大蔵委員会 第16号
- 発言数
- 364 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/25
会議録
○綿貫委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤弘治君。
○柿澤委員 直税三法について質問をいたしたいと思います。 まず租税特別措置法の関係ですけれども、五十四年度の改正で、社会保険診療報酬の特例に関する税制改正がございました。医師税制については社会的にも大きな問題になっており、是正の必要が叫ばれているところでございますが、その点について、改正後の課税の実情を御説明いただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 昭和五十四年の税制改正で社会保険診療報酬の課税の特例について改善を行ったわけでございます。その内容は、委員よく御存じのとおりでございますが、政府といたしましては十分評価していただいてよい内容であろうという考え方でございます。 この改正によりまして、五千万円以上の社会保険診療報酬の収入につきましては実態経費率に近い五二%という法定の経費率を認めることにしておりますが、それが適用されます五千万円超の者の割合でございますけれども、実は五十年に税制調査会から答申がございました。そのときの基礎になりましたデータが四十八年であったわけでございますが、四十八年時点には、五千万円超の診療報酬を得ている方の割合は開業医のうち六%ぐらいであったと思います。現在、五十四年になりますと、その割合が三分の一ぐらいになってきております。これによりまして、七二%の経費率から五二%という実態経費率に近い課税を受ける方の割合がかなりふえてきておる、顕著であると思います。 それからもう一つ、青色申告の開業医の中で実額経費を選択される方、つまり租税特別措置法の二十六条の規定を使わないで、実額の収支で所得計算をなさる方、つまりもう一つ申しますと、租税特別措置法の改正後の第二十六条が実態よりも辛くなっておる、こういうことでございますが、そういう方の割合は五十三年には三割ちょっとであったわけでございますが、五十四年になりますと四割を超えております。そういう意味で、この規定は十分実情に沿ったものであるというふうに考えております。 ちなみに、五十三年と五十四年の二カ年間で特例適用を受けておられる方の医業所得の伸びが約一五%でございましたが、その間所得税額は一・四倍というふうに大幅にふえておることを申し上げておきたいと思います。
○柿澤委員 そうしますと、社会保険診療報酬の特例については、現在の改正後の制度を運用していけば課税の適正化は進むというふうに考えてよろしいわけでしょうか。
○高橋(元)政府委員 ただいまも数字について申し上げましたように、五十四年度改正の効果は相当上がっておるというふうに判断しておりまして、この措置を続けてまいりたいと考えております。
○柿澤委員 その点について大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは理論倒れになってもいけないと思いまして、実務的に、主税局長が言ったようなことが妥当なのかもしれない。しかし、将来所得税法でも改正するときは、厚生省との相談にもよるが、一人法人を認めるというような医療法でもできたりなんかすれば、そのときにはまた別な考えもあろうかと思います。
○柿澤委員 もう一つ、租税特別措置に関しまして質問をしたいと思いますが、特別措置の中にある老年者年金特別控除の制度でございます。これは、六十五歳以上の老年者について年金の特別控除制度というものがございますけれども、年金につきましては掛金の段階で所得税の控除が認められている。さらに、年金が支払われる場合には年金については給与所得控除を認めるという制度がある。さらにその上に、老年者年金特別控除というものを設けているわけですけれども、この辺については、年金受給者の生活について税制的にもできるだけ配慮しようという趣旨はよくわかりますけれども、制度の問題としてどうも重複控除になっているのじゃないかという懸念があるわけです。その点については、実は税調の五十五年十一月の中期答申でも問題のあるところだという指摘があるわけですけれども、今度の租税特別措置法の改正の中でこの問題は取り上げられておりませんが、それはどういう理由なわけですか。
○高橋(元)政府委員 租税特別措置法の中に老齢者年金特別控除の規定があることは、ただいま御指摘のとおりでございますが、本年、五十五年をもちまして適用期限が切れますので、今回の改正では二年間延長ということで御審議をお願いいたしております。 いまもお話がございましたように、公的年金の受給者につきましては給与所得控除が適用される。その性格は、勤労に伴う経費の概算控除という側面を持っております。そのほかに七十八万円の老齢者年金特別控除、これは六十五歳で年の所得が一千万円以下ということを要件といたしておりますが、通常の場合には七十八万円の老齢者年金特別控除の適用がございます。 そこで老齢者だけの夫婦というものを取り出してみますと、その方の年金が、年金だけで暮らしておられます場合には二百十九万四千円まで、それからまた、連れ合いが七十歳以上ということになりますと二百二十九万六千円まで税金がかからないことになります。一般の勤労者が子供二人を抱えております場合に二百一万五千円でございますから、それに比べますと老人の年金所帯にはかなり所得税上の優遇が行われておるということだと思います。こういう給付でかなり高い段階まで配慮が行われておりますほかに、掛金の段階で事業主は自分の損金とするし、それから、それの半分は被用者が負担いたしますが、被用者の負担は社会保険料の形で所得税から引かれるということになっております。 こういう課税制度について将来検討すべきであるということが、いまもお示しのありましたように、昨年の中期答申の中で述べられておるわけでございますが、そういう重要な検討課題であるということを踏まえまして、本年度は単純に二年間延長させていただいたということであります。
○柿澤委員 いま年金について給与所得控除を適用しているのは給与の概算控除だというお話がありましたけれども、この方々は勤労しておられないわけですね。そうすると、勤労しておられないのに概算控除をする。しかし、勤労しておられる間に掛金をかけておる。そのときには、給与所得控除を引いてもらった上で、掛金については課税対象になっていない。ところが、働かなくなっても給与所得控除が受けられるというのは、制度的にちょっと矛盾をしているのじゃないのでしょうか。 〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕
○高橋(元)政府委員 公的な老齢年金につきまして給与所得控除の適用があるということは、恩給、厚生年金、こういった勤務に係る年金の場合にはやや理解できる点もあるわけでございますが、国民年金制度ができました場合に国民年金の老齢年金につきまして給与所得控除を適用したわけでございます。それから始まりまして、いまもお話がございましたように、すでに勤務が終わってしまって後から年金を受け取っておられる方、これについて給与所得控除を適用することがいいかどうかという基本的な問題が出てまいりまして、それと掛金段階での所得税からの控除とあわせて、年金課税問題としてこれからの高齢化社会に備えて深く掘り下げて検討すべきであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○柿澤委員 まさにおっしゃいましたように、厚生年金、共済年金だけでなく国民年金について給与所得控除が適用されるということは、制度的に見てもどうも非常に矛盾があるように思うわけです。さらにそれに加えての租税特別措置法上の年金特別控除ですから、そういう意味では重複というか、掛金段階を加えれば三重の控除になっているという点は制度の問題として見直していただく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。 それから、主税局長触れられましたように、年金受給者の課税最低限がいまの計算ですと二百十九万円、働いている人の方が課税最低限が二百一万余円、この点については課税最低限の引き上げを今回所得税減税ということで野党は共同要求をしたわけです。その点についても、年金受給者の生活について手厚い保護をするというのは結構なんですが、働いている人と働かない人との均衡の問題というのはやはりあるんじゃないかという点は制度的な問題だと思います。 この二点について大蔵大臣、これから高齢化社会を迎えて年金支給額は非常にふえてくる、その点で制度の問題としてこの租税特別措置法上の年金の特別控除、さらには年金に対して給与所得控除を適用している問題、それから課税最低限の勤労者と年金受給者のアンバランスといいますか逆転の現象、この辺は抜本的に見直すべきだと思いますけれども、いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 一つの問題点であることは間違いないと思います。しかし、働いている人もそのうち働かなくなれば恩恵を受けることでもあるし、人のことだと思ったら自分のことになってしまったということもありますし、そこらはどういうふうに扱うか、働けるうちがいいのか働けなくなった方がいいのか、いろいろ問題があります。しかし、理論的には柿澤委員のおっしゃることも一つの筋の通った話でもございますので、今後両々相まって検討させていただきます。
○柿澤委員 もちろん大蔵大臣がおっしゃったようにわれわれもそのうち老齢人口になってしまうわけで、その点は決して老齢者についての制度上の手厚い配慮というものを否定するものではありません。ただ、これからの社会の中で、労働人口と被扶養人口の間の租税負担の問題はよく考えていきませんと、結局働いている方が実質可処分所得が減ってしまう、働かない人の方が可処分所得が多いという状態で果たして勤労意欲というものが保てるのだろうか、これは自由主義社会の活力の問題としても、すでにスウェーデン型の福祉社会についていろいろ問題が出てきているという点から見てもこれはまじめに検討していかないといけない問題だろう。われわれはそのうち養われる方に入ってしまうので、そういう意味では黙ってこういうものは温存しておいた方がいいのかもしれませんけれども、その点で世代間の均衡の問題があるんではないかというふうに考えて問題を指摘したわけでございまして、今後ぜひ根本的な検討をお願いをいたしたいと思います。 それから所得税の問題ですけれども、所得税についてはクロヨン、トーゴーサンといったような形での捕捉率の問題といいますか、徴税、課税上の公平の問題というのがいろいろ議論をされております。特にこれから社会保障制度の中で所得制限がいろいろな形で機能してくるようになりますと職種間の課税、徴税のアンバランスが問題になってこようと思うわけですけれども、その点で、これは去年の臨時国会の予算委員会でも指摘したのですけれども、外国の例を見ますと、申告義務者は、いま日本では所得がなければ申告義務がないということになって完全に税務当局、課税当局からの目に触れないところに出てしまうわけですけれども、フランスなどで見ますと申告書の提出義務を外形標準でやっている。たとえば旅客機やヨットなどを持っていると所得がなくても申告の義務があるとか、家事使用人を雇用している人は申告義務があるとか、別荘があったら所得がなくても所得税申告しなければいけないというようなことで、捕捉についての隠蔽されたといいますか、所得についての課税調査を容易にするいろいろな仕組みがあるわけです。そういう点では日本でも申告義務者の中にそういう外形標準を加えるというのも一つの工夫ではないかと思うわけですけれども、その点について主税局長はどういうふうに考えておられますか。
○高橋(元)政府委員 一昨日も税制調査会長からお話があったわけですが、昨年の十一月の税制調査会の中期答申の中では、税の把握と申しますか、その問題についてかなりの配慮をしておりまして、たとえば記帳水準の向上ということが指摘されておりますが、それとあわせまして、いまお話しのございますように、たとえば外形標準申告というものについても検討が進められたわけであります。フランスの場合には、たとえばヨットを持っておる人、自動車を持っておる人、競争馬を持っておる人、それから家事使用人を使っておる人、別荘を持っておる人、賃貸価格千フラン以上の建物を持っておる人、こういうような人につきましては所得の多寡を問わず所得、収益、扶養親族に関する詳細な申告書を出さなければいかぬという規定がございます。それからアメリカの場合には、実際にはワークしておらないようでございますが、総所得一千ドル以上の人は申告書を出せという規定もございます。 しばしば指摘されておりますのは、いま柿澤委員のおっしゃいますような外形標準による申告というもの、または収入基準による申告というものを工夫して所得税における横のバランスと申しますか水平的な公平を保つような制度的な工夫をすべしということでございまして、私どもも、税制調査会でそういうことが勉強されたということをいま申し上げたわけですが、今後とも検討を進めてまいらなければならない課題であると考えておるわけであります。
○柿澤委員 きょうは国際金融局長においでいただいておりますので、利子所得等の課税に関する問題とも関連をして、今後日本の国際収支上大きな問題となってくると思いますオイルマネーのリサイクルに絡んで、これからの国際収支の見通し、その中での経常収支の赤字ファイナンスをどうするか、その辺についての大蔵省としての御見解を伺いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 国際収支の見通しでございますが、昨年の状況は、御承知のとおりオイルの値上がりというようなことを転機にいたしましてかなり苦しい時期を経たわけでございます。たとえば昨年の一−三月でございますと五十八億ドルの赤でございました。その後、各四半期、だんだんと赤字が減少していったわけでございますが、昨年の四月から十二月まで約五十億ドルの赤字でございます。この一−三月が幾らになるかということでございますが、一月が二十九億の赤、二月が六千万ドルの赤というようなことになっております。政府の見通しは御承知のように九十一億ドルの赤字でございますが、ただいま申し上げましたように四月から十二月の赤字五十億ドルに幾ら乗るかというようなことに相なるわけでございますが、確たることはわかりませんけれども、大体六十五億ドルから七十億ドルの間ではなかろうかと思っております。 今後の見通しでございますけれども、政府の見通しは御承知のように経常収支ベースで六十億ドルの赤字でございますが、一つは石油情勢、これはバレル一ドル上がりますと大体一年で十八億ドルくらいに効いてくるわけでございますが、石油情勢の問題、それから世界経済、なかんずくアメリカの経済、ヨーロッパの経済あるいは途上国の経済、こういうような問題が輸出、輸入に効いてくるわけでございます。したがって、非常に不確定要因がございますので、目下のところは政府の見通しの六十億の赤というふうにお考えいただいていいのではなかろうかと思います。 これをどうやって対処していくかという第二番目の問題になるわけでございますが、OPECの黒字が続く限り何らかの意味においてその他の国は赤字にならざるを得ない。いまフロート制でございますからほうっておけばいいわけでございますが、そうしますと為替レートが安くなるというようなことで物価に効いてくるというようなことで、もっぱら新聞などに出ますのはドイツでございますが、わが国も昨年は目下のドイツと同じような状況にあったわけでございますが、経常勘定の赤字を資本勘定で補てんせざるを得ない、レートが安くなって物価のことが構わなければいいわけでございますが、全体の経済政策から見てそういうことも放置できないということで、御指摘のような経常の赤字を資本勘定で補てんするというようなことをやらざるを得ない。昨年いろいろなことをやったわけでございますが、一番まとまってやりましたのは昨年の三月二日にいろいろな資本導入策を図ったわけでございます。そういうようなかっこうで、昨日も当委員会において村山委員からの御質問があったわけでございますが、経常の赤字を資本勘定で補てんしていくというようなやり方をやらざるを得ない。 これにはいろいろなやり方があるわけでございますが、ドイツがやっておりますのは直接債務証書を黒字国に買ってもらうというようなやり方をやっております。私どもの方は民間がやりやすいようないろいろなこと、それから本年の予算総則でお願いをいたしました政府保証債の、従来は外貨建てでやっておったわけでございますが、それを円建てやなんかも出せるようにしていただくというようなこと、こういうようないろいろな商品を取りそろえるというようなことをやって、できるだけ安定的な外貨が入ってくるような措置を昨年来とってきたわけでございますが、本年の場合も、経常が昨年に比べますと急速に赤字幅が縮小しておりますけれども、やはりこの赤字を放置するわけにいかないのでそういうようなことを進めなければならないということで、ただいま申しましたように財政投融資系統の方で新しい施策を打ち出しておるというようなことでございます。 それで今度は黒字国の方の事情もございまして、資産運用の多様化を図るという要請が彼らの方にあるわけなんで、それに対応できるようないろいろなことを考えていかざるを得ないというような状況にあるわけでございます。
○柿澤委員 三月二日に資本導入策をいろいろと決めたというお話ですけれども、その後状況の変化としては公定歩合の引き下げがありましてこれから長期金利等が低下をしていくということになりますと、その資本導入策についても、ある意味では外貨流入のインセンティブがそれだけ低下をしてくるということになろうかと思うのですけれども、公定歩合引き下げ、金利引き下げ後の外貨流入見通しというのは、いままで国際金融局でお立てになっていた見通しと変わってくるんじゃないでしょうか、その辺についての見通しはどうでしょうか。
○加藤(隆)政府委員 昨日の村山委員の御質問にもあったわけでございますが、金利差が資本移動に影響を与えてレート差に効いてくるという一つの流れがあるわけでございますが、フロート以降の八年ぐらいをドイツの場合、日本の場合を分析してみますと、必ずしも金利差が即資本移動に影響を与えないという時期があるわけでございます。金利差が資本移動に影響を与えるというのが通説でありますし、大部分の場合はそうでございますが、例外的にそうでない場合がある。 これをよく分析してみますと、一つは、経常収支やなんかが改善方向に向かっている、あるいはそれが悪化方向に向かっておるかというようなことで、ある通貨に対する期待感が働く場合がございます。それからもう一つは、金利差が物価差に影響して物価差が経常収支に影響を与えるというような場合がございます。それでもう一つは、期待と若干違って考えた方がいいと思うのですが、ドルが安くなると思うとドルのディスカウントが、通貨間に金利の裁定作用が働くわけです。ただいまの例で申しますと、ユーロの三カ月で大体最近下がってまいりまして一四、五%、そうすると直先のスプレッド、要するに将来ドルが安くなると見ている人たちが将来のドルを安く買う、そのディスカウントの幅が六%とか七%ある。そうすると、日本の短期市場の金利が現在七%、八%、九%、そうしますと一四、五%から七、八%引いたものと比べてみて、金利が自由でございますからしょっちゅう動いておりますが、目下のところは公定歩合を一%下げて、その後日本の短期金利が下がっておりますけれども、同時に、幸いなるかなアメリカの金利も下がっておる、したがってユーロの金利も下がっておる、そこに円についてのファンダメンタルズについて期待感の方が、円高に見ておりますのでドルのディスカウントが働く、そうしますともち合いみたいな関係に現在あります。したがって、たとえば昨日の終わり値ですと二百九円十五銭とかいうようなことで若干円安になっておりますけれども、まあまあ目下のところは物価、経常収支、そういうようなファンダメンタルズがマーケットの期待に円にプラスに働いておりますので、当面は心配要らないんではないか。ただ、一たびこれが逆の方向になりますと御指摘のような問題が生ずるので、全体的な経済運営について基本的な諸条件についてのしっかりしたディシプリンを持った経済政策が望まれるわけでございます。
○柿澤委員 最近の通貨情勢としては欧州通貨の中でいろいろと動きが出てきているわけですね。これがこれからの日本の為替レートにもそれから資本流入にも影響してくると思うわけですけれども、たとえばイタリアのリラの切り下げが行われた、ベルギー・フランについても切り下げがうわさをされている。そういう意味ではドイツ・マルクだけでなくて欧州通貨全体についての再調整といいますか、そういう時期に入っているのだというふうに見るべきなのか、それとも微調整でとどまるのか、その辺は日本にも大きな影響を与えると思うわけですけれども、その辺の見通しはどうお立てになっておられますか。
○加藤(隆)政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、最近時の、たとえばOECDのWP3などの会議の席上でもそういう問題の議論がございます。それで若干御指摘の点からずれるかもわかりませんが、当面ヨーロッパが気にしておりますのはアメリカの高金利、そのあおりを食らってヨーロッパ諸国も高金利にせざるを得ない。ところが景気が下降して失業者の問題に直面しておる。本来国内経済的に言えば金利を下げざるを得ないわけなんですが、アメリカの金利が高い関係で、国内の金利が安いと資本流出をする。そうしますとレートが安くなる。レートが安くなると物価が上がって悪循環が起こるということで非常なジレンマにあるわけなんですが、片っ方ではアメリカの高金利が下がった結果ドルが安くなる。そうしますと油の値段が上がり、また国際通貨の不安要因になる。非常にジレンマに逢着しているわけです。 そこで、ドイツもフランスもそうでございますが、一面ではアメリカの高金利に対してデメリットを感ずる。ところが、片やただいま申しましたようなことでメリットもある。日本の場合も同じ状況にあるわけでございますが、そういうような一般状況の中でイタリーの場合にはあのスネークの中で若干ファンダメンタルズが相対的に悪いということで、とりあえずは、目下のところはそういう全般的な通貨問題ではなくて、イタリー固有の問題としてお考えいただいていいんではないか。いままでもEMSの中で幾つかの個別通貨のセントラルレートの変動はあったわけでございますが、全般的にはさきに申しましたような問題がございますけれども、御指摘のイタリー・リラの問題などについてはそういう個別の問題としてお考えいただいていいのではないか。したがって、全般的な通貨調整とかそういうような問題は当面はないと思いますけれども、一般的に申しまして、基本的に石油価格の上昇、これに伴うOPECの黒字、そういうようなものを発端といたします主要国間の金利差、同時にその金利差が国内経済との関係で失業の問題あるいは景気停滞の問題、こういう問題と絡んで、きわめて現在は、何と申しますか一つのバランスがとれておりますけれども、そういう問題の中にポーランド問題とかいろいろそういう国際情勢の変化が出てくるというようなことで、幾多の不安定要因を抱えておりますけれども、目下のところはそう心配することはないのじゃないか、そういうふうに見ております。 〔小泉委員長代理退席、大原(一)委員長 代理着席〕
○柿澤委員 為替レートの問題としてはもう一つお聞きしたいと思いますのは、これは昨年私どもが欧州議会を訪ねたとき、それからこの二月に欧州議会側が日本へ来まして意見交換をしたときにも、自動車輸出に絡んで出てくる問題でございますが、日本は為替レートについては経常収支、輸出促進の観点から低位に据え置いておる。そういう意味で金利も上げるべきところで上げないで資本流入を抑制している傾向がある。その意味では為替レートを人為的に操作をしているというような誤解がかなりありました。昨年の九月にOECDを訪ねたときにもバン・レネップ事務総長までそういうような指摘をしていた。この点私ども、日本としては為替レートについてそうした意図的な操作、つまり輸出ドライブをかける意味での為替の切り下げというのはしていない、金利についても、あえて資本流入を抑えるために金利を低位に安定さしているということではないんだということを説明をしてきたわけですけれども、バン・レネップ事務総長のような、ある意味では国際問題の専門家といいますか、非常に影響力のある人まで、そういう意味で日本の為替政策について誤解といいますか、疑義を持っているということは非常に大きな問題だ、日本としても大変問題だというふうに思ったわけですけれども、その点についてその後OECDその他の議論はどうなっておりますでしょうか。それからまたそういう誤解は解けつつあるというふうに考えていいんでしょうか。
○加藤(隆)政府委員 御指摘の特にヨーロッパでございますが、昨年の四月ごろから、二百六十円ぐらいからどんどん円高の過程でそういう問題指摘が何回かいろいろな場所でございます。それに対しましては、私どもは当然のことながら第二次オイルショックの一番の問題点は物価上昇ということで、物価の抑制ということが経済政策の眼目であったわけでございますから、国際金融政策としてもそれに当然従うわけで、それは何であるかと言えば、円高傾向ということになるわけです。基本的な政策目標から考えて、そういうことは考えられないんじゃないか。 それから第二点は、五十三年の十二月に大体外貨準備が三百三十億ぐらいあったわけですが、昨年の三月末には百八十五億ドルになったわけです。百五十億ドルのドルを東京のドル不足に対して投入したわけですが、これは二つのことを考えたわけで、一つはドルを東京に売りますと円が引き上がってくるんで金融を締めるわけです。それからもう一つは、それで時間をかせぐ。そういうことによって、先ほどのお話にありましたような資本の流入を、効果が出てくる時間をかせいでやるというようなことでやってきたことがあるわけですが、こういうような巨大な介入を思い切ってやっている国というのはないわけです。それはひとえに円レートに対して幾ばくのインセンティブがあったかどうかという問題はございますが、何とかしてレートを高目に持っていって物価を抑えようとした、これは非常に大きな事実であるわけですが、こういうようなこと、こういうようなことで説明をいたしまして、理解を求めるわけでございますが、結局、日本も困難であるわけですが、非常に各国相対的に困難の度合いが違って、いろいろな批判が出てくる。御指摘の昨年日本にヨーロッパの議員同盟が来られて野党の先生が皆さんそういうような質問あるいはディスカッションをされたことは承知しております。それで日本側は、私の申し上げましたような理解のもとにいろいろ先方の理解を求めていただいたということも大変よかったことだと思っておりますが、なかなかわが身がつらいと人の調子のいいのがよく見えたりしまして、実は相対的にいいだけであって絶対的には決していいわけじゃないのですが、そういうことで時に触れそういう感触がございます。 ただ私どもとしては、基本的に、ただいま申し上げましたような、一つは客観的な事実、もう一つは政策の基本的な姿勢という点で理解を求めるというような努力を絶えずやっております。
○柿澤委員 そのときにも議論が出たんですけれども、どうも日本はそういう意味では経常収支の改善といいますか、輸出ドライブで問題を解決しようということで性急過ぎる、もっと資本の流入についての努力をしなければいけないんじゃないか、その点が余り努力をされていないという指摘があるわけですね。私どもは大蔵省がオイルマネーの還流といいますか、流入のためにいろいろと努力をされ、産油国とも話し合いをしたりしておられることを知っておりますので、その点は説明をしておるわけですけれども、その場合一つの問題として最近日本への投資として考える場合に外貨建ての債券でなくて円建て債に対する選好が非常に強まっている。しかし円建て債を購入しようと思うと課税上の問題が出てくるということで外貨債に比べて取り扱いが不利になる。その点を何とか改善してほしいという意向もあるようですけれども、これについては竹本委員からの主権免税というような話もありますけれども、その適用対象の範囲の問題もあろうかと思いますし、それからオイルマネーの運用対象としての円建て外債というものについて、税制上何らかの特別の措置というものを考えながら、その点を円滑化していくという方策というものが考えられないのか、その辺主税局の御意見を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 国内源泉の利子所得、配当所得、これを非居住者または外国法人が取得します場合には、わが国の所得税法上は二〇%の源泉徴収というのを原則といたしております。ただ、租税条約において、資本交流の円滑化という観点から利子、配当に対する軽減税率が定められるという例が多うございます。その場合には、一般に利子は一〇%、配当は一五%ということにいたしております。 いまお示しの円建て債についても、そういう原則のもとで考えてまいることが必要と思っておるのでございますが、租税特別措置法の中で二つの例外規定が設けられております。一つは、一定の外貨債または外貨借入金の非課税でございまして、内国法人の発行する外貨債で期間五年以上のもの、これは円リンクというような形のものが多いと思います、それに払われる利子。それからもう一つは、BP借り入れということになると思いますが、政府、日銀、外為銀行が行う外国政府または中央銀行からの外貨借入金の利子、この二つは非課税ということにいたしております。 なお、主権免税についてお尋ねがございましたが、いまの日本国の徴税当局のとっております解釈では、外国政府中央銀行が通常の政府機能の範疇に属する行為によって取得する所得、これは利子でございますが、それにつきましては国際法上の慣例として免税という扱いにいたしておるわけでございます。 いろいろお話がございまして、私どもとしてもそういう問題点というものを頭に置いて十分研究の課題としてまいりたいと思っております。
○柿澤委員 終わります。
○大原(一)委員長代理 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 鈴木総理は、三月十八日の日商総会及び自民党四年生議員との懇談会等で、五十七年度は大型間接税を導入せずとか、あるいは行政改革により歳出削減に全力を傾けるとか、あるいは行政改革に政治生命をかけるとか、強い姿勢をお示しになりましたが、大蔵大臣もまた、五十七年度は増税をしないで予算編成ができるかどうかの問題について、御自分が行政改革を担当させる土光さんともいろいろな打ち合わせをされて含みのあるお話をされている旨、承っているわけであります。 すなわち、二十三日朝、土光敏夫臨時行政調査会会長は渡辺大蔵大臣と会って、行財政改革について話し合いをされましたが、渡辺大蔵大臣は歳出削減に全力を傾ける点で同調しながらも、歳出カットは実現可能性のあるものにしてほしい。それからもう一つは、五十七年度に大型新税を導入することは避けたいが、増税しないで済むかどうかは景気動向とも絡むので断定できない旨説明されたと承っているわけであります。 大蔵大臣と総理大臣がおられるところで質問するのが普通なら妥当なのでありますけれども、いないときに聞いた方がいいこともひとつあるわけで、こうした総理、大蔵大臣の発言は、省内の主要な意向としてすでに省議としてまとまっている方針なのか、大臣、総理大臣がこれはもう明らかに放言として言われたものなのか。自民党の大蔵大臣というのは一期やると大体首になるというのが定説であるので、皆さんとしては黙ってその様子を見ていて、大臣がかわったところでまた新方針を出そうとされているのか。えげつない言い方で恐縮なんでございますが、増税を回避すること、大型間接税を導入しないこと、こうした問題についてどの程度の意見のまとまりがあるのか、いまこの場所で問いただそうとしているわけであります。 政務次官にまず応接させると非常に気の毒なので、政務次官をちょっと横へどけておきまして、主税局長はどの程度のサゼスチョン、示唆なり指示なりを得ておられるのか、まずその辺から承りたいと思います。
○高橋(元)政府委員 ただいま五十六年度の税制改正について真剣な御審議をいただいておるわけでございます。これらを通じて財政再建の目標に向かって税制面からどういうふうに対応していくかということにいま頭を砕いておるわけでございまして、五十七年度も同じように財政再建の路線の上で五十七年度の税制改正というものをことしの末ぐらいに考えていかなければならないと思っておりますが、現在までのところ、大蔵省内部でこれについて具体的な考え方をまだ固めるにとうてい至っておりませんし、大蔵大臣、総理大臣が国会でいろいろお答えになっておられることは承知いたしておりますが、これについて具体的なこうせよというような御指示はまだいただいておらないということを御報告したいと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、主税局長がまことに明快におっしゃいましたので、疑問が氷解したわけでありますが、総理及び大蔵大臣からは特別の指示はこれに関してはない、目下政治家の放言の段階である、担当大臣としての発言ではない、こういうふうに見てよろしいのかどうか、政務次官お答えいただきたい。
○保岡政府委員 いま主税局長からお答えしたとおりの状況でありますが、総理及び大蔵大臣は政治的に並み並みならぬ決意を述べられておるものと思います。
○渡部(一)委員 小説の話をして恐縮なんでございますが、最近大変売れた小説の中に「男子の本懐」という小説がございまして、時の総理及び大蔵大臣が身を挺して当時の金解禁の問題で努力をされたという非常に劇的なシーンが掲載されておるわけであります。ああいうものを見ますと、総理大臣とか大蔵大臣がいきがって何かをやりたくなる雰囲気があの小説にはたくさんあるわけでございますが、ただ一つその「男子の本懐」の中では大きな失敗があったということも認めなければいけないと思います。それは何が失敗だったかというと、官僚と政治家との間の意見の不統一であります。そのために、せっかくの大きなプラスのポイントが増強されず、マイナスのポイントが増幅されて、そしてあの政策は、次の暗い戦争への思い出につながる時代の幕明けになってしまった。 私が心配しておりますのは、行政改革とか財政再建とかは巨大なテーマであります。これは一大臣や、総理ですらも思いつきで発言しては不可能な問題かと私は存じておりまして、心配をいたしておる一人です。したがって、これほどの発言をなさるときには、行政改革で増税はしないんだとか、大型新税は税調の答申にもかかわらずしないんだというようなそれほどの決断を示されるときは、少なくとも、相談のできにくいことであったとしても、局長会議を初めとして省議の中で周知徹底せしめ、研究せしめる段階が急がれなければならないと私は思います。そうでなかったら、単なる政治家の暴走に終わり、この話は、「男子の本懐」と似てくるのは最後の殺されるところだけだなどという悲劇を生ずるでしょう。 私はおどかしているわけでは毛頭ないけれども、これほどの問題に連絡が悪過ぎる。お二人がおられたら、それこそもう汗をたらして聞いておられたろうと思うけれども、またお二人のおられるところでは局長はあれほど明快には言えなかったかもしれないと思うけれども、きょうは率直に言っていただいて私は大変よかったと思います。ここではこれは政務次官の仕事だと私思うのです。政務次官、ひとつこれが省議として十分討議されて、省としての意向でこういうようにいくぞという方針が速やかに討議されるように、調整されるように私は求めたいと思いますが、どうでしょうか。
○保岡政府委員 いろいろな政策課題に挑戦する場合に、どういう過程で実現されていくかということにはいろんな場合があると思いますけれども、本件の場合は五十七年度の予算という問題にもかかわりますし、おっしゃるように内閣最大の課題の一つであります。いま総理や大蔵大臣の並み大抵でない決意のもとに、これから五十七年度予算編成という流れの中で動いていく、これから大変な決意からいよいよ大きな動きが始まる、このように御理解を賜りたいと思います。
○渡部(一)委員 次に、国税事務の合理化の問題につきまして前回に引き続きもう一つ承りたいと思います。 国税庁全体の事務の中で、調査事務と内部事務の事務量の割合は現在どの程度になっておられるものか、これを承りたいと思っております。
○小幡政府委員 まことに申しわけございませんが、ちょっといま手元に数字ございませんので、至急取り寄せまして御報告を申し上げます。
○渡部(一)委員 じゃ、国税事務の合理化の問題につきまして、私は何回も発言しておりますが、内部事務量が非常に多いんで問題が多いということをいま言おうとしているわけであります。じゃ、この問題につきましては質問をちょっと留保しておきまして、ほかの問題に取りかかりたいと思います。 では、ちょっと当委員会で、「男子の本懐」のときと同じように金の問題をこの際取り上げて御質疑をしたいと思います。 現在、昭和五十一年前後から発生いたしました金の悪質な取引による被害実態及び対応策につきまして、通産当局がお越しになっておられれば、その辺からまず承りたいと思っているわけであります。
○江崎説明員 金の悪質取引による被害でございますが、その実態を正確に把握するというのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、通産省の本省と通産局に寄せられておりますいわゆる消費者相談というのがございますが、そのうちの金の関係の数字を見てまいりますと、昭和五十二年の場合に二十一件、それから五十三年になりますと百二十三件、五十四年には四百五十一件に大きくなっておりますが、五十五年になりますと、これは四月から十二月までの数字しかまだございませんが、百五十二件ということで若干下火になってきているということでございます。 ただ、この件数というのはいわゆる単純な取引の相談ということもあるわけでございまして、被害の総件数ということかどうかは若干確かではございません。それからまた、通産省以外にも、たとえば警察の御当局とかあるいは地方自治体といったようなところへ被害の届け出が出ているということもあると考えられます。 それでこういった金の悪質取引による被害に対してどのような対策をとってきたかということでございますけれども、まず国民一般に対する啓蒙普及といいますかPR活動というものが一番大事であるということで、これまで通産省の場合消費者ニュースというのを出しておりますが、それに対して、悪質取引にひっかからないようにということで注意を喚起いたしましたり、あるいは関係省庁と御協力しましてビラを全国に配布いたしましたり、それから地方自治体ですとか、消費者行政の担当の省庁に対して説明会を開催するというようなこと、あるいは全国紙に対して注意文を掲載するというようなことをやっております。 それから二番目の対策といたしまして、大衆が金に非常に関心を持っておるということを考えまして、大衆が信頼のある店で金の現物を購入できるようにするということが非常に大事だということで、流通機構の整備をしております。これは具体的には日本金地金流通協会というのを設立いたしまして優良店を登録するというかっこうで進めております。 それから直接悪質取引を取り締まるということで、警察御当局の方とも御協力いたしまして、悪質取引の検挙というようなことも随時行っておる次第でございます。
○渡部(一)委員 日本における金の取引の実態及び世界的な金市場の形成というのがどんなところになっているか、簡単にお答えいただきたい。
○山梨説明員 お答え申し上げます。 まず世界の金の流通実態でございますけれども、自由世界の金の需要と申しますのが、これは金の需給と申しますのは世界的に公的な統計資料というのがございませんで、私どもでいま申し上げるのは世界的に一応権威のある数字と言われているものを申し上げるわけでございますけれども、この数字が必ずしも実態かどうかというのは私ども正確にすることはできないわけでございまして、これは調査会社の資料でございますけれども、大体需要の合計が一九七九年で千七百六十トン台というふうになっておりまして、このうちの新産金と申しますか、自由世界で新しく鉱山から取れる金が九百六十トン、それから共産圏からの売却がこの年は二百三十トンばかり、これは年によって相当フラクチュエートいたします。それから公的な金の売却、これはIMFとかアメリカの財務省とか、こういうところから放出されたものがこの年は五百七十トンというふうに出ております。なお新産金の中での七割強が南アフリカから産出されるというふうに出ております。 なお、日本の需給でございますが、これは自由化が進みましてから内需が相当ふえております。特に私的な保有が相当のウエートでふえておりまして、これは年度でございますが、昭和五十四年度で需要の計が百九十トンを超えているというところまできております。ちなみに、これは自由化されました四十八年が百三十トン程度ということで、相当量ふえているということでございます。このうちの新産金、国内鉱山及び海外から購入しています銅鉱石等を主体としまして、こういうものの随伴から出てくるものが約四十トンございまして、そのほか再生金と申しますか、民間からの退蔵品から出てきたものとかいうものを再生したものが約三十トン、それから輸入とか非居住者等からの購入が八十トン台——失礼いたしました。先ほどの再生金というのは、精製業者にまで戻ったものでございまして、町の地金業者のところで回転しているもの、こういうものがそのほかに約四十トンあったのではないかというふうに見られております。 それから世界の市場でございますけれども、これはちょっと私手元にいま資料持ってきてないのでございますが、一番権威のあると思われているのはロンドンの金市場と言われているもの、そのほかチューリヒとかパリとか香港、アメリカではコメックスといったようなもの等がございます。
○渡部(一)委員 御承知のように、こういうふうに金の売買というものが過熱化しつつある状況にある。そしてグリーンカード制が施行されたときに逃げられる唯一の道として、唯一ではないでしょうけれども、金というのは非常に脱税に絶好である、隠し金によい、税金がかからない、こういうような意向もこれあり、いま非常に金の売買というものが隠微にかつ底広く行われつつある状況にあります。これに伴う事故が、いままではブラックマーケットの存在という形で非常に問題になってきたのですけれども、今後は課税捕捉の問題でも非常に問題になってくるため私はこの問題を取り上げようとしているわけであります。 きょうグリーンカードについては後にわが党議員が詳細に論じますし、ここに大臣の御在席のときに論じさせていただくとして、この金市場問題を論ずる場合に、ブラック業者の根絶を図って一般大衆の保護を十全なものにするということが一番大事なことである。そういう体制をまずつくっていくということが大事だと思っているわけであります。ところが、最近に至りまして商品取引所法第八条の解釈変更が行われ、金の市場あるいは先物市場等をつくるということは原則として自由なんだというふうに法律の解釈が変更されたということで大混乱が起こった旨私は承っているわけであります。したがって、本日だれかがそういうような市場をつくったとしても処罰する権限を持つところはない。こういうような状況にほうり出しておけば、ある意味でブラック業者が自分たちの手で市場を形成し、そしてそれがまた金融秩序のある種の混乱を招くということは明らかであります。スピーディーな行政対応というものが必要であると私は思うわけであります。私は投資家保護、一般大衆の保護の立場からこの問題を論じようとしているわけであります。 聞くところによると、通産省におきましては懇談会等をつくられまして、懇談会の答申が本日お出になるということでありますけれども、まだ出る直前だそうで詳細には論じられないとは思いますが、その輪郭を少し述べていただきたい。特にこのような商品取引所法八条の解釈変更に伴う混乱などというものをこれ以上このまま放置しておけないし、ブラック業者による妙なマーケットの存立などというものをそのままにしておくわけにいかないので、その立場からどういうふうに結論が出そうなのか承りたいと思います。
○江崎説明員 御指摘のように一般大衆といいますか一般投資家に対して非常に被害を及ぼすということをわれわれも心配いたしまして、実は昨年七月に産業政策局長の諮問機関といたしまして商品等の取引問題研究会というのを設置いたしまして、御指摘になりました八条解釈によって国内で私設の先物市場の開設が無規制になって一般大衆をそういった取引に勧誘するというのが野放しになっておるわけでございますが、これに対してどういう対応をとるかというのを検討してまいったわけでございます。御指摘のように本日の午後最終的な研究会の結論をいただけるということでございまして、現段階では断定的なことは申し上げられませんが、これまでの検討してまいりました内容を御紹介いたしますと、この問題に対しては三つほど実は案が検討されております。 第一の案といいますのは、私設先物市場の開設そのものを禁止しよう、全く禁止してしまう。それから、先物取引ですとか、あるいは先物取引に類似いたしますいわゆる延べ取引、予約取引というのがございますが、そういう危険な取引に対して一般投資家を勧誘するというのも禁止するというのが第一案でございます。それから第二案といたしまして、私設の先物市場を必ずしも禁止しなくても一般大衆を対象とする勧誘だけを禁止しておけば被害は防げるんではないかという案がB案でございます。それから、三番目の案といたしましては、野放しでだれでも勧誘できるということにするのではなくて、そういった取引を対象にいたして勧誘する人を一定の許可といいますか、あるいは登録といいますか、そういうかっこうで有資格者にやらせるということで悪質業者は排除できるというのが三番目の案でございます。 なお、この研究会におきましては、御指摘になりました国内の私設市場が野放しになっているという問題のほかに、海外関係の商品取引市場に取引を勧誘するということも従来から無規制の分野でございますが、これについても何らかの規制措置が必要ではないかという検討もあわせてやっておるところでございます。
○渡部(一)委員 この取引問題研究会は本日午後結論が出るということでありますが、私が大変心配いたしておりますのは、この研究会の結論をもとに今後どういう段取りで法制化というところまで進んでいくのか。研究会の結論が出たとしても商品取引所法八条の解釈変更に伴う混乱というものは、通産省当局は何もしないとか大蔵省当局は知らぬ顔をしているという状況にいけば混乱が混乱を呼ぶことは明らかであります。しかも、財産というものが、ある意味で、この前は銀行から郵便貯金へという大変動が起こったし、今度は郵便貯金から銀行へ戻りつつあり、今度はまた金に大騒動して戻り始めるというようなことは、財政秩序の上からいっても——財政秩序という言葉が妥当かどうかわかりませんが、余り感心したことじゃない。ところが、受け手になるべき金市場の方は形成されていない。ある意味ではそのルールというのは抜け穴だらけ、両省の間の意見はまとまらないとすれば、私はこれは問題だと思っておるわけです。まあ事のいきさつですから……。 通産省側としてはその結論をもととしてどういう段取りでどういうスピードで事を進められ、法律の改変その他を含む手順をとられるおつもりか、そこのところを承りたい。次に大蔵省に承りたい。
○江崎説明員 本日いただきます報告書の取り扱いでございますが、きょう御結論をいただいた後、われわれといたしましては、各界各層の種々の御意見を賜り、それから、この問題は実は農林省とも非常に関係しておりますので農林省とも御協議いたしまして、十分な協議を踏まえた上で、商品取引所審議会の場あるいはその他の適当な場を使いまして、さらに具体的な方向づけを行います。それで結論を得た段階で行政として必要な措置を講じていく、必要があればもちろん法律改正等の準備作業にも入るというふうに考えております。
○渡部(一)委員 いつごろですか。
○江崎説明員 審議会の結論はできればこの夏ごろまでにはわれわれとしてはいただきたいというふうに考えております。ただ、内容が非常に慎重な検討を要する問題でございますので、審議会の審議がどうなるか、ちょっとまだ断定的なことは申し上げられないと思いますが、われわれとしては夏ごろをめどにしたいと思っております。
○渡部(一)委員 私はこの状況、非常にこのスピードはのろいと率直に言って思っております。特に私が心配しておりますのは、わが国においては、小豆相場とか大豆とか繊維とかの商品相場が過熱いたしまして、言っては悪いですけれども、比較するのも悪いけれども、競輪や競馬で負けて帰ってくる人が同じような気分でこういう市場に殺到する、そういう状況というのを私はしばしば見ておるわけであります。金市場のように国際的につながっている市場というものを形成する場合には、これらの小豆でも大豆でもやはりつながっておりますけれども、規模といい影響性といい極端に大きなものでありまして、先物市場というものをつくるということには私は反対の立場であります。先物に反対であるだけでなく、こうした問題について今度は逆に何らかの公的な処理が行われずに時間が一日ごとにずれていって課税が不可能になってくることはもっと問題だと思います。そのために多くの一般大衆がけがをするということはもっともっと問題だろうと思います。 課税当局としてはこういう問題をどう考えておられるのか、ちょっとここで伺います。
