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94回国会衆議院1981/05/07

商工委員会 第14号

発言数
172
登壇者
33
会派数
5
開催日
1981/05/07

会議録

野中英二自由民主党

○野中委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 私は、この商工委員会で今回の自動車問題につきまして、その決着前に質問の機会を得まして十分審議を尽くしていただく、そのことを望んでいたわけでありますけれども、意外に早く一つの結論が出たということ、あるいはこの間に敦賀原発事故等の発生もありまして、質問もその時間といいますか機会を得ることができなかった、いささか残念に思うわけでありますけれども、しかしそれはともかくといたしまして、今後のこの自動車問題の趨勢といいますか、動向を中心といたしまして質問をしてみたいと思う次第であります。     〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕  今回のこの日米経済摩擦の最大の懸案であった自動車問題、これが今日一応の決着を見た、このことは納得するにつきまして幾つかの疑問を解いていかなければならぬところでありますけれども、これまで努力をされた通産省を初め政府の労苦というものは、これはそれなりに評価するものであります。  さて、この決着に至る経緯を見る場合でありますが、日米両国ともきわめてむずかしい状況の中での選択を迫られたということが言えようかと思うわけであります。自動車問題そのものは、一昨年の秋から米国における自動車産業の極度の不振、大量のレイオフの発生、それから表面化してきたと思うわけでありますけれども、これが自動車問題という言葉から自動車戦争というかなりきつい表現まで使われるようになった。一方、この自動車問題についてアメリカのマスコミは、自由貿易保護の立場から、輸入車規制法案の成立には真っ向から反対をしてきたところであります。また、日本車の自主規制についても、米国民にとってはこれは何らのメリットもない、あるいは輸出規制、このことは米国自動車産業を甘やかすだけだ、あるいは日本車の輸入の台数の減ることにおいて米国ユーザーの選択の自由というものを損なうものだというような論調を続けてきたわけであります。  一方、わが国におきましても、アメリカの主張と同様な見地をもって、自主規制について反対だということ、いわゆる自由主義経済、自由貿易を維持していくのだというようなことから、同様な論評を加えてきたわけであります。政府としても、当初はそうした考え方を十分持っていたと思うわけでありますが、このことが意外に早い結果を見てしまったということでございます。  このことについて、私は冒頭に申し上げましたように、日本もアメリカも苦痛の中の選択を何か迫られたというふうに理解をいたしておるわけでありますが、しかし、そのことについて理解、納得をするためにはちょっと疑問もあるわけでございまして、この点について質問を申し上げる次第であります。  次官にお尋ねをいたしますけれども、今回の交渉の経緯の中で日本側の主張、見解を十分米国に理解を得るべく努力をしたのか、十分悔いのない努力といいますか説得をしてまいったのか、この辺についてまずお尋ねをしたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 浦野委員には、かねてから自動車問題で大変御心配をいただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。  私どももアメリカ側と接触をいたしますときに、日本としてもできることとできないことがある、しかも、アメリカの自動車産業界の今日の困難な状況というものは、アメリカのITCの結論にも出ておりますとおりに、日本車が原因なのではないのだ、むしろアメリカの国内において問題があるのだ、したがって、アメリカ自動車産業界の再建という問題も、まず第一義的にアメリカ自身が業界も政府も含めてどういう努力をするかということが一番大事なことなんです、こういう点を強く主張してきたわけであります。同時にまた、需要見通しにおきましても、アメリカの方では先行き明るい需要見通しをしておるわけでありまして、そのことが日本車を規制するということに論理的につながらないではないかということも強く主張してきたわけであります。特に日本の場合におきましては、国内で大事な産業分野が非常に危殆に瀕しておるというような場合には、特別な地域的な不況地域を指定したり、あるいは不況業種に指定してもらって、そして金融あるいは税制いろいろな角度からの支援をして、まず国内的に解決する努力をやってきておるのだということも、具体例を挙げながらアメリカに対して主張してきたわけであります。  しかし、アメリカにおいても、日本と同じでありますが、自動車産業というものは少なくとも国の経済を支える大きな産業分野の一つでもあるわけでありまして、日米の友好関係という配慮、そしてまた、アメリカの経済が今回の経済全体の再建策と並んで自動車産業を再建していくということがアメリカ経済を蘇生させる大きな柱になるであろうし、そのことが世界全体の経済にとってもプラスになるのだ、こういう理解も一方ではしなければならぬと思います。  そういった中で、私どもは、理屈から言えば日本側に非があるわけではないけれども、そういったアメリカの苦境というものをやはり友邦国としてはこれを理解して、そして、われわれとしてはできないことはできないけれども、でき得る限りの範囲の中で何らかの協力はしていかなければならぬであろう、こういう観点からアメリカと接触をしてきたわけでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 ただいまの次官の御説明はよくわかりました。  この中で、アメリカの自助努力につきましてちょっとお尋ねをしたいのですけれども、米国自動車産業の再建の柱は経済再建計画にあるとされているようでございます。これは四月六日発表の米国自動車産業再建策には、即効性あるところの投資減税であるとか税制優遇あるいは低金利融資、こうした政策等が必ずしも含まれていないのでございます。  この中で米国自動車産業は一九八〇年から八五年まででしょうか、ちょっと数字はあれですが、七百六十億ドルという大量の投資をするということも言われておるようでございます。こうした資金調達の問題等なかなかなものがあろうと思うわけでありますけれども、この台数決定に当たりまして、いわゆる政府といたしましてはアメリカの再建策につきましても十分分析されておられると思うのです。その辺のことについて、お考えをちょっと承りたいと思います。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 ただいま次官から申し上げましたように、私どもといたしましては、やはり米国自動車産業の再建というのは米国自身の、米国政府さらには米国の自動車産業の労使を含めました米国サイドの自助努力にかかっておるというふうに実は考えておりまして、その一環として、四月の初めにわれわれもブリーフィングミッションから説明を受けまして、米国側の対応というものを詳しく聞いたわけでございます。  その内容はすでに御承知のとおりであると思いますが、米国政府としては、安全、公害規制の三十四項目にわたります緩和というものを中心にしました米国自動車産業の負担軽減というものが一つ自動車産業特有の対策としてあるわけでございますが、そのほかレーガン政権全体としての対策といたしまして、たとえば加速償却といったような償却制度の自動車産業におきます活用も含めまして米国経済全体を浮揚させていく、その中におきまして米国自動車産業の再生を図っていくという考え方が中心でございます。こういった考え方の中におきまして、日本の自主規制を中心といたします協力というものがどういう意味合いになるのかという点あたりも、いろいろと話し合いをしたわけでございます。  私ども、今回の措置の内容といたしましての台数等を考えます場合におきましては、そういった経済論理の上に立った説明も当然でございますけれども、やはり現在の米国の置かれましたいろいろな経済的困難の上に立ちましての米国議会の動きでありますとか、そういった政治的な動き等も踏まえまして、こういった点での感触を踏まえましてわが方の措置の内容を決めたというのが実態でございまして、これはもちろんわが方としての自動車産業の立場も踏まえまして、わが方としてできることの範囲内でできるだけのことを考えたというのが実情でございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 今回の三年間に及ぶ自主規制、これはすでに新聞各紙に掲載をされているところであり、承知しているわけでありますが、確認のためにここでひとつ御説明をちょうだいしたいと思います。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 去る五月一日に、通産大臣の発表という形でわが方の措置を対外的に発表いたしたわけでございます。  その内容でございますが、まず三年間にわたりまして米国自動車産業の再建について先方が特に重点を置いて考えているという事実を踏まえまして、私どもの協力の措置も一応三年という形を前提にして考えております。ただ、この三年の間、同じことをやるのではなくて、一年目、二年目、三年目、それぞれ少しずつニュアンスの違う措置を内容としておるというのがその中身でございまして、第一年目におきましては、通産省が行政措置といたしまして各社に個別の指示を行うことによりまして輸出の抑制を行うということを考えております。この枠といたしましては、百六十八万台という数字を考えておるわけでございます。  なお、この対象となります自動車は乗用車でございまして、かつ、その定義は日本側の定義によるということでございますので、アメリカで乗用車として考えられておりますようなバンタイプのものは含まれておらないというのがまず一つでございます。  さらに仕向け地といたしましては、米国側の輸入統計ではプエルトリコ等が入っておりますけれども、わが方は、わが方の輸出統計の対象でございます米国の五十州及びコロンビア特別区向けの輸出を対象とするという意味において、日本側の定義に基づいて百六十八万台を計算するというのがまず第一点でございます。  それから第二年目でございますが、これは措置としましては第一年目と同様の措置を方法論としては実行いたしますけれども、ただ、中身といたしまして、第二年目は、先ほどの政務次官の御答弁にもありましたように、米国市場というものが、来年、再来年とさらに拡大していく傾向にあるという前提を踏まえまして、その市場の拡大に応じてある程度の上乗せをするという考え方をとっております。この拡大量に対して一定の比率、一六・五というものを掛けた量を百六十八万台に足すという形で二年目の抑制は行うというのが第二年目の措置でございます。  それから第三年目といたしましては、モニターの期間である、監視をする期間であるという考え方でございますが、この三年目においてどういう措置をとるかどうかについては、二年目の終わりの時期にわが方で検討して具体的に決めるというのが三年目の措置でございます。  こういった措置を実行するわけでございますが、そのやり方といたしましては、先ほどの各社別の指示によります台数の決定とあわせまして、外国為替及び外国貿易管理法に基づきます報告徴収というものを行いまして、さらに実効を担保するために、必要が生じた場合には法律に基づく輸出承認制度の対象とすることあるべしということを前提にいたしておるということでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 わかりました。  次に、アメリカにおける昨年、八〇年の需要が八百九十万台、ことし、八一年が九百五十万台の予想、逐次千百万台あるいは千二百万台の予想がされているということでありますけれども、いわばこれは米国市場の回復が見込まれているということであります。この中にありまして、今回の規制が百六十八万台、大幅にダウンをいたしておるわけであります。  一方、わが国の業界等は、昨年並み百八十二万台、そして一年の自粛ということを主張しておったわけでありますけれども、これだけアメリカが回復すると見込まれる中で百六十八万台という数字が決定した交渉の経緯、中には、これは七九年、八〇年の輸出台数の平均、こういうようなことも言われるのですけれども、そこら辺の根拠についてはいかがでございますか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 この百六十八万台を決めるに至りました経緯でございますが、私どもといたしましては、今回の協力措置によりまして、最終的には米国内での保護主義的な動きというものをとめなくてはならない、これが日米双方の利益に合致するものであるという考え方が前提にあるわけでございます。そういった意味におきまして、やはり米国議会の動きなり、米国政府の感触というものを踏まえざるを得ないのが実際上の立場でございました。まず第一点は、いろいろな形での接触を通じまして、そういった感触を得ながら数字を決めるに至ったということでございます。  第二点といたしまして、その数字というのは、ただいま先生もお話のございましたように、七九年の輸出量と八〇年の輸出量を足して二で割る、その平均値という形にたまたま落ちついたということでございまして、これが百六十八万台という数字に相なったということでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 続いてお尋ねをします。  一年間の自粛というのは容認できるとするといたしまして、二年目の一六・五%の上乗せについて、この数字の根拠そのものは台数とは若干異なりまして、これは七八年の米国での日本車のシェア一二・〇%、そして八〇年の二一・三%のほぼ平均値をとった、このようにも言われておるわけでありますけれども、これも先ほどの局長の御答弁にありました台数と同じような考えに立てばいいわけでございますか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。  そういった感触も踏まえ二年目の上乗せ数量を決めたということでございまして、これはたまたま結果といたしましては、ただいまお話しのように、三年間の平均というような数字にも合致するというふうにお考えいただければ結構かと存じます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 今回の措置を決定するまでの経緯、これはただいま御答弁いただいたようでありますけれども、今回のその中で、政府と通産省そして自動車業界との間では、米国における幾多の意見、動きの状況判断あるいは問題認識のとらえ方等においてかなりの食い違いがあった、それがそのまま解消されるまでに至らず政治的な決着を見た、このような感じもいたすわけでございます。  しかし、決定した以上は今後前向きに進んでいかなければならぬわけであります。この具体的な措置の実行に関しまして、通産省は業界とどのような方法で調整を行っていこうといたしておるのか、その前にその基本的な考え方について等伺いたいと思います。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 この問題は、昨年以来一年以上にわたりまして日米間において問題になったことでございます。その由来を考えてみますと、日本側がアンフェアなことをやったわけではないというのがまず前提にございまして、イラン情勢の変化あるいは米国市場におけるガソリン価格の高騰に伴います小型車への需要のシフト、そういったことに対して米国の自動車会社の対応がおくれた、あるいは米国政府としてもいろいろガソリンの価格統制その他についても適切な対応がなかった、あるいは景気対策におきましても手おくれがあった、いろいろな問題が重なりまして米国の自動車産業の今日の苦境を招いたことはもうすでに御承知のとおりでございます。  そういった内容を踏まえて昨年の十一月に米国のITCにおきましても、米国の自動車産業の苦境の原因の実質的要因は日本車ではないという判断を下すに至ったということでございまして、まず考え方のベースにおきまして、経済的な論理からすれば日本サイドに非があったわけではないという認識は、わが方政府、自動車業界を通じても当然あるわけでございますし、米国においてもそういった認識はジャーナリズムその他においてもよく知られておるところでございます。米国政府としても、そういった点は認識はいたしておるわけでございます。  しかしながら、そういった中におきまして、米国にとっても最大の産業でございます自動車産業が昨年におきましては大変な赤字になっておる、三社合計しますれば四十億ドル以上の赤字になっておる、しかも海外部門を除いた米州部分だけでは六十億ドル以上の赤字になっておるというような苦境に立ち至った。かつ、レイオフ等も御承知のように二十万人近いものがあるという状況の中で、メーカーのそういった動き、さらにそれに対応しての米国内での政治的な動きというものが、ITCの結論がシロになった後におきましてもさらに強くなってくるという状況でございまして、これに対するわが方の対応としては、政治的な問題としてある程度とらえざるを得ないというところにおきまして、非常に問題のむずかしさがあったというふうに私ども考えております。  そして、そういった状況をとらえる情報のルートというものも、これは政府ベース、業界ベース、それぞれいろいろなルートを通じましていろいろな形で情報を得ているわけでございまして、それは、必ずしもアメリカの状態がワンボイスではないということを考えますと、入ってくる情報もさまざまであるということは事実であったろうかと思います。したがいまして、そういったいろいろな形でのルートからのいろいろな形での情報というものを踏まえた場合に、日本側としても、必ずしも当初は一本の形でのコンセンサスというものを形成することはできないような状態にあったというところが、先生がただいまお話しになったように、業界の感触というものが政府と多少違うのではないかというようなことの一つの原因になったのではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、しかしながら、私どもといたしましては、これはことしに入りましてからも非常に数多く業界との間に意思疎通、意見交換の機会というものを持ちまして、十分に業界の御意見も承りましたし、また私どもの感触もお伝えをするということを引き続いて最近に至るまで行ってきたというのは御承知のとおりでございます。こういった意見交換の過程を踏まえまして、最終的には先ほど申し上げましたような措置というものを決めるに至ったわけでございます。  この措置は、そういった意見を踏まえて、政府としての責任なり判断に基づいて決めたという性質のものでございまして、この点につきましては、もちろんわが方の協力であるとは申しながらも、業界において若干の不満というものは残らざるを得ないかと思います。しかしながら、この困難な状態の中であくまでも自由貿易主義を守るという立場での協力でございますので、そういった意味でぎりぎりのものという範囲内で考えますれば、私どもとしましては、今回の措置というものはまずまずのものではなかろうかという感じを持っている次第でございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 今後、この百六十八万台、これを各メーカーに割り当てていかれるだろうと思うのですけれども、これについては十分業界との交渉、そして理解の上に立っての決定を望みたい、このように思います。  次に、今回の日本側の自粛、これは米国との独禁法上の問題が懸念されているというわけでございますが、この点についての見解はいかがでございますか。

真野温通商産業省通商政策局次長

○真野政府委員 先ほど栗原機構局長の方から御答弁申し上げました中に、今回の措置は、日本政府としてその権限と責任に基づいてやる自主的な措置だということを申し上げたと思います。それに基づく具体的な措置として、先ほどるる申し上げました、いわゆる貿管令に基づく報告徴取あるいはそれによる必要な場合の規制というようなことも踏まえた上で、日本政府としての判断、権限で行う、こういう措置でございます。したがって、こういう措置に基づきまして日本政府が措置した場合には、日本の業界としてもこの措置には従わざるを得ないという性格がございますし、したがって、これは日本政府の行為であるということになろうかと思います。  この場合には、アメリカの独禁法に触れるものではないというような考え方を私ども持っておりまして、この解釈につきましては、アメリカの司法当局も同意してくれるものと考えておりますし、この旨を確認する書簡も司法当局から発出されることになろうかと思います。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 この独禁法の問題については、まだ幾つかの論議があるというふうに思います。司法長官のお墨つきがあっても、果たして大丈夫だろうかというような懸念もあるやに耳にいたしておるわけでございます。これは問題が起こった場合、わが国自動車産業に実害が起こらないようにひとつ万全な対策をあらかじめ考慮していただかなければならぬし、起きてしまってアメリカのディーラーがもしも告訴をしたというような時点におきましては、ひとつ十分な対応をしていただかなければならぬ、このように強く思う次第であります。  次に、今回の米国との交渉決着がきょうの新聞にも大きく出ておるところでありますが、この決着を踏まえて、当然、当初予想されたところのECあるいはカナダの動きが目立っております。これに対しまして、今日鈴木総理も、アメリカとは違うのだということも言っておられるわけでありまして、強い姿勢で臨むという記事もあるようでございます。  このEC、そしてカナダ等の今日における動き、現状につきましてお尋ねをいたしたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 私どもがアメリカと話をする場合にも、いま御指摘の点、大変憂慮をしておるのだ、したがって、このことが引き金となって、日本に対して世界じゅうからそういった意味での自主規制措置を次々と要請をされるというようなことになっては、われわれとしては非常にぐあいが悪いのである、こういうこともアメリカに対しても言っておったわけであります。自由貿易全体をどうやって守っていくかという、そういう高い見地からこの問題については率直に申し上げて、アメリカにも一はだ脱いでもらわなければならぬ、その点はひとつ強く日本から要請もしておかなければいかぬ、こういうことも言っておったわけであります。  現在、御承知のとおり、ECから正式に日本政府に対してどうのこうのということはありません。しかし、報道によりますと、EC委員会の中で対日要求の一つの項目として取り上げるのだというようなこともあっておるようでありますし、カナダの場合には、御承知のとおり、すでにカナダから日本にやってきておりまして、近く協議をしなければいけないわけであります。しかし、基本的には、アメリカの場合とECあるいはカナダの場合とは性格が異なっておるということを私どもは考えております。  それは、ECと申しましてもいろんな国々がありますし、それぞれの国においてとられております市場における措置であるとかあるいは幾つかの方針であるとかいったことが、それぞれの国においてECの内部でも異なっておりますので、ECをまとめて一本というにはまいらない。それぞれについて、たとえばすでに日本の業界と向こうの業界との間で何らかの合意が成立しておる国もあります。御承知のとおりであります。カナダの場合には、カナダの市場における競争に差別をつけるような措置もアメリカとは異なってとられておるということも確かでありますし、そういったことを考えますと、アメリカに対する日本側の今回の措置というものを、ほかの国にも同じようにおしならべて広げていくというような性質のものではない。これだけは私どもも腹にくくって対処していきたい。しかし、全体として自由主義貿易というものをどうやって確保していくか、こういう高い見地から各国とのそれぞれの協議の対応については適切に処理をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 前後になりますけれども、現在のEC、そしてカナダへの輸出の規状というものはどのようなことになっておりますか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 お答えいたします。  まず、カナダでございますが、乗用車について申し上げますと、年次的にかなりアップ・アンド・ダウンがございまして、たとえば五十二年におきましては十二万五千台という輸出でございました。五十三年には十一万九千五百台ということでございますが、五十四年におきましては輸出が激減しておりまして、約六万一千台という数字に半減をいたしておるわけでございます。しかし、それが五十五年におきましては十五万八千台というふうに非常にふえておるという形でございまして、五十五年の数字を前の年と比べますと倍増しておるわけでございますが、前々年あるいはその前の年と比べますとそれほど大きな伸びではない。こういったような形で、年によりかなり差があるというのがカナダの市場の動きでございます。  それから、ヨーロッパ向けでございますが、これは国別にいろいろございますけれども、ECトータルで申しますと、五十二年が六十六万四千台、五十三年が六十四万九千台、五十四年が八十万八千台、五十五年が約百万台というふうに、年次的に見ますと漸増をしておるという形でございますが、これは国別に申しますと、フランス、イタリー等は、先方が非常に輸入制限的な措置をとっておりますので、その辺は別といたしまして、あるいはまたイギリスも、数字としましてはかなり安定的な数字になっておりますが、それ以外の地域である程度ふえる、こういう形の市場になっておるわけでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 当然にいたしまして、今回の日本の対米国自主規制あるいはこれに追随しようといたしておるところのEC、カナダ、これはただいま次官がおっしゃったように、日本の姿勢を貫いていくのだというお話でございますけれども、しかし、何がしかの対応をしていかなければならぬ。といたしますと、これはわが国自動車産業にとっては大きな影響があると考えざるを得ないわけでございます。  この中で、これはあくまで計算でございますけれども、御承知のことと思いますが、四月の日本興業銀行の計算では、輸出が五%マイナスになると業界の売り上げは千三百億円減る、そして自動車業界そのものでは一・七万人、あるいは部品会社まで含めると四万五千人の雇用に影響がある、こういうような試算があるわけであります。  先ほども御答弁の中にもございました、この自動車産業はわが国にとっての基幹産業である、自動車関連企業に従事する人は就業者全体のほぼ一〇%に当たる、輸出に占める割合は二〇%だということでございます。この産業自体が揺らぐとすれば、日本の経済全体にきわめて多大な影響を与えることは申すまでもないわけであります。現在私の住んでおりますところで、下請に勤めている人々は、今回の決着につきまして大変憂慮している。先行き不安というところから、ローンの返済等について大変心配しているような現状があるわけでございます。この中にありまして、この影響があるとすればこれをどこかでカバーしていかなければならぬということは、これは企業も努力しなければならぬわけでありますけれども、政府といたしましても、そこらあたり当然分析をされておられると思いますが、この点につきましてお尋ねをしたいと思います。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 自動車産業が、日本の製造業の一割を占めるというすそ野の非常に広い重要産業であることは御承知のとおりでございます。私どもも、したがいまして今回の措置を決めるに当たりましては、十分その点も念頭に置きまして考えてまいったところでございまして、現在の見通しを前提にいたしますれば、今回の措置、これは対米だけを考えますともちろん前年に比しまして若干減るわけでございますので、対米だけを頭に置きますれば何がしかの影響があるということは当然でございますけれども、全般的な輸出の動向等も踏まえて考えてみますと、これが日本の国内産業に大きな影響を与えるという状況にはないのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。  先ほど興業銀行の試算等のお話もございましたけれども、私どもも、こういった影響調査は委託調査等によりまして実施して、数字等は興業銀行の調査と大同小異の結果を持っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういった調査といいますのは、その部分だけの現象について着目をした調査でございますし、さらにこの調査の前提というのは、たとえば輸出がある部分減ればその部分だけ必ず雇用も平均的に減る、生産も減り、雇用も平均的に減るというような機械的計算を前提にした影響調査でございますので、現実はそういうふうにはならないというふうに考えられますし、そのとおりになるというふうには私ども思っておらないわけでございます。  したがいまして、問題は、日本の全体の輸出なり国内がどうなるかということとの兼ね合いで考えるべきではないかというふうに存じておりまして、そういった意味で、特に今回の措置が輸出に関連するものでございますので、輸出の最近の状況をごく簡単に申し上げたいと思いますが、ことしのごく最近時点での一−三の動きを見てみますと、問題になります北米市場なりあるいはヨーロッパ市場以外のところの輸出を見てまいりますと、かなり好調な地域が多いというのが少なくとも一−三の状況でございます。たとえば中南米地域におきましては前年比七割近い増加を示しておりますし、アフリカ地域も前年比八割近い増加になっております。東南アジアにつきましても二五%程度の輸出増加という数字になっておりまして、第三市場と申しますか、その他の市場におきます輸出というものは、かなり現時点では好調であるというようなことも踏まえて考えますと、今回の措置というものは、全体として十分オフセットをされるのではないかという感触も持っておりますし、それほど大きな影響があるというふうには実は私ども考えておらないということでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 大きな影響がないという分析のようでありますが、これから三年間あるいはそれ以降も、基幹産業であるわが国の自動車産業が揺れ動くというようなことになれば大変でありますから、先行き安定しておるということが当然望ましいわけでございます。そうした中で、政府といたしましても、十分先行きを見きわめていただく中で努力あるいは対応していただきたい、また業界そのものもがんばっていかなければならぬというふうに思うわけでありますが、こうしたいわゆる経済摩擦という問題、このことは、わが国がこれだけ大きく成長してきた、世界第二位の経済大国となったというところから、自動車のみならず、かつて繊維、鉄鋼あるいは家電、こうしたものに発生していたわけであり、今後も半導体を初めといたしまして幾つかの製品につきまして将来起こっていくであろう、このことにつきまして、いま少しく外国との対応について今後配慮していくべき必要があろうかと思うわけであります。  この点の政府の考え方について、ひとつ次官にお尋ねをしたい。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 わが国の経済力あるいはわが国のそれぞれの産業分野における業界の力がついていけばいくほど、そういったいろいろな国との貿易上の摩擦を生じやすいことになるのは御指摘のとおりだと思います。ただ、そうした中で、今日まで政府が直接ということはともかくとして、それぞれの業界においても結局は集中的にラッシュするような輸出をやっていくことが、摩擦をより過敏な形で生じやすいことにつながっておるものでありますから、かねてよりそういった配慮というもの、業界自身の節度ある輸出あるいは秩序ある輸出ということの要請を私どもとしてはしてまいったところであります。特にいま御指摘のように、今後いろいろな分野においてそういう懸念もあるわけでありますので、さらに一層、そういった節度のある輸出ということに心がけていかなければならぬものだと思います。  しかし、やはり世界の経済をどうやって拡大均衡の形に持っていくかということを考えれば、少なくとも自由貿易という根本原則、これに反しない限度の中で秩序ある輸出ということに心がけていかなければならぬと思うわけであります。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 まだちょっと時間がございますので、これもまた前後するかもしれませんけれども、今回のアメリカとの措置でございます。  これはあくまでわが国の一方的な自主規制というふうに私は受けとめている。これで決定をいたしました百六十八万台、二年目一六・五%の上乗せ、三年目はその趨勢を見るということでありますが、この決定そのものが今後のわが国の自動車産業、そして日本の経済そのものに大きな影響を与えないという見方の中で決定をいたしておるわけでありますが、今後、一つの例といたしまして石油がどのようなことになるのか、あるいはまた、戦争がどこかで起きたような場合にわが国にきわめて大きな影響を与えるような事態が生じた、そのときにもなおかつ今回の決定が、日本の一方的に決めたあれそのものが効力を持つというような場合、これは日本を拘束するというようなことになってしまうと思うのですが、こうした場合にはきわめて弾力的な運用が図られてしかるべきであろう。これはアメリカと別に文書で取り交わした外交的なものではないと思いますので、ここら辺のところ。  あるいは、先ほども申し上げましたように、独禁法の問題が発生したというような場合にも、こうした決定はその時点になれば、当然修正すべき必要があるような事態になれば、そこで弾力的な運用が図られてしかるべきだ、こんなことも思うわけでありますけれども、その辺についてはどんなものでしょうか。

