商工委員会 第11号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/04/17
会議録
○辻(英)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 エネルギー・鉱物資源問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出がございます。 つきましては、小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選及び出席日時につきまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○辻(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○辻(英)委員長代理 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 通産大臣にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、中小企業、とりわけ地域の特需の中で育ってきたいわゆる地場産業ですね、この地場産業に対する政府の基本姿勢について、まずお伺いをしてみたいと思います。 まず最初に、全国に存在するそれぞれの地域の中で育ってきた地場産業は、そこの地域において発展してきたという経過があるだけに、その地域の経済活動にとって非常に大きな役割りを果たしてきていると思うのでありますが、大臣の基本認識はいかがでございましょうか。
○田中(六)国務大臣 いま、地方の時代と特に言われておりますが、地場産業の育成ということについては、私どもは十分配慮をしなければなりませんし、その地方の雇用の拡大とかあるいは所得の向上という面についても、私は、地場産業の育成、強化、発展というものについては就任以来鋭意努力をしたつもりでございますし、今後ともそういう観点から育成への務めを果たさなくちゃいかぬという決意でございます。
○永井委員 その地場産業の業者の団体で利工連というのがあるのでございます。全国の利器工匠具連合会ですか、この利工連というのがあるのでございますが、この利工連が出している新聞、業界紙ですね、いわば協同組合が出している新聞でございますが、その新聞のことしの新年号に、大臣と中小企業庁長官の年頭所感が実は掲載されているわけであります。 ちょっと読ましていただきたいのでありますが、非常にいいことをこの年頭所感の中で触れられているわけですね。ちょっとその中の抜粋をしてみますと、「昨今の景気のかげりは特に中小企業に色濃く現れており、中長期的にも、エネルギーコストの上昇、中小企業の国際化、国民ニーズの多様化、地域経済社会における役割の増大など、」非常に多くの課題を抱えているというふうに御指摘をなさって、「地場産業対策の推進や海外投資の円滑化に努め」なければならないということも大臣は言われているわけであります。もちろん中小企業庁長官も同じようなことを言われているわけでありますが、その中小企業の中で、とりわけ地場産業には零細企業が非常に多いわけですね。このきわめて多い零細企業に活力を与えて、その活力が結果として地域の経済発展に大きく寄与する、このように私は理解をしているのでありますが、これに対する年頭所感ではありませんけれども、大臣は、零細企業を中心とした地場産業の育成ということについて基本姿勢はどのように持っておられるか、改めてお伺いいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 先ほどの答弁にさらに私の考えをつけ加えますと、私は、日本経済そのものを支えているのは、私の持論といたしましては、大企業もさることながら、九九・四多にわたる中堅企業ないし零細企業というふうに考えておるわけでございまして、その従業員数もきわめて多く、三千四百三十万人も持っておる。それから製造出荷額も非常に高い。そういうものこそ日本経済を支えておるものであるし、それがまた中央にのみ集中しているかと申しますと、やはりそれぞれの地方の地場で非常に活躍しているし、そこでまたそれぞれの地方におきまして、先ほど申しましたように雇用の拡大の役目を果たしておる。また、それぞれの地方の非常に伝統のあることもやっておると同時に、所得の拡大、それからその地方を非常に潤しているという観点から、私は、地場産業あるいは伝統産業その他そういう関連する企業、産業については鋭意育成しなければならないという考えは、その年頭の所感に書いた考えのとおりで、いまも、それから将来も、そういう考えで進めていきたいというふうに思っております。
○永井委員 この九九・四分に上ると言われている中小零細企業に対して育成強化を図っていこうという、大臣としてのいわば決意あるいは基本姿勢、私はこれは高く評価しているわけでありますが、それだけに、そういう中小零細企業に本当に行き届いた施策というものをさらに大臣として進めてもらいたい、このことをまずお願いをしておきたいと思うのであります。 そこで、地場産業が地域に深く根差して発展してきたことを考えますと、私は、これは一つの文化ではないかというふうに考えるのですね。その土地の土壌、風土あるいは環境、それから父祖から受け継いできた技術、こういうものがこの地場産業を支えてきているわけでありますから、これは一つの文化遺産とも言えるし、この文化をさらに発展させていかなくてはいけない。こういう性格のものを地場産業は持っていると思うのでありますが、どうでございましょう。
○田中(六)国務大臣 御指摘のように、地場産業には文化、伝統があると同時に、やはりどうしてもよそから来るようなものと違って血が通っておると思うのです。したがって、何と申しますか、非常に空気がよそのものとは違う、いずれにしてもおれたちのものだ、しかもこれを大事にしなければいかぬという、はっきり表現はできませんけれども、地場産業独特の何かがあるし、したがってその土地、そのそれぞれの地方において根をおろして非常に交流の深い産業になっておる。それだけに愛着もあると同時に、それぞれの地場の人たちがこれを育成しようと、われわれが外からは考えられないようなきめの細かさを持っているのじゃないかというふうに考えます。
○永井委員 そこで、私は具体的な問題でお聞きをしてみたいと思うのでありますが、北海道なら北海道、東北なら東北、九州なら九州という地域の特徴に合った地場産業がずいぶんあるのでございますが、私の出身の地元、兵庫県でございますけれども、兵庫県の小野市に江戸時代からの伝統を受け継いで発展してきた地場産業が幾つかあるのですね。たとえば金物であるとかそろばんであるとかあるいは織物であるとか、私のところは播州でありますけれども、播州独特の地場産業と言っていいものがある。 この中で、いま播州はさみというのがずいぶん全国に売られているわけでありますが、この播州はさみという特産品、これは全国的に見て有名な特産品だというふうに私は受けとめているのでございますが、これはどうでございましょう、どういう認識を持っておられるでしょうか。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 播州はさみといいますか、小野のはさみは、全国の大体四分の一くらいを生産しておりまして、有力産地でございまして、全国的に名が知られておるものだ、こういうふうに考えております。
○永井委員 いま、小野のはさみ、播州はさみというのは全国に有名な製品だというふうにお答えをいただいたわけでありますが、これはもう一面から見ると伝統的工芸品と言えるかどうか、これをもう一回お伺いいたしたいと思います。
○若杉政府委員 お答え申し上げます。 商品自身は伝統的工芸品の対象になり得る商品だと思います。ただ、先生御承知のとおり、伝統的工芸品にするかどうかにつきましては、指定委員会というのを設けまして、学識経験者等で審議しておりまして、歴史、技法等の伝統性あるいは材料のほか、工芸的性格というものも加味しておりますので、具体的に小野のはさみを伝統的工芸品に指定するかどうかについては審査をして決定しなければなりませんので、ここで指定できるかどうか、いま直ちに即断はできないと思います。
○永井委員 大臣の時間が少ないというふうに承っておりますので、ここでもう一回大臣にお聞きをするのでありますが、いま言われたように、通産省自体が認識をされておりますように、播州はさみというのは全国に有名な商品である。伝統工芸品としての指定は、いま業者の方が手続をされておるようでありますが、まだ審査中のようでありますので結論は出ておりませんけれども、伝統工芸品と言えるという御答弁をいただいたわけですね。そして、さっき大臣の御答弁を聞くと、この九九・四%という中小零細企業、これを大切にしていかなければいけない、その中小零細企業に活力を与えることが国の経済にも地域の経済の発展にも大きな影響を持つ、このように大臣は言われているわけでありますが、そういう大臣の基本姿勢に基づいて、たとえばこの有名な伝統工芸品とも言える特産品が何らかの形で非常に危機に瀕してくる、これは小野のことだけではないと思うのでありますが、特産品が産出されておるところの地域においてそういうものが危機に瀕してくるような、そういう問題が起きたときは、通産大臣として、それを救っていくといいますか、これについて積極的な態度をもちろんとられると思うのでありますが、具体的にこれから申し上げますけれども、そういう問題が出たときには、大臣は積極的にそういう対応をとっていただけますか。
○田中(六)国務大臣 もちろん、そういうときには私のできる限りのことはしなければならないというふうに思います。
○永井委員 そこで、いま伝統工芸品の問題をちょっとお聞きしたわけでありますが、大臣のそういう決意を聞きまして、それをひとつ実践をしていただきたいということを改めて要請しておくわけであります。 伝統的工芸品産業の振興に関する法律というものが制定されましたね。この中には、もちろん御承知のとおりでありますけれども、「民衆の生活の中ではぐくまれ受け継がれてきたこと及び将来もそれが存在し続ける基盤があることにかんがみ、このような伝統的工芸品の産業の振興を図り、もって国民の生活に豊かさと潤いを与える」云々というふうに第一条で目的を明確にしているわけでありますね。それだけに、私は、この特産品と言われる地場産業についてはより積極的な対応が必要だと思うのでありますが、この法律と別に昭和五十四年六月に産地振興法がこれまた制定されましたね。 この産地振興法に基づく解説といいますか、通産省が出されている文書でありますけれども、この中にこのようにも言っているわけですね。「産地中小企業は、当該地域の経済、社会の担い手であり、その動向は、当該業種に属する中小企業者、従業者のみならず、市町村の経済、社会全体に大きな影響を与えています。今後我が国の経済、社会のあり方を考えた場合、地域経済の重要性は、ますますその度合を強めていくと考えられ、地域経済の健全な発展を図るためには産地中小企業振興対策を強力に推進していく必要があります。」こういうふうにここでも解説がされて通産省が対応されている、こういう状態になっているわけでありますが、その幾つかの法律によって当然保護されていかなくてはならないその地場産業について、私がいまから具体的に申し上げますけれども、非常に危惧すべき問題が出てきたわけであります。 それは、たとえば小野の播州はさみというものの生産に携わっている業者は、昭和四十七年には百四十業者あったのです。これが現在ではその二分の一の七十という数に減ってしまっているわけであります。その減ってきた原因はいろいろなことがあったと思うのでありますが、自由経済主義をとるわが国において、それが公正な競争によって淘汰されていったということならまだ理由は納得できるわけであります。しかし、全国に有名な播州はさみの特産地において、公正な競争ではなくて、その他の条件があってこの百四十という業者が二分の一のざっと七十に減ってしまったということが言えるという条件が存在をするわけであります。 そのことを私は具体的に申し上げていくわけでありますが、その公正な競争が妨げられたというのは、実は播州はさみとしてその地域に根差した伝統と技術と環境の中でつくられたということだけではなくて、外国の企業においてつくられたものが大量に入ってきているというふうに言われているわけですね。そのことがもし事実だとすると、それは公正な競争を妨げることになるということになると思うのでありますが、ここでその特産品をつくっている業界がその問題をとらえて、公正取引委員会にこの問題を持ち込んでいるわけです。その持ち込んでいる内容というのは、当然不当表示防止法に基づいて持っていっているわけでありますが、この中で見ると、「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの」このようになっているわけでありますが、この中でもう一つ問題は、「商品の原産国に関する不当な表示」という告示がなされているわけであります。この告示に基づいて条文を見てみますと、「「原産国」とは、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国をいう。」このように告示で明らかにされているわけでありますが、公正取引委員会は、この播州はさみの協同組合から出されました救済措置といいますか、この問題についてどういう経過からどう判断をされたのか、これをお聞きいたしたいと思います。
○劒持政府委員 ただいま先生御指摘になりました件につきましては、公正取引委員会の方にいわゆる申告と申しますか、報告が参っております。 すでに処理をしておりますけれども、その経過を簡単に申し上げますと、先生御指摘のように、これは原産国に関する不当な表示に関する件でございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、原産国につきましては「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」を原産国とするということになっておりまして、申告の対象になりましたはさみにつきまして原産国がどこであるかということを申告者側からお聞きしましたし、それから申告の相手方からも聞きまして、さらに専門家の意見も徴しまして調査をした結果、判断をいたしたわけでございます。 結果といたしましては、不問ということで処理をいたしております。
○永井委員 いま、不問にしたという回答をいただいたわけでありますが、国内と外国の双方で加工する製品について、いま言いましたように、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われたかどうか、こういうことについて原産地国の表示義務を付するといいますか、そういう具体的な基準というものはどこにあるのですか。
○劒持政府委員 先生御承知のように、「商品の原産国に関する不当な表示」という告示がございますが、それの運用細則がございまして、そこで一部の商品につきましては基準が定められております。 ただ、ただいま御指摘になりましたはさみにつきましては、一般的な基準というものは示されておりませんので、告示の本文といいますか、備考でございますが、告示の定めるところに従いまして個別具体的な案件について調査の上、それぞれ判断を下す、こういうことになろうかと思います。
○永井委員 運用細則で具体的なことが明示をされていないということになって、個々のケースごとに調査をして判断を下すと言われるのでありますが、もし個々のケースごとの判断が非常に複雑にわたり、判定に難航を来すという原因があるとするなら、そのための細則というものは早急につくられるべきだと思うのでありますが、どうでございますか。
○劒持政府委員 一般論といたしまして、運用細則の追加ということはございます。ただ、具体的にはさみにつきまして運用細則をつくるかどうかということにつきましては、現在まだ検討する段階に至っておりません。
○永井委員 特産品は、私は冒頭に通商産業大臣にお伺いいたしましたように、零細企業がほとんどであって、その地域に根差した特別の土壌の中で育ってきた産業、これを育成強化するために、その特産品の販売を非常に広く確保するといいますか、確保しなくてはいけない。あるいは産業そのものがこれからも発展していくようにしなくてはいけない。そういうときに、その特産品がいま言われたように外国の中で加工されて、基準が明確でないといっても、そのことが地場産業の発展に大きな影響を与えるとするなら、その影響を除去することは、私は行政側の当然の責任だと思うのです。公正な競争がもし妨げられているとするなら、それが大なり小なりいずれであったとしても、その原因を除去することが、さっき大臣も言われておりますような地域の地場産業を守っていくといいますか、伝統を守っていくといいますか、そういうことにつながっていくと思うのでありますが、どうでございますか。
○劒持政府委員 地場産業の育成なり保護という観点からいろいろな行政的な施策が講じられるべきであるという先生の御指摘は、まことにごもっともであろうかと思います。 ただ、私ども景品表示法を所管いたしております者といたしましては、景表法の規定、すなわち、優良または有利であると一般の消費者に誤認されるために不当に顧客を誘引し、そして先生のおっしゃるような公正競争を阻害するおそれがあるものにつきまして、表示の面からいろいろな規制を行っていくということでございますので、そういった趣旨で法の運用を図ってまいりたいというふうに考えております。
