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94回国会衆議院1981/04/17

文教委員会 第10号

発言数
276
登壇者
18
会派数
5
開催日
1981/04/17

会議録

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これより会議を開きます。  森喜朗君外四名提出、私立学校法及び国立学校、設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 きょうから審議に入ります私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案は、自由民主党の議員立法という形で提出されております。私立学校法附則の十三項は、昭和五十年の助成法制定の際に設けられた規定でありますが、三月三十一日で期限切れになっているのに、従来の方針を延長するのならば四月以前に提案すべきだと思いますが、今日に至って議員立法で自由民主党が提出してきたのはなぜですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 嶋崎先生にお答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、三月末日までに期限が切れることはあらかじめわれわれも承知をいたしておりまして、できるだけそうした間断のなきようにすることが当然のことでございますが、事は、私立大学が新しく設立されたり、あるいはまた学部・学科等々の制限規定でありますから、本来から言えば、こうしたものはない方がいいに決まっているわけでございます。  したがいまして、このまま廃止することがいいのか、あるいは提案理由のときにも申し上げましたように、今後の大学のあり方等々について、わが党の中でいろいろと意見の分かれるところもございました。また大学関係者の意見を聞く、そういう準備も必要でございました。そうした意見を集約しながら取りまとめをいたしておりましたので、提案理由にも申し上げてはおりませんが、正直申し上げて、提案にこぎつけるまでにはかなり慎重に熟慮をいたした結果である、このように御理解をいただければと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 自由民主党の議員立法で提出するに至ったわけでありますが、前回の助成法を立法するに当たりましても、これも議員立法でございました。今回もまた議員立法でありますが、この私立学校法という本法に基づいてできました助成法に関連して、本法の十三項に附則を入れることも、前回の議員立法提出の際に問題になった件でございます。  当時永井大臣は、やむなく提出を認めましたということで、本来、立法府において長い間、私立学校に対する助成についての討議をいたし、各党で小委員会などを設けて、議員立法という形よりもむしろ満場一致の院内における意思を統一した上で、わが国の私立学校のあり方について助成ということを検討すべきだという議論があったのでありますが、前回も議員立法で提出されたわけであります。  そういう意味で、議員立法という形で、三月いっぱいに、四月以前に提出されるべきものが、こんな形で、今日に至って急邊、自民党提案で出てきているのは、当委員会としては大変残念なことだと考えております。  さて、その附則十三項の問題並びに国立学校設置法にも同等の趣旨の附則をつけることにしたわけでありますが、国立大学協会の意見をお聞きになりましたか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 直接党の方で承ったということはございませんが、国立大学の性格から見ましても、文部省の方を通しまして国立大学協会の意見というものの具申があったようでございまして、その内容について承っております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私立学校諸関係の、諸団体の意見も同じく聴取いたしましたか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 これは連盟、協会、短大協会、そしてもう一つ懇話会がございましたか、それぞれ代表者にお見えをいただきまして、私が直接意見を聴取いたしております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 いま文部省の方は、国大協の意見を聞いた上でこの附則の問題を自民党として提出することについて意見を申し上げたと言いますが、国大協とは文部省はいつ会ってどのような内容を審議し、どのように自民党に報告をなさいましたか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 政府委員からお答えいたします。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 このたびの改正案で国立学校設置法の改正部分が入ったわけでございますが、この提案につきましては、私どもとしては、国大協の香月会長代理とはいろいろ接触する機会がございまして、この趣旨が議員提案で提出されるに至った状況については、私どもが事情を承知いたしまして、その情報は香月会長代理にすぐ連絡をとったわけでございます。  なお国大協では、国立大学が今日まで社会的に大変大きな役割りを果たしてきているところでありますし、また国立大学に対する国家的な、国民的な要請が大変増大しているところでもありますので、このたびの法案を契機といたしまして、国立大学の整備充実ということが、基本的にと申しますか、あるいは一律的に抑制されるのではないかという危惧の念は抱いているようでございます。それらに対して国大協側の意向は、私ども事務的には、党の文教部会の責任者でございます部会長にも御連絡はいたしたわけでございます。  文部省側の考えといたしましては、これまでも……(嶋崎委員「経過だけ」と呼ぶ)以上でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 だとしますと、自民党の文教部会に入った情報は、国大協の副会長に情報を提供して意見を聞いて、報告をしたということだけですね。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 そのとおりでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 これはまた後で議論しますが、国立学校設置法という法律の性質もこれあり、ある意味では異例の措置と私は判断をいたしますが、このような事態は、全国の国立大学が現に学部・学科その他の増設問題を抱え、既設大学の充実のために努力をしているという現状にかんがみて、各大学に大変深い利害関係を持つ印象を強くすると思います。それだけに国大協の意見を一遍正規に聞いた上で大学側の意向も確かめるべきだと私は判断をいたします。  そういう意味におきまして、次のこの審議の委員会には、国大協の方を参考人として呼ぶことを理事会に提案をいたしたいと思いますので、対処していただきたいと思いますが、委員長、いかがですか。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 後ほど理事会で相談いたします。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私立学校関係の諸団体についても、文書や情報その他を経過を追ってみますと、いろんな意見があるように思います。そういう意味におきまして、国大協の方を参考人として呼ぶと同時に、私立学校の諸団体の方の意見を聞くために参考人として呼ぶことを理事会に提案したいと思いますが、委員長、いかがですか。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 後ほど理事会にかけたいと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そこで、お尋ねをいたしますけれども、自民党の議員立法という形でこれがまた提出されているわけでありますが、文部省や文部大臣、国の方は、この問題について積極的でなかったから自由民主党の議員立法という形で提出することになったのではないかと思いますが、大臣も同じ自由民主党ですけれども、それは別として、なぜ大臣は、三月三十一日以前にこの問題を当委員会に付して、事前に委員会で意見を聞くということをなさらなかったのですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 文部省側といたしましては、本件について従来いろいろ検討はいたしてきておったわけでございます。具体的には、法律上の措置のほかに、たとえば行政指導によるなど、対応策としてはいろいろ方式が考えられるということで、いろいろ関係方面とも相談を重ねておったところでございまして、どういう方式によるべきか、それらの影響するところなど、関係方面といろいろ検討を続けてきておったわけでございます。  なお、この附則十三項の規定そのものは、先生御存じのとおり、議員立法で制定されたものであるという経緯もあるわけでございます。そこで、そういう経過も踏まえまして、結論として自民党の方で議員提案がなされるようになったというぐあいに理解をいたしておるところでございます。なお、文部省自体といたしましては、五十一年度以降、高等教育の均衡ある発展を図るということで、五十一年度から五十五年度までを前期の計画期間、五十六年度から六十一年度までを後期の計画期間ということで、高等教育の計画的整備ということに従来取り組んできておるところでございます。  その考え方といたしましては、後期の計画におきましても、量的な拡充よりも質的な水準の向上を図ること、また大都市における新増設の抑制を図ること、それと地域の収容力とか専門分野構成の不均衡の是正等を図るという方針で臨んできておるわけでございまして、いろいろな施策についても、そういう線に沿って進めておるわけでございます。  このたびの法律案の趣旨そのものは、基本的には、従来文部省がとってきておりますこの後期の政策と申しますか、「高等教育の計画的整備について」の考え方と同じ方向でございまして、国家財政の大変厳しい現状を勘案すれば、こういう議員提案がなされました内容については、特に異存がないというのが基本的な考え方でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 文部省は、いま局長がおっしゃいましたこの「高等教育の計画的整備について」、後期は大学設置審議会の大学設置計画分科会、前期の方は高等教育懇談会であったと思いますが、この形で出された文章の当時は、私学についても、この延長の考え方を持っていたと判断をいたしますが、いかがですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 御指摘の「高等教育の計画的整備について」は、そのような考え方が示されておりますので、基本的には、そういう考え方に沿っておりましたが、ただ、先ほども御説明申し上げましたように、五十六年度以降の対応の仕方としては、なお技術的にいろいろ検討すべき課題があるということで検討しておったというのが現状でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 この「高等教育の計画的整備について」の報告が発表された際に、全国の私立大学の教授会連合その他で多くの意見が述べられているのを御存じですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 後期の高等教育計画の作成の過程におきまして、私学関係団体の意見を聴しましたところ、そのうち日本私立大学連盟は、そういう抑制の方向で継続することにつきましてはやむを得ないという意見を一応表明いたしておりますけれども、日本私立大学協会並びに日本私立短期大学協会は、そういう存続に対しまして反対の意向を表明しております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 この「高等教育の計画的整備について」が出された当時、いま言ったような同じ私立大学関係の団体でも賛成と反対ということで、かなり反対の世論が文部省にあったことは、いま局長が述べられたとおりでありますが、同時に、文部省の方で、この問題については三月三十一日以前に内部で討議が行われまして、文部省のある幹部は、私学振興法というあめがあったときとは事情が違う、私学助成が制度化されたいまは強行しにくい、こういう御意見をお持ちの幹部がおられたと聞いております。  したがいまして、文部省としては、一方で私学諸団体からの強い反対の申し入れもあり、他方でさっき大学局長が言われましたように、現行法でこれを運用すれば、記置に対して文部大臣の認可の裁量で対応していくことはできる、背後には一定の高等教育の計画的整備の方向があるわけだから、それが可能だという意味で、一つは世論、一つは法律的な対応ないしは大学設置基準の一部手直しなどを通じて基準の引き上げや、それに伴って実質的に新増設を抑制できる、そういういわば行政的な対応も可能であるという判断に立って、三月三十一日までにはこのいま自由民主党が議員立法として提出したような形のものは提出しないと判断されたのではないですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろ検討すべき問題点があって検討を続けてきておりましたことは事実でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 嶋崎委員のお述べになっていらっしゃるお考え、私もよくわかるのです。しかし、この法案は、大学をつくることはいけませんよということではないのであって、嶋崎先生も御専門で十分御承知のとおり、私学がやはり日本の教育の中にあって大変大きな役割りを占めておりますし、位置も占めておりますし、五年前につくりました私学助成法も二分の一を目途としてわれわれは制定いたしましたけれども、今日の財政事情を考えてまいりますと、すでに三千億を超えるということになってまいりますので、いろいろな意味で、やはり国民の監視の中でこの私学助成というものを考えざるを得ない。私学が健全にいい方向で発展してくれることをわれわれは願うわけですが、どうしてもそうなれば、いままでのようなペースでは、なかなか私学補助というものが進まないということであるならば、やはり量的な拡大よりも質的な充実を図るということが政治家としての務めではないだろうか。  文部省をかばうわけではありませんが、文部省は、先ほど冒頭に私が申し上げたように、でき得れば法的に縛らない方がいいと考えておられたことは間違いがないし、また、そういう考え方をわれわれにも述べてこられました。しかし、ここはわれわれ与党として、やはり政府に責任を持つ立場として、議員の立場で、与党の立場で、これはみずから質的な方向へ行って、とにかく大学を抑えていくというのではなくて、健全な発展を遂げるように政治的に横からお手伝いをしていくということが大事なのではないかという判断をいたしました。  特に間もなくまた十八歳人口がふえていくことも、嶋崎先生御承知のとおりであります。そしてまた、この法律が大体この三月で切れるということを一つの目途としまして、大学関係者の中にも、いろいろと大学の増設あるいは学部・学科の増設、新設等々の動きがあることもわれわれはだに感じてまいりますと、このあたりで、大変大事な時期でもございますし、私学が大事だし、高等教育が大事だからここらでひとつ三年、高等教育計画もあるけれども、もう一遍わが党も考えなければならぬし、また各党の皆さん方からも、いろいろな御意見をこれから聞いていかなければならぬと思いますし、文部省にももう一遍これらのことを、三年というのはちょっと長いかもしれませんが、将来の高等教育のあり方についてももう一遍検討し直してみる必要があるのじゃないか、そのことがやはり高等教育計画を進めていく上において意義あることだ、こんなふうにわれわれは判断いたしたわけでございまして、文部省も、そういうわれわれの考え方に協力してくれたということであります。  また、各大学で反対意見も強いようだがというお話がございますが、私は、各私立大学の先生、関係者からもいろいろ意見聴取をしてまいりましたが、やはりそれぞれ個々に考え方が違うようであります。総じて強い反対があったという嶋崎さんのお話でしたけれども、私は、率直に言いまして、たとえば私大協会は反対だというふうになっておりますが、しかし、個々の方々にそれぞれ意見を伺いますと、いまの自民党のその行き方で判断することが健全であろうというお考え方もかなり出ておりましたということも、われわれの踏み切った一つの判断の材料にもなっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 文部省は、自民党の議員立法の提出に従って結果としては賛成をなさったのでしょうが、たとえば私立学校法三十一条、これは本法における抑制の規定だというふうに考えてもいいだろうと思いますし、大学設置基準の一部手直しで基準の引き上げを行うことによって、実質的に新増設を抑制できると判断をして今日までいろいろな対応をしてきていると思います。大学設置基準、大学の私学審並びに大学設置に関する設置審などで、いままで私学の審査を、新設並びに学部の場合には一年くらいだったのを二年にしたりするような手直しをしてきたと思いますが、それをいつ、どのようになさいましたか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私立大学審議会におきまして、文部大臣から諮問を受けました私立大学等の設置の審査に当たりまして、いまお話のございましたように、慎重な審査を期するために医学と歯学系の大学につきましては昭和四十七年度の申請案件から、具体的には四十九年度開設分からということになりますが、昭和四十七年度の申請案件から、それから、その他の大学等につきましては昭和五十年度の申請案件から、これも具体的には五十一年度開設分からということになりますが、申請案件といたしましては昭和五十年度から二年間にわたる、いわゆる二段階審査を実施しているところでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そういうふうにして大学の設置基準を引き上げ、そして、また審査を厳しくすることなどを通じて、これはある意味では附則の十三項という精神が背後にあって、それに合わせて行政指導として対応した一つの側面だろうと私は思いますが、そういうことで一定の成果が上がったと判断していいのですか、いかがですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 この私学法の附則十三項の施行後においてどういう認可の実績を示したか、効果があったかということでございますが、私立大学等の新増設につきましては、先ほど申しました昭和五十二年度の開設分から昭和五十六年度の開設分までのものにつきまして、件数を申し上げますと、学部・学科増を含めてでございますが、年平均十六・六件となっておりまして、附則第十三項の制定前、昭和四十六年度から昭和五十年度まででございますけれども、附則第十三項の制定前の年平均四十四・二件でございますが、それと比べまして件数で約三八%ということで大幅に減少いたしております。私立大学等の新増設なり、あるいは収容定員増に伴います定員増につきましては、昭和五十二年度から昭和五十六年度まで年平均三千九百六十二人となっておりまして、これも附則十三項の制定前の年平均八千七百三十三人と比べますと、四五%と大幅に少なくなっております。  なお、この実員の定員化を除きましたいわゆる実員増を伴う定員増につきましては、昭和五十一年度から昭和五十五年度までに一万三千四百三十人となっておりまして、高等教育懇談会のいわゆる前期計画における私立大学等の拡充見込みであります一万七千五百人、前期計画では私立大学等については一万七千五百人増を見込んでおりましたけれども、これを相当下回っておりますので、この附則十三項の抑制の効果は上がっているというふうに私ども考えているところでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そうしますと、自由民主党の議員立法提案者の皆さんが提案理由のところで「この規定は、昭和五十年の私立学校振興助成法制定の際に設けられた規定であり、これにより私立大学の量的な拡大は抑制され、この間における私学助成の充実と相まって、私立大学の質的な充実が図られてまいりました。」、こう判断をされておりますが、いま文部省が言ったような指数、入学者数、それから学校の設立の数、そういうものが、これができる以前に比べて抑制されたという事実などを挙げられて、量的な拡大は抑制されたという意味の判断として提案理由を述べておられるのですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 そのとおりであります。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 では仮に、いまの事実がお互いに確認できたとして、量的な拡大は抑制ができたとしましょう、その後に「この間における私学助成の充実と相まって、私立大学の質的な充実が図られてまいりました。」、質的充実とは何ですか。議員立法の提案者、どちらからでもどうぞ。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  私学振興助成法に基づく私学助成が具体的に実効を上げたことによって、すでに嶋崎委員御承知のとおりに、以前の私学は、入学定員の実員と実数の学生数と表向きの定員数との間に大きく乖離があったわけでございます。当時は大体一・七八倍、約一・八倍くらいの水増し、いわゆる水ぶくれが存在をしていたわけでございます。その後、この私学振興助成法が制定され、私学助成が実質的に皆様方のお力添えをいただきながら実効を上げることによって、現時点で大体一・五倍を割るというところまでその実態が改善をされてきた。これは一つの例でございますけれども、そうしたことによって質的な充実が図られつつある、しかし、まだ十分ではないというふうに判断をしているわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私立大学が水増し定員をしたり、学生数についても定数以上に入学を認めたりしていたのが実質的に認められたと言っても、それは私立大学の実質的な質の意味では、裏返して言えば、こっち側から見ると、それが表に出たというだけの話であって、それ自体が必ずしも質的充実ということになったとは私は言えぬと思います。  そういう意味で、水増し部分が実質定員化されたりしていくという前進が見られたことは一歩前進ではあっても、それが質的充実であったと言えるかどうか大変疑問だと思います。文部省、どう思いますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 質的充実、何をもってその指標とするかということにつきましては、いろいろと御議論のあるところだと思いますけれども、最もわかりやすいということでは、いま西岡先生のお話の中にもございましたけれども、私どもは、入学定員とその水増しの関係、それから本務教員一人当たりの学生数、一人の本務教員が何人の学生数を担当するかという対比の指標、それから学生一人当たりの校舎面積がどういうふうになっているか、こういう三つの指標を総合的に見まして、そして質の充実が図られたかどうかということを判断する目安にいたしているわけでございます。  そこで、先ほども申しましたように、収容定員増ですけれども、この五年間は、それ以前と比べまして大幅に減少しているということ、それから私学助成を見ましても、経常費補助金が、たとえば昭和五十年度は一千七億円でございましたのが、昭和五十六年度、今年度は二千八百三十五億円と約二・八倍にもなっているということ、そういうこともありまして、この五年間に、入学定員につきまして申し上げますと、昭和五十年度では大学はその超過状況、いわゆる水増し状況が一・八九倍でございましたが、五十五年度は一・四三倍に減じております。短期大学は、昭和五十年度が一・七五倍の超過状況でございましたが、五十五年度は一・四八倍に減じているということが一つございます。  それから、本務教員一人当たりの学生数ですが、これは昭和五十一年度の数字で恐縮ですが、昭和五十一年度は、大学では本務教員一人当たりの学生数が三十・七人でございましたが、五十五年度は二十七・六人とやや減じております。短期大学は五十一年度が二十四・三人でございますが、これは、ほとんど変わりませんで、五十五年度は二十四・一人となっております。  学生一人当たりの校舎面積でございますが、大学を見ますと、昭和五十年度では一人当たり七・五平米でございましたが、五十四年度、これは五十四年度の数字で恐縮ですが、八・四平米ということで一人当たりの校舎面積はかなりふえております。短期大学は、昭和五十年度で八・七平米であったものが五十四年度は九・〇平方メートルということで、入学定員の超過状況あるいは本務教員一人当たりの学生数あるいは学生一人当たりの校舎面積、こういうものを総合的に見てまいりますと、私どもは、この五年間に私立大学においてかなり質的充実が図られたのではないかというふうに考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 附則などで量的拡大を抑制して質的な充実を図るという指標を、いまのような観点でお挙げになりましたけれども、実際に学生の教育にかかっている負担は、授業料一つとってみましても、すごいと思いますが、最近の十年間の授業料の上昇率はどのくらいですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私立大学の学生納付金は、御案内のように授業料と入学料並びに施設整備費、この三つの合計でございますが、昭和四十七年度が二十三万円でございまして、昭和五十六年度は七十五万六千円となっておりまして、この十年間で約三・三倍の上昇となっております。そういう状況でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私学助成法ができて以降の私学助成の伸び率はどう変化していますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  私立大学等の経常費助成でございますが、昭和四十五年度に始まりましたことは、御案内のとおりでございますが、当時百三十二億円でありましたものが、五十六年度は二千八百三十五億ということで、約二十倍に伸びております。昭和五十一年度は補助金の額が千二百九十億ということでございまして、その当時と昭和五十六年度を比べましても、千五百億弱でございますが、かなり大幅に伸びているという状況でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 額ではなくて伸び率です。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 伸び率でございますが、この経常費助成の始まりました昭和四十五年度を一〇〇といたしますと、昭和五十一年度で九七五・九、昭和五十六年度では二一四四・五、四十五年度に比べればちょうど二十一倍余りになっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私学助成法をつくる際に、この委員会で大変議論になった一つの大きな問題は、助成というものの持っている意味として、私立大学間にある格差というものをどうしてなくするかというのが非常に重要な柱になっております。この助成が行われてから今日、そういう意味の格差是正にこれが効果があったと判断できますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私立大学は、短期大学を含めまして四百余りございます。そういうようなことで、それぞれの大学を個々に比較いたしますと、なおかつ相当の格差も否定できないところでございますが、きわめて大まかに申せば、この経常費助成が行われたことによりまして、この十年間の私立大学等経常費助成の成果と考えていいと思いますが、大学間の格差はかなり是正されつつあると私どもは見ておるところでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 去年の十一月に日本学術会議が「大学改革と私学助成に関するシンポジウム」を開いているのを御存じですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 詳細は存じておりませんけれども、そういうシンポジウムがあったということは伺っております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 このシンポジウムのこういう資料は見ておりますか。当時の討議の報告と討議についての資料を見ていますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 そういう資料が私の方にも回ってきたという記憶はございますけれども、その中の具体的な事柄については、いま定かに記憶はいたしておりません。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 そこで、このシンポジウムがどういう意味で開かれたかと申しますと、日本学術会議の七十九回の総会で「私立大学に対する国庫助成の改善・増額について」という勧告がつくられて、そして七月二十三日に科学技術会議と日本学術会議との連絡の上、学術会議の対政府勧告が出たことと関係がありますが、御存じですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 そこまでは存じておりません。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 これは日本の学術会議の、私立大学に関係する全国の私立大学教授会連合、ここを基礎にして広範に開かれたシンポジウムであります。このシンポジウムで今日の私学助成のあり方について多くの議論が行われ、助成のあり方について意見が述べられ、大学改革についての方向などを打ち出しているということ、こちらの方の資料を読んでおられないということになりますと、この判断と皆さんの判断との間にはかなり違いが出ているのではないかと思います。  たとえば第一に、なぜ学術会議が私学助成に関する国庫補助の改善・増額についての対政府勧告をやったかといいますと、その経過は前段に述べておりますが、今日まで私学助成という新たな制度ができたことは前進だと評価した上で、その助成の傾斜配分のあり方ないしはその他のいろいろな諸制度の運用から見て、助成の本来の精神が具体化されて発展しているかどうかは疑問だという多くの点が提出されております。  たとえば、この学術会議の対政府勧告をやるに当たりましての経過として、なぜこういうものをやるかという経過の第一には「私立大学の質を規定している研究・教育の諸条件整備が、こんにちに至るもまだほど遠い状態であり、依然として改善を重ねていかなければいけない大きな課題として残されている」という点が第一の前提として出されております。  ですから、たとえば先ほどその助成法ができてから質的強化があったと自民党の提案者も言い、文部省側も言っておりますけれども、この時期は、わが国の経済がきわめて非常に不安定なオイルショック時代に入って、低成長時代に入っております。一方で学費の負担が非常にふえてきております。特に私学関係は、多くの大学で多くの寄付金問題その他の腐敗が明るみに出ておりますように、大変な父兄負担、つまり教育費の増ということからくる制約、それから経済的な制約などから、これもまた重要な進学状況の指数の一つの側面として見なければならぬと思います。  ですから、こういう抑制的な措置をとっているから、前は急増して学生応募がふえていたけれども、少し減っているとか、そういう指数だけでもってこれが効果があったかどうかというふうに判断をする、それだけが理由ではなかろうと思います。そういうことも、この学術会議でのシンポジウムでは、進学率の動向についての予測調査をあらゆる角度でやりながら、多くの議論をいたしております。  第二番目の、いま言いました格差問題でも、是正されつつあると言いますけれども、たとえば五十五年度の私立大学の学費の中間集計平均を見ますと、七十一万ですが、これを医学系と文科系と分けた場合でも、たとえば慶応大学の医学部が百六十二万に対して金沢医科大学が一千五百三十万という大変な格差であります。同時に、また文科系を見ますと、最低の二十七万に対して最高の九十七万という四倍の格差を持っております。  したがいまして、こういういわば私立大学における格差問題というのが、助成法適用以来徐々によくなっているとおっしゃるけれども、果たしてそうなんだろうかという疑問は依然として残るわけであります。