継続性の原則だ、ああだこうだ、いろいろ言っていますね。これもまたわかったようなわからないようなものでしょう。
○元木説明員 先ほど宮本課長からも御説明がございましたように、企業会計原則が一応会計慣行を集約したものであるということになってまいりますと、企業会計原則が一応の目安にはなるわけでございます。ただ、これは御承知のように、会社を取り巻く状況というものは日進月歩でございまして、常に新しい問題が提起されるということになりますので、そういう新しいものを入れるという点から、時代的な進展というものもここに加味されるということになろうかと存じます。
○稲葉委員 それならここのところで、商業帳簿の作成に関する規定の解釈については企業会計原則をしんしゃくすべしでもいいのじゃないか、それではだめなのですか。
○元木説明員 ただいまも申し上げましたように、企業会計原則そのものだけというわけにはいかないのではないか。つまり、先ほど申しました時代の進展であるとか新しい問題が提起されるということもあるわけでございまして、そういうものも加味するということになろうかと存じます。
○稲葉委員 それは法律というのはあたりまえの話でしょう。時代の進展なんか全部一々書いていた日には、日本じゅう法律だらけになっちゃって、あとは解釈で補うよりしようがないですから、それはあたりまえの話ですが、どうして企業会計原則について、いろいろな原則がいっぱいあるのだけれども、学者の意見がそうたくさん分かれているのですか。ぼくにはよくわからないのですよ。たとえば番場さんと黒沢さんとは違うでしょう。飯野さんとも違う。それからみんな違うでしょう。どれがどれだかわからないで、みんなお互いに悪口を言い合っているわけです。学者というのは人の悪口を言うのが得意だけれども、とにかくどれが一番いいのか、どういうふうにどこが違うのですか。大学のゼミナールみたいだけれども、どこがどういうふうに違うの、学説が人によって。番場さんが会長だというので、番場さんの本を読んでいるけれども、それじゃ番場さんと黒沢さんとどういうふうに違うとか、飯野さんとどういうふうに違うとか、どういうふうに違うのですか。
○元木説明員 学説の対立があるということは承知いたしておりますけれども、これは必ずしも統一的な見解の相違ということではなくて、いろいろ個々の問題に対処するための差異ではなかろうかと存じます。したがいまして、そういうふうにいろいろな学説の対立があるということも前提にしながら、企業会計原則ということで一応の統一的な見解と申しますか、そういうものが示されているわけでありまして、それに基づくのと、さらに先ほど来申し上げておりますように、時代的な推移というものを加味しながら公正なる会計慣行というものが存在し得るのじゃなかろうかと存じます。
○稲葉委員 そういうふうに企業会計原則というものにいろいろな意見があって、いろいろ違っているわけでしょう。それに基づいて大蔵省が省令を出して指導しているというのはおかしいんじゃないですか、こんな意見がいろいろ違うものについて。
○宮本説明員 企業会計原則といいますのは一応文章化されておりまして、画一的なものがつくられておる。この行間について解釈が、ある場合によっては商法の条文の解釈が学者によって違うように違う場合もあり得るわけでございますが、企業会計原則そのものは条文化されておるわけでございまして、そういうものに基づいてわれわれも省令をつくっておるとということでございます。
○稲葉委員 私の言うのは、そういうふうに企業会計原則に基づいてそれが文章化されて、それに基づいて大蔵省の省令ができているわけでしょう、いろいろ証券取引法上その他において。その企業会計原則についてのいろいろの解釈の争いが大きくあるというならば、それに基づいて省令を出すということは、かえっていろいろな混乱が起きるのじゃないですかということを聞いているのですけれども、実際に省令が出ていて——私も会計学者じゃないからよくわからないのですよ。法律はある程度やったけれども、会計学のことは率直に言うとよくわからない。だから、これ以上私が聞いてもよくわかりませんからあれしますが……。 そこで、これもまたわからないんだな。元木さんが言っているのだけれども、「わが国の会計に関する学説は、法律が詳細な規定を置くことができる程一致しているわけでもない」、結局いま言ったことと同じことですね。「重要な点のみを法律で規定することとした」、こう言っておりますね。そうすると、全体にたくさんある、いろいろな学説だとか何だか知らぬけれども、いろいろな規定がある、そのうちに重要な点だけを法律で規定することにした、あなたに言わせると、こう言うのでしょう。そうすると、全体がどのくらいあって、その法律の規定というのはあなたに言わせるとどれを指して言っているわけですか。いまの企業会計原則なりそれから公正なる会計慣行のことに関連してだと思いますが。
○元木説明員 これはたとえば具体的な例で申しますと、特定引当金のような問題でございまして、そういう点については公正なる会計慣行とあるいは一致しているのかもしれませんけれども、少なくとも法律の明文をもってそれに従って会計帳簿を作成してほしい、計算書類を作成してほしいというようなことから、そういう特にこれだけは明文の規定をもって規定した方がよろしいだろうというようなものについてだけ規定を置くということでございます。
○稲葉委員 特定引当金の問題は、私もいつのことだかここで論議したのを覚えていますよ。わけがわからない。質問している私がわからなくて、答えている方もよくわからなくて、大蔵省もよくわからなかったかもしれませんけれども、あのときも法務省のある参事官の書いたものが問題になりまして、書いてあることが全然わからぬのだ。いろいろ議論が出たのですけれども、それはそれとして、私の疑問に思いますのは、特定引当金であるとか、いま言った商業帳簿のところの第三十二条の第二項かな。これは商法は何回も何回も変わっているわけでしょう。それがどういう事件というか事実というかそういうものがあって、どういう要望があって、どこがどういうふうに変わったのかということをずっと順序を追ってひとつ明らかに説明をしてほしいと思うのです。きょうできなければ、きょうでなくていいですよ。急がなくてもいい。大事なんですよ。その都度その都度にぽつんぽつんと商法を変えていくのです。基本的な全体のことを考えないで、そこだけぽんと変えていく。だから特定引当金の問題だって、これは私がいたときです。議論しました。私もわからなかった。 じゃ、特定引当金のときにどういう趣旨説明で特定引当金を通そうと立案して出したのですか。そこを、いままでの商法ができてからの経過をずっとポイントを挙げて説明していただきたい、こう思うのです。
○稲葉説明員 この点に関しましては、四十九年改正のときにもいろいろ論議がされたところでございますが、商法の計算規定が全面的に改正されましたのは、昭和三十七年の改正でございました。昭和二十五年にアメリカ法をかなり全面的に取り入れたような形の改正が、連合軍のサゼスチョンに基づいてなされたわけでございますが、計算規定については見るべきものがなかったわけでございます。それに対しまして、昭和三十七年に、それまでの先ほど大蔵省の方から申し上げました企業会計審議会というものがつくられ、そこから意見書も出たというようなことを踏まえ、また実務上いろいろ混乱があったということを踏まえまして、商法にそういう先ほどから話が出ておりますような法規範的な意味での規範性を持った規定をきっちり置いて、そして計算内容を明らかにした方がよろしいということで改正が行われたわけでございます。それが、たとえばその計算規定の後の方の二百八十五条から二百八十八条ノ二あるいは二百八十九条あたりまでの規定が貸借対照表や損益計算書、主として貸借対照表でございますが、そういうものをつくるための基準になるような規定になるわけでございます。この際に特定引当金に関します二百八十七条ノ二の規定もできたわけでございます。この際、二百八十七条ノ二の規定は、その前段階といたしましては、これも当時民事局の参事官室から試案が出ていたわけでございますが、かなり負債性引当金に限定するような趣旨の試案が出ていたわけでございます。これに対しまして実務界から、それでは実務上非常に困る、それはなぜかと申しますと、当時は税金の関係が引当金をとらないことには損金扱いをしない、いまは利益処分方式による損金算入というものを認めておるわけでございますが、そういう扱いが認められておりませんでしたので、実務上非常に困るというような声があったように聞いております。そういうことがございまして、かなり広範なものがカバーできるように規定がされたわけであります。 しかし、その引当金の規定を設けました趣旨は、それまで企業会計の中では秘密積立金と申しますか、かなりラフな会計処理が行われていたということがございまして、それを是正するために、会計処理を適正ならしめるために、三十七年にこういう全面的な計算書類の改正の作業を行ったわけでございます。それで一応商法の計算に関する体系というのはかなり整備されたわけでございますが、その間、先ほど来話が出ておりますように、証券取引法と商法と二元的な規制が行われているわけでございまして、この二元的な規制でどうもそれぞれの会計基準がそごをしておる、片一方で適法だと言われて片一方で違法だ、違法といいますかあるいは不適正と申しますか、そういうようなケースも出てくるということで、双方の基準をなるべく合致せしめる必要があるという声が出てきたわけでございまして、そのための改正というのも昭和四十九年に行われまして、その一環として、先ほど先生御指摘になりました商法三十二条というしんしゃく規定を置きまして、これで企業会計と商法との間の基準をつなげようということにしたわけでございます。 その中で残された問題というのが、四十九年改正のときに非常に論議されましたが、継続性の原則と引当金の問題でございまして、これは昭和五十年の根本改正に関する意見照会の中にも項目として挙げられていたわけでございます。それに対しまして今度の改正では、継続性の原則と特定引当金の問題については一応の解決をして今回の法案提出に至った、こういう経過でございます。
○稲葉委員 言葉じりをとらえるわけではないのですが、いまあなたの言われたのだと一応の解決ですね。完全な解決ではないのです。またこれはごたごたしますね。あなたの方では今度特定引当金について負債性引当金に限定すると言っているでしょう。片方の会社なんかそんなふうにとらないんじゃないですか。そしてまた同じことをやってくれば食い違うということになってくるんじゃないですか。そこら辺のところがあって、それは租税特別措置法との関係もあったのですよ。これは事実でしょう、いろいろな点があったにしても。だから、証取法の改正と会社法の改正と、私は一覧表をつくってもらいたいのです。一覧表をつくって、どこがどういうふうに連関しているのか連関していないのか、そこら辺のところをはっきりさせなければ、これはまた問題が起きますよ。 証取法自身がアメリカのあれでできたことだし、立場が債権者保護というか国民経済の何とかかんとかって目的に書いてある。商法はそういうものではなくて、機械的なというか技術的な問題でありますし、そこら辺のところも違って、いまも証券取引法の改正が行われているわけでしょう。去年行われて、またことし行われるのかな。どういうふうになっているのですか。どういう点が行われているのか、後で大蔵省に聞きますが、その前に、いまの法務省の答弁の中で一応解決したと言っているけれども、一応というのはどういうわけなの。まだ未解決の問題が残っているという意味ですか。
○稲葉説明員 これまでも御答弁申し上げておりますように、特定引当金につきましては、利益留保性のものを排除するという意味で、「其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額ニ限リ」という表現を入れたわけでございます。この表現はある程度抽象的なものでございまして、具体的にどういうものが入るかということは、三十二条による公正な会計慣行等をしんしゃくして今後解釈が確定していくというべきものであろうと思うわけでございまして、法律の性格上一般的な規範を定立するという場合には、常にその後に解釈問題が残るわけでございまして、そういう意味で解釈問題が残るということは踏まえた上で解決をしたというつもりで申し上げたわけでございまして、私どもとしては、いまの案がいま考えられる最善の案であるということについては疑問を持っておりません。そういう意味で、法律を規定をつくります上に常に解釈問題が残るという意味を込めまして一応のと申し上げたのでございます。必ずしもこの規定の趣旨に疑問を持っておるというような趣旨ではございません。 〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
○稲葉委員 そうすると、第二百八十七条ノ二ですね。この条文と今度の条文。改正条文と現行条文。現行条文は、「特定ノ支出又ハ損出ニ備フル為ニ引当金ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルトキハ其ノ目的ヲ貸借対照表ニ於テ明カニスルコトヲ要ス」、こういうふうになっていますね。改正法は、「特定ノ支出又ハ損出ニ備フル為ノ引当金ハ其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額ニ限り之ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルコトヲ得」、こういうふうになりますね。いいですか。この条文に即して、一体どことどこがどういうふうに違うのかという点をまず御説明願いたい。
○元木説明員 まず、現行法でございますけれども、現行法の規定の仕方は、引当金というもの、これが「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ニ引当金ヲ」ということで、引当金の定義といたしましては、「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為」ということになろうかと思います。つまり、そういう引当金は貸借対照表の負債の部に当然計上できるんだということを前提にいたしまして、そこで、その引き当ての目的を貸借対照表において明らかにすることを要するということになってくるわけでございます。したがいまして、この「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ニ」ということになりますと、ここでは必ずしも引当金というものの定義と申しますか、そういうものを一応の限定はしておりますけれども、必ずしも絶対に限定しておるということではございません。したがいまして、この中では利益留保性のものが含まれるかどうかということについては当然問題が出てくるわけでございます。 それに対しまして、今回の改正法律案におきましては、この前提といたします「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ノ引当金ハ」というところは同じでございますけれども、「其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル」、つまりこれは実際にはまだその営業年度におきましては債務としては計上することはできませんけれども、しかし期間損益の計算という点に関してその営業年度の費用または損失とすることが相当と認められるそういうものに限ってということで、つまり何が負債の部に計上できるかということをここで明確にしたというわけでございます。
○稲葉委員 具体的に例を挙げて説明してください。
○元木説明員 たとえば修繕引当金というのがございます。五十四営業年度におきまして機械が動いておりまして、機械が修繕を必要とする状態になるということは機械の性質上当然でございますけれども、その場合に、その修繕の契約をその五十四営業年度においてやらなかったといたしますと、これは法律上はまだ債務は発生しておりませんので、理屈からいうと負債の部には計上することができないということになります。しかし、機械といたしましてはその期に動いて、そうして利潤を上げているということでございますから、それに対応する修繕費用というものも当然期間損益を明確にするという点から考えますと、損金として計上するということが必要なのではないかということでございます。したがいまして、そういう修繕の費用につきましてはたとえ具体的に債務となっていなくても計上するということ、したがって、こういうものが今回の新しい二百八十七条ノ二では当然計上することができるということになろうかと思います。 これに対しまして、たとえば三十周年記念事業引当金というようなものでありますと、これは確かに三十周年記念でございますから、そういうことで次の三十周年記念には幾ら出すというようなことで、目的からいいましても支出の額からいいましても当然に明確になっているということで、現行法の二百八十七条ノ二の一項のもとではこれを計上することができるのじゃなかろうかということになってまいります。しかし、今回の二百八十七条ノ二の「其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル」ということは言えませんので、今回はこれは計上することができないということになろうかと思います。
○稲葉委員 そうすると、大蔵省にお伺いをするのですが、この特定引当金に含まれるものは企業会計原則の負債性引当金というか、それと同じですか。
○宮本説明員 企業会計原則におきましては、その注解といいますか注があるのでございますが、その中に引当金について二種類のものを掲げておるわけでございます。 一つは、先生がおっしゃられました負債性引当金というものでございます。これにつきましては、注の中で明快な定義を与えております。ちょっと読んでみますと、「将来において特定の費用(又は収益の控除)たる支出が確実に起ると予想され、当該支出の原因となる事実が当期において既に存在しており、当該支出の金額を合理的に見積ることができる場合には、その年度の収益の負担に属する金額を負債性引当金として計上し、特定引当金と区別しなければならない。」こういうふうに定義いたしております。いま申しましたように、将来において特定の費用たる支出が確実に起こることという一つの要件、第二の要件は、当該支出の原因となる事実が当期においてすでに存在しているということ、第三の要件といたしましては、当該支出の金額を合理的に見積もることができるもの、この三つの要件を備えておるものが企業会計原則上の負債性引当金、先ほど元木参事官の方からお話がございました修繕引当金というのは、こういうものに該当する一番適切な例であろうかというふうに思います。 それからもう一つ、注の十四というところに、負債性引当金以外の引当金というふうな言葉をやはり使っておりまして、この負債性引当金以外の引当金と申しますものは、法令によって認められている引当金を繰り入れる場合には、特定引当金という名のもとにまとめて負債の部の一番最後のところに掲示しなさいということをここで言っておるわけでございます。 この負債性引当金の中の先ほど申しましたような修繕引当金のようなものと、この企業会計原則の注解十四で言っております負債性引当金以外の引当金、つまり法令によって認められているその他の引当金、この二つがいわば商法上の、二百八十七条ノ二でございますが、この条文に当たる引当金になろうかというふうに思うわけでございます。
○稲葉委員 そうすると大蔵省は、結局私の質問に対しては、これはイエスかノーなのか、どっちかわからぬ。
○宮本説明員 商法上の引当金は、負債性引当金と、それから先ほど申しました注の十四の負債性引当金以外の引当金、この両者を含むわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、これは元木さんが言っているように、企業会計原則の負債性引当金よりもこの特定引当金の方が範囲が広い、こういうことになるわけでしょう。 そこで、それではなぜ企業会計原則で、その注の十八のほかに注の十四というものを設ける必要があったのですか。一緒にして、そして発生の確実性、原因の存在、合理的な金額の見積もり可能性、大体この三つの要件でしょう。だから、特定引当金というものを企業会計原則の負債性引当金と同じものにしてマッチさせれば、解釈としても簡単じゃないのですか。それを違えているから、またごたごたごたごたしてくるんじゃないのですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 企業会計原則の立場からは、従前から、負債性引当金というものが引当金として認められるべきものであるというふうな主張を繰り返しておったわけでございます。先ほど来法務省の方からも種々御説明がございましたけれども、商法の中に引当金という定義が入った結果、その引当金といいますのは、先ほど私がお答え申し上げましたように、負債性引当金以外の引当金をも含むわけでございますから、そこを両方の表示の調整というふうな観点から、従来から企業会計原則が主張しておりました負債性引当金以外の引当金について特定引当金という特殊な名前を付しまして、それを貸借対照表の負債の部の一番最後のところにまとめて記述するというふうなことを認めたわけでございます。 その辺は、四十九年の商法改正のときに、商法の方にも会計監査人による監査が導入されましたために、その監査と証取法上の監査というものの一元化というふうな目的からそういう処理が行われて両者の調整が図られた。したがいまして、企業会計原則が従来から言っております負債性引当金というのは、そこは貸借対照表の中のそれぞれの性格に合ったところに表示するようにされておりますが、負債性引当金以外の商法上認められております引当金は、それは主として租税特別措置法上の諸準備金というふうなものがその対象になっておるわけでございますが、そういうものは、特定引当金という項目のもとに、貸借対照表の負債の部の一番最後のところにまとめて書くというふうにいたしまして、そういう利益性のような引当金については、こういうものがあるよということを投資家にも明確にわかるような、そういう表示方法をとって一元化を図ったということでございます。 繰り返し申し上げますが、企業会計審議会あるいは企業会計原則の立場からいいますと、引当金というのは本来負債性引当金、少なくともその利益性のものは含むべきでない、そういうものを含むことによって財務諸表の利益が任意になるような、そういう要素は排除すべきであるという主張は繰り返し続けておったわけでございます。
○稲葉委員 いまあなたの言われた任意というよりも、まあ恣意的になるというふうに言った方がいいかもわかりませんが、どちらでもいいのですけれども、そうすると、いままでその利益留保性の引当金というものが多数認められておったということですよ、四十九年の改正以来今日まで、ということなんでしょう。だからこの条文をはっきりさせた、こういうことなんですか。そこのところがはっきりしない。そこはどういうふうに理解したらいいのですか。いや、そんなことはなかったんだけれども、念のためこういうふうに条文をつくったんだという理屈もあるだろうし、そこのところはよくわからぬですね。どうなんでしょうか。
○元木説明員 これは引当金の名目のもとに利益留保性のものも立てられていたという事実もあるようでございます。たとえば、ただいま申しましたような三十周年記念引当金であるとか、そういうものも立てられていたという問題がございます。 それよりも何よりも一番問題となりますのは、やはり二百八十七条ノ二の解釈をめぐりまして、利益留保性のものが立てられるか立てられないかということもあったわけでございます。先ほど稲葉参事官から説明もございましたように、歴史的に見ましてこれに利益留保性のものを含めざるを得なかった、そういう解釈をせざるを得なかったというような理由もあるわけでございますけれども、今回は、少なくとも損益計算は明らかにするという立場から、ここにはもう利益留保性のものは含ませないということにしたわけでございます。
○稲葉委員 その利益留保性のものは含ませないということは、前の改正のときからはっきりしていたんじゃないのですか。はっきりしていなかったのですか、法務省の答弁としてはその点はどうなんですか。
○元木説明員 前の議事録等を見ますと、必ずしもその点は明確になっていないようでございます。
○稲葉委員 私も読んだのですけれども、結局わからないのですよ。まあ答える方はわかっているんだろうけれども、質問している方がわからないのだから、わけがわからない。これは一番むずかしいところですよ。 もう一つ私が聞きたいのは、じゃこういう特定引当金の制度というものを、何も商法に載っけなくたっていいんじゃないですか。「公正ナル会計慣行」ということの条文があれば、それでやっていっていいんじゃないですか。そこはどうなんですか。特にこういう条文を載っけなければいけないのですか。
○稲葉説明員 考え方と申しますと、負債の部へ本来計上することができるというのは、法律的に申しますと、債務としてなっていないものは法律的には負債ではないというのが本来的な考え方であろうと思います。もちろん退職給与のように、これは条件つき債務でございますから、本来法律上の債務でございますが、先ほど元木参事官が例として挙げましたような修繕引当金のようなものは、まだ修繕契約は結んでおらないわけでございますから、債務としては成立していないということでございますから、法律上は、負債の部へ計上するというには、やはりそれについて規定があった方がよろしい。それは、繰り延べ資産の場合に、本来資産でないものを資産として計上することができるというのとパラレルの問題ではないか。もちろん、会計学の立場から言えば、これを削除してしまっても、そういうものは当然公正な会計慣行から載るんだという説もあることは私どもも承知しておりますが、法律的にはそういう考え方でございます。 それとともに、いま先生御指摘のように、かなり解釈が多岐にわたっておるわけでございまして、その解釈が多岐にわたっておるのをそのまま放置しておくということは適当ではないので、その規範として何か確立したものを商法に規定した方がよろしいというのが私どもの考え方でございます。 そこで、私どもの立案しました考え方といたしましては、現在の企業会計原則の負債性引当金はやや狭きに失するのではないかというふうに考えております。先ほど宮本課長が読み上げられました注解の中でも、収益の控除としての支出に備える、あるいは特定の費用に備えるというふうに言っておるわけでございまして、支出でない損失というものもあり得るわけでございます。たとえば為替差損というようなものは必ずしも支出ではないけれども損失になるわけでございまして、こういうものについても、非常に為替差損が生じて回復の可能性がないという場合には引当金として立てるのが相当ではないか、このように私どもは考えたわけでございまして、将来これが成立いたしました暁には、この規定の解釈をめぐって企業会計審議会でも新しく御審議願うという御了解になっていると思いますが、そういう意味で、法規範としていま最も適当なガイドラインを設定したいということで今度の規定を置いたということでございます。
○稲葉委員 いまあなたの言われた為替差損のための引当金というのは、これは為替差損が起きたときに損失として落とせばいいんで、何も引当金として計上しなくてもいいんじゃないですか。
○稲葉説明員 為替差損の問題と申しますのは、つまり、三百六十円で取得したという債権が現に二百五十円になっている、いまは二百十七円ですか、そのくらいになっているということになりますと、その債権を現実に回収したときに損を出すということでございますと、三百六十円から二百十七円とすれば三分の一以上の金額がその期にばっと損失で出てくるわけでございます。しかしながら、実際に損が生じておるのは、為替相場が下落しあるいはさきに外貨建ての債権を取得しているということからすでにそういう原因が生じておるわけでございまして、それをそのまま三百六十円のベースのまま表示しておきますと資産が過大に評価されているということになるわけでございまして、財務諸表の上では来年になったら明らかに三分の一その債権が減るというものを、あたかもそれだけの実価があるように表示しておくというのは適当ではないので、その分はやはり損失として控除しておくというのが企業の内容を正確にあらわすためには必要である、かように考えております。