○永井委員 それでは具体的にお聞きいたしますが、播州はさみの問題で公正取引委員会に問題を持ち込んだということについて、ちょっと私なりに調査をしてみました。その時点で公正取引委員会が調査したことと、私が調査した時点とでは若干日にちがずれていますので、私の調査の方で新たに事実を幾つかつかんでいるわけですね。 そこで、私はここで申し上げますが、たとえば公正取引委員会が不問にした理由、ここにその書面があるわけでありますが、一部の加工ですね、外国で一部の加工をしているにすぎないのでこれは原産地表示に当たらないということを理由の中で述べているわけです。そこで私は調べてみました。 ここに品物、現物を持っているわけでありますが、最初ははさみの材料です。この材料は特別につくる業者がありまして、これはどこでつくろうとも、この物をつくってそこへ持ち込むわけです。これは鋳物なんです。形がどうのこうのということは問題じゃないのですから、そうすると、これを国内で溶接するのですね。これとこれと溶接するのですよ。溶接した品物がこれです。溶接しただけなんです。これを韓国へAという企業が持ち込んでいるわけです。持ち込んでこれを韓国で生産をするのでありますが、韓国でつくって日本に持って入ってくるのはこれなんです。全くこのまま使えるような状態になっているわけです。これが税関を通って入ってくる品物であります。これが完成品であります。これは特産品で、地場産業の人たちがつくった品物でありますが、この過程に至る、いわゆるこの製品から一人前のはさみとしての用途にたえる状態につくるまでの、この間の工程が実は韓国でやられているわけであります。 私は、わかりやすいようにここに品物を全部持ってくればいいのでありますが、ちょっと大きな字で、見てもらえますようにここへこういうふうに書いてきました、そちらから見えますようにね。赤いところが韓国でやられている工程なんですよ。これもまだ続いているのですよ。こういうふうに続くのです。いいですか、材料から溶接して持ち込む。韓国では荒研磨、焼き入れ、仕上げ研磨、調整ねじどめ、ここまでやって国内に持ち込んで、塗装してラベルをつけて売り出す、こういう工程になっておるんですよ。これが、いままでの公正取引委員会が調べたときはなかなかその事実が——その状態の中では調べにくかったかもわかりませんけれども、私の調べたところではこうなっている。これは一部の加工とは言えないと私は思うのですね。 そこで、はさみで言うと、はさみの生命線は一体どこにあるのか。はさみというのは物を切る材料でありますので、切れ味が生命なんですね。これも後でまた公正取引委員会の方に資料として提出いたしますが、このはさみについて研究専門委員会というのが、播州はさみの振興の計画を進めていく中で、それぞれの専門家、工業試験場の研究員であるとか、あるいは大企業のこれに専門に携わってきた人、あるいは県のそういう技官、こういう人たちが入って、専門に調べた資料があるのですが、この中にはさみの生命線のことについて触れられておりますので、ちょっと御紹介申し上げておきますと、はさみの代表的な生命線というのは切れ味である、その切れ味の特性というのは実は熱処理が生命になっているというように書かれているわけであります。形がどうのこうのじゃなくて、はさみは切れなくちゃいけないのですから。 そうすると、この熱処理というのは、いまお示ししましたような工程の中で、これは実は外国でやられておるわけですね。ここに私は、これも後で資料を提出しますが、工程表が全部あります。この工程表で見ると、工程の順序でいくと一番から五十番まで五十回の工程を通るのです。この五十回の通る工程の中で、私が調べたところでは、九番目から四十六番目まで韓国で加工されているわけですね。そういう理由から、これはいわば原産地は韓国と言っていいのではないかと私は思うのです。 さらに、ちょっとこれをコスト別に見てみました。現在のコストじゃなくてちょっと前の年数ですから、若干貨幣価値は変わっておると思うのでありますが、全工程を行うに当たって、はさみ一丁当たりの加工賃は全部で百二十円二十八銭となっているのです。これは全部工程ごとに工賃が定められておるわけでありますが、いま申し上げましたように、私の調べたところで韓国で加工されておるものを工賃別に見ると、百円九十五銭分が韓国で加工されているのです。これは九〇%に当たる数字なんですね。 加工賃からいっても工程からいっても、これだけの工程が韓国で行われておる、こうなってくると、私は一部の加工とは言えないのではないかという気がするわけであります。こういう関係について、もしこれが原産地国の表示をしなくていいということになってくると、この地域の中に根差してきた地場産業というのはやはり紛らわしいものになってくるという気がするわけですね。 ちょっと調べましたところ、このAという企業はいま国内で大体三十人の職員を持ち、推定するところによりますと、韓国で、向こうに出資して工場進出して、ざっと百名程度の従業員を抱えた企業をつくっているわけですね。そのことはいいのですよ。どこに出資しようと、どこでつくろうと、何ぼ輸入しようと、そんなことは構わないのでありまして、それはその企業が一生懸命がんばっているのですからいいのでありますが、そのAという企業がつくる月の生産数は大体十万丁であります。そして、この特産品をつくっておる地場産業の企業が、現在七十業者に減ってしまっておるわけでありまして、そこで働いておる従業員がざっと二百五十人、ここでつくっている生産高は月産ざっと十二万丁。十二万丁と十万丁ですから、原産地国の表示がないままに播州はさみとして——冒頭に認識していただきましたように有名な商品であるだけに、これがそのまま全国に出回るということは、ある一面では消費者をだましておることにもなってくるのではないか。あるいは十万丁の月産を上げているその企業、Aという企業ですね、それと、その地元の地場産業に携わってきた七十業者——現在七十業者まで減ってしまったわけでありますが、七十業者がつくっている十二万丁、その数字からいっても、このことは播州はさみということについてまやかしであるということにもなってくるんではないか、いわば看板に偽りありということにもなってしまう、こういうことでは私は公正な競争を保障するということにならないと思うんですね。やはりあくまで公正な競争を進めていくという、そのことによって企業がそれぞれの創意工夫をこらして自分の企業の経営をさらに高めていくといいますか、こういうことは当然行われることであって、そのための環境をつくるのに、やはり公正取引委員会においてもあるいは通産省においても、あるいは中小企業庁においても、それなりの対応をしてやることが、冒頭に大臣が言われたように、九九・四%にも上る中小零細企業、これを育成強化し、活力を与えるということになってくると思うのでありますが、どうでございましょうか。
○劒持政府委員 景品表示法によります不当表示と申しますのは、先生何回もおっしゃっておられますように、一般の消費者に優良または有利であるというふうに誤認を与えることを排除しよう、規制しているということでございます。したがいまして、原産国というのもそういう観点から一般の消費者が誤認されないということを基本にいたしまして規定をしておるわけでございますので、はさみにつきまして具体的に原産国が韓国であるか日本であるか、そういったような問題につきましては、告示の趣旨に沿いましてそれぞれについて判断をしてまいるということでございます。 なお、はさみにつきまして先生がただいま御指摘されましたことにつきましては、実は組合の方から新しい報告と申しますか、そういうようなものも私どもの方に参っておるわけでございますので、そういう点につきましては新たに調査をしたいというふうに考えております。
○永井委員 公取が不問にしたということは、いま言ったように私は幾つかの資料をこれからも提示しますけれども、業界の方からもそういう資料が出されてくる。私は、この不当表示の防止法というのは特定の業者だけのものではないと思うのですね。やはり消費者のことも考えてこの不当表示の防止法というものはつくられているわけですから、この有名な——有名にこだわりますけれども、通産省が有名な生産品だというように認定されているわけですから、この全国に有名な播州はさみとしての生命線を守っていくためには、私は、きちっと再調査をしてもらいたい。再調査の請求を出しているわけでありますので、再調査してもらって、地場産業の生命を守っていくということに視点を置いた公正取引委員会の扱いというものを改めてここできちっと要求をして、回答を求めたいと思うのであります。 このはさみの切れ味の問題にしてもそうですね。私は、伝統工芸品として、あるいは地場産業の特産品としてそれなりに培ってきたものがあって初めて全国に有名なはさみになったのですから、その切れ味というものは自他ともに許しているんですね。しかし、どうしても日本の技術よりも劣ると思われる外国でその加工がされてきた場合に、やはりそこに差が出てくることもあり得るわけですね。私は、どの品物がよくてどの品物が悪いという断定はいたしませんけれども、しかし、切れ味に生命をかけてきた地場産業というその発展してきた経過というものをまず大切にしてもらいたい、これをひとつお願いしておきたいのでありますが、公正取引委員会が新しい資料に基づいてこの再調査をするということをもう一回明確に答えてくれませんか。
○劒持政府委員 ただいま御指摘のはさみの問題につきましては、すでに一応の処理をしておるわけでございますけれども、さきの報告の対象になっていなかったような新しい種類のはさみの問題が新たに出てきたという場合とか、あるいは新しい事実が出てきたという場合には、文書で報告をしていただきたいという旨をすでに報告者であります小野金物協同組合の方に伝えてありますので、新しい事実が判明いたしました場合には、それを検討いたしました上で、必要があると考えられる場合には調査を行うことにいたしたいというふうに思います。
○永井委員 この新しい資料はとにかく私自身も出しますけれども、業者の方から、私が指摘しましたような新しい事実を幾つかつかんでおりますので、これは出します。しかし、ここで私がこれだけ質問をして、このことが不当表示防止法に当たらないということで不問に付されたことは私は問題だと思います、地場産業の育成という面から考えて。だから、この委員会の質疑を通して私はこれだけの資料を出しているのですから、公正取引委員会として新しい事実に基づいて調査するのかしないのか、それをひとつはっきり答えてください。
○劒持政府委員 もうすでに実はその手続といいますかそれに入って、事務的には処理を始めておるところでございますので、組合側からの文書による提出を待っておるところでございます。すでに事務的には処理が次の段階に入っておるということでございます。(永井委員「調査するのですか」と呼ぶ)組合側からの報告書の提出を待っておるところでございます。
○永井委員 再調査の要求は業界がしているわけだから、調査をするのかしないのか、はっきりしてくれと言っているのだよ。
○劒持政府委員 組合からのそういう御要望がございましたので、事務的な処理といたしまして、文書によってその旨を出していただきたいというふうに申し上げてあるわけでございまして、それをすでに調査に入ったというふうにとることもできるかと思いますけれども、報告が出てまいりました段階で引き続きその処理を進めてまいりたいということでございます。
○永井委員 調査に入ったと理解してよいのですね。いいのですね。くどいようですが、そこははっきりしてください。
○劒持政府委員 新しい事実がございました場合には、それを調査するにやぶさかではございません。
○永井委員 歯切れが悪いのですけれども、再調査の請求はしているのですよ。それに基づく具体的な資料を提出してこいというのなら、これはわかります。だから資料は出しますから、再調査するのですかどうですか、そのことだけをはっきり言ってくださいよ。そこは本当に切れ味よくやってもらわぬと、どうもこの質問が終わらぬですよ。
○劒持政府委員 新しい種類のはさみとか新しい事実がございました場合に、それに基づきまして調査をいたします。
○永井委員 どうもはっきりしないのですけれども、ほかにも提訴しておる問題があるようでありますが、私は新しい事実を、これだけ私が材料を提供しているのですから、新しい事実が出てきた以上は、再調査の請求をしていることに基づいて調査をするのは、公正取引委員会として当然やらなければいけないことだと私は思うのですよ。そういうことを通して不当表示を防止するということのこの法律の精神が生かされるのです。不当表示の防止というのは一体だれのためにあるのか。私は、消費者のためでもあるし、そういう特産品をつくっている業者のためでもあるというふうに思うのですが、委員長、そこのところをはっきりさせてくださいよ。
○辻(英)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○辻(英)委員長代理 速記を始めて。 劒持部長。
○劒持政府委員 調査の申告といいますか、調査をしろということで正式な文書が提出されました場合に調査をいたしますということでございます。
○永井委員 再調査してくれという文書は出しているのだから、それに基づく具体的な資料は後で出すと言っているの、だから……。
○辻(英)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○辻(英)委員長代理 速記を始めて。 劒持部長。
○劒持政府委員 正式な文書によります報告書が出てまいりましたら、直ちに調査を始めたいというふうに思います。
○永井委員 時間がなくなってしまいましたので、触れたいことはたくさんあったのですけれども触れられませんでした。 最後に、私は一つここに別のサンプルを持っています。これは小野の特産じゃないのですけれども、一〇〇%中国でつくった品物でありまして、ちゃんと中国のラベルがついているわけですね。これは私は正しいことだと思うのでありますけれども、しかし、これから私はいろいろ地場産業を守るために調査をさらに進めていきますが、ちょっと出ないのですけれども、これは中身は全く何の刻印も打っていないのですよ。外の包装されている袋には中国原産が表示してあるのでございますが、これは不当なことじゃないのですね。ところがこの中身は刻印が打ってないものですから、これを地場産業の特産品として刻印を打って販売している疑いが一部に出て来ているわけであります。そうなると、これは輸入するときは容易じゃないのですけれども、中には全く刻印が打ってないものですから、刻印さえ打てばそこの特産品と紛らわしいことになってしまうのですよ。これはこれからまだ調査を進めてまいりますので、そこで明らかになればまた問題を提起したいと思いますけれども、そういう不当表示がなされないようにチェックをしていくといいますか、業界を指導していくといいますか、こういうことについては、さらにもっと深めた監視体制というものがやられていきませんと、何も小野の播州はさみだけじゃなくて、全国に散在する幾つかの特産品をつくっているところがやはりそのことによって特産品が危機に瀕する、その地場産業が危機に瀕するということになってしまうのですね。冒頭に申し上げたように、伝統工芸品としての価値を持っている、そしてそれは祖先以来ずっと引き継いできた特別の技術を生かしてつくってきたもの、それが地域の経済活動に大きな活力を与えている。小野で言えば、この地場産業だけで支えられている町なんですよ。 こういうところが全国にたくさんあると思いますので、この辺の関係について通産省あるいは中小企業庁長官、公正取引委員会それぞれに、これらの問題に対する以後の対応策について最後にひとつ基本姿勢を示してもらって、もう時間が来たようでありますので一応終わりますけれども、ひとつお答えください。
○若杉政府委員 小野のはさみにつきましては、地場産業として重要な産業だと承知しております。したがいまして、五十四年にわれわれは中小企業産地振興法の指定をいたしまして、いろんなビジョンの作成その他の育成振興事業を図っているところでございます。 さような見地でございますので、今後とも、いまのような商品の誤認、混同問題、不正競争問題等々ございますれば、関係方面とも連絡をとって十分対応してまいりたい、かように思っております。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 ただいま原局の局長からお話ございましたように、地場産業の育成というのは非常に重要でございますので、それの持ちます地域特性あるいは今後の展望というようなものを十分踏まえまして、産地産業として指定されておりますので、いろんな角度からの自主努力というものも傾注されると思います。したがいまして、そういったものに対応いたしまして、私どももできるだけのお手伝いをさせていただきたいと思っております。
○永井委員 時間が来ましたので終わります。 どうもありがとうございました。
○辻(英)委員長代理 上坂昇君。
○上坂委員 私は、きょうは金の公認先物市場の問題について取り上げたいと思いますが、大臣はちょっと用事があってお見えになっておりませんから、その前に中小企業の問題についてお尋ねをしたいと思います。 先般、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、いわゆるビル管法でありますが、これが一部改正になりました。その改正に基づいて、六つの事業について業者の登録を行うことになっておるわけであります。この登録についていろいろ解説が出ているわけでありますが、なかなかのみ込みにくい問題があるので、いろいろなケースを出して、ひとつこういう場合はどうなのかということをお尋ねしますので、お答えをいただきたいと思います。 厚生省からおいでになっている企画課長にまずお伺いしますが、たとえば六つあるうちのナンバー三の建築物飲料水水質検査業の登録基準で、六項に及ぶ機械器具を持っていることが資格要件になっていますね。このうち一つでも欠ければもう資格は持てないか。これが第一点。 もう一つは、これらの機械器具をそろえるのにかなり資金が必要だと思うのですね。なかなか一遍にそろえるというのはむずかしいと思うのです。容易でない。そういう場合には、いま現実に営業している業者でありますから、やはりだんだんそろえていくような形が必要なんじゃないかというふうに思うのです。そういう経過措置みたいなものですが、そういうものを考慮できないかということが二点。 この二つ、まずお答えいただきたい。
○山内説明員 お答えいたします。 まず初めに、登録基準に定められております機械器具が一つでも欠けた場合にどうかという点でございますが、これは私ども、やはり省令に列記しております機械器具をすべて備えなければ登録はできないと考えております。 それはそれとして、かなり資金的にも、必要なものをだんだんそろえていくような経過措置を考えられなかったかということでございますが、結論から申し上げますと、いま申しましたように、列記しております機械器具に関しましては、登録申請時点でそろえていただくということで基準を立てております。ちょっと細かくなりますが、水質検査につきましては、やはりいろいろな水質の項目を調べます場合に、どうしてもそれぞれを使って検査をするということがございますので、水質検査の場合は特にそうでございますし、ほかの業でも一応同じように考えております。
○上坂委員 わかりました。 器具をそろえるのは、いま高くなっていますから、なかなか容易でない。一つでもそろっていなければだめなのですから大変です。そこで、資金的に十分そういうものをそろえられるような援助、助成を考えていただきたい。これはぜひお願いしたいと思うのです。 それから、ビルサービスの協同組合の関係で質問しますが、事業協同組合というのは、これらのいわゆる六つの清掃業務の登録資格を持つことができるか、持つ場合にはどういう資格要件が必要か、それは登録基準を完全に満たすことであるかどうか、この辺をお答えいただきたい。
○山内説明員 まず、事業協同組合が登録を受けることができるかという点につきましては、法人格としては登録を受けることができると考えております。その条件につきましては、やはりいま先生もちょっと御指摘なさいましたように、省令で定められております物的な基準あるいは人的な基準を備えていただくということを基本的な条件としておるわけでございます。
○上坂委員 協同組合の本部の事務所といいますか営業所といいますか、それが登録基準を充足した場合、登録ができる。その場合、この器具なり、必要な検査室とか倉庫とか、いろいろなものがありますね。そういうものを用いて未登録の組合員に対して仕事をさせることはできるか。 もう一つは、協同組合の営業所が、登録基準のうちで機械器具、監督者、あるいは検査室とか専用倉庫などを充足をして備えている、しかし従業者がいないという場合には、従業者にかわるものとしていわゆる事業協同組合の中の構成員である組合員を指定して差し支えないかどうかということ。 〔辻(英)委員長代理退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○山内説明員 お答え申し上げます。 二つのことでございますが、一つは、組合員がそれぞれ機械などを持っていない場合には、組合の方で機械をそろえて組合員に仕事をしていただく、これは大いにあり得ることだと考えております。 二番目の方は逆でございまして、組合としては直接機械を持っていない場合、あるいは機械は持っているけれども資格を持った人を備えていない場合、そういった場合に、それぞれの組合員が備えております機械なり人を活用して、組合として登録を申請できるかという点につきましては、私どもは、組合としてそのような形で活用することによって申請ができると考えております。 ただ、その場合に、やはり機械で申し上げますと、組合の所有権はなくてもよろしいのでございますが、組合が必要な場合にいつでも使えるという、組合員同士の文書による内約のようなものが必要だということ。あるいは人にいたしましても、組合に雇用されている必要はございませんが、常時組合のために仕事ができる状態、専任の状態にあることを条件としておりますが、考え方は、組合がすべてを備えてなくても、組合員の持っている機械なり人を活用して、組合として登録が申請できるというふうに考えております。
○上坂委員 聞かないことまで答えてもらってありがとうございます。 私が聞いたのは、登録基準で機械器具を備えて、監督者を置く。ところがもう一つ、従業者がいなくてはいけないんだね。その従業者は組合として置くことができないから、その場合にはいわゆる構成組合員を要するに従業者として使って、それで仕事ができるか、このことをちょっとお尋ねいたします。
○山内説明員 いまの点、つまり組合が機械等を持っているけれども、いわゆる従事者が組合にいないという場合。これは私も同じように、組合員の所属する従事者でありましても、組合の登録に活用できると考えております。
