法務委員会 第9号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1981/04/28
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び出入国管理令の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○奥野国務大臣 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、さきに国会に提出いたしました商法等の一部を改正する法律案が可決されました場合、その施行に当たり、非訟事件手続法外四十八の関連する諸法律について、字句の修正、条文の整理その他関連事項の改正を行うとともに所要の経過措置を定める必要がありますので、これらの改正を一括して行おうとするものであります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。 次に、出入国管理令の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 現行の出入国管理令は、昭和二十六年にいわゆるポツダム政令として制定されたものでありますが、近年におけるわが国の国際的地位の向上、国際交流の活発化、航空機を中心とした国際交通機関の発達に伴い、出入国者が飛躍的に増加するとともに、外国人の入国・在留の目的も多様化しておりますので、このような新しい情勢に対応できるよう現行法制を改める必要があります。また、わが国社会に定住している長期在留外国人の法的地位をその在留実態に見合った安定したものにすることが要請されております。 そこで、時代の要請に対応するため、一 観光客の在留資格を短期滞在者の在留資格に改めるとともに、技術研修生の在留資格を新設すること、二 覚せい剤取り締まり関係法令違反者を上陸拒否の対象となる外国人に加えること、三 査証を必要としない特例上陸の許可の制度を航空機の乗客についても許可し得るようにするなどの整備をすること、四 いかなる在留資格を有する外国人も他の在留資格への変更ができるようにすること、五 精神障害者、貧困者等を退去強制の対象となる外国人から除外するとともに、覚せい剤取締法違反者をこれに加えること、六 重要犯罪を行って逮捕状等の発せられている外国人の出国の確認を留保することができるようにすること、七 数次有効の再入国の許可及び再入国許可の有効期間の海外での延長等、再入国許可制度を拡充すること、八 手数料に関する事項を政令に委任すること、九 罰則を整備すること、 といたした次第であります。 また、わが国社会に長期間滞在している外国人の法的地位を安定させるために元日本国民であった朝鮮半島・台湾出身者及びこれらの者の直系卑属に対して永住を許可するとともに日本人または永住者の配偶者及び子の永住許可の要件を緩和することなどの改正を行うこととした次第であります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○高鳥委員長 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 理事会でお許しを願いまして、商法の質問を始める前に、法務省、農林省から御答弁をいただきたいのであります。 先般、当委員会におきまして、愛知県下を中心にいたしまして、農地を農地法並びに都市計画法の許可を得ずして、不動産登記法によって勝手に宅地化をしておる、この点について、法務省の主張並びに農林省の主張を調整をして、かかることが行われないような防止策を講ずべきであるという点について御検討をお願いしておいたのでありますが、その結果を御報告を願いたいと存じます。
○中島(一)政府委員 前回の委員会の後に、両者の間で協議を行いまして、不動産登記法及び農地法の運用を改善をする。そして農地の違反転用の防止を図るための方策について検討をいたしました。その結果、次のような方策を講ずるという方向で検討をすることについては両者間の一致を見ておるわけでございます。 その方策と申しますのは、まず第一に、登記簿土地目が農地である土地につきまして、農地以外の地目への変更登記の申請がされました場合におきましては、知事の転用許可証等が添付されていないときは、登記官は農業委員会に対して、転用許可があるかどうか、対象地の農地性があるかどうか、原状回復命令の発令をする見込みがあるかどうかについて照会をする。 第二といたしまして、農業委員会から、対象地が転用許可なくして非農地化されている、知事が原状回復命令を発する見込みであるという回答がありました場合には、登記官は事件の処理を留保をする。 第三点といたしまして、ただいま申しました第二の場合以外の場合におきましては、登記官は現地調査をいたしまして現況の認定に従って事件を処理する。ただし、現況の認定が農業委員会の意見と異なるときは、法務局または地方法務局に報告をしてその指示を待って処理をする。 以上の三点でございます。 このような方策をとるという方向につきましては、両者の意見は一致をしておるわけでありますが、細部についてさらに話を詰めたいというふうに考えておる次第でございます。
○杉山(克)政府委員 ただいま民事局長から御答弁があったとおりでございます。なお細部の詰めについてできるだけ早くこれを完了するようにということで、作業を急がしているところでございます。
○横山委員 そういたしますと、農業委員会が転用許可証がないとき、原状回復の見込みがないときは処理を留保する、こういうことなのですか。登記官が処理を留保するときは、転用許可がないとき、それから原状回復の見込みがあるときは処理を留保する。処理を留保して一体どうするつもりか、これが第一。 その次に二番目は、それ以外のときは現場を調査して現状どおり登記する。しかし法務局長の指示を待って処理する、こういうわけですね。その辺抜け道があるわけです。農地法並びに都市計画法に違反して勝手にやれてしまうという抜け道がまだ残っているのではないですか。
○中島(一)政府委員 先ほど申しました二の場合以外の場合というのが考えられますのは、まず、対象地が非農地化されていないという場合が一つございます。この場合は申請を却下するということになろうと思います。それから、転用許可証がついておらなかったけれども転用許可はあったという場合があるかと思います。この場合は、非農地化されておれば地目の変更を認めるということになろうと思います。それから、転用許可がなく非農地化されておる場合でありましても、知事が原状回復命令を発する見込みがないという場合には、これは現在の非農地化された状態というものは固定化された状態であるというふうに考えざるを得ませんので、登記官としては非農地化地目変更の申請を受理して処理せざるを得ないというふうに考えます。
○横山委員 最後の、許可がなく宅地化しており、それから知事の回復命令が出そうもない、こういう場合、やり得ですね。そのやり得がどうしても残るという点について、法務大臣どうお考えですか。まだこのままではちょっとぐあい悪いですね。どうですか。
○奥野国務大臣 農地法違反の行為を登記簿上それを是認した形になるということについて、いまお話が出ているのだと思います。それをどう処罰、どう対応していくかということは、これは農地法の運用の問題じゃないかな、こう思うわけでございまして、その場合は登記法上の問題で、ある程度登記の変更を許していきませんと、一般の経済社会の安定を害するということにもなるのじゃないかなと思います。もちろんやり得に加担するようなことにしてはいけませんから、その間については相当な期間状態を的確に把握することが必要だろうと思うのでございますけれども、その辺の詰めについてなお法務省、農林省との間で行っているわけなものでございますから、時間がかかっているということを御理解をいただきたいと思うのです。
○横山委員 やり得はどうしても納得できませんね。要するに、やり得が記録に残っては困るのであります。現場を本当に黙って土を盛っちゃって、コンクリートを流しちゃった。それで不動産登記法としては、現場確認してそう登記せざるを得ない、地目変更せざるを得ないだけでは困るので、そこで残りますのは、悪いことをやったやつは悪いことをやったということで処分しなければならぬ。本人の処分が残る。その点については農林省としては農地法違反で断固として摘発するということが保証されますか。
○杉山(克)政府委員 一般的に農地法の運用は厳正を期さなければいけないということは当然でございます。たまたま違反の事実が見つからない場合、こういう登記の面からそれが発見されるということもあるわけでございまして、そういうことのために、今回法務省との間の調整も種々行っているところでございます。 ただ、そういった事前の調整を行いまして発見に努める、そうして途中での是正措置等に努力いたしましても、なおかつ結果的に登記が完了して事実が発生する、そうして農地法の違反の実態が残るということは、これはあり得る話でございます。そういう場合に、農地法上の厳正な処置としてどうするかということでございますが、これは農地法の八十三条の二に「違反転用に対する処分」という規定がございます。これによりまして、条文は長くなりますけれども、省略して読んでおりますので若干飛ばすことになりますが、農林水産大臣または都道府県知事は、その違反者に対しまして、必要があると認めるときは、必要な限度において、農地法上の規定によってした許可を取り消し、その条件を変更し、もしくは新たに条件を付し、または工事その他の行為の停止を命じ、もしくは相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるということになっております。この違反是正につきまして、さらにそれが徹底しないというような場合、違反が悪質であるというような場合は、告発をしてこれについての刑法上の罪を問うということもできることになっているわけでございます。
○横山委員 刑法上の罪は、三年以下の懲役、百万円以下の罰金でございましたね。——そうですねす。 どうしても問題が残りますが、いまのそういうようなことが、知事としても条件を付してもだめ、原状回復命令を出してもだめ、できないというようなときには、断固としてその処分だけは断行する、これさえはっきりしておればまだ説得力がある。その処分もようやらぬというようなことがあったのでは、これは悔いを千載に残しますから、その点を十分確認をしておきたいと思います。 それから、法務大臣に申し上げたいのですが、このことが管下に徹底をしていなかったために、先般名古屋の法務局へ地方公職者並びに関係者が行きましたところ、こういう明白な態度が出ていなかったために、名古屋中心のマスコミ及び議会筋では、ごうごうとして名古屋の法務局の無責任な態度に対していま糾弾をしておるわけであります。これはまことに法務行政としても遺憾なことであります。したがいまして、この以上の趣旨が、愛知県ばかりではございませんけれども、管下に徹底をされて、農業委員会、地方自治体の長と十分連絡がとられ、そしてどうしてもいかない、原状回復ができない場合においては、農林省がいま申されておるように、断固として違反者については告発についても資料を提供するというようなことが徹底されるように要望したいのですが、いかがでしょうか。
○奥野国務大臣 お話はごもっともなことだと思いますので、話を早急につけまして、その結果を周知徹底するように努力したいと思います。
○横山委員 それでは、商法について質問をいたします。 私どもは長年この商法について検討を続けておるわけでありますが、公職者として町の企業、それは大、中、小、零細といろいろな政治的な問題でつき合っておる、話をしておるという中で、どうも商法ということについての認識度がきわめて薄い。いわんや中小企業、同族会社、零細企業になりますと、商法の存在ということも知らない。内容がどうなっておるか知らない。登記その他届け出書類をつくるときには公認会計士ないしは税理士に頼んで、適当に株主総会が行われたことにして、そうして、ある意味では私文書偽造になるのか、そういうようなことを通例といたしておるわけであります。これが悪いと言ったってどうしようもないのです。うどん屋株式会社で、専務が裏でおむつを洗たくしておる、おい、株主総会をやるので来い、とろいこと言っとりゃ、あすな、こういうことになるわけであります。そのことは、私どもが商法を討議するに当たって、やはり現実問題として認識をしなければいかぬ。 一方では、なぜわれわれが商法改正を議論をするかというと、そういううどん屋株式会社の問題じゃなくて、大企業が社会的責任があるにかかわらずそれを十分に行わない、商法の規定を行わない、社会的責任を痛感しないというところに問題がある。だから、商法の討議の力点を、アカデミックな商法の法文解釈もさることながら、具体的事案、今日まで起こっております大企業の具体的事案と一体マッチをしておるかどうか、実例の中に一体商法が生きておるかどうか、そういう角度からわれわれは討議をしないと意味がないのではないか、そういうふうに私は思うわけであります。 その意味で、二、三の例を引きながら質問をしたいのでありますが、まず第一に、ダイエーと高島屋の提携問題であります。 ダイエーは、五十五年十一月ごろ、十全会グループより高島屋株式一株四百四十円で二千二百万株、発行株式の一〇%を買い取り、これがもとに高島屋に対し、オ・プランタン・ジャポンへの協力要請、提携問題交渉を打ち出した。高島屋側は、一月、新聞に事実が発表されるまで飯田社長はその事実を知らなかったという内紛状態を露呈する結果になりました。しかし、三和銀行の仲介によって、ダイエーは取得株のうち一千万株を三百九十円六十銭で高島屋に売り渡し、提携具体化に向かって動き出したというのであります。 ところが、この議論の中できわめて遺憾なことは、高島屋の飯田社長は、一月に新聞で事実を発表されるまでその事実を全然知らなかったということなんであります。高島屋は、四月二十二日の新聞によりますと、役員人事を大幅に刷新して、今日までこのダイエーとの交渉に当たった諸君に対して、専務ら四人を退任をさせたということなんであります。われわれは、いま商法の取締役会を議論をし、代表取締役と取締役の問題について議論をいたしておるわけでありますが、社長がかかる重大問題を知らなかったというのは一体どういうことなのか。 ダイエーは高島屋株の売買で、単純計算で約五億円の損失を生じたことになるが、まず第一に、ダイエーはそういう損失をしたことについて、ダイエー側及び高島屋側の商法上の取締役が行った行為は一体今回の改正によってどういうふうに理解をしたらいいのか、それを伺いたいと思います。
○中島(一)政府委員 私どもも、二、三の新聞、雑誌を読んだだけでございますので、事実関係を十分明らかに把握いたしておらないわけでありますけれども、もしこれらの記事がほぼ正確であるということにしたならばどういうことになるであろうかということで、考えておりますことを申し上げてみたいと思います。 まず、高島屋の関係でありますが、ただいま御指摘がございましたように、一部の取締役がこういう重大な問題を単独でと申しましょうか、代表取締役その他取締役会にも知らせないで処理をした、あるいは処理をしようとしたということでありますれば、これは内部の取り扱いがどういうふうになっておったかということがはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても、その取締役の独断と申しましょうか、専横と申しましょうか、ということは非常に問題であるというふうに考えておるわけであります。
○横山委員 それは何条に関係しますか。
○中島(一)政府委員 これはまず取締役の職務分担の問題になるだろうと思いますが、取締役といたしましては、基本的に忠実義務、忠実にその職務を処理する義務というようなものもあるわけでありまして、会社に対する責任ということになれば、法律の規定といたしましては、商法の二百六十六条第五号という条文がございまして、法令または定款に違反をして職務をするというようなことにもなろうかと思います。したがいまして、ただいまお話しの担当取締役を責任をとって退任をさせたということは、そういうことから来ておるもっともな処置であろうかというふうに考えます。 それからダイエーでございますが、ただいまのお話で、高島屋の株を四百四十円で買って三百九十円六十銭で売ったということは、形式的にこの点だけから見ますと、これまた経済人としては非常にまずい処理であったということになるわけでありまして、やはり忠実義務、善管注意義務ということで大きな問題があろうかと思います。ただ、聞くところによりますと、ダイエーが高島屋の株式を取得いたしましたのは、業務提携その他でいろいろとメリットがあるということで取得したというようなこともありますので、単に株式の処分ということで数億の差損が出たということだけで判断をするわけにもいかない。その見返りに何かダイエーとして得るところがあったということになれば、それを総合して当該取締役と申しましょうか、当該経営者の責任が考えられてしかるべきものであろうというふうに考えます。
○横山委員 この提携御破算については、私はいまここでその提携の事実を解明するのが目的でもなく、また、だからといってこの関係者を商法の違反行為、忠実義務違反だからどうこうしろという意味で言っているわけでは必ずしもありません。しかしながら、かかることが商法に違反するんだぞ、あるいは取締役会の任務というものは商法上どういうことになるかということだけは審議に当たって明白にしたい。いま処分をしろと言っているわけではないし、事実行為がどういうわけだったということを究明するのが目的ではないけれども、こういう行為がもしあったとすれば商法第何条に違反をするのだということを明白にしておいてもらいたい、そういうことをしておかなければ商法の存在意識というものは会社の中に生まれてこない、そう思いますから、答弁に当たっては、第何条のどこに違反するということについても、それから違反行為についてはこういう処分があり得るということも明白にこれから答えてもらいたいと思います。 私が思いますに、統一コメントを発表していますね。「前日の発表内容に納得がいかない記者団に対し配られた統一コメントには高島屋、ダイエー両社の名前で「高島屋からの要請は個人的要請であるが、トップの内意を得ている」と明記している。ところが飯田新一社長は内意を与えていないどころか、こうした文書が配られた事実まで知らなかった。当然のことながら飯田社長は激怒、しかしこの激怒は自分の許可なしにこの種の文書を出したという社内の不統一に対する怒りでもあった。高島屋社内にダイエーに協力している人間がいる、という背信行為に対する怒りである。」 高島屋のような著名な会社が、かかる提携について新聞記者を集めて統一コメントまで発表するようなことについて社長は知らなかった、いや、社長の近くにおったかなりの役員が知っておった、内意、了承を与えておったということは、商法上取締役会のあるべき姿としては一体どうあればいいのか、取締役会というものは今度の改正でどういう権限、任務を持ち得るのか、また、会社の内規で取締役会の討議すべき必要案件というものは一体どういうものが望ましいのか、その点はどう考えていますか。
○中島(一)政府委員 現行法のもとにおきましても、「取締役の忠実義務」ということで二百五十四条ノ二という規定がございまして、「取締役ハ法令及定款ノ定並ニ総会ノ決議ヲ遵守シ会社ノ為忠実ニ其ノ職務ヲ遂行スル義務ヲ負フ」ということになっておるわけでありまして、取締役はこの規定によって忠実義務を負っておるというふうに考えるわけであります。 そこで、商法の基本原則といたしましては、業務執行の決定権は取締役会にあるということになっておるわけでありまして、その関係では、商法の二百六十条で「会社ノ業務執行ハ取締役会之ヲ決ス支店ノ設置、移転及廃止並ニ支配人ノ選任及解任亦同ジ」、こういうことになっておるわけでありますが、実際問題といたしまして、すべての業務執行を取締役会で決定するということは、これは適当でないと申しましょうか、現実的でないわけでありますので、そのうちの一部あるいは大部分のものを代表取締役に委任をしておるというのが実情でございます。 しかし、それが余りに行き過ぎまして、代表取締役あるいはその他の一部の取締役に過大な権限が集中するということは、ただいま申しました商法の本則に反するわけでありますので、今回の改正法におきましては、二百六十条の二項という規定を新設することにいたしております。二項によりますと、「取締役会ハ左ノ事項其ノ他ノ重要ナル業務執行ニ付テハ取締役二決セシムルコトヲ得ズ」ということにいたしまして、四号ばかり挙げておりますが、一は「重要ナル財産ノ処分及譲受」であります。二は「多額ノ借財」であります。三は「支配人其ノ他ノ重要ナル使用人ノ選任及解任」であります。四は「支店其ノ他ノ重要ナル組織ノ設置、変更及廃止」であります。これによりまして、二百六十条一項の取締役会は業務執行の決定権を持っておるのだということを明らかにいたしまして、そして仮に代表取締役その他の取締役が業務を執行いたします場合でも、それは本来取締役会の決定すべきことを取締役会から委任をされてやっておるのだ、そして取締役の職務の執行については取締役会の監督があるのだ、こういうことを明らかにした次第でございます。
○横山委員 次に、大光相互銀行の乱脈融資事件を例に引いて質問をします。 五十四年三月期決算で二十二億の欠損を出し、無配となったことから多額の債務保証隠しが明らかになりました。そして、大光相互銀行は五十三年九月期まで七百四十億円に上る債務保証を貸借対照表に計上せず、有価証券報告書に虚偽の記載をし、五十四年十月二十四日、大蔵省から告発されました。また、旧役員駒形元社長、坪谷元常務、五十嵐前常務は、内部規約で一億以上の融資は取締役会の議決を経なければならないことになっているが、それをしなかった。さらに、融資時点の関連会社の経営状態、担保能力から見て融資が危険な状態であるのに多額の融資を続け、これら不正融資により百四十二億円の損害を会社に与えたとして五十四年十一月一日、新潟地方検察庁から特別背任容疑で起訴されたというのが大光相互銀行の乱脈事件の趣旨であります。 これを考えてみますと、まことに驚くべき問題だと思うのであります。要するに、有価証券報告書は全く虚偽の記載であったということと、債務保証を正式にせずに陰でしておったということがわれわれこの商法審議に当たって頭に残るわけです。長期間にわたる不正融資がなぜ摘発されなかったのだろうか。銀行業務及び財産状況について大蔵省の検査が行われたと思うが、それでも摘発されなかったのは一体どこに欠陥があったのだろうか。大蔵省は五十四年十月二十四日告発をしたのですけれども、大蔵省の検査というものは一体どうなっておるのか。大蔵省の検査で大光相互銀行が摘発されなかったという反省点は一体どう考えればいいか、まず、大蔵省からお伺いします。
○小田原説明員 お答え申し上げます。 大光相互銀行は、相互銀行法二十条に基づきまして大蔵省に業務報告書を提出することになっております。この二十条は、銀行法の第十条を準用しているわけでございまして、大蔵大臣への業務報告書の提出義務があるわけでございます。具体的には、相互銀行でございますので、大蔵大臣の地方支分部局長としての関東財務局長が受理しているわけでございます。 その内容につきまして、過去、おととしの春以前に債務保証を簿外計上していたわけでございますが、その業務報告書の提出がありました場合でも、業務報告書の記載内容についての説明の聴取はいたしましたが、あのように取締役が共謀して業務報告書に未計上という形式の報告をしていたものですから、残念ながらその報告書を受領する、説明を聴取する段階で把握できなかった。 それから次に、先生御指摘の検査でなおできなかったかという点でございますが、検査に際しましても、それ以前をさかのぼってみると二回ほど検査をしていたのでございますが、検査もいわゆる司法的な強制権を持った検査権でないものですから、銀行の協力を得て帳簿書類等を見るということで検査をしていたものですから、残念ながらその実態を、簿外保証していた事実を把握できなかったことはまことに遺憾であったと反省しているわけでございます。 そのために、検査方法の手法を、あの大光相互事件の経験に顧みまして、債務保証をした先のすべての金融機関から網羅的にその保証先金融機関の貸出残高を徴求するという手法を開発し、そしてそれぞれ相互を照合するという改善の措置を検査に当たって図ったということでございます。
○横山委員 かつて私は、銀行検査官の仕事のありようについて質問をいたしまして、そして銀行と銀行検査官とが癒着しておるということを言うたことがあるわけです。現に汚職の問題があったわけです。そこで、銀行検査官を検査する検査官をつくれと言うたことがあるのです。そこまでいけばもう何をか言わんやというようなことでありますが、近ごろは裁判官でも悪いことをしますからね、あてにならぬ。一体、銀行検査官は何をやっておるのか。 承知するところによれば、これが告発したのが五十四年ですね。四十八年の大蔵省検査で、帳簿上の正規の債務保証比率が高いことが大蔵省から指摘された。それで、見かけの保証比率を下げるために急激に裏保証額をふやしたというのが実態だそうですね。 税務署なんかはその点うまいですね。去年もうかっておって、ことしがたんと落ちた、一体何でこう落ちる。去年落ちておって、ことしがんともうかれば、何でこうもうかるということをすぐに考えるわけです。いい悪いは別として考えるわけですね。 四十八年に帳簿上の正規の債務保証比率が高過ぎるじゃないかと言ったら、翌年からがたんと落ちた。本当だろうかというて前の検査の結果を頭に入れてやれば、どこかにごまかしがあるのじゃないかということがわかりそうなものだと私は思うわけでありますが、大蔵省の検査が、まあずっとやっておっても強制権がないとかなんとかおっしゃるけれども、銀行にしてみれば、大蔵省の検査なんか、なかなかうるさくてしようがない、こう言っているわけですね。相当の権限、政治的な権力を持っておる検査官が銀行の接待によって適当にやっておるようなことでは、まことに検査官たるに値しないと私は思われてならないのであります。しかも、ここは裏保証をしておって、そこがうまくいかなくて、そしてその利子が払えぬからもう一遍利子の裏保証もした、こういうばかげたことなんでありまして、一体どうなっておると言わなければなりません。 大蔵省も大蔵省ならば、それなら公認会計士による銀行検査は、ここは五十一年九月期決算から行われたのですけれども、その公認会計士の監査も、この報道によりますと、取締役会の議事録の提出などを拒否された、監査業務が十分に行われなかった、こういう記事がありますが、一体、公認会計士が取締役会の議事録の提出などを求めて、拒否をすることが妥当なんですか、拒否権があるのですか。
○小山(昭)政府委員 ただいま先生が御質問になられました事実については、私どもは承知いたしておりません。
○横山委員 承知いたしておりませんではなくして、私も事実かどうかは確認はしてないが、公認会計士の仕事として取締役会の議事録を提出してくれという権限があるのか、それを拒否する権限があるのか、どちらかと聞いておる。
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。 一般論としてお答え申し上げますと、当然監査に必要な範囲で、公認会計士は取締役に対して、その種の資料が監査に必要であるということであれば、その閲覧を求める立場にあるということでございますが、しかし、それを会社がどうしても見せないということであれば、法律上それをぜひ見るという権限はないわけでございます。その場合には、十分な心証が得られなかった、必要な企業内容の、公正に処理されているかどうかについて、仮に重要な部分について十分な心証が得られなかったということであれば、その旨処理するということになるのではないかと思います。
○横山委員 五十四年、この監査法人は、意見差し控えという意見を付して大蔵省へ提出したということになっている。会社が、公認会計士の監査に必要な書類の提出、議事録の提出を求めてもそれを出さない、出されぬものはどうしようもないではないかといま審議官はそう言うわけですね。それじゃ監査のしようがないじゃないですかね、これ。 大体、銀行は、大蔵省の監査がある、それから税務署の監査がある、社内の監査がある、日銀の監査があると、まあ五つか六つ監査を受けるので、いやがっておることはわかる。わかるけれども、法律上の公認会計士の監査に対する協力を拒否する。拒否するのは、いま裏保証をしたということばかりではなくて、どうしてもそれを出したらそれが大蔵省にも漏れるということから拒否する。しかし、拒否することが一番の問題点だというわけです。五十四年に監査法人が意見差し控えを出したのはどういう理由か、いまわかっていますか。
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。 私の記憶によりますと、ただいま先生の御指摘になりました公認会計士の意見差し控えというのは、五十三年三月期の決算に係る財務諸表であろうかと思いますが、これにつきましては、その時点におきまして簿外の債務保証があるということがある程度わかっており、しかしながらその実態を十分究明するゆとりがなかったといいますか、それが可能でなかったという状況でございましたので、意見差し控えという処理をいたしたと記憶しております。
○横山委員 意見差し控えとして大蔵省に出すときに、いまおっしゃったような理由、こういう点で協力ができない、こういう点でまだ疑問が残るという具体的な事実を監査法人は出すのですか。また、大蔵省はその意見差し控えの内容を要求するのですか。
○小山(昭)政府委員 一般に、監査の意見差し控えというのは、非常に問題があるということの表明でございます。したがいまして、そういう場合には、一般的にはこれこれの理由で意見を差し控えるという理由を表示する場合が多いかと思いますが、様式として必ずそういう意見をつけて監査証明をすると決まっているわけではございません。ただ、一般的に言えばいま申しましたようなことで、これこれしかじか重要な点についてわからない点があるから総合して意見を差し控える、こういうことになると思います。
○横山委員 そんないいかげんな話ではいかぬのじゃないですか。監査報告書をあなたの方が受け取られて、意見差し控えであります。では、何で意見差し控えか、少しきちんと書いて出してもらいたい、大蔵省としても監査の必要があるから、そんないいかげんな何だかよくわからぬで差し控えでは困る、疑問の点があったら列挙してもらいたいということを文書でしっかり取らぬのですか。書いてこなければそれまでのことですか。
○小山(昭)政府委員 確かに先生の御指摘のとおり、意見差し控えというのは、非常に重要な点について問題ありということを表明しているわけでございますので、その差し控えの理由を監査報告書に記入することがたてまえになっておることは事実でございます。
○横山委員 たてまえということは、書くべき義務があるのですね。
○小山(昭)政府委員 省令上そういう規定になっております。
○横山委員 大光相互銀行は、これはちょっと古い記録なんですが、要するにこれらの事実は特別背任・商法違反、タコ配の罪・商法違反、有価証券報告書虚偽記載・証取法違反、三点の容疑で大蔵省の検査が終了する五十四年の八月ごろに強制捜査に踏み切る、こういう状況になっていますが、この大光相互銀行の商法違反、証取法違反の結果がどうなっておるか、いまわかっていますか。