○稲葉委員 しかし、為替は毎日毎日変わるわけですから、損するばかりとは限らない。逆に上がるかもわからないし、そんなことを言ったら毎日毎日損益計算書を発表しなければならなくなってくるんじゃないですか。どうもそこら辺のところはぼくもよくわかりませんからこれ以上聞きませんけれども、為替の場合は逆に上がる場合だってあるんだから、損するばかりとは限りませんよ。そうすれば今度は資産の方が過小評価ということにもなるし、そこら辺のところは一体どうするかということもありますね。 それじゃ、何十周年記念、これはいかぬというのでしょう。それで例の役員の退職慰労金はいいというのでしょう。これはどうしてなのか、そこら辺のところがよくわからないのです。
○元木説明員 御承知のように、何十周年記念引当金ということになりますと、これは会社がその営業を行う上においてのコストということでは決して考えられないわけでございます。言ってみれば、会社がこれだけの利益を上げたから、その中から幾分か使って記念事業をやっていこうということになるのではなかろうかと思います。それに対しまして取締役の退職慰労金でございますけれども、原則として一般の従業員の退職慰労金というものは、通常多くの会社におきましては退職金の支給規程がございます。したがいまして、将来従業員の退職が予想される限りにおきましては、これは懲戒解雇とかなんとかはもちろん別でございますけれども、通常の退職ということを条件とする条件つき債務ということになるわけでございまして、負債の部に計上できるわけでございます。 ところが、取締役の退職慰労金の場合は、これは取締役の報酬の一部になりますので、総会の決議を経なければならないということになります。したがって、債務としてはまだ計上できないという問題がございます。しかし、多くの場合、取締役が円満退職をして退職金を受け取るということになろうかと思いますし、現在はまだ債務としては計上することはできないけれども、将来は当然出るであろう、その可能性がきわめて高いということでございますので、しかも、先ほど来申し上げておりますように、報酬と申しましても退職金というのは報酬の後払いみたいなものでございますから、まあ言ってみれば、それ以前に逐次払うべき報酬を後で一括して払うというような形でもございますので、したがって、前もって引当金として立てておくという理由もあるし、必要もあるのではないかということでございます。
○稲葉委員 いや、退職金ならそれでいいわけですよ。役員だって退職金があるんだからそれはいいですよ。しかし、慰労金までというのは意味がよくわからない。慰労金まで引当金の中に入れなければならぬ理由というものはないんじゃないですか。金額的にも非常に恣意的な金額が出てくるんじゃないですか。さらに理屈を言うと、現在の従業員が全部退職してしまうかもわからないから、そういう場合のことも考えて全部の人の退職金まで引当金として計上していかなきゃならぬという理屈も出てくるんじゃないですか。そういうことも考えられないではありませんからね。だから、いまのは役員の場合ですが、役員の場合の慰労金と普通の従業員の場合の退職金とは、現実性のあるのはどの程度のものを引当金として認めることができるわけですか。
○元木説明員 まず、従業員の退職引当金でございますけれども、これは引当金ではございませんで、条件つき債務として負債に出すということでございます。もちろん、従業員がその年に全部やめてしまうというようなことはまずあり得ないわけでございまして、その営業年度に一体どれだけを積み立てておけば将来の退職給与になるかということになろうかと思われます。したがって、そこではおのずから合理的な計算ができるのではないか。 それから、取締役の退職給与引当金でございますけれども、この場合も、これが報酬の後払いであるという範囲内においてはやはり引き当てていくということになろうかと思います。しかし、その取締役が非常に功労があったために特に慰労金を出すというような場合になってまいりますと、そこらにはまたいろいろ問題がございまして、まず、特定の業績を上げたためにその取締役が慰労金をもらうということになりますれば、その上がった業績に対してのコストということもあるかと存じます。またそのほかに、特にそういうものではなくて謝意を表するためにというようなことでありまするならば、これはそのときに株主総会において決議された賞与と申しますか、そういう性格として見ていかなければいかぬということになりますので、これは引当金にならないということになろうかと思います。
○稲葉委員 だから後の方の場合で引当金になるのはおかしいので、何も慰労金の額がどの程度かということは決まっているわけでもありませんし、パーセンテージということが決まっているわけでもないのですから、それは株主総会か何かで承認されたときにそこで計上すればそれで足りるんじゃないんですか。わざわざこれを負債性の引当金という形で利益から引いて金もうけをしなければならぬという理由にはならないんじゃないですか。どうもこの辺はむずかしいですよ。ぼくも昔、会計学をやったことがあるけれども、もうすっかり忘れちゃったよ。
○稲葉説明員 あるいは言葉の問題かもしれませんが、巷間、役員の退職金につきましては、原則として退職慰労金という言葉を使っておりまして、それにつきましては最高裁の有名な判決がございまして、具体的な金額を株主総会で明示しない場合でも、内規その他慣行、そういうものがあって、その基準にのっとって額を計算するのであれば二百六十九条には違反しない、こういう判例があるわけでございます。通例は会社はそれの基準というもの、内規なりあるいは慣習というものをつくっておりまして、それに基づいて額を算定しているというのが多くの会社の例でございます。そういうことになりますと、その退職金規程の内規の内容にもよりますけれども、多くの場合は在職年数に比例して退職手当を払うというケースになっておりまして、そういたしますと、在職年数が一年あるということに対しまして幾分かの退職手当がふえていくということになるわけでございまして、その部分はやはりコストとして引当金を当該営業年度の収益から控除しておくという必要がある。したがって、役員の退職金の場合には必ずしも法律上の債務ではなくて、株主総会で決議があったときに初めて法律上の債務性は取得するわけでございますけれども、社会的な慣行として役員退職慰労金を払わない会社というのはもうほとんどないわけでございます。したがって、そういうものはどうしても引当金として積んでおいた方がよろしい、また積むことができるというふうに考えております。
○稲葉委員 いまお話を聞きますと、退職金というのは賃金の後払いだという考え方に立っているわけですね。そうでしょう。だから、一年間勤めればあるパーセンテージの退職金というものは常にそこで潜在的に発生しているわけですよ。そういうわけでしょう。そうなってくると、いま国会で退職金を減額しようとしているのか。だれがこんな法案を出したのだ。自民党が出したんだろう。だめだ。おかしいんじゃないですか。何年か勤めたって、潜在的に退職金というものはもうすでに権利として生まれているわけですよ。それを法律で削ろうなんということは、これは筋がおかしいのじゃないですか。これは憲法違反じゃないかと思うのだけれども、奥野さんがいないからいいや。 話は別にしますが、退職金が賃金の後払いだどいう考え方をとると、それを減らすというのは特別な理由、正当性があればまた別、その正当性というものを国なら国が公務員に対して立証しなければならぬですよ。十分な立証もないのにそれを減額するということは、私は違法だと思うのですよ。あなた方も減らされるのですよ。減らされるのに困りますとも法務省としては言えないし、結構ですとも言えないわな。だから答えはいいです。 そこで、それじゃたとえば電力会社があるでしょう。電力会社はいつどんなことで渇水になるかわかりませんね。ひでりがずっと続きますね。渇水の準備金というものがなければ電力会社というものは経営がやっていけなくなる可能性もあるわけでしょう。だから渇水準備金というものを負債性引当金として引いていくということについては、これは元木さんの本というか、あなたはだめだと言うのでしょう。これはどういうわけなの。
○元木説明員 御承知のように、渇水準備引当金につきましては、将来渇水期がある、つまり電力コストが上がるということを見越しまして、豊水期と申しますか、水がたくさんある時期、電力コストが安いときにそれを直ちに利益として計上しないで、将来利益が少なくなったときに利益の平準化を図るという趣旨で計上するということになっているわけでございます。したがいまして、この場合やはり利益留保的な性格が強いのじゃないかということで、商法と申しますか、今回の改正法律案の本来のたてまえからいいますと利益留保性の方に入るのじゃなかろうかという趣旨でございます。
○稲葉委員 そうすると、いままで電力会社は渇水準備金というものを実際に引当金としてずっと引いていたわけですか。どういうふうになっていましたか。これは大蔵省は有価証券報告書が出るからわかるでしょう。いままではどういうふうになっていたのですか。
○宮本説明員 損金として取り扱って引いております。特定引当金の項目に入れて処理しておるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、電力会社はいま九電力になっているのかな。それで各年度ごと、いつごろから幾らくらいずっと引いているか。いまわからなくてもいいですよ。後で出してください。これは電力会社なんというのはいかぬのだね。電力会社ばかりじゃないけれども、本当にそういうことをやっては利益を少なく出してくるんですね。 それから、これはまたよくわからぬな。国際会計基準というのは一体何なんです。国際会計基準の十一というところに契約損失引当金というのがある。これも入るというのでしょう。国際会計基準というのは何ですか。
○宮本説明員 昭和四十八年六月でございますが、オーストラリア、カナダ、 フランス、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、イギリス・アイルランド、アメリカ、この九カ国の会計士団体によりまして結成されました委員会がございます。その委員会の名前は国際会計基準委員会というものでございます。そういう各国の会計士団体の集まりでございます。この委員会がいわば国際的に会計基準を、ハーモナイズというふうに言っておりますが、共通的なものにする努力をしておりまして、そういったものの試案がいま先生申されました国際会計基準というものであるわけでございます。
○稲葉委員 国際会計基準はわかったのですが、その契約損失引当金というのは何なの。
○元木説明員 つまり、契約をしたことについて、その契約が守られないというようなことがあるわけでございます。そうした場合に契約に当然損失賠償額の予約でございますか、そういうものが計上されているわけでございますけれども、そういうものを引当金として立てるということかと存じます。
○稲葉委員 それはきわめて偶発的な問題であって、これは損害賠償額の予約がある場合ですか。予約がない場合には入らないわけですか。まずそれが一つ。それから、あなた、そんなこと言ったらみんな入っちゃうじゃないですか。あらゆる場合に商取引をやって損するかもわからぬ。損する場合のその準備に引き当てしておくのだとかなんとか、みんな入っちゃうじゃないですか。だから契約損失引当金なんというのは、そんなのは国際的な場合だけですか、国内的な契約の場合でもそれは入れられるのですか。それはどっちなのですか。
○元木説明員 まず、この特定引当金でございますけれども、これはあくまで特定引当金になるための前提といたしまして、特定性があるということが必要なわけでございます。したがいまして、発生の可能性が非常に少ないということになってまいりますと特定性もないということになるわけでございます。したがって、そういうものは積み立てられないということになろうかと思います。
○稲葉委員 だから、あなたの言った契約損失引当金というものも、国内の場合でも、違約の場合というか違約金の規定なんかがある場合には、それを特定引当金として計上していいということになるのですか。だけれども、違約といったってこっちが違約するのじゃないわけでしょう。こっちが違約する場合のことを考えて、損失を払うということでそれを引当金に計上していくなんというのは、そんなのはおかしいのじゃないですか。相手が違約するのならこっちはもらえるわけでしょう。契約していてこっちが違約する、違約した場合に損害金を払うのだから、それを引当金に計上していくというのでしょう、あなたのこの議論は。そういう議論じゃないですか、損害賠償額の予定やなんかある場合に。そんなのおかしいじゃないですか、理屈から言ったって。
○元木説明員 損害賠償額の予定と申し上げましたのはあくまで一つの事例でございまして、たとえば最近問題になっております薬害なんかの問題でございます。そういう場合でございますと、結局、物を販売するに際して一つのコストと申しますか、損害賠償義務が発生するということになるわけでございます。もちろん、これがたとえば訴訟等が起きまして判決が確定してしまうということになるならば、これは債務として確定できるわけでございますけれども、まだその前の係争中であるとかということになってまいりますと、やはりこういうところに特定引当金というものに入っていくのじゃないか。 つまり、薬を売るにつきまして、これは売るならば完全なものを、相手に害を与えないようなものを売らなければいかぬということでございます。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕 それに基づいて障害が起こるというようなことになるならば、これは相手に契約を完全に履行していないということで、契約上の契約違反ということで損害賠償義務が発生するということになろうかと思います。したがって、そういうものについては、もしその可能性があるということであるならば、これは引当金として立てることができるということでございます。
○稲葉委員 それじゃ、製薬会社というのは利益なんか全然上がらないじゃないですか。配当も何もないし、利益も何もない。みんな引当金で引いちゃって、それをどこかへ留保しておけばいいということになっちゃうのじゃないですか。いまの考え方だと、極端な例を挙げればそういうことになるのじゃないですか。
○元木説明員 これは先ほど来申し上げておりますように、「特定ノ支出又ハ損失」ということでございます。したがいまして、売り出してまだ損害の予測も何も立たないというようなものにつきまして、そういう引当金を立てるということはできないわけでございまして、そういうものが損害あるいは支出として特定できる程度にまで可能性が高くなってきたときということになろうかと思います。
○稲葉委員 それは当然そうですね。発生の確実性、原因の存在、損害賠償額の合理的な基準、この三つのことが要件になるわけです。だから、それは公認会計士が当然それを監査の対象として監査しなければいかぬということになるわけですが、そこら辺のところは、監査役はそれについては権限はないわけですか。
○元木説明員 監査役も会計と業務の両方の監査権限がございますから、監査の権限がございます。
○稲葉委員 それはもちろんあるわけですが、業務の場合には妥当性かどうかということはない、違法性かどうかだけだというわけですね。それと会計基準ということでしょう。 それから、前に証券取引法ができたときですか、昭和二十何年かできたときに、監査役というものをもうやめようという議論があったのですか、これはどうなのでしょうか。
○宮本説明員 明確な記憶でございませんので大変失礼でございますが、証取法ができた当時ではなくて、三十年ごろにそういうふうな話があったというふうに、うっすら記憶しておるのでございます。
○稲葉委員 それは後で調べてください。たしか証取法ができたのは二十三年か五年か、その当時のことのようですね。それは後で情勢が変わってきたからあれですけれども、後で調べて別に報告をしていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、よくわかりませんのは、素人から見ると、この二百八十七条ノ二の新しい条文というのはよくわかりませんね。よほどの専門家が見ないといまあなたのおっしゃったような解釈だというととはわからないですね、これを読んだだけじゃ。読んだだけでそういう答えが出てきますか、これは。本当にわからぬな。もう少し何か、たとえば利益留保性のものはだめだとかなんとか、技術的にもう少しわかりやすく書けませんか、この条文は。素人が読んでもわかるように書けませんか。これだけ読んだって、何が何だか全然わからないのじゃないですか、この条文は。どうでしょうか、これ、もっとわかりやすく書けませんか、素人が読んでもわかるように。もっとも、商法というのは技術性のものだからなかなかむずかしいかもわからぬけれども、読んでもわかりませんよ、これは。少なくとも私はわからない、読んでみても。説明を聞いてまあ何とかそうかなと思うだけでね。まだ疑念が残るけれども……。
○稲葉説明員 この規定が必ずしも明確でないという御指摘でございますけれども、この「費用又ハ損失」という概念は、企業会計上はある程度確立した概念でございまして、ある営業年度における損益計算の上で費用あるいは損失として収益から控除するというものという意味でございまして、確かに、素人わかりがするかどうかと言われると非常にむずかしいわけでございますが、またこれ、利益留保性のものを除くというふうに書くことも、利益とは何ぞやという問題につながるわけでございまして、一見したところは非常にわかりやすいように見えますけれども、正確性を欠くおそれがないかどうかというようなことを検証してみなければならないわけでございまして、私どもといたしましては、この規定が、いろいろ検討いたしたのでございますけれども、いまのところ一番適当ではないかということで選んだわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、この条文で、改正は「計上スルコトヲ得」ですね。それからいまのは「明カニスルコトヲ要ス」、こうなっていますね。これは任意ですね。別にそれを引当金として計上しなくたっていいわけですからね。だから「得」とこうなっているんだと思うのですが、それは会社の自由でしょう。だから「得」となっているわけで、下の方は、現行法は「明カニスルコトヲ要ス」となっているのは、これはどういう意味なんでしょうか。
○元木説明員 まず、現行法でございますけれども、この「要ス」と申しますのは、「目的ヲ貸借対照表ニ於テ明カニスルコトヲ要ス」ということでございまして、引当金について直接「要ス」というものがかかるというわけではございません。 今度の改正法律案でございますけれども、これでは「計上スルコトヲ得」とはなっておりますけれども、物によりましては、たとえば先ほど申しました修繕引当金なんかにつきましては、やはりこれは計上することが必要なのではないか。つまり、期間損益を計算する上におきましては、必ずこういうものは計上しなきゃいかぬということになろうかと思います。 それに対しまして、たとえば先ほど来ちょっと出ておりました債務不履行の場合の損害賠償についての賠償額についての引当金というようなものになりますと、どの程度で実際にそれが特定されたかという判断をすることはかなり困難でございまして、もちろん、これもかなり実現の可能性が高いということになりますと必ず計上しなければいけないということになろうかと思いますけれども、場合によりましては、非常にボーダーラインの場合には、計上してもよろしい、しなくてもよろしいというものもあり得るのじゃないかということでございます。
○稲葉委員 そこで、次の問題に移りますが、これだけでも一時間半ぐらいかかるのですね。こんなわずかな一つの条文だけでもこれだけかかるんだから、これはずいぶんかかりますね。 そこで、お聞きをしたいのは、商業帳簿の三十三条ですね、これを見ると、「会計帳簿、貸借対照表」、「会計帳簿ニハ左ノ事項ヲ整然且明瞭ニ記載スルコトヲ要ス」、整然性、明瞭性の問題、その他ずっとこう書いてありますね。これは日本の場合とアメリカの場合なんか非常に違うところですね。アメリカの場合など、ドイツもそうですけれども、この帳簿の整然性、明瞭性ということに対して、ドイツなんか罰則をもって臨んでいますね。それがいいか悪いかは別ですよ。それが私はいいと言うのじゃございませんよ。いま日本の現状から見てとてもそれは無理だと思うから、そういうことは私も言いません。言うと誤解を与えますからそれは言いません。 そこで、私が問題といたしますのは、おととい参考人の方も言われました中にあったことなんですが、まず一つは、この条文の中に貸借対照表は出ていますね。だけれども、いままで営業報告書、それから損益計算書、財産目録その他のものは明文では出ていませんね。これはどういうわけなんですか。
○稲葉説明員 四十九年改正のときに、三十二条一項の中に貸借対照表のほかに損益計算書を入れるかどうかということで非常に問題が起こったことは先生御記憶のとおりだと思います。そういうことでございまして、この商業帳簿、ここは損益計算書というのは、商法の上では株式会社についてだけ規定があるわけでございまして、商人一般については損益計算書についての規定はないわけでございます。そういうことで、ここでは特に損益計算書は明らかにされておらないということだろうと思います。
○稲葉委員 三十二条、三十三条の問題ですね。そうすると、貸借対照表はあらゆるものに適用される、こういう理解の仕方ですか、それが一つ。三十二条の会計帳簿というのはどういう意味ですか、三十三条でずっと詳しく書いてありますね。
○元木説明員 三十二条の会計帳簿には、「左ノ事項ヲ整然且明瞭ニ記載スルコトヲ要ス」ということになっておりまして、一号は成立のとき及び毎決算期における営業上の財産及びその価額ということで、言ってみれば財産目録でございます。それに対しまして二号は、「取引其ノ他営業上ノ財産ニ影響ヲ及ボスベキ事項」ということで、従来は日記帳と言われていたものでございまして、営業の取引における財産上の出入りと申しますか、出納を書くということになろうかと思います。
○稲葉委員 それはそれでいいのですが、私の聞いているのは、営業報告書というものを今度は業務報告書という名前に変えようというのでしょう。もし変えようとするならば、それはどういう理由からきているわけですか。
○元木説明員 今回の法律案では、現行法の営業報告書という名前を変えようという意図はございません。ただ一時、試案におきまして業務報告書という名前を使ったことがございます。なぜこれを使ったかと申しますと、実は営業報告書のみならず、貸借対照表、損益計算書あるいは附属明細書、こういう書類によって会社のいかなるものを開示するか、つまり先ほども申しましたように、会社のすべての情報を開示すべきである、ただし企業秘密に属するものあるいはコスト・ベネフィットに反するものについては開示しなくてよろしいということになりますと、残りの情報を今度はどのようにして開示するかという問題が出てまいります。その場合に、貸借対照表にはどういうことを記載して開示する、損益計算書にはどういうことを記載して開示する、さらに営業報告書にはどういうことを記載して開示するということが問題になってくるわけでございます。ところが、従来から、実は現行法のもとにおきまして営業報告書はいかにあるべきかという営業報告書のいかにあるべき論というものが盛んでございます。もしそっちの方の議論に引きずられてしまいますと、営業報告書の性格づけの方にばかり議論がいってしまいまして、肝心の開示をどうするかということの方がおろそかになってしまうおそれがございました。そこで、そういう営業報告書のあるべき論をしてもらわないために、あえて一時名前を変えまして、業務報告書という名前を使ったわけでございます。
○稲葉委員 それはわかったのですが、業務報告書はまた営業報告書に返ったというのか、業務報告書というのは貸借対照表や損益計算書その他の日記帳というか元帳というか、そういうものを全部含んでのことを言っておるわけですか。どういう意味ですか。
○元木説明員 営業報告書は、あくまで株式会社が作成する計算書類の一つとしての営業報告書ということを考えているわけでございまして、この商人が作成すべき会計帳簿と申しますのは、これ以外の帳簿でございます。
○稲葉委員 商人商人と言うけれども、まだ小商人という名前は残っておるのでしょう、資本金は二千円でしたか。何でそんなものを残しておくのですか。支配人、番頭、手代というのがあるでしょう。でっちはなかったかな。二千円でまだ小商人とかなんとか商法の初めの方、総則に残っているでしょう。何でこんなものを残しておくのですか。
○稲葉説明員 商人一般について商号であるとか貸借対照表の規定を適用することが必ずしも適当でないということで、小商人という規定は残っておるわけでございます。 ただ、その二千円は、昭和十三年の商法中改正法律施行法の第三条でそういう規定があるわけで、小商人の定義としてそういう範囲を限定しているわけでございますが、今度はそれを一応物価にスライドさせるという意味で、資本金額五十万円というふうに上げております。
○稲葉委員 それは、上げるとすれば商法の総則で規定するのじゃないですか。どこにそれは書いてあるの。ぼくもよくわからぬな。
○稲葉説明員 この新旧対照表で申しますと百四十二ページでございます。そこで「新法第八条ノ小商人トハ」ということで、商法中改正法律施行法の中にその範囲についての規定が載っているわけでございます。そこで手当てをすればおのずからその小商人の範囲が変わる、こういう構造になっておるわけでございます。
○稲葉委員 わかりました。附則ですね、商法中改正法律施行法。そうすると、今度は「新法第八条ノ小商人トハ資本金額五十万円ニ満タザル商人ニシテ会社ニ非ザル者ヲ謂フ」。会社でない商人というのは、資本金がどうしてわかるんですか。
○稲葉説明員 ここで資本と申します概念は、貸借対照表で申しますと資産から負債を引いた金額、これがいわゆる元手ということになりまして、それが資本ということになるわけでございます。
○稲葉委員 だから、貸借対照表はやはり小商人もちゃんと出さなくてはいけないんですが、そんなものは出してはいないでしょう。そんなものと言っては悪いけれども、それはどうなっているのか。 五十万円未満の資本金のあれは、日本でどのくらいあるんだ。五十万円といったって、これはどこから出てきたの。
○稲葉説明員 要するに、資産を評価いたしましてそれから借金を引けばこの金額が出てくるということで、必ずしも貸借対照表をつくるということではございません。先ほど貸借対照表と申しましたのは言葉の走りでございまして、訂正させていただきます。 この小商人がどのくらいいるかということも、私ども余りはっきりいたしません。ただい昭和十三年ごろに資本金額二千円ということでございまして、それにつきましては、今回過料の額を上げたり、あるいは特別清算の場合に裁判所の許可を要しない金額を上げたりいろいろいたしまして、その場合に考えましたのは、昭和十三年当時の二千円をいまにおいても二千円のまま残しておくのはいかにも前近代的過ぎるということでございまして、大体物価にスライドさせていくとこのくらいではないかという、ある意味では目の子でございまして、必ずしも理論的にこれが唯一無二のものであるというような根拠はございません。
○稲葉委員 私も何も数学的に出せなんて、そんなことを言いませんよ。そんなこと言ったって、それは無理だ。そんなことよりも、問題はこういう条文を残しておかなければならない理由があるのですかということだな。削ったらいいじゃないですか。何か特別なあれが必要なんですか。
○元木説明員 少なくとも商人であるということになりますと、たとえば商業帳簿の規定については必ず守らなければいかぬということになるわけでございます。しかし、元手が五十万以下の商人ということになりますと、そこにまでこういうふうな商業帳簿、会計帳簿等の作成を義務づけるということはいかがかということでございます。
○稲葉委員 そうすると、それはどうやって調べるのですか。一々あなたのところの資本金は五十万円以上ですか五十万円以下ですかと法務省が聞いていくの。そんなことできないじゃないですか。
○元木説明員 これは実際問題といたしましては、商法の三十五条に「裁判所ハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ当事者ニ商業帳簿又ハ其ノ一部分ノ提出ヲ命ズルコトヲ得」というのがございます。こういうことで、実際に訴訟になったようなときにこういう提出義務が生ずるかどうかということの差になって出てくると思います。
○稲葉委員 それは訴訟になった場合、商業帳簿の提出義務がありますから、ちゃんと書いておかなければいけないでしょうけれどもね。 それから、支配人、番頭、手代というのはいつごろから日本では始まったのですか。日本法制史の研究だけれども、いつごろからこういうことが始まったの。でっちというのもあったね。小僧というのはない。でっちの方が上なのかな。これはどうなの。