○小幡政府委員 お答え申し上げます。 私どもといたしましては各種の取引につきまして有効な資料、情報を収集するということで公正、適正な課税の実現ということに努力をしているわけでございますが、ただいまお話ございましたような金の関係のいろいろな取引資料ということにつきましてもいろいろ努力をいたしまして資料収集に努めまして、それを関係の課税の適正に努力をしているというところでございます。
○渡部(一)委員 いまの答弁は失格ですな。何も意味していない。そういう意味のないことで時間を使わぬでもらいたい。子供じゃあるまいし、ほかのところじゃともかく第一委員会室でしゃべるような話じゃないよ、君。 次に、もう一回話を戻しますが、金は高価でありかつ人を興奮させる奇妙な作用がありますから、いきなり先物相場をつくるより現物市場をつくるという基本的姿勢というものが適切であると思いますが、通産省当局はどう考えておられますか。
○山梨説明員 お答え申し上げます。 先ほど江崎室長からお答えしましたようにいわゆるブラックマーケット対策といたしまして一年以上前から国会でもいろいろ審議の場で答えさせていただいているのですが、一つはPRの強化、もう一つは現物の流通機構の強化という二本立ての対策を当面いままで実施してきているわけでございまして、これからも強化しようとしているわけでございますけれども、現物の流通機構の整備という点で私どもの鉱業課が所管しているわけでございますが、先ほどもお話ししましたように五十四年度の末に日本金地金流通協会という社団法人を設立いたしまして、これに加盟している登録店というものを全国的に普及させるということをいま鋭意やっているわけでございます。これは一年二カ月強経過いたしました現在で全国に二百四十六店という店を設けまして、この店で売買していただければ安心して買っていただくこともできるし、買っていただくだけではなくて売り戻しもするということを実施してきているわけでございます。従来からも金地金の売買というのはデパートを初め扱っている店はあったわけでございますけれども、これは売る一方でございまして、買い取るというのは、分析技術が非常にむずかしいとか、鑑定とかいった技術が非常に専門的な知識が必要なわけでございまして、急にふやすというのはなかなか大変でございましたのですが、現在一部は大手の地金業者が保証するというような形でこれだけ数をふやしているのがいまの実態でございます。そういう意味ではこの店で売買がされるという実態が行われているということで、現物の市場というものがある意味では存在しているということも言えるのではないか。ただ、これからもより一層金流通の円滑化を図るという観点から、具体的、物理的な現物市場施設を設けてはどうかといった意見もございますので、現在関係者の意見を聞きながらその必要性につきまして検討を進めているというところでございます。
○渡部(一)委員 私は、現実として現物市場に近いものが現在存在しているわけであり、そうしたものでは先物市場に余り簡単に手を出すべきではないと私は思っているわけであります。下手にそういうものに手を出せば金融混乱というのはひどくなる。やはりステップ・バイ・ステップといいますか、そのデメリット、メリットというのは十分に計算し尽くさなければならない。だからいきなり先物市場をつくるのではなくて、現物市場をつくる基本姿勢というものが明らかにされるよう望んでいるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
○山梨説明員 私どもといたしましては先生おっしゃいますことと全く同意見でございまして、そういった意味で現物市場をいま強化しつつあるというのが先ほどお答えした内容になっているわけでございます。先物市場については、先ほど江崎室長の方から答弁しましたようにいま法制化の準備をするとかというところから手をつけて、鋭意検討を進めていきたいというふうに思っております。
○渡部(一)委員 では、現物市場を育成していくというのが基本的姿勢だと承りまして、私は大分安心したのでございますが、現在香港やシンガポールなど東南アジアの一部の国では国際金融センターの一つの中心として自国を位置づけ、そうしたために金市場も開設するあるいは証券市場も育成する、外為のいろいろなシステムもやる、それからIMFを初めとする国際的機関も誘致するという形で国際金融センターをつくり上げようという方向で金市場もつくっていくというようなやり方をやっておられるというように聞いておるわけであります。その点わが国においては、わが国政府としてはそうした問題に対してどういうふうに考えておられるのか、この点を承りたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 二つの事柄が絡み合っての御質問でございますが、金の取引所の方の問題から申しますと、自然形成的にできた金マーケットがあるわけでございます。たとえばロンドンにしろチューリッヒにしろこういうような角度から金市場そのものの問題として考えるという分野がございますが、この場合に、大体主要国の例で見ますと金融市場の方で金が取引されておる、こういうふうに理解しております。 二番目の方の問題のいわゆる金融センターという問題でございますが、金融センターというものを考える場合に金市場というようなものをそこの当然の属性として考えるという考え方は余りないのではないか。したがって、そこは別々に考えてもいいんではないか。もちろんマーケットの広がりが大きいほど安定性は増すわけでございますから、通貨なり金なりがマーケットが併存しておるというような点に利点はあるかもしれませんけれども、事柄の性格は分けて考えた方がいいんじゃないか。したがって、二番目の方の金融センターという角度での問題になるわけでございますが、金融センターと申しますとオフショアバンキングというような英語になっておりますが、日本語の定訳がございませんけれども、仮に日本語に直してみれば国際金融の自由取引の仕組みとでも申しますかそんなふうな訳し方の概念だろうと思います。これは御承知のように、これもやはり自然的にできたロンドンが典型的な例でございますが、ロンドン型の自然的にできたものあるいは今度ニューヨークが考えております人工的につくるやり方、こういうようなグループがあります。それから三番目のグループは、御承知のようにバハマとかああいうところでタックスヘーブンというような角度で形式的なかっこうをとっているものがございます。大体三つぐらいのものがあるわけですが、これはどういうことをやるか御説明するまでもないと思いますので省略いたしますけれども、私どもとしては、わが国が一昨年十二月の一日から対外取引を原則自由にいたしたわけでございますが、こういうオフショアバンキングの機能は、言うまでもなくいわゆる外−外の取引になるわけでございます。こういうものをやりますと、先ほどの金の場合でも同じになりますが、マーケットそのものが大きくなるわけですから日本の金融機関なり証券企業の活動の幅が大きくなるわけです。資金の取り入れも安定化するし、資金の運用の領域も広がるというメリットがあるわけでございます。たとえばバーレーンなんか人工的につくったオフショアバンキングでございますが、雇用の増大になるとかあるいは所得の増大になるとかいうようなメリットもある。それから、為替取引の場合非常に問題になりますのは、時差の問題がございます。東京のマーケットが世界のマーケットの中で一番先に開くわけでございますが、そういう時差というものを金融取引にどういうふうに使っていくかというような、これはメリットの方をいま大ざっぱに三つばかり申したわけですが、片や今度はデメリットの方もあります。どこの国にでも国内は一応国内のシステムがあるわけでございますが、外−外のそういうほとんど自由化されたマーケットがどういうインパクトを国内に与えるのかという問題がございます。それから、たとえば金融機関監督が、国内と外−外のマーケットとどういうふうな差があってしかるべきかというような問題も出てきます。メリット、デメリットあるわけでございます。 ただ私どもとしては、将来のいろいろなことを考えますと、定説ではございませんけれども三つぐらいのタイプがあるわけで、こういうマーケットも現に存在しておるわけですが、マーケットをつくる場合の条件とか、メリット、デメリットとかそういうものを十分把握していかなければいけないというのでかなり前から積極的に勉強はいたしております。こういう段階であって、これをつくった方がいいとかつくらない方がいいとかいうようなところまでは到達いたしておりませんけれども、調査研究は積極的にやっていくという姿勢をとっております。
○渡部(一)委員 この問題についてただいま御見識を伺い、私は大変安心したわけでありますが、さらに御研究を続けられ、適切な対応をお願いしたいと思います。私見的に申し上げれば、早かれ遅かれこうした問題について目をつけなければならぬ時期が来てしまう、来つつあると言った方が適切ではないか、こう私は現在では思っているわけであります。 さて、金にもう一回戻ります。 いまは金は制度的には通貨でなくなり、物として扱われているわけでありますが、ときどきまた通貨とする面があらわれてくるわけであり、こういう金の二重性というのが非常に問題があると思います。しかしながら、現在の時点で言えば、銀行、証券会社が取り扱ったりあるいは金証券を発行したりするということは、問題はあるにはせよ、時代の趨勢ではなかろうかと思っているわけであります。その点についてどうお考えであるか、また大蔵省としてはいつごろまでにこれに対する対応をお決めになるのか、承りたいと思います。
○米里政府委員 お答えいたします。 金の売買を金融機関にやらせることがいいかどうかという問題でございますが、これはいろいろメリット、デメリットがあろうかと思います。 メリットといたしましては、先ほど来お話が出ておりますようなブラックマーケットの排除という観点から見まして、信用力のある金融機関のようなところで扱わせるということはプラスになるのではないかというような考え方もございます。それから外国の例を見ますと、大体主要国は金融機関が金を取り扱っておるという国が多いようでございまして、アメリカ、西ドイツあたりは法令上も銀行が金を取り扱えるようになっておるわけでございますし、イギリス、フランスあたりは明文上の規定はございませんが、現実には金を取り扱っておるという状態でございます。 一方、デメリットといたしましては、金というものが投機性があるというような面から考えまして、預金者のお金をお預かりしている金融機関としてそういった関係をどう考えるかというような問題もあろうかと思います。ただいずれにいたしましても、金融機関の業務というのは、これは付随業務というものの範囲になるわけでございますが、経済金融環境は刻々変化いたしておりますし、国民のニーズ、国民経済的な必要性というものもいろいろ変化しておりますので、できるだけ固定的でなく弾力的に時代に即して考えていかなければならないという考え方であろうかと思います。そういったような考え方を総合的に判断いたしまして、今後わが国の金取引の状況というものも見ながらできるだけ早い時期に結論を出したいということで、目下鋭意検討中でございます。
○小山(昭)政府委員 証券会社との関係について一言お答えいたします。 金の取り扱いにつきましては、金融資産の一種として投資の対象となるものであること、また欧米におきましてはマーチャントバンクや証券ブローカー等もこれを取り扱っているというような実情にありますので、わが国におきましても証券界がこれに関心を持つようになっているという状況でございます。ただ、証券会社につきましては、現在の制度が証券業務についてかなり厳しい専業体制をとることをたてまえとしておりますので、そういった制度上の問題も含めて検討する必要がございます。したがいまして、今後の金取引の状況等も十分見ました上で慎重に検討いたしたい、このように考えております。
○渡部(一)委員 いま御両者ともみごとな御答弁をいただいたわけでありますが、これについては時代の趨勢に即してできるだけ早く結論をと銀行局長は言われ、また証券の方は専業体制をとっているのでその見直し等も含めて一緒に考慮するといまおっしゃいました。そうしますと結局は、明治以来の大改正と言われている銀行法の改正の時期にはこれについての御両者の見解というものはまとまった形で表示されるとみなしてよろしいものでしょうか、しつこいようですが、お伺いします。
○米里政府委員 銀行法の改正に当たりましては業務範囲の規定を置きますが、その中では具体的に金の売買がどうであるとか、そういった条文上の具体的な姿をとって出てはまいらないと思います。いずれにいたしましても付随業務ということが業務規定の中に入りますので、その付随業務の中で金の売買を具体的に読むかどうかということの検討になろうかと思います。
○渡部(一)委員 これ以上はいま余り詰めるとおかしなことにもなろうかと思いますから、私はここしばらくの間にこの問題についての決着がつけられるように要望いたします。 最近、銀行の貸し金庫で貸し金庫の底が抜けるという奇妙な事故が続いているそうであります。どこの銀行にもあるのだそうですけれども、初めて金を買った人がうれしくて、貸し金庫にこれこそ預けたいものだと言って預ける。貸し金庫は有価証券等を預かるように計画されているために底がブリキでできている。それだものですから十キロとか二十キロとかいうと、これまた薄いものが十キロなら大丈夫なんですが、金ですとかたまりで十キロというと意外に小さいため、目方がかかって貸し金庫が下へ抜ける、それで下の方とかその下の方に影響を与える、悲喜こもごもというようなことで、貸し金庫があかないとか、おかしな事故が起こっているそうであります。 こうした問題につきましては、確かに問題があるから金証券をやろうじゃないかとか、そうしたことからもそういう意見が出てきますし、貸し金庫の中を、金金庫(きんきんこ)というのは別に設定しないと大変になるぞという言い方もあるし、中には、今後は銀行ギャングがかさばる紙幣を取るのではなくて、どろぼうに行ったら金(かね)を出せと言うんじゃなくて金(きん)を出せという時代が来るというようなヨタまでこれに伴っていろいろあるわけであります。取り扱い上、技術的な困難もあればその他のいろんな困難性もたくさんここには存在するように思っております。これは以外と早目に対応しなければならない。したがって、扱うとしても、銀行の中でも適切でないところもあるだろうし適切であるところもあるだろうし、いままで大蔵省が外為業務とかあるいは外貨預金を扱わせた場合において、選抜された銀行あるいは選抜された支店等を選定されまして、そして業務においての混乱というのを巧みに防いでこられた実績もあるので、私はそれを前提として申し上げているわけでありますが、こうした配慮も当然必要ではないか’こうしたこともあわせて検討する必要があるのではないかと思いますけれども、その点どうでしょうか。
○米里政府委員 貸し金庫の底が抜けるというような事態になりますとゆゆしき問題でございまして、金証券というような問題も確かに検討に値することかと思います。 結局、金証券というのは私どもの理解しております限りでは、金を金融機関が保管してその預かり証を発行する、それを顧客に渡すということで、銀行がこういった金証券を発行したり、または買い戻すということにつきましては、まさに実質的には銀行は金の売買をやるということと同じ機能を果たすことができるんだということであろうかと思います。そういったような問題。あるいはまた御指摘のございました、もし金融機関が金を取り扱うとした場合に、すべての金融機関にこれを許すことが適当であるかどうか。おのずから適当なものというもののスクリーンがあってしかるべきじゃないかということも貴重な御意見だと思います。 そういったことも含めまして、金の売買問題について総合的に今後検討してまいりたいと思います。
○渡部(一)委員 金が物であるならば売買の際に税金がかかるが、金が貨幣と同じようなものであるならばこれは税金がかからないのがあたりまえであって、ここのところは細かく言うといろんな解釈ができるだろうと私は思います。課税当局とされましても、この問題について御研究をいただいている最中だろうと思いますが、きょうは問題点になろうというところの目玉に当たるところを何ポイントか申し上げましたところ、非常に言いにくいところを各御担当の方がきちっとお答えいただきまして、感謝をいたしておる次第でございます。なるべく早急かつ速やかに関係当局で協議をされ、この問題についての混乱を食いとめ、国民大衆に被害を与えない立場で問題を処理していただきたいと存じております。 ちょっと時間が延びて恐縮でありますが、税務署の調査事務と先ほど申し上げました点につきまして、国税庁の方がお越しになったようで、もう一つ質問を加えさしていただきます。 国税庁全体の事務の中で、調査事務と内部事務の事務量の割合は現在どのようになっているか。
○川崎政府委員 外部事務は六割ないし六割五分という状況になっております。これは長年外部事務の比重を上げようという努力をしてまいりまして、かなり上がった状況でこういう状況であるということでございます。
○渡部(一)委員 調査事務と内部事務の事務量、いま内部事務が六割とおっしゃったのですか。(川崎政府委員「外部です」と呼ぶ)外の方が六割。調査事務の方に対して六割ないし六割五分とおっしゃいましたのは、私は相当な努力をされているものだと思っております。 しかしながら、先回も申し上げましたように、外部的に調査をしっかりしていくということと、内部的に資料を完璧にそろえるということは両々相まって必要なのでございます。 〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 現在の内部事務量の増大というものではとても人数的にも対応できないんではないか。内部事務は大変だろうと私は思っておるわけです。調査事務が大変だとこの間申し上げたのですが、内部事務も大変だと私は思っておるわけです。この内部事務量というものが非常に大きな数量を占めてくればくるほど、事務の合理化努力というのはもう少ししなければならないんだろう。現在、税務署の事務というものは直税、間税、徴収の部門に分かれているそうでございますけれども、内部事務が意外に共通している面がある。その上内部の処理体制というものを部門別、縦割りで処理しているというやり方では問題は解決しないんではないか。もう少し総合的にできないのか。また地方税と国税との間の協力関係というものは、現在非常にだぶついておって妙なことがたくさんある。不動産に対する課税というものは地方税と国税と全く重複していて、データを写すだけというような奇妙な状況も存在しておる。こうしたものについてはもう少しオフィスオートメーションのシステムを増強するなり、内部事務の合理化をもっと図るべきであり、その内部事務量をもう少し合理化するために、最後的には税法自体の見直しも含めて、内部的な諸制度を改良するために資材もかけるし、お金もかけるし、努力も積み上げるということが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
○川崎政府委員 おっしゃるとおりでございまして、内部事務の合理化をなおなお進めたいと考えておるわけでございますが、特に電子計算機を導入しまして、広い範囲で電算化をするという計画をずっと進めております。 また、税制面につきましては、いろいろ要望を主税局と打ち合わせまして、毎年検討をして、その中で適宜、時宜に合ったものを主税局で採用していただいて法案化するということも長年やってまいっております。今後ともそういう努力を続けたいと思います。
○渡部(一)委員 では以上で終わります。どうもありがとうございました。
○綿貫委員長 玉置一弥君。
○玉置委員 大蔵大臣が予算委員会で答弁をされた内容、あるいは昨年の十二月三十日の日本経済新聞に掲載をされました内容、それぞれ五十七年度税体系見直しの中で所得減税を考えていくというお話があったわけでございますけれども、その後いろいろな動きがございまして、一つは今回の国会の中で五十六年度所得減税に相当する部分が生じてきたということ、そしてもう一方では、鈴木総理が五十七年度については行政改革を不退転の決意で行って、そして経費削減を図り、その分で穴埋めをしたい、そういうお話がありました。そういう環境の変化といいますか、より前向きの姿勢が打ち出されたことによりまして、一方では所得減税というものがこれから先どうなるのかという逆の心配が出てきたわけです。それまではある程度税制見直しというものが行われて、そしてその中で所得減税も行われるというような、委員会では約束されたことがないのですけれども、大蔵委員会以外ではいろいろなことを言われてきた。そういう内容について政務次官あるいは大蔵省当局にそれぞれの受けとめ方をお伺いしていきたい、かように思います。 そこで、これは先日の予算委員会の中でわが党の大内啓伍委員の方から大蔵大臣に質問された中に、所得減税を考えていきたいというような内容の答弁がございましたけれども、その後の動きとして大蔵当局あるいは政務次官それぞれどういうふうに大臣からお聞きになって、そしてどういう準備をされているかお聞きをいたしたいと思います。
○保岡政府委員 大蔵大臣は衆議院の予算委員会で、今後歳出面における、現在法律で義務づけられておる歳出を含む思い切った削減、それから歳入面における税体系全体の抜本的な見直しについて国民全体の合意が得られて、しかも特例公債脱却の明白なめどがつく事態になれば歳入歳出全体の問題として所得税の課税最低限の問題についても全然考慮をしないわけではない、こういった趣旨の答弁をされていると思います。こういっためどなどがはっきりしないうちに所得減税を行うことは、財政再建が緊急、緊要な課題になっていることやわが国の所得税の負担水準が主要諸国に比べて相当低いということを考慮すれば、政府としては御勘弁を願いたいと考えている、こういう趣旨でございます。 いま申し上げた中での歳出削減について昨今総理や大蔵大臣が申し上げていることは、一つの要素であるところの歳出削減についての並み並みならぬ政治的決意、このように受けとめていただきたいと思います。
○玉置委員 大蔵省の事務当局としてはいかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 ただいま政務次官からお答えのあったとおりに考えております。
○玉置委員 先日の参考人の意見の際にもあった話でございますけれども、現在世界的に低成長時代である。その中で日本だけが六、七%の成長をずっと続けているわけですけれども、特にアメリカそしてEC諸国、特に日本との貿易、というよりも経済圏が同じような器の中にある諸国において明らかにマイナス成長に陥っているところがあるわけです。 先日、社会党の堀先生が委員会の中で、自然増収は増税ではないかというようなお話をされましたけれども、いまの制度が変わらない、そして賃金を引き上げていく、そういう動きというものは将来とも変わらない、こういうことを考えますと、賃金は上がるけれども結局のところは税負担が年々増大をしていく。これは一つはいまの累進課税構造ということもあるわけでございます。しかしそういう中でいまの日本経済というものを考えた場合に、本当にこれから大蔵省が予想されているような自然増収が順調に得られるかどうかという心配も出ておりますし、また低成長に陥りますと当然労働時間が短縮を余儀なくされることになるわけです。労働時間短縮というのは、いま二千時間という一つの目安があるわけでございますけれども、そういう動きとは別に、外的要因によって短縮される。こうなりますと、いま給与所得五十四年、五十五年を比較をしていただきますとよくわかると思いますけれども、経済の活動が低下をいたしますと実質的に勤労者の、給与所得者の所得というものが減るわけでございます。当然税収も減ってまいりますけれども、税収の場合にはある程度の伸びがとまる、若干横ばいになるという程度で済むわけでございます。逆に言えば残業分を生活の糧として考えている勤労者世帯、そういう部分に大変な負担が生じてくるというようなことで、これから先日本経済の動きによって大変大きな影響を与えてくる、そのように考えているわけです。 そういう状況の中で前々から不公平感という話が再々出ておりますけれども、そういう体系を無視されて、特に制度的には昭和五十年からはほとんど変わっていない、そういう状況の中でいま推移をしておるわけでございますけれども、たまたま——たまたまといいますか、昨年の末そして今度の予算委員会の中で所得減税を大蔵大臣として公の場で発言をされ、新聞には掲載をされた。そういうことでございまして、その中には財政再建のめどという話がございましたけれども、昨今の動きを見ておりますと、行財政改革を不退転の決意で取り組むというお話でございますから、まず不退転の決意で取り組まれればできることは間違いない、そのように私は信じております。 そういう意味で、できるという前提に立って、仮の話は大蔵大臣非常にいやがっておられますので、不退転の決意でできないということはあり得ない、これを基本に考えましてこれからやはり所得減税についていまの制度的な見直しというものを行われるべきではないかというように思うわけです。 一応状況についてはわかりましたけれども、これから先の決意——決意といいますか考え方、それについてお伺いをしたいと思います。
○保岡政府委員 たびたび大蔵大臣からもお話を申し上げているとおり、財政再建を果たすためにはまずは歳出削減に全力を挙げる。いま先生もおっしゃったように、それに対して総理も大蔵大臣も大変な政治的な決意をおっしゃっているのだろうと思います。しかしながら、これはなかなか言うはやすくして行う困難の大きさは想像にかたくないものがあるわけで、国会の御理解あるいは国民全体の御理解、そういうものの中でどの程度進められていくか。今後の努力と相まってその推移も十分にらみながら、御指摘の点は、先ほど申し上げた三つの原則の前提で考えていかなければならない性質であることには変わりがないと思います。
○玉置委員 所得税についてはまた触れるところがございますので、そのときにお話をしたいと思います。 ここで先ほどから話が出ておりますグリーンカードについてお伺いをしたいと思います。 新聞なんかの情報によりますと、グリーンカードについては与党内部でも大変な見直し論が出てきているというお話を聞いておりますし、またわが党の中にも見直しをしてはどうかという意見もあるという状況でございます。しかし、これから先、いまの税制の不公平感、特に把握についての不公平というものを是正していくということにおいては、グリーンカードそのものがいいか悪いかというのはわかりませんけれども、一つの方法である、かように思うわけです。 宝石にかえるとか絵画にかえる、先ほど金庫がつぶれるような重い金にかえるというお話がありましたけれども、要するに表に出ないものにかえてしまおうということで、大分盛んにそういう対象物件が売れているような状況を聞いております。将来たとえば富裕税が創設をされるということになりますと、そのときには大変把握がしにくい物件について当然把握をするようなことを考えていかなければならないのではないか、そのように思うわけです。そういうことを考えまして、いまのグリーンカード、五十九年から実施をされるということでございますけれども、果たして準備状況がどうなっているのかという心配もございます。また自民党さんだけではなくて、野党の中でも賛否両論が出てきておる。国会で審議をされて一応法律案として成立した、そういう内容についていままで見直しをされたことがないということでございますけれども、まず現在の進捗状況についてお聞きをしたいと思います。
○川崎政府委員 制度の実施は五十九年からでございますけれども、五十八年一月からカード交付が始まるという予定でございます。この予定に間に合いますように、円滑に事務が進みますように準備をしておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、国税庁の方にカード準備室という一つの責任者を設けまして、そこで今後どういう事務の運びをすればよろしいかということをいろいろ検討してまいっております。五十六年度予算におきまして、電子計算機に関する費用と国税庁の下部機構である国税局で実際の事務を取り扱うための準備要員若干名の増員といったようなことを認めていただいておりますので、その線に沿って事務を進めております。
○玉置委員 いま要するに末端の現業部分というか、そういう部分での増員という話がございましたけれども、ただでさえ国税職員の補充がむずかしい状況である。そして要求に対して大変少ない、大蔵というか政府全体のいまの認識程度ということでございまして、もしこのグリーンカードが実施をされた場合に、それぞれの国税局あるいは税務署が本当に対応できるのかどうかという心配もあるわけです。それと、現在の税務執行について熟練度を要するということで、大体七年から十年たたないと一人前でないということでございますし、また今度全く新しい制度を導入するということで、専門家の養成が必要ではないか、そのように思うわけです。そういう意味で見て人的資質、そういうための訓練あるいは教育という面はどうなっていますか。
○川崎政府委員 グリーンカードの事務は、交付の際には相当の人手を要すると思いますが、いわゆる総合課税のための管理というものは電子計算機でやろうというふうに考えておりまして、その準備をしておるわけでございます。国税庁は電子計算機に関しましては導入の歴史もかなり古うございまして、ある程度教育された人間もございますので、そのために特別に新たに増員とかということは考えなくてもよろしいかと思います。したがいまして、交付事務に要する人手をどのようにして乗り切るかということが私どもの課題だと考えておるわけでございます。
○玉置委員 交付事務というと、ある一時期ということと、ある程度継続的に出る部分もあるわけですね。そういうことであればできるだけ各省庁間というか、国税庁だけではなくてたとえば大蔵省の枠の中あるいは政府の枠の中といいますか、場合によってはアルバイトという形になると思いますけれども、いまの行革との絡みで非常に効率のいい運営というものをお考え願いたいと思います。 また実施をされた場合に、経常経費が大体二百億強増加をするという話でございますけれども、各税務署あるいは国税局、それぞれ事務合理化をやっておられると思いますが、逆に言えばそこで浮いてくる費用、投資も当然ございますが、経常的に見て浮いてくる費用でいまの二百億円というのはカバーできないのですか。
○川崎政府委員 事務の合理化でどの程度経費が浮くかというお話でございますが、これはなかなか計算がむずかしいと思いますし、またいろいろの計算の仕方があろうかと思います。しかしながら、現在の事務をいろいろ合理化しましても、このグリーンカードの電子計算機導入によるほぼ二百億円と言われております経費をカバーするということにはとうていまいらないと考えております。
○玉置委員 それでは大蔵省にお聞きをします。グリーンカードは、与党である自民党からかなり強硬な反対論が出てきているというお話でございますけれども、これから実施に当たるまでの期間、あるいはそれ以降のこともございますが、ダブるようでございますがその辺についての決意をお聞かせ願いたいと思います。
○保岡政府委員 利子配当課税については、課税の公平という見地から不公正税制の一つとして長年問題になって、国会でも議論されて、昨年度の税制改正で決定を見て、総合課税への移行、グリーンカード制度の採用というものは決まっておりますので、政府としてはそれを確実に実施してまいりたいと思っております。
○玉置委員 どっちといってわからないのでこの辺でやめますが、とにかく実施に当たってはいろいろな話が出てくると思いますので、これからの動きについて十分な配慮をお願いしたいと思います。これは両方の意味で言っておきます。 所得税という話にまた戻りますが、西ドイツに二分二乗方式というものがあるという話を聞いておりまして、夫婦でかせいだら夫婦の所得ではないかということだと思います。配偶者控除というものもございますが、いまの人的控除については、従来から申し上げておりますように本当の涙金といいますか、実態にそぐわない部分が非常に多いわけです。そして、特にいまの累進課税構造から見てまいりますと、やはり奥さんが各家庭であるいは家業で大変な無料奉仕といいますか、日本の昔からの非常にいい慣例でございますがやっておられる。それに対する評価がないではないかというような話も出てきております。それを換算すると大変な金額になるというのが前に何かの本、に出ておりました。そういう意味からいまの累進課税構造というものをやはり見直していくべきであると私も考えております。先日の大蔵大臣が発言されました中にも入っておりました。そういう意味で、まず奥さんが一生懸命働いておられるという家庭について二分二乗方式あるいは業種について二分二乗方式というものを適用できないか、あるいは考えられないか、西ドイツあるいは実施をされております国との比較においてお答えを願いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 消費世帯と申しますか、家計として見ますとこれは世帯単位で消費をしておるわけでございます。その場合にどういう税金のかけ方をするかということになりますと、考え方は三つぐらいあると思います。イギリスは、夫婦合算をいたしますが、非分割というのをたてまえとしております。最近は若干選択によって個別課税ということができるようになりましたけれども、合算非分割という考えであります。それから、日本はかつてのアメリカと同じように個人単位であります。所得がある人がそれぞれ払う。だんなさんも払うし、奥さんも払うし、子供も払う。これは一九四八年までアメリカはそうでございました。日本は現在でもそうであります。もう一つは、いまお話しのありましたドイツ、これは夫婦は合算をしまして、その半分について出てきた税金を足して倍にしてやるわけであります。いわゆる二分二乗。フランスはもっと進みまして、夫婦はそれぞれ一、子供は〇・五という形で合算をしてn分n乗というものをやっております。 そのどれがよいかということは、その国の民法上の制度であります夫婦財産制との関連もあるわけでございます。日本のように夫婦別算という場合、アメリカのように州によって別算と共有とが分かれておる場合、それぞれ民法上の財産制との関連もございますし、長い間の沿革もあるわけでございます。税制調査会でも昭和四十六年以来たびたび検討を重ねてきたわけですが、日本の場合にたとえば共かせぎと全く奥さんが何もしていない、内助の功だけだけれども所得はないという世帯とのバランスの問題がございます。それから、今回の税制改正の御審議の際にしばしば仰せのありましたパートと申しますかそういう形での妻の家計に対する貢献度を課税上どうするかという問題も最近は出てまいっております。ただ二分二乗にすれば、消費単位としての家計の合計した所得税負担は累進税率を前提といたしますと軽くなるわけなのでございますが、夫婦が完全に平等の所得を得ている世帯はかえって逆に不利になるわけでございまして、そういうことでスウェーデンは数年前に二分二乗から個人単位に戻ったという例もございます。その辺のところをどう考えるのか、税制調査会ではいまのところはまだそういうものに踏み切る時期ではないかもしれないけれども、引き続いて事態の推移を見守りながら研究したいと申しますか、見守っていきたいという答えを出しております。いまの御提案も御提案として伺って、また勉強してみたいと思います。
○玉置委員 戻ったところもあるというからまるまるいいとは考えられないのですけれども、確かに働いておられる御家庭と働いておられないところについて大変差ができることは事実でございまして、ただ働かざるを得ないという部分についてはやはりその分を見ていかなければいけないのではないか、そのように思うわけです。 そこで累進課税に戻りますけれども、実はなかなか論議がされないいわゆる中間所得者といいますか中間管理職あるいは企業あるいは役所における中堅のいわゆるサラリーマンについて、いろいろお伺いをしていきたいと思います。特に労働組合がある場合に、労働組合にちょうどひっかからないゾーン、係長なりあるいは課長になられた人、そして年代的には昭和一けたから戦中派、その部分が考えようによってはいまの日本経済を支えてきた大変重要な層ではないか、そのように考えるわけです。いまの累進税率というものが従来からほとんど手直しをされてきていない状況、そういうことを考えますと、仕事の割りには給料が、その層になりますと伸び率が低下をする、職級が上がれば別ですけれども、そういうことを除いて考えれば伸び率が低下をする、そしていまの学校教育制度を見てみますと、高校進学率が九七%を占める状態であり、大学進学が四六、七%に達している。こういうことを考えますと、教育というものは生活上の必要経費である、それが上へ上へ伸びてきて年代的にはちょうどそのころが大変負担が大きい、そういう子供さんを持つということになるわけでございまして、そういうことで考えますと、教育費を可処分所得外と考えて除いてもいいんではないか、そのぐらいのいまの普及率でございます。 ちなみに昭和四十四年、四十歳、あるいは四十五歳でもよろしいですけれども、その時点を例にとって言いますと、大体の年平均の所得というものが九十四万から九十六万ぐらいである。そして昭和五十年になりますと、四十歳から大体五十五歳まで二百三十六万から二百四十一万というふうになってきております。勤続年数で見てまいりますと、勤続年数二十年の方の所得が昭和四十四年で百十七万、勤続年数三十年の方が百二十九万。それを昭和五十年で見ますと勤続年数二十年の方が二百九十三万、三十年の方が三百二十四万というふうになってきておりまして、昭和五十四年、一昨年の集計で見ますと、四十歳の方が三百二十四万、五十五歳までいきますと三百三十万というふうに上がってきているわけです。勤続年数で見ると同じく二十年の方が四百一万、三十年の方が四百四十四万という数字が国税庁の資料で出ております。これを単純に率で見てまいりますと、五十四年というものが昭和四十四年に比べて所得が三・四四倍になっている。そして五十年時点で五十四年を見ますと一・三七倍になっている。それぞれの時点の税負担率というものがあると思いますけれども、これをちょっと国税庁の方でお答え願いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 いまお尋ねのような年齢別の平均給与に対応した税負担率というのは、残念ながら資料の関係もございましてはじかれておりません。この間における平均の税負担率というものをかわりに申し上げますれば、四十四年は納税者だけのが五・一、五十年が四・一、五十四年が五・二というのが納税者の税負担の平均でございます。
○玉置委員 この年代だけとってみますとそうなっているのですかね。もうちょっと高目になるわけですね、いまのは全体ですから。 それで、それぞれを見てみますと、大体四%前後から高いところで五%になっているということで、いままで四十八年、四十九年、昇給率が三〇%という大変高いときがありました。そのときについては、二兆円減税をやるという話でやられました。そして五十二年にも、戻し税といいますか、それがやられた。それぞれそういうことがあって、負担率というものがある程度上がってきては下がりということになったのでございますけれども、たとえば、五十四年の税負担率、これが大体四・八%ぐらいであると国税庁の資料に出ておりますけれども、これで七%ふえてまいりますと、五・三から四になる。五十五年は昇給率は大体七・二ぐらいいっていますから、その率をそのまま適用しますと、大体五・二、三%になるということで、税負担率としては過去最高になるということでございます。 こういうことを考えますと、従来、所得が百万前後のとき、あるいはもっと以下のとき、昭和三十七年に設定をされたと思いますけれども、それ以降ほとんど高額の部分——高額というのはどこまで高額か、上の方は知りませんけれども、せめて真ん中ぐらいはぜひ見直しをしていただきたい。 と申しますのは、先ほどから言っておりますように、いまの経済事情から見て、生活必要経費という部分に大変に大きな教育費というものがあるわけでございまして、そして、いまの住宅事情というものも大変効いてくる世代でございます。そういうことを考えると、何とかその層についての見直しをやっていかなければ、ただ社会的に忙しい、責任が重い、その精神的な部分だけでの満足ではやはり生活ができないわけです。そういう意味で、ぜひ見直しをしていただきたい。 そして大蔵大臣は、これはグリーンカードとの関連でございましたけれども、累進課税を高額所得者についても見直していくというお話がありました。使い切れないほど持っている人は、別に見直さなくてもいいと思うのですよ。使いたいけれどもないという部分について、やはり見直していかなければいけないと思うわけです。 たとえば独身男性、まあ若い世代の男性。いま初任給が大変上がっておりまして、生活費としては衣食住ありますけれども、自分の分だけ見ればある程度済むわけです。だから、考えようによっては全部が可処分の所得である。ところが、世帯がだんだん成長していきますと、夫婦の生活もありますし、あるいは学校教育費という面もあります。そして場合によっては、近所づき合いというか、日本古来の古い風習もある。そういうことを考えると、全く無視できない支出というものが大変かさばってまいります。 そういう状況の中で、日本であるということであれば、日本本来のよさというものを継続していくということもやはり考えなければいけないし、これからの学校教育費について、国だけではなかなか負担し切れない部分もありますから、やはり個人に負担をしていただく、その意欲を一部でも出していただく。そういう意味で、そういう世代についてぜひ見直しをお願いしたいと思うわけです。これについて、政務次官並びに事務当局の御意見を伺います。
○高橋(元)政府委員 さっきちょっとお答えを申し上げなかったのですが、給与収入別の全体としての収入に対する税負担率というのがございます。三百万円と二百万円の間の方ですと、トータルで三・五%、これは所得税でございます。それから三百万と五百万の間の方ですと、四・四、このぐらいでございます。 いまお話しのように、収入がふえてまいれば確かに税金がふえていく。その一番大きな要因は、税率表のカーブもございますけれども、給与所得控除、人的控除を合わせた、いわゆる課税最低限というものがかなり大きい。そのために、ゼロの税率がございますから、あとたとえ比例税率としても、結果が累進的になってくるいうことがあるわけでございます。たとえば、三百万円の人が一割税金がふえますと、課税の対象になります所得は六十五万円から八十八万円というふうに一・三六倍にふえていくわけであります。それから、五百万円の人が同じ一割ふえますと、課税所得は二百二十一万円から二百六十一万円と一・一八倍しかふえない。それが税率表のカーブと混同される部分があるわけですけれども、基本的には課税最低限というものが大きく所得税の弾性値をつくっているということを御認識いただきたいと思うわけであります。 それから、教育費についてお話がございました。確かに、全体の家計調査報告を見ましても、昭和五十年の勤労者世帯の支出いたします教育費は四万四千円年間でありましたが、五十四年には七万四千七百円、こうなっておるわけですが、これは社会全体の公共の費用をどういうふうに負担していただくかという大きな問題だと思うのです。 そういう方々は確かに私的な教育費も高いわけでございますけれども、公的に小中高校を通じて、国費、地方費を通じまして支出している教育費というものも大きいわけでございます。よく大蔵大臣が申し上げておりますが、小学校であれば年間四十万円、中学校であれば四十五万円、高校であれば五十五万円というのが、国、地方公共団体が税金を通じて負担をしている部分でございますから、そういう公的な負担というものは結局どなたかの負担になっていくわけで、それが勤労者世帯のどの部分にどういう税制の形でお願いをするかということは、財政の歳出、歳入を通ずる負担というものの全体の設計の中で考えていかなければならないことだと思います。 それからもう一つ、中だるみが起こっておるといいますのは、これは税制だけの問題と申しますよりも、むしろ民間の給与の年齢別といいますか、地位別、勤続年数別の配分の問題であろうかと思います。初任給が高くなった場合、それからまた、初任給が抑えられて比較的上級者の給与が上がった場合、いずれの場合でもその中間の人は折れ曲がったところにおりますものですから、中だるみというのが起こりがちでございますから、そういうところから起こっております教育費なり家賃の負担まで全部税制で解決するというわけにはなかなかいかない問題だと思いますが、もちろん大蔵大臣が申し上げておりますように、財政再建のめどが立って、その暁にどういうふうに所得税を全体として持っていくかということにつきましては、いまお示しの点も念頭に置きまして長期的に勉強はしたいと思っております。
○玉置委員 累進についても見直していくというお話でよろしいですね、局長。
○高橋(元)政府委員 所得税が累進構造を持っているということは所得税のいわば本質的なメリットでありますから、それをやめてしまって比例税というわけにはいかないと思うのでございます。 これもたびたびお答えしていることで恐縮ですが、ドイツとかイギリスのように、非常に多くの所得者が同じ税率表のもとにおる、イギリスであれば三〇%、ドイツなら二二%という比例税制のもとにおりますが、そういう税率表を考えるべきかどうかという問題は確かにございます。それは日本とかフランスとかアメリカのように、ずっといわば放物線上というのですか、指数曲線のようになって上がっていきますカーブとは違いますから、いずれの所得税率構造というものが、国民性にも合い、また財政状況から見ても、税の負担の公平の点から見てもいいのかということは大きな検討の課題だとは思いますけれども、大蔵大臣から前にもお答えがありましたように、最高税率が高い、それから最低の税率が低い、これは税制調査会の去年の中期答申の中でも言われていることでございます。所得税全体について、税制調査会長がいつか言われましたように、やはりしかるべき部会なり組織をつくりまして税制調査会で検討される場合の大きな検討課題の一つであろうというふうに思っております。
○玉置委員 時間もないのですけれども、大蔵大臣、来られた早々済みません。 いまいわゆる中間管理者層といいますか、その辺の特に給与所得者についての現状というか、先日グリーンカード関連で所得累進の税率を見直すべきであるという大臣のお話がございましたけれども、それに関連をいたしまして、社会的に大変に責任を担って、実務的にも大変活躍をされております大体四十歳から五十五歳ぐらいまでの方々、そういう方々についていま教育費が非常に高騰している。教育水準が上がって、それぞれ一番負担となる時期なのですけれども、そういう年代についての累進税率をぜひ見直しをお願いしたいというお願いを申し上げておりました。それについて大臣はどのようにお考えになりますか。いま急にですからあれですけれども、もしお考えがあればお答えをお願いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 別にありません。
○玉置委員 急に言ったものですから、いろいろな思惑が走ってすぐには出てこないと思いますけれども、やはりいままで、いままでというかいまでも一番苦労されている世代でございますから、その累進構造見直しの際にぜひそういう層についての厚い恩情といいますか、それをお願いしたい、かように思うわけです。大臣は結構です。のんびりしてください。 次に、時間がありませんので一問だけ簡単に聞きます。 企業年金というものがございます。これは老後の生活保障として公的年金がございますけれども、公的年金の間を埋めるあるいはレベルを高める、そういう意味で企業年金というものが年々盛んになってきているわけでございます。この中に厚生年金基金あるいは適格年金という二つの種類がございまして、公的年金というのは、ILOの百二十八号水準というもので定期給与の約六〇%という一応指標があるわけですけれども、それにほぼ達しておりまして、次に目指すのはILOの百三十一号である。これは夫婦世帯の定期給与の約七五%、その辺を目標にしておりますけれども、この穴埋めをこの企業年金というものがやろうということで、それぞれの企業、労働組合、そういう人たちによって運用されてきたわけです。この中に問題点がございまして、企業年金特に適格年金については、掛金について生命保険料控除になっている。ほかの年金については社会保険料控除ということでございまして、それについてぜひ見直しをしていただきたいということと、それと過去勤務債務というものがありまして、これを二十年くらいの償却期間をかけてやっていく。いま年金を設立したら、いままでの入社されている勤続年数については一応過去債務として載るということでございまして、それを償却していかなければいけない。ところが償却が二十年という長い年数でございますから、会社が倒産した場合に過去債務だけが残ってしまう、そして年金の支払いが受けられない、そういうことになるわけでございまして、これを見直していただきたい。そして適格年金の基金、これを会社で積み上げているわけでございますけれども、この基金について特別法人税が一%かかる。こういうことをやりますと物価スライドの財源がなくなるということもございますし、資金運用について思い切ったことができないということでございます。こういう点について、時間がないので次回回答を求めてお聞きをいたしますので、きょう言ったことについては十分調べておいていただきたい、かように思います。よろしく。
