大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1981/03/20
会議録
○綿貫委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 すなわち、ただいま議題となっております三案について、来る二十三日午後一時、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○綿貫委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
○塚田委員 きょうから直税に入りますが、具体的な法案の審議に入る前に総括的な問題について二、三大臣にお伺いいたしたいと思います。 ここ二、三日、日本の政治経済の根底にかかわるいろいろな事件あるいは決定がありました。その中で一番大きいのは、何と言っても十八日の日商総会における総理の発言、あるいはその後の内部的な会合だと思いますが、新聞によると与党の四年生議員の会合とかと言っていましたが、いずれにせよこれは大々的に発表されている。内容は大臣十分御承知のとおり、とにかく行革については政治生命をかけてやる、命をかけるということです。つまり、内閣の運命を全部これにゆだねる、そして増税なき財政再建といいますか、あるいは五十七年度は大型消費税あるいは間接税については導入しない、これは単に総理大臣だけではなくて、経済閣僚の一、二からも同じような発言が相次いでおります。総理大臣が政治生命をかけて大型間接税を導入しない、こう言い切っておるのですから、この際閣僚の一人、特に責任大臣としてこの総理大臣の方針に、これは天の声ですから従うと思いますけれども、大臣としての決意も承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 私はじかに聞いたわけではございませんが、新聞によれば総理大臣はそのようなことを、そういうニュアンスの発言があったと聞いております。 私は、かねて大型増税をやるともやらぬとも、どっちも言っていないわけです。要するに、続けて二年大型増税なんということはむずかしい、これは政治家の常識じゃないか、問題は歳出カットの問題でございます。今回も、私は増税をしたくてやったわけではないのでありまして、やむにやまれずやったことでございます。しかし、予算編成をやってみまして、尋常の手段方法では一兆円以上の二兆円にも近い歳出カットということはこれは言うべくしてむずかしい。政府の長期財政展望も発表いたしてあります。その中で内訳も書いて出してあります。皆さん内訳を見ていた、だいて、内訳が出ないときは国防費でもいっぱいふえるんじゃないかとみんな思っておったらしいですが、そうではないのであって、あの内訳を見てもらえばわかるとおりでございます。あれでも約二兆円近い差額が出てくるわけですから、そういうことを考えて、制度も含めた中で大幅な歳出カットをともかくやるということが先決ではないか、それによって増税がなくて済むというようにすることが一番いいと私も思っております。
○塚田委員 大臣、それは非常に困難だということは十分承知しております。あなたよく言うとおり、総論賛成、各論反対というような、特に与党の中ではそういう声が大きいのですから……。しかし、困難だけれども、総理大臣は命をかけてと言っているのですよ、政治生命をかけてと。だからいままでのような答弁ではだめだと思うのですよ。(渡辺国務大臣「新聞」と呼ぶ)いや、本人が言っているのですよ。きょうは来ないだろうと思いますけれども、彼、この委員会に来ますから、いずれ確かめなければならぬと思いますけれども、しかし新聞とはいうもののどの新聞も一斉にほとんど言ったことを同じように書いているのですよ。この問題は新聞と言って逃げればそれで終わるものじゃないと思うのです。だからいままでのように言うはやすく実行はむずかしいのだという従来の答弁の繰り返しじゃなくて、総理大臣のその決意を受けて、いまここで責任大臣である大蔵大臣は、私も同様な気持ちでおりますとどうして言えないのですか。
○渡辺国務大臣 私も同様な気持ちでおります。
○塚田委員 同様な気持ちは、つまり大型消費税の導入よりも補助金を先頭として——この辺になるとちょっと新聞記事の内容は違ったところがありますけれども、補助金の整理あるいはその他不要な機関の削減、これは政府機関も含めていろいろな、あるいは特に大蔵所管のものはこの際どんどんと切るというようなこともあり得ると思いますから、そういう決意も含めて私は同様だとこう表明したものと思います。違いますか。
○渡辺国務大臣 違いません。
○塚田委員 さらに、いま私は天の声と言いましたね。しかしこれは地の声でもあるのですよ。地の声と言った場合に、私は一般の庶民、労働者、あるいはこの際財界も含めて考えてもいいでしょう。こうなるともう全部なんですね。財界は大型消費税などは論外だ、こう言っているのですよ。これは日経連がはっきり表明しておりますね。あるいは日商で永野さんも同じような意見を言っている。こうなりますと、天の声、地の声そろって大型間接税まかりならぬ、こういう声ですから、もう一度、その声に従って五十七年度予算編成については対処していくということを表明してもらいたいと思う。
○渡辺国務大臣 私も塚田先生と全く同じ気持ちでやっておるつもりです。したがって、私は大型新税を明年度やるということは言ったことはございません。 問題は、税の問題と行政のサービスの問題とはうらはらの問題でございまして、要するにいろんな補助金といってもそれを受けている人があるわけですから、私はたびたび言うように、十四兆五千億の補助金のうち十一兆五千億円くらいのものは社会保障と文教と科学技術と公共事業、その大部分、九〇何%は法律で決まっておる問題でございまして、したがってこれについては全然手をつけないのだということで、その補助金で何千億のものを出せと言われても、これはなかなか言うべくして——あと残っているのは、十四兆から十一兆ですから三兆ですね。ではその三兆というのはむだな補助金かというと、そのうちの国鉄の七千何百億という補助金はむだだからなくしてしまえということを一遍にできるのか。確かにこれは法律ではありません、一番大口ですからばさっと切ればそれは一発で七千億出ますよ。それはどれくらいまで切れるか。農業関係で水田利用再編対策とかいって減反補助金を出していますが、これが約三千何百億出ているわけですから、これを半分に減らすというようなことをすぐできるのかどうか。 例を挙げてみれば、大きいのを一つ二つ言ったわけですが、そういうような問題についてわれわれは極力縮小するようにこれから案を出します。したがって、これについては総論賛成、各論反対ではできない問題でございますから、ひとつ極力国会の皆さんの御協力を得て、その天、地それから塚田先生の声も聞いて、趣旨に沿うようにやらせていただきたいということでいっぱいでございます。
○塚田委員 大臣、補助金は法律事項が多い、そんなことはわかっているのです。だから、大臣は命をかけて秋にでも臨時国会を開いてそういうむだな補助金は削れるような法律的な措置もしなければならぬ、こう言っているのですよ。あなたはそれに対してブレーキになるようなことばかり列挙して、それを除外しようというような姿勢は全然ないのです。そうでしょう。それでなくても会計検査院は補助金の流用あるいは不正支出等については厳重なチェックをしておるし、すでにもう補助金としての用をなさないものあるいはその利用度がゼロのもの等につきましてはどんどん整理するという態勢で来ているのに、大蔵大臣だけがそういうことではだめじゃないですか。そのことを言っているのですよ。だから大蔵大臣は、私どもの所管の面においてはその趣旨に沿うて行政改革をやる、整理をやる、こういう方針を言うのが本当じゃないですか。まるで第三者のように客観的なことを言ったのじゃだめです。これは時間がないので答弁は要りません。 そういうことで、私の気持ちと同じだということをここで確認し、大型消費税あるいは間接税は五十七年度は導入しない、こういう決意だと私は受けとめます。これはいいですな。うんとうなずいたのですから、いいですね。
○渡辺国務大臣 大型消費税は私は導入したくない。(「しない」と呼ぶ者あり)したくない。
○塚田委員 ではひとつそういうことでお願いします。 次に、最近の大きな事件として総合経済対策というのが確立された。この中で公共事業の七〇%以上——七五、七〇、いろいろと議論のあったところだという話ですが、この点について大蔵省としても十分協力する用意があるか。 今度の経済政策の大きな流れは、やはり内需の喚起ということにあると思うのです。どっちかと言うといままでの日本の経済というのは、外需というか輸出入といったものの好転によって支えられた。そこでどうしても内需の喚起をする必要がある。私はその際、個人消費性向というか購買力、これをぐっと底上げしていくことが大きな原動力になると思うのですよ。そしてさらに物価を引き下げる要因にもなる、こう思うのですが、大臣はどう考えていますか。
○渡辺国務大臣 私も同感でありまして、要するに輸出ドライブによって日本の経済をどうこうするといっても、世界じゅういろいろな問題がございますから、やはり経済の維持、発展を図るためには内需を伸ばしていくということは一番大事な柱でございます。
○塚田委員 大臣、十七日に総理府の統計が出たことは御存じだろうと思うのです。この中で、結局勤労世帯は重税と物価と、今度の場合は私はさらに預貯金の金利の目減りを加えたいと思いますが、こういうことで賃金の目減りが激しいという統計が出ているのですよ。これは勤労統計です。 これは大臣が読んでおりますから、余り具体的に深くは触れないと思いますが、たとえば手取りの実収入はマイナス一・四、実収入はマイナス〇・六、これは驚くなかれ、三十九年にこの調査ができてから初めての落ち込みです。この前にマイナスという事例は四十九年にありました。これは第一次石油ショックのときだと思います。つまり史上かつてない——史上かつてないというのは少し大げさですが、少なくとも調査始まって以来ない落ち込みがある。 余り時間をとってはあれですが、その中でこういうことが指摘されておるのです。世帯主の収入の伸びはこのようにマイナスに転じておる、しかしこれをどうにか支えておるのは妻の収入と他の世帯員の収入の寄与度だ、こう書いてあるのですよ。 大臣、これらを総合して、今度の重税あるいは物価、そして金利の問題は後で言いますけれども、こういった問題を含めて、もしわれわれもこの経済総合政策というものに協力していきたいということであるならば、何を一番先にやらなければならぬと考えておりますか、その点ひとつ御答弁願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 日本は戦後非常に順調に経済が伸びてまいりました。特に昭和三十五年以降いわゆる高度経済成長時代というものがあって、もう経済というものは伸びるものだというふうにみんな思い込んでおるわけであります。しかし、そこへ来て第一次、第二次の石油ショックというものがあって、第二次の場合は価格が非常に大幅に上がってから、一バレル二ドル何十セントのときの倍とか三倍とかと違って、もう十ドル以上になってからの二倍、三倍というものは、物価に影響する影響力というのはもっともっと大きい。そのために世界じゅうがもうインフレと失業と、要するに、経常の海外収支の赤字、国内の赤字、財政赤字、それに悩んでおるわけです。日本もその例に漏れない。 アメリカのような場合は日本よりひどい。賃金の目減りは日本の倍ぐらいあるでしょう。イギリスの場合は、賃金の目減りがないと言って誇ったのでありますが、これは物価の値上がり以上にベースアップをやった。その結果は、物価がなかなか下がらなくなってしまって、失業者がうんとふえてしまって、世界で一番、先進国の中では九・・九%というような失業率になってしまった。 日本は二・二とかその程度の失業率で、一番低い失業率。これは労働組合の考え方も違って、残る者が、おれさえよければ人は構わぬという考え方ではなくて、日本の場合は、たとえば首切りが行われるのならば、賃金がそんなに上がらなくても、仲間も首を切らないで一緒に分け合いたいということで、労働組合もそういう思想なんですよ。したがって、そういう点で失業者というものが非常に少なくて済んでおるということも事実です。どれがいいかということは、全体的に総合評価しなければならない問題じゃないか、私はそう思っております。 したがって、今回の賃金が目減りしたことは残念ではあるが、現実の問題として、世界じゅうが貧乏して、アラブとかその他の産油国にばかり富が集まってしまったわけですから、ある程度仕方がないといえば仕方がない、避けられない話であったことも事実でございます。 その中で総合対策を今度やると何が一番かということになれば、何といったってそれは、日本のGNPの中に占めるシェアというのは、個人消費が五〇%以上の寄与度を持っているわけですから、個人消費が伸びていくことが一番大きい問題なんです。それは問題は、何といっても物価の安定だ。したがって、最大の問題は物価の安定、そしてできることならば、適正な生産性の範囲内での適正な賃金配分というものが行われていくことが私は一番いいんじゃないかという気がしております。
○塚田委員 物価の安定に向かって経済政策を集中するということはそのとおりだと思うのです。 あわせて、やはり賃金が上がっていきますと、減税しなければ、これは自然に増税の形になるのですね。これはもう何遍も言われていることですから繰り返しません。そういう意味において、今度五十五年についていろいろ合意ができましたけれども、五十六年に向かって、やはり私どもは本格的な所得減税というものを考えなければならぬじゃないかという点が一つ。 それから第二は、特に勤労者、総理府の統計の中で、私はずいぶん見ましたけれども、こういうことをうたっているのはないのですね。どういうことかというと、どうにかこうにか妻の収入と他の世帯員の収入の寄与度がプラスとなっておる。それは図面で見るとおりです。 そこで私は、来年いろいろと減税を考えるときに、やはり妻の収入、これに対してもっと温かい思いやりをかけるべきではないか、こう思います。今度の所得税の改正で、例の扶養控除、これを上げました。九万円上げたと思いますね。たしか二十が二十九になりました。合わせて恐らくパートタイマーは七十九万円の非課税限度だと思うのです。これをやはり百万円くらいをめどにしてもっと引き上げるべきじゃないか、こう私は思うのです。百万円という数字は社会党の方針として出している数字なんですけれども、なおひとつこの点は引き上げるという方向で検討をする必要があるんじゃないか。いまパートというのは、実際この統計によってももう二百万近い数字になっていますから、そういう点でどう考えておるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは税の理論の上にもいろいろ問題がありまして、委細は主税局長から説明いたさせますが、御承知のとおり、妻として自分の夫の配偶者になって、夫の方の配偶者控除を受けながらというのが問題なんでありますから、そういうことになると、やはり配偶者控除二十九万円、それ以上のものまでも取っておって、それで夫の方の配偶者にあわせてなるということはいろいろな矛盾ではないか。勤労者控除五十万円というものをまず認めているわけですから、その上に二十万円で、七十万円までは妻が所得があっても夫の配偶者としてさらに控除を受けられますよということになっておったものを、今度はぎりぎり九万円まで上げた、そして、七十九万円までは所得があってもその夫の配偶者になれるということなんでございまして、それ以上のものも、妻の分を所得があっても配偶者として認めるかどうかということはまた別な問題ではないか。 それらについては、主税局長から理論的解明をしてもらいます。
○塚田委員 主税局長の答弁の前に……。 私は、五十万と二十九万、合わせて七十九万と言ったのですよ。扶養控除だけじゃなくて、所得控除の方も合わせて七十九万、これをあわせて上げてくれ、だから、所得控除五十万を六十万でもあるいは七十万でも、合わせて百万という線をめどにひとつ考える必要があるんじゃないか、こういうことなんです。
○高橋(元)政府委員 いささか迂遠な議論かもしれませんが、日本の所得税は個人単位、つまり稼得者単位でございます。したがって、だんなさんに収入があり、奥さんにも収入があるという場合には、本来独立してそれぞれに課税をする、これが日本の税制でございます。 アメリカは選択で、イギリスも若干選択を認められておりますが、フランスは世帯単位というふうになっておりますし、ドイツは、これも夫婦単位というような課税方法でございます。 そういう場合には、共かせぎであろうといわゆるパートであろうと、そこに税制の取り扱い上の差はなくて、合算して半分の所得についての税額を二倍にして収めていただく、こういうことでございますからおっしゃるような問題はないわけですが、稼得者単位の日本のような税制のもとで、だんなさんに主たる収入があり、奥さんに若干の収入がある場合に、それは合算して税額を決めるものと考えるべきかどうか、これは基本問題だと思います。 先生がおっしゃいますように、七十九万円、さらには百万円まで、奥さんに収入があっても、それは控除対象配偶者として配偶者控除をする、そうなりますと、奥さんに収入があってこれで課税をしておる、しかもだんなさんの控除対象配偶者である、こういう問題を避けようとしますと、いまの所得者が持っております稼得者じゃない家族、養われている家族についての扶養控除なり配偶者控除というものを基本的に考え直さないとできない問題ということになります。 それから、給与所得控除の五十万円をさらに上げたらどうかという御指摘でありますけれども、これにつきましても、四〇%の給与所得控除というもののもとでの五十万円という最低限度でございますから、これをたとえば七十万、八十万と上げていくことになりますと、その三〇%、つまり百五十万円以上の三〇%の給与所得控除の割合というものをさらに高めなければできないということになってしまって、給与所得控除の持っております、概算の経費控除であり、かつ給与所得と他の所得とのバランスを保つための控除である、こういう基本的な性格を見直さないと、そこから先に進めないという、これは現在の所得税の基本的な制度と抵触をすると申したら語弊がありますけれども、そこにいま基本的な問題を投げかけているような御提案であろうかというふうに考えておるわけであります。
○塚田委員 局長の言う基本的な問題というのは私もわかります。だから、そういうものも含めましてひとつ検討をしてくれということは、大臣、低額所得者についてはいま言われたようないろいろ税制上の矛盾を指摘しながらこれを拒否するという態度を持っていながら、あなたはたしか十三日の閣議の後に記者会見をやっていますね。高額所得者については総合課税の移行過程で、総合課税に移行したらもっとこれは税率を下げるべきだということを言っています。高額所得者には税率を下げるべきだ、そして本当に困っておる、妻と一緒に働いておる、あるいはその他の世帯員で家計を維持しておる人については、税制の矛盾といいますか、それを盾にとってこれに対して温かい措置をとらないというのは一体どういうことですか。大臣、これはうそですか、高額所得者については税率を下げると言うのですから。この点ひとつ大臣に。
○渡辺国務大臣 そういう発言をしたことは事実でございます。私はそう思っておりますから。しかし、低額所得者について私は何もやらぬと言っているわけではないのです。 一つの例を考えますと、いまの所得税がこのままでいいかどうか、非常に私も問題点があると思っております。たとえば、うちの家内が、仮に所得がない、しかし私がこうして代議士でいられるのは、毎日活動してくれている女房に半分以上、六割ぐらい負うかもしれぬ。もし家内がいなければ、代議士に当選できないとか、あるいは家内が何か下働きをやってくれなければ、自分の商売がうまくいかぬとかという人もあるわけです。そういうことになると、妻の場合は所得のない妻というのがあるわけです。しかしその亭主の陰に隠れちゃって、自分の夫の陰に隠れちゃって、夫はその妻がなければその所得が上げられない、しかし、自分、妻自身は所得がないという人とのバランスの問題があるのです。 そうかというと、一般に両方で共かせぎ、いまは共働きですか、そういうのもある。ということになると、やはり二分二乗ということでやった方がいいのじゃないかというような考え方も出てくるわけです。いままでとかなり違ってきておる。ですから、私は今後所得税体制を考えるときにはそういうような問題もあわせて検討したらいいじゃないかと思っている。 たとえば、資産合算というのがありまして、ミノワ先生とミノワ先生の御主人と両方所得があるというとき、どっちが多いか知りませんよ。知りませんが、同居親族で、それによって何かある特定な株とかあるいは不動産収入とか、自分の働いた金で……(発言する者あり)たとえばの話です。ミノワ先生と言ったって共産党の簑輪先生じゃありません、別な、たとえばの話でございますから。そういう場合に、仮に自分の株とか貯金とかがあった場合に、利子所得とかあるいは不動産所得とかあった場合に、自分が働いて税金を納めて残った金で買ったものも主人と合算するんだというようなのも、やはりもう配偶者は所得がないというような前提に立ってつくられているからじゃないか。だから、ここらのところも今度は、考えるときにはやはり一緒に考え直したらいいじゃないか。だから、決して上の人だけどうこうというのじゃなくて、税体系全体についての見直しをやるときにはそういうところも直す必要があるではないか、その一環として私はそのいまの話も申し上げたわけです。
○塚田委員 時間もございませんので、大臣の答弁の中で、高額所得者だけじゃないんだという御趣旨もありましたので、その面で期待をかけながら次に移りたい、このように考えております。 さて、さっきから銀行局長しゃべりたいようですから、そちらから始めます。 今度の公定歩合の決定ですね、新聞あたりでもずいぶん、二転三転のどたばた劇なんというようなことを書いているのですけれども、あっちこっちから、よかった、適切だという声は余りないようですね。あれは遅かった、早かった——早かったというのはないですね、連動の問題とかいろいろな問題についてあれは出ておりますが、一体、今度の公定歩合の決定、なぜこうもたもたしたのか、局長ひとつ御答弁願いたいと思います。
○米里政府委員 お答えいたします。 今度の公定歩合の決定が特にごたごたしたということは私ども全く考えておりません。日本銀行が公定歩合を決められるわけですが、私どもが日本銀行から聞いて承知しております限りでは、公定歩合の幅が最終的に一%と決められたということにつきましては、現在の景気、物価の動向あるいはインターナショナルな問題、いろいろな問題を総合勘案しますとともに、公定歩合というのは多分に心理的な影響のある政策でございますので、そういった意味で、余り下げ幅を小さくして後にいわゆる、言葉は悪いですが、何か残ったような感じが発生するということは、公定歩合の効果そのものも否定することになるというようなことがございますので、そういった意味でいろいろなことを総合的に勘案して一%に決められたというふうに了承しております。 また、それを受けまして、公定歩合が一%下げられた場合他の金利をどうすればいいかということは、私どももいろいろ関係方面と折衝いたしまして、どういう水準になるかということを考え合った。最終的にはもちろん今後の金利調整審議会あるいは郵政審議会によって預貯金金利が決められることになると思いますけれども、そういったことも踏まえながら、よろず今後の長短金利が現状においてどうであろうかということも踏まえて議論しながら、最終的に日本銀行で一%という下げ幅を決定されたというふうに承知しておりまして、特に今度、いままでと違った問題があったというふうにはいささかも考えておりません。
