法務委員会 第6号
- 発言数
- 417 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/04/21
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 理事沖本泰幸君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は鍛治清君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○高鳥委員長 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○奥野国務大臣 商法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、最近の経済情勢及び会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図る等のため、商法のうち主として株式会社に関する部分の一部及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の大部分を改正するとともに、これに関連して有限会社法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。 まず、商法につきましては、第一に、株式の流通及びその管理の実態に照らして株式制度の合理化を図るため、株式会社の設立に際して発行する額面株式の金額及び無額面株式の発行価額は、五万円以上でなければならないものとして、株式の単位を引き上げることとし、これに伴いまして、既存の上場会社につきましては、原則として、券面額の合計が五万円に当たる数の株式をもって株式の一単位とし、この一単位の株式を有する株主についてのみ完全な株主の権利の行使を認め、一単位に満たない株式を有する株主については、利益配当請求権等の自益権のみの行使を認めるいわゆる単位株制度を採用することとしております。 第二は、株主総会の運営を適正化するため、株主が株主総会における議題の提案をすることができるとの制度を新設すること等により、株主の権限を強化するとともに、いわゆる総会屋の排除を図るため、株主権の行使に関して会社がする利益の供与を禁止し、その利益の供与を受けた者はこれを会社に返還しなければならないものとするとともに、これに違反して会社の計算でそのような利益の供与をした取締役等は刑罰に処することとしております。 第三は、監査役の監査権限を充実強化するため、監査役は、取締役が法令または定款に違反する行為をし、またはするおそれがあると認めるときは、取締役会に報告しなければならないものとし、必要があるときは、取締役会の招集を請求することができるものとし、また監査役の報酬及び監査費用を確保するための規定を設ける等の改正をすることとしております。 第四は、会社の業務及び財務の内容の株主及び会社債権者への開示を強化するため、営業報告書及び監査報告書の記載内容の充実を図ることとしております。 第五は、会社の資金調達を容易にするため、会社は、新株の引受権の付された社債を発行することができることとしております。 次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、第一に、大規模の会社の計算書類が不正に作成されることによってもたらされる社会的な影響の大きさにかんがみ、一定規模以上の会社は、会計に関する専門家の監査を受けることが適当であると考えられるので、会計監査人の監査を実施する大規模の会社の範囲を、資本の額が五億円以上または負債の合計額が二百億円以上のいずれかに該当するものに拡大することとしております。 第二は、このような大規模の株式会社につきましては、会計監査人は、株主総会において選任するものとしてその地位を強化し、また監査役は二人以上でなければならないものとし、そのうち少なくとも一人は常勤の監査役でなければならないものとして、監査制度の一層の強化を図ることとしております。 第三は、このような大規模の株式会社におきましては、専門的かつ技術的な計算書類の内容の適否を一般の株主が判断することは困難であること及び計算書類については株主総会により選任された会計監査人及び監査役の厳重な監査がされ、かつ、その監査結果が監査報告書により株主に開示されることを考慮して、貸借対照表及び損益計算書については、会計監査人及び監査役のこれを適法とする意見があったときは、株主総会の承認を受けることを要しないこととしております。 第四は、このような大規模の会社で株主の数が多いものにつきましては、株主総会の招集の通知には、議決権の行使についての参考書類を添付しなければならないものとするとともに、株主の議決権の行使を容易にするため、書面により議決権を行使することができることとしております。 最後に、有限会社法につきましては、商法の一部改正に伴いまして、これと関連する部分について、所要の整理をすることとしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
○高鳥委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白川勝彦君。
○白川委員 まず、大臣にお伺いをしたいと思うのでございますが、今回の商法改正はかなり多岐にわたり、かつ根本的なところにも触れるような改正でございますが、その改正のバックグラウンド、それらについて、それからまた、かなりいろいろなところから商法改正についての御意見が出ているようでございます。それらを調整するに大変時間を要したようでございますが、国会に提出されるまでの経緯、あわせてひとつ大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○奥野国務大臣 昭和四十九年に商法の改正を国会で御議決いただきました。その際にいろいろと附帯決議で御意見がございまして、それに伴いまして法制審議会で商法改正について鋭意御検討いただいた、株式制度でありますとか、株式会社の機関でありますとかあるいは株式会社の計算・開示等のことでございまして、一応そういうことの結論が昭和五十四年にでき上がってまいったわけでございます。それらの経過は常に公にされてまいっておるわけでございまして、その都度批判も承っておるわけでございます。引き続いて大小会社の区別等根本的な問題を多数抱えておったわけでございますけれども、企業の不正問題なども絡めまして早急な商法改正の主張が出てまいりましたので、急遽、全面改正の方針を取りやめて、それまでのものを中心にして取り急ごうということになったわけでございます。その結果、委員会の決議に全面的におこたえするという結果にはなっていないわけでございますから、引き続いて残された問題につきましては法制審議会の御検討をいただいて、なるたけ早くまた商法の改正をやらせていただきたい、こう考えているわけでございます。 今回は、法制審議会が昨年の暮れにある程度まとめて、ことしの一月二十六日でしたか、最終決定をいただいて御答申があった、それを法律化して提出をしたのが今回の法律でございます。また、この内容につきまして税理士会等から強い意見が出てまいりました。できる限り公認会計士の団体でありますとかあるいは税理士会の団体でありますとか、意見調整することはこれもまた大事なことでございますので、そういう意見も十分取り入れて関係団体の調整も図って、若干法制審議会の答申をその意味においては修正させていただいて提案をいたしたわけでございます。その他の部分につきましては、法制審議会の答申に忠実に立法化をするという考えで進めてまいったわけでございます。
○白川委員 もう一点だけ大臣の御所見をお伺いしたいと思うのでございますが、御存じのとおり、百万社くらい株式会社と名がつくのがあるわけでございます。その中には、何兆円という売り上げをする会社も株式会社であり、一方では八百屋、魚屋のたぐい、全く個人営業でやっているようなのも、税法上の関係が多いのだと思うのでございますが、株式会社ということになっているわけでございます。これだけ多種多様のものを、一つの株式会社法というようなもので果たして縛ることができるだろうか。場合によっては、株式会社という名前がこれだけ定着したので、おまえら本来の株式会社にはふさわしくないから名前を変えろと言うのはふさわしくないというか、非常に抵抗があると思うので、本当の意味での大会社というかそういうようなものを特にピックアップをして、いままでの株式会社法とは別の法規制の上で諸般の規制をする、そうしないと、多種多様のものを株式会社という形で規制をするために、どうしても大きな方の会社を重点にすると小さな方の会社にはきつ過ぎる、こういう問題が現に出ているのじゃないだろうか。これは直接今回の会社法の部分とは関係ないのでございますが、今後商法を改正する際に常に問題になる点であろうと思いますので、大臣のお考えというようなものをお伺いしたいと思います。
○奥野国務大臣 御指摘まさにそのとおりだと思います。株式会社には大小さまざまございます。強いて申し上げますと、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律で大会社を決め、それについては若干の特例を定めているなどございますけれども、もっと大小さまざまの株式会社の区分に応じて必要な規定を改めていくということが大切だと思います。そうしますと、やはり株式会社の資本金の最低額を幾らでやるかということから始めていかなければならない。株式会社に与える影響絶大なものがあると思います。いまは株式会社の資本金の最低限度を何ら定めておりませんから、資本金一円でも株式会社ができるという法的な形にはなっているようでございます。そういう根本問題がございますので、今回、先ほど申しましたような事情から急遽一部改正を提案しておるわけでございますので、その問題にまで取り組めなかった、引き続いて法制審議会で検討していただくという重要な課題だ、こう心得ております。
○白川委員 ぜひいまの点を法制審議会でじっくりと御検討いただきたいと思うわけでございます。 それでは、具体的な問題に入ってまいりたいと思うわけでございますが、今回の改正の中での重要な一つの点だと思うわけでございますが、一株の単位を五万円に引き上げるということがあるわけでございますが、こういうことが大衆株主の株式取得を困難にするおそれはないだろうかという疑問は当然にあるわけでございます。また、いままでの会社につきましても単位株制度というものを採用いたしまして、議決権などの共益権は単位未満の場合は認めない、こういうことにしているわけでございますが、これらは従来の株主の既得権を侵すことになりはしないか、いろいろな意味で小さな、いわゆるわずかな株主がこれでいいのだろうかという疑問が出てくるわけでございます。これらについていろいろな御意見があったと思うのでございますが、最終的にこのように決着した理由、あるいはどういう意見などが主であったのか、御説明いただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 御指摘ございましたように、昭和二十五年の商法の改正によりまして、一株の単位は五百円ということになったわけでございますけれども、既存の会社についてはそのままということになりましたので、現在でも五十円あるいは二十円の株式も例外的に存在しておるというような実情でございます。これが余りにも経済の実態に合わなくなってきておるということから、この金額を引き上げるべきであるという声はすでにかなり以前からございましたのですが、一方において、ただいまおっしゃいましたように、少数株主と申しましょうか、少額の株式を持っておる者の権利をどうするか、株式を取得したいという者をどうするかというもう一方からの配慮がございましたので、なかなか実現ができなかったというわけでございます。 今回、新設の会社につきましては五万円ということにいたしましたのですけれども、単位が切り上げられたことに伴いまして、その五万円以下の、株式ではございませんけれども、株式類似のものを取得する者の権利の保護のためには端株制度というものを設けるべきであろうということで、その救済を図るということを考えたわけでございます。それから、既存の会社につきましては、一株五十円はそのままにいたしまして、単位株制度というものを採用する、五十円の株式ならば千株五万円ということでございますが、その場合にも、単位未満株の株主につきましてはその権利をどうするかという問題が一つございます。で、ただいまおっしゃいましたように、単位未満株につきましては議決権その他の共益権は認めない、しかし、利益配当請求権その他の自益権は認める、そしてさらに、単位未満株については会社に対して買い取りの請求を認めるということでその間の調和を図ります。 これによってどれくらいその会社の株主管理コストというものが節約できるかということでございますけれども、現在単位未満株、千株未満の株式のみしか持っていない株主の数はどれくらいかと申しますと、これは全株主の約二七%であるというふうに言われております、これは全上場会社についての数字でございますけれども。でありますから、今回そういうものに議決権を行使させないということにいたしますれば、二七%の株主に対する株主総会の通知その他が節約ができるということになるわけであります。一方、こういう株主が持っておる株式の総数は幾らかと申しますと、これは全株式の〇・八%であるというふうに言われております。でありますから、議決権を行使させないことによって〇・八%の株式の議決権行使が認められなくなる、こういうことになるわけでありまして、両者比較権衡いたしまして、最小の犠牲において株式制度の合理化を図るということで踏み切ったわけでございます。
○白川委員 いまの点はそれでわかりましたが、いずれのところで何らかの決定あるいは裁断をしなきゃならぬ、こう思うわけでございます。 それと関連をすると思うのでございますが、実際、株主総会が形骸化されていることがいろいろな機会に指摘をされるわけでございます。そういう株主総会が形骸化している大きな理由の一つに、俗に総会屋と呼ばれているものが多数横行している、こういうことが今回問題になって、かつ、それについての改正が図られようとしているわけでございますが、この改正の主なるポイントと、どの程度の効果がこの法改正によって期待できるのか、ひとつ率直かつ具体的な見通しといようなものをお聞かせ願いたいと思います。
○中島(一)政府委員 会社が安易に総会屋に金品を供与しないようにすることが必要であるということを考えまして、会社は何人に対しても株主権の行使に関して利益の供与をしてはならないという旨を規定をいたしております。そして、その実効を確保する方法といたしまして、このような利益供与がされた場合には、会社はその返還を請求することができる、会社がその権利を行使しないときは、株主が会社のために返還請求訴訟を提起することができる。代表訴訟というふうに呼んでおりますけれども、そういう訴訟を提起することができる。それからまた、取締役が利益供与をした場合には、取締役はその供与した利益の額を会社に弁済をしなければならないということも定めております。 そうではございますけれども、実際問題といたしまして、株主権の行使に関してということの立証が非常に困難な場合が予想されます。そこで、立証責任の転換と申しましょうか、利益の供与が無償でされたか、または供与された利益に比べて著しく少ない対価しか支払われていないという場合には、その利益の供与は株主権の行使に関してされたものと推定をする、そうでないという方で反証を挙げて推定を覆さなければならないというような立証責任の転換も設けまして、こういった訴訟を提起しやすくする。それからさらに、利益の供与禁止に違反した行為については罰則を設ける、商法の四百九十七条という規定を新たに設けるということでございますから、私どもはかなりの程度に実効を上げ得るのではなかろうかというふうに見ております。
○白川委員 今回の商法改正の大きな理由となりましたのが、特に大企業などにおいて社会的にひんしゅくもしくは非難を受けるような各種の不祥事があった、こういうものが一つの商法改正の理由であったと思うわけでございます。 そこで、企業の非行と言われるものには、会社の業務執行者としての取締役の考え方の誤りあるいは違法行為どいうようなものによって生ずる場合が多いと思うわけでございます。今回の改正案では、取締役の責任の強化というようなことについて問題にしておるようでございますが、具体的にはどういう点に着目し、どういうような方策を講じているのかの御説明と、その期待される効果などについて御説明をいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 取締役の責任を強化するということに関連いたしまして、改正法は幾つかの新設の規定を設けておるわけでございますが、まず第一に、取締役が競業取引をする場合、自己または第三者のために会社の営業の部類に属する取引をする場合についてでありますが、これは取締役会の承認を要するということにいたしております。現行法では、御承知のように、これは株主総会の認許を要するということにしておるわけでございますけれども、これは実際問題として、かなり実効のない規定ということになっております。そこで、これを取締役会の承認にかからせることにいたしまして、むしろ実質的な審議をすると申しましょうか、承認にかからせることの実効を確保するということを考えておるわけでございます。 第二といたしまして、この取締役の競業あるいは自己取引等の制限に関連をいたしますが、現在では直接取引のみについて明文の規定を置いております。いわゆる間接取引と申しましょうか、取締役の第三者に対する債務を会社が保証するというように、取引そのものは会社と第三者との間で行われるが、会社と取締役と利益相反の行為がある、こういうものにつきましては、判例ではこれが認められてきておるわけでございますけれども、明文の規定がなかったので、その点を設けることにいたしております。 第三に、先ほど申しました取締役が株主権の行使に関して利益の供与をしたという場合でございますが、その場合には、たとえ会社が利益の供与を受けた者に対して利益の返還請求権を有している場合でありましても、取締役はその供与された利益相当額を会社に弁済をしなければならないという規定を設けております。 第四といたしまして、取締役の第三者に対する責任を定める現行商法の二百六十六条ノ三の第一項という規定がございますが、その条文は、後段におきまして計算書類等の虚偽記載についての責任を定めておりますが、その要件が必ずしも明確でないという意見がございましたので、これは過失責任であるということをはっきりと規定を置くとともに、取締役に対して損害賠償の請求がされた場合には、取締役の方で過失がなかったことの立証をしなければ責任を免れることができないという規定を設けております。 第五番目といたしまして、今回の改正法におきましては、営業報告書の記載事項を法務省令で定めることにいたしまして、会社の財務及び業務内容の開示の強化を図っておるわけでありますが、それとともに、監査役及び会計監査人の地位の独立性、監査権限の強化ということを考えまして、取締役の責任の追及ということが容易にできるようにということを考えております。 第六番目といたしまして、現行法は、計算書類について、総会が承認をしてその後二年間別段の決議がされないときは取締役の責任は解除されるということになっておりますが、取締役の責任強化という見地から、この規定を削除したというようなことがございます。 以上のとおりでございます。
○白川委員 今回の改正案の中のもう一つの非常に注目すべき点だと思うのですが、いわゆる額面株式、無額面株式を問わず、少なくとも株式の発行価額の二分の一は資本に組み入れなければならない、こういう規定がなされておるわけでございます。この規定に関して、この規定は会社の配当負担が増加して、会社経営を圧迫するのではないかというような御意見を持たれる一部の先生方もおるようでございます。見解の分かれるところだと思うわけでございますが、こういう率直なまた非常にまじめな御議論について、今回どういう理由で資本組み入れを半分以上するということを決められたのか、法務省のお立場を御説明いただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 現在の法律のもとにおきましては、額面株を時価で発行いたしました場合に、額面金額のみを資本に組み入れて、それを超える部分については資本準備金として積み立てることになっておるわけでございまして、それを改正法におきましては、二分の一を超えない部分に限って資本に組み入れないことができることにいたしたわけでございます。そうなりますと、資本として組み入れられる金額が多くなる、配当負担が増すんじゃないか、こういう御意見であろうかと思うわけでございますが、会社の運営に当たって使用される資金は、単に資本に組み入れられた金額だけではなしに、積立金あるいは準備金ということで積み立てられております金額も含まれるわけでありまして、その運用によって利益が上がってくる、こういうことになろうかと思うわけであります。でありますから、このようにして得られた利益のうちでどれだけを配当するかということにつきましては、資本に組み入れた額のみと対比させてその多寡を論ずるのは正しくないのではないかというのが私どもの基本的な考え方でございます。したがって、会社の名目上の資本の額が増加したからといって、直ちに配当負担になる資金が増加したということにはならない、それが配当を増加させるための圧力となることも理論的にはあり得ない、こういうふうに考えるわけであります。 実務的に見ますと、今回の改正案のもとにおきましても、発行価額中資本に組み入れるべき価額が増加したからといって、会社の発行する株式数が増加するわけではございませんで、やはり新株発行の決議によって増資がされる、こういうことになろうかと思うわけであります。また、利益配当も一株当たり幾らということで決められるわけでありますから、その一株当たりの金額が特に増加することにもならないというふうに考えますと、今回の改正で特に先ほどお尋ねにございましたようなむずかしい問題は起こらない、こう考えておるわけでございます。
○白川委員 いまの点について、時間がないのでやめますが、日本の場合何割配当というのが非常に株に対する魅力みたいなものになっているので、その辺のところからいまのような御議論が出てくるのではないかと思います。いずれにしろ、実態は変わるわけではないのですが、そういう誤解が一部にはあるようでございますので、それらについても十分納得を図りながら今後運用していくように御配慮いただきたいと思うわけであります。 今回の改正の中で一番もめている点は、私どもの会館の方にも商法改正に反対するというようないろいろなのが来ているのは、主に現行の監査特例法の附則の第二項に関するところだと思うわけでございます。資本の額が五億円以上の会社もしくは負債総額が二百億円以上の会社については公認会計士による監査を義務化するという規定に関して、まだ必ずしも全員が納得している状況でないようでございます。また一方では、わが国の経済の発展に伴い会社の規模が大きくなっている中で、いままで十億だったものを五億に引き下げるというような点はいかがなものだろうか、それによって多くの会社が公認会計士による監査を義務づけられることに関して非常に危惧があるようでございます。その辺の、十億から五億になって、いままでは監査が義務化されていない会社だったけれども今度は義務化される会社が一体どのくらいあるのか、それが今後ふえるのか減るのか、それらについての数字と、そういうところに対して監査を強制することにした理由を述べていただきたいと思うわけでございます。これが第一点です。 あわせて御質問をいたします。 この公認会計士の監査の義務化に関しては、こういう意見が相当根強くあるようでございます。現在公認会計士の監査が強制されている会社に関しても、果たして公認会計士の監査が十分その実効を果たしているのだろうか、実効を果たしてもいないのに、むやみやたらに公認会計士の監査を義務づけられる範囲を広げてみたところで、今回の法改正がねらっているような効果が果たして期待できるのだろうか、こういうような従来の公認会計士が現実に果たしてきた役割りについての不信感も一部にはあるようでございます。そういうところに基づいて、ただむやみやたらに義務化をさせるだけでは、公認会計士の飯の種のエリアを広げているだけの話であって、果たして実効が上がるのかという御議論、私は余り公認会計士の業界については詳しいことを知りませんが、そういうような意見を聞くと、そういうこともあるのかなという気がするわけでございます。それらの点について現状と期待される効果、どうしてもこの改正案をこのようにしなければならない、ある程度折衝した上で法務省はこういうふうに決められたと思うわけでございますが、それらの御意見を率直にお聞かせ願いたいと思います。
○中島(一)政府委員 申し上げるまでもなく、株式会社は有限責任の会社でございますから、責任と申しましょうか、引き当てになるものは会社財産だけである。会社財産の現況を明らかにするものは貸借対照表なり損益計算書なりの計算書類ということになるわけであります。ですから、この現状を正確に把握して公示する、公表することが望ましいわけでありまして、そのためには第三者である公認会計士の監査を受けることが、その面だけから申せばすぐれておるということは言えると思うわけでございます。 しかしながら、先ほどからもお話がございましたように、日本の株式会社は大小さまざまございますが、中には非常に零細なものもございます。でありますから、すべての株式会社について外部監査を義務的にすることは非常に非常識と申しましょうか、不適当でありまして、どこかで線を引かなければならぬということはあるわけであります。昭和四十五年に法制審議会から監査特例法についての答申がございましたが、そのときは、資本金一億円以上の会社については監査対象会社にすべきであるという答申をいただいておるわけであります。 資本金一億円というのは、中小企業金融公庫法や中小企業指導法でありましたか、中小企業に関するいろいろな法律がございますが、そういう法律において資本金一億円以下の会社を中小企業ということで特別の保護育成を図っておるというようなことで、資本金一億円を超える会社については一人前の株式会社であるということで監査対象会社にすべきだという御意見であったと思いますけれども、いろいろな事情がございまして、四十九年の監査特例法におきましては、御承知のように、本則におきまして資本金五億円以上の会社は監査対象会社にするというふうに定めましたが、五億円から十億円までの証券取引法非適用会社については、当分の間監査対象会社にしないという附則が設けられたわけでございます。 四十九年に初めて強制監査という制度が設けられたわけでありますから、どういう実態になるかもわからない点もありましたでしょうし、公認会計士の処理能力というようなものについても様子を見てみようということもあったかと思いますが、その後七年ばかりたちまして監査というものが非常に定着してまいりましたし、公認会計士の処理能力というものも十分余裕があるということになったわけでありまして、今回、これを本則どおり資本金五億円以上の会社というふうにしたいというわけでございます。 それから、それにつきましては、先ほどおっしゃいましたように、答申をいただく前から税理士会その他の団体から、職域の侵害であるということで反対意見もあったようでございます。先ほど大臣も言われましたが、私どもは、そういう関係団体の意見を十分聞いて法案化を進めなければならないというふうに思いまして、反対意見のございました税理士会等ともかなり協議を重ねたわけでございます。 答申におきましては、資本金五億円以上の会社のみならず、売り上げ二百億以上の会社、それから負債が百億以上の会社というものも監査対象会社にすべきであるということもございましたし、また、資本金一億円から五億円までの会社につきましては、法律で強制はしないが、定款で定めれば監査対象会社にすることができるという、いわゆる任意適用会社というものを設けるべきであるということもございましたが、この任意適用会社というのは法案化の段階でやめにいたしました。売り上げ二百億というのもやめにいたしました。負債百億という点につきましては、それを二百億以上ということで維持したわけでございます。私どもは答申どおり実現したかったわけでございますけれども、諸般の事情もこれあり、現在の法案のような形になったような次第でございます。 それから、実効はどうかということでございますが、私、経済界の実際あるいは倒産会社の実際というものについてそれほど詳しくはないわけでございますけれども、裁判所でこういう倒産事件などを扱っておる私の友人などに聞いてみますと、四十年代の初めごろにあった山陽特殊鋼であるとかサンウエーブのような非常にでたらめな経理の会社、それによって倒産した粉飾決算の会社というものは最近はないということでありますので、監査というものはそれなりの実効をおさめており、今後もおさめていくものであろうというふうに私どもは考えておるわけであります。
○白川委員 時間でございますのでやめさせてもらいます。ありがとうございました。
○高鳥委員長 稲葉誠一君。
○稲葉委員 商法の改正で質問するわけですが、一つは、商法ができたのは明治三十二年三月九日で、法律第四十八号でしょう。これが施行になって、戦争前のことはいいですが、戦争後に何回か改正になっておるわけですけれども、そのときはどういうところが改正になって、しかもそれがどういう動機や何かがあって改正になったのかということをひとつ御説明願いたいと思うのです。
○中島(一)政府委員 十分なお答えができるかどうかわかりませんけれども、昭和二十五年にかなり大きな改正がございまして、その後三十七年、四十一年、四十九年と数次にわたって改正をされておるわけでございます。私の理解しておるところによりますと、昭和二十五年は占領中でございまして、アメリカの会社法の影響を強く受けた授権資本を初めとする新しい制度が導入された改正であるというふうに記憶いたしております。それから、三十七年、四十一年等におきましては、その後における会社運用の実態に照らして改正を要する点がいろいろと出てまいりまして、特に会計関係との調整、調和をどうするかというようなことも問題になってまいりました。その点をもあわせて改正が行われたというふうに考えております。四十九年におきましては、先ほど申しました監査特例法を中心として改正が行われた、あらまし申せばそういうことであろうかと思います。
○稲葉委員 この会計基準の問題につきましては、商法と税法それから証取法の関係が必ずしも明確ではないし、それの間にいろいろな矛盾があるというようなことで整備がまだされておらない点が多々あるように聞いておるわけです。ことに引当金の問題をめぐって等、いろいろ問題がありますが、これはまた後で質問をさせていただきたいというふうに思います。 そこで、いま四十九年の改正の問題が出ましたが、これはたしか山陽特殊鋼と不二サッシでしたかの粉飾決算のような問題があったわけですが、このときに改正があった。これは中心は監査役の問題でしょう。そうすれば、そのときに監査役がどういう責任を果たしておったのか、どういう義務を果たさなかったのかというようなことは一体どういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
○中島(一)政府委員 監査役の仕事の内容でございますけれども、業務監査と会計監査ということが考えられるわけでありまして、四十九年以前におきましては、監査役の仕事といたしましては会計監査に限られておったように記憶をいたしております。四十九年以後、大会社につきましては、会計監査のみならず業務監査についても監査役の仕事の内容に取り込まれたというのが重要な点であろうかと考えております。
○稲葉委員 今度の改正についても監査役の権限というか、いろいろな問題が改正をされて重要視されておるわけですね。私もそのとおりだと思うのですが、この法務省の「商法等の一部を改正する法律案関係資料」の六というところに参考資料がありますね。「(株式関係)」「(株主総会関係)」「(取締役(会)関係)」ということで、判例や実態の調査などが出ていますね。これはこれで別として、監査役の実態に対する調査、これは法務省としてはどうしてここに載っけなかったのですか、この資料の中へ。
○中島(一)政府委員 私ども、監査役の業務の実態というものも、いろいろな機会に話を聞きましたりあるいは関連の書物を読みましたりして把握、理解をするように努めておるわけでございますけれども、今回資料に含めませんでしたのは、必ずしもそれに十分なものがなかったということであろうかと思います。
○稲葉委員 いや、民事局の四課が主宰になって監査役の実態調査しているはずですよ。本になって売っているんじゃないですか、四課で。あるはずですよ、調べてごらんなさい。「商事法務」に載っているでしょうが。商事法務研究会から出ているでしょう。
○中島(一)政府委員 監査役協会が調査をされた資料というものがあるということであります。
○稲葉委員 監査役協会というのは、何か内部監査協会とかなんとかと二つあるようですね。そこで四課が中心になってその調査をしたはずですよ。たしか商事法務研究会からその本が出ているんじゃないですか。だから当然、どういう人が監査役になってどういう仕事をしているとかなんとか、それがわかっているはずですよ。
○元木説明員 お答えいたします。 監査役協会と内部監査協会と二つございまして、これは別の団体でございます。大体構成員といたしましては、監査役協会の方がやや大きい会社の監査役の集まり、それから内部監査協会の方はやや小さい団体の集まりということになっております。 なお、四課の分析でございますけれども、これは監査役協会が各監査役に対して出しましたアンケートに基づきまして、これは法務省の四課ということではございませんで、いわば個人的な立場からこれを分析したということでございます。
○稲葉委員 「監査役監査の指針」というのが日本内部監査協会監査役監査研究会からも出ているでしょう。実態調査をしているじゃないですか、四課が中心となって。それはちゃんと本になって売っているでしょう。市販されているんだからね。それはあなた、今度は監査役の問題が中心なんだから、その資料をちゃんとつけなければいけませんよ。それが問題じゃないですか。こんな株主総会のこととか取締役会の判例などを載っけることも悪いとは言いませんけれども、それを載っけなければだめですよ。資料として出してごらんなさい、法務省にあるんだから。
○中島(一)政府委員 御指摘の資料を調査、検討いたしまして、提出できるものはしたいと思っております。
○稲葉委員 調査、研究する必要ないのよ。あるんだよ、調査して。それじゃ聞きますけれども、あなた、初めて民事局長になったばかりで、大変人柄がいい人だから、どうも質問しにくいんだよね。海軍兵学校出身だけれども人柄がいいから、ぼくはちょっと質問がやりづらいな。監査役というのは一体どういう人がなっているんです。その調査あるでしょうが、大体大きく分けると、取締役をやって、もう功成り名遂げてどうにもしようがない、しようがないと言っちゃおかしいけれども、窓際族、それが一つあるでしょう。これが一つのジャンル。もう一つのジャンルは、取締役になれない連中。取締役になれないから、しようがないから監査役に回して、そこで形だけ役員にしておこうというのがあるでしょう。それからもう一つは、大体弁護士が監査役になっているのがある。それから、政治家がなっているのがある。これは政治家が金をもらうためになっているのもあるらしい、名前だけ。いろいろあるんだけれども、そういう実態調査をしたことがあるので、そういう資料をちゃんと出してごらんなさい。監査役はどういう人が多いですか。法律も何もわからない人がいっぱいなっているんじゃないの。取締役の古手がなっておったりなんかしておるのじゃないですか。
○中島(一)政府委員 私、その実態調査の結果は十分見ておりませんのですけれども、一般的な知識としては、先ほど御質問にもありましたように、従業員を長くやっておったとかあるいは取締役をやっておったということで現在監査役になっておるというような人もかなり多いようであります。以前は、確かに監査役というのは一つの閑職であったというようなことも言われておりましたけれども、四十九年の法改正におきまして監査役の地位の強化と権限の強化が図られまして、それにふさわしい人が監査役にならなければならないということで、それにふさわしい人が率先して監査役になられたというケースも幾つか聞いておるわけでありまして、先ほどお話にも出ました監査役協会という協会もできまして、監査役同士互いに横の連絡をとって、その仕事を充実させるための努力が続けられておるというふうに理解をしておるわけでございます。
○稲葉委員 それは表面的な話ですよ。監査役というのが会社の不正や何かを発見したことがありますか。四十九年以来、会社の不正を発見して大蔵省へ報告したとかどうしたとか、犯罪を摘発したとか——摘発するのは監査役の仕事じゃないかもわからぬけれども、そういうのがありますか。監査役なんというのは窓際族で、ただ行っておるだけでしょう。朝行ってお茶飲んで、あと新聞読んでおるだけじゃないですか、必ずしもそうではないけれども。日本の監査役というのは大体そういう形が多いのですよ。だから、監査役の実態というもの、前歴がどういうものであったかということを、いま出すと言ったから、改めて出してくださいね。 これは業務監査とか会計監査というけれども、監査役で会計監査やれる人がどのくらいいますか。会計の専門家の人がどの程度いますか。そんなのいないでしょう。そんなのは全然だめですよ。監査役は形だけ。弁護士も監査役になっているのがいますよ。全然顔出しも何もしないで給料だけもらっておるのがいて、判こだけくれと言うので、判こだけ押しておるのがあるのですよ。政治家もそういうのがある。それは金をもらうためになっておるのがいますよね。だから、日本の場合は実態が全然違うのですよ。それは後で調査書が出てからまたお聞きします。 もう一つお聞きしたいのは、法制審議会で鈴木竹雄さんですか、部会長でやられましたよね。商法部会、いつ何日、何を論議して何時間ぐらいやったのかという一覧表を出してほしいのですが、全部でどのぐらいやりましたか。何回ぐらいやって、何時間ぐらいやりましたか。
○元木説明員 お答えいたします。 大体、昭和五十一年から本格審議を始めまして、答申が出ますまでに部会で三十回以上やっております。それから、小委員会も大体同数、二十数回でございますが、やっております。それから、準備会に至りましては約七十回ほどやっているはずでございます。 なお、詳しいことについては、また後日、書面で出させていただきます。
○稲葉委員 大臣、本会議のときに総理大臣が、株式会社の問題非常に複雑であるとかなんとかいろいろな答弁をされましたね。商法部会で三十回以上、それから小委員会で二十回以上、準備会で七十回以上やっておるんでしょう。それを政府は二、三週間で上げてくれというようなことを言うわけですよ。そんなのは国会軽視ではないですか。ぼくはそう思いますよ。基本問題をたくさん含んでいるんですからね、総理大臣があそこで複雑な問題だと言ったんだから。いろいろな問題がいっぱいあるんですよ、私、だんだん明らかにしていきますけれども。だから、あなたとしても、法務大臣として国会の審議権というものを尊重して、内容をきわめて審議してほしいと言うのが本筋じゃないですか。ただ上げてくれ上げてくれと、まるで国会をてんぷら屋と思っているんですよ。てんぷら屋じゃないのだから、ちゃんとやらなきゃだめだとぼくは思っているんですよ。大臣、どうお考えになります。
○奥野国務大臣 審議の時間はたくさんあればあるほどよろしい、こう思っておるわけでございますけれども、御承知のような関係から、できる限り会社の自主監視機能を強化して会社が社会的責任を公正に果たす、その体制を整備するということも急を要することでもございますので、時間をかけていただけること、これは私は非難するわけじゃございませんで、やはりそういう要請にこたえられるようにぜひこの国会では成立させてほしいものだなと、心から念願しておるわけでございます。したがいまして、審議の時間が夜に入っても私たちとしてはやむを得ないことだ、何とかこの国会で成立させていただけぬだろうかなと、心からそういう期待を持っておるものでございます。
○稲葉委員 いまのあなたの御期待はそうだと思いますが、五十一年からやっているんですよ。これは時間をはかると、一回は一時間や二時間じゃないのですよ。恐らく午前中やって、午後までやったと思いますよ。それをそんなに簡単に、法案ができたからぱっぱとやってくれなんということは、これはあなたに言う筋じゃございませんけれども、国会軽視だというふうにぼくは思います。やはりじっくりちゃんと問題点は問題点として指摘して審議しなくちゃいかぬと私は思います。そうじゃないと、国会というのはもうまるで行政府の付属機関みたいになっちゃうんですね。あなたが仮に大臣でない立場ならば、そう言われるに違いないのです。そういうやり方はもういかぬと私は思うのです。私の質問がいいかげんな質問だったりなんかしたら、それはもう十分御指摘願って結構です。 そこで、もう一つの問題ですね。いま言ったのは、詳細にいつ幾日何をやったかというのを出していただきたいのが一つと、法制審議会、これはいろいろ議論があったと思うのです。りっぱな学者の方も入っていらっしゃるし、メンバーは大体わかりますが、法制審議会の議事録、これは個人の名前を挙げて出すということはいろいろ差し支えがあってあれかと思いますので、名前は別として、ABCでもいいですが、例を調べていただければわかりますが、法制審議会の議事録を前にも国会へ出したことがありますから、今度も法制審議会の議事録を、全部出せというと大変なものになりますから、その会議ごとにおける要旨なり何なりでもいいし、あるいは株主総会なら株主総会、取締役会なら取締役会、株主権の問題なら株主権の問題、監査役の問題なら監査役の問題というふうに分けて出されても結構だ、こう思うのですが、それをぜひ出していただきたい。これはもう審議する上で国会議員としての責任だと私は思うのです。だからそれは出していただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○中島(一)政府委員 議事録の概要を提出するということをいたしたいと思っております。
