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94回国会衆議院1981/03/25

法務委員会 第4号

発言数
256
登壇者
24
会派数
4
開催日
1981/03/25

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所小野刑事局長、栗原家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 再審の問題で、いわゆる財田川事件の谷口被告というか何というか、これに関連して、再審開始決定が最高裁の方へ特別抗告しないで確定しましたね。そうすると、新聞やテレビを見ますと元被告と書いてあるのが相当あるのですね。ぼくもあれを見て、そういう言い方がいいのかどうか疑問に思ったのですが、後から被告というふうに直したところもあるし、あれは法律的にはいまの段階でどういう呼び方が一番正しいのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねのように問題があるぐらいややこしい点があるかと思いますけれども、一面、谷口なる者は死刑判決が確定しているわけでございますから、そういう意味で死刑判決による在監者といいますか、そういう身分というか立場にあるわけでございます。一方、いま御指摘のように再審の開始決定が確定をして、これから再審の公判といいますか開かれるわけでございますから、その面から言いますと被告人扱いということになるんじゃないかと思いますので、両面を持っているということじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 どうもはっきりしないな。どういう呼び名が一番正しいのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ですから、ただいま申し上げましたように両面を持っているので、確定している死刑判決の面から言いますと、その判決によって刑の確定した在監者というふうに呼ぶのが正しいと思いますし、それから、再審公判の面から言えば被告人という扱いをするのが正しい、そういう言い方になろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、元被告という呼び方はどういうのですか。よくテレビや何かで元被告と書いてあるね。新聞なんかも元被告と書いてあるんだけれども、これはどういうふうに理解したらいいのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 それは法律的な言い方ではないんじゃないかと思います。さっき申しましたように、確定判決を受けている人という立場があるわけでございますから、そのもとの確定判決といいますか、現に確定しているわけでございますけれども、その判決から見れば判決が確定しているので元被告という言い方になるんじゃないか、強いて言えばそういうことじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 余りよくわかりませんがね。  そこで、この高松高裁の再審決定に対して最高検は特別抗告をしなかったですね。そのしなかった理由というのはどういうところにあるわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 去る三月十四日に、財田川事件の再審請求につきまして高松高裁で即時抗告の棄却という決定があったわけでございます。これにつきましてはいろいろな点から検討がなされたわけでございますけれども、一言で申しますと、本件の経緯なり、またいまも申しました高松高裁の決定の内容なり、そういうものをいろいろな点から検討いたしまして、特別抗告するのは相当でないという結論になったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これは、特別抗告をするのは相当でないという結論になったから特別抗告しなかったという答えと同じなんです。だから結局、これは勾留を継続する必要があるから勾留を継続するという勾留更新決定と同じことですね。そういうことではなくて、特別抗告をしなかった理由というのは具体的にもう少しあるのじゃないか、こう思いますが、法律的な条文だけではなくてもう少し詳しく説明はできませんか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 結局、いろいろな観点から検討の結果の総合判断でございますから、一言でも言いにくいという意味で、さっき申しましたように、本件具体的事案についての経過、経緯というもの、それをいろいろ考え、また内容もいろいろ検討して、この内容であれば特別抗告するのは適当でないだろうということで、その経緯と内容という具体的な事案に即しての判断というふうに理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これから再審が始まるわけですから、その前に、こういう理由で特別抗告しなかったということを余り具体的な内容まで入るということも、あなた方の立場としてはできにくい立場ですね。  そこで、再審法というものについては、刑訴法全体が戦後改正になりましたね。そのときに再審法は一部分改正になりましたけれども、どうして残ってしまったわけですか。そこまで時間的な余裕がなかったというのが本当ですか。あるいは再審の中で、たとえば不利益再審の禁止だとか何か二つばかりありましたね。どういうわけで再審の点については改正ができなかったのか、それからまたどういう点だけが改正されたのか、こういう点をひとつ御説明願いたい、こう思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 別に時間切れとか手が及ばなかったというようなことではないと思います。いまも御指摘のありましたように、いわゆる不利益再審はやめたということが大きな改正点であろうと思います。そうしますと、被告人に有利な再審と申しますかそういうものは残るわけで、残った以上は、その分に関しては大体旧法どおりでよかろうということであったのじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 この再審規定というのは、元来あれでしょう、普通の刑事訴訟法関係が英米法流というか英米法に変わりましたね。ところが、再審規定だけは、その母法というとドイツの刑事訴訟法が母法だというふうに理解をしていいのですか。あるいはフランスの系統なのかな。どっちに理解をしていいわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いわゆる旧刑訴法でございますが、その前にはいろいろとまた旧々刑訴法もあるわけでございまして、これは稲葉委員御案内のとおり、フランスの刑事訴訟法を参考にしたり、また一部分にはドイツの刑事訴訟法を参考にしたりということでできてきていたものだというふうに理解しておりますから、そういう意味では、広い意味でいわゆる大陸法というものが手本といいますか、になっていたというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ドイツの刑事訴訟法は、ことに再審の関係でずいぶん細かく改正になっているわけですね。これはドイツの場合は、刑事再審法という法律になっているのかな。単独法になっているのですか。それで最初には、利益再審の制限を強化している時期があって、それから利益再審を拡張する時期に入ってきて、一九三〇年に草案ができて、一九三三年に改正、一九五〇年に改正、一九五三年に改正、一九六四年に改正、一九七四年に改正、こうなっているわけですが、このうちで一番問題なのは一九六四年の改正ですね。これは、ドイツ刑事訴訟法の第三百七十二条で、再審開始決定に対する検察官の即時抗告権というものがこの改正によって排除された、こういうことですね。これは調べてみたら、政府の草案ではなかったわけですね。国会の修正においてこういうふうになった、法務委員会の修正によって排除されたということですね。そうすると、この立法の趣旨はどういうふうに理解をしたらいいんでしょうか。  私の理解するところでは、結局「「独立した裁判所が再審理が必要だと判断した場合には、すべての事案において、障害のない即座の新たな審理を保障しなければならないという考慮による、」とされる。」そういうふうに書いている学者もいるわけです。それからもう一人の学者の意見によりますと、最初のころは同じですけれども、「いかなるケースにおいても、新たな公判が独立の裁判所により必要と認められたならば、妨げられない即座の公判が保障さるべきである」、こういう言い方ですね。それについて、開始決定前には検察官も意見陳述権があるではないかということも理由とされた。それから、再審公判になっても、検察官はそこで主張、立証することができるのだから、「無罪判決の見込みがあると裁判所が判断した請求人に対して、公判に入らないようにする手段である即時抗告は、やはり抑制されるべきではないでしょうか」ということを学者は言っていますね。これは大阪市立大学の光藤さんですが、こういうような理由、あなたの方ではいま私の読み上げたような形で理解をしておられるわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま稲葉委員も仰せになりましたように、その改正はいわゆる政府提案ではなくて、議員修正と申しますか、国会での修正でそういうふうになったということでございますので、そのいきさつについては必ずしもはっきりしない点があるわけでございます。それについては、いま引用の学者の方の論文等もございまして、おおむねそういうことであろうということについては異論がないだろうと思いますけれども、一面、私ども十分調べたわけではございませんけれども、ドイツの学者の教科書等を見ますと、確かにこの改正の趣旨は、一度裁判所がそういう決定をした以上は、直ちに再審公判をやるべきだということでそうなったのだろうと思う、しかし、それによって誤った再審開始決定が是正されないという問題があるというようなことの指摘もあるようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私が聞きたいのは、これは本来国会で調べるべきなんですが、あなたの方でアタッシェが行っているわけですからね。ボンにいま松尾君ですか、行っているわけでしょう。ですから調べて、この当時の法務委員会の修正のときに提案理由か何かあるはずだと思うのです。何か特別な事件があってこういうふうに修正されたのか、その動機が一体どういうふうなものなのか、これは法務省でもいいし、最高裁でもいいのですが、とにかくこれは法務省でよく調べてもらいたいと思うのです。率直に言ってよくわからないのですよ。学者の引用したのも、読んだところは括孤つきで引用してありますから、これは恐らく立法理由の中に入っておるのじゃないか、こう思うのです。何かの契機があってこういうふうにされたんじゃないかと思うのですね。ところが、どうもよくわからないので、この点を十分調べてもらいたい、こういうふうに思うのです。  もう一つ、たとえば光藤さんの言っておる中でよくわからないことがありまして、その点、私も読むのを省いたのですが、「無罪判決の見込みがあると裁判所が判断した請求人に対して、公判に入らないようにする手段である即時抗告は、やはり抑制されるべきではないでしょうか」、こういうふうに言っておるので、再審開始決定があって確定したということは、無罪判決の見込みがあると裁判所が判断したというふうに、再審の請求の棄却と比べてみればそういうことが言えるというふうに見ていいでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いま仰せのような意味では、そういうことであろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたの方でも、無罪判決の見込みがあるとなかなか真っ当に言うわけにいかないわね、影響力があるから。言うわけにいかないから、ぼくも再審棄却の決定と比較した段階で言えば、あたりまえなんだけれども、そういう言い方をしたのです。  そこで、再審開始決定があったときに何も検事が即時抗告しなくてもいいじゃないか。いま刑事局長が言われたように、誤った再審開始決定がなされた場合に対することも考えなければいけないという議論も、当事者主義ですから確かにございますけれども、それは再審の公判の中で十分やればいいということになりますから、再審公判の中で検察官としては新たな主張なり新たな立証ということもできるわけでしょう。全然新しい裁判ということになってしまうのですか。従来の何かの裁判にとらわれてやるのですか。そこはどうなっておるのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 おっしゃいますように、再審の公判で立証できることは立証ができるわけでございますけれども、場合によりましては、証拠の散逸等によりまして十分なる立証活動ができない場合もないとは言えないわけでございます。それから一面、いまのお尋ねの点でございますけれども、やはり改めて事実審をやるわけでございますから、手続的には冒頭手続からやり直していくということになろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、この点については、再審開始決定があって、たとえば高裁に即時抗告するということになってくると、ずいぶん長くかかっているんじゃないですか、いままで。大体三年近くかかっていませんか。二年六カ月、三年近くかかっておるということ。この前の免田さんの事件なんかでもかかっているし、そういうことを考えると、これは公判で十分争えるわけですから、検察官が開始決定に対して即時抗告権を、あなたの方から、政府側からそういうものをないという法案の出し方は、ぼくはなかなか率直な話、できにくいと思いますよ、これは。だから、そういうふうに即時抗告できるように法律がなっているのに、そこで即時抗告をたとえば高裁にしなかったということになれば、やはりこれは検事としては事件を投げたのだ——投げたという言葉は悪いけれども、そういうふうに一般はとりますね。それはまた、検察官としてはいわば一種の公益の代表者として困るということですから、こういう条文があるから検察官としては即時抗告せざるを得ないわけですね。  同時にまた、政府からも出しにくいということになれば、これは委員長にお願いをするのですが、これは法務委員会の修正というか——法案が出ておりませんから修正じゃありませんが、委員長の提案として、これは再審法の中でいまの検察官の再審開始決定があった場合の即時抗告権の放棄、このことについて委員長提案という形で出してもらえるように、十分理事会で各党の意見をまとめていただくようにお骨折りを委員長からお願いいたしたい、私はこういうふうに考えるのですが、委員長の御所見はいかがでしょうか。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 理事会において協議いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういうように私は十分この点についての要望をしておきます。  そこで、いろんな問題があるんですが、もう一つ。いま言ったような形で即時抗告権を認められるというと、裁判が非常に長くなりますね。おとといも盛岡の裁判所で二十五年かなんかかかったということが出ていましたが、これはきょうここで聞くわけじゃありませんから、事実関係を調べておりませんので聞きませんけれども、そこら辺のところで非常に長くなります。不安定な地位に置いておくわけです。  そこで、これは矯正局長にお尋ねをしたいんですが、確定した死刑囚の地位というのは、一体どういうふうに見たらいいのか。それがいまの監獄法と今度改正される監獄法との関係で非常に違うんだという見方をしている人もいるわけです。そこら辺のところはどういうふうになっておるのでしょうか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 まず最初に、現行法下の運用でありますけれども、監獄法の九条におきまして、本法に特別の定めのある場合を除くほかは被告人に準ずるという規定がございます。したがいまして、被告人の場合にはかく扱うという規定のある場合には、死刑囚の処遇として背馳するところがなければ、それは準じて適用していくというやり方をいたしております。しかし、そういう規定がない場合におきましては、死刑確定者の収容目的に照らしまして適正な処遇をしていくというやり方をしておるわけであります。  それから、新しい監獄法の構想の中におきましては、これは法制審議会の決定の中にもあるわけでありますけれども、死刑囚は死刑確定者としての地位に応じた規定を置く必要があるという考え方に基づきまして、接見につきましても交通につきましてもそれぞれ規定を置いておるということであります。ただし、何から何まで細かく死刑確定者について個別に規定を置くことは規定技術上困難でございますので、最後にその他条項といたしまして、死刑確定者の処遇の目的に反しない限りは被告人、未決の規定を適用するという規定を置きまして、特則を定めた上そういう一般条項を置くというやり方をいたしております。したがいまして、現行法と監獄法改正の考え方と、実際の運用の面から言いますと大きな径庭はないというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこは一般の人というか一部の人は、私もよくわかりませんが、そういうふうにとってないのじゃないですか。弁護人の場合は面会できる。ただ一般の人の場合は、面会がいまの場合と比べて非常に困難になるということを言っている人がありますね。そこら辺のところはどういうふうになるわけですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 御質問の趣旨は、現在改正法で考えております考え方が、むしろ一般人の接見について窮屈になるのじゃないかという御指摘でございますが、そういう御指摘があるというふうにはわれわれ理解いたしておりません。死刑確定者の規定を見ますと、一般人の面会について被告人の場合よりも窮屈になっているということではないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それで、これは本来法務大臣がいるところがいいのですが、いまの財田川事件でも、日弁連から出ている「再審」という書物の中に非常に出ているのですが、問題になってくるのは証拠資料が非常に紛失をしてしまうことです。それから、意識的に再審の調査についての妨害をするというふうなことが出ているわけですよ。これは正しいかどうか私わかりませんよ。だから、いまから申し上げることについては、あなたの方でわかっていれば答えてほしいし、わかっていなければよく調べていただきたい、こういうふうに思います。  きのうそこまで詳しく言わなかったのですが、免田事件はあれがなくなったことは、裁判が起きていますからわかっていますが、たとえば財田川事件でも、これは日弁連の「再審」の百三十五ページですが、「公判不提出の捜査記録の重要な一部が紛失している(なお、事件当時の被害者の着衣も、すでに廃棄されていて存在しない。被害者の血液型と遺留血痕の関係についての従来の鑑定には、その資料、方法等について大きな疑問があるが、現状では再鑑定は不可能となっている)。」というふうなことも書いてある。  それから徳本事件、これは問題があったと思います。徳本というのは、後で何か不法監禁か何かで起訴された事件でしょう。「犯行現場、すなわち、被害者の自動車内で発見され、真犯人のきめ手になったかもしれない遺留品、たばこの吸殻、毛髪がなぜか行方不明である。」こう書いてある。こういうことが事実かどうかということを調べていただきたい。  もう一つ、徳島事件があります。徳島事件は、いま高松高裁へ即時抗告していまして、まだそれが出ていませんから、内容について申し上げるのじゃないのですが、これは百三十九ページのところです。「日弁連人権擁護委員が、請求人富士茂子有罪の証拠となった証人」二人いましたね、「に面会するため徳島へ出張したところ、その三日前から検察官がその証人を連れ出し、警察の寮で二日間にわたり取調をしたことが判明した。この証人は、一度は偽証した事実を認めていたが、取調の結果、再び富士茂子に頼まれて電灯線を切った旨供述を翻してしまっている。しかも、出張した日弁連委員の旅館の隣室をひそかに検察庁が借り、委員の動静をさぐることまでしていたのである。」ここまで事実かどうか、そういうふうに書いてありますから読んでいるのですが。  それから、「弘前事件でも、検察官が弁護側の証人として予定されている人をあらかじめ検察庁へ呼び出し、執拗な取調をしたので、証人が弁護人のところへ、その取調方法の執拗さ・不当さを訴えてくるということがあった。」こういうふうに出ておる。ここまでちゃんと書かれているわけですから、この点についてはいますぐというわけじゃありませんけれども、事実関係を調べていただきたいというふうに私は思うのです。  財田川事件の再審が始まる前に、原審の裁判を国会が批評するとかなんとかという立場にないことは私はよくわかっていますので、それを紹介して感想だけを述べたい、私はこう思うのです。  一審の判決が昭和二十七年一月二十五日ですか、ありますが、実に簡単ですね。これは本当に簡単な死刑判決ですね。これは被告人、弁護人の無罪の主張に対して何らの判断も示していない。被告人なり弁護人の主張に対して、それがたとえば三十五条だとか三十六条とか三十七条とか、こういう主張があれば判断を示さなければならないようになっていますから、ただ無罪だ無罪だということに対しては判断を示さなくても有罪の判決をすれば判断を示したことになるわけですけれども、それは理屈はそうでしょう、だけれども、もう少し親切に書いてもいいのじゃないかと思います。これは感想ですよ。死刑判決が実に簡単なんだな。  それから、もう一つのを見ると、昭和四十七年の九月三十日に再審請求を棄却したのがあるでしょう。この再審の棄却決定したのも、こういうふうに書いてあるのですね。「当裁判所は、三年余を費やし、できるだけ広く事実の取調べを実施し、推理、洞察に最善の努力を傾倒した積りではあるが、捜査官の証言も全面的には信用できず、二〇年以上も経過した今日においては、既に珠玉の証拠も失われ、死亡者もあり、生存者といえども記憶はうすらぎ、事実の再現は甚だ困難にして、むなしく歴史を探求するに似た無力感から、財田川よ、心あれば真実を教えて欲しいと頼みたいような衝動をさえ覚えるのである。」こういうことで再審請求を棄却しているのですね。  私は、これは裁判官を批判するのじゃありません。感想だけですけれども、財田川よ、心あらば教えてくれとかなんとかそういうことを言うならば、再審の請求を認めてもいいのじゃないかと思うわけですが、これは裁判の批判になるからしません。再審というものを、法的安定性というもので三審制度があるわけですから、できるだけ認めまい認めまいとする態度がそこに露骨にあらわれておる、こういうふうに思うわけです。  それで、例の白鳥決定の中の疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の原則がそこに出てきたわけですが、一部の検察官なり何なりは、これは単なる最高裁のリップサービスなんだ、疑わしきは被告人の利益に従うということを白鳥決定で言っているのはリップサービスにすぎないのだというようなことを言っている人もいると報ぜられているわけですね。その点はどういうふうに理解しておるわけですか。疑わしきは被告人の利益に従うということは、やはり再審の場合にも精神として適用されるのだ、こういうふうに法務省としては理解しているということでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 白鳥決定の中でのいま御指摘の点につきましては、いろいろな解釈といいますか理解があるだろうと思います。  疑わしきは被告人の利益という言葉は、言葉のとおり使っているわけでございますけれども、普通の事件といいますか、まだ有罪が確定していない場合、その以前の段階における被告人の立場というものと、一たん判決が確定している場合の元被告人といいますか、そういう者との立場はおのずから違うわけでございますから、そういう意味において、疑わしきは被告人の利益にという原則の適用も全く同じであるかということになりますと、必ずしも同じではないのじゃないかという考え方はあろうかと思います。したがいまして、そういう差はあろうということは言えると思いますけれども、基本的にはそういう精神が適用されるということにおいては間違いないというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 再審の問題はいろいろ具体的な事件がありますけれども、まだ再審の申し立てをしている事件もありますし、そういう事件についてここで言うのはあれですから、私もこれ以上申し上げません。  そこで、監獄法の改正の問題については、いまどういう点が問題で、いつごろ終わって、いつごろ国会へ提出できると見ておるのですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 現在、監獄法の改正につきましては、昨年末受けました法制審議会の答申に基づきまして条文化作業を急いでおります。法制審議会の答申は、骨子となる要綱という形で答申されておりますので、これに肉づけをしたりあるいは不足を補ったり整理をしたりという作業がかなりあるわけであります。そういう作業をしながら条文化をしていく、これは少なくとも本年末までは時間がかかるだろうと考えております。内閣法制局の審査もまだ受けておりませんし、それらの諸手続を済ませた上、できるだけ早く国会に上程したいと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 できるだけ早くはわかるのですが、来年の国会には提出できる見込みですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 格別の事情のない限り、そうしたいと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その内容についてはまた別の機会にすることとし、ゆっくり私ども内容を検討します。  そこで、この前ちょっとありました子供の殺人で、家裁で審判不開始にした事件がありましたね。あれもまた、新聞を見ると無罪と書いてあるのだが、どうも法律のことを専門家でないというか、ぼくらも余り専門家じゃありませんからわかりませんけれども、ああいう場合に、私はあの事件で非常に問題に思いましたのは、警察の捜査の過程の問題はありますが、それは抜きにして、あのときに検察官は意見を述べていると思いますね、審判廷で。それはどういう意見を一体述べたのかということをぼくは知りたいのですよ。検察官はどういう意見を述べましたか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 少年審判でございますので、検察官は立ち会いをしておりません。また、大阪家裁の方へ照会いたしましたところ、別に検察官の方から意見書等の提出もなかったというように聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 失礼しました。検察官はもちろん立ち会いしませんね。あれは立ち会いを希望した場合に、裁判所が認めれば立ち会いができることになっていますか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 いま委員が御説明になったとおりでございまして、裁判所が相当と認めて許可いたしますれば、立ち会うことができるということになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、私が疑問に思いますのは、この場合は審判不開始ですね。年齢的にもあれですから、それはそれで結論としてはいいと思うのですが、問題となってくるのは、いわゆる虞犯というのがありますね。犯罪を犯すおそれがあるという虞犯。虞犯ということで検挙をして、それだけで鑑別所に入れて、そうして審判をやる場合がありますね。どうもこれは私はよく理解できないのですよ。