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94回国会衆議院1981/04/15

文教委員会 第9号

発言数
198
登壇者
12
会派数
4
開催日
1981/04/15

会議録

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これより会議を開きます。  長谷川正三君外三名提出、児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関する特別措置法案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案の提案理由は、第九十三回国会においてすでに聴取いたしておりますので、これを省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ただいま提案されました法案につきまして、三点御質問を申し上げたいと思います。  最初に、国、地方を通じまして財政危機というのがいま大変叫ばれておりますが、そういう中で、特に地方自治体は義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づく補助率、それから単価などの引き上げというものについて非常な関心がございまして、私も一度、一昨年でしたか、そのことだけで御質問を申し上げたことがあるのですが、この国庫補助制度の抜本的な改善というものが大変に強く要望されておるのが実情でございます。提案されました法案につきましても、私は、本来から申しますと、国庫補助制度の抜本的な見直し、改善という措置を講じていく方がむしろ本来の筋である、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで今回、人口急増地域に限定した緊急措置法ということで提案をされているわけでございますが、いま申し上げました補助制度との絡みでどういうふうな、そちらの方を主としてやるべきであろうと思いますのに、今回こういうふうに提案されました理由について、最初にお尋ねをいたしたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 鍛治委員の御質問にお答えいたします。  いまあなたのおっしゃるとおり、本来は、義務教育諸学校施設費国庫負担法そのものを抜本的に改正いたしまして、全国どの地域も全く同様に施設整備の改善が進むということが理想でありまして、御趣旨は全く同感でございます。しかしながら、それ以上に東京や大阪その他人口が非常に急激にふえており、児童生徒の急増している地域の、極端な言葉をもってすれば惨状と私は言いたいぐらいでありますが、これは一刻も放置できない、こういう切迫した事態になっております。  そういう意味におきまして、当面時限立法、臨時措置的な性格ではありましても、こうした児童生徒急増地域に対する特別措置をもう緊急にとる必要がある、このように判断をし、そうしたきわめて現実的な立場で、本当の理想から言いますと残念な気持ちもあるわけでありますけれども、とりあえずこの時限立法をもってこの急場を救いたい。過密地帯におきましては、いろいろな要因がございますけれども、児童生徒が社会増、自然増両方合わさりまして、今日の乏しい地方財政の実態の中では、これに対応して十分余裕あるような学校施設をあらかじめ準備するというようなことはとうてい不可能な段階で、すでに四十五名学級と決まっていながら、そういう過密地帯では、これを破って四十六にし、やむを得ず四十七に詰め込んで急場をしのいだり、あるいは特に土地政策の貧困から来る用地の非常な高騰の中では、学校用地を取得するということは、なかなか容易ならざる自治体の重荷になっておりまして、そういう中では、自然にいままである学校を増築また増築という方向で急場をしのぐ、そのためにマンモス学校になる、校庭はだんだん縮められて、その上にプレハブが建つ。最近の例では、直接その名前は挙げませんが、もうこれ以上ふやせないが、鉄筋校舎の屋上にプレハブを建てようかなんという検討をし始めているという事例もある。こういう事態では、もう一刻も放置できないのではないか。  これは政府、文部省自体も、この事実は当然よく御存じのはずでありますから、政府提案をしてしかるべきではないかと考えますが、なかなかそのおみこしが上がらない模様でございますので、あえてこの法律を提起いたしまして、皆さんの御賛同を得て、この急場を一刻も早く乗り切りたい。  子供の成長は一刻も待っていただくわけにいかないわけでありまして、この貴重な子供の成長期というものが、こういう惨状の中に投げ出されることが一日も早く解消されるようにという意味で本案を提案した次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私も、政令都市の議員を十年やっておりましたので、そういう中で確かに一時そういう現象が、私が席を置いておりました地域でもございまして、いまの御答弁の趣旨は大変理解ができるのでありますが、そういう中で非常に痛感をしてまいりましたのは、特にいま答弁にもございましたように、急増地域の自治体というものは、全体の予算の中で教育財政の占める割合が非常に大きくなっている、そして、それがまた地方自治体の財政を大変圧迫してきているという現状があると思うのです。  その中で、特に地方自治体が頭を痛めているのが超過負担の問題であろう。この問題は、特に校舎なんか新設いたします場合に、古くから言われているのでございますが、少しずつ変わってきているとは言いながら、大変大きな問題になって財政圧迫の原因になってきておるということでございます。  御提案なさるに当たって、この超過負担の実態はどういうふうになっておるのか、また超過負担をもたらす主な原因はどういうところにおありとお考えなのか、こういった点について承りたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 全くお話のとおりでありまして、全国のどの市町村をとりましても、この義務教育諸学校、あるいは、さらにはもう準義務制と申してもいい高校の建設等に当たりまして——高校などは、もちろん都道府県のことでありますが、非常な超過負担に悩んでおることはおっしゃるとおりであります。いま、これを数字的に全国の統計を挙げてという用意はいたしておりませんけれども、まず単価がいつも実情より低い。これは最近、非常に改善されておりますが、それでも用地取得にしても建築費にしても、単価の基礎が実情より低いというところから来る超過負担、それから児童生徒に対する面積の基準も実情から見ますと非常に窮屈でありまして、実際はほとんどの学校がそれを超えた建築をしないと、幾らかでもゆとりのある、そして一校建てるごとに使ってみて悪いところを直し、不便なところを直し、改善をするということになりますと、また、それだけの超過負担でなければ、これは国庫補助の対象からその部分は外される、こういったことが重なっておりまして、この超過負担解消も非常に急務と存じますが、今回のこの立法によりまして超過負担の問題もかなりの部分が解決されるのではないか、このように考える次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 特に、そういう急増地域と並んで非常に大きな問題にいまなっておるのが高校の新増設であろうと思います。この件については、私が申し上げるまでもなく、進学率が九四・二%を超える、多いところでは一〇〇%近く、県によっては九八%くらいに進学率がなっておる、そういう実情がございまして、特に公立高校の新増設が非常に国民的な課題になっているのではないかという認識をいたしております。  こういう状況の中で、全国知事会や地方関係の団体等から、特に公用地の取得を含めて国庫補助制度の抜本的対策、これは最初もちょっと触れましたけれども、そういうような要望が強く出ておるわけでありますけれども、そういう要望に対して残念ながら国の施策が十分こたえられていないのではないかという気も私はいたしております。  こういうような問題について、また、そのために結局、中学浪人が非常に出てきておる。中学浪人というのは、われわれ現状の学校制度の中では考えにくかったわけでありますけれども、中には一浪をひとなみと読んで、一浪しなければ人並みでないというような読み方もあるようでありまして、こういうような問題も大変出てきておる。さらには過大な学級、それからマンモス校化、先ほども御答弁の中にちょっとございましたが、高校ではそういうことがだんだん出てきておる。こういうふうな高校教育問題というのは、年々深刻化をしてきておるのではないか、こういうように思っております。  こういう中で、非行、暴力問題についても、また、いろいろな教育問題を解決していく基本的な問題として新学校増設ということ自体が大変比重を持っておるのではないか、こういうふうにも考えておりまして、この解決が大変急務であると思うわけです。今後の高校生徒数の推移やら、いままで高校増設等が遅々として思うように進んでいないという点につきまして、そういう障害点等いろいろ問題があると思いますが、こういう点についてどういうふうに御理解なさっていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 お答えいたします。  鍛治委員のおっしゃるとおりでありまして、今日、特に教育の荒廃ということが言われまして、非行少年の問題あるいは校内暴力というところまで問題が起こっておる。私も、かつて教師をした経験がございますが、その時代には想像もできなかったような事態が、今日は各所に起こっておる。それにはいろいろの社会的要因がございますけれども、何と申しましても、受験競争というもの、進学の険路というものが非常に子供の生活を圧迫し、その人間性を喪失させている。しかも教育環境が、お話のように、マンモス学校であったり、過大学級であったりいたしまして、生徒一人一人の間の友情も、先生と生徒の間の人間的な精神の交流も、また教師相互間の人間的交流も非常に索漠としたものになってきておる。こういう事態が教育荒廃というような事態を生んでいるのではないかと考えるわけでありまして、そういう意味におきましても、この進学競争というものをまず緩和する。少なくとも高校までは受験というようなことに悩まされずに、だれでも地域の高校に進むなら安心して進める。また私立学校等の特徴ある学校へ進みたいという者は、そこを志望してそちらに進むことも自由にできる。いずれにせよ、もっと本質的な教育を受けられるような状況をつくり出すためにも、特に今日、公立高校の増設の問題は、その一番最初に着手されなければならないこの受験地獄解消の第一歩ではないかと思うわけであります。  しかしながら一方で、進学に対する国民の熱意は非常に高まる一方でありまして、平均が九四・二%、県によっては、中国地方、広島県ですか、九八%にも及んでおる、こういう県も次々に出てきておるような状況であります。最近、進学率について、いろいろな社会的状況から若干これを抑える傾向もないとは言えませんけれども、これは本質的な現象というよりも、いろいろな状況から進学を断念せざるを得ないというようなところから出ている面ではないかと思うのでありまして、こういうことによって高校の増設は力を入れなくていいなんという考えは毛頭持ってはならないわけであります。なかんずく公立高校につきましては、おっしゃるとおり、これを都道府県に任せてしまって、国の施策がまだ非常に不十分であります。一番隘路になっておる今日のこの地価高騰の時代に、用地取得については全く補助の対象になっていない。校舎建築についても非常に不十分な状態である。  でありますから、今回の私の提案した法律では、この点にも、不十分ではありますけれども、二分の一負担ということをうたいまして、ぜひともこの程度は政府として責任を持って対処できるように、恐らく文部省は、こういうことに非常な熱意を持って裏では努力されているだろうと思いますけれども、政治全般の状況の中でいまのような不十分な状態のままである、これを真に立法府としての権威にかけてわれわれが解決するという熱意で本法案を提案しておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 三点御質問を申し上げました。すっきりとした答弁をいただきまして、ありがとうございました。これで終わります。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この委員会でいわゆる議員提案の法案が審議されるということ、まず私は大変いいことだと思っております。特に野党側の提案する法律案に対して審議をするということが日本の国会では余りないわけでして、私の経験でも、一度この問題について当時の提案者である木島議員に対して質問をしたことがありますが、それから久しぶりのことでございまして、そういう意味で現在提案者の考えられておることを中心にしてお互いに論議をし、審議をするということは、非常に意義があると思いますし、同時に、それはまた一面では文部省もいろいろ財政上その他の制約があるわけですから、その文部省に対する一つの激励にもなるというふうに思いますので、そういう意味を兼ねまして何点か質問をいたしたいと思います。  提案理由の説明を前の委員会でされましたので、大体御趣旨はわかっておるわけでございますが、現在、この法案を提出されました経緯を見まして、提出に至ったその理由といいますか、今日的な意義についてどういうふうにお考えになっておるか、最初に伺っておきたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 山原委員の御質問にお答えいたします。  そのお答えに入る前に、山原委員からもいま御指摘いただきましたように、議員提案の法律案につきまして委員会が審議するということが、いままで非常にまれであった、提案権で提案までできるけれども、ほとんどその審議の対象にならないまま流れているというのが、いままでの実情であった、昨年のダブル選挙以来、非常に国会情勢が変わったことは、皆様御承知のとおりでありますが、与党が大変強くなっているという言葉がいいかどうかわかりませんが、そういう中で、衆議院の文教委員会が、まさに良識を発揮していただきまして、理事会の皆さんの賢明な御判断、三ツ林委員長の御英断によりまして、この審議に入れたという、これはわが国の憲政史上にも貴重な一ページを開くものとさえ私は評価し、深く感謝と敬意を表する次第でございます。どうも委員長ありがとうございました。特に理事の皆様にも、与野党を通じ深く敬意を表する次第であります。さすがは文教委員会である、こういう実感を深くいたしておるところでございます。  願わくは、文教の問題は、この精神で、党の立場を超えて、ひたすらに国民の、そして次の時代を担う子弟の教育の問題について力を合わせる体制が、本案の審議及び本案の成立ということによってひとつ実現をさしていただけばと、冒頭の山原委員の御発言に心から同感の意を表しながら、率直な所見を申し上げる次第であります。  さて、山原委員のいまの御質問は、急増地域の具体的な問題にはお触れにならなかったと思うのですが、そういう意味で、本案をぜひひとつ慎重審議いただきたい、こういうふうに申し上げまして、御答弁といたします。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 プレハブの問題、それから非行とか校内暴力問題などずいぶん起こりまして、それがほとんど過密学級、人口急増地といいますか、そういうところにほぼ集中しておるというふうに思うわけです。そんな意味で、地方自治体においてもずいぶん努力をされておりまして、たとえば東京周辺でも埼玉県などは、高等学校の建設など、こんなことができるのかと思うような高等学校の新増設が続いているわけです。そういう努力はしておりますけれども、しかし、自治体の財源にも限界がございますし、いわゆるそういう点ではずいぶん苦労しながら努力をしているわけですが、しかし同時に、学級定数の改善ということは、もう焦眉の問題でして、これはどうしてもどこかで踏ん切りをつけなければならぬというふうに思うわけです。  今度の提案は、そういう意味での積極性を持っておると思いますから、私ども、この提案に対しては賛成もいたします。そして同時に、幾つかの問題につきまして具体的に質問をいたしておきたいと思います。  まず一つは、これまでの人口急増地の指定についての緩和ということが要望として強く出ておりますが、この法案の二条で急増地指定がなされるわけでありますけれども、この法律によって計算をすると、指定市町村はどれくらいふえるものでしょうか、その点お伺いしたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 お答えいたします。  実は、山原委員のいまの御質問は、指定地域の緩和という御趣旨でございますが、これは本来、国庫負担法そのものの改正というようなことにも取り組むときに行うべきでありますが、今回は、先ほど来申し上げたとおり、いまの特に人口急増地域、児童生徒急増地域の非常に切迫した事態を打開するという意味でありまして、この私が提案しました法律では、その指定地域の緩和については触れておりません。これは従来の指定地域の指定をそのままにしておいて、そして実際の国庫負担率、国庫補助率を引き上げる、こういう骨組みになっておりますので、児童生徒の急増の流動の状況によって、その指定地域は、指定されたところが次の年は指定されなくなるとか、新たに指定されるとかという異動はございますけれども、法律が通ることによって急激に指定地域そのものが拡大する、こういうことには残念ながらならないのでございます。その点の御理解をいただきたいと思う次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 二つ目の問題は、この法律によりますと、高等学校建設及び用地取得費等が国の補助の対象となるわけでございますが、どのような位置づけで補助対象としたのか、その理由を一応おっしゃっていただきたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、今日の教育荒廃の一つの大きな原因が進学競争、受験地獄にあるということは、これはどなたもお考えだと思いますけれども、そのまた一番の、まず手をつけなければならないのは、少なくとも高校まではだれでも安心して行けるという体制をつくらなければならない、そのためには、高校についてもこれは準義務制として扱って、でき得れば小中学校、義務制学校と同様に、建築費あるいは校地取得費等について、あるいは施設整備費について、同等の補助の体制をつくるということは、実は理想と申しますか、ぜひそうしなければならない、こういう基本的な考えに立ちながらも、さらに冷静に現実を見詰め、緊急事態に対処するという意味で、その理想から言いますと、確かに一歩引き下がっておりますけれども、義務制学校よりは補助率は下げておりまして二分の一でありますが、特にいままで補助対象となっていない校地取得についても同様の補助をすることによって、高校の増設については、いまでもお話のように、地方自治体は懸命にそれぞれの地域住民の要望に沿って努力しておりますけれども、これを国が土地についても、校地取得についても補助対象とすることになれば、いままでよりもかなり前進をかち取れて、いま申し上げたような今日の教育危機を打開する大きな道になり光になるのではないか、このように考えて、高校の補助についても提案した次第であります。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 いまの御答弁によりまして、実際これだけのものが要るのだという理想といいますか、そういうものは確定をしながらも、なおかつ今日の情勢を見て、それに対して一定の現実性を持たせた法案として提出されているということがよくわかるわけであります。その点では、理想だけを掲げましても、余りにも現実性がないということになりますと、また、それは成立がおくれるわけですが、しかし、これだけでも建設費及び用地取得費が国の補助の対象の基準となっていくということが進んでいけば、これはいま非常に困難な中で努力をしておる自治体に対する非常な勇気づけになることはもう間違いないと思います。そういう意味で御答弁のほどはよくわかりました。  第三点目に、これまで小学校、中学校、高等学校の定数改善、これはもうずいぶんいままで、いわゆる四十人学級問題をめぐりまして、この委員会でも論議をしたところでございますけれども、結局問題は、人口急増地域における校舎建設及び用地取得等がどうしても問題になる、その問題点をどこで突破するかということでございますが、この御提案されておる法律が施行されました場合に、どのくらいの速度で四十人学級のいわゆる器といいますか、生徒を収容する施設その他ができるかという問題ですが、現在の文部省の考えられておるものよりは、かなりスピードが速く実現していく方向に向かうのではないかと思いますが、その点はどんなふうにお考えになっておりますか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 お答えいたします。  山原委員のおっしゃるとおり、結論から申しますと、本法が成立しまして補助率が大きく引き上げられますと、これによって校舎建築というものが大幅に進むわけでありますから、したがって、少なくともいまの法律規則を超えた過大の学級の解消には大きな力になると思いますし、われわれが理想としていまスタートを切りました四十名学級の実現に向かいましても、当然、それはこれを非常にたやすく実現する一つの条件整備になるということは明らかだと思う次第であります。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 四番目の問題ですが、実は高等学校の建設費及び用地費の問題につきまして、三分の二の補助という意見もあるわけですね。私の党内にもその意見がありまして、そういう政策も発表したこともあるのです。  先ほどちょっとその点お伺いしまして、大体わかるのでございますが、なお、この法律で二分の一とした理由ですね、重ねてお伺いするようでございますけれども、いまお話がありましたけれども、もう一度簡明にお答えいただければと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 お答えいたします。  今回の私のこの提案では、従来の三分の二の補助、つまり義務制の小中学校につきましては、児童生徒急増地域三分の二というところまでこぎつけたわけでありますが、これをさらに一歩進めまして、四分の三というふうに申しているわけでありますが、したがって、せめて高校も三分の二までというお気持ちはよくわかりますけれども、これまた現実を踏まえまして、建築費といままで全然なかった用地取得費と双方に補助を高校の場合も国が出すという意味で、とりあえず、まず二分の一というところを実現したい、まさにこれは大変控え目な内容であるというおしかりなり、御不満なりが担当地域から出るかとも思いますけれども、まず第一歩として、これを実現し、さらに今後、機会を見て改善をする、こういうふうに考えまして、本案では二分の一というふうにいたした次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 高等学校の教育に携わってこられました馬場、中西両議員の方も、そういうことでよろしいでしょうか。一言お答えいただきたいのですが……。