○稲葉委員 いま私が聞いたときに、最初にアメリカの会社法というものが日本に入ってきた。占領政策の一環として入ってきたのでしょう。ですけれども、元来は日本の会社法というのはドイツの会社法じゃなかったかと私は思っているんです。それはどうでもいいですが、アメリカの会社法と日本の会社法との違いで、会社法そのものと会社法の実際の運用の違い、これらの問題についてはっきりとした表なり明らかな説明書を、いまここですぐ答えろというのは無理だと私は思うのですけれども、出していただきたいと思います。これはなかなかむずかしいかとは思いますけれども、法務省の民事局には勉強家がいっぱいいるのですから、外国語に堪能な人がいっぱい集まっているわけですから、そんなのはすぐできると思うのです。だから、この次の私の質問は恐らく五月の連休明けになると思いますが、それまでに出していただきたいと思います。 要点は、会社法そのものの違いと同時に運用の違いです。たとえば、アメリカには総会屋なんというのはないわけです。いま日本の総会屋がアメリカに行っていて、アメリカでは驚いているんです。何で日本では総会屋というのがあるんだろう、こんなものはアメリカにはないと言っているでしょう。それはたとえばSECあるいはFRB、連邦準備理事会、こういうものがあるから総会屋なんというものが考えられない。それだけで考えられないというわけじゃないですよ。日本の株式会社とアメリカの株式会社と違うし、それから日本の場合は法人株主が七割ですからね。アメリカの場合はそうじゃない。それから、個人の意識というものも日本とアメリカと全然違うから、総会屋というものが発生しないのでしょうけれども、アメリカでは何で総会屋というものがないのか、ここら辺のところもよく説明願いたいと私は思うのです。これは非常に大きな問題なんです。個人の権利意識の違いかもしれませんが、アメリカではいま驚いているんです。日本の総会屋が大挙上陸しているでしょう。何で日本では総会屋なんというものがあるのだろうといって驚いている。それはまた後で質問しますがね。 そこで、アメリカの会社法の中で一つの大きなポイントになってくるのは、デラウェアの一般会社法というのがありますね。このデラウェアの一般会社法というのはどういうふうなもので、どういうところに特徴があるのですか。
○中島(一)政府委員 私も不勉強で余り十分なお答えができるかどうかわかりませんけれども、デラウェア州の会社法というのは、ある一面において有名な会社法であるということを聞いております。それは、会社の設立の問題にいたしましても会社の計算書類の規制にいたしましても、非常に自由であると申しましょうか、あるいは悪い言葉で言えばルーズであるというようなことになるのかもわかりませんが、非常に会社経営者の側にとっては都合のいい会社法であると申せるかもわからないと思うわけであります。これは各州によりまして会社法を定めておりますから、企業家としては自分の好む会社法のある州において会社を設立するというようなことになるわけでありまして、会社が多く来てくれればその州の税収入がふえるというようなことにもなるわけでありまして、そういう意味で有名な会社法であるというふうに聞いております。
○稲葉委員 デラウェアというのはアメリカのどこにあるのですか。
○元木説明員 地図がございませんので正確なことはお答えできませんけれども、大体東部の真ん中でございます。(稲葉委員「どこの近所だ」と呼ぶ)ワシントンDCから言えば東の方でございますかの付近になると思います。
○稲葉委員 それから、アメリカの閉鎖会社法というのがあるでしょう。これはどういう法律で、どういうところに特徴があるのですか。
○元木説明員 お答えいたします。 アメリカでは会社法の立法権限が各州にございますので、各州の立法によって違っておりますけれども、たとえばニューヨークの事業会社法でございますと、これは非上場会社あるいはその株式が店頭で売買されていない会社、そういうものが閉鎖会社ということで、別段の定めをいたしております。
○稲葉委員 そういう本を日本でも研究している人がいるわけですね。特に日本でそういうようなものを研究しなければならない理由というか、それを日本の場合に何か活用できるというのがあるわけですか。名古屋大学の何とかいう女の先生、あの人が研究していますね。
○元木説明員 お答えいたします。 各国で国情が違いますので、必ずしもその閉鎖会社法を直ちに日本に適用するということは困難かと思いますけれども、御承知のように日本の場合九十七万四千からの株式会社がある。そのうち上場あるいは株式を公開している、つまり証券取引法適用会社というものはわずか四千数百であるということになりますと、その大部分は言ってみれば閉鎖会社であるということになるわけでございます。したがいまして、こういう会社につきましては、何らかの外国の法制上、そういういわゆる株式が公開されてない会社の計算の問題であるとかあるいは組織の問題であるとか、そういうことを研究しなければいかぬということで現在は模索中でございます。現にEC等でもそういう問題がございましてこういう研究がなされておりますので、それが直ちに日本の法律で結果を生むということは考えられませんけれども、やはり研究していかなければいけないということだろうと思います。
○稲葉委員 これはいろいろな問題がたくさんあるんですよ。 それからもう一つ、一番大きな問題は、試案をつくりましたね。試案をつくってアンケートを出して、アンケートが来ましたね。それに基づいてずっとやってきて、それで要綱ができたんでしょう。要綱の前にもう一つ要綱があったんですが、二つあったのか、ちょっとよくわかりませんが、私が聞きたいのは、試案ないし試案の前に記載されておったことで、その後ずっとやっている間で各方面からいろいろな意見が出てきて、そしてだんだん削除になってきましたね。削除になってきたところと加わったところ、加わったところはないはずですが、削除されたところがどういうところなのかという一覧表もこの資料の中にないですね。それから、試案に対するいろいろなアンケートがたくさん来たわけだ。これは余り関係のないところのアンケートもありますけれども、そういうアンケートもこの資料には何にもないですね。そういうのも載っけなければいけないと思いますけれども、余り詳しくなっちゃうから載っけなくてもいいかもわからぬけれども、そういう試案に対するアンケートの主なもの、それは後で出していただきたいと思いますが、同時に、いま言った試案ないしその前からずっと要綱までの間に削られたもの、どういう理由でそれが削られたか、これをはっきりさせていただきたい、こう思うのですよ。 これが今度の商法の改正の中で重要なんですよ。どこの反対で削られたのかということ。反対と言うと、あなた方、いや反対じゃない、そういう意見が出たんだからと言うかもわからぬけれども、そこのところを明らかにしていただきたいと思うのです。いますぐというわけじゃなくてもいいですよ。ずっと説明するとなかなか時間がかかります。表にして出していただけるでしょう。表あるでしょう。もう表はできているはずですよ、あなたの方に。理由の説明はないかもわからぬけれども、表はできているよ。
○中島(一)政府委員 現在できたものはございませんけれども、そういうものをつくって提出をいたしたいと考えております。
○稲葉委員 大臣、お聞き願いたいと思うのです。それはほとんど財界の反対ですよ。財界の反対がほとんど多いのですよ。それで削られたのが多い。だから今度の商法というものは問題なんです。必ずしもそうばかりじゃありませんよ。だけれども、財界の反対で削られたものが多い。いまその資料が出ればこれからわかってくる、こういうふうに私は思うのです。 そこで、余りプロローグばかり多くてもいけませんから内容に入るわけですが、この提案理由の説明に、これは大臣が読まれたのですが、よくわからぬですね。「会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、」とありますね。「会社の運営の実態にかんがみ、」というのは具体的にどういうことなんですか。いまの会社の運営は非常に監視機能が弱体化しておる、前提はこういうことなんでしょう。それと、もうさっきは、昭和四十九年の改正で監査役の権限が強化されてもう結局問題は起こらなくなった、こう言っているんでしょう。ここのところはおかしいんじゃないでしょうか。「会社の運営の実態にかんがみ、」云々というのは、これはどういう意味でしょうか。
○奥野国務大臣 いま世上で言われておりますのは、いわゆる総会屋が暗躍しているじゃないか、この総会屋対策の問題が一つあろうかと思います。同時にまた、株主の会社運営に参加する意欲が後退してきていることもございますけれども、株主総会の形骸化ということも言われておるわけでございます。そういうもろもろのことを指しまして、そこで「会社の運営の実態」と、こう申し上げさせていただいたわけでございます。
○稲葉委員 総会屋というのは、別の機会に詳しく聞きますけれども、日本特有の現象ですか、どうなんですか。
○中島(一)政府委員 私も全部を知っておるわけでございませんけれども、聞くところによりますと、日本特有の現象であるというふうに言われております。
○稲葉委員 一体、いつごろから日本特有の現象になったんですか。どうなんですか、これは。
○中島(一)政府委員 これもはっきりしたことはわかりませんけれども、会社法とともに総会屋が発生したということを聞いたことがございます。
○稲葉委員 まあ総会屋の問題は、この中で一応改正になっていますから、その部分でゆっくりお聞きをしたいと思います。そこで、商法のうちから——大体、最初は手形小切手法も商法のうちに入っていましたか、どうでしたか。
○中島(一)政府委員 私の記憶いたしておりますところでは、当初の商法には手形小切手法も入っておったと思います。たしか昭和八年であったかと思いますが、これはちょっと自信、がございませんが、そのころに手形小切手法というものが独立したという記憶でございます。
○稲葉委員 そうですね。昭和七年七月十五日法律二十号ですね。施行が昭和八年勅令三一五、そのとおりですね。 そこで、手形小切手法が独立したのは条約でしょう。条約があって、条約に伴って独立したわけですよ。この手形小切手というのは世界的に同じふうな形のものでないと困るし、それが各国で違っておるのでは困りますね。それと同じように、保険法それから海商法、これはもういまは商法の中に入ってますけれども、海商法だってそうでしょう。各国で法律が違っておるのじゃ非常に困るし、保険法だって困るわけですからね。この海商法と保険法も商法の中に入れないで独立していくという行き方はどうですか。ほかの国ではとられているところもあるのですが、どうなっていますか。
○中島(一)政府委員 外国の立法例にはそういう例も幾つかあるようでありますので、わが国の行き方としてもそういうものを参考にして検討していかなければならないと考えております。
○稲葉委員 こういうふうに個別的な色彩よりも全般的な世界的な一つの共通な要素を含んでいるものについては独立した、ことに外国との間の条約なりその他によって独立法にしていくというのが筋だと私は思うのです。有限会社は有限会社法で独立しているのでしょう。商法に入ってないでしょう。株式会社だけが商法の中に入っているというのはこれまたおかしいのですよ。株式会社法も本来独立すべきものだというふうに考えるのですよ。そうすると商法の実体はなくなっちゃって、総則と商行為しかなくなっちゃうからどうなのかちょっとわかりませんが、株式会社法もほかの国では独立しているところが多いのじゃないですか。日本でも株式会社法を独立させるというのが本筋ではないですか。
○中島(一)政府委員 各国の立法例は、独立しているものが多いようであります。でありますが、合名会社をどうするかとかその他の会社をどうするかというふうなこともございますので、これも将来の検討事項とさしていただきたいと思います。
○稲葉委員 日本の場合は合名会社がありますね。三井はいまでも合名会社かな、ちょっと忘れましたが、もういまは株式会社になったかな。三菱は初め合資会社だったわけですね。いまは株式会社になったのか。合資会社なんというのはまだ日本ではあるんでしょう。ぼくら習ったころはあったけれども、いまはなくなったのか、忘れちゃったけれども。それはそれとして、株式会社の問題が一番大きな問題になってくるわけですね。 それで、有限会社の問題その他をめぐって、中小会社を別個にした法律をつくれという議論が前々からありますね。たとえば長谷部茂吉さんなんか「中小会社法」という本を書いているし、それからもう一人だれかが書いておったと思うのですが、これは現実にはほとんど総会なんかだってやっちゃいないでしょう。形だけ書類を整えて、全部と言っていいぐらい公正証書原本不実記載みたいな形のものをやっているので、ここら辺のところも日本でどこでどう線を引くかという非常にむずかしい問題があって、いま直ちにここでお答えを願うというのは私も無理だと思うのです。これはかえって誤解を招きますから、ここで質問をして誤解を招いてもいかぬところですから、私はこれ以上質問をしませんけれども、なかなかむずかしい問題がありますね。確かに株式会社、いろいろなむずかしいところがあるんだ。こういうむずかしい時期に民事局長になられたのだからなかなか大変だ、こう思うのです。 そこで、私お聞きしたいのは、監査役の問題に限ってお聞きしましょう。監査役は、今度株主総会で選ばれることになるわけですか。そうすると、監査役はだれとだれとの間の契約関係によって成立するのですか。監査役という地位を得るわけですか。
○中島(一)政府委員 監査役は、現行法におきましても株主総会によって選任をされるということでありまして、これは改正法も全く同じでございます。 だれとだれとということになりますが、理屈としては代表取締役と監査役との間の契約が成立する、こういうふうに考えるべきではないかと思います。
○稲葉委員 だから、代表取締役と監査役との契約、それは法律的に言うと何になるわけですか。それは委任ではなく準委任だと言うんでしょう、答えは。そういう答えになるのはわかっているんだけれども、そうすると、準委任というのは委任とどう違うかということになってきますね。どうですか。
○中島(一)政府委員 委任という部分もあり、準委任という部分もあるという、混合契約ということになるんじゃなかろうかというふうに思います。
○稲葉委員 しかし、法務省民事局第四課商業法人登記係長の杉浦という人の回答は、そんなこと言っていませんよ。準委任だと言っていますよ。「会社から会計監査および業務監査の事務を委任された者ですから、監査役と会社との関係は、準委任であり、民法の委任に関する規定に従うこととなります。」こう言っている。準委任だと言っていますよ。混合契約だなんて言っていませんよ。どの点が委任でどの点が準委任なのか、それをひとつ。
○中島(一)政府委員 監査役の仕事は大部分が事実上の行為であると思いますので、準委任という部分が多くの割合を占めておると思いますが、委任という部分が全くないだろうかということで、私先ほどちょっと念のために委任ということを申し上げたのですが、いま御質問ございまして考えておりましたところが、法律行為の委任というようなものもごく例外的にはあるのではなかろうか。と申しますのは、取締役と会社間の訴訟におきまして監査役が会社を代表するということがございますが、こういう場合は委任というふうに言うべきではなかろうかというふうに考えます。
○稲葉委員 そうすると、監査役は準委任でも委任でも、その場合にどういうような注意義務というか、どういう責任というものを持って処理しなければいけないわけですか。善管注意でしょう。善良なる管理者の注意義務でやらなければならないということでしょう。それ以外にないわけだ。善管注意義務というのは具体的に言うとどういう義務になるということになりますか。これはローマ法以来の一つの観念ですね。ローマ法から聞くわけじゃないけれども、どういうあれです。
○中島(一)政府委員 法律的に申しますと、商法の二百五十四条の会社と取締役との間の関係に関する規定がございます。これは民法の委任に関する規定に従うということになっておりますので、基本は委任における善良なる管理者の注意義務ということになるわけでありまして、一般的に通常の監査役が職務を執行する上において期待される注意義務ということになろうかと思います。
○稲葉委員 具体的に言うと、いわゆる善良なる管理者の注意義務というのはよく使われていますね。あらゆる法律に出てくるのですけれども、これは通常の注意義務ということですか。善管注意義務というのはほかの注意義務と比べてみてどうなんですか。違うのですか。
○元木説明員 お答えいたします。 監査役として一般に要求される注意義務ということになろうかと思います。したがって、一般人ということでなくて、監査役としてということでございます。
○稲葉委員 委任契約だと、何どきにでも解除できるんじゃないですか。都合が悪くなったら監査役を解除できるんじゃないの。どうなっていますか。
○元木説明員 これは総会の決議をもって解任することができるということになっております。
○稲葉委員 そうすると、民法上は委任契約が解除できますね。委任契約だというなら、代表取締役が解約しちゃったらどうなんです。あなたはもうだめだとしたらどうなるの。総会の決議がない場合でも、そういう場合はどうなんです。
○元木説明員 この場合は、特に商法の二百五十七条、それから監査役についてこれが準用されておりますけれども、これによって代表取締役の権限は制限されていると考えられます。
○稲葉委員 そこで、監査役というのはいままでは大体一人が多いのですか。二人ないし三人くらいの人が多いのですか。その場合は連帯責任を負うのですか。どういうような責任を負うのですか。個別的に責任を負うのですか。あるいは途中から入る場合があるでしょう。そういう場合に前の人の監査役の責任までも負うということになるのですか。どういうことですか。
○元木説明員 お答えいたします。 監査役の責任は、各自にそれぞれ過失責任がございますれば、これはそれぞれがその過失のある人たちの間で連帯して責任を負うということになるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、監査役などが会社の第三者に対して責任を負う場合がありますね。取締役の責任の場合、あれは何条ですか、できましたね。あの条項の場合はどういう場合に適用されるわけですか。
○元木説明員 現行の二百六十六条ノ三によって、これは監査役に準用されておりますけれども、監査役が第三者に責任を負うということになっているわけでございます。ただ、この現行の二百六十六条ノ三の一項がどのように監査役に適用されるかということにつきましていろいろ問題がございましたので、今回の改正案におきましては、特に明確に監査報告書について虚偽の記載のあった場合についての対第三者責任について規定を設けるということにいたしておるわけでございます。
○稲葉委員 この二百六十六条ノ三というのは、昭和四十一年にできて四十九年の法律で改正になったのですが、その「悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキ」、これについて学説的に非常に争いがありますね。最高裁の判例でも一応決まったような形だけれども、争いがありますね。松田二郎さんの考え方はあれでしょう、「私の少数意見」という本に詳しく書いてあるけれども、むずかしくてよくわかりませんが。すると、「悪意又ハ重大ナル過失」ですが、なぜ「悪意」ということが出て「重大ナル過失」なのか、それに対する理解の仕方はどういうふうに分かれているのですか。
○元木説明員 現在、この二百六十六条ノ三の一項につきましてはいろいろ学説の対立がございまして、まず、二百六十六条ノ三の前段でございますけれども、これにつきましては、まず取締役の特殊な法定責任であるという考え方と、不法行為の特則を設けたんだとする考え方があるわけでございます。特殊な法定責任であるという考え方は、これは取締役が自分のその職務を行うについて、つまり会社の職務を行うについて、その職務について「悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキ」、そういう場合に責任を負うんだという法定責任説と、それから、一般の不法行為の特則を設けたのだということで、つまり取締役が第三者に対して「悪意又ハ重大ナル過失」をもって損害を加えたという場合に初めて責任を負うんだとする考え方に分かれているわけでございます。
○稲葉委員 だから、これは法務省としてはどっちの学説をとっているのですか。
○元木説明員 これは必ずしも法務省が考えるべきことであるかどうか、問題でございまして、現在判例は特殊責任説をとっているようでございます。
○稲葉委員 これは国家が相手に訴訟される場合ではありませんから、だから法務省が考えるべき筋合いのものではないですね。ただ、これについて非常に議論があるのですね。これはどうしてこういうふうに議論があるのか。これはやはり統一——最高裁では一応統一されていますけれども、松田さんの本なんか見ると、その説はもう間違いだと盛んに言っているし、なかなかむずかしいところだ、こう思うのですが、余り細かいことは、学校の商法のゼミナールみたいで、私としては楽しいのですが、この辺にしておきましょう。 そこで問題は、監査役は他の会社の監査役または他の会社の取締役、こういうふうなものを一体兼ねることができるのか、できないのかということがありますね。これは法律の条文上ではないでしょう。条文上はないと思いましたね。これは具体的にはどうなんですか。——ちょっと元木さん、余りあなたの一人舞台でも悪いから、これは……。
○中島(一)政府委員 他の会社のいかんにもよりますけれども、一般的に他の会社の監査役その他の職務を兼ねることができないというわけのものではなかろうと思います。他の会社が子会社でありますとかその他特殊な関係にある会社の場合には問題になろうかというふうに考えます。
○稲葉委員 だから、その点は監査役の機能というものをはっきりさせ、厳格に解釈するならば、他の会社の監査役になることができないとか、そういうふうにさせなければいけないのではないですか。それをさせてないということは、もう監査役というのはただあればいいんだ、名前だけだということを前提としているからそういうふうになるのじゃないですか。それはおかしいですよ。これは秘密保持なんかできないじゃないですか。一部の会社の秘密はほかへどんどん漏れちゃうでしょう、監査役をやっておれば。秘密を漏らさないという前提だと言えば、それはまた別ですけれども、そうなってくるのじゃないですか。はっきりさしておく必要があるのではないですか。あるいはそれは道義上の問題だ、こういうふうなことでしょうか。
○中島(一)政府委員 監査役には非常勤の方もおられるわけでありますし、他の会社の役員その他を兼ねる、その点から申しましても、他の会社の役員その他を兼ねることの支障になるわけではないというふうに考えます。 それから、いまの秘密漏洩の問題でありますけれども、それはそういうおそれのある人を監査役にしないということによって防げるのではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、この点は取締役についても特にただいまおっしゃったような制限がないということから考えて、これでよいのではなかろうかというふうに考えます。
○稲葉委員 そうすると、監査役の権能というもの——権能という言葉を使うのかな、権利という言葉を使うのか、何と言うのかわかりませんが、その権能というのは、法律的にはどういうふうなものが認められておりますか。
○中島(一)政府委員 先ほども申しましたように、業務監査とそして会計監査の権能ということになるわけでありますが、中小会社につきましては会計監査ということになるわけであります。
○稲葉委員 それは全部総括しての話であって、私の聞いているのは、たとえば差止請求権の問題があるでしょう。差止請求権というのは二百七十五条ノ二ですね。これは具体的にどういう場合のことを言って、どういう効力があるのですか。これはやはり法律で、仮処分か何か知りませんが、そういう形をとらなければいけないのですか。これはどういうふうになっているのですか。
○元木説明員 お答えいたします。 これは「取締役ガ会社ノ目的ノ範囲内二在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款二違反スル行為」、そういう行為がありました場合に、これを監査役が差止を請求することができるということでございます。もちろん、法律のたてまえといたしましては、ただ裁判所の決定とかなんとかによらずにこれを請求するということができるわけでございますけれども、実際問題としては、そういう口頭での請求等では効果が薄いと思われますので、仮処分によるというようなことになるかと存じます。
○稲葉委員 その仮処分の点は第二項に書いてあるのですが、現実にこういうふうなことがあったことがありますか。これは現実にどの程度ありますか。
○元木説明員 これは大会社と小会社と区別いたしますと、小会社につきましては実際に訴訟で幾つかあるようでございます。それに対しまして、大会社につきましては非常に例が少ないかと思います。
○稲葉委員 小会社の場合は、めちゃくちゃと言っては語弊があるけれども、取締役も何も——大臣が本会議で言われたでしょう。取り締まられ役と言ったのかな、何とか言っていたけれども、よく中小会社の社長なんかは、「私は取り締まられ役になりました」なんてあいさつをする人があるのですね。だから、あるのですけれども、大会社においてはそこまで監査役がやらないのですよ。やらないということは、監査役というのは取締役の下にいるということなんです、現実には。そういうことじゃないのですか。だから少ないのじゃないですか。どんな例がありますか。きょうでなくていいですけれども、具体的な仮処分の例があって、その結果どうなったのか。それは会社の中がめちゃくちゃになって、何か取締役の派閥争いがあったり何かしたときのことじゃないですか、よくわかりませんが。いまでなくていいですが、どういうふうな場合にこういうふうな例があったということを明らかにしていただきたいというふうに私は思うのです。 それから、監査役の解任の場合には特別決議ですね。普通の決議と違いますね。これは特別決議にした理由というのはわかりますが、いま商法で特別決議を必要とするというのはどれとどれとどれですか。
○元木説明員 必ずしも全部拾い上げられるかどうかわかりませんけれども、まず定款変更がございます。それから新株の有利発行でございます。これは社債等の有利発行につきましても特別決議でやります。それから、これは特に要件を加重されておりますけれども、株式の譲渡制限を定款に規定する場合というのがあるようでございます。
○稲葉委員 そこで、いろいろな問題が監査役には出てくるわけですが、たとえば常任監査役を一人にして選ぶわけですか。本当に常任監査役というのは、常任という言葉だから毎日会社に出てくるということなんですか。これは実態はどうなんです。これは出てこないでしょう。何か用があって呼ばれたときだけ出てくるという形じゃないですか、給料だけはもらっているけれども。実際はどうなのですか。
○元木説明員 お答えいたします。 現在の常任監査役と申しますのは必ずしも法定のものじゃございませんので、常任必ずしも常勤ではないということでございまして、言ってみれば監査役の上位者が常任という名前がかぶせられているということでございます。今回の改正案におきましては、大会社におきましては常勤監査役を選任しなければいかぬということにいたしておりまして、この常勤といいますのは、原則としてフルタイムで勤務するということを前提にしているわけでございます。
○稲葉委員 それはどこですか。
○元木説明員 この資料でございますと、新旧対照表でございますが、それの百九ページの新しい監査特例法で十八条というのがございます。それの二項で、「会社は、監査役の互選をもって常勤の監査役を定めなければならない。」ということにいたしております。
○稲葉委員 この法律案要綱ではどこになりますか、それは。
○元木説明員 要綱では二十三ページでございます。
○稲葉委員 そうすると、十八条で常勤の監査役を定める。これを定めなかった場合の罰則はあるのですか。
○元木説明員 これは新しい監査特例法改正案の三十条でございますけれども、それの十一号で決めておりまして、百万円以下の過料ということになっております。
○稲葉委員 そうすると、常勤の監査役を定めると、会社では定めたことを一々法務省に報告するのですか。そうでなければわからないでしょう、過料を取るか取らないかというのは。
○元木説明員 必ずしも法務省に報告するということになっておりませんけれども、これは過料一般についてそういう問題がございますので、さらに見直していかなければいけないんじゃないかと思います。
○稲葉委員 いまの答弁、ちょっとよくわかりませんが、過料百万円というのはずいぶん大きな額ですが、そんなの取るといったって、わからなければ取れないのですから意味ないのじゃないですか。定款なら定款に常勤監査役が出てくるわけでも何でもないでしょう。株主総会の議事録か何か全部法務省へ届けさせるとかなんとかしなければ、わからないわけじゃないですか。いずれにしてもそういう点がありますから、これは私の方でもよく研究します。余り細かいことを聞いてもちょっと悪いと思うので、余り聞きませんけれどもね。 では、ちょっと昼に用があるものですから、ここで……。
○高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 私は、商法を支配する原理が私法自治の原理だ、こういうふうに考えているんです。民法でもそうですね。ただ、民法の場合はいろいろな形、借地借家法その他で相当修正を受けているわけですね。商法の場合は私法自治の原則というものが、ことに株式会社その他においては、資本主義がいいとか悪いとかは別として、資本主義社会である以上貫かるべき筋合いだ、こういうふうに思うわけです。ところが、いま質問した監査役を常勤にして、二人以上いた場合一人を常勤にしなきゃいかぬ。常勤でなきゃ過料にする、罰則を設けて事実上強制するというか間接強制というか、そういうことをするというのは私法自治の原則に反するのであって、国家権力の一つの介入だというふうに考えられるんじゃないですか。そういうふうに考えませんか。どうでしょうか。
○中島(一)政府委員 商法につきましては、確かにただいまおっしゃったような面があると思います。と申しますのは、商法には、行為を律する部分と、それから株式会社法によって代表される組織法の部分というものがあるわけでありまして、商行為その他の取引を律する部分におきましては私法自治の原理原則というものが最大限に尊重されるべきものであろうかというふうに考えるわけでありますが、組織を規律する部分につきましてはかなり強行法規的な面があって、国家による規制というものが行われなければならないというふうに考えております。
○稲葉委員 いまの行為法と組織法というのは、昔習いましたね。田中耕太郎さんの本によく書いてある部分で、厚い本でぼくも読みました。 そうすると、過料を取るというか、民法の場合、特に戸籍法の場合には実際問題として過料が相当多いんですよ。商法の場合にももちろんありますけれども、具体的に言うと商法の場合の過料というものが、たとえば商業登記の届け出がおくれたというような場合、どういう場合ですか。ないことはありませんね。具体的にはどういう場合過料があって、実際にはどういうふうにされていますか。戸籍法の十四日以内に届けなければならぬというような過料は非常に多いですね。それから住民台帳法か何かのやつがありますけれども、商法では会社の登記に関する関係程度ですか。何かあったように思いますが、どういうふうになっていますか。
○元木説明員 主として会社に関する過料の規定は四百九十八条にございまして、先生おっしゃいますように登記等を怠った場合ということになっております。実際の実務的に登記を怠りました場合には登記所の方でわかりますので、これを裁判所に通知するということによって過料が料せられているようでございます。
○稲葉委員 いまの監査役の場合はどこからも通知しないわけでしょう。そこまで通知させるということになると、ぼくはこれは自治の原則を侵すのじゃないかというふうに思うのです。そうすると、結局過料というのは、書いてあるけれども実際には取れないということになってくるのじゃないですか。取る方法というのはどういう方法があるのですか。一々会社に行って登記簿を見て——登記簿に常勤監査役というのは載るのですか。
○中島(一)政府委員 常勤監査役ということは登記簿記載事項ではございませんので、その面からする探知はできない、こう思うわけであります。過料でありますから、そういう規定がある以上、その遵守を求めるために過料という制裁を科するわけでありますけれども、職権探知でありますから、どこからの通知もなく探知をできるというたてまえにはなっております。ただ、現実の問題といたしましては、先ほど御質問にもございましたように、戸籍法の通知あるいは商業登記の登記の僻怠というようなものが実際問題として過料が現に行われておるというわけでありまして、ただいま申しましたような過料については、将来もそれほど数が多く出るということは予想されないことはおっしゃるとおりであると思います。
○稲葉委員 そうすると、常勤監査役の制度をちゃんと法律で規定しておいて、それを登記事項にしなかったというのはどういうわけなんですか。
○中島(一)政府委員 登記事項という場合には、第三者と申しましょうか、取引の相手方に対する関係もございます。常勤監査役につきましてはそういった必要性が、その他の登記事項たる取締役、支配人その他の者ほどではないということによるものでございます。
○稲葉委員 取締役といったって代表取締役だけでしょう、登記上の記載事項は。あとはただ取締役と記載するだけじゃないのですか。使用人というのは登記記載事項になっていますか。
○中島(一)政府委員 使用人は登記事項になっておりません。私申し上げましたのは、支配人ということで登記事項になっておるという意味でございます。
○稲葉委員 取締役です。取締役は代表取締役という形で登記事項になっておるけれども、常勤取締役というものはないかな。専務とか常務とか言っているけれども、そんなのは関係ないけれども、取締役でしょう。だから法律的な登記事項にはなっていないでしょう、こう聞いているわけです。
○元木説明員 お答えいたします。 商法のたてまえでは、代表権を持つ取締役、つまり代表取締役は対外的に会社を代表して契約するということでございますので、対第三者関係がございますので、代表取締役のみは代表取締役ということで登記をするわけでございます。 常勤監査役の点でございますけれども、これは常勤監査役になったということで特に対第三者の関係で何らかの効力が生ずるということではございませんので、その点から登記をしないということでございます。
○稲葉委員 いまの答えは、私もそのとおりだと思いますね。間違いじゃありません。 そこで、子会社ということもさっき出ましたが、一体子会社というものの定義はどういうことになりますか。
○元木説明員 まず、原則といたしましては、他の会社からその発行済み株式総数の過半数を保有されているものということでございますけれども、さらに、そういう親会社と子会社が双方で五〇%を超えて持たれている会社、言ってみれば孫会社でございますけれども、これも定義上子会社ということになっております。
○稲葉委員 そうすると、外国法人はどうですか。外国法人の場合でも子会社という考え方は適用になりますか、なりませんか。
○元木説明員 外国法人という御質問がちょっとわからないのでございますけれども、日本の場合でございますと、日本法に従って設立された会社は全部日本法人でございますので、たとえ外国の資本が入っておりましても、日本の会社によって五〇%を超えて持たれている会社は子会社ということになるわけでございます。しかし、外国の法人、つまり外国で設立された会社によって持たれている会社というのは子会社に入らないというわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、私の質問がちょっと簡略過ぎたのですが、私の言う意味は、外国で設立されてはおるけれども、日本のAならAという会社がたとえば全株なら全株を持っておる外国法人、これは内国法人ではないわけでしょう。日本の法人ではないですね。そういう場合に、日本の会社の監査役がその外国法人の取締役なり監査役になることができるのかと、こう聞いているわけです。それが質問の趣旨ですよ。
○元木説明員 あるいは質問を誤解しておるかもしれませんけれども、先生の御質問は、外国法人が、法律的にも外国法人でございますが、その法律的に外国法人が日本法によって設立された会社の五〇%を超す株式を持っている、その場合に、その外国法人たる親会社の監査役が子会社の取締役になれるかという御質問だと思いますけれども、これは結局、現行法のもとではなれるということでございます。
○稲葉委員 いや、私の言うのは一〇〇%の場合。形だけ外国法人の形をとる場合あるでしょう。外国進出している場合に、甲という会社がこっちにあるけれども、別の外国法人の形をとるでしょう。とるけれども、一〇〇%こっちが支出しているという場合がありますね。そういう場合に、こちらの監査役なりあるいは取締役、特に取締役になれるのかどうかということを聞いているわけです。
○元木説明員 その子会社たる外国法人につきましては、あくまでその国の法制に従うわけでございますから、日本法では何らの制限は加えられないということでございます。
○稲葉委員 しかし、そういうふうに言っているけれども、これは「監査役が海外子会社の取締役等を兼任することの可否」「親会社が日本法人で一〇〇%出資の海外子会社がありますが、親会社の監査役が、その子会社の取締役なり使用人になることは禁止されないものと思われますが、いかがでしょうか。」ということに対して、岩佐という、これは民事四課の人ですか、この人は、そういう場合には「実質的には内国会社である子会社と同様に親会社に支配され従属した立場にある」だから「監査役の兼任禁止の趣旨等から考えれば、監査役の兼任禁止の規定の適用を受ける子会社と解することができると考えます。したがって、親会社の監査役はこのような海外子会社の取締役あるいは使用人等との兼任はできないものと考えます。」こう言っていますよ。 だから、私の質問の趣旨をあなたの方でも十分理解されない、あなたの方の答えを私が十分理解しないという点があるかもわかりませんが、私が言ったのは、いま言ったような例の場合、一〇〇%持っていて、事実上法人格が違うわけでしょう。片方は内国法人、片方は外国法人、こういう場合には実質上子会社じゃないか、こういう場合にはどうなのかと聞いているわけです。法律の方ではできるように考えられるのですよ。ただ、実際はできないと考えるのが正しい、こういうのが法務省の答えじゃないんですか。
○元木説明員 お答え申し上げます。 いまの問題は、結局外国法の立場から、つまりその子会社はあくまで外国会社でございますので、外国法の適用によってそれが禁止されるかどうかということは、その外国法の問題ということになるわけでございます。それに対しまして、日本法の立場から言いますと、これはやはり禁止される。しかしただ、これはあくまで日本法からの立場だけでございまして、外国法人としてその法人にどのような効果が生ずるかということにつきましては、あくまで外国の法の問題じゃなかろうかと思います。
○稲葉委員 よくわかりませんけれどもね。そうすると、そういうのはこのごろふえてきているわけです。ことに海外に別会社を持っているけれども事実上子会社であるという場合に、今後問題が非常にできてきますよ。これはもう海外に進出するためにはみんなそういう形をとるわけですからね。だから、法律では禁止されてないのだけれども、実際は兼任禁止の趣旨からいってできないと解釈するのが正しいという理解の仕方を、この四課の人はそういうふうに答えておるようですね。ですから、それはそれとして、その方が正しいのじゃないかと私も思います。形式的にはできるように見えるけれども、実質的には趣旨からいってできない、こういう理解の仕方がいいのじゃないかと思うのです。 もう一つの問題は、一体監査役というのは、会社側ですね、いわゆる使用人と従業員という形に立つと、どっちに入るのですか、これは。
○元木説明員 これはいわゆる会社の機関でございまして、使用人はもちろん兼ねませんし、使用人の側に立つというものでもございません。そうかといって取締役ではございませんので、いわゆる経営者という立場でもございません。あくまで業務及び会計の監査をする会社の機関であるということになろうかと思います。
○稲葉委員 そうすると、監査役が労働組合と使用者との間の調整に取り組むということは、これはできるということですか、できないということなんですか。
○元木説明員 監査役の立場からいたしますと、できないということになろうかと思います。と申しますのは、やはりそういう調整ということも一種の業務執行ではないかと考えられますので、不可能かと存じます。
○稲葉委員 監査役という立場からして、それが本当でしょうね。できるように実際には何か当たっている場合もあるらしいので、ちょっと聞いたわけです。 そこで、監査役のいわゆる業務監査ということと会計監査とありますね。そうすると、その業務監査というのは具体的にどういうことを言うのですか。
○元木説明員 一般に言われておりますのは、業務監査には妥当性の監査と違法性の監査と二つあると言われております。具体的に申しますと、会社の業務をやる上におきましては、いわゆる事業上の判断というものが加えられるわけでございます。そういう経営者の判断として妥当かどうかということが妥当性の判断ということで、経営者が業務上違法行為をしているかどうかということが違法性の判断ということになっているわけでございますけれども、ただいまの一般的な解釈といたしましては、この監査役は妥当性の判断、つまりビジネスとしてやることがいいか悪いか、うまいか下手かというような点についての判断には及ばない、ただ業務上違法な行為をしているかどうかという点についての判断に限られるというふうな解釈が一般でございます。
