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94回国会衆議院1981/04/24

文教委員会 第12号

発言数
201
登壇者
18
会派数
5
開催日
1981/04/24

会議録

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、御紹介いたします。  本日、参考人として東京大学教授・東洋文化研究所・広島大学総合科学部教授関寛治君及び国際連合大学副学長武者小路公秀君が出席されております。  参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、参考人の御意見の聴取は、委員との質疑応答の形式で行いますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。嶋崎譲君。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 きょうは大変お忙しい中を関先生、武者小路先生には、参考人として御出席いただきまして本当にありがとうございます。  十二時までの一時間半でございますが、わが国ないしは今日の世界の平和研究という問題を中心にしながら、国連大学、ユネスコ並びにわが国における文教行政の対応などについていろいろ御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  最初に、大臣にお伺いをいたしますが、国連総会が平和研究の科学的作業に関する決議をした時期と内容を御存じですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 詳細な日時でありますとか詳細な内容は、政府委員からお答えいたします。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 大臣にそこまで御説明していなかったのでございますが、一九七三年十二月、昭和四十八年十二月に、平和研究に関する科学的作業ということで国連総会が決議をいたしております。その中におきまして平和研究の重要性を強調している内容でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国連の一九七三年の第二十八回の総会でこの決議が行われたわけでありますが、この国連総会で国連大学の設置に関する決議も並行して行われたと思いますが、そのとおりですね。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 御指摘のとおりでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国連における国連総会の平和研究の科学的作業に関する決議と国連大学設置の決議とは、どのような関係でございましたか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 国連大学の設置の決議でございますが、それに基づきまして国連大学憲章が定められております。それによりますと、国連大学は、国際連合憲章の目的及び原則を促進するため、研究、大学院レベルの研修及び知識の普及に携わるということになっております。その国連大学憲章でうたわれております国際連合憲章の中におきまして、国際連合の目的の第一に、先生の御質問になっております国際の平和及び安全を維持すること、そのことにつきまして平和の重要性と、これに対するいろいろな取り組みの必要を強調されておる次第でございます。そのような関係になろうかと存じておる次第でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 その国連決議に対して日本政府はどのような対応をとりましたか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 日本政府としましては、国連大学の設置につきまして、その国際連合の決議の前にいろいろ誘致の申し出をいたしておりまして、その決議を受けまして、国連大学に対する拠出金等につきましても、現在約九千百万ドルの拠出を行っております。また、学界その他関係方面でこれにできるだけの援助の努力をいたしておるところでございます。現在は、渋谷の東邦生命ビルに本部を構えまして……(嶋崎委員「聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)以上のようなことで、できるだけの努力を払っておる状況でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そっちを聞いたのではなくて、一九七三年の——もちろん国連大学の設置に関する決議には賛成しているからこそ、積極的にわが国に事務局を持ってきたことは言うまでもありませんが、この二十八回国連総会の平和研究の科学的作業に関する決議に対して日本政府はどういう対応をとったのですかと聞いているのです。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 具体的には、そういうような平和の推進に関する研究等につきまして科学研究費補助金による助成を行っております。  それから、その他……(嶋崎委員「国連の決議に政府はどういう態度をとったかと聞いているのです」と呼ぶ)それにつきましては、詳細は存じませんが、やはりその方向で、わが国としても努力をするという考え方で対応している次第でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国連総会のこの平和研究の科学的作業に関する決議には、日本政府は賛成をいたしているわけであります。学術局長は直接の担当でありませんから、外務省その他を通じてわが国の意思表示をしたことになろうと思いますが、いずれにしろ、この平和研究の作業に関する決議に日本政府は参加しております。その後に日本学術会議が対政府勧告を行いまして「わが国における平和研究の促進について」という勧告を行っているのを大臣、御存じですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 伺ってはおりますが、その間の所掌関係は、私は、多分、外務省の関係において国連との接触が国連局でなされたと存じております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そういうことは聞いておりません。局長答えてください、時間がありませんから……。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 御指摘のとおり、昭和四十九年の十一月に日本学術会議から総理大臣に勧告が出されておりますが、その内容につきましては、平和研究の促進の重要性を指摘いたしますとともに、平和研究のあり方としまして「平和価値観、特に憲法前文及び第九条の精神を前提とした科学的、客観的研究であるべきこと。研究は自主、民主、公開の原則に即して行われるべきこと。学際的及び国際的な協力を特に重視すべきこと。」という原則を提示しまして、具体的な当面の措置としましては、大学における平和研究の促進につきまして「人文・社会系学部、学際的な総合学部(及び大学院)等、適当な学部(大学院)に平和研究に関する若干の講座・学科目等の新設を図ること。」、それから「平和研究を任務とする大学付置の研究所又は研究センターの新設、既存の研究センターに平和研究部門の増設等を図ること。」、それから「教育系学部に平和教育関係の講座を新設すること。」というような指摘をしておるところでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 一九七四年の十一月二十日に、当時の田中総理に学術会議が対政府勧告を行っております。この中で、平和研究という考え方についての考え方を、ここで統一してまとめておるわけでありますが、その後に、最初にそういうことを述べた後で「ところが、我が国では、諸外国に比し平和研究の発達が著しく立ち後れており、国際的交流、協力も不十分であるが、その主要な原因が平和研究に対する国の助成の欠如にあることは遺憾である。」と述べております。  七〇年代から今日まで、こういう一連の平和研究に対する国の助成について検討したことはございますか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、国としまして研究を助長するということから、科学研究費、補助金の助成、それから一般的な研究費の特別の配分、それから広島大学におきまして平和科学研究センターが設けられたというような経過をたどっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 後でも、世界の平和研究の現状とわが国とを比較さしていただきますが、その後に、昨年の第二十八回国連総会で、日本政府も共同提案者となった平和研究を高く評価する決議が可決され、また平和研究を主要任務とする国連大学の日本設置が決定されたこともあり、「この際、政府はわが国における平和研究の格段の振興を図る責任があると考える。」と述べております。  武者小路先生にお聞きをいたしますが、国連大学は、ここで言っている、平和研究を主要な任務とするというふうに理解をしてよろしいかどうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 先ほど学術国際局長からのお話もありましたように、国連大学憲章の中で主要任務の一つとして数えられております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国連大学の憲章並びに国連大学の研究プログラムなどを参照さしていただきますと、たとえば国連大学の憲章の第一条第二項には「国連大学は、国際連合及びその諸機関が関心を寄せる人類の存続、発展及び福祉に関する緊急かつ世界的な問題の研究に従事する。」と述べ、憲章の第一条の第三項には「国連大学の諸機関の研究プログラムは、文化、言語及び社会体制を異にする人々の共存・国家間の友好関係並びに平和及び安全の維持・人権・経済的社会的変化と開発・環境保全」云々と述べられておりまして、国連大学の憲章のこのような考え方は、広い意味で国連大学が国連、ユネスコなどのバックアップのもとに平和研究を推進するというふうに憲章でうたわれていると私は理解をいたしますが、そのように理解してよろしいでしょうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 そのように御理解いただいて正しいと思います。これまで国連大学は五カ年間試運転期間を続けておりましたけれども、その間は、初代学長の方針といたしまして、第三世界の国々に対する知識の移転、技術移転ということに基調を置きまして、それで三つのプログラムを始めました。飢餓と開発と、それから資源についての三つのプログラムをやりました。  その場合に、平和の問題は、主要なプログラムにはその関係でならなかったのですが、いま第二代のスジャトモコ学長のもとで、平和の問題をこの憲章に取り上げられているとおり、一つの主要な研究の課題として展開していきたいということに方針が決まっております。  しかし、これまでも開発のプログラムの中で、日本では広島の平和科学研究センターも参加しまして、軍事化の問題について「開発の目標・過程・指標」というプロジェクトの枠の中で、日本、インド、タンザニア、ノルウェー、西ドイツなどの研究所が参加して研究をしております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 今度新たに国連大学の学長になられましたスジャトモコさんの、昨年の十二月一日に国連大学の十六回総会で行われたステートメントを拝見いたしましたが、今度の学長は、国連憲章、ユネスコの憲章などを受けて国連大学の憲章の精神に従って、この平和研究というものを重視する方向性を国連大学の次の段階の課題として提起されているように思われますが、そのように理解をしてよろしいでしょうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 御指摘のとおりでございます。スジャトモコ学長は、これまでの国連大学の機能が主として第三世界への知識の移転ということを中心にしていたのに対して、より強くこの国連に対するいろいろ知的な貢献、それから、また世界の各国の違った文化、違ったイデオロギー、違った社会体制を持った研究者の間の対話の場としての国連大学の重要性を特に強調しまして、特に学問の自由ということを保障された唯一の国連機関として平和の問題などについて研究する責務があるということで、その方向で目下新しい計画を練っている最中でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国連大学をどうもよく正確に理解できない点がございますが、ユネスコと国連大学とはどのような関係があるかということと、ユネスコのいわば組織、性格と国連大学の持っている性格との間に違いがあるような気もいたします。学術国際局長、この辺、答弁できますか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 お答え申し上げます。  基本的性格の点でございますが、ユネスコは、国連の専門機関の一つでありまして、政府間機関としまして各加盟国の代表者で構成される総会がその最高決定機関となっております。一方、国連大学は、国連総会の決議に基づいて設立されました国際機関でありますが、非政府間の自治機関でございます。すなわち国連大学は、国際連合の枠内において自治を享有することとされており、その目的達成のために必要な学問の自由を有することが大きな特性でございます。また最高決議機関としましては、国連事務総長とユネスコ事務局長の共同の任命によりまして、個人的資格で任務を行う理事二十四名及び国連事務総長、ユネスコ事務局長等の職権上の理事によって構成される大学理事会が置かれておるところでございます。また、財政面におきましては、ユネスコの財政は、原則としまして各国政府に割り当てられました分担金で賄っておりますが、一方国連大学につきましては、各国政府その他からの自発的な拠出金とその収益によって賄われるということになっております。その財政的基盤を確固なものとするため、国連大学基金が設けられている次第でございます。また、その事業につきまして両者の関係でございますが、国連大学は、国連とユネスコの共同の支援のもとに置かれておるということでございまして、国連大学の理事の任命につきましても、国連本体の事務総長とユネスコ事務局長が共同して理事を任命し、学長につきましても、同じように両者の同意を得て国連大学長を理事会が任命するということになっております。また、活動に関しましても、国連大学の活動につきましては、国連総会、経済社会理事会、ユネスコ執行委員会に、毎年国連大学の方からその活動に関する報告を行うということになっております。  以上のような関係にあるわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 ちょっとイメージとしてわかりにくいのですが、ユネスコの場合には、それぞれの国の代表が集まって、教育、科学、文化その他の国際的交流をやるために、国家代表、政府代表による機関構成を行うことによって運営が行われている、一方の国連大学の方は、各国という単位ではなくて世界の一つのコミュニティーのような形を持った大学であって、それぞれの国家からは干渉されない学問の自由、大学自治というものを一方に持っている、しかし相互の関係は、理事会の構成にはユネスコ、国連がかむことによってこれをバックアップしていく、そういう性格の関係、片や国家を単位にした組織であり、片や国家を超えた一種の世界的コミュニティーという大学と構想されるのではないかと理解いたしますが、武者小路先生、いかがでしょうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 先ほど学術国際局長が御説明くださいましたような形で、ユネスコと国連大学の制度的な関係ができております。実際上の運営におきましては、これはこのような席で法律的に誤ったイメージをお与えしては申しわけありませんが、わかりやすく申しますと、ユネスコと国連大学の関係は、一つの国の中で申しますと、文部省とある大学との関係というふうに考えていただければわかりやすいかと思います。国連大学は、一つの世界的な研究者のコミュニティーということで、学問の自治、学問の自由というものの枠の中でそういうものを享受した形で国連のために役に立つ研究をするということ、そして、その研究に基づいて訓練をし、また知識の普及を図るという大学としての機能を果たすということになっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 この、先ほどから御質問させていただいております国連総会での「平和研究の科学的作業に関する決議」が行われたり、わが国では日本学術会議が平和研究についての対政府勧告を行ったりしつつ、大体七〇年代の七三年から七五年ぐらいの間に、国連大学がわが国で活動を開始したのは七五年でありますが、大体その時期にこういう方向が次第に打ち出されてきたわけでありますが、国際的な平和を研究しているIPRA(国際平和研究学会)というのは、これに前後してできたのか、それともその前なのか、この辺がよくわかりませんが、このIPRAの形成と、現在IPRAは、ユネスコとどう関係し、同時にIPRAの研究員と国連大学とはどのような関係があるか。  最初に、関先生にお伺いいたしますが、このIPRAの動きについて簡単に御説明願えませんか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 簡単に御説明させていただきます。  IPRA(国際平和研究学会)は、オランダのフロニンゲンという小さな町で一九六五年に設立されたわけであります。大体一九六〇年代の中ごろには、五〇年代の終わりごろからアメリカ、ヨーロッパの各地で起こってまいりました平和研究のさまざまのグループがありましたが、これが最初に国際平和研究学会という形でヨーロッパで制度化されたというふうに言っていいのではないかと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そのIPRAは、いまユネスコとの関係、国連大学との関係は、どのようになっておりますでしょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 ユネスコとの関係では、非政府機関(NGO)としてユネスコに関係を持っておりますから、ユネスコからのさまざまの指示が行われております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 武者小路先生、国連大学とIPRAとの関係というのは、国連大学というのは世界的なコミュニティーとしての大学ですから、オルガナイザーがいろんな研究を上からプロジェクトで組織していきますね、その組織していく際に、この平和研究という問題に取り組もうとした際、そういうIPRAのような国際的平和学会などは、どのような対応の仕方になるのでしょう。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 国連大学は、ユネスコとも緊密に連絡をとりながら、その研究計画を進めておりますが、同時に、ユネスコと密接に関連のあるNGOとしての国際学会がたくさんございます。特に、社会科学関係の国際団体は、国際社会科学協議会というものを設けておりまして、その中にIPRA(国際平和研究学会)、国際社会学会、国際経済学会、その他入っておりますが、国連大学は、閉じられた研究の大学ではなくて、なるべく広く、すでに編成されております国際的な学会と連絡をとりながら共同研究を進めていく、その場合にIPRAとも、特に平和研究に関連しては密接に提携をしながら、研究プロジェクトを進めていきたいという方針をとっております。  すでに去年十二月に、IPRAのアジア大会が横浜で開かれ、そのときに、非公式な形ではございましたけれども、その参加者の若干名に御協力いただいて、国連大学に来てもらいまして、これからの国連大学の平和研究の構想を練ったり、IPRAと国連大学との提携をどう進めていくかということについて話し合いを始めました。  それで特に、IPRAの事務局が現在日本にあるということも、有利な条件であると考えまして、今後ともそういう協力を続けていく方針でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 IPRA(国際平和研究学会)の一翼としてわが国にも平和学会ができているのではないかと思いますが、関先生、いかがですか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 日本における平和研究の学会は、オープンな組織としての平和学会の設立が一九七三年でございます。