格差はむしろ著しくなってきているという点に注目すべきであるというのが、この大学のシンポジウムの意見でございます。  同時に、そういうことから見て、修学上の経済的な学費負担というものをいかに軽減するかということで、たとえば奨学金制度その他についての再検討が新たな課題になっていることも指摘しておりますし、同時に、学費の上昇の昭和四十二年から四十六年度の五年間の平均上昇率を大体四%と見ております。ところが、五十年から五十四年の五年間に平均上昇率一五%とはじいております。したがいまして、ここに学費負担の問題というのは、おっしゃるほど単純ではない実態が報告されているわけであります。  それで問題の、われわれが助成法をつくった際に議論をいたしました例の二分の一助成問題、二分の一以下になっていますけれども、なるべく二分の一に向かっていこうということでコンセンサスを得られるかどうかが、あの法案の作成過程で大変問題になったわけでありますが、この助成率を見ましても、文部省の推計で私大の経常費総額の三二・三%、経常費の約三割が、いまのところ平均的に補助されているという意味では、かなり前進は見られますけれども、二分の一にはほど遠いわけでありますが、これをまた理科系と文科系に分けて見るならば、理科系の場合には、もうすでに五〇%に近い四八%ぐらいにいっていますけれども、文科系は二〇%そこそこでございます。  こういうことから、大学の質的充実というふうに言うとすれば、医科歯科系などを中心にしてかなり補助率は高くなってきておりますけれども、文科系は依然として二割そこそこだ、こういうデータの中でこの格差解消の検討というものをやることが、大学の質的充実の問題になるのだということを提案いたしております。  同時に、その「勧告の概要」として、三つの指標を挙げまして、第一は、修学上の経済的負担の軽減、第二は、研究と教育の水準の向上、第三は、私学経営の健全化、これを三つの指標として、修学上の経済的負担を軽減するにはどうするかということを、先ほども申し上げましたような数字に基づいて、どのように対応していくかなどをつぶさに議論いたしております。  たとえば、授業料に関連して、奨学金受給者の比率を諸外国と比較したデータが出ておりますが、文部省、そういうデータを持っていますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 その資料をただいま手元に持っておりませんので、調べさせていただきたいと思います。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 ここでもるる述べておりますが、昭和五十年度をとってみますと、イギリスの場合ですと、高等教育機関在学者に占める奨学金受給者の比率というのは八七・一%、アメリカの場合が四四・八%、西ドイツが四二%、これに対してわが国の受給率はわずかに一〇・二%であります。  こういう意味で、奨学生の採用率にも問題がありますが、高等教育機関の在学者の中に占めるこの奨学金受給者の比率というものが非常に低い、こういう現状は打破されていく方向に向かわなければならぬと思います。  奨学生の採用率を国立と私立とを比較したデータはお持ちだと思いますが、ここではその採用率を見ますと、一般貸与で国公立が八四・六%、それに対して私立が三八・二%で、特別貸与の場合でも国公立が六八・七%に対して私立は四九%となっております。  こういう一連の数字を挙げましても、このシンポジウムで問題になりました今後の私立大学における質的充実ということを問題にするときに、修学上の経済的負担の軽減という大事な第一の指標の問題は、多く解決しなければならぬ課題が残っておるわけであります。  二番目の研究と教育の水準向上という問題でありますが、先ほど専任教員の教員一人に対する学生の比率などについて一定の前進の数を挙げられましたけれども、これでも国立に比べまして私立の場合には大変な数でございます。こんなものは教育の質どころじゃありません。国立が平均して専任教員一人に対して七・七人に対して私立は三十八・二人、法学部では国立が十八・九人に対して私立は八十一人、経営学部のごときは国立が二十一人に対して私立は九十三・九人、こういう一連の数字は、私学助成を行ってきても、果たして質的充実というものが見られたという評価になるほど実態は甘いものではないということを示していると思います。  したがって、このわが委員会で助成法をつくる際に問題になりました半分、二分の一という問題がいかに重要な意味を占めておるかということを御理解賜りたいと思うのであります。  こういう一連のシンポジウムについて、逆にこのシンポジウムは皆さんとは判断が反対でございまして、文部省の抑制政策が進行している現在、依然として私立の学部の新増設は、必要のある場合という規定に基づいて続いているけれども、およそやはり抑制政策そのものが前提になっているから問題にならぬのだ、したがって、法の精神に立ち返って、その私学充実の問題についてもっと基本的な対策を講じろというのが、このシンポジウムで出ているところの意見でございます。  もちろん、この最後に大変重要な提起がございまして、今日、私立大学には大変な腐敗の問題がある、この腐敗の問題を大学みずからの問題として解決をして、そして克服していかなければ、いまのような主張は通らない。そういう意味で、大学改革の課題というものについては、経理の公開ということをやらなければだめだということでみずからを律しつつ、以上のような経過を述べて議論をしているわけであります。  私は、文部省読んでいるものだと思ったから、簡単に二、三の質問で済むかと思いましたが、詳しく中身を申し上げたわけであります。  したがいまして、この皆さんの議員立法提出に際して「量的な拡大は抑制され、この間における私学助成の充実とあいまって、私立大学の質的な充実が図られてまいりました。」というのは、少しオーバーな判断ではなかろうか。附則十三項を言うことのために、余りにもこちらを強調し過ぎている、附則十三項の問題の延長を図るということを強調するの余りに、その中身には少し実態に合わない強調があるのではないかという点を申し上げたかったわけであります。  そこで、この後に今後も「量的拡大よりも質的な充実に重点を置いた施策をすすめる必要がある」ということを改めてまた言っておりますが、この量的拡大よりも質的充実に重点を置くということを、いま私が申し上げた問題を含めつつどうお考えになっているか、提案者並びに文部省の意見を承りたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 嶋崎委員の大変適切な、また私学、国立合わせましての高等教育計画の将来の指針なども含めての御意見をいただきまして、大変参考になりました。しかし私も、この私立学校助成法ができました五十年の七月、委員会で質問させていただいたときに、ゼロでは何ぼ掛けてもゼロなんで、二分の一で五十にしたいのだけれども、とにかく一でも二でもつくり上げて、そこへプラスあるいはそこへ掛け算をしていくということが私学の充実になっていくのだということを、質問の中で意見を述べたことをいま思い出すのですが、いま嶋崎さんおっしゃったいろいろな数字は、私立学校助成法がなかったころから比べると大変大きな伸びであり、また、そういう面での充実は図られたという判断はできると思うのです。  充実というのは何ぞやと、こう聞かれると、これはもういろいろな角度がありますし、いろいろな見方があると思うのです。教授陣がしっかりしているのも質の充実でありましょうし、先ほど西岡さんがお話になったような数字も一つでしょうが、私は、端的に言えば、たとえばかつてのような大学紛争、授業料値上げによって、神田の町なんかは一般の市井の人たちが歩けないような状況になった、ああいう時期、あるいはまた私どもの母校の大学紛争、もっとも最近もまた余り評判よろしくないのですが、早稲田大学事件というのもございました。そういう当時の大学の学生騒動というものから考えますと、いまの大学は、必ずしも学問だけを中心にやっているとは、私どももそこはわかりませんけれども、しかし、そういう一つの社会面から見る、あるいは政治面から見ても、やはり充実ということは言えるのかもしれませんし、私は、そういう意味で、質的な充実の見方というのは、いろいろな角度があるというふうに申し上げていいのじゃないかと思うのです。  そこで、いまのお話の学術会議の中でも示されたように、将来の、今後の基本的な命題というようなお話がございまして、そのとおりだと思うのです。ですから私どもは、引き続きこの三年間、できれば一年でも二年でも早くしたいのでありますが、三年間のこの抑制期間をしばらく続けさせていただいて——確かにこれは文部省の考え方とちょっとぼくら違いますよ。違いますが、いまの私立大学の経常費の補助の割り振り方というのに、若干ぼくらも単に頭数だけ、あるいは教職員の数だけでやることがいいのかどうか、もう少しその辺に何か工夫があってもいいのじゃないだろうかなというようなことは、党としても考えてみなければならぬことだと思っております。  幸いきょうはそこに、委員の席に渡辺秀央君がおりますが、彼は、いまわが党の高等教育問題の小委員長です。こうした私学補助のあり方という問題も、やはり党としてこれから検討をしてみたい、そして文部省に対して指導もしていきたい、助言もしていきたい、こんなふうにも思っているわけであります。  特に、さっきも申し上げましたけれども、また吉田管理局長の数字の説明もありましたように、確かに支出として大変な伸び方をしたことは事実です。大変な伸び方をして二千八百億、あるいは高等学校以下のものを加えて三千億という声になってきますと、今度はまたいろいろな意味でターゲットにされていることも御承知のとおりであります。最近、第二臨調を初めいろいろなところで、すぐ何かあると私学助成という問題が出てまいります。われわれは、はっきり申し上げて非常に遺憾であります。しかし、それだけ国費が大きくなっていくということは、国民の血税をやはりそこに集中的に配分していくということになるわけですから、当然国としての裁量権を文部大臣に与えることも、また大蔵大臣に与えることも、これは大事だということで、二分の一以内ということになったのも御承知のとおりでありますが、そういう面からいきまして、これからは量的にそう伸びてはいかないだろうと、われわれはやはり政治家でありますから、見通しを立てていかなければならぬ。数字的に総枠が伸びていかなければ、そこへ学部・学科がどんどんふくれ上がっていく、定数がふくれ上がっていくということになれば、当然、果実の分配は少なくなるということになる。そのことがやはり質的な充実と反対の方向に行くのじゃないかという面も、やはりわれわれは危惧をしておかなければならぬ。  そういう意味から言いまして、先ほども触れましたように、高等教育計画というのは、私学においてもかなりわれわれの空気として察知することができるわけでありますから、そういう面から見て、高等教育計画の将来への誘導政策みたいなものもあわせて考えて、さっき申し上げた私学助成の配分のあり方の再検討も含めて、そうしたことをもう少し勉強する、もう少し議論もしてみる、そのことが、いま嶋崎委員の御指摘があった学術会議の基本的な将来への命題ということにも合致することではないか、こんなふうに考えて、まあ遠慮しながら三年ぐらいというところで引き続き抑制をさせていただきたい。こういう考え方は嶋崎先生賛成してくださると私は思うのです。ぜひそういうことで御理解をいただき、御協力をいただきたいというのが提案者の率直な気持ちであります。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 時間が余りありませんから、こっちの方で先に言いますけれども、文部省が高等教育の計画的整備をやった際に、向こう六年間に、昭和五十六年度から六十一年度までの間に進学率大体三七%と見込んで、そして六年間に大体四万人ぐらい学生増ということを見込んでいると思いますが、そうですね。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 御指摘のとおり、約四万人程度の増加分という見込みをいたしたわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 今年度私大審に申請をして、設置審を通ったものは何人ですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 大学設置審議会の関係で今年度と申しますのは、あるいは御質問とずれがあるのかどうかちょっと正確でございませんが、現在二段階の審査をいたしておるわけでございます。二段階の審査で継続審査中、つまり第二年目の審査へ向かうということになりましたもので申し上げますと、五十七年度開設予定ということで審査にかかっているものでございますけれども、大学の新設で二校でございます。短期大学を新設するもの四校、大学の学部を増設するもの六校、短期大学の学科を増設するもの十一校ということになっております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 私の聞いているのは、八一年度について申請が出ている新増設の国公私立の学生数、それがどれだけ認可されたかということが重要なんです。建物だけではありません。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 御指摘の点は、五十六年度設置のものについでの入学定員という御質問でございましょうか。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 申請が出て、設置審を最後に通ったものは何ぽか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 五十六年度について申しますと、大学の新設については五校で六百四十名でございます。短大の新設は四校で五百二十名、学部の増設が四校で千二百六十名、短大の学科の増設が七校で四百九十五名でございます。ほかに定員変更等を含めまして、定員の減もございますので、差し引きトータルで申しますと七千六百十五名でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 正確な数字はわかりませんが、国立の場合ですと大体年間二千人ぐらいずつふやしていく予定でしょう。それで、私立は平均して大体どのぐらいありましょうか。一万四、五千ぐらいの申請があって、実際に設置審で通っているのが三千から五千ぐらいの数字ではないかと私は推定しているのです。年間約四千から五千ぐらいが毎年ふえていっている数字ではなかろうかと思うのですが、そうしますと、今度申請して、二年先に申請したものを審査決定いたしますね、それなどの割合をとってみて、八六年度、昭和六十一年度の目標で文部省が計画的整備で言っているような三六%の進学率に対応した対応にはならぬのではなかろうか。それに合わせた数字の増員にならぬのではなかろうかという気がしているのです。  つまり言葉をかえて言いますと、抑制措置が、恐らく目標として到達する進学率に合わせてこれだけぐらいの人間はふえていかなければならないという数字にいかないことに結果としてならないだろうかということを危惧するわけであります。  その点、いまここでは、もう時間もありませんから、一遍数字をはじいてみて、計画的整備で出した目標に従って、設置審で必要な場合に認可していくことを含めて、いわゆる質的充実問題を考えたときに、逆に目標に達しないということになると、三年間延長するというようなことで枠組みをやることは、あと二年しかないわけでありますから、どういう効果を持つのか、いわゆる質的充実という観点からすると意味がそういうことになるのかどうか、そこにちょっと疑問を感じているわけです。まだ細かな数値は計算できませんから、ちょっと計算して後で御報告賜りたいと思います。  いずれにしても、自民党が今度議員立法で三年間の附則の延長をやった、ところが、それ以前に計画的整備は出ている、計画的整備が出ているのに、自民党立法は三年間のいわば延長をすることによって、皆さんの趣旨説明の中で言っておりますように、高等教育全体の計画的な整備のあり方を検討するというのがねらいだと言っておりますが、恐らくそういうことを含めての問題だと思いますが、高等教育全体の計画的な整備のあり方の検討という意味と、文部省がいままでやってきた高等教育の計画的整備ということで展望を出しているものとの関係について、どういう判断でこれをなさっていくのかお聞きしたいと思います。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  先ほど嶋崎委員から高等教育についての基本的な問題点についての数々の御指摘があったわけでございます。実は私どもといたしましても、いまの私学助成また大学政策全体は、もう一度根本的に考え直してみなければいけないのではないかという観点に立っております。したがいまして、すでに高等教育についての後期の計画が策定されているわけでございますが、できるだけ早い時期に、三年間という期間がこの法律を成立させていただければあるわけでございますが、三年といわず、できるだけ早い機会に、この後期計画そのものを根本的な大学政策の見地から見直すべきである、自民党としてはこのように考えているわけでございます。  その観点はどういう点かと申しますと、一つは、今回の議員立法について国大協等から要望書が文部大臣に提出されてある中で述べられております、たとえば基礎科学、基礎研究の重要性ということを十分考えるべきである、私どもも、そのように考えているわけでございまして、これからの日本の大学政策の中で基礎科学を重視していかなければいけない、それは効率性という問題ではなくて、中期的、長期的展望に立って基礎科学を重視するという政策をとるべきである、そのことと一般的な教育水準の向上という問題、この二つの課題にわが国の高等教育機関がどういう形で対応するのかという基本的な点で、もう一つはっきりした大学政策というものが確立されていないのではないか、これが一点でございます。  もう一点は、お手元に配付をさせていただきました資料をごらんいただいておわかりいただけると思いますが、各県別というふうに細分化する必要はないと思うのですけれども、少なくとも一定のブロック、数県あたりのブロック単位で大学の専門分野別の均衡ある配置がこの際検討されなければいけないのではないだろうか。もちろん、これには大変いろいろな作業上の問題があるわけでございますけれども、これは単に文教政策という問題だけではなくて、当然取り組まれなければならない課題であると考えております。  もう一つは、国公私立のそれぞれの役割り分担というものについても、これまで策定されております計画においては、十分それぞれの位置づけが行われていないのではないだろうか。この点についても、少なくともこの三年間に早急にその方向づけをすべきではないだろうか。  それともう一つは、先ほど嶋崎委員からも御指摘のございました、助成方式そのものについてやはり抜本的な再検討が必要なのではないだろうか。そういう意味では、このまま量的な拡大にこたえていくという中で、助成方式を再検討するということはなかなか困難なことでございまして、ここではやはり質的な充実というところに重点を置いて、若干の足踏みが必要なのではないだろうか。  最後に、もう一つの問題は、先ほど森議員からもお答えを申し上げましたように、人口動態が非常に変化をするわけでございます。これは昭和六十一年、そして昭和六十七年にピークが来るわけでございますが、その後、十八歳年齢人口がまた大幅に減る、そういう人口動態の非常に大きな変化に高等教育機関がどういうふうな形でこたえるのかということについても十分な検討がなされなければいけないのではないか。  こうしたかなり基本的な数々の問題についてのもう少し精密な計画がこの際必要なのではないか、こういう考え方に立って今回の議員立法を提案させていただいているわけでございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 時間がありませんから、文部省の方は省きますが、いま西岡さんがおっしゃったことは、これはまさに自民党の考える私学などについての高等教育のあり方、立法政策上の基本的視点だと思います。しかし、そのような基本的視点というものは、文部省がかつて計画した高等教育の計画的整備というものが現実にあって、それによって一定の抑制をしたことに効果がありと言い、質的充実というものの可能性も出てきていると言っているわけだから、そういういわば立法政策上の問題での高等教育の計画的整備に関する基本的視点ということであれば、何も附則十三項を延ばすとか延ばさないとかいうことと関係なしに検討できることだと私は思います。  時間がありませんから、後の委員に譲ってまいりますけれども、現行法というのは、本法である私立学校法の五十九条に基づいて助成法などを決めて、同時に、監督規定というものを第二章などではつまびらかにしているわけであります。こういう一連の私立学校法という本法とそれに基づく助成法は、ある意味では消極的なもので、積極的な意味というのは、憲法、教育基本法から来るものだと思います。憲法、教育基本法では、要するに国民の教育権というものが前提にされるから公共性を前提にして助成が出てくる。第一条で言っておる自主性というのは、国民の教育権に関連して出てくるのだと思いますが、同時に、監督規定その他でもっていく考え方というのは、これは公共的なものだから監督が必要になる、国民の税金を使うから監督規定が必要になるわけであります。しかし憲法の、ある意味では国家の国民の教育権に対する保障義務としてこの助成が考えられているわけだし、そういう前提に立って、権利としての私学助成の法理論上のいわばたてまえというものが積極的な規定として背後にあると思います。  細かな法理論は時間がありませんからやめますけれども、つまり憲法があって、私学に関する本法があって、いろいろなそれに関する助成の規定、次の新しい法律ができてくる。こういう全体の体系の中で考えていったときに、この私立学校法という本法第一条に言うところの自主性と公共性ということを加味した上で、現に監督規定その他を設けながら、質的充実に対しては、法並びにその省令などの発動によってコントロールできるという可能性があるからこそ、この私立学校法の助成の意味というものは規定されてきたのだと私は考えているわけです。  ですから、基本的な議論は後の委員に任せることにしますけれども、いま西岡さんが申されたような大学政策の基本に関する問題は、附則十三項を延ばすか延ばさぬかということと関係なしにできることであり、そして附則十三項を三年延ばしたから、早いうちにそういう精密な検討をやれという意味で言っても、恐らく三年じゃ全くできない、結果としてもっと時間のかかる問題ではないかと思うのです。  ですから、助成法ができた当時われわれが反対いたしましたように、附則十三項の議員立法による延長というのは、おっしゃることとその宣言的な意味はわかるけれども、教育行政的な法理論からするとちょっとおかしいという印象だけ申し上げておきます。  時間がありませんけれども、国立学校にどうしても触れておかなければなりませんから、最後に国立学校に触れますが、国立学校設置法にも今度は附則をつけられた。国立学校設置法という法律は、御承知のように設置法ですから、場所と名称、それで個別具体的に設置していくという法律であります。こういう法律でまた三年間の、ある意味の量的拡大を抑止していくという規定をつくっていますけれども、文部省、この三年ほどの間に、いま調査費がついていて三年以内に発足しようとしている諸大学、もう時間がありませんから簡潔に言ってもらうとして、それに対して、必要がある場合と認めて全部を認め、また必要がある場合を適用して、今後とも、新増設の要望の出ているものについて対応していくということになるのですか、ならぬのですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 現在創設準備等の経費を措置しているものについて申し上げますと、創設準備経費を措置しているものは、短期高等教育機関、これは高岡市でございますが、それと三重大学の人文学部。創設準備調査経費を措置しているものとしては身体障害者高等教育機関、これは筑波大学でございます。それから九州工業大学の情報工学系学部でございます。ほかに改革等調査経費を措置しているものが幾つかございます。  なお、今後の取り扱いについては十分慎重な対応を要するものと考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 大学の調査経費を措置しているものはいま聞いたのですが、これには大体順位というものがついていますけれども、いま三年の枠を決めた場合に、こういう措置をしているものについては、いまの附則十三項を国立学校設置法につけるということとどう関係しますか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 これは絶対につくってはいけないのだということではないのであって、先ほど申し上げたかどうかわかりませんが、できるだけ抑制の方向で進めてもらいたいという訓示的なあるいは宣言的な心構えをする、そういう法律であるという考え方を持っております。したがいまして、法律の中にも書いてございますように、設置審等の意見を聞いてということで、この辺の専門的な方々の意見を聞きながら文部省は対応していく、こういうことで問題はないというふうに私は考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 大体八割が私立で、国立が二割ですね。六〇年代からずっとつくってきた国立はみんな理工系中心なんですよ。地方の大学は文科系ということで非常に跛行的な発展になっているわけです。だから、国土庁の都市計画とも関連して、今後とも地方の大学を総合大学にしていくという大変基本的な施策は貫いているわけです。現在までいろいろな文科系の大学を地方で拡大し、新しい学部をつくってきたのもそういう意味ですね。  そうしますと、いままで、ある意味では私立に文科系を頼んで、国立は理科系中心にやってきて、国立大学の総合的性格にゆがんだ構造が出ているのを是正しなければならぬというのが早急な課題であります。そういうときに、国立学校設置法という法律にこういう宣言的規定をつくるというのもなじまないことで、本来無意味なことなんです。というのは、一々法律で国会で承認を得なければならないことですから、そんなものに最初から枠をつくる必要はないので、計画的にこれこそ動かしていけばいいわけであるし、国の財政事情だって国のことですから全部わかっておる。したがいまして、そういう大学側が国民の教育要求にこたえて、今日、国立大学として果たさなければならない大学のあり方にゆがみがあるということについて多くの要望がある、これは現実だと思います。そういうときに、国立大学も私立大学と何か合わせたみたいにしてこういうなじまない枠をつくるというのには私は反対であります。  そういう意味で、もっと深い議論は後の委員にやっていただくことにいたしますが、では、こういう宣言的な条項を皆さんがおつくりになるのならば、これから国立学校の設置等に当たっては、少なくともこの三年間は与野党が一致する大学以外はつくらないということになるわけですね。自民党、文部省それぞれから、特に自民党……。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 国立学校の設置については、それぞれ法律案を国会に御提案申し上げまして、国会の御審議を経てつくられるべきもの、かように考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 それだったら、何も要らぬじゃないですか。いままでどおりなんじゃないですか。ここで三年間抑止するという意味は、国立大学においても学部の新設並びに新しい大学を創設したりすることについては、私立大学のように設置審では一定程度の厳しいいわば対応をしていくということが前提にならなければ、つける宣言的な意味はありません。これをつけた以上は、本当に与野党が一致するような国民的コンセンサスを得るものからやるべきであって、そうでないものについてはしばらく差しおくというふうに考えなければ提出の理由にはならぬと思います。いかがですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 率直に申し上げまして、私大側にこの三年間の抑制を引き続きこれまでの五年と合わせてがまんをしていくという、わかりやすい言葉で言えば、そういう措置をしてきたわけでございまして、引き続き三年間お願いをするということであれば、やはり先ほど嶋崎委員もお話になりましたように、私大側にもいろいろ意見があるわけですから、高等教育全体の考え方を、いま西岡議員からもお話を申し上げたように、早急に取りまとめをしたいということであれば、その間、国立大学もそれに呼応してそういう心構えをしていただきたいという意味であります。  したがって、いま与野党合意でなければしちゃいかぬということにはならないのであって、先ほど申し上げたように、私どもは、地方の大学を充実することは大賛成であります。また、文科系あるいは技術系統とのいろいろ格差的な問題、それから現実に、先生も御承知のとおり、東大、京大が、やはり予算の配分から言っても集中的に行われていることも事実でございます。  そうしたことをいろいろ考え合わせてみますと、やはり地方の大学の学部総合化ということを目指しながら充実させていくことは、これは全くこの法律と矛盾をするものではないというふうに私は考えておりまして、大学自体にみずからそうした新しい学部・学科等の考え方があって、それを文部省が受けとめて、そして、それが設置審等の意見を聞いて、全く妥当性のあるものならば、われわれは何ら反対することはないし、そして政府・与党という立場から言えば、これが国のためになり、将来の日本国を支えていく大事な教育の基本的な問題を充実させていくことにプラスであるとするならば、わが党は積極的に進めていくことも決して矛盾ではないというふうに考えておりますから、でき得る限り与野党合意をしていただくことは、国立学校の学部・学科が誕生する意味においては大変ありがたいことでございますが、必ずしも与野党一致するものでなければこれは出せないというものではない、私どもは、そのように考えております。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 ちょっと資料を要求しますけれども、ここ十年ほどとった方がいいかな、筑波大学ができてからです。筑波大学ができてから今日まで新構想大学というものに毎年入れてきた金が、その全体の国立大学の中の予算にどのような影響があったかというやつを数字で出せますか。筑波大学以来、新構想大学、たとえば単科の医科大学をつくってきましたね、それから教員養成大学をつくってきましたね、そういう一連の大学に国がずっと投資をしてきた、その投資が既存の大学を含めて文部省全体の大学予算の中で、そういうものに投資することによって既設の大学の学部増設ないしは予算の伸びその他に何らかの影響があったかなかったか正確なことが知りたいわけであります。そういう意味でちょっと時間もかかるでしょうから、この資料を提出していただきたいと思います。  もう一つは、国立大学の場合に、いま森委員からも意見がございましたけれども、現在放送大学もかかっております。これは大変問題のある法案であることは御承知のとおりであります。そういうことを含めまして、こういう国の経費の節約を念頭にして行政改革の政治的アピールみたいな宣言をこしらえて、国立学校設置法という法律になじまないものをこしらえて、そうして私立大学並みに国立もえりを正そうという宣言的な意味はわかるけれども、こういうことは、さっき大学局長が言われましたように、一つ一つ個別の大学並びに学部などについては法案を提出して解決していく性質のものが国立学校設置法の趣旨でありますから、そういう意味で、そんな附則で枠をつくる精神的訓示規定みたいなものを設けようというならば、これこそ与野党一致の立法府の意見を尊重しつつ必要なものからつくっていくということを考えて、むだなものには金をかけぬということで当面対応すべきだと私は判断をいたします。  今後また、特に国立大学協会の意見は十分に聞かれている様子がないようでありますから、参考人として国立大学協会や私学の方々を招いた上で、今後とも一連の問題について討議を深めていただくことを要望をいたします。大臣、一番最後に私が問題にしたことについて大臣の感想はいかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 いままでいろいろと御審議をいただきましたが、今回の自由民主党の御提案なるものが、少なくとも私大に関する限りは、御案内の後期の計画とその考え方を一致するものでございまして、その点は、また相関連いたしまして、国立大学とも同じ基本的な考え方で両々相まっていくことがいいのではないか、さらにまた当面いたしました非常に厳しい財政状態にも相関連いたしまして、われわれ政府といたしましても、文部省が従来唱えてまいりました趣旨と一致するものであるというような考え方で今日の御提案を迎えておる次第でございます。

