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94回国会衆議院1981/02/25

法務委員会 第1号

発言数
140
登壇者
12
会派数
3
開催日
1981/02/25

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は沖本泰幸君を理事に指名いたします。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中  裁判所の司法行政に関する事項  法務行政及び検察行政に関する事項 並びに  国内治安及び人権擁護に関する事項 について、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 法務行政、検察行政、国内治安及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、法務行政等の当面する諸問題について、奥野法務大臣から説明を聴取いたします。奥野法務大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 委員各位には、平素から法務行政の適切な運営につき格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の深い御理解と格別の御協力を賜りたいと存じます。  私は、昨年七月法務大臣に就任いたしまして以来、所管行政の各般を見てまいりましたが、今日、内外の諸情勢がきわめて厳しいこの時期におきまして、わが国の国民生活が比較的安定いたしております大きな原因の一つは、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることにあると痛感いたしております。私は、この法秩序の維持と国民の権利の保全という法務行政の使命の達成のために、今後とも全力を傾注し、国民の信頼と期待にこたえるよう、誠心誠意、その職責を尽くしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  以下、私が考えております当面の施策について要点を申し上げます。  まず、第一は、法秩序の維持についてであります。  わが国における最近の犯罪情勢は、おおむね平穏に推移しつつあると認められますものの、内容的には、犯罪の態様がますます複雑多様化し、凶悪な殺傷事犯、金融機関に対する強盗事犯、覚せい剤事犯等が依然として後を絶たないばかりか、公務員による各種不正事犯、過激分子による不法事犯、少年による家庭内あるいは学校内の暴力事犯等も多数発生しており、その趨勢には、引き続き警戒を要するものがあると存じます。  私は、このような事態に対処するため、関係諸機関との緊密な連絡協調のもとに、検察体制の整備充実に一層意を用いて厳正な検察権の行使に遺憾のないようにし、もって、良好な治安と法秩序の維持を図ってまいる所存であります。  なお、刑法の全面改正につきましては、かねてからその作業を進めているところでありますが、刑法が国の重要な基本法の一つであることにかんがみ、国民各層の意見を十分考慮しつつ、真に時代の要請に適合した新しい刑法典の実現のために引き続き努力いたしたいと考えております。  第二は、矯正及び更生保護行政の充実についてであります。  犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、刑務所、少年院等における施設内処遇と実社会における社会内処遇とを有機的に連携させることに努め、その効果を高めてまいる所存であります。  そのためには、まず施設内処遇の実態につき広く国民の理解を得るとともに、良識ある世論を摂取し、時代の要請にこたえ得る有効適切な処遇の実現に努め、他方、社会内処遇におきましては、保護観察官の処遇活動を一層充実させるとともに、保護司等の民間篤志家及び関係団体との協働態勢を強化し、犯罪者等の社会復帰に当たり、その受け入れ態勢を十分整えるとともに、処遇方法を多様化して有効適切な更生保護活動を展開し、その改善更生の実を上げるよう努める所存であります。  なお、監獄法改正につきましては、かねてから法制審議会において審議が行われてまいりましたが、昨年十一月二十五日、「監獄法改正の骨子となる要綱」の答申を得ましたので、今後は、所要の手続を経て、できる限り速やかに改正法律案を国会に提出したいと考えております。  第三は、民事行政事務等の充実についてであります。  一般民事行政事務は、登記事務を初めとして量的に逐年増大し、また、質的にも複雑多様化の傾向にあります。これに対処するため、かねてから種々の方策を講じてきたところでありますが、今後とも人的物的両面における整備充実に努めるとともに、組織・機構の合理化、事務処理の能率化・省力化等に意を注ぎ、適正迅速な事務処理体制の確立を図り、国民の権利保全と行政サービスの向上に努めてまいる所存であります。  なお、民事関係の立法につきましては、株式会社の運営の適正を図るため、商法中株式会社に関する規定及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の改正について、かねてから法制審議会において審議が行われてまいりましたが、本年一月二十六日その答申を得ましたので、答申の趣旨に沿って速やかに準備を進め、今国会に関係法律案を提出して、審議をお願いしたいと考えております。  次に、人権擁護行政につきましては、国民の間に広く人権尊重の思想を普及させるため、地域社会に根差した人権擁護委員制度の充実を図り、さらに、各種の広報手段による啓発活動のほか、人権相談や人権侵犯事件の調査処理を通じて、国民の人権意識の高揚に努めてまいる所存であり、いわゆる差別事象についても、関係各省庁等と緊密な連携をとりながら、今後とも積極的な啓発活動を続け、その根絶に寄与したいと考えております。  次に、訟務行政につきましては、国の利害に関係のある争訟事件は、最近の多様化した社会情勢を反映して、社会的、法律的に新たな問題を含む複雑困難なものが増加してきておりますので、今後とも一層事務処理体制の充実強化を図り、この種事件の適正円滑な処理に万全を期するよう努めてまいりたいと存じます。  第四は、出入国管理行政についてであります。  戦後のわが国の出入国管理行政が発足して以来、すでに三十年を経過いたしましたが、この間、わが国の国際的地位の向上と国際交流の拡大に伴い、わが国への出入国者数は飛躍的に増大し、また、わが国に在留する外国人の活動範囲が広がるとともに、その活動内容も複雑・多様化しており、出入国管理及び外国人の在留管理に関する業務はますます重要性を帯びてきております。  法務省におきましては、このような情勢に対応する必要性を踏まえつつ、行政改革の一環として地方支分部局の組織の再検討を進め、昭和五十六年四月から十四入国管理事務所を八地方入国管理局に整理再編成して、行政の効率化と合理化を図ることとした次第であります。  また、現行の出入国管理関係法令につきましても、難民の地位に関する条約への加入の問題を控えて一層複雑化する諸情勢に的確に対応できるよう出入国管理令の見直しを行っており、改正法律案をできる限り速やかに国会に提出すべく準備を進めているところであります。  私は、これらの施策を通じてわが国の出入国管理行政に課せられた使命の円滑・適正な運営に努め、その実を上げたい所存であります。  最後に、法務省の施設につきましては、昨年に引き続いて整備を促進し、事務処理の適正化と職員の執務環境の改善を図りたいと考えております。  以上、法務行政の当面の施策について所信の一端を申し述べましたが、委員各位の御協力、御支援を得まして、重責を果たしたい所存でありますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 この際、委員長から申し上げますが、昭和五十六年度法務省関係予算及び昭和五十六年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。奥野法務大臣。     —————————————  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁伴所職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。  第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を十六人増加しようとするものであります。  第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十三人増加しようとするものであります。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、きょうは一時間半という時間をちょうだいして、その時間割りで質問しようと思って実は計画してきたのでありますが、ここへ参りましたら、どうも山崎君と理事から強力に、時間を縮減をして一時間でやれというのでございまするから、私の質問の構成もまたぐるぐると変えなくちゃならない。こういうのもやはり言論の圧迫の一つでございまして、なるべくこういうことは言論の府においてはやらないようにひとつ御注意をしていただきたいということを事前に申し上げておきます。  ところで、私の用意いたしました質問の第一は、法務大臣が二十二日、これは静岡の何とかという自民党のパーティーでございましょうか、そこでやはり憲法問題について論及をされている問題でございます。官房長官、来てますか。——という問題でございまして、言うまでもなく、この十七日に予算委員会の総括の場において、法務大臣が自衛隊の問題について憲法改憲論をおやりになったということが問題になっている。これはまだ予算委員会のネックであります。来月の二日までにひとつその結論を出そうということで、立法府と行政府と言ってよろしいですか、国会と政府との間にその問題の調整が行われているさなかで、また二十二日、勇ましい改憲論をおやりになったわけでございます。  この問題について、私は、まず官房長官にお伺いをしたいと思うのでありますが、官房長官がおいでになられなければ副長官でがまんすると言ったのだが、どうしたんだ一体。  お伺いしたいことは、閣僚が外部で発言する場合事前に相談があるべきだと言って総理大臣は、鈴木首相は閣僚発言を事前にチェックしていく考えを明らかにされたという。これは二月二十日付の新聞の報道しているところなんでございまして、ここで私がお伺いしたいのは、この二十二日の法務大臣の発言が、いまその首相の言われるように一体事前にチェックされた上でこれを発言されたのかどうか、まずお伺いしたいのであります。——内閣にお伺いしたいのであります。法務大臣にお伺いしたいのじゃない。いやいや、あなたにはまだお伺いすることはある。これは首相が事前にチェックせいということを言われているのでありますから、チェックしたのかしないのかひとつお伺いをしておきたいのでございまして、法務大臣、私の質問の構成があるのですから、あなたが飛び入りにやられたら、質問の順序が狂ってきます。これはやはり質問のテクニックというのですか、テクニックがあるのだ。さっさといかなくちゃなりませんから、これ出てこないか。——これはいかぬね。それではひとつネックにしておきましょう。  いずれにいたしましても、これは官房長官から聞いておきたい。本当は総理大臣から聞きたいのでありまするけれども、かつて佐藤榮作という総理大臣がおられた。そのときにオレンジの輸入について、これは倉石さんがたしか農林大臣をやられたと思うのでありますが、その輸入に反対的な意見を述べられたとき、総理は閣議の中で、自分の意思に、首相の意思に反するような者は、首相に反するような迷惑な発言をする閣僚はさっさとやめてもらわなくちゃならぬ、首を切る、こういうことを言われて、内閣の不統一と外部に思われるようなそういう発言をぴしゃっと抑えられたという歴史もある。  どうもいまの鈴木内閣の方は、この改憲論、憲法論に関する限りへなへなと、どこまでいったところで国民の側から見ると一体何をやっているのかわからない。総理の統帥権が一体どこにあるのか、これもわからない。こういうようなことは、立法府の一員としてわれわれも非常に迷惑至極なんでありますから、これを明らかにしていただかなければならないのであります。  私は、この問題だけでも一時間ぐらい落ちついてやらしてもらいたいと思ったのでありますが、時間の制限を受けたのでありますから、ひとつ早く官房長官を呼んで話を聞かなければならぬ。大体、不謹慎だよ、いまの内閣のこの姿勢は。立法府を軽視するもはなはだしいよ、あなた、本当に。ちゃんと呼んだ者は来ればいい。来るだけの責任があるのです。その責任を遂行しないからいかぬのだ。これはどうしましたか。(奥野国務大臣「ぼくが答えますよ、どうですか」と呼ぶ)そうですが、それじゃひとつ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 昨年来依頼を受けておりました静岡県の相良町の政経文化パーティーに先日の日曜日に参ったわけでございました。そこで四十分余りのお約束のお話をさせていただきました。憲法改正のような議論を全くしていないのに、新聞の見出しはまた改憲論議と大きく出ておりますので、私も実はあっけにとられているわけでございます。でございますので、その日には憲法改正を論じたものではないということだけは、ここで明らかにさせていただきます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 新聞の記事を通じて議論したらこれは切りがないのですが、ともかくこれはだれが読んでも、やはり憲法改正を主体にして、あなたが国会で言われた自衛隊に関するものよりはややテクニックを用いられた静岡発言ではあるけれども、その本心が憲法改正を主体にしているということは、これはもう疑う余地がない。これをそういうような言葉で糊塗されようとすることは、やはりあなたは自分の才能におぼれ過ぎているんじゃないか、私はこう言わざるを得ない。  そこで私は、官房長官が来ませんから、その前にあなたにお伺いしているのですよ。  あなたの一連の憲法発言に対して、私はどうしても腑に落ちないものがある。それは、言論の自由じゃないか、立法府の中は改憲論についても、賛成論、反対論についても自由に論議されるのが民主政治のたてまえであろう、何か憲法論議に関する限りはどうも国会の中で自由に論ずることをやや制約するようなおそれがあるがという発言がある。私は、あれも間違いだと思うのですよ。  私がむしろ不思議なのは、あなたは個人の立場で個人の立場でと言われるが、一体、いまあなたの立場には三つがあるのです。  一つは、国会議員として、立法府の議員としての立場がある。この立場であなたが国会の中で憲法の賛否論をやられるのは、私は一向差し支えないと思う。これは自由です。あなたが国会議員として、立法府の一員として、メンバーとして憲法の論議をされることを制約したり、それを抑えたりする者は一人もおりません。自由です。しかし、あなたにはそれだけではない。いまあなたにはもう一つ役割りがある。それはいわゆる閣僚という役割り、鈴木内閣の閣僚という一つの立場がある。閣僚という立場になれば、立法府のメンバーとしての立場と立場は違ってくると私は思います。  いま一つは、あなたは法務大臣として行政府の長としての立場があるのですよ。この立場は使い分けをせよとは言わぬけれども、おのずから変わってこなければならぬと私は思うのですよ。たとえて言えば、あなたはやはり閣僚の一員ならば、一体、この憲法に何とうたっておりますか。憲法第六十六条三項には、すなわち「内閣は、行政權の行使について、國會に對し連帯して責任を負ふ。」行政権の行使という一つの制約はありますが、これに対してあなたは、鈴木総理大臣以下各閣僚と連帯をして責任を持たれるのです。  総理大臣は、繰り返し繰り返し、憲法は改正をしない、現憲法を正しく守る、こう言っておられるところに、その総理の発言に対してあなた方は連帯して責任があるわけじゃないですか。(「法務大臣も正しく守ると言っている」と呼ぶ者あり)守ると言ったって、しかし、現実に改憲論を言っているじゃないですか。守るという言葉と憲法の改正が必要だという言葉は、これはどうなんですか、矛盾がないですか。(「言論の自由だよ」と呼ぶ者あり)言論の自由だ、それをいま私は言っているのだ。  国会議員としては言論の自由だろうけれども、内閣の一員としては発言には制限がなくちゃいかぬじゃないかと私は言っている。内閣の一員として連帯の責任がある。だれが考えたって、主権者たる国民は、法務大臣の発言と総理大臣の発言が同じだとは考えておりません。だれも同じだとは思わない。全然同じじゃない。それが一つ。この中のいわゆる「内閣は、行政權の行使について、國會に對し連帯して責任を負ふ。」あなたは連帯して責任を負わないのですか。憲法論議に対して総理の発言とあなたの発言が違うことはだれも思っているが、それは連帯して責任を負うというこの憲法六十六条三項に違反しているとお考えにならないかどうか、これが一つです。いいですか、時間が制約されておりますから。  いま一つは、閣僚の一人——閣僚といったって、われわれ国会議員だって同じだ。一体、われわれの発言が、個人としての発言と公的発言といって、どこで線を引くのですか。その線の引き方を聞きたい。ましてや、あなたはしばしばここへ来て速記録をつけて、国会も正式に開催をせられたこの委員会に出てきて、そしてこの委員会の発言台に立って、個人的見解でございますからと言って、個人をつければ何かその発言に内閣の方針と違ったことを言っても、自由勝手なことを言ってもそれが許されるような、そういうように思わせるような発言を多くしていらっしゃる。実にひきょう千万だ。私はそんなことは許されるべきではないと思う。そんな言論の自由なんかあるものじゃないと思っている。  私が国会議員であれば、ここで発言しようと、うちへ帰って座敷で発言しようと、寝ていて発言しようと、国会議員は国会議員の発言だと私は考えておりますよ。あなたは法務大臣であり、ある限りは、ここで発言しようと、うちで発言しようと、静岡で発言しようと、どこで発言しようと、それはやはり法務大臣としての発言であるという責任は持っていただかなければならぬと私は思う。それを、個人というまくら言葉だけつければ、それは責任のない自由な発言だなどということが一体許されていいか。私は実に苦々しく思っている。もしそんなことが許されたら、国会議員は全部、総理大臣以下みんな、自分の本心でございます、これは個人の発言でございますといって、個人を頭に冠したら何をしゃべってもいいということになる。それはもう自由じゃない。むちゃくちゃな無責任な放言です。そんな放言がこの民主主義の世の中で許されていいのですか。私は、あなたの発言には重大なる間違いがあると思うのです。  それから、第三番目に申し上げます。(「言論統制だ」と呼ぶ者あり)これは委員会ですから、委員会はやじは自由ですから、こんなものはからかわぬでおきます、子供みたいなものですから。  第三番目に言うけれども、あなたは法務大臣として法務行政の長なのだ。法務行政の中に憲法で言われる行政権の行使ということが一体入らないのかどうか。正しく憲法を守る、正しく法律を実施するというのが法務大臣の行政の重大なる任務の一つではないかと思いますが、どうですか。入りませんか。それだけをひとつお伺いしておきます。  何しろ時間がないから、ひとつ要領よくお答えいただきたいと思うのでございます。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私の憲法論議が出ましたのは、昨年八月のこの法務委員会だったと思います。稲葉さんからお尋ねを受けて始まったと思います。そのときに、政治家個人としての意見として、国民の間で論議が行われ、そして同じものであってもいいからもう一遍つくり直してみたいという考え方が生まれてくるのなら好ましいと思います、こう答えました。同時に、政府としてどう考えるのかというお話がございましたから、政府としては自主憲法制定に特段の動きをする、そういうことは適当ではないと考えます、こう申し上げたわけでございまして、おっしゃいますように、私の立場を区分してお答えをしたわけでございます。  同時に、いま私の答弁につきまして不穏当だということがございましたが、私は、できる限り質問者の質問されている趣旨に即してお答えをすることが大切ではないかな、こう思っておるわけでございまして、閣員の一員としての立場を離れて政治家としてどう考えるのかというお尋ねであります場合には、あとう限り率直に私の気持ちをお答えさせていただいたわけでございます。このことが若干小林さんの意に沿わない面があるようでございますけれども、私は、やはりできる限り質問される方の気持ちをそんたくしながら、自由濶達な論議をすることが日本の将来にとって必要なことではなかろうか、こう思っておるわけでございます。  第三に、私は閣員の一人でございますので、当然内閣の連帯責任の一部を背負っていることは言うまでもないことだと考えておるわけでございます。これはお聞きになっておりませんけれども、私は、憲法を尊重し擁護する義務を負っておりますことはどの閣僚だって同じことだと考えておりますし、また、内閣におきまして絶えず研究する、よりよいものになるように討議を続けていく、それはまた各閣僚同じ立場にあるのではないか、こう思っておるわけでございまして、法務大臣であるから他の閣僚とは別な立場にあるという考え方は、お尋ねではございませんでしたけれども、持ってはおらないわけでございます。  言うまでもなく、国会に対しまして内閣が行政権の行使について連帯して責任を負う、これは新しい憲法の一つの眼目だと考えておるわけでございまして、その趣旨は十分体しておるつもりでございますし、これからも留意をしてまいりたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はくどくど言いませんが、あなたが個人として虫法を改正あるいはよりよきものにしたいという意見をお持ちになっても、一向に差し支えないと思っております。そのとおりだ。また、その意見はあなたが国会議員として、その立場で立法府の中で堂々と論ぜられることも、どこで論ぜられることも自由だ。非常に結構だと思っておる。だけれども、その個人的見解や自分の所見というものは、いまあなたが置かれている鈴木内閣の閣僚としては、いわゆる内閣の連帯責任者としてやはり連帯責任が優先をする。  あなたのいまの立場に順序をつければ、個人的見解というものは閣僚の連帯責任の優先権に従わなければならぬと私は思う。そこにあなたの発言というものはおのずから一つの制約が加えられるべきだと思うし、また、その意味において、個人の発言も閣僚としての連帯責任の立場から、あなたの言葉は一歩下がるべきである、私はそれがむしろ民主政治の正しいルールだと思っている。  まして、あなた先ほど最後に言われたけれども、私は、法務大臣とほかの大臣と区別をしようというのではない。内閣に対する責任は共同だが、いわゆる法律そのものを扱う主管の大臣としたならば、私は、改憲論の先には、むしろ現憲法あわせて現法律を何よりも何よりも大切に守りますという発言がついて回らなくてはならぬと思う。一つもないじゃないですか。私は、そんなことは忠実なやり方ではないと思うが、もうあなたの答弁は聞かない。  官房長官に言いますが、私がいま言っておいたことに対して総理大臣の意向を聞きたい。内閣の閣僚の一人として、憲法第六十六条第三項で言ういわゆる内閣としての連帯責任を負っているのだから。その総理大臣は正しく憲法を守ると言う、法務大臣は改憲の必要ありと言うが、内閣の、憲法で定める六十六条、行政権の行使に対して国会に対し連帯責任を負うことに対して、一体、法務大臣のやり方は違反をしていないかどうか、総理大臣に質問しているのだ。それが一つ。  それから第二番目は、先ほどあなたが来られる前に言うように、首相は、閣僚が外部で発言する場合事前に相談があるべきだと言って、閣僚の発言をセーブする、チェックする考えを明らかにされた。これは二月二十日に報道された。内容はどうか知りませんが。そこで、二十二日の奥野法務大臣の発言に対して、これが事前に総理がチェックされた問題であるかどうか。これもいまここでちゃんと答弁ができなければ、帰って——官房長官なら首かしげるわけにいかぬ。官房副長官は、少し荷が重いからいまここで発言ができないというなら、質問だけやっておきますから、回答は後でよろしいけれども、ひとつこの点を明確にしておいていただきたい。  それから第三番目。これは十七日ですよ。奥野さんの自衛隊に対する発言に対しても後で、これは奥野個人に言ったことではなくて、一般論として内閣の方針と反する者はやめてもらわなければいけないと言われた。けれども、国民は全部、あれは一般論ではないと言っている。奥野発言に対して総理がしんぼうし切れなくなってああいう発言をされたのだと国民はとっている。いま一回念を押しておきます。この点は宮澤さんの才気走った答弁では了承できない。この点も明確に調べて、後で回答してもらいたい。  三つの問題をあなたに提示しておきますから、ひとつ答弁していただきたいと思います。  憲法論をもっとやりたいのです。資料もみんな持ってきましたけれども、時間がありませんから、奥野さん、また後日ということにしましょう。後日ということにして、あなたが法務大臣をおやりになっているときは繰り返し繰り返しやることにいたしまして、次は問題を変えます。  それは、ほかでもありませんが、この国会の中には音楽議員連盟という超党派の議員連盟があります。会長は元衆議院議長の前尾さんで、野党各党から副会長、理事、幹部が出て、百数十名、二百名近くの超党派の議員で結成されている。私は、社会党から出ております音楽議員連盟の副会長であります。その立場で御質問を申し上げたいのでございます。  第一問は、著作権法第三十条の一部改正に関する問題でございます。この改正問題につきましては、長い間国会の中で論議し尽くされておるのでございます。そうして、衆議院あるいは参議院においてもしばしば附帯決議がつけられて、この改正を行うことを繰り返し言われておる。まず、衆議院の文教委員会では、四十五年四月九日に附帯決議がなされて、この著作権制度についても時宜を失わないようにこれを改正せよ、こういうことが行われております。同じく四十五年四月二十八日、参議院の文教委員会でも同趣旨の附帯決議が行われている。早く改正しなさい。続いて五十三年四月十八日、やはり同じく参議院の文教委員会で、「放送・レコード等から複製する録音・録画が盛んに行われている実態にかんがみ、現在行つている検討を急ぎ、適切な対策をすみやかに樹立すること。」こういう決議が行われている。  ところが、けさたまたま私が起きてテレビを見たら、NHKで、この録音、録画の現状はこのままにしておくべきじゃないという放送も流れているのであります。これがまだ今日そのままちっとも前進した姿を見せないのは一体どういうことなのか。それは行政の怠慢と言わざるを得ないと思うのでありまするが、今日までの経過を、どなたですか、文化庁長官、お尋ねをしておきたいのであります。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 御指摘のとおりに、去る四十五年、いまから十年前に著作権法の全面改正をいたしまして、いわゆる私的使用として著作物の自由利用を認める範囲について、従前は機械的または科学的方法によらずして複製が行われる場合に限ってそれを認めるという状況であったものを、当時の複製の態様にかんがみまして、そうした複製の手段による制限を廃止いたしまして、もっぱら個人的な用に供するためあるいは家庭内ないしはそれに準ずるごく限られた範囲における複製であれば、複製手段のいかんを問わず私的使用としてその自由利用を認めるという立法をいたしました。そうした当時の状況からして、複製手段による制限を廃止するということについては衆参両院の文教委員会は御了解になりましたけれども、その際に、複製手段の発達はきわめて急であるから、したがって、それによる事態の変化というものをよくフォローをして、時宜を失しないように次の手当てを考えるべきであるという御指摘をいただいたわけであります。  十年を経まして、御指摘のように録音、録画機器の発達が非常に急であります。そのことが、現在の三十条が規定する私的使用の規定による著作権ないしは隣接権の制限について、いわゆる公正な著作者なりあるいは隣接権者に対する制限の限度を超えて、それらの権利者に経済的な損失を与える状況になっていないかという問題が出ているわけであります。  この点については、文化庁では、五十二年以来著作権審議会の中に第五小委員会を設けまして、そこで、録音、録画機器の発達に伴う私的使用の取り扱いをどうするかということについて議論を重ねております。事柄はかなり多方面にわたりますし、また、国際的なこの問題についての動向等も見ながら検討をしていかなければならない課題でありますので、検討に時日を要しておりますけれども、放置をしておくことのできない問題であるという問題意識は十分に持っておりますので、さらに検討を急いでまいりたいと考えているわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 問わざるのことも長々とおっしゃったが、言われるように、改正のときには、個人的または家庭内で使用するという閉鎖的な範囲内の零細な利用については著作権法の中で許す、それは受忍をするという例外規定ですよ。これは認められているけれども、その規定が行われてから今日の録音機の世帯普及率が一体どんなぐあいになっていますか、ちょっとお聞かせ願いたい。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 いわゆる録音機器の普及率は、世帯について八七%を超えておりますし、また、録画、ビデオコーダーの普及率も一〇%を超えようとする状況にあると承知をしております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それくらい、これはこの法律が制定されたときから見れば実に驚くべきはんらんの状況、まずこの総録音量は、LPに換算すると年間八億枚にも相当するのではないかというふうに言われているのでありますから、まさにこれは録音、録画のはんらんですよ。それがそのまま放任せられているということは、文化国家として非常に恥ずかしいことだ。  私が申し上げるまでもなく、西ドイツではすでに十五年前から賦課方式が実施せられておりまするし、オーストリアも昭和五十六年一月一日から実施するように踏み切っている、こういう状態でございまして、時間がありませんからその内容について申し上げることはやめにいたしますが、それにいたしましても、文化庁の著作権審議会の第五小委員会、先ほどのお話のとおり検討しているという。問題意識はあるなんて、問題意識のあるなしを聞いているんじゃないのだ。このようにして国会の中でも繰り返し繰り返しこれが質問が行われている。そのためにこういう第五小委員会なども設けて、しかも事態は時間をかせぐようにどんどん進んでいるにもかかわらず、まだ問題意識程度しかないのか。実に私どもから見ていると、いかにも行政庁、文化庁などというものは、何にもしないで国民から高給ばかり食っているところだなという感じを持たざるを得ないのであります。  一体、どんな審議をしているのか、問題意識があるならば、その問題意識を持って審議したその審議の内容をここで公開してください。ひとつその資料を全部出していただきたい。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 御指摘のように、第五小委員会は審議にかなり時日を要しております。第五小委員会は、学識経験者のほかに、権利者側並びに機器のメーカー側あるいは一般消費者の立場にある方々を委員にお願いいたしまして、いろいろな立場で議論しているわけであります。私的利用の現在の状況をどのように判断するのか、そこでどのような経済的な不利益が権利者側に生じているのか、生じているとするならばその不利益を補償するということについてどのような方途が講ぜられることが妥当であるのかというようなことについて、従来議論をしてきております。もちろん、その場合には、御指摘の西ドイツ方式等についての検討も行われているわけであります。  しかし、実際のところ、第五小委員会の中における議論というのは、必ずしも委員全体のコンセンサスを得るような形では進行いたしておりません。それぞれの問題について対立する意見がございます。そうした状況の中で、やはり国民の中に現在の状況を打開するための方途についてのコンセンサスを得る努力を続けているわけであります。そのためには、やはり立法というものを行うにいたしましても、その前提となる国民の間の合意、あるいはそれを達成するための関係当事者の間における現実的な解決の方向に向かっての合意、そういったものが形成されてこないことには、なかなか事態は前に進みません。  私どもは、現在、そうした第五小委員会の審議の方向というものを踏まえながら、関係当事者間において少なくとも音楽の分野については何らか現実的妥当な解決の方向がないか、その話し合いをまず進めていただきたい、そういう考えのもとにお手伝いもしているわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 文化庁長官は文部省出でいらっしゃいますか。大体、私もこの島で長く飯を食っていると、各省各省の特徴がありまして、文部省というのは、言葉は丁寧で一生懸命理屈を言うけれども、口だけであって何にもやらない。これは文部省の特徴だが、あなたのお話を聞いているとそのとおりだ。実に言葉は丁寧でぐだぐだ言っているけれども、結果は何も出てこない。私は結果を聞いているのです。  また私は申し上げますが、この小委員会というものは、あなたもおっしゃるように、実演者も入っているが、また、メーカーも入っている。いわゆる機器、機材のメーカーも入っている。この人たちは、なるべく自分たちのふところが損するようなことはやりたくない、反対するのはあたりまえですよ。それをあなた方は、そういう小委員会に利害相反する者を全部集めておいて、そして一つの結論が出るまで慎重に審議しましょう、これは百年たったって出っこない。そういうようなことをあなた、余りもっともらしい言葉で言うのはやめてください。やはりそのときには国家が中心だ、文化が中心だ。世界の平和国家として生まれあるいは文化国家として生まれ、経済大国世界第二番目だ。ここまで来た日本が、こういう録音、録画の文化的先進国としての処置をこのまま放任していいかどうか。単なる企業の利益のために屈服しておいて、結論を出さないでこのままいっていいか悪いか、こういう問題なのだ。あなた、いいですか。そのためにあなた方文化庁を設けたのだ。高い月給をくれたりしているのだ。そういう高度の立場から物を考えていただきたい。  五十二年三月三十一日に、文化庁長官あてに芸団協、芸術家、音楽家の著作権協会等が一つの要望書を提出している。一番には、「個人録音・録画の実状は、わたしくたちが権利の制限として許容できる限界をこえている。」これはそのとおりです。だから「録音・録画機器メーカー、テープメーカーは権利者に補償金を支払うべきである。この方法しか解決の道はない。」これも私はそのとおりだと思う。そこで、繰り返して私は一つあなたに提案をいたします。「著作権法第30条(私的使用のための複製)に追加して、“著作者、実演家、レコード製作者は、録音・録画用機器並びに録音・録画用機材(録音・録画用テープ及びこれに相当する物)の製作者から、同機器・機材の販売価格に一定率を乗じて得た金額を補償金として受取る権利を有する”旨を規定されたい。」これは私の要望でもあります。また、国会の音楽議員連盟の共通した超党派の一同のこれは要望でもあるのであります。  いかがでございますか。そんな抽象論じゃありません。何月何日ころまで可否の結論を出す。見込みをきちっと言ってください。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 先生御指摘のいわゆる西ドイツ方式と言われている解決の方途を現在の私的使用の場合に求めるというのは、確かに一つの考え方だと私も考えます。しかし、わが国の場合に直ちにその西ドイツ方式を採用することができるかどうかについては、これまたかなり問題があると思います。やはり西ドイツ方式をわが国に妥当せしめるについては、西ドイツ方式を採用した場合において、だれがだれとどのように交渉をしてどれだけのものを受けるのか、そしてそれをどのように分配をしていくのか、そのことについて果たして国民各層が納得をするのか、その点についての十分なる詰めが必要でございます。そういった点についての検討を含めて、現在第五小委員会が議論をしているわけであります。  もちろん、第五小委員会の議論を御指摘のようにいつまでも延ばしておくわけにはまいりません。できるだけ早い機会に第五小委員会の現時点における考え方を示していただきたいということは、私どもも小委員会にお願いをしておりますけれども、御指摘の西ドイツ方式をそのまま直ちにわが国の著作権制度に導入することが是であるということを、この段階で申し上げるわけにはまだまいらない状況にございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いま一度繰り返して私は申し上げますが、一つは、文化庁著作権第五小委員会における審議の内容をひとつ公開してください。その資料を私に下さい。いいですか。何をやっているかさっぱりわからぬ。これは何も秘密にしておく必要はない。この資料を要求いたします。  第二番目は、いま言うとおり、何も西ドイツ方式をそのまま直輸入せいと私は申し上げているのじゃない。西ドイツは賦課方式をやっておりますよと一つの例として申し上げた。いまの日本の文化庁は、この著作権法の第三十条をどのように改正するかというその結論を早く出していただきたい、これはもう時間の問題ですから。いいですか。私は、あなたのそんなに早く出ないの、何が出ないのという逃げ口上ばかり聞いているためにこの貴重な時間、委員会で論議しているのじゃない。まず、ことしいっぱい、ことしと言ったって三月三十一日もことしでありまするけれども、これは会計年度であります。普通の年数で、ことしの十二月三十一日までにちゃんと小委員会の結論を得て、文化庁がきちっとした回答を出すことを私は強く要望しておきます。出さなければ、私はまた別の方途であなた方の責任を追及します。  それから、第二の問題として私は申し上げますが、ローマ隣接権条約の問題についても私は御質問したい。これは実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約ですが、この条約を承認することについてどのようにいま動いているのか。これは外務省ですか。外務省にお聞きしましょう。