真野温通商産業省通商政策局次長

○真野政府委員 今回の自動車問題、これはアメリカのみならず、ヨーロッパ、カナダ等でも起こっている背景を考えますと、一つは、御指摘のように現在の石油情勢、これが非常に大きく影響したということは事実だと思います。御承知のように、日本の場合には自由貿易体制のもとで非常に利益を受けて、そのメリットを享受してきた、それで過去三十年間の経済成長を保ってきたわけでありますけれども、それを修正する要素として、いわゆる石油価格というものがかなり政治的な決定によって行われる、それによって世界経済にいろいろなインパクトが出てまいる、その場合に、御指摘のように、石油価格の影響そのものから今回の自動車問題が出てくる引き金が引かれたことは事実でありますし、それがまた同時にアメリカ、ヨーロッパを通じまして今回経済不況を非常に深刻ならしめた、こういう事情があるかと思います。その中に日本の経済が非常に健全な運営と、同時に日本の産業の競争力というものが過去に蓄積されてきておりまして、対外的に日本の貿易が非常に伸びてきて、これが摩擦の原因にもなったということば否めない事実だと思います。  そういう意味で、私どもの方は、今後の通商政策、いろいろな御指摘が自動車だけでなくて各方面についてもあり得るかと思います。その場合に、われわれの立場としては、単に自由貿易体制から利益を受ける受益者の立場だけではなくて、この体制をどうやって維持していくかということについてそれぞれの具体的な対応を考えていく必要があろうかと思います。その際に、今回の自動車問題についての私どもの立場としては、やはり各国それぞれに、そういう状況のもとで産業なり経済の健全な運営というものを期待するわけでありまして、それに対して協力するという立場で自由貿易体制を維持していく考え方でございまして、単なる保護主義、政治的な圧力というものに対しては、これは必ずしもくみしない立場でいかなければならないかと思います。  そういう意味で、御指摘のように、いろいろな分野で違った対応ということはもちろんあり得ると思いますし、相手国の市場の動向、政治情勢あるいは失業状態、そういった広い視野からそれぞれの対応を考えてまいる必要があろうかと思います。  それと同時に、私どもの日本の現在の経済なり産業の力というものを世界の経済のために貢献させていく、そういう意味で、いわゆる投資の問題でありますとか技術協力の問題でありますとか、あるいは広い意味での、特にヨーロッパとの間で最近非常に強くなってまいりました産業協力という、日本の産業の持っておる力を世界の自由貿易体制を守るために各国と協力していく、こういう積極的な姿勢も同時に示すということで、単なる受け身の対応だけではなくて、積極的に日本の経済、産業、技術の力をこういった諸国に分かち合うという体制も必要かと思います。そういう意味での二つの対応を今後私ども心がけてまいりたいと思います。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員 時間が参りました。重ねてお願いを申し上げるわけでありますけれども、今回の決着について、今後まだまだ幾多の問題を解決していかなければならぬ、このように考えます。そうした中で、政府初め通産省、ひとつ一層の努力をお願いをするわけであります。これは、先ほどからお話が出ておりますように、自動車問題のみならず、今後の日本の経済の拡大的な発展という中でいろいろな事象、事案が出てくるわけでありますので、ひとつそうした面で格別の御努力をお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。

渡部恒三自由民主党

○渡部(恒)委員長代理 中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 これから、御出席いただいたそれぞれの大臣並びに政府委員に質問をいたしますが、六十分という限られた時間ですから、簡潔に質問をいたしますけれども、お答えもそういうことで簡潔にお願いをしたいと思います。  最初に、河本経企長官に見解をお尋ねをするのですが、大臣はいままで、物価も大体落ちついた、景気も底離れをしているということを談話として述べておられたのですが、きのう参議院の物特に御出席になって、事実上の景気底離れ宣言というのか回復宣言というのか、そういう宣言という言葉をお使いになったのじゃないでしょうけれども、そうした報道を新聞もしているようですが、事実だといたしますと、私は非常に甘いのじゃないかという見方をするわけです。見解を述べておられるとおり、若干設備投資が動き始めたということは私も認めますし、また現状において物価もある程度落ちつきを見ているということも否定できないと思っています。しかし、情勢はそういうものではないのじゃないかというように考えるのです。  御承知のとおり、アメリカの公定歩合が一%引き上げられて一七%、プライムレートは一九%で、二〇%になるのはもう遠くないという情勢、勢い、そうなりますと円は円安傾向というものをさらに強めてくるでしょう。すると、原材料は当然値上がりになる。そのことが卸売物価の引き上げとなり、ひいては消費者物価にはね返ってくるということも避けられないのではないかという見方を私はいたします。  それから、御承知のとおり中小企業は非常に環境は厳しいわけで、倒産も、建設業、これに関連する業種を中心にいたしまして、史上空前の二万八千件というような年間の倒産を記録している。好転の兆しというものが出ているとは、まだ私は思っていないのです。そういう情勢です。  それから、住宅建設の冷え込みは、これは土地の価格というものがいま鎮静をしたといいながら、非常に高価格のままの鎮静であるわけですから、住宅建設というものは、高い宅地の中では建設というものまではなかなか進み得ないのではないかというように思うのです。  それから、公共投資の七〇%前倒しをなさったわけですね。これが動き出しますと、建設資材等を中心にいたしましての値上がりというものは避けられない。  さらにまた、大臣が若干不安感を持っております在庫調整、これも秋ごろになったら大体終了するのではないかという見方をしているようでありますけれども、在庫調整がおくれていることだけは間違いない事実であるというように私は考えるのです。  悲観材料ばかり私は申し上げましたが、これは現実でございますから、そのことは大臣もお認めになるのだろうと思っています。  それから、雇用情勢というものが非常に厳しいですね。労働省は危険ライン、危険信号ということを言っているぐらいで、完全失業者は百三十五万、有効求人倍率も〇・七一%と下がっているということの事実、これらの点を大臣はどう認識をしておられるのか。  それから、景気回復宣言ということは物価安定宣言を意味するのかどうかという点も含めて、私がただいま申し上げましたことに対しての見解を実は伺いたい。  私も久方ぶりに長官に、予算委員会以来お尋ねをするわけですから、一問一答という形で十分時間をかけて議論もしてみたいと思いますけれども、何しろ厳しい制約時間でありますから、どうかひとつ、ただいま私が申し上げたことについてお答えをいただきたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 経済の現在の状態をどのように判断するかということでございますが、アメリカの金利、それは日本の円安に当然なるであろう、そうすると消費者物価にも影響が出てくる、中小企業の倒産は依然として高い水準である、住宅建設はふるわない、雇用情勢もよくない、こういう状態のときに楽観的な見通しに過ぎるのではないか、こういうお話でございますが、いま御指摘になりました個々の問題は、大体そのとおりだと思います。  ただ、私は、アメリカの金利が高くなる、そういたしますと日本の金利との差が開きますから、原則としては円安の方向になるわけでありまして、現に昨日も若干円安になっております。ただ、しかし、現在は若干事情が違いますのは、いま世界で低金利政策を実行できる国は、私は日本をおいてほかにないと思うのです。そのことを世界が評価をいたしまして、第一回、第二回の公定歩合の引き下げの際も、むしろこれは円高の方向に動いた、経済学の学説とはまさに反対の方向に動いたわけでございます。きのうは円安でありますが、以上申し上げたようなことを考えますと、必ずしもそこは深刻に心配しなくてもいいのではないか、私はこのように思います。日本経済の基本的な力の評価というものが別に出てくる。  それから、同時に、いまOPEC諸国の黒字は非常に大きな金額になっております。昨年は千百五十億ドルの余剰オイルマネーが発生したと言われておりまして、ことしもほぼその見当の黒字が続くのではないか、このように言われております。最近油が少し下がりぎみでありますから、あるいは若干減るかもわかりませんが、大体昨年の水準の横ばいであろう、こういうように言われておりまして、この莫大な余剰オイルマネーは投資先が非常に挟まっておると言われておるのです。ヨーロッパでも対象国はせいぜい二、三カ国しかありませんし、それからあとはアメリカと日本、こういうことでありますので、それではそのオイルマネーは金利の高いところに流れていくかといいますと、金利は高くても回収が困難である、危険である、こういうところにはなかなか流れていかないものであります。金利は安くても確実に回収できる、間違いない、こういうところに資金は流れるものでございまして、そういうことから、昨年来大量のオイルマネーが日本市場に流れてきておる、それが円高の背景になっておる、こういうことでございまして、経済学の学説どおりに動かないのが現状であろう、このように思っておりますので、御指摘の第一点はもう少し楽観的に見ていいのではないか、こういう感じが私は若干いたしますが、ほかの点は大体御指摘のとおりだ、このように思います。  したがって、私も手放しで楽観しておるわけではございませんで、昨日、参議院の物価等対策特別委員会で質問がありました際に、景気の現状については、大企業の中においてもよい企業と悪い企業、つまり業種間のばらつきが相当目立っておる、それから同時に、大企業と中小企業のばらつきがある、中小企業は大企業に比べると概して悪い、こういう状態であるけれども、まあ大体、昨年の夏以来ずっと悪くなっておった景気の状態はほぼ底をついたのではないか、こういう感じがする、大勢としては大体これからいい方向に向かうのではないか、いろいろな指標から見てもそういう判断ができる、こういうことを申し上げたわけでございまして、決してそれだから将来が楽観できる、こういうことではありません。よほど気をつげて経済運営をしていかなければならぬと考えておるところでございます。  それから、物価の現状についてどう考えるかということでございますが、昨年の夏ごろは消費者物価は九%前後で推移しておりましたが、それもだんだんと下がってまいりまして、ことしになりましてからおおむね六%台になっておりますが、四月はようやく五%にほぼ落ちついてまいりました。  これからの見通しでございますが、ことしの消費者物価は、去年に比べますと対策としては非常にやりやすいのではないか、こう私は思っておるのです。昨年はいろいろなことがありまして、大変御迷惑をおかけいたしましたが、ことしは情勢がずいぶん変わっておりまして、五・五%という政府の目標はもう十分達成できる。最近は民間の見通しなどは四%台になるのではないか、こういう見通しが多いわけでありますが、政府といたしましても、できるならば五%以下を目標にして今後の消費者物価政策というものを進めてまいりたいと考えておるところでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 現状において大臣の分析は、いままでのはそのとおりの動きを示したと私は思っています。OPEC諸国の黒字にいたしましても、利食いというだけではなくて、これはやはり安定した投資をしたい。そこに日本経済、日本企業の底力というものに対する期待感を持って、株式投資その他、OPEC諸国のドルが日本に流れ込んできたということは、これは事実だろうと私は思っております。  しかし、また反面、今後もそう動くであろうかということを考えますと、私は必ずしもそうは動かないと思っております。     〔渡部(恒)委員長代理退席、梶山委員長     代理着席〕  政府の経済見通しにいたしましても、五十五年は外需中心であったわけですね。五十六年度の予算見通しは、外需は三分の一という見通しを立てていらっしゃるわけであります。ところが、ただいま申し上げましたように、内需がそういう形で動くであろうか。なるほど物価の安定というものは、個人消費を引き出すということにつながってくることは間違いありませんけれども、いま大臣が期待をしているように、五%の物価が瞬間的なものであるかどうか、構造的にそういう形になったのかどうかということについての分析をされる必要があるであろう。その点も、私は必ずしもそうは思っていない。  それから、いままでは日本経済というものが非常に安定をした上昇線上にあったということは、やはり自動車その他輸出が非常に順調であったということです。ところが貿易摩擦、自動車におきましてもしかり、その他貿易摩擦というものが非常に強くなってくる。そうなってくると、貿易が思うように伸びないということ。それを見通して五十六年度は内需中心という形に経済見通しをお立てになったのだと私は思っていますけれども、いろいろそのような動きというものが、OPEC諸国が日本に対していままで考えておったそういうような期待感というものをさらに持ち続けてくれるであろうかどうかということになってまいりますと、いままでがそうであったから今後もそういう情勢であるというようには考えられない。  それから、日本企業の底力というものがあったことは、これは事実でありますし、また私も、日本経済がこんなに苦しい状況の中に信頼を受ける、いわゆる円高で推移してきたということは、評価することにやぶさかではないのです。ですけれども、ただいま私が申し上げましたような、アメリカもレーガン政権になってどういったような経済動向を示していくのか、まだはっきりいたしませんけれども、アメリカの金利が非常に下がってくるであろうと思っていましたのにかかわらず、またプライムレートが二〇%という形になってまいりますと、OPEC諸国の金も、これはそういう方向に流れていかないという保証もないのじゃないか。してみますと、いままでのような固定観念をもって五十六年度の経済もそう動いていくであろうという見方をお持ちになることは、楽観に過ぎるのじゃないかという考え方を実は私は持つわけです。  したがって、物価も、大臣が見通されたような形に、五%あるいは六%程度に推移をするということになってまいりますと、春闘において、御承知のとおり昨年よりも一%上がって、個人消費もそういう面において誘導的な役割りを果たしていくのではないかというような期待感も大臣はお持ちになっていらっしゃるようですが、私も、物価が安定をいたしますとそういうことになってくるであろうというようには思います。ですけれども、公定歩合の引き下げに相まって、いわゆる預金金利を連動して引き下げたといったようなこと等、これはやはり消費者の財布のひもを非常に締める要因というものもあるわけですから、大臣は物価担当大臣として、私が申し上げたことについて肯定をされてもいるわけですから、その点について、これはよほどしっかりした態度、緻密な施策を講じていくということでなければ、残念ながら、いままでのような固定観念をもって日本経済の今後を占っていくということは問題がある、そのように私は考えますが、その点に対しての見解はいかがです。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 何分にも、いま経済の激動期でございますから、こういうときにはよほど細心の注意をしながら経済運営をしていかなければならぬと思います。そういう点についての御指摘であったと思います。  いまお話のございました貿易摩擦の問題でありますが、確かに、いま世界の至るところで貿易摩擦が起こっておりますけれども、この貿易摩擦を解決するためには、やはり世界経済全体が回復していく、世界全体の購買力がふえていくというような形になりますと自然に解決するのではないか、こう思っておるのですが、幸いに、OECDの専門家会議等の見通しを見ますと、昨年の後半からことしの前半にかけてが世界の先進国の経済というものは一番悪い。しかし、ことしの後半から来年へかけてある程度上昇するであろう、ことしの前半は一%強、ことしの後半は二%強、来年の前半は三%前後、こういう数字にOECD全体の経済は回復するであろう、このように言われておりますが、そうなりますと、世界全体の購買力がふえるわけでありますから、いま起こっておる貿易摩擦も比較的解決しやすくなるであろう、このように考えております。そういう方向に世界経済が行くことを期待をいたしますと同時に、再来月開かれますサミット等におきましても、世界経済全体の回復のために、世界のインフレと失業問題を解決するにはどうしたらよいかというような大所高所からの議論がされることを強く期待をしておるところでございます。  それから、雇用者所得の問題は個人消費と非常に大きく関係をいたしますが、ベースアップも大体峠を越したように思います。そこで、ことしの雇用者所得がどの見当ふえるかということでございますが、経済企画庁では大体九・二%ぐらい雇用者所得がふえるだろう、こういう想定をしておりました。それはベースアップのほかに、雇用者の数そのものがある程度ふえますので、それと合わせて九%強、九・二、三%と考えておったのでございますが、大体はそういう方向に行っておるのではないか、こういう感じがいたします。そういたしますと、昨年は計画よりも非常に落ち込みました個人消費も、物価の安定と相まってある程度安定してくるのではないか、こういう感じがいたします。  それから、物価の見通しについて確たる確信があるのか、五%というのは定着する可能性があるのかというお話でございますが、私は定着しつつある、こう思っております。それは、一つは、昨年の一月から六月までは卸売物価が二〇%から二四%までぐらい上昇をいたしました。まあ、月によって若干違いましたが、高い月は二四%ぐらいも、年率に換算いたしまして上昇しております。それがやはり若干時間がたってから消費者物価に悪い影響を及ぼしておる、こういうことでありましたが、最近の卸売物価の状況を見ますと、一年前に比べまして大体横並びあるいはむしろマイナス、そういう水準が続いておりますので、この面からは、私はある程度のよい影響が出てくるのではないか、こういう感じがいたします。  それからまた、昨年は公共料金が消費者物価を二・二%押し上げております。五十三年、五十四年は、公共料金の消費者物価に対する影響は各年とも大体〇・八%でありましたが、昨年はざっと三倍近い消費者物価の押し上げになっておりますが、ことしは昨年に比べますと相当低い水準になるであろう、こう思っております。石油事情も世界的にだんだんと安定をしておりまして、去年のような九月にイラン・イラク戦争が勃発して石油が急上昇する、そういうこともまずないのではないか、こういう判断もできますので、大勢といたしまして五%台の水準におおむね私は定着をしつつある、物価のことでありますからよほど気をつけなければなりませんが、昨年よりは相当物価政策はやりやすい、このように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣がいまお答えになった点で、私が見解を異にするのは、卸売物価はそう甘くは私は見ていません。それから経済見通しとして、政府が五十六年度に内需中心ということで見ておられるのは、これは少し動くであろう、フィフティー・フィフティー程度に内需、外需はなるのではないかというように私は思っています。  卸売物価が大臣の見通しのように甘くないということは、やはり円安傾向ということが相当高まって、二百五十円ぐらいになるのではないかという見通しもある。そうなってまいりますと、原材料の値上がりということになるわけでして、それだけではありませんけれども、なるほど石油はおっしゃるとおりに私も見ていますけれども、まあ卸売物価の点について若干見解を異にするということと、それから、公共料金は、御指摘のとおり昨年の五十五年と五十六年とを比較いたしますと、なるほど五十五年の方が公共料金の引き上げというものは大きかった、しかしその影響というものは、一過性ではなくてずっと続いてくるということが一つと、それから五十六年も相当な公共料金の引き上げがあるわけですから、その点については十分注意をしてもらわなければいけないということを申し上げておきたい。  それから、大臣、この際大臣に相当力こぶを入れて取り組んでみられたらどうか、じゃなくて、取り組まなければならぬのは住宅建設、これをやはり上昇させなければ大変なことになる。そのためには地価対策というものにもっと大臣が力こぶを入れていかなければいけないのじゃありませんか。私は、予算委員会において地価対策の点について提言をいたしているわけでございます。きょうは、そのことを繰り返して申し上げ、また冒頭申し上げましたような関係から、議論をする時間的余裕がありません。その地価対策についても、大臣が相当思い切った閣内におけるところの発言を強化していくというようなことが一番大切な問題であろうということを申し上げ、そのことを要請——要請ということよりも、ひとつ大臣の決断というのか、奮起というのか、そのことを強く求めて、長官に対する質疑を終わりたいというように思います。  次に、きょうは通産大臣がお見えではございませんが、若干予定を食い込みましたが、日本原電の問題についてエネ庁長官にお尋ねをしたいと思います。  エネ庁は、放射性廃棄物処理建屋の構造の欠陥に人為的ミスが加わって起きたという中間報告をしておられるのです。ところが、この報告は、事故の直接の原因と経過を明らかにしておるということにすぎない。こうした表面的な分析というだけでは原子力発電の安全性向上に役立たないというような見解を私は持つわけであります。この点に対して長官はどう考えていらっしゃるのか。今回の事故を招いた真の原因は何かということにその重点を置かなければならないのではないか。まず安全性の問題点、それから電力会社の安全管理体制や企業の体質、その根源を探るということが私は一番大切ではないかというように思うのです。  この建屋の構造の問題とか、それから設計、施工、それから一般水路というものがこの建屋の中にあったということは、これは通産省の担当官というものは当然これに常駐をしていらっしゃるわけですから知っていなければならない。ですから、申請があったときに、そのとおりであるかどうかということについての実情の調査も当然しなければならないし、それから一般水路なんというものがこの建屋の中にあってはならないのにもかかわらず、これがあった、なぜにそういうものを認可をしたのか、そのこと自体にエネ庁としては責任を持たなければいけない。ここらあたりに今回の事故というものが発生をしたわけですから、ここらあたりをどう認識をしていらっしゃるのか、そのことをまずお尋ねをいたしたいと思います。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 四月三十日に通産省が敦賀発電所の漏洩事故に関連しまして中間報告を発表いたしたわけでございますが、これは先生御指摘のように、あくまでも漏洩事故の原因究明に主眼を置いたものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この中間報告を会社側に示しまして、会社側のこれに関連いたします正式な見解を求めまして、その見解と当方の原因究明の際にわかりましたもろもろの事象を総合勘案いたしまして、今後の日本原子力発電株式会社に対する措置及び通産省がこれからとるべき措置について今後の対応策を考えていかなくてはいかぬと思っております。  したがいまして、御指摘のように、単なる表面にあらわれました原因、結果ではなくて、さらにその背後にあります安全審査及び安全管理行政上の問題点は何か、あるいは日本原子力発電株式会社の保安管理体制というのは遺憾ながらきわめて不十分であるとわれわれ認識しておりまして、これにつきましてはすでに四月十日に総点検を要望しておるわけでございますが、こういったものを含めまして、われわれとしましては、原子力発電の安全性の向上、それに対する国民の信頼の回復ということで今後の対応策を考えていかなくてはいかぬというふうに思っております。  それから、御指摘の一般排水路につきまして、そういうものをなぜ認可したかということでございますが、これにつきましても、若干言いわけめきますが、電気事業法四十一条の認可申請の際に添付すべき書面に、一般排水路は電気工作物でないがゆえにその書面の提出を求めておりません。したがいまして、工事計画の認可の段階では、その図面がない以上、図面審査をいたしましての判断をいたしますので、そこではわからないということになっておるわけでございます。こういったものもわれわれとしましては今回の事故の教訓としてとらえまして、そういった必要な書面については、今後申請書面として添付させるという方向で検討をしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  それから、常駐専門官の問題でございます。常駐専門官につきましては、十分御承知のように、会社側の報告に基づきまして、その報告上必要があれば書面あるいは現場のチェックをいたすわけでございますが、そういう基本的な立場で保安規程の遵守の指導をしておるわけでございます。その限りにおきまして、こういった点を見抜けなかったかということでございますが、これは非常にむずかしい問題ではございますが、今後、専門官のあり方も含めて検討していきたいというふうに思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 余り逃げを言ってはだめなのだ。図面にそれがなかったと言うけれども、使用前検査というものは当然しなければならないのだろう。せずしてこれを使用させるということはよくないことなのだ。だから、使用前検査をしておれば、これは明らかに発見されたことなのだから、それまでやっていないということにつながってくる。  私は、もう時間がないから端的に言うのだけれども、通産省は日本原電というのを告発する、これは当然やらなければならない。同時に、通産省自体の責任をどうするのか、みずからの責任をどうとるのか、そのことをはっきりさせないと、これはあなた方が今度原子力発電の推進をしようなんということを言ったって、さらに反発が強まってくるだけだ。これは森山長官が答えるのか、政務次官が出席しておるのだから政務次官から答えてもらっても結構です。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 中村先生御指摘のとおりだと思っておりまして、今回の敦賀発電所の事件に関しまして、私どもは中間報告といたしまして四月三十日に発表いたしたわけでございます。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕  これは、会社側の責任を追及するという考え方だけではなくて、事態がどういう事態であったかということを判明させるための中間報告でございまして、会社側の責任の追及と同時に、国として十分反省すべき点を反省する、それから今後どういう安全審査体制をとるか、あるいは安全管理体制をとるかということを明確にすることによりまして、国民の皆様方に原子力の安全行政に対する信頼度を回復していただく、これが私どものとるべき責任だ、こういうふうに認識しておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そんな気の遠いようなことを考えておること自体がやはり問題だ。それは、そのことはやらなければならないということだからやる、そのことと今度の事件に対するところの責任をとるという問題とは、これはそういう形に籍口して、みずからの責任というものをしばらくたな上げしておくなんというようなことがあってはならぬと私は思うのです。あなたの気持ちは私がいま指摘したとおりでないのかもしれないのだけれども、そう聞こえたから申し上げるのです。  科学技術庁がお見えになっているのだけれども、原子力発電所の安全審査の重点というものは、いままでは原子炉の本体そのものにあった、これは通産省もそのとおりであった、私どもはそれは間違いであるということを指摘した。今回の事故というものはそれだけではなくて、周辺部の関係の審査がいかに大切であるのか、同時に廃棄物の処理がいかに本質的なものであったかということを今度は証明した。このことについてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、これもひとつ端的にお答えください、時間がどんどん食い込むから。