非行を犯すおそれがあるということで、一体人権を抑圧するというか何というか、とにかく鑑別所へ入れたりなんかするでしょう。それは具体的にはどういうふうに行われていますか、虞犯の場合は。虞犯だけでそういうふうなことがやられている場合があると思います。それから同時に、ほかのものとくっついて虞犯が行われている場合もあると思うのですが、虞犯という、犯罪を犯すおそれがあるというだけで、それを鑑別所へ入れてするということは、ぼくはどうも基本的人権の尊重ということからいって何か理解がしにくいような気がしてしようがないのですが、その点どうなっていますか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 現行少年法では、犯罪少年のほかに虞犯少年も審判の対象になる、このように定められておるわけでございます。したがいまして、いまお尋ねの虞犯のみを理由といたしまして保護処分に付する場合もあるわけでございます。  ただ、虞犯と申しましても、委員御案内のとおり、旧少年法当時は、単に刑罰法令に触れる行為をなすおそれある少年というように定めていたわけでございますけれども、少年の人権を保障するという見地から、現行少年法では、三条一項三号に定めておりますようなイ、ロ、ハ、ニという各虞犯事由があり、しかもかつ、「その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞」があるという虞犯性がなければならない、このように定めておりますので、家庭裁判所といたしましては、その虞犯性あるいは虞犯事由が具体的にあるかどうかということを、犯罪少年における犯罪事実と同様に、たとえば家庭裁判所調査官に詳しく調査させまして、この結果、このままの状態では本人が非行を犯す具体的な可能性があるといいますか、危険性があるということが判断できた場合に、本人の非行を未然に防ぎ、そして本人を更生させるという見地から、虞犯性あるいは虞犯事由に適合した処遇を加える、こういうことをいたしておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは乱用されると保安処分の一種だというふうに考えていいのじゃないかと思いますがね。実際に罪を犯しているわけじゃないし、罪を犯すおそれがあるといったって、いろいろ個別的なあれはあるとしても、大体一方的な認定ですね。特にいまの少年法の問題では、もうあそこで事実上決まっちゃうわけですからね。それで、抗告したって抗告が通った例というのはほとんどないでしょう。どのぐらいあるのかな。一件か二件ぐらいでしょう。道交法で身がわりだとかなんとかという場合は別として、ぼくは一件だか、道交法の処分が少年院送致かな、何か重過ぎるというので通ったのを聞いていますけれども、ほとんど通っていないでしょう。書面審理でしょう。そういう点で、抗告権というものはあったところでほとんど意味がないですね。執行停止権がないでしょう、どんどん先へやっちゃいますから。だから、どんどん抗告して、それでその間に執行権がないということでとまっているということになると、また乱用されて弊害がありますから、これは問題があると思いますがね。  そこで、その問題はまた別として、少年法の改正の問題が大分前からあれされているわけでしょう。これはいまどういうふうになっていて、いつごろどういうふうになるのかということについて、刑事局長、御説明願いたいと思うのです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 少年法の改正につきましては、御案内のとおり、昭和五十二年六月に中間答申と申しますか、法制審議会の答申があったわけでございます。その答申をもとにいたしまして、法案の立案作業を引き続いて進めておるわけでございます。  内容的には、実務的あるいは技術的な面で詰めなければいけない点もございますし、最高裁あるいは法務省部内でも矯正、保護それぞれの担当部局との協議というような問題も残っておるわけでございまして、そういう細かい詰めを進めておるわけでございます。  一方、これも御案内のとおりでございますけれども、この少年法の改正につきまして日弁連等から相当強い反対も出ておるわけでございまして、私どもといたしましては、少年法につきましてもできるだけ多くの御理解を得たいということで、日弁連ともお話し合いをして、日弁連の御意見も十分聞きたいと実は思っておるわけでございますけれども、日弁連の方はそういう状況にないと申しますか、そういうこともございまして、意見の交換ということも得られないままに至っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 民事局長がおいでになったので、別のことをお聞きいたします。  いまマンションがどんどんできていて、ことに東京の場合、渋谷、目黒、八王子、それから千葉なんかも多いようですが、この登記が非常に遅れていますね。それから、これは計算が大変なんでしょう。たとえば八階建てのマンションだったならば、その土地も面積によって分けたり何かするわけですか。これが非常に遅れていて、報ずるところによると、一月申請分登記がいまごろ終わる段階だと千葉の法務局で言っているというのです。このために金が借りられない。抵当権が設定できないので非常に困っている人がいっぱいいるのですね。この点について一体どうするのか。区分所有の問題はありますけれども、新たな立法が必要なんですか、あるいは立法がなくても現実にやれるというのか、そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 マンション登記につきましては、何分、数十、数百という戸数の登記が一斉に申請をされるわけでございますので、その手続に非常な時間を要するという、ことで、御迷惑をかけておるような次第でございます。現行法のもとにおきましても、できるだけ合理的な手続を考えることによって処理を迅速にするということに努力をいたしておりますけれども、根本的にはやはり新しい法律によってこの登記の問題も解消を図りたいというふうに考えておるわけでございまして、その点を含めまして、敷地の利用権その他マンションに関連するもろもろの法律問題をどういうふうに取り扱ったらよいかということで、法制審議会に審議をお願いしておるような次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 大臣も渋谷か目黒どちらかの法務局を視察されたということをちょっと聞いておるのですが、これは何か大変らしいですね。渋谷の出張所、目黒、それから千葉がひどいようです。市川なんかもひどいようですね、どんどんできてきて。それで、いま言ったように、一月申請分の登記が三月の中旬ごろに終わっているということを千葉の法務局で言っているようです。これは事実関係を調べてもらえればいいですね。まさかこんなにかかることはないと思いますけれども、何億分の何とかという計算をするので大変なようなんですが、抵当権を設定しなければローンが借りられないでしょう。そのために非常に困っているということだが、この立法化は具体的にどういう点が問題なんですか。これは技術的な問題が多いのじゃないかとぼくは思うのです。よくわかりませんがね。法制審議会でどういう点の立法化が問題になっているわけですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 現在の建物の区分所有等に関する法律は、昭和三十七年の法律であったと思っておりますが、建物の区分所有についての手当てをいたしましたけれども、その敷地の利用権と申しましょうか、その敷地の所有関係と申しましょうか、そういったものについての手当てが必ずしも十分でなかったといううらみがあるわけであります。  まず、基本的には、建物の専有部分と敷地の利用権との調整の問題がございます。その中から登記の問題というものが出てくるわけでありまして、法制審議会におきましては、まずこの問題を取り上げていただきまして問題点を指摘していただきました。ただ、事柄がかなり細かな登記の実務に関係する問題でございますので、その問題点を前提にいたしまして、現在所管課の方で細かな問題を検討しております。これが終わりましたならば、それをもう一度法制審議会で御審議いただきまして結論を出していただくということを考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 実際に国民が困っておる法律ですね。そういうことをぼくが言うのもおかしいと思うのですよ。立法府というのは国会なんだから、こっちが国会で、こっちが法律を出すのが本当なんだけれども、率直な話、それだけの力があるのかないのか。余りよけいなことをしゃべるとまた怒られるからしゃべりませんが、これはもっと早く出る話じゃなかったですか。私どもが聞いていた話では、去年、おととしあたりから出す出すということを法務省民事局では言っていましたよ。だから、こういうふうに実際に困っている家族がおられるときには、それは早く出すような法律関係をつくってもらいたいとぼくは思うのですが、いまのあれでいくと一体いつごろになるのですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 マンションの登記の問題、特に敷地の登記の関係の問題は非常に緊急を要する問題でありまして、私どもも登記の第一線におりましたときに非常に困っておったという事柄でございます。五十四年一月に法制審議会にこの点の審議をお願いいたしまして、その後鋭意法制審議会でも審議をしていただいたわけでありますが、建物の区分所有等に関する法律の改正ということになりますと、もう一つ、管理組合といったような共用部分の管理に関する問題がございますので、それとあわせて審議をしていただいておるということでございます。法制審議会の審議でございますので、私どもいつ答申をいただけるかということはちょっとお約束できないわけでございますが、答申をいただき次第、私どもとしては直ちに法律案の作成に着手いたしまして、できるだけ早く法律案を国会に提出いたしたい、このように考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは早くやっていただきたいと思うし、ぼくは、法制審議会というものにそれはかけなければいけないということになっているかもしれませんが、実際は民事局の参事官室でつくるわけですから、だから進めようと思えばどんどん進められるのじゃないか、こう思うのですが、それはできるだけ早くやっていただきたいと思います。  そこで、これは別のことで、法制局長官来られたので、そして大臣もおられるのでお聞きするのですが、私、また質問主意書を三、四日前に出しましたが、それとは別に徴用の問題、徴兵というか両方含めて、憲法と自衛隊法との関係でいま質問主意書を書こうと思っているところなんですが、それに関連をして前もってお聞きをしておきたいというふうに思うのです。  この前も私が徴兵のことについて質問主意書を出したときに、十三条と十八条を引かれましたね。十八条の苦役を引かれたわけですが、その苦役というのは意に反して職につかせられることが苦役なのか、それからついた後のいろいろ仕事の内容がありますね、それも含めて苦役というのか、一体どういう考え方をとっておるわけですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 私どもとしては、苦役という言葉自体からすぐ受けるようないま先生が言われた仕事の内容ということについては、非常に苦痛の多い仕事もあるわけですが、同時に、それほど苦痛のない普通の仕事も含めて、内容というものにはポイントは置いてないわけです。むしろ、第一段に言われました本人の意思にかかわらずその仕事につかせられる、しかも本人の意思にかかわらずその仕事は勝手にやめられない、そういうようなところにポイントを置いて「その意に反する苦役」という言葉をとらえているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その点は学者の議論にも両方あるわけですね。内容も含めて苦役と言うんだという議論もあるし、まあいろいろありますが、いまのように承っておきましょう。  そうすると、この前も問題になりました自衛隊法の百三条の二項の場合で、何か医療とか土木工事とか輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している業務と同種の業務で長官または政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができるというのが百三条の二項ですね。これも本人の意思に反するわけですから、一応苦役というふうに理解してよろしいんですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 先ほど申し上げたような意味においては、およそ一定の役務の強制というものが行われる限り、それは一応憲法十八条の「その意に反する苦役」に当たる。したがいまして、いま百三条二項を言われましたけれども、それ以外のいろいろな制度で何らかの形で役務の強制が行われる、たとえば国会や裁判所に証人として呼ばれるというのも非常に広い意味では役務の強制でございますから、そういうものも十八条との関係においては一応問題になる。しかし、無論そういうものは憲法違反ではない、こういうふうなとらえ方をしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、国会や何かに証人として呼ばれることは、それはちょっとおかしいな。それは別として、私の聞いているのは、主に消防法とか災害救助法とかの中に出ておる問題ですよ。それらも意に反してということになった場合には苦役ということになる、こう理解してよろしいわけですね。そうすると、いまの災害救助法、消防法、それから自衛隊法の百三条二項、これは苦役ではあるけれども憲法違反ではない。憲法違反のことを何も聞いていないのだが、あなたの方から先に答えるからですが、憲法違反でないという根拠はどこに求めるのか、これは十三条にいくわけですか、どういうふうになってくるわけですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 これは基本的人権すべてについて同じような問題があると思います。私どもの解釈としては、憲法第三章に定められております基本的人権なりあるいは自由というものも絶対無制約なものではなくて、公共の福祉というかあるいは内在的制約というかは別として、合理的な理由がある場合はそれが制約をされるということも当然憲法上認められる、こう解しておるわけであります。したがいまして、ただいま設例されました自衛隊法の百三条二項であるとか災害救助法とか、そういうものは当然憲法上許されるグループに入るという意味で申し上げているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 憲法上許されるのはわかりますが、それは憲法十三条の公共の福祉に合致をするということで、それで基本的人権が制限されても憲法違反にならない、こういう意味でしょう。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 十三条というのはもとよりそういう意味でございますが、十三条は、基本的には個人の権利を尊重しなければいけない、しかし、公共の福祉ということであればそれは制約できるという根拠でございますから、そういう意味で十三条を申し上げているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、徴兵制の私の質問主意書に対して十三条を引用されましたね。これは私よくわからないのですよ。どうして十三条というものを引用する必要があるかということになってまいりますと、十三条の解釈によっては、公共の福祉というふうなことの理解の仕方によっては基本的人権が制限されてもいいということになると、十八条に合致はするけれども、十三条で有事、まあいわゆる有事の言葉もはっきりしませんが、私は三、四日前の質問主意書に有事の定義を求めていますが、そういうような場合には徴兵制度をしいても憲法違反ではないという意味を込めているわけですか、それは。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 まず一般論を先ほど申し上げたわけでございますか、結局、十三条というものに照らしてみて、およそ基本的人権なり自由というものが、ある場合には許されるし、ある場合には許されないということになるわけであります。その場合に、それでは具体的な徴兵制の問題につきましては、私どもは、ある場合には許されるという方には入らないのだ、つまり十三条の目に照らしてみてもなお許されないものである、こういうつもりで十三条を引用したわけで、いま言われましたように、場合によっては公共の福祉を理由として制限できる、言いかえれば徴兵制は憲法違反ではないということを言うために十三条を引用したわけでは決してございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、よく徴用という言葉が使われますね。これは現在の法律にはない言葉だと私は思うのですが、この徴用という言葉はどういう意味に理解をしたらよろしいのでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 御指摘のように、徴用という言葉は現在の法律の上にはないわけでございます。したがいまして、現行法に即してその意義というものを明らかにすることは、これはできないわけでございます。まあ御案内のように、国家総動員法に基づく国民徴用令というものがありまして、過去においては徴用制度というものがあったわけであります。そこから類推をいたしますと、結局徴用というのは、政府が戦時または事変に際して法律で定める一定の公的な業務、あの場合は総動員業務というわけですが、そういう総動員業務に国民をして強制的に従事せしめること、こういうのが一応徴用の定義として考えられると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、いま言った自衛隊法の百三条の二項、この義務はどういう言葉で言ったら一番いいんですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 全体的にそういうことをまとめた言葉というのはないと思います。ただ、基本的な性格としては災害救助法や災害対策基本法と同じ範疇に属する制度であろう。そういう意味では従事命令の制度というふうに私どもは言っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 学者はこの百三条の二項について防衛負担という言葉を使っていますね。これは杉村さんが使っていますが、防衛負担というのはこの場合に限定されるわけです。いまの災害救助なんかの場合は全然防衛負担じゃありませんからね。  そうすると、従事命令という言葉にあなたの方では統一する、こういうわけですね。そこで、あなたの理解は、従事命令の範囲内においては憲法違反ではない。それでは、従事命令に罰則がついた場合は一体どうなのですか。罰則をもって強制をするというふうな場合には、それは人権の抑圧となって憲法違反という疑いが出てくる、こういうふうなことになるのではないですか。ことに自衛隊法の百三条の二項の問題に関連をして言えばそうなるのじゃないでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 率直に申し上げまして、従事命令という名前のもとに呼ばれるいろいろな制度があるわけでございます。その中には罰則のついているものとついていないものとがございます。現在、言われました自衛隊法の百三条の二項あたりは罰則がついておりません。それから、災害救助法の中でも罰則のついているものとついていないものがあります。そのほか、水防法とか消防法だとかいろいろな法律がありまして、これらは大体罰則がついておりません。  そこで、罰則がついたらどうか、憲法違反になるのじゃないかというお話でございますけれども、最初に申し上げたように、全体を見ましてそういうところまで実は深く研究しておりませんので、この段階で何とも申し上げられませんが、恐らく自衛隊法の立法当時に何らかの議論が行われたのではないかということで、私どもいま検討をしております。しかし、誤解のないように申し上げますが、それは無論そういうことを考えて検討しているのではなくて、先生から御質問があるということでございましたから昨日来検討をしているわけで、決して立法を予定しての検討ではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、この百三条二項の場合に、いわゆる有事法制ということに関連をして、防衛庁ではこれに対しても罰則をつけようという動きがあるというように伝えられているのです。これは新聞などにも伝えられていますよ。そうなってくると、これは罰則がついた場合には状況が変わってきて、憲法違反という疑いも出てくるのではないでしょうか。私はそのことをお聞きしておるわけです。それはいま検討している段階だから、いますぐここで答弁するのはあれだということであれば、いずれ質問主意書を出しますから、そこでお答え願ってもどうでもいいし、それはゆっくり検討しなければならない課題であるかもわかりませんが、いずれにしてもその点はどうでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 新聞報道につきましては私どもも承知しておりますけれども、具体的にそういうことについての御相談が防衛庁からあったわけではございませんし、また、そういう問題について政府として、少なくとも私どもの段階でそういうことを具体的な問題として考えるというようなことは全然ございません。したがいまして、そういうものをすぐ結論を出すための検討というような気持ちは現在ございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、くどいのですけれども、なぜそういうことを聞くかというと、これにひっかけて、ひっかけてというかこれに関連して、自民党の森清代議士から質問主意書が出ておりますね。出ているでしょう。だから、私はこの罰則についてお聞きしているわけです。どうもこの当時罰則がつかなかったという理由は、そこまで検討しなかったのか。たとえば一項では政令なんかをつくることになっているけれども、政令なんか全然できていないわけですね。だから、そこまで考えなかったのか、あるいはそこまで考えたけれども、それはつけるとちょっと問題だぞ、現在の憲法では問題だぞということでつけなかったのか、そこら辺は一体どうなのかということはおわかりでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、その辺の事情がさっぱりわかりませんので、実はそういうこともあわせて調べてみたいという気持ちを持っているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、あなたのお答えは、結局、人の意に反して苦役というふうなものを法律で認められている場合がいろいろある。災害救助法もあるし、消防法もそうでしょう。いろいろある。それから自衛隊法もある。それで罰則があるものとないものとがある。だから、罰則がついたからといって一概にそれは憲法違反とは言えないけれども、罰則がつくことによって憲法違反になり得るものもある、こういうふうに理解をしてよろしいですか。ケース・バイ・ケースで、ことに自衛隊法の場合はちょっと普通の場合と例が違うかもわかりませんけれども、それだけ罰則がつけば憲法違反になるということも場合によってはあり得るということに理解をしてよろしいですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 稲葉委員はもう御承知のとおりだと思いますけれども、場合によってはあり得るというところまでも私どもはまだ考えていないので、ちょっとその辺は私が口で言いますと誤解を生ずるおそれがあると思いますが、無論稲葉委員のおっしゃっている意味は私どもはよく理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ぼくの言っている意味をよく理解しているといったって、それはどう理解しているのかよくわからないな。何もぼくはあなたのことをどうこうしようというのでそれを聞いているわけじゃないですよ。ただ、そういうことが新聞で報ぜられているのです。これは有事法制の研究の中にも入っているのだ。だからぼくは聞いておるので、有事法制研究ということ——有事というのもよくわからないのです、これは俗語で。ぼくもわからないから答弁書を求めています。  それで、罰則を設けることを検討しておって、何かいま言ったことで自衛隊法の百三条の二項の問題で、これが合憲だというような回答を出したことに関連をして大村防衛庁長官は、これは戦時の徴用は合憲であるとする考え方がはっきりしたと受けとめておる、こういうふうに述べたと伝えられているのです。果たしてこう述べたかどうかわかりませんよ。恐らく防衛庁長官が戦時という言葉は使わないとぼくは思います。戦時なんという言葉は日本の法律にないわけですから。だから、そこら辺のところはよくわかりませんが、それによって罰則を設けることを検討しており、この種の政府見解、これはこの前の森清さんの質問に対する政府見解ですね、それに対して罰則規定の政令をつくる作業がさらに推進されるものと見られるというように新聞では報ぜられておるのです。新聞のことで質問してもおかしいのですが、一体政令で罰則がつくれるのか。そんなことはないでしょう。ぼくもこれを見て、そんなことを言っては悪いけれども、笑ったのですがね。政令で罰則をつくれるわけがないのでね。  そうすると、くどいようですけれども、現在の段階では、結論については、防衛庁からそういうふうな問題については相談はないということが一点と、それから自衛隊法について政令で罰則がつくれるわけはない、こういうことは第二点としてはっきり言えますか、どうですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 第一点については、そういう問題について防衛庁から相談を受けたことは全然ございません。新聞記事自体をとやかく申すのはあれですけれども、私が防衛庁長官と徴兵制の問題でお話ししたときにも、百三条の話などは全然出ておりません。  それから次に、第二の問題の政令で罰則をつけるなんて、そういうことは絶対あり得ないことで、もし罰則をつけたいならば自衛隊法の改正が必要になるわけでございますから、そういうことは絶対ありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 質問はあと少しありますけれども、できるだけ早くというあれで終わりますが、法務大臣せっかくおいでなんで、ちょっとお聞きをしたいのです。  きょうの朝日新聞に、安保の問題や何かに関連して世論調査がいろいろ出ているわけです。それで、憲法の問題がいろいろありました。  そこで一つは、日米安保条約というものはあるけれども、アメリカが日本を守ってくれることになっていますね、片務条約にしろ。だけれども、日米安保というものでアメリカが日本を守ってくれるということについては、信用できないという人が六〇%くらいあったと出ていますね。きょうの朝日新聞に出ていましたが、世論調査というのは、世論の調査のやり方によって、問いの仕方によっていろいろ変わってきますけれども、いずれにしても、安保条約ではアメリカが日本を守ってくれないだろうという不信感が相当国民の間にあるということは事実のようですね。それについては大臣としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 条約のそのとおりの実現を期待していきますためには、平素の両国の関係もまたそのとおりに、お互い友好関係を強く維持していかなければならない、こう考えるわけでございまして、私は、日米安保条約そのとおりにわれわれは期待してしかるべきものだ、こう考えていますし、また同時に、それだけに日米関係を大切にしていかなければならない、こう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはそうなんですが、国民の間に、アメリカはそういうふうに結局日本を守ってくれないのじゃないかという不信感、不安感があるということについては、これはどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。