法務委員会 第3号
- 発言数
- 135 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1981/03/03
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所梅田総務局長、大西人事局長、原田経理局長、川嵜民事局長兼行政局長、小野刑事局長及び栗原家庭局長からそれぞれ出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○高鳥委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 二月五日に、ロッキード事件の全日空ルート公判を審理しておりました東京地裁刑事十二部の金隆史裁判長、五十九歳ですが、地裁内で急死をいたしました。そこで、この裁判の行方はどうなるのか。刑事訴訟法によりますと、被告側の出方いかんによっては、これはどうなりますかわかりませんが、証人の再取り調べまでしなければならないような事態が起こる可能性もある。そういうことになりますと裁判がずっとおくれますし、判決もずっとおくれますけれども、この見通しについてどういうようにお考えになっておるでしょうか。そして金裁判長が、こういう重要な事件を扱っている裁判長がどうして亡くなられたのか、おわかりだったら説明願いたいと思います。
○小野最高裁判所長官代理者 ロッキード事件の今後の見通しでございますが、この全日空ルートの公判は、全日空会社役員のグループ若狭全日空社長外五名に対するものと、橋本登美三郎外一名に対するものと分離して審理が進行しておりましたが、いわゆる会社役員グループにつきましては昨年の十二月に結審しておりましたので、本年の二月十八日に弁論を再開いたしまして、七月の三日に公判手続を更新して同日結審するという予定になっているようでございます。次に、政治家グループにつきましては、七月七日と十四日に公判手続の更新と論告を予定しておる、被告人側の弁論は九月二十一日及び九月二十二日に予定しているというふうに聞いておりまして、この全日空ルートの更新手続は、刑事訴訟規則の二百十三条の二によりまして、この予定されている期日で終了する見込みだというふうに聞いております。
○林(百)委員 刑事訴訟法はもう御存じですからここでは援用しませんが、もし調書の朗読、この要約の朗読に同意しないとかあるいは証人の取り調べをもう一度やるとか、そういうふうなことになるとあなたの言ったような日程で済まなくなる可能性もあると思いますが、その点はどうですか。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいまも申し上げましたとおり、この点は一応三者協議の上でこの予定の日に更新手続を終了するということが話し合われているということで、一応更新手続はその期日で終わるという見通しだというふうに聞いております。
○林(百)委員 そうすると、そのことは裁判所、検察、弁護人側で同意をしているというか、話し合いがついている、こうお聞きしておいていいのですね。調書の朗読なども省略するというか、まあ要点だけは伝えなければならないてしょうが、そういうことで更新手続はこの日で終わる、七月幾日でしたかで終わる、そういうことで話がついている、こう聞いておいていいですか。
○小野最高裁判所長官代理者 会社役員グループにつきましては七月三日、それから政治家グループにつきましては七月七日と十四日の両日を予定していると聞いております。(林(百)委員「更新手続は」と呼ぶ)はい、政治家グループにつきましては、更新手続と論告をこの二日のうちには終わるということを、協議して一応日程をそう決めたというふうに聞いております。
○林(百)委員 実は金裁判長の死亡については、単に一裁判長の死亡ということでなくて、実は去年一年間に裁判官が一名、書記官が三名、事務官が一名死亡しております。これはやはり考えてみなければならない問題だと思うのです。 それで、金裁判長はロッキード事件のほかにどんな仕事をしていたのでしょうか。所長代行であったとも聞いておりますけれども、そういう任務に服していたのか。所長代行だとすればいろいろの職務がそれに加わってまいります。新聞を見ましても、「金裁判長は、同地裁の刑事所長代行として司法行政面も担当「疲れた」ともらしていた。最近は血圧が高く、医者の診察を受けていたという。」こういうふうな状態であったのですが、こういうことは気がつかなかったのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 金裁判長は、いわゆる所長代行というふうに呼んでおりますけれども、所長の下に民事、刑事それぞれ代行というのがおるわけでございますが、その刑事の方の所長代行をしておられまして、いま林委員御指摘のように司法行政事務も行っていたわけでございます。 そして健康状態につきましては、大分前から高血圧の気があるということで、裁判所の行っております健康診断でもそういうことが言われておりまして、御本人もよくわかっておられましたし、裁判所の方でも、健康診断の結果事後措置をとらなければいけないということで、当初は定期的に御本人を呼び出して血圧検査等をやっておったようでございます。途中から、御本人が近所の医者に常時ついて診断を受けるということで、そういう診察も受け、そういう意味での注意をしておられたというふうに聞いておるのです。
○林(百)委員 診察を受けてどういう結果だったか、それを御検討なさったのかですね。この所長代行というのは、最高裁から所長、所長代行という司法行政のルートで裁判の促進だとかいろいろのことをやらなければなりませんし、さらに報告をしなければなりませんし、それから会同、協議会、研さんなどの種類があるのですが、こういうのは月にどのくらいなさるのでしょうか。そして私の聞きました去年一年に裁判官が一名、書記官が三名、事務官が一名死亡していたというのは、これは事実でしょうか。私はこういうことを考えますと、最高裁は裁判官や職員の不足を抜本的に解決して、こういう不幸な事態が裁判所に起こることのないように全力を尽くさなければいけないと思いますが、こういう点についてもう一度御質問したいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま林委員が御指摘になりました裁判官、書記官等の数、これはどこのものかよくわかりませんが、あるいは東京地裁のものですかどうかわかりませんが、私どもの方でわかっております範囲で申し上げますと、昨年、五十五年度に亡くなりました裁判官といたしましては、最高裁判所判事が一名、それから判事が三名、簡裁判事が二名、合計六名、こういうことになっております。
○林(百)委員 職員はどうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 職員については、ちょっといま手元にございませんが、先ほどおっしゃった書記官三名というのは、恐らく全国的なものではないのではないかという感じがいたします。いずれにいたしましても、ちょっと手元に数字がございませんので、明確なことはただいまは申し上げかねます。
○林(百)委員 念のために、私の選挙区の裁判所の裁判官の人員配置を調べてみたのですが、諏訪と飯田に甲号支部がありますが、いずれも合議体であるにもかかわらず裁判官が二名、そして伊那というところに乙号裁判官がおりまして、この乙号裁判官が諏訪に行ったり飯田に行ったりして補充している。また、この裁判官は家裁の裁判官も兼ねたりしているという状態です。甲号支部でありながら二人しか裁判官がいないという裁判所は、全国に一体幾つあるのでしょう。その真ん中にはさまって伊那の裁判所の裁判官は、諏訪の方に行ったり飯田の方に行ったり、あっちに行ったりこっちに行ったりしていなければならない。しかも、本来の家庭裁判所の事件だとかいろいろあるわけなんですね。きのう、こういうのは全国で幾つあるか調べておいてもらいたいと言っておいたのですが、一体どうなっているのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 甲号支部は全国で八十五庁ございますけれども、裁判官三人未満のところ、つまり二人配置されておりますところが二十六庁、一人しか配置されておりませんところが十庁、そこの裁判所だけで合議体を構成できない甲号支部は、合計三十六庁でございます。甲号支部八十五庁との比較をいたしますと四二%程度に相なります。ただ、甲号支部の中でも、最近の人口の過疎化等を反映いたしまして、きわめて事件数の少ないところも多うございます。しかも、本庁に比べますと、甲号支部におきましては合議事件の割合が、民事訴訟事件で約三%、刑事訴訟事件でも一四%程度でございます。 したがいまして、合議事件のきわめて少ない庁にも必ず合議体を構成できる裁判官を配置するということになりますと、全国的な観点からの司法の効率的な運営という点から見ますと必ずしも好ましくはないのではないか。また、御承知のように、裁判官の給源には限度がございます状態から見ましても、全庁に三人配置するということはきわめて困難である。特に、事件の処理能力につきましてこれから大いに研さんを積ませるような未特例の判事補を、左陪席要員としてきわめて事件の少ないところに持っていくのはいかがなものか。そこで、合議事件の少ない庁に対しましては、事件数によりまして二人または一人というふうに配置いたしまして、合議事件の開廷日には本庁あるいは他の支部からてん補をして合議事件の処理をいたしておりますが、そのために合議事件が遅滞するというようなことはないというふうに思います。
○林(百)委員 最高裁ではそうお考えになっているかもしれませんが、現地では、乙号支部の判事が一人しかいないのが、甲号支部へ二時間もかかって諏訪の方へ行ったり飯田の方へ行ったりしている。そうすれば、その乙号支部の機能はほとんど喪失しているわけですね。あなたの言う事件数が少なくなったから甲号支部は三人のところを二人でいいというのは悪循環をしているので、裁判官がいないものだから、行ったって相談に乗らないとか、あるいは次回期日が三カ月に一回ずつくらいしか指定されない、そういうふうに裁判所が充実していないために国民の要望にこたえることができなくて、かえって事件数が減るということもあるので、事件数が減ったから裁判官を減らしてもいいということにはならないと思うのです。 ここにいただいた資料を見ますと、地方裁判所では、民事事件は五十二年と五十四年の二年間で比べますと五・七%ふえているわけですね。簡易裁判所は、民事事件は二年間で一五%ふえている。民事事件などはふえているので、減っているのじゃないですよ。それを判事の方は片手間で、甲号支部は一人しかいない裁判所があるなんという形で、一体現在の裁判所の機能が果たせるとお考えになりますか。 そこは三権分立の一つの大事な柱なのですから、最高裁はもっと毅然として大蔵省へ要求するものは要求をし、そうして行政と立法と司法というものは権威を確立する必要があるのじゃないですか。結局、いま最高裁は行政に従属している。大蔵省がこう言うから仕方がないじゃないか、ここらでがまんしてこういうようにやりくりしようというようなことになっているように思うのです。そういう態度は私が見た態度で、最高裁はおのずから自分の見解があると思いますけれども、大事な三権分立の一つの司法制度がこういう状態に置かれているということについては寒心にたえないのですが、その点はどうでしょうか。 ことし、皆さん方は書記官を三十一名、事務官を四十八名、裁判官は十八名を要求しているのですね。そうして裁判官は十八名のうち十六名、書記官は三十一名要求しましたけれども十三名ですが、これは沖繩の分を入れますとプラス・マイナス・ゼロ、事務官に至っては四十八名要求したがゼロ、こういう回答になっているわけですね。最高裁がみずから要望したのがゼロであっても、それに対して何ら毅然とした態度をとり得なかった。とったかどうか、そこは大蔵省ばかりではなくていろいろな行政的な折衝もあると思いますが、もう少し最高裁は毅然として要求すべきものは要求し、この実情を訴えて至急充足すべきじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 概算要求の段階におきましては、審理期間の短縮を初め種々の要素を考えまして、いわば理想像を描いて増員の要求をし、予算上の折衝を進めていきます間に、事件の動向も次第に明確になりますし、また退職者の数とか翌年度に充員可能な員数のめども固まってくるわけでありまして、これらを勘案いたしまして、最終的には現実的な増員というふうに相なっておるのが例年のやり方でございます。本年度概算要求の当初要求のときには、現在お願いしています数に比べますと多い九十七を要求いたしました。
○林(百)委員 九十七要求して幾らになったのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 九十七を要求いたしまして、本年度の場合、判事十六、書記官十三、事務官三十三、増員の方では裁判部門につきまして六十二、御承知の協力削減で司法行政部門の事務官三十三減じておりますので、現実的な数字は二十九と相なっておりますが、裁判部門につきましては事務官も三十三の増をいたしておりますので、裁判所として一番重要である直接裁判に携わる部門につきましては相当の増員が図られた。司法行政の面では、政府の削減計画に裁判所側としては決して拘束されるわけのものではございません。そこは十分承知いたしておりまして、ただ、政府の方で行政部門について五カ年計画を立てて削減を図っていこうという方針でございますので、私どもの方でも、いろんな報告事項の簡素化あるいは司法行政事務の機械化等を図りまして、一体裁判所独自の立場でどの程度削減できるであろうかということを勘案いたしまして、三十三の減で今後の司法行政部門の事務にも支障がないということで御協力を申し上げたわけでございます。したがいまして、裁判部門につきましては相当の充実が図られたと思っております。
○林(百)委員 何となく言いわけみたいに聞こえるわけなんですけれども、最高裁は一九七三年、いまから約八年ほど前ですが、裁判官を六十一名、職員五百十七名の増員を要求したことがありますね。これがあったかどうか、まずその事実ですね。それがことしに至ってはいま言ったような要員の要求しかなかった。しかも全司法、労働組合の方の人員要求は書記官二百六十七名、事務官三百六十七名、家裁の調査官百十三名、速記官七十五名、行政職の(二)を九十七名ですか、九百十九名という要求がことし出ておるわけなんですが、いかにも内輪の要求で、しかもその内輪の要求も満たされなかった。だから念のために、いまから八年前ですが、一九七三年に最高裁では裁判官六十一名、職員五百十七名の要求をされたことがあるかどうか、それがどうして現状のようになってきたのか、その経過を御説明願いたいのです。