関栄次外務大臣官房審議官

○関(栄)政府委員 お答え申し上げます。  このローマ条約につきましては、国内におきまして著作権、著作の隣接権制度の運用の実態、それから関係当事者の見解、さらにはアメリカを初めといたします諸外国の動向等をさらに見きわめたいというふうに外務省は考えております。ただ、この条約の加盟につきましては、外務省といたしましては、今後とも文化庁初め関係省庁と協議の上、前向きに対処してまいりたいというふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ちょっとお伺いしますが、関審議官、これは政府委員かね。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 政府委員でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは、残念ながらこれは認めておきましょう。いまの答弁も一応記録に残る責任あるものとして承っておきますが、大体、放送において、いわゆる洋盤レコードが実演家とかレコード製作者に何らの対価も払わないままで大量、無制限にこれが使用されている。これくらい国家的不信を呼んでいる問題はない。同時に、国内における実演家に対する圧迫もこれまたはなはだしいのだが、こういうものを無制限に使用することを刑法上一体どう取り扱われるのか。これはやはり窃盗罪じゃないか。これは形はないけれども、こういう形ではないけれども、こういう文化的な財産を無断で使用する者はいわゆる窃盗罪に値するのじゃないかと思う。私は、刑法は余り強くありませんけれども、いかがでございましょうな、法務大臣。あなた、憲法改正論よりはひとつ刑法論、窃盗論をやろうじゃありませんか。どうかね。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 小林委員の仰せのように、貴重なものをほかに使うわけでございますから、お考えのようなことも一応の御意見かと思いますけれども、刑法では、窃盗罪の構成要件といたしましては、他人の財物を窃取した者というふうになっておるわけでございまして、この財物というのは、物理的に管理可能なものというふうに解釈されておるわけでございますので、遺憾ながらお考えのようにはならないというふうに思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これは形のあるものを取らなければだめだということになるのか。これは形がない。財物と称せられないか。しかし、これはきょうの論争の中心じゃないけれども、よく何々教授が何々博士の著作の一部分を転載をして自分の博士論文の中に記載したとか転載したとかという問題が学者の世界で起きている。私の身近なところでも問題が起きているが、これもやはり窃盗罪は成立しませんか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 一般的に盗用というような言葉が使われますので、盗むというような感じがあるかと思いますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、むしろ窃盗罪の問題ではなくて、先ほど来委員が御指摘のように、著作権法の問題ではないかと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 わかりました。いまちょっと論旨は余分な方へ行きましたけれども、しかし、これはいずれにいたしましても文化国家として恥ずべきことです。外国のいわゆる著作者、実演者それぞれの貴重な財産を無断で使用している。私どもの調査によりましても、わが国のラジオ放送におけるレコード使用実態を見ると、その音楽演奏時間のNHKは六三・七%、民放は三八・七%がいわゆる洋盤レコードが使用されている。これはみんな外国のものを使っている。そしてただ。一銭も使用料を払わない。こういうようなことは大変よろしくないと思うのでございまして、その中では、前述の音楽演奏時間のうち邦盤、日本のレコードの使用はNHKが一六%、民放が、これは多い、五五・七%。ところが、邦盤のレコードに対してはレコードの二次使用料というものを支払われている。これはNHKも民放も払っている。国内のものには払っているけれども、外国のものには何にも支払っていないということは、こっちの面から見てもやはり許されることではないのでございます。実力ここまで来た日本としては、こういう面においていかにも外国に恥ずかしいことを現実に行っているということを国自体も反省をしていただかなければならないのであります。  一方、外国に対してこういう盗賊的行為をしていると、今度はわが国の実演家の実演がまた外国においても保護を受けない、やはり相対関係でありまするから保護を受けない、こういう問題も出てまいりまするので、ローマ隣接権条約に未加入であることは、文化国家として国際的信用にもかかわる重大問題であるというふうにおくみ取りいただきまして、この条約に早急に加入することを考えていただきたいのでございます。これはやはり実施庁は文化庁ですかな。どうですか、あなたのところへ行くとみんな物は進まなくなってしまうのだが、これは大丈夫ですか。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 三十六年に制定されたこの隣接権条約につきましては、率直のところ、四十五年の著作権法改正の際には、隣接権条約に早期に加入をすることを前提として立法はいたしませんでした。したがって、実演家について言えば、わが国に常居所を有する実演家の実演を保護するということにしていたわけでありますけれども、御指摘のとおり、その後隣接権条約の加盟国が二十三カ国に達しております。アメリカ、フランスが入っていないという問題はございますけれども、著作隣接権の国際的な保護を考える場合に、隣接権条約に加入をするということは、われわれにとってはすでに国会の附帯決議もございますし、重要な課題になっています。先ほど外務省からも御答弁がありましたように、わが国における隣接権制度の運用の実態なり外国の状況等をさらに検討する必要はございますけれども、われわれとしては早期に加入をするという方向で現在検討をいたしているところでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 先ほどの問題と違いまして、いまの問題はひとつ早期に加入する方向ということで、前向きの御答弁がありました。これは非常に結構だと思います。  参考までに申し上げまするけれども、五十三年四月十八日、参議院の文教委員会で同じくこの問題でも附帯決議が行われておりまして、「著作隣接権保護の徹底を図るため、「実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約」にすみやかに加盟すること。」と、ぴたっとやはり立法府の意思が明確になっておるんですから、こういう立法府の意思というものは尊重するという構えを行政が示してもらわなければ、昔の国会のように、天皇の政治に協賛するなんて言って、だんだん国会の価値が低下してしまう。これはそれこそ民主政治の破壊、破滅にも通ずるのでありますから、立法府がこういう決議をしたら何をおいてもぴたっとそれに従う、ひとつこういう峻厳な姿勢を示していただいて、早急にこれが実現されることを要望いたしておきます。  時間がありませんから、次に第三番目に移りますけれども、私は、入場税の撤廃または免税点引き上げの問題についても御質問いたしたい。  これは大蔵省でございましょうか、入場税の軽減、撤廃の問題の経緯をこれは詳しく書いてある。なかなかいいパンフレットがここにある。こういう入場税が実施されたのは昭和十三年、一九三八年、その淵源、発端は、いわゆる支那事変特別税法案というのが第七十三帝国議会に提出されたことから始まっておる。これは戦争中の軍事費調達のためにやられた悪税なんであります。そのときの大蔵大臣は賀屋興宣さん、政務次官が太田正孝などという歴史的人物が並んでおって、こういう悪税をつくり上げたわけでありまするが、これがだんだん高額の税金になって、もう戦争に負ける昭和二十年あたりになりますると、この入場税がべらぼうに引き上げられて、いわゆる一円以上は実に二〇〇%なんですね。二〇〇%も入場税をかけて戦費を調達しているという、実に残酷な戦時史がここへあからさまに出ているわけであります。  これが、第二次世界大戦が終了いたしますと同時に、昭和二十一年には、こういう悪税を撤廃しなければならないといって、入場税撤廃期成同盟というものができ上がって、国民の文化、国民の娯楽に障害を与えるようなこういう悪税は撤廃すべきであるという運動が、猛然として起こっておるのであります。その昭和二十一年から今日まで累々としてこの撤廃運動が盛んに行われている。これを一体どうして廃止しないのか。  ついに、この入場税を廃止するのを目的といたしまして、これは昭和二十四年、一九四九年にこの国会の中で国会音楽議員連盟というものが結成されておる。衆参両議員九十三名が参加をして、そしてその中には、もうりっぱな人が入っています。犬養健、植原悦二郎、松岡駒吉、星島二郎、北村徳太郎、黒田寿男、末端に至って小林進というふうになってくるのでありますけれども、こういうようなそうそうたる名士が入って、そしてこれをひとつ撤廃しようという運動が始まっておる。  もう時間がありませんからなんでありまするけれども、それに対して、実に歴代の大蔵大臣が全部撤廃の方向で回答しているんだ。まず、この中で一番りっぱなのは当時の水田大蔵大臣、これは昭和三十七年です。「水田三喜男大蔵大臣 入場税も実情によって変えるべきで、税としては悪税と私は思う。」これは明確ですよ。「悪税と私は思う。将来は撤廃すべきものと考える……一部は残したが全体の考えとしては次第にこれをとってしまうことが望ましいと思っている。演劇その他の入場税は将来なくすべき方向にいくべきと思う。」これは実にりっぱな回答を寄せている。  こう言っているのでありまするが、これがなかなかなくならないものでありまするから、昭和四十二年には、ついにもうがまんし切れなくて、衆参両院で入場税撤廃請願の決議というものを行っておる。両院で撤廃しなさいという決議をしている。これほど強いものはありませんよ、立法府としては。それも行われていない。そこで、永田さんはせつながって、昭和四十三年にも、こうやって衆参両議院の決議の請願も採択されたんだから、どうしてもこの点も含めてこれは撤廃するように検討いたします、こう言っている。これもやらない。  しかし、だんだん調べてまいりますと、その後ろにはやはり大蔵官僚がいるのです。大蔵官僚というのはよくない。大臣の方向までも全部官僚が押さえている。その中には高木文雄がいたり、中橋何がしなんといっていまでも生きているが、悪いのがいっぱいいるのです。そういうのがおります。  それからじんぜん日を経てまいりまして、昭和四十四年には福田赳夫さんが大蔵大臣。彼も初めは入場税はどうも撤廃するのが困難だと言ったんだが、だんだん押されてきて、昭和四十四年のわが社会党の木村禧八郎さん、これは何といったって財政通ですから、木村禧八郎さんの質問にはついにやられて、そして福田大臣も、各方面から意見を承ってきたが、これはやはり積極的に解決しなければならぬ、やります、こういう答弁に変わってくる。これは参議院の大蔵委員会。木村禧八郎さんはこう言っている。「入場税百億ちょっとぐらいでしょう。文化国家としてこんなものが残っているのがおかしい。四十四年度は一兆二千億もの国税の自然増収があり」、一兆円も自然増収があるんだからこんな百億ぐらいのものはおやめなさい、こういう質問に答えて、各方面から言われているので、私もこれを廃止する方向に積極的にひとつ考えてみますと大蔵大臣は答えた。  大蔵大臣の福田赳夫にそれをやめなさいと言っているいわゆる超党派の有志議員連盟の懇談会というのが設けられて、どうしてもわれわれは廃止する方向に持っていこうというそのときの自民党代表の中の筆頭に渡辺美智雄がいるのです。いまの大蔵大臣がいるんだ。それから山下元利、八木徹雄、青木正久なんという、こういう文化人もちゃんとおいでになる。こういう人たちがいる。だから、いまここへ来てもし大蔵大臣が撤廃しないとすれば、一体昭和四十四年に何の決議をしたという——野にあれは正義を唱え、与に入れば直ちに前言を覆すなんというのは、大臣の風上にも置けません。渡辺さんにはちゃんと前言がある。  そういうふうに数え挙げれば切りがないけれども、いずれにいたしましても、時間がないから言うけれども、昭和五十年に初めて税制が改正になってきて、一般映画は一千五百円、それから演劇は三千円、それ以上は入場税をかけます、こう言っている。これは昭和五十年に決めた。ところが、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、五十六年、この長い間ちっともそれが改革されていない。何ですか、その間は物価はどんどん上がっている。いまはもう演劇なんというのは五千円から六千円、外国のものをちょっと持ってくれば八千円から一万円、こういう入場料が支払われているときに、昭和五十年並みにしてこれを改正しないなんというのは行政の怠慢じゃないですか。時世を知らざるもはなはだしいと言わなければならない。  これは何といっても廃止しなければ文化国家として恥ずべきことですよ。これは先進国にはみんなありませんから。けれども、廃止ができないならば、せめて五十年以来いままで据え置きにしているという行政の怠慢は改むべきであって、少なくとも六千円とか一万円以上の高級な演劇には入場税をかけるが、いまは五千円や四千円くらいのそんなものはわが日本においては大衆娯楽、大衆演芸だ。しかも、これが地方へ行けば、芝居を見たい。一年に一回も歌舞伎が回ってきたといえばみんな見たい。握り飯をしょっていっても見たいのだけれども、入場税がつくから安く見せられないということで、国民とわが日本の伝統文化を入場税が全部遮断をしている。こういうことをやめさせなければならぬと思うのでありますが、どうです。この入場税は大蔵省かな。

矢澤富太郎大蔵大臣官房審議官

○矢澤政府委員 入場税の経緯につきましては、ただいま小林委員から御指摘のあったとおりでございまして、大変に強い要望を受けまして、昭和五十年度に、それまでは映画、演劇ともに免税点が百円でございましたが、映画につきましては十五倍の千五百円、それから演劇につきましては、実に三十倍の三千円というふうに免税点を大幅に上げたわけでございます。そういう意味で、これは大分先取りをした免税点の上げ方であると私どもは考えておるのが第一点でございます。  第二点は、御承知のように、昭和三十年代あるいは四十年代と違いまして、国の財政も大変窮迫した状態にございます。特に五十六年度予算におきましては、財政再建を目途といたしまして、所得税、相続税を除きましたほとんどすべての税目につきまして増税をお願いしているような財政状況でございますので、そこはひとつ免税点の引き上げについては御勘弁をいただきたいとお願いをする次第でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そんな書いてきたような文章、一体君は何だ。矢澤審議官て、これも政府委員か。だから、そんなことを聞いているんではないんだ。一千五百円だとか三千円は私が言ったじゃないか。私が言った後じゃないか。だから時間を食っちゃって、いま時間が来た時間が来たと催促されている。それよりも、君のところの大蔵大臣が、自民党を代表して四十四年に、もうこんな入場税というものは撤廃すべきであるという決議の中に入っておる。それを一体大蔵省としてどう考えるのだ。何を言っているか。帰って大蔵大臣に言って、その返事を改めて私のところに持ってきなさい。大臣というものは二言をしてはいけません。まだ奥野さんの方がりっぱだ。総理大臣にしかられながらもがんばっている。二言あってはいけません。  時間がありませんから最後に言いますけれども、第四番目としては、外来の音楽家だ。これは入管だけれども、外国の音楽家がだんだん入ってきて、いま始末に負えないくらいなんだ。昭和三十四年まではわずか三十四件であったものが、東京オリンピックを契機にして四十三年には二千人を超え、四十九年には九千人、昭和五十二年には一万人を突破した。昭和五十三年には一万三千人となり、昭和五十四年には一万八千人も外国の音楽家が入ってきて、わが日本の市場を荒らしまくっているわけでございまして、これに対応する日本の音楽家というものは、国勢調査によると五十年で大体六万五千人有余のところへ、二万人近くの外国の音楽家が来て日本の音楽市場を荒らしまくるのでありますから、日本の音楽家は生活が成り立たない。だんだん自分の活躍の舞台が狭まってくるという暗たんたる状況なのであります。  これについて、日本の入管も労働省も実に野放しだ。日本というものは、外国の労働者が入ってきますとなかなか厳しい。ところが、ヨーロッパは、イタリアなんというものはヨーロッパの出かせぎ地域でありますが、特にイタリアの南部のあの百姓地帯は、フランスでもドイツでもイギリスでもみんな出かせぎというので、ヨーロッパ市場では自由に外国の出かせぎは認めているけれども、しかし、音楽家ということになると、その国の芸術の程度を下げてもいけないし、国内の芸術家の市場を荒らしてもいけないということで、きちっと整備をしている。ところが、わが日本は反対なんだ。外国の労働者や日雇いやかせぎ人には非常に厳しいが、芸術などと銘打つと野放しにして入れてしまう。全く反対であります。これは文化国家としては恥ずかしい行政だ。  この問題は、時間がありませんけれども、いまどこに行っているか、かつて竹村さんが法務省の入管局の次長をやっているときに、竹村さんにも来てもらったが、朝鮮芸術団は来て何をやっているかわからない。韓国の芸術団なんていって来て、これは二カ月滞在を一回延ばして四カ月にして、また滞在を二回も延ばして六カ月にしてやった。これは風紀を乱している、一体何だ、こういうものを芸術団と称して日本国内に入れているのは日本の風紀を乱しているじゃないか、これが一体芸術家なのかという問題を提起して、竹村さんというのは頭のいい検事さんですから、だんだん抑えてきて相当整備をしてもらった。なに、入れるに当たっては、その元締めは岸さんだった。  そういう歴史は別にいたしましても、この問題を厳格にやってもらわなければならないが、いま一体どういう形になっているか。いままでは二カ月、三十日三十日の二カ月を一回だけチェンジしたらそれでもう十分なのを、さらに入管はまたそれをやって六カ月にしようかなどというふうな緩慢策もとるやに聞いているのでありますけれども、それがどうなっているか、ひとつ早急にお答えを願いたい。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国からの芸能人の入国は、確かに先生御指摘のとおり、近年非常に増加しております。これは、一つには国内でそういう外国芸能人に対する需要が非常にふえているということがあろうかと思います。他方において、入管といたしましては、先生が先ほどお触れになりましたとおり、国内の芸能人の職域の問題も考えなくちゃいけない。そこで、その均衡をどこに求めるかということが問題でございます。  決して現在野放しにこういう人たちの入国を認めているわけではございません。ちょっと先生が言及されました在留期間の更新につきましては、最初六十日で入りますけれども、更新は原則として一回しか認めておりません。五十三年までは二回認めていたのでございますけれども、合わせて百八十日滞在できました。現在、これは原則として百二十日にとどめております。今後とも、国内の社会大衆の外国芸能人に対する需要の問題と、それから国内の邦人芸能人とのバランスの問題というのはよく気をつけてまいりたいと思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 いやいや、あなた、この前中南米局長をやっていたと思ったら、いつの間にやら入管局長になって、思わざるところで会見した。あなたの奥さんともちょっと親友の仲でもあるが、その関係もあってあなたに対する質問は若干ひとつセーブすることにいたしまして……。それはそれ、これはこれでありまするが、私的をもって公的を論ずるわけにいかぬから、やることだけはきちっとやってもらわなくちゃならぬ。  いずれにいたしましても、諸外国における音楽労働組合、ユニオンの外国人演奏家に対する態勢というものは、アメリカにはアメリカ音楽家連盟、イギリスにはイギリス音楽家組合、全フランス音楽芸術組合、西ドイツ演奏連盟、オーストラリア音楽家連盟、これはみんな国によって内容は違います。違う点まで説明する時間がありませんからやめますけれども、違っておるがそれぞれユニオンというものをつくられて、非常に強力な力を持っているのですよ。外国の演奏家が入ってきたり音楽家が入ってきても、そんな勝手な呼び屋だけの行動でそういうような演奏旅行やあるいは芸術行動ができるようになっていない。ちゃんとユニオンとの連絡をとってユニオンの承諾を得る、あるいはユニオンのメンバーになる、あるいは組合員になる、そういう形でそれぞれの国のいわゆる音楽家というものの職業が守られているし、また、程度の落ちることも防がれているという状況でございますが、これに対してわが日本は非常に緩慢だ。  そこで、まず労働省にお伺いするが、外国の音楽家は一年間に二万人も入ってくるんだ。これを持ってくる人をわれわれは呼び屋と言っているけれども、この呼び屋の資格をどういうぐあいにチェックをされておるか。これは職業安定局長か、一体どのように処置されておるのか。

小粥義朗労働大臣官房審議官

○小粥政府委員 お答えいたします。  通常、招聘元、いわゆる呼び屋と言われる方が外国からタレント等を呼んでくる、その場合の形は、いわゆる出演契約というのを結んで入ってくるものですから、通常、労働者という形になじまない場合が多いのですが、ただ、いわゆるプロダクションというのが国内へ入ってきて国内で芸能関係のあっせんをする、しかも、それが音楽家を雇用労働者としてあっせんするということになれば、これは職業安定法上のいわゆる職業紹介事業に該当するものを、ちゃんと許可を受けてやらない限りだめだということになるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 その許可はどこでおろすの。