馬場昇日本社会党

○馬場議員 ぜひよくしたいのですけれども、現在の情勢の中では、まず第一歩としてやむを得ないのじゃないかということで提案者と同じように——私も提案者でございますけれども、そう考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)議員 本来ならば、いま長谷川さんの方から説明がございましたように、義務制と同等ということを目指すべきでありますけれども、今回の場合には、何と申しましても、いままで全く顧みられていなかった部分に向けて一歩前進をするということでつけた次第でございまして、この内容については、高校、特に首都圏あるいは近畿圏、中京地域等におきましては、大変厳しい条件の中でありますし、そのために財政的には大変な負担を強いられておるわけでありますから、この点、何としても、こうした審議を通して文部省あるいは財政当局にその反省を促す意味におきましても、ぜひこれだけでも成立をさせるべく皆さんに要請をしたいと思うわけであります。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ちょっと意地の悪い質問になりますが、また、予算の範囲で二分の一を補助するとしておりますが、これは場合によっては二分の一以下の補助になり得るということもお考えになっておられるのでしょうか。そういうことにはさせないというお気持ちはありありとわかりますけれども、その点ちょっと伺いたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 一つは、高等学校はまだ義務制になってはおりません。そういう現実を踏まえ、従来、用地取得費について、義務制の場合でもその範囲でというような規定があった時期もございまして、まず第一歩は、本当は二分の一と決めた以上は、初めから二分の一は確保するというのはもう当然の目標でなければならないと思いますけれども、いろいろ今日の財政事情の中で、万一全く融通がとれないというようなことがあってはなりませんので、この際には予算の範囲でという言葉を一応、従来のこういう場合の法律慣例用語と申しますか、そういうことも考慮いたしまして、こういう表現にいたしましたが、おっしゃるとおり、これはひとつ完全に到達目標にしたい、こういう熱意を込めての提案であることを御理解いただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 わかりました。  六番目の問題としまして、プールの問題でございますが、人口急増地のプール建設などでは相当な超過負担が強いられておるわけでございます。学校プールはスポーツ振興法によって措置されておるわけですが、別表を見ますと、公立の小中学校の水泳プールは四分の三、高等学校は二分の一、こういうふうになっております。これも先ほどからの同じ一連の質問で大変恐縮でございますけれども、理由はわからないこともございませんし、いまおっしゃったとおりだと思いますが、大体公立小中学校の場合と高等学校の場合の四分の三と二分の一の差というのは、やはり先ほどお答えになったような御趣旨からと承ってよろしいでしょうか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 おっしゃるとおりであります。理想としては何とか一つでも二つでも義務制並みにするところもあってほしいというふうに思いまして、緊急度によってはそういうことも必要だというふうに考えましたけれども、いろいろ現在の厳しい財政状況等を考え、実現可能な最大限はひとつこの辺じゃないだろうか、こういう踏まえ方でこのような内容で提案した次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 いろいろ理想を掲げ、これだけ要ると思いながらも、やはり法案を通すということから考えますと、いまのような配慮があるのもまた当然のことだと思いますし、そういう意味で努力をされておるということを痛感をいたしております。  七番目の問題としまして、超過負担の問題ですが、これの解消ということは、どこの市町村へ行きましても、首長あるいは教育委員会の責任者から要請を受けるわけでございますけれども、今度の場合は補助単価はどのようにお考えになっておるか。先ほど鍛治委員の質問に対する御答弁があったように思いますけれども、なおその点お伺いしたいのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 細かい具体的な数字を挙げての御答弁はちょっと差し控えますが、この趣旨の立法がされた約十年前から顧みますと、当時はなかなかこの補助単価についても現実離れしていると言ってもいいくらい、実際に建築取得にかかる費用に比べますと、非常に安い単価で積算された時期もございまして、各自治体からごうごうたる抗議があったことを記憶しております。  しかし、その点につきましては、その後政府、文部省、非常に現実に近づけるという努力をされたことは、私どもも認めるところでありまして、まだ完璧にとはいっておりませんけれども、具体的な例を見ましても、ほぼ法律で規定した補助率に近づける程度の、少なくとも補助単価の見積もりについては努力の跡が見られますが、これもこのように物価の上昇の激しい時期には、絶えず現実にマッチした改定をしていただきませんと、また、たちまち超過負担が増大することになりかねません。  ですから、いま御指摘の点は、本法が成立した場合、その実際の運用上、単価について現実にマッチするように、ぜひ文部当局、政府当局の御努力を願いたいと考えておるところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 入番目の問題としまして、公立学校の施設の新築増設等四分の三補助ということになっております。現行が三分の二でございますから、それは余りに高率じゃないかという批判が一部から出かねないわけでございますが、あえてこの四分の三補助というふうに踏み切った、これはそれだけの必要性があるからだと思いますが、この点について一言御説明していただければ、法案の趣旨がよくわかると思いますので、よろしくお願いします。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 これは今日、非常に地方財政が逼迫しておる現実の中で、実際に最近の学校建築の実情を見ますと、ほとんどが国庫補助と起債によって賄われる、直接その年度の自治体自体の予算から回す額というものは非常に少ないというのが現実でありまして、こういう状態では、当座はしのげても、やがて借金倒れになり、この元利償還ということになってまいりますと、年度予算の相当の部分が、この校舎建築の借金返しの重圧の中につぶれるということも心配されるのでありまして、そういうことから考えますと、現在の状況の中では、どうしてもこの義務教育につきましての小中学校は四分の三の補助に引き上げることが必要である、憲法によって規定されておる国の大きな責任であるこの義務教育につきましては、国が直接これについて責任を負うという意味からも大幅な引き上げが必要である、このように考えまして、今日のこの児童生徒急増地域の本当にぎりぎりの財政状況を見まして、このように判断し、提案した次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 わかりました。  最後に、校地の提供者に対する税控除等はどのくらいの引き上げを考えておられるか。大変具体的な質問になって恐縮でありますけれども、その辺御検討されておりましたら、お伺いしておきたいと思うのです。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 いま義務制の学校を建てる場合でも、特に公立高校等を建てる場合でも、最大の険路の一つが校地取得でございます。今日のように、天文学的数字と言っても差し支えないほどの地価の高騰の中では、東京周辺では高等学校を一校建てるのに、用地費を含めますと五十億から六十億要る、その半ばは用地取得費であるという状況であります。しかも、それでも譲る方があればいいのですが、校舎建築に適切な場所にまだまだ空き地があるとしても、これを提供いたしますと、莫大な税金がかかってくるということからも、一つは取得難というものが反面あるわけであります。したがって、せめてこの公立学校等に提供した場合には、その税率において優遇措置が、現在三千万ですか、という大変わずかな控除にすぎませんので、これは私どもの試算いたしました段階では、少なくとも一億程度までは引き上げなければいけないのじゃないか、こういうことを一応考えております。これは本法が立法された場合、可能な限り最大限の免税措置と申しますか、減税措置と申しますか、そういう措置をとることを法律ではっきりとうたっておきたい、こういう趣旨でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 具体的なことをかなりお伺いして、懇切な御説明をいただきました。その意味で、いままでもこういう法案を提出されることもありましたし、また今日、いろんな厳しい情勢の中でなおかつ日本の教育というものを考えましたときに、これは何とかしなくてはならぬという声、また、ここに出された法案に盛られておる中身は、やはり今日の父母や教師や教育関係者、また国民を含めての切実な要求の中から出てきておると思うのです。これを通すことは、なかなか困難な情勢もありますけれども、これだけはどうしても必要だということで出されておることがわかりました。したがって、これだけのことはしなくちゃならぬという理想を持ちながらも、なおかつ現実にこの法案を通していく、現実化していくためには、これだけの配慮とか、これだけのいわば遠慮といいますか、そういうものを含めて提出されておるわけでございまして、そういう意味では、私ども、いろいろ意見はありましても、この法案を出された積極性、その内容については高く評価されなければなりませんし、同時に、これはどうしても日本の教育の発展のために通さなくちゃならぬ、そういう決意を持って提出をされておると思いますが、その点についての決意をはっきりと国民の前に明らかにしておいていただきたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 山原委員から非常に力強い御意見を承りまして、私ども提案者として非常に意を強うする次第でございます。  しかし、冒頭にも申し上げ、また、山原委員も指摘されましたように、教育の問題は、一党一派、党利党略によって左右されるべきものでないという大前提から、特に今日の教育の荒廃、いわゆる非行少年の激増であるとか暴力行為が校内から家庭内、そういうところまで及んでいるというこの現状は、国民ひとしく憂うるところでありまして、これはいろいろな面から多角的に対処していかなければならないことはもちろんでありますが、何と申しましても、進学に心を煩わされる、純粋に学ぶこと、本当に豊かな人間性を育てること、こういうことが阻害されるというこの障害物は、国民こぞって、力を合わせてこれを除かなければならない。その趣旨を最も現実的に、理想からまだ遠いかもしれませんけれども、今日の財政状況等の中でも、少なくともこの程度は皆さんが力を合わせればできないはずはないし、国民だれ一人としてこれを歓迎しない者はいない、こういう信念に立ちまして提案をいたしておりますので、ぜひとも山原委員の御意見が、本文教委員会全体の意見として、あるいはわが国国会全体の意見として結実することを心から願っておることを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 時間がまだ十分ぐらいありますので、やはりいま長谷川委員のおっしゃったこと、これは本当にどれほど強調しても強調し過ぎることはないと思います。そういう意味で、せっかく提案者三名おいでになりますので、馬場、中西両先生からも、その点について、簡明で結構ですから、お気持ちを伺っておきたい。そして、その後で、文部大臣に一言お伺いしたいので、よろしくお願いします。