○綿貫委員長 平林剛君。
○平林委員 きょうは、所得、法人、租特三法の質疑に入ります前に、大臣に基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思います。 まず第一は、臨時行政調査会の土光さんが増税なしの財政再建、歳出の削減で行財政改革ということを提唱いたしましてから、鈴木内閣の増税路線はにわかに方向転換をした。総理は、五十七年度は大型間接税の導入はもとより、増税は一切しないと決意したようでございまして、行政改革に政治生命をかけるまでの政治決断をしばしば言明されておることは御承知のとおりでございます。この総理の発言の真意についていま一つはっきりしないことがありますが、渡辺大蔵大臣は、慎重な言い回しでありますが、鈴木総理と変わらない気持ちであるということを表明し、きのうの本会議でも私も政治生命をかける、こういう言葉まで飛び出されました。これは鈴木総理の政治決断というものを尊重して、少なくとも五十七年度においては大型新税はこれを避けて見送る、とにかく行財政を改革して歳出の削減の方に取り組むというふうな考え方と受け取ってよろしいか、確認をしたいと思います。
○渡辺国務大臣 大体そういう考え方だと御理解願ってよろしいかと思います。要するに、大型増税というようなことを頭の中に置いて行政改革をやったのでは、これはもうゆるふんになってしまってだめなのです。ですから新しい増税というものを考えないで幾ら歳出削減ができるかということにまず取り組む、こういうことでございます。
○平林委員 たとえば渡辺大蔵大臣の慎重な言い回しの中に、景気の動向によって税収は変わるのだから、まだ税収の見通しがつかないときに増税は一切しないということは言えない、こういう意味が含まれているのじゃないか。臨時行政調査会の答申の内容が実行可能かそうでないか、それだけで足りるか足りないか、こういう結果によっては大型新税の導入もやむを得ない、これも場合によっては考えなければならぬというようなことも含まれているのかどうか。この点まだ余り慎重な言い回しで、ぐるぐる回っておるものですから、つかまえどころがないのです。そういうこともあり得るかどうかということを聞いておきたい。それはもう不退転で、考えないどころか実行しない、こういうようなことなのか、そこをはっきりしてもらいたい。
○渡辺国務大臣 この増税というのは、もうやむにやまれぬ場合だけですね。したがって、要するに歳出を賄うために財源が必要だから、その財源を調達するということですから、まず歳出をどこまで切れるか。国民の方は、税金をよけいに払ってまでそんな歳出は要らない、だから、歳出を切って、それでサービスが落ちたってそれは仕方がないじゃないか、増税なんて言うからゆるふんになってしまって行政改革は進まないという批判が多いわけです。財界初め労働界からもございます。われわれとしてはこれはごもっともなお話でありますから、したがってまず歳出の削減を、制度、法律に関するようなものまでも手を突っ込んでやってみよう、これだけ世論が盛り上がったときにこれができないようでは仕方がない。しかしえてして歳出の削減というのは、人様のことはいいけれども、自分の方だけは残しておけというのが案外多いのでして、これにはかなり徹底した国民世論の喚起も必要だし、一層の御支援も必要だし、そういうことの中で極力まずやります。しかしながら、そんなこと言ったって社会保障にそんなに手をつけられては困るとかなんとかいう話が出てきて、どっちをとるんだという場合に、その程度のことならばいままでどおりやってくれとかどうとかという声が圧倒的に多数になってきたということになれば、それはもう、一遍決めたんだから何でもかんでも、むちゃでも切ってしまうのだということでは国会が承知しないんじゃないか。国民相手と言いながら、現実には国会は国民の代表で来ているわけですから、一人一人の国民にどうだこうだということは、話しかけることはできても採決とるわけにいかないわけです。だから、そのときの国会の状況等にもよるでしょう。しかしながら、いずれにしても、何としてもまずそういうような増税のことを考えないで極力やるということで国会の御同意を得られるように今後努力をしていきたい、そういうことを私は言っているわけです。万一のことまでここでみんなしゃべってしまうと、迫力なくなってしまうもの。だから、万一の場合は万一の場合だろうけれども、そこまで考えないでともかくやるということなんです。
○平林委員 その言い方が問題なんだよ。考えないでやる、そうやらなければ迫力がない、これはわかりますよ。わかりますが、しかし……。 それから、とにかく歳出の削減をやってみよう、結局総論は賛成だが各論は反対ということになって、あっちもだめこっちもだめ、こっちもふさがるということになってしまうとどうしようもないじゃないか、国民の世論も、そこまで削るというならば行財政改革はいやだ、それよりも、しょうがない、増税がいい、そう言うのをあなたは待っているんじゃないですか。いよいよになったら、いま考えていないということを言いながら、ここを切り抜けておいて、余りできそうもないようなことをどんどん打ち出して、反対が起きてくる、そしてしようがないな、やっぱり新税だな、こういうようないわば回り作戦を考えているんじゃないですか。だからあなたの答弁は、政治生命をかけるなんて言うけれども、あんまり政治生命をかけているように見えない。技巧的だ。迂回作戦だ。最後にはやはり増税を、では仕方がないからこれは勘弁してください、サッチャーさんがやっておるのと同じようなやり方でやるのじゃないのか、こういう疑心暗鬼であなたを見ているのです。総理が、わりあいと正直な人ですから、ああ言っておるのだから、それをあなたがテクニカル的にやるというようなことは、逆に言えば、最終的には国民をごまかすことになると思いますよ。そこで、もうちょっと歯切れよく言ってください。政治生命をかけるなんてみんなが言い出すと、やがてしまいにはおはようございますと同じようなことになってしまって、ごあいさつだけになってしまう。あなただって財政を預かる大蔵大臣なんだから、その言葉はうんと重いものである、こういうふうにしなければいけないんで、余り微妙な言い回しとか、万一の場合を考えるとか、そんなことなしに、来年のことなんだからずばり言ってもらいたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 政治というものはそんなに理屈だけできちっと割り切れないんですよ、それはもう財政再建、増税といったって、場合によっては減税もしなければならないこともあるんですから。だから、そう理屈どおりに、学問どおりに、きちんとともかく全部詰めてしまえと言われましても、なかなかそううまくいかない場合だってある。しかし、私としては別にうそもなければそんなテクニックも何もない。本当に正直な話を私はしているわけです。ですから、財政再建に政治生命をかけてやりますということは、一生懸命命がけでやるという話ですよ。そういうことを言っているわけです。ですから、余りそう疑心暗鬼で見てもらったって、幾らそう言われても困ることでして、私は、皆さんが政府の提案に賛成してくれて——提案するまでには皆さんとも、党首会談とかいろいろな経過があると私は思いますよ。各党からの申し入れなどもあろうかと思います。労働組合なんかでも、行政改革をやれというのは民間なんか特に多い。そういう代表の人とも話し合いをしながら、みんな思惑がありますからだれも一〇〇%満点というわけにいかないのですよ。だから最大公約数のところでどれぐらいでしぼれるか、政治というものはもともとそういうものじゃないですか。
○平林委員 あなたの政治というのはどんなものだか私はよくわからぬ。わからぬけれども、いま話を聞いてみると、政治生命をかけるのは財政再建だと言ったね。それだったら財政再建のためあなたはいままで大型新税やむなしというようなことで考えていたのでしょう、国債の減額とか大型新税。鈴木総理大臣は、後で来られると思うのだけれども、あの人は行政改革に政治生命をかけると言った。あなたの政治生命をかけるのは財政再建なんだ。違うじゃありませんか。総理と大蔵大臣の考えは変わりないと言っていたけれども、いまのお話では違うじゃありませんか。それなら、政治生命をあなたは何にかけるのですか。財政再建といったら大型新税の導入なんかも含まれるというふうにしか解釈できないじゃないですか。総理大臣とあなたのは違うじゃありませんか。もう一回何に政治生命をかけるのか、はっきり言ってもらいたい。
○渡辺国務大臣 大体似たようなものだと私は思いますがね。行政改革と申しましても、それは財政再建の一環ですよ。行政改革だけで全部できればそれは一番いいことなんですから。ともかくそれで一〇〇%うまくいくかどうかということは、国会の皆さんが全面協力してくれればできると私は思うのです。そこのところは相手のある話でもございますから、それは数学のようなわけにはいきませんよ。しかし、いずれにしても、世論として行政改革を一番の課題としてやれということでございますから、まずこれに最大限の努力を払いますと言っておるわけです。
○平林委員 はっきりしていることは、総理とあなたの政治生命のかけ方が違うということですよ。総理は、行政改革に政治生命をかけて少なくとも五十七年度は大型新税はやらない、こういうふうに言っているのに、あなたは財政再建の方に政治生命をかけるのだから、その中には新税の導入も入っておるということになるのですよ。それが政治というものだといったら、あなたの政治論は二またこう薬みたいなものだ。これはまた後でおいおい詰めなければならない問題です。 今度は逆説的に聞きますよ。増税なき行政改革、こういうのは、たとえばいま審議している、私もこれから問題提起しようとする租税の不公平な問題について、これを是正すること、そういうことまで否定してしまうのかどうかということ、租税特別措置の改正を初め不公平不合理な面について是正するためにあるいは結果的にはこちらの方は増税やむなしということはあり得ると思うのですよ。私がさきの委員会で提案したようにたとえば年間何兆円も超えるような、二兆円も三兆円もなるような交際費については、いま現在交際費の課税特例で税収を少し上げているわけですけれども、財政再建のめどがつく年次までにこれもさらに強化して一〇〇%強化しても、使っちゃいけないというわけじゃないので、交際費のようなものについては税金だけはよけいいただきますよ、こういうようなことで特例を強化するという措置を仮にとれば、これはまた増収になり得るわけですね。増税なき行財政改革という中には、大型新税は鈴木総理の方針ですから別にして、しかしその他いま申し上げたような点についての増税はあり得る、こういうふうに解釈していいですね。
○渡辺国務大臣 私は不公正だと言われるようなものは直していかなければならぬ、そう思っております。特別措置については補助金だと言う人もありますから、補助金整理の中に入るのかもわからぬし、いずれにいたしましても歳出のために歳入を確保するわけですから、その歳出を削減してなるべく小さなものにして、仮に大型新税によらない税収の確保を図るということがある場合にはいろいろそういうようなことは考えなければなるまい、一切の増税というものは頭の中に将来も一切考えないということまで私は実際のところ言い切る自信がありません。でございますから、大型新税はともかく、総理もああいうふうにおっしゃっておるので、私の頭の中にいっぱいあったのですが、もうほとんどすみっこの方に行っちゃったということであります。
○平林委員 経団連の会長としての土光さん、いま臨調の会長になりましたね。増税しないで歳出削減による行財政改革、それで財政の再建、こう言っておるわけですね。 〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 これは私は本人に会って聞いたわけじゃないからよくわからないのですけれども、財界の首脳の中には現在審議中の五十六年度の予算、ここのときに行財政改革をちっともやらないでおいて、法人税だとかあるいは印紙税だとかいろいろな大幅増税が実施されてしまった。だから、このままほっとくと五十七年度もまた何かやりそうだ、そういう反発がありまして、それでオクターブを上げて増税なしの行財政改革、こういうふうに言っているんじゃないかというような観測もあるわけですよ。それとも本当に国民的立場に立って、歳出の削減によって財政の赤字を消してしまうのだ、消え得るのだ、抱負構想があってできそうだ、これは自信を持ってできるんだ、こういう考えがあって増税なしの行財政改革、こういうふうに言っているのか、ここのところがわからないのですよ。そこで、この間土光さんにお会いされたので、その会談の感じから言ってどういう心証を受けましたか。
○渡辺国務大臣 土光さんとお会いいたしましたが、一時間足らずの短い時間でございますから余り深い突っ込んだ話はいたしませんが、先ほどあなたがおっしゃったように、世間一般に言われているように、政府は増税なんて言う前にもっとやることがあるんじゃないか、民間だったらいっぱいできるという感じがやはり強かったようなニュアンスを私は受けたわけです。しかし私としては、もちろんいま世間でいろいろ言われておるようなことについては全部総当たりで当たってみたいと思っておりますが、行政改革それ自体は速効性で何千億、何兆円という金が一遍にどかどかと人員整理で出てくるというものでないのですよね、実際は。現実の姿というものもある。そういうことについて国民の理解がないところもある。ですから私は、むだは省かなくちゃならぬし、政府はもっと簡素にして効率的な政府につくらなきゃいかぬと思っている。私自身もいまではまだゆるふんだと思っていますよ。ですからどこらくらいまで許容されるか、問題はそこなんです。
○平林委員 私もまだ土光さんの腹の底はよくわかりません。わかりませんが、いま質疑応答しておりますように、たとえて言うと租税特別措置法なんかはもう少し審議していけば、これは廃止したらいいじゃないかというようなものもございまして増税はできる。しかしその増税は財界にとっては痛いのですよ。だから私は、そういう意味で牽制的な発言をしているのかなという感じもしないわけじゃない、それだけじゃないと思うがね。 それからもう一つ、たとえば法人税なんかも今回二%率を引き上げましたけれども、もうちょっと引き上げられるのじゃないかという考え方もあるのですよ。そういうことに対して牽制しているんじゃないか、こんなふうにも、うがった見方かもしれませんけれども、私は腹の底にはそういう疑いもあるのです。 実は、私きょう資料をあれしたのですが、ちょっと委員長と大臣に資料を。 実は、私この間から公定歩合の問題について二回にわたって大臣にお尋ねしましたね。私は法人税の問題についてはまだもう少し上げ得る余地があるんじゃないかという見方を実はしているわけなんですよ。ただし中小企業に対する配慮は必要ですよ。 いまお配りいたしました資料は、今度の公定歩合による金利の引き下げによって企業収益にどういう影響を与えたかというので、この間住友銀行が試算しましたね、新聞にも一部出てましたけれども、それを私ちょっと抜き書きして私なりにまとめてみたものです。これによると、もちろん前提はございますけれども、企業収益に与える影響は全産業で五十六年上期で二千四百七十六億円それから最終的には六千四百八十五億円、つまりこれはこの間の三月の公定歩合の引き下げによる影響を試算したものですね。五十五年度の経済利益の対比においては三・五%だけよくなりますよ、こういうことです。今度は右の方にいきますと、一次と二次のマル公の、つまり公定歩合の引き下げの影響を見ますと、これは実績ですが、全産業で五十六年上期で八千四百二十三億円、最終的になりますと一兆七千六百四十九億円の改善額、つまり収益の改善になる。したがって、去年の八月、十一月、ことしの三月、一次、二次、三次の公定歩合の引き下げの影響を合算してみますと、全産業で五十六年上期には一兆八百九十九億円、最終的には二兆四千百三十四億円改善されるという試算になっておるわけですよ。 これを見ますと、今度の国会に提出された法人税率の二%の引き上げで初年度六千三百四十億円、印紙税率の引き上げで三千六百九十億円、有価証券取引税率の引き上げで五百九十億円、合わせると大体一兆円ですよ。私の言いたいことは、つまり五十六年度の税制改正で財界あるいは企業家からいま挙げたようなものでおおよそ一兆円の税金を吸い上げた。しかし公定歩合の引き下げによってその財界においては一兆円、もっと大きく言えば二兆四千億円最終年度には軽減される。差し引き言ってみれば今度の法人税の税率というものは十分取り返しができている、こう言うためにちょっとまとめてみたわけです。結局一番割りが悪いのは五十六年の四月に予定されるいわゆる預金者です。これは預金金利が下がるものですから、個人の預貯金の残高は二百五兆あるけれども最終的には恐らく得べかりし利息が一兆二千億円減る。何のことはない、余り金持ち階級でない個人の人たちは一兆二千億円の利息をこうした総合的な景気回復という方面に供出させられている、こういう結果になりはせぬか、こう思うのです。こう簡単にばかりいきませんけれども、しかし考えてみれば日本の経済というものは、金利政策についてもそうですけれども大きな企業や財界には都合よくなっている。そこで、こういうことがだんだん常識化してくればもう少し法人税なんかも負担してもらっていいのじゃないか。所得税なんというものは本当に限界に来ておるけれども、法人の方はそれに比較するとちゃんと取り戻してもらっているのだから、これは何とかしてもらえるんじゃないか、こういうことは出てくるわけですよ。そこで、つまり法人税やその他の増税分だけ経済界は取り戻したことになるのじゃありませんかということを私は言いたいのですね。こういうことについてどう思いますか。
○渡辺国務大臣 これは一つの見方でございまして、どういう根拠でそれをはじいたか私はわかりませんが、公定歩合の引き下げがそれだけ日本の経済にいい影響を与えてくれることは私、大変結構なことだ。それから個人、個人とおっしゃいますが、個人でも大衆はともかく郵便局に三百万、普通の銀行に三百万、六百万は無税で預けられておりまして、しかもその金利が、何百万円の人が下がるかわかりませんが、少ししか貯金を持っていない人は一%貯金が下がったからといって余り影響はないわけですね。百万円も利息をもらう人はいないわけですから、三十万円でともかく一%で三千円少なくなった、そのかわり月給が月に二千円上がればそれを何倍も取り戻したことにもなるわけであります。だから私は全体的な影響として、やはり預金の利息が減っても月給が上がった方が、大多数の大衆にとってはその方がプラスになるじゃないかという気がします。
○平林委員 それはもしも月給が上がったらということであって、昔の歌にあったな、そういうのは。だけれども本当に月給が上がるかどうかわからぬし、それから、まあ私は一つの経済の動きの中における視点を示しただけですよ。だけれども、やはり政治の公平を期するためには絶えずこういう角度からも物を考えてやってもらいたいという意味で、この資料は使ってもらいたいと思います。 もう一つ次に法人税の問題で言いたいのは、税の執行上の問題から来る不公平ということに関してですが、最近法人税の捕捉率が毎年低下している。それで現状はどうなっているかということを、国税局おいでになっていると思いますが、法人税の調査件数と実調率の推移というものについてちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
○川崎政府委員 実調率は年々低下してまいっておりましたが、ここのところまた若干下げどまりと申しますか上向いておりまして、八%程度まで下がっておりましたのが一〇%程度に回復いたしております。
○平林委員 この法人の実調率というのは、余り古い話をしてはいかぬけれども、昭和三十九年度当時は二七%くらいあった。それが十年後の昭和四十九年になると六・六%まで下がった。いまのお話だと最近年次においては一〇%程度までまた上がってきた。つまり全般の一〇%までは調査が手をかけられていますということですが、私は専門家じゃありませんけれども、たとえば五十二、三年の例で言うと十二万七千件くらいの実調によって八〇%の申告漏れ、金額にして八千五百億円くらいの申告漏れが発見をされて、その結果二千七百億円ばかり増収をされたという記事を読んだことがあります。もし国税庁の職員の定員がもう少しふえていれば、たとえば三千人くらいふえていれば、法人に対する実調をもう少しふやせることができるのではないか。そうすると相当の税収が確保できないか。たとえば法人税が年間八兆円といたしまして、実調が一〇%ふえてくるようになれば、ある人の話だと数千億円の税収は確保できるのではないか、こういう説もあるのですよ。定員一人についてそれでは採用すれば年間大体三百五十万円くらいだから、約百億円あればいい、百億円の人件費をよけい支出するというようなことで数千億円の税収が確保できるならば、いま非常に苦しいときだからこういうやり方も、一律な定員削減というようなことだけではなしに考えたらどうかというふうなことを言う人もあるわけです。昔はよく苛斂誅求だなんという議論がはやってあれしたけれども、しかし最近の傾向から見ると、もう少し悪いやつには手をかけたらいいじゃないかというような事件が非常に頻発していますからこんな計算もできるかなと実は思っているのですよ。大蔵大臣どうでしょうか。
○渡辺国務大臣 ある程度人員をふやすということによって実調率を高めれば、それは税収がある程度ふえることはこれは間違いないと私は思っております。しかし問題は大蔵省が、ほかの役所にどんどん人を切れと言っておきながら自分のところだけうんとふやしてしまうというのも実際問題としてなかなかむずかしいこともございまして、その中で国税関係の職員の皆さんには大変御苦労をかけておるということも事実でございます。しかし隗より始めよということもございますので、やはり事務系統等は極力機械化、合理化、能率化を図って、それで浮いた人員を徴税とか調査の方に回すというようなことを現在やっておるわけです。それと同時に大口の脱税とかなんとかというのは非常にコンピューター化されておって、それについてそれを調べるだけの技術研修というようなことも非常に必要です。脱税が巧妙化すればやはりこちらもそれだけ知的水準を高めていかなければならないわけですから、かなりテクニカルになってくるわけです。そういうふうな点等にも特に力を入れてやってまいりたい、こう考えております。今後とも人の充実ということについては努力をしていくつもりでございます。
○平林委員 私がこれを申し上げたのは、いわゆる苛斂誅求をせいというわけじゃないのですよ。少なくともいま国民的な立場から行財政改革を進めようとしている。この行財政改革というのは財政再建ということにつながる。財政再建につながるという場合には、定員の問題は各省のおつき合いがあるから大蔵省だけ上げるわけにいかないというような隣組のおつき合いみたいな議論では改革にならぬのですよ。人間を減らすということだけが行財政改革すなわち財政再建じゃなくて、ふやすことによって財政再建に一歩近づけられれば、それも考えていいじゃないかという発想が必要なんじゃないかということを言いたいのですよ。 特に、今度グリーンカードを導入をするということ一つ取り上げてみましても、やはり不公平税制の是正には事務量は相当に増加すると考えなければなりませんので、せっかく制度は入れたけれども手が足りないということでだるまに目玉が入らなくちゃ意味がないのです。 それから、まあきょうはそこまで触れませんが、最近の企業の動きを見ると、海外取引の増大、それから企業が多国籍化している、コンピューターの拡充が行われてくるというようなことを考えますと、私は、調査事務というものは課税の公平を期する意味において非常に重要になってくるのじゃないか、だからそういう意味では、国税庁の定員には私がいま述べたような考え方が必要になっていませんかと言うのです。 特に各国の同じような国税職員の数を見てみますと、西ドイツでは十四万八千人もいるのです。フランスでは七万人だが、イギリスでは十一万三千人もいるのですよ。わが国の場合はたかだか五万人だ。こういうことを考えますと、私はただ職員の労働条件とかその他でなくて、財政再建につながるためにはやはりこれは考えた方がいいのじゃないかということを申し上げているわけなんです。 さっきのお答えで尽きているかもしれないが、重ねてしゃべったのですから、ちょっとお考えを聞かしてもらいたい。
○渡辺国務大臣 決して私は平林委員の発言を否定するものではございません。われわれとしても、今後とも有能な税務職員の充実に務めてまいりたいと考えております。
○平林委員 次に、私は税法上の各種の引当金、準備金の問題について、お尋ねをしたいと思います。 昭和五十六年度予算を審議した衆議院の予算委員会に提出された資料、それから五十四年度分の税務統計から見た法人企業の実態、この二つを調べてみましたら、貸し倒れ引当金の期末残高が三兆三千二百二十一億円、それから退職引当金が六兆八千四百三十二億円、賞与の引当金が三兆三百七十八億円、価格変動準備金が七千四百七十六億円、いずれもそれぞれ前年より増加をしておるということを承知いたしております。 そこで、この引当金や準備金のような制度を利用した法人の割合はどうなっているかということを見ますと、貸し倒れ引当金は三五・四%しか利用していない。それから価格変動準備金は二〇・五%である。賞与の引当金は一四・八%である。退職給与の引当金はわずかに七・八%である。こういう引当金や準備金の利用の割合というものは、今度は資本金階級別に調べてみると、いずれも資本金の規模が大きくなるほど高くなっているのです。たとえば退職給与の引当金は、十億円以上の法人は九〇%近く利用しておる。それから貸し倒れ引当金は八五%以上、賞与の引当金は八〇%に近い。政府はこれまで相当の努力をしてきた、こう言われますけれども、これは大企業にとっては有利に働く特別の減税になっていると私は思うのですが、この実態と傾向をお認めになりますかどうか。
○高橋(元)政府委員 退職給与引当金、五十四年の法人企業統計で法人企業標本調査で五千六百億ばかり増加しております。残高が六兆八千四百三十二億。賞与の引当金はやや違っておりまして、たとえば決算期が九月決算で賞与の支払いが十二月、こういう会社について引き当てておるわけでございますが、したがいまして、五十三年と五十四年の間に二千二百億ばかり残高が増加しております。それから貸し倒れでございますが、貸し倒れは五十三年と四年で二千六百億ばかり増加しております。 これらが仰せのように比較的資本金の規模の高いところに利用されておるということはそのとおりでございますけれども、たとえば貸し倒れ引当金で申しますと、百億円以上の資本のところの貸し倒れ引当金は全体の三六%でございますけれども、一億円に達するまでの中小企業もまた全体の二八%ぐらい貸し倒れ引当金を持っておるということでございます。
○平林委員 まあ私が指摘したことを否定をされたわけじゃないと思いますので、続けて質問をしますが、私は、もちろん中小もあると思いますが、偏向している、つまり大企業に偏っておるということを言いたいのです。たとえば退職給与の引当金で見ますと——これ、皆政府の資料で言っているのですから。五十五年度末新日本製鉄は千二百九十一億四千三百万円の期末残高で、当期の増加額は二百八十五億三千四百万円。三菱重工を例にとりますと、同じく期末残高は一千億三千万円、当期の増加額は百七十七億八千三百万円。東京電力で言いますと、千三百四十二億一千八百万円で、当期の増加額は二百十五億六百万円。この期間の目的使用の額は、期末残高に対してわずかに一三・八%、一四・二%、一三・四%。貸し倒れ引当金についても一つの例を申し上げますと、第一勧業銀行の期末残高は一千百三億九千七百万円、当期の増加額は九百六十億四千百万円、この期間の目的使用にしたのは期末残高に対して〇・二六%。 私はこの目的から見まして十分過ぎる特別減税措置になってやしないか。減税じゃありませんよ、それは名前は引当金とか準備金ですが、実質的にそういうことになっておりませんか。私はこういうものは廃止するのが課税の公平から見て当然と思いますが、せめて大蔵大臣がいつも言うような財政再建のめどがつく五十九年度まであと二年くらいしかありませんけれども、その期間だけでも百歩譲ってこの引当金、準備金の利用というものを停止をしてもいいのじゃないか、停止してもいまの利用率というのはうんと低いんですから、いままでの期末残高で十分処理できるじゃありませんか、こういうようなやり方ができるのじゃないか、こう思うのですけれども、このお考えはありませんか。
○渡辺国務大臣 いろんな特例措置とかそのような引当金とかを認めるようになったのは、高度経済成長時代に税の自然増収が非常に多かった。減税してもまだ自然増収というようなことで財政規模もふくらんできたというのが事実なんです。ですから、こういうような財政窮乏の時期になれば、退職給与引当金が実際五〇%あったものを四〇%に下げたわけですが、四〇%、果たして現実にやめる人はそんなにいないとすれば、それは少し多過ぎるのじゃないか、もっと少なくたっていいんじゃないかという議論が出てしかるべきものである。したがって、それは十分に頭の中に入れておきたい、そう思っています。
○平林委員 私も、財政再建のためには取るべきところからもう少し取ったらどうでしょうか、そういう余地はありますよという例を申し上げているわけでございまして、きょう挙げているのはその一部でございます。その一部をもう一つ申し上げておきたいと思います。 それは金融機関等の貸し倒れ引当金初め諸引当金、準備金の五十五年期末残高を見ますと、一兆五千八百一億円ございます。このうち貸し倒れ引当金は九千二十三億円、退職給与の引当金は四千六百九十二億円でございます。都市銀行における貸し倒れ損失の実態は昭和五十年の上期から昭和五十四年の上期までに〇・〇〇九%であります。最近は相当大口のものもちょこちょこ出ていますけれども、統計上政府の資料から見ますと〇・〇〇九%であります。 確かに今回も政府の方では所要の経過措置を講じた上、法定の繰り入れ率を千分の五から千分の三に引き下げるということにしてございますけれども、私はこれは甘過ぎるんじゃないか、こう思っておるわけでございます。これなどもたびたび指摘をされて少しずつ直していますが、実態から見ると政府の改正案も非常に甘い。 ですから、本当に財政再建をやるというなら、この制度の再検討ができないはずはないと私は思っているんですよ。これについても、同じようなことだろうと思いますが、頭のすみに入れておいてもらいたいと思いますので、お答えをいただきたい。
○渡辺国務大臣 極端な歳出カットを行ってなおかつ財源不足があるというようなときには、それはもう頭のすみじゃなくて、頭の中心に入れなければならぬじゃないか、そう思っています。
○平林委員 それからちょっと所得税の方に戻りますが、私きょうちょっと御検討いただきたいという意味で発言をしておきますが、生命保険料控除で国税は千六百三十億円税収を失っているわけです。たくさん利用する人がございますから、それぞれこの恩典を受けておる人はあると思います。しかし、これは同時に地方税にまではね返りまして七百二十億円減収になっています。いずれも政府の資料から取り上げたものですが、合わせますと生命保険料控除で二千三百五十億円という数字になります。 このほかに損害保険料控除というのがありまして、これも確定申告をなさった方はまだ頭の中にあると思いますが、たとえば三千円とか、最高で一万五千円とかというふうに所得控除を受けておりますが、私は、この控除は所得控除であることから、どうも限界税率の高い高額所得者に有利な制度になっているのじゃないかと思っております。 〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 わが国は貯蓄の水準は相当高くなっておりますね。この制度が創設されたときは、生命保険を掛けるということに対する貯蓄機能に着目をして、貯蓄の増強を図ることを理由にしてこの制度が創設されたと聞いておるのですけれども、いまやわが国の貯蓄水準というのは非常に高くなってきておるから、私は創設の目的は達成されたのじゃないか、こういうふうに思うのです。これを廃止すれば少なくとも二千数百億円の財源が出てくるわけです。ただ私は、この制度を創設した経緯から考えてみて、必ずしも生命保険会社、損害保険会社のためだけでなくて、そのためにある程度恩典を受けるたくさんの人があることは承知しています。 そこで、廃止するだけじゃだめだ。その廃止された財源をもって私は所得税の基礎控除なんか上げたらどうなんだろうかなと実は思っているのです。一般のたくさんの人たちが利用しているものを廃止して、それをほかの方に使ってしまうのじゃ、これは申しわけない。これはやはり所得税の基礎控除を上げれば、これだけの金額は二千数百億円でありますけれども、しかしそれは一般の人たちからは歓迎されるのじゃないか、こう思うのでありまして、もう創設の目的を達成されたものは整理廃止して、いまのような方向転換をされたらいかがでしょうかということを提案をしますから、御検討いただきたいと思います。どうでしょうか。
○高橋(元)政府委員 減収の見込みでございますが、ちょっといまお示しのありました数字は五十五年だと思います。五十六年で申しますと、生保で千九百十億円、損保で百二十億円というのが国税の減収額でございます。地方税は、生保で二百四十一億というふうに見込まれております。 この制度は、生命保険料で申しますと、大正十二年からずいぶん長く続いてきた制度でございます。昭和二十二年から二十五年まで一遍廃止されましたけれども、その後、保険がインフレの壊滅から立ち直るに従ってまた利用が広がっておりまして、現在全体の納税者の中で七七%生保控除を利用しておられる、損保控除を三分の一の方が利用しておられるわけでございます。不時の災害に備える、万一の不幸に備える、これは人情の当然だと思いますけれども、片や生命保険料控除の場合には、従来の貯蓄性の生命保険から次第次第に掛け捨ての団体生命というものの利用割合がふえてきております。そういう生活設計に与える影響というものもどうしてもやはり考えざるを得ないというふうには思います。 しかし、仰せのように、政策上のインセンティブとしてすでにかなりの程度目的を達している、普及率がこんなに上がってまいりますと、そういうふうに見ることもできますので、特別の政策目的のための控除と一般的な人的控除との関連を含めまして、今後所得税の基本問題についての長期検討の一環として取り上げていくということにいたしたいと思います。
○平林委員 なお予定したものはございますが、大臣の御都合もございますから、これで私の質問は終わっておきたいと思います。どうもありがとうございました。
○綿貫委員長 午後二時に再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時五十九分休憩 ————◇————— 午後二時二分開議
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ただいま議題となっております内閣提出に係る所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案とともに、堀昌雄君外八名提出に係る所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を同時に議題といたします。 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 二月二十五日の予算委員会における集中審議によりまして、総理と二時間にわたって税の問題について論議をさしていただきました。そうして、このときに総理から次のようにお答えをいただいたわけでございます。 ○鈴木内閣総理大臣 五十五年度の剰余金が出るか出ないか、出た場合については考えるべきではないか、こういう堀さんの御意見でございますが、私も何とかそういうことができればと思いますが、先ほど申し上げましたような状況でございまして、この剰余金を期待するということは現段階では非常に困難である、私はこういう認識を実は持っておるわけでございます。出たらという仮定の上に立っての御議論でございますが、堀さんのお考え、お気持ちというのは私もよく理解ができるところでございます。 こういう実は御答弁をいただいわわけでございます。 この御答弁をいただいたので、もちろん総理のお述べになったように剰余金が出るか出ないかはあの時点でもわかりませんし、本日の時点でもまだ定かではございませんけれども、出たらひとつその全額を所得減税に回すという各党の合意が行われまして、そしてきょう本日、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案というものが当委員会に提案をされるところまでまいりました。そういう意味では、大変困難な財政状況ではございますけれども、総理があの集中審議の中で一定のお考えを持って、そういう場合には理解できるとお答えいただいたことが今日のここに至る最初の御発言であった。そういう意味でこの場所でひとつ、ちょうどいまから一カ月前でございます、きょうは三月二十五日でございますが、総理にまず最初にお礼を申しておきたい、こういう気持ちでございます。 そこで、実はこの間、総理は行政改革に政治生命をかけるというふうな御発言がございまして、けさの新聞を見ますと、これは、「鈴木首相は二十四日正午すぎから開かれた五十二年当選の自民党参院議員との懇談会の席上、行財政改革問題に触れて1五十七年度予算編成にあたっては経費節減と補助金の整理などにより約二兆円の歳出削減を目指す2補助金整理については例外は認めず、各省庁平等に犠牲を求める」という意向を表明された、こういうふうに新聞は伝えているわけでございます。私は、あの委員会のときにもこれらの問題について申し上げました。既得権にメスを入れるということは大変勇気が要ることでありますし、しかしある意味では、蛮勇をふるって処理をしない限り現在の財政改革は不可能だろうということを申し上げ、総理からも同意見だというお答えをいただいておりましたので、今日この行政改革についての総理の御決意も私は高く評価をいたしているところであります。 ただ問題は、きょう大蔵大臣は平林委員の質問に答えて、どうやら大蔵大臣が政治生命をかけられるのは財政改革の方にかけられるんだというようなことがわかったわけでありますけれども、行政改革も財政再建も、これがいまの当面の最大の重要課題でございますが、私はそれが目的だとは実は考えていないのでございます。目的は何かといいますと、国民が不安なく幸せな暮らしができるような経済状態をどういうふうにしてつくるか、一日も早くつくるということが目的なのでありまして、その目的の達成のためには、いま一番大事なことは総理もお約束になっております大型な間接税の導入をやらないということ、これは大変大きな意味が実はあるわけでありまして、ここが入り口だ、私はこう考えておるのであります。大型の間接税導入をやらないということになりますと、必然的に歳出を減らさなければバランスはとれません。歳出を減らすということは、いまの行政改革によらなければ歳出は減らせませんから、そこで行政改革によって歳出を減らす、歳出を減らした結果、実はバランスのとれた増税なき予算が組まれる、その過程の中に財政再建というものが含まれてくるだろう。ですから、入り口は増税をやらない、出口はさっき申し上げました不安のない国民の幸せな経済状態をつくり出す、というのが入り口と出口で、その間に行政改革があり、財政再建があるんだ。いずれもこの二つは手段であって目的ではない、私はこういう認識でございますが、総理はいかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、国民の平和と幸せを実現することが政治に課せられた目的であり使命である、このように考えておりまして、この点は全く堀さんと同じ認識でございます。それを実現いたしますためにいろいろの内政、外交各般にわたる施策が必要になるわけでございますが、私は鈴木内閣におけるその中の施策の一つとしまして、現在の財政の現状からいたしまして、どうしてもこの財政の建て直しを図らなければいけない、そして新しい時代に対する財政の対応が十分できるような体制をつくることが必要だ、このような考えを持っておるわけでございます。 そこで、私は五十六年度予算編成におきましていろいろの経費の節減その他も努力をいたしました。しばしば申し上げておりますように前年度対比九・九%、国債費あるいは交付税等を除きますと実質四・三%、こういう二十数年ぶりの緊縮の予算、節減の予算を組んだつもりでございますが、しかし一方において、いろいろの行政水準を維持しなくてはいけないという御要請にもこたえまして、一兆四千億に近い法人税その他の増税を国民の皆さんにお願いせざるを得なかった、このようになったわけでございます。 しかし、財政再建は五十六年度一年で終わる問題ではございません。五十七年度以降におきましても、少なくとも六十年から始まりますところの特例公債の償還の年には、そのときは特例公債発行というようなそういう依存体質を脱却する必要がある、このように考えて、引き続きやらなければいけない、こう思っております。 私は五十七年度、具体的には五十七年度の予算編成につきましていまからいろいろ考えておるところでございますが、五十六年度に引き続いて大型の増税をお願いするというようなことは、これは私のよくなし得ないところでございますし、国民の皆さんも納得がいかないところであろうか、こう思います。そこで私は大型新税というものを念頭に置かずに、行財政の縮減合理化、改革によってこの財政再建を果たしていこう、こういう腹を決めておるわけでございます。行財政の縮減合理化。行政だけではございません。そういうことで今後取り組んでまいる所存でございます。
○堀委員 総理の御決意は私も全く賛成でございます。 そこで、実はいま大蔵省が財政収支試算を出しておりまして、どうもそれがいま臨時行政調査会等でも下敷きになっておるのではないかという感じがいたしますが、ちょっと資料を見ておりますと私には納得ができない計数が実は五十七年度に出ておるわけでございます。これはもちろん一つの中期試算でありますからそれなりの理由があろうと思うのでありますが、この中期試算の、いま盛んに新聞等でも五十七年度における要調整額は二兆七千七百億であるというような言葉が使われておりますし、いろいろな点で当面はどうもこれだけが下敷きになるということにならざるを得ない、中期展望試算でありますから。 そこで、ちょっと主計局の方にお伺いをするのでありますけれども、実はいまの中期展望試算の一般歳出は、いま総理がお話しになりましたように、五十六年度は前年度の伸び率四・三%、ところが五十七年度はこれが一〇・四%というふうになっているのであります。投資部門につきましても、五十六年度は前年比〇・一%の増であったものが五十七年度では一〇・〇%の伸びというふうに試算をされているのであります。その結果、実は要調整額が二兆七千七百億になっている。 私は、仮に五十六年にやれたことが五十七年にやれないことはないだろう、こう考えてみまして、五十六年で行ったように一般歳出の伸びを四・三%に抑える、そういうことでこの計算をいたしてみますと、これはいまのものとはかなり違った姿になる。一体このいずれも一〇%台に伸ばしてあるというのはどこに根拠があるのか。こうなると、これから臨時行政調査会が作業をされるときにどれだけ行政の削減を行えばいいかというのをこれでやったのでは、こんな水ぶくれ予算を五十七年度にやるなどということは私は総理の御趣旨に全然沿わないという感じがするので、なぜ五十七年度はこういうことになっているのかだけ、一般歳出、経常部門、投資部門、これについてだけお答えをいただきたいと思います。
○吉野(良)政府委員 「財政の中期展望」につきましての五十七年度の一般歳出の伸び率を現に御審議いただいております五十六年度の予算の伸び率との比較においての御指摘でございますが、これはこの「財政の中期展望」というものの試算の性格にもかかわる問題でございます。 簡単に申し上げますと、たびたび御説明申し上げているかとも存じますが、この五十七年度以降につきましての推計はいわゆる私ども俗に自然体の推計、こう申しているわけでございますが、言いかえますと、現在の法律、制度あるいは施策の運営の仕組み、そういったものが現在のままであるとするならば、いわば自然体でこんな姿で歳出は伸びていくという推計を基本的な推計の仕方としてやっているわけでございます。 そこで、まず経常部門についてでございますが、御指摘のように一〇・六%増ということで、五十六年度の経常部門の伸び率五・九%に比較いたしますとかなり高い伸び率になってございます。これは先ほど申しましたように、自然体の推計でございますのでこういう数字になっているわけでございますが、堀委員の御疑問は、現に五十五年度なり五十六年度なりにかなり低い伸び率に抑えられているのであるから、同じような手法をもってすれば五十七年度以降ももっと低い伸び率に抑えることができるのではないか、こういう御指摘かと存じます。 これも簡単に申しますと、御案内のように五十五年度、これは一般歳出を五・一%増、それから五十六年度四・三%増、二十数年ぶりの低い伸び率に抑えたわけでございますが、この両年度の予算編成の過程を通じまして、いわば現在の法律、制度あるいは仕組みのもとにおきましてできる限りの工夫、努力をいたしましてこういった姿にやっと抑え込むことができたということでございます。したがいまして、ここ二、三年間のそういったありとあらゆる工夫、努力をし尽くしたといったような感じがございまして、いまの法律、制度あるいは施策の運営の仕組みのもとにおきまして、五十七年度以降もこのような低い伸び率に抑えることがしかく簡単ではない、むしろ著しく困難である、こういう感じをいたしてございます。 それから投資部門でございますが……。
○堀委員 いや、もういいです、その辺で。もう投資部門の〇・一だけですから。 実は総理、いまこれを五十六年度並みにもし五十七年度もやってみますとどういう計算が出るかといいますと、一般経常部門で一兆九百五十五億円のマイナスが立つのです。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 それから投資部門も〇・一ということにいたしますと、ここで八千五百十四億マイナスが立ちまして、いまの試算に比べて、マイナスを足しまして、要するにその両者の合計が一兆九千四百六十九億円、こういうかっこうになります。ですからこれで差し引きしますと、いわゆる要調整額というのは八千二百三十一億円しか出ない、こういうことになります。 主計局は五十六年度にやったことは大変むずかしいのだと言っておりますが、むずかしいことをやるのが実はわれわれにいま求められておることです。だれでもやれることなら、総理もそんな政治生命をかけるなどとおっしゃることはないので、大変困難なことなんですけれどもやらなければならない。ですから、いまの中期展望というものは三年間を出しておりますから、これはそれなりの意味を持つと考えてもいいのでございますが、私に言わせると、この段階で大蔵省は早急に、臨時行政調査会が行政改革をここまでやっていただければ増税をしなくてもいけますという何らかのものが出されなければ、財政当局としては大変無責任ではないのか。何となくそこらじゅうをこれも削れ、これも削れ、これも削れと削りまくって、ここまで削ってみたら、そんなに削る必要はございませんでしたというようなことになるとすれば、臨時行政調査会の皆さんは、大変失礼な言い方になりますが、何のお仕事をしていただいたのかな、骨折り損のくたびれもうけではないかなという気にならざるを得ないようなことが起きかねないと思うのでございます。きょうは大蔵大臣がおられませんからしようがないので、総理の方で、これだけ重要な問題ですから、こういう自然体で、現行法制下のままでなどということでは行政改革というのは一切ありませんという前提になるわけでございますので、その行政改革の問題はこれからやるとしても、常識的にこの二カ年やってきたような努力をすればここまではできますという一つの五十七年度の、その上に行政改革を乗せるわけですが、総理がこれだけの熱意を示しておられるのなら、もう少しきちんとしたものを財政当局が早急につくってしかるべきではないのか。それを臨時行政調査会の皆さんに、現状の段階でやれることはここまででございます、ここから先は法律改正、いろいろな手段を通じてやっていただく以外には財政当局としてはできませんというようなものを早急につくる必要があるのではないだろうか、こう考えるのでございますが、総理いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私が大型新税を考えないで財政再建二年目の五十七年度予算の編成を進めよう、こういう腹を固めまして、それに基づきまして、そうした場合にどういう姿になるか、早急に事務当局において検討してもらいたい、こういうことを大蔵大臣に指示しておるわけでございます。従来の制度あるいは法律その他からいたしますと、非常にむずかしい問題がたくさんあるようでございますが、そういう私の指示に基づきまして、いま大蔵当局において鋭意その案の取りまとめをしておる、こういう段階でございます。
