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94回国会衆議院1981/03/18

大蔵委員会 第12号

発言数
202
登壇者
19
会派数
6
開催日
1981/03/18

会議録

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより各案について、順次政府より提案理由の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。     —————————————  所得税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、所得税法り一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  政府は、最近における社会情勢の変化等に対応して所得税制の整備合理化を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  第一に、家計を助ける主婦等に対する配慮として、配偶者控除及び扶養控除の対象となる者の所得要件につきまして、給与所得等に係る所得限度額を現行の二十万円から二十九万円に引き上げることといたしております。  第二に、父子家庭のための措置として、妻と死別し、または離婚した者のうち、年間所得金額が三百万円以下であること等一定の要件を満たすものにつきまして、寡婦控除と同額の二十三万円の所得控除を認めることといたしております。  第三に、豪雪等災害に直接関連して支出した金額が年間五万円を超える場合にその超える部分の金額を雑損控除として所得控除できることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  政府は、現下の厳しい財政事情及び最近における社会経済情勢に顧み、法人税の税率を引き上げるほか、制度の整備合理化を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  第一に、財政体質の改善に資するため、相当規模の増収措置を講ずることとし、法人税の税率を一律二%引き上げることといたしております。  第二に、中小企業に対する配慮として、中小法人に対する軽減税率の適用所得限度を年七百万円から年八百万円に引き上げることといたしております。  第三に、現在非課税法人とされている健康保険組合等を収益事業の課税対象法人とするほか、所要の改正を行うことといたしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  政府は、現下の厳しい財政事情及び最近における社会経済情勢に顧み、法人税法における税率の引き上げに対応して配当軽課税率等の引き上げを行うとともに、租税特別措置の整理合理化等を推進するほか、エネルギー対策の促進に資するための措置その他所要の税制上の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  第一に、法人税の配当軽課税率等の引き上げであります。  法人税につきましては、財政体質の改善に資するため、別途提案しております法人税法の一部を改正する法律案により、その税率を二%引き上げることとしておりますが、これに対応して配当軽課税率等を一律二%引き上げることといたしております。  第二に、既存の租税特別措置の整理合理化等であります。  まず、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行うこととし、産業転換設備等を取得した場合の特別税額控除制度を廃止するほか、医療用機器の特別償却制度の償却割合及び汎用プログラムの開発に係るプログラム準備金制度の積立率を二割引き下げる等その整理合理化等を行うことといたしております。  また、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の整理合理化等を行うことといたしております。  第三に、エネルギー対策の促進に資するための措置であります。  すなわち、現下の緊急の課題とされるエネルギー対策の促進に資するため、省エネルギー設備、石油代替エネルギー関連設備及び中小企業者の取得する一定の機械等につきまして、三年間限りの措置として、一定の要件のもとに、取得価額の三〇%の特別償却と取得価額の七%の特別税額控除とのいずれかの選択を認める措置を講ずることといたしております。  第四に、交際費課税の強化であります。  すなわち、交際費課税制度につきましては、定額控除額を超える交際費支出額のうち、前年同期の交際費支出額を超える部分は全額損金不算入として、課税の強化を図ることといたしております。  第五に、普通乗用自動車等に対する物品税の軽減税率の引き上げであります。  すなわち、普通乗用自動車等に対する物品税の軽減税率につきましては、課税物品相互間の負担のバランス等を考慮し、二・五%引き上げることといたしております。  第六に、割引債の償還差益に対する総合課税のための措置であります。  すなわち、割引債の償還差益につきましては、利子課税とのバランス、割引債の流通性等に配意しつつ、総合課税のための具体的方法として、発行時における源泉徴収制度、発行時から償還時まで引き続き保管の委託等がなされていた場合の源泉徴収税額の一部還付制度等を定めることといたしております。  第七に、中小企業等海外市場開拓準備金制度等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長するほか、所要の改正を行うことといたしております。  以上、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。  三案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。      ————◇—————

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 正常、円滑、慎重な審議を再開することといたします。  大臣がもう十時には参議院の方にお越しにならなければならないということですから、二、三分一言だけお伺いさせていただきたいと思います。  一つは、昨日合意に達しました与野党の所得減税に関する大臣、大蔵省の姿勢の問題であります。昨日、政務次官から伺いましたが、これは大蔵省の行政からすればいろいろな希望その他もあるでありましょう。しかし、政治に対する政党の責任として確認をしたわけであります。そういう意味で、これの実行その他については大蔵大臣も重要な責任感を持って対処をされていただきたいということを切に希望するわけでありまして、そういう意味から言いますと一番問題になるのは減税の財源の確保の問題。これは合意した内容を誠実に実行していただきたいということであるわけであります。特に現在の問題として予備費の残、これはまたこれから使ってしまうということは絶対ないと思います。またさらには不用額の問題があります。これは大蔵省というよりも内閣全体の責任として、特に不用額を出す各省庁に対して政治的な責任を果たせるようにいろいろな手配をしていただく。総理大臣も誠意を持って努力をいたしますということを参議院でも言われているというふうに伺っておりますが、これらについての大蔵大臣の姿勢をひとつ伺いたい。  それから、短い時間ですから簡単にもう一つ。鈴木総理大臣は最近の審議の中で、行革とも兼ね合って増税はしない、五十七年度増税は見送りという重要な政治決断を総理としてなさっている。そして、今後の行政改革の問題を議論していきたいということを第二臨調と兼ね合ってたびたび表明をされておるようでありますが、それに対して大蔵大臣がどうお考えになるか。二つだけ簡単にお答えいただきまして参議院にお越し願いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 財政当局としては財政当局の考えがございますが、国権の最高機関である国会において議長裁定が出されたわけでございますので、その裁定には従わざるを得ないと考えております。誠意を持って実行されるように努力をするつもりでございます。  それから、財源の問題に関連して不用額の話でございますが、われわれはもう極力費用を切り詰めて、年度末だから残しちゃつまらぬから使っちゃえというようなことは絶対にないように極力残せるものは節約して残せということを層一層各省庁に号令をかけて、残の節約に努めてまいるつもりでございます。  それから、五十七年度の問題につきましては、これはだれも増税をしたくてする人は実際ないわけでございますから、極力歳出のカット、経費の節約、そういうようなことによって何とか賄えないかということに向かって最大限のまず努力をしていこう、こういうことでございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 それでは引き続いて、いま提案をされている三法の質疑をさせていただきたいと思います。  印紙税の問題で二つまずお伺いをいたします。  今回の印紙税二倍値上げということで、いままでの印紙税増税の経過を見てみましたら、たとえば最低定額について言うならば、四十九年二十円から五十円、五十二年五十円から百円、今回百円から二百円。四十九年から今度までに十三年くらいの間に二十円から二百円に十倍になります。何か抵抗感がないから上げるという感じがしてなりません。この期間に、十年余りの間に十倍になった税金がほかにあるでしょうか。その辺のことを一体どうお考えになるのか、これが一つです。  それからもう一つは、これは政令事項になると思いますが、免税点の問題があります。前回の五十二年のときにも税率を上げる場合には免税点を、品目その他ございますけれども、それらを見て引き上げるように努力をすべきである、衆議院でも参議院でも附帯決議がつけられておりますが、議会の意思を尊重されてどういう措置を今回おとりになるのか。その二つ、いかがでしょう。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 印紙税の税率の引き上げが急激に過ぎるではないかという御趣旨のお尋ねだと思います。  昭和四十二年に印紙税法の全文改正を行いましてから四十九年、五十二年と二回にわたりまして御案内のとおり税率の引き上げを行わさせていただいております。その場合には定額税率の引き上げという点にしぼっておりまして、国民所得の水準が上がりましたとか、取引の規模がふえましたとか、それからまた取引の額そのものが大きくなってまいりましたとか、そういうことに伴いまして、定額でございますと負担率が下がってまいりますから、負担率を回復させていただく。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 また、階級定額税率と申しまして、いわば比例的な税率がありますが、その一番大きな取引の金額というものをさらに上に上げて大きい取引についてはそれなりの負担をお願いする、こういう見直しが中心であったわけでございます。  今回の御提案いたしております印紙税法の改正は、定額税率と階級定額税率と両方を引き上げさしていただくという点にいままでの二回と比べて特色があると思います。つまり、それは印紙税が御案内のとおり課税文書の背後にあります担税力に着目する軽度の流通税だ、文書税だということをかねがね申し上げておりますが、そういう税の性格からいたしまして、現在の万分の一ないし万分の二という階級定額税率につきましてもこの際見直しをお願いをいたす、それを倍にするということとあわせまして、いわば階級定額税率の最低税率に当たります定額税率につきましても二倍に改正をお願いしておるわけでございます。もちろん、五十二年以来の国民所得水準の上昇等に伴って相対的に下がってまいった負担率を回復さしていただくという面もありますけれども、全体といたしましてやはり先ほど申し上げました印紙税の性格にかんがみまして、この際この税によって御負担をお願いいたしたいということでございます。これがたびたび大臣からも政務次官からもお答えがありますように、現在の税制の基本的な枠組みの中で必須の財源を賄うために必要な増収措置を講ずる税目の見直しの一環ということで国民に御負担をお願いをいたすということでございますので、ぜひこの際御理解をちょうだいいたしたいというふうに考えます。  それから免税点でございますが、確かに前回の御審議の際に免税点について見直しをすると申しますか、そういう御決議がありましたことは私どもよく念頭に置いておりまして、今回改正案をつくります際にもその点十分検討いたしたわけでございます。これは全体約百億通つくられております受取書を例にとりますと、その中で課税文書、つまり三万円以上の記載金額のあります文書割合というものが昭和四十九年の改正後で約九%でございました。現在でもその水準は変わっておりません。昨年の夏に相当広範な実態調査をいたしてみたわけでございますが、受取書の中の非課税文書の割合は九割を超えております。そうなりますと、免税点を引き上げるということをいたしますと、それはもちろん引き上げるだけの財源的な余裕がありますればそれが一番いいわけでございましょうけれども、そういうお考えも十分あり得るというふうに私ども思うわけでございますが、残りました課税文書に対する税率をさらに高めるということなしにはそういうことはなかなかむずかしくなるわけでございまして、課税、非課税の割合が変わらない、しかも階級定額税率につきましても税負担の増加をお願いをいたす、こういう全体の印紙税改正案の構成からいたしまして、免税点につきましてはただいま申し上げたような次第で、その引き上げを今後の問題ということにさしていただいたわけでございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 高橋さん、結局は必要な財源を確保しなければならない、言うならば目いっぱい増税をしなければならぬということが先に来て、そして今回二倍に上げます。それから振り返ってみますと、ほかには例はないと私は思いますけれども、十三年ぐらいの間に税金が十倍に上がっているというふうな実態が起こる。さらには免税点の問題についても結局増税優先ということで、検討はしたが今後の問題、今回はできない。この免税点の問題でも、努力の範囲あるいは執行の範囲はいろいろあるだろうと思いますが、衆議院も参議院でも強い要望として附帯決議を付している。それも鼻もひっかけないというのか、現実には全然どうにもならぬ。私は、たまたま国会に出てまいりまして一番最初に担当した法案だったものですからその附帯決議を含めてちょっと思い出があるのですが、そういう意味から言いますと、みんなで真剣に議論をするのに行政には全然反映しないというふうな気持ちがしてならないわけでありまして、これは今後省令、政令の問題にかかわるわけでありますから、将来ではなくて今日ぜひ考えていただきたいという気がするわけでありますし、また私どももその質疑の中であるべき要望もこれからも考えていくというふうに思います。  ただ、十倍に上がった、今回二倍に上がったということの国民的納得が一体得られるかどうか、あるいは免税点の問題についても同じように理解が得られるかどうか、全く私は疑問であろうと思います。  次に進んで、印紙税に関係をしてもう一、二伺いたいのですが、五十二年の印紙税の値上げのときに、大企業と中小企業、大まかに分けてそれぞれどんな御負担か、あるいはどんな影響があるだろうかということを申し上げましたが、当時主税局長の大倉さんが中小企業と大企業と大体半々ぐらいではないだろうかというふうに考えておりますということを言われました。これも御承知のとおりに印紙税自体が明確な課税対象の把握ができない、推計でしか税額の把握もできないというわけでありまして、納税義務者の数も明らかでない。また推計に頼る以外に印紙税の納税額も明らかではない。税制としては非常にあいまいな基礎にベースを置いているというふうなことだろうと思いますが、そういう状態が前大倉主税局長がお答えになったときと構造が変わっていない。中小企業、大企業と大体半々ぐらいでありましょうということになりますと、私は非常に不公平な問題があるのではないかと思います。印紙をたくさん買う業種とそれからそうでない業種とあるわけでありますが、たとえばわりかし使う方、宅建業界などの中小に聞きますと、今度の税額から推察してもそうなるわけですが、いままで小さなお店を持っているところで年間大体八十万円ぐらい印紙を買いますというところが平均的なところじゃないだろうか。それが倍になると七、八十万から百五、六十万になるというふうなことになります。負担感としては大変大きなものがあるのではないかと私は思います。現実に経済量から言うならば半々ということは私はないと思うのでありまして、非常に大きな差があると思います。  そういう意味から言いますと、この十年間に十倍に上がる、また今度は一挙に倍に上げる、こういうものの持つ社会的な不公平性というものがますます広がるんではないかというふうに思いますが、どうお考えですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 印紙税は、まさに自主納付の税金の典型でございますから、税収も実は印紙を印紙の売りさばき人に売却をいたしましたときに歳入に立てるというような特殊の構成を持っております。実際にそれが課税文書にどういうふうに添付されて、どういうふうに消印をされているかということになりますと、これはまさに百八年間でございますか、印紙税創設以来民間に一般に印紙税が受け入れられている、そういう国民の中の印紙税意識と申しますか、そういうものによって納税が実行されておるわけでございます。  それは蛇足でございますけれども、法人企業統計などを使って企業の売上高というものを推算をいたしてみますと、資本金一億円以上の法人の売上高というのは全体の五割弱、ちょっと切ったくらいでございますから四九・六%、これは五十四年の法人企業統計でございます。それで、売上高に比例して課税文書が作成されるという推定を置きますと、前の政府委員からお答え申しましたように、中小企業と大企業の御負担というものは大体相半ばするかというふうにも思いますが、しかしながら小額文書が免税点によって非課税になっております。この点につきましては、先ほどいろいろ御指摘ございましたが、非課税になっておりますということからしますと、小額の取引を主としてやられるところの中小企業の課税文書というのは総体的に小さいのかなということが言えると思いますし、たとえば預貯金の通帳でございますとか預貯金の証書、社債券、株式それから信託の受益証券、保険証券、こういうものに印紙を貼付すること、これは法定をいたしておるわけでございますが、そういうものは資本金一億円を超えます大企業が作成する文書でございます。そういう点からいたしますと、大企業の印紙税負担は中小企業に比べて相対的に大きいということも言えるかと思います。  建設業の場合に印紙の課税が非常に多いのではないかということが、先ほど御指摘がございました。私どもも不完全ながらいろいろ実態の調査をいたしておるわけでございますけれども、それによりますと、印紙税の一人当たりと申しますか一事業者当たりの納税額からしますと、建設業は全体の平均をやや上回っておりますけれどもそれほど大きくはない。その場合、一番申し上げたいと思いますのは、建設業の場合に銀行の口座振り込みを使っておられる。口座振り込みには印紙税が課せられませんので、口座振り込みの取引の割合がこれは一番高い、図抜けて高いわけでございます。半分以上そうでございます。そうなりますと、実際の印紙税の御負担という意味からしますと、口座振り込みを使っておられる割合が一番高い建設業についてどういうふうな実態になっておるのか、これは私どもまだ勉強が足りませんことは申しわけないので、これからもよく勉強してまいりますけれども、そういう点も業種の問題としては具体的に出てまいろうかという気がいたします。  今回、階級定額税率の最高価格帯を見直しまして、約九十億円の初年度増収というのを予定いたしておりますが一その場合、十億円超の請負契約書の印紙税負担というのは四倍になるわけでございます。それは大企業への影響が大きくなってまいって、大きなコントラクターというものがより多い印紙税負担を負うということであろうかとも思いますし、これから印紙税というものは、日本の印紙税は先ほども御説明申し上げましたように万分の一ないし二というものが今回の改正で万分の二ないし四という階級定額税率になっていくわけでございますけれども、外国の印紙税などを見ますと、もっともっと高い税率のものもございます。どういうふうに考えたらよろしいのか、その場合の企業の負担をどういうふうに実態をつかまえて、どういう形でこれから長期的に検討していくのかということは重要な課題である。いまの御指摘を踏まえまして、これからも勉強してまいりたいと私ども考えておる次第でございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 ここで政務次官にちょっと一言感想を伺いたいのですが、こういう気がするのですね。実態というのか、あるいは中小企業その他いろいろな方々の実感といいますか、そういうものと頭脳明晰な局長の理論と一致する場合と、必ずしも一致しない場合が多いのだと思うのです。たとえば先ほど宅建業界の中小のことをちょっと申し上げましたが、御承知のとおりに住宅産業は大変不況です。それで、土地が上がって土地無策という状態の中で売れない。商売にならぬ。金利はかさむ。一生懸命商売してやってみたところでももうけは、利益はほとんど出ないような状態が多い。倒産も多い。そういう中で、たとえば八十万円一年間に印紙を買うが、今度は百六十万円になるというものの実感があるわけですね。  それから、口座振り込みなどのことを局長も言われましたが、これも構造的にそうでありますけれども、これからコンピューター処理その他、印紙不要のシステムが広がってくる。そういう意味からいきますと、従来どおり文書という形で印紙を付するというところはいままでどおりかかってくる。社会構造の変化に伴ってそういう意味での不公平といいますか不公平感といいますか、そういうものもいつまでもついて回るし、あるいは取引その他が技術処理が近代化すればするほどそういうものが広がってくるであろう。たとえばそんなことを感じます。そのほかの物品税の整合性の問題についても、先般議了されました酒税のことについても感ずるわけでありますが、私が感想を伺いたいのは、要するに今回、自民党税調さんそれから関係者、大変な努力をなさって、現行税制では目いっぱいの増税をされた。総理の答弁を聞きますと、それにプラス新型消費税というストレートなことはないようでありますから、そう思っているわけでありますが、目いっぱい現行税制で値上げをした、それに伴って現在の社会、国民意識と現在の税制とのずれのある部分も目いっぱい出てしまった。全部が全部とは思いませんけれども、ずれがある部分はそれも目いっぱい出てしまったというふうな感じがしてならないわけであります。今後を考えますと、それはそのままにしてさらに税率を上げるとかそれにプラスして大型消費税を考えるとかいうことになったら、国民感情、国民意識とは全くかけ離れたものとして税制が動いてしまう。近代国家、民主国家として大変なことになるだろう。ですから、改めて原点からというのもおかしいけれども、総合的にまたベースから考えていく。そういう意味からいったら、最近のといいますか、昨年末の状態でもいまの税調のあり方などについても、政府全体として抜本的に考え直すべきだと私は思います。前にも東畑さんとかいろいろ意識観を持たれた方もおられましたし、国民の立場に立って、行政の意見と多少食い違いがあっても、有能な意見を集めそして将来のためにあるべき税制についての提言をする、私は、いまこそそういうものが強力に行われるべきではないかという気もいたします。何か、目いっぱい増税をされた、その法案を出されている、目いっぱいいろいろな形で矛盾も出ているという気がしてならないわけでございますが、やはりこれからこのままあるいはこの上にさらに積み重ねるというやり方ではなくて、八〇年代からこれからの時代の社会構造、国民意識にふさわしいものを抜本的に考えてみるという姿勢を持って臨むべきではないだろうか。一々特に担当なさった局長さんに伺いたいのですが、代表して政務次官に一言その辺の気持ちを伺っておきたい。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先生がおっしゃっているように、社会情勢の変化とかあるいは経済取引の変化、こういったものには税制というものは正しく対応して、常に理想的な税体系を求めて努力をすべきだと思います。そういった意味で、今回も税調答申を踏まえ、また従前先生方、国会の議論を踏まえて、できるだけの努力はしてまいったつもりでございますけれども、今後なお財政状況も非常に厳しい、国民に対して負担とサービスの提供等のいろいろな合理的なものを求めて、そして国民に理解をいただきながら進めなければならないという状況はなお最近特に差し迫ったものがあると思いますので、政府としても今後とも一生懸命努力をしてまいりたいと思います。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 そういう方向が、八〇年代、九〇年代に向けて、私どもの考え方でいきますと新たな福祉型税財政のシステムをどう模索するのかということじゃないかと思いますが、それらは所得税その他関係する法案もございますから、いろいろと議論を深めてまいりたいと思います。  あと短い時間ですから、もう一つ有価証券取引税に関連をいたしましてお伺いしたいと思います。  先日、同僚議員から、誠備グループの問題について谷村さんにも来ていただきまして、質疑が当委員会で交わされました。それらについて、いま現実どう対応するのかという問題と、それから証券行政についての政策的な問題と二つ私はお伺いしたいと思います。  まず現実的な対応、いまやらなければならない問題というふうなことについてであります。誠備の問題の後、さまざまの余震も起きているというふうなことになっております。一つは大阪証券信用、大証信の事実上の倒産。あと和解の交渉その他がどうなりますか、事実上の倒産というふうに報道されております。これらを見ましても、証券行政の責任が非常に大きいのではないだろうかという気が私はしてならないわけであります。これも御承知のとおりに膨大な負債額で、事実上の倒産ということになっているわけでありますし、またその出資を見ますと、大証券あるいは外国銀行、さまざまのところから、言うならば有力なところから出資がされている、融資がなされている、そうして膨大な負債額の相当大きな部分、三百億程度とかいうふうにも言われておりますが、その膨大な額が誠備グループの融資に回されている。実際上は証券界におけるサラ金業者と全く同じ、法的な監督その他もないということが指摘をされております。証券界などが主要な出資者となり、証券会社と証券界周辺の貸金業者というふうなことで一体いいのだろうかというふうな疑問が出されている。東京などでは信用組合法に基づく指導監督権のつくものとしてという形になっているようでありますけれども、これは非常に大きな問題だろうと思います。何か事件が起きてからちょっとほころびを縫う程度の対策をどうするのかということではおかしいので、専門の大蔵省証券局としては前々からこういう実態を知っているわけでありますから、対策を組まれるべきではないのか。言うならば現実には起こってしまったわけですから、どう調査をし、どう対策を立て、どう指導するのか。この際安直な方法ではなくて、突  っ込んだこれらについての対策を立てられるべきであろう。かっこうだけつけて、またまたこういう問題が起こってくるということであってはならないと思いますが、それらの調査、対策、指導をどうお考えなのか。  また、つけ加えて言いますと、先般の討論の中でも、何か社団法人日本証券アナリスト協会というのがあって、それらの行っている検定制度を法的なものに高めるよう検討したいというふうな答弁がございました。私、伺っておりまして、何か大変くつの裏から足をかくといいますか、隔靴掻痒の思いがしてならないわけであります。これらについて、たとえばこの投資顧問業に対する規制の問題、あるいは証券会社の外務員の行動規範の強化の問題などあると思いますが、この前の答弁を伺っておりますとこれは非常にまだるっこいことしか考えていないのではないかという気がして証券局が重大な決意を持って、言うならば国民の納得が得られるような措置をとるべきではないかというふうに私は思いますが、誠備グループのその後、あるいは大証信の事実上の倒産という事態を踏まえてどうなされますか。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 誠備グループの問題に関連しまして大阪証券信用株式会社が経営困難に陥ったということでございます。この大阪証券信用株式会社と申しますのはいわゆる貸金業者でございまして、法的には大蔵省が監督する立場にないわけでございます。しかし大阪地区の証券業界やあるいは金融機関が出資している会社でございまして、こういったいわゆる信用機関が誠備グループ等に多額の融資をしておったということにつきましては私どもも強い責任を感じているわけであります。  この会社の経営が行き詰まったことによりまして、いやしくも一般の投資家に迷惑が及ぶというようなことがあってはならないという立場から必要最小限の措置をまずとるようにということで業界を指導しております。いわゆる投資グループに関係のない投資者で、担保を差し入れて金を借りておった、お金を返して担保を返してほしいといった場合に、その担保が返らないということでは困るわけでありますので、その線の措置をまずとりたい、このように考えております。  さらに、大阪信用の問題は証券担保金融のあり方と申しますか、お金を借りて株を買う、制度的には信用取引というものがあるわけでありますが、その周辺にいわゆる株式の担保金融というものがございます。こういった制度のあり方につきましても抜本的に考えてみる必要があるのではないかというふうに私ども検討しておる次第でございます。  さらに誠備の問題でございますが、先ほど委員が御指摘のとおり誠備投資顧問というのはいわゆる投資顧問業者でございまして、これに対しては同じく大蔵省としてこれを監督するという権限を持っておりません。そういったことで、今回の案件につきましても非常に隔靴掻痒の感があったということを私感じております。これについてはいわゆる証券会社の営業姿勢の問題もございますが、さらに外務員、歩合外務員と証券会社のかかわり方、その発注の仕方あるいは受け渡しのあり方、こういった点につきましてただいま関係の証券会社に検査を入れておりまして、その検査の結果等も踏まえまして今後抜本的な対策を講じてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 私が希望として申し上げましたのは、何かちょこちょこと手配をしてまた同じようなことが起こるという温床と構造が残っておるということであっては行政の責任を果たせないのではないだろうか。いま御答弁がございましたように、確かに大蔵省か大蔵省証券局としての行政上の指導監督の及ぶ場合とそうでない部面とあることは事実であると思います。それが現制度の実態であろうと思います。ただしかし、主としてそれらの行政の窓口担当に当たられる大蔵省あるいは大蔵省証券局として、私のところは守備範囲ではありませんというだけでは国民に対する責任は果たされませんので、やはりこういうことをなくする、言うなればその温床をなくしていくような御努力を、抜本的にどうするのかという努力をこの際精力的にやられるべきであろうというふうに私は思うわけであります。  もう時間ですから、もう一つ政策的部面といいますか、ということについてお伺いしたいのですが、こういうことが起こってくる理由として、こうなるベースは何だろうかという評論その他もいろいろ行われております。報道、論文その他いろいろ読ませてもらいました。先日エコノミストを読んでおりましたら、表題が「死に至る兜町の病巣をえぐる」死に至る病、何か文学ではありませんが死に至る病というふうな表現ですね。それからこれはある週刊誌、今週売っている週刊誌を見ておりましたら、谷村さんが出ているインタビューなんですが、これも「変なことばですが赤線区域みたいになって、結局、自滅してしまう」というふうな表現をされております。またこの対談者も、そういう自滅の段階にいままさに差しかかってきているのではないかというようなことを言われているわけであります。そういう表現は必ずしもオーバーでないというのが今日の状況。そのベースは証券局長御承知のように、たとえば五十一年五月証取審から「株主構成の変化と資本市場のあり方について」というのが出されておりますが、現在の、国際的に見てもまことに異常な株式所有の構造、法人所有はどんどんふえていく。にもかかわらず法人実在説は否定されるわけですから私はまことにおかしいと思いますが、これはまた後の法人税関係の議論にいたしまして、五十一年にこの報告が出されて問題意識を整理された。では、それから後一体その数字を見てそういう構造が改善をされておるのか。行政もありますし、業界の両面の努力が必要だろうと思います。何にも変わっていないし、前よりもひどくなっている。悪い方といいますか、問題点が指摘された、問題であると言われた方法がより強まっているというのが今日の構造。そういうことが基礎になって、流動性のある株は出てこない。個人所有といってもマネーゲームのような人もいるし、若干の機関投資家ということで、これも資本主義の法則かもしれませんが、あるべき経済システムとはかけ離れたものにどんどんなっている状況だと思います。一体、何かこういう問題意識は、前々から、五十一年にこういうレポートも出されているわけですから、何年も前から当然あった問題、袋小路に入ってどうにもならぬという認識ですか。それとも、何とかこういうものは変えていかなければならないとはお思いでしょうけれども、気持ちでなくて、現実袋小路と思っているのですか。そしてまた、どうしようもないから次々と問題は投機、仕手戦その他起こっていく、国民はだれも近寄らない、いたし方ないという御認識なんでしょうか。この際、腹を固めて大蔵省として何かしなければならないということをお考えなんでしょうか。  時間がありませんので、もう一つ国税庁に伺います。さっきの質問に関連をして、誠備グループの問題ですね。三月十六日に確定申告が終わりました。会員リストも全部入手をされている、国税庁では持っているというふうに報道されております。一、二の新聞社もその名簿はつかんでいるというようなこともうわさで聞くわけでありますが、それらは確定申告が終わった後、あなた方が入手されていると思われるところの会員のリスト、その納税状況、申告、これは何も政治家だけで言うわけじゃありませんが、厳重にやはり手配をしておられる、必要だと思いますが、それもつけ加えてお答えいただいて終わりたいと思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 株式市場の問題でございますが、個人の持ち株比率が非常に下がっているではないかという御指摘でございます。確かに昭和二十五年に財閥が解体された当時は、個人の持ち株は大体六割を若干上回っておったわけでございます。それが昭和五十四年度には三〇・四%ということで三割すれすれの線まで来ているということでございます。私どもとしては、これは何とかしなければいかぬ、こういうことは常々考えておりまして、言うなれば証券局の行政の最も重要な問題点というふうに考えているわけであります。  なぜ、こういうふうに個人のいわゆる株離れが進んでいるのかということでございますけれども、何と申しましても株式の投資魅力が非常に減退しておる。現在、配当の利回りが一・四、五%というところでございまして、インカムゲイン、配当を目的とした投資というのはほとんど影をひそめてしまっておる。キャピタルゲインねらいの投機的な動きが非常に高まってくるというのも、まさにここに原因があるわけであります。それと同時に、企業の系列化あるいは安定株主工作、こういったことによりまして法人の株式の持ち合いが進んでおります。これが個人の持ち株比率の低下の反面で法人ないし金融機関の持ち株がふえておるということでございます。それじゃ対策はどうなるかということでございますけれども、率直に申し上げまして切り札になるような特効薬というのはなかなかございません。いろいろな政策を組み合わせて、何とかそういった問題に対処していくという以外にないのではないかと思っております。  その一番根本の問題でございますが、やはり株式の供給が少ないのでどうしても株価が上昇する、その結果利回りも下がるということでございます。したがいまして、増資を何とか慫慂していかなければいかぬ。現在時価発行が主流でございますけれども、それとあわせて中間発行とか、従来やっておりますいわゆる株主の割当、こういった制度につきましてもあわせてやはりやっていいのではないか。特に中間発行につきましては、従来時価発行を促進するたてまえから、ややこの中間発行に対して消極的な面もございましたけれども、こういったものについても積極的に取り上げていいのではないか、このように思っているわけであります。さらに時価発行につきましても、プレミアムとして企業の手元に入った資金をできるだけ株主に還元してほしい。いわゆるプレミアムの還元ルールというものの強化も図っているところでございます。さらに商法の改正によりまして、今回提案の予定のようでございますけれども、プレミアムの資本の組み入れ比率、こういったものを引き上げるとか、あるいは直接法人の相互保有の規制を図る、こういった制度上の問題もあわせて考えております。それから従業員持ち株制度と申しますか、企業の従業員がお金を出してそれに企業が助成をしながら持ち株をふやしていく、こういった制度もかなり普及をしておりまして、こういったいわゆる貯蓄型の持ち株というものに対しては積極的な助成を図っていっていいのではないか、このように考えているわけであります。しかし、何と申しましても基本は証券会社の営業姿勢が問題でございまして、その証券会社の営業におきまして個人の株主本位の営業というものを今後とも進めていくということにつきまして指導をしてまいりたい、このように考えております。