○塚田委員 そういう答弁ですけれども、私は今度の場合特別な要素があったと思うのですよ。それは郵便貯金との関係なんですよ。はっきり言ったらいいでしょう。郵便貯金の下げ幅をどうするかということを、あらかじめ〇・七五あるいはそれ以上下げることはまかりならぬという場合には、それじゃ仕方ない、公定歩合は一%、とにかく郵便貯金を見ながら公定歩合を決めていった、これは間違いない事実でしょう。どうですか、局長。
○米里政府委員 公定歩合は、先ほど申し上げましたように、景気、物価、国際金利の動向その他を総合的に勘案して一%というふうに定められたものでございますし、預貯金金利は、これまた繰り返しになって恐縮でございますが、今後郵政審議会あるいは金利調整審議会で最終的に御判断なさるという問題でございますので、そういった面から公定歩合の幅が影響を受けたということは全くないと思います。
○塚田委員 この際私は郵政省にも聞きたいのですけれども、来ていますか。——いまの自業と民業、この関係の金融制度についてグリーンカード導入等の経緯もありまして、いろいろ議論をされております。しかし私は、郵便貯金というのは文字どおり貯金、銀行は預金、こう言うのですよ。郵便局は郵便預金とは言わないですね。これは言葉だけの問題ではなくて、貯と預、つまり貯というのは蓄財ですよ。将来の不時の支出あるいはいろいろな老後の問題等も考えて貯蓄する。預は預けるですね、引き出しを前提とする短期のもの。こういう観点からいっておのずから連動させるとかあるいは官業、民業で郵便貯金もやるというのはおかしいと考えているのです。 それで郵政省、一体いままで郵便貯金の募集目標といいますか、どういう経緯をたどっていますか、ここ二十年間くらいは。
○山口説明員 御説明を申し上げます。 郵便貯金の増加目標につきましては、過去の郵便貯金の増加傾向あるいは経済情勢あるいは事業経営上の必要性というふうなことを勘案いたしまして目標額を設定しておるわけでありますけれども、最近二十年というお話でございますが、昭和三十六年千四百五十億円でございましたけれども昭和五十五年、本年度は七兆九千億円ということで約五十四倍程度になっております。
○塚田委員 その目標をどうしているか。たとえば二十年前は簡易保険、あれを主目標にしてどんどんと目標遂行のために叱咤激励をした。最近はどうも定額の方に移っておるという傾向なんですけれども、その辺の経緯をちょっと言ってください。
○山口説明員 御説明申し上げます。 私どもこの募集を推進していく際に、一つの手段といたしまして募集目標というものを設定いたしましてその推進を図っているところでございますけれども、ただいま先生御指摘のように、昭和四十五年だったかと思いますが、昭和四十五年からいわゆる定額の新規を一つ中心の柱に据えて、そして募集推進を図ってきているという経緯がございます。
○塚田委員 それは郵政省の自主的な判断ですか、それとも大蔵省の何か示唆といいますか指導といいますか、そういったものがあったからですか。
○山口説明員 御説明を申し上げます。 この募集推進のあり方をどうするかということは基本的には郵政省の問題でございまして、定額新規一本の目標といいますか、それを中心の目標に据えたというのは郵政省が決めたことでございます。
○塚田委員 しかし、それは目標を決めるときには一応大蔵省と協議するのでしょう。
○山口説明員 御説明を申し上げます。 募集の目標額につきましては大蔵省から査定を受けるとかそういった性格のものではございませんけれども、事実上の問題といたしまして大蔵省と御相談をするということでございます。
○塚田委員 したがって、定額貯金に郵便局内部でだんだんと預金がシフトしていくというのは、大蔵省がどういう関係で関与するかは別にしまして、一応大蔵省もそれを歓迎しながら今日に至った、こう考えていいですか。郵政省どうですか。——これはむしろ酷ですね、銀行局長に聞いた方がいいかもしれませんが……。
○宮本(保)政府委員 大蔵省といたしまして定額預金のシェアを高めるというふうなことを私どもから要請したことはございません。ただ、八月に概算要求というのが出てくるわけでございますけれども、郵政省がお出しになりますその額につきまして若干の年度におきまして年末の計画策定時に若干上乗せになったことはございますけれども、それは財投計画に組み入れられます郵便貯金の額でございまして、定額預金についてこちらからどうこうするというようなことはございません。
○塚田委員 それでは郵政省、郵便貯金法の第十二条で郵便貯金の利率の決定についての規定があります。その規定は「利率を定め、又はこれを変更する場合には、郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定と福祉の増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意し、その利益を増進し」云々とありますね。これはつまりこういう精神でむしろ独自性を十分発揮し、そして一般の金融機関の金利というものに留意はしなければなりませんけれども、一般の金融機関の金利、これをよく見きわめながら独自で決める、これが十二条の精神だと思うのですが、郵政省は一体どう考えておるか。
○荒瀬説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御案内ありましたとおり、郵便貯金の金利決定につきましては十二条の前段でもって預金者の利益の増進ということを考慮する、同時にまた後段で一般の金融機関の金利にも配意するということが決められておりまして、これはそのときの経済情勢によりまして双方について配慮するということでございまして、どちらが重点とか重点じゃないという関係ではないわけでございまして、バランスのとれた金利決定と考えておる次第でございます。
○塚田委員 十二条の精神というのはそういうことで、まあ一般の金融機関の預金金利というものがあって、これとのバランスをよくとりながら決定しなさい。その前提としていま言った預金者の福祉の増進とか、あるいは国民経済とかこういった前提があるわけです。ところが、銀行局長、今度の公定歩合の決定では、紛れもなく郵政省とずいぶん長い間協議をしたと思うのですよ。いまの規定から言うと、ずいぶん銀行局は郵政省に干渉するというか、そういった態度が見え見えなんですけれども、これは事実でしょう、どうですか。
○米里政府委員 お答えいたします。 御承知のように現在、郵便貯金の貯金者層というものが銀行預金の預金者層と非常に同質化を強めているということがまず申せようかと思います。いろいろな数字で見ましても、相対的に所得の高い層が郵便貯金の伸び方が非常に高い。その伸び率というのは全体的に民間の金融機関預金よりも郵便貯金は高いわけですけれども、特に所得の高い層が郵便貯金の伸びが非常に銀行預金に比べて高いというようなことがございまして、現実問題として郵便局及び民間の金融機関の利用者層というものが層の同質化をかなり強めておるというような状況であろうかと思います。 一般論といたしまして、およそ一国の金融政策、経済政策を行います場合に主眼となりますのは、あくまでも景気であり物価である。そういったようなときに、現在預金の約七割は個人預金でございます。こういった個人預金がやはり全体の金利水準に伴って変動するということが経済政策全体の上でその有効性を高める上にどうしても必要であるというようなことがございますとともに、またその預金者、貯金者にとりましても、たとえば金利の引き下げ局面におきましては金利収入は利率の変更によって減少いたしますけれども、その結果一国の経済が拡大する、あるいは物価が安定するというような経済政策の効果が出ました場合には、可処分所得の増加なりあるいは物価の安定による実質所得の増加なりという効果が及びまして、結局それが回り回って、一時的な金利収入の減少にもかかわらず、全体としては国民生活の安定あるいは向上にプラスになるんだ、こういう観点からの経済政策あるいは物価対策、景気政策でございますので、そういったような意味合いにおきましては、一般論といたしまして国の金利政策が行われます際には、預貯金金利といえども弾力的に変更するということが結局国民全体のプラスになるんだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○塚田委員 これは答弁になってないのです。私は、あなたがこういう金利決定の過程において少し行き過ぎたのじゃないかということをあなたの反省も含めて答弁してもらいたかったのですけれども、何やらわからない景気の問題についてばらばらと言っておる。これ以上は時間がないので言いませんが、私の意見としては、銀行局も、金利の決定権、公定歩合の決定権は日銀にあるのですから、日銀の中立性は侵さないように、しかも郵政は郵政なりの決定の手順があるのですから、その手順を侵すというようなことのないようにひとつ十分な注意が必要だと思うのです。この点ひとつ注意をして次の問題に移りたいと思います。 きょうは内閣官房が来ておりますので、郵貯懇というのは何ですか、これは。
○石川(周)政府委員 先生御質問の懇談会は、私ども、金融の分野における官業の在り方に関する懇談会と申しております。私ども、長い名前でまことに申しわけないとは思っておりますが、非常に慎重に扱う必要がある問題でございますので、あえて長い名称をつけさせていただきましたが、これにつきましては私ども郵貯懇というふうに略称したことはございません。長くてもこう申し上げておりますし、また一度名前を出せば、この懇談会というふうに申し上げて説明させていただいております。
○塚田委員 郵貯懇と言っておるのは、これは総理大臣の私的な諮問機関なんですが、いみじくもやはりこの長い名前のその性格を言っておるのです。つまりこの中で、ついこの前銀行局長の大蔵省としての見解、これがありましたね。もう逐一読みました。徹頭徹尾郵貯の攻撃です。そういうところからもこれは郵貯懇と——本来ならば、もっとこれは郵貯だけじゃなくて、たとえば政府の金融機関はどうなっておるか、政府系はどうなのか、あるいは中小金融はどうなのか、あるいは住宅金融はどうなのかと、一般的なもっと広い視野から議論すべきが、あるいは意見を出すべきが本当なのです、いま言ったことが本当ならば。ところが、徹頭徹尾初めから終わりまで郵貯だけでしょう。こういう狭い視野で一体この懇談会の目的が達せられるかどうかということなんです。これは意見だけで終わりたいと思うのです。そういうけちな考えを捨ててもらいたい、こう思います。 官房、いま言いましたとおり、郵貯懇というのは、われわれのつけた名前ではない、しかし、いみじくも新聞あたりでは核心を突いた名前、やってきたのはそういうことなんですから。それで、自後はこれを金融懇と、こう改めるように全部にひとつ徹底してください。 そしてこのメンバーは一体どうですか。五名から成っておりますけれども、その人の一々の論文を私は読みました、あるいは書き物を読みました。だれ一人として郵貯について悪口を言わないものはないのです。そういう人を集めたとは私は言いません。だけれども、その辺のやはり、いろいろな意見を吐いている人たちがあるのですから、それを公平に見て人選すべきが本当じゃなかったか、こう思うのですが、どうですか。
○石川(周)政府委員 審議の内容でございますけれども、これは私ども承っておるところでは、委員の方々は金融の分野における官業のあり方という角度からいろいろの方々が持っておられる問題意識を幅広く承りまして、それから何が問題であるかということを各委員の方々が詰めていきたいというふうに運んでいきたいと思っておられるように理解しております。現在のところ、郵政省、大蔵省からヒヤリングをされておりますけれども、その後各分野からいろいろな説明を承る予定にいたしておりますので、それぞれの方々がそういうテーマでどういう問題、何が重大であるか、何を議論してほしいかということを承っている段階でございますので、委員の方々自身は幅広い問題意識を持っておられるというふうに私は理解いたしております。 それから五人の委員の方々でございますが、委員の選考につきましては私直接参画いたしておりませんのでお答えする立場には必ずしもございませんけれども、同じような御質問が予算委員会でもございまして、官房長官からお答え申し上げているところを御紹介させていただきますと、いわゆる三者構成ではなくて中立的な分野の先生に、かつ学識経験豊かな識見の高い方にお願いをしたということでございます。
○塚田委員 それでは、それだけの考えで人選して議論を進めておるというのであれば、これは公開にしたらどうですかね、これが一番なんですよ。実際そういう内容かどうかということを国民に知らしめるためには公開をして議論の内容を生で知らせる、そうなればいろいろと巷間言われている誤解もないと思うのですけれども、どうですか、これは。
○石川(周)政府委員 公開、非公開は、これは私どもが先生方、委員の方々にお願いする問題とやや違う次元の問題のように理解しております。 第一回目の懇談会の席で五人の先生方が公開非公開の件に触れられまして、ひとつここは非公開でいきましょう、そういうことを合意されたのでございまして、その御趣旨は、できるだけ自由に御議論をされたい、つまり舌足らずの部分やお互いわかっておられるところを簡略に議論されているようなところがそのまま出ますと誤解を招くというような面も配慮されたのではないかと思いますけれども、これは五人の先生方の御意思でございますので、懇談会は非公開というふうに運営されておるところでございます。
○塚田委員 これは私の希望ですけれども、そういう意味でこれから公開をしていくという方向でひとつ五人の委員と協議をしながら、とかく予算委員会とかあるいはここにおいてもこういう議論が出てくるのですから、世間ではもっとひどいように見ているのですよ。郵貯懇などという名前がつかないようにするためにはやはり公開をする必要があるし、また七月の答申は郵便貯金だけではなくてもっと広い範囲から結論の出ることを私は期待をして、時間がないのでこの質問を終わります。 さて、その次は租特の問題に移りたい、こう思います。後ほど租特については専門的に同僚議員の方から皆さん方に質問があろうと思いますので、私は総括的な問題について質問をしたいと思います。 租特については、毎年減収額の見積もりといいますか試算といいますか、これが出ております。だけれども、いまだかつて決算といいますか、見積もりに対する実績が示されたことがないのです。実績のない見積もりでは、私ども一体どう議論していいかわからないのですよ。これが正鵠のものか、正しいものか正しくないかという判断はやはり過去の実績を、ずっといままで来た実績をもとにして新しい制度ができるならばそれを加え、そして判断するというのがわれわれの役目なんですけれども、どうして一体実績が出ないのですか。
○高橋(元)政府委員 毎年度予算、税制の御審議の御参考になりますように、各項目につきまして租税特別措置による減収規模を試算の形で表にいたしまして御提出をいたしております。 その試算のやり方と申しますのは、一番最近時点、すなわち一昨年または昨年でございますが、それまでの課税資料それから関連の統計、各省の産業行政についての見込みの計数等を幅広く活用いたしまして、一定の仮定を置いてできるだけ現実に即した見込みというものをつくるように私ども努めておるつもりでございます。 それで、これに対する実績が国会に明らかになってはいないではないかというおしかりでございますが、私ども会社標本調査というのを別途国税庁におきましてかなり広範かつ詳細にやっております。これは標本調査ではございますけれども、標本の抽出比それから標本の方法等はかなり正確を期するようにやっております。それで、租税特別措置の各項目、たとえば準備金でございますとか、償却でございますとか、所得控除、税額控除等でございますとか、そういうものの主要な項目は実績を把握できるということになっておりますので、それに基づきまして別途資本金階級別法人税負担割合試算というのをいままで国会に過去十年ぐらい御提出をしてまいっております。それが租税特別措置による減収額の実績値を示す統計である、実績の御報告であるというふうに私ども考えてきたわけでございますが、ただいま塚田委員から、さらに詳細な実績がなければ租税特別措置の国会での御審議の支障になるではないかという御指摘でございます。私どもも統計上の制約もございますし、先ほど申し上げました会社標本調査と申しますのは、国税庁の事務の都合で二月から一月までという事務年度になっておりますので、したがいましてカバーする年度が違う。税制改正後の平年度の租税特別措置による減収を試算として御報告しておるわけでございますが、それに対応する実績の数値は一年おくれということに相なろうと思うわけでございます。そういうことを御理解をいただきました上で私ども現在御質問いただきまして作業を急いでおるわけでございます。 ただし、ここでお断り申し上げておきたいと思いますのは、個人の関係でございます。個人は一人一人ごとに適用される税率が異なっておりますので、たとえば利子配当のマル優または源泉分離による減収が決算で幾らであったかということになりますと、これはもう各人の申告書を、三千万枚に上ります申告書を全部積み上げて再計算しなければできないわけでございますから、これについて実績を出すということでございましても、これは技術的に無理でありますので、そこは御理解をちょうだいいたしたいというふうに思います。
○塚田委員 法人の方はどうにか標本調査を基礎にして出せる、いまその作業中だ、こういう話で、個人はむずかしい。しかし局長、試算を出すときは一体何をベースにして試算を出しているかということなんですよ。減収試算を出す以上はやはりその理由があると思うのです、それぞれの根拠が。その同じベースでどうして決算出せないのですか、あるいは実績が出せないのですか。それは、時間のずれはやむを得ないと思いますよ。やむを得ないと思いますけれども、しかし減収試算が出る以上は決算ができない、そういうことはないだろうと思う。それじゃあ全くでたらめやっているのかということになるのですね。
○高橋(元)政府委員 でたらめなことを私ども国会の御審議でございますからいやしくもやっておるつもりはございませんのですが、ただいまもおしかりいただきましたけれども、個人の場合でございますと、平均の税率が幾らであるか、その三千万人の納税者の方のそれぞれの限界税率が幾らであるかということを私どもは総体のマクロの課税資料で推計をいたすわけでございますが、それぞれの方々がどのような現実の所得になられたか、利子所得なかりせば、課税があったとすればどれだけの所得税を払われたかということを積算をして実績としてお示しすることは大変むずかしいので、減収額の見込みについての御説明ということであれば十分合理的な御説明ができると思いますが、これに対応する実績ということでございますと、もうとても技術的にはできないということを御理解をぜひお願いしたいと思います。
○塚田委員 私は、減収の見積もり試算はできるという以上やはりそのベースに立って、これは本当に確定的なものではないだろうと思うのです、ラウンドのものだと思いますけれども、出してもらわなければ予算の審議というのはできないのですよ。なぜ私はこれをしつこく言うかというと、これは一般の税金と違うのです。特定の会社なり個人なりに税金をまけてやるんですよ、あるいは政策的に減税をする、こういうものであるから特別厳重にやらなければならぬ、こういう観点に立つんです。決算も出さないあるいは実績も出さない。ずれておる。これじゃ問題にならないんじゃないですか。 それからもう一つ。昭和五十年にこういうのを国会に出しておるのです。ちょっとこっちに来て見てください。昭和五十年租税特別措置減収見積もりの概要、これにはいま出しているような数字だけじゃないのですよ。一応なぜこういう数字が出てきたかという根拠がうたわれておるのです。これが五十年以降忽然として消えたのです。なぜ一体そういうことをやるのですか。その点ひとつ答弁願いたい。
○高橋(元)政府委員 実績についてのお答えからさしていただきます。 これは私どもは作業を急いでおりまして、大体の項目につきましては会社標本調査によります法人税関係の分は、御提出しております項目別の減収額見込みと対応、突き合わせをしておるわけでございますが、現在租税特別措置法四十三条の特定設備等の特別償却、これと税額控除との振り合い等、若干まだ詰め切れない点がございますので、この点を詰めまして数日中にも御提出をするようにいたしたいと思います。 個人の関係でございますが、これはいまも御指摘のございました租税特別措置減収額の見積もり概要という形で前に委員の御要求に応じまして国会に出しておったわけでございますが、御要求がなかったということで、怠っておったというおしかりであれば申しわけないわけでございますが、五十六年分につきましてもできるだけ調整を急ぎまして、これにつきましても御提出をするように図りたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○塚田委員 それでは実績を早急にひとつ出してもらいたい、このように考えております。 次は、租特の中のエネルギー減税の問題についてお聞きしたいのですが、一体減税対象あるいは税制措置対象項目はどういう項目を前提としておるか、これをひとつ説明してください。
○高橋(元)政府委員 これは御審議を願っております租税特別措置法の中にもございますとおり、省エネルギー設備と代替エネルギー設備でございます。非常に漠然としたことを申し上げて恐縮でございますが、省エネルギー設備につきましては、現在設備を法定をしていただいておるわけですが、合わせまして二十二でございます。それを省エネルギー対策促進の必要性が非常に緊急であるということでございますので、これを二十二設備というのに対応した数字で申し上げますと、六十六設備の省エネルギーと十八設備の代替エネルギーというふうに拡大をいたしたい。ただし、ただ広げるだけではございませんで、基準を設けて考えております。 省エネルギー設備でございますと省エネルギー率が高いこと、それから省エネルギーの技術的な点で顕著な改良が行われていること、それから普及がすでにしてしまったものについて特別償却を認めても余り政策的な意味がございませんので、まだ普及が低い。三つの基準で、省エネルギー設備について先ほど申し上げたようなことで設備の拡張を考えておるわけでございます。 代替エネルギーにつきましては、設備の本体、たとえば石炭を燃焼させて従来の重油炉にかえるというようなものでございます石炭燃焼の本体というものはよろしいわけですが、石炭をしまっておきます倉庫とか、私もよく存じませんが、石炭を運送しますコンベヤーのようなものを外しまして、その本体を指定するということを基本的な考えとして設備を選定をして先ほど申し上げたような数字になっておるわけでございます。 中小企業につきましても、一台百十万円以上の機械、設備というものは現在特別償却の対象になりますけれども、その中で特にいま申し上げました省エネルギー、代替エネルギーの設備に類する仕様を持ったものを指定をいたしたいというふうに考えております。
○塚田委員 私は、これは私どもの調査室から出ておる資料に基づいての御質問なんですが、エネルギー資源の消費の節減に直接資するもの、あるいは効率的利用に著しく寄与するもの、あるいは利用にはなはだしく資するもの、あるいは公害防止と、きわめて抽象的なんですね。これじゃ審議できないのですよ。一体こういうものに属するものは何なのかということが大まかにわからなければ審議のしようがないのです。たとえばセメントはこれに入るのか。電力は除いています。これじゃそういうことさえわからないのです。その点最後に答弁いただいて、一体これをどうするつもりか、方針等ももらって、質問を終わりたいと思います。
