大蔵委員会 第25号
- 発言数
- 201 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/04/22
会議録
○綿貫委員長 これより会議を開きます。 脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案、この件について若干質問をしたいと思うのでありますが、私は一番最初の質問でございますので、きわめて原則的なことからお伺いしていきたいと思うわけでありますが、今度の法律の内容的な骨子というのは、国税通則法ができるに当たって出されました税制調査会の三十六年七月でございましたか、この答申の中身にほぼ沿っているわけであります。三十七年国税通則法が出されたときにはこの部分は削られたようでありますけれども、その後ほぼ二十年たってこれが日の目を見るということになっているわけでありますが、それはこの委員会でも脱税について今日までいろいろな議論があり、また附帯決議も何度かついてきた。また五十四年の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会でも、脱税事犯についての刑の加重、公訴時効期間の延長、これを図るべきことが提言で述べられているわけでありますけれども、今日の時点で、主に三つの内容を含んでおります三十六年当時の答申が、もう一回生きてきたという背景はどういうことなのか、まずそのあたりから御説明いただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 いまお話しのございますように、納税環境の整備を図らなければならないということにつきましては、三十六年七月に税制調査会の第二次答申というのがございまして、その中でこれの中の一部分の内容が現在国税通則法になっておるわけでございますが、さまざまな御提案があったわけでございます。その中で法制化するものは法制化してまいったわけでございますが、その後の税負担の状況なり国民の間での納税環境の整備に対する非常に強い世論の形成、それから税務執行面における現実の困難、そういうさまざまな事柄の発展を受けまして、実質的な負担の公平の確保を図るということの必要性についての各納税者、国民皆様方の認識というのは非常に高まってまいったと私どもは思っておるわけでございます。 そこで、たびたびこの委員会でも附帯決議なり御質問をいただきまして、除斥期間の延長、罰則の強化等を図るべきであるという御指摘をちょうだいいたしておりまして、私どももその線で検討を進めてまいったわけでございますが、昨年の十一月七日に税制調査会から中期答申というのが出てまいりました。中期答申にはさまざまなポイントがございますけれども、大きく申してその中の四つのポイントの一つに納税環境の整備という課題が上がってまいりました。それは執行面で把握差が生じやすく、実質的な負担の公平の確保の面で批判が少なからず見受けられる。とりわけ個人が稼得した所得に対して直接に負担を求める所得税については制度上、執行上の公平確保が一段と強く要請されるから、これまで以上にこれらの問題に配意して広範な角度から検討することが要請される、こういう問題意識でございまして、その中にたとえば記帳水準を上昇させるようにいろいろな執行上の工夫をこらすべきであるということと並べまして、法的な措置として、除斥期間の延長を図ること等によって把握差をできるだけなくすような工夫を重ねる、こういう御指摘をいただいたわけでございます。 そこでただいまお尋ねのございますように、私どもといたしましては、納税環境の整備の一環として、今回除斥期間を延長すること、それからその延長された除斥期間に対応いたしまして、時効制度についての手直しを行いますこと、それから罰則の整備を図りますこと、この三点を主要の内容とする法案をつくりまして御審議を仰いでおる、こういう次第でございます。
○佐藤(観)委員 確かに三十六年当時から見ますと、国民の方の意識も、脱税というものに対する罪の意識と申しますか、反社会性というものに対する批判というのは恐らく強くなったのだろうと思うのであります。ただ、これがことし急に大きくなったのかということになりますと、何もことしだけではなくて、ある意味ではもっと前から少なくも脱税というものに対する国民の怒りというものはあったのではないだろうか。それがいわば今日までそのことが放置をされてきた。その原因というのは何なんだろうか、このことがちょっとわからないのであります。重ねて、その点だけで結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 昭和三十六年に答申がございました当時は、後から国税庁から詳細お答えがあると思いますが、国税のいわゆる実調率と申しますものは、所得税でたしか二割、法人税で四割くらいあったと思います。現在は法人税で一割、所得税で五%程度かというふうに承知しておりますが、そういうことも一つ税務の執行が非常にむずかしくなってまいった、納税者の数がふえてまいってむずかしくなってまいったということ。それから大部分の方、これはもちろん申すまでもなく非常に正確に所得を計算をして申告していただいているわけですが、そうでない方々につきましては、脱税のやり方というものが非常に巧妙、複雑化している。それは経済取引そのものが非常に大規模化する、複雑化するということの反映でもございます。また広域化してまいるということで、真実の所得の発見ということについての困難が次第次第に増してまいったということもございます。 そのほか、最近では納税意識というものが非常に高まってまいりまして、こういうふうに財政がむずかしい状況にあるときに、脱税を放置しておくことはできないという世論が高まってまいって、現に五十四年の八月の総理府の世論調査でも、一億円以上の脱税は何の罪に相当するかといいますと、強盗だと言った方が三五%もあられるというようなことで、脱税に対する制裁、脱税の可罰性についての社会の認識というものは急激に高まってまいったということもございます。 非常に長くなって恐縮でございますけれども、従来からこの問題を検討してまいりましたが、今回、国の債権の時効の問題とか経済法なり私法の実体法の問題とか、それから外国の法制とか、それから国税庁の執行の問題、さまざまな問題につきまして検討を加えまして整理した結果、いまお手元に御提案をしておる法律をつくったというのが、いまのお尋ねに対するお答えでございます。
○佐藤(観)委員 次に提案理由の説明でいきますと、第二項目目の問題であります。つまり「所得税、法人税、相続税及び贈与税の脱税犯に係る法定刑の長期を間接諸税のそれに合わせ、三年から五年に引き上げることと」するという問題についてお伺いをしておきたいと思います。 今日まで直接税関係の懲役刑と間接税関係の刑事罰、法定刑につきましては三年と五年という差があったわけですね。この差というのはなぜ今度の法律でなくなったかということについては、またお伺いいたしますが、今日までの法律で、この直接税と間接税に対する刑事罰に差を設けていた、これはどういう思想に基づいたものなんでしょうか。
○高橋(元)政府委員 三十六年の税調の第二次答申の中にも述べられておりますが、三年と五年の法定刑の長期の差というものは、沿革的な理由によることが多いと思います。明治以来租税刑罰というのは財産刑という考えでございまして、国庫に対して財政上の損失を与えた、そういうことに対する非難という形で脱税犯に対する罰金刑というものが終戦の当時まで続いてまいったわけでございます。したがって、罰金刑にしましてもいわゆる定額刑でございまして、脱税額の三倍とか五倍とかというものを罰金として科するというようになっておりました。それから間接税の増徴ということを戦時財政下でやりましたときに、租税犯の悪質性というもの、社会的な可罰性というものを強調するために、五年以下の懲役という自由刑が導入されたのが昭和十九年でございます。そして終戦後になりまして申告納税制度が導入されて、それまでは非常に少なかった所得税の納税者が一挙に広がったわけでございます。その段階で、申告納税に係る所得税、法人税等の直接税につきましても、偽りその他の不正の行為によって税を免れるということに対する可罰性は間接税の場合と同様に自由刑をもって制裁されなければならない、こういう思想になりまして、たしか昭和二十二年の春に一年という懲役刑が導入されたわけでありますが、一年ではどうもバランスがとれないということでその年の暮れに三年というふうに延長されまして、その後現在に及んでおるわけでございます。 脱税という点では間接税、直接税それぞれ国の財政権を侵害する、また他の善良な納税者に迷惑をかけるという意味では、法益という点では大きな差が全く認められないというふうに思うわけでございますが、いままで直接税、間接税で脱税犯の法定刑の長期に差がありましたのは、その沿革が一番大きく影響しておるという考え方を私どもは持っております。
○佐藤(観)委員 しかし、歴史的に直接税に対するものと間接税に対するものとが刑罰に差が設けられていたというのは、直接税の場合にはいわばみずから申告をする、本来なら国に納めなければいかぬ税金をみずから偽って納めない、強いて言えば、罪の性格からいいますと詐欺罪的要素だ、ところが間接税の方は人様のものを預かっていてそれを国に納めない、これは横領罪的な性格だということで直接税と間接税の刑事罰について今日まで差を設けてあるということが三十六年の答申にも書かれているわけでありますが、この法案を直す前まではこういう思想のもとに皆さんの方は説明をされ、また考えられていた、こういうふうに考えてよろしいのですか。
○高橋(元)政府委員 三十六年の第二次答申でも、直接税、間接税の罰則について差を設けておく必要はないのではないかという考え方がとられてはおったわけでございます。しかしながら、三十六年当時の国税通則法の制定、現実の立法化という段階では罰則の整備というところに及ばなかったわけでございます。それは間接税が横領だから、直接税は詐欺だから、こういうことで横領よりも詐欺の方が、何といいますか侵害された財産を返還すれば足りるという考え方があった、そういうことも御指摘の答申の中にはああいうふうに入っておるわけでございますが、私、刑法については非常に暗いわけでございますが、詐欺罪、横領罪それぞれの刑法上の刑の長期というものはむしろ詐欺の方が重いわけだというふうに聞いております。ただし、間接税は詐欺と横領と二つの罪が牽連犯ないし観念的競合という関係でやっておりますから、いずれにしても、刑法上の犯罪になぞらえて申しますと、直接税が国に対する詐欺であり、間接税が担税者に対しては横領であり、国に対しては詐欺であるということだといたしましても、それをもし刑法で律することが可能だとした場合には同じ重さの罪であるということは当時から考えられておったわけでございます。 そういうことで今回改正をお願いいたしますのは、いままでの長いいきさつというものはございますけれども、財政権と申しますか、国民の間の本来平等、公平であるべき租税負担に対する侵害という意味での社会的な可罰性は直間両税において差がないということに着目しての改正でございますことを御理解いただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 ちょっとこだわるようですが、直接税、間接税の刑罰について、いわば横領罪あるいは詐欺罪的な性格ということで説明されることもわからぬわけではないのです。ただ刑法では詐欺罪の方が十年で重くて横領罪の方は五年で軽いのですよね。その意味ではむしろ直接税の詐欺罪の方が、本来直接税に対する罪の方が重いという方が刑法の体系の中では均衡がとれているのではないだろうかと思うのですが、これは逆になっているわけですね。 いずれにしろ、答申でそう言われたといっても法律では今日まで生きていたわけでありますし、直接税に対する刑罰と間接税のそれとは差が設けてあったわけですから、それはそれなりの意味があったのだと思うのです。ところがその詐欺罪と横領罪がその意味では逆になっているということで、逆というのは、要するに直接税に対する刑罰と罪の性格が非常に似ていると言われる詐欺罪の方が十年で、間接税の横領罪の方が五年になっているというのは、罪の性格ということから言うとその辺のところがどうもよくわからないので、これは法務省の刑事局は御専門じゃないかと思うのでちょっと御説明をいただきたいのですがね。
○飛田説明員 私どもとしては所管庁ではございませんので、直接税及び間接税の沿革というものをそれほどよく承知しておりませんし、それから先ほど来御議論の議題になっております答申もちょっと読んでおりませんので、直接税が詐欺罪的であって間接税が横領罪的だということになっているようでございますけれども、それはあくまで比喩的な表現で使われているのではないかというふうに推察しているわけでございます。 それで構成要件的に考えました場合に、「偽りその他不正の行為」あるいは「詐偽その他不正の行為」というような言葉の使い方で脱税犯が規定してあります以上、考えようによっては詐欺罪的なものだということには説明がつくかと思いますし、また国家に対して偽りその他不正の行為をして財産上の利益を得ることがあれば類型的には詐欺罪的なものであろうということは、それは説明としては理解し得るわけでございますけれども、脱税犯の本質というのがあくまで適正な、公平な徴税に対する挑戦的な犯罪であるというふうなことでとらえますと、刑法上のどういう犯罪に類するかということよりは、本来の行政目的を達成することに支障を来す犯罪ということで行政犯の範疇でとらえることの方がむしろ正当ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○佐藤(観)委員 そのことも私はわかるのですが、ただ、なぜ私がそういうことをお伺いするかというと、後でもお伺いしますけれども、罰金刑について、これは金額にもよりますけれども、間接税の方は従来どおりいわば重い性格をまだ与えているわけですね。そうなってきますと、直接税、間接税の刑法上の罪というものが一体どういうふうに違うのかという分かれ道をはっきりしていかないと、罪の性格がよくわからないということから、確かに片方は横領罪で、片方は詐欺罪だということで単純に分けることのむずかしさもわからないわけではないのでありますが、従来から間接税の方が国犯法ですから重いのですということで、ずうっと実際の執行面でもきて、その理屈づけが詐欺罪と横領罪と非常に説明がしやすいということで三十六年の答申にもそう書かれているということなんで、なぜ直接税と間接税とはそう分けられているのかがどうもはっきり私ものみ込めないものですからお伺いをしているわけです。 ちょっと前に進みまして、主税局長、今度の改正の中でそれに関連をいたしまして、相続税法の六十八条と入場税法の二十五条が改正になっているわけであります。どこが改正になっているかというと、現行法では相続税の六十八条が「詐偽その他不正の行為により」となっているわけですが、改正では「偽りその他不正の行為」となるのですね。そのことは入場税法でも二十五条の罰則のところで同じように書かれているわけであります。これはたしか所得税法でも同じような改正がなされているわけでありますが、一体この場合、「詐偽」と「偽り」はどう違うのでしょうか。「偽り」の方がやはり範疇が広いのでしょうか。どういうことでわざわざ全部直すのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 昭和二十二年に所得税法に脱税犯に対する罰則が導入されましたときの表現は、たしか私の記憶でございますと、詐偽その他不正の行為というふうになっておりました。昭和四十年に所得税法と法人税法の全文改正をいたしました際に、それを「偽りその他不正の行為」、全く同じ内容でございますが、そういうふうに表現を改めたわけでございます。 今回罰則につきましての整備をお願いいたします際に、従前からの表現でございます相続税、入場税等につきましては、ただいまお尋ねのように、「詐偽」という字を「偽り」というふうに直しておりますが、これは所得税法、法人税法、そういうものを全部合わせまして行政刑法について偽りという言葉を使いますその表現に統一をしたということでございまして、別にこれによって構成要件に変更を生ずるものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 私が大蔵委員会にいる十一年でも、相続税法と入場税法は何度か出ているわけです。そのときには全然、そのぐらいの意味なら、改正でも出てこなかったのですが、今回の改正の中で「詐偽」が「偽り」という字に変わっているものですから、これは全くいわば字句修正で、性格の中身は何ら変わらない、こういうふうに理解しておいてよろしいのですね。
○高橋(元)政府委員 そのとおりに御理解をいただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 ちょっとそのことを確認したら先へ進みたいのでありますが、そうなりますと、今回の改正で刑事罰についての長期については、直接税、間接税両方とも差がなくなるということは、いま高橋主税局長からもお話があったように、三十六年の税調の答申の中にもこれは本来一緒にしてもいいものではないかということも出ているように、本来直接税と間接税の脱税に対する刑罰は、いまの社会的ないろいろな環境からいっとも同じだというふうに、いわば三十六年答申の精神をいまになって生かしたと理解をしていいのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 三十六年の第二次答申の中にも、いま佐藤委員からお話がございましたように、直接税の脱税犯は単なる国の財政権に対する侵害にとどまらなくて、国民の租税の均衡負担利益の侵害であって、そのような租税法秩序に対する侵犯だからという表現が出てまいります。それが今日まで——先ほどお答え申し上げておりましたような、納税思想ないし納税倫理に対する強い国民の要請が高まってまいった時点で、いずれも同じ租税法秩序に対する侵犯である、それが刑罰をもって守るべき法益であるという考え方によって、直接税、間接税、あわせて刑の長期を五年という改正をお願いいたしたわけでございまして、佐藤委員御指摘のとおりでございます。
○佐藤(観)委員 次の問題にいくのでありますが、罰金刑の方ですね。これは今回さわっておりませんから、直接税関係のものについては五百万円以下の罰金ということになって、脱税額が五百万円を超えるときはその脱税額相当額以下の罰金にしなさいということになっていますし、間接税関係の酒税とか物品税等々は五十万円以下の罰金、そして、脱税額の三倍が五十万円を超えるときはその脱税額相当額の三倍以下の罰金、こういうことで、間接税の方についてはかつては十倍というものが、三十七年でございましたか、三倍というふうに直されているわけですね。罰金刑の方についてはもちろん一件当たりが五十万円、直接税の方は五百万円という数字の差がありますから、額によって重い、軽いは違っておりますけれども、脱税額の三倍が五十万円を超えるときはその脱税相当額の三倍、アッパーリミット、三倍まで科することができるとなっていることは、間接税の方の罰金刑については直接税のものよりも重いということになってくるのではないか、もちろんこれは額にもよります。そうなってきますと、刑事罰の方は一緒にしたけれども罰金刑の方は違いますよといいますと、私も法学部出身じゃないから必ずしも刑法全体の体系がわかっているわけではないけれども、どうもその辺で、脱税というものに対する考え方の直接税に関するものと間接税に関するものと性格が統一されていないのではないか。やはりまだ間接税の方が、他人様のものを預かっているのだからこちらの方が重いという思想、残滓が実はこれには残っておるのじゃないかということで、私は今度の法案の中身について整理をするのに非常に困っているのでありますが、この罰金刑の方については、脱税額相当額の三倍以下の罰金ということでこの倍率が設けられ、それがそのままになっておるということはどういうことなんでしょうか。これはやはり、間接税の方が財産侵害権という意味から言えば重いのですよということなんでしょうか。どうもその辺は、法律の精神というのか体系、そういった面からいきますと統一をされていないのではないかという気がするのでありますが、その点はいかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 一つ、罰金刑の多額というものが所得税ないし法人税の場合には五百万円で、酒税、物品税等の間接税では五十万円である、この差があるではないかということがあると思います。これは実は、所得税、法人税は年税でございますから、年を通じての所得計算、それに基づく申告に偽りまたは不正の行為によるごまかしがあるという場合の罰則でございます。間接税は大体月税でございますから、月ごとに税額が決まって月ごとに租税債務が確定をいたします。したがいまして、一年という期間をとりまして、継続して脱税しておった場合には、罰金刑の多額は所得税が五百万円、間接税の場合は五十万円掛ける十二、牽連犯ですから、十二倍になる、こういう意味で、その多額については均衡がとれておるというふうに理解しております。 次のお尋ねはスライド率が違うのではないかということでございますが、これは昭和二十五年、終戦直後をとりますと、所得税、法人税は脱税額の五倍相当額以下という時代がございました。それから間接税は終戦当時、昭和二十四年には十倍相当額以下だったわけでございます。直接税の系統につきましては昭和二十五年に重加算税制度というものが導入をされまして、当時は追徴税が五〇%、これは新しく設けられたものでございますが、重加算制度が導入されたことを理由として脱税相当額以下というふうに改められた。一方で間接税の方は三十七年に、十倍相当額以下といいましても実際の執行状況と乖離している、それから間接税には重加算税がないということで三倍相当額以下になったわけでございます。したがいまして、スライド率が違うという点につきましては沿革的な事由もございますけれども、所得税には別途重加算税というものが設けられておる。仮装、隠蔽によって税を免れた場合には現在では本来取るべき税金の三割を重加算税として取るわけでございますが、そういう制度があることも考慮されたものであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 経緯のことは私もわかるのであります。ではいま局長が言われた問題の一つの方でもう一回お伺いしますが、歴史的な経緯は確かに五十万、直接税の方が五百万ということになり、またその性格が違うこともわかるのでありますが、実際に間接税の場合、何か脱税の事案があったとする。