後藤宏科学技術庁原子力安全局次長

○後藤(宏)政府委員 お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、原子力安全委員会の事務局といたしまして、本件につきましては、事故の発生と同時に委員会その他におきまして事故の状況の把握に努めておりまして、そのとりあえずの姿といたしまして、先生の御指摘のような意味で、本来炉以外の面からこういった事故が発生したこと、またこういった面が行政庁に十分報告されなかったことは、安全行政確保上まことに重大かつ遺憾なものであるという認識をしております。  そういった認識に立ちまして、現在通産省から連日にわたりましていろいろ事故の状況の報告を受け、この対策等について審議を続けておるわけでありますが、明日及び明後日にかけまして、現地に安全委員みずからが出かけまして、現地におきまして現場を確認するとともに、通産省から補足的な実情の説明を受けまして、今後の安全確保対策上講ずべき対策の検討を急ぎたいと考えております。  以上でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 労働省もお見えだからお尋ねをするのだけれども、廃液の処理に何か五十六名もの下請の労働者に作業をやらせている。こんな危険なのに、そんなたくさんの人が廃液の処理に廊下をふいたりバケツでくみ出したりいろいろなことをやっているのだけれども、そういう危険というものをおもんばかったのかどうかという点が一つある。  それから、社員の十倍ぐらいの放射線量というものを浴びているということなのだね。だから、今回のやり方というものは労働安全衛生法電離放射線障害防止規則という法律に私は違反をしていると思うのです。そのことに対する見解はどうか。  それから、こんなにたくさんの下請の労働者にやらせたということについて、通産省は調査をしているのだろうが、これをどうしたのだろうかということです。私は、人権問題ということについても問題を強く感じているわけです。かつてこの電力会社は、会社にも何も籍がない、あるいは下請にもない、そういったような特定の日雇い労働者に相当高濃度の放射線を浴びる作業をやらせている。そのときやらせてそれでしまいだ、どこに行ったかわからないというようなやり方をやっているように伝えられている。どうも今回のやり方というものもその一連の関係線上にあるような感じがしてならない。この点について労働省あるいは通産省の答えがあればお聞かせいただきたい。

林部弘労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○林部説明員 先生の御質問のうちで、私ども現在いろいろと調査中でございますので、三月八日の漏洩事件の件についてお答えをいたしますと、先生のいまの御発言の中で安全衛生法の中の電離放射線障害防止規則の違反があるのではないかというお尋ねが一つあったように思いますが、現在のところ、下請の労働者に仕事をやらせたから違反になるというような形にはなっていないわけでございまして、実際に電離放射線障害防止規則の中では、管理区域の中で放射線業務に従事する作業者につきましては一定の被曝の許容限度というようなものがございますから、それを超えない範囲内で作業が行われている限りにおいては問題にはならないという形になっております。したがいまして、法違反の形というお尋ねの件につきましては、被曝の問題については、いままで私どもがつかんでおります限りの情報の中からは違反があったというようなことには恐らくならないのではないかと思います。  それから、そういう仕事にもっぱら下請の労働者をつけさせているのではないかという問題につきましては、先生御承知のように、原子炉の運転に伴いましては発電所の中にいろいろな作業がございますので、その作業の種類に関しましては、かなり専門的な技術を要するものなどいろいろあるわけでございますので、下請と申しましても、もっぱらそういったようなことを引き受けるような事業主もございますので、その意味では、できるだけ放射線の被曝が少ないことを私ども望んでおるわけでございますし、そういう方向で指導もいたしておりますが、下請にさせたということだけで電離放射線障害防止規則上どうということには、いまのところなっていないということでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私が言っているのは、そんな通り一遍の答弁を聞くために言ったんじゃないんだよ。非常識きわまるやり方をやっている、それから相当高濃度の放射線を浴びているということ。だからいま調査をしているということ。調査は当然しなければならないだろう。ただ、私が言うのは、労働者の人権というものをどこまで考えたか。この作業をやらせることはどの程度の、高濃度の、いわゆる許容量を超えるような放射線を浴びるということにならないのかどうか、そこらあたりを先に、その作業をやらせる前に検査をする、そういう形でやるように、人の人権というものを大事にしていく態度というものが会社側になかった、そのことを指摘しているわけだ。そういうことから、そういう考え方というものは広義の意味において、ただいま私が放射線障害防止規則違反という形につながっていくんだ、こう言ったんだ。だから、少なくともこういったような点から労働省というものは強い関心を持って対処していくということでなければならない。これはいまのような通り一遍の答弁で、今回の問題を労働省が無関心に、何ら法律違反にならないのです、いろいろな職種があるのです。そんなことを聞いているんじゃないんだよ。もっと労働省というものは労働者の人権というものを本当に真剣に考えていく、そういうことで対処していくということでなければならないということを私は警告をしているわけなんだ。答弁は要りません。  森山長官、私は、今回の事故を機械の問題ではなくて人間の問題だと思っています。だから安全審査というものを幾ら、どんなに厳しくしましても、この原発全体の総点検をやらせるようだけれども、やっておられるのだろうと思うのですけれども、いかに点検をしても、これは何にもなかったという形に終わりかねない。しかし、これはやらなければならないですね。要は、人間が、本当に事故を起こさない、そういう考え方の上に立って対処していくということでなければいけないんだというように私は思うのです。そのことに非常に欠けているものがあるということを反省なさらなければならない。  そのことは、四月二十八日の科学技術委員会において参考人として出席をした日本原子力発電側の参考意見、事故の報告をしなかったのは会社側として電気事業法違反とは考えていない。ちょうどいまの労働省の物の考え方みたいなものだ。通り一遍のことだ。これは通り一遍どころではない。実にひどいことだと思う。それから、現場社員に対し特に法規教育をしたことはない、こう答えているのですよ。私は、これは居直り発言だと思っている。こうした考え方というものが、日本原電だけではなくて、何か原子力発電の会社というもの全体に貫かれているのではないか。だから安全性よりも稼働率を上げるということが最優先に考えられてきている。それが今回のような事故を引き起こす原因になったんだ、そのように考えております。この点に対して長官はどうお考えになっていらっしゃるのか。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、今回の事故は、いわゆるハードウエアの欠陥とソフトウエアの欠陥がダブってああいう事故が起こったんだという基本的な認識を持っておるわけでございます。  そこで、ハードウエア、つまり設備、構造の問題につきましては万全を期したいと考えておりますけれども、中村先生御指摘のとおり、人間が運転をするわけでございますから、その人間としての物の考え方、安全性に対する考え方というものの徹底さが欠けますと、どうしても事故は起こりがちでございますので、そういう点につきまして会社側も、さらにまた政府といたしましても謙虚な反省をいたしまして、どういうふうにすれば原子力の安全性が担保できるのかということに焦点を当てまして私どもは今後の対策を考えていきたい、かように考えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 石油価格の引き上げの問題について、製品の値上げですね、お尋ねする予定でしたけれども、これは時間の関係がありますから割愛をいたしまして、他の機会にお尋ねをすることにいたします。それから、日米独の石炭液化プロジェクトの問題についてもお尋ねをする予定でしたが、これも時間がございませんから後日お尋ねをすることにいたします。  中小企業の問題についてお尋ねをするのですが、私は、この質問を雑誌に載せるために書きましたが、これをコピーして長官の方へお渡ししてありますから十分検討しておられると思います。  ともかく、先ほど河本長官も、景気は底をついてこれから物価とともに回復に向かう、こういうことでしたが、中小企業の場合は非常に深刻です。好転、悪化ということになってまいりますと、圧倒的に悪化というのが多い。それは資金繰りの問題であるとかあるいは採算の問題であるとか、そういったようなことの不安感というものが非常に強いわけです。私は、五十六年度の一般予算の中において中小企業の予算の伸びが二・六%、意外な伸び率というものに驚いているわけです。五十五年が五・一%、五十四年が一二・七%、五十二年が一九%、五十二年が一六・九%。極端に低くなっている。それから財政投融資、これが五十六年は一二・五%、五十五年は一七%、五十四年は二一・五%。総予算の中に占める比率というものは五十五年が〇・五七、五十六年が〇・五三。第三次産業に相当移行しつつある現状の中において、依然として中小企業はコンマ以下に扱われておるというこの実態をどのように認識しておられるのであろうかということ。  先ほど申し上げたようにメモを差し出しておりますからおわかりですから、私はずっと申し上げてお答えをいただきます。  それから、中小企業三機関、これの中小企業に対する民間金融機関等含めた総貸出高に占める比率というのが、五十二年が九・六%、五十三年九・一%、五十四年が九・九、五十五年は一〇%、依然として二十年間ぐらい一〇%の線を出ない。恐らくこれは民間金融機関、いわゆる銀行の圧力といったようなものから、政府関係金融機関に対するこうした予算、財投の伸びというものを手控えをしているというようにしか考えられない。これは中小企業の対象となる業種が非常に拡大をしておるという実態等からいたしまして、あるいはいろいろな中小企業に対するところの具体的な施策というものを講じている、不況であるとかあるいは倒産であるとかいろいろと講じていらっしゃるのだけれども、絶対量というものがふえなければ、依然として中小企業に対するところの金融的な困難というものを克服することにつながらない。このことの見解をどうお持ちになっていらっしゃるのか。  大蔵省もお見えになっておりますが、信用補完制度の代弁というのが、御承知のとおり、保証協会の総資本の五十倍ないし六十倍。ところが、銀行、大蔵省が検査をなさる保証協会の保証付という場合においては大丈夫だから、焦げつきは一〇〇%ないのだから、ほとんど検査をしない。ところが、保証協会に対しては、代弁が多いということになってくると、やかましく言う。それで、いま言ったように五十倍、六十倍という形になっている。その程度で抑えている。ところが、ある保証協会に行きました、たとえば大分県、代弁率が七・六四%ある。私の長崎県が二・〇四%、最も高いところは一一%というのがある。ところが、この中身を見てみると、特定業種が大分県の場合は三十億から四十億ぐらい代弁がある。その特定業種の名前を私は挙げませんけれども、中小企業庁が考えなければならないことは、非常に零細な企業なんです。そういうところに対して、もっと温かい配慮、きめ細かい配慮というものがなければならぬ。代弁というのが一保証協会でもってはるかに財産の五十倍や六十倍、百倍を超えるようなこういう実態があらわれてきているということに、大蔵省も関心を持って対処していくということでなければいけないのではないか。このことに対するところの考え方はどうか。  これは融資基金の増額というものをやって、保証協会の保証能力というものを高めていくということと同時に、銀行に対してでもあるいは地方自治体に対してでも、出捐金というものをできるだけ出させるように、協力をするようにして、そして保証協会の保証能力を高めていくということに格段の努力をしていく必要があるということ、そのことをひとつ大蔵省は、これは共管事項であっても専管そのものですから、この点を十分お考えにならなければいけない。  それから、商工中金に対して、これは半官半民ですから、どうしても貸付原資が高くなる。この点に対して配慮というものがなされなければならぬ。利付債、割引債のうち、利付債中心になっている。だから、割引債というものをできるだけ買い上げをしてやらなければ、商工中金の資金というものはなかなかゆとりというものは出てこない。そのことに対しての考え方はどうかということ。  全部一緒に言います。  労働省もせっかくお見えでございますからお尋ねをするのですが、先ほど申し上げたように、完全失業者が多い。求人倍率は非常に低い。そういったようなことで、若年労働者というものは、こうした状況にあるにかかわらず中小企業のところに寄りつかない。高年齢層が多いから賃金コストというものが非常に高くなっている。若年労働者を中小企業のもとに雇用させるということになってまいりますと、やはり魅力のある職場にしなければならない。そのためには、働いたならば自分が独立できるといったような、いわゆる魅力を感じるということでないと、なかなか若年労働者というものは中小企業には集まらないであろう。  そこで、中小企業従業員退職共済制度というものがある。ところが、これに対しては全企業の一割ぐらいしか加入していない。一万八千軒程度入っているのだけれども、八千軒というものがいつも決まったように脱退をしている。したがって、一割の線を出ない。これは、この制度というものに魅力がないからです。国がもっと助成を強めていくということでなければいけないのだというように私は考えているわけです。この点に対してどのようにお考えになるか。  それから、建設省もお見えでございますが、先ほど来申し上げましたように、住宅建設というものが非常に冷え込んでしまっている。そのために中小建設業というものが倒産に次ぐ倒産、大変な数に上っています。したがって、中小建設業に対する特段の配慮というものがなければならないし、電気であるとか管工事であるとか、こうした建設関連企業に対する分離発注、あるいは中小建設業を含めて官公需の受注を高めていくということでなければいけないというように考えます。この点に対しての施策をひとつお尋ねしたい。  これで終わりますが、法人税が今度二%ずつ引き上げられました。ところが普通法人は四〇%が四二%、中小法人は二八が三〇、公益法人は二三が二五、二%ずつ上げたという。ところが、もとが低いのが二%上がったら非常に高くなる。したがって、普通法人は伸び率は五%、中小法人は七%、公益法人は九%と、弱い者いじめの法人税の今回の引き上げになってきている。これらの点に対してどのようにお考えになるか。  もうこれで一応終わりますけれども、同族会社の相続税の優遇措置、これも配慮していただきたい。上場会社でありませんから、したがって、株式を引き受ける場合は、土地の価格と同じように株式価額が評価される。そうすると、引き受ける場合、引き継ぐ場合に、ほかの財産を処分しなければ同族会社の株は引き受けられない。ほとんど中小法人ですから、これらに対するところの配慮が非常にまずいと思います。  以上の点について、それぞれ簡潔にお答えをいただきたい。

児玉清隆中小企業庁長官

○児玉政府委員 お答え申し上げます。  第一の点でございますが、予算、財投通じまして五十六年度の伸びがきわめて不十分であるという御指摘でございます。五十六年度の予算編成に当たりましては、御存じのような財政事情でございまして、私どもも最大限努力はいたしたつもりでございますが、結果といたしますと、いま御指摘のような予算におきまして二・六%の伸びと、これまでの例で言いますと異例の低い伸びでございます。  ただ、この点につきましては、設備の共同廃棄費用というものが五十五年度におきまして二百十五億円計上されておりましたが、これが五十六年度におきまして一応その計上が必要でないということになりましたので、実質ベースで申しますと一二・五%ということでございます。  それから財投でございますが、財投も一般財投が七・二%の増でございました。これに対しまして中小企業関係が一三・四%でございます。もちろん、これは御指摘のように五十五年度の一七%の伸びに対しまして非常に見劣りがしておりますけれども、実質上は一般の平均よりも伸びておる。これを有効に使おうということでございます。さらに、年度途中におきましてもし不足する事態等がございましたら機動的に対処をしたい、このように考えております。  第二の点でございますが、いわゆる総貸し出しに占めます三機関の割合でございます。これは御指摘のように実は一〇%強でございますが、これもこの数年間ふえておりません。  これは、中小三機関の存在理由といたしまして、やはり政策的補完機能を果たすということでございますので、ほかの市中の金融機関も中小企業に対して非常に努力をしてきてくれておる結果ということで解釈すればいいのではないかと思っておりまして、特に政府が画然と一般民間よりも高い伸びを示すということにはございませんが、全体として量的には一応充足をいたしております。  それから、第三点の定義改正とそれから予算その他の措置の絶対量を確保すべきだという御指摘でございますが、この点につきましては全く御指摘のとおりでございまして、現在定義改正を鋭意検討いたしておりますが、まだその結論を得るに至っておりません。現在は反対論が非常に強くなってきておりますので、これの意見を十分ヒヤリングを通じましていま聴取をしておる段階でございまして、余り無理な結論の出し方をしないような工夫をいたしております。十分意見を聞いて対処するということでございます。  それから第四点でございますが、商工中金の割引債でございますが、これは最近は御指摘のように利付債の分と割引債と比べますと、単年度で見ますと利付債の方が多いわけでございますが、債権の残高で申しますと、利付債が七に対しまして割引債が三ということでございます。  ただ、この政府引受債のこういった傾向は一般の民間の引受分と全く同列でございまして、結果的に見ますと利付債七、それから割引債三となっております。それぞれの意味がございまして、利付債につきましては相当安定的な資金の確保という意味がございます。かたがた割引債の方になりますと、これはやはり調達コストの点で問題があるということでございまして、これは全体としての比率を勘案しながら現在七対三という方向で運用をいたしております。  それから、中小法人の軽減税率の問題でございますが、これにつきましては一律引き下げということに結論がなった次第でございまして、その間に若干配慮はいたしまして、軽減税率の適用所得の範囲を七百万円から八百万円にと、わずかではございますが、こういった一応の緩和措置を講じながら一律ということを私どもものまざるを得なかったという事情にございます。  それから、最後に御指摘ございました相続税の合理化及びこれに対する配慮でございますが、実情に即しまして研究会のレポートを十分尊重する方向で政策にこれを反映してまいりたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先生御指摘の趣旨は、中小企業退職金共済制度につきまして、より魅力づけをして普及徹底を図るべきではないかという御趣旨かと思います。  私ども全く同感に考えておりまして、昨年の国会におきまして御審議を煩わし、最低掛金額の引き上げをいたしました。それに伴いまして国庫補助の増額もいたしたところでございます。そのほか、かねてから懸案でございました過去勤務期間の通算制度を新設いたしましたり、あるいは掛金額を増額変更いたしました場合のいわゆる掛け捨て、掛け損制度を是正をするというようなことで、できるだけ制度の魅力づけを図っているところでございます。このような魅力づけを図ったことを契機といたしまして、従来にも増してこの制度の一層の普及徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。

杉岡浩建設大臣官房会計課長

○杉岡政府委員 お答えいたします。  建設省におきまして中小建設業者に対する対策といたしまして、金融対策といたしまして、いわゆる保証制度の特例の活用あるいは政府系の金融機関の活用等を図ると同時に、中小建設業の事業執行面の対策といたしまして、毎年度予算が成立いたしますと、その執行方針といたしまして、中小建設業の対策のために発注標準の遵守あるいは分割発注の促進あるいは共同請負制度の活用、こういった制度を活用いたしまして中小建設業の受注機会の確保を図っておるところでございます。毎年、官公需の中小企業比率につきまして、こういった制度を活用いたしまして着実にその目標を達成しておるところでございます。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(正)政府委員 大蔵省にお尋ねの点は、保証協会の代位弁済で厳しい指導を行っているのではないかということが一つと、それから融資基金の充実強化についてどう考えるかという御質問というふうに思いますが、大蔵省の信用保証協会の代位弁済に関連いたしましては、確かに指導を行っておりますけれども、これは限定的に行っておるわけです。  過去の実績等から見まして代位弁済率が著しく高い特別の保証制度を創設したりまたは変更するような場合には、あらかじめ大蔵省と中小企業庁に協議してほしいというようなことが一つございます。  それからもう一つは、決算承認協会などで代位弁済率が全国平均に比べて異常に高い場合で、健全経営に支障を来しているような場合にこういう指導を行っていることは事実でございますが、これはやはり信用保証制度は代位弁済がまた大切な制度ではございますけれども、片一方では、協会の経営の健全性を確保することが結局信用補完制度の安定的な発展につながるという理解でございます。  若干補足いたしますと、代位弁済が高い場合には協会の収支が悪化いたしまして、保証承諾を伸長させるための必要な基本財産の達成が図れなくなる。ひいては中小企業の資金需要に適切な対応が困難になる。また資金繰りに余りに窮迫いたしまして、金融機関に対する代位弁済の実行も滞りがちになってまいりますと、金融機関との信頼関係などを脅かす場合もございまして、保証付貸し出しの伸長もできなくなるというようなことで、やはり全体として保証協会の十分な役割りを保全するためにはそのような措置が必要であるというふうに考えているわけでございます。  また、代位弁済額が非常に大きくなりますと、先生御承知のとおりでございますけれども、保険公庫が保険金として代位弁済については七割から八割支払っているわけでございます。この代位弁済の率は、これは大体平均二%程度、先ほどいろいろのパーセンテージを御援用なさいましたが、大体二%程度で設定しておるものでございますから、ここのところ五十二年度以降は大変代位弁済が高くなりまして、保険公庫に対する出資も毎年多額に上ってそれを補てんしているというような状況になっておるわけでございます。  そこら辺が先生御指摘の点だと思いますけれども、全体としては、この保証補完制度を充実させたいという観点からそのような措置をとっておるわけでございます。  それから、融資基金の拡充ということでございますが、御指摘のとおり、この融資基金は非常に重要だと思います。五十六年度予算においても一般会計から保険公庫の融資基金に三百二十五億ということで過去最高でございまして、五十五年度の二百八十億円に比べますと一六%増というようなことで、一般歳出が四・五%という苦しい財政の中から相当の努力を払ったつもりでございます。  以上でございます。

保岡興治自由民主党大蔵政務次官

○保岡政府委員 先生御承知のように、財政再建が緊急な課題だということで、法人税の税率を一律二%上げさせていただいたわけでございますけれども、中小法人の軽減税率を含めて一律二%上げたという点について、これは中小企業の軽減税率制度創設当時から基本税率との格差が非常に広がってきているというようなことで、個人形態での事業を営む場合の税率との関係でバランスをとらなければいけないということから、税制調査会でもむしろその格差をできるだけ縮小するような方向で検討しろというような提言もあって、今回同じような率で上げさせていただくということで配慮させていただいたということで御理解いただきたいのと、それから軽減税率の適用所得限度、これをわずかでございますけれども百万円引き上げさせていただいて、その配慮をさせていただいたということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。  それから、中小企業の企業用財産の承継の税制の問題は、従来国会でもいろいろ議論のあるところでございますけれども、これもまた個人形態の財産の承継の場合とのバランスもありまして、その点ではきちっとした原則に従って同じように合理的に従来これを処してきていると思いますけれども、中小企業の財産の承継については問題のあるところもいろいろ指摘されているところでございますから、従前もできるだけ研究をしてそのような要請に対応できるように努力はしてきたつもりでございますが、いま中小企業庁の方からお答えがありましたとおり、いろいろ具体的な検討もあるようでございますから、それもまた参考にさせていただいて、また先生の御指摘の点も踏まえて今後勉強して対処したいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 答弁は求めませんが、保岡政務次官もいまの答弁は、内心矛盾を感じながら答えられたと思う。縮めるのではなくて、むしろ段階を多くしていく。二%平均にしたといったって、弱い者に負担を重くするようなばかげたことをやるということは、不公平税制をさらに拡大をしていく。そんなばかなことはない。  それから、長官のお答えその他反論をしなければならぬこともたくさんありますけれども、すでに十分以上超過をしておりますから、保留して、きょうはこれで終わります。