小粥義朗労働大臣官房審議官

○小粥政府委員 有料職業紹介事業の許可は、労働大臣が許可することになっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 労働大臣であることはわかっておるが、労働大臣の下でその行政事務を担当しておるのはどこだ。

小粥義朗労働大臣官房審議官

○小粥政府委員 職業安定所が窓口になりまして、県を通じて労働省に上がってくるという仕組みになっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そうすると、各都道府県の職業安定所でやっているの。

小粥義朗労働大臣官房審議官

○小粥政府委員 ちょっと複雑なんでございますが、国内へ外国人労働者が入ってきて、国内で自分が働く場を得たいという形で動いた場合に、そのあっせんをするのは職業紹介事業になるわけでございます。ただ、いわゆる呼び屋と申しますのは、最初申し上げましたように、入ってくる前に出演契約を結んでまいりますから、そうすると、その場合の外国人音楽家というのは、いわゆる労働者に該当しない場合の方がむしろ多いわけでございまして、その場合の呼び屋といいますのは、必ずしも職業紹介事業として行われなくても構わない、こういう形になっておるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そうすると、呼び屋というのは、職業紹介者としての資格は何にも要らないか。無資格で、単なる本人同士で契約を結べばそれでいいということか。

小粥義朗労働大臣官房審議官

○小粥政府委員 一口に申せば、そういうことでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 こういうところにいわゆる労働行政の一つの盲点があるんだな、これは。  これはどこか、入管かな。それじゃ、もう呼び屋というものは何にも資格が要らない……(「文化庁」と呼ぶ者あり)文化庁かな、これは。このままで野放しでいいのか。こういうことを改正する必要はないかね。困ったような顔しないで、ちょっと……。