○高橋(元)政府委員 技術のことでございますから日進月歩でございますし、産業側のこれに対応する真剣な省エネルギーないし代替エネルギー利用の努力というものもまた変遷してまいりますので、御審議願っております租税特別措置法の中ではこれは政令に委任をいたしまして、さらに大蔵省告示をもって指定するという形をとっておりますので、ただいま御指摘になったと思いますが、この際、具体的にどういう設備があるかというお尋ねに対しまして、若干の装置を例示して申し上げたいと思います。 省エネルギー設備でございますと、蒸気のドレーンと申しますか、蒸気を利用しました後お湯が残りますが、そういうものを利用する設備とか、スチームアキュムレーターとか、そういうようなものをさっき申し上げたような相当の品目にわたりまして使いたいと思いますし、高効率の生産設備、プロセス転換の生産設備につきましてもそれぞれ考えております。これらにつきましては、できるだけ内容がわかりますような書類をつくりまして別途申し上げたいと思います。(塚田委員「セメントはどうなの」と呼ぶ) セメントにつきましては、通産省からもあるいはお答えがあるかと思いますが、私が承知いたします限りでは、全体として石炭転換という投資でございまして、これを中心に代替エネルギーで二百億円程度の設備取得を予定しておりまして、これは私どもは減収額の中に含めて計算をして御提出をしておるわけであります。
○塚田委員 これで終わりますけれども、いま言ったセメントの例を私が特に出したのは、この税制は相当広くいわば利用されるというか、あるいは逆に言うと悪用されて、恐らく減収が相当大きくなるんではないかということが予想されます。恐らくいま一兆円くらいの設備投資を考えておるんだろうと思いますけれども、悪用しようと思えば、この条文だけではあらゆる施設が全部入るということも考えられますので、その点は厳格な政令を期待しながら、質問を終わりたいと思います。
○綿貫委員長 大島弘君。
○大島委員 大臣に最初、けさの中曽根長官の発言につきましてお伺いいたしたいと思いますが、その前にちょっと国税庁に聞きたいと思います。 中曽根長官は、来年度からは公務員の新規採用を見合わせるということをけさ言われた。これは国税庁あるいは会計検査院のような歳入官庁にも適用されるお考えなのか、また大臣としてこれをどう思われるかということをお伺いしたいのですが、その前に国税庁当局にお伺いしたい。 現在、法人数、個人所得者数はどんどんふえていく。したがって、実調率もどんどん低下していく、申告納税に悪影響を及ぼす、あるいは会計検一査院に至っては、総定員法によって抑えられていますから、対象法人の八%程度しか検査できない。そういうことで、まず国税庁当局にお伺いしたいのですが、いま国税調査官が一年間大体どのくらい増差額を出しておるわけですか。
○川崎政府委員 一人の調査官がどれだけ税収増差額を上げておるかという計算でございますが、いろいろやり方がございますけれども、一応五千億という計算をしたことがございます。計算のやり方によりますればもう少し少ないんじゃないかという見方もあろうかと思います。
○大島委員 五千億じゃなくて、五千万ですね、一人当たり約。
○川崎政府委員 はい、五千万でございます。
○大島委員 そうすると単純計算して、現在の五万二千の国税職員を一万人ふやすとすると、五千万平均ですから約五千億出る。これに要する人件費は平均して約一割、五百億。四千五百億の差額が出てくる。 本日は会計検査院も呼んでいませんので、会計検査院のことは省略しますが、理屈は同じでございます。特に五十九年からグリーンカード制度、これは大臣にもいつか私本会議で質問しましたが、松戸税務署だけで約二千万枚処理しなくちゃならない。松戸税務署は余り大きな税務署じゃないと思います。これがそういうふうに何千万枚のグリーンカードを整理するために、単なるアルバイトだけの採用によってそれを処理しようと考えているのか。どうしてもチェックということは必要になろうと思う。そういう面について国税庁当局は一体どういうふうに考えているわけですか。
○川崎政府委員 グリーンカードの枚数が一つの税務署で二千万枚というほどにはならないと思いますけれども、かなりになろうかと考えております。したがいまして、私どもとしましてはできるだけ、アルバイトも欲しいわけでございますけれども、定員の増加をお願いしたいと考えておりまして、五十六年度予算でも若干準備要員の増加を認めていただいております。
○大島委員 それでは大臣にお伺いしますが、けさの中曽根長官の発言並びに今後の国税職員の増員について、再度どうお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も新聞で見ただけで聞いたことでもありません。真意がよくわかりません。わかりませんが、何かそういう方法もあるという程度の話じゃないかという気がいたします。
○大島委員 ただいま仮に国税職員を総定員法の別枠で一万人ふやして五千億の税収を上げる、そのための徴税費は約一割というような、たとえばこういう考えにつきまして大臣はどう思われますか。
○渡辺国務大臣 私は単純にそうならないと考えております。
○大島委員 なぜですか。
○渡辺国務大臣 それは要するにいままでの実調結果とかなんかからして、調べた結果がこれぐらい出る、そうするとその何倍調べればこういうように出るじゃないかというところから、私は根拠はそこにあるんじゃないかと思っています。ところが現在の調査というのは一律に全部調査するのでなくて、要するに調査をしない人は五年も十年も調査しないのです。しなくても税歴がよくて、調査してもいつでもよく書いてある、信用のある人です。しかし、しょっちゅう問題ばかり起こしておる納税者というのはあるんですよ。脱税大好きという——大好きと言ってはなんか知らぬけれども、そういうふうにしょっちゅう問題ばかり起こしておる。そういうところは特に目をつけておるわけです。ちょうどこの間の近藤病院のように三年も前に査察で何億もごまかしてつかまったのに、また五年もたたないうちに十何億もごまかしちゃうとかというのがあるわけですから、そういう人は頻繁に一年に二回ぐらい見にいくとかやっておるわけです。したがって、調査に行くところは状況証拠やなんかでねらいをつけて行っているわけですから、だから出るわけですよ。だからその比率で、調査しないところも全部適用になるというようには考えられない。しかし、調査を広げれば税収がふえることもこれも事実。事実だけれども、そういうふうに正比例してふえるということにはならぬのではないか、こう考えております。
○大島委員 正比例してとは私は申し上げませんが、単純計算をすればそういう計算になるじゃないかということで、けさの中曽根長官の、来年度からは一切新規凍結だということについてはひとつ大臣十分慎重にお考えになって、特に歳入官庁につきましては慎重にお考えになっていただきたいということをお願いします。次に、ちょっと技術的なことでございますけれども、イギリス、カナダ、フランスの所得税法には自動的調整制度、いわゆるインデクセーションというものが入りまして、物価の上昇によって実質所得が減少した場合には自動的に所得税を減額しなければならないという制度が、先ほど言いましたようにイギリス、カナダ、フランスに入っておる。わが国においてはそういう規定はない。そういう規定がないから今回のようなこういう大問題が起こったんだと思うわけでございますが、主税局はこのインデクセーション、自動的調整制度というものを所得税法に導入する考えがおありかどうか。もしないとすれば、なぜかということをちょっとお伺いしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 インデクセーションの問題は、いまもお話ございましたように、ヨーロッパ、ドイツを除きますイギリス、フランス、デンマーク、それから米州で申しますとカナダ、南米というようなところにございます。それは私どもよく承知をいたしておるわけでございますが、そういった国々でインデクセーションをやっております実情を見ますと、確かに前年度のCPIが上がりました場合、その上がった率に応じて控除もそれから税率のブラッケットの幅も開いていくという形をとっておるわけでございます。 それが何から来ているかということでございますけれども、発端は南米であったと思います。ブラジルで年に数十%消費者物価が上がっていく。現に七六年から七八年あたりを見ましてもブラジルの消費者物価上昇率は年率四一・五%、それからチリで三年間で一〇三%というような物価上昇でございますから、こういうところで始まった賃金全体を含めましたインデクセーションというようなものが所得税に入ってまいって、それがヨーロッパの中の比較的物価上昇率の高い国、フランス、イギリスというようなところに採用されたものだと思います。イギリスは七六年から七八年の物価上昇は一三・五、フランスが九・五ということで、日本ないしドイツの消費者物価とはかなりの差がございます。そういう制度、つまりブラッケットの幅も開いて、全体が物価に対して中立的な所得税の負担を求めるというようなことが可能か、とうかということになりますと、そこはまたそれぞれの国の歳出構造との関連があると思います。カナダあたりは七七年にインデクセーションを採用してからこの方——年度は間違っておったら後から訂正しますが、年々財政の状況が悪くなってまいりまして、最近では日本に次ぐぐらい国債依存度がふえてきております。 そういうふうに、税の基本的な役割りが資源の配分であるということを考えますと、歳出の需要に適合した堅牢な歳入構造というものを持っておりませんと経済全体を破壊する、国民生活に非常に深刻な影響を及ぼすということになるわけで、現在の日本の税制が歳出を賄っております力というのは、たびたび申し上げておりますように歳出予算の約七割でございます。国債が二六%も出ておる。こういう状況でございますから、財政における借入金の依存度が外国に比べて高いということから、財政全体として日本で基幹的な税制であります所得税についてインデクセーションの導入を考えてよいかと申しますと、私どもは非常に消極的な感じを持つわけでございます。 インデクセーションをやっております国でも、イギリスは七九年からやりましたけれども、七九、八〇と人的控除だけのインデクセーションをやってみたわけでございますが、理論的にはブラッケットについてもやらなければならない。八一年はブラッケットについてもインデクセーションをやるということになりましたが、過般のハウ蔵相の予算演説にもありますように、これはことしはやらないというような提案をしておるわけでございます。やはり財政全体の中で考えていくべき事柄であろうと思いまして、ただいま申し上げましたように私どもはインデクセーションを直ちに採用するということについては非常に消極的な考えを持っておるわけでございます。
○大島委員 インデクセーションの制度につきましていままで検討されてきたこともあると思うのですが、いまのところはいまの答弁のように否定的ですね。それは財政難からですか。それとも制度的に見ていかないということですか。
○高橋(元)政府委員 税制が持っております機能の中で、たとえばしばしば税制のビルトイン・スタビライザーということが強調されることもあります。これは好況になりましてかなり賃金所得が上がっていく場合に、ビルトイン・スタビライザーで税率の高いところにかかっていくことによって自動的にインフレが回避できる、こういう機能も求められているわけでございます。税は資源配分のほかにさまざまな財政政策上の要請を満たす必要があるわけでございますけれども、そういう機能からすればインデクセーションをしいてしまうということは税制が持っておる、ことに所得税制の持っておりますビルトイン・スタビライザー機能と申しますか景気調整機能を犠牲にするわけでございますし、所得の再分配についてもやはり犠牲にするということになると思います。全体、税制の問題としても単に財政難ということだけでなくて、税制にこういうものを自動的に導入することが、いわば私どもの考えから申しますと古典的なと申しますか典型的な所得税の一種の非常に高物価国における緊急避難であるという感じを持ちますので、直ちにこれを導入していいという考え方は持っておらないわけであります。
○大島委員 インデクセーションの問題は一応そうといたしまして、大臣にお伺いいたしたいのでございますが、今度の法人税法改正によって四〇%から四二%、資本金一億以下所得八百万円以下につきましては二八から三〇とそれぞれ二%アップしたのですが、そのときの説明では中小法人に勤務する勤労者が圧倒的に多いからというような説明もあったように思うのでございます。私、大臣にお伺いいたしたいのは、数ではなくて、たとえば年所得五百万というまあまあ普通の所得者が中小企業ではどのくらいおるかといいますと、資本金一千万以下の法人では二二・三%しか五百万円の給料を平均して取ってない。ところが、十億以上の大法人になりますと、この年収五百万のサラリーマンが四三二%もあったということ。特にここで零細事業者、一人から四人ぐらいの本当の零細事業者ですが、大会社より平均して月二十時間多く働いて、しかも大会社の給与の半分にもならない、こういう実態のときにここでこういう中小法人について二%の税率アップということは、結局倒産あるいは人員整理というふうに追い込まれやしないかということにつきまして、大臣はそれは大丈夫だと言えるのかどうか、一度お伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 二%の税率アップというのは所得に対して二%アップをするわけですから、所得のない人や所得が減った人は税額は減るということですね。ともかく、税率を上げれば経営に一切関係ないかというとそうは言えないでしょう。それは所得といっても全部現金で所得が出てくるわけじゃありません、金繰りの問題等もございますから。しかし、私は二%程度のものであればそんな大きな影響はない、そういうように考えております。
○大島委員 それであるならば、私はこれも大臣にしばしばお伺いしているのですが、現在の税率に四〇%、二八%ではなくてさらにその上に多段階的な税率をなぜ設けないのかということを私はお伺いしたいと思うのです。主税局は恐らくこれに対して、そんなことをすれば大法人は企業分割するとか言うでしょう。けれども、仮に十億以上の法人に四%程度の税率アップをした場合、これは資本金でいくか所得でいくかは別問題としまして、そんな企業分割が果たしてできるでしょうか。四%上げたから新日鉄が二つに分かれるとか伊藤忠が二つに分かれるとか、そういうことはあり得ないことだと思うのです。私はここで主税局から入手したアメリカ及びイギリスの法人税の税率適用を見ますと、アメリカは五段階に分かれております。十万ドル以上は四六%の税率を課税している。それからイギリスは三段階に分かれて十三万ポンド以上五二%。この五二%というのはイギリスは日本のように法人事業税がないから高くなっているのでしょうけれども。それでは一遍アメリカのように最初の二万五千ドルは一七%、二万五千ドル超五万ドル以下二〇%、五万ドルないし七万五千ドル三〇%、七万五千ドルないし十万ドル四〇%、十万ドル、日本で言えば二百円としまして二千万円ですけれども、二千万円以上に対しては四六%、これを多段階税率というのでしょうけれども、こういうことをなぜ考えないのか。いわゆる下を向いて歩くことも結構だけれども、上を向いて歩いていただかないと。こういうことがなぜできないのかということを私はお伺いしたいのです。たとえば法人所得に占める二千万円以上の所得金額は約八割になっておるわけです。ちょうどアメリカが十万ドル、これは二千万円ですね。これを仮にアメリカ並みに四六%に引き上げる。二千万円以上全部引き上げるかどうかは別にしまして、仮に二千万円以上についてアメリカ並みにしますと、約一兆の増税が行えます。一応アメリカもイギリスも所得金額でやるのですが、日本ではなぜこういうふうな多段階税率制度ができないのか、こう私たちはたびたびお伺いしているのですが、そのできない理由を一遍説明してください。
○高橋(元)政府委員 分けて申しますと、まず法人税の税率でございますけれども、これは比例税率ということが、どこの国でも基本でございます。カタールとかベネズエラとか、株式会社といえば植民地支配的な先進国から出ておる大企業だというようなところで累進税率をとっておるところもないわけではないのですが、大体の国は、いまお話のありましたアメリカ、イギリスも含めまして中小法人に対する軽課税率というものを、日本では一段階でございますけれども、それを三段階とか二段階に分けて持っておるわけでございます。日本の中小法人の軽課税率がそれではいまのままでは少ないのかという点でございますけれども、これは私ども全体としましてたしか数千億の中小企業に対する政策税制というふうに観念すべきだという昨年の税制調査会の答申もいただいておるわけでございます。そういう意味で今回の税率引き上げにつきましても中小法人に対する軽課税率のメリットはそのまま残して、全体としての税率の水準を二%上げるという形で御提案をしておるわけであります。 それからもう一つのお尋ねは、日本の今度御提案いたしております改正後の税率四二%はアメリカの四六に比べるとまだ四%低いのではないかという御趣旨かと伺いましたが、実はアメリカにも州の法人税がございますが、日本にも県、市町村それぞれの法人の住民税、それから事業税がかかっております。そういうものを含めました総合的な税負担で申しますと、日本の今回改正をいたしました後のいわゆる実効税率は三割配当をいたします法人について五一・五五%でございます。東京、大阪、兵庫、愛知、神奈川だったかと思いますが、超過課税が行われておりますそういう五大都府県にあります法人の場合の実効税率は五三・二四でございます。それはアメリカの四六と州法人税九・六を加えた五一・一八と標準税率の場合でも差がないといいますか、日本は改正後でやや高くなるわけでございますし、ニューヨーク州を例にとって超過課税が行われておる州で比べてみますと、アメリカが五一・四〇に対して日本は五三・二四ということでむしろ高いわけでございますから、なおそこに四%の税率の格差ありという形にはなっていない。市町村、都道府県という地方公共団体と国との法人に対する課税の分け取りの状況が、日本とアメリカとでは異なっておるために、国の法人税の表面税率が低くなっておる。ただし、それは総合的な実効税率という点では差がない、こういうふうにお答えを申し上げたいと思います。
○大島委員 私は、念のために、いま仮に所得二千万円以上をアメリカ並みにした場合にということを言ったので、それがいいかどうか——私が聞いているのは、よく聞いてくださいよ、日本の税制というのは戦後アメリカのシャウプ税制からそもそも端を発しているのです。それでアメリカでは、そういう、いま言ったように応能分担で、高い所得ほど税率が高くなっていく。試みに考えてごらんなさい。トヨタ自動車が二百億、三百億の所得を上げる。それと千万円くらいの所得しか上げないものと同じ税率で不公平でないかということをお伺いしておるのです。
○高橋(元)政府委員 なぜ累進税率というものがあるかということを考えますと、これはしばしばお答えしたことでございますが、個人の場合には限界効用逓減と申しますか、所得が大きくなっていきます場合に、その支出から得られます利益というものは所得が大きくなるほど逓減をするということの上に乗りまして、これは古典的な税理論でございますから委員よく御存じのことでございます、釈迦に説法でありますが、したがって、その場合には個人に所得の再分配という形で高い累進税率をかけていくということだと思います。 法人の場合には、法人がより大きな所得を稼得して、その大きな所得に基づいて流出をしまたは留保をするという場合に、それに限界効用逓減とか所得の再分配ということがあり得るかということでございますけれども、これはさっきもお答えしましたように、国際的な通念として法人税は元来比例税率で、中小法人と認識する所得の限度はございますけれども、中小法人について軽課を設けている。それが下から見ますと累進税率のように見えますけれども、日本の場合でも二段階の累進税率だというふうに考えてもいいわけで、中小法人に対する軽課税率をどうするかという問題として私どもは考えておるわけでございます。
○大島委員 いや、私は法人税率について所得税のような細かいそういう税額を算出せよと言うのじゃないのです。せめて多段階税率、あなたは累進税率と言うけれども、まあこれは言葉はどっちでもいいが、私どもは多段階税率と思っている。現に、これをわが税制の母国であるアメリカでも採用しているわけでしょう。イギリスでも採用しているわけですよ。それがなぜできないのかということ。
○渡辺国務大臣 私もそういう疑問をかつて持ったことがあるのです。しかし、よく考えてみるとなかなかむずかしい。 たとえば、三千億円の資本金の会社が三百億円利益を一年間に出した。この人は五%しか配当できませんね、三百億円利益を出しても。ところが、一億円の会社が一億円利益を出したということであると、五〇%ぐらいの配当ができます。ですから、要するに所得が多いからということだけでよけい税金の税率を高めるというのはいかがなものか、やはり資本金について、資本金の何割超過とか、資本金の二割以上の所得を出したものはもうけ過ぎだから超過累進税を取るとか、四割ももうけたものは、それはもう六割の税金を取るとかというんならば、一つの考え方かもしらない。ところが、それをやってみると、小さい会社の方が利益率高いのですな。それはもう、三千億円の資本金の会社が三千億円利益を出すなんということはほとんどないようなものだ。ところが、百万円の会社が五百万の利益を出すというのはざらにある。ということになると、結局資本金の小さいところが高い税率を受けるという結果に、実態から言うとなっちゃう。それも本当はその方が公平かもしれませんよ。公平かもしらぬが、資本金の小さいところの方が収益力が高いことは事実なんです。そうするとかえって、小さい企業をめんどう見るということと逆の結果になってきちゃうというような矛盾も出まして、それで資本金についての超過累進というのは私は主張するのをやめちゃった、実際は。だけれども、今後いろいろな角度から検討はしてみたいと思っております。
○大島委員 しかし、資本金、仮に言えば十億以上の大法人なんというものは、これはもう同族会社ではないですから、自由に配当するとかということはできない。 それで、いままでずっと主税局の配当性向と内部留保率を見ますと、内部留保率がやはり圧倒的に高いわけですね。一応大体六〇%から七〇%を内部留保として、あとは配当している、あるいは役員賞与に回しているというような現状なんで、そうしますと、繰り返し言いますけれども、そういうふうに、つまり内部留保も非常に持っているそういう大法人が毎年毎年大きな利益を上げていく、それに対して、担税力に応じて税金を納めるというのが税の原則ですから、千万円の所得も二百億の所得の法人も同じだというのはおかしくないかということを、もう一度お答えください。それはあたりまえのことなんですか。
○渡辺国務大臣 それは、たとえば、じゃ二千億の会社が二百億円利益を上げた、それはすぐ納まるじゃないか、こう言いましても、二千億円の会社はやはり一割ぐらいの配当はしないと株主がなかなかついてこないでしょう。そうすると、二百億円では一割配当できないです。法人税で、現在だって半分近いものが持っていかれてしまうわけですから。ですから、やはり資本金基準でどれくらいよけいにもうけたかということにしないと、むしろ不公平になるのじゃないか。 ただ、配当軽課とかそういうような問題点について、現在のように法人同士の持ち合いみたいなものについては配当軽課というのをやっているが、しかし、借金している分は、利息の分は見ないよとかいろいろやっておる。しかし、借金のない企業でという場合はどうなんだというようなことなど、いろいろ検討する材料はあると私は思うのです。あると思うのでございますが、大法人大法人と言ったって、大法人は資本金も大きいけれども従業員も多いのですね。資本金二千億で数百人なんという大法人は、たまにはあるかどうか知らぬが、まず余り聞いたことない。何万とか、従業員等も多い。したがって私は、一概に所得の金額が大きいからということだけで、資本金や従業員の数は関係なく悪者扱いみたいにすることはいかがなものかなという疑問を持っているのです。