その際に一体、いわば五十万というのは一件当たり、脱税一件につきみたいなものですね、それは月ごとの納税でありますから、その意味では月ごとと言ってもいいかもしれません。いいかもしれませんが、脱税があったときに実際にそれじゃその月だけ調べて、はい終わりですということはないのじゃないでしょうか、現実には。やはりそういうことになりますと、これは前にさかのぼるだろう。ということになりますと、いま一件当たり五十万、いわば一件当たりという言い方は正確じゃないかもしれませんけれども意味的にはそういうことだと思うのですが、五十万にしていくというのは、これも余り意味がないというのか、直接税との均衡の問題からいってみても、刑事罰の方は一緒にしたと言いながら罰金刑の方はどうもその点は均衡を欠くのではないか。いま局長は五十万掛ける十二だから大体六百万と想定していますということですが、五百万対六百万という問題、片や確かに重加算があったりということがありますけれども、刑事罰の方は基本的な性格を直接税の脱税であろうと間接税の脱税であろうともう社会的にはどちらも同じなんだということでいくならば、この罰金刑の方もやはり物を統一して考えるというのが同じ刑法的な罪刑に対する体系からいったら一緒じゃないか。どうもここは、まだまだ間接税の方は人様の預かり金の横領だ、ですからこれは税はもっと厳しくぴっちりやってもらわなければいかぬのだという思想がふっ切れてないですね。確かに三十六年の税調答申にもそのことまでは触れておりません。十倍は高過ぎるのじゃないかというので三倍に直したわけでありますけれども、どうもその辺のところがはっきり、同じ脱税という事案に対する罰金ながら刑事罰に対する考え方と罰金、財産刑ですね、これに対する考え方とが何か分離をしている。それはいまだに間接税に対する脱税の方が重いんですよという思想というのか観念というのか、これをまだまだ残している感があるのですね。 もう一回問題を整理してお伺いしますが、間接税の方のいわば一件当たり月当たり五十万という、こういうやり方というのは余り現実には合わないのじゃないだろうか。それから果たして倍率を設けているということが、最高刑を五年にしたというバランスからいったら、倍率をたとえば三倍にしても、これは少なくも刑事罰が同じで罪も社会的にも同じと考えられるという観念からいくならば、倍率も要らなく、また直接税と同じような罰金刑にしてもいいのではないか、こう思うのでありますが、再度お答えを願いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 まさに直接税につきましても間接税につきましても、社会的な非難の程度をあらわす刑の長期または罰金刑の多額という点では差があるべきでないという御指摘をいただきまして、そのとおりに私ども考えておりますが、間接税の場合には罪数というものをやはり考慮に入れなければならない。これは申告期限が参る、そのときまでに偽りまたは不正の行為をもって税を免れておるという場合には罪が完成をしてしまいますから、間接税のように毎月申告期限が参るものにつきましては毎月の経過によって脱税犯がその都度成立していくわけであります。したがって、一年を通じれば十二回。ところが直接税であります所得税につきましては一年に一回、法人税も一年に一回または二回ということで、そこは罰金刑の多額の場合にはバランスがとれておるという御説明を先ほど申し上げておる次第でございます。間接税の場合、それではスライド条項が三倍であって直接税が一倍である、そこはアンバランスではないかということでございますけれども、スライド条項は重加算税による行政上の制裁、それから裁判所によりますところの罰金の宣告によります財産上の制裁、あわせてやはり考えてもいいのではないかという二十五年以来の考え方というものをこの際私どもは変更いたすだけの勉強が実はできてなかったわけでございますので、現在の制度をもって直接税、間接税の間に罰金刑につきましてもバランスがとれておるというふうに考えておるわけでございます。実際の宣告された刑で申しますと、私ども承知しております限りでは大体脱税額の二、三割というものが罰金として宣告されておるということだというふうに承知しております。
○佐藤(観)委員 どうもいまの局長のお話を聞いていますと、間接税の方は事実上、たとえば酒税の場合にはあれは翌々月納付ですかということになって、いわば徴税当局から見れば発見する機会がきわめて早いということがどうも差のようでありますが、しかしそれだって刑事公訴訴追の期間は一緒なんですし、ですからその意味では私はそんなに変わりないだろうと思うし、間接税の方だって、では脱税があったその何月だけですよで、はいそれでおしまいという調査では現実ないと思うのですね。そうなってきますと、そんなにあえて分ける必要があるのかということはもう一考の必要があるのじゃないか、刑事罰の方は一緒にしてと言ったならば。どうもいまの局長のお話を聞いていても言葉の端々には、そうは言っても間接税の方は人の税金を一時預かっているのだからという、いわゆる戦前以来の国の徴税機関の末端のような感じの、酒税にしろ、その他の間接税というのはどうもまだそういう思想的な残滓が残っているように思えてならぬのであります。これ以上この問題ばかり追及している時間はありませんけれども、もう一度罰金刑についての直接税、間接税のバランスについてもひとつ今後考えるべきだと思いますが、その点についての姿勢だけお伺いして、次の問題にいきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 ただいまいろいろお話がございまして、私どもも今後納税思想ないし納税秩序の確保ということのために罰則のあり方、これは国民の間の税意識の向上ということと相まってまた変化してまいるわけでございますから、そういうものを見合わせながら将来深く検討してまいりたい課題の一つというふうに心得ております。
○佐藤(観)委員 次に、ちょっと抽象的な言葉になるかもしれませんが、日本の場合、とかく脱税というものについての考え方というのが、外国に比べると甘いのではないかという言われ方をするのですね。刑法全体の体系の中の一つ、あるいはこれは刑法の体系の中とはいいながらも、片方ではやはり税に対するものでありますから、完全に刑法の体系の中とはまた言えないのかもしれませんが、そういった体系が違う諸外国と比べることがどれほど意味があるかはまたなかなか専門的な御議論があることだと思うのですが、今度の改正される、最高刑を五年まで延ばすという、たとえば五年にした場合、重くなることは間違いないわけでありますが、これは諸外国に比べてみて、日本の脱税に対する考え方というのはどういう位置づけになるのでしょうか。その点、法務省いかがでございますか。
○飛田説明員 諸外国の税制と、それからその税に対する違反の刑についてさほど十分調べているわけではございませんし、具体的には諸官庁でいろいろな諸外国の実例をお調べのようでございますけれども、一般的に申しまして、国情や制度がそれぞれ違っている諸外国と比べても、必ずしもぴたっとするような比べ方はできないと思いますけれども、一概には申せませんけれども、諸外国の脱税に対する罰則はわが国の場合と比べて決して軽いとは言えないというような状況であろうと思います。 罰則につきましてもいろいろ段階を設けて、情状の軽いもの、重いものというふうに分けて規定しているところもございますし、わが国の場合にはわりあいそういうことを一まとめに規定するものですから、そういうことでちょっと比較はできませんけれども、少なくとも今度五年になったといたしましても、決してわが国が諸外国に比べて重過ぎるということにはならないというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 確かに答弁にありましたように、私もそれはただ重くすればいいというものでもまたないと思うのですね。これはやはり国民の意識なり、社会的にどう考えられているかという問題とのバランスがあって刑というものは決まってくるんだと思いますので、恐らく三年の次は五年というのは一区切りだし、五年の次は七年というのは一つの区切りであると思いますので、それはそれとして、あわせてちょっとお伺いをしておきたいのは、国税庁から脱税について告発がある、おたくの方で受理をし、そして告訴をする、裁判手続をとられていくということになるのでありますが、これもまた多ければいいというものでもないし、またそれは少な過ぎるじゃないかというのもおかしな話ですが、いまどのくらい脱税に対する告発が行われ、受理をして告訴までいくというのは一体どのくらいの割合になっているのでしょうか。そして、強いて告発はしたけれども、これは裁判にはたえないということで却下する場合もあるのじゃないかと思いますけれども、国税庁から上げてきたけれども、それはちょっと無理ですというようなのはどういうケースがあるんでしょうか。
○飛田説明員 まず大ざっぱに数的なことで申しますと、私どもの統計のとり方と、それから国税当局の統計のとり方ではちょっと違いまして、私どもは刑事事件として統計をとる場合に被疑者ごとに一件と数えます。ですから、法人税のような場合には被疑者とそれから法人と両方が立件されますので、これは二件というふうに数えることになるわけでございますけれども、数字で申しますと、私どもとして全国の検察庁で受理した件数で申しますと、昭和五十二年には二百六十九件、それから五十三年には二百八十二件、五十四年には二百六十件と、大体二百件から三百件台の間のかなり高い数字を全国の検察庁で受理して、それを検察庁で処理しているわけでございます。大体検察庁で受理する場合にはもうほとんどと言っていいほど国税当局からの告発によって受理しております。告発によって受理したもののほとんどと言っていいものは起訴しております。そしてまたそのほとんどは有罪になっております。告発があったものについてはほぼ全部起訴しているというのはどういうわけかという御疑問があるかもしれませんけれども、告発を検察庁で受ける前に担当検事が国税当局の当該事件を査察調査しておられる方と十分打ち合わせいたしまして、証拠が足りない分については、その分が足りないことを御指摘申し上げまして、十分協議して公判にたえ得るものを告発していただく、こういうふうなかっこうになっておりますのでほぼ全部ということで、告発を受けながらこれはとうていだめだということで起訴しないというものはほとんどございません。
○佐藤(観)委員 次に、今度の改正で法定刑の長期の引き上げに伴って刑事訴訟法の規定によるこれらの脱税にかかる罪の公訴時効期間も三年から五年に延長されるわけですね。ところが、五年に延長されますけれども、後で触れますいわゆる更正、決定等の除斥期間が五年から七年になることによって、いわばまた二年間、つまり税の方で調べたけれども、これは確かに六年前は脱税やっているのだけれども、これは公訴できませんということになって、また二年間空白ができるわけです。これは確かに五年と三年のときにあった問題でありますけれども、公訴が七年もできるということはやはり全体のバランスから言ってまずいということなのか、それとも実際に裁判ということになれば、それだけの物証をそろえなければならないわけで、それがなかなかむずかしいということでやったのか、それとも単なる延長で二年ずつ先にいっただけの話なのか、これはやはり大きな事件が起こりますと不満が起こるのは、確かに税では一生懸命追っかけているのだけれども、もうその点は時効になりました、刑事的な責任は追えませんということは、国民が切歯扼腕することなわけです。それで今度の場合でも、三年を五年、五年を七年、こういうふうに延ばしていったわけでありますが、今度の法律でもやはり二年間の期間というところにいわば空白というか検察が入れない時間ができちゃっているわけでありますが、この点はどういうふうに考えられてこういうことになったのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 現行の三年の場合でも脱税犯の除斥期間は五年でございますが、しかしながら公訴時効期間は三年だ、二年の空白があるわけでございます。今回刑の長期を五年に延長の案をお願いをいたしておりますが、この案が成立いたしました場合でも除斥期間の方は七年になるわけでございますから、六年目、七年目には強制捜査が及ばない、また罰則も働かないということになると思います。その点は、公訴時効期間と申しますのは、これは法務省の御専門でございますけれども、やはり時の経過によって犯罪の社会的影響が微弱になってまいるとか、社会的な応報感情が薄くなってまいるとか、犯罪の立証が困難になってまいるとか、被疑者の人権の問題とかいろいろな要素から、大体刑の長期に応じまして公訴時効期間というものはたしか刑事訴訟法の二百五十条で決められておるわけでございます。それに対しましては例外がない。租税犯でございますから、特に発見まで時間がかかる、また調査、立件に時間がかかる、そのために刑事訴訟法の二百五十条の例外をつくるということにはなかなかなりがたいというふうに思うわけでございます。諸外国でも、公訴時効期間と除斥期間というのは、片や公訴時効期間は刑事政策上の必要から定まりますし、除斥期間の方は租税秩序の維持という租税政策上の配慮から決まってくるわけでございますから、それぞれ差がございまして、アメリカやイギリスのように除斥期間について制限を置かない法制のもとでも、公訴時効期間はアメリカが六年、イギリスは判例上五年、こういうふうになっておると承知しております。ですから、そこに差が起こるのはしようがないと私ども思うわけでございます。六年目、七年目、それでは強制捜査に入れない、立件ができない状態で、調査が十分できるかどうかという点につきましては、国税庁の方からまた後ほど御答弁があると思いますけれども、ほかの端緒というものがございまして、そこから六年目、七年目の除斥期間に属する部分の脱税の調査をしていくわけでございますから、そこはもう証拠の収集なり執行の適実というもので対処してまいるということであろうと考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 せっかく法務省もお見えでございますので、いまの高橋主税局長のような、いわば刑法全体の体系の中の問題、こういうとらえ方と理解しておいてよろしいですか。
○飛田説明員 そのとおりで結構だと思います。税に限って特にということはちょっとなかなかむずかしいと思いますし、除斥期間が公訴時効よりも長いということは、反面、刑事訴追をする上におきましても、税務調査で五年以上前のいろいろな資料を集めていただければ、それがまたいろいろな面で、五年まで、ぎりぎりのところまでさかのぼる場合に間接的にいろいろな面で役に立つ場合もありますし、それはそれなりに非常に結構なことではないかと考えております。
○佐藤(観)委員 次に、この提案理由の説明の第一のところに移りたいのでありますが、「偽りその他不正の行為により免れた国税に係る更正、決定等の制限期間を五年から七年に延長することといたしております。」ということでございます。 まず、私たちの方で疑問に思うのは、関係書類はどうするのだろうかということが当然起こってくるわけですね。 これは、所得税法で言えば青色申告の問題が出てくるわけで、所得税法の施行規則の六十三条、「帳簿書類の整理保存」、この「五年間」と書いてあるのを七年に直せば所得税についてはいいのだろうかということ。 それから、聞くところによりますと、ここに青色申告に必要な書類が三項目あるわけでありますけれども、「取引に関する帳簿及び記載事項」、それから「たな卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類」、ここまではそう量的には大したことないと思うのですね、一、二は。三番目の「取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」、これはかなり膨大に、七年間分とっておけということになりますと、なってくるわけですね。聞くところによりますと、小さな店でも、これを含めますと、一年分で大体ミカン箱三つぐらいになるというのが常識だそうでございますけれども、一つは、法の整備上、ここの、所得税法施行規則の六十三条に書いてあるものだけ、五年というのを七年に直せば、他の保存等は、法律的な、あるいは規則でもいいですが、手当てをしなくていいのか。たとえばこういう質問を受けたのですが、お医者さんなんかのカルテ、これは医師法によってたしか五年になっているわけなんですけれども、こういうものは、税に直接関係ないですけれども、実際の場合には必要になってくる場合もあり得るわけですね。一体そういう手当てというのはどういうふうに考えているのか。 あわせて、中小企業への負担がその意味で大変大きくなってくると思うのです。それについてどういうふうに考えているのか。たとえば青色申告はここに書いてありますが、白とのバランスがこれで失しられることはないのだろうか。これだけいろいろ納税者から言ってくるのは、どうしても調査になりますと推計課税というのが入ってくる。そうなってきますと、それを立証するためには逆に納税者側も書類を保存していかなければいかぬし、五年が七年になるとどうしてもやはり推計課税が入ってくる可能性が大きくなってくるのじゃないかというのが納税者側の心配になってくるのでありますが、三つばかりの質問が入っております。その点についてお答えいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 他の行政上の目的から、帳簿その他の書類の備えつけの期間というものが定まっております例は多々ございます。 今回改正をいたしております除斥期間の延長に伴いますものは、商法の商人の帳簿保存義務は別といたしまして、税法上は所得税法の百四十八条に書いてございます青色帳簿でございますけれども、これにつきましてもやはり延長をお願いいたすわけですが、それは、青色が推計課税ができない、帳簿書類の不備ということを指摘しなければ推計課税ができない、更正決定ができないということの反面でございまして、青色の方々の持っておられる税務上の特典と申しますか、そういうものを維持していくためにもぜひ必要なことであろうと思います。 現在、所得税法の施行規則六十三条にいろいろ帳簿書類——決算書類その他の証憑類が並んでおりまして、これらを五年保存していただくようにしておりますが、具体的にどういたしますかは現在詰めておるところでございますけれども、中小企業の方々につきましては、たしか、去年サンプル調査をいたしますと、売り上げ一億についてミカン箱一杯ぐらいの書類、一年分は、というふうになっておるようでございますが、そういうものの六年目、七年目の御保存をお願いすることが過重にわたるかわたらないかということを考えまして、いま佐藤委員からお話のございましたような一号、二号と三号で差を設けることが具体的にどこまで適当であり、可能であるのかということも含めて検討を進めさせていただいておるということでございます。 それからもう一つのお尋ねは、白と青の権衡でございますけれども、青の方々が帳簿書類に書いておられますことは、それによって収入なり必要経費というものがおのずから明らかであるわけでございます。白の方々の場合でも、帳簿書類があればもちろんそれはそれによるわけでございますが、除斥期間が延長されたことに伴いまして、更正決定をいたすべき調査の端緒というものが使えますのは、青の場合の方でも、その帳面に書いてないところからということになると思いますので、その点は帳簿の保存期間を延長いたしました際でも、特別白と青の間のバランスというものに影響はないのではないか、青の方が仮に脱税をなさった場合には、脱税にかかる所得計算の基礎になる収入は帳面に書いてない部分から出てまいるということだと思います。帳簿以外の資料の収集によらなければならないわけでございますから、帳簿がない、または保存されてない白の場合と同じで、青の方はこれによって特に不利になるということは全くないというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 執行面での具体的なことをお伺いしたいのでありますが、いまちょっと触れましたように、確かに形の上では五年が七年になるということだけですけれども、どうしても五年前の話と七年前の話では書類が散逸したりなんかする率が、やはり長くなれば多くなるというのは常識的だと思うのです。そうなってまいりますと、いろいろなことがあったときに、徴税当局の方が、まあ大体五年でこうなんだから七年もそうでしょうと言ってそのまま線を引っ張っていく推計課税というのが起こりやすくなってくるのではないだろうかという問題が実際に納税者の方から起こってくるわけですね。その納税者についても十分書類がなかったりでたえ得ないということのトラブルといいますかそれが起こってこやしないかという心配が一つあります。 もう一つは、いま主税局長が言うように、いや単純に五年が七年になるだけですからという、あと二年さらに調査をすればということだけれども、やはり昔のことでもあったり、いろいろな意味での記憶も薄れてきますし、一体その他の帳簿がどのくらい証拠能力があるかどうかというのは会計学上もこれまたなかなかむずかしいところのようでありますが、それは別といたしましても、やはり調べる方にしますと、全部が全部恐らく七年調べなさいということではないと思います。思いますが、いざということになれば七年までさかのぼらなければいかぬということになりますると、恐らくいままで皆さん方の調査の方からいきますと、七年前のある程度の期末の状態からずっとさかのぼる、さか上がるというのでしょうか、手前の方に来て全体像を描いてみるというのがやり方でしょうから、そういった意味では五年が七年になるというのは、実際上かなり事務量としてはふえてくるのではないか、常識的にそういうふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