小幡俊介国税庁直税部長

○小幡政府委員 誠備グループにつきます問題でございますが、私どもといたしましては適正、公平な課税の実現ということのためにあらゆる資料、情報の収集に努めているところでございますけれども、個々の資料、情報がどういうふうなものがあるかというふうなことにつきましては、公表することはお許しをいただきたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても適正、公平な課税ということにつきまして最大限の努力を重ねてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

伊藤茂日本社会党

○伊藤(茂)委員 終わります。

大原一三自由民主党

○大原(一)委員長代理 柴田弘君。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 私は、まずこの二週間、当大蔵委員会がストップをしておりまして、ようやく議長裁定に基づく予算修正問題が自民党と野党五党との間に合意ができたわけであります。つまり昭和五十五年度の剰余金、これは財政法六条の特例措置を設けて全額所得税減税に充てる、こういうことが合意をされたわけでありますが、この措置は議員立法であるということでございますが、やはり先ほども議論がありましたように、政府においてもできる限り行政経費を切り詰める、不用額を初めとするこの剰余金創出をしていただきまして、いま全国民の要望でありますところのこの所得税減税に誠意を持って当たっていただかなければいけない、こういうふうに私は思うわけでありますが、まずこの辺の対応と決意につきまして政務次官の御所見をお伺いしたいと思います。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先ほどからお答え申し上げているとおり、また大臣も申し上げているとおり、議長裁定はこれを守る。そこで定められたところの各党の合意については、十分これを尊重して、政府としても協力をしていきたい。そこで先生おっしゃるような剰余金ができるだけ出るように努力をしろということに対しては、誠意を持って対処したいと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 きょうは私、有価証券取引税と物品税について質問をしようと思っておるわけでありますが、その前に、巷間話題になっておりますいわゆるグリーンカード制度の見直し論につきまして、その根拠につきましてきょうはちょっと具体的にお聞きしていきたい、こういうふうに思うわけであります。  この問題は何といいましても国民生活を守る立場、国民経済的な視点に立って物を考えていかなければいけない。だから、この見直しをしなければならないのは一体どの程度の国民の中においての所得階層であるか、こういうことであります。このグリーンカード制度というのはもういまさら申すまでもなく、預金が三百万、郵貯が三百万、国債が三百万、それから財形貯蓄が五百万で千四百万であるわけであります。それから仮に標準世帯で四人家族としますと、四、九の三千六百万まで非課税措置が受けられるわけであります。相当高い貯蓄者といいますか、あるいはまた所得階層といいますか、そういったところまで恩恵が受けられるではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  それで、まずこれは主税局にお聞きしていくわけであります。これは財形貯蓄を含めた場合を想定していくわけでありますが、千四百万の預貯金の世帯は、人数でもいいですが、全国の世帯の何%ぐらいが該当するんだ、要するに千四百万以上ですね、これは一遍ちょっと御説明をいただきたいし、それから三千六百万としますと相当なあれなんですが、まあ参考のために三千六百万のいわゆる預貯金者の世帯、これは全国の世帯の何%か、まずお聞きをしていきたいわけです。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 いろいろの統計を調べておるわけでございますが、預貯金の残高別の世帯数という統計は実はないわけでございます。それにかわります概況を申し上げてみたいと思うのですけれども、これは総理府がやっております貯蓄動向調査統計、その中の勤労者世帯の収入五分位階級別の貯蓄の一世帯当たりというのがございます。一番新しい五十四年十二月末で申し上げますと、年間の収入が一番大きい第五階級というので見ますと、年間収入が六百九十万円でございますが、貯蓄は生命保険の掛金でございますとか有価証券、そういうものを加えまして、その一〇六・六%に当たります七百三十七万円、これが勤労者世帯が持っております貯蓄でございます。したがいまして、その千四百万あるいはお示しの三千六百万ということになりますと、大体相当大きな収入を持っておられる勤労者ではないかと思います。  なお、法人の経営者、自由業者となりますと、その貯蓄の割合はかなり高くなります。同じような比率で申し上げますと、法人の経営者は一八六・二%、年間収入の大体一・九倍ぐらいの貯蓄を持っておられる。自由業者で一七二・四%、一・七倍の貯蓄を持っておられる、こういうことでございますが、いずれにしてもいまありますその三つの三百万円の枠とそれから財形の五百万円、これはサラリーマンに限るわけでございますが、そういうものをフルに使い果たしておられるということだといたしますと、相当大きな収入を持っておられる方か、相当大きな資産を処分された方か、そういうことかというふうに思いますが、直接お答えにならないかもしれませんけれども、そういうことでかえさせていただきます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 細かい数字はないということですのでそれで了といたしますが、いずれにいたしましてもいま主税局長から御答弁がありましたように相当な収入がある方ではないか、こういうふうに私も思うわけであります。  それで本論に戻りまして、これは政務次官にまずお聞きしていきますが、このグリーンカード制度は、昨年私も当委員会におきましていろいろと大蔵省と議論をしたわけでありますが、利子配当所得と他の所得を合算をして総合課税によって不公平税制を是正する、それがそのねらいでありまして、マル優あるいは郵貯などの非課税貯蓄制度の適正な運営を図るものである、こういうふうに私は理解をいたしておりますが、いかがでしょうか。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 そこで、今日のこの見直し論の背景といたしまして、グリーンカード制度の実施によって預貯金が、一つは金や株式や土地などの資産にシフトする、二つは海外へ資金が逃避する、それから三つ目はそれが設備投資などの産業資金の供給を阻害する、それから四つ目がそういった実物資産への換物はインフレを助長する、こういう問題があるわけでありますが、この点につきまして順次質問をしていきたいわけであります。  それでまず一つは、この見直し論の根拠といたしまして、預貯金の伸びが伸び悩んでいる、鈍化をしている、こういう問題でありますが、しからばこのグリーンカード制度というのはやはり個人預金というものが一番大きな問題だと思います。この個人預金が伸び悩んでいるというわけでありますが、この預金には要求払い預金、それからもう一つは定期性預金、この二つがあるわけであります。この傾向が一体どうだろうということで私は大蔵省から資料をいただきまして見てまいりますと、五十五年の四月から十二月までの間、まず全国銀行における個人預金、定期性預金は五兆八千四百九十億円、前年比二二・三%の増加をいたしております。それから一方において要求払い預金はマイナスでございまして、一兆二十七億円減少いたしております。  そこで考えなければならないのは、要求払い預金、これは流動性の預金でありますが、これはグリーンカード制度の適用はない。だからこの減少、落ち込みというものはグリーンカード制とは関係がないのではないかと言えないかどうか。それから先ほど言いましたように定期性預金が二二・三%増加をしている、もちろんことしに入ってからの傾向もお聞きしたいわけでありますが、これはまずまず伸びているということであるならば、これは最近言われておりますグリーンカード制の問題とは関係がない、こういうことであるわけでありますが、その辺のところはどのようにお考えになっているか、御見解をお聞かせいただきたい。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 先生御指摘の預貯金動向がグリーンカード制に関係あるかどうかということでございますが、私ども最近の民間金融機関の預貯金の動向を見ておりますと、全体として先生御指摘のとおり伸び悩んでいることは事実でございます。しかし、これはやはり私どもから見ますと基本的には最近の実体経済活動の鈍化というのが基調としてありますために、そういう全体の伸びが落ちてきているということが一つ。それからもう一つは、まさに御指摘のとおり、要求払い預金が減りながら定期性預金がふえていくという中での預金の構成の変化にあらわれているわけでございますが、その原因はやはり国民全体の金利選好意識の高まりというようなことで、これは定額郵貯などの増加にもあらわれておりますし、いま申しましたように金融機関の中の要求払いから定期性預金へのシフトあるいは債券など高利回り金融資産への資金シフトも響いているということで、私ども基本的に見てまいりますと、グリーンカード制実施によっていま金融資産の選択に変化が生じているというふうには考えておりませんし、金融当局としてもそのような傾向は好ましくない、かように考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 いま御答弁があったわけでありますが、つまり今回の預貯金の伸びが鈍化しているというのは、これは経済的な一つの動向であって、グリーンカード制の問題とは関係がない、しからばこの預貯金の伸びが鈍化をしているということによってグリーンカード制を見直すという根拠はない、こういうふうに言えると思うのですが、そのような理解でいいですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、グリーンカード制の実施ということで金融資産の選好はただいま生じておりませんし、金融当局としてもそのようなシフトが生じることは好ましくないと考えております。先生御指摘のとおりでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 次に、民間預金と郵貯との関係に不公平があると言われておる。御案内のように、この郵貯につきましては、五十八年以前に預入をされた分を含めてグリーンカード番号で名寄せを行うというふうに大蔵当局、郵政当局が合意を得られたわけであります。この合意に基づいて国税庁を含めてしっかりとやっていけば私は問題ないというふうに思っておるのですが、この辺はどうでしょうか。簡潔にお聞かせください。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 昨年の九月二十六日にグリーンカード問題をめぐりまして両大臣の間でお話し合いがあった、それを受けまして昨年の暮れ、郵政省と私どもいろいろお話をし合って、いまお話のございましたような五十九年以降の郵便貯金の名寄せについて、五十八年以前預入分を含め郵政省は大蔵省及び国税庁の協力を前提としてグリーンカード番号により行うという明快な合意が成立したわけでございます。五十八年一月からグリーンカードの交付ということが始まるわけでございますし、五十九年一月から利子配当の総合課税は完全に行われるわけでございますから、それに向けていま三者の間で円滑な協力のもとにその実施の遺漏のないように準備を進めております。この合意によりまして、言われておりましたような郵貯と民間のマル優の間の取り扱い上の不公平ということは払拭されるというふうに考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 次は、グリーンカード制度のために資金が土地へ流れるということでありますが、土地などの不動産というものは、税務当局がしっかりと登記簿謄本で掌握していただけば把握できるわけであります。昭和四十四年以降取得をした土地の譲渡所得については、四〇%と一般の所得税率の一〇%増しのいずれか高い税率で重課をされるということです。こういうことを考えていきますと、土地などの不動産へのシフトが起こるということは少なくとも脱税資金に限ってはない、このように私は思うわけでありますが、どうでしょうか。これも簡潔に答弁してください。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 土地の短期譲渡所得の重課という制度は、現在の租税特別措置法の中で期限のない規定としてワークしているわけであります。土地の取引は必ず公簿を通して行われるわけでございますし、公簿を通す限り税務当局としてもその土地の異動、それに基づきます所得の発生ということの把握が可能でございますから、ただいまお話のございますように、私どもは土地への換物と申しますか換土地と言うのですか、そういうことは起こり得ないというふうに考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 だから税務当局がしっかりとやっていただけばいいわけであります。  次は、金のシフトでありますが、これは地金の問題があると思います。先般も当委員会におきまして、地金に物品税を課税したらどうだという話がありましたが、私も全く同感に思っておりますが、これはさておきまして、やはりこれも大蔵省の資料をいただきまして、最近の金相場の変動を見てまいりますと非常に激しい。果たしてこういった価格変動が激しいものが預貯金にかわる貯蓄手段となり得るかどうかと非常に疑問に感じております。  それからもう一つは、金といいましても地金だけでなく、アクセサリー用のコインといいますか金貨というものがあると思います。これは一つのアクセサリーの問題でありまして、そういったものへどんどん資産のシフトが起こるような状態でもない、こう思うわけであります。  それといまの地金の問題も、やはり大蔵省の資料でいろいろと検討したわけであります。私的保有金というのですか需給の推移を五十年から五十四年までずっと見てまいりますと、確かに五十年は二十・三トン、五十四年が三十五トンということでふえております。これは五十五年はどうかということもありますが、こういった現状を見て、やはり金へのシフトというものが起こっていると考えられるのかどうか、この辺はどのような御見解でしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 大変お調べいただいております。私どもも同じような統計で調べておるわけでございますが、私的保有金の販売量という統計を金地金等消費報告書で調べてみますと、大体五十五年の前半は月二トン弱ということでございます。それが後半になりまして十一月、十二月になりますと、六トン半ぐらいにふえております。十一月は二・五トン。それから金の輸入量も前半が非常に低かったことを受けまして、後半にふえてまいりまして、十二月に八・六トンぐらいの輸入があるようでございます。しかし年をならしてみますと、いまもお話がございますように、過去の例に比べまして決して異常な水準ということは言えないと思います。  金の価格が非常に上下をいたしますことはいまもお話のあったとおりでございまして、昨年の一月六百七十五ドル、九月六百七十四ドルという高値を示しましたが、現在は六百ドルを切っておる。三月になりますと五百ドルも切って四百六十ドル台になっておる。これは投資対象として安定的な価値の維持を期し得ないものであるということは明らかだと思います。  クルーガーランド金貨が非常に売れて、これをどう考えるかという御質問を前にいただいておったのですが、ことしの二月の例でいきますと、一万一千四百四十七円という小売価格のクルーガーランド金貨十分の一オンスを買いますと、それを売り戻した場合には一万二百二十七円にしかならないようでございます。そういうことで、これはOLその他がアクセサリーとして使えるという新しい需要が出てきておるようでございますが、全体として金へ逃避が起こるというほどのことではない。また、全体の輸入金の中の私的保有金の推移を見ましても、去年の輸入金全体の半分が個人の私的保有金に回ったと考えたといたしましても、全体で六百億円くらいの金額でございますから、総貯蓄の増二十二兆円から比べますと問題にならない金額で、金への逃避が起こっておるということは、ごく瑣末な現象は別といたしまして、言われているようなことは全くないと考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 時間がありませんのでずっとやっていきますが、次は海外への資金逃避ということです。  一昨年の十二月でしたか施行されました新しい外為法によりますと、一つは、個人が海外へ預金をするときは、二十一条一項一号によって大蔵大臣の許可を要する資本取引としていわゆる個別許可制になっておる。それから外国への証券投資というのは、やはり外為法によりまして、指定証券会社でやれば一切手続は必要ありませんが、それを通さない場合は届け出をしなければならない、不動産も届け出をしなければならない。それから金塊を二キログラム以上購入する場合は報告を求める、そして外為法上記録は残る、こうなっておるわけであります。  こういうことでございまして、証券投資の場合も私は大蔵省の資料をいただいて見たのですが、五十三年はカレンダー年度で五十三億ドル、五十四年は五十八億ドル、五十五年は四十四億五百万ドルですか、こんなような実態で、五十五年は五十三年、五十四年に比べて減っておる、こういうことですね。問題は、もしこういった海外へ資金が逃避をするということであれば、これは脱税資金でありますが、国税当局、税務当局がしっかりと大蔵省当局と、これは記録をきちっとされておるわけでありますから措置をしていけばこういうことは私はない、こんなふうに思うわけでありますが、この辺についてひとつ大蔵省当局と国税当局の決意、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。