○大島委員 これは、しかし、非常に大きな問題であるということと、また、資本金別にするかあるいは所得別にするか、また大法人に対するアップ率をどうするか、これはまた非常に技術的なものですけれども、ただいま大臣から、一応検討に値すると言われましたので、再び主税局長によろしく命じてください。これは大問題だと思うのです。しかも、日本の税法の母国であるアメリカがやっているじゃないか。このアメリカの多段階税率制度がなぜこれじゃ間違いだというのかということで、ひとつ検討を、これは必ず約束していただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 国の制度、それからいろいろな中身等の違いは私はつまびらかにいたしておりませんが、アメリカがやっていて非常にいいんなら何でやらぬかという素朴な疑問をわれわれも持ちますよ。ですから、明快に答えられるように勉強をさせます。
○大島委員 続きまして最後に、時間もございませんので、五十六年度、五十七年度、五十八年度、五十九年度の税収見込みについて主税局長にお伺いしたいと思います。 まず、五十六年度の税収見込みですが、税制改正が成立したとした場合にどれだけの税収見込みになるかということですが、これは五十六年度は翌年度ですから、租税弾性値を使わないで個々の税率、個々の税目別にやっているわけだと思うのです。そのうちで私はお伺いしたいのは、法人税の伸び率、所得税の伸び率、それから酒税の伸び、この三つだけについてどのくらい伸びる見込みと算定しているのか。
○高橋(元)政府委員 予算をもって御審議を仰いでおります五十六年度の歳入予算によりますと、所得税、源泉が一九・九%、申告が一五・九%、それから法人税一一・一%、酒税が八・四%・これが五十五年度補正後の税収見積もりによります現行法の見積もり増でございます。そのほかに所得税で百六十億の減収、法人税で六千二百四十億の増収、酒税で二千八百三十億の増収、この制度改正の増がありますので、加えたところで再び申し上げますと、源泉所得税の伸びが一九・七%、申告所得税の伸びが一六%、法人税の伸びが一八・三%、酒税の伸びが二八・二%であります。
○大島委員 そうしますと、所得税、法人税で国税収入の大体七割を占める。そうした場合に、いま私は所得税、法人税、それから酒税についてお伺いしたのですが、そのほかにいろいろ税目があります。それらも個々にどのくらい伸びるかということを計算しているんだろうと思うのですが、それらを通じて、平均して五十五年度補正後に対する伸び率はどうなっているのですか。
○高橋(元)政府委員 これも予算と同時に御提出いたします五十六年度一般会計税収見積もりの説明という書類に詳細書いてございますが、結果を申し上げますと、補正後予算が二十七兆一千四百五十億に対しまして、現行法による五十六年度の見積もりが三十兆九千十億円で一三・八%の増、制度改正による増一兆三千八百三十億円を加えまして三十二兆二千八百四十億円といたしますと、全体の伸びが一八・九%に相なります。
○大島委員 先ほど言いましたように、所得税と法人税で国税の約七割、租税収入の七割を占めておる。そうしましたら、いま各税目別に五十六年度は積み上げていますから、それを全部単純平均して、つまり加重平均しなくて単純平均でその伸び率を算定したのですか。
○高橋(元)政府委員 これはそうじゃございませんで、税収は、全体として二十幾つの税目について本年度補正後予算、それから翌年度の現行法見積もりによる収入見込み額、税制改正を加えた五十六年度の収入見込み額、それぞれを出しまして、全部足すわけでございます。足したものを割っておるわけでございますから、平均の伸び率ではございませんで、計算過程はもうそういうことなんでございますけれども、どっちかと言えばむしろ加重平均ということになりますのでしょうか。伸び率の加重平均、結果的にはそういうことになりますね。
○大島委員 そういうことはここに「税制改正の要綱 租税及び印紙収入予算の説明」に入っていますか。つまり私のお伺いしたいのは、法人税とトランプ類税なんかの伸び率を平均して、すべて単純平均してその伸び率を考えているんじゃないですか。もし加重平均したとすれば、どういうふうに加重平均しているのか。
○高橋(元)政府委員 「昭和五十六年度租税及び印紙収入予算の規模」というところがございますが、そこにずっと書いておりますように、全体の税収を出すわけでございます。五十五年度予算額、それから五十六年度現行法による収入見込み額、それから改正増減額、前年度予算額に対する増減見込み額、こう出しまして割っておるわけでございますから、単純平均、加重平均という御質問の趣旨がよくわからないのですが、税収全体の伸びということで出しております。税収の全体の伸びは個々の税目のことしの額、来年の額を出しまして、それを全部足しておるわけでございますから、どういうふうに表現したらいいかわかりませんが、結果的に申しますと、個々の税目の伸びの加重平均ということになろうとは思いますが、そういう計算過程を使っておるわけではございません。
○大島委員 いや、所得、法人がもうこれは大源泉なんですが、続いて酒税ですが、どこに加重平均で伸び率を考えてやっているのですか。これは単純平均でやっている、したがって伸び率を過小に見積もっておるのじゃないですか。
○高橋(元)政府委員 これはさっき申し上げましたように、源泉所得税が、もう少し詳しく申し上げさせていただきますと、九兆九千百七十億で、これは五十五年度の補正後が八兆二千六百九十億でございますから、その伸び率は一九・九、こうなるわけでございます。申告所得税についても同様のことで一五・七というものを出しまして、全体の税金を足しますと、現行法による五十六年度予算の見積もりが三十兆九千十億円になります。これは二十幾つの税金について全部同じ過程でやるわけであります。五十五年度の補正後が二十七兆一千四百五十億円でありますから、現行法による伸びは一三・八、こういうことでございますから、私どもこの伸び率を出す場合に平均などという考え方はありませんで、合計で合計を割っておるわけでございます。したがってそこに過小見積もりの要因があるというお尋ねは、申しわけないわけですが、ちょっと理解ができないわけであります。
○大島委員 いや、私いまお伺いしているのは五十六年度税収見積もりのことで、五十七、五十八、五十九年になると、これは租税弾性値あるいは名目GNP、これをつくらぬとわからぬと思うので、後からこれはちょっと伺いたいのだけれども、そうしましたら、ことしの租税弾性値は結論的に幾らになりますか。 〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
○高橋(元)政府委員 GNPの伸びが九・一であるという政府の経済見通しを使いますと、結果的に出てまいります弾性値は一・五一ということになります。
○大島委員 私は、いまの加重平均していないんじゃないかということですが、それでは五十七年、五十八年、五十九年度の税収見積もりですね、つまり再来年です、これはどう計算されて、どういうGNPを使って、どういう弾性値を使って計算されておるわけですか。
○高橋(元)政府委員 五十七年度以降、ただいま御説明しておりましたような五十六年度の税収見積もりに対応する見積もりというのは一切ないわけでございます。過日「財政の中期展望」というものを出しました際には、そういう個別の税目の積み上げというものを全く離れまして、五十六年度の税収に対して五十九年度まで毎年名目GNPが一一・七%ふえるものだ、これは等率でふえるものだという仮定を置きまして、その際に過去十カ年間の長期のいわゆる税収弾性値一・二というものを頭に置きながら、かつ最近の税収の伸びが一番高いときで一四・四%であったということも念頭に置きまして、一四・〇四%という伸びを使いまして長期に投影をしたわけでございます。したがって各年度の具体的な税収見積もりがどうなるかということは、各年度それぞれの年度について予算をもって御審議を経るということになるわけであります。
○大島委員 そうしたら五十六年度の弾性値が一・五で、五十七、五十八、五十九の弾性値は一・二を使っておるわけですね、これは。なぜですか。来年は必ずしも景気はよくない。しかも、それよりもGNPが一一・七というようなときに、なぜ租税弾性値で一番低い一・二というのを使うわけですか。
○高橋(元)政府委員 弾性値は、御案内のように税収の伸び率をGNPの伸び率で割ったわけでございます。したがって分母、分子両方の割り算の割り算でございますから、四つの数字がどう動くかによって非常に動いてくるわけであります。過去十カ年間をさかのぼってみましても、四十八年と五十四年には一・九二という弾性値が出たことがございます。逆に五十年度にはマイナス〇・三五という弾性値が出たこともございます。 もう一つちょっと蛇足でございますが、四十八年の一・九二という高い弾性値は、税収の伸びが非常に高かったことによって出てまいったわけであります。それから、五十四年度の一・九二という高い弾性値は、名目GNPの伸びが低かったことによって出てまいった弾性値でございます。分母、分子それぞれが割り算の上の割り算でございますから、さまざまな要素が入っておりまして、弾性値だけでは即断はできませんが、長期の税収を見ますときには、長期の弾性値の平均をもって一応推算をいたして大きな狂いはなかろうかというようなことでいろいろ経験的な幾つかのチェックをしてみた上で、一一・七に一・二を掛けて一四・〇四という伸びをもって今後三年間の大体の税収の足取りというふうに考えたわけであります。
○大島委員 五十五年度のいま現在進行年度の対前年伸び率は、もうすでに一三・三%、全体にして、五十四年度決算額に対して五十五年度の補正後の予算額の伸び率が一四・四という非常に高い数字を示しておるわけですね、いま現在。しかも先ほど言いましたように、ことし来年あたりは必ずしも景気がよくない。五十七年以降どうなるかわからないけれども、一応五十七年以降は名目GNP一一・何%と租税弾性値を使わないと税収見積もりというのは算出できませんわね。そのときに、私は繰り返して言うのに、なぜ最低の一・二%という弾性値を使っているのかということなんです。
○高橋(元)政府委員 決算税収の伸び、たとえばいまお話のございました五十四年度決算と五十五年度の補正後の伸び一四・四%だということの中には、税制改正による増加が入っておるわけでございます。弾性値と申しますのは、税収の伸びの中で税制改正なかりせばという前年度の税制が持っております増収力を率であらわしてはじいておるわけでございますから、したがって、たとえば五十六年度の税収の伸びが一九%かあるということで、直ちに今後税収が一九%伸びるということが言えないのと同様なわけでございまして、税制改正の効果を外して弾性値というのは使わなければならない。五十七年度以降、中期財政展望に書きました数字は、税制改正なし、現行税制が今後どういうふうに伸びていくかというおおよその見積もりでございますから、したがって一・二という過去十年間の平均の弾性値を使って伸ばしたわけでございます。
○大島委員 私は、そういうふうに五十六年度、五十七年度、五十八年度、五十九年度、非常に税収過小見積もりという感じがするのでございますけれども、大臣、最後にどうお考えになりますか、これ、過小ではないでしょうか、見積もりが。
○渡辺国務大臣 私は安全をとりますから、どうしても財政当局は過大見積もりになった場合非常に大変だ。私は今回はしかしその一・二というのは、いま局長が言った十年間の平均をとっているわけです。ですから、まあまあ過大に見積もるよりもいいんじゃないか、大体いいところじゃないか、特にこの経済も思ったよりも伸びないんじゃないかとみんなに言われているわけですよ、ことしは。ことしは政府が見積もる五・三、本当に行くのかねというような疑問の方が多いくらいでして、こういうときでもございますから、私は一・二という見方、これは無難なところじゃないだろうかと思っています。
○大島委員 しかし今年度の税収の伸び見込みを分子として、分母で名目GNPを使って一・五という数字が出てきたわけですね、来年度は。そうしたら、弾性値が過去平均一・二ですから、せめてその一・二と一・五の中間、仮に一・三五というものを使ったらどうなのか。そういうふうにして最低を使うということは、結局増税路線と疑われてもこれはしようがないと思うのです。いままで平均が一・二ならば、ことしは一・五であった、しかもGNPは一応ことしは九・一だけれども、五十七、五十八、五十九は一一・何%を見込んでおる。GNPは必ずしも当てにはなりませんけれども、しかしせめて一・二と一・五の中間の一・三五というのをなぜお使いにならなかったのか。その背後は、五十七年度においては大型間接税を導入しなければならないということの国民に対するPRと違いますか。
○渡辺国務大臣 そういうことは毛頭考えてないのです。御承知のとおり、国家公務員の給料のベースアップも一%しか見込んでませんしね。そういうようなときに歳入欠陥にでもなったら、本当にその一%さえも実行できないということにもなりかねない。私はことしの景気については決して楽観はしてないのです。だからいろいろな景気対策等も実行しておるという状況でございますので、いまここで強目の見方の方がけがはでかいんじゃないかという心配の方が先立っておって、大型増税のために仕組んでおるということとは全然考え方が違うのです。本当に達成できるのか、しなければいかぬなということの方が心配だ。むしろそちらの方に心配が強い。
○大島委員 最後ですが、主税局長、いま言ったように一・五ということで出てきた数値だと私は思う。過去十年は一・二だ。だから今後GNPも一応名目でも一一%の成長を見込まれるのだから、せめて中間で一・三五でやった場合、五十七年、五十八年、五十九年はどういうふうになるか。五十七、五十八、五十九年三年間のあなた方のいまつくっておる現行の税収見込み額と、一・三五でやった場合の税収見込み額の差額はどれくらいあるかという計算はできておりますか。
○高橋(元)政府委員 いま手元にそういう計算を持っておりませんが、誤解をいただかないように申し上げますと、石油ショック後の税収の弾性値は、五十一年が一・〇一、五十二年が一・一三、五十三年が一・〇三でございます。五十四年に一・九二、これは輸入物価が非常に上がりましたために名目GNPが小さく表示されたことによるわけでございますが、それを補正いたしますと一・二〇ということになろうかと思います。五十五年の一・五一も高いわけでございますが、これは実所得が非常に伸びた。五割ぐらい伸びております。その分を補正いたしますと、一・四、五十六年の一・五一も同じように実所得を補正しますと一・三七でございます。したがって、たまたま最近三カ年間高い弾性値が出たから、これが恒常的に続くという要因は一つもないわけでございます。輸入物価が上がるために名目GNPが実質GNPに比べて小さく出てくるというようなこととか、実所得がどんどん上がっていくために源泉所得税の伸びが実所得で見まして五割も伸びるというようなことがこれからどんどん続くということはとうてい考えられませんので、過去十年間の一・二というものを使ったということを御理解いただきたいと思うわけであります。
○大島委員 それでは、本日本会議があるそうでございますので私の質問はこれで打ち切りますが、弾性値一・三五を使った場合、一・五を使った場合、現行の一・二倍の比較の資料を提出してもらいたいということを最後にお願いしまして、私の質問はちょっとまだ時間がございますけれども、終わることにいたします。
○山崎(武)委員長代理 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 政府は去る十七日の与野党の合意を受けられまして、本年度所得税の減額につきまして、剰余金の捻出、財源確保に努力をされるということを公式の席上ですでに何度か答弁されておられます。この際、財源確保のために具体的にどういうことができるのかということを多少お伺いしておきたいと思います。 五十五年度の剰余金、予備費、不用額、自然増収などの見通しは、自然増収などはまだ全然見通しのつかない点もあろうかと思いますが、いまのところどの程度のものであるか。また、総理がお話しになりました財源確保のために努力するというのはどういうことを意味しておられるのか。その点を担当大臣からお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 自然増収の問題等についてはもう少し様子を見ないと、締め切りの申告状況等がわかりませんから、わからないということが本当の答えです。 それから、不用額については、特にきょう総理大臣が閣議におきまして発言をされました。財政が厳しい中なので、五十六年度の増税をお願いしておるという状況である、いままでは、年度末になると、予算を残したのでは来年減らされるというようなことを心配して、ややもすると、使わなくてもいいようなものも使うということも散見をされた、しかしながら、今回は増税もお願いしておる非常に厳しい財政状況なんだから、議長裁定があるということにかかわらず、各省庁の大臣は、不急不要のものについては、予算額からどうしてしまうということは厳に慎むよう申し渡す——申し渡すとは言わなかったけれども、慎むようにしてもらいたいという、ひとつのおふれですよ。それがけさ閣議に出ました。
○渡部(一)委員 それは総理の言われたことをいまそのまま述べられたにすぎないので、担当大臣としてどうされるかいま伺っているわけです。 それから、不用額や予備費の見通しについても、この辺までくればもう相当明らかになっているわけですから、その見通しも述べていただきたいと申し上げているわけです。
○渡辺国務大臣 不用額なんというのは、意外と使っちゃう気になれば十日や十五日で使いますからね。だから、それはまだよくわかりません。わかりませんが、私どもとしてはかねがね各省庁については庁費節約に努めるよう言っておるのですが、ここで総理大臣から、しかも閣議で正式に厳しい通達が出たわけですから、各省庁はそれは拳々服膺すると思っております。私が言うまでもなく、総理大臣が言ったのですから、それは本当に真剣に総理大臣も考えておるということでありまして、内容について具体的にはわからないというのが本当なんです。大ざっぱなことを言うとまた違うかもしれないし、出ないなんて言って出ちゃうかもしれないし、うんと出るなんて言って出ないかもわからないし、するので、しかしながら、いままでとは違って、あるいは不用額が出てかえってしかられるのじゃないかという気もするのですよ。何でこんな不用額出したなんて、国会で、決算で。ぼくはよく怒られているんだから。
○渡部(一)委員 ちょっと微妙なことを伺うのですが、財源確保と関連して出てまいりますのは、国債未発行分の処理であります。意識的に剰余金を減らすという意図を持って国債未発行分を残すようなことがあってはならないと思っているわけであります。この問題を含めて、財源確保に努力するという意味に政府の方針をとっておきたいと思っておるのでございますが、その点をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは自然体でいかなければなりません。どんどん使ってしまえということになれば、それはまた別な話で、これは相矛盾した話なわけであります。でございますので、これにつきましては私は自然体でいきたい、こう考えております。
○渡部(一)委員 御担当の官の方もどうぞ答弁を。
○吉野(良)政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたとおりに、発行未済になっております五十五年度分の国債につきましては、文字どおり自然体で適正に処理をすべきものであろう、こういうふうに考えております。
○渡部(一)委員 この際もう一つ申し上げておきたいのでありますが、私の質問のたびに申し上げることでございますが、本年の大増税下の申告日というのは、果たせるかな国民の大きな怨嗟の声が上がっているわけでございまして、納税環境は財政再建の声の高い中で悪化しつつあるというのが実態だろうと私は存じます。 その中でも一番問題なのは、法律の改廃、税法それ自体の見直しもさることながら、税の執行面における不公平感というものが依然として消えていないということであります。これについては、私は国税庁職員の、特に定員、処遇の問題が重大な問題であるということを何回もこの委員会で指摘させていただきました。特に当委員会では、ここ四年間にわたって定員の増加等に関しまして附帯決議が行われてきたところであります。その附帯決議にもかかわらず、定員が今年は増加していなかった。その事実を見ますと、もっと減るべきものが減らなかったのだという言い抜けも十分にできることではありますけれども、私は妥当ではないと思っているわけであります。したがって、私は改めて要望したいのでありますが、税の負担の公平という重大な観点から言いましても、国税職員の定員増加問題については、旧年度は仕方がないかもしれませんけれども、大蔵大臣として、これは最大の優先課題として当たらないと重大な欠陥を生ずるということを申し上げておきたいと思うのでございますが、この点に対しての御見解を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も国税の職員確保という点については極力がんばったわけであります。何百名が減になっておったわけですが、それは増員もしてもらって、そこで結局はツーペイということですね。まあ大蔵省も困りましてね、ほかの役所にはどんどん少なくしろ、切れと言って、自分のところだけうんとふやすということは、なかなか言うべくしてむずかしい点もございます。ございますが、これはいろんな配置転換とかそれから機械化とか、いろいろ率先垂範して事務能率の実効を上げる創意工夫もしなければいけませんから、そういう点で対処してまいりたい。しかし、やはり悪質なものに対する調査体制というものは強めていかなければならぬわけでして、今後とも実際に働ける、調査を実施できる人をふやすように努力をしていきたいと考えております。
○渡部(一)委員 委員長に私は注意を喚起したいのでございますが、本委員会で四回にわたって決議されたことの執行を迫るのは、委員長は歴代かわってはいかれますけれども、大蔵委員長の職責に属することであると私は思います。そしてその意味で、大蔵委員長並びに当委員会の高明なる理事諸兄が結束されてこの問題について喚起をされないと、当委員会は国政の最高執行機関であるにもかかわらず決議されたことが実行されないということでは、それは何の議論をしているかわからないということになると思います。私は、四回決議されたことが事実上無視されたということだけは見逃すわけにはいかぬ。その意味で、当委員会は決議ばかりをして実行を迫らないとしたら、これははなはだ問題になる。私は、当委員会の権威は、最近当委員会に参りました新参者で申し上げるのは口はばったいのでありますけれども、ほかの委員会でこういうことが起こったりあるいは予算委員会でこういうことが起こったりしたら、これは委員会が停止するだけではなくて、それこそ不信任案さえ上程されるほどの大問題になるであろうと思うわけであります。 破格でありますが、委員長席に御在席になる山崎委員に、私は委員会の理事並びに委員を代表して、この問題について御答弁を求めなければならないと思います。また、十分その資格もある、見識ある同委員に対して、答弁をこの際確認しておきたいと思います。よろしくお願いします。
○山崎(武)委員長代理 委員長代理を務めておりますけれども、御質問の点については党の方で、自民党の場合は財政部会というところで、予算並びにこの人員の点については極力予算編成時にやるわけでございまして、小泉部会長もいらっしゃいます。党として受けとめまして、誠心誠意一生懸命いままでもやってきたわけでございます。大臣が言われたとおりでございます。諸般の事情がございまして、なかなか思うようにいかなかったことも事実です。来年度の予算編成については、いま渡部委員言われたとおり一生懸命やることを私からも申し上げます。