どこからそういう考え方が出てくるのでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私もけさ新聞を見たところでございます。日米間、自動車問題その他ぎくしゃくした問題が起こってきているものだから、国民の間に疑問を投げかけているのかな、こうも思いました。しかし、そういう疑問を持たせないように、日米関係というものを、政治に携わる者は友好をさらに深めるように努力していかなければならないな、こんな受け取り方を私としてはしたわけでございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 じゃ、最後に法務大臣にお尋ねするのは、大臣としてはやはり憲法改正の信念はお持ちであるということは、間違いないと承ってよろしいですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 昨年の八月、稲葉さんにお答えをしたとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは、だから憲法改正の信念を持っているというふうに理解してよろしいわけですね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 国民の間にもう一遍つくり直してみようじゃないかという考え方が生まれてくれば、それは私は好ましいと思いますということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それを聞いているのではなくて、あなたの信念を聞いているわけです。あなたは憲法改正をするという信念をお持ちなんですかということを聞いているわけです。私に対する答えは、その点はそういう答えを直接しているわけではありませんから、憲法改正の信念を持っているなら持っている、持っていないなら持っていない、憲法改正の信念を持っているけれども鈴木内閣の閣僚である間はそれはストップさせておく、いろいろ三つくらい答えがあるのじゃないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 政府として特段の動きをすることは適当でない、こう考えているわけであります。同時に、国民の間でいろいろ考えていく、これは大切なことじゃないか、こう思っております。議論も大事なことだ、その結果としてもう一遍つくり直してみようという考え方が生まれてくれば、それは望ましいことだ、こう考えているわけでございます。私の答え方で御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたの立場もよくわかりますね。いろいろ苦しい立場、苦しいというか何というか、いろいろあるでしょうから、私、しつこくここで聞くのは、お互い紳士なんですから、そういうのはここでやめましょう。いまのあなたの答えで十分私も理解できた、こういうふうに考えております。  ちょっと時間が早いですけれども、ここで私の質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いま委員長初め同僚諸君に、新聞をまず見ていただくように配付をいたしました。愛知県下を中心にいたしまして農地が宅地に続々変わっておる。これを見ましても、不正登記三十六件、後でまた申し上げますけれども、農地法の存在を無視して不動産登記法の弱点といいますか、運営の弱点か、法律上の弱点か、明らかにいたしますけれども、それを利用してどんどんと農地が宅地に転化をいたしております。きょう私が各省においでを願いまして質問をするわけでありますが、私の質問がやむを得ないんだというような答弁を政府側がされるとするならば、これは実に重大なことになるわけであります。事前に予告をいたしておきましたから、かかる不正登記が行われないように各省の協力をまず望みたいと思います。  一つの例を申し上げましょう。最初に農地不正転用が行われました一年くらい前の問題でございますが、これを例示いたしますと、昨年三月二十一日、名古屋法務局西尾支局でたんぼ三百六十三平方メートルが登記簿で雑種地に地目変更されていることがわかった。この土地は三日後に売買をされた。この件につきまして、支局は農業委員会に申請について照会したところ、農地と思惟されるとの回答があった。登記官の現地調査でも、たんぼ一面六十センチの土盛りがあっただけなので、畑と認定された。これに不満を持った申請者が法務局までいろいろと要請をした。支局の勧告もあって申請者は一たん申請を取り下げた。ところが、その後三月二十八日になってもう一遍申請がされた。登記官が現地に行ってみると、以前のでこぼこは整地され、砕石がばらまかれていた。表示登記専門官の現地調査から約半月の間に工作が行われたと見られるが、農業委員会の回答は、今度もたやすく農地に復元できるとして農地性を認めるものだった。しかし、支局は結局これを雑種地に認定してしまった。それで、名古屋法務局の本件についての新聞の談話では、登記官の判断が農業委員会と異なることもある、一夜にしてブルドーザーで整地されたとしても、不動産登記法上は何ともならない、県サイドで農地法に基づいて取り締まってもらうより仕方がないと言っている、こういうことなんです。  要するに不動産登記法は、私が言うまでもなく、その現場が農地であるか、あるいは農地的というか、農地の現状を呈しているか、宅地の現状を呈しているか、その現状を正しく不動産登記簿に反映をするというのが不動産登記法の精神であるから、登記官が現場を見た、これは農地ではなくて砕石がばらまいてあって、そしてコンクリートブロックが打ってあれば、これは農地ではないなということになる。それについて、農地法の許可証があればいいけれども、いまの現状は、なくても現場がそうなら、登記は現状を反映するのが当然であるからそれを宅地にする、こういうことなんであります。そうすると一瞬にしてその土地は値上がりをすることは言うまでもありません。  この新聞によりますと、尾張旭市の例をとりますと、坪七万円、その七万円の土地を、倒産しそうなので何とかひとつ売りたいけれども、農地だから売れない。そこで、真ん中に立つ人、これに暴力団が介在をしていると私どもとしては見ているのです。あるいは右翼が大阪の例で介在しております。それが宅地にしてあげると持ちかけられて、半信半疑お願いをしたところが宅地になった。そこで一千万円の謝礼を払った。坪七万円、これが六百坪、だから、七万円だと四千二百万円の農地であれば、土地価格が二十七万円くらいでここが売れているのですから、坪二十万円がもうかるわけです。何と一億二千万円、農地法に全然関係なく一瞬にして一億二千万円のもうけが生じた、こういうことなんです。これが、堂々ととは言わんけれども、行われておるわけであります。  そこで、本件につきましては、愛知県が中心でございますけれども、先般すでに大阪におきましても不正土地登記事件が起こりました。この大阪の不正土地登記事件は、申請によって線引き以前、四十五年六月以前からの宅地であれば宅造許可がおりやすいのに目をつけて、昨年十一月十四日、四十四年以前に山林を宅地に変更したということで、これが宅地になっておる。いま申し上げたようなからくりを利用して宅地になった。これは大阪地検特捜部が捜査をいたしております。愛知県におきましても、愛知県警がすでに不正登記事件について関係者から状況聴取を始めておりますし、愛知県議会におきましては、各党超党派で本件についての調査をどんどんと行い、愛知県の中にあります名古屋法務局あるいはまた農政局等につきましても、市民から、一体どうなっているんだ、役所は一体どうなっているんだという非難が殺到をいたしておるわけであります。  以上につきましてまず伺いたいことは、かかる不正登記が法務省の調査結果、どういう件数に達しておるか、まず調査の結果を伺いたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 お尋ねの点が、農地から非農地への地目の変更申請のあった事件で、県知事の転用許可申請書がついていなかった事件はどれぐらいあるかという趣旨というふうに理解いたしましてお答え申し上げますが、愛知県下におきまして、昭和五十五年の二月二十八日から本年二月二十日までの間にそのような申請があったものは、全部で五十八件であります。そのうち申請どおりに処理をいたしましたものが二十件、補正の上処理をいたしましたものが十五件、取り下げまたは却下をいたしましたものが十八件、処理を留保しておるものが五件となっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこで、まず法務省関係からその実情について伺いたいと思うのですが、法務局へ参りまして、登記官が一体現場調査をするのかしな  いのかということなんであります。  五十五年十二月二日付の名古屋の登記課長から支局長及び出張所長に出した書面を見ますと、まず第一に、農業委員会に農地に該当するか否かに  ついて照会しろ、農業委員会が農地に該当するか否かについて明確にしていない場合、その他内容の疑義がある場合には改めて照会をしろ。第三に、申請人が異議を述べて応じない場合は、実地調査を行えということの趣旨が書いてあるわけですが、まず第一に、農業委員会に農地性ありや否やということをお聞きになる場合に、農地法の許可書がついてこないけれども農業委員会としてはどう考えるか、県知事の意見を聞いてくれという趣旨の農地法の許可問題について触れていないのは、一体どういうわけですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 実際の取り扱いといたしましては、県知事の転用許可書が添付されております場合には、農業委員会に対する照会連絡をするまでもなく処理をすることができるというふうに考えております。農業委員会に対して照会をいたしますのは、県知事の転用許可書が添付されていないケースにつきまして、農業委員会に対して注意を喚起する、それから宅地性あるいは非農地性の認定の参考とするために農業委員会の意見を求めるという取り扱いになっておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 農業委員会への照会が、農地に該当するか否かについて照会をしているわけですね。そうすると、農業委員会は現場を見に行くわけです。そこで、先ほども言ったような事例を出しましたように、最初ばらばらと砂をまいて、そんなことはだめだ、原状回復ができる、ああそうかというわけで、今度は金をかけて土をずっとまいて、コンクリートブロックをずっと置けば、農業委員会は、これは農地性なしと判断するのはあたりまえですね。現場はあたりまえです。その照会の中に、農地法の許可書がないのはどういうわけかということが片りんも出ていないわけです。  農林省に聞きますが、農林省は農業委員会の実態というものをどうお考えになるかしれませんが、私もそう深くは知りません。知りませんが、少なくとも農業委員会のあり方については、地域によって非常にばらつきがありますね。しっかりした農業委員会、農村においては選挙によってきちんとやっておるところもあるけれども、都市周辺の農業委員会というのは、まあ一月に一回あるかないか、そうして私の承知する限りでは、年に二、三千円ですね、報酬が。報酬というか何か知らないが、年に二、三千円、それも月に一回来て、こういう照会があったがどうすべえ、長作どん、行って現場を見てくれないか、おれが行ってくるべえ、行ったら土が盛ってあった、きちんとコンクリートブロックが並んでおる、あれは農地じゃねえぜ、そうかいというわけですね。あるいはまた、ある私のつかんだ情報によりますと、都市周辺の農業委員会が、全部が全部というわけじゃありませんよ。農業委員会に根回しするのは簡単なことだと言っているのです。農業委員会が開催される前に農業委員のところをずって回って、よろしくお願いします、よろしくお願いしますといって措置をしておけば簡単なものですよ、こう言う。  それがすべてだとは思いません。けれども、年に二、三千円ですよ、報酬が。あれは国費ですね。年に二、三千円で、都市周辺の農業委員会がこの照会、農地法による県知事の転用許可書があるかないかは問題じゃないですよ。登記所から、農地に該当するでしょうかしないでしょうかという照会だけについてその農業委員会がやっておることに問題がありはしませんか。その点はどうですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 全国に数多くの農業委員会がございまして、特に大都市周辺の農業委員会は弱体なのではないかというお尋ねでございますが、確かに農業委員会の中には、非常に厳正に運用されており事務的にもしっかりしておるところと必ずしもそうでないところ、差があると思います。ただ、農地の転用問題につきましては、これは農業委員会の最大の業務の一つでございますし、その点については私どもも従来から指導を厳正に行っております。農業委員会としてもその厳正な執行に留意しているところでございます。  農業委員会の報酬ということでございましたが、確かに報酬は低うございますけれども、農業委員会の事務はむしろ市町村の事務と一体となって事務当局がこれを行うということもありまして、必ずしも農業委員会の委員報酬だけによって左右されるというような性格のものではないと存じております。  お尋ねの個別事案については詳細は承知いたしておりませんが、農業委員会の委員の明確な意思といいますか、全体の適正な判断があったかどうかということについては、現在愛知県にも照会して調査をしているところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたが言っておるけれども、愛知県下のこの事例の一つで、農業委員会の農業委員が、おやあそこに家が建っておるじゃないか、どうしておらの方の区域内に家が建っておるのだというところから問題が発覚したのですよ。なぜそういうことになったかというと、農業委員の専従者はおりません。結局市町村の担当課が事務をやっておる。その担当課長が農業委員会の回答について自分で判こを押してしまったというのですよ。それがばれたものだからいま農業委員会はてんやわんやの大騒ぎです。そういうことを考えますと、あなたがおっしゃっていることと実情はまるっきり違うじゃありませんか。課長が勝手に判こを押して、そして法務局へ回答した、そしてどんどん宅地になって家が建った、こういうことじゃ農業委員会のあり方についてまことにおっしゃることと違うのではありませんか。どうですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 農地転用の問題になりますと、先ほど先生も御指摘になりましたように経済的な意味がきわめて大きゅうございまして、かつてそういうようなことから問題が多発したことがあるわけでございます。最近におきましては、転用問題、法務省にもいろいろ御指導願っておりますが、私ども都道府県、市町村あるいは農業委員会に対する指導を厳重に行うというようなことにより、そういう事案はきわめて少なくなってまいっているわけでございます。確かにおっしゃられるような今回の事案については、個別案件として問題が出たと存じますが、一般的にはそのようなことはきわめて少なくなっているということをひとつ御理解いただきたいと思います。  個別事案について確かに今回のような問題が出ましたことは、それなりに農業委員会の運営に問題があった、県なり市町村なりの指導体制にも問題があったのではないかと存じますが、それらについてはなおよく実態を調査した上、しかるべき適正な是正措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 今度は、農地が宅地になったときはいつかという問題であります。  これは私が登記簿をコピーしてまいったのですけれども、この中で、登記の日付が五十五年八月五日、原因及びその日付、原因日が四十三年八月五日に宅地になっておる、こういう登記になっているわけです。四十三年八月五日というのは、要するに線引き以前である。線引き以前であるかないかによって、もうべらぼうに土地価格が違う。建築ができるということは言うまでもありません。その原因日について、申請者が、おれがあそこを宅地にしたのは線引き前だと言えば、法務省は、登記官はああそうですかと言ってやるのですかね。騒ぎが大きくなって、それはあかぬぞ、そんなこと勝手にうんと言っておってはいかぬというわけで、今度は原因日不詳という戦術を登記官が、上の方の指導か何かわかりませんけれども、指導なさったらしいのですけれども、原因日をこちらの方も四十三年八月五日、これは小牧ですけれども四十三年三月一日、扶桑が年月日不詳、だれがどういう基準でこの原因日を、申請者の申請について判断するのですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 地目の変更の登記申請が出ますと、登記官といたしましては、その土地が現在いかなる地目に該当するか、その地目になったのはいつからであるかということをその事案事案について調査をいたすわけでありますが、現況がいかなる地目に該当するかということは実地調査もいたしますし、かなりはっきりと認定することができるわけでありますが、いつからその地目になったかということの認定は、必ずしも認定が容易でない場合が多かろうというふうに考えるわけであります。  ところが、従来は登記官といたしましては、原因年月日というところに余り重きを置いておりませんでして、これはまことに遺憾なことでありますけれども、申請人が何年何月から現況宅地になったのだということを申請いたしますと、それをある程度うのみにして登記の処理をするというような傾向があったかと思うわけであります。特に今回の場合、昭和四十三年あるいは四十四年に宅地化したというような記載をいたしたケースが幾つかあるわけでありますけれども、それが都市計画法上調整区域の線引き以前であって、非常に重要な意味を持つということに思い至らないで処理をしたというようなケースもあったように考えるわけでありまして、今後は不詳なものは不詳と、よほど確たる資料によって何月何日から現況になったのだというものがない限りは、年月日を明確には書かないという処理をするように指導しなければならないというように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本委員会はしばしば、登記所の繁忙、登記所がここ十年の間に二倍も三倍も四倍も仕事がふえている、だから何か間違いが起こりやせぬか、登記の不正あるいはまた登記簿を見せてもらいながら自分で勝手に書きかえる、監視が行き届いていないのではないかと盛んにそれを言いました。もちろん法務省もそれを認めて、全く少ない人数ではありますが、年々増員はしております。けれども、はしなくもこういう問題から考えますと、一体登記官が現地確認を本当にやっておるのだろうか。まず農業委員会へ農地性があるのでしょうかどうでしょうかと言って、農地性がないと言えば、ああそうですかというふうに処理してしまう傾向があるんじゃないか。現場確認を全部やっておるのですか、どうなんですか。  それから、あなたはうかつだったとおっしゃるかもしれぬけれども、不動産登記法の精神から言うならばほかのことは考えぬでもいいとあなたの方で指導しておられるかもしれぬけれども、少なくとも線引きがいかなる意味を持つか、線引き以前に宅地になったということがどんな経済的な大きな意味を持つか、また農地法違反であるということがどんな意味を持つか、そのことについて登記官が多忙の中でその処理が適正ならざる状況になっておることについては、少しお考えを願わなければならぬと思います。  四十三年、ああそうですか、四十三年ですか。そのときに頭にひらめかないのでしょうか。四十三年をそのままうのみにすれば莫大な土地価額になるということが頭にひらめかないのでしょうか。これは許可書がないから明らかに農地法違反だということが頭にひらめかないのでしょうか。民事局及び登記官としては、自分の所管外だからそんなことはわしに言われたってしょうがないということになるのでしょうか。どうですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 五十五年に登記をいたしまして、宅地化の年月日が四十三年あるいは四十四年ということになりますと、著しく日をさかのぼるということになりますので、これは何か事情があるんじゃないかということに思い至らないというのはまことに不思議な気もいたしますけれども、中にはそういう点に善意であって処理をしたケースもあるのではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、私どもの方の指導も行き届かなかったという面もございますので、今回の事件を契機にしてその点の指導を十分に強化をいたしたい、このように考えておるわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 農林省にお伺いをいたしますが、農林省はどういうことなんでしょうか。今回のこの種の問題を考えてみて、法務局から農業委員会に宅地性ありや否やという照会が来る。そこで、農業委員会が勝手に、勝手というか自分の権限に基づいて宅地性ありあるいは宅地性なしと返事をする。地方公務員ですから農業委員会はそれをされるわけですが、そのときに農業委員会が、これはおかしいじゃないか、県知事の許可書がないぞ、農地法違反だぞということに気がついた場合には、県知事に、こういう事例がございますが、こういう返事をいたしますけれどもよろしゅうございますかということを義務づけられていないわけですか。県と農業委員会との関係は、この問題についていま一体どういうふうに規定されているわけですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 農業委員会は、農業委員会法という法律に基づきまして各種の所掌事務を持っておるわけでございますが、その第六条一項第一号に、「農地法その他の法令によりその権限に属させた農地、採草放牧地又は薪炭林の利用関係の調整及び自作農の創設」云々の事項ということがございまして、農地法に関する利用関係の調整事務は、法律に基づくきわめて重要な事務として所掌いたしておるわけでございます。そして、それに関連いたしますところのいわば付帯事務として、そういう農地についての照会のあった場合、現況についての回答をするということになっておるわけでございます。  こういう農地法上所定の許可がなくて登記簿の地目を農地以外の地目に変更する、そしてその後譲渡もしくは転用が行われているというような場合には、これについての所有権移転登記の問題があった場合には、抹消なりあるいは土盛りその他の転用工事の中止等の勧告を行うというようなことをいたしますとともに、農地法第八十三条の二の規定に基づく措置命令を発する等適切な措置を講ずることということになっております。そして、これらは当然県との調整、県への報告というような行為を伴うということになっておるわけでございまして、その点につきましては従来から法務省とも打ち合わせをいたしまして、通達等によりまして各農業委員会なり関係の市町村、都道府県等に対して私どもからも指導を行っているところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでもそのシステムが不十分だと私は思うのですが、仮にあなたのおっしゃるようなことであるならば、こんなことは起こらぬのではないのですか。それなら、そういう規定があるにかかわらずなぜこういう問題が起こっておるか。もちろん、まだこの段階では不動産登記簿を、農地を宅地にしただけである。しかし、現実には、五十何件の中でいま十六件はもう家が建っているんですよ。建築中なんです。だから、少なくともこの種の問題は、いまあなたがお読みになったことを厳密に解すれば、県知事は不動産登記簿に地目変更をされることに対して待ったをかけられ得る条件下にあったのですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 一般的な事案といたしましてはそういう事例もかなり出てまいりまして、具体的にそういう原状回復命令等を出したケースもあるわけでございます。ただ、およそあらゆる場合完璧であるかということになりますと、今回の事案については農業委員会の受けとめ方、その業務運営の態度に問題があったのではないかというように考えられます。それから、いま申し上げましたような原則論どおりに一般的に処理するということにはなっておりますが、現実登記法上の問題と私ども農地法上の問題との考え方には角度が異なる点がありまして、その点を通達等によって調整しているわけでございます。また実態的に、善意な第三者等に対する一般的な経済秩序の問題等に対する配慮というようなこともございまして、原状回復命令等の強力な措置につきましてどうするかということについては、個別具体的な事案に応じて考えるというようなこともあるわけでございます。  今回の問題につきましては、非常に残念な事態が発生したというふうに考えておりますけれども、いま申し上げましたような法律上の取り扱いそのほか含めまして、法務省とも打ち合わせながら適切な対策、今後の一般的な対策、同時に今回の具体的な問題に対する措置を講じてまいりたいというように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 きょうは大蔵省を呼んでないのですけれども、こういうことになりますかな。五十五年に不動産登記簿で宅地になった、けれども、それは不動産登記簿で四十三年から宅地になったという立証をされた、そうすると、その税金は、別に法務局の登記所から税務署へ御連絡があるわけではないでしょうから、五十五年まで農地並み課税をやって、そして利益だけは四十三年から宅地並みということの利益を受ける。そういう矛盾については法務省も農林省も、わしのところのことではない、別に税務署へ連絡はいたしません、いたしておりません、こういうわけですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 税務関係の官署で登記簿を閲覧されまして、権利の移転が行われる、あるいは表示の地目変更が行われるというようなものも把握に努めておられるわけでありますから、それに基づいて課税処分が行われておるというふうに私どもは理解いたしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だから、あなたの方から通知するわけじゃないでしょうと言っているのです。していないでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 はい、さようでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 農林省はどうですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 通知はいたしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは本当に巧妙、悪質といいますか、まことにけしからぬことだと私は思うのだけれども、いま法務省は、この種の問題について十分注意が足らなかったような気がすると言いながら、根本的に一体どうあればいいかという点についてまだ結論を出していらっしゃらないのです。  ここで建設省にちょっとお伺いいたしますが、現下のこの種の問題の中に不動産業者が介在しておりますね。不動産業者が介在している場合に、この問題について不動産業者の責任が宅地建物取引業法でどういうことになりますか。  それから、いま農地を、土さえ盛れば、コンクリートブロックだけ並べれば、不動産登記法で法務局が好意を持って宅地にしてくれる。同じところへ今度建築をまたやっちゃう。都市計画法違反であろうがなかるまいが、つくってしまう。つくってまた法務局へ持っていって、現場を見てくれと言う。現場へ行ったらうちが建っておった、だから建物登記簿に登記する、こういうことに結局はなるわけですね、いまの状況であるならば、不動産登記法の精神だというならば。違法であろうがあるまいが、おれのところはそうなっているのだから、不動産登記簿はきちんと現況を反映しなければならぬ、どうもそういう顔をしておみえになるのだから、それもできるわけですね。そういう点について建設省はどうお考えですか。