野中英二自由民主党

○野中委員長 清水勇君。

清水勇日本社会党

○清水委員 きょうは短時間しかございませんので、自動車問題とテクノポリスにしぼって端的にお尋ねをいたします。  去る一日に、日米自動車問題が決着を見た。私は、決着に至るまでの経過あるいは交渉の持ち方あるいは決着の内容というものにかなり批判を持っておりますし、交渉それ自体、上できなものであったとはいわく言いがたい感じをしております。どういうわけか、日米首脳会談前にどうしても決着をつけなければならない、そういう焦りといったようなものが相手側に、どうも、わが国政府の足元を見透かされるというようなことがあったのではないか、こんな感じもするのですが、しかし、この点は別の機会に触れることにいたします。  さて、決着の結果、八一年度百六十八万台で輸出抑制のスタートを切るということになったわけですが、私が最も心配をするのは、すそ野の広いわが国の自動車産業全体へのこれの影響が一体どう出てくるのか、こういうことなんです。  たとえば現に長野県だけをとってみても、部品あるいは下請関連企業数が五百三十社、五十四年度の生産高だけで見ても約一千億。去年は相当上乗せをされているのだろうと思うのですが、そうした下請なり関連企業が一様にこの輸出規制というものを通して、たとえばかなりの受注減が起こるのではないか、あるいは下請単価等の買いたたきというようなことが出てきはしないか、さらには部品メーカー等の場合には、部品業者間の過当な競争がそこから再燃をするようなことになりはしないか、こういうきわめて深刻な影響が出てくることを懸念しておるのですね。  特に通産の見方はどうも少し甘いのです。アメリカへの輸出台数が減ってもほかでカバーができるんだから、たとえばどこかの銀行が影響調査の結果として、一〇%輸出が減った場合に四万七千人の雇用減という事態が起こる、こう言っておるけれども、そういうことはあり得ないと言うんですけれども、そんな甘いものじゃないんじゃないか。トヨタ、日産その他いわゆる完成車メーカーは、このことを一つの口実といいましょうか、理由づけにして関連下請等へかなりのプレッシャーをかける、それが回り回って雇用へも影響を来すのではないか、こういうことを心配しておるのです。  たとえば今度の決着を通してアメリカの自動車産業、そして自動車産業に働く労働者は救済の方向に向かうかもしれないが、そのあおりを受けて、わが国の自動車産業なり雇用なりあるいは関連下請なりへ悪い深刻な影響を招くというようなことがあったんでは、これは許されないことではないかと実は感じているわけなんですが、この辺についてひとつ政務次官から所信のほどをまず聞かしていただきたい、こう思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 ただいま清水先生御指摘になられました点、まことに同感でありまして、私どもも今回の措置に踏み切りますに当たりまして感じましたことは、確かに友人であるアメリカがしっかり元気になってもらいたい、しかも非常に深刻な病気に悩んでおる、大手術をしなければいけない、そういった意味で、何らかの手術をするならば輸血もしてあげたい、しかしながら輸血をすることによって、日本側が、輸血した側がばったりと倒れてしまったのではどうにもならないわけでありますから、そういうことは、やはり可能な範囲の中においてしかできないのだということであります。  それから、いま数字の話が出ましたけれども、ある機関が調査をされました。大ざっぱに言えば、約十万台自動車の生産が減れば四万人の失業がふえるだろう、こういうような予測だろうと思います。もちろん、こういった数字がそのまま直ちに当てはまるということは、私どもも内心考えてはおりません。特に現在の勤務の状況あるいは超勤であるとか残業であるとか、いろいろな要件が入ってくると思います。そういった意味で、ストレートにそういう数字が出てくるとは思いませんけれども、アメリカに話をするときには、日本でも実はこういう調査の数字もあるんだよということも先方にもあえて話をしているわけであります。  今後、いろいろな部品を納める下請業者の方々の過当競争があるんじゃないか、そういう御懸念、まことにそのとおりだと思うのです。ただ、すでに朝の浦野委員に対する答弁でも申し上げたわけでありますけれども、国内の需要がどういう形にことし推移していくのか、あるいは第三国市場がどういう形で展開をしていくのか、そういった全体の需給との関係において初めて決まっていくのじゃないか。そして、国内の自動車メーカーの売り上げあるいは収益、いま御指摘の点はそういった事柄とも実は密接に関連するわけでありまして、今回の措置が直ちに下請企業に対する過当競争の誘発であるとか、あるいは雇用問題にストレートに反映するとかいうようなことにはならないであろうと、私どもは現段階では考えておるわけであります。万一何らかの影響が出るというようなことでありますならば、私どもも、既存のいろいろな中小企業救済のための施策の枠組みの中で万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけであります。

清水勇日本社会党

○清水委員 直ちに深刻な影響は出ないのではないか、他をもってカバーをし得る可能性もなしとはしない、こういう発想だと思います。  そこで、私は、今度の対米輸出抑制の波紋というものは意外に広範に及ぶ性質を持っているのではないかということが心配でならない。現に、きのうはEC委員会があって、まあEC全体はともかくとしてベネルックス三カ国は、日本車の市場占有率が非常に高い、だから少なくともベネルックス三カ国等についてはアメリカ並みにしてもらわざるを得ない。また、カナダなどもそういう姿勢で日本政府に要求をするような態度をすでに表明しているわけですね。また同時に、今度のことが引き金になって、単に乗用車だけではなしに、たとえばアメリカの国内でトラックであるとか二輪車であるとかというものに累が及ばないという保証もどこにもない。また、自動車以外の商品にも果たして影響がないだろうかという心配もしないわけにいかない。いままでもアメリカの強引な交渉態度等を通して、御承知のように、農畜産物の輸入枠が次第に拡大をされる、あるいは電電の調達物資の門戸開放が迫られて、ついにわが方が譲歩をせざるを得ない。全体として、日本政府くみしやすしというような印象を与えたとすれば、そういうふうに次々に波紋が広がる可能性もないとは言い切れないのじゃないか。ということを考えますと、あながち十四万台減った分を他でカバーする、ないしは国内でカバーできる、だから下請関連ないし雇用にそう心配はないのじゃないかと言うのは、ちょっと甘いのじゃないか。この辺、局長はどんなふうにごらんです。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 先ほど政務次官からお答え申したところでございますけれども、全般の影響を考えます場合には、対米の輸出減ということだけに着目するわけではなくて、やはり国内の状況それから第三国市場を中心とします他市場への輸出の動向をあわせ考えることが必要であろうというふうに考えるわけでございます。  まず、第三市場と申しますか、いま問題があります米国市場なりヨーロッパ市場以外の市場の最近の状況を簡単に申し上げますと、ことしのたとえば一−三月でございますけれども、これは実は比較的好調でございます。中南米向けでございますが、一−三月は前年比約七割の増というかなり高い輸出増になっておりますし、またアフリカにつきましては前年比八割増という水準になっておりますし、東南アジア向けには二五%増というような形でございまして、これは非常に幸せなことでございますけれども、第三市場向けの輸出というのは現時点ではかなり好調である、これがそのまま続くかどうかという問題はもちろんございますけれども、とりあえずの状態としては、かなり好調であるということがまず第一点でございます。  それから国内でございますけれども、これはいろいろ見方はございますが、自動車工業会の三月の国内自動車見通しというものによりますと、五十六年度の乗用車でございますが、五十五年度が約二百八十万台に対しまして五十六年度は二百九十一万八千台という数字を需要見通しとして一応出しております。これもこれからの推移いかんでございますから何とも申し上げられませんけれども、まあ若干はふえそうだという見通しを自動車工業会では立てておるということでございまして、現時点で判断いたしますれば、トータルといたしまして対米の輸出減をカバーして、場合によっては若干余りがあるかもしれないというような全体としての傾向にあるというのがまず第一点でございます。そういった状況の中で、これからも私どもとしましては、わが国の自動車産業が活力を持って対処していただけるように、ひとつできるだけ各方面での指導等も行ってまいりたいと思います。  また、下請中小企業等の問題につきましても、先ほど政務次官からお答えしたところでございますけれども、私どもとしても、これから実態なども十分よく把握いたしまして、しかるべき指導を行いたいというふうに考えたいと思っております。

清水勇日本社会党

○清水委員 政務次官あるいは機情局長から答弁があったわけでありますが、特にこういうことが契機となって下請関連企業等へのしわ寄せ、雇用へのしわ寄せ、こういうものが起こらないように、いまの局長のお話では、そういう事態が回避できそうだ、こういう見通しを立てておられるわけでありますけれども、厳に各メーカーに対してその辺の指導と監視を強めていただきたい、こう思います。  それから、この際にちょっとお聞きをしておきますが、百六十八万台の対米輸出枠の配分については、いつからどういう方法で各メーカーに割り当てをする、こういうことになるのですか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 全体の方針が決まりましたのが五月一日でございますので、実は私どもとしては、現時点ではまだ今後、各社別にどういう割り振りを行うかということについての成案を得るに至っておりません。したがいまして、これからできるだけ早い時期に各社別の割り振りをどういう基準で考えていくのか、これは自動車業界の状況、意見もよく聞きまして、私どもとしては早急に案を得て実施をいたしたい、かように考えているわけでございます。いずれにいたしましても、これは公平な形で行われるように留意してまいりたいというふうに存じております。

清水勇日本社会党

○清水委員 早急にというのでしょうけれども、各メーカーの方も八一年度の諸計画を推進しなければならない。ただでさえ今度の決着の内容に不満を表明されている、そういう折でもあるから、政府の行政指導はスピーディーに、かつまた業界の意思を尊重するという立場で進められなければならないと思うのですが、大体現在の見通しとして、いつごろから具体的な作業に入るか、この辺の見当はつけていませんか。

栗原昭平通商産業省機械情報産業局長

○栗原政府委員 私どもとしては、今週からでも至急勉強に入るという状況に現在あるわけでございますが、業界も実は五月の中旬にヨーロッパとの会合等もありまして、首脳部が留守になるという状況もございますので、早急と申しましても来週すぐというような状況にはまいらないと思いますけれども、いずれにしましても、できるだけ早く私どもとしてもこの点については検討を終わりたいというふうに考えている次第でございます。

清水勇日本社会党

○清水委員 それでは、まだいろいろあるのですけれども、時間がありませんので、次にテクノポリス90建設構想、このことに触れてお尋ねをいたします。  全国の自治体でこの構想を非常に高く評価をする、皆さんの立場から見れば大いに受けたということだと思うわけでありますが、現在最終的に一体幾つの県、幾つの地区から候補地にしてくれという名のりを上げてきているのか、まず数字だけを聞かしていただきたいと思います。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 お答えいたします。  いまお話がございましたように、全国各地から調査対象として、テクノポリス産業として選定してほしいという御要望をいただいているわけでございますが、その数は道府県といたしまして三十四道府県でございます。個所数としてはちょっと数えづらい面もございますが、一応三十七地域というふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 いま立地公害局長から数のお答えがありましたが、当初この構想を立てた際に、こんなに大きな反響があるとか、こんなにたくさん立候補するというような想像をあるいはされていなかったのかもしれない、こんなふうに思うわけでありますが、いずれにしても、私どもが見ていて、想像以上の反響があった、こういうふうに見えるわけなんですけれども、そのことはテクノポリスという、技術集積都市とでも言うのでしょうか、そういう構想が今日の地方の時代のニーズというものによくマッチした、こういうこともかなりあずかって大きいのではないか、私はそういうふうに見ているわけなんです。  そうだとすれば、九〇年に約五千億をかけて一カ所のテクノポリスを完成させるという当初構想に対して、たとえば五十六年度予算、すでに決まったわけですけれども、約二千万円を計上して候補地五カ所くらいを選んで調査検討を進める、こういう基本方針があるわけですけれども、そういう方針を、いま申し上げたような各自治体等の反響等から勘案をし見直さざるを得ない、あるいは見直すことがよりベターであるとも考えられるわけですけれども、その辺はどんなふうに見ているわけでしょうか。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 いま先生から、テクノポリス構想について、地方の時代にマッチした構想ということで地方自治体から評価されているのではないかというありがたいお言葉をいただいたわけでございますが、私ども、この構想を八〇年代の通商産業政策ビジョンというものの中で公表いたしまして以来、お話がございましたように、非常に全国各地から関心を寄せていただき、御要望をいただいているわけでございます。  確かに、五十六年度の予算におきましては、いまお話がございましたように、五つ程度の調査地点を選びまして最終的にはこれを一カ所にしぼってテクノポリスというようなものをつくっていく、こういう構想であったわけでございますけれども、その後全国からの御要望等から私どもとしても考えてみますと、これはやはり、いま言われている定住圏構想あるいは田園都市構想の一つの具体化として、九〇年代の地方のニーズを表現しているものではないかというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、今後、五十七年の予算を編成するに当たりましてもさようでございますけれども、現在御要望いただいております地点を選定するに際しましても、その辺のところを十分含みまして、単に一つの都市をつくればそれで足りるということではなくて、九〇年代を目指した、われわれがやっております工場分散政策あるいは地方対策の大きな手段としてこれを使っていきたい、こういうふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 そこで、先ほど三十四道府県三十七地区といった数字が示されているわけですけれども、考えてみると、通産省はテクノポリスについて具体的に立地上の選定基準を確定したというふうにまだ伺っていないような気がするのです。しかし、一部の新聞報道によると、すでに候補地を内定したというふうにも伝えられている。  そこでちょっと聞きたいのは、立地上の不可欠な条件、これは選定基準になるのでしょうけれども、選定基準というものがすでにあるのかどうか、それから具体的に一部新聞報道が行われていることは事実なのかどうか、もしそれが事実でないのだとすれば、いつごろまでにどのぐらいの数について一応候補地として選定をするつもりでいるのか、その辺のスケジュールといいましょうか、考え方を聞かしていただきたい。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 現在、私どものところに研究委員会を設けまして、調査対象の選定基準の検討をいたしているわけでございます。これはまだ検討中でございまして結論を得ていないわけでございますが、お話がございましたように、各報道機関も非常に関心を持っていただいているわけでございまして、間々内定したといったような報道もなされているわけでございますが、いまだ選定基準そのものもできていないということでございます。  それではいつごろできるのかということでございますが、いま鋭意検討を続けておりまして、私どもの目標としては今月内にもせめて基準の確定ぐらいはいたしたい、こういうふうに考えております。  それから、御質問のございました選定基準というものの考え方でございますけれども、私ども考えておりますのは、やはりテクノポリスの中核となります既存都市の都市機能がどういったふうになっているか、あるいはテクノポリス建設のために実際上開発の可能性があるかどうか、あるいは新しい都市の条件でございますとか、またテクノポリスの周辺地域に産業集積の条件があるかどうか、こういったことが基本的に言いますと条件になるのではないかというふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 その条件という場合に、よく伝えられるように——伝えられると言うとおかしいが、あの構想の中にも書かれているように、たとえば東京なら東京というものを基点に置いて、東京からの距離のいかんにかかわらずジェット機の離着陸できる空港がなければならない、あるいは新幹線が走っていなければならないということになりますか。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 選定基準につきましては現在検討中でございますけれども、大ざっぱな考えを申しますと、お話がございましたように、地方の時代であり地方振興の一つの考え方として私どもこの構想を打ち出したわけでございます。したがいまして、大きな消費地あるいは国際的なコミュニケーション、そういった点からいたしまして、大都市にひけをとらないような交通輸送条件でございますとかあるいは情報のスピードでございますとかいったようなことを考えているわけでございます。したがいまして、付加価値の高い先端技術産業をここに持ってくるといたしますと、輸送コストの負担力が強いわけでございますから、地方でございましても空港等の良質かつ高速の輸送手段があるということは非常に有利な条件と申しますか、重要な要素になろうかというふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 これは、私の県のことを言ってはちょっとおかしいんだけれども、参考までに具体的に言った方がわかりやすいから申し上げるのですけれども、たとえば長野市というのがある。人口三十二万である。富士通のコンピューター工場などを中心にエレクトロニクス工場群というようなものがかなりある。あのテクノポリス構想の中に盛られているような、いわゆる産、学、住というそれぞれのゾーンを持つ新しい五万都市をつくるに当たって、母なる都市というものがどうしたってなければならない、こういうことが言われているわけですが、そういうものにぴったりするかしないかは別の問題として、ある程度は環境が整っているようにうかがわれる。ただ、しかし、飛行場もないし新幹線もない。そうなると、もうそういうところはだめなんだというようなものであるのか、しかし、飛行場などというものも一つの要件ではあるが、他の要件とも勘案をしながら最終的に判断をするのだ、こういうものであるのか、その辺ちょっと聞かしてくれませんか。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 先ほどから先生の御指摘もあり、私も申し上げたわけでございますが、テクノポリス構想というものは、現在私どもが考えておりますのは、地方振興の一つの有力な手段といいますか、パターンと申しますか、として考えているわけでございます。  したがいまして、このテクノポリスというものにつきましては、たとえばそれぞれの府県におきまして、あるいはそれぞれの市町村におきまして、創意と工夫を生かしてそれぞれの地域にマッチした建設構想をつくっていただくということが基本でございます。また同時に、地方公共団体がそれぞれの努力と熱意をお持ちになるということが不可欠の条件であろうかと思うわけでございます。いま申し上げました空港が近接して存在するかどうかということは、先ほども申し上げましたように、非常に重要な要素の一つとして私ども考えておりますけれども、それが唯一の選定基準であるとか、あるいはそれがなければどうこうということではなくて、全体としてその地方がどういう考え方に基づいて自分の地域のテクノポリスと申しますか、そういう街づくりの構想をお考えになっておられるか、その熱意はどうであるか、全体として既存の都市に溶け込んでいけるような状況にあるだろうか、あるいはまた産業がそこに進出する魅力を有しているだろうかという、全体としての判断というものが最も重要ではないかというふうに考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 時間が参りましたからこれで最後の質問にさせていただきますが、実はいま局長から、各地方自治体が積極性を持ち、また主体的な態度に立ってこの構想をどう生かしていくかということが非常に重要なんだと、こう言われておるわけでありますが、しかし、当初の構想の中には、国が五千億円を投資して九〇年に一カ所のテクノポリスをつくってやるといったような発想がうかがえるために、何か自治体の中には、受けとめ方にちょいと戸惑いがあるというか、間違いがあるというか、要するに国におぶさったり抱かれたりというような発想というものがかなり強くうかがわれる向きもあるわけですね。  そこで、もう最後の質問ですけれども、テクノポリス構想を具体的に進めていく、各地方、地域にこれを建設をしていく、その場合の財政的な措置などについて今日の時点でどのように考えているのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

松村克之通商産業省立地公害局長

○松村政府委員 いま申し上げましたように、テクノポリス構想の今後の推進につきましては、地方公共団体等がそれぞれの努力と責任でその建設等について熱意を持ってこれに当たるということが基本であろうかと思うわけでありますが、もちろんわれわれ通産省といたしましては、これが全国的な人口の地方定住の促進ということでもございますし、また地方の産業振興ということから考えましても、できる限りの支援措置を講じていく必要があるというふうに考えております。  ただ、どういった具体的な支援措置があるかという点につきましては、現在の財政状況等も考えまして、必ずしもこれについて平坦な道が開かれているとは私ども一考えていないわけでございます。今後関係各方面の御協力をいただきまして、この構想を進めていくために私どもとしてできる限りの努力を払ってまいりたいと、かように考えております。

清水勇日本社会党

○清水委員 それでは、きょうのところは以上で終わります。  ありがとうございました。

野中英二自由民主党

○野中委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議

野中英二自由民主党

○野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 私は、まず最初に自動車問題を中心に質問をいたしますが、その前に、最近発表されました「西側世界の安全保障 何が変わったのか? 何がなされるべきか?」と題する緊急報告、これは最近「朝日ジャーナル」に三回にわたって掲載されているわけでありますが、そのことにつきましてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  これは、その中身を読んでみますと、現代の国際情勢の動向分析に当たる各国の研究機関の中でも著名なアメリカ、西ドイツ、フランス、イギリス四カ国の研究所の所長の連名で発表されたものでありまして、核軍拡あるいはまた産油地帯の動揺、アフガニスタン、ポーランド情勢と、動く現実を踏まえて西側世界の対応のあり方を具体的に提示した報告であります。  この中で、いろいろ述べられているわけでありますが、東西間の緊張の激化の様子あるいは今後の欧州と第三世界におけるソ連の軍事的脅威の増大が述べられまして、さらにまた、産油地帯を含む第三世界が一層不安定に、一触即発の状態になっていくという見込み、その結果石油の供給が広範囲に、しかも長期にわたって中断されるのではなかろうかという危険性、そしてその及ぼす世界的な経済危機の長期化の問題、こういうものをここの中で述べているわけでありますが、こうした危機に対応するために西欧諸国は、特にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、あるいはここに日本の国が入ってくるわけでありますが、この五カ国で常設の協議会というような協議の場をつくっていくべきだという提案であります。  日本の存在というものを非常に評価して、今後の対応には重要な一国として日本がその中に入っているわけでありますが、この西欧安保とも言うべき緊急の提言についてどうお考えになり、今後どういうふうな対応をされるか、この問題をまずお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、辻(英)委員長代理着席〕

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 武田委員御指摘のとおり、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、こういった四カ国の研究所の方々がお集まりになって、そして本年二月に共同で発表されたわけであります。内容については、いま御指摘がありましたように、現在の東西間の緊張も非常に高まっていく。そしてまた、石油を初め重要な資源がどうしても発展途上国、そういった政治的にも不安定なところに依存せざるを得ない。そういった事柄がまたまた西側の内部においてもいろいろな摩擦を生じさせかねない。そういった中で、世界平和の枠組みを維持していく上で日本に対する期待も従来以上に非常に強く表明をされているというような内容であろうかと思うわけであります。  このことにつきましては、鈴木総理自身、いまアメリカに参っておりますけれども、鈴木総理も申しておりますとおり、日本としては積極的に、いままでは世界の平和の享受者という立場であったのだけれども、日本の国力、国情に応じて、それにふさわしい一つの能動的な平和に対する役割りを果たしていかなければいかぬと、こういう基本的な認識を持っておられるわけでありまして、その点については武田委員も御異存ないものと思います。  ただ、具体的な中身で、どういった事柄についてどういう枠組みの中で、そこでどういう方法で協力をしていくかということについては、またそれぞれ時々の情勢に応じて判断をしていかなければいかぬと思いまして、画一的にいまからこの論文というものにのっとってやっていくということはいかがかとは思いますが、十分参考に供してまいりたいと考えているわけであります。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 わが国は、国際貿易摩擦、そう言われているわけでありますが、このことによっていろいろと苦労をしているわけであります。繊維の問題、鉄鋼、現在では自動車がその頂点にあるわけでありますが、最近鈴木総理の訪米出発ぎりぎりまでかかってようやく決着を見た日米自動車の問題、これは日本が一方的に輸出の自粛をすることによって解決したということでありますが、この日米経済摩擦の一つにもなりつつあります自動車問題、この問題についてどのように今後取り組んでいくかという問題でありますが、業界には、問題の決着を急ぐ余りに経済の論理が政治によって押し切られたという不満があるわけでありまして、今後やはりこうした不満や業界に対する——働く方々も、なぜわれわれが優秀な機械をいろいろ努力しながら送り込んでいるのに一方的にこういうことをしなければならないのかという、いわゆる働く面の活力の問題でも影響があるということでありまして、これはほっておくわけにいかぬと思うわけでありますが、この点についてどうお考えになり、今後どのような対応をなさいましてそうした不満や摩擦の解消に進んでいくのか、この点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 いま御指摘のとおり、現在の米国の自動車産業の困難な状況、そのよって来る原因については、アメリカのITCの結論でも明らかに出ておりますように、決して日本の自動車の輸入がふえたからアメリカの自動車産業が衰退したのではないんだ、この点ははっきりといたしておるわけであります。やはりそういった意味で、アメリカの自動車産業の再建は一にかかって、アメリカの政府はもとよりでありますけれども、特にアメリカ業界の労使双方の自助努力が最大のポイントである。  ただ、午前中から申し上げておりますように、アメリカの自動車産業はアメリカ経済にとっても大きな重要な産業でありましょうし、さらにまた、日本の議会でも同じでありますけれども、アメリカの議会の方々も、自動車関連の産業あるいは雇用というものがある特定地域に集中しがちでありまして、そういった選挙区の情勢、こういったことを考えてまいりますと、日本の自動車が悪いのではないけれども、やはりアメリカの自動車産業を救済し、あるいは失業という問題を考える上で、どうしても日本の協力というものが不可欠なんだ、日本の理屈はよくわかるけれども、何とかアメリカのきついところもわかってもらいたい、こういうアメリカからの反応であります。私どもも友邦国として、日本が悪くないんだから何もしなくていいというだけでは済まされないだろう、やはりこの際、アメリカが困っている場合には日本の業界においても、日本の国力においても、その能力の範囲の中においてできるだけの御協力は申し上げていきましょう、こういうスタンスで臨んだわけであります。  したがって、私どもとしては、今回、業界に無理に政治が押しつけたというような感覚よりは、むしろそういうことの方が大きな意味で業界のためにもなるし、そしてまた、何よりもアメリカが保護主義立法に走ってしまいますと全世界に波及いたしますし、他の品目にも波及しかねない、そういった状況を考えますと、世界の経済をどうやって拡大均衡の姿で持っていくか、自由貿易を守っていくという大きな立場からも、今回の措置は必要であったというふうに判断をいたしておるわけであります。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 一九八一年四月にさかのぼって一年間百六十八万台ですか、対米乗用車の輸出規制、さらに二年目にも米国市場の動向に従って上乗せするというようなことでの合意だそうでありますけれども、これによる日本経済への影響も心配しなければならないのじゃないかと思います。  こういうことが現実にこれから進むことによってGNPへの影響はどうかという問題、それからもう一つは、雇用問題に対する影響というのはどういうふうに考えて、どういうふうに対応していくかという問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。