○堀委員 私がいま申し上げたことはすでに総理が指示をしていただいているようでありますから、それはその作業ができたら、密室の作業ではなくて、いまのやり方でいったらここまでできますとか、あとはここからここはこういう法律をさわらなければできませんとかいうようなことになるのだろうと思いますが、これはひとつ当委員会に提出をするように、政務次官よろしゅうございますね。大臣がいないから、あなたちょっと答えてください。これは総理にお答えいただくわけにいきませんからね。提出してもらえますね。
○保岡政府委員 よく検討して、できるだけ先生の御趣旨に沿えるように努力をしてみたいと思います。
○堀委員 そこで次の問題でございますが、月曜日に税制調査会長の小倉さんが当委員会に参考人として御出席になりました。平林委員の質問に答えて、今度は総理は大型間接税の導入はやらない、こういうふうにはっきり言っておられる、税制調査会はどうしますかという質問に対して、検討だけは引き続き行いたい、こういう御答弁であったわけでございます。この税制調査会というのは総理大臣の諮問機関でございますから、総理大臣がもう五十七年度にはやらないというふうにおっしゃったのならば、税制調査会も五十六年度中は少なくともこのような検討を進めることは適切でない。要するに、総理がやらないとおっしゃっているのにもかかわらず何か必ず先ではやるのだと言わんばかりにそういう作業をずっと続けて、いつでもやれますよというような体制をつくろうなどというこの姿勢では、総理の真意が国民に信頼されないのではないか。総理は政治的にはそう言っておられるけれども、後ろの事務方は鋭意努力をしてやれるような体制を組んでおるなどということは、私は総理の直属の諮問機関である税制調査会のあり方としてはまことに遺憾なことだ、こう思うのであります。 この際、総理は、五十六年度中は少なくともこの問題の検討は保留をすべきだ、要するに必要なときにはまたやればいいのでありまして、いまはもう総理は五十七年度やらないと言っておられるのでありますから、そのような指示が行われてしかるべきではないのか、そのことが国民全体が行政改革に対する総理の真剣な取り組みを国民のものとして受けとめる一番いい道ではないか、こう私は考えるのでありますが、いかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 私が去る十一月十八日に税制調査会に諮問をいたしました文書がここにございます。「国民経済の健全な発展を目途としつつ、国、地方を通じて財政体質を改善するため、税制上とるべき方策」こういう非常に幅広い諮問をやっておるわけでございます。税制調査会は委員の皆さんのお考えに基づいて今後の税制のあり方等についていろいろな幅広い勉強をしていただいておるということを私も聞いております。また、大蔵省の主税局等においても絶えず税制のあり方、合理化、どうあるべきかということについても勉強しておる。これは職務上当然のことだ、こう思っております。しかし私は、先ほども申し上げましたように、五十七年度予算の編成に当たりましては大型新税等を考えないで財政再建をやろう、こういう方針を明らかにいたしたところでございますから、税制調査会においても私の考えを踏まえまして、今後運営等については適当な措置を講ぜられるものと、こう思っております。
○堀委員 いま適切な御答弁をいただきまして、私もそういうことを期待をいたしておったわけでございます。そこで、実は税制調査会は大型新税はひとつ保留をしてほしいのですが、いろいろな問題を、やはりいま広い意味で国民経済の向上のためになる税制の検討をしてもらいたい、こう考えるわけでございます。 そこで、実は先般の予算委員会で所得税の問題について触れたわけでありますが、本日は所管の大蔵委員会でございまして、当日お聞きをいただいた方もございましたでしょうが、実は私がそこで議論をいたしました問題についてはお聞きになっていない大蔵委員の方も多数あろうかと思います。総理はすでに、私はこの前一回やっておりますから重複をしますが、お許しをいただいて、皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいたのでそれについて御説明をして、所得税の問題についての提案をひとつさしていただきたいと思います。 皆さんのお手元に「家計調査報告による年間収入五分位階級別、一世帯当たり年平均一カ月間の世帯主収入と勤労所得税」という表をお配りをしてございます。これは総理府が出しております家計調査年報をもとにいたしまして、五十二年をベースにして五十五年でどうなっているか、これは月報が十月までしか出ておりませんでした時点で作成いたしましたから、十一月、十二月は実は下にございますような平均値の適用で伸ばしてございます。 これをごらんをいただきますと、まず上の段で、第一分位は五十二年には世帯主収入は十四万八千二百二十五円でございました。これが五十五年には十八万三千五百九十二円になりまして、三万五千三百六十七円収入は増加をいたしました。それを比率で見ますと、一番下の欄に五十五年A、Bとございますが、五十五年A、つまり給与の伸び率はこの三年間で二三・九%でございます。ところが、税額の伸び率は九四・九%になっているわけでございます。同じことを五分位、五十二年の年収三十三万九千八百五円、五十五年にこれが四十二万二千三百二十三円、この階層はこの間に八万二千五百十八円収入がふえたわけでありますが、税金の方は二万七百五十四円が三万一千九百五十九円になりまして、その伸び率は一番下にございますが、収入は二四・三%の伸び率でありますが、税金の伸び率は五四%しか伸びておりません。要するに、この資料が私がどうしてもことしは所得減税を何らかやってもらわなければいかぬということを決意したデータでございますが、ごらんいただくと、所得の階層の低い方がたくさん比率として税負担が伸びておる。二分位が収入が二一・六%、しかし税の負担は七〇・六、三分位が二二・三の収入の増加、それに対して税負担の増加は七〇・五、四分位は収入二二・八、収入は一、二、三、四、五階層いずれもほとんど変わりませんが、税金は六二・八、そして五分位が五四・〇、上にいくほど実は税の負担の伸び率は低くなる。これは給与所得者としては大変実は問題がある、こう考えたわけでございます。 そして、御案内のような毎年多額の自然増収が出る。なぜ自然増収が出るかというのは、その次の「所得税税率表の比較」というのがございますが、ここにありますように、日本の場合は課税所得金額六十万円までが一〇%でスタートをいたしまして、八千万円超七五%という累進税率構造になっております。段階が十九あるわけでございます。アメリカは一番下が〇%で、その次一四%からスタートをいたしまして上が七〇%ですが、段差は一五でございます。イギリスは三〇%スタートで上が六〇%、ここは六つでございます。要するに、この所得税の税率によって名目所得がふえればすぐ次のランクに上がる、次のランクに上がるということで意図せざる増税、私はこう言っているわけでありますけれども、税率が変わるわけでありますから、これはもう増税なんであります。そういう意味で、これは何とかひとつ対応が必要だという問題提起をいたしました。 その次にアメリカのがございますが、このアメリカの下に注が書いてございまして、「上記の税率表は、夫婦者であって共同申告書を提出する者に対して適用されるものである。」こういうふうに実はアメリカのものはただし書きがついているのでございます。 そこで、きょうお配りをいたしました資料のずっと下の方に二つございまして、一つは「所得税負担額の世帯別対比の国際比較(給与所得者)」というのをお配りしてございます。これは三百万円、五百万円、七百万円の給与収入の際に、独身者を一〇〇として見ますと、夫婦者、夫婦子二人の標準世帯、それの税の負担の状態はどうなっているかということを、実は先進諸国について製表をしてもらったものでございます。 これで見ますと、これは独身者を全部一〇〇としてございますが、三百万円のところでは、夫婦者の場合はイギリスは八三で、イギリスはずっと全部高いのでありますが、イギリスを除きますと、日本の税負担が七七で高いのであります。その次がアメリカの六八、西ドイツ六三、フランスは四三、ここは間接税のウエートが非常に高いという面もありましょうが、こういうかっこうでございます。 今度は夫婦子二人になりますと、三百万円のところでは三八ということで、日本が大変低くなりますが、五百万円のところへまいりますと六四、アメリカ六一、西ドイツ六〇、フランス三三、七百万円にまいりますと、日本が七五、アメリカ六七、西ドイツ五六、フランス四二ということでありまして、イギリスは例外でありますが、その他に比べると日本の所得税負担というものはこういう形では高くなっている。 これをもし仮に、アメリカが現在やっておりますような二分二乗方式というものが取り入れられたらどうか。二分二乗方式と申しますのは、夫の収入が一千万円あったといたしますと、これを夫の収入が五百万円、妻の収入が五百万円、それにこの税率表の税率を掛ける。アメリカのはその税率表でありますが、それを掛けて出た税額を合算してそうして税金として払う、実はこういう仕組みなのでございます。そういうものを考えたらどうか、こう私は思っておるわけであります。 そこで、この問題はやはり一つの哲学がなければ、安易にその方が税が減るからやったらいいだろうというふうなものではないと考えておりますので、この問題を提起いたしますための私なりの哲学的な背景というものを少し皆さんに聞いていただきたいと思うのであります。 憲法は第十三条で「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に對する國民の權利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」こういうふうになりまして、さらに第十四条「すべて國民は、法の下に平等であって、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経濟的又は社會的關係において、差別されない。」こういうふうに実は憲法は十三条、十四条で法のもとにおける平等と性の差別を禁止をし、個人として国民は尊重される、こういうことを基本法で実はうたっているわけでございます。 私は昭和四十二年に当委員会で、妻の相続税問題、妻の財産権問題を論議をいたしまして、長く何回も論議をしてまいりまして、最終的に昨年の民法九百条の改正によりまして、妻の相続税の取り分二分の一までは非課税ということになりました。私はこれはどういう観点から論議をしてまいったかと申しますと、要するに私どもが働いて生活できるのは、妻が家事、子供の教育その他万般を引き受けてくれているから、ある意味で後顧の憂えなく私どもは外に出て仕事ができるのであって、私の収入は一〇〇%私の収入であって妻はゼロである、こういう発想はあり得ないと思うのであります。要するに、妻の協力に基づいて夫としての私が十分な活動ができるわけでありますから。 そこで、そういう意味ではラテン系の国が基本的に夫婦の財産共有制をとっておるのでありまして、アングロサクソンは、日本と同じような別々のたてまえになっておるのであります。 〔越智(伊)委員長代理退席、山崎(武)委 員長代理着席〕 ところが、アメリカでこの二分二乗の法律が生まれました経緯は、実はやはりアメリカでもラテン系の住民の多いところは共有財産制でありますし、そうでないところは別財産制でありますが、たまたま訴訟が起こされて、そうして最高裁判決に基づいて、それはやはり二分二乗でやるべきだという判決が出て、一九四八年から二分二乗が法律に取り入れられたという経緯があるのであります。ですから、このもとは、まさに夫の名義によるところの財産というものはすべて夫の財産であるのかどうかという問題に実は関連があるわけであります。 そこで私は、当然妻の協力に基づいて夫の仕事は成り立つのでありますから、まあある意味でのラテン系のような夫婦共同財産的な発想というものが理解されていいのではないか、こういう考えがあるわけでございます。 そこで、きょうはちょっと法務省にも来ていただきましたが、要するに民法第九百条の法定相続分、「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、左の規定に従う。」「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」というふうに、昭和五十五年法律五十一号で改正をされております。この二分の一にしたということについての法務省側としての一つの物の考え方の中に、私がいま申しておるような共同財産というような物の考え方も部分的には含まれておるのではないか、こう私は考えるのでありますが、ちょっと法務省の方で答弁をしてください。
○橘説明員 昨年五月に民法の改正が行われまして、御指摘のように、配偶者の相続分が引き上げられたわけでございます。 この引き上げが行われました背景といたしましては、いろいろな事情がございまして、子供の数が減少したとか、あるいはいわゆる核家族化が進行したというようなさまざまな現象があったわけでございますが、その背景の一つといたしましては、婚姻共同生活における配偶者の貢献というものを、これはやはり従来以上にもっと評価してもいいのではないか、かような思想があったということが言えるように理解をいたしております。
○堀委員 総理、いまお聞きのように、私がいま申し上げたような妻の協力というものが一つの背景の中にある。これは相続でございますから、相続のときに二分の一は非課税で妻にいくということは、そうすると、相続しない、まだ夫が生きて働いておる時期に何にもなかったものが夫が死んだら途端に相続のときにふあっと出てくるのではなくて、やはり潜在的な財産共有に対する物の考え方が生存しておるときからあって、それが死亡という事態で顕現化してきて二分の一が妻に無税で相続される、こういうふうに受けとめてもよいのではないだろうか。潜在しておった夫婦共同財産に関する考え方が相続ということで顕在化してきた、こう考えてみますと、それならば、ストックとしての財産に潜在的なそういう貢献度というものから見たところの共有の考え方があるとするならば、フローの面、要するに、収入が入ってくるときにそういう考え方があったからストックとしての蓄積ができてくるわけでありますから、当然そういう相続税を二分の一までは非課税にするという一つの哲学で物を考えますと、この二分二乗問題というのはきわめて自然な流れの中で考慮されてしかるべき制度ではないだろうか、私は、実はこういま考えておるわけでございます。そのことがさっき申し上げた意図せざる増税を防ぐ役割りを果たしてまいるということなのでございます。 もう一枚皆さんにお配りしてございます資料で、「現行課税方式と二分二乗課税方式との所得税負担の比較」というものを夫婦子二人の給与所得者の場合で試算をしたものがございます。これで見ていただきますと、五百万円、一千万円、二千万円、こういうようにランダムに処理をしたわけでありますが、現行の税負担の場合でございますと、仮に三年間減税がない、そのまま収入が三〇%ふえたという前提で考えてみますと、現行の制度なら、五百万円のところは五・六%の負担率が八%に、二・四%実はふえるわけでございます。ところが、もしこれが二分二乗になりますと、実は四・八%が六・三%に、一・五%しか負担率は上がらない、こういうかっこうになりまして、そのことは裏返せば、いまの累進税率構造が制御されるというかっこうになってくるのではないか。 ですから、もちろんこの現在のブラケットを長くするとか、刻みをもう少し減らすとか、この前から私が予算委員会で問題提起をいたしましてから渡辺大蔵大臣も、総合課税が完全に行われるときには最高税率を下げたらどうだろうというお話もありますし、いろいろありますけれども、この二分二乗方式というものも、いまの意図せざる増税というものを避けるための一つの手段であり、同時に、妻の座というものを高く評価をするといいますか、現在の憲法の十四条の性別による差別を行わないという定めからしましても大変いいことではないだろうか。 昨日、定年制の問題について、男女差別を認めるべきでないという最高裁判決が出て、私も大変いいことだと思うのでありますが、当委員会は、共産党に一人だけ女性がおられるのですけれども、あとは全部男性なんですね。政府側も全部男性。私はやはり、女性の声をひとつわれわれも十分取り上げて、憲法の定める方向に行くために、これを税制調査会に諮問をするようなお取り計らいを総理からいただいたらどうだろうか、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま堀さんから、妻の内助の功というものを反映をさせて所得税のより合理的な負担のあり方を考えると二分二乗というようなことが合理的な制度ではないだろうか、こういう御提案がございました。 私も、いま堀さんから憲法の条章、また深い哲学に立った御意見等々を拝聴しておりまして、これはやはり検討をすべき課題である、このように思います。わが国の財政の現状等ともにらみ合わせながら、この問題は税制調査会におきまして今後検討する課題として取り上げてまいりたい、こう思います。
○堀委員 私もいま財政再建中でございますからそれをすぐ実施に移していただきたいということを申しておるのではございませんので、いまの総理の御答弁で、将来の問題としてこういうことが実行されれば、私は日本の妻の座がより高められるという結果にもつながると思いますので、いまの御答弁、大変ありがたいと思っております。 その次に、今度は法人税の問題で、一つ新しい問題提起をさせていただきたいと思います。 皆さんのところに「欠損法人の割合の推移」という資料をお配りしてございます。これは昭和四十三年がスタートでございますけれども、右の端に「欠損法人の割合」というのがございまして、これが昭和四十三年に三二・九%でございました。これが五十四年には四七・六%、ほぼ半分が欠損法人となっているのであります。昭和五十四年の法人数は百四十万二千六十という膨大な数で、その中の六十六万七千八百三十八法人は欠損法人でありますから法人税を納めていないというのが実はこのデータから明らかになるのでございます。 そこで、さらに皆さんのお手元に、法人住民税の書いたものをちょっと入れておきました。自治省の方でちょっとお答えをいただきたいのでありますけれども、ここに書いておるように法人住民税の仕組み、税の性格、「法人の住民税は、個人である住民が負担する住民税に対応するもので、地方公共団体の区域内で事業活動を行う法人が地方公共団体の諸施策から受ける利益に応じた負担をするものです。」こう書いてありますが、これでよろしいでしょうか。自治省でお答えいただきたいと思います。
○石原政府委員 住民税は地域社会の費用をその構成員である住民に広く負担していただこうという性格の税でありますが、その中で個人、法人と二つの類型がありまして、法人につきましても地域社会の構成員として所得の有無にかかわらず地方行政から受ける受益に対応して一定の負担をしていただこう、この考え方が法人均等割の考え方の背景にある、このように考えております。
○堀委員 私まだそこまで伺ってなかったのです。要するに、その地方公共団体の区域内で事業活動を行う法人が地方公共団体の施設から受ける利益に応じた負担が法人住民税の性格でしょうと伺ったのですが、まあいいです、結局次へいくわけですから。 そこで、「法人の住民税は均等割と法人税割とで構成されます。均等割は法人の所得の有無にかかわらず納税するもので、地方団体の諸施策に必要な費用をその所得の大小に比例させないで一律に分任する性格をもっています。」これでよろしいですね。——ではもういいです。確認をいたします。さっき言っていただきましたから。 そこで、総理、地方団体は県も市も道府県民税、市町村民税というのを取っておりまして、ここでは地方公共団体の行う諸施策からの利益を負担するのだ、そしてそれは、均等割は所得の有無にかかわらず納税するもので、地方公共団体の諸施策に必要な費用を所得の大小に比例させないで一律に分任する性格を持っている、こうなっておりまして、地方ではそういうものを払うけれども、それでは国はそういう事業所や法人に諸施策の中で、地方だけは何かプラスになるけれども国はプラスはないのかと言ったら、私は、地方ももちろん諸施策の中で、これらの法人が水道を使うために、あるいはいろいろなものを使うのには公共団体の協力が要ると思うのでありますが、国といえども、ともかく物を輸送する道路は主要なものは国がつくる、港湾も国がつくる、飛行場も国がつくる。輸送一つをとりましても実は大変な貢献を企業に行っておるわけでありますし、諸般の点で私は、地方公共団体に限定する必要はないのではなかろうか、国からも一定のそういう公共的な施策による利益を得ている、こう考えるわけでございますが、その点総理はどうお考えでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 堀さんからの御提案は、法人税についても地方税と同じように均等割を課したらどうか、こういう御提案でございます。 確かに国の行政サービスも、たとえ赤字法人でありましても受けておるわけでございます。また実際に見ておりますと、赤字法人が相当多い、半分ぐらいは赤字法人だ、こういうことからいたしましても、この問題は十分検討に値する御提案であろうか、こう思います。固定資産税の問題その他を勘案しまして、この問題を今後検討させていただきたいと思います。
○堀委員 そこで、税務局長にちょっと伺いたいのでありますけれども、この均等割の税率問題なんですが、これは(1)を例にとると、「資本の金額又は出資金額が五十億円を超える法人(公共法人等を除く)」は年額二十万、これが均等割の府県民税。市町村民税は、同じく「五十億円を超える法人で市町村内の事務所等の従業者数が百人を超えるもの」、こういうところが標準税率八十万、制限税率百万、こういうことになっているのでありますが、これは定額制度になっていますね。これは定額制度になっているということは、一体、最初に設けられたのは何年ですか。
○石原政府委員 市町村民税につきましては、昭和二十五年のシャウプ税制のときにできております。それから道府県民税につきましては昭和二十九年の道府県民税創設のときにできております。
○堀委員 そうすると、昭和二十五年から市町村民税、すでに三十年たっておりますね。三十年たっておりますけれども、このいまの金額ですね、ここに標準税率がずっと書いてありますが、これは途中で少し変わってきたのでしょうか、前からそうなのか、ちょっとそこを……。
○石原政府委員 制度創設以来何回か改正が行われまして、最近では昭和五十一年度、五十二年度、五十三年度と三年度間続けて引き上げが行われ、その後現在の税率になっております。
○堀委員 その点、これは税制調査会で検討をされるときに、いまのようなこういう資本金と定額という仕組みは、経済の規模拡大とか物価の上昇が起きれば、いまの各種の酒税その他の間接税と同じように、また増税、また増税という問題が起こるわけですね。これを増税しなくてもいいような仕組みですね、ですから、資本金に焦点を当てて定額にすれば、どうしても何年に一遍かの調整になるので、ここらはひとつ、ともかく売り上げに着目をするのがいいのか、どこに着目するかは別としても、経済行為で、別に所得をどうではなくて、要するにその標準が、そういう経済が拡大をするにつれて大きくなってくればそれだけ国のサービスを利用することは大きくなるわけでありますから、そういう意味では、地方はこれでいいと思いますが、国がこういうものを導入するときはやはりそういう道理にかなった仕組みを考えるということの方がいいし、同時にそれは、いまの法人税のように、景気がよければ利益が出てきて税収がぼんとふえるけれども、景気が悪くなって利益がさっと減れば税収が減るというのではなくて、いま私の提起しておる問題は、景気の変動いかんにかかわらず安定税収として非常に望ましい税源になり得るのではないか、こういう感じがいたします。 ちょっと技術的な問題もありますから、主税局長、これについてひとつ答えてください。
○高橋(元)政府委員 国税といたしまして、利益の有無にかかわらず法人に一種の所得課税というようなものをやっております外国の事例は比較的少ないわけでございます。私どもが調べました限りで申し上げますと、フランスの法人税で一九七四年からとっております概算課税制度というのが唯一の例かと思います。七八年に税率が引き上げられまして現在では年に三千フラン、日本円に直しまして十六万円ぐらいになりますが、三千フランを赤字申告して法人税を納めない法人を含めまして納めていただく。延滞をいたしますと一〇%の加算税を取るというようなことまで決まっておりますが、この税金は、その申告年に続く二カ年間の末日までに法人税を納めた場合には引いてくれる、三年続けて赤字の場合には取りっきり、こういう制度のようでございます。 〔山崎(武)委員長代理退席、大原(一)委 員長代理着席〕 それから蛇足でございますが、アメリカの州税の中で外形標準の州法人税、ドイツの営業税でございますと営業資本を課税標準とする営業税、フランスの市町村民税になります職業税、これは有形固定資産の賃貸価格と前年の支払い給与額の一定部分というようなものを課税標準とした立法例でございます。 ただいまお話しのございました点は、こういうような諸外国の事例ともあわせまして、先ほど総理からもお答えがございましたように、どういうふうに持っていくか検討をいたしていかなければならぬと思っております。
○堀委員 私もフランスの税制を見たのですけれども、これは私の問題提起とはやや違うのですね。これは一種の利潤税なのです。私の言っているのは、利潤税ではなく応益税だ。要するに、公共サービスを受けているものに対する応益税だから、いまの府県民税、市町村民税の均等割というものはまさに応益税の体系をなしているわけでございます。応益税と利潤税が重なっているのが府県民税であり市町村民税ですから、ひとつ国税も利潤税と応益税を重ねて二重構造で処理したらどうか、こういう問題提起なのであります。この問題は外国の例の問題ではなくて、すでに日本で昭和二十五年からあるいは二十九年から実施されているものが今日までそのままになっていたわけでありますが、そういう意味では、これは新税ではありますが、道理にかなった新税ではないだろうか、当然の応益税という意味では道理にかなったものではないか、こういう考え方がありますので、ひとつそういう問題を含めて税制調査会の検討課題にしていただきたいと思います。 そこで、次は租税特別措置に関する問題でございます。昭和三十九年三月十三日、いまから十七年前になりますか、当時は山中貞則大蔵委員長でございました。その大蔵委員会で私が問題を提起いたしましたのはこういうことなのであります。 医師が診療をやっております診療所というのは、患者の交通の便を考えまして、たとえば国鉄の駅のそばとか、できるだけ便利なところに診療所を構えて診療に従事しておるという場合が多いわけでございます。そこで、そういうところで診療をしておると、当然その土地なり建物の評価というものは時代とともにだんだん高くなってきておるというのがいまの日本の特徴でございますが、医者の場合は大体息子が医者になっているというのが多いのであります。私も先祖代々医者の家で、私の祖父も医者であり、父も医者であり、私は医者ですが、医者をやってなくて大変申しわけないのでありますけれども、長男は医者で、いま癌研付属病院で外科医として働いておるわけであります。大体医者の息子は医者になるのが一般に多いわけであります。おやじが死んだらその後をやるというのが通例なのであります。 ところが、死亡いたしましてその医療用の資産である土地や建物が相続税の対象になりますと、建物は大したことないのですが、地価が大変上がっておるために大きな相続税を払わなければならない。そのために、その場所を移転しなければ処理ができないという場合も実はあるわけであります。そこで私はそれに着目をして、医療が継続しておる間は、その医療用の土地建物に関する部分だけの相続税は延納にしたらどうか、そうしてもしこの土地なり建物を売却したら、その時点で洗いがえをして相続税を全部いただきますよ、さらに、もし転売をして仕事をやめ医療を停止したら、そこで洗いがえをしてもらいます、医療が継続している間は、息子から孫へ、孫からという間は公共性に関してそういうふうにやったらどうかという問題を提起したのでございます。これが昭和三十九年三月十三日でございます。 厚生省医務局長、入っていただいておりますね。私は自分も医者として診療に従事しておりましたからあれですが、たとえば農業だとか個人の経営しておる幼稚園のようなものと比べて医療の公共性というものはどうかなという気がするので、ちょっと医務局長の方でお答えいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 お答え申し上げます。 御案内のように、医業を行う者は、国民の生命と健康を守るため日夜を問わず必要な医療を提供しなければならないということが義務づけられております。また、都道府県あるいは市町村の要請に応じまして、救急医療あるいは予防接種等の地域医療活動や災害時の救助活動も担当しているわけでございまして、医業の公共性はきわめて高いというふうに考えられるわけでございます。 他の業種との比較につきましては、それぞれ公共性もあることで、私からはちょっとお答えできかねます。
○堀委員 実は私は医療用資産の相続税の延納の制度について三十九年に初めてこの問題を提起し、さらにその次に四十一年にもそういう問題を取り上げておったのでありますけれども、残念ながら大蔵省の取り上げるところとなりませんでした。最初のころは泉さんで、いまの専売公社総裁であります。ところが昭和五十年になりますと、この私のノーハウを使いまして農地等についての相続税の納税猶予制度の仕組みというものが法制化されまして、私のノーハウは九年前にあったものが、さっと農地の方に横取りされてしまったわけです。そしてそれが農地に横取りされただけではなくて、今度は個人立幼稚園の教育用財産についての相続税の非課税制度というようなことで、これまた個人立幼稚園の方はさっと法律になってしまって、本家本元の私の提案の方は今日まで何ら日の目を見ない。まことにどうもこれはちょっとノーハウ料をもらわなければ引き合わぬなという気が私はするのであります。 総理、いまお聞きいただいて、これも道理にかなった均衡をとるべき問題ではないか。税の問題というのは、要するに周囲とのバランスというものが非常に重要だ。主税局は、しょっちゅう権衡を旨としてというような表現をよく使うわけでありまして、そういたしますと、さっき医務局長が答弁をいたしましたように、医療の公共性というものは何物にもかえがたいほど高いものがある、実はこう私は思っているわけであります。 私が医療に従事しておりましたときは、昭和二十一年から三十三年に当選するまででの十三年間ですが、学校医というものを引き受けておりまして、特に私の住んでおります尼崎市というところでは、医師会の全員が学校医になっているのです。そして一学校について何名もが学校医で、みんなで検診するという形でやっておりまして、それに対して正当な報酬の大体五十分の一から百分の一程度の報酬しかないのですけれども、これは地域に対するサービスだという気持ちでやってまいっておったわけでございます。 いま私の町には、財団法人で救急医療センターというのをつくりまして、医師がともかく全部、日に二名ずつ、夜の十時から午前六時までそこに勤務をいたしまして、そうして看護婦その他で夜間の救急患者に第一次救急診療をやっておりますし、年末、日曜、祭日、正月、あらゆる休日に医師がそこへ出務をして、実は救急医療センターというのを開業医の手によってやっておるというようなことで、私のおります町は医療問題について医師が非常に地域の住民のために働いておるわけであります。ですから、そういうのを考えてみますと、当然これもひとつ税制調査会に諮って権衡のある制度をつくるということが当面必要ではないか、こう私は考えるのでありますが、総理、いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 医療用財産の相続税の問題についてのお話がございましたが、この問題は山中委員長時代からのいろいろ論議されてきた問題であると承っております。現在、財政再建が重要な政治課題に相なっておる時期でございまして、この特別措置法につきましてはできるだけこれを整理しようということで、今日まで大蔵委員会等でも御努力をいただいてきた経緯がございます。そういう時期でもございますので、私はいまこの問題を取り上げて前向きで検討するというようなことは時期的にも適当でないように思うわけでございます。
○堀委員 時期的には確かにいまおっしゃるように適当でないかもわかりません。ですから、いますぐどうというのではありませんけれども、しかし、要するに農業の人たちがそういう処置がとられ、個人立幼稚園もそういう処置がとられていて、相対的には公共性の高いものがそういう対応ができていないというのは、どうも私の税の論理からすれば権衡を欠くなという気がいたしますので、まあそれは今後の問題としてまたひとつ大蔵大臣とやることにいたします。 もう一つ医療の税制の問題で、いま二人以上の病院ならば医療法人がつくれるけれども、しかし、どうも一人だけの診療所はそういう処置ができないということで、一人でも法人として処理ができる道を開いたらどうかという問題をかつて私は提起したことがあるわけでございます。ところが、実はこの二月十四日に日本医師会の武見会長の「根本から医療を考えよう」、こういう全面的な意見広告が新聞に出ました。それをつぶさに読んでおりまして、私が問題提起をしておりました一人法人の問題が、武見さんのお考えからすると、これは医の倫理を否定するような傾向が出てくるというふうなお考えが実はとられているわけであります。ちょっとここのところを読み上げますと、 医療が大型化するにつれ資本の導入が行なわなければならなくなりますが、医師だけではできないからというので設立されたのが医療法人法です。 しかしこの法は結局、税金のがれのためのものとしてしか受け取られませんでした。 しかも、医療法人の理事者になるには、何の資格もいらないのです。高利貸しでも暴力団でも何でもかまわないというわけです。 このような医療法人の中でも、目に余る行為を行なったものが、たまたま摘発されているのです。 私たちは医療法人法ができるときから、これに反対しました。その理由は、今日の結果が予測できたからです。 しかも、医療法人法では出資を求めておきながら、配当を禁止しています。株式会社と異なって営利を目的としてはならないというわけですが、十全会のような巧妙な脱法行為によって、その意図もみごとに裏切られたことになります。 最近では個人の開業医で法人化する、いわゆる一人法人を提唱する者がいます。 どうやらこれは私のことのようでありますけれども。 しかし本来、医療は医師対患者の個人関係を基調とするものであって、患者対法人の関係であってはならないはずです。にもかかわらず医療法人に税の軽減を求め、または一人法人を認めさせようとする動きがあります。 そしてその場合、法人としての義務をどのように負うかはまったく明らかにされていません。そこに政治のトリックがあります。 このように、医療は法人が行なうものであるという概念ができて、医師の個人責任が見失われてきているような現状においては、医の倫理が更新されないのは当然のことです。 むしろ倫理を否定するような傾向が出てくるのも無理はありません。 こういうふうな意見が述べられておるわけであります。 私がこの問題を発表しましたときに、武見会長が医師の倫理にもとると言われたのですが、詳しいこういう表現がないものですから、なぜ医師の倫理にもとるか私もわからなかったのでありますが、ここでなるほどと私は思いました。武見会長のおっしゃる問題、富士見病院とかあるいは数日前に新聞に出た川合病院とか、医療法人である病院が確かに利益を目的として、本来医療法はそういうふうになっていないのでありますけれども、利益を目的とした行為に走って今日の医療への不信を招いておるという点は全く同感なんであります。そのことの中には、単にこの問題だけではなくて、保険医療機関という機関指定とか、私どもから見たらむだないろいろなことが行われているわけでありまして、そういう問題もあわせて改善をしなければならないと思うのであります。 ただ、税の面から見ますと、実はいまの医師の業態の問題というのは大変問題があると私は思うのであります。それはいま租税特別措置法二十六条が改正をされて五段階税制というようなことになっているのでありますが、あの五段階税制なんというものは一体本当に根拠のあるものかどうかという点については私は非常に疑問があるのでありまして、やはりああいうものではなしに、所得に応じて税金が納められるような制度に変わるべきである。その場合には医業の収入と個人の医師の所得が分離されなければならないというのが、実は私ども税や経済をやっておる者の立場からすると合理的な対応だろうと思うのであります。医業の収入は全部その個人の所得とみなすということではなく、これはもういまの法人成りがいっぱい行われていて、要するに法人としての税を払い、さらに個人はそこの中から受け取った所得に対して所得税を払う、こういう合理的な税のシステムにする方が、医業課税というものが適正な合理的な経済行為としての課税に対応するものだというふうに私は考えるのであります。武見さんがここでこういう問題を出されると、これは一人で法人にすると法人が聴診器で診ているという話はどうも適切でないのでありまして、やはりこれは医師個人が診療するということにならざるを得ない。そうすると、税法の処理の対応というのは、これはやはり一つの税法としての医業所得と個人所得との分離ができる、そういうシステムを検討することの方がいまの問題の上では合理的ではないのか、こういう感じがいたしておるわけでございます。 これはもう御答弁はいただきません。大蔵大臣と一回ゆっくりとひとつ論議をいたしますが、この前も予算委員会で申し上げましたけれども、今後の行政改革の中で医療問題というのは大変大きな部分を占めることになるだろうと思うのであります。そういう問題を処理いたしますときに、ただ一方的な問題の処理をするだけでは必ずしも医師の協力が得にくいのではないか。いま私が二つの問題を提起いたしましたのは、そういう医療行政の改革問題の全体の中の部分として検討をしていくことが、いまの医療に関する行政改革を進めるのに望ましい道になるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでありまして、一方的に税の処置を先にやってくださいということを私は問題提起をしているのではありません。非常に重要な行政改革に占める部分でありますので、そのことを総理もひとつ頭に置いていただいて、今後の医療に関する行政改革を進めるための参考にしていただければ幸いだと思うのであります。 そこで最後に、行政改革の問題について総理に大変真剣な御発言をいただいて、私も賛成でございます。その中で、まだしかし率直に言って租税特別措置法というものが残っておりますが、これはさっきも大蔵大臣も答えておられましたけれども、要するに表から補助金を出すか、裏側で税金を減免することによって相対的に補助金が出たと同じ問題も実はあるわけでございまして、そういう意味では、この問題は要するに表からの補助金を合理的に削減していくということも大変重要でございますけれども、あわせてそういう相対的な補助金といいますか、税によって本来取るべきであるものを取らないということで起きておる補助金的性格のものもひとつ処理をしていただくようにお願いをいたしておきたいと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
○高橋(元)政府委員 お示しのように、租税特別措置の中でこれは政策税制でございますから、政策目的に適合しておってほかにその目的を達成するのに適当な方法がないという場合には、これは目的に役立つ限りにおいて採用をしてきておるわけでございます。ただし、政策目的に照らしてもはや必要がなくなっておるとか、その租税特別措置で目的が上がっていない、目的が達成されていないというものにつきましては、これは大体において期限つきの措置が多うございますから、期限の到来するものを中心といたしまして見直しをしてきているわけでございますが、五十五年度の税制改正で、租税特別措置の中で企業関係の措置につきまして一律に大幅な縮減をいたしました。大体現在までに、五十一年以来続けておるわけでございますが、企業関係の特別措置の八割くらいはもう整理の対象になっております。今後とも社会情勢の推移に応じて見直しを図ってまいるということはかねがね申し上げておるところでございます。
○堀委員 以上で私が本日予定をいたしました質問を終わるわけでありますけれども、総理にお約束をいただいた今度の大型間接税の導入をやらないということは、実は今後の経済に非常に大きな影響を与えると考えているのであります。なぜかと言いますと、これをやるとすれば間接税の増税になるわけです。いま政府が五十六年度で五・三%の経済成長というのを見込んでおられますが、これの一番大きなウエートがかかっておるのは個人消費なんですね。ここにウエートがかかっておる。五十七年はどうだろうか。五十七年も依然として個人消費にウエートをかけなければ五%程度の成長が維持できないだろう。そういうふうになりますと、ことし大型な増税をしないということは、五十七年経済にはプラス要因をもたらすことでありますから、五十七年にプラス要因をもたらすことは五十八年にもそれはずっと続いていくわけであります。 私は、総理に最初にお礼を申し上げたこの五十五年度の財源による五十六年度内に行われる減税も、これが行われることによってこの五十六年の後半の経済はかなり上昇して、いろんなところでいま試算がされておりまして、政府がいま五・三と言っておられるのは、日経センター十八カ月予測では四・九だろうなんというのが出ておりますが、後半かなり上向いてきて、大体これが達成できるのではないか。そのためには、今度総理にも御協力や御配慮をいただいたこの減税が大きく私は役立つ段階に来るだろうと考えておりますし、同時に、その上に五十七年度に大型間接税をやらないということも、この前総理にも申し上げました景気の気であります、国民の気持ちに大きくプラスに働いて、そうしていまの仕組みでは避けられないところの意図せざる増税である自然増収もかなり出て、無理なかっこうでの財政再建をしなくてもいけるようなコースに乗り得る可能性がこれから開かれたのではないだろうか。そういう意味では、いまレーガンがアメリカで大胆な減税政策をとってアメリカ経済にてこを入れようとしておりますけれども、そもそも減税によって経済を浮揚するというのは、あなたのグループのかつてのリーダーであった池田総理が導入をされた問題でありまして、私はこの点、日本の潜在成長力が表に引き出されたという点では、池田総理の日本経済に対する貢献はきわめて大きいものがあった、こう考えておるのでありますが、ひとつ鈴木総理も、この段階に当たって減税の効用ということあるいは増税をしないということの経済に与える効用がいかに大きいかということを、私はこれから現実の経済面で御体験をいただくことになるだろう、こう考えておるわけでありまして、どうかひとつ不退転の決意でこの問題の処理を進められんことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
○大原(一)委員長代理 柴田弘君。
○柴田委員 私は、まず最初に行財政改革について総理に御質問をしたいと思います。 政治生命をかけて行政改革に取り組む、国民の大多数は心から歓迎をいたしておると私は思っております。それで、総理のおっしゃっているのは、ただいまの御発言の中にもありましたが、とりあえず五十七年度予算編成に対して大型消費税、いわゆる大型新税を導入しない。ところが、五十八年以降についてはこれを導入されるかどうかというのはまだ明確にされておりません。実は国民一般が知りたいのはそのことであって、果たしてこの五十七年度予算編成における行財政改革が総理のおっしゃるように成功すれば五十八年以降もこの大型新税の導入というものはされない方針であるのかどうか、あるいはまたされるのか、その辺のところを、まず最初に明確にお答えをいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 私は、五十七年度予算編成に当たりましては、先ほども堀さんにお答えをいたしましたように、行財政の改革に全力を挙げて経費の節減、合理化等によってこの達成を図ろう、大型新税を考えないでそれをやっていこう、こういう腹を決めて取り組んでおるところでございます。しかし、五十八年以降の問題につきましては、今後の経済社会の動向、国際的な動き、いろいろなものが関連してまいるわけでございまして、そういうような非常に変転するいろんな諸条件を含んでおるわけでございますから、いまからそれを予見をしてどうこうということを申し上げるのは責任者として適当でない、私は五十七年度予算に対する私の基本的な考え、姿勢というものだけは明確にしておきたい、こう思うわけでございます。
○柴田委員 五十八年度以降は経済社会の動向が変転きわまりない、どうなるかわからない、だからここでははっきり言えない。これは一応総理の御見解につきましては私もわからないわけでもないのですが、いずれにいたしましても、今後の動向によって、とりあえず五十七年は政治生命をかけた行政改革を行われる、大型新税は導入しない、五十八年度以降についてもでき得ればそれを避けていきたい、こういった考えであろうかと私は思いますが、簡単で結構ですので重ねて御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げたことで御理解を賜りたいと思います。
○柴田委員 第二臨調が審議をされ、この七月をめどに答申をされると思います。それで私が思いますには、行政改革、あるいは行財政改革と申してもいいわけでありますが、これをより実りあるものにするためには、やはり総理が一つの明確な指標というものを持っていられることが必要であろうと思います。たとえば五十六年度予算編成のときには、国債減額二兆円、予算規模の伸び率を一けた台、あるいはまた年内編成、こういうふうに明確に指標を持ち、それを指示された、これが今日の五十六年度政府予算案となったというふうに私は理解いたしております。でありますから、この五十七年度の行財政改革、歳出削減につきましても、こういった一つの指標というものがなければならないと思います。 具体的には、歳出削減の規模は一体どこにめどを置いておるのか。これは「財政の中期展望」との関連もありますが、その辺のいわゆる歳出削減の規模はどのように考えていらっしゃるか。あるいはまた国債減額についてはどう考えていらっしゃるか。この辺をひとつ明確に承りたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 五十六年度予算の編成に当たりまして、私が国債発行の減額を二兆円程度、さらにそれを二兆円としたい、またその二兆円も特例公債で達成をしたい、こういうことを申し上げたのは十月の下旬から十一月上旬にかけてであったと思います。そのようにだんだん予算編成の作業、いろいろな諸指標等も出てまいりまして、そういう見通しが、ある程度のめどが立った段階で私はそれを申し上げた。自由民主党も内閣もそれによって最終的に腹を決めて予算の編成に取り組んだ、こういうことでございます。 いまはまだ五十六年度予算も国会で御審議を願っておる段階でございまして、五十七年度予算のことにつきましては、国会の御論議あるいは各方面の御意見等を踏まえて、この財政再建を引き続きやっていくために、五十七年度については大型新税を考えないで、これを行財政の思い切った節減、合理化によって達成をしよう、こういう基本的な方針を私が示しまして、これを踏まえて党及び大蔵省、各省等でもそれぞれ考えてもらっておる、こういう段階でございます。これからの推移等を見た上で、いま柴田さんからお話がございますような、一体具体的にどれだけの国債減額をやろうとするのか、また行財政の改革、合理化によってどれだけの財源を生み出そうとするのか、そういう点もだんだん固まってくるわけでございます。したがって、いまそれをお話をする段階ではございませんが、ただ申し上げられることは、昭和五十九年までの間に特例公債依存のこの体質、これを脱却しよう、こういう最終目標だけは、今後五十七、五十八、五十九年、三年間でこれは必ず達成をする、こういうことだけは明確に申し上げられる、こう思います。 〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕
○柴田委員 その指標ですが、確かに総理のおっしゃることもわかります。ただしかし、言えますことは、大蔵省が出しました「財政の中期展望」、この五十七年度の要調整額というものは二兆七千七百億円とあるわけでございまして、やはりそれが一つの指標のめどといいますか、そういったものになり得るのではないかなと私は推測をいたしておりますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