○元木説明員 法制史的にはどうか私は存じませんけれども、商法で支配人と申しますのは、「営業ニ関スルー切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス」ということになっておりますので、そういう裁判であるとないとを問わず代理権限があるということに意味があろうかと存じます。 それから、番頭、手代という言葉でございますけれども、これは非常に古い言葉でいつごろからなったのかわかりません、でっちという言葉はここではないようでございますけれども。恐らく現代風に直せば部長とか課長とかそういうことになるのではなかろうか。つまり、一定の事項についての代理権限を有するということになろうかと思います。
○稲葉委員 支配人というのはいまでも使うかな。使わないことありませんけれどもね。マネージャーという言葉ですか。それと取締役とはどういうふうに違うの。日本の場合は兼ねている場合が非常に多いでしょう。ほとんど兼ねているのじゃないですか。だから取締役ばっかり一つの会社の中にいっぱいいるのじゃないですか。だから、取締役会なんて開いたって集まりゃしないんじゃないですか。八十人くらいいるところもあるでしょう。部長はみんな取締役にしてしまっているところもある。取締役がつくと偉そうな気分がするのでしょうね、別に大したことないと思いますが。 どうして日本の場合は取締役と支配人とが合致している場合が多いのですかということが一つ。それから、番頭とか手代というのはいまでも使ってないことはないと思うけれどもね。ときどきテレビに出てくるからね。テレビでは使っている。その権限というのは部長とか課長と言うけれども、平社員は何なんですか。でっち、小僧になってしまうのかな。でっち、小僧というのは差別用語だと言われるといけないから取り消します。いずれにしても、そんなことはどうでもいいから答えなくてもいいです。 それは別として、私が聞きたいのはこういうことなんです。計算・公開に関する改正試案で営業報告書を業務報告書と改称しようとしたことがあるということがいままでわかりましたね。この前参考人の河本さんですか鴻さんですか、両方の方もおっしゃいましたが、初めはその内容については法務省令で決めようとした。ところが、それを法律事項にしようとしたということがありましたね。お二人、言っておられたんですよ。ところが、どういうことか知りませんが、それが何かまた変わった、こういうことでしょう。そういうふうに言っておられたのですよ。だから、私はその点を聞きたいのです。初めは(注)か何かあったというのでしょう。(注)があって、その(注)がどういうものとどういうものであったか、それを法律事項にしようとした。それを今度はまた法務省令にしてしまったということですね。その経過をお聞かせ願いたい、こう思うのです。
○元木説明員 営業報告書、当時業務報告書という名前にいたしておりましたけれども、営業報告書の記載内容を法務省令で定めるということにつきましては、最初から案として商法部会の審議の中で出ていたわけでございます。その過程におきまして、確かにこれは法律で決めるべきではないかという議論もあったわけでございます。ただ、そのときに、多数の意見といたしましては、営業報告書あるいは業務報告書というようなものは会社の営業の状況を文字で記載するものである。そういたしますと、必ずしも定型的なものには限らない、ことに何を開示してほしいかということは時代の要請によってずいぶん変わってくるのじゃないか、そうした場合に法律で決めておりますと、それが硬直化してしまって時代のニーズに必ずしも応ずるものにならないのじゃないかということで、法務省令で書くということに大体決まったわけでございます。したがいまして、計算・公開試案におきましては、「業務報告書には、法務省令で定めるところにより、会社の業務の状況に関する重要な事項を記載しなければならない。」といたしまして、その次に(注)といたしまして、「業務報告書の記載事項を次のように定めることはどうか。」ということにいたしたわけでございます。
○稲葉委員 だから、それを説明してくださいと言っているのです、内容を。
○元木説明員 内容といたしましては、「貸借対照表及び損益計算書の作成につき採用した重要な会計方針」それから、子会社の数等々つまり子会社情報でございます。それから、大株主及びその持ち株数等々で……(稲葉委員「だめだよ、省略しては。省略しないで全部読んでください」と呼ぶ)「子会社の数、総資産及び総資本、子会社の総資本において会社の有する割合並びに子会社の営業による収入及び利益又は損失の総額(子会社以外の会社との資本提携等の状況を記載するものとするかどうかは、なお検討する。)」それから「大株主及びその持株数並びに大株主が株式会社である場合には、会社がその計算において取得している当該株式会社の株式の数」「過去三年の営業成績の比較」「決算期後に生じた会社の業務に関する重要な事実」「役員の数及び報酬の総額(使用人としての給与は、別記する。)」「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与(反対給与に比し著しく過大な給付を含む。)の総額」「会社の業務の状況及び将来の見通しについての検討の結果」「その他会社の業務に関する重要な事項」というのが(注)として挙げられていたわけでございます。これは検討事項として挙げるということでございます。
○稲葉委員 そこで非常に問題になってまいりますのは、いま私が聞いたのは、この前、鴻さんも河本さんもこれは法律に決めようとしたというようなことを言っておられましたね。ここが非常に重要なんですよ。その中で重要なのは、これから決めるけれども、そのときに、当時業務報告書ですが、記載事項を定款または総会の決議で定めることができるものとするかどうかは提案していたらしいんですが、これはどうなったんですか。
○元木説明員 実はこれは非常に特殊な例を考えていたわけでございまして、それぞれの会社によって特に開示を必要とするものがあるのではないかということでございます。たとえば非常に特殊な原料を使っている、そうした場合に、その原料の値段の高下が営業成績に非常に響くというようなことでありますと、そういう場合には、総会の決議でこういうものを営業報告書に記載してほしいというような場合が出てくるわけでございます。したがいまして、そういうものを定めることができるようにすることはいかがであろうかということでございます。
○稲葉委員 そこで、そういう案があったことはあったのですか。それはあなた方の方が出したのですか。
○元木説明員 私どもの方で出したわけでございます。
○稲葉委員 出したからには、それだけの根拠があって出したわけでしょう。ただやみくもにいいかげんに出して、それが否決されることを覚悟して出したわけじゃないでしょう。
○元木説明員 試案をお出ししました私どもの立場といたしましては、むしろ試案というものはたたき台であるということで出したわけでございます。したがいまして、ことにこの本文で書いてあるところにつきましては商法部会でかなりコンクリートに審議をした結果が出ているわけでございますけれども、さらにこの(注)で出ております事項につきましては、必ずしも商法部会での一致した意見とかなんとかということではございませんで、もしかしたらそういうものについてどんな意見が出てくるだろうか、もちろん賛成意見が非常に多ければそれをさらに審議の対象にするということで、言ってみればたたき台の上のさらにたたき台というようなことで出している性質のものでございます。
○稲葉委員 それは試案ですから、たたき台だということは私もわかりますから、試案がそのままコンクリートなものだとして質問しているわけではありません。 それからもう一つの問題は、いま言った幾つかの問題の中に、たとえば企業の社会的責任に関する事項までも含まれておったのですね。具体的な記載事項としてあなたの方が出したのは九項目ですね。この中に、企業の営業そのものとは必ずしも関係ないけれども、企業の社会的責任に関するものが含まれていますね。それはどれとどれでしょうか。
○元木説明員 これをお出ししました立場から申しますと、ディスクロージャーということ自体が企業が社会的責任を果たすというために出したということになろうかと思われますけれども、特に企業の社会的責任というようなことになりますと、たとえば無償供与の問題であるとかそういうことになろうかと思います。
○稲葉委員 「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与」、それから「その他会社の業務に関する重要な事項」、これも入ると見ていいですね。その中に入る場合もある、こういうことでしょう。 そこでお尋ねしたいのは、「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与」ということは、一体何を指しておられるのかということですね。これが問題になってくるのではないですか。一つの問題として出てくるのは、政治献金の問題とそれから総会屋に対する供与、その他もあると思いますけれども、それが大きな問題として出てくるのではないですか。政治献金ないしは寄付、それと総会屋に対する供与、そうじゃないですか。
○元木説明員 実は、無償の供与をここに挙げました直接の目的は、総会屋対策ということで挙げたわけでございます。果たしてこのような一般的な書き方がいいかどうかは別といたしまして、一般的に書くということになりますと、あらゆる無償供与ということで、寄付も政治献金も入ってくるということになろうかと存じます。
○稲葉委員 政治献金の事件で有名な判決、大分古い判決で新日鉄か何かの判決がありましたね。四十五年の最高裁の判決、これを見ると、これは取締役会で寄付をしたのでしたかな、それが会社の業務の範囲内であるかのような書き方、必ずしもはっきりいたしてませんけれども、あの書き方は。それで取締役の忠実義務の問題に問題を持っていっているわけでしょう。だから本来は——あの場合、会社の政治献金というのは会社の営業の範囲内に入っているという見方をしているわけですか。あの判決は、実際は違うのだ、だけれども、それを違法だと言うと非常に混乱が起きるからというので、最高裁がいわばあの事実を救った判決だと私は見ているのですがね。 あの判決についてはこの次に詳しく聞きますから、あの判決をあなたの方でも資料をそろえておいてください。これは問題の判決ですよ。この場合に取締役会なり取締役だけで寄付ができるかどうか、株主総会なり何なりの承認を得なければできないのかどうかという点が今後の大きな問題になってきているわけです。一部の大学教授は、取締役会の承認が要るんだということを言っているわけです。これは国民に対する、何といいますかな、どういう言葉で言ったらいいのか、義務の履行というのか何とか、いろいろな言葉で挙げて株主総会の承認が要るということを言ってますからね。この点についてはこの次にお伺いしたい、こういうふうに思うのです。
○中島(一)政府委員 関連事項として一応その判決も準備してまいりましたので、ここでお答えをさせていただきます。 論点が三つ、四つあったようでございます。判決の日付は、先ほどもおっしゃいましたように昭和四十五年六月二十四日の最高裁判所の大法廷判決でございます。 論点の第一は、政治資金の寄付と会社の権利能力ということが問題になったようでございますが、その点につきまして最高裁判所の判決は、これは要旨でございますけれども、会社による政治資金の寄付は、客観的、抽象的に観察をして会社の社会的役割りを果たすためになされたものと認められる限り、会社の権利能力の範囲に属する行為であるということを申しております。 論点の二つ目といたしまして、会社の政党に対する政治資金の寄付と憲法第三章ということが問題になったようでございますが、この点に関する判決要旨といたしましては、憲法三章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用されるものであるから、会社は公共の福祉に反しない限り、政治的行為の自由の一環として政党に対する政治資金の寄付の自由を有するということになっております。 第三といたしまして、商法二百五十四条ノ二の趣旨ということで判決要旨が出ておりますが、この点は商法二百五十四条ノ二の規定は、同法二百五十四条三項、民法六百四十四条に定める善管義務、善良な管理者の注意義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の高度な義務を規定したものではないというふうに申しております。 第四点といたしまして、取締役が会社を代表して政治資金を寄付する場合と取締役の忠実義務ということが問題になったわけでありますが、この点についての判決要旨といたしましては、取締役が会社を代表して政治資金を寄付することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方など諸般の事情を考慮して合理的な範囲内においてなされる限り、取締役の忠実義務に違反するものではないということになっております。
○稲葉委員 その判決は大法廷の判決ですけれども、いわゆる救った判決だというふうに私は考えるのです。しかし、これは理解の仕方の問題ですからここで論議すべき問題でもないし、最高裁の大法廷の判決を国会で批判するのもいかがかと思いますけれども、私はそういう感じを持つのです。結論的に言うと、取締役の忠実、義務の問題で、分を越えた場合には違法になるということを裏の解釈として認めているということになるのではないですか。
○中島(一)政府委員 限度があるわけでありまして、その限度を超えたときには問題になるという趣旨であろうかと思います。
○稲葉委員 だから、その限度ということについては一体どういうふうに見ておるわけですか。それは何も数学的に限度が決まるわけではないでしょう。限度を超えた場合に問題になるというのですが、問題というのはどういう意味ですか。
○中島(一)政府委員 何分にも具体的な事件についての判断でありますから、一般的な基準というわけにもまいりませんが、この事件の場合は、一般的抽象的に申し上げますと、会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位ということが問題になっておるわけでありまして、この事件の具体的な事案といたしましては、寄付金額は三百五十万であったかというふうに記憶いたしております。三十五年当時の旧八幡製鉄でありますから、資本金は数十億あるいは数百億であったかと思います。そして売り上げ金も年間数十億、利益配当金も億単位の金であったかと思います。そういうような規模、売り上げ等と比較して、この三百五十万という金額が限度以内であるという判断のものであると理解しております。
○稲葉委員 いまの政治献金の問題は、また次に質問します。 いま私の述べた法務省令に定める事項として、「会社が無償でした金銭、物品その他財産上の利益の供与」ということを法務省令に定めれば、どこへ幾ら寄付したかということを書かなければいけないのではないですか。
○中島(一)政府委員 先ほど元木参事官から申し上げました試案における(注)の(g)によりますと、「財産上の利益の供与の総額」ということになっておるわけでございまして、この文面から申しましても個々のものは含まれないというふうに解するわけであります。この試案という形で提示をいたしまして各界の御意見を伺ったわけでありますけれども、総額の記載だけでは意味はない、それから、こういったものを一つ一つ抜き出して総額を計算するということは非常にコストの面で大変である、その反面、ただいま申しましたように総額ということでは大した意味もないということで、これを書くということについてはむしろ消極的な意見が多かったというふうに理解をしております。 私どもは、こういう形で各界の御意見を聞いておりますので、そういう意見も参考にし、今後、法務省令を定めます場合には、法制審議会の御意見も伺うというお約束もいたしておりますので、その上で、今回の法改正の趣旨を踏まえて法務省令を作成するということを考えておりますが、現在のところ、まだその内容は決まっていないというのが実情でございます。
○稲葉委員 私は、それが不満なんですよ。今度の商法の改正で一番大きな点はこの点ですよ。いま一番大事なこの内容を法務省令に譲ったということが、一番大きな問題だと私は思っておるのです。私の記憶では、たしか途中どこかで法律になるということが発表されたと思いますよ。そうしたら、経団連や何かから猛然と反対が起きて、そしてこれが削られて元の省令に入ってしまったというふうに私は記憶しておるのです。会社が無償でした金銭とか物品、そういう財産上の利益の供与を書かないでおいて、そして総会屋や政治献金の妥当とかなんとかいうことを、われわれが国民に明らかにすることなんかできないですよ。 だから私は、法務省令の内容が明らかにならない限り、この点は法務大臣に来てもらいますけれども、約束をしてもらわない限り、本法案については上げるべきではないという考え方を持っているのです。これが一番大事なところですよ。これをごまかしてしまった。だから、大学教授二人は、法制審議会の委員ですが、わざわざこの点が残念だという意味のことをはっきり言っていたじゃないですか。どうも私には理解できないです。これはどこかからクレームがついたのです。これの主なものでも書けば、日本の会社も非常にクリアになるし、日本の政治もクリアになるのですよ。いまの日本の段階においてはこれをやれない、ここに問題があるのですよ。これは今度法務大臣が来たときに聞きますからね。 経団連からの反対だということは私の記憶で、間違いかもわかりませんがね。たしかこれが法律事項になるということは出たことがあるのですよ。それで反対が起きたことは事実です。そんなことをやられてはかなわぬ、一々そんな企業秘密の政治献金の内容まで明らかにされたのではできっこないといってがんばったのですね。それで、いまの私の質問に対してお答えするのは自由です。 もう一つお聞きしたいのは、アメリカにおきましては、州によっては政治献金が禁止されておるところが相当あるのじゃないですか。その点どうですか。
○中島(一)政府委員 まず、前段の点について私からお答えをさせていただきますけれども、私も審議の経過をその席にいて全部知悉しておるというわけでもございませんが、いろいろな印刷物を見、話を聞いたところによりますと、これを法務省令で決めるということは、試案の段階から終始一貫変わらなかったというふうに承知をいたしております。ただ、ある時期において、若干の委員の方からそういう御意見があったのかもしれません。あったとしてもそういうことであろうかというふうに考えるわけでございます。 それから、総会屋に対する措置としてこういうものがなければ不十分じゃないかということでございますけれども、現在法制審議会の委員の方の御意見などを聞いてみましても、その方々のお考えとして私どもが承知いたしておりますのは、こういう生の形で総額を書くということよりも、むしろ監査役の監査というものがあるのだから、その監査役の監査を通した上で、監査役の意見を付して問題になるもの、不適正なものについて監査報告書に書かせる方が実効があるのじゃないかというような御意見もあるようでございます。そういうものも含めて参酌をいたしまして法務省令を決めたいというふうに考えております。
○稲葉委員 あなたの意見を聞いていると、これを書くことについては法務省としては非常に消極的ですね。むしろこれは書きたくないというような意見だな。これはどこかからクレームがついている。私にはちょっと理解できないな。これを明らかにすることによって、初めて総会屋の問題だとか政治献金の是非がわかるんですよ。これはあたりまえじゃないですか。どこの総会屋という名前は出さないにしても、何々に幾ら出したとか、それが営業報告に出てきて初めて株主は、じゃ、われわれの出した金は、われわれの株券は——われわれの会社ということですよ。アメリカの株主総会で社長は何と言ってあいさつするかといえば、ユアカンパニーと言っているのですよ。あなた方の会社というふうにまず第一にあいさつするわけでしょう。日本では全くわけがわからぬあいさつでしょう。これが抜けるというようなことについては絶対承服できないですね。これがなければディスクロージャーは意味がない。後のところなんか全然意味がないですよ。 だから、大学教授が二人来て、私が質問したときに、その点を二人とも言われたのですよ。しかも、それは残念だという意味で言われたでしょうが。聞きもしないのにと言うとおかしいけれども、初め(注)だったものを途中で法律事項にしようという考え方が出てきた、これが全部出てきたかどうかは別ですよ。それがまたいろいろな反対や何かあって前へ戻っちゃったということを、二人のお方言われたでしょう。これは議事録を見ればわかりますよ、私ははっきり記憶していますから。その点も書いてあるのですからね。そこがポイントなんです。これは残念だという意味でお二人とも言われていたのですよ。それがやられないというところは、これはもう日本の会社というものは、いつまでたったって国民のものにならないですよ。 これは政治家の食い物というと語弊があるけれども、政治家と総会屋の食い物ですよ。会社では金を封筒に包んで用意しているのですから。もらいに行くのは国会議員と総会屋ですから、みっともなくてしようがないですよ。ぼくらは行ったことありませんけれども、話を聞くと。こんなみっともないことないですよ、国会議員が。ここにいる人はそんなことありませんよ。本当にみっともないですね。笑っているんだからとにかく。今度は総会屋で記載することになったでしょう。こういう法律できましたね。できたので会社の総務部長が何と言っているかというと、共同通信か何かの新聞に出ていたですが、議員さんは自分の首を絞められるのを知らないのですかねと言って笑っているというんだから。政治献金の枠が会社にあるでしょう、それを政治家と総会屋とで奪い合いでしょうが。考えられるでしょう。会社では議員さんはそこまで気がつかないのかねと言って笑っているというんだから。ここが問題だと私は思うのですよ。 これを法務省令でなくてちゃんと法律にするとか、あるいは法務省令でもこの点はきちっとするとか、これは大臣として約束しなければいかぬと私は思いますよ。この次改めて大臣に聞きますから。それでなければ意味ないですよ。今度の目玉はここですよ。これを削っちゃったことですよ。削っちゃったのじゃなくて、力関係で削れちゃったのですよ。そういうふうに考えざるを得ないんじゃないですか。 いま私は、またもう一つ聞きましたね。アメリカでは州によって会社の政治献金を禁止しているというところがあるじゃないかと聞きましたね。どうですか、その答えは。
○元木説明員 州によりまして、ニューヨークなどは禁止しているようでございますが、ただ、連邦法でもそういう法律がございますけれども、これは連邦法の場合立法権限の問題がありまして、何か限定があるのではなかろうかと思っております。
○稲葉委員 それじゃ、あなたの方で、アメリカの州それから連邦法で会社の政治献金を禁止している法律があるのですから、それを調べてこの次までに出してください。 それから、イギリスもそうでしょう。アメリカだけじゃないです。イギリスもそうですよ。イギリスの方、どうなっていますか。
○稲葉説明員 イギリスでは会社による政治献金は禁止されておりませんが、ただ、取締役報告書で開示するということにはなっております。
○中島(一)政府委員 今回の商法改正法案の基本的な立場といたしまして、ディスクロージャーの強化というものが一つあるわけでありますけれども、それも重点はあくまでも総会屋の排除というところにあったというふうに理解をしておるわけでありまして、その総会屋の排除をするための利益の供与の禁止というものを実効あらしめるために、この(g)のような項目が問題になってきたというふうに理解をしておるわけでございます。 (g)という項目は、先ほども申し上げましたように利益の供与の総額ということになっておるわけでございますから、総額では余り意味がない。具体的な事実関係は業務報告書、営業報告書を見てもわからないわけでありますから、これを法律事項にしろという御意見があったとしても、これは先ほど申しましたように一、二のそういう御意見があったかと思うわけでありまして、むしろこれではコストばかりかかってこういうものを開示することに意味がないのじゃないかという反対意見の方が強かったということの方が、この(g)という表現自身から真相に近いものではなかろうかというふうに私は考えるわけでありまして、むしろそれよりは、総額といったようなことではなくて、先ほどから問題になっておりますように、総会屋に対する無償供与の禁止その他監査上問題となるようなそういう支出を監査役の監査を通して開示させるということの方が、制度本来の趣旨に合致するのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉委員 それも一つの考え方ですが、それに対する反論はこの次します。 いまイギリスの例を挙げましたね。イギリスの場合はもちろん禁止ではありません。私が禁止と言ったのは、ちょっと言い違いです。金額の制限がありますね。ある程度以上のものについては開示しなければなりませんね。五十ポンドでしょう。五十ポンドというのは、いまの日本の金に直すと幾らぐらいですか。
○元木説明員 大体二万五千円から三万円の間だと思います。
○稲葉委員 イギリスでは、一九六七年会社法十九条でしょう。「政治的目的の寄付については、「(a)五〇ポンドを超えて政治的目的で金銭が与えられた者の名前 (b)五〇ポンドを超える金銭がある政党に対する贈与若しくは寄付の方法で与えられたときは、その政党の名称および与えられた金銭の額」を開示させることにしている。この開示が、実際上、会社の政治献金に対し抑制的効果を与えることは明らかであろう。」こう言われているのですが、この法律は現在一体どうなっているのかね。サッチャー内閣になってその後どういうふうになったのかよくわかりませんよ、率直な話。こういう学者の言っていることは、その後の新しいことなんかわかりませんから、名目的なことだけしか言っていないからわかりませんがね。 イギリスでは、五十ポンド以上はもうこういう状況になってきているわけです。アメリカでは、各州の場合全部じゃないけれども、それから連邦でも禁止しているとなっているのですから、これは条文なり何なりをこの次までに出してください。このくらいの英語なら読めるから出してください。あなたの方だってわかるでしょう。それと、実際にどう行われているかということは、わからなければわからないでいいですよ、しようがないからね。このとおり行われているかどうかは私もよくわかりません、率直な話。いずれにしてもこういうふうにしておるのですね。 そこで、いまあなたの方では総会屋対策だ総会屋対策だと言われましたね。それでは、この前の法律の改正のときに総会屋対策をやりましたね。不正の請託を受けたというところでやったときの改正があるでしょう。あれは初めから商法に出ていたんだっけ。いつごろ入ったんでしたっけ。
○元木説明員 昭和十三年の改正だったかと思います。
○稲葉委員 昭和十三年の改正で「不正ノ請託」云々が入っていましたね、戦争中というかね。それで今度初めて「不正」を削るのですか。そういうことですね。どういうふうになりましたっけ。
○元木説明員 現行の四百九十四条はそのままに残しております。そして、新たに四百九十七条というものをつくりまして、ここにおいて総会屋対策と申しますか、「取締役、監査役又ハ株式会社ノ第二百五十八条第二項、第二百七十条第一項若ハ第二百八十条ノ職務代行者若ハ支配人其ノ他ノ使用人株主ノ権利ノ行使ニ関シ会計ノ計算ニ於テ財産上ノ利益ヲ人ニ供与シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス」、こういうふうにいたして新しく条文を設けたわけでございます。
○稲葉委員 これは刑事局長に聞いたらよかったのですが、呼んでありませんけれども、いままで不正な請託ということで総会屋が処分されたことが一体あるのですか、ないのですか。まあ一件だけありますね。
○稲葉説明員 先生御指摘のとおり、非常に有名な東洋電機のカラーテレビ事件というのがございまして、カラーテレビを発明したということで株価操作をやったというような事件がございます。これの隠蔽を図るために株主総会で総会屋を使って議事をうまく乗り切ろうとした事件で、有罪判決が出ております。
○稲葉委員 総会屋対策というのは、いままでこの条文があっても、昭和十三年にできてから一件しかないのですよ。著名な事件だったから、恐らくこれはほかの恐喝とか一般普通犯罪でやれなかったからここへ持っていったんだろうと思いますがね。すると、いま総会屋対策総会屋対策と言うけれども、じゃ、新しい条文をつくってどうして総会屋が退治できるのですか。ちょっと条文に即して説明を願いたいと思うのですが、四百九十四条の一項のところですね。
