物価問題等に関する特別委員会 第11号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/05/14
会議録
○井上委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、畜産振興事業団理事長森整治君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。 —————————————
○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
○武部委員 きょうは大変お忙しいところ、畜産振興事業団の森さんにはありがとうございました。 私は、きょうは畜産振興事業団に関係する問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、最初に、前の委員会でちょっと問題にいたしまして資料の要求をしたことと関連をいたします問題で、公正取引委員会にお伺いをいたしたい。 ことしの二月に、例のスーパーの牛乳安売り問題で全乳連が、告発運動というとちょっとおかしいですが、そういうことをやって三万件公正取引委員会に告発がされた、こういう報道がございまして、奨励金がこれについているという報道でございましたので、これは一体どういうことか、特に牛乳の消費の問題との関係がございまして、このようにばたばた小売店が倒れていくという現状の中でこのようなことが起きたのではないかということをお尋ねをいたしましたが、その後このスーパーの安売り牛乳、いわゆるおとり販売に対する全乳連の公正取引委員会に対する告発の状況をひとつ件数でお答えをいただきたい。
○妹尾(明)政府委員 昭和五十五年度、昨年の四月からことしの三月までの一年間におきまして約十万七千件の情報が報告されております。
○武部委員 この間この問題をお尋ねいたしたときは三万件でございました。いまお聞きいたしますと十万七千件、こういうことは実は私どもかつて聞いたことのないことであります。恐らく全国の公正取引委員会の出張所、出先に対してこのような告発がなされていると思うのですが、十万七千件ということは大変なことだと思うのです。これに奨励金がついておるかどうかわかりませんが、それは公取の守備範囲ではないと思いますけれども、前は一件二千円の奨励金がついて六千万円の金が出ておるということが報道されたわけで、仮に十万七千件で一件二千円ならば、これは二億であります。そういう金が流れておるのではないかと推定されますが、それは別問題にいたしましょう。一体、この十万件を超える申告を公取が受けてどう処理しようとしておるのか、いまどうなっておるのか。
○妹尾(明)政府委員 私どもの手続といたしましては、違反事件に関する情報が報告されますと、これを受け付けまして内容を検討いたしまして、問題があると思われるようなケースにつきましては必要な調査を行いまして、さらに五十二年の改正によりまして現在は、その処理の結果について報告者に通知をしなければいけないということになっております。牛乳の不当廉売の関係の報告は本局だけではございませんで各地方事務所にわたって来ておるわけでございますが、地方事務所の方は、審査関係の人員は大体三人、多いところで六人程度でございます。多い地方事務所では四万件を超えるような申告がされておるという状況でございます。率直に申し上げましてこの処理はかなりの負担になっておるというのが実情でございます。
○武部委員 一地方事務所で四万件、大変なことだと思うのです。公取の機構は私どもよく承知をいたしておりますが、人員的には非常に窮屈な人員だということをよく承知をしておりまして、特に地方事務所の増員のことは前々から当委員会でもいろいろ取り上げたことがあるわけです。そういう中で一地方事務所に四万件もの告発があって、それに答えなければならぬ。これは調査しなければ答えられないわけですから大変なことだと思うのですが、これは大体同じケースだと思うのです。不当廉売、スーパーの安売りですから大体同じケースだと思うのですが、それはそれとして、公取としては大変困惑されておると思うのですが、このようなことが起きた原因は一体何だといまの段階で思っておられるのか。 私が前回申し上げたのは、この牛乳の消費がうまくいかない、小売店としても非常に困っておる、片や大スーパーがおとり廉売でこれを安売りをして、消費者がそっちに行ってしまう、小さな小売店は立ち行かないからみんな倒れていく、こういうことになるのじゃないか。こういうことに関連をしてこのことを申し上げたわけですが、公取としては原因は一体何だといまの段階で思っておられるのか、それをちょっとお聞きしたい。
○妹尾(明)政府委員 あくまで推測でございますけれども、一つは、基本的には牛乳の需給がかなりアンバランスになっておる、供給過剰の気味があるということが背景にあるのではないかと思われますけれども、そこからスーパー等で牛乳がおとり商品としてかなり一般的に用いられている。他方、牛乳には牛乳でもっぱら商売をなさっていらっしゃる専売店がございますので、専売店関係の方から申告があるわけでございますけれども、団体の名前でかなり申告が参っております。それから販売店の関係の団体がこの問題に積極的に取り組まれているというふうにも私ども聞いております。そこら辺の事情が絡みましてこのような多数の報告が参っておるのではないかというふうに考えております。
○武部委員 この問題はやはり農水省だと私は思いますから、これは公取にそういうことを聞いてもしょうがないと思いますが、現実をちょっとお聞きをしておきたかったのであります。したがって、いまもお話がございましたように、こういう背景は供給過剰、ということは消費が伸びていない。したがって、消費の拡大にどういう手を打つか、どんなことが必要なのか、このことが後に出てくるわけですが、それはきょうは省略いたしますので、牛乳の問題はこの問題に関連をして改めて質問をすることにいたしますので、公正取引委員会もう結構です。ありがとうございました。 そこで、次に私は、牛肉の関係から畜産振興事業団と畜産局にお伺いをいたしたいのであります。 五十二年、三年ごろに世界一ばか値の牛肉ということで大変話題になりまして、私どもも当委員会で、あるいは他の委員会でもわが国の牛肉のばか値というのは一体どういう理由か、これが大変話題になったのであります。五十二年、三年と記憶をいたしておりますし、私も当時そのことでいろいろとお尋ねをいたしました。 今日、わが国の牛肉の価格というものは一体どうなっておるのか。あれから三、四年たちましたけれども、日本の牛肉の価格は国際的に見て一体どういう価格水準にあるのだろうか。また消費の量、日本の牛肉が非常に高いために消費が先進国に比べて非常に少ない。私どもは、一人当たり年間四キロということを聞いておったことがございましたが、当時西独、イギリスあたりは二十数キロ、アメリカに至ってはもっと多い、五十何キロというようなことも聞いておったわけですが、今日の国際価格と同様、消費量は一体どういう程度だろうか。国際的な水準をちょっとお尋ねいたします。
○鶴岡説明員 牛肉の価格につきましては、御指摘のように五十二、三年ごろ価格が需給関係によりましてかなり上昇したのですが、その後そういう価格関係の中で国内生産自身も、特に乳牛の雄子牛の肥育が高まった、あるいは乳雌がふえたというようなこともございます。また、輸入数量自身も相当大幅に増大するというような中で、ほかの物価が上昇するに比べまして牛肉の価格は比較的落ちついた足取りを示したわけでございます。 国際的に牛肉の価格を比較しますのは、牛肉の品質格差あるいは食べ方、食習慣等ございましてなかなか容易ではございませんけれども、ジェトロの資料によりますと、いま御指摘のあった当時におきましては、小売価格につきまして、アメリカとの関係では三倍でありますとか、あるいはヨーロッパの関係では二倍程度の水準にあるというようなことが言われたわけでございますけれども、その後、先ほど申しましたように日本の牛肉の価格は比較的安定的に推移している。そういう中でアメリカでありますとかヨーロッパ諸国の価格が上昇するというようなこともございまして、ジェトロの資料あるいは総理府小売物価統計調査報告書によりますと、その価格関係というのは、相対価格はかなり縮まってきているというのが実態でございます。 たとえて申しますと、一九八〇年、昨年のニューヨークの小売価格は百グラム当たり百四十四円、これは品質によって変わるわけですが、百四十四円と聞いております。また、ロンドンで申しますと三百六円。これに対しまして、東京の小売価格は三百三十九円ということで、価格関係がかなり接近してきておるというのが実態ではなかろうかと思います。依然として格差があるということは否めないことでございます。 また、一人当たりの消費量を比較してみますと、先ほど御指摘ありましたように、五十一年、二年ごろは日本は枝肉ベースで一人当たり年間大体四キロ前後の消費になっております。当時、西ドイツあるいは英国等におきましては一人当たり二十四、五キロの消費だった。また、米国等では一人当たり六十キロ近い消費であったわけであります。 最近のデータがなかなかございませんので、一九七九年になるわけでございます。それで比較いたしますと、日本が一人当たり五・一キログラム。それに対しまして西ドイツ、英国では約二十五キログラム程度、アメリカでは約五十キログラム程度になっておるわけでございます。 一人当たり消費量の傾向を見ましても、米国カナダ等におきましては漸次消費量は減少している。日本の場合はその間漸増しているというのが実態でございまして、五分の一から約十分の一ぐらいの消費量になっているというような実態でございます。これは、日本の場合、たん白の摂取量がよその国に比べて異なっておりまして、御案内のとおり日本は四方海に囲まれておりますので、従来から魚の消費量が多いというようなことで、動物性たん白質自身の消費量としては高い水準にあるということもこういうことのあらわれている原因の一つではないかと思います。
○武部委員 あなたがいま国際比較をお述べになったのは何をおとりになったかよくわかりませんが、おっしゃるように部分的なところによって大いに違うんです。あなたのいまお述べになったのは、東京が三百幾ら、ニューヨークが百四十四円ですか、というようなことを言っておられたのですが、ここに住友商事が調べた一九八〇年、去年の世界の牛肉の比較がございますが、あなたのと全然違う。ビフテキ用のロース百グラム、日本は九百円、ニューヨークは百五十四円、ローマは三百十円、シドニーは百五十四円、豪州に比べて日本は六倍、パリに比べて四倍、アメリカに比べて六倍、いまあなたのおっしゃったのと大分違うんです。もちろん何を基準にしておっしゃったかわかりませんが、何のところですか、ちょっと……。
○鶴岡説明員 価格比較につきましては、外国につきましてはジェトロの調査でございます。また日本につきましては総理府の小売物価統計調査報告から引用しております。
○武部委員 おっしゃるように、部分的に見て大分違うと思うんですよ。あなたは大体平均的なところをおっしゃっているからそういうことになると思うのです。大体国際的な比較を見ると、ビフテキ用のロースというのが私どもがいつも比較の例に聞いておるし、そういうところから見て、たとえば、アメリカでビフテキ一枚何ぼだったところが、太平洋岸に来たら何ぼで、次にハワイへ来たら上がって、東京でまた上がったとよく例に出されて聞いておったんですよ。そういうことで調べてみると、いま言ったようにやはり相当な開きがある。しかし前のように、たとえば十倍とかそういうようなことにはなっていないように思います。例の五十二年、三年ごろから見るとやや縮まっているように思いますが、しかしそれとてもやはり日本の牛肉というのは高値安定のところに来ておるんじゃないだろうかというふうに私どもは素人なりに考えるわけです。 それから、消費量もいまおっしゃったわけですが、アメリカの十分の一、西ドイツあるいはイギリスでしたかの五分の一程度ですね。おっしゃるように日本は魚のたん白をたくさんとりますから、そういう意味では二十五キログラムというのではなくて、一説には十五キログラムぐらいが日本の消費量の理想的な牛肉の消費量ではないだろうかというようなことが言われております。それとていまから見れば三分の一しかありませんね。それはやはり高いから買えない、高いから消費に手が出ないというふうに思うわけですが、これはあなた方の意見を聞かなければわかりませんからお伺いいたします。 そういたしますと、今日日本の牛肉が外国に比べてこのような高水準にあるというこの問題、言いましたように日本人は高いので実はあきらめちゃっておると思う。牛肉は高いもんだというふうにあきらめておるんじゃないか、こういうふうに思うのです。何とか下がらぬもんだろうかという期待が大いにあるんだけれども、今日日本の牛肉が相変わらずこんなに高いという原因は一体それならばどこにあるのか、端的に、これが牛肉が高い原因だというふうに思っておられる点、これをひとつ伺いたい。
○鶴岡説明員 まず、端的に言いますと、やっぱり牛肉の生産構造に起因するのではなかろうかと思います。牛肉の場合に、御案内のように繁殖、肥育という段階を踏まえまして、肉になって出てくるわけでございますけれども、それに相当、三年程度の歳月がかかるわけでございます。 それからまた、土地資源、たとえば繁殖段階等では特に草資源を利用する必要性が多いというようなことがございまして、日本の場合には土地資源の制約が強いということもございます。また、他方アメリカあるいはオーストラリア等では、豊かな土地資源で、放牧によって牛肉を生産しておるというようなことが端的な原因ではなかろうかと思います。そういうことで、和牛を中心に逐次多頭化が進んでいるわけでございますけれども、必ずしも容易でないということであるわけです。ただ、最近日本の肉生産の比重というのは和牛よりは、量的にはむしろ乳牛の雄子牛の肥育でありますとか、あるいは乳廃牛による牛肉生産というのが大体国内生産の六割ぐらいになっておるわけです。そういうものにつきましては多頭肥育は進んでいるというようなこともございまして、かなりコスト的にも安くできるのではないか。いずれにしましても、限られた草資源を極力有効に利用しながら生産性を上げていく。できるだけ多頭肥育を図っていく。技術的にもできるだけ生産性の高いような技術を導入していくということを進めていきたいと思っております。
○武部委員 私の知るところでは、国内のいわゆる国産牛の生産量も若干は伸びておるだろうけれども、そう伸びていない。輸入枠も若干ふえておるけれども、そうふえていない。こういう中で、国民は安い牛肉が欲しいけれども、高い、こういうことになっておると思うのです。 そこで、畜産振興事業団というものが三十六年十二月に発足した。ちょうど二十年前のことであります。畜産振興事業団が二十年前に発足をして今日に至っておるわけですが、この畜産振興事業団というものは一体何の目的でつくられただろうか。いろいろな目的はもちろんございますけれども、畜産物価格の安定を図る、これが一つの目的でありますね。それから生産と消費の拡大も一つの目的の中に入っておる、そのように私どもは理解をしておるわけですが、二十年たって今日畜産振興事業団がそういう目的でつくられたにもかかわらず、相変わらず牛肉が高値安定、消費は外国に比べてお話にならぬほど少ない。一体これはどういうことだろうか。しかもこの畜産振興事業団は畜安法の精神でいろいろな事業をおやりになるだろうけれども、五十二年のときにいろいろなことが言われました。極端な言葉として言われたことは、事業団がなくなったならば牛肉が下がるかもしらぬぞということさえ実は言われたのですよ。これは何でそういうことを言ったかというと、結局調整金を取るから安い肉も上がっていく。だから事業団がおらなかったらああいうものはないんだから下がるんじゃないか。これは全く素人考えかもしれませんが、そんな意見があったことを私は承知しております。これは本質をついていないかもしれませんけれども、課徴金を例の三百五十円を一挙に六百円にいたしましたね。あのときにいろいろな差益の問題で私どもここでやりとりしたことがありますが、当時太田さんだったと思いますが、やりとりしたことがある。よく覚えていますが、そういう事業団そのものの存在について国民が余り認識してないというよりも、あなた方から言わせれば誤解かもしらぬが、一体事業団は何の目的でつくられて、いまどういうことをおやりになっておるのだろうか、端的にひとつ事業団から述べていただきたい。
○森参考人 申すまでもなく先生御指摘のように、畜産物の価格の安定それから畜産の振興に資するためにする事業の助成等を行っておりますが、最終的には法律に書いてございますように、畜産とその関連産業の健全な発達の促進、それから国民の食生活の改善に資するということを使命とするというふうに認識をいたしておるわけでございます。 指定乳製品なり指定食肉なりの価格安定に鋭意努めてまいる。現に乳製品につきましては相当の在庫を抱えておりますが、ともかく市価に影響しないということで乳価の安定を図る。それから牛肉につきましては——豚肉につきましても、先般大幅に下落いたしましたときに、金利倉敷の助成を通じて生産者団体に買い支えをさせ、逆にいま豚が安定帯の中に入ってちょっと上位の方に接近しておりまして、むしろ心配をしておるぐらいでございますが一そういうようなこと。それから常時の仕事といたしまして、御指摘のように輸入牛肉の大半を事業団が管理いたしまして、この売買を通じまして市価の安定に寄与しておる。特に昨年の十月以降、暮れそれから春にかけまして、御承知のように乳牛の去勢の雄が安定基準価格、すなわち下の価格へずっと突っ込んでまいりまして、実は外国との約束もございましたけれども、若干チルドビーフのカット、一月は入れない。それから四月以降に対しましても、一月分カットする。それから全体の一月の数量を落とすというようなこと、それから国産の牛肉と競合いたします部位につきまして意識的に放出を抑えておる。そういうことで、基準価格を割らないように相場の維持に努めておるわけでございます。ともかく安くし過ぎますと反動が参ります。これはまた、目的はやはり高値を抑えるということにもなりましょうし、高値を抑えるということは、逆にその反動としてまたたくさんつくって安くなる、その安値を抑える、こういうふうに御理解をいただければ私ども幸いではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