○鈴木内閣総理大臣 「財政の中期展望」の性格につきましては、先ほど大蔵省の方から御説明を申し上げたところでございます。 要調整額というものがそれぞれの年度で一応出ておるわけでございますが、これが今後の財政再建のための予算編成の一つの目安になりますことは、これは私はそのとおりだ、こう思っております。
○柴田委員 それで、マスコミ等の報道によりますと、総理が行政改革のために秋に行政改革のための臨時国会を開会する、こういうふうに言われております。この辺はどうでしょうかということ。 それからもう一つ、私、昨日大蔵大臣にも御質問いたしたわけでありますが、やはり行政改革を実行に移す場合には、五十七年度予算それだけで果たしていいだろうか。本格的にこれを断行するためには単年度だけではだめだ。しかも、総理は政治生命をかけていらっしゃる。第二臨調の答申もある。この第二臨調の答申というものを短期的あるいは中期的、あるいはまた長期的に分けて今後とも計画的に行政改革というものを実行していかなければならない。そういう意味におきまして、やはり国民各界各層の意見を得るためにも、あるいはまた国会で議論をしていくためにも、中期的あるいは長期的な展望に立った財政再建計画、あるいはまた行財政改革計画と申してもいいのですが、そういうものを一つのたたき台として、案として出すべきではないか、こういうふうに私は考えるものでありますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 第二臨調からの答申が出てまいるわけでありますが、それは柴田さんがおっしゃるとおり、直ちに五十七年度予算編成に取り入れられるもの、あるいはもっと中長期的に実施に移されるべきもの、いろいろあろうか、こう思います。それからまた、五十七年度予算を大型新税を考えないで財政再建二年としての作業をいたしますためには、第二臨調から答申がない事項でも私は政府の責任においてやらざるを得ない、こういうことだと思います。そういうものをある時点で総合的に勘案いたしまして、その取り扱いをいかようにするかということは、政府においてもまた自由民主党とも十分相談をした上で考えたい、こう思っております。
○柴田委員 そういった一つのたたき台、行財政改革計画をぜひ御提出をいただきたいと要望しておきます。 それから、もう一つ行政改革に関連をしてお聞きしておきますが、私ども公明党も、この行政改革につきまして積極的に推進をしようということで行財政改革調査委員会を設置いたしました。中長期の展望に立って行政改革案を作成しよう、こういうふうに考えております。すでに政府・自民党におきましても、総理を本部長といたします政府・自民党行政改革推進本部というものが発足するということが決定をされておるわけであります。今後とも行政改革を本当に実のあるものにするためにも、この国会において審議を十分に尽くす意味におきましても、やはり国会が主導権を握って、国民世論を勘案しつつ行政府を督励して行っていかなければならない、こういうふうに私は考えるわけでございます。 そういった中で、総理は自民党総裁でもありますのでお伺いをしておくわけでありますが、この国会に行政改革特別委員会を設置してはどうか、こういうように考えるわけでございますが、この辺の所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
○鈴木内閣総理大臣 行財政の改革の問題はわが国にとって当面の最重要の政治課題であるわけでございまして、自由民主党におきましても政府と一体になった推進本部等の設置をいまいろいろ御検討いただいております。いまの柴田さんのお話では、公明党さんにおきましても調査特別委員会のようなものをおつくりなされる、また民社党においてもお考えになっておる、社会党等においてもいろいろお考えをいただいておる、こういうことでございまして、各党がそれぞれこの行財政改革の問題につきまして国民の輿望にこたえて取り組んでいただくということは、私は大変感謝にたえないところでございます。今後とも御鞭撻をお願い申し上げたいと存じます。 それを国会において審議いたしますために行財政特別委員会のようなものをつくったらどうか、こういう御意見でございますが、これは国会の問題でございますから各党各会派におきましてどうか十分御協議をいただきたい、こう思っております。
○柴田委員 もちろん国会内の問題でございますから各党各派の意見というものもあるかと思いますが、私はそれを心から望んでいる次第であります。 続きまして、所得税を中心といたしました不公平税制の問題について、二点お伺いをしていきたいと思います。 一点は、過日の当委員会におきましてわが党の渡部一郎委員が指摘もし、国税庁もその実態につきましては調査すると画期的な前向きな答弁をいただいたわけでありますが、世上いわゆるクロヨンでございますとかトーゴーサンと言われております、つまり所得が完全に把握されていないという問題、この問題につきましてはまじめな給与所得者やあるいは事業所得者、こういった人たちの納税意識を著しく阻害をしているわけでございます。果たしてこのクロヨンとかトーゴーサンと言われる実態があるかどうか。これは何の資料もないから真の姿というものはだれもつかんでおりません。税務当局もつかんでおりません。しかし、この実態を把握せずしてその適切な処方せんというものが書けるわけでもございません。課税の公平というものを制度面あるいは執行面において推進するということは、これは政府の責任でもあると私は思います。しかも五十六年度一兆四千億に及ぶ大増税ということでございますが、そういった意味でこういったクロヨン、トーゴーサンと言われる課税の実態を把握するための調査を行い、そして公平な課税を推進するための施策の検討に資することは大事じゃないか、こんなふうに私は考えるわけであります。すでに国税当局はこの実態調査を確約をいたしておるわけでありますが、政府の最高責任者である総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 税負担の公平を図るということは私は非常に重大な問題だ、こう思っております。この税負担の公平を期するために制度面並びに執行面の両面にわたっていろいろ改善、工夫をするということは、政府としてもこれは十分努力をしなければならない問題であるわけでございます。特に、今回のように法人税その他の増税もお願いをするという際におきましては一層、納税者の皆さんから公平感についての不満が出ないように十分努力する必要があろう、こう思っております。 実態調査につきましては、御指摘のように政府としては今後十分努力を傾倒してまいりたいし、また税務執行のための徴税官の確保等につきましても今後努力してまいりたい、こう思っております。
○柴田委員 次は、グリーンカード制度の問題について不公平税制の是正という問題に関連をしてお聞きをしたいと思います。昨日もこの問題で大蔵大臣に御質問をいたしました。 ところで、総理は、新聞報道によりますと、六十年までこのグリーンカード制度を実施をして、その後国民世論の動向、実施結果などを踏まえて見直すかどうかを検討したい、こういうふうに述べられたと言われておりますが、これはどのような真意があるのかお伺いをしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 このグリーンカード制が国会において審議の上御決定になった経緯からいたしまして、やはり税の負担の公平という見地からとられた措置であろうかと思います。政府としては、国会が御決定になった昭和五十九年実施というこの制度につきましては誠実にこれを実行してまいる、こういう考えに変わりがございません。しかし、制度等につきましていろいろ実行した上で問題が出てくる、改善を要する点があるというようなこと等が起こりますれば、これはまたその時点で十分検討も加え、国会の御論議もお願いしなければならない、こういうことになろうかと思いますが、政府としては、国会の御決定の制度、法律でございますから、誠実に実行してまいる考えでございます。
○柴田委員 そうしますと、とりあえず五十九年、六十年あたりは実行して、この制度を実行したその段階で改善を要する諸問題が出てくれば見直す、こういうふうにいまの総理の御答弁で私は理解したわけです。 それで、どんな法案でもそうかもしれませんが、やはり実行してみなければわからない。しかし、もうすでにいまから見直し論がとやかく言われているというところに問題があるのじゃないかと私は思います。総理があのような新聞報道、発言をされたために、本当に、グリーンカードというのは一体どんなものだ、見直すのか、こんなような問い合わせが、正直に言いましていま私のところにもずいぶんあるわけです。それで、いま見直し論の背景になっておるところを総理としてどういうふうに考えていらっしゃいますか。あるいはまた、もっとはっきり言えば、五十九年一月一日から制度を実行されて、どんな改善を要する問題が出てくるとお考えになっているのか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 せっかく国会で税負担の公平を確保するという見地から御論議の結果あのような決定がなされたわけでございますから、これを実行しない今日の段階において、実行に移せばこうなるだろうとか、こういう問題が起こるだろうとかいうようなことをあれこれ言う時期ではない。実際にこれをやってみまして、その結果を見た上で、国会等で再検討を要するというような御論議が出てくれば、われわれはその時点でそれに対する対応を考えたらいい、私はこう思っておるのでありまして、政府としては、この国会で御決定いただいた法律、制度でございますから、誠実に実行してまいる、こう考えているところであります。
○柴田委員 そこで総理、このグリーンカード制度の問題につきましては、見直し論の背景になっているのは、先はわかりませんが、いま現在の段階で四点あるわけであります。一つは、預貯金が金や株式あるいは土地などの資産にシフトする、二つ目には、海外へ資産が流出する、三つ目は、それが設備投資などの産業資金の供給を阻害する、四つ目は、こういった換物の助長はインフレを招くのではないか、以上の四点に集約されると私は思います。ところが、この問題は、私も何回となく当委員会において質疑をし、大蔵省当局の答弁もいただいておるわけでありますが、時間がないから申しませんが、要するに根拠のない見直し論議である、こういうふうな結論になっているわけであります。 そこで、一番大事なことは、先ほども申しましたように、こういった風聞に惑わされて善良な一般大衆が右往左往することがないということではないかと思います。だから、グリーンカード制度というのはこういうものなのですよ、そういったことを世間一般にはっきりと周知をさせる努力が必要ではないか、私はこんなふうに思うわけでありますが、時間がございません、簡単で結構ですので御答弁をいただきたいわけであります。
○鈴木内閣総理大臣 いま柴田さんからお話がございましたように、これが実施された場合にはこういう点が問題になるのではないかということは、国会で御審議の段階で出た御意見であろう、私もこう思っております。私は先ほども申し上げましたように、一たん決まったこの制度は、これを円滑に実施するために政府としても努力をしてまいる所存でございます。
○柴田委員 時間があとわずかしかございません。御配慮いただきまして五分超過をさせていただきまして感謝をいたしております。 もう一点の問題、これはやはり総理にもぜひ伺っておきたいと思っておりましたが、郵便貯金懇談会の問題であります。この問題につきましては昨年の当委員会におきまして、私も、金融政策の有効性の問題あるいは民間経済への円滑な資金配分の観点などから、郵便貯金問題というのは放置できない問題である、だから、郵政審議会あるいは金融制度調査会等もあるが、その上に内閣に中立的な審議会を設け、あるいはまた総理の私的諮問機関でもいいのですが、いずれにしてもそういったものを設けて幅広い見地から議論を重ねるべきであると主張をしておったわけであります。今回、郵貯懇談会が設置された、これは私は意義深いことであると考えております。 それで、この答申が八月ころに出る予定であります。それから一方においては、同時期に郵政大臣がこの同じ問題の検討を郵政審議会にも諮問をされたわけであります。そこで私が心配いたしますのは、郵貯懇談会で出た答申とそして郵政大臣の諮問機関である郵政審議会で出た答申とが食い違ってきた場合に、どちらを優先をさせるかということであります。片や総理の私的諮問機関である。片や郵政大臣の法的な諮問機関であるというふうにも承っておる。 それで、心配されるのは、もう時間がありませんからさっと言っていきますが、恐らく郵貯懇談会は金利一元化の問題を答申をしてくるであろう、こういうふうに推測される。郵政審議会は、現行の二元決定方式を維持する答申が出てくるのではないか、こういった可能性が強いわけであります。現在、金融政策の弾力的な運営という意味からは、金利二元化という問題が大きな問題になってくる。こういったときに、もし両方の懇談会と審議会から違った答申が出てきた場合に、総理としてはどちらを尊重されるか、これをひとつはっきりとお聞かせをいただきたい。
○鈴木内閣総理大臣 郵政審議会と懇談会、いろいろいま論議をしておる段階と聞いております。しかし、郵政審議会と懇談会で取り上げておりますその中身というのは、どうも次元が違うようでございます。違う次元の角度からいろいろ論議が進められておるようでございまして、その答申が一致いたしますのか、あるいはそうでないそれぞれの結論が出るのか、いまから予測することは困難でございます。私は、この懇談会の結論につきましては、あの懇談会が発足する当時、大蔵大臣、郵政大臣を招致いたしまして、その結論は両大臣ともこれを尊重する、異存がございません、誠実にこれを守ります、こういう確約もとっておりますし、私としてもそのように進めたい、こう思っています。
○柴田委員 最後に、金利一元化の問題について総理の御所見を伺いたい。 先ほどちょっと申しましたように、金利政策の機動的な運営、弾力的な運営という意味におきまして、今日の金利が二元化になっておるというのが大きな障害になっているということは総理もよく御承知だと思う。この金利二元化の障害、弊害、そして金利一元化についての総理の御見解をひとつお聞かせをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 金利一元化の問題は、今後の金融政策の機動的な実効のある運用の上から非常に大事な問題でございます。現在懇談会におきましてせっかく各界の代表が論議を進めておるところでございます。私は、その実りのある結論を期待をいたしておりまして、それを受けまして実行してまいりたい、こう思っています。
○柴田委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○綿貫委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 私は、二つの点について総理のお考えを伺いたいと思います。まず第一は、先般の議長裁定に係る所得税の特別減税の問題であります。 この点につきましては、総理からしばしば誠意のある御答弁をいただいております。さらにきょうは大蔵委員会におきまして、その法的担保のための財政法第六条の特例法を採決されるという段取りになりました。したがいまして、特別減税につきましては外側と申しますか、形式的には条件が整ってきたわけであります。この段階において総理から改めてその御決意のほどを伺いたいわけでございますけれども、やはり天下に対する公約でございますし、法的な担保の措置まで特別に講じた問題でございますので、最後までひとつ誠意のある対応を総理によろしくお願いをしたいと思います。いかがでございますか。
○鈴木内閣総理大臣 議長裁定の第二項目を受けまして、五十五年度の剰余金が出た場合においては特例法をつくってそして全額所得減税にこれを回す、こういう各党の合意がなされました。政府としてはこの合意がなされました線に沿いまして、剰余金が出た場合におきましては誠実にこれを実行してまいる、こういう考えでございます。
○竹本委員 そこで、いま剰余が出た場合にはという、確かに議長裁定はそういう形になっております。ちょうどたまたま大蔵大臣が席にいないのが残念ですけれども、私は一つその点で参考になる話をしたいと思うのです。 それは、かつて自民党において大野伴睦先生が、ある特別な予算要求を時の大蔵大臣池田勇人さんにやられた。そして、一体、大蔵大臣どれだけの財源があるのかということを聞いたそうであります。詳しいことは私も覚えておりませんが、その際に池田さんの答えた答弁が、まことに池田さんらしい要領を得た答弁だったと思うのですね。どういうことを言ったかと言いますと、財源は幾らあるかと聞いたのに対して池田さんが、大野さん、一体幾ら要るのですか、こう聞いた。天下の大蔵大臣に向かって幾らあるかなんという質問をするのはやぼだとは言わなかったようですが、問題にならない、大蔵大臣が誠意を持ち決断をすれば、歳入の面も握っておる、歳出の面も握っておる、その大蔵大臣に極端に言えばできないことはないのだ。池田さんの言葉では、たしか財政には底がない、やろうと思えばどこまでもいけるということを言ったのです。ただし副作用はある。財政には底はないけれども副作用も起こるのだということを言ったというのです。さすがに大野伴睦先生も、党人であるからそういう面食らった答弁にすっかり当惑しておった。ところが、翌日か翌々日になりまして、大野さんの言った要求というものは全部のんだ形で解決をしたそうです。 池田さんは、予算編成権を内閣に移せという問題についても、ある人にそれはとてもできない、なぜできないかと言ったときに、また池田さんの答えがしゃんとしておる。これは政務次官、ひとつ大蔵大臣に伝えてもらいたい。池田さんは、大蔵大臣がいま言った大野さんを圧倒するような答弁ができ、その約束をきちっと実現することができたのも、右に歳入を握り、左に歳出を持つ、こういう予算の全体としてのにらみがきくからそれができるのだ、もし予算編成権をぽっと内閣へ持っていかれたらもうそういう魔術が行えなくなるということで、そういうばかなことはできないと答えたそうであります。 私は、大蔵大臣の実力というか、果たし得る財政的機能というものは、無限大とは申しませんが、いま大蔵省が答弁しているように限局された、制限された狭いものではないと思うのです。誠意のほどはうかがえますが、実力のほど、決意のほどが心配だ。 そういう意味で、私ども野党が減税を言いましたのは、後で理論的根拠も申し上げますが、大体三千億ということですよ。そこで三千億くらいの金が、大体予算の四十六兆七千八百八十億円に対して、考えてごらんなさい、一%にも達しないのだ。このくらいの金をひねり出す力があるのかないのかそこが問題だという意味で池田さんの話をするわけです。私は総理の誠意と熱意というものを高く評価するだけに、きょうのこの委員会におきましても、共産党さんは六千億円の修正になるような戻し税を考えておられるようでございますが、われわれもそういうことを言いたいけれども、今日の厳しい財政事情を考えに考え抜いた結果、三千億円程度ということを言ったわけです。そういう意味で野党の誠意のほども十分くんでいただいて、最後まで誠意を持って考えていただきたいとお願いを申し上げておきます。 ただ、お願いだけではありません。これには私なりの理論的な根拠を持っておりますので、そのこともひとつ申し上げておきたい。 その第一の理由は、何と申しましても六・四%の物価安定を期することができなかったということは政府の責任ですよ。政治の失敗ですよ。夏が少し冷夏だった、あるいは天気がどうであったというようなことはよく弁解に使われる言葉でございますけれども、政治はそうした弁解は許しません。とにかく六・四%の消費者物価の上昇にとどめて、そのかわり賃上げ要求その他も十分自重してもらいたい。外国では社会契約という考え方があります。日本ではそういうはっきりした形はとられておりませんが、日本の労働運動においても、あるいは日本の国民のお互いの間には、一つの社会契約というものがあると思うのです。政府も誠意を持って物価安定のために全力投球をされる。それに対応する形において、民間の組合の要求その他も遠慮をしてモデレートなものをやっておる。それゆえにこそ、日本では世界でもほめられるような美しい労使関係ができておる。何と申しましても物価の安定が、六・四%の予定であったものが、七・七とか七・八とかいうところになれば、これは大きな政治の失敗ですから、政府としては当然陳謝しなければならぬ。謝罪料として見れば三千億円などというものは安いものだと私は思います。そういう意味で、陳謝の誠意を具体的に示すという意味においても、ここでそういう形において六・四%というものが失敗した責任をとってもらいたい。それが私の一つの根拠であります。 特に私は、いま申しましたけれども、日本の労使関係というものは、総理、よほど大切にしていただきたいと思うのです。私は経済を専門にしておりますから世界のいろいろな人の経済評論も読んでおりますが、油ショックを日本がこのようにうまく乗り切った一番大きな原因は、日本の政府は最近少し認めてきましたけれども、外国ではみんな日本の労使関係がこんなにうまくいっているということのおかげで油ショックを日本はりっぱに乗り切ったんだ、これはおおむね統一された見解になっております。ロンドン・エコノミストの副編集局長にしても、あるいはその他の外国の経済評論を読みましても、おおむねそこは一致しておる。その美しいみごとな、総理はよく和の精神を説かれますが、和と言ってもいいでしょう、その和合、統一、協力、この関係がわずか二千億か三千億の金の問題でひびが入るということは、日本の経済回復あるいは先ほどのお話にありました日本の国民経済のあり方にとってまことに重大な問題だと思うのです。そういう意味から、日本の労使関係というものを守る、そして労働者の、社会契約とは言わなかったけれども、事実において社会契約的に、政府が物価安定に力を入れる、われわれはむちゃな要求はやらない、そこに初めてりっぱな和ができ、りっぱな協力関係が打ち立てられておる。これを、これだけ国民の声が盛り上がっておる減税要求に対して、政府も前向きに対応されるわけでございますが、初めに言われたように後ろ向きの態勢を示しておるならば、私は美しい協力関係が打ち壊されてしまうと思う。ミルトンであったか、世界において一番大事なものは何か、人より大いなるはない、人において心より大いなるものはないと言ったことがありますが、私はこの心が一番大事だと思うのですね。和を説かれる鈴木総理にはよくわかっていただけると思いますけれども、私どもは、人類の歴史は階級闘争の歴史だとは考えていない。信頼と協力の歴史だと考えておる。その信頼と協力というものはお互いの誠意を示し合うことによって初めてできるのだ。でありますから、私は日本の美しいみごとな労使協力関係というものをこの上とも維持してさらに発展させるためには、六・四%が敗れたときにはやはりそれ相応の対応を示していただくことが必要である。これが第一の理由であります。 もう一つ理由があります。われわれはただ三千億円出してくださいというような陳情だけをやっておるのではない。一つは大きな経済的根拠があります。これは先ほど来のお話しにありましたが、堀先生も言っておられましたが、国内景気というものをこれからどう見ていくか。きょうは私は経済企画庁長官を一々呼ぶのは気の毒だと思いましたから遠慮いたしたのでありますが、総理、聞いておいていただきたい。 日本の経済はいま政府が考えておられるように、恵まれた条件というか厳しい条件というか、考えの違いはありますが、いずれにしても政府が考えるようななまやさしいものではない。これは大蔵省当局がすでに経験しております。補正予算で組んだ七千億円ばかりの増収が危なくなった。そして三千億円か二千億かは別として、この特別減税も余剰財源は実質減収によってなくなるかもしれぬ。そういうことを平気で大蔵省は言われますけれども、これは総理、私は重大な責任だと思います。自分たちが組んだ補正予算、それが収入が予定どおりいかないで二千億、三千億大穴があくということは、それ自身予算の編成がいかにでたらめであったか、いかに無責任であったかという問題を告白しているようなものだ。さらに、問題はそういう状態が続くならば、先ほども議論がありましたが、来年度五・三%の成長ということが一体どうしてできるかということが大問題であります。 総理に私は特に御記憶を願えれば結構なのでありますが、日本の経済政策は五十五年度においてはいま申しましたように物価の問題においても失敗した。成長率においてはあるいは四・八%近くいくのではないかと私も考えております。しかしよく考えてみると、四・八%仮にいくとしても、それはどこの力といかなるファクターによって四・八%が実現されるかという問題であります。 簡単に申しますと、総理、これからの日本経済の運営というものは七割までは内需中心でいかなければならぬと私は思うのです。そして三割が外需でいく。そして七割を内需でいったときにうまくいくのです。五十五年度はむしろ七割が外需に依存しておる。外に依存しておる。そこに経済摩擦も起こる。そこで、五十六年度は五・三%はぜひとも内需中心にいかなければならぬ。これは先ほど堀委員も申されましたけれども、来年、五十六年度は内需中心に五・三%いこうということになれば、いまのうちに経済を底上げしておかなければならぬ。 ところが、現実はどうかというと、底が割れたような形なんです。簡単に申しますが、たとえば三・六%前後しか鉱工業生産は伸びておりません。私は経済の動きというものを日銀券の動きで大体見ておる。これは二・六%しか伸びておりません。日銀券が伸びぬということは一万円札の動きがとまっておるということであって、本来ならば一〇%以上伸びなければ問題にならないのです。私はかつて狂乱物価のときに日銀総裁を予算委員会に呼んで文句を言ったことがありますが、その狂乱物価のときには日銀券は一番多いときには二七・五%ふえた。それが狂乱物価の、私は必ずしもマネタリストでもありませんけれども、しかし重要な要素です。二七・五%伸びたときには狂乱物価になった。それが不景気になっていつの間にか一〇%を割って、最近では二・六とか三・六ぐらいしか動かない。CD関係その他もありますけれども、いかに経済がまいってしまっておるかということがこれだけでわかる。 さらに、大衆購買力が、個人消費が全体の六割だと先ほど来力説されましたが、その個人消費が伸びないために、たとえば百貨店の売れ行きなんかも七・四%前後にとどまっておる。総理、これも大体倍以上伸びなければだめなんです。狂乱物価のころには百貨店の売れ行きは三〇%伸びなければ問題にならなかった。なぜかと言えば、一〇%ぐらいベースアップがあります。一〇%ぐらいは物価が上がります。そうすると、三〇%伸びてやっと百貨店は元が取れるというぐらいのところだった。それが最近においては七・六とか四とかいうような数字に落ち込んでしまっておる。 したがいまして、日銀券の動きから見ても、鉱工業生産の動きから見ても、あるいは百貨店の売れ行きから考えても、国内は七割景気を支えなければならない使命を持っておるのにさっぱり伸びない。十−十二月の経済成長は御承知のように年率二・三%なんです。これがずっと尾を引いて、五十六年度になりますと五・三%ではなくて、むしろ逆にして三・五%ぐらいしかいかない。五・三を三・五と覚えてもらえば間違いないのだ。問題はそれ以上いかにして伸ばすかということを真剣に考えてもらわなければ困る。そういう意味で内需を振興しなければならぬが、国民の個人消費を伸ばすのも一つは心理的要素、一つはふところ勘定。そういう意味でもこの際三千億程度の特別減税というものは日本の経済回復のために必要である、そういうことを私は力説いたしたい。 すなわち、物価安定に失敗した政府の政治責任で目減りを補償するという意味において、もう一つは個人消費を刺激して景気回復、さらには今後の五・三%の経済成長の基盤をつくるという意味においてぜひ減税は実行していただきたい、かように思いますので、総理のこの上とも誠意のある対応をお願いいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○鈴木内閣総理大臣 私の師匠である池田さんのお話まで拝聴しまして、私も大変参考になったわけでございます。 今回、議長の裁定、それを受けての六党の合意事項、この扱いにつきましては、実務者会談あるいはそれを最終的に決めます国対委員長を含めての会談等におきまして、わが党の代表の諸君、ここにいらっしゃる山中さん等にも大変御尽力を願ったわけでございます。これをやりますにつきましては、いま御指摘がございましたように、五十五年度消費者物価の目標六・四%を達成できなかった、そういうようなことを私どもも痛切に感じておりまして、何とか野党各党の御意見等も踏まえて最大限の努力をしたい、このように考えたからでございます。議長裁定というのは綸言汗のごときものでございまして、これを値切ってもいけないし上乗せしてもいけない、私はこのように思っておるのでございます。 そういう中で、わが党の諸君が非常な努力をされた結果が、特例法までつくって、そして剰余金が出た場合には全額これを所得税減税に回そうということでございますから、この誠意はおくみ取りをいただきたいものだ、このように思います。政府としても、その結果には誠実にこれを守っていくつもりでございます。この剰余金の出る出ないの問題につきまして、これを操作をして剰余金が出ないようにするなどというけちなことは考えておりません。まじめにやるつもりでございます。
○竹本委員 時間がなくなりますから、私は鈴木総理のただいまの御答弁に盛られておるような誠意を信頼し、期待し、さらに自民党にはたくさんの方がいらっしゃいますから、池田勇人さん程度の大蔵大臣が生まれ、山中貞則氏程度の見識のある人がたくさん出てくれることを祈りまして、次にまいります。 次の問題は、行政機構改革でございます。 鈴木さんは、いまだかつてむしろ例のないような非常に強い信念をぶつけられまして行政機構改革に取り組む決意を示されましたし、商工会議所においては、政治生命を賭してやるというお話がありました。また自民党さんとの会合の中では、これをやり遂げて死なんとぞ思うとはおっしゃらなかったけれども、行政改革をやり遂げて退陣をするということをおっしゃいました。私は総理の誠意を非常に期待しておるわけでございますが、ところが新聞を見ますと、あれは誠意のあらわれだという受け取り方が八割、九割。一部には、あれは内閣の延命を考えているのではないかという非常に次元の低い見方があります。しかし、私はその瞬間に、それも半分もっともだと思ったのです。それはどうしてかといいますと、行政機構改革をいつまでにやって退くというそのタイミングが切ってない。そこで私は、総理にいつまでにというタイミングをきょう切っていただきたいとは思いませんが、ただ行政改革の進め方として、第一ラウンド、第二ラウンドというような考えがおありになるかどうかをお聞きしたいのです。 と申しますのは、五十七年度の予算編成に間に合う行政機構改革をわれわれは強く要求しておるし、恐らく総理もそれを考えておられるであろうと思うのです。ところが、行政機構改革というのは非常に膨大な課題でございますから、ことしの八月ごろまでに間に合うように全部結論が出るはずはない。そういう意味がら申しますと第一ラウンドだけで決着はつかないで、第二ラウンドがあるのがむしろ常識だ。その辺を余り明確にされないままにこれをやり遂げて退陣する、こう言われたのでは、一体いつごろの話かということになるのももっともだと思います。そこで第一ラウンド、第二ラウンドというような考え方があるのかないのかということについての総理のお考えをひとつ伺っておきたい。
○鈴木内閣総理大臣 この財政再建がわが国の政治の最重要課題に相なっておるということは、るる私、機会あるごとに申し上げておるところでございます。これを達成いたしますために、どうしてもまず当面五十七年度予算編成に当たりまして、五十六年度の予算に引き続いて公債発行の減額、特に特例公債の減額を図っていかなければいけない。そして昭和六十年には特例公債依存の財政体質というものを解消する、こういう目標がわれわれにはあるわけでございます。 そこで、これを具体的にどうするかということを私もいろいろ考えました結果、今年度いろいろの努力をいたしましたが、結果的に法人税その他一兆四千億になんなんとする御負担を国民の皆さんにお願いをしたという事情がございます。五十七年度予算編成に当たりましては大型新税などということを考えるべきでない、私はこのように考えまして、大型新税を念頭に置かずに、行財政の縮減、合理化によって財源を生み出して財政再建を軌道に乗せよう、こういう決意をいたしておるところでございます。そういう意味で、私は、いまお話がございましたが、臨調におきまして行政改革についての中間答申を求めるということは、これを五十七年度予算編成に組み込めるものは組み込む、採用するものは採用したい、こういう考えでございます。 それから、私は行政改革だけで果たしてそれだけの財源が出るかどうかということにつきましても、まだ定かでない、確たるめどが立たない。そこで現在の財政の中におきましても、さらに縮減、合理化を図り得る面につきましてはこれをやらなければいけない、私はこう思っております。これは臨調の答申があるなしにかかわらず、私は財政につきましても思い切った縮減、合理化というものを図る必要がある、こう考えておるところでございます。 そういうことで、まずこの第二臨調からの行政改革に対する中間答申、それと財政の縮減、合理化、これによりまして五十七年度の予算編成を大型新税を考えずになし遂げよう、こういう考えでございます。 また、臨調は二年間という設置期限がございますから、引き続いて私は中長期的な観点に立ちましての行政改革等の案が御答申いただけるもの、こう思っております。これをやはり誠実に実行していくというのが私に課せられた責任である、こう思っております。
○竹本委員 総理が財政再建のために真剣に取り組んでおられること、私は非常に敬意を表しておるのですが、特に国債減額二兆円というものを打ち出しまして、最後まで実はどうなるかと心配しながら見ておったのですけれども、貫いていかれたということは非常に私は心強く、感謝をしております。ぜひ五十九年度までに特例公債をなくするためにやはり二兆円ずつは減額をする、この原則は守っていただき、まあ大型新税問題は私は一応別にしておきますが、とにかく行政機構改革には真剣に取り組んでいただきたい。 その取り組み方の問題として、先ほどもお話がありましたように、中間報告にしろ何にしろ五十七年度の予算編成に間に合うようにという時間的な問題が一つあります。それからもう一つは量の問題。たとえば一兆五千億という話が一時出ましたが、だれが言ったのか、どこで言ったのかよくわからない。いろいろうわさを聞いてみると、補助金が十四兆円ばかりあるから一割切れば一兆五千億ということではないかと言った人もおりますが、とにかくその内容がよくわからない。またけさの新聞を見ると、二兆円というものが出ておる。ところが、総理、実際は五十七年度の予算編成は四十九兆円くらいにするのかあるいは五十二兆円くらいなものにするのか、きょう朝から大分議論が出ましたが、一般歳出が四・三%、これも三十二兆円くらいにするのか三十五兆円にするのかいろいろ議論が分かれるところではないかと思いますが、いずれにしても中期財政展望で言われているような要調整額というのが約三兆円、二兆七千七百億円あるわけです。このことを考えますと、下手なといいますか、三兆円に達しない程度の行財政改革では役に立たない。どうしてもここでは三兆円をめどに思い切った行政、財政ともに改革をしていただかなければならぬ、こう思うわけであります。 時間が余りありませんから私は特に要望的に申し上げておくのでございますが、先ほど申しましたように、来年度、五十六年度は内需を中心に景気回復をしていかなければならぬ。そういう場合でございますから、五十七年度の予算編成の場合に臨みましても、予備枠の約七千九百億円前後のものを削るわけにもいかない、要調整額の中の投資関係は七千九百億円でございますけれども、これを削るわけにもいきますまい。また、ことしの予算の編成の経過から見て、当然増並びに準当然増あるいは準々当然増というものはおおむね三兆円要るわけですね。あれだけ厳しくやって三兆円のものを大蔵省が削りまして、最後に一兆三千億にして、それをまた増税で埋めていった、こういうことでございます。したがって、増税がなければ、三兆円前後期待されるところの要調整額あるいは三兆円期待されるところの当然増を含む予算のふくれ、膨張、これを切ってしまわなければならぬ。ことしでも一般の経費はゼロパーセント、その他が大体七・五%、そういう枠をはめて、シーリングをつくって抑えに抑えたものが三兆円、それをさらに半分以下に削った、そしてその残ったものは増税で賄った。今度はその増税をやらないのですから、来年度の予算編成に大型——小型増税はあるのかよくわかりませんけれども、大型新税はやらないということになれば、おおむね三兆円を切り捨てなければいかぬ。 しかも、そのうち大事なのは、臨調が仮に一兆五千億あるいは二兆円の削減を提案されましても、その中には大蔵省が当然切るであろうという項目が必ず入っておると思うのです。したがいまして、臨調が二兆円切るといった場合に、もう一兆円だけ大蔵省がやれば合わせて三兆円の穴埋めがつくというわけにはいかないのです。ダブった分は引かなければいかぬ。そういうことも含めまして、三兆円純粋な形において切るものを切らなければ、予算の編成はむしろ五十七年度についてはほとんど不可能に近い。 そこで、財政再建を真剣に考えておられ、政治的生命をかけられるという鈴木総理に最後に私がお願いしたいことは、これはなまやさしいことではまいりません、鈴木総理の悲壮な決意も言葉の端々によくあらわれておりますけれども、私は鈴木総理は誠実な方であると高く評価しております。その意味において、たまたま思い出しましたのが濱口雄幸内閣なんです。濱口さんは昭和六年ごろ、御承知のように金解禁のときでございますが、緊縮予算を組まれました。そのときには国を挙げて緊縮、緊縮と歌まで歌った。その濱口さんが緊縮の前に、昭和五年ロンドン軍縮条約に臨んでいる。若槻さんがまとめた海軍軍縮条約をいよいよ批准するかしないかという場合に、あの強い軍部、特に海軍の問題でございますから海軍軍令部長の加藤大将か中将だったか忘れましたが軍令部長、山梨次官、こういう強硬派が断固としてロンドン軍縮条約に反対をいたしましたときに、濱口さんがわざわざ山梨次官だったかを呼びつけてこういうことを言っておられる。ロンドン軍縮条約を成立させる、そのために非常な決意をされた濱口さんが、このロンドン軍縮条約を成功させるということは私の信念である、これがために、その後が大事なんです、これがためにたとえ政権を失っても、ちょうど民政党が選挙で勝った直後ですが、たとえ民政党を失うとも、たとえ私の命を失うとも奪うべからざる私の決心である、こう言って強く言い渡されました。民政党が大勝したその後に、ロンドン軍縮条約を通過させる、海軍が挙げて反対する、しかし後へは引かない、このために自分がこの政権を失うとも、民政党が吹っ飛んでしまうとも、私の命が危なくなっても奪うべからざる私の信念であると言って言い渡された。これは猪木さんの「七つの決断」の中にも書いておりましたが、それだけの決意であの海軍軍縮条約はできたのです。今回の行政機構改革も、いま申しましたような厳しい上にも厳しい条件の中で財政再建のために政治生命をかけられるならば、この濱口さんに劣らざる決意が必要である、決断が必要であると思いますが、総理の御決心を伺って質問を終わります。
○鈴木内閣総理大臣 大変ありがたい御鞭撻の言葉をちょうだいいたしました。私も真剣に取り組んでまいる所存でございます。
○竹本委員 終わります。
○綿貫委員長 蓑輪幸代君。
○簑輪委員 私はきょう総理大臣に減税の問題等についてお伺いしたいと思っておりますが、その前に一つ総理の所見を伺いたい点がございますのでよろしくお願いします。 実は、昨日、最高裁判所で日産自動車の中本ミヨさんの判決がございました。男女差別定年制の違法性がここで非常に明らかになったわけです。このことは、いままでのいろいろな男女差別の問題が裁判で闘われてきまして、ことごとく男女差別は違法であるということになってきておりまして、当然のことですけれども、この当然のことが中本さんは実に十二年もかかってやっと確定したということになったわけです。そこで、この判決は、女子の定年年齢を男子より低く定めたことはもっぱら女子であることのみを理由とした不合理な差別であるとはっきり言っているわけです。ところが、今日労働省の調査でも、常用労働者三十人以上の調査対象事業所七千のうち二二・四%が定年制に男女差をつけている。多くは男子の定年が六十歳であるのに対して女子のそれは五十歳から五十五歳と不当な差別を強いられている現状があるわけです。こういう中で、この判決をお聞きになりまして総理として、特に今後政府として企業に対する監督、指導という責任があると思いますけれども、そういう面を含めて行政面でどのように対処されるのかお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 政府におきましては、今日まで男女の定年制の差別をつけるというようなことはこれは改善をされなければいけないということで努力をしてまいったところでございますが、いま御指摘のように、まだ二十数%に近いものがそこに至っておりません。今回の最高裁の判断を契機といたしまして、政府といたしましてもさらに一層これが差別がなくなるようにあらゆる機会をとらえまして努力をしてまいりたい、このように考えております。
○簑輪委員 ぜひ全面的な努力をお願いしたいと思います。すでに御存じのように、昨年夏、婦人に対するあらゆる差別の撤廃条約に日本が署名しておりますし、それに対して一刻も早い批准を求めてたくさんの請願も出ているところです。こういう事態の中で、これまで職場の男女差別を是正させるためにいままで裁判をやってこなければならなかったというのは、一つには労基法上賃金以外の男女差別の禁止というのが明記されていないという不備もございましたし、その結果いろいろな努力を重ねて判決を積み重ねてきたわけです。これからは現在ある募集、採用から賃金あるいは解雇、定年に至るまでの差別をなくしていくというために立法的解決も図らなければならないのではないか。雇用平等法の制定ということが求められているわけです。これまでたくさんの女性が人間らしく平等に働き続けるという権利を求めて困難な中をがんばってきたわけですけれども、そういうものが生かされるような立法を私どもは望んでいるわけですが、その点に関する総理の御所見はいかがでしょうか。
○高橋(久)政府委員 先生御指摘のように、昨年の夏、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に政府は署名をいたしまして、現在この批准のための国内法制等の整備に努めているところでございます。現在この条約につきましては解釈を各省の間で詰めている段階でございまして、こういう平等の法制的な措置が必要であるかどうかということで解釈を詰めているわけでございますけれども、一方では、雇用平等法につきましては婦人少年問題審議会、これは公労使三者の構成によって成り立っておりますが、この審議会におきまして検討を願っているわけでございまして、この審議会から御結論をいただきまして私どもはそれに対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
○簑輪委員 真の男女平等を実現するために、雇用平等法という声をぜひ総理もしっかり心にとめて、一日も早い批准を実現していただきたいと思っております。 ところで、総理は先日来、大型間接税の導入については念頭に置かないで五十七年度の予算に当たりたいということを言っておられますけれども、大型間接税の導入をこの際今後ずっと将来にわたって、五十八年度以降も導入しないという約束をいただきたいと私どもは思うわけですが、その点に関して簡単にお答えいただけませんでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、財政再建の道は非常に険しい。そこで五十六年度も努力をいたしましたが、五十七年度もさらにこの険しい道を私どもは努力をして乗り切っていかなければいけない、このように思います。だんだんこの道は険しくなっていくということが予見をされるわけでございます。私は五十七年度予算は大型新税等の導入なしでひとつやっていこう、こういう決意をいたしまして各方面の御協力を要請しているわけでありますが、五十八年度以降のことをいまから予見をするということは、私のような微力な浅学非才の者ではなかなか予見ができないところでございます。
○簑輪委員 五十八年度以降についても導入しないという約束を私どもはぜひいただきたいと思っておりますけれども、さしあたり五十七年度予算で大型間接税に頼らないということになれば、それ以外の増税というものは一体どうなるのか。たとえば、五十六年度については現行税制の枠内でできるだけ増収をするということで一兆四千億円もの増税が図られているわけですが、それと同じようなことが行われるということになるのでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は国会の御論議等を踏まえまして、この税の公平化という観点から租税特別措置法等の見直しを政府としても努力してきたわけでございます。私は、今後におきましても社会経済情勢の推移を見ながらこの租税特別措置法等の見直し、検討というものを引き続きやっていく必要がある、こう思っておるわけでございまして、一切税には手をつけるなというようにはまいらない。私は、税公平の問題やいろいろな角度から税の問題は常に検討していくべきものである。しかし、先ほど来繰り返し申し上げておりますような大型新税は、私の念頭にはございません。
○簑輪委員 大型新税は念頭にないとしても、小型新税をたくさんかき集めてということになっては何にもならないわけでして、その点で私どもは非常に心配をしているところでございます。したがって、税制を新たにいじらないとしても、現行の税制の枠内で五十七年度もまた増税をするというのではないかという心配については一向に払拭されないわけですが、その点はいかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私は、この社会経済情勢の推移を見ながら常に税というものは不公平が生じないように、負担の公平化を図るようにという検討は怠ってはいけない、このように考えておるわけでございまして、現行税法の枠内ではあるが、どの税法を、特別措置法をどうするということは具体的には考えておりません。
○簑輪委員 公平な税のために絶えず見直しは行わなければならないと思いますし、減税をすることこそが見直しであるというふうに私どもは理解しているわけです。 一方、五十六年度所得税減税というものは行わないということに税制上なったわけですけれども、その点で五十七年度における所得税減税の問題については、やはり引き続き見送ってしまうということになるのか、あるいは所得税減税の強い要求に対して、これは十分配慮していくというふうにお考えになっておるのか、五十七年度の予算に関連してお答えいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、五十九年度までに少なくとも特例公債からの脱却をひとつ図りたい、こういうことでございまして、年とともに厳しくなっていく、このように私は考えておりますので、そういう減税ができるような情勢になりますかどうか、そういう楽観的な見方をすることは非常に困難である、このように私は思っております。いずれにしても、いまからそういう問題をここで予見して申し上げるというわけにはまいりません。
○簑輪委員 ことし所得税減税がずっと見送られてきている中で、一方では一兆四千億円もの増税というふうに審議がされているわけですけれども、こういう実態について国民の要求にかなったものと言えるだろうか、国民はこれについて納得しているというふうに言えるだろうか。その点、総理は一体どのように認識しておられるか、お尋ねしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 御承知のように、五十六年度の予算編成に当たりましては、私どもは歳入歳出ともに相当厳しい見直しをやったわけでございます。予算の伸び率は御承知のように全体として九・九%、これから地方交付税や国債費をのけますと、実質の伸び率は四・三%というような二十数年ぶりのきわめて厳しい圧縮予算になりましたことは御承知のとおりでございます。しかし、なおそれでも、文教あるいは社会保障等の行政水準を維持しなければならないというようなことから一兆四千億近い法人税その他の増税をお願いした、こういうようなことでございまして、政府が安易に増税に依存したということではない。そういう意味で国民の皆さんには御納得、御理解、御協力がいただけるものと、このように私は思っております。