小長啓一通商産業省機械情報産業局次長

○小長政府委員 お答えいたします。  わが国自動車産業は、その生産額において全製造業の約一割を占める日本経済において非常に重要な地位を占めておるわけであります。そういう意味におきまして、先生御指摘のような問題につきましても、私どもは措置をとるに当たりまして入念な配慮をしたつもりでございます。  現在われわれが想定しております世界市場におきます輸出見通し等から判断をいたしますと、今回の対米乗用車輸出に係る措置が国内関連下請企業の雇用等に及ぼす影響は大したことはないのではないかという辺の判断をしておるわけでございます。  なお、今回の日米問題の帰趨いかんにかかわらず、関連中小企業に影響が出るような事態が万一生じた場合には、既存の中小企業施策の活用等によりまして適切に対処してまいるという考え方をとっております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 業界が自主規制に対して最後まで非常に反対したという一つには、やはり下請に大きな犠牲を与えるという懸念をした、私は当然の配慮だと思うわけであります。関連中小企業の皆さん方が非常に多くいる、こういうようなことでありますから、この点の配慮は十分なされなければならない。アメリカ向けの乗用車用の部品を主力にしている部品メーカーも非常に多い、こういうことでありまして、話を聞くと、生産が五〇%から六〇%も減りかねないなどというようなことも巷間言われているわけであります。そういうことになれば政府に対する補償も求めざるを得ないという話も出ているわけでありますが、そうしたことに対する心配はないものかどうか。いま余り影響のないような話をなさっておるわけでありますが、大丈夫だという具体的な事実はあるものかどうか、その点まず確認をしておきたいと思うのですが、どうでしょうか。

小長啓一通商産業省機械情報産業局次長

○小長政府委員 ただいま先生御指摘のように、たとえば三菱・クライスラー問題で、三菱自動車関係の子会社が、クライスラー向けの乗用車輸出が停滞したために非常に苦しい状況に立ち入ったというような事例があったことば私どもも十分承知はしております。  ただ、今回の場合、百六十八万台ということになりますと前年に比べて十万台程度減るということになるわけでございますが、先ほどちょっと抽象的に触れさせていただきましたように、アメリカ以外の地域における輸出の動向及び国内の内需がどういうかっこうになるかという辺を判断いたしますと、現在の見通しでは、中近東地減とかアフリカ、中南米地減といった地減でかなりの輸出増加が期待できるという点、さらに国内的にも本年の自動車工業会の見通しでは四%程度内需が伸びるという見通しもございまして、それこれ総合判断をいたしますと、十四万台のマイナスを相殺して余りあるかっこうになるのではないかという見通しも成り立ち得るわけでございます。したがいまして、私どもは、今回の措置によりまして直接下請関連企業が重大な影響をこうむるという事態は避け得るのではないかと判断をしておるわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 興銀の試算あるいは住友銀行ですか、こういう報告などを見ますと、たとえば興銀の試算では、もし米向けの乗用車が百五十四万台となるならば雇用四万五千人の減といういわゆる一つの試算をしておるわけでありますが、この試算のような事態というのは回避できるとお考えですか、その点どうでしょうか。

小長啓一通商産業省機械情報産業局次長

○小長政府委員 ただいま先生御指摘のように、日本興業銀行その他のマクロモデルによる影響額の試算というのは私どもも十分承知はしてございます。  ただ、十四万台の減といいますのはアメリカ向けの輸出におきます七・七%ということでございまして、国内の総生産が約一千万台強ということでございますので、その十四万台というのは一%強というぐらいな感じでございますから、その影響の程度は非常に少ないというふうに判断をされるわけでございます。  しかも、そのマクロモデルそのものは、諸条件を捨象いたしまして判断されておるわけでございますので、そのマクロモデルの影響が直に雇用面その他の面において出てくるとは私どもは必ずしも考えていないわけでございます。先ほど申しましたように、十四万台の減というのは他地域への輸出増加あるいは内需の増加という点によりましてかなりカバーできると私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、それほど大きな影響が出るということは考えてないわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 自動車問題はそのくらいにしておきまして、次に中小企業白書の中で二、三お尋ねしたいと思います。  「技術と知識で拓く中小企業の経営」と題する五十五年度の中小企業白書を見ますと、厳しい条件の中で中小企業が生き抜き成長するにはどうしたらいいかという点について、るる論じられているわけであります。その中で、技術力の向上、設備投資の推進、人材の確保、養成、この三点を重要な要素として挙げているわけであります。  そこで、この問題について多少お尋ねいたしますが、技術力の向上という問題であります。  中小企業、これは研究者あるいは技術者の不足とか、あるいはソフトウエア、設計能力の弱さというのがあるわけであります。それから、多品種少量生産で生産単位がまとまらぬために大企業の技術協力が得られないとかいうような問題これあり、さらにまた資金の問題、人材の問題あるいは情報収集、そういう面での制約があって、非常に苦労しているのが現実だということを私も認めるわけでありますが、こうした問題を解決するために、特に技術力の向上という問題に対して当局はどのような対応をして、こうした中小企業に対する大きな活力にしていっているものか、その点をひとつ御答弁いただきたいと思います。

山崎衛中小企業庁指導部長

○山崎(衛)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、一九八〇年代、中小企業が発展していくに際しまして技術というのは最重要課題でございます。また、御指摘のとおり、本来中小企業が自主的な努力によりまして技術力を向上できればよろしいわけでございますが、白書でも指摘してございますように、やはり人的、情報あるいは資金的な面ということで大企業に比べて劣った面があるわけでございます。  そういうことがございまして、私ども昭和五十六年度におきましては、中小企業に対する技術指導を強化するという観点から、省エネルギー診断バスというようなものを配備する。それから、技術アドバイザー制度というものを五十五年度から発足させましたが、五十六年度におきましてはこれを全国的に展開するということを考えております。同時に、異業種の技術交流研究会というようなものを創設いたしまして、技術交流によりまして中小企業が相互に技術力をみがいていくというようなことを考えているわけでございます。また、資金的な面におきましても、技術改善費補助金というようなものを充実してまいりたい。五十六年度におきましてはそういうことを考えているわけでございます。  今後におきましても、やはり中小企業の置かれました大企業に比べての不利性というものを補いますために、技術指導、それから技術者の養成、技術交流、技術開発の推進と、いろいろな面で施策を充実いたしまして、中小企業の技術力を十分に引き出すようにということで長期的に考えていきたい、さよう考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 それから、白書の中では、国あるいは都道府県の公的試験研究機関などの活用や、異なった業種間の情報交換などによる技術移転あるいは技術交流ということを提言しております。こういう公的試験研究機関というものの対応というのは十分なものかどうか、この点についてまず一つ。  それから、異なった業種間の情報交換ということでありますが、この情報交換の手段といいますか、そういうものについては十分に対応しておるのかどうか、この点についてのお答えをひとついただきたいと思います。

山崎衛中小企業庁指導部長

○山崎(衛)政府委員 まず公設試験研究機関でございますが、現在全国で製造業関係だけで約百八十ございまして、研究者数も四千人を超しております。やっておる内容は、たとえば技術指導それから技術者の養成、依頼試験といったいわば中小企業に対する技術サービスを行うと同時に、技術サービスを行うために必要な技術的蓄積をするために、技術開発研究事業をやっておる、この二通りの事業をやっているわけでございます。白書でも指摘してございますけれども、この技術指導等によりまして、たとえば製品の性能、品質が非常にアップした、あるいは生産技術が向上したというような中小企業者の回答が寄せられておりまして、かなりの成果を上げているというように考えております。  政府といたしましては、従来から公設試験研究所に対しましては、指導施設、指導事業、それから研究費関係の補助金を出しておりまして、これを応援しているわけでございます。最近どんどん中小企業者の技術的なニーズが高まっておりますので、必ずしも追いついていけないというような問題がございますので、今後とも私どもといたしましては公設試験研究機関の人的能力の向上を図ると同時に、研究費あるいは施設費の補助を充実すると同時に、先ほどちょっと述べました技術アドバイザー制度を全国的に展開するというようなことで、中小企業に対する技術指導を強化して、中小企業の要求、要望にこたえていきたい、さよう考えている次第でございます。  それから、第二に質問の異業種間の技術交流の問題でございますが、これは最近と申しますか、ここ四、五年盛んになってきた話でございまして、たとえば機械工業の技術と電子工業の技術が一体化して使われるというような、技術が複合化していくという時代に差しかかってきているわけでございます。そういう時代になりますと、非常に専門分野が限られていると申しますか、情報が限られている中小企業にとりましては、異なった業種の技術情報を手に入れて、その複合化をしていくということが非常に重要になるわけでございます。  現在のところ、始まったばかりでございますので、共同研究開発まで着手したという例はまだそれほど多くない。現在のところは、技術情報の交流研究会といったものが各地で開かれているというのが実態でございます。私ども五十六年度から、これも先ほど触れましたけれども、こういうような異業種間の技術交流というのが技術の複合化時代に非常に重要であるという認識に立ちまして、都道府県が行います技術交流研究会に対しまして補助を行うと同時に、中小企業事業団がこれをバックアップする体制を整備するといった方向で援助をしてまいりたい、さよう考えている次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 そこで、いわゆる情報化時代を迎えまして、企業、特に中小企業の多い日本にとりましては、適切な情報提供といいますか収集といいますか、この問題は非常に重要な問題だと私は思うわけであります。  そこで、昨年の二月ですか、中小企業事業団が調査した中小企業情報活動実態調査というものがあるわけでありますが、これを見ますと、非常にお粗末な限りではないか、そういうのがデータを通しての私の感じであります。必要としながら入手できなかったという情報が多過ぎる、それからまた入手しながら余り利用ができなかった、こういうものも多過ぎる。これはたとえば小売業の場合を見てみますと、そういうものを両者合わせますと、五〇%から六〇%クラスのものがざらにある。あるいはまた卸業においてもしかり、製造業においてもしかりでございます。こういうようなところに、私は、中小零細企業の方々に対する親切味がないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  特にどういうものがどうかということをいろいろ見てみますと、非常に抽象的で利用しにくい、そういうのが、たとえば海外の政治経済動向とか、あるいは国、地方自治体の中小企業施策とか、あるいは国内の経済、景気、金融の動向など、こういうものは非常に抽象的で利用しにくい、こういう回答が返っているわけであります。また、都市開発計画とか道路計画あるいは法令の情報が量的に非常に不足している、もっと多くの量が欲しいのだというような、これは特にそうした要望もあるわけでありますが、こういう点の取り組みに対してはさらに今後重要な一つの課題だと思うわけであります。当局としましてこの点に対する対応、いかがなさるつもりか、この点をお伺いしたい。  特に地方にあっては、敏速にかつ正確な情報の入手が非常に重要でありまして、この点につきましても中央と地方という差がなく直ちに情報が、遠ければ遠いほど速く、大変なところであれば大変なところであるほど速く適切な情報が手に入るような手だてというものも同時に考えていただきたいと思うのでありますが、その点もあわせてひとつ御見解を伺わしていただきたいと思います。

山崎衛中小企業庁指導部長

○山崎(衛)政府委員 先生御指摘のとおり、中小企業、特に小規模零細企業になるほど情報の収集それから活用能力が非常に劣ってくるという実態調査の結果が出ております。  そこで、私ども、そういう収集ないし活用能力を高めるためには従来以上に中小企業に対する指導体制を強化する、同時に人材養成事業を充実いたしまして、そういう収集、活用能力を高めるというのが一つの課題であろう。それから同時に、中小企業事業団を中心としましてさまざまな情報を流しているわけでありますが、それを御指摘のとおり、できるだけわかりやすく、かつ利用しやすいように確保しまして今後流していきたいということで努めてまいりたいと思っております。  それから、中央の情報を地域に流す、それも迅速にというお話でございますが、これはまさに御指摘のとおり、非常に重要な課題であろうと思っております。そこで、私ども、情報のネットワークといたしまして中小企業事業団の中小企業情報センターというものが中核となりまして、さまざまな分野から情報を収集、蓄積し、これを都道府県の総合指導所、あるいは公設試験研究機関に提供して、それを通じて中小企業者へ提供するということをやってきたわけでございますが、五十四年度からはさらに情報問題に特化したと申しますか、そういう地域情報センターを各都道府県につくっていただくというような事業を始めておりまして、そういう施策を今後とも充実してまいりたい、さように考えておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 ぜひこの問題につきましては十分な対応をして、そういう方々へのサービスに努めていただきたい、こういうふうに思います。  次に、中小企業の景気対策の問題でございますが、特に地方経済の状況を最近よくいろいろな角度から報じられているわけでありますが、全国地方銀行協会の三月の地方経済天気図でもこの問題についていろいろと述べられております。個人消費の伸び悩み、あるいは住宅投資も低迷である、あるいは公共投資も低調だ等々のいろいろな要素がございまして、素材関連の減産とか、あるいは在庫調整が長期化するとか、あるいは機械関連の一部にも需注生産に鈍化の傾向があるとか、いろいろな要素で地方の景況は依然としてかげりが引いているわけでありますが、今後もこの厳しさというものは続くのではなかろうかというような見通しでありますが、当局としてはこの点をどのように把握されまして、今後こうした動きをとめて、景気の回復のためにどのような対応をなさっているものか、まずその点からひとつお尋ねをいたしたいと思います。

児玉清隆中小企業庁長官

○児玉政府委員 お答え申し上げます。  最近の景況は判断が非常にむずかしい段階でございますが、先生御指摘のとおり、一部の、たとえば中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫等の調査によりますと、在庫の過剰感につきましてやや改善の兆しが見えるというようなこと、あるいは売り上げの先行きについて若干の期待が持てるというような見方をしておりますが、こういった慎重な見方とあわせまして、政府全体といたしましては五・三%の実質成長というものをぜひ達成しなければいけないということからいたしまして、バックグラウンドといたしましては、物価の安定を中心にいたしまして個人の消費支出等も若干期待できるのではなかろうかというようなことで、なかなか一挙にというわけにまいりませんが、次第に明るさの兆しを私どもは期待しているわけでございます。  そうは申しましても、いま御指摘のように、各地方のそれぞれのローカルな景況を見ますと、やはりまだ相当かげりが深うございまして、これからいかに抜け出るかということが当面の課題になっておるわけでございます。私どもといたしましては、いま申し上げましたような状況を十分踏まえまして、中小企業の動向がこれに十分対応できるかどうか、特に倒産対策を中心として今後も対策を考えていきたいと思っておりますし、それから、いろいろな新しい対策がもし必要であればということで見守っている状況でございます。特に各地域地域で業種別のいろいろな格差が出てきておりますし、それから同じ中小企業の中でもやはり企業間の格差というようなものも出てきておりますので、この辺は十分警戒を要するというふうに考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 その中で特に住宅投資の後退による影響が大きいわけでありますが、住宅投資は木材加工、家具あるいはコンクリート製品等々非常に多くの産業分野に影響を与えるわけでありまして、これらの分野にも中小企業関係者が非常に多くタッチしている。こうなりますと、この点の問題にメスを入れるということがまずさしあたり一番大事な問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。  きょうは建設省もおいでになっていると思いますが、この点について建設省としては、こういう方々のこうした非常な苦しみの中で御苦労なさり、今後このままいくと六月、七月、八月、私は宮城県でありますが、宮城県、東北などでは非常にきつい状況がもう間違いなくやってくるであろう、こういう話でありますが、こうした救済の対応というのはどういうふうになっているものか、ひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。

伊藤茂史建設省住宅局住宅政策課長

○伊藤説明員 御説明申し上げます。  先生いま御指摘のように、住宅建設全体としましては、五十五年度全般にかけまして大変落ち込みまして、年度で百二十二万戸を若干切るのではないかという見込みでございます。五十一年度以降大体百五十万ペースで来ておりますから、それからしますと大体一八%ぐらい落ち込むということになります。  いま御指摘の地方と大都市圏と比較してみますと、一般的には、地価水準の非常に高い大都市圏で住宅建設の落ち込みが大きいのではないかと思われますけれども、実際は逆でございまして、三大都市圏は一三%程度の落ち込み、その他地域は一八%をちょっと超えるぐらいの落ち込みということでございまして、東北、北陸といった地域で落ち込みが激しうございます。  われわれ、これにつきましては、住宅需要の強さといいますか、つまり大都市に人口がどんどん流れ込んできて新しい世帯形成が行われるといったようなことが住宅ストックをふやさなければならないというような需要にはね返ってくるわけでございますが、そういった需要は地方の方が弱い。したがいまして、地方の住宅需要というものは建てかえが中心であろうと思われます。そういったものでございますから、投資環境といいますか、つまり金利水準でありますとか建設資材でありますとか労務の単価でありますとか、そういった住宅価格に直接はね返ります建築工事的なコストというものが、環境がどうであるかということが非常にきくということだろうと思っております。  それで、今回三月に政府全体の景気対策ということで、関係閣僚会議で決定を見ておるわけでございますけれども、その中では住宅建設の促進策というものが一つの大きな柱になっておりまして、われわれとしましては、そういった投資環境というものがよくなるということをぜひともお願いをしたい。したがいまして、第二次の総合経済対策全体の効果として投資環境が一日も早くよくなる、住宅建設が柱であると同時に景気対策全体の恩恵も受ける、両々相まって環境がよくなることを願っておるわけでございます。  そして、住宅建設自体につきましては、まず、全国的に非常に影響力を持っております金融公庫融資というものをできるだけ早目に募集を始める、あるいは戸数もできるだけ年度前半に相当量募集できるようにしようということで、四月の二十四日から募集を開始しております。それと同時に、公庫の貸付対象の範囲を拡大するというようなことも行っております。それから民間の住宅ローンにつきましては、一連の長期金利の引き下げ改定に伴いまして、聞くところによりますと、五月の十八日には都市銀行で八・三四になってくる——現在八・五二でございますが、八・三四に下がるというふうに聞いておりますし、政府の景気対策におきましても、融資資金の確保に努めるというようなことになっております。  そういった当面の施策を通じまして、住宅価格の安定を図りながら、こういった需要喚起策が徐徐に功を奏してくるのではないかというふうに考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 もう時間が参りましたので、最後に一つお尋ねいたします。  きょう大蔵省にもおいでになっていただいていると思いますが、住工混在解消対策、最近千葉県などで特に非常に苦労なさっているようでありますが、中小企業の方々で市街地に残された方々が、周りにいろんな住宅地ができまして、結局は騒音、振動あるいはまた汚水などの公害問題ということで、周辺の住民との摩擦、あつれきがずいぶんあって苦労している、移りたいのだけれども、土地がかっこうなものが手に入らない、それだけの資金力もないということで相当悩んでいる。これは都市に近い地理的条件のところほどそういう状況があるわけでありますが、こうした問題を解決してあげなければならないのじゃないか、こういうことを私は痛感するわけであります。  そこで、三点お尋ねしますから、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  この問題の解決のために、一つは、やはり工場の立地にふさわしい地域を工業団地として低価格で準備して、工業団地内の道路あるいは上下水道などの共同施設の建設は行政側が受け持つというような対応はどんなものか。  それから二番目には、移転企業に対して年利二、三%あるいは返済期間が二十五年程度の低利長期の融資制度を考えて、こうした問題を解決する一つの手がかりにしていったらどうか。  三番目に、移転する企業が土地を売却、購入する場合は無税、企業に土地を売却する地主も無税というような、そのくらいの思い切った対応をして、こうした問題を解消してあげなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点についてひとつ簡潔にお答えをいただきまして、質問を終わらしていただきます。  なお、行管庁の方もお呼びしているわけでありますが、次回に回さしていただきますので、御了承いただきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 ただいまの住工混在地域の過密公害の問題でございますが、確かにこれは重要な問題でございまして、御承知のように地方公共団体等でも、この周辺地、問題のないところへの工場移転を進めているわけでございます。  私どもといたしましても、工業再配置政策を推進しておりまして、そういう見地から、過密のところから地方へ移すということで、たとえば補助金でございますとかあるいは融資とかいう点を行っております。また、特に中小企業につきましては、中小企業事業団を通じまして、いわゆる高度化事業による低利の長期の資金、たとえば二・七%というふうなものでございますが、そういったものを行っているわけでございます。  御指摘のように、この問題は大変重要な問題でございますので、今後ともできるだけこういった施策を活用しながら、十分御趣旨に沿いまして支援をし、推進をしてまいりたいと思っております。  それからもう一つの点でございますが、移転する企業に対しましての長期低利の融資とか税制対策等のお尋ねでございますが、これにつきましては、やはり私ども工業再配置政策という観点から、金融、税制面の措置を講じております。たとえば金融面におきましては、開銀でございますとか北東公庫における特利の融資、あるいはまた地域振興整備公団におきましても、移転の場合の設備面あるいは運転資金に対する融資を行っているわけでございます。さらに、中小企業につきましては、中小企業金融公庫とか国民金融公庫の特利の融資制度を設けております。  また、税制面におきましては、たとえば通産大臣が認定いたしました場合に、移転した場合の旧工場の資産につきましての加速償却制度でございますとか、あるいはまた固定資産税の減免等を行いましたときに地方交付税の負担、補てん等の措置を講じているわけでございます。  いずれにいたしましても、大変重要であり、かつ、むずかしい問題を含んでいることはわれわれも重々承知しておりまして、いろいろな各般の制度を十分適用あるいは活用いたしまして、今後ともこれの推進に努力していきたいと思っているわけでございます。

内海孚大蔵省主税局税制第一課長

○内海説明員 税制問題についてお答え申し上げます。  ただいま御指摘のありましたような観点からは、現在譲渡益課税につきましては、その過密地域、これを既成市街地等と言っておりますが、ここから外に買いかえる場合、これにつきましては買いかえの特例を認めております。したがって、これでおっしゃるような趣旨は十分貫徹できるものと考えております。  なお、これ以上の措置ということは、国会の御議論を通じまして、租税特別措置の整理合理化という、不公平税制の是正というような観点からの御議論の高い折でもあり、また財政がこういう状況でありますので、御勘弁いただきたいと思っております。