○飛田説明員 処理の結果の中で、刑事事件について申し上げます。 刑事事件につきましては、昭和五十四年十一月一日に新潟地検がいわゆる大光相互銀行事件を新潟地裁に公判請求をしているわけでございますが、その中で起訴に係る事案の概要は、まず一点は、この大光相互銀行の代表取締役駒形斉という人ら三名がその任務に違背して不正貸し付け等により同銀行に合計百四十二億五千六百万円の損害を加えたという商法四百八十六条一項違反の事実でございます。二つ目が、同銀行及び右駒形氏が重要事項について虚偽の記載をした有価証券報告書を大蔵大臣に提出したという事実、これは証券取引法違反でございます。それから三つ目が、大蔵大臣に対して不実の記載をした業務報告書を提出したという事実、これが相互銀行法違反でございますが、この三点に要約することができると思います。 そして、この事実で起訴されておりまして、現在公判中でございます。この事件の公判は昭和五十五年四月一日に第一回の公判が開かれまして、それ以降現在まで十九回の公判が進行しておりまして、現在検察官の立証段階にある、こういうところでございます。
○横山委員 問題は、多額の裏保証について社長と一、二の側近しか知らず、裏帳簿さえつくっていなかった。それはつくっていたら、いざというときにかえって困るかもしらぬけれども、本当に公人であれば、考えてちゃんと机の中に裏帳簿を置いておくものですが、それもないということは、表では銀行検査があり、公認会計士の監査がありながら多額の裏保証をしておるということは、あきれて物が言えぬと思うのです。そこら辺のうどん屋さんのがちゃがちゃのおかみさんがメモしているのと違って、銀行の頭取が裏保証について帳簿もつくっていなかったというのは、一体この種の問題はこれからどうしたら防止ができるか、どうしたら裏保証のやり方について防止できるか、その点は大蔵省はどう考えますか。
○小田原説明員 あの大光相互銀行の事件の経験に顧みまして、保証するにはどこかからお金が出ている、そこで、お金を出しているのは、大光相互銀行の事案に顧みますと、銀行、生命保険会社、損害保険会社、農協系統の信用機関等でございましたので、そういういわゆる信用機関のすべてをある時点ごとに、毎期ごとに貸し出しの状況を個別行ごとに出してそれを全部照合するという措置をすれば、裏で保証していたものは、表では出しているところは確実に金を出しているわけでございますので、それを保証しているのが簿外になっていたわけでございますので、それを各行別にすべてを照合するという検査方法に改めてやっておる次第でございます。
○小山(昭)政府委員 公認会計士の監査の面から、ただいまの先生の御質問に対して若干補足的に御説明申し上げます。 大光相互の乱脈融資といいますか不幸な事件がございましたが、これの公認会計士による監査が行われました五十一年九月期というのは、先生も御承知のように、銀行に対する公認会計士の監査の始まった当初でございまして、銀行監査の手続等についてまだふなれな点がございました。具体的に申しますと、一般の企業でございますと、債務保証というのは事業のそれほど重要な内容をなしているということでもございませんので、銀行監査を行います場合に、債務保証の内容について十分念査するということが、当時まだ公認会計士の監査の慣行の中に定着していなかったということがございます。 その点についての反省を踏まえまして、公認会計士協会の方では会員各位を指導いたしまして、今後、銀行の監査を行う場合には、保証債務の確認手続を実施する、また、保証先はもとより出し手側、つまり、銀行が他の銀行から融資を受けている相手に対して債務保証するというようなことがあるわけでございますので、そういった融資を行っている他の銀行へ行って、そこで債務保証が行われているかどうかということも確認するようにというような指導をいたしておりまして、現在、銀行監査の充実について協会として鋭意努力していただいておるという現状でございます。
○横山委員 この駒形元社長、坪谷元常務、五十嵐前常務がぐるになってやっておるわけですけれども、大光相互銀行の取締役会というか、平取はもちろん全然知らなかったというわけですね。今度、この取締役会の権限がきわめて強化されることと、取締役自身についても連帯責任がある、こういうわけですね。そうですね。それで実際に実効が担保されるだろうかという疑問を持つわけであります。げた屋株式会社は別として、こういう大きな少なくとも上場会社なり監査を受ける会社は、これからは取締役会に相談しなければいかぬぞ、平取といったところで、あるいは従業員兼務の取締役といったところで、あるいは部外取締役といったところで、みんな責任があるんだぜ、まごまごしておったらおまえも引っ張られるぞということになるわけです。それで本当に実効が担保されるだろうか。こういう大光相互のように、あるいは先ほどのダイエー・高島屋のように社長が知らぬうちにやっておるものもあるけれども、大体において社長というのは絶対権限がある。何を言っておる、文句を言うか、おまえは左遷だ、これでおしまいですよ。 ここに「ものいえば唇寒し取締役」という記事があるわけですけれども、この間私は、中小企業のやや一部を担当している従業員の取締役と話したのです。それも銀行に関係したことなのですけれども、あんた何でやめたんだと言ったら、私の取締役なんというのはいいかげんなものですわ、従業員の優遇措置として取締役になっているんだから、取締役会に出ても私は座っておるだけで、口を出すようなことは全然ありません、そして重要なことについては何らの相談も受けておりません、こういうわけでやめました、こう言っているわけです。こういうようなことを考えてみますと、今度のこの改正で、取締役会にかけなければ絶対にいかぬぞ、あるいは取締役といったところでおまえもまごまごしておったら連帯責任で一緒に引っ張られるぞというようなことが、各企業の中に本当に徹底をするでしょうか。私、心配なのですが、どうですか。どういう自信がありますか。
○中島(一)政府委員 先ほども申しましたように、取締役の業務執行は取締役会が監督をするということでありますし、それから、重要なる事項については取締役会に留保して、取締役に委任をすることができないということになっておるわけであります。さらに、先ほどの二百六十条の二項に続きまして、三項に「取締役ハ三月二一回以上業務ノ執行ノ状況ヲ取締役会ニ報告スルコトヲ要ス」という規定、これも新設でございますが、規定をいたしまして、取締役会としては業務の執行についての十分な知識を持つということにいたしておるわけでありまして、制度としては十分と申していいかどうかわかりませんけれども、必要な手当てはしたというふうに私どもは考えておるわけであります。 それにもかかわらず、こういう制度の趣旨とするところを無視して乱脈が行われた場合についてはどうかということでありますが、これは私どもは、その当該取締役の自覚にまつより仕方がないというふうに考えるわけでありまして、制度としては取締役会の監督、それから監査役の監査、さらには公認会計士であります会計監査人の監査というようなものによって適正な運営を期待する。さらにそれが逸脱をして、まれな場合でありましょうけれども、今回のように問題になりました場合には刑事事件にも発展をするというようなことでありますから、当該会社の業務に関与する取締役等としては、こういうものを契機として、商法のたてまえといいましょうか制度というものを、ふだん条文など見ない人でありましても頭に入れてもらう、そしてその自覚のもとに立って仕事をしてもらうということを期待しておるわけでございます。
○横山委員 ここに旭化成出身の小林という社長が言っておりますことを紹介いたしますと、「取締役会は議事録を残すだけの儀式。甲論乙駁なんてありえない。とくに現業の人は自分の城(領域)を守りたいと思うから、他の領域のことには一言もしゃべらない。常務会だって報告会みたいなもの。仮に、議題にして激論の末、否決されたら、それは議題を出した方が悪い。根回しがへただとされるからだ。常務会で社長の私が初めて耳にする案件なんて一件もない」。それから住友の頭取磯田氏の言、「役員会に出された議題の全部が、事前の根回しでぼくのおスミつきを得ているなら、それに異議をはさむ役員もいない。だが、ぼくの考えが白紙なら、みんな競って意見をいうよ」。まざまざとその状況が目に映るような気がしますね。 これは帝人の問題ですけれども、二十六年間社長の座にあり、その間海外の石油開発に乗り出し、ざっと七十億円の損失が生じたとされる帝人の大屋社長のところですが、当時の鈴木常務が大阪本社で、「投資効率の悪い未来事業や海外事業に重心を移しすぎていたのを改め、もっと地に足のついた事業に力を入れる」と発言したのが、その日のうちに鈴木氏は「すぐに帰って来い」と大屋社長の指示を受け、社長室長だった鈴木氏はポストを外され、しばらくしてニューヨーク駐在を命じられたようである、これが現在の実態ですね。 ところで法務大臣、どうですか。あなた、局長会議をおやりになるでしょうね。法務省の取締役会としては一体どんな状況でしょうか。あなたが局長会議でさあずっと言え、ずっと言えと言ったって、民事局長は自分のお城を守って、刑事局がやっているのはけしからぬなんて言わぬでしょう。局長は取締役じゃないのですか、商法上の。実際問題としてあなたの経験からいって、この新しい商法改正における取締役会及び取締役の権限強化についてどうお考えになりますか。
○奥野国務大臣 やはり法令のあり方と人の運用、両方であって、どちらか一方さえよければそれでいいというものではない、こう思います。今回の商法の改正は、やはり一歩前進させたものだ。取締役会としてその専権に属するものは明記しているわけでございまして、代表取締役オールマイティーというわけのものではないことを一層はっきりさせておるわけでございますので、ワンマン社長の専横を防止できる力は持っているのではないか。しかし、もちろん会社の人事のあり方も大きく絡んでくると思います。両面相まって効用を発揮するのだ、こう思いますけれども、一歩前進だということは御理解いただけるのじゃないかな、こう思っております。
○横山委員 よく企業は人なりと言われておりまして、中小企業の場合には、結局社長以上には伸びないし、社長以下にも下がらない、まさに社長の人間、経験、力量、それに企業が左右される。けれども、大企業になりますと、やはりシステムだと思いますね。そのシステムが効果を及ぼさなければ、企業が人だと言ったって、システムが大事だと思います。そういう意味合いでは、取締役会というものを強化するという意味はわかりますけれども、しかしながら、いま事例を挙げましたように、こう取締役会の議題に経なければいかぬぞということによって起こり得べき弊害は、今度はなるべく取締役会にかけないようにする。そして取締役会にかけるには、ここにいま紹介したように根回しを十分やって、根回しがまとまらぬうちは取締役会にかけないとかいうことによって、取締役会が形骸化するおそれというものを考えざるを得ない。取締役会がみんなでひとつこの際自由に議論しようじゃないかというふうにかんかんがくがくやるのは、会社がつぶれそうになったときだ、つぶれたときだ。もう勝手にさらせというときには言うけれども、一人の担当取締役が一生懸命やっておることをけちをつけるのはどうかと思うし、社長の顔を見て、社長があれに賛成しておるなら要らぬこと言わぬでもいいわ、こういうような気持ちになる。 だから、私は繰り返し言うのですけれども、この改正の実効がいかにして担保されるか。この改正の趣旨を企業の中に本当に浸透させる方法は一体何か。経団連は今度の改正に余り心から賛成しておるわけでもありません。法務省が街頭で、商法が改正されました、どうぞ皆さん聞いてちょうだいと言ったって、だれも聞きに来る者はおれへん。どういう方法で企業の中にこの種の改正をわかりやすく浸透させるおつもりでしょうか。
○中島(一)政府委員 商法の改正につきましては、すでに法制審議会の審議の段階から経済界としてはかなりの関心をお持ちでありまして、すでに答申が出ました段階で幾つか講演会も開かれておりますし、商法関係の雑誌など法律関係の雑誌などにも改正問題が取り上げられておるわけでございます。こういう国会の審議の経過につきましても世間が関心を持っておりますから、今回の商法改正の内容について深く知るというようなことにもなりましょうし、改正が行われました場合には、さらにまた講演会でありますとかあるいは法律雑誌等における紹介でありますとか、そういうことも行われるであろうというふうに考えるわけでありまして、私どもも、そういうものを通じてできるだけ新しい改正法の趣旨がPRをされますようにということに努力いたしたいと考えております。
○横山委員 このごろ会社の株の買い占めが、十全会だとか誠備グループだとかいうものによってかなり顕著に行われるということが注目を集めています。大阪証券信用の倒産事件を例に引いてみますと、大阪証券信用は資本金一億円、四十年設立なんでありますが、都銀から五十一億円、信託銀行から百九十一億円、相互銀行から五十四億円、外国銀行が二百三十億円、これはことしの三月現在なんでありますが、銀行がわあんと貸しておりますね。そして誠備グループなどに融資をしておりましたが、誠備グループの中心人物加藤の所得税法違反容疑逮捕以来、いわゆる誠備銘柄が急落、担保不足で資金が逼迫し、四月三日、和議を取り下げ、大阪地裁に会社更生法適用を申請し、大阪地裁は直ちに株式凍結を要請したというのであります。 この大阪証券信用というのは、これは大阪府へ届け出すればすぐ設立されるものですね。そういうところに銀行がじゃんじゃん貸して誠備グループに回す、誠備グループはそれによって誠備銘柄をじゃんじゃん買って株をつり上げるというようなことで、それが所得税法でがたがたと崩れていったということを考えてみまして、銀行がそんなことは、大阪信用から誠備グループにじゃんじゃん融資して仕手戦をやっているということはわかっていそうなものですが、この反省は大蔵省はどう考えておりますか。
○足立説明員 お答えいたします。 個別の金融機関の個別の取引というものは、本来それぞれのコマーシャルベースに乗って判断されるものが原則でございますが、金融機関が投機、思惑資金等を融資するということにつきましては、かねてからその抑制方を指導してきておるところでございまして、そのような批判を招くような融資が行われたということであれば、大変これは残念なことであり、好ましくないと考えておるわけでございます。私どもは、金融機関は預金者保護を第一といたしまして健全経営に努めることは当然でございまして、従来からそのような指導をしてまいっておりますが、今後ともそのような方向で努めてまいりたいと考えております。
○横山委員 何かうまいことおっしゃるけれども、大阪証券信用には大蔵省のOBがいっぱい入っているのですよ。御存じでしょうね。大蔵省のOBが名前を連ねて、えらいはでに大阪証券信用が始まったわけでありますけれども、もう株の買い占めや仕手戦に狂奔をしておった。これは山内社長の独断と言われておるわけですが、取締役会は、役員は、一体これらの不正融資をチェックしていなかったのか、知らなかったのか、大蔵省のあなたの先輩がいっぱい入っているのですが、その点調べましたか。
○小山(昭)政府委員 先生が最初おっしゃいましたように、大阪証券信用という会社は、いわば貸金業者と申しますか、都道府県知事に届け出ることによって設立されるものであり、大蔵省としてはこれを監督したり検査するという立場にないわけでございますので、私ども大変残念ではございますが、この会社が行っておる業務の内容、実態等については、事件が明らかになるまで承知していなかったというのが実情でございます。
○横山委員 銀行がこれほどたくさんの金を誠備グループに直接融資しておれば、目立つわな。それを真ん中に大阪証券信用なんてかっこのいい会社をつくって、大蔵省の幹部が入り込んで、大蔵省にある現役当時はそんなこといかぬぞいかぬぞと言いながら、退職したら今度は、うまいことをやれば合法であるから、銀行からおれが金を借りてやる、証券信用だから銀行、金を貸せ、そして設立目的に反してこの種のことをやるということはいかがなものかと私は思うのですけれども、この経験によって、証券信用というものがこのままほっておいていいものだろうかどうか。一般投資家の保護のためにも、いまの証券信用というものをこのままほっておいていいのだろうか、こういうことをやられれば、金がまとまって銀行からがばっと集まってくる。それを買い占めや仕手戦をやるところが貸してくれと言えば、おお、やれというようにやるプール機関になっておるという気がするのですが、証券信用それ自体についてのお考えを承りたい。どういう監督をこれからなさるつもりか。
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、いわゆる貸金業者として、証券市場の周辺にと申しますか、株式等を担保として金銭の貸し付けを行う貸金業者というのはいろいろたくさんあるわけでございます。この大阪証券信用の場合は若干毛並みが違うと申しますか、地元の証券界が大株主にかなり入っているというような点がございまして、通常のいわゆる貸金業者とは若干、その点では恐らく信用度そのほかが高かったということが今回の不幸な事件の原因になっているというふうに思うのでございますが、いずれにいたしましても、法的性格から言えば、私どもの直接監督なり何なりが及ぶ相手ではなくて、貸金業者という位置づけになるわけでございます。 そこで、先生のお尋ねの点でございますが、私ども、やはり大阪証券信用に限らず、一般の有価証券担保で金融を行う町の金融業者といいますか、そういうものを含めまして、そういうものと一般の投資者とのかかわり合いについてでございますが、これは個々の投資者が自分でそういうところへ駆け込んでいって金を借りるということを、一々私どもの方で監督、規制するというのは、これは先ほど来申し上げておりますように大蔵省の権限外の問題でございますが、今回の事件で特徴的だったことは、証券会社が証券担保の金融会社に自己の顧客をあっせん、紹介等いたしまして資金を調達させて、それをもってさらに投機的な株式投資を行わせているというところに特色があったわけでございまして、そういった証券会社とその種の証券金融会社とのかかわり合い、証券会社が自己の営業を繁盛ならしめるために、顧客をして過度にあるいは投機的な取引のための資金調達にそういった金融会社を利用させることをあっせんしたりすることが過度にわたらないように、その辺のところは証券会社の営業姿勢の問題として今後十分検討し、必要な指導等を行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
○横山委員 大阪証券信用は毛並みがいいからこんなことになると思わなかったとおっしゃるのだが、毛並みがいいから銀行が全部金を貸して、毛並みがいいところを利用して買い占めや仕手戦をやる、そんなばかな話はないですよ。理屈がどこかでおかしいですよ、これは。私は、証券金融について何らかの規制をすべきだ、証券金融は私の方の所管じゃないから知らないと言っておれぬ問題があるじゃないか、銀行も銀行だと思うのでありますが、これは検討をお願いしておきたいところであります。 次は、片倉工業の香港グループの株式取得の問題であります。 片倉工業は資本金十七億五千万円の会社でありますが、株式二三%を取得した香港投資家グループが、片倉工業所有の大宮工場跡地利用について会社側と意見が対立して、取締役の違法行為差止請求を東京地方裁判所に起こしました。また、五十五年十二月一日施行の新外為法に伴い資本取引が原則自由となったが、政府が外人の株買いを規制できる企業に片倉工業を指定したのは不当であるといって、指定取り消しの行政訴訟を起こしたものであります。 この事件を考えてみまして、今回、取締役会というシステムの強化というのが今度の商法改正のポイントでございますが、経営者優位の日本企業、株主なんか配当さえ払えばいいんでしょうというような感覚と言っては語弊がありますけれども、大体そういうことで、実際は株主権なんというものはあってもなきがごとしだ。ところが、アメリカでは株主優位という考え方が優先しておると思うのです。日本的な経営者優位、アメリカ的な株主優位との違いがここにあらわれているんじゃないかという感じがします。香港グループが、大株主なのに株主総会の席上で意見を言わしてもらうこともできない、いまのままの借金経営を続ければ経営利益と同じだけの支払い利息を払うことになるから、株主にでなく銀行に奉仕する会社になってしまうと言って経営方針の違いをはっきりさせておるわけであります。 新外為法の施行、日本企業の成長等から、日本株がオイルダラーを中心として世界から注目され、まさに株主国際化時代を迎えたわけですが、株主総会の運営、配当政策、ディスクロージャー、こういうところが改善のポイントになっておるわけでありますが、お伺いをしたいのは、片倉工業のような繭の生産を中心としておるところがなぜ外人持ち株の制限がされておるのだろうか。外人の持ち株制限、これが今度二〇%以下、そういうことになっておる基本的な理由並びにその基準は一体何でありますか。こういう問題は大蔵省、どこが所管ですか、それだけ聞かしてもらいたい。
○小山(昭)政府委員 国際金融局です。
○横山委員 きょううっかりして国際金融局を呼んでおりませんからなんでありますが、しかし、それじゃ今回の商法改正に関連して、外人香港投資家グループの言うところの、大株主なのに株主総会の席上で意見を言わしてもらうことができない、このまま借金経営を続ければ、営業利益と同じだけの利息を支払って、会社は株主よりも銀行奉仕だという主張についてはどうお考えになりますか。
○中島(一)政府委員 先ほど株式会社の業務執行は取締役会が決するということを申し上げましたけれども、それはあくまで株主総会がその根本にあるわけでございまして、株主は会社を所有しておる立場であり、株主総会はその株式会社における最高の意思決定機関であるということは申すまでもないことでございます。それを貫きますと、香港株主のような、株式会社の経営は株主総会がコントロールしているのだ、株主がコントロールしているのだという考え方になろうかと思います。それに対しまして、日本の株式会社の運営の実情は、株主総会が形骸化をしておる。取締役優位、経営優位というふうに先ほどおっしゃいましたが、そういう現実があるわけでありまして、株主を軽視しているのではないかという批判はごもっともな点があるわけでございます。 今回の改正法におきましては、形骸化しておる株主総会を生き生きとしたものにしたい、活性化させたいということで幾つかの手当てをしておるわけでございます。あるいは株主総会の権限の適正な配分を心がけた、あるいは総会屋というものを排除いたしまして、そこに実質的な審議が行われるような手当てをしたとか、その他いろいろあるわけでありますが、いま問題になっております株主総会のあり方についての考え方の違いというものは確かに御指摘のとおりでありまして、今回の改正案は少しずつ株主総会のあるべき姿に近づくことに心がけたつもりでありますけれども、また、これは一面、日本の風土というようなものもありますので、株主さえよければいいというわけにもまいりません。その辺の調和と申しましょうか、あり方がむずかしい問題であろうと考えておるわけでございます。
○横山委員 そうしますと、今回の商法の改正に当たって、基本理念は、株主総会がオールマイティーである、取締役会はその下部機関というか、そういうことである、けれども、いま株主総会でてんやわんややらせて総会屋の勝手なことをさせてもいかぬ、順次株主総会を談論風発というか、自由な意見が正当に行われるように誘導する、この序の口である、こういう御意見ですか。
○中島(一)政府委員 株主総会のあるべき姿ということになれば、これは株主優位ということが出てまいります。しかし、現在の日本の株式会社のあり方ということでありますれば、経営優位という現実がございます。しかし、現実につきましては、株主軽視という批判が強いわけでございまして、私どもとしては、株主軽視の批判にこたえるべく、株主優位という方向に持っていきたいという若干の手当てをした、こういうことでございます。
○横山委員 株主総会の問題で少し言及をしてみたいと思うのですが、今回、「会社ハ何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」という規定があるわけでありますが、大和証券の調査部が調査した株主総会白書によりますと、総会に出席する株主に対しておみやげを渡したり、飲み物や食事を提供するなどして接待を行う会社が多いという。出席した株主一人当たりのおみやげの金額をアンケート調査した結果、おみやげを出している会社は三者二十七社、これは全回答の五一・七%というのでありますから、半分以上がいつもおみやげを出しておるわけですね。おみやげを出しておる会社のうち、株主一人当たりの金額は、四百円超六百円以下が最も多く百十九社、おみやげを出した会社の三六・四%、二百円超四百円以下が六十七社、二〇・五%、八百円超千円以下が四十二社、一二・八%、二千円を超える会社が一社あり、具体的回答では四千円となっているようです。また、自社製品または関連会社製品を出す会社が一五・九、自社製品以外の物を出しているものが三二・七。これは「何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」という規定に反しますか。厳密に言えば、だめですね。
○中島(一)政府委員 株主総会に出席をいたしました株主に何らかのおみやげを出すということが慣例的に行われておることは私どもも聞いておりますけれども、これは株主総会に出席してもらうことに対する儀礼的な謝礼と申しましょうか、そういうようなものであろうかと考えておりますので、物の種類あるいは価格というようなものにもよると思いますけれども、一定の限度にとどまる限りは、二百九十四条ノ二によって供与を禁止しようとしておる財産上の利益には当たらないと私どもは考えるわけでございます。
○横山委員 だけれども、おみやげの額が四千円となっているところがありますね。利益配当が平均一割として考えた場合には、五十円株の場合は五円ですね。五円の配当しかないのに、四千円のおみやげ代金は八百株に当たります。それでも儀礼的なんですか。金額上からいうと大変おかしくないですか。
○中島(一)政府委員 四千円というような例はいままで聞いておりませんでした。私ども聞いておりましたのは、せいぜい何百円から千円までの物と聞いておりましたが、金額によりましては問題になるかと思います。
○横山委員 この間、日本の総会屋が、アメリカへ大挙アメリカの総会を勉強に行ったという記事が出ておりました。アメリカではびっくりこいて、日本の総会屋アメリカへ進出というタイトルをしたそうでありますが、いまのところはまじめな勉強をしてきたということになっておるわけであります。しかし、そのまじめな勉強の中で一様に言っておりますことは、アメリカの株主総会はきわめて長時間、そしてまじめな質疑応答が行われておる、こういうことを、報告ですからどうかわかりませんけれども、総会の時間が二、三時間から五時間に及ぶこともある。総会は会社を知ってもらう絶好のチャンスとされ、株主のコンセンサスを得るまで意を尽くそうという姿勢である。だから、わずか二、三十分、ひどいのになると十分で終わって、ああよかったよかった、万歳と言って、社長以下みんなが、きょうは御苦労さん御苦労さんと言っているのとえらい違うなと思うわけでありますが、先ほどもちょっと御意見を伺ったわけでありますけれども、こういうことを比較してみまして、日本の株主総会が総会屋を排除しながらまじめな株主総会とするにはどうしたらいいだろうか、その点が日本の企業のディスクロージャー、社会的責任、株主の利益擁護、株主の本当の協力を得られるポイントになるのではないか。むしろ、改正の中で一番主力を注がなければならぬことではないかと思われるわけであります。 今度経団連が参考人としていらっしゃるのでありますが、改正に当たって、株主総会の民主化あるいはまじめな討議の場、そういうふうにすることについて、審議の過程、関係団体との協議の場でどんな議論が行われ、尽くしてきましたか。
○中島(一)政府委員 先ほどからも問題になっておりますように、株主に会社の経営と申しますか、株主総会に参加をするという意識と意欲を持ってもらうことがまず重要であろうということが考えられます。現在の株主総会の実情は、株主にそれに参加をするという意識も持つにふさわしくないし、意欲を持たせるのにも十分でない、こういうことが指摘されておるわけであります。 それに対しまして、確かにアメリカの例などを伺ってみますと、かなり実質的な審議が行われておる、株主総会あるいは株主が会社の経営をコントロールしているのだということが株主総会のあり方にかなり如実にあらわれておるということで、私どもは大変うらやましく考えておるわけでございます。これは国民性の違いというようなことにもよるところがあろうかと思います。ディスカッションによって結論を出していくという、そういう国民性と申しましょうか、そういうことにわが国の国民がなれていないというような面もあろうかと思いますけれども、私どもは、制度といたしましては、株主総会の方向としては、ただいま問題になっておりますようなアメリカの株式会社における株主総会のあり方に近づけていきたいと考えておるわけであります。 そのときにどういうことが具体的に問題になるかということでございますが、審議会で問題になりましたような問題、また私どもが考えましたような問題はいろいろございますが、先ほども申しましたように、まず、総会屋というものに対する排除を考えなきゃならぬだろうということでございます。 それに対しまして、先ほどから問題になっております株主権の行使に関する利益の供与を禁止するということで総会屋を排除するということを考えております。 さらには、株主総会の権限の適正な配分ということが問題になろうかと思います。株主総会では、そこで審議されるにふさわしい事項を審議の対象にする、そして審議するに適当でないものは株主総会の承認事項から外すということであります。貸借対照表あるいは損益計算書というような計算書類を、これは大規模会社についてでありますけれども、今回、株主総会の承認事項から外しまして、そして会計監査人の選任を株主総会の決議事項としたというようなことはその一つのあらわれでございます。 そういうものを、いろいろ制度を改めることにいたしまして、要するに、株主総会が経営者をコントロールする、経営をコントロールするということを形の上でも、株主の気持ちの上でも明らかにしていきたいというのが今回の改正の方向でございます。
○横山委員 先ほど公認会計士のあり方、大蔵省とのあり方について質問をいたしましたが、この公認会計士の解任の問題です。解任は、任期一年になっておるのですけれども、代表取締役はいつでも首を切れるということになっていますね。で、正当な理由なく首を切られたときには賠償を請求できるというふうになっておりますね。いっでも首を切れるというのは、あれは何条でしたかな……(中島(一)政府委員「特例法の六条でございます」と呼ぶ)特例法六条でしたか。一体なぜ正当な理由があるときには首を切れるというふうにしなかったのかということに疑問があるのですけれども、その点ちょっと説明してくれませんか。いつでも首切れるということが、なぜ、正当な理由があればいつでも首切れるというふうにできなかったかという点です。
○中島(一)政府委員 これは、会計監査人は会社の代表取締役との間で委任あるいは準委任の法律関係が成立をするというふうに言われております。そうなりますと、民法の委任の規定が準用になるということになりますので、民法の六百五十一条という規定がありまして、「委任ハ各当事者ニ於テ何時ニテモ之ヲ解除スルコトヲ得」、第二項におきまして、「当事者の一方カ相手方ノ為メニ不利ナル時期ニ於テ委任ヲ解除シタルトキハ其損害ヲ賠償スルコトヲ要ス」、こういうことになっておるわけでありまして、委任というのは、申すまでもなく、これは委任者と受任者の間の信頼関係に基づいて成立をいたしておりますので、その解除というものについては、正当事由ということで余り厳格な要件を設けないというのが委任についての基本的な考え方であろうと思います。 それを公認会計士たる会計監査人の解任についても持ってきたのであろうというふうに考えるわけでありますが、ただ、その規定は、選任権者が取締役会である、現行法のもとにおきまして会計監査人を選任するのは取締役会である、こういうことを前提として成り立っておるわけでありまして、今回、会計監査人の地位の独立を図るということで、会計監査人を選任するのは株主総会の決議ということになりましたので、したがって、解任も株主総会の決議ということになったわけでございます。