大場智満大蔵省国際金融局次長

○大場政府委員 御指摘の点でございますが、外為法上はただいま先生がおっしゃいましたように、海外に預金口座を開設する場合は許可制にしております。それから証券の投資につきましては、これも御指摘のとおり、証券会社を通じる場合には自由にしておりますが、証券会社の方から報告を受ける、こういう体制になっております。  ただ、私どもがこのように許可の累計とか、あるいは事前届け出の集計をするということの目的が、新外為管理法のもとであらゆる取引を自由にしたということから、将来たとえば為替相場に乱高下が生じるとか、あるいは国際収支が著しい不均衡に陥るとか、あるいは大量の資金移動が起きますことによって国内の金融資本市場に悪影響が生じる、そういうときのために資料を整備しているわけでございます。仮にいまのような資本移動等から国内の金融資本市場等に影響がある、あるいは為替相場に乱高下が起きるというような場合には有事の判断をいたす。有事の判断をした場合には、私どもが指定した資本取引につきましてはこれを許可制にするということができる仕組みになっております。したがいまして、私どもが報告書とか、あるいは届け出書をとりますのは、そういった有事に備えてのこと、また統計目的のためにもとるわけでございますけれども一そのように御理解いただきたいと思っております。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 いま国際金融局から御説明を申し上げておりましたが、海外証券なり外貨証券なり海外の不動産を買います場合には、国内側で手続が必要でございますし、国内に記録が残るわけでございます。したがいまして、国税当局はそれらの記録をチェックいたしまして、不当な海外への逃避ということが起こらないように課税上適宜処置してまいりたいと考えます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 いまいろいろとお聞きをしてきたわけでありますが、結論的に言われておりますように、世上言われておりますようないわゆる実物資産あるいは海外への資金逃避が起こりそれがインフレにつながる。そしてまた、産業資金の供給の阻害になるということは、私はそういった状況を考えてまいりますとないのではないかというふうな理解をいたしておるわけでございます。この辺の見解を、総ざらいのつもりでもう一回答弁いただきたい。  私が言いたいのは、こういったグリーンカード制の見直し論がいま世上起こっております。一番問題なのは、まじめな国民がそういった風聞に惑わされてグリーンカード制度の本質というものを見失ってはいけない、こういうことでいまいろいろと議論をしたわけでございますが、私は、そういった観点でグリーンカード制度は実施をしていくべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。この辺については政務次官の御所見をお伺いをしておきたいわけでありますが、その二点、総括的な意味で局長さんから、あとは政務次官から……。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 所得税の総合課税ということを進めてまいります際に、昨年もお答えを申し上げたわけでございますが、一つは有価証券のキャピタルゲインの問題、一つは社会保険医診療報酬の七二%課税の問題、もう一つ大きな問題として利子所得の分離課税というものがあったわけでございます。そういうものを実際の経済ないし国民生活の実態に合わせながら総合課税の中に持っていくということが所得税としての機能、また国民の間にあります税に対する信頼、税務当局からいたしますと税の公平の執行ということを期するために基本的に重要なことであるということを考えまして、三番目の手段としてグリーンカード制を御提案いたしておるわけでございますから、私どもは、これによりまして所得税の総合課税制度というものについて、その実をあらしめたいという信念を持っておるわけでございます。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 いま局長からお答えしたとおりで、つけ加えることもないと思いますけれども、税の公平の推進ということで、一つの大きな柱として、国会で審議をしていただいて法律も制定し、五十五年度の税制改正によって制度は誕生しているわけでございますから、また、それに従って大蔵省としてもいろいろ準備をしておりますので、従前の方針に従ってやってまいりたいと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 最後にまた一つ、二つ、時間がありませんので申しわけありませんが、そういった根拠のない見直し論であるということと、グリーンカード制というものはこういうものですよということ、財形貯蓄まで含めて千四百万までいいわけです。それから贈与等の問題がありますが、四人家族になれば三千六百万までいいわけですね。そういったことを、五十九年の一月一日から実施するのですから、やはりパンフレット等もつくって国民にPRする、こういったことも考えていったらどうか、こういうふうに思います。それが一つ。  それから、カード交付の政省令はできたわけでありますが、制度運用面における政省令、これも制定をされると思いますが、これは秋ごろになるというふうに聞いておりますが、その辺はどうか、こういうことですね。その辺を含めて、簡単で結構ですから、ひとつお聞かせいただきたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 納税者の方々に対してグリーンカード制度の趣旨、それから、それが世上いろいろな話がございますけれども、納税者の方々に対して不当な拘束といいますか、決して必要以上の拘束でないということを御認識いただくように、私ども従来努めてまいったつもりでございますが、ただいまの御指摘もございますので、なお層PRに努めてまいりたいと存じます。  それから、グリーンカード制度の実施のために必要な政令の一部は昨年十月に制定をさしていただきましたが、なお残ります部分につきまして、今回御審議をいただいております割引債券の償還差益の総合課税の問題もございますから、それらを含めまして、ことしの十月までに政令を制定をいたしたいと存じております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 では次に、有価証券取引税に関連をいたしまして、先ほども御質疑がありましたが、誠備グループの問題、それと証券界のあり方ということにつきまして、何点かにわたって御質問をしたいと思います。  私は、今回の誠備問題というのは、いまの証券界の一つの氷山の一角ではないか、こういうふうに思えてならないわけであります。このような仕手グループを発生をさせた土壌というものが今日の株式市場にあった、こういうふうに考えておるわけであります。先ほどもいろいろお話がありましたが、全国上場会社の個人の持ち株比率が三〇%を割るところまで落ち込んでおる。それから、世帯当たりの金融資産の中の株式比率、これは昭和三十六年当時が二五%ラインを維持していたわけでございますが、現在はわずか八%であります。いまや大衆は株式を見限ろうとしている、こう申しても決して過言ではない。  しかも、大企業、大会社は、時価発行によって効率的な資金調達のみを考えて株主への利益還元を無視しているのではないかという疑問もあるわけであります。それから、大手証券会社も、回転率のよい法人ばかりに目をつけて手数料かせぎに奔走をしてみえるのではないかという疑問も投ぜられているわけでございます。したがいまして、大衆株式を無視した証券界の体質、やはりそこに今日の誠備グループが生じ、危険な仕手戦に大衆投資家が走ったという側面がある、こういうわけでありますね。  ですから、いま問題にされるのは、こういった誠備の問題、これは当然法律違反をしておりますから追及をされてしかるべきであると思いますが、やはり証券界のあり方というものもいま問い直していかなければいけない、そういうときに来たのではないかという考えを私は持っているわけでありますが、この辺について大蔵省の御認識というものをまずお伺いをしていきたい、こう思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 委員の御指摘でございますが、私どもも全くその点について同感でございます。  今回の誠備の問題でございますけれども、結局、株式の利回りが非常に低い、一・四%ないし一・五%、こういう状況の中で、いわゆるキャピタルゲインねらいの投資が非常に成功を見たということでございます。  基本的に、個人が貯蓄として株を持つ、こういう体制を何とかとれないかということで、私ども日ごろいろいろ考えておるわけでございますけれども、その中で、証券会社の営業姿勢、これがやはり基本でございます。大口の取引先で商売をする、個人の顧客というものを軽視するわけではございませんけれども、やや営業の姿勢が大口の取引あるいは法人の取引、こういったものに傾斜しがちな点がございます。こういう点につきまして、私どもも従来以上に指導をしてまいりたい、このように考えているわけであります。  今回の誠備に関連いたしまして、あるいは投資顧問業者を一体法的に規制するかどうかという問題、あるいは外務員制度、歩合外務員のあり方を今後どういうふうに考えたらいいのか、いわゆる一匹オオカミみたいな形で、証券会社の指揮監督のもとにないような形でいろいろ投機的な行動に走るというような問題につきましてもこの際徹底的に検討をする必要があるのではないか、このように考えておるわけであります。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 いま外務員の問題と投資顧問業のお話があったわけでありますが、この外務員さん、これは善良な外務員さんも多いと私は思います。たまたま誠備のような問題があったからこう言われるわけでありますが、いまいろいろお聞きしてまいりますと、外務員は、社員の外務員が全国で四万四千名、それから歩合外務員が六千名、合計五万名の外務員さんがお見えになる、こういうふうに聞いております。  それで、何かいい方法はないかということで、大蔵省当局としてもいろいろ御検討なさっておるわけでございますが、この外務員は証取法の六十二条によって登録、六十三条、これは資格、六十四条の三、資格剥奪の規定、こういうふうになされておるわけであります。いま二十歳以上で、日本証券業協会の外務員資格試験ですか、これに合格して登録すればよいことになっている。しかもこの登録のための規制は、禁錮以上の刑に処せられ五年を経過していない者などきわめて緩やかである、こういうことでありますね。ですから、営業上の問題を起こしましても、有能であればまたすぐ別の証券会社にすんなりと受け入れられるということですね。  だから、登録制を見直すというのですが、一体どんなふうに具体的に考えておるのか。非常に外務員のトラブルも多いということをお聞きしているわけでありますが、何かお聞きすると、問題のある外務員のリストを作成し、前科のある者を採用しない、あるいは資格試験を強化する。とにかく実質的な質的な向上を図るために何らかの改善策をしていかなければならぬということでありますが、ひとつ具体的に突っ込んで、どんな検討をなされているのかをお聞きしていきたい。  いま一つは投資顧問業でありますが、これはもう全然野放しだ。大蔵省当局も、株式新聞の広告欄で、こういう投資顧問業というのは大体七十社か八十社ある程度だというのを掌握しているにすぎないわけですね。これは全くの野放し状態である、こういうことです。  これを登録制にする必要があるのかどうか御検討なさっているようでありますが、この辺はどうか、それから、アメリカには投資顧問法とかなんとかというそういう法律があるということでありますが、やはりこういった法律が日本の証券市場にあるのかどうか、その辺のところですね。こういったことを具体的にどんなような御検討をなされているのか、ひとつ突っ込んで御答弁をいただければ、こういうふうに思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 ただいま外務員制度の問題と投資顧問業につきまして御質問がございました。  外務員は、御指摘のとおり、現在五万一千人ぐらい全体でございます。このうち、社員外務員と称しまして、企業のいわゆる従業員として業務をやっているのが四万五千人程度、それから、歩合外務員といたしまして、言うなれば証券会社と契約をして従業している外務員が六千人程度ございます。  一般的に申しまして、大手の証券会社は社員外務員を使っております。従業員として使っているわけであります。それに対して、中小証券、いわゆる地場の証券会社が歩合外務員を使って商売をしているということでございます。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  結局、中小証券は、いわゆる人件費をできるだけ節約したいとかそういった観点から歩合制度、歩合の場合は大体株式の売買手数料の四割を歩合外務員に戻すという形になるわけですが、六割は会社に手数料として入る、こういうことで、営業の効率性から見れば、歩合外務員というのはかなり有効な制度だということかと思っております。ただその過程で、先ほども申し上げましたように、企業から独立したような形で投機的な投資グループと関係する、こういったようなビヘービアは何とか規制をする必要があるんじゃないか、こう思っております。  具体的にどうするかということでありますが、先ほど先生も御指摘になりましたように、いわゆる資格試験の問題とか、あるいはその他、現在内規でやっておるものを何かもう少し省令とかそういったものに格上げできないかとかそういったことも考えておりますが、何分このいわゆる歩合外務員の生活にかかわる話でもございますので、その点は慎重に検討してまいりたい、このように考えているわけであります。  それから、投資顧問の問題でございますが、この投資顧問は、一般的に申しますと、投資家に情報を提供するということでございまして、投資家はその情報によって投資をするわけでございますけれども、その投資態度の決定は投資者みずからがみずからの判断においてするというのがたてまえでございます。したがいまして、情報の価値をどう判断するかというのはまさに投資家の判断なので、そこのところの基本が侵されるということが一番問題なのではないか。たとえば今度の誠備の問題をよく見てみますと、単に情報を提供するというだけにとどまらないで、いわゆる誠備顧問の会員の代表者が一括して証券会社に発注する、それを外務員が取り次いで一括して発注する。その間に各投資家の判断あるいは投資の意思、こういったものが十分尊重されたのかどうかという点が一番問題なのじゃないかというふうに考えておるわけです。そういったことで、私は情報を提供する投資顧問業そのものを規制するのがいいのか、あるいはそういったものに関連して投資グループが外務員ないし証券会社と連絡すると申しますか、そういう投資顧問と外務員と証券会社が結託するような形で適切でない投資が行われるという点を何とか規制する方法がないかどうかというようなことにつきまして実は現在いろいろ検討しておる、こういう実情でございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 ぜひひとつ御検討をお願いしたい。  それからもう一つ、誠備ショックといいますか、それで心配をいたしておるわけでありますが、先ほどお話がありましたが、大阪証券信用、これは和議申請をしたのだがどうもだめだそうで、倒産だろうということで一千億ぐらいの負債総額になっていますね。いま局長さんからは、こういったいわゆる証券金融担保のあり方についても抜本的に考えていかなければいけないというような御答弁があったように記憶いたしておるわけでありますが、こういったいわゆる業界の信用不安、特に誠備銘柄を扱ってきた中小証券会社の信用不安の問題は大蔵省としてもどういうふうに掌握なさっているか。それからもう一つは、誠備銘柄によってやけどを負った人といいますか、高値で仕手株を買わされたいわゆる末端会員、これは相当な被害が出ているのじゃないかと思いますが、そこら辺の掌握というものはなさっているのかなさっていないのか、どうですか。なさっておったらそれはどの程度どんなふうになっているか、御説明をいただきたいと思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 大阪証券信用の問題でございますが、これはいわゆる貸金業者でございまして、大蔵省の監督下にない一つの信用機関ということになるわけであります。ただ私どもとして、私どもの手の及ばないところでこういう信用機関が相当巨額の資金を投資グループに融資をしておったという事実につきまして、非常に残念に考えております。この点につきましては、何とか問題の処理に当たって、特に一般の投資家に迷惑の及ばないような措置は最小限とっていきたいというふうに考えておるわけであります。特に証券会社があっせんしたような形で信用の供与が行われたような場合、こういった場合につきましては、担保の株式を引き出すという希望があった場合には直ちにこれにこたえるというような措置をとりたい。それに必要な資金約三十億円については、この大阪証券信用の出資者の一人であります大阪正会員協会というのがございますが、この正会員協会において約三十億円程度の資金を用意したいというふうに考えております。  それから、誠備の問題に関連しまして中小証券が非常に影響を受けているのではないかという御質問でございます。  これにつきましては私ども現在いろいろ調査をしておりますが、まず資金繰りにつきましては、当面乗り切れるのではないかというふうに判断しております。ただ、これによりまして担保の評価損等がかなり出るということも考えられます。中小証券も最近はかなり財務内容がよくなっておりまして、純資産額もかなり保有しておりますので、それによって経営困難に陥るようなことはないというふうに考えておるわけです。ただ、これも必要に応じて適切な処置をとってまいりたいというふうに考えております。一般の投資家につきましては、これはかなりの損害をこうむっておられる方もあるかと思いますけれども、これにつきましては当局として直接措置をとる考えはございません。ただ、先ほども申し上げましたように、投資家の自由な意思とか判断なしにそのグループの代表者の発注によって投資が行われていたというような事柄につきましては、さらに十分調査する必要があるのではないかと考えまして、現在関係の証券会社を検査しております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 ぜひひとつ問題の起きないように対応をお願いしておきます。  それから、先ほどの議論に戻って恐縮でありますが、今日の証券界のあり方、全く同感であるということを局長さんの方から御答弁いただいたわけでありますが、しからば今後の株式市場の発展のために大衆投資家を呼び戻す方策、これは真剣な検討をしてこれを実施をしていかなければならない。しかもオイルダラーがどんどん流入してまいりまして、ますます規模としては証券市場は大規模化してくるのではないか、こういうふうに思うわけであります。それに大衆投資家が踊らされ、犠牲にされているということがあってはならないわけであります。  具体策やいかにということでありますが、証券取引審議会が去る昭和五十一年の五月十一日に「株主構成の変化と資本市場のあり方について」ということにつきまして五つの問題点を指摘しております。いまさら言うまでもありませんけれども、「法人の株式保有の行き過ぎ是正」の問題、二つ目には「株式投資魅力の回復」の問題、三つ目は「機関投資家の役割の向上」の問題、それから四つ目には「証券会社の営業姿勢の整備改善」の問題、五番目には「投資者保護の徹底」の問題、こういった五つの問題が提起をされたわけでありますね。この問題につきまして、先ほど来申しておりますように、今日のあるいは今後の株式市場の健全な発展のため、大衆投資家の保護育成のため、あるいは大衆投資家を呼び戻すために真剣になって大蔵省当局としても対策を立て、それを実施をしていかなければならない時期が来たのではないか。そうでなければまた第二、第三の誠備事件というものが起こるのではないか、こういうふうに私は思います。先ほど来多少の御答弁はあったかと思いますが、短期的にどうしていくのだ、そして今後中長期的な展望に立ってこういった問題はすぐ解決していかなければならない、またこういった問題は取り進めていかなければならない、あるいはこういった問題は法制化をしていかなければならない、いろいろ私はあろうかと思いますが、ひとつわかりやすく具体的にどんなような御方針、スケジュールを立てて対応せられるか、お伺いをしておきたいと思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 証取審の提言の五項目につきまして委員の方から御指摘がございました。  第一に、「法人の株式保有の行き過ぎ是正」これにつきましては、現在商法の改正要綱が出ておりまして、近く国会にも提案されるように伺っておりますが、この中で、法人の株式の相互保有規制というものを盛り込むというふうに聞いております。これが法人の株の持ち合いについて一つの規制効果が出ることを期待しておるわけでございます。  それから「株式投資魅力の回復」ということでございますが、これは、企業が配当をするに際してどうも額面に対して何%ということで考えておられる向きが多いわけでございますが、さらに時価発行をする以上は、この配当につきましてもやはり時価を基準にして配当性向をどうするかということでやってもらいたいということを私ども常々申しておるわけでございます。さらに、商法改正の内容としまして、株式の分割を容易にするとかあるいは資本組み入れの比率を引き上げるとかいうことによりまして、株式の供給を少しでもふやすことを私どもとしては期待しておるわけであります。  それから第三番目に、「機関投資家の役割の向上」ということの御指摘がございました。これにつきましては投信の内容についてかなり大幅な改善を現在行っておりますが、そういった投資信託制度の改善、それから従業員持ち株制度につきましては、かなりの企業がすでに実施をしております。こういった従業員の持ち株制度等も一つの検討課題ではないかと考えておるわけでございます。  それから四番目が、「証券会社の営業姿勢の整備改善」。これは申すまでもございません。投資者本位の営業姿勢の徹底につきましてさらに指導を強化してまいりたい、このように思っております。  それから五番目に、「投資者保護の徹底」ということでありますが、これはいわゆるディスクロージャーと申しますか、半期報告書の監査証明を制度化するとか、あるいは証券アナリスト試験制度を発足させるとかいろいろやっておりますけれども、さらにこの点も強化をしてまいりたい。それからもう一つ、長期的な問題でございますが、こういった株式市場の整備とあわせまして、公社債市場、国債を初めとする公社債が、大量発行を背景として非常にふえておるわけでございまして、公社債に対する個人の投資もいわゆる貯蓄手段の一環として今後ふやしていったらどうだろうか、このように考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 あと三分ぐらいになってしまいましたので、物品税の問題で通産省にお聞きしようと思っておりましたが、済みません、きょうは時間がありませんので。物品税の問題であと一点だけ主税局長にお聞きをしておきます。  税制調査会の中期税制答申、先回も私ちょっと読み上げて御質問したわけでありますが、非常に気になっておるわけでありますが、この中で「物品税の課税対象について現行の考え方をとる限り、これにまとまった増収を期待することには限界があり、物品税によってある程度の増収を図るためには、こうした考え方自体を再検討することも必要となろう。」こうあるわけです。これは要するに、物品税とは何たるやということを問い直すとともに、大衆課税を志向するごとになるのではないかという疑問を私は禁じ得ないわけであります。今回の見直しは過去こうだったからこうだった、こういう根拠がありますよということを理路整然と御説明なさっておるわけです。それから課税対象の拡大についても、いわゆる担税能力云々というようなことで御説明なさっておる。今回の五十六年度の物品税の課税対象の拡大あるいは課税税率の引き上げについては、いま私が読み上げた中期税制答申は根拠にされていないろうと私は思う。ところが問題は、しからば五十七年度以降、この答申を参考にして物品税のあり方というものを再検討される、直されるかどうかということなんです。この辺をひとつ、見直すなら見直すということだけでも結構ですので、簡潔に御答弁をいただいて、質問を終わります。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 これから、複税制度と申しますか、多数の税目を用いましてお互いに相補って課税の垂直、水平の公平を保っていくために税制をどうやっていくかということは、昨年十一月の中期答申の中にもその考え方はあらわれております。個別消費税制度というものだけを取り出して検討いたしました場合に、個別消費税制度の中核になります物品税制度というもので増収を図ると、いまお示しのありましたような限界があるだろう、しからば、たとえば事務用品とか資本財の一部とか、そういうようないままでなかった新しい物品税の課税基準をつくっていくかどうか、それらにつきましては今後の検討の問題でございます。この国会でいろいろお話のあります各委員の方々、また各党の御見解というものも十分念頭に置いて、税制調査会で、今後の財政需要なり歳出の動向なり、それについてどれだけ縮減が図られるかということの見通しと絡めまして検討を進めてまいらなければならない。ただいま、五十七年度に個別消費課税である物品税についてどういう方針で臨むのかという具体的な考え方は持ち合わせておらないわけでございますが、すべて相補って一つの税体系としてのより完璧を期していくということの中で検討させていただきたいと存じます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、終わります。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 玉置一弥君。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 先日の質問の中で諸外国の自動車税制、いろいろな数字をお聞きしたわけでございますけれども、後でいろいろ資料を検討いたしますと、実際千六百ccクラスで比較をした場合に、自動車本体価格が大変違うことが判明をいたしました。それぞれ本体価格を置き直した場合、たとえば日本の自動車は千六百ccで百万円少しでございますけれども、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、それぞれの国で大変な開きがある。これは一つには日本の労働生産性、そしていわゆるつくり方のうまさといいますか、そして価格的にも輸出をしても十分対抗できるという実証にもなるわけでございますけれども、その辺から見て、大蔵省に再度、現在の自動車関係の諸税、物品税、取得税、自動車税、重量税、いろいろありますけれども、その辺を加味した場合に本当にどうなのかということを、再度お聞きをいたしたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 千六百ccクラスと申しますと、個別の名前を挙げてもあれでございますが、日本で申しますと、ブルーバードでございます。この値段が九十四万二千円、同じような千六百ccの車をフランスでとりますと、日本円に直しまして二百十六万円でございます。ドイツでは二百三万四千円、イギリスで二百三十六万二千円、アメリカは百十七万円くらいになろうかと思います。  そういう差がありますのは、一つは自家用乗用車としての機能を千六百ccクラスということで求めまして、それに伴う税負担というものを前回数字を申し上げたわけでございます。  仮にいまお話にございますように全部百万円でやってみたらというお尋ねでございますが、百万円でやってみますと、どうも外国の車ですと千二百ccが買えるか買えないかというくらいのところかと思います。日本の千六百ccの車が与えます便益というものと千二百ccの車の持っております便益というもの、そこにかかってまいります消費課税、それから自動車の走行によって道路財源を負担するという燃料課税、それぞれ異なってまいりますのは、私ども税制の比較としてはそこはやむを得ないので、やはり前回申し上げたような税負担の比較ということになろうかと思っております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 たとえば自動車の価格が安いから税負担を重くしていい、一つの見方としてはそういうような感じで受け取れるわけですけれども、たとえばいま日本の車が九十四万、たとえばフランスが二百十六万、大変な開きがあるわけです。ところが、先日いただいたのでまいりますと、フランスの場合には非常に高いわけですけれども、日本が年間大体十四万、そしてフランスが二十三万ですか、ほぼ近いところでいきますと西ドイツで十五万。ただ、車両価格では二倍近いですね。こういうことを見ますと、いままで自動車産業が非常な努力をして輸出にも貢献しあるいは各種の産業に刺激を与えてきた、そういうことが逆に担税能力ありというふうに見られるような結果を導いたのではないか、いまの答弁からいきますとそういう感じがするわけです。千六百ccというふうに固定するのではなくて、同じようなものという感じで見た場合、確かに国民性というものがありまして、アメリカの車は小型車といっても日本に持ってくれば大変大きい。欧州車になりますと、日本で言うといわゆる千二百ccクラスから千六百、千八百まで、特に千二百前後に集中をしているという状況から見て、逆に税制よりも生活というものを考えてみて負担の比較をした方がいいというふうに私は思うわけです。  そこで、いまの話は話として一応お聞きしておきますけれども、いまの答弁からいきますと合理化で商品力がついて担税能力がふえているというように見られていると私は思うのですけれども、それに対してはいかがですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 ちょっと御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、同じ機能を持ちます、つまり消費者の方からしますと同じ便益を持ちます商品が外国に比べてより安い値段で売られるならば、価格比で、つまり製造価格比例の物品税でございますから、日本の車の税負担は軽くなるわけでございます。そこで、前回もお答えいたしましたように、フランスそれからアメリカ、ドイツに比べますと日本の車の車体課税、つまり消費課税でございますが、それは相対的に小さく出てまいるということでございまして、より安い値段で売られておればより低い税負担で済むわけで、そこはお示しのような話ではなくて、私どもが国際比較いたしておりますのは、家計が支出する金という意味での、車を持ってそれを使っているという形での税負担は国際的に見て日本は低いと思います。ただし、仮に全部が百万円で各国で売られるという前提を用いまして試算をいたしてみますと、実売価格でいきますと、日本の税負担は総合で、これは今回お願いいたしております増税が実施された後でございますが、一年当たり十四万一千円になるのでございますけれども、六年間合わせて八十五万五千円ということになります。八十五万五千円が、アメリカは論外といたしまして、イギリスへいったらどうなるかといいますと九十三万七千円、ドイツが七十九万八千円、フランスが百十九万五千円でございますから、今回お願いをいたしております物品税の税率引き上げの後におきましても国際的に見て、車両、燃料両方にかかります税負担の総合で日本が特に重いということではないというふうに考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 重いというふうに考えてないということでございますけれども、重いか軽いかというのは買う人の立場というのもあってちょっとわからないのですけれども、ただ単純比較をすると若干高いような結果が出ているように思います。  そこで、いま小型車のお話を申し上げましたけれども、日本の小型車の定義というものは一応寸法、排気量というふうに規定をされております。ところが外国から入った車を見てみますと、車体寸法はまちまちで排気量もまちまちである、両方あわせると日本の車種の区分と相手国で通用している区分と大変異なってきているというのが実態だと思いますね。現在自動車貿易摩擦というものが大変出ておりますけれども、その中で特にアメリカの車を取り上げてみた場合、あるいは欧州の中で車体寸法は小さいけれども排気量が大きいというものもございますし、そういうものを見た場合に、日本の車は規定どおりその範囲で合うようにつくられておりますけれども、外国の車は自分の国である程度消費をされるということで、どうしても自分の国が中心であります。そこで、今回大型車の物品税も上げられ、さらには小型車も上がっているわけでございますけれども、特に大型車の物品税について、これはアメリカからの輸入に大変影響するといいますか、この物品税の値上げということではなくて、現在のアメリカの車を輸入をしているいまの税制が大変障害になっているのではないかと、私が思うのじゃなくてアメリカが思っているのではないか、それについて大蔵省は何かお聞きになっているのではないかなという感じがするわけですね、これだけいろいろ攻撃をされてきているという状況になりますと。そこで、現在の税制が特に国内の車を中心に考えられておりますけれども、輸入車について現在どういう状況になっていて、これからどのように考えておられるか、その辺についてお聞きをしたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 手元にございます数字で御説明を申し上げますと、輸入乗用車の新車新規登録台数で見ますと、普通乗用、つまり二千ccを超えます排気量を持った車でございますが、これは昭和五十年に年間二万二千台あったわけでございます。全体の五一・六%。これに対して小型が二万七百九十七台でございましたから、普通対小型の割合は五一・六対四八・四であったわけでございます。五十五年、暦年でございますが、その割合は普通乗用が一万九千八百五十九台で小型乗用が二万五千十二台、百分比にしますと普通乗用が四四・三、小型乗用が五五・七ということで、輸入車につきましてもやはり小型化という傾向はあらわれておろうかと思います。その普通乗用車の中でアメリカ車とその他の国、欧州車でございますが分けて考えますと、五十年には全体の普通車はいま申し上げました二万二千百八十八台でございますが、その中でアメリカ車が一万六千三百七十台、その他の車が五千八百十八台、構成比がアメリカが七三・八、その他が二六・二でございましたが、五十五暦年で申しますと米国車は一万六百八十五台、その他が九千百七十四台、合計一万九千八百五十九台で、構成比は五三・八対四六・二というようにその他の国の車の割合がふえておるというのが実情でございます。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 私がお聞きをしているのは、現在いろいろな貿易摩擦の話が出ておりますけれども、そういう動きに対して大型車の税率引き上げというものが影響するのではないか。貿易摩擦に影響するというのは言い方は変ですけれども、逆にこういう時世だから上げられないのではないかな。国内の普通車の台数を見てももうごく微々たるものでございますから、特にアメリカ車が普通車の対象になっていると見ていいのではないか。そういう面から見て物品税引き上げというものは大変アメリカを刺激することになるのではないかということなんですけれども、いかがでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 アメリカ側と申しますか、これは民間、政府両方でございますがいろいろな言い方をしておられまして、一つは、二本立ての税率になっております。大型車は本則三〇、特別措置で二〇ということになっております。それから小型車は一五でございますから、そういう一五と二〇という二本立てが多いのは大型車の多いアメリカに対する差別ではないかというお話。それから二つ目に、両方とも二・五%ずつ今回引き上げを御提案しておるわけですが、そうなりますと大型車は課税標準が高いからしたがって税負担の増加額が大きくなるじゃないかというのが第二。それから第三に、さっきも御説明した数字でもあらわれておりますように、日本国内における米国車の販売が低迷しておるからアメリカ車について税率を引き上げると転嫁力という点から余地が少ないのじゃないかという問題。四つ目に、これは日本の消費課税はすべてそうでございますが、課税標準がCIFによっております。それはどうも国産車は蔵出し価格であるのに比べてCIFとなると運賃から保険料までもう一遍それに物品税がかかるのは不合理ではないかという問題。大まかに申してその四つぐらいになろうかと思います。  私どもは、二本立て税率と言っておりますけれども、これは何もあえて乗用車だけやっておるわけではございませんで、テレビでも二十七インチまでは一五%、二十七インチを超えますと二〇%という二段階の税率を使っております。モーターボートですと三段階の税率を使っております。それから冷蔵庫などでも百七十リットルまでは一五で百七十リットルを超えますと二〇という税率を使っております。そういうふうに二段階税率を使いまして購入者の担税力に応じたきめ細かい負担を求めるというのが物品税の基本的な考え方で、その範囲内の問題でございます。大型車はあえてアメリカ車ばかりではございませんで、このごろ日本、国産車でも大型車はかなりふえてきておりますから、それらについても等しく二二・五、今回御提案しております改正が通りますとそういう税率が適用されるので、内外差別の問題というのは全く誤解に基づくものだと思います。  二つ目に、二・五%ずつ上げるとしても輸入車が高いから税金の負担は大きいのじゃないかという点でございますが、これは実は横浜なら横浜渡しのCIF価格にしますと日本の工場の蔵出し価格よりも低いのでございます。したがって、これは一例をとって計算しますと米国車の二・五%の税率引き上げによる負担増加は三万円ぐらいで、国産車ですと五万円ぐらいになるわけでございます。そういう意味で増加額はアメリカにとって不利であるということも事実の問題としてはない、むしろ違っておりますのはディーラーマージンその他だと思います。  それから販売低迷の問題はいまここでなかなか論評いたしかねるわけですが、私どもは税制によって、税負担の差によってそういうものが導かれているというふうには考えておりません。  それから課税標準でございますが、アメリカの製造者消費税は、輸入品は輸入車の販売価格を課税標準としておるわけでございますから、したがってディーラーマージンというものも課税標準に入るわけでございます。日本はCIFで、そこは国内の流通過程を打ち切っておるわけでございますから、アメリカの製造者消費税に比べますと日本の物品税のCIF課税標準というのはより低い課税標準をとっておるということは一つ言えると思いますし、物品税に限りませず、酒でございましてもそのほかの内国消費税はすべてCIF価格を標準として従価課税をしているわけでございますから、それはあえて物品税だけの問題ではない、こういう見解を持っておる次第でございます。こういうことをアメリカに対して私どもの段階でも十分説明を申し上げておりますし、今後とも先方の御理解を深めるように努力をしてまいりたいと思っております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 いまのお話を聞いておりますと単純にいろいろ個々に見ていけば非常にバランスのとれているようなニュアンスがあるわけですけれども、しかし現在の貿易摩擦、先日もお伺いしましたが、認識が大変甘いのではないかと思うわけです。たとえば昨年自動車あるいは家電、繊維、この三つの業種が大変な伸びを示して何とか日本経済は持ちこたえてきた。そしてことしに入ってたとえばECの代表団が来られるとかあるいはアメリカの貿易代表が来る、そういう個別の動きが大変高まっております。そういう中で特にこれから先、その貿易摩擦がさらに個別の品目別にいろいろな形で規制をされてくるような、いわゆる押しつけられるような形にことしはなるのではないかと思うわけです。そういう状況から見て、いまの個々に見た場合にCIFあるいはディーラーマージン等も含めて考えた場合には、確かに制度としては日本の国内とバランスがとれているということも言えると思います。しかし本来向こうから来るならば、ではFOBでやるべきだとかいろいろあるわけですけれども、そういう問題ではなくて要するにいまアメリカ車が売れない、特に普通車が売れない、小型車は伸びがなかなか思うように伸びないという状況の中で、たとえばでは日本が税制面で特に考えてあげましょうとかそういう姿勢を示さなければいけないときではないかと思うわけです。ところがアメリカのまだ台数的には多い普通車のその税率を、従来五%高いわけですけれどもそれを一律で大型、小型ともに二・五引き上げる、そのところに全部含まれてしまっている。だから二・五とかそういう数字の話ではなくていまの情勢でさえも大変敏感な情勢になっている。それにもかかわらず平気で一括で上げられる。これはやはり国際情勢に対する大蔵省の認識が甘いのではないか、そのように思うわけです。  それと、先日から議長裁定の際にいろいろ話が出ておりましたけれども自然増収、これに対しても当初は五十五年度それがある程度、若干出るだろう。それがだんだん見通しが悪くなってきて落ち込んできた。五十六年度は後半またよくなりますよという非常に楽観ムードがあるような気がするわけです。主税局長にばかりお伺いしているとなんですから政務次官、大蔵省として、先ほど申し上げました自動車問題というのは一つの例ですから、いまの貿易摩擦に対して現行制度あるいは姿勢としてやはり考えていかなければならない、私はそういうふうに思うわけです。それといまの自然増収でもことし、五十六年度本当に大丈夫かなという気持ちもするわけです。そういう面から見て、これから国際情勢あるいは経済に機敏に対応する大蔵省という姿勢が欲しいわけですけれども、政務次官としてのお考えはいかがでしょうか。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先生がいろいろ議論の前提として御心配のように、日本という国は貿易によって生きていかなければいけませんから、先進諸国の利害関係もなかなか厳しくなってきておるということで、いろいろな貿易摩擦も生じてきている、あるいはこれからも懸念される状況でありますから、政策というものは常に総合的に整合性を持っておらなければならない。そういった意味では、税制を考える際にも税制それ自体の理論というものを超えた判断もまたあろうと思いますけれども、先ほど来主税局長が御説明申し上げているとおり、今回の改正については、税法そのものの考え方としてはきちっとしておる、こういうことで御理解いただきたい。そして、先生の御議論を十分今後も踏まえて対処してまいりますが、今回の税制改正についてはそのようなことでございますので、米国にも十分その事情を説明して、これが貿易摩擦につながらないように大蔵省としても細心の注意を持ってやってまいりたいと思います。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 本当を言うと、そのほかいろいろな消費税関係を聞いていきたいのですけれども、あと五分しかございませんので、現在物品税の審議の過程の中でも、本来の目的に合わない課税対象物件というものがかなりあるのではないかというふうに、私だけではなくて各党の方が言われておりました。本来の法律の趣旨に合わない物、これは単純に考えれば、その書いてあること自体無効ではないかというふうに思うわけです。それはともかくとして、まず現在の経済情勢、そして社会情勢といいますか生活レベル、この辺から見てぜひ見直していただきたい。そして、前回大幅に改正をされました昭和三十七年、これが来年になればもうまる二十年になるわけです。そういうことも見て現在の物品税というものは変えていかなければならないのではないかと思うわけですけれども、そんなことを言っていると時間がないので……。  そこで、今回の物品税を引き上げられます際に、前回の酒税も同じでございますけれども、手持ち品課税というような方法をとられるという話を聞いております。出先機関の方が大変手間をかけて一軒一軒調べながら、少しか多いかわかりませんけれども、ともかく税収を確保するということでございます。しかしこれを考えますと、現在行政改革、いかに仕事の合理化をやるかということを進められておるという中に、出先で、毎年物品税が変更されるということであれば、その分を予定して、人を配置しておかなければならないということにもつながるわけです。これは大蔵省も最近ようやく必死になって進めておられます行政改革の動きに逆行するのではないか、そのように思うわけですけれども、行政改革という面から見て、手持ち品の課税についてどのようにお考えになっておられますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 これはもう御案内のとおり、手持ち品課税をなぜやるかということは、資力の大きい業者がたくさんのストックを抱えて、それによって増税後一般に商品の価格水準が上がりますと、増税がなかったにかかわらずそれだけの利益を取得することができる、そういう課税上のアンバランスというものを阻止するといいますか、回避するために設けられておるわけでございます。そういう意味で言いますと、手持ち品課税というのは流通の実態、通常の方々の流通在庫というものを超えます大きな在庫につきましてお願いをしておるわけですから、すべての業者の方にそれが及ぶということではないようでございます。対象場数、臨場場数というのをいろいろ考えてみますと、大体六割のところに臨場いたしまして、ことしの五月と十月と二回で大体一万三千人日ぐらい事務的に手数が要るかなということでございますが、それは国税庁の事務計画の中で十分可能なことでございますし、むしろ申し上げておりますように大体価格にして二千万円ぐらいを超えます物につきましては手持ち品課税を行うということでございますから、課税の公平を保つという意味で、この制度は今回も御審議をお願いしておるわけでございますし、今後とも税率改正の際にこの制度を欠かすことはできないのではないかという考え方を持っております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 物品税というのは消費者負担ですから、小売段階でかけられるというのが本来であると思いますけれども、便宜上蔵出しで一律にほとんどやられている。そういう状況から見て、手持ち品課税だけは一生懸命さかのぼって調べていくというその考えが、ちょっとそのときどきいかに多く取るかということに終始をされているような感じを受けるわけです。できるだけ一本の制度でお願いをしたいと思うわけです。  時間がないので、もう終わりますけれども、今回の物品税の引き上げあるいはほかの印紙税その他見ても一律引き上げということでございまして、経済構造から見て、確かに生活力といいますか経済規模、それぞれ底辺におられる方に若干負担がふえる、率からいって。そのかわり買われる分も少ないだろうというのが大蔵省の言い分でございますけれども、しかし現在の税制自体大変不公平感があるということが言われております。大蔵省はそうでないと言っても言われているのは事実でございまして、そういう面でぜひ単純な引き上げではなくて制度を超えた検討というものをお願いをしておきたいと思います。まあ来年度、大変重大な法案が出てくるように聞いております。そういうときにやはりむちだけではなくて、大変おいしいあめの部分も準備をしていただきたい、かように思います。  私の質問を終わらせていただきます。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 平林剛君。