○稲葉説明員 四百九十四条という規定でございますと、先生御指摘のとおり、「不正ノ請託」があるということが要件になるわけでございます。「不正ノ請託」という場合の「不正」というものが一体何かということで非常に問題になるわけでございまして、先ほどの東洋電機の事件のように何か後ろ暗いことをしていて隠すということではなくて、単に、ただ三分なり五分なりで審議をやめてほしいということのために金を出すというのは、必ずしも「不正」には当たらないということで、いままでこれが実効が上がらなかったということになるわけでございます。 しかしながら、今度の四百九十七条という規定になりますと、これは主体として取締役、監査役あるいは取締役の代行者あるいは監査役の職務代行者、さらには支配人その他の使用人というもの、つまり会社関係者すべてを主体にいたしまして、かつ、それが株主の権利の行使に関して会社の金を使ったということになれば、すべてこれはこの条文に該当することになるわけでございまして、その場合に「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」という限定がついておりますが、これはいま申しましたように株主総会をうまく運営するという趣旨で金を出せば、これはすべてこれに該当するということでございますので、非常に広範に、少なくとも会社の金でそういう総会屋対策をやるという限りにおいては、すべてこれでカバーができるということになるはずでございます。
○稲葉委員 どこの世界に私は総会屋対策やりますよ、会社の金を出しましたよということを帳簿に書いておく人がいますか。そういうことを株主総会でしゃべる人がどこかにいますか。いたらちょっと説明してください、そういう人の顔を見たいから。そんな人いないですよ。どうやってこれ発見するのですかと聞いている。だからディスクロージャーが必要になるんじゃないですかと私は言っているわけですよ。前の(g)項が必要になるんじゃないですかと聞いている。私は会社のために株主の権利の行使に関して金を出しましたと言う人が、一体どこの世界にいますか。そんなことを言っていたのではだめよ。 この前、神戸の河本さんがこれ目玉だと言うから、私はそんなことありませんよ、河本さんには悪いけれども、学者というのは世間のことよく知らないなと思って聞いていたのですよね。世間のことを一番よく知っているのは政治家よ、どろ水飲んでいるから。清い水もどろ水もいろんな水を飲んでいるから、いろいろなことをよく知っているんだ。そんなことはありませんよ、こんなものは。こんな条文つくったって全然だめ。いまのディスクロージャーがはっきりしていなければだめですよ。これ全然意味がありません。どうやってわかります。どうやってつかまえるのですか、これ。
○稲葉説明員 もちろんディスクローズで監査報告書に記載させるということに、仮に局長が先ほど申し上げましたようになるとすれば、監査役としてはすべてこういう支出についてチェックをするということになるわけでございます。また一般的に考えまして、総会でいわゆる与党派の総会屋というのが出てきて議事運営に協力しているということがありましたら、それだけでもその捜査の端緒にはなるわけでございまして、それを名前を特定して会社側に対して、これはむしろ会社が悪いという思想でできておりますので、そちらの方から締め上げる、言葉は非常に悪うございますが、そういう方法もいろいろ考えられるわけでございまして、この犯罪は、先生、検察官の御経験がございますので十分あれでございますけれども、対向犯でございまして、互いに被害者がないという意味の犯罪あるいは選挙違反とか贈収賄とかそういうのに近い犯罪でございますが、それを捜査するというのはいろいろむずかしい問題があることはあるわけでございますが、そういうふうに外形上、株主総会へ出てきて会社のためにいろいろ行動するということ自体が非常に大きな徴憑になるわけでございまして、そういう意味からもチェックができるし、それは十分捜査の端緒になり得るのではないかというふうに私どもは考えております。
○稲葉委員 あなたのお話を聞いていますと、上場会社幾つあるか忘れましたが、千幾つあるのかな、株主総会へ法務省の役人が毎日そこへ行って、最後まで見ておるのですか。そういうことをするの。そういうことをしなければわからないじゃないですか。総会屋らしき者が行って、議事に協力して早く上げろ早く上げろというようなことでやったとかなんとかということから推定すると言うなら、法務省の役人が行くのか警察官が行くのか知らぬけれども、株主総会へ行って初めから終わりまで座って議事録でもつけていなければわからないじゃないですか。そんなことはできっこないですよ。警察国家になってしまいますから、そんなことまでやるべき筋合いのものでないかもわからぬ。 それからまた、監査役が報告書に書けばと言っても、それはあたりまえの話だ。監査役が書けばそれはわかるけれども、監査役がそんなこと書きっこないじゃないですか。どうして監査役にわかるのですか。どうして監査役にそんなこと言いますか。監査役がどうやってそれを見つけるのですか。そんなのはだめですよ。形の上だけ、文章の上だけでこれは百点です。優等生の試験の答案みたいなもの、実際は零点、内容は何もなし、こういうのが世の中には多いですよ。法律というものはそういうものだからしようがないですよ。 これを確実にやるなんて言ったら、日本じゅう警察官でいっぱいになってしまいますから、そんなことはできません。それは無理よ。株主総会へ行って総会屋があれしていたからそこから犯罪があったと推定するなんて、推定なんというのは法律的に刑法で使う言葉じゃないですよ。そんなことを言ったら大変なことになる。人権じゅうりんになってしまうから、そんなことはできません。これはできないです。 そこで、この前申し上げましたように、総会屋はいま形を変えておるのです。いまは政治結社をどんどんつくっていますよ。この次、自治省を呼びますが、総会屋は二十幾つ政治結社をつくったんですよ。政治結社をつくって、政治献金をもらいに行くのですよ。政治結社は政治献金もらえるわけですから。政治献金は犯罪じゃないでしょうが。政治献金をもらえるのだから、その政治献金をもらって、それをどうして条文と関係があるというふうに認識するのですか。それで捜査をするのですか。一々そんなことはできないじゃないですか。気持ちとしてはよくわかりますけれども、こんな条文をつくっても何の意味もないということです。 河本先生はこれが今度の改正の目玉だと言うから、ぼくは、失礼だけれども、それは実態を知らないのだ、法律が十歩先に行けば総会屋は二十歩先に行くのです。とにかくそういうものなんですよ。これは形は目玉ではありません。実際は何も意味をなさない。だからディスクロージャーというものと相まって初めて総会屋対策ができるのだ。ディスクロージャーというものは、前言った営業報告書の(g)項というものに、会社はどこへいつ金をやったかということを全部明らかにしなければだめです。それでなければだめだ、こういうふうに私は思うのです。ところが、法律としてはこれ以外にないのです。法律としては、率直に言ってこれ以外の書き方はありませんよ。ないよりましだと言うけれども、その程度のものでしょう。だから、総会屋がこれを見て、これは調子が悪いのだというので、いまどんどん転換しておるのですよ。この次、警察なり何なり呼んで聞いてみますから、これは事実ですからね。それはそれなんです。 そこでまた問題は、総会屋というのはアメリカにはないのです。外国にはない。日本だけですよ。一体どうしてこういう現象なんでしょうか。私にはわからないのですよ。これは私は、一つは株主が悪いと思う。株主が、いわゆる共益権と自益権の問題があるでしょう。自益権だけの問題ですよ。共益権なんかどうだっていいという考え方でしょう。利益配当の請求権だけあればいいということでしょう。そういう考え方です。第一、行きはしないですよ。 私は株を持ってませんが、私の家内の名前で株を持っています。株なんかよくわからないから、証券会社から買えと言われたものをそのまま買ってしまって、みんな損してしまっている。本当にあの証券会社というのは悪くて、今度はこの株がいいですよと言うから、こっちはわけがわからないから、それをお願いしますよと言ってそれを買うと、みんな値段が下がってしまってえらい損してしまった。文句を言おうとしたら、こっちの注意義務が足らないのだからどうにもしようがない。それはそうだ。こっちの方が悪いのだからどうしようもない。株なんか買うものじゃないと思っているのですが、そういうことで本当になかなかむずかしいですね。いろいろな問題がありますが、これでは総会屋の問題は解決しないと私は思っています。また警察などを呼んでよく聞いてみたいと思っております。 そこで前に戻ると、政治献金の問題でも、なぜアメリカでは政治献金を禁止しているのか、イギリスでは五十ポンド以上のものを禁止したりあるいは開示させているのか。それと日本との違いです。この次自治省を呼びますから、いまのアメリカの法律、イギリスの法律は法務省の責任において集めておいてください。英語でいいです、その程度の英語はわかるから。どうですか。はっきり言ってください。
○元木説明員 アメリカ及びイギリスの法律については調査いたします。
○稲葉委員 いや、調査じゃないですよ。この次の質問までに集めておいてくれというのです。十五日に質問しますから、それまでに集めておいてください。(「十二日だ」と呼ぶ者あり)いずれにしても、とにかく集めておいてください。いいですか。どうもやっているうちにちゃちゃが入っていかぬ。本当にもっとまじめにやらなければだめだよ。 そこで私がお聞きしたいのは、共益権と自益権というものがありますね。これに対する理解の仕方。私の疑問に思うのは、株主がなぜ共益権と自益権を分けなければいけないのか、ここら辺はどういうふうにお考えですか。何も分けなくてもいいのではないですか。
○元木説明員 共益権と自益権の考え方につきましては、大まかに言って三つぐらいの学説に分けられるのではなかろうかと思います。まず第一は、共益権と自益権とは一心同体のものであって分けることはできないというような考え方があるわけでございます。これに対して、大方の学説は、共益権はいわゆる会社のために権利を行使するということになっておりますし、またその結果としてあらわれるものは主として多数決によって行われるということでございまして、必ずしもそれが個人的な利益とは直結しないと申しますか、そういう点で自益権、つまり利益配当請求権とは多少性質が違うのではないかということで、その性質から見て分けるという考え方。それから、自益権については十分な権利性は認めますけれども、共益権については、これは権利といってよいかどうか、非常に特殊なものであるということでこれを峻別するというような三つの分け方があるのではなかろうかと思われます。 いずれにいたしましても、今回の改正法律案の立場でございますけれども、自益権と共益権を全く同一視することは困難なのではないか。ことに共益権で、たとえば議決権ということになりますと、これは多数決でございまして、個々の株主、たとえば一株の株主がいかにその権利を行使したからといって、直ちにその結果が実現できるものでもないわけでございます。それに対しまして自益権、特に具体化した利益配当請求権であるとか残余財産分配請求権であるとか、これは権利者が自分で放棄するということでない限り、必ず確保しなければいかぬ権利ということになるのではなかろうかと思います。
○稲葉委員 そこで私が聞きたいのは、共益権というもの、議決権ですね。一株一議決というのが一応原則になっていますね。そうすると、株主平等の原則といったって、ちっとも株主平等の原則ではない。言葉のあやであって、株式平等の原則ですね。そこで数株について一つの議決権を与えるという制度が、ドイツですかどこでしたか、そういう制度がだんだん生まれつつありますね。日本ではありません。ちょっとど忘れしましたが、ドイツかどこかでそういう制度がすでにあらわれていますね。一株一議決権というのではなくて、数株を持っていて一議決権を与えようということ、そういう制度があらわれているのではないですか。
○元木説明員 ちょっとそういう法制は、まだ勉強しておりません。
○稲葉委員 それはあるのです。 もう一つ問題になってまいりますのは、少数株主権の保護ということ、これは大きな問題だと私は思うのです。今度の改正法なり商法の中で、少数株主権という言葉はどこかに使ってありますか。
○元木説明員 少数株主権という言葉は学問上の言葉でございまして、法律では使っていなかったと思います。
○稲葉委員 そんなことはない。一カ所使ってあるよ。よく調べてごらんなさい。この法律案関係資料の中に使ってありますね。条文に使ってあるんだったかな。きのう見たんだが、どこか後の方にありますよ。きょうでなくていいですから、よく調べてください。 そこで、少数株主権の保護ということに対してどういうふうに今度の法案では取り扱われていますか。株主平等の原則ということが株式会社の基本原則として言われていますね。これもまた言葉のあやでちょっとおかしいと思うが、株式会社の性質から見て、多数決の原理が一方にありながら、一方において株主平等の原則があるのもちょっとおかしいというか、あれだと思うのです。そこで私の聞くのは、少数株主の保護というのが今度の法律の中ではどういうふうに規定されているか、改正案の中で使われているかということです。
○元木説明員 いま直接少数株主の保護を目的にするということではないわけでございますけれども、たとえば株主総会における提案権の行使あるいは説明義務等におきましては、単位株制度をとるとかいう問題はございますけれども、個々の株主がそれぞれ総会において相当の権利を行使できるのではないかと思います。それからまた、大会社につきましては、株主の数が千人以上の大会社でございますけれども、それにつきましては参考書類とともに書面投票用紙も送ることにいたしまして、少数といいますか、持ち株数の少ない株主が容易に議決権を行使することができるようにという手当てをいたしております。
○稲葉委員 その点についてこれからお聞きいたしますけれども、あなたの方の条文の中で確かにありますね。百分の一かあるいは三百株以上ですか、そういうのがありますね。それについてなぜ三百株にしたとかなんとかいう理由は、法律案関係資料の中にどこかに説明してありますか。三百株にしたとかあるいは百分の一以上とかなんとかということの、その数字の理由ですよ。数字に対する理由はこの関係資料の中にありますか。
○元木説明員 説明資料の中には、数字に関する理由はございません。
○稲葉委員 説明はありますよ。説明があったって、初めの何というか要綱——要綱と逐条説明とは全く同じようなことを書いているのじゃないですか。これはちっとも説明でも何でもないじゃないですか。ただ厚くするために書いたようなものじゃないか。こういうものを行政改革やらなければだめなんだよ。あなた、書いてないじゃないですか。なぜ百分の一にしたか、なぜ三百株以上の株式を有する株主は提案権があるかということについて、三百株とはどういう根拠で出てきたのか、百分の一というのはどういう根拠で出てきたのかということを、なぜ説明に書かないのですか。それが説明のポイントでしょう。ただこういうふうにつくったと言ったって、そんなものは説明でも何でもないでしょう。だめだな、そういう不親切なというか、いけませんよ、そういう書き方では。だから、私が聞いているのは、なぜ百分の一にしたのか、なぜ三百株以上の株式を有する株主に株主の提案権を認めたのか、なぜ三百株という数字が出てきたのか、なぜ百分の一という数字が出てきたのか、それを聞くわけですよ。
○稲葉説明員 これは数字のことでございますので、これでどうならなければならないという根拠は、私どもも算数のようには出しておりませんが、現在の少数株主権は多く百分の三または十分の一という形になっているわけでございます。しかしながら、今回認めました提案権のようなものにつきましては、百分の三というのはいささか要件としては重いのではないかということでございまして、それを考慮いたしますと、まあ百分の一ぐらいが数字的に申しますといいのではないかというふうに考えたわけでございます。 ただ、百分の一ということになりますと、非常に大きな会社、たとえば先ほど先生お挙げになりました新日鉄あるいは東京電力というような会社で百分の一の持ち株を持とうというと、これは大層な金が要るわけでございまして、そういう会社につきましては百分の一だけではどうもおかしいのではないか、少数株主の保護には十分ではないのではないかというふうに考えたわけでございます。そこで、絶対要件、これは今度の全く新しい、いままで商法では例を見ない要件でございますが、絶対数の要件というものを入れまして、三百株以上の株式を有する株主についても提案権を認めるということにしたわけでございます。 その三百株にした理由は、実は試案ではこれは百株になっておりましたが、これにつきまして意見を求めましたところ、百株という株数では乱用の危険が非常に多い。なぜ少数株主権についてして、単独株主権にしないかということになると、これは乱用の防止ということになろうかと思いますが、そういう批判がございました。それとともに、試案の場合には、株主提案に要した費用について、もし賛成が少なかった場合でございますが、提案した株主に負担させる、そういう制度を考えようということも考えたわけでございますが、それも乱用の防止ということを念頭に置いたわけでございます。しかし、これについても批判がございましたので、そこをあれこれバランスをとりまして、結局、乱用を防止できるような金額ということになると三百株ぐらいの方がいいのではないか。もちろん一部には、百分の一だけにしてくれとかあるいは五百株ぐらいにしてくれとか、いろいろ意見があったわけでございますが、一応いろいろの意見を調整いたしまして三百株というところに落ちつけたということでございます。あるいはある意味ではいろいろの意見を参酌した上での妥協だということになるのかもしれません。
○稲葉委員 それは、立法は結局は妥協ですからね。ことに数字の場合には妥協の場合が多いですから、私は無理は申し上げません。 ただ、ここに商事法務のナンバー八四五「機関改正問題を語る」という中で、日産自動車の取締役会長川又克二という人が、聞く人は鈴木竹雄さんという法制審議会の商法部会長ですが、川又さんはこういうふうに言っているのですよ。「株主総会で質問も何もないというのは無気力だからない場合と、本当に問題がない、これで結構だと思っているからスムーズにいく場合もあるわけですね。ところで、経団連の意見書では、株主の提案権とか質問権には反対していますが、あれはない方がいいですね。」と言っている。経団連としては、株主の提案権、質問権というものはない方がいいと言っているのですよ。いいですか、よく聞いていてください。 そして、経団連の意見書というのが出ているでしょう。経団連から出ている意見書というのをこの次までに提出してください。あなたの方に来ているわけだから。それをほとんど取り入れてこの商法というものはできたのじゃないですか。あなた方の善意でいろいろ考えたことは確かにある。確かにあるけれども、経団連の意見書というものができてきて、それらが法制審議会なりその他のところからのプレッシャーというか何か知らぬけれども、それでできてしまったということになるのじゃないですか。はっきり言っているのだもの、日産の川又さんは。株主の提案権とか質問権には経団連は反対している、意見書で言っている、こんなものはめんどうくさくてしょうがないからない方がいいと言っている。ない方がいいと言っているに決まっているでしょう。 それから、鈴木さんなんかはひどいことを、ひどいというか、本当のことを言っている。「株主総会が会社の経営に役立つものになるかといったら、それは私もならないと思うのです。」こう言っている。これは味の素の経験から言ったのかもしれませんけれども、本当かもわからぬですよ。そういうふうにいろいろ言っているのです。それから鈴木さんは、ディスクロージャーやいろいろな問題は、「営業報告書に書けばいいといわれますが、あの営業報告書というものはだれもが読みたくなるような文章ではないのですね。ある意味では大変な形式的な文章が多い。」と言っているのです。確かにそのとおりかもわかりませんね。 こういうふうにして、経団連の意見というものがいろいろな形で入ってきている。あなた方は善意で、一生懸命もっといい株式会社——もっといい株式会社というのもおかしいけれども、民主的な形にしようと思ったのでしょうね。だけれども、それはそういう形でゆがめられてきているというようにひが目で、私は目がいいのですけれども、私のひが目で見るとそういうふうになるのですね。どうもその点が理解できないと思います。 もう一つお聞きしたいのは、ディスクロージャーについてある雑誌社がコンクールをやったことがあるのですよ。知っていますね。そうしたら、模範的なものが出てきましたね。その模範的なものというのは、結局優秀賞か何かもらった会社があるのでしょう。あれは実業の日本社がやったのです。それは、本当にわかりやすく、「会社の営業状況をいろんな統計を使って生産高、販売高の状況、あるいは製品の開発の状況など実際の営業活動が本当にわかるような数字とか統計で示すということが大事じゃないかと思うのです。」ということで、将来の会社の見通しなども入れて一番いいのをつくったと、こういうのですね。だから、そういうふうに親切にやはり会社の状況というものを株主に知らせてあげるのがディスクロージャーの目的じゃないかと私は思うのです。それを、いま言った(g)項というのは一番大事なところだと思うのですよ。ほかにも大事なところがあります。(a)、(b)、(c)、ずっと大事ですが、特に(g)項というものは総会屋対策その他の問題に大きな影響があるのに、それも法務省令で避けてやっていこうというのは理解できない、こういうふうに思うのです。あなた方の善意は私は信頼しますけれども、ずいぶん無理をされたのもよくわかりますが、そういう点については私にはわからない。 試案の段階では、「株主に提案権を認めることが、株主総会の形骸化の防止に役立つとの考えから、機関改正試案は、この制度の導入を提案している。この提案権は、1追加提案権、2反対ないし修正提案権、3選挙提案権に分けられる。」とかいろいろ言っていますね。そして「試案は、提案権を少数株主権にしている。すなわち、六月前から引続き議決権を有する株式の総数の一〇〇分の一の株式または一〇〇株(会社が単位株制度を採用しているときは、一〇〇単位)のいずれか少ない数以上の株主が提案することができる。提案は、その内容と理由を含めて四〇〇字以内の書面でしなければならず、」こんなことまで決めたのですか。 提案するのに四百字以内でなければならないなんて、株主の提案権に何でそんなことを決める必要があるのですか。百株以上というのは、できるだけふやそうとしたとかなんとかいろいろな考え方があるのでしょうがね。善意だったのでしょうけれども、四百字詰めの原稿用紙か何か知らぬけれども、一枚で提案をさせるというのは、提案の理由も説明しなければならないし、なぜ法務省がそんなことまでするのですか。どうもやり方が理解できませんね。実際はどうなんですか。その経過を説明してください。
○元木説明員 まず、試案で四百字以内で出さなければいけないといたしましたのは、これは実は各国の立法例を見ますと、提案をいたしますについてはいずれも——いずれもと言うと言い過ぎでございますけれども、多くの立法例においては提案理由の字数の制限があったわけでございます。それで、提案理由の字数制限というのはなぜかということでございますけれども、これはやはり長々と自己宣伝なんかを書いて、それを会社に送りつけるということになってまいりますと、結局、会社といたしましては、その提案理由をそのまま一応印刷して株主に配らなければいかぬということになるわけでございます。そういたしますと、本来の提案とは違った目的に株主提案権が利用されることになってきますので、それではぐあいが悪いのじゃないかということで字数制限を各国でやっているようでございます。それにならって、理由を含めて四百字以内の書面にしなければならないということにしたわけでございます。 しかし、そうは言うても、こういうふうな規定を設けることは、余りにも細か過ぎる規定でございますので、条文の作成段階になりましてこれを削った、もちろん要綱の場合もそうでございますが、要綱の段階で削ったということになっております。
○稲葉委員 そうすると、いま言った三つの権利はどうなんですか。追加提案権、反対ないし修正提案権、選挙提案権、これはどうなんですか。
○元木説明員 提案には追加、修正、反対、選挙と、種類に分けますと四つの提案権があるのじゃないかということでございます。これは、少なくとも提案権というものを明文の規定で置くという限りにおきましては、最初からこの四つの提案権はみんな認めるという前提でございます。したがって、現在の法律案におきましても、この四つの提案権はいずれも認められるということになります。
○稲葉委員 それはあたりまえですね。書いても書かなくても認められるというのはあたりまえの話です。 そこで、一番大きな問題になってくるのは、会社の業務のいわゆる社会的責任ですね。それに関連をする質問権というか提案権というか修正権というか、そういうふうなものはどの程度認められるのか、こういうことが今後一番大きな問題になってくるわけですね。その点についてはこの次聞きますが、これはなかなかむずかしい問題がありますよ。これは悪用されるとあれだと思いますし、また、それを恐れていて善用される場合を退けちゃってもおかしな問題になりますし、むずかしい問題ですね。 それから、少数株主権の問題に関連して、例のチッソの事件がありますね。大阪高裁で出ましたが、あれなんかも少数株主権に対する否定ですね。内容はいろいろありますけれども、チッソの判決も少数株主権を制限した一つの例ですね。この次詳しく聞きますけれども、結論的に言うと、今度の法律によってああいうことは今後できなくなるのですか、あるいはできるようになるのですか。できるようになるためには、五万円の三百だから千五百万ですか、千五百万円なければできないの。そんなばかな話はないよ。それでは何のためにあれだかわけがわからない。株式会社の公益性なんというのは全然なくなっちゃうじゃないですか。とにかく千五百万円なければできないのですか。そんなばかな話はないですな。それはこの次聞きますけれども、そんなのはおかしいよ。理解できないぞ。 きょうは時間が来たから、この次ゆっくり聞きますが、チッソの判決をよく読んでおいてください。
○元木説明員 提案権の問題でございましたら、確かに、先生おっしゃるとおり千五百万ないとできないわけでございます。しかし、少なくとも共益権を行使するということであるならば、つまり、議決権を行使する、会場において提案権を行使する、あるいは会場において質問権を行使するということでありますならば、これは議決権を持っている限りにおいてはできるわけでございます。
○稲葉委員 そんなことはあたりまえでしょう。だけれども、議長が認めなければできないじゃないですか。そうでしょう。そんなもの、議長が認めっこないでしょう。
○元木説明員 総会において株主権を適正に行使することを妨げた場合には、これは決議の方法に瑕疵がある、決議の方法が法令に違反するということで、決議取り消しの理由になるかと存じます。
○稲葉委員 株主総会でも、決議無効の問題と決議取り消しと二つありますね。それは確かにあるけれども、それをやるのに大変な騒ぎじゃないですか。それに対して仮処分ができればいいけれども、仮処分といったって、決議無効の確認ですか、それに停止の仮処分をやらなければならない。仮処分が認められるのか認められないのか、場合によるでじょうけれども、いろいろな問題が出てきますね。この問題については、三百株ということになると千五百万円ですからね。それで六週間前にやるでしょう。その日になってやると言ったって、議長が認めなければそれでおしまいなんでね。結局少数株主権が強く否定されるという結果になるのじゃないかと私は思うのですよ。 それに対して、この前ちょっとお聞きしたら、意見が二つに分かれているという話もありました。中小企業に対する圧迫だという意見もあるし、そうでないという意見もある。中小企業というのは違うかな。少数株主権の保護になるという説と、それには別に影響ないという説と、いろいろあるということを聞きましたけれどもね、三百株ということになって。だから今度の改正は、善良な株主で、会社の社会的責任、公益性に反したものを追及しようとする株主に対して、それをチェックする一つの大きな働きをなすのではないか、現実にするのではないか、こういうことを私は心配しているわけです。だから、そういうことはないと言ったって、ないならないでいいけれども、この次チッソの判決を持ってきて私の方から聞きますから、そうすれば結局今度の法律がそういう作用を生むことになるのではなかろうかと思うのですよ。そこら辺を私は心配し、聞きたいと思っているのですが、きょうで終わりじゃありませんからね。あと三回ぐらいあるね。まだ大丈夫ですからゆっくりやります。 時間になりましたから、きょうは一応これで終わります。またお目にかかりたいと思います。