○横山委員 監査役だとか取締役の解任の条件と、公認会計士の解約、解任条件とはたしか違うように思うのです。なるほど、民法上の問題はあるかもしれぬけれども、公認会計士というものは株主を代表し、あるいは社会を代表して社会的責任のある企業の監査をしておるという立場から言えば、通常のところの民法の自由な諸契約とは違った立場にある。だから、解任は一年以内でもいつでも首切れるというこの規定は、いささか異様に私は思うのですよ。 正当な理由があるならばいつでも首切れるというならばいいけれども、問答無用でいつでも首切れる、ただ、それで文句があったら、正当な理由がないときには賠償請求をしてもいい、こういうふうになっていますね。そこのところがおかしいのです。 正当な理由があれば賠償請求をしてもよろしいということは、裏を返すと、正当な理由がないときでも、いつでも首切れる。正当な理由があればいつでも首切れるということなら、話はわかる。理由なくして何でも問答無用で首切れるというのはちょっとおかしくないですか。私の言っていること、わかりますか。だから、一般の契約と違うのじゃないか。これだけ監査ということが重要なことだ、社会的責任がある、大蔵省にも報告せねばならぬ、そういう責任ある地位に立っておる者をいつでも首切れる、文句があったら賠償請求してごらん、こういうことではちょっとおかしくはないかという気がしますね。これはあなたも、いま何か答弁が人ごとみたいな、そういうことだと思いますなんて、あなたがやったんじゃないのかね。
○中島(一)政府委員 会計監査人と会社との間の法律関係が委任あるいは準委任であるということから出てきた法律的な制度としての結論であるというふうに考えまして、私どもの方で立案をしたわけでございます。
○横山委員 それはおかしいな。これは問題を留保しておきます。 その次は、二百八十一条ノ三、二の五でいわゆる継続性原則を導入したと考えられますが、この場合、監査報告書の上で会計方針の変更が相当でないとされた場合、当該監査の対象となった計算書類は違法となるのか、または会計方針の変更が相当なる場合、同じく相当でない場合、一体どういう場合になるのかよくわからぬのであります。要するに、正当な理由といったところで、減価償却を定額制から定率制にする、あるいは定率制から定額制にするという会計方針を変える場合、そうか、おまえのところはそういうふうに変えたか、それならそれでええわ。ところが、二、三年たったらまたもとへ返しますわ、ああそれならそれでええわということに相当な場合はなるのですが、ここで言う会計方針の変更が相当でないという場合はどんなことを言おうとしているのですか。
○中島(一)政府委員 会計処理の方法というのは複数ありまして、その複数いずれも適法であるという場合があり得るわけでありますので、一つの会社がAという会計処理の方法を本年度ではとりましたけれども、来年度におきましてはBという会計処理の方法をとるということもあり得るわけでございます。このこと自体は決して違法ではございませんけれども、このような会計方針の変更が行われますと、営業年度何年かにわたりまして期間の損益の比較をする場合に、それが困難になるというおそれがあるわけでありますから、それが不当な目的に利用されるおそれがある、特に利益操作の目的に利用されるおそれがあるわけであります。 したがいまして、今回の改正案におきましては、会計方針の変更自体を禁止するということはいたしておりませんけれども、会計方針の変更があった場合には、会計の専門家である会計監査人及び会社の機関として社内事情に詳しい監査役に、その変更がどのような影響を及ぼすか、さらにはその会社の置かれております状況のもとにおいてその変更が相当かどうかということの意見を監査報告書に記載させるということにいたしました。これによって計算書類から会社の財務状況がより的確に把握できるように、また会計方針の変更の乱用による不当な利益操作が行われないようにということを考えたわけでございます。 会計方針の変更がもっぱら利益操作のために利用されているという場合は、これは全く不相当ということになるだろうと思うわけでありますが、この場合に、その方針を変更して作成された貸借対照表または損益計算書そのものが会社の財産及び損益の状況を正しく示していないということになりまして、監査報告書では、会計方針の変更についての意見のほかに、この貸借対照表なり損益計算書そのものが会社の財産及び損益の状態を正しく示していないということが指摘されることになるであろうというふうに考えます。
○横山委員 次に、二百八十七条ノ二ですが、今回の改正によって商法上引当金はいわゆる負債性引当金に限ることになった、そう考えられますね。租税特別措置法上の準備金、たとえば価格変動準備金、中小企業海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金等利益性処分は載せるなというふうに解釈するんですが、それでいいんでしょうか。それが前段であります。 それなら、その利益性処分、価格変動だとか中小企業海外だとか、海外投資損失準備金だとか、そういうものは税法上では損金扱いに初めからしてしまうわけですな。ところが、今度の商法改正で、それらは税法上と扱いが違うことになる、そういうことになるんですか。
○稲葉説明員 まず、前段についてでございますが、私どもは巷間言われております負債性引当金に限るということは必ずしも申し上げておりませんで、利益留保性のものは除かれる。若干いま言われている負債性引当金よりは広めのものになるのではないかというふうに考えております。しかし、先生御指摘のとおり、利益留保性のものが除かれるということは、これはおっしゃるとおりでございます。 それから、税法上の処理につきましては、これは損金処理がされるわけでございますが、税法上の処理は、確定決算に基づいて行うという確定決算主義が現在とられておりますので、その場合には利益処分方式によって利益処分、留保利益としておいても、それを税法上は損金に算入することができるということが税法上認められておりますので、そういう扱いで処理することになるのではないかと思います。
○横山委員 いずれにしても、私もちょっとこの辺がよくわからないのだけれども、税法上の扱いと商法上の改正の扱いとが違う。税法上では利益の計上前にこれらの利益留保性の準備金ですか、それらは落としてもいい、ところが、今度の改正の商法で、これらのものは利益処分の段階で落とせ、こういうわけですね。その扱いの違いというのは何か問題が起こるのじゃないですか、何も問題がないですか。
○稲葉説明員 かつては税法上は利益処分方式による損金算入ということを認めておりませんでしたので、その点は特定引当金という形で負債の部に計上しない限りは損金扱いしないという扱いであったわけでございますが、現在のところは原則として利益処分方式を認めておりますので、特に問題は起こらないというふうに考えております。
○横山委員 本日は時間が、まだ私の半分にも満たない質問でありますが、最後に、私どもがこの法案の審議を党内でいたします際に重要な問題として、一遍政府側の意見を聞いておきたいと思います。 残念ながら、自民党の責任者がおらないのでありますけれども、聞くところによりますと、答申から政府案に至りますまでの過程で幾つかの修正がされました。その修正の過程で、日税連と自由民主党との間に監査制度を抜本的に見直すための調査会の設置という問題が議論をされました。——責任者が一人いらっしゃった。ちょっと聞いておいてよ。先ほど理事会において自由民主党の山崎武三郎君に聞きますと、自由民主党と日税連の間に監査制度を抜本的に見直すための調査会の設置ということが自由民主党で了承をされたというような趣旨ですね。まだそこ正確かどうかわかりませんが、趣旨の私の質問に対しまして、山崎理事からそういうことがあったという話を聞きましたが、その事実は政府側としても承知をしておられるのですか。
○中島(一)政府委員 私どもは、税理士会、日税連の方から監査制度を抜本的に改善するための調査をしてもらいたいという申し出があったことは承知しております。しかし、それは法務省の関係でございませんので、私の方は、これは私どもの方へ持ってきてもらっても困る、しかるべきところで話をされるべきだろうということを申し上げまして、税理士会の方では別途しかるべき方向へ話を持っていかれたというふうに私どもは聞いております。
○横山委員 自由民主党がそれを党内の機関として設置することを承知したという事実については御存じでございますか。また、大蔵省はこの問題について承知をしておりますか。
○中島(一)政府委員 自由民主党の党内審査、与党審査の段階でそういう御意見が出ておったということは私ども耳にいたしましたけれども、どういう結論になりましたかは承知いたしておりません。
○横山委員 大蔵省、どうですか。
○小山(昭)政府委員 私も、そういう問題について両業界との関係でお話し合いが行われていたということをある段階で耳にいたしましたが、それがどういう結果になったのかというようなことについては承知いたしておりません。
○横山委員 この監査制度の抜本的な見直しということはどういうことなのか、どういうことが予想されるかという点について、御意見を伺いたい。
○中島(一)政府委員 私ども聞いておりましたのは、先ほどからも問題になっております会計監査人の監査と監査役の監査との関係あるいは会計監査人の地位の独立性というものが現在のままでいいのかどうか、そういうような問題に関連をするというふうに承知をいたしておりました。
○横山委員 この被監査会社と監査人とのありようの問題が具体的には考えられるのですが、そのほかはこの抜本的な見直しについて、いまのお話によれば余りはっきりした話ではないようでございますね。 いま例示いたしました被監査会社と監査人のあり方、今回、この商法がもし通過をいたしますとかなりな被監査会社が出るわけですね、新たに出るわけです。その被監査会社と公認会計士との契約のありようについて、どうしても、双方の合意によって契約が成立をいたしましても、端的に言えば商売だから自分のところでやりたいという、あるいはまた被監査会社は大きなところ、信用があるところ、まあ大きければ大きいほどいいというような傾向が出て、前回の商法改正の後始末に私も少しあの当時の民事局長とも話し合ったのですけれども、監査法人、大監査法人、中小監査法人あるいは個人の公認会計士にそれぞれ所を得せしめるように配慮すべきではないか。もちろん監査は個人の公認会計士が一人でやれることではありませんので、その辺のこともいろいろと配慮をしたらどうか。 たとえば、きょう後でまた議題に供しますけれども、いま総理府でやっております公益法人の会計基準ですね、任意にやっておりますけれども、それを公認会計士の監査要件にしたらどうかとか、そういう配慮をすることによって契約関係の公正さ、あるいはその契約のありようについての基本的な命題、そういう問題についてはまだ問題が残っておるというふうに私も思うのですが、あなたはどうお考えになりますか。これはあなたのお考えじゃない。大蔵省かな。どちらが本当の答えをなさるかな。
○小山(昭)政府委員 ただいまの先生の御質問の要旨は、このたびの制度改正が実現した暁に監査対象となる企業の数がふえるわけでございますが、これに対して過当な競争といいますか、監査法人あるいは公認会計士の方たちの間で余り過当な競争が行われることは、会計監査人としての企業との間の独立性を阻害するという趣旨からも好ましくないのではないか、これについてどのような姿勢で行政は臨むのであるか、こういう御質問の御趣旨かと思います。 まさにその御指摘のとおり、公認会計士あるいは監査法人がその自己の独立性を維持していくためには、やはり過度にわたって競争を行って契約を結ぼうとするようなことは避けていただきたいというのが私どもの気持ちでございまして、この点につきましては、現在の協会の規律、規則におきましても、業務の委嘱を会員は懇請してはいけないというりっぱな規定があるわけでございますので、基本的には監査契約を結ばれることは企業と会計監査人との間の自由なお話し合いで決まっていくわけでございますが、いま申し上げましたような過当な競争が行われて協会の規律、規則の趣旨が没却されるようなことにならないよう、私どもとしましても協会の自主性を尊重しながらもその辺は十分注意を喚起してまいりたい、このように考えております。
○横山委員 時間になりましたので、きょう私の第一段階における質問は終了したいと思います。
○高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 きょうは商法と証券取引法との関係、監査役、公認会計士それから監査人ですか、そういうふうないろいろな問題について問題がありますので、お聞きをしていきたいというふうに思います。 そこで、一番最初にお聞きをしていきたいのは商法と証券取引法との関係なのですが、実を言うと、これは私よくわかりません。そこで、いろいろお話をお聞かせ願いたいと思いますが、一つは、戦後の法律はみんな第一条に目的が書いてあるわけですね。これはアメリカ流の法律の体系かもわかりませんが、書いてあるのです。そうすると、商法の場合、第一条に目的を書くとすればどういう目的の書き方をするということになるわけですか。
○中島(一)政府委員 現在の商法の内容から考えまして、商法一条にこの法律はということで書くとすれば、商行為に関する法であり、かつ会社に関する組織を定めるものであるというようなことを書くのではなかろうかと考えます。
○稲葉委員 いまのは質問としては最初の質問で、ちょっと意表外の質問ですが、これはなかなか効果が上がるのです。最初にこういう意表外の質問をやっていくとだんだんそっちが崩れてくるので、これは一つのテクニックなのです。いまのはおかしいですね。債権者の保護というのが入ってない。これが入らなくてはおかしいですよ。そういうわけでしょう、どっちでもいいですが。 そうすると、証取法の場合にはその目的が第一条に書いてありますね。これは、なぜ証取法ができたかということは後からお聞きしますが、証取法の目的の書いてあるところと比べると、商法のいま民事局長が言ったところとはどういうふうに違いがありますか。
○小山(昭)政府委員 証取法一条にはこの法律の目的が書いてございますが、これは最終的には投資者保護ということを究極の目的にする法律であるということを述べたものというふうに理解しております。
○稲葉委員 それはそうですが、その前に「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、」こういうふうに書いてあるわけですね。投資者の保護というのは、これは証券取引ですからわかりますが、そうすると、国民経済の運営、こういうふうなことは商法の場合にはまず関係がないのかということが一つと、証券取引法で言う投資者というのは、商法で言うと株主になるのか、社債を含むから一般債権者という形になるのかわかりませんが、その保護ということも商法の目的として当然入ってこなければおかしいのじゃないかというふうに私は考えるのです。 大蔵省に聞くのは、いまの国民経済の運営とかなんとかという言葉は、どういう意味でこういう言葉を特に使ったのでしょうか。それから法務省に対しては、いま言った言葉と国民経済の運営、それから債権者や株主の保護ということは、いまの商法の目的には入らないというふうに考えるわけでしょうか、その点ですね。
○小山(昭)政府委員 先ほどの答弁がかなり舌足らずでございまして、申しわけございません。正確に申しますと、証券取引法第一条、目的といたしまして、「この法律は、国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする。」ということで、いろいろのことがこの目的として挙げられているわけでございます。私どもこの規定の解釈といたしましては、後段の「有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを」というのはいわば二次的な目的であって、究極の目的は「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資する」ということである、こういうふうにこの規定を読んでおるわけでございます。
○中島(一)政府委員 商法の内容が先ほど申しましたように商行為に関する規定と会社の組織法に関する規定でございますから、商行為の規定につきましては、商取引を円滑、適正ならしめるということが目的であり、会社の組織の運営につきましては、株主並びに債権者の保護ということがその目的であるということが内容になろうかと思います。
○稲葉委員 そこで、私はわからないのは、証券取引法の場合にセキュリティーズという言葉があるでしょう。証券という言葉をそういうふうに使っているわけでしょう。そうすると、セキュリティーズという言葉とそれからアンド・エクスチェンジという言葉を使っているわけですが、そのセキュリティーズという中には何が入っているわけなのですか。
○小山(昭)政府委員 証券取引法で対象といたしております有価証券というものは、範囲が厳しく限定されておりまして、この法律の二条におきまして、一号から八号までに具体的に国債証券、地方債証券、株券等列挙いたしまして、九号として「その他政令で定める証券」ということになっておりますが、現在までのところ政令で定めているものはございませんので、法律の二条の一号から八号までに列挙されているものがこの法律で言う証券でございまして、先ほど先生のお話の中にありました社債券はこれに入っております。
○稲葉委員 そうすると、証券、有価証券というのは権利が化体している場合でしょう。そうすると、株券は有価証券と見ていいわけですか。
○中島(一)政府委員 そのとおりであると考えております。
○稲葉委員 そこで、この証券取引法の場合に、何回かいろいろな改正があるわけですが、有価証券報告書に公認会計士が何かその意見をつけることになっているわけですね。これは証取法百九十三条の二に規定があるのです。そうすると、公認会計士が意見をつけるそのいわゆる有価証券報告書というものですね。まず、有価証券報告書と、商法でいうところの貸借対照表とか損益計算書とか営業報告書とかいろいろありますね、それとはどういうふうに関係するわけなのですか。
○小山(昭)政府委員 証券取引法上会計監査人が監査証明を行わなければならない対象になっております有価証券報告書ないしは届け出書につきましては、これはいずれも証券取引法の規定に従いまして募集、売り出し等をされた有価証券あるいは証券取引所に上場されている有価証券に係るものというふうに理解しております。
○稲葉委員 私の言うのは、有価証券報告書に記載して報告するのでしょう。それは商法との関係で言うと、貸借対照表とか損益計算書とか営業報告書とかいろいろなものがありますね、そういうものとどういう関係に立っているのですかと聞いているわけなのです。それはぼくにもよくわからないのですよ、有価証券報告書というのを見たことがないので。まとめたものなのか、全然別個のものなのか、それはどうなのですか。
○小山(昭)政府委員 ただいま申し上げましたように、証券取引法上の監査証明の制度というものは、この法律の投資者保護の精神から、そういう必要から決められているものでございまして、財務諸表等の様式その他につきましても、独立して別個に省令によって様式が決まっている、こういうものでございます。
○稲葉委員 いや、それはわかっているのですが、いま私が言った商法のものをまとめてというか、あるいはその中から抜粋した形で有価証券報告書というものができてくるのですか。どういうことを記載することになっているのか。その点がはっきりしないものだからお聞きしているわけです。
○元木説明員 お答えいたします。 まず、商法の計算書類でございますけれども、これは会社の債権者及び株主を保護するということが目的で作成されるものということでございます。それに対しまして証券取引法、具体的には財務諸表等の様式及び作成方法に関する規則に基づきまして作成されるいわゆる有価証券報告書と申しますのは、いわゆる投資家というものを保護するということでございます。投資家と申しましても、もちろん現実に株主になっているという人もいるわけでございまして、これから株を買おうという人もいるわけでございますので、その点では一部重なるということもあるわけでございます。したがいまして、その点ではある程度重なりますし、同じく会社の財務状況をいずれも開示するという目的でございますので、その点では重なるところがございますけれども、それはそれといたしまして、またそれぞれの目的もございますので、違うところもあるわけでございます。
○稲葉委員 だから、重なるところと、違うところもあるわけでしょう。だから、どういう点が重なって、どういう点が違うのですか、それは。その辺が明らかでないと、ただ重なるところがある、違うところがあると言ったって、わからないのじゃないですか、答えとしては。
○稲葉説明員 有価証券報告書の場合には、有価証券報告書の中に確かに貸借対照表とか損益計算書という商法上の計算書類と全く同一の名前のものが添付される、あるいはそれに含まれなければならないというふうになっておりますけれども、これは先ほどから申し上げておりますように、名前が同じだけでございまして、それぞれの規制する法規は違うわけでございます。従前から、その規制する内容が違うという点から、会社としては二度類似するようなものをつくらなければならないということで批判がございまして、それが昭和三十七年あるいは四十九年あるいは今度の改正で、逐次、できるだけ同じような計算書類、計算処理ができるようなというような形で、近接した形になるように考慮しておるわけでございますけれども、性質としては全く違うものでございまして、商法上の貸借対照表とか損益計算書というのは、取締役会が作成し、それを株主総会でいままでは承認しなければならないということになっていたわけでございますけれども、有価証券報告書の中身としての貸借対照表とか損益計算書というものについてはそういう制限はないわけでございまして、そういう意味では全く別のものだというふうに御理解いただいて構わないと思います。
○稲葉委員 いまのは一元化の問題でしょう。一元化の問題ですね。そこで、だからその前の段階においては、有価証券報告書のもとになるところの貸借対照表とか損益計算書、現実にもとになるかどうかは別として、そういうふうに考えていいでしょうね、それについては監査役がオーケーのしるしを出しておったんだけれども、有価証券報告書の方は公認会計士が意見をつけるわけでしょう。利害関係のない公認会計士が意見をつけるのでしょう。その意見で不適当だという意見が相当出てきたのじゃないですか。それからこの一元化の問題やいろいろな問題が起きてきたのではございませんか。そうじゃないですか。そこで商法の改正が起きてきたのでしょう。 だから、具体的に言うと、大蔵省に聞いた方が早いかもわからぬけれども、監査役がオーケーという意見をつけていて、それで公認会計士がそれは不適切だとかなんとかという意見をつけたのは相当例があったわけじゃないですか。そこはどうですか。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
○小山(昭)政府委員 おおむね先生の御指摘のように、適切でないという意見が出されたものがかなりあったというふうに聞いております。これはたとえば継続性の解釈そのほかについて若干意見を異にしたというようなものが大方であるというふうに聞いております。
○稲葉委員 いまあなた、継続性の原則ということを言われましたね。これは企業会計原則の問題ですね。そうすると、では、企業会計原則の問題で、日本の場合は、フランコ・ジャーマン系の経理体系というのはどういうふうなものを言うのですか。
○小山(昭)政府委員 大変恐縮でございますが、私、存じません。
○稲葉委員 いやいや、存じませんじゃだめなのよ。そこからそれが変わってくるんでしょう。それは戦前の企業体系です。それが証取法や何かになって、それで変わってくるんですよ。だれか、法務省知っているでしょう。
○元木説明員 詳しくは存じませんけれども、これは原則として証券取引と本来の商法上の会計処理というものを区別しないでやるという、いわゆるヨーロッパ系の考え方、これがフランコ・ジャーマンじゃないかと思います。それに対しまして、戦後アメリカ系の証取と商法本来の会計処理という二つに分かれたものが入ってきたということだと思います。
○稲葉委員 そのとおりですね。そこでいろいろな問題が出てくるんですよね。いまの企業会計原則の問題が出てきたでしょう。これはどうして法律にしないの。 これは、この前四十九年のときに、中村梅吉法務大臣は、これは立法化しようということをここで言われているのですよ。立法化とはっきりは言わぬけれども、そういう意味のことを言われていますよ。企業会計原則というものを、内部的な機構としてやらないで、立法化してそういう制度をきちんとしたものにしたい、確立したいということを法務大臣はここで言っているのですよ。企業会計原則の問題、これをその後どういうふうに検討したのか。これもなかなかむずかしいよね。法務省と大蔵省の間で分かれているからなかなかむずかしいところですけれども、中村梅吉さんが四十九年三月五日に衆議院の法務委員会で言っていますよ。言っているのは法務大臣ですよ。どういうわけでこんなことを言ったのだろうか、その後どうしたのか。
○中島(一)政府委員 企業会計原則の問題について法律をつくるという考え方は確かにあるようでございますけれども、企業会計原則自身が原則としてまだ十分確立していないという面もございますので、時期尚早であるということで見送られておると存じております。
○稲葉委員 企業会計原則がまだ十分固まらないといっても、今度商法の中にそれを取り入れるという形でできてきたんじゃないですか。法制審議会でその点についてはどういう議論があったのですか。ちょっとよくわからない。固まらないといったって、固まったものとして受け取って商法を改正しようとしているんじゃないですか。
○元木説明員 確かに、今回の商法改正の商法部会での審議の中で、現在の企業会計原則についてもいろいろ問題があるということでございまして、さらにそれをどのように商法に反映させていくかということもございましたので、非公式にでございますけれども、企業会計審議会に商法部会の方からいろいろ問題を投げかけまして、御検討をいただきたいということにしたわけでございます。 それに対しまして幾つかの返事が返ってきたわけでございまして、その中で特定引当金の問題なんかもあるわけでございますけれども、すでに何回か申し上げておりますように、今回の改正は最初全面改正という方針でまいりましたのを、途中から、言ってみれば企業の自主的監査機能の強化ということでその部分を特に取り出して早く立法したという関係から、今回の改正ではそれをすべて取り入れて、すべてを審議した上で法改正に盛り込むことが時間的にもできなかったということがございましたので、その点を企業会計審議会あるいは企業会計原則と商法を完全に一致させて立法させるというまで至らなかったわけでございます。
○稲葉委員 企業会計審議会の構成メンバーでありますが、あれはどうして財界の人たちばかりを入れているのですか。学者は番場さんとかその他入っていますけれども、あと二、三人入っているのかな。黒沢さんが入っているのか、だれが入っているのか忘れましたが、ほとんど財界のメンバーでしょう。それで果たして正しい企業会計審議会の構成と言えるのですか。どういうメンバーですか。一覧表を示して説明してください。
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。 企業会計審議会の委員は現在二十一名いらっしゃいますが、そのうち十二名が大学の教授等学者でございます。経済界の方で企業会計に明るい方がそのほか学識経験者として若干名おられますし、また、公認会計士協会及び税理士会連合会から三名ばかりの方、それから証券業協会、証券取引所からそれぞれお一人という構成になっております。
○稲葉委員 いまのお話で企業会計審議会のメンバーはわかりましたけれども、そうすると、いま元木参事官が言われたように、企業会計原則が確定していないのに商法の中にもそれを取り入れたというのですか。特定引当金の問題ですが、それはまた後でお聞きしますが、今度のあれは利益留保のものを除いたというのでしょう。私がいまここで直接お聞きしたいのは、なぜ商法の中にあの特定引当金という制度が入ったのか、それだけお聞きしておきます。
○元木説明員 御質問の趣旨を必ずしも理解していないかもしれないのでございますけれども、今回、特定引当金の規定を改正いたそうという意図でございますけれども、まず第一に、現行法のもとにおきましては利益留保性のものも特定引当金として計上することができるというかなり強い意見があるわけでございます。これについては利益留保性のものを貸借対照表の負債の部に計上して、それを控除して利益を少なくするという結果になるわけでございますが、そういうことが果たして会社の財務状況を正確に開示できるかどうかという問題がまず第一にございます。 もう一つは、これは非常に技術的な問題でございますけれども、監査特例法適用会社といいますか、いわゆる大会社におきましては、貸借対照表及び損益計算書につきましては会計監査人及び監査役の適法とする意見があったときは総会の承認を要しないということにいたしたわけでございます。つまり、取締役会の承認をもって計算書類が確定するということになったわけでございます。そういたしますと、貸借対照表の構成部分である一部につきまして利益留保性のものを入れるということになりますと、そこで今度は、利益金処分案の方が確定しないとその部分もまた確定しないんじゃないかという問題もあるだろうということでございます。そういたしますと、つまり現行法のもとでは決定機関が同一でございますから、どのように解しましても確定の問題としてはそう重大な問題にならないわけでございますけれども、今度のように確定機関が違うということになってくると、そこに問題が出るんじゃないかということで、特定引当金には利益留保性のものは除くということにしたわけでございます。
○稲葉委員 私も、特定引当金というのはよくわからないのです。前の商法のときも質問したこともあるんだけれども、さっぱりわからない。質問している私がわからないで、答えている方もわからなくて、わけのわからない変な議事録ができて私も恥ずかしいのですが、私が聞いているのは、なぜ商法に特定引当金の規定を置いたのかということです。それを置かなければそういう制度は認められないのかということを聞いているわけです。これが第一。 もう一つは、いままで利益留保性のものを事実上認めておって、ずっと長い間やっていたんでしょう。だから、現在の改正までの間に、大会社はこの解釈で貸借対照表の負債の部に計上して、そして利益を少なくして、ここでずいぶんもうけておったのじゃないですか。そのことは結論として出てくるのじゃないですか。その二つの質問です。