○小幡政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、五年が七年になるというのは、ただいまお話しございましたように偽り、不正の手段をもって税の逋脱をした、こういう場合に七年までさかのぼって課税をする、こういうことでございます。したがいまして、全体の税務の中で見ますといわば例外的なケースというふうになるわけでございます。 いままでの法律でいきますと、偽り、不正の場合には五年にさかのぼるということになっておりまして、一般の過少申告の場合が三年ということでございますから、つまり四年目課税、五年目課税というのがそれじゃいままでどのくらいあったかということを参考に申し上げさせていただきますと、いままでにも、所得税に関しましていくと全体の調査件数の約一%程度、それから法人税に関しまして申し上げますと全体の調査件数の二%程度というふうなものがいわゆる偽り、不正ということで四年ないし五年にさかのぼって課税をされておった、こういうふうな状況でございます。 今後、これが七年にまでさかのぼるということでございますが、ただいま申し上げましたようなことでございますから、ごく例外的な場合、つまりいわゆる大口、悪質というふうなケースの場合に七年までさかのぼるということでございますので、ただいまお話しございましたような一般的な納税者の方がそれによって御心配をされるというふうなことにはならないようにわれわれも執行上十分留意をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 確かにいま答弁いただいたことは大体私もわかるのでありますけれども、実際に最終的な課税行為というのを行う場合に、確かに脱税の場合にはさらに二年間余分の日数かかる、ましてやこのごろなかなか脱税がきわめて巧妙になっておりますから、さらにこの二年間分というのは実態上は大変大きな負担になってくるだろうと私は思うのであります。ただでさえ実調率がぐうっと下がっている現状でありますから、そういう中で法人数はますますふえてくるわ、申告所得者数もふえてくる、源泉徴収義務者もこれからなおかつふえてくるだろう、国税職員は同じだということで、そうじゃなくても、まあこの委員会でもいろいろな角度から、一体いまの執行面から言って、いまの体制でできるのかねという話はずいぶん今日まで指摘をしてきたわけですね。まあ確かに七年までさかのぼるという件数は私もそれほど多くないことを望みたいわけでありますけれども、そういった意味で、やはり本格的に取り組めば取り組むほど一件当たりの日数というのはかかってくるわけですね。そうなってきますと、また回れる件数、実調率は下がっていくということを考えますと、一体内部は本当にそれでできるのかということについて私はいきさか心配をしているわけですが、その点はいかがでございますか。
○小幡政府委員 ただいま先生おっしゃったとおりでございますが、私たちの実際の事務運営といたしまして、ただいまも申し上げましたように大口、悪質なものについては徹底した調査をする、その際に七年までさかのぼることがあるということでございます。ごく単純に計算をしてまいりますれば、確かにいままで五年までさかのぼってやったものを七年までさかのぼるということでございますから、その間でいけば確かに事務量はふえてくるということになるわけでございますが、先ほど来申しておりますように偽り、不正ということで私どもがその事案について徹底した調査を行うということはきわめて限られた事例に行うわけでございますので、全体の実調率がこれによって低下するというふうなことにはならないと思いますし、また私どもそういうふうな運営をしてまいりたいというふうに思っております。
○佐藤(観)委員 そこで、そんなむずかしいことじゃないのですが、大臣、ちょっとお伺いしておきたいのは、大臣も大変予算編成で御苦労なさっているわけでありますが、身内のことゆえ国税庁の職員の増員については、もちろん総定員法の枠もございますし、いろいろな縛りがありますからなかなか自由にいかないこともわからぬわけじゃないのでありますが、いずれにしろ法人なり源泉所得税なり非常に実調率が下がってきているわけですね。大臣も税理士をやられた経験もあるわけで、ある程度その実務面についても詳しいわけでありますけれども、やはり調査があるというのが実申告制度を担保する裏側の力だ、力という言葉がいいかどうかわかりませんが、だと思います。そういうことから言いますと、毎回この大蔵委員会でも各党の委員からも言われておりますように、法人の場合にはこのごろ単純に割ってみれば十三年に一遍しか回ってこないとか、そんなような体制で、もちろん国税庁の方はがんばっているから余りそういうことを口に出して言わない点もありますけれども、まあ事務簡素化なりあるいは機械化なりアルバイトを使うといってもおのずと大体限度が来ているわけで、そういった面からいきますとますますこれから脱税というものに対する国民の批判が強くなっていく中では、いまの五万二千人の体制だけではおのずと限度があるのじゃないだろうか。直接、所得税と法人税に携わる職員の定数というのもちょっと出してもらったのでありますが、法人税の職員の中には国税局の調査部門の職員も含めましても約二万人ですね、これが調査する。もちろん背後にそれをいろいろ助けてくれる人がいるからこれは調査に出られるわけでありますけれども、そういう体制でずっとこの何年来来ているわけであります。私たちもこの前も指摘しましたように、この十年間にベテランの職員の人が二万人やめていかれるということは目に見えているわけで、定年法が入る入らぬにかかわらず、この大変なベテランが五万二千人のうち二万人やめていかれるということはもう目に見えているわけで、その手当てを早目にしませんと、これは別にはじいた数字がございますけれども、入ってこられた方が直ちに戦力になるわけじゃありませんからね、大変むずかしい税法でありますから。その意味では本当に実質稼働をしていく方の予想をしてみましてもまあ八割から九割くらい、あとはまだかなり養成しないと間違いが起こっていくということになりますから、そういった意味でいきますと行政改革、それは非常に重要なことでありますが、片やこちらは歳入庁ですから、歳入を確保しなければいかぬわけでありますから、その意味では国税庁職員の定数については格段の配慮をしていかないと大変な事態になってくるのじゃないか。機能化なり省力化なりその他のことでいろいろカバーできればいいのですけれども、もうそれはほぼやり尽くしているわけで、その意味では大臣も苦しいところだとは思うのです、特に身内のことでもありますから。とは思いますが、国税庁という歳入を扱う庁でありますから、これはやはり租税負担の公平化を担保する意味からも特段の配慮をしていく必要があると思いますが、その点についてだけちょっと大臣にお伺いしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 御心配をおかけをいたしまして、まことに申しわけございませんが、全くそのとおりでございまして、われわれといたしましても、特に調査官の充実ということにはさらに配慮をしていかなければならぬ。仰せのとおり、ともかく一年や二年では使いものになりませんから、やはりベテランにするには最低十年くらいかかるものと私は思っております。したがって、そういうベテランが一斉にやめていくということになると、その後をどういうふうに補充するか、大問題でありますから、内部でもよく相談をして万遺漏のないようにしてまいりたいと考えます。
○佐藤(観)委員 そこで、行政管理庁にもお伺いしていきたいのでありますけれども、いま大臣からもお話がございましたように、税の場合にはその扱っている内容がきわめて専門的でありますし高度でありますし、考えてみれば、毎日毎日人にいやがられて税金取りにいく仕事でありますから、なかなかこれは並み大抵のことではないと思うのですね。そういう中で仕事をしていくわけでありますし、いま申しましたように、確実に今国会で定年法が通ろうと通るまいと、大体慣行定年が五十五から五十七でありますから、そういった意味からいきますと、計算してみれば、とにかくこの十年間に二万人ベテランがやめていかれるということ、そして次の方は一年や二年では、いま大臣言われたように、直ちに実際、実務はできないわけでありまして、そういった意味から言いますと、行政改革の大きな波については私たちもわからぬわけではありませんが、この点についてはひとつ国税庁の職員構成の特殊性、それから中身の専門性、高度性、この観点、それからもう一つは財政再建の中で、やはり何人ふえればどれだけ税が上がってくるという、そういう計算もありますけれども、やはり基本的な税の執行を公平なものに担保していくというのは、やはり国税庁の職員をそれなりに人数もしていかないと、これは担保もできないと思うのですね。その点について、行政改革の大きな波の中でもこの国税庁の問題については、これは当大蔵委員会挙げてと言ってもいいと私は思うのでありますが、いろいろと心配をし、いろいろな指摘が委員会でなされているのでありますが、この点について、大きな行政改革の波の中でも、この国税庁の職員の定員の問題については、格別目をさらのようにして大きく見ながら考えていただく必要があると思うのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
○神澤説明員 国税事務につきましては、いま先生御指摘のとおり、いろいろな問題がございます。特に課税対象の増加それから執行面における税の公平の確保、こういった要請が高まっていることは私どもも十分承知いたしております。今回の除斥期間の延長等の改正もその一環だと理解している次第でございます。 一方、むだのない効率的な政府を実現しろという行政改革の声も非常に強いわけでございますが、いま申し上げた国税事務の特性を十分配慮いたしまして、国税庁の定員につきましては、従来から厳しい定員事情のもとで、税務署の所得税あるいは法人税の調査部門など、第一線の現場部門につきましては、毎年度四百ないし五百人という増員措置を講じてきたところでございます。五十六年度は行政改革に対する各方面からの要望が非常に高まっておりまして、国家公務員数を全体として縮減するというきわめて厳しい定員事情でございましたけれども、国税庁の定員につきましては五十五年度、昨年度を上回る四百三十八人の増員措置を講じてきたところでございます。今後とも国税庁の定員につきましては国税事務の実情に即し十分検討していきたいと考えております。
○佐藤(観)委員 確かに、前の前の管理官の百崎さんでございましたか、あの当時から大変御理解をいただいている点はありがたいのでありますが、ただ減った分だけふやす、総数の伸び率はゼロだ。これは他の省庁に比べればいまの中で大変配慮していただいていることも私もわかるのであります。ただ、再々申しますように、定年法が入らなくても大体国税庁の場合に五十五から五十七歳ぐらいでやめていかれるということで、一番ピークになります昭和六十二年から六十三年ぐらいになりますと四千九百人ぐらいがやめられる。確かに毎年やめられてくる人数分だけは補充していただいても、その分だけは実際戦力にならないということを考えますと、そういうことではじいてまいりますと、大体五万二千人おりましても、六十二、三年ごろは中で具体的に戦力になるのは七割五分ぐらいしかならぬ。それまではいわば卵がずいぶんいらっしゃるわけで、その意味ではなるべく早目、早目に手当てしていきませんと、実際にはいわば戦力が大変低下をするということが十分考えられますので、どうぞその点を十分御配慮をいただいておきたいと思います。 最後の質問は、会計検査院にお伺いをしていきたいのでありますが、五十四年度の決算検査報告、大蔵省のところを読ましていただきました。五十三年も五十二年も読ましていただいたわけであります。見てみますと、ちょっと時間がなくなりましたので私の方で言わしていただきますけれども、たとえば源泉所得税ですと配当と給与の問題、それから申告所得税だと譲渡所得、資産所得の合算の問題、配当所得、雑所得の問題、法人税だと同族会社の留保金額の問題、それから土地の譲渡等に係る譲渡利益、それから退職給与引当金、それから五十二年だけ減価償却資産の償却の問題が指摘をされているわけでありますけれども、いまも五十二年、五十三年、五十四年、三年間見てみますと、指摘項目というのが五十二年の減価償却資産の償却の部分を除きまして、同じなんですね。ただ、印刷してある順序が件数が多い順に書いてあるものですから違うのでありますが、指摘する項目が一緒というのはどうなんですか。これは会計検査院の方で意識的にこういうところを見るのか、やはり結果的におたくの方の目で見て間違っているというか、おたくの方で指摘をしなければならぬ点がこういうことに集中をするのか、その点はいかがなんですか。
○立神会計検査院説明員 お答え申し上げます。 ただいま仰せになりましたように、実際に私どもの職員を現地に派遣さしていただいて検査させていただいておりますけれども、その結果出てまいりますのがこういった事態でございまして、私どもといたしましては、やはり租税といたしましてはその公正あるいはその現実の計算の誤りなどというものに対しまして十分な御配慮をいただきたいということで検査さしていただいておるわけですけれども、結果といたしましてこのようになりましたのは、まず税法がこうした部門において非常にむずかしいものであろうということ、それからまたこうした部門に対する私どもの検査というものが昔から行われておりまして、それが同様の形態を続けておって、実際もこういうような結果が続けて出てまいる、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 そこで国税庁にお伺いしたいのでありますが、いま御答弁があったように、大変、毎年毎年同じ項目が指摘されているわけですね。それは人間のやることですから、私は全部が全部完全だということは申しませんし、それは皆さんも目指してやっていらっしゃるのだとは思いますけれども、また扱っていらっしゃる方も、何も同じ方がやっているわけではないですから、それはそれなんですが、ただ、項目が全くいま私が読み上げましたような項目に集中しているわけですね。たとえば償却でも、割り増し償却の問題とか特別償却の問題とか、きわめてむずかしい判断が困るような点ももう少しいろいろあってもいいのじゃないかと思うのですが、会計検査院から指摘をされ、いつも約十一億ばかりのこれは不足であるし、一億くらいの払い戻しをしなければならぬ要があるということが毎年どうも繰り返されているようなんでありますけれども、これはこういう会計検査院からの指摘をもらって、税の執行上は足りないところは取ったり多かったところは返したりするわけでありますが、おたくの方の内部の研修というのでしょうか勉強というのでしょうか、こういったものはせっかくのこの会計検査院の指摘にこたえて何か対応しているのでしょうか。その点はいかがでございますか。
○川崎政府委員 先生御指摘の点でございますが、従来から研修などやって勉強するようにということで指導いたしてまいっておりますが、なお一層充実いたすように改善すべき余地があろうかと考えておりますので、具体的に法令適用の誤りを犯すことがないように、また納税者の計算誤りを過失で見逃すといったようなことがないように十分勉強する機会を持つように指導したいと思っております。
○佐藤(観)委員 大変な件数を扱うわけでありますから、それは私も全く間違いがないとは言えないのでありますが、少なくも会計検査院から毎年毎年、たとえば申告所得税だと譲渡所得の問題、資産所得の合算の問題、あるいは法人税で言うと同族会社の留保金の問題、なかなか同族会社というのはややこしいのでわからぬわけではないのでありますが、こういった会計検査院から指摘を受けた事項について少しもう一回再研修といいますか、こういったことをするとか、これは毎年毎年件数と数字が違うだけで全く同じものが印刷されて検査報告というので会計検査院から出てくる。これはほとんど文章も一緒だし、いま申しましたように順序が件数の多い順に並べてあるからちょっと順序が違う程度で、こんなことを一体行政として繰り返していていいのだろうか。私は間違いは全くなくなるとは、これは人がやることでもありますし大変な件数を扱っているわけでありますから、そのことは何も批判しませんけれども、せっかくの会計検査院の指摘に対して、しかも項目が非常に集中しているわけでありますから、おたくの方でもう少し行政事務的に改善する必要があるのじゃないだろうか。どうも会計検査院の方に聞いてみますと、やはりそれは一人当たりの扱う件数が非常に多いから間違いもふえます、それは私もそのとおりだと思うのです。しかし、毎年毎年まさに判で押したようなものが五十二年も五十三年も五十四年も印刷されて出てくるということでは行政の対応としてまずいと思うので、そのあたりを実はこういうことが会計検査院から指摘をされています、したがってこういうふうにあれしてくださいというのを各税務署の担当の方に何らかの機会に再教育のようなものをやるということをやって、毎年毎年同じ——これはまさに文章も会計検査院から出されたのは同じなんですよね。一字一句違わないほどの指摘を毎年繰り返されているということでは、やはり行政対応としてまずいと思うのであります。その点重ねてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○川崎政府委員 御指摘の点につきましてなお改善いたすように努力したいと思います。
○佐藤(観)委員 終わります。
○綿貫委員長 大島弘君。
○大島委員 本論に入ります前に、大臣が途中で退席されますそうでそれまでに緊急の問題を三点ばかりお答えになっていただきまして退席していただいても結構でございます。 三点と申しますのは、本論とは直接関係はないかもしれませんけれども、五十六年度予算に大きな歳入欠陥を来さないかどうか、第二番目の問題は資産所得減税の問題、第三の問題は税法を全面的にわかりやすく改正する意思がないかどうか、この三点につきまして大臣にお答えいただきまして、あとは事務当局と本論につきまして質疑を交わしたいと思います。 私が過日大蔵委員会において、五十六年度税収は主税局の見積もりは非常にきついんじゃないか、もうちょっと自然増が出るのではないかと言いましたのは、従来からずっと、高度成長時期から主税局の見積もりは非常にシビアであった、だからこそ高度成長期、安定成長期を通じまして大きな自然増収が出たわけなんです。主税局というところは決して多いということは言わないで、いずれか少ない方、必ず少な目、少な目に見積もるところでございます。それが四十四、五年ごろでございますが、元主計局長、また元参議院議員であられた村上孝太郎君さんがいわゆる財政硬直化の問題を持ち出しまして、このままでいけば財政が硬直化してしまうということで、その出た自然増を政策目的にだんだん使えなくなってしまった、それでもなおかつ毎年度、毎年度相当程度の自然増収が出る、こういうことでこの前質疑をいたしたのでございますが、実は過日の某銀行の調査は、御存じかと思いますけれども私と反対に、主税局の五十六年度歳入見積もりは甘いんじゃないか、もっときつくなるはずだということを提案しております。私は、銀行は従来大蔵省の言うことに余り反論を加えないのですが、こういうふうな大胆な反論をした某都市銀行に対してはなはだ敬意を表する、いい悪いは別といたしまして、そう思うのです。その問題の提起は、御存じだと思うのですけれども、まず租税弾性値の見方にある、それから第二番目は一般会計はそのままにしてその肩がわりを政府関係機関の予算へしわ寄せしているのではないか、それから第三番目は本年度はそのままにしてそのしわ寄せを後年度へ負担を繰り延べているんじゃないか、この三点でございます。 そこでまず第一の租税弾性値、つまり税収の伸びを名目成長率で割った弾性値、この見方についてもう一度復習の意味で主税局長から昭和五十六年度弾性値をどう見ているのか、数字でひとつお示しいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 前回の大蔵委員会でもお答え申し上げました、そのほかたびたび申し上げておりますように、私どもは税収の見積もりの基礎にGNP弾性値というものを使ってやっておるわけではございませんので、源泉所得税でございますと賃金の伸びでございますとか利子所得の伸びでございますとか、申告所得税でございますと営業、庶業の収入の伸び、経費の伸び、そういうもの、法人税でございますと売り上げの伸び、利益率の動きというようなものをそれぞれ推計いたしまして推算してやっておるわけでございます。くどくなりまして恐縮でございますが、そうやって出しました各税の合計額の対前年度に対する伸び率を名目GNP伸び率で割りましたものが弾性値でございますから、五十六年はそういう計算をいたしますと一・五一になる、ただし前回も申し上げたことでございますが、五十六年は、利率の引き上げがございましたために利子にかかる源泉所得税の伸びが非常に大きゅうございますので、その点を補正いたしますと一・三七ということになる、これが五十六年度の税収のGNP弾性値でございます。
○大島委員 つまり税収の伸び率を一三・七として名目成長率を九・一として割ったら一・五一になる。これは機械的にこうなるわけですけれども、この問題について、まず名目成長率九・一という見方はどうであろうかということに対して経済企画庁の調整局にちょっとお伺いしたいのですが、いかがでございますか。
○岩崎説明員 お答えいたします。 五十六年度の経済成長率名目九・一、実質五・三と見込みましたのは、私ども五十六年度の経済の姿といたしまして、国内の経済分野では、第二次石油危機の影響が次第に吸収されて安定成長路線へ復帰するというふうに見てございます。他方、わが国経済を取り巻きます海外経済の様相も年度後半からは次第に好転する、また石油情勢も昨年に比べて格段に情勢が好転しておる。このような内外の状況を判断いたしまして、私ども名目九・一、実質五・三の成長率は十分達成できると見てございます。
○大島委員 九・一を上回る予想をしていますか、あるいは下回る予想でございますか。
○岩崎説明員 九・一を積算いたしますに当たりまして、私どもはいわゆる段階的接近法ということを使ってございますが、各需要項目ごとに積み上げをいたしております。その中で、たとえば民間消費支出につきましては、名目で申しまして昨年度は八・三の伸びを見ておりましたのをことしは九・九%伸びる、これが全体の項目の大体半分を占めてございます。いわゆる消費の回復でございます。また民間企業設備、これは一〇・七と見込んでおりますが、引き続き昨年と同じように堅調な伸びを見込める、このような民需中心の成長ということで積み上げをいたしまして、そのほかの項目を加えたところで九・一というふうに出してございます。一応現在見直しをいたしましても、やはり九・一は達成できるのではないかと考えております。
○大島委員 大臣にいまのような点を踏まえてお答えいただきたいのですが、経済成長率の見通し、それから弾性値、こういうものについての大臣のお考え、それから昨年は公務員のベアを二%しか見てなかったのだが四・六%になった。ことしは公務員のベアは一%しか認めてない。これは現在調整作業中ですけれども、とにかく伸びることは、私鉄大手並みにいくことは、ある程度近寄ることはこれはもう疑いないと思います。それから大臣はいつも一般会計が九.九%、一けたに抑えたと言いますけれども、三公社五現業等の伸び率、これは五・三から八・七の伸び率になっている。こういうような点で政府関係機関へ肩がわりをしているのではないか、こういう指摘があるわけです。 それからさらに、たとえば農林漁業金融公庫、住宅金融公庫、これらの利子を含めての返済も五十七年から六十年にずらしている。つまり先ほど言いましたように、後の年度への負担に肩がわりしているのじゃないか、こういう見通しであります。したがいまして、このままでいくとことしは相当な、一兆に上る歳入欠陥を生ずるという意見に対しまして、大臣の所信を聞かしていただきたいと思うわけです。