辻英雄自由民主党

○辻(英)委員長代理 渡辺貢君。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 日本原電の敦賀発電所事故の問題について質問いたしたいと思います。  この事故の問題については、広い国民が大変不安を持ち、同時に、日本の原発というのはこういう状態なのかという怒りも国民の中には見られております。同時に、こうした原発の問題を積極的に推進している政府に対して、特に主務官庁である通産省の行政はどうなのか、こうしたいら立ちと疑問も出されているわけであります。  私も、先日三十日に調査、視察をしてまいりました。ちょうど同じ日に通産省の中間報告が発表されております。この中間報告の幾つかの問題について、まず質問をしたいと思うのです。  この中間報告の性格、目的でありますけれども、この報告の中では、原因を究明することを目的としている、同時に、今後の問題についても、そうした究明の上に立ってしかるべき措置を講じたい、このように触れられているわけでありますが、その点について、究明をし、その後の措置を含めてどういうふうにこの問題について通産省として日本原電に対し、あるいは通産省自体どうするのか、その点についてまずお答えいただきたいと思います。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 四月三十日に中間報告をいたしましたものは、ただいま御指摘のように、日本原電敦賀発電所におきまして浦底湾に一般排水路を経由いたしまして放射性物質が漏洩したという問題についての原因の究明を主眼といたしたものでございます。  この中身は、立入検査によりまして判明した事実を通産省としてこういうふうに認識をするという、漏洩事故問題についての原因究明の中間報告になっておるわけでございます。  私どもとしましては、これを日本原電に手交いたしまして——通産省としましては、すでに四月上旬から始めました給水加熱器問題についての立入検査結果を四月十日に手交いたしまして、会社側の正式見解を求めておりますが、さらにこの四月三十日の中間報告を会社側に手交しまして、これに対する会社側の見解をできるだけ早く提出するようにということで、一応五月十一日ごろを目標にして、通産省はこう考えるけれども、会社側としてどう考えるかということを正式に会社見解として提出することを指示いたしておるわけでございます。  それで、今後は、この会社側の見解と私どものこの立入検査結果を詳細に分析いたしまして、総合評価の上で、日本原電に対します措置及び通産省の安全審査あるいは安全管理行政につきましてのいろいろな御指摘を受けております、これらにつきましても十分反省の上に立ちまして、具体的な改善強化策をこれからまとめていきたいというふうに考えております。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、これに基づいて日本原電の方からしかるべき回答なりがある、その上で総合的に判定して措置をとられるということでありますが、そうなるとこの中間報告そのものが、中間報告というふうに言われておりますが、かなり重大な報告書であるというふうに言わなければならないと思うのです。  そこで、中間報告の中では、調査の結果「種々の要因が重なって発生したものであるが、総合的に評価すれば、廃棄物処理旧建屋の設計、施工管理上の問題に主たる要因がある」ということで、問題点の中心に廃棄物処理旧建屋の設計構造上の問題を挙げているわけであります。  私は、その前に一つ触れておきたいと思うのですけれども、今回の事故は、もちろん漏洩という事態、一般排水に流れ込む、浦底湾に放流される、これは建屋自体の問題でもありますけれども、まずはっきりしなければならないのは、洗浄弁の故障がこの引き金であったというふうに言えると思うのです。洗浄弁二七五、つまりこの洗浄弁を開に回してもランプの表示器がつかなかった、これがある意味では今度の問題の引き金であった。そうなると、改めて全体の機器の問題について検討を深めていかなければならないと思うわけでありますが、この点についてはほとんどこの中には触れられておりません。調査の過程の中で、同じような事故が去年の十二月六日にあったというふうに指摘をされております。  私も三十日、この洗浄弁二七五の個所を見ました。ランプが故障しているということも明らかになったわけでありますけれども、このランプの開閉器の上に大きな字で「フラッシングストップ忘れるな、三分を五分に」と張り紙がしてあるわけですね。その日付が十一月三日になっております。つまり「フラッシングストップ忘れるな」というのは、何かこの機器に故障があるのか。つまり、その部分だけ張ってあるわけなのです。ですから、ある意味では十二月六日以前にも、十一月三日に張ってあるわけでありますから、以前にもこの機器を中心に事故があったのではないかというふうに推定されるわけであります。この故障にさらに運営管理面の人為的なミスが複合されていく、さらに複合されたミスが重なって、建屋の構造的な欠陥につながっていくというふうな経過だと思うのですけれども、この機器の問題について、十一月三日、なぜそういう張り紙がしてあったのか。忘れるな、注意せよというふうに、とりわけその部分に張り紙があるわけなのですけれども、この点についてはどういう御調査をされたのか、あるいは十一月三日前後に何かがあったのかどうか、まず最初にお答えいただきたいと思います。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 三月八日のオーバーフローの事実がわかりました段階で、とりあえず過去一年間につきまして除染記録の点検を立入検査官に行わせたわけでございます。  そういたしましたところ、いま先生御指摘の十二月六日のオーバーフロー、これは少なくとも除染作業指示書だけで判断する限りにおきましては、広がりとしてきわめて小さい範囲での除染作業ということでございまして、外界への影響が出るほどの広がりではなかろうという判断はいたしたわけでございますが、いずれにいたしましても、一年間のそういう除染記録の摘出の中で、こういうオーバーフローの問題が把握できましたので、さらに三年さかのぼりまして、都合四年間の除染記録を全部チェックさせたわけでございます。  もちろん、ただいま御指摘の張り紙の問題がどういう経緯でできましたか、事実、これは月に一同程度の五分間の洗浄ということで、五分間ということに重きを置いてきちっとした開閉操作をすべきであるということを注意する意味で出されたのだろうと思います。いま申し上げました過去四年間の記録からチェックした限りにおきまして、十二月六日のようなオーバーフロー、こういうものは除染記録上は発見できなかったということでございます。その意味におきまして、いま申し上げましたように、五分間というものを注意する意味でその張り紙が出されたものと私どもは推察いたしております。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 いまの答弁ですと、つまり推測をしているということで、具体的にこの問題がどういうものかというのは、調査の過程では明らかにされていないということですね。それはペンディングの問題として残しておきたいと思います。  次に、廃棄物処理旧建屋とランドリー室の問題でありますけれども、この調査の結果においても明らかにされておりますし、私どもの調査でも一致しているわけですが、つまりDタンクでオーバーフローしたものがA、Bを通り、さらにサンプポンプで逆流くみ上げされていく。ところが、洗浄弁が開いているわけでありますからオーバーフローしていくということで、旧建屋の処理室から、これはあいてはいないと言うわけなんですけれども、直径百ミリの穴を通ってランドリー室に流れていったということですが、構造上からいって、この直径百ミリのランドリー室と結ぶ穴はないということだと思うのですが、安全性の確保の上から当然そういう穴はないというふうにわれわれは考えているわけなんですけれども、この穴がどうしてできたのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 廃液ろ過施設の増設につきましては、四十九年の五月にこれを認可いたしたわけでございますが、その段階におきまして、工事計画書及び添付書類におきましてそのネズミ穴なるものを示す書面の提出はございませんでした。したがいまして、これがこの認可を受けて行いました工事の一環として行われたのかどうか、多分そういうことであろうとわれわれは推測いたしているわけですが、これについてチェックする手段を当時持っておらなかったという意味において一つの問題点ではなかろうかと思っております。  その意味におきましては、先ほどの御指摘の安全審査行政という点についての反省を十分行っていかなくちゃいかぬというふうにわれわれは考えておりまして、先ほど申し上げました日本原電の措置との関連におきまして、今回の事故を教訓としました安全審査及び安全管理行政、この点検も同時に行っていきたいというふうに思っております。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、これはいつ、どこで、どういうふうにあけられたかははっきりしない。しかし、いずれにしても当事者である日本原電の責任と、あわせて監督責任者としての通産省としての責任がある、そういう御見解ですね。  同時に、このランドリー室でありますけれども、昭和四十九年に第三回目ということで増設をされておりますが、このランドリー室というのはいわゆる認可の適用を受ける建物であるかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 ランドリールームは、廃液ろ過施設といたしまして電気事業法四十一条の認可を受くべき設備でございます。ただ、建屋全体が認可を受くべき電気工作物であるかと申しますと、とらえ方としましては、設備そのものを電気工作物としてとらえておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、建屋そのものは認可の対象ではないということですね。そうなると、当然、このランドリー室と廃棄物処理のルームとの穴の関係はその時点でははっきりしていないということですね。  ここで明らかにしなければならないと思いますのは、発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令、電気事業法第四十八条第一項に基づいて技術基準が定められているわけですが、昭和五十年十二月二十三日省令第百二十二号というふうになっておるわけです。改正ですね。この中に、廃棄物の流体の問題についての規定があります。第三十条の第二項にあるわけなんですが、つまり施設の内部における流体の措置というか、せきをつくる問題と、施設の外という認識のもとに施設をつくる問題、二つあると思うのです。  そうすると、このランドリー室の建屋そのものは施設の外であるというふうな認識に立ってよろしいわけですね。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 技術基準を定める省令上、ランドリールームの建屋そのものは、この三十条二項に規定されております「流体状の放射性廃棄物を処理する設備が設置される施設」という施設の範囲には入っておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 施設の範囲に入っているという、そこがなかなか微妙なんでありますけれども、施設に入っているということになれば問題はもっと明らかだと思うのです。  つまり、今回の事故全体の流れを見ますと、いわゆる百ミリの穴からランドリールームの方に入って、それがみぞを通って逆流をしていった、こういう経過ですね。しかも建物に亀裂がある。あるいは配線工事に不十分さがある。そこから漏洩し一般排水口に流出をしてしまったというふうになっておるわけでありますが、一方、いただいたこの参考資料によりますと、ランドリー室と旧建屋のスラッジルーム、廃棄物処理室ですね、これから一般の管理室に流れる部分には、内部ということで三十センチのせきがつくられておるわけですね。これは確認していただけますか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 御指摘のとおりでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、内部についてはそういうふうに三十センチのせきが設けられて、もしオーバーフローしても廃液が流れないようにというふうにせきがつくられている。さらに第三十条二項の二の規定によりましても、施設の外部に通ずる出入り口またはその周辺部分にも、この流体廃棄物が流れないようにせきを設けなければいけないということで、同じように右の方の中間地点にせきが設けられておるわけですね。これは……。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 ちょっと質問が十分理解できませんでしたが、中間地点と申しますのは、ろ過施設と……(渡辺(貢)委員「施設の中です」と呼ぶ)中で、貯蔵タンク室との境を先生はおっしゃっておるのでございますか。  お答えいたします。  貯蔵タンク室と洗たく液ろ過施設との間は、一応先ほど御指摘のネズミ穴があります壁をもって本来遮断されておるわけでございます。そのネズミ穴の効用といいますのは、どうも洗たく廃液ろ過施設から仮に漏れたときにサンプピットへ入れようということでつくられたものではなかろうかと思っております。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 ここをやっていると時間がありませんから……。  そうしますと、図をちょっと見てください。ランドリー室がありますね。これが百ミリの穴で、ここに旧建屋の外壁がきちっと設けられているわけです。ここに三十センチのせきがあるわけですね。つまり、流出しないようにせきがある。それから、今回の場合、この穴を通ってみぞから逆流して流れていっているわけですが、ここにも外部との関係ではせきがあるわけです。ところが、これは外部の場合にせきが設けられている。先ほど御質問いたしましたように、ランドリー室というのは、つまり認可の対象にならない施設だ。そうすると、外部という概念になるわけです。そうすると、せきを越えていく場合に、このランドリー室に入る部分に当然せきがなければならないというふうに思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 先ほどお答えいたしましたように、ランドリールームというのは、この省令の適用上、流体状の放射性廃棄物を処理する設備、すなわちランドリー設備でございます。ろ過設備でございますが、それを設置する施設というふうに省令ではとらえてございますので、それはその一画は「施設」という範疇に入っておるというふうに私どもは理解いたしておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、逆にいま私は、三十条二項二号の問題でいわゆる外部であるという立場から御質問したわけでありますが、施設内部であるとすると当然、内部であるとしても外部であるとしても、この部分にせきを設けなければならない、こういうことになると思うのです。逆流してくる、ここにせきがあればこちらへ流れるのをとめることもできたのでしょうけれども、そういう意味では、ここにせきがないという問題ですね。原電の申請や計画によると、せきがあるというふうに言われていたわけなんですが、私が見た限りにおいてはせきはありません。  こういう意味で、私は二つの問題があると思うのですね。つまり、日本原電の設計と施工における問題と、直接監督しなければならない通産省との責任の問題があろうかというふうに思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 先生御指摘の技術基準の省令でございますが、これはいま先生が御指摘のように、五十年に改定されておるわけでございます。したがいまして、本ろ過施設についての工事計画認可は四十九年五月でございますので、この技術基準の省令ができる前に一応認可されたものでございます。したがいまして、問題は、この二項一、二号につきましての遡及適用の問題ではなかろうかと思います。  遡及適用という問題で考えてまいりますと、一号につきましては、遡及を適用除外するという判断をいたしておりまして、施設内の拡大防止という観点からいたしますせきについては、適用除外であるというふうに考えておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 ですから、先ほど施設かどうかということを聞いたわけです。つまり施設であるとすると、内部の洗たく用の処理施設、これは施設だということで認可の対象になっている。ところが建屋そのものは認可の対象になっていない。施設だけれども認可の対象になってないというのは、第三十条二項一号ではなくて第二号ですね。そうなると、一年間の猶予期間を置いてこの措置をとらなければならないというのが附則にあるわけなんです。  そして同時に、法の母体である電気事業法の第四十九条では「技術基準適合命令」というのが書かれております。「通商産業大臣は、電気事業の用に供する電気工作物が前条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、」云々ということで、工作物の修理あるいは改造、移転あるいは「使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。」というふうになっているわけです。これは一貫した法律の中の省令ともとになる法律の関係だというふうに思いますし、当然通産省がこの四十九条の立場から厳重な監督や命令をしなければならない。そこが欠落をしている。  そういう意味で、単に構造上の欠陥であるとか、あるいは機器と人為的なミスが複合されたというだけではなくて、いわゆる原発行政全体に対する欠陥、欠落があるのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 先ほど来御説明している点について再度補足させていただきますが、たとえばランドリールームを指した場合に、ろ過装置そのものがここに省令で言う「設備」でございます。これは使用電気工作物に該当いたすわけでございます。それで、この省令の言う「施設」と申しますのは、その「設備」が設置される施設、したがいまして、その床面あるいは壁面その他を含めましてこれを「施設」と称しておるわけでございます。したがいまして、問題となりますランドリールームにおきましてせきを設けるかどうかというのは一号の問題でございまして、一号の問題として拡大防止のせきを設けなければならないかどうか、これがただいま先生お尋ねの施設の中のせきの設置の問題でございます。その限りにおきましては、先ほど申し上げましたように、一号については既設について適用除外をするという考え方で当時施行をされたわけでございます。  したがって、この省令改定の経緯を先に申し上げますと、外部への流出事故がございましたので、それに対応する措置として、外部への出入り口についてのせきの設置の必要性を明確化しようということで書いたわけでございますが、先ほど先生から図で御指摘がございましたように、通路における出入り口についてはほぼ十五センチのせきが設けられておるわけでございまして、これらについてはきちっと一年後の適用期間を限定いたしまして、適用されてそれがつくられておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 大分解釈やなんかを曲げているようなんですけれども、このランドリー室の建屋そのものはごらんになりましたか。——プレハブですよ。ですから、まさにそういう意味では、施設であるというふうにいま解釈されましたけれども、プレハブですから、この廃液が流れた場合にはすぐに外に流出してしまう、そういう建屋なんです。それを施設があるというふうに強弁されるわけでありますけれども、もう一回その点は厳しく検討をしていただきたいというふうに思います。私は、明らかにこれは外部であるというふうに考えているわけなんです。時間もありませんので、この点も含めてさらに通産省のとるべき基本的な責任、立場をしっかり確立をしていただきたいと思います。  もう少し論を進めたいと思うのですけれども、敦賀の発電所だけでも今日まで二十九件の公表された事故があるわけですね。去年の十二月六日から三月の八日まで、実に五件の事故があった。これも全部隠されていた事故であります。そのほとんどが私どもの機関紙赤旗の調査によって明るみに出て、そして原電も認める、通産省も認める、そういう結果でありますから、そういう意味で、改めてこの問題について真剣な取り組みをしていただきたいというふうに考えております。  敦賀だけではなくて、原子力発電所が稼働してから今日まで、明らかにされただけで何件の事故がありますか。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 正確な数字、いま記憶にございませんが、五十六年三月三十一日までの数字、私の記憶では百九十一件ではなかったかというふうに覚えております。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 その百九十一件、仮定として二百件であるということはいろいろの報道でも明らかだと思うのですが、百九十一件としまして、その百九十一件の事故が、たとえば機器の事故である、あるいは運営管理上の人為的な事故であった、あるいは機器の事故と運営管理における人的なミスが複合したものである、あるいは今回のように構造物、建築物そのものの構造的な欠陥の問題であるとか、つまり百九十一件の事故というのはいろいろの角度から分析をすることができると思うのです。それは単に分析をするだけではなくて、発生した事故の性格がどういうものであるか、その事故の本質を明らかにすることによって、今後の原発行政をより国民の期待にこたえられるような安全なものにつくり上げていく、これにつながってくると思うのですけれども、百九十一件の事故について、そうした総合的な分析や検討をされていらっしゃるのかどうか、お尋ねをしたいと思うのです。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 昭和五十五年度から現在三カ年計画のもとに、原子力発電所事故情報等処理システムの解析を急いでおるわけでございます。これは、ただいま先生御指摘のように既存の事故情報を分類する、これはわが国のみならず海外の情報も収集いたしまして、これらの情報のパターンを明確にし、かつ発生する個所の頻度その他を含めて十分なシステムをつくり上げていきたい。これを設計なりあるいは今後の安全基準へフィードバックをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 そうしますと、一昨年のスリーマイルアイランドの教訓がいろいろの角度から主張されているわけでありますが、ここに去年、五十五年三月発行の通産省、資源エネルギー庁というパンフレットがあります。  この中で、「わが国の原子力発電所で起っている事故・故障などは心配いらないのですか。」とみずから自問自答しながら、ほとんど心配要りません、この時点で百八十数件の事故はあるけれども、ほとんど大したものではないという立場で書かれているわけなんです。  いまのお話ですと、まだ何年かかかるということでありますけれども、それでは国民の不安やあるいは原発に対する疑義を解明することはできないと思いますし、何よりも原子力の平和的な利用の問題では、自主、公開、民主というこの三つの原則に基づいて、そして安全性を確立していく。そこをしっかりやっていかないと、部分的な事故のことだけ、あるいは法律の解釈をあいまいにして責任を逃れているということであっては、とても原子力発電所、今後本当に安全性を確保することはできないというふうに考えます。  また、私は機器の事故について触れたわけでありますけれども、つまり日本の原発の場合には原子力産業五グループ、三菱であるとかあるいは東芝であるとか日立であるとかあるいは富士電機であるとか、五グループによってほとんど機器類は独占をされている。敦賀の問題でも、給水加熱器は東芝の製品であるというふうにも聞いております。そうなると、通産省がこの安全性の問題については、そういう機器の問題、大企業の製品がどうなんであるかということに対しても注意深く対応していかなければならない。たとえば日本原電とそうした原子力産業五グループの間で機器の設置契約を結ぶわけでありましょうけれども、この場合には、事故が起きても原子力産業の方には責任がない。つまり免責になっているのか、あるいは責任の所在が明らかになっているのか、こういう点も明らかにしなければならないと思うのですが、その点だけひとつお答えいただきたいと思います。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 電気事業法に関しましては、電気事業者を規制するという観点で、原子力発電の機器製造メーカーに関しましては電気事業者との協力関係の上に立って、現在品質保証制度あるいは標準化という作業を進めておるわけでございます。こういう形によりまして、今後品質保証の効率をより上げる方向で努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 それは免責はどうなんです。

石井賢吾資源エネルギー庁公益事業部長

○石井政府委員 ただいまのところ、電気事業者と機器メーカーとの契約、詳細承知しておりませんので、後ほど御報告さしていただきます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 これは免責になっているわけなんですよ。承知してないということはないのだ。承知しているわけなんだけれども、はっきり言わない。というふうに、やはり今度の問題を、わが国の原子力行政としてもかなり大胆に問題点をえぐって反省しなければならないと思うのです。出先の問題だけ糊塗する、あるいは原発側だけに責任をかぶせるということではなく、日本の政府が推進しているわけでありますから、そういう意味で機器の問題あるいは事故の性格、あるいは構造上の問題、欠陥があれば積極的に改善をしていくという態勢、行政の責任を確立しなければならないと思います。  そういう点で、最後に、森山長官もおられますので、森山長官から所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 今回の敦賀発電所の事故に関しましていろいろと御質疑、またわが方から答弁申し上げたわけでございますが、私は、問題の本質は大きく分けて二つあると思います。  一つは、原子力発電株式会社の体質の問題、これは安全に関する考え方の問題がございますし、それからもう一つは、国の安全行政のあり方の問題、ここにやはりある種の問題点があったのではないか、こういうことを率直に私は反省すべきじゃないかというふうに考えている次第でございます。  いま先生がおっしゃいましたように、今後の原子力発電が日本のエネルギー構造上大変大事なことだということで私どもは推進をしているわけでございますけれども、そういうさなかにこういう問題を起こしましたことは、私自身の反省も含めまして大変大事な問題だと思っておりますので、十分その辺につきましての解明を会社側、国側ともに急ぎまして、国民の皆様方の負託にこたえたい、かように考えている次第でございます。