末吉興一建設省計画局不動産業課長

○末吉説明員 御指摘の事案につきましては、現在愛知県及び大阪府においてそれぞれ立ち入り調査なりあるいは事情聴取によりまして調査中でございます。  一般的に、宅地建物の取引に当たりましては、宅地建物取引業法という法律がございまして、業者として守らなければならない義務を課しておるわけでございますが、その場合には、当然のことでございますが、登記簿を信用して、登記簿上の権利の内容につきましても十分調査をして、仲介または代理または売買をやらせるような仕組みにしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わしの方は知らぬ、登記簿がそうなっておればしょうがないじゃないかというような意見ですね。これはまたどうかと思う。  今度は警察にお伺いしたいのですが、愛知県の県警が捜査をしております。近畿は法務省ですね、地検が捜査をしています。それぞれ捜査状況と、犯罪の疑いがあれば何法に、どこに問題があるか、一遍御報告願いましょう。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 御質問の事案につきましては、愛知県議会でも取り上げられまして、また現地の新聞等にも大々的に報道されるというようなことでございまして、目下愛知県警におきまして関係機関と連携を図りながら、関係者からの事情聴取を始めておる段階でございます。しかし、現在までのところでは、詳細な事実関係の把握にはまだ至っていない、そういう段階でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 刑事局はどうですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 大阪の枚方市におきまして似たような事件がありまして、大阪の地検で捜査をしておるところでございます。一応疑いがある罪名と申しますのは、刑法の百五十七条、百五十八条のいわゆる公正証書原本不実記載の疑いということと、都市計画法の四十三条違反の疑いでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 警察及び地検の捜査の進展を待たなければなりませんが、さて、現に起こった問題をどう処置をするかという問題に移ります。  現に起こった問題、まず第一に農地法違反ということが明白であります。農地法違反は、たしか三年以下の懲役、罰金百万円以下ですね。農地法違反の処断をなさるおつもりであるかどうか、伺います。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 市街化調整区域におきます農地を農地以外のものにする場合、転用でございますが、これには当然農地法所定の許可が必要でございます。したがって、当該地の現況が農地であったにもかかわらず、所定の許可がなく農地以外に転用されたということであれば、農地法違反ということになります。このような違反のケースについては、状況によりまして同法第八十三条の二の規定による処分または命令を行うということができることになっております。それからまた、同法第九十二条の罰則の適用があることになっております。この場合におきまして、その経緯なり土地の形質の状況それから周辺の状況等を勘案して判断する必要がありますので、個別具体的に精査した上で対応するということになります。  一般論はいま申し上げましたようなことでございますが、本件の関係につきましては、目下それぞれの事案関係を調査しておるところでございます。適正な措置をとるように関係の各方面に指導してまいりたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 農地法違反で、二つに分けて、原状回復命令とそれから罰則の適用と二つに考えなければなりませんし、個々のケース、私は、統一的な一つの暴力団やあるいは右翼のやっていることだと考えておりますから、一つの共通の意思があると見ておるわけでありますが、しかし、それにしてもこの罰則の適用は厳正にしてもらいたい。ただ、原状回復命令となると、これは問題が生ずるわけでありますね。原状回復命令の中で、善意の第三者というのが存在している。  私が承知しております事例を挙げますと、バスの運転手であります。バスの運転手がその該当の土地を買って、そしてうちを建てることになって銀行に頼んだ。銀行がよろしゅうございますといって三百万円ぐらい融資の約束をしてくれた。ところが、これがずっと新聞に載った。新聞に載ったものだから銀行は、担保価値ががたんと下がったから融資を保留してしまった。それでしかも、いまの話で原状回復命令といったって、自分がいま持っている土地ですね、買ってしまったんだから。そこを折り返して農地にもう一遍されよと言われたところで、私一体どうなるんだよ、こういうわけです。  そうなりますと、善意の第三者の持っておる土地に原状回復命令を出すわけにも、実際問題としてはいかないだろう。もし出した場合には、その人の損失は一体だれが補償するか。本件の責任者は一体だれだ。申請者の悪質なこともきることながら、法務局はそれを宅地にしたのですから、国に責任がないとは言えない。農業委員会も、農地法違反だということをわかりながら、それを宅地性ありと認めたわけですから、農業委員会の責任もまたなしとしない。そうなりますと、現状回復命令のあり方について、実際問題として原状回復ができるかできないか、個々のケースとしては違うわけですね。そしてまた、原状回復命令を出したときに善意の第三者に不当な損害をかけるということは、国が責任を持ってもらわなければいかぬ。その点はどうですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 御参考までに一般的なケースについて申し上げますと、五十四年の一月から十二月までの不法転用に対する措置の状況でございますが、工事中止等の勧告をしたものが六百五十四件ございます。それから農地法第八十三条の二の規定による処分を行ったものが、工事その他の行為の停止命令十一件、それから原状回復命令が十八件、それから告発等にまで至ったものは、行政庁が告発したものが七件、関係者が告訴したものが五件、こういうことになっております。この告発、告訴したもののうち一部罰則の適用を受けるというような事態が出ているかと存じますが、ちょっとここでは、罰則適用になった件数は資料にございませんので、その件数は申し上げられませんけれども、一部あるということだと存じます。  それから、違反転用に対する処分の問題でございますが、先ほど私、答弁の中で、やはり具体的な状況、土地の形質の状況なり周辺の状況等を勘案した上判断する必要があると申し上げましたのは、横山先生がおっしゃるように、善意の第三者のことも含めてそういった具体的問題について配慮する必要があるということで申し上げたわけでございます。  農地法の八十三条の二の規定を読みますと、「農林水産大臣又は都道府県知事は、」間は省略しますが、「土地の農業上の利用の確保及び他の公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、」「許可を取り消し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を附し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」ということになっておりまして、「公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要がある」ときということになっておりますから、先生がおっしゃられましたような問題も、善意の第三者といいましても個別事案によりましてかなり幅がある、いろいろなものがあると思いますので、そういったことを慎重に検討しながら回復のための是正の命令なり処分というものは考えていかなければならないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 原状回復問題についてはいまおっしゃったとおりでいいと思うのです。しかし、もう既成事実になっているからどうしようもない、追認せざるを得ないという場合も実際問題としてはあり得るわけですね。あり得るけれども、それはやり得だとさせてはいかぬですよ。結果としては善意の第三者も多いし、なってしまったことだから追認せざるを得ないという場合もないわけではないけれども、ああやり得だ、もうかったということで済ませてはならぬですから、罰則だけはきちんとしなさいよ、責任者をはっきりさせなさいよ、こういうことを私は言っている。それはいいんでしょうね。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 農地法全体の厳正な運用ということについては、私どもこの上とも努力してまいりたいと考えております。  罰則をどう適用するかという問題は、これは現在すでに警察なり地検なりの捜査が行われている段階でもございます。そういうこととの関連で考えていかなければならない問題であるというふうに考えております。全体としては厳正に運用するという姿勢で考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務局はどうするつもりですか。法務局は、どうも四十三年にしてまずかったなということは一体どうなるのですか。後になってから原因日不詳に統一をして、証拠のないものは原因日を不詳にしてしまえ、これも無責任な話だと思いますけれども、少なくとも最初の間、申請人の言う四十三年の線引き前だ、ああそうですかとやった、それで向こうはほくほく喜んで、帰ったら一杯祝杯を上げていると思うのです。あれはまずかったと思うのなら、その原因日についてどうなさるつもりですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 明らかに登記の事務処理を誤った、地目の認定を誤った、あるいは年月日の認定を誤ったというケースについては職権で訂正、抹消ということも検討しなければならないというふうに考えておりますが、先ほども御質問の中にありましたようにいろいろなケースがありまして、不正転用者の現に所有に属しておる場合とか、あるいはさらに第三者の手に移っておる場合とかいろいろなケースがありますので、個々具体的な事案に応じて考えてまいりたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの言っていらっしゃることは、もう一遍見直しをするということですね。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 いずれにいたしましても、見直しをしなければならないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わかりました。  そこで、今度はこれからどうするかということなんであります。整理をいたしますと、私は根本的には不動産登記法の改正をしなければならないという感じがします。  ずいぶんやり合ったのです。私もあなた方とやり合ったし、現地でもやり合ったのですが、不動産登記法というものは土地なり建物の現場の状況を正しく反映するということなんだと言って、あなた方は譲らぬわけです。だから、不正であろうと何であろうと、現場が宅地になっておる、建物が建っておる、それなら土地台帳、建物台帳は変えるのがあたりまえであるという論理ですね。したがって、県知事の許可証がなくても、不動産登記法の精神から言うならば現場に即応するのがあたりまえであるという頭があなたのところにどうもへばりついて離れないようですね。  そうだとすれば、仮にいままで整理しましたようなやり方、農林省が言ったようなやり方、あなた方がこれから農業委員会にもっとしっかり意見を聞けというやり方では、申請者がいままでと同じように、登記官に不動産登記法をおまえは知っておるか、不動産登記法はそんなことは関係ないじゃないかと言われたら太刀打ちできませんよ。そうでしょう。太刀打ちできない。不動産登記法は現状を反映する、そういうことであるならば、申請者主義である、職権主義である、現況確認主義であるということならば、その判断を根本的に持っておる者ならばまだまだやりやすいですよ。登記官が責められる。ある出張所長は、毎日毎日いろいろ言われて夜も眠れなかった、私の判断も甘かったかもわからぬけれどもと言いながら、私の判断が、やったことが違法だとは思っていないという口吻を漏らしているのです。それではこれは解決になりません。  だから、不動産登記法を根本的に検討する必要がありはせぬか、私はまずそれを法務大臣に伺いたい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 きのう事務当局からお話しの件を聞いたところでございます。そして機械的、一律的に実況主義で地目変換を受け付けるということについては問題がある、私もこう感じたわけでございまして、政府間、関係のあるところ意思を一つにして運営していく必要があるな、こうも考えておったわけでございまして、先ほど民事局長が申しましたけれども、今後それらの方向をよく検討して、まず運営について改善を図っていかなければならないな、こう思っておるところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、恐らく法務省と農林省、少なくとも両者はこれからのあり方について協議があったと思いますから、その統一的見解なるものを伺いましょうか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 表示の登記につきましては、先ほど御質問の中にもございましたように、不動産の現況をなるべく速やかに登記簿に反映するということをその使命といたしておりますので、土地の地目に物理的な変更があれば、これを速やかに登記簿上に公示する必要があると考えております。したがって、県知事の転用許可を得ておりませんでしても、現実に土地の現況が変更されて地目変更の登記が申請された場合には、本来はこれを拒むことができないものと考えております。  しかしながら、農地の不正転用を防止するように努力すべきことにつきましては私どもとしても異論はないわけでありまして、従来からも農地を農地以外の地目に変更する登記の申請があったときは、登記官は必要に応じて農業委員会の意見を聞いて処理をするということにしてきたところでございますけれども、今後は農林水産省との協議をなお一層緊密にいたしまして、県知事の原状回復命令などによって近い将来現況が農地に回復することが確実である、現在の非農地化しておる姿は仮の姿であって、近い将来再び農地に回復させるんだ、こういうことを申し越していただきました場合には、変更された地目は近く再度変更する可能性のある暫定的な地目であるという認定のもとに地目変更申請の受理を留保する、あるいは却下するというような扱いをすることを検討すべきであると考えております。  なお、細部については今後農林水産省等とも詰めてまいりたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だめを押しますけれども、登記官がまず農業委員会に農地性ありや否やということを聞く。その通達を、先ほど読み上げた一部でありますが、その農地性ありや否やだけでは、農業委員会が、先ほど悪口を言いましたが、少したるんでおるんだから、その通達をもう一層、農地法による転用許可書かないけれどもといって、その許可書のないことについての判断を求める、農業委員会はそのことについても検討をさせる、農業委員会はその検討については県知事に直ちに意見照会をする、県知事は直ちにその問題について判断を下す、それが農業委員会を通じてあわせて法務局へ回答される、こういうルールがきちんと規定、通達の上で確立をされなければ、これは同じことになると思いますが、いかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 ただいま御指摘でございました点を含めて、検討さしていただきたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 農林省もそれでよろしゅうございますか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○杉山(克)政府委員 ただいま民事局長の言われたような問題につきまして、私どももいま相談を進めているところでございます。当然その点を含めて検討いたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その相談がなるべく早く処置をされることを期待し、かつまた本委員会へその結果を報告されるようにお願いをいたしておきたいと思います。  本件は、ただに農林省及び法務省の問題でなくて、先ほど申し上げたように、建設省にやはり同様の問題が関連をいたします。ですから、建設省も十分建物に関する問題としてこの問題に深甚の注意を払い、遺憾のないようにしてほしいし、警察庁並びに地検につきましても、先ほど御報告は受けましたけれども、まだ愛知県警は調査中だというわけでありますが、私はやり得だということにならないようにしてもらいたい。少なくともこれは私の判断をもっても原状回復がなかなかむずかしいが、原状回復命令が出せるものは、ひとつ一罰百戒で出してもらわなければいかぬが、仮に原状回復命令が出せないものについても、つまりこのようなやり方が堂々とまかり通るということについてはどうにもがまんがならぬ。だから、むしろ罰則については、農林省もさることながら、警察庁並びに地検の方で遺憾のないように峻厳な措置をとってもらいたい。よろしゅうございますね。  それでは、本件につきましては両者の協議の結果を待つことにいたしまして、次の問題に移ります。  いまから十数年前に私が本委員会におきまして愛知県の名四国道周辺の土地問題につきまして質問をいたしたことがございました。当時の民事局長が、法務省の責任をもちましてこの問題の処理に当たるという言明を実にりっぱになさって、それが今日の記録のポイントになっておるわけであります。その後建設委員会で、私が建設省と法務省両省に来ていただきまして、そして言いましたことは、愛知県としては、また中部地建としてもそうでありましょうけれども、あの名四国道周辺の堤防あるいはまた排水、それがどうしても公共的に必要になった、改修をすることが必要になった。したがって、愛知県としては速やかにこの紛争が解決されることを望む。紛争というものは、要するに水面下の土地は土地でないという法務省の見解と、それから自分の土地であるという地主側との争い。これはいま境界確定の争いとなって裁判になっておりますが、この裁判がなかなか解決をしない。そのために愛知県としては河川改修が非常におくれておる。したがって、この問題について現地で法務局、中部地建あるいは県等の協議が行われておるけれども、中央の方針が法務省と建設省と違う。法務省は土地でないと言う。建設省はもうそんなことは言っておれぬという立場、その両省の見解の統一をしてもらいたい。そして統一をして速やかに公共的な——災害でもあったら大変なことになるわけでありますから、速やかに中央の両省の合意の結果をおろして、それを基礎にして現地で関係者の会議をやってもらいたい、こういうことを建設委員会で申し上げたわけであります。  その後愛知県におきまして、事態が公共的な必要性に基づきましてどうしても作業をしなければならぬというわけで、予算にも計上をされた。そして地主との間にいま協議が行われておる最中であります。この協議に対して法務省はどういう見解をお持ちですか。協議が整って、それが何らかの方法で県及び中部地建の仕事に差し支えないようにすることについて、法務省はどういうお考えですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 現在、この問題につきましては、愛知県と水没地の所有者との間で精力的に和解の話が進められているということを私ども伺っておるわけでありますので、この和解によって紛争が解決するということを期待しておる次第でございます。私ども法務省といたしましても、できる限り側面的にこの和解に御協力を申し上げたいというのが基本的な考え方でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 建設省は、現地の話し合いについてどういう態度をお持ちですか。