○渡辺国務大臣 いま大島先生のおっしゃったことは、「今月の問題点」という四月二十日発行の三和銀行の調査部で出したパンフレットに詳しく書いてございます。これは物の見方でございまして、この前の委員会では、大島先生などは税収の見積もりが足らぬじゃないか、もっとあるじゃないか、そういう方が実は与党にも野党にもたくさんございます。見積もりが過小だ。われわれとしてはともかくかなりぎりぎりの見積もりだということを言ってきたわけでございます。しかし、これは見積もりの話でございますから、実際のところ一〇〇%当たるなんということは、まぐれのことは別としても、過去の経過を見ても景気の動向によってうんと違いますから、なかなかむずかしいのです。しかし、そんなように落ち込んでしまったのでは困りますから、われわれとしても特に物価の安定等を通しまして、ひとつ経済が落ち込まないようにまずやっていこうということに努力をしておる最中でございます。したがって、このような大きな歳入欠陥が起こらないように、これからの話でございますから、いろいろあの手この手使っていきたい、そう思っております。 それから経済成長の問題は、これは私の所管ではございませんけれども、確かに五%成長なんという国は実は世界じゅうどこにもないのです。みんな何とか一%か二%くらいの成長に持っていきたいという願望を持っているだけであって、ドイツなども一考か二%成長というのはどうもあきらめざるを得ない、全体としてマイナス成長になるのじゃないかというくらいでございますし、イギリスもそうでございますし、アメリカは後半よくして何とかプラス成長へ持っていきたいという世界環境の中でございますから、日本だけが高度成長を続けることは非常にむずかしいかもしれない。むずかしいかもしれないが、それが違ってくるとみんな違ってまいりますから、極力経済の持続ということには意を用いてまいりたいと考えております。 そういう中で公務員のベア、二%組んでおったものを一%にしたって、それはただ見せかけに少なくするだけでしたのではないか、そういうふうな御批判もございます。しかし実際は党内などでは、公務員のベアを乗っけるようなことでほかを切るとは何事だ、ベアは幾らになるのかわからないのだから、むしろ公務員は進んで今回はベアなんか乗っけない方がいいという議論もございます。そうすると一方からは、ともかくそんなことを言ったって人事院勧告というのがあって、いままでそれを実施してきたという労使関係の慣例もあるのだから、これを全然ゼロにしてしまうということは人事院勧告は頭から見ないというようにとられがちだ、したがって、それはどうもいかなるものであるかという両方の議論がありまして、それで両方の議論を足して二で割ると言ってはおかしな話になるのですが、結局妥協の産物で一%、そう言っても差し支えない。そんな理屈があって、なぜ一%でなければならないという確たる計数的根拠なんというものは私は持ち合わせておりません。もう一つは、やはり厳しい姿勢を示すということによって、ほかの経費の節減、合理化等についても、そういうふうに厳しいのだよということを知っていただくという心理的効果もなくはなかったのじゃないか、こう思っておるわけでございます。 それから三公社五現業の方が予算規模が大きくなった、政府の方が小さくなったか知らぬが、逆に大きくなっているではないか。その中身というものは、一例を挙げれば、住宅公庫に対する利子補給金というものを切ってしまって、それで財投で同じ金をくれたじゃないか。これも実際は財源がないときなので、五・五%と言われてもともかく世界的高金利の中なのだから、そんな安い金利で貸している国は先進国ではありませんから、したがって、これをもっと上げたらどうか、財源がないのだからという議論も実はあったのです。私も五・五よりも少し上げたらどうだ、六とか六・五まではどうか知らぬけれども、できたら上げられないかということも実は言ったのです。ところが、一つは、いまでさえもなかなか住宅着工がおくれているというときに金利を上げたらなおおくれるではないか、景気の足を引っ張るではないかという議論もありまして、ともかくいままでの五・五の利率を維持したい。金がないのじゃないかということで、それではとりあえず五・五を維持するために、利率を上げるか借金するか二つに一つという話なんですよ。そこで、それじゃ財投からとりあえず回して五・五の利率を維持する、そういうことに最終的に決まったということであって、見方によりましてはもっと健全にやれ、上げるものは上げて、赤字をつくらないでやったらいいという見方もあるのです。あるのですが、ともかく赤字はつくるな、収入はない、借金は減らせということになりますとなかなかそう簡単にいかないということで、見方によってはそちらにしわ寄せしたのではないかという御批判も決して当たらないとは申しません。私はそういう見方、あると思います。しかし、いきさつはそういういきさつでやったのでございますということを申し上げる次第でございます。
○大島委員 いまの御説明は承りましたが、歳入欠陥を生じないように努力していくとおっしゃられます。これは当然のことでございますが、大臣としましてはいまの段階で歳入欠陥は生じない、大丈夫だ、そういうおつもりですか。
○渡辺国務大臣 そのように最大限の努力をいたしますということであります。
○大島委員 第二の問題に、資産所得減税といいまして最近マスコミ等にも書かれておりますが、昭和五十九年から例の利子、配当が総合所得で課税されるということでございますが、一部では、それではそうなったら高額の資産家には気の毒だから現在の最高七五%の引き下げを考えようあるいは妻の内助の功を認めて二分二乗方式でいこう、こういうようなことを言われておりますが、大臣にこれが事実かどうかお答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は、財源的にうんと余裕があれば所得税体制の見直しというときには二分二乗方式は当然考えていいと思っております。しかし、余裕があるどきの話でございますから、いますぐそれをやるというようなことではございません。そういうふうな問いがありましたからその問いに対して答えたわけでございます。 それから資産所得の問題は、資産合算の話を私はしたわけでございます。要するに、普通いま夫婦共働きということで、預金でも奥さんが四百万とか五百万とか、だんなさんが五百万とか持っている家庭は、中堅階級においては珍しくないのですよ、供働きですから。そういうときに、グリーンカードでみんな所得の上に三百万以上乗せるのですよ、預金に無税の三百万して郵便局も積んだらいいじゃないか、公債も買ったらいいじゃないかと言ったって、実際は各家庭ではなかなかそこまで気を回して全部買っているとは限らぬのですよ。したがって、そういうようなぐあいに三百万を超える分は当然総合課税になるわけです。ところが、本人の総合課税でなくて一千万以上の所得があるという場合には多い方に総合課税になるということでございます。それはしかしどういうものかな、いまどきの一千万円の話でもございますし、それから配偶者といえば普通は、常識的には、男が配偶者の場合もあるし女が配偶者の場合もあるだろうが、普通は女性が配偶者ととらえていることが多いですね。しかし、その人の所得が合算で亭主の上に乗っかるんだという発想は昔式じゃないか。だから、ここらのところもともかく、それは金額的にはそんなに大きな金額にはもちろんならないと思いますが、やはり総合課税という問題のときには、五十九年から実施というときには一つの研究課題ではないか、また時間もあることでございますから、そういうことを申し上げたのは事実でございます。それだけの話であります。
○大島委員 私がお伺いしたいのは、そもそも分離課税というのは例外なんで、総合課税、これは当然のことだと思うわけです。しかも資産所得一千万といいますと、やはり何といいましても決して低額所得者ではないと思います。こういう人たちが過去ずっと分離三五%で恩典に浴してきているわけです。それをこの際七五形の引き下げとかなんとか、これはどうお考えなのかわかりませんけれども、それならば一千万円以下の人にも二分二乗方式とかあるいは税率の引き下げとかいうことは考えていいんじゃなかろうかと思います。
○渡辺国務大臣 私は、二分二乗方式の人は別に高額所得者がどうで低額所得者がどうでということを言ったわけじゃないのです。所得税全体の問題として、将来減税財源とかそういうものが出て再建のめどがついて、それで、しかも減税財源が確保されるというような条件がそろえばということで、別にそれは高額も低額もない、みんな一律の話でございます。
○大島委員 それはそのとおりでございます。二分二乗方式は、これは一律のものでございますけれども、いままで非常な恩典に浴してきた高額所得者、しかも七五%というような最高税率のかかるような高額所得者を、仮に財源の余裕が出てもそれほど優遇する必要はないんじゃないか。優遇ならばむしろ低額所得者に優遇をすべきじゃないか、こういうふうに思うのです。
○渡辺国務大臣 低額所得者も、優遇するのは余裕があればもちろん結構で、みんな優遇したらいいのです。ただ総合課税をとっている国では地方税と両方で九三%なんという税額のところは私の知っている限り、寡聞にして私は知らないのです。アメリカあたりも高額所得者の場合は今度は逆に減税、下げようというようなことを言っておるわけでございまして、そこで問題は、こういうものは国際的な並びというものもございますから、みんなどこの国は安いんだからもっと安くしろとか、もっといっぱいほかの国はくれるのだからいっぱい福祉をよこせとか、必ず国際比較をやるわけですから、税の問題だって国際比較があったって何ら差し支えのないことであって、ともかく八千万以上七五%というような所得税の課税は、しかもそれはもう何年ぐらいになるのですか、かなりの年数、少なくとももう十数年、長い間そのままいじらないということになっております。しかも今度は総合課税になることになれば先進国では例を見ないような非常な超々超過累進税ですな、そういうことになる。そういうようなことはいかがなものか。やはり世界の常識というものは一応あるわけですから、総合課税へ今度移行するということになれば、それらのことも参考にしてそれは見直す必要があるのではないだろうかということを申し上げただけでございます。
○大島委員 事務当局にお伺いしたいのですが、国税、地方税合わせて九十何%の超々累課税率を課せられるような個人所得者というのは大体どのくらいあるか、わかりませんか。
○高橋(元)政府委員 いま手元に持っております資料では二千万超のところまでしかわかっておりません。二千万超の方が昭和五十四年で全体で十二万人おられて、納税人員に対して〇・三%であるということでございます。この税率表で申しますと二千万円超は上積み税率は五〇でございます。ですから七五を超えますところは課税所得で八千万円超でございますから、それらの方々の数はいま申し上げたところからしても少ない、だろうということはわかりますが、ちょっといま統計上そういう刻みがございませんので、五千万円超というものをとって申し上げますと、これは五十四年の申告所得税でございますが一万四千百三十人で全体の納税者の〇・二%でございます。この場合の上積み税率は六〇%でございます。これに地方税が乗りますと八一%ですか、になるということでございます。
○大島委員 参考のために、この資料は主税局ですか国税庁ですか。これは国税庁ですね。
○高橋(元)政府委員 これは国税庁がやっております申告所得税の実態という調査によってお答えをしておるわけでございます。
○大島委員 いずれ他日国税庁から資料をいただくことにしますが、いずれにしても、税制全体から見て〇・何%というようなものをさほど優遇する必要はないということを大臣に申しまして、時間の関係上次へ参ります。 グリーンカード、五十九年一月から実施されますが、当初大蔵省は背番号制にしようというお考えで、それが国民の猛反対を食らってグリーンカード制度、少額貯蓄カードというふうになったのでございますけれども、いまでもやはりこれだって背番号と余り変わらぬじゃないか、全資産がわかるんじゃないか、こういうふうに言われておるわけでございます。たとえばいままでまじめに申告していた者、これが今度こういうふうに変わるのはわれわれ納税者を疑うのかというふうに思うわけでございます。 それらとも関連しまして。プライバシーを侵害するということにつきまして、グリーンカードの導入と同時にプライバシーの保護、善良な納税者の保護といいますか、そういう人々のためにプライバシーの保護を図る必要があるんじゃなかろうか。たとえばプライバシー保護法というようなものを制定したらどうかという意見もあるのですが、これにつきまして主管庁である行政管理局の御意見をお伺いしたいと思うわけでございます。
○坂本説明員 お答え申し上げます。 昨年の九月でございますけれども、OECDからプライバシーの保護を図るようにという勧告がございました。行政管理庁としまして従来から行政機関におきますプライバシーの問題は手がけてきたわけでございますけれども、その勧告を見ますと、プライベートセクターと申しますか、民間におきますたとえば銀行とか保険とか、そういったプライベートセクターのプライバシーの保護も講ずるように、こういうふうな内容になっております。OECD加盟二十四カ国のうち十カ国、アメリカそれからフランス、西ドイツ、主要国がすでにプライバシー法を持っておるという実態がございます。私どもとしましても、この問題はなおざりにはできないという考えでございまして、ことしの一月から、東京大学の元学長をしておられましたが、加藤一郎先生を座長にいたしますプライバシー研究会を設けております。おおむねこの十二月には結論を出していただきまして、その結論を得ましてから具体的な検討に入っていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○大島委員 こういう善良な納税者の保護という意味におきましても大臣はいまのプライバシーの保護に関しまして何かお考えになっておられますか。所管ではないにしても、グリーンカード制度導入の所管でございますので。
○渡辺国務大臣 グリーンカードがその人のプライバシーを侵害するというようなものに使われるものでは決してございません。このグリーンカード制度の発想というものは、ともかく公平を期せ。したがって、免税所得で何千万も貯金をしているような、インチキされてもいまのじゃなかなかわかりづらいじゃないか、だから公正を期せ、公正を期すためにははっきりしたことをつかまなければ期しようがない、そのために導入をされたものでございまして、これによって大増収を上げようなんという発想から始まったわけじゃないですからね、もともと。したがって、両方を満足させるというわけにはいかない。自分の所得というか資産、特に預貯金はわかるようにはなります。そのためにつくるわけですから。どっちかですね。だから貯金がわかったから、そのこと自体プライバシーが侵されたということになればこういう制度はできないわけですから、どっちを優先するかということであって、その税の公正を期せということを優先するという皆さんの、国民全部かどうか知らぬが、国会の大多数の皆さんの御意見によってつくったものでございまして、私はその程度のことは仕方がない。しかしながら、プライバシーの侵害にはならないように細心の注意も払っていかなければならぬ、こう思っております。
○大島委員 いまの行管庁のお話によりますと、加藤先生を座長とする委員会の結論が近く出るようでございますので、それを待ちましてまたお伺いしたいと思います。 最後に大臣にお伺いしたいのです。 税法、大臣は会計知識もおありでございますし、私も若干はあるつもりでございますが、法律家としましてもう何とも解釈のしようがないほど非常にむずかしい税法になっている。しかも、これは法律の錯誤を生ずるような部分もある。ドイツ税法あるいはアメリカ税法を見てもこんなことは決してむずかしく書いてない。これを全面的に納税者にわかりやすくするというようなことについてひとつ大臣のお考えを——これは大きな問題になると思うのです。いわゆる法律の錯誤を生じますので。そういうことで、全面的に所得税法から始まって法人税法、これをわかりやすく書くということは、優秀な人材がそろっている主税局にとってできない話じゃないと思うのです。これは大臣、どういうふうにお考えでございましょうか。
○渡辺国務大臣 なるべくわかりやすく書くということの趣旨は私も賛成です。私どもも、たとえば特別措置法なんか読んでみまして、引用条文ばかり多くて本当に三回読んでもわからない条文がありますよ。本当にそうですから、特別措置法の中なんか特に多い。何とか本当これをわかりやすくできないものかということでございますが、これは法技術の問題で、結局一方において公平を期す、抜け穴をなくすというところにだけ力がどうしても入りますから、正確に抜け穴ふさぎに書かれますから非常にくどいというのか何というのか、逃げられないようにつくってあるのでしょうね、わかりやすく言えば。だからそういうことを言われると仕方のない話になっちゃうのだけれども、わからなくちゃ困る。わかりやすくすればもっと膨大な書類になっちゃう。恐らく税法だけでこれ一冊ぐらいにあるいはなっちゃうかもわからない。そこらの兼ね合いをどうするかという問題ですね。しかし趣旨は私も賛成でございますから、できるだけわかりやすいような法体系に仕組んでいくというように努力はいただきたい、こう思っております。
○大島委員 主税局長どうですか。
○高橋(元)政府委員 税法の表現がわかりにくいという御指摘、私どもも率直に承っております。 先ほどお答えしておりました三十六年の税調の第二次答申でもやはりわかりやすくしろ。そのためにはアメリカの内国歳入法ではクロスレファレンスという制度がありまして、条文の表現がございまして一つの税法が他の税法の規定を引いている場合には、何法の第何条を見ろということをわざわざ条文として起こすという制度があったわけでございます。そういうことも参照にして税法を国民にも税務職員にもわかりやすくしたらどうだという御指摘がございました。四十年に所得税法と法人税法は枝番がたくさんついてしまいまして、収拾がつかなくなりましたので全文改正をしたわけですが、そのときにも二重括弧で引用をしないとか、要件が二つ以上ある場合にはなるべく号に分けて書くとか、例外は項を分けて書くとか、いろいろなそういうわかりやすいことを目的とした税法の編集をやったわけでございますけれども、現在特にいろいろその御指摘が多いと思っておりますのは租税特別措置法でございます。これは一般法にありますところの取引行為の中で、特定の政策目的に係る特定の経済行為だけを取り出してそれに特則を書くものでございますから、これはいかにもわかりにくいという御指摘は私どももそういうふうに思われるわけでございますので、これにつきましてさらに整備を図っていきたいというふうに考えておりますし、たびたびの御指摘は今後十分指針とさせていただきたいと存じております。
○大島委員 大臣並びに行政管理庁それから経済企画庁の方々退席していただきまして結構でございます。 脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案、この問題につきまして質疑をいたしたいと思うのですが、その前に、国税犯則取締法という古い法律がございます。明治三十三年でございます。これによりますと、まず十二条では、収税官吏は犯則ありと思料するときは告発すべしとあります。それから、先ほど佐藤委員からも間接税についていろいろお話がありましたが、私は別の角度から申し上げるのですが、間接税については十四条におきまして、国税局長なり税務署長なりが間接税で犯則がありましたら幾ら納めろという通告処分制度があるわけでございます。直税にはこの通告処分制度というのはないわけでございますが、この辺の権衡問題はどうお考えになりますか。
○高橋(元)政府委員 国犯法の十四条で通告処分の制度が設けられておることはただいまお話のとおりでございます。これをなぜ置いておくのかということでございますけれども、これは間接税に関する犯則事件の特殊性ということから来ておるわけでございます。印紙税法につきまして昭和四十二年改正で通告処分の制度を廃止しました後は、かつてのようなことはないにしても間接税の犯則事件というものは非常に数が多いわけでございます。それで罰金または科料に相当するという心証を得ましたときにはその相当する金額を指定の場所に納めろということを通告して、その事件を訴訟まで持っていかないようにする。これはいわゆる訴訟のはんらんということから裁判所を救うという必要でございます。間接税にかかわる犯則件数は現在でも年間六百件から八百件くらいございまして、直接国税が百五十件程度の査察件数があるのに比べますと非常に多くなっておるわけでございます。 それから第二に、間接税の犯則事件というのは個々の犯則額はそれほど大きくないということがしばしばであろうと思います。法人税と合わせて物品税を脱税するような相当大きな脱税事案につきましてはそういうことはございませんけれども、たとえば酒の密造でございますとかそういうことでございますと犯則額はそれほど大きくない。相当な期間をかけて裁判をし、厳格な手続で罰金を科するよりも、簡明な手続で罰金相当額を徴収するということが課税官庁及び犯則者両方から見てより便宜と言ったらおかしい言葉でございますが、より便宜であるというようなこともあろうかと思います。 それから三つ目に、間接税の犯則事件というのは非常に証拠がはっきりしております。通常の刑事手続も簡易な手続によった方が合理的ではないかということでございまして、昭和五十四年度あたり間接税の犯則件数六百十四件と申し上げましたが、そのうち直告発をしましたのは十件足らずでございまして、通告をいたしましたものがほとんどでございますけれども、その中で九九%は通告処分の履行という形で訴訟にいかずに済んでおる。通告処分をしたからと申しましてそれについて不服があれば通告処分を履行せず裁判手続に移行するという権利の保障はできておるわけでございますから、間接税という税の特殊な性格、物税という特殊な性格からいたしまして間接税については通告処分を設けておる。それを設けておる理由は今後とも十分あるというふうに考えております。
○大島委員 それであるならばその制度は軽微な直税に適用はできないのですか。たとえば戦前は御存じのとおり軽微であろうと重くあろうと免れた税金の何倍という定額形式でございましたね。そうしますと現在直税についても軽微なものについてはひとまず国犯法十四条でやる、どうしてもだめなものは告発する、軽微な脱税について通告処分制度はとれないのですか。