渡辺貢日本共産党

○渡辺(貢)委員 終わります。

辻英雄自由民主党

○辻(英)委員長代理 後藤茂君。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 私は、毎国会、国内鉱山の対策あるいは非鉄金属関係につきまして質問をさせていただいているわけですけれども、この非鉄金属鉱業政策を考えていく場合に、私なりに幾つかの政策課題というものを持っているわけです。せっかく野田政務次官いらっしゃいますので、私は、非鉄金属というものを実はこういうふうに考えている。  これは減耗産業ですから、採掘していけばなくなっていくわけですから、国内鉱山を維持発展させていくためにはどうしても探鉱をして新たな鉱石を見つけておかなければならない。そのための探鉱政策が金属鉱業政策の第一の柱だろうと私は思うのです。  それから、第二番目の柱としては、ほかの品物と違いましてロンドンのLME相場というところで、つまり国際価格で非常に乱高下が激しいのが非鉄金属と言われているわけですね。そうしますと、国際価格に振り回されて価格が暴騰する。暴騰するぐらいはまだいいのですけれども、暴落するということになってまいりますと、わが国の鉱山は必ずしも高品位鉱をたくさん持っているわけではない、しかも採掘条件が余りよくない、こういうことでその価格が暴落する、そのことによってせっかくの有用な資源を持ちながら鉱山が閉山の憂き目に遭う。したがって、価格安定というものが第二の柱として非常に大きな政策課題ではないだろうかと私は思うのです。  それから、第三番目の柱といたしましては、これは備蓄の問題ですね。石油等につきまして、あるいは本委員会でも先般LPGの備蓄等についても審議をしたわけでありますけれども、この有用な非鉄金属に対する備蓄政策が第三の柱だろうと思うのです。  それから、第四の柱としては、大変厄介なことに非鉄金属の採掘、製錬の過程で鉱害を伴っている。この鉱害防止というものが大きく義務づけられていく産業、したがって、鉱害防止に対してどういう対策をとっていくかということが第四の柱だろうと思うのです。  それから、第五の柱としては、最近特に強い要請が出てきております海外における鉱山の開発。日本ではだんだんと国内資源が枯渇し始めてきておりますから、どうしても非常に優秀な技術と能力を駆使していきながら海外における鉱山開発。  大体この五つぐらい、金属鉱業政策は政策課題としてあるのではないだろうかと私は思うのです。  そこで問題になりますのは、これはほとんどが民間の企業がやっているわけですけれども、当然民間の企業に任せておくということが一つですけれども、しかし同時に、国がナショナルセキュリティーの観点から、あるいは数少ない資源を国が開発していくという立場に立ちまして、国家資金のウエートをかけていかなければならぬ部面もあるだろう。つまり国内鉱山あるいは非鉄金属の政策課題、五つの点を挙げたわけですけれども、その中で民間にゆだねるべきもの、それからいろいろなリスクを国家が背負っていかなければならないもの、こういうように整理をしていく性格を持っているのではないだろうか、こういうように私なりに、これまで五回ばかりこの委員会で質問をさせていただきながら考えているわけです。  野田次官、いま私が申し上げたような観点から、どういうように御判断になってこれからの金属鉱業政策あるいは国内鉱山の育成強化というものについてお考えになっているか、最初にお伺いをしたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 ただいまの鉱業政策に関する後藤委員の大変造詣の深い御指摘、まことに私も率直に申し上げて同感であります。  若干つけ加えますならば、さらにもう一つ困難な状況、御承知のとおり非常に電力多消費という部面が強いわけでありまして、そういった意味で、別にそういうコスト面の経営に対する非常な悪影響、こういう問題が発生してきておる。こういった、ただいま御指摘ございましたもろもろのことから、日本の鉱業政策というものがきわめてむずかしい状況に立ち至っているということは御指摘のとおりであります。そういった中で、あくまで民間の活力をどうやって最大限に生かしていくのか、そしてまた国としてできる部面といいますか、国の果たすべき役割りというものはどういう方法、どういうやり方でやっていくのか、そこの交通整理をしていかなければならぬ、この御指摘もまことにそのとおりだと思います。  探鉱の重要性あるいは価格安定政策、あるいはナショナルセキュリティーからの備蓄の問題、あるいは鉱害防止に対する対策あるいは海外鉱山の開発の問題、いずれもまことに御同感だと思います。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 次官から、特に電力多消費産業ということもつけ加えていただいたわけでございますので、後でまたその点についても触れてみたいと思うわけですが、いまのように整理した中で、最近の金属鉱業というものが、あの五十三年当時、この委員会におきましても緊急対策を打ち出して緊急融資基金制度等も設立をしたわけでございますが、私は、基本的にはあのときから現在の状況はそんなに大きく好転はしてないように思うわけです。  そこで、これから御質問を申し上げる前段として、最近の鉱山あるいは製錬等の実情がどういうようになっているのか、最初にお伺いをいたしまして、各論に入っていってみたいと思いますので、長官からひとつ最近どのように把握されておられるか、お伺いをしたいと思います。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 大変な大不況でございました昭和五十三年と比べまして、いまの状態がどうなっているかという御質問でございますが、基本的には、私も後藤先生の御意見と全く同感だと思っておりまして、五十四年の下期から五十五年の上期にかけましてかなりな回復があったわけでございますけれども、その後再び低迷を始めまして、たとえて申し上げますと、銅について申し上げますと、現在の価格が四十二万円という状況でございます。ピークのときは、五十五年の上期でございますけれども、五十三万までいっておったわけでございますが、それが現在四十二万円程度に落ち込んでおるということでございますし、鉛につきましても二十八万九千円のピークに比べまして、現在は十八万円という状態でございます。それから亜鉛につきましても二十万六千円が現在は十九万七千円という状況でございまして、市況商品でございますので、どうしてもそういった国際的な波をかぶりやすい性格のものでございますし、いま御披露いたしましたような数字の状態から考えますと、非鉄金属の経営は大変苦しい状態に立ち至っておる、こういう基本的な認識を持っておる次第でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 野田次官にお伺いしたいんですけれども、先ほど次官に、電力多消費をつけ加えていただきました。特にアルミニウムと同じように、先ほど長官からも御指摘がございました亜鉛、こういうような精錬はほとんどが電力のかたまりのようなんですね。電力はそれなりに料金の値上げ理由があったわけです。しかし、電力は御承知のように総合原価主義、それぞれのコストアップ部分が料金にはね返るような制度になっている。ところが、悲しいかな、精錬関係は仮にかけてもいいのですけれども、売れなければどうしようもないわけですから、企業努力は相当しているようですけれども、あの大幅アップでコストの中に吸収できないのですね。そのために、特に亜鉛等については操業率が六〇%台というようなところまで落ち込んできている。これがこれからの国内鉱山あるいは精錬関係におきましても非常に大きな危機になってきている。  この電力多消費産業である非鉄金属関係の精錬に対しまして、一体どういう対策を講じていけばいいのだろうか。電力の方は、いまのように全部コストアップ分が料金に転嫁できる。片一方はできない。ほかのインダストリーの場合は、やはりある程度やっていくわけですね。ところが、こちらの方は非常にむずかしいという問題を抱えているわけです。なるほど、夜間余剰電力を使うとかいろいろな制度はありますけれども、それがどうも間に合わない。あるいは自家発電を建設すればいいじゃないかということですけれども、最近は立地難ということもあって、地熱等の研究もされているようですけれども、地熱にしても、あるいは自家発、水力の開発にしても、どうもかつてのように低コストでこれをエネルギー源にすることは非常にむずかしい。一体どういうようにしたらいいだろうか。そのままぶっかけていって、倒れるものは倒れていく、これはやむを得ないというような形にしていくのか。先ほど私が、国内鉱山の問題について幾つかの政策課題を提起いたしましたけれども、そういう観点からすると、そこに政策的な対策というものが講じられなければならないのではないかという気がするわけですけれども、次官、いかがでございましょうか。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 ただいま御指摘の点、まことに、私も実は個人的に非常に悩んでおります。  しかし、御指摘のとおり、電気料金は総合原価主義あるいは公平の原則、やはりこの柱を崩すということになりますと、これまた収拾がつかない形になりましょうし、いろいろな産業分野にも波及していくことはもう目に見えているわけであります。やはりこの枠の中で何とかそれぞれ知恵を出していただいて、御指摘ありました需給調整契約、あるいは夜間であるとかあるいはピーク時を外すような、負荷のピークを外すような形で、できるだけ安い料金で、いまの枠の中で配慮できるようなやり方をいまやっていただいておるわけであります。  しかし、長い目で見て、本当にどうなんだろうかという心配は、私どもも脳裏から離れません。ただ、基本的にはやはり合理化を重ねていただいておりますけれども、さらに一層努力もしてもらいたいし、アルミ精錬あるいは亜鉛、こういった精錬部門だけでなく、鉱業政策全体として言えば、あるいは探鉱に対する助成であるとか、各種の価格面についての制度であるとか、いろいろな形で措置を講じて何とか生き延びていってもらいたい。そして、これは国際市況と非常に密接な関連があるわけでありますから、そういうときに、何とか地力を回復してもらうように努力を重ねてもらいたい、そういう願望を持っておるわけであります。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 確かに総合原価主義を外していくことは、いまの制度の上からいきまして非常にむずかしいと思います。ただ、このことによって、本来生き得べき製錬なり国内鉱山が、みすみす、まだ鉱量もある、ある程度の政策的支えさえすればいわゆるナショナルセキュリティーに対しても十分に貢献し得るという鉱山がいま苦労しているわけですから、政策的課題をぜひひとつ追求していただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、緊急融資制度ですけれども、この緊急融資制度の発動価格につきまして、特に鉛と亜鉛が関税の無税点が四万円引き上げられているわけです。ところが銅が見送られているわけですけれども、この点は一体どういうように考えたらいいのでしょうか。森山長官は予算委員会で、この発動価格についてはひとつ検討すべき時期に来ているように思うという趣旨の答弁をされたやに承知をしているわけですけれども、この発動価格の引き上げにつきまして、金額なりあるいは実施時期等も含めて具体的にどのような作業段階にあるのか、この点をお伺いをしておきたいと思います。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 まず、いまの御質問にお答えする前に、先ほど私が答弁申し上げました最近の銅、鉛、亜鉛の価格につきまして、それぞれピークと申し上げましたが、年間の平均の数字でございまして、間違っておりまして、まことに失礼いたしました。  いまの御質問につきましては、確かに予算委員会で私も、そろそろ緊急融資の発動価格を改定すべき時期に来ておるというふうに申し上げたわけでございまして、その後鋭意財政当局と意見のすり合わせをやっておる最中でございます。したがいまして、いまこの段階で、この席で幾ら幾らでセットするということを申し上げにくい段階でございますが、せっかくの御質問でございますから大体の考え方を申し上げておきますと、現在の価格、先ほど申し上げました価格、これが直ちに発動できるような趣旨で改定を急いでおります。  タイミングにつきましては、まだちょっと申し上げる段階ではございませんが、少なくともいまの価格で発動できるような基準に価格の引き上げを図りたいということで努力をしておるという状況でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 ぜひ発動価格の引き上げ等について実情に、実態に合うように、せっかくの鉱山を殺していかないように配慮しながらの検討を進めていただきたいと考えております。  次に、減耗性の鉱山ですから、当然探鉱というものを進めていかなければならない。もちろん、それぞれの企業努力によって探鉱をすることは当然でありますけれども、数少ない国内資源を開発していくためにはどうしても国の助成に頼らざるを得ない。最近行革が大変フィーバーという状況になっているわけですけれども、私が冒頭申し上げたのは、もちろん行政改革をしていかなければならない部面というものは確かにあるわけです。これは英断を持ってやっていくべきだと思います。しかし、同時に国内資源の開発、探鉱につきましては、これまた国の政策として取り組んでいかなければならない。それが最近はどうも頭打ちになってきている。後ほどまた申し上げてみたいと思うのですけれども、どうもこういった助成が十分ではない、しかも国際価格の乱高下に振り回されていく、採掘条件もよろしくないということで、最近は脱国内鉱山のような傾向も出始めてきているわけです。あるいはせっかく鉱脈を確保しておりましても、抜き掘り的な形で、より品位の高いところだけ掘っていって、あとはちょっと品位が悪いところはそのまま捨ててしまうということになりかねないわけですから、ぜひひとつ減耗産業であるということを十分踏まえて、探鉱のための助成策というものを一体これからどういうように考えていくか、行革は行革として、この点を政府の基本的姿勢としてどのようにとらえていくのか、これは次官からひとりお答えをいただきたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 探鉱ということが特に金属鉱業にとりまして非常に基礎的に大事な分野であるということは、私どもも十分認識をいたしているつもりであります。今日まで大きく分けて、御承知のとおり、三段階の探鉱に対する施策を講じているわけでありまして、広域調査あるいは精密調査、そしてまた企業探鉱、それぞれの段階においてあるいは予算面で助成措置を講じているわけであります。  現在の水準で十分かと言われれば、私どもとしてはまだまだやりたいと思っておりますけれども、御指摘のとおり非常に財政上の制約もこれあり、先生方の御理解をいただきながら、いろいろな制約はあるけれども、何とかこの重要性ということにもっともっと国民みんなが御理解いただいて、そしてまた議会も御理解をいただいて、関係当局とも鋭意折衝努力を積み重ねてまいりたい、こう考えておるわけであります。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 減耗産業であるし、それから有用な地下資源を開発確保していくという観点からこの問題はぜひ取り上げておいていただきたい、このことを強く要望を申し上げておきたいと思います。  それから、五十二年のあの非常に困難に陥ったときに、商工委員会も駆け足で秋田の鉱山地帯を調査に行ってまいりました。そして、いわゆる休廃止鉱山対策というものを確立をしたわけです。私は、あの当時その調査にも参加し、またその後の審議にもかかわりまして、国内鉱山が特に休廃止した場合の坑廃水の処理、これは自然汚染と他人汚染とそれから自己汚染というものが果たして分離できるのだろうかということを、実は大変心配をいたしておりました。  ところが、幸い審議会等の努力によりまして、これがほぼ自然汚染と他人汚染とそれから自己汚染というものの分離ができる、分離ができるならば、自然汚染のところまでこの休廃止した鉱山が未来永劫坑廃水処理の責任を負うということはちょっと酷ではないか、あるいは長い歴史の中で他人汚染の分も背負っていくということは大変酷ではないかということで、この休廃止鉱山の坑廃水の対策助成というものが確立された。非常に財政難の中でこの問題に取り組めたということは私は敬意を表するわけですけれども、そのときに、当初は二分の一の補助金の構造であったわけですが、現実には三分の一になっている。財政難の折ですから大変むずかしい問題はたくさんあると思いますけれども、鉱山対策の重要性という観点から、これは立地公害局の方にお聞きすべきかと思いますけれども、この国の助成をもう少し引き上げていくという段階に来ているのじゃないかという気がするわけでございますけれども、この点いかがでございましょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 鉱山関係の坑廃水につきましては、先生御承知のように、事業活動を終えても汚染水が流出し続けるというようなこともございまして、国会の申し入れあるいは審議会の建議等もございまして、先ほど御指摘がございましたように、今回初めて助成措置を設けたわけでございます。昨年末も大変むずかしい状況であったのでございますが、幸いにいたしまして先生方の御支援もございまして、とにもかくにも今回発足いたしまして、現在その発足のための準備をしているところでございます。  そこで、来年度の問題につきましては、現在まだ具体的な数字等を検討しておりませんし申し上げる段階ではございませんが、先ほど来次官の御発言にもございましたように、大変財政難という問題を重く抱えていることをわれわれ十分認識しておりますが、いずれにしましても、できるだけ予算を確保していくということで努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 その検討をさらに進めていただきたいと思います。  次の問題は備蓄制度でございますけれども、これは四月の三十日の日経でしょうか、戦略備蓄増強へ米欧が動くというような見出しで、特にレアメタルといいますか希少金属に対する戦略備蓄、どうもレーガン大統領の冷戦への逆戻り的発想に少しあおられている面があるかと思いますけれども、そのことは抜きにいたしましても、わが国の備蓄制度というのは輸入安定化のための備蓄制度、滞貨融資制度的な色彩が強い。これに対して、特にベースメタルであります銅、鉛、亜鉛とあわせて希少金属、タングステンだとかプラチナだとかコバルトだとか——プラチナ等は日本にはないわけですけれども、こういったレアメタル等に対しても、それからベースメタルに対しましても、単なる滞貨融資的な色彩を持った備蓄ということを超えた経済安全保障という観点からの備蓄制度というものをこの辺でやっぱり確立をしていくべきではないか。ナショナルセキュリティーということはしょっちゅう聞くわけですけれども、そのナショナルセキュリティーを担保していく備蓄制度になっていないように私は思うわけです。そういう意味で、緊急融資制度と連動させた備蓄制度の抜本的な考え方をひとつこの辺で確立をしていく必要があるだろうと思いますが、長官は四時から何か参議院の方へ行かれるようでございますので、この点だけひとつ長官にお答えいただきまして、あと向こうへ行っていただいて結構でございます。

森山信吾資源エネルギー庁長官

○森山(信)政府委員 現在の備蓄制度は五十一年に創設されたわけでございまして、たまたま私が資源エネルギー庁の次長をしておりまして、この備蓄制度に一生懸命やったことを思い出しておるわけでございますが、いま御指摘のとおり、鉱業政策の一環といたしまして実施した制度でございます。  これは先生よく御承知のところでございますので私が云々するまでもございませんけれども、ただ、いまおっしゃいますように、ナショナルセキュリティーという観点から考えますと、いまの備蓄制度が果たして十分に機能し得るかどうかという点につきましては、大いに疑問のあるところでございます。したがいまして、現在私ども、総合安全保障という観点から経済の安全保障上、非鉄金属、レアメタル、こういったものにつきましての備蓄をどういうふうに考えていったらいいかにつきまして十分検討しなければいかぬという段階に来ておりますけれども、これも大変むずかしい問題をはらんでおるところでございますので、そういう問題点を一つ一つ究明しながら御指摘のような方向で進んでまいりたい、こういうふうな気持ちを持っている次第でございます。     〔辻(英)委員長代理退席、梶山委員長代     理着席〕

後藤茂日本社会党

○後藤委員 長官、結構です。  次官、ちょっと先ほども長官からそういうお答えをいただいたわけです。この新聞の紹介等を見てみますと、西ドイツは半官半民の備蓄協会、あるいはスウェーデンは経済防衛備蓄の増強、あるいはフランス等も非鉄金属を中心とする国家安全備蓄の確立、アメリカはもちろんそうですけれども、こういうようにそれぞれが、レアメタルが中心になっておるようですけれども、非鉄金属に対しまして、備蓄に対しては非常に真剣に努力している。  ある本を読んでおりますと、鉱物資源を世界が本格的に開発し始めてたかだか約二百年ぐらい、もっと前からもちろんあるのですけれども、そのうち一九五〇年ぐらいまでで半分使っているのだそうですね。あとの三十年で半分消費しているというのです。この速度でいきますと、特に南ア等については相当有用な資源があるわけですけれども、ちょうど石油と同じように、それ以上にこうしたベースメタル、レアメタルの資源枯渇という問題も起こってくるだろう。  あるいはまた、先ほど私、冒頭申し上げましたように、大変乱高下の激しい国際商品ですから、これに対して経済安全保障の観点から、いまのように西ドイツなりアメリカなりあるいはスウェーデンなりフランスなりが検討し、追求し始めている立場に立って、備蓄基金のための制度というものをぜひ確立していく段階に来ているのじゃないか。いま直ちにこれをつくりますということはむずかしいかと思いますけれども、ぜひひとつ積極的な検討課題にしていくべきじゃないかと思いますが、次官、いかがでしょうか。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 私どもも、ただいま御指摘のございました問題意識は十分持っておるつもりでございまして、御承知と思いますが、産業構造審議会の中に経済安全保障小委員会というものをつくっていただきまして、そういった問題も含めてひとつ積極的に検討していこう、こういうふうに考えているわけであります。やはり、ほかに代替することができないような金属特性を持っておるそういうレアメタルについては、先行き御指摘のような不安もあるわけでありますから、この際ナショナルセキュリティーという観点からぜひその方向で検討を進めてまいりたいと、現在検討中でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 そのレアメタルの件につきまして、特にプラチナ等は日本にはないわけですけれども、マンガンとかタングステン等は幸いまだ、鉱量は豊かではありませんけれどもあるわけですね。こういう鉱石を開発しているところがほとんど中小鉱山というようなことで、資金力もない、ちょっと市況が悪いとすぐに閉山しなければならぬというような状況にあるわけです。  私は、こういうレアメタルに対しましてもっと積極的な対策と、それからもう一つは、この前も言ったことがあるのですけれども、たとえば北海道の下川鉱山等は銅単味鉱山ですけれども、それにコバルトが若干随半するのですね。ところが、このコバルトの分離ができない。コバルトというのは非常に高価な希少金属ですから、もし分離技術等が開発されれば大変有用な金属になるわけですけれども、こういうところがいままだそれだけの技術が開発されていない。研究投資についてはもっと積極的にやっていく、そしてこうしたレアメタルの国内に賦存しているものについては、これを有用な資源として採掘できるような、こういう技術開発に対する投資はぜひひとつ積極的にやっていただきたいと思いますので、この点もあわせてお聞きをしておきたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 国内でとれますそういった希少金属につきまして、御指摘のとおり、マンガンあるいはタングステンあるいはモリブデンなんかがあるわけでありますが、その重要性から、マンガン鉱あるいはタングステン鉱、これを引き続いて五十六年度においても関税割り当て制度の対象としたわけでありますし、同時に広域調査あるいは精密調査の五十六年度の新規対象という地域として、マンガンについては積丹、北海道ですが、それからタングステンについては錦川、この地域を選定をしたわけでございまして、できるだけの支援措置を今後も講じてまいりたいと考えているわけであります。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 時間があとわずかになってまいりましたので、あと二点ばかりお伺いをしたいわけですが、一つは、先ほどの海外鉱山の開発、これはカントリーリスクが大変高い問題を持っているわけですけれども、これに対しての積極的な対策をぜひひとつ政府も考えていくべきではないか。特に、いろいろな意見を聞いておりますと、輸銀の融資やあるいは経済協力基金、あるいは金属鉱業事業団等の投融資等も受けるわけですけれども、これが最近の為替の変動等で非常に為替リスクをかぶるのですね。だから、ドル建てでやってもらえぬかというような意見があることをどのようにお考えなのか。  それからもう一つは、海外の鉱山を開発していく場合に何よりも大切なのは、やはりその技術の学校であります国内鉱山というものをなくしてしまったのでは、海外鉱山の開発はできません。したがって、その技術の学校であります国内鉱山というものをぜひ大切にしていただかなければならぬ。そういう観点に立ちますと、諸外国に比べて日本の鉱石の品位というものは実はそんなに低品位ではないわけですね。ただ採掘条件が悪い。諸外国の場合には露天掘り等の採掘条件が比較的いいために、品位が日本に比べて相対的に悪くてもコストが合う。ところが日本の場合には、品位は外国に比べて高いのですが、採掘条件が悪いためにみすみすこれは低品位鉱として開発を放棄しなければならぬということに追い込まれていくわけです。こういった、つまり低品位鉱に対する積極的な開発、活用策というものも、これまた一つの政策課題としてぜひ留意をしていただきたい、このように考えているわけですけれども、具体的な施策をどう考えておられるか、長官がいなくなったので次官にお聞きして大変恐縮でございますけれども、その具体策についてお伺いしたいと思います。なお、鉱業課長から御答弁いただいて結構でございます。

山梨晃一資源エネルギー庁長官官房鉱業課長

○山梨説明員 お答えさせていただきます。  先生おっしゃいますように、国内鉱山というのはいずれにしてもシェアが一〇〇%というわけにはまいりませんので、海外からの供給を今後とも主たるソースとして考えなければ、わが国の資源供給というものはできないわけでございますから、そういった意味で海外の資源開発といったことを非常にわれわれも重視しているわけでございまして、これは従来から積極的に施策を進めているわけでございますけれども、海外の探鉱ないし開発を進めるに当たっては、先生もおっしゃいましたように、国内にそういう技術養成の場というものがなくなりますと積極的にやろうとしてもできなくなります。そういった意味で、国内資源のあるうちはと申しますか、なるべく有効利用するように供給源の維持を図っていきたいということで国内の鉱山対策もやっているわけでございますし、そういった意味で探鉱助成を中心といたしました各般の施策を実施しているところでございます。  先生御指摘の為替リスクの問題につきましては、輸銀等に外貨貸し制度というものが全然できないということではございませんで、制度上はこれはあるわけでございまして、具体的な案件が出てきたときに私ども積極的に検討を始めたいというふうに考えているわけでございますが、残念ながら、現在そういう具体例がまだ出てきているところに至っていないというのが現状でございます。  それから、なお一言つけ加えますと、探鉱資金につきましては輸銀、基金の対象にしていただけませんで、これは金属鉱業事業団の方で融資制度がございまして、一括して貸しているということになっております。  それから、低品位鉱床というお言葉がございましたけれども、国内鉱山は同じ品位であっても比較的規模が小さいということと、地表から深いといったようなことが、端的に申し上げますと、海外の鉱山に対して非常に不利な条件になっているということは御指摘のとおりでございますけれども、こういった不利な条件を克服して少しでも新たな探鉱開発が進められるように、既存の鉱山につきましても民間の自助努力を前提としてはいるんですが、その安定操業に資する措置を今後とも積極的に進めてまいりたい、これは技術開発も含めまして積極的に考えていきたいというふうに考えている次第でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 最後に一点だけ、特恵関税制度です。  これは、私も毎国会御質問申し上げるのですが、特に五十四年度ではシーリング枠があるのに五十二倍も銅地金が入ってきているわけですね。このことが大変混乱をさせてきているわけですが、五十五年度は一・二倍ぐらいですからまあまあ正常というべきか、それほど問題を起こしていなかった。五十六年度はお聞きしますと、まだはっきり最終的な整理はできてないようですけれども、六倍ないし七倍ぐらいある。せっかくこのシーリング枠があるのに、どうも通関手続をとって整理してみると、大変な銅地金が入ってきているということを聞くわけでございますけれども、五十六年度は一体どういうようになっているのか、あるいはまた、来年度以降はこの特恵関税制度は一体心配はないのかどうか。これからの取り組みにつきまして最後にお伺いをしまして、時間が参りましたので、あと今度の雪害で幾つかの鉱山が大変な苦境に陥ったわけです。これは、鉱山にはどうも具体的な雪害対策が講じられていない面があるわけですけれども、これもひとつ実情を調査しまして、制度的な対策をぜひ講じられる道を考えていただきたいということを要望として申し上げておきまして、ちょっと特恵関税制度についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

山梨晃一資源エネルギー庁長官官房鉱業課長

○山梨説明員 銅地金につきましては、特に五十四年当時集中的に特恵輸入されまして、国内産業に大きな影響があったことは御指摘のとおりでございます。五十五年度につきましては、当時無税点を超えるような高価格でございましたので、平穏に過ぎたというのが過去の実情でございます。  ことしにつきましては、シーリング枠を四、五倍程度超えた数字で約三万トン程度に落ちつくのではないかと思っております。この程度でございますと、事実上は一昨年と比較しましても、たとえば在庫水準が非常に低いといったような現状もございますので、今年度はそれほどと申しますか、需給に影響を及ぼすような数字ではなかったというふうに判断いたしております。  なお、来年度以降も、ことしのように国内産業に影響が出ないように今後とも必要な措置をとり続けていきたいというふうに考えている次第でございます。