○武部委員 いつも問題になるのですが、事業団が大変な差益というか、後でも申し上げますが利益が出てくる。その利益は後でいろんなところに使うのですが、事業団のあり方として、買い入れ価格とそれから売り渡し価格は全然別な仕組みで決定するということにいまなっておるようですから、この両者の価格が開けば開くほど、この事業団のもうけというか差益というものはたまる一方、ふえる一方になってくる、こういうことになりますね。ちょっとここで金額を聞きたいのですが、古い方はいいですから、五十三、五十四、五十五年と一体いままでどのくらい差益があったか。大体何百億でいいですが、五十三、四、五でいいですが、おわかりですか。
○森参考人 これは事業団全体で、たとえば牛肉でもうかる、それからいろいろ一般勘定で、豚で損するとか、そういう勘定がございますので、総まとめにいたしますと、国会の資料にもお出ししていると思いますが、五十三年では四百二億、これは当期の純益金でございます。それから五十四年で三百九十四億、五十五年はまだ出ておりませんが、財政法の二十二条におきます資料といたしましては二百十九億という数字に相なっております。
○武部委員 おっしゃるように、五十三年で約四百億、五十四年で三百九十四億、これも約四百億、五十五年度がいま二百十九億とおっしゃったが、これは予算の百四十七億が中間決算で二百十九億、私どもは三百億になるぐらいに考えておりますが、大体三百億から四百億の純利益がこの事業団に毎年生じる、こういうことになっておりますね。この予算、中間決算見込みあるいは確定決算、このことについては後でまた申し上げます。ここに資料をお出しいただいたわけですが、いわゆる出資金なり指定対象事業という形でこの金を使っておられるわけです。ですから出資金と補助金でたくさんの金を使っておられる。たとえば五十五年度の助成金は三百四十七億円、こういうことになっておりますが、この中で直接消費者向けというようなものは一体どんなものがあるだろうかというふうに見ますと、この二枚目の紙のところにございますが、ここに二十億六千万、これが販売する事業に対し補助する事業ですから、これは小売店に対する補助事業です。それから次に三億八千七百万円、これは生協に特別販売事業として補助、そういう金がございます。それから強いて言えば、消費者センターを設置するのに二億五千八百万、こういうようなものがここへ四項目ばかり挙がっておるわけであります。しかし、三百四十七億円もの補助金の使途の中で消費者と直接結びつくであろうと思うのはいま言ったようなわずか二十数億しかありません。二十七億九百万円ぐらい、このように計算上は出てまいります。消費者に関係するであろうと思われるものがたったの八%、補助金総額の八%にしかならぬのであります。前回も私は口をすっぱくして言ったことをよく覚えていますが、この事業団の目的から言うならば、これは国民全般のものであって生産者のためだけのものじゃない。これは何遍も言いましたし、農林省もあるいは事業団の理事長さんからも消費者のために何とかしなければいかぬ、こういうことは考えておるが、なかなかいい知恵が出てこぬというような答弁が議事録の中に出ていました。ですから全然考えていないとは言いませんけれども、現実に五十五年度もこの程度ですね。八%しか消費者の側にいかない。あとはいろんなところへ流れていますが、時間の関係で全部言えませんけれども、そういうものを考えると、調整金で取ったのと円高で入ってきたのと両方出てきてあれだけの三百なり四百億という金が出てくるわけですから、それは国民の側から取った金とそれから円高差益のような形でたまったものですから、当然国民に還元していくということのためにはもっとこういう面に力を入れて対象をふやすなりあるいは内容を変えていくなりということを事業団としては考えてもらわなければ困るというふうに私は思うんです。そこで、一番たくさん金を使う二十億六千万ばかりの金は値下げルートの新設ということになっておるんですが、東京と大阪、名古屋で三千七百店ぐらいですか、そういうもののようですが、これをもっと範囲をふやす考えはないか。それから三億八千七百万生協に金が出ておるようですが、これとて生協が二〇%引きで売る、それに対して事業団は一〇%の補助だ、あと一〇%は生協側が何とかして金を用意して値引きする、こういう形になっておるんですが、これをもっとふやすとか、あるいは生協関係から希望があるところの、豚肉についても助成してもらいたいというようなことの意見があるようですが、それについてあなたの方はどういうお考えを持っておられるか。こんなものがあるというふうに一般の国民は余り知らぬのですよ。ですから、せっかくあなた方が補助されるんなら、たとえばこういうものを事業団の利益の中から出しておるというようなことをひとつどんどんPRしていく必要がある、それからもっとこの金額あるいは対象範囲、そんなものをふやす必要があるんじゃないか。これではほとんど生産者側にいっちゃって、利子補給とかいろんなことで金が流れておるようです。私に答えられた太田さんの意見を聞いておったら、生産者にどんどん利子補給とかいろんなことをやるが、それは結局回り回って消費者のためになるんだ。くつの上から足をかくようなことを言ったって、それはちょっと国民にはわかりません。回り回ったら最後には国民全般のものだというのならなるほどそうかもしらぬけれども、直接出ておる三百億、四百億の金が利子補給とか、ほかにもたくさんここにあるが、こういうところに助成されておって余り効果が上がっておらぬというように思うのですが、どうでしょうか。
○鶴岡説明員 まず、御指摘がありましたように事業団の中で指定助成対象事業でやっておるのでございますけれども、その中で直接消費者に関連する助成事業はいま御指摘になりましたような金額でございます。ただ、指定助成事業というのは補助事業と出資事業とあるわけでございます。出資事業につきましては、直接消費者だけというわけではございませんけれども、生産から消費をつなぎます流通部門の合理化というようなことを図るために、前回の委員会でも先生から食肉流通についていろいろなことを考えたらどうかというような御指摘もあったようでございます。そういう関係の経費が五十四年、五十五年と部分肉センターに対しまして百二十億程度の出資をやっております。また、産地におきます食肉センターについての出資でありますとかそういう面の出資もあわせてやりまして、これは消費者のみではございませんけれども、生産、消費の安定、流通の安定ということを考えております。それから、先生先ほど御指摘がありましたように、これはあるいは蛇足かもわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、牛肉の高値の問題というのはやはり牛肉の生産構造に基本的にはかかるんではないかというようなことで、生産面の改善、合理化、生産性の向上を図っていくのが最終的には消費者の利益につながっていくんではないかというようなことで、生産面への傾斜が高くなっているということは否めないかもわかりませんけれども、そういう中で先ほど来御指摘になっております事業でありますとかいまお話し申し上げましたような部分肉センターへの出資等を通じまして流通、消費の改善にもできるだけ努力しているところでございます。 それから、いま御指摘がありました三つほどの事業でございますけれども、値下げルート新設事業は五十二年からまず東京でスタートして五十四年から名古屋、大阪と区域を広げてきたわけでございます。その間、事業量につきましても拡大しております。先ほどお話がございましたけれども、五十五年度は七千五百トンでございます。今年度はもう少し量をふやしてやってみたいというようなことでいま検討しているわけでございます。この事業はすでに五十二年度から実施しまして五年になるわけでございます。この事業がスタートしました際には、いまの価格の形成が枝肉段階で形成されております。また小売段階では消費者との関係で明らかになっておりません。部分肉の段階というのが必ずしも公開の場で形成されてないというようなこともございまして、そういう流通関係の改善合理化に資するというようなことで部分肉センターの設置というのも横に見ながらこういう値下げルート新設事業を行いまして牛肉価格の低位安定化を図る、また新しい直結的な流通ルートを開くというようなことでやってきたわけでございます。おかげをもちまして部分肉センターがことしの五月十一日から開業をいたしておるわけでございます。そういうこともございまして、値下げルートの事業につきましては今年度は事業拡大してやることを計画しておりますけれども、一応部分肉センターの運営との関連で見直すべき時期に来ているのではないかというふうに思っているわけでございます。 それからまた、生協直販につきまして事業量を拡大したらどうかというような話でございます。その中で、いまの実際小売段階の値引き率が二割程度になっているけれども事業団助成分は一割程度だというような御指摘があったわけでございますけれども、事業団助成の内容というのは直接価格を一割とか二割下げるという意味で助成しているのではございません。共同購入ということによりまして、合理的な流通、合理的な購入によりまして実際上価格を下げていけるのではないか。そういうための事務費でありますとか宣伝費でありますとか地方講習会でありますとか、そういう経費を助成することによりまして、こういう事業が拡充していく。また周辺に効果を及ぼしていく、波及効果を想定して事業をやっているわけでございます。こういう助成によって二割の値引きができていることでもございますし、当面この助成率の拡充は考えてないわけでございます。 また、豚肉につきましては、最近全体では需給失調もあったわけでございます。そういう中で豚肉の価格が比較的安定したということで、一人当たり消費量も逐次伸びております。年間枝肉ベースで約十四キロ程度の水準を達成しておるわけでございます。また小売物価につきましても、最近の卸売物価が需給失調時代に比べまして若干上がってきておるわけでございますけれども、小売物価自身もほかの物価に比べて低水準で推移していることもございまして、いまのところ直ちに指定助成事業の対象にする、特別販売の対象にするということは考えていないわけでございます。 ただこの指定助成事業につきましては、やはり全体として生産の振興を図っていく、あるいは流通の改善を図っていく、また消費につきましては消費の拡大、あるいは価格の安定化を図っていくことに使っていくということでございますので、御指摘のような意向も受けまして、五十六年、五十七年の事業実施についてはできるだけ研究いたしまして、実態に適した事業を極力検討していってみたいというふうに思うわけでございます。
○武部委員 私はその消費者のことを申し上げたわけですが、太田理事長が前回こういうことを回答されたんですよ。現在の私どもの売り渡しの予定価格を決める根拠が政令で決められておるわけだから、この政令を読む限りにおいては、消費者のために安く売るというような制度にはなっておらぬ、こうはっきり述べておる。こういうことになっていますわね。これははっきりこういう答弁なんです。消費者に対する配慮が足りないと言われておると申し上げたのは、私がよく言います調整金の使途の問題でそういう配慮が足りないということを申し上げた。こういう答弁だったんです。われわれは調整金の使途というものをもっと配慮して使うべきじゃないかということを言ったら、そのとおりだ、そのとおりだが、なかなかいい知恵がなくてむずかしいんだということでした。 ですから、いま言ったようなことが逐次出てきたわけだから、たとえば対象を広げるとか、さっき東京から広げて大阪、名古屋と言われたが、もっとほかの都市へ広げていくようなことも考えたらどうだ。それから、これから申し上げるわけですが、この指定店についても、ここに一覧表がありますが、全国で二千二百八十四店ですね。二十四都道府県。半分以下なんですよ。私のところなんか全然こんなものはない。もっとこれを広げて、せめてどこの県にもこの指定店というものが存在するようにしたらどうだろう。金はないことはない、あるのですから。金は三百億ないし四百億の利益はどんどん出ておるわけだから、そういう意味で少し指定店をふやして、どこにもそういうものを取り扱っている店があるんだ、それと、PRが足らぬからわからぬのだが、さっき言ったようなことをやっていくことによって、後で申し上げますが、牛肉というのはなかなか流通過程がむずかしい、複雑だということが小売価格を下げさせない原因だということも、御指摘になったとおり、私もよくわかります。わかりますから、それを少しでも解消するためには、こういう問題にもっと突っ込んで手を加えていくことが必要だと思うのですが、この指定店の数をふやす問題、それから地域を、いま二十四都道府県しかありませんから、せめてこれを全国どこの県にも、そういうことは考えていないのですか。
○鶴岡説明員 先ほど太田理事長の御意向ということに関連して答えたのですが、売り渡し価格が消費者に対して配慮してないというのは、ある意味では誤解、言葉の説明不足であったかと思います。 現在輸入牛肉につきましては、国内で牛肉につきまして価格安定制度をつくっておるわけでございます。その価格安定制度とリンクさせながら販売価格を決めていっている。それを無視して決めますと、価格安定制度自身が成り立たなくなってしまう、これは当然のことだと思うのです。しかもその価格安定制度のもとになります安定上位価格なり安定基準価格の決定は、毎年三月末日までに畜産振興審議会の意見を聞いて決めるわけでございます。その決め方につきましても、畜安法によりまして、需給事情その他経済事情を考慮し、再生産を確保することを旨として定めるという、需給実勢方式ということで、価格自身を、現実の需給確保における安定帯価格の中での価格を基準にしまして、経済事情と連動しながら決める。これは生産と消費とをにらみながら決めておるわけでありまして、安定価格帯を基準に運営するということは、もちろん生産者の再生産を確保するための道でもありますし、また逆に、過去における消費がその間に伸びてきたわけですから、そういうことを需給実勢を参考にして決めるというのは、消費者に対する配慮の両面を持って価格を決めておるわけです。それを基準にやっておるわけでございますから、そういう意味では、私は、消費者を無視した販売価格を設定しているということではないのではないかということをひとつお答えしておきたいと思います。 それから、指定店制度でございますけれども、指定店制度につきまして、いろいろ差益といいますか、そういうのがたくさん出ておる中で広げていったらどうかという御指摘でございます。指定店につきましては金額的な助成をしているのではなくて、むしろ具体的にチルドビーフでありますとかあるいはフローズン牛肉につきまして、直接売買しているということによりまして指定店を維持しているわけでありますけれども、御案内のように牛肉全体の輸入量自身も、特に指定店でやっておりますチルドビーフその他につきまして、国内の関係で必ずしも固定的に増大するということでもございません。そういう量的に現在のまま指定店を増していくということになりますと、かえってまた指定店制度とは何かというようなこともございます。 それからまた、現在二十四県に量販店、専門店が二千三百店くらいありますけれども、それにつきましても全国を覆ってないというような御指摘もあろうかと思います。沿革的には、チルドビーフ自身が日本になじみがなかった時期に、そういう人たちがチルドビーフの市場を開拓したという経緯もございます。また、先ほど申し上げましたように、全体の販売量等の関係もございます。そういう点から、従来沿革的にチルドビーフの市場を開拓してきた県あるいは専門店、それに特に牛肉消費について大都市を対象にしまして、そういう専門店を設けております。現在の小売の需要、販売量のもとでは、専門店を増していくことは必ずしも実態的に適切ではないのじゃないかというふうに理解するわけでございます。