○高橋(元)政府委員 間接税は物税でございますから、物を動かします場合に税の負担を免れるという行為はそのときにすぐ明らかでございますけれども、所得課税、資産課税というような直接税につきましては一定期間または一定時期における財産のあり高、一定期間における収入支出の総体というものを押さえませんと真実の租税債務の確定ができないわけでございます。そういう意味では租税債務の確定という点で間接税には明白性がありますし、また簡便にそれが把握できるという点で違っておるわけでございます。直接税につきましても、裁判手続によることではございますが、そこにいかないで、たとえば事態の仮装、隠蔽によりますところの申告につきまして重加算税を課することによって告発せずに終わってしまうというケースも多々あるわけでございますから、直接税の場合には重加算税制度を使い、間接税の場合には通告処分制度を使う、こういう形のそれぞれの税の特質に見合った簡易な手続が開かれているというふうに私どもは理解しておるわけであります。
○大島委員 先ほど告発事件の受理件数それから告発率の説明がありましたが、ほとんど全部告発しているということでございますけれども、告発され、起訴され裁判される、その結果全くのミスであったというような事例はなかったですか。
○飛田説明員 裁判で有罪が確定したけれども実は全く脱税していなくて本当は無実であったということが後でわかったというような事例は、私は聞いておりません。
○大島委員 ちょっとそれに関連してお伺いしたいのですが、もちろん脱税者は悪いです。しかし脱税者は脱税者なりにある程度人権もあるんですし、その人権は尊重しなくちゃならないと思うのでございますけれども、脱税の新聞発表ですね。私が取り扱った事件の中で、新聞に出てしまってその子供が学校へ行けなくなって学校をやめて、いまでも非常にぐれた生活を送っているという事例があるのです。告発事件の新聞発表につきまして国税庁はどういうように考えておられますか。現にやっているわけですか。
○岸田政府委員 査察事件につきまして私どもの方といたしましては現在は一切公表はいたしておりません。ただ査察事件の特殊性でございますが、非常に関係人が多いものでございますから、その点からマスコミ方面にもいろいろ情報が流れ新聞紙上に出るという事態はございますが、税務当局といたしましてはそれについては一切発表しないということにいたしております。
○大島委員 国税庁でも法務省でもどちらでも結構でございますが、告発する、その前には検察官と査察官の告発要否勘案協議会にかけてそれでOKというのであれば検察官が受理して起訴するというふうな仕組みになっておりまして、それにつきましては、まず一つは査察事件の犯意が要る。罪を犯す意なき行為はこれを罰せずですから犯意を得る。その次にいわゆる犯則所得、公判廷で十分立証できる「犯則所得」が幾らであるか、「準犯所得」が幾らであるか、「その他所得」が幾らであるかというようなことを分析して起訴に踏み切るわけでございましょうけれども、告発要否勘案協議会へかけるのは大体どのくらいなのか、あるいは告発する基準はどの程度なのかということは、やはり不公平があったらいけませんから、一人の脱税者は助かった、一人はやられた、その基準というようなものは明白に決まっているわけでございますか。
○岸田政府委員 査察調査に入りましてそのうち告発をいたしますのは、最近の事例でございますと大体七割でございます。三割が引き継ぎという状況でございます。先ほどの告発をするかどうかの基準があるのかどうかという御質問でございますが、脱税犯の様態は非常に多岐にわたっておるといいますかいろいろな形態がございまして、一律の基準でそれを判断するということはなかなかできないわけでございまして、先ほど先生申されましたように犯意がとれるかどうか、脱税の規模がどうか、それからもう一つは刑事訴訟にたえられるだけの証拠の収集ができたかどうか、ここら辺を勘案をいたしまして、個別一件ごとに検察とも十分相談しながら告発要否を決めているわけでございます。
○大島委員 この基準を公表することによりまして、やはり問題があると思いますから、これ以上お伺いしませんが、先ほど佐藤委員は直接税と間接税の比較、権衡がとれているかということの質疑をされましたが、私は別の意味におきまして一般の行政犯と果たして権衡がとれているのかどうかということをお伺いしたいと思うのです。 〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 総理府の調査によりますと、納税に関する意識調査、五十四年にやったと思いますが、大体十万円ぐらいの脱税はスピード違反に相当する、それから五百万ぐらいの脱税は詐欺、横領に相当するという意識が圧倒的に強い。それから、一億以上の脱税は強盗に相当する。もう一遍言いますと、十万円ぐらいの脱税ならばこれはスピード違反程度だ、五百万ぐらいの脱税ならば詐欺、横領程度だ、一億以上になると強盗程度だ、こういうふうな意識調査が出ているわけでございますけれども、この法定刑五年は、間接税の問題はいいですけれども、他の一般の行政犯と比べまして権衡はとれているでしょうか。法務省でも主税局長でも結構です。
○飛田説明員 お話が自然犯と行政犯という非常にむずかしい、法律形式のちょうど中間にまたがることについての御質問でございまして、最近、自然犯と行政犯との限界がどういうものかというようなことは学問的にもいろいろ論議されている問題で、果たしてうまく御説明できるかどうかわかりませんけれども、少なくとも脱税犯は国家の課税権を侵害して国民の税負担の公平を損なうというようなところから行政犯に属するものであろうと思うわけでございますけれども、片や反社会性、反道徳性があるというような指摘もなされておりますところからすれば、自然犯的な色彩を若干帯びている行政犯であろうと思うわけでございます。ですから一般の行政犯と同じに比較できるかどうかあるいは自然犯と同じに比較できるかどうかということは一概になかなか言えないわけでございますけれども、たとえば脱税犯と同じように国家の財産的利益を直接侵害するような罰、たとえば補助金不正受給犯の法定刑が五年であるというようなこともございまして、そういう意味では一般の行政犯と比べまして特に高いというわけでもなく、若干の自然犯的色彩を帯びている犯罪であることを考えれば、五年というのは妥当な線ではなかろうか、こういうふうに考えております。
○大島委員 権衡がとれておればそれで結構だと思います。 国税庁にお伺いしますが、さっきもちょっと大臣に話しましたように、五十九年からグリーンカード少額貯蓄制が実施されますが、いままで査察立件といいますとほとんどと言ってもいいほど架空名義預金から出てきている、これが圧倒的に多いと思うわけでございます。これでもってたとえば徳川家康とか豊臣秀吉という架空名義を使っても査察官はそれを見出す、そして査察立件する、それから起訴して公判になる、こういうことでございますけれども、五十九年からグリーンカード制度が実施できました場合に、今後悪質なものが、たとえば架空名義をもう余りできないからそれを宝石にかえようとかあるいはスイスの銀行に送ろうとかそういうようなことになって査察制度が非常にむずかしくなると私たちは思うんですが、その点どう考えておられますか。
○岸田政府委員 確かに査察調査の段階で架空名義を端緒といたしまして発覚をするという事態は多いわけでございますが、ただグリーンカード制度が採用されたからといってそれほど資金的な動きが、過渡的にはどうかわかりませんけれども、基本的にはそれほどないんではないかというふうに考えておりますので、基本的には査察調査についてそれほど変更する必要はないんではなかろうかというふうに考えております。
○大島委員 査察立件するのは要するに申告が過少であった、申告と真実の所得の誤差がきわめて大きいから査察立件するということになるんですが、ところが、一体申告も何もしないという場合にはどういう——いわゆる無申告ですね。悪意でですから単純無申告じゃないのです。申告も何もしない。これは過少申告するよりもまだたちが悪いと思うのですけれども、この無申告の場合にはどんな刑に処せられるんですか、主税局長。
○高橋(元)政府委員 無申告犯というものは、終戦直後は詐欺その他不正な行為による租税の回避であるということで脱税犯として問うておった時代があるようでございますが、たしか昭和二十四、五年の最高裁の判決で、無申告であればそれは行為がないのだからしたがって脱税犯に問えないということになりました。そこで納税秩序を維持いたすという必要もございまして、無申告につきましては現在一年以下の懲役または二十万円以下の罰金という法定刑がついておるわけでございますが、ただし「偽りその他不正の行為」、たとえば不実の記載をしましたいわゆる二重帳簿を作成するとか、決算について作為をいたしますとかそういう不正の行為を伴う無申告で、後でその事実がわかりました場合には、これはやはり脱税犯として五年以下の——その後国税を免れるときに脱税犯が成立するわけでございますから、五年の除斥期間が七年に延びるという事態になるわけでございます。
○大島委員 いや、私がお伺いしているのは、過少の申告書を提出すれば脱税犯となって、何もしないで無申告でおればこれは単純無申告犯というふうになりかねない。これは非常に不合理ではないかということでございますが、その点どうですか。
○飛田説明員 過少申告と何もしないで黙っているのとその行為は大体同じような行為じゃないか、こういうふうなことを前提としての御質問のように思われるわけでございますけれども、内心の意思が同じように税を免れようというところにある場合でございましても、その税を免れようという意思を持ってただ黙ってじっとしていて積極的行為は何もしてないという人と、それからやはり税を免れる意思を実現するために積極的行動に出てわざと少ない申告をする者とはやはり違う法的評価が行われてしかるべきだと思いますし、その過少申告が「偽りその他不正の行為」であるというふうに認定される者についてはやはり脱税犯として重く処罰されてもおかしくはない、こういうふうに考えているわけでございます。
○大島委員 そうしたら、一体無申告脱税犯の立証というのは法律上可能なんですか。
○小幡政府委員 無申告の脱税犯と申しますと、「偽りその他不正の行為」をして税を免れることをやっているけれども申告はしないという場合でございますから、後で調べられたら税務当局をごまかしてやろうというようなつもりで二重帳簿をつくっておりまして、その表の方には少ない帳簿をつくっている、しかしながら、申告期には全く申告しないで知らぬふりしている、こういうふうな場合がおっしゃるような無申告の脱税犯の典型的な形態であろうと思うわけでございます。そういうふうな場合には無申告でございましても、申告書は出ておりませんが、いろいろな面から査察の調査あるいは検察官が捜査いたしまして、それで押収捜索などで二重帳簿が出てくるということであればそれははっきりした証拠になるわけでございまして、いままでもそういうふうなことで無申告の脱税犯を起訴した事例もございますし、捜査のしようによっては証拠を集めることは可能である、こういうふうに考えております。
○大島委員 そういうふうに二重帳簿とかあるいは裏口預金が見つかればいいですが、何にもない、見つからぬ場合の犯意の立証というのはどうするのですか。
○小幡政府委員 これはおっしゃるとおりであるとすれば非常にむずかしいと思います。むずかしいからそういうものは起訴できないと言えばこれは身もふたもないわけでございまして、私どもとしてはそういうむずかしいところを乗り越えて何とか証拠を集めて、本当に脱税している人で処罰価値があるものでございますれば適正な科刑を実現するように努力しているわけでございます。
○大島委員 繰り返しでございますが、主税局長、まだ申告を過少でも出す方がかわいいのでしまうが、何にもしないで無申告でじっとしているということは税制上どう考えられますか。
○高橋(元)政府委員 確かに、じっとして無申告のままで、たとえば二重帳簿の作成等「偽りその他不正の行為」をやったけれども、申告そのものを出してなかったという場合に罰すべきでないかという御指摘があるわけでございますけれども、ただ、一般に所得がないために申告されない方、単純な無申告というのは非常に多いわけでございます。漫然と申告期限を徒過することは多数人が犯しやすい。そういう者といま仰せのようなかなり悪質な者との差が果たして立法上うまく表現できるかという問題もあろうかと思います。いま法務省からもお答えがありましたように、そういうものの立証は大変むずかしいとしても、やはり犯意を立証して不正な脱税であるとして処罰するというような努力もされていくわけでございますから、単純無申告犯と脱税のための無申告犯というものの区別をつけがたい以上、これを一緒の可罰性の条文ということにするのはむずかしいと思いますが、申告がなくても、たとえばいろいろな端緒から調査をいたしまして、質問調査に対して虚偽の申し立てがある、それが虚偽であるという立証がある、または極端な場合、税務職員に賄賂の申し出をするという場合には、これはもうまさに行為が伴ってまいって、そこで脱税犯そのものになるわけでございます。そういうケースから、無申告でありましても脱税犯として処罰することが可能でもございますし、私どもは現行の「偽りその他不正の行為」を伴わない単純無申告の「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」という条文だけで非常にそこはアンバランスになっておるというふうには考えておりませんが、今後ともよく世の中の実情というものは勉強してまいらなければならぬというふうに考えております。
○大島委員 これは大きな問題ですから、宿題としてひとつ無申告に対してどうするかということをお考えになっていただきたいと思うわけでございます。 次に、税法の有権解釈はもちろん主税局にあるわけでございますけれども、法務省も関係がありますが、幼稚な質問かもしれませんが、「偽りその他不正の行為」とは原則的に一体どういうことを言うわけですか。
○高橋(元)政府委員 脱税行為というものは非常に複雑多岐な態様があると思います。もっと明白に構成要件を規定した方がトラブルがなくていいのではないかというお示しかと思うのでございますけれども、仮にそういうことをやりますと、罪刑法定主義でございますから、そういう構成要件を満たさなければ幾らでも、実質的には「偽りその他不正」であっても脱税に該当しないような工夫というものも可能になってきて、かえって社会全体の倫理とか納税秩序の維持から問題もふえてくるという場合もあるわけでございます。 判例法の積み重ねによりまして現在「偽りその他不正の行為」というものの内容もだんだん明らかになっておりまして、たとえば裁判所の例を若干申し上げさせていただきますと、営業主体を他人の経営に係る会社名義で偽装をした場合、それから山林所得を取得して事業所得だけの虚偽申告をした場合、脱税の意図を持って二重帳簿を作成、備えつけをする場合、これらは「偽りその他不正の行為」に当たるという判例もございますし、そういう多数の判例の積み重ねの中から具体化した「偽りその他不正の行為」の態様も浮かび上がってくるわけでございますから、私はここで立法技術論として「偽りその他不正の行為」の内容をもっともっと明確に書くということを仮にいたしましても、その他偽りまたは不正の行為というのはやはり残ってしまうというように思いますし、またそうでなければ税の秩序が保たれません限り、ここをさらに具体化するというお示しの御意見についてはなかなかむずかしいとお答えせざるを得ないというふうに御理解いただきたいと思います。
○大島委員 先ほど佐藤委員の御質問で、私もうっかりしておったのですが、私はこれは「詐偽その他不正の行為」とばかり思っておったのですが、いつの間に「偽り」と変わったのか、「詐偽」から「偽り」に変わったその理由は何ですか。
○高橋(元)政府委員 所得税法の昭和二十二年改正の際には確かに「詐偽その他不正の行為」であったわけでございますが、昭和四十年に所得税と法人税法の全文改正をいたしまして、そのときに意味は同じであるけれども、多分当用漢字とかそういうことがあったのでございましょうか、「偽りその他不正の行為」という表現にして、今回の罰則整備法案で御審議をお願いいたしておりますにつきましては、入場税その他につきましても「偽りその他不正の行為」という表現に改めさせていただいておりますが、内容的には全く同様でございます。
○大島委員 最後に国税庁にお伺いしたいのですが、いわゆるタックスヘーブンの税制改正ができましてタックスヘーブン調査もしていると思うのですが、これらについて最近の事例ですね、たとえば守秘義務がありますから個別的には聞きませんけれども、件数あるいは金額あるいは逃避先あるいは業種あるいは最高の脱税金額、こういうことについてできるだけ詳しく教えていただきたいと思います。あと私が特に質問することはございませんので、できるだけ詳しくタックスヘーブン税制のその後の実情等について資料を出してください。
○岸田政府委員 五十三年の三月にタックスヘーブン税制が制定されまして、それに基づきます申告が、五十五年三月期決算を中心にいたしまして大体出そろってまいりました。私どもの調査課所管の大法人だけの数字で取りまとめておりますが、それによりますと、申告をいたしました親会社の数が二百二でございます。それから、課税対象になりました留保金額でございますが、百十億になっております。これは親会社は二百二でございますが、いわゆるタックスヘーブン国にございます子会社でございますが、子会社の数は九百二十二社でございます。これは主としてパナマ、リベリア、香港というような地域に集中をいたしております。 業種でございますが、これにつきましては正確な数字をとっておりませんのですが、感触といたしましては、まず海運業、これは船のリースでございます。それから商社を中心といたします貿易業、それから銀行、証券、これはタックスヘーブン国にペーパーカンパニーで起債などをするというような事例が多いようでございます。親会社の業種も、先ほど申しましたような海運業、貿易業、銀行、証券というような感じになっております。 それから、不正所得の関係でございますが、現在は、申告をいただきまして、五十五事務年度、昨年の七月から今年の六月まで、この間に調査中でございまして、不正所得について、これに関連をいたします数字はまだ把握いたしておりません。ただ、現実にそういう関係のありますような法人の調査につきましては、タックスヘーブン税制を十分念頭に置いて調査をするように指示をいたしておる状況でございます。
○大島委員 その中で一番大きな脱税規模はどのくらいだったかわかりませんか。
○岸田政府委員 先ほど申しました百十億は、申告によりますところの留保金額でございまして、これは不正所得ではございませんので、現在、それ以外に、申告をしていないタックスヘーブン税制を逃れたものにつきましては調査中でございますので、数字はちょっと申し上げられる段階ではございません。
○大島委員 それを国税調査官が何人ぐらい海外へ行って調べているのですか。
○岸田政府委員 海外取引関係の会社でございますと全国にございますので、調査課所管の調査官が相当数は動いておると思いますが、それに関係のあるのが何人かと申されますと、ちょっとお答えしにくい状況だと思います。
○大島委員 大いに海外へ行ってこういうものを調査してもらう必要があるのですが、旅費なんかは十分なんですか。
○岸田政府委員 財政再建の折でもございますので、今年度の海外旅費はざっと言いまして昨年度と大体同額でございます。ただ、私どもといたしましては、その限られた予算の中で最も効率的にやるように検討をいたしておりまして、大体現在のところは十チーム、三十名くらい海外に派遣をいたしておる状況でございます。
○大島委員 一チームと申しますと……。
○岸田政府委員 大体二名くらいの編成でやっております。
○大島委員 それでは、お昼前でもございますし、私の質問は終わりますが、時間はまだ十分ございますけれども、最後に一つだけお願いいたします。 そもそも本法案の最も身近な由来は、やはり汚職防止というところから出てきておるだろうと思うわけでございます。これが国民の世論になってこの法案ができ上がったのでございますけれども、現在から見ると、いわゆる大法人というのはほとんど脱税ができないような仕組みになっているという事情、逆に言えば脱税の対象となるのは現在ではほとんど全部と言っていいほど中小あるいは零細法人でございます。もちろん脱税は決していいことではありませんけれども、この法案はいわば大法人にとっては全然と言ってもいいほど意味のない法案で、結局中小企業法人がもしこれによって徴税を強化されるとなるならば、これはまた非常に不均衡じゃないかということで、この法律の適正な運用につきましては、国税庁、特に慎重に留意していただきたいということを申し上げます。また綿貫委員長の一番きらいな附帯決議かどうか知りませんけれども、十分慎重な取り扱いをしていただきたいというふうに思いまして、質問を終わります。
○大原(一)委員長代理 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○大原(一)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き質疑を続行いたします。玉置一弥君。
○玉置委員 今回の脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案、非常に長い名前でございますけれども、要は、ロッキード問題のときにいろいろな時効の問題が生じてきて、そういうところからこの時効を何とか食いとめる方法はないか、そういうような趣旨で今回長くされたのではないかと思いますけれども、まず最初に、特に大手の商社、そして建設とかいろいろな絡みのあるそういう会社、その大手企業を中心にしたこういう一連の動きの中に、今回一括してということでございまして、中小企業関係、特にその税務面の知識の非常に薄い、薄いというか少ない、そういう関係の方まで巻き添えにされるということがありまして、その辺でぜひ再度その実施についての慎重な態度、検討をお願いしたい、かように思うわけでございます。 それで、一つは今回の公訴時効という期間が延長されるということにつきまして、考え方によりましては、現在たとえば三年周期で循環調査のようなことをやられておられますけれども、その三年というものがまず循環、要するに時効が延びた期間に一回見つければいいじゃないかということで延びるような気がします。そういうことで考えますと、三年を五年というふうになったならば、三年循環を五年循環にするということで、同列で考えれば要するに一・六倍強の把握対象を広げることができるのではないか、そういうこともまず考えるわけでございますけれども、現在いろいろな脱税というのが年々後を絶たないわけでございまして、そういうことを踏まえて今回の公訴期間を延ばした、時効を延ばしたということに関して、まずいままでのその調査の取り組みについてどういうお考えを持っておられるか、それについてお答えを願いたいと思います。