佐野嘉吉自由民主党法務政務次官

○佐野(文)政府委員 文化庁がいわゆる文化の普及のような仕事、文化の振興のような仕事について国の立場でかかわるかかわり方というのは、できるだけ少ない方がいいと私は考えております。もちろん、現在でも著作権の仲介業務等については最小限度、仲介業務法の規定によって許認可の仕事を持っておりますけれども、いまのような問題について、文化庁の立場からすれば、すぐれた芸術家が国際的に交流をするということについては、むしろ自由に行われることが望ましいということはまず大前提としてございます。ただ、御指摘のように、それが日本の音楽家の仕事に影響を及ぼすという点をとらえますと、私たちもまた関心なきを得ないわけでございます。  いずれにしましても、法務省なりあるいは労働省の御意見を十分伺いながら、文化庁としてもどのように考えたらいいかについて考えてまいりたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 時間も来ましたからやめますが、入管局長大鷹さん、私は竹村さん、あなたのところの次長にも話をしたことがある。それは、韓国のいわゆる芸術団と称するものがいま言うように二カ月更新で入ってきた。これは入管で許可した。来た人はじゃ何をしておるかというと、銀座あたりに秘苑という韓国料理の高級のそういうものがあった。裏も表も皆やっちまう。その秘苑へ来て、芸術家と称してそれをやっている。そこには日本の政治家も行きましたよ。私どもは金がないから行けないけれども、金のある政治家もそこへ行った。そして評判を悪くしたから、それをやめなさい。ところが、その後ろには強力な政治家がついていてなかなかめんどうであったんだけれども、しかし、そのときに呼んだときでも、休日には、その秘苑という料亭が休みのときには、私たちは老人ホームへ行ったりそこら行って、韓国の芸術を老人たちにも無料で見せて日本のために非常にサービスいたしました、非常によいこともやりました、そういうようなことを理屈をつけてなかなかめんどうであったけれども、あれが芸術家なら芸術家はどこにもいるわい、わしだって足上げて芸術家のまねくらいして見せるわい、それはだめだということで、大変やかましく言ったという歴史があるのです。  だから、いまも言うように、職業紹介では呼び屋などというのはだれでもできるというふうなこんな状態であるならば、やはりそれは入管のあなたのところでもチェックしておかなければいけない。また再びキャバレーやバーで芸術家と称しておかしな色事みたいなものをまねされたのでは、わが日本の文化の程度を疑われるという問題になりますから、ひとつ大いにやってもらいたい。  時間が参りましたから私はここでやめますが、そこで、最終的にひとつ要点を申し上げる。  「長期固定的に一定期間滞在し、演奏業務にたずさわる者(いわゆるクラブ・キャバレー・ホテル等で演奏業務にたずさわる者)については、全国音楽労働組合協議会(略称・音楽労協)と招聘業者、」これは呼び屋です。呼び屋と「および学識経験者による審査機関」三者構成の審査機関「を設け、一定技量を有する者の外は査証」ビザの「発行を認めないこととする。」これをひとつやってもらわなくちゃいけない。  二番目は、「短期に一定期間滞在し、コンサート等を主として、演奏業務にたずさわる者については、音楽労協と招聘業者、および学識経験者による審査機関を設け、我が国の音楽文化の発展と国民の芸術的ニーズに真に応える立場から一定の調整と規制を行なうものとする。」これをやってもらう。  第三番目は、「我が国において長期、短期ともに滞在し演奏業務に従事する者は、音楽労協に臨時に加盟するとともに、一般加盟員と同等の保護と規制を受けるものとする。」  以上のこの三つを行政の面においてどうしても実施していただかなければならぬというのが、私の要望事項であります。一体、どこの省で主管になっていただくか知りませんが、どうぞひとつ私のこの要望について実現していただきますことを切にお願いいたしまして、また、私は後日、その行政の進展の状況を見て再び御質問を申し上げることをここでお約束いたしまして、私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、主として奥野法務大臣に、あなたの現行憲法に対する基本的な考え方を、ことにあなたの主管の行政についての審議をする委員会ですから、率直にきょうはお聞きしたいと思うのですね。  あなたは二月二十日に「週刊ポスト」という週刊誌の記者とお会いになってお話をしていますね。この事実はお認めになりますね。この中で問題になっているのは、「つまり、いろんな意味で現行憲法を見直すべきだ、」ということですかという記者の質問に対して、「そう。民主主義とか、基本的人権とか、平和主義とかいう理念についても、過去をふり返り、もういっぺん深く論じあって、正しい考えを身につけるようにすることが大切だ」、これはどういうことですか。正しい考え方がまだ身についていないということなんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 簡単な言葉でございますから、私が話したことが全部そのまま記事になっているわけじゃございませんで、まとめた方がそうおまとめになった、できる限りおまとめになったものはそのままにしているものでございますので、あるいはそれだけでは御理解いただきにくい点が多々あるだろうと思います。  私が常日ごろ言っておりますのは、憲法は大変よい理念のもとにつくられてきているわけだけれども、国民がそれらの考え方を必ずしも深く理解しているわけじゃないわけだから、それらの理念についても国民が正しい考え方を身につけるようにお互いが努力をしていかなければならない、こういうことを言っているわけでございまして、それがいまおっしゃった言葉じゃなかっただろうかな、こう思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたは、この基本的人権の問題あるいは民主主義、平和主義が必ずしも正しく国民の身についてない、そうおっしゃっておりますが、あなたが閣僚である内閣の総理大臣の鈴木総理は、昭和五十五年十月九日の予算委員会で、「今日では、この現行憲法のすばらしい点、三原則」、三原則というのはいまの三つですね、「三原則というようなものは国民に評価をされ、また定着をしておる、私はこう思っております。でありますから、現行憲法をそのままただ自主的にやればそれでいいんだというような問題ではない。やはりこの三原則を初め憲法のいい点というものはあくまでこれを守っていく。」要するに、この三原則は国民に定着しておる、こう言っておるわけです。これは昭和五十五年十月九日の予算委員会です。それから、ことしの二月二日の衆議院の予算委員会で、「私は、現行憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この理念というものは後世においても貫かれるべきものである、これが国民の中に定着しておる、私はこう考えております。」  総理は定着していると言う。あなたは国民にまだ理解されてないと言っている。いまあなた、そう言いましたね。だから考え直さなければいかぬ。この違いはあなたはどうするのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 日本国憲法がいま御指摘になりました三つの原則、それを基本にして制定されている、その考え方はよいものだ、これは憲法を理解している人たちはそのとおり評価していると思います。自由民主党が自主憲法制定の綱領を掲げております場合にも、その三つの原則は守っていかなければならない、こう言っているわけでございます。  そのことと私が言っているのとは、別な次元の問題だと思うのです。たとえば基本的人権の例を挙げますと、これは守っていかなければならない、これは憲法を考える人たちは皆理解していると思うのであります。しかし、実際国民の間には、権利の主張はよくされるけれども案外そのうらはらの義務の問題、あるいは自分の人権は主張するけれども相手の人権を守るというような点について欠けるところがありやしないだろうか。そういう意味でいろいろ考えていきますと、国民みんながなお深く論じ合っていく課題になっているのじゃないかな、こう思います。ですから、定着という言葉をどういう意味で使うかということによって変わってくると思うのでございまして、私は総理のおっしゃっています言葉に何ら異論はございません。  同時に、私が申し上げておりますことは、別な意味で、国民みんなひとつしっかり考えながら真の意味の平和主義でありますとかあるいは基本的人権でありますとかあるいは民主主義とかいうものを身につけるように努力をしていきたい、お互い反省もしていきたい、こういうことを言っておるわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなた、総理はこう言っているのです。「今日では、この現行憲法のすばらしい点、三原則というようなものは国民に評価をされ、また定着をしておる、」と言っているのです。ところが、あなたの方は、これらの点については「過去をふり返り、もういっぺん深く論じあって、正しい考えを身につけるようにすることが大切だ」、「深く論じあって、正し考えを」——だから、正しい考えを持っておらない者たちがいるから、そういう者は正しい考えを身につけるようにすることが大切だ、こう言って、定着という意味とあなたの言っている言葉とは私は矛盾していると思いますが、そう思いませんか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 どういう立場で論ずるかによって違ってくると思うわけでございます。  憲法そのものを改正するか改正しないか、そういう意味合いにおきましては、日本の憲法は三つの原則を基本にして制定されているのだ、この三つの基本の原則はいいものだということはもう定着している、私もそう思っておるのでございます。そういう意味合いで私は使っておられるのだろうと思うのであります。  同時にまた、違った面で物を見ていきますと、平和主義という言葉から、逆に国を愛すると言うと戦争につながるのだ、平和主義に反するのだ、こんな気持ちを現に持っておられる方もおることは事実でございます。したがってまた、国の象徴でありますような日の丸とか君が代とかいうことを特にきらわれる方々がおられる。国を中心に物を考えていくと、あるいはそれが戦争につながっていく、平和主義に反するのだ、こんなことを現に言っておられる方もないわけじゃございません。  やはりそういうことは、平和主義とは何ぞや、民主主義とは何ぞや、あるいは基本的人権とは何ぞやということも絶えず議論をしながらみんなで考えて、正しいものを身につけるようにしていきたいものだ、こう思っているわけでありまして、私は、日本の将来を考えた場合には、正しい考え方を国民が理解するようになっていかなければ、この社会の安泰というものを将来にわたって確保していくことが困難になるじゃないか、そういう意味合いで常に、まだ本当の考え方がみんなに確実に理解されたというところまで至っていないわけだから、論じ合っていこうじゃないか、考え合っていこうじゃないか、それが日本の将来の安泰につながっていくのだということを繰り返し言っておるわけでございます。総理の言っておられる次元の話と私が申し上げている次元の話とは違っているのじゃないだろうか、こう思っているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、あなたの次元で言えば、日本国民の中には平和主義というものはまだ定着していないということになるのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法を論ずる立場において平和主義というものはよく理解されていると思っておるのです。憲法を離れまして、国民の間にそれでは民主主義というものが十分浸透し切っているかといいますと、民主主義は自由と平等、二つの柱があると思うのでございますけれども、機械的な平等あるいは機械的な自由というようなものが、それでいいのだと思っておられる方もかなりないわけじゃございませんから、お互いによく考えていくことが大切じゃないかなと、こう思っておるわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたの次元へ戻ってくると、どうも物がわからなくなりますが、いろいろ問題がありますから、次の問題に移ります。  あなたはまたその「ポスト」の中で、記者の質問に対して、「日本の現状ではそれらの理念」いわゆる三原則ですね、いま私が申しました。三原則が「正しく理解されているとは思いません。占領軍の占領政策を遂行する手段として、これらの理念の浸透を図ることが必要であり、そのために日本に憲法改正を求めたんです。」要するに、これは政策遂行の手段としてやったのだ、基本的な国民の理念を確立するためにこういうことは憲法にうたわれているものでないというようにあなたは「ポスト」で言っておりますが、そういうお考えなのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 具体の例を挙げて申し上げた方が御理解いただけるのじゃないかと思います。  日本が戦争に負けましたときに占領軍の最大の眼目は、日本が再びアメリカにとって脅威たる存在にならないということだったと思います。現に、アメリカからそういう指示が総司令官の方にも来ていたようでございます。そういうことから、まず完全に武装解除したわけでございましたし、また、将来とも軍隊を持たせないという考え方があったわけでございます。そういうたてまえで日本の憲法もつくられたと考えるわけでございます。  それをさらに推し進めていきますためには、極端な国家主義という表現もずいぶん使われたと思うのでございますけれども、国を強く出していくような人たちはまず公職から追放されましたし、逆な立場の人たちが公職に迎え入れられるというような状態もございましたし、もちろん、国旗とか国歌とか許されませんでしたし、また、学校における団体訓練というようなものも、軍事につながっていくという考え方のもとにおいて禁止もされましたし、そういうようなことで、本来の平和主義から離れた、それを軍国主義という表現も使われておったと思うのでございますけれども、軍国主義と関係のないことまで抑えられていったような気がいたします。  そういう混乱がまだ今日も一部残っているように考えるわけでございまして、したがいまして、本来の平和主義というものをお互い身につけていって、行き過ぎたあるいは軍国主義という名前でありますとか、あるいは極端な国家主義という名前でありますとかというようなことで進められてきたその名残がまだ一部残っているものだから、そこはお互いよく反省をして正しいものを身につけるようにしていきたい、こんな気持ちを持って申し上げておったわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 何だか、いまのあなたのここでおっしゃることと、あなたの「ポスト」で言う「占領軍の占領政策を遂行する手段として、これらの理念の浸透を図る」、要するに、占領軍の占領政策遂行の手段であったんだ。そのことは先ほども問題になりましたが、あなたが二十二日の静岡県の相良町で開かれた自民党の政経文化パーティーの講演の中でこうも言っているのですね。これは朝日新聞に載っていたのですが、「また法相は、憲法制定の経過を日時を追って説明しながら、制定の背景について「米国が占領政策遂行の手段として(帝国)憲法の改正を求めてきたのは、まぎれもない事実だ」」、こう言っているのですね。だから、要するに米国の占領政策遂行の手段であったんだ、この基本的人権そのほかの三原則は。そういうような考え方をあなたはお持ちになっているんじゃないですか。  手段というのと、国民の信念として定着している、そしてまたそれを定着するような憲法になっているということ、それは手段でも何でもないのですよ。本来そういうものでなければならないことであって、どこかの都合でつくったものじゃないでしょう。あなたは、アメリカの占領政策の都合のために三原則というものが確立されたのだ、こういう考えをお持ちになっている。どうもあなたの考えはそれが抜け切れないと思う。あなたの前歴も私の方いろいろ知っておりますけれども、それが災いしているんじゃないか、そういうように思うのですが、まず、こういうことを静岡県の相良町でおっしゃったのですか。要するに、「憲法制定の経過を日時を追って説明しながら、制定の背景について「米国が占領政策遂行の手段として(帝国)憲法の改正を求めてきたのは、まぎれもない事実だ」」、要するに、米国が占領政策遂行の手段である。何も日本国民の利益じゃないんだ——まあ、そこまではあなたは言ってませんけれどもね。言っていけばそういうことにもなりそうな、日本国民の利益というよりは米国の占領政策遂行のためなんだ、その手段としてこういう三原則が憲法にうたわれたのだ、こうあなたはおっしゃっているように思うのですが、これはそうおっしゃったのですか。その真意をここで言ってください。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法改正を求めたのはマッカーサー元帥でございます。その際には、やはり武装を完全に解除する、それを将来にわたって続けていくということになりますと、憲法改正しなければそういう状態を続けることはできないわけであります。御承知のように、占領行政というものは、基本的にはヘーグ条約にございますように、その国の現にある法規を基本にして占領政策を行っていく、これがたてまえでございます。したがいまして、日本に憲法改正を求めてきましたけれども、日本側の自発的な意思として憲法を改正するのだというたてまえをとれということも、これも命令としてあったわけでございまして、したがいまして、占領政策を遂行していきますためにはいまの日本の明治憲法のままでは進めにくい、そういうこともあって日本に憲法改正を求めたのだ、こう私は思うわけでございます。  その中身がいいとか悪いとかいうことではございませんで、経過的にはそうとしか考えられないんじゃないだろうかなと、こう思うわけでございます。日本政府も、占領軍の意向を知って、いろいろ考えながら、結果はその意図に即して憲法改正をやろうということを決意をしたわけでもあったわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたはそこが根本的な間違いだと思うのですよ。現行憲法ができた根源は、ポツダム宣言によるんですよ。ポツダム宣言というのは、世界的なファシズムに対する民主主義的な統一の力が、たとえばヒトラーだとかムッソリーニだとか東条だとかそういうものを破砕して、そういうものから支配されたものから日本国民を解放する。そして日本は無条件降伏をしてポツダム宣言を受諾したわけですよ。これは日本の民主勢力と世界の民主勢力が、そういう民主勢力を暴力で弾圧する勢力に打ちかった。それを、日本も再びあのような間違ったことをしてはならないからということで憲法制定をしたんだ。あなたはマッカーサー、マッカーサーと言いますけれども、ポツダム宣言をよく振り返ってみなければならないと思う。  ポツダム宣言の第十項を見ますと、「吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ」、その次が、「日本国政府ハ日本国国民の間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障擬ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」、こういうようにあるわけですね。そしてさらにポツダム宣言の十二項を見ますと、「前記諸目的ガ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府が樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルベシ」、こうあるわけですね。  だから、「日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」、そういうものに対する障害は一切除去しなければならない、それが完全に除去されたときには連合軍は日本の国を去る、こういうように書いてあるわけですね。だからここから起因しているということですね。このことをあなたはお考えになりませんか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 ポツダム宣言を受諾するに際しまして、日本側から照会をしているわけであります。そのときに参りました返答は、天皇及び政府の権限は占領軍の最高司令官に従属する、日本の最終的な政治形態は日本国民の自由な意思に任されるのだ、こう言っておるわけであります。それを占領直後に憲法改正を求めてきているわけでございますから、自由な意思に任されるという返答をしてきたこととは矛盾しているのじゃないかな、こう私は思います。  同時にしかし、そういう形で日本国憲法の改正が行われましたから、有効無効が当時大変議論があったわけでございまして、その際に、ポツダム宣言受諾を有効説の根拠にとっておられる方々もいろいろございますし、私は有効無効をここで論じているつもりじゃありませんけれども、林さんがポツダム宣言を持ち出されますから、私は、こういう経過があったのですよということを申し上げるにとどめておきたいと思うのです。  わざわざ照会しているのです。そのときに、天皇及び日本政府の権限は最高司令官に従属するのだ、最終的な政治形態は日本国民が自由な意思で決めればいいのだ、こう言っておるわけでございまして、占領直後に憲法改正を求められてきますと自由な意思でやれるはずのものじゃございませんから、やはりそこに若干矛盾があったと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 重大な点ですからお尋ねしますが、ポツダム宣言の第四項は、「我儘ナル軍国主義的助言者ニ依リ日本国ガ引続キ統御セラルベキカ又ハ理性ノ経路ヲ日本国ガ履ムベキカヲ日本国ガ決定スベキ時期ハ到来セリ」、そして「吾等ノ条件ハ左ノ如シ」、要するに、日本国民が決定する時期が来た。あなたの言う憲法問題については、憲法改正しろという——これは帝国憲法で絶対主義的、軍国主義的天皇制があったわけなんですから、これが戦争の根源になっているわけですから、これを廃さなければならないということが連合軍側の強い要望であったわけですね。ところが、それに対して松本国務大臣の出した日本側の憲法改正四原則の中には、天皇が統治権を総攬するという大原則には何ら変更を加えない、要するに、主権者は依然として天皇だ、そして議会の議決権を要する事項を拡充し、その結果従来の大権事項をある程度縮小する。要するに、天皇制はそのまま統治権者として、主権者として残存するんだということを日本側が憲法草案として出したから、それはいけない、天皇を主権者として、そうして統治権を総攬するというような、それじゃ何らわがままな軍国主義をなくすということにならないじゃないか、そういう注意を受けて、そしてそれを受け入れたのじゃないですか。それが連合軍の押しつけだというようにあなたはお考えになるのですか。  そうすると、あなたの考えは、松本国務大臣の出した日本側の改正四原則の天皇が主権者であり統治権を総攬する、こういうものが通らなくて、連合軍側からこれが外された、はねのけられた、このことがアメリカ側の押しつけだということになるのですか、あなたの考えは。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 押しつけとか押しつけでないとか、そんな議論をしていないわけであります。同時にまた、松本国務大臣がどういう意図で憲法改正案をお考えになっておったか知りませんけれども、ポツダム宣言の受諾に当たって照会した場合に、最終的な政治形態は自由になった日本国民が自由な意思で決めたらいいんだよ、こう言っているわけでございますから、松本さんとしては、主権については従来どおりにお考えになって案をまとめておられたのかもしれません。  これを二十一年の二月一日に毎日新聞がスクープして書いたものですから、それでマッカーサー元帥がこれを見て、これじゃどうにもならない、おれたちがつくる以外にはない、こう考えられて三つの原則をホイットニー民政局長に示して……(林(百)委員「四つの原則です」と呼ぶ)四つの——計算の仕方ですけれども、示して、おまえたちでつくれ、こう言って、ホイットニー民政局長が中心になって一週間でつくり上げた。これを麻布の外務大臣公邸に持っていって、吉田外務大臣、松本国務大臣に渡したことから始まるわけでございます。  経過はそれだけのことでございまして、私はそのよしあしを論じているわけじゃございません。松本さんは松本さんなりに、もしそういう考え方を持っておられたとするのなら、いま私が申し上げましたポツダム宣言受諾に当たっての交渉の経過を踏まえて、それはおれたちが自由にできるのだ、こう思っておられたのじゃないだろうかなと思います。同時に、マッカーサー元帥としては、日本の封建的な社会を打破していかなければならない、あるいは軍国主義的な風潮を打破していかなければならない、そう考えているのに、これじゃどうにもならないと考えられたことも私も理解できるように思うわけでございます。しかし、経過としてはそういう経過をたどってきたんだ、こう思っているわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ただ、あなたの言う「米国が占領政策遂行の手段」、これは素直に読めば、手段というのは便宜のために、自分の国の占領政策を遂行する便益に供するためにというようにとれるのですよ、あなたの言うことは。それで自主的な憲法でないとか、もう一度振り返ってみるべきだとか、当時国民の自由な意思がなかったとか、こう言われるけれども、しかし、ポツダム宣言を受諾した日本の国は依然として天皇が主権者である、そういう憲法をどうしても存続させたいということがあって、それに対して連合軍側から、それでは戦争の禍根を排除することにならないじゃないかということで、新しい憲法についての草案を向こう側が示したのであって、何も手段とかなんとかということじゃないじゃないですか。