○稲葉説明員 この特定引当金に関する規定は昭和三十七年の商法改正で入れられたわけでございますが、このときには、商法の計算規定を根本的に見直すという作業が行われたわけでございます。 その大きなものとして、一つは繰り延べ資産という制度の導入でございまして、これは法律上は資産でないものを資産として繰り延べるという制度でございます。 もう一つ、債務の方につきましては、先生御指摘の特定引当金という制度ができまして、これは法律上は債務でないものを負債の部に計上するということでございまして、法律上負債とか資産と申しました場合には、法律上の概念としては固まったものがございまして、資産性が要求されあるいは負債性が要求されるということでございますが、法律上はそういう性質を有しないものを特にその貸借対照表の資産の部なり負債の部なりに計上するということを認めたわけでございますから、この規定がないと認められないというのが商法の基本的な考え方であろうと思います。もっとも会計学の方から言えば、それは当然計上すべきだ、そういう意見もございまして、この会計の処理と商法の規定とがそごするんだということがございまして特に規定を設けたといういきさつもございますが、基本的に商法の考え方からいうとこういう規定がなければならないのだ、こういうふうに考えていると御理解いただきたいと思います。 それからもう一つ、特定引当金の範囲につきましては、先生御承知のように、意見が非常に分かれておりまして、かなり利益留保性のものも含むという解釈と、負債性のものに限られるという説と、二通りあったわけでございます。実務はどちらかと申しますと、利益留保性のものもこの規定によって計上できるという考え方が多かったようでございます。そのために、本来は負債の部に計上すると誤解を招きやすいようなものについても、特定引当金として、利益隠しと言うと非常に言葉がきつくなりますが、そういうふうなことに利用されるという懸念がないわけではなかったという状況でございました。
○稲葉委員 だから、特定引当金の制度を設けるなら、特定引当金についてのしっかりとした統一的な見解を大蔵省との間に確立していかないと、非常な混乱が起きるということになるわけです。なぜそれをやらなかったのかということを私はお聞きしたいわけです。いまさら言ってもしようがないが、各人が非常に拡大解釈をして、大会社はそれをうまく使っているということになるわけですね。その点については、今度の改正によって解釈は確立したのですか。そのように聞いていいですか。法務省と大蔵省の間に意見の違いはないんだ、実務との間に意見の違いはないんだ、公認会計士協会との間に意見の違いはないんだ、税理士会でもそうだけれども、意見の違いはなくなったんだとお聞きしてよろしいですか。
○稲葉説明員 今回の立法につきましては、先ほど元木参事官からも申し上げましたように、企業会計審議会の御意見を踏まえまして規定を設けました。その規律する範囲は、現在、企業会計原則が考えております負債性引当金より若干広目のところでセットするということで、一応大方の同意が得られたように私どもは考えております。それを受けて企業会計審議会でも近く御検討願うという運びになっておるように伺っております。
○稲葉委員 それではまだ統一してないのじゃないですか。先ほどのお話では、統一してから特定引当金のところをはっきりさせるならいいけれども、解釈としてまだ統一してないで、範囲が食い違っているんじゃないですか。またごたごたが起きてくるんじゃないかと思うのですが、また別のときにお聞きしましょう。本当のことを言うと私もよくわからないのです。番場さんだかだれだかが書いた「企業会計原則論」という本をいま読んでいるのですが、むずかしくてよくわかりませんね。 そこで、もう一つお聞きしたいのですが、前に私が念を押したのはこういうことです。有価証券報告書には監査役はオーケーというのを押したけれども、公認会計士の方から、それは不正だとか不適当だとかいうことが大分あったということを聞いた。そこで、四十九年とその前の二回で、監査役制度というものを強化しようということに商法はなってきたのじゃないですか。そこで監査役制度が導入されて、監査役の権限を強化していこう、あるいは公認会計士でということになってきたのじゃないですか。だから、結局会社としては、証取法でやられるとめんどうくさくてしょうがない。非常にうるさい。大蔵省、これは全部ちゃんと並べていくのでしょう。それで一々やかましく言われるとかなわぬからということで、商法で監査役制度を強めていこうという形になったのじゃないかというように私どもは聞くのですけれども、そこは必ずしもそうではないということですか。時期としては一致しているのじゃないですか。
○元木説明員 時期としては確かに先生のおっしゃるとおり一致しておるわけでございますけれども、まず、歴史的に考えてみますと、これは御承知のように、昭和二十五年の改正以前におきましては、監査役は業務監査及び会計監査の権限を有していたということでございます。それが二十五年の改正で会計監査のみに限られたということでございます。その結果いろいろ差しさわりが生じまして、特に昭和三十九年ごろには大会社の倒産が相次いだというようなことでございます。しかもその結果、非常にずさんな経理がなされていたということでございますので、それを匡正するという意味から、まず監査役につきましては会計監査及び業務監査の権限を有するようにする、それから会計監査については、さらにそれに加えまして会計の専門家たる会計監査人の監査を受けるということになったのであろう、そういうふうに聞いております。
○稲葉委員 言葉じりをとらえるようで恐縮ですけどれも、「なったのであろう」ではなくて、時期としては一致しておるのですよ。商法で監査役制度という形を設ける、そうして実効のあるものにしようとはしたのでしょうけれども、実際には余り大したあれはないというふうになってきたのじゃないですか。それはそれとして、「監査役制度の運用実態」というのが一九八〇年に日本監査役協会から出されていますね。これを見ますといろいろあるのですが、私が特徴的に思うのは、まず監査役の前歴ですね。これはこれの著者がいるわけだから、そちらから説明願ってもいいのだけれども、監査役の前歴についてはどういうふうになっていますか。
○稲葉説明員 前歴は、私も個々のケースを宙で覚えているわけではありませんのであれですが、社内者がかなり多いというふうに記憶しております。
○稲葉委員 社内者が多いではなくて、ここで監査役の直前の役職名が出ているでしょう。十三ページに「常勤監査役」となっているでしょう。そこで、常勤という意味がまたごまかしなのだ。常勤と常任とは違うと言ったでしょう。ぼくもそういうふうに聞いたものだから、常勤監査役というのは毎日出てくるものだと思っていた。どういう程度が常勤なのですか。これはあなたの法務省の方の「会社法質疑応答集」というのがあるでしょう。ここにも常勤の定義が出てくるのです。ぼくも常勤は毎日出てくるのだと思っていたら、全然違うのだ。常勤というのは何か用があるときに出てくる、そういう理解の仕方じゃないですか。
○稲葉説明員 常勤につきましては、ここで定義として使っておりますのは、原則として会社に常時勤務し得る体制にある者というつもりで使っております。
○稲葉委員 常時勤務し得ると言うのだから、毎日出てくるのじゃないでしょう。常勤というから、ぼくも毎日出てくるのだとばかり思っていた。聞いている人はみんなそう思いますよ。常勤というのは会社に出てこられる体制にあるというのだから、家にいてもいいのでしょう。何か用があれば出てくるというだけの話じゃないですか。そういうふうに常勤という名前をつけて常勤監査役制度を設けたら、これで監査役制度は完備でございますと言うのは——完備とは言ってないけれども、少し言葉の遊戯だな。質問もちょっと遊戯のところもあるけれども、そういう点はあるね。
○稲葉説明員 常勤につきましては、確かに現実にはたとえば休暇等の場合もございまして、必ず本人が毎日毎日出てくるということではないわけでございます。ただ、基本的には、会社が開いている間は勤務するような体制に持っている、それはしかも会社の義務としてこういうものを設けなさいということを考えているわけでございますので、そういう勤務体制にある監査役を置くことが必要である、かように考えておるわけでございます。ただ、敷衍いたしますと、現在の常勤という概念につきましては、監査に必要な日数だけ出てくればそれで常勤と言えるのだという考え方があるようでございますけれども、これは改正法における常勤の概念とはやや違うということになりますし、それに大会社につきましては、そういうフルタイムを使わないで監査が十分に行われるというようなことはあり得ないのではないか。何百億というような大会社について一人の人間がフルに精力を使わずして監査が十分できるということはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉委員 休暇に出てこないのはあたりまえの話ですよ。だれだって休暇はあるのだし、みんな夏休みはあるのだから、それはあたりまえの話ですが、常勤監査役の直前役職名というのをなぜあなた方は説明するのをいやがるの。別にいやがるわけじゃないの。いやがるわけでなきゃ説明してくださいよ。いやがっているのだもの。なぜいやがるかと言えば、常務取締役から取締役でしょう、こういう人からなるのが圧倒的にこれを見ると多いのじゃないですか。そうでしょう。ということは、もう功成り名遂げて、御隠居さんと言ったら語弊があるかもしれないけれども、そういう関係の人が多いからでしょう。ちゃんと監査協会の統計に出ているじゃないですか。参事官が書いた本じゃないですか。あなたが著者で書いた。これは千円で売っているわけだ。千円と書いてある。本当だよ。だめだよ、ちゃんと書いてあることを言わなければ。だから、お年寄りでもう御隠居さんが多いのですよ。そうじゃないですか。常務取締役、取締役、専務取締役、これが圧倒的に多いじゃないですか、監査役というのは。 それではもう一つ、この中で年齢の表があるでしょう。これを見ると六十歳以上というのが圧倒的に多いでしょう。どうなっています。
○稲葉説明員 年齢につきましては、常勤監査役の場合には六十歳以上というのが非常に多いという統計になっております。
○稲葉委員 そのとおりですね。五十六歳から六十歳、それから六十一歳から六十五歳というのが一番多い。だから、会社じゃ監査役は定年に達して四、五年たった人が多いのですよ。これで常勤と言ったって名前だけじゃないですか、こういうふうに私は思うのです。 それからもう一つ、今度は逆なのがあるのですよ。これに対してはどういう理解の仕方をしているの。KDD、あれなんかは監査役をやらなければ取締役になれないのだから。そういうのですよね、KDDは。監査役にならなければ取締役になれないのだから、監査役の間に余りやかましいことを言ったら取締役になれないじゃないですか。そうでしょう。これは実に変則的なやり方ですけれども、ちょっとほかにはないのじゃないですかね。監査役をやってそれから取締役になっている。そういう行き方はちょっと珍しいと思うのですけれども、KDDはそういう行き方をとっている。これはあのときの調べでわかったわけですが。こういう形で、監査役というのはなるほどいろいろな——形はいいのですよ。形はいいけれども、実態は無理なんですよ。これにすべてのあれを負わせようというのは無理なんです。 そこで、私がお聞きしたいのは、監査役が監査人に対して求められる権利とそれから監査人が監査役に対して求められる権利、これはどういうふうに違いますか。全部列挙してもらいたい。これは会計監査人が監査役に求める権利の方が狭いですね。これはあたりまえの話というか、いまの法律でそうなっていますね。こっちがこっちに求める権利と会計監査人の方が監査役に求める権利と、全部列挙してください、両方。
○元木説明員 あるいは落ちるかもしれませんけれども、まず、監査役が会計監査人に対してでございますけれども、現行法では一般に監査役が会計監査人に対して報告を求めるという権利はないわけでございます。今度改正法律案におきましては、会計監査人が監査した結果について監査役が報告を求めることができるということがございます。それからもう一つは、これは報告を積極的に求めるということではございませんけれども、現行法にも改正後にもございますが、「会計監査人がその職務を行うに際して取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、その会計監査人は、これを監査役に報告しなければならない。」ということでございます。これは、会計監査人は本来会計監査が仕事でございまして、業務監査については監査権限がないということになっております。しかし、会計監査をやるに際しまして取締役が業務に関して違法行為をやっているというようなことを発見いたしましたならば、それを業務監査権限がある監査役に報告するということになるわけでございます。 それに対しまして、会計監査人の方から監査役に報告を求めるということはないわけでございますけれども、全体的な組織といたしましては、会計監査については第一次的に会計監査人に監査権限があるというたてまえをとっているのではないか。そのあらわれといたしましては、会計監査人の監査報告書にはまず会計に関する事項を全部記載するということになっております。そして、もしその会計監査人の監査結果について監査役はそれが問題がないということであるならば、それについては何も記載しないということになっているわけでございます。そういうふうなことで、会計監査人に関しては第一次的、そして監査役は二次的というふうな組織になっていると理解されるわけでございます。
○稲葉委員 昭和四十三年、古いことですけれども、民事局の参事官試案で「会計監査人を株主総会で選任する」という案が出ましたよね。それがいろいろな形で、そこに出たものが後退して、削除されてしまってきておるのじゃないですか、あるいはまた復活したものもあるかもしれませんけれども。私がこの前求めたのはこういうことでしょう。この四十九年以降の試案なり要綱の中でこの法律案までの間に削除されたものについては一覧表をつくって出してくれということを要求しましたね。あなた方の方でも出すということを言った。それは非常に細かいいろいろなむずかしいところがありますが、そのもう一つ前の四十三年の参事官試案でも、たとえばこういうのがあったでしょう。「会計監査人を株主総会で選任する」ということにしておいたんでしょう、そのときの案も。四十三年の案もそうだったんでしょう。そこでたとえば「その招集通知には候補者の氏名、住所を記載する」、こういうふうになっておったんですね。これは試案第十一の二(一)、それから四と(一)というふうになっていたんですね。これはその後どうなっちゃったんですか。
○元木説明員 四十三年の試案についてはどうもつまびらかにいたしませんので、直ちにお答えできないわけでございますけれども、ただいま先生のおっしゃいました総会において会計監査人を選任する、それから候補者等の氏名はこれを通知するという点につきましては、今回の改正法律案におきましては全部実現されているわけでございます。
○稲葉委員 だから私の聞きたいのは、今回の中にこれが出てきましたよね。四十三年にできたのが一たん削られて、ここに今度復活してきた。それはわかった。じゃ、なぜ四十九年の改正のときにこれは出なかったのですか、いままでの改正の中で。これは経団連が反対したからでしょう。そうならそうはっきり言いなさいよ。そういう経団連が反対したのはいっぱいあるのだから、そして削られたのが。あのときは居林さんがキャップだったでしょう。居林次雄さんがキャップでね、あちこちでいろんなことをしゃべっていられた、あの人は。経団連が勝った勝ったとしゃべっていられて、大分つるし上げられたり、つるし上げられもしないけれども、何かごたごたしたでしょう。経団連が反対したからじゃないですか、これは。まあいいや、それは今度は復活したから。だけれども、その場合でも、候補者の住所、氏名、それだけですか。経歴とか何とかは書かないのですか。それじゃどういう人だかわけがわからぬじゃないか。
○元木説明員 これは先生御承知のように、大会社につきましては、それで株主千人以上の会社につきましては、株主総会の招集通知に参考書類を添付するということになっているわけでございます。その参考書類につきましては、法務省令で定めるということになっているわけでございますので、その点については今後検討されるということになろうかと存じます。
○稲葉委員 なぜそれは法務省令で定めるのです。法務省令で定めるのでなく、なぜ法律の中に入れなかったんです。最初法律の中に入れる案だったんだけれども、それが削られて法務省令に入れるということになったんじゃなかったの。それは別な話かな。それはどうなっているの。
○元木説明員 これは最初から法務省令で定めるということにいたしております。なぜこのようにいたしたかと申しますと、参考書類にどのような事項を記載するべきかということは、全部法律で決めなければいけないほど大問題かという問題もございますけれども、それと同時に、やはりその時代時代によって参考となるべきもの、たとえば株主のニーズというようなものも違ってくるんじゃなかろうか。その場合に、法律で定めておりますと、そこのところの可塑性がなくなってしまうということで、法務省令で定めるということになったわけでございます。
○稲葉委員 それは細かいことで弾力性というか実際の融通性も必要でしょうから、それはそれでいいですが、今度は、いまあなたが言われた中でちょっとあったんですが、法務省令じゃなくて法律で定めるべきもので、原案というか試案なり要綱であったけれども、それを法務省令にたしか譲ったものがありましたね。それは何でしたっけ。
○元木説明員 ちょっと私は、その試案で法律で定めることにして、今回の法律案で法務省令というのは記憶にないのでございますけれども……。
○稲葉委員 たしか一つあったようにぼくは記憶していますよ。よくそこで考えてごらんなさい。確かに一つあったよ。まあいいや、いまでなくてもいいよ、ぼくも考えるから。何か一つあったようにぼくは思っているんだよ。何だったかな、ちょっと忘れちゃったな。またゆっくり考えましょう。 そこで、また問題になってきますのは、これはどうなりました。「発行済み株式総数の百分の一以上を有する株主は会計監査人の候補者を指定する権利を持ち、さらに、会計監査人を選任する総会決議には必ず発行済み株式総数の三分の一以上の定足数を要する。その解任についても総会決議を要求する。」こうなっているのは、これはどうなりましたっけ。
○元木説明員 それにつきましては、今回は株主の提案権の制度を新しくつくったわけでございます。これによりますと、発行済み株式総数の百分の一または三百株以上の株主は議題または議案について提案することができるということになっておりますので、それに基づきまして会計監査人の候補者も提案すれば可能かと存じます。
○稲葉委員 いや、可能かと存じますじゃなくて、可能なのかどうなのか。何だかあなたの答えははっきりしないな。あろうとか、かと思いますなんて言って……。
○元木説明員 可能でございます。
○稲葉委員 それならそういうふうに答えた方がいいですよ。あなたは裁判官だから、人柄がいいからそういうふうに良心的に答えるんでしょうけれども、そういうところはいいところですね。 そこで、まだいろいろな問題があるのです。 そこで、もう一つお聞きしたいのは、公認会計士の制度、これは大蔵省の証券局の監督というのか何というのか、管轄というのかよくわかりませんが、そこで公認会計士がいろいろな不正を見逃したとかなんとかいうことで処罰をされた例が相当ありますね。これはどの程度あるのでしょうか。余り昔のことを言ってもあれですから、あなたの方の都合のいいようなあれでいいのですけれども、いつごろから数字が出てきますか。この前の改正以後でもいいし、あるいは前からのものでもいいですが。
○小山(昭)政府委員 昭和四十年以後の数字について申し上げます。四十一年から四十五年までの間に処分した公認会計士四十四人、監査法人二法人、四十六年から五十年の五年間は処分した公認会計士八人、監査法人ゼロ、五十一年から五十五年の五年間、処分した公認会計士八人、監査法人一、以上でございます。
○稲葉委員 それは人の名前はいいですけれども、どういう会社の事件でどうだということは、これは確認されておりますか。いまでなくていいです。後で資料として出していただけばいい、人の名前まで出せとは私言いませんから……。 そこで、そのときに、私の聞きたいのは、監査役は一体どういう証明をしていたのですか。全部オーケーでしょう。それはオーケーの証明をしていたのでしょう。どうなんです。
○小山(昭)政府委員 私、ちょっと実情を具体的には存じませんが、公認会計士が監査している状態においては、監査役は多分オーケーしていたんだろうというふうに思います。
○稲葉委員 いや、多分でなくて、それは全部いままでの公認会計士が処分された例の一覧表を出していただいて、名前はいいですよ。会社の名前はぐあいが悪ければ出さなくてもいいですが、だけれども、雑誌に出ているのだから、「ダイヤモンド」なんかに出ているのだから、会社の名前は出してもいいと思います。それはどちらでもいいです。そのときに監査役が一体オーケーしたのかどうかということが一つと、その結果公認会計士が処分されて、じゃその監査役は一体どうなったんだろう。どういう措置を受けたのか。監査役はまたのほほんとして何の責任も負わなかったのかどうかということです。そこら辺のところがはっきりしなければ、会計監査人と監査役の関係というのはわからないですよ。どういう関係になっているのやらさっぱりわからない。法律上は監査役の方が力が上だけれども、実態は逆なんだということがそこに出てくるんじゃないですか。どういうふうになっていますか、それは。
○小山(昭)政府委員 お答えします。 私ども、監査役がどういう処分を受けたかについては、実は承知いたしていないわけでございます。
○稲葉委員 それは大蔵省としてはそうですね。監査役のことまで大蔵省の管轄じゃありませんから、それは法務省の方で調べればわかるんだから、大蔵省からその資料をもらって、法務省の方で、監査役がオーケーしたのかどうか、そのときどういう処分というか責任をとらされたのか調べてごらんなさい。調べて一覧表を出してください。いいですか、どうです。
○元木説明員 調査いたしたいと思います。
○稲葉委員 そこで、どういう内容の公認会計士の具体的なやり方がまずかったというのがあるのですか。たとえば粉飾を見逃しておったとか、補助者が気がついたのに、それを知っていて知らぬ顔をしていたとか、いろいろあるでしょう。そういうふうに分けると、どういうような公認会計士のあれがありますか。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○小山(昭)政府委員 これまでに処分いたしました実例について見てみますと、公認会計士法三十条一項、つまり、故意による虚偽証明によるものが三十人、それから同法第三十条第二項、過失による虚偽証明による者が三十二人、三十四条の二十一の二項に監査法人に係る過失による虚偽証明というのがございますが、これが三法人、第三十一条、一般の懲戒が七人、以上これまでに処分された者の全体でございます。
○稲葉委員 その過失というのは、公認会計士がその業務についての過失ですから、業務上過失ということになりますね。だからそんなことは考えられないので、ちょっと私ども理解はできないのです。 そこで、問題はたくさんあるのですよ。処分が恐ろしく軽いですね。業務停止二カ月とか、九カ月もありますけれども、取り消しになったのは余りないようです。一年ぐらいのもあるかな。非常に処分が軽いですね。これはどこが処分するのですか。処分の決定権はどこにあるのですか。
○小山(昭)政府委員 処分権者は大蔵大臣でございまして、具体的な事例につきまして、公認会計士審査会にお諮りした上で大蔵大臣が処分しております。
○稲葉委員 日本弁護士連合会などは自治権があるわけで、法務大臣から独立しておるわけです。日弁連が全部やるわけです。日本公認会計士協会というのは自治権がないわけですけれども、どういうわけで自治権がないのですか。
○小山(昭)政府委員 公認会計士協会の会則によりますと、懲戒という規定がございまして、協会として、一定の事由に該当する会員に対しましては、戒告、除名その他の懲戒をすることができるという規定がございます。
○稲葉委員 私の言うのはそんなことじゃなくて、日本弁護士連合会の場合には自治権があるでしょうというのです。失礼だけれども、あなたはわからないかな。法務省の方がその点詳しいかもわからぬ。弁護士の場合には自治権があって、法務大臣とは関係ないわけです。公認会計士の場合は、大蔵大臣が監督して、最終的な決裁を大蔵大臣がすることになっているのでしょう。法律的なことじゃなくて、日弁連と日本公認会計士協会はどうしてそういうふうな差があるのかということを聞いているわけです。これはちょっと答えにくい質問かもわかりませんが、なぜ公認会計士協会に完全な自治権というものが与えられてないのだろうかということを聞いているわけです。
○小山(昭)政府委員 私、日弁連についてちょっと承知しておりませんので、適切なお答えはできないと思いますが、公認会計士につきましては、投資者保護の見地から大蔵大臣が最終的な処分の責任を負う、こういう形になっているというふうに理解いたします。
○稲葉委員 日弁連との差は。
○中島(一)政府委員 完全な自治権を与えられております日弁連のようなものは、むしろ例外であるというふうに承知しておるわけでありまして、考えますのに、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」という弁護士の使命と申しましょうか、そういうところからきておるのであろうと考えております。
○稲葉委員 それ以上のことはあなたの方としても答弁しにくいですよ。日弁連と日本公認会計士協会との地位が違うとかなんとかいうことは言えないでしょう。あなたの方としては言いづらいから、私の方も聞くわけにいかぬから、そういうふうにしましよう。 そこで、公認会計士というものについて、これは本来の公認会計士試験がありますね。いま非常にむずかしいです。司法試験と同じくらいむずかしいですね。そうじゃなくて、税理士をやっていながら特例的に公認会計士試験、これはやさしい試験ですが、これを受けて公認会計士になっている人が相当いるでしょう。これはいまどの程度いるわけですか。公認会計士全体として何名くらいいるか。公認会計士補が二千名くらいいるかな。純粋な公認会計士試験を通った人と、それから税理士をやっていて特例試験を受けて公認会計士になった人といますね。それから税理士をやっていながら本当のむずかしいというか、特例試験を受けるのはいやだと言って本当にむずかしい試験を受けてなった人もいますよ。私の友達などにもいます。それはどういうふうな区分けになっていますか。
○小山(昭)政府委員 現在、公認会計士として登録されている者の数は約六千二百名でございます。六千二百三十三名というのがこの三月末の数字でございますが、このうち約千二百人が先生のおっしゃる特例試験によって資格を得た者であると承知しております。
○稲葉委員 これはどこから出てきたのですか。税理士が公認会計士に簡単になれる——簡単にと言っては語弊があるかもわからないけれども、試験は何回か延期してやったのでしょう。だけれども、なれなくてまだ落ちている人もいるのです、そういうのはだらしがないんだけれども。なぜそういう制度をつくったのですか。これは議員立法かな。どうも議員立法かもわからぬから、変な質問するとおかしくなってしまうけれども、議員立法じゃないのかな。
○小山(昭)政府委員 公認会計士制度は昭和二十年代の終わりからできておりましたが、昭和三十九年か四十年当時、計理士法の改正が行われました当時に、経過規定としてそういう特例試験という制度をあわせて行うということで、従来の職域を尊重するという特別な措置が行われたと承知しております。
○稲葉委員 計理士というのが私どものときにはあって、計理士というのは私はなくなったのかと思っていたのですが、まだなくなっていないのでしょう。名称だけ残っている。実際にはいるんだかいないんだかわからないけれども、まだ計理士というのが名前だけあるんですよ。(発言する者あり)これは田中先生の方が詳しいかもしれない。
○小山(昭)政府委員 そういう名称の方がおられることは事実でございます。
○稲葉委員 それは計理士という名前に郷愁を感じていて、これがなくなっては困るというので、まだ計理士という名前を持っている人がいるのです。 それで、いま言った税理士でありながら特例で公認会計士になった人は、その試験は一回だけではないでしょう。たしか三回か四回やっている。一回目の試験を受けて落ちてしまったのか何か知らぬけれども、救ってもらった。救ってもらったと言っては悪いけれども、そういうのがいるんじゃないですか。どういうふうになっていますか。
○小山(昭)政府委員 たしか前後三回、その種の試験が行われたように聞いております。
○稲葉委員 そこら辺が基本的に非常におかしいのです。公認会計士法の改正かどういう法律の改正をやったか知りませんが、実際は議員立法みたいなものなんだ。議員がそういうところから押されてそしてそれをやって、一回で受からなくて落ちたのがいたんで二回か三回やってくれと言って、まだやってくれなんと言っているのがいるでしょう。そんなのは冗談じゃないと言っているのです。 そこで、ぼくはおかしいと思うのは、税理士と公認会計士とをどうして兼務させるのですか。税理士というのは納税者の代理人みたいなもので、いわば弁護人的な立場の人でしょう。公認会計士というのはむしろ検察官役、検察官役で不正をあばくというとおかしいけれども、追及したり何かする人なんでしょう。それがダブって、二またが日本の税理士会には多いのですよ。そこから問題がごたごたしてきているのです。そこら辺のところはぼくはどうもよくわからないのですが、それをここで論議してもあれですし、六日に参考人として公認会計士協会の会長とそれから税理士会の四元専務理事が来ますからそちらの方に聞きますから、いまあなた方に聞いてもちょっとあれだと思うので、これ以上聞きませんが、二またが日本では非常に多いんです。特有な現象なんです。 そうすると、税理士制度というのがあるのは日本とドイツだけでしょう。そのほかはないでしょう。大蔵省、それはわかっていますか。
○小山(昭)政府委員 私どもも、いま先生がおっしゃられたように、西ドイツに同様の制度があるというふうに聞いております。
○稲葉委員 税理士というのがアメリカにないのは、どういうわけなんだろう。
○小山(昭)政府委員 税理士業務に相当する業務は、公認会計士が行っているというように聞いております。
○稲葉委員 今度は法務省だね。アメリカには監査役という制度はあるのですか、ないのですか。
○元木説明員 制度として、監査役という制度はございません。ただ、多くの州におきまして取締役会の中に委員会制度を設けておりまして、その中に監査委員会があるようでございます。
○稲葉委員 いまのように、アメリカの場合には監査役という制度はないのですよ。取締役会の中に監査委員会という制度があって、これは法人化している場合があるかないかちょっと忘れましたが、そういうことなのです。なぜアメリカの場合に監査役という制度がないのですか。そのかわりに証券取引委員会という広大な権限を持ったところ、かわりと言っては悪いかもわからぬけれども、直接結びつくかどうかは別として、SECというものがあるのではないでしょうか。それは結びつくかどうか、そこのところはぼくもちょっとわかりませんが、どうなんです。