○稲葉委員 そうなってくると、監査役の監査というのは内容が事実上むずかしくなってくるのじゃないですか。違法性の監査といったところで、取締役会にこれは違法でないと言ってがんばられたらそれでおしまいじゃないですか、違法か違法でないかということは最終的には裁判所が決めることで。妥当性の問題だと、これはなかなかむずかしいですよ。そうなると監査役の権限は物すごく強くなっちゃって、取締役なんかその配下に置かれるような形になっちゃう。だからそこは避けちゃうわけでしょう。具体的に言うと、違法性の監査というのは例を挙げるとどういうふうなあれですか。
○元木説明員 たとえば具体的な業務執行のやっていること自体が法律に違反しているというような場合でございますと、これは明らかにその業務執行が違法であるということになりますので、それについては監査役といたしましては差し止請求なりあるいは取締役会を招集してそういう点を報告するということになろうかと思います。
○稲葉委員 それはあたりまえなんだ。そういうことを聞いているのじゃなくて、具体的な事実の例を挙げて説明をしてくださいとこっちは聞いているわけです。違法だと言うのでしょう。だからどういう場合に違法なのかという具体的な例を挙げて、監査役はどういう役割りを果たして、どういうふうにするのかということを説明してください、こう聞いているわけですよ。
○元木説明員 具体的な例といたしましては、取締役のやっている行為が独禁法違反であるというような場合でございますけれども、そういう場合には監査役としてはそれについて何らかの処置をしなければいけないということになろうかと思います。
○稲葉委員 取締役が独禁法の違反だということになると、具体的に監査役はどうするのですか。
○元木説明員 先ほども出ました取締役の行為の差止請求もございますし、それから、今度の改正法案では取締役会の招集請求を認めておりますので、そういうことで取締役会を招集いたしまして、そこで報告するというようなことになろうかと思います。
○稲葉委員 いま私の言ったのは、独禁法違反ということについては、たとえば価格のカルテルの問題もあるでしょう、数量の生産調整の問題もあるでしょう、そういう場合に監査役がそのことをかれこれ言える筋合いにはないのじゃないですか。いま日本の場合はあらゆる会社が——アメリカと違いますよ。アメリカの独占禁止法というのは非常に厳しいのです、アメリカというのは自由競争というものをそれだけとうとんでいる国ですから。いい悪いは別ですよ。アメリカの資本主義というのはそういうことです。日本の場合には明治以来の資本主義の発展が中途半端なんです。官民入り乱れたような形の資本主義ですからね。だから、日本では独禁法というのは事実上余り運用されてないわけです。骨抜きにされているというわけなんです。 では、具体的に独禁法の違反だということで監査役がそれを指摘したという例はありますか。具体的に何かありますか。
○元木説明員 それはまだ聞いておりません。
○稲葉委員 これは大臣にも聞いておいていただきたいのですが、日本の独禁法というのは骨抜きなんですよ。どういう点が骨抜きか、これはいろいろあります。第一には、消費者に対する立場で非常に骨抜きなんです。消費者は独禁法違反だということを直接訴える権限は何もないのですね。それから、公正取引委員会が告発しなければ検察庁は乗り出さないわけでしょう。ところが、公正取引委員会は告発をめったにしませんね。この前の石油カルテルのようなときに初めてやったんで、なぜしないかと言ったら、刑事局長はいないけれども、あの告発をやられたら検察庁はもうお手上げなんです。何にも仕事ができなくなっちゃうのですよ。二特捜部の人から刑事部の人からありとあらゆる人全部を集めてやらなければ、とにかくカルテルの問題については検察庁の捜査はできないのです。だから、いまのような公正取引委員会の独禁法の改正について、告発権を消費者に認めてくれということについては、検察庁の方で、とにかくそれは勘弁してくれ、それをやられた日には仕事ができなくなっちゃうから勘弁してくれと言っているのですよ。これは後の話ですけれどもね。これは公正取引委員会へ行って聞いてみればわかりますよ。まあ検事が一人入っていますけれども。 だから、あなたの直接の関係じゃないかもわからぬけれども、カルテルに対する考え方が日本の場合とアメリカの場合と全く違うでしょう。それはおわかりでしょう。アメリカの場合は非常に厳しいですね。懲役までありますよ。日本の場合はほとんどそれがない。野放し状態である。それは一体どこに原因があるかということですよ。どこにその違いがあるとお考えでしょうか。
○元木説明員 お答えいたします。 これはアメリカとの差では、まず連邦と州というような制度上の差の問題と、それから、いわゆる国民性と申しますか、人柄あるいは慣習、物の考え方というような差からも出てくるのじゃないかと思います。
○稲葉委員 これは結論的にはそうなんですね。日本の場合はカルテルが全く放任状態なんですね。だから日本の場合は独占が非常に多いのです。アメリカの資本主義は資本主義なりに自由競争というものを非常にとうとぶわけですね。だから今度の自動車の場合だって、日本の自動車が自主規制するとすれば、アメリカでは自主規制というのは生産調整だ、カルテルだ、こう見るわけでしょう。そこに非常に大きな違いがあるのです。これはここのあれじゃありませんで、商工委員会か何かの問題ですからあれしませんが。 そこで、もう一つの問題は、業務監査のほかに会計監査がある。それは具体的にはどういうふうに監査役はやるのですか。一人でやるのですか、具体的にどうやってやるのですか。
○元木説明員 これはもちろん、大会社におきましては監査役が一人で自分でやるということはできませんので、手足を使うということになろうかと思います。具体的に申しますと、大会社でございますと、多くの場合監査役室というのがございますので、そこにいるスタッフを使ってやるということでございますけれども、これはあくまで監査役の手足でございますので、その結果についてはすべて監査役が責任を負わなければいかぬということになろうかと思います。
○稲葉委員 いま言ったように、前の業務監査の場合に、日本の場合には違法のことについてしか監査権がないというのでしょう。その妥当性については監査権がないというのでしょう。それはそれとして、監査役が違法についての監査を発見してやったということは、日本の場合にはあなたは聞いたことがないと言うのでしょう。あるいはどこかにあるのかもわからぬけれども、監査役というのは日本の場合にはそれほど有名無実なんですよ。これはアメリカや何かと違うのですよ。それが一つと、それから会計監査の場合に、自分がやるのではなくて、監査役室というのもスタッフがありますから、そこを使ってやるわけですね。それはやって、その結果不正を発見したとかなんとかということで取締役が罰せられたとかいうことがありますか。その結果が生きてきたということは具体的にどんなことがありますか。
○中島(一)政府委員 監査役の業務でございますけれども、先ほど問題になっておりました業務の監査、これは会社の日常の業務全般に及ぶものであろうというふうに考えております。したがいまして、監査役といたしましては、常に会社の事業の執行について注意を払っておらなければならない。今回、大会社につきまして複数の監査役を置いて、しかもそのうちの一人は常勤でなければならないということにいたしましたのも、監査役が会社の中に絶えず身を置いて会社の動きに注意を払っていなければならないということの必要性から、そういうことになったのであろうというふうに考えております。 そういたしまして、問題があるということになりますれば、監査役としては使用人に対する質問権というものがございます。使用人としては、監査役から質問をされた場合には、それに答えなければならないということがございます。それで、さらに問題が深いということになりますれば、その取締役に事前の注意をするというようなことも考えられます。それでは問題がおさまらないという場合には、これも今回の改正法で設けられた制度でありますが、監査役が取締役会の招集権というものがございますから、取締役会を招集して、そしてそこで自分の意見を述べるというようなこともございます。 事柄は、独禁法のみに限りませんで、会社の業務全般にわたるわけでありますから、しかもそれは法律のみではありませんで、会社の定款に反するかどうかというようなことも判断の対象、監査の対象になってまいるわけであります。 それからもう一つは、監査役の会計監査でありますけれども、会計監査につきましては、いま元木参事官からも申しましたように、監査役室というスタッフが置かれておるのが通常であろうかと思うわけでありまして、監査役としては、もし問題があるということであれば、各事業所、工場その他に行って実地にいろいろ監査をする、あるいは在庫を調べるなり帳簿を調べるなりというようなこともあり得るわけであります。それから、大会社につきましては、会計監査人というものがおりまして会計監査をすることになっておりますので、監査役はその会計監査人の意見を聞くことができるというような制度もございます。あらゆる方法を駆使して監査役としては会社の業務全般にわたっての監査をする、これが私どもの期待しておる監査役の業務ということになるわけでございます。
○稲葉委員 お話はよくわかりますけれども、そうすると、今度法律が通ると、常勤監査役は毎日会社に行っている、それはわかりましたね。そうすると、取締役が決裁印を押す書類は全部見て、常勤監査役が全部そこに判こを押すのですか。そうでないと業務の執行ができないということですか。それなら話はわかりますよ。そんなことにならないでしょう。どうでしょうか、それは。どこまで期待しておるわけですか。そんなことをやったら会社の自治というのは破壊されてしまって、監査役はよけいなことをやるといって文句が出てしまって、収拾がつかないでしょう。取締役が判こを押す決裁書類は監査役がその日に全部見て、同じ日に判こを押すのですか。そういうことになるのですか。これはどうなるのですか。
○中島(一)政府委員 書類全体について監査役が目を通すというようなことではないと思いますけれども、私、会社の実態をよく知りませんけれども、役所ではやはり監査室というようなものがございまして、会計上の問題について若干問題がありそうだという場合には、まず監査室に相談をいたします。監査室でもそういう問題については関心を持って、あれはどうなったかというようなことでチェックをしておるわけであります。そもそも、取締役といたしましては、部内にそういう監査機構があるということが一つのチェックになろうかと思うわけでありまして、さらに具体的には、若干問題のありそうなケースについて監査役に相談をする、事前にそういう問題のある監査処理、問題のある業務執行というものがチェックされるということに期待を持っておるわけでございます。
○稲葉委員 期待を持っていることはよくわかるのですけれども、そんなふうにいきっこないですよ。 では、会社の中で取締役と監査役とはどっちが地位が上だというふうに一般の人は考えていますか。
○中島(一)政府委員 これはその会社会社における人的構成その他沿革的なものもございましょうし、一概には言えないと思いますけれども、確かに、監査役側に取締役に対する一種のコンプレックスがあるというようなことを言う人もございまして、そういう面も全く否定できないことであろうというふうに考えておりますけれども、私どもの期待しております監査役というのは、そういうことではなくて、監査役の立場として監査すべきものは監査する、チェックすべきものはチェックする、こういうことであるべきだということでございます。
○稲葉委員 あるべきだということはわかるのですね。それ以上のことを法律が期待して、事実上監査役にやらせようといったってそれは無理ですよ。アメリカと日本との違いというのは、監査役と会社の代表取締役がいるでしょう。監査役が違法を指摘するでしょう。違法というか、妥当でないという場合も指摘するのかもわからぬけれども、その場合には、会社の代表取締役の方が首を切られる。日本の場合は逆なのだ。監査役の方が首を切られてしまうというのがわかりやすい話ですよ。そういうふうに立場が違っておるということなんですよ。これはだれが見てもそうですよ、会社の実態を見れば。会社の実態を法務省にそこまで調べろといったって、これは無理な話で、ある程度のことはわかるかもわかりませんけれども、会社の内部に法務省が入っていくあれはありませんからね。 そうすると、会計監査というのは、具体的には会計監査人というものと一緒にやるわけですか。今度の規定もありますけれども、四十九年の改正以来、普通の場合には会計監査人というもの、公認会計士がいるわけでしょう。それとの間で、公認会計士が中心になってやるのですか、監査役が中心となってやるのですか。実際にはどういうふうに会計監査というものは行われているわけですか。
○元木説明員 監査役は会計監査と業務監査と両方やるわけでございます。それから、会計監査人は会計監査のみを行うということになっております。したがいまして、四十九年の監査特例法以来、まず会計監査につきましては一次的に会計監査人が行うということにいたしております。そして、もちろん監査役も、会計監査人がいるいないにかわらず、みずからも会計監査を行わなければいけないわけでございますけれども、もし会計監査人の監査結果が自分のやった結果と照らし合わせて正しいということになりましたならば、それはそれでそのまま監査役としては積極的に意見は言わないということになるわけでございます。したがって、会計監査人がいる限り、監査役の会計監査はいわば二次的なものということになろうかと思います。
○稲葉委員 そうすると、業務監査というのは違法性のことしか監査できないというのですから、あなた、ほとんどやることはないんじゃないですか。会計監査の方は会計監査人の方に任せっ放しというと、結局、会社に行ってもお茶を飲んで新聞を読んでいる以外にないということになってしまうのじゃないですか。そうばかりとは限りませんよ。そうでない場合もありますけれども、余りやったら会社からいやがられてしまうでしょう。いやがられて、この次再選されない。それは株主総会で再選されるのかどうかあれですけれども、株主総会で再選するとかしないとかいったって、それは全部取締役会でおぜん立てするのでしょう。案は取締役会で出すのでしょう。そういうわけでしょう。それなら、取締役のごきげんを損じたら首になってしまうじゃないですか。そういう形なんですよ。それがいいとか悪いとかいうのじゃないですよ。そういうふうなものなのでしょうね。 それ以上監査役の権限を強くしたら、会社というものはもたないということにも考えられますし、なかなかむずかしいところは確かにむずかしいのです。だから、監査役というのは大体大した役には立たないということにならざるを得ない。いま局長も言ったように、大体監査役にされたらおれはおしまいだということですよ。取締役も終わって社長にもなれない、おまえ、ちょっと監査役を一年か二年やっていけというような程度のもの、あるいは取締役になれないけれども、まあ何とか役付にしておけというので監査役にしておくもの、そこで終わりだ、こういうふうなものじゃないですかな。全部そうじゃないですよ。そうじゃないのもいるけれども、そういう人もいるというふうに私は考えます。 そこでもう一つの問題は、いま言った公認会計士と会社との会計監査の契約といいますか、それは現実にはどういうふうにして行われるのですか。監査役の意見が入れられるのですか、あるいは監査役に関係なく会計監査人というものは選んでいくのですか、それはどうなっているのですか。
○元木説明員 現行法では、まず会計監査人は取締役会が選任するということになっております。ただ、その場合には監査役の過半数の同意を得なければいかぬということになっているわけでございます。これに対しまして、今回の改正法律案では株主総会が選任するということになっております。そうして、会計監査人の選任につきましての議題または議案につきましては、監査役の過半数の同意を得なければいかぬということになっております。
○稲葉委員 それはわかっている。今度の法律でそういうふうになっていますから、それはそのとおりなんですが、私の言うのは、会計監査人というものを選んで、会計監査人が監査するでしょう。それは第一次監査をするというのでしょう。それがオーケーならば、実際問題としては、監査役というものはただ判こを押すだけということになるわけでしょう。そうすると、会計監査人というものは会社とどういう関係に立つのですかと聞いているのです。これは雇用契約になるのか。雇用でもないでしょうけれども、委任契約になるのか、何の契約になるのか。どういう関係になるのですか。
○元木説明員 一般的な見解といたしましては、準委任契約であるという考え方が多いようでございます。中には請負契約であるというふうに解釈する人もいるようでございますけれども……。
○稲葉委員 そこで、よくこういう言葉が使われているでしょう。自己監査は監査にあらずという言葉が使われていますね。これは具体的にはどういう意味なんですか。
○元木説明員 これは自分の内部の者が——内部の者と言ってよろしいかどうかわかりませんけれども、要するに、内部の者が監査するということでは十分な監査の公平が期し得ないということであろうかと思います。
○稲葉委員 そのとおりですね。だから、監査役も内部の者なのじゃないですか。会社から給料をもらっているのでしょう。だれが給料を出すのですか。株主総会が給料を出すのですか。じゃ、その給料なんかはだれが決めるのですか。
○元木説明員 監査役は会社が給料を払います。
○稲葉委員 会社が給料を払って、会社から給料をもらっている人が監査をするのだから、それは自己監査と言えるのじゃないですか。違いますか。
○元木説明員 御承知のように、現在の株式会社は、機関といたしまして株主総会とそれから取締役あるいは取締役会と監査役ということになっているわけでございます。それで、言ってみますればお互いにそれぞれが束縛し合う関係ということになろうかと思います。したがいまして、監査役は会社自体を監査するのではなくて、取締役の業務執行あるいは会計書類というものを監査するわけでございますから、必ずしもそこのところは、会社からもらうから直ちに会計監査が十分でないという結論には至らないのではないかと思います。
○稲葉委員 そうすると、監査役の給料は一体だれが決めるのですか。原案はだれが出すの。
○元木説明員 原案は取締役会で決定いたしまして、総会で決めるということになるわけでございます。
○稲葉委員 株主総会で選任の方は決めるのでしょうけれども、給料まで決めるのですか。それは決算の承認か何かのとき、あるいは予算の承認なんかのときか知らぬけれども、給料まで一々決めますか。
○元木説明員 たてまえとしては給料も決めるということではないかと思います。と申しますのは、総会で監査役を選任するわけでございますけれども、選任いたしました場合にどのようにして就任承諾が行われるかということにつきましては、いろいろ学説も分かれているわけでございます。しかし、商法のたてまえといたしましては、少なくとも選任された場合に監査役に就任するだけの資格ができる、その場合に、理屈といたしましては、報酬も決まっていなければ監査役としても就任承諾できないのじゃないかという問題がございます。したがいまして、選任と報酬というものが同時に総会で決定されてしかるべきものかと思います。
○稲葉委員 だから、私の聞いているのは、株主総会の中に単独の議案として、監査役の選任と同時に監査役の報酬まで決まって出るのですか、あるいは全体の予算という形の中で出るのですか。予算という形の中で出れば、監査役の給料まではわからないのじゃないですか。
○元木説明員 全体の予算の中で決まるわけでございます。ただ、今回の改正案におきましては、監査役の報酬につきましては取締役とは別に総会で決定をするということにいたしまして、そして、もし総会で監査役の報酬につきまして総額で決議いたしました場合には、これは各個の監査役について決議するのが本当だと思いますけれども、もし一括して決議された場合には、これは監査役の間でその分配を協議するということにいたしております。それからまた、監査役は総会で監査役の報酬につきまして意見を言うことができるということにして、できるだけ相当な報酬がもらえるようにということの配慮をいたしているわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、常勤監査役になると、取締役の報酬との間はどのくらい差があるのですか、普通の場合には。どういうふうに考えていますか。
○元木説明員 これはそれぞれの会社の特殊性によって決まるかと思いますけれども、少なくとも会社に常勤しなければいけないという監査役につきましては、常勤する取締役との均衡というものも考えられるのじゃなかろうかと思われます。
○稲葉委員 均衡というのは、どっちなの。取締役より上の方ということですか。上の方も均衡ですよ。下の方も均衡ですよ。取締役よりずっと地位が下だというふうに見て、それより低いのが普通じゃないですか。それはあたりまえの話でしょう。監査役というのは、とにかく会社では、何というか、いわゆる閑職みたいなものですから、余りやったらいやがられて会社からおっぽり出されてしまうのじゃないですか、現実問題として。だから、監査役がそういうふうに会計監査して不正を発見して、そのことによって会社がかえって逆によくなったという例なんかちっともありゃせぬのじゃないですか。だから、これは監査役の制度も問題だし、それから監査人の制度も非常な問題があるわけです。 そこで、日本の場合は監査役は二年間ですね。これは二年間とした理由はどういう理由なんですか。
○元木説明員 これは昭和四十九年の改正におきまして、監査役の任期が二年ということになったわけでございます。それ以前は一年ということでございました。これは一年では監査役の地位というものが非常に安定しないということで二年にされたわけでございます。これは御承知のように、取締役の任期も二年でございますけれども、取締役の場合は二年が最大限でございます。それに対して、監査役の場合は必ず二年としなければいかぬということで、一応地位の安定を図っているということでございます。
○稲葉委員 それは商法の二百五十六条一項の規定と二百七十三条一項の規定との違いでしょう。それはそうでしょう。そんなことは条文を見ればわかるのです。 それはそれでいいとして、私のもう一つ聞きたいことは、ごちゃごちゃしちゃって済みませんけれども、そうすると、監査役を二年たった場合に、総会で再任しないということのためには、正当な理由がなければ再任を拒むことができないのですか。あるいはそこで全然白紙になって、新たに別の人を選ぶことができるのですか。それはどういう規定になっているのですか。
○元木説明員 白紙の状態から選任するということになるわけでございます。
○稲葉委員 白紙の状態から選任されるということならば、会社に不利ないろいろなことをやったりなんかしたならば、そこでこの次もう再任されないという危険性が出てくるからということで、結局鳴かず飛ばずで適当にやっていけということになってきてしまう可能性があるわけですね。だから、監査役制度というのはある程度強くしなければならぬけれども、余り強くなっては困るというのが常識的な見方でしょう。だれが見たって、一般的な常識的な見方ですね。監査役制度をどんなによくしたって、会社がよくなるとか不正がなくなるとか、そんなものじゃないですよ、会社というのは。これはあたりまえの話なんでね。法務省が幾らがんばったって、ここで社会的な目的を幾ら第一条で掲げたって——今度掲げないけれども、幾ら企業の社会的目的を掲げたって、資本主義の原則の会社が、金もうけを忘れてそのとおりやるわけないですよ。そんなことをやっていた日には会社はつぶれて、ほかとの競争で負けちゃうからね。そういうわけですね。 そこで、私はもう一つ聞きたいのは、きょうすぐというわけにはいかないかもわかりませんけれども、アメリカの会計監査人の選任の場合と日本の場合とでどういうふうに違うかということですね。ということは、アメリカの場合は、原則としては二年なら二年で、会計監査人は余り長く癒着をするといけないということで、そこで大体打ち切ってしまう。特別な関係の場合は例外があるけれども、大体二年くらいで打ち切ってしまうということですね。いまの監査役の質問とちょっと矛盾するかもわからないのですけれども、そういうふうに私は聞いておるわけですね。その点はドライですからね。非常にアメリカの場合はドライに割り切っているけれども、日本の場合は、会社から給料をもらっていれば会社に対して忠誠を励むというのはあたりまえだという考え方になりますから、どうしてもその点で問題が、そこに人情が絡むというかそういう形になってきて、十分な監査もできないし、監査人の会計監査も十分に行われがたい、そういう仕組みになっておるのではないか。これをアメリカの場合と対比してこの次にまたお聞きしたい、こういうふうに思います。 きょうは私は序論的なことをいろいろお聞きしたわけで、ちょっと細かく入った点もありまして申しわけないと思いますが、これは非常にいろんな問題があるところなんですよ。いろんな問題があるところなんですから、十分いろんな資料を出していただいて私どもの方も研究させてもらいたい、こういうふうに考えるわけです。きょう第一回の表ですから、九回の裏までありますから、第一回の表をきょうはこれで私の質問を終わります。
○高鳥委員長 この際、暫次休憩いたします。 午後一時五十二分休憩 ————◇————— 午後二時三十四分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鍛治清君。
○鍛治委員 質疑をさせていただきます。 最初に大臣に、趣旨説明と一応大綱的な説明はお聞きいたしておりますけれども、再度、今回の本法案の改正の主目的、これはどういうところにあるのか、また、この改正に取り組まれる大臣の決意をお伺いいたしておきたいと思います。
○奥野国務大臣 一つは、経済情勢の変化に対応する会社制度ということでございまして、貨幣価値も変わってきておることでもございますので、株式の単位を引き上げさせていただきたいということでございます。同時に、企業の国際化を考えますと、資金を確保するその手段において、外国ではすでに新株の権利つきの社債発行の制度がございますので、これも導入したいということでございます。 もう一つは、会社の実態あるいはまたそのことから社会の公正を確保するというような意味合いにおきまして、会社の自主監視機能を強化していきたいということでございます。いわゆる総会屋対策というようなこともございますし、あるいは取締役会なり監査役なり会計監査人なりの制度について整備していきたいということでございます。やはり現在の社会から最も要請されておりますのは、企業がそれぞれ社会的に公正な活動をしていく、同時に、株主や債権者に不測の損害を与えないというようなこともございますので、ぜひ早急に成立を見たい。また、そのために、会社法の全面改正を当初意図しておきながら、さしあたり早急に改革しなければならない、また改正できるというものにしぼって提案させていただいたわけでございますので、何としてもこの国会で成立させていただきたいなという気持ちを深く持っているものでございます。
○鍛治委員 説明をいただき、御決意も伺ったわけでありますが、その主目的について若干質問をさせていただきたいと思います。 最初に、昭和四十九年の商法改正の際に附帯決議が付されました。その中で特に大会社の不正事件による社会的な影響というものについて議論がなされたようでございまして、この社会的責任を、所要の改正を先々行う際には明確にするようにすべきであろうというふうな附帯決議がなされているわけであります。その社会的責任ということについて、直接の規定というものが今回どうも見当たらない、こういうふうに思うわけでございますが、それはどういう理由があるのか。 さらには、大小会社の区別ということで、やはり所要の改正等についての検討を行えということが附帯決議でなされておるわけでございます。これは午前中の質問の中にも若干触れられて重なる問題でもございますが、これは重要な問題でございますのでお答えを願いたいわけであります。 法務省から提出されました資料によりますと、現在あります株式会社の数は約九十八万社、膨大な数になっておりまして、そのうち資本金五十億円以上の大会社は七百六社、一方、資本金百万未満の小会社も約六万六千社というふうに出ておりますが、これは全般的に見ますと五千万円以下の会社が約九十四万社、全体の九六%を占めている、こういうふうに出ております。こういう株式会社の実態を考えますと、やはり大会社と小会社を同じ株式会社の制度のもとで扱うということは非常に限界に来ているのではないだろうか。できれば大中小という三段階に分けた形で適用させていくというのが妥当ではないだろうか、こういうふうな意見もありますし、さらには、商法の二百八十三条の三項で貸借対照表等公表の規定がございますけれども、九十八万ある株式会社の中で約三千社くらいしか公表がされてない。ということは、この二百八十三条の三項というのが空文に等しくなっているのではないか。それは法そのものがやはり中小といいますか、零細の株式会社まで含めましてやはり適用がちょっとむずかしくなっているんじゃないだろうか、こういうような気もいたすわけでございますが、以上の点についてお答えをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 四十九年に衆議院の法務委員会からいただきました附帯決議によりますと、企業の社会的責任について、さらには大小会社の区分について所要の改正を検討すべきであるという項目が含まれていたことは、ただいま御指摘のとおりでございます。法制審議会におきましても、当初、そういう項目をも含めまして会社法の全面改正ということで取り組んでまいったわけでございますけれども、ただいま大臣も申されましたようなことで、途中で全面改正の方針を切りかえて、緊急必要な改正のみにしぼって答申をいただいたというようないきさつでございますので、今回の改正案には社会的責任そのものの規定、それから大小会社の区分についての規定というものは含まれておりません。 その社会的責任の問題、大小会社の区分についての問題につきまして、問題点を若干申し上げておきたいと思うわけでありますけれども、商法の中に会社の社会的責任に関する規定を置くという方法といたしましては、一つの方法は、そういう規定を一般的な規定として設けるという方法であります。もう一つは、会社法の個々の制度の改善を図りまして、これを通じて会社が社会的責任を果たすことができるような方法をとるということが考えられるわけでございます。第一の方法によりまして商法中にそのような一般的な規定を設けましても、それは単なる精神的な規定になるんじゃなかろうか、実効性が疑わしいということで批判もあるわけでございます。そこで第二の方法をとりまして、個々の制度について規定を置くということが現実的な方法ではなかろうか。今回の改正案によりましては、この第二の方法をとりまして、幾つかの規定を置いております。 まず、株主総会における取締役及び監査役の説明義務、それから株主の提案権に関する規定を新設をいたしました。それから、営業報告書の記載方法を法定いたしまして、また、監査報告書の記載を充実をすることによって企業内容の開示の強化を図るということを考えております。さらに、監査役の監査権限を強化し、会計監査人による監査を拡充強化いたしまして、これによって株主及び会社債権者の保護を図っておる。これらの規定は、広い意味において会社の社会的責任を強化するものであるということが言えるかと思うわけでございます。 法制審議会商法部会におきましては、まだ社会的責任を直接のテーマとする審議は行われておらないわけでありますので、この問題に関してなお残された問題があるわけでありますので、今後継続されることが予定されております会社法の根本改正のための審議において検討をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、大小会社の区分の問題でございますが、これも会社法の全分野にわたって大小会社を区分いたしまして、その規模に応じた規制の分化を考えるということ、これは大問題でございます。まず、どうしても株式会社の最低資本金というものを法定をして、そして現在の株式会社とそうでないものとに分けなければならないということになるわけであります。しかし、そういうような大改正がわが国の株式会社の大部分を占める先ほどお話にもございました小規模会社に影響するところはきわめて大きいわけでありますので、その解決の方法を検討して、それについての国民的なコンセンサスを得るということは、相当の年月を要することではなかろうかというふうに考えるわけであります。そこで、この問題も、やはり今後の法制審議会の審議においてなお十分に検討していただくことが適当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○鍛治委員 いま御答弁いただいた中の内容についてもこれから少しずつ触れさせていただきますが、その前に、いま大小の会社の区別の件でお答えがございましたが、方向性としてはそういう方向でいくのが望ましいというふうにお考えであるのかどうか、さらに、これには税理士会、公認会計士会との絡みもあるというふうにも伺っておるわけでありますが、こういったところの考え方等、もし御承知であればお答えをいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○中島(一)政府委員 先ほどからもお話が出ておりますように、会社が大規模なものから小規模、零細なものに至るまで非常に区々たる規模のものがあって、これを一律に株式会社法によって規制をするということは適当ではないという御意見は、すでにかなり以前から各界から出されておるわけでございまして、私どもも大小の区分を設けるという方向で検討すべきものであるというふうに考えております。四十九年の衆議院の法務委員会における附帯決議もあることでございますから、その方向で検討するということははっきり申し上げられることであろうと思っております。
○鍛治委員 じゃ、次に進みますが、ちょっと端的に御質問申し上げます。 今回の法改正の案の中で、一株の単位を五万円に引き上げるということになっておるわけでございますが、これと単位株制度とはどういう関係になっておるのか、この両制度の差異というものはどういうところにあるのか、その点をお尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 新設会社と申しましょうか、法改正後に設立をされる会社につきましては、一株の単位を五万円に引き上げるということになるわけであります。既存の会社につきましては、一株の単位を五万円に引き上げるのではなくて、一株の単位は現在のままで単位株制度という制度を設けるということになるわけであります。
○鍛治委員 そこで、一株の単位、これは新設の会社は五万円に引き上げるわけでありますが、この中で端株という制度を設けておるわけでございますけれども、私もこういう関係、素人でわかりにくい面があるのですが、端株というのは果たして必要なのだろうか。わざわざ五万円という一株の単位に決めていこうというのに、そういう端株というのはどうして設けるのだろうか、これは素朴な素人の質問かもわかりませんが、そういうふうな疑問点があるわけでございますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 先ほども申し上げましたように、一株の単位を五万円ということに引き上げるわけでありますが、その場合に、新株の発行ということがあるわけでありまして、新株の有償発行の際に株主に対して新株の引受権を与えるあるいは無償交付をするというようなことがございます。その場合には、現在の取り扱いでありますと、現在の持ち株に対して一割とか二割とかいう割合で無償交付をする、新株の引受権を与えるということになるわけでありますから、一株持っておる株主に対しましては〇・一株あるいは〇・二株という新株が割り当てになるわけであります。現在でもそういうことが行われておるわけでありますけれども、現在の一株は、何と申しましても額面五十円、せいぜい時価が千円とか二千円とかいうことになるわけでありますので、その〇・一株あるいは〇・二株というようなものが出ました場合でも、無償交付の場合は金銭によってこれを清算をしておるということでございます。 ところが、今回一株が五万円ということになりますと、その〇・一、〇・二ということになりますと、五千円とか一万円とか金額的にもかなりの金額になるわけであります。また小株主におきましては、自分の株が新株の割当によりましてだんだんにふえていくということを非常に楽しみにしておるというような人も少なくないわけでありますので、これを金銭で換算して清算してしまうということは必ずしも好ましくないということであります。そこで、一株の百分の一の整数倍に当たるものにつきましてはこれを端株という取り扱いにいたしまして、そして、その端株主というものは株主でないわけでありますから議決権はないわけであります。しかし、端株をだんだんに積み立てていきまして、ふやしていきまして一株になったときには株主としての扱いをする、こういうことが現実的ではなかろうかということで採用いたしましたのが端株制度である、こういうことになると思います。
○鍛治委員 次に、単位未満株の問題でちょっとお尋ねいたしますが、法務省が提出されました昭和五十四年度の資料によりますと、千株未満の株式の持ち株総数が全体の〇・八%にすぎないけれども、この株主の数は株主全体の二七・二%を占める、こういうふうに出ているわけでございます。本改正案は、既存の上場会社については単位株制度、先ほども御答弁ありましたように新たに採用しているわけでございますけれども、特に単位未満の株を持っている零細株主の方々には自益権を認める、利益配当請求権などの自益権は認めるけれども、議決権などの共益権を認めない、こういうふうにされておるようでありますが、これには何か合理的な理由があるのかどうか。さらにまた、これは株主平等の原則というものに反するのではないか、こういうふうに新聞等でも論調が出ておるのでございますが、この点についてどういうふうにお考えなのか、お尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 ただいまお話ございましたように、千株未満の単位未満株と申しましょうか、千株未満の株式を持っておる株主は、人数において非常に多いのに、その株式数は〇・八%という非常にわずかなパーセントになっておる、これはどういうことであろうかというふうに考えてみるわけでありますけれども、現在の証券取引の実際を申しますと、証券取引所におきましては千株単位に取引が行われておるわけであります。でありますから、通常の取引といたしましては千株の何倍かの株式を取得するということになるわけでありますが、それが先ほども申しましたような新株引受権を付与されたりあるいは無償交付を受けたりということで、だんだんに千株未満の株がふえてきた。そこで千何百何十株という株を持った株主がふえてきておるわけであります。それで、それがどうして千株未満の株主になったかと申しますと、それは、千株にまとまった株は、処分をする場合に通常の方法によって証券取引所によって処分ができる、しかし、それ未満のものにつきましては、換価をするのが非常に煩わしいために、千株単位のものは処分して、未満のものはそのまま残す、放置するといいましょうか置き去りにして、残っておるというのが実情ではなかろうか。 こういう人々は株主としての意識と申しましょうか、そういうものは非常に薄れておりまして、自分が会社の株主として議決権を行使するというような気持ちはそれほど強くないというふうに考えざるを得ないわけであります。ですから、そういう人にとりましては、株数も先ほどのお話のようにわずかでございますし、意識もそういうことであるとするならば、そういう人の議決権の行使を制限することによってそういう人に対する株主総会の通知その他を省略することができるということになれば、わずかな出資者に対して不相当に多額の株式管理費用をかけるということもなくなるわけでありまして、株式制度を合理化するという意味においては、こういう利益考量と申しましょうかによる判断というものは許されるものであろうということが、この単位株制度を設けた趣旨でございます。
○鍛治委員 単位株制度は、別に法律で定めるときに強制的に一株に併合するということにしているようでありますけれども、その理由はどういうところにあるのか、この点についてお答えをいただきたいと思うのです。初めから一株に併合する措置を講ずるという考えがなかったのだろうかということが一つです。 また、上場会社以外の既存の会社についても株式の単位の引き上げというものは行うべきではないのだろうかという気がするのですが、この点について、まあこれはたしか午前中の質疑の中でも若干触れられていたと思うのですが、昭和二十六年でしょうか株券が五百円ということにされたときに、既存の会社については任意だということであったために五十円の株券がいまだに残っておる、こういうような事実もあるようでありまして、これを任意の形にしておくと、いつまでたってもいままでのつながりでまたずるずると、せっかくの五万円株という一株の単位が守られずに行くのではないだろうか、こういうふうなことも考えるわけでございますが、その点についてお尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 ただいまも申しましたように、単位未満株というのは特殊な制度でございます。と申しますのは、株主でありながら議決権その他の共益権は制限をされておるという特殊な制度でありまして、これは半永久的に存続をすべき制度ではないというふうに私どもは考えております。でありますから、単位未満株につきましては会社に対して買い取り請求をすることができるわけでありまして、単位未満株というような非常に制限された株主の地位に甘んじない株主は、会社に対して買い取り請求をする、あるいはよそから単位未満株を買い取りまして一単位株として保有するということも可能であります。そういうふうに本人の選択によりまして単位未満株を解消する、あるいは単位未満株のまま持っておりたいという人はその選択に任せるわけでありますが、将来直ちに一単位株を一株に併合するというのではなくて、若干の猶予期間を置きまして、その間に本人が選択に従って単位未満株の処理をする、そしてその後単位未満株がどのように解消していくであろうかとか、あるいは貨幣価値がどうなっていくであろうかというようないろいろな事情を勘案しながら、しかるべき時期に一単位株を一株に併合するということを考えることが好ましいのではなかろうかということを考えておるわけでございます。 それからもう一点でありますが、非上場会社についても単位株制度をとる必要があるのではないかという御質問でございますが、私どもも単位株制度というのは非常に好ましい制度であるというふうに考えております。しかしながら、非上場会社ということになりますと、これは株式も公開をいたしておりません。株主の数もそれほど多くないというのが通常でございます。ですから、こういう会社に対しましても単位株制度をとるようにということを法律で強制するまでの必要はないのではなかろうか。でありますから、その会社それぞれの事情によりまして単位株制度をとることが好ましいということであるならば、会社の定款で単位株制度をとるということを定めてもらいたい、これが私どもの考え方でございます。