○渡部(一)委員 いま言葉を選んで申されましたが、この問題ははなはだけしからぬ内容を含みつつありますので、特によろしくお願いしたいと思います。 もう一つは、国税庁職員の定員の増加もさることながら、オフィスオートメーションに対する最近の爆発的な増強に対して、国税庁の体制が全くレベルが低いということであります。私もそれほど知っているわけではございませんが、学校が私は専門が科学の方だものですから横文字などを使って恐縮でございますが、最近のLSIの急激な発展に伴い、事務機器の増強というものが目覚ましくなっております。その事務機器がいわゆるコンピューター等の発展に伴うオフィスオートメーションのシステムが増強中でありまして、すでに主要な部局におきましては、人員の三分の一の減少とか、ひどい場合には十分の一までの減少などという例がもうぞろぞろたくさんあるわけであります。 ところが、こうしたものについての税務査察が旧式な方法で行われますならば、実際的には査察することが不可能になるわけであります。ところが、税務大学校におけるこうした問題に対する教育は、非常に熱意を込めておられるとは伺っておりますけれども、レベル的に余りにも急激な技術改革があるために実態が追いついていかないということがもう明らかに見てとれるわけであります。 現在、もう一つこの税務職員の定員増加と絡んでおりますが、今度は逆に税務署の中側における仕事というものを専門家に先日批評してもらいましたところ、税務署の現場査察は別にいたしまして、残っている方の本庁職員あるいは税務署の署内にいる職員の仕事というものは人数を三分の一から四分の一は楽々と軽減させることができる、こう言われているわけであります。こうした点を考えますと、オフィスオートメーションに関するよほどの御研究が必要であろうし、その部分の研究のシステムあるいは研究のための予算あるいは担当者の設定あるいは納税システムの一部変更に至るまで早急に手をつけなければならぬということは明らかだろうと思います。 私はくぎを刺しておきますが、ただでさえ職員が手不足でございますから、これによって職員削減の方向ではなく、現在の税務のシステムを合理化することによりまして、その定員の少ないことによる圧力を何とか軽減させるためにも、こうしたシステムは御研究をいただきたいし、早速やっていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○川崎政府委員 私ども国税庁にとりまして非常にありがたい御指摘と承りますわけでございますが、二つ問題があろうかと思います。一つは外部の会社、調査対象の会社なんかが非常に電算機化が進む、これに対して調査手法が十分ではないという問題でございます。この点につきましては従前から意識をしておりまして、いろいろ講習その他をやっておりますが、おっしゃいますように必ずしも十分であるというふうには考えておりませんので、なおその技法を開拓するということをやってまいりたいと考えております。 もう一つは、私どもの国税庁内部における電子計算機化、あわせて内部事務の合理化という話でございますが、国税庁が電子計算機を導入いたしましたのは比較的早うございましたけれども、その充実の速度が予算の関係もございましてさほど速くはない、しかし、かなり進捗を見ておる点もございます。また、内部的にその担当部課もございまして、これは毎年電子計算機の拡充をやる一方、教育も進めております。また、電子計算機ということと別に、調査にできるだけ精力を注ぎまして、内部の事務、税務署の中にいて内部事務をやるという人数を削減する方向ということにつきましても毎年計画を組む際にいろいろ議論をしてやってまいってはおりますが、改善の余地もあろうかと思いますので、なお今後努力をいたしたい、そういうふうに考えております。
○渡部(一)委員 これは大臣、質疑応答を聞いているとまあ一生懸命やっているみたいに見える。それは一生懸命やっているのです。それを私は否定をしないのですが、レベルが違う。私の質問とあの答えとは、けたが二けた違う。こんなのは答弁にならない。それはなぜかというと、現状を少しずつ改善していくという官僚独特のやり方の意味では成長もし、改善もされている。しかし、これほどの急速な大発展と大改革が行われていて、たとえばこの近所にある某商事会社の例を言えば、その商社の中はもう社長室の隣に入ったら、いままで百人もいた人のところがわすか十人しかいない。中には機械がぞろっと並んでいるだけというほどの大改革がいまどんどん行われている。 そのときに実際的にどういうことが行われて、いるかというと、こちらは旧態依然たるシステム調査等をやろうとしている。それではもう調査にも何にもなりはしない。だから、税務署をごまかすためのシステムまでコンピューターにたたき込んであるのではないかと思われるほど向こうはレベルの高い状況になっておる。私は、それを見ていると、本当に一時代、時代が違ってしまったなと思わざるを得ない。だから、私は言葉を選んで申し上げたのは、こうした問題についての早急な研究と、そういうシステムを課税当局でも研究なさることと、それを担当する人を早急に決めることをいまやっていただきたいと申し上げたので、いまでもちょっとやっておりますなんというのは答弁にはとうていなり得ない。私はそんな答弁を求めているのではない。そんないいかげんな話だったら、何もこんな貴重な時間を使って言う必要はないじゃないですか。私はどうやっているかを聞いているのではない。いまもう話にもならぬほどごたごたしているから、私が申し上げているのじゃないですか。まじめに答弁してもらいたい。
○川崎政府委員 おゃしゃいますように、非常に進歩した民間と比べまして、官庁が遜色がある点を自覚いたしておりますけれども、また税の調査の手法というのは計算機ばかりでという面ばかりでもございませんので、民間が非常に機械化が進んでおる、私どもの方は仮におくれておるから脱税が横行しておるではないかというばかりにも考えておらないわけでございまして、先生の御指摘は十分踏まえまして、今後改善の措置をとりたいとは思いますが、限られた人員で限られた範囲で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 大臣、お答えになりたいでしょうけれども、もうちょっと待ってください。まとめてお答えしていただきます。 もう一つ、私が腹を立てているのはクロヨンなんです。クロヨンとトーゴーサンのうわさは絶えません。何回どんなに年代がたっても、特に自分で一生懸命働いてと思っているサラリーマンの人々が事業者との間でひどい税務上の差がある、あるいは会社を経営している人との間に差がある、こういう感覚というものはもうひどく存在しているわけですね。そして一方ではシステム上の問題もあるけれども、農家の方では大きなうちに入っていて、そして出勤してくる若者がいるのに、私の方は小さなうちへ住んで困っていると思っている国民というものが存在しているわけですね。私はフローとストックの問題を混ぜて議論しようとはしていないし、現在の税務体系がストックの課税についてまで話をしようとしていないことは知っていますけれども、ともかくサラリーマンとそれから事業者との間のはなはだしい課税の不均衡が現に存在して、国民の一番不満になっていることだけは、もう明らかに見てとれるわけだ。私は質問のためにも、課税当局がクロヨンやトーゴーサンについてどういう見識を持っておられるか聞こうとしたわけなんです。そうしましたら、質問の話に、前提にならない。それはなぜかというと、国税庁はちゃんと調査をして、ちゃんと税務をやっておるのです。やっているのだら、やっているという立場だから、そういうことはあり得ないと思っています。そういうことはあり得ないと思っているんだから、そういうことを調査する必要もないと思っているのです。そういうことだから資料もないのです。この恐るべき三段論法こそ——中世の教会ではあるまいし、こんな三段論法でわれわれに答弁する部局があるということは、私は初めて知ったわけであります。 これは異常事態であります。少なくともまじめな国権の最高機関の議員が聞いているのに、税の捕捉がクロヨン、トーゴーサンといううわさが町じゆうにはびこっているのに、実態はどうだと言ったときに、まじめにやっているからそういうことはないはずですとか、そういうことがないはずだから調査の必要がないのですとか、調査の必要がないから資料もないのですとか、こんなばかばかしい三段論法で国税庁はやっていけるのかどうか。私はきょう国税庁長官が来られましたら、それこそさしで顔と顔を合わせて面罵するつもりでおりましたら、おかげんが悪くなられて、気配を察せられてか、お休みになられて、次長が御出席ですから、きょうはやさしく申し上げておくわけでありますが、(笑声)本当にこれは私はちょっとおかしいだろうと思うのですね。だから物事でよくわからない状態を調べるためには、抜き取り検査という方式だってあるのだから、どのぐらいの税が捕捉されているか、税法上決められたとおりに執行されていなくて、何%ぐらいが法律で予想されたとおりに捕捉されているかという執行率ぐらいは抜き取り検査や世論調査の方式等を用いてするならば、そうむずかしいことではないわけですね。世界に冠たる品質管理方式、QC計画を実際的な企業の上で実行しているわが国において、そんなことができないわけがない。わけがないんだよ。その、わけがないのに、やろうとしないのはどういうわけなのか。世界に最高の技術を持っていて、やればできるのに、全くやろうとしないで、税務捕捉率をわざわざこういうふうに極端にゆがめ続けているのは何なのか。要するにそういうグループがいるんだ。そして国民の間に不公平感というものをどんどんまき散らしている部局があるんだよ。それは何か。わが国を覆そうとする陰謀者が国税当局にいるとしか言いようがない。それは恐るべき扇動家と、恐るべき国家破壊者の集団であると言わなければならない。 私は、こういうでたらめなやり方というのは、国民の政治に対する不満の一番大きなところだからこそ、声を大にして申し上げておる。ところが、これについて答弁を聞いたことがない。本日の答弁を私は聞きたいと思う。またすごい言い抜けをなさるだろうから。だから、先ほど申し上げたようなそういう三段論法は言うべきでない。議事録に残るのだから。わからないなら、わからないでいい。いま、やってないなら、やってないでいい。今後の努力を一生懸命するなら、するでいいから、まじめな答弁をしてもらいたい。そうでなかったら、この大増税の中の国民の大きな不満というので、わが国は基礎的にその政体の基礎を揺るがされるでしょう。私は課税当局の課税の問題をこの間から何回も何回も申し上げておるが、このクロヨン、トーゴーサンなどという言葉が出ないようにしてもらいたいから、申し上げておるのです。 さて、大変大事な問題を国税庁の担当者に答弁させるのは気の毒ですけれども、いまどうなっているかをじみにお答えいただきたい。
○川崎政府委員 脱税が実際どの程度あるか、把握率がどういう状況であるかということは、やはり正確にはわからないと申しますか、また具体的に調べがつかないわけでございます。しかしながら、限られた範囲で実際の調査をやる場合には、選定をいたします場合に、できるだけ脱税がありそうなところ、大口なり悪質なりということでやりますから、その結果かなりの脱税額が発見されました場合に、それをそのままパーセンテージで延ばして、世の中にこれだけの脱税があるというふうには考えられないわけでございまして、精いっぱい有効な調査ができるように努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 把握しておらないのでございますと言うなら、いいんだ。だけれども、把握しておらないと言うなら、そのとおりなんでしょう。把握しておらないのであります、ではなくて、把握したくないのですだったら、問題なんです。ここに政治の問題点がある。把握しようとしたが、つかめなかったのです、と言うなら納得できるのです。これは税法が悪いとして、当委員会は研究に研究を続けなければならないでしょう。だけれども、把握しようとすることはもめごとを生むからしないのですとか、それはいけないのですな。私はそういう意味でこの問題は重要な問題を含んでいると思います。私は、クロヨン、トーゴーサンの実態について、改めてこの場をかりて公式にデータの提出を求めます。そしてそれについて的確なる御処置をとられるように要望したいと思います。何カ月かかっても結構。これについての国民の納骨のできるものを出していただいて、そしてそれが大きな努力によって不公平感をなくすという一番重大なポイントに的をしぼって仕事をしていただきたいと私は思っているわけでありますが、大臣の御答弁を求めたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は、制度上そう不公平があるというふうに考えていない。問題は実行面。農家の場合よくこれが出るのですが、制度上関係ないと言うかどうかは別として、要するに蓄積がありますから、したがって同じ五百万円の金がふところに入っても生活水準が高いというのも事実ですよ。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、資産については固定資産税だけで、特に大都会の要するにA、B、C農地問題というようなものは、私はかねてから宅地並み課税論者ですが、ところが現実にそういうものをやろうとするとみんなが反対で骨抜きになっちゃっている。現実、これも事実だ。ですから、そういうところで同じく五十坪ぐらいのところに入っている人の固定資産税がいっぱいかかって、二千坪もあるところで固定資産税が何十分の一とかいうようなのは現実の姿であります。こういうような問題についてはやはり大所高所からわれわれは処置していかなければならぬ、こう思っております。問題は事業者の中で、反税団体ではないのでしょうけれども、ともかくそういうように思われかねない、結局調査を拒否するとか、いやがらせをするとかというようなのもあるらしい。しかしそれによって、それに調査をするのが非常に抵抗が強いというために調査ができない、それで放置されるというようなことは、非常にまじめに申告をする人たちにとって非常な不公平になります。したがって、こういうようなものについてはどんな犠牲を払ってもともかく特に悪いのは厳重な調査をやらせる必要がある、そう私は思っております。これはそれによってそういうように世間から納税を拒否しているんじゃないかというようにとられることを避けなければ、本当に社会正義は貫けない。でありますから、そういう点については特段の配慮をしてまいるつもりでございます。 それから、その事務の執行体制の中で調査部門で人手がないが事務処理部門ではまだまだ機械化、合理化ができるのじゃないか、それは私も全くそう思いますよ。ですから、そういう点は極力機械化、合理化できるものはそういうふうにするし、簡便にやっていいものは簡便にすることを進めていかなければならない。やはり民間の方が先に進んじゃって、要するにどろぼうがオートバイで逃げて巡査がともかくバイクで追っかけるみたいでは、これはなかなかつかまらぬ話です。ですから、私はそういう点についてはやはりいろいろな機械の整備等については十分に先を見て劣らないようにしていく必要がある、そう思っております。 それと同時に、大企業の場合非常に専門化した機械処理をやっている。だから、国税当局にはそれをのみ込むだけの質的に能力的に全体とすれば欠けるところがあるのじゃないか、そういう御批判が私はあろうかと思います。したがって、これらについても、これからの税務調査のやり方というものについては特殊な専門技術、早い話が税務署に法学博士が入ってきたっていいわけだから。そういうようなこともないとつかまらぬし、医療の問題だって税務職員にカルテを見ろと言われたって、かなり専門化していますから一遍にあしたから読めるわけはないのですよ。したがって、こういうような特殊な技能訓練といいますか、そういうものをしたり、また外部から入れたりということも必要じゃないか、外部の手を借りるという、ことも一つの工夫じゃないかという気がいたします。示唆に富んだいろいろな御進言がたくさんあったわけでございますが、そういう点については謙虚に受けとめまして、実効の上がるように内部で相談をして御要請にこたえるよう万全の努力をいたしたいと考えます。
○渡部(一)委員 重ねてで恐縮でございますが、クロヨン、トーゴーサン等の現在の実際的な税務の把握率に関する調査をお願いいたしましたが、その点もぜひお願いしたいと思います。
○川崎政府委員 経営の実態調査といったような意味で、先生御指摘の趣旨に近いような調査を若干やったこともございますが、御指摘そのものに沿いました調査はいままでやったことがございません。したがいまして、何とかそういうことができないものか検討いたしまして、できる範囲で努力をしたいと思っております。
○渡部(一)委員 きょうは歴史的な日でありまして、クロヨン、トーゴーサンについて研究するというお答えが国会始まって以来初めて出たわけでありますから、これは私は慶賀すべきことだと思っておりますが、どうかまじめに応対していただいて、その結論が余りにもひどいものであったら、いきなり当委員会に提出されずとも秘密理事会等の制度もないわけではありませんから、そうした形で御提出の上、御配慮の上、それに対する執行の施策というものを組み直していただきたいと私は思うわけであります。 時間が余りありませんので、なれた話を一つさせていただきますが、先日もうお話をさせていただきましたタックスヘーブンやトランスファープライシングに対する課税でございますが、海外取引を利用いたしました租税回避行為というものは最近ますます多様化いたしておりまして、税制を巧妙にくぐり抜ける、ある意味では合法の枠の中で税法の枠を乗り越えまして、そうして自己企業の利益というものを確保いたすというやり方が非常に一般化しつつある状況にあるわけであります。これに対しては税制面でも機動的に対処していく姿勢が必要であろうと思います。 まず一括して伺うのですけれども、どういうふうに対応されるのか、人員、機構、法制等の上で、だんだん詰めていきますけれども、まず一括してお伺いいたします。
○高橋(元)政府委員 過日、予算委員会でも非常に貴重な御示唆があったわけでございますが、トランスファープライシングに関する日本の税制はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに比べまして手薄でございます。いわゆるアームス・レングス・プライスベースといいますか、そういうものによって否認し得るという法的な根拠がございませんで、たとえば寄付金の否認とか同族会社の行為、計算否認、そういう条文を使って臨むしかないわけでございます。 ちょっと余談にわたって恐縮でございますが、日本が現在当面しておりますのは、現在トランスファープライシング否認に関する法制を持っております国がそれを向こうの国でやりました場合に、日本の子会社についてトランスファープライシングありとして否認した場合に、日本の法人税の課税と子会社の課税が重複して起こるわけでございます。それは相手国の主権に属することではございますけれども、日本の法人の経理が正当である場合になおかつ相手国が否認する、そこであえて積極的な租税の抵触が起こるということについてどう考えるか、これは国際間で執行面で協議をしておるということでございますが、過般の予算委員会での御指摘もございますから、その点、執行も踏まえましてさらに政府で勉強してまいりたいというのが現在のお答えでございます。
○渡部(一)委員 これはまことに遺憾なことでありますけれども、外国の方の法制ができておりましてわが国の方ができていないために、向こう側の法執行によりまして日本系企業の方によけいに課税される部分があるということはもう明らかであります。ですから早く法制をつくってしまわなければならない、そしてこれは急いでいただきたいと私は思っております。どうせ急がれるのですから、それを出されるのも急がれるとは私は思いますけれども、この数カ月内でも非常に大きな損害がある。そこへもってきて日本側の親会社と子会社の関係ならまだ捕捉もできるし、交渉もできるのですけれども、これが気脈を通じた他の会社あるいはその間に一つの商事会社がいて三者間貿易と申しますか、そうした形をとりますと、このトランスファープライシングの問題というものは現在予想されているような税制では全然把握することができない。それで、ちょっとまぜっ返すような言い方になって恐縮ですが、私は、だからトランスファープライシングに関する税制をつくるなと言っているわけでは毛頭ないのです。ですから、いま担当部局で非常に熱心な御研究をいただいているのはわかっておるのですけれども、ともかくいますぐやらなければならぬのはこういう国際税制に関する専門官、要するに勉強する専門官と実際に外国へ出かけていく専門官、これのかなり大きなシステムというものをつくり上げなければならないだろうと私は思っているわけでありますが、その点はいかがお考えになっていらっしゃいますか。
○高橋(元)政府委員 七九年にトランスファープライシングに関するOECDの作業部会報告というのが出まして、私どもはそれを受けまして、たびたびお答えしておりますように現在勉強しておるわけでございます。私の方で言えば国際租税課という担当部局がございまして、租税協定なりこういった国際的な租税制度のハーモナイゼーションについての勉強をやっております。 そこで、先ほどのお答えに関連いたしますが、わが国の親会社が二重課税を受ける原因になりますトランスファープライシングというものに適切に対処していきますためにも、わが国がトランスファープライシング否認税制を持っておることが必要でございます。これはお示しのとおりでございまして、そういう点で国税庁でも国際的な調査についての陣容の充実もいろいろ図っているようでございますから、協調いたしましてぜひ御指摘のようなことで進めてまいりたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 時間がありませんから最後に一言だけ申し上げたいと思うのですが、最近この国際税制のことを少し伺いますと、まだ初歩的でございますのですが、一国が自国の系列に属すると思われている企業に課税するという一番限定されている部分を考えたとしても非常に困難が多い。いわんや世界の中で百七十の国のあるときに、それが単一の税制でない場合、この問題は非常に問題点が多いというところが基礎的な考え方だろうと思います。おのおのの国家が自分独得の税制を持っているということは、自国内の権益を擁護するために非常に大きなプラスの行為であります。全体的にはプラスだと私は思います。それであるにもかかわらず行動様式がすでにグローバルになってきたエンタープライゼズに対しては、現在の国家の持つ税制、国家が決めている税法ではとても対抗できない時代が急速に来つつあると私は思っているわけであります。その意味でむしろわが国は、今後におけるわが国関係企業が世界において雄飛し、仕事をしていくためにも、世界的な税制のあり方、つまり多国間において協議される、多国間で共通に行う税制というようなものを開発していかなければならぬときが来ているのではないか。そういう意味ではむしろ私はOECDの勧告に非常に不満なのでありますが、そういう意味の一歩前進というものをむしろわが国あたりが先駆的に研究をし、提案すべきポイントではないかと思っているのであります。ちょっと話が大きくなりまして非常に申しわけないのですが、これに対する見解というか、もうほんの考え方を聞かせていただきたい。
○高橋(元)政府委員 私どもも仰せのとおり考えております。昨年、企業課税の問題を税調の小委員会で勉強していただきました際にも、国際的な企業課税の抵触の問題というのを一応御勉強願ったわけでございます。いまのお尋ねもございますし、御示唆もございますので、その延長線上でさらに努力を続けたいというふうに考えます。
○渡部(一)委員 それではこれで終わります。
○綿貫委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十六分休憩 ————◇————— 午後二時十七分開議