後藤茂日本社会党

○後藤委員 終わります。

梶山静六自由民主党

○梶山委員長代理 横手文雄君。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 私は、現在絹織物業界が大変な苦境に立たされており、しかもこの不況の度合いはますます深まりつつある現状にかんがみ、この原因を究明しながら、そしてそれを除去し、将来展望をどうやって切り開いていくか、あるいは当面の不況を乗り切るために緊急避難政策は何なのか、それを確立をしていく、こういった前提に立ちまして幾つかの問題を提起しながら、政府が適切な処置をとられんことを期待をしつつ、御質問を申し上げる次第であります。  まず、わが国の絹業界が世界の市場で競争していく力をつけていくためには、原糸の価格問題があり、この問題を避けて通れないという問題があるわけであります。つまり、生糸の一元化輸入問題、繭糸価格安定法に基づく蚕糸事業団の問題等であります。生糸の一元化制度を確立し、わが国の養蚕業者を保護していく、これによって生産者の価格を保障していく、このことは大事なことでございましょうし、このことのために事業団が今日まで役割りを果たしてきた、その目的は大いに達成をしてきたように考えられますけれども、一方では業界に対して大きな問題を提起してきた、しかもこの事業団そのものも今日では過大の在庫を抱えてしまった、こういう大きな問題があるわけであります。したがって、こういった蚕糸事業団、生糸の一元化輸入、こういうことのために、一方では蚕糸事業者を守るために輸入糸の実需者割り当てを行ってこれを保護していくという方針もあるわけでございますが、これが現在機能されていない、ここに大きな問題があるというぐあいに私は考えるわけであります。世界の標準糸価の倍ぐらいの糸を使って、そして製品は国際競争の中で争っていかなければならないということは、これはもう絹業界が不況に陥っていくというのは明らかなことであるというぐあいに考えるわけでございますけれども、こういった現状認識と、その対策についてまず次官のお考えをお聞きしたいと思います。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 横手委員御指摘のとおり、現在絹業界、そしてまた蚕糸業界、みんなが大変な辛酸をなめておるわけでございます。基本的には、国民の需要構造が変わってきたということが大きな原因だと思います。その中で、少なくとも綿製品の最大の市場であります日本の需要動向というものが非常に大きく影響を与えていることも確かであります。そういう厳しい需要環境の中で絹業界の皆さんが必死の思いで合理化努力をされる、しかしながら一方で高いコストの糸を使わなければいけない、二重の苦しみの中で呻吟をされておる、毎年機屋さんの倒産が出てくる、非常に深刻な状況であると思います。  私ども、こういった深刻な状況をどうやって打開したらいいのかということで、どちらかだけがよければそれでいいというものではない、できることならば養蚕農家も絹業家も両方が立っていくようなやり方が何かないだろうかという狭い選択の中で、御承知のとおり生糸の輸入一元化措置を決め、そしてそのしわ寄せを一方的に絹業家にだけ押しつけるのであってはならないということで、実需者割り当てという制度をつくったわけでございます。  しかしながら、今日予想したよりもなお糸価が低迷しておる、そういう状況の中で、すでに実勢糸価は下べそ価格を割ってしまっておる、そのために実需者割り当てもこれを放出できない、事業団は在庫をどんどん抱えてしまう、こういったありさまの中で実勢糸価は相変わらず低迷をしております。そういう環境の中で、本来であれば三月末に決まります基準糸価、これも今日まだ決まっていない状況でございますし、先行きの価格に対する不安、こういったような環境から、絹業界の中においても非常に苦しい状況が今日現出しておる、こういうことも私どもも十分認識をいたしておるつもりでございます。  これから先生方にもいろいろ御指導いただきながら、どういうやり方をするのが一番みんなのプラスになっていくのかということをさらに真剣に努力を積み重ねて、改善策を講じてまいりたいと考えているわけでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 お答えいただきましたように、この一元化輸入によって絹業者に一方的にしわ寄せをしない、その一助として外国からの輸入に対しても規制をする、一方では輸入生糸にわずかの経費を上乗せをしたいわゆる実需者割り当てを行っていく、こういう制度があるわけでございますが、これが機能しない、ここに大きな問題があるという御指摘であります。そして、何とか新しい方法を考えていかなければならないのだ、こういうお話でございます。  しかし、それは先般私が予算委員会における分科会で御質問を申し上げたことでございますけれども、今日までの商工委員会におけるこの問題に対する質疑の中で、政府の答弁は一貫してそのことを繰り返し述べておられるわけであります。養蚕業者も立てなければならない、そして絹業者も立てなければならない、何かいい方法はないか、こういうことでわれわれは模索をしておる、こういうことが繰り返し繰り返し述べられてきたわけですけれども、それから一歩も前進しないどころか、むしろ事態は後ろ向きに後ろ向きに行ってしまっておるというこの事実、どういうぐあいに見ておられるのか、もう一遍お聞かせをいただきたいと思います。     〔梶山委員長代理退席、原田(昇)、委員長     代理着席〕

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 まことに御指摘のとおりで、私ども何と御答弁申し上げていいか、まことに申しわけない限りだと思います。ただ、基本的に、やはりある意味では農政の面においてもう少し生糸生産、繭生産について見直しというものが行われてもいいのではないかということを率直に感じております。  私ども、大変国際的な貿易慣行の中で、二国間協定という形でかなり無理なことを実は海外にもお願いをして、輸入数量の削減について大変な努力も傾けております。今後もその努力は続けなければいかぬと思います。しかし、基本的には、やはり需給の大きな崩れというものが根底にあると考えております。もちろん、供給サイドの論理だけによって事態を解決できるとは思いません。五十六年度から、わずかではありますけれども、絹製品の需要振興ということで、非常に厳しい財政難の中ではありますが、絹需要振興のための予算措置も講じていただいたわけであります。現在農林省においても、そういった生産調整に対する考え方をいろいろお出しのようでございますし、またそれぞれ各党においても特別の委員会をおつくりいただいて、具体的な措置の検討をしていただいておるわけでありまして、そういう事柄をも参考にいたしながら、できるだけ早急に、本当に抜本策というものをいま立てたいというふうに考えておるわけでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 特にこの問題は、通産省と論ずるというよりも、農林省との間に論ずべきことかもわかりませんけれども、今日のこの事業団が抱えております糸、私はもう一遍申し上げますけれども、きわめて後ろ向きに行っておるわけであります。  国内の生産高よりも国内で消費する高の方が少ないわけでございます。これでは、これはもうどんどん積み上げていく以外にない。それでは実需者割り当てというものは、法律の足かせがある以上は、これはもういつまでたっても高ねの花だ。その事実が、五十四年度における割り当てがまだほとんど行われていない、あるいは五十五年度は割り当てをしただけ、五十六年度は割り当てすら行われていない、こういう実情にあるわけでございます。  通産省にもたくさんの業界からの陳情が出ておると思いますけれども、業界の皆さん方にしてみれば、実需者割り当てをつくることによって絹業界の皆さん方にしわ寄せをしません、こういう約束をされたじゃないか。そして、われわれはその約束を守ってくださいと何遍も何遍も陳情した。そのたびに通産省としては、わかった、こういうことで、それでは具体的にどういうことをしてもらえますかということを聞けば、通産省、農林省、大蔵省、三者の間で実需者割り当ての円滑な放出を図るということを合意をした、あるいはこれは閣議決定もした、こういう御説明をいただいた。そして政府がその方向を向いたということであれば、これを信用しようということで、待てど暮らせどそれが行われていない。こういった、大げさに言えば国家に裏切られたという業界の皆さん方のお気持ちに対してどうおこたえになるのでございましょうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘の中で、国内生産よりも需要が小さいというのは若干事実と違いまして、需要の方は国内生産より多うございます。一定量の輸入をもって、輸入をコントロールしながら全体の需給をとろうとしていますけれども、それがなかなかうまくいかないということが現下の困難でございます。  いまおっしゃいました実割りの問題でございますが、通産省も農林省もいろいろ工夫はいたしまして、御承知のように昨年の暮れには便法といいますか運用の弾力化を図りまして、一月、二月と千俵ずつでも出すように運んだわけでございますが、御承知のようにさらに糸価が低迷してしまって、三月以降動きがとまってしまった、こういう事情でございます。  われわれの方は、何とか弾力的に出せるように絶えず検討し要請もしておりますけれども、当面は御承知のように基準糸価問題というものもありまして、むしろ政府、農林省といいますか、基準糸価を下げてそして実割りが出るような環境をまずつくってみよう、そして同時に、次官が申し上げましたように、国内の生産についての調整機運も出そう、そういうことで国内の生産も調整していただく、基準糸価を上回るような状況にして実割りも出して事業団の在庫も放出する、そして需要の振興を図る、それから輸入の調整をさらに努力するということで、いままでは確かに悪い方の循環へ回っていたわけでございますけれども、こういう問題を機会にいい方の循環に何とか持っていこうと、いま具体的に努力しているところでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 局長の御答弁の中で、国内生産よりは国内引き渡しの方が高い、輸出を入れるとこれは別でございます、こういうことでございますけれども、ここに一覧表がございます。去年の六月からその現象は逆転をしておるのであります。わずかにことしの一月と二月だけは、確かに国内生産の方が多少低うございますけれども、三月にはまた逆転をいたしております。これは御答弁の誤りだと思いますが……。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 お答え申し上げます。  おおよその数字でございますが、たとえば五十五年を例にとりますと、大体需要は生糸換算で三十五万俵ぐらいございます。生産が大体二十五万俵ぐらいでございます。十万俵というのは製品なり生糸にして輸入しておる、こういうことでございます。したがって、年度間バランスをとりますと、織物も全部突っ込みの生糸換算総需要に対して国内供給量の方が相当少のうございます。それは間違いございません。多分、先生のお手持ちの資料は、地区別の国内生産量と引き渡し量の差を言っていらっしゃるのだろうと思いますが、これは結局、それ以外に需要がないということではございませんで、国内でつくったものがそれ以上に売れればいいわけですが、いまそれを下回っている事態があるということでございまして、全体の需要が国内の生産よりも少ないということではございません。ちょうど生産者在庫がやや積まれておるというふうに御理解いただければいいのです、その数字自体は。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 数字の突き合わせだけをやっておりますと時間がたちますので、後ほどまた、私のこの資料の見方が悪いのかどうか、ひとつお願いをいたしたいと思います。  そういうことで、今日の絹業界の皆さん方の最大の要望は、実需者割り当てを約束どおり出してもらいたい、この声が非常に強いわけでございます。それは幾つかの要素があろうと思いますけれども、いわゆる十二条の十三の三の二項あるいは三項、こういったところで足かせがつくられる。したがって、出そうとするけれども法の規制があって出せない。したがって、先ほど御指摘のように基準糸価を下げていかなければならない、こういうことでございますけれども、当面その見込みがないというようなことであるとするならば、この条項に、業界の皆さん方が要望としても繰り返し出しておられるように、第十二条の十三の二に「ただし、政令で定める特別の事情がある場合」と、こういったことで弾力的な運用をしてもらいたいということが繰り返し述べられておるわけでございます。  私は、先ほど申し上げましたように、過般の予算委員会の分科会における質問の中でもそのことを申し上げてまいりました。そして、田中大臣、最後に次のとおり御答弁をいただいておるわけであります。「私どもは、業界の発展こそ願うものでございますので、そういうふうに、御指摘のように、手かせ足かせをやっておる現実ならば、これを撤廃するように一生懸命努力していきたいと思います。」このように述べておられるわけでありますが、この決意があるとするならば——私は、蚕糸事業団のすべてを壊してしまえということではございません。せっかくつくった両方の肺があるわけでございますので、片一方の肺は機能をしておるけれども、片一方の肺は全く機能していない、しかも通産省管轄の方の肺が全く機能していないという事実の上に立ってこの大臣答弁がなされておるわけでございますが、もうここら辺でもう少し突っ込んだ政策といいましょうか、業界の皆さん方の期待にこたえるような姿勢というものを打ち出してもらわなければならないというぐあいに考えるわけでございますが、いかがですか。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 お答え申し上げます。  確かに生糸、絹織物をめぐる情勢というのはいろいろな制約がありまして、本来自由な経済になじむこういう商品について、それがいろいろな意味の障害になっているということはもう疑いを入れないところでありますが、次官からお答え申し上げましたように、養蚕農家対策ということとのバランスをどこにとるかということで政府としては苦労しておるわけでございますが、実需者割り当てにつきましても、先ほど御答弁申しましたように、あえて申し上げれば、確かに、基準糸価にかかわらず特別な事情がある場合は政令で定めるところによって放出できるという条項があれば、一つの方法だとわれわれも思います。  ただ、あえて農林省サイドと申しますか、一つの見方を申しますと、とにかくもう基準糸価制度というもので支持価格制度をとっているわけでございまして、これが先生御承知のように非常に微妙な市中相場を形成しておるわけでございますので、基準糸価が下がっているような状況でもさらに放出いたしますと、どこまで基準糸価が下がるかわからぬという不安がつきまとうことも事実でございます。  そこで、いま政府で考えておりますのは、とにかく基準糸価制度という根幹を何とか守るということも、これはある意味では、絹業も含めてコンフィデンスといいますか、先行きに対する安定というのもやはり——安いのも大事ですけれども、同時に安定性というものも、どうも聞いてみますと、絹織物業界も含めて大事なようでございます。そういう意味で、安定性を確保しながら実割りというものをやるためにはどうすればいいか。そうすると、一つの解というのはやはり基準糸価を下げることである。そうしてそれによって需要の増大、生産の抑制というものを図り、さらに輸入の方も抑制することによって需給バランスをとっていく、そして基準糸価を上回る状況にして市中相場ができて、そしてはかしていく。  これは率直に言いまして、先生御承知と思いますが、政府といたしましても、先生冒頭に御指摘いただきましたように事業団在庫が十四万俵ある、これは金利、倉敷からいっても、この財政難の折、大変な金額でございまして、しかもそういうお金の問題とは別にこれが全体の地合いを悪くしておる、非常に信頼感を失っておるということも事実で、われわれとしても何とかしてこの事業団在庫をはかしたいという思いは、農林省も含めて非常に強いことでございます。  そのためには、まず第一に実割りをやらしたいということが最優先課題になっておりますので、そのためにも、るる申し上げましたようにいろいろな壁があるものですから、この際の一番いい方法は、基準糸価を下げて全体の回転をいい方へ持っていくということにかけようじゃないかというのが、まだ必ずしも全般の御了解はいただいておりませんけれども、政府としての方向でいま鋭意努力しておる、かように考えていただきたいと思います。  それで、もしこれがうまくしない場合にはまた第二段のことを考えなければいけないということでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 いまお答えいただきましたように、そういう努力をしていただかなければならないし、通産省として一番むずかしいところだろうというぐあいに思いますけれども、業界の皆さん方から見れば、先ほども申し上げたように、この事業団の設立のときに養蚕業者も守るという一つの肺をつくった。しかし、これだけでは業界が大変なことになるからもう一つの肺をつくって、そして、これは実需者割り当てということによって絹業者を守りますということで飛び出したのに、片一方の肺が機能しなくなった、しかもそれが通産管轄の方の肺が機能していないということは、これは事実だと思うのです。これでは業界の皆さん方が、これはもうむずかしいこともあるんだろう、努力しますということを繰り返し言われる、しかし幾つかのかきねがありますということを指摘をされますけれども、そのかきねを取るという努力を今日までされなかったじゃございませんかと、こういう不満が非常に強いわけです。  したがって、当面この基準糸価あるいはその市場相場というものに期待ができないということであれば、もう機屋さんもだめになってしまう。機屋さんがだめになったところで、世界市場の二倍の糸をどこの国も買ってくれるはずがない、これは事業団も一緒に崩壊をしていく、その前に何とか手を打ってくださいということを言い続けてこられたわけでございますし、通産省としてもそのために努力をしますということを今日まで約束をし続けてこられたわけでございます。いまちょうどその基準糸価の問題について微妙な段階でございますので、これ以上の発言はおきますけれども、どうかそういった点で、ひとつ積極的な打開策を御期待を申し上げる次第であります。  かくのごとくにいたしまして、もう二、三カ月前からことしの基準糸価を下げるかもしれない、千円下げるということを農林省が打ち出したとかといううわさが出た途端に、御案内のとおり市場では荷動きがばったりととまった。その基準糸価の行方を追って品物の動きがとまってしまった。機屋さんにしても、糸の手当てをしていいのかどうか、こういうことで大変なことだ。それが延び延びになってきている。もともと弱い体質の中に、そういった荷動きがとまったというところに今日の重大問題があるわけでございます。御案内のとおりでございます。マタエ西村が百数十億の負債を抱えて倒産をしたということであります。あってはならないことでございましょうけれども、そのほかにも妙なうわさが出ておるということが言われております。  こういうことが続きますと、その連鎖反応は、これは業界にとって大きな影響を持ってまいりますし、あるいは壊滅的な打撃を与えかねない、こういうようなぐあいに考えておりますけれども、そのために、冒頭申し上げましたように緊急避難措置、こういったことを直ちにその対策を立てておく、あそこでもつぶれた、ここでもつぶれたというようなことになってからばたばたするのではなくして、来るかもわからない、そのはしりが来たということであるとするならば、今後来ても、少なくとも関連倒産に対する防御策、こういったものはいまからとっておくということは大変大事なことだと思いますけれども、次官、いかがでございますか。

野田毅自由民主党通商産業政務次官

○野田政府委員 仰せのとおり、いま非常に基準糸価の決定をめぐりまして微妙な時期にございます。これが農林省が考えておりますように、基準糸価を引き下げるというような形に決着がつきますかどうかわかりませんが、まあそういうことになりますれば、先ほど局長から御答弁申し上げましたとおり、一時的には相場は非常に暴落するかもしれない、しかしだんだん実勢というものが、また活気が出てくるんじゃないか、それに一つの期待を込めて大手術をやろうじゃないか、こういう考えであるわけであります。となりますと、事業団の在庫量もどんどんはけていくということであれば、また大変結構なことでありますし、また実割りのやりやすい環境にもなっていくわけであります。  現在のところ、昨年の二国間協定の協定数量もまだ入れていないような状況であります。先行きどうも事業団の在庫がどんどんふえるんじゃないか、こういう懸念があるわけであります。この重圧をどうやってはねのけていくのか。仮に農林省が考えておりますような基準糸価の引き下げがもしできなかったような場合には、ではどういう対策を考えるのか。当然のことながら、ただそれだけでは終わらないと思っております。  いずれにしましても、今日のいろいろな倒産の話もございます。これは機屋さんだけではない、製糸でも大分出てきておるようでもございます。その関連業者といいますか、関係者の方々が連鎖的に非常に悪い影響を受けるということのないように、従来からの一つの中小企業施策としても、もちろん中小企業の体質強化資金であるとか、いろいろな金融上の援助措置というものは効果的に適切に実施をしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 大変御心労をいただいておるようでございまして、敬意を表する次第でございますが、今日までの強化資金、そういったものによって連鎖倒産、関連倒産等についての防波堤にしていく、これで乗り切れる、こういうぐあいにお考えでございますか。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 具体的に申しますと、最大の呉服問屋を抱えており、かつ最大の生産地を抱えておる京都府の例を挙げますと、かなり低利なお金で、相当な枠で現実にいま動いております。金額の面では量的には何とか支える用意があるという状況であります。それから、それ以外の県につきましても、それぞれ体質強化資金なりあるいは県単の予算がありまして、関連の都道府県については従来の制度の活用で十分ケアしてほしいということを注意して要請をしております。  現在のところ、産地の生産状況は、ことしに入りましていま先生の御指摘のような状況で、対前年比八五%ぐらいの生産状況になっておりますけれども、確かにいろいろな意味で苦しいことでございます。  われわれの方も、でき得ればより一歩進んだ制度というものをつくりたいと思っておりますけれども、現状でもかなり低利でございますし、これ以上しますと、一種の利子補給金といいますか、そういう問題に発展いたしますので、いろいろな財政問題、他との関連その他で困難な状況がありますので、私としては、気持ちとしてはやりたいのでございますが、なかなか思うようにいかないという面でございますが、これはとにかくチャンスを見て何とか新しい金融制度といいますか、より手厚い制度というものを考える方向で検討し、努力していかなければなるまいというふうに考えておる次第でございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 ずばりということで期待をしておりましたけれども、なかなかむずかしいようなことでございます。  答弁の中にございましたように、県単でそれぞれやっております。県と国が一対一で、そうして市中銀行に預託することによって金利を薄めていく、こういうことが県単で行われておりますし、特に今回の絹業界の問題については、その県そのものも全国的に見れば幾つかに限定される、こういうぐあいに思うわけであります。したがって、いまおっしゃいましたように、何とかしなければならないのであろうかということを考えておりますということで、新しい制度の方向というものもかすかに見えるような気がするわけでございますけれども、しかし、それもいろいろむずかしいということであるとするならば、私は、現在のいろいろな制度の中に、それにもう一本突っ込んでいく、たとえば、限られた都道府県でございますので、通産省の方から特にその県については強力な指導をする、そうして県もそれにこたえていく。特にこの蚕糸価格決定をめぐって低迷をしてきた、それによって業界が大混乱をする、そういった業界に限っての融資の場合は通産省も応ずる用意がある、したがって県もがんばれ、こういうようなことで強力に指導する、こういうぐあいに解釈してよろしいわけですか。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 大筋においてはそのように解釈していただいて結構でございまして、現実に京都府でやっているのはまさにそういう例でございます。  率直に申しますと、われわれはそういうことでハッパをかけておるのでございますが、何といいますか、地元の突き上げと役人から言うと変なのですけれども、要望といいますか、熱意の強さにも比例といいますか影響があるようにも思っておりますけれども、気持ちとしては先生いま御指摘のとおりの気持ちでわれわれは努力しておるつもりでございます。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 ひとつせっかくの御努力をお願い申し上げる次第であります。  時間がございませんので、最後に一括して御質問を申し上げたいと思いますけれども、御案内のとおり、スペイン、フィリピンの青竹、赤竹問題に対して通産省は告発をされました。私も、こういった時期に悪乗りをする、しかも法律を破って日本の業界に対して大打撃を与えるということはまことにけしからぬことだというぐあいに思いますし、しかもこれはいまに始まったことではない、青竹事件というのはもうかなり前からのことでございます。この時期にこれら悪徳商社といいましょうか、そういった法律を守らないような商社に対して通産省が告発をし、司直の手にかかったということは当然のことであろうというぐあいに思いますが、業界の皆さん方から見て、特に次の三つの点についてひとつ明らかにしていただきたいということがございます。  一つは、いま通産省が告発をし、司直の手が入った、この状況についてひとつお知らせをいただきたいということが一つ。  それから、この人たちが不正に輸入をした、そして市場にばらまいた、これに対して通産省は買い戻しの指導をしておるということ、その状況はどうであろうかということが二つ目。  そして三つ目、これは大変気がかりなことでございますけれども、回収をさせたその品物を一体全体これからどうされるのであろうか。時期が来てこれを市場にもう一遍出すということになれば、また思惑が動いて、いつまでたっても市況の低迷ということは脱し切れない、思い切ってこの品物はもう市場には出ないというような手段をとるべきではないか、こういうぐあいに私は思うわけでございますけれども、この三点についてひとつ一括して御質問申し上げますので、御答弁をお願いいたします。

若杉和夫通商産業省生活産業局長

○若杉政府委員 ・お答え申し上げます。  告発に至った経緯でございますけれども、これは先生御承知のとおりでございまして、フィリピンの問題につきましては、フィリピン原産ではない、これはもう明らかに中国製であるという疑いといいますか、一〇〇%というわけにはいきませんけれども、ほとんどそれに間違いないという心証を得ましたし、船積み地もフィリピンでなくて香港であるという確証も出ましたものですから、そうなりますと、その二点だけで明らかに不正輸入になりますので、告発に踏み切ったわけでございます。  スペイン問題についても同様になお引き続き調査を続行中でございまして、厳正な態度で臨む所存でございます。  それから、回収につきましては御指摘のとおりでございまして、通産省としては経済的な意味でわれわれはやっておりますので、とにかくこのインパクトが市況に悪影響を来さないようにということを最重点にいたしまして、相当量のものを現在凍結いたさせております。ただ、数量その他を申し上げますと、いろいろ市場に影響も与えるおそれがあるものですから、相当な成果を上げているということでひとつ御理解をいただきたいと思います。  これの処理をどうするか、これは難問でございまして、趣旨はとにかく、われわれとしてはこういう不正輸入をしたものが市場に悪影響を及ぼして、善良なまじめにやっている業者に迷惑をかけてはいけないということでやっていますので、そういう線を貫くように処理いたしたいと思いますが、何分にも現在一部のものは、これは言っていいかどうかわかりませんが、司法当局の手に押さえられているという問題もありますし、いろいろな関連が、いま調査続行中でございますので、ここで具体的にどうするかということをお答えはできませんけれども、われわれとしては回収なり凍結した趣旨に沿ってその趣旨が生かされるように、今後とも処理の対策について進めてまいりたい、かように考えております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手委員 最後になりますが、いま御指摘のとおり、司直の手によって調査が進められている最中でございますし、そういうこともわかります。いずれまた明らかになった時点でいろいろと御質問もさせてもらいたいし、あるいは御提起もさせていただきたいというぐあいに思うわけでございますが、いずれにしましても、先ほど読み上げましたとおり、田中通産大臣の、「私どもは、業界の発展こそ願うものでございます」というのが大前提であろうと思います。多くの問題があることはよく承知をいたしておりますけれども、しかし、このままでは絹織物業界に対してそのしわ寄せが大きすぎるような気がしてならないわけでございますので、そういった世の中の不合理にならないように、特に業界の立場に立たれる通産省のこれからの御努力を大きく御期待申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員長代理 次回は、来る十五日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会

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