○元木説明員 アメリカで証券取引委員会ができたということにつきましては、やはりアメリカの特有の事情があるのではなかろうかと思います。御承知のように、アメリカにおきましては各州において会社法を立法するということになっておりまして、各州において税収の関係からできるだけ会社を設立しやすいようにする、そういう会社法ができているわけでございます。それに対しては歴史的にいろいろ問題があったわけでございますので、連邦といたしまして何とか会社を規制するような法律をつくりたいということでございます。そのために連邦憲法の州際通商条項でございますか、それに基づきまして州際通商を行っている会社、あるいはその発行する証券が州際間で取引をされる会社、そういうものにつきまして証券取引法を適用する、つまり証券取引委員会に一定の書類を提出することを義務づけるということにしたようでございます。
○稲葉委員 アメリカのSECの場合は、大統領が議会の承認を得て委員を五人か何か任命するのですか、ちょっとぼくも忘れましたが。私が行ったときはロッキードのときでした。ワシントンの郊外にあるのですよね。ヒルズが委員長でしたが、入り口など、入れるのがなかなかやかましかったのですが、そこに検事みたいのが千人ぐらいいるんじゃないですか。どういう組織になっているのですか。
○元木説明員 いわゆる準司法機関ということになっておりまして、かなりの独立性を持たされているということでございます。もちろん連邦の機関でございます。いろいろさまざまのスタッフを持っているということは聞いております。
○稲葉委員 私が聞いているのは、そこに検事に準ずる者は千人ぐらいいるのじゃないですかということを聞いているのです。きょうは刑事局長を呼べばよかったのかな。アメリカでは検事というのはいろいろなところにいるわけでしょう。司法省にもいるし、連邦何とかとかいうところにもいるし、SECにもいるという形になっていて、ずいぶん日本の場合と違う。そのSECにおけるところの検事がいろいろな事後報告や何かを受けた中から不正を発見して、そうしてロッキードやダグラスやグラマン事件が日本にも波及してきたということになっているのじゃないのですか。それは結論的にはどうなんです。そういうふうには聞いていませんか。
○元木説明員 先生のおっしゃるとおりでございますけれども、これもやはりいろいろ時代によりまして変遷も多少あるようでございます。
○稲葉委員 そんなことはあたりまえだよ。時代が変われば変遷もあるのはあたりまえなんだけれども、ぼくが聞いているのは、大蔵省に聞くのだけれども、アメリカのSECと日本の証券局——証券局で有価証券報告書の審査をしているでしょう。何人ぐらいでやっているのですか。二十何人でやっているとかいう話を聞いたのだけれども。そして年に何件ぐらいの有価証券報告書が来るのですか。
○小山(昭)政府委員 証券局におきます当該業務に従事する者は、証券監査官という職名でございますが、これが現在兼務の者も含めまして、定数で十九名ということになっております。監査の対象となります有価証券報告書提出会社の数は約二千八百でございます。
○稲葉委員 有価証券報告書というのは年に何回ですか。三カ月ごとですか。どういうふうになっているのですか。年に一回ですか。
○小山(昭)政府委員 決算期ごとでございますので、現在上場会社の大半は一年決算になっておりますので、年一回が大部分であろうと思います。
○稲葉委員 前の商法のときには年二回が多かったのですが、今度は年一回があれになりましたね。その十九名の証券監査官で有価証券報告書、いま二千八百ですか出てくるのでしょう。それを審査する。一体どうやって審査するのですか。この審査の仕方がわからない。証券監査官というのはどういう経歴の人が多いんです。公認会計士か何かとか、そういう経歴を持っている人なんですか。そういう専門家なんですか。よくわからぬけれども、どういう人がいて、どういうことをやって発見するのですか。
○小山(昭)政府委員 現在、証券局で行っております有価証券報告書の監査につきましては、まず第一次的に会計監査人、公認会計士が有価証券報告書の内容について充実した監査を行うということを前提といたしまして、そして、そういう公認会計士が深度のある十分な監査を行うように協会を通じて指導するということを第一義的な私どもの行政のやり方としております。それに加えまして、さらに、個別に提出されました有価証券報告書について個別のチェックをするわけでございますが、この点につきましては、先生のおっしゃいますとおり非常に膨大な量のものでございますので、これをできるだけ効率的に監査を行うことができますように、現在機械化等を進めているというのが実情でございます。
○稲葉委員 アメリカのSECのような機関を日本に設けるといったって、率直な話、無理だと思うのです。設けられません。財界が物すごく反対します。自民党が賛成するわけないですよ。財界から献金を受けて政治をやっているというわけでもないだろうけれども、そういうわけですからね。いまの日本の場合に、すぐSECのような制度を設けろというのは、制度も違うし、私は無理だと思うのですが、アメリカのSECの実態というものはあなたの方でわかっているのでしょう。ちょっと説明してください。何人ぐらいいて、どういう人が何をやっているのか。
○小山(昭)政府委員 先ほど法務省の参事官からもお答えがございましたが、アメリカのSECは大統領直属の独立機関でございまして、五名の委員のもとに約二千名の職員を擁している、こういうふうに聞いております。
○稲葉委員 だから、二千名の職員のうち、十九名に匹敵する、証券監査官みたいな人は何人ぐらいいるのですか。
○小山(昭)政府委員 SECの業務内容はかなり多岐に分かれておりまして、企業内容の監査ももちろんその重要な一つでございますが、そのほかに、証券会社等の営業姿勢のチェックであるとか、証券市場の監視、監督といったような幅広い業務を行っております。そこで、この二千名のうち何名がいま先生の御質問にありましたような企業会計の監査業務に従事しているかという詳細については、現在のところ、私、詳しく存じておりません。
○稲葉委員 私どもも田中先生を団長にしてSECに行ったのですが、田中先生は聞かれたけれども、私はよく聞いてなかったのでそこまではっきりしません。 そこで、私はまたよくわからないのは、証取法の百九十三条の二というのがあるでしょう。これは特別の利害関係のない公認会計士がどうするというのですか。百九十三条の二、公認会計士または監査法人による監査証明ですね。「証券取引所に上場されている有価証券の発行会社その他の者で政令で定めるものが、この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類で大蔵省令で定めるものには、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。」こうなっているわけですね。そうすると、商法で言うところの監査の監査人である公認会計士とは別な人が証取法の場合にはやるということになるのですか。どういうふうになっているのですか。
○小山(昭)政府委員 お答えいたします。 商法上の監査を行うことを業としている者は、証券取引法百九十三条の二で言う「特別の利害関係」には該当いたしませんので、同一人が両方の監査を行うことは可能でございます。
○稲葉委員 そうすると、商法で言う会計監査をやった公認会計士であっても、証取法の監査はできる、これはいいですね。「特別の利害関係」というのは、何か会社と取引があるとか親戚であるとかなんとかいろいろな場合のことを言うのでしょうね。それはわかりました。 今度は二百三条で、証券金融会社の場合には贈収賄罪の適用がありますが、これは特別な贈収賄罪ですね。三年以下の懲役ですか。取引所は非常に公共性の強いものだからわかりますよ。証券金融会社というのがちょっとよくわからぬけれども、これはどういうのですか。何でここに金融会社というのが入っているの。
○小山(昭)政府委員 先生御指摘の二百三条に規定されております証券金融会社というのは、いわゆる町の証券金融を行う会社ではございませんで、証券取引法の規定に基づきまして特別に設立されている法人のことでございます。
○稲葉委員 それはどんなものがありますか。取引所はわかりますよ。取引所以外に何かあるの。
○小山(昭)政府委員 現在、わが国には、東京、大阪、名古屋の三カ所にこの法律に基づく証券金融会社があって、これはたしか免許を受けているというふうに理解しています。
○稲葉委員 それでは、法務省にお聞きいたしま、す。 銀行法の十条は報告書の提出義務ですね。十一条は貸借対照表でしょう。十二条は監査役が何か書類を検査したものを備え置く義務ですね。銀行法の十条、十一条、十二条に記載されていますが、これと今度の商法の改正の場合、普通の会社の場合とはどういうふうに違いますか。
○元木説明員 銀行法に基づきます義務は、銀行法、つまり特別法に基づく義務でございますので、商法の義務に加えて、こういう主務大臣に対して提出するという義務が出てくると理解されます。
○稲葉委員 それはそのとおりですよ。銀行法は商法の特別法だからね。銀行法に書いてあるこういう義務がなぜ一般商法の場合には適用されないのかと私は聞いているのですよ。
○元木説明員 商法は会社に関する一般の法律でございますので、すべての会社についてこのような——主務大臣ということが一つ問題があると思います。主務大臣に提出するというのは、組織的にも問題でございますし、その必要もないということでございます。
○稲葉委員 それは十条、十一条、十二条全部じゃないでしょう。十二条で、監査役は監査報告書なんかの備えつけの義務があるのでしょう。これは各会社だって備えつけの義務を設けていいのじゃないですか。それは今度の商法ではどういうふうになっていますか。
○元木説明員 監査報告書も備えつけの義務がございます。
○稲葉委員 だから、監査報告書の備えつけの義務はどこにあるの。会社にあるのでしょう。最初の案では、それを商業登記所に備えつけておくということだったでしょう。それが、経団連の反対があったのかどうかわかりませんが、あるいは商業登記所の現在の状況からいって無理だということになったのかどうかわかりませんけれども、削除されたのでしょう。その経過をひとつお話し願いたいと思うのです。
○元木説明員 計算・公開に関する試案におきましては、すべての会社が計算書類を商業登記所に備えつけなければいけないということになっていたわけでございます。しかし、これはもしすべての会社がこのようなことをするということになりますと、まず第一に、登記所の人的、物的設備を大変大きなものにしなければいけないという問題があるわけでございます。そのためには予算措置等で直ちにそれが実現できるかどうかという問題がございます。また、すべての計算書類を商業登記所に提出するということは、大会社にとってはそう問題がないところでございますけれども、小会社にとってはかなりいろいろな負担になってくるのじゃないかという声も強かったものでございますから、今回の改正においてはこの点をさらに検討した上でということで見送ったわけでございます。
○稲葉委員 それなら、一部上場の会社と二部上場の会社だけにすればいいのであって、そういう法律の規定の仕方というのも技術的にちょっとむずかしいかと思いますけれどもね。では、なぜ試案にそういう案を入れたのですか。どういうことをすればどういう利益があるというふうに考えてやったわけですか、それは。
○元木説明員 もちろん、この試案と申しますのは、私どもといたしましてはたたき台ということで、とにかく出てきた意見、こういうふうにしたらよろしいのではないかということで出てきた意見を出したわけでございます。 そういうふうにして出した理由でございますけれども、これは、少なくとも有限責任会社である限りにおいては、その財務内容というのはでき得る限り開示した方がよろしいのではないか、特に小会社につきましてはなかなか開示の機会というものもないわけでございますし、また、倒産いたしたときには連鎖倒産等で悲惨な事件も起きてくるというようなことでございますので、その開示の一つの手段といたしまして商業登記所への提出ということを考えたわけでございます。
○稲葉委員 開示の手段として、ディスクロージャーの一つの手段として商業登記所への備えつけということを考えたならば、考えたというのならば、初めからできないことを考えるわけはないでしょう。ある程度できる見込みがあるからこそ考えたんでしょう。だれが見たってあたりまえでしょうが、初めから架空のことを考えるわけはないので。やろうと思ったんでしょう。だから反対も起きたんでしょう。物的な反対はわかりますよ。いまの商業登記所にとてもそれはと、わかりますけれども、こんなことをやられちゃ会社はかなわぬ、もうめんどうくさくてしようがないからやめてくれということに率直に言えばなったんじゃないですか。これはまた後で聞きますけれども。 だから、私が聞いているのは、そういうように最初に試案にあって、要綱にあって、それが今度はその次の法律の中にだんだんなくなってきちゃったものが非常に多いわけで、なぜなくなったかというその理由をはっきりさせなければ、私はこの法案についての賛否というものはわからぬ、こう思っているのですよ。だから、それを出してくれとこの前言ったのですが、それはまた後で出てくるでしょう。 そこで、もう一つ前に戻りますると、四十二年当時に決まったことで、決まったというか、何か案にあったやつでなくなったものはまだいろいろあるんですね。一つ一つ聞いていきますが、たとえばこういうのがありますね。いまはどうなっていますか。取締役解任のための監査役の株主総会の招集権というのはどうなっちゃったんですか。
○元木説明員 今回の改正案では出ておりません。それにかわるものと言ってはなにでございますけれども、監査役は取締役に法令、定款違反あるいは会社の目的の範囲内にない行為、そういうものがありました場合には取締役会を招集することができるということにいたしております。これによりまして取締役会を招集いたしまして、そこで違法行為を報告するということで、取締役に適切な処置を求めるということにいたしております。
○稲葉委員 そうすると、取締役会の招集権というのはこの前の試案にもありましたね。四十三年のときもあったわけです。この前の四十九年では外れて、今度はできたわけでしょう。それはわかりました。 これは取締役会の招集権というものと取締役解任のための株主総会の招集権ですよ。いいですか、全然内容が違うのじゃないですか。だから、取締役会の招集権というものを認めたことによって、取締役解任のための株主総会の招集権というものを監査役ができなくなった。ずっと前の試案にはあったけれども、今度はないということとは別個の問題じゃないですか、話が違うのじゃないですか。
○元木説明員 確かに先生おっしゃるとおりでございますけれども、途中、商法部会の議論におきましては、取締役会の招集請求を認める、そしてそこで監査役が報告するということによりまして、取締役会といたしましては何らかの適切な処置をとらなければいけないということでございます。特に現在は、業務執行権限は原則として代表取締役にございます。したがいまして、そこで取締役会におきましては、その代表取締役の行為について指示をするあるいはやめさせるあるいはそこで代表取締役の解任をしてしまう、そういうことによって業務執行権がなくなってしまいますので、そういう手段がとれるであろうということで、株主総会の招集請求までは定めなかったわけでございます。
○稲葉委員 そこがおかしいんじゃないですか。いいですか、会社の機関の中で一体どこが一番重要かということですよ。まあ日本の場合は、率直に言いますと法人株主が七〇%くらいですから、ちょっとアメリカやなんかと違うことは違うのですよ。だけれども、少なくとも形の上では株主総会というものが最高の議決機関ということになっているわけでしょう。取締役会というのは執行機関でしょう、まあ議決機関であり、同時に執行機関であるかもわかりませんけれども。だから、取締役解任のための株主総会の招集権というものを監査役に認めて、初めて監査役の独立性というか監査役の責任というものが生きてくるわけです。責任というか権利が生きてくるのだ、こういうふうに思うのですが、それがすりかえられて認めておらないというわけですね。 取締役会を招集した、それで取締役が集まらなかったらどうするのですか。監査役はそのときどうするの。
○元木説明員 それは、取締役会が招集されました場合に、少なくとも取締役としては取締役会に出席して議決権を行使するという権利と義務があるわけでございますから、その義務を遂行していないということで、それなりの取締役の責任が生ずるのではないかと思います。
○稲葉委員 私が聞いているのは、取締役会を招集したって、何を監査役が言ってるんだと集まらなかったときに、監査役としてはどうしたらいいのですか。だから、そのために株主総会の招集権というものがなければ意味がないじゃないですか。まあなかなかむずかしいよ、これは実際問題としては。じゃあ、集まらなかったときに監査役はどうするの。しようがないな、弱っちゃったなと言うだけの話ですか。それから、法律的にはどうするの。
○稲葉説明員 極限的な状況になりますと、そういう事態が起こった場合には二百六十六条の責任が生ずるということになります。二百六十六条の責任を追及する方法は、会社と取締役との間の損害賠償請求ということになりますので、これは大会社、資本金一億円を超える会社の場合には監査役が会社を代表して損害賠償請求することができることになっておりますので、損害賠償請求をすることができるということになろうかと思います。 ちなみに、先ほど先生の御指摘の株主総会の招集権を認めなかったのはなぜかという点でございますが、監査役につきましては、昭和二十五年改正前にはそういう株主総会の招集権が認められていたわけでございますが、それが現実に戦前においては一件も利用されたことがないということがあったわけでございます。(稲葉委員「戦前ですか、いま二十五年の話じゃないの」と呼ぶ)二十五年改正前でございます。(小林(進)委員「それ以来何もなかったということだね、現実に利用されなかったということだね」と呼ぶ)はい。そこで、今度の改正案の考え方は、取締役会の監督機能を充実するということがございまして、株主総会の招集権能というのは基本的に取締役会にあるわけでございますから、そういう違法行為を代表取締役なりあるいは一人の業務執行取締役なりがやっていることが他の取締役に知られたということになれば、当然そういう解任まで必要とする事案であればそういう解任の行為を起こさないと義務に違背することになって、これまた損害賠償の問題になるであろう、それである程度カバーができるはずだ、こういうふうに考えたわけでございます。
○稲葉委員 昭和二十五年の改正前の話というのは、これは日本の会社が株式会社といったところで、監査役というのはもういまよりも権限がない、本当のお飾りであった時代ですから、戦争中から戦後にかけての株式会社というのは実際は独裁的なものであったわけですから、それをそのままの形で例に引くというのは私は筋が通らない、こういうふうに思うのです。 それから、損害賠償と言うけれども、損害賠償は後の話で、それは仮処分できるかどうかよくわかりませんが、仮処分ができるとしてどういう仮処分ができるかわかりませんが、損害賠償というのは後の話で、裁判の決着がつくのは三年も四年もたってからの話ですからね。そういうことでは筋が通らない、よくわからない、こういうふうに思うのです。これも経団連の要求で骨抜きにされたんじゃないですか、いま私が言っているところも。そうじゃないですか。 それから、これはどうなったのですか。取締役と会社間取引の承認権、これは今度の法律でどうなりましたか。
○元木説明員 これは現行法でも二百六十五条で、取締役と会社間の取引につきましては取締役会の承認が必要であるということになっております。さらに、問題になりますのはいわゆる間接取引という問題でございます。つまり、たとえば取締役が銀行から借金をしている。それに対しまして、その借金について会社が保証をするというような場合でございまして、取締役、会社間には直接取引はないけれども、取締役と会社の間の利害が相反する取引というものがあるわけでございます。これにつきましては、現行法のもとでも判例では認めておりましたけれども、文理解釈としていろいろ問題があるということでございますので、今度の改正法律案ではこれも含めるということにいたしております。
○稲葉委員 ちょっと私の質問が違っていたのかもわかりませんが、私の言っているのは、取締役と会社間の取引の承認権というのは監査役が持つように、そういう案を昭和四十三年ごろに法務省でつくったじゃないか、それがいまどうなっているか、こういうことを聞いているわけです。取締役会がそれを承認しなければならないとか、そういうふうなことは条文がありますから、そんなことはあたりまえの話で、話はそうじゃありません。
○元木説明員 あるいは現行法のもとでもそうかもしれませんけれども、取締役会の機能でございますけれども、これは今回の改正では特に明確に監督権能があるということを打ち出しているわけでございます。つまり、業務執行は代表取締役が行う、それに対しまして取締役会はこれを監督する権能を持つのだというたてまえでございます。したがいまして、取締役、会社間の取引につきましても取締役会が承認するという現行法のたてまえはそのまま維持しているわけでございます。
○稲葉委員 それはおかしいですよ。会社と取締役との取引というのは、会社の機関ではあるけれどもいわば第三者的立場に立つ監査役が承認事項で承認をするというのがあたりまえの話で、そこで承認するかしないかということによって、会社の中で不正が行われているか、妥当で不正のないいろいろな取引が行われているかどうかということが初めてわかるのじゃないですか、あなた。だから、会社と取締役間の取引については監査役の承認権というものを認めろという議論が、いまから十年くらい前に法務省の中にもあったじゃないですか。それをまた経団連がそんなことは困ると言って反対して、削ってしまったのではないですか。違いますか。
○元木説明員 確かにおっしゃるような理屈も十分あるわけでございますけれども、これはまた非常に理屈の問題でございますけれども、取締役、会社間の取引と申しますのは、もしそれが代表取締役が会社と取引をするというようなことでございますと、言ってみればこれは双方代理みたいな問題が出てくるわけでございます。そういたしますと、この双方代理は原則として無効でございますけれども、本人の承諾があれば有効であるというのが一般の考え方でございますので、その点から考えても、そういう業務に関する決定機関である取締役会が承認するということが一応理屈に合っているのじゃないかということもあるわけでございます。
○稲葉委員 私は、その点は考え方を異にしますが、それは議論の分かれ目でしょう。こうやって監査役の独立性というもの、権限というものも、強かったのをだんだん少なくしてしまったのですよ。形の上ではありますよ。形の上ではあったって、実際にはないということにしてしまった、私はこう思う。 そうすると、いま取締役会取締役会と言うでしょう。取締役会と代表取締役との関係で、取締役会の会長みたいなものは一体だれがなるのですか。代表取締役はその中に入るのですか、入らないのですか。
○元木説明員 たてまえといたしましては、取締役会は業務執行に関する意思決定機関であると同時に、取締役の業務執行を監督するということに今回の改正法案はなっております。それで、今回の改正法案の取締役と申しますのは、商法の一般の規定の仕方から当然代表取締役を意味するということでございます。つまり、代表取締役の業務執行を監督するということでございまして、たてまえからいいますと、取締役会がその上にあってこれを指揮監督するのだということになろうかと思います。
○稲葉委員 それはたてまえであって、そんなことは会社で行われるわけがないでしょう、常識から考えたって。代表取締役の上に取締役会があるなんという、そんな会社はどこに行ったってないでしょう。それは無理ですよ。それは形の上ではそういう形をとるかもわからぬけれども、代表取締役はそれでは一体何の権限があるのだかわけがわからないですよ。執行権は、もちろん代表して執行権はあるにしても。そんなことは理屈だけであって、実際には考えられないことで、取締役会というものは形はあるけれども、実質的には何の意味もないものになってしまうのではないか、私はこう思います。しかし、これは実態を見てみないと、率直な話、よくわかりません。私も会社のことをよくわかりませんから——よくじゃない、全然わかりませんから、実態を知らぬからこれ以上のことを言えませんけれどもね。政務次官、よく知っているかな。そういう点は政務次官の方が詳しいかもわからない。だけれども、そういう点、ぼくはどうも納得いかぬ。 それからもう一つ、監査役の任期は、試案では、最初の案は三年だったんじゃないですか。そうでしょう。四十三年ごろの案は三年だったでしょうが。それが二年になってしまったのでしょうが。それはどういうわけだったのです。一年だったのが二年に上がったというのもあるけれども、初めは、四十三年ごろの案は三年だった。それがどうして今度は二年になってしまったのか。どういう経過をとられてこれは二年になったのですか。
○元木説明員 経過はつまびらかでございませんけれども、取締役の任期等々から考えまして、二年ということがよろしいのではないかということで決まったものと思います。
○稲葉委員 その意味はよくわからぬな。取締役の任期が二年だからという意味ですか。取締役の任期と違うところに監査役の独立性というか意味があるのじゃないですか。取締役はやめても監査役はやめなくていいというところに、初めて監査役の意義があるのじゃないですか。取締役との関係とかなんとかいうのはちょっとよくわからぬけれども、どういうことでしょうか。
○元木説明員 取締役の任期は最大限二年であるということが現行法でございます。それに対しまして、監査役については逆に二年未満にはし得ない、ちょうど二年ということで決まっているわけでございます。そこで、その程度で監査役の独立性は保たれるのじゃなかろうかということでございます。
○稲葉委員 未満とかなんとかいう形で、いろいろありますよ。多少の食い違いみたいなのはあるけれども、そうじゃないのですよ。取締役の任期は二年であって、取締役はやめてしまっても監査役は残っておられるというところに監査役の独立性があるわけです。監査役が同時にやめてしまうということであっては、監査役の独立性というものは後退していくのです。だから、あなた方としても、最初、監査役は三年間の任期ということ、取締役の任期とは違う方がいいんだということで三年ということを考えたのじゃないのですか。だからあなた方の試案には三年という案があったじゃないですか。四十三年の試案にはそうあったでしょうが。それはどうですか。だめですよ。そんなことは理屈にならないですよ。未満となっているか、ちょっと違うからぼくもちゃんとわかりますよ。違ったって、それは途中でやめたときの話じゃないですか。そんなことを聞いているのじゃないのです。取締役の任期と違うところに監査役の存在意義があるのです。取締役がやめても監査役は残っていられるというところに監査役の独立性があるのです。四十三年の試案はどういうふうになったのですか。
○稲葉説明員 先生御指摘のとおり、当初、監査役の身分を保障するという趣旨で三年とするという案が出たわけでございますが、その後いろいろ、元木参事官が申し上げましたように、実務上そういうふうにすることによるフリクションが大きいというような批判がございまして、結局二年になったわけでございます。それで、今回もその点については、特段どうしてもいまの制度ではまずいという声が高くはなかったものでございますから、その点については特に手当てをしなかったということでございます。
○稲葉委員 いまの答えの中に二つの問題がありますよ。フリクションが大きかったというフリクションというのは具体的に何かということと、それから、監査役の任期を二年とすることについて格段の問題が起きなかったというところに、監査役制度というものに対する無関心さというものがあるはずです。そういうふうに私は理解します。だから、フリクションというのは具体的にどういうことなのか、どこから出たフリクションなのか、具体的に説明していただきたいと思います。
○稲葉説明員 結局、これは非常に形而下的な話になりますが、役員の選任につきましては、定足数を発行済み株式の三分の一より下には下げられないという拘束があるわけでございます。そのために、そういう役員選任のような場合には、これは必ずそれに相応するだけの人数を集めなければいかぬという拘束があって、普通決議でやる場合、たとえば定時総会における利益処分よりはもう少し要件が厳しい、そして会社としてはいろいろやりにくい面があるということになるわけです。ところが、それが取締役の任期と監査役の任期とかえるということになりますと、結局毎年、その役員選任のための総会を開かなければならないということになるわけでございまして、取締役とたまたま任期が一緒でございますと、その点はうまくいくというような配慮もあったのではないかというふうに思われます。
○稲葉委員 商法というのは元来、形而下なものですよ、これは。形而上のものは商法なんかに——商法なんかにと言っちゃ悪いけれども、商法にあるわけないので、これは資本主義のあれですからね。それはわかりますが、いまあなたの言われたように、二年と三年とすると、もう一回株主総会を開かなければならない、二年に一遍でいいのが今度はもう一回間に入って株主総会を開かなければならないということになって厄介だ、一つはそういうことですね、現実には。そういうことがあって、これもまた経団連から反対が出たのですよ。居林さん、そういうふうにいばって言っているでしょう。そういうわけで経団連が勝った勝ったと言っているじゃないですか。あの中にこういうことが皆書いてあるのだよ。だから、そういうふうにして監査役の機構というか、権利というものは皆後退していったのですよ。 もう一つあるでしょう。これはどうなっているのですか、監査費用の株主総会決議要件というのは。これは今度はどういうふうになったのですか。これはやはり株主総会で決めることになったの。どういうふうになりましたか。
○元木説明員 今回は、監査費用につきましては、株主総会で決めるということではなしに、監査役が会社に対して監査費用を請求いたしました場合、これは事前でも事後でもよろしいわけですけれども、その場合にもし会社が拒もうとすれば、会社はそれが監査に必要でないということを立証しなければ、拒むことができないということにいたしました。
○稲葉委員 それは立証責任を会社の方に転換したわけでしょう。それはわかりますが、そのままストレートに監査費用の株主総会決議要件ということを決めたらいいじゃないですか。なぜそれを決めなかったか。これもあなたの方の試案にちゃんと入っていたのじゃないですか、なぜそういうふうにストレートにいかないのですか。
○元木説明員 御承知のように、監査費用というのは前もって決まっている部分もかなり多いわけでございますけれども、一番問題になりますのは、たとえばその会社の北海道の工場で問題があるというような場合でございますと、これはすぐその場に応じていかなければいかぬというわけでございますが、事前に総会で決議するということはかなり困難という問題がございますので、立証責任の転換ということにいたしたわけでございます。