これはちょうど、日本学術会議が当時の田中首相に対して平和研究促進のための提案をいたしましたその時期と重なっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 日本の平和学会は、いままでたとえば、先ほど学術国際局長がおっしゃられましたが、科学研究その他での助成を受けていろいろな研究に取り組んでおりますか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 日本平和学会は、文部省あるいは政府からの指示は全く受けておりません。ただし、日本平和学会の構成メンバーは、各大学において若干文部省の科学研究費を受けているケースがございます。その一つの例としましては、一九七五年に広島大学の学内措置で発足いたしました広島大学平和科学研究センターでございまして、これは七五年以降、文部省から科学研究に関する費用を受けて活動しております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 IPRA(国際平和研究学会)がユネスコの依頼を受けまして、世界の平和研究所がどういう体制になっているかということを「国際平和研究ニューズ・レター」の編集長P・エバートさんが編さんされましたものがございます。これでは世界各国における平和研究を三つのタイプに分類いたしまして、Aの分類はもっぱら平和の研究を行っているもの、そしてそれが、国その他でどのような助成が行われているかというAのタイプ、紛争及び平和研究を行っている研究所というB類のタイプと大きく二つに分けまして、世界の平和研究の現状についてのリストができております。これは七三年にできたものでございますから、私の手元にあるのは、少し古いのではないかと思いますが、こういう世界の平和研究所のユネスコのリストを見ますと、日本には当時はもちろんございません、その後、ユネスコをサポートしていく平和研究所の中に、わが国の広島大学の平和科学研究センターは入っておりますでしょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 広島大学平和科学研究センターは、その中に載っておりません。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 わが国の政府は、ユネスコ憲章に基づいて、ユネスコの活動に国内委員会を通じて積極的に協力しているわけでありますが、そのユネスコが世界的に認知しているといいましょうか、世界の平和研究所を考え、国際平和学会との関連の中で研究所的なものを位置づけた中に、わが国のものは、これによりますと、日本平和研究懇談会が東大の社会科学研究所の石田先生の研究室気付に載っております。その後、広島大学に平和科学研究センターができたわけでありますから、日本とユネスコとの関係の中では、今後、こういう研究所の中の一つとして当然位置づけられるべきものではないかと思いますが、いかがでしょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 平和研究のリストが包括的であるべきならば、当然位置づけられるべきものであると考えます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 学術国際局長、ユネスコの日本国内委員会の事務局が文部省の学術国際局であろうと思います。そうした場合に、ユネスコ憲章にも言われておるような平和研究や平和の問題について積極的なアプローチをしようとしておるわが国の動向が、そのようなユネスコと積極的関係を持つような役割りを果たしたことはないわけですか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 私どもが持っております資料につきましても、聞きますと、ユネスコの方で独自に、任意にまとめたものというように聞いております。特別の対応は従来いたしておりませんでした。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 きょうの武者小路先生や関先生などの御意見を徴した上で、ユネスコに対して、その国内委員会の事務局である文部省学術国際局が今後どういう対応をすべきかを検討するべく、余り時間もありませんが、いまからの討論をお聞き賜りたいと思います。  そこで、国連大学の三つのプロジェクトのうち二番目のプロジェクト、つまり国連憲章の一条三項などに伴って「人間と社会の開発」プログラムの中で、平和研究の一翼を担うプログラムがあると聞いておりますが、どういうものでしょうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 「人間と社会の開発」についてのプログラムの中に、その重要な国際ネットワークプロジェクトとして、開発の問題に関連するいろいろな側面の問題、国内問題も国際問題も含めた共同研究をする「開発の目標、過程、指標」というプロジェクトがございます。その「目標、過程、指標」の中に、そもそも開発というものを考える場合に、その国際的な条件としても国内的な条件としても、平和の問題、軍事化の問題、軍縮の問題、そういうような問題が開発の問題と非常に緊密に関連があるということで、開発との関連で平和の問題を取り上げるサブプロジェクトがございます、そのサブプロジェクトの研究は、主に軍事化の問題を中心にして展開され、先ほども申し上げましたように、日本の広島の平和科学研究センターも、そのサブプロジェクトの活発な一員になっております。  特に、日本に関係のあるその部分だけについて御報告いたしますと、いままで四回ばかり、外国の研究者も参加しまして開発と平和の問題を中心とした国際的なシンポジウムを、広島あるいは東京で開いてきております。そのような関係でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 いまおっしゃったのは、国連大学の三つの大きなプロジェクトの中の第二番目のプロジェクト、その中に、これによりますと、開発の目標、過程、指標、ゴールズ・プロセシーズ・インディケーターズ・オブ・デベロップメントというものでしょうか、この目標、過程、指標というプロジェクトの中に、サブプロジェクトとして軍事問題、軍事化傾向などの問題を開発の問題と結びつけて、平和研究の問題をプロモートしていくという趣旨に理解してよろしいわけですか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 そのように御理解いただいて結構だと思います。  ただ、先ほど申しましたように、これはいままでの国連大学の研究の枠組みの中でそういうふうにしてきたわけでございまして、いま新しい段階に入ってサブプロジェクトとして軍事化その他平和研究を進めていくのではなくて、むしろ平和の問題を開発などと並んで一つの重要な研究課題として取り上げよう、つまり平和研究の持っている重みがサブプロジェクトという重みからむしろ重要な一つの、プログラムという形をとるかどうかはまだ決定しておりませんが、一つの優先的な課題として考えられるというふうになっております。ただし平和研究ということも、やはりこれまでどおり開発の問題とも関連しますし、今日の国際的なあるいは国内的ないろいろな変動が起こっておる、そういう現状を分析した、客観的な研究を踏まえた平和の問題についての研究という形をとることを、いまのスジャトモコ学長は非常に強調しております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 その国連大学の開発の目標、過程、指標というプロジェクトを、略しましてGPIDと呼びますが、このGPIDの研究プロジェクトにわが国で関係を持っているのは、広島大学の平和科学研究センターだけですか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 そのとおりでございます。国連大学のこれまでの研究プロジェクトのネットワークは、なるべくたくさんの国から一つずつ研究機関を選んで、それでネットワークを組むということになっておりましたので、そのような形をとっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 広島大学の平和科学研究センターと日本平和学会並びにIPRAとの関係は、こっちも大学の中の研究所的なものですから機構ではありますが、日本の平和学会並びに国際的なIPRAとこのセンターは、どのような実質的な関係にございますか一関先生にお聞きします。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 平和研究は、本質的に学際性と国際性とを持っているべきものでございます。したがって、広島大学平和科学研究センターは、出発の当初から国連大学のGPIDプロジェクトに関するのみならず、国際的なネットワークを持つような努力をしてまいりました。現に客員研究員は、日本のほかの大学の研究者をかなり抱えております。顧問に相当する研究員の中には、国際的に著名な平和研究の大家、専門家を含んでおります。日本の内部でも顧問としては、たとえば横田喜三郎元最高裁判所長官、あるいは先ごろお亡くなりになりました中山伊知郎先生なども顧問になっていただいております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 先ほど私がIPRAに依頼してユネスコでつくった世界の研究所のリスト、ちょっと古いですけれども、これは七三年のデータですが、それから今日までの間に、中身はまた後で関先生にお教えいただきたいと思いますが、その後、世界の平和研究所は、かなり新しいタイプのものその他が出てきているのではないか。中米などにも新しいタイプのものができているということなども聞いておりますが、そういう動きについての御説明をいただきたいということと、そういう世界の今日のIPRAなどをバックにしつつ広範な各国にでき上がっております平和研究所と比べまして、日本国憲法という世界に例のない憲法のもとでわが国の平和研究に関する研究所は、データを見ますと、相対的に比較してみて大変貧弱に私には思えてならないのでありますが、その点についての世界の研究所などとの比較の上で、簡潔に日本の現状についての御意見を関先生に承りたいと思います。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 日本の平和研究の現状は、制度の面での非常な立ちおくれが見られます。日本平和学会が七三年に発足して以来、現在は会員は五百六十名で、これは世界最大の平和学会と言っていいと思います。しかし、大学研究機関における平和研究の制度の立ちおくれは、少なくともヨーロッパの平和研究ないしは米国の平和研究の状況から比べますと、格段におくれているというふうに判断してよろしいかと存じます。  その具体的な事例をちょっと引用いたしますと、西ドイツにおいて一九七三年に平和研究のために、日本の円に換算いたしまして二億何千万円かの程度のお金が支出されております。しかし日本の現状は、それから比べますと恐らく二十分の一、三十分の一、もっと少ないというふうに判断してよろしいかと存じます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 最近、国連並びにユネスコのバックアップのもとに、中米に非武装中立を掲げている国があって、そこに大きな平和研究所の構想が動いているということを聞いていますが、これは武者小路先生に国連大学との関連を含めながら何かお聞きしたことがあるのですが、現状はどんなになっておりますか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 コスタリカ政府が国連の支持を得まして、コスタリカに平和大学という新しい大学を設けるという計画がずっと進められておりまして、去年の十二月に国連総会で、国連がこの大学を支持、支援するという形の決議が行われ、十カ国以上の国際的な参加が得られた場合に、この大学が発足するということで、たしか先月か今月正式の発足の運びになりました。  この大学は、教育、訓練、研究、それから啓蒙活動を通じて、平和のための教育という重大な普遍的課題に寄与するためにつくられた大学ということになっておりまして、平和研究、特に平和教育ということを中心にして活動をこれから展開するということになっております。  この平和大学の理事会には、国連大学も加わるという形で連絡がついておりますし、今後、いろいろな形で協力を進めていくことができると思っております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 時間も余りありませんので一つお伺いしますが、広島大学の平和科学センターで一九七七年ごろから昨年にかけて、数回にわたって平和と開発という問題でシンポジウムが行われているのをお聞きしております。  私の手元にあるのは、第四回目のシンポジウムでございます。たしか七九年くらいに開かれたのではないかと思いますが、この四回目のシンポジウムのテーマは、世界の軍事化という国連大学が平和の問題を考える際に言っている病理的な現象を軍事化という観点でとらえ返して、その上でこの平和と開発のシンポジウムが行われたと聞いております。このシンポジウムには、フィンランドの元国連大使のマックス・ヤコブソンや国連大学の先ほど申し上げました開発プロジェクトの中のGPIDプロジェクトの組織者であられるヨハン・ガルトム博士や、また同時に、GPIDの事務局長であられるポナ・ウイク・ナラージャー博士という方々などが、この広島大学の平和科学センターのシンポジウムに積極的な参加の上で討論が行われたと聞いておりますが、そうでございましょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 広島大学の平和科学研究センターは、先ほどの軍事化に関するシンポジウム以前にすでに一九七七年から七八年にかけて、世界秩序論の構築、世界秩序の構造、その過去、現在及び将来、世界秩序問題への学際的アプローチという三つのシンポジウムを行いまして、それ以後は平和と開発というシンポジウムに名前を変えて行っております。  その平和と開発のシンポジウムの中に国連大学との協力プロジェクトであるGPIDを一部入れまして、平和と開発のシンポジウムをその後さらに引き続いてやっております。  第四回以降は、国連大学との共催でシンポジウムを三回やっておりまして、広島でやった場合もありますが、昨年の一月には国連大学の本部でやりました。  そして、さらに昨年の十二月に、IPRA(国際平和研究学会)のアジアゼミナールが横浜で開かれた機会に、広島にもその参加者の一部に来ていただきまして、国連大学と共催で広島大学が世界の平和研究の中でどのような役割りを果たすべきかということを中心にした平和と開発に関するシンポジウムを開きました。その線上で現在、広島大学の平和科学研究センターはいかにセンターを強化するか、同時に、日本のその他の大学とのネットワークを一層制度化のレベルで進めていく議論をやっているわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 それらのシンポジウムにおいては、平和研究と平和運動というのはどう違うかということ、平和研究と平和運動の関係いかん、並びに平和研究と政策科学との関係いかんというような問題が重要なテーマになって議論をされていると伺っておりますが、さようでしょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 全体として平和と開発のシンポジウムは、非常に広範な問題を取り上げておりますけれども、ただいまおっしゃられたような平和運動と平和研究と平和教育との関係についてさまざまの議論がやはり行われました。日本において平和研究と平和運動と平和教育とを区別することはできないというのが一般的な常識でございまして、そのような常識がいかに認識のレベルで複雑な認識ではないかということが議論されております。広島大学平和科学研究センターは、ときどき平和教育センターとか平和教育研究所と間違われることがあるくらいでございまして、ここでも一番最初に学術国際局長が平和教育センターというふうにおっしゃったように私、耳に残っておりますけれども、単に文部省だけでのことではございませんで誤解は非常に広範に広がっているようでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私も、その四回目のシンポジウムで先ほどの国連大学のGPIDの組織者であるヨハン・ガルトム博士のレポートをお聞きしたのでありますが、それを一つ材料にしてかどうかは別にしまして、平和研究と平和運動とはどこが違うのですか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 平和運動は、すでに目標が非常に定まった、決まっていることを追求するわけであります。平和研究の方は、一体何が問題であるかということを発見すること、複数の目的の設定、問題が何であるかということがわかってまいりますと、目標自体が新たにあらわれてくるわけです。問題の解決が平和運動の場合にはもうすでに決まっていると考えられているわけです。したがって、平和運動は問題を発見するというよりは、決まった目標と解決方法もわかっているという前提のもとで進められるわけですが、平和研究は、問題を解決する方法を探求するために新たな問題を次から次へと提起して、それらの問題がどういうふうに絡まり合っているかということを客観的に探求するわけであります。  そういう意味では、現在、地球的な規模で人類にとってさまざまの問題が発生しております、これらを地球的問題群(グローバルプロブレマティック)と呼ぶ学者の中での考え方、そういう言い方がかなり出てきておりますけれども、そういうグローバルプロブレマティックを解決するために科学的な研究を行うことだというように理解されてよろしいかと存じます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 つまり平和運動というのは、軍縮なら軍縮とか、当面個別具体的な課題を実現するために行う運動だと思いますが、平和研究というのは、そういうものも含めてむしろ戦争とか社会の世界的動態の変化等を踏まえつつ平和という条件に際して何が問題になるかという問題性を客観的に把握するとでもいいましょうか、いまの御説明で勝手にぼくが理解したわけですけれども、平和研究というものと平和運動が混乱して、わが国の場合には、りっぱな日本国憲法を掲げているのに、平和研究がイコール平和運動と理解されて、それに対して大変変な対応をしていく傾向があるのではないかと私は判断をいたしまして、むしろ平和運動と平和研究というものを一度切り離した上で、平和研究に関する今日の世界の研究所の研究動向や世界の流れなどの中で、日本のあり方というものを模索していくべきなのではないかと考えるわけでありますが、そのように判断してよろしいでしょうか。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 大体そのように判断してよろしいと存じますが、平和研究というのは非常に広大な領域でございまして、医学と比較した場合に、どこが根本的に違い、どこが似ているかという点に焦点を当ててお話しますと、若干単純化をし過ぎることになりますが、はっきりとイメージがわかってくるのではないかと思います。  医学の領域には、御承知のように基礎医学と臨床医学というのがございまして、平和研究の中でもほぼ似たように分類を大きく群として分けることができると存じます。基礎研究の部分は、根本的な問題を客観的に扱うということに非常に大きな特徴がありますから、そういう意味では、がんに対する研究にお金を投資するのとほぼ似たような面があると思います。他方、臨床研究に相当するような平和研究もあり得るわけでして、現実にはやはり臨床研究のための基礎研究だという考え方があり得るわけです。その場合には、病人に医学が接するのと同じように、どうしても平和研究は、現在の問題をどう考えるかということを実際において診断し、処方を出さなければならないという課題がございます。そのところからさまざまの平和研究の他の領域とのかかわり合いが出てまいります。  たとえば平和運動とか平和教育との関係がどうなるのか、そのところが平和研究にとって非常にむずかしいところだというふうに判断してよろしいかと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 余り時間もありませんが、スウェーデン、ノルウェー、スイス、アメリカ、フランスその他の世界各国の多くの平和研究所ないしは大学における平和研究の講座のあり方など全体を見まして、そういう平和研究のタイプを分けて、わからないのでお教え願いたいのですが、平和研究というのは、どういうアプローチの仕方で、どういう対象を取り扱う学問なのでしょうか。学際的、国際的性格を持ったものでありますから、いままでの日本のアカデミーその他にはなじまない領域とは思いますけれども、世界の今日の動向から見て、われわれは立法府や文教行政の中でどういうふうに判断をしたらいいのか、何か判断の仕方のサゼスチョンがいただけませんでしょうか。簡潔にお願いいたします。