○武部委員 あなたがいま前段にお述べになった、消費者を無視しているとは言っていない。消費者に対する配慮をもっとやるべきだということを私は指摘をしたいのです。事業団だって、恐らくその点はいろいろな点から言われておるから考えておられるだろう。それはなかなかむずかしいことはわかりますよ。わかりますが、この補助事業の対象を見ても、出資の対象を見ても、余り消費者に関係ないところばかりなんですよ。そういう意味ではもっと配慮しなければいけませんよということを、いままで何遍もやりとりがあったんで、これからもその点は配慮しながら、金額をふやすとか——確かに、指定店をふやすということになれば、量がふえなければいけませんから、その点はよくわかりますが、これでは指定店を二十四府県にやったって、知らぬ者はそんなものは全然知らぬのだから。自分の県になければ、そんなものは一つもわかりませんよ。そういう意味では、やはり少なくとも将来大きいところからどんどん県をふやしていくことも考えておいてほしいということを申し上げたいのです。 時間がなくなりましたが、あと二つ申し上げなければなりません。 私が前回言ったときに、森理事長、あなたおられませんでしたので、このことをもう一回、くどいようだけれども、利益金のことについてあなたにもよく聞いておいてもらいたいと思って、もう一遍言います。 さっきお述べになったとおり、あなたの方の利益金の確定が、四百億とか三百億で出てくるわけです。これは決算だから当然出てくるのですが、予算段階とまことに大きな開きがある。それで、これを前回も言って、資料をもらったわけですが、五十年は予算と決算との間に十七倍も差があったんですよ。予算段階では十億だと言いながら、決算になったら百七十九億も利益が上がっておるんですよ、十七倍。五十一年度は六倍、五十二年度は七倍、五十三年度は四倍、五十四年度が一・五倍、こういう形でだんだん少なくなってきたけれども、予算と決算との間に実に十七倍も開きがあるというようなものは、これはほかにはないですよ。それをあなた方は、予算の段階で、やれ仕入れの価格の想定がなかなかむずかしいとか、円の動きがどうだとか、いろいろなことをおっしゃっておるけれども、こんな予算、決算の開きがあるものを見たことがない。 たとえば五十年度の予算で見ると、キログラム当たり千五十四円で買い付けするようになっておったのが、決算では七百二円なんですよ。千五十四円で買うんだと言って予算を組んだら、結果は七百二円でございました、こういうことになっておる。五十一年度は千三十九円だったのが六百四十七円です。たまたま五十四年はキログラム九百十四円、それが九百二十一円、何とここだけ例外的にぴたりと合ってきた。これはどういうことでしょうか。あなた方が上手にやったわけではない。円安と、海外で牛肉が非常に高くなったためにこのようになったんですよ。たまたま五十四年度だけが大体合っているということになったのだけれども、あとは全部違っておる。これはどういうわけだろうか。私はこのことを前回も申し上げたわけですが、何でこんなに予算段階で利益を少なく見積もられるのか。こうなってくると、これは利益隠しをやろうと考えておるのではないだろうか、余りもうけておらぬように見せるためにこういうことを予算段階で出しておるのではないかということを言ったのですが、事実が物語っておるのだから、十七倍がだんだん下がってきたけれども、それでも四倍とか何倍で、ことしは、いま出ませんけれども、百四十七億が三百億ぐらいになったら、これは二倍ですよ。予算と決算との間に、何でこういうふうに開きが出てくるだろうか。どういうふうに事業団は思っておりますか。これは意図的にやっているとは思わぬが、どうなんでしょうか。
○森参考人 予算と決算の間に開きがある原因、これは結果的でございますけれども、私ども、全部分析をしてみますと、結局買い入れ、売り渡し数量が一つ動いている。五十年から五十二年にかけてはこの要素がございます。これは全部事業計画の変更ということで農林省の承認を得て計画数量を変えております。それから買い入れ価格、これが非常に動いているわけでございまして、これにつきましては予算を組む段階、いまもそうなんですが、円ベースで、円の価格で計算をいたします。したがいまして、為替の要因その他は全部捨象されて計算されておりますが、結果的にはやはり海外相場が非常に変動をしておる。特に五十年、一九七五、六年は、世界的にちょうど、キャトルサイクルというのが十年ぐらいございまして、一番ピークの、飼養頭数が一番高かった時代です。現在一番低い年で、逆に言いますと、その年、高い方が逆に多いわけですから、相場が安くなるはずです。ただいまは非常に高くなってきているわけです。そういう変わりがある。 それからもう一つ大きな要素といたしましては、輸入ストップを、四十九年の二月にかけたわけでございます。当時、十数万トンの割り当てをやっておりました。そこへオイルショックが参りました。消費が急激に減る、片方では輸入がどんどん入ってくるということで、輸入ストップをしたわけでございます。五十年の五月に再開をいたしております。この辺の価格の変動というのは国内も非常に大きいし、そういうようなことで予測が非常に困難であったというふうに、結果論でございますけれども、言いわけするわけではございませんが、そういう要素がこの時代には非常にあったように思います。あと五十三年、五十四年、五十五年ということで、私ども、できる限り——御指摘のように、この前、太田理事長に対しまして相当御質問がございました。私どもも議事録を通じまして、いろいろ詳細に拝見をさせていただき、また勉強もさせていただいておるわけでございます。今後ともその差が縮まるようなことをいろいろな角度から検討して、りっぱな予算、決算を出してまいりたいというふうに考えております。
○武部委員 おっしゃるように、五十年度は確かにそういう要素があったようです。それは私も認めます。ですけれども、十七倍というのは極端ですよ。そんなことがあったとは思いますが、その後もやはり六倍、七倍、四倍、二倍ということになると、これはあなた方だって、ちゃんと海外のあれを通じていろいろな相場なり動きなり円のレートなり、いろいろなことを考えておられるわけですから、余り極端な差があると、そういうふうに思わざるを得ないので、この辺はひとつ十分注意をしていただきたい。 それで、時間が来ましたから、最後に私は、小売価格の問題についてお尋ねをして、終わりたいと思いますが、今日、冒頭に申し上げたように、日本の牛肉の価格がやはり高いという感覚は国民の中には依然あります。われわれ自身もそう見ております。この日本の牛肉の卸売価格なりあるいは輸入価格、そういうものを調べてみますと、輸入も、それから卸売の価格は下がりぎみ、なのに小売の価格は上がりぎみ、そういうことが数字の上から出てくるのであります。確かに肉というのは流通が問題だということをだれしもが認めることであります。私もそういうふうに思います。そういう中で、一体輸入なりあるいは卸売の価格が下がっておるのに、逆に小売価格が上がっていく。この原因は一体何だろうか。それを解決する道はないだろうかというようなことをいろいろ考えてみなければならぬと思います。 ちょうど私はここへ持ってまいりましたが、このことを前段に、事業団の理事長はこういう考え方を持っておられたということを申し上げてみたいと思います。この太田さんの発言は、「卸売価格は下がったのに、小売価格が下がらないという点に問題があります。小売りには小売りの論理があるのでしょうが、牛肉価格でいちばん決定的なことは、だれも品質の判定が出来ないということです。」こう述べておるんですね。確かにスライスしてしまえばわかりはしませんよ。全然わからない。輸入肉であるか、国内肉であるかということがわからぬ、そのとおりだ、スライスしたらわからぬ、したがって価格競争が働かないと、太田さんはこれを認めておるんですよ。そうして「品質を消費者が判定できる基準でも出来ない限り、競争原理は働かない。」こう述べている。競争原理が働かなければ値段には動きはないんですよ。ここが問題だと思うんですね。確かに太田さんもそう認めておるわけだ。そこでどうしたらいいかというのでいろいろ考えたが、産地に食肉センターをつくって流通面の合理化を図ったり、消費地に部分肉市場をつくることだ、こう言われた。これは昭和五十二年のころですよ。われわれがここでやり合ったときのことです。そうして、今日、日本に食肉流通センターというものができた。これは五十四年に発足ですね。おととし発足。そして、ことしのあなた方の予算を見ると、ここに五十五年度出資金として十億三千万円載っておりますが、五十四年度には幾らあったでしょうか。ちょっとそれを……。
○鶴岡説明員 牛肉センターへの出資は二つの種類がございまして、一つは、土地の購入でございますとか地盤の強化に要する経費です。もう一つは、あとの運営で、価格の調査とか公表とかそういう運営のための基本財産の二つでございまして、総額を申し上げますと、土地購入とか地盤強化のために要する経費として九十四億二千万円、それから運営のための経費、基本財産といたしまして二十五億、合計百十九億二千万円を出指したところでございます。一応いま五十六年度に五千万ほど残しますけれども、それ以外の経費は五十四年度、五十五年度をもって出指したわけでございます。五十四年度の出損額は百八億四千万円、五十五年度は十億三千万円ということになっております。
○武部委員 これは大変な金額ですね。いま私、聞いてびっくりしましたが、そういう多額の金がこの日本食肉流通センターの開所に伴って、財団法人ですね、金が出されておる。 そこで、いま私が読み上げましたことに関連をして、部分肉という形の流通の経路、これを開くべきではないか。そうでないと、流通段階、全くわけがわからぬということになって、先ほど言うように価格競争が働かない。そこで、まず試験的に大都市からやってみたらどうだというので、農林省も、そういうものが、いわゆる部分肉の価格がはっきりすれば、小売でもそれに連動して価格の動きはわかるようになる、これは消費者のために役に立つ、こういう考え方で、いま言われたように、百十九億ですか、日本食肉流通センターというものが川崎につくられて、私に答弁をされて、いいことだとおっしゃったこの太田さんが、言い出しべえの太田さんが理事長になっておられますな。これは太田さんがなっておられるわけだが、川崎にできて、この間から開業したのですか、つい十一日ですか開業した。これが一体流通面にあるいは価格面にそういう大きな役割りを果たすだろうか。聞くところによると、これは相対取引だそうですね。そういうことになると一体効果があるだろうかということを考えるのですが、どうでしょう、その点はあなた方どういうふうにお考えでしょうか。
○鶴岡説明員 相対取引と申しましても、あそこへ行ってごらんいただいたと思いますように、買参人が直接買えるような対面店舗というので、その販売業者の店が集中しておるのでございます。しかも出店者の数が六十店に及んでおるわけでございます。そういう中で、買参人が自由にそこで買えるわけでございますので、そういうことからいきますと、自由な競争による価格形成はできるのではないかというふうに期待しております。 それからまた、今後の運営におきましても、まだ現在準備中でございますけれども、準備が整い次第、取引されます部分肉につきまして、部位ごとの価格の速報なりを一定期間ごとに調べまして、それを公表するということであります。購入に当たっては、そういう価格を参考にして購入していくということであります。取引自身をガラス張りにしようとしているわけでございます。方法につきましては相対取引をとっていますけれども、そういう公正な価格は、大量にしかも多くの人にそこに集まっていただいてやるということから、ガラス張りの取引ができるのではないか、またすることをわれわれは期待しているわけでございます。
○武部委員 六十店の買参人というのでは、ちょっと私は、数の上からいっても……(鶴岡説明員「出店者です」と呼ぶ)出店者ですか。 自由な競争がこれでできるだろうか。特に一番複雑な肉ですね。その点については大変疑問を持つんだが、期待はもちろんしなければいけません。ただ、開店して四、五日のことですから、よくわからぬのでしょう。もちろん私どもわかりませんが、しかしこのことが、そういう莫大な金を投じて、一番問題である流通、価格の競争、こういうことにメスを入れられたということについては、われわれは反対ではありません。賛成であります。これは数年前からの計画でございましたから、それがいよいよ実現をしたなという気持ちは持つけれども、いま言ったように、たとえいまおっしゃったような形の六十店が出店をしてやったにしても、相対取引でうまくいくだろうかという点についてはちょっと疑問がまだ消えません。ですから、これは実績を見ることにいたしましょう。 時間が来ましたから私はこれでやめなきゃなりませんが、以上申し上げましたように、この肉の問題というのは、非常に複雑で、輸入価格あるいは卸売価格とは無縁の形で小売価格が決められていくというような傾向があるということは否定できないのです。これは流通というものが非常にむずかしくて、われわれも、中に入ってみたって、あるところに行くとわからなくなっちゃう。一体どうなっておる。肉が、さっきも言ったように、全然品質がわからぬのですよ。わからないようになっちゃう。しかも輸入肉が国産肉にまぜられて売ったってわからぬ、こういう話も出ました。そういうような大変複雑な機構の中のものですから、簡単にこの問題が解決できると思わないし、価格がそう簡単に下がると思いません。しかし、あらゆる努力をして、われわれは国民の期待にこたえなきやならぬと思うのです。肉というものは、日本の消費量が外国の五分の一であっていいはずがないのですから。そういう意味でいうならば、もっと消費が拡大せねばいかぬ。消費を拡大するためには国内生産がふえなきゃいかぬ。国内生産がふえるためには、輸入ばかりふやしておったらまただめだとか、いろんなことがありますよ。これはよくわかりますが、少なくとも、高たん白のこういう魚、肉、そういうものについて、国民の要望にこたえるように、価格の問題でも、量の問題でも、配慮していただかなければならぬと思います。 きょうは時間が一時間しかございませんでしたので、以上で終わりますが、さらに、冒頭申し上げました十万件の告発の問題、これは改めて当委員会で私はやらなければならぬと思いますから、農林水産省の方でもそういう点についてひとつ十分調査をしておいていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○井上委員長 森参考人には、御出席いただきまして、ありがとうございました。 御退席いただいて結構です。 春田重昭君。
○春田委員 私は、きょうの委員会では、まず景気の問題と中小企業の問題について、二点にわたりまして御質問を展開していきたいと思っております。 わが国の産業界は相変わらずの不況感が漂っているわけでございますけれども、先日長官は景気の底入れ宣言をなさった、こういう形で報道されているわけでございますけれども、その発言の趣旨といいますか、意図といいますか、そのあたりからまず御所見を伺いたいと思います。
○河本国務大臣 先般当委員会で、景気の現状はいかん、こういう御質問がございまして、それにお答えをしたわけでありますが、現在のわが国の景気は、まあ大底はついた、これ以上悪くならない。そして、いろんな経済指標を見ますと、大勢としてはこれからはだんだんよくなるのではないかと判断できるような指標が相当出てまいりました。しかしながら、まだ問題はたくさん残っておりまして、たとえば業種の中には数業種は構造不況業種的な形になっておりまして、依然として非常に悪い状態が続いておる、こういう業種もございます。 それからなお、中小企業の関係は、これは倒産も非常に高い水準が続いておりますし、依然として問題が大きく残っておる、こういう感じがいたします。 また、住宅建設は、百二十万戸を少し出たところでございまして、過去三、四年の百五十万戸前後の水準に比べますと二割近くも落ち込んでおる、こういう状態でございまして、非常に不況である。こういう問題も残っております。 ただ、貿易関係と民間の設備投資関係、これは順調に動いておる、こう思いますが、ばらつきが非常にありますので、一概には判断できないのですが、大勢としてはまあまあ大底をついて、これからはいい方向に向かうのではないか。 もっとも、政府といたしましては、三月の中旬に決めました総合経済対策を着実に実行していかなければならぬと考えておりますが、景気は国際情勢にも影響されますので、今後とも物価と景気両面に十分配慮を払いながら経済政策を進めてまいりたいと考えております。
○春田委員 ただいま、必ずしも景気が全体的によくなっていくということではないんだ、これ以上悪くはならないけれども、いわゆるよくなったという感もない、マクロ的に見た場合には緩やかに回復するかもしれないけれども、まだ構造不況業種また中小企業等はある、こういう御答弁だったと思います。私もおつき合いする関係がそういう中小企業の方が多いわけでございますので、長官が底入れ宣言をしたということで新聞に大きく報道され、どうですかと聞いたら、そういう感はさらさらない、中小企業はまだいわゆる不況がいっぱいである、こういう形であるわけでございまして、そうした中小企業や構造的不況業種がどう立ち直るか手当てを打っていくのが経企庁の役目であり、使命であり、存在価値であろうと私は思うわけでございます。 そこで、細かい問題になりますけれども、景気を占う要因でございます在庫調整、二番目に設備投資、三番目に公共事業、四番目に個人消費、五番目に輸出、この五点にわたりましてその現況と見通しにつきまして、簡単で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。