○稲葉委員 いまの場合だって、監査費用の承認だって、株主総会は大枠を決めるだけの話ですよ、予備費みたいなもので。いまあなたは北海道の何か例を引いたけれども、そういうときだってある程度の大枠ですよ。そんな細かい、何円幾らまで決められるわけのものではないですね。だから、こういうふうに監査役の問題、監査役とそれから会計監査人との間の関係でもずいぶん問題があるのですよ。監査役は一見会計監査人より上にあるようであるけれども、監査役はまた取締役に従属しておるというような形になりまして、形の上ではいいのですよ。だから、商法というのは生きた会社の実態を反映しているものだから、実際にどういうふうになるかということは、法律とはまた別で、法律には私は限界があると思うのですよ。これはしようがないことですけれども、それはそれなんですが、こうやって、もう幾らでも問題があるのですよ。だから、とてもこれはまだまだうんとやらないと、どうにも私の国会議員としての責任を果たせないというふうに考えるのです。 そこで、時間があれですので、最後に一つだけお聞きしておきます。数字の問題なんですが、今度の五億円と十億円の問題、それから二百億円の負債の問題——あれは五億円以上の資本金とそれから「又は」でしょう。「並びに」ではないですか。「又は」ですね。そうすると、まずその五億円以上の資本金の会社は一部と二部とを合わせてどのくらいあるかということが一つ。それから負債二百億という会社はいまどのくらいありますか。それから、それがダブっている場合があるでしょう。ダブっている場合がどのくらいありますか。それだけお聞きしておきましょう。
○元木説明員 上場会社につきましては大蔵省からお聞きいただいた方がよろしいかと思いますけれども、負債二百億以上で資本の額が五億未満という会社は、現在私どもでつかんでいる具体的な数字が二百六社でございます。
○小山(昭)政府委員 現在上場会社数は全部で千七百三十社ということになっております。(稲葉委員「五億円以上ですよ」と呼ぶ)五億円から十億円未満という意味でございますか。(稲葉委員「いや、五億円以上」と呼ぶ)五億円以上の上場会社の総数は、千六百八十一社でございます。
○稲葉委員 五億円未満で、それで負債が二百億以上あるものが幾つでしたか。二百……。
○元木説明員 具体的に社名をつかんでおりますのは、二百六社でございます。
○稲葉委員 この前小林先生がお聞きになったときは、何か片一方の方が八百で、片一方の方は六百と言ったのじゃないですか。何か私はそういうふうに記憶しておりましたが、きょうのは違うような気がしますよ。
○中島(一)政府委員 それは恐らく私が申し上げた数字であろうかと思いますけれども、資本金が五億以上十億未満の証券取引法非適用会社が形式的に幾つあるかということにつきましては、私どもの方で約六百という数字を把握しておりますということを申し上げたかと思います。
○稲葉委員 いままで私が法務省当局から聞いたのは、今度の五億円以上ということになって、それからあのとき売上金がありました。売上金幾らか忘れましたが、それがあった。それから最初のときは適用される負債というのは百億だったかな。あのとき、負債が百億の場合適用されるのは千二、三百社だという説明だったのですよ、いままでの説明を私どもの聞いておったのは。きょうの数字と——それは百億が二百億になったのだから、今度は数は減るわけですよ。ずいぶん違うな。一体数字はどうなっているのですか。
○中島(一)政府委員 私どもも法制審議会の答申どおりに監査対象会社が拡大されるならば、形式的に新しく監査対象会社になる会社は約千二、三百であろうかということを考えておった時期がございます。その後、売り上げ百億というところが落ちました。それから負債が百億というのが二百億になりました。したがって、対象会社の数が減っております。その減った結果、私どもは現在考えておりますのは、六百社と二百社で約八百社が形式的に該当するのではなかろうか。そのうちすでに公認会計士が会計を監査しておる会社がどれぐらいあるかについては、四割とか五割とかということを言われておるのですが、それは必ずしも明らかでないということは申し上げておると思います。
○稲葉委員 いまのことはちょっとごたごたしたのですが、それは数のことですから調べればわかることであって、どうこうということではありませんが、いずれにしてもまだ問題がたくさん残っておりますね。ことにさっき話の出た企業会計規則というのかな、あれについては非常に大きな問題があるのです。それから公認会計士の問題、ことに公認会計士補がいま二千人くらいおるでしょう。これが一体どうなるのか、いま非常に将来の生活不安に襲われているわけです。会社の機関の問題、株主総会のことに三百株の問題などありますね。いっぱい問題があるのですよ。きょうは時間が来ましたから、これで一応二回目を終わりにしておきますが、これからまた何回もやらせていただきます。 終わります。
○高鳥委員長 水田稔君。
○水田委員 今回の商法改正は、去る四十八年の商法改正に際して会社の社会的な責任及び大小会社の区別等の改正について検討されたいという附帯決議が付されておる、さらに、その後ロッキード事件あるいはダグラス・グラマンの事件などが発覚する、そのための再発防止、あるいはまた粉飾決算や放漫経営による倒産等が相次ぐ、そういうことからいろいろな協議会ができて今回の法改正に至った、こう思うわけであります。 先ほど来論議がありますように、私も幾つかの問題で疑問を持っておりますけれども、法務省としては今回の改正でこれらの要望に対して十分こたえ得ると考えておられるのかどうか、まず冒頭お伺いしたいと思います。
○中島(一)政府委員 今回の改正案の主な目的でございますが、まず第一は、最近の経済情勢にかんがみまして、会社運営の適正化を図るということであります。このための改正といたしましては、新設会社については一株の単位を引き上げる、既存の上場会社につきましては単位株制度を採用するということにいたしまして、一株の単位が現在の貨幣価値に照らして低きに失するということを是正することを考えました。また、新株引受権つき社債の発行を認めることにいたしまして、会社の資金調達に新しい道を開いたということでございます。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 主な目的の第二は、最近の会社運営の実態に照らしまして、会社の自主的な監視機能の強化を図るということでございます。この目的を実現いたしますために、株主総会及び取締役会の運営の適正化、監査役による監査機能の充実強化、会社の情報開示の充実等の方策を講じておるわけでありまして、特に大規模の会社につきましては会計監査人による監査の拡充強化、監査体制の一層の強化等の方策を講じておるわけでございます。 ところで、いまお尋ねのございました今回の改正案の作成のための法制審議会におきましては、昭和四十九年の商法改正の際の衆参両院法務委員会の附帯決議を受けまして、商法の全面的改正ということで作業を始めたわけでございます。株式制度、株式会社の機関及び株式会社の計算・公開というような問題点について順次審議をしてまいったわけでありますが、途中の経済情勢の変動あるいは会社運営の適正化を図るということの必要の緊急性にかんがみまして、ただいま申しましたような部分を切り離して答申をいただいて、今回改正案として立案をしたわけであります。これで当初の全面的改正全部を尽くしたということではございませんけれども、一応重要かつ緊急なものについては取り上げることができたというふうに考えておるわけでございまして、残りました部分につきましては、今後全面的改正として残された部分についての検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○水田委員 そこで、会社の投機なり粉飾決算なりたくさんあるわけですが、最近の例として、こういうことで株主なりそこに働く従業員も含めて大変大きな社会問題になっている札幌トヨペットの問題について、ひとつ具体的な例で御説明いただきたいと思うのです。 御承知のように、この札幌トヨペットというのは、三百億に上る負債を抱えて倒産したわけですが、従業員が千人もおるわけです。社長は北海道テレビ放送の前の社長であるし、また関連の会社をたくさん持っておったわけです。これらの金星自動車、札幌トヨペットなど三社で金融機関から三百億という簿外融資を受けて、これを投機に使ったということなんです。これらの会社が岩沢社長の支払い保証をしておるわけです。私ども新聞報道の域を出ないわけでありますから、具体的に金額その他きちっと合っているかどうかというのは言明をいたしませんが、しかし、こういう事実があったことはほぼ間違いないだろう、こういうぐあいに思うわけです。 こういう多額の借入金あるいは債務の支払い保証を会社がやっておるわけですね。それはちゃんと取締役会なり監査役もおってこういうことが行われておるわけですが、そういう取締役あるいは監査役の権限とか責任というのは、現行法上一体どうなっているのか、それからまた、先ほど来の論議を聞いても、監査役の独立性の問題等含めて、改正によってこういうことは完全に防げるという保証はなかなかむずかしいのではないかという気がいたすわけですが、その点を、具体的な例があるものですから、ひとつ御説明いただきたいと思うのです。
○元木説明員 札幌トヨペット事件につきましてはまだ事実を明らかにしておりませんので、あくまでいま先生に御指摘いただきました事実のもとで、つまり、岩沢社長がよそから借りる金について札幌トヨペットが保証をしたという前提でお答えを申し上げますと、まず、保証いたしますには、これは必ずしも明文の規定はございませんけれども、現行法二百六十五条では、判例上、少なくとも取締役会の承認を受けていなければならないということでございます。したがいまして、もちろんそういう保証をして、保証倒れをした岩沢社長自身が会社に対して責任を負うということは当然でございますが、それと同時に、その取締役会において賛成した取締役も責任があるということになろうかと思われます。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 それから、今度の改正法律案のもとにおきましては、さらに取締役会が必ず決議しなければならない事項、つまり代表取締役には委任することができない事項といたしまして「多額ノ借財」ということがございます。債務の保証と申しますのも、これは条件つき債務の負担ということになりますので、その額が多ければ、もちろんただいま御指摘のような額でございましたら、札幌トヨペット程度の会社では「多額ノ借財」ということになろうかと思いますので、当然取締役会の決議が事前に要るわけでございます。したがって、これも取締役会の決議の対象になるということで、そこでもチェックされるということになりますので、当然取締役自身が相当な責任を負わなければいかぬということになろうかと思います。
○水田委員 この場合の監査役の責任というのはどうなんですか。
○元木説明員 監査役につきましては、これはただいまちょっと御指摘で簿外ということがございました。それで、もし簿外ということになりますと、これは当然貸借対照表にも記載されていないということになろうかと思いますけれども、元来、保証債務と申しますのは条件つき債務でございますから、貸借対照表の負債の部に計上しなければいけないわけでございます。もしそれに計上しないときは、現行の計算書類規則によりましてその総額を貸借対照表に注記しなければいかぬということになっているわけでございます。このようなものが何もないということになれば、監査役といたしましてはわかっていれば当然それは指摘いたしまして、その旨を監査報告書に書くということにしなければいけないわけでございまして、そのような記載がなかったといたしますれば、当然監査役が責任を負うということでございます。
○水田委員 先ほどの稲葉委員の論議の中にもありましたように、実際問題として代表取締役、しかもワンマン的なといいますか、株の所有も多くて事実上創設者というような形でやってきた中で、取締役がそういうチェックができるかできないかということは本当に疑問だと思うのです。法律的にはその程度の改正で一体今後こういうことがきちっと防ぐことができるかどうか、私は大変疑問に思うわけですが、心配ないとお考えでしょうか。まさにその点をきちっとしない限り、大企業の場合も問題は別にありますけれども、特に中小の場合は、ワンマン社長のもとにおけるこういう事態というのは、今回の法改正では本当を言えばきちっと規制ができる、そういうことができないようにできなければならぬと思うのですが、どうも今回の改正だけでは不十分な気がして仕方がないのですが、いかがでしょうか。
○元木説明員 もちろん、これはいかなる組織も人を得ないということになりますと、その組織自体が動いてこないという問題があるわけでございますけれども、現行法も取締役の責任あるいは監査役の責任ということについてはかなりの手当てはしていると考えるものでございますけれども、さらに今回は、それに加えまして取締役、監査役の責任を強化するという方向で改正を考えているわけでございます。したがいまして、こういう新しい責任制度のもとにおきましては、もし下手な経営を行ったならば大変な責任がかかるんだということを、それぞれの取締役なり監査役になった人たちに自覚していただくということが重要なんじゃなかろうか。また、自覚していただければ、それに沿うだけの制度は今回の改正案では考えられているというふうに考えております。
○水田委員 この札幌トヨペットに関連いたしまして、もう一つ。 この北海道テレビの前の社長の岩沢氏は五十二年から五十四年の三年間に自民党の政治団体である国民政治協会に一億二千万円を超える政治献金を行った、こう報道されているわけでありますが、こういう政治献金については、今度の改正案では会社の計算書類上どの書類にどの程度の記載をすることになるのか、お答えいただきたいと思うのです。
○中島(一)政府委員 会社の支出であるということになりますから、会計帳簿上には全部書かなければならないということになろうかと思います。商法の三十三条の一項二号という規定でございますが、それには「取引其ノ他営業上ノ財産ニ影響ヲ及ボスベキ事項」ということが書いてございますので、書くことは全部書くということになるであろうと考えます。
○水田委員 次に、先ほど最後に稲葉委員からもちょっと触れられたと思うのですが、実はいま国内の事務所なりあるいは外資が入っての会計事務所というのが大手が大分あるわけです。ここは公認会計士も所属しておるし、税理士も所属しておる。場合によったら会計監査人もその中から任命される。監査役もそこから出る。税務に関してはそこから人が行ってめんどう見る。いわば個々の資格を持った人はそれぞれ別の形で任命されても、実は一つの会社、会計事務所に所属するという形になっている。これは私もはっきり——というのは、恐らく大蔵省への報告の中には名前が出ておると思うのです。それを全部集めてくればそういう実態がよくわかると思うのですが、ロッキード事件に絡んだ会社でそういう形になっておるのではないか、こういう疑いを持たれておる会社もある。そういうところにああいうごまかしの会計処理が行われるということになっておるわけです。今度の法改正では一体そこらはどういうぐあいに規制できるのか。 それから、まさにいま言ったようなことが事実あるとするならば、これは会計監査人、公認会計士、税理士というのは全く一体でやっておるわけですから、そういう中に不正が行われるという温床がそのまま残っていくのではないだろうか。そういう点が今度の法改正で実際にチェックできるのかどうか、そういう点をひとつお答えいただきたいと思います。
○稲葉説明員 今度の特例法の改正でございますが、会計監査人の資格についての現行法の規定を改めているわけでございます。第四条の第二項におきまして、いままで「会社又はその親会社若しくは子会社の取締役、監査役又は使用人」というような表現で、こういう者については会計監査人にはなれない、こういうふうになっていたものを、「公認会計士法第二十四条又は第三十四条の十一の規定により、会社の第二条の書類」、と申しますのは貸借対照表であるとか損益計算書であるとかそういう計算書類のことでございますが、「について監査をすることができない者」というふうに広く網をかぶせたわけでございます。 この二十四条というのは個人の公認会計士についての職務制限の規定でございますし、三十四条の十一というのは監査法人についての職務制限の規定でございますが、その中に、直接会社あるいは取締役あるいは監査役から公認会計士あるいは監査法人の業務以外の業務によって継続的な報酬を受けている者というのは排除される。これは個人の場合でございます。それから監査法人についても、その者がいる場合には排除されるというような規定になっているわけでございまして、さらにそれに二号をつけ加えまして、会社の子会社についてそういう関係がある場合についても同じような処理がされるということになっているわけでございます。そして、これは現行法で証券取引法上の財務諸表の監査証明について行われております規制と軌を一にするということでございまして、その点はそういうようにして改善を図っていると言うことができると思います。
○水田委員 それでは、現実にそういったことがいままではあったということは調査はされておるわけですか。会計事務所というのが、そういうぐあいに税理士と監査役とか会計監査人を派遣しておるのが事実上あったというような調査はできておるわけですか。
○稲葉説明員 私どもが聞いておりますところでは、事実上はそういう問題は起こっていなかったというように聞いております。ただ、法制上それを裏打ちをするような手当てがされていなかったということがございますので、その点をはっきりさせたということでございます。
○水田委員 これも先ほど触れておりましたけれども、監査役の選任のあり方といいますか、いわゆる独立した権限を持たせて監査を厳重にやれるという条件をつくるためには、たとえばどういう経路で監査役になったかというようなことは、先ほどの論議の中では最終的には結論は出ていないのですが、監査役をやっている人でそうでない人もおられますし、失礼な点があるかもしれませんけれども、私どもが実際に会社の中におって実態を見てまいりますと、普通言えば、課長、部長、取締役、常務、専務あるいは副社長、社長とこう行くわけですね。そのコースの中で大体取締役になるぐらいの人は、監査へ行けばそこで終わりというのがわりに多いのが先ほどの稲葉さんのお話にあった実態だろうと思うのですね。そうなった中で実際問題としてきちっとした監査ができるのかどうか。 これはそうは言いましても、会社というのは人間の集団ですから、社外から全然別の人を入れれば別です。しかし、社内で選ばれる監査役というのは、常勤はどうしてもそういう形になるし、しかもその経歴を見るとそういうことですから、独立した監査役としての役割りがどうしても果たせないのじゃないか。そういう点の選任の実際のあり方について、実効の上がる監査ができるような人選というのは法律上一体どうすればいいのか、あるいは法律上は無理なら方法はないのかどうか、それが一つ。 もう一つは、実際に毎日出勤して本当に業務監査まで含めて監査をやるということになれば、選ばれた人だけおっても手足がなければ何にもできぬわけですから、予算の問題もあるかもしれませんが、現実にはある一定の大きさ以上のところはスタッフを持って、社内で独自にそういう監査ができるわけですから、そういう点は、法的にも裏づけをしたスタッフをつけた監査役のあり方というのは一体考えられないのかどうか、その二点についてお答えいただきたいと思います。
○元木説明員 まず、監査役の地位の独立性の問題でございますけれども、現行法のもとにおきましても、監査役は株主総会で選任されるということになっております。その点についてもまたいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、少なくとも制度的には総会の選任ということで、一応確立されているのではなかろうかと思うわけでございます。 それに加えまして、今回の改正法律案では、とかく監査役の報酬の問題でいろいろ問題にされておりますので、まず、監査役の報酬は取締役とは別に総会で決議をするということにいたしまして、取締役会の影響をできるだけ排除することにいたしております。さらに、そのような監査役の報酬が総額で決められました場合には、その幾らを取るかということは、監査役の間で協議して定めることにいたしております。 それから、先ほど来も出ておりますけれども、監査費用につきましては、これは立証責任を転換いたしまして、監査役がその監査について必要な費用であるということで請求すれば、会社の方でこれを拒絶しようとすれば、それが必要でないということを逆に立証しなければいかぬということにいたしております。 それから、監査役の手足の問題でございますけれども、実際問題として、現在でもかなりの会社ではいわゆる監査役室といいますか監査役スタッフがおりまして、そういう人たちが監査役の手足として監査を行うということになるわけでございます。そして、これは現行法のもとでも同じでございますけれども、監査役が手足を使って監査するということ自体は一向に制限されていないわけでございます。ただ、そのようにして使った手足の結果につきましては、これは監査役が全面的に責任を負わなければいかぬということになるわけでございます。それと同時に、先ほども監査費用の請求についての立証責任の転換のことを申し上げましたけれども、これは単に実際に監査の場所に行くための旅費だけではございませんで、監査に用いるための人の費用というのもこの中に含まれるわけでございまして、監査役としては、それが必要だということならば手足を使ってその費用は会社に請求することができるということになるわけでございます。
○水田委員 総会での監査役の選任といいながら、提案するのはやはり取締役会で決めてですし、長い伝統の日本の年功序列で進んできた中で、いわゆる重役コースの取締役から監査役に行って終わるという形はそう簡単には消えないと思うのです。そうすると、総会の選任といいながら、実際には取締役会の意向が自分が監査役になれるかなれないかにかかわってくるということが、選任されてから後の仕事に大変大きく影響する。稲葉委員もそのことを考えて言われたのだろうと思うのですが、その点は今度の改正で、監査役の独立性ということについての弱さをまだ持っていると私は思うのです。これはそういう見解だけ申し上げて、次へ進みたいと思います。 今度のいわゆる株式の相互保有と子会社の支配権という問題で、いずれも二五%以上ということがあるわけです。ところが、実際に見てみますと、最近の例で言いますと、どうも株式の保有はきわめてわずかで、私も会社の名前を幾つか知っておりますが、あえて申し上げませんけれども、二%から三%です。ところが、実際には資金のめんどうはほとんど一〇〇%見ておる、そして製品の取引は一〇〇%その商社を通じてやっておる。しかし、いまの経済変動の中でこの業種を持つことはもはやわが社にとってはということになると、簡単に切り捨てるわけですね。そうすると、これはまさにお手上げで、株主はもちろんのこと、そこで働いておる従業員も一挙に倒産に追い込まれて失業するという事態が特に金属関係の工業でわりに多いわけですね。私も、具体的にそういうことで商社へも出てまいりまして、破産したのを会社更生法の適用を受けてめんどうを見てもらって再建というようなことも幾つか取り組んでまいりましたけれども、相互保有とか子会社の株だけで見ればいいのかどうかということは、私、若干疑問に思うわけです。大商社、大会社の社会的な責任ということは別の観点から問われるのかもしれませんけれども、法律解釈上、今度の商法改正ではこういうものは救われない。 ですから、不況業種のところは、まさに力の強い商社が一方的に一〇〇%の支配権を実際は握っておりながら、切り捨ててしまうという事態が起こってきておる。これは大きな社会問題でもあるのですね。ですから、そういう点が商法上できないとするならば、どこでやったらいいのか。私も個々の問題についてはそれなりの努力はしてまいりましたけれども、どうもこの商法改正の中では救われそうにないなという気がして仕方がないものですから、どういうぐあいに法律上なっておるのかということをお尋ねしておきたいと思います。
○元木説明員 今回の商法改正、これは現行法も同じでございますけれども、とにかく会社組織というものを利用していろいろな不当な結果が生じてくることを防止するためということで、その一つといたしまして、相互保有の制限というようなことも新しく規定しようということでございます。それで、ただいまの御質問の趣旨でございますと、そういう会社組織から生ずるということではございませんで、これは事実上の力関係の問題であろうかと存じます。そういう事実上の問題であるということになりますと、これは、たとえば力に任せてその契約関係を破棄するのだとか、あるいは不法行為が生ずるのだとか、あるいは場合によりましては、これはある程度会社法上の問題に乗っかってまいりますけれども、法人格否認の法理であるとか、そういうふうな現行の会社組織とちょっと観点が違ったところでまたいろいろ問題が出てくるのじゃなかろうかと思います。
○水田委員 一つの会社の組織として起こる問題を規制しようということですが、現実の商行為全体を通じて、その中で事実上は社会問題になる事態が起こっておる。これはたとえば、私も専門ではありませんからわかりませんが、商法上はそういう事態を防ぐ何らかの手だてを、きょう現在は出てないにしても、それはその中でやれるのか、あるいは別の次元、法律で、そういう点の公正競争といいますか公正取引、そういうことをやるのは別のところでやらなければならぬのか、その点ちょっとお答えいただきたいと思うのです。
○元木説明員 御質問の趣旨でございますと、恐らくケース・バイ・ケースではなかろうかと思います。たとえば、事実上支配しておる会社の取締役が、その支配されている会社の取締役になっているその地位を利用していろいろ問題行動があったということでございますれば、たとえば二百六十六条ノ三等で解決できるという場合もあると思いますし、あるいは先ほども申し上げましたように、そういう力を用いて不当に契約を破棄してしまうということであれば、債務不履行の問題になるかあるいは債権侵害ということで不法行為になりますか、そのケース・バイ・ケースによっていろいろ事情が違ってくるのではなかろうかと思うわけでございます。
○水田委員 実は、親会社ではないけれども、役員を派遣して、事実上はその中で支配権を持っているわけですね。それが、いわゆる取引先であり資金のめんどうを見ておる商社と全く意を通じて、事実上はそこを倒産に追い込むというようなことが起こるわけです。ですから、そういう場合はいかがですか。現実にはそういう形で起こっているのが多いのです。
○元木説明員 もしその派遣された役員につきまして、自分の派遣された会社の職務の遂行につきまして悪意または重大な過失があるというようなことであれば、その取締役自体が損害賠償義務を負うという結果になろうかと思います。
○水田委員 では、これは今回の法律改正とは直接ということではない、そういうぐあいに理解して、別途私の方でも、実際問題としては具体的に起こるわけですから、対応策を考えていかなければならぬ、こういうぐあいに思います。 それから、一般株主の保護の問題といいますか権利の問題といいますか、それはいろいろあるわけですが、日本の株式会社の状況を見てみますと、戦後のいわゆる財閥解体によって個人株主がたくさんふえてきた。私も、当時財閥解体の分百株ほど割り当てでもらったわけですけれども、そういう形で個人株主がたくさんふえたわけです。当時、昭和二十五年には、全上場会社の個人株主が六一・三%だったというのですね。まさにこれは株式会社というものが国民の生活と密接に結びついた状態であったと言えると思うのです。実際には、年々これが減ってまいりまして、昨年の三月末には三〇%ぎりぎりのところになっておるというのです。ですから、実際には、その間に個人株主が放したものをそれぞれ会社が買い取っている、そういう中で相互保有というのが進んでいった。 それから、相互保有というのも、たとえばで言いますと、三菱重工の筆頭株主は三菱銀行である、また三菱重工は三菱銀行のいわゆる上位株主であるというような形、それがたとえば二五%を超さない形でそのグループの中で相互の持ち合いというのが現実にはある。そしてそれらが、法人の持っておるのが七〇%を超すというところに問題があるのではないだろうか。 ですから、株式の相互保有あるいは子会社の支配が二五%ということで、一体、今日のこの株式会社のいろいろな不正とかあるいは倒産とかいう事態が起こってくる問題を、この点を触れずに、この点を二五%ということだけで、もう一つ銀行の系列化あるいは旧財閥の系列化、何かその取引の関係の系列化、そういうことで、まさにグループで大半の株を持ち合ったところに、本当の意味での会社の公正な運営ということが阻害されておるものがあるのではないだろうか。そういう中で現実に株に対する一般株主というのが離れていくという問題もあるのではないか。その点について法律は、相互保有も二五%、あるいは子会社も二五%ということですが、その点は、それで本当に本来のこの法改正の趣旨が生きていくのかどうか、私は疑問に思うのですが、いかがでしょうか。
○元木説明員 いわゆる個人株主づくりということ、それから魅力ある証券投資というような問題でございますけれども、これは本来証券行政に属することでございますので、私どもの方の批判の限りではないわけでございます。 それで、ではなぜ相互保有を商法で禁止するかということでございますけれども、これはやはり相互保有ということによって総会の決議が相手方会社の意のままに行われて決議が歪曲されるという問題、あるいは相互に持つということで資本の空洞化が生ずる、そういうものを防止しようということが、少なくとも商法で相互保有を禁止——禁止と申しますか制限する目的になるわけでございます。したがいまして、いわゆる大会社と申しますか、財閥会社と申しますか、そういう間での相互保有という問題、これはいままで調べてみましたところでは、大体一%ないし二%を相互に持ち合いしているということでございまして、そのこと自体が直ちに、ただいま商法が相互保有を禁止する目的に触れるものかどうかという問題がございます。それから、一%、二%相互に持って、たくさんの会社が持ち合っているといういわゆる環状的相互保有というふうなものを実際に制限するという方法があるだろうかという問題がございます。 そこで、今回の改正といたしましては、とにかく相互保有というのは、はなはだしい状況になったならばこれは好ましくないものなのだということを明らかにいたしますために、たとえば甲の会社が乙の会社の発行済み株式総数の二五%を超えて持った場合には、たとえ乙の会社が甲の会社の株式を持っても議決権が行使できないのだということで、商法においてはそういう基本的な態度を明らかにするということにしたわけでございます。
○水田委員 日本とヨーロッパのいわゆる株式会社の発生のあれが大分違うだろうと思うのですけれども、なぜ企業に対する、株式会社に対する批判が国民から出てくるかというのは、いわゆる企業同士の持ち合いの株が七〇%を占めて、国民というのは三〇%一般株主が持っておるだけですから、まさにそのグループの利益が最優先されるというところに、いわば一般株主とは遊離したところに存在しておる会社だというところに、批判も出てくれば、そこにいろいろな、いわゆる粉飾決算とかいうようなことをやろうという意図が出てくるわけですね。ですから、そういう点では、二五%の規定、この相互保有の禁止あるいは子会社の二五%ということだけでは、私は、まさに今日のこの法改正の主目的であるいわゆる国民の批判にこたえるだけのものになってないのじゃないかということだけ申し上げておきます。 それから一方、そのために私は、国民が、株式会社の活動というのが、会社が繁栄することは即国民の利益になっておるんだという気持ちになるのは、やはり大衆株主のもっとふえていく条件というのを本来ならばつくっていくべきじゃないかと思うのです。そういう中で本当に——これは一面言えば、株主がふえるということで総会の問題がそこには出てきますけれども、ですからその面はあるかもしれませんが、まさに国民と一体になった形での株式会社の活動という点での活力を求めるならば、一般株主がふえる、アメリカやヨーロッパのようないわゆる完全にというわけにはいかぬでしょうが、ある程度はいまの状態よりはもう少し、昭和二十五年までいくかどうか知りませんけれども、少しはそっちの方向へ一般の株主をふやしていく、そして国民が本当に、株式会社の活動を通じて国民の利益にそれはまさに寄与しておる、こういう気持ちになれるようにするためには、一般株主をふやしていくということも必要だろうと思うのですね。そういう点については今度の法律では何も触れてないのですが、何か御検討なさったあれがありますか。