嶋崎譲日本社会党

○嶋崎委員 回答になりませんが、まあこれで終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 法案の質疑に入るわけでございますけれども、その前にちょっと伺いたいことがございます。  最近、試験問題が転用されたといいますか、山口大学の医学部の教授の方が国家試験に御自分の方の試験問題を転用されたという事件がございました。また、ごく最近、国立滋賀医科大学の教官が受験生のところを訪ねたとかいうことで問題になっておるようでございます。ゆがめられたといいますか、エスカレートしているといいますか、こうしたような受験地獄の一つの現象、これは非常に憂うべきことであると思うわけでございます。  この際、大臣のお考えになっておりますこと、あるいはこれに対して今後どのような措置をおとりになっていくか、どのような御決意を持っていらっしゃるか、その辺を承っておきたいと存じます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 毎日毎日、内容は異なりますが、一連の大学の問題が不正事件として取り上げられますことは、まことに残念でございます。とうとう私のところまで来たかというような感じがいたしまして、どうも弱っております。  けさも閣議で、今度は山口県に来ましたと言うて、報告かたがた申したのでありますが、また新たに滋賀が同じようなことでございます。もちろん、これは厚生省の所管の医師の試験でございまして、文部省所掌ではございませんが、しかし何はともあれ、その山口大学の教授が、他の試験でありましょうとも、同じ問題を出題いたした、これはとり方によりますれば、便宜供与とも見られかねないような重大な問題でございますので、非常に残念なことでございます。昨日、厚生省の方に出頭をいたし、また文部省の方にも連絡をとってまいったようなことでございますが、山口大学に関しましては、本日帰りまして、学長との間に報告なり何なりいたしておるように漏れ聞いております。  しかしながら、本当に一番神聖視されております学問の府におきまして巷間問題となるようなことがありますことは非常に残念でございまして、結局、社会的な信用を落とすということを、それが最高学府であるだけに憂慮いたしておる次第でございます。もちろん、厳正な姿におきましてこの問題を処理しなければならない。同時にまた、あに大学のみならず、すべての学校が、倫理観と申しますか、かりそめにも指弾されるようなことがないように特段の注意をいたす所存でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 私ども憂えますことは、こうした正不正という倫理的な問題でございます。国民が一番期待しているのは、有能ないいお医者さんが出てもらいたいということでございまして、こういう受験の問題と実力の問題というのは、高等教育一般に言われるというか問題にされなければならないことでございます。特に今度は厳正な措置をおとりになるということでございますけれども、それはどこまでも本当に有能なお医者さんをつくり出していくというその方向を見誤らないようにひとつお願いを申し上げたいと思うわけであります。  それでは、森喜朗君、谷川和穗君、中村喜四郎君、三塚博君、西岡武夫君御提出の私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、時間の許す限り審査をさせていただきます。  それで私、三つの方面から質疑をしたいと思うのですけれども、第一番は、この法律の効果がどのように及ぶのか、これは法制上のやや形式的な問題にかかわるかと思いますけれども、これが一つ。  第二番目は、あえてこの立法措置をとられました御趣旨は、先日もこの提案理由として御説明をいただいたわけでございますけれども、その真意のほどと申しますか、自由民主党の皆さん方の政策上の何か背景といいますか、そういったことについて少し詳しくお話しもいただければよろしいかと思います。  それから、特に高等教育の計画的整備ということについては、先ほど来お話がありましたけれども、大学設置審議会ないしはその前の高等教育懇談会というようなところで御議論をいただき、その報告がある、それを土台にして動いているというようなことでございますけれども、それがどの程度本当に合意されておるのか。われわれとしても、それをよく方向を見定めてからやるべきじゃないかというようなことを平素考えておりますので、大ざっぱにそういった三つのところで承りたいと思います。  そこで最初に、法制局は来ていらっしゃいますね。——本法案の特に第二条の国立学校設置法にかかわる附帯決議の問題でございますけれども、提案理由によりますと「国立大学の設置等を昭和六十年三月三十一日までの間抑制する等の必要がある。」という、つづめればそういった理由でございますけれども、こうした理由のためにこの立法の措置がどうしても必要な措置であるかどうか、あるいはこの立法措置を行わなくても抑制等の必要に対応できる可能性があるのじゃないかというようなこと、これについて承りたい。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 ただいまの有島先生の御質問は、第二条の国立学校の設置法の一部改正につきまして、国立大学等の設置等、こういうものにつきましては、国立学校設置法の改正ということが本来なされなければ設置、廃止等ができないわけでございますから、ここに書かれた意味はどういうことなのか、こういうことを書かないとどうしてもだめなのかという御質問と承りましたが、国立大学の設置等につきまして今後三年間抑制しようとする立法者の意図というものは、いろいろな方法で宣明することができるかと思います。附帯決議というような方法もございましょうし、ほかにもいろいろな方法があるかと思いますが、少なくとも今後三年間、国立大学の設置等につきまして抑制していこうという意思は、立法をもって宣言することが一番素直じゃないかと考えられますので、このような法形式をとられたものと思っております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 私が法制局に承りたいのは、この理由のためにこの立法は不可欠な措置であるかどうかということなのです。それは不可欠ではない、そういうお答えでしょうか。もう一遍はっきりお答えいただきたい。どれが素直であるとか素直でないとか、そういう価値判断ではないわけです。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 お答え申し上げます。  こういうことが不可欠であるか不可欠でないかということを事務当局からお答えすることはいかがかと思いますけれども、あえて御質問でございますれば、こういう方法が一番よい方法じゃないかと考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 二番目、三番目、四番目といろいろあるということになるわけですね。  そういたしますと、ぼくの聞いているのは、どうしても不可欠な措置ですかと言ったわけですよ。あっさり言うと、不可欠ではございません、こうなりますか。そう伺ってよろしいか。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、不可欠であるかないかというような問題でなしに、こういう立法をすることは、先ほどから申し上げておりますように、今後三年間、国立大学等の設置につきまして抑制措置を講ずるという意思を表明する方法としては一つの方法かと考えておるというわけでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 ちょっと法制局、私がここで問題にしているのは、この述べられている理由のために、この立法措置がどうしても不可欠なんですかと聞いたんですよ。そうしたらあなたのお答えは、これは後で記録を見てもいいけれども、そういう問題ではなしにと、こうおっしゃったわけだ。ということは、有島は何を言うのか、こういう感じに受け取られては困ると思うのです。ではないのだろうと思いますよ。どうしても不可欠なんですかと聞いているわけだ。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 お答え申し上げます。  先ほどちょっと私が申し上げましたように、国立大学の設置等をいたします場合には、先生ももちろん御案内のように、国立学校設置法の改正をいたさないと、国立大学を設置したり廃止したりすることができないことは言うまでもございません。したがいまして、この法案の意味合いは、先ほど提案者の方からもお話がございましたように、今後三年間は国立大学の設置等を抑制していこうという宣言的、訓示的な意味合いの規定を設けたということでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 わかりました。どうもむずかしい。真っすぐに来ない話なんだけれども、不可欠ではない。その上で、ぼくは内容を聞いているのじゃないのです、内容はこちらに聞くのだから。いまその手続上、法体系といいますか、法制上そういったことは不可欠ですかと申し上げているのだ。ほかにも方法がおありになるということを言われました。それから、これが一番であろうと存じますというような話がございましたから、複数のうちの一つであろう。だから、これは不可欠ではないと仰せられているのであろう、こうぼくは思うのだけれども、そういう判断は間違いですか。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 先生のお考えは、私は、間違いだというような立場にはもちろんございません。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 それで、こういうことでございますけれども、今度は自民党さんの方に伺います。  それで、この立法措置があると、意図されておりますような抑制等のことがよく充足されるのかどうか。あるいはこれがなくても結構抑制等の必要は行い得るというように私ども思うのですけれども、皆さん方は、どうしてもそれが必要だというように、突き詰めていらっしゃるのじゃないかと思うのですが、その辺のところを聞きたい。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 先ほど嶋崎さんから御質問をいただいたときにも申し上げたのですが、できれば抑制のこういう法律を出さない方がいいに決まっているのです。何とか出さない方法で、いま法制局第一部長からもお話があったように、いろいろな方法があると思いますが、しかし、この五年間、私学において制限法をつくっておいても、現実にはかなりの大学あるいは短大あるいは学部・学科の定員増というのは行われているわけですね。それも先ほど申し上げたように、絶対しないということではないわけで、国の方向あるいはまた先ほどもちょっとお話に出ていましたけれども、地方の大学の充実を図っていくとか、全くその分野、部門の大高等教育機関がないところなどには、これはむしろ積極的に進めた方がいいわけですから、絶対ということはないわけですね。  ただ、先ほど申し上げたように、私どもは、私立学校振興助成法というものを議員立法でつくって、皆さんのお力添えをいただいて制定をして、いまかなりの効果は上がってきているわけです。この額が上がって三千億を超えるというような形になってまいりますと、確かにいろいろな問題が出てまいりますし、第二臨調のことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、にしても、財政再建だとかいうと、とにかく補助金の問題が出てくる、そうすると必ずこの私学の金が出てくる。これは文部省が言うことではなくて、私学助成法という法律をつくったわれわれ議員が、その責任者として、こうしたことがターゲットにされるということはかなわないわけですね。しかし、現実の財政の状況から考えていけば、やはりみんなで果実を等しく分けていくという考え方をしていかなければならない、こう思うと、ひとつここで三年間延ばしておいて、そしてどんどん乱造されていくという空気は防いでおきたい。それは訓示規定でやったり、省令でやったり、いろいろな方法はあるかもしれませんけれども、法律があってもなおかつこうやって出てくるわけですし、それから条件が整って、きちっとしたものであれば、それこそ文部省は認めざるを得ないわけですから、そういう意味から言えば、法律でこういう構えをいたしておりますという、さっき私は宣言だとか訓示的なものだ、こう申し上げましたが、こういうことがあることによって、大学人みずからがいろいろな意味での抑制力になっていくのではないか、このやり方が一番私どもはベターだ、こういうふうに考えて、引き続き延長をさしていただきたい、こういうことが趣旨でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 まだ内容論にまでぼくは入っていないものですから、こういった——でも、まあ、内容と形式というのは連動しなければならぬことでしょう。だけれども、一般論として「法三章」なんという言葉がございますね、漢の高祖が秦を滅ぼしたときに、こう何か言ったとか誤とかいうのですが、法律がたくさんあることがいいのか、少なければ少ないほどいいというわけにもいかないかもしれませんが、立法府のわれわれの大体の構えとして、法律というのはなるべく少ない方がいいのではないかという感じはいたしますけれども、その辺は一般論としてどうですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 法律がない方がいいに決まっていますけれども、やはり法治国家ですかち、こうした法律があるということが心の一つの歯どめになるのです。先生だって御存じでしょう。やはり大学、これはもう全部——本当に一般論ですよ、ですから、私立大学なんかでも、ちょっと経営が苦しくなるから、もう一つ学部をつくろうかとか、学科をもうちょっとつくって人をもうちょっと集めなければいかぬとかというような安易な形でやっている大学もないとは言えないですね。そういう意味から言えば、この法律があって、これ以上こうできないのですよということで、やはり文部省としてそういうものがなければ指導しにくい面があるのではないでしょうか。これはもう率直な話です。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 少ない方がいいのだ、これはいま合意したわけだから。少ない方がいいにもかかわらず、やはりこういった措置をした方がいいのじゃないですかということは、現にこういったことは、やはり相当有効であるという御判断がおありになったと思う。それなんか、余りまだよくわかってないんですわ。  それで、こうした精神的といいますか、宣言といいますか、的な法律ということですな、立法府、われわれの気持ちを、それほど、あってもなくてもいいようなと言っては悪いけれども、そういう法律措置、特にこの附則というようなことでもって表現するというようなことは、その先例がいろいろとあるわけですか。あればちょっと教えていただきたいのですが、これは法制局でも結構です。