○上坂委員 そこで今度は、たとえば組合が受注をした場合、共同受注ができますから、登録、未登録にかかわらず、共同受注は協同組合としてはできる。とした場合、A組合員が登録をしている機械器具を未登録のB組合員に使用させることによって、Bに仕事をさせることができるか。その場合、監督者はどういうふうにするか、こういう点についてお答えいただきたい。
○山内説明員 まず、組合として共同受注いたしますような例の場合に、資格者のA組合員の所有する登録対象になっております機械器具をB組合員あるいはほかの組合員に使わせることができるかどうかは主として組合としての内部問題だと思いますけれども、逆に建物の衛生を保持する行政上の観点からそれはいけないということは全く考えておりません。 あるいはちょっと先走った御答弁になるかと思いますが、登録制そのものが業を制限するという性格ではないということもございますので、できるという点は、そうしなければ建物の掃除ができないということではございませんことを念のため申し上げたいと思います。
○上坂委員 そういう過程を踏みながら、いわゆる未登録のBの組合員にはなるべく登録資格を得させる、こういう指導をしていくということになれば非常にいいのじゃないかと私は思いますが、この点についてもちょっと聞いておきます。 〔原田(昇)委員長代理退席、辻(英)委員長代理着席〕 それから、その次は、組合員が組合員にいわゆる登録要件、器具とか何かを提供した場合、機械器具その他の要件を提供しちゃったからなくなっちゃうわけですね。したがって、その組合員が機械器具その他の要件をまた具備しなければならないということでは、組合員に登録要件を提供する者はなくなっちゃうと思うのですね。所有権は自分にあったにしても、組合の登録にすれば自分のものが登録要件に入らなくなっちゃうわけだから、二重登録を許さないということでありますから、こうなると結局のところ、その物件なんというものは組合の営業所の所属になる、こういうふうに考えざるを得ないわけですね。そうなりますと、組合員としては、先ほど言ったように、組合に提供する人がいなくなってしまう、そういう問題が生じると思いますが、この点についてどういうふうに考えられるか、お答えをいただきたい。 それから、その場合はこの協合組合の組合員は協同組合の共同受注した仕事しかできない、自分一人では仕事をとることができないわけですね。そういうことはないのですか、とってもいいということなのですか。
○山内説明員 お答え申し上げます。 三点に分かれているかと思いますが、一つは、組合員が自分で申請いたしました登録の要件となっております機械器具を、いわば組合全体のために提供と申しますか活用してもらった場合のことでございますが、その場合も、事実上その機械を使って皆さんと一緒に共同受注をするという程度であれば問題はないのでございますが、恐らく御質問の点は、AならAの組合員も登録を受けておきたいし、全体の組合としてもその機械で登録を受けておきたいという例ではないかと思うのでございます。この点は二、三の関係者からの御指摘もあるのでございますが、昨年改正されましたいわゆるビル管理法の規定の上で、営業所の物なり人に着目しまして登録をさせる。どちらかといいますと、従来からございます厚生省の衛生的なこの種の法律と同じような考えで立法されておりますものですから、同じ機械器具をAの組合員の登録要件にもするし、全体の組合員の登録要件にするということは、法律の解釈上できないと私どもは一応考えております。 そうであれば、やはり何らかの方法で、先ほど先生の御指摘にもありましたように、それぞれの組合員が必要とする機械が持てるような助成的な方策はないかということになろうかと思いますが、率直に申し上げまして、厚生省として直接これに融資事業とかそういうことをやってないうらみはございますが、もちろん中小企業一般の金融政策の中では配慮していただける性格だとは思っております。 それから、三番目におっしゃいましたことは、いずれにしてもそういう組合として仕事を行う上で若干の制限があるとすると、仕事をとるという意味で、たとえば登録を受けていない組合員は全然仕事をとれなくなるのじゃないかとか、組合全体としてせっかく共同受注したけれども、登録を受けていないCとかDの組合員は仕事に参加していけないかという御質問かと思いますが、それは私ども全く考えておりません。 と申しますのは、立法の段階でもこれはかなり確認的に議論いただいておりますように、登録というのはあくまで登録業者であるという看板を掲げるという法律でありまして、いかなる意味でもその看板を掲げてないと仕事ができない、人間で言いますと、お医者さんとか薬剤師のような意味での登録制ではございませんので、その辺はせっかく組合が全体として共同受注をなさった場合にそういう誤解のないように、私ども衛生行政を通じてではございますけれども、仕事を頼む建物のオーナーの方にはよく啓発を図っていきたいと考えております。
○上坂委員 そうしますと、登録をしなくても事実上仕事はできる、ただし表示ができないわけですから社会的な面では不利な扱いをされるおそれはある、こういうことになると思うのです。 そこで、五人以下の非常に零細な、一人、二人でやっているところはみんな集まって協同組合をつくって、そこで協同組合自体に資格要件を備えて、登録をして、そこが共同受注をして、そして組合員のめんどうを見ていく、こういうかっこうが非常に零細の場合には望ましい、こういうふうに思うわけでありますが、その点についてもお考えを聞かせていただきたいと思います。 それからもう一つは、いま話されたように、個々に登録の必要はないということでありますから、いま私が言ったような形での登録要件を備えるということが非常に必要になってくると思うのです。そこで今度は協同組合に対して、協同組合自体がいろいろな面で不利にならないように、この点については官庁としては特にこれをめんどうを見て仕事を優先的にでも与えていくという形で、官公需の方のいわゆるパーセンテージといいますか、そういうものができるだけ目標に近づいていくようにひとつ努力をしていただきたい、これが第二点の要望であります。その点についてお答えをいただきたい。
○山内説明員 先生御指摘のように、法律上業務ができなくなるわけではないけれども、社会的な意味で登録を取る、またそれに必要な要件を備えることが中小企業の方あるいは組合を結成なさった方に必要なことはよくわかっているつもりでございます。 そのために具体的にどのような指導をするか、さしあたり、その前の段階ではございますけれども、私どもは、何か登録が仕事をする絶対要件のような誤解のないように指導していくことにまず重点を置きたいと思いますが、しかし、そうではあっても、できれば組合全体として登録が取れることの方が好ましいわけでございますので、そのようなことでのできる限りの指導はしていきたいと考えております。 なお、その具体的なあらわれといたしまして、協同組合の場合、御指摘のような官公需の受注の上で一定の制度がありますことは存じておりますが、直接の所管は中小企業庁でもございますし、なお私どもとしましても中小企業庁当局と御相談しながら、これのよりよい活用と申しますか、制度が生かされますようなことにつきましては、私どもの立場でできる限りのことは御協力申し上げたいと考えております。
○上坂委員 わかりました。 そこで、まだいろいろなケースがあると思いますが、なかなか思いつかないわけです。そのうちまた思いついたら質問をすることにします。 それからもう一つは、監督者のやる講習の問題ですが、講習の問題についてはあなたの方から出てきている解説書みたいなものを見ると大体わかります。しかし、具体的な問題になったとき、またわからない点が出てきたらその都度質問をしてまいりたいと思いますので、そのときにはまた商工委員会の方に出席をしてくださるようにお願いしたいと思います。では、これは終わります。 次に、中小企業分野調整法の問題についてお伺いをします。 中小企業分野への大企業の進出によって生じているいわゆる紛争あるいは調停事案で、いつも政府側の答弁というのは、これは具体的に発生している例というのはきわめて広域的なものが多い、ほぼ全国的あるいは県の領域を越えた問題が多いので、これが基本的な性格だと考えている、こういうように言っているわけですね。だから所管大臣の権限にしておく方がいいのだ、こういう考え方になっていると思うのですが、この広域的紛議の事例というものを幾つか示してもらいたいと思うのです。 それからもう一点は、分野法の申し出団体で全国的規模の団体が申し出た事例はあるかどうか、この辺をひとつ説明をいただきたい。
○山崎(衛)政府委員 まず、広域的な事例でございますが、現在のところ法律案件で六件ございます。それから、行政指導によりましてやっております案件は、これはいろいろ数え方はございますけれども、私ども大体十二件、合計十八件というように考えております。 紛争が全国的または数県にわたって行われているものが、具体例を挙げますと、たとえば三井不動産販売、東洋クロス、朝日ハウジング、日本住宅流通、タカケンサンシャイン、これはクリーニングでございますが、そういうものがございます。 それから、ある程度影響は県内にとどまりますけれども、進出する県と進出する企業の本社が全然別になるというようなもの、これは本社に話をしませんとなかなかうまくまとまらないということでございまして、これがざっと九件ばかりございます。 そういう意味におきまして、いずれも紛争が広域的にわたっている、したがって主務大臣が管轄をするのが適当であるというように私ども考えているような次第でございます。
○上坂委員 私の認識では、大企業の進出事例というのは地域的な問題になってしまうんじゃないかというふうに思うのですね。というのは、大企業の進出の影響を受けるのは全国的な規模でのいわゆる中小企業じゃないのですね。構図をつくるときは、旅館なんかは別にして、普通、全部ばっと一遍につくるわけじゃない。ある県なら県に、ある市なら市に行ってつくるわけです。そこへ進出するわけですから、したがって、その地域のいわゆる中小企業団体に非常に大きな影響を及ぼすおそれがある。こういうおそれがあるから、その団体が大体申し込むという形になりますから、普通、市なり県のいわゆる事業団体、そういうところが調整あっせんの申請をする。これは大臣になっているものだから、大体において、その地域の農政局であるとか通産局であるとかいうところに出す。ところが、東北に行くと通産局が一つしかない。仙台に一つしかないということになると大変だ。向こうに行くのは不便だから、今度は東京の方が便利だからと言って東京に来てしまう、結局本省に来る、こういう形が出てきているのが私は実態だと思うのですね。 だけれども、影響を受けるのはその地域の中小零細企業が影響を受けるわけです。しかも、地域ごとに中小零細企業者の置かれている状況というのは非常に千差万別で、いろいろ違うわけですね。したがって、その具体的な調整に入る場合には、その地域の実情を頭に入れて配慮してやらない限り私は調整はできない、こういうふうに思うのです。 その点をいつも強調しておるわけですが、ここに通産省の方からもらった表があります。この中で二県以上にわたっているのは、いま指導部長の方からいろいろありましたが、そんなに多くないと思うのです。むしろ一県ないしその進出地域に限られるものがやはり一番多い、こういうふうに考えるわけであります。 そこで、法律案件として調停あっせんの結果、規模の縮小ということで合意に達したとされている、いま話にも出ましたタカケンサンシャインのクリーニング業進出事案について、これはその地域の問題で紛争調停に関係をした業界はどういう業界であるかということと、それからその業界の規模、それからその業界が影響を持っているシェアといいますか地域の範囲といいますか、これはどうなっているか、具体的に示していただきたいと思います。 それから、調停をやったわけでありますが、その場合どういう形の調停が主体的な役割りを果たしたかということ、たとえば県はこれにタッチをしているか、あるいはクリーニング業でありますから通産省が扱うのか厚生省が扱うのか、ちょっと私もわかりませんが、扱ったいわゆる官庁なり何なりはどこか、こういうことでひとつお答えをいただきたい。
○田中説明員 お答えいたします。 先生御指摘のクリーニング業に関します紛争でございますが、これは実は同じ大企業者でございますタカケンサンシャイン株式会社が紛争を起こしました例は二件ございまして、第一件は愛知県での例でございます。 これは五十三年の十一月十三日でございますけれども、分野調整法に基づく調査の申し出が厚生大臣になされたという例でございます。これにつきましては、厚生省は直ちに調査を行いまして、その調査結果を地元の調査の申し出がございました組合に通報をし、その結果によりまして組合が自主的な紛争の解決を図るということで話し合いをしたわけでございます。その話し合いに当たりましては、愛知県とその大企業者の本社のございます岐阜県のごあっせんをいただきまして話し合いを進めまして、協定の形で円満な解決を見たという例でございます。 それから、同じクリーニングの大企業者が京都府にクリーニング工場をつくるということで紛争が起きたわけでございますけれども、これにつきましても、工場をつくります京都府とその工場の設置に伴います取次店の影響が起きます大阪府、この両府のクリーニングの環境衛生同業組合から五十五年の十月二十三日付で、厚生大臣に対しまして分野調整法に基づく調査の申し出があったという例でございます。この件につきましても、調査の申し出を踏まえまして厚生省はすぐ調査を行ったわけでございますけれども、その調査の結果を踏まえまして、両組合では京都府、大阪府両府のあっせんをいただきまして、話し合いによりまして円満な解決を見たということになっております。
○上坂委員 特にクリーニングのような場合、店を開く場合には県が認可権を持っているというふうに聞いておるわけですが、それがそのとおりであるならば、県の調整役としての役割りというものはなお大きく生きてくると私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
○田中説明員 お答えいたします。 このクリーニング業を含めましていわゆる環境衛生関係営業の事業分野の紛争に関しましては、私どもも従来から都道府県を指導いたしまして、行政指導の一環として鋭意話し合いによります解決を図るように指導してまいったわけでございます。そんなことで、これまで起きました数件の紛争事例につきましても、県の協力を得て円満に解決を見ているところでございます。いずれにいたしましても、先生御指摘のように、営業の許可というのが環衛業にはあるわけでございますので、そういう観点も含めまして行政指導の一環としてやっておるというようなことでございます。
○上坂委員 もう一つ、昨年の商工委員会で私が取り上げたのですが、富山県における敷島製パンの進出に対する調整の方法がどうであったかということをお聞きしたいと思うのです。 富山県では、すでに山崎、フジの大手製パン会社が進出をしておりまして、五〇%ぐらいのシェアを持っている、そこへこの敷島製パンが進出を計画したわけですね。非常に大きな影響があって、北陸農政局の行政指導があったと思いますが、これには県が非常に深くタッチをして、県のあっせんというものがかなり功を奏したというふうに聞いておるわけでありますが、その辺の事情をお聞かせいただきたいと思うのです。
○土田説明員 お答えいたします。 ただいまの敷島製パンの富山県への進出問題につきましては、富山県及び富山県中小企業団体中央会の方からの要請がございまして、五十四年の三月でございますが、私どもの北陸農政局も乗り出しまして、敷島製パンと富山県のパン協同組合等の関係団体、三団体ございますが、それとの話し合いによりまして事態の解決を図るように指導を行ってまいってきております。それで、両当事者間で北陸農政局のあっせんによりまして、富山県当局も交えまして六回ほどの話し合いを行ってまいりまして、昨年の三月でございますが、敷島製パンが富山県への進出を一年間延長する、つまりことしの二月までは進出しないというようなことでとりあえずの合意を見ております。 その後、昨年の十月でございますが、富山県のパン協同組合等の方から農政局に対しまして、敷島製パンの五十六年以降の進出計画等につきましての調査の依頼がございました。私ども、その依頼を受けまして敷島製パンの方より事情聴取を行いまして、その結果を基礎といたしまして、本年の三月から、これも富山県当局も交えまして当事者間の話し合いを行っているというのが現在までの状況でございます。 いずれにしましても、両当事者間の話し合いを進めるに当たりまして、私どもとしては当然のことながら地元富山県と十分連絡をとって、地元行政機関の意向をも勘案しながら必要な指導を行っているところでございまして、今後とも当事者間の自主的な話し合いを基本といたしまして、地元の実情を十分に反映した紛争の円満な解決が図られるように努めてまいりたいと考えております。
○上坂委員 いまお話しのように、地元といいますか、県なり地元のいろいろな団体なりが非常にかかわって円満に解決の方向に進むわけでありますが、ただ、やりっ放しだと、そのまままた企業は進出しますから、いつでも監視していなければならない。 ところで、その監視の役目をだれがやるかというと、年じゅう厚生省なり農林省がやっているわけにいかない。やはり県が一番監視しやすいですね。特にパンなんかの場合は学校給食と非常に関係があるわけです。私は、パンの学校給食が悪いと言っているわけではありません。そうではなくて、最近学校給食の米飯推進というのが非常に強く叫ばれておるわけです。そうしますと、当然その需要は低下します。低下するところへもってきて大企業が進出しますから、これは二重の打撃を受けて大変なことになります。そういうことを防ぐのには、県の行政というものが生きてこなければとても防げるものではない。たとえば県は、東京へみんな持っていかれてしまって東京からパンが来るようなことではなくて、地元のお金がちゃんと地元に落ちるようにという形で地元の業者をやりなさいとか、地元でつくるパンを皆できるだけ多く食べてくださいとかPRするのも、農政局なんかでやらないからね、やはり富山県なら富山県がやる、あるいは富山市なら富山市がやる、こういうかっこうになっていかなければならぬと私は思うのですね。そういう意味で、県なり何なりの行政指導といいますか、現実に行政というものが非常に深くかかわりを持っていると私は思うのです。そういう意味でも、所管大臣だけの権限に置いておいたのでは、本当のアフターケアも何もできないと思うのです。これは調停ばかりしたってだめなんですから、必ずアフターケアもやる。分野法にもちゃんとあるのです。その後は近代化を図って企業がちゃんと成り立つように指導していくのだ、こういう精神があるわけですから、これを生かしていかなければならぬと思うのですね。本当はこれを口を酸っぱく言いたいので、いろいろ例を挙げているわけなんです。 そこで、もう一つ例を挙げるわけなんですが、最近ホテル旅館業が、いわゆるチェーン店というのですか、これが展開をするわけです。地方都市のホテル旅館業界はこれに大変脅威を感じております。たとえば東急インは最近東北各地に、駅前のとってもいいところにホテルを建て始めたのですね。ところが権限が厚生大臣になっているのです。そんなものですから、その地域のたとえば市なり町なりの旅館業者は東京まで来て、厚生省に持ってくるのがなかなかむずかしいのですね。厚生省には偉い人ばかりいるものだから、なかなか来にくいのだそうですね。そこで、一番親しみのある、駆け込みやすい県に行くわけです。そうすると県は、そういうのにタッチするとめんどうくさいものだから、なるべくそっちの方を向いてタッチしないわけですよ。そうして、なるべく厚生省の方にお任せをしてしまうという傾向が出てくるものだから、結局地元の業者は泣き寝入りしてしまって、いつの間にか八階建てだとか十階建てのホテルが建ってしまう。そのことによって受ける影響は大変なものです。こういう例が私はたくさんあると思うのです。 そこで、ここの資料にある合意が成立したと言われている福田観光ホテルの金沢市への進出についてのいきさつと結果、それからここにタッチしたいろいろな業界あるいは行政機関、そういうものはどうであったかということをひとつ御説明をいただきたい。