○梅田最高裁判所長官代理者 昭和四十八年、八年前でございますが、仰せのとおり当初要求人員が五百七十八であったことはございます。
○林(百)委員 それがどうして今日こういうようになったのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 当初要求人員は八年前に比べますと相当減ってまいったわけではございますけれども、当初要求の段階におきましても充員の可能性等の検討をし、概算要求書を提出いたしまして財政当局と折衝を重ねてまいるわけでございまして、最近におきましては、定員だけを増加してもそれが埋まらないということでは結局意味がない、欠員のあるものにつきましてはなるべく欠員を埋めていくという方向で考えよう。しかも裁判官につきますと、やはり給源が非常に限られている。しかも質を相当高いものに保たなければならない。大ぜい採って質を下げるというわけにはまいらない。書記官等につきましても家庭裁判所調査官につきましても相当の年数をかけて養成いたしますので、補充できる数にも限度がある。したがいまして、一挙に増員をいたしましても充員できるかどうかという点もございますので、最近では、充員との見合いで毎年じみちな努力を重ねていく方が結局はよろしいのではないかというような点から、このような変遷をたどってきたのだと存じております。
○林(百)委員 八年前に五百十七名の職員を要求したのが、八年後には六十何名というような要望になってしまうということは、あなたの方の説明だけでは納得できませんで、やはり増員も、職員の概算要求が七十九名ですが、九百十九名が七十九名になる、それは質を高めるのだと言いますが、しかし、増員もし質も高めるというのが実際の適宜な措置ではないか、こういうように思うわけです。八年前に職員五百十七名要望したのがことしは七十九名、余りに差が大き過ぎるので、この点はひとつ今後とも質量とも高めていくようにぜひやはり努力をしてもらいたい、こういうように思うわけです。 何かあなたの説明を聞いておりますと、量は少なくなったけれども質を高めるからそれで埋まると言うけれども、五百十七名を七十九名で質を高めるからその五倍の能率を上げさせるなんということは、それは事実上不可能ですよ。あなたの弁解にすぎないと思います。どうしても結論とすれば行政に従属する、そしてそれと妥協していくということに十分警戒をしていっていただきたいと思います。 次に、検察審査会の事務官の問題についてお尋ねしたいと思うのですけれども、検察審査会の事務官で他の仕事と兼務になっておる流用ですね、こういう率はどのくらいですか。
○大西最高裁判所長官代理者 検察審査会の事務局の職員の兼任の関係でございますが、これは実は各地方裁判所の方で、地方裁判所の本庁、支部、それから検審等の事務の繁閑等を考えましてそれぞれ独自に兼務発令を行っておりますために、具体的に何名という数字は、実は最高裁判所の方では把握していないわけでございます。
○林(百)委員 私の方で、これは全司法の労働組合の方の調査だと思いますけれども、最高は八十三名が他の職場へ配置されて兼任している。ほとんどが、六〇%が兼任をしている。はなはだしいところでは局長一名という検察審査会事務局もある。こういう状態ではとても検察審査会の存在意義がなくなってしまうわけですが、こういう数字はつかんでおりませんか。私の方にはそういう数字が届けられておるわけなんですけれども、参考にごらんになりませんでしたか。昨年の五月十五日の全司法労働組合の司法制度研究中央推進委員会の調査の資料にあります。はなはだしいものですよ。こんなことはあなた方知っているはずです。知らないなんて逃げていたってだめですよ。だから、検察審査会自体、検察審査会の審査員自体も実際の機能が発揮できませんから、国民にはもうだんだん縁が薄くなってきてしまっているわけです。宣伝も最近は余りしなくなっていますね。これはやはりいけないと思うのです。これはもっと充実していかなければいけないと思いますが、どうでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 重ねてのお話でございますが、先ほど申し上げましたように、兼務の関係の具体的な数字は、実は最高裁判所の方では正確にはつかんでいないわけでございます。ただ、ある程度の兼務関係があるということは承知しておりますし、現実の問題といたしまして、先ほどもちょっと触れましたように、地方裁判所の本庁でも支部でもそうでございますけれども、同一所在地で、たとえば支部に例をとって申し上げますと、同じ部屋、同じ事務室に裁判所の職員も検察審査会の職員もおるというふうなところもあるわけでございまして、裁判所と検察審査会の事務の繁閑もございますので、そこら辺を見ましてある程度の兼務発令は行われているわけでございます。ただ、そうは申しましても、検審の仕事に支障があってはいけないわけでございますので、最高裁判所といたしましては、そういう支障のないように、みだりに兼務発令をしないようにという指導は常々行っているわけでございまして、そういう著しい兼務、つまり極端なことを申しますと、仕事があるのに裁判所の仕事を兼務であるがゆえに手伝っておるという状況はまずないものというふうに考えております。
○林(百)委員 これはあなたの方の所管でしょう。この数字を調べてくださいよ、流用している検察審査会が幾つあるかということを。私の方で全司法からいただいている資料によれば、五〇%以上が兼任なんです。はなはだしいところでは、検察審査会に局長が一人しかいない。一人では何とも仕事になりませんよ。だから、検察審査会はだんだん国民から離反してしまって、こういう重大な司法制度があるのに運用されないという実態になっていますので、これは調べて私の方に資料を下さい。 しかも、検察審査会の事務員の処遇の問題、これもたびたび問題になっておりますが、たとえば事務局長でも四等級なんですね。ところが、地裁の事務官はほとんどが三等級。まあ四等級もありますけれども。検察審査会の方の事務局長を見ますと、三等級が四十三名、四等級が百五十二名なんです。それで、地方裁判所の事務官を見ますと、もう局長で三等級なんというのはないのです。二等級が四十七名、三等級が二百五十一名なんです。それに比べれば待遇が悪いですよ。待遇が悪い上に流用されていたのでは張り合いもなくなってくるわけですね。任務の自覚も薄らいできますし、この点もあなたの方で調べて私に資料を提出していただきたいと思うのです。 検察審査会の事務官と地裁の事務官の給与の表、それと流用の数字を調べて私の方に提出していただきたい。そうでないと、検察審査会という大事な司法の機能が、これじゃ全く有名無実になってしまうのです。最近ではポスターもろくに張られていない。昔はポスターが張られていたのですが、最近は余り目につかない。私が弁護士をやめているということもあるかもしれませんがね。この方も大分手が抜かれているのじゃないかと思いますが、どうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 検審の事務局職員の兼務関係でございますが、これは全国的に一つずつ調べなければいけないわけでございますが、いまの仰せでございますので、検討してみたいと思います。 ただ、給与の関係でございますが、ただいま検審の事務局長は四等級ということを例におっしゃいましたが、これは二等級から四等級までにまたがっておるわけでございまして、検審の事務局長の中にはある程度の数の二等級の事務局長もおられるわけでございます。定員法の二条からもおわかりいただけると思いますけれども、裁判所職員が全体として二万、そのうちの約千人が検審の職員ということでございます。全体の事務量も、検審と裁判所全体の事務量を比べました場合に、これはやはり格段に裁判所の事務量の方が多いわけでございまして、そこら辺の組織の大きさその他いろいろな問題がございましてこういう格づけがなされておるわけでございますが、検察審査会の事務局職員の待遇につきましては、私どもも従前からその向上のために努力してきておるわけでございまして、決してそれをなおざりにしているものでもございません。今後もそういう点についてはなお引き続き努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○林(百)委員 検察審査会の事務局長の二等級がゼロだとは私は言いません。九人いますよ。それだけれども、地裁の事務官では四十七名いるわけです。それから課長級に至っては、三等級はゼロなんです。地裁の方は二百五十一です。仕事の質、量が違うと言いますが、検察審査会だって、これは重要ですよ。検事の検察権の行使が公正に行われるかどうか、それを国民に問う重要な機関ですから、この事務官は仕事が余りないといったって、質を考えてみれば、それは裁判所の事務官と少しも変わりません。だから、この待遇の改善と流用の改善ですね。半分以上は流用です。中には事務局長一人というところもありますから、これは至急改善してもらいたいし、この資料を私に提出していただきたい、こういうように思うわけです。私は非常に重要視しているから言うわけで、別に悪意があって言っておるわけじゃありませんから、私の真意をよくのみ込んでもらいたいと思います。 次は簡裁ですが、簡裁で裁判官の不在庁はいまどのくらいありますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所は全国に五百七十五庁ございますが、そのうち裁判官が常駐しておりません庁は百五十二でございます。したがいまして、事務を移転いたしております事務移転庁を除く簡裁の二七%になっております。
○林(百)委員 はなはだしいのは、裁判官も事務官もいない簡裁が法律上にはあるはずだ、こういうところはありませんか。
○梅田最高裁判所長官代理者 事務移転をしている庁が全国で十九庁ございます。
○林(百)委員 事務移転ということは、法律上はそこに裁判所があるはずなのに、判事はもちろん、職員もいないということですね。それで、判事の不在の簡易裁判所が一九六六年に百四十四、それから五年後の七一年に百五十五、それからまた五年たって七六年に百五十一、七九年に百五十三と、これはふえていく一方なんですね。それで職員の二人庁が七九年には四十二庁、三人庁が百七庁、こういうわけですね。職員も全く不安な状態にあるわけです。 簡易裁判所というのは、皆さんはどうお考えになっているか知りませんけれども、やはり駆け込み裁判所みたいに一番国民に親しまれて、簡易にいろいろ相談に行くところなんですよ。ここの裁判官があっちへ出張したりこっちへ出張したりしている、あるいは不在庁だ。不在庁が百五十二、私の方は百五十三という数字ですが……。一番国民と接触している簡易裁判所がこの状態では、これは裁判所の機能を果たさないことになるのじゃないですか。これはどうして埋めていくつもりですか。 私が先ほど言いましたように、簡易裁判所がよその裁判所から来て月に一回くらい補てんするというようなことだものですから、もう事件なんか一日に十把一からげにかためてしまう、それから地域の住民が相談に行っても裁判官がいないために全然相談に乗ってもらえない、こういう不満が非常にあるわけなんですよ。だから、あなた方何か官僚的な考え方を万一お持ちになって、簡易裁判所なんというのは裁判所の一番末端の機構でここは軽く扱っていいなんとお考えになったらとんでもない。国民の方から言えばここが一番親しみやすいですよ。裁判所の機能として。それが裁判官がいない簡易裁判所が百五十三もあったのじゃたまったものじゃないですね。中には裁判官も職員もいない簡易裁判所なんて、そんな裁判所ありますか。 これは私は、裁判所が行政に従属してしまって三権分立の大事な柱という自覚がどうしてもないと思うのですよ。それで成績主義で、最高裁から高裁へ、それから地裁の所長代行で、それで処理数は幾らだか報告しろとか、それをまるで保険の勧誘員みたいにグラフにして、おまえの裁判所は処理数が少ない、この事件は何でこんなに長くかかるか、まるでしりを引っぱたいているような……。だから裁判所なんか、あなた、あれですよ、全く形骸化してしまって、東京の地方裁判所なんか五分置きに一件、十五分置きに一件、午前中に二、三十件、午後に二、三十件、一日に百件も入れているのですよ。そんな状態になっているのですよ。あなたも裁判の経験がおありになるかもしれませんが、釈迦に説法になりますけれど、もう裁判所は全く形骸化している。しかも司法行政ばかり先行してしまっている。これは憂うべき状態じゃないでしょうか。 したがって、問題はもとへ戻りますが、簡易裁判所の判事の不在庁に対してどういうような処理をお考えになりますか。これはまた職員にも仕事がしわ寄せされてくることはもちろんで、職員の方も大きな負担になりますけれども、将来どういうようにするお考えですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 確かに仰せのとおり裁判官が常駐していない庁が百五十二ございますけれども、それらの庁について事務量を見ますと、通常の事務量の十分の一以下のところが六〇%程度、五分の一以下で考えてみますと百五十二庁のうちの九〇%くらいがそういった事務量になっておるわけでございまして、全国的な視野での司法の効率的な運用という面から見ますと、やはりそこに必ずお一人配置するということになりますと、なかなか人数的に賄い切れない。しかも、その程度の事務量のところに一人おらなくても、ごく近所のところで兼務あるいはてん補をいたしますと十分仕事も賄い得る、通常の裁判事務、緊急の裁判事務、いずれにつきましても事務には支障のないようにてん補されているというふうに承知しております。裁判官、職員が全然おりません事務移転庁もございますけれども、これは当初からのものと、その後建物が非常に老朽化して建てかえなければならないというような臨時的なものとして事務を移転しているところもございます。 かつて昭和三十九年、当委員会におきましても、管轄法の改正のときに、簡易裁判所のうち未開庁が相当あるので、それらについて再検討して、開庁を必要とするものあるいは当面開庁を必要としないものに区分して、法的措置、予算措置を行うべきであるというふうな御決議もいただいておりますので、私どもこれらの検討を怠っていたわけでは決してございません。ただ、これらの裁判所を今後どうするかということになりますと、簡裁全体を含む裁判所の適正配置の問題もございまして、全国的な視野あるいは総合的な視野から検討を要する問題がございますので、なおしばらく検討させていただきたいというふうに考えております。