上田章衆議院法制局第一部長

○上田法制局参事 お答え申し上げます。  いま先生がおっしゃいますように、附則でもってこういう宣言的な規定があるかというお話でございますけれども、これと全く同様の立法というのは、ちょっと私もいま思い当たりません。  ただ、先生ももちろん御案内のように、訓示的、宣言的規定というのは、各種立法にいろいろあるわけでございます。たとえば一番その基本的なものといたしましては、各種の基本法などは、いわゆる本来の法規範という意味合いからは、昔から言いますと少し外れた規定だというようなことが言えるかと思いますが、基本法、これと同じと考えるかと言われますと、前提に申し上げましたように、全く同様のものというようなものは、いまのところ、私も、ちょっと思い当たりません、そういうふうにお答え申し上げます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 お聞きのとおりでございまして、こうした先例はないんですよ。基本法は、ということは確かにある、しかし、これは基本法というほどでもないのだし、ですから、ぼくは提案理由の御趣旨というものは、これからいろいろ話をしていきたいと思いますけれども、この措置にしても、もう少し何か考えられるのではないのだろうか。さっき法制局からもちょっとそういった御発言があったようですけれども、決議というようなこと、こういう行き方もあるのではなかろうかと私は思うわけです。  それで、この法律によって影響を受けるのは、一体どこが影響を受けるのか。ぼくたちは、立法府の立場では、行政府をそれによって拘束する、あるいは督励するというようなことであろうかと思うんですね。自分たちの何かビヘービアをやることを拘束するというようなものではこれはないのであろうというふうに思いますが、それでよろしいかどうか、これが一つ。  それから、文部省が特に国立学校の設置にかかわっておることだけに限っていまこれから聞きたいわけだけれども、こういう附則をつけることによって相当制限をされますか、受けますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 国立大学の整備充実ということにつきましては、文部省としましては、これまでも先ほど御指摘のような前期計画、後期計画というようなものの趣旨に沿いまして、質的充実に意を用いましてやってまいったわけでございます。  そういう意味で、たとえば医科大学等の目的要請に資するものとか、あるいは特に地方の国立大学の整備充実につきまして、地域の収容力や専門分野構成等に配慮しながら真に必要なものについて検討の上対処してきたものでございます。  今回の法案は、基本的には従来の方針と方向を一にするものと考えておるわけでございますけれども、文部省としては、国立大学の設置等について、今後とも、大学設置審議会の検討に即しながらさらに慎重に対処してまいりたい、かように考えるわけでございます。  したがいまして、規定から申しますと、手続的に言えば、先ほど法制局の方からも御説明がありましたような訓示的、宣言的規定であるとともに、文部大臣が特に必要があると認めるに際して大学設置審議会の手続を経るというような点でさらに慎重な手続を要することになったもの、かように考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 これも何かよくわからないけれども、国立学校設置法に今度附則がついたとしますよ、この数行の法律が加わる、そうすると来年の国会も政府提出でもって国立学校設置法一部改正という法律がきっと出るでしょう。もういまからいろいろな御予定がおありになるのじゃないですか。その法案は、ほとんど例年と変わりなく提出されるわけですね。何かそこで今度からやかましく大学設置審議会の方に特にまたやるということになると、いままではそれをいささか抜かっておった、こういうことになりますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 従来でも、大学の設置等につきまして大学設置審議会等の意見を事実上聞くというような手続は経てまいってきておるわけでございます。今回、この附則が入ることによりまして、法律上大学設置審議会の意見を聞いて特に必要があると認める場合を除きこれを行わないという規定になったわけでございまして、法律的にそういう手続を経るということが必要になったということが言えるわけでございますし、具体的な事務の進め方から申しますと、たとえば大蔵省に対して概算要求を出す前に設置審議会の意見を聞くというような事柄が必要になろうか、かように考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そうすると、従来とちょっと大蔵折衝との順番が変わってくる、そういった効果がありますということですか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 従来からも大学設置審議会には意見を伺うということで対応してきておったわけでございますが、ただいまもちょっと申し上げましたように、その時期が概算要求を出す事前の段階で設置審議会の意見を聞くということが必要になってくるという点が、やはり手続的な面で異なる点が出てまいるかと思います。その点は従来よりもより慎重にするというような意味合いがあろうかと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 次は、私立学校法の一部改正についてですけれども、第一条の附則第十三項がことしの三月三十一日で切れてしまって切れっ放しだといたしますね、そういたしますと、認可を抑制していくことが大変しにくくなるかどうか、これは文部省に伺います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  五年間の抑制措置は、御案内のように去る三月三十一日をもって一応切れたわけでございます。したがって、いまはこの新しい法案が成立しないまでの間はいわば空白の期間となるわけでございますけれども、すでに高等教育計画の報告の中にもございますように、後期の六年間におきましても、前期の五カ年間の計画と全く同趣旨によりまして引き続き抑制する必要があるということをうたわれているわけでございますけれども、その線に沿いまして、すでに文部省といたしましても、私学の関係団体等にその趣旨を十分に徹底しているつもりでございます。  したがいまして、私学側におきましても、この空白期間が生じたからといって、直ちに一斉に申請が殺到するというような事態にはとうていならないというふうに考えているところでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そうすると、別になくなっても認可の抑制のブレーキが急に飛んじゃって暴走するというようなことではないということですね。だから、こういった附則十三項がなしでも認可の抑制ということは可能であるというふうに承ります。  そこで、これも文部省の管理局長さん、このいままでの五年間の附則十三項というのが生きていたわけなんですけれども、もしこの五年間にも、この附則がなかったならば、かなりひどいことになっていたであろうかどうか、これはどうでしょうか、ちょっと仮定の問題だからお答えできませんと言われるかもわからないけれども。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 大変むずかしい仮定の問題でございますので、明快なお答えはできないと思いますけれども、仮にこの五カ年間の抑制措置が立法的に行われなかったとするならば、やはりその前の数年間の傾向と大体似たような申請件数はあったのではないかと思われますけれども、御案内のとおり、昭和五十四年度並びに昭和五十五年度と両年度にわたりまして、かつては進学率が三八%をやや超えておりましたものが、両年度三七・四%にとどまった、そういうようなところから判断いたしますと、もしこの抑制措置がなかったといたしましても、それほどたくさん申請件数が殺到したであろうというふうに考えるのは、かなりむずかしいのではないかというふうに思うわけでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そちらからのデータをいただきましたら、昭和五十三年には申請が五つあった、認可したのが三つ、却下したのが二つ、こういうことになりまして、五十四年度は七つの申請があって、認可したのが五つ、却下が二つ、五十五年度が申請一つ、認可が一つ、そして五十六年度が申請が五つ、認可が五つ、こういうふうになっているわけですね。  だから、この四年間のことといいますか、足かけ五年間で十八件あって二件だけが取り下げられた、そうすると、量的な拡大の抑制ということにこの十三項がそれほど深い影響を与えていたかどうか、これはちょっと疑問であるというふうに思います。  そこで、法律の効果がどんなふうに及ぶかというような法制上の形式上のことは、これは疑問を非常に残しながら、法律措置でなくてもいいのじゃないかという印象がまだ抜けておりませんけれども、この辺で終わります。  にもかかわらず、自由民主党の皆さん方がこうした立法措置をどうしてもとって表現したいというその御真意ですね。それで、教育全般にわたってもそうですけれども、特にこの高等教育ということについていまいろいろな措置をしていくその教育効果というものは、十年、二十年後に響いてくるわけでありますけれども、どんな方向を目指して、どんな世の中をつくりたいからこういう教育をしていく、どういう教育でなければならないからこういう高等教育体系をつくっていく、そういうようなお考えがおありになるのじゃないかと思うんですね。そういったお考えの一端をお聞かせいただければありがたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 いま仮定の問題だということで管理局長と有島先生のやりとりがございました。確かに申請が五つあって認可されたのが三つであるとか四つであるとかいう数字になれば、その法律があったことがよかったのかどうかという議論になるかもしれませんが、やはりこの法律があるから無定見に——無定見にと言うと、大学の方に怒られるかもしれませんが、学部・学科を増設していこうという、そういう心のブレーキの役をしたことは、私は間違いないと思うのです。  これは先生方のところにもあるかもしれませんが、ぼくたちは与党ですから、現に最近各地方で、あるいは県などで、大学の誘致だとか大学を増設してほしいとか学部をつくってほしい学科をつくってほしいという要求は、予算時期になりますとものすごいですよ。名前を具体的に挙げられませんけれども、こんなところの山の中の村長さんが何で大学などとおっしゃるのかなというふうに思うこともありまして、お話の背景を聞くとなるほどなということもあるのです。ですから、そういう空気は相当ございます。  もう一つは、高度経済成長からこういう経済情勢になって、当時の政治的な問題として工場誘致ということが世間には非常に多くございましたが、いまの産業の伸びの観点からそんな工場誘致がもうできなくなった。ですから、そういうことが案外安易に大学を引っ張ってこようとか、このことも悪いとは言わないんですよ、そういう考え方がずいぶんあるのです。これは嶋崎先生なんかも御存じですが、私どもの選挙区などでも、結構そんな話がございます。工場にかわって大学をなんという考え方から来られると、先ほど申し上げたように、資産の問題から面積の問題から教授陣の内容、そういう条件を全部整えてくると、文部省はこれを認めざるを得ないわけですよ。  ですから、それをどう抑えるかということになると、訓示規定や省令ではなかなか抑えにくい面があるということを、私は文部省の関係者の意見を聞いてもそういう声を耳にいたします。そういう意味では、こんな法律がなくてもよかったのではないかというお考え方を有島先生はとられるかもしれませんが、ぼくたちは、この法律があったればこそ、この程度の形で抑えられてきたのではないだろうかと思うのです。  現にぼくたちがこの法律をもう一遍出すということの前に、先ほど嶋崎先生から、ずいぶん長いじゃないか、いまごろになってというお話があったときに申し上げたのですけれども、いろいろな方面から意見を聞いてみましたが、この法律が切れるから学部をつくろう、学科をつくろうという声はずいぶん聞きました。現に、これも名前は言えませんが、ある医科大でしたか歯科大でしたか、やはり文部省へ持っていって、何が何でも受け付けろというそんなこともあったのです。本来言えば、文部省としては、それを受けられませんとはなかなか言えないんですね。  ですから、そういう意味では、先ほど申し上げたように、私立学校助成法というこの法律に基づく膨大な私学援助という果実をいい意味で分配ができ得るようにするためには、この法律による歯どめがあったことが大変いい効果をあらわしてきたと私は思うのです。これからいよいよ厳しい財政の状況になっていくならば、本当に質的な充実の方に向かわせるためには、もちろん配分の方法等は午前中の嶋崎委員とのやりとりの中でわれわれの考え方も若干申し上げたわけですが、むしろ引き続きこの法律があることが、いろいろな意味で行政を進める上でいい結果をもたらす、こういう判断をして再延長をお願いいたしたものであります。  国立大学のところでの議論もいまいろいろございましたけれども、私どもは、国会の審議権や発議権を制約するという考え方は全く持っていないので、財政再建をやっていく期間の中は、国立大学の新増設についても、私立の皆さんも、これだけの制約を受けているのですから、そういう心構えでいてほしいという、あくまでもそういう意味での宣言、訓示的規定である、こう私は申し上げたわけであります。  今後、どういう方向でどういうふうにおやりになるのかということも、先ほどのお話の中にあったようでありますが、先ほど嶋崎先生のお話の中で西岡委員からも考え方が述べられました。私と違っておるとまたいけませんので、どういう考え方をしておるのかという御質疑があれば、西岡さんからお答えをしていただきたいと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 いまの森さんのお答えですけれども、私も非常によくわかります。いろいろなコネが文部省に押し寄せてくる、それを防ぎとめる一つの外堀みたいな機能を果たしたであろうということは、大体察しがつきます。ただ文部省は、何分この法律がございますのでというような言い方でもって外堀にするということもある。しかし、いまのお話を聞いておりますと、与党の諸君のところにはかなりいろいろな話が直接来るらしいな。それはぼくたちのところにも来ないわけではないけれども、余り権威がない。まあ、いまの話は別にしても、そういうことがある。  そうすると、この法律は、文部省の外堀というよりも、むしろ与党の諸君の防波堤といいますか、規制をするというか、そういう効果が相当あったのだろうなあという感じが正直なところするわけなんです。それであるならば、何分国会決議がございますのでという答え方の方が、本当は権威があるのじゃないのだろうかと思うわけですよ。いかがですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 私は、一般論を申し上げたので、果たして大学新設あるいは学部・学科増設なんかあるかなあという疑念なども、さっきの有島先生のお話の中に若干ありましたから、予想される面としてのそういうこと、それは私、与党の文教部会長をしていますが、与党だから来るとか野党だから来ない、そんなことはなくて、そういういろいろなところで大学をつくりたいな、誘致をしたいなという空気を察知することができる、私はこう申し上げたわけです。  ですから、この法律がなければ恐らくばっと来るのじゃないかなということを感じます。それから役所としてこの法律があるからということでセーブするのではなくて、やはり大学人には見識があるのです。大学人みずからこうした法律があるのだということが自分たちの心のブレーキになるというふうに私は思っております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 それで、決議の方が一層いいのじゃないかと言ったのですけれども……。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 先ほどからいろいろ申し上げましたように、いろいろな方法はあるのかもしれませんが、私学助成法ができた五十年七月のときに、もちろん私立だけでしたけれども、この制限項目を制定したことが大変効果があった、よかったというふうに私たちは判断をしておりますから、これを引き続きあと三年、財政再建の期間中、念のため申し上げておきますが、この財政再建期間中というのは、党が考えたことで文部省が言っていることではありませんが、この期間中引き続き延ばさしていただいた方がいいという判断をさせてもらっている。同時に、私学に対していろいろ意見を聴取したときに、こういう考え方に対して不満の方もあるようでありますから、私学だけにブレーキをかけているのではなくて国立にも、私ども具体的な高等教育計画というものを文部省で調べてみましたが、この三年の間そう実害がない、そういう判断をしておる。そして、これから総合大学にしたいとか地方の大学の充実を図りたいといういろいろな考え方が出てくると思いますが、私は、午前中申し上げたように、地方の大学が充実していくことは、まことに結構なことだという判断をいたしておりますから、そのことは当然、設置審等の意見を聞いてでありますが、よければぜひ進めてあげていただきたいな、そんなふうに思っております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 それでは、先ほどの質問の後段になりますけれども、自由民主党としてのこうした措置をどうしてもとっていきたいという真意といいますか背景といいますか、そのことについて質問させていただきたいと思います。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  先ほどの嶋崎委員の御質問にお答えしたことと重複をすることになるわけでございますが、もともと私学振興助成法を制定するに当たって、私学法附則十三項において制限規定を設けましたのには、ただいま森議員から御説明申し上げました意図と、もう一点は、当時、五年間の時限立法という形で抑制措置を行うということを決定いたしましたのは、五年の間に、これからの中期的、長期的な展望に立ったわが国の高等教育のあり方について基本的な政策を遂行していく考え方というものを固めるべきである、五年間に、これから盛っていくかなり詳細な高等教育政策というものを立案すべきであるという意味が政策的に実は込められていたわけでございます。  もちろん、大学設置審議会の大学設置計画分科会の報告としてまとめられております「高等教育の計画的整備について」という、これから後期にわたっての整備計画については、その作業の御労苦、また内容については、私どもも多とするところがあるわけでございますけれども、先ほど嶋崎委員の御質問にお答えを申し上げましたように、もう少し突っ込んだ高等教育についてのあり方、いわば哲学とでも申しましょうか、そうしたものが確立されなければならないのではないか、また国公私立のそれぞれの役割り分担もこの辺で明確にしておかなければいけないのではないだろうか、また日本民族の学習と申しましょうか勉学に取り組むエネルギー、意欲というものは、まさに日本のエネルギーの源泉であると考えるわけであります。  そういう意味では、長期的に高等教育機関がたくさん整備される、量的にも拡大されるということは一きわめて望ましいことでございますけれども、そのためにも、いまこの時点においては質的な充実がまずなされなければいけないのではないだろうか。現に国立大学におきましても、新しいいろいろな学問の分野に拡大をしていくという一方において、既存の大学のそれぞれの学科、講座がかなり空洞化している、充足されなければならない教授が欠けているという実態が存在しているわけでありまして、残念ながら、わが国の場合に、大学を設置いたします場合には、大学の設置の基準についてかなり厳しい審査が行われ、設置が認可されますけれども、認可された後ずっと、その大学がどれだけの教育水準、条件を保っているのだろうかということをチェックする自主的な機能を現実の問題としては持っていないということを考えますと、いまこの段階においては、質的な充実をなお図らなければいけないのではないか。  いま森議員から御説明申し上げました理由で、たまたま三年間ということで今回の期限を決めたわけでございますけれども、これも先ほど嶋崎委員からの御質問にお答えを申し上げましたように、人口動態が大きく変化をするという直前の年次に当たるわけでございまして、それまでの間に、少なくともこれから十年、二十年という単位での大学のあり方を、この三年間にきちっと策定しておく必要があるのではないだろうか、三年間という意味も、今回提案いたしております法案には、そういう意味での政策的な意図が盛り込まれているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 先ほど嶋崎さんの方にお答えになった点、五年間にわたって詳細な計画立案をしなさいという背景があった、これが果たされておらなかったということはあると思いますが、これは文部省の方の話で、文部省にそうしろというようなことがあったわけです。  後でまた西岡さんにもお聞きしたいと思うんだけれども、政治家側として、こういうふうな体系をどうでもつくっていきたいのだという大柱があって、そっちに細かい計画を立てなさい、こういうことになろうかと思うのです。そういう何か大柱、その辺のところが私には余りつかめないところがあるわけです。そういうことをお話し願えればと思ったわけですが、これは後回しにします。  それでは、文部省に聞きますが、国立大学一般で三年間、この附則をつけるかつけないかということは別にいたしましても、いまの自由民主党の方がお考えになっているような質的充実をしなければならぬというような考え自体については、私は全く賛成であります。  そこで、文部省としては、この三年間に一体何をしてくれるのだろうか、こういうことなのです。たとえば、いまお話ございましたように、国立大学については教授、助教授あるいは助手の空席を、この三年間で本当に充実していくということになるかどうか。これは学科によってもいろいろむずかしい問題があるかもしれませんけれども、少なくとも三年後に充実された姿というもの、ここまで持っていきたいというようなことがおありだろうと思いますが、その抱負のほどを伺っておきたい。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 ただいま御指摘の既存の国立大学の問題点でございますが、講座等に欠員がある状態について、これをどう充実させていくのかという御質問かと伺ったわけでございますけれども、この問題については、既存の学部なり学科におきまして現実に欠員状況があることは事実でございます。そして、また各国立大学の各学部別に視学委員という者がそれぞれ参りまして、たとえば教官組織の整備充実というようなことについて、その都度具体に指導いたしておるわけでございます。もちろん、これは従来からもそういう指導をやってきておることでございますし、これからも既存の学部なり学科の欠員の充足に取り組むことは当然のことでございます。三年間にどれだけ欠員が埋められるかということは、私どもからは、それに極力努力すると言えるだけで、具体の数字で申し上げられるような性質のものではない、かように考えております。  なお、それ以外に、新たに整備をするに際してどう考えていくのかという問題について申し上げますと、先ほど来お話の出ております「高等教育の計画的整備について」ということで、後期の計画については、ただいまその線に沿って整備充実を図ってきておるところでございますし、先ほども申し上げましたように、真に質的な充実を図るというような考え方でやるということについては、ただいま御提案になっている立法の趣旨と精神は何ら変わるところはない、かように考えております。  なお、計画的整備の後期の計画の内容をさらにもう少し具体的に検討したらどうかという点についても、努力はいたすつもりでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 努力をすることは、附則のなかった時代もこれからの三年後も同じだと思うのです。あえて五年とか三年とか言っているのは、期間を設けて、その間にもう少ししっかりした目標を決める、そして、ここまでは進んでいこうという計画を立て、その計画に照らして計画がここまで進んだとか、計画そのものの変更をしなければならぬとかといったことがいろいろ起こるであろうと思いますが、それは高等教育全般の整備について望ましいであろうというような意味合いであると思うんですね。  そうすると、いまの局長のお答えの中で一番聞きたいのだけれども、この三年間にあえて充実すべき事柄と、それからどの辺まで進むのかという目標、それについては近日中に御発表なさる御用意がおありになりますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 ただいま御説明もいたしたわけでございますけれども、後期の計画ということで五十六年度から六十一年度までの間の考え方については、もうすでにお示しをいたしております線に沿ってやっておるわけでございます。  それで、さらにこれから三年、国立の場合で申しますと、五十六年度の設置のことは終わっておるわけでありますから、五十七年から三年間ということになっておるわけでございますが、その間の三年間の具体的なものについて何か示すのか、しかも近日示すのかというお尋ねでございますと、近日、三年間のことについて何らか具体のものが示されるというようなところまでは、私どもはまだ踏み込んで検討いたしておりません。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 心配になりますのは、さかのぼって五年前に一つの課題が与えられていたようなお話をいま承ったわけです。それで、かなり詳細な計画も立て、そして、それに向かって着々と進んでいくというはずであったのが余りはかばしくない、だから、なお三年間ということになっているようなお話であります。しかし、いまのようなことでずるずる三年たって、やはりはかばかしくないからまた延ばすかというふうになりますと、そのための時限であろうと思いますから、これは余り望ましいことではないと思うのです。そんな近日中にと言ったって、文部省としては、それは不可能かもしれないけれども、もう少しはっきりした目標を出せということを、われわれ立法府側としては決議なり何なりして宿題を出すべき事柄じゃないかと私は感じるけれども、西岡さん、いかがですか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  有島委員の御提案に私も同感でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 では、三番目のことに入ります。  さっき西岡さんからも、日本民族の学習エネルギーはすさまじいもので、これにどうこたえていくかということもあるというようなことを言われましたけれども、うちの公明党の考え方として、二十年先といえば二十一世紀になりますし、先のことを考えてもわからないと言えばわからないことですけれども、方向としては、もう少し命の通ったという意味で、生命の世紀にしようじゃないかというようなことを考えています。ということは、科学技術の世代といいますか、科学技術もやはり人間性から出ていることに違いないけれども、いま何となく人間と人間との触れ合いというものが疎外されていく方向の文明になってきているという反省といいますか、そういう見方があるわけです。教育につきましても、人間と人間との触れ合いの中から触発されていくということが前提となって、そこにいろいろな設備、施設あるいは教科書とかそういうような問題が出てくるわけなのでありましで、教科書にいたしましても、私たちの中で議論いたしますと、中学校のときなんか教科書はどんなのを使っていたか、三塚先生なんかちゃんと覚えていらっしゃるかもしれませんけれども、われわれはほとんど忘れているわけですね。しかし、教師の顔は覚えているわけです。特に怒られた連中は覚えているわけです。ですから、人との触れ合いというのが基本なんであろう。特にこれは基本のところにだんだん戻す方向にこれから行くべきじゃなかろうか。戻しながら、使っていく教科書なり教材なり学校の設備あるいはいろいろな学校の運営なり、そういうものもやはりいろいろ考えていく。そして、その一番軸になるのが、われわれの言葉で言えば、人間回復といいますか生命を取り戻すというか息を通わすというか気心を通じるというか、そっちの方向に持っていくべきだ、そんなふうに思うわけです。  そこで、高等教育についてそのことを言いますと、高等教育の中でどうしても少人数教育を確保しなければならないというふうに思うわけです。これは少人数教育の確保されているところもあるわけですね。ゼミナールを必ずやるところ、それから実習をやっているところ、論文を書いているところもありますけれども、大部分が、大部分というか、これはもう少ししっかりした統計をとらなければいけないのですけれども、結論的に、どの学生さんも大学を卒業してまいりますと言うからには、数単位のあるいは十数単位の少人数教育といいますか授業といいますか、だれだれ先生のもとにこの一年いた、二年いたというような手ごたえを持たして大学を終えさせられるということがどうしても必要じゃないかということを思うわけであります。できれば、これは文部大臣にもお願いしたいのだけれども、大学設置基準の中にそういった少人数教育を確保するということも規定していただくように将来はやってもらいたいと思っているくらいであります。  そしてもう一つ、これも現在常識的になってまいりましたけれども、生涯学習といいますか生涯教育、そういう流れの中で、学校や社会教育設備だとか施設あるいは家庭のあり方だとか、そういうものを生涯教育という流れの中でもう一遍考え直してみる。特に学校というものを考え直してみる。その中で考え直すというから、どういうふうに考え直すかと言えば、学校と社会教育とがどのように協力ができるか、あるいは家庭と学校というものがどのような協力体制を結ぶことができるか。これもとかく形はあるのだけれども、断絶しているような状況があるわけで、私たちは、教育の協力の広場というようなことを言っているわけなんですけれども。それから、いろいろなインフォメーションといいますか、いろいろな情報が非常に多くなっている。それもどのようにコミュニケートといいますか、どういうふうに言ったらいいのか、いま血が通うような知識にし直していくかというような問題ですね。そういうことに高等教育が機能していかなければならない。そこで少人数を確保する、すると、少人数を確保する方向に、この三年間どのぐらい動いてくれるのだろうかということが私なんかも一番気になるわけです。  よく間違えられてしまうのは、割り算でいきまして、教授の数と学生の数とばっと割っちゃって、それでもって一人当たり何人になりました、国立学校は幾ら、私立学校は幾ら、こういうようなことがあるわけですけれども、私の申し上げているのは、そういうことではなくて、先ほど申し上げましたように、どの学生さんでもある少人数学習というものが確保される、そのかわりとして大教室であるいは放送で通信でというようなものが併用されるということになれば、これは実現できる問題である。  幸い、この「高等教育の計画的整備」ということの中で、大学の教育形態の機能的分担、連携の関係であるとか、あるいは柔軟性を持たせるとか、そういったことを言われておりますけれども、そういうものもこの三年間ひとつ具体的に踏み出していくというか進めていくというか、そういうことをぜひやってもらいたいというふうに思うわけです。  それで、自由民主党の皆さん方の基本的なお考えをそういった面で承っておきたい。われわれの考えとしては、こんなふうで、非常に舌足らずで恐縮ですけれども、いかがでしょうか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 有島先生のお考え方は、大変大事なところを指摘なさっていらっしゃると思います。先ほど午前中の嶋崎先生のときにも申し上げたし、いま西岡さんのお話にもございましたように、十八歳人口の動態が変わってまいります。ちょうどその一番大事な時期が、この三年の抑制期間だろう、こう思っております。  それに合わせまして、いま国会で参議院の方で御審議をいただいておりますが、放送大学の問題もございます。さらに専修学校も、これは十八歳といいましょうか若い皆さんには大変評判のいいといいましょうか、言葉はちょっと荒っぽいのですけれども、非常にいい方向へ向いておると思います。こうしたこともすべて含めた高等教育全体の対応を、私どもこれからぜひ総合的にやっていきたいな、こんなふうに思っているわけです。  先生のいまおっしゃった具体的な心の触れ合うような、そうした高等教育の機関の場というものも当然踏まえて、関係者の英知を集めて、将来の高等教育計画の方向づけを、ぜひ私たちも、検討、議論をしていきたい、こう思っております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 自由民主党としては、この高等教育懇談会の報告ですね、これには全く賛同である、賛成であると私たち考えていいのでしょうか。それとも、さっきなかなかいいところもあるというような言い方をなさったように思うのですけれども、もし特にこういったところが気に入らぬところなんだというようなところがあれば、これもお示しいただきたい。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  気に入らないとか入るとかいう問題ではございませんで、不十分であるというふうに私どもは考えているわけでございます。  たとえば、ただいま有島委員から御指摘のございました、人間の触れ合いというものを大切にした高等教育機関のあり方というようなことを具体的に考えますと、大学の適正規模という問題も具体的な教育行政の問題として考えていかなければいけないのではないか。  これは一つの例でございますけれども、こうした問題も含めて、なおもっと掘り下げた高等教育計画というものが打ち立てられるべきではないだろうか、このように考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そういたしますと、自由民主党としては、これと別建てないしはこれに対するコメントというような形としても、一つの目標といいますか大柱といいますか、それをお立てになるお考えがおありになるかどうか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  先ほど嶋崎委員の御質問に森議員からお答えを申し上げましたように、自民党の文教部会として、森部会長を中心といたしまして、高等教育についての小委員会を渡辺議員を中心として設置をいたしております。自民党といたしましても、この小委員会において具体的な将来の高等教育機関のあり方、高等教育政策についての万般の基本的な考え方をできるだけ早い機会にまとめて、各党の皆様方とも意見の交換をさせていただきたい、このように考えている次第でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 この法律案で三年ということがありますけれども、国の行政の方に宿題を出すというのと同時に、こちらもその口火を切るときは、みずからに宿題を課して進んでいかなければならないということを痛感しておりますので、そちらのおまとめになるものをぜひとも見せていただきたい。  なお、適正規模ということを言おうと思いましたけれども、いまお話がありましたから……。  それからもう一つ、生涯教育の中での高等教育ということを考えますと、単位の累積加算の方法も確立しなければならぬということも一つあると思います。  それからもう一つ、高等教育の構造の柔軟化ということなんですけれども、柔軟化してよろしいところと、やはりしっかりかたくしておいてもらわなければならぬところといろいろ区別があると思うのです。それをより分けなければならぬということがあると思います。  そこで、私見でございますけれども、柔軟化のとばくちをつけるのは体育の問題と語学の問題ではないかと思っています。たとえば短大、専修学校等と大学との互換というようなことを考えた場合に、やたらほかの学科・学部について、いきなり短大と大学との互換は無理であろう、こう思うのですけれども、基礎語学あるいは体育の問題などは、むしろ互換を進めていくということができるのではないだろうか。柔軟化するのをいきなり全般にわたって考えたら、当分できないということになるわけです。だから、そういった柔軟構造ということを進めていく上でも、ちょっと言葉の遊びみたいだけれども、柔軟に対応して、できるところから進んでいくということがよろしいのじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  まさに有島委員の御指摘のとおりでございまして、そういう意味で放送大学等が果たす役割りも非常に大きい面があるのではないだろうか、このように考えております。また、わが国の高等教育を考える場合に非常にむずかしい問題は、高度な学問研究、特に基礎科学というものに本当に真剣に取り組んでいく、これを重視していかなければいけない、これは何と申しましても、大学の大きな使命、まさに中心的な使命であると思っているわけでございます。同時に、一般的な教養を中心とした教育水準、国民の教育的な水準を高めていくために高等教育機関が役割りを果たさなければいけない。同じ高等教育機関がこの二つの命題に答えるということは、現実の問題としては、非常にむずかしい一面があるということを、私どもは率直に認めなければいけないと思うわけでございまして、そういう意味から、高等教育機関のあり方、いま有島委員から御指摘のございました点を含めて、この辺で一つの答えを出していかなければいけないのではないだろうか、このように考えているわけでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 それでは、時間が参りましたので、この法律の審査はこの場では終わります。  ただ、こうした法的手続がいいのか、あるいは決議等の他の方法がいいのかというようなことは、まだ議論の余地があるように私は考えております。どうもありがとうございました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 三浦隆君。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 今回、私立学校法の一部を改正し、同法附則第十三項の有効期限を昭和五十九年三月三十一日まで三年間延長するということ、もう一つには、国立大学についても私立大学と同様、昭和五十九年度開設分まで設置等の抑制を行うというふうな御趣意でございましたけれども、その提案説明の中に、これまでの附則十三項によって「大学の量的な拡大が抑制され、この間における私学助成の充実と相まって私立大学の質的充実が図られてきた」、そして「現時点において、改めて現在の私立大学の状況や大学進学率の動向さらには現下の財政事情等を考慮して」というふうな御意見が書かれているわけでありまして、ここで改めて四点、一つには現在の私立大学の状況、二番目に大学進学率の動向、三番目に現下の財政事情、四番目にその他というふうに分けまして、それぞれの御説明を簡略にお願いしたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 数字のことでございますので、文部省から説明させていただきます。その後でまた申し上げます。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  まず、お尋ねの第一点の私立大学の状況でございますけれども、わが国の学校教育の中で私立大学の果たしております役割りは、御案内のとおりきわめて大きいわけでございまして、大学の学生数で申しますと、全体の七五・七%は私立大学で学んでおりますし、短期大学では九一%という大きな比率を占めているわけでございます。ただ、私立学校の教育条件あるいは研究条件について忌憚のないところを申し上げますと、国立なりあるいは公立の大学に比べまして、必ずしも十分ではないと言わざるを得ない面がございます。したがいまして、その質的な充実が各方面から要請されているわけでございます。  文部省としましては、私学助成の拡充に努めているわけでございますが、それに伴いまして私立大学の教育研究条件も徐々に改善されてきているわけでございますが、質的な充実ということにつきましては、なお一層私どもも、また私学自体も努力する必要があろうかと考えておるところでございます。  このような状況でございますので、私立大学については、当面、量的な拡大を抑制して、質的な充実に引き続き努めてまいりたい、こういう考え方であります。  第二点は、大学の進学率でございますけれども、これは先ほど来お話に出ましたとおり、昭和五十四年度、五十五年度三七・四%ということで、ここ二年間はいわば横ばいの状態になっております。昭和四十年代に入りましてからは、毎年二、三%ずつ上昇を続けているわけでございまして、昭和四十年度では進学率は一六%でありましたものが、昭和四十五年度では二四%、昭和五十年度では三八%ということで、そのあたりがピークでございましたけれども、先ほど申し上げましたように、ここ二、三年来はやや鈍化いたしまして、いまのところ横ばいの見通しを私ども持っているわけでございます。  これから高等教育への進学率をめぐる状況がどういうように変わっていくかということにつきましては、この高等教育のいわば周辺と申しますか、あり方にかかわる経済・社会の動向とかあるいは高等教育に対する国民の需要の変化、学歴に対するいろいろな考え方等、いましばらく見守って判断する必要があろうかと考えているところでございます。  次に、第三点の財政事情がどうなっているかということでございますが、私立学校法の附則第十三項は、この立法の趣旨にございましたように、私学に対する財政援助の法的保障の創設に伴いまして、当面は私学の量的拡充よりも質的向上を図ることが適切であり、また私大の一方的意思によって財政負担が無制限に膨張することを避けようとしたものであるというふうに私ども理解しております。これは五年前の当時の法案の提案理由の中でも、そういうふうに言われているところでございます。この振興助成法の制定以後、私立大学への補助は年々拡充されて、五十六年度は二千八百三十五億ということになって、かなり巨額なものになってまいっているわけでございますが、御案内のとおり、この数年間の財政事情には、きわめて厳しいものがございます。  そういうことを勘案いたしますと、私学助成につきましても、財政的な観点からはいろいろと厳しい見方、あるいは批判がなされていることも事実でございます。したがいまして、附則十三項の期限を延長するこの法案が御提案になられたこの時期に当たりまして、私ども文部省といたしましても、財政上の観点をも引き続き考慮する必要があると考えているところでございます。(三浦(隆)委員「その他第四点の理由」と呼ぶ)どうも失礼いたしました。ちょっと聞き漏らしまして申しわけありません。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 四つほどだと私は理解したのですけれども、一つには現在の私立大学の状況、二番目に大学進学率の動向、三番目に財政事情だけなんですか。「等」と書いてあるので、まだそのほかにあるのかという判断なんです。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  そのほかということでございますけれども、私学の拡大膨張というような事態はすでに過ぎ去ったと私ども考えているわけでございまして、これからは、もちろん進学の動向等も十分見守る必要があろうかと思いますけれども、極力その量的な拡大は抑制いたしまして質的な向上を図る面から、私学助成その他の面においても、私ども十分に考え、また私学自身に対しましては、えりを正して、その建学の精神に立ち返って特色のある大学教育を振興してほしい、そういうことも十分私ども考えているところでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 三点はわかったのですが、もっと積極的な理由もあるのじゃないかなと考えたわけです。  説明がないようなので、ついでにお尋ねしたいのは……