○田中説明員 石川県におきます旅館業に関する紛争の経過についてお答えいたします。 これは、富山県に所在する大企業者でございますが、これが石川県金沢市にホテル営業を行うという計画につきまして、石川県旅館業環境衛生同業組合から昭和五十四年六月四日付で、厚生大臣に対しまして分野調整法に基づく調整の申し出があったものでございます。 〔辻(英)委員長代理退席、委員長着席〕 厚生省はこれを受けまして、石川県及び富山県の協力をいただきまして双方から事情を聴取する等の現地調査を実施したわけでございますが、その際、双方より話し合いによります解決を図りたいということで、厚生省の仲立ちの依頼があったわけでございます。それを受けましてあっせんを行いましたところ、話し合いが成立して、同年八月十四日、協定書の調印によりまして円満に紛争が解決したという事例でございます。 協定書の内容は、開業後二年間の一部客室の凍結というようなことを主な内容とした協定書になっております。
○上坂委員 そろそろ結論に入りますが、いまいろいろ報告をいただいたことを見ましても、分野法では所管大臣だけの権限に終わらせるのではなくて、やはり何らかの方法で知事が分野調整の役割りを果たすことができるように法改正をすべきである、私はこういうふうに考えるわけであります。したがって、ひとつ前向きでこのことを検討していただきたいと思うのです。 特に、大企業が進出をいたしますと、やはりいろいろ都市形態が変わってきます。したがって、地方都市のいわゆる都市計画そのものにもいろいろ関係が出てくるわけですね。そういう面からいろいろな地方自治体の支出も多くなってまいりますし、地方住民の負担も多くなってくるわけであります。そういう観点から見て、やはりまず県知事の方にいろいろな権限をなるべく与えるような形での考え方の上に立って前向きにひとつ取り組んでいただきたい、こういうように思います。 もう一つ申し上げますと、東京都それから大阪府、兵庫県、ここではいわゆる決議が行われておるわけであります。御承知のように意見書が採択をされまして、これはもうすでに中央へ上がってきていると思いますが、その意見書の中にもやはりいろいろ、何といっても紛争がたくさん起きる、それについては県がいまの状況ではなかなか応急に対応することができないシステムになっている、これでは紛争が長引くばかりだから、これをやはり早く解決しないと地域の経済に与える影響も非常に多くなるので、知事の方に権限を移譲するような措置をとってもらいたい、こういう意見書が採択されて中央へ上がってきていると思うのですね。こういうことにひとつこたえていただきたいというふうに思います。いまの私が申し上げたことについて大臣は考慮していただけるのかどうか、お答えをいただきたいと思うのです。
○田中(六)国務大臣 分野調整法につきましては、その趣旨並びにその態様、その運用というものは、私は現段階ではまあまあうまくいっているのじゃないかというふうに思っております。 知事と地方自治体、つまり知事などを参加さすように法改正をすべきだというような御意見でございますが、ただいま申し上げましたように運用はいまのところうまくいっていると思いますし、現実にもいろいろ相談すべきときには各地方自治体の長つまり知事などには相談申し上げておりますし、上坂委員の御指摘は十分わかりますが、これを法改正してどうということはいまのところ考えておりません。しかし、まさしく御指摘のようにいろんな態様が変わっていくし、多様化あるいは地方住民のニーズというようなこともありますし、将来の展望ということになるとまた問題は別でございますけれども、いまのところ私は現状のままでいいのじゃないかというふうに考えます。
○上坂委員 大臣はいつもそういう答えをされるので、いささかがっかりしちゃうのだけれども、もう一回言うけれども、何とか前向きでちょっと研究してもらいたいというふうに思いますね。これは、各都府県議会が決議して意見書を採択しているような状況であるということを認識していただきたいと思うのです。 最後にもう一つ、ダミーの問題があるわけですが、法第二条二項の大企業が単独で資本並びに人的支配を行う場合がそのダミーの規定になっているわけですね。しかし、これも、本当のことを言うと改正しなければならないのじゃないかというような感じがします。たとえばダミー食品というところが豆腐業界に進出をする問題がありました。このタイヨー食品は東食のダミーなんです。そこから資本が入り、あるいは役員がそこに行っていたのです。ところが、紛争が起きたら全部引き揚げてしまったわけです。そして別な形で資本の構成をやりあるいは役員の構成をやって、そして紛争をおさめたわけです。幸いに豆腐をつくらないことになったからいいのですが、聞くところによりますと、紛争がおさまったら今度はまたもとの役員と資本の構成に返ったなどということも聞いているわけであります。それから、単独で支配をするわけでありますから、大企業の二つ三つが資本を投資し役員を送るということになると、これはダミーの規定に該当しなくなってしまうのです。そういう問題もあるので、こういうダミーの規定についてもやはり再検討の余地があるし、再検討するということになればやはり法改正も必要になってくる。このこともひとつ考えてもらいたいというように思います。 もう一つは、フランチャイズの営業の展開の問題でありますが、御承知のように、本社のマニュアルによって実質的な支配関係が行われて店舗展開がいまされております。このいわゆるフランチャイズ店の進出の状況を見ますと、そこに参加をしている中小企業というものはほとんど独立性というのが失われております。こういうことを考えると、このダミーを含めましていろんな問題で、中小企業分野への大企業の進出については考慮しなければならない点がたくさんあると私は思います。そこで、前向きにひとついろんな形での検討をして、やはり時勢に合わなければそれは法律を改正して改めていく、こういうように考えなければならないというように思いますので、その点をひとつ要望しておきたいと思うのです。 それから最後でありますが、大企業の定義について、いま通産省でいろいろ考えておられるようであります。一億円の枠を三億円に広げるとかなんとかいう問題が出ておるわけですが、分野法の精神というものを本当に実効あらしめるためには、中小企業の分野を守り確保する、こういう立場が必要だろうと思うのです。そうしますと、たとえば「又は」でくくられている資本と従業員の労働力の構成というものは、やはり非常に問題がありますね。たとえば三百人以下ということになると、三百人以上持っている企業なんというのはないわけですから。しかも従業員が少なくても、一億円以上の会社であればだめだとか、資本が少なくても従業員がいっぱいあったらだめだということになると、定義に入ってこない。こういう問題ではとても中小企業に対する影響のつかみ方というのは私はできないと思うのです。そういう意味で、この辺についても再検討の余地があるということで、これらのことについて十分検討をされることを私は望みたいのでありますが、その点についてどういうふうにお考えになるか。これは中小企業庁長官からひとつお答えをいただきたい。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 定義改正の問題は、現在政策審議会の中で独立した定義改正問題小委員会をつくって検討いたしております。その際に、いま御指摘のありましたような点も含めまして、慎重に検討してまいりたいと思っております。 現段階で申しますと、「又は」という点について、特にこれは関係業界、学識経験者等からのいろいろな意見も広く求めておりますが、特にこの点について早急に改正すべしというような意見の提示は、いまのところはまだございません。いま集中的にやっておりますのは、やはり資本金の額というものが実態に即応しなくなっているんじゃないか、まずその辺から片づけようという段階にございます。
○上坂委員 次に、金の公認先物市場開設の問題についてお伺いをしたいと思います。 御承知のように、金のブラックマーケットによる一般大衆の被害がもう続出をしております。これに伴って、金の先物市場開設を公認する動きが活発になってきておりまして、新聞報道等でもかなりいろいろ取り上げられております。この辺の事情を通産省はいまどういうふうにとらえておられるか、ひとつ御説明いただきたいと思うのです。 時間が切迫しておりますから、もう一つついでにお伺いしますが、通産省あるいは資源エネルギー庁のいままでの対策では、この金問題については、国民の金に対する知識が非常に不足をしている、あるいは現物の流通機構そのものがなかなか整備をされていない、だからまず現物市場の育成に向かっていろいろ考慮をしなければならないのではないか、こういった考え方の上に立って検討をされていたようでありますが、それが何か急速に先物市場を設置するという形に動いてきている。五十五年の七月に資源エネルギー庁の長官の諮問機関である金地金流通問題研究会の検討結果が出ておりますが、この時点では、日本では金取引所は現物、先物とも設立は時期尚早である、こういうふうになっておるわけであります。それが最近急に変更されている。このことについて、どういう点でこんなに早く変更を来しているのかということについて御説明いただきたい。
○神谷政府委員 御指摘のように、金のブラックマーケットによります被害、警察等の御協力も得まして、私どもの方でもいろいろ努力をいたしております。一時のピークから見ますとかなり減ってきてはおるわけでございますが、御指摘のように根絶される状態にはなっておらないわけでございます。その後、いろいろな状況、商品取引所法の解釈の変更であるとかあるいは海外における金の上場といったような問題も出てきておりますので、このブラックマーケット対策に関しては、従来にも増してわれわれも留意し、かつエネルギーを注がなければならないと考えておるわけでございます。 この面につきましては、すでに当委員会においても御報告させていただきましたが、商品等の取引問題研究会といった形で八条の解釈変更に伴う事後的な手当ての問題、要するに公設の市場以外で行われる、いわゆるブラックと言われているようなマーケットが一般の投資家に与える被害にどう対処していくのかという問題としてこれをとらえ、これについての研究を進め、私どもとしては所要の措置を講ずるようにしていきたいと考えておるわけでございます。 他方、金の流通問題に関しましては、御指摘のように、従来から現物市場の育成に心がけるべきであるという議論、これに関してはもう万人異論がないところでございますし、私どもも努力をしておるところでございます。 他方、これと並行して、金を取引所法の政令指定商品にして上場し、先物市場も開設すべきではないかという議論があったわけでございます。これについてもいろいろな議論がございます。すべきだという議論、あるいは慎重であるべきだという議論もございましたが、これらの議論の状況を見ながら、私どもとしては、物事が非常に影響の大きなものでございますので、慎重に対処をしてまいったわけでございますが、研究は並行して続けてきたわけでございます。 五十五年の七月に、先生御指摘のような研究の結果が一応出ております。しかし、それに対してもやはり、日本にも金市場を設置すべきだという議論、あるいは八条解釈の変化に伴って私設市場でやりたいというような意向も出てきたりしておりましたので、五十五年九月から、同じ資源エネルギー庁でさらにいろいろメンバーを拡充いたしまして、金地金流通対策研究会あるいはその下部機関として金市場問題検討会といったようなものを設置いたしまして、金の先物市場を開設する問題について、関係者を集めてさらに引き続き議論をしてまいったわけでございます。 私どもといたしましては、そういう研究がある程度の姿を見せますまでは、やはり時期尚早ということで進めてまいったわけでございますが、この四月に、金の先物市場を勉強いたします先ほどの研究会でも、円建てで金の取り扱い業者がリスクヘッジを行い得る場が設けられることは意義があるという意見の一致も見てまいりましたし、また自民党におきましても、金の取引所に関してのいろいろな御検討がなされて、政令指定商品として先物市場を開設したらどうかという意見も出されましたし、さらに一般的に金そのものに対する社会の関心が非常に高まっておりますし、流通そのものも、流通量が非常に増大してまいっております。 これらの状況あるいは多くの御意見を念頭に置きながら、私どもといたしましては、商品取引所法に基づいての精神で政令に指定することが適当であるかどうかという点に関して、行政としての責任もございますので、いろいろ実態を詰めながら、先ほど申し上げましたような御意見並びに世の中の実情というものを踏まえて、現在先物市場の設置そのもの、さらにその前段階としての政令指定の問題に関して所要の検討を行っておる段階でございます。
○上坂委員 いろいろ聞きますが、どうも先物市場の方向へずっと動いていることは、いまの答弁で明らかになっていると思うのですね。 ことしの二月十二日の読売新聞によりますと、こういうことが書いてある。「金は一般に考えられている以上に大型な国際商品である。その上場には十分な準備が必要である。」特に「金価格の公正な値ぎめができる保証もないままにスタートすると、業者の思惑が先行し、顧客に無理な勧誘をして、これがトラブルの発生につながる」「国内の金地金の取り扱いでは、圧倒的な比率を占める大手の金地金業者は、取引所の開設には時期尚早だとして反対しているが、専門業者の参加なしには公正な価格形成は困難」である、こういう指摘も行われておるわけであります。 そこで、当業者の考え方は、いろいろ聞いてみたのですが、金の場合当業者は産金業者あるいは流通業者、加工業者、これらが当業者であろうと思いますが、市場の必要を特に認めない、市場開設には特別に反対ということではないけれども、開設されても利用するつもりはありませんねといった調子なのですね。金地金流通界の最大の大手と言われている田中貴金属工業株式会社の幹部は、先物というのは現物を伴わない取引、これをフューチャーズと言って、清算取引なんです。この清算取引はわれわれは必要ない、われわれ現物業者には必要はないのだ、こう言っているわけですね。 今度はまた二月十二日の読売はこういうふうにも言っているのですね。「大阪三品化繊取引員協会が、私設の金地金取引市場をつくるため、大阪金属取引会を設立した。」「公認された金市場の開設をめざし研究会を近く発足させる。」「たんに綿糸の取引だけではジリ貧になる」というのが大阪三品取引所の説明だ、こういうふうに言っているのですね。 こういうことをずっと総合して判断しますと、いまのような形で先物取引をするということについてはかなり現時点では問題があるのではないか、よほど慎重にやらないとこれは大変なことになるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。この辺についての認識をひとつ披瀝をしてもらいたいと思う。 それからもう一つは、金の取引については、世界的に見た場合には現物市場というのが主役になっているというふうに私は思うのです。ところが、先物のいわゆる公設市場をまず設けてから、せっかくいままでずっと流通問題で研究をしてきたいわゆる現物市場は、これから設けることになるかどうかは知らないけれども、後になってしまっているという感じがします。これではちょっと順序が違うのではないか、こういう感じがするわけでありますが、その辺についてもひとつ御説明をいただきたいと思います。
○神谷政府委員 先生御指摘の読売の意見その他それに類する御意見は、私どもも慎重に熟読をいたしておりますし、その他の御意見もいろいろ拝聴をしておるわけでございます。 まさに御指摘のように、金の市場が実際の金の取引、日本の需要は世界の一割を占めておりますわけですから、相当大きな金の市場であるわけでございますが、そういう実際の取引と乖離して一部のローカルな値決めが行われたり、あるいは世界あるいは実取引から乖離したような値決めが行われるような市場ができるといたしますと、それは商品取引所法の精神にも反するわけでございますので、そういうようなことにならないような留意というのは、この法律の運用あるいはそれに伴う許認可に当たってわれわれが十分配慮しなければならないばかりではなく、むしろ金のような大事なものに関しては積極的な行政指導も行いながら法律の運用の適正を期していくべきだろうというふうに考えております。 そういう意味では、世界の市場といったようなものと、日本でもし市場が設けられました場合に、それらの市場をつなぎ得るようないわゆる金の流通あるいはその他の取り扱いに関連するような業者が実態としてその市場に参加するかしないか、あるいは実際にそういう市場で取引を行うか行わないかというような状況、あるいは先ほど御指摘のように、一部現在の金の地金業者等の既存の歴史的な流通業者の中では、反対じゃないけれども、特にいまのままでいいんだ、おれは扱わないよと言っておられる方のあるのも承知しております。他方、従来のような流通とは別な形で新しくこの取引を拡大しているところでは、やはり取引所というものにヘッジの機能があれば活用したい、こういうことも言っております。したがいまして、基本的には実際の経済の取引を背景として、十分一定の取引所として成り立ち得るような方々が会員としてこの取引所に参加するかしないかというような問題は私ども非常に重要な問題として、先ほどの現在検討を進めておりますという中の一つの項目に入っておるわけでございますし、またそういうものを充足した上で政令指定あるいはその他で先に進んでいくことが適切ではないかというふうに考えております。 先生御指摘のように、世界の市場の中では、特に有名なロンドンは現物取引でございます。非常に雑な言い方をすれば、主としてヨーロッパ系は現物取引、アメリカ系のコメックスその他は先物取引ということで、いわゆる取引所は米系と欧系と大体そのような形で分かれておるわけでございますが、イギリスの中でもLMEという有名なフューチャーの取引所がございます。ここでは従来金を扱っておりませんでしたが、現在金上場の動きがかなり具体化をいたしておりまして、遠からずイギリスにもフューチャーと現物の二本の市場ができるのではないかと思っております。香港にも現在フューチャーの市場あるいはロンドンの市場に似たもの等三つの市場が存在しておる等々複数の市場がございますが、私の感じでは、日本の場合には、現物市場というのは実際のユーザーが安心して買いに行く店を十分整備していくという形で現在のところ進めていけばいいのではないか。したがいまして、資源エネルギー庁が行っております登録店制度というものを拡大しながら、その登録店の間でもし横の取引が行われるようになってくれば、そこからひとつ自然発生的に出てくればいいのではないかと考えております。 それから、取引業者間の複雑な横の取引を主体にするものといたしましては、現物のほかにやはりフューチャーが入った方がヘッジとしての機能も十分発揮されますので、その場合には先物市場が設置され、しかもその中で当限という形で現物に近いものもあわせて取引が行われるという形で公設市場が整備されればいいのではないかというふうに考えております。 日本とヨーロッパと歴史が違いますので、ロンドンのようなあるいはヨーロッパ的な現物市場というものができてくる素地というのはそれほど高くないと考えておりますし、これは政府が行政でつくれとかつくらせるというようなものでもないと考えておりますので、ただいま御説明しましたような方向で両者健全な市場を育成していくということが方向としては望ましい。問題は、そういう時期になっているかどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、大方の御意見を腹におさめながら、行政としてもさらに検討を進めてまいりたいと思っております。