馬場昇日本社会党

○馬場議員 ただいま提案者の代表として長谷川委員が申し上げたとおりでございまして、本当に私どもとしては、特に先ほども御質問いただいたのですが、私、高等学校で教鞭をとった経験もございますが、やはりいまの法律の内容に盛られております事項では、高等学校に勤めておる者、生徒、父母、あるいは地方自治体として、これでは不十分だと思うのです。やはり義務制と同じような補助率等がぜひ必要だと思うのです。しかし、今日の財政状況も考えながら、本当に控え目な、これならばすべての国民、すべての政党、すべての文教委員が賛成できるのではないか、ぜひ通していただきたいということで、現実的な案として出したところでございます。  そして私どもとしては、やはりこれを通していただき、これを第一歩として、さらに、だんだん高等学校等も義務制と同じように引き上げていただきたいという希望も持っておるわけでございますし、特に、先ほど長谷川委員も答弁いたしましたように、今日物すごい教育の荒廃があるわけでございます。本当に国会が力を合わせて、できるところから、あらゆる角度から教育の荒廃をよくしていかなければならぬという、そういう第一歩にもなる法律ではないかと思うのです。ぜひ満場一致の御賛成で通していただきたいと切に願っておるところでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)議員 私は、この法案について特に強調したいと思いますのは、第二次臨調の中ですでに声が出ておりますように、四十人学級問題等についても規制をしなくてはならぬのではないかという声すらも出ておる現状であります。そうした事態の中で、一昨年来問題になりました定数問題につきましても、依然として十二年という長期にわたるこの四十名学級実現ということからいたしましても、このことは、特に反対をする多くの理由といたしまして、校地の取得あるいは建設、こういうものが財政的に非常に困難だということをもってして、文部省をして九年と言わしめたものをさらに十二年に引き延ばしたということを考え合わせてみましても、何としてもこの定数を四十名、さらに私たちが理想とする三十名学級という方向に向けて実現するためにも、このことはどうしても避けて通ることはできない問題であります。  そうした点からいたしましても、さらにまた高校における実態等からいたしましても、私、経験上、やはり何としても一学級定数が、逆にいま大都市圏におきましては四十六名あるいは四十七名という、こうした逆の措置をとらざるを得ないという実態等からいたしましても、土地がないということだけでなしに、これをどう打開するかという、矢ぶすまを立ててその中での論議でなしに、それを取り払う方法としていかなる措置があるかという一つの素材として、このことは私は取り入れていくべきではないかと思います。  そうした意味も含めまして、このささやかな願いをぜひ実現するためにも、全委員の皆さんにこの点の御理解と、そして御認識をいただいて、ぜひ賛成をしていただきますよう、特に要請を申し上げ、私なりの見解を申し上げたいと存じます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 提案者の方から御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  私は、いまのやりとりを聞きながら大臣に最後にお伺いしたいのですけれども、実は学級定数の改善ということ、当面四十人、こうなっていますが、本当言えば、私の教育の経験からしましても、最近の先生方の教育実践の中からの発言を聞きましても、四十人も無理なんですね。もっと減らすべきだという声が出ておりますし、また、諸外国におきましても、そういう点は相当改善されておるわけで、その点では日本は立ちおくれをしております。しかしその中でも、ずいぶん努力をして、子供たちを何とか引き上げていこうという努力がなされております。  実は私の友人ですが、年はずいぶん違いますけれども、わずか五年しか教職の経験がない青年教師ですが、今度「先生いのちかけてるね」という本を出しまして、それを先日読んだわけですけれども、読んでいるうちに、胸がつかえてくるのです。それは四十一名の子供ですが、その中に一人、非常に暴れる子供、それから授業にもついていけない子供がおりまして、その子供の家庭を調べ、その子供の心の動きに対してもぴたっと食いついて離さない、そして、それに学力をつけ、最後には漢字の試験が百点になる、百点になったときに、そのクラスの者はみんな手をたたいて喜ぶというような実践の記録ですね。その子供が大体うまくいったと思うと、今度転校してきた生徒がおるのですが、それは親も見捨てた子供なんですね。その子供の問題でまた悩みを抱える。四十名の子供を抱えて、その子供のために本当に駆けずり回っているという中で、しかも親は親で見放しているという状態です。結局この先生はどうしたかというと、自分のことを学級通信に書いて父母に配るわけです。その自分のことというのは、父親が早く死んで、貧しい貧しい中で育ってきて、そして自分で大学を受けて、苦学をしながらやっと卒業して教師になったという、この自分の苦しみといろいろなことを素直に書いて出しているんですね。それを見ておりまして、この明るい青年にそんな苦労があったのかと思って、思わず目頭を熱くしたわけですが、文部大臣、そんな努力がなされているわけですね。これは一人じゃなくて、みんなそういうふうな苦労をしておると思います。  しかし、ベテランの校長先生にしても、たとえば作文を読んでも、三十名までは大体体力が続くと言うのです。三十名を超したら、あとはいいかげんに見て点をつけていくと言うわけですね。これではいかぬというのが校長先生方の、ベテランの先生方の意見でもあります。  そんな点を考えますと、当面文部省も掲げておる四十人学級の実現というのを一日も早く実現をしていくというのは、これはいわば日本の教育全体の要求しておるところだろうと思うわけです。  いま提案者の中西さんからお話がありましたように、十二年という、そんな気の遠くなるようなことじゃいかぬという声が圧倒的に強い。しかも高等学校の場合、その十二年から先はどうなるかわからぬというようなことではいかぬわけですけれども、しかし、文部省の立てられております十二年計画につきましても、それは聖域ではないのだ、これも見直さなくてはならぬという、今度の行政改革の見直しの中に、新聞などを見ますと、これも見直さなくてはならぬというようなことが出てきているわけです。そうしますと、そのような親の気持ち、教師の気持ちというものがこの法案の中には盛られておると思います。国民は国会に出す場合には、陳情とか請願とかいうことで出すわけですけれども、法律としてそれをまとめて出されたわけですね。私は、この点は大事なことだと思います、国会でこれが審議されているわけですから。こういう点から考えまして、いま社会党の方が提案をされたわけです。そして、それに対して論議が行われておりますが、これは文部省にとりましても、非常に大きな支柱、支えになると私は考えております。  その意味で、きょうのこの提案に対して、文部大臣としてどのようなお気持ちで受けとめられておるかということと、それから四十人学級の計画については見直し論なんかがありますけれども、まさかそういうことに応じる気持ちはさらさらないと思いますが、その決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいま御提案の各委員の切々とした一言一言に対しまして、まことに胸を打たれるものがございます。教育の現場の厳しさと申しますか大変な御苦労をなすっておられることもよくわかる次第でございます。しかしながら、私もまた先生方と同じ文教に携わる者でございますが、一方におきましては、当面いたしましたわが国の財政事情を見ますると、必ずしも皆様方と、気持ちの面では全く同じといたしましても、御一緒になり得ないうらみがあることはお許しをいただきたいと思うのであります。  この内容は、児童生徒の急増地域における公立小中学校、高等学校の施設整備の事業に対しまする国の負担の割合の特例措置及び国の補助制度の創設等でございますが、これにつきましては、児童生徒の急増地域に対しまする過去の補助とのバランスと申しますか、本件だけではなく、均衡というものがございますし、同時に、また児童生徒の急増地域以外の地域との関連もございまして、そういう点の均衡を著しく失することに相なりますと、これはまた別の教育上の問題があるわけでありまして、現下の財政事情がきわめて厳しいことは、御提案になりました諸先生もよく御理解になっておられながら、やむにやまれずしてというお気持ちのもとに御提案になっているものと存ずるのでありますから、そういう点は私といたしましては直ちに賛成しがたいという次第でございます。  文部省といたしましては、地方債あるいは地方交付税措置をも含めまして現行の急増対策はおおむね妥当なものであるという考えのもとに立っておる次第でございますが、皆様方の本当に心からの叫びと申しますかお訴えに対しまして、私といたしましては、賛成できがたいということを明確に申し上げる、まさに断腸の思いをもってお答えをする次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最後にお聞きしました、四十人学級というものが、最初の九年案が十二年になるというような、文部省の意図と離れたものが出てきておるわけですね。それに対して努力され、三年後に見直しをするという話もあるわけで、三年後に情勢によっては早くするというようなことも文部省自身が言われてきたところです。それ自体に私たちは賛成したわけでありませんが、それに対してさえ行革の中で見直し論というのが出てきて、文部省の言うとおりにはしないぞという声も新聞などにちらちら出ておるわけでございますが、そういうものにはまさか応じるお気持ちはなかろうと思いますが、そのことの決意だけは伺っておきたいです。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 本案を御提案になりましての御説明の中にも、もちろんそういうことを踏まえましての、しかしあえて、やむにやまないお気持ちをもって本件を御提案になっておられるわけであります。私も、もちろん文教政策をおあずかりいたしまする者といたしまして、この案でさえ賛成いたしがたいということ自体、四十人学級の問題につきまして、客観的な情勢が非常に厳しいものであるということに対しましても、本当に、いまの情勢下に、皆様方とともどもに断固としてこれは反対してまいらなくちゃならない。教育を守り、かわいい青少年の将来を考えまする場合に、いまの当面の財政問題から四十人学級さえもこれをあえて修正するということについては賛成をいたしません。この点はどうぞ御了承いただきます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ありがとうございました。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 湯山男君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 提案者の御答弁も大変懇切で明確でございますし、また、それ以上に質問者の御質問も的確で、非常にスムーズに進みまして、私は、通常ならば多分お二人で大方二時間近くお使いになるのじゃないかというように思っておりましたが、大変進行が早くて、質問をさせていただきますことを大変光栄に存じております。  と申しますのは、提案者席には同僚がいるのですけれども、同じ同僚でいながら私は提案者から省かれておりまして、このまことに画期的な歴史的な法案の提案者になれなかったことは残念でございますけれども、それだけに、ひとつ質問をさせていただく……。  この対象になる急増地帯、私も見てまいりました。そうしますと、プレハブの校舎がある、一方は建築工事を進めている。子供たちにとって非常に危険なものですから、くいを打って、それへ棒を縛りつけて渡して、ここしか通れない、そうでないと危ないというような区分がしてあります。そして学校へ行ってみると、先生たちは、これはもう学校じゃございません、じゃあ何ですかと言うと、われわれは、この学校を牧場と呼んでおります、だから、麹町小学校じゃなくて麹町牧場、日比谷小学校じゃなくて日比谷牧場と、呼んでいる、そういう状態のところをたくさん見てまいりました。  これは確かに危ないなと思いますし、また、そこでやっておる先生たちの御意見では、しかし、夏は大変暖房がよく効きますし、冬は冷房が非常によく効きますと言うので、それは一体どういうことかと思うと、プレハブですから、もろに夏は日照りが強いし、冬は吹き抜けますから、環境としても非常に悪い。ただいいことは、景色が非常にいい。どこも大体共通して言えることは、景色が非常にいいということです。と申しますのは、そういう新たに団地ができ、宅地ができ、急増する地帯というのは、かなり中心部じゃなくて離れたところにできる。それでも地価が高いものですから、その中でもまた離れたところへやるものですから、見通しのいい、景色のいい場所、これだけはいいのであって、それで先生たちもせめて景色だけはこのまま置いておいてほしいというような希望を持っておるというような状態でございました。しかし、子供たちがこんなに来るようになって、こんな工事をしておって、工事の能率もよくないだろうし、親御さんたちも心配だろうしというような感じを持っておったものでございます。  なおまたもう一つ、いま山原議員から御質問のありました四十人学級の問題でございますが、私の出身県、四国の愛媛県には四十人学級のスタートに指定された学校が二つございました。その指定の条件としては、四十人学級完成まで校舎を増築する必要のない学校を指定する、つまり四十人学級にしたために、また校舎を建築しなければならないというようなところは指定されないということで、二校指定されました。  そういうことから見ますと、いまの急増地帯というのは、いまどんどん建てておるのですから、ひょっとすると、いまのように逐年四十人学級を学校指定していくということになれば、一番後に取り残されるという心配もあるのであって、そういう条件の悪いところで、そして親御さんたちも先生たちも苦労して、子供たちも難儀をしてやっておる、そういうところがまた一層不利な条件に置かれるというようなことは、まことにこれは残念なことだというような感じを持っておりました。  しかし、提案者の御説明を聞きますと、提案説明の中に、こういう急増地帯のマンモス学校というのでしょうか、あるいは過大学級、過大学校、そういったものは、そういう私が目で見たりしたようなところだけではなくて、もっと内面といいますか、教育の質的な面、たとえば子供同士の、あるいは子供と教師の、あるいは教師対教師の人間関係が阻害される、そういうことが非行なり落ちこぼれなり、そういうものの大きな原因になっているという御指摘がありまして、私は、建物だけ見て危ないなと思ったり、夏は大変だろうと思ったり、これでは四十人学級がおくれるなと思ったりしたのですが、さて、そうおっしゃられてみると、確かにそういうことがあるだろうという感を強くいたします。  そこで一体、どういうふうに人間関係が阻害され、そのためにどういう問題が実際において起こっているか、そういったようなことについて、ひとつお教えを願えれば、まことに幸せだと思うわけでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 湯山委員の御質問にお答えをいたします。  教育の荒廃ということのいま言われております背後には、いろいろなものが伏在しておりますが、何と申しましても、児童生徒同士及び児童生徒、教師、そして父母、こうした関係が本当に人間性に貫かれた温かい、育て合う状況にあるということがなしには教育は成り立たないと思います。ところが、牧場学校というお言葉がありましたが、現実には児童生徒急増地域については学校工場、こういう言葉もまた言われるような状況で、非常に過大な学校、過大な学級が多い大きな学校では、教職員がその名前を同僚として覚え合うことすらなかなかできない。一年たったけれども、まだ、あれ何という先生だったかな、こういうような状況があらわれている。また、四十名学級が実現しても、先ほどの山原委員のお話ではありませんが、まだ不十分で、やはり理想は三十名台にならないと、本当に一人一人の子供の成長を、お医者さんが患者のカルテをとるように綿密に記録しながら、その生命のひらめきがぱっと出たときには、その瞬間を逃さずとらえて、その子供のよい面をぐっと引き出してあげる、また、非常に悪い傾向が出始まっているというときには、それが大きくならないうちにこれを矯正してあげる、こういうようなことができるためには、何としても学校規模もある程度以上大きくない方がいいし、学級の児童生徒数も、四十名学級を一応今日目標にしておりますが、これすら揺らぎかかっておるのでありますが、それを乗り越えて、むしろ三十名台を目標にさらに前進を図らなければならないというのが、今日の教育の実情ではないかと思う次第であります。  しかも一方には、学習指導要領の国家基準制というようなことが昭和三十三年、省令で決められて以降は、教育のテンポについても、教師の自主性、地域の特殊性というものを十分生かしながら、教師が直接児童生徒に責任を持って、自己の、もちろん国の大きな基準というものは押さえながらも、生きた学級経営、生きた教育で適切に教育に取り組まなければ本当の成長を図ることはできないのでありますが、極端に言うと、わかろうがわかるまいが、中学一年の国語、一学期の何月にはどのところをどの程度教えておかなければ、それはいけない先生であるというような規制が文部行政の中で強められておる現実の中では、みすみす落ちこぼれをどんどんつくっているのはわかりながら、これを立ちどまって拾い上げていくというような余裕もない、これが今日の教育荒廃の底に横たわる、進学競争の問題とあわせてこういう日々の教育の営みの中に、非常に環境、施設整備の不備のために大切な子供の成長期が踏みつけられている、汚されている、押しつぶされている、こういう事実を私どもはいまはっきり知らなければならない。  こういう意味におきまして、その第一歩としてゆとりある教育のできる、その一番基礎条件として本法案を、最も現実的な、今日の状況に照らして、せめてこの程度はまず第一歩として実現したい、こういうことで御提案を申し上げておるところでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 よく理解できました。  次に、いま申し上げましたような、あるいは御答弁いただきましたような条件を解消するということになれば、新たに人口急増地帯になるというような、現在すでに人口が増加しているところだけじゃなくて、増加の見込みのあるところも本法においては対象にしておられるということは、私は、非常にいいことだ、このように思いますし、必要なことだと思います。  ただその場合に、自治体が指定を受けて、直ちにそれに対応して施設整備を行うということのできるところもあるし、大きな団地ができる、宅地造成が進んでいる、やがてこうなるだろうということで仮に指定を受けたにしても、直ちに今日の地方財政の状態では着手できないというようなものもあるのではないかというように考えられます。  しかし、子供が来てからでは遅いのであって、そういう状態の地域、それをひとつおくれないように、間に合わせるといいますか、そういう形でやるのには、いろいろな方法が考えられなければならないと思いますが、具体的にどういう方法が考えられるのか、御説明をいただきたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 湯山委員の御指摘は、まことにごもっともでありまして、この児童生徒急増地域に対する特別措置法というのは、すでに過去においても実施されておりますが、その運用上は、いまおっしゃったような問題で大変むずかしい問題がありまして、児童生徒急増、じゃ、どれだけふえたら、三年間にこれこれの人口がふえ、これこれの児童生徒数がふえた場合というように基準を置きますと、その直後にふえた場合にはどうなるか、そういう点では、これだけの措置をとっても、運用上は市町村としては非常に困る。そして後からふえるというので見越してやった仕事は補助対象にならなかったり、いろいろな問題がありまして、文部当局も、そういう事実は、いろいろ全国からの陳情等を受けてある程度は御承知で、その対応に苦慮し、かなり行政指導で適切な、そういうときに困らないような努力を今日までも払っていただいている事実も存じておりますが、たとえば今回、この法律の第九番目に挙げてありますように「地方公共団体は、大規模宅地開発等に伴い公立の小、中学校または高等学校の施設の整備事業を行う場合、財政事情等により、その事業を適宜に行うことができないときは、その開発事業者に対して、その事業の立てかえ施行の申出をすることができることとし、申出を受けた開発事業者は、その地方公共団体との協議に基づき、その事業を行うものとする。」というように規定しておりまして、たとえば住宅公団が大団地をつくる、でき上がってどっと入ってきた瞬間に子供が一緒に入ってきますから、全部新婚家庭だけで、それからお子さんが生まれて学齢期に達するのでしたら、五、六年の間に準備すればいいのですが、そういうわけにはいかないわけであります。  そういう場合には非常に困るわけでありまして、そういう場合に、事業者に学校自体を、校地も取得し、学校も事業者に建てさせて、後でこれを公立の学校として扱う、そういうやり方等をこの中に提案しておりますのも、そういういろいろな実情に対応できるような運用の配慮を法律の中ではっきり規定しておくことが必要ではないか、このように考えまして、そうした項目も入れてあるところでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの建てかえ施行という方式を取り入れられたこと、これも時宜に適した方法だというように感じます。  そこで、もうすでに御答弁もあったのですが、超過負担の解消ですけれども、所によりますと、急増地帯だけではなくて、学校建築等の場合、超過負担分を、本来ならば地方財政法に違反して、強制ではないけれども、任意という名目の割り当て寄付とかあるいはそれをつくるための債券ですか、借金を関係者からするというような好ましからざる方法をとっているところも決して少なくはないというように考えますが、そういうことのないようにする御配慮があるかどうか、これもひとつお伺いいたしたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 超過負担の問題は、必ずしも児童生徒急増地域に限らず、あらゆる地域におきまして義務教育の施設費の国庫負担法等の法律及びその運用あるいは規定、そういったものの中で、どちらかというと最小限度の規定になっているために、事実は少しでもいい学校をつくり、少しでも子供たちに豊かな教育を受けさせるようにという配慮を自治体がいたしますと、その部分がすぐ超過負担になっていくというのが現実であります。  したがって、この問題は負担法自身を抜本的に再検討して、もっと十分な施設設備の中で教育が受けられる体制に持っていくということが、私たちのやはり大きな課題であるというふうに考えます。  しかし、それにも増して、児童生徒急増地域におきましては、非常な超過負担も含めて財政運用上の苦しい状況に置かれておりますし、いまお話のように起債、さらにはもっと縁故債等々、いろいろな角度から借りるだけ金を借り集めてきて、とりあえず急場を乗り切るというようなことをやりますと、その後の負担というものがまた重く自治体の上にのしかかってくる。  こういう現実を考えますと、何としても児童生徒急増地域で、まず、いま私ども提案した控え目なこの提案はぜひ実現し、それをまたやはり一つの土台としながら、もっと全般的な超過負担解消に向かって、いろいろの部面で、教室の広さ、運動場の広さ、施設設備の内容、そういったものの基準というものを引き上げる、それから、その単価を適正にする、そういう努力で超過負担の解消に努めていかなければならない、こういうふうに考えるところでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの点は、ぜひひとつ実現をお願いいたしたい点だと思います。  それから次に、最初申し上げましたように、新たにできるところというのは、宅地造成のなされるところからかなり離れた、景色のいいところですが、宅地造成そのものが新しい土地だし、それのまた新しいところですから、そういうところへつくるとなると、通学の道路とかそのほか、それに付随した公共事業が相当たくさん行われなければならないというようなことになると思うのです。  それらにつきましても、現在、それは市町村の単独事業でやれということになると思いますが、特にそれらについては、法律ができれば、ひとつ提案者というよりも政府において、交付税とか、あるいは必要なものについては特交とか、そういったものの配慮がなされるように当然措置される裏づけがなければならないと思いますけれども、その点はいかがなものでしょうか。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 全くおっしゃるとおりでございまして、特に高校新設などの場合に、非常に用地が高いために、生活環境がいいところを選んだというのは結果的にそうなりますが、非常に町場から離れた、かなりへんぴなところへやっと土地を取得してそこへ新しい高校を建てる。ところが、そこへは道路もない。バスも特別に仕立てても、それはせいぜい通学の時間に一時間か二時間、日に本当に数本しかバスは通らない。途中で体に故障を起こした子供は、四十分も五十分もとぼとぼと歩いて帰宅しなければならない、そういうような状況が出ている。これも決して珍しい例ではないと伺っております。  そういうことを考えますと、教育が総合純な立場から、学校一つ建てる場合には、それに付随する道路の問題あるいは通学に要する交通機関の確保の問題、これらを全部地方財政や地方の私鉄バス等に頼ることはできないわけでありまして、そういうものについて総合的な配慮をし、それに対して地方交付税であるとか、あるいは個々の補助金であるとか、そういう配慮をぜひしなければならない。これは今日見落としてはならない非常に重大な側面であると存じます。  ただ本法は、特に児童生徒急増地域の特別措置法ということでありますので、そういう点について十分な条項まで入れることができなかったことは残念でありますけれども、しかし、税制面あるいは交付税面等での配慮をするような点はこれを含めておるわけでありまして、そのように御理解をいただきたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 最後に、三名の提案者にお尋ねいたしたいと思います。  長谷川委員にお尋ねいたしたいのは、時限立法になっておるようでございますけれども、しかし今日、諸般の情勢から宅地事情が決していいとは言えない状態にありますので、なお、これは期限以後においても続くと思いますが、それについて、なお延長されることをお考えなのかどうなのかについてお答えいただきたい。  馬場委員にお尋ねいたしたいのは、本来これは、提案の冒頭にありますように、東京、大阪というところが具体的に例に挙がっておりますが、そうでなくて、九州の熊本県のようなところ、それから私の四国のようなところも、もちろん、そういうところはそんなに必要ないだろうということではなくて、ひとつ同じような条件にあるところは同じように取り扱いをしていただけるものと思いますけれども、この点は馬場委員から御答弁を願います。  それから、中西委員にお尋ねいたしたいのは、高校の場合ですけれども、これだとつい安易に普通高校だけつくることになりかねないのではないかという感じがいたします。しかし、地域の要望によっては、たとえば商業高校とかあるいは工業高校とかあるいは普通科と商業との併設とか、そういった形態のものも考慮されてしかるべきだと思うのです。つい急増地帯で早くやろうということになれば、一般的な普通課程のものというようになりがちだと思うのですが、それらの点については中西委員からひとつ御答弁をいただきたいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)議員 湯山委員御指摘のとおり、本法は五年間の時限立法として御提案を申し上げております。過去におきましても、この種の法律が常に時限立法で、五年区切りで立法化され、さらに、その期間を延長して今日に及び、しかも、なお今日いよいよ深刻な事態でありますので、その内容を一歩前進させた形で、現実を踏まえながらも一歩前進した形で五年の立法で提案した次第でありますが、先ほど来いろいろ御論議がありましたように、本来は、これは義務教育諸学校施設費国庫負担法を初め高等学校に関するそうした法律、こうした基本的な法律を抜本的に改正しまして、超過負担もなく、施設設備も十分に整うような方向に努力をするのが原則であり、そういう基本姿勢でなくてはならないと思います。できますならば、この五年の時限立法の終わるときには、これをまた延長するということよりも、いま申し上げたような基本的な法律全般の大きな改正にこぎつけますように、恐らく国民の世論もこれは全面的に支持されるものと確信いたしますので、そういう目標で努力していきたい。しかし、もしその時点になってなおそこまで行かない場合には、この法律をさらに期限を延ばしていただくとか、さらに内容を一歩前進させて延ばしていただくとか、そういう事態もあり得るかと思いますけれども、私どもとしては、まずこれをぜひ実行していただいて、そして、その基礎の上に全般的な改正へ進むということを第一の目標にいたしたい、こういうふうに思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場議員 湯山委員のお説のとおりに、まさに今日、教育の荒廃はその極に達しておると言って言い過ぎではないようなまことに残念な状態でございます。この教育荒廃の原因はいろいろあろうと思います。たとえばまさに学歴社会でございますし、大学で、あるいは学校で何を学んだかということが評価の対象にはならずして、どこの学校を出たかというようなことが評価の対象になる。どこの学校を出たかということによって賃金も違うし、社会的評価も違う。まさに学歴万能の社会、その中から受験地獄、試験地獄が出てきておる。そういうこともございますし、社会的に言いますと、たとえば総理大臣が被告席に立つような、こういう社会情勢、県知事が五千万とかなんとかもらうという社会情勢、そういういろいろな情勢が荒廃の原因になるということもありますし、また家庭的に言いましても、最近家庭でいわゆる教育を放棄しているという状況もございます。子供が勉強しないとか夜遅く帰ってくるとか小遣い銭が多過ぎるとか、どうすればいいですか、そんなことさえ先生に相談するとか学校に持ってくるとか家庭が教育を放棄している。いろいろな教育荒廃の原因があると思うのです。  しかし私どもは、教育条件というか、教育環境というものが荒廃のもう一つの大きい原因になっておると思いますし、そこの中でよく落ちこぼれという言葉がございますけれども、私は、落ちこぼれというのではなしに、こういう状況は、やはり教育行政というものが落ちこぼしておる、こう言ってもいいのじゃないか、落ちこぼしの方が多いのだ、こういうことも感じます。私も、高校の教員を経験して、人からもまた聞いておるのですが、たとえば高等学校に入ってきますときに、数学で、三分の二足す五分の二は、分母は分母だけ足して分子は分子だけ足す、これじゃ全然なっとらぬというようなことを言いますが、高等学校に入ってきまして、その生徒に本当に行き届いた教育をやりますと、高等学校三年を出るときに、微分積分など高等数学さえもできるということになるわけですから、落ちこぼれた、落ちこぼしておった生徒たちでも、教育条件、教育環境さえよくしますと、そういうことがあり得るわけでございます。  そういう意味で、湯山委員御質問の、これは何も東京とか大阪だけではなしに九州でも必要じゃないか、そのとおりでございまして、日本全国こういうようなことをやりながら、条件、環境整備をしていくということは非常に必要でございます。  ただ当面、私どもの出しましたこの法律につきましては、先ほど湯山委員が言われましたように、たとえば牧場というようなこととか過大学級とか、そういうところで非常に危険も伴いますし、条件も悪うございますし、まず、そういうところから、実現可能性ということも含めまして手をつけて、行く行くは全国的に教育条件、教育環境の整備として適用しなければならぬ方向のものだ、こう考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)議員 いまお尋ねのありました高等学校の場合でありますけれども、高等学校の場合におきましては、普通高校であろうと職業高校であろうと、これは当然差をつけるべきではないという見解に立ちます。  ただ問題は、その場合に、従来のあり方から見ますと、その地域なり父母なり本人なりの期待あるいは要求に即応したものとしての学校設置でなくて、行政的、財政的あるいは一定の企業の要請によって、そういう学校の設置等がなされてきたわけでありますけれども、こうした事態でなしに、やはり何と申しましても、地域の実態に即応し、本人あるいは父母の要求に対応する設置を中心に考えなくてはならないと思います。そうしたことを加味しながら、この差を絶対につけるべきでない、こういうことで進まなくてはならぬということを申し添え、お答えにかえたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 大臣がおられたら、お尋ねしたかったのですが、さっきの山原議員の質問に断腸の思いというようなお答えがありました。私は、その言わんとするところよくわかりますので、委員会としても、大臣が断腸の思いをしたりしないでいいように、ぜひひとつ委員各位にも、そういうことでいまの御答弁にあったような意味のある法律ですから、皆さんともに御賛同いただくことを要望いたしまして質問を終わります。どうもありがとうございました。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。湯山勇君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 前回の一般質問に引き続いて、教科書について御質問をいたしますが、前回質問の際、局長の御答弁に対して私は不満の意を表しました。それについて委員長のお計らいで、理事会において協議するということにしていただいておりますので、それによって改めて局長からは御答弁がいただけるものというように思っております。御答弁いただけるのであれば、冒頭に御答弁をお願いします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 前回の四月十日の湯山委員からの御質疑は、原子力発電所に関する記述の問題であったと思います。そうして資料の御配付がございまして御提示があったわけでございます。  それで、その変更につきましては、資料にもありましたように、原子力発電関係について、ある分量の記述を部分的に直しておるわけでございます。  全体といたしましては、原子力発電所の個所数とか、そういったことも中にございまして、それぞれの理由が部分、部分であるわけでございますが、湯山委員御指摘の「排水」を「廃水」と改めたという例でございます。これは私どもの方は、教科書会社の方に、そういう正誤訂正を出してまいりました理由について尋ねておったわけでございますが、当時の会社側の説明では、水そのものを指しますところの「ハイスイ」という字は「廃水」、こういうふうに表記をする方が国語表現上は一般的であって、そうして同じ当該教科書のほかの部分におきましては「工場の廃水」というような表現をしておりますので、表記の統一を図るために、この際あわせて訂正をしたい、こういう趣旨の正誤訂正の申請であったわけでございまして、文部省といたしましても、そのような考え方にも理由があるというふうに認めまして、これを承認したというのが事実並びにその経過でございます。  それで、四月十日の御質疑においてもいろいろお尋ねがございましたので、さらに若干つけ加えさせていただきますと、表記の不統一ということがございますと、生徒の理解に状況によりましては混乱を生じまして、学習上支障を来すということがございますので、表記の統一を図るというための正誤訂正というのは、検定規則第十六条四号の一つのティピカルな事例として従来から取り上げ、かっ運用をされてきておるという次第もございますが、これはちょっとつけ加えさせていただきたいと思うわけでございます。  以上述べましたようなことがこれまでの経過でございますが、私どもといたしましては、湯山委員からの御議論と申しますか御意見で、国会におきましてあれだけの御議論のあったことでもございますので、私どもといたしましては、原子力発電所の「ハイスイ」につきましては、専門用語といたしましては「排水」が慣用的に用いられておるということでもございますし、したがいまして、教科書では専門用語として一般的な「排水」を用いるという考え方も、原子力発電という事柄の角度から申しますと、もっともなことでございますので、今後の問題といたしましては「排水」を用いるように教科書会社に対して指導をしてまいるようにいたしたい、こう思うのでございます。  現実にこの当該教科書の「廃」をどうするかということになりますと、これは私ども、さきに申しましたような理由で承認をいたしておりますから、これはやはりその会社がもう一度改めて、後段で申しましたような角度で御自身でお考えになるかどうか、こういう問題でございます。  そうして国会での御議論のようなことは、やはり会社自身が、これを速記録等で了知をして、自分自身で自主的に考えるということであろうかと存じますが、その上で改めて正誤訂正を出すかどうかをお決めになるということであろうかと存じます。  まあしかし、これだけ御議論があったことでございますので、四月十日の時点でこういう御意見、御議論があったということは、私どもの方から会社の方にお伝えをしようか、こういうふうに思っております。  物事一々のことすべてを文部省が会社にああだこうだとお伝えするということは、私どもの趣旨ではございませんけれども、何せ国会での御議論でございますので、そういうようなことにさせていただきたい、こういうふうに思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長の大変慎重な御答弁で、御意図はよくわかりました。私が文字について申し上げましたのは、いまお話のように、ただ単に誤字、脱字でなくて、それにはもう一つ別な意味があるというようなことであったので、あのように申し上げたわけです。一応その点についての御答弁はそれとして私も了承いたします。  それに続いて、やはり同じようなことでお尋ねしなければならないのは、清水書院の見本本とそれから供給本との違い、政務次官は素直に、これでは見本本と供給本との間に余り違いはないという御答弁がございました。私どもも、ただ大きいという字があるなしの違いであって、その大きさというものは、反対運動によって建設できなくなったというような大きさですから、大きいがあろうがなかろうが、具体的な事実がその大きさを示しているのであって、これは別に改めなければ「学習を進める上に支障となる」ということにはならないと思うのですが、その点は局長からはあのときは答弁いただいていなかったのです。局長の御答弁をこれについていただきたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 こういう教科書も一つの本でございますので、読む方によっていろいろ読み方があるであろうと思いますし、それから非常に部分的にとらまえる場合と全体の文脈として読んでいく場合とで受ける感じが違ってくる、こういう場合もあろうかと存じます。  前回御答弁申し上げました政務次官のように、余り小さい、細かいことにこだわらずに、おおらかな読み方をする、そういう方もおられましょうと思います。  ただ私ども、事務処理の上で検定という事柄を扱います上においては、若干そういう読み方に比べますと、より細かいと申しますか神経を使った読み方をしておるわけでございまして、そこで、ただいま湯山委員からも「大きく、」ということであるが、その次の最後の締めくくりを読めば、そうは変わらないではないか、そういう御意見ももちろんあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、やはりここの「大きく、」というのが、原子力発電に関する総合的な理解を与える上で子供に対しては支障になるのではないか、こういうぐあいに判断をいたして、正誤訂正の申請を承認いたした次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの説明は承っておきます。  その最後の「ある。」を「みられる。」と直している。これは、あるから見られるのであって、同じことじゃないですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これはまあ私、個人的にこの言葉だけを申しますと、湯山委員のおっしゃるのと同じ感じを持ちますのでございますが、会社側が、一つの全体の文章としてのやはり何と申しますか文体としてこういうふうに出してまいりますと、全体としてこれをそのまま承認するということで認めるということがあり得るのだろうと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そうすると、これは「ある。」を「みられる。」に変えなければ学習上支障があるということはございませんね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これはまあ表現の問題でございますので、内容的にいま湯山委員の御指摘のようなことはないと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 なければこれは認めるべきでない、正誤訂正ですからね、こう私は厳密に考えるのですが、いかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 そういうことが非常に必要な場合もあろうかと存じますが、このくだりにつきましては、そこまで厳密に取り扱わずに、会社側が持ってまいりましたものを承認したということでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 この前も申し上げましたように、正誤訂正というのは、大臣が一度よろしいと言ったものを今度もう一遍訂正するわけですから、そのこと自体は大臣の検定の権威にかかわる問題です。したがって、規則においては、これについては厳重な条件がつけられている。それを、いまおっしゃったように、安易に、まあ事のはずみでといいますか、そういうやり方は私はとるべきでない、このように考えておりますので、このことを申し上げます。  特に、これらのことについて取り上げたのは、検定規則の十六条の四号について非常にルーズに運用しておる。したがって、いまのようなことでいくと、どんなにでも拡大解釈ができるという心配があります。それが今度の一貫して正誤訂正の問題点であると考えますので、この点は非常に厳重にしておくことが必要ではないか。  そこで、規則の十六条四号、つまり「学習を進める上に支障となる記載で緊急に訂正を要するもの」という具体的な例です。これならだれが考えてもそうだと思うような具体的な例を一つお示し願いたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ちょっと手元に非常に理解が得やすいような具体例をいま持っておりませんのでございますが、先ほど申し上げました用語の統一なんというのも、そういうことでございまして、これは余りうまい例かどうか存じませんが、「終身雇用制」という字をいろいろな場所で使っておるのに、ある場所で「終身雇用制度」というぐあいに使っておった場合に、その「制度」というものの「度」をとりまして統一をするとか、「自然、労働力、資本財」というようなところで、ほかの個所では「自然」の次に括弧して「土地」というような字句を入れておるので、全体をやはりそういうふうに合わせて統一する。これは一つの表記、表現の統一を図るために行われた四号に基づく正誤訂正例でございます。  これは、いろいろなケースがございますので、ちょっとこういうのは、典型例というのでは申しにくいのでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまおっしゃったようなのは誤記、誤って書いているということも言えるわけで、これは私、第四号の適切な例とは思いません。そして、また局長の方でも、さて、それじゃどういうものが適切かということを示しにくいということですが、ということは、逆に言えば、第四号の運用があいまいであるということの裏返しだと思うのです。このことを申し上げておる。  私は、自分の幾らか関係している理科で言えば、この薬品にこの薬品を加える、それが理論の上ではそうなんですが、しかし、そのときに毒になるガスが発生するとか危険がある、ナトリウムの大きいかたまりを水に入れれば、そういうことがありますね、熱を発して。そういったような場合がそれに該当する、これはそのとおりです。  しかし、そういった例が別にはっきりしないのに、どれもいま言われたように四号でやるということは一非常に危険であって、私は、この点はもう少しお尋ねしたいと思うのです。  一体「学習」というのは、何を指しておるか。学校教育法で「学習」という言葉は使われておりますか、どうですか。——いいです。「学習」というのは、私がちょっと見てみますと、余りないのです。ただ後でつけ加わった四十五条の二、定時制、通信教育、そこに出てくるだけです。「文部大臣の指定した施設での学習を当該学校における教科の一部を履修したものとみなす」、ここだけしかないのです。ですから、一般的に「学習」というのは何か。では教科書の法律ではどうかというと、「学習」という言葉は、ここしかありません、十六条の四号しか。そして教科書の発行に関する臨時措置法二条では、教科書については小学校、中学校、高等学校の教科の主たる教材であって「教授の用に供せられる児童又は生徒用図書」、こうなっています。ここにも「学習」という言葉はないのです。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕  そこで「教授」というのと「学習」というのと、それから「授業」という言葉もあります。それはどこにあるかというと、学校教育法では「大学で夜間に授業を行う課程を置くことができる」、ここだけしかないのです。一体ここで「学習」というのは、何を指しておるのか。それがわからないと第四号はわかりませんね。局長は、どのように解釈しておられるか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ただいま湯山委員からいろいろ御教示があったわけでございますが、あとは学校教育法の施行規則で小学校あるいは中学校の「教育課程の基準」として文部大臣が定めております「学習指導要領」というような字があるわけでございます。  「授業」と申しますと、教師の側から児童生徒に対していろいろと指導を行います、そちらの角度という感じがいたしますし、「学習」と申しますと、これは教師からの指導を受けて児童生徒が一つの人格として物事についての知識なり経験なりを修得していく、その過程の行為というような感じを受けておりますけれども、いずれにしても、そう厳密に考えませんでも、私は、やはり学校の中におきます教科等の勉強、それを若干児童側の主体的な立場にウエートを置いてこれをとらまえたときに「学習」というふうな字句が用いられるのではないか、こういうふうに考えます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私も、大体似たような解釈をしております。したがって、用語の統一というのは、ある意味で意味があるのでしょうが、そのほかのいろんなことをおっしゃった問題は、大人の側、企業の側、あるいはその他のあるところは法務大臣の御意見等、高校の場合ありますけれども、そういったことと「学習」とは別のものだということをしっかりひとつ御認識いただかないと、いまのように、どれもこれも第四号へ持っていくということになりかねないので「学習」とは何かということをひとつしっかり踏まえておいていただきたいと思うわけです。  それから、検定課の人もたくさんおるし、調査官もおられますから、さきの学習上支障があって緊急に訂正しなければならないというものの具体例、これはひとつ文書ででも出していただきたいと思うのです、そのとおりのことをやっておる仕事のことですから。  委員長、いまのはお答えがなかったのですけれども、これは非常に重要なことで見解の違いとかなんとかじゃないのですから、具体的な例、これがそうだというものをひとつ文書ででもお示し願いたい。当然の願いだと思いますので、そのように取り計らっていただきたいと思います。