○元木説明員 先ほど申し上げましたように、個人株主をふやすというようないわゆる証券行政につきましては、商法は直接関知いたしておりません。つまり、会社の組織をどのようにするかという法律でございますので、そこは今回でも特に取り上げてはいないわけでございますけれども、言ってみますれば、たとえば株主の数が千人以上で会計監査人の監査を受けるべき会社につきましては書面投票制度を採用する、あるいはそれと同時に、総会の招集通知には参考書類を添付しなければいかぬということで、総会におきましていわゆる個人株主と申しますか遠隔の地にいる株主でも容易に議決権を行使することができるということも考えているわけで、こういうことも比較的個人が株を持ちやすくなるのではないかとは思っております。
○水田委員 株主にとっては、決算とか利益金の処分は物を言わなければならぬ重要な権利であるわけですが、同時に、会社がいま一体何をやっておるのか、将来何をやっていくかという方向は、場合によっては会社はつぶれるかもしれない、トップの判断によってつぶれる会社も出てくるわけですから、そういう点から言えば、営業報告でどの程度のことが報告されるのかということはきわめて重要だろうと思うのです。今度の改正案で営業報告と書いてあるだけであって、その具体的な内容については全く触れておらぬです。恐らく省令か何かでやられようとするのでしょうが、一体どの程度のことを営業報告に記載するようなことを考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
○元木説明員 御承知のように、現行法では、営業報告書に何を記載すべきかということは、商法には何も規定してないわけでございます。一般の解釈といたしましては、会社の業務の状況についてこれを文字であらわすものが営業報告書であるということになっております。それで、御指摘のように、今回の改正法律案におきましては営業報告書は法務省令で定めるということになっておりますので、会社の営業の状況が明瞭に株主にもわかるようにという方向で何を記載するかということが検討されていくものと考えております。
○水田委員 現行法でも営業報告は義務ではないのですが、これは必ずどこでもつけておるわけです。実は私も会社の中におって実態を知っておって、株主に対するその営業報告を読むのですが、実際は作文だけなんです。ですから、何と何というのはこれから検討するのじゃなくて、ある程度の腹案は私はおありになると思う。そうでなければ、今度の場合は貸借対照表、損益計算書は会計監査人が認め、監査役が認めたら株主総会の承認は要らないことになるわけですね。ですから、逆に言えば、会社が何をしておるか、これから何をやっていくか、そのことが会社の将来にとってきわめて危険であれば、株主としては一言物を言うべきなんですね。その点は余り細かくなくていいです。このくらいの柱になるものはやはり文字として入れて報告すべきだというお考えがあれば、ぜひこの機会に聞かせておいていただきたいと思うのです。
○元木説明員 ただいま法律案を国会で御審議の最中でございまして、これは法律案ができてから法務省令ができることになろうかと思います。したがいまして、現在のところ何も特に具体的な問題は出てきていないわけでございますけれども、営業報告書の性格というものもございます。それから、現在各会社がつくっております営業報告書、また総会後に送っております事業報告書というようなものもございます。そういうふうなところから、現在各会社において平均的にどのようなことを行っているかを勘案することになろうかと思います。
○水田委員 一般株主の権利を保障するという点から、最近の事件で、片倉工業が新外為法の例外規定企業に決定した問題があるのです。私は、絹の国内業者あるいは農家の養蚕を守ることについては異論のないところなんです。ただ、一般株主をもう少し保護していくという立場からいけば、このことはいわゆる商法なり今度の商法の改正案で一体どう考えたらいいのか。これは外国との関係、いわゆる外人の投資の関係ですが、それは論外にして、たとえばこういう事態が一般株主の権利を阻害するのではないかという意見もある。そこらあたりは一体法的にどういうぐあいに理解したらいいものか、お答えいただきたいと思います。
○元木説明員 片倉工業の場合、恐らく問題になっている株主が二〇%以上の株式を取得しているということになるのではないかと思います。これは外国人の問題等々を全く別にいたしまして、もし二〇%程度の株式を保有している株主になりますと、会社に対していろいろな請求ができるわけでございます。まず第一に総会招集請求もできるわけでございます。会計帳簿の閲覧請求もできます。それから、今回の改正法律案にございます株主としての提案権を行使することもできるということでございまして、そういういろいろな方法、手段を用いまして自分の意思を経営に反映させていくことができるのではなかろうかと考えております。
○水田委員 これはちょっと別なことになりますから、以上でやめておきます。 次は、いわゆる総会屋対策であります。今回の改正でも大きな一つの柱として取り組まれた条項でありますが、今度の改正案では、会社は何人に対しても株主の権利の行使に関して財産上の利益を供与することを禁止し、これに反して財産上の利益を供与した取締役は弁済の義務を負う、この供与を受けた総会屋等の者はこれを返還しなければならない、こういうぐあいに改正しようというものであります。 総会屋の数というものは大変なものでありまして、六千五百人ぐらい、暴力団の関係者も約一割ぐらいはおるようであります。これが賛助金とか雑誌購読料等各種の名目で二年間に三億円、これは表へ出た分ですから、表へ出ないものを入れると恐らく実際には数百億円に上るのではないか。逆に言えば、これは総会屋もさることながら、会社の側にもそれを利用するという問題があるのではないだろうか。総務部長は総会屋対策ができれば最高の者、こういうことが一般的な通念として言われておるわけですね。ですから、株主総会の時間を調べてみると、一時間もやっておるところはほとんどないのじゃないですか。三分とか五分とか——二十分もやっておると、総会は大変まじめにやったというのか、へただと言われるのか、とにかくそういうのが一般的ではないだろうか。警察庁も企業に対しては総会屋締め出しを一生懸命やっておるわけです。しかし、幾らたっても減らない。今度のこういう限定で本当に防げるのだろうかどうか。長年のまさに長いつき合いがあるわけです。そういうことが一挙にこの程度の法律改正で解消することができるのかどうかということを、私は大変疑問に思うわけです。その実効性についてはどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思うのです。
○元木説明員 今回の改正法律案におきましては、発想を転換いたしまして、先生もただいま御指摘ございましたけれども、安易に総会屋に金をやる会社がいけないのではないか、そういう前提に立ちまして、会社は議決権の行使に関して利益の供与をしてはいけないということをまず明文の規定をもって置くということにいたしておるわけでございます。それで、もし会社がそれに違反して金をやったということになりましたならば、会社はこれに対して、金をもらった者に対して返還請求をすることができるということにいたしております。もちろん、金をやった会社自身がみずから進んで返還請求をするということは期待できませんので、現行法にもございます株主の代表訴訟でございますけれども、これの規定を持ってくるということでございます。つまり、株主は会社のためにその返還の請求をすることができるということにいたしております。 その次に、そういう返還の請求に際しましては、またこういう利益供与の禁止に違反しまして取締役が総会屋等に金をやったということになりますと、取締役自身法律違反でございますから、会社に対して損害賠償義務が生ずるということになります。こういう取締役に対する損害賠償請求あるいは金をもらった者に対する利益の返還請求、それにおきましては、もしその利益の供与が無償であるかあるいは非常に無償に近い形でなされた場合には、権利の行使に関してされたものと推定するという推定規定を設けようということでございます。
○水田委員 実際問題として会社の実態、先ほどからも言いましたように、法人株主が七〇%を占める状態の中で、その法人株主がやらぬです。やはり恐ろしいですからね。出てきたところで暴力団もおるわけですから。そういう形で出てくるだろうということが心配で、一般株主がなかなかそこまでやれるかどうかというのは、法律規定ができても実際にはなかなかできないのではないか、そういう気がして仕方がないのです。 もう一つは、これは株主でなくても、会社に法違反で、ゆすりということで、これもなかなか表に出ませんけれども、逆に言えば株主の権利を行使することという条件がつくわけですから、それをしない形でのものもいままであると思うのですね。これは暴力団などあるわけです。そこへもってきて、こうなればその条項はきわめて上手に使うのではないか、非常に利口ですから。いわゆる「株主ノ権利ノ行使ニ関シ財産上」云々、その点を恐らくそう受け取られない形での賛助金なりあるいは記念行事、そういう協賛金というのは残ってくるのではないか。そういう形でさらに水面下に、いままでも表へ出てませんけれども、さらに地下へもぐった形で続いていくのではないだろうか。これは一般株主の目にはほとんど触れないところでこういう金が流れていくんではないだろうかという気がして仕方がないのですが、そういう点はいかがでしょうか。
○元木説明員 ただいまの御質問につきましては、今回の改正規定では「会社ハ何人ニ対シテモ」ということにいたしております。もちろん今回のは株主総会の運営の正常化ということが目的でございますので、すべての、たとえばブラックジャーナリズムなり何なりというものを全部対象にしようということはとうてい不可能なわけでございますけれども、少なくとも「何人ニ対シテモ」という文言がございますので、これはたとえば、これから株を買うから、買われたくないならば金をよこせというようなものに対しましては明らかに効果がある規定ではなかろうかと思うわけでございます。 それからまた、先ほど申しましたように、立証責任の転換が行われております。したがいまして、その利益の供与というものが無償であるか非常に無償に近い形で行われているということになりますと、それは株主の権利の行使に関していないんだということを利益の供与を受けた方で立証しなければいかぬということになるわけでございまして、こういう立証はかなりむずかしいのじゃないか。そういう点で、利益の返還、あるいはもし違反した取締役に対する損害賠償請求というものが容易になるのではなかろうかと思うわけでございます。
○水田委員 実際のこれまでの長い年月の総会屋対会社の関係というものが、一朝一夕に断ち切れるものではないだろう。恐らくこういう法律ができるということはもう向こうも知っておるわけですから、その間に、その資金源がどれだけ減るかは別として、確保のための最大限の脱法の方法を検討しておるだろうと私は思いますね。ですから、そういう点では、法律の具体的な条項で「何人ニ対シテモ」と言ったところで、これは株を持ってない、株を買うということと関係ない人との関係というのは、いま言われたように、たとえばブラックジャーナリストとかあるいは暴力団に金を出しておる会社もあるかどうか知りませんけれども、たとえば別の関係でちらっと何か言われて、株は関係なしです、会社の運営も関係ないということは今日でも存在しておるわけですから、そこらがむしろ陰険に拡大されて資金が流れていく危険が残るのではないだろうかという気がして仕方がないわけです。 これは答弁は結構ですから、そういう点では、せっかく今回の改正の大変大きな柱でありますし、また、総会屋がはびこるといういまの日本の社会というのは、企業がある程度ダーティーな部分を持たなければ生きていけないという商行為、活動というところにも問題がある。その点でも、先ほど稲葉議員がいろいろ指摘されておられましたようにまだまだ問題点はたくさん残っておるだろう。せっかく改正するのなら、それぞれの目的とすることが最大限に生かされる、そういう運用を心から希望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○高鳥委員長 塩崎潤君。
○塩崎委員 商法の一部を改正する法律案について御質問を、与党でありますけれども、させていただきたいと思います。 今度の法案は、まず第一に伺いたいのは、これまで全面改正を企図されておりました法務省が、急遽、一月二十六日に審議会の答申をいただいて、そして三月二十四日ですか、国会に提案するような、大変急いだ御提案だったと思うのですね。私は、政党政治のもとで、この商法についても自由民主党の中で十分な論議を与えていただける機会があると思っておったのですが、そんな機会もなくして突如として国会に出て、そして私どもがここで質問して皆様方と討議をしなきゃならぬということになったわけでございます。与党で質問することは国会では非常にむずかしい。国会にいきますと野党の方々の国会みたいになって、おまえらは政調会でやってこいといつもおしかりを受けるぐらい質問ができないわけでございます。私は、こういったふうに急がれて提案された、これはどういう理由であるか、まず伺いたいのです。 そして私は、商法というものは全面改正をしていただかなきやならないほど古いかたかなの法律であって、大変わかりにくい、さらにまた、他の法律との間の整合性も問題が非常に多い、こんなことを考えてみますと、経済は動いておりますけれども、その動きはともかくとして、ひとつ現代に合ったところの商法にしていただきたいと思うのです。 その次に伺いたいのは、じゃ、この次に改正する見通しはどんなふうに考えておられるか。つまり、これまで昭和二十五年、三十年、三十七年、四十一年、四十九年、五回も改正があってこれまで来たわけでございますが、今度の改正が一番大きいんですね。四十九年も改正がありましたが、これは一億円以上の会社のことであって、そして監査役と会計監査人のことだけだった。今度はもう株式制度から会社の計算規定、それから会社の機関、しかもすべての会社、一億円以上というようなことじゃないのです、すべての会社に関係するものだけに、私は大変大きな改正だと思うのでございますが、これを終えた後で今後の商法についてどのようにひとつ考えていったらいいのか。私は、まだたくさん問題が残っている、こういうふうに思うのですが、まずその点を伺いたいと思うのです。 これは大臣に聞いたらいいのですけれども、大臣はすぐかわられるから、むしろ民事局長の方が長らくおられるかもしれない、あなたの方がより権威のある答弁ができるような気がするのですが、いかがですか。
○中島(一)政府委員 今回の商法改正の作業でございますが、これはただいま御質問にも出ました四十九年の改正に発端があるわけでございます。四十九年の改正の際に、衆参両院の法務委員会におきまして附帯決議がつけられました。その附帯決議によりますと、「わが国の株式会社の現状にかんがみるとき、商法等に改正を要する問題が少くなく、今回の改正をもつてしてもその十分な実効をあげることは困難である。よって政府は、次の点について早急に検討すべきである。」ということで、十項目にわたる御指摘があったわけでございます。その中には、「会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。」あるいは「監査法人の育成・強化を図る反面、個人たる公認会計士の業務分野についても行政上適正な措置をすることとし、もって活動分野の調整をはかるものとすること。」というような項目、あるいは「会社の社会的責任、大小会社の区別、株主総会のあり方、取締役会の構成及び一株の額面金額等について所要の改正を行なうこと。」というような項目があったわけでございます。 この附帯決議を受けまして、法務大臣の諮問機関であります法制審議会商法部会において商法の全面的改正の検討が始まりました。昭和四十九年のことでございます。それで、昭和五十三年の末までにおきまして、改正問題点として取り上げました株式制度、それから株式会社の機関、すなわち株主総会あるいは取締役、取締役会、監査役の問題、それから株式会社の計算・公開の問題というようなことについて審議を行っておったわけでございますが、五十三年までにその第一の株式制度、それから第二の株式会社の機関の問題について一応の審議を終わりまして、その法制審議会における審議の結果を、結論的な部分を法務省民事局の参事官室におきまして試案という形で公表をいたしまして、広く各界の意見を伺っておったわけでございます。そして昭和五十四年度は、先ほども申しました第三番目の問題、株式会社の計算・公開の問題についての一応の審議をやっておった。 そういう状態におきまして、最近における経済情勢の変動は非常に急なものがあるということで、先ほど問題になりました一株の額面金額の問題、あるいは日本の企業はだんだん国際的な活動をするようになりまして、社債におきまして新株引受権つき社債という制度を創設してもらいたいというような要望がきわめて強いものが出てまいりました。一方におきまして、株式会社の運営の適正化を図れという声がまた非常に強いものがございまして、代表的なものといたしましては、五十四年の夏でありましたか、航空機疑惑解消に関する協議会というものができまして、それが一つの提言をいたしたわけでありますが、株式会社の経理の適正化を図るというようなことが提言をされたわけでございます。 それで、そういうような事態の変化もございましたので、従来すでに検討を終えております株式会社の機関の問題、あるいは株式制度の問題、それから現に検討をいたしておりました計算・公開の問題、こういうものを独立して取り上げて、そして法制審議会の答申としてもらうことはできないだろうかということが問題になってまいりました。 それで、法制審議会商法部会においても検討されました結果、全面的改正ということでありますれば、まだ検討すべき項目は確かに幾つか残っております。しかし、それを検討しておったのではさらに数年の年月を要する。それで、現在すでに一応の検討を終わっておる部分だけでも独立して答申ということにするならば、それなりの社会の要求に応ずることができるじゃないかということになりまして、五十四年の七月ごろ、急遽全面改正の方針を変更されまして、そして五十四年度は、現に検討しておりました計算・公開の問題を審議して、そしてそれを試案という形で公表して各界の御意見を聞く。それで五十五年になりまして、五十五年一年間かけまして、すでに一応の検討を終わって各界の御意見も聞いておりました株式制度の問題、機関の問題、計算・公開の問題というものを一年でもう一度見直しの審議をいたしまして、そして昨年の十二月二十四日でありましたか、商法部会において案ができました。それを本年の一月の二十六日に法制審議会の総会において検討して、答申になったということであります。 答申のいきさつから考えまして、私ども民事局といたしましては、法律案を急遽急いでつくりまして、そして今国会に提出をするということが義務づけられておったということでございましょうか、私、民事局長になりましたのは昨年の十二月の二十五日でありますが、そのときに、君は商法をやれ、こういうことで参りましたので、私どもは今回の国会に商法の改正案を出すということがもう決まっておる、そういう前提で大急ぎで作業をしたというのがいきさつでございます。
○塩崎委員 大変急いで出されたように私には思えるのです。そのために、まだまだ論議不足で、特に私どもの与党の中でもいろいろの意見を言う方が多い。それどころか、中小企業者が大変な不安を持っておる。このような不安を持っておるだけに、将来これはどういうふうに商法がまた改正されて、これらの不安が解消されるか、私は大変な期待を持っておるのです。 そこで、ひとつ伺いたいのですけれども、商法の根本問題としてあなた方が見送られたんだと思うのですけれども、例の商法の中の最低資本金の問題あるいは大小区分の問題、これらの問題に関する問題なんですけれども、今度の株式会社制度の改正が、ともかくも大企業向きの、上場会社向きの改正がほとんどなんですね。したがって、たとえばいまおっしゃった新株引受権つき社債の問題、このような問題は百万の株式会社のうち関係するのはもう二千ぐらいの会社ぐらいしか影響がないことなんです。あとの九十九万の会社はそんな規定は全く無縁、商法がますます遠くなりつつあるような気がするのです。 それと同時に、一方、監査特例法によれば資本金が十億円から五億円に変わってきて、さてさてだんだんと五億円が下へおりてくるんじゃなかろうか、こんなことなら株式会社形態を選んで果たしてよかったのであるかどうか。それは大会社のように株式を資本市場で調達でき、それから社債市場で社債を発行できる、こういった会社ならまさしく会計監査人の厳密な監査を受けるのも、社会から受けるところの特権の代償として必要かもしれない。しかし、単に繁雑で事業運営が困るではないかというような気持ちを持つ中小企業者が多いと思うのですね。 そこで、現在商法の中に会社形態がほかに三つばかりある。合名、合資有限会社。ところが、この三つの形態、いずれも御承知のように欠陥があって、八百屋や魚屋さんでも有限会社を選ばなくなってきて、株式会社を選ばざるを得なくなってきておる。私に言わせれば、会社にならなくてもいいではないかと言う人もおりますけれども、やはり事業というものは個人家計と事業部分を分離して、どんぶり勘定でやらないということが事業の経営合理化のためには大変必要なことだと私は思うのですね。事業というものはそういう形でやるべきだ。個人と全く分離した会社といいますか、法人形態でやるべきだと思う。そして有限責任という制度を利用して伸び伸びと事業をやるべきだと思うのですけれども、いまの四つの形態はいずれもその点は小さな業者にとっては適当ではない面が多い。 ドイツでは、御承知のように、株式会社形態をとっておるのはわずか二千三百ぐらいだと聞く。あとの小さな連中はGMBHで有限責任制度のいい制度、この規定を読めばそれだけで済む。私は、九十九万の中小企業者にとってみたら、商法のわずかな部分で済んでおると思うのですね。そういった根本的な考え方を次の改正の際に考えられるかどうか、私は、こんなようなことを考えていかないと中小企業者の不安はなくならぬと思うのですが、いかがですか。
○中島(一)政府委員 先ほど私、商法改正についての日程、非常に急いだということを申し上げましたので、商法の改正案の内容が粗雑であるというふうな意味にとられたとすれば、これは私の言葉が足りなかったわけでございまして、これは先ほど申しましたように、昭和四十九年以来法制審議会において全面的改正ということで慎重な審議をいただいておった、その一部を切り離して答申をいただいたということでありますから、法制審議会の審議は非常に慎重にやっていただいたわけでございます。それを受けて私どもも、日程的に非常に急ぎましたけれども、非常に密度の濃い仕事をしたつもりでおりますので、内容は十分御批判にたえ得るものであるというふうに考えておるわけでございます。先ほどこの答申から法案提出までの間、非常に期間が短かったじゃないかというお話がございましたので、その間のいきさつを御説明申し上げた次第でございます。 それから、この後の関係でございますけれども、ただいま申しましたようないきさつで一部答申、一部法律案作成という形になりましたので、まだ商法の全面改正というものは検討が残っております。今後これを続けていくということになるであろうと思います。項目だけを考えてみましても、たとえば附帯決議にございました項目でも、企業の社会的責任をどうするんだ、あるいは大小会社の区分というようなものがございます。大小会社の区分ということにつきましては、まだ従前の審議会の審議においては審議対象にならなかったということでございます。 この大小会社の区分ということは、今回大規模会社ということで監査対象会社、それについての若干特殊な制度を幾つか導入をいたしました。たとえば大会社については書面による株主の議決権の行使の制度を認めたとか、あるいは大規模会社については監査役を複数制として、一人は常勤監査役にしなければならないというような制度を設けましたがために、若干大小会社の区分についての配慮をしたということになりましょうけれども、この大小会社の区分、ただいまおっしゃいましたように大問題であります。特に、最低資本金というようなことになりますれば、現在株式会社として通っておるものの一部について、株式会社として存在を許されないものも出てくるおそれもあるということでありますから、そう簡単にこの点についての審議結論を出すというほどの問題ではございません。十分に時間をかけて、国民のコンセンサスを得て、やるとしても実現をしなければならない問題であろうということでありまして、今後の商法の全面的改正の場合の検討課題ということになるであろうというふうに考えます。
○塩崎委員 そこで、商法改正の大問題であることはよく知っておるのです。しかし、たとえば有限会社法ですね、いま現在あるが、さっぱり中小企業者に利用されない。それは何といっても、出資者の数が五十人に制限されておる。それからその次には、御承知のように、出資の譲渡ができないというようなことで、有限会社制度が全く生きていない。したがって、株式会社にならざるを得ない。だから、ピンからキリまでの、上は新日鉄から八百屋さんに至るまでの会社がつながっておることは、世界にないと思うのです。これはどうしても有限会社法の制度も含めて早目に解決していただきたい、これだけ申し上げておきます。 そこで私は、株式会社というものは、とにかく動きの速い経済、これを支えていくための非常に能率のいい機動的なものだと思う。そういう意味では、協同組合とかそういう出資者の意見を全部聞いていくような企業形態とは異なる大きな特色を持ったものだと思いますね。今度の改正が、皆さん方が取締役会の権限を強くしていって、株主総会の権限は少なくしていく行き方、これは機動的に動かなければならない、動きの速い経済のもとではまさしく適当だと思うのです。 しかし一方、そうは言いながら、大企業の社会的責任という名のもとに、監査制度とかあるいは監査役の制度とか非常に複雑な負担を課そうとしておる。そこで、こんなことをしておったら他の企業形態、たとえば協同組合の方が経済の動きに対して敏速に動けるじゃないか、こんなことになりはせぬか。私は、協同組合、たとえば信用金庫それから消費生活協同組合のような協同組合は、同じように株式会社形態と競争関係にあると思うのですが、そういう協同組合には全然監査制度の適用がない。こんなことはどんなものでしょうか。 特に私は、負債の二百億円という基準を入れること自体には問題があると思うけれども、それを株式会社には強制しながら、協同組合、特に消費生活協同組合みたいに、いま大規模な消費生活協同組合があって会社と競争しておる。これは北海道なんかに行ったら、皆さん御案内のとおりだ。特別な名前は申しません。これが伸び伸びと動ける。そして消費生活協同組合なんか見ますと、員外利用の問題はともかく組合員総会あるいは総代会、こういうものを機動的な運営のために省略しておるような気がする。 昔は、協同組合から株式会社に移っていった。北海道の雪印という会社は、協同組合から株式会社に移っていった。協同組合だと組合員一人一人の意見に左右されて機動的に動けない、こんなような理由から株式会社に移ってきたのですが、今度こういうふうな商法上のいろいろな制限が加わってくると、逆に株式会社から協同組合に移らなければならぬというような事態が発生するおそれすらあると心配する。 私は、消費生活協同組合も一つの企業体としていま考えなければならないような時代——聞いてごらんなさい、皆さん。恐らく二百億円くらいの負債を持っておる消費生活協同組合はたくさんある。信用金庫なんかまさしくそうなんですが、こういった企業形態のバランスを法務省としてどう考えられるか。いろいろの整理法を出されておりますけれども、整理法の中で監査特例法の適用をそういった協同組合に及ぼすことは考えておられないように私は思うのです。この点についてどんなお考えであるか、ちょっと伺いたい。
○元木説明員 御質問が二つに分かれているかと思います。一つは、会社につきまして監査対象を広げたという問題はなぜかということと、そういう監査を協同組合等に及ぼさないかという問題であろうかと思います。 まず、最初の問題でございますけれども、元来、有限責任会社というのは、会社の財産が債務に対する唯一の担保でございますので、本来から言えば、財政状態が健全でなければならないために、すべての会社が会計監査人の監査を受けなければならぬというのがたてまえであろうかと存じます。ただ、わが国におきましては、先生もただいま御指摘のとおり、八百屋についても株式会社であるということになってきますと、そういうものについてまで会計監査人が出入りするということ自体、適当な結果ではないということでございます。 昭和四十五年の法制審議会の答申では、資本の額が一億円以上の会社は会計監査をすべて受けなければならないということになっておりました。その理由といたしましては、当時たとえば中小企業基本法等中小企業に対する法律が一億円以下の会社について適用されるということで、言ってみれば、一億円以下の会社は幼児である、未成年である、それに対して一億を超える会社についてはやはり一人前の会社だというふうな観念があったからではなかろうかと思います。ただ、その後の立法の過程におきまして資本の額が五億ということが一応の監査対象ということになりましたので、これはもうすでに四十五年の一億ということから考えまして、その後五億ということでございますし、それからまた、これは経過措置でございますけれども、四十九年の改正において十億以上の証券取引法適用会社と五億以上の証券取引法適用会社が監査対象会社になるというような経過措置もつけられまして、これは恐らく、初めての制度であるがためにしばらく様子を見るということであったかと思われますので、今回、相当の期間もたったので、そこで一応五億ということで基準を決めるということになったわけでございます。 そういうことで、一応五億という会社になってまいりますと、東京と大阪、いわゆる大都市の証券取引所においては上場の基準に達するということで、一応大会社としてのあるいは株式を公開するに足る会社としての資格を備えているということが言えますので、ここいらが監査対象会社としては相当なのではなかろうかというわけでございます。そういうことが今回の監査対象の拡大の問題であろうかと思います。 それから、たとえば消費生活協同組合等につきましてはそれぞれ監督官庁がございまして、法務省といたしましてこれを直ちに云々できるという状態ではございません。でございますから、たとえば今回の整理法におきましてもそれに手を触れなかった部分もあるわけでございますけれども、これはそれぞれの官庁の政策ということもあるわけでございますので、それに従わざるを得ないわけでございますけれども、基本的には、たとえば消費生活協同組合でございますと、まず目的といたしまして、「国民生活の安定と生活文化の向上を期することを目的とする。」というようなことになっております。会社の場合でございますと営利を目的とするわけでございまして、そこらに違いがあるということ、それから、組合の結合人員と申しますかそれにつきましても「一定の地域又は職域による人と人との結合」、それから「組合員の生活の文化的経済的改善向上を図る」ということで一定の限られた人の福祉のためということが目的になっておるわけでございます。もちろん、現実はどのようかということは、私ども監督官庁でございませんのでつまびらかにしていないわけでございますけれども、そういうふうなところで組織的、目的的にも違うということから差が来ていると解するわけでございます。