○上坂委員 四月の二日に株式会社東金会が資本金八千万円で発足しましたね。ここの役員の話によりますと、四月二十日ごろから月末までに金市場をオープンしたい、こう言っているわけですね。そうしますと、これはブラックマーケットになってしまうおそれがある。ところで、その東金会に属している人たちは金を扱ってこなかったわけですね。いままでの七品目の商品を扱ってきている。それから、先ほど言った大阪三品、化繊の人たちでつくった大阪会の方についても、これもやはり七品目の取り扱い業者。そうして、当業者の方は、これは余り使わないんだ、参加しないんだと言っている。そうすると、関係のないのばかりが集まって、そして先物市場に参入をする、こういうかっこうになってくるんじゃないかと思うのですね。 ところが、実を言いますと、商品取引業界というのは金については大体五年ぐらい前からいろいろ考えて、何とか先物市場をつくりたいという傾向があったというふうに聞いている。というのは、最近五年間の統計を見ますと、いわゆる上場された枚数といいますか扱い枚数というのは大分落ちているわけですね。三割か四割落ちてきている。したがって、それに伴って従業員なんかも落ちてきているわけですが、いまの扱いの品物では、先ほど言ったように三品扱っていたってとてもだめなんです、こういうふうに大阪の取引所の人が言っているように、いまの状況でいくと何となくじり貧になってしまう。そこで一番いいのは、当面起死回生のいわゆる代打要員としては、指名代打制じゃないけれども、やはり金がいいんじゃないか、こういう発想になってきたんじゃないかと思うのです。 そこで、どうもいまの商品取引業界がいろいろなところで働きかけて、いわゆる根回しをしてきたんじゃないかと勘ぐってしまいたくなるんだね。勘ぐりたくはないんだけれども、何となくそういう方向に来てしまう。そして先ほど審議官の方から、自民党でも大体結論が出ているというような話で、自民党にも大分働きかけたんじゃないかなんて思いたくなってしまって、まずいかどうかわからないんだけれども、そういう感じがする。そこで今度は、これは政党ばかりじゃなくて通産省の方にも働きがあったんじゃないか、ここまで考えると、余りそれはうまくないよと言われるかもしれないけれども、何となくそう思いたくなるわけですね。それだから通産省は急いで、最近そうでなかったものが急速にががががっと出てきて、先物市場に対する研究、研究なんてうまいことは言うけれども、実はもう既成の事実としてここへ進むんですよ、こう言いながらやっているようにどうも私にはとれてならないわけですよ。その辺がやはり非常に問題になるところだと思うのですね。 そこで、四月十四日の「動き始めた金の先物取引問題」これは日経の社説だと思うのですが、「「政治」の偏向を避けよ」こういう警告をずばっと出しているということもやはり念頭に置いていただかなければならないと思うのです。なぜこういうことを言うかというと、問題なのは、私は、やはり被害がもっともっと広がっていくだろうと考えるからであります。この辺のところを私は非常に重要ではないかというふうに思っています。それから、商品取引所法の第八条の解釈でありますが、これも実を言うと最近逆転をした。いままでは全商品が対象だった。ところが今度は七品目で、上場されているものだけだ、あとは構わないんだ、こういうことになったからブラックマーケットがばばっと出てしまって、大変な被害状況というのが現実に出てきているわけでしょう。そうしますと、こういう通産省が急に逆転をした解釈を行ったということ自体もどうも、いわゆる普通の商品取引業者の主張してきたようなものを認めて、金の取引というものをまず第一回には野放しにしてしまう、野放しにすればブラックマーケットがどんどん出てきて被害がうんと起きる、そこで、どうしても金に対するいろいろな配慮をし、取り締まりを強化しなければならぬ、そうすると当然市場問題が起こってくる、こういう発想でどうも筋書きがずっとできているような感じがしてならないのですね。 だから、いままで話をしたことを私は一口に言いまして、金の先物取引市場開設を公認するための布石が着々として行われてきた、こういうふうに解釈せざるを得ないのです。その辺のところをどういうふうに思いますか、ひとつ御説明をいただきたい。
○神谷政府委員 御指摘のように、商品取引業界の中で、金を上場すべきであるという議論が前からあったことは事実でございます。これは実は、先ほど御説明いたしましたようないろいろな研究会であるとか各方面の検討が始められてからではございませんで、まさに私自身もこの仕事に携わります前からもずっとそういう議論があったわけでございます。それに対してむしろ私どもとしては、非常に影響の重要な商品であるということで慎重論でずうっと今日まで、そういう議論はありながらも私どもは慎重に対応してきたわけでございます。 ただ、もちろん世界、ロンドンにはLMEがございますし、アメリカにはコメックスがございますし、いろいろ金融・商品市場センターというものが東京にできてはいけないこともございませんし、私どもは日本がこれだけの経済国になりました以上、そういう中心というものが東京にでき、その業界が健全に発展すること自体は何も悪いことではないというふうに考えておりますが、ただ余り焦って、条件が整わぬのにやることは適当でないだろう、こういうことで行政といたしましては非常に慎重に進めてきたわけでございます。 しかしながら、先ほども御説明いたしましたように、金に対する関心あるいは金の取引流通量というものもかなりふえてきておりますし、一般に購入される方々の数も非常にふえてきておる、これも新聞の社会欄等にも出るほどになってきております。 そういう状況も踏まえながら、周辺のいろいろな御意見を虚心坦懐に聞きながら現在に至っておるというのが実情でございます。いろいろな布石を敷きながらやってきたというようなことは全くございませんで、先ほどの八条の解釈変更でございますが、そういう見方もできるのかなという感じがいたしますが、正直申し上げますと、われわれ自身この公式の解釈変更というものが政府として決まります前、余り内部のことを申し上げるのは適当でないかと思いますけれども、通産省としてはむしろ従来のオーソドックスな、八条はすべての商品にわたるのだという主張をしてきたわけでございます。また、通産省が立法に携わった法律でございますので、恐らく関係者がそういう気持ちを持ちながら立法されたのだろうと思っておりますが、やはり法律の解釈は客観的でございますので、内閣として正式の専門分野で検討をして、文理解釈上これ以外解釈できないということになりますと、立法者がどういう気持ちで立法したかどうかは別といたしまして、解釈論としてはそういうことになってしまう。私どもはむしろ、できれば従来の解釈のままでいきたいと思ったわけでございますが、公式に解釈をまとめざるを得ない時期になりまして政府としての公式見解がそうだ、法律解釈を最終的に行う部門からそのように判断されました以上、それに従わざるを得なくなったということでございまして、布石を打ったなどということはとんでもないことでございまして、思わぬところに石が来たということで非常に驚いておるわけでございまして、それに対しての対策は、先ほども御説明いたしましたように、いろいろ現在勉強中でございます。
○上坂委員 ときどき地震が来たり火をつけたりしないとびしっとしないから、火をつけたことになっているわけだけれども。 ところで、商品取引のトラブルというのは全く後を絶ちませんね。私の資料で見ますと、五十一年から五十五年の五年間に出来高、これは農林水産省と通産省の両省にまたがっておるわけですが、先ほど申し上げたように減っているわけですね。五十一年で二千三百万枚あったのがいま五十五年で一千九百万枚に減っているわけです。商品取引員と登録の外務員の数も減っている、したがって委託者の数も横ばい、こういう形になっています。そこで、今度は委託者の紛議の発生状況を見ますと、これは減っているようだけれども余り減ってないんです。最近またずっとふえている傾向に来ています。特に金のブラックマーケットによる被害というのは大変なものがあります。通産省も知っているだろうと思うんだけれども悪徳商法被害者対策委員会というのがありまして、ここに電話とか手紙で被害の申し出があります。これを見てみますと、五十三年の七月から五十六年三月の二年八カ月で六百八人の連絡があった、そして、その金額は実に二十九億六千五百万円に上っている。一人平均にいたしますと四百九十万円になっているのです。被害者は、公務員の人は金持っているのかどうか知らないけれども、公務員が非常に多い。特に学校の教職員、退職教職員が大分ひっかかっているわけです。そして、だれにひっかかっているかというと——勧誘員の前身を調べてみると、商品取引員のいわゆる外務員であった者がほとんどで、これが二百名にも及んでいる。この人たちが全国的にばらまかれて、特に東京とかなんかの中央よりも人のいい、正直なところへいまはどんどん行っている。たとえば東北であるとか北陸であるとか山陽であるとか、長野とか新潟とか、そういうところへどんどん行っているわけですよ。そういうところにうんと被害が起きている、ここがやはり問題です。裁判ではだまされる方が悪いんだなんとは言っていませんから、良心的な人をだましているわけですよ。よく官庁に行くと、それはだまされる方の人は、金を持って何か一獲千金を夢見ているからやられちゃうのだなんて……。そういうように考えたらこれはだめです、だます方の手口は実にうまいわけだから。だまされる人は本当に正直なんだ。だますやつを退治しなければだめなんです。 ところが、この先物取引市場を開設してごらんなさい。私は、金というものはもう公然とやっていいのですというお墨つきを与えたものになるだろうと思う。そうしたら、外務員がブラックマーケットで隠れてやるどころの騒ぎじゃない。公然と一般大衆、良民をどんどん勧誘してこれに参加させるという状況が出てくるというふうに私は考えざるを得ないわけであります。そこで私は非常に問題だと思うのです。 これは農林省の人に言うのは悪いようだけれども、御承知のように、昨年九月から十月、摘発されて、農林省の担当課長が自殺してしまった。これは大阪穀物取引所のトラブルで、更新されるときにひっかかってはいけないからなんというので賄賂を贈ったり、あるいは立入検査をやられると大変だからというのでそれに手心を加えてもらおうと思ってやったり、そういう悪徳業者はたくさんいるわけです。 この間、私も一つ取り扱ったのですが、この人は四年前に自殺して未遂になってしまったものだからもう再起不能になって、そのために一家は全部、学校へ行っている人はみんな退学して生活を支えなければならぬという状況になっている。こういう人がしょっちゅう私たちのところに来るわけです。 そういう問題がいまの取引所でも後を絶たないのですから、金は魅力があるのだから、何といったって金より魅力があるのは世の中にないくらいなんだから、金なんかやったら、これにばばばっと大衆が来てしまうおそれがある。そうなると、どんどんトラブルが広がってきて被害者が多くなってくると私は思うのです。そういうことで、金のブラックマーケット対策だからなんということに名をかりて金の先物取引市場を設けることを考えるなんというのは非常に大きな問題である。特に、一年半から二年後にたとえば先物市場が公設になるなんということになったら、じゃその一年半から二年くらいの間にうんと荒らし回ってやろうというので手ぐすね引いている勧誘員がいっぱいいるわけですから、これらが全国的にわっとやり出したら、これはもうどうにもならない。いわゆる駆け込み勧誘なんというのが出てきたら、これは大変なことになってしまう。そういうことで、私は本当に慎重に扱ってもらわなければならないと考えます。 そこで、いまいろいろお話ししたようなことから、これは十分慎重にやって、余り先物買い——幾ら何でも通産省が先物買いをやってはいけないですね。悪徳勧誘員に勧誘されて通産省が先物買いをやったというのでは危なくてしょうがないから、その点は十分注意をしてもらわなければならないと思うのです。 そこで、今度は金のブラックマーケットの押さえ込みの対策でありますが、私は、これは先物市場を開設しなくても十分できると思うのです。それは、あなた方が研究をいたしましたいわゆる研究会の中間報告にちゃんと出ている。これは、商品取引所法の第八条の精神、当初の解釈をそのまま生かしてくればいいのです。そうして商品取引所法そのものを改正していくというかっこうにすればいいのです。逆転解釈——いまさら改めたら通産省は恥をかいちゃうから実際にはそんなことはできないと思うのです。私もそれはよくわかる。 そこで、これはやはり法改正をするという方向できちんとすればいいと思うのです。その法改正については、私設先物取引所の開設禁止というものをはっきりうたう。もう一つは、先物取引及びその類似行為に対しては、一般投資家を対象とする勧誘または受託を完全に禁止してしまう、こういうことをきちんと法改正でやるべきだと私は思うのです。この点については、先ほど言ったように中間報告でもりっぱに指摘されているものですから、その点を十分考慮していただきたいと思うのです。 それから、時間がありませんからもう一つ言いますが、商取法はかなり不備な点が多いと思うのです。 その不備な点を申し上げますと、まず第一番に、九十四条の「不当な勧誘等の禁止」ということについて罰則規定がありません。これでは勧誘員はやはりばっこする。これは罰則規定を設けなければならぬと思うのです。 それからもう一つは、証拠金率が低過ぎるという議論がある。これも大切な議論で、検討に値するものではないかと私は思います。 それから、いままで農林省だとか通産省がいわゆる取引員に対して立入検査をやってきたと思うのです。ところが、その処分だとかどういう措置をしたというような結果は一切公表されたことがない。先ほど言ったように、公表されないように賄賂を使ったりなんかしている業者もあるわけだから、こういう公表をやらないとどういうのが悪いのかわからない。そこで一般大衆はひっかかってしまうという問題が出てくる。 四番目には、委託者と取引員の間に紛議が起きた場合に、それを調停するのは取引所の中における調停委員会がやるのです。だから、第三者がこれに入っていないから取引所に有利なような解釈が常に行われている。私も何回かタッチしてきましたけれども、いつでも委託者の方がどうも不利になっています。ここもやはり問題で、これでは委託者の保護にはならないと私は考える。 それから、手続更新の問題なんですが、いま四年ごとに登録の更新をやるわけですが、そのときに悪徳業者で札つきだったり刑事事件を起こしたり紛議をたくさん起こしたような業者はやめさせなければいけない。ところが、やめさせた事例が私の調査ではない。それが問題なんです。先ほどの問題のように、ないようにいろいろやったかもしれないのですね。これは四十一条あるいは四十四条の問題でありますが、こうした更新のときに悪徳業者を十分切っていくようなきちんとした監督をしないと、いわゆる悪徳商法というのはなくならないと私は思うのです。 こういう消費者保護というか委託者保護ということを念頭に置いて商品取引所法を再検討する必要があると私は思うのだけれども、その点についてどういうふうに考えるかについて御説明をいただきたいと思います。
○神谷政府委員 商品取引所法については、先生最初に御指摘の八条に関連した事項の問題と、それからその後列挙して御指摘いただきました消費者保護に関連した多くの問題とございます。 まず、八条問題につきましては、商品取引所法の改正という形になるか、あるいは実は海外の商品取引市場の勧誘の問題というのもございますので、果たしてどういう形で法的な措置をしていくのが適切であるかという問題と、かつての旧八条の解釈の時代、要するに逆転解釈前にも金のブラックというのは非常に多いわけでございます。統計的には、むしろ解釈が逆転する前がピークでございまして、逆転してからもっと本当は根絶したいのですが、根絶まで至っていないというのが実情でございますので、八条をもとに戻しただけでは効果は十分ではないので、われわれは商品取引所法の八条問題よりさらに踏み出して、もう少しこの問題に関して検討すべきではないかということで、先生御指摘の中間報告を凄いただいたような研究を行っておるわけでございます。 しかし、影響するところ非常に大きな問題でございますので、立法技術的な問題と同時に、本来自由であるべき取引を規制し行政が介入するということでございますので、行政改革でなるべく介入しないようにという御時世に逆行するわけでございますから、やはり世の中の意見を十分聞いた上で慎重に、しかしやるべきことはやっていかなければならぬということで、これはこの問題として重点的に取り上げていきたいと考えております。 それから、いわゆる不当勧誘に関しての罰則の問題、証拠金の問題、紛議の問題等々ございますが、それぞれ行政処分の対象にはなっておりますが罰金の対象にはなっていない。本来罰則で、刑事罰で対処されなければならないようなものは、これはもう刑法にひっかかるような取引が多いわけでございますので、果たして罰金で対処するのが適当であるかどうかというような、従来からいろいろ議論がされてきた問題もございますし、証拠金の問題、立入検査の問題等々法律の問題もございますが、行政的にわれわれがより消費者保護の点にも重心をかげながら対処していくべき問題だろうというふうに考えております。 許可の更新に関しても、更新しなかった例が一つもないじゃないかというような御指摘でございますが、実際には、取引員の数は許可更新を契機として減っておるわけでございます。営業譲渡であるとか合併という形で、これはもう許可は無理だというような形のものは、そのようなことで対処をしておるというようなこともございますので、御指摘の点を踏まえながら、現在の法律でさらに運用の強化を図っていきたいと考えております。もちろん、先般、改正で立法府で御審議いただいたわけでございますので、その法律の運用をさらに充実すると同時に、非常に大事な法律でございますので、いろいろな点についての御意見は、われわれいつも虚心坦懐に伺いながら、専門家の方に検討させていきたい、このように考えております。
○上坂委員 ちょっと遅くなりまして申しわけありませんが、最後に一つだけやらせてもらいたいと思います。 このトラブルを本当になくしていくためには、法改正が必要であると同時に警察の徹底的な取り締まりが必要です。警察では大分力を入れてやっておられるようでありますが、このブラックマーケットに対する取り締まり等について、警察庁としてはどんなふうに考えておられ、どういう形で臨まれようとしているか。また、それをやるにしてもやはりいろいろな問題があると思うのですが、そういう問題になって警察がやりにくいというような点について指摘をしていただければありがたいと思います。これが第一点です。 それからもう一つは、やはり金に対する知識あるいは商品取引に対する知識を本当に国民大衆に植えつけていかなければ、なかなかこれは防げるものではないと思うのです。ところが、これは通産省が新聞に出してやっているのだけれども、新聞の一体どこに出ているのか、こんな目につかないのに一回六百万円もかけてやったって、これこそ本当にむだだと思う。そういう金があるならばもっと有効に使って、本当に大衆がわかるように宣伝をしていかなければならないと私は思います。 そこで、その一般大衆に対するPR、啓発を効果あるものにしていくという形では、ここに一つ例があります。これは、そこから見えないから後でお見せしますが、「くらしのアンテナ」といって、やはり長野県ですが、飯田消費生活センターで出しているものに、真ん中に非常によく書いてある。毛糸相場に投資するように、何回断っても名古屋方面の業者がしつこくやってくる、これに対してどうしたらいいかということを詳しく書いてあるのです。つまり、こういうような地方の市の公報とか県の公報、あるいはこうした消費センターの広報を使ってやるとか、あるいはもっと効果のある宣伝方法をやってもらわなければだめだと思うのです。国民に余り知識を与えないようにしておいて、ブラックマーケットがどんどんふくれ上がったら先物市場を開設するように持っていこうなんて魂胆が見えるようなふうに、悪くとられてしまうんですよ、こんなことをやっていると。だから、注意をして、そういう点に十分気をつけてもらうように私は要望したいと思うのです。このことにお答えをいただいて、私の質問を終わります。