○小幡政府委員 ただいまの件でございますけれども、今回の改正をお願いしております点は、偽り、不正の行為によりまして税を通脱するというようなものにつきまして、従来の除斥期間五年でございましたものを七年までに延ばそう、こういう法律でございます。したがいまして、先生いま御指摘のございましたようないわゆる一般の過少申告の事案、そういうものについて現在の除斥期間が三年ということになっておるわけでございますが、これを延ばすというような内容のものではないわけでございます。そういうふうなことから考えてまいりますと、現在の偽り、不正の行為によりまする、いわゆる税逋脱のそういう事案というものがどのくらい私どもの方で取り上げておるかということから申し上げたいわけでございますが、これは所得税の事案におきますと、年間調査しております件数のうち一%弱のものでございます。それから法人税の事案について見ますと、年間調査しておりますものの二%程度、こういうふうなものがいわゆる偽り、不正の行為による税の逋脱ということで取り上げられておる、こういうことでございまして、したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような一般的な私どもの税務調査の取り組み方の中で、大きく税務調査の体系が変わってくるとか、実調率が変わってくるとか、そういうふうな問題ではございませんで、ごく例外的なその偽り、不正を行っておるような人たち、そういうようないわゆる大口悪質といいますか、そういうふうな事案に対しましての除斥期間が延びてくる、こういうふうなことでございますので、私どもといたしましてはそういうふうなことで一般の過少申告事案というものとは別に、特にこういう大口悪質なものについてこの七年の除斥期間という問題があるというふうなことでございますので、格別私どもの調査のやり方等がこれによって変わってくるというふうなことはないというふうに考えておる次第でございます。
○玉置委員 いままでのとおり、何年に一回か、必ずいろいろな調査方法を毎年手直しがされておりますけれども、把握率といいますか、調査対象が拡大される中で効率を上げていこうということでいろいろな見直しをされておりますけれども、今回に限りといいますか、要するに偽り、不正の行為、そういうものを対象に限って改定をしたということで、そのほか虚偽ではなくて、本当に知らない間に——知らない間にというのはまずないと思うのですけれども、どういうわけか意外と多いわけですね。知らない間に申告が少なかったとか、そういうものは、いまのお話ですと、対象にならないということですね。そうなりますと、先ほどの午前中の質問の中にも出ておりましたように、本当にたとえば五年なり七年なり、五年でも非常にむずかしいと思うのですけれども、いかに偽りというものを立証するか、あるいは不正というものを立証するかということで、要するに時がたつにつれて人の覚えが非常に悪くなりますし、書類なんかも非常にそろいにくいというような中で、いままで不正件数と言われるものがどれだけあったか、そしてまず一つはこの時効が延長されるということについてどういう効果があるか。これはわかるかどうかちょっとわからないですけれども、不正だとわかっていながら、つかまえられなかったという言葉は悪いですけれども、要するに違法という摘発ができなかった、こういうものがどの程度あり、この二年間延長ということによって得られる効果はいかほどか、簡単に言えばこういうことですけれども、お伺いいたします。
○小幡政府委員 従来のいろいろな税務調査の中で除斥期間五年という壁があった。そのためにもし除斥期間がもっと長くあれば課税できたのに課税できなかった、そういうものがあったことは事実でございます。しかしながらその件数がどのくらいかということは、特に私ども集計したものはございません。 それから、いままでの税務調査でいわゆる不正というふうなものがどのくらいあったかということのお尋ねでございますが、これは先ほど申し上げましたように、通常の除斥期間を超えて四年、五年の課税を行ったというものは、さっき申しましたように、所得税の事案でいきますと一%弱、法人税の事案では二%程度ということでございますが、五年以内の事案について、それじゃどのくらい不正のものがあったかということでございますと、個人の場合でいきますと、いわゆる重加算税を賦課したような事案というものは、個人所得税では約二%程度でございますし、それから法人関係におきますと約一割強というふうなものがございますが、ここでいま議論になっております除斥期間の偽り、不正のものを延ばすという点につきますと、さっき申し上げましたようなことでございまして、非常にわずかなものということでございます。
○玉置委員 現在は申告制ということで申告をなされるわけでございますけれども、たとえば昭和五十二年の青色申告で見ますと更正決定をなされた金額というのは三百二十八億あった、そういう数字が出ているのでございますけれども、これが全体の二%ということでよろしいですか。
○小幡政府委員 私が先ほど申しました重加算税賦課事案といいますのは、年間に所得税で約十五万八千件程度の調査をいたしておりますが、その中で約二千八百件程度のものが重加対象になっておるということで、これで見ますと一・八%ちょっとになるわけでございますが、それでおおむね二%程度のものが重加対象になっておるということを申し上げたわけでございます。特にこれを青白別に私どもの方では分析はいたしてございませんのでちょっと数字ございませんが、トータルの数字としてそういう数字があるわけでございます。
○玉置委員 重加算というのは結局多い目に取られるわけですけれども、実はこれ、調査対象の枠が年々狭まってきている。たとえば法人ですけれども、調査対象が非常にふえてきているということが一番大きな原因だと思いますけれども、実際のところ調査をされますと必ず追徴税額というものがあったり、いまみたいな重加算というものがあったりということで、ある収入が必ず得られるわけですね。そういうことを考えますと、一説によりますと、国税職員一人当たり約四千万円強ですかの税収を上げることができるということが言われております。今回の二年間延長というよりも、むしろその調査対象をさらに深く突っ込める、あるいはいま全体で八%ぐらいの調査しかできない、あるいは九%ぐらいだと思いますけれども、それぐらいしかできないのを、たとえば二割やるとかいうことにすれば、今度逆に五年で二割、ちょうど一巡するわけですね。そういうこともできるわけですし、できるだけ公平な調査という面から考えまして、やはりこの時効期間内に一巡することが望ましいのではないか、そのように思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○小幡政府委員 私どもの現在のいわゆる実調率でございますが、これは個人の所得税に関して見ますと四%強、五%に達しておらない数字でございます。それから法人税につきましては一〇%程度というふうな実調率ということでございます。先生がおっしゃいました一般の除斥期間の中で一回転するというふうなお考えは一つのお考え方だと思いますけれども、そういうお考えでいきますと、一般の過少申告につきましての除斥期間は現在三年ということになっておるわけでございますから、一般の除斥期間の三年の中に一回はいける、そうしますと実調率は三三%ということになるわけです。それは一つの理想的な姿として先生の御指摘は一つのお考えかと思うわけでございますが、私どもの現在の定員の状況並びに納税者数が相当ふえてきている状況等々から勘案いたしまして、とてもそういうふうな実調を行うということはできないわけでございます。所得税でいけば五%弱、法人税で一〇%程度という実調率を現在のところ確保しておる。これが将来どうなるかということはわからないわけでございますけれども、定員事情というのは依然として厳しいし、また片や納税者数はふえていくでありましょうし、一つ一つの調査対象は経済の複雑化その他のいろいろな状況によりまして一件一件の調査内容は相当困難さを増してくるというふうなことも考えてまいりますと、実調率をいまよりも上げていくということは非常にむずかしい。そういう中で、私たちはいろいろ工夫をこらしながら重点的な調査をしていくということで全体の課税の公平を考えてやっているわけでございます。いま先生おっしゃいましたその考え方というのは、いまの私どもがここでお願いしております法律というものが一般的な過少申告の除斥期間を三年を五年に延長するということをお願いしているわけではございませんで、繰り返しになりますが、偽り、不正、そういう特殊なものについて除斥期間を従来の五年を七年に延ばそう、こういうことでございますので、そういう点から言いましても、現在の調査の体系というものには直ちに影響してこない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○玉置委員 もう一回お伺いしますけれども、二年延長によりまして不正の摘発というものがさらにふえる見込みですか。予想される金額というものあるいは件数、もしあれば教えていただきたいと思います。
○小幡政府委員 先ほども申し上げましたけれども、現在の偽り、不正に対します除斥期間が五年ということになっているわけでございまして、一般の過少申告の場合の除斥期間が三年ということでございますから、四年目、五年目課税というものが偽り、不正のものに限って行われている。この現状はどうかということを申し上げますと、先ほども申し上げましたように所得税で一%程度、法人で二%程度のものしかない、こういうことでございます。これがさらに六年、七年というふうに延びることになれば、私どもの課税の面からいきましてより困難性が高まってくるということはございましても容易になるということはないわけでございますので、したがいまして、ごく常識的に考えまして、いまの四年、五年の課税よりも高まるということはまずないだろうというふうなことで、その比率も何%になるかというのはわかりませんけれども、いまの所得税で一%程度、法人税について二%程度というものを上回るということはまずあり得ない、こういうふうに思っております。
○玉置委員 今回の一、二%程度で、その中に大変国民の敵というか、悪い人がいる。本当にそういう意味では課税を無制限にしてでもつかまえていただきたいという気持ちが非常に強いわけでございますけれども、一方いまの特に中小零細の法人の経理知識といいますか税務知識、こういう状況をいろいろ考えてみますと、先ほども言いましたように偽り、不正、それといわゆる過失といいますか、そういう見分けがより厳格にされなければいけないのではないか、そのように思うわけでございます。現在の不正である、偽りであるという基準、その他の過失というかその辺との差ですね。その辺はどういう基準があるのですか。
○小幡政府委員 これは法律の解釈の問題になりますので、あるいは主税局の方が的確なお答えができるのかも存じませんが、いわゆる「偽りその他不正の行為」というものをどういうふうなものと理解するかということでございますが、判例等から見ましても、逋脱の意思を持ってその手段として税の賦課を不能または著しく困難ならしめるような何らかの偽計その他の工作を行うことを言うのだ、こういうふうに判例でも示されておるわけでございまして、具体的な個々のケースにつきまして、このいま申し上げましたような一つの基準をもとにして判定をしておる、こういうことでございます。
○玉置委員 たとえばある法人化された商店で売上伝票が全部見つからなくて、それがいろんな本の間にはさまれていたというふうな場合と、いかにもそういうふうに見せかけてやった場合と、そのときの判断というのはどういうふうにされますか。
○小幡政府委員 これは税務調査の際におけるいろんなそこで明らかにされてきました事実関係、それから、本人のいろいろな陳述その他もろもろの状況を総合判断をいたしまして、これに当たるかどうかということを考えるわけでございますので、ある一つのことだけをもって直ちに偽り、不正になるとかいうふうなことにはならないわけでございます。
○玉置委員 非常にむずかしいと思いますけれども、一つの線を画すという意味で個人差といいますか、各税務署間での調整とか統一的な考えでできるだけ同じレベルでやっていただきたい、かように思うわけでございます。 そこで、特に法人の帳簿保管というもの、いまは十年ですか、の保管ということになっておりますけれども、実際のところ、大手については十年保管をしておりますけれども、中小零細企業については経理担当さえいないというふうな状況の中で、大体日々の売り上げを余り十分つかまえてない、ましてやそれを記帳した台帳というものが余り整備されてない、こういうものを果たして保管して役に立つのかということもありますけれども、逆に言えば、本当はぴしっと保管しなければいけない、そういう義務があるわけでございまして、それの状況がまずどうなっているか、規模別にお教えをいただきたいと思います。
○小幡政府委員 帳簿の保存状況ということでございますけれども、これは帳簿と申しますのは、私ども税務の立場で非常に重要な意味を持っているということに限りませんで、一般の企業にとりましても健全な企業経営というものを進めていくためには、やはり正確な記帳、それの保存ということが非常に重要な役割りを持っているということでございますから、それぞれの個々の企業の実情に応じまして、その精粗の若干の差異はもちろんあるわけでございますけれども、全体的に見ますれば、おおむね良好に記帳保存されているというふうに考えております。
○玉置委員 おおむね保存されている、それは大体そうだと思うのです。そうでなければいろいろな調査ができないと思いますけれども、たとえば大企業になりますと、一つの倉庫を帳簿保管の倉庫に使って三年以内はかなり詳しくすぐ出るようになっておりますけれども、それ以上たつと、ともかく山の中へ入って探さなければいけないということに大体なりますね。逆に小さいところになりますと、要するに本来整備されて置かれてない、段ボールでぽんと置いてある、そういう感じになると思うのです。ただでさえ場所が狭い、そういうところを使っておられる、そういう方々にとって、それを保管するということが逆に大変負担になる。それと、保管というか、要するにいざというときには出してこなければいけない。それがなければいけないというその二つの負担、二つのというか、場所的なものと、責任といいますか、これから考えて、何らかの措置を考えていかなければ、いまのレベル——レベルと言うとちょっと申しわけないんですけれども、本当にそういう意識が低いんです。これから考えても、非常にやりにくい状態ではないか、そういうふうに考えるんですけれども、同様な考えは、やはり国税庁の中でもお持ちかどうか。そして持っておられるならば、どういうふうに考えておられるのか、それについてお聞きしたいと思います。
○小幡政府委員 確かにいま先生おっしゃいますとおりに、帳簿書類というものを長年にわたって保存しておくということは、各企業にとって大変なことでございます。特に零細企業等にとりましては非常な負担になっておるということかと思いますので、現在大蔵省令でこの帳簿の保存年限は五年というふうに定められておるわけでございますが、今回のこの改正を機に、この帳簿書類の保存年限をどうするかということ、特に零細企業者についてどうするかというふうな問題がございまして、これにつきましては、私どもの方も主税局の方といろいろ具体的な対応というものについて御相談をしておるというふうな状況でございます。
○玉置委員 税の公平を期すというよりも、まず税金に対する物の考え方というものをやはり改めていくといいますか、十分義務感として植えつける、これが大変必要だと思うのです。五十七年度新税をやらないという話が何か確定したようなことを聞いておりますけれども、ともかく税金に対する考え方というのが、何か強制的に取られて、少しでも逃れたい、そういう感じにとっておられる方が非常に多いんですけれども、これからのいろいろな社会的な負担ということを考えていきますと、むしろ義務感を植えつけるということが必要ではないか。 そこで、いまの税務のそれぞれの調査官の数ではとても調査をし切れない。法人税については一割弱である。そうなりますと、あとの九割の方の中に大変悪いことをやっている方がいるかもわからない。一〇%じゃなくて、本当に六〇%ぐらいになるかもわからないという可能性はあるわけです、調査されてないんですから。 そういうことを考えますと、ある程度日ごろのおつき合い、と言うと変ですけれども、いろいろ申告されてくる中で、それぞれ税務署の職員の方が直観的にとかあるいは過去の経験から目をつけられるといいますか、注意をされる、そういう業種なりあるいは相手方がやはりあると思うのです。そういうところにある程度集中するということと、もう一つは、いま納税協会というのがありまして、納税協会の方でいろいろな手続とかあるいは帳簿の記帳指導とかいろいろなことをやっておられますけれども、そういう中で本当に善意の申告者といいますか、そういう制度を確立するということが必要になってくるのじゃないかと思うのです。ともかく自主管理というふうな形で責任を持たせて、そういう部分で手があいたところがいまの調査の行き届いてない部分に深く食い込んでいくということが考えられないかということ。 それと、まとめて申し上げますと、いまの青色申告がいまは大体九〇%ぐらいになっておりますか、そうなってきておりますけれども、青色申告をやったメリットというのは余りないのじゃないかなというような、むしろ逆に、あたりまえになってきているということにもなると思いますけれども、そういうこともありまして、その記帳の方法とかそれからいろいろな記帳——ただ税金を出すだけに記帳するんじゃないですよ。先ほどのお話にありましたように、いまの自分たちの商売の分析をしてそれを将来の経営につなげていくんだというような、そこまでは行き過ぎかもわかりませんけれども、ある程度その分析ができるぐらいの帳簿のつけ方というか、せめてそれぐらいは指導していくべきではないか、そのように思うわけです。いま申し上げましたように善意の納税グループといいますか、それの格づけ、制度ですね。それと記帳指導に対する定期的な講習の義務づけ、これが制度化できないか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○小幡政府委員 いろいろ先生から御指導をいただいたわけでございますが、調査のやり方につきましても、先生からいまお話ございましたようなことで実調率が非常に低いわけでございますので、重点的に調査すべきところは何かというふうなことで重点をしぼって調査をする、あるいはいろいろな情報の収集に努力をしていくというふうなことで、効率的な調査ということを常に心がけておるわけでございます。 それから、納税協会等各種の民間の団体があるわけでございますが、私どもは人手も足りませんので、そういう民間の方々によりまして本当に正しいあるべき適正な申告というものを自主的に皆さんがしていただくということが非常に大事なことでございます。これは広くは租税教育等にもなってくるわけでございますが、そういう民間の自発的な協力というものにぜひまっていく必要があるというふうに考えておるわけでございまして、今後ともそういう民間の自主的な適正な申告納税というものについての機運の盛り上がりということについて、私どもも非常に期待をしておるようなわけでございます。 そこで、いま青色申告等につきましての記帳のお話がいろいろあったわけでございますが、私どもの方におきましても、税務署並びに関係の団体の方々と一緒になりまして、青色申告の方々の記帳指導というふうなことをやっておるわけでございます。青色申告の営庶業約二百五十万ぐらいの方がいらっしゃるわけでございますが、そのうちの約四十九万ぐらいの方々に対しては記帳指導というふうなことをやっております。また、先生お話ございましたような確定申告の前に広く青色申告の方々に確定申告に関しまするいろいろな説明を行うというふうな説明会等も行っておるわけでございますが、そういうふうな点につきまして、いま先生からいろいろ御指導いただきましたような点につきましてわれわれの方も従来以上にきめ細かに対処してまいりたいというふうに思っております。
○玉置委員 高橋局長退屈そうなんで一言だけ聞かしてください。 租税特別措置の中小企業の軽減措置というようなものがありながら、中小企業法人の負担税率というものは意外と高く大企業と一〇%の開きがなかったという。それは資本金とかでいろいろ変わりますけれども。そういうことで具体的にいろいろな方に聞いてみたんですけれども、いろいろな引当金、準備金、そういう制度について、要するに企業会計と税務についての知識がないということがまず一つ大きな要素であるというふうに私は思うのです。 そういうことと、いまの記帳をまずどんぶりでやって手元にお金が残った分がもうけだ。ところが長期的に見ればそれもいろいろなところに引き当てなきゃいけない。しかし、ある時点を切ってみればもうかっていた、そういうことがよくあるわけでございます。こういうことを考えると、減税措置とか、たとえば優遇とか体質強化という面から考えて、いまやっておられるものがそう生きてないんではないか。これは一つには、納税相談ということをやっておられますけれども、その中へちゃんと制度として伝えるようなシステムになってないんじゃないか、そのように思うわけですけれども、それについてどのように感じておられますか、また考えておられますか。