○鍛治委員 立ち入った御質疑につきましては、時間も私たちいただいておりますので、また後日に譲ります。 次に進みたいと思いますけれども、今回の改正案では子会社は原則として親会社の株式を取得することはできない、こういうふうになっているわけでございますが、その理由はどういうところにあるのか、お聞かせを願いたいと思います。 現在自己株式の取得が制限されているので、子会社に親会社の株式を保有させているというのが実情であるというふうにも言われているわけでありますが、ただ改正案が実施されましても、子会社の持つ親会社株式が一斉に放出されるような事態は余り考えられませんで、社内に株式保有機関を設けたり、親会社の子会社持ち株比率を引き下げて子会社扱いをやめるなどが検討されているようだ、そういうふうにも新聞記事等では報道されているわけでございますが、こういう問題と絡み合わせて、最初申し上げたような理由についてお答えをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 まず、自己株式取得の弊害ということでありますが、自己株式を現在の商法は原則として禁止をいたしておりますが、その弊害としては三つばかりのことが挙げられております。一つは、資本の空洞化をもたらすということであります。たとえてみれば、出資者に出資金を返すというような形になるわけでありますから、その分だけ資本が空洞化するということが弊害の第一であります。それから第二は、議決権の歪曲化ということを申しますけれども、議決権の行使がゆがめられるということであります。自分の会社が自分の会社の株を持っておりますと、その経営者の恣意によって議決権の行使が行われる、議決権の行使がゆがめられるというのが弊害の第二点であります。第三点は、内部者取引による弊害があるということであります。いろいろ外部に知られない会社の情報を握っております経営者がその情報を利用して自分の会社の株の取引をするという結果になりますので、それによって第三者が損害をこうむるというようなことも出てまいります。 お尋ねの子会社による親会社の株式の取得につきましては、子会社というのは親会社に五〇%以上の株を持たれている会社ということでございますから、ただいま申しましたような弊害がちょうど半分ぐらいの形であらわれてくるということになるわけであります。半分の株を持たれておる場合には半分ぐらいの形で弊害があらわれてくるということでございます。資本の空洞化という点につきましても、子会社が親会社の株を取得する場合に起こってまいりますし、あるいは子会社が親会社の経営者の意を受けて親会社の株主として議決権を行使することによって、議決権の歪曲化ということが起こってまいります。あるいは内部者取引による弊害というものも起こってくるわけでありまして、そういう点を考えまして、子会社につきましても親会社の株式を取得することができないという制度を設けたわけでございます。
○鍛治委員 いまの御答弁と若干重なる部分があるかもわかりませんけれども、本改正案では株式の相互保有についても新しい規定をしているわけでございますけれども、その中で、会社は、その発行済みの株式の総数の四分の一を超える株式を他の会社に保有されたときは、その有する当該他の会社の株式について議決権を有しない、こういうふうにされているわけでありますが、その理由はどういうところにあるのか、若干重なるところがあるかもわかりませんが、お答えをいただきたいと思います。 またさらに、これによって株式の相互保有の制限の効果というものが実際に上がるのだろうか、こういうふうにちょっと疑いを持つわけでございますが、その点についてもお答えを願いたいと思うのでございます。
○中島(一)政府委員 ただいまの子会社は、自分の株式を五〇%以上持たれている会社ということでございましたけれども、五〇%以上株式を持つとその会社を全面的に支配することができるということは、これははっきり言えることであろうと思います。しかし、実際問題といたしましては、株式がかなり分散をして保有されておりますので、五〇%を持たなくても、その半分、四分の一ぐらい持てば実質的にある会社を支配することは通常見られるところでございます。でありますから、四分の一の株を持たれた会社は、先ほど申しました議決権の行使の歪曲化ということから申しまして、自分の株式を持っておる会社の株式の議決権を行使することは弊害がある、これがこの制度を設けた趣旨でございます。 それから、もう一点お尋ねございました実効の問題でございますけれども、こういう規定を設けまして、そして四分の一の株式を持たれた場合にはその持った会社の株式の議決権を行使することを禁止するという、これは好ましくないことだということを商法の規定によって明らかにしたということはそれなりの意味があろうかと思うわけでありまして、それに加えて、現在すでにこういう実態の会社というものはかなりあるというふうに聞いておりますので、そういうものについて議決権の行使を制限するということで、それなりの実効はあるというふうに私どもは考えております。
○鍛治委員 公正取引委員会で、昭和五十年の十二月の十四日に、わが国の代表的な六大集団ですね、三井系、三菱系、住友系、芙蓉・富士銀行系、三和系、第一勧銀の各グループ、これの株式の持ち合いについての実態調査の結果というものも発表されておるわけでございますが、これらのいま挙げたような企業については、ある程度いまおっしゃったような効果も考えられるかもわかりませんけれども、持ち合い比率を下げたり、また特に少しずつ環状的に株式を持ち合いしている場合には、改正案の株式の相互持ち合いということについての規定では制限ができにくいのじゃないだろうかというふうにも思うわけでございますが、この点についてはいかがでしょう。
○元木説明員 お答えいたします。 ただいま局長からも答弁がございましたように、相互保有の弊害と申しますのは、資本の払い戻し、議決権の歪曲化あるいは内部者取引というようなところに理由があるわけでございますけれども、そういたしますと、相互保有そのものがすべて悪いかということになってきますと、これは必ずしも言えないのではないか。場合によりましては、企業の相互の提携のために、円滑な業務の運営のために相互保有というものを認められてしかるべき場合があるのではなかろうかということでございます。したがいまして、今回の改正案におきましては、すべての相互保有というものを禁止するということではございませんで、非常に弊害が生ずるであろう相互保有についてはこれを制限していきたいということでございます。
○鍛治委員 次に進みまして、株主総会の形骸化ということが指摘されているわけでございますけれども、今回の法律の改正案ではその是正のためにどういう方策を講じておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 株主総会の形骸化ということが言われて、これまた久しいものがあるわけでありますので、それを活性化すると申しましょうか、生き生きとしたものにしなければならないというのが識者の言でございます。そういう是正のための方策といたしまして、今回の改正法案で幾つかの規定を設けておるわけでありますが、その第一といたしまして、株主の提案権と取締役及び監査役の説明義務というものを規定いたしております。発行済み株式の総数の百分の一または三百株以上の株式を有する株主が、取締役に対して会日の六週間前までに書面を提出して一定の事項を総会の会議の目的とすべきことを請求をするというような場合には、それを会社は議題にしなければならないとともに、提案の要領を各株主に通知をしなければならないというような規定でございます。取締役、監査役の説明義務につきましては、株主総会において株主の求めがあるときは、会議の目的である事項に関して取締役、監査役は説明をしなければならないという規定であります。 それから第二といたしまして、議長の権限、株主総会における議長の権限ということをはっきりと法律の規定を置いたわけでございます。株主総会の運営を円滑ならしめるために、総会の議長は議事を整理し、その命令に従わない者その他総会の秩序を乱す者に退場を命ずることができるという旨の規定を置いたわけでございます。 第三といたしまして、検査役の選任請求という規定がございます。総会の議事が適法に行われるかどうかということを監視するために、株主から裁判所に検査役の選任を請求することができる、選任された検査役はその調査の結果を裁判所に報告することを要するという規定でございます。 第四番目といたしまして、これは大規模会社であって、かつ株主の数が千人以上の会社についてでありますけれども、書面による投票制度というものを設けたわけでございます。こういう会社にありましては、会社は株主に対して総会の招集通知とともに議決権の行使についての参考書類及び書面投票用紙を送付すべきものといたしまして、株主が総会の議題及び議案を理解することができるようにするとともに、株主が総会に出席しなくても書面投票用紙によって書面投票することができるという制度でございます。 第五番目といたしまして、総会屋対策として利益供与の禁止という規定を置いておるわけでありまして、これも株主総会の形骸化に対する一つの手当てということは言えようかと思うわけでございます。
○鍛治委員 いろいろいまお答えをいただいたわけでございますけれども、確かに今回の改正案で、株主の権利を強化するための提案権とか取締役等の説明義務云々と先ほど御答弁いただいたとおりのものがされてきているわけでございますけれども、そういう点では確かに株主の意思をできるだけ総会に反映させるという方策が講じられているとは思うわけでありますが、逆に一方、考えてみますと、営業報告書、こういったことについては総会の承認を要しないというふうに変えておりますし、また、大会社においては、監査役、会計監査人の適法意見があれば貸借対照表や損益計算書は総会の承認を要しない、こういうふうにして、むしろ私どもが考えますと総会の権限を縮小する、こういう方向にあるのではないか。これは、最初にちょっと申し上げました昭和四十九年の商法改正のときの当委員会の附帯決議、これはそういった点についても特に要望が出ているわけでありますが、それとも逆行するものではないか、こういうふうにも思うわけでございますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 営業報告書の問題と計算書類の問題と分けてお答えをさせていただきたいと思います。 まず、営業報告書について株主総会の承認を要しないこととしたのはどうしてか、こういう御質問でございますが、営業報告書というのは、その営業年度における営業の概況を記載した文書でありまして、そこに記載されておりますのは事実であります。したがって、これはその処理の方針がよかったか悪かったかというような問題ではなくて、あくまでも事実でございますので、その事実が真実であるか否かということを承認するということになるわけであります。ところが、この営業報告書の記載が真実であるかどうかということを会社の経営に直接関与していない株主に判断させるということは、これはきわめて困難なことであります。これを株主総会の承認の対象とすることは、そういうふうに困難であるばかりでなく、結果的にはその承認の制度そのものが実効性のないものになる、承認があったということによって取締役あるいは取締役会が責任を追及されるのに対する免罪符と申しましょうか、隠れみのになるおそれがある、こういうことでございます。 でありますから、今回の改正案におきましては、営業報告書に記載されたところが真実かどうか、あるいは記載すべき事項が記載されているかどうかという点については、会計の専門家であります会計監査人及び会社の機関として会社の内部事情に詳しい監査役がこれを監査をして、そしてその結果を監査報告書に記載をして営業報告書とともにこれを株主に送付をする、そしてさらに営業報告書の内容を株主総会で報告をさせることの方がいいということになったわけでございます。 それから、もう一点は、損益計算書あるいは貸借対照表等の計算書類でございますが、確かに現在の制度のもとにおきましては、会社の大小を問わないで貸借対照表とか損益計算書というものは株主総会の承認を要するということにしておるわけでありますけれども、こういった計算書類も、またこの数十項目についてそれぞれに数額を記載した書面でありまして、これを承認するためには、その各項目項目について記載をされております数字、数額の算出のための会計処理の方法が相当であるかどうか、その処理方法によって算出された額が正確なものであるかどうかということを判断しなければならないわけであります。 ところが、大会社におきましては、一般の株主は原則として会社の経営に関与をしておらない、しかも、その貸借対照表とか損益計算書に記載された数額を算出するに至った過程というものはきわめて複雑でありまして、これらの書類の各項目について審議をする、その正確性を判断をするということは非常に困難なことであります。株主総会にとって非常に困難なことでありまして、実際問題としてはその内容までには立ち入らないで表面的な審議をしているにすぎない、実効性の乏しいものになっておる、このような制度を大会社について残しておくということはかえって先ほど申しましたような弊害もある、取締役が責任逃れに利用する弊害もあるということでありますので、今回の改正におきましては、これらの計算書類については会計の専門家である会計監査人及び会社の機関として会社の内部事情に詳しい監査役の適法意見があったときは、総会の承認を要しないということにしたわけであります。 その結果、これらの書類につきましては、取締役会による承認が最終的なものということになるわけでありまして、その承認に関与した取締役の責任も非常に重いものになった。取締役としては慎重に承認をされるということになるわけであります。 以上申しましたようなことでございますので、名目的に見ますと株主総会の権限を縮小したというふうに見られる面もないではございませんけれども、その実質を考えますと、いろいろと合理的な考慮を加えまして、そして本当に株主総会において審議すべき事項を審議の対象として残して、そのかわりに、株主総会の審議の対象とされたものについては、フルに株主総会としての審議をしてもらうということになるわけであります。
○鍛治委員 一長一短と申しますか、メリット・デメリットはあるのでありましょうけれども、私は株主後退という感を免れないわけで、特にいま株主の方々には営業報告書にしろ貸借対照表等にしろわからないだろうというふうな意味でおっしゃったような御答弁がありましたけれども、そういうことで片づけられる問題なのかどうか。ひょっとしたら、株主の方がおられたら腹が立つかもわかりませんが、そういう形でやれる問題ではないんじゃないだろうか。本当におれは見たいんだとかやりたいんだという人が中にはおられるかもわかりませんし、そういうふうにも思います。 営業報告書につきましてはまた後でちょっと触れさせていただきますが、次に、先ほど御答弁の中でも総会屋ということが出ましたので、その件についてお尋ねをいたしたいのです。 私もこういった方面は、最初に申し上げましたように全く素人でございまして、よくわかりませんのでお聞きするのですが、総会屋というのは一体どういうのを総会屋と言うのか。そしていま実際にこれは小説等にもなったりしておりますので、その実態というものはそこらあたりには出ているようでありますが、法務当局でつかまれている実態というものがわかりましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
○元木説明員 お答えいたします。 総会屋というのは正規の職業ではございませんので、その実態というものは非常につかみにくいわけでございますけれども、まず、総会屋と申しますのは、会社の議決権の行使に関しまして、会社その他から不当に金品を収受するものあるいはそれを要求するものというふうに定義してよろしいのではなかろうかと思います。 総会屋自身は非常に歴史の古いものでございまして、明治時代からあるということでございます。戦前あるいは数年前までは、その数は数百であるということが言われてまいりました。そして、この総会屋たちは非常に会社法をよく勉強しておりまして、会社の運営について少しでも何か欠陥があると、それにつけ入って金品を請求する、あるいは総会の運営がうまくいくように配慮して金をもらうというようなことをもって収入にしていたようでございますけれども、数年前から、ある総会屋が暴力団を使ったというようなことから、これにたくさんの暴力団が流れ込んだということで、一遍にその数が数千人にふくれ上がったということでございまして、現在非常に暴力的な傾向が出てきているということのようでございます。それと同時に、戦前あるいは数年前までの総会屋は、株式を保有いたしまして、そうしてそれで会社にいろいろ文句をつけるということでございましたけれども、最近の傾向といたしましては、かなりのものが株式を持ちませんで、これから株式を買ってイチャモンをつけるぞということで会社から金品を受け取るというようなものもふえてきたということでございます。
○鍛治委員 その総会屋対策として、本改正案の中で、「会社ハ何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」という規定を新たに設けてあるわけでありますが、さきに改正試案というものがございました。この試案のときには「一部の株主に対し、」こういうふうになっておったのを、その対象範囲を株主以外にも広げたというふうになっているわけでありますが、その理由はどういうところにあるのか、お尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 試案には「一部の株主に対し、」というような表現になっておったかと思いますけれども、それはいま元木参事官も申しましたように、総会屋の実態というものが、株式を所有いたしまして、そしてその株主権の行使に関して会社からいろいろと金品の供与を受けるというようなものが典型的なものであるというふうに考えておりましたので、そういうものを対象に規定を置こうとしたわけでありますが、その後、総会屋の実態というものは必ずしもそういうものに限りませんで、現在は株主でないけれども今度おたくの株を持たしてもらうというようなことで会社に話をする、玄人の間では株づけをすると言うんだそうでありますが、そういう言葉を使うんだそうでありますが、株づけをしないことの対価として会社から金品の供与を受けるというような総会屋のやり方というものがある。これをも対象として規定を置かなければならないということになりまして、現在の改正法案のように、「何人二対シテモ」という表現になったわけであります。
○鍛治委員 総会屋に対する利益供与に関する推定規定というものが商法第二百九十四条ノ二の第二項に置かれてあるわけでありますが、その趣旨というものはどういうところにあるのか、また、無償とか有償というような言葉がこの中で使われておるわけでありますが、これは具体的にどういう場合、どういう意義があるのか、お尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 株主権の行使に関して利益を供与してはならない、こういうことになっておりますが、株主権に関しての供与であるかどうかということが具体的なケースにおいては明らかでないという場合が少なくないわけであります。これは返還請求をする側において訴訟的に申しますと立証しなければならない立証責任のある事柄である、こういうふうに言われておるわけでありますので、その立証責任を転換するというような言葉を使うわけでありますけれども、立証責任を転換いたしまして、まず株主に対して無償あるいは無償に近いような形の有償で利益の供与が行われたときには、それは株主権の行使に関してであると推定をする。そうではなくて株主権の行使に関して供与されたものではないということを主張する側で、そうでない事由と申しましょうか、それを立証しなければならないという、訴訟の技術的なこととしてこの立証責任の転換というものを規定いたしまして、そしてこの返還訴訟が容易に通るようにするということでございます。 それから、無償、有償でございますが、無償というのは文字どおり何らの対価なしにということでございます。有償であっても無償に近いような場合と申しますのは、何らかの名目があるわけであります。株主権の行使に関してという名目ではなくて、他の何らかの名目があるわけであります。たとえば広告料という名義で金を受け取ったとか、あるいは印刷物その他新聞の購入代金として金を受け取ったというような名義はあるわけでありますけれども、広告料と申しましてもほとんど広告の機能を果たしていないようなそういうものの広告料名義、あるいは印刷物と申しましても何らの価値のないようなパンフレット、そういうものの対価名義ということになれば、それはやはり株主権の行使に関してという推定を受けるということでございます。
○鍛治委員 若干具体的に触れられておったので、わかるようなわからぬようなところもございますが、先に進ませていただきますけれども、罰則規定ですか、この中に現行商法の第四百九十四条と改正後の商法第四百九十七条との関係、これをちょっとお聞きしたいのですが、いままで総会屋というものに対する罰則規定というものが現行の中であるようでございますけれども、今度はそのもらった方の総会屋ではなくて、やる方の側、能動的な立場にある取締役等のやったことが、事実発覚すればこういう罰則規定というものが設けられているように思うのですが、そこに大変差があるような気がするわけです。ちょっと私も、たびたび申し上げるようで恐縮ですが、全く素人で、同じ罰則を設けるならば同じ形でいいのじゃないかなというふうにも思うのですが、そこの違いというものはどういうわけであるのだろうかというふうに疑問に思うのですが、この点について御説明を願いたいと思います。
○中島(一)政府委員 四百九十四条は、総会屋に対する贈収賄ということを俗に言われております規定でございますが、これは不正の請託ということが要件になってまいります。そのかわりに、請託をするのはその主体はだれでもよいということになります。それに対しまして、四百九十七条の方は不正の請託という要件はございません。請託があってもなくても、議決権の行使に関して利益の供与があればこの犯罪は成立をする、ただしそれは会社の金を使うということが要件になってまいります。でありますから、四百九十四条と四百九十七条の場合は、典型的な形では両者違うわけでありますが、場合によっては四百九十四条にも当たり四百九十七条にも当たるということもあり得るかというふうに考えております。
○鍛治委員 ちょっと質問が前後して大変恐縮でありますけれども、先ほどから株主総会の形骸化をなくすという方向で取締役等の説明の義務というものを入れたというふうにもありますが、これについては要するに質問権ということでしょうか。株主総会が開かれた、その中で株主が随時質問をしてもよろしいということになるのでしょうか。この点、ちょっとお聞きをいたしたいと思います。
○元木説明員 お答えいたします。 今回の改正法律案にございます説明義務は、当然質問権があるということを前提にして規定したものでございます。ただ、質問権というそのままを規定いたしませんでしたのは、およそ会議体である限り、その構成員はその議題について当然質問する権利はあるのではないかということでございます。したがって、そのような当然認められるものを法律に改めて規定するということはいかがかということで質問権ということは避けまして、そしてむしろ逆の立場から、取締役、監査役の説明義務ということにいたしたわけでございます。それと同時に、これに伴いまして取締役、監査役には質問に答える義務がございますので、総会にも出席する義務があるということも明らかにしたということでございます。
○鍛治委員 さらに、先ほどの御答弁の中にありました大会社における書面投票制度などを認めるということがございました。これも私はよくわかりにくいのですが、いままで白紙委任等をもらって総会に参加していろいろやっていたようでありますが、これを特に取り入れて事実上どういうところにメリットがあり、違いがあるのだろうか、そういうこともちょっと疑問に感ずるのですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○元木説明員 お答えいたします。 書面投票制度は、これは会社が書面投票用紙を全株主に送りまして、株主がその書面投票用紙に所要事項を記載いたしまして会社に送り返しましたときは、もし株主が総会に出席しなければ、その用紙そのものが議決権の行使のために用いられるということでございます。これに対しまして委任状の方は、委任状を株主が会社に送り返しましたときに委任の申し込みになるわけでございます。したがいまして、もしその委任状に会社に気に食わないことが書いてあるということになれば、会社としてはその委任の申し込みを承諾するという必要はないわけでございます。したがいまして、必ずしも株主の意思がそのまま議決権として反映するということがございません。その点から考えまして、書面投票用紙の方がより直接株主の意思を反映するのではないかということで、制度を改めたわけでございます。
○鍛治委員 先ほどちょっと触れました営業報告書についてお聞きしたいのですが、企業が使い道を明らかにしないといういわゆる使途不明金、これが企業のディスクロージャーの面で大きな障害となっておるということでございまして、この企業の使途不明金や総会屋に対する支出、政治献金などはできるだけこれを公表すべきだろう、こういうふうに考えるのでありますけれども、本改正案ではどういう配慮がなされておるのか。これは営業報告書と絡みまして、この記載方法等について法の中には内容についてうたわれてないわけでございますので、これはいろいろお尋ねしてみたら省令にゆだねるというふうなことにもなっているようでございますけれども、改正試案の中では業務報告書——これは営業報告書になると思いますが、業務報告書として内容九項目を具体的に触れておった。これが使途不明金との絡みで、私は、むしろこういうものは省令ではなくて、法の上ではっきりしておいた方がいいのではないかと思うわけでございますけれども、その点についてお尋ねをいたします。
○中島(一)政府委員 営業報告書の記載事項でございますけれども、営業報告書には、会社の業務及び会計に関する事項のうちで貸借対照表または損益計算書に記載されない事項であって株主に直接開示しなければならない重要な事項を記載しなければならないというふうに考えております。その記載方法は法務省令で定めることになっておるわけでありますが、改正試案に記載してありました事項も含めて検討中でございます。その記載事項を考えます場合に問題になりますのは、企業秘密の漏洩にならないようにということ、それから開示のために不当の費用がかからないようにというような点を中心に考えてまいりたいというふうに思っております。
○鍛治委員 この点については、ここでは省令にゆだねるということになっておりますので、ひとつ明確にすべきであろう、こういうふうに要望を申し上げておきます。 次に進みたいのでございますけれども、会社の不正行為についてこれを防止するために、代表取締役など一部の取締役の独断専行をチェックするということが非常に肝要である、こう思うわけでございますけれども、今回の改正案の中ではどういうふうにそういう方策を講じているのか、お尋ねいたします。
○中島(一)政府委員 取締役会の代表取締役に対する監督権限の強化について、改正法は幾つかの規定を用意いたしております。 まず第一といたしまして、監督権限を法律の規定ではっきりと定めたということでございます。取締役会は代表取締役の業務執行について監督をする権限があるということを法律の規定ではっきりと定めることによりまして、この権限が有効適切に行使されるようにということを期待しておるわけでございます。 それから第二といたしまして、取締役会の議決すべき事項というものを、これまた法律で定めたわけでございます。会社の業務執行は取締役会が決定するということになるわけでありますが、実際にはすべての業務執行について取締役会が決定をするということは不可能でありますために、その一部については、これは代表取締役に委任せざるを得ないわけであります。しかしながら、余りに過大な権限が代表取締役に移されるということは、取締役会の権限が弱体化するわけであります。今回の改正案におきましては、取締役会がみずから決定しなければならない、代表取締役には委任することができない事項というものを列挙いたしまして、その監督権限の強化を図っておるわけであります。 第三は、代表取締役の報告義務であります。代表取締役は少なくとも三月に一回は取締役会に業務の執行の状況を報告しなければならないということにいたしまして、取締役が業務執行に関する知識を得ることによって、代表取締役に対する監督権限が適切に行使できるようにという規定を置いております。 それから第四番目といたしまして、取締役会の招集権に関する規定を設けたということであります。現行法のもとにおきましては、取締役会が取締役会の招集権者を定めたときは、その他の取締役は招集権限を有しないということになっておるわけでありますが、今回の改正案におきましては、たとえ取締役会の招集権者が定められている場合でありましても、招集権者以外の取締役は、招集権者に対して、会議の目的である事項を記載した書面を提出して取締役会の招集を請求することができる、そして、招集権者である取締役がその請求があったときから五日以内に招集通知をしない、あるいは五日以内に招集通知がされてもその取締役会が請求の日から二週間以内でないときは、請求をした取締役はみずから取締役会を招集することができるという幾つかの規定を準備いたしまして、取締役会の代表取締役に対する監督権限というものをはっきりさせたわけでございます。
○鍛治委員 ことしの三月二十八日付の読売新聞の社説の中で「社長の社会的責任を問う」、こういう見出しで、この前事件のございました札幌トヨペットの事件が論じられているわけでありますが、その最初には、「株買い占めの誠備グループに加わり、巨額の損失を出し、優良企業と信じられていた会社を倒産に追い込んだ岩沢グループのオーナー経営者、岩沢靖氏の失敗ほど、近ごろ世間に大きなショックを与えたものはない。」確かに私も新聞記事を読んで、これは大変なことをやったものだなと。しかも、それが大変信頼があったと言われておった社長がこういうことをやっておったということですね。これはいわゆる公私混同の乱脈経営によってこういうことが起こったんだと思うのでありますけれども、これと同じような事件というものが依然として後を絶っていないというのが実情であろうかと思うのです。こういう場合に会社でまず考えられるのは、社長にいま権限が集まり過ぎているような気もするわけでありますけれども、本来この社長をチェックすべき立場にある取締役会や監査役などが全く機能をしなかったのではないかということなんです。 こういったことを踏まえて、いま御答弁があったような、さらに強化する、また、社長だけでなくて取締役会にも大きく権限を持たせていくというふうに改正はされるということで出されたということは十分わかるのでありますけれども、問題は、現行法のもとにおいても、本来これらの機関は社長をチェックすべき立場にあるし、できたのではないかというふうにも思うのですけれども、それが完全になされていなくてこういう事件が起こっておる、あちこちでも起こっておる、こういう状況ですね。これは一体どういうところに原因があるというふうにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
○元木説明員 御指摘のたとえば札幌トヨペット等の倒産が相次ぐわけでございますけれども、それぞれの事情によりましていろいろニュアンスは異なるわけでございますが、一般的に札幌トヨペットの例に代表されますような場合でございますと、これはやはり会計監査が不十分だったのではなかろうかということでございます。つまり、保証債務というのは、現行法のもとにおきましても、これは条件つき債務でございますから、必ず貸借対照表の負債の部には計上しなければいけないわけでございます。また、よしんば計上しない場合でございましても、計算書類規則によりまして、これは一括して貸借対照表に注記しなければいかぬということになっているわけでございます。したがいまして、本来貸借対照表の本文あるいは注記等で計上されなければならないものが計上されていないということになりますれば、これは公正な会計監査が行われているということでありますならば、十分に防止し得たはずでございます。それができなかったということは、これはやはり外部の会計監査というものが入っていなかったのではないかということになろうかと思います。 今回の改正法律案におきましては、御承知のように、負債が二百億円以上の会社につきましては会計監査を受けなければいかぬということになっているわけでございます。札幌トヨペットの例でございますと、これは当然会計監査人が入るということになりますので、公正な会計監査が行われれば当然事前にチェックできたのではなかろうかと思います。
○鍛治委員 確かに御答弁のとおりであろうかとは思うのですが、これもたてまえ論のような気がするのです。午前中にも稲葉委員も若干そういったことに触れて質疑をなさっていらっしゃったと思うのでありますけれども、やはりそういう副社長とか専務とか常務とかいうような常務会のメンバー、こういったのがいましても、これは実質的には社長の部下になっている。それから監査の立場にある人たちも、選任はやはり社長の権限にあるというふうな感じがありますし、株主総会の決定ということではありましょうけれども、監査役の場合でもそうなるとは思いますけれども、実質は選任権、すなわち候補者を実際に決めるときにはやはり社長が決めてしまうというふうなことから問題が起こってくるのではないかというふうに思うわけでございます。 結局、こういった法改正を強力にさらにされているということでございますけれども、その実効性が上がるかどうかということについては、企業の姿勢、とりわけ経営者である社長というものの姿勢がどうあるかにかかってくるんじゃないか、いわゆる責任感といいますかモラルといいますか、こういうものにかかってくる分野が大変多いというふうに思うわけです。 私も議員になって大分になりますけれども、やはり一番この政治と行政の間にあって痛感するのは、確かに予算ができ、制度ができ、法の改正をやり、建物等はできていってみても、一番肝心ないま申し上げたようなところをどう押さえるかというのは、非常に厳しい面があるわけですね。これは何らかの形で、そういったことに対する指導なり、いろいろな押さえる点ができないかというようなことに思うわけでございますけれども、そういった点についての御意見とお考え等がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
○中島(一)政府委員 確かに、ただいまおっしゃいましたように、人の問題であり、その人の姿勢なり倫理なりの問題であろうというふうに考えるわけであります。私どもとしては、その制度をどうするかということが中心でありますので、まずその制度を整備いたしまして、そうしてその内容が充実をしてくるのを期待するという立場でございます。
○鍛治委員 これはなかなか法務省当局が触れにくい分野であろうとは思いますけれども、そういった議論を交わす中で、またいろいろな話し合い等の中で、そういったものの確立というものはひとつ指導的な立場でやっていっていただきたい、こう思うわけであります。 次に、今回の改正法律案による取締役会の権限強化は御答弁をいただいたわけでございますが、通常、大会社におきましては常務会というものが持たれて、実質はここでいろいろ措置されているようでありますけれども、この関係はどういうことになっているのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○中島(一)政府委員 商法上の制度といたしましては取締役会それから代表取締役ということになろうかと思います。それ以外に、事実上常務会という制度が世上間々あるわけでありますが、これはたとえて言えば、社長の諮問機関というようなことになるのではなかろうかと考えるわけでありまして、私ども今回の改正におきましても、常務会あるいは経営委員会というような機関について規定を置くべきかどうかということも考えたわけでございますけれども、それと取締役会との関係をどうするかというむずかしい問題がございます。ここで常務会なり経営委員会なりの規定を置きまして、これを法律上の制度として認知することになりますと、せっかく私ども取締役会の権限の強化充実ということを考えておりますそれと矛盾することになるのじゃなかろうかということもありまして、今回は常務会あるいは経営委員会に対する規定は見送ったというのが実情でございます。
○鍛治委員 実際には、いままでは大会社では、取締役会は月に一、二回ぐらいしか開かれないで、常務会でこれにかわってすべてやっているという実情があるわけですね。こういう実情の中で、取締役会の権限強化という法改正だけをやって実効があるだろうか。重ねての質問になりますけれども、その点どういうようにお考えなんだろうか。また、特に現行では常務会に監査役の出席ができるようになっている会社は、上場会社の中で半数ぐらいじゃないかというふうにも聞いているわけです。そうしますと、ここらあたり、常務会が本当にいまのままの機能を生かしていくようなことがあったり、監査役がそういう形でしか出席できないしチェックもできないということになると、実効性はきわめて薄いのではないかという心配がずいぶんあるわけでありますが、重ねてその点についてお尋ねをいたします。
○元木説明員 お答えいたします。 現行法のもとで常務会はどういう法律的な評価を受けるかということでございますが、先ほど民事局長が申しましたように、これは代表取締役の諮問機関ということになろうかと思います。つまり、会社の業務執行につきましては、すべてを取締役会が決定することにはできませんので、かなりの部分を代表取締役が決定することになるわけでございます。その代表取締役が決定すべき事項について、常務会が社長の諮問機関として決定をしていくということになるわけでございます。 そこで、今回の改正法律案におきましては、まず代表取締役が自分だけで決定される事項をできるだけ狭くいたしまして、逆に言いますと、取締役会でなければ決議できない事項をできるだけ多く書くということにいたしたわけでございます。そのことによりまして、代表取締役の決定権限が狭くなりますので、相対的に常務会が決定すべき事項も減ってくるということになるわけでございます。したがいまして、よしんば監査役が常務会に出席できないというような会社におきましても、取締役会の権限が大きいわけでございますから、取締役会に監査役が出席することによって相当の監視機能が果たせるのではないかということでございます。
○鍛治委員 次に進みますが、今回の改正法律案の中で、監査役制度の改善のためにいろいろ措置をされているようでありますが、具体的にどういうふうに方策を講じているのか、お聞かせを願いたいと思います。 会社の従業員が成り上がって監査役になり、あるいは監査役が取締役とセットで役員の一ポストにされておるという実態を考えますと、恐らくそのような御説明をいろいろいただくでありましょう手当てをしても、会社の不正行為の防止には役立たないのじゃないだろうか。また、経営者サイドからいろいろ話が伝わっているのを聞きますと、こういうことをやっても手間ばかり食ってしょうがないのだ、改正されても実態面はほとんど変わらないのじゃないかというような、その効果を疑問視する声も出ているわけでございますが、こういった問題について忌憚のない御意見をお伺いをいたしたいと思います。