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 「財政事情等を」という「等」にもう少し積極的なお考えがあるのではないかという御指摘ではないかと思いますが、たとえば、これは先ほど嶋崎委員あるいはまた有馬委員から御質問がございましたときに西岡議員から申し上げておりますような高等教育の計画の見直しでありますとか、それからまた「財政事情等」というこの「等」にはいろいろございますが、たとえば現下のこうした行政改革というような事態、こんなこともすべて含めてというふうに御理解いただければと思います。もちろん、積極的な理由があるということもあえて申し上げておきます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 仮に、これからの大学を三年後にまたつくっていこうという場合に、私立に対する依存はやめて国立を優先的にふやしていこうという、いわゆる私学の役割りはもう終わってきた、私学というふうなものよりも国立優先にしようとする気持ちなども、三年先といいましょうか将来あるのですか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  この点も、先ほどのお答えの中で申し上げましたように、国公私立のそれぞれの役割り分担というものについて、この辺でやはりきちっとした考え方を策定すべきではないであろうか。たとえば、現在までにいろいろ問題が起こってきておりました医師の養成というような問題については、そのかかる費用等の問題、万般の問題を考慮して、これはやはり国立が中心となってやるべきことではないだろうかという意味で国公私立のそれぞれの役割り分担というものを将来に向かって考えていこうという考え方でございまして、私学の役割りが終わったというような考え方は全くございません。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 量的な拡大を抑制しようということですが、本来、大学の数は多い方がいいのでしょうか少ない方がいいのでしょうか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 この点も先ほどからるる申し上げておりますように質の問題とのかかわりで考えられなければいけない問題であると思います。同時に、高等教育機関にも内面的な役割が二つあるということを考えますと、現在の高等教育のあり方に一つの確立した考え方をこの辺で打ち立てなければ、ただいま御質問の問題については、文教行政としてこたえていくことができないのではないだろうか。しかし、そうは申しましても、量的な拡大、すなわち国民全体が高等教育を受ける機会に恵まれるということは、これまた望ましいことでございますけれども、それに対応できるだけの高等教育機関の整備が、現時点ではとうてい図れるものではない。これは教授陣の問題一つ取り上げてみまして、明らかでございまして、将来量的拡大を図っていくという政策を仮にとるといたしましても、現時点においては質的な充実が図られることがまず第一義的に大切である、このように考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 質の問題はこの後にいたしまして、とりあえず向こう十年くらいの間は、確実に高校増設を必要とするくらいに高校生の数はふえてくるわけであります。ということは、必然的に卒業生がふえてくるということでもありましょうし、現時点でも受験難あるいは受験戦争、受験苦というものが深刻な問題になっているわけであります。それを何とか抜けたいという不正行為のあらわれが、早大入試事件に出てみたり、あるいは医学部入学に対して多額な裏口入学資金が流れているというのが現実でありまして、いまでもそうした事実がある以上、来年、再来年、さらにその以降と、確実に受験難というのはいま以上に盛んになってくるだろうというふうに考えるわけです。  文部省としては、受験難というのはあった方がよしと考えるのかないのがよしと考えるのか。これはどちらの考え方も成り立つのだろうと思うのです。すなわち、大学の質的レベルの強化という点であるならば、できるだけ大学の数を少なく抑えていった方がいいわけです。一方では、子供ができようができなかろうが、何とか学校に上げたい、上がりたい、そのニーズを満たしていくためには、大学が少々水増しで質的に落ちてもふやしていかなければならないわけです。私が大学の数が多い方がいいのか少ない方がいいのかと言ったのは、そうした大学の存在そのものについての基本的な考え方をお聞きしたかったわけであります。片方にプラスがあるということは、片方に大きなマイナスが出てくるわけです。ですから、片方のプラスを主張される以上は、将来どんなにマイナス面が起こってきても、それは仕方がないというよりも、むしろ当然こなしていくという覚悟がなければだめだろうというふうに思うわけであります。  そういう意味で、現在の受験難といったものがこれ以上ますます広がっていったとしても、そのことはよしと考えるべきかどうか、お尋ねしたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 大変大事な問題だと思いますが、これはまた後で文部省の方で数字を細かく御説明いただきたいと思いますが、いま一般論として、高等学校を卒業する生徒の数とその受けざらである日本にあります国公私立の大学の定員というのは、私は、数字的にそう大差があるとは思ってないのです。どうしてもやはり有名校偏重ということもございますし、それからかなりの浪人、一浪、二浪、三浪まであるのでしょうか、そうしたものとのギャップみたいなものが入学試験地獄だとかそういう形をつくっているのだろうと思うんですね。  いま西岡さんからもお話がありましたように、多くの皆さんの受験をしたい、大学に入りたいというニーズを受けとめてやっていけば、大学そのもののある面での質的なものが薄まっていくのは当然でございます。一方では二十一世紀を踏まえて、日本の国は何としても、資源に乏しい国でありますだけに、世界に冠たる科学技術というものを中心にした高等教育を充実する、そういう面での努力をしていかなければならぬことも論をまたないところだと思うのです。  この辺のギャップが、これからの高等教育計画のむずかしさで、この辺が先ほど西岡議員が役割り分担というような表現でも言いあらわしているところでもあると思うのです。  管理局長のさっきの説明では、いわゆる進学率はおおむね三七%を一つのピークに鈍化していく傾向でありますし、いまのところでも希望者は七割ぐらいは入学をしておると思うのです。そういう意味から言いますと、競争が厳しくあることがいいのか悪いのかという議論は非常にむずかしいところでありますが、高等教育機関に入るということは、やはり適切な競争があってしかるべきだというふうに考えて、そういう方向で高等教育計画というものは考えていくべきだと考えております。  特に、そうしたニーズに対応するために大学をどんどんつくっていくのだということになれば、教育機関ということよりも営利中心の高等教育機関になっていくことは、これはやむを得ない状況じゃないか。むしろ私立学校振興助成法を制定して、たとえ高等教育は大事だと言いながらも、そこに国民の血税をどんどん投入していくことが、果たして国民の理解を得ることができるのだろうか、こんなことも私どもはやはり真剣に考えておかなければならぬことだと思うのです。  先ほど有島先生のときにも申し上げたのですが、専修学校あるいは参議院でいま御審議をいただいております放送大学などを駆使しながら、多様な高等教育機関を整備して、そうしたニーズにこたえながら、なおかつ、これからの二十一世紀に対応していくための学問研究を進めていくそうした機関を充実さしていきたい、こんな考え方をわが党としては持っているところであります。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 いまの御説明は、前段と後段との違いがありますし、少し不明確であったかというふうに思うのです。むしろ後段の趣旨を徹するならば、学校の数は少ない、仮にどんなに進学希望者がいても厳しくやっていくというのが、それなりの一つの答えだろうと私は思っています。ところが、前段はそうではなくて、何となく進学率そのものが頭打ちになっているようでもあるし、それほどの受験難なんというのは当面来ないのじゃないか、聞きようによってはむしろそのように理解できたと思うのですが、その点よろしいですか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 前段の方は、一般論として、そう伸びてはこないだろうと私は思いますというふうなことを申し上げたわけであります。  後段は、むしろ私の個人的な意見として、競争はやはりあるべしという考え方をとるべきだ、しかし、このことが社会問題になっていくということも当然予想されますから、高等教育機関の整備というのは、先ほど申し上げたように、学問研究を進めていくものと人間的な教養を高めていくための高等教育機関的なもの、そういう役割り分担があってもいいのではないだろうか。しかし、そうした進学をしたいという希望にこたえていくために大学をどんどん増設することは、午前中西岡さんからも、三浦先生はいらっしゃいませんでしたが、有島先生のときに、国立大学の教授の充足率の問題もちょっとお話が出ておったのですけれども、現実の問題として、そういう教授陣の不足という問題もあるだろうと思うのです。そういうようなことを考えて、放送大学とかいうそうした新しい高等教育機関を駆使しながら対応していきたい、こういうふうに申し上げたわけです。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 いまのところの最後の教授陣の不足か否かというのには異論があるわけです。戦争中大学を卒業した人たちは、軍隊経験その他をたくさん持ちまして、まともな大学教育を受けないで学徒動員なりあるいは戦地へ行って、戦後復員して大学の教授になった、いまの第一線は、そういう人がほとんどと言ってもいいくらいでして、それに比べると、現在、所定の大学を終え、大学院、マスターあるいはドクターを終えた方の教員としての質は、いま現在で言うならはるかに高いわけです。少ないのではなくて、いまドクター浪人は多過ぎるくらいに多いということでは、教授の充足が不可能という説は若干納得のいかないところでございます。  それから、最初の方の進学率と実際の入学定数の問題ですが、どこでも入ればいいと果たして言えるかどうか。それならば、就職難あるいは失業の率をごらんいただいた場合に、どんなに失業率が高まっているときでも、各新聞のところには求人の広告がいっぱい載っているわけです。男の子にしろ、女の子にしろ幾らでも載っておるわけです。その条件が、自分が好まない職種であったり、あるいは労働条件が期待するものと合わないから、たまたま働かないで失業しておるという人が少なくないはずであります。それでも、どこでも入れれば食っていけるじゃないかと言われているのは、その人は自分が恵まれているところに就職したり、あるいは生活が成り立っているからだろうと思うのです。自分の納得していくところで働いていれば、まさに働くことの生きがいというか意欲を持ち得るけれども、全く働く気持ちを持たないところに、やむなく生活のよすがで入っているとするならば、それ自体きわめて望ましいとは思えないのであります。  同じことで、大学は各学部があるし、学科があるし、その人が望む地域なり望む学部・学科に行った場合と、全然望まないところに行った場合とでは、全くと言っていいくらい、その若い人の生きがいを左右してしまうことになるだろう、こう思うのです。しかもそれは、これまでの状況なのであって、時代が急速に移り変わっているわが国におきましては、これまでとは違った新しい学部・学科を次々と必要としてくるかもしれないわけです。  そんなこんなを勘案しまして、いまの文部省当局の答弁なり、あるいはその後の答弁を聞いていきましても、高校卒業生は何人くらい、いまのところ受けざらは何人くらい、何となく合うじゃないかというのは、単に形式的、表面的なつじつまだけなのじゃなかろうかというふうな気が一つにはするわけであります。  現実に、いま高校で落ちこぼれたり、あるいは大学の中でやめていくといった場合、本当に自分の望む、自分は医者になりたいから医学部に入ったという場合には、それこそ医学の勉強を一生懸命にやりますけれども、全く望まないところに行ったら、大変困る事態が来るだろうという意味で、最初の前段的な説明では、とても納得ができないわけです。単に量のつじつまだけでいくならば、そういうことであります。  そうでなくて、むしろ後の方ですね、どんなに医者になりたくても医学部は少ない。それでも、とにかく少数精鋭的にそこを充実して、だめな者は落とす。仮に、どんなに浪人して、どんなに悲惨な状態が起きようともそれは仕方ないのだ、冷たいようであるけれども、そこまで徹して一つの意見というものが出るならいいのですが、そうでなく、あっちを立てるような、こっちを立てるようなというのは、意見としてわかったようで実はわかりづらい、そんな気がいたします。  それから、続けて第二番目に、質的充実という点でお尋ねしたいと思います。  質的充実というのは、大学の新増設を抑え、補助金を増額すれば、それでいわゆる質的向上はなされると思われるのでしょうか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 お答えします。  先ほど、これも嶋崎委員から、最初に質とは何ぞやということから出たのですが、いわゆる国の補助が充実をしていって、そして財政的なものが解決されていくことも、また一つの充実かもしれません。そのことによって先生方の給与の面でありますとか、あるいは設備を購入させていって、そういう物理的な面で大学が充実していくという面も、また質ということが言えるかもしれません。  また、これも嶋崎委員のときにもちょっと触れたのですが、質の見方というのは、観点がいろいろあると私は思います。逆に言えば、当時私学補助ということが、やはり大きな政治的な問題になってまいりましたのは、一連の大学紛争、この大学紛争のもとは何だったかと言えば、大学の経営が非常に厳しくなって、そのことがいわゆる父兄負担に連なっていった。そうしたことが一連の大きな大学紛争にまでなり、社会問題にまでなり、政治問題にまでなっていった。  そういうことから考えますと、いま私学補助というこの補助が生きることによって、従来あったような大学紛争みたいなものは全く影をひそめてきた。そういう面では、きわめて大学というものは静かな環境の中で学問を進めることができるようになった。これもやはり質的な充実ということが言えるだろう、私はこう思っております。質のとり方というのはいろいろあるのじゃないかな、私は、そんなように考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 質というのが、大学紛争がなくなったから大学の質が上がったというふうにもとれかねないような御説明にちょっと聞こえたわけですが、これには大きな異論があります。  学校教育法の第五十二条に「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し」云々とあって、いわゆる大学の中の秩序が整っていることが大学の質的向上ではない。それは学術研究をする条件整備の一つにはなっているかもしれませんが、学問の深いか浅いかというのは別なことではかるべきものだろうと考えられます。  となるならば、むしろ基本的に、大学に上がってくる前段階の高校生のレベルアップの問題、高校から大学にかかる大学入試制度の問題、大学の中におけるカリキュラム編成なりその実施の問題など、こうしたことが出てこなければ大学の質的向上はとても望めない。単に大学の建物がよくなった、教員の給与がよくなった、それだけでは大学の質的向上にはならないのでして、それならば、まさに徳川から明治維新に移る松下村塾における松陰先生の教えのように、昔は建物も惨めであったかもしれない、あるいは貧しかったかもしれない、教える子供は一人対多数であったかもしれない、だけれども、その時代を先駆するようなきわめて意欲的な教育がなし得たわけであります。建物がよく恵まれてきたところに、かつてのソクラテスの言葉の太った豚のようなものには、あるいはかえって知識はマイナスということもあるやもしれないわけです。  という意味では、少なくとも大学論を語っていただこうという場合に、質的充実が単に金の面だけにかかわるような誤解を招かれるような説明というのはまずいのじゃないかというふうな気がいたします。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 私は、いま三浦先生がおっしゃったことをそのまま申し上げたつもりでありまして、質というのは、いろいろな角度から見れることができます。先ほど午前中に、お金の面だけで申し上げたら、ちょっとおしかりをいただいたので、そうではない、やはり静かなる学園ということも質的でしょうし、お金だけじゃありませんけれども、お金が潤うことにより、建物がよくなり、いろいろな機械設備が整い、学問を進めていく設備等々が充実することも、これまた質的充実でしょうし、特に、そのことに触れなかったのは、三浦先生におしかりをいただくところかもしれませんが、これは教育機関を経て人間社会の中で大きな喜びを持って人間としての生活を営むことができる、そのことに満足感を覚えることができることも、学問の中の質的な大きな要素の一つかもしれません。いろいろなとり方がある、私はこう申し上げた、その幾つかのたとえ話をちょっと申し上げたのでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 もう一つには、この後の国立大学のところにもあるわけですけれども、「教育研究上の要請、人材の計画的養成等の社会的要請にこたえる等」、ここの「等々」というのがとてもひっかかるのですけれども、とにかくそうした一応の説明がありますが、前回文教委員会の中で新しく国立大学、たとえば教育大学などができてきたわけですね、それと同じようにして、まだ詳しくは内容はわかりませんが、けさの新聞に「初の身障者短大」という見出しの記事を見たわけです。これが五十八年度開校へ向けてということで「この短大は、視覚、聴覚の障害者を対象とした国立身体障害者短期大学一仮称)で、早ければ五十八年四月開校を予定、今年度から予算がついて筑波大に「身体障害者高等教育機関創設準備室」が設けられ、具体的な設立準備に当たる。」、こう報じられているわけでありまして、いままでの日本と違って、身障者の人たちに対して教育の門戸が開かれてくるということは、大変すばらしいことだろうと思っております。  ただ、それが筑波大の中に、いわゆる身障者短大という名前で身障者専門の短大として出るのが望ましいのか、あるいは一般の大学の中の一つとして身障者短大の人が進んで入れるような学部・学科をつくることが望ましいのか、この点については、まだ時間をかけて論議をする必要があろうかと思いますが、いずれにしましても、これまでの既成の大学では学ぶことのできなかった人が積極的に学ぶことができるようになるということは、まさに国際身障者年を契機としながら望ましいことであろうと考えるわけです。  すなわち、新しい時代というものがいま現にやってきました。そういう意味では、これまで考えられなかったような多様化、複雑化した社会の中に臨んで、ただ抑える論旨ではなくして、必要と認めるものはそれなりにつくっていかなければならなかろうと一つには思うのです。  もう一つには、これまでのわが国は、教育と言えば、学校教育、その学校教育も、小学校卒業が中学、中学卒業が高校、高校卒業がすぐ大学という、いわゆるところてん方式を考えておりまして、多くの人が大体二十二なりの若くして社会に出てくるというふうに考えていたと思うのです。しかしわが国は、戦後飛躍的に平均寿命が増加いたしまして、明治・大正の最高のときで男女平均満四十五歳にも満たなかったわが国が、いま七十五歳なりにいこうとしておるわけです。  そうした大変な年数の伸びというものに伴って新しい生涯教育というものが、これまで以上に大きな役割りを占めてくるようになるでしょう。しかも時代の移り変わりが激しいと、その時代に追いついていけないお年寄りというのは、単にいわゆる物が豊かになっただけでは、家族の人、社会の人ともうまくやり得ない場合が出てくる。あるいは昔貧しくて学校に行くことができなかったけれども、いま御年配になりゆとりができたから、改めて学校で勉強してみようというふうな方もふえるかもしれない。とするならば、大学もいわゆる高卒の子が進むだけではなくて、むしろ年配者が積極的に学ぶことのできるような大学像というふうなものも積極的に考えられていいのではないかと思うわけであります。  文部大臣が大学設置審議会なり私立大学審議会の意見を聞いて「特に必要があると認める」ときには認可し得るわけですね。そういう意味で「特に必要があると認める」というのは、具体的にどのようなことを指すのか、御説明をいただきたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 三浦先生から大変示唆に富んだ御意見をちょうだいしまして、参考にさせていただくことが多かったと思います。どういう場合をというふうになりますと、これは設置審あるいは私大審の意見を聞くということになりまして、私からよりも、むしろ文部省からお答えを申し上げた方がいいのかと思います。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 特別の必要性の判断でございますが、これは、いままでのこの五年間の抑制期間中も、大学設置審議会と私立大学審議会において、それぞれ決定いたしました審査基準というものがございますけれども、それに照らして行われてきたものでございます。その具体的な審査基準、特別な必要性でございますが、たとえば申請にかかる地域におきまして、同種の学部なり学科等が未設置であるかどうか、あるいはまた社会的要請に比しまして著しく少なく、当該地域に設置することが必要と認められるものであるかどうかといったような観点、あるいは看護婦その他の医療技術者を養成するもので、需給の状況からいたしまして当該地域に設置することが望ましい、必要であると認められるもの、あるいはまたわが国の高等教育の発展に大きな影響を与えることが期待される有意義な試みを実施しようとするものであって、その成果に十分な見通しが得られるもの、新しい分野を開拓するもの、特別な社会的要請なり教育研究上の要請にこたえまして新しい分野を開拓するもので、その成果に十分な見通しが得られるもの、あるいはまた勤労者等を対象とする夜間学部あるいは通信教育等、そういったものについては、特別の必要性というものを認めて審査してきた、こういうことでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 時間のようなので、深くもお尋ねできませんが、提案理由の説明の二ページの三行目に、先ほどもちょっと御説明ありましたが、「今後における高等教育全体の計画的な整備のあり方を検討する必要」という言葉がございます。これはだれが主体となって、どのような内容に向けて、いつごろまでの期間を前提としてお考えなんでしょうか。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  先ほど有島委員との質疑応答の中でもお答えをいたしたわけでございますが、当然文部省が、大学設置審、私大審等とも十分連絡をとりながら、文部省としての考え方を早急に——今回の立法の趣旨は、少なくとも三年以内に、この期間の間に長期的な展望に立った高等教育計画を立案してもらいたい、また私どもといたしましても、自民党の中に高等教育についての小委員会を設けまして、森部会長を中心として党の考え方を取りまとめ、各党の皆様方の御意見も拝聴しながら、与党としての考え方も並行して取りまとめて最終的な案を得たい、このように考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 この改正法案が文部省案でなくて議員立法という形ですから、文部省が主体となって検討されるのではなくて、西岡先生を初めとする御提案者皆さんが主体的に取り組まれて、むしろ文部省その他の意見は参考意見にとどめるくらいのしっかりとした独自の案をひとつ早急におつくりいただくことを期待したいと思います。  なお、この提案理由の一番最後の行から次のページの初めにかけてもそうなんですが、私は、まだ新米の議員であるせいか、こう書くのが正確なのかどうかわかりませんが、この言葉遣いが日本語としてきわめて不十分なような気がいたしました。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 というのは「教育研究上の要請あるいは人材の計画的養成等の」とあると、この「等」というのは、この二つ以外にまだあるのかどうか、またさらに、その「等」は、どこにかかるのか、もし「社会的要請に応える」にかかるとするならば、「社会的要請に応える」という一つの論点と、そのほかもう一つ、ほかの「等」というのがなくてはいけない。そうした言葉自体も何となくあいまいもことしているような気がいたします。  そこで、結論的には、本来学校というものをつくる、つくらないということは、もうすでに多年論議されたと思いますが、憲法二十三条の学問の自由なり、あるいは二十六条による教育を受ける権利なり、あるいは二十二条の職業選択の自由まで含めていいかどうかわかりませんが、とにかく、そうしたいわゆる国民が必要とする限り、本来国民の学ぶべき場所というのがあってしかるべきものだろう、もしそれを抑える論理があるとするならば、たとえ公共の福祉という名前を設けようとも、最小限度でなくてはならないと思いますし、より慎重にそれを図っていただきたい。片方できわめて抑制の論理が働くとともに、片方はきわめてルーズだといった場合には、その間によほどの合理的説明がないと、そこに思いがけない、当事者としては意識しない差別的な取り扱いが起こるやもしれないし、少なくともそういうふうな懸念を持たれますと、せっかくの教育という公的なものが、まことに当事者としてお互い残念なことになりますので、そういうことのないようにひとつ十分御留意を賜りますようにお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 議員立法のこのような法律案に同僚の皆さん方のお答えをいただくというのは、いままで余り真剣でなかった場合が多かったのですけれども、今回は非常に真剣にやっておられるので、画期的な委員会の質疑じゃないかと思っております。そういう意味で、ひとつ私も大事な点を御質問したいと思っております。  まず、五十一年の私学への補助を拡充するということを機会にして、話によりますと、かなり唐突にこの抑制の項目が出てきたということを聞いておりますけれども、あのときの私学をつくることを抑制しようという意味は、これ以上つくったら補助金がふえてしようがないということであったのか、あるいはその他の意味があったのか、その点からひとつお伺いしたい。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えをいたします。  当時の私学振興助成法を制定いたしました立案の過程でいろいろな論議を行ったわけでございますが、すでに御承知のように、昭和四十五年の段階から実質的に私学に対する経常費助成が百三十二億という予算措置としてこれがスタートしていたわけでございます。これに対して一つの目標を明確に定めて、法的な根拠を与えるということで私学振興助成法を制定するということになったわけでございますが、当時の私学法附則十三項の規定の考え方は、当面質的な充実に力点を置いた私学助成を行うべきであるという考え方でございまして、決して私学助成についての予算が拡大することを抑えるという意味ではなくて、資源の有効な活用という点に意味があったわけでございます。  それともう一点は、先ほどから何回かお答えを申し上げておりますように、高等教育についての長期展望に立った整備計画というようなものを、早急に、少なくとも五年の間につくるべきであるという精神が込められていた、このように御理解いただきたいと思います。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 私も当然、いまお答えになったような意味が含まれておったと思うのですけれども、しかし、その後五年間に高等教育のつまり再編といいますか拡充といいますか、そういう面について真剣に検討した跡が見られないが、何か検討した一つの実績があればお答えいただきたい。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 高等教育の計画的整備ということで、前期の計画としては、高等教育懇談会でございますけれども、おまとめをいただき、また後期の計画につきましては、大学設置審議会の大学設置計画分科会におきまして、高等教育の計画的整備として後期の計画をおまとめいただいたわけでございます。  基本的には、現在の大学の整備ということにつきましては、その方針に基づいて私ども進めさせていただいておるわけでございまして、具体的には、それぞれ高等教育の整備について地域配置を考えますとか、あるいは専門分野構成の適正化を図るとか、具体的なそういうわが国の高等教育全体の整備の方向あるいは規模なり、その規模の目途というようなものも、全体的に量的には抑制を図り、質的な向上を図るという観点で進めてきておるわけでございます。  私どもといたしましては、具体的には、その線に沿って現在の高等教育の計画的整備も進めているところでございまして、一応後期の計画は、昭和六十一年までを目途といたしておるものでございますが、さらに十八歳人口のこれからの動向でございますとかそういうものも見定めまして、六十一年以降の計画をどうするかということももちろん考えなければならぬわけでございます。  なお、三年間にどういうことがやれるのか、これからの三年間の期間というのは、後期の計画の期間内のことでございますので、私どもとしては、基本的には、この後期の計画に沿った案で進めておりますけれども、さらに、それをどこまで掘り下げたものとしてまとめられるか、それらの点については十分これから検討させていただきたい、かように考えております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 いま大学局長からの御答弁でありましたけれども、高等教育、大学の地理的な配分等のことについては、いろいろと御検討になったと思いますが、これは主として国公立の学校について見られることであって、私学の問題については、そういうふうな観点からも高等教育の再検討が行われたとは見られないというふうに私は思うのです。私学の場合に、内容的ないろいろな再検討をする場合には、日本において私立大学の形の教育は、ここらがいままでの形であれば頂上である。もしこれを発展さすとすれば、もっと質的に拡充していく方法があるのだという漠然とした印象が国民の中にあると思うのです。そういう期待にこたえられるような検討というものが必要であるわけなんです。  先ほど同僚の三浦委員からお話がありました、学校教育法の中の大学の役割りというものは、一つの学術のうんのうをきわめるとか、いろいろな学術自体を高いレベルにしていこう、一般国民的に見て、そういう面がある、そういう面から見て、いまの私学の教育というものが、あるいは大学の入学だけでなくて卒業していく人たちということを見て、果たしてそういうふうな学校教育法の要請にこたえられておるのかどうか、そういう問題を検討してやっていくということが一つの大きな課題じゃなかったかと思うのです。  それと私学補助というものが、学生の頭数を基準にして補助するという事実が今後の問題として果たしていいのかどうか、教育の機会均等というものを、ただ形式的にそういうふうな形で理解していいのかどうか、こういう問題を含めて検討することが大事なことなんですね。そういうふうな面からの検討をこの五年間でなされたかどうかという問題について重ねてお伺いいたしたい。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 私学経常補助のあり方につきましては、私ども、この五年の間に十分検討してまいったつもりでございますけれども、抜本的にこの補助金の配分方式を変えるというところまではまいっておりません。  御案内のことと存じますけれども、現在この補助金の配分方式といたしましては、一般補助と特別補助の二種類がございます。一般補助と申しますのは、それぞれの大学の専任の教員数あるいは専任の職員数あるいは学生数、そういうものに基づきまして一定の基準単価を設定して積算する、こういうような仕組みでございますけれども、その一般補助につきましても、私どもは、ある程度傾斜配分という要素を加えておるわけでございます。  たとえば、きょう午前中にも御質問がございましたけれども、余りにも水増し入学をさせているという大学につきましては、その傾斜配分で減額をするというようなことで傾斜配分も考えているわけでございます。  さらに、もう一つの特別補助でございますけれども、これはそれぞれの大学の教育なり研究の水準等に着目いたしまして、たとえば大学院の教育に力を入れている、あるいはその他大変特色のある教育方法でもって教育している、あるいは特殊な分野のかなり先導的な、あるいは先端的な研究を進めているというところにつきましては、特別補助の措置をとっているというようなことで、私どもは、かなりこの補助金の配分については、いろいろと慎重に改善を加えているつもりでございます。  そういう意味で、現在の補助の方式はおおむね妥当であると私ども考えておりますけれども、ただいま御意見にございましたように、大学の規模あるいは学生数の規模から言うと、それほど大きくはないけれども、しかしながら、その教育の中身としては大変いい教育をしている、そういう小規模校につきましては、私どももっと補助の面で手厚く措置する必要があるのではないかということで、そういう点についても検討いたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは、最終的には当該学校の経営の安定ということをも十分配慮し、さらにまた父兄負担の軽減ということにも意を用いているわけでございますが、それぞれの大学が特色のある教育あるいは研究を展開できるように、そういう面で今後とも補助のやり方につきましては改善の方策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 いまの御説明はよくわかりますけれども、つまり、これは非常にむずかしい問題があるわけですね。大学というところは、無論研究の自由があり、教授会を中心とした教育の自由、自主性というものがある、これははっきりしたことなんですね。それには国が補助金を与えるということなのですが、この際、検討しなければならない項目として、学問の自由そして教育の自主性という問題に触れない形で、その補助を受けている学校が補助の目的を正しく良心的に実行しておるかどうかということだけは点検する必要があるわけなのですが、この点検が行き過ぎますと、先ほどの自由と両立できないような面が出てくるからむずかしい、こう申しておるのですけれども、それがむずかしいからといって野放しにするということはいけないことだということなのです。そこのところを、私は、具体的によく検討してもらいたいと思うのです。  せっかくのこの大事な税金でもっていろいろな制約の中で高等教育をやる場合に、いま突き当たっている問題、解決しなければならない問題の内容的に見て一番大事な点は、そこだと私は思うのです。その問題を何とか具体的に解決するような努力をぜひともしてもらいたいと思うわけです。いままで私は十分にやられてないと思うのですけれども、今後の三年間でそういう問題をぜひともやってもらいたい。  そのことと関連しまして、ごく最近例の北里大学と北陸大学が、これはお医者さんをつくる大学なのですけれども、それだけじゃありませんが、非常に不適当な財政的な運営をしているということで、国の補助を差し戻させたという措置をとられましたね、あれは私は、非常にいい措置だと思うのです。  これは、あのようなケースだけでなくて、学校の中にはさまざまの間違ったものがあるわけですね。たとえば今回の早稲田大学の商学部の問題なんかは、二十年も前からのしきたりだと言う。二十年前は大分様子が違っておったと思うのですけれども、ああいう問題についても、私は、一定の罰則を設けた方がいいと思いますよ。私は、ああいう大きな問題になれば、当然、総長はしかるべき責任をとるべきだと思うのですけれども、そういう人間的な問題だけでなくて、この補助金の問題からでも、ああいう間違った問題が起こったら、しかるべきランクで補助を減らすとか、あるいは三年ぐらいは停止するとか、そういう意味の罰則みたいなものが私は必要じゃないかと思うのです。こういう罰則であれば、学問の自由とか教育の自主性というものと両立できるんですよ。  いま早稲田大学の商学部に起こっている問題を例に挙げたのですけれども、そういう問題だけではなくてたくさんあるわけですね、よく世間の話題になる教育的に見て非行的な行動が。そういう問題について政府としても厳しくチェックをしていく体制をぜひともとってもらいたい。  そういうふうな意味を含めて、今度の三年間の検討期間というものは、私は非常に大事だと思います。私は、このことを聞いたときに、これは非常にいい法律だと思いました。また四十五年以降約十年たっておりますから、この十年たった実績にかんがみて、ここらあたりで国立大学を含めて私学の根本的ないろいろな意味の検討をする時期に来ている。そういう時期ですから、いまの三年間の延長というものは、単なる延長というもの以上の意味を持っていると思いますから、ぜひともこれは賛成したいと私は思っておるのです。しかし、これはいたずらにただ惰性的にこんなことをやったのでは意味がないことなのです。いま申し上げたようなことなどを含めてぜひともひとつ検討していただきたいと思います。  それから、今回私立大学だけでなくて国立大学にも、そして大学院等にも、この抑制の方向を打ち出しておるわけですけれども、これは無論、今後そういうものはここらあたりでもう新設はしないという意味ではなくて、いまの新しい高等教育というものを検討する機関としてこれを置くという意味だと思いますので、これはいいことだと思います。  さて、いまの面から見て、これはいまいろいろ質疑があったかもわかりませんが、今後国立大学と私立大学とのバランスをどういうふうにとっていこうとしておるのか、そこのあたりについて、これは大臣でもいいのですが、——でもいいというのは失礼ですけれども、ぜひともお答えいただきたい。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 和田先生の今回のあり方につきましての御協力にまずお礼を申し上げます。  さらにまた、ただいまの両方のバランスをどうとるかという問題は、なかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、まずもって国立と私立の問題は、当面は両者の間のあり方について、これはいままでの経験も加味いたしまして、よほど慎重に考えてまいらなければならない、かように考えております。  特に、私立大学等におきますいろいろな問題等もある今日でございますので、こういう点につきましては、事務当局の方において、厳正公平な態度をもって災いを転じて福とするいう理念のもとに、御指摘の大学のあり方という問題と両々相まってなお一層りっぱなものにしていかなければならない、本法案をして有終の美を飾らせなければならない、かように考えておる次第でございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 立場を少し変えまして、いまの私立大学で大部分の学生がやはりまじめに勉強しておる、するという雰囲気があると思われるのか、あるいは一生懸命勉強しておる人も相当おりますけれども、そこで大部分、小部分という言葉を使うのですが、大部分の学生が一生懸命勉強するような雰囲気を持っておるのか、あるいは大部分の学生がそうでないのか、これをどう判断されておられますか。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 大変むずかしい御質問をいただきました。あくまでも私の個人的な考え方だというふうに御理解をいただきたいのですが、正直に申し上げて、大学に進むという高校生といいましょうかそうした気持ちは、学問の真理探究をしていきたいという気持ちも、もちろんあるだろうと思いますが、やはりいまの社会から見て、大学を出ておけばと、そういう空気の人たちが多いのではないか。それはいろいろな大学やあるいはまた政府、文部省あたりも調べておるようですし、いろいろとマスコミ関係も調べておりますが、なぜあなたは大学に来たのか、あるいはなぜ大学にこの学問を学びに来たのかというアンケートをよく興味を持って見ておりますが、たしか昨年でございましたか、名古屋大学のやはりそういうアンケートで、理学部に学んでいる人たちに、なぜあなたはこの学問を学ぶのかと言ったら、親が行けと言ったからとか学校の先生が行けと言ったからということが非常に多かったという数字を私は記憶をいたしております。そういう現象だけを見ておりますと、やはり何か社会に出ていく勲章を一つつけるという空気がないでもないのではないかなというふうに考えます。  だから、逆に言えば、これからもっと大事な学問の追求をしていかなければならぬ面が、あるいはまた高等教育機関に学んで社会に入る、あるいは官界に入る、いずれにいたしましても、日本の将来にとって大事な学問を身につけなければならぬ面での機能が果たされていないという面も、やはりいまの高等教育機関にあるというのが率直なところだろう、私はこう思うのです。  そこで、先ほど先生いろいろと御指摘ございました点は、私ども、まさに和田先生のお考えのとおりのことがむしろ背景にあるわけでございまして、午前中あるいは午後のこの委員会の質疑の中でも、西岡さんを中心に何回か党の考え方を申し上げてまいりましたけれども、大学の高等教育機関の役割りの分担みたいなものがやはり必要なのではないだろうか。あるいは一方では、今日の経済状況というものがこのまま推移すると考えて、いまの進学状況が続いでいくならば、十八歳人口というものの動態を見てまいりましても、また引き続き大学へのニーズが高まってくるということを考えますと、だからといって、その門戸を広げていくということが、逆にわが国の財政的な負担の面から見て、果たして国民の理解を得られるのだろうかどうかという、こういう考え方も当然出てまいります。  したがいまして、私学の補助のあり方についても、これは午前中嶋崎先生のときに私が申し上げたのですが、やはり文部省がやるかやらないかというのは、これから私どもが督励しなければならぬと思いますが、少なくともわが党においては、この私学の配分の仕方が、単に教官数あるいは学生数だけの頭割りでやるということについては、私は、非常に矛盾を感じております。  先ほど和田先生からおっしゃったペナルティ方式も大事なことだと思いますし、これは自由民主党が五年前にこの法律をつくりました当時、たとえば入学難の解消ということで当時の西岡文教部会長が、いわゆる共通一次テストの前提となるものをわが党で立案をしたことがございます。そのときに入試センターの共通一次試験に私学も当然参加すべきではないか、これを法的に担保しておく必要があるのじゃないか、こんな考え方も当時西岡さんを中心に私たちまとめたことがございます。  あるいはこうしたこともこれからの検討課題で、このことが実現していけば、場合によれば、こんなことを取り入れるところが、また私学の補助の面である意味でのペナルティに対するまた優遇措置であってもいいのじゃないか。  これは、あくまで私の私見ですが、やはりそんなめりはりで将来やっていかなければ、この私学の補助というものは、単につかみ金で上へ乗せていって頭数だけでふやしていくということでは、当然将来、不均衡な面がたくさん出てくるだろう、こんなふうに考えております。  こうした高等教育のいわゆる整備の計画の仕組み、これは先ほどから西岡さんるる申し上げましたので、専門的な面では西岡さんからお答えいただいた方がいいかと思いますが、そうした面、そして私学の補助のあり方、そうした点を十分に私ども党でこれから検討してまいりたい、その大事なこの三年間の期間ではないだろうか、私は、こんなふうに考えておりまして、ぜひいろいろな意味でまた先生の御支援、御教導をいただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 私は、この前の国会で放送大学の法案の審議をしたときに、あの放送大学という問題が出てきた背景なり理由はわかるのですが、今後の日本の高等教育における役割りという問題をいろいろと考えてみたことがあるのです。私は、先ほど五年間の今後の高等教育についてさしたるあれはないじゃないかと大学局長に申し上げたのですけれども、あの放送大学の問題は、私は、その意味ではなかったかもわからぬが、一つの成果だと思うのです。やはりいまの大学の大部分——大部分と言ったらはっきりわからぬけれども、本気で勉強していく、高等の教育をつけていこうという意欲なしに、ただ漫然と——いい意味ですよ。いい意味で漫然と高等教育を受けたいという、だれも行くからというような感じの機運は、放送大学の運営によって果たされると私は思うんですね。この放送大学が、あれは文科系のものですけれども、やり方によっては理科系の教育にも十分やっていけるのじゃないかという感じを私は持つのです。こういうものが先行していきますと、恐らく現存の私学あるいは国公立を含めまして相当大きく再編成をする時期が来ると思う、そういう感じがしてならないのです。  そういうふうな意味を含めまして、これは国公立を含めて今後の問題として、入学するときはできるだけ自由にさして、卒業するときの資格試験という考え方を今後ひとつ具体的に検討してみたらどうだろうかと思うのです。そうでないと、いままでのような私学をどんどん拡張していくということの持っている意味は余りなくなっているのじゃないかという感じがしてならない。といって、高等教育を大きく国民の場に広げていくということは、非常に大事なことで、やらなければならぬことなんですね。  そういうことなどを含めて、日本は入学試験が非常にむずかしくて、そこのところがネックになって、いろいろな社会問題さえ起こしているのですが、やはり卒業する場合の一定の資格を一つの平等な形で考えるというようにして、入学するときはできるだけフリーにしていくというあの考え方を、今後の高等教育の中にどうしたら持ち込めるかということをひとつぜひとも検討してもらいたい。これは私どもも検討したいと思っておりますけれども、そのようないわば大きな転換期というのが現在かもわからない、そういう大きな野望を持って、せっかくこれはりっぱな議員立法の提案者たちなんですから、胸を張ってぜひとももっとそういう方への意欲を持って検討してもらいたい、こう思うのですけれども、いかがでしょう。