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き質疑を続行いたします。竹本孫一君。
○竹本委員 私は、きょうは特に主権免税の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、少し振り返ることになりますけれども、昨年外為法の改正が行われましたけれども、その主たる目的は何であったか、また改正の結果、その後における外国の資本のわが国へ流れ込んだ動きというものはどんなものであったか、まずそれを伺いたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 おととし大蔵委員会で大変御議論をいただいたわけでございますが、御承知のように対外取引をできるだけ自由にしよう、従来原則禁止でございましたのを原則自由にする、有事の場合にだけ規制するというようなのが法改正の目的でございます。 それから二番目の、その後の昨年十二月の一日から自由化になったわけでございますが、状況はどうであるかという御質問でございますが、一つは当時議論されましたのは居住者の外貨預金でございます。私どもがたとえば富士銀行なら富士銀行にドル建ての預金をする、これもいままで三百万円の限度があったのですが、これを取っ払ったわけでございます。それからもう一つは、外国の方から金がどんなふうに入ってくるか。これも御承知のように自由になったわけでございます。その場合、関係者の間で言われておりましたのはインパクトローンでございます。 大体この二つを例に挙げて御説明すればよかろうと思いますが、外貨預金の方は御承知のように海外の金利が高いわけでございますが、直先のスプレッドを除いて、あと手数料とか税金とかそういう計算をいたしますと、居住者が、日本人が外貨預金をする利益というのは余り出ないであろうと私ども見ていたわけでございますが、ふたをあけました後、十二月、一カ月で大体十三億ドルぐらいふえましたが、その後はほとんど動きがございません。予想どおりであったわけでございます。 それからインパクトローンの方は、これも国内の金利と海外の金利の問題がございますが、アベイラビリティーの問題があってかなり入ってきております。一月末、二月末、大体十四、五億ドルの感じで、三月に入りまして若干ずつふえております。そういうようなことで資本の短資、長資の流出入——長資はいま省略したわけでございますが、順調に入っておりまして、自由化の結果、激動が起こっているわけでもなくて、そういうようなことで旧法の体制から新法の体制へソフトランディングしているというふうに見ております。
○竹本委員 ただいま局長から御答弁をいただきましたが、経済がすべてグローバルに国際化する時代でございますから、原則自由のたてまえを今後とも堅持してまいっていただきたい、そのことが、いま問題の多い貿易摩擦その他の部面を考えましても、非常に有利な国際的立場を日本が確保するゆえんである、そういうふうに私も考えております。そうした立場から、きょうは一つだけ論点をしぼって主権免税のことを伺ってみたいと思います。 これは御承知のように外交慣例で、主権者が預けたお金の利子あるいは株の配当といったようなものに対しての課税を非課税にしておるということであろうと思いますけれども、その場合、非課税にするかしないかということの判断はだれがやるのであるか、その責任者についてちょっと伺ってみたいと思います。
○高橋(元)政府委員 日本はドイツと同様の法制をとっておりまして、外国政府のその主権免税につきましては特段配当を含めるというような法制を持っておりませんで、通常の政府機能の範疇に属する行為に基づく所得というものは国際公法上の慣例として免税の扱いをするという考え方でございます。したがいまして、具体的には国税庁の判定によるわけでございますが、通常の政府機能の範疇に属する行為と申しますと、外貨資産の運用としてわが国で保有する預貯金、公社債の利子、これに限定するという考え方をとっております。
○竹本委員 そこで大臣、私がきょう問題にしておりますのは、現在国際慣行に従いまして、国税庁長官か大蔵省かは別といたしまして、主権免税をする場合の一つの基準というものが、いまも御説明のありましたように通常の政府の機能と認められる場合というふうに制限がある、あるいは基準がある。その通常ということの考え方なりあるいは基準なり解釈なりを少し改め、再検討する時期に来ておるのではないか、そういう意味の質問をしたいということであります。 まず利子あるいは配当でございますけれども、そういうものについてアメリカその他の国の例として、利子に対してはほとんどかけないのが常識のようでございますけれども、かけておる国もあるようだし、配当に関してもかけておる国とかけていない国と、課税をしている国と、していない国とがあるようですが、もしお調べがあれば御説明いただきたい。
○高橋(元)政府委員 アメリカの場合、内国歳入法の八百九十二条という条文がございまして、外国政府または国際機関が合衆国内において持っている株式、債券その他の国内証券への投資から受領する所得、または外国政府、国際機関が持っておる金銭を合衆国内の銀行に預金してその利子から受領する所得、その他合衆国内の源泉所得は課税を免除するとなっておりますから、配当、利子、これらは非課税であります。同じく内国歳入法の八百九十五条によりますと、外国中央銀行が合衆国内に持っております預金または債券から生ずる利子も免除されますが、ただし、この場合には、商業銀行機能またはそれに類似する行為のために保有されたり使用する場合は除くとなっております。 英国は、これは直接明文の規定はございませんけれども、慣習法ということと思いますが、外国主権すなわち政府機能を営むものかどうかということによりまして、外国主権に対する免税は投資から生ずるものであると商業上の活動から生ずるものであるとを問わず行うということでありますから、配当、利子、キャピタルゲイン、これらが課税にならないのであります。 それからフランスの場合は、租税一般法の百三十一条の六という規定がありまして、外国政府、外国中央銀行に支払われる配当と債券の利子、これは免除でございます。そのほかに外国の公的機関に支払われる所得、それから外国政府、外国の中央銀行、外国の公的機関に支払われる債券、預金から生ずる所得でフランスの大蔵大臣が承認したものは軽減または免除ということになっておりますから、お尋ねの件は配当であっても債券の利子であっても免除であります。なお、フランスのキャピタルゲイン課税法の八条の規定によりますと、株式のキャピタルゲインも免税ということになっております。 それから、冒頭お答えしましたようにドイツはこういう規定を持っておりません。日本と同様であります。
○竹本委員 そこでお伺いしたい問題に入るわけですけれども、アメリカのように資本の豊かな国とされている国でも外国から金が入ってくることはある意味において非常に優遇をして、預金の利子についてもあるいは配当にしても、場合によってはキャピタルゲインに対しても税をかけないというような例が多いようでございますけれども、私はいま日本の置かれておる立場、特に日本は油に弱い、油のために一番苦労する国でありますので、そうした立場を考えまして、去年はクウェートの方ですかからいろいろ資本が流れ込んできたようでございますが、サウジアラビアとかクウェートとかいった産油国でドルをたくさん持っておるような国からは日本にどんどん資本が入ってくるようにもう少し窓をあける、あるいは税制上の優遇措置をとるということが国益に合致するのではないかという点をきょうはお尋ねしたいのであります。 〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 と申しますのは、昭和五十二年度でございましたか、経常収支が初めの計画では七億ドルぐらい赤字のつもりであったけれども、あけてみると百四十一億ドル黒字になった。余剰のドルといいますか、とにかくこれだけのドルをどうするのだ、またアメリカの方から言えばどうしてくれるんだといったような強い要求がありまして、たしか十億ドルの緊急輸入を政府が考えたことがあります。あのときにも私は、飛行機を買うのもいいだろうし、緊急輸入で油を買うのもいいけれども、もう少し高等数学的に考えて資本の合流といいますか交流といいますか、日本の方でアメリカの株式を買うことを考えてみたらどうかということを当時の福田さんであったかにもちょっと申し上げたこともあるのですけれども、いずれにいたしましても資本を通じて日本とアメリカがある意味において経済的な運命共同体になる。その当時考えたのもアメリカに対してでございますが、これから申し上げることはむしろOPECに対して、あるいは具体的に言えばサウジアラビアに対して日本の株式を開放することによって、サウジアラビアと日本との間に特に油を中心にして運命共同体的なきずなをつくるということを考えてみる必要はないか。 と申しますのは、私がヒントを得ましたのは、あの二百海里問題が出ましたときにこれでは鯨もとれなくなるということでいろいろ心配をいたしましたが、そのときに私の友人の、しかも先輩でありますが、捕鯨会社の社長をしておる人が、いや、大して心配する必要はない、実はわれわれはカナダの株を相当買い占めておる、買って持っておる、したがって直接われわれがとれないかもしれないけれども、カナダの捕鯨会社を通じてとってこちらへ回すからそう心配する必要はないというような話を聞いたことがあります。事実、経過がどうであったかは私はよく知りませんけれども、その話にも一つヒントを得まして、これからは直接的な話だけではなくてそういう資本を通じていろいろ手の打ち方がある。グローバルに物を考えなければならぬときに輸出か輸入という問題だけでなくて、資本の交流を通じてそういうグローバルな危険分散なりあるいは運命共同体的な網を打っていくということが必要でもあるし、有効ではないかというふうに考えるわけであります。 アメリカに対しては、当時ドルが余ったときにそのドルを使ってアメリカの株を買えということを考えたわけです。最近ではもちろん日本も二百六十億ドルからありますから、その必要がないという意見もあるかもしれませんけれども、特に運命を共同して、日本にたとえば石油の供給を抑えることによって、特定の日本の会社あるいは日本の経済に重大な打撃を与えることは、その株の配当等を通じて、OPECのそれぞれの国にも決してプラスではないというような安全保障のとりでをここでつくっておくことが必要ではないか。そういう運命共同体的な考え方が一つ。資本が入ってくれば、それだけ日本の資本も豊かになるわけでございますから、それが一つ。 それからもう一つは、リサイクリングという問題を考えて、将来日本の経済的な立場が、よく言われるように東洋あるいは極東における経済の大きな柱になる、コーナーストーンになるということの立場も考えますと、向こうから取り入れたドルを、日本を通じて、危険分散の問題もありますけれども、東南アジアその他に融通してやるということもまた大きな経済的な役割りを果たすことになるのではないか。そういう意味で私は、このリサイクリングも含め、あるいは資本の輸入そのものの直接的な効果を含め、特に今日では資源の問題で悩んでいる日本として、われわれの一番必要としておる資源の油を持っておるOPECとの関係を株式資本を通じてもっと緊密にする方法はないか、主権免税というのもそのてこの一つに役に立つのではないかということを言いたいのであります。 私が簡単に調査したところによりますと、OPEC諸国、特にサウジ、クウェート等の国が八〇年末に持っていた累積余剰は大体三千二百七十億ドルであります。去年は経常余剰が一千億ドルを超えて千三十億ドルと言われておる。ことしは八百億ドルと言われておる。さらに将来は六千億ドルになるのではないかと言われておるわけでありますが、それだけのドル、三千億なりあるいは将来の六千億のドルがどこへ流れていくかということを考えてみると、いままでの実績を見るとアメリカとイギリスがそれぞれ五百億ドルを超えております。日本に幾ら入ってきているか具体的な数字はわかりませんが、当局の方でおわかりならば教えていただきたい。
○加藤(隆)政府委員 株はなかなかわかりませんで、預金とかボンドは、見当をつけるわけでございますが、残高で、OPEC全部で大体二百億ドル以上、大変大ざっぱで申しわけございませんが、そんな感じでおります。
○竹本委員 ただいまの御答弁の数字は私ちょっと少ないように思うのですが、その前に、これからは、日本のファンダメンタルズが強いので、オイルダラーが日本に流れ込んでくる可能性はさらにふえるのではないかということをきょうは指摘したいのです。 アメリカの雑誌でタイムであったと思いますが、日本のファンダメンタルズについてこういうことを書いておるのを読んだ記憶があります。日本とアメリカとの経済の実力を比較して考えてみると、まず第一に繊維でやられた、次に造船業でやられた、次に鉄鋼でやられた、自動車でも日本にやられてしまった、テレビその他でまいった、これから先は半導体だが、恐らくこれも日本にやられるであろう、そうすると六つの大きな基本的な産業部面において日本に完全にやられてしまうことになる、ということを言っておりました。 貿易摩擦の問題はきょうは触れませんけれども、またいろいろ議論が分かれますけれども、やはり基本的に日本の産業のファンダメンタルズというものが非常に強い、日本の競争力が非常に強い、おまけに政情も安定しておるということになりますと、だんだんとOPEC等も、世界の経済、各国の情勢を考えてみると、日本に投資するのが一番安全有利ではないかというふうな判断がこれからますます強くなってくるであろう、こういうふうに私は思います。そういう意味から、先ほど百億ドル前後だろうとおっしゃいましたが、もちろん株式だけの話でございますから、株式だけで考えれば、私どもが調べてみたのも大体その辺でございますが、その他債券にしても預金にしても入れて考えますと、OPECだけで二百六、七十億ドル入っておると私は思いますが、そのものがさらにシェアを広げて、これからアメリカ並みに日本に入ってくる割合、パーセンテージ、シェアが広がっていくならばもっと大きな数字が入ってくる。仮に八十億ドル前後、これは株式の入ったものを八十億ドルぐらいに押さえまして、その平均利回りに二〇%の税金をかけるということによって得られる収入というものは五、六十億円にしかならない。ところが、いま大体一五%、あれこれ入れますと二〇%になりますが、一五%ぐらいシェアとしては入ってきておるようでございますが、これをもっと大きく拡大いたしますと、簡単に申しますと、たとえば八〇年で一千億ドルのドルがたまった。サウジはそのうちの四割ですね、四百十億ドルたまっておる。その四百十億ドルの仮に二〇%、アメリカ、イギリスはどうもそのようですが、二〇%のシェアで日本に入ってくるということになりますと、八十億ドルの金が日本に入ってくることが期待、あるいは計算される。 そこで結論になりますが、いまこれがどういうふうになっておるか、細かいことを私は存じませんけれども、主権免税をやるということ、あるいはやらないということが一つの問題になって、それがすべてとは私も存じませんけれども、大きな障害になっておる。これを取り外すことによって、四百億ドルの二〇%として八十億ドルの金が入ってくるということになれば、先ほど申しましたいろいろの資金の面あるいは融資の面で日本の国際的な立場も非常に強くなると思うのですけれども、わずかに五、六十億円の税金をかけるとかかけないとかいう問題でそれがとまっておるということは、まことに残念なことである。そういう意味で私は、第一に日本の国際的な金融市場における地位をさらにさらに強化するという必要の面から、それからもう一つは油の問題を中心としまして資源に弱い日本の基礎をそういう形で強化するということのために、この際主権免税の問題はもう一遍前向きに考えてみたらどうかということが私のきょうお伺いしたい点であります。 特に、先ほど御説明がありましたけれども、通常の政府の機能という御説明がいまの基準になっておるわけですけれども、その通常ということを再検討しなければならないのではないかというのが理由の一つになるわけです。と申しますのは、オイルダラーは、先ほども申しましたが、いま三千億ドル、やがては六千億ドルになるであろうと見ておる。そういう意味から申しますと、いまドルがたくさんたまってドルをもてあまして投資をするということは、いまの、ことし、来年だけのアブノーマルな状態ではなくて、OPECにおいては、ドルがたまり過ぎるほどたまるということはむしろそれの方が、いまは異常でございますけれども、通常な状態になるのではないか。そうしますと、そのたくさんたまったドルを金融資産のいよいよ多様化するような時代に、また世界的に広げて投資をするという時代に、日本に対しても投資をする、これがまた通常のやり方になるのではないか。そういうことから考えますと、先ほどもアメリカその他の例にもありましたけれども、確かにキャピタルゲイン、裏から言えばまたキャピタルロスがある。そういうものは通常の政府の機能ではないというのが従来の考え方でございましたけれども、これからは、もてあましたドルをそれぞれの国、特にファンダメンタルズの強い日本には大いに投資をしようということは、OPECの国、その他の国ではむしろ通常のあり方、考え方になるのではないか。したがいまして、従来の物差しで考えた通常という基準と、これからOPECがドルがたまって困るようなこういう状態の場合の通常の政府の機能というものは考え方が変わってこなければならぬではないか、そういう二つの理由で主権免税の問題についてはこの際検討していただいて、日本の油に弱い経済的な立場を、サウジその他のOPECの国とドルを通じて協力体系をつくることによって一歩前進せしめたらどうか、私はこの点について大臣の御意見をお伺いして終わります。
○渡辺国務大臣 竹本委員はこの道二十数年専門にやっておるわけであって、大変お詳しいわけでございます。そういう方に私は物を申すのは気がひけるわけでございますが、日本に外国が投資をするにいたしましても、やはり政治の安定、経済の安定、国際競争力、いろいろな要素があるわけでございます。そういう中でいまおっしゃったようなことも将来考えられる事態でございますし、金利の問題等も絡まる話であります。外国主権といっても株までいってはどうかという疑問も私は持っているのですが、企業支配という問題にもつながりますからいかがなものかという点もございますが、いろいろな国債、社債、その他の問題についてはそういう形を安定させるという意味において意義はあると私は思っております。諸外国の立法令等、さらにまだ勉強が足らないところもございますから、そういうことも詰め、流動的な国際情勢等も考えながら、ひとつ十分検討をさしていただきます。
○竹本委員 最後に要望を一つ申し上げますが、とにかく大蔵省のきわめて良心的な事務としては当然の考え方かもしれませんが、見るところがちょっと小さ過ぎて、かえって大局を損する場合が多いということを日ごろも考えております。たとえば、この間有価証券取引税の場合に、今回は国債についての取引税は上げないで〇・〇三のままでございました。しかし、本当のことを考えると、国債をこれから大いに売って、国債の値下がりも避けて、国債消化を大いにスムーズにしなければならぬというときに、そのスムーズになる方向とむしろ逆になるような、〇・〇三にしろ税をかけておるということはちょっとおかしいのではないか。そういうことも含めまして、わずかなものを取ること、わずかなものを課税することによって大きなものを逃がすことのないように今後とも御検討を願いたいと思います。 終わります。
○大原(一)委員長代理 玉置一弥君。
○玉置委員 今国会は所得減税という問題で大変時間をかけていろいろな審議をされてきたわけでございますけれども、その中で特に今回話題となっております五十五年度のいわゆる決算内容といいますか、その内容によって五十六年度の減税ができるかどうかということが非常に重要な項目となるわけでございますけれども、そういう意味から、この前から各党で姿勢の問題あるいは手続の問題というようなことを確認されてまいりましたけれども、今回の中でぜひいまの状況としてお聞きをしたいということで、国債発行の状況についてお伺いをしたいと思います。 五十五年度の国債はかなり苦しい中で発行されてきた。苦しいというのは、いわゆる消化状況が悪いという中で発行されてきたというふうに聞いておりますし、またかなり強引な割りつけをやって消化をされたような経過もございます。そういう中で現時点で五十五年度の国債発行についてどういう状況になっているのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
○渡辺(喜)政府委員 五十五年度の国債発行額は、現在のところで十三兆二千八百十九億円が発行が済んだわけでございます。発行予定額が十四兆二千七百億円ということでございますので、九三・一%が発行済みになっておるという状況でございます。 なお、まだ発行未済の分の内訳を申し上げますと、十年利付国債でシ団の引受予定分が二千百九十八億円、それから資金運用部の引受予定額が五千億円残っております。そのほかに中期債が二千六百八十四億円まだ未発行で残っておるという状況でございますが、これらの未発行額につきましてはこれからなお発行に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。 ただシ団引受予定の十年債の未発行分二千百九十八億円につきましては、これは特例公債でございまして、出納整理期間に繰り延べて発行することができるわけでございますので、六月までの間に必要になるかどうか情勢を見ながら考えていきたい、こういうふうに考えております。
○玉置委員 かなりの額が残っているわけでございますけれども、この間の議長裁定の取り決めの中で、財源を確保していくために一つの不安としては、国債の減額というものも確かに重要な項目でございますけれども、いまの時期としてああいう話し合いがついた中で一つの不安材料として残っているわけです。 そこで、できるだけという話でございますけれども、できたら三月末までに、今年度中に発行をお願いしたいということと、そして繰り延べ可能ということでございますけれども、その見込み、それぞれ決意と見込みといいますか、それをお伺いしたいと思います。
○渡辺(喜)政府委員 先ほど申し上げましたように、シ団引受予定の十年債の二千百九十八億円は、三月末までの消化はもう不可能でございます。三月債についてはすでにシ団と契約を終わっておりますので、この分だけはどうしても四月以降にずれ込むということになるわけでございます。それ以外の、資金運用部の予定の五千億円、これは年度末までに資金運用部で引き受けることを予定いたしております。それから、中期債が二千六百八十四億残っておるわけですが、これは建設国債でございますので四月にずれ込ますわけにはいかないものでございますから、三月の末までにはこれは何とか消化しなければいけない、また消化できるというふうに考えておるわけでございます。