関寛治東京大学教授東洋文化研究所広島大学総合科学部教授(併任)

○関参考人 平和研究全体の問題をここでわずかな時間でお話申し上げることは、ほとんど不可能に近いと思いますが、私がここでお話する前に、五月十五日ごろまでに出版するものとして有斐閣から「国際政治学を学ぶ」という本を編さんいたしまして、その中で私は「平和研究への道と展望」という章を書きました。恐らくそれをお読みになれば、ある程度概観がはっきりと浮かび上がってくると思います。  そこで、ここでは非常に簡単に申し上げさせていただきたいと思いますが、平和研究を大きく分けますと、基礎研究の部分において特に強調されるべき分野として実証的平和研究というのがございます。これはある意味では、自然科学がさまざまの因果関係を研究するのと同じように、戦争の原因が何であるかを実証的なデータを用いて分析し、さらに、その原因を追求するために、さまざまのデータの収集が行われるわけであります。  方法としては、もちろんさまざまの方法がありますけれども、自然科学と同じような方法で追求した研究の例として、最近非常に大きな成果を上げたものの一つに言及いたしますと、ミシガン大学のデービッド・シンガーという教授のところのプロジェクトで、一八三〇年ごろから百五十年ぐらいにわたっての過去の戦争のケースを全部コンピューターに入れてデータ化して、戦争が起こっている場合、起こらない場合がどういう場合であるかという研究をいたしました。これらの研究の中には、われわれが安全保障の学問の中で常識的に考えていることと根本的に違った結論が出ている部分、あるいはきわめて常識的であって、この常識ならば別に研究をしなくてもよかったのではないかという部分と、いろいろの混合した研究成果があるということをお伝えして結構かと存じます。  もう一つの平和研究のタイプは、いわゆる主権国民国家を中心にした安全保障の合理的政策というものがどういうジレンマを持っているかという点から、安全保障に関する旧来の戦略論の不十分性あるいは欠陥を緻密に分析する流れがございます。この流れは、ある意味では戦略論批判グループと言っていいかと存じます。この流れは、数学的なゲームの理論を中心にした平和研究のグループでありまして、その意味で安全保障を中心にしたさまざまの戦略論との接点が非常に広範にある分野であります。  第三の分野は、全体としての現代の地球的な規模での政治経済構造、国家の集まりから成っておりますが、それ以外に多国籍企業を含めて非常に複雑な構造がどのように動いて、どういう問題があるかという点に焦点を当てた非常に規模の大きな平和研究であります。この平和研究は、従来の政治経済学の流れの発展であるというふうに見ていいかと思いますけれども、ここにもさまざまの考え方がありまして、旧来の帝国主義論のようなものから、中心部と周辺部の発展の時差のようなものに焦点を当てる中心部周辺部理論とか従属理論とか、あるいは相互依存の理論とかがこれらの中に入り込んでおります。  第四番目のタイプの平和研究といたしましては、大体六〇年代の後半から進んでまいりました研究プロジェクトでありまして、規範的平和研究と呼ばれるものであります。これは現在の国際秩序のもとで平和を達成することが非常にむずかしい以上、新たな国際秩序というものを考えて、そこに到達するための具体的なプロセス、その過程についての議論までやろうという広範な分野でございまして、その規範的平和研究の中に入るものとしては、たとえば世界秩序モデルプロジェクト、ワールド・オーダー・モデルズ・プロジェクトというのがございまして、これはWOMPと呼んでおります。これはアメリカに拠点のあるものであります。もう一つは、もちろん国連大学でGPIDのプロジェクトは、このカテゴリーに入るかと存じます。  第五番目の研究の群といたしましては、ローマ・クラブから始まりまして、御承知のように第一報告から第六報告まで出ておりますけれども、このグループの中で第六報告が「限界なき学習」というふうに翻訳されておりまして、ちょうど一番最初の限界の方を強調したローマ・クラブの方向と非常に対照的なものがありますが、そういうものもかなり規範的平和研究に近づいているということが言えるかと存じます。  最後のグループとしては、総括学的平和研究というのが考えられるはずであります。これは現在の研究のフロンティアの面で実際意識され始めましたわけで、私も、この問題については、まだ書いておりませんけれども、さまざまの、いままでの大学の制度の中にある学問が、グローバルプロブレマティックというものに対する地球的な規模で起こっているものに対して知的な解決能力をいまや喪失しておるわけです。したがって、新たな知的な解決能力のある学問をつくることが必要なわけですが、問題が非常に学際的であるために、広範な問題を取り上げ、それらの間の関連がどうなっているかというのは非常に複雑なわけです。したがって、さまざまの問題を解決する政策科学を総括する作業が必要なわけでして、そういう意味で総括学的平和研究、これは旧来の哲学はもはや死んで能力を失っているわけですから、新たな学問を地球的な規模でつくり出さなければならない、そういう見地に立った平和研究であります。  以上、大体種類を五つに分けて簡単に御説明させていただきました。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 ありがとうございました。  先生の著書その他は、また勉強させていただきます。  もう時間がありませんが、いままでの討論の中で、一九七三年以降の国連の平和研究に関する決議、わが国における対政府学術会議の勧告、それから、それを受けて、わが国では、国立では唯一の広島大学の平和科学研究センターが国連大学の平和研究と相互にタイアップしながら、いま言った多くの諸課題を検討され、多くの業績を上げてきておられることを日ごろから聞いておりまして、一度は参考人でもお呼びして、その経過などをお聞きしたいと思っていたところであります。  まだ私もわからないところがたくさんございますが、平和というものを学問的に取り扱う平和学は、この一連のシンポジウムでもはっきりしておりますように、平和運動とイコールで考える誤った考え方というものを、この際是正しなければならぬということは非常に重要なポイントだと私は思います。  そういう意味で、平和運動と平和研究を区別した上で、しからば世界の今日あるような、多くの国々が設置している平和研究所などと比べて、わが国の場合には、これが大変貧弱であり、見劣りをしていることも明らかな事実でございます。したがって、日本国憲法を持っているわが国における平和研究は、平和運動と混同されがちなその条件を明確に区別した上で積極的に推進すべきだと私は判断をいたしているわけでございます。  そこで、お聞きしますが、国立学校設置法施行規則、この省令によりますと、広島大学には大学教育研究センター、核融合理論研究センターがありますが、平和科学研究センターは、その省令では起きておりません。それはなぜかということを学術局長にまずお聞きしたい。それと、省令に起こした場合の予算のつけ方と、そうでない場合の予算のつけ方に相違があるのかないのかを二番目にお聞きをいたします。  もう一つは、国立学校設置法の施行規則の二十条の四を見ますと、京都大学には全国共同利用施設として放射線生物研究センターというものが置かれております。また二十条の五には、大阪大学に全国共同利用施設として核物理研究センターを置くとしております。こういうような大学内部に附置研究所的なものを設けて、それを共同利用的に運営していくタイプと、もう一つは、いま申し上げましたような大学の中に、研究所ではない、しかし学部でもない、その中間に研究センター的なものがあって、それが省令その他から見るとどういう位置づけになるものなのか、この三点について最初、学術局長に御返答願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 最初に、広島大学平和科学研究センターが省令化されていない理由でございますが、大学からはそのような要望が出ておったようでございます。  ただ、この取り上げ方につきましては、現在、広島大学は東広島市への移転統合という問題を抱えておりますが、その中におきまして総合科学部の創設、それから政経学部の分離等というような教育研究体制の充実に努めておりまして、そのような全体の問題をまず取り上げて、当該大学の学術研究、教育を進めておるところでございます。  したがいまして、そのような関連の中での学内における措置としてできておりまして、まだ省令化されていないわけでございます。そのようなことから、その担当研究者にしましても、総合科学部の教員の方がその研究に当たっておるというような形になっている次第でございます。  それから、予算の関係につきましては、五十五年度で千二百八十二万一千円へ五十六年度はまだ未確定の部分もございますが、基礎になります付属施設経費というものが五百六十三万円ございます。これ以外に、その他の研究経費、それから学内における措置というようなものが加わってこのセンターが運営されるわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そうしますと、まず、この広島大学にある現在の平和科学研究センターというのは、広島大学の学内措置として存在しているものであって、まだ附置研究所的性格のものとしては認知されていないという確認でいいんですね。  その上で、先ほどからお話を、参考人の方の御意見などもいろいろお聞きしておわかりのように、わが国がこの平和憲法下において平和研究というものにもっと積極的であるべきだというのが私の主張でありますが、客観的に見て、国連大学があり、そして国連大学の重要な、広い意味での平和研究の、日本における唯一のそれを支えていくものとして広大の平和科学研究センターがその役割りを果たしている、ところが、これは大学内部の内部措置であって、IPRA(国際平和研究学会)やわが国の平和研究学会などを背後に持ちながら、先ほど提起された重大な、世界の新しい秩序などを目指しつつ世界平和の問題を、国連自身も、スジャトモコ学長自身が積極的にプロモートしようとおっしゃっている事態でありますから、わが国におけるこのような拠点の研究施設というものをより前向きに発展させていく努力をすべきだと私は判断をするわけであります。  特に、最初申し上げましたユネスコが、IPRAを通じて調査した世界の平和研究所を見ましても、広島大学が落ちている、これ自体もおかしな話でありまして、国連総会でわが国の政府の代表が、平和研究の決議に積極的に投票をしておいて、そして、いまやユネスコに対するお金の支出にしても国連大学にしても、日本は経済大国かどうかは別としても、ユネスコの場合には、もはや世界の三位と言われるぐらいに膨大なお金を出しているわけであります。国連大学は、まさにわが国がスポンサーと言われるくらいに大きなお金を出している。そのユネスコ憲章に伴う世界的な平和研究というものを見ても、そこに広島大学の平和科学センターは落ちている。そういう意味で対ユネスコとの関係においても、わが国の平和研究というものが国際的に協力し合えるような意味でユネスコとの関係を持つように政府はもっと努力をすべきだ、私はまずそう思います。  それと同時に、今度は国内において、そういう世界平和学会の一連のものを受けながら、国連大学と共同で作業をしておる広島大学の平和科学研究センターが学内措置として処理されていて、これが今後より積極的な方向に向かって政府は積極的な役割りを果たすべきだと思います。  もちろん国連大学は、最初申し上げましたように、ユネスコと違いまして、コミュニティーでありますから、国家権力からの自由と大学自治を前提にしておることは言うまでもありません。ですから、金は出せども、その内部をコントロールしてはならないことは言うまでもありません。しかし、世界の今日の平和研究の趨勢から見て、日本国憲法のもとでわが国が世界的におくれておるというのは大変恥だと私は思います。  そういう意味におきまして、広島大学の平和科学研究センター、これに関連をしてひとつお聞きしますが、この間ローマ法王がわが国に来られたときに、広島で平和アピールが行われました。その平和アピールの後に学術講演をローマ法王がなさったということを聞き及んでおります。  そういう条件の中で国連大学と広島市が共同で今後広島に平和研究所を設立すべきである、その際に、広大の平和科学センターとの関係を持ちながら独自のものでいくのか、それともこれを発展させるのか、今後模索されていくのだと思いますが、そういう動きがあるとも聞いておりますが、これは国連大学との共催だったように聞き及んでおりますが、ちょっとお聞きさしていただいて、あと結論に入りたいと思いますので、御存じでしたら、武者小路先生お知らせ願えませんでしょうか。

武者小路公秀国際連合大学副学長

○武者小路参考人 ことしの二月二十五日にローマ法王が広島に来ました際に、国連大学と広島市で共催のもとに学術講演会を、技術、社会、そして平和というテーマで講演をしてもらいました。これは先ほど来申し上げておりますスジャトモコ学長の新しい趣旨、方針で、世界の知的な指導者にいろいろ学術講演などを方々でやってもらって平和の問題などを掘り下げていく、特に平和の問題と密接に関係のある科学技術の問題をどう見ていくべきかというようなことで、そのような講演をしてもらいました。国連大学は、これをきっかけにしまして、広島市、広島大学ともいろいろ話し合いを続ける予定でございますが、特に広島市の方の発意で、国連大学の日本における活動、特に平和に関係する活動を助ける意味で、広島市でいろいろな講演会を開くとか、あるいは将来は一つの研究所をつくるとか、まだ未確定の部分が多いわけでございますけれども、そういうことを相談するためのインフォーマルな形の相談の会が始まっておりまして、国連大学の関係でも、個人の資格で永井道雄先生などが参加して相談に乗っております。  こういうような形で、広島を中心としてではありますが、もっと広く日本学界全体との協力体制の中で平和の問題を広く取り上げて研究していただければというふうに思っているわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 いまのようにローマ法王が来られたことが一つのきっかけにはなっておりますが、広島という地で平和研究所的なものも一方で模索されつつある、先ほどから言いますように、わが国においては国連大学に協力できる国の機関というのは平和科学研究センターだけだ、こういう状態の中で、まずさしあたって、私は、先ほど申し上げましたが、国立学校設置法の施行規則の省令によりますと、大学の附置研究所的なもので起こしていくというやり方もあれば、同時にまた、省令事項としてまだ起きてないわけでありますから、起こしたから特別よくなるかどうかは別として、少なくとも省令として起こすということは、いままでのような学部の、大学内部の学科的取り扱いではなくて、少なくともわが国の平和研究の一つの拠点として、重要な公的役割りというものを果たすことになるということも含めて、広島大学の平和科学センターというものを、もし大学側の要望があれば、現にあるわけでありますから、そういう要望にこたえて、省令事項として起こし、同時にできれば、施行規則で言っているような、学内における附置研究所的な共同利用研究所的なものに発展させる、もちろん共同研究の場合には、自然科学の場合には物が共同利用になります。  ですから、そういう意味では、共同利用というのは非常にわかりいいわけでありますが、しかし、この共同利用という場合に、たとえば九州大学の産業労働科学研究所なども資料センターではございますが、共同利用でございます。そういういわば世界の平和研究の情報を収集し、そして、また世界の平和研究にわが国で積極的に協力する中心的な役割りを果たし、同時にまた、平和科学研究というものを進めていく、そういう大事な国連大学とのつながりでやっている作業を、より国民の前に認知しつつ推進をしていくことが必要なのではないかと私は判断をいたしておる次第であります。  したがいまして、文部大臣に最後に聞きますが、学術何とかという、大学学術局ですか、学術国際局ですか、どっちが上なのかよく忘れるのですけれども、学術国際局、ユネスコの事務局を担当しているところと同じ所管ですね、もう時間もあと五分しかございませんので、いま私が申し上げたような趣旨に従って、国連大学の一翼を担っている広島大学の平和科学センターを、少なくともより一歩、学内の共同利用的なものとしてももっと認知する必要がありますし、外に向けての共同利用という意味での役割りも果たさせるように、共同利用の解釈については私はおたくの解釈を知っています、しかし、物ではないけれども、こういう重要な世界の平和研究所などの創立、活動などの世界的動向から見て、少なくともわが国でただ一つ国連の平和研究の一翼を担い、日本平和研究学界の重要な中心的な役割りを果たしている機関でございますので、より積極的にこれを今後推進していくということについて、文部省並びに大臣の意向をそれぞれお聞きをいたしまして、私の質問を終わりますが、それぞれお答えを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 広島大学の平和科学研究センターにつきましては、先生御指摘のとおり、大学が自主的に現在活動を展開しておりまして、非常にりっぱな研究を進めておる次第でございます。  ただ、平和研究につきましては、先ほど先生からも御指摘ございましたし、参考人の先生からもお話がございましたが、やはり学際的な問題とかその他非常に分野が広くまたがるというような成果もございますし、もっと広く人類の平和に関連する学術研究ということにつきましては、多くの学問分野がそれぞれ努力しておるというようなこともあるわけでございます。  そのような点、あるいは大学側の全体の要望との関連、予算との関連等につきましても配慮しながら検討してまいりたいと考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 国際的平和科学というのは、確かに学問としてどうだと言いますけれども、筑波以来、学際学際と、いままで文部省ほど学際をやかましく言ってきたところはないわけであります。ですから、そういう意味でこの世界の動向からして、これだけ新しい平和科学という問題を、はっきり区別しておかなければなりませんが、平和運動と区別した平和科学、こういう観点で日本国憲法のもとでそういうものを追求しないというのは、学際学際というようなことで拒否される理由には私はならぬと思います。  ここにはちょうど安保の特別委員長の坂田さんもいらっしゃいますが、これはまさに安保とうらはらでございまして、私も安保の特別委員でございますが、片一方で防衛とかそちらばかりが問題になっていて、基本になる平和研究というものがわが国ではさぼられている、こういう意味におきまして、文教と安保に絡んで、坂田さんもいらっしゃることですから、私が提起した問題について積極的に取り組んでいただきたいと思います。  そういう意味で共同利用にするか付置にするか、そんなことを直ちに判断すべきことではありませんけれども、広島大学が要望し、並びに日本の平和学界の皆さんが、この大学を中心にしてやってきたシンポジウムの成果などを受けて、国際的な発表をなさっているという実績にかんがみて、これに対する調査研究を深められて、積極的な対応を切に望むものであります。  もう一つは、先ほど言いましたユネスコとの関係でも、確かにユネスコの憲章をごらんになれば、あんなにすばらしく平和という問題をうたった憲章はありません。その中で、ユネスコに対してわが国は最大のお金を出して、これを支えていっている日本でありますから、このユネスコから見ても、わが国の平和研究が認知されないというような実情は、国連大学の事務局を置いたというわが国の立場からしても、これは世界的にも恥をかいているようなみっともない姿だと私は思います。  そういう意味で文部大臣は、ユネスコの国内委員会の代表でありますから、ユネスコに対しても、そのような積極的対応をとることと、いまの広島大学の平和科学センターのあり方について、今後文部省では、調査研究を深めた上で、要望があれば積極的にこれにこたえるかどうか、その二つについて大臣の意見、回答を聞いて質問を終わります。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 本日は、大変広範な論旨を展開せられまして、そして国連憲章から世界平和論、ユネスコ、さらにまた国連大学等一連の相関関係を持ちました平和問題、特に平和日本といたしましてのわが国の国是である、あくまでも平和に徹するという姿において、私は、ユネスコの、ただいま仰せられました問題等につきましても、その所管大臣といたしまして今後ともに努力をいたします。  ベルグラードの会議にも、私、日本代表として参りまして、なおわが国の所見も述べた次第であり、また特に、国連大学につきましては、御案内のとおりに、日本が少なくとも国連大学の設立に当たりましては、最も積極的に努力いたしておりますことは御案内のとおりであります。あるいは拠出金の問題にいたしましても、スジャトモコ新学長を迎えまして、さらにまた、いま新聞等で出ております国連大学の本部の問題につきましても、今後一層努力をいたしたいと考えます。  なおまた、先生の言われました平和の理論的な研究あるいはその運動との相違、その他今後に残されました哲学的な諸問題につきましても、この広島大学におきまする平和科学の研究努力に対しましては、適切なことと考える次第でございますが、ただ、平和研究センターを組織といたしまして、明確に独立をさせると同時に、さらに、この推進の問題を展開するという問題につきましては、なお慎重に検討をさせていただきたいと存じます。  大体以上、私は、先生の言われまする平和問題、特にわが国の国是としての展開につきましては、御賛成を申し上げる次第でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 慎重に検討するというのは、どういう意味ですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 いまの実務的な問題でありますとか、それから大学内部の機構の問題でありますとか、そういうふうな諸案件が残るわけであります。  一例を言うならば、たとえば国連大学の問題にいたしましても、私は、国連大学の学長の御要望に沿いたい、かように考えますが、同時にまた、他の省庁との関係の実務上の手続や何かがあることもよく御承知のとおりでございます。いまの、慎重に検討すると申し上げたことも同様のことでございます。国の方針としては、大本は決定いたしておる、また文部省といたしましても、その線に沿いまして努力をいたします。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 では、いまの、その線に沿って努力をするということを私は確認さしていただいて、そして文部省の所管の担当局が今後検討するということを御指示いただくというふうに理解をさせていただきますが、担当局、それでいいですね。——では質問を終わります。ありがとうこざいました。  先生方、大変お忙しいところを、舌足らずで大変御無礼をいたしましたが、どうもありがとうございました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 この際、委員会を代表いたしまして一言ごあいさついたします。  参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 次に、内閣提出、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する提案理由の説明は、去る二十二日に聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕

馬場昇日本社会党

○馬場委員 私学共済の質問をいたしますが、まず最初に大臣にお聞きします。  この前のこの法案の審議のときにも質問したのですが、国庫補助率の問題です。これは二〇%確保すべきだという附帯決議が、すでに本委員会でも十五回出ているわけですけれども、昭和五十六年度の国庫補助率はどうなったのか、二〇%に対してどのような努力を大臣なさったのか、今後の見通しなり決意等についてお聞きしておきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 本件につきましては、私自身におきましても、たびたびお答えを申し上げたとおりに努力をいたしておる次第でございますが、五十六年度の予算編成に際しましても、せっかく努力をいたしましたが、実現を見るに至っておりません。これらの問題は、また他省庁と緊密な連絡のもとに今後ともに努力をいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 十五回本委員会で決議しているわけですね。そして、いま五十六年度の補助率についても努力をしたが、実現していないというお答えでございまして、まことに残念でございますが、努力努力という言葉を聞いたって、ちょっと物足らないし、信用できないと言えば言い過ぎかもしれませんが、五十六年度のときに、私は、この前二つぐらい具体例を挙げてこうしなさいと言っていた。もちろん大臣折衝までぎりぎり持ち上げて実現をするという努力をしなさい、たとえばほかの国公、地公、農林、そういう委員会でもこういう決議をして、大臣は努力すると約束しているので、そういう関係大臣と一緒になって、ひとつ力を合わせてがんばってくださいというようなことを言いまして、大臣、そうしますとおっしゃったのですが、その努力の内容を、こうしてこうして、もう精いっぱいやりましたけれども、残念ながらと言ってもらわぬと、努力だということだけでは納得できないのですが、その努力の中身をちょっと言っていただきたい。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 これは先生も御承知のとおり、この二〇%という目標に対しまして、補助金の問題は、非常に厳しい大蔵省の抵抗があった次第でございます。  なお、具体的のケース・バイ・ケースに対する要望並びに折衝の経過につきましては、担当の政府委員からお答えいたします。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。私ども事務当局といたしましても、最大限努力したつもりでございますけれども、なお、私どもの要求が実現いたしませんで、その点は私どもも大変遺憾に思っているところでございます。いずれにいたしましても、私どもは、農林年金等と歩調を合わせるべく、百分の二十に引き上げるということで努力したわけでございますが、いまのような厳しい財政事情等もあろうかと思いますけれども、ついにこれが実現いたしませんで、私どもとしては、今後引き続き、その実現に向かって努力をいたしたいというふうに思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これはもう努力が足らなかったと言ったって水かけ論になりますから、大臣、今後一生懸命努力されますね、そのことだけ聞いておきたいのです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 当然でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 次にもう一つ、私学振興財団の助成金ですけれども、これもこの前質問いたしましたが、五十六年度は幾らになっておりますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 五十五年度は私学財団から三千万円でございましたけれども、五十六年度は三千三百万円の見込みとなっております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 実は、この問題につきましても、この前質問いたしまして、五十三年度が一千万、五十四年度が二千万、五十五年度が三千万、五十六年度はどのくらい努力するのだと言いましたら、五千万ぐらいは努力したいというふうな話が出まして、途中で訂正されたのですが、結果を聞いてみますと、たった三百万の増にしかなっておりません。御承知のように財団、共済、文部省の約束事は千分の六でございますが、これは十万分の四ぐらいしか出ていないんですね。約束事が守られていない。五十五年度から五十六年度三百万しか増になっていない。  これも聞いたって、努力したと言われるだけでしょうから、大臣に結論だけ聞いておきますが、これまた千分の六という約束事があるんですよね。少なくとも十万分の四ぐらいじゃ話になりませんし、これも増額に今後努力なさいますか、どうですか。大臣、どうですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 今度は、従来にも増して努力をしなければならぬと考えます。客観情勢はまことに不利でありますことも御案内のとおりでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 それを逆さまに言ってもらわなければ困るんですよ。客観情勢は不利だけれども従来どおりがんばる、従来どおりがんばるが、客観情勢が不利だから余りいかないのじゃないかというようなことじゃ困るんですよ。じゃ、これは努力するということで聞いておきます。  次に、都道府県の補助を、これは千分の八出してない県がまだありますか、ありませんか。もう全部都道府県出しておりますか。これはどうですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 都道府県では、一応いまおっしゃられましたように、長期給付の掛金の千分の八相当額を補助するということになっておりますけれども、最近における都道府県の財政事情等の悪化に伴いまして、大学及び短大を補助対象から除外するとか、あるいはまた除外はしておりませんけれども、補助対象の月数を減じている、そういう都道府県があるわけでございます。  それで、昭和五十四年度の調査、統計でございますが、全学種、つまり大学から幼稚園に至るまで全学種に千分の八ということで満額補助している都道府県の数は三十七県というふうになっております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これは、この前も質問したのですけれども、やはり全都道府県に、いわゆるいま言われました満額助成するように今後も御指導していただくわけですね。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私ども文部省といたしましては、いままでもそうでございましたけれども、今後とも大学、短大というように特定の学種、学校の種別によりまして、そういう除外をするなどということのないように、あらゆる学種に対しまして千分の八の補助が行われますように、全都道府県に対しましていろいろと指導しておりますが、特に、私学担当課長会議、これは私ども毎年招集いたしておりますが、そういう機会等をとらえまして、強く要請してまいりたいというふうに考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 次に、行政管理庁の方来ておられますね。——四月十七日に第二次臨時調査会が開かれまして、伝え聞くところによりますと、行政改革の基本的調査の審議事項が決定した、七月の上旬に答申をするというめどを持って当面の緊急課題というものが決定された、こう伝えられておるわけでございますが、その七月上旬答申をめどにしてやる当面の緊急課題の中に、支出を削減するという項目の中に「補助金等の整理合理化」という項目が入っておりますね。そして次に、同じ支出削減の項目の中に「行政の合理化・効率化」という項目がございまして、その中に公務員等の定員、給与、退職金の合理化というのが入っておるようでございますが、これは十七日の調査会でこういうことが事実決定されたのかどうか、まず聞いておきたいと思うのです。

重富吉之助臨時行政調査会事務局総務課長

○重富説明員 先生から御質問がございましたとおり、十七日の調査会において決定されたところでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 臨調の審議のやり方等まだ私、よく知らないのですけれども、このようないわゆる緊急課題の補助金等の項目の内容を、これはおたくの事務局からこういうものがありますよと言って出されたのですか、それとも調査の委員が独自にこういうものを自分で言って決めたのですか。この決め方は、どうやってこういう具体的なことが決まったのですか。

重富吉之助臨時行政調査会事務局総務課長

○重富説明員 お答え申し上げます。  調査会が発足しましたのは、先生御承知のとおり三月の十六日でございます。それから私どもは、検討課題をどういうふうに決定するかということにつきまして、調査会において三回から四回ほど御議論をいただきました。当初のたたき台は私どもから出しましたけれども、調査会で各委員からいろいろな御議論が出されまして、それに伴いまして大幅な修正を受けながら、調査会の委員の先生方の独自性によってこの検討テーマは決まったというふうに私どもは考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 それで、事務局からたたき台は出した、後は委員の方がいろいろ議論されて最終的にこういうことを決定したといまお聞きしたわけでございますが、たたき台に出したのか出さないのかという点で具体的なことを申し上げますと、たとえばこの「補助金等」という中身あるいは公務員等の定員、給与、退職金の合理化、こういうものの中身に、たとえば文教で言いますと義務教育学校の教職員の給与の国庫負担金、こういうようなものは入っているのか入っていないのかという問題と、まだたくさん言いますが、いま私が文部大臣と議論いたしました、たとえば私学共済の国庫の補助金、こういうものが入っているのか、どうですか。さらに大きく言って、私学共済だけではございませんが、たとえば私学に対する助成金がございますね、こういうのも入っているのか入っていないのか。都道府県分についてはどうなさるか。地方行政と国とのかかわりがどうなっているかわかりませんが、先ほど言いました千分の八の都道府県からの助成、たとえばこういうものも補助金等の対象の中に入るのかどうか、これはどうですか。

重富吉之助臨時行政調査会事務局総務課長

○重富説明員 調査会でどのような補助金を具体的な調査検討課題として取り上げるかということにつきましては、調査会は専門委員を中心の構成メンバーとする特別部会において検討してもらうということで、特別部会に課題を与えていただくことになっております。その中でどのような補助金を取り上げるかということについては、専門委員の方々が決定されることになろうと思っております。  私どもは、現在、調査会の審議の雰囲気等を承知しておる限りでは、補助金については聖域を設けないという形で審議していただきたい、こういうふうに考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 聖域を設けないということになりますと、いま私が言いましたのは全部対象になるということだろうと思うのですが、特別部会というのは、いつ開かれるのかということをまず一つ聞いておいて、さらに聞きますが、この前も大臣に聞いて、後でまた大臣にも質問しますけれども、この中に、さっき言いましたように、公務員等の定員、給与、退職金の合理化というのが項目の中に入っているんですよね。その中に、たとえば定員等の合理化の中に四十人学級問題が、いま年次ごとに進行しております、これが入るのではないかという心配も私はいたしますが、これは行管庁に聖域をつくらないということならば、この四十人学級問題はやはり入るのではないかと思うのですが、それに対する考え方と、退職金、年金、こういうことも入るのかどうかという点について、特別部会がいつごろ開かれるのかということと、さらにつけ加えたこの二つ、聖域問題についての御見解を聞きたい。

重富吉之助臨時行政調査会事務局総務課長

○重富説明員 お答え申し上げます。  特別部会の設置については、調査会としては、七月に緊急課題の答申をいたさなければなりませんので、早急に設置するべく御検討をお願いしておるところでございます。私どもは、月末か来月早々には特別部会の設置が行われるというふうに考えております。  なお、お尋ねの補助金につきましては、私どもは、現段階では、そのような補助金が除外されるというふうには承知しておりません。ただ、専門委員の方々がそれぞれ補助金等の実態等を勘案されて取り上げられるかどうかということは、その特別部会の構成員である専門委員の方たちの御判断におゆだねしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 文部省に聞きますけれども、これは大臣、このようにして今月末からあるいは来月早々にも実は専門部会が開かれまして、具体的に検討に入るわけですね、この臨調の動きに対して文部省はどのような対応をいま省内で検討されておるのか、どう対応しようとしておるのか、この第二臨調、特にこの特別部会等に絡ませて文部省の対応の現状を聞かせてください。

植木浩文部大臣官房会計課長

○植木政府委員 ただいま第二臨調の事務局の方からもお話がございましたように、第二臨調の方がスタートしたばかりでございます。ここで先生御指摘の補助金整理の問題というものがテーマとして取り上げられると承っておるわけでございますが、文部省の場合は、補助金というのが大変多うございまして、従来から補助金の整理合理化については、もちろん政府の方針に従っていろいろと努力をしてきたところでございます。  今後の補助金の整理合理化という点につきましては、何分にも第二臨調が発足したばかりのところでございますので、私どもとしては、そちらの方でどのようにこの問題が取り上げられていくか、いま関係省庁とも連絡をとりながら、今後どのようにこれに対して対応していかなければならないかということを慎重に検討しておるところという段階でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 文部省としては検討段階だということのようでありますが、大臣にお聞きしておきたいと思うのですけれども、いまの第二臨調の動きと行政の合理化とか、小さな政府づくりなんという原則にはだれも反対する者はいないと思うのですけれども、われわれから見ますと、本当に財界ぺースで第二臨調が進んでおるといったような感じがしてしょうがないわけです。  その中でも、臨調の本質論については言いませんけれども、たとえば四十人学級の問題なんかもどうなるかということも含まれておるようでございますから、文部大臣としては、第二臨調に臨む姿勢として絶対に教育効果を減退させてはならない、後退させてはならないという姿勢、教育環境とかあるいは勤務条件とか、こういうものを後退させてはならない、そういう原則を踏まえて文部省としては第二臨調に対応していくべきだと私は思うのですけれども、文部大臣の基本的な腹構え、具体的に言うと、四十人学級の問題についての見解を聞いておきたい。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 馬場先生の御質問に対しまして、臨調の担当官の方から文部省の教育は聖域にあらず、あるいはまた四十人学級の問題についても除外はできない、こういう答弁が返ってきましたことは、まことに遺憾千万でございますが、しかし商売商売で、臨調の職員としては聖域は別ですとか、それは外しますなんということは言えた筋合いのものではございませんし、それに対しての先生の御質問が、文部大臣は一体それをどう考えるかという御質問でございますが、それは初めから先生の御質問のターゲットもわかっておる次第でございます。  ただ、そういうことは折衝のつばぜり合いの用兵作戦の機微の問題でございまして、私はこう言います、じゃどうですかというようなことは、断じてこの席では言えないことは御案内のとおりでございます。  しかしながら、先生と私とは腹は同じなんでありますから、先生の御意向に反するようなことは私は交渉の場で断じていたしません。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 大臣は、きょうはえらくからが固いようでございますが、この前のこの委員会で四十人学級の後退なんか私は絶対させません、反対です、というようなことを言われましたが、きょうは慎重に私と馬場先生と同じ腹ですと言われたから、それは当然だろうと思うのですけれども、教育効果を減退させてはならないということ、あるいは教育環境とか労働条件とかそういうものを後退させてはならないという立場で、不要不急なものはどんどん切っていいんですよ。そして、また私どもから言わせますと、こんなものは切っていいじゃないかというのがたくさんありますよ。それはそれとしていいですが、基本的な考え方は私と同じ気持ちとおっしゃいましたので、ぜひそれを貫いていただきたいと思います。  次に、時間が余りございませんが、共済年金制度基本問題研究会、この事務局は大蔵省ですね、実は、この共済年金制度基本問題研究会が、いま二年の期間で発足されておるようですが、どのような研究過程にあるのかということを実は詳しく聞きたかったわけでありますけれども、全部聞かれませんので、大体こういう段階だということを大まかに言っていただきますし、その中で特に官民格差というものがやはり議論になっているのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうなっているのかということを簡単にお聞かせいただきたいと思います。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 お答え申し上げます。  共済年金制度基本問題研究会は、昨年の六月に発足いたしまして、おおむね二カ年程度のめどで共済年金全体の改革の方向をお示しいただきたいということでお願いしております。現在まで大体十回の会合が終わっております。最初の三回ぐらいは、共済年金の現況及びその抱えている問題点等についての第一読会的なフリートーキングをしていただきました。その後、いま先生からお話のございました年金制度における官民の比較、その比較の中で合理的でないものというのはどういうものがあるかといったようなことについても一応触れました。それから、さらに年金財政の問題でございます。将来にわたって安定した年金制度が維持できるのかどうかという財政面からのアプローチといいますか検討も一通り終わっております。本年の四月からはさらに第二読会的に、それらの問題について具体的な対応策みたいなものを御検討いただくということで、とりあえず、財政問題が非常に窮迫している国鉄共済年金の問題からその一般性と特殊性等について深い議論をしていくということで、月に二回以上の会合をこれから予定しているところでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 もう一つポイントだけをお答えいただきたいのですが、官民格差というのはやはりあるなという検討になっているのですか、それとも官民格差はないとなっているのか。あるいは官民格差を比較する場合に、厚生年金でしょうけれども、厚生年金と比較する場合に、企業年金と厚生年金を併給しておるところがあるわけでございますので、官民格差を比べる場合に、そういうところはどうなっているのかということと、私学共済の財政問題というのについてはどう考えておられるのか、お答えいただきたいのです。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 現在の共済年金制度すべてを通じまして、厚生年金等と比較した場合に、共済年金が有利な取り扱いになっているという部分が確かにございます。  たとえば支給開始年齢一つとってみましても、いま経過的に六十歳に引き上げるというかっこうにはなっておりますけれども、現実の問題としては、まだ五十五歳で支給されるというようなかっこうになっております。それから年金の水準等につきましては、厚生年金がかなり大幅な改善が重ねられてきた結果、水準の上で余り大きな開きはないのではないかという認識を持っておりますけれども、たとえば公務員等を退職した後で再就職した人たちの年金の受給の有無等については、民間の厚生年金の受給者の側から見ると、公務員から再就職した人たちは非常に恵まれているという印象をお持ちであることも間違いありません。その辺については格差ではないのかというような御議論が中で交わされております。  それからもう一つ、水準の問題で、民間については企業年金が別にあるじゃないかということも私どもは承知しておりますし、その点については、水準の問題として比較する場合に考慮しなければならないということは、各委員とも同じ認識であろうと思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これに関連して厚生省にお聞きしたいのですけれども、最近新聞等の報道で、いわゆる三十万年金というのを、三菱商事さんとか味の素さんとか住友商事さんとか、大企業がやっているということが出ておるわけでございますが、この三十万年金に対する評価を厚生省はどう考えておられるのかということを、ちょっといまのに関連してお聞きしておきたいのです。