○内田説明員 お答えいたします。 警察庁といたしましては、五十四年の末以来、十六都道府県で二十四の業者を詐欺等の事件で検挙してきているわけでございますが、今後におきましても、金の取引が架空の疑いがあるとかあるいは虚言を用いて勧誘しているというような事案を優先的に適確な取り締まりを行ってまいりたいと思っております。 それから、現在の金の取引をめぐるいろいろな状況でございますけれども、この種の問題について、この取引をめぐります事柄の性質上いろいろ問題がございまして、詐欺罪ということだけで取り締まりをするというのも非常に困難な問題があるわけでございます。したがいまして、このような金の取引をめぐる紛議の予防とかそのための規制はどのようにあるべきかということについては、第一義的には当然主務官庁で考えられるべきことだ、こう存ずるわけでございますけれども、われわれといたしましても、この種の紛議の防止を図るためには、取引の方法とか、あるいはその過程における公正な取引を阻害するような行為というものを、必要な規制を行っていくということが一つの方法ではないか、こう考える次第でございます。
○神谷政府委員 PRの方法につきましては、御指摘のような新聞広告も、中央紙、地方紙でさせていただいておりますし、そのほかテレビ等々の媒体も使っておるわけでございます。御指摘の消費者関係のニュースにつきましても、当省発行の「消費者ニュース」等による注意喚起も行っておりますし、関係省庁と協力してビラの全国配布等を行うほか、地方自治体あるいは消費者行政担当者に対していろいろ説明をして、地元でもいろいろ指導していただくようお願いしておるところでありますが、御指摘のように、特に最近地方にいろいろ被害が拡散しておるという状況にございますので、最後に申し上げましたような点について、先生の御指摘も十分参考にさせていただきながら、さらに力を入れて被害が拡大しないようにPRを行ってまいりたいと考えております。
○上坂委員 終わります。どうもありがとうございました。
○野中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後一時五十九分開議
○野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。長田武士君。
○長田委員 まず初めに、日米自動車問題についてお尋ねをいたします。 自動車の問題につきましては、去る十四日に出発をいたしました自民党議員によるミッションによって、いよいよ政府との対応が注目されてきたわけであります。私は、当委員会におきまして、再三この問題について取り上げてまいりまして、拙速な妥協はすべきではない、このように主張してまいりました。 この問題について、四月十五日付の新聞を見ますと、牛場信彦氏の意見が出ておるわけであります。その中で牛場氏は、米国の一般国民の間では日本車規制反対の声が圧倒的に強い、自主規制は米国自動車業界の立て直しをおくらせるばかりか、インフレを高進させるものである、また、米国内での情勢を正確に掌握せず日本側から自主規制を言い出したことは間違いであると発言をいたしております。 これについて通産大臣、見解はどうですか。
○田中(六)国務大臣 牛場信彦氏のそういうことは、私は直接読んでおりませんけれども、牛場さんがそういうことを言っておるということは聞いております。 それから、自主規制を日本がみずからやります、やりますと言っていったことはございませんで、むしろ向こうの方から、伊東外相によりますと、レーガンさんに会ったときに、何とかしてくれまいかというような表現があったということを聞いておりますし、伊東外相はレーガンさん初めその他の米国の首脳に会っておりますし、そういうことも含めて、ひとつ話し合いをやっていこうということで意見が一致してきたという帰国報告を受けております。私どもはそういうことを踏まえまして、できるならば鈴木総理が訪米前にこの話し合いをコンクリートにしたいという希望を持っておるわけでございます。
○長田委員 それでは伺いますが、米国政府から自動車問題について、日本政府に対しまして正式に何らかの要請が来た事実があるのかどうか、この点が第一点。 たとえばことしの三月の下旬にヘイグ国務長官が伊東外務大臣に対しまして、対米乗用車輸出台数を八一年、八二年、この二年間百四十八万台にとどめるよう要請してきておる。これは米国政府の正式な要請かどうか。また、最近マンスフィールド駐日大使がヘイグ国務長官の意向を日本に伝えたとしておるわけでありますが、その事実はあったのでしょうか、この点どうでしょう。
○田中(六)国務大臣 マンスフィールド大使を通じまして、ヘイグさんの意向だということでそういう話を持ってきたというようなことは、私も新聞で知りましたけれども、伊東外務大臣にそれを確かめたところが、伊東外務大臣は、そういう台数とかなんとかいうことについての話し合いとか、あるいはそういうものを受けた覚えはない。ついせんだってもその点を確かめましたところが、やはり伊東外務大臣は同じようなことを言っておりましたし、私は、外務大臣の言うことでございますし、それを現在も信じております。
○長田委員 ことしに入りまして、自動車問題について天谷審議官、大来代表、伊東外務大臣らが訪米をして米国側と接触をいたしておるわけであります。これに対しまして、四月には米国側からブリーフィングミッションも来日をいたしております。このような交渉の中で日本側の自主規制が当然のように受けとめられていますし、その規制数量も具体的に百四十八万台であるとかあるいは百五十万台であるとか、そのような報道がなされておるわけですね。 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、現段階でも政府は自主規制やむなしとしておるのか、また業界はこのことについてどのような反応を示しておるのか、この点どうでしょうか。
○田中(六)国務大臣 いろいろ情報が乱れ飛んでおるのは事実だと思いますのは、アメリカ側が、自主規制をやってほしいと言いつつ台数が具体的にあちこち出ておるというようなこと、これは果たして自主規制になるのかなと私は疑問に思ったりしております。そういう情報がこういうときには乱れ飛ぶものであろうとは思っておりますけれども、そういう具体的なことはないわけでございます。 ただ、向こう側から説明が来たのは事実でございまして、その説明も、つまりルイス運輸大臣が座長でございましたタスクフォースの結論も踏まえたような説明が加味されておりまして、それを日本側に説明いたしたわけで、向こうの自動車業界の再建と現状というような、どちらかというとそういうテーマで説明をした報告は受けております。 それから、天谷審議官、大来さんあるいは伊東外務大臣その他、向こうに参って話を聞いてきたときも、別に具体的に数字の面とかあるいは期間をどうするというようなことは聞いておりませんし、レーガンさんが首脳会談前にこの問題を片づけたいという意向を伊東外相に漏らしておりますし、また鈴木総理も私どもにはレーガンさんと同じように、自分が訪米前に何らかの形をつけたいと言っておりますので、その線に沿っていきたい。 したがって、いま現実に日本の自動車業界のメーカーを含めたそういう人と話し合いをしておるかということにつきましては、私自身はまだ具体的にこれらの人々に会ってどうとかこうとか言っておりませんけれども、通産省の事務当局は、この問題があろうがあるまいが、前々から自動車問題についてはそれぞれの担当で行政指導もしてまいりましたし、こういう問題がクローズアップされましたので、もちろん日本の業界の意向というものを十分現在の段階で打診をしておるというふうに思います。
○長田委員 昨日、自動車工業会の石原会長が記者会見をいたしております。席上、向こう三年間、年間百五十万台などという数字は論議の対象にはならない、また昨年輸出実績百八十二万台を上回らない水準、それも一年間ならば何とか協力できる、このような発言をいたしております。 政府はこのような業界の意向を聞いておりますか。これに対して通産大臣、感想はどうでしょう。
○田中(六)国務大臣 直接は聞いておりませんけれども、そう言ったということをゆうべ私なりに人づてに聞きましたが、先ほどから申しますように、向こうの希望とかあるいはこちらの希望とかいうことがこういう際は乱れ飛ぶものでございますし、またそれぞれの業界を抱えておる人々でございますので、やはり多少の、多少どころか大いに駆け引きもあるだろうと思いますし、またそういうものがないというのが不思議で、あるのが当然のような気もしますし、私はそういうものを直接は聞いておりませんけれども、頭の中には、入れるなと言っても当然入りますし、そういうことをいろいろな情報の中の一つとして頭の中に考えております。
○長田委員 本日の新聞では、第一・四半期の対米車の輸出の数量は大体四十五万台以下におさまっておる。四半期ごとに四十五万台以下という行政指導が大体徹底されておると私は考えておるのですが、この点、どうでしょうか。
○小長政府委員 この二月六日の段階で田中通商産業大臣から、一月−三月の対米輸出につきまして四十五万台以下に抑えるといういわゆる天気予報の発表があったわけでございます。三月が経過いたしまして、目下その正式の統計の集計中でございますが、私どもの推定では、天気予報どおり四十五万台以下におさまったと思っております。
○長田委員 そこで通産大臣、私はこの前もちょっと指摘しましたけれども、どうも外務省と通産省との食い違いがあるような感じがするのですね。牛場氏は、先ほど私が冒頭に触れましたとおり、余り自分で足を縛るみたいなことはうまくないのじゃないか、そういうようなことを発言しておりますし、通産省とも連携が余りよくできていない。そういう点では、私は、この自動車輸出問題については国益を中心に各省庁とも協力して、特に通産省が中心になって事に当たるということが必要である、どうもその体制が弱いのではないかと思いますが、通産大臣、どうですか。
○田中(六)国務大臣 もちろん、私どもは自動車のこの問題についての話し合いにつきましては、国益を踏まえて話し合いを進めることは当然でございます。 それから、窓口が何かこう複雑あるいは複数になっているようなことに見られることにつきましては、実はそうじゃないのですけれども、それも私どもはいけないことだと思っておりますし、そういうことは事実としては、伊東外務大臣、私ども、ないわけでございます。事務当局も、新聞に出る、出ないは別にいたしましても、外務省、通産省、官邸筋とはよく連絡し合ってやっておりますのでどうということはないと思います。ただ、出るときとかあるいは報道関係の人に聞かれるときに、まともに全部は言えないところもあるでしょうし、部分部分が出てそれがちぐはぐになっている部分もあると思いますが、いま委員御指摘のように、私どもは、ばらばらになったりあるいはそれがちぐはぐになって話し合いに何か大きな悪い影響を与えるというようなことがないように十分努力しなければいけませんし、そうあってはいけませんので、その点は御注意のとおり十分考えた上で、しかも行動するときは慎重にという考えでいきたいと思います。
○長田委員 その点、ひとつ特にしっかりお願いしたいと思っております。 わが国は、対米輸出につきましては鉄鋼と家電、過去二回同じような問題と実は遭遇しているわけですね。特に鉄鋼については、一九七二年輸出入取引法によりまして輸出カルテルを結んで米国の消費者から反トラスト法違反として提訴されております。このときの経緯についてちょっと簡単に説明していただけますか。
○小松政府委員 お答え申し上げます。 先生お話のございましたように、一九七二年五月に米国のコンシューマーズユニオン——消費者連盟でございますが、これが欧州と日本の対米鉄鋼輸出の自主規制につきまして米国の独禁法違反の疑いがあるという点と、それからもう一つ、国務省が外国の民間企業とそういう取り決めをしたことは越権行為ではないかという二つの点について、米国の国務省関係者、それからヨーロッパ、日本の関係者を訴えたという事実がございました。 ところが、その後、コンシューマーズユニオンといたしましては、まず独禁法違反の件は途中で取り下げまして、もっぱら国務省の、政府の越権行為というものだけが一審以降争われまして、最後、七五年の最高裁まで争われたのですが、結果としては消費者連盟が敗訴したということになっております。 ただ、その裁判の過程で、独禁法違反の案件にも若干触れる向きもございまして、心配の点もあるということで、ちょうど一九七五年の一月に成立いたしました一九七四年通商法、米国の通商法でございますが、その中に特別の規定を設けまして、この鉄鋼の自主規制というのは実は七四年で終わっておるのですが、七五年の一月一日以前に終わりました対米鉄鋼輸出自主規制については、いかなる人も米国独禁法もしくは類似の州法の規定に基づく損害賠償その他の制裁の責を負わないという具体的な規定をこの法律の中に盛り込みまして、鉄鋼の自主規制については今後損害賠償その他独禁法違反の争いが起こらないような念のための規定を設けたという経過がございます。
○長田委員 ただいま御説明ありましたとおり、輸取法をとるにいたしましても、アメリカの独占禁止法に抵触しかねないというふうに私は考えております。したがいまして、こうした問題を避けるためには、政府間の協定を結んで政府が保証しなければこれは解決しないのではないかという感じが私はするのですね。 しかし、去る二月の十八日にスミス司法長官からブロック代表にあてて出されました書簡を見ますと、ITCは日本車についてシロの決定を下しているので政府は輸出規制の政府間協定を結ぶ権限はないと、明確に指摘をされておるわけであります。私は、これでは協定を締結することも不可能だろうという感じがいたしております。このような状況で、もし仮に自粛を要請された場合、政府は行政指導による自主規制を行うのかどうか、この点はどうでしょうか。
○小長政府委員 現在、小川平二先生を団長といたします自民党のミッションがアメリカへ派遣されておりまして、この日曜日に帰国される予定になっております。その帰国報告を聞きました上で、私どもとしては具体的な対応を決めなければいけないということでございまして、現在のところ、その対応についてはまだ全く白紙の状況でございます。したがいまして、いま先生御質問のやり方についての具体的な問題については、ここの段階ではまだ答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○長田委員 公明党の矢野訪米団に私、報告をいろいろ聞きました。USTRの代表といろいろ会ったようであります。 その中で私が注目すべき発言だと思うのは、自動車産業の賃金、時給にして十九ドルと言っておりました。一般の労働者の場合は大体十ドル前後。こういう点で、アメリカとしてもインフレという点も非常に懸念をしておるという点が第一点。 それから、もう一つ私たちが注意しなければならないのは、日本の対応が非常に軽率じゃないかということです。ある人はこういうふうな発言をする、ある人はまた違った面で発言をするという点で、この自動車交渉問題は何となくアメリカが日本に対していろいろ要請をする、それに対する対応という点がまずいなという感じを実は受けました。 そこでお尋ねするのでありますけれども、自主規制と自粛とは違うのですね。この定義を言ってみてくれませんか。
○小長政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。 従来、自粛と申しております場合は、個別企業が個別の経営判断でもって輸出について慎重な対応をしていくということでございます。それから、自主規制というのは、政府がそれに積極的に介入する場合を含んで言っている場合が多いかと思います。
○長田委員 自粛がはっきりしませんね。自粛の場合は、業界がみずから輸出をある程度ぺ−スを落とすということじゃないのですか。違いますか。
○小長政府委員 昨年の十月から通産省で天気予報ということをやっておるわけでございますが、天気予報の根拠となりますのは、個別企業が個別企業の経営判断のもとに対米の輸出について慎重な対応をするということでございまして、それを自粛と言っておるわけでございます。
○長田委員 そうしますと、自主規制というのは、政府が何らかの形で行政指導、そうして業界がそれに対してこたえるということですか。
○小長政府委員 人によっていろいろ使い方はあるわけでございますが、私どもはそのように考えております。
○長田委員 そうすると、第一期四十五万台以内というのは、そういう意味で自主規制になりますね。
○小長政府委員 そうではございません。それは自粛でございます。 と申しますのは、個別企業から輸出計画の提出を求めましてそれを集計したものが四十五万台以下ということでございますので、自粛でございます。
○長田委員 そうなりますと、どうでしょうか。自主規制、さらには自粛、この両者をとりましても、アメリカの独占禁止法、さらには日本のカルテルあるいは禁止法ですね、独禁法等にはどういう点でどう抵触するのか。
○小長政府委員 自粛の場合は、個別企業が個別の経営判断に基づきまして慎重な輸出の対応をするということでございますから、わが国の独占禁止法のみならず、アメリカ独占禁止法との関係においても何ら問題はないのではないかと思っております。
○長田委員 時間がなくなってしまいましたので、通産大臣、自動車問題についてはどうかひとつ軽率に妥協しないで、慎重にやっていただきたいと思っております。 次に、中小企業の官公需の問題についてお尋ねをしたいと思っています。 私は、去る三月二十日に当委員会におきまして、中小企業向けの発注をふやすための政府機関を拡大し、現在の三公社七法人にプラスして宅地開発公団あるいは本四公団なども含めるよう提案をいたしました。そのときの答弁では、各省庁と折衝中であるという答弁であったのですけれども、その後の状況はどうでしょうか。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 本日の閣議におきまして六十七法人の追加が決定を見たわけでございます。二十一日の公布、施行ということでございます。 先ほど御発言がございましたように、三月二十日に当商工委員会で先生の方からの御質問がございまして、御提案を受けたわけでございますが、その当時は各省と鋭意検討中でございました。そして、御指摘のように宅開公団あるいは本四公団等を含めまして六十七法人を、話がつきまして今回閣議決定という段階に持ち込んだわけでございます。したがいまして、現在のところ、従来の十法人に六十七法人追加になりましたので七十七法人というのが二十一日以降の対象法人になってまいります。
○長田委員 今回の選定作業の経緯ですね、さらに主な追加法人、この名称について御説明をいただきたいと思っております。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 三月十七日に総合経済対策が打ち出されまして、その中におきまして「官公需発注機関の拡充等を行う」ということが決定されたわけでございまして、この決定に基づきまして政府部内におきまして関係各省それぞれの所管法人について十分精査をいたしまして、中小企業庁が中心となりまして取りまとめを行ったわけでございます。その結果入りました公団等が六十七でございますが、地域整備公団、その他農用地開発公団あるいは日本鉄道建設公団あるいは石油公団等でございます。
○長田委員 また、このことによりまして年間の契約目標がどの程度増加する見込みでしょうか。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 先ほど鉄建公団を申し上げましたが、これは従来から指定になっておりますので訂正さしていただきます。 なお、これらによりましてどのくらいふえるかということでございますが、これはまだ私の方で十分数字の点について各省とは完全に妥結いたしておりませんで、今度の七月にどの程度の目標にするかということを決定に持ち込みたいと思っております。したがいまして、現在では対象をどうするかということだけ、第一段階の作業が完了いたしまして、政令でそういうものを完結したということでございます。
○長田委員 今回の措置は、従来中小企業者から強い要望が出されておったものであります。したがいまして、これを機といたしまして政府も中小企業向けの官公需を一層充実していただきたい、特に要請をしておきます。 ところで、いま御答弁がありましたとおり、国は毎年七月に官公需についての目標を決めておるわけですね。地方公共団体につきましては国の方針に準ずるように、地方自治体に対して要請をするわけであります。 そこで、この要請については毎年どのように徹底されておるのでしょうか。