三塚博自由民主党

○三塚委員長代理 理事会で協議させていただきます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それじゃ、それを出していただくのを待っております。  そこで、だんだん教科書のもとへたどっていかなければならないのですが、学校教育法二十一条では「文部大臣が検定した教科書又は文部省が著作の名義を有する教科書を使用しなければならない。」、こう規定されております。  それで、前回の委員会のときに、三浦議員からは、机の上に置いておっただけでは使用したことにならないというような御指摘がありましたが、これは御記憶ですね。  そこで、教科書を「使用しなければならない。」というのは、どういうふうに解釈するのでしょうか。いま局長言われたように、常に学習のときには教科書を見ていなければならない、使わなければならないというのか、使う場合には教科書以外のものは使ってはならないという規定なのか、これは非常に大事な問題ですから、お答えをいただきたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 教科書は、ただいま御指摘のように、学校教育法二十一条で使用の義務が課されておる教材でございますが、これは教科の主たる教材としての使用義務でございますので、委員御承知のように、所定の手続を経て認められた副読本、副教材というものを使うことももちろんできるわけでございますし、それから、これは学習指導要領に基づきます授業を展開するに当たって、教科書というものが指導要領の目標、内容に一致して編集されておりますので、それをよりどころとして授業なり学習なりを展開していっていただくということであろうかと存じます。     〔三塚委員長代理退席、馬場委員長代理着席〕