○玉置委員 財源という面で見ますと、もう一つは自然増収という話があるわけでございますけれども、自然増収がなければ剰余金というものが出てこないのでございます。ところが、いままでの自然増収、特に五十五年度の見込み、そして五十六年というふうに経過を経ていろいろお話をいままで伺ってまいりますと、当初はかなり出るような見込みを持たれておりました。それが、だんだんだんだん心細いといいますか、見通しが暗くなるような話に経過をしてまいりました。 そこで、いままでの自然増収の実績と、それから各時点、たとえば予算編成の時点あるいは補正予算の時点、そして五十六年の一月あるいは三月、いわゆる現時点、それぞれどういう見方で変わってきたか、それについてお伺いしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 補正後で二十七兆一千四百五十億という税収を予定いたしておりますが、これは昨年の十一月末の時点での経済指標、税収の実績、それから三月の大法人の決算見込み、私どもが調査いたしましたもの、今後の経済指標の見込み等を総合してつくったものでございます。 十一月末の税収の進捗割合は、補正後予算額に対して五〇・二%というところで補正予算をしたわけでございます。ちょうどそれは前年度の進捗割合と同じところであったわけでございますが、その後、ここでもお答えをしたと思いますが、十二月、一月と補正後予算の伸び率よりは下回るそれぞれの月の税収がありましたので、一月末現在対前年比伸び率が一三・三%というのが累計税収でございます。 決算に対する五十五年度補正後予算の伸び率は一四・四%でございますから、一・一%下回っておることは事実でございますが、二月になりますと、十二月末の決算法人の税収が入ってまいります。三月には確定申告の税収が入ってまいります。五月には三月決算の大法人の税収が入ってまいります。それぞれ一兆数千億ないし二兆円を超える大きな税収でございまして、これらの収納状況を見きわめませんと、ただいまお尋ねの五十五年度全体としてどのようになろうかというお尋ねでございますけれども、ちょっといまのところ私ども確定的なことを申し上げられませんが、五十五年度全体として補正後予算の伸びに追いつくかどうかはこれからの税の進捗状況によろうと思っております。
○玉置委員 いまのお話を聞いてみますと、税が要するに完納されたというかそういうところでないとわからないというような話に聞こえるわけです。実際、普通の民間の会社ですと、たとえば手形でありますとかあるいは売上金の予想とか、いろいろなことで予想を立てて予算を組み、そして個々に見通しが悪くなったらそれぞれ対応をやはり考えていくということをやっているわけでございまして、結果が出てから考える、何回も申し上げますけれども、いわゆるマル・ペケ式のやり方ではそれぞれきめ細かい対応ができないというふうに思うわけです。たとえば補正予算の時期、まあ予算編成の時期とほぼ同じですけれども、その時期の数値というものがかなりかたい数値、データによって、あるいは予測によって出されてきたというふうにわれわれは解釈をしているわけでございますけれども、そのときは自然増収がまだ出るだろうという見込みだ、ところがどういうわけか、所得減税の話が出てくると、突然急に景気が悪くなって、自然増収の見込みがなくなって歳入欠陥が出るというふうな話に変わってくるということでございまして、こういうことからするといわゆる予算のベースというのは非常にあいまいな根拠に立っているのではないか、そんな気がするわけです。主計局はおられますか。
○高橋(元)政府委員 十一月末時点で私どもは、在庫調整はほぼ十二月になって終わりまして、年を越えましてからは景気はやや明るさを取り戻すという感触の五十五年度の経済見通しという線に乗りまして諸般の指標を推定したわけでございますから、いろいろ御批判はあると思いますけれども、私どもとしてはその時点における最も正確な予想に従って税収の見積もりをつくったわけでございます。その後、在庫調整のおくれ等も指摘されるようになりまして、十二月、一月の税収が昨年の伸びよりも下回っておるというのは事実でございますが、税収でございますから、各会社の決算の状況、それから給与の伸び、利子の支払い等々の事実によっていわばパッシブに受け入れておるわけでございますので、私どもとしてはそのそれぞれの税目につきまして、たとえば申し上げましたような大法人調査、大企業の決算見込み、これは数百社について随時とっておりますし、申告所得税の状況につきましても、電算機化されておりますところの申告所得税の見込みというのは随時サンプル的にとって見ておるわけでございまして、決してただ日銀の窓口で収納されてくるものを手をこまねいて見ておるというわけではございません、いま中間の状況でなかなか確たることを申し上げるだけの資料がないというお答えをしているわけでございますが、お話のありますように、私どもは税収全体の推移については常時慎重な情報を得るようにあらゆることをやっておるつもりでございます。
○玉置委員 補正予算の数値については責任を持って出されていると思うのですけれども、たとえば歳入欠陥が出たときの責任というのはどなたにあるわけですか。
○渡辺国務大臣 それはもう最終的には大蔵大臣だと思います。
○玉置委員 たとえば今回の所得減税の話の際に、剰余金であるとかあるいは不用額、いろいろなものが出てきますけれども、分担していくと、不用額については主計局長、歳入欠陥は主税局長と大蔵大臣ですか。
○渡辺国務大臣 私も法規は詳しくわかりませんが、常識論で言えばみんな大蔵大臣の責任になると思います。分担的に言えば、歳入担当は主税局長だし、歳出の方は主計局長ということになりましょうが、歳出がオーバーしたとか、あるいはどえらい方へ行ってしまったとか、掛かりによっても違うわけですから、そういうような問題についてはそれぞれの担当者ということになろうかと考えます。
○玉置委員 責任というのは、ただ確認をしておきたいというだけです。責任をとれとか、そういう話ではなくて、ごく最近のデータ、ごく最近といいますのは五十五年の十一月とか十二月、要するに補正予算を組まれるときのデータ、あるいはその提出直前に再確認されていると思いますけれども、されてなければ大体そのやり方がおかしいからそちらの方を追及しなければいけないのですけれども、そういう数字が本当に二、三カ月でこんなに大きく変わってくるのか。それと逆に言えば、そういう悪い変化がありながら、五十六年度の見通しを、この前も経済の見通しとしてお伺いしましたけれども、大変楽観されているところがある。全然話が結びつかないわけです。そういう意味で見て、本当に生のデータが大蔵大臣まで届いているのかどうか、そしてそれを受けて方針を個々に見直しされているのか、その辺をお伺いしておきます。
○渡辺国務大臣 経済見通しについては決して楽観していないのです。世界的にマイナス成長とか一、二%というところが多いわけですから、実質五・三成長というのはなかなか大変じゃないか。したがってそれが大きく違ってしまうと税収も違ってしまうし、歳出予定もできなくなってしまうので、楽観はいたしていないからこそ閣僚がみんな集まって、景気対策のための特別な措置等についても決定をしておるということです。決して楽観はいたしておりません。
○玉置委員 まだいろいろ詰めていきたいのですけれども、大臣の御都合があるようでございまして、次回にまた継続してお願いしたいと思います。 終わります。
○大原(一)委員長代理 蓑輪幸代君。
○蓑輪委員 今回の所得税の改正については、寡夫控除の新設とか、いわゆるパートタイマーの課税最低限の引き上げなどの改正が行われているわけです。しかしパートタイマーも非常に微々たるもので、パートタイマーの皆さんの御要望に沿うようなものではありませんので問題があると思いますけれども、一番大きな問題は、所得税減税が見送られているというところだろうと思います。五十三年以降四年連続して所得税減税が見送られて、給与所得者の課税最低限は標準世帯で二百一万五千円に据え置かれたままという状態です。そこで減税見送りによって実質的な大増税が進んでいるわけですし、特に低所得者ほどひどい増税を押しつけられているという結果になっていると思います。政府は、課税最低限が諸外国と比べてみて日本は非常に高いところにあるという理由で減税を見送っているわけです。高いか低いかということにつきましては前にも議論させていただいたこともありますが、政府のこういう比較のやり方は、給与所得者の場合、給与所得控除と人的控除を合計して、しかも変動する為替レートでやっているわけです。外国との比較で見てみますと、給与所得控除に相当するものについては実額控除というやり方をしている国があるわけです。あるいは実額控除方式との選択式、そういう方法を採用している国もあるわけです。こういうふうに控除そのものについて各国でやり方が違っているのに、それを一緒にして比較をしているというやり方は正しくないのではないかと思います。本来国際比較をするとするならば同じ基準でなくてはいけないわけで、そうすれば給与所得控除などを除いて人的控除だけで行うのが筋ではないかと思います。それで、人的控除で比較した場合に各国の状況がどうなっているのかお答えいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 たびたびお答えしております給与所得者の課税最低限の国際比較といいますときの比較をされているものは何かと申しますと、標準的な給与所得者について課税されない給与収入の限度というものについて国際比較しているわけでございます。わが国の給与所得者の給与所得控除は、必要経費の概算控除だということで御説明もしておりますが、同時に給与所得とたとえば事業所得、資産所得、他の所得との負担のバランスを図るということもその趣旨としておるわけでございまして、すべての所得者に認められるものでございますから、給与所得者の課税最低限を算出する場合には必ずこれも一緒に考えるということが私どもとしては筋であろうと思います。外国で、たとえばフランスそれからドイツでございますとか、給与所得に関する控除制度があります場合にはこれを加えて比較をしておるわけでございまして、片手落ちなというか、わが国に故意に有利になるような比較をしているわけでは決してございません。
○蓑輪委員 私がお尋ねしたのは、人的控除の比較をした場合に各国の実情の数字はどうなるかということでございますので、それをお答えいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 お尋ねでございますが、大変むずかしい問題でございまして、いますぐにお示しができないようでございます。と申しますのは、アメリカの場合のゼロ税率適用最高限度額三千四百ドルというようなものがございます。これは経費控除であろうと思いますが、その場合人的控除を四千ドル、これと日本の基礎控除、配偶者控除、扶養者控除だけをとって比べるのかどうか。二分二乗制度とかN分N乗制度をとっております場合にどういうふうに考えたらいいのか、それぞれむずかしい問題がございますので、私どもとしてはいますぐお尋ねのような数字をお示しするのは困難であると考えております。
○蓑輪委員 きのう私、人的控除で比較した場合に各国はどのような数字になるのかということを出しておくようにお願いしたのですが、出してないということですから今後それをぜひやっていただきたいと思います。私どもの方は私どもなりに人的控除ということで計算した場合に、これはもう日本が一番低いわけで、そういう点から言っても高い高いと一概に言うのは間違いじゃないかと思います。と同時に、いまお答えがありましたように、必要経費の概算控除だけではなく、他とのバランスもあるとおっしゃいましたけれども、そういたしますと、給与所得控除の中で、一体この必要経費の概算控除部分がどれだけで、バランスをとった部分がどれだけなのかということはどうなっているのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 どれがどれ、どの部分がこの部分というわけにはまいりませんけれども、しばしばお答え申しておるわけでございますが、わが国の家計調査からはじき出しまして勤労者の家計調査を見ておりまして、給与所得者が給与に伴って通常必要となるであろうというような支出をできるだけ広く拾い集めてみまして合算をいたしますと、年によって違いますが九%から一一%ぐらい、これは各収入階層を通じて同じでございます。ですから私は、大体一割ぐらいが非常に広く考えました場合の給与の実額経費ということになろうと思いますが、これはたとえば週刊誌とかレーンコートの購入費とかそういうものまで含めた意味の控除でございまして、税法上、たとえばアメリカ、イギリスなどで認めております給与所得の経費というものはもっとぐっと狭くなっております。
○蓑輪委員 いまお尋ねしたのは、たとえば給与所得者が最低の控除で五十万というふうになっておるわけですが、その五十万のうち必要経費の概算控除部分が幾らぐらいでそのほかが幾らぐらいかということです。
○高橋(元)政府委員 五十万円というお尋ねでございますが、これは百五十万円以下の年収につきましてはその四割を給与所得控除として見ておる。それを五十万円のところまでかさ上げしてある、こういう意味の最低保障でございますから、四割の給与所得控除、全給与所得者を平均しますと三〇%余になるわけでございますが、三割の給与所得控除の中で一割が非常に広く考えました場合の給与者が勤務生活を営むに必要な家計支出の合計だろうということを申し上げているわけであります。
○蓑輪委員 この概算控除部分というのは余り多くないような御回答のように承るわけですが、私が調べましたいろいろな判例なんかでも、給与所得控除の中において給与所得の必要経費の概算控除部分はその主要な地位ないし部分を占めているものと認めるのが相当であるというようなものもありまして、給与所得控除の中で必要経費の概算控除というのはかなりの部分を占めているというふうに理解しているわけです。そうしますと、これを経費と考えた場合にそれは生活費ではないわけで、それが課税最低限のときに計算上加算されるというのはいかがなものかというふうに私どもは思いまして、人的控除だけで計算をしてほしいということを申し上げたわけなんです。その点、大蔵省の根拠に基づく課税最低限の計算というのは承りましたけれども、なおこの人的控除、最低生活費をかんがみてこの人的控除で諸外国と比べた場合どうなるのかというのをぜひ一度検討しておいていただきたいというふうに思います。 次に、この人的控除の部分でまた考えてみなければならない問題は、生活保護基準との比較の問題です。生活保護の考え方の基本といいますのは、憲法二十五条の規定に基づき健康で文化的な最低限度の生活を保障するというところからきているわけですね。それと同じ考え方が最低生活費非課税の原則と言われているものになっていると私は思うわけですが、現実に生活保護の基準の場合、夫婦子供二人の標準四人世帯で一級地五十六年の計算でいきますと一年で百七十八万六千八百七十二円という数字を厚生省からいただいておるわけです。いろいろ教育扶助、住宅扶助などというものがありますので基準額だけをとりました場合でも年額百六十一万九千七百十二円ということになるわけですね。そうしますと、人的控除との関係から言って、人的控除の二十九万掛ける四人という計算との比較で言いますと、この生活保護基準の方が大分上回っているというものが実態になっているわけです。そこで、これは非常に重要な問題じゃないか、ぜひこの際こういうアンバランスをなくして人的控除を引き上げるべきではないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
○高橋(元)政府委員 所得が発生しました場合に一切資産ということと切り離しまして、資産を持っていようが持っていまいが所得が発生しました場合にその年間所得の中で基礎的な生計費部分に課税しないという考え方に立って定められているのが給与所得控除及び人的控除を加えました課税最低限でございます。これに対しまして生活保護は、これはよく御案内のことでございますが、資産能力その他あらゆるものを生活の維持のために活用して、さらに民法上扶養または他の法律による扶助、こういうものを優先させてそれでも最低生活が営めないときに初めて受けるというのが生活保護でございます。相当な資産または企業の規模を持っております個人事業者でも赤字ということはあるわけでございます。赤字になったから直ちに生活保護に転落するというわけではない。これはどうも蛇足のようで恐縮でございますが、そういうことからもお察しいただけますように課税最低限と生活保護とは全く性格を異にしておりまして、直に比較してただいまのような御議論をいただくわけにはまいらないのではないかと、大変失礼ですが、そう考えております。
○蓑輪委員 それでは、人的控除そのものを設けた趣旨を説明してください。
○高橋(元)政府委員 かつては基礎控除よりも配偶者控除が低かった時代もございます。それから配偶者控除と子供の控除と違った時代もございます。配偶者がいない場合に、第一子の控除を高くしたこともございます。どういうふうに人的にこれを配分するかという問題もございますけれども、昭和四十九年の所得税制以来簡明を期するために世帯人員全部について一律に同じ金額に分解をしておるわけでございまして、総体的に申しますと、日本の場合には子供の少ない家族の方がむしろ課税がきつくなるというようなことはあるかもしれません。あるかもしれませんが、全体として基礎的な生計費部分を所得計算上の課税所得から外す、そういう趣旨でございますから、二十九万円がどういうところに見合っておるかというような具体的なことではなくて、むしろ全体資産二百一万五千円を給与所得控除とそれから人的な控除及び社会保険料控除に分解をして考えておるわけであります。
○蓑輪委員 これまで課税最低限問題についてはいろいろな歴史があったようですけれども、大まかに言って最低生活費に所得税負担が食い込むべきでないということは言えるというふうに思うのですね。いろいろあって、基準生計費というものを出してみたこともあったりあるいは大蔵省メニューというようなものが出された時代もあったりいろいろありまして、ある時期では課税最低限はある程度貯蓄のためのゆとりを織り込んだ水準が望ましいというような観点が持たれた時期もあって、むしろ課税最低限というのは引き上げてくるという歴史、文化の水準と生活の向上に従って引き上げられてきているというふうに受けとめているわけですが、健康で文化的な最低限度の生活を営むというのはとりもなおさずその部分に関しては税金をかけないという原則はあるのではないでしょうか。
○高橋(元)政府委員 一人当たり所得が日本よりも高いたとえばアメリカでございますとか、ドイツでございますとか、そういうところの課税最低限は日本より低いわけであります。もちろんいまお示しのありましたように基礎的な生計費に、たとえば昭和三十一年の臨時税制調査会の答申によりますと、所得税が最低生計費に食い込むことは避けるべきであるという要請があるという文言が出ておりますが、そういう考え方は大きな流れとして各国とも持っておると思いますけれども、昭和四十三年までずっと税制調査会では、たとえば具体的にイカの刺身を朝飯に食べるとかいろいろなマーケットバスケットをつくりまして、マーケットバスケットをもって課税最低限というものを計算する根拠にしてきたこともございますけれども、昭和四十九年に大幅な減税を行いましてから後は、課税最低限がある程度の水準になってしまいますともう後はそれほど最低生活費と課税最低限との関係について毎年毎年考え直すという必要はない、むしろ物価調整的な減税は必ずしも必要でないというのが五十年以降の税制調査会の考え方であることは御案内のとおりと思います。
○蓑輪委員 いろいろ述べられましても、国民が納得できるかという点で言えば、やはり人的控除の四年も据え置きというのは、諸物価の値上げからいきましても絶対に納得のできないものなんですね。政府が財政再建期間中は減税しないという態度を固執されるとしてこのままいった場合に、住民税の場合ですでに起こっておりますように、給与所得控除を含めても課税最低限が生活保護基準を下回るという事態になる、推移はそういうふうになるわけですね。こういうことになれば、生活保護世帯にも課税をするという理屈になっていくわけですが、この問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○高橋(元)政府委員 大臣のお答えの前で恐縮でございますが、私いまのような問題が念頭にありまして、アメリカの主税局長とかイギリスの国税庁の長官とか、いろいろそういう問題を話したことがございます。それからまたわが方から出張しました人にそういうことを聞いてきてもらっておるわけでございますが、公的な扶助は公的な扶助、それから税金は税金とこう分けて考えてもいいんじゃないかという、たとえばイギリスのように非常に課税最低限が低い国の人たちはそういう考え方を持っているようでございます。 住民税については、生活保護世帯には課税しない、受給世帯には課税しないというような原則もあるようでございますから、直ちにアメリカやイギリスがそうだからそう考えていいと思って私は申し上げているわけではございませんけれども、国によって立法政策はさまざまであっていいのではないかと考えております。
○蓑輪委員 大臣の御見解を……。
○渡辺国務大臣 そういうことになるとこれは困ってしまうんですね。ですから、やはりいつかは考えなければならない、そう思っているんですよ。
○蓑輪委員 いつかはなんて言わずに課税最低限をぜひ早急に上げていただきたいというふうにお願いをいたします。 購買力平価で計算した場合に日本が非常に低くなるということは前にも申し上げておきましたし、また西ドイツの場合などでは児童扶養控除が児童手当に切りかえられているという面もあって、現金で支給されているわけですけれども、それを勘定に入れるかどうかということが一つ問題なんですね。政府のこの課税最低限の比較でいきますとそれが考慮されていないと思いますが、仮に児童手当分を児童扶養控除と計算をしてみますと、西ドイツの課税最低限は、一九七九年の数字で見ると二万四千四百四十五マルク、日本円にして三百三万一千円というふうになってきますので、日本の二百一万五千円より高いものになるというふうに言えるわけです。国民生活を守っていくためにも今後の消費を促進していくというためにも、ぜひ減税、特に私どもは六千億円程度の減税を要求しておるわけですけれども、ぜひ減税をお願いしたいというふうに思います。 それから次に、所得控除と税額控除の問題ですけれども、現在所得控除方式がとられています。所得税が累進構造になっておりますので、所得の高い層ほど減税効果が大きくなる。つまり、逆進的になっているというふうに言わなければならないと思います。 こういう問題があるわけですから、所得控除と税額控除方式というようなのは、公平の観点から見てあるいは所得の再分配機能という問題などから見て、どちらがより望ましいというふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 収入金額から必要経費を引きまして所得が出てくるわけですが、その所得の中で基礎的な非課税部分として幾らの金額を取り去るかという形で、現在ですと二十九万円掛ける家族人数という形でそれを引いて残りに課税をしておるわけでございます。そういう意味で、所得控除方式というのは日本の所得税が持っております課税所得算出の基礎的な考え方に乗っているわけでございます。たとえばドイツの話が先ほどお示しがございましたが、ドイツの子女控除というのが五十何年ですか三年くらいまであったわけですけれども、これは子供があるための掛かり増しの費用という意味も持っておりますが、同時に多子奨励、第一子よりも第二子が高く第二子よりも第三子が高い、そういう多子奨励的な一種の政策的な所得控除であったようでもあります。ドイツはもう児童手当をつくりまして、子女控除を廃止してからたしか三年になるわけでございますけれども、やはり税法の中に子女控除を新しく設けるべきだということで、また新設をいたしたわけでございます。 仰せのように所得が大きくなりますと確かに控除される人的控除に係る限界税率に基づく減税効果は大きくなりますけれども、やはり総所得から人的控除額を引いて残りを課税所得とする、そういう所得税の所得計算の基本ルールというものは保つべきであるというのが私どもの見解でございます。