長尾立子厚生省年金局企画課長

○長尾説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生お話ございました三菱商事でございますが、これは私どもの厚生年金の中にございます厚生年金基金という制度を利用いたしまして設定をした制度でございます。  ただいま厚生年金基金は約千弱の数を持っておりまして、厚生年金被保険者のうちの四分の一ぐらいの方が厚生年金基金の加入者ということになっておるわけでございます。三菱商事の場合には、非常に大きな給付の額を持っておるわけでございますが、全体といたしましては、まだ給付のレベルはそれほど高いという状況ではございません。  企業年金というものをどういうふうに考えていくかという問題になるかと思うのでございますが、私どもといたしましては、老後の所得保障ということを考えますと、やはり基本的には公的年金制度の充実ということが中心にならなくてはならないというふうに思っておるわけでございます。しかし、各企業がたとえば退職金というものを年金化する、それから、その企業自身のいろいろな労務政策の上でこういった企業年金をつくっていくということ自体も、これはそれ自体意味のあることであると思います。私どもといたしましては、こういった基金の財政的な面、非常に大型なものをやっていくということにつきましては、さまざまな危険もあるわけでございますが、そういった財政的な安定面ということにつきましては十分配慮してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これは文部省に聞きたいのですが、私学自体でいわゆる企業年金的なものをやっているところがありますか、ありませんか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  いまのところ、文部省といたしまして、そういう調査をしておりませんので、その実態等はまだ掌握しておりません。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 実は、まだたくさん予定したのですが、時間が来てしまったのですけれども、私学の財政はそうまだいま逼迫しているとは思わないのですけれども、懸案になっておりました——一つ聞き忘れましたが、この研究会は、いつごろまでに結論を出されるのですか、それをちょっと聞きたいのです。  それから今度は、文部省に聞きますけれども、いろいろこういう研究会等の結論も出てくるのじゃないかと思いますが、心配されますのは、やはり組合員の掛金がふえては困ると組合員のだれでも思っておるわけでございますので、組合員の掛金負担の増加になるべくならないようにということは、ぜひ文部省としても考えておいていただきたいという問題。  それから、関連いたしまして、公務員の給与に対して自動スライド制をとれということが前から問題になっているのですけれども、この研究会等の中で、自動スライド制の問題はどうやるべきか検討されておるのか。また文部省は、それをやる方向で努力をしてもらいたいということ。  それから、やはり年金を毎月支払ってくれという要望が非常に強いのですけれども、研究会ではどうか、文部省は、これに対してどういう対応をとりたいのかということを最後に聞いておきたいと思います。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 研究会の大体のめどというお話でございましたけれども、一応二カ年程度でお願いしたいということを当初お願いしてあるわけでございます。ただ、二カ年というと来年の六月ごろということになりますけれども、私どもといたしましては、もうちょっと早目に結論をお出しいただけないかということで、研究会の回数等もふやしていただいて早目にお願いするということを希望しているわけでございます。  それから、具体的な問題につきまして、たとえばいまお話ございました毎月払いの問題であるとかスライドの問題であるとか、こういった具体的な問題につきましては、これからの検討課題ということでございまして、当然、検討の内容としては含まれる対象の項目であろうというふうに考えております。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 まず最初に、私学共済組合の掛金の問題でございますけれども、私学共済組合の掛金につきましては、昨年の五月一日で財源率の再計算をいたしまして、七月から千分の六ほど掛金率を引き上げております。目下のところは、組合の年金財政は、ほかの共済組合、たとえば農林共済あるいは公立学校共済、国家公務員共済に比べましてはるかに健全であると私どもは考えているわけでございまして、いまのところ、掛金を再度引き上げなければならないという状況にはなっていないわけでございます。したがって、いまのところそういう考え方は持っておりません。  それから、例の年金の自動スライド制でございますけれども、昭和四十八年以後の私学共済の年金改定におきましては、毎年御案内のように、現職の国家公務員の給与改善率そのものを基準といたしまして年金額の引き上げを行ってきておりまして、実質的な給与スライド措置というものはすでに実現してきていると私ども考えているわけでございます。  ただ、先生のおっしゃるいわゆる自動スライド制の導入ということですけれども、この自動スライド制の概念と申しますかその中身につきましては、いろいろな考え方があるかと思いますが、それにつきましては、先ほど大蔵省の担当官の方のお話にも関連するわけでございますけれども、共済組合制度、公的年金制度全体の問題といたしまして共済年金制度基本問題研究会において検討が進められるというふうに承知しているわけでございますので、私ども文部省としては、同研究会の意見を十分に見守って引き続き検討をしてまいりたい、このように考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 時間が来ましたので、大臣、さっき大臣も言われましたように、第二臨調絡みで補助金削減なんかの問題がいろいろ出てくるわけでございますが、そういう中にあっても一生懸命努力すると大臣おっしゃったわけでございますが、ぜひこの私学共済等が改善はされるにしても改悪はしないように最大の努力をお願いしたいということについて大臣の決意をお聞きして質問を終わります。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 全くそのとおりでございまして、全力を尽くしてこれに対しましては対処いたします。どうぞ何とぞ皆様方の御協力をひとえにお願いいたします。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 終わります。

中村喜四郎自由民主党

○中村(喜)委員長代理 湯山勇君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は、具体的に一点お尋ねしたい思うのですが、その前に、この前の本法審査のときに、国家公務員共済組合法の準用の規定が多い制度ですから、変わったことについてはひとつ御報告を願いたいという要望をしておきました。今回は、その私の要望を非常に忠実にお守りいただいて、資料をつけていただいておることに対して感謝いたします。  これで恩給、厚生年金から取り残されていた寡婦加算が加わってできるようになったこと、これはいいのですが、あと遺族の範囲の見直しとか高額所得者に対する年金の支給停止、これらは条件が悪くなったという点もありますので、質問には入れておりませんでしたが、これは大蔵省の野尻共済課長さんの方で、第一の項目でどれぐらい給付がふえるのか、それから第二の遺族の範囲の見直しでどれぐらい給付が減るのか、それから、また高額所得者に対する年金の支給は、これは五十七年からですから、いま幾らというのがわかりにくければ結構ですけれども、五十七年以降大体年どれぐらいは少なくなるだろうというようなお見込みがおわかりになれば、ひとつ私の質問の終わるところででもお答えいただければと思います。  お尋ねいたしたいのは、今日まで処理された経過から見ますと、法改正をしなければ処理できないということで非常に不幸なといいますか不利な扱いを受けている事例がございまして、どこかで取り上げなければならない問題ではないかというように考えますので、具体的に申し上げます。  女の先生で昭和四十年ころに進行性網膜色素変性症というので失明をいたしました。もちろん、これで学校は退職しなければなりません。退職して廃疾年金を受けておったわけです。もちろん両眼失明ですから、一級の廃疾年金を受けておりました。そこで本人は、目が見えないですから、マッサージの資格を取って年金とその収入で生活をしておったのですが、十年ばかりたって白内障を伴っているということがわかりまして、白内障の手術をいたしました。そしたら幾らか見えるようになった。そこで、廃疾年金を受ける人は、施行規則によりまして身上報告を毎年出さなければなりません。その際、診断書もつけなければなりませんので、症状が軽くなったということは、それによってすぐ判定ができるわけで、これによって廃疾年金を三級に下げられました。ところが、もともと本来の病気が進行性の網膜色素変性症ですから、白内障の手術を受けて半年ぐらいでまたもとの全盲になってしまった。そこで本人は、直ちに症状増進を理由に廃疾年金の級の改定の申請をしたのですけれども、これはすでに発病後五年以上を経過しておる。四十年ごろの発病で手術をしたのが五十年、十年くらいたっておりますから、発病後五年以上を経過しておるという理由で受理されなくて、今日、年をとってマッサージの仕事もできない、年金も少ない、これは何とかならないだろうかという訴えです。  このことにつきましては、この私学共済の法律で言えば、廃疾給付は第二十五条の国家公務員共済組合法準用の項目に当たっております。  そこで、国家公務員共済組合法の廃疾給付のところを見ますと、その中で「廃疾の程度が変わった場合の年金額の改定等」という項目がございまして、その八十三条によれば「廃疾年金を受ける権利を有する者の廃疾の程度が減退したとき、又は退職の時から五年以内に増進した場合において、その期間内にその者の請求があったときは、」、つまり五年以内というのは、ここで規定されております。「その減退し、又は増進した後において該当する別表第三の上欄に掲げる廃疾の程度に応じて、その廃疾年金の額を改定する。」、こういう規定になっております。  これで見ますと、軽くなったのは、毎年報告がありますから、それによって簡単にこれを引き下げることができる。しかし、こんなふうに重くなったものについては、もう五年以上たったならば、どんなに重くなっても、それはわれ関せずえんであるというのは、片手落ちな取り扱いじゃないか。ことに障害者年に当たっておりますし、こういうケースは、これだけじゃなくて、ほかにもあるのじゃないか。そうすると、これは一体どう扱ったらいいのか。今日まで本人は、このことについてはお願いもしたり、訴えもしたようですけれども、結論的に言えば、法改正以外に救済の道はないだろうというようなことで、今日非常に困っているというのが実情です。  そこで、年金をもらうようになるというのは年をとってからでしょうから、足が痛くなったとか腰が曲がってどうこうなったとか、通常の場合でも年齢進行に伴って障害が進んでいくというようなケースも考えられますから、ある意味で五年という制限をしたこともわからないではないのですけれども、しかし、いまのようにスタートが目が見えなくて一級の廃疾年金を受けておった、途中でいまのような手術があって、ただ、たまたまそれによって少し見え出したのが半年くらいしか期間がない。それで、もとのとおり戻ったというのですから、これは事実もはっきりしているし、当然、そういう白内障の手術などしなければ、そういうこともなかったわけですから、こういうのは当然、十年以上たっておったからというので、この法律このまま、法律はこうだからというので、果たしてそのままほうっておいていいものかどうか、現在の扱いでいいのかどうか。もしこの法律ではそういう扱いしかできないのであれば、何かこのことについて、いまのように年齢進行に伴って重くなるというようなものはまた別といたしましても、こういう非常にはっきりしたものについては、救済の措置が講じられるように法律改正をするか、あるいは取り扱いを、何らかの方法で救済の道を講じていくか、そういうことがあってしかるべきではないかというように考えますが、このことについて、とりあえず、この方の法律担当ですから文部省の意見を聞きたいと思います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  御指摘のような事例、大変同情すべき事例だと思いますが、こういうことにつきましては、先生おっしゃられましたように、機械的に判断するのではなくて、廃疾程度の減退というものが果たして恒常的なものであるのか、あるいは一時的なものであるのか、そういうことにつきまして専門医の診断なり、あるいは意見等をもとに慎重に判断することが、この共済組合法の精神に照らしまして必要であるというふうに思われますので、私どもといたしましては、関係省庁とも十分御相談した上で前向きに処理し得るように検討してまいりたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 このことは、国家公務員共済組合法の準用でございますから、大蔵省の野尻共済課長から、これについてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。