安仁屋政彦建設省河川局水政課長

○安仁屋説明員 昨年の建設委員会におきまして先生から御指摘ございまして、本省同士でも詰めるという話になりました。それを受けまして、私どもも従来から問題になっております河口部の締め切り堤防敷に係る登記上の問題につきまして、法務省民事局と現在協議をしておるところでございます。ただ、本問題は不動産登記に関します非常に基本的な問題にも関係してまいりますので、なかなかむずかしい問題でございますが、今後とも引き続き協議を続けてまいる、こういう態度でございます。先生からもお話がありましたように、現在堤防等の補強あるいは河床のしゅんせつ工事のために用地取得の話を進めておりますので、それの解決と申しますか、それと並行しまして、法務省との間で円満に手続がとられるように協議を進める、こういう態度でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 御存じのように、名四国道は、いわゆる水面下の土地を当時の地主から国、建設省が県に委託して県が買い上げた。それによって名四国道が通った。その名四国道で買った土地を中部地建が名古屋の法務局へ登記してくれと持っていったところが、法務局がそれは土地でないからといって拒否をした。したがって、県知事はそれに対して異議申請を出すべきところを知らぬ顔をしておる。中部地建も知らぬ顔をして今日に至っておるわけであります。これもおかしな話だと思うのですが、少なくとも地主から国が買ったという実績があるにかかわらず、それは土地でないという法務省の見解で十数年にわたって登記がされていないということなんであります。  それから、もう一つ注意を喚起しておきたいと思うのですが、その境界確定の作業の中で、昔の地図がいろいろありますために、意見の相違が法務局とそれから地主側にあるわけです。地図の違いがあるという法務局の主張をそのままうのみにいたしました場合にはどういうことになるかというと、国が県を通じて買った土地はその地主の土地でなくして、ほかの地主の土地を買ったことになる。だから、まことに奇妙な問題が発生するわけであります。それで、私もいろいろ調べてみましたら、明治十七年一月調、地籍字分全図というまことに古いものでありますが、県及び図書館にこれはあるものであります。この地籍字分全図というものが信憑性がある、そう考えていい。地図にもいろいろ間違いのある場合もあるけれども、少なくとも法務局が言っているように、番号が違うとかなんとか言っていらっしゃる論理を発展させたならば、国は一生懸命銭を出して県に買わせた土地はその地主の土地ではなかったんだということをみずから言ってしまう結果になるわけで、これもまた矛盾撞着した問題になりますから、この明治十七年一月の県及び図書館が持っております地籍字分全図を採用なさるべきだと思いますが、いかがでしょう。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 この問題につきましては、地図によって地番が違うというようなことを含めまして、いろいろと複雑な解決の困難な問題があるということを聞いております。一つ一つ解決の方法を探るべく努力をしていきたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最後に、いま県を中心として円満解決の方途が行われておるときに、法廷で境界確定の争いが基本的に行われておる、こういう状況にあります。そこで、この法廷におきましても、県を中心とする円満和解の方途について、国としてもそれをにらみながら、できるならば法廷においても和解の道を探究するということをされたらどうでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 訴訟の関係になりますと、訟務局のお世話にもなっておりますので、私一存でここでお答えするということもまいりませんが、ただいまお話のあった点を持ち帰りまして相談をしてみたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、その点について速やかにひとつ円満解決をして、災害のときに名四国道周辺の堤防ががんじょうになるように、いま排水ポンプで向こう側から海面へ満潮時にやっておるわけですが、あれは限界がありますので非常に危険だと私どもは考えておりますから、理屈は理屈、しかし、あの周辺の状況を考えて円満解決に努力をしていただきたい、希望を申し上げておきます。  さて最後に、先般検察審査会の問題につきまして十一項目私の意見を申し上げて、委員長にお手配を願いまして、法務省と最高裁判所の意見を整理していただくことにいたしましたが、その結果を御報告願いたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 ただいまの横山委員の御要望でございますが、これは委員長が調査室に命じまして、横山委員の提案の要旨に対しましての最高裁の意見、それから法務省の意見、それぞれ聴しまして、資料として横山委員に差し上げてあるはずでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それはいただきましたが、私も本委員会で正式に申し上げたことでございますので、本委員会で両省の意見の紹介を議事録にとどめて  いただきたいという希望でございます。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 あのときの御要望では委員長において調整しろ、こういうふうな御要望のように承ったわけでありますが、いま準備がありますれば十一項目について両省から、それでは資料もございますけれども、一応申し述べていただくことにいたします。  では先に、最高裁判所小野刑事局長。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○小野最高裁判所長官代理者 それでは御説明申し上げます。  第一番目の「審査員等の選定に際し、地裁判事、地検検事に限らず、広く裁判官、検察官が立会できるものとすること。」この点でございますが、この点は、提案の趣旨に賛成でございます。適時の機会に法改正が望まれるというふうに考えております。  また、これは二番目と三番目は関連すると思いますが、二番目として「補充員制度を廃止し、審査会の定足数制(構成員十一人、定足数八人)を設けるものとすること。」というのと、三項の「補欠の審査員となるべきものとして予備員の制度を設けるものとすること。」とございます。これは補欠の審査員というのは補充人のことかと思いますが、この二項、三項につきましては、この構成員を十一名とするかあるいは何名とするかという点は多少問題がございますので、構成員の数を増加するとともに定足数制を採用することについて検討の余地があるというふうに考えております。ただ、運用面の実績を踏まえてこれについては慎重に対処したいという考えでございます。  四番目は、「検事正は、起訴相当の議決があった事件につき採った措置及び理由を審査会に通知するものとすること。」という点でございますが、法務省の意見として、提案の趣旨に沿うように運用面で配慮したいということでございますので、それで私どもも異論はないということでございます。  五番目は、「検察官は、刑訴法二六〇条により告訴人、告発人、請求人に対し不起訴処分の通知をするときは、併せて審査会に審査の申立ができる旨をも通知するものとすること。」という点でございますが、法務省の御意見といたしまして、提案の実質的な趣旨は、告訴人等の関係者に対し、検察審査会制度についての周知徹底を深め、同制度の適正な運用を図るべきであるとするものと考えられるので、検察当局としてこれに協力するためとり得る措置について最高裁判所と協議の上検討したいということでございますので、この点についても異論はないということでございます。  六番目の「専門的助言者に報酬を支給できるものとすること。」という点につきましては、提案の御趣旨に賛成でございまして、これは現在努力中でございます。  それから、七番目の「審査員の日当引上げ」、八番目の「補充員にも審査員と同額日当を支給すること。」九番目は「諸施設の整備改善」、それから十番目の「PRの徹底」という点でございますが、この点はこれからも要望の御趣旨に沿って努力したいというふうに考えております。  それから、十一番目でございますが、「審査員、補充員の出席日の賃金カットや皆勤手当を補償すること。」という点でございますが、この点につきましては、従来審査会事務局の職員が審査員等の勤め先の理解を得るように努力して成果を上げていると考えておりますので、提案の御趣旨の立法を行う必要性につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 不十分な点は一応ございますけれども、両省の協議の結果に対しまして十分速やかに具体的な実行を要望いたしまして、私の質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 午後一時四十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 私は、主として同和問題に関して御質問を申し上げます。  法務大臣も御出席でございますが、古いことを思い出すようでございますけれども、この特別措置法をつくるに当たりまして私は公明党を代表した窓口でございましたし、大臣は当時この法律をつくる自民党の方の窓口としていろいろ御折衝した記憶もございますし、また、大臣の地元の方もたくさん法律に関係する方々がいらっしゃるわけでございますし、そういう面からいきますとこの法律に対して一番御関心が深いし、いろいろとお考えをお持ちだと思うわけでございます。しかし、今国会を通じて予算委員会なり何なりいろいろ質問が出てきておるわけですけれども、特別措置法の中でなかなかできなかった問題、または十分ではありませんけれども法律が及んだ地域と及ばない地域と、また新しい問題も浮き彫りになってき出した点もあるわけでして、いろいろな問題を露呈しながらこの法律が来年で切れてしまう、こういうことで予算委員会での社会党の先輩の御質問にも大臣がお答えになっていらっしゃるわけです。  そこで、これは古い話ですけれども、前任の古井大臣が同和地域を御視察になって、その視察の上の感想では、特別措置法三年延長では足らぬ、もっと必要だ、もっと厚い措置が必要だというような記者会見もしていらっしゃるわけです。両面あわせて大臣から、この消えようとしている法律に対してどう扱ったらいいのか、いま三年延長が附帯決議をつけたまま終わろうとしておって、余り目に見える動き等がないわけで、下手をするとこのまま消え去ってしまう、こういうことでもありますし、また、自民党の中にももうこの程度で絶対だめだというふうな御意見も内々聞くところもあるわけでございます。実態そのものは私たちの考えではまだまだ問題がたくさんあり、ただ物の面だけという考え方よりも、むしろ大臣がとらえていらっしゃる心の問題なりいろいろな啓蒙活動なり何なりというものもあるわけでございまして、そういう問題を含めて今後この法律を練り直していかなければならない、さりとて、問題点を浮き彫りにしていろいろ議論すると憲法に抵触する問題も出てきたり、いろいろあるわけで、そういうものもあわせて今後この法律を改正していくという面から考えなければならない、こういうふうに私考えるわけでございますけれども、まず大臣は、この問題、この法律が消えようとしているとき、どういうお考えで臨んでいらっしゃるかをお伺いしたいと思うのです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いまお尋ねいただきながら、沖本さんとも同和問題どう解決すべきかということでいろいろ御相談し合ってきた昔を思い出しているところでございます。内閣に設けられました同和対策審議会が内閣に答申を出したその中で、立法のこともうたっておったわけでございまして、そのころから特に立法措置をとるべきだという意見がかなり強く出されてまいりました。自民党内では、本来差別などないんだ、また、こういう心の問題、かなり時間をかけて解決せざるを得ない、それを立法措置をとるとことさら差別を固定化させる心配があるんじゃないか、せっかく漸次解消しつつあるのにまた寝ている子を起こすことになる、そういうことはすべきではない、こういう議論も根強くあったわけでございました。私は、同和対策事業特別措置法というああいう形式でございますけれども、特に部落差別ということではなしに、同和対策事業特別措置法というかっこうで立法化を納得してもらえませんでしょうかという踏み切り方をしたものでございました。  その後十二年何カ月かたつわけでございますけれども、今日なお、おっしゃいますとおりにこの法律をめぐりまして賛否両論あると思います。古井元大臣が、三年じゃいけない、もっと延長しなければならないとおっしゃった気持ちもわかります。私も、この同和問題について取り組んでいく、三年、五年、十年、十五年ともっと積極的にずっと続けていかなければならない、こう思っております。特に環境の整備の問題でありますとか、あるいはまた同和地域の方々の生活水準の向上の問題でありますとか、みんなが力になっていかなければならない問題、私は、三年、五年で片づくことはあり得ないもっといま以上の力を毎年毎年かけていきたいな、こう思っておるものでございます。  しかし、法律を延長することがいいのか悪いのかということになってまいりますと、これは手段の問題でございまして、今日なおいろいろな意見があるわけでございまして、総理自身は八月の時点でどういう方法をとるかということをそこで決めたいと思うのだ、こう答えておられるわけでございまして、その時点で結論が出されると思うわけでございます。私自身も、法律延長がいいとか悪いとか、いま言える立場にございません。言えることは、こういう差別をなくするためにいま同和対策事業特別措置法が取り上げておりますようないろいろな仕事をもっと積極的にやっていかなければならない、これは私はきっぱり申し上げることができる、こう思います。それを法律という手段を残しながらやるのがいいのか、法律という手段はもうやめた方がいいのか、そこは私は議論が分かれるのだろうと思いますし、総理がいま申し上げましたようなことを言っておられるわけでございますから、私もそれまで待ちたいな、こう思っておるところでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 大臣のお立場として言及しにくい問題も多々あるとは存じますけれども、以前からこの問題を深く知っておられますし、また、初めに申し上げましたとおり、この法律をつくるときにもいろいろ中心になってやってこられた、こういう経緯があります。いつも大臣の憲法問題の個人見解というものがいろいろ取りざたされるわけですけれども、奥野法務大臣としては、法律をつくる当座お考えになっておられたいままでの問題なり何なりというものを中心にしてお考えになると、個人的な意見としてはもっともっと深くこの問題を掘り下げ、改善していく余地があるのだと受け取っていらっしゃるわけでございますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 法律が予定をしております仕事は積極的にやっていかなければならないと思っております。しかし、法律を残しておくことがいいのか悪いのか、これはなおみんなで真剣に検討してしかるべきじゃないかと思っておるということでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 そこで、将来のために言うことではないのですが、先ほども同和対策審議会のことにも言及なさったわけでございます。話がばらばらになるかもわかりませんが、「同和対策事業特別措置法期限延長に伴う附帯決議の早期実現に関する要望」の中にも出てきますけれども、「同和問題の早期解決は、国及び地方公共団体の責務であると同時に国民的課題として一日もゆるがせにできない重要な問題であります。」と定義づけておりますし、これは同和対策事業特別措置法の中にきちっと出ておるわけでございます。  しかし、いろいろ専門的に研究なさった方の御意見の中にもありますが、国の責務であるという点と同時に国民的な課題であるという点から、地方自治体なり何なりに実際の行政面の実施の責任が行ってしまって、国の方の責務としてはどういうふうになっていったか、責任の所在をはっきりする面が確立してなかった。そのために実態調査なり対策に事欠く面もあった。ただ法律をつくって出した、あるいは補助金の問題もいろいろありますし、国が予算なり何なりを出したことは出したけれども、どこまで国の責任があるのかないのかということがはっきりしてなかったために現在の問題を残してしまっておる。  それから、地方自治体の方も、国民的課題であるという点からいろいろな責任問題が起こってきて、国が十分見てくれない面は全部地方自治体に責任が行ってしまって、いろいろな超過負担が極度に起こってきて、地方自治体側も大変な窮状に陥っているという面が出てきておるわけです。  それから、先ほどもお話しいたしましたが、残事業があるという点から、決して十分であると私たちは考えてはおりませんけれども、比較的措置がとられていった地域とこの法律ができてわかってきた地域というもののずれ、いわゆる公共側、国なり地方自治体なりと現地との関係というものに非常なずれが起こって、いまわかりてきた地域も出てきておるわけです。  それから、法務に関して一番問題になってくるのは、地名総鑑であるとかこういう問題は、法律施行以前は、あるにはあったにしても余り聞かなかったわけです。ところが、法律が出てからもう切れようとしているときに、にわかにこの問題が出てきておる。  きょうも質問の中に入ってきますけれども、いろいろな落書きなり何なりが出てきておって、広い範囲で国民的な考え方では、心の中で差別はしていないのだ、こういうように新しい憲法とともにいわゆる人権の問題も認識されるようになってきて、平等という点なり個人の人権なりというものが比較的重く社会なり何なりで取り上げられるようになってからは、一通りの考えを持っていらっしゃる方々あるいはいろいろな応対をする方々も、私は差別なんか考えていないということをおっしゃるのですが、その反面でこういう問題が出てくるということは、自分で差別しているということを認識しないでやっておる方あるいはわざとやっている方、そういう点をいろいろ探っていきますと、決して一つもよくなっていない、むしろ悪くなってきておるという点も起こってきますし、そうしていきますと、そういう内容に対してどういう措置をとっていったらいいのかという問題も起こってくるわけです。  だから、もう一度同対審の中身を振り返って読んでみますと、「基本的方針」の中で、   日本国憲法は、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、又は、社会的関係において差別されないことを基本的人権の一つとして保障し、立法その他の国政の上でこれを最大に尊重すべき旨を宣言している。   しかし、審議会による調査の結果は、地区住民の多くが、「就職に際して」「職業上のつきあい、待遇に関して」、「結婚に際して」あるいは、「近所づきあい、または、学校を通じてのつきあいに関して」差別をうけた経験をもっていることが明らかにされた。しかも、このような差別をうけた場合に、司法的もしくは行政的擁護をうけようとしても、その道は十分に保障されていない。   もし、国家や公共団体が差別的な法令を制定し、あるいは差別的な行政措置をとった場合には、憲法十四条違反として直ちに無効とされるであろう。しかし、私人については差別的行為があっても労働基準法や、その他の労働関係法のように特別の規定のある場合を除いては、「差別」それ自体を直接規制することができない。   「差別事象」に対する法的規制が不十分であるため、「差別」の実態およびそれが被差別者に与える影響についての一般の認識も稀薄となり、「差別」それ自体が重大な社会悪であることを看過する結果となっている。 というふうに述べております。この点は全く同じことであって、物と心の両面について十年間の特別措置法ができて、私も、この法律ができたときには、本当にこれで万歳だという気になっておったわけです。しかるに、いまお話ししたとおり、この法律を三年延長して、それももう切れようとしているときに、いま申し上げた問題が一切片づいていない、こういうことになるわけでございます。  こういう点で、予算委員会でも、これは将来にわたって長い間かかって解決しなければならぬ問題だということは大臣もお答えになっておりますし、啓発なり何なりも必要だということになるわけでございます。しかしながら、ではその啓発についてどれほどのことがされてきたのですかというふうに具体的になっていきますと、内容を見ましても全然ないわけです。予算の面を見てみましても、法務省の予算も前年比でそんなに変わっていないということになると、そういう面から見ても、大臣がおっしゃったような形で啓発問題が十分なされていく、あるいは人権擁護局の予算がふえて、新しい事業を行っていって啓発していく、あるいは差別が起きないようにいろいろな問題が  取り上げられて解決の方向に向かうということも見られないわけです。これは各省とも言えるということになるわけですけれども、こういう点を踏  まえて考えていきまして、大臣のおっしゃるとおりではないわけですけれども、これはどういうふうにお考えでございますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 答申に書いてありますように、国、地方団体の責任また全国民的な課題、私も全くそのとおりに思っております。同時に、法律を延長する延長しないの問題は総理府が中心になって結論を出す、法務省が結論を出すものではない、こう思っております。同時に、同和対策事業、これからもなお積極的に推進していかなければならないと考えていることは先ほど来申し上げているとおりでございます。  立法措置をとるべきであるかとるべきでないかということが大きな政治課題だったわけでありました。そのときに、漸次解消していっているのだ、それをいまさら法律にすると、寝ている子を起こしてしまって、ない差別をつくるようなことになるじゃないか、これが強い反対論でございました。そのときに、沖本さんその他が立法措置を求められたわけでございますけれども、亡くなりましたけれども社会党の八木一男さん、この方も大変熱心でございました。私におっしゃったことをいまだによく記憶しているのですけれども、とにかく時限立法でいいから、その間に、十年なら十年の間に思い切ってやる、そしてさっとやめてしまう、そうしてくれればいいじゃないかということを強く言い続けられました。いつまでも法律を残しておくことは差別につながるという心配を八木さん自身もやはり持っておられたのではないかと思うのであります。  自民党の中では、法律をつくることが差別につながるではないかという心配を持っておって、立法すべきでないという根強い議論があったわけでございました。そのときに私が、いまの同和対策事業特別措置法、ああいう形の立法をしようじゃありませんかと言った責任者でございまして、私が中心になって自民党ではあの法律を推進したものでございました。  しかし、今日なお、三年延長され、またさらに三年延長すべきだという強い意見が出ておるわけでございます。その結論は、私の所管ではありませんし、総理府が中心になって決めることでございますし、総理自身が八月をめどに考えたい、こう言っておられるわけでございますので、それにゆだねさせていただきたい、こう申し上げているわけであります。  いまおっしゃいましたいろいろな事象、積極的に解消に乗り出していかなければならない、これはおっしゃるとおりでございまして、これからも気長く努力していかなければならないと私は思うのでございます。それは二年、三年で全部なくなってしまえば理想的ですけれども、いままでの経過から見まして、われわれは望ましいけれども、必ずそのとおりできるのだと言い切れないものでございますので根気よくみんなでさらに力を加えて努力をしていきたい、またしていかなければならないと思う、私はこう申し上げているわけでございます。  法務省は人権を担当しているところでもございますので、いま不十分だと御批判をいただきますと責任を痛感いたします。しかし、それなりに人権擁護局があり、法務局に人権擁護課があり、また人権擁護委員一万二千人くらいのボランティアの方々も御協力を下さいまして、事件が起こりました場合には人権侵犯問題として処理してまいりますし、また人権相談にも積極的にあずかっておるわけでございますし、あるいはまた人権週間を設けましてそれなりに啓発運動にも努力したりいたしているわけでございます。決して十分だとは言えませんけれども、今後もさらに努力を加えていきたい、そういう決意ではおるわけでございますので御叱正をいただきたい、こう思っております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 大臣の、いまのところ総理府の方でやっている、うちの方ではそのことにはいまのところ触れたくないという御意見もわかりますけれども、たとえて言いますと、地名総鑑なら地名総鑑が現実にいろいろ出てきているわけです。減ってきてはいないわけです。出版する人が出てくる。買う人が出てくる。買うことによってそれが具体的な行動にあらわれてきて一就職なり雇用なりの関係で差別が現実に起こってきておる。そういう問題一つ一つ取り上げられていったわけで、それが今度の予算委員会でも具体的に取り上げられて、それで藤尾労働大臣が、現実にそういう企業があった場合、その企業を呼びつけてちゃんと処置をするというような具体的な強い意見も出しておられますし、そのとおりやっていらっしゃるわけです。  それじゃ、人権を担当する法務省として、この問題に対しても何にもできないのでしょうか。地名総鑑の発行に対して、出版する人がおるわけですし、買う人がおるわけですし、現実にそれはあるわけですから。その一つ一つが問題視されてきて、いろいろ問題が浮き彫りにされてきているわけです。結局は、法律的なものが何もないわけです。そうすると、何かの形で規制するか何か方法はないのですかということになるわけですけれども、その点について局長さんの方で、何かこれからこうするとか、この問題はこうするとかいうものはありませんですか。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。  私たちが行っております同和施策に逆行するような地名総鑑の発行、発売といいますものは、非常に遺憾なことだと思っております。それで、発行者を手厳しく追及するのはもちろんでございますけれども、こういうものが発行、発売されるということは、これを買う者かおるからだ、そのように考えまして、購入企業というものを法務省におきまして執拗に掘り起こしてまいったわけでございます。いわゆる地名総鑑等の種類は八種類、それで掘り起こしました購入企業数と申しますのは、延べ二百十七社になっております。  こういう地名総鑑購入企業に対しまして、法務省といたしましては、それが許しがたい社会悪だということを調査の過程で啓発し、あるいは調査が済みますと各省庁と共同いたしましていわゆる共同啓発というのを行ってまいりました。それからなお、共同啓発が済みますと、さらに担当の各法務局におきまして、購入企業の代表者その他の幹部等を呼びまして、説示あるいは勧告をして、二度とこういうような不祥事が起こらないようにということを申しております。それに対しまして、企業の方といたしましては、こういう問題を二度と起こさないように対処していきたいということを誓っておるわけでございます。  さらに私どもといたしましては、それだけでは不十分かと思いまして、去年には、人権擁護局長及び全国人権擁護委員連合会会長の連名をもちまして、全国の企業六団体に対しまして、部落地名総鑑というものはどういうものであるか、それを購入することがどういう問題があるのだというようなことを述べまして、二度とそういうようなことのないように各企業を指導してほしいという要望を出しておるわけでございます。  なお、先生の御質問にございました規制の点でございますが、私どもといたしましても、はなはだ重大な事件でございますので何らかの法的規制ができないものかということでいろいろ検討したわけでございますけれども、憲法の表現、言論、出版の自由あるいは法廷手続の保障といいましたような憲法上の問題が関連してまいりまして、いまのところ合理的かつ有効な規制措置というものは見出しがたい状況にあるわけでございます。しかし、なお私どもといたしましては、何らかの規制措置がとれるのではないかということで、関係省庁と連絡し合って検討を続けてまいりたい、かように思っておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 いまのお答えから伺いますと、もう全然野放しで方法はないんだ、しかしながらそれぞれ検討しているんだということで、これまた検討材料で終わってしまいそうな感じなんですけれども、問題は解決したわけではなしに、今後も尾を引いて同じことが続出してこないという保証は何もないのです。  それで、地名総鑑なり何なりを購入なさる企業というのは、もうそこの地域の同和地域の人を雇うことをきらうために、その地域の人を排除するという、初めからそういう気持ちがあるわけなんですから、そうすると、以前にも、いわゆる日本に戦前に出てこられた朝鮮半島出身者の方々の子弟の方々が就職に当たって、雇用で日本名を使わなければならない、自分の固有の氏名を使えば、これはもう完全に雇ってもらえなくなるというような問題が起こって、こういういわゆる雇用条件は外すべきだということで外されたはずなんですね。いまそういうことは雇用の条件の中に入っていないということなんですけれども、同じように、一つの例は地名総鑑なら地名総鑑ということになるわけですけれども、それに対して具体的に関係省庁と話し合っているということなんですけれども、全然道はないのですか。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。  野放しというようなお言葉でございましたけれども、私どもいろいろな法規を見まして、実はああいう差別関係につきましては、刑法あるいは民法あるいはその他の法律というものの中に条文もところどころございまして、たとえば刑法におきましては名誉毀損罪あるいは侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪というような規定がございますし、それから民法におきましては、御承知のように民法七百九条以下に不法行為法がございまして、損害賠償責任が追及できることになっておりますが、その制度によって大幅に規制するということができるのじゃないかと私は考えておるわけでございます。  そのほか、これは均等取り扱いということで、先ほども同対審の方に出ておりましたけれども、労働基準法その他労働組合法あるいは職業安定法というような法律もございまして、さらに私ども考えますのは啓発、啓発という言葉を何度も申しますけれども、さらにそういうものでカバーできないようなものにつきましては、、私どもの職責といたしまして極力啓発活動を行って差別をなくしていく。  規制ということになりますと、ある意味では権力的な作用になるわけでございまして、こういう問題につきましては、たとえば結婚あるいは就職というようなものが規制ということによっては片がつかない。むしろ権力行為でないところの啓発によって結婚をさせる、あるいは円満に就職させるという、規制によっては得がたいところの効果もあるわけでございまして、法務省といたしましては、やはり啓発というのが、迂遠な感じはいたしますが、結局抜本的な最も効果的な方法だと考えて、いままでも努力してまいりましたが、今後ともさらに積極的に粘り強い啓発活動を行ってまいりたい、かように思っておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 ついでに、事件についてお伺いいたします。  これは大阪で起こった差別事件なんですが、「昭和五五年八月一〇日ごろ、大阪市旭区生江三丁目一七番地所在の大阪市立生江解放会館前道路脇に部落解放同盟生江支部が設置した立看板にB五判大学ノート用紙にマジックペンを用いて「生江三丁目はエタ・ヒニンのすみかだ!!近づくと殺されるぞ!!奴らは血税を湯水のごとく使い、一般市民をさく取しているぞ」「エタ・ヒニンは自己の不足を日本社会の落度とみなし、私腹を肥しているぞ!!」「部落解放の名の下に私腹を肥しているエタ・ヒニン……」等と記載した文書七葉を貼付し、もって公然事実を摘示して生江三丁目に居住する住民の名誉を毀損した」ということで告発しているわけです。まだほかにたくさん持っていますけれども、こういう落書きがいっぱいあるわけですね。  それで、さっきもお話ししたとおり、個人個人について聞くと、差別してないと言うわけです。ところが、自分の娘なり息子と恋愛関係に陥った、同和地域の出身の男子なり女子なりとの結婚問題が起こってくると、にわかに色めき立って、大変だ大変だということになるわけです。ところが、憲法の規定から言うと、そういうことをしてはならないということであり、それが一般社会的な常識になって、その人種的な差別はしてならないとか、あるいは身分の差別をしてはならぬとか、憲法の規定の枠の中へ入っていくわけですけれども、自分はいまの文化的な生活をしている以上、そういうふうな考えを持つ人間ではない、こういう認識はあるけれども、ひとつ事が起こると問題になってくるということは、この落書きと何ら変わらないわけですね。だから、書いてあるのは、何ら悪気があって書いたり——何かおもしろ半分なりひやかし半分で書くわけですけれども、それがどれほど大勢の人の生活なり心なりを傷つけていくかということですね。それから、結婚話が起こって、周囲が反対したために自殺した人がたくさんおるわけです。  同時に、この前NHKの教育テレビで、水平社の百周年に絡んでの水平社問題を取り上げて言っていましたけれども、その中にも取材した中に出ていたのが、戦前に学校の先生が問題を起こした部落の子供に、おまえはえたがえたと言われてなぜ腹が立つんだ、こういう問い直しをしている場面があるのですね。ですから、それが戦前なんです。戦前の問題をそう取り上げてきているわけですけれども、戦前のそういう問題と、戦後憲法が変わって、新しい憲法のもとに人権に関しあるいは平等に関して考え方が相当変わってきた。社会生活がお互いにみな変わってきている。平和な民主主義国家になってきているんだという認識なんですけれども、その辺何ら変わってないわけです。  ということですから、大臣はそういう点もあわせて、まあ将来にわたってなかなか解決しにくい問題だから真剣に長い間取り組まなければならないというわけで、それもわかるわけですけれども、そうしていただきたいわけですけれども、さりとて、具体的にどうしたらこういう問題は解決するのですかということになってくると、具体案というものは全然出てこないということになるわけです。ですから、いまのある問題をできるだけ掘り下げていって、人権擁護局なら人権擁護局がその問題を取り上げていって啓発していき、解決していき、そして完全な法に触れる問題があれば告発してもらって、そういう立場から解決していってもらうということぐらいに終わる。それは前もやっていましたし、いまもやっているし、これからもやっていくことであって、そこにどれだけの解決の方法があるかということになるわけですね。  ですから、お互い同士、国籍が変わっているわけでないし、人種が変わっているわけでないし、部落の人たちの血液が変わっているわけでもないし、何ら変わったことはないわけですね。その地域に生まれ育ったばかりにそういうことになっていくわけです。昔は同和地域は小さな存在だったでしょうけれども、だんだん人口がふえていくに従い、あるいはほかの地域から移り来て住んでおるということになり、そういうふうにみなされていくということもあるわけです。みなすこと自体がどうかということになれば、全然根も葉もないということになってくるわけです。それを何にもないのに何かの形で差別していくという人間の根性の中にある問題になってきますけれども、そういう問題を憲法のもとに解決していくには、相当具体的な進んだ強い方法をとっていく、そして国民の心に十分認識させていき、それが広く強い同じ認識の中に持たれていって、時間をかけて解決していく以外に方法がないわけです。  この問題は、ただ、いまおっしゃったようなことだけで解決する問題ではないと思うのですね。そういうことから、結局この法律を、延長したものは三年で切れそうだ、残しておくことにも意味があるし、それにかわるものをつくっていくという面にも意味があるということにもなるわけで、その問題もお答えいただきたいと思いますけれども、それ以前に、いま申し上げたような点についてどう解決していかれるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。  もう先生おっしゃいましたように、差別事象が昔もあって、現在の差別事象というものが昔とちっとも変わらないとおっしゃったわけでございます。事実、現在も差別事象が後を絶たないということは非常に悲しいことだ、残念なことだと思っておるわけでございます。  ただ、差別事象といいますのは、言うまでもございませんが、差別意識がございまして、それがもとでの差別事象になるわけでございまして、何せ心の意識の問題でございます。同和問題をよく知らない人を啓発してまいります場合、最初は差別というのはこういういわれのないものだというようなことからの説明に始まりまして、問題点を知ってもらう。まず知識の問題になりますが、知識というのは相当普及しているのではないかと私は思っておるわけでございます。ただ、それがさらに心の中まで変わっていくということになりますと、これは非常にむずかしいことだと思っておるわけでございます。  実際上、知識がどれだけふえたかあるいは意識がどれだけ変わったかということを物差しではかることはできませんが、私ども各現地の法務局あるいは各地方法務局におきましては、一般の人を集めて講演会を行ったり研修会を行ったりいたしますが、その際に、昔に比べまして最近質問等の過程におきまして大分知識あるいは認識が変わってきているのではないかなという感触は得ておるわけでございます。ただ、先ほども申しましたように心の問題でございますので、やはり長い目で見ていかなければならないのではないか、こう思うわけでございます。  差別が三百年あるいは四百年とも言われる長い間のものでございますので、これを解消するためには相当時間がかかるのではないかと思うわけでございます。とにかく時間はかかっても、非常に迂遠な感じはいたしますが、やはり心を本当に開いてもらうためにはねばり強い啓発しかないと私ども考えておりますので、先ほど申しましたように、さらに積極的なねばり強い啓発活動を継続してまいりたい、かように思うわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 時間が余りなくなったわけですが、予算面それからいまの局長のお答えからいきますと、いままでどおりのことをやってきたのではいままでどおりのことしか期待できないわけですし、それに終わってしまうということになるわけです。ですから、たとえて言うなら、NHKならNHKが一時間なら一時間の一つの番組を組んで、それでいろいろ調査をやり、いろいろな人の話を聞き、その場面場面を撮っていく、そこから具体的ないろいろな問題点を浮き彫りにして一時間の番組に組むということは、相当な金を使うと考えなければならないと思うのです。マスコミの方でそれだけの金を使って、それで与える印象というのは、テレビの画面を通してああそれが差別なのか、昔そんなことがあったのかという認識が相当強いはずなんです。  たとえて言うなら、そういうものもいろいろな形でマスコミにも取り上げてもらうように働きかけてももらうし、また法務省自体の機構なり何なり、あるいは年間の行事なり何なりというものをいままでより実効ある形に変えていかない限り効果は期待できないということになるわけですから、私は、二面的な考え方で、法律の存続と、それができないときにはそれにかわるべき他の何かの方法でこの問題を、根深いだけにずっと長い問題として特別に扱っていただくような法的な措置なり何なり具体的なものを話し合って、今後それを各党の間で具体的な問題としていくことも大事であると思います。もしこれが来年の三月で切れてしまうという事態が起こったときには、それにかわるべきものを法務省としてどういうふうにおやりになるのかということになるわけでございます。  ちょうど大臣は、締めくくり的なことにもなるわけですが、そういう面をとらえて今後十分解決の方向に、この問題が効果のあらわれる方向に法務省の方に動いていただく。地名総鑑にしても、何らかの形でだんだん認識されていって、企業も買わなくなれば出版する方もなくなっていくわけですから、それにはやはり効力のある方法をとっていただきたい、両面で効果の上がる方法をお考えいただきたい、こう考えておりますが、大臣、最後に締めくくっていただきたいです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 おっしゃいますように、みんなで知恵をしぼって差別問題が根絶される、そういうあらゆる方法を工夫、努力していかなければならない、こう思っております。非常に大事なこどでございますし、政府としては各省にまたがっている問題、法務省としては特に人権擁護の面から強力に押していかなければならない、こう思っております。私は、あたりまえのことだと思いますけれども、やはり一年一年よくなっているのではないかと思います。もっと早く根絶するように持っていかなければならない、それにはどういう知恵があるかということだろうと思うわけでございまして、真剣に努力していきたいと思います。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 では、質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 安藤巖君。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 私は、土地家屋調査士法の問題についてお尋ねをしたいと思います。  申し上げるまでもなく、土地家屋調査士の方々の業務は、国民の貴重な財産であります土地家屋の範囲をきちっと確定するという非常に大切な業務を担当しておられるわけです。一昨年、この土地家屋調査士法は改正をされましたが、その際、当院で附帯決議がつけられております。この遂行状況はどういうふうになっているのか、まず最初にお尋ねします。簡潔にお述べいただきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 民事局長がこちらへ駆けつけているところでございますので、参りましてから民事局長からお答えをさせていただきたいと思います。おくれまして恐縮です。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 それでは、土地家屋調査士法の関係については後でお尋ねするといたしまして、午前中に横山委員の方から質問がなされました愛知県下における地目変更不正登記事件なるものについて二、三お尋ねをしておきたいと思います。  午前中の質疑応答でも問題が指摘されたのですが、一連の不正登記は、宅地に変わったのが都市計画法に基づく市街化調整区域と市街化区域との線引き以前、昭和四十五年十一月以前にもう宅地であったということを登記原因にして昭和五十五年の時点において変更登記申請をして、それが認められている、こういうケースなんですね。建設省の方でこの線引きをするについては、市街化調整区域に組み入れたところは乱開発を防止する、いたずらな土地開発によって農地が狭められるのを防ぐ、こういう趣旨で線引きがされたものだと思うが、その点はどうでしょうか。