○林(百)委員 検討なさるのはいいですが、全司法からの資料によりますと、五〇%以上が検察審査会の職員が流用されておりますし、それから、簡易裁判所もいま言ったような不在庁が百五十三もあるというような状態は、これは放置しておくわけにいきませんので、至急これに対する対策を講じていただきたいと思うのです。 それで、年齢別で裁判所の職員の調査をしてみますと、これははなはだ憂うべき状態があるのです。今後五、六年たちますと事務官が大量にやめていくという数字が出ておるのですが、これについては最高裁としてはどういうようにお考えになっておりますか。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所職員の年齢の関係でございますけれども、ただいま林委員御指摘のように、五十歳前後と申しますか、そこら辺のところの人数がかなり多くなっております。これはただ単に裁判所だけではございませんで、国家公務員全体としてもそういう傾向がございますけれども、裁判所職員につきましては、その高齢者の率がやや多いということは言えようかと思います。 そういうことで、いま御指摘になりましたように、数年後にかなりの数の職員が退職年齢を迎えるというふうなことがございますので、そういうことも私ども十分予想しておりますので、将来数年先の措置をどうするかということについて現在鋭意検討を続けておるところでございます。いずれにいたしましても、その時期に大量退職が起きまして、職員の補充がつかないために裁判事務がおくれて国民に御迷惑をかけたり、あるいは職員の労働条件にしわ寄せが起きないような施策をいまから鋭意検討しなければいけないということで検討しておるところでございます。
○林(百)委員 私の方の調査によりますと、五十三歳から六十一歳までの事務官あるいは書記官が現在三百八十八人いるわけなんです。五十三歳から六十一歳が三百八十八人ということになりますと、五、六年先には大量に事務官、書記官あるいは調査官等が退任するような事態が起きることはいまから予想しなければならないと思うのですね。それに対してどういう対策をお考えになっていますか、それともそういう認識はありますか。
○大西最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、年齢構成はきちっとわかっておりますし、数年先にそういう大量退職時代が来るということは十分認識しております。それで、そのときになって急にあわててもいけませんので、現在からそのときを見越していろいろな施策を考えていかなければいけないということで検討しておるところでございますが、いまここでそれでは具体的にどうするということを申し上げる段階には至っておりません。
○林(百)委員 最後にもう一つ、家裁の調査官の問題ですね。これも非常に数が不足しておる場合があります。そしてここ七、八年の間に四百名ぐらい退官する、しかも流用もされている。言うまでもなく、家裁と言えば、父母が心痛している子供の処分をいつまでもペンディングにさせておくということは好ましくないので、調査官をどうしても充実させなければいかぬと思いますけれども、これに対しては、最高裁の方では、四年で養成しているのを二年に切り上げて調査官の専門的知識を満たそうとしているというような答弁があるようですけれども、そういう安易なことではできないわけですね。いろいろな子供の非行に対してあらゆる専門的な知識を持っていなければなりませんから、これに対しては十分な手を打たなければなりませんけれども、近く大量にやめる可能性もありますし、そして調査官が十分仕事ができないような条件もありますけれども、この調査官の養成についてはどのようなお考えを持っていますか。また、今度の概算要求でも全然していないようですが、これは概算要求をしなくてもいいのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 それでは私の方から、最近家庭裁判所調査官について増員をしていないではないかという点につきましてお答え申し上げます。 調査官につきましては、昭和四十年から四十九年までの十年間に定員を百二十人増員させてまいりました。最近五、六年増員を図っていないことは御指摘のとおりでございます。少年非行は近年増加の傾向にあるようでございまして、資料の二十八ページにもございますけれども、昭和五十四年には約五十四万件に達する、また、昭和五十五年は五十八万件になっておるようでございます。しかし、長期的に過去を振り返ってみますと、昭和三十年代の後半から四十年代の初めにかけましては、年間約百万件の少年保護事件が係属しておったようでございまして、その当時に比較いたしまして、現在特に家裁の調査官の負担が過酷であるとは考えられない。 一方、現在の調査官の数で十分かと申しますと決してそうは考えておりませんが、委員御指摘のように、家裁の調査官は、心理学、教育学、社会学等の専門的な知識に基づいて事件の調査に当たるという職務の性質上、任用の基準も高うございますし、養成人員にも限度がございますので、定員をふやしても充員されないようでは困る、こういった関係で事件は多少増加傾向にはございますけれども、一応いまの人員で何とかやっていけるということで、最近の増員の方はもっと緊急に必要なところへ振り向けまして、裁判官、書記官等の増員に努めているというような状況でございます。
○林(百)委員 それでは、これで質問を終わりたいと思いますが、アンケートで調べてみますと、家裁の調査官になった人自体、そういう制度があったということは知らなかったという人が六〇%以上あるわけですね。ですから、家庭裁判所の調査官を充実することは非常に重要だというように思うわけです。いま言ったパーセントは検察審査会の方ですから。ただ、判断が下るまでは父母が非常に心痛しておりますからね。だからその点は至急充実して、子供の非行の措置に対する父母の心配を早くなくするということを心がけていただきたい、こういうように思うわけです。 そこで、最後にお尋ねしますが、これは奥野さんにもお聞きしますけれども、先ほども申し上げましたように、いろいろ質問をしてみますと、どうも補充すべき人員が補充されなかったり、裁判官のいない家庭裁判所があったり、それから、甲号支部でありながら二人あるいは一人の甲号支部だというようなことで、しかもその概算要求が、全司法の方では相当の数を要求しているにもかかわらずその一割にも満たないような要求しかしていないし、その要求もまた半分に減らされているという状態、これは司法制度が財政的にも充実し、人材的にも充実していくということは三権分立のたてまえからして非常に重要だと思うのですよ。まあ、これは最高裁の問題ですけれども、法務大臣としても司法権の確立のためにぜひ協力をしていっていただきたい。あなたの御信念を聞きたい。 それから、最高裁の方もこれに対しては毅然とした態度で対処していただきたい。大蔵省を呼んで責めようと思ったのですが、間に合わないので来ませんけれども、これはまたいずれの機会に言いますが、非常に重要な三権分立の一つの機構なんですから、これを充実するということは民主主義を確立する上に非常に重要なので、国民の期待にこたえるような充実した司法制度の確立のために毅然とした態度をもって、行政諸官庁にも、ことに大蔵省などいろいろあると思いますが、対処していっていただきたい、こういう希望を持っていますが、それに対する両者のお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○奥野国務大臣 大変重要な意見を聞かせていただいた、こう思っております。司法権を確立する非常に重要なことでございますから、私も可能な限り協力していくべきだと思っております。 増員の問題につきましては、高度な資質を必要とする職種でございますだけに、漸進的に運ぶ必要もあるんじゃないだろうかと思います。公務員全体を減らしている中で、裁判所関係は増員しているわけでございますから、財政当局その他もそれなりの認識を持っていることじゃないか、こう思いますけれども、今後とも御意見の趣旨を体して努力していきたいと思います。
○梅田最高裁判所長官代理者 私とも裁判所といたしましても、予算の問題につきましては常に二重予算権を念頭に置きまして、この点は内閣、財政当局も十分認識していただいているところではございますが、裁判所としてはみずから納得のいく増員に相努めてまいりたいと思っております。
○林(百)委員 それでは私の質問を終わります。
○高鳥委員長 小林進君。
○小林(進)委員 大臣、社会党は毎年十二月になりますと、各代議士の希望を募りまして、それで委員の入れかえを一年に一回ずつやるのです。それで、わが党の中では一番希望者の少ないのが懲罰委員でございまして、その次が法務委員なんです。なかなか希望者がないのです。それで結局その割り当てられた委員を満たす意味において、私のような古い余り党内で役に立たないのが希望者のない委員会に割り当てられるということで、そんなわけで、私も強いて希望したわけじゃないし、私は法務行政は全く素人なんでありまするけれども、そういう党のやりくりで求めずして法務委員にならせられたということでございます。したがいまして、私の質問はあくまでも素人でございまして、素人が玄人に物をお尋ねをするという立場で質問するのでございまするから、素人に物を教えるというお気持ちでお答えをいただきたい。 私は、第一番目に三権分立の問題についてお尋ねしたいのだが、この三権分立自体が、三権ブンリツと言うのかあるいは三権ブンリュウと言うのか、私ども法律を習ったのは五十年も前ですけれども、教授によって二つの呼び方があった。いまでもこれは私はどっちが正しいのかわからない。ニッポンが正しいのかニホンが正しいのかと同じようなことですが、この際、自分の気持ちの中でけじめをつけたいから、まずこのことをひとつ、大臣、何かお腰が痛いようでございますけれども、苦しいならそのままでよろしゅうございますから、お答え願いたいのです。
○奥野国務大臣 立法、司法、行政の三権をおっしゃっている、こう思うのでございますけれども、重要な国権でございますので、この三権分立のあり方も国によっていろいろだと思いますし、日本の場合にも旧憲法と新憲法との間には若干違った形になってきているのじゃないだろうかな、こう思っておるわけでございます。
○小林(進)委員 ブンリュウというのが本当ですか、ブンリツが本当ですか。
○奥野国務大臣 私はそういう方面の学がございませんのでよく存じませんけれども、私は三権ブンリツ、こう呼んでおります。
○小林(進)委員 どうですかな。自信のある学者は明快なことをきちっと教えてくれませんかな。どうです。(「呉音と漢音の違いです。それは国語の問題です」と呼ぶ者あり)国語の問題で片づけられては困るな。これはネックにしておいて、後日最高裁かあるいは法務省でもいいですから、明確にひとつ——これはニホンとニッポンもずいぶん議論しましたよ。最終的にはニッポンが正確な呼び名だということで位置づけられたはずです。これもひとつ明確に位置づけてもらいたい。 それでは次に、これも素人の私が多年考えている疑問点の一つでありまするけれども、日本は三権分立だ。司法も立法も行政もそれぞれ独立をしている。これが本当の民主主義の正しいあり方だということで教えられてきた。私もそう思います。ところが実際に三つが独立をしているかというと、やはり独立をしていない。でありますから、司法で言えば最高裁判所の長官は、憲法第六条で「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。」ということになって、天皇の国事事項になっておりまするが、内閣が指名する、内閣総理大臣が指名する、ここで一つ人事権はやはり行政府の長である内閣総理大臣が持っているという勘定になりましょうな。 それから、いまも林君の質疑応答を聞いておりますと、そのほかに最高裁判所は予算の面においてもやはり時の内閣に押さえられている。人事権が押さえられ、予算も押さえられるということですね。完全な独立ということはやはり言えない。 そこで、どうも三権分立、日本式の、これは英国式だと言ったりしますけれども、この三権分立にはやはり行政府の長が何か一歩ぬきんでて強力な権力を持っているように感ぜられる。本当に三権の分立を名実ともに独立の体制にするとするなれば、やはり財政から人事権までも独立をさせるのが私は本当じゃないかと思うのです。その意味において私は法務大臣にお伺いするのです。 あなたは憲法の改正論者だ。どこを改正されるというのか。憲法第九条だけではないと思うのでありますが、九条の問題はきょうは別にいたしておきまして。この第六条なども一体あなたの憲法改正論の中に入っているのか入っていないのか。こういう三権分立の、完全なる三権の独立という立場から、ちょっと私はここに行政府が少し強さがあるんじゃないかという点において、これをこそ改正する余地があるのではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。ちょっと法務大臣の御高見を承りたいと思います。
○高鳥委員長 ちょっと大臣、待ってください。大臣の御答弁の前に小林委員に申し上げますが、ごらんのように大臣は腰を痛めておられるようなので、着席のまま答弁をされて……。
○小林(進)委員 御無理をなさらないで、結構でございます。
○奥野国務大臣 いま内閣総理大臣が決めるようにおっしゃいましたけれども、その内閣総理大臣は国会が指名するわけでございます。議院内閣制をとっている一つの特徴じゃないか、こう思います。 三権のあり方は国によっていろいろ違うと思いますし、根本は大統領制をとるか議院内閣制をとるかによって大きく変わってくると思います。私は、大統領制よりも議院内閣制の方がよいという考え方に立っておるものでございまして、そういう意味においては日本の憲法はよい道を進んでおるんじゃないか、こう思っております。
○小林(進)委員 大臣のおっしゃることも一つの御高見だと思います。いまの国会から選ばれた内閣総理大臣が最高裁判所の長官を指名する、間接的には国民が選んだことになるじゃないかという御意見ももっともだと私は思うが、間接じゃなくて、やはり内閣総理大臣のように国会が直接最高裁判所の長官を選ぶという方法も考えられるだろうし、また、アメリカの大統領のように国民の直接選挙で最高裁判所の長官を選ぶということも考えられる。幾つかのケースが考えられるのでありますが、そういうことについて最高裁の御所見はいかがでございましょうか。現行の制度がよろしいとおっしゃるのか、また他に別な方法もあるとお考えになるのかどうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 制度的にはいろいろなことが考えられようかと思いますが、現行憲法のとおりで結構だと私は思っております。