○高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記をつけてください。鍛治清君。
○鍛治委員 それでは、いままで御質問申し上げた中で若干まだお尋ね足りなかった点、それから一昨日、参考人の皆さんからいろいろ御意見等承りましたが、それに関連して若干またお尋ねをしたい点、それを含めて時間いっぱい御質問を申し上げます。よろしくお願いを申し上げます。 最初に、今回の改正法律案におきましては、株式単位の引き上げのために会社の設立に際しまして発行する株式の発行価額は五万円を下ることを得ない、こういうふうにされておるわけでございますが、その当初はともかくとして、設立後の株式単位についてはどのような考え方でこれを対処されようとされているのか、これをお伺いをいたしたいと思います。
○元木説明員 ただいま御質問にございましたように、今回では株式単位の引き上げということの一つの方策といたしまして、設立に際して発行する株式は額面株式、無額面株式を問わず発行価額は五万円以上でなければならないということにしているわけでございます。したがいまして、その目的から考えますと、設立後におきましてもその株式は五万円未満にしてはいけないということで分割等々は禁止した方がよろしいのじゃないかという考え方もございます。しかし、たとえば実際に現在の東京市場でも、一株の株価が三千円ほどもするという株式もあるわけでございます。そして、今度のように株式単位を五万円ということで現在の千倍に引き上げるということになりますと、現在株価が五十円株で三千円しているという株式は三百万円になってしまうということでございます。三百万円というような取引単位になってまいりますと、これは素人株主では容易に手が出ないのじゃないかという問題がございます。そういう場合に対処するためには、そういう株価の高い会社は株式分割を行わなければいけないということで、したがいまして、株式分割というものも認めておかなければいかぬという問題がございます。 しかし反面、そういう合理的な目的がないのに、極端な場合でございましたら、詐欺的な目的などで株式分割を行うというようなことがあってはなりませんので、その手当てもしなければいけないということでございます。したがいまして、会社の設立に際して株式の発行価額、これは無額面株式では発行価額、それから額面株式では券面額が五万円以上でなければならないとしておきますけれども、設立後においては分割ができるということにしながら、ただ、もし分割する場合には一株当たりの純資産額が五万円を下らないようにしておかなければいけないということにしているわけでございます。それと同時に、実際には株式の分割と同様の効果を生ずる株式の無償交付の場合にも、無償交付後の一株当たりの純資産額がやはり五万円以上でなければならないということにいたしております。
○鍛治委員 現行の商法の二百三十九条五項におきましては、総会の決議の中で「特別ノ利害関係ヲ有スル者ハ議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ」、こういうふうにありますが、改正法律案ではもう削除しているわけです。これは一体どういうところに理由があるのだろうか、こう思うのですが、これに対しまして、取締役会の決議につきましては特別の利害関係のある取締役は議決権を有しない、こういうふうにしてあるわけですね。ここらあたり私、素人でよくわかりにくい点はありますが、どうも最初述べましたことは削除する必要もないのじゃないかという気もいたしますが、この点についてはいかがでしょう。
○元木説明員 現行の二百三十九条の五項でございますけれども、これは「総会ノ決議ニ付特別ノ利害関係ヲ有スル者ハ議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ」ということになっているわけでございます。つまり、決議について特別の利害関係のある株主は最初から議決権を行使し得ないということで、前もって排除してしまうという規定になっております。ところが、この規定はそれなりに理由はあるわけでございますが、具体的な適用の場合にいろいろ問題が出てまいります。たとえば取締役の解任の決議を行いました場合に、その解任される取締役が発行済み株式数の九五%持っているといたします。そうすると、それは普通の考え方からいたしますと、解任の決議の当面の対象でございますから、その決議については特別の利害関係を持っているということで排除されるのではないかということになります。そういたしますと、実際の決議は残りの五%の株主だけによって行われるということになります。これはもう結果として明らかにおかしいということがございます。つまり、株主総会の決議につきましては頭数ではなくて持ち株数ということで決議が行われることになっておりますので、単純に特別利害関係を有する者を排除してしまうということはおかしいということになるわけでございます。 そこで、現行の二百三十九条の規定は削除いたしまして、そのかわり二百四十七条の総会決議の取り消しの中に、その理由といたしまして「決議ニ付特別ノ利害関係ヲ有スル株主が議決権ヲ行使シタルコトニ因リテ著シク不当ナル決議が為サレタルトキ」、つまり、議決権の行使は認めるけれども、結果として不当なものが出た場合にはそこで決議取り消しの対象にしようということで、現行の二百三十九条の五項を削除することによって不当な結果が出るということは防止することにいたしているわけでございます。 これに対しまして、取締役会の決議は持ち株数によるわけではございませんで、頭数によるわけでございます。したがいまして、たとえどんなに多くの株式を持っております代表取締役が解任決議の対象になったからといいましても、これは一議決権しかないわけでございます。したがって、よしんばその決議から外されるということがございましても、結果としては、ほかの取締役がみんな議決権を持っているわけでございますから、不当なことはないのではないかということで残すことにいたした次第でございます。
○鍛治委員 次に、改正法律案の第二百六十四条二項についてお尋ねをしたいのです。 これは、取締役が競業取引をした場合に、その取引について遅滞なく重要な事実を取締役会に報告させることになっておりますが、こういうふうにした理由をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○元木説明員 現行の二百六十四条は取締役の競業に関する規定でございますけれども、これは株主総会の認許を得なければいけないということになっております。そして、現行の二百六十六条の規定等から考えまして、株主総会の認許を得たときはその競業については責任を免除される、免責の効果があるということに一般に解されております。ところが、今度の改正法律案におきましては、この競業につきましては取締役会の承認を受ければよろしいということにいたしました。そのかわり、たとえ取締役会の承認を得たからといって、その競業について取締役が責任を免除されると申しますか、免責の効果は生じないということになっております。 したがって、競業をやるにいたしましても、これはできるだけ会社に損害をかけないような方法でやらなければいかぬということになるわけでございます。したがって、たとえ取締役会の承認を得たといたしましても、その重要な事実については取締役会に報告して、そしてその取締役に対する損害賠償請求の端緒をつくるということでございます。もちろん、承認を得ないで競業をやったというようなことであれば、これは違法でございますから、それは報告してもらって、取締役会がそれ相応の処置をとるということになるわけでございます。
○鍛治委員 では、次に進みまして、取締役会の招集の件でお尋ねをいたします。 今回の改正法律案では、この件について第二百五十九条の二項と三項ですか、これを新設をいたしまして、何か私どもが見ますと、かえって非常に複雑な規定を設けているのじゃないかな、こんな回りくどい複雑な規定を設けるよりも、各取締役は常に取締役会の招集権限を有するということにしておいた方がいいのではないのかなというふうに思うのですが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○元木説明員 現行法では、取締役会の招集は各取締役ができるということを前提にいたしておりますけれども、特定の招集権限者を定めたときはその取締役のみが招集権限を有して、ほかの取締役が招集するということはないということになっております。このような規定を設けた理由でございますけれども、これは、たとえば取締役間で対立が生じたような場合に、それぞれが勝手に取締役会を招集して勝手に決議をするということになってまいりますと、取締役会で同一事項について相反する決議が出てくるというようなことで混乱を生ずるおそれがあるということから現行法のような規定ができているのだと思います。 しかし、このように取締役会の招集権者が一定の者だけに限られるということになりますと、他の取締役といたしましては完全に取締役会を招集する機会がなくなってしまうということで、各取締役の監視権限と申しますか、監督権限と申しますか、そういうものの強化に害があるという問題がございますので、今回は、できれば各取締役が常に招集権限を持つようにしたいというのがたてまえでございます。しかし、先ほど申しましたように、各取締役がいつでも何らの制限なく招集することができるということになりますと、また先ほど申しましたように同一事項について相反する決議をなされるおそれがあるということで、今回の改正法律案におきましては、まず第一に、もし招集権限がない取締役が招集をしたいと思うときは、招集権限者に対して招集請求をする、そしてそれに応じてくれなかった場合に初めてその招集請求をした議題について招集をすることができるということで、決議の矛盾と申しますか、そういうものを避けることにしたわけでございます。
○鍛治委員 次にいきまして、現行の商法の第二百八十四条に「定時総会ニ於テ前条第一項ノ承認ヲ為シタル後二年内ニ別段ノ決議ナキトキハ会社ハ取締役又ハ監査役ニ対シテ其ノ責任ヲ解除シタルモノト看做ス但シ取締役又ハ監査役ニ不正ノ行為アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」、こういう項目がございましたものを、改正法律案においては削除しているのでございますけれども、これもちょっとどうかなという気もいたしますが、この点についてお伺いをいたします。
○元木説明員 御指摘のように、現行商法におきましては、定時総会で計算書類について承認をした後二年内に別段の決議がないときは、取締役、監査役の責任は解除されたものとみなされるということになっているわけでございます。今回の改正法律案におきましてはこれを削除いたしておりますが、大きく言って二つ理由があろうかと思います。 一つは、取締役、監査役の責任の強化という点がございます。そういう点で、計算書類が承認されたから直ちに一定の年限を過ぎたならば一定の要件のもとでは責任が解除されてしまうということも、責任強化という点からいかがなものかという問題があるわけでございます。それと同時に、大会社につきましては、貸借対照表、損益計算書については会計監査人及び監査役の適法とする意見があったときは、総会の承認を要しないということにいたしております。それからまた、営業報告書につきましては、会社の大小にかかわらずこれは総会の承認を要しないということになったわけでございまして、つまり取締役会限りで確定してしまうということになるわけでございます。そういたしてみますと、ここでその前提となる定時総会の承認というものがなくなるわけでございまして、その点からもこの条文の根拠が失われるのじゃないかということでございます。 それからさらにもう一つ、この条文自体、これは明治三十二年に商法が初めて制定されたときから入っている条文でございますけれども、これはドイツ法をまねした——まねしたといいますか、ドイツ法をそのまま継受した条文でございますが、ドイツ法自体におきましても、この責任の解除ということをめぐりましていろいろ疑問がございます。そしてまた日本におきましても、その責任の解除ということについて、これがどのような意味を持っているのか、あるいはその効果がどうなのかという点で、いろいろ疑問があるわけでございます。したがって、この規定の適用という点についてもいろいろ疑義があるわけでございまして、その点からも今回これを削除してすっきりしたものにしたいということでございます。
○鍛治委員 次に進みまして、会計監査人の監査を受けなければならない会社の要件として、今回資本金の問題で十億から五億に引き下げた、それから負債の額が今度の場合新たに入ってきているわけですが、これが二百億以上ということで規定されているわけでありますけれども、特に負債の額二百億以上の点で、私ちょっと引っかかるのは、負債の額というのは常に変動するものでございますし、なかなか二百億という規定は、たとえば会社で負債総額が二百億わずかぐらい超えるかなというような見通しが出てくると、これを二百億以下にちょっと引き下げて、いわば粉飾になるのでしょうか、そういうようなことをやるとか、結局二百億以上になれば会計監査人の選任その他いろいろめんどうなことも出てくるというようなこともあったりして、そこらあたりが大変——線としてはどこかで引っ張らなければならないのかもわかりませんが、負債の額を、こういうふうに常に変動するものを監査対象の要件としておるということについては、これは適当じゃないんじゃないだろうかというふうな気がするわけでございますが、この点についてお尋ねをいたします。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
○中島(一)政府委員 特例法の二条におきましては、監査対象会社の要件の一つといたしまして、「最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が二百億円以上であること。」というのを新設をいたしたわけでありまして、確かに貸借対照表上の負債の額というものは、これは変動の可能性がかなりございますので、その面だけから申しますと、要件として適当でないのではないかという御意見もわかるわけでありますけれども、この監査対象会社にするかどうかということが債権者の保護あるいは株主の保護というようなことが中心になっておりますので、そういうことから申しますと、負債の額がかなり高額になっておるという点は、監査対象会社とする要件としてはどうも捨てにくいところでありますために、先ほど申しましたような若干問題があるにもかかわらず、これを要件にするということにしたわけでございまして、必ずしも要件になり得ないわけではないというふうに考えるわけでございます。 ただ、資本の額等に比べましては若干安定性を欠くという点については、おっしゃるとおりでありますので、特例法の二十条と二十一条におきまして、会社が二号に該当しなくなった場合におきましても、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結のときまでは、同条から前条までの規定を適用する、あるいは新しく二条二号に該当することになった場合においても、最終の貸借対照表に係る決算期に関する定時総会の終結のときまでは、なお従前の例によるというふうに特則を設けまして、経過規定を設けまして安定性を保つための手当てをしておるわけでございます。
○鍛治委員 では、次に参りまして、大会社について、これは営業報告書の場合も同じでございますが、監査役及び会計監査人の監査報告書の記載方法というものを法務省令にゆだねているわけでございますが、この理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
○元木説明員 御指摘のように、今回監査特例法において、この「監査報告書の記載方法は、法務省令で定める。」ということにしているわけでございますけれども、まず理由といたしましては二つございます。 一つは、もちろんこの監査報告書の記載でございますが、現在ではやや抽象的に過ぎるのではないかというような監査報告書も見受けられるわけでございます。したがって、これについてはできるだけ具体的に書いてもらって監査内容を充実させるとともに、監査の強化と申しますか、そういうものにも役立てたいということでございます。そのために、法律自体におきましても監査報告書に記載すべき事項をふやしているわけでございます。そして、これだけでは大会社については必ずしも十分でない場合もあるかもしれませんので、そこで法務省令でこれを記載するということにいたしたいということでございます。 それからもう一つの問題は、現行法では必ずしも明らかになっていないわけでございますけれども、今後の方針といたしまして、営業報告書、それから附属明細書にはいわゆる会計事項も、それから非会計事項といいますか業務事項も双方が書かれるということになるわけでございます。そういたしますと、監査役は業務及び会計の監査双方をいたしますので、計算書類のすべてについて監査の対象になるということになりますけれども、会計監査人につきましては会計事項のみを監査するということになってまいりますと、営業報告書とか監査報告書のうちの会計事項のみを監査するということになるわけでございます。ところが、実際問題といたしまして何が会計事項かあるいは何が非会計事項かということになると、かなり微妙な問題も起きてきて、そのためにいろいろ問題を生じるということもあるのではなかろうか。そこで、これを法務省令で明らかにいたしまして、これとこれとこれは完全に記載してほしいというようなことで、会計監査人の監査報告書が書きやすいようにするということもねらっているわけでございます。
○鍛治委員 いまのと関連するのですが、去る六日の折にも私は質問して参考人の方に触れた件でございますし、また本日も各委員からも触れられておりました営業報告書の記載事項の件でございますが、これはたびたび申し上げておりますように、ディスクロージャーの強化という点では大切なことでございますので、くどいようでございますが、再度お聞きいたしたいわけでございます。 これは一昨日、参考人でいらっしゃったお二人の先生にお聞きいたしましたら、試案にありました記載事項の注記が法律要綱で落ちているという形になっているのはディスクロージャーに対して非常に後退している、試案に対してのことでございますが、そういう判断をされているようであります。確かに現行法からいけば前進にはなるんだと思いますけれども、これは私がいろいろ聞くところによりますと、法律要綱でこの注記を落としたというのは作成上のスタイルの問題だというふうなことにもちらっとお聞きしたのですけれども、それならば、省令にゆだねているわけですから、省令の中であの注記の中の項目というものははっきり定めていくというお考えがあるのかなというふうにも受け取れたわけですが、この点について、記載事項の内容というものの注記にあります項目を省令の中ではっきり定めていくという方向のお考えはあるのかどうか、この点再度お尋ねをいたしたいと思います。
○中島(一)政府委員 すでに申し上げましたように、試案というのはあくまで一つのたたき台でございまして、しかもその試案の中の注記ということになりますと、その試案の本文にも至らない程度の一つの意見ということでございます。それで、この営業報告書の記載方法について申し上げますならば、これは法務省令で定めるということになっておりますので、今後私どもの方で検討して結論を出すということになるわけでありますが、この点の法務省令を定める場合に、法制審議会には御意見を聞くということをお約束をしてございますので、それもお聞きしなければならないわけであります。それから、先ほどお尋ねにもございました試案の注記に十数項目を挙げて各界の御意見を伺っておりまして、そのお返事もいただいておりますので、そういうものの内容も参考にさせていただきたいというふうに思っておるわけでございまして、そういうものを参酌しながら、今回の法改正の趣旨を踏まえて法務省令の内容を決めるということになるわけであります。 一般抽象的に申しますならば、その際問題になりますのは、これも従前から申し上げておりますように、その事項を営業報告書に記載することによって株主その他が得る利益、そしてそれによって失う不利益と申しますか、コストその他の問題、それから企業秘密の問題をどうするかというようなことが考慮されるべきであるというふうに考えております。
○鍛治委員 これは先ほど稲葉委員も専門の立場で細かくいろいろと議論をやっていらっしゃったようですが、確かに注記の中で、特に「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与の総額」というような項目等については、省令の中ではぜひ入れておくべきものではないかというような気が私はするわけですが、こういったこと等については、いまの御答弁では入るか入らないかよくわかりませんが、省令のことですから入るという御答弁もできにくいのかもわかりませんけれども、こういった点、特に国民サイドから見て、また株主の皆さんから見て一番必要だと思われるような事項だと思うわけです。こういうことについてはぜひ省令の中で入れていこうというお考えがあるのかどうか、再度お尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 無償でされた利益供与の総額ということが確かに試案の注記の一つの項目として出ておるわけでありますけれども、それについての法制審議会での御意見あるいは各界の御意見というのは、先ほども申し上げましたけれども、総額を開示させるということでは余り実際上の意味がないじゃないかという御意見が多かったように聞いております。一方、こういうものを抽出をいたしまして総額を計算することのコストというのはかなりのものになるということで、この点については若干消極的な御意見も強いように感じておりまして、むしろそれよりも、実質的に問題になる支出をチェックするにはどうしたらいいかという観点からいま私どももいろいろと考えておりますし、法制審議会でもお考えをいただいておるというような段階でございまして、先ほども申し上げましたように、監査役の監査を通してチェックするというようなことも一つの方法として現在考えられておるわけでございます。
○鍛治委員 この件は前向きな姿勢で考えているというふうに受け取らせていただいて、ぜひひとつ処理をしていただきたいと思います。 次に、自己株式の質受け制度についてお尋ねをいたしたいわけです。 現行法では、自己株式を取得することについては、資本の空洞化を招く等非常に弊害が多いということで、厳しい罰則で規制されているわけであります。改正法律案におきまして、広い意味での自己株式の取得になるのでしょうか、自己株の質受け制度というものを創設をいたしまして、発行済み株式総数の二十分の一を超えない範囲において自己株を担保の目的で質受けすることができる、こうなっているわけでございますが、この創設された内容をたとえば悪用されることはないのだろうかなという気が実はするわけです。 と申しますのは、たとえば中小零細企業等が大きな会社の代理店や特約店その他取引先となった場合に、よくその会社の株式を購入させられる場合があるわけでございます。この場合、質受け制度というものが発足をし、認められますと、債権保全という意味でその大会社が自分のところの株式を質権を設定して担保に取ることになる場合があるのではないかという気がするわけです。そういう場合に、有価証券担保ということで、銀行へ持っていけばこれが若干融資の対象としてできておったのに、そういう道がふさがれるのではないのかということ。 それからもう一つ、悪く考えました場合に、その代理店や特約店等の会社が仮に倒産等いたしますと、現実に自己株式をその大会社が取得するという形と同じことになるのではないか、要するに譲渡担保的な意味合いを持ってくるのではないかという気がするわけですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
○稲葉説明員 自己株式を取得することを禁止するという趣旨は、一つは資本の空洞化を防ぐということであり、一つは議決権の行使について歪曲炉起こることを防ぐ、こういう二つの要請があるというふうに考えられております。 自己株式について質権を設定することを禁止するという趣旨になりますと、無担保で金を貸すこと自体を禁止するという法律はないわけでございますから、自己株式といえども担保があった方がいいのではないか。この二百十条の規定の趣旨は、本来、会社と申しますかあるいは会社の株主、債権者と申しますか、そういうものを保護するための規定というふうに解されておりますので、そういう点から申しますと、自己株でも担保があった方がいいのではないかという考え方もあるわけでございます。ただ、それは非常に乱用と申しますか、自己株取得の脱法として使われる危険性があるということで、自己株取得と合わせて質権設定を禁止しているということでございますが、今回は先生の御指摘のとおり、発行済み株式総数の二十分の一までであれば自己株についても質受けをしてもよろしいということにいたしたわけでございます。 この考え方は、相手方がたまたま自己株と申しますか、それしか資産を持ってない、財産を持ってない場合に、その担保になるものがないから金を貸せないということになるのではなくて、自己株だけでも持っていればそれを差し出して担保にすることができることにした方が、相手方としては、先生の御指摘によれば中小会社でございますから、むしろ金融の道が広がることになるわけでございまして、私どもはそういうつもりで入れたわけでございます。 その場合に、ことさらに自己株を取得させるのではないかという御指摘がございましたけれども、それは先生も先ほど言及されておられましたように、必ずしも質受けを許したということから直ちに生ずる問題ではなくて、そういう力関係を利用して、自分の株主にならない限り、つまり安定株主にならない限り取引はしてやらぬぞという形での処理がなされている場合があるということは聞いているわけでございます。しかし、それは自己株式の取得ということとは必ずしも直接に関係がないことではないかと考えているわけでございまして、また、好んで自己株式を取得するということにつきましては好ましからざることでございまして、法律も指摘しておりますように二十分の一という限定をつけて、その限度でできると言っておるわけでございます。ほかにたくさん担保に取る物件があるにもかかわらず自己株を取得するというようなことがありますと、これは取締役としての善管注意義務にも反するということになるわけでございまして、監査役等によるチェックも当然行われるということになると考えるわけでございまして、御指摘のような弊害は考えなくてもよろしいのではないかというふうに一応考えております。
○鍛治委員 一応というのがどうもひっかかるわけですが、さよう考えるとそういうこともあり得るかもしれないというふうな気がするのです。 そうすると、明らかにそういう意図でやった場合には自己株を所有するということに、取得ということにつながるのではないかという疑念がのかないわけですが、そういうことはあり得ないというふうにお考えなのかどうか、また、それに対する歯どめというものはきちっとできているというふうにお考えなのか、その点再度お尋ねをいたします。
○稲葉説明員 結果的に、先生御指摘のようにその質物を提供した会社が倒産をした、そのために債権の回収のためにその質権を実行する、あるいは流質契約に基づいて取得するというようなことになりました場合には、質権の取得、自己株を取得するという事態が起こることは間違いないことでございますけれども、これと中小企業についてそういう債権者の自己株によって金融を得るというメリット、それを二十分の一の限度であれば質として取れるというメリットとを相関して考えた場合には、それはメリットの方が大きいという判断に立ったわけでございます。