鹿島尚武建設省計画局民間宅地指導室長

○鹿島説明員 都市計画法の規定によりますれば、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域ということにされておりまして、先生御指摘のとおり、乱開発を防止するということに一つの大きな目的があるわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 ところが、午前中の指摘にもありますように、そしていま私が言いましたように、この都市計画法の第四十三条六号のロ、これを利用して線引き以前に宅地であったかのごとく装って、そうして宅地に地目変更されているということになると、この問題処理、それからこういうような問題が今後起こらないようにいろいろ各省庁間で話し合いをするというお話が出ておりまして、農林水産省あるいは法務省等も加わって意見の調整をし、善後策を講じるというような話が出ておりましたが、建設省としてもやはり一枚しっかりかんで、そして意見を述べられるべきではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。

鹿島尚武建設省計画局民間宅地指導室長

○鹿島説明員 都市計画法の規定によりまして、市街化調整区域である土地につきましても、いわゆる線引きの際すでに宅地であった土地につきまして都道府県知事がその旨を確認するという行為のあった土地につきましては、一定の要件に該当する場合に限りまして建築物の建築が認められるたてまえにただいまなっておるわけでございます。そこで、従来からいわゆる既存宅地の確認に関しましては、この宅地が市街化調整区域となった時点におきましてその現況が宅地であるという土地でありまして、建築物の建築等に際し開発行為を伴わないものであって、かつ市街化調整区域となった時点における土地の現況の確認につきまして私どもは通達を発しまして、土地登記簿、固定資産課税台帳等により判断するようにただいままで指導してきたところでございます。  御指摘の事例につきまして、ただいま既存宅地の確認の前提となります土地の登記簿上、線引き前にさかのぼって地目が農地から宅地に変更されたことによりまして問題が生じたわけでございますから、今後はこうした不動産登記法による登記手続から都市計画法による既存宅地の確認手続に至ります一連の過程におきまして御指摘をいただきましたような事態が生ずることのないように、法務当局等関係機関と密接な連携を図りまして、御協力、御指導も得ますとともに、私どもといたしましても、開発許可権者たる都道府県知事の行う既存宅地の確認につきまして、なお一層その審査の厳正を期するように指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、農林水産省にもお尋ねしたいのですが、午前中からいろいろ指摘をされております本件の地目変更については農地法違反じゃないかという指摘があったのですが、これは農水省としても農地法違反だという認識を持っておられるのかどうか、どうですか。

吉國隆農林水産省構造改善局農政部農政課長

○吉國説明員 具体的な個々の事案につきましては、現在愛知県の担当部局の方で調査をいたしておりますが、新聞に報ぜられましたような、また本日御指摘のありましたような事実があるといたしますれば、農地法違反の可能性がきわめて強いケースであろうというふうに考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、警察庁にお尋ねいたしますけれども、午前中刑事局長の方から、この事案の内容は刑法百五十七条、公正証書原本不実記載、それから都市計画法違反という御指摘があったのですが、農地法違反というような観点で調査を進めておられるのかどうか、お尋ねします。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 午前中の横山議員に対する法務省刑事局長の御説明にありました事案は、大阪の方の事案に適用された罪名であるというふうに承知いたしておりますが、この愛知のケースについて同様の罪名が適用できるかどうかというのは、まだ詳細な事実関係はつかめておりませんので何とも言えません。ただ、似たような形態でございますので、刑法で申しますれば公正証書原本不実記載罪、それからこれに関連して、この行為に随伴して各種の特別法違反がございます。農地法も入ると思いますが、そういうものを念頭に置いて現地ではやっているというように理解いたしております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 農地法違反の疑いが濃いというふうな点は、先ほど農林水産省の方からもおっしゃったので、その辺のところも踏まえてしかるべき措置を早急にとっていただきたいということを警察庁の方にも要望いたします。  刑事局の方、これは私の方でも、大阪で逮捕されたのは二人で、一人が指名手配中だ、これが日本育成会という新生右翼と称される団体に加入している人だということまで聞いておるのです。この愛知の事案の問題についてもそういった観点で検察庁としても早急に対処をしていただく必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうなのでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま警察の方から御答弁がありましたように、現在愛知県警の方で調査といいますか広い意味の捜査を始めておられるということでございますから、検察当局といたしましても、警察と密接な連絡をとりながら適切に対処いたしたいと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 民事局長さん、途中からおいでになったので、いまのこの問題についてわからぬかもしれませんが、午前中はずっと聞いておられたと思うし、愛知の農地から宅地への地目変更の不正登記事件の問題についていまお尋ねをしておるのです。  そこで、私はこの事件を知りまして、これはなかなかうまい手だなと、ほめる意味じゃなくてうまい手をやったものだなというふうに思うのです。登記所、法務局の登記関係の人のお話ですが、それでいきますと、これもいろいろお話がありましたが、現況主義だ、現況が宅地ということであればその地目変更登記申請は受理して、申請どおりに登記手続をするのだということです。先ほども私が指摘しましたし、午前中にもありましたし、一つはここにも持ってきておるのですが、これは愛知県の海部郡の佐屋町なのですが、原因及びその日付、昭和四十年五月、日は不詳。いつかわからない五月のある日に宅地になったのだ、こういう理由なのですね。こういう登記原因でもって地目変更申請がなされて、それが通っていく。しかし、登記官の人は現況を見て現況で判断するのだ。昭和四十年五月当時からずっと宅地の状況であったのかどうかという点は一体どういうふうにして判断したのだろうか、この登記原因と現況主義とどういうふうにして結びついているのだろうか、私は不思議でしょうがないのですけれども、その辺ちょっと説明していただけませんか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 今回の事件を私ども振り返ってみまして、一つには、宅地と申しましょうか、現況の認定に甘さがあったのじゃないかという点を反省しております。それからもう一つは、その現況にいつなったかという原因年月日の認定の点におきまして、確たる資料なく認定したという点が問題になったのじゃないかというふうに考えております。登記官といたしましては、従来は、現況にいつなったかということは、たとえばもう十年前に家が建っておったというような場合には、すでにその当時宅地であったということが認定できょうかと思いますけれども、そういう確たる資料がございません場合には、申請人の言うことをうのみにして処理をするというようなきらいがあったのじゃないかというふうに考えておるわけであります。  今回の事件が起こりまして、先ほど建設省の係官がおっしゃいましたように、既存農地の認定にこの登記簿謄本が非常に重要な役割りを果たしておるということを改めて認識したというような登記官もおるのじゃないかと思いまして、その辺を十分に指導していきたいと考えておるわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そういうようなことでいろいろこれから協議を進められて、対策を考えられると思うのですが、建設省の方も一枚加えていただいて、この線引きの意味というものをきちっと位置づけてやってほしいと思うのです。いままで伺ったところによりますと、愛知県の農地林務部、それから名古屋の法務局等々でいろいろ協議をしているようですが、法務局の方は、現況主義で私の方には間違いはありませんでしたというような言い分、それから林務部の方では、いや知事の認可もないのに勝手にこんなことをされては困るのだということで、言い分がどうもうまくかみ合っていないような話を聞いているのですよ。だから、その辺のところはきちっとチェックができるようにということを望みたいのですが、これは時間がありませんから、強く要望して次の質問に移りたいと思います。  そこで、最初にお尋ねしようとしました土地家屋調査士法の問題についてお尋ねします。  土地家屋調査士法が一昨年改正をされましたが、その際に当委員会で附帯決議がつけられております。幾項目かあるわけですが、この附帯決議の遂行状況を簡潔にお願いしたいと思うのです。この附帯決議は、御承知のように、一つは、土地家屋調査士業務に対する社会的需給に応ずるような適切な措置をとってほしい。それから二番目が、不動産表示登記制度の適正な運用を期するため、十七条地図を早急に整備しろということですね。それからもう一つその関係では、職員の充員等について積極的に努力してほしい。それから大きな三番目は、土地家屋調査士会が行う研修事業に積極的に協力すべきだ。それから四番目が、土地家屋調査士の報酬。それから五番目が、公共嘱託事件の委託について積極的に推進して隘路を打開してほしい、こういう内容ですが、どういうふうにこの附帯決議を遂行しておられるのか、まず最初にお尋ねいたします。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 土地家屋調査士に対する報酬額につきましては、従来も日本土地家屋調査士会連合会と十分協議をいたしまして、調査士の業務の実態の把握に努めて、それに即した報酬額の改善に努力をしてまいったわけでありますが、ただいま問題になっております附帯決議の趣旨もあることでありますから、今後ともさらにこの趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いま私は附帯決議の内容も概略申し上げて、これについてどういうふうに遂行しておられるのかというふうにお尋ねしたのですが、報酬問題についてちょろっとお述べになっただけであとはほとんど触れておられない。その辺のところは一体どうなったのですか。ほかのところは全然やってないのですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 ちょっと質問を誤解しておりまして、失礼いたしました。  附帯決議の趣旨全般につきまして、従来ともその実現に努力をしてまいったわけでございますけれども、まだ不十分な点もあろうかと考えておりますので、今後さらにこの附帯決議の趣旨を生かして土地家屋調査士会の制度の充実に努めてまいりたいと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いまの御答弁では、具体的に私がいま申し上げましたような各項目にわたってこういうふうにやっておりますという答弁には決してなってない。だから、何もやってないのではないかというふうに言われても仕方がないと思うのですが、きょうは時間がありませんから、ほかの問題は逐次折を見てお尋ねします。だから、しっかりこの附帯決議を尊重してしかるべき遂行の努力をやはりやってほしいと思うのです。  きょうはそのうちの特に四番目の報酬の問題について、いまちょっとお触れになったのですが、お尋ねをしたいと思うのです。  この附帯決議にもありますように、「土地家屋調査士の報酬については、その業務の実態に即して速やかに改善を図ること。」こういうふうにあるわけですが、いまお答えになった程度では、速やかに改善を図っているというふうにはどうもくみ取ることができないわけなんです。調査士の方々の仕事、最初に申し上げましたように国民の貴重な財産の範囲、権利関係を確定する非常に大切な仕事なんですね。ですから、土地で言いますと、きちっと境界の石を発見をしたり、それが道路に埋まっている場合は掘り起こしもしなければなりませんし、特に都市部でそういうところが多いと思うのですが、あるいは都市部では建物が入り組んでいて、その建物の実態を正確に把握するあるいは土地の範囲を正確に把握する、相当な重労働もあり苦労もしておられるというふうに聞いているのです。だから、そういうような仕事をしておられる調査士会からは、現在の報酬ではとてもじゃないがやっていけない、早く改正をしてほしいのだという要求が非常に強く上がっている。これは御承知かと思うのですが、そういう要求が強く上がっているという点は御承知なんでしょうね。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 この土地家屋調査士の報酬額は、各単位会の会則の変更という形で行われるわけでありまして、、会則は法務大臣が認可するということになっております。会則は総会で審議をするということになるわけでありますが、総会が大体毎年五月ごろに行われるというふうになっておりまして、その総会に間に合うように報酬額の改定の問題が持ち上がっておるというような実情でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 何かそれは土地家屋調査士会が勝手に総会で決めるみたいなことをおっしゃったのですが、それから法務省の方の認可が要るということをおっしゃったのですが、もともと調査士会が決めたのを法務省が認可するみたいなおっしゃり方をしているのですが、この前の法の改正の審議が国会でなされましたときに、当時の香川民事局長さんが、物価上昇分等をそれに乗じた改定をまずやって、その上で根本的な体系の変更に取り組みたい、それから今後連合会と検討を続けてまいりたい、こういうふうに答弁をしておられるのですね。  実際はどういうふうに決められているかというと、これは土地家屋調査士の方々の機関誌だと思うのですが、「業界展望」というのがありまして、「報酬問題の現状と批判」、いろいろな意見が書かれているのですが、全部を紹介する時間がありませんが、一つだけ紹介しておきますと、現状はこういうふうに行われている。それは民事局長さんもとくと御承知のはずだと思うのですが、「約二、三年ごとに連合会が法務省と報酬変更について協議を行っている。この協議は常に法務省の意見に強く支配され、法務省が納得できるような報酬額に減額修正され、法務省の意向に寄り切られた形で連合会は合意させられている。」こういうような状態で行われているのだという指摘がなされているのですよ。こういうような実態じゃないかと私も思うのですが、その点はどうなんですかね。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 先ほど申しましたように、各単位会ごとに会則で報酬額を決めるわけでありますが、その会則については、先ほど申しましたように法務大臣の認可ということになっておりますので、調査士会の方でも認可になるような会則をつくっていただくということになっております。  そこで、法務省の方、私どもの方で日調連と協議をいたしましてその最高額を決めまして、その最高額以内で各単位会がそれぞれ報酬額を決めていただくということになっておるわけでありますが、私どもといたしましては、一方において調査士の方々にしかるべき報酬を保障しなければならないという面もございます。しかし、また一方、調査士というのは法律による職種と申しましょうか業種でありますために、その報酬額については国民といいましょうか利用者の側からする一定の限度というものもあるわけでありまして、私どもはその辺の兼ね合いを考えまして、決定に当たりましては日調連と十分に協議をいたしまして、データを出し合って十数回にわたって協議を重ねまして合意に到達をして、そして結論を出すということをいたしておるような次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 数回にわたって協議を重ねた結果ということですが、先ほど私が指摘いたしましたように、結局は法務省の減額修正要求に押し切られてしまうというのが実態のようなんですよ。  それで一番の不満は、私がいろいろ聞いたところによりますと、法務省が修正案を出されるそのもとになっている算定の基礎資料、そういうものがちっとも明らかにされない。だから、その辺のところまで明らかにしていただいて、いま局長さんがおっしゃったように依頼者である国民の側の負担の問題もありますから、諸物価の高騰、実際の経費、それから専門的知識を駆使しての労働費、そういったものをきちっと資料に基づいて判断をする、こういうことなんだというのが少しも明らかになっていないというのが一番の御不満のようなんですよ。  だから、その辺のところを明らかにして、こういうような金額が妥当ではないのかという意見の調整あるいは話し合いがなされないと、やはり先ほど私が読み上げた指摘のように、法務省に押し切られてしまった、いつも不満だ不満だということで仕事をおやりになっておられるという実態も聞いているのです。報酬規程の中の三項といいますか、「特に経費がかかった場合は」云々という項目もありますけれども、やはり基本的な報酬の額が低く抑えられ過ぎているという不満がありますので、その辺のところの資料を示して十分納得のいくような協議をしていただきたいと思うのです。  その要望に対する御答弁をお願いすると同時に、法が改正になりましてからもう二年たっているわけですが、近いところで報酬を改定するという協議に入って、その改定された報酬額を認可するというようなことを考えておられるのかどうか、いかがですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 報酬額の算定基準につきましては、基礎資料を準備いたしまして、それを示して協議をいたしませんことには、これはもう協議にならないわけでありますから、十分にそういった資料についての説明をし、納得を得てやっておるわけでありますが、基礎資料ということでまとまった形では、そういうものはないということになろうかと思います。  それから、今回の報酬額の改定でございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、五十四年に一度改定がございまして二年たっておるわけでありまして、その間諸物価の高騰などもございます。すでに今回報酬額の改定について調査士会から申し出がありまして、現在協議中でございます。——