○井川政府委員 在庫投資でございますけれども、在庫投資につきましては、先生言われました各項目について最近までの数字がございませんで、やはり三月末の数字等々ということになりますが、そこらを基礎にして考えますれば、大体この四−六月期に在庫調整が完了するのではないか。従来の状況でございますと、在庫調整の完了がいつごろかめどがつかないという状況でございますが、現段階、各業種とも大体底が見えてきた、あるいは六月までには大体終わりそうだ。ただ、先ほど大臣からも申し上げました不況業種についてはそうした普通の循環を示さないわけでございますから、在庫調整の完了はさらにおくれるということは考えられますが、一般の業種については大体四−六というふうな観測がされているわけでございます。 それから、その次の設備投資でございますが、これも従来から申し上げておりますように、大企業の設備投資につきましては最近月の調査をいたしましてもきわめて根強いものを示しております。これはやはり省エネルギー投資、合理化投資、更新投資、とにかく生き残っていくためにいま投資をしなくてはいけないというふうなことで意欲は強いし、かつまたそれを実行しているというふうな状況でございます。しかし一方中小企業につきましては、五十五年度の下期から前年比マイナスにダウンをいたしております。 この中小企業の設備投資動向、実は先般の三月十七日の総合経済対策で、政府系中小企業金融機関の金利を一般の金利よりもさらに下げて遡及をするというふうなことを決定いたしておりますが、そこらあたりに基づく申し込み状況あるいは貸し付け状況等々、まだまだ日にちがわずかでありますので十分わかりません。少なくとも貸し付けについては従来のペースよりも高い貸し付けペースで出ていっているということでございます。かつまた、公定歩合が三月十八日から下がりましたが、こうした公定歩合引き下げ及びプライムレート引き下げに伴う中小企業が設備投資の意欲を起こしてくるのにはやはり多少の時間が要るのであろうという感じでございまして、そういう意味から見ますと、いま景況感とかあるいは先行き感について明るい点は出てきておりますが、中小企業の設備投資が上向いたという数字は現在時点つかんでいないわけでございます。しかしながら、これはやはり長期プライムも下がったことでございますし、政府系三機関の金利もさらにそれ以上に下げてあるということで、こうした効果は逐次出てくるというふうに期待されているわけでございます。 一方、消費者でございますが、少なくとも現時点まで出ております三月までの数字は実質消費はマイナスを示しております。これは先生御承知のように、物価がやはり所得よりも高い、したがって実質所得マイナスということになりますと、消費も実質消費マイナスということを続けてまいったわけでございますが、四月に入りましてから、これは数字が出ておりませんけれども、御案内のように東京都区部で五%というふうなことになってまいっておりまして、所得の面でも実質所得がプラスに転じたのではないか。そうなりますと実質消費もプラスに転ずる可能性がございますし、かつまたこういう安定した物価状況が続きますと、消費マインドが徐々にもとに復してくるというようなことになりますと、今後時間はかかりますが徐々に消費は上向いてくるということが期待できるのではないか。 それから、問題は建設関係でございます。建設関係につきましては、一月の数字が六万八千戸というふうなことで大変低い数字が出まして心配をしたわけでございますが、二月八万八千、三月九万七千、要するに一月の六万八千戸というふうなベースではなくて、それを超したペースで推移をいたしております。しかしながら、現段階の数字自体でございますと、年率にいたしましてまだまだ、百二十万戸を切るペースでございます。 この住宅投資につきましては、基本的には宅地問題等々もございましてすぐに大きく上向くということはないかと思いますが、しかしそれにいたしましても、短期的な要因としての住宅価格、資材というふうなものの物価上昇がおさまってくる、かつまたそう大きい数字ではございませんが住宅ローン自体も少し下がってきたというふうなことから、今後従来よりは少し住宅建設に意欲がうごめいていくということが期待されるのではないかと考えているわけでございます。 それやこれやを反映いたしまして、現段階、生産、出荷あたりで従来と違ってやや上向きかげんの気配が出てきつつある、ここらあたりはもう少し数字を見てみないとわからないんですけれども、マイナスを続けていくという傾向ではなくて、生産、出荷で底を打ってやや上向いていくという趨勢にあるのではないだろうか。 それから、労働雇用が実は停滞を続けております。三月の数字あたりでございますと、有効求人倍率は〇・六五ということで〇・七を切りましたし、それから失業者数も、これは季節調整値でございますが百二十四万ということで百二十万台にとどまっているということでございまして、先ほど大臣からも申し上げましたように、必ずしも全般の指標が上向いているわけではない、一部の業種であるとかあるいは住宅、労働等々にはまだ暗い数字が残っている、しかし基本的に言えば底を打って、これから明るい方向へ向かっていくという趨勢が感じとれるというのが現状でございます。
○春田委員 大臣の発言というのは、国民に、また企業に与える影響というのは非常に大きいわけでございまして、そうした大臣の発言が景気がよくなる、こういうことで報道されますと、何か本当によくなってきたのかという感じを持つわけでございますが、一つ一つつぶさに検討していきますれば、景気がよくなる要因というのは芽生えつつあるけれども、決して景気がよくなったという感じはしないわけでございます。ただいまもお話があったように、在庫調整にしても六月までに完了すると言っているけれども、不況業種はやはり七−九にずれ込む気配が依然としてあるわけです。また設備投資にいたしましても、これは日銀の五十六年二月のアンケートでは、大企業は対前年度五・三%伸びを示しておりますけれども、中小企業等においては三〇・八%のマイナスを出しているわけですね。また個人消費にしても、これもデータでございますけれども、これは経企庁から出ているから御存じだと思いますが、一番新しい五十六年一月では〇・二の実質マイナスになっていますし、二月ではマイナス四・六、三月以降はプラス基調になるのではなかろうかという希望的観測がありますけれども、四月、五月が公共料金が非常に集中的に上がったという点から考えても、果たして伸びるかどうかという点はやはり心配でございます。また公共事業にしましても、後で問題にいたしますけれども、中小企業への受注割合は相変わらず少ないわけでございます。輸出の点はどうかといいますと、これも米国に見られるあの自動車抑制、そしてそれがECにも波及するおそれがございますし、各国の政策が保護貿易という色彩が非常に強くなってきている。データをとってみても、かつては数量で対前年度二〇%前後伸びていたのが、最近になっては一一%台である。 こうしたマイナス要因を考えてみた場合、必ずしも景気はよくなってきた、底上げしたということは言えないんじゃないか。どうも長官の発言というものは時期尚早じゃないかという意見もあるわけですね。そういう点で、先ほども言ったように、やはりマイナス要因といいますか、心配される要因にもメスを入れて機動的な対処をしていくのが経企庁の立場であろうと私は思っておるわけでございまして、そういう面に特に配慮をしていただきたいと要望しておきます。 先ほど長官おっしゃいましたように、景気というものは国際情勢にも影響されるんだという話がございましたけれども、今後の景気を左右する要因として、米国の高金利の問題と石油価格の値上げの問題があるんじゃないかと思うのです。そこで、この二点について若干お尋ねしたいわけでございますけれども、アメリカが五月四日、公定歩合を年一四%に引き上げたわけでございますけれども、アメリカの金利高政策をどう見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 アメリカが今度公定歩合を一四%に引き上げましたが、実質は別に四%というものが加算されますので一八%と見ていいのではないか、こう思います。非常な高金利でありますが、これがわが国経済、世界経済にどういう影響を及ぼすかということでありますが、一言で言いますと、これはやはり悪い影響が出てくるであろう、こう思います。特にヨーロッパあたりでは、低金利政策によりましてある程度景気刺激をやりたい、こういう計画の国々がそれをやれなくなる、こういう影響が出ておりますし、わが国にとりましてもやはり為替レートにも相当影響が出ております。したがいまして、私どもといたしましては、現在の世界的な傾向である非常な高金利の水準が一刻も早く平常な水準に低下することを期待をいたしておるところでありますが、しかし、いま世界の情勢がインフレという最大の問題を抱えておる、こういうことを考えますと、これとの関係もあるとは思いますけれども、しかし、いまのような金利水準では本格的な世界の景気の回復はない、このように考えております。
○春田委員 アメリカの高金利政策に付随してわが国でも公定歩合の引き上げの必要性については長官、どう見られておりますか。
○井川政府委員 国際的に第二次石油ショックのインフレとデフレということで大変先進各国も悩まされておる中で、わが国だけが国際収支もインフレも克服して、残るところ景気問題、デフレ問題だと言われておりましたが、これにつきましても、先ほどいろいろお話がございましたように底は打った。先ほど先生は、これからどんどんよくなるということを河本大臣が言われたとおっしゃいましたが、大臣は実はそういう発言はされなかったわけでございまして、いままではどういうかっこうになるかというふうなことで暗いイメージが強かったのだが、大体ここが底だ、これからは上がり下がりいろいろあるし、いろいろな指標、業種、地域によっても違うけれども、全体的にはいまが底だとすると、緩やかに上っていく、そういう徴候が出てきたというふうなことでございます。 いずれにいたしましても、わが国がそういう意味で世界の優等生ということでございます。したがって、現在の金利を見ましてもアメリカが一四%プラス四%、だから高ければ一八%、それからフランスが九・五%、イギリスが一一%、西ドイツが七・五%のところ、わが国が六・二五%、要するに、公定歩合が下げられる状況というのはわが国だけではないか。現にわが国の場合には、国際収支につきましても、赤字ではございますけれども、赤字幅縮小というふうな傾向をたどっておるわけでございます。先ほど先生のお話で、なるほど輸出についてはかってのような量の上で二〇%増という情勢ではない。しかし、いまだに十数%、これは量で十数%の増でございますから、基本的にきわめて国際競争力が強い、こういう趨勢がございます。 それから物価についても、消費者物価がドイツと並んで一けたと言っておったわけですが、四月の数字あたりはドイツよりも低い五%というふうな状況でございまして、アメリカが高金利になりますと、ヨーロッパは御承知のように一方においてやはり景気を刺激したい、公定歩合を下げたいと思うけれども下げられないどころか、資本移動、国際収支の関係から連れて上げざるを得ない、あるいは上げる動きがあるというふうな状況でございますが、わが国の場合はファンダメンタルズ、すなわち国際収支にしましても、物価にしましても、経済成長にしましても、いい成績でいっておりますので、アメリカの金利に合わせて公定歩合を上げるという考え方は持たなくても十分やっていけるというふうな状況でございます。したがいまして、いま日本国内、われわれそれから金融当局、公定歩合引き上げという感じはどこも持っていないということが申し上げられると思います。
○春田委員 アメリカの高金利で資本流出や円安傾向になるというおそれがあると言われておるわけでございますが、円安があれば当然輸入物価になりましてインフレ傾向になるわけでございますので、その点もやはりわが国の景気に水を差すという点も考えられますので、十分な対処をお願いしたいと思います。 さらに五月二十五日、これは予定らしいのですが、OPECの総会があるわけでございますけれども、ここでの石油価格の動向ですね、この辺の問題につきまして、通産省の方がおいでになっていると思いますが、御見解を賜りたいと思うのです。
○安楽説明員 先生御指摘のように、五月二十五日にスイスのジュネーブでOPECの通常総会が行われるということが予定されております。それで御承知のように世界の石油の需給が、世界的に石油需要が非常に低下してきている。それからサウジアラビア等の産油国で非常に高い生産水準の維持が続けられている。それから一時懸念されましたイラン、イラクからの輸出もずっとふえる方向に来ておりまして、非常に世界の石油需給が緩和基調で推移しているわけでございます。したがって、これを反映して原油価格自体も軟化傾向を示しているわけでございます。こういう世界の石油需給状況あるいは原油価格の軟化傾向といったことを前提として考えますと、五月二十五日のOPEC総会の場において、大幅な原油価格の引き上げが行われる、そういう情勢ではないと思われるわけでございます。 ただ、しかしながら、何分石油問題の情勢というのは非常に流動的でございますので、現段階におきまして、今後の原油価格の改定についてOPEC総会でこういうふうになるであろうという確たる方向を見通すことは残念ながら非常に困難なわけでございます。私どもといたしましては、いずれにしましても、このOPEC総会そのものあるいはその前後どういうふうに発展していくか、それからそれに影響いたします各産油国の石油の生産動向、価格の動きということを十分注意深く見守って対処していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○春田委員 確かに、先の話ですから断定はできないと思うのですけれども、大幅な値上げはないとしても、小幅な値上げはあり得るかどうか。また、小幅の値上げもないのだ、要するに、全く石油需給はだぶついているのだから据え置きという形が考えられる、こうした点については通産省はどう分析しているのですか。
○安楽説明員 これは毎回OPEC総会のときに同じような問題が出るわけでございます。何とも申し上げられないのでございますが、ただ、サウジアラビアのヤマニ石油相がいろいろな場で言っておりますけれども、この言い方もその場においていろいろニュアンスが違ったりしておりますが、できるだけ、統一価格の実現という問題もありますので、価格を上げないか、できればサウジ価格のいまの三十二ドルという方に引き下げられればということも漏らしております。しかしながら、逆にリビア、アルジェリア等のいわゆる価格問題等についての強硬派の方は従来と同じように非常に強い路線をとっておりますので、その辺が実際にOPEC総会においてどういう形で出てくるかということは残念ながらちょっと予想がしにくいという状況でございます。
○春田委員 一つは、いまの原油価格体系がばらばらになっているわけですね。サウジの穏健派と強硬派のリビア、こういう点で、バレル当たり大体三ドルぐらいの違いがあると聞いておるわけでございますので、それを統一しようとしても下方修正されることはないのではないか。統一されるとしても上の方に修正されるのではないか。そうしたらやはり価格の値上げもある。石油の世界全体の需給が非常にだぶついているということで減産の方向を考えているみたいでございますが、減産しても当然従来のそれだけの収入は得なければいけませんから、減産すれば当然それだけの価格を上げていくのではないかということも考えられるわけですね。そういう点で、こうした二点から考えてみても、要するに石油価格の値上げは当然じゃないか、必至じゃないかという見方があるわけでございます。あえてもう一回質問しますけれども、どうでしょうか。
○安楽説明員 その点については同じお答えにはなるわけでございますが、ただ、長期的には石油情勢は非常に厳しいわけでございます。それから、石油の需給が非常に緩んでいるといっても、確かに先生御指摘のように、サウジアラビアを中心に減産をする可能性もありますので、そこのところは非常にむずかしいわけでございます。したがって、中長期的には楽観できないという要素が一方にあるとともに、ただ、今回のOPEC総会を取り巻く環境が、たとえば去年あるいは最近のOPEC総会を取り巻く石油需給の環境に比べて相当緩んでいることも事実でございますので、その辺をどう考えるかということでございますから、もうちょっと時間をかけて見ていく必要があるのではないかと考えております。
○春田委員 確かに、環境としては上げられない環境にあるかもしれませんけれども、産油国としてはやはり上げたいという事情があるわけですよ。その辺がぶつかっちゃってどういう形の結論になるかわからないのですけれども、考えてみれば、大体据え置きということは考えられないし、ある程度小幅にしても原油は上がっていくのではないか、こういう見方が強いのではないかと私は思うのです。 そこで、これもあくまでも仮定の問題でございますが、こうしたOPEC総会で原油価格が上がった場合、やっと明るさを増してきたという景気にも相当大きな水を差すと思うのですけれども、この辺は長官どうお考えになっておりますか。