○簑輪委員 総理はそう思っておられるかもしれませんけれども、やはり所得税減税を求めるという強い声があるということは、納得というふうにはとても言えないものだと私は思うわけです。 一方、大変困難な情勢であるというふうに言われながらも、実質的な所得税の減税がもたらされないために実質大増税になってきているという反面で、企業の方では空前の利益を上げているというふうに統計上も明らかになっているわけです。資本金十億円以上の大企業の利益は、七五年度を一〇〇として七九年度末に二六一と約三倍近く伸びているわけです。昨年九月期の決算では史上空前だった。前年同期を四六%も上回る二兆四千九百億円余りの経常利益というのが計上されています。一方、労働者の方は、名目賃金でも七五年度を一〇〇として八〇年六月に一四四に上昇しているという程度で、一・五倍にも達しないわけです。日本の労働者の平均賃金というのが労働省調べで八〇年六月大企業二百八十八社で十八万四千円余り。他方、人事院の計算した生計費調査によっても、四人家族の標準世帯で十八万九千八百円余り。標準生計費ではこれだけ必要だと言われているのに、労働者の平均賃金はそれに達していないという実情があるわけです。だからこそ所得税減税が必要だというふうに言われているわけですし、一方ではこういう空前の利益を上げているのだから、法人税の問題についても、今回二%の引き上げということが出されておりますけれども、中小企業の実情は倒産が相次ぐ、欠損企業もふえているという状況の中で、これではとても中小企業の発展ということはあり得ない。中小企業の増税はぜひ中止するべきだし、他方こうした空前の利益を上げている大企業については、もっとその段階に応じた段階税率の導入を図って適切な負担をしてもらうのは当然ではないかというふうに言われているわけですけれども、総理はいかがお考えでしょうか。
○高橋(元)政府委員 昭和三十年に中小法人に対する軽減税率ができたわけでございますが、当時五%一般法人よりも低かったわけでございますけれども、現在それが一二%になっておる、たびたび申し上げておるとおりでございます。そこで、中小法人にどのくらいそういう意味の政策的な減税になっておるかと申しますと、これは中小法人全体で二千五百億、協同組合、公益法人を含めて四千二百億というぐらいのオーダーになっております。もちろん中小法人についてのいろいろお示しのお話は理解できないわけでございませんけれども、税全体としてこれ以上中小法人と一般の法人との格差を開くわけにはいかないということで、今回は全体について二%の引き上げをお願いし、ただし中小法人については軽減税率の適用所得限度を七百万円から八百万円に上げる、こういう配慮をいたしておる次第でございます。
○簑輪委員 主税局長はいろいろ理論的におっしゃいますけれども、いま私が申し上げたように、大企業は空前の利益を上げているのでそれ相応の負担をしてもらっても当然ではないかというのは、これは国民感情としてあたりまえのことであるので、その点、総理はどうお考えでしょうか。
○高橋(元)政府委員 法人課税の税率の引き上げにつきましては、国際的な実効税率のバランスということも当然念頭に置かなければならないわけでございます。今回御審議をお願いいたしております二%の税率引き上げによりまして、いわゆる大法人の場合、実効税率は五一・五五%ということに計算されます。これはアメリカの税率よりもやや高く、イギリスとほとんど同じである。こういう意味では国際的に見てかなりのところになっておるのではないか。さらには大都府県において地方税の超過課税が行われておりますが、この場合の実効税率は五三%を超えておりまして、これはドイツを除けば最も高い水準になってくるということで、五十年というところを比較時点におとりになりましたが、五十年は実は最も大法人の利益状況が悪かったときでございます。そういうときから比べて伸びが高くなっておることは事実でございますけれども、ただ、伸びてまいりました所得につきましては、いま申し上げたような課税が行われるわけで、私は現在御提案申し上げておる法人税の改正案でぜひ御理解をいただきたいと考えておるわけであります。
○簑輪委員 総理にお尋ねしたのですが、主税局長がお答えになりました。いろいろ理論的にはさんざんこれまでも大蔵委員会で議論されて承知していながら、あえてこういう実態の中で総理の御感想を伺っているわけです。 さらにまた、所得税の減税がずっと行われていないということで、私どもは少なくとも六千億円程度の減税をすべきであるということで修正案も用意しているわけですけれども、いま肝心なことは、物価の問題やらその他の景気の問題を総合して考えてみますと、やはり減税を行ってふところぐあいを豊かにして消費を促進し、そして経済を発展させていくということが大事ではないか。諸外国でも減税によって消費を促進するという方法がとられているところもありますし、いま私どもは、ますます物価上昇と増税によって家計のゆとりがなくなってきている中では、消費をますます厳しく抑えていかなければならないという実情にあるわけです。これは経済の発展から見てもゆゆしいことだというふうに思いますが、総理はこういう点で、国民の所得をもっとふやして景気を促進するという考えについていかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 そういうことができますれば大変望ましいことだ、こう考えておりますが、情勢はなかなか厳しい事情にございます。 そこで、私は、議長裁定が行われ、各党合意の所得減税、剰余金が出た場合はこれをひとつ全額特例法をつくってでもやろうではないか、こういうことが政府として精いっぱいのことでございまして、その点につきましては御理解を賜りたい、こう思っております。
○蓑輪委員 剰余金で対処するということですが、幾ら出るかわからない、それから単年度限りのものであるというようないろいろな問題点を含んでいるわけですが、将来にわたってぜひ所得税減税というものが制度的にも大幅なものが保証されるように、総理の御努力をお願いしたいというふうに思います。 もっとほかにいろいろお尋ねしたい点がありまして、関係省庁おいでいただいていると思いますけれども、時間がございませんので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
○柿澤委員 最後になりましたが、総理にお尋ねをいたしたいと思います。 鈴木総理の行政改革にかける御熱意には私ども大変敬意を表しますし、その実現のために私どもも応分の御支援をすることにやぶさかではありません。その決意のもとにぜひお進みをいただきたいと思っているわけでございますが、そのためには具体的に一つ一つの問題を解決していく必要があろうかと思います。 現在、国会には前国会以来、定年制の導入と退職金の合理化を図るための公務員二法がかかっているわけですけれども、まずこの辺から公務員制度の合理化を図っていく必要があると思いますが、その成立についての総理の御決意をお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 財政再建の強い要請の中で、第二臨調までつくって新たな行政改革を打ち出そうという際でございます、大平内閣におきまして相当検討の結果でき上がりましたところの公務員二法、これは前国会におきまして、衆議院の内閣委員会で継続審議に相なっております。私は、今後なすべき行政改革の課題が次々出てくるわけでございますから、この公務員二法は何といっても、予算でも成立いたしました後におきましては真っ先にひとつ取り上げていただきまして、成立を期していただきまするように切に希望いたすものでございます。
○柿澤委員 それとあわせて、公務員制度については、必要な定員の増というのもあるわけですけれども、定員の削減も私どもはお願いをしたいと思いますが、しかしなかなか現実に雇用している方々に退職をしていただくというのもむずかしい。そういう意味では、最低限の措置として新規採用の抑制というようなことも、五十七年度総理が財政再建の第二年度として決意をかけられるのなら検討をしなければならない課題ではないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 財政の縮減、合理化とともに定員の問題も一つの大きな課題でございます。私は、第二臨調等におきましてもこの問題も一つの重要な課題として御検討願えるもの、このように考えておりますので、その答申を待ちまして国会の方にも御相談を申し上げたい、こう思っております。
○柿澤委員 それからけさの新聞報道によりますと、総理は補助金の一律削減ということをお考えになっておられる。それで二兆円程度の財源をというようなことも報じられておりますが、その辺について総理の御真意を伺いたいと思います。 私も、補助金の整理については、どれはいいどれは悪いと言っているとなかなかむずかしい面がある、その意味では、一割というのが実現可能な数字かどうかわかりませんけれども、来年度については五%の節約をすることを原則とするというようなことは一つの対応策として考えられるのではないかと思いますが、その点いかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 大型新税を考えないで財政再建を五十七年度予算の編成に当たりましても達成をするということになりますと、行政の改革とともに財政の思い切った縮減、合理化ということが必要でございます。けさの新聞の報道は必ずしも正確に報道されておるとは思っておりませんが、補助金、交付金等の縮減、合理化に当たりましてはできるだけ公平にやっていきたいということを私は念頭に置いておるわけでございます。一部の省庁、一部の分野にだけねらい撃ちをした改革ということは必ずしも十分な理解と協力を得られがたい、このように考えておりまして、こういう厳しい際でございますから、内閣におきましては、各省庁においてできるだけ公平な応分の犠牲をひとつ甘んじて受けていただきたい、このような趣旨で申し上げたわけでございまして、きちょうめんに一律というようなことを申し上げておるわけではございません。
○柿澤委員 なかなかきちょうめんに一律というのもむずかしい面もあろうかと思いますが、ある意味では補助金の節減に関する特例法というような形で、法律補助を含めて一度見直してみるというようなことは考えられないのでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 貴重な御意見として参考にさせていただきます。
○柿澤委員 それから、やはり財政再建のために、総理が先ほども力説せられました行財政の改革ということを考えますと、財政については、ともすれば惰性に流れた戦後三十年続いてきたさまざまな財政構造というものを抜本的に見直すということが必要ではないかと思いますが、その際には、やはり大きな財政支出の要因になっているのは俗に三Kと言われる問題であろうと思います。やはりそれぞれ抜本的な見直しが必要かと思いますが、その点については大平前総理大臣も三Kの見直しというものを事務当局に指示しておられましたけれども、その点についての鈴木総理の御決意をお伺いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この行財政の改革を進めます際におきまして、三K問題は何といっても避けて通れない重要な、優先的にこれを取り上げて取り組まなければならない課題だ、このように考えております。恐らく第二臨調におきましてもこの三K問題は重要な検討課題に相なるものと思っておりますし、そういう答申は政府としても十分尊重して実行に移してまいりたい、こう思っております。
○柿澤委員 それから、先ほど堀委員の御質問にも総理は答えておられますけれども、「財政の中期展望」の中の要調整額、来年の二兆七千七百億、一般経常部門で一兆九千億、二兆円近いものですけれども、これをどうやったら支出の削減で切れるか、調整できるかということについては、財政当局に指示をしたというお話がございました。実は私も二月十日の当委員会で渡辺大蔵大臣に質疑をいたしまして、その要調整額を歳出の削減で、構造的な支出の削減で実現するとしたらどうなるか、それをことしのサマーレビューの基本的なテーマとしてぜひやっていただきたい、そしてそれをテーマとして臨時国会を開くぐらいの決意が必要だという議論をいたしました。その点では指示をされたということに、そういう意味で私どももぜひ高く評価をしたいわけですけれども、先ほどの御答弁にもございましたが、それを国会に報告し、臨時国会を開く、第二臨調の中間答申をもとに、行革臨時国会というようなアイデアも出されておりますけれども、その点では行革・財政再建臨時国会という形で御報告をいただきたいと思っているわけですが、その点お願いをできるでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、財政再建を達成いたしますためには、行財政にわたりましての改革、合理化ということが必要である、こう考えております。「財政の中期展望」というのはもう御承知のように、五十六年度の予算に取り入れておりますところの制度や法律を前提として、これを将来に投影した場合の姿ということでございます。 そこで要調整額というのがございますが、これをいかにしてこなしていくかという問題につきましては、大蔵大臣にも相談をし、大蔵大臣もすでにその問題につきましては事務当局に指示をして検討を進めておる、こういう段階でございます。 また、臨調から七月の中旬ころに中間答申をいただく、またいま申し上げた財政当局によるサマーレビュー等の結果をどのように生かしていくかという問題につきましては、その時点で十分検討もし、また党や国会の方の御意見等もお聞きしながら対処していきたい、こう思っております。
○柿澤委員 総理も先ほど行財政改革を実現するためには野党も巻き込んでというお話がございました。その意味では与野党一体になって取り組まなければならない問題だろうと思いますし、野党は野党なりの責任をやはり負っていく決意が必要だろうと思います。その意味でぜひ政府での検討の結果を国会で議論できるように、総理並びに大蔵大臣の今後のその面での指導力というものを私は期待をし、お願いをして質問を終わりたいと思います。
○綿貫委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。 引き続き、大蔵大臣に対する質疑を続行いたします。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 総理大臣にお越しをいただいた後、また大臣に御質問するというのも異例なことでありますが、大事な法案でありますから、若干の時間質問をさせていただきたいと思います。 年度末衆議院、参議院と忙しく駆け回っている大蔵大臣に恐縮でありますが、冒頭に大臣に一言御注意を申し上げたい。実はこの国会が始まりましてから、生であるいはテレビで大臣のお話を伺っておりますと、税金を取る取ると盛んに言われるのですね。昨日の衆議院の本会議でも、税金を取るということを言われました。私は大臣が非常に率直な物の言い方をされるということは承知をいたしておりますが、大蔵大臣が取る取ると言われますと、みんな取られる感覚になって、やはりミッチー節の大臣のあだ名が、きょうもどこかの新聞に出ておりましたが、増税大臣か何かにあだ名が変わってしまうということでもいかがかと思いますし、断固取るのだというなら別でありますが、取るという言葉は慎まれるように、やはり税は国民の汗の結晶だ、それを納得いただいて社会のために使うというのが国の立場であろうと思いますから、断固取るということならば一言お願いしたいわけでありますが、そうでないと思いますから、態度表明は結構でございます。 それから最初に伺いたいのは、きょうの午前中の質疑あるいは総理への質問にもございましたが、いわゆる大型消費税の取り扱いの問題であります。一つお伺いしておきたいのですが、いままでも繰り返し同僚委員から言われておりますように、総理大臣は、大型消費税は五十七年度これを採用しない、全然考えておりません。注意深く伺っておりますと、大蔵大臣はしたくないと言われておりました。しないとしたくないの違いということも、違いがあるようでまた余りないような気もするのですが、それと先日の税調会長は勉強作業を始めたいということですね。私はこういうことが心配になるのです。何も政府の立場で心配をするわけでありませんけれども、これから、現在すでにそうでありますが、行財政の改革がまさに最大の政治テーマとして議論されていくだろう、国民の関心もそこに集中するであろうというふうに思います。すでにそういう状態になってきている。これからいわゆる土光委員会の七月末第一回答申、それから夏、秋ですね、非常に大きな問題となる。それと同時並行的に、早ければ来月から税調で企画部会か特別部会をつくって、総理が否定をされている大型消費税の審議をなされる。国民が非常に戸惑う問題にまたなるということだと思います。先ほどこの問題についての総理の御答弁を伺っておりましたら、政府、税調は私の考えを踏まえて適切な措置をとられるであろうというふうに思いますというお話でございました。すると、総理の姿勢と税調会長小倉さんの御発言、ちょうどその間ぐらいに大臣がいらっしゃるというようなことになるわけですが、税調の作業テンポ、これは主税局が事務局かあるいは裏方というよりも、実際には全部動かしているんじゃないかというふうに新聞でもよく評されるようなことでございますから、大蔵省、大蔵大臣の立場が非常に大事になってくるというふうなことで、大蔵大臣としてその辺のコントロール、取り扱い、特に国民の目から見て疑惑を持たれないようにコントロールすることが非常に大事ではないだろうか、総理の御発言を伺ってもそういう感じがするわけでありますが、前から議論がございましたが、重ねてはっきりお伺いしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは、常に勉強はいろいろな角度からしなければならないということを言っておるだけであります。専守防衛の自衛隊だって演習をやっているわけですから、別に戦争を予定してやっているわけでも何でもないんでして。ただ、大蔵省としては各国のいろいろな税制のあり方とか、どういうふうな時代にどういうふうなことをやっているかというふうな勉強は、これは極力暇のある限りやれということを言っておるわけでございまして、それが大型消費税にストレートに結びつくというものではない、そうお考えいただいて結構でございます。本当にそうなんです。私はここで何回も言っておるように、やはり幅の広い間接税というものはなかなか避けて通れないんじゃないか、検討することは。そういうことを何回も言っております。だけども、五十七年度ではそういうものは採用しないという総理の御方針が出ればそういうように内閣は動くのはあたりまえのことでございます。
○伊藤(茂)委員 若干期待外れなんです。私は、少なくとも四月あたりから税調で作業が始まってくるということぐらいは抑えるような立場を、小倉さんと総理の間にいる大蔵大臣としては政治的に配慮をしてそこをやっていただきたい、やるべきではないだろうかという気持ちがするわけであります。そうでないと、国民の目から見て一体これは何たることだろうかと。大型消費税はやらないという人と、したくないという人と、勉強を始める人と、三本足の何とかみたいな話になっちゃう、国民の目から見れば。そこのところを政治的によく踏まえて、ということは、そういう勉強作業も個人的にかどこかでやることはあるかもしらぬけれども、しかし正式な機関の場であるいは政府の行政委員会の場で精力的になされるということは控えるべきではないだろうか、そうでないとおかしいのじゃないかという意味のことを私は申し上げたのですが、大臣、変わりはありませんか。返事に変わりがなければなにですが、そう思うのが普通ではないですか。
○渡辺国務大臣 まだ税調会長ともお会いしておりませんし、どういうふうにやっていくかということについて内部でも実は具体的な検討、相談をまだやっていないのです。国会でも終わりましてから至急に、御承知のとおり朝から晩までこういう状態ですから相談する暇もないというのが実際なんです、本当の話が。四月に入りまして法案でも上げていただいたら早速相談を始めたい、こう思っております。
○伊藤(茂)委員 税調の小倉会長も総理の意見を聞くあるいはお会いをする、調整をするということを前にここで言われましたし、総理の御発言でもそういうニュアンスを感ずるわけでありまして、ぜひそうしていただきたいと思います。新型増税の研究など始めることのないようにお願いしたいというのがこちらの私の気持ちであります。 次に、先ほどの総理との質疑の中で財政再建、行財政の改革と総理の決意というお話がございました。それを踏まえて一、二お伺いをしておきたいと思います。 私は、総理の大型消費税を五十七年度採用しないということ、将来は別にして、まず当面は結構なことだと思います。ただ財政再建という観点から考えますと、赤字公債を五十九年度まで、言うなれば昭和六十年までにゼロにする。そうでないとその後の償還期を控えて大変なことになる。いわば財政再建はすなわちそういうことが目標、至上命令ということだと思います。そういう意味からいたしますと、今後、なお五兆数千億残っている赤字公債、これを五十七年、五十八年、五十九年、先になるほどしんどいということを総理は言われましたが、私もそういうことだと思いますが、なるべく早い時期にこれを解消していくということが財政再建のプリンシプルになるということだと思います。そういたしますと、五十七年度大型消費税をしない、それと同じウエートで、二本柱で、ことしと同じ二兆円減債ということでまず行くべきではないだろうか。私は、昨日でしたか、この問題での同僚議員への大臣の答弁を伺っておりましたら、まだ五十六年度予算が通ってないのですし、関連法案も通ってないのですから、早く通していただいて、それから考えたい、それまではまだそこまでいかないという意味のことを言われましたが、私はちょっと違うのだろうと思うのです。要するに五十九年度までに赤字公債をゼロにする、これは声を大にして何十遍、何百通言ってこられたことですから、そのことを後から考えたということではないだろうと思うのです。ですから総理大臣が決意を表明された大型消費税採用せずということと、それから昭和六十年までに赤字公債をゼロにするということ、これは同等の重要なベースとしてその方向で努力をされていくということだろうと思いますが、いかがでございましょう。
○渡辺国務大臣 五十九年度までに赤字公債からの脱却ということと、それから大型新税というものを頭に置かないで、まず来年度の予算をどうして組んでいくか、そのための行政改革やいろいろな歳出の削減ということで進んでまいる、こういうことであります。
○伊藤(茂)委員 そこのところを正確に、これは重大な決意を持って臨んでいただかないと、午前中にもございましたが、行政改革で財政を縮減をするというのが、行革プラス一般消費税での財政再建でも困るし、それから行革の努力マイナス国債減額が一兆かさらに低いということでもこれは困るだろうと思うのですがね。ですから、いま大臣言われましたが、私はその二つの柱を基本に据えて進めていただきたいというふうに思うわけであります。 それから、大臣がこの間どういうふうに答弁されたのか、一部の新聞を見ますと、財政再建法というふうなニュアンスのことを言われたような報道がございました。西ドイツの財政構造改善に向けての立法というようなものもあるわけですが、私は、何か参議院でもそういう財政再建法的なことについて前向きに答弁をされたというふうな記事をちょっとどこかで読んだのでありますが、そういうお考えをお持ちかどうか。 それから、それとも関連をして、先ほども一律カットの是非の話がございました。私は一律カットでなければとてもじゃないけれども、削減はできないという実態も現実には政治的にはあるだろうと思います。しかし、これからの社会、八〇年代、九〇年代を展望した財政、経済はどうだろうかということを考えますと、新しい時代への対応という政治判断、価値判断が生まれなければならない、このことを私どもも大臣に要求、質問するだけでなくて、与野党含めて重大な問題でありますから、政府にも要望することはありますが、同時にまた野党としても、また当委員会のメンバーとしても、真剣な勉強、努力をして国民の期待にこたえなければならないというふうに思うわけであります。そういう気持ちを持ってやってまいりたいと思いますが、財政再建法あるいは一律カット、構造的改革というような問題について、どうお思いですか。
○渡辺国務大臣 どういう法律に財政再建法というような名前をつけるか、名前のつけ方の問題でしょう。たとえば今度国会に上程いたしました歳入確保の法案でも一種の財政再建法の歳入版ですよ。ですから、今後ただ法律をつくるといっても、政策が決定をされないで法律ができるわけがない。どういう政策をとっていくのか、そこらのところの見直しをきちっとやらなければなりませんから、そういうことで方向が決まれば、それを法律で——必要な場合は法律も必要だと思います。そこらのところまだ詰めができておりませんので、必要があればそういう法律もこしらえるということでまだ詰まっていないというのが正直なところであります。
○伊藤(茂)委員 大臣が言われましたように、結局行財政の改革にしろ、ベースとしてどの方向のどういう政策かということが欠かせない問題だろうと思いますし、私は一言で言って福祉型税財政の時代をどう構想、展望できるかというような気がいたします。いろんなそういう価値判断も含めて今後真剣な議論をなさなければならない。私どもももっと勉強してまいりたいというふうに思いますが、それに関連をして私は西ドイツが五年、十年かけて財政改革に取り組んできたあの経過の話をどこかで少し聞かしてもらったのですが、比較をしてちょっと感ずるところがあるのです。西ドイツのこの構造改善法の経過、中身が日本のいいお手本になるかどうか、私ども若干意見がございますけれども、それは別にして、やり方を見ますと、表向きは大蔵大臣の指揮のもとですが、実際には内閣責任といいますか、総理のイニシアチブのもとに、二十人三十人ぐらいの強力なベテランスタッフを、言うならば主計局長クラスか次長クラスか知りませんけれども、集めて、そこに強力なセンターシステムをつくって、そこで鋭意勉強しながら、ブラントさんの時代からシュミットさんの時代に至る努力がなされたということを聞くのですね。それと比べますと、正確には知りませんが、大蔵省の皆さんの取り組みを伺いますと、主計局の一部として一部の方がこの問題をやられてこられた。そして、三種類あるいは五種類に及ぶ中期試算などの数字を新経済社会七カ年計画をベースにしてその一、その二とかA、B、C、D、Eとかつくられてきた。ようやくことし何か一本の中期展望という形になったわけでありますけれども、しかし、大臣もさっき言われたような方向づけ、政策をベースに据えた、将来こう行くべきではないだろうかということを世に問うというにはまだ縁遠い。そういうことになりますと、大蔵大臣、大蔵省というよりも内閣責任、強力な政治力と勉強の力が必要だ。西ドイツの場合と比べてみても、いまのようなシステムの問題ではどうにもならぬじゃないかという気がするわけです。こういう問題については党首会談の機会もあるかと思いますし、また野党間でも大いに政策を提供する。政府・与党でも強力な連絡センターをつくられるとか伺うわけでありますが、行政の中でいまのシステムで一体いいのかどうかということを西ドイツの五年、十年という間の経過を伺っても思うわけであります。そういうことを所管大臣としてどう思われますか。
○渡辺国務大臣 これは内閣を挙げての話でございますから、与党である自由民主党との連携が悪いということでも内閣はもたないことになりますので、まず連絡推進本部とかなんとか本部、そういうものをこしらえて、そこで連携を密にしながら政策の決定をしなければならぬ。その際、われわれといたしましても、国会というところはできることなら各党全面一致してもらうことが一番いいわけですから、当然そういうような過程においては今後とも野党の代表の方とも接触をして、なるべく御協力が得られるものは取り入れてやっていくような努力はしていかなければならぬのじゃないかな、そう思っております。具体的にどういう人選をしてどうするかというようなことは今後の課題でございます。
○伊藤(茂)委員 いずれにしても、行政改革なり財政再建なりという課題は、これからの時代を考えますと、いかに減らすか、どこから税金をたくさんいただくかということはむずかしいので、いかに減らすかという収支勘定の話ばかりに矯小化されますと、これからの時代に大きなひずみを起こすということだろうと思いますし、大げさに言うならば、哲学と言わぬまでも今後の社会の考え方なども含めて多面的な議論が国民各階層から起こっていく、そういう中であるべき方向が進んでいくということでなければ、財政収支論だけの行革論ではいかぬと思うわけでありまして、その辺もぜひ鋭意研究して、特に私はそういう中で、広く民意に問う、広く国民の意思を吸収するというふうなオープンシステムの形で進められることが必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。 話題を移しまして、所得減税の問題です。 もう何遍も伺ってきましたからちょっとしつこいようでありますが、きょう間もなく、この後、当委員会で財政法第六条第一項についての特例法の提案、採択というような段階になります。言うならば最後の詰めか最後の念押しというようなことで二つ伺いたいと思うのですが、一つは不用額に関連した問題であります。これも先般の私の質問に、大蔵大臣も、各省に強くお達しかお達しではないですか、何か連絡をとって、むだ遣いをしないようにいたしますということを言われました。また、閣議で総理が発言をされて、各省に対して注意を喚起されたことも伺っております。先ほど総理も、誠意を持って努力をしたいということを重ねて表明がございました。大変結構なことだと思います。ただ、これから三月三十一日、いよいよ年度末、その前後、日本のお役所仕事と予算というのは増分主義という慣習が残念ながら強い。使い残しをしないようにしないと来年の予算がもらえないという感覚が残っている。これは非常に困ったことです。ばかばか仕事をしたようにしてみたり、あるいは出張してみたり、一つの社会的風土になっている状況があるわけでありまして、そういう意味で言いますと恐縮ですが、閣議でも、あるいは大蔵大臣からも、でかい声で一言かけたというだけではなくて、これから各省で決算といいますか、数字がはっきりしてくる時期まで、これから三月末、四月末、五月、それまでの間に何回かチェックをして、大蔵大臣やまた総理が公式に御発言されたことと違うような動きにならぬように、念には念を入れて御努力を願いたいということが一つであります。 もう一つ、これも念押しでありますが、議長裁定以来の経過は言うまでもなく、剰余金(A、B、C)とかなっているわけでありますが、これは理論的に言えば国債の発行と絡ました意味での純剰余という言葉ではない、つまり純剰余ではない剰余金という形でこの問題は扱われているということになっていることに改めて注意を喚起していただきたいのであります。国債の発行残約二千億円程度ですかございまして、順調なときでございますれば、普通ですと、自然増収がプラスとして出れば、なるべく借金をしないようにという操作もされるわけでありましょう。しかし、今回の場合には国債発行と絡ませないという意味が、議長裁定から六党国対委員長会談の申し合わせその他で、ことさらに私どもは純剰余金ではなくて剰余金という形で表現をされているということに注目をいたしているわけであります。その二つ、念押しで済みません、お伺いいたします。
○渡辺国務大臣 私どもは極力不用額をつくってもらいたい。この間も参議院で言ったのですが、いままでは不用額をこしらえてしょっちゅうしかられておりました、一カ月前まで。こんなに不用額をつくるとは何事だと言ったのでありますが、ここへ来て急転直下不用額をいっぱいつくれという話なんですから、なかなかむずかしい、ということで元気が出たわけであります。しかし、その趣旨は、節約をしなさいという趣旨であって、結構なことだと私は思っております。議長裁定といういろいろないきさつがあってできたものでございますから、その議長裁定は忠実に守っていきたい。 それから、この国債発行問題ということがありますが、これも自然体でいきたいと思っております。特別なテクニックは用いない、自然体でいきたい、そう思います。
○吉野(良)政府委員 剰余金という言葉の問題について先ほどお触れになりまして、万が一あるいは誤解があってはと思いまして、念のため御説明さしていただきたいと存じます。 先生も御承知かと存じますが、財政法第六条には剰余金という言葉がございます。それで、この剰余金はいま予決令何条でしたかちょっと記憶がございませんが、予決令でこれを敷衍をいたしてございまして、収納済み歳入額から支出済みの歳出額を差っ引いたものが一応形式上の剰余金になるわけでございますが、これが直ちにいわゆる財政法上の純剰余金になるわけではございませんで、当然のことながらこの形式的な意味における剰余金の中からいわゆる特定財源的なものとして留保をすべきもの、たとえば万が一増収がございました場合には、その三税の三二%分は地方交付税交付金として支出をすべきものになるわけでございますので、この地方交付税交付金として精算をすべきものはこれを控除をいたします。 それからまたいわゆる歳出予算現額の中で翌年度に繰り越されるべきものがございます。この歳出予算の繰り越しに伴いまして必要となるべき財源相当額は、またこれは控除をしておかなければならないわけでございます。 それからまた特定財源的なものとして先ほど地方交付税を例にとりましたが、そのほかにもいわゆる道路財源として特定財源として保留をすべきものもございます。そういったものを差っ引きました後の剰余金が俗に純剰余金と言われているものでございまして、国債整理基金特別会計へその二分の一を繰り入れるべしというふうに書かれているその二分の一の根っこになりますものは、ただいま申しました意味での純剰余金でございますので、剰余金と純剰余金というのは、そういう現在の財政法上の仕組みになってございます。したがいまして、剰余金の二分の一は国債整理基金特別会計へ繰り入れぬでよろしいという御立法がいま御相談になられているように伺っておりますが、その根っこになりますものは、くどいようでございますが、先ほど来申しておりますように純剰余金であるわけでございます。
○伊藤(茂)委員 何か余り聞かなくてもいいような話の説明を聞いたような気がいたしますが、いずれにしても六党の申し合わせでも六月、七月段階改めて協議をする。金額がはっきりした段階で協議をし、さらにそれが立法化される措置について具体化を図るということでありますから、それの経過なども含めて対応してまいりたいというふうに思います。 次に主税局長にお伺いいたしますが、この間わが党の大島委員でございましたか、所得税の物価調整について、世界各国で様式は違いますが制度として採用されているという話がございまして、また先般参考人のそれについての御意見もいろいろ伺いました。それについての主税局長のお答えは、現在の財政事情からしてそういう制度を取り入れることは考えられないというふうなたしか答弁ではなかったかと思います。私は、その点をこういう気がしているのです。 基本的な考え方は、ほかの制度も含めてそうでありますけれども、財政再建のためにはフェアな税制が必要ではないだろうか。アンフェアな税金の増額をしていく、これでは国民の納得する財政再建にはならない。税金がたくさん入らないから困るような気はするかもしれませんが、やはりフェアなベース、そういう上に立って初めて国民の協力が得られ、財政再建がなされるというふうなことではないかと思いますが、そういう気持ちで考えますと、一つは私は憲法論からいっても問題があるのではないかという気がします。要するに財源がないからできないというだけでは済まされない問題ではないだろうか。憲法八十四条、いわゆる租税法定主義から見ても、本来はここからここまでの範囲で所得税をいただくという一つの概念規定といいますか政策判断があるといたしましても、現実にはインフレによって納税義務者がどんどん拡大をして、新たに課税される世帯がふえていく、また実質所得が減少する場合でも税額だけは増えていく、これらの状況が進むわけでありまして、言うならば国会の議決を経ずに租税法定主義に抵触をする意味での納税義務者が増大をしていく。本来実質から見て納税者にならない者も広範に膨大に納税に組み入れていくというふうな論理が進んでいくということではないかと思いますし、また憲法二十五条第一項、第二項の精神といいますか、そういうものにも相反するというふうな気がいたします。こういう憲法論、税法論上の議論はするつもりはありませんが、そういう気が私はいたします。 それから、先般参考人からもOECDのレポートなどの話を伺いました。大変参考になりましたが、また制度として物価調整を実行している国の例も伺ったわけでありますが、これも大変参考になりました。そういう話を伺いますと、何かこういうものを制度として取り入れるということは、言うならば国際的にはだんだん常識化している。ちょっと極端に言うならば世界の常識、日本政府の非常識というようなものじゃないだろうかというふうな気もするわけでありまして、アメリカなんかでもフリードマンの提唱、それからカナダなんかでの立法作業の経過、アメリカの連邦議会での作業部会での報告、いろいろな例を引くわけでありますが、こういう国際世論あるいは世界の例というものをわれわれは重視をしなければならないというふうに思いますし、また勤労者の実質生活費赤字という政府統計も出ている状態にもこたえなければならない。新聞の社説、評論でもみんながこれは当然ではないかという主張をしているというふうな状態でありまして、今年度は無理にしても、なるべく近い将来にこういう方向を考えていかなければならないという気がするわけであります。 それで、これは主税局長とその後大臣に伺いたいわけでありますが、私どもも日本の場合に一体どういうふうにこれが採用できるだろうか、そういう時期が来るだろうかというようなことをもっと深く研究、勉強してみたいと思います。これは当然なことだと思いますが、大蔵省としても、国内でのいろいろな税制政策を立てる研究あるいは国際租税課とかあるわけでございますから、これらのことを将来のあるいは今後のテーマとしてさらに研究をし検討されるということを、その採用の是非は大いにまた当委員会でも議論されなければならないと思いますが、そういう研究、検討の努力は大いになさるべきではないだろうか。また、そういうことも大蔵委員にも大いに勉強の資料などを提供してもらうということをしていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。 それから、その後大臣に伺いたいのですが、この間税調会長に伺いましたら、これも政府税制調査会のテーマの一つとして研究、検討をすることにいたしますと言われました。まあ腹の中じゃそんなことをやったら大変だという気がするかもしれませんが、やはりフェアなベースをつくるという意味で大事なことだと思いますので、その辺の研究、検討という意味での姿勢について一言お伺いしたい。
○高橋(元)政府委員 理論的に申しますと、インフレと税金というのは非常にむずかしい問題でございまして、いま所得税の実質所得に対する課税という点だけでインデクセーションが取り上げられておりますが、むしろ学者の議論では、それはさることながら、もう一つ、インフレ会計と資本価値維持といいますか、企業の資本維持ということとインフレの関係ということも大きな問題になっておるわけです。 たとえば法人税の場合には、償却が不足になってきて実際には名目所得に課税されておるという状態が長く続いた場合に、それは公平、不公平ということは別といたしまして、やはり経済に対して相当大きな影響があるではないかというような議論もかなり広範に行われておるわけでございます。 それから、たびたび御審議をお願いしております従量税で定められております間接税の場合に、消費に見合わない税負担ということが現実に起こってくる、そういうことも検討の課題であろうと思います、といいますか、むしろそういうことが学問的には議論されておるわけであります。 所得税につきましても、人的控除を引き上げるというだけでなくて、むしろブラケットを開いていった方がいい、ブラケットを開くことがインデクセーションだというのがむしろ世界では広く行われておるようであります。 前回にも大島委員にお答えしたわけですが、インデクセーションというのは、たとえばブラジルのように非常にインフレ率の高い国から始まって比較的二けたの物価上昇の続いておりますヨーロッパにおいて、いわば緊急避難的な税制として私は理解すべきではなかろうかということを申し上げたわけでございますが、たびたび御質問もございます、それから御意見もございますし、この前税制調査会長からもお話があったことでございますが、所得税の税制の一環としてもちろん長期的な検討の課題であることは当然でございますし、私どもも税制を取り調べております立場からしますと、当然それは検討の課題であるというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 同じですね。——大臣も同じお考えであると理解をいたします。 時間も幾らもございませんから、あと一、二だけ、ひとつ法人税の性格論について伺いたいと思います。 昨日、正森委員から非常に勉強された、時間をかけたお話を伺いました。私もこの昨年の企業課税小委員会の報告に関連をして、いままでの税調で戦後ずっと述べられた経過なども拾い読みをしながら勉強してみたわけでありますが、昨日も大臣が一番最後に、擬制説、実在説、固定したかたい概念規定というのではなくて、また国際的なその後の新しい状況を踏まえながら研究していきたいということを言われましたが、私も、前の税制調査会の記録を見ておりますと、これは四十三年の長期答申、塩崎さんが主税局長当時、何かみずから筆をとられて努力をされたというようなことも紹介をされております。法人利潤税を採用といいますか、そういう方向への、法人税利潤方式の仮案をつくっていくという努力もなさっている。そういう中では「課税標準は法人の純利潤とする。」あるいは受取配当益金不算入の問題についてもそこに書かれていることは「個人株主については配当控除を行なわず、法人株主の受取配当は益金に算入することとする。」云々というような内容が盛り込まれております。 また、この間誠備に関係をして若干の議論をいたしましたけれども、最近の株式の所有別の状況、五十二年でしたか、証取審の答申で問題点が述べられておりますが、一向にそういう状態は変わっていない、まるで袋小路に入ったような状況というふうなことであろうと思います。 この間もちょっと申し上げたのですが、ある週刊誌を読んでおりましたら、この間当委員会にもお越しいただきました東証の谷村理事長が非常に率直に言われております。「法人株主がふえたことについては、いろいろやむをえない歴史的な経緯がありますが、企業の株の持ち合いには、やはり問題がありはしないか。その一番の大もとは何だろうと」考えてみた結果についてでありますが、「いまや所有と経営とは分離し、経営者革命が起こり、企業というのがあって、その相手方に従業員あり、消費者あり、地域住民あり、と同じような意味で株主あり。」「企業の経営者から見れば株主は単なる資本提供者で、配当でもやっておけばいい、金利を払うのと同じという考え方になってきた。」要するに株主を大事にするというよりも「とにかく企業はおれたちだ、経営陣というものが大事なんだ」という方向に変わってきたというふうな状況を大変通俗的に谷村さんが表現をされております。 そういうようなことを考えますと、昨晩も大臣言われておりましたが、いろいろな面で、概念論争の延長というだけではないさまざまな検討が必要なときになってきているのじゃないか。 この間政務次官のときにお伺いしたのですが、当委員会の大増税法案のいままでの論議に参加をしながらこういうことを感ずるのですよね。目いっぱい現行税制で税率を上げられた、自民党税調も非常に苦労されて一兆四千億近い増税規模をつくられた。そうなってみますと、酒税もそうでしたし物品税もそうでしたが、社会とあるいは国民意識と現在の税制とのずれあるいは矛盾、社会は発展しますからいろいろ起こりますね、税制もあるいは税率も目いっぱい上げた結果そういう矛盾も目いっぱいあらわれてしまったという状況が出ている。いろいろな意味で、今後の税制全体がどうあるべきかということを考えなければならない。そういうことをいままでの審議の経過の中でも痛感をするわけであります。 そういう中の一つとして、昨年の税調報告でも擬制説、実在説いずれかは余り意味がないと言いながら従来の立場を堅持をされている内容だと私は思うわけでありますが、そういうことも含めた法人税制のあり方について、さらに今日的といいますかあるいは今後の時代の展望も含めた検討がなされるべきではないだろうかと思うわけでございますが、いかがでございましょう。
○高橋(元)政府委員 企業の利益処分の中で配当に回る部分というのは現在の配当性向からすれば比較的小さいわけでございます。留保される所得に対してどのような水準の課税をするかということがむしろその税収的な面からの税制論としては一番大きな問題でございます。 続いて、配当課税についてのいわゆる二重課税の調整をどうするかということですが、昨年の中期答申及びその基礎になりました企業課税小委員会の報告では、現在法人の受取配当にしましても個人の受取配当にしましても二重課税の調整アレーは大体半分ないし四割である。これは負債利子控除がございますから、法人の受取配当益金不算入は実際には半分くらいしか効いておりません。そういう税制から、たとえばアメリカないしオランダのように全く調整をしない形へ移っていくとすれば、さまざまな面で問題があるのではなかろうか。もちろん、それはいろいろな御意見もございますし、法人税制自体に内在している問題もございますから、検討は続けていかなければいけないのですが、擬制説がだめだから即実在説で負担調整をしない、こういう税制に移るべし、こういう考え方にはならないのではないか。そこはやはり経済的、社会的また国際経済関係がこれだけ発達してまいった日本でございますから、したがいまして、そういう全体を踏まえてこれから中期的に企業課税、特にその中での配当部分についての二重課税の調整という問題を取り上げていく、そういう意味では、伊藤委員おっしゃいますように、これからも、これだけで終わったわけではなくて、検討課題ではございますけれども、即実在説に立って現在の課税方式を改めよという御意見に対してはこの中期答申は大変消極的な考え方をとっておるわけであります。
○伊藤(茂)委員 もう日没後の短い時間ですから、いずれまたゆっくり議論をさせていただきたいと思います。 最後に一つだけ国税庁に具体的な問題で伺いたいと思います。 もう春が近づいてまいりましたけれども、昨年暮れ以来豪雪の問題が大変深刻な社会問題になっていたわけであります。まだ雪があるうちに必要な対策をお願いしませんとということで、私も雪国生まれでありますからひとつお伺いしておきたいのですが、今回の所得税法の改正の中の災害関係雑損控除、これ自体は結構なことだと思いますが、いろいろと伺いますと、豪雪の控除の問題について運用上いろいろと理想どおりにはいかない、控除を受けたいけれどもなかなかそうはいかないという実情を聞くわけであります。地元のそういう関係者の要望では、今回五万円ですね、この五万円の足切りも廃止をしてもらいたいという要望が参っております。それともう一つは、現実的な運用をしてもらいたい。正確に言うならば、どこかの人に雪おろしを頼んだ場合でも、支払いをし領収書をもらいそれで控除の対象となるというわけでありますが、雪国の実態として、家族だけで雪から家を守れない場合、近くの人に応援を頼んで地域の相場で手間賃やお礼という形で費用を払う、その際相手側に領収書を書かしたり相手側の課税対象にするということがとれるかどうかという実態上の問題がある。また、そういうかっこうで近くの人や知り合いの人に雪おろしを頼んで、大変な重労働ですから終わった後には晩酌をつけて食事を提供するというようなことも実態になっているということも伺うわけであります。あるいはまた、雪おろし用のシャベルか何かを買うというのですね。何か税務署によっては、古くなったものを新しく買いかえるのはいいけれども新しく買うのはどうかというような細々した論争をやっているらしいのですね。これについては国税庁の通達も出ているようでありますけれども、現実的な運用をぜひ図るようにしていただきたい。非常に現実的な御要望でありますが、最後にそれを伺っておきたいと思います。
○小幡政府委員 雑損控除の雪おろし費用の問題でございますが、現実的な対応というお話でございました。一つには、雑損控除の適用を受ける場合には原則といたしましてその支払いを証する書類としての領収書を添付または提示していただくということが法律に書いてあるわけでございますが、私どもの実際的な運用ということにいたしますと、いろいろ御事情がございまして領収書をとれないというふうな場合もあろうかと思いますので、そういうふうな場合には、領収書にかわりまして、要件といたしましては、支払いの年月日と支払いの金額とそれから支払いの先というものがはっきりするようなそういう書類、たとえば家計簿その他のものを示していただいてそういう御説明をしていただければ税務署の方でもそれを認める、こういうふうな取り扱いにしたいと思っております。 それから、雪おろしの際に食費等を支払ったということでございますが、それも実際に雪おろし費用の中にそれが当然入らなければいけないというふうなものであればそういうものも入れて考えたいと思います。ただ、資産の取得ということになりますと、これは直ちに雪おろし費用というふうに見るわけにはなかなかまいらないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても具体的ないろんな問題につきましては遺漏のないように措置をしてまいりたい、かように思います。