平林剛日本社会党

○平林委員 昨日、与野党の話し合いがつきまして、所得税減税の問題について一定の方向が出たことは御承知のとおりでございます。  そこで、きのうは「財政法第六条の特例を設け、五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。」これが第一項目でありまして、第二項目は「右の措置は単年度限りとし、議員立法を以って措置する。」こういうふうな話し合いがついたわけでございますが、この二項目の合意に対して大蔵大臣はどういうふうな立場で協力をするかということをまずお尋ねしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 かねて私どもは持論を申し上げてきておるわけでございます。しかしながら一方、国権の最高機関である国会において議長裁定がなされたわけでございますから、主張は主張として、その裁定については忠実に履行をしたいというのが政府の考え方でございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 たとえば昭和五十五年度の予算執行に当たって、期日は三月末日までですから期間的には少なくなってまいりましたけれども、歳出の問題においても節約できるものがあればこれを節約していくというようなことがこうした最高機関としての国会の問題の処理に当たって政府の協力し得る一つの分野だと思います。こういうことについてはどういう措置をとるつもりでございますが。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ややもするというと、いままでは役所というのは惰性で、せっかくついた予算だから極力使わないと来年予算を減らされちゃうというムードがあるんですね。そういうことはいけませんよ。こういうようなもう非常に借金をしなければやっていけない情勢のときですから、仮に予算が決まっておっても、それは残しても悪いということはないんだから、節約によって極力予算は残してもらうように各省庁にも言っておるところでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 それからもう一つ確認をしておきたいことは、私今度の所得税減税に関する与野党の折衝の経過を見ていますと、議長裁定が出されてから今日までの動きの中に、どうも大蔵省の協力といいますか、この問題に関する積極性が余り見られなかったという印象を実は受けておるわけです。まあ苦しい財政再建をやろうとするときだから減税の方は勘弁してもらいたいと言って逃げ回ってきたんだからあたりまえといえばあたりまえかもしれませんが、一たび議長裁定が出されて、そしてそれが与野党の合意という形で処理された段階においては、多少自分の考えがあってもそれに協力するという態度があればもうちょっと早く解決したんじゃないか、一半の責任は大蔵省にありはせぬか、私は実はそういう感じでながめていたわけであります。  変なこと言うなと思われるかもしれませんけれども、たとえばこの間、ことしの税収はどうも自然増収があるどころか足りなくなるぞというような説が流れまして、私の承知しているのでは二千四百億円も足りぬぞというような説がどこからともなく流れてくる。これはもしそういう解説が大蔵省側から流れているとすれば問題だ。なぜ問題かというと、これだけの今後の歳入というものが予想されますからその裏づけとして先般国会に補正を提出された。それがきのう、きょう成立したかしないかのうちに、かなり大きな金額のむしろ減収になるんだというようなことが流れるということはまことに不可解である。こんなことは、国会で補正予算を審議し、これを成立させた者に対して危惧の念を抱かせる。そのこと自体財政の裏づけについて問題があるということになるのでありまして、こんなことをもし仮に大蔵省の関係者が牽制する意味で流したとすればまことにもってのほかである、私はそう思ったのです。まあ幸いにしてそうでなければいいわけでありますが、もしそんなことを大蔵省当局から意図的に牽制的に流したとすれば、そんなことは公式の席では許されないですね。大蔵大臣も見通しの誤りを認めて頭を下げるか、関係者は腹でも切らなければいかぬ、こういうことになるわけでありますが、こんなことはどうだったのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 そういうことを意図的に流したという事実は聞いておりません。ただ、一般に発表しているように、税の進捗割合等が思ったよりちょっと前年よりも低い。そういう心配をしておるという話は聞いたことがありますが、これもしかし三月の決算状況を見ないと何とも実際は言えない。見積もりの話でございますから何とも言えない。われわれとしては大体とんとんにいくのじゃないかということで補正予算をつくって出したわけでございまして、それ以上のことは何とも申し上げられない、現在の時点はそういう状況であります。

平林剛日本社会党

○平林委員 大蔵省も心して、そういう発言をするときには注意をしてほしい。少なくとも国会に対して補正予算を提出した以上、その裏づけとなる財源に相当な穴があきますよなんというようなことをこの段階になって言うことは避けなければいけない。少なくとも三月決算を終わってみなければわからぬことですから。それをあたかも相当額がかえって減収になるんだというようなことを言うのは心しなければいかぬ、私はそう思うので注意をしておきたい、こう思うのです。  そこで、きのうの一項目の中には、先ほど私読み上げましたように「財政法第六条の特例を設け、五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。」と書いてある。さてそこでこの剰余金の問題です。私ら一般的な解釈といたしましては剰余金というのは、税の自然増収、二つ目には不用額、それから予備費、こういうもので、あと財政法に規定された特例がございますから、その二分の一というふうに理解しておるのでありますが、今回は特例を設けるということになりますから、この三つの合計が剰余金というふうに理解をしておるわけであります。この点についての確認を求めたいと思う次第でございます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは国権の最高機関で決めることでございますから、どういうふうに法律ができるのか、私どもの方が積極的にそうしろと言うことじゃないのでございまして、議長裁定に従って各党間で話し合った結果何か法律をこしらえるということでございますから、できた法律に従うと言うほかはないということでしょうね。私らはそれ以上のことは申し上げられないです。

平林剛日本社会党

○平林委員 たとえば去年は予備費と不用額と自然増収の合計額が七千八百億円あったのです。そこで財政法第六条の特例に基づきまして国債償還その他を含めて五千七百八十億円差し引いて余ったのが二千百億円というので、五十四年度は二千百億円剰余金という形になっておるわけです。でありますので、私が確認をしたのは、この自民党と野党全体とが合意をいたしまして「五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。」ということでありますから、いまのように昨年のような例によったのでは、これは国債の償還に充てるとかなんとかとなりますと、金額がだんだん少なくなってしまうわけでありますから、確認をしておるのは、「その全額を所得税減税に充てる。」という合意になっていますので、それは十分承知してもらいたい。先ほど私が言いましたのは、いろいろな理屈をつけて非協力、消極的態度をとれば、どんな措置でもとれないことはない立場にありますから、そんなことのないようにというので念を押しているのですよ。いいですね。私が言ったような「その全額を所得税減税に充てる。」というのはそういうふうに解すべきだと思いますけれども、それ以外のよけいな知恵はないですね。これでいいですね。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 よけいな知恵も何も、もう法律ができればその法律に従うほかはないということなんですよ。それは法治国家だから仕方のないことです。

平林剛日本社会党

○平林委員 お立場上そういうことでしょうが、常識的な解釈でいかないとまたこじれてくるということを私は心配しておるので、この席上で念のために申し上げておるわけですから、どうかひとつ国会で決められた与野党の合意という精神というものを尊重していくように希望いたしたいと思います。  そこで、私は、実は今度の与野党の折衝、それから所得税減税に対する論争の経過を見まして、結局私どもが要求をいたしました根源といいますかルーツは、三年間も減税しないという結果、国会の議決なしに予期せざる増税になっているということですね。これは累進課税だからしようがないと言えばそうですけれども、だんだんふえてしまっている。こういうことに対しての問題点。それからいその結果、納税者の実質生活の切り下げということになりまして、国民生活を後退させる、消費の面から考えてみても景気の停滞を広げていく、だから、せめて物価上昇分だけでも調整して、その分だけでも特別の措置をとったらどうか、こういうような考え方から政府に対して要求をしてきたことは御承知のとおりでございます。  つまり、その要求の根拠の中には、物価調整減税というものを制度化していったらどうかということが本当は先行しなければならなかった。こういう例は諸外国にもあるわけですから、日本においてもそれはとれないことはないじゃないか、私はそう思うのです。たとえばイギリスには人的控除を前暦年における小売物価指数の上昇以上に引き上げるというような所得税減税措置があるわけですね。それから、フランスでも、消費者物価指数の対前年比上昇率が五%超になった場合には、税率適用所得階級区分を当該上昇率に従って改定をするという制度になっておるわけですね。それから、カナダにおいても、前々年の十月一日から前年九月三十日までの各月の消費者物価指数の平均に基づいて調整係数を決定して、これに基づいて人的控除、税率適用所得階級区分あるいは子女税額控除を改定する、こういうようにかなり前から法律によって調整をする、場合によっては議会で調整措置の余地が残っておる国もございますけれども、全般的においてこういう措置が早くからとられている。ことしはこれだけよこせとか、それはできるとかできないとか、国会が議論することでなく、こういう物価調整減税措置が各国でもとられているのだから、日本の場合には一体どうなのか、ここから出発をしないと政策論争にならない。  そこで、この機会に大蔵省は、こうした物価調整措置がいま挙げたようにイギリス、フランス、カナダ等においてもとられている現状にかんがみ、わが国もこうしたことについて取り入れる必要がありや否やという検討をすべきであると私は思うのですけれども、大蔵大臣の御所見を承りたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは一般論としての質問と私は理解いたします。一般論ですね。  今回のものはもうほぼ解決済みみたいなものですから、これについては私はどうこう言う気持ちは毛頭ありません。まないたのコイみたいなものであります。ただ、一般論として、調整減税というのを入れている国もあると聞いております。しかし、これはインフレとの関係でございまして、どっちが勤労者のために役立つかというのは問題だと私は思います。イギリスなどでは、今回の提出予算では、いま言ったような物価上昇率に応じた減税措置は今回は見合わせということを提案してかなり物議を醸している。新聞報道ですからわかりませんが、そういうようなこともあるようです。  昭和四十九年でしたかな、四十七、八年だったかね、狂乱物価のときに二兆円減税というものをやりましたが、あれはいま振り返ってみて果たしてよかったのかどうなのか。インフレ対策として非常に問題があったのじゃないか。金融の引き締め問題、こういうことは後になってみないとわからぬことでしてね、やはりいろいろ分析をしてみなければならないことでございます。したがって、問題は、インフレの程度という問題との絡みだと思います。しかし、そうでないようななだらかなときならば、私は平林さんの説もいいのじゃないかという気がいたしますが、それを恒例化するということについては、いまここで即答をいたしかねる、そう思っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 ことしの分はことし限りの措置となったから、もう安心していいですよ。安心して寝てていい。私の言うのは、こういう経験を踏まえて、政策的に検討すべき価値があるし、検討すべき課題ではないかという問いかけなんですから、フランクに考えて、それを検討すると言ってもらいたいのですよ。余ったら、税制調査会をやっているわけですから、そこへ、こういう問題が提起されたのだけれども、おまえさん方ひとつ検討してくれ、こういう言い方もできるでしょう。そういう形で検討するでもいいが、私の提案は、この問題を政府においても検討したらどうかということを言っているわけです。  いまイギリスの例を言われましたが、イギリスの調整減税措置、ことしはちょっと取りやめというのは例が違うのです。一つは、イギリスにおいては二けたのインフレが続いているから、そのために特にそういう措置をとろうということです。だから日本の場合と違うのです。もう一つは、こういう措置を今度とったのは、イギリスにおいては国民の生活水準というのは前年に比べると二%アップしているのですよ、実質生活水準というものが。だから取り得るという、つまりこれは政策なんですよ。わが国の場合には逆に実質生活率が落ちているわけなんですから、そういうときの条件とは違うので、イギリスはだなんということでごまかされちゃ困るわけです、違うのです。これは政策的にそういうものが考えられないかということなんですが、もう一度御見解を。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 私はあなたの言ったと同じことを言っているんですよ。それはいろいろインフレの問題等がありますから、いつでも恒例的にそういうことができるとは、これは問題があるでしょう。しかし、なだらかな場合、しかもベースアップが非常に少ないというような場合等いろいろ条件がございますから、そういうような場合には考えられることではあります。それはせっかくの御提案ですから、法制化することがいいかどうかも含めまして十分検討はいたします。

平林剛日本社会党

○平林委員 それでは次の問題に移ります。  もう一つは、前から質問しようと思って資料を抱いているうちにだんだん時間がたっちゃって少し時期おくれになっちゃったんですが、景気の総合対策と公定歩合の第三次引き下げの問題について聞こうと思っていたんです。ただ、経過しましたからそれはカットいたしまして、当面ちょっと大臣にお聞きしたいという点だけをしぼって質問したいと思います。  公定歩合の引き下げが行われたのでありますが、先回の公定歩合引き下げのときの追随率を見ましても、非常に反応が鈍いんですね。私が大蔵省に調査をしてくれと言って、貸出約定平均金利の推移というのを見まして、先回の公定歩合の追随率を調べてもらったのでございますが、全国銀行で平均いたしますと四二・九%なんですね。都銀において五四・三%、それから地銀において三三・九%、相互銀行においては一八・七%です。信用金庫におきましてはゼロなんです。つまり、公定歩合が引き下げられましても、実際の金利というものは、この追随率の実態から見ましても、果たして公定歩合の引き下げは何をねらったのか、いまのような追随率の実態から見ると、たとえばいまの景気の最大の問題点が中小企業という問題にあるとするならば、少しもそういう面では効果がないんじゃないのか。中小企業の分野では総体的に経営条件が逼迫をしていたとしても、これを主に担当する金融機関においては追随率が非常に低いわけでございますから効果がないんじゃないのか、私はそういうふうに思うわけでございます。  そこで、こうしたことについて大蔵大臣は、公定歩合の引き下げが果たして中小企業の分野に効果があり得るかどうか。政府の方で言いたいところは、いや今度は政府関係金融機関の方では率を引き下げることにしましたよと、こう言うかも一しれませんけれども、中小企業分野に貸し出す全般のシェアから見れば、政府の三機関の分野というのはそんなに大きくないわけでございますから、これはちょっとないよりはましでありますけれども、実態から見ると影響は少ない。こういうことから考えまして、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは計数的なことは過ぎてみないとなかなかわかりません、わかりませんが、私はかなりの影響があるんじゃないか。きのうの新聞等にも出ておりますが、ある銀行の試算では、中小企業あるいは中堅企業、大企業というようなことに分けて増益効果というものを計算してますが、三%とかあるいは四・八%とかいろいろ言ってます。言ってますが、やはり中小企業等は借金をしておりますから、公定歩合が下がり預貯金金利が下がるということになれば、貸出金利も当然下げるようになるのはあたりまえでございますし、そういう意味では借金を多く抱えている人の方が借金のない人よりも効果があるというふうに見るのが私は自然ではなかろうか、さように考えます。