○河本国務大臣 石油価格の問題でありますが、これからは石油価格を下げる方向に消費国が努力すべきだ、また産油国もそういう方向に工夫してもらいたい、そう私は思っておるのです。 と申しますのは、昨年は石油価格の急上昇の結果余剰オイルマネーは千百五十億ドルに達したと言われております。しかもそのうち七百億ドルは油の出ない発展途上国の負担になっておる、こういうことでありますから、いま油の出ない発展途上国の約百余りの国が破産状態になっておる。累積債務も五千億を超えておる。いま南北問題は、要するにこの問題だと思うのです。しかも第一次オイルショックのときと違いまして、民間の市中金融機関は、五千億ドルという累積債務のある国に対しては融資はもう限度に来ておる。また国際機関からも融資をする力はそんなに多くはない。こういうことでありますから、第一次オイルショックのときと違いまして金が回っていかない。そこで結局破産状態になっておる。こういう非常に大きな問題があるわけでございます。 一方先進工業国でインフレと失業という最大の課題がございまして、実はこれもこの問題から起こっておるわけであります。日本は比較的被害が少なくて済んでおりますけれども、世界全体がそういう状態になっておる。ことしもほぼ昨年の水準に近い余剰オイルマネーが発生するのではないか。値上げしなければ少し減るかもわかりません。しかしほぼ千百億ドル前後の水準に達する。こういうことになりますと、先ほど来為替の問題が金利問題からいろいろ議論されておりますが、いまそれだけの余剰オイルマネーが発生したOPEC諸国はその金の使い道に実は苦心惨たんしておるのが現状だと思います。受け入れ可能な国は世界で数カ国しかない。ヨーロッパに二、三国それからアメリカと日本。そのほかの国は、金利は高くしても、それでは高い金利のところにオイルマネーが流れていくかというと、それは回収が非常に危険でありますから流れていかない。そういう状態でありますから、結局日本で金利を低い水準に持っていきましても、外国からオイルマネーがどんどん流れ込んでぐる。これは結局日本が経済的な基礎条件が非常によろしい、日本に投資しても取りはぐれがない、回収は可能である、こういうことから日本へ流れ込んでくるんだと思うのです。でありますから、普通低金利政策をやりますと円は安くなるということでありますけれども、それがいまは一時的な事情で、ほかの事情もございますので少し円安でありますけれども、大勢としては円高基調だ、私はこう思っております。それだけ大きな影響が出ておるわけでありますから、OPEC諸国も、自分たちの値上げが世界経済全体に非常に悪い影響を及ぼしておるんだ、こういうことについて私は十分理解してもらいたい。今度七月にサミットが開かれます。十月には南北サミットが開かれますが、私は、特に南北サミットではこれを最大の議題にすべきである、このように思うのです。OPEC諸国も参加すると言っておりますし、油の出ない発展途上国も参加する、こう言っております。しかも現在、通産省から説明がありましたように、こんなに高い油はとても普通には使えないということで徹底した省エネルギー政策が進みまして、世界全体で需要が非常に減退しております。私は、そういう状態についてはOPEC諸国も十分知っておると思うのです。特にOPEC諸国の指導的立場にあるサウジアラビアは、自分の国だけではなく、世界全体のことを考えて行動してくれる、私はこのように期待しております。 私は、消費国、特に先進工業国が対話によって油の価格を引き下げる、それが世界全体のためにはいいんだ、ひいてはOPECのためにもいいんだ、こういう理解をお互いに深めていくことが大事だ。向こうの言いなりになる、こういうことはよくない、またそういう状態ではない、このように考えております。しかし、中東情勢、シリア、レバノンなどの情勢が非常に不穏でありますから、一部には、第五次中東戦争が起こるのではないか、そうなればまた油だ、こういう想定のニュース等も伝わっておりますけれども、私は、中東戦争は何とか起こらないように、これも先進国が工夫して回避するように努力していく、そして油の問題に対してはいま申し上げたような対応をしていく、こういうことをぜひやらなければならぬ、こう思っております。大きな油の値上げはまずない、こう私は思っております。それはあくまで回避をしなければならぬ、こういうことでございます。
○春田委員 長官がおっしゃったように、一たん上げたやつを下げることはできるかというと、やはり非常に疑問があると私は思うのですけれども、いずれにいたしましても五月のOPEC総会というのは、わが国だけでなくて世界経済情勢に非常に大きな影響を与えるわけでございますので注目しなければならないと思うのですが、よしんば上がったとしても、そうした外的要因にも十分対応できるだけの機動的な経済運営を経企庁としては打っていだきたい、このように要望しておきます。 それでは、通産省の方は結構でございます。 中小企業問題に入ってまいりたいと思います。政府が三月十七日に決定いたしました当面の経済対策の中に中小企業の対策があるわけでございますが、まずその内容について、簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思うのです。
○米山説明員 いま御質問の三月十七日に決定いたしました総合経済対策におきましては、中小企業の観点から以下のような対策を講じたところでございます。 中身の中心は、円滑な金融の確保、倒産防止対策の機動的な運用、官公需の確保、この辺が中心になっているわけでございます。 金融面について若干敷衍して御説明申し上げますと、先ほど調整局長からも御答弁がございましたように、中小企業の設備投資が非常に落ち込んでおるということがございまして、これは将来の中小企業にとりまして非常に大きな問題でございますし景気全体の足も引っ張る、こういったこともございますので、三月十八日にさかのぼりまして将来引き下げられる金利を遡及して適用するという、従前とったことのない異例の措置を講ずることにしたわけでございます。また、それに応じて資金需要がふえてくることも想定されるものですから、五十六年度第一・四半期のこの三機関への資金配分を大幅にふやしたいということで、昨年度実績に対比して約二六%アップの資金枠を現在組んでいるところでございます。 またそのほか、この三機関関係につきましての貸出手続の迅速化、あるいは個別の企業の実情に応じた既往債務の返済猶予、あるいは担保徴求の適正化等につきましても、中小企業庁長官、銀行局長の連名で指示をするというようなこともやったわけでございますし、さらに三月二十日には、中小企業信用保険法に基づきます不況業種の追加指定につきましても、本来四月一日にやるべきところを繰り上げて実施をするというような対策もとったわけでございます。 さらに、私ども国と県とでお金を出し合ってやっております体質強化資金制度につきましても、五十六年度から倒産防止のための対策を実施するということになっておったわけでございますが、これにつきましても繰り上げて実施をする、こういった対策をとったわけでございます。 さらに、四月二十八日に政府系金融機関の金利も引き下げられることになったわけでございますけれども、その下げ幅についても、本来原則としております長期の最優遇金利の引き下げ幅は〇・三%に決まったわけでございますが、それに〇・二%上乗せして中小企業金融公庫、国民金融公庫の貸出金利を〇・五%引き下げることにしたわけでございますし、商工中金の貸出金利につきましても、設備関係については〇・三プラス〇・二ということで〇・五%の金利引き下げを図る、こういった対策を講じてきたわけでございます。
○春田委員 そこで、五十四年度と五十五年度に年間を通してどれだけの倒産件数があったか。五十六年度については、一月、二月、三月まで出ているみたいでございますので、月別に、まず企業全体の倒産件数を数字でもってお答えいただきたいと思うのです。
○中尾説明員 お答え申し上げます。 まず五十四年の倒産でございますが、全体では一万六千三十件、五十五年は一万七千八百八十四件、そして五十六年に入りまして、一月は千三百十三件、二月は千三百二十七件、三月は千五百九十七件ということになっております。
○春田委員 五十四年に比べて五十五年はさらにふえていっております。五十六年になりますと、五十五年に比べてさらにふえていっているわけです。特に五十六年に入りましては、一月が一千三百十三件、対前年比で一〇・五%ふえておりますし、二月が千三百二十七件、対前年比で四%ふえております。三月が千五百九十七件、対前年比で一〇・五%ということで、特に三月の千五百九十七件は、かつて史上最高でございました五十二年三月の千七百五件に次いで史上第二位と言われているわけで、企業倒産数が相当ふえているわけでございますが、この中で中小企業がどれだけ倒産しているかということでございます。長官、お聞きしますけれども、たとえば三月は千五百九十七件のうちどれくらいが中小企業の倒産件数か大体御存じでしょうか。
○井川政府委員 三月千五百九十七件のうち千五百九十一件、比率にいたしますと九九・六%という数字を手元に持っております。
○春田委員 あえて長官に聞いたのは、長官も大変お忙しい方でございますから、中小企業の倒産数は多いということはお感じになっていても細かい数字はおわかりにならないと思いましたけれども、この景気対策の一項目が入っておりますので、あえてお尋ねしたわけでございまして、いま言ったように千五百九十七件のうち千五百九十一件、九九%以上は中小企業で占めているわけです。本当に景気はよくなりつつあると言っても中小企業は非常に大変だということが、この数字を見てもわかると私は思うわけでございます。 そこで、金融対策が打ち出されておりますけれども、この金融対策の中で、細かい話になりますけれども、たとえば企業が融資申し込みをやる、そして審査の段階で選別融資というのが従来からも指摘がされているわけでございますけれども、こういう傾向はまだ残っていないかどうか、中小企業庁の方にお尋ねしたいと思うのです。
○米山説明員 私ども直接所管しておりますのは御案内のように政府系の三金融機関でございまして、中小企業金融公庫、商工中金、それから国民金融公庫は直接には大蔵省でございますけれども、そういったところでやっておるわけでございますが、そういったところにつきましては現在資金も十分確保してございますし、こういった政府系金融機関におきましてそのような選別融資という観点から特段の措置が行われておるというようなことはないというふうに確信しております。
○春田委員 私は一つの事例を申し上げたいと思いますが、これが選別融資かどうかは別としまして、こういうことが現実に行われているわけです。たとえば、特に中小企業の方が申し込む場合審査が非常に厳しい。お金を貸すわけですから、返してもらわなければいけないということで、当然厳しい細かい調査あるいはまた審査が必要かもしれませんけれども、必要以上の調査というか審査が行われているのが非常に多いわけです。また、現時点で経営の非常に悪いところは、政府金融機関で融資を受けて、現時点で悪いけれども経営を立て直したい、よくしていきたいということで申し込むわけでございますけれども、現時点が悪かったならば将来も当然悪いだろう、こういう形で融資を断られたり、申し込んだ額を相当大幅にカットされる、査定される、こういう例があるわけでございます。一方、景気のいいところ、ここは別に申し込まなくても、たとえば国民金融公庫から、どうですか借ってくれませんかという、本人が申し込まなくとも、企業が申し込まなくとも、資金がだぶついているのかどうか知りませんよ、いわゆる催促がある。こういうことで、特に中小企業についてはそういう非常に厳しい査定なり審査が行われているわけですね。これはやはりある程度事業計画がしっかりしていれば当然貸すべきだと私は思うのですよ。全然見通しが立たないところは、やはり金融機関だってそれはそれなりの処置をするべきだと思いますけれども、そうした計画を立てながらも貸してくれない、これはやはり選別融資の形態が依然として残っているんじゃないか、こういう感を私は持つわけでございますが、こうした実態は御存じですか。
○米山説明員 いまいろいろ御指摘があったわけでございますけれども、やはり資金を借りられる方と貸す立場と物の見方はずれるわけでございまして、御指摘ございましたように、担保が十分でないあるいはどうも保証人の質がよくないといったようなことで、お金を借りる方々の立場からいいますと十分ではないかという判断でも、実際に貸し付けを行います金融機関側から見ますと、果たしてこれで大丈夫かというような不安があるといったようなことでそごを生じてくるというふうに感じているわけでございます。 先生のおっしゃいましたように、大事なことは、やはり事業計画なり将来の見通しがどうであるかというのが一番かなめだと思います。そこが一番かなめではございますけれども、ただ、政府系金融機関といえども金融機関でございますので、将来もし不幸にして何か事がありました場合に何らかの措置を講じなければならないということになりますと、これはまた会計検査院等からいろいろ問題にされるということもございますものですから、その辺がなかなか調和のむずかしいところだというふうに私ども考えております。 ただ、いずれにいたしましても、できる限り中小企業の方々のお役に立つようにするのが政府系金融機関の本来の使命でございますので、先ほど申しましたように、三月十七日の閣僚会議で決定が行われましたと同時に、政府系三金融機関につきましては、中小企業庁長官及び銀行局長連名で、そういった担保の適切な運用の問題等々につきましても指示をしたわけでございまして、今後ともそういった精神を忘れずに十分適切な指導をしていきたい、かように考えております。
○春田委員 それで、融資を申し込んでから調査の期間が非常に長いのですね。一月ぐらいかかるわけですよ。そういう点で、一日も早い資金繰りが必要なときに一月では非常に長いという苦情もあるわけです。また保証人の話が出ましたけれども、一人で十分能力がありながら複数の保証人を要求されたりする場合が多い。さらに、新規の独立開業資金制度というのがありますけれども、これは独立前と独立後が全く同業種の場合はそういった資金は出るのですけれども、たとえばA業種に勤めていて、自分が独立してB業種の全く違った仕事をする場合非常に厳しい、設備資金は出るでしょうけれども少ない、まして運転資金なんかはほとんど出ない、こういう例もあるわけですね。やはり中小企業庁は中小企業の皆さんの味方でありますし、企業全体の九九%が中小企業なんですから、いわゆる中小企業があって日本の経済、産業界といのはあるわけですから、そういう点では特にこうした苦情等が出ないように配慮していただきたい、このように私は要望しておきます。 時間が迫ってまいりましたので、次に移ります。 中小企業への官公需の発注割合でございますが、中小企業向けの契約には目標があるわけですね。特に、特殊法人でございますが、特殊法人は非常に悪い。特に特殊法人の中でも日本鉄建公団なんかは、目標が昭和五十四年度におきましては二九・四%なんですね。ところが、鉄建公団の五十四年度の実績を見ますれば一二・三%。それからさらに悪いのは首都高速道路公団、これも実績は一七・五%。それ以外に悪いところは日本電信電話公社が二二・七%でありますし、日本道路公団が二三・二、阪神高速道路公団が二五・八というふうに目標の半分以下なんです。ところが同じ特殊法人の中でも、雇用促進事業団なんかは七三%のいわゆる中小企業向けの受注がありますし、日本専売公社でも四六%、また水資源開発公団でも四三%ということで、特殊法人でありながらもいいところと悪いところがあるのですね。そういう点で、特にこうした目標を決めながらいわゆる悪い特殊法人——特殊法人というのは国から全額出資ないし二分の一出資をやっているわけですから国と同じような性格があるわけです。そういう点では、国全体のいわゆる目標が四四・二に対して四三・一ということで、国全体は非常に中小企業に向けて発注しているわけですね。分割発注とかいろいろ考えてやっているわけですよ。ところが、いま言った特殊法人が非常に悪い。そういう点でこの特殊法人への厳しい指導といいますか監視が必要だと思いますが、こうした点はどのようにお考えになっているのですか、お答えいただきたいと思います。
○横堀説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から特殊法人関係の官公需の発注におきます中小企業向けの発注比率が低いということについて御指摘があったわけでございますが、実は私ども、まず目標を設定いたします場合に、官公庁、これには参議院、衆議院の事務局、最高裁というようなところも一応官公庁の中に含めているわけでございますが、これと公社、公団、特殊法人でございますが、それと分けて、あとこれらの全体ということで分けておるわけでございますが、こういう各機関別ではなくて、大体これのグループ全体の目標ということで設定しておるわけでございます。 それで、このグループ全体のあるいはグループごとの比率が、実は目標等におきましても公社、公団等の比率は若干低いという状況にあるわけでございますが、これは、各公団等の実情を見てみますと、それぞれ発注内容等によりまして非常に大規模なものがある。たとえば鉄建公団等は、新幹線の工事等でどうしても大規模なものがありまして、中小企業になかなか回らないというような問題がありまして、ここら辺は一律に各公団に高い比率で発注をお願いするというのはむずかしい状況にあるわけでございます。ただ、そうは申しましても、私どもといたしまして、なるべくそれぞれの実情に応じましてできる限りのことで中小企業向け発注比率を高めていただきたい、こういうお願いをしておるところでございまして、先般の総合経済対策におきまして、その段階でも実はいろいろ、これは全体の目標ではございますけれども、少なくとも今年度の上半期につきまして、前年同期に比べまして一〇%ふやしてほしい、こういうようなお願いをしておるところでございます。 さらに、これらの機関におきます官公需の発注比率につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、場合によっては分割発注の促進というところにおいていろいろ問題があってなかなかやっていただけないというようなことがあるのではないか、あるいは担当者におきましてどうやっていいかわからないということもあるのではないかということもございますので、実は五十六年度から非常に発注比率のいい事例というものをとらまえまして、それを分析いたしまして、こうすれば中小企業向けの発注が促進されるというようなモデル事例の分析、そしてそれを踏まえまして、こうすれば各省庁とも中小企業にも発注していただけるのではないでしょうかということで、そういうものの研究をやりたいということで予算をお願いしたところでございます。 いずれにいたしましても、先生のおっしゃいましたように中小企業向けの発注を促進するということは、私どもとしても非常に大事なことだと考えておりまして、今後ともいろいろな場合をつかまえまして、いろいろなことをまた考えまして努力してまいりたいと思います。