○小林(進)委員 この問題は急いで結論を出すこともありませんから、御意見を承った程度にしておきましょう。 第二問として、またお伺いしたいのです。これは私が去年法務委員になりましてから執拗に繰り返して質問している問題ですけれども、検察行政の独立ということです。 日本はいま、検察の取り調べの内容には、行政府の長たる法務大臣が何の干渉や内部権限を及ぼしておいでにならないということは、表面の理由としては世間に言い伝えられているとおりであります。しかし、実際においては、どう言われても私どもはそうは考えられない。何しろ時の内閣のもとに飯を食い、任免権を持たれ、そこで仕事をしているのでありますから、どうしても時の内閣あるいは時の法務大臣の一笑一覧に基づいて検察行政が、揺れ動くと言っては悪いですけれども、幾らかの影響を受けることは、人間の世界、否定することが無理だ。これは事実として素直に肯定しなくてはいけないと思うのでありますが、それが余り極端に走ると、世間は一番公平なるべき検察行政に不公平の味わいを見たりあるいはかげりを見たり、そういうことになります。 私は、そういう点を一番心配している立場から申し上げるのでありまするが、検察庁というものが、明治憲法の時代は司法省の管轄下にあったけれども、裁判所があって、裁判所の中に検事局というものが置かれていた。当時の形から見ると、今日の状態よりはむしろ独立性があったのではないか。これは細かく追求したわけでありませんけれども、この点はいかがでございましょうか。明治憲法の時代の検事局のあり方、新憲法下におけるいまの行政、単なる行政官として確実に法務大臣の指揮下に入れられた現在のあり方と、検察行政が独立して事をなす上において一体どちらの制度がいいのか、御意見を承っておきたいと思うのですが、法務大臣いかがでございましょう。
○前田(宏)政府委員 お尋ねでございますが、戦前は裁判所もむしろ司法大臣の管轄下にあったわけでございますから、現在の憲法下とは大分違うわけでございます。そういう意味で、裁判所の独立というものは戦前に比べてはるかに確立されていると考えるわけでございます。 お尋ねの中で、戦前の検察庁、当時検事局と申しておったわけでございますが、これが裁判所に付置されておったというところから、何か前の方が検察権が独立していたのではないかというふうにおっしゃいますけれども、いま申しましたように、大もとがむしろ司法大臣の管轄下にあったということでございますから、裁判所の点ははるかに違っておりますけれども、検察官といいますか検察庁の活動自体につきましては、戦前と変わっていないといえば変わっていない。むしろ、現在の検察庁法のもとにおきましては、小林委員も御案内のとおり、法務大臣と検察との関係は庁法の十四条で明記されておるわけでございまして、戦前にはそういう規定もなかったわけでございますから、その点を比べますと、戦前よりはるかに現在の制度の方が独立性が担保されている、かように理解しております。
○小林(進)委員 あなたの御答弁を聞いていれば、たてまえは確かにそのとおりかもしれません。しかし、例の吉田内閣のときの犬養法務大臣の指揮権発動、あれからわれわれは常に一つの疑点をずっと残して今日に至っているのでありますけれども、あれ以来指揮権発動というものはないかということを、あらゆるケースをとらえて三考四省といいますか、それをして問題を詰めているわけでございます。 あのときは、むしろ指揮権発動というものが表面に出たのであって、上層部において対立があった、政治の場面にも対立があったからああいう形で露呈してきたのであって、上層部あるいは政党が一本化したとか、そういうときには表面に出ないところで不作為の作為といいましょうか、何もしゃべらないところでもちゃんと指揮権の発動というものは行われるようになっているのだ。犬養さんのように、総理大臣がこれをやりなさいというふうなことを明確にしましたところで目をぱちぱちやって場を外すとか、問われても天井を見ているとかいうことで、あうんの呼吸の中にイエスかノーか出てきて、それを受けてちゃんと指揮権の発動は現実に行われた。 検察行政は上命下服といいましょうか、上の命令に下は服するという一般の行政官庁並みの形でスムーズに行われているのだ、こういうことがしばしば言われているのです。これは世間の関係者の間には当然のことかのごとく言いふらされているのでございますが、この点どうですか。それを防いで、本当に検察行政が時の政府、時の法務大臣、時の総理大臣、時の権力者、そういうものから完全に独立して、正対不正、常に社会公共の立場から正しくやらなければならぬ。不正は見逃しておくことはできぬという正対不正の純粋な観点からたったっと行われていく、そういうような検察行政を行うためには、いまの形を改めていく必要があるのではないか。その一つとして、最高裁といいますか、司法行政を三権分立の中の最高裁の管轄下に置いた方がむしろいいのではないか、そういうような一つの意見もございますけれども、これに対して明白な法務大臣の御見解を承りたい。
○奥野国務大臣 法を運用するのは人でございます。法もまた悪用されないように十分規定を密にしていかなければならないと思います。そういう意味から申し上げますと、検察陣は国民全体から高い信頼を受ける存在だと思います。また、それなりの処遇もしていただいている。今後もさらに一層処遇を厚くしていただきたいと思いますけれども、りっぱな方々が検察陣に入ってきて、法の定められているとおりその職責を果たさなければならない、それだけの決意を皆さん持っていてくれると思います。また代々の法務大臣も、検察陣が独立してその職責を果たしていく体制をできる限り守っていこう、特段の干渉はしない、その活動をできる限り守っていかなければならないという姿勢は貫いてきたんじゃないだろうか、私はこう思いますし、私もその努力はしているつもりでございます。 法の問題につきましては、刑事局長が申し上げましたように、戦後特に独立を守れるように検察庁法をつくり、検察庁法の中にも特別規定を置いているわけでございます。これからもそのつもりで私は努力をしていきたいと思います。 また、事実あの指揮権発動以後におきまして、それじゃ政府関係者は起訴されていないかといいますと、残念なことでございますけれども、幾つか世間から大きな関心を持たれるような事件を起こしているわけでございまして、それなりに公訴権を適正に検察陣は使ってまいった、私はこう思っておるわけでございます。これからも検察陣が独立してその職責を果たせるように、その環境を守ることに最善の努力を払いたいと思っております。
○小林(進)委員 検事総長以下検察庁が、国民の立場に立って正義を守るということで大変自己を戒めながら努力をされていることを、私は決して否定するものではありません。特に公平と正義にのっとって事を処理していこうというふうにお考えになっているということを疑うものではありません。ただ、戦前と戦後を比較いたしまして、一番不気味に国民に権力を持って迫ってくるものは警察と検事です。これは日本の権力保持者。ところが、警察というものは御承知のとおりいつも民衆に接しております。大衆の前に出ている。でありますから、戦前のおいこら警察、本官は本官はで人民大衆に臨んでいた警察官と戦後の警察官、戦後も終戦直後はそうでもないが、年を経るに従って実に民主的になってきた。これは否定できない。これは常に大衆に接しているから、大衆に接している中でだんだん角が取れてくるんだろうと私は私なりに解釈しておりますが、私は警察の民主化は年々歳々大変進歩をしているというふうに考えております。 その警察がいつでも大衆の中で裸で接しているのと比較すると、検察行政というものは密室だ。それは事件を起こしたとか被疑者だけは検事と検察庁の中で接しているけれども、一般大衆からは実に雲の上といいますか、密室です。大衆に接する機会というものは一番少ないんじゃないか。これはまた、権力を政治的に行使したと仮定しても、民衆は直ちにその不公平あるいは権力の乱用というものを気づいたり批判するということは警察ほどできない。それだけ一方は密室の中にいる。だから、また一方から見れば一つの危険を備えているのではないか。 私自身も、警察と検察庁を比べてみた場合、警察には始終論じているし、彼らの本体はすぐわかるけれども、検察庁の内部というものはなかなかわからない。どれだけ一体戦前より民主化し、どれだけ一体正義のためにそういう政治的な駆け引きといいますか、セーブをしてやられるのかということはわからない。それだけこの機構というものを大切にして、くどいようでありまするが、正義を正義とし、正しく実行できるような機構があるならば、そういう機構に改める必要があるのではないかということを私は考える。いまの大臣の御答弁だけでは私は了承するわけにはいきません。これは私は、きのうやきょうの思いつきではないのでありまして、終戦直後から二十年も三十年も思い詰めていることでございますので、お尋ねしたわけであります。 これは、最高裁はいかがでございましょう。昔のような、裁判所の中に置いただけであって内部はおのおの独立していたのかどうか知りませんが、現在の機構はこれでよろしいのかどうか。よろしいとおっしゃいますかな。一応聞いておきましょう。
○梅田最高裁判所長官代理者 私どもとしましては、検察庁の組織、機構につきまして意見を申し上げる立場にはございませんが、裁判所と法務省あるいは検察庁との関係に関します限りは、戦後の制度の改正によって行われました現在の制度は、わが国の司法制度としてすでに定着して相応の成果をおさめているものと思っております。
○小林(進)委員 この問題は、きょうのところはこれで終わりましょう。 次にお伺いしたい点は、ロッキード裁判で金裁判長が二月五日にお亡くなりになった。私も新聞記事を見て実はびっくりしたのでございますが、このことに対して委員長、何か御質問ありましたでしょうか。
○高鳥委員長 先ほど林百郎君から質問がございました。
○小林(進)委員 これはどうも。重複を避ける意味においてやめておきましょう。けれども、国民の中には金裁判長の判決を聞きたいという声があった。急死をされて、われわれの期待する金裁判長のロッキード全日空関係のルートに対する名裁判、名判決を聞くことができぬのは残念だ、こういう方面からも金裁判長の死を悼む声が出ているわけでございますが、林さんが聞かれたと言いますから、これはなるべく重複を避ける意味においてやめたいと思うのであります。 これに関連して、これも林君の質問と重複するかもしれませんが、下級裁判所の裁判官の定員という皆さん方からちょうだいした書類を見ますと、判事の欠員が五十五年度で二十三名だ。私は、一般の行政官と裁判官との質や何かをここで云々しようというのではないのでありますけれども、何しろ裁判官は司法補から十年たたなければ裁判官になれない。一人の裁判官をつくるのは大変なことでございますし、また一般職のようにはそう簡単に補充できる職業でもないわけであります。二十三名も限られた数字の中で欠員にされているのは大き過ぎるのではないかということが一つであります。 それからいま一つは、金裁判長がお亡くなりになったのは激務だ。激職だ。ロッキードだけで百七十二回も公判をおやりになって、お亡くなりになる前には週一回の公判をみずから進んで二回もおやりになったというような新聞の記事でございます。五十九歳の御高齢と言っては何でありますけれども、それに比較してはこれは余りにも激職であるのではないかということが考えられるのでございますが、裁判官の欠員問題と裁判官の執務のあり方についてちょっとお尋ねをしておきたいのであります。
○大西最高裁判所長官代理者 判事の欠員が昨年十二月一日現在で二十三名あるということは、御指摘のとおりでございます。 改めて申し上げるまでもないことでございますが、先ほどの御質問中にもありましたように、判事の養成、判事ができ上がりますためには、司法試験を通って二年の修習生を終え、それから判事補十年たって初めて任命することができる、そういう非常に高度な資質が要求されておるものでございます。しかも、この任用の形といたしまして、毎年大体四月に修習生採用、四月に判事補に採用、十年たつと十年後の四月に判事に任命される、そういうことになっておりますので、大体十二月ぐらいになりますと、四月に満杯になりましたものが途中の定年退職その他の一般の退職も含めまして次第に退職をしてまいりまして減耗していく、減っていくということがございます。そういうことで十二月現在になりますと、ここにございますような欠員が出てくるわけでございますが、四月になりますと、新しい判事任命資格者から任命ができますので、大体毎年四月にはほぼこれは充足するという状況になっておるわけでございます。年度途中におきましては、いま申し上げましたようにどうしてもある程度の欠員は避けられない。むしろ欠員がありませんと四月に採用できない、逆にそういうこともございます。そういう事情にあることを御理解いただきたいと思います。 それからもう一点、裁判官の執務の関係でございます。先ほども林委員の御質問にもございましたが、金裁判長は東京地裁の所長代行ということで、しかもロッキード事件だけはやっておられたということでかなりの激職であったということは、それはそのとおりでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、裁判官はそう簡単に養成できるものでもないし、裁判官たる者ある程度は激職であってもそれをこなすだけのあれはなければいけない、能力及び努力はしなければいけないということもあるわけでございまして、一般の裁判官は一生懸命やっておりますが、金裁判官につきましては前から少し高血圧ぎみでございまして、そういうことを裁判所の健康診断でも発見されまして、御本人もよく注意しておられたわけでございますけれども、ああいう不幸な結果になったわけでございます。ただ、非常に忙しかったということは事実ではございますが、忙しかったことがそのまますべて亡くなった原因であるかどうかということについてはなおいろいろな問題もあるわけでございますが、そういうことで、裁判所全体としては忙しいことは忙しいけれども、みんなやはりがんばらなければいけない、そういう気持ちでやっておるわけでございます。