平林剛日本社会党

○平林委員 まあ理屈はそうなんですよ。理屈はそうなんだけれども実態はそうでないということを私は言いたいのです。いま、この間の公定歩合の追随率を見ましても、比較的中小零細企業等の融資を担当しておるところの金融機関におきましては追随率が低い。信用金庫はゼロだ。これは私は、貸出金利と預金金利とのずれもそうでございますけれども、同時にそうした中小金融機関の経営状態は非常に悪い、下げたくともなかなか下げるだけの余裕がないということが実態なんじゃないのかと思うのですよ。そこで心ならずも下げることはできない。逆に景気がふくらんでおりますから、いままでより金利を高くしてもらわなければ困るというところさえあるわけですね。中小企業の方は時間をかけて手間をかけて頭を下げて借りるよりも、いままでお世話になった金融機関からお借りした方がいいから、ちょっと下がらなくてもしようがないわということで借りているというのが実態のようでございますね。ですから、あなたの言うような理屈のようにはいかないのですよ。その実態を見てどうするかということを私は問題にしているわけです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それはせっかくの景気対策をやるわけですから、極力その効果があるようにいろいろな手を講じていかなければならぬ、そう思っております。ただ、いま御指摘のように中小の金融機関の方が経営状況がそんなに豊かでないということもこれは事実です。事実でございますが、公定歩合が下がって預金金利の引き下げが行われるということになれば、私は中小企業もその恩恵を受けるのは当然だし、また全体の資金量のうち、中小企業向け融資というのは十年くらい前は四〇%台ですが、現在はすでに六〇%ぐらいになっているという状況から見て、私は以前よりも効果が大きくあらわれるのじゃないか、そう思っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 結局、一つの公定歩合政策をとるときに一体どこに影響が大きく、どの方面は大したことないかということを考え、その比較の上において政治をやりませんと、一つの金融政策をとりましても経済的にはきわめて不公平ということが起こると私は思うのです。そういう点がないように配慮するということも大事なことだと私は思っておるわけなのです。ですから、この間も大臣に対して、金融機関というものは、こういうような公定歩合を仮に一%下げるときにはどんなふうな結果になっていくのか、産業はどんなようなメリットを受けるのかということを検討して、われわれの判断に資するような資料を出してくれと言ったら、いまはっきりしないから決まったら御説明をしたい。なかなか来やせぬです。そういうようなことが、私のところになかなか来れないという理由は、いまのようなことが一般の調査によってもかなりはっきりしていますから来れないのじゃないかなと私は思ったのですけれども、大蔵省はそうしたことにどうもぴんときていないのじゃないかという疑いも持っているのです。  これはある新聞ですが、こう書いてあるのですよ。これは私興味を持って読んだのですが、ある新聞のコラムに「公定歩合はいま七・二五%である。その七・二五%で日銀から金を借りられるのは、一握りの大銀行だけである。大銀行は預金吸収力より貸出需要の方が強くて、常時金が不足しておるから、最終的に不足する金をコール市場から借り入れ、日銀からの借り入れで賄っている。コール市場では、現在八・五%は出さないと借りられないのだから、大銀行は日銀から金を借りると一・二五%だけ得する。預金集めに苦労するよりも、日銀から借りた方が得なのである。」銀行ではこういうふうにして、公定歩合が引き下がれば日銀から借りられるわけですから、相当有利な立場に立つ。ところが、いま私が問題にした中小金融機関の方はこういうことがないわけですから、そこに大きな銀行と中小金融機関との間に収益力の格差が出てくる、こういうことが起こるわけです。こういうことに対してどういう措置をとるべきか、私はそれを聞いているわけです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 公定歩合は、御指摘のように日銀が銀行等に貸し出す場合あるいは手形等を担保に貸し出す場合のレートでございますが、それは全体のシェアからすると貸出金額、資金量の中では非常に少ない金額だと言われております。したがって、公定歩合の意味というものは、それ以上に全体に対する貸出金利というものに影響を及ぼすその影響力の方がむしろ大きいと理解をいたしております。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 ただいまの大臣の答弁でちょっと補足させていただきますと、コールと公定歩合の関連のことをお尋ねになっておられましたが、日本銀行の場合には、金融機関の資金の過不足を見まして貸し出しを決めているわけでございます。そこで都銀の場合には、どちらかといいますと資金不足の状態が続きますときには日本銀行もそれに貸し出ししておりますけれども、中小機関の場合には大体においてコールの出し手というようなことでございます。ただ、日本銀行から聞きますところによりますと、日本銀行は都銀だから貸す、中小だから貸さないということではなくて、中小の場合にも不足がある場合には、つまりマネーポジションの場合にはそれに対応して貸すということで、これは金融機関の資金の余剰分、不足分、それによって違うという点がありますことをちょっと補足させていただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 しばらく大臣が中座しましたから、銀行局の方にちょっと私は聞きますが、公定歩合の引き下げによる収益への影響といいますか、これについて、この間一般の新聞を注意深く読んでおりますと、住友銀行が今回の公定歩合の引き下げに伴う措置によって企業収益に与える影響を試算をした。この企業の収益にどのくらいの影響があるかということによりますと、上期で二千四百七十六億円の改善になる。もちろんこれは自分でも支払い利息の軽減額、いろいろなのもあったり、受け取りの利息の減少額などを差し引いて上期で二千四百七十六億円だというような試算が出されております。  それから日本経済新聞社の経済に関する総合データバンクシステムで試算をしたところが、各企業に細かくどういう影響を与えるかというのが出されておりまして、これによりますと、たとえて言うと公定歩合が一%引き下げられるということによって三井物産は七十一億円、三菱商事は五十四億円、丸紅は四十五億円というような形で、もちろんプラスですけれども収益に影響がある。  いろいろ発表されておるのですけれども、私の言いたいことは、もちろん経済企画庁の分野もあるかもしれませんけれども、大蔵省においても、せめて金融機関には追随率の状態においてはこのくらい滞留があってそれは銀行の経営にはプラスになるとかというようなことを絶えず検討していて、それでわれわれが質問したら、こういう程度の影響はありますということくらいは報告できるようにしておいてあたりまえじゃないのかと私は思っているのですけれども、なかなか理屈を言って出してこないのです。こういうことはやらないのですか。やっているのですけれども発表しないのですか。私はいつもそれを疑問に思っておるわけです。どうなんでしょうか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 公定歩合の引き下げがどの程度企業の利益あるいは追随率に出てくるかという御質問であり、かつそれについて始終調査しておるかどうか、こういうことだと思います。  基本的に申し上げさせていただきますと、公定歩合の引き下げが、たとえば貸出金利の引き下げを通じまして企業の金利負担をどの程度軽減させることになるかどうかというような点についてはなかなかむずかしい、私どもは先を見通すことはむずかしいというふうに考えております。それがかなり効果があるだろうとかというような見通し的なことは考えられるわけでございますけれども、これを正確に国会で申し上げられるとか、そういうような点では、きわめて不確定ないし不透明な要因が多くて申し上げにくうございます。  たとえばそれには三つくらいございますけれども、一つは各種の長短金利水準がどういうふうに変わるかということでございます。公定歩合が決まりましても、まず短期プライムレート、それから市場で長期プライムレート、それから何と申しましても預貯金金利がどのようになりますかという問題がございます。それから長期債市場がどのように反応していって、その結果、どのように長期金利が決まってくるかということでございます。  それから第二番目には、企業の金融資産がどのようになっていくか、その金融資産といたしまして、債券を選択するか長短の預金を選択するか、それからそれに応じて負債の構成も変わってくるわけでございます。  それから第三番目に、金利低下のテンポというものも、これは経済全体の動きと関連いたしまして相互に相関連するものでございますが、そういうことで金利低下のテンポということもなかなかわかりにくいというようなことがございますので、そこら辺はきわめてわかりにくいと思います。特に、今回公定歩合を引き下げたばかりですべての要素がこれから動いていくということでございますので、いまの段階で何か確定的なことを申し上げることは非常に困難である。ただ過去の点についての分析その他については申し上げられるのですが、そこら辺が大変むずかしいということでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 いまのことは私はもちろん前提に置いているのですよ。大蔵省銀行局からその正確なものを出しなさいといったって、そんなのはできないというのはわかっているのですよ。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 それで、いまのようないろいろなファクターが決まらなければはっきりしないということもわかるし、仮に経過してはっきりしても、なかなかすべてをきちんとしたようなものは出せっこないことはわかっているのですよ。私の言いたいことは、おおよそでもいい、よその金融機関の調査機関ではこれだけのことができるのに、あなた方は何もやってないのですかということを言っているのです。  それからもう一つは、そういう変動の予測というものを付記して、これこれでございますというようなやり方だってあるんだ。ところが、そういうものを含めて持ってこないから、私言っているのですよ。いまあなたのお話だと、つまり過去の分析については大丈夫だ、じゃ、その過去の分析だけでも、大蔵省としてはこんな程度のことはやっておりますということを、ひとつ証拠として示してくださいよ。わかりますか、私の言っていることは。そのことだけでも、それでは過去のことでもいいから、あなた方はどんなことをやっているかということを、私確かめてみますから、資料として提出をしてほしい。いろいろな不透明なところや不確定なところはつけ加えたっていいのですよ。それはこういうわけだということを書いておけばいいのですから。あなた方がどの程度のことをやっておるか、私はそれを確認したいと思うから、それを提出してくれますね。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 過去の公定歩合の引き下げの効果につきましては、ある程度、たとえば企業収益に関しましては法人企業統計のどこまでの法人に限るかというような限定、それから公定歩合の場合ですと、たとえば前回のような場合でございますと、前回の公定歩合の引き下げの効果が全部出尽くしているとはまだ私ども考えておりませんので、それが過去の実績でたとえばどの程度出るかとか、そういうような前提を置きました上で、これはきわめて大胆な前提でございますけれども、そういう大胆な前提を御了承いただいた上で、先生の御資料として内々お持ちすることは可能かと思っておりますが、大胆な前提でございます点はどうぞお許しいただきたいと思っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 大臣がいないから、もう一問よけいなことで、これはうんと常識的な問題なんですけれども、伺いたいと思うのですが、きょうは銀行局長はいないですね。

大原一三自由民主党

○大原(一)委員長代理 来ておりません。

平林剛日本社会党

○平林委員 では、引き続いて質問します。  公定歩合が引き下げられてこれが貸出金利に連動する。違いが今度はあったようですけれども、しかし景気総合政策の一環として公定歩合の引き下げが行われた結果、国民つまり預金者はどうなるのかというのが素朴な質問なんですよ。つまり消費者物価は依然として高い水準である。したがって、実質生活の水準というのは低下しておる。これに対して減税なんというのはしない。今度は少しするということですが、これはほんのちょっぴりである。その上貸出金利が引き下げられて、預金してある者はその分だけ目減りをする。これについてどうしてくれるのですかという答えがないのですね。私はそういう意味で、これはどうしてくれるのですかということを、もし一般の国民つまり預金を持っている人たちから問われたら、何と答えたらいい。これについてお答えいただきたい。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 預貯金金利が下がっている、まだ決定されておりませんが、下がっただけで、それが預貯金金利者にどういう関係になるかという御質問かと思います。  私ども預貯金金利を下げます場合に一番気にしております点は、まさに国民資産の中の預金の利子というものがどのようになっていくかということは、先生御指摘のとおり重要な問題であろうかと思っております。でございますから、預貯金金利を下げる場合には、その結果どのような形で国民にリターンされていくか、その預貯金金利の利下げがどの程度国民の利益になってリターンされていくかということが非常に重要だというのが先生の御指摘ではないかと思うのです。これは預貯金金利が下がることによりまして、それに対応して貸出金利が下がることによりまして景気の維持あるいは下支え、どちらかができることによりまして、国民所得の増大あるいは景気の下降を防ぐというようなことで、全体として雇用水準が上がる、あるいは所得水準が上がる、その結果預金もまた可能になるというような意味で、マクロの意味におきまして預金者の利益をそういう形でリターンしていくということではないかと思っています。また、このごろ預金者の中におきましても、たとえば個人消費のところでございますけれども、消費者ローンということで国民もこのごろは預金者だけではなくて、貸出金利の引き下げを享受している面がございます。両面を兼ね備えてきているような点がございますので、そういう点でたとえば全体として金利が下がってくる。それによりまして、住宅ローンなどもそれを反映してある程度下がるというようなことを通じましてまた一つの利益もあるか、かように考えていますが、全体としてはマクロに金利政策を考えていくべきものだというふうに認識しておるわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 いずれにしても回りくどい説明で、余り説得力がないですね。私はそういう意味ではこの公定歩合引き下げについていつも繰り返して主張しておるのですが、政府が金融政策をとるときに、置き忘れられた視点にぜひひとつ注目をして、これに対する配慮も加えながら金融政策をとってもらいたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  大臣が戻ってきたから、今度は大臣の方の質問をします。  今度はちょっと方角を変えまして、アメリカのクライスラー社が経済危機に陥りまして、その再建を図るためにアメリカ政府のクライスラー融資保証委員会が四億ドルの追加融資の保証を認めるかどうかというその動向が注目されていたことは御承知ですね。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 クライスラー社が倒産するかどうかという問題は、アメリカの自動車業界の大問題であると同時に、日米の自動車摩擦へのはね返りやクライスラー社と提携しておる三菱自動車工業の経営にどう影響するか、いろいろ問題がありまして、一般の新聞でも大きく報道しており、私も注目をいたしました。(私語する者あり)——ちょっと静かにしてもらいたいですね。  私がここで取り上げたいと思いましたのは、このアメリカのクライスラー融資保証委員会が追加融資保証の条件として、クライスラー社に対する金融機関の譲歩、つまり債権の切り捨てがどうなるのか、あるいはわが国の金融機関の三菱銀行初め七行が相当な損失を受けそうだというようなことについてお尋ねをしたいわけでございます。  別に私、金融機関の経営の心配をしているわけではございません。ただ、日本の金融機関の損失はその金融機関に預金している人の損失でもあると考えておるからでございまして、その点は誤解のないように願いたいと思います。  ただ、最近の新聞報道によりますと、三菱銀行初め七行は、債権の一部切り捨てを含めた金融支援に同調するという結論を出して、それをクライスラー社に連絡をとったという報道がございました。この結果、邦銀七行の実質的損失といいますか影響というものは一体どんなふうになるのだろうか、この点についてお尋ねをいたしたいと思うのです。

大場智満大蔵省国際金融局次長

○大場政府委員 御指摘のクライスラー問題でございますが、アメリカ政府の保証枠は十五億ドルございまして、すでに八億ドルはこの保証を、実行しております。今回問題になりましたのは残りの七億ドルのうちの四億ドルということでございます。この四億ドルの保証を米国政府がするときの条件といたしまして、一つは金融機関の協力、第二には労働組合の協力、第三には下請業者等の協力、こういうことでございまして、その総額は約二十億ドルくらいになっております。  金融機関につきましては、アメリカの銀行、ヨ−ロッパの銀行、日本の銀行、すべて同様でございますけれども、債権の半分は優先弁済の債券に充てる。それから残りの半分は第二抵当権をつける。第一抵当権は当然アメリカ政府の保証の方になります。ただ、その五〇%のうち三〇%はクライスラー社のオプションによりましてクライスラー社が買い取ることができる、こういうような取り決めになっております。これを日本の銀行を含めてアメリカの銀行、ヨーロッパの銀行がすべてのむのであればこの四億ドルの保証はする、こういう状況になったわけでございます。日本の銀行も実はこの案に乗るかどうか、つまり米国の銀行、ヨーロッパの銀行と一緒にその仲間入りするかどうかということはずいぶん考えたようでございますけれども、去る二月二十七日に、同じ条件で協力するという態度を決めたようでございます。なお、日本の銀行のこの対象となります債権額は二億ドルでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 クライスラーの経済危機という問題は、自動車産業のことだから通産省の話というふうに受け取られがちでございますが、この問題は日米の貿易摩擦から日米外交の重要な議題に波及するのだという報道もございまして注目をしたわけでございます。同時に、いまのように金融機関の債権問題にまで発展をしますと、大蔵省も無関心ではいられないということになるわけでございます。  特に私はこの問題のいままでの推移の中でちょっと釈然としないものがありますのでお尋ねをしたいのですが、大蔵大臣はレーガン大統領の就任式に出席するためにアメリカに行きましたね。そのときに、リーガン財務長官初めストックマン行政管理予算局長らに会ったときに、クライスラーの救済について日本で何か協力できませんかという要請があったというのが伝えられているわけでございます。その後何も書いてないから私はよくわからないのですが、実際のところは一体どんな話だったのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 レーガン大統領の就任式に行ったときに、行ったついででございますのでできるだけいろいろな人と会いたいということで、いま言ったような人たちと面談をいたしました。防衛の話でも出るのかと思ったところが、それはこっちが先にお話ししたものですからそうでなくて、ただ会談の中で向こうは非常にクライスラー問題に興味がありまして、私の感覚とはかなり違っておった。要するにクライスラーは大変な問題なんだ、ところでどこかいい嫁入り先でもないでしょうかというような、大体そんな似たような話でした。向こうの嫁入り先ということは合併とかそういう意味でしょうね。もっと株主になってもらえるとかそういうお話がありまして、私は所管外でございますから、いやしかしクライスラーも今度は労働組合がもう月給を上げなくてもいいというようなことで全面協力をするということを言って再建案ができたようですから何とかなるんじゃありませんかというようなことで、所管外のことまでしょい込んできては大変なのでただ聞き流しだったということ、それだけであります。

平林剛日本社会党

○平林委員 いま聞き流してきたと言われたけれども、大臣は帰国してから後この問題、つまりクライスラーの救済問題について、鈴木総理大臣だとか伊東外務大臣それから田中通産大臣に相談をしたというふうに聞いているのですよ。聞き流しという程度のものではなかったのではないか。私は、多分レーガン新政権の内政上の苦悩が一番ここにあったというふうに聞いておるわけでございます。この問題の背景を初め、大蔵大臣の所管外のことも多分あったのではないのか、つまり債権の放棄ですね、これは一体どういうふうにしたらいいか。三菱銀行初め邦銀の協力体制というのはどうしたらいいのか、下手すると自動車摩擦の一番のツケを日本に回されてきたらかなわないから、それに影響することはないだろうかというようなことを話し合ったんじゃないかというのは容易に想像できるのですよ。ただ聞き流してきた話ですというわけにはいかない。  いずれにしても、三菱銀行初め七行は、相当の損失を覚悟して、そうした措置について支援、協力をしますよと回答したらしいのでありますが、私は、大蔵大臣が帰ってきて、ある程度こうした問題にどう対したらいいかという相談をして、あるいはそのことについて、あなたの所管外のことじゃない、所管のことについてやはりその意向を、あなた自身でなくとも、大蔵省銀行局あたりを通じてでも何か行政指導をやられたんじゃないのかな、こう思うのですけれども、その点はどうなんですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 聞き流しという表現がまずいかどうか知りませんが、ただ私は、向こうからそういうお話がありましたが、それには正面からお答えしなかったという意味なんです。要するに、それはいい婿さんが見つかるんじゃありませんかぐらいのことしか言ってないのです。何とか立ち直れるんじゃありませんかというようなことで、別な話をしたということです。  しかし、そういうふうなお話が出ましたということは、帰朝をしたときについでに、それは政府の方は議会筋よりも大変な関心を持っておりますという情報は、当然聞いてきたことですから、それは情報を入れるのはあたりまえのことでございます。私が行く前からその話はもう実務的に、民間同士の話ですから、それで下話は進んでおったようです。私だけが知らなかったというのが本当でしょう。  委細は銀行担当者から説明させます。

大場智満大蔵省国際金融局次長

○大場政府委員 今回の四億ドルの保証に伴います銀行の協力、特に日本の銀行の協力につきましては、アメリカの通貨当局から一切御要請はございません。  また私どもも、これは民間銀行の問題だと思っておりますので、民間銀行に、銀行間で相談してその結論をクライスラーに伝えるようにというふうに考えて、そういう性格の問題だと思っておりまして、この問題につきまして一切私どもは関与しておりません。

平林剛日本社会党

○平林委員 これは民間の銀行の問題だと言っても、やがて避けて通れない時期も来ると私は思うのですよ。  特に、先ほどの国際金融局次長の話では、二億ドルとなれば四百億円でしょう、七行以外にもあるかもしれませんけれども、それがそれぞれ最終的には実質的な損失を受けるということになるのですよ。さっきのお話ですと、この二億ドルのうち半分はクライスラー社の優先株に切りかえると言うけれども、これは無配の株ですから、もう配当もつかぬわけでしょう。そうなると、相当得べかりし収益がなくなってくるわけですから、そういう意味でも損失は出てくるわけですね。  それからもう一つは、クライスラー社が後でオプションをつけるという問題も、これは場合によっては放棄せざるを得ないという立場になるわけですから、これはまるまる損になってくるということになりまして、私がさっき言ったのは、大まかに二億ドルでなく実際はどのくらいになるのでしょうかということを聞きたかったのですけれども、かなりの損失ということになってくるわけですね。ですから、最終的なツケは、これは民間銀行の話ですと言って突っぱねているわけにもいかないときが来ると私は見ている。  ただ私は、大臣、それにしても、アメリカの企業の倒産あるいは経済危機、こういう問題があるたびに、日米外交に対する影響とかあるいは日米自動車貿易の摩擦のはね返りというような理由で、国際的な貿易金融という問題がその都度債権切り捨てだとか損失を受けるというようなことは疑問があると思っているのですよ。日本の場合だったらどうするかということを考えるのですね。  たとえば、日本の重要な産業が経営危機に陥り倒産をするというときに、アメリカとかヨーロッパに負債がある、それは棒引きしてくれなんというようなことを、日本人的発想だとなかなか言えないですね。国内の問題であるから国内で処理しようということになるんじゃないですか。  ところが今日は、この種の民間ベースの問題について、大蔵大臣が行けば大蔵大臣をつかまえて、何か協力できることはありませんかというようなことを言ったり、つまり政治的な配慮を要請するというようなことを、私は余り好ましい問題だとは思わないのですよ。そして、何かそれは国益だとか国策だとかいうようなことである力が動いて、釈然としない結論になっていく。  今回は、まあ金額は二億ドルです。約四百億円です。その問題でありますけれども、これは金額の大小の問題ではないのです。こういう性格の問題について、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 御質問の趣旨が私はよく理解できないのですが、要するに、日本の企業が仮に外国から債務を背負っておって、それが倒れたようなときにどうするかということですか。——私はそういう問題に一遍も当面したことがないのでよくわかりませんが、そういうのは何か例があるかな。ちょっとわかる人から少し……。

大場智満大蔵省国際金融局次長

○大場政府委員 日本の企業が海外から資金調達する場合は、いままでの形式ですと大体外債の発行というような形でございますが、この外債の発行の場合には国内の銀行が保証しておりますものですから、ほとんどすべての場合、銀行が保証するという形で、海外の非居住者といいますか、海外には迷惑がかからないというようなことでいままでは来ております。  ただ、今回のクライスラー社の場合には、御指摘のように、従来の金融条件を変更いたして、五割が優先株、残りの五割のうちまた三割がクライスラー社のオプションで買い取れるということになったものですから、万一の場合でございますけれども、損失が発生する可能性はあるわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 クライスラー社は今回の措置で当面の危機が回避できたといたしましても、それは一時しのぎになるんじゃないか。現に私の得た資料では、七八年でも二億ドルの赤字経営です。七九年になりますとそれが十億九千八百万ドルの赤字と発展をしまして、八〇年においては、さらにふえて十七億一千万ドルの赤字経営を続けておるわけなんですね。  仮に今回の金融支援だとか労働組合の措置だとかその他下請の協力とかいろいろなのがあったといたしましても、私は、このクライスラー社は一体どうなるのかという問題は依然として残ると思うのです。そうして、アメリカの自動車の全生産台数に対する割合なんかを見ても、五年前くらいは一二%くらいのシェアを持っていたんだけれども、いまではそれを割って七%台というような状態になっていますから、これは私は、最悪の事態になったときは、金融機関の債権は全部焦げつき、まるまる損失にならないまでもかなりの損を覚悟しなければならぬ、そういうようになったときは一体どうするのかという問題は、民間企業の問題ですと言っていられないのじゃないかと思うのですが、どうなのでしょうか。

大場智満大蔵省国際金融局次長

○大場政府委員 銀行の海外貸し付け、特に一年超のドルの貸し付けにつきましては、御指摘のとおりいろいろなリスクがございます。第一は、借入人そのもののクレジットリスクと言っている問題がございます。それから第二には、たとえその企業が健全であっても、その国の国際収支が悪い場合には返済が滞るという場合もありまして、いわゆるカントリーリスクと言っている問題でございます。それから三番目には、私どもはアベイラビリティーリスクと言っているのでございますが、ドルの取引の場合には、ユーロ市場等で比較的短期の資金を借り入れてこれを長期に貸す場合が多いわけでございますので、そういった短期、長期のボローイング、要するに短く借りて長く貸すという問題でございますが、そういったアベイラビリティーリスクという問題もございます。私は、前者の二つ、つまりクレジットリスクとカントリーリスクというのは、銀行の判断と銀行の責任によって担っていかなければいけないというふうに考えております。アベイラビリティーリスクだけは、これは私どもも金融機関を指導することによって、つまり一年超の長い貸し付けを行う場合にはできるだけ一年超の長い借り入れをしなさいよ、このような指導はいたしますが、最初のカントリーリスクとクレジットリスクにつきましては、銀行の判断と責任でやっていくべき問題だと思います。  したがいまして、対外貸し付けにつきまして何らかの事故が生じるような場合には、これは銀行の責任ということで考えております。

平林剛日本社会党

○平林委員 私、質問を反問的な形でやっておるから、大蔵大臣は、平林どういう趣旨で質問しておるのかなと思っておられたのじゃないかと思うのですけれども、これからちょっと述べます。  私は、このクライスラーの救済問題は、いまはまだはっきり浮かび上がっておりませんけれども、カーター政権からレーガン政権に移った現在においてもいろいろとその背景があった、事情があったというふうに実は推測をしているわけです。ただ、いまの日本におけるところの認識は、一般的な認識ですよ、それは日米外交の将来を考えて、自動車摩擦の深刻化ということもあるから、つまり政治的配慮や国策という大義名分で小さい矛盾には目をつぶろう、多少疑問があるかもしれないけれども、政治的処理をせざるを得ない、表ではこれは民間の方の問題である、こう言っておこうじゃないかというようなことで国民を説得し、誘導しつつあるというふうに私は受け取っておるわけです。私は、実はそういう傾向を憂慮しておるわけなのです。私が特にこの問題をここで取り上げたのも、その憂慮に基づいてであります。  なぜ憂慮するかというと、かつて日米の貿易摩擦というのがありまして、貿易不均衡の問題というのがありまして、そのときに、貿易収支面で日本は大幅な黒字である、アメリカは大幅な赤字であるというようなことから、将来の日米貿易の障害になりはせぬかという考え方が表に出てきて、例のドル減らし政策を行われたことがございますね。あのときは四十億ドルを何か、ウランを買わなきゃいけないとか、ほかに要るものはないかとか、一生懸命になってリストをつくって、とにかくドル減らしをやった時代がありました。そして、ウランを買ったり航空機を買ったりするその裏側で、国策国策という裏側でロッキード疑獄のようなものがうごめいたわけですよね。私は、今回のクライスラーの問題は、まるまるでも四百億円、直接的には邦銀七行の債権という形で、これは民間銀行の問題だという形に注目をされておりますけれども、多分に日米外交の影響、自動車の輸出摩擦というような政治的色彩の前に、とかくこの問題が小さく取り扱われるというような傾向にあると思うのです。私はあの当時国会対策委員長をやりまして、三木内閣との間にロッキード問題についての追求の先頭に立たしてもらったことがあるわけですけれども、再びロッキード問題のような議会政治不信を招かないようにせにゃならぬ。したがって、何かこう、いまごろ何だ、こんな、何質問するかわからないというふうにお考えかもしれませんが、これは私、発展性のある問題だと見ているから、その処理についてあいまいさを残さないようにしてもらいたい、石橋をたたいて渡るような気持ちで、そういう心構えが必要じゃないのか。私はきょうはこの辺だけしか言いませんけれども、ひとつ大蔵大臣のこれに処する心構えといいますか、基本的な考え方といいますか、そういうものについてはっきりさせておいてもらいたい、こう思うのでございます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 アメリカのことではございますが、クライスラー社がアメリカ政府の援助を受けて再建の方策を講じておるわけですから、やはり独自に立ち上がってもらうということが一番いいことだ、そういうことは私は本当にこいねがっておるところです。やはりあそこで、幾ら下手なやつはつぶれてもいいと申しましても、十万人からの失業者が出る、それに続いて何十万かの失業者がふえるということになれば、幾らレーガン政権でも、民間企業のことだから知らぬというわけになかなかいかぬでしょう、これ、実際問題として。その余波が日米の貿易摩擦に輪をかけたり、自動車問題に輪をかけたりすることは困ることですから、だから私は、米国内で適正に処理していただけることを希望いたしております。  また、これらの問題については、先ほど御指摘があったように、そういうようなものを契機としていろいろな政治不信を招くようなことを起こしてはいけませんよというお話でございます。いまのところ何ら、それらについて起こす可能性のあるような問題は何もございません。ございませんが、いつでもえりを正して政治をやらなきやならぬことでございますから、十分に注意をしてまいりたいと存じます。