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕  ポツダム宣言を受諾した以上は、ポツダム宣言の精神に沿うのが当然でしょう。無責任な軍国主義は排除されなければならない、破砕されなければならないというのに、その無責任なる軍国主義の中心であった天皇制をそのまま残しておくということは、ポツダム宣言を受諾した意味をなくすことになるんじゃないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 ポツダム宣言を受諾したわけでございますから、占領軍がその精神に基づいて占領行政をやることは、私はやむを得ないと思います。しかし、憲法を改正する改正しないはまた別の問題だと私は思うのです。  憲法がありましても、占領下におきましてはそれは最高の力を持っているわけじゃなくて、最高の力は占領軍の総司令官でございますから、日本の憲法よりも総司令官の命令の方が優先することは当然のことだと思います。独立するまでは占領軍総司令官の下に立つわけでございまして、その限りにおいて憲法が効力を持たない、これは当然のことだと思います。  同時に、最終的には日本の国民の自由な意思によって決めたらいいんだと言っておきながら、その政治形態をこう変えろということは、私はちょっと矛盾しているんじゃないかなと思います。しかし、そのことが結果的に日本国民によかったとか悪かったとか、そういうことを言っているわけじゃございません。同時にまた、私が明治憲法に戻すことがいいんだというようなことも一つも言っておりません。ただ、占領軍が占領政策を行っていく、それには軍国主義を排除していかなければならない、封建制を払拭していかなければならない、いろいろなことを考えていきます場合に、やはり憲法が陸海軍を持ったような憲法になっている、そのままでありますといろいろ都合が悪い、やはり憲法から変わっていった方が占領行政がやりやすい、これもよくわかると思うのであります。  ですから、ドイツのように、憲法は改正しない、基本法をつくる、独立して憲法が変わったら自動的に基本法はなくなるんだ、これも一つの姿勢だと思いますし、また、フランスの憲法のように、国土の一部でも占領されている間には憲法改正をやらないんだということを憲法に書く、これも一つだろうと思いますし、いろいろなことがあるだろうと思うのであります。あるだろうと思うのでありますが、日本が戦争に敗れましたときには、やはり日本の憲法が占領政策と合致しておった方が占領行政をやりやすい、こういう判断があったんじゃないかな、こう思うわけでございます。そのことを私は申し上げているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたは、マッカーサーがこう言ってきた、マッカーサーがこう言ってきたと言いますが、当時、この新しい憲法ができる前は主権者は天皇だった。昭和二十一年三月六日の官報を見ますと、憲法をつくるに際して「朕曩ニポツダム宣言ヲ受諾セルニ伴ヒ日本国政治ノ最終ノ形態ハ日本国民ノ自由ニ表明シタル意思ニ依リ決定セラルベキモノナルニ顧ミ日本国民ガ正義ノ自覚ニ依リテ平和ノ生活ヲ享有シ文化ノ向上ヲ希求シ進ンデ戦争ヲ抛棄シテ誼ヲ万邦ニ修ムルノ決意ナルヲ念ヒ」と、要するに、当時の主権者である天皇もまた、「日本国民ノ自由ニ表明シタル意思ニ依リ決定セラルベキモノナル」、こう言っているのですよ。  では、これはマッカーサーからこういうことを言えと言われて、マッカーサーの占領政策の都合によって言わされた、こういう意味になるのですか、あなたの意味は。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 明治憲法を全文改正して日本国憲法にする、一体どういう形でそれができるだろうかということが当時苦心されたようでございました。日本政府と総司令部との間でいろいろ話し合った結果、勅語をいただくということであろうということになり、したがって、内閣としては勅語をいただいて憲法改正をやったという形を踏んだ、こう理解しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、これは形をとったというだけで、実際は日本国民の——ここにありますが、「日本国民ノ自由ニ表明シタル意思ニ依リ決定セラルベキモノナル」とあるけれども、これはこういう形をとっただけだ、こういうことなんですか。  では、もう一つお聞きしますが、憲法発布のときの、当時は勅語ですが、読みますと、   この憲法は、帝国憲法を全面的に改正したものであつて、国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によつて確定されたのである。即ち、日本国民は、みづから進んで戦争を放棄し、全世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平和が実現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて国政を運営することを、ここに、明らかに定めたのである。 要するに、自由に表明された国民の総意により確定されたものであるということが、公布に当たっての当時の主権者である天皇の言葉ですが、これもそれじゃ、マッカーサーから言われて形の上ではこうしたが、実態はそうじゃなかった、日本国民はそれに対しては不満だった、こういうことなんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 不満であったとか不満でなかったとか、そんなことは一つも言っていないわけであります。要するに、経過はこうだったということを言っているだけのことでございます。  いろいろお答えをしてよろしいわけですけれども、鈴木内閣では憲法は改正しないんだ、こういうたてまえをとっておりますときに、また洗いざらいいろいろ経過をやってまいりますと、それじゃまたおまえはいまの憲法を改正しろというふうに言っているじゃないか、こういう議論につながりかねませんので、いろんな書物にその間の経緯は書いております。むずかしい書物を読む方であればみんな御理解いただけると思うのでございまして、本の名前をいろいろ申し上げてもいいと思うのであります。いろんな調査も行われておるわけでございますから、林さんはもうその辺のことは十分御承知だと思います。御承知だと思いますので、私がそれに対してまともにお答えをしていって、また、鈴木内閣は憲法を改正しないと言っているのにかかわらず、いや、あいつは憲法を改正しようと思っているからあんなことを言うんだというような議論につながりかねないわけでございますから、これはひとついろんな書物の記述でお互い理解していくようにしたいものだ、こう思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 書物の理解の問題ではなくて、あなたが鈴木内閣の閣僚として、しかも鈴木総理はこう言っているのです。憲法の尊重、擁護については全閣僚が致している、私はある閣僚が——これは私が読むまでもないのですが、念のために言います。「憲法の中でこういう条項が気に食わない、どうしても改憲しなければいけない、こういう主張に立って、この鈴木内閣の憲法は改正しないということにはどうしても政治家の信念として相入れないということであれば、鈴木内閣から去っていただくほかはない、」これは二月十七日に言っているのですよ。  ところがあなたは、二月二十二日の静岡県の相良町で開かれた自民党の政経文化パーティーでは、「外国の求めているものに対して、日本は「憲法が許さない」というだけで済むのかな、といいたい。」とか、あるいはいままで、現行憲法は占領軍政策の浸透のために制定されたものであるとあなたはずっと言っておりますけれども、ここでもそういう意味のことを言っておるのです。「外国の求めているものに対して、日本は「憲法が許さない」というだけで済むのかな、といいたい。(憲法を)改正するかしないか、もう一度考えて結論を出した方がよい。憲法あっての国ではなく、国あっての憲法だ」、このようなことをあなたは言っているわけなんです。この憲法は遵守するということは鈴木内閣の本命である、もしどうしてもこの方針に従うことができないという閣僚があったらやめろとまで言われているのに、あなたはまたここへ来て、現行憲法についてはいまのままでいいだろうかというようなことを言っているじゃありませんか。これはどういうことなんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私が昨年の八月にこの委員会で稲葉さんからお尋ねいただいたときに、政府としてはどうあるべきであるかということもお尋ねいただいたのです。そのとき私は、政府としては自主憲法制定に何らかの動きを行う、それはすべきでありません、こう答えております。これは一貫して私の考え方でございまして、その後鈴木内閣の姿勢を総理みずからおっしゃっているわけでございまして、何ら食い違いはないと思うわけでございます。  同時に、いま、先ごろの静岡における私の講演をお引きになりました。私が申し上げましたのは、憲法制定の経過もお話ししましたけれども、その経過から、日本の憲法の中にいろんなよい精神が盛られているのだけれども、それを占領政策を遂行するためにはかなり極端に進められたきらいがあるのだ。たとえば民主主義というものは自由と平等とが柱になっているのだけれども、この平等も画一的に機械的に持っていかれて、たとえば先生と生徒は平等だ、教壇の上から、高いところから話をするとは何事か、教壇取っ払え、こういうような軍政部の指導を受けたところもたくさんあるわけでございます。そういうところが今日なお学校暴力などを見るとやはり尾を引いているものがあると思うのだという話に持っていきますために、その経過を申し上げてきているわけでございます。  同時にまた、日本は敗戦前後に予想もしないような今日の繁栄の時代を迎えている。しかし、どうも根なし草の繁栄じゃないかと心配しているのだ、だから、日本の国内のあり方についてもいろいろ考えなければならないけれども、やはり相手の立場に立って物を考えるという姿勢も大切なんだ、国際社会、いろんな国があるわけですから、外国の立場に立って日本を振り返ってみることも大事なことではないだろうかな、こう申し上げました。外国が日本に求めているものは憲法に触れる問題があるかもしれない。その場合には、いや憲法に触れるからもう一切そういうものはだめだと言い切ってしまわないで、それも真剣に考えたらいいではないか。いや憲法はこのままでいくんだ、いや憲法は改正するんだ、そういう議論もあってもいいのではありませんか、こういう程度で申し上げてきているわけでございます。  何か私が憲法に触れたようなことを言いますと、ことさらに大きく取り上げられているようでございますけれども、私が静岡で申し上げましたのは、いまの日本の繁栄は根なし草の繁栄ではないかと心配しているのだ、いろんな国内の問題も真剣に考える、外国が日本についていろいろ批判していることも考える、そしてそれらのことを反省しながらよいものは取り入れて考える、そのことを通じて根を生やす、将来にわたって国の安泰を確保していかなければならない、こういう趣旨を申し上げたわけでございました。それが、また改憲論議をやったのだというふうに見出しが出ておるものですから、私までも意外に感じたようなことでございました。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 いや、改憲論議と言いますが、あなたはこうも言っているのですよ。「また法相は、憲法制定の経過を日時を追って説明しながら、制定の背景について「米国が占領政策遂行の手段として憲法の改正を求めてきたのは、まぎれもない事実だ」「憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重は、立派な思想に基づいているが、基本は日本が再び米国の脅威になってはならないという点にあった」と断じた。」こう言っているわけですね。それから、「外国の求めているものに対して、日本は「憲法が許さない」というだけで済むのかな、といいたい。(憲法を)改正するかしないか、もう一度考えて結論を出した方がよい。憲法あっての国でなく、国あっての憲法だ」。だから、もう解釈だけでは済まない段階ではないか。明文ではっきりすべきではないか、こういうことをあなたがここで言っているのではないですか。「改正するかしないか、もう一度考えて結論を出した方がよい。」と言っているのだから。ここでは改正という言葉をあなたは言っているのではないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 長い話の中で一部だけ取り上げますと、いかにも憲法改正論議をやっているように聞こえるようでございます。先ほども申し上げましたように、私は、日本は国内的にもいろいろな問題を抱えていると思うのであります。また、そのためにはどう考えていくか。たとえば経済は繁栄でありましても、エネルギーの七割は油に依存していますし、その油の七割は中東に依存しているわけでございまして、中東はいつ、どういう事態が起こるかもわからない。長い船路をたどって日本へ持ってこなければならない。エネルギーがなくなったら日本の産業はどうなるか、こういう問題もあるわけでございまして、いろいろなことを言ったのであります。  とにかく、真剣に考えていってこの繁栄を地についたものにしていこうではありませんか。第二次世界大戦前には外国で、日本の満州進出その他から始まったと思うのですが、日本品不買運動というものを起こされた。いま外国は日本に対していろいろな見方をしている。その見方についても、ひとつわれわれなりに反省していこうではないか。その反省をしている過程で憲法に触れる問題があったら、憲法に触れるからもう一切そんな考え方はだめだ、こう言い切ってしまわないで考えていこうではありませんか、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。  外国が日本についてどう見ているかという例としては、いろいろなことを申し上げました。たとえて申し上げますと、日本はよい品物を安く提供しているにかかわらず、失業を輸出しているというような批判を受けたり、あるいはウサギ小屋に住んでいる、ソーシャルダンピングをしているのではないかというような言い方をされてみたり、あるいは難民に対しまして非常に冷淡な姿勢をとっているではないか、金もうけばかり考えているではないか、あるいは国際社会の役割りを分担をしていないという批判もあるではないか、みずから守る努力にも欠けるところがあるではないか、いろいろなことを言われている例を私は具体的にみんな挙げてまいったわけでございまして、それを振り返って反省します場合に、憲法に触れるからできないという問題も起こっているかもしれません。その場合でもどちらがいいのかよう考えていこうではありませんか。それは日本国あっての憲法ですよ、憲法あっての日本国ではありませんよ。日本国がどうしなければならないかということを真剣に考えようではありませんか、こういうことを申し上げたわけでありますから、一部だけをとられますと誤解を与えるのではないか、こう思いますので、私はあえてそこまで加えさせていただいたわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私はあなたと憲法論議をしているのだから、憲法の部分だけ引き出すのはやむを得ないと思うのですよ。あなたと政策全般を論争するわけではありませんから。  私がさっき言ったように、「外国の求めているものに対して、日本は「憲法が許さない」というだけで済むのかな、といいたい。改正するかしないか、もう一度考えて結論を出した方がよい。憲法あっての国ではなく、国あっての憲法だ」、これは明らかに憲法の改正ということも考えろ、こういうことをあなた言っているではないですか。  それから「ポスト」誌でも、「これまでは、憲法を事態に応じて適宜解釈しながら、運用してきましたが、大きく客観情勢が変化した中で、どこまでそれで行けるか、ということでしょうね。これまでは、そうした憲法をいいように解釈しながら、運用してきましたが、それにも、限界があるんです。」要するに、解釈だけではもう限界があるのだ、明文的な憲法をはっきりと改正しなければいけないのではないかという意味のこと、これは朝日新聞の相良町のあなたの話と同じようなことをあなたは「ポスト」誌でも言っているのですよ。だから、あなたは改正する意思はない、ないと言うけれども、ちらりちらりと衣のそでからよろいが出るとか言いますが、あなた、やはり本心は改憲論者ではないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、未来永劫日本の憲法を改正してはいけないなんて、一つも考えていません。絶えず情勢を判断しながら、憲法が日本国に合わない面が出てくれば、それは改正しなければならないと思います。しかし、いま改正に動くべき時期ではないのだ、こう考えておるわけでございます。いわんや、政府が改正に対して何らかの動きをするということは適当でない、こう思っております。しかし同時に、繰り返し申し上げるようでありますけれども、未来永劫日本の憲法は改正してはいけないのだ、こういう考え方はもちろん持っておりません。絶えず憲法というものがよりよいものになりますように私たちは検討し、また、それなりの議論も交わしていかなければならない、こう思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなた、先ほども言われたのですが、憲法九十九条では、国務大臣はもちろん、天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護していく義務があるのですよ。そういう義務がある者が、私はもちろん将来にわたって改正する必要がありますとかなんとか、あなた、そういうことをここで言っていいのですか。あなたは閣僚なんですから、普通の一般市民じゃないんですから、あなたは憲法を尊重し擁護する義務があるのですよ。その義務のあるあなたが、ここで勝手に、改正することを将来にわたって考えるのはあたりまえですみたいなことを言うということは、あなたはもう鈴木内閣にとどまっている資格がないと私は思いますが、どうですか。潔くやめて、自由に言ったらどうですか。しかし、国会議員もまたこの憲法を尊重し擁護する義務がありますから、国会議員である限りはその限界はちゃんと守ってもらわなければいけません。あなたは一市民になって、勝手に改憲論者になればいいじゃないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私たちはその言葉をそうは読んでいないのであります。尊重し擁護する義務があるというのは、この擁護という言葉も、憲法違反の法令をつくろうとする場合には、それは強く抵抗していかなければならない、この憲法を擁護しなければならない、こう考えておるわけでございまして、憲法を守っていかなければならない、そういう点はあらゆる法律もみんな守っていかなければならない。そこに国民と書いていませんけれども、国民も尊重、擁護する義務があると私は思うのであります。ただ、公務員でありますと、憲法違反の法令をつくるとか、あるいは憲法をじゅうりんするような行動をとるとか、そういうことについては、当面の衝に当たる者でありますから特に明記されているんだ、こう思っておるわけであります。  同時に、憲法改正の条項も置いておるわけでございますので、この憲法をいつまでも絶対変えないんじゃなくて、よりよいものにするための努力も求められているものだ、こう考えておるわけでございます。よりよいものにしますためには、国会議員も閣僚も常に憲法を頭に置いて、これでいいかどうかということを考えていくべきだ。あらゆる法令についてよりよいものにするためにわれわれ研さんを積んでいかなければならないのと同じように、憲法についてもそういう努力はしていかなければならないと思います。憲法を守っていくということと憲法改正についていろいろ検討し討議していくという問題とは両立する問題だ、こう思っておるわけであります。擁護という言葉についてのとり方がかなり違っているように思うのでございますけれども、擁護という言葉の結果は、憲法改正を論議することと矛盾するんだというわけじゃなくて両立するものだ、こう思っておるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 奥野さん、憲法九十九条には「この憲法を」とあるのですよ。あなたは何か憲法に違反するようなものができてきた場合それに対して云々と言いますけれども、この憲法は国務大臣である限り尊重して擁護しなければならないというんだから、この憲法を改正するとか、それから改憲の手続があるから改憲を言うことは自由じゃありませんかと、閣僚としてそんなことを言うのは、九十九条の閣僚の義務を果たさないことになるんじゃないですか。  鈴木総理はちゃんとこう言っているのですよ。「各閣僚は、政治家である以上、憲法について関心を持つことは当然であり、憲法について研究したり、その改正の要否について意見を持っていると思いますが、内閣として憲法改正を取り上げないという方針を現にとっている以上、国務大臣である者は、内閣の方針について誤解を生ずるおそれがないように慎重であるべきであると考えます。」また同じように、これは昨年十月七日の衆議院の本会議ですが、「基本方針に沿って閣僚は慎重に発言、行動をとられたいと考えておるのであります。」「各閣僚は内閣の方針に誤解を生ぜしめないよう、厳にその言動を慎むよう要請しております。」その上、こういうことまで言っておるのです。昨年の十月九日です。「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」とまで言われているのですよ。  そのあなたがちっとも遺憾にも何も存じなくて、まだいま言ったようなことを言っているとなれば、あなたはむしろ潔く閣僚の席を去った方がいいですよ。何で恋々として鈴木内閣の閣僚になっているのですか。これまで総理に言われているのですよ。昨年十月のあたりは、奥野「法務大臣の憲法改正に関する発言は、適切を欠くものであり、遺憾に存じます。」と、総理まで遺憾と言っているのですよ。共産党の林百郎が言っているわけじゃないのですよ。総理が言っているのですよ。それをまたこりもせず繰り返し繰り返し言うから、あなたは私が何か言えば、すぐ憲法論だと言うけれども、あなたの方から火をつけているのじゃないですか。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば静岡県の相良町だってそうですよ。だからここで質問せざるを得なくなる。どうですか、あなた自分の身の処し方について考えませんか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 静岡における私の発言を、憲法を改正すべきという主張をしたと受けとられるとするならば、まことに不本意であります。私の四十数分しゃべりましたことの中からつまみ食いしてあるいはそういうところに持っていけるのかもしれませんけれども、先ほど一部御披露さしていただいたわけでございまして、全く憲法を改正すべきという議論をしたわけのものではございません。同時にまた、私も、この政府が憲法改正に何らかの動きをすることは適当でない、鈴木総理が言明される以前からそう思っておりますし、今日もそう思っておるわけでございます。同時にまた、憲法がこのままでいいかということは絶えずわれわれは勉強していかなければならない、検討していかなければならない、これも総理は否定されていないと私は思うのであります。  もちろん、私の発言の中にいろいろ御批判があれば、大いに批判していただければありがたい、こう思っておりますけれども、総理が適切を欠いたとおっしゃったのは、私が、主権がなかった、こう言ったことに対しまして大変反発を受けたわけでございまして、私は、そのことをめぐっての総理の言葉だと、当時予算委員会でも私の受け取り方を申し上げさしていただいたわけでございました。しかし、それに甘んじているわけではございませんで、適切を欠かないようにこれからも十分留意していかなければならないと思いますし、鈴木内閣が憲法を改正しないという大方針をとっておられるのですから、それに疑問を与えるような言動も、私としても慎まなければならないと常に言っておるわけでございます。これからもその気持ちには変わりはございません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは朝日新聞の記事ですから言いますが、主権がなかった云々ということで鈴木総理が奥野法務大臣の発言は遺憾であるということに対しても、あなたは相良町では、「米国が占領政策遂行の手段として憲法の改正を求めてきたのは、まぎれもない事実だ」、こう言っておるのですよ。だから、当時主権が十分なくてアメリカから言われてきたのだ、これは紛れもない事実だ、こう言っておる。憲法の改正なんということを言わなかったと言いますけれども、「日本は「憲法が許さない」というだけで済むのかな、といいたい。改正するかしないか、もう一度考えて結論を出した方がよい。」だから、改正するかしないか、改正してはいけないとも何とも言っていないのですよ。改正するかしないかもう一度考えて結論を出す。これは改正論にも通ずるじゃないですか。そして、閣僚の中でいろいろの意見があるけれども、鈴木内閣の現行憲法を厳守するという方針を紛らわすような、あるいはそれに誤解を与えるような言動は慎むべきだと言われているのでしょう。そのあなたが依然としてしょうこりもなくこういうことを言っているとなれば、あなたは鈴木内閣の法務大臣としての資格はないと私は思うのですよ。