○鍛治委員 時間もぼちぼち参りましたので、この件余り納得しにくい面もありますが、実際これは質に取られてしまうと、自分が銀行なんかに持っていって融資の道を開くというのがどうもむしろ狭められてくるのじゃないかという気がいたしますが、そういう点についてもきちっとした歯どめがかかる形で対処すべきであろう、これは御要望申し上げておきます。 最後に、大臣にお尋ねをいたしたいわけですが、私も全くど素人で、当委員会に所属してこの商法改正という大変大きな問題にぶち当たって、戸惑いながらも一生懸命勉強もし、御質問もしてきたのですが、そういう中で、四十九年の衆参の附帯決議の中で改正をやろうという方向では発足されたようですが、途中からのいろいろな事情で一部改正で、全面的改正と切り離してやるということで今回の改正法律案の提案になっているようでありますけれども、残されたものとして会社の社会的責任の問題、それから大小会社の区別の問題、それから企業結合の問題、こういったのが附帯決議の中で明記されているわけでありますが、こういった点等も含めてやはり私は早く法の改正というものをすべきであろうというふうに、今回いろいろと質疑をさせていただく中で、勉強する中で痛感をするわけでございますが、こういう点についての取り扱い、今後どういう形で取り組まれるのか、これは大臣に最後にお尋ねをいたしたいと思います。
○奥野国務大臣 御指摘になりましたように、四十九年以来商法の全面改正ということで法制審議会で鋭意検討を続けてきていただいたわけでございました。五十四年の時点で社会的要請もございまして、それまでにまとまったものを取り急ぎ一部改正として成立させたいというようなことで、今度の提案に至ったわけでございます。 いろいろと残された問題、まだあるわけでございますので、法制審議会で引き続いて御検討いただきまして、なるたけ早い機会に商法の全面改正を提案したい。明治以来のかたかな書きの法律は残り少なくなっていると思うのでございますが、基本法がなおそのままでありますことは、私たち責任を感ずべきことだと思っておりますので、御指摘どおり、できる限り早く取りまとめていただきまして全面改正にこぎつけたい、こう思っているわけでございます。
○鍛治委員 では、これで質疑を終わります。大変ありがとうございました。
○青木委員長代理 安藤巖君。
○安藤委員 先回、株主の提案権の問題についてお尋ねをしたと思います。これが株主総会の形骸化をなくすためだということでいろいろ努力をしてこられた結果の法案だということはわからぬでもないわけですけれども、そのときにも指摘しましたけれども、改正案の二百三十二条ノ二のこの要件は相当厳しくて、一般大衆株主の提案を認めるものとは、せっかく新設されたけれども、実質的にはなっていない、そういう意味でかえって形骸化を助長するものではないかというふうに指摘したわけです。きょうはその続きをやります。 そこで提案をする株主は、提出する議案の要領、これを総会の招集通知に記載してくれというふうに請求することができる、こうなっているわけですね。要領といいますのはどの程度のものを言うのか、単に項目だけ書けばいいのか、ある程度こういう内容のものだ、あるいはこれは株主のだれだれから提案されたものであるとか、そういったものまで予定しておられるのかどうか、お尋ねいたします。
○元木説明員 これは現在法律案におきましては必ずしも明確ではないわけでございますけれども、たとえば議案について参考となる書類を出さなければいかぬ、これは大会社で株主の数が千人以上でございますけれども、その参考書類の内容については法務省令で定めるということになっております。それから現在でも委任状勧誘規則、これは法務省の関係の省令ではございませんけれども、証券取引法に基づく委任状勧誘規則というのがございます。そういうところ等が、今後どのような議案の要領を記載するかということについては参考となろうかと思います。
○安藤委員 その辺のところで、とにかく株主総会に出席した、あるいは書面による投票というようなことも改正案に盛り込まれておるわけですが、議決権を行使することができるような資料を提供すればともかく、どういう趣旨なのかということをわかるようにしていただきたいと思うのです。 そこで、いよいよ株主総会が開かれるわけですが、その際に、そういう提案をした株主は総会の席上で提案理由の説明、それは時間が無制限ではもちろん困るわけなんですが、合理的な範囲内の時間の制限で、口頭で提案理由の説明をすることができるのかどうか、これはどうもそういうふうになっていないのですね。私はやはりそれが必要じゃないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
○元木説明員 もちろん提案いたしました株主は、総会でその理由について、先生も御指摘のように時間等の制約はあると思いますけれども、説明することができると解されます。
○安藤委員 そうしますと、それは解釈上そういうふうに運用してもらえるのだ、運用すべきものだ、そういうふうに伺っていいわけですね。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 先ほど特例法の二十一条の二の議決権を有する株主千人以上の場合の話をなさったわけですが、説明をしていただきましたように、そしてこれは法案にもありますが、参考となるべき事項を記載した書類をとにかく添付しなければならぬ、こういうふうになっておるわけですね。この際に、先ほどもお尋ねしたのですが、参考となるべき事項を記載した書類、これは株主だれだれからの提案だというようなことも書くようになるのかどうかという点はどうですか。
○元木説明員 これはあくまで今後の解釈の問題だと思いますけれども、やはり当然、会社の提案とそれから株主の提案ということで、区別するために書くということになろうかと存じます。
○安藤委員 千人以上の場合はそういうようなことでいけると思うのですが、千人未満の会社の場合には、そういう参考となるべき事項を記載した書類を添付をしなければならぬという規定にはなっていないわけですね。その場合にもやはり株主の提案権というのはもちろん行使できるし、行使する株主もおられると思うのです。だから、その場合にも何かそれに近いようなものを、ほかの株主が議決権を行使するに参考となるようなものを、やはり説明資料とかなんとかというようなものを送付すべきではないか、事前に知らせるべきではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○元木説明員 これは改正法律案の二百三十二条ノ二の二項で、「会日ヨリ六週間前ニ書面ヲ以テ会議ノ目的タル事項ニ付其ノ株主ノ提出スベキ議案ノ要領ヲ前条ニ定ムル通知及公告ニ記載スルコトヲ請求スルコトヲ得」とございます。したがって、この議案の要領は、会社の大小にかかわらず通知及び公告に記載することを請求することができるわけでございまして、一方の参考書類の方は、これは大会社についてだけの規定でございますから、大会社の参考書類と事は必ずしも関係してこないんじゃないかと思います。
○安藤委員 次に、特別利害関係人の関係の現行の二百三十九条の五項が削除された問題につきましては、先ほど同僚委員の方から質問がありましたので、重複を避けることにいたしますが、二百四十七条一項の三号の決議取り消しの訴えがある、そこで著しく不公正な場合はちゃんと取り消し要求が認められるからいいではないかというような答弁だったのですが、しかし、一般の株主、これは実態は私もよく知りませんけれども、訴訟を起こすというようなことはなかなかやっかいなことで、相当頭にきて、これはもうけしからぬというような人は別として、これはなかなかむずかしいんじゃないかと思うのですね。そして、著しく不公正というようなことでなければやはり負けてしまうんだ、請求棄却というようなことになってしまうというのもあるし、これは事前に排除するという現行の方がいいんじゃないのかなというふうに思っておるのですが、やはり決議取り消しの訴えで十分だというふうにお考えになるのでしょうか。
○元木説明員 御指摘のように二百三十九条の五項を削除するわけでございますけれども、これは事前に議決権を排除すると申しましても、実際に問題になりますのは、こういう特別利害関係がある者が議決権を行使した結果、決議の方法が法令に違反するということになって、やはり総会決議取り消しの訴えの問題になってしまうのではないかということでございまして、いずれにいたしましても、ここで問題が争われるときはやはり訴訟になるんじゃないかという問題がございます。 それから、二百四十七条一項三号だけでは賄えないんじゃないかということでございますけれども、実は、これはもう先生御承知のことと存じますけれども、現在判例がございます。つまり、二百三十九条の五項の適用に関しまして、取締役の解任の訴えについては、これは解任の対象となっている取締役については特別利害関係がないんだということでございまして、一方、取締役会における代表取締役の解任決議につきましては、これはその解任の対象となっている代表取締役は特別利害関係があるんだというふうなことになっているわけでございます。このように、判例の結論は、これは正当だろうと思うのでございますけれども、そういうふうな論理的に非常にむずかしい論理操作が行われているというような状況のもとでは、やはり立法の方ですっきりさせた方がよろしいんじゃないかと思うわけでございます。
○安藤委員 取締役解任あるいは選任の決議に、当該取締役が株主であって議決権を行使した問題についての最高裁の判決があることは知っておりますが、これまでは、そういう利害関係人は「議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ」という規定があったために、だからそういう関係でその最高裁の判決があったのかどうかはわかりませんけれども、利害関係という問題については限定的にできるだけ幅を狭く解釈をするというようなことが、学界あるいは裁判所の解釈でも行われてきていたというふうに話を聞いているのです。 それで、今度こういうような改正案が出てくるについては、そういう狭く解釈する必要がないということになってくる。それから、先ほどお尋ねしましたように、著しく不公正かどうかという点について今度はポイントがしぼられてくるということになってくると、これはそういう取り消しの訴えを起こしてもなかなか通りにくくなるんじゃないかというような懸念を私はせざるを得ないので、結局、特別利害関係人の議決権行使は野放しになるんじゃないかなというような気がしてしようがないのですが、その心配はないですか。
○元木説明員 いま、特別利害関係というものがどういうものを指すかということにつきましては、これはいろいろ学説の対立もあるわけでございますけれども、少なくとも今度の改正法案のようにいたしますれば、特別利害関係というものがもっとすっきりしたものになるんじゃないか、つまり、わざわざこれを特に狭く解釈するという必要性がないわけでございますから、その点で解釈としてもすっきりしたものが出てくるのではないかということが一つでございます。 それから、この二百四十七条の一項三号でございますけれども、これが非常に適用がむずかしいんじゃないかという御指摘でございます。具体的な事例としてどんなものが考えられるんだろうかということでございますけれども、たとえば大株主が取締役になっている、したがってその大株主が、自分の議決権が多くあることを利用いたしまして取締役報酬を多く取ってしまう、そしてそのために利益が出ないで利益配当ができないというような、つまり、多数決原理には従っているけれども、結果としては明らかに不当である、そういうふうなものがこの三号の対象になるんじゃなかろうか、その点では、適用の面でそれほど困難を感じるということもないんじゃなかろうかと思っております。
○安藤委員 重ねて質問はその点についてはしませんけれども、いまおっしゃったような事例の場合でも、これは後の祭りということもあるのです。そういうような決議がなされてしまって、たくさん報酬が出されてしまって、結局その会社の経営が行き詰まってしまったということになった後そういうような判断をされても、これは間に合わないんじゃないか、これはやはり事前にチェックしておくべきでないのか、こういう気がするわけです。だからそういうようなことを言ったわけです。まあこの点はいいです。 それから、総会屋対策の問題についても、午前中にもいろいろ質問がなされておりました。無償供与の問題ですね。 そこでまず最初に、私いろいろ調べたりあるいは質疑、答弁を聞いておりまして感じたのですが、この無償供与をするための財源、金の出どころ、これは一体会社はどこから捻出するというようなことを考えておられますか。帳簿上これはどこから捻出してくるのだ、どういう会計処理でもってその金が出てくるのか。あるいは営業部か総務部かどこか知りませんけれども、そんなところから出てくるということを予想しておられるのか。どうなんでしょうか。
○元木説明員 処理の方法はいろいろあろうかと思いますけれども、常識的に考えますと、会社の一般管理費といいますか、総務関係の費用として出てくるのではなかろうかと想像いたします。
○安藤委員 それで、この出したお金をどういうふうにして株主あるいは一般の国民に知らせるかどうかというような問題が出てくるわけですけれども、これは項目としては特別なそういう支出項目はないわけですから、無償供与項目というようなかっこうで出される。いろいろこれが附属明細書に——法制審にこれからおかけになってやるというお話ですが、無償供与あるいは無償交付項目とか、そういうような項目になるのでしょうか。
○元木説明員 これはあくまで今後法務省令で定めることでございますので、法制審議会でもこれを議論いたしました上でどのようにするかということを決めなければいけないということでございまして、まだ未決定でございます。
○安藤委員 試案の段階で、法文で営業報告書にきちっと書けということが注記されておったというような問題については、先ほど来質疑、答弁がなされておりますので、重複しないようにお尋ねをしたいと思いますが、これは試案の段階で附属明細書にちゃんと——これは附属明細書ですから明細です。先ほどからいろいろ議論がなされておるような総額ではなくて、総額だったら余り意味がないじゃないかという議論も出てこようかと思うのですが、附属明細書に明細を記入するということが附属明細書のところの注記として出ていたと思うのです。それがどうも行方がはっきりしていないのですけれども、これはどういうような経過でそういうふうになったのですか。
○稲葉説明員 この点につきましてもまだ確定的な取り扱いを決めておりません。と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、私どもは一貫してこの点は省令で決めるということでございましたので、法律案要綱ないし法案作成の段階ではそこまで詰めることはしなかったということでございます。
○安藤委員 法律条項としてやるかどうかという点については、先ほど中島民事局長さんは、注記だから最初の案よりは格が下なのだというふうなこともおっしゃったのですが、注記だからといって、いいものはやはり取り入れるべきだと私は思うのですね。この附属明細書にちゃんと記載せよというような注記がなされておった。 それに対して、先ほどもちょっとお話があったのですが、「「株式会社の計算・公開に関する改正試案」に対する意見 経済団体連合会」というのがあって、こういうきつい注文がついておるのですよ。いまの業務報告書、これは名前はまた変わりましたけれども、その記載事項について「正当な寄附を含め業務の円滑な遂行に必要な支出をすべて合計して開示することにどれ程の意味があるか不明である。」民事局長さんがおっしゃった答弁と同じことが書いてあるのです。総額を書いたってどれほどの意味があるのか不明であると書いてあるでしょう。それから「さらに「反対給付に比し著しく過大なもの」も無償の利益供与とする旨が規定されているが、この点にかんする監査は困難である」、監査困難だということまで言い切っておるのです。 それから、いまの附属明細書の関係につきましても、これは無償の利益供与の明細というふうにちゃんと注記の方にはあるのですが、この関係でも「企業機密が漏れる慣れがあり、円滑な企業経営を阻害する。」それから「「無償」の判定は極めて困難であり、重大な混乱を惹起する惧れがある。」「企業は、経営政策の一環として正当な寄附を行なうことがあるが、それらを一律に開示すれば、株主の誤解を招き、また、かえって一部の特殊株主を利する結果となろう。」こういうような言い方でもって猛然と反対をしたわけですね。 だから、私は前にもいろいろ指摘がありましたけれども、この経団連の意向というのが相当強く反映して、それでまた注記だから、ちょっと格の下がった言い分だから、これ幸いというようなことでネグレクトしてしまったのではないかという疑いをどうしても持たざるを得ない、ぬぐい切れないのです。そういうようなことがあったとはおっしゃらないでしょうけれども、そういう点は、先ほども言いましたが、総額を書いたって何の意味があるかという中島さんの御答弁は、経団連が言うておるのと同じことを言っておられるものだから、よけいそういう危惧の念を禁じ得ないわけです。その辺どうなんでしょうか。
○中島(一)政府委員 この問題は法務省令にゆだねられておるわけでございますから、まだネグレクトしたとかしないとかいう問題ではございません。法律で定める事項につきましては法律案要綱という形で出てまいっておりますので、そこに掲載されたものは取り上げられた、それに載っておらないものは一応今回は見送ったということになるわけでございますけれども、法務省令で定めるものにつきましては、まだその段階まで至っていないというのが実情でございます。 確かに、この開示の項目を多くして、しかもそれを徹底的に開示させるという御意見、一方にございます。しかし、それに対しては、コスト・ベネフィットの問題あるいは企業秘密の問題から消極的な御意見もございます。私、先ほど申しましたのは、そういう消極的な御意見が多いと言ってはなんでありますけれども、かなり有力になってきておるのが実情であるということを申し上げまして、私どもがどういう考え方であるということで申し上げたわけではございません。いろいろなそういった御意見を参酌しながら、しかし決して一方に偏することなく結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。
○安藤委員 一方に偏することなく結論を出していただきたいと思うのです。それで具体的にこの無償供与の明細が附属明細書の中に明らかになるように考えていただきたいと思うのですが、いまの段階としては具体的にこういうふうにやりたいというような構想は持っておみえにならないのでしょうか。
○中島(一)政府委員 先ほども申し上げましたように、まだ法制審議会の御意見も聞かなければなりません。いろいろ手順も踏まなければなりませんので、私どもの考え方を申し上げる段階ではないと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、御意見の大勢としては、監査役の監査を通じてチェックをするということが最も実際的、現実的で、しかも実効の上がる方法ではないかという御意見が多いように私は理解をいたしております。
○安藤委員 そういうふうな理解でもって、そしてその理解に基づいていろいろ考えていかれるということになると、株主に対してそう詳しいことを知らせる必要はないのじゃないかというのがどうしてもぱあっと出てくるような気がしてしようがないのです。だから、これは附属明細書にきちっと明細を書かせるという方向で考えていただきたいのです。たとえば、全部が全部を出せということに対しては一歩を譲っても、これは先ほどちょっと議論がありましたけれども、一定の枠を決めて、たとえば十万円以上は全部、いつ、だれに、幾らというふうに載せるとか、あるいは十万円はいまの金額からすれば安いというなら二十万円とか五十万円とか、そういう枠を決めて載せさせるというようなことはどうなんでしょうか。
○稲葉説明員 私どももそういういろいろな方法があり得ると考えております。ただ、無償の供与と申しましても、広いことを申せば慶弔の香典とかお祝い、そういうものも入るわけでございまして、あるいはお中元、お歳暮のたぐいのものをどうするかというようないろいろな問題があるわけでございます。先生御承知のように、日本の社会では季節的な贈答などというのは非常に多く行われておるわけでございまして、それが全部おかしなものだということにもならないわけでございます。そういう点をいろいろ踏まえまして、今後どういうふうにするかについては積極的に考えてまいりたいと思っております。
○安藤委員 それは季節ごとあるいは慶弔のときにやられるのまで目くじら立てようとは思っておりませんけれども、そういう日本の美俗に便乗してしこたまお金を適当にばらまくとか供与するとかいうようなこともよくあるのですよ。だから金額で一線を引いてやるのがいい方法ではないかなと私は思っておるのです。 そこで、二百三十七条ノ三、いわゆる説明義務、質問権の関係です。この問題に対してももちろん株主の方から説明を求めることができるわけだと思うのですが、それに間違いないですね。
○元木説明員 これが営業報告書の記載事項になりまして、そしてもちろん営業報告書でございますから、報告事項になりますので説明事項の対象になるわけでございます。
○安藤委員 営業報告書にちゃんと記載するということにならぬと、せっかく質問権を新設したのだとおっしゃるけれども、株主はちっともそれはわからぬ、質問もできない、ここで抜けてしまうのじゃないかと思うのですよ。質問権が総会屋対策の一つの大きな柱でございますね。ところが、営業報告書に載らなければ総会の議題にならない。議題にならないから、そんなものは説明を断ることもできるわけです。だからこれは問題だと思うのですよ。先ほどの話に戻りますけれども、やはり営業報告書にちゃんと載せさせることがどうしても必要だ。そうでないと意味がないです、質問権をせっかく株主がもらっても。だから、その辺を踏まえてもう一度きちっと、営業報告書に書かせるかどうかという点を答弁していただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 営業報告書に書けば、これは質問権といいましょうか、説明義務の対象になる、これは争いがないだろうと思います。営業報告書に書かなかった場合にどうなるかというようなことも問題があるわけでありますけれども、今回の改正の一つの柱が開示の強化でありまして、この営業報告書の記載というものは、直接開示の方法といたしまして非常に重要な方法であるということもございます。でありますから、そういう点を踏まえましてこの問題を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○安藤委員 開示の関係について力を入れておるということですが、いま言いましたように、せっかくの質問権がこれで一つ大きな穴がすぽっとあいておるのだということをしっかり認識をしていただきたいのですよ。それで、この無償供与の金額をきちっと営業報告書に記載させるという方向がとられなければいかぬのだということを私も強調しておきます。しっかり頭の中に入れておいていただきたいと思うのです。 そこで、質問権の関係ですが、「株主が会日ヨリ相当ノ期間前ニ書面ニ依リ総会ニ於テ説明ヲ求ムベキ事項ヲ通知シタルトキ」です。この「相当ノ期間」というのはどのくらいのことを考えておられるのでしょうか。
○稲葉説明員 この相当の期間前に書面で通知した場合の効果は、調査を要するということを理由にして答弁を拒絶することができないという法律効果でございます。したがいまして、質問事項によりまして調査に要する時間はいろいろ変わると思います。ですから、ここで考えております相当の時間というのは、調査をするのに相当の時間前にやればということでございまして、その前日に通告すればそれですぐ調査ができるようなものもございますでしょうし、事柄によってはもっと前にやらなければだめだというものもあろうかと思います。必ずしも一律に三日前だとか五日前だとか、そういうふうに決めるつもりではないわけでございます。あくまでも法律効果との相関において「相当ノ期間」は考えられる、こういうつもりでございます。
○安藤委員 まことにもっともな御答弁をいただきました。しかし、実際問題としては、そういうような質問がなされておるけれども、これは実は調査を要するのだ、帳簿を全部、伝票から見て、ひっくり返さなければわかりませんよというようなことだって、抜け抜けと言う場合だって大いにあると思うのですよ。あなたは書面で前から出してなかった、一日前に出したってだめだ、いまいきなりきょうの午前中に言って、午後一時からの総会ではだめだと断られる場合だって大いに出てくるのじゃないかと思うのです。だから、その辺のところも十分考えてやってもらう必要があると思うのです。もちろん、総会の招集通知を株主に対して送るのは二週間前ですから、それ以後にならないとわからぬ場合が多いと思いますがね。そういうようなこともきちっと考えないと、実際の動きは、調査を要しますということで断られる場合があります。だから、これは何か物足らぬわけなんですよ。何とかもうちょっといい文句がないかなと思うのですが、いま私の方もこういう文言はどうかというものがちょっとありませんので、物足らぬという程度にしておきますけれども、そういう問題があるということを実際問題としてお考えおいていただきたいと思います。 ディスクロージャーの問題について、ちょっと具体的な事例を挙げてお尋ねをしたいと思うのですが、その前にいろいろ、企業会計原則の問題とか会計経理帳簿の作成の問題についていろいろあったのですが、私もこれはよくわからぬからお尋ねをしながら質問するわけです。たとえば「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」というのがありますね。この第五条に「財務諸表の作成基準」というのがあって、「法の規定により提出される財務諸表の用語、様式及び作成方法は、次に掲げる基準に適合したものでなければならない。」というふうにして基準があるわけです。そして今度は法人税法の関係ですが、二十二条の四項、これは前の項にいろいろ書いてあって、「当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」こういうのがあるわけです。それから商法三十二条の二項では、これは四十九年に改正された分ですが、「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」、こういうのがあるわけです。そして企業会計原則というのがあるのですが、これらの基準、それから公正なる会計慣行、それと企業会計原則とは一体どういうような関係にあるのか、まずお伺いしたいと思います。
○元木説明員 企業会計原則と申しますのは、大体会計慣行を集約したものであるということになっているわけでございます。したがいまして、商法三十二条の二項にございます「会計慣行」というのも、おおむね企業会計原則と内容は一致するとは思います。ただ、御承知のように、こういう会計に関する状況と申しますか会社の経理処理の状況は、日進月歩と申しますか時代によって次々に変わっていくという問題があるわけでございます。したがいまして、そういう時代の要請あるいは新しく出てきた問題、そういうものにもまた対応していかなければいけないということがございますので、場合によってはさらに新しいものを取り込んでいくということがございますので、会計慣行直ちに企業会計原則であるということまでは言いかねると存じます。
○安藤委員 そうしますと、企業会計原則というのは、いま私が三つ挙げましたそれぞれの基準あるいは公正なる会計慣行を集約的にまとめたものだということになると、この三つの基準はそれぞれ法が違うわけなんです。法が違えば目的も違うということにもなろうかと思うのですが、たとえば当期利益が法人税法の基準に従ったらこうだ、そしていまの財務諸表の規則の基準に従って計算したらこうだ、商法の会計慣行に従って計算したらこうだ、それぞれ違った企業の利益がはじき出されるということはないと言えるのでしょうか。
○稲葉説明員 商法による利益、それから有価証券報告書ないし財務諸表規則等に基づく利益あるいは計算の内容は一致するべきものでありますし、一致しているのが原則であろうと思います。ただ、税金の関係につきましては、いろいろの税金固有の目的がございまして、費用としてかかったものであっても損金としては見ないというような扱いもございますし、あるいは私ども先ほど来申し上げておるように、引当金で本来は利益留保性ではないかと言われるようなものでも損金扱いするという例もございます。そういういろいろの政策目的もございますし、あるいは徴税上のテクニックというようなものもございまして、必ずしも税金との関係では一致しないというのがむしろ原則ではないかというふうに考えております。