○蓑輪委員 人的控除の中で児童控除などというものは特に福祉的性格も加味されたりなどして税額控除になったりあるいは手当になったりということがいろいろ諸外国でも検討されて進んできているわけですが、税額控除にした場合は加減乗除云々の計算を経ずして幾ら税金がまけてもらえるのかということがはっきりするという点でも非常に国民的にもわかりやすいというふうに私は思うわけです。人的控除二十九万円といっても、それが二十九万円税金が控除されるなんて錯覚する場合もあるのですけれども、実はいろいろ計算してみると非常に微々たるものになっているという、そういうからくりから見ても、税額控除だと幾ら税金を控除してもらったかということははっきりしているわけですから、そういう点で今後公平な税制を実現していく上で、ぜひ人的控除での税額控除方式というのを御検討いただきたいというふうに思います。 次に、児童手当に関連する問題ですが、厚生省は中央児童福祉審議会から出た意見書を受け取って、それで先日の代表質問でも質問させていただきましたけれども、大蔵大臣はこれは一部の意見であるというふうに述べられて、厚生大臣はこれは厚生大臣の意見であると述べておられますけれども、児童手当の問題についてまず厚生省が基本的にこれをどうすべきというふうに考えておるのか、簡単にお聞きしたいと思います。
○近藤説明員 お答えいたします。 昨年の中央児童福祉審議会の意見書では、高齢化社会が参りますので、これを踏まえましてその対応策の一つとして児童手当制度の根本的な改革を図れ、そういうふうな意見書が出たわけでございます。私ども影響するところが非常に多いものでございますので、厚生大臣からは積極的に検討しろということを命じられておりますので、これからやらなければいけないというふうに思いますけれども、まあ影響するところが多いわけでございますので、私どもとしては児童手当制度そのものが国民にとって必要なものであるかどうかという点からのじみちなPRというものをしたいというふうに考えております。
○蓑輪委員 いままだ何かはっきりしない答弁なんですけれども、厚生大臣は答申に従ってぜひやる方向でというふうにおっしゃっていますが、元厚生大臣であられる大蔵大臣はこの児童手当問題について、税制と福祉が直接絡まる部分で、財源問題に関しましても、特に国家に対して非常にデメリットがあるという問題でもないように思いますので、その点積極的に実現の方向で協議をしていただくというふうにお答えいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 答えを強制されても困るわけなんですが、この論争は昔から非常に論争があるのです。スウェーデンのように、子供がだんだん産まれなくなるというようなことで、あそこではかなり極端なことをやっているのですよ。そのかわり、税金もむちゃくちゃに高いけれども、産休は産前産後でも一年ぐらい有給で休ませるとか、御主人も休んでいいとかいうような国もあります。 そういうことで、どうしてもたくさん子供を産んでもらわなければならないという観点に立ってやるか、日本がそこまで現実にいっているかどうかという認識の問題が一つございます。フランスなども、だんだん減ってしまうということになればどうしても子供を産んでもらわなければならぬ。ソビエトなんかも産めよ、ふやせよの方ですから、独身者には税金をかけるとかということをやっています。したがって、これはそれぞれの国の基本的な問題についての認識がどう違うかということで、実際は現在の段階で子供をどんどん産んでもらわなければならないというようには私は思ってないのです。そういうことをやるなら本当にかなり思い切ったことをやらなければ効果がないので、少しぐらい税金とか児童手当五千円とか六千円とかもらったからといって、それじゃ五人も七人も産むかということになると、そんなに産む人は金をやってもやらなくても産むのですよ、実際は。しかし普通の人は産まないのですね。やはり教育の問題とかいろいろ考えますから、三人ぐらいとか。私が若い人にずいぶん聞いてみても、お金をもらったからといって七人も産みたいなんて人は余り聞いたことがない。ですから少しぐらいのことではなかなか人口政策は動かぬのじゃないか、そう思っておりますので、もう少し勉強させていただきたいと思います。
○蓑輪委員 児童手当は人口政策とかかわるというふうに御理解の上での御答弁のように承りましたけれども、人口をふやすために手当を出すというものではないわけですね、そもそも児童手当のできた趣旨といいますのは。もうすでに御存じのことと思いますけれども、児童の健全育成、そして家庭の経済的な援助という問題があるわけですね。今回高齢化社会の問題とか人口問題がいろいろ論議されてはおりますけれども、児童手当そのものは必ずしもそのことから出てきたものではないというふうに私は理解しているわけです。そして問題は子供をどういうふうに受けとめるかというところだと思うのですよ。この答申などでは社会の子として位置づけておるわけですけれども、大臣はどのように受けとめておられますか。
○渡辺国務大臣 それは、子供は社会の子でもありますが、親の子でもあるわけですから、日本では社会の子というよりも、むしろ親の子供だと思う人の方が圧倒的に多いんじゃないか、私はそう思うのです。 〔大原(一)委員長代理退席、山崎(武)委員長代理着席〕 家族主義的な国ですからね、子供に対してかなり外国と日本では考え方が違う。だから必ずしも外国の思想がそのままぴったりと日本人に当てはまるかどうかという問題があります。 それから児童手当については先ほど言ったように、人口政策の問題ばかりではなくて子供の多い人の生活の援助をするという意味もあります。それは非常にあるのですよ。だけれども、これにつきましても要は、日本の場合は外国と違って子供が四人とか五人とか産まれるときにはかなりの年になる。そうすると、外国の場合は勤めても年功序列型賃金ではありません、職階制ですから、大学から入ったばかりの人よりも二十年勤めた人の月給が安い。フランスなんかではそういう例はたくさんあるわけです。したがって、そういうような点も日本と違うので、年とっても月給が上がらない、子供だけふえてしまうという方にはやはり児童手当というのは非常な意義があると私は思っております。そういうような給与体系の違いということもありますから、一概には外国の、ヨーロッパのまねをぴしっとすることがいいかどうか、ここにも問題があるので、そういうものもせっかく答申がございますから、私はそれは十分に検討させて議論をしてみたいと思っております。
○蓑輪委員 これは外国の思想を日本でやれという趣旨ではないわけですし、さらにまたいま大臣がおっしゃいました年功序列の問題につきましても、最近の勤務形態というのはずいぶん変わってきておりまして、一概に日本でも、そう単純に言い切れない労働事情があることは御存じのとおりだと思うのです。そういう実情を踏まえた上で、ぜひおっしゃるとおりに前向きに検討していただきたいというふうに重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。 最後ですけれども、所得税で今回寡夫控除が新設をされましたりしておるわけですけれども、実はいわゆる未婚の母と言われている人たちがあるわけですね。これはいろんな事情でこういう未婚の母を余儀なくされている人も多いわけですけれども、この未婚の母も寡婦に準じて税制上の配慮をしていただくことはできないものかどうか。現行法上どうかという問題もありますけれども、将来にわたっても積極的にこれを考えていただく余地はないものだろうかということで、ぜひ大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。
○渡辺国務大臣 これは実はむずかしい問題でして、似たような話があるのです。たとえば遺族の奥さんが遺族年金をもらっておる。一人でいる場合は俗っぽく言うと後家さんというか何というか、未亡人か、それが結婚したときももらわせろ、結婚しても遺族であったことは間違いないのだから遺族年金をもらわせろ、こういう議論があったのですよ。これはしかしいろいろ問題があって、やはり別の夫と結婚してまで前の人の位牌を拝んでおられたら一体どういう気持ちかというふうなこともありまして、これはそれと似たような話なんですよ。 要するに、死別をした、子供を持った未亡人に対して寡婦控除を認めてきた、それから離婚した人もいろいろ事情があって認めたというけれども、結婚する前に子供ができた人にも認めろということになってまいりますと、これはともかく結婚しないで子供ができたことを事実は事実なんだから認めろと言われましても、いろいろむずかしい問題がある。たとえば入籍していない人にいろんな、扶養家族とかなんかの関係を認めろという話と同じになっちゃって、実態調査をしなければならない。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕 余りそういうところまで税務署が立ち入るというのはどういうものかというような問題とも絡んでいる問題でございますから、せっかく簑輪委員の斬新な御提案ではございますが、ここでは御回答するわけにはいかないので、もう少し時間を与えていただきたいと思います。
○蓑輪委員 新しい提案でございますので、ぜひ御検討いただく項目の中に加えていただくようにお願いしておきたいと思います。 最後に、時間もありませんので、租税特別措置法について簡単にお尋ねしたいと思います。 整理合理化がおおむね一段落したというふうに言われているわけですけれども、今回改正の整理合理化のやり方について基準をちょっと簡単にお願いしておきます。
○高橋(元)政府委員 五十五年度の改正で一律のカットとかなりの広範な見直しをやりましたので、五十六年度の改正におきましては、期限の到来したものを中心として政策的意義の薄れたものを全体の七十二項目の中で二十二項目縮減をいたしましたということでございます。
○蓑輪委員 租税特別措置というものに対する三つのテストというのが過去に言われているわけですけれども、やはりこれに照らして考えてみなければならないのではないかというふうに思います。 この中で、今回エネルギー対策投資促進税制の新設の問題やLPGの貯蔵施設の割り増し償却制度などについて、こういう三つのテストの観点から見てどうなのかという点はいかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 政策目的自体の合理性の判定、政策手段としての有効性の判定、付随して生ずる弊害と特別措置の効果との比較考量、これが仰せの三つのテストだろうと思います。 省エネルギーと申しますか、国民経済、国民生活全体として輸入エネルギーに依存する体制というのを極力早期に是正をしていかなければならぬ。現在七五%に上ります輸入エネルギー依存を、昭和六十五年までに五〇%に下げる、これは大変むずかしい政策目標だろうと思います。そのためにエネルギー対策促進税制、それから最近石油にかわります公害の少ないエネルギーとしてのLPG、こういうようなものについてのLPG法というのもできるわけでございますから、そういうことにつきましてさらに政策の効果をより一層上げさせるために、いま申し上げました三つのテストというものを私どもは十分やりまして、今回省エネルギー税制とLPG備蓄タンクの割り増し償却制度というものを新しく起こして御審議をお願いしておるところでございます。
○蓑輪委員 エネルギー対策が重要であるということは私も否定するつもりはありませんが、この特別措置はいろいろ問題があると思いますし、特に新たな不公平を拡大するという問題点を持っていることを指摘して、廃止すべきであることを主張して質問を終わりたいと思います。
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
○柿澤委員 所得税、法人税、租税特別措置法、三法について質問をいたします。 先ほどちょっと大臣からも御答弁がありましたが、所得税についてはこれから税負担のあり方というものを見直していく必要があろうかと思うわけです。その場合に、課税最低限とか中産階級に対する課税の問題もありますけれども、同時に、これからの活力ある自由主義社会というものを考えた場合に、高額所得者に対する日本の所得税の負担というものが国際的に見て非常に高いという点、この点についてはこれからどうお考えになっていくのか、その辺について御意見をまず伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 わが国の税率表は御案内のとおり課税最低限が非常に高いわけでございますから、したがってゼロ税率というものが長いわけでございます。そこから始まります課税所得についての税率は、最低税率が一〇%で、それから非常に細かい階段を上がっていきまして七五%に達するわけでございます。現在七五%という最高税率を持っております諸外国というのはありません。これは、かつて利子配当所得の利子所得については非課税という時代もあったわけですし、分離課税というのが認められた時代もあるわけでございます。それからキャピタルゲイン、土地についても分離課税であった時代もありますし、非課税も残っておったわけでありますが、そういうことが逐次解決されていきますと、午前中大臣からもお話がございましたように、やはり税率表についてもう一遍考えてみることはどうであろうかというのが昨年十一月の税制調査会の中期答申であります。その内容は御案内だろうと思いますけれども、課税標準の総合の程度と税率表のカーブというものを関連させて考える必要があるという指摘であります。もちろん所得税でございますから、全体が社会の合意し得るバランスの上に成り立たなければならないわけでございますけれども、やはり御提案の問題は検討を要する問題であるというふうに考えております。
○柿澤委員 日本の場合には地方税も含めて限界税率が八千万円超で九三%と了解しておりますが、海外で地方税も含めてそれに匹敵する高い限界税率というのを持っているところはあるのでしょうか。
○高橋(元)政府委員 主要先進国と言っております国ではちょっとございません。かつてイギリスが、サッチャー減税の前までは八三%という税率表を持っておりましたが、イギリスは御案内のように地方税はレート一本でございますから、所得課税としては日本の九三の限界税率というのは非常に高いと思います。ただスウェーデンなどは、国税と地方税と合わせますと、正確な記憶ではございませんが八十数%という税負担になって、限界税率を持っている国はございます。
○柿澤委員 九三%の限界税率を適用される高額所得者というのはそうたくさんはないと思うのです。ただ五十九年度以降、利子、配当の総合課税がグリーンカードシステムその他で進んでいった場合に、先ほど主税局長からお話がありましたような課税の総合化の程度に応じてという問題が出てこようかと思うのです。その点で、グリーンカードの採用、利子、配当の総合課税化の実現によってそういう非常に高いところの高額所得者がどのくらいの割合でふえてくるというふうにお考えになっておられますか。
○高橋(元)政府委員 現在利子、配当の所得税が、利子が一兆二千億くらいいただいておろうかと思いますが、これも私ども所得階級別または残高階級別の利子所得の分布というのを知りたいと思っていろいろやっておるのでございますけれども、それに当たる正確な計数がございません。ございませんのではっきりしたことは申し上げられないのですが、年収に相当するくらいの貯蓄を持っておってその半分が定期性の預金だという日本の貯蓄の形態をそのまま広げて考えてみますと、数十万人の方ということになろうかと思います。
○柿澤委員 その辺はまさにこれからの政策的、政治的な判断になろうかと思うわけですが、ともすれば高額所得者性悪説みたいなもので税制が律しられがちでございます。所得税の再配分機能というものについては、私どもは当然高額所得者に対する高率課税というものを是認しなければいけませんけれども、果たして禁止的な課税であっていいのかということになりますと、これからもわが国が自由経済体制、自由主義社会として活力を持っていかなければいけないという場合には、その辺についても十分慎重な検討が必要だろうと思うわけですが、大臣にその辺の政治家としての政治的な御判断をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も実際は全く同感なんです。最高七五%、八千万円と決めたのはもう二十年ぐらい前。三年や五年じゃないですからね。二十年か、もっとになるか、その間ほとんど動いてないということであって、インフレも伴いまして、自分のこと言っちゃうけれども私だってともかく六割五分、七割ぐらい取られてしまうわけですから、残り三割しかないということで、本当に税金高いなと私は個人的には思っているのです、実際の話が。やはり余り極端なことをやると第二のイギリスみたいになってしまって、高額所得者が外国へ逃げちゃう。一番いい例がイギリスの医者ですね。有名な能力のある医者が要するにインドあたりで開業して、インドの人が学校へ行ってイギリスでお医者さんをやっているのです。私にはスウェーデンの友だちもいますが、もういかにして税金をうまくやるかということばかり考えていると言っていました。ですから、そういうことになると幾ら税務署員をふやしたってとてもとても、それは知恵をしぼってやる話になりますから、だめなんでして、やはり産業に活力を与えて働く意欲を持たしておかないとその結果は逆なことになる。法人税なんかでもうんと取るだけ取っちゃうというようなことをやれば、結局投資はしないということになるし、その結果国際競争力がなくなるということになれば日本の経済は落ち込む。ということになれば、結局は数の多い労働者の頭の上にかかってきてしまうわけです。結局はそういうことになってしまう。したがって、これは理屈だけじゃないのです。やはりそこらの調和をどこに求めていくかということは非常に大きな問題ですから、少なくとも総合課税になって分離課税のものも全部乗るのだという場合には、先ほども妻と夫の要するに資産合算の話やなんかも私しましたが、そういう問題も含めて抜本的に一遍考え直す必要があるんじゃないか、そういうように私は思っております。
○柿澤委員 その意味で課税最低限の見直し、人的控除の見直し、それから妻の所得の課税上の扱い、さらには高額所得者の税率の刻みの見直し、その辺ぜひ抜本的な見直しをお願いいたしたいと思います。 それから、所得税でもう一つお聞きしたいことがあったのですが、せっかく国税庁おいでいただいておりますので、法人税の方で、これは税法上の問題ではないのですけれども、法人所得の捕捉の問題で最近大きな問題になってきているのが海外における所得、多国籍企業といいますか日本の企業の海外における経済活動の問題があろうかと思います。日本のいまの課税、徴税機構の中ではその点が非常に捕捉率が低いというふうにも言われておるわけですけれども、その辺についての実態がどうなっているのか。 それから海外、アメリカ等では内国歳入庁が所轄の税務署等に任せずに直接その辺についての所得の把握をしているというふうに聞いておりますが、その意味で日本でも海外の所得を捕捉するための専門的なスタッフを思い切って養成していくということが必要ではないかと思いますが、その辺の体制についての税務当局としての見解、今後どのようなことをしようとしているのか、お話を伺えればと思います。
○岸田政府委員 お答え申し上げます。 先ほど御指摘のありましたようにアメリカの調査体制でございますが、これはかなり進んだものがあるのじゃなかろうか。大体二つの組織でやっておりまして、一つは業務部に調査課というのを設けておりまして、これが内国法人の調査をいたしておりまして、直属の二百名の専門官が各主要の税務署に配置されておりまして、庁の方の直接のコントロールで動くというような体制になっております。それから一方、もう一つは海外業務部というのがございまして、海外の情報とか、それから外資系の法人とかいうようなものの調査をいたしております。これがやはり業務部長のもとにおりまして両者が有機的に活動しながらやっていく。海外業務の方は現在六百二十名でございます。そのうち四十六名が海外に派遣されて調査活動に当たっておるという状況でございます。 これに比べまして現在の国税庁の体制でございますが、海外の調査関係は調査査察部の調査課でいたしております。ただ、組織の水準といたしましてはやはりちょっとアメリカにまだ劣っておるというような状況でございまして、調査の基本は、やはり先ほど御指摘ございましたように人材の問題がございます。これにつきましては私どもも急激な国際化を控えまして非常に真剣に取り組んでおる状況でございます。過去におきましては税務大学校で大体十名程度の専門教育をいたしておりましたが、五十三年からそれを五十名に引き上げました。さらにその中で選抜をいたしまして毎年十五名ずつ特別研修をいたしております。これがそろそろ第一線に出てくる時期でございますし、また幹部の段階でございますと、毎年二名ずつ海外留学をさせております。それからさらにタックスアタッシェはシカゴとサンフランシスコに出しております。こういう状況で徐々に充実を図っていきたいというふうに考えております。 特に最後に申し上げておきたい点でございますけれども、五十六年度から専門の企画官を置いて、これを先端で総括してやらそうというふうに考えております。
○柿澤委員 いまの問題について、それによってどのくらい機能が向上するのか、これはなかなかむずかしいと思うのですけれども、いまの日本の企業の海外活動の伸びに対して海外における所得の把握率といいますか、その辺が実態としてはどうなっているのか、計数的に比較したものはあるわけですか。
○岸田政府委員 お答えいたします。 海外取引からの所得の把握という点になりますと、これを海外の分、国内の分となかなか分けがたい点もございますので、御指摘のような数字につきましては正確には把握いたしておりません。ただし、先ほど来申し上げておりますように、この問題には真剣に取り組んで徐々に実績を上げていくというふうにいたしたいと思っております。
○柿澤委員 それからもう一つは、意図的に海外を利用しながらといいますか、海外取引を利用しながら所得の隠蔽を図っていくという事例も非常にふえてきているんじゃないかと思うわけですけれども、そういう点についての査察件数といいますか、それからそういうもので摘発件数といいますか、そういうものはどうなっているのでしょう。
○岸田政府委員 お答えいたします。 現在大体二百三十件ぐらい査察をいたしておりますが、御指摘のような海外所得を主体といたしますような事例は現在までのところございません。ただし、調査課所管の大法人の関連の海外取引につきましては、最近の事例でございますが、年間で大体六十億円ぐらいの不正所得を把握いたしております。
○柿澤委員 そうすると、それは調査課所管の法人の方で査察ではないというお話ですけれども、その金額というものは飛躍的に伸びているわけですか、それとも必ずしもそうでもないのですか。
○岸田政府委員 傾向といたしましては増加の傾向にあると思いますけれども、年度ごとでとってまいりますと、たまたま大きな事案がございますと過去に年度で百億を超える時期もございましたし、それから三十億の時代もございましたし、その点はばらつきがあるかと思います。
○柿澤委員 そろそろ私に与えられた時間が終わりますので、この問題はぜひ一層検討をして調査体制の充実を図っていただきたい。これからの国際化の時代の中で多国籍的な企業の活動というものはふえてくるわけですし、また海外取引を利用しての所得の隠蔽というものがいろいろな事例で摘発をされたり、紙上指摘をされたりしているわけでございますので、その辺、こうして法人税率の引き上げを図ろうとしている段階で捕捉率の向上というものが課税の公平の面からも必要だろうと思いますので、お願いをいたしておきたいと思います。 あと、実は所得税における捕捉率のクロヨンの問題の解決策としての外形標準による申告制度というようなものもお聞きしたいと思いましたし、租税特別措置法の関係で、実は医師税制が五十四年に改正されたわけですけれども、改正後の医師課税がどうなっているか、この点についても実は実態的に少しお聞きをしたいと思ったのですが、また次の機会に時間を与えていただけそうでございますので、そのときにお聞きしたいと思いますので、いまの医師課税の問題等、できたら計数的に制度改正前と後と次の機会に御報告をいただければ幸いだと思います。 きょうの質問はこれで終わります。
○綿貫委員長 次回は、来る二十三日月曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二分散会