○高橋(元)政府委員 中小企業、まあ法人の分野で申しますと、資本金一億円以下の法人でございますが、中小企業に対して特別に適用されます租税特別措置としては、これは御案内のとおり、中小企業の貸し倒れ引当金の一六%増しという規定がいまございます。もう一つは中小企業の機械の特別償却と申しまして、中小企業が一件百十万円以上の機械を購入されました場合にはその初年度一四%を特別償却できる、こういう規定もございます。そのほか、中小企業対策という観点で、構造改善の割り増し償却でございますとか、中小企業の寄り合い店舗の特別償却でございますとか、さまざまの制度を持っておるわけでございます。 資本金一億円以下、一億から百億、百億超というふうに分けまして、会社標本調査をもとにいたしまして実際の税の負担率というものを計算いたしまして国会にお出し申し上げておるわけですけれども、それによりますと、交際費の損金不算入前で、資本金一億円以下の法人の税負担率は三五・六で、これは一億円を超えます法人の三九・一とかなりの差がある。交際費制度を勘案いたしますと三七・三彩で、四一・八%の一億円超のものとの間にかなりの差がある、そういうことが実態でございます。 それで、先ほども国税庁からお答えを申し上げておりましたように、記帳をはっきりし正確な財務状況を明らかにするということは、税務のためだけではなくて、むしろ会社の経営なり債権者ないし株主との関係なりから法人が当然なさるべきことであると思います。そういう意味で、記帳が正確に行われ企業の業績が的確に把握されるということは、会社の経営を存続していく、また個人の事業の永続を図るということのためにも必須であるというふうに思います。私ども、記帳が非常に不備であるために租税特別措置の利用ができない企業が実際問題としておありになるということはよくわかりますけれども、そういう方々は、税務のためだけということでなくて、やはり事業の円滑また永続した成績の発展を図りますためにも、記帳の面で努力をなさいますようにお願いをしたいと思いますし、国税庁も執行上そういう点で、先ほど来お示しのありますようないろいろな機会をとらえて記帳の——まあ指導と言ったら僭越かもしれませんが、記帳面でいろいろな指導をするというような行政を行ってもらいたいものだというふうに思います。
○玉置委員 講習会もときどきやっておられますけれども、主にパンフレットを渡して、大体皆さん忙しいから、もらって帰るという程度が意外と多いみたいですね。われわれでも読んでみますと、まあ知っている者はよく理解できるのですけれども、知らない人で何かわかるかといいますと、ところどころわからないことが多いというような実態から見ましても、やはり具体的な話を踏まえて教えていただくということが必要だと思うのです。商売をやるからにはそのくらいあたりまえだという気持ちで、ある程度義務化してもいいんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、そういうことをぜひ御検討をお願いしたいと思います。 今回の二年間延長によりまして、国税職員の方々の業務量というものも当然ふえてくるだろう。守備範囲が広くなるという面で仕事量としてどうなのか、その辺を端的にお伺いしたいと思います。
○小幡政府委員 先ほども申し上げましたが、今回の除斥期間の延長というのは、偽り、不正の行為によります税の逋脱に関連するものにつきまして、これを七年に延長しようということでございまして、先ほど申し上げましたように、その偽り、不正というものは全体の調査件数の中におきましても非常にわずかな件数でございます。したがいまして、私どもといたしましては、いままでの通常の税務調査の中で処理をしていくということで、このために格別に多くの事務量がかかってくるというふうには考えておらないわけでございます。
○玉置委員 多分そうなるだろうと思います。 そこで、同じような仕事をなさっております税関の職員の方、この辺についてちょっと時間をいただいてお伺いをしたいと思います。 まず、先日名古屋港において殉職をされたという事件があったそうでありますけれども、その内容を御存じかどうか。
○清水政府委員 名古屋港におきまして、二月九日でございましたが外国の貨物船が入港いたしまして、通例のやり方でございますが、船内検査に向かいました。その船内検査の実施過程におきまして、船内検査の中で船倉の検査をしようとした際に、大変残念なことでございますが、若い職員が一人酸欠と見られる原因によりまして死亡をいたしました。もう一名は、そのときは倒れたわけでございますが、幸いにして回復をいたしました。 私は、この御本人に対してまことに相済まないという気持ちでいっぱいでございますが、その問題に対しましては、名古屋税関は当然でございますが、本省の関税局におきましても事故の原因調査について努力をいたしますとともに、遺族に対しまして必要なできる限りの配慮を進めてまいりますとともに、今後二度とこのような事故のないように安全管理のチェックの面につきまして、名古屋税関、本省の局におきましてそれぞれ検討委員会と申しますか、全面的な体制の見直しのための委員会を設けましてこれを進め、つい最近におきましては必要な安全対策面の第一段の措置を講じ、さらに今後も引き続いて必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
○玉置委員 この間たまたま大阪へ行ったときに税関の方にいろいろな話を伺ったのでございますけれども、そのときの話とか、その後にいろいろな方々に話を聞きますと、税関の職員にはかなりの危険がつきものである、総合すると大体そういう感じの話になるわけですね。税務職員の方でも暴力団の人がやっている会社なりそういうところへ行くとかなり危険な目に遭われますけれども、またそれと違った危険度合いがある、それもかなり頻繁に起こっている、こういうことを考えますと、やはり現在の安全管理という面も非常に重要でございますし、また待遇がそれに見合ったものになっているかどうか、全く危険がない人と同等であるというのは確かにおかしいわけでございます。亡くなられたときだけ補償するということでは非常に問題ではないか、そのように思うわけですね。 ところが、聞いてみますと行政職の(一)という位置づけにしか、しかというのは変ですけれども、いわゆる一般事務の方と全部同じレベルで置かれている。片方の税務職員については税務職員の俸給というか給与体系があり、そういうものが適用される。このことが問題になってくると思うわけですけれども、いまだに改善される様子もないということですね。一方ではいろいろな事故が起き、あるいは勤務時間が大変な変則的な中に置かれておるということを考えますと、やはり見直していかなければいけない時期ではないか、このように考えるわけでございますけれども、それについてはいかがでしょう。
○清水政府委員 御指摘のように、税関の第一線の業務におきましてはかなりの危険を伴う場合もあるということは否定できないところでございます。それからまた税関の職員の仕事は、一つは徴税でございますし、もう一つは監視、取り締まりということでございまして、いま申しましたその危険の問題というのは主として監視、取り締まりの方において起きるわけでございます。たまたまいま比較してお話しになりました税務職ということでございますが、いままでにも私どもの方では一時俸給表のあり方についても議論をいたしたことはあったように記憶をいたしております。しかしながら、いろいろの考え方があったことと思いますが、その方の結論は得ないままで今日に至っているわけでございます。 現在のような厳しい行政の環境ということが他方にございます中でそうした問題をどういうふうに考えるかということにつきましては、これはまたこれといたしましてむずかしい問題があろうかと思います。したがいまして、いまこの席で具体的にこういう方針で検討をしたいというふうにまで申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、おっしゃいました問題はこれはあるだろうと私は思います。したがいまして、この問題は将来に向かいまして、いろいろの側面からそれから周囲の客観情勢の動きというようなものとも見合わせまして検討を続けていく必要があるのじゃないか、このように考えております。 しかしながら、そのことが現実に実現いたしておりません現状において、私どもとしては実質的にそうした重い仕事にできるだけの配慮を加えていくというようなことで、できる範囲のことで努力をしてきているわけでございますし、そうした考え方で今後も現実的な対応はいたしてまいりたい、このように考えております。
○玉置委員 現在行政改革が叫ばれておりまして、できる範囲でやるということではだめなんですね。仕事の中身によってそれぞれ待遇を変えていくということをやらない限り、みんな楽な方へ楽な方へ走ってしまいまして、同じ待遇であれば楽な仕事を選ぶ、やらなくてもいい、効率が上がらなくてもいいという考えが先に立ってしまうわけですね。そういう意味でぜひ考えてほしいですね。いままで言われていながら、また今回事故が起こって、さらに職員の方々にわれわれの仕事は危険だという考えが行き渡っているわけです。そういうときにこそ、われわれはこういう待遇をするんだからぜひ働いてほしいというようなことをお願いしたいと思うのです。これは局長が政務次官なり大臣なり事務次官なりに相談されて、そういう中で大蔵全体との比較あるいは税関という特殊な業務、そういうことについてもっと理解をしていかなければ、何で身をもってそういう水際で食いとめているのかということが守られないわけですね。そういうことをもっと、ふだんやってもらっていることに報いるということでやっていかなければいけないということで、やはり信賞必罰がなければ伸びないのですね。それをぜひ考えていただきたい。それについて政務次官、いかがでしょうか。
○保岡政府委員 いま先生から御指摘いただいたように、また関税局長の方からお答えしたように、税関職員の勤務の特殊性はあると思います。また配慮しなければならない点もあると思います。その点については、いまお答えもしてきたとおり、できる限りのことはしてきたと思いますけれども、いま局長も申し上げましたとおり、行財政の見直しという厳しい環境にはありますけれども、その見直しの中で、勤務の態様、給与のあり方、こういったことについておのずから抜本的な検討がなされるようにしていかなければならないと思います。それが具体的にどういう日程でなされていくか、まだそういう具体的な方針は承知しておりませんけれども、そういう中でめりはりのある、その特殊性を十分くんだ給与のあり方というものを検討すべきは当然でございますので、御趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思います。
○玉置委員 五十五分までですけれども、大体いろいろお伺いしまして、何となくわかったような、まだ十分でないような、そういう感じがいたします。なるべく進行を早めるということで終わりたいと思います。
○大原(一)委員長代理 正森成二君。
○正森委員 私の前に質問しました同僚委員が、何となくわかったような気がすると言って終わられましたので、その後で、わからぬ点があるから質問するというのもいかがなものかと思うわけですが、党が違い、議員が違うわけですから、しばらく質問をさせていただきたいと思います。 それで、国税の脱税等に係る事犯について賦課権の除斥期間を延長しろ、それに伴って徴収権の消滅時効も延長しろというのは、ロッキード事件あるいはダグラス、グラマン事件等が起こりましてから広範な国民の世論になりましたことは御承知のとおりであります。しかし、これについての改正がなかなか行われなかったのが、今回ようやく出てきたわけですが、ただ、私どもとしては、当時私もロッキード委員会等におりましたが、五億円賄賂をもらうとか、あるいは初めに五億円ありきとかいうような人物に対する適正な課税が時効等のために行われないというのが非常に遺憾であるというのが出発点でありまして、きわめてわずかな税額についてたてまえから言えば非違があるというような庶民を、何十万、何百万と除斥期間を延長して追及するというのが国民の大方の世論ではなかったように考えるわけであります。 そういう意味から言いまして、たとえば除斥期間を延長するにしましても、一定額以上の、たとえば二千万なら二千万とか、三千万なら三千万以上の単年度脱税額があった者について除斥期間を思い切って延長するというようなお考えはございませんか。
○高橋(元)政府委員 脱税、つまり偽りその他不正の行為によって税の負担を免れるといいますことは、国民一般の税の負担の公平、そういう法益を侵害することだと思います。裏返して申しますと、脱税をしておられる方が免れた税額だけちゃんと納めておられる方の税額がふえるということになるかもしれない。そういうのが税の負担公平という法益でございますから、脱税の額とか態様によってそこに制裁の区別を設けるまたは除斥期間の延長によりまして追及していくことの区別を設ける、これはなかなかむずかしいと思うのでございます。 〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 一定金額以下の脱税を追及しないとか、悪質さの程度について法律上評価を設ける、こう申しましても、金額が大きいからまたは脱税の態様が非常に知能的だからそれで可罰性がより強くなるかというような国民の方々、皆様方の御了解がすぐ得られるような客観的な基準と申しますか物的な基準というのはなかなかできないと思います。そこは現実に偽りその他不正の行為それからそれによって免れました税額というものの総合判断をして国税庁が執行を行い、また必要がもし仮にあります場合には司法当局の判断にまつというようなおのずからの順序を踏んで、いま正森委員のおっしゃいますような大口、悪質というものをケース・バイ・ケースに判断をしていくというのが現在の法制では一番いいのではなかろうか。いずれにしても、単純な過少申告のミスとか単純な無申告というものは今回除斥期間の延長の対象になっておりませんので、いまの御心配のようなことは起こり得ないのではないかということを私どもも期待しておるわけであります。
○正森委員 それに関連しまして、午前中にたしか佐藤委員が、先ほどは玉置委員もお触れになりましたが、今度の改正によりまして、結局、帳簿書類の保存期間を七年に延長しなければならないのじゃないか。それが大変な負担になるというのは、中小企業者あるいは零細な業者が一様に心配しているところであります。 そこで、報道機関によりますと、自民党の財政部会、小泉純一郎部会長ということになっておるようでありますが、二月の二十三日に、「一、中小企業者の過重な負担にならないように保存すべき書類の範囲を狭める」「二、法施行までの間にその範囲を定める——ことを決定した。」こういうように言っておられるようであります。(「それは赤旗に出ていたのか」と呼ぶ者あり)いやいや、これは「税のしるべ」という新聞であります。小泉委員に証人に出ていただくのが一番いいのかもしれませんが、そういうわけにもまいりません。各委員にもある程度の答弁がございまして、これは将来規則その他でお決めになるようなことですから答えにくいとは思いますけれども、同じくこの報道によりますと、保存を要しない書類の範囲それから中小企業者の範囲などの細部を決めるということになっておりまして「現金出納帳など帳簿以外の送り状、領収書などの書類について、中小企業者にはその範囲を狭めることで決着したものである。」こう書いてあるのですね。だから自民党内、与党内では少なくともそれは決着をして、その上でこの法案が出てきたと思うのですが、それについて大蔵当局はどういう見解を持っておりますか。
○高橋(元)政府委員 所得税法の施行規則の六十三条、法人税法の施行規則の五十九条というものによりますと、青色申告者が保存しなければならない帳簿書類というのは三つのカテゴリーに分けて決められております。 第一は、仕訳帳、総勘定元帳、資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿、いわゆる帳簿でございます。 二番目が決算書類でございまして、たな卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理または決算に関して作成された書類、決算書類でございます。 これからは午前中も佐藤委員からお尋ねがございましたが、青色申告者が六年目、七年目に自己の税額の正当性を証明なさる場合また税務署がほかの証拠をもってそれが正当でないということを立証いたします場合に必須のものであるというふうには思います。 第三のカテゴリーは、取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し、こうなっております。これはいわゆる証憑でございまして、取引証愚、帳簿というものが相互に関連を持って、そこで初めて正確であるかどうかチェックができるわけでございますけれども、午前中の御質問でもただいまのお尋ねでも、書類または帳簿の保存について、比較的規模の小さい業態の方々に過重の負担をかけることのないようにというお示しでございます。私どもとしてもその点は大変よくわかりますので、いま国税庁と相談をしておりまして、第三のカテゴリーの中でいかなるものが省略可能であるのか、そういうことを詰めまして、別途、先ほど申し上げました所得税法、法人税法に基づきます省令の改正をもって、これは昭和六十何年からということになるのですか、六年目、七年目が参りましたときにさらに御保存を願うということにいたしたいと考えております。
○正森委員 大蔵省当局もいろいろ考えておられるようでございますが、この保存義務というのは特に中小業者に、何も悪いことをしてない者まで保存しなければならないということになるわけですから、大きな支障のないような範囲を定めていただきたいということを要望しておきたいと思います。 次に政務次官がおられますので、伺いたいと思います。 今回の改正は世論にこたえたものであるとはいえ、徴税権力を強化するものであることは間違いないですね。徴税権力を強化して、税金を免れてはいかぬぞ、税金はたくさん納めろ、納めなければ悪質な者は七年前にさかのぼって取り立てるというのも結構ですけれども、同時に税体系を国民にとって納得のいくものに変えて、あえて不正、偽りをしてまで脱税しようとは思わない、国民の義務であるから納めるべき税金は潔く納める——潔くというのもおかしいけれども、きちんと納めるという気持ちを持たせることが政治の要諦だと思うのです。そういう意味から言いますと、今度の除斥期間の七年がやってくる昭和六十三年くらいまでもし課税最低限が変わらないという状況が続くとすれば、これはどうしても何とかお目こぼしを願いたいというのでついつい不正、偽りあるいはそれに近づくということになりかねないのですね。それをやらせないあるいはやらなくていいようにするのがやはり為政者たる者の心がけだと思うのですが、政務次官の御見解を承りたいと思います。
○保岡政府委員 先ほど来お答えしてきているとおり、今回の改正は、特に悪質、大口なものを対象に考えてお願いをしておるわけですから、そういう庶民というのか所得の低い階層の納税の問題と直接かかわり合いがあるかどうかわかりませんけれども、課税最低限の問題については従来総理、大蔵大臣からお答えしてきているとおり、いまはそれを考える状況にない、こういうふうにお答えをせざるを得ないと思います。
○正森委員 ことしのことなんか聞いてないのです。将来のことは……。
○保岡政府委員 もちろん、将来経済環境やその他いろいろ変わってくることでございますから、そのときそのときの税制のあり方というものは、その状況に対応するものでなければならない。したがって、現在はわが国の所得税の課税最低限は国際的にまだ高い水準にあるとか、あるいは、もし仮に考えるとしても、今後歳出面において制度改正を含めた思い切った経費節減の見通し、めどが立つというようなこと、あるいは歳入の面においても、税体系全体の抜本的な見直しについて国民の合意ができていくというようなこと、あるいはこれらを通じて特例公債脱却のめどが明白に立つなど、現在政治の最大の課題になり、また国民経済生活上も重要な課題になっているところの財政再建というものがはっきり見通しが立つような状況とあわせて、将来それは税制全体のあり方の問題として考えていく問題だと思います。
○正森委員 非常に優等生としての政務次官の答弁でありますが、いまおっしゃったことは、もちろん大蔵大臣も何原則とか言われたことで、政務次官としてはそういう御答弁になるよりしようがないと思いますが、私としてはそういう御答弁と同時に、心構えとしてはいやしくも国民が不正、偽りの申告などをしようと思わないような税体系を考えていくのが政治家の要諦であるとは思うということを一言言っていただければ、これは優等生以上のりっぱな政治家、百点を差し上げると思ったのですが、これは望蜀の念であったかもわかりません。 それでは次に移らせていただきます。 徴税権を強化するだけでなしに、やはり政府としては姿勢を正して、現在でも取れるところからは取る、むだ遣いをしてはならないところはむだ遣いをしない、こういう両面で経費を節約しあるいは入るべきものをふやすということは非常に必要だと思うのです。 〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕 ところで、まず最初に会計検査院に伺いたいと思います。五十四年度の決算検査報告というのがございます。これを見ますと、不当事項だとか、あるいは意見を表示しまたは処置を要求した事項等々、大きく分けて二つか三つ例示してございますが、これについて簡単で結構ですから、何件で何億円、その意味はどうかということを御説明願いたいと思います。
○三原会計検査院説明員 お答えいたします。 昭和五十四年度決算検査報告で指摘いたしました件数、金額でございますが、不当事項が百五十七件、指摘いたしました金額が二百三十億一千四百万円、それから、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定によりまして改善の意見を表示しまたは処置を要求した事項、これが合計で九件、金額といたしまして四千百五十二億九千万円、それから本院の指摘に基づいて当局におきまして改善の処置を講じた事項十三件、千三百四十二億六千百万円でございまして、以上合計いたしますと百七十九件、指摘いたしました金額は五千七百二十五億六千六百万円になるわけでございます。ただし、このうち三件、金額で五千三百八十九億二千百万円につきましては、その金額がそっくりむだ遣いあるいは国損額、こういうことには言えないものでございますので、これを控除いたしますと百七十六件、三百三十六億四千五百万円というものがむだ遣いあるいは国損額ということに相なるわけでございます。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
○正森委員 いま会計検査院から指摘がございましたように、むだ遣いあるいは国損と言えるものが百七十六件、三百三十六億四千五百万円ということで、この調査率は何%ですか。
○三原会計検査院説明員 実地検査の施行率は、検査の対象の個所に対しまして八%でございます。
○正森委員 八%だということは、それで三百三十六億出てきたわけですから、一〇〇%実地検査をやればそれの約十二倍出るというような、そういう直線的に上昇はしないにしても、しかし実地検査率が高くなれば三百三十六億が一定のカーブを描いて増大するであろうと思うのですが、その点についての会計検査院の御見解はいかがですか。
○三原会計検査院説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり施行率がふえますとこれに比例しまして指摘した金額がふえるということはないとは思いますが、それ相応の指摘の件数、金額の増加、これは期待してよろしいのではないか、かように考えております。