よく考えてもらいたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法制定の経過を申し上げたわけでございまして、その制定の経過からして、憲法に書いたことだけでなしに、いろいろ行き過ぎた指導が占領軍によって行われたから、今日国民の間にも混乱した考え方が残ってきているんじゃないか、こう申し上げたわけであります。それを正していこうじゃないか。正していこうということを言うためには、やはりもとにさかのぼって敗戦前後のことに触れざるを得なかったわけでございました。私は、当時はソ連の宣戦布告のことから話を始めたと思うのであります。  同時にまた、反省をします場合に、外国が日本をどう見ているかということも大事なことでございまして、やはり外国の立場に立って日本を振り返ってみる、その場合に、外国が日本に期待をするあるいは日本に対して政策の転換を求める、そういうことの場合に憲法に触れる問題だってあり得るんじゃないだろうか。その場合にはどうかといった場合には、それはもう憲法に触れるから一切そんなことは考える必要はないのだ、こんな結論を出さないで、やはりそれじゃその憲法でいいのか悪いのかということも考えてみる姿勢は必要だと思いますよ、こう申し上げておるわけでございまして、それが私は憲法改正をそこで主張したのだというふうに受け取られることは大変不本意な感じがいたします。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 不本意であろうとなかろうと、憲法を改正するかしないかもう一度考えて結論を出す方がいいということは、憲法改正を含まれているということは当然じゃありませんか。  そこで、幾らあなたとここで言っていても時間が来てしまいますので申しますが、いままであなたがずっと言ってきた憲法論議、これについて何か反省しているかどうかということが一つ。そして、鈴木内閣は憲法はあくまで遵守する、それに誤解を与えたり混乱を与えるような言動は閣僚として慎まなければならない、こうちゃんと言っているにもかかわらず、依然としてこういうような、少なくともわれわれが素直に読めば鈴木内閣の基本的な方針に誤解を与えるようなことを言っているあなたは、自分の身の処し方についてどう考えていますか。この二つを聞いて、もう一つだけ質問が残っていますから、これで終わります。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私が憲法について発言しました中にも適切を欠くものがいろいろあるだろうと思いますが、常に反省をして過ちなきを期していきたいと思います。同時に、私は、憲法につきまして未来永劫変えてはいけない、そんなこと適当だと思いません。絶えず情勢の変化に応じまして、憲法が日本の将来進んでいく道としてこのままでいいかどうかということは考えていかなければならない、こう思っておるわけでございます。憲法を守るという姿勢、これは人後に落ちない姿勢を続けていきたいと思います。同時にまた、憲法については絶えず研究する、よりよいものにする、その努力も私は真剣に続けていかなければならない、こう思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 だから、鈴木内閣の閣僚としてどういう身の処し方をしていくかということを最後にお聞きしたいというのです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 鈴木内閣は憲法改正は考えない、こうおっしゃっているわけでありますから、その改正を考えない姿勢に疑惑を持たせるような言動は慎んでいかなければならない、こう思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、あなたはそうして法務大臣としての閣僚として身を処していくということなのですか。やめる意思はないのですか。もう一度ここではっきり言ってください。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私なりに閣内の一人として職責を忠実に果たしていきたい、こう思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう憲法論議はこのくらいで、次の質問があってお待たせしておりますから。  これはわかっているだけでいいです。国立熱海病院で医師が暴力団の組長に、これは室伏というのですか、文書偽造の診断書を出して、それで確定した判決の執行を免らさして国立病院に入れさして、その国立病院の自分の病室へ女を自由に出入りさしたり、あるいは病気で刑の執行には耐えられないと言いながら韓国へ三回も行ったり、その間にまた覚せい剤の密売事件も行っている。こういうようなことは矯正の行政としては許されないことだと思うのです。暴力団が医師の偽造の診断書をつくってもらって、そしてその医師には何十万だか何百万だかの金をやったり象牙の置物をやったりしているという。警察ならわかると思うのですよ。それをいつまでも病院に入れておいて、またそこで犯罪を犯さしたり韓国へやったり、あるいはその病院の中で酒を飲んで女を呼び寄せたり、あるいはそこがその組の本部みたいになっているとまで言っている。こういうことに対して矯正局ですか、行政として何の手も打たない。そう言われて初めてわかりましたというようなことで済むことですか。どう思いますか。それでいまどうなっていますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘のような事件と申しますか、ことがございましたことは大変遺憾だと思います。刑が確定いたしました場合に、当然それは執行をして服役をさせるわけでございますけれども、本人が病気という場合ももちろんあるわけでございまして、その場合には刑事訴訟法の規定に従いまして刑の執行停止をするというわけでございます。したがいまして、病人で刑の執行に耐えない者を無理やりに執行するということもできないわけで、これは人権問題でもあるわけでございます。そういうことで、本人からそういう申し立てがありました場合には、資格のある医師の権威のある診断書を求める、また、それで十分判断ができない場合にはそのお医者さんから聞くというようないろいろなことをした上で、執行停止をするかどうかということを決めるわけでございます。  御指摘のケースの場合には、遺憾ながらその診断書を出したお医者さんが、さっきおっしゃいましたようなことで、金をもらったり物をもらったりして、内容の虚偽な病状の回答をしたということでございまして、それを十分見破れなかったということは、執行に当たる者の手落ちと言えば結果的には手落ちでございますけれども、一応権威のある医師の方がそういう診断をされて、執行できないという者を直ちに収監するというわけにもいかないということであろうかと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、そんななまぬるいことでいいのですか。韓国へ三回も日本から出ているのですよ。医者の診断書で病気だ、刑務所へも行けない、入れないという者が、韓国へ三回も行っていいのですか。それで、酒を飲んで女を入れている。そんなことは警察にちょっと調べさせればわかるでしょう。それを診断書が出ている、しかもそれは偽造だったということが後でわかった。やむを得ません、そんなことなら、善良な市民がみんなそんなまねをしたらどうなるのですか。  これでお尋ねしますが、全国でもいいし一部でもいいが暴力団の団員で判決が確定しているのに刑の執行がまだできない人員はどのくらいあるのですか。調査しておけと私言っておいたのですがね。そんなばかなこと、暴力団だからといってあなた……。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘のように韓国に三回出ているようでございますが、いずれも四日ないし五日ということのようでございます。したがいまして、検察当局といたしまして一刻も目を離さないで張りついておればその点もわかったかと思いますが、そういうことも一概にはできないわけでございますし、手落ちと言えば手落ちでございますので、今後の反省の資料にしたいというふうに思っている次第でございます。  なお、いま最後にお尋ねの点でございますが、病気によりまして裁判確定後刑の執行がまだなされていない者は、調査によりますと十八名ということになっております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それは全国ですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 そういうことでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、委員長にお願いしますが、後で理事会に諮って、どういう状態になっているか、その資料をいただきたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 理事会に諮ります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これで私の質問を終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょうど、恐らくきょうこの時間、ローマからわざわざ日本へおいでになりましたパウロ二世卿が広島でミサをやっていらっしゃる、あるいは日本国民のみならず世界の人に広島から訴えている、そういう時間だと思うのです。そういうときに私が法務大臣にお伺いをするのは、先般来本委員会で私が真宗大谷派の問題についていろいろと法務省刑事局その他のところとやりとりをした中における政治と宗教とでも申しましょうか、そういう問題について非常に意義を感ずるわけであります。  大臣は、きのうテレビか新聞でパウロ二世卿がおっしゃったことをごらんになりましたか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 テレビでお伺いしました。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その中で、若い青年に答えて、まずこういうことをおっしゃっておりますね。技術が栄えても人生の意義、人間の意味は教えてくれないです、こうおっしゃっておる。私は、非常に高い次元の話だとテレビを見ながら感服をしておりました。このことについては、与党のいろいろな公式の宣言だとか大会声明だとか、あるいは野党はもちろん、私ども個々の政治家も、同じようなことを選挙に言っておりますね。そういうことですから、政治家のわれわれ政党の立場からいいましても、何もポープさんは決してキリスト教の立場でなくて、宗教の世界からそれを言われて、そういう点では共通の基盤がある、私はそう思ったわけであります。  言葉を進めてポープさんは、これはキリストの一番中心主題にあることでありますが、なんじの隣人を愛せよということに敷衍して、どういうことかということについて、隣人とはだれでもだ、あなたの敵としておる人もそうだ、憎んでいる人にいいことも教えよ、あるいはまた、いじめている人のためにも祈りなさい、こういうことを言われました。ここで私は、はしなくも政治の世界と宗教の世界とはどうなるかなということを考えたわけです。もっぱらこれは哲学的なところにも触れるわけでありますが、大臣はその点はどうお考えになりましょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 同じように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 同じという意味は、宗教の世界と政治の世界とは違うという意味ですか。なぜ私がそういうことを考えたかといいますと、それは憲法の前文に、御存じのように「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とある。これにはポープさんのおっしゃることと共通の理念があるなと私は考えたのです。あなたは共通しないという立場のようであります。私は憲法の前文で共通の点があると思うのに、あなたはなぜ共通点がないというお考えでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 憲法の前文は、憲法の基本的な態度あるいは基本的な原理を示しているわけでございまして、宗教界の持っているいい精神もその中に取り入れられてしかるべきだと思います。ただ、宗教界と政治の世界ということになりますと、必ずしも共通しないものがある、こういう意味で申し上げたわけであります。憲法の前文の中に、宗教界で唱えられておるりっぱな精神が引き入れられてくることも決して間違った姿勢だとは思っていません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 間違っておる、否という問題ではありません、これは。何もキリスト教だけではありません。私の勉強する範囲内ではありますけれども、宗教というものは人間を真の人間たらしめるところに目的があると思うのです。人間というものが本当の人間になる、自分というものを本当に知る、そしてそれは単に自己のみならず、社会に対しても責任を感ずる人間ということなんですけれども、本当の人間になるというのが宗教だと思うのです。その中で特にキリスト教は、なんじの敵を愛せよという表現がすべてだとは思いませんけれども、少なくとも敵をつくるということをしない、自分をいじめておる人、自分を憎んでおる人のために祈りなさい。だから、そういう点でも、片方のほっぺたをたたかれたら、もう片方のほっぺたを出せという意味がそこにも浮かんでくるわけです。  この憲法の前文の「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、」ということは、相手が本当に平和を愛している、公正にやっているということを心から信頼し切るという点に憲法の大前提がある。その大前提から帰結するところ、戦争を放棄し武力を持たないというところへ発展するわけです。その発展する大前提が憲法の前文であり、それがきのうテレビで私が非常に感銘を受けたわけですけれども、何もキリスト教だけではなくて、宗教そのものが、やはり人間を人間たらしめる、そして庶民の世界の中で基本的に平和を求めるという物の考え方は共通点があると私は思うのですが、どうも法務大臣はそこまでいくと——ぼくは何も宗教と政治とをくっつけようと言っておるわけじゃないですよ。平和問題について日本国憲法との間に共通点があるということを感ずるのですけれども、あなたはそうは思わないのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 宗教の教えに従えば、左のほおを打つ者があれば右のほおを差し出せとか、何かそういう式の物の考え方もあったと思います。政治の社会になりますと、安全を守るためにそういうわけにもいかない、だから、そういう意味で必ずしも一致しないものがある、私はこういう気持ちで先ほどお答えをしたわけでございます。  憲法の前文が宗教とのつながり、どう来ているかということになりますと、私は深く研究しておりませんので、御意見をそのまま承らせていただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ほっぺたをたたかれたら片方のほっぺたをたたいてくれといって出せというようなことは、単に一つの比喩でありまして、その根底となっているものをとらえなければ、そんな勝手なことがあるかということに短絡的になってしまいます。それはいけません。そういう例は余り適当な例ではないと私は思います。  少なくとも宗教の根源が、人間を真に人間らしくさせようとする、そして宗教は、キリストでも釈迦でもあるいは日蓮でもそうでありますが、常に大衆の中にあった、権力に虐げられた、そして、大衆の中にあってしかもなおかつ平和を説いた、こういうことが言えると思うのですね。そして、きのうのポープさんの言うところのなんじの隣人を愛せよ、憎まれておったらその憎まれておる人についてもいいことをしなさい、いじめる人があったらその人のために祈りなさいというのが、徹底したいわゆる平和理念とでも申しましょうか、そしてきょう広場でポープさんは、核兵器の絶滅、世界の平和を祈る。広島で祈るというところに意味があると思うのです。原爆の落ちた広島で核兵器の絶滅を祈るというところに、長崎もそうでありますが、私は、ポープさんが日本に来たゆえんがあると思うのです。  いまポープさんが広島で全世界に向かって祈っておるというときに、ここで三人に、あなたにしてみればしちくどいくらいに憲法の問題で聞かれておる。あなたの言うのによれば、あなたは、何も憲法改正しようとは言わない、しかし、憲法についても議論してもいいではないか、私は何も改憲論者とは言わぬが、しかし絶対のものではないから、憲法を改正するかどうか議論したっていいじゃないかということで終始公式には徹底していらっしゃる。  だけれども、私どもお互いに学者でも評論家でもないわけですね。政治家なんですね。自分が言った言葉が社会的にどういう影響をもたらしておるか。あなたの意図するところであろうとなかるまいとを問わず、マスコミが法務大臣の発言というと飛んでついて回る。そしてそれを報道する。おれの言ったことじゃないよと言っても、それが載っておる以上は政治家として責任を負わざるを得ぬですよ、あなたは取り消しをしていませんから。そうすると、政治家としてあなたはちゃんと自分の役割りを認識して物を言っていらっしゃる。学者でも評論家でもないのですからね。しかも、法務大臣ですからね。だから、世間の目はあなたをどう見ているかということもあなたは御自覚のはずでしょう。そうでしょう。  あなたがここで、おれは憲法を変えようと思っておらぬ、いいか悪いか議論を自由にしたっていいじゃないかということで徹底しておっても、その影響というものがどういう方に動いておるか、どういう結果をもたらしておるか、国民にどう映っておるかということをあなたはちゃんと織り込み済み、計算済みじゃないのですか。世間があなたをどう思っているか知っているでしょう、そういう意味合いでは。改憲論者と思っている、閣内のタカ派だと思っている、そして鈴木内閣総理大臣にいろいろなことを言われても網の目をくぐるようにして憲法論を盛んに縦横無尽にやっている、そういうふうに世間はあなたを見ておることを、あなたはよもや自覚していないとはおっしゃらないでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 この間の静岡発言でも、ことさらに改憲論に結びつけられて報道されているところを見ますと、御指摘のようにさらに発言を一層慎んでいかなければならない、こう思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政治家の一人として、あなたも長年のキャリアを持っている者として、あなたがこういう席上で口で言っていることとそれが影響していることとちゃんと自分で区別をして、計算済みで物を言っていらっしゃる。ということは、国民はこっちの方しか見ませんからね。それをちゃんと意識しながらやっているという政治家のずるさというものを私はあなたに感じるのです。ずるいですよ。腹の中では、こういう公式の場においては謹慎する、そして総理や官房長官の注意については八百長、三百代言みたいな言い方でロジックをやって自分は逃れる、そして適当な機会、条件さえあれば、あなたの言うことによれば聞かれたから答えた、講演してくれと言われたから言った、そういう言い方でちゃんと自分の言わんとすることがマスコミに載る、国民の中に映じる、映じさせるといいましょうか、そういう役割りをちゃんとあなたは自分で意識してやっているじゃないですか。本当にずるいと私は思うのです。だから、同僚諸君が言うように、やる気があったら本気でやればいいじゃないか、大臣やめてやったらいいじゃないか、そんなこすいやり方があるかと。  また、あなたはこういうことも計算しているのではないですか。保革伯仲のときならとっくに首を切られていますよ、率直に言って。あなたもそう思っているでしょう。保革伯仲のときならとっくに首を切られている。自民党の絶対多数のときだから首を切られぬと思っている。そして、自民党の与党の中にも自分を支持してくれるタカ派がたくさんおるから、首を切らせることは絶対にしないと思っている。そこのところのバランスをうまくくぐり抜けていまの使い分けをしておるんだ、そういうところが私どものあなたを見る目です。しかし、そういうことは不正直じゃありますまいか、本当に。あなたはそれでいいと思っているのですかね。私は不思議でならないのですよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 ずるいと言われるよりも、少し真っ正直過ぎるのではないかなというふうに自分自身を考えているわけであります。いまも共産党の林さんがいろいろお尋ねになった。できる限りお答えをしたいと思って答えてきたのですけれども、おっしゃるように、またずるいと言われるようなことにとられるおそれもある、だから、後はひとつ本を見てお考えくださいよということで、お答えを勘弁させていただいた。私は、少し正直過ぎるものだから、質問者の趣旨にまともに答えてきているのじゃないかな、こう思っておるわけでございます。しかし、そのことが改憲論議につながるというふうに誤解されるおそれがありますので、先ほどのように途中で勘弁してくださいよ、こういうふうに転換させていただいたわけでございました。これからもできる限りそういう注意は払っていきたいな、こう思います。  同時に、私は私自身、憲法は国の基本に関する規定でございますので、与野党を通じて濶達に論議されて、日本の将来を過ちなからしめる必要があるのじゃないか、長い間憲法論議、特に憲法制定の経過などになりますとタブーみたいなかっこうになっておったわけでございまして、憲法制定の経過がこうだからこうだという結論はいけないと思うのですけれども、やはり客観的な事実というものを正確に認識する、それが正しい判断を導く基礎じゃないだろうかな、こう思っておるものでございますから、そういう意味においてタブーにしないで濶達に国会の中で大いに論議してもらいたいな。与野党伯仲でありますとなかなかそれがしにくい。お互いに賛否が分かれますと、賛否が分かれるような対立の激しい問題が議論になりますとなかなか前へ進まなくなってしまいます。そういう意味合いで、安定多数をもらった機会には国会の中にタブーをなくした方がいいんじゃないかなと、これは基本的には思っておるわけでございます。  しかしながら、そのことが閣僚の一員として内閣の姿勢を疑わせるようなことになってはこれまた問題でございますので、そこは限度を私自身わきまえていかなきゃならない、そういう注意は将来ともしていこうと思っています。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたは、自分は正直過ぎるからだとおっしゃるけれども、私はそうだと思わないのですよ。首を切られないから安居楽業してあぐらをかいて物を言っていると思う。またいまも、林委員の質問に答えて謹慎すると言いながら、そこでやめるのが普通なんです、そこでやめずにまた同じことを私に言う。ということは、私を結局は誘発しておることなんです。人に聞かれたから言うと言いながら、結局あなたが、いまもそうですけれども、捨てぜりふのように相手を誘発して憲法論争に追い込もうとしておるというところに、あなたの政治家の意図満々たるものを私は感ずるわけですよ。決してあなたが正直者だからどうだこうだという問題じゃありません。首を切られることがないからあぐらをかいて物を言って、使い分けをうまいことやっておる。したたか者だと私は思う。その意味においてはしたたか者ですよ、あなたは。  私が冒頭に申しましたように、このとっかかりは真宗大谷派で、宗教についても私はいろいろな検討をしておるわけです。  ちょっと形を変えて、刑事局長にお伺いをしたいのですけれども、真宗大谷派はお互いに、御存じのように本委員会の論争並びに法務省、検察庁の非常な努力で、最後の峠になってそれがきれいになって急遽和解になりました、不起訴になりました。そういうことと、現実に行われた真宗大谷派の財産処分あるいはそのほか犯罪容疑の事実というものから、私は、真宗大谷派を例にとってみまして、宗教法人のあり方について一体現状のとおりでいいだろうかどうかという問題を真宗大谷派の問題は投げかけたと思うのであります。検察陣に対して、事実関係は一体どういうことであったかということを克明にここで聞くつもりはありませんが、少なくとも、この事件とこの事件についてはこういうことであったけれども、和解があったから、政治的判断ということは適当じゃないかもしれませんけれども、情状酌量して不起訴にしたという性格の報告だけは一遍受けておきたいと思うのです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 横山委員はこの件につきまして大変お詳しいので、詳細を申し上げるまでもないと思いますけれども、いま御指摘にございましたように、いろいろと財産処分が行われたわけでございます。告訴事実も多岐にわたっているわけでございますけれども、結論といたしまして、いわゆる枳殻邸の処分に関する事実、この点につきましては背任罪の成立が認められるということでございますが、いろいろな諸般の事情を考慮いたしまして不起訴にしたということでございます。その他の一連の事実につきましては、事実上不動産の処分と認められないというようなものもございますし、また、犯意の点におきまして背任罪の成立は無理だというようなものがあったわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 文化庁、来ていますね。——文化庁にお伺いしたいのですが、これらの犯罪容疑の事実について、文化庁も事情はよくおわかりだと思うのですが、文化庁として、この真宗大谷派を中心といたします宗教諸団体の諸問題について、この種の事件が教えるものといいますか、宗教法人法のあり方あるいは宗務行政のあり方あるいは宗教団体に対する宗教団体の自主規制のあり方についての指導方法、そういう点においてどうお考えですか。