西岡武夫自由民主党

○西岡議員 お答えいたします。  私どもも、ただいま御指摘の非常に大きな高等教育の転換期にいま現在あるというふうに認識をしているわけでございまして、ただいま御指摘がございました卒業時における卒業資格の試験制度、これも実は、現在自民党の中でも、こうした問題について検討すべきではないかという意見がすでに出ているわけでございます。また入学いたしまして一年ぐらいたった時点で、適格性というものを学校の中で何らかの形で行う、そういうやり方も検討に値する課題ではないだろうか、そういう万般の制度全体について、この三年の間に、できることならば、三年といわずに私どもは一年ぐらいの時間の間に一つの方向を早急に打ち立てなければいけないのではないか。  ただいま御指摘のございました放送大学の役割りというような問題も含めて考えますと、先ほど来御議論が出ておりましたように、十八歳人口がこれから非常に多くなってくる、激増するという時期を迎えるわけですけれども、同時に十年後には、これがまた減っていくというようなことを考えますと、高等教育機関をどういう形で整備していくかということについては、財政的な面から申しましても、きわめてむずかしい問題を抱えているわけでございまして、高等教育のあり方、ただいま御指摘のそれぞれの問題、いずれも重要な問題であるというふうに私ども認識をいたしておりまして、また各党文教関係の皆様方の御意見もいただきながら、政府・与党としての考え方を早急に取りまとめてまいりたい、このように私どもは考えているわけでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 関連の質問があるようですから、私の質問はこれで終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。三浦隆君。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 新しい今度の法改正の問題も、詰まるところは、第二臨調の答申を待ちながら、この行財政改革というか、そうした点が大きな一つの要素に絡むかと思います。そういう意味では、福祉が聖域ではないということがこのごろ言われるように、教育もそうなるやもしれない、そんなような気がするわけですが、そうした中に文部省管轄におけるかなりのお金が、いわゆる補助金、交付金として流れておるわけです。われわれ文教に集う者としては、極端に言えば、他の分野はともかく、文教に係る予算は何とか減らさないでほしいというふうな希望を持つものでありますけれども、しかし先ごろ、実は「衆議院予算委員会要求資料 文部省」といった資料、余りいい印刷ではありませんが、二冊ほど手元に配られたわけであります。その中に「昭和五十六年度予算で補助金、交付金、委託費を交付することとしている所管の公益法人」といった名前がありまして、その一、二冊の中に、その金額、昭和五十四年度、五年度というふうなのが書かれているわけであります。  これをざっと見ましたときに、いわゆるばらまき補助金あるいは交付金というのかなというふうな気がいたしたわけです。これでは厳しい査定があったのではとても通らない。すなわち、補助金、交付金をなす以上は、いかなる考え方に基づき、いかなる基準をもって行うのかということが少なくともはっきりとしなければならなかろう、このように考えるわけでありますが、まず細かいことはさておきまして、大臣の方から、これに関してのお答えをいただければと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 御案内の第二臨調というものを目の前に控えまして、われわれの考え方というもの、なお、それに対します態度でございますが、まず文部省関係の予算総額というものが四兆四千六百八十七億円で、この中で補助金等の予算額というものが三兆二千六百七億円、七三%が補助金である。これは文教施策の中の根幹でございます非常に重要なものでございまして、他の役所のあり方とは非常に違う。それはなぜ違うかと申しますれば一御案内のとおりに、まず文部省の七割というものは人件費でございますし、ことに、それは交付税あるいはまた義務教育の関係の補助といったようなものでございまして、この義務教育国庫負担並びに私立大学等の経常費補助というものは、教職員の給与にかかわる補助金等が大部分を占めておるという他の省庁には見られない特色があるわけでございます。  その他の補助金につきましては、たとえば独創的な先駆的な学術研究というものの展開に必要な、特に科学技術研究費の補助といったようなものは、これまた、いままでのいろいろな御議論にもありましたように、文教費としましては重要な役割りを持っておる。文部省といたしましても、政府の方針に従いまして、補助金の整理合理化ということにつきましては、協調をいたす次第でございますが、五十七年度以降の補助金の整理合理化につきましても、今後関係省庁と十分に連絡をとりまして折衝をいたします。しかしながら、ただいま御指摘のように、わが文部省の予算構成内容というものが他省庁とは非常に違うということから、一概に——この補助金、人件費というようなもののあり方につきましては、これはわれわれの主軸をなすものとして今後の折衝を強力に推し進めてまいりたい、かように考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 実は私のいまお聞きしたがったのは、いわゆる私立学校に対する補助金その他ではないのです。これにはそれなりの確固たる学生数とかその他いろいろなある程度の基準があろうというふうに思っておりますし、かなり公正なものだと信じております。  そうではなくて、いろいろの各文化団体と称されるものに対して、補助金、交付金がなされているわけですが、その各種団体、公益法人という名によってばらまかれているところの論理性がきわめて薄いのじゃないだろうかということなんです。それでもなおかつそれでいいのだといえば、いいなりの論理が必要かと思うし、それが不十分ならばこれは過ちなんだ、即座に改めるとか、そうしたいわゆる文教という観点に立っての文化庁を今後指導していく大臣としての所信をお尋ねしたい、こういうことなんです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 文化庁を中心といたしました文化行政、それからまた科学関係を中心といたしました研究行政、こういう問題に対しまして、いま先生のお話の一つの哲学、一つの主観を持っての系統的、体系的な反発資料に乏しいじゃないかというような御意見かもしれませんが、しかし、それは一つの文化庁の今後の、あるいは文化、芸能、その他あらゆる面におきまする施策におきましても、十二分な理論構成と同時にまた一つの主観を持った考え方、そういうふうなものでいわゆる大蔵当局の折衝に対しましては臨みたい、かように考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 きょうは文化庁の方も見えているようなので、そちらからも御意見をお尋ねしたいと思うのです。  いまの文部大臣のお答えですと、仮にこれから厳しく第二臨調の答申その他が出されてきて、文部省に対する予算をどんどん抑えようとしたときに、お答えできないのじゃないか、いまのお答えでは。もう少しはっきりとした何かが必要なのじゃないか、そんな気がするのです。  たとえばいま、そうした各種の公益法人にいろんな名目で金が流れていますが、どういう基準がいまあるのか、ないのか。なければ早急にでもおつくりになるというふうな姿勢ですね、それをお尋ねしたい、こういうことなんです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 文化行政につきまして、文化庁から参っておりますから、お答えいたさせます。

別府哲文化庁次長

○別府政府委員 お答えを申し上げます。  文化庁では、民間の芸術団体に対する助成を行っておりますけれども、これは芸術・文化の振興ということが、国民の人間性の陶冶の問題でございますとか、あるいは心豊かな潤いのある社会の実現にとって大変大切なことであるという考え方からでございます。また、わが国が世界の諸国と伍して国際社会に生きていくためには、経済の発展と並んで芸術・文化の振興に努めまして、世界の諸国と文化交流をさらに一層盛んにするということが、また大変意義のあることであろうと考えておる次第でございます。  このような見地から、文化庁といたしましては、民間の芸術団体の行っております芸術活動のうちで芸術の創作活動でございますとか、あるいは青少年に対する芸術の普及あるいは芸術の国際交流などの事業のうち、わが国の芸術。文化の向上と普及に意義があると認められる事業について助成を行っているわけでございます。  この助成といいますのは、当然国民の税金でございますので、その実行に当たりましては、もちろん適正を期さなければならないところでございますが、特に昭和五十五年度以降におきましては、この審査基準等につきまして一層の適正化を図り、また補助の方針あるいは補助対象団体の選定等につきまして民間の有識者の御意見を十分に伺い、その御意見を参酌しながら補助額の決定を行っていくというふうにいたしておるところでございますけれども、今後とも、最近の情勢にかんがみまして、さらに一層適正化の維持につきましては配慮をしていかなければならないと考えている次第でございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 それでは答えにならないのでして、私が問うているのは、そうした公益法人のいろいろな名前のところにお金をやっている、そうしたいわゆる審査基準というもので具体的に何か規定的なものがいまあるのかないのかと問うたのです。  いわゆる審査基準の適正化を図っていきますというふうなお話があったけれども、では、いまの審査基準は具体的にどういうものがあるのか、それをお尋ねしているわけです。

別府哲文化庁次長

○別府政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、対象団体の選定等につきましては、学識経験者の御意見を伺って決めているところでございますけれども、昭和五十五年度の分につきまして申し上げますと、民間芸術団体の助成に関する懇談会を開きまして、ここで審査内規というものの御了解をいただいているところでございます。  芸術団体助成の対象となります分野が大変幅広うございますので、一つ一つのたとえば音楽、舞踊、演劇、さらに音楽の中におきましてもオーケストラあるいは合唱その他もろもろございますので、それらのうちの主要なものについて一つ一つ具体的な審査内規等をお決めいただき、これらは芸術関係者にも当然公表されておりまして、そういったガラス張りの審査を受けた上での補助金の運用ということをやっているわけでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 時間のようでございますので、具体的な問題については次回に改めてお尋ねしたいと思いますが、審査基準は公表されているということですから、次回にそれを明らかにする意味でお尋ねしたいというふうに思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 先生の御指摘の面は、一つの限界効用という問題が当面出てきている。たとえば財政の非常な窮迫という問題を取り上げましての財政的な面からするならば、一つの限界効用、ちょうど戦時中にだんだんだんだんと苦しくなってまいりましたかつてのように、その限界効用論ということになりますと、やはり価値観というものの一つの普遍妥当的な体系化がなければいかぬ、そういうことに帰着するのじゃないか。そういう点で多種多様な価値観を持っておりまする芸術関係、文化関係というものが、非常にそれに対して反発できる理論構成がむずかしいということはよくわかっておりますので、その点十分な配慮をもって御注意にこたえたい、かように考えます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 時間でございますけれども、文化庁にお願いしておきたいのは、文化庁、自信を持って行っていただきたいので、そのときに、たとえば何々審査会にかけて審査員の御意見を聞いてというふうなお答えをされると、私が、では、その審査員はどういう方たちで、年間どのくらいの会合を開いて、どういう基準をもってお決めいただいたのでしょうかと具体的に尋ねるようになりますと、その審査員の方も余り気分がよくはなかろうというふうに思います。むしろそれよりも、文化庁として、これこれしかじかの基準が明確にある、そういうあるかないかです。  私がもう一つ心配になりますのは、仮にないような場合に、いわゆるこれが自由裁量的なものかどうか、とすると、多額なお金が仮にあった、それが文部省、文化庁でそれほどのいわゆる基準もなく自由裁量的にできるものだとしますと、今度は審査員じゃなくて、政府与党の人も飛ばっちりを受けかねない。いわゆる政権党、いわゆる権力というふうなものと補助金というものがよく結びつきやしないか、癒着化が起きやしないか、そんなことからあらぬ目でもって見られかねない問題が出てくる。  もちろん今日の政権党、自民党は大変に真摯な態度でやっていただいておりますから、そういうことはないと思うけれども、しかし少なくとも、かなりの金額が何らの基準もなくばらまかれる可能性を持っているというふうなことは、しかも圧倒的多くの人が、それがどういう仕組みかわからないとすると、極端に言えば、いわゆる悪用される可能性なしとしない、あるいは毎年のように特定の団体に多額な金が行き渡るようになると、それが一つの天下りの根拠となるやもしれない。少なくともそういうことを絶対になくすようにしなければ、先ほど言った第二臨調のこれからの締めつけによって文部省は立っていくことができない。われわれとしては、内々ですから、何とか文教のレベルを下げたくない、そういう立場で質問を進めていきたい、こう考えております。