○小林(進)委員 何しろ十二時十分までに質問をやめろというのでございますから、いつでもどうも時間がなくて質問の意を尽くせないのであります。 今度は、事件に関係するが、国民の側から見るとどうも日本の裁判は時間がかかり過ぎる。ロッキード裁判一つとっても、もう四年間もやって、余分なことですけれども、五十一年二月五日、これはアメリカの国会から火を噴いてきている。それで衆議院の予算委員会でこれを取り上げた。私は、そのときの野党を代表する予算の筆頭理事でございます。私が取り上げたのです。そのときにはまだ日本の検察庁、警察も何にも動いていなかった。これは重大問題だから予算委員会で証人喚問をして問題の所在を明らかにすべきである。ずいぶん自民党から抵抗されましたけれども、当時の予算委員会の委員長は荒舩清十郎さん、亡くなられましたけれども、これはりっぱな人でございました。重大問題だ、これはやはり国会が優先的に取り上げるべきだということで、大分議論いたしましたが、二月十六日でしたか、初めて衆議院で証人喚問をした。丸紅のルートあるいは全日空のルート、十六、十七でしたか、二日間にわたって証人喚問をやったことがそもそもこの問題に火をつけて、それから検察庁が動き出す、警察が動き出すという形で、全く国会の主導型でこのロッキード問題はでき上がった。これは歴史的事実でありまするから、皆さん方お忘れにならないように、くどいようでありまするが、そのことだけ申し上げておきます。 しかし、それが今日でもう四年有余近く来ているけれども、まだこうやって裁判がやられている。やられる裁判長や関係者の方々は、こうやって、激職ばかりではないとおっしゃいまするけれども、お亡くなりになるほど、だれが見ても激職だと言われるような苦労をしているけれども、国民の側から見れば日本の裁判はいつでも長過ぎる。それは選挙違反だってそのとおりだ。最高裁までいくときには、もう選挙が二回も三回も過ぎてしまって後の話になっていくということです。この矛盾を一つどうかぜひ解決しなければいかぬ。 一方には、裁判官は知的職業ですから、判決一つ書くのたって——普通の行政官なんというものは、みんな下級の職員に原案を書かせて、最後にいったら鉛筆でもって赤いところを二、三本入れて判こを押しておけばそれででき上がる。裁判官は下級職員に判決文を書かすわけにいかない、みずから全部書かなければならない、そういうことでほかの職業とは全く違うのだから、しかも冷静な判断、知能、知識を要するのでありまするから、普通の労働者のような余り時間で拘束するようなオーバーな仕事をやっていただくわけにいかぬのであります。 そこで私は、もっと裁判官の予備員というものを設けたらどうだろうか、重大な事件だから、これは一週間に一回ずつやったって四年も五年も続くような公判なら、同様なことをやる予備の裁判長を控えに置いてもいいじゃないかということも考えられる。だから私は、もっと裁判官というものをふやしたらどうかと思うのです。それをふやすかふやさないかというような問題になってくると、いわゆる人事権だとか予算権は行政府が持っているから、最高裁ではともかくやはり大蔵省その他に恐る恐る人員増加の許可願を出して、そこでだめだと言われればだめになっちまう、こういう形にならざるを得ないわけであります。どうですか。裁判官の欠員ばかりつくっておかないで、いま少し予備員がちゃんといて、しかも裁判官が落ちついてりっぱな判決、りっぱな作業ができるような基本的な仕組みをこの際考えられたらいかがでしょうかな。 あなたは、一年のうちにおやめになるから年度末になると二十三名の欠員があるとおっしゃるが、五十四年だって十八名の欠員、五十三年だって二十名の欠員、毎年毎年年度の末にいけば、二十名だの十八名だの二十三名だのといって裁判官の欠員ができてくる。年度末に来たところでその年間において欠員が出ないようにちゃんとこれを予備員をつくっておいたらどうですか。そんなことを金を出さないなんという行政府に対しては、司法権の独立の立場からひとつ対等の立場で交渉されたらいかがです。応援しますよ、こっちが。御答弁を得たいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま小林委員が仰せになりました予備員という趣旨を十分理解し得ているかどうか、ちょっとわからないのでございますけれども、一応改正をお願いしておりますこの定員法で全体の数が決まっておりまして、法律で決められた限度で置く、それ以上は裁判官を置けないということになっておるわけでございます。恐らく小林委員のおっしゃいます予備員と申しますのは、いわば定員以上に置いておいて、やめていったような場合にそれを上げるということになるのであろうと思いますけれども、そもそも法律が、そういういまおっしゃいますような予備員も含めた定員の上限というものを法律でお決めいただいているということになるわけでございますから、要するに裁判官全体の実際の人員をふやすということに帰着するのであろう、そういう感じがいたします。 いまのところ四月には待っておると申しましたが、結局定員をふやすこともさることながら、実際の実員と申しますか、現実に裁判官となれる人の数をふやしていくということが先決でございまして、もちろん私どもといたしましては、そういういわゆる給源、裁判官になり得る人がふえてまいりますことを頭に置きまして定員法の改正をお願いする、それが十分に埋まりますような定員の増加をお願いするということをやってきておるわけでございまして、そういう趣旨で、そういう予備員と申しますか、そういうものをも頭に置いた、つまり裁判官の実員の増加、質を落とさないで実員を増加する、非常にむずかしい問題ではございますけれども、そういう努力を続けなければいけないのではないか、そういうふうに考える次第でございます。
○小林(進)委員 私の言うのもあなたと同じなんです。実員をふやしなさいということなんです。予備員というのは、実員をふやしておきなさい、そして常日ごろ、もし仮に仕事がなかったらその期間は遊んでいてもいいじゃないか。やはりそれだけ裁判行政の歴史を調べたり将来を考えたりあるいは外国の制度を勉強したり、どうせ知的才能だ、選ばれた人たちだから時間的余裕を与えたって遊んでいるわけじゃないのですから、むしろそうやって広く裁判行政の将来を見通すような勉強をさせる、そういう意味の過剰な実員——過剰と言ってはいけないかもしれませんけれども、実員をふやしたらいいじゃないかということが先決です。一般の行政と同じように定員法なんかつくってそれに縛られて、大蔵省あたりからぐんぐん締められるというようなさびしい司法のあり方では本当の裁判はできませんよということを私は言っているわけですから、どうぞその点をひとつ誤解のないようにお聞き取り願いたい。これもあなたと議論してはいけないのですけれども、定員法をうんとふやして出しなさいよ、私は応援しますから。そうしてどんどんやりなさいよ。 次に、もう一点いきますが、これは新聞の切り抜きを活用するのでありますけれども、家裁の問題です。 「離婚調停は女性に不公平」という声が出てきたというのですが、そこには、家裁の調停委員には男性のしかもどこかのOB関係の人たちが多く、学識経験者あるいは人格識見という枠にはさまるのでしょうけれども、女性問題にはまだまだ理解が足りないということがある。離婚に対する家裁の調停について、「調停委員に対して望むことは何か」という質問に答えて、「公平で苦労のわかる人」「もっと人間の涙のわかる人」「人間対人間として相対してほしい」、そういう調停委員が欲しいという声が強かったということが報ぜられているのであります。 「家裁の調停委員は法曹界と民間から推薦で選ばれることになっており、学識経験ゆたかで円満な社会人——というのか資格。」しかし、その中には、「離婚経験者は推薦されないのが常識となっている」。それやこれやで、調停委員を選ぶのに、むしろ離婚経験者ぐらいを少し調停委員に選んだらどうかというような声も出ているようでありますが、こういう世評に対してどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
○栗原最高裁判所長官代理者 裁判所の調停は、家事、民事を問わず、調停委員が客観的に公正な立場で調停に当たるということが骨子でなければならないことは申すまでもないことでございますが、それと同時に、客観的に公正であるだけでなくて、当事者から、これは公正な人だというような信頼を得ることもまた非常に大切なことではないかとかねがね考えておる次第でございます。今回その意味で、家裁の調停に対して、一部の声であろうというように私どもは考えておるわけでございますが、かなり手厳しい批判があったということを私どもは謙虚に受けとめたい、このように考えております。 ただ、この機会に若干釈明申し上げたいと思うわけでございますが、今回の調査は、ある投書を契機として、調停に御不満のあるような方々の回答をまとめたというものでございます。回答を寄せられた方が百五十名で、そのうち女性がたしか百四十二名だったかと思います。この婦人団体の代表をしておられる俵萌子さんが、ある婦人雑誌の座談会で御発言になっておられますが、御本人みずからお認めになっておられますように、離婚等を申し立てる当事者は、一〇〇%自分が正しいと考えて申し立てておる。それに対してたしなめられますとかっとなるというのも事実だということもございます。これもまた俵さんがその御発言の中で述べておられるわけでありますが、今回回答を寄せられた者の中には、御自分が非常にわがままであるにもかかわらず、それがたしなめられるあるいは入れられなかったことを逆恨みしているような人も含まれているのではないかというような御発言もあるわけでございます。 新聞等で報道されておりますような批判が、家裁の調停を利用しております方々の調停委員に対する標準的な意識だというようには、私どもは必ずしも思っていないわけでございます。この種の実態調査というのは、いろいろ当事者のプライバシーその他の問題がありまして、そう実際には行い得ないものではありますが、私どもが手元に持っておりますある二、三の庁が定期的に一定期間、調停を利用した当事者に対して実態調査をいたしました詳しい調査結果によりますと、確かに調停委員の態度あるいは調停の結果について、不満であるとかあるいはやや不満だというような意見を寄せられた方も一部はございますけれども、多くの当事者はそれなりの評価をしておられるというのも、これまた事実でございます。 しかし、いずれにいたしましても、仮に一部でございましてもそのような意見があるということは謙虚に私どもも受けとめまして、いま小林委員御指摘のとおり、任命あるいは研修その他の点につきまして今後なお一層配慮いたしまして調停内容の充実に努めたい、このように考えている次第でございます。
○小林(進)委員 確かにあなたのおっしゃるとおりなんですよ。私は俵君の発表だけしか勉強していない。だから、それ以上深く入って実情はどこまでということをまだ研究したわけではありませんで、実に浅い知識ですから、あなたの御意見に従う以外にはないと思います。 ところで、いま調停委員は全国で何名くらいで、男女の比率はどのくらいになっているか、この機会にちょっとお伺いしておきたいと思います。
○栗原最高裁判所長官代理者 現在、家事の調停委員は全国でおおよそ九千五百名ぐらいだというように理解いたしております。そのうちで、男性の調停委員が約六〇%、女性の調停委員が約四〇%ということでございます。
○小林(進)委員 この問題は、いまの御回答で私どもは糸口をつかみましたから、また今後勉強をさせてもらいたい。 いま一つ、これは同じく新聞に報道されたことでありますけれども、裁判のメモ禁止、傍聴人が裁判を傍聴しながらメモをとることを禁止することの可否について、これも最高裁等からそれぞれの御意見が出されておるようでございますが、これについてお伺いをいたしておきたいと思います。
○小野最高裁判所長官代理者 傍聴人のメモを禁止するということにつきまして、いろいろ投書があったりあるいは御批判があるということは十分承知いたしております。この傍聴人のメモを禁止するかどうかといいますことは、それぞれの事件を担当する裁判所の訴訟指揮権、狭い意味での法廷警察権に属することで、それぞれの裁判所がそれぞれのお考えでやっておられることというふうに考えます。 その一般的な根拠につきましては、必ずしも私どもは把握しておりませんが、一般的に言われておりますことは、これは上級審ではございません、下級審、地裁の裁判例にもございますが、憲法八十二条一項の「裁判の封審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」という規定は裁判の公開を保障しておりますが、ここに言う「公開」とは、公判期日における手続を何人の傍聴も許す状態で行うということであって、これ以上のものではない。したがって、傍聴人は、傍聴施設等物理的障害がない限り、希望するときは裁判を直接見聞できる。場合によってはそれを記憶して人に伝えることも自由であるけれども、その記憶を固定させるためにメモをとるということまでは、当然の傍聴人の権利の内容として含まれるものではないのだ。そういうことで、あと、この許すかどうかということはもっぱら裁判所の裁量に係ることなのだ。現在のところこれはいろいろな扱いがございまして、場合によっては許しているところもあるようでございますが、大多数は投書なんかにもございますように禁止しているところが多いというふうに考えます。 ただ、いわゆる報道関係者、記者の方に対しましては、報道の自由あるいは報道の公共性というような観点からこれは尊重すべきであるということで、包括的にその方々に対してはお許ししている、こういうことだと思います。 そのほかにいろいろな考えられる理由はございますが、各裁判所、どういう理由をとっているか必ずしも明らかでございませんけれども、そのほかに言われているのは、たとえば証人というような方が、メモをとられているというようなことによって非常にそれが気になるあるいは萎縮するというようなことで自由な発言ができなくなるおそれがあるとか、あるいはこれは具体的な事実としては私いま把握しておりませんけれども、そういうことをメモで詳しく書いていったということによって証人が威迫されたり、そういうふうに利用されたことがあるとかということも理由になっている、そういうようなことだと思います。
○小林(進)委員 憲法の八十二条、いまも刑事局長お読みになりましたが、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」ということ。その公開法廷で新聞記者、ジャーナリストは録音とかテレビを入れることは、これはその都度やはり裁判長の許可を得ておやりになるのでございますかね。録音とかテレビは許可を得て、その都度許可になるとかならない場合があるということが想定される。しかし、メモをとることは自由に許されているわけですな。新聞記者には自由に許されている。新聞記者には自由だが、しかし一般傍聴人にはメモをとることは、先ほどのお話ではそれぞれの裁判所の考え方で禁止をしていることが多いとおっしゃった。どうもこの点は、私自身は納得できないのですが、それに加えて、証人に立った者がメモをとる、それが何というか、被疑者に対する一つの圧力になったり心理的影響を及ぼすかもしれないから証人にもメモをとることは禁ずる。証人については、言われてみるとなるほどと思うこともなきにしもあらずですが、傍聴人ぐらいは一般新聞記者並みにメモを許可してもいいんではないかと思いますが、いかがでございましょう。 それからいま一つ。もしメモをとることは許可できないような事犯であるならば、この八十二条の第二項ですか、「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。」むしろ非公開にされたらいかがでしょう。非公開の事件か公開かということで、公開の裁判所の中でメモだけを傍聴人に禁ずるというのは、これはほかの場合には全く考えられないことである。裁判所独特の既成事実なものでありますから、私どもどうも異常に考えざるを得ない。いかがでございましょう。