○児玉政府委員 御質問の趣旨は、閣議決定をした事項について各省でどの程度これが徹底、実行になっているかという御趣旨だと思います。 この件につきましては、これはもう大分実績もございますが、各省庁と私の方で各担当の責任者を決めておりまして、その担当の間の連絡協議ということがつぶさに行われまして、そして途中におきましても、私どもの方は実行について目標達成がぜひ図られるようにという督励を始終行うわけでございます。たとえて申しますと、五十五年度について申し上げますと、下期につきましてはまだ数字を取りまとめ中でございますけれども、上期につきましては、年度間を通じまして三六・五%という目標でございましたが、上期は幸いそれを若干上回る線の実績になっております。
○長田委員 今後の課題といたしまして、私は、中小企業向けの発注率を少なくとも五〇%程度は当然確保しなくちゃならぬと思っております。そのためにも、各省庁及び法人別の目標を明らかにしたらどうかと私は思いますが、この点どうでしょうか。
○児玉政府委員 御指摘の点につきましては、政府全体といたしましてたとえば三六・五%というようなことでございまして、その中で政府の一致連帯した責任で遂行するわけでございまして、各省別にでき、ふできという点、あるいは目標の水準についてのでこぼこという点は、これを余りはっきり出すということはいかがかと思います。もちろん政府部内におきましての検討におきましては、足りないところは十分目標を達成するようにということでやりますが、各省それぞれお家の事情ももちろんございますし、それから各省の工事の性格あるいは仕事の構成等がございまして、どうしても平均的な三六・五%にも目標設定がむずかしい場合もございます。そういった特殊事情がございまして、それを単なる数字として出しますと大変な誤解を受ける等々ございまして、各省との合意におきまして政府一本の数字、このようにさしていただいております。
○長田委員 それでは、官公需の特定品目の拡大について検討すべきであると私は考えますが、この点はどうですか。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 現在八品目ということでございますが、これも四十年代に最初七品目で出発をいたしまして、五十年に一品目追加になったわけでございますが、大体の目安といたしますと、中小企業製品で、大企業製品と比べまして十分自信が持てる、また受注能力も十分ある、それから中小企業の行政上もこれを振興すべきである、業界も非常に熱心である、そういったあらゆる点を総合勘案いたしまして、この特定品目を決定いたしている次第でございます。 したがいまして、この点についてのさらに追加項目、これが具体的に各関係団体及び関係省庁あるいは関係原局から出されました場合は、私どもは十分要望に応じまして検討してまいる所存でございます。
○長田委員 三月の総合経済対策の中で、中小企業向け官公需については五十六年度上半期として前年同期比一〇%増を打ち出しておりますね。そこで、五十六年度の中小企業向けの契約目標についてはどの程度伸ばすつもりなのか、この点どうでしょうか。
○児玉政府委員 お答え申し上げます。 三月十七日の決定は、あくまでも景気対策として打ち出されたものでございまして、その観点から、上期に集中いたしましてできるだけ公共事業も前倒しということが決定されたわけでございます。それとリンクいたしまして、一〇%対前年同期比引き上げるということを入れさせていただいたわけでございますが、年度間を通じて幾らに持っていくかということにつきましては、まだ各省と合意に達しておりません。これからの検討で、七月の決定までに決着を見たい、このように考えております。
○長田委員 次に、原子力発電の事故についてお尋ねをいたしたいと思います。 去る一月に、日本原子力発電の敦賀発電所で給水加熱器に故障を起こしております。二度も冷却水漏れがありまして、これは三カ月近くも隠されたままになっておったわけですね。このことは安全管理上きわめて重大な問題でありますし、また代替エネルギーの推進の面からも大きな問題を提起しておるのではないか、私はこのように考えております。 そこで、今回の事故について、その経緯及び問題点を簡単に説明していただけますか。
○石井政府委員 御報告申し上げます。 現段階におきましては、四月一日から八日まで行いました立入検査結果の分析に基づきまして、そこで把握されました事実、事情、これまでが限度でございまして、言うならば中途段階の報告でございますが、四月一日夕刻に、日本原子力発電敦賀発電所に派遣いたしております運転管理専門官からの報告によりまして、同発電所の第四給水加熱器に故障の疑いがあるとする報告が参ったわけでございます。これを受けまして、直ちに原子炉の運転を取りやめるよう指導いたしたわけでございます。もともとこの敦賀発電所におきましては四月二日から定期検査に入る予定ではございましたが、これを一日午後七時前後に、指導を行いまして、発電をとめさせたわけでございます。 これと同時に、直ちに検査官を派遣いたしまして、立入検査を実施いたしました。先ほど申し上げましたように、一日から八日まで実施いたしたわけでございます。 ここでわかりました内容は、今年の一月十日及び二十四日に、発電所が行いました特別パトロールによりまして、第四加熱器に漏洩を発見いたしておるわけでございますが、これに対しまして一月十日発見時におきましては、クラック部分に当て板を当てまして、板の四すみをすみ肉溶接するという形で対応をいたしておりますし、二十四日二回目の漏洩に対しましては、クラック部分周辺をたたきまして、いわばコーキングといいますか、その作業をいたしました上にパッキングを当てるというような対応の工事を行っておったことがわかったわけでございます。 いずれにいたしましても、この二回の漏洩の発見及び保修工事に関しましては、運転専門官に一切報告なしのままに実施がされておるということが判明いたしたわけでございます。 現在、私どもといたしましては、この立入検査の結果の解析を急いでおりますが、これですべての問題が解明できておりませんので、その不明点についての会社側の説明を現在求めると同時に、その立入検査でわかりました問題点につきまして、たとえばなぜ事故の報告を行わなかったのか、いろいろな工事を行いますが、工事に関して所定の手続をとらなかったのか、これらに関しまして会社側の見解をいま求めておるところでございまして、これらの結果を踏まえまして、総合評価の上で厳正な措置を講じたいというふうに思っておるところでございます。
○長田委員 これは、事故の際、報告を義務づけております電気事業法第百六条及び第四十六条ですね——溶接した場合、通産大臣の検査を受け、合格した後でなければ使用できない、この条文に違反していませんか。
○石井政府委員 百六条の報告義務に関しましては、若干の限定がございます。したがいまして、直ちに法律違反になるかどうかにつきましては、損傷及びその事故内容によりまして今後決定していかなくちゃいかぬわけでございますが、いずれにいたしましても通産省といたしましては、五十二年に通達を発しまして、いかなる軽微な事故でもすべて報告すべきことを義務づけております。その観点からいきましても、きわめて遺憾ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。 それから、お尋ねの溶接の問題でございますが、使用電気工作物として指定されました限りにおきましては、その溶接結果につきまして検査を受けて、合格しなければ電気事業の用に供してはいかぬという規定が御指摘の四十六条にございます。これに違反する疑いもございますので、その点について現在検討いたしておるところでございます。
○長田委員 原子力発電の事故につきましては、アメリカのスリーマイル島、私も院で派遣されて行ってまいりました。その事故や関西電力の大飯発電所の事故をきっかけといたしまして、五十五年四月から原子力発電所には運転管理専門官が派遣されておりますね。敦賀発電所の事故についてなぜこういう点、気がつかなかったのでしょうかね。
○石井政府委員 いま先生御指摘のとおり、原子力発電所に現在十五名の運転管理専門官を派遣いたしておりまして、この職務は、各発電所の保安規定の遵守状況を指導監督するということで参っておるわけでございますが、具体的な職務の遂行に関しましては、電気事業者からの報告を受けまして、これをベースにしてチェックをしてまいるということでございまして、電気事業者が今回の場合のように報告をいたしませんと、これを現実問題として把握することはきわめて困難な状況にございます。 そういう状況で、特別パトロールと申しますのは、特別の管理区域でございますので通常立ち入りません。そういう地域におきまして発見されました特別パトロール結果が報告されなかったということでございますので、私どもとしては、会社側の報告管理体制、これに十全なものがなかったというふうに判断いたしておるわけでございます。
○長田委員 いま御答弁がありましたとおり、運転管理専門官には何らの権限もないんですね。単に発電所から報告を聴取するだけにとどまるわけであります。せめて私は、事故があった場合は直ちにその内容が把握できる体制をやっぱり確立すべきだと思いますが、どうでしょうか。
○石井政府委員 先ほどのお答えで、四月一日から検査官を派遣して検査に入らせたというふうに申し上げましたが、これは、この事故が発見されまして直ちに、常駐しております専門官に立入検査権限を付与しまして、検査官としての機能を持つように措置いたしたわけでございます。
○長田委員 その点、どうかひとつ、どうも原子力の事故というのは初歩的ミス、操作ミスというのが非常に多いのですね。そういう点はひとつしっかり管理していただいて、信頼に足りる体制をつくっていただきたい、特に要請をしておきます。 最後に、時間が参りましたのでSRCII、私は予算委員会でこの問題を通産大臣にお尋ねをいたしました。十四、十五日の両日、日本、アメリカ、西ドイツ三国の技術レベルでの協議が終了いたしております。アメリカ及び西ドイツ両国政府はどのような方針で臨んできたのでしょうか。あるいは大分縮小するようですが、そういう点で日本の対応として、この代替エネルギーの見通しまで相当修正せざるを得ないなという感じがいたしております。この両点について御説明をいただきたいと思います。
○福川政府委員 御指摘のとおりに、四月十四、十五日の両日、東京におきまして三国での協議を行いました。 私どもといたしましては、このプロジェクトが代替エネルギー開発の象徴的な国際協力プロジェクトであるということを強調いたしまして、しかもなおかつ昨年の七月、政府間協定が締結されました後、短時日の間にその基本的なスキームが再検討されるようになるということは遺憾であるという旨を強く指摘いたしますと同時に、現行のスキームが継続されることが日本の立場として最も望ましいということを強く主張をいたしました。 一方、アメリカは、石油代替エネルギー開発につきましてのレーガン新政権の方針を説明いたしまして、本件プロジェクトをエネルギー省の予算による支援から代替燃料公社、シンセティック・フュエル・コーポレーションに移行するということについて、日本及び西ドイツの検討を求めたいということを述べたわけでございます。一方、またこのプロジェクトにつきまして、米国は、このコストの見積もりの再検討をいま進めているところであるけれども、それが当初の計画に比してかなり増加するということを説明をいたしました。この点に関しまして、どの程度の見積もりになるのかという点は、ドイツともども私どももいろいろただしたわけでございますが、これは現在アメリカとしては作業中ということでございまして、これから月末あるいは五月の初めまでかけてその辺は精査をするということでございました。さらにまた、アメリカといたしましては、プラントの規模を縮小することによって建設コストを圧縮することも考えられないではない、この点もあわせ検討をしているということを申したわけでございます。 一方、西ドイツの代表団は、このプロジェクトの増加について、これがかなりの程度増加するということであればこのプロジェクトの実施についての懸念を表明いたしました。それで、この代替エネルギー開発につきましての三国協力を続けていくためには、現行のプロジェクトを変更するかまたは代替案を考えざるを得ないということを主張をいたしたわけでございます。 私どもも、これらの米国及び西ドイツの考え方を受けまして、日本としてはできる限り実質的な変更を伴わない代替案ということが考えられるのであれば、これは検討はする用意があるということは申しましたが、今後、いずれにいたしましてもアメリカのそのコストの見積もり、スケジュールの見直し等の作業の出るのを待ちまして、今後とも三国が各種の問題点について協議を続けていこうということで合意をいたしました。そして、それらの作業を見ながら、今後六月の四日及び五日に再度協議をボンで行うということを約束をいたしまして、今回十四、十五の両日の協議を終わったわけでございます。 私どもといたしましては、この厳しい石油情勢の中で代替エネルギー開発の一つの重要な柱として石炭液化というものを位置づけておるわけでございまして、私どもも、このSRCIIプロジェクトとともに、またほかにも幾つかのプロジェクトを国内で、あるいはまた国際協力の形をとりながら実施をいたしておるわけでございますが、私どもとしてはアメリカの再評価の結果を待ちまして、このプロジェクトをできる限り現行スキームを実質的に変更することなく継続する道を探ってまいりたい。また同時に、他の石炭液化のプロジェクトの開発もこれまたそれぞれ技術的に特色のあるものでございますので、それを進めますと同時に今後のエネルギーの供給、特に石油代替エネルギーの開発を長期的な目標の中で遺漏なく推し進めるよう、最大の努力を続けたいというふうに考えております。
○長田委員 以上で終わります。
○野中委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 私は、日本原子力発電敦賀一号炉の第四給水加熱器の故障事故問題についてお伺いをいたします。 ここに去る四月十日、資源エネルギー庁が電気事業法百七条に基づいて立入調査を行ったその結果が公表をされております。 この内容を見てみますと、昭和五十六年一月に二回にわたって第四給水加熱器B系統の部分に蒸気漏れが発生し、約三カ月間もこの事実が隠されていた、しかもそのままで保修工事が実施されていたということが明らかに記載されております。 この報告書の経緯から見て、日本原電と修理工事を実施した東芝とが、私は、明らかに事故を隠すためにしめし合わせていたものだとしか思えない、このような印象を非常に強く持ったわけでございます。少なくとも放射能を帯びた蒸気が漏れていたというこういう危険性について、しかもそれが三カ月間も隠されたまま保修工事がされていた。安全性を重視する通産大臣、原子力発電の問題についてこれを大臣としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、まず基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 私ども、エネルギーの計画で長期エネルギー暫定見通しというものを発表しておりまして、それは十年後の代替エネルギーを半分まで、五〇%にしていこうという計画でございまして、原子力発電所につきましては十年後の昭和六十五年に五千百万から五千三百万キロワットという目標を立てておりまして、その目的完遂に向かって着々と進んでおります。
○小林(政)委員 大臣、ちゃんとした御答弁をいただきたいと思います。 私がいま大臣にお伺いをしたのは、重要な安全性という問題について主務官庁である通産省は、三カ月間もこれが隠されたまま保修工事が行われていた、こうした危険性についてどのようにそれを受けとめ、また解決の方向を出そうとしているのか、こういうことをお聞きしているのです。
○田中(六)国務大臣 その件はもちろん法律違反ではございますし、非常に遺憾なことであるというふうに考えております。それからまた、これからそういう事故のないように、また事故があった場合は直ちに報告するようにというような指示をしております。
○小林(政)委員 この報告書を見てみますと、一月十日、第一回の第四給水加熱器の漏洩保修作業はその漏洩個所に当て板を溶接して漏洩を防止した、このように記載されております。また、さらに二回目の一月二十四日、この事故については、同じく第四給水加熱器の漏洩については東芝が保修工事をしていたものでございますけれども、ひび割れ、いわゆるクラックと言われる部分をハンマーでたたいた、コーキングしたということがここに書かれ、そしてその上に包帯のようなもので巻きつけて外側を鉄板製のバンドで押さえたというふうに記されています。 このことは、先ほども問題になりましたけれども、この二回の事故とも日本原電は通産省に何ら報告をしていなかったということでございますけれども、明らかにこれは電気事業法百六条の違反ではないかと思いますが、この点について明確な御答弁をいただきたいと思います。
○石井政府委員 御指摘の、日本原子力発電株式会社敦賀発電所におきます第四給水加熱器のクラックにつきまして、その発見時におきます何らの通産省への通報及び保修作業に関しまして所要の手続をとらなかったということについては、きわめて遺憾であるというふうに思っております。 ただいま御指摘の電気事業法の報告義務違反かどうかという点につきましては、先ほども申し上げましたが、ただいまのところ、四月一日から実施いたし八日に完了いたしました立入検査結果をいま詳細に分析いたしておるところでございます。 その場合、発電所サイトにおきます担当者及びその管理者の説明ぶりというものは聴取いたしておりますが、あわせてこれは会社側として明確な見解を表明していただく必要がございますので、先週末、金曜日でございますが、てんまつ書という形におきまして、具体的に立入検査結果についての法律上の疑義について正式な会社側の見解を提出させる、及び立入検査ではまだ不明な点がございますから、そういう点についての詳細な報告を求めておりますので、これらを合わせた上で最終的に電気事業法百六条の違反であったかどうかということについて正式な見解を見出したいというふうに思っております。
○小林(政)委員 この二回にわたる保修作業について、日本原電と東芝との間に契約書も結ばれていなかったと言われております。このことは一体何を意味するんでしょう。なぜ契約を結ばないで保修工事がやられたのか、この事態を通産省は一体どう見ているのか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
○石井政府委員 ただいま申し上げましたとおり、これまでの立入検査で判明いたした限りにおきまして、一回目、二回目すべての保修工事に東芝がどの程度関与しておったか、必ずしも文書のみによってあるいは保存書類のみによっては最終的に判断しかねる状況にございます。二回目の場合の方が東芝の関与度が高いということは言えるわけでございますが、第一回目についてはどういう関与度であったかというのは必ずしも十分把握できておりません。いま御指摘のように、かかる保修工事の場合、通常でございますと請負契約を締結するというのが通常でございますし、かつそれを文書化しておくということが必要であるわけでございますが、今回の場合には、会社側の説明では緊急対策だということで、文書は後でつくるという観点でまだ契約書を文書化しておらなかったということでございます。 その前に、実は私どもとしては、実態的な契約関係が、原電と東芝あるいはその他の関与したところがございますが、保修工事に関しましてそれがどういう関係で工事が進められたのかという事実をまず固めることが先決であろうと思っておりまして、私どもとしてはその解明を急ぎたいというふうに思っております。