別府哲文化庁次長

○別府政府委員 お答えを申し上げます。  もちろん、補助金の決定並びに審査基準等につきましては、文化庁の責任において決めていることでございます。ただ、事柄が芸術、特に水準の高いものに対して助成をするという芸術の水準の問題等でもございますので、できる限り公正、適切な補助金の運用を行うために、そういったその道の専門家の御意見を伺っておるということでございまして、もちろん、決定等は文化庁の責任において行っていることでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 質問を終わります。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。栗田翠君。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 私は、きょうは一般質問ということで、いま審議されております私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案の質問はいたしませんが、初めに一言だけ委員長にお願いしておきます。  いまやりとりを伺っておりますと、この私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案は、非常に重要な内容を持っていると思います。で、この法案のうちの私立学校にかかわる部分といいますのは、五十一年に提出されて、そしてたった一日の審議で採決をされまして、当時、慎重審議をせよという野党の決議が上がるような経過もありまして、野党全党が反対をした、そういう経緯を持ったものでございまして、十分な審議が保障されるよう委員長に御要請申し上げたいと思います。  私ども共産党は、次回にこの質問をさせていただきますので、きょうは要請ということにしておきます。  それでは、労働省がお急ぎだということでございますので、初めに、学校現場におきます女子教員の退職勧奨年齢が男性よりも非常に若いという差別の問題について質問をさせていただきたいと思います。  日産プリンスの中本ミヨさんが、これは民間の企業ではありますけれども、男女の定年制の中で年齢差があるということで訴えておりまして、三月二十四日に最高裁の判決が出ました。この判決の中身は、六十歳前後までは男女とも職務能力に欠けるところはない、男女差別定年制は、民法九十条の公序良俗に違反するとする二審判決を支持した全面勝利判決だったわけでございます。  これについて、各新聞の論評でも、婦人の地位向上への一歩、男女平等に一歩を進めた判決、差別撤廃条約批准へのうねりなどと支持をする報道がいろいろされております。  「国連婦人の十年」の中で、婦人労働者の権利を守り広げるためにがんばっていらっしゃる婦人少年局として、この判決をどうごらんになっていらっしゃるか、初めに御感想を伺いたいと思います。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○佐藤説明員 お答え申し上げます。  最高裁判所から、いま先生お話ございましたように、男子が六十歳、女子を五十五歳とする男女別定年制につきまして、合理的理由がなく無効であるという判断が初めて示されたわけでございまして、これは大変画期的なことだと考えております。  労働省におきましては、雇用における男女平等を促進するために、かねてから男女別定年制等の改善に取り組んでいるところでございますので、今回の最高裁の判断を契機といたしまして、今後さらに、これらの制度の改善に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 文部大臣に伺いますけれども、文部大臣は、このような判決についてどうお考えになりますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 御案内のとおり、性別によります男女差という問題につきましては、私ども、は、これに対しまして、提案中のいわゆる定年制法案では、職員はあくまでも男女の別なく原則として定年に達したときには定年退職するというふうに男女差を設けておらないことは御承知のとおりであります。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 それでは、この判決は当然支持なさるわけですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  当然支持をいたします。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 公務員には定年制がございませんけれども、そのかわりに退職勧奨というような補完的な制度があるわけです。地方公務員であります教師の間で退職勧奨年齢で男女差別が存在しているのを、大臣御存じでいらっしゃいますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 退職の勧奨によりますことにつきましては、もちろん、本人の同意があって行われる事柄でございまして、公立学校の教職員等に関しまして、この退職勧奨の年齢について、一部の県では男女差があることは承知をしておりますが、公立学校教職員の退職勧奨年齢というものは、事柄の性質上、それぞれの自治体において教員定数等諸事情を総合的に勘案いたしまして任命権者が定めてしかるべきことと考えておりますが、文部省といたしましては、単に女子であるということのみによりまして、それを理由に男子との差を設けることは適当ではない、かように考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 文部省は、全国の勧奨年齢の男女差について調査をしていらしゃいますけれども、どんなふうになっているか御存じでいらっしゃいますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 前に委員のお尋ねがございましてお届けした資料の後で、新しい資料がちょっとありますので、それで申し上げます。  勧奨退職基準年齢で男女差のある県が、五十五年度末の時点での、したがいまして、五十六年三月三十一日で私どもが聞いた状況でございますが、小中学校では九県男女差がございます。前回は十県でございました。それから高等学校、特殊教育諸学校では十県が年齢に差がございまして、これは前回九県でございましたが、まことに遺憾なことでございましたが、前回報告ミスが一県ございまして、実は前回も十県だったわけで、前と同じということでございます。  年齢差は県によって違いますが、一歳から五歳の間で区々でございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 この中で、教育委員会などが出した公文書ではっきりと年齢差を明記している県が幾つかございますが、その実態は御存じですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 すべての県について私ども調べておりませんけれども、地方公共団体によりましては、いま御指摘のように退職勧奨年齢などにつきまして、公文書と申しますか、県のつくった文書で定めているところがあることは承知しております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 先ほどの最高裁の判決もあるわけですけれども、教育委員会などが退職勧奨の年齢を男女で差をつけて、しかも、それを公文書で発表しているということをどうお考えになりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 先ほどの最高裁の判決に係る事案は、定年制の問題なわけでございますが、ただいま御指摘の公文書による定めをしているという事柄は、教員の退職勧奨の問題でございまして、これは先ほど大臣からも申し上げておりますが、退職勧奨というのは、本人の同意を得た上で結果としては依願退職という形になる事柄でありますから、あくまで事実上の行為でございます。  いまの御質問でございますが、そういった退職勧奨の年齢につきましての地方公共団体としての考え方を、出先機関でございますとか学校その他の関係機関に正確に示すために文書で記述をした、こういうものであるというふうに私ども解しております。これがそういう公文書という形になったからといって、さっき冒頭に申し上げました勧奨退職の性格と申しますか、あくまで退職者本人の同意があって結果としていわゆる勧奨退職になる、こういう勧奨退職の性格そのものが、そういう文書があるとかないとかで変わることではないというふうに考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 私が申し上げましたのは、勧奨の中身をどうこうするということではなくて、地方公共団体が文書で考えを非常に正確に示したといまおっしゃいましたけれども、男女で退職する年齢に差をつけるべきであるという考えを正確に文書で示したわけですね、この問題は後でもう少し申し上げますが、それは本人の同意があるということを前提にして。その差をつけるべきであるという考えはどうお考えになりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これも先ほど大臣から申し上げたわけでございますが、やはり単に女子であるということだけの理由で、この勧奨退職という事柄につきましても、男の先生と差を設けるということは適当ではないという考えは持っております。しかし、退職勧奨によります退職というのは、事柄の性質上、それぞれの公共団体が自主的に決めてしかるべきことでございますし、一つの事実行為でございますから、その際に女子だからということだけではなくて、教員定数でございますとか、おのおのの学校における教員の年齢構成あるいは男女のバランスとか財政事情、それから当然にそれぞれ個々人の個人的な事情、いろいろなものを総合的に勘案して行われます一つの事実行為でございますので、やはりこれにつきましては、任命権者がそれぞれの責任と判断によって決めてしかるべきことであろう、こういうふうに考えております。  ただ、重ねて申し上げますが、女子であるということだけを理由に取り扱いに差をつけるということは望ましくないであろう、こういうぐあいに考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 公文書を見ますと、男子教員何歳、女子教員何歳となっておりまして、まさに女子であるということだけで画然と年齢差がつけられておりますね。そして教員定数などの関係から申しますと、これは男女ともにかかわる問題で、別に女子だけ減らさなければならないということでもなく、特に女子に早くやめてもらわなければならない理由は私はないと思うのです。  それから、年齢構成で言いますとどうなんでしょうか。いま全国の小中学校を見ますと、高校もそうですけれども、年齢の高いところに女の先生が大ぜいかたまっていらっしゃるなどという例はまずなくて、ほとんど年齢層の高い方は男性が多くて、女性は早くからおやめになっていらっしゃる構成でございます。むしろ年齢構成から言えば、同年齢に同じように男女がいるべきである、中学校の場合なんか、教科の関係もありますから、同数ということにはなりませんけれども。しかし、年齢構成からいったら、いままでのゆがみを改めるのならば、むしろ女子をいままでよりもうちょっと長くすべきだ、こうなるべきだと思うのですけれども、そういう点でいかがですか、妥当だとお思いになりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 御指摘のことは、私どもも、先ほどもお答え申し上げましたように、女子だからというので、そのことだけで扱いに差をつけるということは問題であると申しますか、適当ではなかろう、こう思っております。  いま申されました年齢構成というような問題も、これは個々の具体のその県の状況によって県の立てます方針がどういうぐあいに出てくるかは必ずしも一様ではないと思いますが、年齢構成だけでなくて、申し上げましたように、定数の問題あるいは新陳代謝の必要性でございますとか、あるいは財政における人件費の占める割合でございますとか、それから補充についての見通しの問題でございますとか、それから、あとはその御本人自身のいろいろ個人的な事情、これを個別に勘案しての勧奨と申しますか、御本人とのお話し合い、こういうことでございまして、ただいま御引用になりましたその文章に年齢しか書いてないというのは、これはそういった具体的な勧奨退職についてのいろいろな事実行為を行うに当たつての取り扱いについての一つの方針を出しておる、こういうことであろうと思います。  それから、これは状況でございますけれども、ずっと前に比べますと、たとえば四十三年ごろに比べますと、男女の差のある県というのが半分ぐらいに減ってきておりますから、いろいろそういう具体的な状況が克服できた県は男女差がなくなっておるということがあろうかと存じます。私どもは、男女差のある県教委には、かねてからこの委員会でもこの問題については御論議があったわけなので、教職員の人事主管の課長会議等を通じまして状況を聞いておりますが、各県とも十分問題意識は持っておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますようないろいろな事情等の関係で、これを直ちに解消するということは当面はできないということで、いずれも今後の課題として考えたいという考えは持っておるようでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 いまの御説明を伺っておりましても、どうも釈然とはいたしませんが、女子だからということで差をつけることはよろしくないというお答えですね。その他のいろいろお挙げになった理由が、特に女子に差をつける理由にどう当てはまるのか、私は全く理解に苦しむわけですが、実際には女子だからということで差がついているという点については、よくないということでの今後の御指導があるものと思います。  それでいま、勧奨であって定年ではない、だから、本人が認めなければ済むのだとおっしゃっていますけれども、実はこれは私、この前予算委員会の一般質問で一度触れて質問が中途半端になっておりますので、きょうもう一度取り上げたのですが、公文書で年齢差をつけてあるところ、ないところ、ともに非常に厳しい勧奨です。これは退職強要と言うに等しい勧奨がやられているわけです。公文書ではっきり年齢差を決めているのは石川、鳥取、福井、富山、島根などですが、大体三歳から五歳くらいの年齢差が男女でございますが、これはこの前も申し上げましたので簡単にいたしますけれども、制裁措置があるわけですね。一度で勧奨に応じなかったら優遇措置はしないとか、給与の二号俸から三号俸の特昇は一度で応じたときのみで後はやらないとか、言うことを聞かなかったら通えないところに飛ばしてしまうとか、大変な制裁措置を含んだものでございます。ですから、勧奨なのだから、いやなら断ればいいじゃないかというような簡単なことでは済まない実態がここにあるわけです。  また、公文書で書かれていないところで、私は静岡県の出身でございますが、たとえば静岡県などでは、女子五十三歳、男子五十八歳でやめさせる、大体そうなっておりまして、これは文部省が調査なさったものよりも実際には厳しい年齢差になっております。小笠、掛川地区の先生方の現状などを見ますと、ことしの状況でも、女の先生は五十四歳以上の先生は一人もいらっしゃいませんね、男の先生ですと五十八歳までいらっしゃるのですけれども。みごとに五十三歳以後で打ち切られているという実態が出ております。  どんなぐあいに勧奨をするのかという生々しい例を二、三申し上げますと、たとえば沼津市の場合、八〇年度に五人の女の先生がおやめになりました。もっとおやめになりましたが、勧奨されました先生のうち五人の方から実情を伺いました。この五人は全部同じような状態で勧奨されていますから、おしなべて申し上げますが、第一回目の勧奨というのは、五十三歳になる年の一月にやられます。ですから、まだ五十二歳の方が多いのですが、そのときは校長が、年が来たからそろそろどうか、市の方で言ってきたからどうかと言って調査書を書かせる。家族は何人で家族の収人はどうでという、かなりプライベートな問題にわたって書かせるわけですね。第二回目は、五十四歳になる年の一月、県教委教育課長、市教委学校課長、校長が来まして、授業中に先生を呼び出して、校長室にかぎをかけて、そして後進に道を譲れ、少しでも若返らせたいからやめろ、就職したい人があふれている、早くやめる気にならないと優遇措置もどうなるかわからないぞ、男は一軒の生活を抱えている、女は家庭に響くことはないとか、生活に困るというなら積み立てて準備しておくべきではないか、四月に退職金を渡すから困ることはない、こんなふうなことを言って、承諾しない人には一年後の退職を約束させようとする。返事をしないと、一週間ごとに呼び出す。こういうことをやっていますね。第三回目は五十五歳になる年の一月、これは県教委の教育課長、市教委の学校課長、校長がやはり繰り返し同じことを言って、その上にあらゆるいやがらせが日常的にやられている。主任や責任者をやめさせられたり、はしの上げおろしから電話の取り上げ方まで言って、年をとると動作が鈍いなんということを言われたりする。  女の先生たちの共通の声では、体力では若い人たちに劣るとしても指導では絶対負けない、家事、育児からようやく解放され、仕事もようやく自信がついたいま、女だからといって五歳も開きがあるなんてがまんできない、これが共通した声でございます。  それから掛川のI先生は、五十七歳までがんばって、ことしやめられました。この方は非常に長くがんばった方で、この方がおやめになって小笠、掛川地区は五十四歳以上がいなくなったわけですが、第一回目は、そろそろどうかという意向打診。第二回目、三回目、そして第四回目、五十六歳、昨年のときには、大変な勧奨がされております。  この先生は、余りのことに毎日日記をつけていらっしゃったようで、八〇年一月三十日、五十歳過ぎればやめてもいいではないか。定年がないということは、いつやめてもいいということである。二月六日になりますと、退職年金も出るのだからと辞職願用紙を差し出された。二月九日、親が拒否していると娘が嫁に行けなくなるほどきらわれるよなどと言われた。二月十四日、どうか、やめる気はないか。二月十六日、世間の常識からいっても、女が先にやめるべきである。二月二十日、プールへ何回入れたか。駆け足ができるか。父兄から担任をかえてほしいという声が上がっている。これは事実無根だそうです。転任も覚悟の上だろうな。三月三日、あなたの年齢で働いている人がいるか。男女差があって当然、賃金も同一である必要はないと思っている。こういう勧奨をされているわけですね。  そして、その後の一年間は、学年主任をおろされ、校長さんの言うことを非常によく聞く若い主任さんと組ませて、責任ある仕事から出張からすべて取り上げた、こういう状態になっているのです。  ですから、女性であるからではないとさっきおっしゃいましたけれども、いまのこの勧奨の中身を見ると、男女差があって当然、賃金も同一である必要はないとか、女が先にやめるのは常識だとか、こういうことが言われている事実があるわけでございますね。  労働省に伺いますけれども、こういう実態をお聞きになって、どうお考えになりますか。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○佐藤説明員 お答え申し上げます。  一部の地方公共団体におきまして、教員の勧奨退職年齢に男女差があるということについては、私どもも承知いたしております。このような状況は、男女平等の原則からも好ましいことではなく、また地方公共団体は労務管理の点でも民間の範になるということが望ましいと思いますので、労働省といたしましては、そのような制度、慣行が改善されますよう、今後とも関係省庁と連絡をとってまいりたいと考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 まさにこの中身は人権侵害だと私は思います。さっきおっしゃったような勧奨などというなまやさしいものではございません。しかも教育現場でこういうことがやられているということになりますと、これは子供たちの目の前で、女の先生は早くから能力がなくなるのだ、男の先生はもうちょっといてもいいのだという状態になりまして、子供たちの教育上からも、男女平等という考え方を本当は子供の中に育てていかなければならないという点からも問題があると私は思います。  いま婦人少年局でも、今後、こういうことは正していくように各省庁と連絡をとりたいとおっしゃっておりますけれども、いかがでございましょうか、「国連婦人の十年」は八五年までに民間の定年の男女差をなくすということを目指していまがんばっていらっしゃるわけですけれども、さっき局長が、直ちにはできないけれどもやっていくのだとおっしゃっていますけれども、八五年までには少なくともこういうものはなくしていくようにしなければならないと思いますが、そういう御意思はおありですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 勧奨退職ということは、先ほど申し上げましたように、一つの事実行為という性格を持っておりまして、もちろん、それには御指摘のような優遇措置というようなものもあわせて各地方公共団体がやっておることでございますから、勧奨に応じなければその優遇措置の方もなくなる、そういう兼ね合いのことでございます。  それで、先ほども申し上げたわけでございますが、私どもとしては、単に女子であるということのみを理由として差を設けることは適当でないというふうに考えて、従来も、都道府県等に対しては、その線で指導を行ってきているところでございますが、やはりそれぞれの公共団体におきまして、先ほど申し上げましたような全般的な人事の上での事情がそれぞれあるようでございますし、それから実態的に、私ども聞いたところでも、先ほど申し上げましたように、当面は、そういう改善を直ちに図ることは可能でないということでございます。  いま御指摘の年次までにどうこうということは、やはりそれぞれの公共団体の事情もございますので、また、これは私の口から申し上げる筋合いのことでもないと思いますが、私どもは、そういった事情が解消すれば、これまでも差を設けておる県が減ってきておりますので、できるだけそういう方向へ持っていけるような助言をしてまいりたいと思っております。  ただ、やはり勧奨退職と定年とは事柄の性算が違いますので、そういう点で地方公共団体がおのおのの事情に応じて、自分の責任で判断するという要素が勧奨退職の場合にはあると思います。  それから、御指摘のようないろいろな具体のやり方についての話、これは私どもは、従来は、各都道府県におきます教員の人事につきましては、それぞれの異動方針に基づいて適正な人事配置なり人事異動が行われておるというふうに思っておりまして、いろいろ個々具体のケースについて、それが直ちに不当なことであるというふうには言い得ない面が多いのではないかと思っておりますが、御指摘のようなケースにつきましては、私どもも、県の方にいろいろ聞いてみまして、これが非常に強制にわたるというようなことが仮にありましたとすれば、私どもとしても、また必要な指導助言を行ってまいりたいと考えます。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕

栗田翠日本共産党

○栗田委員 人権侵害にわたるような強制的な勧奨とか女性であるがための年齢差をなくすために指導していくというお話でございましたけれども、ぜひそのようにしていただきたいと思います。  大臣に伺いますが、いまの討論をお聞きになりまして、いわゆる性別による男女差というものはぜひとも解消するように大臣としてもお力を入れていただきたいと思いますが、御決意を承りたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 それはよくありません。同時に、現場の具体的な関係でございますので、われわれの方も指導はいたしますけれども、任命権者その他の問題で勧奨の問題はスムーズにいく場合といかない場合がございますことは当然でございます。しかし、それはよくないことでございますから、そのように指導いたします。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 次に、公立の高等学校が父母に寄付金を仰いで学校の施設などをつくっている問題について質問いたします。  初めに自治省に伺いますが、地方財政法によりますと、第四条の五で住民への「割当的寄附金等の禁止」が書かれておりまして、第二十七条の三で「都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費」ということで、いろいろ例示がされており、公立高校の施設建設事業費なども入っておると思いますが、そのとおりでございますね。

津田正自治省財政局財政課長

○津田説明員 お答えいたします。  いま御指摘のとおり、地方財政法におきましては四条の五で「割当的寄附金等の禁止」、さらに具体的には二十七条の三で都道府県の公立高等学校の施設の建設事業費につきまして、「住民に対し直接、間接問わずその負担を転嫁してはならない」、こういうふうな規定を設けております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 ところが静岡県では、後援会とかPTAの名前で公立高校が父母から寄付金を取って、学校の施設や備品などの充実に充てている事実があるのですが、御存じでいらっしゃいますか。

津田正自治省財政局財政課長

○津田説明員 詳細につきましては、まだ全面的には承知しておらぬわけでございますが、そのような事実があることを聞いております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 私は、中身を調べまして、いまさらのように驚いておりますが、これは全県下にわたっております。  それで、きょうはたくさんの資料を持ってまいりましたが、これを全部取り上げるわけにいきませんので、あらかじめ文部省の方にも代表的な資料はお渡ししてありますので、ざっとごらんくださっていると思いますが、その一、二を申し上げましょう。  たとえば、静岡県立浜松東高等学校後援会事業計画書というのがございます。これを見ますと、体育館年次償還金というのが毎年一千万円計上されているわけです。この学校では父母から寄付金を取っておりまして、これは全県的に取っているのですが、入学時に生徒一人掛ける幾らというふうにしてもう予算が計上されていて、入学する生徒数に全部掛けているわけです。まさに割り当て寄付でございます。生活館建設準備資金なんというのも入っております。  それから、いま静岡県の西の方を例に挙げましたので、今度は中部を例に挙げますと、静岡工業高校、やはり同じように各教科の教材、教具の整備だとか校舎内Pタイルの張りかえ、第三棟雨漏り修理、天井ネットの設備、職員住宅だとか、これもいろいろ後援会の予算で全部賄っております。  それから富士高等学校、これは静岡県の東部にありますけれども、やはり生徒一人当たり幾らという形で父母から寄付金を取っておりまして、講堂補修工事だとか体育館の水銀灯の修理、校地の拡張の予算まで全部入っています。  自治省に伺いますが、このような種類のものは、寄付金を取ってやるべき中身ではありませんね。

津田正自治省財政局財政課長

○津田説明員 お答えいたします。  まず、法律的な点を申し上げたいと思うわけでございますが、この二十七条の三は「高等学校の施設の建設事業費」、こういう書き方をしております。この施設の建設事業というのをどの範囲にとるかということでございますが、極端な例を申しますと、たとえば普通の程度のグラウンドは用意している、しかし後援会等が熱心で、甲子園等に出したい、硬球のグラウンドを別途つくるというようなものについて、この二十七条の三それ自体に入るかどうか、ここいらは問題があるかと思います。  また、よくある例でございますが、卒業生が若干池等を整備して学校を卒業していく、この話はもちろん任意でございます。  そういうケースもございまして、やはり高等学校の施設の建設事業というのは、常識の範囲、それを公費できちんと整理した上で、それ以上のものを自発的に後援会がやるというケースまで禁止しておるものではない、こういう点が一つございます。  それから「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」という点でございますが、御指摘のように、直接父兄等のいわゆる住民にその負担を転嫁するだけではなくて、後援会という間接にやる場合も、これは禁止しております。  それで、学校と後援会との関係でも、先ほど申しましたように、任意、自発的でなければなりませんし、また後援会と住民、父兄等との関係におきましても、これは任意、自発的なものでなければなりません。さらに申しますと、その任意といいましても、もちろん余り多額のものはやはりおかしい、こういう考え方をとっております。  それで、個々具体的な点を御指摘ございましたが、私ども、県の当局に照会したところ、最近におきます県の考え方といたしましては、公費で持つべきものにつきましては、先ほど申しましたように、標準的なものについては公費で措置をしておる、県の負担を転嫁するようなことはしていない、しかし、静岡県には教育熱心な人が多いので、自発的にいろいろなものを整える、こういう傾向があるのは事実である、もちろん、強制にわたるようなことはしてはならない、こういうような指導をしておる、かように承知しております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 私、一例としまして、ここに「入学の手びき」という静岡県立静岡東高等学校の手引きを持ってまいりました。これと同様のものが、全県下ほとんどでございます。  これを見ますと、後援会とPTAの名前で出ておりますが、「入学寄付金 学校後援会の借入金について」ということで、静岡東高等学校はいついつ開設されなどということがありまして、校舎の建築に始まり、体育館兼講堂の新築、グラウンド六千六百平米の拡張、プールの新設と、一挙にその施設設備を整え、その後、卓球場や弓道場も建設された、そして寮もできた、県下でも有数の整った施設設備を誇っております、ところで、これらの事業のために後援会は、新しい建築費も含めまして、現在約一億二百五十万円の借入金があり、年次計画によって返済をしつつありますというふうに書いてあるのです。  そして「入学寄付金について」、金額、一口一万五千円、受け付け期日、三月二十三日のオリエンテーション当日全額納入してください、御都合のつく方は、二口以上お願いいたします。これが「入学の手びき」ですね。もうとにかく納入するのはあたりまえだという書き方でございます。  それから「学校後援会の借入金について」、これは学校側が後援会から借入するという形になっているのですけれども、借入金の払い込みは次のようにお願いいたします、オリエンテーション当日全額納入してくださいということで、これは一口二万五千円です。こうなっておりまして、新入生全部に配られております。これはほかの学校を見ても全部同様のようでございます。  そして、その後援会会計を見ますと、全生徒の父兄から集めていて、中には転入生がありますと、転入生一人なんといってそこからもちゃんと取っております。こうなると任意とはなかなか申せないと思いますけれども、こういう状況なんですね。  そして名前は後援会が寄付を集めているようになっておりますが、領収書は学校が発行している例などもございます。学校の名前で、その場その場に父兄たちにどんどん領収書を発行しております。こういう実態でございます。  そして中には、はっきりと目標を書いた後援会もありまして、学校の環境整備費なんていうのをはっきり書いているのもあるんですね。普通は後援会事業計画というふうになっているのですけれども、県立袋井商業高等学校などは、学校環境整備費歳入歳出予算案、こうなっております。  こういうものまで出ているわけでございますが、これは県がおっしゃるように、任意のものだとも絶対言えないと思いますし、それから体育館年次償還金だとか学校用地拡張費だとか、こうなっておりますから、こうなりますと、その主なものは県がやってとはなかなか言えない状況だと思いますね。それに触れるものがずいぶんあると思います。  こういう点で文部省に伺いますが、お聞きになっていていかがでございましたか。問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 ただいま御指摘の件につきまして、静岡県の教育委員会に照会いたしましたところ、生活館というような種類の施設は、県立高校九十一校中四十三校にあるということでございまして、すべてが後援会が建設したものと言って差し支えないということでございます。  この種の施設の建設に公費を支出すべきかどうかにつきましては、他の最低必要限度の施設整備がまだ完了していない現状におきまして、県が公費を支出し、その整備を促進すべきものとは考えていないということでございますけれども、国としても、現状においては、合宿所等が学校教育実施の上で不可欠な施設と考えるべき段階にはまだ至っていないのではないかというふうに思っております。  しかしながら、後援会が寄付金を徴収するに当たって、公の会計と混同するような形で寄付金を徴収するということにつきましては、これは大変好ましくないことでございますし、あるいはまた反面、生徒の父兄にいわば学校を通じて強制的に寄付金を割り当てるというような受け取り方をされるおそれがあるわけでして、この点も私どもは、改める必要があるのではないかというふうに考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 私は、まだ実は生活館のことを伺っていなかったのに、生活館のお答えをなさいましたけれども、生活館のことは続いて伺いますが、体育館の建設の年次償還金だとか校地拡張費だとか、それから、いまの東校にありましたように、校舎の建設その他でまだ負債が残っているので、それを後援会で賄うとかと書いてあるんですね。  だから県は、わりあいに任意だとかなんとか言っていますけれども、実際に私の手元にある学校が出している資料というのは、県が言っているようななまやさしいものではありません。  私は、ここに二十七校の後援会の予算、決算を持ってきているわけですが、これはみんな共通しているのです。  私は、まだ生活館のことを申し上げたのではないので、体育館だのプールだの校舎の建設の一部だとかということですから、しかもこれが、いまのように、全生徒の父兄から実際には集められているということですから、地財法違反ではないでしょうかと伺っているのです。いかがですか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 個々の高等学校のそういう実態、体育館なりあるいはプールの整備に要する経費とかあるいはその運営に要する経費等についてどういうようなやり方をしているか、まだ伺っておりませんけれども、一般的に申しますと、そういう学校として備えなければならない体育館等の整備費あるいは運営費について寄付金等を募るということは望ましくないことでございまして、それはたてまえとして公の経費をもって充てるべきものであるというふうに考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 そうして、いよいよ生活館について伺うわけですけれども、その生活館というのが、いまお答えがあったように、公立高校九十一校のうち四十三校も建てられておりまして、もう約五割建っております。そして、まだ続々と後援会から寄付を集めて建てるようになっているんですね。  県は、これは後援会が自発的にやっていらっしゃるものだといったような言い方をしていらっしゃるようですけれども、実際には運営費を出しております。それから、この建てられた四十三校のうち二十六校はすでに県に寄付されました。だから、建てて県の財産にしているわけですね。こういう実態なのです。  しかも、この生活館というのは、実際に使われている中身は、学校行事の重要な一環を果たすために使用されていて、集団宿泊訓練だとかクラブ活動などに使われておりますが、これが言ってみれば、父母にとっては、強制寄付の形で割り当てられて、そして二千万、三千万、中には五千万という、もっと高いのもありますが、非常にりっぱな冷暖房付きのものなんかがつくられまして、そして、それができ上がると県に寄付され、また寄付していないものでも県が運営費を出している、こういう実態なんですが、この点はどうお考えになりますか。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 そういう合宿研修等のための生活館の運営費につきまして県が助成をしているというのは、やはり父母負担の軽減に資するという趣旨で県当局が助成をされているのではないかと思われるわけでございます。  ただ、先ほど申しましたように、そういう合宿所等が現段階で学校教育実施の上で不可欠な施設と考えるべきかどうかにつきましては、まだ必要最小限の施設ですらも整備しなければならないという状況にある都道府県については、不可欠な施設と考えるべき段階にはまだ至っていないのではないかという感じがいたします。  したがいまして、後援会等でそういう生活館あるいは合宿所等を一応建てられまして、それを県の方に移管されるということは、いまのところ事実としてあるわけでございますので、そのことについて私どもがとやかく言うべき段階ではまだないのではないかというふうに思っております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 しかし問題ではないですか。強制寄付、強制借入金で賄っていて、しかも一つや二つが自発的にやったのではなくて、すでに九十一校のうちの半分四十三校で建てて、これからも建てていくという傾向にありますよ。ですから、これは全県的に一斉にやっていることで、私がいま持っている資料は全県にわたる資料です。ある一部の地方が特別にやっているものではないし、自発的なものでもないのです。そこを問題にしているのです。

吉田壽雄文部省管理局長

○吉田(壽)政府委員 先ほども御答弁申し上げたつもりでございますが、要するに後援会等の寄付について半ば強制的だと受け取られるようなやり方で寄付をすることについては問題がある、しかも公の会計と後援会、これは私的な会計でございますが、そういうものを混同するような形で領収書等を発行しているという領収の仕方にも問題があるわけでして、もし寄付を募る場合であれば、後援会はそれは全く任意の寄付であるということを関係者に明示すべきであると思います。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 お話をしたばかりのことなので、まだ十分な調査をなさっていらっしゃらないのだと思いますけれども、これは重要な問題を含んでいますし、こんなやり方が広がっていったら大変で、入学時に四万、五万、六万というお金を父母が用意しなければ県立の高等学校に入れない実態になっておりますから、今後十分な調査をしていただきたい。  また、県当局の言っていることと実際の父母が受けている感じ、それから、いろいろな資料などの実態にはずれもあるようですから、そういうところまで綿密に御調査をいただきたいと思います。  このことをお聞きになってぜひとも調査をしていただきたいと思いますが、大臣いかがでございますか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 よく調べるように命じておきます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 それから、自治省に伺いますが、これはかなり地財法違反の疑いがございますね。