安藤幸男文化庁文化部宗務課長

○安藤説明員 宗教法人のあり方につきまして、今回の真宗大谷派の問題は、大変いろいろな反省すべき点を投げかけてくれたものというふうに私どもも理解をいたしております。  宗教法人がまず公益法人でなければならないということは大前提でございますので、宗教法人が公益法人としての管理運営を適切に行ってもらうというための措置を今後講じていかなければいけないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  文化庁といたしましても、過去、宗教法人意識の高揚でありますとか、宗教法人の社会的役割りについての認識を深めていただくというようなことで、研修会とか講習会とかをやっておったわけでございますけれども、昭和五十六年度からは、さらに管理運営の適正化ということに重点を置きまして、宗教法人の事務決定、財産管理等管理運営上の諸問題につきまして分析、検討を加えまして、宗教法人の管理運営の参考基準あるいは指針というような資料を作成してまいるというふうに考えております。そのための予算措置を昭和五十六年度予算において計上いたした次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 きのう、ポープさんがすべての宗教団体と懇談をされました。それは他宗教との対話というバチカン公会議の結論を踏まえておやりになったと思うのですが、そこへ神社、神道関係も御参加になっていますね。本来、靖国神社法案に関連いたしまして、神社は宗教にあらずという説が一部にあります。それは教祖なく、教義なく、それから大衆に宣伝、そういうことがないから、宗教法人法の定めによるところからいうと、宗教法人法のらち外ではないかという説が一部にあります。宗教法人法はその点について疑義はないのですか。

安藤幸男文化庁文化部宗務課長

○安藤説明員 宗教法人法上の宗教団体と申しますと、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」という規定がございまして、現在、神社本庁を初め全国の神社も、この規定に基づきまして宗教団体であるという証明をみずから行った上で、宗教法人となっておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それはみずから自分が宗教法人で申請したのであるからとおっしゃるけれども、宗教法人法の条文からする定義の中に少し無理があるのではないかと私は思うのです。教祖なく、教義なく、かつ神社、神道が信者を獲得するためにいろいろなことをやっておるとは必ずしも思えない節がないわけでもない。  そういう問題を含めまして、真宗大谷派の紛争からいろいろ考えてみますと、少なからぬ問題が、宗教法人法にもう少し明確に定められておったなら、もっと問題の解決は早かったのではないか、こういうことが考えられると思うのですけれども、審議会がございますね、宗教法人審議会ですか。それもまた、法律に定める任務というものがきわめて範囲が狭くて、いろいろなことを何もしない、ほとんど活動もしていないということが考えられるわけですが、宗教法人法について検討すべき段階ではないでしょうかね。  これは与党の中にもいろいろな団体、宗教関係の団体がありまして、議論があるわけですね。私の方にも、民社党の方にも、公明党さんの方ももちろん創価学会を抱えておいでになるのですから、それぞれ各党の中に宗教に関する関心が非常に強い。どうしてもそこで、一つには宗教法人法の問題、一つには宗務行政のあり方の問題、一つには宗教団体の内部規制の問題、それぞれ現状でいいとはだれも思わないのですよ。だれもいいと思っていない。これを契機にその辺についての検討を始める段階に来ておるとは思いませんか。

安藤幸男文化庁文化部宗務課長

○安藤説明員 宗教法人法の中身にいろいろと問題点があるということは、先生の御指摘のとおりかと思います。しかしながら、この問題につきましては、そもそも憲法に規定されております信教の自由の問題、それから政教分離の原則、こういったものがございますし、それから、過去におきましてもいろいろと法改正についての検討が行われたわけでございますが、それら等を勘案しながら、この問題につきましてはさらに慎重に対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 おっしゃるような憲法上の問題はちゃんとだれだって知っているのですから、それを踏まえない政党なんかありはしませんよ。それを踏まえて、なおかつ現状において私は三つのことを申し上げるのですよ。宗教法人法の検討、宗務行政のあり方、それから宗教団体についてのそれ自身の内部規制制度、役員選出制度、財産処分のありよう、そういう点について自主的に検討させるように指導をするあり方、その三点について検討すべきときが来ているのではないか。大前提として憲法上の問題を踏まえることはあたりまえのことなんです。そういう意味で言っているのですよ。