○小野最高裁判所長官代理者 先ほど証人のことを申し上げましたけれども、あれは証人にメモを許さないことではございませんで、傍聴人がメモをとることによって証人が非常にそっちに気をとられたり萎縮したりして真実の発見が困難になるおそれがある、こういうことを申し上げたわけでございます。 納得できないという仰せでございまして、そういう御批判もあることは十分承知しておりますが、これは先ほども申しましたように、裁判例もあることでございますし、あるいはそれぞれの裁判所の専権でございます訴訟指揮権ないしは法廷警察権に基づくことでございますので、これがいいか悪いかという論評は、私の立場からは差し控えさせていただきたいと思います。
○小林(進)委員 こういうことは裁判の公開の原則にも反することでありますし、傍聴人の自由にも関する問題ですから、できれば最高裁長官の名において統一された方がいいんじゃないか、メモをとることを禁ずるも一つの方法あるいは許すも一つの方法だけれども、やはり最高裁長官の名において統一しておかれる問題ではないかと思います。いまは下級審それぞれのやり方に任しておるということでありますが、その点希望だけ申し述べておきます。私もまたこれから勉強させていただきます。ちょっときょうの質問は私もやや勉強が足りませんから、承っておくだけにいたします。 時間が参りましたが、まだ幾つか質問は用意してまいりましたけれども、あとは私は司法試験の問題について御質問したいのです。 これも、きのうもらった資料を見ながら私が常日ごろ考えていることに思い至りたわけでございますが、司法試験、これが昭和二十四年度から五十五年度まで毎期毎期の合格者の名前、修習生の名簿ですから終了者の総数という形になっておりますが、大体試験に通った者と見てほぼ間違いないと思います。これを見ておりましても、時代の変遷はあるけれども、昭和二十年代は大体二百人台、それから三十年代に入りますと三百人台、四十年からだんだんふえてまいりまして、昭和四十四年には五百十六名の終了者の総数があったりして、昭和五十年には戦後一番多い五百四十三名、五十一年も五百三十七名、五十五年は四百五十四名、多いときと少ないときで大体八十名から九十名近い差が出ているわけでございます。 これは私が申し上げるまでもなく、司法試験は入学試験と違って、三百名採るとか五百名採るとか六百名採るとかいうふうに決まっていない。何とか一定の合格点数に至った者を採用するということになっておるのでございますけれども、ただ、毎年毎年こう試験の合格者の数字がアンバラでは、判事をつくるにしても検事をつくるにしても弁護士をつくるにしても計画が成り立たぬじゃないか。やはりことしは五百名なら五百名あるいは六百名なら六百名という一つの定数を設けて、その範囲で取り上げられたらどうかと思うのであります。これはいかがでございましょう。何でこんなにアンバランスのままにしておかれるのか。
○千種政府委員 司法試験の実施に関しましては法務省の所管でございまして、その観点から申し上げますけれども、先生いま御指摘のとおりに、司法試験がいま試験ということで一定の成果をおさめた者だけを合格させておるために、一点違いますとそこに何十人と差が出てまいりまして、定数で切ると同じ点数の中をさらに割かねばならない、別な採点方法をとらなければならないというような技術的な問題がございます。そのために、いまの試験方法でありますと、点数で切って一定点数以上の者を合格させるためにこういうような結果になっております。これを変更しようといたしますと、今度は司法試験そのもののやり方も考えていかなければならないところに、現在ではちょっと問題があろうかと思います。
○小林(進)委員 いまの試験制度は、短答式、論文式、口述ということになっておるそうでございますが、そこなんですよ。いまもおっしゃるように、一点違えば何十人もその枠に入る、これが私は不思議でしょうがない。 私の実にささやかな経験でそんなことを皆さん方の前で申し上げたら、笑われると思いますから余り言いたくないのですけれども、私もどこかの大学で四、五年ばかり講師をして、一つの学期に四、五百枚ばかり学生の点数をつけた。一枚の答案に十分かかるとしたところで、四百枚ならこれは大変な仕事だ。大変な仕事であるが、私がこの四百枚の採点を自分でやりながら、これが理科とか幾何とか数学とか、二一天作の五でぴしゃっといくものならば実にイエス、ノーは明確でしょうけれども、形面学上の論文というものは、採点者のそのときの肉体的関係や頭脳の関係やあるいは緊張度というか、そういう形によって、そんなに定規ではかったように正確にいくものではないということは、私のささやかなる経験でもわかるのだな。 私は、いま三万名受けられるのか四万名受けられるのかわかりません。その受けられる答案を、一人の受験生に対して何人の方々が点数をおつけになるのかわからないけれども、二人だか三人だかおいでになって、定規を何か統一して平均点を出して合格、不合格を決めるとおっしゃるのだが、そうおやりになったとしたところで、試験官の生理的現象やそのときの気分で一点や二点は狂うと私は見ているのですよ。そういうような状態だから、ことしの受験生は合格点が少なかったから三百名だ、ことしの受験生はうんとできて成績が上がったから五百人採ったといっても、その採点の仕方その他は、神様から見たら私はずいぶん不公平なものじゃないかと思う。私の言いたいのはそれなんですよ。そういうことだから、こういうアンバランスで点数をつけて、採点が神わざで一点の違いなくきちんといったということ自体に私は多くの疑問を持っているということなんです。 だから、必要度というものを勘案して、ことしは六百名採ろうとなったら、三万名や四万名の中から六百名採るのですから、そういう形の採用方式をおやりになってもそう大きな間違いはないと思いますが、いかがでございましょう。私の考えは間違っておりましょうか。
○千種政府委員 試験をどういうふうに行うかということを討議する中では、常にそういう御意見も出てまいるわけでございまして、実際それをどういうふうに実行するかということになりますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、公正でなければなりませんものですから、どこで公正であるかということを担保するために何かの基準が出てくる、そこにやはりまた点数が出てくるというようなことになってまいりますので、点数をつけて採点するということになりますと、やはりもとへ戻ってくるというわけでございます。 先ほど来評価について非常にむずかしいという御経験談もございまして、そういう点も確かに考査委員の方々はそれぞれ苦労しておられると思いますが、実際問題といたしまして、一つの問題について最低二人は見ておるわけでございますが、それが一科目についていま二問受けておる、また七科目受けておりますから、多くの人の意見が反映しておりまして、それを総合平均してまいりますとわりあいに公正なところにいっているように見受けられるわけでございます。
○小林(進)委員 もう時間が来たといって矢のような催促だ。こんなにたくさん紙が来ている。国会議員になって何のために来ているのか。われわれ野党は質問する以外に生きがいがないのに、事務局というのはこんなもので早くやめろやめろというのですね。言論の府にこれだけ言論の圧迫があるのですから、世の中うまくいきませんよ。 そこで、私はもう残念ながらやめますけれども、ともかく法治国家ですから、もちろん行政もあるいは立法府も厳格でなければいかぬが、司法もあまねく国民に浸透させながらこれを有利に活用する。そういう意味においては弁護士なんかも——弁護士なんかと言っちゃ悪いですけれども、やはりお医者さんと同じように、どこの町、どこのところへ行っても、問題が起これば自分たちの権利が損なわれる、自分たちの権利を守ってもらうときにはさっさと依頼をして、実に安直にと言っちゃ悪いが、素直に日本の法律を活用できる、そしてわが身を守っていただける、安穏な生活ができる、こういう面においては、私はまだまだ司法修習生は少な過ぎると思う。弁護士も少な過ぎると思う。判事は申し上げたとおりです。もちろん実数をふやせばいいだろうし、検察庁だって同じです。判事が足りなければ検事も足りないのです。検事だって激務で働いているのだ。もっとふやしたらいいです。そういう意味においても司法修習生などを、そんな厳格なことを言わぬで、毎年百名、二百名ずつよけい採ったらいいじゃないかという気持ちで御質問を申し上げたわけでございます。 まだ意を尽くしませんけれども、残念ながら本日の質問はこれをもって終わることにいたします。どうも失礼いたしました。
○高鳥委員長 この際、横山利秋君から発言を求められておりますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 簡潔に委員長にお願いがあるのです。 先般私は、検察審査会につきまして十数項目にわたって政府、最高裁判所に質問をいたしました。最終的には法務大臣から、検察審査会の法律運営の今後につきましてはいろいろ検討するというお話がございました。政府側の各項目の答弁について、もっともな点もございまして、その後私は整理をいたしました。しかし、政府側の答弁の中で検討中ということもございます。また、私の承知する限り、どうも法務省と最高裁との間に意見の相違点があるような点もございます。 そこで、いまから読み上げますことにつきまして、なるべく近い将来に最高裁と法務省とが協議をされ、本委員会に次のことについて御回答を願えるように委員長にあっせんをお願いいたしたいと存じます。 一、検察審査員の選定には、地方裁判所の判事、地方検察庁の検事に限らず、広く裁判官、検察官が立会することができるものとすること。 二、補充員制度を廃止し、会議の定足数制を設けるものとすること。 三、補欠の検察審査員となるべき者として予備員の制度を設けるものとすること。 四、検事正は起訴相当の議決があった事件につきとつた措置及び理由を検察審査会に通知するものとすること。 五、検察官は刑事訴訟法第二百六十条により告訴人、告発人又は請求人に対し不起訴処分の通知をするときは、あわせて検察審査会に審査の申立ができる旨をも通知するものとすること。 六、専門的助言者に日当が支給されているが、これを適宜改善すること。 七、日当の引上げ。 八、出席した補充員も同額支給すること。 九、諸施設の整備改善。 十、PRの徹底。 十一、審査員や補充員等の出席日の賃金カットや皆勤手当を保障すること。 以上でございますが、よろしゅうございましょうか。
○高鳥委員長 ただいまの横山委員のお申し出につきましては、委員長としては、非公式にではありますが、検察審査会の問題については法務省と最高裁との間に見解の相違はないというふうに承っておりました。ただしかし、いまいろいろ御指摘がございましたので、これらの問題について、委員長といたしまして、両者の間に見解の相違があるならば、それらについて調整を図れるかどうか、十分検討してみたいと存じますし、その結果については理事会等において御相談申し上げたいと思います。 この際、林百郎君から先ほどの同君の質疑に関連して発言を求められておりますので、これを許します。
○林(百)委員 最高裁の方から答弁漏れがありましたのでお聞きしますが、金裁判長の死因について、これは小林委員も非常に関心を持って質問されまして、私が大体したということでせっかく準備した質問もカットされたようで私も責任を感じますが、金裁判長が所長代行をしていたわけです。所長代行というのは相当の激務だと思うのです。 第一には、所長代行の一カ月間の最高裁への報告は、どういう種類の報告をどのくらいの数をするものかということです。それが一つ。第二は、裁判官の合同協議会の回数はどのくらいあるものか。第三は、判事の研さんをすると思いますけれども、この回数はどのくらい一カ月にやるものか。あるいは一カ月でなければ相当の間に裁判官の研さんというのがあると思うのですが、それをやるのか。第四番目には、血圧が高くて頭が重くてぐあいが悪いということを言っていて、それを最高裁の方では知っていたのかどうか。知っていたとすればそれに対する適切な医療の処置をすべきなのにどうして放置しておいたのか。血圧が高いなら高いでちゃんと専門の医者にかかれば専門の医者が指示をするはずですが、それをどうしてそのまま放置しておいたのか。 その四点について第一に答弁漏れがありました。もう一つ答弁漏れがありますのでそれは後でまた聞きます。これをはっきりさせていただきたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 まず、ただいまの御質問の第一点の報告の問題でございますが、報告事項というのはいろいろあるわけでございますが、金所長代行は、先ほども申し上げましたように東京地方裁判所の刑事の所長代行でございまして、報告すべき事項といたしましては、主として刑事関係の統計報告的なそういうものがあるのではないかというふうに思います。(林(百)委員「何項目あるのですか」と呼ぶ)それはただいまどれだけあるかという、何項目というふうにちょっと手元には資料ございませんし、ちょっと申し上げにくいのでございますが、むしろそういう報告の数が多いということがその忙しさの主要な原因というふうには実は考えてございませんで、後でちょっと申し上げます。 それから、会同協議会でございますが、会同協議会も、金代行自身が御出席になる会同協議会ということになりますと、恐らく年に一回あるかないかくらいのものでございます。ただ、たとえば管内の何らかの他の裁判官の会同に参列されるということがあるかどうか、これもいま手元に正確な資料はございませんけれども、それも年間それこそ何回か、二回か三回かせいぜいそんなところではないかという感じがいたします。 第三点の研さんの問題でございますが、研さんと申しますのは、御承知と存じますけれども、新しく判事補になりました者を三つの班に分けまして、それぞれ大体四カ月ぐらい東京地方裁判所で研さんをしておるのでございますが、この研さんにつきましては、それぞれの研さんの判事補が各部に配属になっておりまして各部で研さんを受ける、そのほかにときどき司法研修所へも行く、そういう形でやっておるわけでございまして、金裁判長自身が直接おやりになるのは、恐らく研さん判事補全体を集めて何らかの話をされるということが年間に何回あるかというふうなことになるのではないかというふうに思います。 事柄はそういう数字的な問題ではございませんて、所長代行てありながらロッキード事件——ほかの事件はやっておられなかったようでございますが、ロッキード事件だけは所長代行になる前から担当しておられたという関係もございまして、それと両方やっておられたということで、一般よりやや激職ではなかったかという感じがいたすわけでございます。ただ、これも個人的なことを申し上げて非常に恐縮でございますが、金裁判長も私どもと大体同じ経験年数、同じようなところでございまして、一番責任のあるところでございます。金裁判長に限らずどこでもそうでございますが、みんなかなり責任のある地位に立っておりまして、そういう意味での激職ということにはなるのではないか。これは単に金裁判長のみではなくて、大体私どもの年齢みんなそういうことでございます。 それから次に、健康問題を知っていたかということでございますが、健康の関係につきましては、一番最近で申しますと、五十年ころに、その前にも少しずつ定期健康診断等で指摘されておったようでございますが、五十年ころに高血圧症という健康診断による指摘をお受けになりまして、その後東京地裁の方でも、定期健康診断は年に二回でございますが、それ以外にも毎月のように金裁判長に医務室に来てもらって血圧を測定し、いろいろ注意をするということをやっておったようでございます。その後、金裁判長自分でも、近所のお医者さんにかかって治療に努められておったというふうに伺っております。もちろん裁判所側でも、健康診断の結果等もわかり、御本人にも注意し、治療しておった、そういう状況にあったわけでございます。