○春田委員 要するに、トータルで達成したらいいというふうに考えるのではなくして、やはり一つ一つの特殊法人がその目標に向かっていってこそ初めて全体がそういう形で達成するわけですから。まして従来の三公社の法人から政令の指定で七十四法人になったわけですからね。そういうふうに拡大するわけですから、全体がそういう形で中小企業のいわゆる受注割合を高めていかなかったら達成しないと思うんですよ。そういう点で特に悪いところは、大きなプロジェクトなんかがあるから非常に中小企業にいきにくいという話もありますけれども、一つ一つの特殊法人にメスを入れていただきたい、このように要望しておきます。 時間が迫ってまいりましたので次に進みますが、民間金融機関から中小企業向け融資の中での拘束預金の問題でございます。依然として残っているという話を聞くわけでございますが、この点、公正取引委員会の方がおいでになっておりますので、現状といいますか、ひとつ簡単に御説明をいただきたいと思います。
○劒持政府委員 先生御指摘のように、公正取引委員会では拘束預金といわれるものの実態を把握いたしますために昭和三十九年から約八千の中小企業者を対象にいたしまして定期的にアンケート調査を実施してまいっております。最近の時点では去年、五十五年五月末現在で調査したのが一番新しいわけでございますが、最初からいままでの大ざっぱな傾向を申し上げますと、拘束預金のある企業数とかそれから拘束預金のある借入件数の比率、さらには借入金の総額に占めます拘束預金の比率、こういったようなものがいずれも傾向的には減少してまいっております。全般的に見まして着実に改善されてきているというふうに状況を判断いたしております。
○春田委員 この拘束預金につきましては、改善されつつあるといっても依然としてやはり残っているわけですね。これは公取の方から資料をいただいたわけでございますけれども、五十五年五月末のデータからでも企業の約四七・九%は何らかの拘束預金がありという形で答えているわけでございますし、半分近くは拘束預金があるわけですね。そういう点で拘束預金、歩積みという問題につきましては、特にそうした中小企業に不当、不利益がないようにひとつ御配慮いただきたいし、メスを入れていただきたい。この問題につきましてはいろんな角度で御質問したかったわけでございますけれども、時間が参りましたので次の機会に譲りたいと思います。 最後に、長官の方にお尋ねしますけれども、五十六年度の経済成長率政府目標が五・三%ということになっております。長官はかつて私の質問で、消費者物価指数は来年度五・五%、これは五十五年度は特に高かっただけにおつりが出るみたいにことしは下げていきたいと自信をお示しになったわけでございますけれども、この経済成長率五・三%でございますが、この達成に御自信がございますかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 現在の水準は必ずしも五・三%成長路線に乗っておるとはまだ判断できないと私は思うんです。しかし、五二二%という成長を設定いたしましたのは、いろんな指標からこの程度の成長は十分可能であろう、また同時に、この程度の成長をいたしませんと雇用問題も解決できませんし、日本の経済の国際競争力を維持することもむずかしい、そういうことから、政策目標を加味しながらこの程度の成長を達成しよう、こういう目標を設定したわけでございます。三月に一連の対策を立てましたが、その対策を強力に進めることによりましてこの目標はぜひ達成をしたい、このように考えております。 なお最後に、私が景気回復宣言をしたというようなことを言われましたが、そういうことを言ったわけじゃないんです。私が説明いたしましたのは、壁頭あなたの御質問に対してお答えしたのと同じような趣旨のことをお答えした、それだけのことでございますが、それについて若干の解説が入って、新聞には少し行き過ぎたような記事があったんじゃないか、こう思いますけれども、いずれにいたしましても景気はとにかく最悪の状態は抜け出た、私はこう思っております。大勢としてはいい方向に行きつつあると思いますが、まだ問題がたくさんございますので、そういう問題点を今後解決をしながらことしの経済成長目標はぜひ達成をしたい、このように考えております。
○春田委員 どうしても報道というのは活字で大きくばんと出るわけですね。そうしたら、特に中小零細企業の方たちなんてそういう考えがないものですから、どうなんだ、早いんじゃないかというような感じを持つ方もやはりあるわけですね。そうした面で先ほど長官の細かい御答弁もございましたので、私なりにわかっているわけでございますけれども、そうした発言も一部あるということを言ったわけでございます。 いずれにいたしましても、五十五年度は経済成長は達成したけれども消費者物価が大きく伸びた、五十六年度は消費者物価は何とか目標を達成しそうだけれども経済成長が達成しなかったら何にもならないわけですから、そういう点で非常に物価が落ちつく気配にある今日、問題は景気浮揚の問題だと思うのですね。そういう点で自力回復の厳しい中小企業、構造不況業種、こういう方々にはやはり政治の力で特段の配慮をしてひとつ景気回復を図っていただきたい、このことを要望いたしまして質問を終わります。
○井上委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 経済学は心理学だとも言われるぐらいでもありますから、長官が常に明るい希望と展望を国民に抱かせるような立場で前向きの御発言をなされるということ、同時にその裏で万全の態勢がとられているということが経済運営にとってはとりわけ必要だろうと思います。そういう意味で、先ほど来の同僚議員の質問にも関連をいたしますが、長官が積極的な発言を今日までしてこられたことについては私なりに敬意を表したいと思っております。そういう観点から幾つかのトピックスに関連してお尋ねをまずさせていただきたいと思います。 日米首脳会談が終わりました。その中で、国際貿易に関連をいたしまして「日米両国がガット体制に具現された自由かつ開放的な貿易の諸原則の維持と強化に引き続き努力する決意であることを確認した。」という文言がございます。同時に、続いて「これに関連して、大統領は、米国の自動車産業が困難な調整の期間を経つつある時に、米国向け自動車輸出の抑制のため日本政府によってとられた自主的措置に対し謝意を表明した。」こうあるわけであります。私どもはあくまでもこの自由貿易の体制が堅持されることを心から願っているわけであります。そしてまたそのことを守るためにということで自動車輸出の抑制の問題が自主規制という形で解決をしたとは思います。そう言われているわけであります。しかしながら、このことがひいてはカナダであるとかまたはEC諸国であるとか、そういうところとの関係に与える影響というものも同時に実は心配をしております。 総理は五月一日の記者会見で無条件にECやカナダにこの対アメリカ方式が適用されるものではないというふうにおっしゃっておられますけれども、しかしながらこのことは決して無視のできない、今後十分われわれ日本として態勢を整えておかなければならない課題でもあろうかと思います。このようなECやカナダに対する影響、同時に今回の一年間百六十八万台に抑制をし、八二年も引き続き抑制、八三年についても抑制基調で臨むという解決の内容が日本の経済に与える影響ということもまた無視できないと思うのであります。この一連の動き、そしてその決着の内容について、長官として今後経済の見通しに関連してどのようにお考えでありますか、お聞きをしたいと思います。
○河本国務大臣 私は、原則的に申し上げますと、貿易上のトラブルは、世界経済全体の景気の回復によりまして各国の購買力が拡大をする、その過程において話し合いをしてこの問題が解決できる、こういう方向に行くのが理想的だと考えております。 昭和五十三年にボンでサミットが開かれましたときに、西独首相のシュミットさんは、当時まだ第一次オイルショックの影響が相当残っておりましたので、各国が経済成長をお互いに努力して一%ずつ高めようではないか、そうすると大抵の問題は解決できる、こういう趣旨の発言をされて、各国がそれに同調する、アメリカはちょっと事情が違っておりましたので同調できなかったわけでございますが、それ以外の国は同調する、そのことによって多くの問題が解決できたという経過もございます。だから今回の場合でも、何しろ問題は、昨年の秋アメリカの自動車産業が一番悪い状態、市場の規模は八百八十万台という最悪の状態のときになって起こったわけでありますが、仮にアメリカの自動車産業が、アメリカの景気が回復をいたしまして、かつてのような千二百万台とか千三百万台とか、こういうことになれば、むしろ日本から自動車をもっとふやしてくださいということになるわけでありますが、私は基本的にはそのような方向で諸問題を解決すべきだ、こう思っております。だから、今度のカナダでのサミット等におきましても、そういう方向に首脳間の議論が展開されることを私は強く期待をしているのであります。 しかし、今回のアメリカの問題は、そういう原則は原則でありますけれども、いろいろな客観的な条件で、必ずしもその原則によって解決できない、一時的に解決できないということになりましてああいう結果になったんだ、こう思います。いまは、あのことによって世界で保護貿易的な動きが出てこないかということをよほど気をつけなければならぬことが一つだと思います。それと同時に、日本といたしましては、いま御指摘のございましたようなカナダとかEC、その他の国々において現実的に悪い影響が出てこないように、やはりそういうことに対して経済外交をしっかりやっていかなければならぬ、これからの大きな課題だ、こう思っております。
○中野(寛)委員 日本がいま置かれている立場、それはある意味では今日までの経済運営の妙を得て今日の発展がもたらされている。ある意味では、そのことから、いま日本に対するいろいろな要望が各国から出てくるということになっているわけでありますから、必ずしも悪い結果から生まれている今日の内容ではないことは言うまでもないと思います。しかし、それだけに責任も重く、かつ同時にみずからのこれからの経済の安定もしくは発展を図っていく上においては、よほどの努力がなされなければならないということを意味していることにもつながると思うのであります。 そういう意味では、軍事的な面も同じことが言えるのではないだろうかと思うわけでありまして、日米首脳会談においても、いわゆる防衛努力というものが強く要請されていると思いますし、日米の同盟であるのか同盟関係であるのか、そしてその解釈が、軍事の問題を含むのか含まないのか、いま議論がなされておりますけれども、いずれにいたしましても、日本の防衛努力というものがその中でアメリカによって要請されていることは事実でありますし、そしてそのことをわれわれとしては無視できないことも事実であると思います。そしてシーレーンの問題もその中に包含をされてまいります。いわゆる戦艦等の日本における生産または航空機等の輸入というふうなことも、これからますますその中で要請をされていくということにもなろうかと思います。そのような、いわゆる防衛に関する努力、負担は、日本の経済において決して無関係ではない、きわめて大きな影響を与えるものでもあろうと思うわけであります。国防会議の議員としてのお立場もお持ちの経企庁長官が、今日のこれらの国際情勢、日本に望まれている課題、このようなものの関係かち、日本の経済に与える影響をあわせてどう考えておられますか、お聞きをしたいと思います。
○河本国務大臣 国際情勢はここ一年相当変化をしておりますので、わが国の防衛力を緊急に増強しなければならぬことは、もう当然の課題だと考えております。ただしかし、防衛政策が他の政策と整合性を持たなければいかぬ、こう私は思うのです。財政、経済あるいは国民生活、そういうものと整合性を持たない防衛力の増強計画というものは長続きしない、このように思っております。それから、やはり世界全体で平和の基礎が拡大をされるということ、これが一番大事な問題ではなかろうか、このように感じておりますので、日本の安全保障というのは、広い立場から総合的に考えていかなければならぬ。現在の鈴木内閣の考え方は、内閣が発足以来、総理の提唱によりまして総合安全保障関係閣僚会議というのが設置をされまして、これまで数回にわたりましてその観点に立っていろいろな議論が進められておりますが、私はその方向で日本の防衛というものは考えていかなければならぬ、こう思っております。
○中野(寛)委員 そういう観点から、今回の日米首脳会談についての評価をどういうふうに見ておられますか。
○河本国務大臣 日米会談の模様を見ますと、日本はこれから自主的な防衛計画を進めていく、そしてその背景は、先ほど申し上げましたように、ここ一年国際情勢が変化をして、アメリカの軍事勢力がインド洋とペルシャ湾に割かれ、太平洋にはある程度空白ができておる。それを背景として、日本がどのような防衛政策を自主的に進めるかということでありますが、これは当然進めていかなければならぬと思います。その場合に、いま申し上げましたような二つの原則が必要であろう、このような考え方であります。
○中野(寛)委員 それは言うならば経済サイドから、または財政のサイド、もう一つ広域的な立場からの分析でありますけれども、これから要請をされていくのは、あくまでもこの経済の問題や総合的な問題を考えて防衛の問題を考えなければいけないということです。長官の立場からすればそういう主張になるということでありましょうけれども、今後要求されている防衛努力その他のことは、防衛計画等にのっとって進めていくのか、防衛大綱の見直しにまたそれが発展をしていくのか、いずれにせよ何らかのアクションというものが起こされる。起こされなければ、これから起こされるであろう、また要求されているそのことを基準にして考えた場合に、日本の経済に与える影響はどうなるのかということをむしろ私はお聞きしているわけであります。いかがお考えでしょうか。
○河本国務大臣 総理がアメリカにお立ちになる前に、先月末に総合安全保障関係閣僚会議を開きまして、日本の基本的な防衛のあり方についてまず意見調整をして、そしてその後で国防会議を開かれた、こういうことであります。その国防会議では、これから一年がかりで五六中業の作業をしよう。しかし、五六中業の作業の結果がどういうことになるかはまだ中身がわかりませんから、それを正式に決定するかどうかは、一年後にその作業内容が明らかになった上で、もう一回国防会議を開いて判断をしてその結論を出しましょう、こういうことになったのであります。でありますから、その作業の内容、それから一年後の結論を見ないとわかりませんけれども、大勢としては、国際情勢が変化をしておるわけでありますから、日本の防衛は、やはり自主的に増強の方向に進んでいく、このように私は判断をしております。
○中野(寛)委員 その増強されることの中身がどういう影響を及ぼすであろうかということを先ほど来繰り返しお聞きをいたしております。いかがでしょうか。
○河本国務大臣 私の言っておるのは、これからつくられる五六中業というのは当然防衛力の増強ということでありますけれども、やはり他の政策との整合性を持つことが必要である、こういうことを言っておるわけであります。 御案内のように、これまで日本の防衛政策の基本は、五十一年の秋の閣議で決定をされた基本路線がございます。その基本路線に沿って進めてきたわけでありますので、当然、その基本路線に沿って五六中業の作業は進む、私はこう思っておりますが、日本の防衛費の負担は、五十一年の閣議決定ではGNPの一%を出ないということでありましたが、現在は〇・九%前後であります。しかし、一%にここ数年するといいましても、いま政府の試算しておりますような名目成長が毎年一一・七%伸びるということでありますと、一%にすること自身も、それ以上伸ばさなければならないわけでありますから、これはもう相当な負担になると思いますが、いずれにいたしましても、防衛政策が他の政策との整合性を持つ、そういう形で進められるということがぜひ必要だ、こう思いますし、それから大砲や軍艦をうんとふやしたから日本の安全が保障されるかというとそうではありませんで、やはり一番肝心なことは、国民生活が安定することだと私は考えております。失業者が出ない、仮に日本で他の一部の国のように一〇%も失業者があるということになりますと、これは大変なことでありますし、しかも若い人たちの失業者が大部分だということになりますと、常に大きな社会不安というものを抱えていかなければならぬ、こういうことにもなりますので、総合的な国の安全保障の一番の前提条件は国民生活の安定である、このように私は理解をいたしております。それと同時に、世界全体の平和を脅かしておるものは何ぞやという、そういう認識の上に立ちまして、平和に対する脅威というものを取り除く工夫と努力、これはやはり積極的にやっていくことが必要だ、こういう考え方でありますが、日本には平和憲法というものがありますから、その憲法の精神に沿ってこれまで日本は防衛政策を展開してきたわけであります。だから私は、今後もやはりその精神に沿って日本の防衛政策が他の政策と整合性を持ちながら進められるということを期待しております。