○塩崎委員 いまの他の企業形態に対する監査制度とかいった問題は、商法とのバランスで——企業は競争しているのです。信用金庫と銀行は競争関係にある。それから消費生活協同組合とスーパーとは全く安売り競争をしている点において共通、そしてまた、協同組合の実態は御案内のとおり、法律どおり運用されていると私は思わないのです。また運用できない。員外利用は禁止されているけれども、どんなにしたって員外利用を認めざるを得なくなってくる。そうして決算でも見たら、皆さん御案内のとおり、何百億と借金がありますよ。皆さん方債権者の保護が大事だと言われる。どうしてこれを保護されるのか。監督官庁の一人や二人の担当官がいたところで、公認会計士のあの一カ月にわたる監査と比較できますか。これは皆さん方法務省ですから、各省庁の人たちに皆さん方の力が及ぶと思いませんけれども、ひとつ大臣にもよく話していただいて、国務大臣としてこのような問題を取り上げていただくようにお願いしておきます。 そこで、時間がありませんから第三番目に、水田委員が御質問されておって私もそのとおりだと思った株式の相互保有の問題、つまり二百四十一条の問題について御質問したいと思うのです。 私は、水田委員と同感なんです。四分の一という限定を置いて議決権を行使させないことによって相互持ち合いを制限するようなやり方は、現状においてとうてい対策にならない。これは何をねらった規定であるか、私はその点を伺いたいと思うのです。 私は、外国の法令も皆さん方が研究されたのを知っていますし、私自身も研究してきたことがあるのです。この問題は、五十一年に独禁法の改正の中で織り込まれた九条の二の中にも示されておりますが、あのやり方ではだめだと私は言ったことがある。そして外国はこうだからと言ったって、日本は独特な事情がある。日本くらい株式の相互持ち合いの進んでいる国はないと思うのです。そこにいろいろの弊害、皆さん方は第一に資本の空洞化、第二には株主の議決権の歪曲化だと言われるのですけれども、そういった事態は日本だけでなぜ生じてきておるか、その原因はどこにあると思われるか。昭和三十年に三五%であった法人の持ち株比率が現在七〇%になったその原因はどこにあると思われるか、その認識を一遍中島局長さんに答えていただきたい。どうしてこうなってきたか。私は、外国より一番持ち合いが進んできたと思うのですが、その点どうでしょうか。
○中島(一)政府委員 一方において個人株主が証券市場から去っていったということが一つあると思います。それは株式投資というものが非常に魅力のないものになったということであろうと思います。そのあいたところを埋めるために法人が進出をしてきた、むしろ法人にそこを埋めてもらうべく企業が努力をしたという面もあるかもしれません。 株式の持ち合いということは必ずしも一概に悪いとは言えないわけでありまして、企業間の協調というような面から考えますならば、一面においてこれは好ましい面もないではない、こういうふうに考えます。しかし、それが過度になりまして議決権の行使が歪曲化されるということになりますと、商法の立場としても黙っておるわけにはいかない。これに対して何か適切な措置はとれないものであろうかということになるわけでありますが、必ずしも強力な適切な措置というものはないわけであります。 それで、今回の改正におきましては、株式の持ち合いは、四分の一を超えて持った場合には、持たれた会社は持った会社の株式の議決権を行使することができないことにいたしまして、まずそれが好ましいことではないということを明らかにいたしました。そして、それが実際議決権の行使の場で具体的な制限を受けるというような規定を置いたわけでありまして、これで十分その立法の趣旨を達するかと言われれば、不十分な点があるかもしれません。しかし、まずこれで一歩前進というふうに私どもは考えておるわけでございます。
○塩崎委員 私は、民事局長の株式の相互持ち合いが進んだ原因の認識の仕方、株式の魅力がなくなったからその穴を法人に埋めてもらったんだというようなお話は、どうも本末転倒みたいな気がするのです。 これは証券局の方にも伺わなければならぬと思うのですけれども、ここに一つの事例があります。新日鉄の大株主は日本興業銀行なんです。これは一億九千二百六十九万九千株持っておりまして三%の議決権です。一方、日本興業銀行の大株主はだれかというと新日鉄で、四千二百四十六万一千株持って議決権の二・五%。旭化成の大株主はどこかといいますと住友銀行で、四千八百八十万一千株で四・八%。一方、住友銀行の大株主はどこかというと旭化成であって、三千七百九十八万七千株で議決権の二・一%なんですね。これは大株主の名簿を見ただけですからわかりませんが、こんなようなかっこうで、新日鉄は自分の系列のところに何%ずつかずっと置いていって、環状的保有とか言っておられましたね、いわゆるコングロマリット、このような形を形成しながら相互持ち合いを進めておる。二五%なんというのは、およそこれらの現在の現象に対しては全く無力といいますか——それともねらってないのかもしれない。いまいみじくも言われたように、望ましい点がある。私も望ましい点かどうかも一遍御質問しようと思って、これは証券局にも伺わなければならぬと思っておるのです。 私は、五十一年の独禁法の改正の際に、皆さん方のお話を証券界から銀行からずっと聞いてみたんです。そのときに皆さん方異口同音に言われたのは、企業結合あるいは系列化の促進の意味よりも、そういった観点で持ち合いをしておるんじゃないと言われる。安定株主よりも買い占めがこわい。個人の浮動株をたくさん置いておいたら、いま盛んに新聞をにぎわしている最近の事件でごらんのとおり、買い占めがこわい。そして現在の経営陣の地位を失うことが一番心配なのかもしれませんけれども、会社の経営自体が大変不安定に陥るから、まず市場からたくさん買っていって、そうして安全に動かさないところにはめ込んでいこう、これが原因なんだから、独占禁止法の趣旨とは全く——全くじゃありませんけれども、結果として企業結合の状態を生ずるかもしれない。独占禁止法でねらったこと、アメリカであるようなこととは違うんだということに気がついたのです。気のつき方が遅かったから申しわけないのですけれども、あのような総量規制みたいな独占禁止法の九条の二、資本金百億円以上の会社は資本の金額か純資産の金額、それぐらいしか持てない、こんなことをやってさっぱり対策にもならない。独禁法を骨抜きにしようとしたからそれでいいのかもしれません。それでも皆さんなかなかすぐれたことをやったんではないかというような三木内閣の評価もあったかもしれませんが、私はあんなや、り方は全然的が外れておる。しかし、それはねらいが違うんだから。 そこで、買い占めという問題これは商法上どう考えるか。これは余り商法の関係じゃない、証券取引法の考え方じゃないかと言われるかもしれません。どういうふうに考えられるか。何と申しますか、経営権の取得、これは商法の関与するところでない、またそのことが株式制度のいいところだと言われるかもしれませんけれども、日本の買い占めというのは、御承知のように経営権を取得するよりも、むしろ買い占めという形で株をつり上げておいて、会社に高く買わして、買い占め、防戦買い、そして買い占めの成功、売りつけ、後、暴落、こんなことを繰り返してきて大変な混乱を来しておることは御案内のとおりです。経営権の取得よりもむしろ暴騰暴落によるところの投機的な利益、このような買い占めの現象がこわいからお互いに持ち合いしていこうというところに、日本が世界に比べて相互持ち合いが進んできている、こういうふうに私は認識しておるのですが、このような買い占めという問題に対して民事局長、商法上どう考えられるか、ひとつ考えをお聞かせいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 商法のたてまえといいましょうか株式会社のあり方ということから言いますならば、やはり株式の移動によって経営権の移動があるということになるだろうと思いますので、買い占めということも商法の予定しておる現象であろうかというふうに考えるわけであります。ただ、それが実際に経営権の移動を目的としないで、先ほど御質問にありましたように肩がわりをさせるというようなその他の目的のもとに行われるということになれば、これはまあ問題であろうかと思うわけであります。ただ、そうなりました場合に果たしてそれを商法で規制できるのかどうか。むしろ商法は商法としてたてまえで置いておいて、その他の規制によって対応すべきではなかろうかというふうに考えます。
○塩崎委員 そこで、証券局の方に伺いたいのですけれども、いまの応答を聞いておって、まず、商法の相互保有の制限が、恐らく私がいま申しましたような現在の相互持ち合いに何ら対策として役に立たない、これはもう間違いないと思うのです。二五%を超して一つの会社に押しつけるなんというようなことはあり得ないこと。親子会社なら別です。それは両方持ち合いになったら、自己株主と組んでやられるに違いない。それはないと思うんですね。そこで証券局としては、法人の相互持ち合いよりも個人保有の株式があることの方が望ましいと考えるかどうかですね。そうした場合に、商法上のこれはどの程度役に立つか。そして、証券取引法でもいいと思うのですけれども、大蔵省としてはこの持ち合いをどのように考え、どのようにこれに対処していこうか、買い占めに対してはどのように対処していくか、ちょっと聞かしていただきたいと思うのです。 私がこんなことを申し上げるのは、外国にないからこれぐらいでいいんだというような改正ではなく、商法はやはり企業の根本的な法律、憲法なんですから、よほどしっかりした法律でなければいけない。商法というのはそう軽々に直してはいかぬと思うのです。四分の一が単に腰だめで——私は四分の一の根拠もよくわからない。四分の一ぐらいにしておけ、親子会社は五〇だが相互保有は二五というところも根拠が余りないような気がするのです。大蔵省は個人株保有を進めたい進めたいと言って、大蔵省の意図と逆に法人株がふえてきた。あれよあれよと言って、さっぱり対策がないと言っている。そこで、大蔵省の意見をひとつ聞かしていただきたい。
○山田説明員 お答えいたします。 わが国上場企業の株主構成でございますけれども、先生よく御案内のように、個人持ち株の比率がほぼ一貫して低下いたしておりまして、昭和二十五年度末で見ますと六一・三%でございましたけれども、それが五十四年度末には三〇・四%という水準に相なっております。一方、金融機関でございますとか事業法人でございますとか、こういったものを合計いたしました法人全体の持ち株比率は、もちろんこれとは逆に増加をいたしておりまして、二十五年度末には三五・五%でございましたけれども、五十四年度末にはこれが六九・四%と、ほぼ倍増しているような状況でございます。 それで、このような状況に立ち至った背景といいますか原因でございますが、これはいろいろな理由があろうかと私は思うわけでありますが、主なものを大別いたしますと二つに集約されるんじゃないかと思うわけであります。一つは配当利回り、株価を一株当たりの利益金で割りました配当利回りでございますが、これが低下をいたしておりまして、最近では年率で一・五%程度というような低い水準になっておりまして、こういった状況でおわかりのように、株式投資に対する魅力そのものが非常に減退してまいったというのが一つでございます。それからもう一つは、先生御指摘のように、企業の系列化でございますとか安定株主工作による法人の株式取得の増加、こういったものがやはり一つの大きな原因になっていようかと思うわけであります。 そこで、株式市場の面から見ますと、こういった個人持ち株比率の著しい低下というものは、株式市場の機能を低下させるというような問題等々ございまして、非常に問題が大きいかと思うわけでございますが、証券取引審議会におきましてもかってこの問題が取り上げられたことがございまして、五十一年五月でございますけれども、「株主構成の変化と資本市場のあり方」と題する報告書を私どもちょうだいをいたしておりまして、その中で個人株主対策の一環といたしまして、法人による株式の相互保有規制、これを商法の改正の際にひとつ盛り込んでもらいたいという強い要請があったわけでございます。そこで、今回の商法改正案におきましては、先ほど来出ておりますように、四分の一を上回る株式を保有されている子会社が所有する親株式につきましては議決権を有しないこととされているわけでございますけれども、私どもとしては、今回のそういった商法の改正案というのは、商法が法人による過度の相互保有状態というのは好ましくないという立場をはっきりとされたわけでございまして、議決権を有しないということになれば、株式の相互保有規制というものがかなり抑制的に働くのではないかというふうに期待をしているわけでございます。 もう一つ、買い占めの問題、証券局としてどう考えるかという御質問でございましたけれども、これまた先生よく御案内のように、現在の証券取引法と申しますのは、自由な株式の売買市場を前提にいたしまして投資家の保護を目的とした法律でございます。したがいまして、特定の人が特定の株を大量に購入すること自体、これを否定しているわけではございませんで、ただ、投資家保護の観点から、その取得の過程において株価が非常に急上昇する、それを通じまして一般の投資家に不測の損害、迷惑を与えるということに相なりますれば、証券取引所において信用取引を規制強化いたしますとか、あるいは値幅制限を強化するとかといった形で対応をしているわけでございます。
○塩崎委員 非常に茫漠たるお答えで、わかったようなわからぬようなことですけれども、私は、この商法の二百四十一条の改正はとうてい——空振りみたいなことで終わる。証券局の希望には沿わないで、依然として持ち合いは進んでいって、そして株は少なくなって、暴騰暴落がしやすいような体質の証券市場になっていく。したがって魅力がなくなってくる。鶏と卵みたいなことじゃないかと思うものですから、やはりその根本を押さえないと、こういった規定だけで——規定だけとは言いませんけれども、規定は恐らく皆さん方がそのうちに何ら効果がなかったということで、今度の全文改正の際にはまた直して持って来られるということを私は期待したいと思うのです。 そこで、だんだん時間がなくなりましたが、次は大事な問題は、皆さん方の今度の改正の大きなねらいは大企業の粉飾決算防止、そこで会計監査を充実するんだということで、いろいろ手当てをされておる。そこで、その中に一つ引当金という規定がございます。三十七年に私も法務省で幹事をやらしていただきまして、当時の上田明信参事官、味村第四課長に大変御薫陶を受けて引当金、繰り延べ資産、この議論をやらしていただきました。まさしく損益法の計算原理をとるという商法にしては大英断であったわけでございます。しかし、繰り延べ資産の方は、むしろ限定的な意味を持っておったために乱用はなかったが、問題は引当金、この二百八十七ノ二の規定の仕方は大変おおらかだった。そしてそのときの規定では、御案内のように、姿、目的さえ特定できれば自由に引き当てられる。損金性があろうがなかろうが、利益処分としての——利益処分と申しますか、損金性がなくても引当金として考えられる。価格変動準備金でもそのような性格で考えられるんではないかという、きわめておおらかである。 今度はえらくまた厳密な会計理論に変えられたと見えて、引当金で、今度は、当該「営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額ニ限リ」計上することができる、こうなっておりますから、これに違反したら直ちに粉飾決算、これが損金性のない偶発損失準備金みたいなものならばこれは粉飾決算、こう言われることになるわけですね。 さて、主として皆さん方の御説明はもういつものとおり。商法三十二条の公正な会計慣行によって引当金が決まるんだ、こう言われる。さて、公正な会計慣行が何かというのは、きわめて日本では発達しなかった、これからもなかなか発達しそうにないものだと思うのです。なぜかと言うと、どうもこれは、商法の公正な会計慣行だというような自信を持って、税務署に否認されたら裁判をしてまで争うという習慣がないからなんだと思うのです。 皆さん、今度どうですか、退職給与引当金、これが税法で、財政収入上の見地からという理由が先行しておると思うのですよ、これまで半分であったものを四割にした。何かいろいろ理屈はつけたけれども、私は、企業によっていろいろ支給の仕方があり、ケース・バイ・ケースだと思う。それがまさしく公正な会計慣行だと思うのですが、そんなことを言っておられない。ぱっと四割にすれば、企業はまずまずそのとおり上げていく。いや、価格変動準備金は税法が認めれば、これは損金性があるかどうか私はわからぬと思う。それでも上げてくるんですね。しかし、これは商法上利益の留保じゃないかというふうにも思われるわけですけれども、果たして皆さん、公正な会計慣行を税法に振り回されないでやっていく自信がありますか。 法務省は裁判所を中心として物事を考える。会社側も文句があれば裁判所まで行けるのじゃないかと言うのですが、日本で税務署に弓を引いて裁判所まで訴える人はいままでおらぬ。それは民主商工会ぐらいしかない。大会社になればなるほど、国税庁の通達の方を簡便なものとして考えて、通達を出してくださればそのとおりやります、こういうふうに来ておるのですね。ですから私は、公正な会計慣行をつくるためにはどうしたらいいか考えなければならぬ。こんなようなことをやらなければ、本当に粉飾決算の征伐はできぬと思う。 本当の粉飾の種は引当金であったり、それから繰り延べ資産なんです。普通の損益は問題ないんだが、あとのこの評価勘定で大変むずかしい引当金が、当期の支出ではないんだけれども、発生原因が当期にあって将来支出せざるを得ないというところに大変むずかしい論理があることはもう御案内のとおりなんですね、私はこれで苦労をしてきたんだから。三十年もこれで飯を食ってきていまだにわからないので、民事局長、私はこの議論なら何時間でもやる。こんなようなことでまた大混乱を生じたら私は大変むだだと思う。したがって、このような会計慣行を確立する努力をやるべきである。資本金の十億円を五億円に下げるようなことよりも、まずこういったことをかっちりやらなければならぬ。そんなことをやらぬで、ただいたずらにあれもこれも突っつき回して、子供がおもちゃ箱をひっくり返すようなことをして、肝心なことができておらぬのじゃないですか。この引当金がしばらく大変な混乱を起こす。皆さん方は会社から照会が出てきてもなかなか答えができない。私が今度の商法で引当金としてどんなものが引き当てられるかと質問したらなかなか答えられぬと思うのですが、それはどうですか、民事局長。
○稲葉説明員 税務処理と企業会計の会計処理とが違うということは先生御案内のとおりでございまして、企業会計において損金あるいは利益金にされたものであっても、税務処理においてはそれが即損金になったりあるいは利益金にならないということは、これはもう釈迦に説法でございまして、いまさら申す必要はないわけでございますが、今回の特定引当金につきまして税務処理でどういうふうになされたといたしましても、それが商法上の処理では損金、利益金処分のものであっても税務の方では損金として見る、そういう取り扱いがなされておりますから、そこでは、もし企業会計の面で、今回利益留保性のものとして本来特定引当金として計上してはいけないというものであるならば、計上すべきではないということになろうかと思います。 また、公正な会計慣行の点につきましては、私どもも今後十分コンセンサスを得ていきたいというふうに考えておりますが、それには大蔵省の証券局で、大蔵大臣の諮問機関としてやっておられます企業会計審議会というのが、そういう公正な会計慣行と申しますか、あるいは企業会計の原理を明らかにしているということになっております企業会計原則というようなものをつくっておられるわけでございまして、これは即法規性を持つものではございませんけれども、それなりに各界の権威を集められましてそこで決められることがございますから、そういうものをしんしゃくし、そして公正な会計慣行をしんしゃくして今回の改正法における特定引当金の定義、解釈を確立していきたいというふうに考えているわけでございます。そしてまた、その前提といたしまして、私どもはこの案を立案する過程におきまして企業会計審議会の御意見も十分承りまして、大体落ちつく先はこの辺であろうということを見通した上で規定を置いたわけでございます。もちろん法規は生き物でございまして、それ自体、立案者と申しますかその考え方を離れて解釈がひとり歩きするわけでございますけれども、そういう点については今後企業会計審議会においても十分審議がなされることだというふうに考えております。
○塩崎委員 解釈がひとり歩きするぐらい会計慣行を企業が主張すれば、私は大変な進歩だと思う。そうなっておらぬのです、これはもう証券局の課長に聞けばおわかりのとおり。たとえば船舶特別修繕引当金、船舶と書いてなくとも、特別修繕引当金は皆さん方の本を見ると引当金であると書いてある。なぜ引当金か。普通の会社の溶鉱炉でも五年に一回れんがを取り崩して修繕する。これも引当金と書いておるのですけれども、船舶の方はそれ以上にもう一つ、法律で五年ごとに修繕しなければならぬという義務があるから、これは引当金の性格に近い。ところが、溶鉱炉については、そういう法律的な制約はないけれども、経済的な寿命から見てこれを必ず修理するという概数値をとってやる、しかし、その金額は幾らかわからない、必ずしも確定しない、しかし溶鉱炉の特別償却引当金の方ですか、これは引当金ではない。船舶の方は引当金である。その根拠はよくわからないけれども、こんなことが書いてあるのを私は見つけたのですけれども、こんなような議論は絶えず出てくる。 そしてむずかしい判断。結局は税務に引っ張られていく。どんなに証券局で言っても、いまのままでは、企業が税務署に対して訴訟までやっていくぐらいな気持ちを持たない限りはとうてい実現できないことだと私は思うのですね。ひとつこの点を証券局から、またどういうふうに持っていくのか。これまでそう言いながら依然として税務にずっと引っ張ってこられて、私もこういうふうにできるのじゃないかと言ったけれども、いや税務署が認めませんからやめておきますということばかりなんですね。証券局は、この公正な会計慣行、商法が今度引当金というのは粉飾防止のために当期の収益にチャージすべきものしか認めないのだ、チャージされるべきものしか認めない、こう来たのですから、よほど重大になってきたと思うのですね。いかがですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 企業会計原則というものがございます。これは企業会計審議会という会計の専門家の集まりの審議会でございますが、こういうところで会計の実務の中の慣行として発達いたしましたようなものを、一般に公正妥当と認められるところを要約したものというのが企業会計原則なんでございますが、こういう企業会計原則というものに準拠いたしまして私ども証券局の方で企業財務規則というようなものもつくっていっておるわけでございます。 今回、商法の引当金についてどういう解釈があるかという点につきましては、商法部会の審議の過程におきましてもやはり公正な会計慣行に準じて解すべきであるというふうな意見も出ておるわけでございます。そういうことを踏まえまして、特に先生の御指摘の引当金の件、この引当金と租税特別措置法上の諸準備金の取り扱いという点でございましょうが、この点につきましては、租税特別措置法の中には種々の性格のものがあるわけでございまして、そういうものの中で利益留保的なものが含まれているかどうか、こういったことを今後の企業会計審議会によりまして御審議いただくというふうに考えておるわけでございます。 なお、先生は先ほど特別修繕引当金とそれから船舶等の特別償却ということを事例に挙げて御説明されたのでございますが、実は企業会計原則の中に今回商法で認められます負債性引当金というふうなものにつきましてその定義があるわけでございまして、その定義をちょっと御紹介いたしてみますと、特定の費用たる支出が将来確実に起こると予想され、当該支出の原因となる事実が当期においてすでに存在しておって、支出の金額を合理的に見積もることができるようなものを負債性引当金というふうに言っておるわけでございますから、先ほどの特別修繕引当金のようなそういう事実が、その修繕の必要が当期に生じておって、かつその金額もある程度見積もり得るようなものはやはり負債性引当金というものに入るわけでございますけれども、しかし、もう一方の船舶等の特別償却引当金といいますものは、いわゆる措置法によりまして政策的に設けられた一般の合理的な通常の償却年限に基づく償却以上の償却でございますから、こういうものはこの負債性引当金の範疇の中に入ってこない。そういう意味でそういったものは利益性引当金というふうな形に認定されるだろうと思うのでございますが、そういったものは現在特定引当金という別の呼称で言われておるわけでございまして、こういった個々のものについて今後企業会計審議会を煩わせまして種々御意見を賜りたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○塩崎委員 時間がなくなりましたので、最後に一問だけ。 例の会計監査人の監査対象会社の基準の問題、一つは資本金基準、第二に負債基準ですね、この新しくつけ加えられました特例法について御説明を願いたいと思います。特に附則第二項です。 私がいま申し上げておりますように、これは奥野大臣がおられたらいいのですけれども、とにかく昭和二十五年に日本が、アメリカのCPA、公認会計士制度を木に竹を接いだように、ドイツ的な商法の上に会計監査人というような制度、それから公認会計士という制度を織り込んだわけですね。どうもまだまだ定着していない。それはいろいろ理由があるのですけれども、今度では総会の選任にかけておりますから少しは進歩したように見えるけれども、それは大して進歩にはならぬと私は思うのです。選任、それから報酬の決定、これらについて独立性がきわめて薄い。やはり日本人というものは、会社から金をもらい、取締役から資料を提供されれば、言ったとおりというふうに心理的になりがちでございます。それからまた、監査というのは大変手間がかかる。その割りに公認会計士さんの得られるところの報酬が少ない。しかも、権限が少ない。税務署のような反面調査もできない。こんなような理由から定着しないと思う。それから第三には、公平な会計慣行がいま言ったように税務に振り回されておって、さっぱり進歩しない。もう少し公認会計士ががんばるべきであると思うのですけれども、それも余りやられていない。こういったところから見たら、公認会計士、会計監査人の制度をもう少し定着させるような努力をいまのような観点からやるべきだと思うのですね。 ところが、これを十億を五億にすることによって会社の社会的責任を全うさせるんだという考え方は、私は本末転倒のような気がするわけでございます。しかし、いろいろの制約を設けながら皆さん方がやっておられることを私は知っておりますが、たとえばいま五億というのは証券市場の上場基準だと言われている。それじゃ将来上場基準が五億が十億になったら、この商法は改正になりますか。そんなこと一例考えてみても、なかなか大変なことだと思う。恐らく皆さん方は、特例法なんだから、資本金基準がなくてすべての株式会社に適用したいんだという意識があると思うのですが、そんなことは大変だ。そこで、五億の上場基準が上がったら、まずこれが直っていくのかどうか。だんだん増資も進んでいく。しかし、会計監査人の監査を受けるのがいやなら増資をやめておくというようなことになりはしないかという心配さえ私は持っている。日本の資本金の比率ぐらい少ないところはないわけですね。これが増資の大きな頭打ちになったら、私は大変申しわけないと思うのですが、そういった五億円の将来をどう考えるのか。だんだん五億を下げていくのか、あるいは証券市場の理由から上場基準が上がっていけば、それについて上げていくのかどうか、これを一つ伺いたいと思うわけでございます。 それから第二点は、いろいろ言われておりますが、ともかくも税務代理も含めての中小企業の会計監査は税理士さんがやっている面が多い。したがって、税理士さんと公認会計士との事業分野の調整は、中小企業の事業分野調整法みたいに大変大事だと思いますが、この事業分野の調整について、たとえば今度の規定では子会社から税理士としての報酬を受け取れば会計監査人になれないとか、こういう規定が入って一応の調整ができ上がっておると思うのですけれども、これはまだ完全じゃないと思うのです。この調整について将来どういうふうに考えていくかという問題、この二点についてちょっと伺いたいと思うのです。
○元木説明員 まず、最初の御質問でございますけれども、今回五億ということが一応監査対象の基準になっているわけでございますが、私どもの感じといたしましては、今回それを下げたということではございませんで、現行の特例法でも本文で五億になっているわけでございます。ただ、経過措置で十億以上の非適用会社ということになっているわけでございまして、これはまだ初めての制度、つまり商法監査というのは四十九年に初めて導入された制度でございますので、まだ受け入れ体制が整わないであろうということで暫定措置にされたわけでございます。したがって、今回本則に戻したというだけでございまして、これからさらにどんどんこれを下げていく、実際問題といたしまして、たとえば八百屋さんに公認会計士が入るというようなこと自体がおよそ理屈に合わないということはすでに明らかなところでございますので、これは今回の改正をもって直ちにすべての株式会社に監査を広げるんだということではございません。 それから、いわゆる職域の分野調整の問題でございますけれども、これにつきましても、もちろん今回の改正では、現行の公認会計士法では公認会計士としての職務ができないという範囲を監査特例法に取り入れたということと、それから、いわゆる証券取引法で特定の書面につきまして監査証明をするということについての欠格事由というものを商法に一般的に取り入れたということでございまして、あるいは先生御指摘のようないろいろな問題があるのかもしれませんけれども、それは今度さらに商法の全面改正という点で検討すべき問題ではあろうかと思います。 それから、これはもちろん証券市場の上場基準という問題と監査対象がどうなるかということとは直ちに一致する問題ではございませんけれども、恐らく証券市場で上場基準を上げるというような状況が出るということは、これは貨幣価値の変動があるというような問題ではなかろうかと思います。そうなればそうなるで、それはまたそういういろいろな要素があるわけでございますから、これは五億だからどんな貨幣価値の変動があってもこれを動かさないということにはならないかと存じます。
○塩崎委員 最初申し上げましたように、与党は非常に質問時間が制限されて、言いたいことが百分の一も言えない私どもでございますから、いろいろとまた質疑時間を委員長の御裁量で割り当てていただいて私の質問の機会を与えていただければと思いまして、きょうはこれで終わらせていただきたい。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次回は、来る五月六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時八分散会 ————◇—————