○林(百)委員 御承知のとおり、金裁判長の扱っている事件というのは、それと関連して元総理大臣までが被告になっているような重大な事件なんですよ。これはそれだけでも非常に大きな心労だと思うのです。それにまた所長代行をさせるというのですから。ところが、所長代行としてどういう仕事をしていたかなんということをいまあなたは国会で答弁ができない。どういう項目でどういう書類を何回出していたかというようなことをここで答弁できない。それは私は無責任だと思うのです。そういう国民が重大な関心を持っている重大な事件を扱っている裁判官の健康を、最高裁判所はたとえば月に一回なり医者に健康診断させて、その報告を受けて、それに基づいて裁判の進行なりあるいは所長代行を他人にかえるというようなことを制度としてやらなかったら、これは裁判官はたまらないと思うのです。 私は、職員のことも、これは全司法から言われて、きょうは言いませんでしたけれども、いろいろ速記官やそれからそのほかの非常に労働の強化の問題がありますけれども、きょうは裁判官のことを主に言ったのですが、ことに金裁判長に表象されていると思うのです。制度として最高裁では、そういう重要な事件を扱っている、あるいは全判事の健康について管理する制度がないのですか。そうでなければ国民の期待を全く外してしまうのじゃないですか。せっかく判決が出そうになったときに、しかも便所の中で血を吐いて死んでいるというのでしょう。それも知らないで次の人が行ってみて初めて気がついたというのでしょう。そんなことを最高裁判所が放置しておくなんということは、これは国民に対して責任を果たせないことになるのですよ。金裁判長だけじゃないですよ。そんなことをしていては、命がけで裁判長が裁判をやる気になりませんよ。どうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官等の健康管理の関係でどういうことをやっておるかということをちょっと簡単に申し上げたいと思います。 先ほどもちょっと申し上げましたように、定期健康診断というものを毎年二回やっておるわけでございますが、特に高年齢層につきましては、成人病対策として循環器とか糖尿病とか胃の検査等をやっておるわけでございます。それ以外にも臨時の健康診断というのを随時に行っておるということでございます。その健康診断の結果健康に異常があると認められました場合には、一応お医者さんが指導区分というのを決めておりまして、その指導区分に応じまして適正な事後措置を行い、病気が早く治るようにということで努力をしておるわけでございます。そのほかにも、細かく申しますと時間がないのであれでございますが、いろいろなことをやっております。特に裁判官につきましては、健康診断の結果事後措置を要するというふうに判定された者につきましては、そういうふうに事後措置をやっておりますほか、事件数の減少とか比較的多忙でない部に配置するといったような考慮その他いろいろなことをやっておるわけでございます。
○高鳥委員長 林君に申し上げますが、一問だけというお約束でございましたので、お約束を守ってください。
○林(百)委員 それがどうも答弁が適切でないものだからこういうことになったのです。 それではあなた、金裁判官が血圧が高い、頭が痛い、苦しいと言っていたというのですが、血圧はどのくらいあったか知っていますか。
○大西最高裁判所長官代理者 金裁判長の血圧でございますが、これは時期によっていろいろでございますが、比較的……(林(百)委員「一番高いとき」と呼ぶ)一番高いときでございますと百七十四と九十四というときがございます。低いときでは百三十四、七十四……。
○林(百)委員 高いときを聞いているのです。 それではもう一問だけ。 下が九十四というのは常識からいって高いですよ。それをそのまま放置しておくということは怠慢ですよ。いいです。まだ言うことがありますか、あるなら言いなさい。 もう一つ、あなたの方に答弁を求めておいたのですが言いませんでしたが、長野県の甲号支部で裁判官が二人の庁数が幾つあるか、一人の庁数が幾つあるか。それから伊那の簡判は諏訪から来てやっていると言っているのですが、これは管轄からいうと飯田から行ってやらなければならないはずなんです。諏訪と飯田は判事が二人だというのですが判事補が一人いるわけです。伊那のそれを補てんする判事というのは判事ですか判事補ですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 長野県内の甲号支部でございますが、上田、松本、諏訪、飯田とございますが、上田、松本は三名ずつ、諏訪、飯田が二名ずつでございます。
○林(百)委員 それで、諏訪と飯田では二人のうち判事補が一人なんでしょう。そうじゃないですか。そしてもう一人それをてん補するのは判事でなければならないのに、判事補がてん補しているのじゃないですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 諏訪、飯田には判事と特例判事補、五年たちました判事と同様の職権を行使することができる特例判事補がたしか配置されておりますので、あとは未特例の判事補がてん補すれば合議体が構成できる、こういうことになっておるわけでございます。
○林(百)委員 そうすると、伊那の判事が諏訪へ行ったり飯田へ行ったり、これはどのくらいかかるかわかりますか。あなたはわからないでしょう。二時間くらいかかるのですよ。朝七時ごろ出ていなければ十時の開廷に間に合わないのですよ、打ち合わせに。私の選挙区は非常に長いのですが、天竜川の諏訪湖からこう東の方の端、西の方の端の両方の二カ所に真ん中の一人の判事が、こっちをてん補したりこっちをてん補したり行っていなければならぬ。そうすると、自分の本来の伊那の裁判所はほとんど空っぽなんですよ。それで、あなた方は事件が少ないから判事が少なくてもいいと言うけれども、判事を少なくしておけば事件が少なくなるのはあたりまえですよ、行ったって用が足りないのだから。こういうものを至急補てんしてもらいたいというのは長野県の全弁護士の要望ですよ。私がこれを聞いたら、それをぜひ法務委員会で質問してもらいたい、そうすれば弁護士も非常に喜ぶ、そうでなければ、次の事件を入れるのを、三月か四月たたなければ次の開廷日が指定されないというのです。そんなことをしておけば事件が減るのはあたりまえです。事件が減っているから判事を減らします。これは悪循環じゃないですか。改善しますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 てん補していただいている場合には、距離等に応じましててん補のロスというものがございますから、その辺も十分検討しててん補庁に人員を配置いたしております。全国的な視野で定員を張りつけなければなりませんので、てん補庁が残るのはある程度はやむを得ないことだというふうに思っておりますが、適正な配置に心がけていきたいと思います。
○林(百)委員 これで終わりますか、それでは実情をよく調べて改善すべき点があったら改善をするように、あなたは実情を知らないんだから、上の方にばかりいて——長野県の全弁護士が要望しているんだから、これは相当な問題ですよ、次の裁判が三月か四月じゃなければ入らないなんということは。実情をよく調べて改善すべき点があったら改善する、一言ここで言ってください。そうすれば私はやめます。
○梅田最高裁判所長官代理者 実情は毎年調べておりますので、実情に応じた適正な配置をいたしたいと存じます。
○高鳥委員長 午後一時四十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ————◇————— 午後一時四十分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 裁判所職員定員法の、この前やりましたが、残りで、この十七ページの「裁判官以外の裁判所職員の新旧定員内訳」というのを見ますと、最高裁判所がやけに多いのですね。事務官が六百三十八いるようになっているわけですね。高裁が全部八つで五百五十六、それと比べると非常に多い。その他もまた四百二十八いるということになっているのですが、この内容を説明していただけませんか。
○梅田最高裁判所長官代理者 裁判所の各組織に配置されております事務官につきまして、最高裁の配置数がよそと比較しまして多いという御質問でございますが、御承知のように最高裁判所の組織は、裁判部のほかに事務総局、司法研修所、裁判所書記官研修所、家庭裁判所調査官研修所、さらに最高裁判所図書館という付属機関がございます。事務総局は秘書課、広報課、総務局、人事局、経理局、民事局、刑事局、行政局及び家庭局に分かれております。 最高裁判所では、全国の裁判所の司法行政事務を総括するという性質上、下級裁判所のそれと異なる事務としまして、たとえば国会、大蔵省を初めとする他官庁との連絡の事務、下級裁判所に対します司法行政事務全般にわたりましての企画立案、指導監督事務がありますほか、各事件局におきましては民事、刑事、家庭関係の法規及び資料の整備に関する事項等もつかさどっております。 また、三つの研修所はそれぞれ主として、司法研修所は法曹三者、裁判所書記官研修所では裁判所書記官、裁判所速記官、家庭裁判所調査官研修所では家庭裁判所調査官等の養成に相努めております。 したがいまして、その事務量はきわめて膨大なものがございまして、事務官の人数が全高裁と比べましても最高裁が多いというのは、事務量の点から見ましてやむを得ないことではないかというふうに考えております。
○稲葉委員 その他が四百二十八人いるでしょう。これは何を指しているわけですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 その他の中には速記官、タイピスト、廷吏、その他、最後のその他と申しますと(二)系統の職員でございますが、最高裁判所の場合について見ますと、タイピスト八十二、廷吏七、その他の行(二)関係の方で四百二十八、こういうふうに相なっております。
○稲葉委員 最高裁判所の調査官は何人おられるのですか。はっきりわかりませんが、それはどこに入っているのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 最高裁判所に置かれております裁判所調査官はたしか二十九名だったと存じますが、裁判官をもって充てておりますので、東京地方裁判所の裁判官の定員で賄っておるものでございます。
○稲葉委員 だけれども、最高裁判所調査官という発令をするわけでしょう。首席なんということも発令しているんではないのですか。高裁の判事ではないのですか、地裁の判事で充てているのですか、どっちでもいいのですけれども。二十九人というのは何かちょっと半端ではないのですか。最高裁判所の判事が十五人いるわけでしょう。それに対する秘書官が十五人いるのですが、それとは関係なくてどういう形になっているのですか。 私どもが疑問に思いますのは、一体最高裁の判決を——大変失礼だけれども、素人の方や何かが裁判官になっておられるわけでしょう。そうすると、調査官というのは何をやるんだろうかということなんですよ。この人たちがA型の判決、B型の判決、C型の判決というのを書いてそして出したり、あるいは記録の中から抜粋を書いたりして、裁判官のところに持っていって説明するというような形をやっているので、実際はキャリアのある裁判官は別として、そうでない方の場合には調査官が裁判をやっているんじゃないか。裁判をやっていると言うと語弊がありますが、材料をほとんどつくってやっているのではないか、こう思うのですが、最高裁判所の調査官というのは具体的にはどういう仕事をやっているのですか。これは民刑に分かれるのですか。事件ごとに調査官というのがつくのですか。これはどういうふうになっているのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 先ほど地方裁判所の裁判官の定員でというふうに申し上げましたが、地裁の方と高裁の方とがあるようでございます。 最高裁判所の調査官は、稲葉委員御承知のとおり、裁判所法五十七条の二項で、裁判官の命を受けて、事件の審理、裁判に必要な調査をするということに相なっております。したがいまして、最高裁判所が裁判をするに当たりまして、裁判官の命により必要な事項の調査でございますが、具体的には記録、上告理由書等を読みまして争点を整理し、問題点につきまして判例、学説等を調査して調査報告書を出すというふうに相なっておると思います。 調査官は、民事の調査官、それから広い意味では民事ではございますけれども、特殊なものとして行政事件に関しましてはわれわれ一般に行政調査官と呼んでおります者、それと刑事の調査官というふうになっておりまして、それぞれの事件を各小法廷とは別に配点するように聞いております。
○稲葉委員 それは、高裁判事なり地裁判事のほかに調査官ということになりますと、特別な報酬というか手当というか、そういうふうなものはつくようになっているのですか。どういうふうになっているのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 それぞれ年数等に応じまして裁判官の報酬法の適用を受けておりまして、別に手当がつくというものではございません。
○稲葉委員 近ごろでは高等裁判所にも調査官というものを置いておるんじゃなかったでしょうか。その点についてもし私の記憶に誤りがなければそのように思うのですが、その点どうなっておりましたですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 私の承知しておりますところでは、東京高等裁判所にも裁判所調査官が置かれておりまして、たとえば海難審判事件等の調査に携っているようでございます。
○稲葉委員 簡易な審判事件というのは何ですか。家庭裁判所の審判とかなんとかといった抗告ですか。そういう事件の扱いをしているというわけですか。ちょっと意味がはっきりしないのですけれども。