○中島(一)政府委員 最初に、監査役の監査権限の強化の問題でございますけれども、改正法案は、この点についても幾つかの手当てをいたしまして、まず第一に、監査役は支配人その他の使用人に対して直接会社の営業に関する報告を求めることができるという規定を新設いたしております。 第二に、監査役は、取締役が法令もしくは定款違反の行為をし、またはそのような行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会にこれを報告しなければならない、そのために必要があるときは、取締役会の招集権者に取締役会の招集を請求することができる、そして、招集権者が一定の期間内に取締役会を招集しないときは、監査役がみずから取締役会を招集することができるという制度を設けておるわけであります。 第三といたしまして、監査役が作成をする監査報告書の記載事項を拡大いたします、充実いたします。それによって監査がより詳細かつ正確に行われて、監査の実効が上がるようにという配慮をいたしております。 第四番目といたしまして、資本の額が五億円以上または負債の額が二百億円以上のいずれかの要件に該当する会社にありましては、監査役は複数、二名以上でなければならない、しかもそのうちの一人以上は常勤としなければならないということにいたしまして、充実をした監査が行われるようにということで新しい規定を設けたわけでございます。 以上が監査役の権限の強化の問題でございますが、それとともに監査役の地位を強化するということも考えておるわけであります。 その方策といたしまして、まず第一に、監査役の報酬は株主総会において取締役とは区別して決議をすべきものである、取締役の報酬と別枠に決めるということにいたしました。また、監査役は総会において監査役の報酬について意見を述べることができるということにいたしまして、監査役の報酬が不当に低くされないように配慮をいたしますとともに、株主総会において数人の監査役の報酬が一括して決定をされました場合には、各監査役の受けるべき報酬の額は監査役の協議をもって定めるということにしたわけでありまして、報酬について取締役会の影響を受けることを排除したわけであります。 第二番目といたしまして、監査役が監査費用の支払いを監査の前あるいは後に請求いたしました場合には、会社は、その請求された費用が監査のために必要でないということを立証しなければ、その支払いを拒絶することができないということにいたしまして、監査役が監査を行うについての費用の点について、取締役会の不当な影響を受けないようにという配慮をいたしております。 そういうようないろいろな制度を考えるとしても、監査役の実情から考えて果たして実効を期待し得るのかどうかというお尋ねでございますけれども、確かに大分以前には、監査役は閑職と申しましょうか、あってもなくてもいい職であるというようなことを言われた時期もあったように存じておりますが、だんだんに社内監査の重要性、監査役による監査の重要性というものが認識をされてまいりました。これは企業にも認識をされてまいりましたし、監査役の方も認識をしてきたということであろうかと思います。特に昭和四十九年に監査役についての権限の強化、地位の強化についての改正が行われましてからは、事態は一変したと申しましょうか、かなり変わってきたというふうに私どもは考えております。監査役の自覚の面におきましても、また企業が監査役を見る目と申しましょうか、監査役に期待する面ということから申しましても著しく変わってきた。それを今回の改正によってなお一層監査役の権限を強化し、監査役の地位を高めるということを考えておるわけであります。 もちろん、内部監査でありますから、内部監査なりの限定、限界があるということは私ども承知をしておるわけでありますけれども、その許される限度内においてできるだけ監査役の地位を高め、権限を強化するという制度を考えておるわけでありまして、監査役としてそれにふさわしい人が選任をされまして、その実効を上げていただきたいというのが私どもの期待でございます。
○鍛治委員 それはおきまして次にまいりますが、新株の引受権つき社債、この社債の件でちょっとお尋ねするのですが、この新株引受権つき社債の発行を今回認めることにしているわけでありますけれども、それはどういう内容を持っているのか、さらに、これの発行を認めることにした理由はどういうところにあるのか、この点をお尋ねいたします。
○元木説明員 お答えいたします。 まず、新株引受権つき社債と申しますのは、社債権者に社債を発行した会社の新株引受権が与えられる社債でございます。この新株引受権でございますけれども、これは社債の発行後の所定の期間内に所定の発行価格で所定の数または額の新株発行を社債発行会社に請求できる権利でございます。新株引受権つき社債には分離型というのがございまして、これは社債権と新株引受権とが別々の証券で表彰されて、別々に譲渡することができるものと、非分離型と申しまして、社債権と新株引受権が一つの証券で表示されまして、これは別々に譲渡できないものがあるわけでございます。 こういうものを認めることといたしました理由の第一は、会社の資金の調達の多様化を図るということでございます。御承知のように、現行法のもとでも株式会社は社債を発行することができますし、またその一変形といたしまして転換社債というものを発行することができるわけでございます。ところが、転換社債の場合には、もし転換を請求いたしますとその社債が株式に変わってしまいまして、社債権者の手元には社債はなくなるということでございます。これに対しまして、新株引受権つき社債につきましては、新株引受権を行使いたしますと、社債も社債権者の手元に残りますし、それに加えて新たに株式が来るということでございまして、両方とも持ちたいという人の要望にこたえるということになるわけでございます。それと同時に、会社にとりましても、社債の資金もそのまま会社に置いておく、それから新株引受権の行使によって新たに資金も導入できるというメリットがあるということでございます。 その次の、理由の第二といたしましては、新株引受権つき社債を、為替相場の変動によって損害をこうむる、為替リスクと申しますけれども、これを回避するための手段として用いることができるという点でございます。近時、外貨建て債権を有する会社が増加しているわけでございますけれども、このような債権を回収する場合に、為替相場の変動によってその会社が損害をこうむるという場合がございます。こういう損害を回避するためには、会社が外貨建て債権を持っておりますならば、それと同じ外貨で逆に借金をしていればよろしいということになるわけでございますけれども、その借金をするための利息が高いときには、コストがかかってしまって必ずしも為替変動による損失の回避にならないという問題がございます。ところが、新株引受権つき社債にとりましては、社債権者といたしましては、その新株引受権の行使によって将来利益を得るかもしれないといううまみがございますので、たとえ社債の金利を安くいたしましても社債を買ってくれるということになります。したがいまして、外貨建て債権を持った場合に、それと同じ外貨で新株引受権つき社債を発行するということにいたしますと、そこで為替相場の変動による損失を回避することができる、そういうメリットがあるわけでございます。 以上でございます。
○鍛治委員 最後に一つお尋ねをいたしますが、最近日商岩井の香港法人の件での新聞報道がなされておったわけでありますけれども、この香港法人が為替投機に失敗をいたしまして大変巨額な損失を出して、それを日商岩井本社が全額負担するということを決めた、こういうようなことでございますけれども、これはわれわれにとってみても大変遺憾な事件であるというように思うのですが、このような大企業の海外における不正支出の実態ということから見ましても、さきの試案にありました連結財務諸表開示制度、こういうものがやはり必要じゃないかというふうに思うのでございますけれども、今回の改正案ではこれが落とされているわけでありますが、この理由についてお聞かせを願いたいと思いますし、これらの事件に対してどういうふうにお考えなのか、お尋ねをいたします。
○元木説明員 お答えいたします。 確かに先生おっしゃいますとおり、連結財務諸表というものをつくることによりまして企業集団での総合的な財務状況がよくわかるわけでございます。したがいまして、現在証券取引法でも連結財務諸表規則等がございまして、連結財務諸表の提出を義務づけているということでございますけれども、実は実態といたしまして、たとえば資本金が数百億あるいは数千億の会社におきましては、大変たくさんの子会社を持っているわけでございます。中にはあるいは資本金が百万程度の子会社というものもあるわけでございます。そういたしますと、そういう百万程度の子会社を数十社持っているという場合に、その全部について連結財務諸表を作成するということは実際上不可能でございますし、また、百万程度の子会社でございましたら、これは親会社に対しての財務状況が影響するということもほとんどないわけでございまして、余り作成するメリットもないという問題もございます。したがいまして、どの程度以上の会社について連結財務諸表を作成するかということがまず問題になってくるわけでございます。したがいまして、試案では連結財務諸表の制度を今回設けるべきかということで提案がされたわけでございますけれども、これについてはただいま申しましたように技術的な問題が非常にあるということでございます。 それと同時に、前々から民事局長等もお答え申し上げておりますように、今回の改正におきましては、企業の自主的監視機能ということを早急に確立するという点から立法を急ぐという要請もございましたので、この問題につきましては今後の検討にまつということで、今回は特に取り上げなかったということでございます。
○鍛治委員 本日は、私が用意しておりました質問ももう終わりましたので、若干時間が残りましたが、これで終わらせていただきますが、各論的なものにつきましては、また次の機会にやらせていただきます。 ありがとうございました。
○高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○高鳥委員長 それじゃ、速記をつけてください。 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 できましたら大臣から、なんでしたら局長さんでも結構でございます。 今回の法案で一番目玉になったといいますか一番争点、争点といってもおかしいのでありますが、業界の中で対立関係を生んでおります一番大きな問題というのは、監査を受ける対象の会社を資本金十億円以上で暫定措置できておりましたものを、今度は本法へ戻して五億円以上の会社ということにいたしますことについて、業界においてずいぶん論議を呼んでおりましたことは御承知のとおりであります。 さてそこで、こういう日本の経済にかかわりの非常に深い商法の改正などにありましては、できるだけトラブルがない方がいい、できるだけお互いの理解の中でできていく方が一番いいと思うのであります。そういう点で、ちまたのうわさを聞きますと、いや十億円がいいんだという声もありますし、いや本法に戻して五億円が正当であるという声もありますし、また、急激な変化というのはどうだろうか、中をとって七・五億円ぐらいというのもどうだろうかという声もしきりに聞こえてくるわけでございます。 そこで、こういう問題の解決につきましては、当局におかれましてもしこりを残さぬように十分政治的な配慮も払われておることと思うのでありますが、大変答弁のしにくいことであると思いますけれども、しこりを残さないような配慮をどこまでなされておるか、よろしければお答えいただきたいと思うのであります。
○奥野国務大臣 率直にお答えをいたしたいと思います。 株式会社であります以上は、その責任の限度が株式会社保有の財産に限られているわけでございますから、株主でありますとかあるいは債権者でありますとか、こういう人のことを考えますと、適正に会計運営をしていただき、それが明らかになっておることが大切じゃないだろうか、こう思います。また、そういう使命を帯びて公認会計士制度があるわけでございまして、昭和四十五年の法制審議会の答申の際には、一億円以上の会社については公認会計士制度を導入すべきだということであったわけでございました。現行法は五億円以上の会社は公認会計士の監査を受けなければならないということを義務づけているわけであります。ただ、五億円以上でありましても株式市場に上場されていない会社、これは十億円までであればこの適用を除外するということにしておるわけでございます。 今回、企業の会計経理、一層適正であるように担保していくためにはやはりある程度これを広げていきたい、そういうことで、五億と十億の間の非上場の会社についても適用することにしたわけでございます。もともとこの部分だけ外しましたのは、公認会計士制度を導入してすぐから広げていくというよりも、だんだんと公認会計士制度になれてくる、公認会計士制度の実態も充実していないじゃないかという議論もあったりしたものですから、そういう意味で五億から十億までの間の非上場の会社の適用除外を今回適用するようにさせていただいたわけでございます。 ところが、税理士会の方からいろいろな注文が出てまいったわけでございます。公認会計士協会の方では、法制審議会の答申をそのとおりやってもらいたいというのが私は筋道だろうと思います。税理士会は税理士会としていろんなお考えがございまして、法制審議会の答申につきましていろいろな御意見がございました。岡田さんおっしゃいますように、できる限り話し合いのできるものは話し合いをつけて提出したいということで、そのために相当の日数をかけたわけでございます。 その結果、先ほど民事局長から御答弁申し上げたことではございますけれども、資本金五億円以上は非上場の会社についても適用する、これは動かさないかわりに、売上金額が二百億円を超える企業にも適用するということにしておりましたのを、これを外してしまいました。負債額が百億円以上のものに適用するということにしておりましたのを、これを百億円から二百億円に上げたわけであります。さらにはまた、一億から五億の間の株式会社につきましても、この公認会計士制度、会計監査人制度、これを適用することができるという一種の奨励規定を置くことにしておりましたのを、これもやめてしまいました。同時に、公認会計士の業務と税理士の業務とが競合しないようにしていかなければならないわけでございますから、それぞれ証券取引法等に規定があるわけでございますけれども、同じことを商法の中にも重ねて持ってきて、その精神をさらに一層浸透させるように持っていこう、この税理士会の御希望も取り入れたわけでございまして、かなり法制審議会の御答申を税理士会の希望に基づきまして変えたわけでございます。 その希望に基づいて変えました以外は、全部法制審議会の答申のとおり今回立法化させていただいているわけでございますので、私たちとしては、税理士会には十分御満足いただけたはずじゃないか、こういう考え方で提案に至ったわけでございます。
○岡田(正)委員 それでは次に、取締役の責任の問題について質問をいたしますが、この改正試案の中には出ておったことでありますが、商法の四百九十四条、この中で「不正ノ請託」という言葉があるのでございます。これはいわく因縁つきのものでありまして、「不正ノ」という言葉は、わざわざ貴族院で修正になってついたという因縁があるわけですね。これはいろいろと巷間伝うところによれば、いや、これは政治家の権利を守るために無理やり突っ込んだ文句であるというような、いろんな風評が流れておるわけでありますが、このことにつきまして、改正試案の中では、この「不正ノ」という三つの文字はのけたらどうや、それをのけなければ、本当の意味におけるいわゆる総会荒らしの防止対策にはならぬのではないか、それから、会社の企業経理のいわゆる公正な運営ということもあり得ないんじゃないかということがしきりに言われておったわけであります。 そこで、警察庁の方からお見えいただいておりますか。−警察庁の方に先にお尋ねをさしていただきますが、現在ありますこの商法の四百九十四条で過去立件したようなものがどの程度あるものか、できれば具体例を少し挙げながら御説明をいただくとありがたいと思うのであります。
○漆間説明員 お答え申し上げます。 数字的なものは必ずしも手元に資料がございませんので、手元にございます資料から拾ってみましたが、過去に警察におきまして商法の四百九十四条を適用して検挙いたしました例といたしましては、昭和四十年に東洋電機のカラーテレビ事件というのがございまして、これは警視庁で検挙いたしましたが、東洋電機製造株式会社の役員に、会社の新製品開発に関する経営上の失策があったということにつけ込みまして、この株主総会において一般株主の追及発言を抑えるように、総会屋に不正の請託をして現金を交付したという事件でありました。これが四十年に検挙されております。 それから、四十八年に図書印刷事件というのがございまして、これも同じく警視庁で検挙いたしておりますが、赤字に苦しむ図書印刷株式会社の代取から、同社の臨時株主総会に提出する再建案を原案どおり可決して、会社役員の責任追及であるとかあるいは議案に対する反対発言などしないように、総会屋に不正の請託をして現金を供与したという事案でありました。これは同じく四十八年に警視庁で検挙であります。 それから四十九年に、これは兵庫県警で検挙いたしておりますが、津上事件というのがございまして、株式会社津上の役員らが、同社の経営上の失策を株主総会において株主から追及されるのを封じるために、総会屋に不正の請託をして現金を供与したという事案で検挙されております。 数字的なものはちょっと判然といたしませんが、過去の検挙事例としては、主なものとしてそういうものがございます。
○岡田(正)委員 大変答えにくい質問をさせていただきますが、今回のこの改正試案をおつくりになる道程におきまして、警察庁としては、この商法第四百九十四条の中の「不正ノ請託」とある中の「不正ノ」というのを取り除いてもらえば、一〇〇%とまではいきませんけれども、もうほとんどいわゆる総会荒らしの防止対策としては手が打てた、もうこれさえあれば十分といって非常に喜ばれたという話を聞いておるのであります。ところが、この法案が出てきてみたら、すかっとこれが姿を消しておるわけでありますが、その点について御感想はいかがでありますか。
○漆間説明員 初めに試案の段階で「不正」を削るという案が出ておりまして、それに対して当時の捜査第二課長が、非常に賛成である、総会屋対策上有効であるというような趣旨の意見を法務省にも述べましたし、それから雑誌等にもその意見を発表したという経緯はございます。したがいまして、私どもとしては、この「不正ノ請託」ということが「不正ノ」が抜けますと非常に対策上有効であるというようには考えておりましたけれども、今回の案では、それにかわりまして、御承知のように新しい四百九十七条の禁止規定ができまして、株主権の行使に関する利益の供与等が禁止されるという規定ができましたので、総会屋の活動態様にはいろいろな態様があると思いますけれども、主たるものは株主権の行使に関連して金銭の供与を得るという形態でありますだけに、この規定が十分働いて、仮に四九四の方の「不正ノ」が取れなくても、こちらの四九七の方で、従来問題とされている総会屋の行為の大部分は封じ込めることができるというように私どもは考えております。
○岡田(正)委員 大変意地の悪い質問で恐縮でありますが、四九四の「不正ノ」ということがのけられた場合と、それから今度新しく追加されました四九七、いわゆる贈収賄罪、この関係を新しく載っけてもらったということを考えてみて、捜査上の効果として、四九四の「不正ノ」というのをのけた場合を一〇〇%といたしますと、それをのけないで四九七をつくったのだからという分は、大体何%ぐらいですか。何十%にもならぬのでしょう。
○漆間説明員 大変むずかしい御質問でありますけれども、率直に申し上げますと、四九四の「不正」が抜けた場合と四九七で対処する場合とどう違うかといいますと、私どもの観点からいいますと罰則が違うということでありまして、総会屋の活動態様に関しては、四九七で先ほど申し上げましたように十分封じ込めていけるのではないかというように考えておりますので、四九七の規定がある限り、総会屋対策としてはそれなりに有効に機能するというように考えております。
○岡田(正)委員 それでは、罰則が四九七にはついておりますので別段の不自由はないと思うということでありますが、四九四の場合の罰則とそれから四九七の場合の罰則とを教えてください。全く一緒ですか。
○中島(一)政府委員 四百九十四条の場合は、現行法は一年以下の懲役または五万円以下の罰金ということになっておりまして、これを今回の改正によりまして罰金額を増額いたしまして、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金ということにいたしております。それから、四百九十七条の場合でございますが、これは新設規定でございますが、この場合の罰則は六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金ということになっております。
○岡田(正)委員 法務の方へさらに重ねてお尋ねをいたします。改正試案は、いま置いてきちゃいましたが、いただきましたあの説明資料の中に書いてありますか。私、目が悪いんだが、探したけれども、ないように思うのです。いまの四九四の「不正ノ」というのをのけたらどうやという改正試案があったでしょう。それはこの中に入っていますか、教えてください。
○元木説明員 資料の中には改正試案は載っておりません。これはあくまでたたき台でございまして、法制審議会の最終の答申だけを載っけたわけでございます。
○岡田(正)委員 わかりました。私の目が悪いというわけじゃなかったことがよくわかりましたが、私はちょっと不思議な気がするのです。何年もかかって、恐らく足かけ三年くらいかかっておるんじゃありませんか。そして大ぜいの方々の権威のある人たちの頭を悩ませて、討論を尽くしてでき上がったものが改正試案でございますね。そのいわゆる粒々辛苦の三年もかかってつくったような改正試案が、われわれが審議をいたします関係資料の中には全然出てこないというのは、口が悪うございますが、何か隠さなければならぬ理由があるんでございますかと勘ぐりたくなるのでございますが、いかがです。
○中島(一)政府委員 私どもは、試案というのはむしろ一つのたたき台であるというふうに考えておるわけでございまして、会社の株式制度、それから会社の機関の問題、あるいは計算・公開の問題というものについての一応の検討を終えまして一応の結論が出たわけでありますが、その結論について広く各界の意見を聞く必要があろうということで、その検討の結果を民事局の参事官室で試案という形にまとめまして、そしてそれを公表をしたというものでございます。それに対して各界からいろいろ貴重な御意見をいただいたわけでありまして、その御意見を参酌いたしまして、そしてさらに検討を加えて要綱ができ上がったといういきさつになっておりますので、言葉は悪うございますけれども、試案というものをそれほど重視していないというわけでございまして、あくまで審議の過程の一段階において検討された一つの考え方というふうに御理解いただきたいわけでございます。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
○岡田(正)委員 ちょっとしつこくなって恐縮でありますが、改正試案に出てきたものは、三年有余の年月を経てその筋の相当なるお歴々がお互いに知恵をしぼってお出しになったものであるけれども、それはたたき台である。したがって、それをもとにいたしまして参事官室でさらに試案をつくって、各界の御意見を聞いて要綱をつくった。その手続はよくわかるのでありますけれども、改正試案というものがなぜわれわれの参考資料の中に入れてもらえないのか。われわれがここへいただいておりますものは、いわゆる参事官室から後の分ですね。それより前の各界の英知を集めた改正試案はこうであった、しかし、それを参事官室で試案にまとめたのはこうなった、それに対してさらに各界の御意見を聞いて要綱がこうなった、こういう並べ方をしていただきますと、われわれも非常に勉強もやりやすいし、変な勘ぐりしなくていいわけですね。これをなぜ載せなかったのかな。三年間ただじゃないはずですね。国費を使って三年間にわたっておやりになったわけでしょう。その汗の結晶をなぜ委員会の審査の資料に供しないのだろうか。これが不思議なんです。もう一度お答えいただけませんか。
○中島(一)政府委員 先ほど私の説明ちょっと言葉が適当でなかったかと思いますけれども、法制審議会で検討をしていただきまして、その結果でき上がったものが試案でございます。ただ、その試案をつくりましたのは、法制審議会としてつくったのではなくて、民事局参事官室でつくった、こういう趣旨でございます。試案でございますから、この点についてはかなり問題もある、反対意見の方もあるけれども、試案の段階だからここで載せておこうというようなことで載ったものもございます。そういう意味におきまして、改正試案というのはあくまでも試みの案であるということを申し上げたわけでございまして、その試案について各界からの御意見を伺いまして、もう一度法制審議会でその御意見を踏まえて御検討いただいた結果改正案要綱ができ上がった、こういうことでございます。ただ、試案につきましてはすでにその都度公表をいたしております。公表をして各界の御意見を聞くためにつくったものでございますから、私ども伏せておくつもりも何もございません。すでに広く公表しておりますので、いつでも提出する用意はございます。
○岡田(正)委員 それでは、この問題について最後に一つお尋ねをしておきたいと思います。 改正試案の中で、「不正ノ請託」という「不正ノ」という言葉があるがために捜査がはなはだ難渋しておると警察庁は常に言っておったわけです。これをのけるべしという意見が多かったにかかわらず、こうやって法案となって出てきたときには「不正ノ」が削ってない。そのかわり四九七を新しくつくりましたよとおっしゃいますが、なぜ「不正ノ」というのを削らないでそのまま置いておかなければならなかったか、そこのいわく因縁というのを教えていただけませんか。
○中島(一)政府委員 確かに、従来から四百九十四条の「不正ノ」というものを削るべきであるという御意見があったわけでございまして、その御意見などによりまして、ある時期法制審議会においても、「不正ノ」というのを削るべきであるという検討がされたことがあったようでございます。 ただ、その場合問題になりますのは、四百九十四条というものがどういう保護法益を考えておるのかということであります。そうなりますと、議決権行使の清潔性と申しますか廉潔性と申しますか、そこに金が絡んではならないということになろうかと思うわけでありますが、これが公務員でありますれば、職務に関して金品が動けばそこに賄賂という問題が起こってくるわけ再ありますが、この場合は、しょせんは株式の世界の問題ではないかということになるわけであります。 株式の世界でありますから、お金さえ出せば株主になることができる。でありますから、その株主権を行使すればよいということになるわけであります。たとえば、自分をある会社の取締役にしてもらいたい、あるいは代表取締役にしてもらいたいというような場合には、金を出して株を集めて、議決権を行使すればそれがかなえられるわけであります。それでは、こういう場合はどうなるのか。自分で株式を取得しないで、すでに株式を取得しておる者に対してお金を払って自分に有利なように議決権を行使してもらうということ、そういうことまでも四百九十四条で罰則を設けることができるだろうかということが問題になったわけであります。そうなると、若干問題ではないか。事は刑罰の問題でありますから、慎重に考えるということになれば問題ではないか。 で、そういう問題を避けて、そして現在の総会屋に対して何か対応する適切な方策はないのか。それは不正の請託の有無にかかわらず、会社の金を使うということがいけないのだ、会社の金を使って議決権の行使に影響を与えることがいけないのだ、会社の経営者が自分の金を使うならいいのですが、会社の金を使って自分の保身を図る、そこに問題があるのだということになりまして、それならばということで、それにふさわしい四百九十七条という規定が設けられたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、四百九十七条の場合は四百九十四条に比較いたしまして違法性が若干薄いと申しましょうか、というようなこともございまして、罰則で若干差がついたというのがいきさつでございます。
○岡田(正)委員 それでは、警察庁の方にもう一度お尋ねしておきたいと思います。 こういうような経過をもって四百九十四条の「不正ノ」というのは取らなかった。そこで四百九十七条を新設をしたわけでございますが、これでこれから後、いままで世間でもろもろ言われておりましたような不愉快な事件というものの捜査は万端やれる、心配をしてもらわぬで結構でございますという心境ですか。最後にお聞かせください。
○漆間説明員 私どもは法執行機関でありますので、国会で法律が議決になりますれば、その趣旨を体して最善を尽くすという立場でございます。
○岡田(正)委員 はなはだ満足ではないのでありますが、職務の関係でいたし方がありません。 警察庁の方は結構でございます。ありがとうございました。 それでは次に、財産上の利益供与の禁止という問題につきまして、いまのに関連をいたしますので何点かお尋ねしておきたいと思いますが、いまの条項で防げるとおっしゃるのでありますが、しからば、総会屋がたとえば広告の掲載というようなことを理由に会社から金を取る、それで株主総会におきまして、そういう因縁がありますから会社に有利な発言をする、総会を有利に運んでいくということで協力をするというようなことが起きてくる場合、利益供与の関係は二百九十四条ノ二に載っておるわけでありますけれども、こういう関係はこれで実際に防げるものですか、いかがでございましょうか。
○元木説明員 お答えいたします。 今回の改正法案の二百九十四条ノ二の利益の供与と申しますのは、必ずしも無償だけを考えているわけではございません。有償であってもこれは利益の供与になるわけでありますので、したがって、これは禁止規定の範囲内に入るということでございます。 さらに、今回、推定規定を設けておりまして、無償あるいは無償に近い利益の供与の場合は、それが議決権の行使に関してなされたものと推定するという規定を設けているわけでございます。この場合には、たとえば広告料が相当の対価、たとえば数百万払われたけれども、その対価自身がそれだけの価値がある、たとえば全国紙に数百万のお金を払って載せるということでございますれば、これは当然相当の対価があるわけでございますけれども、総会屋と会社しか見ないような新聞に数百万の対価を払うということになりますと、供与された利益と対価とが非常にアンバランスでございますので、こういうものも無償と同じように議決権の行使に関してされたものと推定するということにしております。
○岡田(正)委員 それでは確認いたしますが、いま私が申し上げた、たとえばその総会屋さんが——総会屋さんという職業はないのでありますけれども、一応通りやすいように総会屋という名前を使いますと、総会屋さんが出しておる定期か不定期か余りはっきりしないようなものに広告をつけました、したがって広告料をくださいということを言う。それが実際にその広告をしたことによってそれだけの値打ちがあったかどうか、たとえば百万なら百万払った価値があったどうか、それを判定するのは一体だれですか。それを教えてください。
○元木説明員 実際に総会屋がそういうところで問題になる場合と申しますと、総会屋に対する受けた利益の返還請求、あるいは取締役が総会屋に禁止規定に違反してお金をやりますと、これは違反行為でございますから、会社に対して損害賠償義務が発生するわけでございます。したがって、そういう総会屋に対する返還請求あるいは取締役に対する損害賠償請求、その場合においてそういう利益が非常にアンバランスであるかどうかということが判断されるわけでございまして、主として訴訟ということになろうかと思います。
○岡田(正)委員 そういう訴訟はだれがしますか。その会社のたとえば総務部長、窓口といったら大抵総務部長に相場が決まっておりますが、総務部長さんが何でもないような変な機関紙といいますかそういうものに広告を載せた、これを百万広告料として出してくれと言ったら、仕方がないから、うるさいから出しておこうというので出した。それを、たとえば総務部長がばらそうといたしますと、これは、ばらしても同罪でございましょう。渡した方ももらった方も両方が同罪でありますから、下手なことを言えば総務部長の首が飛んでしまいますね。そういうことになれば、その総会屋に恨み深しというので、その総会屋をやっつけようと思ったら、脅迫か何かで訴える以外には手がないでしょう。ほかに手がありませんね。脅迫で訴えて総会屋をつかまえてもらえば、総務部長は無事安泰でございますけれども、それ以外だったら合意の上ということになるわけですから、そうすると罰せられるのは同罪ということになりますので、ますます貝がらがふたをしたように、本件というものは陰うつに地下にぐっともぐっていくのではないかという感じがいたしますが、いかがでございますか。
○元木説明員 現行法の二百六十七条に、株主の代表訴訟というのがございます。これは取締役の責任追及で、本来ならば取締役に対しては会社が損害賠償請求をするということでございますけれども、会社がそれをやらない、あるいは株主が請求してもそれに応じないという場合には、株主がみずから会社のために代表訴訟として損害賠償を請求することができるという規定がございますけれども、これを今回の総会屋の問題にも準用しようということでございます。つまり、金をやった会社みずからが返還請求をするということはとうてい期待できませんので、その場合に株主が会社のためにその返還請求をすることができるということでございます。 なお、さらに加えまして、取締役が禁止規定に違反してお金をやったという場合には、取締役に対しても損害賠償請求ができますけれども、これにつきましても、ただいま申し上げました代表訴訟の規定が働くわけでございます。
○岡田(正)委員 ちょっともう一回念を押しておきたいのですが、もちろん会社側の方からその訴訟を起こすということは恐らく常識上ないでありましょう。ということになると、そこに株主がかわって訴訟する一かわってと言ってはおかしいのですが、株主が訴訟するということはできますよ、その道はありますよ、こういうことでありますが、その株主とはたとえばどの程度の株主を言うんですか。今度で言うならば一単位株、あるいは中小会社で言うならば一株でも株主であればよろしいわけですか、三百単位株とかそんなのではない。そこら辺の資格をちょっとはっきり言ってください。
○元木説明員 これは、六月以前から引き続いて単位株制度を採用している会社でございましたら、一単位以上の株式でございます。それから、そうでない会社でしたら、一株ということでございます。
○岡田(正)委員 続いて、これに同種の問題でありますけれども、いまのような広告料のような分だったら、極端にわかるような分だったら、これは株主さんがおかしいなと思ったら訴訟することができますね。ところが、今度はこういうのはどうなりますか。おまえさんところの会社の建物や何かの保険業務、これをおれは保険代理店を開くからおれのところに契約せいよ、ほかへもし契約しておるんだったらそれをやめろというようなことになりましたら、これはどうなりますか。
○元木説明員 この場合もあくまで実質的な対価関係ということになろうかと思います。したがいまして、その保険金額、保険契約の内容等、そういうものを検討した上でそれが非常にアンバランスであるというようなことであれば、これはやはり無償に近いということになろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういう場合たとえ対価関係としてはバランスがとれていたといたしましても、今回の禁止規定の対象にはなる。ただ、推定規定は働かないということだけでございます。
○岡田(正)委員 そうですね。だから、こういう保険なんという口に入り込んできたら事実上推定はなかなかできないでしょう。やろうたって無理です。ということになると、会社の方からも訴訟できない、株主からも訴訟がないということになると、いわゆる総会屋さんのもぐり込んでいく合法的な場所というものがこういうところに残されてくるわけですね。そういう点が私どもとしては非常に心配になるわけであります。 それから、いまの財産上の利益供与の禁止規定を設けまして、その違反についていまさっき申し上げました四九七ということで刑罰を科すからよろしいのだということでございましたが、いまちょっと二つほどの事件を持ち出して具体的にこういうことがあったらどうしますかということをわずかな時間で討論をしてみても、むずかしいな、上げることはできぬなという感じが率直に言ってしませんか。ほとんど効果は期待できぬな。今回の法改正の大きな目玉の一つは総会屋対策にあったと思うのであります。その総会屋対策という一つの目玉がほとんど実効は上がらぬのじゃないかなという悲観的な観測を実はしておるのですが、いかがでございますか。
○中島(一)政府委員 私どもといたしましては、従来問題の多かった点につきまして一応の手当てをしたというふうに考えておるわけでありまして、それはそれなりの実効をおさめ得るというふうに思っておりますけれども、今後なお法律を適用する場面があるわけでありますから、その実績をも見て、将来整備すべきものがあればさらに整備をしていかなければならないというふうに考えるわけでございます。
○岡田(正)委員 非常にまじめな前向きの答弁でありまして、結構でございます。人間のつくったもので万全はなかなか期しがたいものであります。この法改正の後で不備な点が出ましたならば、ひとつもう一度よく見直していただきまして、即時対応ができるように、私の希望から言うならば、四九四の「不正ノ」というのを取ってしまえば問題はほとんど一〇〇%近く解決するというふうに私は信じておりますので、多少の——多少どころではない、ものすごい抵抗があるかと思いますけれども、ひとつ勇気を出して対処をしていただきたいことを希望として申し述べておきます。 さて、次の問題でありますが、株主の提案権の問題、このことにつきまして今回の改正の中では二百三十二条ノ二でございますが、この株主の提案権ということについてどうも私はよくわからぬので、一つずつ聞いてまいりますので、正確にお答えをいただきたいと思います。 株主の提案権の中で、いわゆる中小会社の場合に例をとってみますと、百分の一ないし三百株以上の株主は、こうなっておるわけであります。そこで、この三百株あるいは百分の一という数量は、単一の人間ですか。数人の人間が集まってその株数になっても、あるいはそのパーセンテージになってもよろしいという意味ですか。どっちですか。
○元木説明員 数人の人間が集まってその単位に達してもよろしいということでございます。
○岡田(正)委員 ということになりますと、中小企業の会社の場合で数人の人が集まってもいいから百分の一もしくは三百株ということになりますと、いま額面で出ておりますのは二十円あるいは五十円、一番新しいので五百円というようなところですね。そういたしますと、五十円が普通でございますから、一株五十円で三百株と計算をいたしますと、一万五千円の株主であればいわゆる株主総会に対する提案権を有する、こういうことになりますね。そのとおりでしょう。ちょっとお答えください。
○元木説明員 御指摘のとおりでございます。
○岡田(正)委員 ということになりますと、中小会社の場合三百株ぐらいを集める、だれかちょっと意地の悪い人がおりまして一緒に束になりましたら、三百株ぐらい集めることはわけのない話であります。ということになると、その人たちが株主総会に提案をする権利を持つ。提案をする権利を持ちましたならば、それが外へ公表されましたならば会社のイメージダウンにたちまちつながっていくような問題、たとえて言いますならば〇〇会社解散に関する件、あるいは取締役全員引退に関する件、極端な話が社長退任に関する件というような議案なんかも平気で出すことができますね。こういう問題が出てまいりますと、当然会社の総会の招集通知状の中に明記しなければなりませんね。これは一体どう思われますか。大して影響はないなと思われますか。どう思われますか。
○中島(一)政府委員 確かにただいま御指摘のような問題があるわけでございます。すなわち、株主の提案権の要件とされております三百株というものにつきまして、単位株制度を採用しております会社につきましては、この三百株は三百単位というふうに読みかえるという手当てがしてあるのに対しまして、それ以外の既存の会社につきましてはそのような手当てがされておりませんので、その間均衡を失するのではないかという問題が出てくるわけでございます。 確かにそうなんでございますけれども、単位株制度を採用していない既存の会社というのは、これは非公開、閉鎖会社ということになろうかと思うわけでありまして、内輪の会社でありますから、提案権というようなぎくしゃくとしたような関係が起こってくるということは少ないんじゃなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。提案権の資格である株主の単位を低くしておきましてもそれほど混乱はない、異分子が入ってくるということを避けられるんじゃないかというふうに考えておるわけでありますけれども、もしそういうおそれがあるということでありますれば、定款で単位株制度を採用していただくという道もあるわけであります。あるいは株式の譲渡制限をするというような方法もあるわけでありますので、株式単位を大きくするという方法は残されているということになります。それぞれの会社にそれぞれの特質があるわけでありますから、その特質に応じて適当な方法で対応していただきたいというのが私どもの考え方でございます。
○岡田(正)委員 そこで、具体的な問題につきましては後でお尋ねすることにいたしますが、どうも私がちょっとわからぬのは、従来の少数株主権というものは百分の三ですね、これは商法二百三十七条、そしてあるいは商法の二百九十四条に十分の一というふうに相なっております。そこで、これをいままではすべて何分の一、何分の一という持ち株の比率で言っておりました。外国の例もほとんどそうでございます。ところが、わが日本だけと言ってはおかしいが、ほかにもあるかもしれませんから日本だけとは言いませんが、先進諸国の中では恐らく日本ぐらいではないのですか、百分の一といういわゆる持ち分比率とそれで持っている持ち株数を一緒に並べて出してきたというのは。しかも中小会社と大会社との間で、今度はこの法案が通ったとすれば、資本金五億円以上の大会社でございますけれども、これは三百単位、こういうことになるのですから、五十円の株なら千株集めないと五万円になりませんから、五万円が一単位になるわけですから、それの三百単位といえば、当然千五百万円の株主でなかったら提案権はない、いわゆる大会社の場合は。ところが、中小会社の場合だったら、極端な話、二十円の株券だったら、掛ける三百倍で六千円の株主でも提案権を持つわけでございましょう。何とまあひどい不均衡だな。しかも持ち株比率の点で言ったならば、資本金五億円以上の会社も百分の一、中小会社の方も百分の一でございましょう、今度の法案が通ればですよ。この比率はいままで持ち株比率だけでうたっておりましたものを、何でそれにプラスいわゆる持ち株数まで入れられたのでしょうか、理由をお尋ねいたします。