野尻栄典大蔵省主計局共済課長

○野尻説明員 最初に、いまここでぱっと計算したものですから、多少大ざっぱかもしれませんが、寡婦加算の増額によってどのくらい給付費がふえるかという点でございますが、国家公務員共済で計算いたしまして大体十二億円程度じゃないかというふうに思っております。それから逆に合理化を図ったと申しますか、遺族の範囲の見直しをしたことによって幾らぐらいお金が節約できるのか、この点につきましては、現在もうすでにそういう状況で遺族として年金を受けている方のその年金権を取り上げるといいますか消滅させるということは考えておりませんで、これから死亡される方の遺族でそういうことに該当する方について遺族年金のお支払いをしないという措置でございますので、いま現在、これが幾ら節約になるということは申せません、これは将来の話でございます。  それからもう一つ、高額所得者に対する年金の支給停止を行うことにした、これによって幾ら節約になるかというのも、五十七年以降そういう状況に該当した人から適用するというかっこうになっておりますので、いま現在の給付費がこれによって幾ら減るということは計算で出てまいりません。それだけ最初にお答え申し上げます。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、お尋ねの廃疾年金の障害程度が変わった場合の取り扱いについてでございますけれども、国家公務員共済組合法の八十三条によりますと、障害の程度が減退し、あるいは増進した、要するに廃疾程度が変わった場合には、その現に受けている廃疾の状況に応じて年金額をそれぞれ改定する、低くする場合もあれば逆に高くする場合もあるという規定がございます。ただ低くする場合は、先生のお話にございましたように、これは一定の期間をとらえておりません。重くなった場合は、逆に五年間という、五年の間にそういう状況が出た場合に新しい重い方の廃疾年金を差し上げる、こういう規定になっております。  この五年間という期間を設けておりますのは、もともと廃疾年金あるいは障害年金というものが、その職域に勤めていた間に起こった障害、それに対する職域年金としての保障ということでございますので、いわば退職前までに起こっていた傷病が原因でその廃疾状態になったのかどうか、たとえば退職した後で交通事故で足が片一方失われたというような場合には、これは職域年金としての障害年金の対象になりませんので、その職場にいた間の傷病との因果関係をとらえるためにはある一定の期間を置かないと非常にとらえにくいというのがございますために、五年間というものを置いているわけでございます。  ただ、障害の程度が減退した場合には、その減退した方の障害で年金の等級区分を変えるという場合でも、その減退した状況というものが一時的なものであるのか恒常的なものであるのかによってその取り扱いは変えてしかるべきではないかというふうに私どもも解釈しております。  いま文部省の方からお答えになったとおりの解釈で私どもの方もよろしいのではないかというふうに考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 事態をよく御理解いただいておることは御答弁でわかりました。  ただ、いま野尻課長からお話がありましたように、軽くなった方は十年たとうが二十年たとうが、これは切り下げていく、重くなった分は五年という制限をつけている、この辺の扱いも、御説明はありましたけれども、それで果たしていいだろうか。もっと言えば、御説明にありましたように、その原因が職務中の疾病、傷害に起因しているということが明確な場合は、五年という枠を外してもいいのではないか。そうでない場合はもちろん問題になりませんが、その辺、制度的にも考えていい問題があるのではないか。ことに障害者年でもありますから、この際、ひとつ御検討を煩わしたいと思います。  それから、いま申し上げた具体的な例は、いま段階はこの法律をそのまま適用して増額の措置、改定は行われておりませんけれども、では、いまから改めて申請すれば前向きに検討する、その実情は勘案の余地があるというような御答弁と承りますが、改めて申請し直せば、その配慮はなされるものかどうなのか、これをもう一度、局長から御答弁願います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ただいま大蔵省の担当課長の方から御説明がございましたようなことでございますので、私どもといたしましては、機械的に判断するのではなくて、廃疾程度の減退が恒常的なものであるか一時的なものであるか十分調査し、確認いたしました上で、前向きに処理できますように、早速関係の共済組合を指導してまいりたいと存じます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それでは、いまの件に対する処理は、運用によって判断していきたいということでございますね、もう一度確認したいと思います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 さようでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 よくわかりました。  では、同じようなケースが場合によっては他にもあると思うのです、いままで機械的に適用しておられましたから。そういうことについては、なおそういったことで困っている人がないように、障害者年でもございますから徹底していただくのと、本件については、いまの御答弁を本人にも伝えまして、手続をするように申したいと思います。  以上で終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 有島重武君。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 毎年の例のようになっております私立共済の年金の額の改定でございまして、問題はもう大体出尽くしておるというような感じでございますけれども、二、三の質問をさせていただき、なお時間がありましたならば、私学の問題について少しまた聞きます。  初めに、私学に勤めていた人が国公立の教職員になられる、あるいは国公立の教職員の方が私学の方に移られる、そうしたときに、この年金の扱いでもって何か不利益をこうむる、そういうような場合はありませんか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私学の教職員の方々が国公立学校の教職員になる、あるいは逆の場合もあると思うわけでございますが、そういう方々の年金のあり方でございますが、これは私学共済組合の組合員と、それから国家公務員共済組合あるいは地方公務員共済組合の組合員の期間双方を合しまして二十年以上に達しましたときには年金が出るということで、その年金はいわゆる通算退職年金ということでございまして、御案内のように私学共済、それから国家公務員共済、または国公立学校共済から、所定の方法に基づく計算により通算退職年金が双方から支給される、こういうたてまえになっているわけでございます。  なお基本的には、国家公務員共済と私学共済組合の長期給付の中身あるいは水準というのは同一でございますので、双方に移動した場合に、私学共済から国家公務員になった場合、あるいは国家公務員から私学の方に行った場合、どちらの方が有利になるか、不利になるかということにはならないものと考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 これからの社会というのは、一つの職業にずっとかかわっている人もいるでしょうが、相当いろいろと職業を動く人もいるかもしれない。いまのは同じ教職員の中で私学とか国公立とかそういうことでございますけれども、今後いろいろな場合が起こってこようかと思うのです、  私たち公明党といたしましても、年金全体についていわゆる二階建て年金ということを提唱いたしました。それで、最低生活を保障する年金をまず設定する、これは国民基本年金というふうにしておいて、そこに既存のいろいろな年金を加味して、二重構造といいますか二階建ての年金といったことを将来考えて出発しなければならないというふうに思っているわけですし、その構想を発表しているわけですが、こうしたことにつきまして、文部省としてということになるかどうか、何か御検討なさったことがおありになるかどうか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 先生のおっしゃられますいわゆる基本年金でございますが、わが国に現在ございます各種の公的年金制度、八種類あると思いますが、恐らくそういうものを一本化するということが、先生のお考えの基本にございます基本年金だと思うわけでございます。  そういうことの是非と申しますか、いま私どもの方から簡単に申し上げることはできませんが、このことにつきましては、恐らく先ほど来お話のございました大蔵省に置かれております制度の研究会とか、あるいはまた、さらに社会保障制度審議会とか、そういうところでいろいろと検討されているというふうに承知しているわけでございますが、いま私ども文部省の立場で、現在あるあらゆる公的年金制度を一本化することについての考え方を言えということになりますと、その趣旨はわかるわけでございますが、その実現につきましては、なかなか困難な幾多の問題があるというふうに私ども考えているところでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 考え方としては、いろいろ多様な状況が起こってくるであろう、そのときに基本的なものを決めておいて、それにいろいろ多様な状況を二階建てに加味していこう、基本的にこういうことになるんですね。  そこで、私学共済に戻りますけれども、私学共済の未加入校が相当あるわけでございますね、数にして五十九校ですか、そのほとんどがいわゆる有名校と言われておる早稲田、慶応、立教、法政、明治、こうした大学であるというふうに承知しておるわけでございます。  この未加入校に昭和二十九年と四十九年誘いをかけたというようなことですが、門戸を開く、そういうことがあったにもかかわらず加入をしない、そういうことで私学共済としてややばらばらというか多様化というか、そういう状況になっております。  そこで、この加入しなかった理由というのはどの辺にありますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ただいま先生がおっしゃられましたように、この私学共済組合制度が昭和二十九年に発足したわけでございますが、その際に共済組合への加入を選択しなかったいわゆる米加入校は、当時百七十一校でございましたけれども、その後、これらの未加入校からの要請もございまして、これも先生先ほど申されましたように、昭和四十八年の法律改正によりまして再度加入の機会を与えたわけでございますけれども、なお依然として五十九校が未加入のまま残って現在に至っているわけでございます。その中には、いまおっしゃられましたように、かなり規模の大きい、あるいはまた歴史と伝統のある大学が相当数入っております。  この未加入の理由でございますけれども、未加入といまの段階で言った方が適切なのか、私どもは、むしろ非加入、二回の選択機会を与えてなおかつこういう状態でございますから、もう非加入と言った方があるいは適切ではないかということも考えているわけでございます。  その理由は、たとえばそういう大学等は、健康保険組合を御案内のように独自に組織しておりまして、しかも、その保険料は、掛金率は学校側が組合員よりもよけいに負担しているとか、あるいはまた、その健康保険組合の短期給付に係る付加給付が手厚く行われているとか、そういう理由のために共済組合へ加入しても、それほど大きなメリットがないというふうに判断されたのではなかろうかというふうに私ども見ているわけでございます。  昭和四十八年の法改正の際には、各学校法人、各大学等に対しまして、今回が最後の選択の機会になるので、法律の趣旨を十分理解していただいて、なるべく加入していただくように指導した経緯もございますので、私どもは、この問題については、すでに一応決着がついているものというふうに考えているところでございます。  なお、私学共済組合の年金給付あるいは短期給付は、国公立学校の教職員に対します給付内容と同じものでございますし、また短期給付の付加給付でございますけれども、付加給付についても、国公立学校の教職員に対する給付内容とほぼ同様である、むしろ私学共済の方が国立学校あるいは公立学校よりも若干いいのではないかというふうに私ども考えているわけでございます。  そういうことで私学共済の給付内容の充実等につきましては、今後とも、他の共済組合との均衡を十分に考慮して改善してまいりたいというふうに考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そうしますと、四十八年か四十九年のそのときに、加入するならしなさいと言ったにもかかわらず、そのときにはしなかったから、これで門戸を閉じたということで、今度は未加入じゃなくて非加入だ、もう今後は絶対に入れません、こういうふうなことになりますね。それで六、七年たっていろいろ状況も変わった、入れてもらいたいな、こう思っても入れてはあげません、こういうことですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、当面私ども、さらにもう一度選択の機会を与えるというようなことは考えておりませんけれども、先ほど来先生の御意見にもございましたように、将来の公的年金制度の一元化、あるいはいわゆる基本年金というような御構想、そういうような考え方がいわば各公的年金制度の間に出てまいる、あるいは国民のコンセンサスが得られるというようなことで、そういう機運が向いてまいりますれば、また、その段階で私ども慎重に検討する必要はあろうかと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 ちょっといまの局長のお答えなんですけれども、私は、さっき国民全体にいろいろな多様化が起こってくる、そのときには二階建ての年金にすることが合理的になってくる、そういった世の中にいまもう差しかかっているということを申し上げたのですけれども、いまのは、そういうふうになったらば、こちらも考えましょうというお答えですね、そうじゃなくて、そういったような方向を置きつつ、教職員なら教職員の世界においてひとつ二段構えの考え方というものを考慮することはできないだろうかということなんですよ。  これはいま返事しなくてもいいけれども、四十八年ですか九年ですか、いろいろ条件が違うから、だからメリットもあればデメリットもあるなあ、まあまあやめておけ、こういうことであったのだろうと思うのです。そのときには入るか入らぬか、これだけの話だから、共通項というようなことが相当部分あるわけで、それにプラスアルファのいろいろな状況がありますね、そのことについては、いま加入している学校だって、いろいろな差はあるわけでございまして、ですから、教職員の共済のそういったフィールドの中で二段構えというようなことも研究してみたらどうかというふうに私は思うのだけれども、これは局長ではちょっとまずいですね、局長は、いまの制度を守るのに精いっぱいなんだけれども、大臣、いままでの問答を聞いていらっしゃって、文部大臣としてひとつ御所見を賜りたい。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 大臣に御答弁いただく前に政府委員として答弁させていただきますが、いまのそういう二階建てと申しますか、このことにつきましては、公的年金制度の基本とかかわる問題でもございますし、あるいはまた各私立学校の財政の基盤ともかかわる問題だと思いますので、いま文部省だけでそれに対する意見を申し上げるのはどうかと思いますので、先生のそういう御意見は、私ども十分頭にとめて考えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 先生の年来の御主張であるということもよく存じておりますが、ただいま局長から御答弁申し上げましたように、いろいろと設立の沿革がありましたり、一元化というふうな問題、それから、いまお話の問題等非常に困難な問題が潜在しておるわけでございます。もちろん、お話の御趣旨はわれわれにもよくわかりますし、この年金制度だけではなく、いろいろな問題につきまして同様の議論もございます。しかしながら、局長が申し上げたような次第でありますことを、どうか今日の段階におきましては御了承をいただきたいと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 いろいろな分野はありますけれども、教育なんというのは一番未来志向のところであろうかと思いますから、そういったことも先導的に配慮したり検討したりするということがいいのじゃないか、こういうふうに私は思ったわけです。  それから、私立学校の退職手当のための制度を創設してくれないかという声が、私学の幾つかの団体から起きていると聞いておりますけれども、文部省としては、どのように対処をなさるおつもりですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私立学校の教職員の退職手当制度がいまどういうふうになっているかということを簡単にかいつまんで申し上げますと、現在、高等学校以下につきましては、各都道府県ごとに退職年金財団が、若干社団のところもございますけれども、おおむね退職金財団が設けられておりまして、学校法人に対する退職資金の支給が行われておりますけれども、大学あるいは短大、高専といったような高等教育の分野につきましては、各学校法人が独自に退職金を支給しているという例が数多く見られるわけでございます。  そこで、大学から中高以下まで含めた全私学連合という連合体がございますけれども、その全私学連合では、ただいま先生もおっしゃられましたように、大学、短大、高専につきましても退職金財団の設立を行いたいというようなことで、現在、その検討を進めておられるわけでございまして、検討を進めているということは私ども十分承知いたしております。  そこで、文部省といたしましては、これらの動向を十分に踏まえまして、近く、今年度中でございますけれども、私立大学等の教職員の退職状況につきまして調査を実施いたしたいというふうに思っておりまして、その実態把握に努めますとともに、先ほど申しました全私学連合で検討されております財団の性格なりあるいは内容なり、そういうものを十分に見ながら、今後、これの実現について検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 それでは、私学のいわゆる構造の柔軟化といいますか、単位の互換の問題、それから累積加算の問題の状況について二、三伺います。  単位の互換につきましては、昭和五十一年から五十四年度までの実施状況の推移というのをいただきました。それで、学部でもって六十六校、六百三十八人、これが五十四年度ですね。これは五十一年度が四百十三であったのが、順次ふえて、いまは六百三十八になっておる。それから大学院におきましては、五十一年二百五十一人、四十一校であったのが、いま三百十八人、四十四校ということでございます。新しい制度を開いたのが昭和四十七年であったかと思いますけれども、これが順次ふえておる。喜ばしいことだと思いますけれども、この中で学部についてだけ言いますと、国内における単位の互換というものの実施人数ですけれども、国立が五十人、公立がゼロ、それから私立が十四ということになっています。  それで、国内における特に私学の単位の互換が非常に少ないといいますか、もっと進んでもいいのじゃないだろうかと思う点が一つ。それから公立がゼロということになっておりますけれども、これは一体どういうかげんでこういうふうになったのであろうか。それから国外の方の単位の互換、これは国立の方が百九十七、私立が三百七十七、順次進んでいく方向で結構だと思うのですけれども、ここでも公立がゼロになっているわけですね。これは学則なんかの上で公立はまだ許されておらぬということがあるのでしょうか、ここでそのことをお答えいただけるか、以上先に質問します。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 単位の互換につきましては、ただいま先生御指摘のような数字で推移をしております。公立が特にやっていないのはなぜかというようなお尋ねかと思いますが、学部段階の特に国内の関係で申しますと、公立大学の関係で規程等が整備をされておりますのは、六大学は整備をされておるわけでございますけれども、実際の実施は、具体には行われていないというのが現状でございます。  それから、国外でございますとか大学院の関係はある程度の数がございますが、国内の学部段階では、御指摘のような数字で、必ずしも全般的に制度が活用されているとは言いがたい状況でございます。今後ともその点は、私どももいろいろな機会に十分趣旨の周知徹底を図る努力をいたしてまいりたい、かように考えております。  恐らく国外の場合には、日本の大学に入っておりまして外国へ行くというようなケースもございましょうし、そういう際に、積極的に単位互換の制度を活用するという考え方が働くものかと思いますけれども、国内の学部段階でございますと、特に積極的に単位の互換をしなければならないというところまで現実の必要性というものが必ずしも上がってこないということもあるのではないかと想像しております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 国立と私立の間の単位互換の道は開かれているのですか、それとも開かれていないのか、あるいは開かれているのだけれども、そういった例がないのか、これはどうなっていますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 開かれております。具体例で申し上げますと、日本大学の農獣医学部と国立長崎大学の水産学部の間で学部段階でございますし、大学院の段階で申し上げますと、国立の東京医科歯科大学と東京医科大学との間あるいは神戸大学と神戸女子薬科大学との間で具体に単位の互換を行っているケースが現実にございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 こうやって数字にあらわれました単位の互換、これは徐々に進んできておるわけでございますけれども、数字にあらわれないで、いわゆるもぐりで聴講しているというような傾向、これは一般的な問題でしかここでは言えませんけれども、非常に出てきておるようであります。それは手続がめんどうくさいからそのままにしておるというような話を聞きます。手続上何かちょっと底意地の悪いようなことをやっておるということはありませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 お話のように正式のルートに乗せるとなると、やはり学生からそれぞれ学部の教務なりのところへ申し出て、さらに大学間で協議が調って行われるというようなことになるわけでございますから、もちろん所定の手続を踏んでいただかなければならぬわけでございます。その手続を踏むに際して、事務の処理が必ずしも適切に対応していないというようなケースはまずないとは考えますけれども、やはり学生みずからがそういう手続を積極的にとっていただかなければならぬということがございますので、あるいは手続を経ないで実際勉強する、講義を聞くということだけで対応しているケースもあるのではないかという御指摘でございましたけれども、手続をとれば、たとえば聴講生なら聴講生という形で聴講料のようなものも負担としてかかってくるということもあろうかと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 大臣、お聞きのような話なんでございますけれども、こうやって数の上で表面づらばかり言っておりますけれども、この内実は——学校学校によって特徴のある講義、授業、学問が進んでいくために有効なことであろうと思うわけです。  さっきの二階建てじゃないけれども、大体最低あるところまでは充足しておいて、それから先いろいろなピークをつくり出していく、そういうことで今後の高等教育といいますか学問は、ますます盛んになるであろうと思うわけであります。それと並行してこの単位の互換が盛んになっていかなきゃならないのじゃないだろうか、それを阻む要素がないようにひとつ御点検もいただきたい、そういうことでございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 御意見の単位互換の問題は、局長からもお返事いたしましたが、非常にいいことでありまして、進めたいと私は思うのであります。  その際にも、先生がおっしゃったように、堂々と単位互換の面がある場合以外に、聴講といったような意味で自分の研究したいテーマについて講義を聞く、そこが単位互換まですることになると、いろいろ手続やなんかがめんどうくさい、こういうようなことがあるかもしれません。しかしながら、私ども、理想といたしましては、学歴の偏重の否定でありますとか開かれた大学ということで申しておりますように、また放送大学といったものも御審議を願っておりますように、本当に学問の自由、そしてまた、あらゆる意味において勉学の便宜を図ってまいりたい、こういうふうに考えておりまして、この点はなお一層推進していきたい、かように考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十八分休憩      ————◇—————     午後三時四十五分開議