湯山勇日本社会党

○湯山委員 実態ではなくて第二十一条の解釈です。いまおっしゃったように、副読本を使ってもいいというのですから、副読本を使うときには教科書は使っていませんね。だから、使用しなければならないというのは、授業に使用か学習に使用か、それは書いてありません。ただ使用しなければならないというだけですが、それは、いまのように片時も離さず使わなければならないということなのか、教科書として使う場合は、文部大臣が検定したものか文部省に著作権のあるもの以外は使ってはいけないというどちらなのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 教科書を基本にして授業を進めなければならないと存じますが、授業というのは教師が一つの教案をもとに展開することでございますから、条文の解釈といいましょうか片時もということではなくて、間には教師自身のいろいろな話も入りましょうし、科目によっては実験でございますとか、あるいは児童生徒自身の作業のようなことが入りましょう、ですから、教科書を基本にし、教科書を一番主なよりどころにして展開することであろうかと存じますが、さらに有益、適切なものにつきましては、先ほど申し上げましたように、教育委員会の承認ないしは届け出を経まして、これをあわせて補助的に使うということも認められておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 教科書に従って学習を進めるのじゃなくて、学習は学習指導要領によってやる。教材はそのための材料です。ここを間違うと、いまのようなことになりかねないのです。実態は、局長も言われたように、使うこともあるし使わないこともある。ただ、教育委員会の了承も得ない何かのようなものを勝手に使うことは許されない、解釈はそれでいいですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 主たる教材ということでございますから、あくまで教育のための材料でございますから、一番主な教材ということでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そこで、今度のこの正誤訂正その他を見まして、果たして本当に教科書というものの使い方、どういうことに使うかということがはっきりわかっていないのじゃないか。つくる人もそうですし、検定する人も、どういうふうにどこで使うかということがわかっていなければ、本当の主たる教材になる教科書は出てこないと思うのです。そこで普通は、教科書を読んで理解して、記憶するものは記憶する、それを活用するというようなケースがあると思いますけれども、教科によっては大変違っている。  そこで一体、教科書とは何かということ、それが教科によってどんなに違うかということをお尋ねしたいと思うのです。そうでないと、いまのように主たる教材だからというので、どれよりも主たる教材というようなことになると、これはまた間違ってきます。たとえば外へ出て写生をする、主たる教材は外の風景じゃなくて教科書だから、図画の教科書を見ないといかぬ。     〔馬場委員長代理退席、三塚委員長代理着席〕 静物、リンゴやバナナを置いて写生する、主たる教材は教科書だから教科書でないといかぬ、それは間違いですね、いまのような考え方は。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 教科によりまして、主たる教材たる教科書の活用の態様なりウエートの置き方なりは、それぞれ若干ずつ相違があると存じます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 だから、主たるというのは、すべてに主たるということではないということがはっきりしたと思います。  ついでにお尋ねしてみます。  「書き方」というのがありますね。これは読んでも何にもならないでしょう、この教科書は。見て書かないとだめですね。だから、これは学習においてはまず片時も離せない、こう理解していいと思います。ところが、いま申し上げたような図画はどうなのでしょう。第一、局長は小学校のときに図画の時間に図画の教科書を毎時間使いましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 何しろ五十年近く前のことでございまして、正確な記憶がございません。中学に入ったときには、美術の教科書を手にとった記憶がございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 読みましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 鑑賞とかなんとか、そういうことがございますと、教科書の中にその絵のよさなり、絵がどういうことをねらっているかというような記述も出てくるのじゃないかと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 その程度ですから、使わない時間の方が多かったでしょう、率直に言って。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 とにかく絵をかいていたという記憶はございまして、かいた絵を集めまして、何か批評を加えてお返しいただく、そういう記憶はございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 図画の教科書を写したりした記憶がちっともないわけですから、これはそういう使い方です。特に鑑賞とか製図なんかの場合には要ると思います。  それから音楽です。音楽の教科書をお使いになったことはありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 音楽は、私のころは教科書と言ったかどうか、そこまで記憶がございませんが、唱歌集のようなものはあったと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 唱歌集で、文句を書いてあるのはどうでしょうか。楽譜なんかが書いてあるのをいきなりやらないで、授業のときは、大抵黒板に書くとかなんとかして、後でそうできるようになって思い出して教科書のものを歌うというようなことであって、これも読んでも何にもなりませんね。そういうものだから、局長がおっしゃったように、歌曲集である。いまならこれは役に立つのでしょうが……。  それから国語ですが、これは私、多分どの時間も教科書が必要であったというように思いますが、どうでしょう。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 私も、そのような記憶ではございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 だから、たとえばどこかで批判されておりましたけれども、桃太郎の童話が書いてあれば、そんな桃の中から生まれるようなことはないなどというのは国語じゃないので、それに書いてあることから読み取っていく、それが国語ですから、そのほかのことで、たとえばロンドンのことが書いてあるというような場合に、ロンドンの説明を幾ら先生がしても、それは国語じゃなくて、教科書に書いてある文章から読み取っていくのでなければならない。ですから、教科書と言えば、国語の教科書のようなものだと思うような先入観があると、これは大変なことになって、卑弥呼というのは卑しい何とかの子だというようなことを言う人があったり、それから耶馬台国というのはよこしまな馬の国ですか、そんなことを言うような人があったりする。それは本当に読んでいるのじゃないんですよ。  それから、問題は算数です。算数は、局長は小学校何年くらいから使いましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 記憶が非常に十分でございませんが、算数は一年生のときからあったような感じがいたします。当時は算術と言いましたけれども……。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 一年生の算術の本というのは、どんなことが書いてありましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 やはり一足す一は二とか、そんなことから始まっていたのじゃないかと思うのですが、全然記憶が不確かでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 算術の本は使わなくてもいいのです、児童用書は。ただ、明治の終わり、明治四十三年ごろに小学校三、四年生用をつくりました。そのときのやり方というのは、こういうことなんです。当時、国定ですけれども、いまよりも実に丁寧です。  算術の教授は児童をして教科書を用ひしめずして之を行ふことを得べしと雖も、之なきが為に不便を感ずること無きにしもあらず、例へば問題写し取のため授業時間を消費すること少からざるが如き是なり。特に複式編成の学校の如きに在りては、時間の節約を要すること大にして、児童用教科書を要求すること切なるものあり。旧教科書編纂の際に尋常小学校第四学年以下の児童用書を省きたるは此の程度の児童が教科用書を利用し難きを認めたるに依りしなり。然るに爾後の取調に依れば、尋常小学校の第三学年よりは筆算を課するを以て、児童用教科書を編纂して以て児童に便すること難きにあらず。又旧教科書発行以後世間の情況を見るに国定の児童用書なき学年に対し私に児童用書を編纂して発売するものあり、家庭に於ても学校に於ても之を用ふるものあるに至れり。然るに是等の書は国定教科書編纂の趣意に合せざるもの多く、為に害毒を流布する虞あり。依りて今回は第三学年及び第四学年の児童用書をも編纂することとしたるなり。但し第一学年及び第二学年の児童用書は之を編纂せざること旧の如し、是全く其の必要を認めざるに依る。 こういうことだったのです。  ですから、どういうふうに使う、複式に使う、それから筆算でこういうのをやるようになったから使うのだ、しかし、こう言いながらも、原則としては「算術の教授は児童をして教科書を用ひしめずして之を行ふことを得べし」、こうなっていて、本来、教師用書はなくてはならぬのです。大きいのがありましたね。これはなければならぬけれども、児童用書は使わなくてよかったのです。これだけの配慮があってできておる。確かに算術の教科書というのは問題集ですから、あれを読んだって何にもならないのです。こういう配慮がいまの調査官なりつくる人にあるか、私はないと思うのです。  これとよく似たものに修身があります。これはやはり明治四十年ごろです。修身というのは掛け図で説明しておったでしょう。受けたでしょう、局長も、掛け図の、先生がお話して。それを、低学年に修身の教科書を持たすかどうか。それまでなかったのです。全国の高等師範学校、師範学校によって調査、五十八件のうち可とするもの五十三、理由とするところは、感興を助け、復習に便にし、家庭との連絡を図り、学習効果を上げることの役に立つ。反対意見、五つばかりの反対意見の主なるものとして重要なるものは、父兄負担の増についてである。しかし文部省は、この際は効果に着眼して発行することに決定した。ただし価を廉ならしむることに努めたり。これだけの配慮があって出ておるのです。いまのように、ただぼやっとやっておるのではありません。それだけのやはり検定する以上は責任を持たないといけない。いまのように出版会社が言うてきたからというので、いいかげんに認めたり、あるいはいいかげんに参考意見を述べて、業界が言ってきたのに対応さしたり、そんなことはありませんよ、しっかりしています。国定がいいというのではありませんけれども、つくる人の姿勢としては学ぶべきものがあると思う。このことを申し上げておきたいと思うのです。  理科に至っては、もう申し上げるまでもございません。理科の教科書というのは授業中に使いましたか、局長。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ちょっと記憶がございませんが、植物なんかの絵がありましたので、使ったように思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 授業時間中に使いましたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 どうも私、戦災で焼けまして、当時の教科書とか本とかも一切なくなっておりまして、記憶を中間でもって再インプットするということなしでずっと戦後参っておりましたので、非常に不確かでございますけれども、何か本を持っていたような気がするのでございますが……。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 買うのは買ったと思います。しかし、授業には使っていないはずです。それはなぜかと言いますと、児童用書については、こう書いてあるのです。「本書中」——というのは教師用書はあるのです。「本書中の教材を甚だしく変更せずして教授し得る学校の為に別に児童用書を編纂せり。児童用書は教師用書を用ひて教授したる事項の大要を後日」、そのときじゃないんですよ。「後日生徒をして回想せしむる為のものにして、これを用ふれば生徒に筆記せしむる時間と労とを節約するを得べし。変更したる教材に於いては適宜生徒に筆記せしむべし。」、こうなんです。だから、後日習ったことを思い出す、机が汚れたりぬれたりしますから、そこでは使わない、後で、ノートのかわりですね、児童用書は。だから、授業中には使わないはずです。だから、記憶にないというのは、局長を教えた先生はいい先生だと思います、記憶にないくらい使っていないのですから。そういうことなんです。  ところが、いま言ったように、現行法ではどれもこれも使えでしょう、使わなければならない。理科なんかやはり同じです。だから、いま調査官に理科の教科書を使って授業やってごらんなさい、できるかどうかですね。あの学習指導要領にあるとおりの自然物、自然現象を理解する、そういう授業が本当にできるかというと、できないのです。これはおわかりですね、いま申し上げたこと。こんなに違っておるのですから、その辺を、どういうことでできて、どう変遷したというのをひとつしっかり理解していないと、本当の検定というのはできないと思うのです。  ついでに局長は、この「自然の観察」という教科書をごらんになったことはありませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 まだ見ておりません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 責任者である局長は、やはり少し大ざっぱな歴史ぐらい——失礼ですが、局長は終戦のときはどこでしたか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 豊橋の陸軍予備士官学校に在校しておりました。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それじゃこれは……。「自然の観察」、低学年の理科です。しかも戦争に入ってからです。あの当時、理科教育というものを、科学教育しっかりやらぬといかぬというので勧められてできたのです、教師用書として。「自然の観察」という文字ですね、これは何の字かわかりますか。この文字は藤原行成卿の和漢朗詠集から一字ずつ拾ってつくったものです。ここのぼやっとしておるのは、正倉院御物の鏡の裏ですね。それから、その次にぼやっと幽霊みたいなのは正倉院のろうけつ染め。なぜこんなことをしたか。局長は、橋田邦彦という人の名前を聞いたことありませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 戦時中文部大臣をお務めになった方のお名前だと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 その人が文部大臣のころに「科学する心」というのを出されたのです。非常にりっぱな本でした。ただ、戦争中であったため、おしまいの方に多少気になることもありましたけれども、その人がこうやって理科だからといって無味乾燥のものじゃないのだと、教える先生の心構えで、藤原行成卿の字を持ってくる、それから正倉院御物を持ってくる、まことに温かい「自然の観察」です。これは低学年の理科です。そういう配慮があったのです。  いま、調査官の皆さんにあるでしょうか。ただ、憲法が変わってないとか、やあどうとか、私は、そういう配慮がなければ、本当に子供の学習に役立つ教科書づくりというのはできないと思うのです。こういうものの勉強はしっかりやっていただかないといかぬ。しかも橋田邦彦という方は、終戦のときに自殺されたじゃないですかね。これだけやっておられた方が、その当時の文部大臣であったということの責任を感じて自殺された。その人の残したものです。しかも教科書であるのですから、そう昔の、明治のじゃない。  やはりこういうものを調査官も勉強してもらわぬと困るし、局長も、そういうものを頭に入れて、検定の責任者、教科書のとにかく責任者として、一々一ページずつ見よと言いませんけれども、大局をつかんでやらないと、さっきのように、よそから圧力が来ればそうかな、圧力来ればそうかなということになるわけですから、教科書とは一体何なのか、そういうことについて、ひとつしっかり確信の持てるようにしていただきたい、これを申し上げたいのです。  それから、ついでと言ってはあれですが、一体、国定教科書を使っている国というのは外国に例がありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 いま思いつくところでは、ソ連でございますとか中国といったような国々でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 三塚さんあたりが言ういわゆる自由主義諸国で、国定または検定というのはありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 大体自由主義諸国は国定でないようでございますが、お隣の韓国が国定をしておるというふうに聞いております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 とにかく世界じゅうで日本と韓国だけなんです。こんな国は……。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 日本は国定じゃございません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 国が検定、準国定ですからね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 いま国定という前提でお答えを申し上げましたので、検定ないしはそれに類するような仕組みをとっている国は、自由主義諸国の中にもございまして、たとえば西ドイツなどが一つの例でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ソ連は国定と言うけれども、ソ連だって教科書のコンクールなんかやっていますね。それから西ドイツなんかは、日本よりも教科書の種類がはるかにたくさんあるでしょう。フランスなんかでも、大体教科書の種類が二百種類くらいある。そういうことはおわかりですね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 教科書の発行で主要な国で申しますと、ソ連は、ただいま湯山委員が申されましたように、それぞれの共和国の教育省が個人、集団の参加するコンクール、または個人、集団に対する委嘱を通じて著作、編集をしまして、国がこれをつくるということで国定ということです。  西ドイツは、文部省が任命する調査員が作成いたします意見書に基づき、文部省が合否を決定するということでございますが、これは、たしか西ドイツは州制度でございますから、州の文部省だと思います。教科書会社の数は、日本の場合は六十五でございますが、九十という数字が、いま私の手元の資料ではございます。  それから、フランスの場合は、各県の教科書選定委員会が公立小学校の教科書認定目録をつくるという仕組みのようでございまして、そして憲法等に違反する場合は、文部大臣が教科書としての使用を禁止できる。それからイギリスは、そういう検定というような制度はない国でございます。それからアメリカ合衆国の場合、これは州や地方学区で必ずしも一様でないようでございますが、一般的には教科書委員会等の推薦に基づいて州または地方学区が認定をする、こういうような制度になっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから、いろいろありますし、西ドイツは文部省のないのはおわかりのとおりなんで、そうすると、私がお聞きをしたいのは、同じような教科書、それでいて教科書によって進度が決まる、つまり同じような教科書で同じような進度というような考え方でやっておる国というのがあるかどうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 その辺のところも、必ずしも厳密に私ども調べておりませんが、たとえばイギリスの例で申しますと、小学校などの教育の進め方には、日本の場合に比べまして、むしろ弾力性があるようでございまして、同じ学校の中あるいは同じクラスの中で、場合によりましては教科によりまして、あるいは一つの教科に限らず、全体の子供の進度等によりまして、ある程度、いわゆる能力別的な指導を加えるというような運用をしているようでございます。したがいまして、そういう場合には、同じ学校の子供でも違う教科書を用いさせるというようなケースは、そうまれではなくてあるようでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 特にロンドンやアメリカにはありますね。一つのクラスで二種類の教科書を使っている。三種類というのは余りないでしょうが、とにかく一つのクラスでも二種類の教科書を使っている、そういう例は決して少なくありません。日本もそういう時代があったのですが、御存じないですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 私、知識を持っておりません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 昭和二十四年ごろです。そのときには一つのクラスで、説明では二種類の教科書を使ってもいい、三種類使ってもいい。当時教科書課長が全国を回って、全部を課長が回ったかどうかはわかりませんが、ブロック別に九州ブロック、四国ブロック、中国ブロック、こう回って、林伝次という埼玉大学の学長さんをした人が教科書課長でしたが、その人が回ってきて、本来教科書というものはこういうものだ、だから、採択は先生たちで自由におやりなさい、一つのクラスに二種類あってもいい、それはいまのように進度、能力別があるし、個性があるから、自分に合うのを使うようにしてもいいという指導をして回ったのです。そういうこともあったんですよ、局長、どうですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 昭和二十三年当時、昭和二十四年の学校でのやり方についての指導をしました際に、同一学年の中で、組によりまして異なる教科書を採択することもできるという指導をしたということは、湯山委員御指摘のとおりで、私も承知しております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから、そのころは大らかだったと私は思うのです。そのかわりつくる方は大変です。  そこで、次にお尋ねいたしたいのは、教科書の採択です。いま教科書について、いろいろ批判が出ております。その教科書批判の一つの焦点は検定にある。これは文部大臣の責任です。ただ一人その権限を持っているのは文部大臣です。  そこで、前回申し上げましたように、また後でも申し上げますけれども、たとえば三塚委員御指摘になりたように、日本で老人の自殺が多い、それは教科書の責任だということであれば、検定をした文部大臣の責任ということになる、こういうことになるわけです。しかし、もう一つ責任者がある。それは採択です。教科書の採択権はどこにあるのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 採択権は、公立学校につきましては、当該学校を所管する教育委員会に採択権がございます。それから国立と私立の学校に関しましては、私どもとしては、法律の解釈からして、それぞれの学校の学校長にあるというふうに考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 問題のある国立、私立の問題は、また論議の余地があります。特に国立についてはあるのですけれども、それは省きます。ただ当時、教育委員会が採択権を持つときの教科書課長はだれだったか御存じですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 先ほど昭和二十四年の話が出ていたわけでございますが、そうして二十四年の七月十五日に当時の教育委員会法が公布になりまして、この法律で教育委員会の仕事として教科用図書の採択に関することというのが入りましたのですが、私は二十四年にまだ文部省に…。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いいです。その次にそれが今度、無償に伴って広域採択になりましたね。そのころはだれが課長だったか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 広域採択になりましたのは、その以前からいろいろなメリットが考えられまして、すでにかなりの率、学校数で七五%ぐらい、郡市の数で八三%ぐらいになっておったのですが、それを無償措置法の上で明文化をした、こういうことでございまして、当時の教科書課長は、ただいま事務次官の諸澤さんでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そのとおりです。私は、そのときに採択権を教育委員会に付するということは間違いではないかということを質問したのですが、そのときに教育委員会がやるべきだということを強硬に主張したのが教科書課長でした。  そこで問題は、それがだんだん広域採択になってきて、さて、教育委員会に教育的な見地からそういうことを決める能力があるかどうかということをいま考えてみると、これは何回も指摘いたしましたように、県の教育長さえも半数以上は教育の専門職ではない。そういう経験を持っていない。あるいは地教委においてはもっとたくさんが、やはりそういう専門の教職にあった者でない、経験者でない。これで本当に採択できるかどうかです。ここに一つ大きな問題があります。もし不都合な教科書があれば、採択段階でどんどんオミットできるはずなのに、文部省は、この採択についてどういう指導をしておるかというと、教育委員会が決める、しかも、それはしかるべき機関を設けて、採択の委員会のようなものを設けてやれ、しかも、それはその関係する委員なんかは秘密にして、公表しないでやれという指導をしておりますね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 採択のためには、都道府県の教育委員会に教科用図書選定審議会というのを置きまして、この中には校長や教員等も委員として入るわけでございますが、この審議会が、また、さらに各教科書について調査研究する調査員というもの、そういう仕組みを使って調査をいたします。この審議会が市町村の教育委員会の採択の業務について指導、助言、援助をする、こういうことにいたしております。  それから、郡市単位で採択地区が決められておるわけでございますが、この採択地区の教育委員会なりあるいは数個の教育委員会で設けられますところの採択協議会、こういった仕組みの中でも調査研究を行う調査員を設けておりますが、これらはほとんどが現場の教員でございます。これを、名前を明かさないということを指導しておりますが、これは、やはりいろいろな意味の有形無形の圧力のようなことがかかってはなりませんし、純粋にその業務に専念して努力をしていただくというような見地からいまのようなことにしているわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 県の教育委員会で数種を採択して、その中で、いまの郡市単位くらいですか、教育委員会で決めて各学校で使う、その選定に関係する調査員、そういうものは全部秘密。いろいろな圧力や影響があるということですが、私は、ここに非常に問題があると思うのです。  教科書の出版も営利企業ですから、これはやはり成り立っていかなければならない。そこで、小中では、二十万部以下の採択のものは出版できないということにしてあるのは、もう御存じのとおりです。それだけに競争は非常に苛烈になってくる。そのための汚職もありました。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、お尋ねしたいのですけれども、秘密にして、秘密が本当に守られている、ごう局長はお考えですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 全国五百近い地区のことでございますので、厳密な意味でお答えを申し上げるのはなかなかむずかしいと思いますが、私どもとしては、やはり極力制度がその趣旨のとおりに運用されなければならない、こう思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 教科書の出版会社も、いまのようなことですから、非常に激しい競争があります。そこで、だんだんその競争が激しくなって、脱落する者は脱落していく、そして太っていく者はどんどん太っていく。その激しい競争を規制するために教科書の協会は協会で自粛の申し合わせをしている。それから公取委員会は、教科書公正取引実施細則というのを昭和三十二年につくり、四十九年に改正して、これを出しております。これらが守られていると局長は考えておられますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 私どもとしては、ただいまの湯山委員御指摘のような自主的な規制あるいは公取の取り決めもございますし、それから文部省からも、採択に関する宣伝行為あるいは教科書の採択そのものについて、それぞれ発行業者と都道府県の教育委員会に対して通知をして、いろいろな規制を厳守するように指導しておるのでございます。  ただ私どもは、現に直接にキャッチをしたわけではございませんけれども、必ずしもこのいろいろな規制が完全には守られていないのではないかというお話も間接的に聞きますので、やはりこういった指導は繰り返し徹底をしていかなければいけないと思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 その一つの原因は展示会にあるのです。展示会は何日間ですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これまでのところは、その期間を十日間というふうにいたしております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 教科書は、いま中学の地理、社会、いずれも大体三百ページです。国語にしたってそうでしょう。国語なら国語の展示会十日間で、三百ページで、しかも出版会社が五つあるとしますか、三百ページの本が一学年について五冊、三学年なら十五冊ですね。そうすると四千五百ページです。先生は授業をしながら、展示会場まで行って——持ち出すわけにいかぬのです。そこで、十日間で四千五百ページの本を読めますか。しかも、どれが子供のためになるか、どこが都合悪いだろう、どうするのがいいかということを、互いに五つを比較しながらやらないと、いいか悪いか決まりませんね。一体十日間でそうやって四千五百ページ、いまの教師にそれを読めといったって、十日間休暇にしてつきっきりというなら別です、授業をしながらできるとお思いになりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 そのときどきのいろいろな条件があると存じますけれども、十日間というのは、見方によれば短いというふうな御意見もあり得ると思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから、できっこないのです。大ぜいが、見たい人全部行ったって、一緒に見れるわけじゃありません。結局、展示会というのは形骸化している。  じゃ何で決まるか。おのずからおわかりのとおりです。いまの自粛決議も守られてはおりません。また、公取委員会の実施細則、これも守られておりません。  現に、いまここにそれの当事者の書いたものがありますから、これを御参考までに読んでみます。  「白表紙」、つまりこの見本本の前ですね。「白表紙は各社とも、採択前年の秋ごろから有力関係者に配布している。」、ただし、白表紙ですから、期限を切って返してもらう、そういうこと。  それから、見本本の配布には規制があります。「しかし各社とも規制を大幅に上回る見本を製作し、広範囲に配布している。自宅あて配布どころか、堂々と学校へ配布し、また無差別に送りつけている例も多い。」、こういうことです。(発言する者あり)