○元木説明員 御承知のように、今回の提案権の特色と申しますと、これは提案された事項が株主総会の招集通知とともに株主に送付されるというところに意味があるわけでございます。そういたしますと、大会社におきましては、これはもしこの提案権が乱用されるということになりますと、数十万の株主がいるという会社もあるわけでございまして、そういう会社につきましては大変な費用がかかるということになるわけでございます。かえって制度を設けた趣旨が没却されてしまうというような問題にもなりかねないわけでございます。したがいまして、その乱用を防ぐためには、やはり一定割合以上の株式を持っている株主しかこの権利を行使できないというふうにせざるを得ないわけでございます。 ただ、大会社におきましては、もし百分の一ということにいたしましても大変な株式数になるわけでございまして、上位株主の数人しかその権利が行使できないということで、実質上有名無実になってしまうというおそれがございますので、三百株という別の権利を設けたわけでございます。したがいまして、たとえば現在の株主総会の招集請求は百分の三であるとか、あるいは会計帳簿閲覧請求権は十分の一ということになっておりますけれども、言ってみれば、提案権というのはこれらよりは比較的もっと簡単に行使できてしかるべき権利であろうということから、あえて三百株というものを入れたわけでございます。 ところが、それに対しまして中小会社、いわゆる閉鎖会社でございますけれども、これにつきましては、よしんば乱用されたといたしましても——乱用するということ自体、必ずしも予想はしていないのでございますけれども、よしんば乱用されたといたしましても、株主数が少ないわけでございまして、この株主総会招集通知にそういうものを載っけたからといって決定的な打撃をこうむるということもまずないのではなかろうかという問題もございますので、一応そこで三百株ということで割り切ったわけでございます。
○岡田(正)委員 さてそこで、中小会社というのは閉鎖会社ですから、株がよそへ流れるということもほとんどないであろうし、譲渡禁止の規定も設けておるであろうし、取締役会の承認を得ようとすればそこでブレーキがかかるし、万々一そういうことは余りないのじゃないでしょうかというようなお話でありますが、あるいはごくごく小さい会社はそうであるかもしれませんが、このごろの会社の趨勢というものはどうなっておるかといいますと、いわゆる現物給与といいまして自分の会社の株券を従業員に分け与えるという会社はずいぶん数が多いのであります。その会社の従業員は永久に死ぬまで社員ではございません。これはいつの日にか会社をやめてまいります。だが、株券はそのまま持っております。そういうものがいつの間にかだれかに集められます。こういう問題が起きてきます。 それから、譲渡禁止の規定があるからといって、これは釈迦に説法でございますけれども、この株券をあの人に、たとえばAさんに譲りたいと思うのでございますがといって、譲渡禁止の規定があれば当然取締役会に言わなければいかぬ。取締役会におきましては、あ、あのAという人間は会社乗っ取りの専門屋だ、あんな人間に譲られたのでは大変なことになるから、それはやっちゃ困るといって、やっちゃ困るまではいいわけですけれども、やっちゃ困るのならだれに譲ってもよろしいということを二週間以内に文書をもって通知しなければならないというふうに、一遍は逃げられるが二遍目は逃げられぬわけですね。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 というようなことがありますので、株は絶対に動かぬものではない。 株というものは一つの財産でありますから、その人の持っておる財産権の制限というものはそんなに野放図にできるものではない。ということになりましたら、中小会社といえどもその株を持っていまのように三百株、何人かの人間でもいい、集めて株主総会へその議題を提案することができる。議題を提案すれば、その総会の招集通知状には社長解任に関する件というのがはっきり印刷されて出ていかなければならぬ。これは会社のイメージダウンにものすごくつながりますから、いや、これは大変なことになるというので、いま局長さんがおっしゃいました、そんなに困るのなら逃げ道が一つありますよ、それは五億円以上の会社のまねをして単位株制度をとればいいじゃないですか、定款をちょっと変えればいいんだ。もちろんそのとおりです。法律のとおりで言えばそういうことになります。定款を取締役会で変えました、それで総会にかけて変えました、大会社並みの一流のいわゆる株式制度と言ってはおかしいが、単位株制度にいたしました。単位株制度にいたしましたならば、そこで起こってくる問題が何があるでありましょうか。 そこは、今度はたとえば五十円の株券を持っておる会社といたしますと、千株集めなければ一単位になりませんね。ということになると、端株と言ってはおかしいのですが、単位未満株で一千株にならない、九百株しか持ってないよ、あるいは五百株しか持ってないよという株主はいっぱい出てくるわけですね。そうすると、こんなもの持っておったってしようがないわい、何も株主総会で発言できるわけじゃないし、配当がもらえるだけであるし、こんなもの持っておってもしようがないわ、この際買い取ってくれ。それは買い取らなければならないという今度の法改正でございましょう。そうすると、大会社のまねをしたばかりに単位未満株の買い取り請求が起こってまいりますね。この買い取り請求が起こってきたら一体どういうことになるでありましょうか。中小会社がそれでもてると思いますか。会社の存立そのものが危うくなるようなことになりはせぬでしょうか。以下、後で実際にある問題を申し上げますけれども、そういう買い取り請求が来て、これはかなわぬ、もうとてもこんなことしたら会社がつぶれてしまうというので、運転資金もなくなってしまうというので、今度はあわてて定款をもう一遍変えてもとのいわゆる一株五十円の中小会社の方の制度に戻ろうといたしましたら、どっこい戻らせないよという法律になっていますね。もう逃げ道はありません。 だから、その中小会社の会社の定款で、三百株の提案権で脅かせるのだったら会社のイメージダウンにつながるから大変だ、これは逃げなければいかぬというので、大会社のまねをして単位株の制度をとったら、それで逃れられるかと思ったら、今度は単位未満株の買い取り請求が起きてくる。その買い取り請求にはとても資金的に応じられない。これはかなわぬからもう一遍戻したいのです。それはだめですと言って押さえられておる。こういうところでノートラブルでしょうか。ちょっとその辺をお答えいただきたいと思います。
○元木説明員 まず、買い取り請求の問題でございますけれども、非上場会社につきましては統計がとれませんのでとっておりませんけれども、現在のところ、上場会社に関します限り、単位未満株は発行済み株式総数の大体〇・八%ぐらいということになっているわけでございます。したがって、よしんばそれにつきまして全部買い取り請求があったといたしましても、これはもちろんその会社の資産状態にもよりますけれども、まず普通の場合ならば、それほど会社の資金関係を脅かすほどのものにはならないのではないかという問題でございます。 それから、先ほどの譲渡制限の問題でございますけれども、譲渡制限の場合は取締役会の方で積極的に買い受け人を指定することができるということでございますので、その場合に無難な人に買い受け人を指定していただければ、何とか切り抜けられるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
○岡田(正)委員 そこで、この問題に関連をいたしましてちょっと大蔵省の方にお尋ねをしておきたいことが二つあります。 その一つでありますが、この件に関係してです。買い取り請求がありました場合に、それがもつれたら裁判所にその評価額を決めてくださいという訴えができます。その訴えをいたしましたならば、裁判官というものは経済家じゃございませんし、税務署じゃございませんから、その五十円の株券というのがいま果たして幾らの値打ちがあるのかという評価額を決定する資格は持っておっても、力は持っておりません。そこで該当の税務署の方にお尋ねをいたしまして、この株券というのはどのくらいの値打ちがあるものか御回答願いたいという照会があります。その照会に対して税務署は裁判所に答えを出すわけでございますが、その評価額決定の方法についてどうなっておるのか、その手順と方法をひとつ教えていただきたいと思います。
○林説明員 実はお尋ねのような問い合わせというのを裁判所からいただいたことがあるかどうかというのを調べてみたのでございますが、十分に調べたわけでございませんけれども、あるいは税務署の方にあったのかもしれないのでございますが、私どもの方も、税務署も裁判所からのお尋ねということになりますと、必ず国税局の方に問い合わせが来るだろう——国税局の方では、実はそういうお問い合わせがあったということで税務署の方から照会があったという事例はちょっと聞いてないということなのでございます。したがいまして、もしお問い合わせがあるとすればどんなお問い合わせであろうかということでございますけれども、個々具体的な財産の評価そのもの、こう評価してくれ、これを評価してくれというお尋ねはあり得ないのじゃないかと思うわけでございます。結局、私どもの扱っております相続税の財産評価というのが比較的財産評価の面におきまして一般化しているものでございますので、もし相続税の評価でやるならばどういうやり方をするのかというお問い合わせになろうかと思います。したがいまして、そういう立場でお答え申し上げたいと思います。 お尋ねが株式のことでございますので、株式についてでございますが、私ども株式の評価をいたします場合に、上場株式でございますと、これは日々の相場もございますので、これを使うということで簡単なんでございますが、中小会社の取引相場のない株式ということになりますと、これがないわけで非常にむずかしい問題なんでございますが、原則的な評価の方法と例外的な評価の方法、二通りあるわけでございますが、まず原則的な評価の方法を申し上げますと、取引相場のない株式を発行されている会社でもずいぶん大きな会社もございますので、まず会社を大きい会社と中と小に分けまして、大きい会社につきましては、これは場合によっては上場も可能なような会社でございますので、類似の業種の上場会社の株式と比較をいたしますという形で、私どもこれを類似業種比準方式と申しているのでございますが、これでやらしていただくということでございます。 次に、今度は小さい方に移りますと、小さい方は、内容から申しまして、株式会社の形をとっておられましても、実質的に個人経営と余り変わりがないのじゃないかということもございますので、そういう小会社の株式につきましては、そういう個人業者の財産評価との均衡ということを考えまして、その評価会社の資産につきまして、純資産価額でどのくらいになるのかということを計算いたしまして、それによりましてその純資産価額を出して、株式数で割ってその一株当たりの実質的な価額を決定するという方式をとっております。 それから、中程度の会社でございますが、これは大会社と小会社の両方の性質を備えているものでございますので、大会社に適用しております類似業種比準方式と、小会社に適用しております純資産価額方式、これの折衷方式ということで評価をいたしております。 以上が原則的な評価の方式でございまして、たとえば従業員株主のように、小さな会社の従業員株主、この方は小さな会社の株を持っておられるといたしましても、その実質は決して株によってその会社を支配するという形ではございませんので、こういう場合には配当を期待してお持ちであろう、もちろん別の意味でお持ちの方もあろうかと思いますけれども、評価といたしましては、配当を期待してお持ちであろうということで、配当額から株価を逆算するという、私どもこれを配当還元方式と申しておりますが、そういう形で評価をしている、こういう評価の方法について裁判所の方に申し上げるということになるのではないかと思うわけでございます。
○岡田(正)委員 いまのお答えによりますと、そういう株の評価をしてくれということを言われたということを税務署から国税局へ上がってきたことはない、いままで聞いたことがない、こういうお話であります。ただ、いわゆる相続の関係のときに財産の評価という問題はいままで何遍も取り扱ったことはあるけれども、株の関係ではそういうことは余り聞いたことがないというようなお話でありますが、手続といたしましては、冒頭私が申し上げましたように、今度単位未満株ができまして、その株主がこれを買い取りをしてもらいたいと言って買い取り請求をする権利ができる。その買い取り請求をいたしましたときに、あなたの持っておる株は五十円だから五十円で払いますなんと言ったら、とんでもない話だと言ってもつれることは決まっておる。そこでこれを裁判所へ訴える。裁判所はその評価額を決めねばならぬ。決めるとなれば税務署にしか聞くところはない。この手順が間違いないか。それで税務署が答えなければならない、それを判決とするという私がいま冒頭に申し上げたことに間違いはないかどうか、それだけお答えください。
○林説明員 税務署で株の評価をいたしますのは、私どもは、一番大きいのは相続税の財産をどう評価するかということでございまして、ただいまお尋ねのような件につきまして、税務署がその財産の評価の当事者として適当であるかどうかという問題は、私、裁判の関係はつまびらかにしておりませんのでよくわからないのでございますが、別にそれぞれこれは御専門の方がおいででございます、いろいろ学者の方とかあるいは証券関係にお詳しい方とか。私もそのあたりの手続はつまびらかにいたしておりませんが、税務署の方でその評価をするということにはならないんじゃないかというふうに理解をいたしております。
○岡田(正)委員 それでは、別の問題を大蔵省の方にお尋ねをいたしますが、今度の法改正によりまして、子会社が親会社の株を持ってはならないぞ、それから、中小会社にいたしましても、お互いが株を持ち合うというようなことをしてはなりませんよということが規定に出されますね。この法律に出ますね。ということになると、実情はどうかといったら、親会社の株を持っている子会社も多いと思いますが、中小の会社に至りましたならば、もう系列会社みたいなかっこうになりまして、お互いに株を持ち合っているというのはもうざらにあるわけですね。それが今度の持ち合い禁止の規定によりまして、それをお互いに譲り渡さなければいかぬようになりますね。 この譲り渡しますときに、いろいろなケースがあると思います。たとえば五十円の株をAも一万株持っている、Bも一万株持っている、だから、同じ値段であるから、もう等価交換で、金は一銭も動かさずに株券だけさっと動かしましょうやという、そういういわゆる譲渡の仕方もあると思いますね。一銭も金は動きません。しかし、この場合は名義の書きかえという行為が残りますので、名義の書きかえをした途端にいわゆる課税の対象になるのではないか。金は一銭も動いていなくても、金は動いたものと推定されて課税されるのではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○四元説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の場合は、関係者間あるいは関係会社の間でそうした持ち合い株の解消が行われるというケースであろうかと思います。御承知のとおり、法人税は、関係会社の間といえども、原則としてこれを独立した当事者間の取引として税の取り扱いを律しておるところでございまして、したがいまして、そのような場合も当然当事者間において、正常な取引条件で取引が行われなければならない。もちろんその場合に、金銭が、等価でございますから、一銭も動かないということがあろうかと思います。その場合の税法の取り扱いは、これは法人税法の二十二条でございますけれども、交換的な取引でございましても、これは有償の資産の譲渡でございますので、その間、簿価との間に簿価を上回る価格がございますれば、その分につきましてはキャピタルゲインについて課税関係が生ずる、こういうことに相なります。
○岡田(正)委員 そうすると、全然金は動かさずに、お互いに五十円株を一万株、一万株持っておるんだから、A社もB社も、おい、今度は法律で禁止されるんだから、株券を相互に譲渡しましょうぜ、全然金目は同じだからいいじゃないかと。しかし、それはおのおの独立した法人でありますから、そこには当然取引関係があると見られるということになったらただとはみなさぬぞと。ただで交換したのですけれども、ただとはみなさない、やはり課税の対象になる、これがいまはっきりしましたね。 そこで、今度はもう一つの問題は、これから後に出てくる問題でありますが、五十円の株券でありましても、評価をいたしましたら、これは上場会社なら毎日毎日わかるわけでありますが、そうではなくて非上場で、どちらかといったら閉鎖的に近いような会社であるとするならばますますのこと、この五十円の株券でありましても、それははるかはるか昔の話でありますから、現在それを評価してみたら何万円という価値ということになっておる。それを、五十円と書いてあるんだから、五十円でお互いに譲りましょうや、あるいは片方から片方へ譲りましょうやということになる。そうすると、たとえば一万株持っておる者が、五十円の株券ですから、株券をあなたのところに戻そう、だから五十万円金をくれということになりますね。五十円の一万株ですから五十万円くれ、そして額面どおりの金をもらった。 これも一つの取引でありますけれども、しかし、どっこい待てよ、評価してみたらそうはいかぬよ、この会社の株券は二万円の価値があるということになれば、そこに一万九千九百五十円の差が出るわけですね。これは税務署の方で絶対に見逃すはずがありませんね。おっとどっこい待て、その一万九千九百五十円の利益はだれが取ったんだ、こういうふうになりますから、それは贈与になりはせぬかということになるのではありませんか。まあ簡単に言ったら、贈与税の対象となって税金を取られるんじゃないでしょうか。その点を明確にしてください。
○四元説明員 法人間の取引でございますと、これは贈与税ではなくて、すべて法人税の課税対象ということに相なります。したがいまして、たとえば子会社は親会社の株を持ってはいけないので、相当の時期にその親会社ないしは親会社の指定する者に引き取ってもらう。そのときの価格が、いま御指摘をされましたように、本来二万円であるべきものが一万円という取引でございますと、これは正常な取引条件ではございませんので、当然二万円で譲渡をされたものと税務上は取り扱いまして、それは実際授受されておりませんので、その分受贈益を、みなし受贈益という形で課税になりますし、また、それをその二万円で譲渡したうち残る差額の一万円は、今度は親会社の方に寄付をされた、こういうような形で、それぞれ寄付金の限度計算の対象になって、場合によって法人税の課税関係が生ずる、こういうことに相なります。
○岡田(正)委員 いまお話がありましたように、お答えを聞いていただいてもわかりますように、今度の法改正というのは、いわゆる資本金五億円以上の会社でない中小会社にとっても大変な問題をはらんでおるわけです。親会社の株を子会社が持ってはならぬ、ならぬから、それじゃ株券を返しましょう、返せといって、ただで返せば、いまのようにみなし譲渡益がやられるし、対価交換をやれば対価交換をやったで、これは決してただじゃありませんよ、取引をする法人じゃありませんか、これは取引があったに間違いないとこれも推定される。それで、それじゃ正常な金で受け取ればということになるが、なかなかそんなやり方を子会社が親会社に要求できるものではないということになる。 それで、仲間同士のお互いの系列の間で、持ち株をお互いに返しましょう、それじゃ戻しましょうということをやりましても同じことでありまして、いわゆる等価交換をしたからといって税務署の目を逃れることはできない。額面だけの五十円で、五十円だけをお互いに払ったんだということにして取引は終わり、チョンということになりましても、とんでもない話だ、いわゆる評価額からいったらその間にずいぶん大きな差額がある。その差額は当然どっちかが譲渡を受けたことになる、あるいはどっちかが相手に贈与したことになるというようなことになって、いま持ち合い株でやっておる中小企業のほとんどの会社がもう全滅に近いほど税務署からねらい撃ちされるんじゃないですか。 国税局としたら、法務省が出された今度の商法の改正案というのは、ああ実にいいものを出してくれた、行革で何とかして税金を上げなければいかぬときだが、これはいい法案が出たわいと言って、実は大蔵大臣も手をたたいて喜んでおるのじゃないですか。いかがですか、大蔵省は大歓迎ではありませんか。
○四元説明員 先生御指摘の話でございますけれども、私ども税法を執行する国税庁でございまして、国税庁は何も税収をよけい確保するところに使命があるわけではございませんで、税法にのっとりまして適正に税法を執行していく、そのために努力をするという官庁でございまして、そういった制度改正の増税効果、減税効果といったものについては格別の関心は持っていないところでございます。
○岡田(正)委員 そうでしょうね。御無理ありません。ありがとうございました。大蔵省の方は結構でございます。 そこで次に、いま現実に起こっておる問題をここで取り上げてみたいと思うのであります。いまのは買い取り請求ですが、法改正がなくても買い取り請求でいま困っている会社があるんですよ。その一例をお話しいたしますと、間違えたらいけませんからちょっと数字を見ながら申し上げますが、実際に起こっておるのは、これは広島県なんです。広島県の中部台地で起きておる問題でありますが、いま私が質問したのは、五万円に満たない単位未満株の人たちから買い取り請求があったら、今度は買い取らなければならぬとはっきりなるわけですから、そうすると、先ほど申し上げたことの続きになるわけですが、買い取り請求があったらこれを買わなければいかぬということになるとどういう問題が起きるかといったら、いまの法律ですら買い取り請求を起こされて大変困っておる会社で、広島市に賀茂鶴という会社があります。これはうまいお酒をつくる有名な会社であります。 この会社は、実は買い取り請求がありまして本当に弱ってしまって、それで裁判所の方にお願いをしてその評価額を出してもらったのでありますが、商法二百四条ノ四の規定によりますいわゆる買い取り価格は、額面五十円の賀茂鶴の株が、裁判所の判決で何と一株について二万六千円ということになったのであります。五十円の株が二万六千円です。一体これは何倍ですかね、五百倍ぐらいになるのですよ。こんなことをやられましたら中小企業なんて一たまりもないですよ。この賀茂鶴というのはたしか資本金二百万の会社だと思います。これはもうたまらぬことになると私は思うのですよ。先ほど大蔵省からも説明がありましたように、ああいうやり方でいけばやはりこのぐらいの金額にはなってくるわけですね。 こういう問題が実際にあるわけでありまして、先ほどお答えがありましたように、大企業なら買い取り請求があったというような実例などはせいぜい〇・八%ぐらいだ、しかも金目にしたところで大したことはない。大会社の株数というのは多いですから、〇・八%といっても相当の株数でしょうけれども、しかしながら、買い取る金額が高くても大したことはない。しかも上場会社でありますから毎日新聞に出ているわけで、いまのように五十円の株券が二万六千円に評価されるなどということは、大会社の株券についてはありはしません。ということになったら、大会社が受けるダメージなどは一つもないのですよ。今度の法改正でとんでもないダメージを受けるのはだれかといったら、中小会社なんですよ。それで、こういう実例がありますが、御存じでありましょうか、いかがでしょうか。
○元木説明員 いまの実例については存じなかったわけでございますけれども、ただいまの実例は恐らく二百四条ノ四に基づく株式譲渡制限に際しての買い取り請求であろうかと存じます。この株式譲渡制限の場合の買い取り請求につきましては、これは大株主がもし譲渡をしようということになりますと、会社の負担は非常に大きくなるという可能性があるわけでございます。 それに対しまして、今回の単位未満株の買い取り請求というものは、これは要するに単位未満ということでありまして、全体の量からいってもそれほど大きくはないのではないか。いま先生から大会社については〇・八%ぐらいだという御指摘がございましたけれども、大会社においては単位未満株が比較的出やすい状況でございます。つまり、株式を時価発行いたしましてそれを資本準備金に組み入れる、そしてその準備金に組み入れたものを資本に組み入れて無償交付するというような場合に単位未満株というものができる原因があるわけでございます。しかし、閉鎖会社におきましては株式を時価発行するというような場合がございませんので、単位未満株を出すという場合は非常に少ないのではないかということでございます。そうなってまいりますと、買い取り請求で非常に苦境に立たされるという例はまずレアケースなのではなかろうかと思うわけでございます。 もう一つの御指摘は相互保有の問題でございますけれども、相互保有の場合に、今回の改正法が施行になりました場合直ちに手離さなければいけないのではないかということでございますが、今回の改正法律案では、相互保有は議決権の行使ができないということにしているだけでございまして、禁止はしていないわけでございます。したがいまして、これは黙って持っていても構わない、もちろん手離したければ手離してもよろしいということで、それは各会社の判断によるのではないかということでございます。 その次に、子会社が親会社の株式を持っているという状態でございますけれども、まず第一に、もし一〇〇%の子会社が親会社の株式を持っているという状況でございますれば、これは現行法のもとにおいてもはっきり違法でございます。したがいまして、これは現行法のもとにおいても処分しなければいけないことでございまして、今回もし新しい法律が施行されましても、それで直ちに義務が生ずるということではございません。ただ、五〇%超ぐらいの子会社が親会社の株式を持っているというときには、これは手離さなければいけないわけでございますけれども、これも実は附則の四条の経過措置で、「相当の時期に、その株式又は持分の処分をしなければならない。」ということにいたしております。つまり、この「相当の時期」というのは、会社が特段の不利益をこうむらないような方法で譲渡すればよろしいということにいたしておりますので、まずこのことによって決定的なダメージを受けるということは避けられるのではなかろうかと思うわけでございます。
○岡田(正)委員 まあ理屈の通りから言えば、いわゆる単位未満株はそう大して出ぬのではないかということでありますが、それは大会社にとりましては大したことはありません。ところが、中小会社の場合における単位未満株というのは、思わぬ力を発揮すると思うのです。というのは、中小会社で千株持っているというような株主はほとんどありませんよ。重役ぐらいになれば別でありますけれども、それ以外の者で千株も持っているというのはほとんどないです。ということになりますと、ほとんどが単位未満株なんです。そうすると、単位末満株であったら買い取り請求、譲渡禁止が入ればなおさらのこと、それなら会社で買い取ってくれ、それじゃ五十円の株券だから五十円で買ってやろう、そんなあほなことがあるものか、それなら裁判に訴えてでもこの価格を決めてもらうということになると、いまの賀茂鶴のように、五十円の株券が一躍二万六千円になってしまうということになったらほくほくものですね。 だから、こういうことに知恵をつけられた連中が、とにかくおじいさんの代から持っておるような株券を、蔵の片すみでほこりをかぶって寝ておったようなものを、株主を調べては買い歩きまして、それで、あなたが持っておる株券は私に譲ってちょうだいというようなことを言って譲ってもらってはそれをため込んで、その会社を痛めているというようなことがあるわけです。五十円の株券を千円ぐらいで買い取るのです。千円ぐらいで買い取って二万六千円もらうのでありますから、差し引き二万五千円の得です。一株でですよ。これはもう遊んで暮らした方がいいくらいなんです。こういういわゆる新商売が生まれるのではないかと思われるほど中小企業にはダメージを与えるので、先ほど申し上げましたようないわゆる株主総会に対する提案権、これを百分の一もしくは三百株以上の株主はという分は余りにも低過ぎるのではないか、権利の乱用に通じるのではないかとさえ思えるのでありますが、この三百株というのは削除するというお気持ちにはなりませんか。また、よう考えておきますでもいいですよ。
○中島(一)政府委員 ただいま御指摘もございましたので、さらに検討したいと思っております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。ぜひともひとつ検討をお願いしたいと思います。私は、この三百株というのは、今回提出の法案の中で一番重要なポイントの中の一つではないかと思います。ぜひぜひひとつ御検討いただきたいと思います。 その次に申し上げたいのでありますが、これに関連いたしまして、現実にいまイギリスの会社法第百四十条で、議決権なんかが二十分の一または株主が百人以上というような規定になっておりますし、それから、ドイツの株式法百二十二条などにおきましては、資本の二十分の一または額面百万マルク以上というふうになっておるのでありまして、さらに、日本のいま現在ある分でも、いまの三百株なんというのはないのでありまして、百分の三か十分の一ということがあるだけでありまして、それが今回急にぽんと持ち株率は百分の三から百分の一へ下がり、これは権利の拡大と称するのでしょうか。それからさらに、いままでなかった三百株がぽかっと出てきて、三百株もあれば十分暴れることができるな、これは総会屋さんに、大会社の方ではもう広告料と保険屋稼業くらいしかもうからぬぞ、ほかに行くところがないから中小企業へ行けというようなことで、法務省が今度の法改正で奨励しているのじゃないかなというふうに私は誤解をするくらい、実は思っておるのであります。 それで、いまのドイツやイギリスその他の会社におきましても、先進諸国においてこの持ち株比率と株式数とを一緒に併記したものは私は知らぬのですよ。私知りませんが、アメリカの方では一体どうなっておりますか。
○元木説明員 お答えいたします。 アメリカのすべての州法を見たわけではございませんけれども、私の見ましたところでは、一株株主権になっております。
○岡田(正)委員 この点、ぜひひとつ各国の法律もお調べいただきまして、二考も三考もしていただきたい。念を押してお願いをしておきます。 次に、保証債務の計上の問題でありますが、この保証債務の計上の問題につきましてこのごろ新聞をよくにぎわしておりますね。たとえば大光相互銀行の約七百億円の不正事件、あるいはつい最近ありました岩沢グループの約三百億円の不正事件、いずれにいたしましても、これらはすべて保証債務が法規にはっきりしたことが書いてないからこういう事件が起きてくるのであります。しかも、これらが簿外になっておるものですからこういう事件が起こるということは、もう専門家の皆さんが一番よく知っておるはずですよ。それで、このいわゆる保証債務をなぜはっきりと今度の法改正の中に書かなかったのか。最近起きておる一連のこの事件は、保証債務というものが明確でないから起きてきているじゃないかとだれもが指摘できるような事件であります。なぜこれを明確にしなかったか、お答えください。
○中島(一)政府委員 保証債務が問題になりますのはどこかということでありますけれども、今回の改正法の二百六十条におきまして、取締役会が代表取締役に委任することはできないで、取締役会みずからが決定しなければならない事項として幾つかのものを列挙いたしましたが、その中に「多額ノ借財」というのを掲げております。保証債務は条件つき債務でございますので、その額のいかんによりましてはこの「多額ノ借財」というところに当たる。したがって、代表取締役が決定できない。その決定は代表取締役に委任することはできない事項でありまして、取締役会が決定しなければならないということで、私どもはその点についての配慮をしたつもりでございます。
○岡田(正)委員 そこで、局長さん、配慮されたとおっしゃるのでありますが、これでまた改正試案との関係ですね。その筋の人たちが足かけ三年もかかって一生懸命になって研究して出してこられたあの改正試案の中に何と書いてありますか、本件について。これは私どもがいただいたこの資料の中にないですから、私、宙暗記するわけにいかぬので申し上げるのでありますが、どういう改正試案になっておりましたか、ちょっとお答え願います。
○元木説明員 改正試案におきましても、重要な債務の保証ということで出ております。 なお、念のために申し上げますと、これは法制審議会の答申でも、取締役会の決定すべき事項といたしまして重要な保証というのが出ております。
○岡田(正)委員 私の頭が悪いのでしょうか、私は見たことだけしか覚えてないのですが、要綱案だったですかね、何かにこういう文句が書いてありましたでしょう。「重要な寄附、出資、貸借、保証、担保の供与及び債務の免除」という活字がたしかあったと思うたのですが、私の夢ですか。
○元木説明員 先生の仰せのとおりの文言ございます。
○岡田(正)委員 そこなんですよ。この今度の商法の改正の中で——やはりあれだけ大光相互銀行とかあるいは岩沢グループとか、もう大抵二月に一遍ぐらいの割合で新聞をにぎわしてくれる。それが皆ほとんど保証債務で、会社がきのうまで健全に経営をして、従業員一同喜び勇んで、あすのためにというので一生懸命に仕事をしておったのに、ある日突然、会社に行ってみたらばたんとひっくり返っておった、営業でもどこにも何にもないのに、簿外の保証債務があったばかりに、ある日突然会社に行ってみたら青天のへきれきのように会社がなくなっておった、こんなことが行われていいんでしょうか。会社というものは会社の持っている資本と資産と、そしてそこに働く労働者の諸君のお互いの協力があってこそ会社の発展があり得るのでありまして、それが労働者が何も知らぬうちに、ある日突然に倒れてしまうわけです。その大きな原因は何かというと簿外債務なんですよ。その簿外債務が明確にならぬからああいう悲劇が起きてくるのでありまして、何千という家族を含めた人たちが路頭に迷っておる、そういうことを起こしてはならないということが今度の目玉の中の一つじゃなかったのでしょうか。 私の覚えておる文字が悪いのかもわかりませんが、要綱案か何かに「重要な寄附、出資、貸借、保証、担保の供与及び債務の免除」という字があったのに、何でこれを全部消してしまって、「多額ノ借財」。これは五つしか字がないのですから、ものすごく短く小さくなって、読むのには都合がいいのですが、そうやって「多額ノ借財」に切りかえたのか、その真意のほどを教えていただきたいのです。
○元木説明員 実はこれは、あるいは法律屋の独特の解釈であるということになるのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、要綱にございます「重要な寄附、出資、貸借、保証、担保の供与及び債務の免除」というものにつきましては、保証を除きましては今回の法律案の「重要ナル財産ノ処分」ということで全部読めるのではないか、それから、重要な保証につきましては、これは条件つき債務の負担であるから「多額ノ借財」ということで読めるのではないかということで、文言はできるだけ簡潔な方がよろしいのではないかということで、こういうふうにしたわけでございます。
○岡田(正)委員 そこらは、読めるんじゃなかろうかなということを書かぬでもいいじゃないですか。読んだらほうと言ってわかるようなものを書けばいいじゃないですか。これは何を書いたのかな、裏をひっくり返したら何かなということを一々考えなければいけないような法律というものはいかがなものでしょうか。しかも昭和の御代の一番新しいきょう今日つくろうとしているのですよ。何でそんな類推しなければわからぬような言葉で書かなければならないのでしょうか。これはだれも考えついたことがない、岡田正勝君がいまいきなりここでこういう「重要な寄附、出資、貸借、保証、担保の供与及び債務の免除」などと書きなさいと言うんじゃないんですよ。私がいま突然言い始めたのじゃないのです。長年の間言ってきていることなんです。それが何でこういう「多額ノ借財」というふうにちょこっとまとまったのか。 しかも、それは類推すればわかるじゃありませんかといっても、わからぬ人間もおりますね。わからぬから、いままであいまいだったから、そういういわゆる膨大な簿外の債務負担によってある優秀な会社がある日突然、社長のでたらめな経営ぶり、いわゆる保証債務のためにばたんばたんといっておるわけでしょう。あの誠備グループにきれいにとって食われたわけでしょう。誠備グループのもっと奥の深いものをもうちょっと言いたいのでありますが、時間の制限もありますからきょうは言いませんけれども、何でこんなことをするのですか。私はさっきの三百株とこことが気に入らぬのですよ。もうちょっとはっきりおっしゃってください。
○中島(一)政府委員 元木参事官は非常に謙虚な言い方をいたしましたけれども、「多額ノ借財」と言えば、それは重要な保証債務というものも当然含まれると私どもとしては解釈をしております。 ただ、ただいま御質問を伺っておりますと、簿外の保証債務ということでございますので、簿外の保証債務ということになりますと、これは計算書類関係の御質問ではなかろうかと思うわけでございます。この計算書類関係で保証関係がどういうふうになっておるかと申しますと、先ほども申しましたように、保証債務は条件つき債務でございますから、これは貸借対照表の負債の部に書くことになるわけでございます。ただ、計算書類規則によりますと、現実化する可能性が少ない場合には一括して注記してもよろしい、こういうことになっておりますので、一括注記をするという例も多いかと思うわけであります。それにいたしましても、計算書類にはっきりと出るわけでございまして、株主に直接開示をされるという関係になります。そういう意味でディスクローズは十分ではなかろうかと考えておるわけでございます。
○岡田(正)委員 ちょっとしつこいようでございますけれども、局長さんのいまお答えになった例は現行商法にあるのです。現行商法にあるのに、なぜ大光相互銀行とか岩沢グループ事件がどんどん出てくるのですか。そういうものを防いでやらなければいかぬわけでしょう。それを防ぐためにはかくあるべしという、さっき私が二回繰り返して読み上げましたような文言を書けばいいではないか、明確にしようではないかと言っているものを、本件については「多額ノ借財」で類推できる、しかも、現行商法の中にいわゆる計算書類の中で一括して注記をすればいいと書いてあるんだから、それでいけるじゃないかというのは余りにも冒険過ぎはしないでしょうか。その点をお答えください。
○中島(一)政府委員 お尋ねの事例がいずれも簿外の保証債務ということでございますので、恐らく計算書類にも計上されておらなかったということであろうと思われます。そうなりますと、これは商法の対象外と申しましょうか、われわれの考えておらないらち外の問題になるのではなかろうか。これは私どもも一応規定は整備したというふうに思っておりますけれども、それを潜脱してと申しましょうか、それをくぐって、そもそも帳簿にも載せないんだ、取締役会の決議も要らないんだということでやられましたのでは、これは商法の条文の適否と申しましょうか、できふできの問題ではないと考えざるを得ないわけでございます。
○岡田(正)委員 局長さんの言おうとしているところもわからぬでもないのですけれども、私がどうも釈然としませんのは、簿外の債務だから、帳面に載せておらぬのだからそれは発見しようといったって発見のしようがないんだから、そんなものはどうもやりようがないではないかと言わんばかりのおっしゃり方であります。 たとえばごく最近にありました岩沢グループの事件等にいたしましても、まさに簿外の債務ですね。だから、ここでいま決めようとしていることは、取締役会の決議がなかったら代表取締に権限を一任しないぞということを書いてあるのです。そこの岩沢グループの中では社長の御大将がワンマンで、ともかく子会社の方もみんな集められるだけの金を持ってこい、おれが使うんだ、何に使うのですか、要らぬこと言うなといってどんどん持っていって誠備グループへ運んだ。そしてある日突然どこかへ消えた。そしてその責任者が家宅捜査までして調べてみたら、何とその人のもうけている金は一銭もなかったというような状態、摩詞不思議なこと、キツネにつままれたようなことが出てきているわけでしょう。それでばかを見るのはその会社に投資した株主じゃありませんか。 株主の権利を保護してやろうというのが今度の商法の改正の目玉の一つじゃないんでしょうか。ということになれば、類推しなければわからないような法改正をするべきではない。現在の商法にある分でも規制ができるのですから、簿外の債務——簿外の債務じゃいけませんが、いわゆる保証債務ですね、そういう問題は取締役会の決議がなければ、社長、代表取締役はそれを絶対に執行できませんよということになっておれば、あんな岩沢グループみたいなあほなことば起きてこないわけですよ。だから、そこのところを二度と再びあんな忌まわしい事件が起きないように、それで家族を入れて何千人という人が路頭に迷うことがないように、どうしたらできるかということがやはりこういう法改正のときに必要な配慮じゃないんでしょうかね。この問題は、時間がないようでありますから、委員長もいらいらしておるようでございますので、きょうはこの辺で取りやめて宿題にしておきますが、どうぞひとつこの問題も二考も三考もしていただきたい。 もう一度繰り返しておきますが、いわゆる株主の提案権、三百株という問題、百分の一という問題、そしてこのいわゆる簿外債務、保証債務の問題、この問題というものは軽々に見逃すべき問題ではない。しかも要綱案にあったその文言を削って、わざわざ短い言葉でただこの「借財」。だから、法律の専門家が読めば裏の裏まで読めるのかもしれませんが、私どものように法律の素人では何のことかよくわかりません。類推してやれと言ったら、法律専門家にかかったらこてんばんにやられてしまう。もういいように言いまくられてしまう。そんないいように言いまくられてしまうような法律はない方がいい、私はそう思う。だれが読んでもわかるものにしておかなければならぬ。それが本当だと思うのです。できるだけ言葉は簡単にするのが法律とは私言いません。 たとえば、いまひよこっと開いたここなんか見ましたって、これはあなた、百ページのところをごらんなさい。「会計監査人の権限等」というところに書いてあるところでも、その二行目のところだって、どうなんです。「謄写」という字まで書いてあるでしょう。どうですか。「会計の帳簿及び書類の閲覧若しくは謄写をし、」一々動作まで書いてあるじゃないですか。こんなことこそ要らぬ文字じゃないんですか。 そこまで親切丁寧に書いてあるのがあるかと思えば、こういうふうに極端にぽかっと縮めてしまったものもある。それで後はおまえらが勝手に腹の中で推しはかれというのでは、私は、今回の三十年ぶりの商法の改正にしてはちょいとばかりお粗末に過ぎはしないだろうか。ちょっと言葉が過ぎました。けれども、どうぞひとつ何遍も考え直していただきたい。まだ審議には十分時間がありますので、そのことを要望いたしまして、本日の質問は終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○高鳥委員長 それでは、速記をつけてください。 安藤巖君。