○梅田最高裁判所長官代理者 船舶等の衝突等の海上の事故、海難審判でございます。
○稲葉委員 そこで、高等裁判所の事務局長は、元来はどうなんですか、法のたてまえは、これは条文から見ると裁判官を充てることではなかったはずですね。例外的に裁判官を充てるというように条文はなっているように思うのですが、実際には全部高裁事務局長は裁判官が当たって、それがいろいろなことをやっているという状況になっておりますか。いまは全部そうですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 八高裁とも裁判官をもって充てております。
○稲葉委員 高裁の事務局長というのは一体何をやるかというと、結局、高裁管内の人事異動のことについての権限を持っていてやるんじゃないですか。どうもそういうように私どもは聞いているのですが、そこはどうですか。最高裁まで上がってこないんじゃないですか、高裁なら高裁管内の人事の異動については。
○大西最高裁判所長官代理者 人事に関することでございますので、私から申し上げます。 高等裁判所事務局長の主要な仕事といたしまして、ただいま御指摘のような高裁管内の人事についてのいろいろな企画立案を長官を補佐いたしまして実際やるということがございますが、それに尽きるものではございませんで、会計の事務も、やはり高裁及び高裁管内の会計の事務でかなり最高裁から委譲されているようなものもございまして、もっと広く言えば司法行政、高裁がやらなければならない司法行政全般にわたって長官を補佐してその事務局の長としてやっていく、そういう職責を有しているわけでございます。
○稲葉委員 本来は、それは裁判官をもって充てるのではなくて、一般の方の人をもって充てるというふうに法律はなっているわけです。それがどうして裁判官を充てるようになってしまったのですか。初めは裁判官でない人も高裁の事務局長をやっておったんじゃないですか。その点はどうなんでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 最初に裁判所事務官の時代があったかどうか、ちょっと明確に記憶いたしておりませんが、裁判所法には御指摘のとおり裁判所事務官をもって充てるというふうに書いてございまして、それに関しまして最高裁判所の規則で司法行政上の職務に関する規則というものをつくっておりまして、その司法行政上の職務に関する規則によりますと、高裁事務局長等を含むある一定のものにつきまして裁判官をもって充てることができるというふうなことを規定しておりまして、具体的なポストは、さらに裁判官会議でこういうものについてはこの規則に従って裁判官をもって充てることができるという指定をする、そういう関係で、現在では高裁事務局長は裁判官をもって充てる、こういう条文になっておるわけでございます。
○稲葉委員 高裁の事務局長というのは本来一般の人を充てるというのが法のたてまえであったはずなんです。それがいつの間にか、人事を握るということから裁判官でないとぐあいが悪いということで裁判官になったのだ、こう思うのです。というのは、私の知っているある裁判官があるところからあるところげ転勤を慫慂されたわけです。そして高裁事務局長の名前を調べたわけだ。そしたら同期か何かだったらしいのですが、あいつがおれのことをやったのかということで大分憤慨しておったということもあるのですが、どうも高裁の事務局長というのは非常に大きな権限を持っているようです。 そこで、最高裁は各局長みんなおられますが、その内ではいまは人事局長が一番上なんですか。一番えらいのですか。人事局長どうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 最高裁判所の局長にはそういう意味での上下と申しますか序列と申しますか、そういうものは全くございません。
○稲葉委員 だって、あなたは総務局長から人事局長に行ったんだもの、総務局長よりあなたの方が上でなければおかしいでしょう。そういうことになるでしょう。答えはいいけれども、だからいまの段階ではとにかく人事局長が一番上なんだ。そういうのが大分続いているわけです。これはやはり最高裁が下級裁判所の裁判官の人事を握っておるということをはっきりさせて、そのことによって最高裁の威令というものを下部の方にまで浸透させたいということからくるあれだとぼくは思うのです。 どうも人事局というのが非常に権限を握り過ぎているんじゃないですか。だから、課だって人事局は六つぐらい課があるでしょう。そのうち公平課とか能率課というのは一般の人がいままで判事だったのが今度判事でなくなりましたけれども。もう一つ何とか管理官というのがありましたね。あとはみんな裁判官を充てているのです。こんな有能な裁判官が何も最高裁の中でそういうようなことをやらないで、現場へ出て裁判をやったらいいんじゃないかと思うのですが、本当に最高裁へ入っちゃったら全然現場へ出ていかないで、そこばかりで暮らしているという人も出てくるのですね。そういう人がみんな今度は次長になるでしょう。それから高裁長官になるでしょう。もうルートが決まっているのです。これは現場から見るとおもしろくない空気が出てきますよ。 法務省もそうです。法務省の人事というのは、法務省の課長やなんかやった人がみんなどんどん上がるのですよ。どこでもそうかもしれませんが。今度七期の検事正が出るんでしょう。富山と盛岡に出るでしょう。七期なんというのは本当にまだ新しい方ですよ。それもみんな本省の課長をやっていた人ですよ。最高裁はいま何期ぐらいが所長に出ているのか。五期くらい——五期まて出ていないかもしらぬけれども、とにかくそういうふうにして法務省なり最高裁にいた人がどんどん出世するのです。裁判官の場合は所長になるのが出世かどうかは議論があると思うのですよ。人によっては、それは出世でないからおれは所長にならないという人がいる。裁判官というのは裁判をやるのが仕事なんだから、そういうふうな行政事務につかないという人がいるのだけれども、近ごろ行政事務につくとうれしくてしようがないというような顔をしている人が多いような感じがしないでもないけれども、ちょっとそういう点はぼくは話が違うと思いますね。裁判官は裁判をやることに一生の望みというか希望を持っていくのが筋だろうと思いますね。 そこで、よくぼくらのところに来るので、この前も相談を受けたのですけれども、刑事の場合は大体八割から九割は最高裁に上告したってだめなやつですね。延ばすだけのものがほとんどですよ。八割行くかどうか別としても、ほとんどそうですね。事実誤認なんというのは、ほとんどただ延ばすだけだから。いま寒いから暖かくなったら入ろうという連中が多いのです。ただ民事の場合は——刑事でも必ずしもそうでありません。むずかしい事件がいっぱいあるからそうも言えませんが、民事の場合に最高裁に上告しておいて四年も五年もかかるのです。かかって、そうして上告棄却のやつは半ぺらなんですよ。三行か四行で半ぺらで来るのです。だから、なぜ三年も四年もかかったのか、四年も五年も何やっていたのだろうと言って上告棄却をもらった人は怒るのです。上告棄却でもいいというか、それは裁判だからしようがない。それはそれなんでしょうけれども、四年、五年かかったのならばもう少し詳しく書いてあげるようにしたら、私はこういうように思うのですが、どうも刑事はわりあい早いけれども、最高裁の民事はずいぶんおくれているのじゃないですか。いまどうですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 昭和四十五年から昭和五十四年にかけましての訴訟事件、既済でございますが、その審理期間を見ますと、昭和四十八年がピークでございまして、それ以降顕著に短縮されてまいっております。昭和五十四年で見ますと、七・二カ月というふうになっております。また、昭和五十年から昭和五十四年までの民事上告審の訴訟既済事件におきまして審理期間が三年を超えるものの割合を見ますと、昭和五十年が八・九%でございましたのに対しまして昭和五十四年度は一・五%というふうに、いわゆる三年以上かかる長期未済事件が非常に減少してまいっております。これらを総合して考えますと、最高裁判所の審理は最近次第に改善されてまいっているというふうに私どもは考えております。
○稲葉委員 民事の場合は非常にむずかしい事件がありまして、記録の厚いのもありますから、あれを読めばちゃんと読むといったってどうしても日にちがかかるのは無理もないと思います。そうめちゃくちゃに早くやれと言うわけにはいきません、事件によりますから。刑事の場合だって非常にむずかしい事件たくさんありますから、簡単なやつもあるし、いろいろ事件がありますから一概に言えないと思うのです。 私は、もう一つかねがね疑問に思いますのは、逮捕状を出す場合に、いまの法の制度では警察からすぐ裁判官へ行くでしょう。検事を通さないで行きますね。もちろん検事が警察官に対して指揮権がなくなったからということでありましょうけれども、逮捕状が非常に乱発というか、このことのために無理な逮捕が出ているのですね。恐らく警察から行く逮捕状というものが却下されたという例はほとんどないのじゃないですか。 それからもう一つの問題は、逮捕状が、簡易裁判所判事の方で殺人だとか非常にむずかしいいわゆる地方事件の逮捕状を出しているということはどうも私はおかしいと思うのですよ。勾留裁判なんかも、簡裁の判事が殺人だとか放火という事件をいまやっているわけでしょう。どうですか、その点は。勾留だって一つの裁判なんだから、簡裁判事がそういう勾留状を出すという場合には、それは簡裁事件に限定をするというような形にするのが妥当じゃないですか。東京の場合は別ですよ。これは十四部でやるからちょっと違いますけれども。そこらのところの逮捕状がどうも——この前の九州のあれもそうでしょう。保険の殺人事件があったでしょう。簡単に殺人事件の逮捕状を出しちゃったでしょう。後から今度は取り消しだというわけでしょう。あれだってもっと詳しく調べたり何かしてやれば、逮捕状についてすぐ出るか出ないか、もっと慎重にやるべきだったと私は思うのですが、簡単に出しちゃって、後で簡単に取り消しちゃっている。 逮捕状の、ことに勾留尋問の場合は具体的にどういうふうにやっているのですか。簡裁判事でも殺人だとか放火だとかああいう地方事件についてもやっているわけですか。それはちょっとどうも本来の趣旨から外れるのではないですか。法律はそうなっていますよ。法律はそうなっているとしても趣旨からは外れるのではないですか。どうなんですか、その点は。
○小野最高裁判所長官代理者 逮捕状の請求の点から申し上げますが、これは刑事訴訟規則の二百九十九条でございますが、請求者である司法警察職員、検察官の所属する官公署の所在地を管轄する地裁または簡裁に請求しなければならない、こうございます。この令状は、緊急を要する場合が非常に多いということと、簡裁はそういうためにも各地に数多く設けられているというようなことでございまして、緊急の要請というようなことから簡易裁判所に請求される場合が多い。一般的に言いますと、これは地裁に請求するか簡裁に請求するかということは、結局請求者がお決めになる、そういうことで、簡裁に来れば簡裁の裁判官が事務分配に従ってそれを処理する、こういうことになるということでございます。 ただいまの勾留の点でございますが、勾留につきましても、その簡裁所在地の区検なりから勾留請求があるということになれば、地裁の本庁ないしは支部の方に持っていかないで、その近くの簡裁で済ませるというようなこともあろうかと思います。 なお、先ほど先日の逮捕状の発付の点についてお話がございましたが、どういう資料が出てどういうことであったかということは私ども現在ではちょっとわからないわけでございますが、いずれにいたしましても、裁判官といたしましては警察から出された疎明資料を十分審査した上で出したもので、適正に出したものというふうに考えております。
○稲葉委員 だから、あの事件は警察の捜査に問題があったから、裁判官にどうこうと言うわけじゃないにしても……。そういうようなことですけれども、問題は、逮捕状なり勾留尋問のときに、現実には検察庁から勾留裁判を請求するときにどういうふうにやっているかということを御案内かと思いますが、実際にはきょうの勾留当番はだれということをまず見るのですよ。それで、きょうの勾留当番が若い判事補で非常にやかましいというかあれだとなると、じゃきょうおくらしてあしたにしろ、あしたはだれだというとあしたは簡裁の判事だというので、じゃ一日置いといて、一日、二十四時間置けますから、じゃあしたやれということで、きょうの当番はだれだだれだと聞いているのですよ。聞いてやっているのが実情なんですからね。だから、私はどうも簡裁の判事にいわゆる大きな事件の逮捕状なり勾留状を出させるということについては非常に危険性があるような感じがしてしょうがないのですよ。それはレベルが低いとか高いとかという意味じゃなしに、人権感覚というものについて、若い判事補とそうでないあれとの間の差が非常にあるのですよ。これはもう事実ですからね。検察庁へ行って実情を聞いてごらんなさいよ、きょうの勾留当番はだれだといってみんなやっているのだから。そういう状況がありますから、そこら辺のところは十分考えなければいけない、こういうふうに思うのです。 いろいろな問題たくさんありますけれども、きょうは裁判所の定員法ですから、定員法から余り外れたことを質問するのもあれだと思います。外れた質問をしているかもしれぬけれども、余り外れるのもどうかと思うのでこの程度にしておきますが、いずれにいたしましても、この定員では私はなかなか賄えないと思う。司法試験受かった者を、一点違えばずいぶん違うのですから、それを五百人なら五百人に限定しなければならぬということもないので、私としてはもう少しふやしてもいいというふうにも考えるのです。 それから、事務官と書記官の場合にも、これはざっくばらんに言うと書記官の待遇と事務官の待遇というのはべらぼうに違うのですよ。御案内でしょう。しかも大臣、法務省へ勤めた人と裁判所へ勤めた人との最初の出発点は同じなんですよ。ぐんといきますと違ってくるのです。裁判所の方がよくなってきて、法務省へ勤めておる人が落ちてくるのです。差が出てくるのですね。これは最高裁はいやがってなかなか資料を出さないのですよ。人事院にとっつかまるとぐあいが悪いもので、この前ちょっと持ってきましたが出さないのですけれども、そういう点から見ても、法務省へ勤める職員の待遇というのは悪いのです、実態を調べてみるとおわかりになりますがね。そういう点がありますから、裁判所の職員に劣らないように、法務省関係、ことに地元のいろいろな関係の方の待遇についても法務大臣からもぜひこれからはお骨折りを願いたい、こういうふうに、これは私の希望を申し上げておきます。実態をよくお調べ願いたい、こういうふうに思う次第でございます。 終わります。
○高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時七分散会