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 静粛に願います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私も現実に見ました、送りつけておるのも。これは、この前に筑波大学の人に見本本が渡っているのはけしからぬという話がありましたが、多いところは見本本を二万冊出しておるんですよ。  それから今度は、指導書の献本、PRの文書、これもいろいろな名目をつけて、たとえば、社内で研修しておる資料だとかあるいは編集会議の資料とかそういった名目をつけて印刷したものを、いま局長は、秘密にしておると言うその調査員に送っているのです。さらに、それだけじゃなくて、そういう関係者が関係したり主催する講習会、研究会、そういった各種の名目で、あるいは講師を派遣する、場合によっては、その日当や食事の供与、謝礼金の支払いなど常識になっている。それから、たとえば慶弔のお金を持っていったり、お見舞いの物を持っていったり、とにかく、この売り込みの競争というのは非常に激しい。こういうことを局長はお調べになったことがありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 まず、展示会の期日の問題でございますけれども、これは私どもも御指摘のような御意見は参考にいたした上で、今後については考えなくてはいけないかなと思いますが、これまで理解しておりますところでは、やはり採択を決めますこの期日は、どうしても期限がございますので、そういう限度がありますが、展示会が形骸化してはならないと思います。  展示会の後も、私どもの理解では、展示の個所数は千カ所くらいで多いのでございますが、七百カ所ほどございます教科書センターというものには、その後もその教科書を置いておいて、そこはやはりセンターでございますから、おいでになった方がいつでも見られるようにということが必要で、そういうふうにすべきだと思っておりますが、場所によりましては、それが必ずしも、余り利用者がないために近づきやすいような状態になっていないという運用の例もあるのじゃないかというふうに、その辺のところは私ども心配しておる次第でございます。  ですから、申し上げたいことは、展示会は十日間でございますけれども、十日間を過ぎましても、本来は見られるようにしておくべきであるというふうに考えておるのでございます。  それから見本の部数は、湯山委員御承知のように、小中学校用の教科書の見本は、採択がえの年度につきましては六千部以内、こういうことで私ども指導をしておるわけでございますが、もしそれを大幅に上回って配布しているようなことがあれば、それは非常に遺憾なことでございます。  そして調査員の方に直接ということも本来あり得ないことでございまして、調査員に対しては、やはり当該調査を依頼した教育委員会から必要な見本本なり資料なりは渡るべきものでございます。  それから、教科書会社からのいろいろな働きかけと申しますか、そういうお話についても、私どもは、一々の事例については、これの報告は受けていないのでございますけれども、やり方としましては、たとえば金銭を何らかの形で関係者に渡すということは、これはいかなる形でも公取の方の決まりで禁止されておることでございます。  それから、講習会等へ出かけるときの旅費のようなものも、これもまた金銭でございますから、禁止されておることでございます。  ただ若干、限られた限度の回数につきまして、研究会等の講師を派遣するといったようなことは、業者間の協定である程度これはやってもいいというようなことになっておるようでございます。  一々挙げると非常に細かくなりますが、その上に私ども文部省といたしましては、毎年若干の経費も負担いたしまして、各都道府県に対しまして、全部の学校ではございませんが、たとえば五十五年度では中学校四分の一以上、高等学校三分の一以上というような学校を抽出いたしまして、県の教育委員会にこの公正確保の指導、調査というようなことを依頼しておりまして、その調査の結果として、ただいま湯山委員御指摘のように、限度を上回るような見本本が配布されていたような例があるというようなことは部分的に承知しておるような状況でございますが、私どもは、こういう指導、調査によりまして、できる限り、こういった業者間に対する文部省の規制あるいはその他の規制が守られるような指導に役立てていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから、仕組みとしては、規制に違反するような献本がありました場合は、本来は関係者から当然事情聴取しなければなりませんし、違反見本の回収など適切な措置を講ずるように指導しなければいけない、こういうふうに思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 指導しなければいけないというのじゃなくて、現実にそうなっておるのです。この教科書の関連の汚職で刑事事件を起こした人もありますね。現に私の知った人にもあります。残念ですけれども、愛媛県でもかつてありました。今日でも実態は変わってないのです。  ですから、だんだん教科書の出版が寡占化していっておるでしょう。だんだん廃刊になるのができておるのじゃありませんか。少なくなっていっておるでしょう。そして数社の占有率が非常に大きくなってきている。だから、選択の幅というのがうんと少なくなっています。これはさっき西ドイツの例をお挙げになったり、フランスの例をお挙げになったが、それらに比べても日本のは非常に少ない、こういう事実はお認めになりますね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 発行種類数の推移をずっと見てまいりますと、一番多かったのが、小学校用につきましては、昭和三十一年度用の百八十一種類、それから中学校で申しますと、三十三年度用の四百種類でございます。ですから、それぞれ三十一年、三十三年を最高としまして、今日まで漸次減少という傾向になっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 寡占化について……。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 寡占という言葉の意味するところがよくわかりませんけれども、教科によりましては、一社の教科書が過半数になっておるというような教科も見られます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 これは五十五年度の小学校ですか、採択の結果ですが、国語の場合であれば二社で七六%、それから書道ですか書き方、これは二社で五七%、社会は六社中二社で五八%、それから理科は二社で五六%、算数は二社で五八%、地図は二社で一〇〇%です。それから図工が二社で九四%、音楽が二社で八〇%。もう大きい二社で全部半数以上占めている。しかも県の教育委員会は、これも採択は一つの教科について一あるいは二というのがほとんど半数以上になっています。  これではもう現場の先生なり何なりが自主的に採択する余地というのはないのです。検定で認められる数も、いまのようにだんだん減ってきている、その中で決めていくわけですから、非常に限られてきている。これでは検定本の趣旨が壊されてしまう、こういうことになるわけです。しかも、そうやってとにかく売り込まなければならないから、相当費用を使っております。教科書会社の宣伝費というのはどれだけですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ただいまお述べになりました採択結果の状況でございますが、採択の個々の会社のシェアは、結果的に公正な競争に影響を与えるといけませんので、私どもの方からは、そういう数字は申さないことにしております。  いまお使いになりました資料は、どういう資料かわかりませんが、大体いまおっしゃったところであろうと存じます。ただ、私どもの立場としては、シェアは申し上げられない、こういうことなのでございます。  そういうことで、群集心理と申しますか、類は友を呼んでますます寡占が深まるということも考えられますので、あくまでも公正な競争という見地からシェアの公表はいたさないことにいたしております。  それから、自主的な採択をというお話をなさったわけでございますが、これには教科書の種類の問題がございます。これは学習指導要領の改定が一つのモメントとなりまして、それまでよけいに多くの種類の教科書を出していた教科書会社自身が、いろいろな意味で会社の経営というようなこともございまして、その会社として教科書の種類をしぼっていくというような過程が見られたようでございます。それは会社の一つの方針であろうと思います。  それからもう一つは、三十年代から四十年代の中ごろにかけまして、児童生徒数がわりあいと減っていった時期がございます。そうして逆に、むしろその後は昔ほどにふえていかなかったという波を経ることによりまして、教科書会社もそういう意味の自然増に乗っての仕事ができにくいということから、教科書の種類等についても非常に慎重な考え方に立っていたということが言えるのではないかと思うのでございます。  必ずしも種類が多ければ非常にいいということでもないのではないかと思っておりまして、余りに多いと、かえってまた不必要な競争が出はしないか。かといってまた、余りに少ないということは、多様な教科書を期待するという意味の検定の趣旨からいってもどうかと思います。しかし、私どもとしては、検定をし、かつ、その採択について指導する立場でございますので、この部数の多い少ないについては、余り明確な発言はしにくい立場にあると思っておる次第でございます。  それから、最後にお尋ねの宣伝費の問題でございますが、教科書発行社が教科書の見本本を作製して採択関係者などへ送ります費用でございますとか、あるいは広告宣伝のための出張旅費等の広告宣伝費、これは五十六年度用の教科書の定価算定に当たりましては、定価の二・二%というものを見込んだ次第でございまして、これは私どもとしては、宣伝担当者の欠員は補充をしないという指導とかいろいろやっておりまして、そういう意味のいろいろな競争はなるべく自粛してほしいという立場から、この二・二%も、前年は二・六%だったものを、そういう意味合いから削減をした数値でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 シェアが公表できないと言うが、この減り方等について、やはり一定の見識を持たなければ、教科書行政はできないと思うのです。いまの各府県で教科書一つなんというのは、もはや検定教科書のあり方ではありません。二種類にしたってそうです。それから小さいのでつぶれていくのもありますけれども、大きいところが、自分のところで出している教科書の比較的採算の悪い部分を自分で切っている。そういうことを勝手にやると、それはたくさんの中から選ぶという検定の趣旨が、そこでもう壊れていくわけです。  そこで二・二%にしても、子供の数で二・二%なら百人で二人ですから、五十人に一冊ただでやるだけの宣伝費を使っているのですが、何に使っておるか。各学校へ教科書を一冊ずつやったって宣伝費だけかかりません。各学校へ送れば、先生は、方々の会社から来たのを比べることもできる。いまのように無理して十日間で秘密でやる必要はありません。この辺はちっとも手入れをしていないのです。  そして、さっきこういうはずだ、はずだと言われたけれども、みんな守られていない。ずいぶんのお金が使われているし、この中から慶弔そのほか、極端に言えば酒食まで出ているんですよ。こういうことをほっておいて、ただどこかから何か言ってきたからというので参考意見で直すというようなことでは教科書行政はできないし、さっきのような本当に学習に役立つ教科書は出て来ない。これらの点についての研究はもっとうんとやらぬといかぬのじゃないですか。  時間がありませんので、私は、採択や検定あるいは使用の仕方その他についての提言もしたいのですけれども、それはまたの機会に譲ります。  ただこの際、私の方から提言を申し上げたいのですが、文部省は、これからいまのような検定の問題はどうやっていくのか、それから、そのことについては検定なしでやるということを考えてもいいのじゃないか。採択については、ある時期には一つの学年で二種類使ってもいいような時代もあった、ですから、いまみたいに広域で一種類というのが果たしていいのかどうか、能力別に教科書を使うということを考えてはどうなのか、あるいはまた、いまのような教育委員会の実情で、果たして教科書を選ぶだけの能力があるのかどうか、しかも教科書を主たる教材として使うのは先生ですから、その使う人の意見をどう反映させるか、いろいろな問題がありますから、それらについて文部省はどう検討して、どう改めていくか、不当な競争をどう排除するか、宣伝費二・二%要るか、要るなら、それをもっと有効に使う道はないか、これらについてぜひ検討しておいていただきたい。次の機会にまたそれらについてお尋ねしたいと思います。  そういうことですから、きょうは以上で終わることにいたします。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 この際、森喜朗君外四名提出、私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。森喜朗君。

森喜朗自由民主党

○森(喜)議員 私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、私立大学については、私立学校法附則第十三項におきまして、文部大臣は、本年三月末までの間は、大学設置審議会及び私立大学審議会の意見を聞いて特に必要があると認める場合を除き、新増設及び収容定員増の認可はしないものとされております。この規定は、昭和五十年の私立学校振興助成法制定の際に設けられた規定であり、これにより私立大学の量的な拡大は抑制され、この間における私学助成の充実と相まって、私立大学の質的な充実が図られてまいりました。しかしながら、現時点において、改めて現在の私立大学の状況や大学進学率の動向、さらには現下の財政事情等を考慮した場合、今後なお三年の間、従来の方針を延長し、引き続き、量的拡大よりも質的な充実に重点を置いた施策を進める必要があると考えます。  なお、この際、大学の重要な組織である大学院についても、同様の取り扱いとすることが適切であります。  第二に、国立大学については、従来から、教育研究上の要請あるいは人材の計画的養成等の社会的要請にこたえる等の観点から、設置等の必要性を十分に吟味した整備が図られてきたところでありますが、このたび、私立大学について設置等の抑制措置を延長するに当たり、今後における高等教育全体の計画的な整備のあり方を検討する必要からも、この際、私立大学の場合と同趣旨の規定を設けることが適当であると考えます。  以上が、本法律案を御提案申し上げる理由であります。  次に、本法律案の内容について申し上げます。  第一は、私立学校法の一部を改正し、同法附則第十三項の有効期限を昭和五十九年三月三十一日まで三年間延長し、文部大臣は、同日までの間は、私立大学の設置、私立大学の学部または学科の設置及び私立大学の収容定員の増加に係る学則の変更については、大学設置審議会及び私立大学審議会の意見を聞いて特に必要があると認める場合を除き、認可しないものとすることとし、昭和五十九年度開設分まで設置等の抑制を行うこととしたことであります。なお、その際、新たに、同項中に、「大学院の設置」を加え、大学院についても同様の取り扱いとすることとしております。  第二は、国立学校設置法の一部を改正し、その附則に一項を加えて、国立大学についても、私立大学と同様、昭和五十九年度開設分まで設置等の抑制を行うため、昭和六十年三月三十一日までの間は、文部大臣が大学設置審議会の意見を聞いて特に必要があると認める場合を除き、その設置等は行わない旨を法律上明らかにいたしております。  第三に、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いを申し上げます。