○小林(政)委員 報告書も出ていなかった、あるいはまた契約書も結ばれていなかったということは、これはだれがどう見ても、この限りにおいては、日本原電と東芝とが共同して事故を隠していく、こういうための工作がされていたんではないかという疑いの念を一層強くするものでございます。この二つの事実はこのことを証明しているのではないか、このように思いますけれども、この点について検討中ということでございますから、ひとつ十分調査をしていただいた上で改めて報告をしてもらいたい、このように思います。 私は、この二つの事実から見て、どっちがどっちということよりも、これは明らかに証拠隠しがやられているんではないか、契約書が結ばれてなかったというようなことは、そのお金は一体どうなったんだとか、ますますこの疑問はふくれていくばかりなんでございます。 こういう点からも明らかにしてもらいたいというふうに思いますし、また一月十日の一回目の事故、これは結局溶接をやっておりますけれども、その検査の報告というものが通産省にはされていなかった、これは事実ですね。そうですね。ちょっとお答えいただきたいと思います。
○石井政府委員 一月十四日に行われましたすみ肉溶接の結果につきましては、検査はいたしておりません。
○小林(政)委員 二回目の、ひび割れた部分をハンマーでもってたたいて修理をしたというこういった修理工法は、電気事業法四十八条の電気工作物の技術基準に適合していたものなのかどうなのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。
○高橋(宏)政府委員 お答えいたします。 第二回目の措置でございますが、溶接線に沿いましてしたたるような漏れが発見された、こういう記載になっておりますけれども、恐らくごく微小なひびだと存じます。その場合、通常の火力発電所とかあるいは普通のボイラー等におきまして、金属のひび割れの周辺をたたきましてその部分の一時的に漏れを防ぐという方法はあるのでございます。ただし、この場合、わずかではございますけれども、中に入っております水あるいは蒸気には放射能がございます、一cc当たり約二千八百マイクロマイクロキュリーという単位でございますけれども。そういうような容器でございますので、技術基準におきましてもある一定の厚さと強度を常時期待しておると申しますか、そういう強度なり厚さを持たなければいけない、こうなっておるわけでございます。といいますことは、たたいて一時的にとめましても、その部分におきまして果たして技術基準で要求しております強度なり厚さなりが維持されておるかどうか、この辺大いに問題のあるところだと存じます。 私どもは、目下、この状況は技術基準に適合しないんではなかろうかという見解を深めておりますけれども、なお決断をいたしますには若干の技術的な分析調査が必要かと存じております。
○小林(政)委員 そういう程度のものであるということでございますけれども、放射能を含んでおるのです。ですから、この問題が明らかに技術基準に適合していたものであるのかどうなのかということは、きわめて重大な問題だと思うのです。この点がいまだにわからないということですか。
○高橋(宏)政府委員 現在詳細に調査をして結論を出したい、こういうことでございます。 なお、本給水加熱器と申しますのは、タービンの抽気で給水を温める施設でございまして、通常の火力発電所のタービンに、新鋭火力にはついておる設備でございます。したがいまして、原子炉施設といいますか原子炉の格納容器の方にあるものではございませんで、タービン建屋の方にあるものである。と同時に、本件の場合、この給水加熱器があるお部屋には放射能、線量率と言っておりますけれども、これをはかるモニターがございます。立入検査官が調査したところでは、そのエリアモニター、お部屋の放射線量率が上がったとか、あるいは外に通じておりますスタックのモニターが上がっておるという事実は現在ございません。
○小林(政)委員 何か盛んに言いわけをされているような印象を受けるのですけれども、私は、こうしたひび割れた部分をハンマーでたたいて修理するというような保修工事というものが、電気事業法四十八条の電気工作物の技術基準に適合しているのかどうか、こういうことをお聞きしているわけです。
○平田説明員 御説明申し上げます。 その点につきましては、バンドを外しまして中の部分につきまして肉厚を測定してみて、クラックの状況等を精密にはかってみないと最終的な結論は出せないと私どもは考えて、現在その点を調査しておるところでございます。
○小林(政)委員 その点についても厳重に調査した上で、調査結果を明らかにしてもらいたいと思います。 私は、いままでの答弁それからここに書かれている内容を見まして、技術基準にも適合してないような非常にずさんな工事と言って差し支えないと思いますが、こういう工事では原子炉メーカーの東芝の責任というものは非常に重大ではないかという印象を強く受けております。安全性を重視している原子力発電の保修工事を行う資格が果たしてあったのかどうなのかということまで疑いたくなるような気持ちでございます。恐らく東芝は他の原子力発電所でも、いろいろと違いはあるにしても、同様の技術基準を満たさないずさんな手抜き工事をやられているのじゃないだろうか、こういう疑問もますます大きく広がってきております。東芝の場合には、御承知のとおり敦賀発電所だけではなくて、このほかにも、日本原電敦賀一号炉はもちろんのこと、東電福島第一の二号、三号、五号、六号、中部電力の浜岡一号、二号とこれだけ受け持っておるわけですから、これらについてもすべて調査をすべきではないか、このように思いますけれども、いかがですか。
○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、原子力発電所の建設あるいは定期検査の際にメーカーの役割りというのは非常に重要だと思っております。ただし、このメーカーの役割りは、発電所を管理する電力会社の保安規程という保守管理の憲法みたいなものがございますけれども、その中のいろいろな規程類を通じて、また請負といった関係を通じて全うされるものだと思っております。したがいまして、電力会社自身の全体としての責任がまず基本になる、こういうたてまえだと思っております。その点において、原子力発電株式会社の保守管理責任体制あるいはそういう全体の管理体制自身に問題があったのではないかという観点から現在調査をして、適切な措置をとりたいと考えております。
○小林(政)委員 確かに、本来原子力発電の安全保安体制という問題は、原電側が自主保安体制を確立していくということが原則であるということでございますけれども、今回の事故について報告書を見ますと、私は、この報告書で質問しているのですから、当直長だとか発電課長だとか保修課長だとか副所長だとか、こういう人たちには事態の報告がされているわけです。ところが、原子炉規制法四十条第一項あるいは四十二条第二項で定められている原子炉主任技術者、あるいはもう一方の電気事業者の業務としての保安体制ということで、原子炉規制法三十七条の保安規定を定め通産大臣の承認を受け、保安規定を遵守するという義務が負わされていますけれども、この二つの法律によるダブル機能、これがされているわけです。ところが、実際には原子炉主任技術者への報告の体制というのはどうなっていたのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○石井政府委員 原子炉主任技術者あるいはガスタービン関係の主任技術者、これはそれぞれの責任を持っておるわけでございますが、現在、立入検査の結果判明いたしました書面によって、どういうような形で報告が行われ、あるいは報告が行われなかったか、これを調査している段階でございます。
○小林(政)委員 原子炉主任技術者の技術者の立場ということから、この件について一体どのような指示が出されていたのですか。
○石井政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、かつ立入検査結果でこれまでの段階でわかりましたところを発表いたしておりますように、特殊パトロールによる点検によって発見されたものを保修課系統でこれを処理したというふうにわれわれは理解いたしておるわけでございます。その系統と、先生御指摘の主任技術者及び私どもが五十二年に通達を出しました報告体制、責任体制という形で報告責任体制が社内にできておるはずでございます。それとのすり合わせが本当にどうなっておったかという点について、現在会社側の最終見解をただしておるところでございます。
○小林(政)委員 全く、何を聞いても調査中であるとかただしておりますとかというようなことで、具体的な事実関係、もう少し明確になるところがないのでしょうか。主任技術者が事故について報告されていないとすれば、原子炉規制法の第四十条第一項で決めていることだとか四十二条の義務規定だとかこういったものが、自主性を持って行うという上で何の役にも立たないと言わざるを得ないと思うのです。もし報告が行われていて、なおかつそれが守られていなかったということであれば、これはその責任は重大だと思います。 私は、いままでの答弁の中で、日本原電の自主的な保安体制機能というものが全くどうなっていたのか、こういうことで安全だ安全だということが言えるのかどうなのか、この点についてさらに御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(宏)政府委員 お答えいたします。 電力会社の自主保安体制ということが出ましたけれども、その中核をなすものは、御指摘のとおり、保安規定の遵守義務と主任技術者制度の二つが柱だと私ども思っております。 特に、ただいま主任技術者制度と本件とのかかわり合いについてお尋ねでございますが、この場合問題になりますのは、私どもが法律的に定めることを義務づけておりますこの主任技術者というものと通常の職制、たとえば保修課長とか発電課長とか管理課長とか、そういう職制がございますけれども、そのマッチングの問題でございます。これは発電所ごとによりまして、どこのポストの人が法律上定める主任技術者として選ばれるかということはいろいろございます。もちろん資格要件はありますので、しかるべき免状とか資格を持っている人がなるわけでございますけれども、そういうスタッフ的な役割り、これは保安に関する計画に参画することとかいろいろ保安規定に書いてありますけれども、そういうものと日常の権限としてラインで持っている業務との関係が実は問題になるわけでございます。この辺は常に整理しておかなければいけない問題であるのでございますけれども、本件の場合それがどうなっているかということ等が、責任をどう最終的に判断するかというポイントになろうかと思います。そういう点の調査を現在事情聴取等を中心にして進めておる、こういうことでございます。慎重かつ十分検討いたしまして結論を出したい、こういうぐあいに考えております。
○小林(政)委員 通産省は監督官庁ですから、通産省が法に基づいた会社側の保安体制といいますか、二つの法律に基づいたダブルチェックがやられているという点を体制の上でも重視をしていく、指導の上でも重視していくというようなことが本当にやられてなかったのじゃないかという印象を非常に強く受けました。今後の保安体制の万全を期すために具体的にどのような方策をお立てになるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
○石井政府委員 本件につきましての立入検査結果の解析及びてんまつ書が多分来週中には提出されると私ども考えておりますが、これらの解析、総合評価の上に今後とるべき措置を考えなくちゃいかぬわけでございますが、まず会社側に対しましては、すでに保安管理体制についての数項目にわたる総点検を指示いたしておりまして、原子力発電株式会社全体の保安管理体制の立て直しを命じておるところでございます。その意味におきまして、二度とこういうような不祥事を起こさぬように会社側に厳重に指導してまいりたいというふうに思っておりますが、ただいま申し上げましたような総合評価の上に立ちまして、さらに必要であれば専門官のあり方あるいは会社側の保安体制のあり方、それらについてその検討結果を踏まえまして研究をしていきたいというふうに思っております。
○小林(政)委員 昨年四月から通産省が原電に派遣をしている運転管理専門官の職務権限とは一体どういうものなのか。また、先ほど御答弁もありましたけれども、現在何人の体制でこれが維持されているのか、この点について、職務権限と人数についてお伺いをいたします。
○石井政府委員 運転管理専門官の職務といいますのは、保安規定の遵守状況の管理ということでございまして、監督指導を行うことでございます。したがいまして、立入検査権限というものに基づく調査ではございません。保安規定の遵守状況の指導監督を通じて運転管理状況、安全、保安状況すべてについてこれを指導していく立場にございます。 現在の体制でございますが、合計十五名で専門官の配置をいたしておりますが、さらに今年度一名の増員を五月以降予定いたしております。
○小林(政)委員 そうすると、法的な裏づけと申しますか、そういうものはなくて、一般職の身分で、会社側からの原子力発電の運転の状況だとか保安作業の状況だとかいうことの報告を聴取する、いわゆる法的な裏づけというものは特別ないのですね。そう受け取ってよろしいですね。
○石井政府委員 そのとおりでございます。
○小林(政)委員 そうしますと、日常の保安体制というのは会社側がやっていて、それを通産省は監督といいますか運転管理専門官を通じて監督をしている、このように思いますけれども、むしろ安全確保という点から考えれば、この管理専門官の権限をさらに強化もしてもらいたいし、また人員もふやしていくことが大変必要なのではないだろうか、このように思いますし、基本的な今後の見解について伺いたいと思います。
○石井政府委員 私どもとしましては、運転管理専門体制の充実ということで今後とも努力を尽くしていかなくちゃいかぬというふうに思っておりますが、具体的には専門官の会議を通じまして相互の情報を交換し、より徹底した保安規定遵守状況の把握、これを十分にできるような体制をつくっていかなくちゃいかぬというふうに思っております。 具体的に先ほど先生がおっしゃった権限の強化等という問題につきましては、たとえば本件の場合に、四月一日に事故の疑いがわかりました段階で直ちに検査官に立入調査権限を付与いたしまして、現実にすべての書類等の検閲をいたしております。そういう形で機動的な運用は必要な時期においていたすわけでございますが、さらに具体的に業務の内容あるいはその執行方法等について、今回の立入検査結果及びてんまつ書の総合評価の上に立ちまして、自主保安体制を前提としながらも、どういう対応をとっていったらいいか、これらについて十分検討していきたいというふうに思っております。
○小林(政)委員 結局いままでの質疑に対しては、通産省側はいま調査中であるというようなことで十分な御答弁をいただけたとは私は思いませんけれども、しかし、通産省が派遣している運転管理専門官というのは会社側から報告を聴取するだけだというようなことだとか、また法律で定めてある保安規定の上で定められております原子炉主任技術者だとか、こういう人も本当に事故の現実というものを知っていたのか知っていないのかもよくわからない、こういうような状況がいまの答弁の中でも出てまいりました。こうしたことでは、会社側の自主保安体制あるいは通産省がこれから安全性を期して保安という問題を重視していくということから見てまことに心細い状況ではないだろうか、このように思ったわけでございます。結局、会社側とメーカー側が勝手に処理できるような仕組みなどが残されているということもおかしなことだと言わなければならないと思いますし、こうした問題についてやはり通産省独自の立場で、本当にある程度権限を持った調査官をつくるなり、あるいは安全性の担保をするにはどうしたらいいか、こういった問題も含めて措置をすることが非常に重要だというふうに思いました。 調査の結果、一体いつごろ正式にこの問題は発表ができるのかどうか、その期日をお知らせいただきたい。 それから、この処置についてはどのようなことが現在検討されているのか。単なる、罰則では三万円だの十万円だのというようなことだけであと何もないわけですね。こうした問題等も踏まえて具体的にどのような処置をお考えになっていらっしゃるのか、こういう点も含めて御回答をいただきたいと思います。
○石井政府委員 先ほどお答えいたしました会社側のてんまつ書の提出を待ちまして、これは多分来週じゅうに、来週半ばくらいに出すように私どもとしては要請いたしておるわけでございますが、この結果を受けまして、立入調査結果と突き合わせをいたしました上で最終的な措置を決めたいというふうに思っております。その意味におきまして、できるだけ早い機会にその検討結果を明確にいたしたいというふうに思っておるわけでございます。 それから、今後のその結果としてとるべき措置でございますが、おっしゃられましたように罰金は軽うございますが、やはり社会的に大きく指弾を受けることになるわけでございますので、私どもとしましては、単にそういう社会的な批判のみならず、現実的に保安体制を十全なものにしていくというのが一番肝心なことだと思っておりますので、これは現在総点検を指示いたしておりまして、約一カ月後くらいに総点検結果及びそれに対する改善措置というものを報告させることといたしておりますので、これによりまして、今後、同発電所におきます保安管理体制の十全なることを期していきたいというふうに思っております。
○小林(政)委員 最後に私、これもいま大きな問題になっております環境アセスメントの問題について大臣にお伺いをいたしたいと思います。 御承知のとおり、鈴木総理が三月二十六日、参議院の予算委員会で、今国会に環境アセスメント法を提出をするということを表明をいたしております。この環境アセスメント法は、一九七六年以来五回も流れている。昨年四月の政府案の検討段階では、発電所建設について対象から除外をすべきだという意見が財界側や業界から強く出されましたが、原子力発電の安全性、あるいは原子力とは限りませんけれども、発電所の安全性というような問題について、この問題は国民に責任を持つ通産省として、発電所をも含めるべきであるという立場に私は立っております。通産大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 環境アセスメント法案につきましては、いま私どもの政府の母体でございます自由民主党にお任せして、自由民主党では鋭意御検討中であるというふうに聞いております。
○小林(政)委員 通産大臣、自民党としていま検討しているという御答弁ですけれども、私は、大臣の見解はどうなのかということでお伺いをしたのです。 それから、時間の関係でその問題と、やはり発電所に対しては国民のコンセンサスを得るということが非常に大事ではないかと私は考えております。これは総理府が一月の末に発表したエネルギーに関する世論調査でも明らかでございますけれども、原子力発電所に対する不安感、不安があるとするものが五六%も国民の中にいるのですね。原発のある県では五八%です。また、原子力について知りたいことという問いの中で、「放射線の人や環境への影響」というのが第一位を占めております。これは四四%。二位が「原子力発電所の安全対策」で三六%、三位が「放射性廃棄物の処理・処分対策」などで二九%、こういう国民の世論調査の結果が出ております。 私は、アセスメント法に発電所を加え、住民参加のもとで審議をしなければならないという立場に立っておりますけれども、大臣、自民党の立場ではなくて通産大臣として、主務官庁の大臣として、国民に責任を負う大臣としてどうお考えになっているのか、この点を明確にお答えをいただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 アセスメントの重要性は十分認識しておりまして、電源立地その他におきましてもすでにアセスメントという観点からこの問題に取り組んでおるわけでございます。 それから、国民のコンセンサスを得て原子力発電所などを設置すべきだということでございますが、いままでも公聴会とかいろいろなものを開いてできるだけコンセンサスを得るようにしておりますし、これからもそのような方針を持っていきたいというふうに思います。
○小林(政)委員 終わります。
○野中委員長 次回は、来る二十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十七分散会