○安藤委員 筋道だった最初予定していた質問に入る前に、先ほどの同僚議員の幕切れのところの質問の関係でちょっとお尋ねしたいと思うのです。 簿外の保証債務あるいは債務、これは局長の御答弁ですと商法の領域じゃないみたいなお話があったのですが、その簿外のものも何かチェックする方法は、やはりこれは考えなければあかぬと思うのですね。今度の改正案の中にはストレートに それが入ってきておるものはないのですが、やはりこれは会社のそういう経理関係の運用の面で、午前中もいろいろ質問がありましたけれども、監査役、会計監査人ももちろんそうだと思うのですが、まず監査役が相当しっかりこれに目を光らす必要があるんじゃないかと思うのですよ。それで、たしかこれは改正試案の段階でも出ておったと思うのですが、社外の監査役、これを選任したらどうだというようなのがあったと思うのです。それがなくなっているわけですね。この問題は、経団連の方から、そんなもの入れる必要はないんだ、内部の方がよくわかるんだということですが、内部の方だからこそ、知っておっても、代表取締役、社長に実質的には任命をされる監査役では、とうていくちびる寒し秋の風じゃないですけれども、物が言えないという状態になるんじゃないかと思うのです。 一つの例として、これは河本一郎という神戸大学の教授が書いている論文の中にあるのですが、「監査に対する期待と現実」、それで、ある公認会計士がこういうふうに河本さんに漏らしているようなんです。「最近、私が耳にしましたのは、使途不明金が非常にやかましくいわれるようになって、支出そのものを抑えるよりも、どちらかというと、今まで秘書課あたりにその仕事が降りていたものが、ある一定額以上のものはぜんぜん降りてこなくなって、却って企業のトップがガードを固めてきているケースも多いということで、監査役の方々も苦慮されて」いる。かえって幹部だけでガードを固めちゃって、秘書課にも知らせない、部長あたりにも知らせない、平取締役にも知らせないというようなことで、これは実質的には社長によって監査役が選任されているからこういうことになってしまって、監査役も全然目が届かない。もちろん、社外監査役にしても任命されることは間違いないのですが、やはりそこは一味違ったものが出てくるのじゃないかという期待を持ちたいのです。 あの誠備グループにしてやられた札幌トヨペットの岩沢さんにしても、あの誠備にひっかかったのか、自分で乗り込んでいったのか知りませんが、あれだけの仕手戦をやるのには相当の資金がなければできぬということは、だれが見てもわかるところなんです。その資金を一体どこから調達しているのかということをきちっと調べ上げて、社長に直言するなり取締役会できちっと言うなり、こういうようなきちっとした発言権をやはり監査役に持たせる必要があるのじゃないかと思うのです。そういう意味で、これはまず突破口の一つに何とかならぬかなと私も思うのですが、社外監査役というものをきちっと考えなければいかぬのじゃないかと思うのです。まず最初にこれをお尋ねします。いかがでしょうか。
○中島(一)政府委員 先ほど私の説明若干不十分であったかと思いますけれども、私、簿外の負債あるいは保証が商法の問題外であるというふうに申し上げたつもりではございませんで、先ほどは商法二百六十条の二項の表現をめぐっての御質問がございましたので、簿外の負債あるいは保証ということになると、これは商法二百六十条二項の問題ではないという趣旨で申し上げたつもりでございます。この点の是正、改善と申しましょうか、監視につきましては、ただいまおっしゃいましたように、監査役あるいは会計監査人の監査によってそういうものを洗い出して、そして未然に危険を防ぐということが商法の問題であろうかというふうに考えるわけでございます。 それに関連をいたしまして社外の監査役というお話があったわけでありますが、確かに社外監査役ということになりますれば、取締役会あるいは代表取締役の影響を受けることが少ないのではないか、社内から上がってきた監査役に比べれば少ないのではないかという点は御指摘のとおりでございます。しかし、日本的な風土と申しましょうか、そういうものも考えなければなりませんし、あるいは社外の監査役を選任するといたしました場合に、果たして適任者が得られるだろうか、社外からそういう監査役を探し出してくるということが可能であろうかというようなことがやはり一番の問題であろうかと思うわけでありまして、今回の改正案では見送られたわけでありますが、将来の検討課題として残ったということでございます。 それから、代表取締役からあるいは取締役会によって選任される、法律では違いますけれども、事実上そういうものによって選任される監査役であって、果たして適正な監査業務が期待できるかという点でございますけれども、これは私は選任権の所在というようなことも重要な問題ではあろうかと思いますけれども、やはり監査役としての倫理と申しましょうか使命感と申しましまうかそういうもの、あるいはその人の業務に対する熱意とか実力というようなものが総合されて、そして監査役としての業務が十全を期し得るのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
○安藤委員 簿外ということで、計算書類に全く載っておらないという一つの大きな隠れみのがあるわけです。ですから、いま申し上げたようなことを逆に提案をしたということですが、適任者がいるかどうかということはその後の問題で、そこまで法務省の方で心配なさる必要はないのじゃないか。本当に企業をあんなことでつぶすというようなことのないようにという熱意が役員の中にあれば、それはできるのじゃないかと思うのです。だから、そのための道を法律でもって開いておくということが必要なんじゃないかと思うのです。その点はそれだけにして耳にとめておいていただいて、さらにいろいろ検討していただきたいというふうに思います。 そこで、まず大臣にお尋ねをしたいのですが、これまでもこの改正案提出の経過についてはいろいろありましたが、今回のこの改正案のねらい、その一番大きなものは一体どこにあるんでしょうか。
○奥野国務大臣 一つは、経済情勢の変化に対応した各種制度にしていきたいということでございます。 もう一つは、会社の自主的な監視機能を充実していきたいということでございます。
○安藤委員 それで、最初は根本的あるいは全面的に改正するというようなのを、早期に改正するというふうに方針が変更になったわけですが、その直接のきっかけというのはどういうところにあるわけですか。
○奥野国務大臣 株式制度、株式会社の機関、株式会社の計算・公開、この三点について法制審議会が検討しておられまして、五十四年に一応の考え方がまとまってきた。その際に、別途内閣に航空機問題等でどう対応するかという審議機関が設けられ、そこで株式会社についても社会的な公正を期するための努力が必要だということで、いろいろな考え方が出てきたわけでございました。でありますので、さらに引き続いて全面改正についての検討を続ける予定であったのを、急遽できたものだけ急いで改正をしていきたいということで、今回の提案になってきたわけでございます。
○安藤委員 私も大体その辺のところは承知しておるのですが、そうしますと、航空機疑惑問題等防止対策協議会が意見を出しまして、企業倫理の確保、企業の不正支払い防止のためのチェック機能の整備強化というのがうたわれたわけですね。その要請にこたえるというのもあったと思うのですが、前回の商法改正のときに衆議院と参議院で、これまでもいろいろ話が出ましたあの附帯決議、企業の社会的な責任、その他ほかにもいろいろあるのですが、大小会社の区別等々、それから会計監査人の独立性を確保する云々と、これが衆議院の方で、参議院の方でも「大規模の株式会社については、その業務運営を厳正公正ならしめ、株主、従業員及び債権者の一層の保譲を図り、併せて企業の社会的責任を全うすることができるよう、」途中省略しますけれども、「法律案を準備して国会に提出すること。」この附帯決議の趣旨も早期改正の中に織り込まれているんだというふうに理解してよろしいでしょうか。
○奥野国務大臣 そういう意味合いで、会社の自主的な監視機能を強化するという措置をとっているわけでございます。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
○安藤委員 先ほど民事局長の御答弁で、これは私の聞き間違いであったかもしれぬと思って、念のためにお尋ねするのですが、早期改正ということに方針が変わったので、会社のというか、企業の社会的責任を全うさせるという趣旨のそういう社会的責任の問題は入っておりませんというふうに言われたような気がするのですが、そんなことはないですね。これは確認のためにお尋ねしておきます。
○中島(一)政府委員 企業の社会的責任そのものを正面から抽象的にうたった、そういう改正条項は入っておりませんという趣旨で申し上げたわけでございます。
○安藤委員 それでは、大臣が先ほどおっしゃったような趣旨で早期改正の法案を出したのだ、こういうふうに理解していいわけですね。
○中島(一)政府委員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そこで、これは早期改正の審議方針の変更の問題について、元木参事官が「商事法務」という雑誌の八百四十四号「株式会社法の早期改正方針の決定について」というところに、論文といいますか、報告といいますか、文章を書いておられるのですが、元木さんお見えになるし、あえて言わなくてもいいと思うのですが、念のために確認をしておきたい。この雑誌に掲載をされた元木さんの説明によると、審議方針変更の理由は、第一に、企業の非行防止のために企業の自主的監視制度を強化すべしという要求が出てきた、それから、会社法改正審議がもういままで審議が進んできた段階でこの目的に利用することができるものであること、そして、この段階でそのような立法をすることが望ましいと見られること、この三つを挙げておられるのですが、お書きになった御当人がおられるのですが、そのとおりに間違いないわけですか。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そこで、こう言ってはいかぬのですが、恐らくこれは元木参事官がおつくりになったのじゃないかと思うが、「会社法改正に関する問題点」という題で昭和五十年六月十二日、法務省民事局参事官室の名前で出されておるわけですね。これは時期的に言いますと、まだ早期改正ということに審議方針を変えることになる前のようにお見受けするわけですが、それでも改正案あるいは要綱の中身を見ますと、ここに指摘されている問題が盛り込まれているようにも思うのでお尋ねするわけですが、全面的な改正、根本的な改正という段階で問題点を指摘なさったものであるけれども、今回の早期改正ということの中にこの問題点も盛り込まれているのだというふうに理解してよろしいですか。
○元木説明員 実は私、この問題点の作成にはまだ関与していないわけでございますけれども、盛り込まれているというふうに考えております。
○安藤委員 そこで、いろいろ細かい問題については後でお尋ねするわけですが、この問題点全部じゃないですが、二、三お聞きをしておきたいと思います。 まず第一に、「企業の社会的責任」という項目がございまして、これは択一的に問題を提起しておられるわけです。そのうちの一つが、「株式会社法中に、会社の社会的責任に関する一般的規定として、取締役に対し社会的責任に対応して行動すべき義務を課する明文の規定を設けること等を検討すべきであるとする意見があるが、どうか。」それからこれに対するものとして、「一般的規定を設けるということよりも、むしろ現在の株式会社法の個々の制度の改善を図り、これを通じて、企業が社会的責任を果たすことを期待するという方向で検討すべきであるとする意見があるが、どうか。」こういうふうにあるわけですが、結局、いままでの元木さんあるいは民事局長の答弁を伺っておりますと、後者の方をおとりになったように思うのですが、そのとおりですか。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 いま読み上げました前者の方は、これまでの民事局長の答弁によりますと、そういう一般的な規定は精神規定ということになるんで、余り効果がないのじゃないかというような趣旨の御答弁をこれまでしておられたのですが、この問題の立て方が多分に立法技術的な面があって、企業の反社会的な行為に対する根本的な問題、これを提起すべきであった。余りにもこれは立法技術的に、悪い言葉ですが、堕している、落ちている。だから、もっと根本的に企業の社会的な責任の問題を提起するというような立て方をなぜこのときにやらなかったか。立法技術的な面でこういうような質問の仕方をされたものだから、大方の意見は後者の方がいいのじゃないかというような意見が出てきたんだというような批判があるのです。私はもちろんこの批判に全く同感なんです。だから、そういうような問題の立て方をなぜされないで、企業の社会的な責任をやるんだというようなことで出発したということであれば、もっとその辺のところをきちっと踏まえた問題の提起をすべきではなかったかと思うのですが、その辺については何もお考えにならなかったのでしょうか。
○中島(一)政府委員 五十年のことでありますので、私、当時の事情は直接は知りませんが、その後の経過を最近になりまして聞いたところによりますと、この第一の一般的な規定として設けるという考え方につきましては、いろいろと意見があったということであります。 まず、先ほど御質問にも出ましたように、訓示規定と申しましょうか、抽象的な規定に過ぎるというような意見でありますとか、あるいは民法の大原則としてすでに公共の福祉とかいうような基本原則の規定もあるから、それと重なるんじゃないかというような意見でありますとか、あるいは商法の中にこういう規定を設けることについては異質なものを持ってくることになるんじゃないかというようなことで意見があって、積極論としてはまとまらなかったということのようであります。ただ、これは取りやめにしたということではございませんで、今後さらに法制審議会においても検討される事項であるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○安藤委員 次に、この「問題点」と題する指摘に、「株主総会制度の改善策」というのが第二にあります。その一の(一)、(二)とあるのですが、この(一)の方は、「業務執行に関する事項でも、取締役会の請求があれば、総会の決議により決定することができるように改めるべきであるとする意見があるが、どうか。」それから口が、「会計監査人の監査が強制される会社にあっては、計算書類の確定は、取締役会の権限とし、総会への報告事項とするのが合理的であるとする意見があるが、どうか。」というのがあるのですが、これは法案を見ればわかることなんですが、結局これは二番目の方の問題点の指摘の線に沿って法案をおつくりになった、こういうことになるわけですか。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そのとおりとおっしゃるのですが、これが、後でいろいろお尋ねしますけれども、なかなか問題のあるところだと思うのです。 それで、いまの第二の「株主総会制度の改善策」の二の(二)と(三)の関係ですが、「総会における株主の質問権を明定すべきであるとする意見があるが、どうか。質問権の範囲、行使方法について、どのように定めるべきか。」それから日が、「総会における株主の提案権を認めるべきであるとする意見があるが、どうか。提案しうる議案の範囲、提案の条件、方法について、どう考えるか。」という問題を指摘しておられるわけです。これは法案を見ると、一応形の上は整っておるように見えるのですが、この問題の提起にこたえるような法案をおつくりになった、こういうふうに理解してよろしいですか。
○元木説明員 まず、質問権の問題でございますけれども、これは部会の審議の過程におきましても、およそ質問権というものは、会議体の構成員である限り、その議題については当然持っているものではないか、それをいまさら新しく規定を置くということ自体がそもそもおかしいのではないか、いままでいかにも解釈上も認められていなかったように思われるのではないかという疑問が出たわけでございます。そうかといって、現在質問権が完全に十分に行使されているということは言えないという問題もございますので、何らかの規定を設けるべきであるということがございましたので、ここで取締役、監査役の説明義務ということで、むしろ質問権は当然あるのだということを前提にいたしまして、それに対して答弁をしなければいけない、もし答弁をしなければそれはもちろん総会決議の手続の瑕疵になるということで、そういう規定を設ける方向に傾いたわけでございます。 それから、その次の提案権でございますけれども、この提案権につきましても、現行法のもとの学説といたしましては、新たな議題を提案するということにつきましては否定的な見解が多いわけでございますけれども、それ以外の、たとえば修正の提案をする、反対の提案をするということについては提案権というものは当然認められているのではないかという疑問があったわけでございます。したがって、そういうことを前提にいたしまして、そして今度は新しく提案権として一定の要件のもとに提案をしたならば、その提案は総会の招集通知に載っけられるというところに意味を持たせて、新しい規定を設けるということにいたしたわけでございます。
○安藤委員 その問題については後でもお尋ねをします。 時間がありませんからそう一々お尋ねしませんが、第四の「株式制度の改善策」の大きい二、(三)の点については、単位株制度を導入する場合の単位未満株の点については「議決権を含め株主としての一切の権利の行使を認めないものとすべきか。それとも、利益配当請求権等の自益権は認めるべきか。」これは後者の方をおとりになったというふうに理解できるわけですね。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
○元木説明員 仰せのとおりでございます。
○安藤委員 第五の「株式会社の計算・公開」のところの中に二の(八)「公害の防止、消費者の保護その他社会との関係において生じた問題及びそれに対し講じた措置に関する事項」というのがあるのですが、これは試案の中にも入っていないように思うのですが、これは全く欠落してしまっておるんですが、どういうようなことで欠落してしまったんでしょうか。
○元木説明員 実は、営業報告は御承知のように総会の招集通知とともに株主に送付されるということでございます。したがいまして、ここに記載されるべき事項というものが郵送料の関係からかなり制限されざるを得ないという問題があるわけでございます。したがいまして、試案におきましては直接に株主に送ってもそれほどコストがかからないであろうという点を挙げたわけでございまして、それ以外のものは会社に備え置いて見てもらうということで、付属明細書に移したということでございます。
○安藤委員 この辺のところは大事なところだと思うのですが、それが全く試案の段階にもないから、どうなっておるのかなと思ったのです。 それから、同じ「株式会社の計算・公開」のところの「三、計算書類の公示・公開方法について改善すべき点があるか。」「貸借対照表の公告のほかに、計算書類の一般公衆への開示方法を改善すべきであるとする意見があるが、どうか。」こういう問題の指摘をしておられるのですが、これは試案の段階では、商業登記所への届け出によって、そこで株主以外のだれでも見ることができるというような、なかなか抜本的というのかユニークな提案があったと思うのですが、これが抜けてしまっておるのですが、どういうわけですか。
○元木説明員 一応、有限責任会社である限りにおきましては、たとえ小会社でもすべてその財務内容と申しますかそういうものは公開すべきである、ところが、実際問題といたしまして、特に小会社におきましては公告もいたしていないというのが実情でございますので、そのためにすべての株式会社について計算書類は一切商業登記所へ提出して、そして閲覧するあるいは謄写することができるということにいたしたいということにいたしたわけでございます。しかし、これにつきましては大変な予算措置その他のいろいろな設備も要るわけでございまして、早急には実現できないという問題がございます。それと、今回の改正は特に大会社に焦点をしぼりまして改正をやっていくという観点もございましたので、小企業を中心にして考えておりました登記所への計算書類の提出ということはやめにしたということでございます。大会社につきましては、現在実際に大会社が作成しておりますような計算書類につきましてはもちろん公告もやっておりますし、それからその他の雑誌等でかなりのディスクローズもされておりますので、登記所への提出というものをやめても実際に影響はないのではないかということでございます。
○安藤委員 中小会社の計算書類等のディスクロージャーの問題については、先回も、といってもしぼらく前ですけれども、当委員会でそのことだけにしぼってお尋ねしたことがあるのですが、それについては特別なそういう負担をかけないようなことを考えのだというお話がございました。だから一応それはそれとしていいのですが、いまのお話ですと、早期に改正をするというようなことで、いろいろ経費の点等があって早急に実現できないから除いたのだということと、実質的には公開している部分もあるのだというお話がありましたね。ということですと、計算書類の公示・公開については、商業登記所への届け出によるディスクローズは永久にやらないという方向でお考えなんですか。
○中島(一)政府委員 今回の改正が緊急を要する必要な改正事項にしぼって答申をいただいたのは、先ほどからお答えを申しているとおりでございまして、それ以外のものにつきましては、現在もなお法制審議会の商法部会において全面的改正の残りの部分を検討中でございますので、そこですべて検討されることになるわけでございます。
○安藤委員 それでは、具体的な問題についてお尋ねをいたしますが、これまでいろいろ議論がありましたが、単位株制度の問題についてお尋ねをします。 これは主として上場会社に適用するということで提案がされているわけですが、コスト論というような話もありましたけれども、本当のねらいは一体どういうところにあるのか、もう一遍聞かしてください。
○元木説明員 完全に株式管理費用の点から単位株制度を採用するということであります。
○安藤委員 そうしますと、株式管理費用オンリーで、そのことだけが唯一最大の理由でこの単位株制度を提案をしているのだ、こういうふうに理解をしてよさそうです。そうしますと、一人の株主に対して一体幾らくらい管理費用が要るというふうに見ておられるのか、その内訳は一体どういうようなものを考えておられるのか、お尋ねしたいと思うのです。
○元木説明員 株式管理コストにつきましては企業秘密ということで、各企業なかなか明らかにしてもらえないのでございますけれども、五年前に調査いたしましたところでは、大体二千数百円というところが一般の平均値ではないかと思われます。ただ最近、これはもちろん確かなことではございませんけれども、聞いたところによりますと、会社によっては八千円くらいをかけている会社もあるようでございます。株式担当者に聞きますと、その費用の大部分は株主総会の招集通知、もちろんこれにはさまざまの書類がつくわけでございます。そのほか、これは法律で強制はされておりませんけれども、中間事業報告書というようないわば株主サービスのために送る書類がございます。そういうふうな書類の作成、印刷、送付というものにほとんどがかかっているようでございます。
○安藤委員 そうしますと、法務省としては余り詳しくはないけれども、聞いた範囲でそういうことだということですね。何か企業秘密でなかなか教えてくれないということのようですが、一株当たり幾らくらいかかるかという計算の仕方はないのですか。
○元木説明員 今回の調査の目的が、株主一人当たりについて幾らかかるかということが非常に重要でございまして、一株当たり幾らかかるかということは必ずしも目的の中に入っておりませんので、調査いたしておりません。
○安藤委員 現在は、会社が株式を新たに発行するあるいは設立をしてすぐ発行するときは、設立をした場合はどうかわかりませんが、時価発行が通例になっていることは御承知のとおりだと思うのです。五十円額面の株でも大体二百円から三百円くらいというのが通り相場のように思います。そして取引するには、買う場合でも千株というのが取引の一つの単位になっているということになると、一まとめにしても二十万円から三十万円やはり払うわけです。そうしますと、いまおっしゃったようなのはいろいろな毎回毎回というのがあるかもしれませんが、二千数百円かあるいは高いところでは八千円というふうにおっしゃったのですが、コストという関係だけから見ると、時価発行ということからすると、別にそう会社の方が持ち出しになるばかりでもないのではないかという気がするのですが、どうですか。
○元木説明員 御指摘のとおり、新しく株式を買う場合には、東京証券取引所でございますと、五十円株でしたら千株が単位ということになりますので、一般の株主は千株単位でしか購入することができないことになっております。したがいまして、その点については特にコストということをそう問題にする必要はないわけでございますけれども、問題は、多くの会社で無償交付株式配当あるいは有償増資で株主割り当てというようなことをやるわけでございます。そういたしますと、たとえば持ち株に対して一割の株式配当をするということになってまいりますと、千株の株主ならば百株を取得することになるわけでございます。ところが、このような百株という、言ってみれば取引単位には満たない、一般市場では端株と言っておりますけれども、実際には端株ではございませんが、事実上の端株というものにつきましては市場価格では売買できないわけでございます。非常に安くしか取引ができないということがございます。しかも普通の市場では取引できませんから、もし売ろうとした場合には手数料が非常に高いという問題があるわけでございます。そのために、たとえばいま千百株持っている株主がいるといたしますと、そのうちの千株だけは売りたいときには売ってしまうということになりますけれども、残りの百株についてはそのまま死蔵しているということでございます。もちろん百株程度でございますから、これは議決権行使とかなんとかは考えない、全くの死蔵ということで処分にも困っているという株主がかなりいるということでございます。
○安藤委員 いろいろ理由をおっしゃったのですが、ここに一つのグラフを私は持ってきているのです。これは所有者別持ち株比率の推移、昭和二十五年から四十九年までとちょっと古いのですが、昭和二十五年のところで見ますと、いわゆる個人株主と法人株主に分けてみますと、全国の上場会社を対象にして調べたのですが、二十五年当時は個人株主の方が六〇%を超えているのです。それが個人株主はずっと下がってきまして、昭和三十二年ぐらいのところで法人株主と交差するのですが、四十九年は三〇%をちょっと超すというところまで減っているのです。参考までに言いますと、法人株主の方は二十五年のときは三六%ぐらいだったのです。それが四十九年のときは七〇%近くなっているわけです。こういうふうに移動があるわけですね。 それで、株主一人当たりに対する管理コストの問題は、昭和二十五年ごろから二十七、八年ごろまでちっとも問題にならなくて、企業の方も少しも文句も言わなくて、大衆株主を大切にして、しっかりと大衆から資本を集めたというときには黙っておって、そして今度は、先ほど言いましたように三〇%近いところまで下がってきたときになって管理コストが高いというようなことで、単位未満株というのが、これからもお尋ねしますし、これまでも議論になりましたが、共益権を与えないというような方向で、どうも一般の大衆株主を整理するという方向で考えられているのではないかという気がするのですが、その辺のところの企業からの要望に法務省はこたえているのではないですか。
○元木説明員 ただいま御指摘の昭和二十七、八年のころには、ただいまとは物価が全く比較にならぬほど違うわけでございまして、そのときの管理コストは、当時の五百円株を基準にいたしますならば問題がない価格ではなかったかと思うわけでございます。しかもその当時の増資の企業のビヘービアといたしまして、倍額増資をどんどんやるというようなことでございます。したがいまして、当時もし株を持っていた人がいたといたしますならば、現在は恐らく大株主になっているはずでございます。したがいまして、その当時単位未満株主の人がそのまま現在も単位未満株主でいることはまずないのではないか。ことに、現在多くの企業は、株式をふやす方法といたしまして、無償交付をどんどんやるわけでございます。したがって、これは何も払い込まなくても、ひとりでに株式がふえていく状況にいままではあったわけでございます。これからはいろいろ経済情勢の変動等でそうはならないかと思いますけれども、過去におきましてはそういうふうな状況でございました。 したがいまして、過去に株主であった人、これは過去に小株主であった人も、無償交付で現在はそのまま単位未満株主でいるということはないわけでございまして、過去の小株主をそのまま置き去りにして整理してしまうということではないわけでございます。先ほども申しましたように、実際には処分も何もできないでたんすの中にしまっておいて困っている株主が大部分であろう。もちろんその中には総会屋等で特殊な目的のために少数の株式を持っているということがあろうかと思いますけれども、一般の大衆の投資家の場合には、たんすにしまって実は処分に困っているのが実情ではなかろうかと思われます。
○安藤委員 法案のように単位株にすると株券はどれだけ減るかということ、これは午前中にありましたか。二七%と言われたのがこれですか。これは株主の方じゃないですか。株券の方はどれだけ減る計算になりますか。
○元木説明員 これは各会社の株の発行政策によってかなり違ってくるのではなかろうかと思われます。つまり、会社によりましては、千株、二千株というようなきっちりした数の株券しか出さない会社もございますし、それに対しまして、たとえば無償交付なんかがあったような場合には千百六十何株というような半端な数の株券を出す会社もございますので、その点一概に論じられませんけれども、ただ、先ほども先生御指摘のように、単位未満株主が大体二七%くらいあるということでございますので、その分については、少なくとも今後無償交付等あるいは有償増資等で新株を発行する場合には、株券を発行しなくて済むことになるわけでございます。
○安藤委員 これは昭和五十年三月の調査ですが、東京株式懇話会というのがありまして、五万円の単位株制度を採用すると、東京一部上場会社だけの調査ですが、株券の発行枚数は約八百五十社で一億八千万枚、それがこの制度をとると約六〇%、一億九百万枚減少になる。株主の方は先ほど二七%とおっしゃったのですが、この調査によりますと、千六百万人のうちの大体三〇%、五百万人が減るという見通しを立てておるわけです。数は似ていますね。となると、二七%にしろ三〇%にしろ、五百万人くらいの株主が単位未満株主となって、買い取り請求権を行使してどうするのか知りませんが、とにかく減るという見通しを立てている。こういうことからしても、そういう単位未満株主というのは大株主とは違って零細大衆株主じゃないかと思うのです。そういう人たちを減らすというような方向に動いていくんじゃないかと思うのですが、その辺のところはどういうふうに見ておられますか。
○元木説明員 これは場合が二つあろうかと存じます。つまり、先ほど私が申し上げましたように、たんすの中に株券をしまっていてもう売るに売れない、売る方法があれば早く売りたい、そしてほかの株にでも乗りかえたいという人がいるわけでございます。こういう人については、むしろ時価で買い取ってやるということを考えてやってもよろしいんじゃないかと思われます。それに対しまして、たとえば具体的な問題といたしまして、電力会社などにおきましては非常に小さな株主がいるわけでございます。こういう人たちは言ってみればその会社のファンみたいなものでございまして、少しの株でもじっと持っている。そしてそれを積み増してふえていくのを楽しみにしているという株主がおります。そういう株主に対しましては、これは今後とも望ましい株主でございますので、もちろん株主名簿に記載するということは認めておりますので、新株が発行されればそれで次々と積み増しいたしまして、一単位に達すれば株券を発行するということで株主としてとどまることができるのではなかろうかと思っております。
○安藤委員 中にはそういう人もおるかもしれませんが、株主である以上は、株主総会が相当形骸化されているという一面もありますけれども、株主総会へ行って何か発言をしようとか、空気を見ようとか、あるいは議決に参加しようとか、いろいろ考えておられる株主だって多いと思うのですよ。そういうような人も買い取ってやるからいいんじゃないかというようなことでは、これは排除の論理じゃないかと思うのです。それでもう整理していこうじゃないか、こういうようなねらいがあって、それに法務省当局がしっかり協力、加担をしているんじゃないかというような感じさえするのです。たんすの中へしまっておいて配当をもらってだんだんふえてくるのを楽しみにしておる人のことばかり考えないで、株主総会へ出ていってしっかりどうこうしよう、おれはあそこの会社の株主だ、発言するんだというような人たちのことは考えてないのですか。
○元木説明員 いまの株主総会の状態を見ますと、どうも一般の素人株主がなかなか出ていけないという事情がございます。むしろ、まず考えるべきことは、一応ある程度の株式数を持った株主、これももちろん法人株主だけじゃございません、個人株主もでございますけれども、ある程度の株式を持った株主が総会に出ていって、そうして権利を行使できるということをまず確保すべきではなかろうかと思うわけでございます。そのためには、議決権を行使しても、言ってみれば行使しがいがあると申しますか、そういう株主をまず保護するということが必要なのではないかと思うわけでございます。それと、非常に零細な株主と申しますか、それをどのように取り扱うか、つまりコストの関係からどのように取り扱うかということは別の問題であろうという前提に立ちまして、このような方法をとったわけでございます。
○安藤委員 それはまた別の問題だということが、一つ問題だと思うのです。コスト論というのに便乗するというか、そいつを利用してというか、それでもってどうも先ほど言いましたように零細な大衆株主を排除していこうという魂胆じゃないかとしか思えないのです。そのコスト論の問題につきましても、五万円がいいかどうかという問題等を含めて一橋大学の名誉教授の田中誠二さんが言うておられることは御承知だと思うのですが、単位株制を採用しても費用の節約に、ある程度はなるけれども、当初予想されたほど大きいものではないのだというふうに言われて、こういう指摘をしておられるのです。 「総会決議の通知は、配当金の支配案内を含み、これは単位未満株主も利益配当請求権を有する関係上必要であるので、その発送は省略できないと解すべきであるから、これに要する費用は節約することはできない。」それからさらに、「名義書換に伴う種々困難な問題を生じ、時間と手数と責任追及の危険が増加し、人件費または代行事務委託費の増加を生じ、必ずしも名義書換費用の大幅節約とはならない。」それから、「株券発行の量が著しく減少する点で相当の費用節約を生ずるけれども、その反面において割当計算、株主への通知、単位未満株式の取扱い等で著しく時間と手数を要し、事務費の増大を生じ、」「必ずしも費用の全面的節約を生ずるとはいえない。」こういうような指摘も御承知のとおりだと思うのですが、これに対してはどういうふうに反論なさるおつもりですか。
○元木説明員 まず、理屈の面でございますけれども、これは現行商法におきましても自益権、ことに株式を他に譲渡するという権利は絶対に確保しております。したがいまして、たとえば譲渡制限の規定は定款で設けることができますけれども、それに対しては取締役会が必ず買い受け人を指定しなければいかぬというような規定もございまして、譲渡の権利は必ず認めているということでございます。それに対しまして共益権、ことに議決権につきましては、これは商法は、比較的簡単と言ったらおかしゅうございますけれども、これを奪っているということがございます。たとえば特別利害関係がある者については議決権を行使することができない、あるいは優先株については議決権を行使させないでも構わないというような規定もございます。また、一定株式数を持っている株主のみに権利を与えるというような場合もございます。たとえば、少数株主による総会招集請求あるいは帳簿閲覧請求というようなものがございます。したがいまして、田中誠二先生がおっしゃることも十分理由があるわけでございますけれども、同時に、現行商法のたてまえのもとではその程度の許容はできるのではないかということでございます。 それから、実務面でコストダウンにはならないというお話でございますけれども、実際には、現在の株式実務は御承知のようにほとんどコンピューターでやられておりますので、それでやるならば、単位株以上の株主を拾い出すということは、コスト的にはそれほど問題にはならないということでございます。
○安藤委員 特別利害関係人や優先株主に対する議決権の制限については、これは特別な利害関係を持っているとか優先株で別の方で特権を得ているのですから、そういうような事例はちょっと当を得ないと思うのです。まあここで議論をしていると、それこそああでないかこうでないかということになって切りがないのですが、田中先生の指摘をされているところもわかるというふうにおっしゃってみえるので、一応ここでやめておきます。 そこで、この単位株を五万円にするという問題については、御承知のようにこれは証券業協会の方では、たとえば東京証券取引所ですか、「株式制度に関する改正試案に対する意見書」というのの中では、五千円にしたらどうかという意見があったというふうに聞いております。それから東京商工会議所、これは五十二年十月二十一日の「株式制度に関する意見」、五万円は高過ぎるという意見を出しておられるのを私も聞いたのですが、これが全く尊重されていないと思うのです。それはどういう理由なんですか。
○元木説明員 一単位になる株式の数をどの程度にするかという問題は、これは単にその単位になるべき株式の数、いまでございますと千株五万円ということでございますけれども、それだけの問題ではございませんで、単位未満株についてどのような保護といいますか、権利を与えるかということと強い相関関係があるわけでございます。それで、五千円というような説を出す向きは、そのかわり単位未満株には何も権利は与えないというような前提があるわけでございます。それに対しまして、今回の改正案におきましては、共益権は与えないということにいたしておりますけれども、それ以外についてはすべての株主の権利を与えるということにいたしておりますし、それから買い取り請求権でございますが、これは何度も申し上げますように、もしその単位未満株主が会社以外にその株式を売ろうということになると、非常に不利な条件でしか売れないということでございますけれども、会社に対しては市場で買い取ることを請求することができるということで、言ってみれば非常に有利な取り扱いを受けるということでございます。 そういうふうなことがございますので、つまりそういうものとの相関関係で五万円でちょうどよろしいのではないかということで、これは証券業協会等とも相当議論をいたした結果、そこらがちょうどいいところではないかということで決まったわけでございます。
○安藤委員 五万円にしたいろいろないきさつが、いまおっしゃったほかにもあるのだろうとは思うのですが、結局いま、先ほどもお尋ねしたように千株単位で取引されている、ちょうど千株で五万円ということで、千株単位の取引の現状を法律でもって追認する、こういうような趣旨もありますか。
○元木説明員 追認をいたすわけではございません。現在一般の株主が持つ経済力と申しますか、そういうものも勘案して五万円程度がちょうどよろしいのではないかということでございます。ちなみに、現在のところ単純平均で株価が大体三百五十円程度ということになるのじゃないかと思いますけれども、そういたしますと、千株で三十五万円ということになるわけでございます。大体一般の素人株主がお金を市場に持ってくるのが七十万円程度だと言われております。そうすると大体二千株ぐらい買えるということでございますので、大衆株主でもそれについていけるのではないかということでございます。