○安藤委員 企業がいろいろ利益を出して、それからいわゆる税務申告調整というのが行われて課税対象金額がはじき出されるということはわかるのです。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 だから、そういう税務申告調整がなされる以前の企業のいわゆる税引き前当期利益、そういうものはいま言った三つのそれぞれの基準に従って計算しても、違ったものとしては出てこないと言えるのじゃないかと思うのですが、それはどうなんでしょうか。
○元木説明員 これはお答えが非常にむずかしい問題だと思います。と申しますのは、もちろん商法の規定に従いまして税引き前利益を出しまして、それから課税のための所得を算出することも可能だと思います。ただ、問題はそういうふうに簡単にといいますか単純にはいかないわけでございまして、それぞれの項目において課税のための操作がすでに行われておるわけでございますので、その点、先生のおっしゃるとおりに解釈いたしましても、それはあながち絶対誤りだということは言えないと思いますけれども、ではそうでございますということも直ちには言えないような気がいたします。
○安藤委員 なかなかややこしい答弁をいただきましたが、私が言ったのが間違いでもないということでございますので、具体的にお尋ねしたいと思うのです。これはディスクロージャーの関係でお尋ねするのです。 これは一つの例ですが、「有価証券報告書総覧」、これは証取法に従って各企業が有価証券報告書というのを大蔵省に対して提出した、それを大蔵省がまとめて総覧にしたものです。 石川島播磨重工株式会社の昭和五十五年度の分ですが、これを見て非常に疑問に思ったものですからお尋ねするのですが、国税庁の方も来ていただいておりますので、適宜国税庁の方からもお答えいただきたいと思います。事前にこれを見ておいてくださいというふうに通告してありますので、御理解はしていただいていると思います。 もちろん監査報告書というのがちゃんとあって、監査法人名称もちゃんとあって、公認会計士さん三名の判こが押してあって、とにかくこれは正当に作成されているものだというふうに太鼓判が押されているものです。この損益計算書のところを見ますと、税引前当期利益というのが三十八億八百万円、こういうふうに記載があります。その次に法人税等引当額、これがゼロになっております。ですから、当期利益三十八億八百万円、こういうふうになっておるわけなんですが、この法人税等引当額がゼロになっておって、注記があります。これは百六十三期ですが、昭和五十四年四月一日から昭和五十五年三月三十一日までの分です。百六十三期は法人税等引当額は該当がないという注記があって、ゼロになっているわけです。ということになりますと、これは法人税は払わなかった。ですから、その前の段階として、申告はいわゆる欠損申告、赤字申告、ゼロ申告というのですか、そういう申告がなされているということがこれでわかることになるのでしょうか。
○谷説明員 五十五年三月期につきましては、所得金額が公示の額には達しておりません。
○安藤委員 公示の額というのは、四千万円ですね。 これは、有価証券報告書には連絡者というのも書いてあって、そこに問い合わせればすぐわかるのですが、この石川島播磨重工は、昭和五十四年度の法人税申告はいまおっしゃったように公示額には達していないということですが、いわゆる赤字申告をしたかどうかというところまではわからないのですか。
○谷説明員 私どもの立場といたしましては、公示の額に達しておりませんということだけ申し上げてお許しいただきたいと思います。
○安藤委員 私どもの方でその担当者に問い合わせてみましたところ、欠損申告をしておりますという返事をもらっております。そしてここにいま言いましたように法人税等引当額がゼロというようなことになっておるということは、法人税はとにかく欠損申告で払ってない、こういうことになると思うのです。ところが、この石川島播磨重工は、次の利益金処分計算書というのを見ますと、この百六十三期で三十八億五百万円利益配当をしているのです。欠損申告をしておいて、どうして利益配当ができるのだ。普通これを見ますと、これはタコ配当じゃないかという疑問を持たざるを得ぬのですね。だから、その辺はどういうふうに損益計算書を見て理解することができるのでしょうか。
○元木説明員 具体的な問題としてはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいのでございますが、いまの先生の御指摘の事実を一般的に解釈いたしますと、この場合経常損益についてはこれは赤字ということになっているのではないかと思います。そのために、前もってもろもろの積立金があるのではないかと思いますけれども、つまりこれは任意積立金でございますが、これを取り崩しまして取り崩し益を立てて、つまり特別損益の部で益を立てるわけでございますが、そしてそこで利益が出る、その算出した利益を配当に回すということにしているのではないかと存じます。
○安藤委員 実は、私もその点はいろいろ疑問に思って、大蔵省当局あるいはいまの元木さんの方から説明を受けたのです。いまの取り崩しというお話がございまして、先ほど言いました当期利益の上のところに、為替損失引当金取崩額とかあるいは価格変動準備金取崩額あるいは海外投資損失準備金取崩額というのがあります。いまの御説明によりますと、これを取り崩して利益配当したのではないかということになるのですね。うなずいておられるからそうだと理解しますが、そうしますと、この金額の合計が先ほど言いました三十八億五百万円ということにならぬとおかしいことにはならないのですか。とにかく収益ゼロなんですから、欠損申告をして、ところがこれを取り崩して三十八億五百万円配当している。その理由は、いままで積み立てておったのを取り崩した、取り崩したのはこれだと書いてあるわけです。この金額がもちろん書いてありますが、この取り崩した金額と三十八億五百万円と合わないとおかしいのではないかと素朴に思うのですが、その辺はどうですか。
○元木説明員 取り崩したから直ちに全部配当しなければいけないということにはならないわけでございます。そのうちの一部を配当いたしまして、あとは、一つの例が当期未処分利益でそのまま次期に繰り越すということでも構いませんし、その他の処理の方法もあろうかと存じます。
○安藤委員 取り崩したうちの一部をというようなこともなるほどある。しかし、この合計は十三億四百万円なんですね。しかし配当したのは三十八億五百万円と、配当した額が多いということになっておるのです。
○稲葉説明員 株式会社の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に関する規則という法務省令がございますが、これに損益計算書の記載方法が載っております。その場合に、当期未処分利益ということで利益配当等の利益処分をすることができる金額というのはどういうものかと申しますと、まず当期の損益の結果でございます。当期の経常利益あるいは経常損失と、それから特別損失あるいは特別利益を加減した額というものにさらに加減いたしますのが、前期の繰り越し利益あるいは前期の繰り越し損失というものでございます。それに一定の目的のために留保した利益のその目的に従う取り崩しの額、それから中間配当をやっておりましたら中間配当の額というものを加減して行うということになっておりまして、繰り越し利益が非常に多いという場合、普通の会社はかなりの額を次期に繰り越しておるというのが現実でございますから、その額が多ければそれを利用して配当をすることができるわけでございます。 ちなみに、税金と申しますのは、これは国税庁の方からお聞きいただいた方がよろしいわけでございますが、期間損益に対して税金をかけるということでございますから、繰り越し利益については前期以前に利益を上げたわけでございまして、それに対しては前期以前にもう税金を払っている、こういう関係になろうかと思います。
○安藤委員 いろいろむずかしいことをおっしゃったのですが、先ほど私が言いましたような引当金あるいは準備金を取り崩して利益配当をするには、益金に算入することになると思うのですがね。益金に算入するということになれば、益金ですから当然それに課税されなければおかしいと思うのです。それが欠損申告をしているのはおかしいと思うのです。 時間がないからもう一つ質問します。すでに課税された後のものを積み立てたんだから、改めて課税されるのはおかしい、課税されることはないんだというお話もありました。ところが、この取り崩し額については私もいろいろ調べてみたのですが、これで言うと四十一ページですが、価格変動準備金あるいは海外投資損失準備金については「租税特別措置法の定めによる取崩額である。」こういうふうにちゃんと説明があるわけです。この「租税特別措置法の定めによる取崩額である。」ということは、益金算入ということにすればこれは当然課税されるものではないのですか。 それからもう一つ、利益金処分計算書、先ほど言いました配当金を出しておるところなんですけれども、これは五十四年度のものですけれども、だからこの会社はいつもこういうふうにやっているのじゃないかと思うのですが、引当金を利益金処分計算書の中に、とにかく税金を払った後こういうふうに引当金として引き当てたというような記載がないのですよね。となると、やはりこれはすでに課税された後の利益を引当金としたのではないという一つの証拠でもあるし、先ほど言いましたように「租税特別措置法の定めによる取崩額である。」ということになれば、これはやはり取り崩して益金算入すれば、課税されなければおかしいのではないか。ところが、申告は欠損申告だ。これはおかしいのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
○谷説明員 あくまで一般論でございますが、この法人がどうしたということでなくて、一般論としてお聞きいただきますと、企業が引当準備金のたぐいを有税で積み立てた場合でございますが、有税で積み立てたと申しますのは、税法で定めた損金算入の限度がございますが、その限度を超えて積み立てた場合には、その時点で税がかかるわけでございます。したがって、それを翌期以降の事業年度で取り崩しました場合、これは企業経理上は利益に計上するわけですけれども、税務上は利益に計上いたしません。一般の限度を超えて積み立てた場合にはそういうことになります。 それからもう一つ、価格変動準備金についての御指摘は、あれは制度上洗いかえとなっておりまして、限度内の話でありますれば、取り崩したものは益金になるし、繰り入れたものは損金になるということでございます。
○安藤委員 ですから、一般論の話ですが、取り崩したものは益金になるというようなこともあるのです。私が言いたいのは、そういうようなことがこの損益計算書を見てもわからないのです。取り崩したのだからあるのだというのも、説明を聞かなければわからぬ。しかし、それは益金に算入されることになるのではないか。いまおっしゃったように、いろいろややこしい話がある。これはわかるようにしてもらう必要があるのです。だから、これもいろいろ注記があります。その辺のところは、欠損申告をしたけれども、実はこういうふうにして利益配当をしておるのですという利益配当の説明もあわせてここのところで注記として書くように、株主に親切にディスクローズすべきではないかというのが私の意見なのですが、その辺はどうですか。
○元木説明員 確かに先生御指摘のとおり、その点に関しましては注記なり何なりをすれば、さらによくわかることになろうかと存じます。ただ、開示の場合にはどれだけの量、つまり、営業報告書、損益計算書、貸借対照表等でございましたら株主に送らなければならないということになりますので、開示すべきものの量というものがおのずから制限されるわけでございます。そういたしますと、その点を明らかにするということになりますと、そのほかにももっと明らかにしなければならないものもあるのではなかろうかということでございます。したがって、たとえば今後法務省令をつくる場合には、どれだけのものを開示するか、そのためにはどれだけのコストが要るかというようなバランスの問題も考慮していかなければいけないのではないかと思っております。
○安藤委員 ほかにもいろいろあるというふうにおっしゃいますけれども、最低限いま言ったようなことも損益計算書に一行か一行半注記すれば、いま私がいろいろお尋ねしてむずかしい答弁をいただきましたが、その辺のところは株主にちゃんとわかるのです。ですから、そういうようなことを考えるべきではないかと思っているのです。 ついでですからもう一つ、これも一つの例として申し上げるのですが、これは同じ年度の三菱重工株式会社のものです。税引前当年度利益が二百七十四億九千七百万円とあるのです。いろいろ申告調整などもやられたと思うのです。ところが、実際の申告所得額は三百四十九億七千五百万円、申告の方が約七十五億円多いのです。これは逆ですわ。 ということになると、これも株主から、何で実際の利益よりたくさん申告してたくさん税金を払うのだ、それならこちらの利益配当の方に回してくれた方がいい、申告した額のとおりの利益をきちっと計算をしてここに出してもらって、七十五億円少ない二百七十四億なんていうことではなくて利益配当をしてほしいという希望も出てくるのじゃないかと思うのです。労働者に至っては、収益を少なくしているのじゃないか、しかし法人税の申告の方だけは、本当かうそか知りませんがとにかく正直に申告をして、労働者に対しては、いや当社の利益はこれだけしか上がってない、だから賃上げはそんなに応ずることはできませんよというような抑え込みの材料に使うのじゃないか、こういう疑念も持たれるわけです。 ですから、その辺のところもきちっとわかるように損益計算書に一言書いていただくことによって、誤解であればその辺の誤解が氷解できるし、あるいは問題点であれば株主がきちっと追及することができるし、というような効果を期待することができると思うのです。ですから、その点でいろいろ考えておられるとおっしゃったのですが、いまの三菱のことを一つ追加しましたので、元木さんにさらに念を押して、その点をお考えいただけるかどうか、お尋ねをいたします。 まだたくさんあるのですが、それはまた次の機会にすることにいたしまして、きょうはもう時間がありませんので、答弁をいただいて終わりにします。
○元木説明員 先ほど来申しておりますとおり、できるだけわかりやすいものをつくるということは理想でございますけれども、それと同時にコストとベネフィットの関係も考えなければならない、そういうバランスを考えながらやっていきたいと思っております。
○安藤委員 終わります。ありがとうございました。
○熊川委員長代理 林百郎君。
○林(百)委員 私は、政治献金について自治省にお尋ねしたいと思うのです。 これについては判例でいろいろ論じられてもおりますが、最近の自民党に対する政治献金、これは表に出ているものきりしかしようがないのですが、幾らになりますか。
○緒方説明員 自治省に提出されました最近の収支報告書によりますと、昭和五十四年におきます自由民主党に対する政治献金、いわゆる寄付の総額は百二億九千万円となっております。
○林(百)委員 それは幾つからの企業になっておりますか。企業と個人の区別ができますか。できなければできないでやむを得ませんが……。
○緒方説明員 ただいま申し上げました百二億九千万円のうち、個人からの寄付が二億二千六百万円、残りの百億六千四百万円というのは全部政治団体からの寄付ということになっておりまして、自民党の収支報告では、これはすべて自由民主党の政治資金団体であります国民政治協会からの寄付という形になっております。国民政治協会の方でその収入の内訳を見ますと、個人からの寄付が二億八千三百万円、それから法人その他の団体からの寄付が八十四億九千万円、政治団体からの寄付が十二億六千九百万円、繰越金二千二百万円、こういうふうになっておりまして、法人その他の団体という中に企業も含まれるわけですけれども、それ以外の団体もすべて込みになって報告されておるということでございます。
○林(百)委員 これはそういう八十何億という莫大な金が企業から献金されているのですけれども、そこで民事局にお尋ねしますが、これは取締役の善管義務に違反しないでしょうかね。これはもちろん判例もいろいろありますししますけれども、会社の金を特定の政党へ献金する、会社の株主の中にはいろいろの政党に所属する人たちがいるんですけれども、それを特定の政党だけにそういう莫大なお金を献金するということは——取締役個人ならいいんですよ、取締役個人がポケットから出すんなら。これはやはり取締役の善管義務に違反することになりませんか。だれか答えてください。
○中島(一)政府委員 確かに御指摘のような考え方もありまして、現実に具体的な訴訟でその点が争われたというようなケースもございます。それで、それは結局最高裁判所まで事件が参りまして、四十五年の六月の二十四日の大法廷の判決ということで決着を見ておりますが、取締役が会社を代表して政治資金を寄付する場合と取締役の忠実義務ということが問題になりまして、条文の関係で申しますと、旧と申しましょうか、現行の二百五十四条ノ二の関係、現在の改正法案で申しますと二百五十四条ノ三の関係ということになろうかと思いますが、この点につきまして、最高裁判所は次のように言っておるわけであります。取締役が会社を代表して政治資金を寄付することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてなされる限り、取締役の忠実義務に違反するものではないということでありまして、具体的な事件についての判断でありますけれども、私どもも一般的抽象的な基準といたしましては、この最高裁判所の判決の言うように考えております。
○林(百)委員 その最高裁判所の判決ですね、これは一審ではどうだったんですか。
○中島(一)政府委員 一審では、取締役に対して忠実義務違反で損害賠償の訴訟を起こしました原告の請求が入れられたという記憶をいたしております。
○林(百)委員 最高裁の判決でも、要旨がありますが、「会社がその社会的役割を果たすために相当程度の寄附をするのは、社会通念上当然なこと」である、こうありますね。あなたもいま合理的な範囲内ならいいと言いましたね。それはどういう基準があるんですか。今度の商法では、それをこの範囲とかなんとか決めたんですか。利益になるものをなるべく配当の方へ回せというのが、今度の商法改正の大きな目的の一つですね。それを、本来なら配当に回せるべき百億前後の金が特定の政党だけに献金されている。しかも株主は何もその政党だけを支持しているわけじゃありませんわね。それに対して商法の改正で何の手も加えておりませんか。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
○中島(一)政府委員 この問題は、いろいろなところに問題があるというふうに考えております。 一つは、会社の権利能力との関係であろうかと思うわけでありまして、会社はそれぞれ定款によって営業目的というものが決められておりまして、それによって権利能力が制限をされておるんだ、それ以外の行為は権利能力を超えるものだということがまず問題になったわけでありますが、その点につきまして最高裁判所の判決は、会社による政治資金の寄付は、客観的、抽象的に観察をして、会社の社会的役割りを果たすためになされたものと認められる限り、会社の権利能力の範囲に属する行為であるという判断をいたしております。 それからもう一つ問題になりましたのは、会社の政党に対する政治資金の寄付と憲法三章ということで、憲法三章におきまして規定をしております参政権との関係、特に株主の参政権との関係で問題になったわけでありますが、その点につきまして、憲法三章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しない限り、政治的行為の自由の一環として政党に対する政治資金の寄付の自由を有するというふうな判断をいたしております。 それから第三番目は、先ほど申しました取締役の忠実義務との関係でございます。今回の改正でその点をどういうふうに何か改正があるかということでありますが、忠実義務との関係あるいは取締役と取締役会との関係におきまして、改正法案の二百六十条でございますが、「取締役会ハ会社ノ業務執行ヲ決シ取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス」というのが第一項でありますが、第二項といたしまして、取締役会がみずから決議することを必要として取締役に決せしめることを得ない事項というものを幾つか列挙いたしまして、その中に「重要ナル財産ノ処分及譲受」というのがございますので、その寄付が重要なる財産の処分に当たるとすれば、法律の規定から申しますと、この改正法案では差が出てくる、こういうことになろうかと思います。
○林(百)委員 中島さんでしたかね、あなたはこの判決はお読みになりましたか。判決に、無制限の範囲で特定政党へ寄付していいと書いてありますか。「相当程度の寄附」ですよ。あるいは会社の実情に照らして合理的な範囲の寄付ですよ。幾らやってもいいなんて書いてありませんよ。だから、それはどういう基準でどういうふうに判断するのか。そして今度は商法であなたがそういうような規定を言いましたけれども、それはあれですか、何か業務報告書か附属明細書でそういうような基準を設けるのですか。幾ら出してもいいなんてことは、判決でありませんよ。ましてや一審の判決では、「特定の宗教に対する寄附と同様、一般社会人が社会的義務と感ずる行為ではないから、金額の多少を問わず、右の例外に属しない。」ということで勝たしているわけですね。最高裁でも、「会社がその社会的役割を果たすために相当程度の寄附をするのは、社会通念上当然」だ、「相当程度」と書いてありますよ。これはどうやって決めるのですか。 それともう一つ、監査役でもあるいは監査人でもいいのですが、それは多過ぎるということで、この問題を総会か何かで問題にした事例を聞いていますか、中島さん。
○中島(一)政府委員 私は、判決要旨で申し上げたものですから、必ずしも全文を御紹介しなかったわけでありますが、判決の趣旨とするところは、確かにおっしゃるとおり無制限なものではなくて、あくまでも限定がついての判断であったというふうに理解しております。 それから、その範囲をどういうふうにだれが定めるのかということでありますが、これは商法の条文といたしましては会社の忠実義務の問題なり、あるいは権利能力の問題で申しますならば民法の四十三条なり商法の二百六十六条の一項一号の問題なりという規定の解釈ということになるわけでありまして、最終的には裁判所が決めるということになるわけであります。具体的な方法といたしましては、商法の二百六十六条以下の規定に基づきまして株主その他の者が訴訟を起こして、その訴訟の過程においてあるいは結論において判断をされるべきものであるというふうに考えております。 それから、監査役等がそれを問題にしたケースについてお尋ねがございましたけれども、私どもはそういう例を聞いておりません。
○林(百)委員 政党献金は全く野放しにされているという感じですね、答弁を聞きますと。賄賂的なもの、国会議員なりあるいは大臣、もちろん奥野さんはそんなことないと思いますけれども、大臣に特定の会社、法人が献金する。そういう場合の賄賂性と政治献金との区別というのはどういうようにするのですか。どうなるのですか。
○中島(一)政府委員 御質問の点は、どちらかというと刑事関係の問題になってくるのじゃなかろうかというふうに思うわけでありまして、商法では、先ほど申しました二百六十六条以下あるいは二百五十四条ノ二の取締役の忠実義務等の規定を除きましては、特にそういう問題についての規定を置いておらないというのが実情でございます。
○林(百)委員 それなら試案ですが、附属明細書記載事項の中に「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与の明細」というのがありますが、今度は附属明細書あるいは業務報告書にそういう政治献金を記載させますか、どうですか。
○中島(一)政府委員 附属明細書の記載事項につきましては法務省令で定めるということになっておりまして、その法務省令を定めるための検討を現在やっておるわけでございますので、その方向等につきましてはここで申し上げる段階でないわけでありますけれども、確かに明細書に書くべき項目の一つといたしまして試案の段階でいろいろな提案をいたしております。そういう提案についても各方面からの御意見をいただいております。法制審議会の御意見も聞くというお約束もしておりますので、そういうところの御意見も伺って決めるということになろうかと思います。
○林(百)委員 そうすると、業務報告書の記載事項、附属明細書の記載事項、これは試案ですがいま私が言ったような重要な点が省令で任されて、そして質問をするとそれはいずれ検討事項です検討事項ですということで、これでこの法案を採決しろと言ってもわれわれは責任が負えないのじゃないですかね。 大臣、どう思われますか。ことに商法改正の重要な点が、利益として留保すべきものを特定引当金として債務に記載してはならない、配当をなるべく多くしろというのが趣旨なのに、「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与の明細」というようなことは、どういう問題をどう取り扱うかというようなことが全然われわれに説明がないという段階で、とにかく法案だけは採決してくれ。これは委員長はすでに十二日ごろというようなことを内々われわれにおっしゃっておるわけなんですけれども、委員長の本意かどうかは知りませんが。それでは国会の審議が進まないと思うのですが、これはどういう手続で、いつどういうように実現されるのですか、細かい技術的な点はまた局長に聞きますが、大臣、どう思いますか。
○奥野国務大臣 企業の社会的公正といいましょうか、そういう要請から今回の商法改正の提案に至ったわけでございまして、従来でありますればそこまで踏み込んでいなかったことにつきましても、営業報告書なりあるいは監査報告書なりについて省令である程度ここまで書きなさいよと言おうとしておるわけでありますから、従来から考えますと非常な前進だ、こう受け取っていただきたいと思うわけでございます。 試案はいろいろな検討材料として事務当局から申し上げてまいったわけでございまして、それらの検討の結果、附属明細書で何を書けということにつきましても、むしろ法務省令で十分検討した上で決めるべきだという結論になったように私は承知しているわけでございます。試案のとおりにしないと何か後退したような受け取り方を林さんはしておられるわけでございますけれども、企業はそれぞれ営利活動をやっているわけでございますから、何もかも書けと言われると結果的には大変な負担増加になってしまう、あるいは企業秘密というものから企業の活動が非常に困難になってくる、私はいろいろな議論があったのだろうと思うのであります。私にはよくわかる感じがするわけでありまして、試案のとき出ておったからそれが法律になってこないで省令に任せられると後退しているのだというふうに受け取られることは、私は適当じゃないような感じがいたします。従来よりも社会的公正を期する意味におきましてかなり踏み込んだ今度の商法改正になっている、こう理解していただきたいな、私はこう思っておるわけであります。 いずれにいたしましても、法務省令をつくりますことについても法制審議会で十分な検討を加えていただいているわけでございますので、法務省といたしましては法制審議会の結論は十分尊重していきたい。その場合にいろいろな意見が出てくるだろうと私は思うのでございますけれども、総合的な角度から答申をまとめていただけるのじゃないかな、こう思っておるわけでございますので、法制審議会の答申を尊重して法務省令を決めるという立場はとっていきたい、こう思っております。
○林(百)委員 大臣、別に私、これがこれから前進しろとか後退しろとかそういうことを言っているのじゃない。だって、経過規定の中にこういう事項については命令で定むるとありますから、だから命令で定むる事項についてどういうように定められるかということ、それがはっきりしないのに法案だけは議決してくれ。ことに今度の商法改正で重要な項目となっておるたとえば「引当金計上の理由及び計上する額の算定方法」あるいは「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与」あるいは「株主との通例的でない取引」、こういうようなものが命令で附属明細書に記載しろと書いてあるから、やはりこういうものを国会に明らかにしてからこの法案については賛否を問う。法案にも命令で定むるとあるわけですから、法案を出す以上は、命令で定むるというものについても準備をされて国会の審議に供するべきではないか。 それが、こういう重要な点にいきますと、これは省令でいずれ検討する事項いずれ検討する事項で、いまの段階では何も言えませんということでこの法案の審議を進め、採決までしろということは、これは国会の審議権を制限するものじゃないか、こう言っているわけなんで、何か大臣、私の言うことを非常に誤解しているようなんですけれども、法案にそう書いてあるんだから、命令で定むると。そういったらその命令もくっつけてやってくれなければわれわれはわからないということなんですよ。ことに重要な内容の部分が命令で、省令なり政令なりで定むると書いてあるわけなんですから、それはやはり速やかに——速やかにやるというよりは、むしろこの法案の審議と同時に出すべきものではなかったか、こう聞いているわけなんですよ。わかったらわかったでいいですが。