○伊藤(茂)委員 国税庁がいらっしゃいますからもう一つ、これは要望なんですが、労働組合とかそれから勤労者団体が各地の税務署を訪問したりいたしまして、担当の係員の方と御相談するときもあると思いますし、それからたとえばいろんな控除の問題とか、それからこちらの方から物価調整を実行せよとか、要望だと思いますが、いろんなかっこうで一年に一遍かできたら二遍ぐらい各地域の組合の組織あるいは勤労者の税関係の組織の方々が税務署長さんと懇談する機会を持ちたいということを全国的にやられているようでありますが、なかなか応じてくれない。何かどこかで聞きましたら、余り一生懸命そういうのに応じている税務署長さんはどうも点数を悪くつけられるらしいとか、そんなことはないと思いますけれども、そんな話もちらほら伝わってくるというようなことがあるわけです。私はさっきの物価調整その他将来いろんな努力をしなければならぬと思いますけれども、現在いずれにしてもクロヨンその他言われている中で勤労者の所得税というものについては非常に切実な思いを多くの人がしているということになるわけでありまして、そういう御負担を願っている方々と親身になって話をする機会をつくり、また意見を聞くということは非常に大事なことだろうというふうに思うわけでありますが、なかなかそうでない実態もあるようであります。これは国税庁の方からほかの納税協力団体なんかと話すこともあると思いますが、そういう勤労者の組織あるいは労働組合などとも税務署長さんが一年に二面ぐらいゆっくり時間をとって意見を聞いたり懇談をするというようなこともぜひやられるように指導していただきたいというふうに思いますが、最後にそれを伺いまして質問を終わります。
○小幡政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、各局、署の実情に応じましてそのそれぞれの機関がそれぞれの組合の関係の方とお話をしながら時間の都合等を見てお会いするところはお会いするというふうにいたしておるわけでございます。いまのお話の趣旨は承りましてまた実情に即した運用ができるように対処してまいりたいと思います。
○綿貫委員長 沢田広君。
○沢田委員 きわめて夜分に及ぶまで御苦労さまであります。限られた時間でありますが、若干質問をして整理をしていきたいと思います。 いままでの質問の中で幾つか提起された問題で、これは大蔵大臣にお答えをいただくのですが、グリーンカードに対して見直しをするということを自民党さんの中でたくさんの議員の方が言われる。これは法律でもう決まったことなのであります。これも不退転というか、政治生命をかけてという表現がいいか、修飾語は別といたしまして、これは法律どおり実施する予定であると解してよろしいですか。
○渡辺国務大臣 グリーンカードはいろいろないきさつがあって、要するに租税の負担公平という点でできたわけですから、これは実施をするという方向でいきたい。ただ、それには、余り誤解をされて、そのために必要以上の不安を起こしたり、あるいはまた極端な徴税強化になって、それでひどいじゃないかという問題を起こしたり、抵抗が強過ぎますから、それらに対する要するに環境整備は、実施と一緒にやるように少し工夫をしなければいかぬ、そう思っております。
○沢田委員 続いて、銀行法は政府は提出をすると、こういうふうに理解してよろしいですか。関連法も含めてです。
○渡辺国務大臣 銀行法につきましては、数年間かかって地方銀行や中小の、たとえば信用金庫とか信用組合とか、そういうような人たちの代表も金融制度調査会の中へ入って勉強してやってきたわけですから、それでつくられたものが、ここへ来ていろんなことを言っておるのですが、それはちょっとおかしいじゃないかということで、そこの団体の幹部とも私は会いました。みんな一〇〇%満点というわけにはいかないんだから、これであなた方の言い分をずいぶん聞いたんだし、ひとつ乗ってもらいたいということを言ってあるのです。ところが、一部にまた、わが党の中にも反対もありまして、それについてはよく説明をして納得を得てもらいたいということでかなり時間をかけて、ひとつ理解が得られるように本当に丁重な質疑応答を繰り返しておるというところでございますが、なるべく早く了解点に達して私は手続をとりたい、上程をしてもらいたい、そう思っております。
○沢田委員 委員長に要望いたしますが、どういう理由であるにせよ、かくも少なき自民党の議席であります。いまの大臣の速記録は、皆様に一応お配りをいただいて、大臣の趣旨が徹底するようにひとつ委員長でお取り計らいを願いたい。
○綿貫委員長 いま食事に行っていますから。
○沢田委員 理由はわかります。けれども、この返事を聞かなかったということはよくないことですから、それは速記録で後で配付していただくようにお願いいたします。いいですね。
○綿貫委員長 聞き及んでおきます。
○沢田委員 聞き及ぶじゃないですよ。これはほかの者に周知徹底をして——じゃ委員長、よろしくお願いをいたします。 続いて、さっきまでの話で、いわゆる公債の二千億は自然体で臨みますと。私はあいにくこの自然体というのがどういう意味なのかわかりませんけれども、かいつまんで言いますと、五十五年度中に——大臣聞いていますか。二千億は自然体という答弁をされたんですね。それに対して、私はあいにく不勉強なものですから、五十五年度に予定をされている公債の発行については、一応それを消化することが政府の義務でもある、だから特別の事情がない限りそれは消化されていく、それが自然体である、こういうふうに解釈をしてよろしいですか。
○渡辺国務大臣 私は技術的なことはわかりませんから、主計局長、でなかったら次長もいないか——いなければ私が答弁しますが、要は、やはり自然体でそれはやらしてもらいたい。
○沢田委員 柔道には自然体というのもあるのですよね。だけれどもそれは、いわゆる自然体というのは、五十五年度の中でこれだけ政府は発行しますと国民なり国会に約束をした債務である。また同時に債権でもある。だから、三月三十一日までの年度末においてその債務あるいは債権、そういうものの継承は、五月三十一日までにこれは消化をされていく、それが政府の責任の自然体である、こういうふうに解するのが、これも本当の自然の解釈ではないか、こういうふうに思うのですが、そのとおりと解釈してよろしいかどうか。
○渡辺国務大臣 私は実務はやっておりませんが、ともかく特別に手を加えたりいろいろな細工をしたりしないで、通常のやり方に従ってやるというのが自然体じゃないかと思います。
○沢田委員 自然体ばかりやっているのですが、結果的に手を加えることをしないということは、いまさっき言ったように、五十五年度中の政府の責任として負わされたいわゆる任務、義務というものは、会計閉鎖期までに執行をする、こういうことが自然体であると、これは事務当局からひとつお答えをいただきたいと思います。——大臣の答弁はわかったのですから、それを具体化する事務当局はどうなんですか。
○渡辺国務大臣 後から来ますから、別な質問を……。
○沢田委員 じゃ、続いて違う方に。 これも大臣にはお答えにくいことかもしれませんが、いわゆる予決令では繰越明許というのが一つありますね。それからこの間の回答ではいわゆる事故別繰り越しがある。しかも、それについて各省庁に大蔵大臣は委任をすることができると、こういうことになっていますね、この中身でいくと。それで、この委任はされたのかどうかということが一つ。それから、十五日以内にその書類を提出しなければならないと——これも後でということですから、二度やると時間を食いますから、後でひとつ、中で耳打ちして言っておいてください。この問題をあと続けられなくなってしまうのですから、じゃこれは後にということにいたします。でないとさっきの話の詰めができない、こういうことになる。 がらっと変わりまして、国税庁の方で、よくサラ金がいま問題になっております。サラ金業者の申告状況は、昨年度でありましょう、はどういう状況になっているのか、概括ちょっとお答えいただきたい。
○小幡政府委員 私どもの方の分類は貸金業という分類になっておるわけでございますが、貸金業につきましてはかねて課税上問題が多いということから、私どもの方は重点調査業種に指定をいたしまして充実した調査を行っているところでございますが、調査事績を申し上げますと、法人税につきましては、五十四事務年度におきまして、調査いたしましたものが千百十件ございます。一件当たりの不正所得が一千三百五十八万三千円ということになっておりまして、一件当たり不正所得の多いものの順番の上位から二番目というふうな業種になっております。それから所得税につきましては、五十三年分につきまして四百六十八件の調査をいたしております。一件当たりの申告漏れの所得が四百八十七万六千円ということでございまして、これも一件当たり申告漏れ所得の多いものを上から並べていきますと十四位という業種になっておる、こういう状況でございます。
○沢田委員 それはそれで終わります。 次に、これも主計になりますかな、確定申告の集計ができているかどうかということなのであります。確定申告の、私が二、三の税務署で聞いた範囲では、おおむね一六%程度の対前年度伸び、赤字もありますから、還付もありますから、今後若干異動する要素はあるだろうと思いますが、おおむねその程度だと言われております。全国的集計もできているはずなんですね、われわれが聞いてもわかるのですから。その点どの程度の前年度対比伸び率になっておるか、ひとつお答えいただきたい。
○小幡政府委員 確定申告の状況はまだ集計ができておりません。大体四月の下旬になりますと全国集計ができるというふうな段取りでございます。
○沢田委員 三月十六日に確定申告をしたんで、還付請求は請求として別にあるとしても、いわゆるアバウトといいますか大体の程度というのはこんなに時間がかかるものですか。今日、税務職員をふやせと言っているところなんだけれども、少しかかり過ぎませんか。しかも、国会でこれだけ問題が提起をされている、普通のときと違う、そういう状況反射が少し抜けていると言うと悪いが、抜けているというのはばかだという意味じゃないですよ、事務がどこか抜けているのじゃないか、そういうふうに思わざるを得ないんですね。これだけ国会でこの問題を議論しているのに、サボタージュしているとしか思えない。もう少し真剣に、十六日になったらじゃ二十日にはどうなったんだ、じゃどう答えたらいいか。やはりそのくらいの真剣さが、公務員が公平であるとするならば当然なされなければならぬ義務ではなかったか、こういうふうに思います。その気持ちも含めてお恥ずかしい次第です、そして申しわけありませんと言うんなら、これもまたこれで一つのあれですが、とにかくその点を含めてお答えをいただきたいと思います。
○小幡政府委員 まことに申しわけございませんけれども、集計ができておらないわけでございますが、これは私どもの方の事務処理といたしまして、こういう大量な集計事務はコンピューターでやる、コンピューターでやるということになりますと入力表、それからコンピューターの作業ということになるわけでございまして、そういうふうなことでいきますと、昔やっておりましたような手作業に比べますと、かえって時間がかかるという状況になっておるわけでございます。いずれにいたしましても、四月の末になりませんと集計は出てまいらないということでございます。
○沢田委員 これはけったいな話ですね。機械の方が遅くなるんだったら機械をやめた方がいいのじゃないかと思う。それは機械にはいろいろな要素を織り込んで報告させようと思うからそういうことになるんだと思う、これは同情的な発言ですよ。あなたの立場に味方して言っている。いろいろな要素を含めて一緒にまとめようと思うからそうなるんで、いま話題になっている問題は伸び率が幾らかということがいまの焦点なんですから、やはり国会の要請にこたえてあなたの方が対応するということでなければ、余りにも国会の論議の中心というものをしらばっくれているんじゃないですか、結果的には。それはどういう気持ちか申しわけありませんとあなた言ったけれども、申しわけないでは済まなくなってしまう。 〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 それで三十一日、あと幾日もないんですから、そういう状況の中でわれわれ法案を通すか通すまいかと思って迷っている点もなくはないんだけれども、そういう状況の中で、しかもそのことの回答が得られないということはきわめて不本意だと思うのですね。それはわれわれ国会をいいようにサル回ししているようなものだ、そういうことになったんでははなはだけしからぬ、こういうことになるわけなんで、これはとにかくきょうじゅうとか、あしたはないのですからあさっての朝までまとめて報告していただけませんか。
○小幡政府委員 再三同じようなことをお答えしてまことに申しわけございませんけれども、これは何ともいたし方のないことでございまして、四月の末になりませんと集計の数字がまとまりませんので、お許しをいただきたいと思います。
○沢田委員 電話をかけたってこんなものは集まりますよ。あした一日電話をかけたって、全国幾つありますか、あした電話をかけたって伸び率ぐらいのものは集計できないことはないですよ。その程度のものぐらいは準備しますと答えるのがあたりまえじゃないですか。ぼくが幾らか丁寧に、言葉をやわらかく物を言っていると、そんなふうに甘く見て物を言うのはけしからぬですよ。それはあした電話をかけたってその伸び率程度だけは把握できるはずですよ。それはあしたでもやってくださいよ。これは大臣も聞いているところだけれども、そんなざまじゃ話にならない。増員どころじゃない、減員だ。だから、そうなってしまうことになるんだから、これは私も若干冗談は入っていますけれども、それは真剣なもので言っているのですから、あなたの方でもあした一日電話をかけたって間に合うのですから、あしたじゅうにでもまとめて、あさっての朝ひとつ努力してみてください。どうですか、努力していただけますか。
○小幡政府委員 何回も同じことしか申し上げられないということはまことに心苦しいわけでございますが、いまの事務処理の体系からいきましてこればかりは何ともいたし方のないことでございますので、お許しをいただきたいと思います。
○沢田委員 十分にしかりおいて、これは事務的にどうにもならぬと言うのですから、今度は事務的にそうでなかったという実証をつくり上げて、あなたが非常に怠慢であったということをつくり出すために今後全力を挙げていきたいと思っております。大臣の方もひとつこういうことは十分に答えられるようにしていただきたい。 そこで、また次にいきます。 誠備グループの問題では、脱税であるとか背任であるとか、銀行法の方の融資規制の問題であるとか、たくさんの問題を含めております。今度、北海道のトヨペットの岩沢さんですかがやめられた。これも背任になるだろうし、そういうことも含めてきわめて憂慮する状況になっております。 そこで、前提となる二、三の問題について聞きますが、この間、私の質問に対しては大手の商社とかその他についてあなたは発表しなかった。ところが、その二日もたたないうちに、二十四日には、ここにあるように「平和相銀が二百万株 誠備銘柄保有先わかる」というふうにきちんと出て、西華産業、石井鉄工所、安藤建設、丸善、こういうことで発表されている。われわれが質問したときには守秘義務だなんということを言っている。ここには、金融機関では大分欠損が出るということも言われておりますし、それから関係筋の調査によりというふうになっております。どうして、この国会で言ったときには、この程度のものに別に発表してはならないものがあるとは思われない。それがこういうふうに出てきているという状況で、われわれが言っていることについてはなるべくなるべく断ろうと、それが善良な公務員だと思っているのかもしらぬけれども、これは重大な誤りだと思っていまして、けしからぬとまずしかっておきますが、そのしかったことについてあなたはどういうふうに考えるかということをまずお答えいただいて、その先について今度は質問をしていきたいと思うので、まずそのことからお伺いをいたします。
○吉田(正)政府委員 先日、金融機関の個別の貸し出しについてはお答えできないということでおしかりを受けたのでございますけれども、本件につきましては大阪信用保証という会社にいろいろの金融機関なり保険会社なりというものが貸し出ししているようなことがございます。それにつきましては、私どももその本体から調べるわけじゃなくて金融機関にこれを一つずつ当たりながら調べているのが実態でございます。そういうようなことで聞いておりますので、根っこの大阪信用保証を調べているわけではございませんので、全体の数字が当たっているかどうかも自信がございませんことが一つございますけれども、個別の案件を申し上げられないと申しますのは、実は銀行法上で大蔵大臣が金融機関から必要なときにいかなるときにおいても報告を求め得るというのは、銀行法の精神から申しますと、預金者保護と信用秩序の維持という見地から金融機関がどういうことをやっているかということを本源的に知るために職務上の権限を大蔵大臣の部下として行使しているのが実態でございます。そういうことでもなければ金融機関は外にも言わないことだと思うのでございますけれども、そういうような実態がございますので、それを知り得たからといって御報告できない、公にすることはできないということで御容赦願ったわけでございます。御容赦いただきたいと思います。
○沢田委員 それじゃなぜこれが漏れるのですか。どこから漏れたのですか。
○吉田(正)政府委員 これはいろいろの関係者がおると思います。大阪信用保証の者もありますでしょうし、証券界もございましょうし、何よりもこれは借りた人たちもいると思います。そういう情報を新聞なりジャーナリストなりそういう人たちが収集したのではないかというふうに想像しております。私どもから一切漏らしておるようなことはございません。
○沢田委員 漏らしてはならないというふうに思い込んでいるのが大体おかしいんで、これだけ社会的に問題になっているのですから、当然社会的な批判というか、社会的な道義というものを守らなければならぬ。特にこの中に、百五人のお得意さんについては二十三日から規制を解除する、こう東証では言っているのですね。二十三日から規制を解除して四月からお得意さんの救済をやる。どういう救済をやるのですか。
○吉本(宏)政府委員 先般、大阪証券信用に関連しまして、一般投資家には迷惑をかけないということを基本にして処理をしたいということを申し上げましたが、誠備グループとは何らの関係のない投資家がございます。こういった投資家が自分の株式を担保に入れまして大阪証券信用からお金を借りる。ところが、その株式がまとめられて金融機関に担保に入っておる、こういう状態になりますと、そういった投資家が担保の株を引き出したいと考えても引き出せないわけでございます。そこで、証券会社が融資をあっせんした投資家に対しましてかわってその株式を調達してこれを投資家に渡す、こういう措置をとるようにしたい、このように考えております。総額としては大体三十億円を予想しているということでございます。
○沢田委員 外務員の責任は裁判外の行為等を行う権限がすべてゆだねられているわけですから、当然こういうようなやや詐欺的なといいますか、のみ行為的なこと、あるいは生糸取引のような行為、あるいは人の金をだまし取ったという詐欺的な要素、こういうものがあるわけですが、裁判以外の一切の権限をゆだねられているこの外務員の処理そのものはどういうふうに処置されたのですか。
○吉本(宏)政府委員 ただいま先生御指摘の外務員と申しますのは、いわゆる歩合の外務員であります。証券会社と契約いたしまして、お客の取引を証券会社に取り次ぐ、その手数料の四割をもらう、こういう契約で仕事をやっておるわけでございます。これにつきまして今回の誠備の問題を考えてみますと、やはり歩合外務員に対する証券会社の統制と申しますか、そういったものが非常に足りなかったのではないか、このように考えております。それならどうしたらいいかということでございますが、これは言うなれば歩合外務員の今後の生活にも関連する問題でございますので、十分慎重に取り扱わなければいかぬというふうに思います。その外務員制度の問題につきまして、今回の誠備グループの問題をどういうふうに今後処理していくかということにつきましてさらに検討を加えてまいりたい、このように考えております。
○沢田委員 これはもう法律で明確に規制されていることなんですよ。外務員はこういう権限を持ってやるんですよ、それに反した行為をやって、生活があるからと言って何か法律の抜け穴をあなた方官僚が勝手につくって法律の規制を緩めるというようなことをこの会議場で言うということ自身がおかしいんじゃないですか。これは完全にいけませんよ、こういうことで、一切の権限がゆだねられてその責任はあるんですよ、こうなっているんでしょう。その責任があるんですというものを、生活があるから——確かにそれは人情論としては成立しますよ。しかし、法律でこれだけのことが書いてあるのはそれだけ責任が重いんですよということなんですから、その責任が重いんですよということを生活があるからずっこけていい、これは国会をばかにしたことだ、法律をばかにしたことだ、法治国家を無視したことだよ。大きなことになっていけばそういうことになるのだ。そういうことを堂々と答弁で言うなんというのはこれまた許されることじゃないと思うのだな。これは厳重に処罰をします。その処罰の中身がどうであるか、これは別ですよ。しかし、生活があるからということだけで何か温情主義をとっていることがいいことのようにあなた思っているけれども、これだけ大ぜいの人に迷惑をかけてそのことが許されることでないことだけは明らかなんです。そういうことは的確にしかも厳正にこういうことが二度起こらないように、中には悪質なのもあるんだから、それはきちんと整理するものは整理する、そういうことがあなたの答弁になるんじゃないですか。首を縦に振っているから答弁しないでもそのことで次にいっちゃってもいいと思っているけれども、一応あなたが出てきていまの言葉を訂正するというその心を私は聞きたいのであります。言葉じゃないんです、心を聞きたいのであります。
○吉本(宏)政府委員 言葉が足りませんでして、本件につきましてきちっとした処置をとることは言うまでもございません。いま加藤外務員は勾留されておりますので事情等を聴取するわけにいかないわけでございますが、法に照らしてきちっとした処置がとられることを期待しておりますし、またわれわれの方としても、証券取引法その他の規定に照らしていやしくも非違がないかどうかということについてはもちろん処置をとるつもりでございます。ただ、外務員制度全般の問題になりますと、これは基本的にいろいろ検討をしなければいかぬ問題があるということを申し上げたわけでございます。
○沢田委員 主計局の方が来たからまたもとへ戻りますか。いいですか。 またやり直すのですが、自然体というところから出発したのです。二千億の未発行の公債は、大蔵大臣は、自然体としていきます、自然体というのは何ですかと言ったら、自然体です、こういう答えなんです。けれども自然体というのは、五十五年度にこれだけ発行しますということを国民に明示し、国会に明示をして政府はそれだけ義務を負ったんだ、そうするとその二千億については当然五月三十一日までに、会計閉鎖期までに消化をされる、こういうものを発行する義務を負っているというか、発行しなければならないという状況のものをあなた方の任務として与えられている、だから自然体というものはそれは当然五月三十一日までには発行しなければならぬのだ、こういうふうに解釈しているんですがいかがですか、こういうことを言ったわけです。
○吉野(良)政府委員 大臣が御答弁申し上げましたいわゆる自然体でございますが、いわゆる国債の出納整理期間発行につきましては従来もう何年間かすでに経験がございます。従来やりましたのと同じような仕方で発行をしてまいる、これが自然体ということの意味かと存じます。したがいまして、本年に限って意識的に作為的と申しますか、何か作為的に特別のことをするという意味ではない、従来と同様適正に処理をしていく、これが自然体ということの意味だというふうに理解をいたしております。
○沢田委員 私は素人ですから、あなたは専門家ですからお伺いしますが、従来で言うと、これは大体二千億ですが、一〇〇%発行するということになるのが従来の慣行ですか、それとも八〇%程度発行されるのが従来の慣行でしたか。慣行で自然体ということを言われるならば、法律上の問題は一応別にしまして、慣行で言われるならば、当然それは自動的に出ていくものだ、当然これは必要な資金を求めるために出ていくものだ、こういうふうに考えているわけですけれども、あなたのおっしゃっている従来の慣行というのは、現実的にはどうだったんですか。
○吉野(良)政府委員 いわば三月末に発行未済になっております公債金額のうち、定量的にその何割程度を出納整理期間に発行をする、そういう定量的な意味での慣行があるということでは決してございませんで、先生もよく御承知のとおりかと存じますが、やはりそのときどきの税収の動向なり、それからまた歳出の不用の面なりをにらみながら適正に発行をしていく、これが従来やってまいってきた処理でございます。
○沢田委員 とにかく、ぼくらにはそれがわからぬの。結果的には、税収を見ながら適正にということになると、税収がうんと入ってくれば発行しないで済ませるという気持ちもあるということですか。
○吉野(良)政府委員 もともとこの出納整理期間発行は、毎年度のいわゆる特例公債法で特に規定を設けていただいているものでございます。申し上げるまでもなく、その趣旨は、いわゆる特例公債でございますから、予算上、発行の権限をいただきましても、これが余分に発行のし過ぎになってはならぬ。したがいまして、いわゆる出納整理期間の六月末まで、その他の歳入歳出の動向を見きわめた上で最終的に発行額を決める、それが特例公債発行下における財政の節度である。そういった御趣旨で、特にこれは特例公債法を毎年度御審議いただいております過程におきましても、国会方面の強い御主張もございましてそういう規定になっているわけでございますから、私どもはそういう規定の趣旨に従いまして、適正に発行をしていかなければならない、かように考えている次第でございます。
○沢田委員 あなたが適正と考えるのか、だれが適正と考えるのか、きわめて主体といいますか主語が不明確ですがね。今度の議長から言われたことは、何ら大蔵省としては手を加えてはならぬぞということまでつけ加えられて、そしてそれぞれ受諾をした。ですから、平易に申し上げれば、出すものは出して、そして出てくるものは出てくるという言葉が自然体というように私は解釈をしているんです。何かそこにこねこねした解釈論が入って、そして出さないものもあるのかもしれないし、あるいは部分的に出るのかもしれぬというあいまいなものではない。それは今度は国会挙げての攻防というか、とにかくそれぞれの党の運命をかけてやってきていることなんです。そのことを、適正という言葉の主語が官僚によって、極端に言えば、適宜に解釈が変わられたんでは、われわれはこれからの審議に本当に重大な影響を感ぜざるを得ない。これは従来もいろいろ言われてきたが、わかりやすく言えば、二千億はほぼ自然増収と帳消しにはしない、そのことが一つの基本になってきている。あなたがどういう法律解釈するかどうかわからぬが、自然増収との帳消しはやらぬ、出すものは出します、そのことによってそれぞれが態度を決めてきたものだと思っております。ここへ来て何かかっこうを変えて、税の自然増収があったならばそれによって帳消しをすると言ったら、きょうのこれからの採決についても、若干われわれ考えなきゃならぬということになります。 ですから、これは大蔵大臣に最後になって聞きますが、自然体ということで言われていますけれども、やっぱり党が運命をかけて決めたことですから、そこで適正とかあるいは慣行とか、言葉は並べればいろいろ出てくるでしょう。結論は、それを消化をして、その結果によって勝負するということでわれわれは決めたものだと思っておりますが、その点はひとつ大蔵大臣が腹をくくって答弁をしていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は財政を預かる者として、一つの方針のもとで予算の執行をしてきておりますが、今回、国会の最高機関である議長の裁定が行われて、その裁定には、総理がかねて申すように、それよりも前に出ることもなければ後に出ることもない、これは裁定どおりにいたしますということでございます。法律が変われば、変わった分はどうか知りませんけれども、そうでない以上は、ともかく本当に誠心誠意、そんな変な小細工は一切弄しない。したがいまして、自然増収は、三月の申告状況がなかなかいいと言う人もありますし、実際のところわからぬわけですよ。そいつがわからないうちに、それは何には充当しませんとか充当しますとか、そういうようなことも含めて私は申し上げられませんので、それは恒例に従いまして、ともかくきわめて自然に処理をいたしますということでございます。
○沢田委員 国税の方へ聞きますが、今度の補正予算は、前年度対比何%の自然増収として組まれたんですか。
○高橋(元)政府委員 税目によってまちまちではございますけれども、トータルの一般会計税収は、五十四年度決算額に対して一四・四%の伸びということに見込んでおります。
○沢田委員 大蔵大臣、これだけお互いが必死の思いで詰めてきたことなんですが、国税の方では十六日の確定申告の結果がまだ集約できない、四月の下旬にならなければだめだと言う。私はあえてそういうていたらくと言っておきますが、これからの国会の審議にも重大な影響を与えるというような状況の中で、各税務署に電話をかけて、前年度対比どれだけの伸びだ、どれだけのマイナスだ、その程度くらいの調査は、担当の事務局としては当然していかなければならない。私たちは、だましもしたくないし、だまされたくもない。これは結論的に言うとそういう気持ちです。お互いが信義を持って実行していくことが、今日私たちに与えられた任務であると思っているんです。結果的に、もしそういう結果が出ることは、私はこの民主政治そのものの根幹にも触れていくことになると思う。ですから、そういう意味においての条件は、私はきわめてよくないというふうに思わざるを得ない。 大臣はそう言っておりますけれども、あえてもう一回お伺いします。その自然体という中身は、これは答えられないのかどうなのか、その辺が私にはわからないのですがね。もっと率直に現在の状況——きょうは二十何日ですか、ともかく三月末になってきている今日の状況からいったならば、この程度は発行せざるを得ないでしょう。それから、繰越明許も決まってきた。また、これは大蔵大臣の委任事項なんですが、各省の事故繰り越しですか、これもそれぞれ十五日以内に報告をするというのですから、ちょっと先ですが、とにかく報告をする。これは委任をすればの話。委任をしなければそれぞれ大蔵大臣がチェックできる、こういうことになっていますね。だから、私は現状で十分に掌握できる条件にあると考えているわけです。あえて何かぼかしているような気がしてなりません。私はこれが誤解であることを期待するのですが、そういう点に対して、何とかここは切り抜けようということでしか考えてないのですが、そういうことでなく、自然体というものは出すものは出して出てきたものは出てきたもので処理する、そういう素直な解釈でいきたい、私はこういうふうに思っておりますが、私はそういうふうな一般市民的な表現で言ったわけです。それが法律的にはどうであるかは別として、このことを実行するためにはそうやっていくことが一番望ましいと思いますが、そういう市民的な感覚で私はあえて質問したわけですが、そう理解してよろしいでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は、きわめて素直に誠意を持って陰もひなたも何もなく物を言っておるのです。当然出すべきものは出す。ただいろいろな特別な細工は用いない、恒例に従って、特別な意地悪いことをやったり、そんなことは一切させない、自然の姿のとおりにやらせていただきます、こういうことでございます。したがいまして、特別な工作は何もいたしません。実際、税収の問題にしても申告状況がいいからといってそれがすぐ納付になるとは限らぬわけですよ。申告してもすぐ現金で払うか、延納措置もあるわけですから、還付もあるわけですから、人によってみんな違うわけですから、それは申告状況ぐらいのものはある程度わかるけれども、現実にそういうような還付のものやら延納のものやら現金納付のものやらいっぱい、何千万件か知らぬがあるわけですから、膨大な機構なので、現実にそれはすぐにと言われましても、言った結果がうそだったということになっても困るわけなので、それは客観的に、時がたてばおのずから解決する話でございますから、そう焦らないでじっとお待ち願いたいと思います。
○沢田委員 大蔵大臣が誠意を持って善処するという決意のようでありますから、私も、大蔵大臣は気骨のある人である、信義に厚い人である、そういうふうに信頼をいたしまして、そのことを確信して進めていきたいと思います。 時間がなくなりましたが、実は銀行局の中で、誠備グループ問題と関連をして、余りいい話じゃないので申しわけないのでありますが、どこの銀行の調査にはどういうものを調べに行くよ、この銀行に行くのにはこういう点を調べに行くよとわざわざ教えている人がいるというのです。これは公務員法上問題があるだろうし、これは若干、銀行局内部の問題でありますけれども、誠備グループ問題と関連しまして、そういう状況が私たちの耳にも入ってきているわけであります。このことはきわめて遺憾なことですから、あえて名前を挙げたりどうであったなんということを具体的に言わないできようはおきますけれども、そういうことが二度と行われないようにやっていただきたいし、それから都市銀行が投資資金調達にかかわっていることの調査を始めたと報道では言われております。東海銀行が橋渡しをしたというようなこともありますけれども、そういうことの調査については実施をしていただけるものと解釈してよろしいですか。
○吉田(正)政府委員 調査を始めたいと思っております。
○沢田委員 調査がある程度進みましたならば、その結果を必要に応じて報告していただける、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○吉田(正)政府委員 調査をいたしますけれども、中身その他をいろいろ見ました上でその御報告の内容もまた決まってくる、かように存じております。
○沢田委員 銀行の中では、役員が五億とか十億とか、そういう金を個人的な名義でこれにつぎ込んでいるということも言われております。これは背任にもなるであろうし、それによって大きな損害をこうむればこれまた犯罪にもつながるということにもなるわけでありまして、その点も含めていろいろここに挙がっております——また相互銀行あたりでは、東京、大阪、仙台に支店を持たないものはそれぞれ融資対象は制限があるというようなこともあるくらいでありますから、それらについても若干違反をして融資しているという例もあるようであります。オブラートに包んだあれになりましたが、十分に調査をした結果について御報告いただきたいし、またそういう役員がいれば、トヨペットの社長じゃないけれども、いまから速やかに首を洗って処理していった方が賢明である、こういうふうなことも含めて調査を進められんことを期待して、私の質問を終わります。 予定より四分早く終わりました。
○大原(一)委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 大変遅くなっておりますし、私の持ち時間は三十三分だそうでございますので簡単に一問だけ、医師税制の問題についてお伺いをしておきたいと思います。 〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 渡辺大蔵大臣は前に厚生大臣もやられておりますし、たしか五十四年当時は金子大蔵大臣と渡辺厚生大臣ではなかったかと思いますので、その意味で大変理解が深いということと、かつては税理士もやっていらっしゃったわけでございますので、五十四年に医師税制を改正いたしましてその後の問題について——この問題というのはきわめて冷静に、国民医療に関係することでありますから、日本の医療が税制を阻害することがあってはならぬ、いまの言葉じゃございませんがまさに自然体、あるいは先ほど総理と堀委員との質疑の中にもありましたように、医療の持つ公共性というのが前に進むようなものでなければいかぬと思うわけであります。そこで私は、五十四年のいわゆる五段階制の医師税制を入れたときに、当時も高橋主税局長でございましたけれども、いろいろな角度からこの問題について論議をいたしました。こういうように五段階で、そして段階別に経費が少なくなっていくという方向にすると、これは医療の縮小再生産になっていかないだろうかということで、ここでは、こういった五段階のやり方というのでは「とにかくなるべく経費を減らす、収入を少なくする、こういう縮小再生産の医療にならざるを得ぬだろうという見方をしているわけであります。」という危険を私は指摘していたわけであります。それで、その後残念ながら、トンネル卸、ペーパーカンパニーの問題あるいは第二薬局と言われる問題、こういった問題が起こっておるわけであります。私は、この新しい医師税制を五十四年から入れたこと、いわばまんじゅうの上から押しつけたのであんこが外に出た、横に出た、こういう感じを受けてならないわけであります。 厚生省にお伺いをしたいのでありますが、いわゆる第二薬局という問題は、厚生省自体が一体どういう動機で調べられるお気持ちになったのか、そして第二薬局なるものは新しい医師税制のもとでそういった件数が多くなったというようなことじゃないかなと私は思っているのですが、その辺の見解はいかがでございますか。
○古賀説明員 お答えいたします。 いわゆる第二薬局と申しますもの、これは十年ほど前からいろいろ取りざたされてきたわけでございます。最近に至りましてこれが非常に増加しておるのではないかというような指摘が国会の方でもございましたので、昨年の十二月に調査をしたわけでございます。いわゆる第二薬局と申しましても、概念が必ずしもはっきりいたしておりませんので、私どもは、仮に定義を下したわけでございます。その一つは、医療機関に近接して設けられておること、それからもう一つは、その医療機関と薬局の開設者との間に親族関係があるか、または医療機関の職員の互助会などが薬局を開設しているというような、そういう定義を下しまして、調査をしたわけでございます。そうしましたら、一千七の第二薬局というものが各都道府県から報告されてまいったということでございます。それで、先生の言われました、一体何がゆえにこの第二薬局がこのようにふえてきたのか、この千七のうち、五十四年、五十五年この二カ年間で約六割の第二薬局がふえておるわけでございますから、五十四年と申しますのは、医師税制が改正されたときということでございますので、その時期と軌を一にするというようなことも考えられますけれども、私どもの調査では、その動機まではわかりませんわけでございます。恐らく、医療機関の経営上の観点から、薬剤部門を分離した方が有利であるというようなことから、第二薬局というものがここ二年間のうちに急増しておるのではないかというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 それは動機までは、私も無理だと思います。ただ、第二薬局というのは、申すまでもなく、形だけは医薬分業になっているけれども、きわめて中身が伴わない医薬分業じゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでございますか。
○古賀説明員 御指摘のように、私どもは、本来の医薬分業という観点から見ますと、やはりそれにもとるものではないか、医薬分業という名に必ずしも値しないのではないかという感じを持っております。と申しますのは、医薬分業と申しますのは、医師と薬剤師がそれぞれの立場から、職能といいますか、その専門的な知識を生かしまして、医師の発行した処方せんをチェックするというようなことで安全性を確保するという面がございますし、それから、薬剤師が医薬品を適正に管理するというようなこともございます。それから、医師と薬剤師が相互に副作用情報などについて交換をするというようなこともございます。それから、その処方せんというものが患者に手渡されることによって、処方せんが公開されるというようなこともございます。そういうような医薬分業の本来のメリットといいますか、長所から見ますと、この第二薬局の分業形態というものは、分業の名に値するかどうかきわめて疑問であるというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 そこで、どうも、私も調べてみた結果、出てきたことにばんそうこうを張るだけというのは、私は余り意味がないと思うのでありますが、どうもこの事態を取り締まるというか規制するというか、第二薬局というのは、いまお話があったように、とりあえず厚生省がそういう概念規定をしたわけで、それはそのことでわかるわけでありますが、法律的にこれをするということになると、これはなかなかむずかしいのだろうと思うのです。そうなると、これを今後規制をしていくというのは、精神としてはわかるけれども、実態上はこれはなかなかむずかしいのではないですか。その点はどうなんですか。
○古賀説明員 私ども医務局でございますので、薬事法という衛生法規を所管しておるわけでございます。その衛生法規によってこのような第二薬局というものを規制するというのは、おのずから限界があるというふうに考えております。したがいまして、私どもは、現在保険局と協議をいたしまして、できるだけ早い時期にこの対応策を考えたいということで、現在鋭意両局で協議をしておるところでございます。
○佐藤(観)委員 そこで、税の専門家であります主税局長にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、高橋さんのように長いこと税をやってまいりますと、必ず取ろうとすればそこから逃れようとする回避行為が行われるのは当然で、われわれもやはり、回避行為が起こらぬような対策といいますか立法と申しますか、あるいはいろいろな意味での環境整備というものをやるわけですね。私は、五十四年の審議のときには、そこまでは言いませんでしたけれども、やはり税金が重くなるということになれば、なるべく、個人申告である個人開業医の方々から見れば、所得を減らす方法を、いい悪いは別ですよ、道徳的にいい悪いは別としても、そういう方法をとるというのは経済的にはわかるわけですね。したがって、このトンネル卸、いわゆるペーパーカンパニーの問題なり、あるいはいわゆる第二薬局と言われている問題、こういった問題で、確かにこれによって節税効果、これは脱税にはならぬと思うんですね、形式は整っているわけですから。節税効果はあると思うわけですね。専門家として、この医師税制を五十四年につくるときに、こういったことはいわゆる租税回避行為と言うのでしょうか、これは起こるなあ——実はペーパーカンパニーにしたって第二薬局にしたって、確かに五十四年以降ふえていることは事実でありますが、それ以前もあったことはあったわけですね。ですから、こういったことがふえるのじゃないのだろうかなということはやはり考えていらしたのではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 そういうようなお話も巷間ありましたが、私ども、実はまことに先の見えない話ですが、そこまで見通しはしておりませんでした。
○佐藤(観)委員 高橋主税局長にしてはちょっと意外な答弁だったので私も戸惑いますが、それじゃ観点を変えまして、五十四年分の所得税の確定申告のときに、実は五十四年の税制改正は四月一日ですから、申告の場合には、三月分まではこの医師税制については旧来の税法でいき、四月以降は新しい税法という、大変ややこしいやり方をやっているので、必ずしも、この五十四年の傾向を見れば、五段階の中で一体どういった所得の方が多かったのだろうかとか、一体どういう傾向が新しい医師税制のもとにあらわれたのだろうかということがまだはっきり出てこぬとは思いますけれども、一応傾向としていまの段階でわかり得ることはどんなことですか。
○高橋(元)政府委員 五十四年に税制改正の御審議を願いました際には、五十二年分のサンプル調査まで大体わかっておったわけでございます。当時、三千万以下の社会保険診療報酬の収入があられる方が全体の特例適用個人開業医の半分ぐらい、二分の一程度。それから三千万と五千万の間の四段階に当たります分が四分の一。五千万を超えます、いわゆる実額経費率に近い五二%、ここに当たられる方が四分の一程度、こう申し上げておりました。最近わかりましたのは、五十四年の申告所得税の実態、それからそれに関連する内部資料等を分析しましたものでございますが、それによりますと、特例適用個人開業医のうち二分の一弱の方が三千万円以下、ここは余り変わっておりません。三千万と五千万の間の方も四分の一をやや欠けた程度でございますが、五千万超の方が三分の一ぐらいにふえておるということでございます。それが一つの動きでございます。それで、五十六年はまだ申告が出ておりませんし、五十五年の申告はまだ分析をしておりません。 それで、もう一つの動きは、五二%という実額経費に近い概算率の適用区分に入ってこられる方がふえてまいったわけですが、そういうこともあるのでございましょうが、特例非適用者、実額も全く青であり、白であり、実額経費を選択される方、そういう方の割合がふえてきております。五十三年に三割台でございましたのが、五十四年には四割台ということでございますから、この措置法の二十六条の規定を使われる方が減ってきて、それだけ実額課税の方に移っておるというのが実情でございます。
○佐藤(観)委員 そうなってくれば、一つ言えることは、実額を取った方が有利だということになってきますと、ここで言うところの租税特別措置法二十六条の中身というのは、五十四年だけの話ですから必ずしも結論的にはそうは言えませんでしょうけれども、だんだんいわば空洞化を始めたということは言えると思うのです。 もう一つは、青色申告ですね。青色申告の方が、私は五十四年の論議のときに言いましたけれども、青色申告がだんだんふえてくるのじゃないですか。
○高橋(元)政府委員 青色の割合は若干ふえてきております。正確な数字は、五十五年以降は推計でございますから、申し上げられませんが、ふえてきておることは事実でございます。
○佐藤(観)委員 先ほど申しましたような理由で、はっきりと新しい五段階制の医師税制の結果というのが数字的にはまだちょっと無理なところがあろうと思いますので、余りその辺のところは追及いたしません。 そこで、大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、あのときにもずいぶん大臣も厚生省側としてタッチを直接され、金子大蔵大臣とやられたと思うのでありますが、いま申しましたように、特例がだんだん減ってくれば、その次に行く段階が青色申告ですね。これならば実額引ける、あるいは奥さんがカルテのいろいろな手助けをするということになればそれも引ける、あるいは退職給与引当金等も看護婦さんの分も引いていかれるというので、それはそれなりに青色申告というのは概算控除方式よりその意味では一歩前進のやり方だと思うのです。 ただ、それでも基本的問題なのは、きょうも堀委員と鈴木総理との中で若干出ておりましたように、お医者さんが個人で食べ、あるいは住み、着、そして遊ぶというような全く個人に属する部分と、医業を継続するために必要な所得というのが全部、渡辺大蔵大臣が医者ならば渡辺美智雄で申告をするという合算になっておるわけですね。それが五千万だ、六千万だ、一億だということになってきますと、言うまでもなく累進でございますから、幾ら経費を引いてみても残りが大変多くなればこれは累進税率がかかってくるということで、その意味ではこの五段階制にいたしましてもいわば個人所得、院長個人の所得とサラリーマンの給与所得に当たるようなものと、会社的に人を常時雇い、いろいろな経費を持ち、それから薬を維持したり、その他の機械を維持したり、新しいものを買ったり、あるいは医療の紛争事故に備えるためのお金が必要になったり、心配をしておかなければならなかったり、こういったようないわば医業を続けるために必要な所得ですね、これとがいま全く合体になっているということ。それは青色申告でも基本的なその矛盾というか、このことは整理できない、このことが五段階制の医師税制に問題なのではないか、私はこういう観点、考えを持っているのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