○中野(寛)委員 平和と防衛に関する河本長官の哲学をお伺いした感じがいたしますが、私のお聞きしたい具体的な内容については、むしろ先に防衛庁長官に聞いて、その答弁に基づいて経企庁長官にお聞きすべきことなのかもしれません。しかし、これ以上お聞きしましても、長官の防衛に関する哲学の方をお聞きするだけになってしまいかねませんから、これ以上はお聞きしませんが、しかし経済の立場からの配慮というものは十分望んでおきたい、こう思っております。 先ほどちょっと聞き忘れましたが、日米の自動車問題のあの決着の内容から考えて、ことし及び来年のGNPに及ぼす影響をどのようにお考えでしょうか。
○井川政府委員 自主規制というかっこうで決着をした数字が、先ほど先生もおっしゃいましたが、八〇年実績に対して十四万台減というふうなラインになったわけでございます。したがいまして、それ以前にいろいろ言われておりました状態からは、減の数字が小さくて済んだ、こういうことになります。 それで、これが経済に及ぼす影響でございますが、新聞紙上ではいろいろな銀行関係その他民間の研究所あたりがその数字を出しているわけでございますが、これは単純に、たとえば十四万台というのが日本の自動車生産にどれぐらいを占めるのか、そしてその減の数値を、いわば付加価値というふうな面からはじいていったらどうなるか、こういう計算をいたしているわけでございます。こうなりますと、だれが計算いたしましても、与えられた数値が出てまいりますと結果が出るわけでございまして、仮に、たとえばここに住友銀.行で、乗用車が十八万台減というふうな数値が出ております。これは、実際に落ちつきました十四万台よりもちょっと多目の数値が出ておるわけでございます。そういたしますと、GNPで〇・一四という数値が発表されているようでございますし、鉱工業生産で〇・二四という数値、要するにそれだけの分、減になる、こういうような数値が出ておるわけであります。 私たちがはじきましても、数値が与えられますと、大体同じような感じで出るわけでございますが、私は、経済に与える影響というのは、こういう数値の問題ではない、先ほど先生もおっしゃいましたように、それがECにどう影響を与えるのか、カナダにどうなるのか、その他の諸国がどうなるのか、そしてまた、一九八一年自体につきましても、それをカバーして出るようなほかの諸国の余地があるのかないのか、日本の国内で内需が上りカーブになるのか、ならぬのか、そういうことによってそういう数値は埋没をする問題だと思います。反対からいって、世界じゅうがアメリカと同じように抑制を七・七%、要するに七、八%抑制をするということになりますと、伸びつつある自動車輸出を反対にダウンさすということでありますし、かつまた、内需が伸びないということになると、これは大変なものです。したがいまして、この数値自体がひとり歩きするということは決してよくない。私たちとしましても、政府としましても、特にそういう数値は計算をしたり、外へ発表したりということはいたしておりません。 来年度以降につきましては、対米調整自体の中身で、そうした数値に、来年度のアメリカの伸び率を日本の輸出量にシェアを掛け合わせて足していくというようなことがございますので、アメリカの自動車の消費の伸びがどうなるかということによって変わってまいりますし、それから国際経済全体が来年どうなっていくのか。OECD等々その他の予想によりますと、一九八一年は厳しい年であるが、後半から徐々に上がっていって、一九八二年はまあまあある程度適正な成長まで達し得るのじゃないかというのが大方の予想でございますので、そういう予想になってまいりますと、これはまたこれで全体的に自動車についても需要が出てくる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、先ほど住友銀行の例を挙げましたけれども、そうした数値は計算すれば出ないことはないが、それよりはむしろその対米自動車調整というものが今後どういう状況でEC、カナダへ波及していくか、他面自動車の需要が国内でどうなっていくかということによって変わるというふうに私たちは考えているわけでございます。
○中野(寛)委員 分析といいますかあり方といいますか、そういうことについてはただいまの御答弁のとおりだと思います。それだけに、われわれとしては、その自動車輸出の減を何らかの形で、ほかにそのショックといいますか影響を吸収できればなおいいわけですし、逆に悪い方向へ影響していく、広がっていくということを食いとめるという努力ももちろんしなければならないと思います。しかしながら、たとえばECにいたしましても、今回、ECの盟主と言われるのがフランスですが、もちろんジスカールデスタン大統領かちミッテラン大統領にということになると、ECの中におけるフランスの位置というものがどう変わるかわかりません。しかし、少なくともミッテラン氏が大統領候補として選挙政策を発表した中に「国内市場の奪回、フランス産業の国際競争力の強化」を掲げ、日本や米国から輸入されている自動車、テレビ、ラジオなどの品目については「国内産業が影響を受けているので、これらを保護しなければならない」と明記しているわけであります。とりわけ対日通商問題で「より保護的政策をとる可能性がある」ことを、むしろ日本を名指しで指摘しているとさえも言われているわけであります。 こういうことを考えますと、フランスがECに今日まで与えてきた影響力等々を考え合わせますと、いまの御答弁にも含まれておりますように、アメリカとの車の交渉等々がこういう傾向に輪をかけていくというふうなことも危惧をされてならないわけであります。そういう意味で、私は、いまミッテラン・ショックとも言われるような状態がヨーロッパにはあるようでございますけれども、このフランス新政権の誕生とも絡み合わせて、これからの経済政策のあり方、その前に、そういう新しい動きに対する分析と、そしてそれに対する対応策、あり方、いまの御答弁ではそのあり方、対応についてまではお述べにならなかったわけであります。むしろそのことに突っ込んで御見解をお聞きしたいと思います。
○河本国務大臣 フランスのミッテラン新大統領、選挙前からいろいろな政策を発表しておられますが、果たして発表された政策が全部一挙に実現するのかどうか、これはもう少し様子を見ないと私はわからぬと思います。特に来月の下旬には総選挙がありまして、フランスの国会の新しい勢力分野も決まりますし、その結果他党との連合ということに当然なるのじゃないかと思いますが、どういう形の連合になるのかということによっても違うと思います。また、公約された政策を実行されるにいたしましても、順を追うてやられる、こういう場合もあると思いますし、それから若干修正をして実行される、こういうこともあろうかと思いますので、もう少し様子を見ないと何とも言えません。 しかしながら、選挙中の公約等から判断いたしまして、これがそのまま実行されるということになりますと、相当な、フランス経済だけではなくヨーロッパ全体の経済、ひいては世界の経済にも影響が出てくる、こういうように思います。 わが国との貿易は、昨年の統計を見ますと、輸出が約二十億、輸入が約十三億ドルということのようでありますから、そんなに大きな数字ではありません。輸出が一・六%、輸入が〇・九%だそうでありますから、そんなに大きなものではありませんが、しかし保護貿易的な動きが出てまいりますと、それが導火線になりまして世界全体にまた悪い影響を及ぼす、こういうことにもなりかねない、こう思いますので、来月の総選挙、それからその後の政策の進め方等については、やはり深甚な注意が必要であろう、こう思っております。
○中野(寛)委員 結局、最近の動きというのは、われわれが心配していることを助長する、そのきっかけもしくはそれに拍車をかける要素となりそうなことが、今度の日米の関係でもそうですし、たとえばミッテラン氏の登場も、たまたまこれはそういう政策を掲げておられるだけに、われわれとしては、日本経済の立場からすれば大変注目を、これはいま長官がおっしゃったとおりですが、しなければならないことが起こった。それだけに、われわれとしては、それを注意深く見詰めるだけではなくて、十分に日本の立場を理解し、同時にまた日本が果たすべき役割りを積極的に果たしていく、そういう姿勢というものが必要だと思います。先ほど来確かに経企庁らしいお答えだなと思ってお聞きをしておるわけでありますが、分析だとか注意深く見詰めるだとかのお答えが返ってまいりますが、積極的にいまわれわれは何をなすべきかについては、やはり、より一層積極的な施策と対応が必要ではなかろうか、こう思うわけであります。 時間の都合で話を若干進めますけれども、先般五月八日のにも報道されております経企庁の調査ですが、委託調査をされた、スタグフレーションの総合的解明に関する調査でありますけれども、この中でも、今後十年間の見通しとして経営者の八二%、エコノミストの五六%がスタグフレーション体質の将来を心配をしているわけであります。 私たちの経済に関する諸情勢、われわれを取り巻いている諸情勢は決して安易ではありませんし、そして将来についても必ずしも十分明るい展望があるというわけでもないわけであります。その中で、あえて、先般来、先ほどの同僚議員の質問の中でも、たとえば景気の底入れ観についての御所見の御発表があったりして、それはそれなりに私は冒頭申し上げましたように敬意を表するのでありますけれども、しかしその裏での万全の態勢が望まれるということもあわせて申し上げまして、そういうことを考えますときに、今後の日本の経済のあり方について経企庁としてはどのようにお考えでありますのか、そのことを単なる見通しとしてではなくて対策としてお聞きをしたいと思います。
○河本国務大臣 調査を見ますと、これからスタグフレーションになる危険が相当あるという結果も出ておりますが、私は、何もせずにほっておけばそういう危険がなきにしもあらずだ、こう思いますけれども、そういうことにならぬために政府が存在をしておるわけでありますから、そういうことにならないようないろんな積極的な対策を今後進めていくということが必要だと思います。 過去数年の民間の経済見通しなどを見ますと、政府の見通しよりもいつも低いわけですね。相当低い。政府の言っておる成長率などは荒唐無稽だとかいうふうな議論などもされまして、相当低い見通しを出されるのですけれども、それは私は、政府がいろんな政策に関与しないということを考えて見通しをされればそういうことになるのではないかと思うのですが、しかし日本の場合には、やはり雇用問題を解決していかなければならない。貿易立国でありますから経済の国際競争力というものを維持拡大をしていかなければならぬ。そういうことを考えますと、ある程度の経済成長が必要である。そのために必要な政策は何かということでいろいろ必要な政策を実行に移していく、こういうことであります。その結果、大体政府の見通しどおりに成長も進んできたと、こう思うのです。 一九八〇年代、いろいろな問題がありますけれども、やはりわが国経済を安定成長路線に定着させる、これが一番重要な課題でありますから、そのために必要な政策を最優先させまして、スタグフレーションにならないような安定成長路線に日本経済が進んでいくような、そういう方向に経済を見守っていこうというのが政府の基本的な考え方でございます。
○中野(寛)委員 お聞きする仕方が抽象的でお答えしにくいのかもしれませんけれども、そのために政府がいろいろな政策をというふうな形で、私はそのいろいろな政策の中身を、むしろ中身のポイントをお聞きをしているわけであります。 ちなみに、これまた先般発表されたことですが、経企庁の方で経済社会の長期展望、これを作成することになったということでございます。そしてまた、それは今後の新中期経済計画や第二次臨調最終答申などにも反映する内容にしたいというふうなことが報道されております。同時に貿易摩擦という難題を抱えた通商問題も一つの議論のテーマになるだろう。また、総合安全保障の中でとらえる必要があるということで、防衛問題と関連して論議されることもあるだろうというふうなことが報道をされておりますけれども、このねらいは、ここに報道されているということの内容で、中身とともにそれでいいのでしょうか。同時に、こういうことに気をつけてこういう対策をという二、三のポイントをむしろ私は具体的にお聞きをしたいと思いますが、このこともあわせてお尋ねをいたします。
○白井政府委員 先生御指摘のように経済社会の長期展望、この作業を経済審議会にお願いしたいと考えております。来週の十八日の経済審議会で長期展望委員会の設置をお願いして、そこでもって二十一世紀に向けてのいろいろな問題を御議論いただきたい、かように考えておるわけでございます。 なぜ長期展望をやるかという趣旨でございますが、御承知のように、わが国はこれまで欧米先進諸国を範といたしまして、それに追いつき追い越せというようなことを目標として経済が発展してきた。しかし今後わが国が進むべき方向につきましては、独自の道をまた模索しなければならないということが第一点。第二点といたしましては、現在新経済社会七カ年計画を持っておりますが、そこでもって出ておる高齢化の問題あるいはエネルギー問題という問題につきまして、むしろ深刻になるのは計画の目標年度を越えた二十一世紀にかけてであろうということで、その辺の長期的な視点からの考察が不可欠ではないかということでございます。そういうことでわが国の経済社会の長期展望をうかがうことはきわめて有意義であるというふうに考えて、経済審議会で検討していただくというふうに考えておる次第でございます。 なお臨調との関係でございますが、御承知のように第二臨調では、中長期ビジョンに基づいて今後の行政のあり方を検討するということを聞いております。経済審議会におきます経済社会の長期展望作業も、その臨調の議論に資するということができれば大変いいのではないかというふうに思っております。 検討の項目でございますが、大体先生の御指摘のようなことを中心にして、めりはりをつけた御議論を経済審議会の中で活発に行われるということを期待しておる次第でございます。
○中野(寛)委員 わかりました。なお具体的な、むしろ前向きのといいますか対応の内容についてのお尋ねを進めていきたかった、また御答弁もいただきたいのでありますが、先ほど来残念ながらそういう形での御答弁がいただけませんので、改めてまた後日、具体的なわれわれなりの御提案をも含めながらお尋ねをする機会を持ちたいと思います。 それでは続きまして、話題が全く一転をいたしますが、これもさきの委員会で私がお尋ねをいたしました生鮮食料品、とりわけ野菜の流通対策について残った時間お尋ねをさせていただきたいと思います。 この生鮮食料品等につきましては、その種類も多くございますし、流通経路もきわめて多様でございます。消費者物価の安定対策ということから考えれば、これはきわめて困難ですけれども、しかし第一義的に取り上げなければならない課題でもあります。そういう意味で最近の情勢を分析をいたしますと、昭和三十年代の経済の高度成長、これに伴いまして産地の大型化、出荷の計画化、そして産地の遠隔化が進んできたわけでありますが、同時に消費面でも所得の増大を背景にした消費の高度化、多様化が定着してまいりました。 このような生鮮食料品等に関する生産及び消費をめぐる状況の変化を背景として、流通の拠点市場としての中央卸売市場の整備が優先的かつ計画的に進められることによりまして、その集散機能は飛躍的に高まり、広域的な集散機能を備えた拠点市場を中心として、物流は全国的規模にまで広がったわけであります。 しかしながら、近年、いわゆる地場生産の衰退、拠点市場を中心とする生鮮食料品等の迂回輸送に伴う流通コストの増高と鮮度の低下、過密大都市における市場施設の狭隘化等が顕著に認められるようになり、そのことがいろいろな問題を起こすもとにもなっているわけであります。 私たちは、生鮮食料品等の生産及び流通の円滑化を図るために、もう一度今日まで進めてきた政策の効果を評価すると同時に、また見直すべきものは見直していかなければならないのではないだろうか、こう考えているわけであります。 そういう意味で第一点に御提案とお尋ねでありますが、広域的な集散機能を備えた拠点市場については、広域的な視点からの需給の調整、取引の適正化、円滑化及び転送秩序の確立等による物流の効率化を図り得るように、開設区域、開設主体及び市場の運営のあり方を再検討するとともに、産地と消費地を通ずる広域的な流通情報ネットワークの整備を図ること等が必要であると思いますけれども、今日までのこのような流通のあり方、そしてそのことがいわゆる転送というある意味では大変エネルギーを食ってしまう、そのような問題をも引き起こしている実態から考えて、いまの私の分析と提案についてどのようにお考えでございましょうか。お聞きをいたします。