○奥野国務大臣 お気持ちよくわかりました。もちろん確定したものをお示しできれば最善だと思いますけれども、またそうできないものですから、法律じゃなくて省令に落とされているんだという事情も御理解をいただきたい、こう思います。特に監査報告書になりますと、今度の場合には少なくとも違法、不当なものが見つかれば監査報告書には当然書いてもらわなければならないものだ、こう私は思っているわけでございます。それ以上に細かいことにつきましても、これはやはり企業にも十分納得してもらうという形において慎重な審議を要するんじゃないかな、こう思うわけでございまして、この辺のことはやはり省令でゆだねられている事情も御理解いただきまして、一歩前進しているということは事実でございますので、そういう点でぜひこの法律の御了解を得たいものだなと私は思います。
○林(百)委員 私は、奥野法務大臣と憲法上の点では見解が違いますが、あなたが金銭上は田中角榮みたいな人物だとはいまの段階では思っておりません。何にもありませんからね。 そこで、いま局長も答えましたように、これはやむを得ませんから将来にしましょう。業務報告書あるいは附属明細書記載事項の中で、「会社が無償でした金銭、物品その他の財産上の利益の供与(反対給付に比し著しく過大な給付を含む。)」とありますが、これにはやはり会社が特定の政党に献金、寄付をしたものは当然営業報告書のこれに記載すべきものだと思いますが、いま局長は将来そうしたいと思うと言っておりますが、大臣、どうですか。
○奥野国務大臣 無償の供与の中には、政治献金だけじゃなしに、一般の寄付金でありますとかいろいろなものがあるわけでございまして、それを洗いざらい附属明細書に書くことを義務づけることが企業の活動の上からいっていろいろな問題があるからこれが議論になってきて、結局省令ということになったんじゃないかな、こう私は思います。政治献金の問題になってまいりますと、政治資金規正法がございますので、詳細なことは政治資金規正法に譲るべきであって、商法の問題じゃないじゃないか、こう思うわけでございます。しかしながら、政治資金規正法に反して支出をしていきますものがあるのにそれを不問に付するということは適当でないなというふうに私は思うわけでございまして、それは監査の問題になってくるんじゃないかな、こう考えるわけでございます。いま申し上げましたように、無償供与の中で特段に政治資金の問題だけを商法で取り上げて、それを細かく記載することを求めるということは適当でない、それは政治資金規正法の問題ではなかろうか、こう私は思います。
○林(百)委員 政治資金規正法は規正法、それから商法は商法で、ことに商法の改正で利益留保分のものを特定引当金には充てないようにということで、その点では一歩前進の点もあるわけなんですよね。せっかくそういう点があって、そして附属明細書それから業務報告書の中にも無償で供与したものは書きなさいとあるんだから、私は何も政治献金だけ特別取り上げて書けとは言ってませんよ。しかし、そういうものもやはり無償で供与したものとしてこの附属明細書に記載されるべき性格のものではなかろうか、今度の商法の改正につれて。そういうことを聞いているわけなんですよ。私は、何も政治献金だけ取り上げろと——あなた、それには大分御不満なようですけれども、しかし、そういうものも入れて——ちょっと、大事なところですから大臣、そういうものも入れちゃいけないのですか。どうしていけないのですか。
○中島(一)政府委員 まず、私からお答えさせていただきますけれども、確かにおっしゃいますように、附属明細書あるいは営業報告書の記載方法としてこういうものはいかがかということを、試案の注記といたしまして発表したということがございます。しかしそれに対しては、いろいろと無償供与の総額を書かせるということについてはいかがかとか、あるいは明細書に何でもかんでも書かせるということはいかがかというような意見があったわけであります。主として経団連からの意見じゃないかと先ほど御質問があったわけでありますけれども、決してそうではございませんで、そういう意見もかなり有力にあった。したがって、そういう意見は十分に尊重といいましょうか参酌をすべきものであろうというふうに考えます。私どもの手続といたしましては、そういうものについての結論を出します場合に、これは法務省単独の判断でやるということも適当でございませんので、法制審議会の御意見を伺いますということを法制審議会にお約束をしておりますので、その御意見を聞いてその動向を見定めませんことにはその点についての結論を、私ももちろんそうでありますけれども、大臣としても申し上げるわけにまいらない段階であるというところを申し上げておるわけでございます。そういうことをひとつ御了解いただきたいと思います。
○林(百)委員 大臣、あなたは金銭には潔癖な人だろうということで先ほど言ったのですが、しかし、これを審議会で、こういう政治献金の問題も法人として無償供与の問題として検討することについて、あなたがあれこれ指図がましいことはなさらないでしょうね。その点ここではっきりしてください。法務大臣、自民党だから困るというようなこと……。
○奥野国務大臣 先ほど申し上げましたように、法制審議会の結論を尊重したいと思っております。
○林(百)委員 では、もし結論でそれはそういう——その最高裁の判例は「相当程度の寄付をする」「相当程度」というようなことで、しかも一審ではそういうことをしてはいけないということも書いてあるわけなんですから、もし審議会で、これは仮定ですから、そういう結論が出たとすれば、あなたはその結論は法務大臣として尊重なさるでしょうね。その点聞いておきましょう。
○奥野国務大臣 法制審議会に十分御議論をいただきたい、こう思っております。その結論は尊重してまいりたいと思っております。
○林(百)委員 では、結構です。この点ばかり聞いているわけにはいきませんから。 その次に、この問題については民事局長にもお話ししますが、商法部会の部会長の鈴木竹雄さんが「ジュリスト」の中で、「本判決には」、これは最高裁の判決です。「本判決には学問上無視できない多数の問題が含まれていることを附言する。」こう書いて、最高裁の判決をそのまま認めるとは言っていないのですよ。だから、恐らく商法部会ではいろいろ論議が交わされると思うのですよ。そういう論議は法務大臣は先ほど尊重しますと言っているから、自民党の法務大臣だからいろいろの規制を加えるようなことはしないと思っておりますけれども、こういうことは御存じでしょうね。商法部会の部会長が、さっきあなたが援用した最高裁の判決については、この判決については学問上無視できない多数の問題が含まれておるということを書いているのですよ。そういうことは御存じですか。何ならこの「ジュリスト」お見せします。
○中島(一)政府委員 鈴木先生が果たしてどういう問題を意識してそういうふうにお書きになったかということを私承知いたしておりませんけれども、この問題に関しましては、判決前からあるいは判決後におきまして、意見の表明という形、判例解説、判例批評という形で数十の論文、判例批評が出たということを承知いたしておりまして、その中にはいろいろな意見がございまして、必ずしも最高裁判所の判決を全面的に支持するという意見ばかりではなかったということは承知いたしております。
○林(百)委員 次に、インサイダー・トレーディングの問題ですね。これはなぜお聞きするかというと、稲葉さんが「ジュリスト」の六八六に、「計算書類等の不実記載についても、過失責任としながら立証責任を転換することとしたものである。このほか、取締役が第三者に対して責任を負うべき場合としては、いわゆるインサイダー・トレーディングをしたときが考えられるが、取締役にどのような責任を負わせるかについては、技術的に困難な問題があるので今後の検討事項とされた。」これはあなたと元木さんが書いておられますね。それは記憶ありますね。
○元木説明員 私が書きました。
○林(百)委員 それで私の質問は、インサイダー・トレーディングというのは一体どういうことなのかということからまず聞きましょう。
○元木説明員 インサイダー・トレーディングと一般に言われておりますのは、取締役が多いと思いますけれども、会社の内情に詳しい者が外部に知られていない情報を早急につかみまして、株式の不公正な取引をやるということでございます。
○林(百)委員 それが、たとえばここへ新幹線が通って駅ができるから、その不動産を取り扱っておる会社が、あそこの土地を買えばもうかるんじゃないかというようなことを自分の親戚だとか何かに何かの拍子に言った、これもインサイダー・トレーディングに入るのですか。だから、その範囲をどこまでにするかということをあなたに聞いているわけなんですよ。
○元木説明員 一般にインサイダー・トレーディングと言われておりますのは株式取引に関してだけ言われているようでございます。つまり、ただいま先生の御指摘の例でございましたならば、会社が土地を持っている、そしてそこに新幹線が通るので非常に高価にその土地が売れる、ところがまだその情報は一般に知れ渡っていないという場合でございますと、その情報が知れ渡っていないことを利用いたしまして事前にその株式を買っておく、そういたしまして有利に土地が売れるという情報を外部に流しますと株価が上がりますので、それで売って逃げるというようなことをやるということでございます。
○林(百)委員 だから、そういう場合に取締役の善管義務に違反するということで、その取締役に対して責任を負わせるということは考えられないのですか。それで、あなた方の書いている本の中で、このような場合に「取締役にどのような責任を負わせるかについては、技術的に困難な問題があるので今後の検討事項とされた。」この「技術的に困難な問題があるので今後の検討事項とされた。」というのはどういうことを意味しているのですか。
○元木説明員 いわゆる内部者取引につきましては、内部者取引が有効にできるという会社でございますけれども、これは原則として上場会社であろうと思われます。そういたしますと、上場会社の場合の株式取引の仕組みと申しますのは、取引所におきましてはその会員、いわゆる証券会社でございますけれども、証券会社しか取引ができないということになっております。つまり、もし一般の人が取引所を通して株式を売買するということになりますと、証券会社に必ず取引を委託しなければいかぬということになるわけでございます。そういたしますと、たとえば取締役が内部の情報を知って株式を買った、それはあくまで市場から買ってくるわけでございますから、証券会社に委託する、一方、売る方の側も証券会社に委託しているわけでございます。したがいまして、たとえばその取締役が一万株買いました場合に、一体だれの株式を買ったのかということが、現在の取引所の仕組みでは明らかにならないわけでございます。 したがいまして、もし売った者が不当に安く売ったということで損害賠償請求をしようといたしましても、だれがその損害賠償請求権者になり得るかというような問題がございます。逆に、買った場合も同じでございます。したがいまして、いまのところでは、そういうことでうまく内部者取引を制限する方法がないのではないかということでございまして、さらにこういう点の技術的なものを詰めていかないと、今回の立法にはちょっと間に合わないということで見送ったわけでございます。
○林(百)委員 そうすると、インサイダー・トレーディングが株のスペキュレーションだけだとは別にあなた方ここに書いてありませんけれども、まあ仮にそうだとすれば、証券取引法もあるでしょう。しかし、取締役のそういうことが道義的にも好ましくない。ことに自分の身内にそっと耳打ちして、株のスペキュレーションをやらしてもうけさせるというようなことはね。やはりこれは商法で一定の取り締まりをする方法を将来検討しなければならないと思うのですね。ただ、あなた方もこれは「技術的に困難な問題があるので今後の検討事項とされた。」というから、検討はされると思いますけれども、今後そういう点をぜひ詰めていっていただきたいというように思うわけなんです。先ほどあなたもそうおっしゃったから、そう聞いておいていいですね。
○元木説明員 この点につきましては、確かに先生御指摘のとおり、道義的に思わしくないということはあるわけでございます。現在そういうふうな問題に対処する立法といたしましては、証券取引法の五十条があるわけでございまして、先ほども申しましたように、こういう問題というのは上場株式について原則として起こるものではないかという問題がございます。そういたしますと、一体商法で規定すべきものかどうかということもまた問題になってまいりますので、その点についてもさらに検討していきたいということでございます。
○林(百)委員 商法でもできるなら、そういう点について、非常に技術的に困難な点があるのはあなた方のおっしゃるとおりだと思いますので、やはり将来検討事項の一つとぜひしていただきたいと思います。 それで、国税庁の方をなるべく早くお帰ししたいと思うのですが、おいでになりますか。——私、質問をいたしますが、これはきょうおたくの方からいただいた資料で、昭和五十六年三月の「法人企業の実態」という中に、昭和五十四年度で、利益計上法人の益金処分の総額は二十兆三千九百六億円で、その内訳は、社内留保が七兆五千二百七十一億円、法人税が六兆四千八百五十七億円、その他の社外流出が三兆五千六百十七億円、支払配当が二兆二千八十億円と一番——あと役員賞与が五千八百八十二億円ありますが、いままで言ったうちでは一番少ない額ですが、これはこのとおりと聞いておいていいでしょうね。
○西内説明員 お答えいたします。 先生のお読みになられました計数の中で、支払配当は二兆二千二百八十億円でございます。そのほかはそのとおりでございます。
○林(百)委員 あなたがこの担当の方かどうか、ちょっとわからないのですが、社内留保が七兆五千二百七十一億円もあって、配当が二兆二千二百八十億円というのは、社内留保はいままでの蓄積がずっとあるからこうなった、それで配当が二兆二千二百八十億円、社内留保分の約三分の一ぐらいですね、これはそういう意味にとっておいていいのでしょうか。
○西内説明員 お答えします。 これは蓄積と申しますよりか、社外流出いたしますもの、配当とか賞与とか、そういうものを除いたものとしての残滓として出ておるものでございます。
○林(百)委員 差し引きの残りとして五十四年度分に社内留保が七兆五千二百七十一億円あった、こう聞いておいていいですか。
○西内説明員 そうでございます。
○林(百)委員 それでは続いてお聞きしますが、その他の社外流出三兆五千六百十七億円、これは支払配当が二兆二千二百八十億円ですが、その他の社外流出というのは何でしょう。
○西内説明員 これは地方税とかあるいは交際費の損金不算入分とか、そういうものが入っております。
○林(百)委員 税金は別にここに書いてありませんね。法人税六兆四千八百五十七億円、このほかの地方税ということなんですか。 それから、交際費は後に聞きますが、二兆九千六十一億円ありますが、これもこの中に入っているということですか。
○西内説明員 税の項目は法人税だけ掲げてございまして、それでその他の方には地方税の分が入っておるわけでございます。その他の社外流出の方に地方税は入っております。法人税は国税でございますから、それで別立てになっておるわけでございます。 それから、交際費の御質問がございましたが、交際費の中で損金不算入の分がございます。税法上損金に見ない分がございますが、これも社外流出はしておるわけでございますので、その他の社外流出の中に含まれております。
○林(百)委員 それでは交際費の点を聞きますが、交際費の支出額が五十四年度二兆九千六十一億円、配当はこれより少ないですね。配当が二兆二千二百八十億円なのに、交際費は二兆九千六十一億円、交際費の方が配当金よりは七千億近く多い、こういう実情なんでしょうか。
○西内説明員 先生御指摘のとおりでございます。
○林(百)委員 民事局にお尋ねしますが、いままで公認会計士やあるいは会計監査人等がいたのですが、この支出額が配当より多いということについて、今度はこれについて引当金の制度を設けたり、あるいはプレミアムについては、いままでは社内留保の方に回ったのが、改正案では二分の一だけは配当金というか利益留保分として——この点については二分の一だけは配当の方に回さなければいかぬ、会社の資本に組み入れなければならない、そして配当の対象にするということでしょうね。二分の一だけは組み入れることができる。額面額発行のプレミアムについては、二分の一はどうしても会社資本に組み入れなければいかぬ、そうなっていますね。これはこういう事態から起きてきておるということですか。
○稲葉説明員 額面株式につきまして資本組み入れ額あるいは比率を変えたということは、必ずしも直接にそういうことをねらったわけではございませんで、主としては無額面株式と額面株式というものを同じようなものにしようという制度的な要請でございます。しかし、先ほど参考人の方も言っておられましたように、企業には資本に組み入れられない額については配当負担のかからない金であるというような観念があって、それの是正にも役立つのではないかという期待を持つ向きもあるわけでございまして、そういう意味で株主に何らかの配当をふやすという効果があるということになるかもしれませんが、ただ、株式の払い込み金額、つまり株式の発行価額というものは常に全額社内に留保されるべきものでございまして、これは債権者の最後の引き当てになるべきものでございまして、これは配当には回すことはできません。ただ、株主からそれだけの資金を調達しておるわけでございますから、利益が出たらそれにしかるべく報いなければならない、こういうことになるわけでございます。
○林(百)委員 これは試案では、二分の一が幾らになっていたのですか。
○稲葉説明員 今度の改正法案も試案も、原則は全額が資本に入るということでございます。ただ、取締役会の決議によって半分までは資本準備金にすることができるというのが改正案でございまして、試案では、それが四分の一まで資本準備金にすることができるということで、必ず四分の三は資本に組み入れなさいということになっていたということでございます。
○林(百)委員 四分の三がどうして二分の一になったのですか。財界の方がこういうことを強く要望していたんじゃないですか。
○稲葉説明員 財界の方はむしろ現行法のとおりにしてほしいという要望が非常に強かった……(林(百)委員「全額ということですか」と呼ぶ)現状のとおりでございますから、プレミアムは一切資本の中へは入れないということでございますね。そういうふうにしてほしいという要望が強かったわけでございますが、私どもの方と理論的な問題あるいは実際的な問題いろいろ総合的に考慮いたしまして、結局二分の一というところで落ちつけたということでございます。
○林(百)委員 そうすると、財界の方では四分の三は資本に組み入れないようにしてもらいたいということが強かった、現状では全部資本に組み入れないことができるというようになっている。それが二分の一になったというのは、これは財界の方の要望でそういうようになったということで、ここのところは譲歩したわけではないのですか。これまでして資本の組み入れをしているのに、交際費がこんなに出ていたんでは、むしろこれを抑えることの方が重要じゃないですか。
○稲葉説明員 交際費と申しますのは、企業が営業活動を行っていく上で支出する費用の一種だろうと思われるわけでございますが、企業というのは営業活動を行って利益を上げるというために行動しているわけでございます。日本の社会におきましては、交際費というのは企業活動の上でかなり大きな比重を占めているわけでございまして、不必要な交際費を出すということは、これは厳に戒めるべきことでございますし、もし不必要なものを出すようでございましたら、取締役の責任ということも生ずるわけでございますが、日本の現状から考えますと、ある程度の交際費というものは支出をしないと、営業活動が成り立っていかないという面もあるわけでございます。その金額がどのくらいであるかということは私どもも余り、企業によっていろいろ違うと思いますので、大数的に二兆という金額が多いのか少ないのかということはお答えできるような資格はないわけでございますが、企業の実態に即して、不必要なものは出すべきではないということは御指摘のとおりだと思います。
○林(百)委員 試案の方では四分の三を超えざる部分は資本に組み入れなくてもよろしい、それが二分の一に話し合いでなったというなら、ここのところをそのように妥協するなら、むしろ交際費の方を抑えることをもっと厳格にすべきではないか、こういうように思うわけなんですが、この点について、配当が二兆二千億なのに交際費が二兆九千億円だ、こういう日本の国の企業のあり方については、奥野さんどう思いますか。いま稲葉さんの答弁によると、このくらいの金も日本の企業のある土壌から言えば必要だというようなことを言っているのですが、配当より七千億円も多いようなそういう交際費を使うということは、これは株主に対する取締役の善管義務からいっても、また企業の社会的責任からいっても、これはやはり考えなければいけないと思うが、大臣、どうでしょうか。
○奥野国務大臣 個人の出費に属するものを企業の交際費で賄うというような風潮は、できる限り避けていかなければならないと思います。 同時に、配当金と交際費との比較をとっておられましたけれども、日本の企業の場合には借入資本によって営業活動をしている部分が非常に多いわけでございますから、使用総資本という形でそれについて支払われる配当金とかあるいは支払い利息とかいうようなものを合計いたしまして、それと交際費とを比較してみた場合には、また違った考え方が出るのじゃないか、こう思います。いずれにいたしましても、事業活動に必要な交際費であります限り、交際費が多いから不穏当だということには私はならないと思うのでございますけれども、個人の出費にまつべきものが企業の交際費の形で払われてみたり、あるいは事業活動に不必要なものを交際費で支出したりするようなことがあれば、これは私は慎まなければならない、こう思います。ただいま申し上げましたような日本の企業の実態には特別なものがあるということだけは理解しておきたいな、こう思います。
○林(百)委員 特別な事情があるにしても、余りにこれでは、社会的な常識からして、配当が二兆二千億だのに交際費が二兆九千億だということは、いま二分の一、四分の三論が出ましたけれども、それまでして配当の方へ何とか利益を回す、そういう努力をしているのに、これが野方図にこんなに許されているということになりますと、これは株主の利益のために企業が運営されないということになりますから、この点については十分考える必要があると思います。 そこで、今度の株式会社法の改正で、局長、どういう手だてが講ぜられたか、講ぜられた手だてをここでひとつ説明してください。
○中島(一)政府委員 この交際費のためだけの手当てというわけではございませんけれども、自主的な監査機能、監視機能というものを強化いたしました。そのために監査役あるいは会計監査人、特に会計監査人につきましては、あらゆる帳票書類、証拠書類などを見まして出費、支出を点検するわけであります。その結果を監査役にも報告をするということであります。監査役も業務の実態あるいは会計の実態というものを監査するわけでありまして、自分の会社にとってこれは正当な交際費であるかあるいは会社の規模に比して不必要な交際費であるかということの判断は、まず自主的な監視、監査によってチェックをしてもらうということであろうかと思います。 さらに言えば、その前に取締役の責任を強化する、忠実義務というようなことで取締役の責任あるいは取締役会の監督機能を強化するということによって、取締役自身があるいは取締役会自身が、業務の執行について、交際費の支出について戒慎をするということがまずあるわけであります。その上に監査機能、会計監査人、監査役の監査機能がかぶってきておる、こういうことであろうかと思います。
○林(百)委員 それじゃ私、時間が来ましたのでこれを最後にしますが、要するに今度の商法改正では、株式発行価額のプレミアムの「二分ノ一ヲ超エザル額ハ資本ニ組入レザルコトヲ得」、それから試案では、四分の三を超えざる部分は資本に組み入れなくてもよろしいということだったわけなんですけれども、これが二分の一になった。そういう中で、たとえばKDDみたいに監査役が三人もいる、それから常任監査もいる、それから会計監査人が七人もいても、それでもあのような交際費とかあるいは社長のいろいろ使った金がありますが、ああいうものがむだ遣いされている。こういうようなものがいままでの監査制度あるいは会計監査人制度でチェックされて、社会的に指弾された問題がチェックされた例をお聞きですか。
○稲葉説明員 初めにちょっと訂正させておいていただきたいのですが、試案では、発行価額の四分の一を超えない額を資本に組み入れないことができるということでございまして、四分の三ではございませんので、先にそれをあれさせていただきます。 それから、社会的に監査役がチェックしたという事例を聞いたことがあるかという御質問でございますが、監査の本質から申しまして、監査が適正に行われている場合にはむしろ事前にチェックをする、取締役が不適当なことをやっているということであるならば、監査役が事前に取締役に注意を与え意見を述べて、それに従って取締役がそういう違法行為はやめるという形で行われるのが普通であると考えるわけでございまして、実際に監査役が監査報告書に指摘をして、それによって事件が明るみに出るというようなことは、そこまでいかない前に取締役としてはこれは改めるのが普通であろうと考えるわけでございます。そういうことで、実際の例としてはそういう面はほとんどございませんで、この間局長も申し上げました山崎製パンという事件は、これは一種の会社の内紛でございましたけれども、監査役が代表取締役の競業取引について監査報告書に指摘し、損害賠償請求を起こしたという事例がございます。それが非常に有名な事件でございまして、そのほかには余り私どもも聞いておりません。
○林(百)委員 それではこれで終わりますが、プレミアムの四分の一を超えない部分を資本に組み入れないことができる、試案ではそうなっていた。それが二分の一になった。財界の方からそういう強い希望があったからなったのではないかということです。 それで、稲葉さんも答弁されておりますように、せっかく商法が改正されて監査役の権限も強化されましたし、会計監査人の権限も強化されたわけなんですけれども、取締役をやった人が監査役になる。監査役の過半数が会計監査人を選任する、そして総会にかけるというようなことで、こういうような莫大な全く非常識な交際費を許すような土壌が日本の国にある。そして局長も言われるように、そうしないと企業の運営が円滑にいかないという土壌があると言いますけれども、そういう日本の前近代的なあり方は厳格に直して、そして会社の会計監査については、いろいろまた私たちは私たちで意見はありますけれども、今後十分そういう点を配慮して、配当より七千億円も多いような交際費がなければ日本の企業がやっていけないというような状態は、商法、会社法を取り扱う法務省の民事局としても十分考慮をなさって、企業の社会的な責任を全うするような配慮をぜひしていっていただきたい、こういうふうに思うわけなんです。 そのことを希望しまして、大臣も多分それには異議はないと思いますが、大臣の答弁を聞いて、私の質問を終わります。
○奥野国務大臣 会社の交際費の問題につきましては、税法上損金に算入できる範囲をどんどん制約してきていることは御承知のとおりでございます。そういうような立法措置を講じてまいってきておりますので、できる限り少ない交際費で事業活動を完全にやっていけるような体制をとっていくことは大事なことであると思っております。
○林(百)委員 終わります。
○高鳥委員長 次回は、来る十二日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十五分散会 ————◇—————