平林剛日本社会党

○平林委員 私の質問の時間、まだ残っておりますけれども、取り上げたいと思う課題はその残時間ではなかなか消化できないという課題でございますから、お待ち願った関係者にはまことにお気の毒ですが、お昼も相当過ぎたことでもあるし、後ろを見るとこの程度の協力はした方がいいだろうと思いますので、この問題についての質問は他日に譲ることにいたしまして、これをもって私終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 午後二時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 きょうは、私は物品税の問題について質問さしていただきます。すでにわが党の質問で三回目でございまして、第一回目に簑輪議員が物品税について、二回目は私が印紙税並びに有価証券取引税について基本的な問題は質問さしていただきましたので、本日は少し個別の問題になりますが、地方で問題になっている事柄について、物品税に関連して若干の問題を大蔵当局に聞かしていただきたいと思います。  まず最初に、一般論から伺いますが、物品税の本質というのはどこにあるのですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 たびたび申し上げておりますが、これは個別の物品に対する消費税ということでございます。したがいまして、個々の物品の使用、消費という事実からそれに示される消費者の所得の所在というのを推認いたしまして、これを担税力というふうに観念をして課税をいたすということでございます。したがって、担税力を顕示する使用、消費、製造、販売というような行為、それに着目をして課税をいたしておるというのが物品税の本質というふうに心得ております。

正森成二日本共産党

○正森委員 物品税法の第三条を見ますと、課税の方法がいろいろございまして、小売課税と呼ばれるもの、それから製造課税もしくは移出課税と呼ばれるもの、それから引き取り課税と呼ばれるもの、三種類ございます。とりあえず小売課税と移出課税といわれるものの差異について、なぜそういう区別ができたのかについてお伺いいたします。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 物品税法の別表の一号から六号までに掲げます物品につきましては、小売の際に課税をするわけでございますが、その内容はこれもよく御承知でございますが、貴石、貴石製品、真珠、真珠製品、貴金属製品、それからべっこう製品、サンゴ製品、それから毛皮製品、じゅうたん等の繊維製の調度品でございます。つまり、製造ということが格別非常に確認しがたいもの、たとえば貴金属指輪などをつくります際に、ダイヤモンドを買ってきて、みがいて、はめて指輪にいたすわけですが、これは一体どこの段階でどういう製造があったのかということは、にわかに判定しがたい。それから貴金属でございますが、これは原則滅失することがなくサーキュレートするわけでございますから、やはり消費者の手に渡ります都度、店頭で販売、購買行為について課税を行っていくということであろうと思います。それから繊維製の調度品、これらはむしろ製造者に納税をお願いをいたすとしますと、製造者が零細または家内工業的である場合には、相当事務上のめんどうもございますし、また転嫁という問題がございますので、販売場で課税をいたすというような趣旨に出ておるわけでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 物品税についてはいろいろ判例もございますが、私はここに、昭和五十二年二月三日、最高裁判所第一小法廷判決、昭和四十九年行ツ第七十七号、それからそのもとになりました昭和四十七年十二月十九日第三小法廷判決、昭和四十四年行ツ第七十三号というのが古物に関して判決が出ております。最高裁の判決というのは非常に理由が簡単で、「法定の課税原因が発生する限り、物品税の課税を免れえないものであることは、当裁判所の判例とするところである。」というようになっておりますが、この一審判決を見ますと、双方が証人調べもして主張を尽くしておりますので、詳しくその理由が判示されております。  それで、そこで出ております、先ほど主税局長がお答えになりました物品税の本質や小売と移出との差異について国税庁側がどういうぐあいに述べているかという点を引用してまいりますと、こう言っております。「物品税は、右に述べたとおり、消費税の本質にもとづき個々の物品の消費に示される担税力に応じて課される間接消費税であり、主として奢侈品、娯楽用品、趣味観賞用品、社交的身廻用品、し好品、便益品的なものを課税物品とするものである。そして、その物品の性質に従い、その使用消費に接続するものとしての小売、移出または引取の段階に課税の時期を求め、その当事者を納税義務者としている。小売課税物品と移出課税物品との選択については、一般には貴石、貴金属製品等の趣味、し好性が高く、使用による価値の減少が小さいものを小売課税物品とし、電気製品等の規格量産的で使用による価値の減少の大きいものを移出課税物品としており、課税標準については建前として、小売課税にあっては実売価格主義をとり、移出課税にあっては抽象価格主義をとっている。」云々、こうなっております。この主張でよろしいか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 それは国の方がなしました主張だと思いますが、その見解は同様でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 この見解と同様であるという最終的な御意見ですね。そこで、そういうように物品税というのは奢侈品、娯楽用品、趣味観賞用品、社交的な身の回り用品、嗜好品、便益品的なもの、そして小売と移出品との差異はこういうことであるということになりますと、過去の税制を見てみますと必ずしもそれに合致しない時代があるのですね。御承知のように昭和二十一年までは第一種と第二種に分かれておりましたが、昭和二十一年から二十八年までは全部移出課税といいますか、製造課税になって区別がなくなっているわけであります。たとえばここに関係者からちょっと借りて持ってまいりましたけれども、必ずしも奢侈品だとか嗜好品だけに課税されているのではないのですね。昭和十五年の課税物品を見ますと、第一種の小売につきましても、もちろん貴石だとか貴金属がございますが、同時にくつ、履物、玩具、囲碁、将棋用品、私は碁が好きですが、果物から菓子、それから犬やらネコ、こういうものにまで課税をされておるということになるわけであります。ここに非常にきれいな色刷りの写真が載っておりますから、御参考に委員長に見ていただきまして、後で政務次官に見ていただいても結構であります。  そうしますと、同じ奢侈品だとかいいましても時代によって異なる。それから小売課税、移出課税の区別は、一応判決でも国税庁側の主張を言っておりますけれども、しかしそれも時代によって異なると解釈しなければ、ある時代にはお菓子から履物まで、あるいは犬やらネコにまで課税しておった、あるいは大衆の使う囲碁、将棋の用具まで課税しておったのが、ある場合にはそれが課税されなくなったり第二種の製造課税に移るというように変わってきているわけですから、この標準というものは時代とともにやはり移るものではないですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 先ほど私が国側の見解はその当時と変わりませんと申し上げましたが、いまのお話にありましたように、既往にさかのぼりますと、小売課税と製造課税、その対象となります物品、これは相当な変遷を経ております。三十七年に整理して現在の形の原型ができまして、四十三年に考え方の基礎ができたわけでございますから、それを当時の裁判所で国側から意見として申し述べたわけでございます。昭和二十一年から二十七年までの間には小売課税は一品目しかございません。これは書画骨とうでございます。なぜそういうことになったかと申しますと、昭和十九年まで二十九品目小売課税があったわけでございますけれども、戦後のことでございますから、例のやみ市がありまして、小売課税どころではなくなったわけでございます。したがいまして、小売課税に適しないものは課税を廃止いたしますとともに、製造課税を原則とするということを二十七年までやっておりました。二十八年から小売課税が六品目、七品目というように年を追って若干ふえておりますが、それ以後製造課税が大宗という現状でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 間接的に主税局長がお答えになりましたが、基本的には、たとえば昭和二十一年から数年間はやみ市が非常に繁盛をして小売に課税するといってもなかなか困難だったので、製造課税といいますか移出課税といいますか、そこに大部分を改めたということでございますし、戦前は二十九品目ほどございましたが、戦後もしばらくの時期は、現在は課税されていないものあるいは現在は第一種になっているものというようなものが第二種に相当入っていたわけで、その意味では、先ほど私が判決を引用した小売課税と移出課税の基準というものも必ずしも数十年前から固定的なものではなしに、時代とともに社会常識とともに移り変わりがあって、いまの考え方というのはほぼ昭和四十年前後以降定着してきたものである、念のためにこう聞いてよろしいですか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 先ほどお答えしましたたとえば金の指輪のようなもの、これは指輪としても課税品でございますし、それから宝石をはめても課税品でございます。どの段階で宝石をはめた金の指輪になって課税が行われるかということになりますと、これは単純に製造課税ということになかなかなじまないという性質を持っておろうかと思います。そういうようなものは終始小売課税ということでございますが、先ほどのやみ市と申し上げましたその時代にはこれは製造課税に戻りました。実際の執行につきましては、これは飾り屋さんと申すのでございましょうか、ああいう何段階かの手を経ていくものでございますから、これを製造課税に移しますと、いわゆる未納税移出の問題とか相当むずかしい問題があります。  それから、私ちょっとここで思いつきのようで恐縮でございますが、三十三年に臨時税制委員懇談会というのがございまして、そこで品目の話をしておりましたときに、高級織物の課税の問題が取り上げられて、これはむしろ製造課税になじまないから小売課税でやったらいいというような意見も出たことがございます。実現はいたしませんでしたが……。そういうように物の固有の性質として製造課税になじまないもの、それから執行的に見まして製造課税に非常に困難があるもの、そういうものがございますが、それは制度でございますから、こういうものは必ず小売課税でなければならぬとか必ず製造課税でなければならぬということはないと思いますが……。  もう一言申し上げさしていただきますと、消費税でございますから、理論的に申しますれば、消費に一番近い段階、販売の段階で課税をいたすのが一番担税力に照応しておるというふうに私どもは考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 私がこれから問題提起として申し上げようと思いますのは、必ずしも現行法の解釈としてではなしに立法論として少し是正した方がいいのじゃないかと思われる点があるからであります。それは、先ほど挙げました判例というのは古物商関係の方が提訴なさってそれへの判決なんですが、古物というのは御承知のように古い物を買ってきましてそれをまた消費者に売る、つまり小売であります。ですから、何回古い物を買ってきて何回売りましてもそのたびに物品税がかかるのですね。ところが製造物課税あるいは移出課税と呼ばれる第二種の場合は、これは移出のたびにかかるという形になっているから理論的にはそれは二回だって三回だってかかるのでしょうけれども、実際は製造場から出るというのはほとんどの製品は一回ですから、そこにランクされたものは一回だけしか課税されないで、古物になった場合には物品税はかからない、こういうことになるわけですね。そこでその点で非常に不平等的な問題が起こるのじゃないかということがあるわけであります。なるほど第一種にされているもののうち宝石とか、よほど傷まない限りは時代が変わっても価値が余り変わらないというようなものもございますが、ここに私は、ある古物商の方から預かってきたのですけれども、第一種の五か六に毛皮製品というのがありますね。これは毛皮製品で持ってきたのです。速記に入らないからちょっと申しますけれども、これを見ますと、これは確かに暖かい、だろうと思いますけれども、こういうぐあいに破れているのですね。裏でもそんなにりっぱなものではありませんが、これもやはり毛皮だということで二万五千円とかなんかの課税最低限を超えますと何回でも税金がかかるということになるわけですね。  それからまた、政務次官、これ、古いものですが、優勝カップなんです。これはちょっとこういうのがとれているのですね。ですけれども、これは銀製品ですか、だから何になるのですか、貴金属になるのですかな。だからどんなに古物であってもこれは貴金属だからというので、これはテニスか何かでなつかしいと思ってだれかが買えば、何遍買うてもまたこれ税金がかかる。  ここにあるのはめがねの——次官もめがねをかけておられますが、めがねの外側で、これはこういうぐあいにつぶれているのです。つぶれているけれども、これは金縁めがねであるということになりますと、これは貴金属製品であるということで、古道具屋で売りますとこれに物品税がかかるということになっているわけであります。  私はここに——委員長、後でお暇でしたらごらんいただいたらいいと思うのですけれども、指輪、これは判こを押せるような指輪ですね。これは銀だからだめだ。それからここに、これはめのうですか、帯どめか何か、ちょっと割れているのですね。これ、もしうまいことのりででもひっつければやっぱりかかるということになりますし、これはどこかの会社の記念品みたいな金のバッジですね。これもやはり古物でかかるということになるのですね。  次官、まだありますよ。ここに何かめのうみたいなものがちょいとあるのと、真珠があるのですね。別表を見ていただきますと、真珠の場合は合成品でもやはりかかる、こういうぐあいになっておりまして、しかも製品にしなければ免税点がないというようなかっこうで、これは全部古物で売る場合は税金がかかるということになるわけです。それだけならそんなに不公平だとは思わないのですけれども、ここに時計があるのです。実は時計も持ってきているのですけれども、高いものですから写真で失礼いたしますけれども、これはどう読むのですか、ピアジェというのですか、時計に宝石が全部ちりばめてあるのです。中にはこれが時計かと思われるような——次官ちょっと、これが時計なんですよ。ここに一つ小さい時計がついているのです。時計に貴金属がちりばめてありまして、値段を見ますと、後で見ていただきますが、一億二千六百五十万円、こちらの時計は五千九百五十万円というので、私もけたが間違っているのじゃないかと思ったのです。それはまさに貴金属といいますか宝石そのものなんですね。時計は添え物でありまして、宝石そのものなんですが、それについてはこれは小売課税ではないのです。だから一回税金がかかれば、後は古物商へ持っていって何回売りましても物品税はかからない。ところが時計なんかにつけてないものは二万五千円を超えれば、ちょっとしたものでも二万五千円くらい超えますから、これは五回売っても十回売っても現在なら物品税が一五%ですか、かかってくるということになるわけであります。  そうしますとどういうことが起こるかといいますと、判決の中に書いてありますけれども、事実上の二重課税の問題が起こってくるのですね。法律的には確かに古物を買う人は第一回目の消費者とは別の消費者だから租税を負担する者は違う、こういうことは言えるのですが、しかしこの判決を見てみますと、これは国税庁側の答弁の中で言っているのですけれども、こう言っているのですね。「原告は、古物の消費者は二重課税の被害をもろに受けることになると主張するが、いわゆる古物と称するものの小売業者を買手とする取引価格はすべて買手の意思によって一方的に決められ、譲渡人の希望売渡価格は無視されがちで、古物としての市場価格の限度内で小売業者の小売マージンを控除した残余価格で取引されるのが業界取引の常識である。したがって消費者が第一種物品を小売業者に売渡す場合、その売却価格は、多くの場合、新品の市価よりかなり低額になるのが通常で、その差額の大部分は買受業者の転売マージンによって占められるのである。」云々というようなことを言っているわけです。これはどういうことかというと、そういうものを買った消費者は、売るときに高く売ろうと思っても、買う古物商はどっちみち物品税をもう一遍取られるのだから物品税を引いた価格、しかも自分のマージンを見た価格、しかもその価格は新品よりも安くなければならない、そうでなければ売れないわけですからそういう値段でしか買わないということを言っているのですね。そうしますと、法律的にはなるほど物品税を負担して現実に金を払うのは第二の消費者ですけれども、そのもとになって買い入れるときに安くしか買うてくれない、買いたたかれるという形を通じて結局第一の購買者は最初新品を買うたときにもろに物品税を取られ、二遍目は売るときに物品税を予想した額でしか引き取ってもらえないということで、つまり出入りプラス・マイナス二遍事実上物品税を負担していることになるというのを間接的には国税庁も認めているのです。しかし法律的には第二の物品税を負担するのは第二の消費者である、だから担税者は違うから二重課税にはならないからいいではないかというのが議論なんですね。それは議論は、私は法律家ですからよくわかるのですよ。しかし事実問題としてそういう二重課税に等しい問題が起こっているということを考えますと、しかも一方にいまお見せしましたように、ピアジェの、この宝石でちりばめた時計は一回しか税金がかからないで古物になればフリーパスであるということを考えると、現行の法律の解釈としてはそれはやむを得ないのだと思いますよ、あるいは皆さんのお立場では。しかし立法論としましては、もし避けられるものならば、小売課税にしている以上古物に何遍かけても仕方がないというのであれば、その第一種製品の幅を、せめて毛皮だとかあるいは足で踏むじゅうたんだとか、そんなものまで第一種にしているのは製造課税に移すとか、それから何ぼ時計だ、時計だと言い張っても、こういうように宝石でちりばめたものはやはり貴金属あるいはそういうたぐいのものだということにするか何かしなければ、余り不公平過ぎはしないかというように思うわけです。それで、説明がえらい長くなりましたが、次官、御感想、将来の御構想がございましたらぜひお答え願いたいと思います。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 大変興味のある、またいろいろ熱心にお調べのお話を承りまして恐縮でございますが、先ほど主税局長からお答え申し上げたとおり、やはり社会情勢の変化や経済その他生活の変化に応じて税体系というものの変更、変遷というものもあり得る、当然のことだと思います。ですから、そういった意味で、常にできるだけ実情に沿う税を考えていくというのは従来大蔵省もとってきた立場でありますし、今後もそうあらなければならないと思います。  いま先生がおっしゃった例はたくさんあるわけですけれども、どれをお答えしていいかわからないぐらいいろんな例が挙がりましたが、たとえば先生のおっしゃった判決の理由の中にもあるように、第一種の小売課税物品というものは何遍売っても価値が余り減少しないということが一つの基準になっております。そういった意味で、これは物品税の本質というものが消費に表象される所得というか担税力、これに課税するというのが原理でございますから、そういった意味で、やはり多少古くなってもそれは新品と余り価値が変わっていかないという意味では、これは小売をするたびに物品税をかけるというのが本質的な制度の基本でなければならないと思います。ただ、たとえば例に挙げられました毛皮とかそれからじゅうたんとかいうものは、いささか、そこに取り上げられた毛皮製品を見ても、これはやはり古くなっていけばだんだん安くなっていくのかなという感じもいたします。免税点というものもあるわけでございますけれども、まあしかし一方第一種物品に入っているものの一つの仕分けの基準として、製造段階が非常に多岐に分かれておって零細な業者がこれを製造していて、製造段階にかけるということは徴収上、税の執行上も技術的に非常に問題があるとか、あるいは税のコストを商品に転嫁できにくいとか、あるいは事務負担がかかってくるとか、そういった面も考慮されて制度ができ上がっている。そういった点から言うと、直ちに毛皮の場合にいま言ったような課税上の問題をクリアできるのかどうか、先生の御指摘、ごもっともな点もあると思いますので、十分検討はさせていただきますが、そういう点については今後も問題があろうかと思いますので、慎重に対処したいと思います。  それからピアジェですか、大変高級な時計の例を挙げられましたが、確かに、これは貴金属あるいは貴石製品として扱ってはどうかということも理由がないわけではないと思います。しかしながら一方で、どこにその限界を求めるかということになるとまたなかなかむずかしい問題が出てくる。あるいは税の徴収、執行ということを考えると、やはり製造段階でいただいていた方が、後転転流通する余地がどれほどあるのかわかりませんけれども、その段階で取るよりも製造段階で、いわゆる三〇%という小売課税よりか倍の税率でいただいていた方が税の執行上もきちっとするんじゃないだろうか、そういう点もございますので、今後先生のおっしゃったいろいろな理由も考えて研究はしたいと思いますが、現行制度としては、先生も御指摘のとおり一応一般的な基準としてはお認めいただきたいと考えるわけでございます。いろいろ興味のあるお話を承りましたので、今後十分研究はさせていただきたいと思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 きょう私は、現行税制の解釈論としては必ずしも問題提起をしておりませんので、立法論として考慮すべき点があるのではなかろうかということです。それで、たとえばダイヤモンドとかそういうのを古物だから税金をかけないというわけにはなかなかいかない、担税力に着目してかけるという大蔵当局の意向も私はわからないではありませんけれども、しかし冒頭に一般論、本質論で申しましたように、戦前から戦中、戦後にかけて第一種と第二種は相互に移動したり、外されたり、全部製造課税になったりというように移動しているわけで、人間で男と女が厳然と区別されているように、一たん男に生まれたら女にならないとかいうものではないのですね。だから可変的なものであるという事実を考えますと、少なくとも第一種の六つのうちの第五番目の毛皮と第六番目のじゅうたんといった性格のもの、これは大いに考える必要があるのではなかろうか。それから、もちろん税収にも関係いたしますけれども一、課税最低限を若干引き上げることによって本当に古物らしい古物というのは二重課税を避けられる、二重課税という言葉はちょっと悪いかもしれませんが、避けられる可能性があるのではないか。また価値のあるものから言えば、たとえば移出課税の中には家具なんかございますが、同じたんすでも紫檀、黒檀とか言うて高いものだと何百万円というものがありますから、それでも移出課税で一回だけだというような問題、それから楽器にしましても、ピアノだってずいぶん高いのがありますし、バイオリンのストラディバリウスなんかになれば何千万円というのもあるわけで、これは古物だから——古物に決まっているのです、そんなものは。これは古物だから税金かからない、こういうようなことにもなるだろうと思いますし、そういう点で第一種のものは、一たんした以上は古物に絶対何回でも税金を取ってやるんだという考え方については、主税局長にもお願いしたいのですけれども、整理をして、そして不当な負担を古物商ないしは古物に売らざるを得なかったかつて物品税を払った消費者にかけることのないようにきめ細かく考えていただきたいと思います。  私の時間はこれで終わりましたので、最後に御答弁がございましたらお伺いして、終わりたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 いろいろお話がございましたが、税制調査会にもただいまの御議論を報告いたしまして、また税制調査会としていろいろ御検討をいただくということにいたしたいと思います。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田委員 最初に、いま物品がかかっておったようですから物品でちょっとお伺いしますが、物品税法上の「物品」というこの言葉の解釈は何なんですか、ひとつ説明していただきたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 法律上は「別表に掲げる物品には、」「物品税を課する。」ということでございますが、その考え方は、ただいまのところでは奢侈品、趣味・娯楽品、比較的高価な便益品と身辺用生活品、そういうものを選んで課税をいたしておるわけであります。

沢田広日本社会党

○沢田委員 この「物品」の定義がないということはどういうふうに思われておりますか。物品税の場合「物品とは」という定義が書いてない。「別表に掲げる物品」ということで適当に削除もできれば加えることもできる、法律体系として定義がきわめて不明確であるというふうに思われるのですが、先ほども質問がありましたけれども、そのときどきの解釈によって変わっていってしまう、そういうことが法律の体系として果たしていいのかどうか、その点はどう思われていますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 どういうものを物品税の課税対象とするかということにつきましては、法律が設けられましてから四十年以上経過しております間にいろいろな変遷がございましたが、戦争中、戦争直後の窮迫期を別といたしますと、ただいまのところ、先ほど私が申し上げたような品目を基準として物品税をかけておるわけでございます。こういう個別消費税でございますから、かつてイギリスにございました仕入れ税の場合でも、どういう基準でどういうものを選ぶということをなかなか法定しがたいわけでございますが、そこは税法でございますから国会を通して国民の御意見も十分伺い、国会の御意見も伺いながら品目の選定をやっていくという形で品目は法定させていただいておるわけであります。

沢田広日本社会党

○沢田委員 いままで出た中で奢侈品とかなんとか言われておりますが、一般的に言われるペットですね、ライオンなんか飼っている人もいるのでありますが、これはやはり物品だと思うのですね。いわゆる政府の言う物品管理法に基づく場合は、まあ言うなら物品である。シャムネコとか、まあ犬でもネコでもライオンでもそうでありますが、小鳥もそうでありますが、とにかくこれは生活の必要品かなと思うような相当高価なものがいろいろとある。第一、こういうものは必要品だと思いますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 ネコがいなければ夜も日も明けないという人もあるでしょうけれども、通常の場合にはこれは生活必需品ではございません。昭和十五年から二十一年までは「愛玩用動物及同用品」として、犬、ネコ、キンギョ、カノコスズメ、キンカチョウ、それからいろいろな鳥、オオム、それから犬の小屋、鳥かご、それからカジカ、コイ、それから犬のくさり、首輪、ジュウシマツ、こういったものまで課税していたことがございますから、物品税法で言う「物品」の範囲に入り得るものであることは御指摘のとおりであります。