○安藤委員 これは私がいろいろ法案を読みながらいまの五万円のところで考えたのですが、現行は任意制になっておりますけれども、新設をして新たに発行する場合は五百円ですね。だから五百円ということにして、任意制を変えて、法律できちっと規定するというようなことでよかったのじゃないかな、そうなれば、単位未満株というものもぐっと少なくなるし、私が先ほどから言っておりますように単位未満株切り捨てというようなことも言われなくて済むし、そういう方向はどうしてお考えにならなかったのかなと思っておるのですが、この点はどうですか。
○元木説明員 これはあくまでも法理論の問題でございますけれども、たとえいまの五十円を五百円にする、これは経済的に考えますとそれほど大したことはないわけでございますけれども、いきなり法律の規定で併合してしまうということになりますと、きのうまで株主であった人が一切権利がなくなってしまうということになるわけでございます。それについては法律の専門家の方からかなり強い反発があるわけでございまして、その点から、法律で併合を強制することは直ちには不可能だという結論に達したわけでございます。そこで、それにかわるものといたしまして、株主たるの地位はあくまで置いておく、一部は制限いたしますけれども、株主たるの地位はやはり認めていかざるを得ないのではないか、そして、将来だんだんその株が寄せ集まって、みんなが単位株主になることを待った上で併合することの方がいいのじゃないかということでございます。
○安藤委員 単位未満株主に対して、先ほどからもしばしば言われておりますけれども、共益権はもう認めないということなんですが、これは民事局長さんのこれまでの答弁によりますと、議決権を行使する意思のない株主が多い、だから、別にそれを制限したってそう大した影響はないんじゃないかみたいに受け取れるような答弁をされたのですけれども、確かにある面におきましては株主総会が形骸化して、本当に活発な株主の意見がそこで反映されて議決されるということがない現状が相当あるということを私も認めるにやぶさかではないのですけれども、やはりそういう状態になっている株主総会の形骸化の現状というものは、共益権を与えないということになれば、行ったって別にそう大して発言するところもないし、会社の運営の問題についてとうとい一票を投じるというようなこともないなら、行くのはやめておこうかみたいなことになって、よけい形骸化していく。 だから、現在の形骸化を何とかなくそうということで、株主総会を生き生きとして、本当に株主が株主権を行使することができるように何とか変えていこうという姿勢ではなくて、その形骸化をかえって法律でもって確定していくという方向じゃないかと思うのですが、その辺はどういうふうに考えておみえですか。
○中島(一)政府委員 先ほどからの御質問の中に、単位株制度の問題点というものがすべて出てきておるように思うわけでございます。何と申しましても、株主であるものに対してその権利を制限するということになるわけでありますから、法律面から申しましても実際面から申しましても重要な問題であるということになるわけであります。 明治三十二年につくられました商法において、一株の券面額が二十円あるいは五十円であった。明治三十二年の五十円株が現在なお一株五十円で通用をしておるという状態につきましては、かなり以前からこれを何とかすべきではなかろうか、すべきであるという意見が強かったわけでありますけれども、何とかするということになりますと、現在の株主の権利を制限するということにつながってまいりますので、なかなか踏み切れなかった。それがここへきて、物価の指数というものと株式の券面額五十円というものとのアンバランスが余りにもひどくなったがために、ここで何とか法律的な制度として考えるべきではないかということが有力に持ち出されてきたわけでありまして、法制審議会の御意見、私も直接は聞いておりませんけれども、後日聞いたところによりますといろいろな意見があったということであります。 そうではありますけれども、その大勢の御意見は、先ほども申しましたように、単位未満株の株主数は二七%というようにかなりの人数であるにもかかわらず、その株式数は〇・八%というような、まあ微々たるものと言ってはまた語弊があるかもしれませんけれども、そのくらいのものである。そしてその内容はどうかと申しますならば、先ほど元木参事官が申しましたように、たんすに株券をしまっておるというようなケースが大部分であるというような点に着目をいたしまして、株式の最も重要なと申しましょうか、最も実質的な権能であります利益配当請求権は保障して、共益権については制限をするということも比較考量の上で許されるのではなかろうか、許されるという意見が大勢を占めたということでございまして、私どももその見解を是として今回それを法案化したというのが実情でございます。
○安藤委員 利益配当請求権をそのまま認めているからいいじゃないかというふうにおっしゃるのですが、共益権というのは、もちろん会社の運営の問題についてのいろいろな議決権を行使するなり、そういう大事な権利です。だから、会社の経営がよくなっていく、あるいはむだ金を使わないで、おかしなふうに会社の金を使われないで、そういうりっぱな役員がおって会社を切り回すということに対していろいろな意見を言う、議決権を行使する、そういう共益権はまさに利益配当請求権そのものの基礎でもあるわけなんですよ。共益権を行使することによって会社の経営をよくする、そうすれば利益配当請求権もちゃんと、会社の成績が向上すればたくさんの配当ももらえるというつながりがあることははっきりしておりますから、共益権共益権と言うけれども、これは自益権の基礎になる権利だと思うのですよ。 だから、この共益権を認めないというようなことは、先ほどもちょっと指摘があったのですけれども、これは重大なる財産権の侵害になる、憲法違反だということをおっしゃってみえる有力な学者もあるのですよ。だから、その辺のところはちゃんと考えていただいて、共益権は取っても、利益配当請求権それから役員の選任権ですか、これはきっとあるんですな、これは認めているから共益権をなくしたってバランスはとれるのじゃないかというのはどうかと思うのですが、その辺のところは再検討するお気持ちは全くありませんか。
○中島(一)政府委員 法律的に申しますならば、株主に対して共益権の行使を認めないということは、これはやはり一つの問題点であろうというふうに考えるわけでございます。私どもも法律家の端くれでございますから、そこに重要な問題点があるということは認識をしておるわけでございますけれども、その点を十分に考えまして、なおかつ今回の改正法案に踏み切ったということでございますので、この法案でいきたいというふうに考えております。
○安藤委員 財産権の侵害云々ということもあり、それから私が先ほどから指摘しましたように零細大衆的な株主を企業から締め出す、買い取り請求権を行使すればいいじゃないかというようなことも含めてですね。そして株主総会の形骸化にさらに拍車をかけるもの、それを法律で確定するものではないかということさえ私は危惧しているのです。だから、この辺のところは考えていただきたいと思うのです。 私、それで気になるのは、経団連の「株式制度改正試案」に対する意見というのがあるのですが、これは「この単位株制度を会社法の根本改正に先立って早急に実施することが望まれる。」というふうに指摘しているのです。ですから、私が気になるというのは、最初にお尋ねしたのですが、何もそんなところへくっつけたくはないのですけれども、根本的全面的な改正から早期改正に踏み切ったその理由は、先ほどから大臣初め皆さん方から趣旨はお聞きしましたが、この経団連の要望から見ると、単位株制度は非常に結構だ、これは根本改正に先立って早くやれということを言っているわけなんですね。で、早期改正に踏み切った。案外ここら辺のところも一つのポイントになっているんじゃないかという気がするのですが、その辺のところで拍車をかけられたということはないのですか。
○元木説明員 これは先ほど来たびたび申し上げておりますように、まず最初は全面改正ということで来たわけでございます。したがいまして、現在の株式制度につきましては、株式単位の引き上げとか、あるいは既存会社につきましては引き上げに伴う単位株制度の採用とか、あるいは子会社による親会社の株式取得制限とか、そういうふうな全面改正、必ずしも緊急ではないものを全部討議して一応の案をつくったわけでございます。それに対しまして、途中から早期改正という方針変更ができましたので、その後のものにつきましては企業の自主的監査制度というものを中心に法律案がつくられているということでございますので、これはもちろん一まとめにした法律案でございますけれども、最初のところと後のところでは多少方針が違っていると申しますか、そういうことでございまして、別にこれがあるから特に改正を急ぐんだということではございません。
○安藤委員 それはそうだろうと思うのですね。これがあるから急いだということまで私は言いたくないのですが、こういうような強い希望が出ている。だからこれも一つの大きな要因になっているのじゃないかというような感じがしてしようがないのです。だから、先ほどから言うているような大衆的な零細株主を単位未満株ということで切り捨てる、排除する、そういう大企業の論理、経団連のこの要望にこの単位株制度というのは奉仕しているのじゃないかという危惧を持たざるを得ないのですよ。そういうようなことも考えられるということを頭の中に入れておいてほしいのですよ。そんなことはないとおっしゃるに決まっているのですが、しかし、こういうしっかりした文章があるんですから。 それから、ついでにこの単位株制度と関連して、これは念のためにお尋ねしておくんですが、額面株式の券面額を、この改正案後の新設の会社については五万円に引き上げる、こういう改正案になっておるんですが、これは設立して新たに株券を発行するときだけは五万円の額面株式を発行せよということになるんですが、設立後この定款を変更して、たとえば千円の額面株を発行するということもできるんじゃないかというような指摘が学者の中でなされているんですが、こういうようなことはできるんですか、できないんですか。
○元木説明員 設立のときについては五万円ということにいたしまして、その後の制限を撤廃いたしたと申しますのは、設立のときには恐らくプレミアム発行というようなことはできないと思います。額面五万円の株式であれば五万円でしか売れないと思うのでございますが、その後企業が順調に発展をしたということで株価が上がった場合でございますけれども、たとえば現在でも東京証券取引市場では五十円株が何千円ということになっている場合があるわけでございます。でございますから、たとえば五十円株でございまして現在二千円という会社でございましたら、五万円株でございますと一株二百万円ということになるわけでございます。そうすると、先ほど申し上げましたように、大体素人株主が市場に持ってくるお金が七十万円だということにいたしますと、そういう二百万円の株はとうてい買えないことになるわけでございます。これは結果的に大衆株主を締め出してしまうということになります。また、事実そういう高くなった株式につきましては、一般の投資家が買えませんので敬遠してしまいますので、今度は自分の株価が下がってくるという危惧がございます。 したがいまして、そういう場合には株式の分割をやはり認めなければいけないのではないかということでございます。そういう場合には、たとえば十分の一にして一株を五千円にいたします。そうすると時価が二十万円ということで一般株主が買えるのじゃないかということでございます。ただ、この場合にそういう必要性がないのに分割するという会社も出てくるのではなかろうか。つまり詐欺的な意図に用いられるということでは困りますので、分割後の一株当たりの純資産は五万円以上でなければならないという歯どめをかけております。
○安藤委員 それでは次に、株主総会の問題についてお尋ねをいたします。 これまでいろいろ議論がありましたが、貸借対照表と損益計算書、これはもちろん会計監査人とそれから監査役の、法令に反しない、違反するという記載がないと言う方が正しいかもわかりませんが、記載があれば、株主総会の承認を得なくて報告だけで結構だという改正案なんですが、これは株主総会の権限についての重大な変更だというふうに思うのですが、そういうふうに考えてよろしいんですか。
○中島(一)政府委員 条文の表現を見ますと、株主総会の決議事項から外しておるわけでございますから、名目的にはそういうことになるだろうと思います。
○安藤委員 これまた、先ほどから指摘しておりますような株主総会の形骸化に法律的な承認を与えるみたいな、あるいはそれを進めるみたいなことで、問題だと思うのです。 ここでお尋ねをしておきたいと思いますのは、監査役と会計監査人の意見が、株主総会の承認を必要としないような、報告で足りるような意見じゃなくて、これはどういう文句でしたかな、先ほど言いましたようにたしか違法だという指摘だったですかね、そういう適正に行われていないという意見がつけられた場合は、もちろん株主総会で承認を得なければならぬ。この法律が改正された後に、株主総会でそういう貸借対照表と損益計算書が承認を得なければならないということになるのは、その会社にとっては体面上ということもあろうかと思うのですが、これは重大問題になると思うのですよ。会計監査人もノーと言った、監査役もノーと言った、これはえらいことになると思うのです。だから、会社としてはできるだけそういうことを防ごうという配慮が働くことは間違いないと思うのです。 そこで、最初にお尋ねしましたような社外監査役とかいろいろ監査役の権利の問題とも関連があるのですが、現在も監査特例法の十八条にあるのですけれども、監査役と会計監査人との間で意見が食い違った場合、このときは会計監査人が定時総会に出席して意見を述べることができるというふうになっています。定時総会で二つの書類について承認を求めなければならぬというのは、たとえば現行法の十八条、今度は十七条のような場合のことを言うのでしょうか。
○元木説明員 そういう場合が多いと思いますけれども、必ずしもそれだけではないかと存じます。たとえば、会社が採用いたしました会計方針、これは違法ではないけれども必ずしも適当ではないのじゃないかというような場合もあるのではなかろうか。あるいはこの会計方針を採用したことにつきまして、会計監査人はAという影響がある、監査役はBという影響があるというような場合もございますので、そういう場合の意見の食い違いということも入ってこようかと存じます。
○安藤委員 そうしますと、現行法の十八条、それから改正案の十七条のような意見の食い違いという場合は、会計監査人が総会に出席して意見を述べることができるというのにとどまるのであって、別に総会で貸借対照表等の書類の承認を得なければならぬということにはならぬ、こういうことになりますか。
○元木説明員 私が申しましたのは、現行法の十八条、新しい十七条でございますけれども、それのことだけを申し上げたわけでございまして、もしどちらかの不適法意見があれば、これは総会の承認を得なければいかぬということになります。
○安藤委員 だから、不適法でなくて妥当性の問題で意見が食い違った場合のこともこれは入っているのだ、そのことを言っているのだ、こういうようなことですかね。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 ところで、現行法に改正になってから、この十八条に基づいて定時株主総会で会計監査人が意見を述べたというような事例は、これまでよくあったのでしょうか。
○元木説明員 その点については何も事例は聞いておりません。ただ、こういう会計監査人がつくということの意味は、むしろ期末の監査ではございませんで、期中に監査して、常に取締役に対してアドバイスをする、その経理処理が果たして妥当かどうかということについてアドバイスをする、こういうことに意味があるわけでございまして、その点が証券取引法上の監査と違うところだろうと思っております。
○安藤委員 余り聞いたことがないということになると、意見が会計監査人と監査役とで違う場合は、どこかで意見の調整が行われる。それから、この関係について、私がいま言いましたように、株主総会でこの書類の承認が必要だということになったら、これは当該会社にとっては重大問題になるので、できるだけそういうことにならぬようにしっかりとした根回しなり話し合いなりその他のことが行われるのじゃないかということを非常に危惧するわけです。だから、その関係からいっても、冒頭に言いましたように、監査役については社外監査役というものを考えるべきじゃないかと思うのです。 それから、これは後の機会にしようかと思っておったのですが、今度は会計監査人を株主総会で選任するということになったのですが、何の何がしという会計監査人を本社の会計監査人として推薦するか選任を提案する、これは過半数で監査役を通すわけです。しかし、監査役が独自にそういう会計監査人をどこかから選んでくるか——そうなればその方がいいのかもしれませんが、代表取締役である社長にこの人はどうだろうと言ってお伺いを立てて、あるいは代表取締役の方からこの人はどうだろうという推薦があって、やはり社長から任命されている監査役なら、じゃそういうふうにいたしましょうということで会計監査人が選ばれるということになれば、先ほど言いましたように、これは適法だという意見がつけられないというふうに意見が監査役と会計監査人で違ったときでも、根回しがされてしまって、結局はしゃんしゃんの株主総会になってしまうということだって、承認を求めないで報告だけで足りるということにしてしまうおそれだって大いにあり得るのじゃないかと思うのです。 これを防ぐために、今度は会計監査人の選任以前に、人選について、これは監査法人というのもありますけれども、それよりも半ば公的というか、すっかり公的の方がいいのじゃないかと思うのですが、たとえば検査役の選任は裁判所でしてもらうわけですね。だから、そういう検査役の選任みたいな形で裁判所に会計監査人を選んでもらうとか、あるいはもっと違った第三者機関をつくって公の、半ば公でもいいのかもしれませんが、そういうところへ会社の方から依頼をして、人選はそちらに任せるというかっこうをとらないと、しゃんしゃん株主総会になってしまうのじゃないかという危惧を感ずるのですが、その辺はどうでしょうか。
○中島(一)政府委員 会計監査人につきましては、従来取締役会が選任をしておったわけでありますが、今回の改正法案におきましては株主総会において選任をするということにいたしたわけであります。これは私どもといたしましては、会計監査人の地位の独立、強化ということから言えば一歩前進であるというふうに考えておるわけでありますが、ただいまの御質問は、それをもっと進めて、人選の段階で取締役なり監査役が関与しないような方法は考えられないかということでございます。人選はどういうふうにあるべきかということも重要な問題でございますけれども、会計監査人という以上、公認会計士の職業人と申しましょうか専門職としてのプライドと申しましょうか、その仕事に対するプライドというものがこの会計監査人の公正らしさを担保するという点において非常に重要な点であろうというふうに考えておるわけでありまして、選任の方法についてもなお検討すべき点はあろうかと思いますけれども、今回はこの改正で一歩前進ということでまいりたいと思っておるわけでございます。
○安藤委員 会計監査人になる公認会計士の方々のプライドを信頼し、尊重する、全くそのとおりだと思うのです。私もその点については異論はありませんが、制度的にきちっとした方がよりいいのじゃないか。先ほど言いましたような談合なり根回しがあったときにも、もちろんそのプライドでがつんとやっていただくのはいいのですが、制度的にきっちりしておればそのプライドをもっと堅固なとりでの中であるいはとりでに頼って発揮することができるのではないかという気もいたしますので、またさらに検討されるということですから、一応今回は今回ということでやむを得ないのかもしれませんが、その辺のところも考えていただきたいということを要望しておきます。 そこで、これもやはり非常に気になるのですが、結局監査役と会計監査人の意見が合致をして適正に行われたものだということになれば、先ほどから言っておりますように、株主総会に対しては貸借対照表と損益計算書は報告だけでいい。そうすると、いろいろ議論をしあるいは議決をしという形で意思表示をする株主総会が報告を受ける集会になってしまうのじゃないか。それはほかにも議決権をすることはありますよ。しかし、最初に私がこれは株主総会の権限についての重大な変更だというふうに指摘しましたら、そのとおりだとおっしゃったでしょう。こういう重大な変更によって株主総会は報告を受けるだけの総会になってしまうのじゃないか、形骸化に一層拍車をかけるものではないか、どうしてもまたここに疑問が出てくるのですが、その辺のところはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○中島(一)政府委員 これは先ほども、名目的に見れば株主総会の権限から外したという意味において変更であるといいましょうか、縮小であるというふうに申し上げたわけでありますけれども、その実質はどうかと申しますと、従来からの株主総会におけるこういった計算書類の審議の実情を見てみますと、損益計算書にいたしましても貸借対照表にいたしましても、十数項目あるいはそれ以上の項目にわたっての非常に膨大なと申しましょうか、一面において細かな数字が並んでおるわけでありまして、それを一つ一つ審議してそれを承認するということは、大会社について申しますならば、株主総会の審議になじむのであろうかという点に大きな疑問があるわけであります。株主総会におきましては、そういう点が非常に形式的にと申しましょうか、形の上だけで承認をしたということになって、それによって取締役あるいは取締役会の責任が免責をされるという弊害の方がむしろ多いのじゃなかろうかということであります。 それは会計の専門家である会計監査人あるいは会社の監査役として内情に詳しい人に十分に審査をしてもらう、そして適法意見あるいは不適法意見というものをつけて、それが株主総会に先立って株主に送られるわけでありますから、株主としてももしそれを検討する意思なり意欲がある人は十分にそれを検討する機会があるわけでありまして、株主総会においては質問をすることもできる、取締役なり監査役なりはそれに対して説明をしなければならないということで、むしろ実質的な審議検討というものはそれで十分果たせるのじゃなかろうか、果たせるのだというふうに考えるわけであります。株主総会には株主総会の審議をしてもらうのにふさわしい事項を株主総会の承認事項として残して、そのかわりにその点については株主総会に精いっぱいのと申しましょうか、フルに活躍をしてもらうというのが好ましい形ではなかろうかということで、株主総会の権限を合理的に調整をしたと申しましょうか、すっきりさせたということが言えるのではなかろうかと思います。
○安藤委員 いろいろおっしゃるのですが、どうも手前みそ的な感じもしないでもないのです。というのは、株主の方にそういう十何項目にわたるいろいろ細かいのを見せてもわからぬだろう、それよりも専門家が見た方がすっきりするのだということですが、これほど株主をばかにした話はないですよ。それは実際問題としてはわからぬ人も多いだろうと思います。しかし、前もって送られてくるんだから、これを見て、あるいは知っておる計理士さんなり税理士さんなりその関係の人に聞いたり、あるいは知っている株主同士で相談をしたりして、この辺のところはどうもおかしいなというので勢い込んで来る株主さんだっておると思いますよ。しかし、今度は報告を聞くだけだということになったら、そんなものはしようがないじゃないかというようなことになってくるのです。だから、これは言葉は悪いかもしれませんが、まさに株主をべつ視するみたいなことにつながる。そして先ほどから言っているように、株主総会の権限については重大な変更なんですからね。まさに報告を受ける株主総会、こういうことに変えてしまう、これは大変なことだと思うのですよ。 そこで、もう一つ気になるのは、経団連の「株式会社の機関に関する改正試案に対する意見」というのがあるのです。この中にこういうふうに言っておるのです。「株主総会を決議機関としてよりは報告的色彩の強いものとして性格づけていくべきである。」試案に対する経団連の意見です。となると、先ほど単位株のときにも言いましたけれども、どうも経団連の言うことをしっかり聞いて——反対の意見を述べておるのが入っているのもありますよ。認めますけれども、それが大分手抜きされているのもこれからいきますけれども、これはまさに経団連の言うとおりに恐れかしこんでかどうか知りませんが、そのとおりになって、株主総会を報告的色彩の強いものとして性格づけていくことに法務省は手をかしてこの改正案を出しておるのじゃないか、こういう疑いさえ持たざるを得ないと思うのです。経団連の方からこういう意見が出されているということは御承知だと思うのですが、この辺についてはどういうふうに思ってみえるのですか。
○元木説明員 経団連からそういうような意見があることは承知いたしております。 それで、この計算書類につきまして株主総会での決議から外したということにつきましては、現行法の二百八十四条を削除するということとの関連がございます。御承知のように現行の二百八十四条は、総会で計算書類の承認をした後二年間別段の決議がないときはその取締役、監査役の責任を解除するということになっております。つまり、計算書類の総会での承認ということの法律的効果といたしまして、責任の解除ということが現行法で出ているわけでございます。しかし、この点につきましては、私どもといたしましては法律的に非常に問題があるのじゃなかろうか。これは立法の当初の法典調査会等の記録を調べますと、総会で計算書類を承認するということはすなわちその責任がないものとすることを認めたことなんだという意見が出ておりまして、満場一致でそれが認められまして現在法制化されているわけでございますけれども、しかし、総会の承認すなわち責任の解除であるということ自体もいろいろ問題があるだろうということで二百八十四条も削る。そのかわり総会の承認ということもいたしませんで、取締役会の承認がファイナルになる。ファイナルになれば、そういう計算書類に対する責任というものは直接取締役会が負うことになるわけでございまして、むしろその方が責任の上からもすっきりするのじゃないかという配慮があるわけでございます。
○安藤委員 いまおっしゃったようなのは一つの理屈だと思うのですが、やはり一般の株主にとっては株主総会というのは会社における最高決議機関ですから、これを大事にしたいという気持ちがあるのは当然だと思うのです。そして、質問権ではなくて取締役の方の説明する義務というのが今度盛られておるんですけれども、そういうようなことも含めて株主総会の場でいろいろバランスシートも見る、そういういろいろな計算書類も見て検討して、そしてそれを承認するかどうかということのために議論もすることが、やはり会社の社会的な責任を全うさせるために一般株主の声あるいは態度、議決をするというのも一つの態度だと思うのですが、それを反映する道だと思うのですよ。 それを報告集会にしてしまうということになったら、もうとにかく株主総会で会計監査人と監査役の承認を得たんだから株主は報告だけ聞いておればいいんだということになっては、そういう株主総会という場を通じて企業の社会的な責任について監視の目を光らす、物を言う、意思表示をする、こういうような場が失われていってしまって、冒頭にお尋ねしましたようなこの前の改正のときの国会における附帯決議、それから元木さんの「商事法務」に対する論文の意見あるいは航空機疑惑問題協議会の意見等々を反映して、そして企業の社会的責任の問題について早急にこれはきちっとしなければならぬということでこの改正案が出てきた、そういうような趣旨をもこれはぼやかしてしまうのではないかという気がするのですよ。だから、最初は非常にしっかりした旗を振って進んできたけれども、途中でだんだん、初めは脱兎のごとく終わりは処女のごとくかどうか知りませんけれども、おかしなふうに風化してきているのではないか、一番最初のポイントのところが。そういうような気がするんですよ。その辺のところは何とも感じておられませんか。
○元木説明員 実は、いままでたびたび各界からも指摘がございました。日本においてだけ株主総会が形骸化している、外国においてはかなり活発に行われているというこのこと自体果たして事実かどうかということはいろいろまた検討しなければいけませんけれども、少なくともそう言われているわけでございます。ところが、実際に外国の先進国の法制を見ますと、計算書類について全部株主総会が承認するという法制をとっているところはないわけでございます。事実上イギリスの会社におきましては計算書類の承認が行われているということでございますけれども、法律上の根拠はございません。それからアメリカにおきましては、計算書類はすべて取締役会限りで確定する、これは利益金処分案も含めて確定してしまうということであります。それから、ドイツあるいはヨーロッパの会社法案等におきましては、取締役会と監査役会の協議で定まるということになっているわけでございまして、株主総会が持っているのは何かと申しますと、役員の人事権だけであるということになるわけでございます。それでもこの株主総会というものが結構運営されているということは、つまり、むしろ原因がほかにあるのではなかろうか。これはもちろん国民性等々の問題もあると思いますけれども、やはりそこに計算書類を承認する権限を持っているから株主総会は形骸化しないんだあるいは形骸化するんだということではないのではなかろうかということで、むしろこの際は、先ほど来るる述べましたような理由からその権限から外したわけでございます。
○安藤委員 一応承っておきますけれども、そこで、先ほどからいろいろ問題になっておりました株主の、これは質問権という規定はされておらないのですが、取締役及び監査役の説明義務ということで規定してある。その説明の内容は先ほどお聞きしましたからあえて重ねてはお尋ねいたしませんが、ここで問題は、「株主の求めにより、会議の目的である事項に関して」というのが、これは要綱なんですが、とにかく会議の目的である事項以外については説明をする必要はない、こういうことになるだろうと思うのですが……。
○元木説明員 おっしゃるとおりでございますけれども、もちろん、この「会議の目的」の中には報告案件も含まれるわけでございます。
○安藤委員 そうおっしゃるだろうと思っておったのです。そこで、報告案件も含まれるのはいいのですが、だから先ほどの貸借対照表と損益計算書の部分は入るのだということをおっしゃりたいのだと思うのですが、総会の場ということに限定するのはいいと思うのですが、会議の目的以外の事項についても、余りとんでもない、たとえば誹謗中傷にわたるというようなことは、議長の権限もちゃんと明定されておるわけですからそっちの方でできると思うのですが、株主に企業の情報を公開する、そういうのが一方通行にならないようにするためにも、会議の目的たる事項にあえて限定はしない方がいいのじゃないか。目的以外の問題でも、日ごろ会社の経営の問題について、あるいは製造会社であれば原価の問題、これは秘密にわたる事項かどうか知りませんが、そういういろいろな問題ですね、株主として関心を持っている事項についてこの際聞こうというようなことだってあるんじゃないかと思うのです。普通、少数株主の人が会社に行ったってけんもほろろの扱いで、なかなかまともに応対してもらえないということもよく聞くのですが、こういう株主総会で株主としての権限を行使するような場こそ必要なのであって、会社の社会的な責任を明らかにするあるいは非行防止に資するというためにも、会議の目的たる事項に限らないということも考えてしかるべきではないかと思うのですが、そういうことは全くお考えにならなかったのでしょうか。
○元木説明員 会議の目的たる事項になります貸借対照表、損益計算書、営業報告書、これには会社の財務及び業務のすべての事項が記載されているわけでございまして、ただいま先生御指摘になりましたようなたとえば原価の問題ということになりますと、これは当然損益計算に関係あるわけでございます。もちろん、原価の問題になりますと企業秘密という問題がございますのでかなり制限されるかと思いますけれども、もし企業秘密という問題がなければ、当然これは質問の対象になるということだと思います。
○安藤委員 そうしますと、これはそういう限定があるけれども、相当広範囲に使ってもらえるものだ、こういうふうに考えてよろしいようですね。 そこで、これは試案の段階からすると、先ほど企業秘密という言葉が私の方も言いましたし、出たのですが、試案の段階は企業秘密を答弁拒絶の正当の事由にしておった、ところが、今度はそれが変わって、なかなか巧妙な、いいというのかうまい文章になっておるのですが、「株主共同ノ利益ヲ著シク害スルトキ」は説明に応じなくてもよろしいというふうになっておりますね。「株主共同ノ利益」というのは、会社全体の利益ということになるわけなんでしょうか。
○元木説明員 これはもちろん会社全体の利益ということになるわけでございます。会社全体の利益がすなわち会社の所有者たる株主の利益になるということでございます。それで、このような法律案の規定の仕方でございますけれども、これは現行法の二百九十三条ノ七に同じような規定がございますので、それをそのまま持ってきただけでございます。
○安藤委員 そこで、株主や会社全体の利益ということになると、結局は大株主あるいは会社役員等々のことと同義語になるんじゃないかとさえ思えてきて、小零細大衆株主の発言権というのは相当制限されるのじゃないかという気もするのですが、いまおっしゃったようなことからすると、相当広範囲に使えるということのようですので、お聞きをしていきます。 ところで、取締役、監査役が正当な理由なくして説明を拒否した場合、そしてそのままで決議がされてしまったというような場合は、これは決議取り消し事由二百四十七条に該当すると思うのですが、これは間違いないですか。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 ところが、改正試案の段階ではこの問題については取り消しの事由になるということが明記されておったはずですが、いまそのとおりだとおっしゃるのですが、明記されてないですね。これは二百四十七条のどの条項に該当することになりますか。
○元木説明員 決議の方法が法令に違反するということになろうかと思います。
○安藤委員 ところが、決議取り消しの訴えというのをやることになるわけなんですが、これも本当を言いますと、裁判を起こすというのはなかなかしんどい話だと思うのです。正当な理由があったんだという立証責任、これは当然会社にあるというふうに思うのですが、そのとおりでいいですね。
○元木説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そこで、総会でも正当な理由もなしに説明を拒否してしまった場合、決議取り消しの訴えを起こして訴訟になる。立証責任は会社にある。ところが、株主総会の場で理由も説明しないで拒否した、しかし正当な理由があるんだということなんでしょうが、たとえば会社の全体の利益ですか株主の共同の利益ですか、実は中身はこうこうこういうことでこうなんだというような、いわば企業秘密に類するものもあるんだろうと思うのですが、総会の場で言えないのを裁判所の法廷ならはっきり言えるんだろうかということが一つ問題があるのです、立証責任があるとは言いながら。だから、結局は二百五十一条で裁判所が適当に判断することができるという規定があるのですが、こういうようなことでいいかげんに始末されてしまうんじゃなかろうかということを心配しておるのですが、そんな心配ないでしょうかね。
○元木説明員 もちろん、これは決議の方法が法令に違反した場合であってもということでございますけれども、この場合、後のその違反する事実が重大でなくて、かつ決議に影響を及ぼさないという限定がついているわけでございます。これは戦前の二百五十一条とはかなり違いまして限定的に規定してありますので、そのようなおそれはないのではなかろうかと思います。
○安藤委員 せっかく新設をしてくださったのですから、実効のあるものにしていく必要があるんじゃないかと思うのです。だからそういうようにお尋ねしたのですが、時間が来ましたから、もう一つ提案権の問題についてお尋ねをしたいと思います。 これも新設をされたものですが、先ほど三百株以上の問題について岡田委員の方からいろいろお尋ねがあったのですが、私はそれと逆な意味で、ですからもちろん私は特例法適用会社の場合についてお尋ねするので、中小会社についてお尋ねをするわけではありませんが、逆なことを私は心配しておるのです。 というのは、提案権ができる株主は百分の一または三百株以上、こういうふうになっておりますね。もちろん、三百株というのは単位株式になって一株五万円を前提にしておると思うのです。だから、百単位で五百万円、三百単位ということになれば千五百万円、これは相当な金額が必要となると思うのです。これはすぐ単位が引き上げられたというだけでもそうなるし、取引価額が相当倍するわけですから、そうなると、それによって提案権を持つことができる株を手に入れる金額というのは相当大きな金額になりますね。だから、これは大衆零細株主の提案権を新たに認めてやるというものではなく、やはり相当な大株主の権利を認めてやるのであって、形の上では一応そういう零細株主の提案権を認めるというように読めるけれども、実際計算してみると、これはとんでもない金額を必要とする。それは何人か集まればということもおっしゃるかもしれませんが、意気投合してこういうことでやろうと提案しようというのは、株主としては法人ならいざ知らず、個人株主はなかなかそう集められるものじゃないですよ。 しかも、これは経団連の例を引っ張り出して申しわけないのですが、この提案権には経団連が反対しておられた。これが認められたのは、その点では意義があると思うのですが、経団連は、提案権については認めるとしても、発行済み株式総数の百分の一以上の株式を有する者に限るべきである、こういう意見なんですね。最初は試案の段階では、百分の一または百株以上の株式を持っている株主に提案権を認めるべきだ。百株以上というのが三百株以上ということになったのですから、先ほど言いましたように相当な金額を必要としますということになると、経団連の言う株の数という点については経団連の言うとおりではないけれども、三百株という相当大きな厳しい枠をつけることによって大衆株主の提案権を抑え込もう、これは実質的には認めないんだ、こういうようなことになっているんじゃないかと思うのですが、その辺のところはどういうふうにお考えなんですか。
○元木説明員 提案権の問題につきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、現行法のもとでも提案権は認められるのではないかということでございます。でございますから、これを否定しようという意図は全くございません。それで、さらにそれに加えて、株主が提案したことを総会招集通知と一緒に配るようにいたそうということでございます。そういたしてみますと、これは非常に大きな権利でございます。言ってみれば、新たに議題を提案することができる、しかもそれが総会招集通知に載っけられるということでございますから、いわば簡易な総会招集請求ということになるわけでございます。現行法では総会招集請求は百分の三以上ということになっているわけでございます。そこで、それよりは多少軽くして百分の一というところを一応出してきたわけでございます。 そういたしますと、百分の一ということだけになりますと、今度は大会社においては余りにも大きな数になってしまう。これは御承知のように、大会社の場合でございますと、百分の一持っている株主ということでも、上位はわずか十人程度ということになってしまいますので、これは実際に行使できないということになってまいります。そこで、少なくとも提案権をまじめにといいますか、乱用はしないで行使できるということになったらどのくらいであろうかということでございまして、そうなってまいりますと、十五億の会社で百分の一でございますと大体三百株ということになるわけでございまして、そこらあたりがつり合いとしてちょうどよろしいのじゃないかということでございます。したがいまして、これはもちろん零細な株主といいますか、一株、二株の株主がこの権利を行使するということはできないわけでございますけれども、他の現行制度とのバランスの上から言いまして、この程度で相当ではなかろうかと考えております。
○安藤委員 時間が来ましたから、もう一つだけ。 もともと提案権はあるのだという解釈に立っていくにしても、法律の条文できちっとこうやって認める以上は、やはり実効のあるものでなかったら意味がないと思うのですね。いま十五億の会社のことを例にとられたのですけれども、百分の一もそうですけれども、やはり三百株というのは相当厳しいのじゃないか。だから、ある程度の株主の人、個人の株主でもこういう提案権ができるというのが何かないと、いろいろ会社の経営の問題について、あるいは先ほども問題になりましたけれども取締役解任決議案なるものも、きちっと正しい意味で、妨害とかいやがらせとかいう意味ではなくて、本当に会社の経営をうまくやってもらいたいという趣旨での株主の意向を反映させる、提案させる、こういうような趣旨からすると、その点で実効のある限度というのを考えていただく必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点についてさらにいろいろ検討してくださるのかどうかということをお尋ねをして、きょうは終わることにいたします。
○中島(一)政府委員 提案権の点につきましては、先ほど元木参事官からお答えを申し上げたとおりでございまして、法制審議会における結論がこういうことでございまして、私どももそれを全面的に賛成をして法案に取り入れたわけでございます。これが私どもの最終案であるというふうに申し上げておきたいと思います。
○安藤委員 終わります。
○高鳥委員長 次回は、明二十二日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時十三分散会 ————◇—————