津田正自治省財政局財政課長

○津田説明員 私ども、事実関係を最終的に承知しておるわけでございませんが、先ほど申しましたように、標準的な施設というものはやはり公費でつくるべきだ、つくらなければいかぬものだと思います。これを後援会の金あるいは父兄の金でやるべきではないと思います。  ただ、その場合に、標準的な施設というものは時代時代でレベルが違うと思います。十年前であればこういう施設はまだ要らなかったけれども、十年後ではこういうものも要るようになった、そこらはその時代の教育の考え方、これは文部省なり教育委員会の判断すべきレベルかと思いますが、そういう判断も要るかと思います。  それから、先ほど申しましたように、任意自発的なものでなければならない、割り当て的なものであってはならない、こういうことでございます。  文部省を通じていただきました資料、これは確かに形式的には学校の資料か後援会の資料かちょっとあいまいな点があるかと思います。その点では確かにかなり問題点があるのではないか、かように思います。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  次は、教科書の問題で伺いたいと思います。自治省はもう結構でございます。ありがとうございました。  いままで教科書をめぐりまして幾度も質疑が交わされてきておりますが、最初に、教科書の検定規則の中にあります正誤訂正の本来のあり方について伺いたいと思います。  文部省の検定規則の運用を見ておりますと、検定本体と正誤訂正という手続とを同じような比重、同格として扱っていらっしゃると思わざるを得ないことがいろいろございますが、文部省は、検定と正誤訂正は全く同格のものだとお考えになっていらっしゃいますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 教科書につきましては、これが教科用として適切なものとなりますように検定を行っているものでございます。その検定の後におきましても、誤りや不正確な記述など学習上支障となる記載が発見されましたり、また客観的事情の変更の結果、学習上支障となる記載が生じたりすることがあるわけでございます。  一方、教科書というものが学校教育において果たしております役割りを考えますと、これらのことにつきましては、速やかに記述の改善が図られる必要があります。  そこで、検定制度におきましては、検定全体の制度の一環といたしまして、御指摘の正誤訂正という手続を設けまして、検定を経た教科書につきましても、学習上支障となる記載を発見したときは、速やかに記述の改善が図られるようにしているものでございまして、申し上げましたように、正誤訂正は本来の検定の補完的機能を果たすもの、こういうふうに考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 補完的機能を果たすものだというお答えです。  法制局、おいでくださっていますので法制局に伺いますが、この検定規則を法文としてごらんになりまして、第二章が「検定手続」、第三章が「正誤訂正手続等」ということになっており、その検定を経た図書について正誤訂正となっておりますから、いま文部省がお答えになったとおりでよろしいですね。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 これは文部省令でございまして、内閣法制局はタッチしておりませんので、この趣旨等は明確なことを申し上げるわけにはいかないのですが、文言、表現あるいは体裁等から見ますと、先ほど先生のおっしゃったとおりかと存じます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 文部省もまた法制局が解釈なさった上でも、補完的なものが正誤訂正手続だということでは一致しております。実際私は、そのとおりだと思うのです。ですから、正誤訂正というのは、著作者の意図や主観、内容の評価にかかわるものではなく、検定の範疇に入る、そういうものではなくて、もっと客観的な、だれが見ても間違いであるとか問題があると思われるものに限られると私は思います。  以前、この検定規則が改正されました当時の国会の論議を見ておりましても、昭和五十二年四月二十七日の文教委員会での討議ですが、この中で諸沢政府委員が言っておられますが、この正誤訂正というのは「明らかに誤りであるというようなものにつきましては、これはできるだけ早く訂正をするということが必要でありますので、検定の手続におきましても、明らかに誤りであって、かつ早急に訂正する必要があるというようなものにつきましては、正誤の訂正という扱いで、普通の検定よりも短期間に修正ができるようなやり方を設けておるわけでございまして、」云々ということを言っていらっしゃるわけです。  ですから、明らかで、しかも早急に訂正する必要のあるもの、これは文部省当局も当時言明していらっしゃるわけです。  そうなってまいりますと、正誤訂正の仕方に、評価にかかわるようなものが入ってきて、次心意的に扱われてはならないということは明瞭ではないかと私、思います。これは正誤訂正でなく検定そのものにおいてさえも、教科書裁判でいままで家永訴訟の中で三つの判決が出ておりますけれども、杉本判決などは、非常に厳しい判決を出していて「国家の教育内容への権力的介入は原則として許されないとの立場」に立って「検定は明白な誤記誤植等の指摘に限られるものとし、」、こういう判決を出しております。  それから畔上判決は、ここまで厳格な言い方はしておりませんけれども、検定行政の悪意的実態を浮き彫りにして、一応制度の枠内での判断というたてまえをとっていますけれども、恣意的な検定処分を生む根本の原因が制度ないしその運用の中にあるということを示唆しているわけです。  それから、高津判決が出ておりますが、これはかなり検定制度そのものについては認めた判決ですが、それでも「文部省当局の検定関係者は事に当るに厳正中立を旨とし、いやしくも独断恣意に陥ることなく、」ということを厳しく戒めている判決が出ているわけでして、いまの正誤訂正のあり方そのものの、文部省自身が国会論議の中でおっしゃっていた中身、それから、これは正誤訂正よりはまだ評価にかかわる問題でいろいろ云々できる面は持っている検定でさえも、悪意的にやってはならないということを言っているわけでございますね。  そういう点で文部省に伺いますが、恣意的運用、解釈はすべきではないとお考えですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 私どもは、検定にいたしましても、正誤訂正につきまして会社側から申請がありまして、それを承認するという場合におきましても、恣意的にやっておらないと思っております。  先ほど以前の国会での質疑のことについて申されたわけでございますが、確かにそういうことも正誤訂正でございまして、そういうものも多いわけでございますが、現在の私どもの検定規則に基づきます正誤訂正につきましては、教科書会社から学習上支障があるため緊急に記述を改善したい、こういう正誤訂正申請がございまして、そして文部省としても、その訂正によりまして記述が改善され、かつ、その必要があると認めましたときは、これを承認することにいたしております。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、その具体的な判断は、申請のあった個々の教科ごとに全体の構成でございますとか、あるいは前後の文脈等をも勘案しながら行っているものでございますが、たとえば原文にありまして生徒に誤解を与えるおそれがあるとか、生徒の理解に混乱を生ずるとかの学習上支障となる記載がありまして、それが訂正によって改善されると認められるときに、その当該の申請を承認しているものでございます。  なお、現在の教科用図書検定規則は、昭和五十二年の九月二十二日に文部省令第三十二号として定められておるわけでございます。  それから、裁判のことについて御発言があったわけでございますが、それらのいずれについても、私どもとしては、なお考えが違う点があるわけでございまして、そして判決の中には、ものによりましては、私どものやってまいりました制度のよって立つゆえんの事柄に対する誤解も含んでおるというような考えを持っておりまして、なお現在、上告をして争っておる次第でございます。  いろいろな判決について仰せになりましたけれども、私どもは、それについて承認できない部分を多く持っておるわけでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 時間の関係がございますので、伺ったことについて簡潔にお答えいただけるようにお願いいたします。  私は、いまいろいろ例を挙げましたけれども、裁判なんかは各裁判官によって判決の内容がかなり違っていることもいま申し上げたわけで、それを認めよとか認めるなと言ったわけじゃありません。ただ、恣意的であってはならない、恣意的運用をしてはならないということについて文部省は当然だとお考えですねと申し上げたのでございます。それはいまお答えがあったと思いますので、そう思っていない、恣意的であってはならないと考えているということで伺っておきます。  それで、ちょっと資料をお配りしたいのですけれども、日本書籍の中学公民分野の広告記述変更について、よろしゅうございますか。——もうお配りいただいているようですが、これは中身はごらんいただいたとおりで、私は、一々内容の変更を読まないようにいたしますが、これが書きかえられた経過というのはどういうことでございますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 御指摘の教科書につきましては、昨年秋ごろ文部省に対しまして、教科書会社から広告に関する記述の一部を訂正したい、こういう正誤訂正の申請がございまして、私どもとしましても、その申請には理由があると認めまして、これを承認したものでございます。  経過ということでございますので申し上げますと、私どもの知っておる範囲では、この事柄につきましては、昭和五十五年八月五日付の毎日新聞朝刊におきまして、広告関係団体、これは全日本広告連盟という名前のようでございますが、その意見が報道されたこともございまして、教科書会社が自分で検討した上、正誤訂正の申請を行ってきたものと思われます。  訂正の理由は、広告業の役割りについての記述が不十分であるために生徒に誤解を与えるおそれがある、こういうことでございまして、役割りについて余り書かずに、むしろ問題点のようなことだけを強調しておる、そういう意味合いのようでございます。  文部省におきましては、これが教科用図書検定規則第十六条第四号に該当し、理由がある、こう認めて承認したものでございます。  なお、つけ加えますと、当該の広告関係団体からは、本年の一月になりまして私ども文部省の方に意見が伝えられまして、その内容についてはすでに報道されているところであったわけでございます。また同じころ、その団体自身が関係会社に対して正式に意見を伝えたというようなことでございまして、経過は、いま申し上げたとおりでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 いまおっしゃいました「中学校用の「社会科」新教科書における広告関係の記述についての改善方要望書」は、おっしゃったとおり一月に出ております。実際は十二月の末に出されたということですが、全日本広告連盟以下八団体がお出しになっていらっしゃるわけですが、そうしますと、いまのお答えですと、この改善方の要望が出る前に教科書会社からは、むしろもうすでに訂正の申し出があったのですか、そして訂正はいつされましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 時間的には、いま御質問のとおりの順序でございまして、正誤訂正は秋に行われております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 そうしますと、広告会社の方から要望が出ないうちに教科書会社が訂正を申し出た、こういう時間的には逆の状態になっているわけですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 先ほど申し上げましたように、教科書会社が自分で自主的に検討した上でこの正誤訂正の申請を行ってきたものというふうに思われます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 文部省が参考意見をおっしゃったわけですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 このことにつきましては、私どもは、参考意見を申し上げておりません。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 この八団体の要望書を見ますと、「次期改訂時での修正等、教育的見地からの改善方を強く要望するものであります。」となっておりまして、次期改訂時というと三年後というふうに普通理解できますが、そうですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 改訂のやり方によると思いますが、正誤訂正の範囲を超えるようなものでございますれば、御指摘のように三年後ということになります。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 しかし、改訂と言いますと、訂正じゃないですからね。次期改訂時と言ったら三年後じゃありませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 まあ、私どもの書いた文章じゃないものですから、お書きになった方がどういう意味合いでそういう字を使っておられるか、これはちょっと私には御答弁の限りじゃございません。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 そういうおっしゃり方をなさっているのですけれども、該当する教科書会社自身が、教科書を見て、次期改訂時の修正をしてほしい、こう言っているわけですね。  それで、法制局に伺いますけれども、この検定規則の中の正誤訂正手続、十六条ですけれども、一号から四号までありますが、四号は教育に支障があることと、かつ緊急を要するというふうになって、これは二つの要件を兼ね備えた場合に該当すると考えるべきですね。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 十六条を見ますと「その他学習を進める上に支障となる記載で緊急に訂正を要するものがあることを発見したとき。」となっておりますので、この表現上からいたしますれば、学習を進める上に支障があるということと緊急に訂正を要するという二つ必要かと思います。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 文部省は、大臣が教科書会社からの申し出を承認なさったと言うわけですけれども、一体この記述で緊急を要するというのはどういうわけなんでしょうか。「商品流通をたすけるしごとのなかで、最近花形になったのは広告業である。」というところが「商品流通をたすけるしごとに広告業もある。」、別にこれは変えるのに緊急を要するとも思えませんし、それから「これはメーカーなどの依頼を受けて広告をつくり、マスコミにのせるしごとで、消費者にあまり必要のない物でも買わせる力をもっている。」、それが「これはメーカーなどの依頼を受けて広告をつくり、商品知識をひろめ、売上げをのばすしごとで、消費者にあまり必要のないものなどでも買わせる力をもっている。」に変わっていますけれども、これはそんなに学習に支障があり、かつ緊急を要しますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 個々の事柄について私どもは正誤訂正を承認いたしましたり、検定をした立場でございますので、これが教科書として数種類の教科書等の中から採択ということになっていくわけでございますので、一般的な私どもの考え方として、余り内容に立ち入った御論議は差し控えたいと思っておりますけれども、御指摘でございますから若干申し上げますと、これはやはり正誤訂正でございますから、限られた行数の中で表記を変えていくということがございます。  ここの訂正は、恐らくこの会社側の意図は、マスコミに乗せる仕事ということを、いま御指摘のように「商品知識をひろめ、売上げをのばすしごと」というふうに、広告業の本来の目的なり、その役割りなり、そういうことをはっきり書いたということで、見本本の記述でございますと、そういうことは余り書かずに、むしろ一番末尾に近いところの「あまり必要のない物でも買わせる力をもっている。」というところ、そこだけが非常に浮き彫りになってしまってくる。そういうことで、いわば広告業の役割りがしっかり書かれておらずに、むしろ問題点だけが強調され過ぎている、こういうことで、これをやはりバランスのとれた記述といたしませんと、生徒に対して広告業に対する正しい理解を得させる上に支障がある、こういうことでございます。  私どもとしては、四号の解釈のお話もございましたけれども、これは四号に該当するということで、やはりそういう四号に該当するから直したいという申請があったわけでございまして、私どもとしても、そういう訂正によりまして、記述がいま申し上げましたような観点から改善されまして、そして、やはりその改善が必要である、こういうふうに認めたわけで、したがいまして、その結果としてこれを承認することとしたわけでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 どう緊急性があるかという点でお答えいただきたいのです。会社自身が次期改訂時での修正等をお願いしたいと言っているわけですね。  さっき自分が書いたのじゃないからわからないと局長はおっしゃったけれども、次期改訂時と言えば、やはり三年後、しかも、これは一月に出していますからね。まあ正誤訂正以外の手続で言えば、もう改訂と言えば三年後になるわけですから、そういうことを会社自身が言っているのに、なぜ直ちに正誤訂正で変えなければならないほどの緊急性があるのかということです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 会社じゃなく広告業の団体の方が「次期改訂時」というような字を使っておられるようでございますが、それについてはさっき御答弁申し上げた次第でございます。  教科書会社は、その広告業界の新聞報道がきっかけになったかどうか存じませんけれども、秋に持ってこられましたので、私どもは認めた。それで、先ほど申し上げましたような理由で、やはり児童生徒に対して、一つの事柄について総合的なきちんとした理解が与えられることが必要でございますので、やはり検定と申しましても、これは全部が完璧で十分に行われるということは、私どもとしても言い得ないことでございますから、検定の後に改善すべき点といいますか、必要な修正というものが生じますれば、これは速やかにいたしました方が、子供の教育のために望ましいし、必要である、こう思うのでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 しかし、もうこれは幾度も論議されていることなので、私も幾度も言いたくないのですけれども、この正誤訂正手続を見ますと、かなり厳しい例示がされていて、しかも最初に、文部省からもお話がありましたように、これは検定の補完的な手続である、だから、検定というのは、いろいろ内容についても判断で変えたりしているわけですけれども、しかし、検定を終了したものについて評価にかかわるようなものを、文部省がいろいろお考えになって——じゃ文部省、これは変えたらいいとお思いになったものは、評価にかかわるものでも、支障があり、かつ緊急性があるのだということでどんどん変えていっていいのかどうかという問題にかかわるわけです。  検定の補完的なものが正誤訂正であって、重みが違うと私は思いますけれども、そういう意味でのこの正誤訂正手続の解釈、最近の扱い方、ずいぶん問題があるのじゃありませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 評価にかかわるということがどういう意味か必ずしも私十分に理解いたしかねておりますけれども、この正誤訂正の仕組みは、必ずしもいわゆる単純な誤記、誤植あるいは正確を欠いた記述ということだけではございません。正確を欠いた記述ということでも、そこにはやはり評価ということが出てくる場合もあり得るわけでございますし、それから、いま御指摘、御論議になっております事柄につきましても、先ほど申し上げましたような理由で、これはやはり正誤訂正という形で改善を図るという会社側の申請が、それがやはり妥当であり、必要であるというふうに考えまして、理由があるということで承認したわけでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 誤記、誤植とか、それから統計資料が古くなったとか、そういうものになれば、客観的な、だれが見ても、これは直した方がよいという問題ですけれども、いまのような中身になってまいりますと、これは文部省の判断一つでどうにでもなってしまうわけで、検定規則をおつくりになったときに、そこまで範囲を広げて考えていらっしゃるわけではないですね。最初は、私、一度読みましたけれども、「明らかに誤りであるというようなものにつきましては、できるだけ早く訂正することが必要であるので」と、こう言ってますね。「明らかに誤りであって、かつ早急に訂正する必要があるというようなものにつきましては」と、この「明らかに誤り」というのは、万人ひとしく誤りだと認める中身ということだと私は思いますけれども、いまの広告の記述は私、見ても別に誤りだと思いませんけれどもね。だから、それは主観的な評価にかかわる問題じゃありませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 やはり評価にかかわる事項は入ってくると思っておるものでございますが、その評価にかかわるという意味合いがよくわかりませんので、私も、どういうぐあいにお答えしていいか、ちょっと困っておるわけでございますが、やはり検定にしろ正誤訂正にしろ、これは学校教育法あるいは学習指導要領にのっとって学校での教育が適切に行われるということを基本にいたすわけでございます。  本件につきましても、先ほどもちょっと申し上げましたが、「最近花形になったのは」というのは、これは行数の関係で恐らく会社側が考えて修正をしたものと思われますが、見本本の方は「マスコミにのせる」というやり方を書いてございますけれども、供給本の方は「商品知識をひろめ、売上げをのばすしごと」ということで、広告業についての説明をしっかりときちんとさせる、そういう手直しが入っておるわけでございますし、それから次に続きますくだりの「消費者にあまり必要のない物でも買わせる力をもっている。」という見本本の表現は、いかにも消費者が非常に利口でない人ばかりであるということにも読み取れるわけで、ここに「ものなどでも買わせる力をもっている。」というふうに入れたわけで、この記述は、児童生徒に対する理解を正確で、客観的なものによりするための一つの改善であると考えておりますし、これはやはり会社側が持ってきましたように必要である、こういう判断をしたわけでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 こんな形で文部省が判断したらどんどん変えられてしまうわけで、その変えさせないものが片方にあり、片方は検定を待たずして正誤訂正でどんどん変えていくということがやられていったら、これは検定の制度そのものを崩すのではないか、大変なことになると私は思うのです。  しかも、この広告の記述変更の経過は非常に不透明なものがありまして、日本書籍は、文部省に原発と商社と広告について書きかえてほしいと要求されて、書きかえたと言っております。私、調査しました。そう言ってます。さっき意見をおっしゃらなかったと言うのですけれども、書籍の方は言っているんですね。同時に言われた。  それから広告連盟の方では、八月五日付の毎日新聞に書かれているような抗議をした事実はない、ただ、ある方から、広告の問題で問題のある記述があるよと言われたので、教科書というのはどういう手続でどうなっているのかわからないから、文部省にどうしたらいいかと、八月五日のこの記事にあったその時期に聞きに行っただけだ、こう言っているのです。ところが、それが毎日新聞にばっと出て、そして教科書会社は文部省から言われたと言っておりますが、それがいち早く書きかえられて、しかも、お話を伺いますと、何かこれは学習に支障があり、緊急に書きかえを要するのに当てはまるのだ、こうなるわけです。時間がなくなってまいりましたけれども、私は、こういう意味では規則の解釈がずいぶん恣意的だと言わざるを得ないと思います。  原発の記述の問題では、この前も取り上げましたけれども、科学技術庁来ていらっしゃいますので、ちょっと伺いたいと思います。  たとえば、この前も例に挙げたものですけれども、これもまたちょうど簡単ですから、日本書籍の例を挙げますけれども、日本書籍の原発の記述の違いですね。「放射線もれの危険という問題があり、」というところが「放射能に対する不安があり、」に変わり、それから「原発建設予定地では、どこでも住民の強い反対運動がおきている。」というところで、「どこでも」と「強い」が抜けて、「発電所建設予定地では、住民の反対運動がおきている。」、こうなりましたね。予定地では、どこでも住民の反対運動が起きているのじゃありませんか。起きてないところございますか。

佐々木白眉科学技術庁原子力局調査国際協力課長

○佐々木説明員 お答えいたします。  発電所の予定地におきましては、発電所建設について反対の方がおられることは事実でございます。他方、賛成の方もおられます。すべての個所において、住民の強い反対運動だけが起きているという事実は承知しておりません。  なお、原子力発電所の建設に当たりましては、地元の同意が前提でございまして、地元の意向を十分踏まえて計画は進められているわけでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 よけいなことまでお答えいただく必要はないので、どこでも起きているわけです。賛成はそれはあるでしょうけれども、起きていないところはありませんね。

佐々木白眉科学技術庁原子力局調査国際協力課長

○佐々木説明員 お答えいたします。  反対の強さでございますが、反対の方もおられますし、賛成の方もおられます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 強さではなく、どこでもかと伺っておるのです。

佐々木白眉科学技術庁原子力局調査国際協力課長

○佐々木説明員 どの地点でも、その程度は調査したわけではございませんが、一応一人でも反対は反対でしょうから、そういう意味ではいると思います。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 しかも一人が反対しているというところはありませんで、反対運動が起きております。だから、これを削る意味というのは一体何なのか。強い弱いは主観の相違だと言いますが、ですから、これはまさに評価にかかわる問題で、窪川町みたいなのはまさに強いわけですし、強いと見るか見ないかは主観の相違ですね。  そうしますと、どこでも起きている、この「どこでも」を削り、そして主観的な判断がされる強い、弱いの強度についても削った。これはどういう客観性がありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 やはり原子力発電というものは、これは石油代替のエネルギーとして非常に重要で大事なものでございます。その安全性につきましても、おのおの手を尽くして慎重な調査研究や対策も行われておる。それから住民の間には、ただいま科学技術庁の方からも御説明がございましたように、それは反対もありましょうけれども、これを誘致しようとする意見もある。こういったことを全部総合して考えますと、原文では原子力発電の危険性でございますとか問題点が強調され過ぎているために、やはり中学校の生徒に対して原子力発電についての総合的な理解を与えるという上では支障がある、こういうふうに思うのでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 そうしますと、いまのお話だと、エネルギー開発の国策上必要だから、余り心配させてはいけないから削ったということですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 そういうエネルギー対策が非常に重要であるということは、これは一般的な前提条件としてありますが、私どもとして、教科書としては、やはり生徒にバランスのとれた総合的な理解を与える記述に改善することが望ましいし、必要である、こういう考えでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 時間がありませんが、バランスがとれた総合的な理解というのは、まさに主観的なものですね。いままでもう検定を経て合格しているもので、そのときは検定調査官も審議会もいいということで通していらっしゃるわけです。後で、ああ、しまった、字が間違っていたとか数字が違っていたとかということではないのです。いまになって何でバランスのとれたなどということが問題になるのか、しかもバランスのとれた判断ということは、余り不安などを持たせて反対運動をさせたくないという、これは国の政策に沿ったものだということですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これはたしか地理の教科書だったと思いますが、地理の中には、いろいろこういう科学の問題も出てまいりますれば、工業の問題も出てくれば、自然の問題も出てくればで地理というのはやはり非常にむずかしい教科でございます。したがいまして、もし、おっしゃるような検定が不十分であったのじゃないか、こういうことであるとすれば、私どもは、そういうことは検定の性格上できるだけない方がいいのですけれども、そういう場合があり得るわけでございまして、科学技術庁の方から参考としての意見が寄せられましたので、私どもは、それを会社へお伝えした、こういうことでございます。  それから、先ほどの広告の方は、そういう前後関係にはございません。しかし、いずれにしても、これは会社側の自主的な考えで自主的な判断で申請が出てくるものでございまして、私どもは、これは何も次心意的にああ直したり、こう直したりと、こういうことではないのでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 もう時間がありませんので、終わりたいと思うのですけれども、申請が出てきたもの全部認めていらっしゃるわけじゃありませんでしょう。選んでいらっしゃいますね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 それは個々の申請の内容によるわけでございまして、単に字を一つ変えるということでも、それはやはり教科書の中で統一を図るという意味で変える場合と、ただ変えても変えなくてもいいようなものを変えるというような場合もあり得るわけでございまして、そのような場合の扱いは異なるということになっております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 時間がなくて残念ですから次回に回しますけれども、非常に授業に支障のあるような、学習上支障があるようなものでも認められてない例すらあるのです。これは参議院の予算委員会へ参考人で来られた本多公榮氏がその場で例として挙げていらっしゃいましたけれども、これは歴史の教科書だったでしょうか、記述の資料が離れたところについていたので、これをすぐ近くにつけるようにしたいとある著者が言ったところが、それはだめだと言われたというような例がありますし、それからほかにも、当然これなら変えていいだろうと思うような客観的な問題ですら認められていないのがあるのです。一時間一テーマの見開き方法を採用して、テーマの頭に黒丸をつけたけれども、同じ黒丸を資料ページの見出しにまで間違えてつけてしまったので、これを取り消したいと言ったら、それもだめだった、こういうかなり当然変えていいだろうと思うものも断られているときに、一方で文部省がこれは必要だ、支障があるなどとお考えになれば、どんどん認めてしまう。客観的にはいろいろな判断ができるものをこういう調子でやってしまったら、これはまさに国定教科書にはならなくても、文部省の考えるようなものになってしまうし、検定手続そのものが変えられていってしまうのではないかと私は思います。  法制局に伺いますけれども、これは文部省の問題なんですけれども、この規則を読みますと、主観的に判断できる、しかし、異論もいろいろあるような中身までどんどんどんどん変えるということが十六条に当てはまるでしょうか。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 時間が参っておりますので、結論を急いでください。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 もちろん、十六条の解釈に当たっては厳格にしなければならないということ、恣意的な運用はしてはならないということは当然でございます。しかし、これをどういうふうに運用するかということは、合理的に、恣意を入れないで文部当局が御判断になるべきことでございますし、先ほど文部省の政府委員もお答えになりましたように、恣意的にやっているわけではないと私どもは承知しております。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 これで終わりますが、最後に大臣に伺いますけれども、教科書は国定化はしないと参議院でおっしゃっておりますが、そのおつもりですね。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 先ほど来の先生の御意見、いろいろと経過は伺いました。本屋の方で直したいと言ってきたものについてやむなく直したのだろうと存じますが、何はともあれ、ひとつりっぱな教科書を御一緒につくりましょう。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 国定化はどうですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 考えておりませんからお答えしません。

栗田翠日本共産党

○栗田委員 では、終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 次回は、来る二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十七分散会

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