安藤巖日本共産党

○安藤委員 基礎資料の問題につきましては、いろいろな関係のデータがありますから、一つにまとまっているのがあるかどうかわかりませんけれども、しかし、何かまとまったものがなければ協議にも入れないと思うのです。問題は、局長さんがおっしゃったように、各単位会で云々ということをおっしゃったのですが、各単位会の一般の会員の方々に、なるほどこういうような資料に基づいて法務省はこういう意見を出しているのかということがわかるような形をやはりとっていただきたいと思うのですよ。その辺の御努力をしていただきたいと思うのですが、そういうことはどうなんでしょうか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 私どもといたしましては、日調連と協議をいたしておりますので、日調連傘下の会員の皆様に対しては、日調連においてその周知の方法を講じていただきたいわけでありますけれども、私どももいろいろな機会があろうと思いますから、できる限りそういった点について会員の皆様の御理解を得るような努力はしたいと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 続いて、補助者の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  御承知のように、施行規則二十条で、土地家屋調査士の方々が補助者をお雇いになるについては所轄法務局長の承認を得なければならぬ、こういうふうになっているわけなんですね。ところが、この補助者の問題につきましては、この前の法改正の審議のときにもいろいろ議論があったようですが、届け出制というようなことにしたらどうだろう、それも法務局へだけではなくて所属調査士会への届け出というようなことで、仕事の内容についてのチェックは、それぞれ調査士の方々が独立して業務を行って、責任を持ってやっておられるわけですから、そのチェックに任せてほしいんだという要望が強いというふうに聞いておるのですが、その点は御存じですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 補助者につきましては、これを野放しにいたしますと、調査士業務が企業化をすると余りに膨大な規模になり過ぎて、業務の適正を保持することができないということから、補助者の認可制、許可制ということを維持したいというふうに考えておりますけれども、ただいま御指摘ございましたように、その許可権者をだれにするか、たとえば調査士会にするかというようなことを含めまして、補助者制度のあり方については現在関係の機関と協議もいたしておりますし、私どもの方で検討もいたしておるというような実情でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 関係の方面というか、関係の人たちとおっしゃったか、協議をしているというふうにおっしゃったのですが、具体的にどこのどういう機関と協議をしておられるのかということと、この問題につきましては、先回の五十四年十二月七日の当委員会における審議の際に、貞家という政府委員の方の御答弁がありまして、「自主的なチェックということも十分考慮に値することであると思いますし、」ということも言っておられて、「調査士連合会あるいは司法書士連合会とも忌憚のない協議を今後十分に尽くしていきたい、」こういうふうに言っておられるのですよ。だから、私が先ほどもちょっと言いましたように、自主的なチェックというようなことをやはり十分考慮して、この法務局長の承認がなければならぬ——これはたくさん書類をつけるんですね。申請書を五通に何か戸籍抄本もつけて、使用届を三通も出してというようにたくさん、それは必要なことであればやむを得ぬと思うのですが、事務もなかなか煩瑣であるし、そして自分たちできちっとチェックするから、あるいは会でチェックするからということで、政府委員の答弁も先ほども言いましたように、自主的なチェックというのは十分尊重しなければならぬ、こういうような方向ですので、そういう方向で御検討をいただきたい、そういう方向で協議をしていただきたいと思うのです。  だから、いま実際に協議をどこでやっておられるのか、そういう内容の協議をしていただけるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 補助者制度についてのいろいろな要望というものは、これは調査士会と似たような司法書士会についても問題があるわけでありまして、この点についての要望は、調査士会よりもどちらかというと司法書士会の方が強いものがあるように承知いたしておるわけでありまして、調査士会よりもむしろ日司連との間での協議が進んでおるというのが実情でございます。  それから、いまの自主的なチェックでございますが、私どももその可能性と申しましょうか、そういうことは十分あり得るといいましょうか、好ましいことである、司法書士会なり調査士会なりがそれにふさわしい団体になりましたときには、まさに好ましい方向であるというふうに考えておるわけでありますが、現在の段階におきましては、そういった業界内部におきましても、司法書士会なり調査士会なりにおいて補助者承認制度について自主的なチェックをするということは困難じゃないかとかいうような意見もございますので、しばらく実態を見た上で検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 いろいろ意見があるようだけれども、自主的なチェックということの意義というのか意味というのか、そういうことも含めて考えていきたいという御答弁をいただいたと思うのです。  ところが、これは東京法務局長名で東京土地家屋調査士会長あてにことしの一月二十七日付で「土地家屋調査士の補助者使用の承認について」という、これは通達か何か知りませんけれども、こういう題名の文書が出されておりまして、その中で、未承認補助者の解消を図りたい、だから、未承認補助者を使用しておる会員があれば必ず承認申請をしなさい、そして、「四月一日以降未承認の補助者を使用していることが判明した場合は、厳正に対処する考えでありますので申し添えます。」ということまで申し添えてあるわけです。  こうなりますと、これは確かに施行規則二十条があります。ありますけれども、先ほど局長さんがおっしゃったような自主的なチェックというのも考えるんだ、それから紹介いたしましたような答弁もあるわけですね。自主的なチェックというようなことも含めてこれから検討していきたい、それからいまおっしゃったようにそういうことも検討しながら協議もしていきたいということですね。となると、これはそういう規則があるとは言いながら、いかにもいたけだけしく厳正に対処する考えだ、こうでしょう。すぐ出せ、こうでしょう。何かいまおっしゃったようなことと逆行しているような感じもするんですがね。そこで、いろいろこれについて会内部でも強い御批判があるようです。だから、本当はこれは撤回してもらいたいという強い意見があるんですよ。逆行しているじゃないか、私どもの自主的なチェックをどうするんだ、撤回してほしいという要求があるんですが、その関係についてはどういうように考えておられますか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 東京法務局長の書面、私も見ましたが、内容は、懲戒事例その他を調査をしておったところが未承認の補助者がかなりあるということがわかった。現在、自主的なチェック等を含めていろいろと制度のあり方について検討しておることは事実でございますけれども、現在では何と申しましても施行規則の二十条というものがあるわけでありまして、法務局長の承認制度というものが厳として存在しておるわけでありますから、これに違反した事例があるということに対して注意を促したということで、これはこれで私としてはやむを得ないものだというふうに考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 そこで、それはそれとして、先ほどから御答弁いただいたように、自主的なチェックを考慮するということも含めて協議をしていきたい、あるいは検討もしていきたいというお話ですので、そのことを強く要望しておきます。  そこで、土地家屋調査士の方々の業務の遂行については、いろいろ法あるいは規則あるいは各会の会則等々で規定があるわけですが、調査士会に所属することとか、事務所を設けることとか、事件簿をつくることとか、自分名義の領収証はきちっと出すこととか、いろいろあるのですね。こういうようなのを総合的に判断しますと、調査士の方々は依頼者から直接仕事の依頼を受けて、そしてそれを遂行するというような点からいって、独立をして責任を持ってやる業務だというふうに思うのですが、その点は間違いないでしょうね。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 ただいま御指摘のような業務であるというふうに私どもも考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 ところが、私ここにいま書類を持っているのは、西武不動産株式会社渋谷営業所名義の書面があるのですが、この西武不動産株式会社というのは、とにかく建物をつくってマンションを分譲するということを業務にしている会社ですが、たまたま東京の調査士会に所属しておられる調査士の方がここから不動産を買われたわけです。そうしましたら、こういう文書を渡されたというのです。「登記関係業務委託について」「登記申請に関する業務を下記のとおり業務委託しておりますのでご了承頂きたくお願い申しあげます。」そして下記に、業務委託会社は横浜にある京浜測量株式会社、司法書士と土地家屋調査士の二人の方の名前が載っているのです。  こうなりますと、この土地家屋調査士の方は直接業務委託を受けるのではなくて、西武不動産が全部そこへ行きなさいということで京浜測量株式会社というのが業務の委託を受けて、そして、これは雇用関係にあるのかどうかわかりませんけれども、直接受けてないということはどうも確かなようですね。京浜測量という法人、会社が委託を受けるというかっこうになるのです。そして、時間がありませんからついでに言いますが、登記の手数料の登記費用というのが中の項目にありますが、西武不動産株式会社渋谷営業所が領収証を出すことになっているのです。  となりますと、先ほど私が言いましたように、それから私が申し上げましたことに賛成をしていただきましたように、調査士の方々はそれぞれ責任を持って独立して業務をやっておられる、領収証を自分の名義で発行しなければならぬというのは、ちゃんと規則の二十五条にも書いてあるわけですね。ということからすると、これはそういう土地家屋調査士法並びにその規則に違反する行為にならないのかどうか、お尋ねしたいのです。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 具体的な事件の内容を十分承知いたしておりませんので、断定的なことを申しかねるわけでありますが、ただいまのような御質問ですと、受託者は果たしてだれであろうか、西武不動産なのかあるいはその調査士なり司法書士なりであろうかというようなことが疑問になるわけでありますが、もし調査士なり司法書士でないということになれば、確かに業法違反の疑いといいましょうか、そういう問題が起こってくるのじゃないかと考えます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 業務を委託する会社は京浜測量株式会社ですというふうに書いてあるのです。いま局長さんは会社なのか調査士さんなのかどうかということをおっしゃったのですが、はっきりとこれは委託を受けるのは会社だと書いてあるのですから、そうなりますと、いまおっしゃったように違反の疑いが非常に濃いということになるわけですね。まあうなずいておられますから、そういうことでいいですか、どうですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 受託者が司法書士あるいは調査士以外であるということになれば、違反の疑いは強いということになろうと思います。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 こういうような問題がたくさんありましてね。それから、金融機関がローンでお金を貸し付ける、だからその関係についての登記事務なんかも全部一手で私のところで引き受けます、私のところが指定する何とかという会社に委託しなさいということでたくさんやられているのですよ。  そこで、これは東京都内の金融機関各位あてということで、東京土地家屋調査士会が文書を出しているのです。時間がありませんから全部を紹介するわけにいきませんが、土地家屋調査士の資格は一身専属性のものであって、とにかく土地家屋調査士その人に頼まなければなりませんよという規定になっているのです、だからそれに抵触するおそれのある事例がこうこうでありますといって、五つ並べてあるのですが、一、二だけ申し上げますと、たとえばこういう言い方なんですよ。「銀行ローンを利用して、自宅を新築したので自分で選定した土地家屋調査士に「建物表示登記」を依頼しようとしたところ、金融機関から指定の事務所一調査士か司法書士かも不明一に委嘱するから断わるようにと云われた。」これは違法行為ですよという指摘です。それから「金融機関から、登記をするための必要書類の提出を求められ、調査士、司法書士等と会うこともなく一括して預けさせられた。」こういうのは全部違反ですよという通知を出しておるのですよ。  こういうような事実がいま現実に起こっておるのです。だから、その辺のところを法務省として、先ほどおっしゃったような、委託を受けるところが調査士でない、会社だというようなことになれば違反の疑いがあるということであれば、きちっとした行政指導をしていただきたい、しっかりしてほしいと思うのですが、どうです。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 具体的な事例でございますので、個別の事案を十分に調査いたしまして、適切な措置をとりたいと考えております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 大臣もいま聞いておられたように、本当はもうちょっと後でお尋ねしようと思うのですが、不動産会社とか、たとえばこれは大手がたくさんあるのですよ。三和不動産、大和土地建物、三井信託銀行不動産部、日交土地、有楽土地、安田信託銀行不動産部、三菱信託銀行不動産部、こういうところがみんなこういうようなかっこうでやっているのです。そして、これは建設省の認可法人ですが、日本補償コンサルタント協会というところに入っておる。たとえば三井信託銀行不動産部はそこに入っておるのですが、土地家屋調査士が二百四十人うちにはおりますということでもって全部一手に引き受けてやりますというようなことをやっておるのですよ。となると、これはいまのお話からすれば土地家屋調査士法に違反する疑いが非常に濃いのじゃないかと思うのですね。こういうような点についてしっかりと目を光らせていただきたいと思うのですよ。大臣、どうでしょうかね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 民事局長からもよく注意していきたいという御答弁を申し上げたわけでございますので、十分注意してまいります。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 それから、建設省にも来ていただいて先ほどお尋ねしたんですが、今度はいまの関連でお尋ねするのですが、先ほどちょっと言いました日本補償コンサルタント協会というのは建設省の認可法人だと思うのですが、間違いありませんね。

中嶋計広建設省計画局公共用地課長

○中嶋説明員 日本補償コンサルタント協会でございますが、先生の御指摘のとおり建設大臣の方で認可をいたしておりまして、五十二年の七月に設立された社団法人でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 その中に、先ほど言いましたように、たとえば三井信託銀行株式会社不動産部というのがあって、土地家屋調査士二百四十名おります、それから登記事務もやりますというのが書いてある。それから、サンコーコンサルタント、これは株式会社三井鉱山の系列の会社と聞いておりますが、土地家屋調査士六人おります、そして物件権利の調査もいたします、登記事務もいたしますというようなことまでちゃんとうたってあるんですよ。そうなると、そういう権利の確定、本来の調査士が依頼者から直接業務の委託を受けてやらなければならぬことを、法人が委託を受けて、そして従業員と思われる土地家屋調査士に仕事をやらせる、こういうようなかっこうになるのですよ。先ほど法務省の民事局長さんがおっしゃったように土地家屋調査士法違反の疑いがあるということになるわけですが、これは認可法人ですからやはりきちっとチェックしていただいて、その辺のところをしっかりしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

中嶋計広建設省計画局公共用地課長

○中嶋説明員 ただいま御指摘の補償コンサルタント業を営んでおります業者でございますが、これは現在特別の法規定はございませんで、任意に営業いたしておりまして、私どもも個々の業者を指導監督すべき立場にはないわけでございますけれども、業種の内容といたしまして、公共事業を実施いたします起業者が公共事業のために用地を買収するわけでございますが、用地を買収するに当たりまして、この用地の買収そのものは起業者がみずからの権限と名義と責任において買収を行うわけでございますが、その際に必要とします資料を提供するとかあるいは作業の一部を受託をするというようなことを業種の内容といたしております。  公共事業のために起業者が用地を買収いたしました場合に、最終的にその土地につきまして必要な登記を行うことになるわけでございますけれども、この登記を行うに当たりまして手法としましては、一つは土地家屋調査士でございますとか司法書士の方に代理人として登記手続をやっていただくという手法をとることがございます。それからもう一つは、公共事業の起業者というのは大体国とか地方公共団体でございますので、みずからが登記所に嘱託をいたしまして登記をするという手法がございます。この二つの手法のどちらをとるかということは、そのときの起業者の内部事情とか都合によって選択いたしておりまして、どちらによらなければいけないということではないわけでございます。現在のところ、どちらかといいますと、起業者がみずから嘱託をいたしまして、登記所にお願いをいたしまして登記をしているというケースの方が多いようでございます。起業者がみずから登記所に嘱託をいたしまして登記をお願いする場合におきましても、必要な書面等を作成する過程におきまして、その作業の一部を外部の方にお願いをして代行していただくというようなことはあり得るわけでございます。  その補償コンサルタント協会の会員になっておられます業者の中で、個々の業者については先ほど申し上げましたとおり指導監督すべき立場にはございませんけれども、協会を通じまして私ども承知しておりますところでも、会員になっております業者の中に土地家屋調査士でございますとかあるいは司法書士の資格をお持ちの方、ないしは現在まだ土地家屋調査士あるいは司法書士になっておいでではないけれども会に入会をしまして正規の手続をとれば資格を取れる、そういう資格をお持ちの方がみずからコンサルタント業を営業しておられるとか、これは司法書士あるいは土地家屋調査士の事務所とは別にコンサルタントという業を営んでおられる場合でございますとか、あるいは補償コンサルタント業の経営者ないしは役職員として在職しておられるというケースはあるようでございます。それからまた、この補償コンサルタント協会に入っております会員が、先ほど申し上げました公共事業の起業者がみずから登記所に嘱託をいたしましてみずからの権限と責任において登記を行います場合に、その作業過程において必要となります作業の一部を分担しているということもあるようでございます。  しかしながら、こういうことをいたしましてもあくまでもこの際の登記は起業者がみずからの権限と責任において登記事務を行っているわけでございまして、言うなれば補償コンサルタントはその一部の作業を分担しているという補助者的な役割りということでございますので、このことをもちまして直ちに土地家屋調査士法の規定と抵触するということにはならないのではないかというふうに考えている次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 もうあと二つほど質問をして終わりますが、民事局長さん、先ほど補助者の問題では規則の二十条があるから云々ということをおっしゃったのですが、自主的なチェックということも考えるということをおっしゃったのですが、いまのお話でいくと、土地家屋調査士の方がおる企業が本人ということでやるというのはいいのですが、土地家屋調査士の人が代理人ということでやるということになってきますと、土地家屋調査士の人がその業務を遂行するについていろいろ補助者がいると思うのです。その補助的な役割りをする人は、この当該会社の従業員が実際問題としてやるのじゃないかと思うのですよ。そうすると、そういう人たちは補助者としての法務局長の許可も何も得ていないという事実が出てくるわけですよ。そういう関係からしてもこれは大問題じゃないかと思うのです。だから、補助者の問題をそんなに厳しくお考えなら、その辺もきちんとチェックしないとしり抜けになっているのじゃないかということなんです。  そしてもう一つは、たとえば私は土地家屋調査士の資格も何も持っておりません。しかし、何々事務所というのをつくりましてそこへ調査士の方や司法書士の方や何か全部雇い入れて、その関係の仕事を全部一手に引き受けますというようなことをやってもいいのかどうですかね。  というのは、これは具体的に事例があるのです。新宿の野村ビルという高層ビルの一角に事務所を構えておられる、こういうきれいなパンフレットをつくっておるところです。桑原光典事務所。司法書士・行政書士・一級建築士・測量士・土地家屋調査士事務所、桑原光典事務所となっている。それで土地家屋調査士がだれなのかということも全然書いてないし、この人がそういう資格を持っているかどうかもさっぱりわからない。そして疑問な点は、新宿野村ビル桑原事務所へ電話くださいというのがあって、中身には所有権移転登記から建物滅失登記から建物表示登記から全部やります、こうなっている。そうすると、土地家屋調査士の関係にだけ限って言っても、建物表示登記を実際にどの調査士がやるのか、調査士の方が直接引き受けられるのかどうかもさっぱりわからないのですよ。こういうようなことが現実にまかり通っているのです。そうしてこういういわゆる企業化という動きがもっともっと拡大していくのじゃないかという気がするのですよ。  だから、調査士の業務の独立性という問題、それからさっき問題になった補助者の問題等々からしてこれは相当の問題を含んでいると思うのですが、その点についてどういうふうに対処をしていかれるのか、この二点をお尋ねして終わります。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 調査士法の十九条によりますと、調査士会に入会をしておる調査士でなければ調査士業務をしてはいけない、こういうことになっておりますので、典型的な形の調査士業務ということになればそういう形で行われるものであろうというふうに考えるわけでありますが、時代が変わるにつれましていろいろな形態の企業化した調査士業務というものがあらわれてくるのであろうと思います。ただいま御指摘になりました事例も、弁護士などについても共同事務所ということで事務所を共同にするけれども、事件はそれぞれの弁護士が責任を持って処理するという体制であれば問題ないわけでありまして、調査士、司法書士についても同様の形態が行われておるのかあるいはそうではないのかというような点が問題になろうかと思うわけでありますが、新しい事態に対処できるようにいろいろと検討して、そして適切な措置をとっていきたいと思っております。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 終わろうと思ったのですが、適切な処置をというよりも、いま具体的な事実を私が言ったのです。これは先ほど確認しました調査士の業務の独立性と補助者の問題から見て問題じゃないかと思うのですよ。放置しておいていいのかどうかということなんです。そういうことも認めるという方向で対処するのか、法の趣旨に照らしてきちっとやっていくという方向で対処していかれるのかどっちなのか、あるいはそれもまだわからぬのか、それを含めてもう一言、済みません。