○戸田政府委員 お答えいたします。 先生御指摘ございましたように、昭和三十年代の後半、経済の高度成長時代に野菜問題が非常に重要になってまいりまして、まずそのとき考えましたのは、大都市の野菜の価格を安定させることがまず必要だということを強く認識をいたしたわけでございます。 四十一年から実施いたしました野菜指定消費地域、指定産地の制度を考えてみますと、四十一年当時は京阪神と京浜ということで、わずか十一の都市でスタートをしてきたわけでございます。その後、だんだん地方の大都市、たとえば端的に申しますと、広島でありますとか仙台でありますとか、その次の第二の都市の野菜が重要だということで、四十年代の半ばにはそういうものにも手をつけていく。さらに、たとえば東京に例をとりますと、東京周辺の市がだんだん膨張してくる。そこへの野菜供給が重要になってくる。そういうところに野菜安定供給を図るための指定消費地域を拡大をしていくということで、野菜の安定供給をするための対策というのは非常に拡大をしてきたわけでございます。四十一年のときに十一都市というふうに申し上げましたけれども、現在では百三十七都市というようなことに拡張をしてきたわけであります。そういうことで、できるだけ全国の主要な都市を指定消費地域にいたしまして、そこへ向けての野菜の安定供給を図っていくということで、当初確かに野菜制度をつくりましたころは大都市中心というふうに考えておりましたけれども、だんだん地方の都市に、さらには大都市周辺の都市にということで徐々に対策を拡大をいたしておるわけでございます。 したがいまして、転送という問題がございましたけれども、転送問題が起きてまいります背景は二つあろうと思います。 一つは、やはり消費者のニーズが、何といいますか、いろいろな野菜を豊富に必要とするようになってくる。したがって、小売店がどうしても品ぞろえをしなければならぬ。そうすると、市場もそれに応じて品をそろえていかなければならぬ。しかし、荷引き力の弱い中小の卸売市場ではなかなか直接には荷が引けない。そういうことから、集散市場であります中央市場から転送を受けるというのが一つあろうと思います。このことは、できるだけ地方都市を強化することによって直接地方都市が荷引きできるようにしていくことが一番基本だろうというふうに思っておりまして、われわれは価格安定制度を行っておりますが、そういう中小の都市を非常に多く最近では対象市場にする。そうしますと生産者は安心してそこへ出荷できるわけでございますから、そういうものを通じて直接荷引きできるようにしていく必要があるだろうというふうに考えております。 もう一つの問題は、非常に量が少のうございますので、いまの輸送手段の一つではまとまらないわけでございますから、一度あるところへ集めて、そしてそれを小分けして配っていく、これは輸送上多少合理的な面もある、そういうところもないわけではございませんけれども、やはり何といっても地方都市が直接荷を引けるようにしていくことが必要であろうというふうに考えております。 それから、転送をめぐる流通形態につきましては、その取引が正常に公正に行われるようにわれわれもっとに開設都市あるいは卸売業者を指導しているところでございまして、多くのほとんどの市場におきまして、そういう市があるいは開設者が制度を定めまして、規則を定めまして、それにのっとって許可をしながらやっているというのが実態でございます。そういうことで、転送量自体は、私は、ある程度必要悪的な面もありますけれども、最近それほど増加しているというふうには考えておりません。
○中野(寛)委員 私は転送そのものを全くの必要悪だと、いわゆる悪だとか善だとかというふうな形で評価をしようとは思わない。それが必要ならばやはりやるべきです。しかし、もし少しでも安易にそれに依存をしてしまうということがあるならば、そこに問題が生じてくるということではなかろうか。だから、たとえば荷物を一たん中央卸売市場まで持ってきてそこからというふうに、物を動かすということをできるだけ避けて、むしろその中身を分析をして、そして生産地から地方の市場までそれをある程度分類しながら運べるようにする、そういうことがいわゆる机上においてできるとするならば、これはかなりエネルギーやコストの低下が期待できるということになっていくのではないか。大変それは複雑な構造が必要になってくるかもしれませんけれども、しかしそのことが消費者にとって、同時にまた中間のコストが節減されるということは生産者にとってもそれだけ潤いが出てくるわけでありますから、このような工夫というものを、困難ではあるけれどもそれだけに担当当局が御努力をしていただく必要があるのではなかろうか。これはいま、先ほど来このような問題が起こってきた原因について二つおっしゃられましたけれども、確かにおっしゃる要因はよくわかります。経済的要因、そしてまた、それに伴ってのいまおっしゃられた政策的なまた制度的な要因というものとが相まって、今日のような事態が生まれていることは事実であります。それはある意味では三十年代、四十年代の経済的要因にマッチさせるために政策をつくったと言っても過言ではないかもしれません。 しかし、その後の経済的要因につきましては、たとえば人口のドーナツ化現象が進んでいきますとかその他の要因が生まれてくる。それこそ目先のきく企業は、一方で大都市中心部の市場等の周辺がきわめて狭隘化したり道路事情が悪化してきたりそのようなことを見越して、それに対応するために、むしろ転送というふうなものをもっと企業の中へその作業を取り込んでいくというふうなことさえも現象として出てきているわけであります。言うならば、それは転送自体は決して悪いことではなかったけれども、しかし、そのことが生んできた弊害やそしてそのことをしてきた経済的条件、原因の変化というふうなものがその後あるわけでありますから、これに対応していく必要というものが生じたのではなかろうかという新しい事態と、それから、これから起こりつつある将来の問題とについて御指摘を申し上げているわけであります。これらについてむしろ前向きに御検討をし、そしてなお一層の具体的な御努力をされようという御用意はありませんでしょうか。
○戸田政府委員 中央卸売市場の配置は、かなり全国的に行き渡ったという感じを持っております。したがいまして、今後新しく中央卸売市場を開設をするところというのは、四十年代から五十年代の前半までのような数には今後はならないであろうというふうに思っています。むしろ先生御指摘ありましたように、大都市周辺の都市あるいは地方都市において地方卸売市場を整備、統合をし、あるいは施設の整備を進めることによって、そういう地方卸売市場の強化を図っていくということが必要だろうというふうに思っております。 たとえば、先ほどお話し申し上げたのでございますが、例を申し上げますと、京浜地方というのは私たち一つの野菜の大きな消費地域として考えておりますが、四十一年に始めましたときは、東京都と川崎と横浜というこの一都二市で仕事を始めたわけであります。その後、周辺の都市に地方卸売市場等を整備いたしまして、現在では一都二十三市でそういう事業を行っておるわけでございまして、そういう都市の周辺のところにおける指定消費地域の拡充、そこへの価格安定制度を通じての出荷の促進ということが基本であろうと思います。やはり物流の問題もさることながら、生産者団体があの市場なら安心して出せるという状況をつくっていくことがまず何よりも大事だと思いますので、そういう市場の整備と信用力の付与、同時に、そこに出荷して価格が低下したときには政策的な価格補てんの対象たり得るという条件を徐々に整備していきながら、全体的な大都市、地方都市、周辺都市を通じる野菜供給のネットワークをつくっていく必要があるだろうというふうに考えております。
○中野(寛)委員 ぜひその努力を前向きにお願いをしたいわけであります。そういう意味で私どももいろいろ考える中で、地方卸売市場については生鮮食料品等の流通網それから流通量等を分析し、考慮して、安定的な集荷の確保及び価格形成力の確保を図り、かつ転送に対する依存度をそれによって低下をさせるとともに、いわゆる地場流通の推進を図る観点から、市場の再編、整備、統合、そして卸売業者による共同荷受け等を推進するというふうなことが政策として当然必要になってくるだろうと思うわけであります。これらについては、決して都道府県等の指導に任せておればいいというものでもまたあり得ないのではないか。全国的な流通形態の中での位置づけを考えるわけでありますから、これは強力な農林省の御検討と指導、またそのための施策、助成が必要になってくると考えるわけでありまして、これらのことについて決して御答弁と方向が違っているとは思いません。むしろわれわれとしては、ともに前向きの考え方を持ちながらその施策を進めていく必要があると思いますが、この点についていかがお考えでございましょうか。
○戸田政府委員 前回もお答えしたかとも思いますが、私たちの市場の位置づけと申しますのは、中央卸売市場というのはおおむね人口二十万人以上の都市を中心にしながら広域的な流通を行う機能を果たしていく、同時に地方卸売市場はそれ以下の都市と申しますか、中小の都市に卸売市場を配置していくという基本的な考え方があるわけでございます。したがいまして、地方の都市には古い慣行を持ちますいろいろな地方卸売市場やその他の民営の市場等があるわけでございますけれども、そういうものを県別に、県の市場整備計画というものを立てていただきまして、地方卸売市場を強化し、整備していく。そしてそれに対しては国も助成していく。国と県が一緒になって中央卸売市場と地方卸売市場との間のネットワークをつくっていくという方向で現在第三次の卸売市場整備計画を、国の計画はつくりましたけれども、今後各県において新しく策定をしてもらうことになっておりまして、そういう過程を通じて、いま先生から御指摘がありましたように、中央市場と地方卸売市場との連携、ネットワークをうまく組みながら、野菜が安定的に供給できるようなことを積極的に進めてまいりたいと考えております。
○中野(寛)委員 若干質問の中身が違う部門に入るかもしれません。 たとえば今日のようなハウス栽培ですとかいうふうなことが行われていく。これは今日の流通だとか生産の過程においていろいろな工夫がなされた結果なんですが、消費者もある意味ではぜいたくになっているということが言えるでしょうけれども、それは消費者の要求に生産者が、または生産の形がこたえたというものもあります。同時にまた、今日までの生産、流通の制度、そういうものの努力によって大型化していく、その大型化していく中で消費者の、こういう言い方はどうでしょうか、甘やかすというか、消費者の意識をそっちの方に助長していった。そういう一面もまたあるのではないだろうか。むしろエネルギー事情等を考えて、もう一度消費者自身もみずから反省をし、かつ、新しいこれからのいろいろな経済条件の中での農業、生産に対応する消費のあり方というものも考えていかなければいけないんじゃないだろうか。たとえばハウス栽培でりっぱなものがいつでもできる。しかしいわゆるハウストマトにたとえればビタミンC一ミリグラムの生産に要する投入エネルギーが六十ないし八十キロカロリー。露地物だとせいぜい二キロカロリー。言うならばハウス物は露地物に比べて三、四十倍のエネルギーが必要だ。そのエネルギー源は化石燃料が六五%を占めている。言うならば、圧倒的に石油エネルギーの消費によるわけであります。石油づけの農業と言われるのもここに原因があると思いますし、先ほど来の転送などというものが相変わらずそのまま継続され、そしてそれは決して非効率的なものではないんだという評価の面だけで進められていくとするならば、それはそれでまた道路事情の悪化や輸送費の問題等を起こしてくるというふうなことにもなるだろうと思うわけであります。生産と輸送、そういう両面から、エネルギーの問題はこれから決してばかにできない一つの課題を与えてくるのではないだろうか。今日段階で石油の値段が落ちついておりますから緊急な問題認識を持たないかもしれませんけれども、将来のことを考えれば、このようなことも考え合わせ、地場流通、生産、そういうものになお一層力が入れられるべきであろうというふうにも思うわけであります。そういう観点からのお考えもあわせてお聞きしたいと思います。
○戸田政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、野菜が本当にしゅんのときに消費されるということは恐らく一番望ましいことだろうと思います。先生もおっしゃいましたけれども、どちらが原因でどちらが結果であるか定かではございませんけれども、とにかくいずれにいたしましても、現在では冬に雪の降るところにキュウリを供給しなければならないということは変わりがないわけでございまして、たとえば一月のキュウリのCPIに占めるウエートは一五もございまして、キャベツが一七でございますから、それに匹敵するキュウリのCPIに占めるウエートがある。確かに、つくったから消費するのか、消費があるからつくるのかわかりませんけれども、現実にそういう需要があるということは確かでございます。野菜はしゅんの物が一番おいしいし、健康にもいいという気持ちを個人的には持っておりますけれども、現実の野菜供給となりますと、年間を通じて、周年供給をしていかなければいかぬということは否定できないと思います。先ほどトマトのビタミンC当たりのエネルギーの問題がございましたけれども、計算の仕方でいろいろありましょうけれども、ハウス物のエネルギーがかかっていることは間違いないわけでございますから、エネルギーの問題から考えても、そのことは必要だと思います。しかし、そうは言っても、消費者のニーズに対しては的確にこたえていくとすれば、暖地といいますか、冬場においてもエネルギーコストのそうかからないようなところに立地を求めて供給していく、そして省エネルギーを進めてできるだけエネルギーを節約するような供給をしていくことが必要なんだろうと思っております。地場消費地場野菜、これは本当にわれわれも、先日もお答えしたと思いますが、地場野菜、一ころと違いまして、高度成長期よりも若干都市近郊における野菜の産地の減り方が少なくなっておりますので、こういう機会を通じて地場野菜を一層振興していきたいという気持ちは非常に強く持っているわけでございます。たとえば、また具体的な例を申して大変恐縮でございますが、六月に東京都に入ってまいりますキャベツは何と東京都下産が五割以上あるわけでございます。十月から十一月にかけても都下産が入ってくるわけでございます。そういうふうにある時期、しゅんの時期には地場野菜は非常に強い供給の力を持っております。しかしながら東京都下ではどんなに考えても夏場と冬場はキャベツはできないわけでございますから、そのときば若干遠隔地から供給せざるを得ないということも御理解いただきながら、地場野菜の振興に今後一層努力してまいりたいと思います。
○中野(寛)委員 時間が来ました。最後に経企庁の方にお尋ねしたいと思います。 農林水産省の方でいろいろとこのことについては、いまの質疑応答でもおわかりのように、大変御努力をなさっていることはおわかりでしょうし、私どももそれなりに評価するところであります。一方で昨年の予算の中で五百億円の物価対策費等を組んだこともございました。それが時間を経るにつれて、一時的に物価が上がった、とりわけ生鮮食料品の問題が云々されました、そのときにも、その五百億円の金の使い道についてみんなで四苦八苦したというきわめてこっけいな出来事、こっけいなと言っては語弊があるでしょうが、出来事がありました。しかし、いまのこのような生産の過程の中でやらなければならないたくさんの仕事、そしてまた、それに必要な経費というものがあるわけであります。先般、行管庁が一部こういう問題について検討した経緯がありますけれども、行政管理という立場よりも、経済企画の立場から、農林水産省等と協力をして積極的にお取り組みになり、そしてその対応を進めていくということがむしろ必要ではないかな、このように私は思うわけでありますが、最後に経企庁のお立場をお聞きして質問を終わりたいと思います。
○廣江政府委員 野菜を含みます季節商品が物価に対して非常に大きな影響があるということは、昨年及び今年の例が顕著に教えてくれるところでございます。そういうことにかんがみまして、本年三月中旬に決定をいたしました総合経済対策の中におきましても、野菜については特に力説をいたしておるところでございまして、基本は、供給の安定を図るという点が一つでございます。それから、流通の問題といったようなものも非常に重要でございます。こういうものはそのときになってやるということも必要でございますが、前もって十分準備をしなければいけないということも御指摘のとおりでございます。そういう点を勘案いたしまして、同じく総合対策におきましては、ことしの物価対策費については、すでに予算に計上いたしておりますいわゆる物価対策費のほかに、それを含めまして一般会計の機動的な運用によって万遺漏のないようにしなければいけないということをうたっておるわけでございます。こういうものを基礎にいたしまして、私どもとして、先生の御趣旨もよく踏まえまして、常々関係の省庁、わけても農林水産省あたりとは十分に協議をいたしまして、遺漏のないようにしたいと思います。 具体的な問題で言いますと、野菜については先ほど供給の問題が重要だと言いましたが、「十分な作付を指導するなど」というようなことで、ことしの総合対策にうたっておりますが、そういうものが実現されるためにはいろいろの情勢を勘案してやらなければいけません。そういうものを十分に考えながら、遺漏のないようにいまから手を打ってまいりたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 まさに生鮮食料品は季節や気候に影響されることが多い、いわゆる不確実性の要素が多いわけであります。それだけに人為的な工夫というものがなお一層望まれるということにもなろうかと思うわけであります。そういう意味で、なお一層の御努力をお願いして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十四分散会