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最初、私学共済法案自体につきまして、先ほども寡婦加算の問題について御質問もございましたし、ダブる点もあると思いますが、この問題と、二つ目に、いわゆる十年以上の組合員であった場合の配偶者については、いままで無条件で遺族年金を支給していたわけですが、今度は死亡者より配偶者の収入が多い場合は、遺族と見ず、遺族年金を渡さないという問題、それから高額所得者に対する支給の見直しの問題、この三つの問題でございますけれども、特に最初の二つの問題について事情を説明しながら質問をいたしたいと思います。  いわゆる共働きの場合の見直しの点でございますけれども、これは一つは既得権への侵害ではないかということも考えられまして、たとえば総理府が昨年の四月に出しました「婦人の現状と施策」という出版物を見ますと、現在、昭和五十三年の女性の平均寿命は七十八・三三歳、男性が七十二・九七歳、こうなっておりまして、結婚のときの年齢差もございますし、また、そういう点で考えますと、日本の婦人の寡婦期間は八年以上と推定されると述べております。  しかも、日本の人口高齢化は、先進諸国に比べましても急速に進んでおりまして、女性の方がその傾向が強く、寡婦の期間は延びる一方であるというふうに判断をされます。したがって、婦人の老後問題は、いよいよ深刻な問題になっておりますが、その中でひとり暮らしの婦人がふえておるわけです。五十三年で六十五歳以上のひとり暮らしの老人は七十五万四千人となっております。これは全老人の七・一%、そのうち婦人が五十九万人で八割を占めておるという数字が出ておるわけでございます。しかも健康状態を見てみますと、六十五歳以上の婦人で身体・精神とも異常なしは五四・九%にすぎない。  こういう現状を踏まえて考えてみますと、婦人の年金の現状というのは、優遇されているという私学共済におきましても、そのような豊かなものではもちろんございません。遺族年金の平均は、五十五年三月で五十八万七十九円でございますが、女子の退職厚生年金の場合、平均は七十万六千八十二円となっております。これは五十三年の十二月の統計でございます。だから、両方をもらいましても百二十八万六千百六十一円となります。今度の改定で寡婦加算をやらないとなりますと、このうちから十二万円を取り上げるということになるわけでございまして、百二十八万円でひとり暮らし、しかも健康を害しておる人からこの十二万円を奪うという状態になるわけです。  以上は平均の場合でございますが、最低の場合を見ますと、遺族年金の最低保障額が四十七万六千八百円です。女性の退職年金の最低が五十八万四千四百十二円となっております。合計しまして百六万千二百十二円、この人からまた十二万円を取る、こういうことになるわけでございますが、私のいま申し上げた計算は、大体そういうことになるのでしょうか。そうとするならば、今度の法改正によってかなり厳しい状態が生まれてくると思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 いま先生がおっしゃられました、そういう数字上のことは、大体そのようになっていると思います。したがいまして、遺族年金を受給すべき寡婦にとりましては、かなり厳しい情勢にあるということも否定できないと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この点は、今後の問題として指摘をしておきたいと思いますが、さらに、これよりもっと厳しい状態になりますのが、私が二番目に申し上げました、いわゆる配偶者についての遺族年金の支給の問題でございます。これは配偶者より収入が多ければその配偶者が死んだ場合に遺族とみなさないということでございますから、たとえばある高等学校の先生の例を試算してみますと、学校を卒業しまして高等学校の教師となり、十年目に亡くなったと仮定をしますと、いままででございましたら、奥さんに対して五十三万七千六百円、遺族年金としてこの金額が生涯渡っておったわけでございます。これが今度の改正によりまして、少しでも妻の方の収入が多ければ、これが生涯入らなくなってしまう。この妻にとりましては、老後になった場合、自分の退職年金しかもらえないということになるわけでございます。  具体例は、時間の関係で省略いたしますが、こういう状態、管理局長、御答弁いただいておりますが、これはまさに既得権の侵害というふうに受け取られるわけでございますが、その点はどうでしょうか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ただいまの点につきましては、今後、そういう遺族年金を受ける妻自身が退職年金等の支給を受けることができる場合に、寡婦加算額の支給の停止を行うというものでございまして、この併給の調整措置は、すでに厚生年金においても昨年の八月から行われているわけでございます。  そういうことで、今回、この私学共済法が準用しております国家公務員共済組合の改正法の施行の日の前日において、現に寡婦加算のついた遺族年金を受給している妻でありまして、かつ退職年金等を受けている者については、現行の寡婦加算額は保障する措置を講じているわけでございます。  そういうことで、既得権の侵害ということにはならないわけでございますが、今後におきましては、そういう併給の調整が行われるということで、そういう方々にとりましては、確かに既得権の方々に比べれば不利になるということは否定できないところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 改善の部分と、たとえば寡婦加算の引き上げの代償ではないかもしれませんが、こういうふうなかっこうになってまいりますと、たとえば私学共済の場合、この二番目の遺族とみなさないというような実例はかなり出てくるのでしょうか。その辺は何か見通しを持っておられますか。大体どういうふうな情勢で動いていくのか、お聞きしたいと思います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 遺族の範囲の問題でございますが、先ほど申しましたように、私学共済法の準用する国家公務員共済組合法の方におきましては、いま国会にもちろん提案し、審議されておるところでございますが、今回、遺族の範囲につきましては、その見直しを行いまして、組合員期間十年以上の者の配偶者につきましては、遺族となるための要件といたしまして、従来は、御案内のように生計維持関係を必要としない扱いになっていたわけでございますけれども、それを改めまして、組合員期間十年未満の者の配偶者の場合と同様に、死亡した者との生計維持関係をその要件とすることといたしております。  こういう措置をなぜ講ずるようにしたかということでございますけれども、これは共済年金制度における遺族の受給要件は、原則的に死亡した者との生計維持関係を基礎的な要件といたしておるわけでございまして、組合員期間十年以上の者の配偶者につきましても、十年未満の者との均衡を図る必要があるというようなこと、及び年金制度の成熟化が進んでいる現在、やはり給付の重点化、合理化、つまり生計維持関係のあった遺族について、できるだけ手厚い給付を行うということに重点を置く、そういうような観点から国家公務員共済組合法の改正法案においてそういう考え方をしているわけでございまして、これを準用している私学共済組合法におきましても同様の扱いをする必要がある、したいということで、こういう案をお願いしているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 国公共済との並びの問題がございますから、ここだけでいろいろ言いましても、直ちに、改正法案が出されておる段階で、幾ら私が申し上げましても、これを変えるなんということは出てこないわけでございますから、これ以上、この問題については申し上げませんが、とにかく、先ほど総理府の出されました今日の日本の婦人の置かれておる実態から見まして、いろいろ今後問題が起こってくるのではないかというふうに考えます。  そういう点では、これは今後の推移を見ながら、当然改善すべきものは改善をしていく必要があると思いますので、その点は私の危惧の念を申し上げておきたいと思います。  もう一つの問題は、具体的な例でございますが、これは長崎県の海星学園の山本隆一先生の問題でございますが、この方は、昨年の三月十日に教師として不適格ということで解雇されております。  その理由につきましては、いま申し上げることは省略いたしますが、昨年の七月の段階で長崎地方裁判所におきまして、解雇の理由にならないということで仮処分の決定が出ておるわけでございます。しかし、いまだに組合員の資格継続の手続もとられていないと聞いております。その後手続がとられたかもしれませんが、私の聞きましたところでは、まだとられておりません。  かつて私が私学共済の審議に当たりまして、仮処分の決定された者については資格継続は当然であるという主張をしたのに対しまして、政府の方でも当然であるというお答えをなさいまして、事実、そのときに問題になりました群馬県の一教員の資格継続がなされたことがございます。  その点で、私学共済の方におきましても、この長崎の問題について指導されておると思いますが、解決していないのではないかと思いますので、こういうものは直ちに解決をし、組合員としての資格を継続すべきではないか、地方裁判所の判定が出た以上はそうすべきではないかと思います。これは昨日申し上げておりますので調査されておると思いますが、現在どんなふうになっているでしょうか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  学校法人等が雇用をしております教職員が退職した場合でございますが、解雇による場合を含みまして、教職員が退職した場合は、学校法人は私立学校教職員共済組合に対しまして速やかに資格喪失報告書というものを提出しなければならないことになっております。この報告書の提出がありました場合には、私学共済は組合員の資格を喪失させるということになっているわけでございますが、ただいまのように裁判所が解雇取り消しの判決をいたしまして、これは仮処分の決定の場合を含むわけでございますが、その効力が発生したときは、当該判決に従いまして、遡及して資格喪失の処理を取り消しまして、組合員の資格は継続する取り扱いをすることとなっているわけでございます。しかしながら、裁判所の解雇取り消しの判決がなされたことにつきまして、当該学校法人からの報告がない場合あるいはまた遅延する場合がございまして、そういう場合には私学共済の対応がおくれる事態も間々生ずるかと思います。  そこで今後、そういうような事態が生ずることのないように、文部省といたしましては、私学共済組合に対しまして、その周知徹底方を図るべく十分に注意してまいりたいと思うわけでございます。  ただいまの件につきましては、私学共済組合に対しまして、そういう事例につきまして速やかに対応するように、再度私の方から注意を喚起してまいりたいというふうに考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 いわば一種の紛争、係争という問題が出てくるわけですね、この場合は、何でも公開授業で教科書を使わなかったということを理由にして解雇をされておるようですが、裁判所の方では、それは解雇の理由にはならないということで、恐らく身分保全の仮処分だろうと思いますが、それがなされまして、しかし、いわば紛争の双方ですから、学校当局の方が私学共済に対してもなかなか申請しないという面が出てくると思いますが、しかし、これは組合員の身分に関する問題でございますから、その点では、そういう紛争はあったとしても、一たび裁判所の判定が出たならば、これに対して速やかに適応するのが学校側のやることではなかろうかと私は思います。  いま局長のおっしゃった答弁で結構でございますが、恐らく私学共済の方におかれましても、心配をされて指導されておると思いますので、なお、これについては早く解決するように御努力を要請しておきたいと思います。  次に、これは大学局長にお尋ねをするわけですが、ことしの二月二十七日に私の方から最近の私立の医歯系大学の問題、特に不正入学あるいは補欠入学あるいは寄付金の問題等について質問をしまして、ちょうどその朝文部大臣は、たしか記者会見でありましたか閣議の決定でありましたか、これらについては調査をするということを公表されまして、その調査の結果が四月二十一日に発表されております。そして、その発表をした後で、今度の連休明けに指導通達を出すというふうに新聞に出ておりますが、これについてお伺いをしたいのです。  私は、あのときに、委員長にもお願いをしまして、私学のこういった状態については、この委員会で時間を設けて集中審議をしてはどうかということを申し上げたわけです。それで委員長も、理事会において諮るということを言われて、そのままになっておりますが、連休明けに通達を出すということになりますと、きょうが連休前の最後の委員会になるわけですから、一応これは立法府として質問をしておきたいということで申し上げるわけです。  今度発表されました調査結果は、一つは、補欠入学が四三%に及んでおるということですね。最も高いのは九〇・五%に達しておるということです。二つ目は、父母の職業が医師が六〇・六%に達している、最も高い比率の大学では医師の子弟が八四・一%を占めておる。三番目に、寄付金を取っている大学は、二十九校のうち二十一校に達しておる。そして入学者三千二百三名のうち四百四人、すなわち一二・五%が寄付金に応募しているということが出ております。そして学債につきましては、応じた人が五百二十人で、全入学者の一六・二%である。寄付の平均は七百九十二万円で、最高が三千万円である、こういう報告がなされまして、各新聞とも「五人に二人補欠合格者」、判定が密室で処理されたとか、あるいは四三%が補欠合格であるというふうな見出しで、私立医大の入試は異常な実態にあるということは、どの新聞を見ましても書いておるわけでございます。  この調査ですが、問題は、私は、情実入学、縁故入学はどうだったのかということを指摘したわけでございますけれども、それについてはどういう調査結果が出ておるのか、これが一つです。  また、寄付金徴収が合否判定と絡んでいたのではないか、この点をこの前のときに質問をいたしました。それから教授会の機能がどうであったのかということもお伺いをしたわけでございますが、これら肝心の内容が明らかになっていないように思います。  それで、調査を行うに当たりましては、あっさり言えば、ずいぶん鳴り物入りで調査が行われたわけでございますが、それにしましては、この調査の結果報告書というのは、余りにも真実をえぐり出していないのではないかと思うわけでございます。この点は大学局長、どういうふうにお考えになっておりますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 御指摘のように、私立の医科大学の事情聴取を三月末から四月にかけまして、全体について十分事情聴取をいたしたわけでございます。  そこで特に、入試の公正確保ということについて私どもが把握をいたしておる点で申し上げますと、若干の大学におきまして適切を欠くと判断されるような事例が見受けられたわけでございます。すなわち、入試委員会に理事者側の者が構成員として入っているというケースなどがございまして、入試につきましての教授会の権限が明確でないと考えられる大学が、六大学でございますけれども、ございました。  次に、合否の判定基準が明確でなくて、また合否判定基準に本人の能力、適性等に直結しない要素を加味したと誤解されてもやむを得ないと思われる大学も、全体の中で十二大学ほどございました。また二十九大学の中で十八大学において父兄が教職員、同窓生である者が入学をしている。その入学者総数に占める割合が七%という点が明らかになっております。  なお、寄付金等につきましても、多額の寄付金を収受している大学もございましたが、いずれの大学におきましても、これを何らかの形でも入学の条件としているものではないというぐあいに判断をいたしております。  これらを受けまして、実態調査、事情聴取の結果は、先般新聞等にも公表されているとおりでございますが、私どもも、その事実を十分分析をいたしまして、特に入試の公正確保という点については、具体的な点を指摘しながら、各大学に指導通達を出すようにいたしたいと考えておりまして、ただいまその作業を続けているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私の質問に対して宮地大学局長は、基本的にはいまおっしゃったとおりですね、特に、入試の公正が確保されているかどうかということが、国民に対し信頼を回復する第一の点だとおっしゃっております。その場合、特に寄付金などの収受と合否の判定とが絡まないようにすることがまず第一だ、これはそういうふうに御答弁なさって、まさにそのとおりなんです。でも、それを含めて調査をしたいとおっしゃっているのですけれども、その点が明らかにならなければ、国民は納得しないと思うのです。  というのは、今度通達を出されましても、いままで通達は何回か出しているわけですから、あっさり言えば、その都度文部省は裏切られてきたという経過がございますので、その点で、この報告書だけでは国民は納得しないのじゃないか。  そこで、まず寄付金問題を見てみますと、文部省の調べで、ことしは一二・六%ですが、五十四年度は六六・九%もあったわけです。五十五年度では半数以上の五三・六%が寄付に応じておる、こういう経過があるわけですね。ところが、ことしは急に一二・六%であった、こういうふうになっております。これは文部省の調査の結果ですね。去年からことしにかけてこれだけの大騒ぎが起こっておるときに、こんなふうにがくっと減っておるということは信用していいものかどうかという問題も一つあります。  学債の場合も、五十四年度に文部省の調査では七七・二%、五十五年度で六三・九%、ことしは一六・二%というふうに異常に低くなっているわけですね。この原因はどこにあるかということを考えてみますと、寄付金徴収をやめた大学が多くなったのか、それとも裏に隠して文部省に対して正確な報告をしていないのか、この二つ以外には考えられません。ところが大学の数は、先ほど言いましたように何と二十九校中二十一校、大学の数が減っておるわけじゃありませんね。そうしますと、現実の実態と文部省の調査の結果とはずいぶん離れておるというふうに受け取るのが当然だと思いますが、この点はどうですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 いま先生のお話にもありましたように、昭和五十五年度では、この寄付金の応募者の入学者に対する割合は四五・八%でございます。昭和五十六年度、本年度の入学者にかかるものでございますが、入学者に対する応募者の割合は、いまお話のありましたように一二・六%でございます。  なぜこういうふうに激減したかということでございますが、一つは、ことしの去る二月以来、こういう問題が大きな社会的な問題にもなったわけでございまして、私ども文部省といたしましても、こういう寄付金の募集は入学手続の終了後に行うようにということで、二月以来、全私立大学に厳しく指導してまいったわけでございます。そういうことで、きょう現在で判明している段階では、入学者に対する応募者の割合が一二・六%にとどまっているというふうに私どもは見ているわけでございます。  したがいまして、これから入学手続終了後に正規の寄付金の募集を開始する大学がかなりあると思いますので、今後また五月段階あるいはそれ以降の段階で調査したいと思っておりますけれども、その段階では、この一二・六%という割合は相当程度上がってくるのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 寄付金に応募した者が四百四名となっていますね、このうちで補欠入学をした者が何名あるかわかりませんが、きょうはもう時間がございませんから、余り詳しくお聞きしませんが、文部省の調査で補欠入学者は千三百八十五名となっております。千三百八十五名のうち、仮に四百四名をまるまる引いたといたしますと、差し引き九百八十一名というのは、寄付金を出さないで補欠入学したということになるわけでございますが、これもちょっと信じがたい面があるわけでして、こういう数字は、いまおっしゃったように、今後五月、六月段階で調査をされますと、また変化があるかもしれぬと思いますけれども、ちょっと信じがたい感じがするわけです。  それから、ずっと申し上げてみますと、新聞によりますと、寄付を取るに当たりまして、事前に電話あるいは事前面接などで金額を示して徴収したというところも新聞には報道されておりますが、そういう大学は幾つあって、その大学の名前は言えますか。それはどうですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 五十六年度の入学者にかかる寄付金の募集ですが、今回は事前に電話で募集をする、あるいは寄付金の応募を求めるというような事例は、この二十九医科大学についてはございませんでした。その点は、私どもヒヤリングで明らかにしているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 補欠入学の問題ですけれども、なぜこのように高率になっておるのかということです。結局どういう合否判定が行われたのか。成績順位との関係はどうなっておるのか。縁故あるいは情実入学をやっていた学校、そういうところは新聞にも、名前は出ておりませんけれども、出ているわけですが、これはどういうところか。あるいは医師の子弟が六六・六%、なぜこういうふうになるのか。いわゆる医師の子弟に対する優遇措置をとっているのはどこの大学か。そういう名前は言えるのか。この新聞を見ますと二校あるといいますが、文部省としては、こういう実態は、ここで発表するかどうかは別にしましても、できれば、こういうものは公然とした方が、むしろ今後対処する上でよいわけでございますから、何も隠す必要はないと思います。文部省は、そういう実態についてはつかんでおられるわけですね。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 御指摘のような補欠合格者が多いというのは、要するに、正規の定員の合格者をまず発表いたしまして、実質他大学等へ、たとえば国立でございますとかそういうところへ合格者が流れるということが予想されるわけでございます。したがって、補欠合格者が大変多くなっておるわけでございますが、私どもが事情聴取をした結果、その点について申し上げますと、補欠合格者の発表の仕方が学内掲示等で公表されていないというようなことが、国民全体に対しても大変信頼を欠くような結果になっているのではないかというぐあいに考えておりまして、今後、そういう補欠合格者の発表方法等を明確に示すようにということは十分指導をしたい、かようにいま考えております。  なお、合否の判定以前に、父兄面接等父兄と接触しているものも、事情聴取をした結果、二大学ございました。それらの点については、先ほど申しました入試の公正確保という観点から、私どもいま案を練っておるところでございますけれども、相当細かく具体的にその辺を示して、そういう不明朗さをなくするような形は十分徹底させるようにしたい、かように考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 寄付金の取り方はどういう手続で集めるのかという点ですね、たとえば、どのような口座に納められているか、あるいは後援会などの口座に入っているところはなかったのか、また各大学の経理の中に寄付徴収について明確な記載があったかどうか、そういうことはお調べになっておりますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ある程度そういうことも聞きただしておりますけれども、いままでは、確かに先生がおっしゃられましたように、かなり別途経理なりあるいは不明朗なそういう経理の仕方もあったことは事実ですが、五十六年度のこの入試に関しましては、二月以来、二十九の全私立医科大学に、そういう不明朗な経理をする、あるいは別途経理を行うようなことをする、そういうことの一切ないようにということで私どもは厳しく指導してまいっておりますので、いまのところ判明している限りでは、そういう不明朗な別途経理等は全くないということで私ども把握しているわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 合否の判定について、たとえば当然教授会が判定を行っておる、これが一番正常な当然の姿ですが、それが幾つあるか。それから、そうでない、教授会が関与もできないような合否判定をされておるのは、一体どういう仕組みで判定が行われておるのか。これは本当に大学名を挙げて説明していただいて結構だと私は思うのです。  それから、新聞を見ますと、入試の実施機関、普通教授会でありますが、その入試の実施、合否判定をする機関そのものが不明確だ。明確になっていないところが十大学あるというのです。そうなってきますと、幾ら御調査をされまして、そういうふうな合否判定に寄付の収受は関係してないと言っても、これは信用できないわけでして、ここをただしていくというのが、私どもが質問をした一番の趣旨なんでございます。しかも、入試の実施の機関が不明確、判定の基準が不明、それが十二大学あるというのですから、こういうことでは文部省が幾ら通達を出されても——連休明けに通達を出されるとおっしゃっておりまして、その内容も新聞にも出ております。