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

三ツ林弥太郎自由民主党

○三ツ林委員長 引き続き、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 きょうは、私、海外子女教育について時間いっぱい御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  御存じのように、国際社会化の時代をいま迎えておりますが、その中で国際交流ということが非常に重要になってまいりましたし、経済、文化、学術、教育等々、社会のあらゆる分野での国際交流というものがだんだんと広がってきておるという現実がございます。日本人が海外に進出いたしますと、それにつれて海外における子女教育をしっかりとやらなければならない、体制づくりがきちっとなされなければならない、そういう必要があると思います。同時に、帰国子女教育の受け入れ体制づくり、これも非常に大切ではないかと思います。こういうことを真剣に考えます中で国際交流を進める上において特に必要なことは、日本と相手の国との相互理解というものが促進されなければならないと思います。  昨年も私は、海外に行かしていただきました。オーストラリアに参りましたときに、ある総領事が言っておられましたけれども、いろいろな点につけて、日本がただ経済的な分野だけでの交流ないしは資源だけを買っていって、後は自分たちがいいことをしておるというふうな印象をこれからはもう絶対に与えてはならない、そのためには教育、文化の交流が非常に必要である、むしろこれが一番根底にあって、その上でいろいろな施策というものが成り立つ、こういうふうにも言っておられたのを私は記憶しておりますが、私は、これは非常に大切なことではないか、こういうふうに思っております。  文化、言語、思考方法というものが数々違います中で、相互の理解をするには、やはり教育というものが非常に大切になってくる、こう思うわけでありますが、こういう観点から、この海外子女教育、帰国子女教育を含めまして文部大臣のこれに取り組む姿勢について最初にお尋ねをいたします。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 本日、鍛治先生から御質問をいただきましたことは、私は、非常にありがたいと思っております。というのは、実は部内におきましても、海外子女教育というものに、いまこそ真剣に取り組まなければならないという点でございます。わが国が国際的な活動の範囲を非常に広めまして、しかも欧州と言わずアメリカと言わず、非常な発展をいたしておると同時に、海外に在勤をいたします邦人の数は非常に増加の一途をたどっておりまして、いまから十年なり二十年前というものは、むしろ海外に出た者というのは、移住というものを中心に考えられておりましたが、今日では、そうではなくて、あらゆる面においても、文化の面、社会の面、経済の面においても、各方面にたくさんの日本人が活躍いたしておりますし、また活躍しなければならないのであります。そして、これらの人々が実は一番心配をいたしておりますのは、自分のかわいい子供の教育の問題でございます。つまり申すならば、赴任をするに当たりましても、その自分の子女を同伴いたした方がいいのか、あるいはまた連れて行ったならば、この子がだめになってしまうのではないかという問題とか、海外から帰りました場合におきましても、日本語の不自由な子供さんたちを、日本に帰ってから一体どういうふうに学校に入れ、どういうふうに教育したらいいのかという、その教育の機会を確保するということも実は非常に困難でございます。そのために幾つかの特殊な教育機関もつくってはまいりましたけれども、まだまだそれでは足りないのでございまして、海外において適切な教育の機会を確保するということから、御案内のとおりに、日本人学校というものもだんだんとつくってまいりましたが、その日本人学校の教育自体につきましても、いろいろと議論のあるところでございます。同時にまた、海外の生活をいたしましたそういうふうな子女たちが、本当に国家的な意味においても、あるいはまた本人のためを考えましても、貴重な体験を伸ばして、大いに活躍してもらう素地をつくりたいと思いましても、それが中途でみんな挫折してしまう、あるいは壊れてしまうというのは、つまり、それを受け入れたり、あるいはそれをずっと伸ばしたりする教育の機構的な面においても、非常に幾多の欠陥があるからでございます。  そういうことから申しまして、先般来、子女教育の問題と真剣に取り組もうということから、数回にわたりまして、御担当の専門の邦人の財団の方々とも会合の機会を持ったり、あるいは各方面に研究を御依頼いたしたりしておるような次第でございまして、その問題につきましては、本日先生からこのような御質問をいただくことは、われわれといたしましても、非常にありがたいことでありますと同時に、また今後、御一緒にこの問題に取り組んで検討もし、機構の整備をしていきたい、かように考えておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 大臣のその熱意をぜひ生かして進めていただきたいと思います。  引き続きまして、海外子女教育の推移と現状、それから文部省のこれに対する具体的な施策、こういった点についてお聞かせ願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 海外に在留しております邦人の増加とともに、義務教育就学相当年齢の子供の数も近年急増いたしておりまして、昭和五十五年現在、およそ二万七千人に達しております。このうち、いわゆる日本人学校に在籍いたします者が四五%おりまして、一万二千三百六十五人という数字になっております。なお、日本人学校は、現在六十七校ございます。それから九千七百三十六人、これは全体の三六%でございますが、この者が補習授業校に参っております。それから現地の学校のみに行っておりますのが五千三百六十四人、一九・五%というふうな数字でございます。  なお、現地校に行っており、あるいは補習授業校に行っております者に対しましては、日本から通信教育の実施をいたしておりますが、これらの施策に関しまして、特に日本人学校につきましては教員の派遣を行っております。それから義務教育教科書の無償支給も行い、また日本人学校、補習授業校の教材の整備につきましても、必要な施策を講じておるところでございます。  以上、概況を申し上げました。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 昭和五十一年四月の海外子女教育推進の基本的施策に関する研究協議会から答申が出ておりますが、その中の「海外子女教育の推進に関する基本的施策について」の中におきましても、「世界各国にある日本人学校は、それぞれの国の風土に適した教育のあり方を考え、そして開かれた日本人学校を志向してほしい」、こういった要望が出ておるわけであります。これは最初に申しましたように、相手国との相互理解という面からも大変大切なことだということで、私たちは、この答申には賛成でございます。  ところが、昭和五十年七月に外務省の領事部総務書記官室の見解といたしまして、この学校につきまして、「永住を目的とする邦人及び日系人子女を対象とするものではなく、また現地人に対する日本語普及その他日本関係の広報・文化活動の事業を目的とするものではない、」、こういうふうな見解がなされておるわけでございます。  この文部省の見解と申しますか、答申の内容ですね、これは文部省もそういう方向だと信じておりますけれども、私どもも、そうありたいと願っておるのですが、基本的に外務省との考え方の間にずいぶん食い違いがある、こういうふうに思うわけでございますけれども、こういう点についてはどういう見解を持っていらっしゃるのか、また、どういう方向にいくのが本当のあり方であるのか、ここでお聞かせを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、五十一年の四月に海外子女教育推進の基本的施策に関する研究協議会から報告書が出ております。その中で「「開かれた日本人学校」を志向することが望ましい」というような指摘があるわけでございますが、現地におきましては、そのような観点から、在留国の言語や歴史、地理等の学習の導入、それから、それぞれの国の風土に適した教育の工夫をし、あるいは近隣の現地校との相互の交流を実施するなどによりまして、現地の事情の許す限り、開かれた日本人学校を志向することが望ましいという考え方でございます。  この趣旨につきましては、私ども外務省ともいろいろ連絡をとっておりますが、外務省としても同様な見解であるということを承知いたしております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 いまの見解なりお考えに基づいて考えますと、現在の外地における日本人学校は、そのとおりに志向しながら運営されていなければならないと思いますけれども、残念ながら東南アジア等の開発途上国等におきましては、ともすれば反日感情という根強い問題が解決し切れないで残って存在しておるというふうに思われるわけであります。こういう中で、特にこの日本人学校がつくられたいきさつは、やはり現地では日本人の子女の教育に適さないというようなことから学校をつくり、そこにまた通う子弟は車等で送り迎えをしているというようなことから、むしろタコつぼ的な教育という言葉もわれわれ耳にするのですが、非常に閉ざされた教育をしている。いわば開かれたということと逆の教育というものが、ともすればなされておるのではないか、こういうふうに思われるわけですが、この点について、私どもは、改めるべきは改めなければならぬと思います。いかがでございましょう。お答えをいただきたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、東南アジア地域の日本人学校につきましては、一部にそのような批判も聞いておるところでございますが、この日本人学校が日本国民としてふさわしい教育の機会を確保するというような設立の趣旨がございまして、内容的にはわが国の義務教育諸学校に準じた教育を行っておるところでございます。それに加えまして、先ほどの開かれた日本人学校というような趣旨から、それぞれの国の風土に適した教育の工夫をしたり、あるいは現地校との相互交流などを行いまして、日本人学校としても国際理解の教育を充実するということには努めておるところでございます。  たとえば教科につきましては、現地国の言語や歴史、地理の学習を取り入れる工夫あるいは特別活動につきましても、社会見学とか遠足等を積極的に行いまして、またスポーツとか文化祭、美術作品の交換等、現地との交流につきましても、現地の学校等の事情との調整のつく範囲におきまして、困難な事情の中にあるわけでございますが、努力している次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 確かにそういう形はやられておるようでありますけれども、問題は、その内容が、本当にそういう形のものがあるのかどうかというのが、一つ大きな問題として出てくるのではないかと思うのです。修学旅行とか社会見学というのは、私もちょっと聞いたところでは、一応そういうものは組んでおっても、ただいわゆる現地人、また現地の風土と本当になじんでその理解を深めるという意味からのそういう行事がなされておるという感じよりも、たとえば旅行にすれば、どうしても単なる旅行者としてあちこちを見てくる、そういう目で旅行が行われているとかいうふうな感じが非常に強いように思うわけです。そういう点について、これは大いに改善の要があるというふうに思うわけでありますが、この点についてさらにお尋ねをいたします。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 国内の学校におきましては、望ましい集団活動を通じまして心身の調和のとれた発達を図り個性を伸長する、それとともに集団の一員としての自覚を深めるというようなことで修学旅行あるいはいろいろな学校行事等が行われておるわけでございますが、このことは海外の日本人学校においても国内以上に大切なことと考えております。したがいまして、修学旅行、見学旅行等につきましても、現地の事情によっては実施上いろいろ困難なこともございますけれども、アジア地域の日本人学校の場合、先生の御指摘のように、従来よりはなお社会見学とか教科との相互関連の中で積極的にそのような学習を取り入れていくという努力を続けておるところでございます。  たとえば副読本といたしまして、香港の日本人学校におきましては「香港」というような副読本を学校においてつくりまして、それを授業で活用いたしております。また、シンガポールの日本人学校におきましては「目でみる私たちの町」というような副読本をつくりまして、またパキスタンの日本人学校におきましては「パキスタンの歴史」、「土地とくらし」というような副読本を作成するなど工夫を図っているところでございます。このような機会を通じまして国際理解を充実することは、非常に大切なことと考えておる次第でございます。  また、スポーツについてもいろいろ努力を重ねておるところでございますが、先生御指摘のように、なお十分とは言えない面がありますので、今後とも私ども、御趣旨に沿うような指導を展開していきたいと考えておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 いまの点は、そういうふうにぜひ御指導願いたいと思います。  さらに、前申し上げました五十一年四月の答申「海外子女教育の推進に関する基本的施策について」という中におきまして、教育方法というものの工夫をしなさいというところで例示として書かれておりますのが、「在留国の言語や歴史、地理、芸術教科などの現地の事情を取り入れる等教育課程の編成に当たって地域の実情に即した弾力的な運用を図り、あるいは近隣の現地校との相互の交流の実施、可能な範囲での現地人子女の受入れ、授業における日本語と現地語の二か国語の併用などの方法をとって、それぞれその地域の住民と文化に対して開かれた日本人学校を創造していくべきだろう」、こう提唱しているわけであります。  その中の一つをいまお答えいただいたわけでありますけれども、ここに言われております可能な範囲で現地人の子女を受け入れろ、こういうふうなことが指摘されているのでありますが、この点についてやはり推進すべきではないか、こう思いますが、現地の状況についてお答えを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 この問題につきましては最初に教育課程の関係を申し上げます。  これにつきましては、基本的には、日本国民にふさわしい教育をするということから、先ほど申し上げましたように、義務教育諸学校に準じた教育を行うことを基本といたしております。しかし、事情の許す範囲におきまして、そういう環境、条件を子供の成長のために活用していくというような観点から、それぞれの学校におきまして教育課程に工夫をこらしまして、特に現地校などにつきましては、現地採用の教員等によりましてその拡充を図るなどの工夫をいたしておるところでございます。  なおまた、現地の子供たちを日本人学校に入れてはどうかというような御指摘の点でございますが、この問題につきましては、日本人学校が日本の学校に準ずる内容の教育を行っておるという点が基本的にあるわけでございます。それに加えまして、相手国の子女の教育に対しましては、その国の主権がありまして、その国の考え方がその国の子供たちの教育に非常に影響するというような点がございます。子供のときから外国の教育を受けさせていいかどうかというようなことの関連でございます。  それからもう一つは、日本人学校の設置者であります日本人会などの意向もこれに絡んでくるわけでございます。  なおまた、最初に申し上げましたように、海外の日本人子女が最近急速にふえておるというような状況から、校舎等の関係におきましてなかなか十分な収容が図られない、日本人の子供の収容だけでもいろいろ困難をしておるというような事情もかなりあるわけでございます。しかし、御趣旨の点はやはり積極的に対応していくべき問題だと思われますので、関係者の同意が得られる場合には、そのようなことも検討していく必要があるというふうに考える次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 受け入れる余裕がないというようなお答えもあったわけでありますが、これは先ほどの指摘にありました「授業における日本語と現地語の二か国語の併用などの方法」というようなことも例示されておるのですが、こういったこととにらみ合わせながら、日本人学校の国際学級の設置ということも大いに進めなければならぬと思いますが、これの設置状況がいまどうなっているのか。そしてその中でバイリンガル教育、二カ国語教育についてもどういうふうな形で進められておるか、こういったような現状もお聞きをいたしたいと思います。  それから、先ほどちょっと出ました永住をしている方あるいは移民として行っていらっしゃる方の子女というものに対する教育要求、こういったものはどういう形で受け入れていらっしゃるのか、お聞かせを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 国際学級につきましては、現在オーストラリアのシドニーの日本人学校に一つ設けられております。そこで現地の子弟を受け入れておる次第でございます。また、もう一つの例としましては、国際学級という形態ではございませんが、メキシコの日墨学院におきまして日本人コースとメキシコ人コースというものが併設されまして、また、そのメキシコ人コースの中でもメキシコ人の子弟のために日本語コースを設けるなどというような取り組みが行われている次第でございます。  ただ、その国際学級と言われるようなものを大幅に広げるという点につきましては、先ほど申し上げましたようないろいろな事情があるわけでございますが、今後とも検討をしていく課題であると存じます。  なお、移住しました日本人子弟につきましては、原則としてその国の国籍を持っておりまして、相手国の国民であるという面が強くあるわけでございます。しかし、そういう子供に対します両親、一世等の母国の教育というような関心も、地域によりましてはかなりございまして、これは主として外務省の担当でございますが、そういう子供たちに対する日本語教育にも努力しておる次第でございます。  それから、先ほどのメキシコの日墨学院におきましては、やはりメキシコ人コースの中にもそういう二世、三世の子供たちが入っておるというように聞いておるところでございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問の中で実は非常に重大な問題が一つございます。それは私、御存じのとおり、海外移住家族会連合会の会長もいたしております。中南米方面におきましては、約二百万近い、百数十万の日系の者がおります。その日系の二世の教育という問題は、いまにして本当に真剣に考えなければならない段階に来ていると思うのです。ということは、向こうの方に行きましたならば、まず国籍を、市民権をとれという運動を終戦後ずっと続けてきましたが、実は、それも余り順調にはいっておりません。しかし、向こうで生まれた人たちがたくさんいます。その向こうで生まれた二世、三世が日本人離れをするという傾向が非常に強いということは、これはわれわれ日本国民としてはまじめに考えなければならない問題で、その点ではドイツは、向こうにおります二世、三世のそういう問題に対して真剣に国語教育とドイツ語教育をやっておるのでございます。その点は、この海外子女の問題のそれ自体の問題でありませんが、やはり日本国家としては大変重大な一つの転機に来ておる。ですから、これにどうぞひとつ御関心をお持ちくださいませ。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 そういう大臣の御熱意を、在任中に方向づけとプッシュをぜひひとつお願いいたしたいと思いますし、われわれも、できる限りこれは推進をしなければならない、こう決意をいたしておりますので、その点はよろしくお願いを申し上げます。  いまメキシコにおける日墨学院の件がちょっと出ましたわけですが、この日墨学院で残念ながら、新聞の報道等で派遣教師の現地の子女に対する殴打事件というものが報道されているわけでございますが、これはその後どういう形で対応し、どういうふうになっていっているのか、そういった現状等についてひとつお聞かせを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 これは先生御指摘のとおり、非常に残念な事件でございましたが、先ほど申し上げました日墨学院のメキシココースの子弟に対しまして、派遣教員が日本語、日本文化を指導していたことに関するものでございます。具体的には、当該教員がメキシコ人子弟の校舎屋上でのいたずらを目撃いたしまして、非常に危険であるという判断から制止しようとして体罰を加えたということが契機になったのでございますが、これに対しまして、メキシコ人子弟に対し、日ごろから生徒のしつけと生活指導について非常に積極的な姿勢を持ってその教員が臨んでいたという事情があるのでございますが、メキシココースの父兄の不満が表明されまして、本人はその後自宅謹慎の後に、日本人子弟に対する教育を行っております日本コースヘの専任配置ということに切りかえました。そして本年三月に任期途中でございましたが、帰国いたしまして、現在日本の学校に勤務いたしておるというような次第でございます。  日本・メキシコのかけ橋となる理想を持って設立されましたこの日墨学院において、このようなことが起こったことは、まことに遺憾なことである次第でございますが、現在におきましては平穏裏に教育が行われておりまして、今後、設立趣旨に沿った運営が一層促進されるよう私ども望んでいる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 不幸な事件ですが、現状は、現地のメキシコの方々との了解も成って、その後はスムーズに行っておる、こういうふうに理解をしてよろしいようですね。——わかりました。  同時に、その先生については、いまお聞きした範囲では、善意からのことのようにも理解されますが、私がそばにおって見たわけではありませんが、そういうところはよく見届けた上で、本人に対する措置もひとつ弾力的にお考えを願いたいなというふうな気もいたします。  では、この問題はこれでおきまして、次に、海外におきましては、幼児教育のための幼稚園、それから高等部の設置、こういったものがやはり要望としては大分出てきているように聞いておるわけでございますけれども、これに対する教育計画、こういったものがあれば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 日本人学校は、現地の日本人会等が設置主体となって設置されているのでございますが、幼稚部を併設いたしております学校が、現在、昭和五十五年度の状況で十九校ございます。また、日本人学校に対します政府の援助は、日本国民にふさわしい教育の機会を確保するという観点から、義務教育相当年齢の子女の教育に対しまして諸般の施策を現在行っておるところでございまして、現段階としましては、先ほど申し上げましたように、年々小中学校段階の子供の増加に対応しまして、この対応策に力を注いでおるというような状況でございます。  また、高等部の設置につきましては、なお日本人小中学校の整備を図っていくという必要があること、また対象の生徒が、そういう段階だとほとんど帰国いたしておりまして、数が少ないということ、国内においても政府がといいますか、いろいろな受け入れの施策を講じておるというようなこともございます。そのようなことで、義務教育段階とは異なっておりますので、海外でそのような高等学校なんかに子供がとどまります場合には、ある意味で一種の留学としまして、積極的に現地校や国際学校に入って国際性をさらに身につけておくというようなことも有意義であるという一面もあるわけでございます。そのようなことから、高等部の設置につきましては、今後さらに、各方面の意見も見きわめながら、そのあり方について将来の課題として検討してまいりたいというように考えておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 お答えにありましたように、教育的な要望というものに基づきまして、実情をよく調べながら、ひとつこの海外子女教育については、きめ細かな対応をお願いいたしたいと思います。  さらに、特に一番のネックになっていると思われるのが日本人学校等における費用負担の問題ですが、これは受益者負担というものが大変大きいということで、文部省ないしは日本国の援助というものの要望が相当強く出ておるようでございますが、こういった点についての悩みも解消してあげるという方向で当然対処すべきであろう、私はこう思いますが、この点についてお聞かせを願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 率直に申し上げまして、海外の日本人学校の子供にかかっておる経費でございますが、国内の義務教育学校の子供たちの経費に対しまして約五割増ぐらいな経費が一人当たり年間かかっております。そういう状況ではございますが、先ほど先生の御指摘あるいは大臣の御答弁にありましたように、この重要性ということから、私ども、さらにその整備等につきまして、いろいろと努力をいたしておりまして、予算的にも、ほかの経費に比べると、伸び率のいい予算を措置しておる次第でございます。また、さらに五十六年度は日本人学校が三校新設されるというようなこともございますし、それから派遣教員の数も国内の基準に対応して増加していくというようないろいろな課題があるわけでございます。  しかし、ただいま先生御指摘のように、海外の日本人学校の父兄負担といいますか、これはある面は会社負担にも転嫁されておるものもあるのではないかと思いますが、年間約十五万円ぐらいを要しておりまして、国内の私立学校の父兄の負担の平均ぐらいというような、これは表向きの数字でございますけれども、そのような状況でございまして、国内の義務教育、公立の学校に行っている者に比べますと、かなりな負担でございますので、なお今後とも、その負担の軽減には努力してまいりたいと考えておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 新聞報道でしたが、ここに資料を持っていませんので、場所はちょっと定かに記憶しておりませんが、せっかく学校はできたけれども、そういう受益者負担が大き過ぎて、これは維持できるだろうか、閉校しなければならぬだろうかというような新聞報道等もございました。そういった点も含めまして細かに現地の実情を見て、いまおっしゃったような方向で大いにこれをひとつ推進していただきたい、こう思います。  さらに、現地における日本人学校やいろいろな皆さんが教育を受けるときに大切なのは、日本国内におきます外国人子女の教育について日本でどういう対応をしておるかということが相互関係で非常にはね返ってくるのではないか、ここらあたりも真剣に考える必要があろうというふうにも思うわけでありますが、日本におけるアメリカンスクール等または在日朝鮮人学校等の取り扱い、こういった国際学校のわが国における協力体制というものはどういうふうに行われているのか、そういう基本的方針等についてお聞かせ願いたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 前段の問題でちょっと私、申し上げたいと思いますのは、海外における日本人学校のあり方でございますが、いまのロンドンとかパリとかいうようなところに在勤する人たちには、日本人学校としてまとまった数ができます。しかしながら実際問題としては、たとえばフランスと言ったってパリにばかりおるわけじゃありません。各地に仕事の上で散らばっておる方々、そういう方々の、父兄の教育に対します負担なり考え方、これは本当にまじめに私は考えていかなければならない問題だと思うのです。  それからもう一つ、向こうに行ってからの日本人学校のあり方の問題でもありますが、何しろ海外に出まして今度日本に帰ってきたときに、自分の子供たちがろくな学校に行けないというのじゃ、これは困るという気持ちが親御さんに多いんですね。ですから、そういうふうな日本人学校では、特に日本国内におけるエリート校にでも入れるくらいの教育をみっちりやらしたいという親御さんが非常に多いということです。これは一つの問題なんでありまして、そういう点で日本人学校と言われるものが非常に閉鎖的になっておるということは批判される対象であります。  反面また、親御さんによっては、せっかくロンドンなりパリなりニューヨークにおるのだから、この機会にその学校に上げないで一般の学校に入れちゃった方がいい、そういう方々もあるわけです。しかし、そういう問題は、今度は日本に帰ってきてからの受け入れ体制で、海外におった人に対して非常に寛容な態度でもって各会社や何かが採用試験をしてくれますと、これはまた、そういう点ではりっぱな国際人が育つわけなんでありますが、先月の十六日の日でございますか、海外子女教育振興財団を中心に関係の各財界の方々に集まっていただきまして御相談をしたのですが、本当に思いにもまさって真剣にいまの子女教育の問題に取り組んでおられまして、同時にまた、日本の国内における採用も、偏見を持たないで開かれた採用をやろうというようなことを特に言っておられたのでありますが、その点は今後も、日本人学校のあり方という問題については、先生もひとつ大いにわれわれを啓発していただきたいと考えます。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 最近、日本にも欧米諸国からの外国人も増加しておりますし、また朝鮮から来ておりました人がかなりいるわけでございますが、この教育につきましては、先ほど来ございますように、やはり本国に帰りました場合の教育を考える考え方と、できるだけ現地の教育に触れさせようというような考え方とあるわけでございます。沿革的に申し上げますと、日本におきますそういう外国人のための多くは各種学校としての認定でございますけれども、それの設置につきましては、日本としては非常に開放的に認めておったというようなことがございます。また日本の公立の学校等に入学を希望します場合には、これを快く積極的に受け入れてきたというような経過があるわけでございます。