沢田広日本社会党

○沢田委員 私たちがここで言うのは増税しろという意味ではないのでありますが、増税しろとか新たにというわけではないのですが、いわゆる整合性という面からいって、この前も出たような灰ざらから学生が使う電気スタンドに至るまで物品税をかけている。一方では、そういう一種の熱狂的な一日も明けられないという人は、そういう種類に属する人だと私は思うのでありまして、少なくとも一般国民的なニーズのものではない。と思いますと、ライオンなんか飼って問題も起こしたり逃げたりしていろいろ社会の公共秩序をも破壊している場合も起こり得るのでありますし、そういうようなものも含めて、マムシを飼ったり、これは薬にする場合もあるでしょうけれども、とにかくそういうようなめちゃくちゃな形のものもなくはないのですから、そういうものには遠慮なしにたくさんかけていいのじゃないですかね。アフリカから、どこから入れるかわかりませんけれども、ライオンを買ってきたり、そういうようなことをするものに全然物品税がかからないで、しかも近所の人は不安に駆られている。こういうような状況のものに安易に入ってくるという仕組み、しかもそれには税金がかからない、こういうことは整合性からいって余り望ましいことではない。でも、研究しますとか検討しますという回答じゃなくて、今回は追加できないでしょうけれども、落とすものを落として、そういうものは加えるというふうな方向で、やはり検討ということ以外ないのですかね。やりますと言えればいいのですが、とにかくそのことで考えていただけますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 国会での御議論でございますから、税制調査会にまた報告をして検討願うわけでございますが、かつての愛玩用、観賞用動物、こういうものがなぜ課税廃止されたかと申しますと、生産者の直売りが多くて執行面に問題が多い。これは小売課税としてつかまえる以外にはないわけでございますから、農家の庭先で課税をいたすわけにいかないので、したがって小売を通らないと執行が非常にアンバランスになって不公平が生じるということも問題であったわけでございます。そういう流通の事情等ももちろん検討はいたさねばならぬことでございますが、せっかくの御指摘でございますから、税制調査会に報告をいたします。

沢田広日本社会党

○沢田委員 続いて、まず最初に銃砲刀剣の関係からいきますが、銃砲刀剣類所持等取締法、これによれば空気銃はいまの物品税はかかっていないのであります。しかし、この銃砲刀剣類所持等取締法があるということは、その所有者を規制するわけでありますから、当然そのことは該当することになるわけであります。ところが、これまた銃砲刀剣がこの中にはないということです。この間私は有楽町の「そごう」の下に行きましたら刀剣類が並べられておりました。これは完全なる物品販売、いわゆる新刀だと思うのですね。だとすると、これにもかからぬということは、必ずしも刀剣はすべて骨とう品ではないと思うのですね。ですから、そういう意味においてこの銃砲刀剣類所持等取締法というものが存在する限りこれを持つことが許される者がいるのでありますから、公共団体はもちろん別でありますが、そういう者以外については当然名目上もつけておく必要があるのではないかという気がするのでありますが、銃砲と刀剣と分類してお答えいただきたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 猟銃、空気銃でございますと現在課税をいたしておりますのですが、いまお話のございますのはむしろ古式銃と申すのですか、村田銃でございますとか昔の種子島でございますとか、それから日本古来の刀剣というものの御指摘だと思います。これはかつて書画骨とうの中に入れて課税をしておったわけでございますが、先般来御説明いたしておりますような経緯で課税が廃止されております。たびたびこの委員会でも御指摘ございましたので、書画骨とう課税のあり方の一環としてこれは真剣に勉強してまいらなければならないというふうに思います。こういうものにつきましては、再び申し上げますと、小売課税、店頭課税ということをどう考えるのかという課税方法との関連もございますので、幅広く勉強させていただきたいと思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 そこで、店頭販売と個人の販売というより売買といいますか、店頭販売の場合は、小鳥でありましても犬でありましても、あるいは銃砲刀剣にいたしましても、これは明確に把握できるわけですね。ところが、個人が個人に譲り渡したりする場合は把握できない、そういう不公正は生じてくると思うのです。そのことは前提として起こり得るというふうに、たとえば借金のカタに渡すという場合も起こり得るだろうと思うのです。ですから、それは把握できない分野である。これは何でも同じだと思う。ですから、そういう意味からすれば、やはりこれは十分に検討ではなくて、入れて押さえていくということが必要である。現実にはもう店頭販売されているわけですから、少なくとも店頭販売をされている分野についてはこれは適用されるべきである、私はこういうふうに思います。  それで、次の問題とあわせてお答えいただきますが、火薬であります。この火薬もきわめて範囲は広いのでありますが、火薬類取締法にはそれぞれ、この火薬類ということの内容はここで挙げませんけれども、明示をされております。ですから、この火薬類取締法に該当するものについても今日入っていないのであります。これもやはり私は物品税の対象とするべき、中身に入るべきものだというふうに理解をしているわけなのです。しかも危険なものなのであります。ですから、取締法もそうでありますけれども、税法上においてもかぶせていくという必要性はあるのじゃないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋(元)政府委員 昭和四十一年まで花火に課税をいたしたことがございます。火薬はいわば一種の中間製品でございますから、鉄砲の弾になった場合の後ろの火薬とか、それから建設用のダイナマイトに使われます場合とか、鉱業用の爆発に使われます場合とか、そういうふうに製品になる中間の段階だと思います。そこで、火薬に課税をいたしますのを消費税として構成いたしますと、恐らく花火というものがその対象になろうかと思いますが、昭和四十一年に課税を廃止いたしましたのは、どうも戦後非常に花火が打ち上げられなくなって花火の需要がうんと減ってまいりたというような事情もあったように私ども記憶しておるわけでございますが、先ほどお話のありました古式の鉄砲、古式の刀剣、そういうものについての御指摘とあわせまして課税方法の問題を深く検討いたしたい。そういうものが可能でありますればただいまの御趣旨を生かして今後勉強を積極的にしてまいりたいと思いますが、その辺の課税方法なり執行上の問題点というのをひとまず最初に検討させていただきたいというお答えを申し上げたいと思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 この問題に関連をして、先般予算委員会等でも質問がありました関税の分野で、武器あるいは火薬、こういうものの取り締まりについてはどういう措置でいま臨んでいるわけでありますか、これはもしおいでにならなければ後でいいですから。これは大蔵委員会に予算委員会から引き継がれたような問題だと思っているのであります。要するに武器輸出はいずれ国会で決議もされるだろうと思いますが、どこまでを武器と称するか等の解釈は、これはいわゆるここで言う武器あるいは銃砲刀剣類の関係あるいはその他の火薬類取締法等の関係から類推していくわけでありますが、その範囲の問題はどういうふうに考えているか、またその把握をどういうふうにしようとしているか、その点は後でひとつお答えをいただきたいと思います。  それから、先般私の方の同僚からも質問がありましたが、誠備グループの問題について、あのときにおいては調査中です、こういうお答えであったと思います。その後の調査でどういうふうになったのか、これも簡潔にひとつお答えをいただきたいし、一部では外人グループだというふうなことでごまかされようとしている点もありますが、実は大手の金融機関が相当参加しているということも聞き及んでおりますし、またこのことによって一般の投資家には迷惑はかけないと言いながら、実質上は倒産という羽目に入りそうな状況もあります。そういうようなことを踏まえて、あるいは廿日会という名簿を実は調査室の方にもひとつ出してくれと——この行為はどういうことに法律上なるのかということも含めて実はお答えをいただこうというふうに思っていたのですが、とりあえずいままでの調査結果等について御報告をいただきたいと思います。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 誠備投資顧問でございますが、誠備投資顧問の実質的な主宰者である、外務員であります加藤というのが逮捕されてすでに起訴をされておるわけです。この加藤の所属する証券会社、これは黒川木徳証券と申しますが、これを現在調査をしております。特別検査という形でいろいろ調査をしておりまして、なおその実態がつまびらかになっていないというのが現状でございます。  ただ、私どもがいままでに把握しております点を若干申し上げますと、誠備投資顧問と申しますのは、一つの投資顧問業ということでございますけれども、その実態は投資グループという形で、この代表者が会員にかわって投資の発注をする。その投資の発注を外務員である加藤が取り次ぎまして証券会社でこれを執行する、証券会社が市場において執行する、こういうような形になっておるわけでございます。したがいまして、その一括発注、一括受注というところが、投資本来のいわゆる個人の判断によって投資をする、こういうたてまえに即していない、好ましくない一つの形態であるというふうに考えておりますやこれが証取法に違反するかどうかということになりますと、現在の段階では私どもとしては証取法違反というところまではなかなか詰め切れないのではないかというふうに思っております。ただ、いま申し上げましたように調査中でございますので、その結果によってさらに判断をしたい、このように思っております。  それから、大阪証券信用の問題でございますが、これは御案内のように一つの貸金業者でございまして、大蔵省の監督下にはございません。大阪府に届け出の形で営業をやっておるということであります。ただ、大阪証券信用の株主に大阪の地場証券の団体でございます大阪正会員協会が入っています。あるいは若干の証券会社、金融機関、こういったものが株主に入っておる。そういったいわば信用機関が今回の投資グループにかなり巨額の融資をしておるということにつきまして、私ども非常に残念に思っている次第でございます。この機関につきましては、ただいま申し上げましたように、私ども直接の監督権がないわけでございますが、東証あるいは大証から人を派遣いたしまして、現在その実態について調査をしておるということでございます。  なお、一般投資家に迷惑をかけないようにということ、これは一番最小限の要請でございますので、大阪証券信用の顧客の中で、いわば投資グループと何ら関係のない一般顧客に対しましては、その担保株券の返還等につきまして十分な措置を講じたい、そのために大阪正会員協会におきまして約三十億円程度の資金を用意いたしましてこれに対処したい、このように考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 銀行局の方にお伺いしますが、ここの貸し出しをしました銀行それから証券会社、その名前はもう調査済みだと思うのでありますが、ひとつお知らせをいただきたい。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 お答えいたします。  大阪証券信用に対しての融資状況については、私ども調査し聴取しているところでございますけれども、個別の金融機関の取引でございますので、その中身につきまして詳細ここで御報告させていただくことはお許し願いたいと思っております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 なぜできないのですか。好ましくはなかったかもしれぬが正常な取引ともし仮定をするならば、ここで言うことは何も妨げるものではないのじゃないかと思うのですね。これが、競馬で言えばのみ行為、あるいはネズミ講とまではいかないでしょうけれども、とにかくのみ行為的なことなんで、法律上どういうふうになるか、これも一応結論を出すまでにはまだいろいろあるだろうと思うのでありますが、いずれにしても、とにかく法律上好ましくないと言われた。言われたけれども、法律上触れない、こう言う。その答弁をそのまま受け取ると、何も発表することを妨げるものじゃないじゃないですか。言ってください。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 私どもといたしましては、金融機関が思惑投機資金とかあるいは土地の投機取引などに信用を供与することにつきましては、金融機関の社会性や公共性にかんがみまして、それを抑制するよう、自重するよう、かねて指導しておるわけでございます。もしそのような、今度の大阪証券信用のような、お話しのものについて、そういう思惑資金であれば、はなはだ遺憾だと思うのでございますけれども、事、個別企業の取引内容にわたる問題でございまして、金融機関の対外信用の保持とかいうようなことでございますので、具体的取引内容についてお答えをすることは御容赦いただきたいということで申し上げておるわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 別に違法であったってこれは言ったって悪いことないのですね。それが違法でないのだというんだったら、まあ間違いは間違いとして、その銀行なり証券会社がどう間違ったかという——その役員の責任の問題は、これは株主総会なりその他が処理すればいいのでありまして、われわれ国会の前にこれだけ問題があったものを、しかも公的な機関である銀行なり証券会社が加わったというなら、それは善意で加わったんだと私は思うのですよ、一応は。善意で加わったんだったら、発表したってちっとも悪いことないじゃないですか。隠そうとすればするほど、善意ではなかった、裏金である、簿外資金である、こういうことをやはり裏づけていくようなことにしかならないのであります。私の聞いている範囲内においても、まあ大体簿外資金であるという金融機関もあるようでありますね。特にあるところから出たという話も出ております。名前を挙げることは、いまは避けておきますが、まあ金額にして百五十億だなんという裏金がとにかく行っているということの事実はわれわれつかんではいるんです。だから、そういうような状況の中で、ここで急場をしのぐために、好ましくないという程度におさめておくことが果たしていいのかどうか。要するに、これはいけないのだということになれば、どういう法律に抵触する、それならそれなりにきちんと告発をするなりあるいは処理をするなり、やはりこういうことが行われないように、再び繰り返されないような処理の仕方をすることが国民に、われわれ、皆さんにも与えられた義務でもあると思うのですね。だから私はあえて発表しなさい、こう言っているのです。そうしてその金融機関が信用がなくなるかどうかは今後の営業努力いかんなんですよ。間違いは間違いとして改めることなのであって、それが間違ったら間違ったとしてこれから世の中の指弾を受けるか批判を受けるかどうかは別で、それをあなたが隠そうとすること自身がおかしくないですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 具体的にお答えできなくてまことに恐縮でございましたけれども、私ども、本来金融機関の個別の融資でございましたので、私企業の契約に基づくということで、これについて過度に——これということではございませんが、一般的に個別の融資でございますので、過度に介入することはいたしておりません。ただ、今度のような場合は、何かあってはいかぬかなということで、最近の状況もございますので、この融資状況については聴取しております。それで、聴取いたしました結果、その形態といたしましては、個人所有の有価証券を担保としてそれを大阪証券信用に出し、それがまた再び銀行なり金融機関の担保となって融資していることは事実でございます。私ども、そういう実態でございますので、聴取しております。先ほど申し上げたような精神、つまり思惑投機その他のないような指導を常にしておりますけれども、その精神で今後も指導していきたい、かように考えております。  それから、その行為のよしあし、いいから発表する、悪いから発表しないとか、そういうことではございませんで、金融機関の対外信用保持の見地から個別の中身につきましてこれが幾らというようなことをこの席上で申し上げられないことをお許しいただきたい、こういうことでございます。  一般的な形態としてはそういうことでございまして、事情を聴取し、内容を調べておるということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 くどいようですが、これだけ社会的な問題になって、これはあなたの守秘義務に該当するものではないのだろうと思うのですね。あなたが業務上知り得た秘密というその中身ということではなくて、正当な取引であったと仮定をし、正当な融資であったと仮定をするならば、それはあなたの方ではこういうことでしたと言うことをはばかるものではない。正当性が欠けているということになるから結果的には言いにくいという以外の何物でもないのじゃないですか。もし正当なものであるならば、どこの銀行がどう、なぜそれが信用を害すると判断するのですか。それが正当な融資であると仮定をし、もし担保がきちんと取ってあったと仮定をするならば、その担保の価額がどんどん下がっているかもわかりませんけれども、そのことを公表しないという理由には当たらないのじゃないですか、いかがですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 金融機関がたとえば証券金融を行うということ自体、担保を取り、あるいは確実な保全をした上で金融すること自体は、それ自体は私契約でございますし、関連法規に抵触しない限り当事者間の取引として特に問題はないということでございます。  本件につきまして、それが社会的批判を受けるような融資であるとか、あるいはこの対象は貸金業者でございますけれども、それを通じまして社会的な批判を受けるような場合にはこれを指導していくつもりでございます。ただ、個別のものにつきましては特に申し上げられない、これはいいとか悪いとかという問題ではなくて、幾らとかいう個別、個々のことについては申し上げられないということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 きわめて歯切れが悪い。私が先ほども言っているように、正当な融資であると仮定をするならば、それを述べることは別に差し支えないことではないですかときわめて平板に私は言っているわけです。それをあなたが何も隠さなければならぬ必要性はないんじゃないか。証券の監督機関として、こういうことが行われましたと言うのは、それでいいんじゃないですかね。どうしてそれを言えないのですか。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 個別の金融機関の名前になりますと銀行局の方としても公表をはばかるのではないかと思いますが、私の方で調査いたしました、グループ別でございますが、借入金の数字を若干申し上げさしていただきたいと思います。  大阪証券信用の資金調達合計が五百二十六億円でございます。このうち借入有価証券、有価証券の形で借り入れているものは百六十五億円でございます。その内訳として、都銀からの借入金が五十一億円、信託銀行からの借入金が百九十一億円、相互銀行等からの借入金が五十四億円、外銀が二百三十億円でございます。ただ、これは三月一六日現在の数字でございますけれども、現在なおその帳簿等について調査中でございますので、最終確定数字ということは申し上げかねると思います。

沢田広日本社会党

○沢田委員 三月六日以後、この間の質問の後でありますが、その後やはり裏金で百五十億くらい動いているはずなんでありますが、その点は御承知ないですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 そのような事実は承知いたしておりません。

沢田広日本社会党

○沢田委員 それで、いま言われた、これはちょっと言いにくいという点もありますが、相銀の分五十四億というのは間違いじゃないですか。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 私の方で調査いたしました数字は五十四億円ということになっております。ただ、これは東京支社分ということになっておりますので、東京支社の分だけということを申し上げておきます。  なお、東京支社と大阪の本社とどういうふうに分かれているかと申しますと、東京の支社分が合計で貸し付けが五百二十七億円、大阪の本社の分が百四十八億円ということでございまして、全体の貸し付け合計が六百七十五億円でございますけれども、その大半は東京支社において誠備グループその他の投資グループに貸し付けが行われている、こういうことでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 それでは話をもとへ戻します。  好ましくないと言われたのでありますが、私が番これから危惧をするのは、銀行なり証券会社——証券会社は証券会社としての別のこれは立場があるでありましょう。少なくとも銀行について、公共機関、これから銀行法まで出そうと言っている政府が、それだけ銀行に対しては公、公共性というものが強い、こういうようなことから銀行法もこれから提起されるのだろうと思いますし、そういう意味においての扱いもしていこうということなんだと思うのですね。そうしますと、この銀行から貸金業界へ流れていっている——何もここだけじゃないですね、ほかにも相当、生保も銀行も相当貸金業界へ金が流れていっているということ、これに歯どめをかけるということはできませんか、どうですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 金融機関は御指摘のとおり公共性、社会性の高い機関でありますし、役割りもそういうことが期待されているわけでございます。  個別の融資につきましては、そういう精神に基づきまして、金融機関が良識に従ってそういう精神で判断すべきであるというふうに考えております。私どもといたしましては、そういうことでございますので、貸金業者に対する融資というようなものにつきましては、特に公共的性格にかんがみ、一社会的信頼を損なうことのないように慎重に対応するようにかねて指導をしておるところでございます。  また、思惑的な投機等につきましても、これは慎重に対応するよう、抑制するよう常に指導しているところでございますが、今後もそのようなことで対処してまいりたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 そこで、これは三年ぐらい前でありますが言ったこともありますけれども、一つは、言うならば、慎重にというのじゃなくて、こういうことをもう断ち切ったらどうですか。一般の正常な国民が預け入れをした金を——もし何なら貸金業に融資する銀行という看板を掲げてやるんならやってもらう、そういうことで正々堂々とやるならば、これで預ける人はそのことを承知で預けるということであって、何か仮面をかぶって、そのまま国民をごまかしていく、こういうことは許されることではないだろうと思うのですね。さもなければ、交通統計ではありませんけれども、私の銀行が貸金業に貸し付けた金額は本日現在残高幾らです、こういう掲示板を出させるぐらいのことは必要なんじゃないですか。どうですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 貸金業者に対しての金融機関の融資をむしろ断ち切るべきではないかという御質問かと思います。  貸金業者と申しましてもいろいろあろうかと思っております。いま高利貸しと言われているようなものについては、これはまた、その営業のしぶりによりましては、過当な収益を追求するとかあるいは誅求の仕方が過酷であるとか、そういう社会的批判を受けておるわけでございます。  本件につきましても、また国会などでも御指摘が非常にございまして、いま各党間で貸金業者に対する規制を御研究中というふうに承っております。私どもはそれを期待しておるわけでございますけれども、貸金業者の中にはこれまた、一つは短資業者とかあるいは住宅金融会社とか正常な業務をやっている業者もございます。そこで、どこで線を引くかというのは非常にむずかしい問題でございます。かつ、銀行が私契約に基づいてやっておるわけでございますけれども、端的に申し上げまして、要するに私どもといたしましては、先ほど先生まさに御指摘のとおり、銀行の公共性、社会性という役割りと性格にかんがみまして、そういう社会的批判を受ける行為を助長するおそれのあるような融資については厳に自粛を図ってもらいたいということで指導してまいりたい、かように考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 貸金業も国民の権利として認められた職業の一つである、また正常な業務をやっているという面もあるかもしれません。しかしえてして、いまわれわれが法律を定めようとしていることは、不謹慎なというか国民に迷惑をかける関係が多い。そういうことからいくならば、もし銀行が貸し出す場合は、私が言っているのは、銀行の窓口のどこかに、カーテンの裏なんかに出したんじゃだめですよ、ちゃんとわかるように、私の銀行からどこそこ、武富士なら武富士、どこでも構わぬが、貸し付けてある金の現在高は幾らです、そのぐらいのことは政令やその他で法的に規制することは可能でしょう。それがなぜ現在できないという理由に当たるのですか。この貸金業が正常である、国民の中の一つの業であるともし認めるならば、認知をするならば、当然そこに出ておる金を表示することもやぶさかでない。それが、ああ、あそこの銀行はりっぱな銀行だなと国民が言うかもしれない、あるいはそうじゃないと言うかもしれない。それは国民の良識が判断するのですね。あなたの良識だけじゃないのです。国民が見て判断してくれる。だから、そのくらいはせめて、出ている先はどこへ行っても表示するようにするぐらいのことは指導したっていいですよ。われわれが一番心配するのは、いわゆる債券とか株券とかいろいろそういうものを担保に名義貸しをして、そして役員だけのふところに入れていく、裏金づくりに使っていくという傾向が多いということの方がより心配なんですよ。ちゃんとそれは役員会なりあるいは営業なりが担保をとるなりとらないなりして、金融としての措置をやっているだけならまだいいんです。それじゃないんです。実際は持っている債券やその他の名義を貸して、それでサラ金業界は三五なら三五のうち一五%ぐらいをリベートとして、裏金として銀行当局に渡す、こういうことがまかり通っていることに実は問題がある。  だから、私はもう一回言いますけれども、お互いが正業と正業だったら何も恥じることないじゃないですか。私の銀行は貸金業界にこれだけ金を貸しています、名前を挙げろとまで言いませんよ。サラ金業界とか貸金業界にはこれだけ金を貸しています、総額を表示するくらいはいいじゃないですか。簿外貸し付けでなかったならば、そのくらいのことは当然行われていいのじゃないかと私は思う。また、簿外貸し付けにしてみたって、それは銀行で調べてみればわかることですよ。私は、さらにその裏があるだろう、その裏までチェックしていく機能を持たなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、せめてその程度までは国民に知らせる義務があると思うのですが、いかがですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 銀行と大阪証券信用株式会社との間に何か裏金的なものを伴うような取引があるとしますと、これは私ども承知しておりませんけれども、まさに許されない行為だというふうに考えておりますし、今後もそういう点については十分調査してまいりたいと思っております。ただ、私どもただいままでのところ、そういう事実は把握しておりません。  それから、貸金業者について、それに融資しているかどうかということについて店頭に表示したらいかがであるかという御意見でございますが、これは金融機関もいろいろのところに貸しておるわけでございます。中小企業の分野、消費者の分野あるいは住宅ローン等々その他いろいろございます。そういうものにつきまして看板を出せというような指導が、行政機関といたしましてそこまで介入していいものかどうかという点についてはいろいろの御意見はあるかと思いますけれども、先生の御意見も一つ貴重な御意見として承っておきたい、かように考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 それが精いっぱいの回答なのかもわかりませんが、私は貸金業にだけ限ってということを言っているのです。貸金業の法律がこれからどうなるかわからぬけれども、貸金業についてだけはその点はいいじゃないか、それはなかなかりっぱなものじゃないか、本当は貸金業の中にはいろいろなものがある。暴力団に関係しているのもあるしいろいろある。いま届け出だけでやられているんだから野放しだ、野放しだから、本当は相手も名前を書いてもらえば、預け入れに行った人はこんな銀行は危ないからと言って隣の銀行へ行くということにもなる。そういう預金をする者、いわゆる善良な第三者に迷惑をかけない措置としての私は当然の義務だと思う。私はこれだけの借金を持っていますよということを隠しておいて、あるいはこれだけの裏金を出していますよということは隠しておいて、一生懸命外交員が金を集めてくるのは、言うならば詐欺的な行為だ、それがどこへ行ってしまうかわからぬようなことをやっておれば詐欺だ、これによって損害を受けるとすれば。だから、今度公定歩合が下がることも、あるいは景気ばかりじゃないんです、いろいろなことを考えていけば、それ以外の問題にも行くわけであります。  大蔵大臣も忙しい中、来られたようでありますから、大蔵大臣の方の質問に入りますけれども、もう一回行政指導として、貸金業といわゆるこういう形の融資関係、これを銀行当局としては厳重に、慎重にじゃないんだ、もう厳重に、とにかくこれをやらないように、言うなら糧道を断っていくというくらいの気持ちを持って、そして正常なサラ金業界だけが伸びていくような形に指導していくというのが銀行当局の国民に対する義務だと私は思うのでありますが、もう一回その点、これから厳重に当たってもらえるか、また金融機関の貸し付けについてはひとつ報告義務ぐらいは与えるというぐらいにして処理してもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 まさに正常な貸金業者だけに限るべきじゃないかという御趣旨かと思います。  私どもといたしましても、今後いろいろと貸金業者に対する規制について検討してまいりたい、かように考えております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 大臣、来たばかりで申しわけありませんが、いままでも他党の人も社会党も一緒になって有価証券のいわゆるキャピタルゲインの課税問題については何回かいろいろとやってまいりました。二十万株、五十回、これの把握が事務的に困難であるというのがまず第一の理由なんですね。まず、この限度額は限度額と置いたとして、事務的に可能な方法をやろうと思えばできないことはないんじゃないかという気が私はするのです。それを履行していくという考え方、そのことがまず一つ。  それからもう一つは、二十万株というのと五十回という回数はさらに引き下がるべきだ。やはり片一方でグリーンカードをやって、これはいろいろ議論があるようですが、相手は三百万ですね。ところが二十万株とか五十回とかいう形になりますと、なかなか金額は張るわけです。ですから、そういう意味において一億とか一千万とか三千万とか五千万とか、とにかくけたは別としまして、五十回買うとすれば、一千万にしたって五億ですか、そのぐらいになるでしょう。そのくらいの金額が動いていくわけですから、当然その比率としては適用の中に含めるべきである、もっと下げるべきである、この間わざわざ一千万以上五%に増税したわけですね。だから、それから見ればこのキャピタルゲインの方も加えていくのが当然である。じゃないと不公正、不平等になってしまうというようにも思うのです。ですから、そういう意味において回数と、解釈はこれはまたはと及びという解釈はいろいろありますが、いずれにしても、これを若干把握力を強めるということが一つ。  それから、もう少し回数と株数の数を小さくして、ただ、小さくすればするほど捕捉率が下がるというきらいはあります、ありますが、しかしそれを下げて、捕捉率を高めるということでこれから対処していただけるかどうか、その点ひとつ大蔵大臣の政治判断の上に立って、これはぜひやってもらわなくちゃいかぬ。われわれがこれだけ増税の議論をしている中ですから、こういう人たちだけが隠れみのに隠れて、所得をごまかすと言っては悪いのでありますが、その所得を脱税をしていく、こういうことは許されることではない。ですから、そのことだけは厳重に当たってもらわなければ国民が納得しないと私は思うのでありますが、その点ひとつ意気込み、意気込みだけではどうにもなりませんね、やはり四股を踏んでも相撲にはなりませんから、四股を踏んだ上でひとつこれを実行してもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 かねてからこれは議論のあるところでありまして、親の代から相続でもらった株券を売ったという場合と、本当にかなり巨額なものを売買して、うまく運用しているというようなものとはそれはおのずから違うわけであって、私はそういう点においては全くあなたと同じ意見なんですよ。何とかうまい手、工夫はないかということで、これは技術的な面もかなりありますから、真剣に検討さしていただきます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 疑うわけではございません。文字どおり、そのお言葉どおり私も受け取ります。  そこで、たとえば一般投資家と法人があります。法人の場合はわりあい区分が楽ですね。その場合はいまの電子計算機によっていけば、同じカードに載ってくるものは同じカードに載っていくわけですから、電算機があるにせよないにせよ、あるいはペーパーの色を変えるにせよ、あるいは番号をつけるにせよ、背番号と言っては悪いですが、合計すれば二千社があって、一般の投資家を除けばそれほどの数ではないのであります。ですから、そのくらいの管理は可能ではないか、私はこういうふうに思うのでありますけれども、それを含めて委託で大体千八百八十四億くらいの株ですね、それから、自己取引が七百十四億ぐらいの取引。しかも二十万株にしてみれば大した人数ではない、こういうふうなことにもなります。ですから、それを十万株とか、あるいはさらに五十回を二十回というくらいに下げることも含めてひとつ御検討をいただきたい。これは検討だけではなくて、ひとつ次には実施してもらいたい、こういうふうに思うのですが、いま言ったような方法が出ればやってもらえる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これはかなり技術的な問題ですから私も詳しいことはわかりませんが、いずれにしても、そこで巨額のものが隠れるというような抜け穴をつくっておいてはいけない。したがって、一方においては少額の株主優遇措置を図っていく必要もあるし、個人株主がふえることはいいことなんですから、そういうものと絡めて、所得税法等が近い将来大幅にその枠組み等が変えられる場合には一緒にやるべきものではないか、私はそう思っております。