いまおっしゃったように、寄付金の禁止であるとか、あるいは選抜の公正確保、経営の健全化、経理の適正処理と財務状況の明示、あるいは学生納付金に関する措置、任意寄付金の取り扱いなどのことが新聞に出ておるわけでございますが、連休明けに出される通達というのは、大体こういうものと考えてよろしいでしょうか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 先ほども御説明いたしましたように、ただいま内部でそれの分析をし、どういう点を具体的に盛り込むべきか、なお事務的にただいま作業を進めている段階でございます。考え方としては、おおむねいま御指摘のような内容になろうかと思います。  なお、すでに五十二年九月でございますけれども、それらについては十分網羅した通知を出してあったわけでございまして、それとの関連でございますとか、整合性の問題、それと、特に先ほども申しましたような入学者選抜の公正確保について、全私立医科大学から聞きました事柄を十分分析をいたしまして、ただいま御指摘がありましたような事柄が完全に排除されるように、そこらを具体的により明確に示したい、かように考えているところでございます。  私どもとしては、さらに、こういう特に入試の状況につきましては、なお全私立医科大学からは事情を聞いて、十分今後とも、アフターケアについて万全の対応をしてまいりたい、かように考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 もう一つ伺いたいのですが、通達ですね、大体中身が少しずつわかり始めておるわけですが、たとえば新聞によりますと、入試選抜は教授会が実施する、あるいは補欠も学内掲示などで公表すると先ほどおっしゃったわけですね。それから合否判定基準を明らかにして、寄付金、学校債は合否に絡ませない、それから寄付金、学債は任意であるというようなことをお考えになっておるのではなかろうかと思っております。  それで、一番大事なところは、いずれも大事なことですが、要するに入学選抜、合否判定は教授会が行うということを、きちっと指導を貫く。これはもともとそうあるべきものでございまして、教授会がタッチもできない、横合いから理事会が出てきていろいろなことをやるというようなことで、幾ら通達を出しましても、また文部省がせっかく出されましても、二の舞を踏むようなことになっては世間に対して申しわけないわけですね。  そういう点では、教授会が入試選抜は行うということが本当に文部省の決意として行われるならば、相当部分改善をされていくのではないか、私もそういうふうに思っておりますが、この点について、もう一度局長のお答えを聞き、それから田中文部大臣におかれましても、この点はやはり貫くことが、今後問題を解決する一つの基礎になると思いますので、その後で御決意のほどを伺いたいのであります。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 その点は御指摘のとおりでございます。入学者の選抜に当たって、要するに教授会が実質的な責任を果たし得るような体制をすべて確立してもらうということが一番基本でございまして、ただいまもさらにつけ加えて申し上げましたように、今回限りにとどめないで、私どもとしましては、私立の医科大学の今後の入試状況等については、今後も、さらにアフターケアをして、十分国民の信頼にこたえるような体制を確立させ、それを定着させていくように努力をいたしたい、かように考えております。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいま局長からも申しましたとおり、あくまでも筋を通して、そして毅然とした態度で今後ともに臨んでいきたい、かように考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最後の一問ですが、いまおっしゃった決意で進まれるならば、また改善する展望も生まれてくるとも思います。その点では、大学の自治に対して介入するということではなくて、その辺は明確にしておかれた方がいいのではないかと思うのですが、同時に、この際、大学における経理の公開の問題にも踏み切っていってよいのではないかというふうに思います。大学内の経理の公開ということは、非常に重要な問題でして、入学試験実施の問題と同時に、そこのところがもう一つの暗部になっているわけですね。  その点で私は、この間、東海大学の問題について質問を申し上げ、東海大学の関連企業が七つある、その七つの関連企業に対していろいろな銀行から百億円の借金がなされておるが、学長さんの公印がそれに全部押されている、こういうふうになってきますと、その企業がときに倒産をしたり、あるいはときに大きな利益を生んだりした場合に、学校法人に与える影響がそれぞれ変わってまいります、その辺もしっかりと調査をすべきではなかろうかという質問に対しまして、文部省の方では、調査をする、厳しく指導したいと、こうおっしゃっておりましたが、これは調査をなさいましたか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 そういうことについては厳しく調査をいたしております。いま経理の公開のことで御質問をいただきましたけれども、学校法人につきましては、各学校法人みずからがその公共性を自覚いたしまして、自主的に健全な経営を行っていくことが期待されているわけでございまして、そのためには、内部機関としての評議員会あるいは監事という制度が置かれているわけでございまして、私どもは、そのような内部監査の機能の充実強化についても指導してまいる考え方でございますけれども、経理の公開ということにつきましては、学校法人が自主的に判断すべき事柄であると考えております。  ただ、申し上げるまでもないことでございますが、すでに昭和五十二年の大学局長、管理局長連名の通達にもありますように、私どもは、必要に応じまして、その学校法人の財務状況等を関係者に明らかにするように、そういう努力をしてほしいということを通達の中でも言っておりまして、現に最近におきましては、相当数の学校法人が、当該学校法人あるいは大学の予算なりあるいは決算なりを学内広報等に掲載する、そういうような点につきましては、かなり前進してまいったのではないかというふうに私ども見ておりますが、今後、そういうことで各大学が自主的、自発的にその財務状況等を関係者に明示する、そういうことを考えていただきたいということで引き続き指導してまいりたいと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 東海大は御調査になりましたか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 失礼しました。前にこの委員会で東海大の御質問をいただきましたのは、主として関連企業の実態であったかと存じますが、これにつきまして文部省が東海大学の責任者を招致いたしまして、ただしたところを申し上げたいと思います。  東海大学の学校法人が出資しております企業等は、八株式会社、一医療法人でございまして、いずれも学校法人の事業と関連のある分野への出資でございます。昭和五十四年度におきましては、そのうちの五つの企業等から学校法人への寄付が行われているということでございます。  また、同じく同大学の説明によりますと、学校法人が債務保証をした企業等は六つでございまして、いずれも代表者である法人理事長名によって保証が行われている。総長名ではございませんで、法人理事長名で保証が行われておりまして、保証額に見合った担保を約定しているということでございます。  なお、学校法人が直接銀行から借り入れを行いまして、これを企業等に回すということはしていないと大学当局は私どもに答えております。さらに、学校法人が出資いたしました企業等の役員、これも前の委員会で御質問があったかと思いますが、企業等の役員で学校法人の役員を兼ねる者が就任しているものは五つの企業等でありますけれども、学校法人の方針として、これまでこうした役員の兼任を漸次減らす方向でいま努力をしているところであるということを言っております。  文部省といたしましては、学校法人東海大学の企業等への出資あるいは保証の状況、さらに役員の兼任等の状況につきまして、今後とも、必要により強く指導を行っていくことといたしておりますけれども、当面、これらの運営状況を慎重に見守ってまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 個別の大学の名前を挙げてやるのは恐縮です。いままで杏林あるいは北里などを取り上げてやってきたわけでございますが、とにかく経理の公開にしましても、国の費用が私学助成という形で出るわけでございますから、われわれは、その中身がわからずに、それに対して賛意を表したり、あるいは反対したりしているわけですね。  そういう意味では、経理がいま民主的に公開される、あるいは学内において公開されていくという方向をたどっていることは大変いいことだと思いますね。私学助成というものをもっと適正に、また私学助成を増額していく場合にも、この辺のことをしっかりして基礎を固めていくという意味で質問をしているわけでございますから、今後の文部省の動きを期待しまして私の質問を終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 私も、いま問題になっております私学共済の問題につきましては、いろいろと意見がありますけれども、きょうは、この問題と直接関係をした質問ではなくて、私立大学の全般についての問題について若干御質問をしたいと思っております。  たしか昭和四十八年だったと思いますけれども、衆議院の本会議で、私が医科大学の裏口入学の問題を代表質問という形で、総理大臣と当時の文部大臣、奥野さんだったと思いますが、かなり厳しくしたことがありました。それから約八年になりますけれども、事態はほとんど改善されていないだけでなくて、むしろ深刻になってきておるという事実が最近明らかになっておるわけでございます。  それに対して、文部省がごく最近に北里大学と北陸大学に対して補助金返還を求める処置をとられたのでありますけれども、これは遅きに失すると思いますが、非常に大事な処置をされたと思っておるわけであります。このような私学援助について、かなり無責任なあるいは不当な学校経営に対して——一方で正しい援助は増額していく必要があると思いますけれども、こういう不適当なものに対してはある種の罰則を考える、すでに法律に規則はありますけれども、それをもっと厳しく適用していくというような心構えが必要ではないだろうか、全般的にそのような感じを持つのでございますけれども、大臣いかがでしょうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えをいたします。  先生の御指摘のとおり、最近の学内の現状は、いささか目に余るものがある次第でありまして、一部の私立大学の場合におきましては、入試の適正に疑惑を生じましたり、あるいは経理の処理に不適正な点が見られるなどのことがありましたことは、調査をしてはっきりといたしてまいりました。まことに残念なことでございます。  これに対しまして文部省としては、問題が生じました直後に、関係者に対しまして、入学者選抜の公正確保と経理の適正処理を強く求めたところでございますが、学校法人の理事者等がまず姿勢を正しまして適正な学校運営に当たることが基本でございます。  文部省といたしましては、さきの全私立医大を対象に個別に事情聴取を行いました結果を踏まえまして、先ほど申し上げたような線に沿いまして、文書によって全私大に指導の徹底を図る所存でありましたし、同時に、また補助金の問題につきましても、必要に応じて厳正に対処してまいるという態度で臨んでおります。  御案内のとおりに、われわれは、先生の言われるとおり、私立大学の重要性は十分に考えておりますけれども、一罰百戒といいますか、本当に当面のこの乱脈ぶりを正すためには、まずもって厳正な措置と断固とした態度で臨むということが先決である、かように考えております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 私も、この私学に対する文部省の対処の仕方という問題は、非常に注意深くやらなければならないといまでも考えております。これは補助金を出しているからといって、権力的な形が少しでも出るということは、学問の自由という大事な問題の芽を摘むような副作用を持つわけでありますから、これは非常に注意深くやらなければなりません。しかし、現在のような状態、いろいろな面での経営の無責任さということ、あるいは裏口入学等に見られる——これは私、憲法に反する問題じゃないかという感じも持つのです。学問の機会均等という問題とかかわりを持つ問題ではないかと思うのですけれども、こういうことがきわめて一般的な形で行われるということになりますと、放置してはいけないと思います。  したがって、全般的な学校の経営についての監査のようなものを、慎重な計画のもとでやってみる必要があるのではないか、こういう感じを持つのでございます。  この問題について、いま大臣のお答えで、私は、そういう方向も考えてくださると思いますから、御答弁は求めませんけれども、とにかく戦後、学問の自由ということで私学に対してはできるだけ自主性を、あるいは教授会を中心とした学問の研究をとしてきた方法、態度はいいと思うのですが、しかし、それだけではいけない。いまは、むしろそういう放任された状態のもとでかなり無責任な、あるいは間違った行動さえあちこちに見られるのでありますから、正しいチェックというものが必要な段階に来ている、そういう目でひとつぜひとも御検討をいただきたいと思っております。  それと関連しまして、いまもちょっと申し上げたのですけれども、裏口入学の問題ですね、これはお医者さんを養成するのには、他の大学生を養成するよりもお金がかかるということがよく言われる。それはそうでしょう。しかし、そうでありましても、最近、文部省で裏口一千万円ぐらいはやむを得ないじゃないかという感じの処理をなさっておられるように見受けられることがあるのですけれども、これはそういうお気持ちでやっておられますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 文部省が裏口入学を暗に認めるようなそういうことを、私どもいままで学校法人なり、あるいは大学等その他関係者に申し上げたことはございません。  ただ、巷間伝えられるところによりますと、裏口入学がかなり行われておるのではないかということでございまして、私どもは、もしそういうことが事実だとすれば、大変残念なことだと思うわけでございます。  裏口入学の概念と申しますか定義と申しますか、大変むずかしいと思いますが、少なくとも先ほど来お話のありましたように、北里大学なりあるいは北陸大学というようなところで、多額の寄付金を募りまして、そして、それを公の学校会計に入れませんで、それを別途経理してきたというような事実があったわけでございまして、そういう点に注目すれば、私は、裏口入学のにおいがしないでもないというふうに思っているところでございますが、文部省としては、従来、入学時にかかる寄付金の額につきましては、余り過大な額を入学者の父母にかけないようにということで、その抑制を強く要望してきたところでございますが、昭和五十二年のころには、少なくとも一千万円を超えるような、そういう大きな寄付金というものは極力自制してほしいというような趣旨を口頭で指導してきた、こういう経緯があるわけでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 この問題は、いま御説明になったとおりだと思いますけれども、しかし、これは先ほどの山原委員からの御質問もありましたが、ごく数日前に文部省が発表された医学部の入学者の中における補欠の数というのは、私は驚いたのですが、全体的に見れば六〇%以上を補欠として採用している、そして学校関係者を入れると約六七%以上というものが、つまり補欠という形で採用される条件のもとにあって一人ずつ点検をする。これは私の親戚の者でも、こういう補欠になったのが何人かおるので、具体的にその人がどういう形で学校と話し合いをしておるかということも、大体見当がつくのですけれども、つまり、これには相当多額の、これは学校によって違うようですね、あの学校は高いようですから、あれはやめまして、この学校へ行こうと思いますなどということを言う人もおりますからね。たとえば一人の人が三つぐらいの学校、しかも、れっきとした学校に補欠入学になっているんですね。それを父兄が選ぶのに、どの学校が安く入れるのかという形で選ぶというのが、かなり公然の秘密のような形で行われておる場合が多いのじゃないかと思うのです。  こういう問題は、これを許すことはできない問題であって、ひとつもっと厳しくこのチェックをしていただかなければならないと思います。  それと同時に、一千万円程度であればという考え方、これは私、絶対にそういう考えを持ってはいかぬと思いますよ。そういう考えを持てば、裏口そのものに対して、これをなくするようなことはできませんよ。結局、入学者に対して、おまえさんは一千万円払えばということになれば、一千万円払えない人はどうなるのです。しかも、こうたくさん補欠になって、優秀であっても補欠にもならないという人が恐らくたくさんおるはずですね、補欠は六〇%以上も採るということになれば。  そういうふうに、これは憲法上の学問の機会均等という大原則に反する問題でありますから、この問題は、もっと神経質に厳しく扱っていく必要があると私は思いますけれども、大臣、この問題についての基本的な考え方をお伺いしたい。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、大体そういう考え方自体が、すべての行政の弛緩のもとでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 これはすぐやれと言っても、すぐやれば医学部に入った人が六〇%もおかしくなるということになると混乱しますから、すぐやれとは申しませんけれども、これはひとつもっと真剣に考えてみる必要がある。これは本当に憲法違反になりますよ。学問の機会均等という大原則が崩れていくことになりますから、この問題は、もっと神経質に気を配っていただかなければならないと思います。  それと並びまして、いままで医学部の問題は、さんざんあちこちで議論されておりますが、あの早稲田大学の商学部に最近起こっておるような問題、つまり、これは単にある特定の職員が気まぐれに出来心でやったというものじゃないのです。いままでの調べの経過を見ると、商学部の有力な人たちが組織的に計画的に、しかも何十年もにわたって行われたという状況なんですね。これは裁判の結果、いろいろ明らかになってくると思いますけれども、大体そういう形の間違った行動が行われて、しかも入学に関して行われている、こういう問題について、私学助成の立場からペナルティー、罰則をどのようにして処理していくか。私は、罰則をつけるべきだと思うのです。  まず、私学助成法の法文の中にも、こういう問題に該当する法文があると思いますけれども、これは大臣いかがでしょう。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 大臣の御答弁の前に、私、政府委員としてお答え申し上げます。  国庫補助金は、申し上げるまでもございませんけれども、国民からの税金で賄われるものでございまして、法令の定めあるいは補助金交付の目的に従って、公正かつ効率的に使用されなければならないことは申し上げるまでもございません。したがいまして、私立大学等経常費補助金の執行に当たりましては、私立学校振興助成法等に照らしまして、厳正な態度で文部省としても臨んできておるつもりでございます。  早稲田大学の商学部にかかる問題でございますけれども、これはいま先生のお話の中にございましたように、かなり長い間にわたりまして、かつ計画的に行われたのではないかということでございますけれども、現在、同大学が自主的に調査を進めておりまして、今回の事件に関係した職員なりあるいは学生の処分等を検討中でもございます。また他方、司法当局におかれましても、事件の解明に当たっている、そういう段階でございますので、私どもは、その推移について深い関心を持って見守っているところでございます。  いずれにいたしましても、これらの結果が判明いたしました段階で文部省としてとるべき措置を判断したい、このように考えております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 この問題は、私立学校振興助成法という法律がありまして、その第五条の第五号に「その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合」という項目がありますけれども、この項目は、いまの早稲田大学の商学部の問題なんかはぴたりと当たる項目じゃないかと私は思うのですね。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕  これは、たとえば北里大学等の医学部を持っている大学とは違う点は確かにありますけれども、しかし、このような間違った管理、これは最も善意に見て監督不行き届きということになる。しかし、そうであっても、この大学の運営にとってある重要な学部の中に組織的な行動が行われたということは、やはり学校の責任者の責任ということになっていくわけです。責任者の責任のとり方というのは、そういうものなんですね。  そういうふうな目から、これは法に照らして厳しく責任を求めるという態度をとる方がいいのではないか。これは恐らく早稲田大学商学部ということだけではなくて、新聞その他のマスコミも報道しているように、氷山の一角という形で報道されている。他の学部にも多かれ少なかれこういう問題があると見なければならないし、あると思われる客観的ないろいろな理由がある。そういうときですから、いわゆる百罰一戒式の考え方によりましても、こういう問題については助成金を減額していく、あるいはある状態において停止をするというような罰則を適用していくということが必要ではないのか。  これはぜひとも文部省として具体的に至急に検討してみる必要がある問題だ。そうでないと、せっかくの大事な役割りを果たしておる私学というものに対する国民の信頼が失われるだけでなくて、日本の学問研究という大きな目標から見ても、これは大変重大な問題になるわけです。したがって、そういう面で文部省として厳しくチェックをしていくという方向でぜひとも検討してもらいたいと思います。そういう心構えについて大臣からお答えをいただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいま進行中の司直の手にゆだねられております点については別といたしまして、当然、行政の管理の責任を持っております文部省といたしましても、大学当局のあり方につきましては、具体的には十二分に、いかにしてそれを遮断し、いかにして罰し、いかにして今後の管理のよろしきを得るかということについては、事務当局において十分検討中でございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 私は、この問題だけをひとつ質問したいと思っておりましたから、これでやめますけれども、いまもいろいろと申し上げたように、私立大学の中での間違った行動がかなりルーズな行政当局のチェックのもとで行われておるということがあちらこちらに出ているわけですね。いまの裏口入学の問題もそうだし、あるいは早稲田大学における問題もそうだ。しかも、これが単に特定の大学だけでなくて、かなり一般的に行われておるということになりますと、ちょうどここらで、私、この前の委員会でも申し上げたことがあると思いますが、こういう問題を処理するための特定の委員会、どう対処したらいいかということを煮詰めるための委員会の設置を提案したいと思うのです。また、それに値する重要な問題だと私は思うのです。  実は、余り長い期間でなくて、一年間ぐらいの期間でもって、とにかく各大学で起こっておる問題を検討する、そして、それに対してどういうふうに処置をするか、つまりペナルティーの問題を中心にして、検討の委員会を設けてもらいたいと私は思うのですけれども、これは検討に値する問題だし、また責任上やらなければならない問題のようにも思うのですけれども、いかがでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 御意見は、まことにそのとおりでございます。私の方といたしましても、先生の御意見につきまして十分に配慮いたしまして措置いたしたい、かように考えます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 それでは、この問題、特に民主的な教育、社会におけるもろもろの非行という問題があちらこちらに噴出している状態でありまして、特に、大学教育の場における日本の行政を正しくするための格別の御検討を心からお願いいたしまして、質問を終わることにいたします。ありがとうございました。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  森喜朗君外四名提出、私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の日時、人選、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会

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