また外国に日本人学校をつくります場合には、外国の法制のもとで外国人に対する特別の教育は認めないというようなことも、かなりの地域に以前にはありましたが、最近では、そういう外国における傾向も変わりまして、日本人学校が、いろいろな形態でございますけれども、かなり気持ちよく外国でも認められつつあるというような状況でございます。  今後、お話ございますように、国際的な連携、連帯というようなことがますます盛んになって、行き来もふえると思うのでございますが、そういう意味におきまして、私どもも、やはり日本にいる外国人のための教育については、できるだけの配慮をして好意的に対応する必要があろうかと存ずる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 次に、派遣教師の問題についてお伺いいたしますが、派遣教師の任務というものは非常に重大であると思います。そういう点につきまして、文部省や外務省の御努力によって、派遣教師の待遇等含めて大変改善されてきて、そういう点については、私たちも大変喜んでいるわけでありますけれども、なおかつやはり細かくいろいろ見てまいりますと、取り組みをさらに前向きにやらなければならないという部面がずいぶんあると思います。  具体的には、まず充足率の問題があります。これは充足率が八二%から八五%ぐらいまできているというようにも伺っているわけですが、これはやはりまだ一〇〇%いっていないわけでございまして、この充足率は上げていく必要があるのではないかということが一つ。  それから任期の点で、これは校長先生が二年ですか普通の教員の方が三年ですか、こういった形の任期で派遣されて行かれるようでありますけれども、これは特殊な例かもわかりませんが、私が聞くところでは、学校によっては校長以下全員が一度に異動してしまう、そういう任期のために。それで学校運営上非常に問題があるというようなところがあるということも聞いているわけでありますが、そういった点を含めて任期という点の考え方というものを流動的に弾力的に考える必要はないのか。さらには、むしろ任期が早く終わればいいというような形で教師が取り組みをするということは、子女に与える影響が大変マイナスになると思いますし、そういう先生方も中にはあるのじゃないかと伺っておりますが、こういった任期の点についても、さらに若干延長するとかいうようなことも含めて考える必要はないのか、また教師に対する研修というものが大変大切になると思いますが、こういった点についてどういうふうな現状にあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 現在、在外教育施設に派遣しております教員定数でございますが、五十六年度では合計八百三十人、内訳は日本人学校関係が七百九十五人、補習授業校が三十五人というような状況でございます。  その任期につきましては、現在、教員全体を通じまして三年任期ということを基本にいたしておる次第でございます。  このことにつきましては、長期の海外勤務となりますことから、派遣教員の家庭に対する配慮、それから派遣教員の心身に対する配慮、中には現地の事情によりましては、相当苦労を重ねられてノイローゼぎみになられる方が出る場合もあるのでございますが、そのような教員の心身に対する配慮、それから結婚や国内における管理職適齢の問題で何歳まででないと教頭になれないとか、そういうような関連の問題、また余り長くなりますと、国内の教育状況にややうとくなるというような現象などもございまして、そのようなことを勘案しまして、現在三年任期といたしておるのでございます。短いのではないかというような御意見があることも、私ども承知いたしておる次第でございますが、現在のところは、全体を通じて考えますと、この辺が妥当なところではないかというふうに考える次第でございますけれども、今後さらに、諸般の状況を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。  さらに、日本に帰りました方で再び日本人学校に行きたいというような方につきましては、従来もこれは措置しておる例がございまして、たとえば五十六年度の状況でございますと、二十六人再赴任されているという例もございます。比率からいきますと三%ぐらいと非常に少ないのでございますが、なお期間延長の問題あるいは再派遣の問題等、今後ともいろいろ工夫、検討してまいりたいと思う次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 研修のこと等々についてもお聞かせ願いたかったわけでありますが、時間の関係もありますから先に進みますが、それと同時に、現地採用教師の問題でお伺いいたしたいと思います。  補習授業校においては圧倒的に多いと伺っているわけでありますが、この現地採用教員は現地に長年生活をしている方が多くて、現地事情に明るくて、現地の交流においても非常に最適だと言われているようであります。こうやって現地において腰を据えて教育に当たっていただくということは、日本人学校での、最初議論になりました在留国での開かれた教育というものに確かに必要な方々ではないか、こういうふうにも思うわけですが、ところが残念ながら、その待遇その他等について派遣教員との格差が非常に大きいというふうな話も伺っておりますし、また現地校において事務職員等の待遇も改善の要があるのではないかと思うわけでございますが、こういった点、さらには現地でこの職員の方々が教員の免許の資格も取りたいというような考えの人もいるようでありますが、こういう方々に対しても、やはりしかるべく配慮してあげるべきではないかと思いますが、この点についてお伺いをいたします。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 日本人学校の専任教員につきましては、国内の学校の基準との関連からできるだけ派遣教員をふやしたいというような方向で努力している次第でございます。しかし、実際の実情としましては、多面的な教育をするというような観点から、現地におられる日本人の方々を教員に迎える、あるいは先ほど申し上げました現地語あるいは現地の歴史などの教育のために現地の方を採用する、その国の国籍の方を採用するというようなものもあるわけでございますが、御指摘のとおり、この待遇につきましては、派遣教員に比べるとなお低いというのが現状であろうと思います。  これにつきましては、実は外務省の方で現地採用教員に対する給与の援助を行っておるのでございますが、現地の経済事情等との関連もあるわけでございますけれども、先生がお聞きになっているような待遇の声が私どものところにも聞こえてくることがございまして、そういう点につきましては、外務省とも連絡をとりまして、今後改善を図るよう努力してまいりたいと思う次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私も残念ながら、きょう外務省の方をお呼びしておりませんが、ひとついま申し上げた趣旨で、また御答弁になった趣旨で外務省ともよく連携をとり、お話し合いをなさりながらいい方向に推進をお願いしたいと思います。  さらに、現地採用教師を日本国内で研修をするということで現地採用教員百名を五年間に分けて招いて国内研修をやろう、これはいろいろな意味で大変大切なことであろう、こう思うわけでありますが、残念ながら、これが予算として今度削られてしまったというようなことも聞いているわけです。これはぜひやるべきではないか、こういうふうに思いますが、これについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、現地採用の方々で長く日本人学校のために、あるいは補習学校のために勤続されておられる方もございます。それから今後とも、そういう方々で大いにそのために努力してやろうというような方がいらっしゃるわけでございます。私ども、そういう方々が国内における教育指導方法や教育課程の改善等について実地に研修を受けられるということは、日本人学校の教育の向上のためにも非常に大切なことであると存じます。そのようなことから、従来、その一部の方を日本にお招きして研修ができるような機会を与えるというような予算要求をいたしてきたのでございますが、残念ながら現在の情勢では実現を見ていないわけでございます。今後ともさらに努力してまいりたいと考える次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 次に、帰国子女の教育の方に移ってお尋ねをしたいと思いますが、帰国子女の方々の現況というものについて、概略で結構ですが、まずお聞かせを願いたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 鍛治委員御承知のように、近年海外勤務者が非常に急に増加しておりますから、これと同行して外国で相当期間生活した上で帰国する児童生徒の数も、したがいまして増加をしてきておりまして、小中高等学校段階におきます帰国子女の数は昭和五十年度中には約六千五百人、そういう数字に上っておりまして、現状と申しますと、数字はそういうことでございますが、これらの子女の中には行ってきた教育環境、現地の学校に入った人と日本人学校に入っていた人といろいろ相違がございますけれども、やはり国語や社会などの理解力のおくれというものが見られる場合が多うございます。国内の教育水準と比較して学力的には若干低下しておるという方々が少なくないようでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ここでちょっと一つの提案ですが、各都道府県教育委員会等ともお話し合いの上、ぜひ実現方を図っていただきたいと思うのですが、帰国子女の方々の受け入れの問題です。これは、こちらでの現状をいろいろお聞きしてみましたら、実は窓口が一本化してないために、帰られた親御さん方がどこに入れようかというので非常に悩まれて、御自分であちこちに訪ねていって、そこで該当する学校に行っているという現況があるようです。  ある協力校なんかで伺ってみましたら、御自分であちこち聞かれた上で、あそこはどうも帰国された子女の方々の教育をやっている学校ですよというのを聞いて直接学校に入学を依頼に来られる方、それから東京都の場合で言いますと、区の教育委員会に訪ねていって、あなたの住まわれているところでしたらどこそこの学校がいいでしょうということで来られる方、ないしは財団がございますね。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕 そこで、その財団に行かれて、そこから聞いて訪ねてこられる方、そういうほぼ三通りのようです。  ただ、そこで具体的に担当の先生方が若干心配していらっしゃるのは、そこでテストをされる、その子の学力を見、人柄を見、というようなことで、それに応じて普通の学校に入学できるだけの資質があり、学力のあるお子さんですと、わざわざ遠いところに通うというのは大変ですから、やはり地元の学校に行かれた方がいいでしょうというふうにお話をするそうですが、海外に行っていて特殊で、自分の子はやはりすぐにはなじまないだろうというふうな心配があって、非常に言うことを聞かない、理解がなかなかできにくい、入れてくれないのは大変不満だというふうな感触を持たれている御父兄の方が大変多い。やむを得ないと思うものの、やはりお子さんのことを思うと、現地の方に入れて差し上げた方がいいのじゃないかということで説得する、それにずいぶん時間がかかるということもあるようです。  さらには、もっと設備の整った学芸大あたりの付属の学校なんかにおたくのお子さんでしたら行かれた方がいいでしょうというふうなことを言う場合もあるということも言われておりましたが、そういう対応が非常にむずかしい。  さらには、一本化していないために、各学校でそういう事態が起こっておるようでありますけれども、テストの内容自体も統一したものがないわけですね、協力校等では各学校でそれぞれ工夫していらっしゃるようですが。そういうことで、そこの学校で非常に対応しにくい面がある。  だから、これはたとえば東京都でいえば、帰国子女の八〇%ぐらいを扱っていらっしゃるようですから、都の方で一つ窓口をぴしっと決めて、そこに皆さん帰国された方は御相談に行く、そこでテストをして、それぞれの実情に応じた、お子さんに応じたどこそこの学校におやりになったらどうですか、こういうふうな形で相談をする窓口があると、相談に行かれた親御さんも、学校直接ではありませんから、大変納得されるのではないだろうか。そしてお子さんに合った学校教育を受けさせる、こういうふうに持っていったらいいのじゃないかということが一つです。  さらには、義務教育ですと、お子さん方をぜひ入れなければなりません。義務教育ですから、いやおうなしに入れなければなりませんが、帰国子女の方々は境界を越えて遠くからでも、場合によっては一時間半ぐらいかかっても通ってこられるお子さんもおられるようですから、そういうことを考えますと、やはり定員との絡みの問題が出てくる。ある協力校でお伺いしましたら、来た方はできるだけお受けするようにはしているのだけれども、定員との絡みで、それが現地の方々の子弟を受け入れるだけで四十五名ぎりぎりいっぱいだったという場合に、それを上回って何人か来られると、一遍は入れてみたけれども、やはり教員の方々がなかなか責任を持ちにくいというような大変な悩みもありまして、それをオーバーして受け入れるのはいかがかというようなことでお断りしたという例もあるようです。  そういうようなことから、御父兄がやはり大変なそういう点についての悩みがあるようでございまして、そういったいろいろな面を含めて、やはり窓口の一本化というものは大変必要ではないか。  これは都道府県別に、全然帰国子女のおられないところもありましょうから、全部が全部ということではないはずでありますので、実情を調べていただいて、ひとつ文部省と都道府県の教育委員会等が話し合いの上で窓口を一つに定めるということをぜひやっていただきたいなと思うわけでございますが、この点についてお尋ねをいたします。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 いまお話のように、日本に帰られてから学校に転入する場合、うまいぐあいに転入ができるならば結構でございますけれども、そうでなくて、もっと日本語のできないお子さんが帰ってこられた場合のその学校、それがなかなかむずかしいのでございまして、たとえば、いまお話のあれだとか、それから基督教大学の付属だとか暁星でありますとか同志社でありますとかいろいろなのがございますが、帰国子女の問題につきましては、特に研究協力の指定の問題やら、あるいは高等学校の新設の問題だとか、問題がたくさんございます。  実はきょうも、これからまた海外子女の協会の方と私、会うのでございますけれども、本当に子弟の教育という問題については、まだまだ制度ができていないと言っていいと思うのです。これからますます発展をする日本の海外活動に対しまして、文部省といたしましても、受け入れを真剣に考え、可能性の量の問題と質の問題、あるいはまた、いまのお話のように、定員という問題もありますから、そういう問題をさらに考えまして、本当にこれからいろいろな機構あるいは制度あるいは学校等もつくっていかなければならない、こういうふうに考えております。  どうぞひとつ率直にお願いしたいのですけれども、先生の方から文部省の方にも、あるいはまた教育委員会の方にも、具体的なケース・バイ・ケースでいろいろな問題をどんどんと御注文になっていただいたら、なお私たち勉強になる、かように考えます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 窓口の問題でございますが、鍛治委員御指摘のように、ただいまのところは、教育相談事業という形で海外子女教育振興財団でございますとか、それから東京学芸大学の海外子女教育センター、それから帰国子女の数が多いような教育委員会あるいは個々の学校でやっておるわけでございますが、一本化という問題提起がございました。     〔三塚委員長代理退席、森(喜)委員長代理着席〕 これは研究課題にさせていただいて、子女数の多い教育委員会の実情も聞いてみた上でいろいろ検討してみたいと思います。  ただ、テストの問題でございますけれども、これは学校がもしその子供を受け取りますと、その指導をやはり責任を持ってやらなければならないわけでございます。そういう意味合いで、やはり受け入れの際に基礎的な能力を把握したり、それから日本語の習得状況や、あるいはその子の教育歴によっては算数などがどの程度かというようなことは把握をする必要があるようでございますので、そういう意味合いで、しかし、具体の事柄についてどういうぐあいに改善していったらいいかどうか、これはただいま大臣から申されましたように、非常に重要なことでございますので、慎重に検討いたしたいと存じます。  ただ、個々具体のケースは、親のいろいろな希望なり本人の状況なりが絡んでまいりますので、鍛治委員もおっしゃいましたけれども、必ずしもすべてが満足いくようにという解決は容易でない事柄であると思いますが、できるだけ途中でいろいろな本質的でない苦労が余り多くなりませんように、それを少なくするように研究していきたいと思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 いまの各校に相談に来られるお子さん方のいろいろな性格なり学力なりについて、これはやはりその担当の専門でやっていらっしゃった方と相談しながらそういう内容をお決めになって、窓口を一本化しておやりになったらいいのじゃないか。先生にお聞きしましたら、そういう問題は一本化されて、そのテストの内容がいろいろ相談の上、はっきり決まってくれば、それをそのまま、自分の学校にここがいいと言って来たときに見せてもらうと大体それで理解ができる、対応ができるというふうにも言われておりましたので、これは要望ですが、ひとつ一本化という方向にして、帰国子女の皆さんが本当に向き向きの学校で勉強できるような、そういう形をぜひおとりいただきたいと思います。  さらに、これも要望ですが、研究協力校の整備拡充ですね、これは数もふやすという方向でできればやっていただいていいのじゃないか。さっき申し上げたように、人によっては一時間半くらいかかって通学をしている方もいるようです。したがって、それが近くにもう一つ分かれてあれば、近くの学校に行けるということにもなろうかと思いますが、そういった点の配慮、特にこれは東京においてまた帰国子女の多い県等において必要であろうと思いますが、そこらあたりもぜひ御考慮を願いたい、これは御要望を申し上げておきます。  さらに、高校進学の問題と絡んで、やはり帰ってこられる方が会社の都合等でいつ帰ってこられるかわからない、年度途中でどこでも帰ってこられる場合があるようですが、特に問題は、中学三年生に編入をされた子弟の方々などは、受験の問題と絡んで、高校入学の問題と絡んで、日本の教育になじまないうちに受験ということになるものですから、いわゆる日本式の受験教育というものを詰め込まれてしまうということから、どうしてもいびつな形で育つという形もあるようです。東京等では、高校について、私立も公立も若干帰国子女については一つの幅を持たせて受け入れるというふうになっておるようでありますが、これもひとつ全国的にそういう形のものをお考えいただいてはどうだろうか、そして中学で編入されても高校に入るにはそんなに心配要らない、だから、高校の期間を含めてしっかりと日本の学校の中にもなれ、しかも持って帰ってきたいいところをほかの人にも影響さしていく、こういう形での教育ができるようにぜひやっていただきたいと思うのですが、この点について、時間もございませんので、ひとつ簡単にお答えをお願いします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 先ほどの協力校も、やはり定員の問題でむずかしい点があると思いますが、できるだけ学校側に努力をお願いしたいと思っております。  それから、協力校の数としましては、現在、五十五年度に小中高で六十校指定しておりましたが、五十六年度に十校ふやすことにいたしておる次第でございます。  それから、ただいまの中学校から高等学校への進学の問題でございますが、やはり私どもとしては、研究協力校の仕組み、それから、そのほかに別枠でやっておりますものとして、御承知と存じますが、東京学芸大学の附属高等学校、それから特別に開設していただきました私立の高等学校等があるわけでして、それらを含めましておおむね入っていっていただいていると思いますが、ただ、個々のケースになりますと、希望校と入れた学校とが必ずしもぴったりこないという、これは帰国子女じゃなくても国内にいる人にも共通のそういう悩みがございます。  私どもとしては、いま御指摘もありましたが、受験のために中学校の途中で帰国するというようなこと、そして受験に備えるということが、一つのやはり帰国子女の教育上の問題点だと思っております。そのほかに、日本語の能力でございますとかあるいは親御さんのお気持ちもあって、特定の学校にどうしても入りたいというようなところ、その辺をどういうぐあいに調整していくかということなどがありまして、それから欠員の問題もありまして、いろいろむずかしいのでございますが、私どもとしては、できるだけ研究協力校をふやすということも含めまして、円滑な受け入れのために関係各方面に対する指導なり要請なりをなお続けてまいりたい、こう思っておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ちょっと私も予定がありますので、五十分くらいまでで質問を終わりたいと思いますから、要点だけひとつお願いをしたいと思いますけれども、こういう研究協力校なり帰国子女を受け入れております学校等で、実は学芸大学にあります海外子女教育センターの利用の点でいろいろ私もお聞きをしてみたわけですが、子女教育に当たっておられる現場の先生方に言わせますと、子女教育センターは余り役に立たない、極端に言えば、あれは何をやっているのだろうか、そういう話があります。ということは、やはり現実にお子さん方を抱えてやっていらっしゃる方々は、切実ないろいろな悩みがあるわけですね。教科上の問題もございますが、それ以外の大変な問題があるわけです。  ところが、そういうことについて、たとえば全国的にいろんな各学校においての指導なり相談なりしたところの具体的事例なりその後の経過、こうやったらよくなったとかいうような一つ一つの事例についての何かデータなり参考資料があって、そういうものがセンターでもし引き出されてすぐわかるというようなことがあると大変役に立つのだ、こういうようなお話でございましたが、そういう方面ではもう全く役に立たない。これはセンター設立の内容からいけば、そうなるのかどうかわかりませんけれども、しかし、全国共同利用施設ということになっておりますので、海外の日本人学校のためだけではなくて、むしろ帰ってきた者の教育のために、これは積極的に利用しやすい形のものが整備されておらなければならない、こういうふうに思うわけです。そういう点についてセンターの充実を図る必要がある、こういうふうに思います。  時間もありませんので、こちらから一方的なお話をずっと御要望も含めて申し上げますが、特にまた海外子女教育センターについては、新聞等でも出ておりましたように、NHKのビデオテープの複写といいますか、これが海賊版なんて大きな見出しで出て、大変厳しく新聞記事でたたかれておったわけであります。これは研究と事業ということが内容にうたわれているようでありますから、事業の方でそれはやられたのかどうかわかりませんが、著作権との絡みでああいう形で新聞等で厳しく書かれるということについては、文部省の管轄の中でこれは大変よろしくない。極端な言い方をすれば、どうかすると事業の面で文部省の下請機関的なものに成り下がっているのじゃないか、そして帰国子女の現場の方々の対応にははるかに遠いような形で存在しておるというふうな感じにもとれるわけでありますが、著作権についても問題はなかったのかどうか、こういった点についてひとつ要点をお答えをいただきたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 最初に、センターの業務の関係のことでございますが、先生御指摘のとおり、このセンターは、海外子女教育と申しますか、広く帰国子女教育も含むそういうようなことが業務になっております。そういうものに関しまして、教育の内容、方法等の実際的調査研究及び開発、専門的研修その他必要な専門的業務を行い、なお共同の調査研究にも資するというようなものでございますが、御指摘のように、現時点におきますと、海外子女教育が非常に未開拓の分野がございまして、そこにおけるカリキュラム等の研究というようなことに主力が注がれておる関係がございまして、帰国子女に対するそういう情報提供というようなサービス機能がやや不十分であろうかと思います。帰国子女の問題も非常に重要なことでございますので、私ども、その辺の機能の拡充につきまして今後努力していきたいと思っております。  なお、このセンターにつきましては、やや言いわけめくわけでございますが、五十四年度の予算でいきますと約千六百万、五十五年度が約二千五百万、五十六年度が二千八百万というように財政措置も増額いたしまして、また、定員措置も一人ぐらいずつふやすというようなことで拡充を図っているところでございます。先生御指摘の点も含めましてこのセンターの全面的な拡充に今後とも努力していきたいと思う次第でございます。  なお、新聞で報道されました著作権問題につきましては、国内の小中学校がNHKのそういう放送をビデオにとります場合には、法律によりまして無条件でできることになっておるのでございますが、外国の場合には、その点の措置が規定されておりません。そのことで従来、海外の日本人学校からの要望に応じまして海外子女教育センターが中心になりまして便宜努力しておったところでございます。こういう業務も、先ほどのセンターの専門的な業務という中に私は含まれるというように解釈いたしておりますが、なおその辺、著作権者との関連がやや不十分な点がございまして、御指摘のような問題が生じまして、現在、関係者間でいろいろ協議し、改善策を検討しておる段階でございます。その結果を待ちまして、私どもも、できるだけ前向きに対応してまいりたいと考えておる次第でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 海外子女教育センターの組織の図を見ますと、いろいろありますが、一番最後のところに四つ部門があって、一、教育情報ネットワーク部門、二、研究開発サービス部門、三、教育研修部門、四、教育指導相談部門、こういうふうに分けてきちっとやるというふうになっているのですが、どうもこれが機能してないようでございまして、これはひとつ生きた活用のできるセンターとして拡充をお願いしたいと、御要望を申し上げておきます。  最後に、二つ一緒に質問申し上げますが、一つは、海外における学習塾、進学塾がえらい最近できてきている、こういうふうにも新聞報道をされておるわけでございますが、現地の市当局あたりでも、この受け入れとかいろいろなことについて戸惑いを見せているというようなこともあるようでございますが、こういったことについて、果たしていいのか悪いのか、こういった状況に対する文部省の見解をお聞かせ願いたいということと、最後に、海外での教育がわが国内の教育に大きなメリットをもたらしている、いわゆる帰ってきたお子さんにも語学とかいろいろな点で、学力の点で日本のあれに比較すれば平均して落ちるというようなお話もございましたけれども、それ以外に、たとえば問題意識を持ってちゃんと発言もし、きちっとやるとか、そのほか大変いい面があるようですが、それがわが国にとって、いわゆる問題意識を持ってやるというのが、教師の対応によっては、自分の意見を主張して強情だ、あいつはけしからぬ、こういうふうな対応の中でせっかくのいい芽がつぶれてしまうというふうなこともあるようであります。こういったことについても、これはむしろ生かしながら、しかも海外から持ってきたものを、日本の教育の中にいい意味で教師が対応をして生かしていく。さらには、日本は創造力が少ないと言われておりますが、そういう中で育った人たちは、基本的にそういうものの学び方というものを教わってきているようですから、そういったもの等含めて生かしながらやれる教育というものもやっていただきたい。こういった二点について最後にお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 前段の塾の問題について御答弁申し上げますが、私ども、その全貌はまだ把握していないのでございますが、この塾の問題が海外にまで出て評判になるというようなことにつきましては、私的なものでありましても、大変遺憾なことに考える次第でございます。文部省におきましては、教育内容の改善、指導の強化等の施策を通じまして、教育の充実に努め、学習塾に通う必要性が薄らいでいくような状況をつくり出していくということから、いろいろな観点の努力をいたしておるところでございますが、今後とも、このような方向で私ども力を入れてまいりたいと考える次第でございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 最後に私から。  いろいろと御質問ありがとうございました。いまの御質問の中で文教関係を多く御質問になりましたが、文教以外に、いわゆる対外経済協力といったような、そういう面でもこの海外子女教育の問題が非常に重大な問題になってまいっております。どうぞ、きょう御質問をいただきましたのを御縁に、この一回だけではなく、今後ともに、海外協力の問題のあれにつきまして、よろしくどうぞ御指導をお願いいたします。ありがとうございました。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ありがとうございました。また機会があれば質問したいこともございますので、また次の機会に譲りたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員長代理 次回は、明後十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会      ————◇—————

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