沢田広日本社会党

○沢田委員 印紙税で今度も上げてこれで、われわれも反対なんでありますが、通ると思うのですが、こういう上げ方というのは、大衆負担の比率が物すごく上がっていくという上げ方なんですね。パーセンテージで上げないのですから、極端に言えば一律倍というやつですね。たとえば所得三千万円の人も三百万円の人も、あるいは百五十万しか取らない人も五百円のものを千円、こういうことになりますと、その人に与える影響の割合は違うということはおわかりいただけるでしょう。大蔵大臣の一万円と八万円しか給料を取っていない人の一万円とは——大蔵大臣という名前だけじゃありませんよ、だけじゃなくて、そういう所得者、大蔵大臣の実質所得はうんと減っちゃうでしょうから大蔵大臣は対象にならないかもしれませんが、そういう人と八万円の人の一万円とでは重さが違う、価値観が違う。これはわかっていただけますね。だとすれば、こういう上げ方はやはり適正でない。言うならば、一万円のものが五〇%上がって一万五千円になるならば、百円のものが一〇%で百十円になる。このぐらいの比率というものはあっていいのじゃないか。一律さっと倍にしたのは、大蔵大臣としては若干大ざっぱ過ぎたのじゃないか。性格なのかもしれませんけれども、この点はもう少し計算を、大蔵大臣のコンピューターからいったら、十万円のものが二十万円、一万円のものが二万円、百円のものが二百円という一律倍というのは不公正感を免れないのじゃないかというふうに私は理解をするのです。若干でもいいから累進的にこれは考えることが妥当な——端数が出るからまずいという感はあったかもわかりませんが、そういうのじゃなくて、百円を百二十円に、これは汽車賃だって何だって皆そういう上がり方ですよね。ですから、これだけをばあんと倍にしたというのは余りにも大根を切るようなかっこうで大ざっぱに割り切り過ぎたという感なきにしもあらずなんです。今度の法案についても私はそういうふうに、少し取れるところからめんどうくさいからばさっと取ってしまえ、こういった大ざっぱな感覚にあったんじゃないかという気がするのであります。この点は次の機会でなければ直せませんが、やはり印象としてそういうものを私は持たざるを得ない。しかも、これを取引する庶民階層から見れば、何だ、急に倍になっちゃった、ようやく血みどろの金を、ローンを借り、そして家を建てあるいは土地を買う。そのときの印紙税が急に倍になるということはきわめて過酷なものになってくるわけです。その点の配慮が若干足らなかったことに残念だなと思っておるのですが、今後そういう点についてはどのようにお考えになっておられ、どのように是正をされるという気持ちがあるのか、やはりないのか、その辺を含めてお答えいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これもなかなか取引の段階でさらに細分化をしていくということは、そうでなくてさえもわれわれ幾らの取引で幾らの印紙を張ったか覚えておりませんし、一々見なければわからないというような状態ですから、余り細分化することもいかがなものか。それから、生活の知恵というのもありますからね。一枚に書かず二枚に書く人だってあるかもわからぬし、いろいろそういうことを考えると、やはりこんなことしかないのかなという気もするのです。しかし、せっかくの御提案でございますから、中長期的に検討をさせていただきます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 最後になりましたが、先ほどわが党の平林委員からも話が出ましたが、いろいろ各党のお骨折りをいただきまして五党で妥結をいたしました。誠心誠意大蔵大臣はその捻出に当たられるということなんでありますが、三月三十一日の工事終了、三月十六日現在ということになりますが、三月三十一日までの工事は今年度分ということになります。それ以後においての工事というものはあり得ないというのが常識ですね。年度は三月三十一日ですから、三月三十一日に工事が終了しないものは明許繰り越しにする以外は工事はあり得ないと法律上は解釈いたします。これはそのとおり解釈して間違いないでしょうね。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野(良)政府委員 繰り越しの御指摘でございますが、ただいま先生御指摘になりましたように、財政法上いわゆる繰り越し明許費の規定がございます。それからもう一つ、財政法の四十二条に、私ども俗に事故繰り越しと呼んでおりますけれども、繰り越し明許費によらざる繰り越しの規定もございます。いずれにいたしましても、この二つの規定に従いまして厳格に繰り越しの手続をさせていただいているということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田委員 最後に意見だけ述べておきますが、いわゆる明許繰り越し、それから事故繰り越し、この事故繰り越しというのがきわめてあいまいなんであります。これは後で会計検査院などに質問をしていけば明らかになることでありますから、本年は特にこの事故繰り越しのその事故の理由、それからその内容等については各省に通達を出して厳密に当たっていただきたい。いいかげんな事故によるところの延期というものは認めない、こういう形で対処すべきだ、こういうふうに私は考えますが、いかがですか。それを聞いて私の質問を終わります。

吉野良彦大蔵省主計局次長

○吉野(良)政府委員 これも先生御案内のとおりかと存じますが、繰り越しにつきましては予決令等にきわめて厳格な手続が書かれてございます。また、この予決令に従いまして、大蔵大臣の通達等々の形におきまして手続の厳格を従来から期している次第でございます。本年も従来と同様厳格に手続をいたしてまいりたいと存じます。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これにて三案に対する質疑は終了いたしました。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これより三案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案、有価証券取引税法の一部を改正する法律案の三案に対しまして賛成の討論を行うものであります。  わが国財政は、現在、赤字公債を含む巨額の公債に依存しております。高齢化社会の到来やエネルギー資源の確保など、今後わが国が直面すると見込まれる問題に対処して財政は一層重要な役割りを果たしていく必要があり、また、景気の調整や所得の再配分についても財政に期待される役割りはきわめて大きいものがあります。  財政がこのような役割りを適切に果たし、経済の着実な発展と国民生活の安定向上に資していくためには、一日も早く現状のような不健全な公債依存の体質を脱却し、健全な体質を回復することが緊要であります。ここに今日わが国において、財政の再建が国の基本的かつ緊急な課題として国民がひとしくその解決を望んでいるゆえんがあります。また、わが自由民主党が責任ある政府・与党として、あえて口当たりのよい人気取り政策を退け、歳出の削減と税負担の引き上げという厳しい道を選択しようとしているゆえんがあります。  昭和五十六年度におきましても、政府は公債発行額を前年度当初予算よりもさらに二兆円減額することとし、そのため歳出面においてかなりの節減合理化を図っておりますが、われわれはこの努力を支持し、明後年度以降においてもさらに一層の努力が払われるよう期待するものであります。  他方、歳入面におきましても、政府は昭和五十六年度において幾多新規の工夫を行い、歳入確保の道を講じておりますが、それとともに税制改正におきまして、現行税制の枠組みの中で約一兆四千億円の増税を行うことといたしております。ただいま議題となっている三つの法律案は、いずれもその一環でありまして、昭和五十六年度におきまして、物品税について七百億円、印紙税について三千六百九十億円、有価証券取引税について五百九十億円の増収を図ることを目的といたしております。  これら三案の内容を見ますと、まず物品税につきましては、新規に開発された物品等についてすでに課税されている物品とのバランスを考慮し、これを新たに課税対象に取り込むとともに、この際、税負担の増加をお願いすることについて、国民の理解が得られると判断される既課税物品について税負担の増加をお願いしようとするものであります。なお、急激な負担増を避けるため、新規課税物品については必要な暫定軽減措置を講ずる配慮も行われております。  また、印紙税につきましては、取引規模の拡大等の事情を勘案して税負担の見直しを行おうとするものであります。また、それとともにいままでの制度を合理的に改善する措置を講ずるよう配慮されております。  さらに有価証券取引税につきましては、税負担の増加について国民の理解が得られると考えられる一部の有価証券について、税負担の増加をお願いしようとするものでありますが、ここにおいても資本市場における影響等を考慮し、各種の配慮が加えられております。  以上三案の増収措置を総合判断いたしますと、提案にかかる負担の引き上げは、財政再建という国民的課題を前にして、いずれもやむを得ない措置であると思われるのであります。  以上のとおり、三税の改正に対し、私は全面的な賛成の意を表明し、討論を終わります。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田委員 私は、日本社会党を代表し、物品税法の一部改正の法律、印紙税一部改正法、有価証券取引の一部改正法三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  反対の前提として、政府の称する財政再建は、単なる大衆負担の増大にのみ終始し、軍事費の増強、福祉の後退、行政改革の怠慢、補助金の整理などの不徹底はきわめて遺憾であり、政府の責任は免れないものと判断せざるを得ません。これらの努力が払われない結果、これらの増税路線が進められることは断じて許すわけにはいかないのであります。  物品税は、本来ぜいたく品、奢侈品、一般庶民生活の水準を超えるものに賦課客体を置くべきことは当然であり、その方向にあったのでありますが、今回までにその基本的な立場が崩れ、庶民生活の必需品にまでことさら課税するという姿勢は、私たちの容認できるものではありません。特に重大なことは、物品税の基準、品目、税率の整合性など税制の基本が全く説得性を持たず、国民的合意とは全くかけ離れていることであります。  加えて、物品税課税品目を製造している中小企業は、インフレによって中小企業は過酷な価格を押しつけられることになり、中小企業の影響ははかり知れないものがあります。賦課率においても、必ずしも今日の生活使用実態に応じて適正なものとは考えられないし、その是正にも当たっていないことはきわめて遺憾であります。  政府は、一般消費税の前提の地ならしにしないと言いながら、その外堀を埋めようとしていることも容認できない理由であります。  印紙税については、二倍に及ぶ引き上げ、そして過去十三年間に十倍の引き上げという異常な増税であり、取引、契約、請負、手形、預貯金証書にまで及ぶ一律倍額であり、少額であったものの負担が大幅にふえる仕組みであり、利益を得る営業的性格のものと、ささやかな個人の生活の必要性に基づくものも一律に取り扱っていることは不公正のそしりを受けることは免れないものであります。これまた、庶民、中小零細企業いじめの値上げであり、容認できないところであります。  第三には、有価証券の取引について若干の引き上げを行ったものの、きわめて不十分であり、特にキャピタルゲインの課税についてきわめて甘い課税体系であることは周知の事実でもあります。グリーンカードの論議にもありましたように、総合課税体系の立場から、この程度のものではなく、一回二十万株、五十回の取引の適正な把握にも十分でなく、脱税の温床ともなっていることは誠備グループ等の現象にも余りにも明らかであり、さらに適正な措置が求められるところであります。  別途、附帯決議にも提起されている諸点を含め、これら増税の全体としても適切なものとは言いがたいし、仮に財政再建の必要を認めるとしても、これら大衆負担に依存する増税には、全く是認、賛成するわけにはいかないのであります。  以上、反対の趣旨を申し述べ、全面的な反対の討論といたします。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 柴田弘君。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案について反対の態度を表明し、討論を行う、ものであります。  議題となっております三法案は、その提案理由の一つが財政再建を進めるためのものとされております。しかし、それぞれの法案の改正内容を検討すると、財政再建に名をかりて、政府が近年一貫して推し進めている大衆増税路線を証明するものにほかなりません。このことは、印紙税、物品税など、物価の値上げにつながる大衆課税的な性格を持つものの引き上げ幅は大きく、逆に資産、不労所得の課税に関連する有価証券取引税の引き上げ幅は小さくなっていることからも明らかであります。政府が、いわゆる不公平税制の是正に対しては積極的な姿勢を示さないままで、安易に大衆課税の強化を図ることはとうてい国民の理解を得られるものではありません。われわれはこの点をまず反対理由の第一とするものです。  次に、わが国の経済動向は、消費者物価の高騰、個人消費支出の不振、中小企業倒産の急増などから、景気のかげり現象が広がっています。特に、政府見通しをはるかに上回る消費者物価の高騰は、所得税減税の連続見送りなどと複合して、勤労者の実質所得がマイナス一%となるなど、国民生活を最悪の状態に陥れております。この上に負担増を押しつけることは、国民生活の防衛と向上に全く配慮しないものであり、提案の三法案を容認することはできません。  また、中小企業倒産も、その件数が、五十五年は史上第二位を記録し、五十六年一月は、一月としては史上第一位となるなど、憂うべきものです。今後の見通しも、景気のかげりの広がり現象から明るい材料が見当たりません。しかも、物品税、印紙税の大幅引き上げば、中小企業の経営を圧迫することは必至であります。したがって、中小企業にとっては、法人税の引き上げが計画されていることとあわせ考えると、まさに二重、三重の経営苦を押しつけるものであることからも、賛成できかねるものであります。  次に、物品税の課税対象の拡大及び税率の引き上げは、いわば最近の需要が活発なものに焦点が当てられております。このように、物品税の課税の基本とも言える、奢侈品に重く、生活必需品の非課税などから物品税の課税体系を見直しするのではなく、単に国民の消費動向にのみ着目して課税強化を図っていることは、まさに政府の税制調査会が答申をしているところの大型消費税導入の布石ともなりかねないものであり、反対せざるを得ません。  また、有価証券取引税の引き上げはかねてよりわれわれも主張してきたものであります。若干の評価を贈ることにやぶさかではありません。しかし、引き上げ幅がわれわれの要求よりも低いこと、さらに、仮に政府の主張のように大幅の引き上げが公社債市場を初め証券市場などに重大な影響を与えるものであれば、こうした課税の方法を糊塗的調整で済ませるのではなく、現行の有価証券の譲渡益に対する原則非課税制度を抜本的に見直すことこそ、国民の合意を得られるものであります。したがって、政府案には賛成できないのであります。  以上をもちまして、私の反対討論を終わります。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 玉置一弥君。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案に対し、一括して反対をするものであります。  今回議題の各法律案は、肥大化した財政の穴埋めとして安易に増税を行うものであり、言いかえれば、補助金のばらまきで政権の安定を図ってきた自民党政治のツケを国民が負担することであります。国の財政状態の悪化はわれわれも十分に認識しているところであり、従来から、行財政改革により財政再建を行うよう具体的に提言してまいりました。しかし、政府が行う行財政改革の効果は上がらず、また、特に現行税制が不公平税制と言われている現状を省みず、制度をそのままにして財政収入不足を増税によって賄う方法をとられたことは、断じて許しがたいのであります。  物品税法については、昭和三十七年に大幅な改正が行われましたが、それ以降二十年を経過しようとしていますが、課税対象物や税率を見ると、本来の物品税法の趣旨から外れているものが多数あることは、本委員会の審議によっても明らかであります。設定当時からの経済、生活環境の変化から見て適宜見直しを行うことを要望するものであります。  現在大蔵省では、国会の反対決議にもかかわらず、昭和五十七年度から大型間接税の導入を検討されている様子ですが、国民の税に対する意識及び税制度に対する不満から国民の生活に対する不安を与えておりますが、それよりもまず私は、大蔵省の中にある現在の経済状況及び昭和五十六年度の経済の見通しが楽観に過ぎることを指摘いたします。民間の活力を財政再建の柱に考えておられる鈴木内閣として、国民に不安を与え、消費にブレーキをかけるこれら一連の動きは、方向に反したものと言わざるを得ないのであります。  また、米国、欧州等との間で取り上げられている貿易摩擦についても、今後ますます激化することが予想されていますが、貿易立国としての日本の経済が安定成長していくためには、国民の生活基盤をより強固にしなければなりません。  以上の観点から、政府に対し、経済、生活の状況にマッチするような機敏な税制度の対応や財政運営を要望し、私の反対討論を終わります。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 蓑輪幸代君。

簑輪幸代日本共産党

○蓑輪委員 私は、日本共産党を代表して、物品税法並びに印紙税法の両改正案について反対、有価証券取引税法改正案について賛成の討論を行います。  物品税法並びに印紙税法の両改正案に反対する第一の理由は、財政再建を口実として国民に一層の負担増を押しつけていることです。  今回の増税は、物品税では、ライトバンや全自動洗たく機など、主として業務用に使われているものや通常の家の家庭で広く使用されているものを新たに課税対象に取り入れる、印紙税については、金銭受取書、契約書、委任状など、個人や中小業者が日常的に作成する文書に一律二倍の税率引き上げが行われるなど、国民への転嫁を基本とした大衆課税の強化を図る内容となっています。また、所得に対して逆進的な性格を持っている物品税、印紙税などの間接税の増税を行うことは、低所得者ほどより重い税負担を押しつけられることにもなります。  第二の理由は、今回の物品税法改正が一般消費税導入に道を開くものであるということです。  今回の増税の新しい特徴は、奢侈品ないし比較的高価な便益品や趣味・娯楽品に限定するという物品税の課税対象について従来とられてきた考え方の枠を超えて課税対象の拡大が行われていることです。今回新たに課税対象に取り入れられたライトバンや大型冷蔵庫などは、主として業務用に使用されていること、他方、全自動洗たく機、衣類乾燥機などは家庭で現にあるいは近い将来日常的に使用されるものであることから、いずれも従来の政府の考え方を一歩進めたものと言えます。こうしたなし崩し的な対象物品の拡大は、結局あらゆる物品への課税を可能にすることになり、政府が五十七年度にねらっている課税ベースの広い間接税すなわち装いを変えた一般消費税の導入に道を開くことにならざるを得ません。  第三の理由は、今回の増税が景気回復と民主的な財政再建に逆行し、ひいては財政危機を一層深めることになることです。  国民生活防衛と財政、経済の民主的再建を図るため国民の消費支出の拡大がまさに求められているときに、物価上昇と消費抑制の効果を持つ物品税の増税を図ることは、財政再建どころか国民生活破壊と日本経済の危機を一層深めることになります。  また、物品税は小売価格への転嫁を予想していますが、国民の実質収入の低下という現状から、末端の小売業者は転嫁の困難と需要の減少で経営の困難に見舞われることになります。  以上が、両改正案についての反対の理由です。  次に、有価証券取引税改正案について述べます。  最近の証券市場の急速な拡大とその背後にある担税力から見て、有価証券取引税を引き上げることは財源対策上必要なものであり賛成です。  しかし、現在有価証券譲渡益について実質上非課税となっていることは税制上も一貫性を欠き、不公平税制を放置するもので容認することはできません。政府は、今後速やかな対策をとるべきです。  最後に、大企業、大資産家優遇の不公平税制を温存する一方で、財政再建を口実として国民に大増税を押しつけながら軍備の大増強を図ろうとする政府のやり方は全く不当であり、とうてい認めることができないことを表明して、私の討論を終わります。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 柿澤弘治君。

柿澤弘治新自由クラブ

○柿澤委員 私は、新自由クラブを代表して、現在議題となっております物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案、有価証券取引税法の一部を改正する法律案、以上三案に対し、残念ながら反対の立場から討論を行います。  わが党は、財政危機を打開する方策は、徹底した行政改革を含む歳出構造の抜本的見直しによるべきであり、安易な増税によるべきではないことを当委員会を初めとして予算委員会、本会議等で再三にわたり主張してまいりました。議題となっております三法は、歳入増を目的としての改正であり、わが党の主張するような歳出削減への努力が不十分なままでの増税法案には賛成いたしかねるものであります。  物品税法の改正内容でありますが、新たに課税対象に加えられた品目及び税率の引き上げが図られることになっております品目は、家電製品並びに自動車関係であります。その趣旨は、消費の実態、課税物品相互間の負担の権衡等に基づくものとされており、また、物品税の従来からの考え方であります消費財課税の枠の中での処理とされておりますが、しさいに検討しますと、改正課税対象品目が以上のような基準に従って新たに加えられ、税率の引き上げが行われるとは考えられません。むしろ、消費の動向から見て、消費動向が今後とも堅調な品目が安易に選択されたのではないかと考えられるわけであります。質疑におきましてすでに申し上げておりますように、物品税は現在そのあり方が問われている時期であり、今回の改正ではその点についての抜本的見直しが行われておらず、単なる増収策としての評価しかできないのであります。  次に、印紙税法の改正案についてであります。  過怠税の軽減措置など制度の整備合理化として一部には評価すべき内容を含んでおりますが、定額税率及び階級定額税率の二倍引き上げなど、大幅な税額の引き上げが改正内容のすべてである改正案であります。この改正案も、現時点でこのような大幅な負担増を国民に納得させる妥当性がないまま提案されているものであると考えざるを得ないのであります。  有価証券取引税の改正案につきましては、この法案の課税がどのような目的で行われるものなのか、流通課税としての性格、所得課税としての性格などキャピタルゲイン課税との関連において総合的な検討が必要な時期にあるものと考えます。また、株式と公社債とで設けられている差なども税制の整合性の観点から疑問を持たざるを得ないものであります。このような重要な点についての論議が放置されたままの改正は、場当たり的な増収策としてしか評価できないことになるわけであります。  以上のような理由をもちまして三案に反対いたしますことを申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 これより採決に入ります。  まず、物品税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、印紙税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  続いて、有価証券取引税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 ただいま議決いたしました三案に対し、小泉純一郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表してその趣旨と内容を簡単に御説明申し上げます。  この附帯決議案は、物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案の各案にそれぞれ付することといたしております。  御案内のように、これらの各案については慎重な審査を進めてまいりましたが、これらの審査を通じまして各委員から、たとえば奢侈品ないし比較的高価な便益品や趣味・娯楽品に対して課税するという物品税の性格と課税物品の実情、印紙税の免税点の引き上げの必要性、最近における証券市場の現状と投資家保護などさまざまな問題点が指摘されました。  この附帯決議案はこれらの論議を踏まえ、次の諸点について政府に対し、なお一層の検討と努力を求めるものでありまして、その趣旨は案文で尽きておりますので、案文の朗読により説明にかえさせていただきます。     物品税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は次の事項について配意すべきである。  一 物品税について、最近の国民生活、消費の実態を踏まえ、課税基準についてさらに検討を加えるとともに、課税範囲、税率のバランスに配慮するよう努めること。  一 印紙税について、今後、免税点の引上げを行うよう十分配慮するとともに、経済取引の動向並びに取引規模に適合した税負担を求めるよう、さらに検討すること。  一 最近における株式売買の投機化現象にかんがみ、投資家保護についての適切な措置を検討するとともに、個人の金融資産の運用の場としての株式市場の重要性に留意し一その健全な育成に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく三案に対し附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

綿貫民輔自由民主党

○綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会      ————◇————

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