中島一郎法務省民事局長

○中島(一)政府委員 まず、実態についての情報を集めるということが大事であろうと思います。それによりまして調査士法違反の疑いがあるということであれば、それなりの措置をとらなければならない、こういうふうに思うわけでありまして、また、現在の調査士法に違反するけれども、本来調査士法はそういうものをも賄えるような規定を設けなければならないのだということになれば、そういう方向での検討をしなければならないということを含めて、将来の対処の方法を申し上げた次第でございます。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 終わります。ありがとうございました。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、きょうは投機、資本主義の制度の中で悪の華と言ってもいいような投機というものの恐ろしさ、これについて質問をしようと思っておるわけなんですが、ことに野放しになっておる外為法の改正に伴う外国の商品取引について一定の規制を加えなければ善良な市民にえらい被害をこうむらせることになるのじゃないか、そういう質問をしようと思っておりましたところが、けさの新聞で、これはれっきとした大きな資本をバックにしておる人物なんですが、札幌トヨペットが倒産してしまった。これは資料金二億円で従業員が一千人だ。倒産して会社更生法の適用を受けるらしいのですが、しかし、それにしても従業員一千人の人たちの生活にもかかってくることですが、何をしたか調べてみますと、西華産業という会社の株を約百六十七億円とも二百億円とも言うのですが、これを買い占めていった。しかも、本人岩沢社長に融資をしていた金融筋の北海道拓殖銀行の首脳の言うには、「岩沢氏は個人と会社の区別がつかず、自分の会社を煮て食おうと焼いて食おうとオレの勝手だ、という考えがあった」と言い、三社首脳も資金繰りの全容はつかんでいないほどに個人と会社との区別が全くついておらなかった。  この事件はこの事件としてそれぞれ金融機関なりあるいはトヨタ資本なりが処理するにしても、おれのつくった会社だから煮て食おうと焼いて食おうと自由だと言うような人が会社に株の投機のツケだけで百六十七億円も穴をあけたということになりますと、それでしかも会社が更生法の適用の申請をしたということになると、これは明らかに特別背任の嫌疑が十分だと思うのです。ただ、新聞の伝えるところによると、「刑事事件に発展する様相を見せてきた。」ということで、まだこれについて捜査の内偵もしているとも何とも書いてないんですけれども、これはこのままにしておくつもりなんですか。それとも特別背任というようなことで捜査に踏ん切るつもりなんでしょうか。非常に微妙な段階ですから大きな基本的な方針だけ、これだけの大きな社会的な問題になっているのをこのままにしておくのか、これは法務省なりあるいは警察庁もきょう見えておるのですが、どちらからでもいいのですが、回答を願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘のような報道がなされたことは私も承知しておりますが、まだそれだけで直ちに犯罪になるかどうかということも言いかねるのじゃないかと思いますし、捜査当局といたしまして、犯罪の疑いがある場合にはそれを正すことは当然でございますけれども、具体的事案に関しましてこれから捜査をするとかしないとかということを言明して取りかかるということも、事柄の性質上適当でないことでございますので、いまの段階ではどういうふうにやるかということにつきましてお答えを申し上げかねるわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これだけのことが各新聞に伝えられて、これはもう捜査の端緒になることは明らかですわね。それでもまだするともしないとも法務省としては方針が決まらないのですか。いまの段階だから、一応内偵はしてみますけれども、しかしそれが犯罪の構成要件を満たすかどうかは別ということならわかりますが、この程度のことではどうにも法務省としてもあるいは警察当局としても手を出すか出さないかわからないということだけで済みますか。あなたの答弁をもし発表したとすれば、国民は納得できないと思うのですね。私は、微妙な段階にあることはわかっていますよ。しかし、これはこのまま放置できますか。おれのつくった会社だから、おれが煮て食おうと焼いて食おうと勝手だと言って、そして自分個人で株を二百億近く、百六十七億とも二百億とも言うのですが買って、それで会社更生法の適用を受けた。これが特別背任にならぬですか。少なくとも特別背任の嫌疑の端緒にはならないですか、新聞でこれまで書かれて。端緒のある場合には捜査を始めるのが当然じゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 私も、犯罪の疑いがある場合にほっといていいということを申したわけではございませんで、いま先生がおっしゃいましたように微妙な段階でもあるかもしれませんし、捜査というものはこれからこういうふうにやりますということで始めるものでもないだろうという意味で、やるとかやらないとかということについてこの段階で申し上げるのは適当ではないのじゃないかというふうに申したわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、本日の各紙で伝えているこの記事、あなたお読みになりましたか。これは少なくとも捜査の端緒になり得るとはお考えになりませんか、これからそれを実行に移す移さないは別としても。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 同じようなお答えで恐縮でございますけれども、犯罪の疑いがあります場合に捜査当局がこれに取り組むことは当然でございます。ただ、具体的な事案に関して、その事件は犯罪の疑いがあるからこれから捜査をやりますというようなことを申し上げること自体が適当でないのじゃないかということを申したわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 非常に微妙な段階ですから、答弁も微妙になるのはあたりまえだと思います。その点はわかりますが、少なくともこういうことが書かれている場合は捜査の端緒の一つになり得る、そういうことはお認めになりますか、これまで新聞が書いているんですから。おれのつくった会社だからおれの自由だ、金融筋も、会社と個人とちっとも区別はしてなかった、自分が二百億も投機をして株を買った、それで会社更生法の適用を受けている。これまで書かれている場合は、少なくともこういう各新聞社が書かれているということが捜査の端緒の一つにはなり得ませんか。非常に微妙な段階ですから、そのものずばりとは言いにくいかもしれませんが、少なくとも一つの捜査の端緒にはなり得る、しかし、それだからといってすぐ捜査に出るか出ないかは、微妙な段階だから国会というようなところで答弁できないと言うなら、それならわかりますよ。これまで書かれていて捜査の端緒にもなり得ないということはないと思いますね。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 私が申し上げたのも、林委員の仰せになったような趣旨で申したつもりでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 非常に微妙なことですから、慎重を期しておられると思いますから、わからないことはないです。  さて、それでは私の本論の外国商品取引について御質問をしたいと思うのです。  海外の商品取引所の商品取引をめぐるトラブルが新しい手口として、国内の商品取引ならいろいろの商品取引所法もありますし、それから取引所の会員のそれぞれの自粛をした申し合わせ、指示事項等もあるわけなんです。私の場合は香港なんですが、香港だということで、これが取引所法で決められていることも、それから会員の間の国内取引だとすれば申し合わせもその事項も全く無視されて野方図に行われている、こういうトラブルが起きているわけなんですが、罰則については後でいずれ法務省にも聞きますが、これは通産省や農林省の方へこういうような被害の訴えはありませんか。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 被害の実態を正確に把握するのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、通産省の場合、本省と通産局を通じまして、いわゆる消費者相談を通じて実態を把握しておるわけでございますが、これによりますと、香港関係の相談件数は、昨年の七月から二十数件ということでございます。ただ、この件数は、実は全部被害の件数ということではなくて、相談のあった件数ということでございます。(林(百)委員「紛議ですか」と呼ぶ)紛議もございますし、それから、こういった勧誘があったからどうしようかというような一般的な相談も含まれておりますので、すべて被害件数というわけではないと思います。  それから、当省以外にも、他の省庁とかあるいは場合によっては地方自治体といったようなところへ被害を届けているケースもあると思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 農林省の方はどうですか。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 農林水産省につきましても、香港先物市場に係る受託活動についての照会等が、昨年の八月以降で同じように地方公共団体、警察等の公共機関から参りましたもの、あるいは個人でこれは一体取引をしていいかどうかというような初歩的なものまで含めまして、現在まで二十数件照会が来ております。今後とも実情把握に努めたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 いずれにしても、両方合わせると五十件近い。問い合わせといいますが、やはり不安だから問い合わせが来たんだと思うのです。  私のところへ実はこういう手紙が来ております。その香港の商品取引の勧誘の仕方の一端がわかると思いますから読んでみますと、一つは大工さんのところに来ているんですね。無差別電話で来るわけです。これは国内の商品取引ですと、取引所指示事項で取引員の無差別電話勧誘はいかぬというのですが、読んでみますと、   私は、諏訪郡原村で大工を業としております。年は三十二歳。妻と子供三人と両親との七人家族です。   これまで、株を買ったこともなく、もちろん商品相場など全く知りませんでした。   財産は家屋敷だけで、預貯金も百万円程度しかありませんでした。   昨年十二月一日、昼ころ、突然パブリック・コモディティーズより電話がありました。   「商品取引をやってみないか。砂糖と大豆はいまが底値だ。砂糖は毎年暮れになると値上がりする。また、大豆はアメリカでとれなかった上、ソ連が不作のため買い占めているので急騰する。   砂糖は一口六十万円、大豆は一口二十万円。砂糖一口と大豆二口で百万円出さないか。いまなら一週間で二割もうかる。値上がりすることがはっきりしているから絶対損はしない。もうかることを一一〇%保証する。もうかることがわかっていてやらないのは損だ。この電話を幸福の電話だと思ってくれ。……」云々。一時間余の長電話でした。   ともかく直接説明したいということで、電話が切れ、その夜、早速佐藤、遠山の両名が訪ねてきた。   電話と同様の話があり、必ずもうかると言うなら百万円(砂糖一口、大豆二口分の委託証拠金)出しましょうと、取引委託契約書に署名した。ただし、金はすぐに用意できないので後で連絡することにした。   十二月四日、証拠金の請求があり、百万円用意できたので同日夜、自宅でパブリックの営業マンに支払った。   翌朝、パブリックより電話にて、「大豆をもう三枚やらないか、絶対大丈夫だ」との話がありました。必ずもうかるとの話についあいまいな返事をしてしまいました。   ところが、昼過ぎにまた電話がありました。「暴落してしまった。このままでは損害が大きくなるので、大豆の売りを五枚入れなければだめだ。売り、買いの両建てにしておけば絶対損害は出ない。」との話に不承不承絶対に損害のないようにやってくれと返事をしました。   翌日夜、電話にて「砂糖も暴落し、追加証拠金として八十四万円ほど必要だ。」とのこと、「金はない。」と返事したところ、「それなら、一枚追加して両建てにしておくしかない。」と言われ、「そうしてくれ。」と頼みました。   十二月七日、夜、証拠金二百二十万円と追加証拠金八十四万円を請求された。私は「もうかる話に金を出したのだから、そんな金は払えない。」と断ったところ、「家屋敷がなくなっても知らない。」とおどされました。   私は、八日、九日借金して現金二百二十万円をつくり、九日夜、パブリックに支払いました。   その後、追い証の請求がしきりに厳しくありましたので、先生によろしくお願いします。というのです。これが一つ。   もう一つは、これは私の村の人で公務員の人なんですが、   昨年十二月六日ごろ夜七時ごろに突然電話がありまして、パブリックという会社を知っていますか、と言うので知らないと言うと、この会社は海外と砂糖、大豆、綿花等の商品取引をしているので勉強してみませんかということでした。そして詳しい説明をしたいのでお宅へお伺いしたいということでした。私は電話だけではよくわからないので説明だけならということで承知した。   次の日の夕方に電話がありまして、いま、原村ペンションに用事で来ているのでお宅へ行きたいというので順路を話した。渕上泰史の名刺を出して、砂糖、大豆、綿花等のパンフレットを見せて約三時間くらい説明を受けた。いろいろな説明の中で「この取引は大もうけもないが大損もない」とか「取引が終わった日から十営業日には預かり金を家まで持ってくる」ということで砂糖だけの説明をしただけで、他の商品の説明をしてくれと言うと混乱するのでと大豆、綿花等の説明は拒否された。砂糖と取引するように強く契約を勧められたが、きょうは「考え」させてくれと言いまして帰ってもらった。   翌日、農場の呼び出し電話で、渕上外交員からお金の支払いは後でよいので砂糖一枚(六十万円)を入れさせてくれと強制的な依頼があり、私は半信半疑であったが一枚入れることにした。   この日の夕方に渕上外交員が家に来て、契約書二通を私が書きました。払込金の用意はなかったのでこの日は払わなかった。   後日、渕上外交員が来まして、払込金の請求がありましたので現金六十万円を渡し、私が預かり証を受け取った。この日の夜九時過ぎに渕上外交員が来まして、会社からの連絡で相場は下がったので追い証金を入れてくれということであった。私は払い込む金はもうないと言うと、物件でもよいということで、もう一枚入れれば追い証金はなくなるということであったので国債を入れることにした。   二、三日後、利付国債七十万円を支払った。   その後北里節男外交員より電話がありまして、相場は明日必ず上がる。いま入れればチャンスだし、一千万円くらいは入るという話で二枚入れた方がよいということであった。このときもお金は後日でよく、物件でもよいということであった。私は二枚入れることにした。しかしこのときもこの日の終わり値で相場は下がり大損失をした。   後日渕上、北里外交員が自宅まで来て、昨日は相場が下がって申しわけなかったと言った。そして、未払い分二枚分の証拠金を払い込んでくれと言ったが、お金の用意がなかったので後日支払うことで、念書を書いた。   その後毎日のように電話や手紙で支払いの催促が来たが、支払っていません。この手紙の次に、私あてですが、   先日御報告申し上げたパブリック・コモディティーズの件について御配慮いただいておりますが、お問い合わせの商品の取引の実態は、私の方から会社に対し売り付けも買い付けも指図したことは一度もありません。会社が勝手に操作して同封のような報告書を一方的に送りつけ、私に多額の金を払い込むよう強要してきました。その強要の方法は金貸しの取り立てにも似て恐ろしいことでした。妻などは電話に出ることすらいやがるようになり、家じゅう暗い思いで正月を過ごしました。こんな一方的なことで何も知らない人々がこれ以上犠牲にならないように先生のお力添えをお願いいたします。  これは非常にリアルに実態が書いてあるものですから読んだわけですが、、これをこのままにしておいていいものかどうか。  これは国内商品取引によると全部、こんな電話で無差別の勧誘もいけないし、夜こういうような電話や訪問をしてもいけないし、あるいは本人の何らの指図もないのに勝手に取引して、そして損いたしました、もうかるような話をして、損いたしました。この電話を幸福の電話と思え、必ずもうかるからというようなことを言って、必ずもうかるというような勧誘もした。国内の商品取引なら絶対にこんなことはできないはずなんですがね。こういうことを大工さんだとか、それから生きた社会の荒波にそうもまれていないような公務員の皆さんにやって、そしてその商品取引へ引きずり込んでいくというようなことは許しておいていいかどうか、これは通産省と農水省と両方にお尋ねしたい。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 御指摘のような問題、われわれも非常にいま深刻な問題と受けとめておりまして、特に昨年の七月から研究会を設けまして、一般投資家に被害を与えるおそれのあるそういった海外商品取引の勧誘ということについて規制の必要性、それから、規制するとした場合にどんな具体的内容にしたらいいかというのを現在検討しておるところでございます。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 農林水産省も通産省同様、今後相談して取り組んでまいりたいと考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは通産省にお聞きしますが、産業政策局長から取引問題研究会の中間報告を求めて、その結論がそろそろ出るのじゃないですか。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 先ほどの研究会でございますが、実はつい二時間ほど前に研究会の中間報告をいただきまして、その香港関係の海外商品取引の勧誘問題につきまして中間報告をいただきました。  この内容を御紹介いたしますと、実は中身は二つに分かれておるのですが、前段の方は国内で私設市場をつくることにつきまして、これは実は野放しになっておるのでございますが、この点についての規制の提案がございます。  それで、後段の方が現在問題になっております海外の取引所に取引を勧誘するという件でございますが、これにつきましては二つ案が提案されております。第一の案というのは、海外の取引所における取引を一般投資家に勧誘するというのを一切禁止をするという案でございます。それから第二案というのは、一般大衆を対象として勧誘するのを禁止はしないけれども、いまのような野放しではなくて、たとえば許可制にするとかあるいは登録制にするといったようなことで、一定の資格のある者に勧誘させる、それによって悪質な業者を駆逐するという二つの案が提案されております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そのほかその報告の中には、金の悪質な取引による被害の発生が大分問題になって当委員会でもしばしば問題になりましたけれども、これについての答申も何かありませんか。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 金の問題は、主として国内で数年前から発生したブラックマーケットの関係だと思いますが、これにつきましては、いまの報告書の前段の方の国内の私設市場が野放しになっているということでございまして、これについては三つの案がやはり提案されております。  これは第一の案と申しますのは、私設の先物市場をつくるのを一切禁止する。それから先物取引とか延べ取引といったような危険な取引に一般大衆を勧誘するのも禁止する。したがって、日本では先物取引をやろうとすれば、商品取引所法に基づいて上場してあるケースについてだけ認めるという案が第一の案でございます。それから二番目の案といたしましては、市場の開設そのものは必ずしも禁止しないけれども、一般大衆を対象としてこういった取引に勧誘することを禁止する。つまり、そういった危険な取引と大衆との接点を遮断するというのが第二の案でございます。それから第三案というのは、勧誘そのものも認めるけれども、勧誘する事業者について許可制ということにして、一定の有資格者だけに認めるというのが第三案でございまして、このいずれの案をとるかというのは、先ほどの海外の取引所の問題と同じですが、今後広く各層の意見を賜って、さらに審議会等の場で議論していきたいという提案でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 農水省の方はどうでしょうか。通産省の方は、いまの研究会の中間報告がいまから二時間ほど前に出たのですが……。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 この件につきましては、農林水産省といたしましては特別の委員会等をつくって勉強しているわけではございませんが、通産省と折々相談もしておりますし、これからどうしていこうか、方向を出してまいりたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは通産省にお尋ねしますが、この中間報告、さっきちょっと審議会にかけて、そしてさらに結論を得てというのですが、審議会にかけて将来は立法か何かするようなお考えがあるわけですか。審議会にかけて意見を聞くだけなんですか、あるいは省令なりですね。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 審議会の審議次第でございまして、断定的なことは申し上げかねますけれども、いま申し上げたような内容ですと権利の制限ということでございますから、当然立法措置とかそういうようなことが必要になるのではないかと私は思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ここに出てまいりますパブリック・コモディティーズというのは、富士商品株式会社と特殊な関係があることが図解でパンフレットで出ておるわけなんですけれども、そのことは御存じですか。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 先生のおっしゃいますのは、富士商品が発行しております月刊「ふじらいふ」という広報誌がございますが、その広報誌の一部にパブリック・コモディティーズがみずからの業務につきましてかなり大きな広告を載せておるということであろうかと思われますが、そう考えてよろしゅうございますか。それならば承知しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ただ、あなたの言う「ふじらいふ」なんですけれども、これを見ますと、これが富士商品のパンフレットだということがはっきりわかるようには書いてないのですけれども、ここにパブリック・コモディティーズというのがあるのですけれども、富士商品株式会社というのは国内の商品取引員でありますから、それがパブリック・コモディティーズを通じてたしか富士香港商品取引公司ですか、そういうのとコモディティーズとが取引をするようにして、そのパブリック・コモディティーズをあなたのおっしゃるこういうように富士商品株式会社の裏一面に書いてあるわけです。これにそういう記事が全部載っているわけですが、たとえば、日本の商品取引所の綿糸取引と同じようなシステムで香港商品取引所の綿花取引を国内でも安心して取引できるようになりましたというようなことになっておりますが、そうすると、富士商品株式会社は、こういう外国での商品取引との兼業あるいは支配関係、これは商品取引所法違反で、たしか十万円以下の罰金になっていると思いますが、そういうのに該当してきませんか。兼業している、あるいはこの会社は支配関係にある。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 まず第一に、パブリック・コモディティーズによる勧誘活動が富士商品グループの活動と同じ雑誌を使いまして行われているという点から、香港における取引が国内商品取引所における売買取引と同様の主務省による指導監督や委託者保護の仕組みがあるものと一般の方々に誤解を生むおそれがあるという点につきましては、私ども非常に好ましくないと考えておりますので、通産省と御相談いたしまして、御指摘の趣旨に即しまして富士商品を指導したいと考えております。  第二の、富士商品の兼業業務あるいはパブリック・コモディティーズが富士商品の支配下にあるかどうかという点でございますが、パブリック・コモディティーズの会社の内容等につきまして、必ずしも完全にわかっているというわけでもございませんので、速やかに調査をしたいと思います。富士商品からおっしゃるような兼業業務に関する届け出はなされておりませんので、調査の結果によりまして対処方針を考えたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 通産省にお尋ねしますが、この富士商品株式会社、これは紛議の点では相当の数が届け出られていると思いますが、これの最近の数がわかりますか。どのくらいの紛議数がありますか。

江崎格通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長

○江崎説明員 ちょっと手元にただいま数字を持ち合わせておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 法務省にお尋ねしますが、商品取引については、国内ですと必ずもうかると言い切って勧誘するようなことをしてはならない、もうかることもあるし、損もあるということを誠実に述べなければならないというような規定があるわけなんですね。ところが、このパブリック・コモディティーズによりますと、もうかることは間違いない、「百万円出さないか。いまなら一週間で二割もうかる。値上がりすることがはっきりしているから絶対損はしない。もうかることを一二〇%保証する。もうかることがわかっていてやらないのは損だ。この電話を幸福の電話だと思ってくれ。」こういう電話が来、ところが、最後の取引の帳じりを見ますと、損金二百万ということになって、追い証とそれから手数料の請求が来ている。それから、取引委託契約準則によれば、パブリック・コモディティーズと委託者との間に紛争が起きて裁判が起きた場合の管轄は、香港の裁判所というようなことになっているのですね。  こういう複雑な関係で利益誘導をした場合、パブリック・コモディティーズのこういう商品取引の勧誘の仕方は詐欺罪かあるいは賭博とも言えないこともないと思いますが、スペキュレーションは一種の賭博ですから、賭博とまでは言わないにしても、場合によってはこれが詐欺になるのじゃないか。必ずもうかる、それで、売り買いは何の指図もしないで売り買いして、もうかることは一二〇%だ、この電話は幸福の電話だと思えとまで言っておいて、最後の帳じりは二百万円の損害だ。しかもその請求は、もう金貸しよりももっとひどくて、暗い正月を送ったというような結果になっているわけなんです。こういうやり方をやって、しかも無差別でだれへでも電話をかけていく、こういうやり方は、場合によっては詐欺罪の疑いにも該当するように思うわけなんですけれども、そういうようなことはお考えになりませんか。  あるいは、それほどまでひどいことをやるとするなら、私のところだけでも二通来るぐらいですから、これは泣き寝入りしている人やあるいは各省庁へ行っている人もあると思うのですが、これは同じ村に無差別で電話したんで、国内商品取引では無差別電話勧誘は禁止されているわけなんですが、それをやっているわけなんですね。こういうやり方をして、もうかることは間違いないと言って金を出させて、そして追い証金を出させて、最後のけりは二百万だ。下がったときにどういう売り買いに入ったのか、上がったときにどういう売り買いに入ったのか全然わからない。最後はツケだけが、ここにありますが、来ている。そしてどれも、二人ともみんな損害になっているわけなんですね。一人の人の方は、公務員であった人は九十八万円の損だからこれを出せ、一人の大工さんの方は二百万。こういうような商品取引の勧誘の仕方は、これはやはり民事的には公序良俗に反しますし、刑事的には詐欺の疑いがかけ得るんじゃないでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま林委員からいろいろと具体的な御指摘を受けたわけでございますが、犯罪の成立という面から見ますと、必ずしもまだ事実関係がはっきりしない点もあるんじゃなかろうかと思います。それに、一般の善良な方が、必ずもうかるということで、その言葉に乗っかってお金を出されるということはあり得ることだと思いますけれども、お話のような事柄自体、いわば一種の投機的なことでございますので、それで直ちに詐欺ということになるかどうかという点には、なお問題が残っているんじゃないかと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたは法務省で、非常に手がたい答弁ばかりここでしていますけれども、しかし、善良な大工さんだとか農場で働いているような末端の公務員、こういう人に香港で商品の先物取引をさせることを勧誘して、しかも、幾らもうかるからと言って、何の指図も受けないで取引して、もうかるもうかるで、追い証を出せ出せ出せと言って、そして最後にツケを持ってくる、こういうことを刑事的にもそのまま野放しにできるのでしょうか。  少なくとも、そういうことをやって、そうして同じ村に二件もあるということは、全国的にもありますし、また、その親会社という富士商品株式会社ですか、これはもう紛議の点ではワーストテンに入る有名な会社なんですが、こういう点で、善良なそういう住民が泣いているということになれば、少なくとも内偵をしてみる、それはお考えになりませんか。検察当局はかたい答弁ばかりしていてどうにもしょうがない。一線で働くのは警察当局ですから、警察当局に私も具体的に申しました。  なお、これは、パブリック・コモディティーズというのは福岡市にありますから、少なくとも内偵をしてみて、こういう善良な市民やあるいは末端の公務員を泣かせるようなことをさせないようにする、そういう内偵をするというようなことはお考えになりませんか、両方にお聞きしたいと思うのです。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 ただいま先生のおっしゃった事実関係だけの上で判断いたしますと、これは直ちに、詐欺罪になるのかどうかというのは、この事実関係をもう少し調べてみなければわからないと思うのですが、私の方も、この問題は初めてお聞きしたあれでございますけれども、この種の問題につきまして、この取引の過程でやはり詐欺だとかあるいは脅迫的な言辞があるとかそういう具体的な事実があれば、それはそれぞれの法律に照らして対処していくということは、そういう所存であるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 内偵をしてもらいたいと思うのですがね、こういう訴えがあるわけなんですから。それはもちろん、会社には会社としての自分の利害を守る権利は当然ありますけれども、しかし、こういう頻々として同じ村に無差別な電話が来て、こんなような被害を与えているという場合は、内偵ぐらいはしてみられてもいいんじゃないですか。その結果を、どうぞ先生よろしくというのまで書いてありますので、私に知らせていただけばと思うのです。  私の方で、きのう警察当局の方が、どんな質問がありますかと言うからお知らせして、それで、この福岡にあるパブリック・コモディティーズというのは一体どの程度の会社で、どのくらいの人がいるのか、香港との何百万という取引をするのですから、調べてくれと。私の方も調べてみましたが、どんな状態だったか、警察の方でおわかりですか。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 この会社について現在把握しておりますのは、本店が福岡市の中央区にある、五十五年の三月十一日に設立されて、発行株式一万株、五百万円の資本金ということでございまして、代表取締役は伊藤圭一という人物、さらに支店が長野県の松本市、それから沖繩県の那覇市にあるということを承知しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 社員はどのぐらいなんですか。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 従業員は、本店に十名、松本支店に十名、那覇支店に十八名、合わせて三十八名ということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それは相手の会社のプライバシーを害してまでやれとは言いませんけれども、しかし、こういうようなことが行われておりますので、できるなら内々に警察の方で調べていただきたいと思います。  最後に、時間が来ましたので大臣にお聞きします。  いま通産省では、こういうスペキュレーションデ——それはだれにもそういう気持ちもあるでしょうし、また、そういう営業が許されているのですからやることはあり得ますけれども、しかし、それも限界がありますし、それから、なるべく健全なそういう取引をするというのが精神だと思うのですね。そういう意味で通産省は、先ほど大臣もお聞きのように、政策局長が私的な諮問機関である取引問題研究会へ諮問をして、中間の報告を得て、さらにそれを商品取引所審議会にかけて将来は立法までしていきたいと。  それは三つの問題がある。一つは、金についての悪質な取引による被害の発生をどう規制していくか。それから、商品取引所法第八条の解釈変更による、取引所でなくて私設の勝手な市場を設けて、無規制に目の届かないようにして私設の先物市場を開くような動きがあるので、これを規制していかなければならない。それから、香港みたいな海外取引における取引の勧誘が、常軌を逸したような勧誘、私が先ほど手紙で読んだような勧誘の出現と、一般大衆の被害の発生の兆しがあるので、これを規制しなければならない。将来は国会に立法までしょうという意欲のあることを通産省では答弁なされましたけれども、私は、そういうスペキュレーション一般、全部禁止しろなんということは言いませんけれども、しかし、なるべく健全な方向へ、そして善良な市民に思わざる被害を与えないような、暗い正月を送らなければいけなかったというようなことをさせないようにしなければいけないと思いますが、通産省のこういう方向について、将来立法とかなんとかということになると、いずれ法務省の方にも御相談があると思うのですね。大臣としても御協力なさる意思がおありかどうか、ちょっと最後にお聞きしておきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いまお話を聞いていて、最初は日本の商品取引所の取引行為かなと思っておったら、どうも違うようでございまして、そうするとまさに詐欺行為じゃないかなというような感じも持っておったわけでございまして、そういう事態が現に行われているということは大変残念なことだと思います。法務省にあるとすれば罰則関係のことでないのかと思いますけれども、ぜひ必要な規制をしてもらいたいものだと私も感じております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 では、これで終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会

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