安藤幸男文化庁文化部宗務課長

○安藤説明員 先生御指摘のように、いろいろと問題があることは確かでございますが、法律の中身を検討してまいりますと、宗教法人の管理運営につきましては宗教法人規則にゆだねられておるという部分が非常に多いわけでございます。さしあたり、宗教法人規則の中身をさらに検討いたしまして、それを時世に合わせた形で改正していくということが私ども必要ではないかということで、先ほど申し上げましたその宗教法人の管理運営の適正化ということに予算措置を講じておるわけでございますけれども、これに基づきまして宗教法人の自主的な規則のひな形をまず再検討して、それによりまして、その事務処理の問題とか、会計経理の問題とか、そういったものを細かく再検討をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 文化庁の宗務課はたびたびここへ出てきて、あるいは恐らく文教委員会へも行って、私どもに与えられている権限はきわめて少ないです、何もすることもできませんということを前提にして物を言っていらっしゃるようですけれども、今日、イエスの方舟から真宗大谷派から、皆さんが御存じのように、宗教団体に関する問題はもう続出しておるわけですね。全く続出しておる。週刊誌開いて宗教の問題がない日はないですね。いまポープさんがやってきて、日本の宗教団体を集めて対話をしておる。非常に私は感銘を受けた。感銘を受けたけれども、足元を見ると、信仰そのものに、教義そのものにとやかく絶対に言おうとは私は思わないけれども、宗教法人の内部のあり方を見ますと、まことにもう遺憾きわまることが続出しておるのですね。だから私は、まず第一に、宗教団体にみずからの理想とみずからの足元とを一致してもらいたいという希望を、本当に声を大にして言わざるを得ない。  それからもう一つは、政府の宗務行政が停滞しておる。憲法の信教の自由あるいは政治と宗教との分離、大原則を踏まえながら、なおかつ宗務行政というのは現在存在しているのですから、あなた方が余りにも萎縮している。分をわきまえ、分を心得ながら、やるべきことはやらなければいかぬ、そういうことを第二番目に言いたいのです。いまあなたは宗教法人規則からおずおず入ろうとしておるけれども、もっとその点については、宗教法人法そのものについても当然検討の対象にすべきですよ。分を心得て、憲法の取り決めをきちんと踏まえながら、なおかつやらなければならぬことが、私が検討しただけで十数項目ある。それをいま申し上げようとは思わないけれども、もう少し文化庁としても勇気を持って前へ出なければいかぬですよ。  もう宗教のことになると、本当にあなた方はおずおずで、何にもしない。今回の真宗大谷派の問題だって、検察陣が解決したようなもので、あなた方何もしないじゃないの。何にもできなかったじゃないの。あなたの方はそれで一体いいと思いますか。あなたの方が本来、——何も私は権力が介入しろとは言っておらぬ。けれども、少なくとも宗教の内部の問題は内部で解決するように条件づくりやいろいろなことがあり得るはずだ。残念ながら、権力の手をもってあわやというときに両派が和解をした。これが事実なんです。そういうやり方よりは、むしろあなたの方のなすべき点があったではなかろうか。京都府にしたって文化庁にしたって、本来あなた方がやるべきことじゃないか。何で検察陣の手をかりなければならぬ。何で国会の法務委員会の手をかりなければならなかったのか。少しは反省しなければだめですよ。私の言わんとするところは、この今日の宗教法人のありようについて、世間の目があなたの方に向いていることを忘れなさんなと言いたいのです。  余り時間がございませんが、法務大臣にもう少し伺わなければなりません。それは、あなたが、国あっての憲法であり、憲法あっての国ではないという、自分では名言だと思っていらっしゃると思うのですが、そういうことをおっしゃいました。一体あなたの言う国というのは何でしょうか。自分で意識しておっしゃっているのでしょうか、国ということを。国あっての憲法、憲法あっての国、そういうたとえというものは適切なたとえなんでしょうか。あなたの言うところの国というものは、どういう定義で国と言っていらっしゃるのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、広い意味で国という言葉を使っているのですけれども、国土とか国民とか国の組織でありますとか、そんなことよりももっと広く、先祖代々からわれわれが受け継いできている文化伝統、そして今日この国土で生をうけている民族、そしてわれわれの後に生まれてくる子々孫々、そういうものを全体を総称して国という言葉を私としては使っているつもりでございまして、広い意味の俗に言う国でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それは適切なあれだと思うのです。定義的に言えば民族、それは現在存在しているばかりでなくて、過去及び将来にかけての民族、それからいわゆる土地、領土というものが含まれる。それから、それを全体的に組織立てるもの、組織立てるといえば、そのトップに政府というものがある。そういう三つの分野があると私も思うのですが、しかし、その三つをどういうふうに脈絡づけるかというと、領土がなくても政府を組織しているものもありますね。民族はあれども領土がないというところもあります。政府というものは常に異動するものですよ。あなたは政府とはおっしゃらなんだ。一つの組織とおっしゃった。組織を総称するものが一つの政府、権力というものであるとするならば、それも時に応じて変わっていくものですね。右から左、派閥から派閥へと変わっていくものですね。しかし、そうであろうとも、あなたの言う国というものは、それらを総称したものだというと、日本というものになると思うのです。その国というものがあって、それをいま言ったようなものをずっと全般的に組織立てるものが私は憲法だと思うのです。だから、国と憲法とを区別をする論理というものは私は少し飛躍があると思うのです。  しかし、飛躍があるということを一応抜きにして、さて今度は、あなたがおっしゃったもう一つの問題として、よその国がいろいろ要望してくることを、憲法があるからそんなことはということも言えないではないかという問題をおっしゃったのだが、そのことについてあなたがいろいろな例証を挙げられた。石油だとかいろいろなことを挙げられた。しかし、あなたが挙げられた例証からいうと、憲法にひっかかることは何もないですよ。たった一つあなたが言わないことがありました。軍備ですね。第九条ですね。あなたが他国から要請を受けて、憲法があるからそんなこと言ったって困るよと言わざるを得ないのはたった一つですよ、あなたの例証の中からいうと。そうじゃないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 具体的にどうということじゃございませんけれども、日本は国際連合の一員でございまして、国際連合が国際社会が連帯をして何かをやろうという場合に、憲法上それが応ぜられるか応ぜられないかというような問題も起こり得ると思うのです、具体的に考えているわけじゃございませんけれども。そうすると、すぐそのことだけで決めてしまうのじゃなしに、日本として、その国際連合の一員として役割りを果たさなければならぬか、果たさないでもいいか、やはりよく考えてみなければいけないのじゃないだろうかな、こういう意味合いで申し上げているわけでございまして、単純に軍備というような気持ちで申し上げているわけじゃございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だって、そうじゃありませんか。あなた、国際連合から要望があると言ったって、いま何があるのですか。過去に何があったのですか。憲法上の支障があるから困るということばかりではいかぬということは、ほかに憲法上の支障があるものは、あなた長年のキャリアからいって、いまでも例証できるものが何かありますか。何もないですよ。たった一つですよ。たった一つ、戦争放棄して戦力を持たないというところだけではありませんか。そのほかにあるなら言ってごらんなさい。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 具体的に、こういうことについてそういう問題が起こるのだというまでは、考えていないわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうでしょう。はしなくもぼくが言ったとおりでしょう。そこでさっき言った言葉と矛盾するのじゃないですか。あなたは国というものの力点を日本というものにとった。そういう日本というもの、国というもののもとに憲法がある。よって立つものは国でしょう。他国じゃないでしょう。ところが、あなたは逆転して、今度は、よそから言ってくるものをおれの勝手だと言うわけにいかぬじゃないかということが第九条にひっかかってくるんじゃないですか。あなたの論理は支離滅裂だと思いませんかね。  しかも、先ほど言ったように、憲法の前文は、「諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」われわれの立場、あなたも私の最初の力点の、国という点については異存はないとしましょうか。異存はない。そういう立脚点に立って、憲法は、よその国が公正と信義を持っておるというふうにぼくらは身を投げ出す。ポープさんが言うように、極端に言えば、なんじの敵を愛するという意味において、憲法は、他国の公正と信義を信頼する、身を投げ出す、そしてそういうやり方によってわが国の安全と生存を確保しよう、そう決意をしたとなっているのですよ。そこのところがわかっておるのだと思うのだ、あなたも。わかっておってなおかつあえて言いますけれども、憲法がこれではいかぬ、よその国が言ってくるからいかぬ、断り切れない場合があるではないか、断り切れない場合は九条だ。そうじゃありませんか。そうよりないんだ、ほかに。そういう持論というものが、憲法前文の大前提とはあなた違うんだ。矛盾するんですよ。  私がパウロさんを引用して、われわれの憲法の前文とパウロさんの言っておること、また宗教の本然というものとは共通点がある。一致するとは言いません。ここに共通点がある。あえてあなたに宗教の何たるかをここでお説教しようとは思いませんがね。ちょうど折しも、日本国民はもちろん、全世界に広島で平和の祈りをしておるパウロさんの願いと、その立脚点とわれらの日本国憲法の大前提とは一致する。そういうのにかかわらず、極端に言えばあなたは敵を信じない。そして非武装をするというわれわれのその気持ちは甘いとあなたは考える。どうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 宗教的な考え方を政治の社会に取り入れる努力をする、これは貴重な努力だと思います。同時に、いまお挙げになった憲法の前文、「諸國民の公正と信義に信頼して、われわれの安全と生存を保持しようと決意した。」これもりっぱな物の考え方だと思います。だからみずからの国はみずから守る努力をするんだということは許さないんだ、私は、憲法の前文からそこまで読む必要はないんじゃないだろうか、それまで否定しているんだとは考えていないわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 しかし、大原則というものは、あなたが後で言われたみずからの生存を守ることを否定しようとはしないとおっしゃるけれども、大原則というものをあなたは踏み外しては困るよと私は言うのです。憲法というものは、すべてを絶対オールマイティーだとは——大原則と例外といいますか、大原則の幅というか、そういうものを認めないということを全然言っているわけでないということに譲歩しましょうか。譲歩するとしても、あなたはむしろ例外の方、幅の方に力点を置いておると私は言いたい。あなたが憲法の前文を本当に理解するならば、憲法九条を理解し得ないはずはないと私は思っておる。  憲法九条は、あえてあなたに私が寄っているのですけれども、また、私ども社会党をもっても、民族の生存権、自主的に国を守るという行動のありようについては、私どもも決して否定はしていないのですよ。否定はしていないけれども、あなたと私とは原則が違うのだ。私の方は憲法の前文に力点を置き、あなたの方は、前文から何とか逃れる幅とか弾力性とか、そちらに力点を置いて力説することによって憲法九条を変えよう、論争に引きずり込んで次第にその憲法九条を変えよう、変えようということは、前文の前段を変えようということではないのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 横山さんは社会党の立場に立っておられるものですから、自衛のための軍隊も認めないのだ。それは九条であり、また憲法の前文だ、こうお考えになっておるのだと思います。私たちは、自衛のための力を持つ自衛隊は違憲ではない、それは九条もそう読む。侵略のための戦力は許さないけれども、自衛のために力を持つことは九条は禁止していないのだ。したがってまた、憲法の前文、いま問題になりましたところも、だからといってみずからの努力でみずからの国を守ることまでいけないと言っておるわけじゃないのだ、こう読んでおるわけでございまして、そこは立場の相違じゃないだろうかな、こう思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 立場の相違ではありません。私があなたとわざわざ対話を試みておるのに、あなたは問題を外していて、私とあなたの対話を遠ざけようとしておるということしか言いようがないのです。原則はいずれであるか。原則は、憲法の前文のわれわれの日本国憲法の基本的精神である「諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」あなた方を信じますという立場をとっておる。諸国民が公正な立場をとってくれることを信じた、そして信じ切るという立場をとった、だからこそ憲法九条が生まれた、こういう論理です。しかしながら、なおかつ私どもも民族の自衛権を否定してはいないと言っておるのですよ。自衛権というものにはいろいろな態様がある。それには軍隊はわれわれ必要としないとは言っているけれども、自衛権を維持する、自衛権を認めるということについてはいいけれども、あなたと私とは立場が逆になっておる。あなたは自衛権を主張することによって、憲法九条を生かすことによって憲法前文の一番の基本理念を否定しようとしているのではないかと私は言っておるのです。そういう点が、あなたと私と交錯しそうで、実はこちらの方に本音があるものだから、そちらの方へそちらの方へと行って世論操作をしておるんじゃないか、こう私は言っておるのです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私も、憲法の前文、憲法の基本的な態度、基本的な原理を示しておるものでございますから、それは非常に重要な意味を持つと思います。また、あの憲法が生まれましたときには、わが国は完全に武装解除されておりましたし、軍隊も持ってなかったわけでございますから、その意味は非常に重要な意味を憲法の中でも占めているということについては、別段横山さんが言われている気持ちを否定して申し上げているわけではありません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ポープさんが特に今日の現状において日本へ来られたのは、二つの意味があると思うのです。一つは平和の問題です。もう一つは、フィリピン等で言われた人権の問題がある。まさに今日の宗教、また歴史的な宗教の立場からいって、平和と人権、まあ人権というふうに端的に言えるかどうかわかりませんが、常に民衆の側に立った。キリストも釈迦も日蓮も、多くの教祖並びにその中興の祖と言われる人たちは、常に平和と人権の立場に立って民衆の中へ入っておったということが言えると私は思います。  そしてまた、わが国における人権問題は、いまなお部落解放同盟の問題があり、少数民族としてアイヌの問題があり、あるいは当委員会において金大中さんの問題があり、在日韓国人の問題がある。しかも、それらの人権問題は一にかかって法務大臣及び法務省の中における人権擁護局、そういうスタッフがある意味では日本における人権の権力機関の中におけるサービス行政として、権力行政ではなくてサービス行政として存在しているということを私はいつもいつも法務委員会で強く言っておるのであります。しかし、私が期待することはなかなか達せられなくて、法務省における、いい意味でも悪い意味でも権力行政の問題だけが前面へ出る。法務大臣はタカ派として盛んにうたわれる。そしてサービス行政である民事局だとかあるいは人権擁護局だとかそういうサービス機能は常に人員不足に悩み、予算不足に悩み、そしてその中にはそれなるがゆえの非違行為も、戸籍謄本あるいは法人の登記簿の写しかえだとか、不当行為も出ておるというような状況であります。  その人権問題について、いま政治の一つの焦点になっておりますのが同和対策特別措置法の延長問題なのであります。特別措置法は数年間の間に事業をするということで進んできたわけでありますけれども、いまや事業もまだ完了もしていないし、そしてまた、まさに古くして新しい同和の問題は、ある意味合いにおいては未来永劫残ると私は思うのです。  私は、社会党の中で宗教問題特別委員長をやっております。各党の中にすべてあるわけですけれども、そういう中で、私どものよって立つ社会主義の社会においても、宗教は一体残るか残らないかという論争をいま勉強しておるわけですが、やはり私は残ると思う。人間を本当に人間らしく、真の人間として生きがいを見詰めるという意味においては、先ほどパウロさんが言った言葉を引用すれば、技術が栄えても真の人間の意味を問うということが残るということになる。だから、その意味においては、部落解放同盟の同和の関係の人たちの願いというかあるいはまた苦しみというか、人間として扱ってほしいという問題はやはり私は残ると思うのです。  したがいまして、来年の三月にこの特別措置法の期間が一応切れるわけでありますが、この機会にこの法律の延長なりあるいは改めて同和対策の同和基本法とでも申しますか、そういう法律を制定してもらいたいという痛切な要望があるわけです。  私は、各関係閣僚がございますけれども、その中で人権の問題として一番の責任者は、何といっても法務大臣だと思っているのです。それは所管は総理府でやっておるとかなんとかありますけれども、人権問題についての一番の所管大臣はやはり法務大臣だと思っています。したがって、法務大臣がこの特別措置法の延長なりあるいは基本法への発展なり、こういうことについて一番声を大にして言ってもらわなければいかぬ、そう期待をしているところですが、いかがですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、部落差別は根絶しなければならない、根絶できる、こう思っておるものでございまして、ちょっとそこは横山さんと考え方が違っているんじゃないかな、こう思います。  昭和四十年に同和対策審議会の答申をもらって、四十四年にあの立法が行われたわけでございます。その際に、自民党の中で、立法の是非をめぐりまして大変激しい議論がございました。あるべからざる差別をあるとして法律の中へ書いてしまうと一層根絶をするのに支障になる、根絶に時間がよけいかかるんじゃないだろうか、こういう議論が一番の強い反対論でございました。どういう方法をとるのが部落差別を根絶するのに一番よいかということは、みんなで真剣に考えていかなければならない。こういうものがいまだに続いているということは、私は恥ずべき姿じゃないだろうかなと、こう思っております。  横山さんが一つの考え方を提唱されたわけでございますけれども、どうすることが一番早く根絶できるのかということをみんなで考えていきたいな、こう私は思うわけでございまして、法律の延長の問題も、総理自身が検討して八月ごろには結論を出したいというような答弁もされておるわけでございますので、みんなで、どうすれば本当に完全になくせるかという道を探し求めていきたいなと、心から願っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの言うのは理想論です。根絶できるというのは理想論で、法律に書くことによってかえって部落の問題が表面化するのはいかがなものかというのも理想論だ。  いま法律上差別は全然ありません。にかかわりませず、もう耳に入っているかと思うのですけれども、部落の所在地を書いた本を各大企業みんな買っておるわけですね。買って、それを採用のときに参考にしながら選択をしているわけです。それから刑務所の中にも落書きがあるわけです。大阪にも落書きが出ておるわけです。きょうは時間がございませんから、例示列挙はやめますけれども、幾らも幾らもこの社会に、法律には何の差別がなくてもそういうものが現にいま進行しておるわけです。ですから、私は率直に、この部落の問題を扱いました法務委員の一人として、結局はきれいごとを言っておってはだめだ、これははっきり、やはりいかぬことはいかぬ、そしてその部落民の皆さんに対する処遇については基本的に継続しなければいかぬ、そういうことを考えておるのですが、法務大臣のおっしゃる、きれいごとと言っては失礼かもしれませんけれども、理想論ではこの問題は片づかないということだけは十分に考えてもらいたい。  人権の問題はあえてくどくど言いませんけれども、やはりいかなる社会においても人間を真の人間たらしめようとするパウロさんの理想とする問題は、社会主義の社会であろうと資本主義の社会であろうと、いかなる社会においても人間の問題というのは残る。技術が栄えても、人間を真に人間たらしめようとする人間とは何だという問題は、パウロさんの言い分によれば、むしろその方が人間が人間でなくなっていくという説は、政治家のわれわれとして傾聴に値する。その意味では、この人権を法務省の最も大きな仕事としておるとするならば、もっと現実的にこの基本法なりあるいは法律の延長については、総理大臣に鶏口しないで、あなた自身が前面に立ってやってもらわなければ困る、こういうことなんですが、どうですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 大事な問題でございますから、また、部落差別が残っているということは恥ずべき現象、社会悪とまで私は言いたいと思うのですけれども、そういうことでございますので、真剣に考えていきたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十分散会

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