○正森委員 もう一点だけ。いまあなたがいわゆるむだ遣い、もしくは国損額とは言えないというものが三件ある。しかもその三件の金額が五千億円をどうも超えておるようですが、たとえば会計検査院法第三十四条による指摘を受けた二件、四千百十五億円があるようですね。この中身を説明してください。
○三原会計検査院説明員 お答えいたします。 会計検査院法三十四条の規定によりまして指摘しましたうち、二件につきましては先生御指摘のとおりむだ遣いと言えないもの四千百十五億円に関するものでございます。これは実は補助事業の実施あるいは経理の適正化につきまして会計検査院が処置の要求をしたもので、それに係る金額でございます。具体的に申し上げますと、補助事業が年度内に完了していないという場合にもかかわらず、予算の繰り越し手続をとることなく、あたかも年度内に完了したような形で処理を行いまして、国庫補助金の全額の交付を受けている、こういう事態が依然として多数発生している状況にかんがみまして、会計検査院では昨年当局により強い指導監督を求める処置要求をいたしたわけでございますが、その交付を受けた補助金の額が四千百十五億円でございまして、これはいずれ完成すれば交付される金額である、こういう意味で直ちに国損額とは言えないのではないかというふうに考えた次第でございます。
○正森委員 もう一件の千二百七十四億円はどういう性質のお金ですか。
○三原会計検査院説明員 もう一件は会計検査院の指摘に基づきまして当局におきまして改善の措置を講じた事項に係る金額でございます。これは、国の所有する物品につきましては毎年増減及び現在額につきまして各省庁の長から大蔵大臣に報告がなされまして、大蔵大臣が全省庁分を取りまとめまして内閣から国会へ報告される、こういうことになっておるわけでございますが、その五十三年度分につきまして合計千二百七十四億二千百万円の記載誤りがあった、こういうことを指摘したものでございまして、これもやはり国損額そのものとは言えないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○正森委員 どこの省庁が一番多いのですか。
○三原会計検査院説明員 お答えいたします。 防衛庁の物品の現在額について指摘したものでございます。
○正森委員 全額防衛庁ですね。
○三原会計検査院説明員 さようでございます。
○正森委員 いま会計検査院からお答えがありましたように、こういうように財政が非常に厳しい中でむだ遣い、もしくは国損と思われるものが八%の実地調査で三百三十六億、全部がそうではないけれども、会計検査上注意を要するものでひいては国損につながるもの、たとえば補助金を工事が行われないうちに先にもらってしまったといっても、そのことによって結局利子相当分は地方自治体がもうかるわけですし、逆に言えば国が損をするわけです。だから、ばかにならない額でありますが、そういうことが行われているのです。ですから、政務次官にも申し上げたいのですが、これは各省庁にまたがっていることで決して大蔵だけの責任ではありませんけれども、やはり査定をするのは大蔵でございますし、以後の査定に当たってはそういうことをしでかした省庁に対しては厳しく目配りをするということで特に主計局ではお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○吉野(良)政府委員 ただいま正森先生から御指摘がありましたとおり、私どもは従来からもそうでございますが、会計検査院の方から毎年御指摘をいただいております不当事項あるいは改善事項、これらにつきましては関係の職員、熟読玩味をいたしまして、かつまた年に二回会計検査院と私ども担当官との間でいろいろ意見なり情報の交換の機会等も持ちまして検査院との間の意思の疎通を図りながら、予算の編成に当たって十二分にこれを反映させていくように努力しているわけでございますが、財政再建が重要な課題になっておりますときだけになお一層努力していかなければならない、かように考えております。
○正森委員 次に、公正取引委員会、来ていただいておりますか。——では公正取引委員会に伺います。 公正取引委員会が出しております五十四年度の年次報告を見ますと、独禁法三条に言う不当な取引だとかあるいは不公正な取引方法というので公正取引委員会が事件として取り上げたのがたくさん報告されているわけですね。それで、この中で一定の要件のございますもの、独占禁止法七条の二でしたか、課徴金という制度がございますね。課徴金を取らなければならないということになるほどの不当な取引制限等々があったケースは五十四年では何件で、課徴金としてはどれだけ取ったのですか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 五十四年度におきまして独禁法七条の二に基づく課徴金対象カルテル事件数は五件でございまして、百三十四名に対して総額十五億七千百七十四万円の課徴金納付を命じました。なお五十五年度は対象カルテル十二件でございまして、二百三名に対して十三億三千百十一万円の課徴金納付を命じました。
○正森委員 そのうちの一つに石川島播磨重工業外三十六名、官公庁発注の水門工事の入札について受注予定者を決定しておった。つまり談合ですね。これは一定の会をつくったのですかね。そしてそこで相談して入札者を決めておった。水門ですからウォーターゲート事件というように騒がれてこれだけで八億何がしの課徴金をあなた方から言えば取っているわけですね。 それでお伺いしたいと思うのですが、この課徴金という制度は昭和五十二年の独禁法の改正に基づいてつくられた制度で、これは民間同士の取引で一方の側が不当な独禁法違反の事実をやっている場合にも、国が、いわば公の秩序に反する、国に対して一定の金を払えということで取り立てるわけですね。それとは別に、そういう独禁法違反の事実を相手方が行ったために不当な損害を受けた被害者がおりますね。たとえば工事を注文した先、そういう人はだしか独禁法の二十五条で無過失損害賠償の請求ができる、こういうようになっておるようですが、間違いありませんか。
○小倉説明員 お答えいたします。そのとおりでございます。
○正森委員 そうしますと、官公庁の工事について談合して、そして国に一定の損害を加えた場合には、その行為が独禁法違反の事実であれば、独禁法七条の二等で課徴金を国が取ることは当然として、同時に国は工事の発注者としてそういう談合なかりせばもっと安く工事を請け負わすことができたかもしれないのに、不当に高い価格で結局落札してしまったということになれば、国は一定の金額の被害を受けているわけですね。ですから一方では独禁法上の課徴金を取りながら、他方では当事者に対して無過失損害賠償責任を追及して、そしてある場合には裁判、ある場合には呼びつけて話をして、そして一定の妥当な金額に下げさせる、その差額を国庫に返させるというのは当然のことだと思うのです。会計検査院なり各省庁は、あるいは公正取引委員会でもいいです、こういう損害賠償請求をやらせておりますか。
○小倉説明員 お答えいたします。 うちとしては別にそういうことはいたしておりません。
○正森委員 いま、私の独禁法上の解釈としては、国といえども二十五条の被害者として無過失損害賠償請求ができるということは公正取引委員会が認めたわけです。ところが一方では、私が指摘した数々の不当事項がある、あるいは公取は談合等のそういう事実があって損害を与えている、こう言っている。現にウォーターゲート事件と騒がれた石川島播磨重工業というようなわが国のトップクラスの企業が三十幾つも集まったところでは、課徴金を八億幾ら取られておる。それくらいですから、国に対しては当然高い値段で落札するということをやったに違いないですね。 ところが、私が非常に遺憾に思いますのは、公正取引委員会は公正取引委員会で、課徴金だけ取ればそれは終わりだ、会計検査院は不当事項だと言って指摘をすればそれで終わりだ、国の方はそれに対してこういうぐあいに改善しましたという、一応ここに書類が出ておりますが、こういう国会に対する説明書というのを出せばそれで終わりだということで、せっかく自分自身がつくった法律の中に無過失損害賠償を追求できるという規定があるのに、それを活用して国民がこうむった損害を賠償しようとしない。こういうことは、実に国の立場から見てあるいは国民の立場から見て放置できない問題だと思うのですね。国は、おまけに、次の工事をだれに発注するかということについて強大な権限を持っているのです。随意入札にしても、そんなのはもう参加させないということだって言えますしね。 物の本によりますと、ケネディが大統領に就任したときに、鉄鋼関係の労働争議を解決しようというので、鉄鋼関係の独占企業をホワイトハウスに呼んで協力を求めたのですね。ところが協力しなかった。そしてケネディは烈火のごとく怒って、以後協力しなかった鉄鋼会社には国の発注をしない、こう言ったら、たった一日でアメリカの大独占鉄鋼資本が全部降服したのです。そのかわりそれでばんと撃たれたという説もありますから、なかなか勇気の要ることではありますけれども、しかし、日本でも「男子の本懐」というような本も出ておりますし、本懐であるという人が自民党の中にも一人や二人はおるだろう、あるいは大蔵委員長もそうかもしらぬ、こう思いますと、私は、やはり規定がある以上そういうような法律の規定を活用して、国としては全部が裁判などする必要はないと思うのですね、強大な権能を持っておるのですから。だから、法律上はこうなっておる、そしてこういうように値下げをして残額は国庫に返せというような、そういう事後処理をもっともっと十分にやる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○綿貫委員長 ちょっと待ってください。 その前に、正森さん、委員長を名指しでそういうことを言ってもらっては困りますね。私にも疑惑があるように思われますから。取り消してください。
○正森委員 いや、私が言いましたのは、委員長がそれほどの、男子の本懐と思われるほどの決意を持ったりっぱな政治家であるということで、ほめたつもりなんですよ。
○綿貫委員長 そうですか。わかりました。
○正森委員 それは速記録を調べていただけば一遍にわかることです。私はもう非常に敬意を表したのです。
○綿貫委員長 吉野主計局次長。
○吉野(良)政府委員 ただいま手元に関係法令を持ち合わせておりませんので、あるいは的確なお答えにはならないかとも思いますが、まず一般的に申し上げますと、国が主張し得べき債権、つまり法令上国が主張し得るものにつきましては、当然のことながら会計法なりあるいは予決令なりの法令の規定に従いまして請求すべきものは請求をするという仕組みになってございますので、一般的に申しますならば、軽々しく国の正当な権利を一方的に放棄するというようなことはあり得ないのではないかというふうに考えております。 それからもう一点の、たとえば好ましからざる事績のあった者はたとえば入札の際に排除してはどうかというようなお話でございましたが、これもたしか予決令等におきまして、入札の参加資格者につきましてかなり厳しい要件が付してございまして、その中にはやはり、その参加しようとする者の過去の実績等が反映されるような仕組みになっていたというふうに記憶してございますので、そういった現在の仕組みを活用して適正な執行に努めていきたい、かように考えます。
○正森委員 主計局次長が筋の通ったお話でございますけれども、私は、そのお話を大蔵省全体が心にとめられて、特に希望するのは、公正取引委員会と会計検査院と各省庁と大蔵省がばらばらにやるのじゃなしに、どこかでそういう不当な、あるいはむだ遣いとかそういうのが見つかれば、総合的にそれをなくしあるいは国庫に返戻させるという措置をとるために連係プレーをとっていただきたいということを切に希望しておきたいと思います。 次に、こういうように、いま答弁を聞きますといい答弁もなさるわけですが、他方、これは三月二十二日の日経でございますが、「企業のなれ合い「談合金」税務上、交際費扱いに」という、こういう大きな記事が出ているのですね。 これを見ますと、いままさにここで公正取引委員会や会計検査院がけしからぬとこう言うた、談合してそして落札を高くするというものについて、どうやら国税庁は、その談合金は「税務上、企業売り上げに直結した「必要支出」と解釈できるとして、交際費扱いを明確にしたもの。」こう書いてあるのですね。 これは普通、企業は余り公にはできないから、使途不明金ということで、そして、談合金は出すんだけれども、相手がだれでどういう趣旨の金かということは言わないで、初めから税務署に、これは使途不明金ですから損金扱いできません、利益として税金をかけてもらって当然だと言うてやるのですね。それを、税務署は、何をサービスしようと思うのか知らぬけれども、これは談合金だろう、企業存立のための必要経費だ、交際費で落とすぞ、こういうことをこれからやると、こう書いてあるのですね。(「重大問題だ」と呼ぶ者あり)本当に重大問題で、国民は、こんなんじゃ税金納める気にならないですね。 それでおまけに、今度の法律で、まあ小口でそんなに悪質でないものにはそんなに苛斂誅求しないというお言葉でしたけれども、とにもかくにも七年間は、除斥期間が延びる、こういう法律なのに、一方では、刑法九十六条ノ三の犯罪ですね、これは、二年以下の懲役です。その談合金を、企業売り上げに直結した必要支出と解釈できる、それで交際費で扱う、だから一定の範囲までは損金で落とす、範囲を超えても、九〇%ですか、というように限度を設けて、全部は利益とみなさない、こういうことになっているんでしょう。それはどういうぐあいにするつもりですか。これは国税庁ですか。
○小幡政府委員 ただいまの談合金の問題でございますけれども、先生御案内のように、法人税法におきましては、法人がその法人税の所得金額の計算上特に損金に算入しないものというものを三十八条で明らかにしておるわけでございますが、これによりますと、罰金でありますとかあるいは先生から先ほど来御指摘いただきましたような公取法上の課徴金、こういうものは損金には算入しないということが特に法律をもって書いてあるわけでございます。ということは、法人の所得計算の関係でこれが企業の支出として認められるというふうなものにつきましては、この行為がいわゆる反社会的行為であるかどうかということは法人税法の上では格別取り扱っておらないわけでございまして、特に刑事政策的な見地からこういうものを損金にしてはいかぬというような罰金でありますとか課徴金は損金に算入しないということが法律に書いてあるわけです。したがいましてそれに書いてないものにつきましては、業務遂行に関連して支出する費用であるものにつきましては、その社会的なものかあるいは反社会的なものかということには一応かかわりなく、それが経費性があるかどうかということになってくる、こういう筋道になってくるわけでございます。 そこで、この談合金という問題につきましては、先生お話しのように恐らくはとんどの場合には企業では使途不明金ということであろうかと思います。それは実際問題としてはほとんどそういうものであろうかと思いますが、たまたま法人税の基本通達の改正を昨年やっておったわけでございますけれども、その中で交際費というものはどういうものが入るか入らないかということを一つ一つ分類してまいりますと、たとえばいま申しましたようなものは交際費という定義の中にどうしても入ってくるということで、こういうものは交際費の中に入るということを書いてあるということでございまして、実際問題といたしましては恐らく談合金というものは企業の実際の経理では使途不明金として通常は処理されるということであろうかと思いますが、考え方といたしましてはただいま申し上げましたようなことにならざるを得ない、こういうことでございます。
○正森委員 それはとんでもない話ですね。私が幾らそうですかと言って引き下がろうと思ったって、後ろの議員さんがそんなばかなことがあるか、こう言って応援してくださいますから、私としても、はいそうでございますか、そんなことは言えないですよ。談合金なんというものは犯罪の手段として使われる金ですよ。それを当事者側が使途不明金だと言ってくれば格別、税務署の方で見つければこれは交際費だと言うのでしょう。そんなばかなことがありますか。本人が使途不明金だということで四二%税金を払いますと言うて出てきておるのに、いやいやこれは談合金やろう、それならあなた交際費で落ちるじゃないか、税法は国の道徳や刑法と関係がないんだ、そんなばかなことがありますか。法律というのは最低の道徳ですよ。その法律の中で、しかもこれほど財政再建が言われ、国民は課税最低限が四年も上がらないで一生懸命金を納めているのに、企業はそもそも談合金でいいことをするのかというとそうじゃない、国に高い金で落札をして、しこたまもうけるのですよ。そういうことをやっておいてその経費は、税務署の方は交際費だから落としてあげますよ、こう言う。そんなことを国会の大蔵委員会で言われて、もう恥ずかしくて、増税法案よう通したなというようなものですよ。(「本当だ、そのとおり」と呼ぶ者あり)本当ですよ。 ですから、もし法人税の何とかという通達か何か知らぬが、課徴金やら罰金は損金で落とせないと書いてあるがそれ以外は書いてない、それを根拠にするならば、それは明らかに憲法体系やら法律よりも省内の規則やら何やらを上に置く、とんでもない考えです。ですからこれは即刻改正しなければとてもこの秋の行政改革国会なんか乗り切れないですよ。ほかの人が乗り切れると言われても、私と後ろで応援してくださった方は絶対にそれは済ますわけにはいかない。本当ですよ。ですから渡辺大蔵大臣がおられればこれは御見解を承らなければいかぬのですけれども、政務次官というのはやはり大臣にかわって政治家としての良識ある判断をなさる立場にある方ですから、ここはひとつ大政務次官としての御決意を承りたいと思います。
○保岡政府委員 いま部長の方からお答えしたとおりへ現在の法律制度では税法上の特段の定めがある場合に限ってそのような取り扱いをするということで、罰金等もこれは明文を置いて法律で例外措置をとっているわけです。したがって税法上必要経費というものをどう出すかという場合に、先ほど申し上げたような原則があるわけですから、この法律そのものを曲げて解釈するわけにはいかないだろうと思いますが、しかしながら正森先生おっしゃる果たしてそういうことでいいのかという点の御指摘はもっともの点がありますので、よく検討をさせていただきたいと思います。
○正森委員 それではそういう御答弁がありましたからこれ以上はお伺いしないことにします。内部でよく検討されることを期待いたします。 次に、つり合いのとれた税執行を行うための要員の問題について伺いたいと思います。 昭和三十年度ぐらいと比べて申告所得税の納税者数あるいは法人数、源泉徴収義務者数等々は飛躍的に指数としてふえておると思いますが、おおよそどのぐらいふえているかお答えください。
○川崎政府委員 昭和二十年、三十年に比べますと二倍、三倍ということになっておりますが、この十年で見ますと一・四倍とか一・六倍ということになります。
○正森委員 そこで、それに対して税務の執行に当たる職員はどのぐらいふえておりますか。
○川崎政府委員 おおむね横ばいで〇・三%程度ふえておると思います。
○正森委員 行政改革を行わなければならない時代ですから、扱わなければならない事件数に比例して人員をふやすということはなかなか困難で、内部の仕事の合理化だとかあるいは機械の導入等々でできるだけ賄っていかなければならないというふうにわれわれも思いますし、日夜そのために国税当局は努力されているというように思いますけれども、しかしそれにも一定の限度があると思うのです。全国税の労働組合が国会に陳情しておりますところによりますと、これは税執行上非常に人員が少ないために問題が起こっている、それを解消するためには最低六千人程度の人員増が必要である、こう言っております。特にその中で私が関心を持ちましたのは、国税庁当局は税務行政の四本柱として調査、指導、相談、広報、こう掲げている。しかしその中でやはり一番重要なのは内部での納税者に対する指導や相談、広報、それから内部の調査の一環としての内部事務の強化ですね、資料等整備して効率よく税務行政ができるためのそういう準備が非常に必要であるというように主張しているようですが、これについての国税庁当局の御意見を承りたいと思います。
○川崎政府委員 御承知のように納税者の数がふえておりますが、職員が余りふえていない。そこで私どもとしましてはできるだけ内部事務を圧縮して外部事務に振り向けるという努力をやってまいったわけであります。その結果、調査要員は内部的には若干増加しておりますが、内部事務に従事する職員数は減っておりまして、内部事務自体も非常に窮屈な状況になっておることは十分承知をしております。そのために機械化ですとかあるいは協力団体の育成とかいろんな手を打ってまいったわけでございますが、職員組合側の方からも年々要望が強うございまして、私どももこの要望をよく受けとめまして増員に努力をしてまいっておるわけであります。
○正森委員 一応お答えがあったわけですけれども、調査事務について現在は法人についてほぼ二四、五%、それから申告をしてまいりました中小企業等々に対しては大体五、六%の実調率だそうでございます。あるいは違っておるかもしれませんが、そういう調査については現在の実地調査率程度は確保して、そして調べていく。と同時に、高額悪質所得者等を重点の調査を行う。そうすれば、統計を見ましてもそのためにふえる税金の増というのは非常に多いようですから、そういう点を強化し、内部事務や指導相談事務、窓口業務など納税者サービス事務を拡充する、こういうことのために職員が一定量必要だと言われておりますし、また、この間の税調の報告を見ましてもそういう点に力を注ぐことが必要であるという趣旨のことも書かれているようでございますから、そういう点について十分に努力をして、いやしくも職員が過労のために倒れたり病気になったりということが激増することのないようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○川崎政府委員 おっしゃるとおりでございまして、過労のために職員が病気になるとか、非現実的にむずかしい仕事を非常に長時間やるといったようなことがないようにするためにいろいろ努力をしてまいりたいのですが、何といいましても人員の確保に今後ともなお一層努力をし関係官庁に十分お願いをしたいと考えております。
○正森委員 使途不明金等についてまだお伺いしたいことがございましたが、ちょうど時間のようでございますので終わらせていただきます。
○綿貫委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十三分散会