○渡辺国務大臣 そういうことは言えると思います。言えると思いますが、私は五十一年ですか、厚生大臣をやっておったときに、無制限で七二%控除というやり方は医療荒廃の諸悪の根源である、患者いじめになる。経費がかかってもかからなくてもこれは同じだけの経費を認めるわけですから、いかにして経費をかけないかということに発展をするわけです。架空請求をしても七二%は控除を認めるわけですから、これは非常に問題があるというところから言い出したことであって、そこで当時医療法を改正して、それで医療法人制度をこしらえたらいいじゃないか、もっと直して、むずかしい条件じゃなくて。それを提案した理由というのは、あなたと同じように、やはり技術料としての医者の勤労所得と事業報酬というものとを分離をするということがいいじゃないかということを言ったわけでありますから、青色申告にしても、それは個人の事業の報酬部分と技術の報酬部分が一緒になるということは当然だと私は思います。
○佐藤(観)委員 当然であるはいいのですが、要するにいまのように大変金額が多い方、もちろん少ないお医者さんもいらしゃいますけれども、そういった観点から見、また医療の近代化を進めるために、富士見産婦人科のようなことがあってはいけませんけれども、それなりの機械も必要だろうし、新しい技術を進めていくということも必要なので、そういった医療を前進させる面からいっても、いまちょっと大臣の途中まではずっとああそうかとお聞きしていたのですが、最後になったら青色申告の方に抜けられてしまったのでよくわからない点があるのでありますが、要するに大臣もまさに言われましたような、医者個人の勤労所得と医業を続けていくための所得、これはやはり分離した方がきれいな、そして国民の皆さんにも十分わかるし、いろいろなことが精査できる税制になる、こういうふうにお考えになっていると思っていいのですか。
○渡辺国務大臣 私は当時そういうことを言ったわけですよ。ところが、日本医師会はそれは田舎の税理士の発想でだめだということになりまして、それでいまごろになっていろいろ出てきているらしいが、それは経理の面では分離した方がすっきりするのじゃないか。しかし、これは厚生省の管轄でございますから、どうするかはあちら様で決めればいいことであります。
○佐藤(観)委員 しかし、これは税の方の立場もあるわけでありますから。 それともう一つは、いま大臣言われましたように、きょうも鈴木総理と堀委員とのやりとりの中でもあの武見会長の全面広告が紹介をされたわけでありますけれども、私は医業の深い哲学的な議論まで正直言ってよくわかりませんけれども、医療法人、まあ一人法人にすることが医療を人間対人間の接触にしていかないのだという考え方というのは私は完全に理解できるわけではないので、そのために弁護士なり税理士なりが法人成りできないといういまの枠、これをもう一回考え直す。弁護士、税理士さんは別といたしましても、お医者さんの場合にもひとつこれだけ開業医の方々の収入がふえる、あるいはいまのようなやり方では医業の荒廃につながるというのだったら、私はやはり一人法人というのを認めていくべきではないだろうかということを提起しているわけであります。せっかく大臣、これは厚生省の方の話だということでありましたので、実は五十四年のときにも厚生省にも医療審議会があるから、開業医の方々のあるべき医業の形態ですね、それはみなし法人がいいのか、あるいは青色申告という形でいくのか、あるいは私たちの言っているような一人法人制がいいのか、そういった医業の形態についてもひとつ早急に考えてもらいたいということを言い、当時森課長さん、厚生省の方からは森課長さんが見え、それから当時政務次官は林さんだったわけでありますけれども、ひとつ研究いたしましょうということになっているわけでありますが、その後厚生省の方ではこういった個人開業医の方々のこういった税制面における——税制面に直接行きますと、そこまで行きますと主税局の問題になると思いますけれども、どういうふうに研究されているのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
○水田説明員 先生と私の前任であります森課長との国会での質疑応答につきましては、議事録で勉強さしていただいておりますし、前課長からも引き継いでおる事項でございます。先生も御承知のとおり、一人法人の問題につきましては、医療法というのは衛生法規でございまして、その中で特に現在医療法人というのは大きな病院、診療所の資本の形成とそれから医業の継続のために二十五年に創設された制度でございまして、それを一人法人として拡大するかどうかという問題は、私ども大きな懸案事項であるというふうに受けとめているわけでございますが、私どもこの問題に対処しますためには何をおいても関係団体の中でコンセンサスが得られなければ、行政当局としては非常に対処しにくいという側面を持っているわけでございまして、医療法を改正してその中で対処すべきという声もあることは事実でございますし、また一方において税の問題は税法の中で解決すべきだという主張もございまして、一人法人の問題で先生の御提案の企業としての存続していく場合の資本の形成と個人の生活費の分離という問題を、一人法人という形で解決すべきなのかあるいは税制上で解決すべきなのか、残念ながら現段階、関係団体の方でコンセンサスができてない状況でございますので、私どもやはりもうしばらくこの問題については医療法で対処するかどうかということは慎重に見守る必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 言われることよくわかります。私も、私の案に賛成の方もいらっしゃるので、ひとつそれは医師会も含めてまとめてきてください、そうしないとなかなかこれは実現しませんよということも言っているわけであります。それから、確かに医療法人という大きな概念で余り考えますとこれは大変むずかしいので、むしろみなしという字をつけた方が意味として正しいかもしれません。私もそういうこともわかります。 それから、税の方でいけば、これはなかなかむずかしいので、個人から今度みなしにしろ医療法人を移すときの譲渡の問題とか中にたまったものの配当の問題あるいは相続の問題、これはなかなか大きな山を越えなければいけませんし、もちろんその中身である医療、医業の基礎控除というものは一体どういう性格のものにするか、まあ医療紛争事故が起こりそうな場合の準備金とかそういったものはある程度決められると思いますが、医業の持つ公共性を税法の中である程度の数字なり率なりをはじいていくということは、私もそのこと自体は大変むずかしいことだと思いますが、いずれにしろ、また私は五段階制の医業税制というのは大変な矛盾をはらんでくるというふうに見ておるものですから、十分大蔵省の方でも検討してもらいたいと思うのであります。 大臣、まあ田舎の税理士と言われたけれども、それは大臣が言われたのではなくて、言われたは受け身の言われただといういうふうにとっていただきたいのでありますけれども、私はそこは医師税制の基本の問題だと思うのですね。ですから、そう理解をしていただいて、最後に一言大臣にお伺いをしておきたいのでありますけれども、今会期も五月の二十日までということで大変な法案がまだいろいろと残っておりますけれども、銀行法の改正、国会提出は、新聞によりますと、何か与党の方で大分なかなか大波があって、どうも今国会むずかしいのではないか。しかし、はたから見ますと、大臣も、銀行当局関係者も呼んで、これだ、これしかないんだということで笑ったという、政治的な重みからいってもそんなこと私はあるまいと思っているのでありますが、この銀行法の改正は、いまはやりの政治生命をかけて今国会に提出されるのでしょうか。その点の見解を伺って、終わりにしたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も財政演説の中で、関係者との理解を深めた上で提出したいということを言っておった関係もございますから、できるだけ関係団体と話がつく段階が一番いいと思って自重をいたしておるわけでございます。まあ銀行法については、自由民主党の中でも、この大蔵委員会におる方のように専門家の方で反対しているという人は私実際は聞いたことありません。したがって、私は、そんなに、専門家の方がそう反対してないのですから、そんなおかしな内容じゃないのじゃないかと私も思っておるわけでございますが、やはり専門家以外の人は理解する時間が多少かかるのは仕方がないことでございますから、それは時間をかけてでもこれは早く御理解をいただいて、円満に提出をしたいということで努力をしておる最中でございます。
○佐藤(観)委員 大変心強い答弁をいただきまして、きょうの質問はこれで終わります。
○綿貫委員長 ただいま議題となっております六案中、内閣提出に係る所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○綿貫委員長 この際、堀昌雄君外八名提出に係る所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について発言を求められておりますので、これを許します。沢田広君。
○沢田委員 私は、ただいま議題となっております政府提案以外、社会党の提案になっておりまする法人税法、所得税法並びに租税特別措置法の案に対しまして、特に意見を申し上げる次第であります。 私たちは、今回提出をいたしておりまする法案は、税の不公正を正すという立場から、一部の増税も考え、また減税も織り込んでいるものでありまして、国民各階各層の意見を集約して提出に至ったものであります。 また、今日までの審議を通じて同僚の各委員から多面にわたってこれらの点も指摘されてきた次第でありますので、私はここに簡単に主張点を申し上げる次第であります。 法人税については、いろいろ議論はありますが、大企業の負担能力はまだ十分あるという立場から、累進税率を適用するとともに、日本のこの経済の復興に欠くべからざる中小企業の税の軽減を図る、こういう立場に立ってそれぞれ項目的に提案をいたしている次第であります。 加えまして、日夜働いておられまする勤労階層の通勤費の非課税、夜勤手当の非課税というようなものについては、やはり、クロヨン、トーゴーサンというような条件の中で、特に配慮すべき事項と考えているところであります。 また、キャピタルゲインの課税を強化することも、これまた多くの委員から主張されてきたところでありまして、大蔵大臣の答弁でも、その方向については同一路線をたどっているわけでありますから、これも容認されるべきものと考えております。 加えてまた、長年勤めてまいりました退職手当等の減税についても、また寒冷地手当等の問題についても、十分配慮しなければならない要素があるものと考えております。 一方また、企業におきまする各種引当金等についてはその限度額をさらに引き下げて、そして公正な税制というものへ強化をしていく必要性があるものと考えているわけであります。 所得税につきましては、給与所得者だけが待ったなしの源泉徴収、いままでの質問にも明らかなように、いわゆる申告制度というものがわが国の定着した税制の骨幹になっているわけでありますから、やはりこの申告制度というものとの選択を考えていくということは当然の帰結であります。そういう立場に立って、給与所得者のいわゆる確定申告制度の導入、同時にまた控除限度額の引き上げ、ということはインフレ的な傾向の中の物価調整というものを考えますと、当然考慮されるべき事項と考えているわけであります。 租特関係につきましては、利子配当の総合課税化、医師の特別優遇控除制度の見直し、やめること、それから土地の譲渡所得課税あるいは交際費課税を強めること、さらにまた、若干細かくなっておりますけれども、特定鉄道工事償却、原子力発電工事償却、電子計算機買い戻し損失準備金、渇水準備金などは廃止するべき段階に至っている。また、資本金一億円を超えるような法人の価格変動準備金、中小企業等海外市場開拓、海外投資等損失準備金、金属鉱業鉱害防止、特定ガス導管工事償却、株式売買損失、証券取引責任、商品取引責任、異常危険、原子力損害賠償、探鉱、海外探鉱等の準備金は廃止する段階に至っておるというふうに考えているわけであります。 さらに中小企業に対する法人の税の延納制度等もやはり温かみのある方向を歩むことも必要である。 また、大企業の大型寄付金の損金算入をやめさせることも今日国民の大きな期待を持っているところでありますから、政治の信頼を取り戻すためにもこれらは導入する必要があるというふうに考えております。 わが党は、国民各界の大きな勤労階層とともにこれらの実現を図るために全力を尽くしてまいりたいと思いますので、特にここで意見を申し述べた次第であります。 以上であります。
○綿貫委員長 渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 ただいまの御意見につきましては、今後検討させていただきます。 —————————————
○綿貫委員長 内閣提出に係る所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案について議事を進めます。 この際、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案に対し、それぞれ正森成二君外一名より修正案が提出されております。 この際、提出者より、順次趣旨の説明を求めます。正森成二君。 ————————————— 所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案 法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○正森委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、政府提出の所得税法改正案及び法人税法改正案に対する修正案につき、提案理由並びにその概要を御説明いたします。 今国会の予算委員会及び当委員会の論戦を通じまして、政府が固執する減税拒否の論理が次々と破綻したことは御承知のとおりであります。実質大増税による家計構造のゆがみを総理自身が認めざるを得なくなったこと、政府が主要国中最も高いと称する課税最低限は、購売力平価で比較すれば逆に最低であること、最低生活費には課税しないと言いながら生活保護基準以下の世帯にも課税していること等々がそれであります。財源がないという政府の主張も、二兆四千億円にもふくれ上がった軍事費の大幅削減を行い、大企業優遇の不公平税制の是正を思い切って実行すれば十分可能であることも論証されました。 ところが政府は、かたくなに所得税減税を拒否し続けた上に、酒税、物品税、中小企業法人税などを初め、史上空前の一兆四千億円もの大増税を勤労者、中小業者に押しつけてきたのであります。これは大企業奉仕のばらまき財政と、アメリカの要求に屈した軍拡路線の負担を国民に転嫁するものと言わなければなりません。 この間、自民、社会、公明、民社、新自ク、社民連の六党で五十五年度剰余金を財源とした所得税減税の実施が合意されました。この措置は、減税の完全見送りに比べれば一歩前進であり、わが党も賛成するものであります。しかしながら、減税のための剰余金が出るかどうかいまだ不確定であること、また、単年度限りの措置であることなどの不十分さを持っていることは否定できません。 三月十七日、総理府の家計調査報告は、勤労者世帯の昨年の実質可処分所得が、この統計開始以来初めて前年比一・四%も落ち込んだ旨発表いたしました。物価高騰に加えて社会保険料の急増、とりわけ三年連続の所得税減税見送りがもたらした所得税の実質大増税の進行が家計の苦しさの根源の一つになっていることを改めて明らかにしたのであります。国民生活を守るためにも、現在の消費不況を克服するためにも、わが党の主張している六千億円規模の所得税減税はまさに急務であり、わが党はあくまでその実現を求めるものであります。 また、今回の法人税法改正案では、中小企業にも無差別に一律二%の税率が引き上げられようとしております。史上空前の利益を上げている大企業と異なり、中小企業の倒産件数は、昨年、史上第二位を記録し、一月の倒産件数は過去最高となるなど、いずれの指標を見ても中小企業経営は全く厳しい実態にあり、その格差は深刻かつ広範に広がっているのであります。このような状況から見ると、中小企業への増税はこの際中止すべきであります。 これらの減税による所要財源は、現行の大企業優遇の法人税制を一部是正することで十分充当できるのであります。 以上が、所得税法、法人税法両改正案に対する修正案の提案理由であります。 次に、両修正案の概要について御説明申し上げます。 まず、所得税法改正案に対する修正案では、六千億円の所得税減税の実施を内容としております。五十六年度に本人につき一万二千円、家族一人につき六千円、夫婦子二人の標準四人世帯で三万円の所得税減税を税額控除方式で実施するものであります。税額控除方式を採用することにより、高額所得者ほど有利になる従来の所得控除引き上げ方式に比べ、所得再分配効果を高くしております。 これにより、標準世帯の課税最低限は、現行二百一万五千円に対し二百四十七万円となります。また、所得税本法を改正するので、一年限りの戻し税ではなく、翌年度以降に引き継がれる恒久的措置となるのであります。これらの所要財源は、次の大企業優遇の法人税制の改革による増収額を充当することにしております。 次に、法人税法改正案に対する修正案について申し上げます。 まず第一に、中小企業増税は中止することにしております。政府改正案では、中小法人にも一律二%の税率アップをしておりますが、本修正案は、中小企業と協同組合など特別法人の軽減税率を現行どおりに据え置くとともに、中小企業軽減税率の適用範囲を政府案八百万円から一千万円に引き上げることとしております。 第二に、法人税制に段階税率を導入することといたしております。巨額の利益を上げ、担税力のある大企業には一般より若干高率の税負担を課す緩やかな段階税率を導入することは、税の公平の見地から必要な措置であります。 その内容は、年所得五千万円以下の企業は税率四〇%、年所得五千万円超十億円以下四二%、年所得十億円超四四%の税率といたしております。 第三に、法人税法に含まれているさまざまな大企業優遇措置のうち、さしあたり次の二点を是正することにしております。 その一つは、関連会社などからの配当収入には原則として課税しない受取配当益金不算入制度を廃止し、適正に課税しようというものであります。 その二は、株式を時価で発行したときの券面額との差益、いわゆるプレミアムに全く課税しない株式時価発行差益非課税措置を廃止しようとするものであります。 以上、法人税制の改革で所得税減税六千億円の所要財源を確保することとしております。 以上が所得税法及び法人税法両改正案に対する修正案の主な内容であります。 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますよう議員各位にお願い申し上げます。
○綿貫委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。 この際、所得税法の一部を改正する法律案の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 ただいまの修正案につきましては、昭和五十六年度予算に影響を及ぼすことになるほか、現下の財政事情、所得税の負担水準の状況等から見て適当でなく、政府としては反対であります。 —————————————
○綿貫委員長 これより所得税法の一部を改正する法律案、同案に対する修正案、法人税法の一部を改正する法律案、同案に対する修正案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中村正三郎君。
○中村(正三郎)委員 私は、自由民主党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案に対しまして、日本共産党提案に係る両修正案に反対し、三案の政府原案に対しまして賛成の意を表明するものであります。 御承知のとおり、わが国財政は、第一次石油危機後の停滞する経済の中で、景気の回復と国民生活の安定を図るために、あえて大量の公債の発行を行い、わが国経済を高度成長から安定成長へと円滑に移行させる上で大きな成果を上げてきたのであります。 その反面、国の財政は巨額の赤字に陥り、いまだに特例公債を含む大量の公債に依存せざるを得ない状況が続いております。このような状況が今後さらに続くとすれば、高齢化社会の到来やエネルギー確保など、わが国が当面している課題に財政が機動的に対応することが困難になるばかりでなく、国民生活に必要不可欠な行政サービスの水準を維持することすら困難になることが予想されます。 財政には、国民生活の安定と経済の発展を図る上で大きな役割りを果たすことが期待されておりますが、その期待にこたえるとともに、インフレを未然に防止するためには一刻も早く不健全な公債依存体質から脱却し、財政の対応力を回復することが必要であります。まさに財政再建は国民的な緊急課題となっているのであります。 自由民主党が、責任ある与党として、あえて安易な政策を排し、今回、歳出の削減、合理化と税負担の引き上げという、当面は厳しいものの、あすの幸せにつながる道を選んだ理由もここにあるのであります。 このような財政状況を踏まえて、政府は、昭和五十六年度予算におきまして公債発行額を前年度当初予算よりも二兆円減額することとし、このため歳出面でまず徹底した削減、合理化を行ったところであります。 しかしながら、このような見直しを行ってもなお、福祉、文教等の行政水準を維持し、国民生活の安定を図るためには相当の財源が必要とされるところであり、今回やむを得ず、法人税を初め現行税制の枠組みの中で増収措置を講ずることとしているのであります。 ただいま議題となっております三法案の内容を見ますと、所得税法改正案におきましては、きわめて厳しい財政事情にもかかわらず、パート等により家計を助ける主婦や父子家庭の父などにきめ細かい配慮が加えられ、減税が行われることとなっているのであります。 また、雪おろしの費用等についての雑損控除制度の緩和措置が講ぜられることとなっておりますが、これは、今回豪雪に苦しまれた方々にとってまことに時宜を得た適切な措置と言い得ると思います。 次に、法人税法改正案におきましては、財政の現況に照らし、経済の発展に支障を与えることのないよう配意しつつ法人税負担の引き上げが行われることとなっておりますが、一方、厳しい経営環境に置かれている中小法人につきましては、軽減税率の適用所得限度の引き上げが行われ、負担の緩和が図られているのであります。 また、企業関係の租税特別措置の整理合理化につきましては、これまでの措置によりおおむね一段落したと考えられますが、今回さらにその推進が図られることとなっており、交際費課税制度の強化、割引債の総合課税のための措置とあわせ、税負担の公平確保のため一層の努力がなされており、こうした税制に対する国民の理解を得るための政府の姿勢は高く評価されるところであります。 なお、新たに設けられるエネルギー対策促進税制は、わが国の当面する緊急の課題であるエネルギー確保に大きく資するばかりでなく、当面の景気対策の上からも大きな役割りを果たすものと期待されます。 以上、三法案の改正案の内容を見ますと、国民に税負担の増加をお願いせざるを得ない状況の中にあっても、各所にきめの細かい配慮が加えられ、また税負担の公平のための努力も十分なされていると判断されるのであります。 私は、以上述べましたような観点から、これら三法案について、日本共産党提案に係る修正案に反対し、三法律案とも政府原案に賛成の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党を代表し、ただいままで当委員会において審議が行われてまいりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案に対して、反対の立場から討論を行います。 まず所得税法について申し上げます。 今回の提案に含まれている鰥夫控除の新設、パートタイマーの所得の非課税限度の引き上げ、災害雑損控除の改革などは、わが党が年来主張してきたものの一部がようやく政府提案として実現することになったものでありますが、今回わが党の提案している法案と対比しても明らかなように、今日の国民要求からするならば、いま実現すべき不公平税制にかかわる重要問題にはいまだ手も触れられていないことを指摘しなければなりません。 特に、すべての勤労市民が切実に要求している物価調整減税について、その制度化を否定するだけでなく、本年度予算に関連した実行措置もとらなかったことは容認できないものであります。いまや所得税の物価調整措置をとることは多くの国で導入されており、OECDも研究報告を出してその必要性を指摘しているところでありまして、言うならば世界の常識、日本政府の非常識と言わざるを得ないのであります。 また、私どもが年来要求してきた給与所得者の必要経費制度の創設、給与所得者の必要経費の実額控除制度の創設などの改革は拒否する姿勢を変えておりません。 これが所得税法の一部改正に反対する理由であります。 次に、法人税法についてでありますが、反対の理由として、中小企業、公益法人なども大企業並みに一律二%アップにし、上げ率は大企業を上回っていることを指摘しなければなりません。この提案は、税負担の公平、応能原則と相反するものであることは、実効税率における法人税の逆進性、大企業の十六兆円にも及ぶ膨大な内部留保、利益隠しの実態から見ても明らかであります。資本金百億円以上の大企業の実効税率が余りにも低い実態は国民の理解できないところでありまして、これらも大蔵省が依然として実態に合わない法人擬制説に固執しているところに原因があるのであります。 わが党が提案している累進税率の導入、受取配当利益の益金不算入の廃止、各種引当金の一層の合理化などを取り上げようとしない政府提案には反対であります。 最後に、租税特別措置法の一部改正についてでありますが、財政再建のためにも資本蓄積優遇、高度成長型の構造を抜本的に改革して、八〇年代、九〇年代を展望する福祉型税財政が強く要求されているにもかかわらず、その努力がきわめておくれていることを指摘しなければなりません。 しかも、エネルギー減税を新たに採用し、大企業への必要以上のサービスをすることは認められないことであります。 以上の理由により、ただいま議題となっている政府提案三法案に反対することを重ねて表明するものであります。 なお、わが党はこの政府案に対するものとして、全面的な諸課題を含めた三つの法律案を提案し、その実現を主張しております。 ただいま日本共産党提案の修正案が提出されておりますが、わが党は、わが党提出の法律案を実現する立場から、これには賛成できません。 以上、申し上げまして討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 鳥居一雄君。
○鳥居委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、また修正案に対し反対の態度を表明し、討論を行うものであります。 まず、所得税法に関し反対する主な理由は、政府が所得税減税を見送り、勤労者を中心とする国民生活に巨額な実質増税を強いていることであります。 政府は昭和五十六年度を財政再建元年としていますが、国民の前に示された具体的な対応策は、行政改革や補助金整理など歳出削減、不公平税制の是正が置き去りにされたままで、所得税減税見送りによる実質増税、中小企業増税など、財政再建イコール増税という大衆増税路線の押しつけであります。特に所得税減税の実施について、われわれは昨年八月の昭和五十六年度予算の概算要求以来今日に至るまで、一貫して要求し続けてまいりました。 今日のわが国の国民生活、なかんずく勤労者の生活は、去る十七日に発表された総理府統計局の五十五年平均の家計調査報告でも明らかなように、平均六・七%と勤労者の要求よりも低い賃上げ率と、政府見通し六・四%を大幅に上回って八%にも迫る消費者物価の高騰から、実質収入の減少を来しております。加えて所得税減税の見送りは、勤労者に対し一九・一%と二割に近い大幅な実質増税となり、可処分所得の実質減少をもたらしたことから、物価高と並んで家計を火の車に追いやる原因にもなっております。 中でも、五十五年度の賃上げが低い率で済んだことは、勤労者が政府の消費者物価の上昇見通しを信じ、かつ第二次石油危機を労使協調体制で乗り切るために英断を下したことによるものです。事実、わが国は他の先進国に比べて第二次石油危機の被害を最小にとどめることができたと評価されております。 こうした勤労者の英断と節度ある態度及び困窮化する生活に対し、政府が所得税減税の実施などでこたえることは当然の帰結であります。仮にも所得税減税が見送られることは、労使協調体制にひび割れを来すばかりでなく、今後のわが国経済の動向にも、所得の伸び悩みが個人消費の低下につながり、景気の後退を招くという悪影響をもたらし、結果として税収減となり、財政再建の足場さえも崩しかねません。したがって、所得税減税を見送っている所得税法の改正には断固反対するものであります。 われわれは、さきに述べた認識のもとに所得税減税の実施を要求してまいりました。特に公明党・国民会議を初めとする五野党の予算修正要求によって議長裁定がなされ、さらに共産党を除く与野党によって所得税減税に対する合意を見たのであります。この合意事項、特に自民党が所得税減税の実施に歩み寄られたことは一応の評価をするにやぶさかではありません。しかしながら、合意事項が剰余金という枠づきである以上、所得税減税の成否は挙げて政府・自民党の今後の財政運営にかかっております。再度、この場をかりて政府・自民党が所得税減税の実現に最大限の努力をされることを強く要望するものであります。 また、所得税法の改正に当たり、いわゆるパートタイマーなどの非課税限度額を現行の七十万から七十九万円に引き上げられたことは、かねてからのわれわれの要求でもあり、評価をいたします。しかし、われわれの要求は非課税限度額を少なくとも九十万円まで引き上げるものであり、加えて主婦がパートタイマーとして働かざるを得ない理由が、教育費の高騰など諸物価の高騰にあることとあわせて考えた場合、政府案程度の改正で賛成するわけにいかないのであります。 次に、法人税法についてであります。法人税の税率引き上げが中小企業に対して過分の増税をもたらすこと、及び政府の不公平税制の是正に対する取り組みが消極的なことであります。 政府は、法人税率の二%引き上げを図っております。大企業の法人税の引き上げについては、政府税制調査会でも答申していたものであり、われわれもわが国の法人関係税の実効税率が先進諸外国に比べて低いことなどから、その必要性を認めていたものであります。しかし政府の法人税の税率引き上げは、大法人も中小法人も一律二%引き上げるというものであり、その税負担は中小法人がより重くなるというものであります。 特に中小企業は、五十五年の倒産件数が史上第二位を記録し、その勢いは五十六年に入っても衰えておりません。また、景気の後退は中小企業の経営環境をますます悪化させております。このことは、政府の総合景気対策が各方面からの中小企業へのてこ入れを主要な柱とせざるを得なかったことからも明らかであります。しかも中小企業は、法人税の税率引き上げのほかにも、酒税、物品税、印紙税などの引き上げにより負担増を強いられ、経営苦に拍車がかかっております。したがってわれわれは、法人税の税率引き上げについても中小企業の経営に配慮をし、少なくとも軽減税率の据え置きとその適用区分の拡大を要求していたのであります。しかし、政府はわれわれの要求に耳を傾けようともせず、法人税の引き上げを図ることには反対せざるを得ません。 次に、不公平税制の是正について政府は積極的とは認められないのであります。たとえば金融・保険業の貸し倒れ引当金の法定繰り入れ率を千分の五から千分の三に引き下げるものとしておりますが、その方法は、経過期間を設けて行うものとしております。しかし、大蔵省の資料によっても貸し倒れ発生率は千分の一程度とされ、直面する財政状況とあわせて考えると、さらに積極的な取り組みがあってもしかるべきであります。 また租税特別措置についても、課税の公平化を図るためのグリーンカードの実施がいまだにあいまいな部分を残していることを初め、社会保険診療報酬に対する課税の特例についても先年の是正で事足れりとし、着手しようとすらしていないのが実情であります。このように不公平税制の是正に消極的な態度をとり続けていることは、国民の信頼が得られず、とうてい納得しがたいのであります。 また、修正案につきましては、議長裁定を受諾した経緯にかんがみ、修正案提出者と見解を異にしており、残念ながら賛成できません。 以上をもちまして、反対討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 玉置一弥君。
○玉置委員 私は、民社党・国民連合を代表し、政府案における所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに日本共産党提出の同法修正案に対して、一括して反対の討論を行います。 昨年一年間における勤労者の賃金は、消費者物価上昇により実質的には目減りをするという異常の事態となり、一般家庭では生活防衛上選択的支出を大幅に切り詰めなければならず、結果として全般の消費景気が下降、長期にわたって景気は低迷することになったのであります。 また、世界的規模で低成長経済が進行していく中で、わが国経済だけが従来のような比較的高度な成長を続けていくことが困難であり、無理に経済成長を高めるならば、昨今激化している欧米との経済摩擦が拡大し、日本経済全般が崩壊する危険すら生じるのであります。これらのことを踏まえ、私たちは日本経済を長期に安定成長させるために、低成長時代に合った考え方、制度を取り入れていかなければならないのであります。 今回議題の三法については、一、従来からわれわれが主張している現行税制の不公平面に全く手をつけていない、二、中小法人に対して一律に法人税を引き上げた、三、租税特別措置法について、貿易摩擦を拡大する普通自動車の物品税率引き上げを行っている等を主な理由として反対するものであります。現在の日本が置かれている立場、経済情勢について、政府・大蔵省当局の事の重大さの甘い認識に対して不安を覚えるとともに、財政再建の大きな原資である税の自然増収についても期待薄となることを強く警告するものであります。 給与所得者の税負担率が昭和五十年時点で三・六%、以来年々上昇し、昭和五十四年では四・八%となっており、消費者物価上昇からの圧迫も加え、可処分所得の伸びは大幅に低下をしております。総需要の中で占める民間、個人消費のウエートが大きくなった現在、個人消費喚起の政策こそが消費低迷の脱却の原動力となり、税の自然増収による財政の再建につながるのであります。 法人税が今回、中小法人、大法人一律に二%引き上げられますが、法人税収入の実態を見れば税負担率が中小法人三六・二%、大法人三八・八%と余り差がないという矛盾した結果が出ているのであります。中小法人には軽減税率適用の措置があるにもかかわらず、このような状況になっているのは、引当金、準備金が中小法人にとって十分活用できず、結果として中小法人の体質強化が行われていないと考えるのであります。時代の要請に正しくこたえていない政府提出の三案に反対するところであります。 なお、日本共産党から提出されました所得税法修正案についても、制度見直しの内容がわれわれの主張と異なること、法人税についても同様であり、遺憾ながら反対であります。 以上をもって、政府案並びに日本共産党修正案に反対の討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の所得税法、法人税法、租税特別措置法の三法の一部を改正する法律案について反対、わが党提出の所得税法、法人税法両修正案について賛成の討論を行います。 政府提出三法案に反対する第一の理由は、これら法案が国民世論を無視した軍備大増強と福祉切り捨ての五十六年度政府予算案を財政的に裏づける大増税法案となっているからであります。 第二の理由は、政府が国民の切実かつ一致した要求である所得税減税を来年度も見送ったことであります。政府はかたくなに減税を拒否し続け、逆に所得税の自然増収と称して二兆八千億円もの負担増をさせようとしており、これではせっかくのパート減税や寡夫控除の新設も、わずか過ぎて吹き飛んでしまいます。 今般、自民党など六党で、五十五年度剰余金を財源とした所得税減税の実施が合意されました。この措置は、減税の完全見送りに比べれば一歩前進であり、わが党も賛成するものでありますが、減税のための剰余金が出るかどうかが不確定であること、単年度限りの措置であることなどの不十分さを持っています。 国民生活を守るためにも、現在の消費不況を克服するためにも、わが党の主張している六千億円規模の所得税減税はまさに急務なのであります。その立場からわが党は、四人世帯で三万円、計六千億円の所得税減税を税額控除方式で行う内容の所得税法修正案を提案したところであり、その実現を求めるものであります。 第三に、大企業への法人税率の引き上げは当然でありますが、世論を逆手にとって中小企業や公益法人、協同組合などにも一律二%の引き上げをしていることです。勤労者の個人消費の不振は中小企業の営業にはね返り、その倒産件数が増大して、昨年は史上二番目を記録し、一月の倒産件数は過去最高となっています。これとは全く対照的に、大企業は利益を大幅に伸ばしており、大企業と中小企業の格差は深刻かつ広範に広がっているのであります。 法人税制に、わが党修正案のように、巨額の利益を上げ担税力のある大企業には一般より若干高率の税負担を課す緩やかな段階税率を導入すべきです。一方、中小企業等の軽減税率を現行どおりに据え置くとともに、その適用範囲を一千万円まで引き上げるべきであり、これは税の公平を期す立場から当然であります。 第四に、不公平税制の是正が全く不十分であるばかりか、新たな拡大さえされている点であります。 所得課税では、配当控除制度や有価証券譲渡益非課税など大資産家優遇の制度には全く手がつけられていません。また、法人税課税では、各種引当金、受取配当益金不算入制度、配当軽課措置、それに株式時価発行差益非課税措置など、そのほとんどを大企業が利用している諸制度は温存されております。 今回、金融・保険業の貸し倒れ引当金は引き下げられますが、これもわずかであります。大企業の要望したエネルギー対策促進税の新設や物品税新設の見返りとして大手家電業界向けの製品保証引当金の拡充など、逆に不公平の拡大が行われているのが実態であります。 わが党の修正案は、大企業優遇の諸制度のうち、所得税減税に充てるためとりあえずその一部を是正しようとするもので、大多数の国民の要望にこたえるものであります。 以上、政府提出の租税三法改正案に反対、わが党の租税二法修正案に賛成する立場を表明し、討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
○柿澤委員 私は新自由クラブを代表して、ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案に賛成の立場から、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の二法案には反対の立場から討論を行います。また、所得税法、法人税法の改正案に対する共産党提案の修正案に反対の討論をいたします。 所得税法の改正案につきましては、配偶者控除、扶養控除の適用対象者の所得限度額の引き上げ、寡夫控除の新設等、改正の内容は所得税制の合理化として一定の評価ができるものであり、賛成をいたすわけであります。所得税制は、本来その累進構造を用いて課税の公平を実現するのに最良の租税であると言えますが、分離課税方式の導入、特定所得の非課税措置などにより本来の機能が損なわれてきております。また、課税最低限のあり方、税率構造の妥当性、税の捕捉率の業種別、所得別アンバランスなど多くの解決すべき問題を抱えております。その意味で、所得税制の全面的な見直しが必要な時期に来ていることを改めて申し上げておきます。 法人税制につきましても、今回の改正は、すでに何回となく申し上げましたとおり、歳出削減による財政再建ではなく、安易な増税による財政再建路線の一環をなすものであり、賛成いたしかねるものであります。旧来の歳出構造の抜本的な見直しを後回しにして、増税を行うことにより国民経済における政府部門の比率を高めることは、むだを温存、固定化しつつ、政府のいたずらな肥大化を生むだけであり、簡素な政府を主張する私たちの立場からは容認できません。法人税制のあり方など基本論についての議論がなされないままに税率だけを引き上げるという改正内容とあわせて政府の再考を求めるものであります。 租税特別措置法の改正案については、各種の特別償却制度、準備金制度、登録免許税の軽減措置などについて縮減合理化などが含まれており、かねてより問題となっている交際費課税の強化などは評価すべき内容であると考えます。しかしながらその一方で、適用期限切れとなる十六の特別措置について二年延長を行うこととしておりますが、これら単純延長が図られる措置の中には検討を要するものが含まれていることは、税制調査会の答申においても指摘されているところであります。 また、今回の租税特別措置法の改正の一つの主要なポイントである法人税の配当軽課税率等の引き上げは、申すまでもなく法人税法の改正の一環でありますが、この点に関しましては、すでに法人税法改正について申し上げましたとおり、増税路線の一環として反対するものであります。 以上のような観点から、所得税法案には賛成、法人税法及び租税特別措置法案には反対するものであります。 なお、共産党の修正案に関してでありますが、法人税の体系に累進税制を導入すること等により所得税減税を行おうとするものであります。法人税のあり方につきましては議論を深める必要があることは、すでに申し上げたとおりでありますが、所得税減税の原資を求めるための法人税増税は安易に過ぎるものであると考え、反対をするものであります。 以上、私たちの考えを申し述べて討論を終わります。(拍手)
○綿貫委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○綿貫委員長 これより採決に入ります。 所得税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、正森成二君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、本案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、正森成二君外一名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、本案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 続いて、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○綿貫委員長 ただいま議決いたしました三案に対し、小泉純一郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。沢田広君。
○沢田委員 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。 本附帯決議案は、課税最低限及び税率構造を含めた所得税のあり方、年金課税、各種引当金制度、準備金制度等の租税特別措置並びに所得の海外移転に対する税制の整備等について、政府に検討を要請するとともに、税務執行上の公平の確保及び国税職員の定員の増加、処遇の改善等について、政府の特段の努力を要請するものであります。 個々の事項の趣旨につきましては、法案審査の過程において明らかにされておりますので、その説明は案文の朗読によりかえさせていただきます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、左記の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一 今後の所得税のあり方については、社会経済情勢等を踏まえ、課税最低限、税率構造を含め、基本的な検討を行うこと。 一 今後の高齢化社会の進展に伴い、年金に関する課税の合理化等について検討すること。 一 災害雑損控除制度の運用に当っては、その円滑な適用に十分配意すること。 一 貸倒引当金等各種引当金の繰入率等については、引き続き見直しを行うこと。 一 各種準備金、特別償却等の租税特別措置については、その政策目的、政策効果等の実態に即して整理合理化すること。 一 所得の海外移転に適応した税制及び執行体制の整備について検討すること。 一 世論の動向に顧み、税務執行の公平を確保するよう特段の努力をすること。 一 国税職員について、適正、かつ、公平な税務執行の重要性並びに職員の年令構成の特殊性にかんがみ、その定員の増加、処遇の改善等に特段の努力をすること。 以上であります。 何とぞ御賛同賜りまするようお願い申し上げます。
○綿貫委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく三案に対し附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮いたしたいと存じます。 —————————————
○綿貫委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○綿貫委員長 この際、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、理事会等において協議を続けてまいりましたが、その結果に基づき、小泉純一郎君、沢田広君、鳥居一雄君、竹本孫一君及び柿澤弘治君から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブの五派共同提案をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。この際、その趣旨について説明を求めます。沢田広君。
○沢田委員 昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。 御承知のとおり、さきの議長裁定第二項、すなわち、「予算修正問題については、今後における財政再建の目途並びに財政状況の推移を踏まえ、昭和五十五年度の剰余金(予備費、不用額、自然増収など)によって対応できる場合は、各党関係者で実施について具体的に検討する。」との裁定に基づき、過日、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党派間においてその取り扱いを協議いたしました結果、 一、財政法第六条の特例を設け、五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。 二、右の措置は単年度限りとし、議員立法を以って措置する。 との合意がなされました。 本起草案は、この合意に基づきまして、昭和五十五年度の歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例を定めることとしようとするものであります。 以下、本起草案の内容を申し上げますと、財政法第六条第一項は、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととしておりますが、昭和五十五年度の剰余金についてはこの規定は適用しないこととするものであります。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。 何とぞ、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。 なお、右の趣旨に基づき、政府が剰余金の確保にさらに極力努力することを強く要望いたします。(拍手) ————————————— 昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○綿貫委員長 この際、本起草案について、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 ただいまの法律案につきましては、決算上の剰余金の発生の状況が不明であること及び国債償還財源充実の必要があること等からにわかに賛成しがたいものでありますが、院議として決定される以上、やむを得ないと考えます。 以上、内閣の意見を申し上げました。 なお、本法律案に関連して政府に御要望のあった点については、私といたしましては、本問題の経緯を踏まえ、誠意を持って昭和五十五年度予算の適正な執行に努めてまいる所存であります。
○綿貫委員長 昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立総員。よって、さよう決しました。 なお、法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る二十七日金曜日午前九時二十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時二十分散会 ————◇—————